<1> あいことば あ **ああ[鳴呼]** ○感動を直接的に表す言葉。承知したことを示す応答の言葉。[文例]「ああ、おいしかった。」、こうすけとゆうちゃんが声をそろえて言いました。♠「日曜日、遊びに行ってもいい?」「ああ、いいよ。」♠ああ、何と云う静かさだろう。この山陰[やまかげ]の藪[やぶ]の空には、小鳥一羽囀[さえず]りに来ない。唯[ただ]杉や竹の秒[えだ]に、寂[さび]しい日影[ひかげ]が漂[ただよ]っている。(芥川龍之介[あくたがわりゅうのすけ]「藪[やぶ]の中」) **あい[愛]** ○人や物事に対して、そのかけがえのない価値を認め、大切に思う気持ち。また、そのような気持ちを抱くこと。[文例]〈愛を注ぐ〉親は子に限りない愛を注ぐが、子にそれが分かるのは、自分が親になった時だろう。♠〈愛が芽生える〉〈愛をはぐくむ〉二人の間に愛が芽生え、ひそかにはぐくまれていた。♠〈愛に包まれる〉少年は、両親の愛を一身に集め、多くの人の愛に包まれて成長した。♠〈愛に満ちる〉彼は無名の画家だが、人間と自然への愛に満ちた人である。♠〈愛を貫く〉二人は、長い間の愛を貫いて結ばれた。♠〈愛におぼれる〉子供のころのわたしは、すっかり祖父母の愛におぼれていた。♠〈愛の手〉飢えた人々に、世界中から愛の手が差しのべられている。♠〈愛のきずな〉〈愛のあかし〉この手紙の束[たば]は、二人の愛のきずなであり、愛のあかしなのだ。♠〈真実の愛〉青春とは、人間の真実の愛や友情について、真剣[しんけん]に悩[なや]む時期である。♠〈愛の言葉〉甘い愛の言葉をささやかれて、ついふらふらとだまされてしまうという話を聞く。♠〈愛の交流〉〈深い愛〉この小説は、主人公の少年と捨て犬との深い愛の交流を描[えが]いたものだ。♠〈愛や憎しみ[にくしみ]〉この老木は、喜びや悲しみ、愛や憎しみなど、おびただしい人間のドラマを見てきたに違いない。♠〈愛する〉人類を深く愛する彼は、一生を平和運動と社会事業に捧げたのだった。 **あい[藍]** ○葉や茎から、濃い青色の染料をとる植物。また、その染め色の名。[文例]〈藍より青し〉「青は藍よりいでて、藍より青し」とは、弟子[でし]が師[し]をこえることのたとえです。♠〈藍染め[あいぞめ]〉この藍染めの袋[ふくろ]は、祖母[そぼ]にもらった思い出の品です。♠一桶[ひとおけ]の藍流しけり春の川(正岡子規[まさおかしき]) **あいいれな・い[相いれない]** (相容れない) ○互いに他[た]を受け入れない。両立[りょうりつ]しない。[文例]〈相いれない主張[しゅちょう]〉マンションの建設[けんせつ]をめぐって、住民側[じゅうみんがわ]と地主[じぬし]はともに相いれない主張を繰り返している。♠〈氷炭相いれない仲[ひょうたんあいいれないなか]〉二人ともいいやつなんだが、互いに氷炭相いれない仲なので、まとめるのが難しい。 **あいか[哀歌]** ○悲しい気持ちをうたった歌。[文例]〈哀歌をささげる〉この作品は、若[わか]くして太平洋[たいへいよう]上に散[ち]った戦士[せんし]たちにささげられた哀歌です。♠「レモン哀歌」は、高村光太郎[たかむらこうたろう]が智恵子[ちえこ]にささげた詩[し]です。 **あいかわらず[相変わらず]** ○いつものとおり。以前と同じように。あいもかわらず。[文例]母親の心配をよそに、子供らは相変わらず、暗くなるまで裏通りで遊んでいる。♠祖父の病気は、一進一退をくり返していて相変わらずだ。♠遠くへ就職した友達から、相変わらず元気で働いている、と便りがあった。♠ご覧のとおり、相変わらずの貧乏暮[びんぼうぐ]らしで、どうにもならんよ。 **あいかん[哀感]** ○もの悲しい感じ。せつない感じ。[文例]〈哀感がただよう〉曲全体に哀感がただよっていて、聞いているうちにジーンとしてきます。♠〈季節の哀感〉〈哀感をそそる〉かさこそと舞う枯れ葉に、いっそう季節の哀感をそそられました。 **あいかん[哀歓]** ○悲しみと喜び。[文例]〈人生の哀歓〉祖父母は、五十年もの間、人生の哀歓をともにしてきました。♠〈庶民の哀歓〉この作品は、貧しい生活に耐[た]えながら生きる庶民の哀歓を叙情[じょじよう]豊かに描[えが]いている。 **あいがん[愛玩]** ○生き物などをかわいがること。[文例]〈愛玩動物〉ペットブームで、いろいろな種類の愛玩動物が飼われています。♠〈愛玩する〉一人暮らしの老女は、まるで自分の娘のようにその猫[ねこ]を愛玩していた。 **あいがん[哀願]** ○嘆き[なげき]、うったえて願うこと。[文例]その老人[ろうじん]の哀願も、世間知らず[せけんしらず]の若い役人[やくにん]には通[つう]じなかった。♠〈哀願する〉彼は、泣き[なき]ながら、命[いのち]だけは助け[たすけ]てくれと哀願した。 **あいきょう[愛敬・愛嬌]** ○にこやかで、かわいらしいこと。人受けのする表情や言動。興[きょう]をそえる物事[ものごと]。[文例]〈愛敬がある・ない〉あのこは美人[びじん]じゃないが、愛敬があって、感じがいいね。♠〈愛敬を振りまく〉選挙前[せんきょまえ]とあって、山本氏はあちこちの会合[かいごう]に出かけてしきりに愛敬を振りまいています。♠〈とんだ愛敬〉激励会[げきれいかい]なのに、昔の失敗談[しっぱいだん]が飛[と]び出すなんて、とんだご愛敬だ。♠かつて、男は度胸[どきょう]、女[おんな]は愛敬などといわれたことがある。♠〈愛敬者[あいきょうもの]〉次男[じなん]は愛敬者で、いつも家[いえ]じゅうに笑い[わらい]をふりまいています。 **あいくるし・い[愛くるしい]** ○たまらなくかわいらしい。[文例]〈愛くるしいしぐさ〉孫[まご]の愛くるしいしぐさに、日ごろ[ひごろ]気むずかしい祖父[そふ]も相好[そうごう]をくずしました。♠〈愛くるしい笑顔[えがお]〉一歳[いっさい]になったばかりの我[わ]が子[こ]の愛くるしい笑顔を見て、父親[ちちおや]は目じり[めじり]を下げた。 **あいこ[愛顧]** ○目をかけ、ひいきにすること。[文例]〈愛顧にこたえる〉日ごろ[ひごろ]のご愛顧におこたえし、本日から三日間[みっかかん]感謝セールをおこないます。 **あいご[愛護]** ○かばい、守ること。[文例]〈動物愛護[どうぶつあいご]〉自分の友[とも]として最後[さいご]まで世話[せわ]をする決心[けっしん]もつかないのに、ペットを飼うのは動物愛護の精神[せいしん]に反[はん]します。 **あいこう[愛好]** ○趣味[しゅみ]や娯楽[ごらく]として楽しむこと。[文例]〈愛好する〉俳句[はいく]は、四季折々[しきおりおり]の風物[ふうぶつ]を五・七・五[ごしちご]で詠む[よむ]詩[し]として、多[おお]くの人々[ひとびと]に愛好されている。♠〈愛好者[あいこうしゃ]〉生活にゆとりができるにしたがって、芸術[げいじゅつ]やスポーツの愛好者は増え[ふえ]ていく。 **あいことば[合い言葉]** ○仲間[なかま]うちの合図[あいず]の言葉[ことば]。共通[きょうつう]の目標[もくひょう]を示[しめ]す標語[ひょうご]。[文例]〈合い言葉を言う〉「合い言葉を言え。」「雲[くも]!」「霧[きり]!」♠〈合い言葉にする〉彼らは、「打倒[だとう]A高」を合い言葉にした。 <2> を合い言葉に、日夜練習に励んでいる。 **あいさつ**(挨拶) ○人に対する儀礼的な言葉や動作。儀礼的な立場で気持ちを表すこと。受けこたえ。[文例]〈あいさつの言葉〉始業式には、新任の先生方があいさつの言葉を述べられます。♠〈開会のあいさつ〉〈あいさつをする〉生徒総会で開会のあいさつをするとき、緊張して声がうわずってしまった。♠〈時候のあいさつ〉〈あいさつをかわす〉時候のあいさつをかわすというのは、日本独特のやり方なのだろうか。♠〈あいさつを受ける〉披露宴[ひろうえん]の招待客は、宴に先立って新郎・新婦[しんろうしんぷ]の丁寧[ていねい]なあいさつを受けた。♠〈あいさつを返す〉近所のおばあちゃんにおじぎをしたら、丁寧にあいさつを返してくれた。♠〈あいさつがない〉隣に引っ越してきた若夫婦からは、二週間たっても何のあいさつもない。♠〈あいさつのしようがない〉いきなりどなられたんじゃ、あいさつのしようがないよ。♠〈あいさつに困る〉会うなり、不景気な顔してるなじゃ、こっちとしてもあいさつに困る。♠〈とんだごあいさつ〉人の顔を見て、「おもしろい顔ね。」とは、とんだごあいさつだ。 **あいしょう**【愛唱】 ○好んでうたうこと。[文例]〈愛唱する〉どんな人にも、愛唱する歌というものはあるものです。♠〈愛唱歌〉母の愛唱歌は「浜辺[はまべ]」で、料理をしながらよく口ずさんでいます。 **あいしょう**【相性・合性】 ○(男女の)性格がよく合うこと。互いの性格の合い具合。[文例]〈男女の相性〉男と女には相性というものがあって、好きな同士の仲が長続きするとは限らない。♠〈相性がいい。悪い〉彼らは相性が悪いらしく、顔を合わせるとけんかばかりしている。 **あいじょう**【愛情】 ○愛し、いとおしむ気持ち。恋いしたう気持ち。[文例]〈愛情こめる〉ささ舟[ぶね]流しや草笛[くさぶえ]や花輪作りは、子供たちが長い年月、愛情こめて育てた野の遊びだ。♠〈愛情を注ぐ〉世の親は、わが子の成長を楽しみに、限りない愛情を注ぐ。♠〈愛情豊か〉ぼくたち兄弟は、両親から誠実[せいじつ]で愛情豊かな生き方を学んだ。♠〈自然への愛情〉現代人は、世の中の目まぐるしい動きに追われて、自然への愛情を失いかけている。♠〈愛情が深い〉彼は妻に対する愛情が深かったので、妻の死後、再婚[さいこん]しなかった。♠〈愛情をもつ〉仕事に愛情と誇り[ほこ]りをもつ父を、ぼくは心から尊敬している。♠〈愛情がわく〉金魚を飼育[しいく]・観察して、生活の様子が分かると、愛情がわいてきた。♠〈細やかな愛情〉母からの手紙は、いつも細やかな愛情が文面ににじみ出ている。♠〈愛情が冷める〉あんなに熱烈[ねつれつ]な恋愛結婚[れんあいけつこん]をした仲なのに、彼らの愛情は急速に冷めたらしい。 **あいしゅう**【哀愁】 ○ものがなしさ。うれいを含んだ感じ。[文例]〈哀愁を帯びる〉ラジオから哀愁を帯びたメロディーが流れてきて、感傷的な気分にさせられた。♠〈哀愁がただよう〉孤独な老人の後ろ姿に哀愁がただよう。♠〈人生の哀愁〉〈哀愁がにじむ〉この作品には、全編を通して、そこはかとない人生の哀愁がにじむ。♠〈哀愁をそそる〉飛行機の窓の下に見える町の明かりは、なぜか旅の哀愁をそそる。♠〈人間の哀愁〉彼には、故郷を失って独りで都会に住む人間の哀愁を感じる。♠〈哀愁の気持ち〉この短歌は、白鳥を題材に、哀愁の気持ちをこめて、格調高く歌いあげている。 **あいず**【合図】 ○定められた方法で物事を伝えたり、確かめたりすること。また、その方法。[文例]〈合図を送る〉猟師[りようし]の一人が「獣[けもの]だ、静かにしろ。」と、仲間に片手を挙げて合図を送った。♠〈集合の合図〉〈合図がある〉集合の合図があったとき、わたしはまだお弁当を半分しか食べていなかった。♠〈合図をする〉友達としゃべっていたら、兄がちょっと来いと、目で合図をした。♠〈合図にする〉母が帰ってきたのを合図のようにして、友達はそそくさと帰っていった。♠〈合図に用いる〉昔、授業開始の合図に用いた鐘が、学校の資料室に保存されている。♠〈合図のベル〉追悼式典[ついとうしきてん]の始まる合図のベルが公会堂に鳴り響いた。♠〈合図する〉ぼくが手を挙げて合図すると、彼はにこっと笑ってみせた。 **あい・する**【愛する】 ▷あい **あいしょう**【愛称】 ○親しい者どうしの呼び名。[文例]〈愛称で呼ぶ〉名前は雅子[まさこ]ですが、友達には「まこちゃん」の愛称で呼ばれています。♠〈製品の愛称〉当社では、ただいま新製品の愛称を募集中です。 **あいせき**【愛惜】 ○愛し、大切にすること。失われることを惜しむこと。[文例]〈愛惜の思い〉やっと咲いた桜もこの風で散ってしまうだろうと、愛惜の思いで見守っていました。♠〈愛惜する〉書斎[しょさい]には、故人の愛惜した品々が生前のままに残されていた。 **あいせき**【哀惜】 ○失われたものを惜しみ、悲しむこと。[文例]〈哀惜の念〉この写真を見ていると彼の元気だったころが思い出され、哀惜の念にたえません。♠〈亡き人への哀惜〉挽歌[ばんか]は、亡き人への哀惜であり、鎮魂[ちんこん]の調べである。 **あいせつ**【哀切】 ○非常に悲しいこと。[文例]〈哀切の情〉この短歌には、幼くして死んだ子への哀切の情が込められています。♠〈哀切きわまりない〉古戦場を吹きぬける風の音は、一族の栄華[えいが]を知る者にとって哀切きわまりなかった。 **あいそ(あいそう)**【愛想】 ○相手を喜ばせるような言動。人に対する好意。飲食の勘定。[文例]〈愛想がよい〉あの男は、昔は無愛想[ぶあいそう]だったが、近ごろ非常に愛想がよくなってきた。♠〈愛想が悪い〉この駅の改札口の係員は、全くぶっきらぼうで愛想が悪い。♠〈愛想を振りまく〉うちの赤ちゃんは、人懐[なつ]こくて、だれかれなしに愛想を振りまく。♠〈愛想を言う〉きみは正直で、愛想を言うのが下手だから、ずいぶん損をしている。♠〈愛想を尽かす〉わたしは、父親が愛想を尽かし、母親ももてあますようななまけ者だった。♠〈愛想が尽きる〉みえっぱりで、けちでグズのあんな男には、つくづく愛想が尽きたわ。♠〈愛想笑い〉ふだん傲慢[ごうまん]な彼がひくつな愛想笑いをうかべて、借金を頼[たの]みにきた。♠〈愛想がない〉せっかくいらっしゃったのに、なんのお愛想もなくて、ごめんなさいね。♠〈お愛想をする〉どうもごちそうさま、お愛想をしてください。 **あいだ**【間】 ○二つの物・位置・時点などにはさまれた空間や <3> あいにく あ 時間。一定の空間や時間。物事の中間。人と人との関係。[文例]〈間をあける・つめる〉前の人との間をあけないで、きちんとつめて並びなさい。♠〈間に入る〉友達がけんかを始めたので、間に入って止めた。♠〈本の間にはさむ〉庭のもみじの葉があんまり美しいので、本の間にはさんで押し葉にした。♠〈島の間を縫う〉船は港を出ると、小島の間を縫って、波静かな海を進んでいく。♠〈間を置く〉この薬は、食後、しばらく間を置いてから飲みなさい。♠〈一瞬の間〉浦島太郎[うらしまたろう]が玉手箱をあけると、一瞬[いっしゅん]の間に数十年がたったそうな。♠〈何か月もの間〉あの年は、めったにないような日照り続きで、何か月もの間、一滴[いってき]の雨も降らなかった。♠〈授業と授業の間〉授業と授業の間の十分間に、わたしは三年生の兄の教室へ行ってみた。♠〈春から夏の間〉春から夏の間、かえるは土の上を跳びはねたり、水の中を泳いで元気に過ごす。♠〈長い間〉長い間、風雪に耐えてきた村の名物ざくらも、最近、すっかり衰え[おとろえ]が目立つ。♠〈一生の間〉いくらお金があれば、一生の間自由にそして幸福に暮らせるのだろうか。♠〈知らず知らずの間〉癌[がん]が知らず知らずの間に父の体を冒[おか]していた。♠〈留守の間〉留守の間に、着物や指輪などをごっそり盗まれてしまった。♠〈この間〉今度の受け持ちの先生は、この間学校を出たばかりの独身の美人だ。♠〈夫婦の間〉〈間を取りもつ〉兄夫婦の間を取りもったのは、実は犬のゴロなんだ。♠〈兄弟の間〉兄弟の間で秘密にするなんて、水臭[みずくさ]いじゃないか。♠〈あたしたちの間〉あたしたちの間はもうこれでおしまいよ。♠〈間を隔てる〉いつのまにか目に見えない厚い壁[かべ]が親友との間を隔[へだ]ててしまったようだ。♠〈国と国との間〉わが国と中国の間には不幸な戦争が長く続いた。♠〈若者の間〉会社の帰りに、今若者の間で評判の映画を見てきました。♠〈群衆の間〉燃えるホテルの窓から、宿泊客[しゅくはくきゃく]が助けられたとき、見守る群衆の間にどっと歓声が起こった。♠〈目と鼻の間〉ぼくの家と目と鼻の間に学校があるので、皆[みな]にうらやましがられる。 **あいだがら[間柄]** ○人と人との関係。[文例]〈師弟の間柄〉林先生と山本さんとは師弟の間柄で、久しぶりに会ったらしく話がはずんでいます。♠〈親しい間柄〉ぼくたちは同じクラスですが、それほど親しい間柄ではありません。 **あいちゃく[愛着]** ○慣れ親しんだものから離れたくないと思う気持ち。[文例]〈愛着を抱く〉作者はこの作品にたいそう愛着を抱き、亡くなるまで推敲[すいこう]を加えていたそうだ。♠〈愛着をもつ〉ふるさとに愛着をもつわたしは、高校を卒業すると地元へ就職した。♠〈愛着がわく〉長い間使い慣れた物には、何となく愛着がわくものだ。♠〈愛着を感じる〉父は、若いころから読み親しんできた日本の古典に、特に愛着を感じると言う。♠〈愛着が深い〉息子は、汚[きたな]いがらくたにも愛着が深いらしく、捨てようとはしない。♠〈愛着を失う〉〈物に対する愛着〉日本が経済大国に変貌[へんぼう]した背後で、人々は、物に対する愛着を失ったようだ。 **あいちょう[哀調]** ○もの悲しい調子。[文例]〈哀調を帯びる〉城下町の裏通りに哀調を帯びた尺八の音が流れる。♠〈哀調がにじむ〉老人の口ずさむ歌には、社会の底辺に生きる者に特有な哀調がにじんでいた。 **あいつ・ぐ[相次ぐ]** ○次から次へと続く。[文例]父親と兄を相次いで亡くした少女は、母親を助けて家事をきりもりしていった。♠〈事件が相次ぐ〉殺人・銀行強盗[ごうとう]など、大きな事件が相次ぎ、小さな町は大騒[さわ]ぎだ。♠〈相次ぐ災難〉商売の失敗、自宅の火災と相次ぐ災難に、さすがの彼もがっくりきている。♠〈相次ぐ空襲[くうしゅう]〉東京の町々は、相次ぐ空襲で焼き払われたが、父の家の一角だけが焼け残った。♠〈客が相次ぐ〉祖父が病床[びょうしょう]に就いてからは、見舞[みま]い客が相次ぎ、母は接待に追われている。 **あいづち[相づち]** (相槌) ○交互に打ち合うつち。相手の話に調子を合わせて、受け答えすること。[文例]〈相づちを打つ〉彼は、その話によほど共鳴したのか、しきりに相づちを打っていた。 **あいて[相手]** ○本人の行動の対象になる人。自分と一緒に物事をする人。[文例]〈相手に伝える〉伝言板には、相手に伝えたいことを簡潔に書こう。♠〈相手にする〉母に新しい自転車をねだったが、相手にしてくれない。♠〈相手をする〉孫たちの相手をするのが、祖父の重要な日課であった。♠〈相手の弱みにつけこむ〉相手の弱みにつけこんで仲間に引き込むなんて、ひきょうなやり方だ。♠〈相手になる〉我[われ]と思わんやつはかかって来い、相手になろう。♠〈相手が相手だけに〉上役[うわやく]に借金を申し込まれたが、相手が相手だけに断りにくくて困る。♠〈相手にとって不足はない〉明日の試合は、優勝候補との対戦だから、相手にとって不足はない。♠〈相手次第〉作戦をどうするかは、試合の相手次第で決めよう。♠〈遊び相手〉〈話し相手〉父と母は、幼いころは遊び相手であり、学生時代は良き話し相手であったという。♠〈子供相手〉たかが小学四年生の子供相手と思って将棋をさしていたら、みごとに負かされてしまった。 **アイデア** (アイディア) ○考え。思いつき。案。着想。[文例]〈店長のアイデア〉店長のアイデアで、店員全員が名札[なふだ]をつけることになりました。♠〈アイデアが浮かぶ〉その時、わたしの頭によいアイデアが浮かんだのです。♠〈グッドアイデア〉うん、それはグッドアイデアだ。早速実行しよう。 **あいとう[哀悼]** ○人の死をいたみ、悲しむこと。[文例]〈哀悼の意を表する〉ご尊父様ご逝去[せいさよ]の報に接し、つつしんで哀悼の意を表します。♠〈哀悼する〉山で死んだ友人を哀悼して、もくとうをささげます。 **あいどく[愛読]** ○好んで読むこと。[文例]〈愛読する〉わたしは、漱石[そうせき]の作品を愛読しています。♠〈愛読書〉ぼくの愛読書は、下村湖人[しもむらこじん]の『次郎物語』です。 **アイドル** ○あこがれの対象。人気者。[文例]〈家族のアイドル〉〈アイドル的な存在〉末っ子[すえっこ]のケイスケは、家族じゅうのアイドル的な存在です。♠〈子供のアイドル〉あの怖[こわ]い妖怪[ようかい]たちが子供のアイドルになっているというから驚[おどろ]きです。♠〈若者のアイドル〉歌はへただったけれど、少女はたちまち若者たちのアイドルにのし上がっていった。 **あいにく[生憎]** ○都合が悪いさま。期待どおりにいかない <4> あいはんする あ さま。[文例]〈あいにくの雨〉あいにくの雨で、遠足を楽しみにしていた妹はがっかりしている。♠〈あいにくなこと〉卒業以来初めてのクラス会だというのに、あいにくなことに、かぜをひいてしまった。♠担当者があいにくおりませんので、後ほどこちらからお電話させていただきます。♠せっかくプロ野球の招待券をもらったのに、あいにく暇[ひま]がなくて残念だ。♠〈おあいにくさま〉おあいにくさま、遊びになんか行ってるから、おやつは残ってないわよ。 **あいはん・する[相反する]** ○互いに対立。矛盾する。互いに異なる。[文例]〈相反する判断〉この現象について、学者たちは二つの相反する判断を下している。♠〈相反する立場〉わたしと村井氏とは利害相反する立場にあり、共同で事業をするのは難しいと思います。 **あいびき[あい引き]** (逢い引き) ○愛し合う男女がひそかに会うこと。しのびあい。[文例]〈逢い引きを重ねる〉佐吉[さきち]とおみのは、人のうわさを恐[おそ]れながらも逢い引きを重ねた。♠〈逢い引きする〉おばあちゃんのころは、人目をしのんで逢い引きしたもんだが、今の人は堂々とデートが楽しめていいねえ。 **あいぶ[愛撫]** ○かわいがって、なでさすること。[文例]〈母の愛撫〉お乳をたっぷり飲み、母の愛撫の快[こころよ]さに満足した様子で、赤ちゃんがすやすやと眠っています。♠〈愛撫する〉男は、娘の白いうなじを優しく愛撫しました。 **あいぼ[愛慕]** ○愛し、したうこと。[文例]〈愛慕の情〉どこにいても、いくつになっても、母親への愛慕の情は変わらない。♠〈愛慕する〉みなしごたちは、本当の母親のようにその尼僧[にそう]を愛慕した。 **あいぼう[相棒]** ○一緒にかごを担ぐ相手。何かをするときの相手。[文例]〈テニスの相棒〉試合が始まるというのに、ぼくのテニスの相棒はまだやって来ない。♠〈よき相棒〉彼というよき相棒に巡[めぐ]り合えたことが、今日の成功の最大の原因です。♠〈相棒をこしらえる〉一人より二人のほうが楽しいから、あなたも相棒をこしらえたらどう? **あいま[合間]** ○継続する物事が中断されている、比較的短い時間。[文例]〈家事の合間〉母は、家事の合間に、図書館から借りた本を読むのを楽しみにしている。♠〈仕事の合間〉古い橋をかけ直す仕事は、村民たちが畑仕事の合間合間に協力して進めた。♠〈合間をみる〉母は、店の仕事の合間をみては、入院中の妹の様子を見にいく。♠〈合間を縫う〉忙[いそが]しい仕事の合間を縫って、父はよく山歩きに出かけた。 **あいまい[曖昧]** ○はっきりしないさま。明白でないさま。[文例]〈意味があいまい〉日本語では、文章の意味があいまいになったり、誤解される恐れのない場合には、主語を表現しないことが多い。♠〈あいまいな態度〉彼女は、相手のあいまいな態度にいや気がさしてつき合いをやめた。♠〈考えのあいまいさ〉文章を書くと、自分の考えのあいまいさがよく分かるものだ。♠〈曖昧模糊[あいまいもこ]〉彼の言うことは、いつも曖昧模糊としていてまるで雲をつかむようだ。 **あいまって[相まって]** (相俟って) ○二つの物事や条件が重ね合わさって。[文例]昨日は、休日と好天相まってどこの遊園地もたいへんな人出だった。♠電車のストップした駅は、夕方のラッシュ時と相まってものすごい混雑となった。 **あいよう[愛用]** ○好んで用いること。[文例]〈愛用の自転車〉愛用の自転車がパンクしたので、弟のを借りてお使いに行った。♠〈愛用する〉祖父が生前愛用したすずりを形見にもらった。♠〈辞書を愛用する〉中学の入学祝いにもらった辞書をいまだに愛用している。 **あいよく[愛欲]** (愛慾) ○欲望にとらわれること。異性に対する激しい性的な欲望。[文例]〈愛欲の炎〉二人は、愛欲の炎に焼かれ、明日なき身をこがしていった。♠〈愛欲の世界〉女は、情熱のおもむくままに、愛欲の世界に身をゆだねた。 **あいらしい[愛らしい]** ○かわいらしい。[文例]〈愛らしいしぐさ〉娘の愛らしいしぐさに、一日の疲れもふっ飛んでしまいます。♠〈愛らしい口元〉目が合うと、彼女の愛らしい口元に微笑[びしょう]が浮かんだ。 **あ・う[合う・会う・遭う]** (逢う) ○二つ以上のものが一つになる。一致する。調和する。つりあう。あてはまる。出あう。面会する。出来事・境遇などにめぐり合う。[文例]〈〜が〜に合う〉お茶にはせんべいが、紅茶にはケーキがよく合います。♠〈環境に合う〉海から陸に上がった動物は、長い間かかって、環境[かんきょう]に合うように体を変えてきた。♠〈場に合う〉きみはもう少し、その場に合った話し方をするように気をつけなさい。♠〈事実と合う〉この文章は、美しい言葉を並べて書かれているが、事実と合っていない。♠〈水準に合う〉毛皮のコートなどという、わが家の生活水準に合わないものを欲しがるでない。♠〈気が合う〉いつでも気が合って、いっしょにいられる友達が欲しい。♠〈呼吸が合う〉運動会の二人三脚では、わたしとかずちゃんは、ぴったり呼吸が合った。♠〈調子が合う〉兄は早足なので、いっしょに歩くと調子が合わない。♠〈心に合う〉自分の心に合う生き方を見つけることは、非常に難しい。♠〈答えが合う〉隣[となり]の席の子と答えを合わせたら、全部合っていた。♠〈話が合う〉祖母は、隣のおばあさんと同年輩[どうねんばい]で話が合う。♠〈口に合う〉こんないなかですから、お口に合うようなものはございませんが……。♠〈眼鏡[めがね]が目に合う〉この眼鏡は度が強過ぎて、わたしの目に合わない。♠〈時計が合う〉きみの時計、本当に合っているのかい?♠〈割に合わない〉その仕事は割に合わないから、引き受けられないよ。♠〈人に会う〉〈意見が合う〉人に「あう」ときは会う、意見が「あう」ときは合うと書きます。♠〈人と会う〉七時に人と会うことになっているので、帰宅はいつもより遅[おそ]くなります。♠〈会うは別れの始め〉「会うは別れの始め」という通り、愛する者ともいつか必ず別れねばなら[なら]ない。♠〈あらしに遭う〉航海の途中[とちゆう]、船はあらしに遭い、非常に苦しい経験をした。♠〈つらい目に遭う〉どんなにつらい目に遭っても、それを乗り越えていける自信がある。♠〈ひどい目に遭う〉雨には降られるし道路は込むしで、今度の旅行ではまったくひどい目に遭いました。♠〈災難に遭う〉不通になって列車内で夜明かしなん <5> あおじゃしん あ て、とんだ災難に遭ったものだね。♠〈不意打ちに遭う〉さすがの剣の名人も、暗やみで不意打ちに遭ってあえない最期をとげたという。♠〈事故に遭う〉車の事故に遭って、予定より三時間も遅れてしまった。 **アウト** ○決められた範囲の外に出ること。外側。資格を失うこと。[文例]ピッチャーの巧みな牽制球[けんせいきゆう]で、二塁ランナーはアウトになった。♠すばらしいサーブだったが、球ひとつはずれて惜しくもアウトになった。♠九時ちょうどの電車に間に合うかと思ったが、タッチの差でアウトだった。 **アウトライン** ○輪郭[りんかく]。概要[がいよう]。あらまし。[文例]〈計画のアウトライン〉とりあえず今度の計画のアウトラインだけ説明しておきます。♠〈考え方のアウトライン〉彼の考え方については、まだそのアウトラインさえよく理解していないのです。 **あうん**(阿吽・阿匠) ○物事の始まりと終わり。吐く息と吸う息。[文例]〈阿吽の呼吸〉二人は、まさに阿吽の呼吸で難局を切り抜けた。 **あえか** ○かよわく、たよりなげなさま。[文例]〈あえかな姿〉やせた女のあえかな後ろ姿が畑中の道に消えてゆく。♠〈あえかに美しい〉清流に飛ぶホタルはあえかにも美しく、わたしは足を止めて見とれていた。 **あえぎ**(喘ぎ) ○苦しげな呼吸。ハアハアいう息づかい。[文例]〈あえぎが静まる〉険[けわ]しい山道を登ってきた男は、あえぎが静まるのを待ってうまそうにわき水を飲んだ。♠〈農民のあえぎ〉山と積まれた米俵からは、重い年貢[ねんぐ]に苦しむ農民たちのあえぎが聞こえてくるようだった。 **あえ・ぐ**(喘ぐ) ○苦しげにせわしく呼吸する。困難な状況にあって苦しむ。[文例]〈あえぎあえぎ走る〉早朝マラソンでは、ぼくは、いつもびりからあえぎあえぎ走っている。♠〈苦しげにあえぐ〉倒[たお]れた馬は苦しげにあえいだ後動かなくなった。♠〈重荷にあえぐ〉重荷にあえぎながら、山の頂上にたどり着いたときの満足感が、登山のだいご味だ。♠〈生活苦にあえぐ〉戦中・戦後の生活苦にあえいだころを思うと、今は極楽[ごくらく]だよ。♠〈不景気にあえぐ〉不景気にあえぐ各国では、失業者の数がどんどん増えている。 **あえて**(敢えて) ○思い切って。強いて。とりたてて。[文例]〈敢えて~する〉きみのためを思い、敢えて苦言を呈しようと思う。♠〈敢えて~しない〉できるだけ参加してほしいが、敢えて強制はしない。♠ふだんの彼を知っている人には、今度の事件も敢えて驚く[おどろ]にあたらなかった。 **あえな・い**(敢え無い) ○あっけない。はかない。[文例]〈あえない最期〉信長[のぶなが]は光秀[みつひで]の奇襲[きしゆう]にあい、本能寺であえない最期を遂げた。♠〈あえなく敗れる〉わが軍は、敵の巧みな攻撃の前に、あえなく敗れ去った。 **あ・える**(和える) ○調味料などとまぜあわせる。[文例]〈酢みそであえる〉わけぎと具を酢みそであえたぬたは、父の好物の一つです。♠〈ごまであえる〉今日は、ほうれん草をごまであえていただきましょう。 **あお**【青】 ○三原色の一つ。紺色・緑色などをいう語。未熟なさま。[文例]〈信号が青〉信号が青になったら、左右の安全を確かめてそれから渡[わた]りましょう。♠青は藍[あい]よりいでて、藍より青し。弟子が師をこえることもある。 **あおあお**【青青】 ○きわだって青いさま。青一色であるさま。[文例]朝の雨にほどよくぬれて、池の周りの柳[やなぎ]は青々と鮮やかである。♠ビルが建ちならぶ都会の中で、その一画だけが青々と緑に覆われていた。♠〈青々する〉夏の日を浴びて、田の稲[いね]が青々(と)してきました。 **あお・い**【青い】(蒼い) ○青色をしている。血のけがない。顔色が悪い。未熟である。[文例]〈青い空〉夕立がやむとまもなく、向こうの青い空高く、七色のにじが現れた。♠〈青い海〉ホテルの窓から、眼下に青い海が広がっているのが見える。♠〈青い顔〉病気で休んでいた山本君が、久しぶりに、やせて青い顔で登校した。♠〈青くなる〉映画を見て帰ったら、財布[さいふ]がないのに気づいて青くなった。♠〈実が青い〉庭のかきは、実が青いうちにみんな落ちてしまった。♠〈しりが青い〉おまえはまだお尻[しり]が青いくせに、生意気[なまいき]を言うんじゃない! **あおいきといき**【青息吐息】 ○力なく吐く息。体力や気力を消耗[しょうもう]した状態。[文例]入学試験が近づき、受験生たちは青息吐息だった。 **あお・ぐ**【仰ぐ】 ○顔を上に向ける。見上げる。敬う。上位の者から教えや助けなどを受ける。(顔を上に向けて)ひと息に飲む。[文例]〈星空を仰ぐ〉叙情的なこの作品を読んだ後は、今までと違った思いで星空を仰ぐようになった。♠〈天を仰ぐ〉子を失った親は、天を仰いで嘆き、地に伏して悲しんだ。♠〈師と仰ぐ〉明治維新[いしん]に活躍[かつやく]した志士の中には、吉田松陰[よしだしよういん]を師と仰いだ者も多かった。♠〈指図を仰ぐ〉分からないときは、先生や親の指図を仰ぐようにしよう。♠〈教えを仰ぐ〉幕末[ばくまつ]の長崎[ながさき]で、シーボルトに教えを仰いだ弟子の中からは、多くの人材が出た。♠〈援助[えんじよ]を仰ぐ〉父は、昔、学資の援助を仰いだ恩人に、今も深く感謝している。♠〈毒を仰ぐ〉古代ギリシアの偉大な哲学者ソクラテスは、毒を仰いで死んだという。 **あお・ぐ**(扇ぐ・煽ぐ) ○物をバタバタさせて、風を起こす。[文例]〈うちわであおぐ〉お母さんは、添い寝しながら、赤ちゃんをうちわで静かにあおいでいます。♠〈炭火をあおぐ〉ガスのないころは、七輪[しちりん]の炭火をばたばたあおいでおこしたものだよ。♠〈下敷[したじ]きであおぐ〉山本君は、教室に飛びこむなり、暑い暑いを連発して、下敷きであおいでいる。 **あおざ・める**【青ざめる】(蒼褪める) ○顔に血のけがなくなる。顔いろが悪くなる。[文例]〈顔が青ざめる〉この話を聞くと、彼女の顔は青ざめ、唇[くちびる]は引きつるようにゆがんだのでした。♠〈青ざめた顔〉救急車で運びこまれた病人は、青ざめた顔でベッドに横たわっていた。 **あおじゃしん**【青写真】 ○青地に白で図面を焼きつけた複写写真。設計図。将来の構想。[文例]〈計画の青写真〉この計画はまだ青写真の段階なので、果たして本当に着手されるのかどうかわかりません。♠〈青写真を描く〉わたしは今度の事業の青写真を描きながら、夢の実現を心にちかった。 <6> あおじろい あ **あおじろ・い**【青白い】(蒼白い) ○青みを帯びて白い。[文例]〈青白い顔〉青白い悲しげな顔をしているが、あの子いったいどうしたんだろう。♠〈青白い光〉それは、青白い光を放って東の空へ飛び去った。 **あおすじ**【青筋】 ○青いすじ。皮膚をすかして見える静脈。[文例]〈青筋を立てる〉家を出たいと言うと、父は青筋を立てて怒[おこ]った。 **あおぞら**【青空】 ○晴れて澄みわたった空。[文例]〈抜けるような青空〉台風一過、抜けるような今日の青空です。♠〈青空市場〉朝早くから地元の農家の人が野菜、果物、花などを持ち寄り、青空市場が開かれました。 **あおな**【青菜】 ○緑色の菜。[文例]〈青菜に塩〉夏休みを前にはしゃいでいる弟に、通知表のことを聞いたとたん、まるで青菜に塩、すっかりしょげてしまった。 **あおにさい**【青二才】 ○人生経験の浅い若者。未熟者。[文例]青二才のくせに、なまいきなやつだ。♠おまえたちのような年端[としは]のいかない青二才に何がわかるというのだ。 **あおば**【青葉】 ○青々とした草木の葉。みずみずしい新緑の葉。[文例]〈青葉がかがやく〉青葉若葉のかがやく美しい季節になりましたが、お元気ですか。♠〈目には青葉〉目には青葉山ほととぎす初鰹[はつがつお](山口素堂[そどう]) **あおみ**【青み・青味】 ○青色のどあい。青さ。料理に添える緑色の野菜。[文例]〈青みをおびる〉冬の空に青みをおびるほどにさえかえった月がかかる。♠〈青みがかる〉少女の青みがかった透明な肌がかすかに桜色[さくらいろ]をおびてきた。♠〈青味を添える〉最後に青味をちょっと添えると、料理がひきたちます。 **あおむけ**【あお向け】(仰向け) ○顔や体を上に向けること。また、そうした状態。[文例]〈あお向けに寝る〉草の上にあお向けに寝ると、初夏の青い空がまぶしかった。♠〈あお向けになる〉三郎は、畳の上にあお向けになって、目を閉じた。 **あおり**(煽り) ○あおること。物事の余勢。とばっちり。[文例]〈強風のあおり〉ゆうべの強風のあおりで、庭の木が二、三本倒[たお]れました。♠〈あおりをくう〉円高[えんだか]のあおりをくって、わが社の経営状態も悪化していた。 **あお・る**(呷る) ○あおむいて一息に飲む。[文例]〈酒をあおる〉コップの酒をぐいとあおると、男は店の外へ飛び出して行った。 **あお・る**(煽る) ○風を起こす。風が吹いて、物をパタパタ動かす。けしかける。そそのかす。[文例]〈風にあおられる〉帽子が風にあおられて、あっという間に飛ばされた。♠〈火をあおる〉海からの強風が火をあおり、火が風を呼んで燃え広がり、またたくに町を焼き尽くした。♠〈人からあおられる〉おっちょこちょいの彼は、周りからあおられると、すぐその気になる。♠〈競争心をあおる〉あの教育ママは、「友達は皆ライバルよ。」と、子供の競争心をあおっている。♠〈人気をあおる〉タレントを売りだすために、マネージャーや所属プロは人気をあおるのに懸命[けんめい]だ。 **あか**【赤】 ○三原色の一つ。人の血などの色。まぎれもないこと。左翼思想の持ち主。[文例]もう紅葉が始まっているらしく、遠くからでも山々の赤が目についた。♠〈信号が赤〉車は、信号が赤なのにもかかわらず、交差点につっこんできた。♠〈赤の他人〉彼女は、赤の他人のわたしにもほんとうに親切にしてくれました。 **あか**(垢) ○皮膚から出るよごれ。物事のよごれ、けがれ。[文例]〈垢がつく〉首筋に垢がついているよ、お風呂でちゃんと洗ったの。♠〈垢がたまる〉一週間も風呂に入っていないのだから、体に垢がたまるのも無理はない。♠〈旅の垢〉〈垢を流す〉旅館に着くと、早速温泉につかって旅の垢を流した。♠〈浮き世の垢〉〈垢を落とす〉今度の休みは、ゆっくり温泉にでもつかって、浮き世の垢を落とすとするか。♠〈爪の垢を煎[せん]じて飲む〉さっちゃんは、よく家の手伝いをするそうよ。あんた、さっちゃんの爪の垢でも煎じて飲んだら。♠〈耳の垢〉こら、これからおれの言うことを、耳の垢をかっぽじってよく聞け。♠〈あか抜けする〉久しぶりに会うみっちゃんは、都会の水に洗われて、すっかりあか抜けしていた。 **あかあか**【赤赤】 ○きわだって赤いさま。赤一色であるさま。[文例]〈赤々と燃える〉小屋の中では、暖炉の火が赤々と燃えさかり、旅人の冷えきった体を温めてくれた。♠つけ捨てし野火の畑のあかあかと見えゆく頃[ころ]ぞ山は悲しき(尾上柴舟[おのえさいしゆう]) **あかあか**【明明】 ○非常に明るいさま。[文例]〈明々と灯[ひ]がともる〉工場に一晩中明々と電灯がともり、徹夜[てつや]の作業が続けられている。 **あか・い**【赤い】 ○赤色をしている。左翼思想をもっている。[文例]〈赤い血〉腕[うで]の傷口からは赤い血が吹き出ていた。♠〈赤い夕焼け〉家の後ろには、赤い赤い夕焼け空がいっぱいに広がっている。♠〈赤い実〉ナンテンが赤い小さな実をつけている。♠〈赤く燃える〉五月になると、この山々はみな新緑に包まれ、ところどころに、つつじが赤く燃えて見えます。♠〈顔が赤くなる〉電車を待っているとき、セーターを裏返しに着ているのに気づき、思わず顔が赤くなった。♠〈目が赤い〉迷子になって泣いたのか、その子の目は赤かった。♠〈赤い気炎〉キャンパスに女子大生が大勢集まって、何やら赤い気炎をあげている。 **あがき**(足掻き) ○じたばたすること。もがき苦しむこと。▷あがく[文例]〈最後のあがき〉力尽きたイノシシは、しかし最後のあがきをこころみようとした。♠〈あがきが取れない〉計画だけはできたが、資金が集まらずあがきが取れなかった。♠〈悪あがき〉証拠はそろっているんだ、今さら悪あがきはよしたまえ。 **あかぎれ**(皹) ○寒さなどのために、手足の皮膚にできたさけ目。[文例]〈あかぎれが切れる〉水仕事が多いので、女たちはあかぎれが切れてとても痛そうだった。 **あが・く**(足掻く) ○前足で地面をかく。もがく。じたばたする。むだな努力をする。[文例]二度三度あがいたと思うと、馬はいきなり立ち上がってヒヒーンといなないた。♠どうあがいたって、ぼくたちの力で問題を解決するのは無理だ。 <7> あからむ あ **あかご[赤子]** ○生まれてまもない子。あかんぼう。[文例]〈赤子の泣き声〉暗い夜道を行くと、おや不思議、赤子の泣き声が聞こえてきたぞ。♠〈赤子の手をひねる〉「老人をだますなんて、赤子の手をひねるよりやさしい。」と、男はふてぶてしい態度で言った。 **あかさ・びる[赤さびる]** (赤錆びる) ○さびて赤茶ける。[文例]〈レールが赤さびる〉レールが赤さびているところを見ると、廃線[はいせん]になって久しいようだ。 **あかし[証]** ○証拠。証明。[文例]〈身のあかしを立てる〉兄は、疑われている友人の、身のあかしを立ててやるのだといって、一生懸命[いっしようけんめい]だ。♠〈生きたあかし〉遺跡[いせき]には、わたしたちの祖先が生きたあかしがあり、生活の知恵や感情が息づいていた。♠全員の賛成が得られたという事実が、わたしが正しかったことの何よりのあかしであった。♠丘を削ったところに庭木がよく育たないのは、地味が劣[おと]っているというあかしである。 **あかじ[赤字]** ○赤色で書かれた字。支出が収入を超える状態。[文例]〈家計が赤字〉家計簿をつけながら、母は、「今月もまた赤字だわ。」とため息をついた。♠〈赤字を入れる〉一冊の本が出来上がるまでには、何人もの人が赤字を入れて、誤りを直すのです。 **あか・す[明かす]** (証す) ○眠らずに朝を迎える。明らかにする。打ち明ける。証明する。[文例]〈夜を明かす〉終電車に乗り遅れて、駅の待合室で夜を明かさなければならなかった。♠〈身の上を明かす〉行きだおれのふろう者は、身の上を明かすこともなく、病院で息を引き取った。♠〈本心を明かす〉その若者は、無口で本心を明かすこともないので、なかなか友達ができなかった。♠〈身の潔白を明かす〉目撃者[もくげきしゃ]がいないので、彼の身の潔白を明かすのは容易なことではないだろう。♠〈種を明かす〉難しそうな手品でも、種を明かすと案外簡単なものが多いようだ。♠〈真相を明かす〉「きみにだけは」と、彼はこの事件の真相を明かしてくれた。♠〈鼻をあかす〉なんとかして、いつも自信たっぷりなあいつの鼻をあかしてやりたい。♠〈飲み明かす〉やっと就職が決まった大学生の兄は、今夜は飲み明かそうと、友達をさそっている。 **あか・す[飽かす]** ○あきさせる。惜しまずに使う。ふんだんに使う。[文例]〈金に飽かす〉海外で金[かね]に飽かして不動産などを買いまくる日本人が、ひんしゅくを買っている。♠〈暇[ひま]に飽かす〉おじいさんが暇に飽かして拾い集めた石が、庭にごろごろしていた。 **あかつき[暁]** ○(「明時[あかとき]」から)夜明け。明け方。物事の成る時。[文例]〈暁を迎える〉昨夜来[さくやらい]、書き物に夢中[むちゅう]で、ふと気づいて辺りを見回すと、すでに暁を迎えていた。♠〈暁を待つ〉わたしたちはまだ暗いうちに起きて、暁を待たずに出発した。♠まだほの暗い暁を指す言葉に「かわたれ(彼はたれ)どき」というのがある。♠〈成功した暁〉この事業が成功した暁には、あなたを重役として迎[むか]え入れるつもりだ。♠〈勝利の暁〉明日は決勝戦で、勝利の暁には、海外遠征[えんせい]が待っている。 **あかっぱじ[赤っ恥]** ↓あかはじ **アカデミック** ○学究的。学術的。[文例]〈アカデミックな学風〉この大学は、アカデミックな学風で知られている。♠〈アカデミックな雰囲気[ふんいき]〉留学中は、アカデミックな雰囲気の中で落ち着いて研究ができました。 **あがな・う[購う・贖う]** ○代価を支払って手に入れる。代償を払ってつぐないをする。[文例]〈罪をあがなう〉犯した罪は、一生をかけても自らの手であがなわなければなりません。♠〈金銭であがなう〉愛情を金銭であがなうことはできない。 **あかね・ける[あか抜ける]** (垢抜ける) ○やぼったいところがなくなる。洗練される。あか抜けする。[文例]東京の大学に通っているというのに、お姉さんはさっぱりあか抜けません。♠パリ暮らしが長いせいでしょう、さすがにあの先生はあか抜けていますね。 **あかね[茜]** ○暗赤色の染料をとる多年生のつる草。また、その染料で染めた色。[文例]〈茜色〉茜色に染まった空を、カラスが一羽飛んでいった。 **あかはじ[赤恥]** ○ひどい恥。あかっぱじ。[文例]〈赤恥をかく〉あなたのせいで、お母さんは先生の前で赤恥をかいたわよ。♠〈赤恥をさらす〉公衆の面前で赤恥をさらすことなど、とうてい私にはできませぬ。 **あかみ[赤み・赤味]** ○赤色のどあい。あかさ。[文例]〈赤みがさす〉ほおに赤みがさし、目には輝きがもどって、だいぶ元気になったようです。♠〈赤みをおびる〉カイツブリは、ハトぐらいの大きさで、体は赤みをおびた黒茶色、腹は白い水鳥です。♠〈赤みを増す〉秋も深まり、たわわに実る柿の実もいちだんと赤みを増してきた。 **あが・める[崇める]** ○神・仏として敬う。とうとび敬う。[文例]〈神をあがめる〉神殿[しんでん]には、人々が太陽神としてあがめるアポロの像がまつられていた。♠〈仏とあがめる〉村を洪水から救った老人は、その後生き仏とあがめられるようになった。 **あからがお[赤ら顔]** (赭ら顔) ○赤みを帯びた顔。[文例]赤ら顔の太った男は、どんぶり飯を三杯ぺろっと平らげた。♠脂[あぶら]ぎった赤ら顔の男が干物[ひもの]を食べながら、酒をあおっている。 **あからさま** ○包み隠さず外にあらわすさま。はっきりしているさま。ろこつなさま。[文例]〈あからさまに言う〉人の欠点をそんなにあからさまに言いたてなくてもいいじゃないか。♠〈あからさまないやがらせ〉住民が立ち退きに応じないので、地主はあからさまないやがらせを始めた。 **あから・む[赤らむ]** ○赤くなる。赤みをおびる。[文例]〈顔が赤らむ〉ワインをちょっと口にしただけで、ほんのりと顔が赤らんだ。♠〈実が赤らむ〉柿[かき]の実も赤らみ、秋の深まりを感じます。 **あから・む[明らむ]** ○明るくなる。[文例]〈空が明らむ〉仕事がやっと終わった時には、東の空がもう明らんでいまし <8> あからめる あ た。 **あから・める[赤らめる]** ○赤くする。[文例]〈顔を赤らめる〉「恋人が出来たんじゃないの、きれいになったよ。」と言われ、さっちゃんはぽっと顔を赤らめました。 **あかり[明かり]** ○明るさを感じさせる光。照明用の光。[文例]〈月の明かり〉樹氷[じゅひよう]が月の明かりに照らされて、一面に白い花が咲いたようだ。♠〈家々の明かり〉飛行機が高度を落とすと、無数の家々の明かりが見えてきた。♠〈明かりがつく・消える〉古くなった蛍光灯[けいこうとう]の明かりが、ついたり、消えたりしている。♠〈明かりにする〉電灯もランプもない開拓地では、夜は小割り[こわ]りにした松[まつ]の根をたいて明かりにした。♠〈明かりをともす〉友達のはげましが沈[しず]んだわたしの心に明かりをともしてくれた。♠〈明かりがさす〉通りすがりの家の窓に明かりがさし、子供たちの笑い声が聞こえてくる。♠〈明かりをとる〉わたしの勉強部屋は、大きな窓が二つあるので、明かりが十分にとれます。♠〈雪明かり〉窓の外がほんのり明るくなって、夜明けかと思ったら、雪明かりだった。 **あがり[上がり]** ○あがること。収入・収益。仕上がり。完了。終えること。以前の身分・職業を表す語。[文例]〈上がり下がり〉物価の上がり下がりが激しいと、国民の生活は安定しません。♠〈店の上がり〉今月は店の上がりが少なくて弱ったよ。♠〈上がりにする〉きりがいいから、今日はこの辺で上がりにしよう。♠〈一丁上がり〉へい、ラーメン一丁上がり!♠〈上がりを一杯[いっぱい]〉上がりを一杯お願いします。♠〈病み上がり〉病み上がりとは思えぬほどお元気で、安心しました。 **あが・る[上がる・挙がる・揚がる]** (騰がる) ○上方へ移動する。高くなる。高まる。(喚声などが)起こる。盛んになる。入学する。終える。完了する。それで済む。(水中・水上などから)出る。(座敷などに)入る。供え物をする。収穫・収入がある。話題に上る。評判になる。のぼせる。雨がやむ。犯人がつかまる。あげ物ができる。「行く」などの謙譲語。「食べる・飲む」などの尊敬語。[文例]〈屋根に上がる〉お父さんは、シャベルを持って屋根に上がり、雪おろしをしています。♠〈高い所へ上がる〉少し高い所へ上がって見ると、大きな建物だって小さく見えるのである。♠〈階段を上がる〉突き当たりの階段を上がると、ぼくの勉強部屋がある。♠〈幕が上がる〉どうしたことか、幕が上がったのに、舞台[ぶたい]にはだれも姿を見せません。♠〈旗が上がる〉踏み切り板をわずかに踏み越したのか、審判員[しんぱんいん]の赤旗が上がった。♠〈花火が上がる〉運動会の日の朝、学校の校庭にぼんぼんと勢いよく花火が上がりました。♠〈歓声が上がる〉「次の時間は自習です。」という先生の言葉で、教室中に生徒の歓声が上がった。♠〈たこが揚がる〉公園に行ってみると、真っ青な空にたこが揚がっていた。♠〈意気が揚がる〉後半三十分、味方が押し気味とあって、応援団[おうえんだん]の意気は揚がる一方だ。♠〈学校へ上がる〉早いものでうちの娘[むすめ]も、学校へ上がる年になりました。♠〈雨が上がる〉〈気温が上がる〉雨が上がると、それまで低かった気温もぐんぐん上がってきました。♠〈風呂[ふろ]から上がる〉風呂から上がって飲むビールの味は格別だと、父が言っていた。♠〈練習から上がる〉練習から上がった部員たちがどっと食堂へ入ってきた。♠〈おかへ上がる〉わたしは船乗りですから、船を下りると文字通りおかへ上がったカッパで、何の役にも立ちません。♠〈家へ上がる〉せっかくおいでになったのですから、上がってお茶でも飲んでいってください。♠〈お宅に上がる〉いいえ、先生のお宅には、一度上がったことがあります。♠〈お供えが上がる〉仏壇にお供えが上がっていた。♠〈利益が上がる〉店の商売が軌道に乗って、利益が上がるようになった。♠〈成績が上がる〉ちっとも勉強していないのだから、成績が上がらないのは当然です。♠〈効果が上がる〉気まぐれな性格で、気が向いたときしかやらないから、さっぱり効果が上がらない。♠〈能率が上がる〉学習は、自分から積極的に行うことによって興味も増し、能率も上がります。♠〈位が上がる〉練習熱心な彼は、この半年ですっかり強くなり、道場での位もだいぶ上がりました。♠〈水準が上がる〉一生懸命働けば収入がふえ、生活の水準も上がると思われた。♠〈物価が上がる〉またまた物価が上がり、生活は苦しくなる一方です。♠〈頭が上がらない〉総理大臣でも、小学校のときの先生に会うと、頭が上がらないそうです。♠〈火の手が上がる〉町の中心部から火の手が上がり、おりからの風にあおられて、たちまち町全体に広がった。♠〈人気が上がる〉この歌手の人気が上がったのは、去年映画に出演してからです。♠〈腕が上がる〉練習を積んだかいがあって、わたしの車の運転も、ずいぶんと腕が上がりました。♠〈ふうさいが上がらない〉彼女はあんなふうさいの上がらない男と、どうして結婚する気になったのだろう。♠〈名が挙がる〉次期大統領候補として、スミス氏、ジョーンズ氏の名が挙がっている。♠〈名が上がる〉この役者も、テレビ・ラジオへの出演が重なり、だいぶ名が上がりました。♠〈バッテリーが上がる〉雪の朝、バッテリーが上がってしまったらしく、車はウンともスンとも動かない。♠〈費用が〜円であがる〉忘年会は一人あたり五千円であがったので、余ったお金は次回のために積み立てておきます。♠〈試験であがる〉準備がよくできていれば自信がもてるので、試験であがるということもありません。♠〈食べ物を上がる〉お客さまの夕食は七時にしようと思いますが、何を上がりますでしょうか。♠〈犯人が挙がる〉通り魔事件の犯人が挙がって、みんなほっと胸をなでおろしたところです。♠〈手が挙がる〉海と山のどちらがよいかと聞いたところ、断然、海にたくさんの手が挙がりました。♠〈魚が揚がる〉魚の中でも、ことにタイが揚がってくると、港の周辺はにぎわった。♠〈天ぷらが揚がる〉ちょうど天ぷらが揚がったところですから、熱いうちにどうぞ。 **あかる・い[明るい]** ○光の量が多い。光が差している。不安や不正がなく、晴れ晴れして好ましい。朗らかだ。期待がもてる。濁りがない。物事にくわしい。[文例]〈空が明るい〉もう夜明けが近いのだろう、東の空が明るくなってきた。♠〈電灯が明るい〉新しい電球に取り替えたぼくの部屋の電灯 <9> いそが[いそが]が、明るくてまぶしい。●へ明るい日差し〉明るい日差しをいっぱい受けて、妹たちは縁側[えんがわ]でままごと遊びに忙しい。◆<明るい色>ぼくは、明るい色を使って絵をかくのが好きだ。●〈明るい性格〉サッチャンは、みんなから好[す]かれる明るい性格の持ち主です。◆明るい子〉あの子は、とても明るく素直なので、だれにでも好かれる。●へ明るい町〉わたしたちの住む町を、争いや犯罪のない明るい町にしたいと思う。●へ雰囲気が明るい〉新学期が始まって、皆が張りきっているせいか、クラスの雰囲気[ふんいき]が明るく感じられる。●〈未来が明るい>努力を忘れなければ、きみたちの未来は明るい。●へ見通しが明るい〉全社員が力を合わせたおかげで、うちの会社の見通しも明るくなってきた。●へ法律に明るい〉法律に明るい人がそばにいると、何かにつけ便利だ。◆<地理に明るい>山で道に迷うと困るから、この辺りの地理に明るい人を、案内に頼[たの]もう。●へ歴史に明るい>近所のおじいさんは、この町の歴史に明るいそうだから、一度話を聞いてみたい。 **あかるさ【明るさ】** ○明るいこと。明るさの度合い。[文例]〈星の明るさ〉一等星の明るさは、六等星の明るさの約百倍です。◆部屋の明るさ>壁紙[かべがみ]やじゅうたんを張り替えると、部屋の明るさが全く変わります。●〈性格の明るさ〉彼の性格の明るさは持って生まれたものだろう。●へ明るさが見える〉不況続きの業界にも、やっと明るさが見え始めてきた。 **あかるみ【明るみ】** ○明るい所。表立った所。又[例]〈明るみに出る>急に明るみに出たので、目がくらんでしまった。〈明るみに出る〉この事件が明るみに出れば、日本中が大騒[おおさわ]ぎになるだろう。 **あかんぼう【赤ん坊】** ○生まれてまもない子。あかちゃん。[文例]〈赤ん坊が生まれる〉姉に赤ん坊が生まれ、おばあちゃんになった母はさっそく世話をやいている。◆生まれたての赤ん坊から二歳近くまで、人間は大人に全く寄りかかって生きている。 **あき【秋】** ○夏と冬の間の季節。[文例]〈秋の夜長>秋の夜長は、ゆっくり読書するにはもってこいです。◆人〈実りの秋〉実りの秋になると、田が一面黄金色[こがねいろ]にかがやいて見えます。●〈秋が深まる〉木の葉がすっかり色づいて、秋は日ごとに深まってきました。●天高く、馬肥ゆる秋。◆男心(女心)と秋の空、といって、男(女)の気持ちは変わりやすいのです。◆秋の日はつるべ落としで、日が沈むと辺りはたちまちやみに包まれた。 **あき【空き】** ○空いていること。からっぽ。空いている空間・時間。欠員。([文例]〈空きがある〉ホテルの部屋に空きがないので、仕方なく隣の旅館に泊まることにした。へ座席の空き>列車はこんでいて、座席の空きは一つも見つからなかった。●へ人員の空き>工場の配送係に二名の空きがあるが、きみ、よかったら来てくれないか。●〈空き待ち〉入会を希望する人が多くて、現在のところ空き待ちの状態です。●へがら空き〉月曜日の昼とあって、映画館はがら空きでした。 **あきあき【飽き飽き】** ○すっかりあきて、いやになること。[文例]〈あきあきする〉梅雨[つゆ]の長雨にあきあきしていた子供たちは、晴れるといっせいに外へ飛び出して行った。◆お父さんの説教はもうあきあきだ。 **あきち【空き地】** ○使われていない土地。[例]裏の空き地はぼくたちの格好の遊び場になっている。ぼくが小さいころ、この辺りは空き地が多く、よくチョウやトンボを捕って遊んだものだ。 **あきない【商い】** ○商売。♪あきなう[文例]〈商いをする>老夫婦は、町はずれの小さな店で日用品の商いをしながら細々と暮らしていた。●へ商いがうまくいく〉商いがうまくいっているのか、彼は近ごろきげんがいい。●〈商いのこつ〉店を継[つ]ぐ決心をした兄は、父に熱心に商いのこつを教わっている。 **あきな・う【商う】** ○売り買いする。商売する。[文例]〈日用品を商う〉祖母は、道の端に小屋を作ってもらい、日用品を商う生活を始めた。◆〈魚を商う〉わたしの父は魚を商うのが仕事なので、ねぼうはできません。 **あきらか【明らか】** ○明るいさま。はっきりしているさま。明白。[文例]へだれの目にも明らか〉浅間山は、今も絶えず噴煙[ふんえん]を上げているから、活火山であることは、だれの目にも明らかだ。◆く根拠を明らかにする〉自分の考えを述べるときは、根拠を明らかにし、的確な言葉を用いることが大切だ。◆◇実態が明らかになる〉問題点がはっきりし、実態が明らかになるにつれて、みんなの考えもだんだんはっきりしてきた。●へ火を見るより明らか〉前もって準備をしなかったのだから、結果がよくないのは火を見るより明らかだ。〈明らかに悪い〉きみのノートをふざけて破[やぶ]いたのは、明らかにぼくが悪いけど、何もなぐらなくてもいいだろう。●〈明らかな証拠>泥棒[どろぼう]は、警察で明らかな証拠[しょうこ]をつきつけられても、なかなか自白しなかったそうだ。 **あきらめ(諦め)】** ○望みや願いを捨てること。断念。[商]〈あきらめがつく>無理だとわかっていても、チャレンジしてみないことにはあきらめがつかない。●へあきらめがいい〉まにあってます、の一言で帰ってゆくなんて、あきらめのいいセールスマンだね。 **あきら・める(諦める)】** ○望みや願いを捨てる。断念する。思い切る。[文例]落としたのが財布では、まず出てこないものと、あきらめるより仕方がない。●もう二度とあなたのお琴[こと]は聴[き]けないものとあきらめておりました。●何回もしつこくおもちゃをねだる弟に、父は、いいかげんにあきらめろ、とどなった。●〈進学をあきらめる〉少年は、家の貧しさから進学をあきらめて呉服屋[ごふくや]に奉公[ほうこう]しなければならなかった。●へきっぱりあきらめる〉彼女がいやだと言っているのだから、きみも男らしくきっぱりあきらめたほうがいい。●〈半ばあきらめる〉半ばあきらめたような気持ちで受験した高校に合格して、家中大喜びした。●〈結婚をあきらめる>五人の求婚者[きゅうこんしゃ]は、それでも姫[ひめ]との結婚[けっこん]をあきらめきれず、知恵[ちえ]や富[とみ]の力で難題にいどんだ。●〈潔くあきらめる〉 <10> あきる あ そんな高価な品はわたしにとっては身分不相応と、潔[いさぎよ]くあきらめればよいのだが、やはり未練は残る。 **あ・きる[飽きる]** ○満ち足りて、それ以上はいやになる。[文例]〈遊びに飽きる〉庭で妹たちがままごとをしていたが、そのうちに飽きたのか、どこかへ行ってしまった。♠〈勉強に飽きる〉勉強に飽きれば茶の間にくるだろうと待っていたが、三時間たっても弟はおりてこなかった。♠〈〜するのに飽きる〉かもは卵をだくのに飽きると、池のふちを歩き回り始めた。♠〈〜して飽きない〉教科書とちがい、この漫画[まんが]の本は、いくら見てもおもしろくて飽きない。♠〈飽きるほど〜する〉残飯[ざんばん]をあさっていた野良ねこは、飽きるほど食べると眠くなったのか、長々とねそべっている。♠〈飽きることを知らない〉子供たちは、一日中遊び回って飽きることを知らない。 **あき・れる[呆れる]** ○物事の意外さにおどろく。あっけにとられる。おどろき、失望する。[文例]〈あきれた顔〉今日も学校で立たされたと聞くと、母は、またかとあきれた顔をした。♠〈あきれるほど〉方言は、すぐ変わる流行語とちがって、あきれるほど気長に、地方に根づいて使われている。♠〈あきれてものが言えない〉忘れ物の多い兄は、きょうも上着と教科書を忘れてきたので、あきれてものが言えなかった。♠〈あきれた人〉左右別々の靴下[くつした]をはいていて、一日中気がつかなかったなんて、あきれた人だね。 **あく[悪]** ○道徳的に不正であること。→善[文例]〈善と悪〉人間の心の中では、善と悪とがいつも闘[たたか]っている。♠〈悪の道〉見知らぬ人のあたたかい一言が、わたしを悪の道から引きもどしてくれた。♠〈悪に染まる〉周囲の励ましと理解があれば、人が悪に染まることはないでしょう。♠〈悪の温床[おんしょう]〉大都会のその一画は、さまざまな犯罪が発生する悪の温床だった。 **あく[灰汁]** ○灰を水に浸してできる上澄み。植物に含まれる渋み・にがみ。性格・性質などのどぎつさ。[文例]〈あくを抜く〉わらびは、あくを抜いてから料理します。♠〈あくが強い〉あの俳優はあくが強いので、ファンもいる反面きらう人も多い。 **あ・く[明く・開く・空く]** ○閉じていたものがひらく。すきまができる。何もなくなる。使われなくなる。ひまになる。[文例]〈目が開く〉ひよこは、殻[から]を破って出てきたときには、もう目が開い(明い)ている。♠〈ドアが開く〉ひとりでにドアが開いたり閉まったりするタクシーは、日本にしかないそうだ。♠〈店が開く〉近所のパン屋は、朝七時前にもう店が開いている。♠〈幕が開く〉幕が開くと、けんらん豪華な舞台[ぶたい]に、すっかり目を奪[うば]われた。♠〈穴が空く〉帰省した兄の荷物から出てきたのは、汚れた下着、穴の空いた靴下、ほころびた上着……。♠〈一行空く〉国語のテストで、文中の一行空いている箇所[かしよ]を、適当な言葉で埋める問題ができなかった。♠〈席が空く〉映画を見に行ったが満員だったので、席が空くまで待つことにした。♠〈部屋が空く〉便利で日当たりが良く、家賃が安いアパートなんて、めったに部屋が空かないよ。♠〈手が空く〉お母さん、手が空いたときでいいから、手袋の編み方を教えてよ。♠〈ポストが空く〉突然の辞任で町の助役のポストが空いた。♠〈スケジュールが空く〉今度の土曜日、空いていたら、引っ越しの手伝いに来てくれないか。♠〈電話が空く〉電話がなかなか空かなくて、いらいらしながらとうとう三十分も待たされた。♠〈時間が空く〉旅行のおみやげを渡[わた]したいから、時間が空いているときに寄ってちょうだい。♠〈開いた口がふさがらない〉あまりのずうずうしさに開いた口がふさがらなかった。 **あく[飽く]** (厭く) ○満足する。満ち足りる。↓あきる[文例]〈飽くことを知らない〉会社をここまで大きくしたのは、経営者の飽くことを知らぬ開発意欲でした。♠ちょうちょうちょうちょう。菜の葉にとまれ。なのはにあいたら、桜にとまれ。(野村秋足[のむらあきたり]「蝶々[ちょうちょう]」) **あくい[悪意]** ○他に害を与えようとする意図。悪感情。わるぎ。悪い意味。[文例]〈悪意がある・ない〉悪意のないいたずらなら、相手は小学生でもあるし許してやろう。♠〈悪意にとる〉せっかくの親切を悪意にとるなんてひどいよ。♠〈悪意をもつ〉ぼくはあの人に対しては、何の悪意ももっていません。♠〈悪意をいだく〉少年はいつのころからか、主人に対して悪意をいだくようになった。♠〈悪意に満ちる〉恨[うら]みでもあるのか、村人の態度は悪意に満ちていた。 **あくうん[悪運]** ○運が悪いこと。悪いことをしても、よい結果が出るような強運。[文例]〈悪運が強い〉賊[ぞく]は、悪運の強いやつで、またも警戒[けいかい]の網[あみ]を逃[のが]れたらしい。♠〈悪運が尽きる[つきる]〉さしもの悪徳商人も、悪運が尽きたか、ついに摘発[てきさつ]を受けるところとなった。 **あくえいきょう[悪影響]** ○悪い影響。[文例]〈悪影響を与える〉俗悪なテレビ番組は、子供たちに悪影響を与えるという批判がある。♠〈悪影響を及ぼす〉学校側のまちがった対応が生徒たちにはかり知れない悪影響を及ぼした。 **あくかんじょう[悪感情]** ○他人に対して抱[いだ]く不愉快な気持ち。悪意。[文例]〈悪感情を抱く〉何が原因か知らないが、彼女はぼくに悪感情を抱いているらしい。♠〈悪感情が吹き飛ぶ〉思いきり言い合ったあとは、お互いの悪感情も吹き飛んでしまった。 **あくぎょう[悪行]** ○悪い行い。悪事。→善行[ぜんこう][文例]〈悪行を重ねる〉一度罪を犯した男は、次々に悪行を重ねていった。♠〈悪行の限りを尽くす〉おたずね者の三人組は、捕[つか]まるまでに悪行の限りを尽くした。 **あくじ[悪事]** ○悪い行い。悪い出来事。[文例]〈悪事をはたらく〉子供を相手に悪事をはたらくなんて、とんでもないやつだ。♠〈悪事が発覚する〉町長の悪事が発覚して、町は大騒[おおさわ]ぎになった。♠〈悪事が重なる〉その年は森一族にとって悪事が重なった。♠〈悪事千里を走る〉「悪事千里を走る」、そんな悪いことをしたらすぐに知れ渡るぞ。 **あくしつ[悪質]** ○たちの悪いさま。品質が悪いこと。[文例]〈悪質ないたずら〉事件が起こると、犯人を装[よそお]って警察に電話するという悪質ないたずらが相次いだ。 **アクシデント** ○思いがけない出来事。事故。[文例]〈アクシ <11> あくしゅ あ デントが起こる〉優勝候補の選手がレース中、足を痛めてリタイアするというアクシデントが起こった。 **あくしゅ[握手]** ○あいさつとして、手を握り合うこと。協力すること。和解すること。[文例]〈握手を交わす〉試合が終わると、両チームの選手たちははればれとした顔で握手を交わした。♠〈握手する〉長年国交を絶っていた両国が握手して、友好を推進することになった。 **あくしゅう[悪臭]** ○いやな臭い。[文例]〈悪臭を放つ〉どぶ川の水は黒くよどんで、悪臭を放っていた。♠〈悪臭が鼻をつく〉下水のふたを開けると、ぷんと悪臭が鼻をついた。 **あくしゅみ[悪趣味]** ○趣味が悪いこと。下品な趣味。[文例]最初から引き受ける気もないくせに気をもたせるなんて、ずいぶん悪趣味ね。♠〈悪趣味ないでたち〉彼女は、ごてごてと飾りたてた悪趣味ないでたちで姿を現した。 **あくじゅんかん[悪循環]** ○物事のかかわりの中で、次から次へと悪い結果が繰り返されること。[文例]〈悪循環に陥る[おちいる]〉賃金を上げれば物価が上がり、物価の上昇がさらに賃金の引き上げをよぶという悪循環に陥ってしまった。♠自然破壊がやがてどこかで人間に跳[は]ね返ってくるという悪循環には、終わりがない。 **あくじょうけん[悪条件]** ○悪い条件。[文例]〈悪条件が重なる〉練習不足のうえにエースがけがをするという悪条件が重なって、チームは惨敗[ざんぱい]した。♠〈悪条件がそろう〉砂漠[さばく]は、植物の生長にとって悪条件がそろい過ぎている。♠〈悪条件を克服[こくふく]する〉さまざまな悪条件を克服して、彼はりっぱな実業家に成長した。 **あくせい[悪性]** ○たちが悪いこと。[文例]〈悪性の風邪〉悪性の風邪がはやっていて、今日はクラスの三分の一が欠席だ。♠〈悪性の腫れ物〉右足のももの外側に大きな悪性の腫れ物ができた。 **あくせい[悪政]** ○国民を苦しめる悪い政治。[文例]〈悪政に泣く〉悪政に泣くのは、いつも貧しい者たちだ。♠〈悪政に苦しむ〉悪政に苦しむ農民たちは、ついに武器を取って立ち上がった。 **あくせく[齷齪]** ○細かい事にとらわれて、気持ちに余裕をもてないさま。物事に熱中して、こせこせ、せかせかするさま。[文例]〈あくせく働く〉あくせく働いてもちっとも暮らしは楽にならない。♠〈あくせくする〉毎日あくせくしていると、自分を見つめる心のゆとりがなくなってしまいます。 **アクセサリー** ○装身具。装飾品。付属品。[文例]〈アクセサリーを付ける〉あんなにごてごてとアクセサリーを付けるなんて悪趣味だ。♠〈アクセサリーにする〉おもしろい形の石だね。玄関のアクセサリーにしよう。 **あくせんくとう[悪戦苦闘]** ○不利な戦いをすること。苦しみながら努力すること。[文例]〈悪戦苦闘の末〉悪戦苦闘の末、かろうじて決勝に進むことができた。♠〈悪戦苦闘する〉猛烈な吹雪[もうれつふぶき]の中を悪戦苦闘して、ようやく目的地にたどり着くことができた。♠〈悪戦苦闘する〉どの村も新しい産業を興[おこ]そうと悪戦苦闘していた。 **アクセント** ○単語のある部分を強く、または高く発音すること。言葉の調子。強調される部分。特に目立つ部分。[文例]「春・張る」などの同音語を、同じアクセントで発音すると、意味の区別がつきません。♠〈アクセントがある・ない〉アクセントの違いで言葉の意味が異なるから、どこにアクセントがあるか気をつけよう。♠〈アクセントを置く〉今度はウエストラインにアクセントを置いた、女性らしいドレスがほしいわ。♠〈アクセントをつける〉このセーターは、色が地味なので、胸に花模様のアクセントをつけてみた。 **あくたい[悪態]** ○にくまれ口。[文例]〈悪態をつく〉いたずらをしていた子に注意したら、悪態をついて逃げていった。♠〈酔っぱらいの悪態〉サラリーマン風の酔っぱらいの悪態には、なるほどとうなずけるところもあった。 **あくだま[悪玉]** ○悪人。わるもの。[文例]〈善玉と悪玉〉この時代劇は、善玉と悪玉がはっきり分かれていてわかりやすい。♠つかまった泥棒[どろぼう]は、芝居にも出てきそうな悪玉の面相[めんそう]をしていた。 **あくてんこう[悪天候]** ○荒れた、悪い天候。[文例]〈悪天候をつく〉悪天候をついて、救助活動は続けられた。♠〈悪天候に見舞われる〉予想外の悪天候に見舞われ、登山隊はついに登頂を断念した。♠〈悪天候を避ける〉船は悪天候を避けて、しばらく港内にとどまることになった。 **あくど・い** ○悪らつだ。どぎつい。[文例]〈あくどいやり口〉あの男のあくどいやり口に泣かされた人も多いらしい。♠〈あくどい商法〉人の欲につけこんで財産をだまし取るあくどい商法は、跡を絶ちません。 **あくとう[悪党]** ○わるもの。悪人の仲間。[文例]〈根っからの悪党〉あいつは根っからの悪党じゃないから、話せばきっとわかってくれるよ。 **あくどう[悪童]** ○いたずらな子供。品行のよくない子供。[文例]庭の柿の実が色[いろ]づくと、決まって悪童たちが盗[ぬす]みにやってくる。 **あくとく[悪徳]** ○道徳に反すること。→美徳[文例]人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。(太宰治[だざいおさむ]「走れメロス」)♠〈悪徳商人〉あいつは、金のためならどんなことでもするという悪徳商人だ。 **あくなき[飽くなき]** ○あきることのない。とどまることを知らぬ。[文例]〈飽くなき戦い〉『白鯨[はくげい]』は、一人の男と鯨[くじら]との飽くなき戦いの物語である。♠〈飽くなき探求〉星の神秘に魅せられて以来、彼の飽くなき宇宙への探求が続いている。 **あくにん[悪人]** ○悪いことをする人。わるもの。→善人[文例]〈悪人をこらしめる〉正義の味方が悪人をこらしめるシーンになると、子供たちは思わず歓声を上げた。♠悪人の友を捨てて、善人の敵を招[おじ]け。 **あぐねる** ○なすすべなく、悩む。困りはてる。↓あぐむ[文例]〈思いあぐねる〉あれこれ思いあぐねて、とうとうわたしは叔父のところへ相談に行った。♠〈待ちあぐねる〉待ちあぐねてそろそろ帰ろうというときに、やっと耕介[こうすけ]が頭をかきながらやってきた。♠〈探しあぐねる〉探しあぐねて <12> あくび あ いた本が、なんと目の前の書棚[しょだな]に収まっているではないか。 **あくび[欠伸]** ○眠い時、退屈な時などに自然にする大きな呼吸。[文例]〈あくびが出る〉来賓[らいひん]のあいさつというのはいつも退屈で、あくびが出そうになる。♠〈あくびをかみころす〉ゆうべはあまり眠っていないので、あくびをかみころしながら授業を受けた。♠〈あくびがうつる〉〈あくびをする〉生徒のあくびがうつったのか、先生も小さなあくびをしました。 **あくひょう[悪評]** ○悪い批評。よくない評判。[文例]〈悪評を浴びる〉ぼくの作文には、まったく予想外の悪評が浴びせられた。♠〈悪評を買う〉当時は、難解と悪評を買った作品だが、後にこの作家の代表作と評価されるまでになった。♠〈悪評を立てる〉反対派の連中がいくら悪評を立てようとも、わたしの真意はいずれ人々に理解されよう。 **あくぶん[悪文]** ○わかりにくい文章。[文例]彼の文章はひどい悪文で、非常に理解しにくい。♠この論文は悪文であるばかりでなく、内容にまちがいがある。 **あくへき[悪癖]** ○悪い癖[くせ]。[文例]気のいい男なのだが、人の話を聞かないという悪癖がある。 **あくま[悪魔]** ○人に害を加えたり、悪にさそったりする魔神。ごくあくにん。[文例]〈心に悪魔がすむ〉天使のような子供の心にも、悪魔はすんでいるのである。♠〈悪魔がささやく〉だれも見ていない、盗んでしまえと、悪魔がささやいた。♠〈悪魔にたましいを売る〉この小説の主人公は、ふとしたできごころから悪魔にたましいを売る男としてえがかれている。 **あくまで[飽くまで]** ○どこまでも。とことんまで。徹底的に。[文例]きみが、あくまでうそをつきとおすなら、もう遊んでなんかやらないよ。♠お客様に対しては、あくまで礼儀正しく応対するように。♠空はあくまで高くすみ、赤とんぼが群れ飛ぶ秋が来た。♠民主主義の国では、国民の希望や要求は、あくまで議会を通して実現させるべきである。♠写真に写る現象は、あくまで現実そのものとは違う。 **あくらつ[悪辣]** ○あくどいさま。たちが悪く、やり方がひどいさま。[文例]〈悪辣な手口〉他人の土地をだまして売りつけるとは、なんて悪辣な手口なんだ。♠〈やり方が悪辣〉彼はどんどん事業を広げているが、やり方が悪辣で、多くの人の恨[うら]みを買っている。 **あくりょう[悪霊]** ○たたりをする、死者の霊。怨霊[おんりよう]。あくれい。[文例]〈悪霊にたたられる〉一族の人々がこんなに次々と同じ病気で死ぬなんて、悪霊にたたられているとしか考えられなかった。♠〈悪霊にとりつかれる〉悪霊にとりつかれた男は、ひどくおびえて、あらぬことを口走るようになった。♠〈悪霊をはらう〉教会では、悪霊をはらう儀式が行われていた。 **あくる[明くる]** ○(日・月・年などについて)その次の。[文例]〈明くる朝〉一日歩き続けると、体じゅうが痛くて、明くる朝なかなか起き上がれない。♠〈明くる日〉節分は、今のこよみでは二月三日か四日で、その明くる日が立春である。♠〈明くる年〉その年、村人の念願だった橋の工事が始まり、完成したのは、明くる年の冬だった。 **あくれい[悪例]** ○悪い例。悪い慣例。「[文例]〈悪例を残す〉ここで彼の行為を見逃せば、今後に悪例を残すことになる。 **あくろ[悪路]** ○たどりにくい、悪い道。[文例]〈悪路にさしかかる〉山あいの悪路にさしかかると、バスはこれでもかといわんばかりにひどく揺れた。♠〈悪路を越える〉いくら一番の近道だからといって、この悪路を越えるのはしんどいね。 **あげあし[揚げ足]** ○(相撲・柔道などで)地を離れて浮き上がった足。[文例]〈揚げ足を取る〉人の揚げ足を取るようなことばかり言っていては、話し合いは進まない。♠〈揚げ足取り〉皮肉ばかり言ったり、揚げ足取りをしたりでは、なかなか友達ができないだろう。 **あけがた[明け方]** ○夜の明けるころ。あかつき。[文例]ゆうべはよく眠れず、うとうとしているうちに、とうとう明け方になってしまった。♠明け方の空に、大きな星が一つ輝[かがや]いている。♠〈明け方の夢は正夢[まさゆめ]〉明け方の夢は正夢というが、いやな夢を見たものだ。 **あげく[挙げ句・揚げ句]** ○連歌・俳諧の最後の句。終わり。果 <13> あげしお あ て。とどのつまり。[文例]〈さんざん〜したあげく〉山で道に迷うと、さんざん歩き回ったあげく、寒さと疲れのために命を落とすことがある。♠〈考えたあげく〉銀行と証券会社の両方の入社試験に合格した兄は、いく日も考えたあげく、銀行を選んだ。♠〈骨を折ったあげく〉二日間歩き回ってくたくたになるほど骨を折ったあげく、やっと見つけた獲物[えもの]は三匹[びき]だけだった。♠〈言い争ったあげく〉十日ほど言い争ったあげく、なんとか話がついたようなので、親類[しんるい]の者たちもほっとした。♠〈そのあげく〉勉強をしないで遊んでばかりいて、そのあげくどうなるかは、通知表を見なくても分かる。♠〈あげくの果て〉男は、大酒飲みで怠け者、そのうえ競輪・競馬で大借金、あげくの果てに夜逃[よに]げをしたとか。♠連歌・俳諧では、第一句目を発句[ほっく]、最後の句を挙句という。 **あけくれ[明け暮れ]** ○朝夕。一日中。毎日。いつも。[文例]〈戦乱の明け暮れ〉戦乱の明け暮れに人々の心は疲れきっていた。♠〈明け暮れ〜する〉母親は、病弱な一人息子のことを明け暮れ心配していた。♠〈明け暮れする〉高校時代は、クラブ活動に明け暮れする毎日だった。 **あげしお[上げ潮]** ○満ち潮。調子の高まり。[文例]〈上げ潮に乗る〉上げ潮に乗って、魚たちはいその岩の間に集まってきた。♠〈事業が上げ潮に乗る〉伯父の事業は、上げ潮に乗ってますます発展していった。 **あけっぴろげ[開けっ広げ・明けっ広げ]** ○あけたまま。隠しへだてがなく、開放的であるさま。[文例]〈あけっぴろげな性格〉彼はあけっぴろげな性格で、クラスのみんなに人気があります。♠〈あけっぴろげな人〉あのとおりあけっぴろげな人ですから、内緒話[ないしょばなし]などとてもできません。 **あげつら・う[論う]** ○あれこれ言い立てる。取り立てて論じる。[文例]〈一々あげつらう〉細かいことを、一々あげつらうのも大人げない。♠〈あれこれあげつらう〉わたしの家族のことをあれこれあげつらうのはやめてほしい。 **あけぼの[曙]** ○明け方。夜明け。時代などの始まり。[文例]〈あけぼのの空〉あけぼのの空の、色と光の微妙な変化に見とれていた。♠〈文明のあけぼの〉人類は、大河の流域の肥沃[ひよく]な土地で文明のあけぼのを迎えました。 **あけやらぬ[明けやらぬ]** ○明け切らない。完全には明けない。[文例]〈明けやらぬ空〉まだ明けやらぬ東の空を、渡り鳥の群れが南を指して飛んでいった。♠〈夜も明けやらぬ〉夫婦は、夜も明けやらぬうちから起きて、畑仕事に精を出した。 **あ・ける[明ける・開ける・空ける]** ○朝になって明るくなる。物事が終わって別の状態が始まる。閉じていたものをひらく。すきまを作る。暇をつくる。何もないようにする。[文例]〈夜が明ける〉夜が明ければ、車窓に、月見草の花が咲いているのが見えるはずだ。♠〈年が明ける〉年が明いたら、うちのあんちゃんは、仕事をさがしに町に行くという。♠〈寒が明ける〉この地は、冬、寒が明けるまでは零下[れいか]十何度という寒さが続く。♠〈梅雨が明ける〉じめじめとうっとうしい日が続く毎日、早く梅雨が明けろとさけびたくなります。♠〈年季が明ける〉奉公に出ている姉も、年季が明ければ、家にもどってきます。♠〈喪が明ける〉姉は、死んだ父の喪[も]が明けるのを待って、来年三月に結婚[けっこん]する予定です。♠〈明けても暮れても〉いくら受験生とは言っても、明けても暮れても模擬テストばっかりではいやになってしまう。♠〈〜に明け〜に暮れる〉姉が子供連れで遊びに来たので、父は今日一日、孫に明け孫に暮れた。♠〈窓を開ける〉南側の窓を開ければ、やわらかい光と気持ちのよい風が部屋中に入ってきます。♠〈ふたを開ける〉ドラマの前評判はいいのだが、ふたを開けてみないと客の入りがいいかどうかはわからない。♠〈店を開ける〉もう閉店時間はとっくに過ぎたというのに、外でよっぱらいが、店を開けろとどなっている。♠〈幕を開ける〉わたしたちの祖先が文明への歩みを始めるとともに、文学の歴史もその幕を開ける。♠〈初日を開ける〉今度の舞台[ぶたい]は初めての主演なので、初日を開けるまでは心配でたまらない。♠〈穴を空ける〉五十センチメートル四方の板を用意し、四隅[よすみ]に直径二センチの穴を空けなさい。♠〈中身を空ける〉持ち物の検査をしますから、かばんの中身を全部机の上に空けてみなさい。♠〈水を空ける〉銅製の容器は、使った水をすぐ空ければいいのだが、そうでないと緑青[ろくしょう]が出やすくなる。♠〈水をあける〉二塁のポジション争いでは、残念ながらぼくは土井君に大分水をあけられたようだ。♠〈行を空ける〉ノートは、あとで書きたしたり、直したりするのに便利だから、一行ずつ空けています。♠〈道を空ける〉もうすぐおみこしがここを通りますので、ご通行のみなさんは、道を空けてください。♠〈席を空ける〉近く転校生が来ますので、どこか適当な席を空けることにしましょう。♠〈時間を空ける〉ちょっと相談があるから、今日の午後、時間を空けておいてくれないか。♠〈予定を空ける〉今度の土曜日は、予定を空けてあるのに、だれも誘[さそ]ってくれない。♠〈家を空ける〉自治会の役員になった母は、よく会合が開かれるので、家を空ける日が急に多くなった。 **あ・げる[上げる・挙げる・揚げる]** ○上方へ動かす。高くする。掲げる。高まる。(喚声などを)出す。盛んにする。(座敷などに)通す。入学させる。終える。完了する。得る。吐きもどす。供える。示す。挙行する。戦いを起こす。犯人をつかまえる。陸上に移す。あげ物を作る。「やる・与える」の謙譲語。謙譲の気持ちを表す語。[文例]〈棚に上げる〉こんな所に置い<棚に上げる>てあるとじゃまだから、棚に上げておきなさい。♠〈棚に上げる〉自分の努力不足を棚に上げて、親の責任だなどとぶつぶつ言うな。♠〈顔を上げる〉クラスでいちばん忘れ物が多いと先生に注意され、はずかしくて、顔を上げられなかった。♠〈頭を上げる〉人々は頭を上げて飛行機の通るのを見ている。♠〈腰を上げる〉みんなはびっくりして砂の上から腰を上げて、じわじわと後ずさりした。♠〈ふとんを上げる〉わたしは、ときどき寝坊[ねぼう]をして遅刻[ちこく]しそうになり、ふとんを上げないで学校へ行くことがある。♠〈噴煙を上げる〉火山には、今も絶えず噴煙[ふんえん]を上げる活火山のほかに、休火山、死火山がある。♠〈しぶきを上げる〉深い渓谷[けいこく]にかかるつり橋の下には、谷川がごうごうとしぶきを上げて流れて <14> あげく あ いた。♠〈声を上げる〉姉が、とんきょうな声を上げたので見に行くと、縁[えん]の下で、のらねこが子ねこをうんでいた。♠〈家に上げる〉おばさんは、「とも子はすぐ帰ってくるから、待っていなさい。」と言って、家に上げてくれた。♠〈子供を学校に上げる〉戦争が激しくなると、都市に住む者は、安心して子供を学校に上げていられなくなった。♠〈仕事を上げる〉この仕事はどうしても今日中に上げてしまいたい。♠〈腕を上げる〉先にバイオリンを習い始めた姉よりも、後から始めた妹のほうが、めきめき腕を上げてきた。♠〈位を上げる〉入門当時に比べれば、彼も道場でずいぶん位を上げました。♠〈効果を上げる〉この詩で、美しい夕焼けはどのような効果を上げているか、話し合ってみよう。♠〈利益を上げる〉雑貨屋のぼくの家では、スーパーに対抗して利益を上げるにはどうすればよいか悩[なや]んでいる。♠〈価格を上げる〉人件費がかさんだので、少し価格を上げなければ商売にならない。♠〈スピードを上げる〉塾[じゅく]の帰りに、友達とおしゃべりをして暗くなったので、自転車のスピードを上げて帰った。♠〈調子を上げる〉試合が近づくと、選手たちは調子を上げてきた。♠〈酔って上げる〉船に酔って上げそうになったときの苦しさは、経験者でなければ分からないだろう。♠〈神棚[かみだな]に上げる〉ぼくの家では、ついたおもちは、まず神棚に上げるのがしきたりになっている。♠〈経を上げる〉祖母が仏さまにお経を上げている。♠〈手を挙げる〉右と左を見て、車が来ないことを確認[かくにん]してから、手を挙げて横断歩道を渡りましょう。♠〈例を挙げる〉彼は、幕府[ばくふ]の高官の前で、外国の文明がいかに進んでいるかを、例を挙げながら説明した。♠〈語を挙げる〉次に挙げる故事成語は、現在、どのような意味で使われているか、考えてみよう。♠〈長所を挙げる〉漢字は意味を表すことができる、仮名は簡単で覚えやすいなど、それぞれ長所が挙げられる。♠〈名を挙げる〉彼は、長い間うもれた作家だったが、芥川賞[あくたがわしょう]を得て名を挙げた。♠〈全力を挙げる〉二百メートル競走では、全力を挙げて走ったが、途中[とちゅう]で転び、びりになってしまった。♠〈式を挙げる〉兄はまだ学生ですが、この春、同級生とささやかな結婚式[けっこんしき]を挙げました。♠〈兵を挙げる〉源頼朝[みなもとのよりとも]は、ついに 関東で兵を挙げた。♠〈犯人を挙げる〉付近の家々はのきなみ空き巣ねらいにやられているので、早く犯人を挙げてもらいたいと願っている。♠〈町を挙げて〉ワールドカップで優勝した選手を、故郷では町を挙げて歓迎した。♠〈たこを揚げる〉いい天気だけれど、たこを揚げるにはちょっと風が弱すぎるね。♠〈荷を揚げる〉貨物船から桟橋[さんばし]に荷を揚げるのには、クレーンが使われます。♠〈得手に帆を揚げると〉「得手に帆を揚げる」というのは、「得意になって、どんどん事を進める」という意味だ。♠〈油で揚げる〉フライといっても、これはパン粉をまぶして油で揚げたもののことではない。♠〈人に物をあげる〉入学祝いにこの万年筆をあげよう。♠〈〜しあげる〉みんなで地面に蛇の絵をえがき、最初にかきあげた者が、酒を飲むことにしようではないか。♠〈〜してあげる〉先生、それ、ごみため場に捨ててきてあげましょうか。 **あご[顎・腮・頤]** ○人や動物の口を構成する骨と、それを中心にする部分。[文例]〈あごがはずれる〉おかしくて、あごがはずれるほど笑ってしまった。♠〈あごをなでる〉おじいさんは釣り上げた大きな魚を前に、得意そうにあごをなでています。♠〈あごで使う〉女主人が使用人をあごで使うので、この店にはなかなか人がいつかない。♠〈あごを出す〉なんだ、もうあごを出したのか、頂上はまだまだ遠いぞ。♠〈あごが干上がる〉会社が倒産[とうさん]したあと、新しい勤め口が決まらないので、もうあごが干上がりそうだよ。 **あこがれ[憧れ・憬れ]** ○あこがれること。あこがれるもの。[文例]〈未知へのあこがれ〉旅には解放感があり、未知へのあこがれがある。♠〈都会へのあこがれ〉少女の心は、はなやかな都会へのあこがれでいっぱいだった。♠〈強いあこがれ〉三蔵法師[さんぞうほうし]が、長い困難な旅にたえられたのは、仏教の生まれた国インドへの強いあこがれがあったからだ。♠〈あこがれの的〉路地にはられたポスターは、若者たちのあこがれの的であるアイドル歌手のものだった。♠〈あこがれの人〉学生時代のあこがれの人に道ですれちがったが、すっかりいいお母さんになっていた。♠〈あこがれの大学〉彼女は、努力が実って、あこがれの大学に入学した。♠〈あこがれを感じる〉豊かな自然に囲まれた生活の中で、彼女は、少年に一種のあこがれを感じるようになった。♠〈あこがれのまなざし〉若者は、尊敬するピアニストのポスターを、あこがれのまなざしでじっと見つめていた。♠〈あこがれを抱く〉彼女は、自分がなぜ彼にあこがれを抱くのかという心のうちを、克明[こくめい]に日記に書き記した。 **あこがれる[憧れる・憬れる]** ○強く心を引かれる。そうなりたい、そうしたいと切に思う。[文例]〈古代ギリシアにあこがれる〉シュリーマンは古代ギリシアにあこがれ、自分の一生をその遺跡[いせき]の発掘[はっくつ]にかけた。♠〈プリマドンナにあこがれる〉プリマドンナにあこがれて、少女はひたすらバレエのレッスンに励[はげ]んだ。♠〈異性にあこがれる〉同じクラスの女の子にあこがれているが、彼女の前では一言も口がきけない。 **あさ[朝]** ○夜明けからしばらくの間。午前。[文例]〈朝の日〉海に朝の日が当たって、まばゆいほどにきらめいている。♠〈朝から晩まで〉彼は家族を養うため、朝から晩まで汗水[あせみず]たらして働いた。♠ぼくらは朝をリレーするのだ/経度から経度へと/そうしていわば交替で地球を守る(谷川俊太郎[たにがわしゅんたろう]「朝のリレー」部分) **あざ[痣]** ○皮膚にできる赤・紫などの斑紋[はんもん]。[文例]〈あざがある〉ぼくには、生まれた時から、腕[うで]のつけ根に小さな赤いあざがあります。♠〈あざになる〉ころんで打ったところが、大きなあざになってしまった。♠〈あざをつける〉弟はまたけんかでもしたのか、顔に青黒いあざをつけて帰ってきた。 **あさい[浅い]** ○底までの距離が短い。十分な程度に達していない。時間があまりたっていない。色がうすい。[文例]自分で作った網[あみ]を持ち、湖の浅い所で魚を取ったものです。♠〈川が浅い〉この川が浅ければ、向こう岸まで歩いてわたってみるのだが。♠〈浅いやぶ〉父は麦畑のそばの浅いやぶへと出かけていった。♠〈日が浅い〉彼とは知り合ってからまだ日が浅いのに、あまりにもなれなれしくするので好きになれない。♠〈午後の浅い時刻〉午後もまだ浅い時刻で、廊下[ろうか]には人影[ひとかげ]がなくてひんやりしていた。♠〈春が浅い〉北の町では、まだ春が浅く、雪が残っている。♠〈眠りが浅い〉昨夜は眠りが浅かったせいか、今朝は頭が重くてたまらない。♠〈色が浅い〉今朝、母は浅い緑の着物に黒地の帯をしめ、いそいそと出かけていった。♠〈経験が浅い〉経験が浅いと、ものの見方も一面的になりがちです。♠〈考えが浅い〉そんなことを言っているようでは、まだまだ考えが浅いね。♠〈傷が浅い〉弟がブランコに頭をぶつけて血がたくさん出たが、血のわりには傷が浅くて安心した。 <15> **あさぐろ・い[浅黒い]** ○皮膚が(健康的に)黒みがかっている。[文例]〈浅黒い顔〉彼はいかにもスポーツマンらしく、浅黒い精悍[せいかん]な顔をしている。♠〈肌が浅黒い〉少年の肌は、日に焼けて浅黒く、いかにも健康そうな感じだった。 **あざけ・る[嘲る]** ○ばかにして笑う。ばかにしてののしる。[文例]〈他人をあざける〉他人をあざけるのは勝手だが、その前に、自分にその資格があるかどうかを考えたほうがいい。♠〈あざける声〉たった一撃でマットに沈[しず]んだ挑戦者[ちょうせんしゃ]の耳に、観客のあざける声がひびいていた。♠〈あざける態度〉彼は、成績抜群[ばつぐん]だが、級友に対してあざける態度をとるので、嫌われていた。 **あさって[明後日]** ○明日の次の日。みょうごにち。[文例]明日は京都の市内を見物して、あさって帰る予定です。♠〈あさっての方〉あさっての方を向いてないで、ちゃんとお母さんの言うことを聞きなさい。♠〈紺屋[こうや]のあさって〉あいつの約束[やくそく]は、紺屋のあさってで、先へ先へと延びていくんだ。 **あさはか[浅はか]** ○考えが足りず、おろかなさま。[文例]〈浅はかな考え〉家を出るなどという浅はかな考えは捨てて、両親ともっと話し合ってみたまえ。♠目先の欲にとらわれて、浅はかにもわなにはまってしまった。 **あさばん[朝晩]** ○朝と晩。明け暮れ。いつも。朝夕。[文例]〈朝晩のあいさつ〉あの人とは、ただ朝晩のあいさつを交わすぐらいの付き合いでした。♠〈朝晩冷えこむ〉高原のこの町では、九月に入ると、朝晩ぐっと冷えこむようになります。♠〈朝晩〜する〉コーチは、どうやったらチームを強くできるかと、朝晩頭を悩[なや]ましていた。 **あさひ[朝日]** (旭) ○日の出の太陽。朝の太陽の光。[文例]〈朝日が昇る〉山頂に着いてしばらくすると、向こうの峰[みね]からゆっくり朝日が昇[のぼ]ってきた。♠〈朝日を拝む〉じいちゃんは、毎朝、まだ暗いうちに起きて裏山で朝日を拝むのが長年の習慣です。♠〈朝日が当たる〉色づいた木の葉の一枚一枚に朝日が当たって、きらきらと輝[かがや]いています。 **あさぼらけ[朝ぼらけ]** ○明け方。夜明け。[文例]〈朝ぼらけの海〉朝ぼらけの海に、小舟[ぶね]が一そうすべるようにこぎ出していった。♠〈夏の朝ぼらけ〉夏の朝ぼらけ、すがすがしい空気を胸いっぱいに吸いながら、山道を歩き回りました。 **あさまし・い[浅ましい]** ○なげかわしい。軽蔑[けいべつ]に値する。みじめで情けない。[文例]〈浅ましい了見[りょうけん]〉楽をしてもうけようなどという浅ましい了見は捨てたほうがいい。♠〈浅ましい行為[こうい]〉大勢で一人をいじめるなんて、浅ましい行為だとは思わないのか。♠〈浅ましい行動〉旅に出ると、旅の恥[はじ]はかき捨てとばかりに、平気で浅ましい行動をとる人がいる。♠〈浅ましい世の中〉親や先生に対する甘[あま]えが暴力に結びつくなんて、なんと浅ましい世の中になったものだ。♠〈浅ましい姿〉かつては権勢[けんせい]を誇[ほこ]っていたあの男のあのような浅ましい姿は見たくなかった。♠〈浅ましい根性[こんじょう]〉お前のその浅ましい根性が気に入らない。 **あざむ・く[欺く]** ○いつわる。だます。まどわす。取り違えさせる。[文例]〈人を欺く〉わたしには、きみを欺くつもりはみじんもなかった。♠〈敵を欺く〉この戦いに勝つには、敵を欺き、退却[たいきゃく]と思わせておいて、そのすきに裏から攻めるしかない方法がない。♠〈昼を欺く明るさ〉両側に立ちならぶ店の照明の明るさは、昼を欺くほどであった。♠〈雪を欺く白さ〉娘[なすめ]の肌[はだ]の白さは、雪をも欺くばかりである。 **あさめしまえ[朝飯前]** ○朝食の前。朝食の前でもできるように容易であること。[文例]三百メートル泳ぐことなど、海辺で育ったぼくには朝飯前だった。 **あざやか[鮮やか]** ○色・形がはっきりしているさま。きわだってみごとなさま。[文例]〈鮮やかな色〉からすうりの実[み]は、秋になると、鮮やかな赤い色になり、すみきった空の青さによく映えます。♠〈緑が鮮やか〉五月雨[さみだれ]にぬれると、庭の草木の緑がひときわ鮮やかになる。♠〈鮮やかに浮かぶ〉写真を整理していると、そのときどきの情景がきのうのことのように、鮮やかに浮かんでくる。♠〈鮮やかにえがく〉中学生特有の感情の起伏[きふく]が鮮やかにえがき出されている。♠〈手並みが鮮やか〉電車の乗客から財布[さいふ]をすったすりの手並みがあまりに鮮やかで、刑事も感心したそうだ。♠〈鮮やかな手ぎわ〉手品師が鮮やかな手ぎわで、空[から]のはずのぼうしの中から、次々に花やスカーフを取り出した。♠〈鮮やかな一撃[いちげき]〉きのうの試合で打ったヒットは、今でもニヤリとするほどの鮮やかな一撃だった。 **あさやけ[朝焼け]** ○日の出の時、東の空が赤く染まること。[文例]〈朝焼けの街〉朝焼けの街に、新聞配達の少年の自転車の音だけが響[ひび]いていた。♠〈朝焼けは雨〉昔から「朝焼けは雨になる」といわれている。 **あさゆう[朝夕]** ○朝と夕。明け暮れ。いつも。朝晩。[文例]山の木々は、朝夕寒くなると急に色づき始めます。♠朝夕英米人に接している者ですら、英語を修得するのはなかなか難しいという。 **あさ・る[漁る]** ○魚貝をとる。探し求める。探し集める。[文例]〈えさをあさる〉この辺りが、昨日カラスがえさをあさっていた場所だ。♠〈ごみ箱をあさる〉野良犬は辺りを自由勝手に歩き回り、ごみ箱をあさる。♠〈貝・海草をあさる〉この地方では、男たちが漁に出たあと、女たちは海岸で貝や <16> あさわらう あ 海草をあさって生活をしている。♠〈資料をあさる〉図書館で卒業論文の資料をあさっています。♠〈読みあさる〉読書が好きなので、ひまさえあれば、祖父の書庫にもぐりこみ、本を読みあさっている。♠〈買いあさる〉新聞の広告を見ては、デパートやスーパーへ出かけ、安売りの品物を買いあさってくる。 **あざわら・う**【あざ笑う】(嘲笑う) ○ばかにして笑う。あざけって笑う。[文例]助けを求めてきた男を、彼はあざ笑って追い返しました。♠海は、苦しむ乗組員をあざ笑うかのように何日も荒れ狂[くる]った。 **あし**【足・脚】 ○動物の体を支え、移動の手段となる部位。足首から先の部分。物を支える部分。歩くこと、走ること。行き来すること。移動すること。歩調。道のり。道すじの進行の速さ。交通の手段。[文例]〈足の裏〉弟の豆[まめ]のできた足の裏に包帯を巻いてやり、背負って下山した。♠〈足の先まで〉少年は頭から足の先まで、真っ黒に日に焼けていた。♠〈足で歩く〉二本とか四本とか、数に違いはあっても、動物はふつう足で歩きます。♠〈足が大きい・小さい〉はき物の選択[せんたく]の範囲[はんい]がせばめられるので、足が大きすぎるのも、小さすぎるのも不便です。♠〈足が速い・遅い〉チーターは草原にすむ動物の中でも、足が速い動物とされている。♠〈足が強い・弱い〉歩くのは苦手[にが]だったが、少し訓練したせいか、だいぶ足が強くなってきたようだ。♠〈脚を組む〉乗り物の中で脚を組むと、前に立っている人の迷惑[めいわく]になるので、注意したほうがいい。♠〈脚が長い・短い・細い・太い〉姉の脚は長くて細いのに、わたしのは太くて短い。♠〈机の脚〉子供はかぶと虫が好きで、糸で縛り、机の脚や柱に結んでおいたりする。♠〈飛行機の脚〉着陸する時、脚が出ないと飛行機はたいへんなことになる。♠〈足を止める〉街角で、見覚えのある少女のポスターを見かけて、彼は足を止めた。♠〈足が言うことを聞かない〉もう、くたびれてくたびれて、足が言うことを聞かなくなってしまった。♠〈足が遠のく〉学校を卒業してから、図書館へは足が遠のいてしまった。♠〈足が向く〉奉公先でのつらい毎日に耐えかねて飛び出した娘の足は、自然とふるさとの方向[ほうこう]に向かっていった。♠〈足を向けて寝られない〉あなたは命の恩人ですから、そちらへ足を向けては寝られません。♠〈足を棒にする〉父は、その日一日中、足を棒にして仕事を探し回った。♠〈足を運ぶ〉うちでは前からA新聞に決めているから、何度足を運んでくれても変える気にはならないね。♠〈足でかせぐ〉店でぼんやり客を待っているのも能がないし、うちは団地を車で引き売りして足でかせいでますよ。♠〈足を延ばす〉東京に来たついでに、ちょっと足を延ばして、箱根[はこね]まで行ってこようと思っている。♠〈足を洗う〉いつまでも人にうらまれる仕事をしていないで、足を洗って出直しなさい。♠〈足が出る・足を出す〉親子四人で一万円の予算で遊園地に行ったが、乗り物代が高くなっていて、結局足が出た。♠〈足が地につく〉わたしはよく考えもせずに行動するので足が地についていないと言われます。♠〈手も足も出ない〉こんな難しいパズルは初めてだ。くやしいけど、手も足も出ない。♠〈手取り足取り〉親切なコーチが、わたしを手取り足取り教えてくれた。♠〈足の踏み場もない〉焼け跡には、足の踏み場もないくらいに焼けた材木や家財が散らばっていた。♠〈足がつく〉盗んだ車に残された指紋[しもん]から、犯人の足がついたらしい。♠〈足を取られる〉昨夜からの雪に足を取られて、今朝は駅まで二十分もかかってしまった。♠〈足を引っ張る〉好投を続ける彼の足を引っ張ったのは、ほかでもない、ぼくのエラーだった。♠〈足に任せる〉無事に定年退職しましたので、これからは足に任せてあちこち旅をするつもりです。♠〈客の足〉大きなスーパーができてから、案の定、うちの店の客の足が落ちてきた。♠〈足を入れる〉好きな芸の道に足を入れてすでに三十年になります。♠〈足を奪われる〉電車とバスが同時に事故で止まり、駅前は足を奪われた人々で大混雑した。♠〈足が乱れる〉こちらの足が乱れては交渉はうまくいかない、一致団結してがんばろう。♠〈足のあるバッター〉この足のあるバッターをランナーに出すと後がうるさいから、何としても打ちとれ。♠〈足しげく〉生き物が好きなわたしは、子供のころ近くの水族館に足しげく通いました。 **あじ**【味】 ○飲食物から舌が受け取る感覚。物事から受ける感じ。おもむき。おもしろみ。あじわい深いさま。[文例]〈味を感じ分ける〉甘い・苦い・からい・すっぱいなどの味を感じ分けるのが舌の役目です。♠〈味がよい・わるい〉春先の山菜には、うど・ふき・わらびなど味のいいものが多い。♠〈味が濃い・薄い〉しょうゆを入れすぎたのか、少し味が濃いようだ。♠〈味がする〉中学生の料理にしては上出来で、なかなかいい味がします。♠〈軽い味〉味を言い表すにも、いろいろな言い方があるが、あっさりした味のことを軽い味などと言います。♠〈味が落ちる〉この店もなかなかいいけれど、いつもの店よりは味が落ちるみたいね。♠〈味をつける〉では、ここで調味料を入れて、味をつけましょう。♠〈味をみる〉今、手がはなせないので、ちょっとおなべの中の味をみてちょうだい。♠〈手作りの味〉近ごろは家庭でも手作りの味が失われ、インスタント食品が多くなっている。♠〈味を覚える〉三歳になる弟は、はだしで土の上を歩く味を覚えたらしく、あっというまに靴[くつ]を脱いでしまう。♠〈味のある人〉隣[となり]のおじさんは、若い時から苦労したせいか、なかなか味のある人です。♠〈味が出る〉人間は、年をとって経験を重ねるごとに味が出てくるものだとよく言います。♠〈味もそっけもない〉楽しみにしていたのに、今日の話は、味もそっけもなくてつまらないものだった。♠〈味を占める〉一度うまくいくと味を占めて、どろぼうねこはまたやってきた。♠〈貧乏[びんぼう]の味〉きみは貧乏の味を知らないから、そんな無駄づかいができるんだよ。♠〈味なこと〉子供のくせに、味なことをやるわね。♠〈味な気分〉折[おり]しも桜[さくら]が満開で、温泉につかりながら花見ができたのだから、味な気分にひたれたよ。 **あしあと**【足跡】 ○足の跡。たどった道すじ。残された業績。[文例]〈足跡をたどる〉猟師は、銃を片手に、雪の上に残された足跡を注意深くたどっていった。♠〈足跡を残す〉こんなにはっきり足跡を残していくなんて、ずいぶんまの抜けた犯人だな。♠〈足跡を残す〉先人が残した偉大な足跡を頼りに、わたしたちも前進しようと思う。 **あしおと**【足音】(跫音) ○歩く時、走る時に足が立てる音。[文例]〈足音をたてる〉弟がけたたましい足音をたてて、部屋にかけこんできた。♠〈足音をしのばせる〉ぼくたちは、足音をしのばせ、そろりそろりと暗い廊下を進んだ。♠〈春の足音〉風はまだ冷たいけれど、梅のつぼみもふくらんで春の足音が聞こえてきます。 **あしがかり**【足掛かり】 ○のぼる時に足をかける所。足場。物事を始める時のよりどころ・手がかり・糸口。[文例]〈足掛かりにする〉ぼくたちは岩のくぼみを足掛かりにして、崖[がけ]をよじ登った。♠古い書物の記述を足掛かりに遺跡[いせき]の発掘[はつくつ]が進められた。 **あしかけ**【足掛け】 ○期間を数える時の、始めと終わりの端数を1として加えた数え方。[文例]〈足掛け~年〉ぼくはこの会社に勤めて足掛け八年になります。♠越して来たのが去年の五月だから、年が明けてこの町に足掛け二年ということになる。 **あしかせ**【足かせ】(足枷) ○囚人[しゅうじん]の足にはめる道具。人を束縛するもの。足手まとい。[文例]〈足かせをはめる〉囚人たちは、逃げ出せないように重い足かせをはめられた。♠〈足かせになる〉彼女は家族が足かせになって、思うように行動できないのを残念がっていた。 **あしがため**【足固め】 ○足ならし。基礎を固めること。地固め。[文例]〈事業の足固め〉〈足固めをする〉前もって足固めをしてから、彼はこの町での事業に乗り出してきた。 **あしき**【悪しき】 ○よくない。好ましくない。[文例]〈悪しき習慣〉選挙になると、町内の役員が押しつけがましく投票を依頼しに来るのは、この地域の悪しき習慣だ。♠〈悪しき実〉悪しき実を結ぶ善き木はない。(新約聖書「ルカによる福音書」) **あじきな・い**【味気ない】▷あじけな・い **あしげ**【足げ】(足蹴) ○足でけること。ひどい仕打ちをすること。[文例]〈足げにする〉仏様を足げにするなんて、罰[ばち]があたりますよ。♠〈親切を足げにする〉使用人は、主人の親切を足げにして出て行ってしまった。 **あじけな・い**【味気ない】 ○興味をそそらない。心がわくわくしない。味わい・おもむきがない。あじきない。[文例]〈味気ない生活〉毎日ロボットのように働かされるだけの味気ない生活にあきあきしていた。♠〈味気ない毎日〉何の生きがいも感じられない、単調で味気ない毎日が過ぎていった。 **あしこし**【足腰】 ○(体を支える)足と腰。[文例]〈足腰を鍛える〉スポーツは、まず足腰を鍛えるトレーニングから始まります。♠〈足腰が弱い〉祖母は八十を過ぎると足腰が弱くなり、ほとんど外に出なくなった。♠〈足腰が立たない〉試合では、足腰が立たなくなるほど相手にぶちのめされた。 **あししげく**【足しげく】(足繁く) ○ひんぱんに出かけるさま。[文例]〈足しげく通う〉二人は初対面からすっかり気が合って、お互いに足しげく通うようになった。♠〈足しげく通う〉父は中年太りを気にしてか、トレーニングジムに足しげく通っている。 **あした**(明日) ○あす。みょうにち。将来。近い未来。[文例]雲の切れ間に星がまたたいて、どうやらあしたは晴れそうな様子だ。♠〈あしたへの旅立ち〉諸君はしっかり勉強して、あしたへの旅立ちに備えてください。♠〈あしたはあしたの風が吹く〉くよくよ考えこんでも始まらない、「あしたはあしたの風が吹く」だ。 **あしつき**【足付き・脚付き】 ○器物に脚が付いていること。足の運び方。足取り。[文例]〈足付きの器〉足付きの器においしそうなケーキが並べてあります。♠呼びもどしてくれるのをひそかに待っているような女の足つきであった。 **あしどめ**【足止め・足留め】 ○一時的に外出や進行を止めること。[文例]〈足止めをくう〉大雪で列車がストップし、そこで二十四時間足止めをくってしまった。♠〈足止めする〉試験が終わるまでは外へ出てはいけないと、お母さんに足止めされているのよ。 **あしどり**【足取り】 ○足の運び方。足つき。たどった道筋。[文例]〈足取りが軽い〉紺色[こんいろ]の制服を着た女学生たちが、足取りも軽く坂道を下りてきます。♠〈重い足取り〉取り返しのつかない失敗をしてしまったわたしは、重い足取りで家路についた。♠〈足取りを追う〉犯人の足取りを追って、刑事は聞き込みを続けた。 **あしなみ**【足並み】 ○一緒に歩く人たちの足のそろい具合。考えや行動の一致のしかた。[文例]〈足並みをそろえる〉運動場では、小学生が足並みをそろえて行進していた。♠〈足並みが乱れる〉ちょっとしたいさかいからみんなの足並みが乱れて、計画は思うように進まなくなった。 **あしば**【足場】 ○足をかける所。足で体を支えるための設備。物事をするためのよりどころ。土台。交通の便。[文例]〈足場が悪い〉この山道は、足場が悪くて歩きにくいから注意してください。♠〈足場を組む〉学校では、校舎を増築するので、今足場を組んでいるところだ。♠〈足場を築く〉小川氏は、長年の秘書勤めを通じて、政治家への足場を築いたという。♠〈足場を固める〉もっとしっかり足場を固めてから、この事業にとりかかるべきだった。♠〈足場にする〉父が始めた小さな運送会社を足場にして、彼は全国的なネットワークを作り上げた。 **あしばや**【足早・足速】 ○速く歩くさま。進行の速いさま。[文例]〈足早に通る〉いつもの店番の少女がいないので、少しがっかりして、足早にそこを通り過ぎた。♠〈足早にやって来る〉雪がとけはじめると、北国の春は足早にやって来る。♠〈足早に過ぎる〉父が落盤[らくぱん]事故で死んでから、月日は足早に過ぎていったが、悲しみはいまだに消えない。 **あしぶみ**【足踏み】 ○止まったままで交互に足をふむこと。物事が進展しないこと。[文例]〈足踏みする〉母馬は、子馬が追いつくのを待って一つところで足踏みし、高くいなないた。♠〈足踏み状態〉計画はなかなか進展せず、足踏み状態だ。 <17> あしあと あ た足跡[あしあと]を注意深くたどっていった。♠〈足跡を残す〉こんなにはっきり足跡を残していくなんて、ずいぶんまの抜けた犯人だな。♠〈足跡を残す〉先人が残した偉大な足跡を頼[たよ]りに、わたしたちも前進しようと思う。 **あしおと[足音]** (跫音) ○歩く時、走る時に足が立てる音。[文例]〈足音をたてる〉弟がけたたましい足音をたてて、部屋にかけこんできた。♠〈足音をしのばせる〉ぼくたちは、足音をしのばせ、そろりそろりと暗い廊下を進んだ。♠〈春の足音〉風はまだ冷たいけれど、梅のつぼみもふくらんで春の足音が聞こえてきます。 **あしがかり[足掛かり]** ○のぼる時に足をかける所。足場。物事を始める時のよりどころ・手がかり・糸口。[文例]〈足掛かりにする〉ぼくたちは岩のくぼみを足掛かりにして、崖[がけ]をよじ登った。♠古い書物の記述を足掛かりに遺跡[いせき]の発掘[はっくつ]が進められた。 **あしかけ[足掛け]** ○期間を数える時の、始めと終わりの端数を1として加えた数え方。[文例]〈足掛け〜年〉ぼくはこの会社に勤めて足掛け八年になります。♠越して来たのが去年の五月だから、年が明けてこの町に足掛け二年ということになる。 **あしかせ[足かせ]** (足枷) ○囚人[しゅうじん]の足にはめる道具。人を束縛するもの。足手まとい。[文例]〈足かせをはめる〉囚人たちは、逃げ出せないように重い足かせをはめられた。♠〈足かせになる〉彼女は家族が足かせになって、思うように行動できないのを残念がっていた。 **あしがため[足固め]** ○足ならし。基礎を固めること。地固め。[文例]〈事業の足固め〉〈足固めをする〉前もって足固めをしてから、彼はこの町での事業に乗り出してきた。 **あしき[悪しき]** ○よくない。好ましくない。[文例]〈悪しき習慣〉選挙になると、町内の役員が押しつけがましく投票を依頼しに来るのは、この地域の悪しき習慣だ。♠〈悪しき実〉悪しき実を結ぶ善き木はない。(新約聖書「ルカによる福音書」) **あじきな・い[味気ない]** ♪あじけな・い **あしげ[足げ]** (足蹴) ○足でけること。ひどい仕打ちをすること。[文例]〈足げにする〉仏様を足げにするなんて、罰[ばち]があたりますよ。♠〈親切を足げにする〉使用人は、主人の親切を足げにして出て行ってしまった。 **あじけな・い[味気ない]** ○興味をそそらない。心がわくわくしない。味わい・おもむきがない。あじきない。[文例]〈味気ない生活〉毎日ロボットのように働かされるだけの味気ない生活にあきあきしていた。♠〈味気ない毎日〉何の生きがいも感じられない、単調で味気ない毎日が過ぎていった。 **あしこし[足腰]** ○(体を支える)足と腰。[文例]〈足腰を鍛える〉スポーツは、まず足腰を鍛えるトレーニングから始まります。♠〈足腰が弱い〉祖母は八十を過ぎると足腰が弱くなり、ほとんど外に出なくなった。♠〈足腰が立たない〉試合では、足腰が立たなくなるほど相手にぶちのめされた。 **あししげく[足しげく]** (足繁く) ○ひんぱんに出かけるさま。[文例]〈足しげく通う〉二人は初対面からすっかり気が合って、お互いに足しげく通うようになった。♠〈足しげく通う〉父は中年太りを気にしてか、トレーニングジムに足しげく通っている。 **あした[明日]** ○あす。みょうにち。将来。近い未来。[文例]雲の切れ間に星がまたたいて、どうやらあしたは晴れそうな様子だ。♠〈あしたへの旅立ち〉諸君はしっかり勉強して、あしたへの旅立ちに備えてください。♠〈あしたはあしたの風が吹く〉くよくよ考えこんでも始まらない、「あしたはあしたの風が吹く」だ。 **あしつき[足付き・脚付き]** ○器物に脚が付いていること。足の運び方。足取り。[文例]〈足付きの器〉足付きの器においしそうなケーキが並べてあります。♠呼びもどしてくれるのをひそかに待っているような女の足つきであった。 **あしどめ[足止め・足留め]** ○一時的に外出や進行を止めること。[文例]〈足止めをくう〉大雪で列車がストップし、そこで二十四時間足止めをくってしまった。♠〈足止めする〉試験が終わるまでは外へ出てはいけないと、お母さんに足止めされているのよ。 **あしどり[足取り]** ○足の運び方。足つき。たどった道筋。[文例]〈足取りが軽い〉紺色[こんいろ]の制服を着た女学生たちが、足取りも軽く坂道を下りてきます。♠〈重い足取り〉取り返しのつかない失敗をしてしまったわたしは、重い足取りで家路[いえじ]についた。♠〈足取りを追う〉犯人の足取りを追って、刑事は聞き込みを続けた。 **あしなみ[足並み]** ○一緒に歩く人たちの足のそろい具合。考えや行動の一致のしかた。[文例]〈足並みをそろえる〉運動場では、小学生が足並みをそろえて行進していた。♠〈足並みが乱れる〉ちょっとしたいさかいからみんなの足並みが乱れて、計画は思うように進まなくなった。 **あしば[足場]** ○足をかける所。足で体を支えるための設備。物事をするためのよりどころ。土台。交通の便。[文例]〈足場が悪い〉この山道は、足場が悪くて歩きにくいから注意してください。♠〈足場を組む〉学校では、校舎を増築するので、今足場を組んでいるところだ。♠〈足場を築く〉小川氏は、長年の秘書勤めを通じて、政治家への足場を築いたという。♠〈足場を固める〉もっとしっかり足場を固めてから、この事業にとりかかるべきだった。♠〈足場にする〉父が始めた小さな運送会社を足場にして、彼は全国的なネットワークを作り上げた。 **あしばや[足早・足速]** ○速く歩くさま。進行の速いさま。[文例]〈足早に通る〉いつもの店番の少女がいないので、少しがっかりして、足早にそこを通り過ぎた。♠〈足早にやって来る〉雪がとけはじめると、北国の春は足早にやって来る。♠〈足早に過ぎる〉父が落盤[らくぱん]事故で死んでから、月日は足早に過ぎていったが、悲しみはいまだに消えない。 **あしぶみ[足踏み]** ○止まったままで交互に足をふむこと。物事が進展しないこと。[文例]〈足踏みする〉母馬は、子馬が追いつくのを待って一つところで足踏みし、高くいなないた。♠〈足踏み状態〉計画はなかなか進展せず、足踏み状 <18> あしもと あ 態が続いている。♠足ぶみする子供の力寄り集りとどろとどろと廊下が鳴るも(木下利玄[きのしたとしふさ]) **あしもと[足元・足下]** ○立ったり、歩いたりしている足のまわり。その時の立場。身近な所。[文例]〈足もとに気をつける〉暗いから足もとに気をつけて進みなさい。♠〈足もとからくずれる〉雨を吸って湿[しめ]った土地は、がらがらと足もとからくずれていくように思われた。♠〈足もとにうずくまる〉娘はくずおれるようにわたしの足もとにうずくまり、両手で顔を覆[おお]って嗚咽[おえつ]し始めた。♠〈足もとから飛び立つ〉足もとからバッタが飛び立ったのにも、小さな弟は目を丸くして喜んでいる。♠〈足もとがおぼつかない〉幼児は、母親に向かって足もとがいくらかおぼつかなげに歩いていった。♠〈足もとを固める〉世の中が不景気なので、今は事業を拡張[かくちょう]するよりも、足もとをしっかり固めるべきだと思う。♠〈足もとの明るいうち〉刑事のまねなどしていつまでもかぎまわっていないで、足もとの明るいうちに早く帰れ。♠〈足もとに火がつく〉経営不振で足もとに火がついてるのに海外旅行だなんて、ずい分のんきな社長だよ。♠〈足もとにも及ばない〉一流高校へ進学なさるそうで、わたしなど、もうあなたの足もとにも及びません。♠〈足もとを見る〉交通ストだからといって、五百円のところを三千円出せとは、足もとを見るにもほどがある。♠〈足もとから鳥が立つ〉急用ができたからと、帰省中の娘はまるで足もとから鳥が立つように東京へ戻って行った。 **あしらう** ○応対する。相手をする。軽々しく扱う。うまく取り合わせる。[文例]〈適当にあしらう〉ああいうお客は、適当にあしらって、早目に帰ってもらいなさい。♠〈鼻であしらう〉貧乏な客と見ると、鼻であしらうような応対をするなんていやな店だ。♠〈花をあしらう〉床[とこ]の間には、秋らしく、菊にすすきをあしらった生け花が飾[かざ]ってありました。 **あじわい[味わい]** ○味覚。物事から受ける感じ。おもむき。[文例]〈深い味わい〉新茶には、独特の香りと深い味わいがあるため、洋風化した食生活においても支持者が多い。♠〈ひなびた味わい〉人は、焼きいもなんてとばかにするが、わたしには、このひなびた味わいが何ともいえない。♠〈ゆかしい味わい〉古典には、深い思想やゆかしい味わいがある。♠〈味わいが深い〉土地ごとに生きている方言は、土のにおいがしみこんでいて、味わいが深い。♠〈味わいがしみこむ〉やさしい言葉を並べただけの詩ですが、生活の味わいがしみこんだ詩といえます。♠〈句の味わい〉それぞれの句にこめられた作者の心情や旬の味わいについて、話し合ってみよう。♠〈原文の味わい〉〈味わいを伝える〉この作品を日本語に訳すなら、細かい一語一語を正確に訳すより、原文の味わいを伝えるほうが大切だ。 **あじわ・う[味わう]** ○味を感じ分ける。味覚を楽しむ。物事のおもむきを感じ取る。身をもって感じ止める。[文例]〈味を味わう〉舌には、発音を調節する役目のほかに、味を味わう役目もある。「味わう」には、口の中で味わうことのほかに、じっくり感じ取るという意味もあります。♠〈喜びを味わう〉貧しい両親は、子の成長を見守ることで、静かな喜びを味わっていた。♠〈骨のずいまで味わう〉修行[しゅぎよう]のつらさは、話に聞いたのと、骨のずいまで味わったのとでは、比べようがないほどだ。♠〈苦しみ・悲しみを味わう〉人生の苦しみ・悲しみを味わいつくした晩年の祖父は、角[かど]がとれて円満になった。♠〈じっくり味わう〉漫画[まんが]もおもしろいけれど、昔話[むかしばなし]のおもしろさを、じっくり味わって読むのも楽しい。♠〈詩情を味わう〉短歌にこめられた詩情を味わい、豊かな情操を養いましょう。 **あす[明日]** ○あした。みょうにち。将来。近い未来。[文例]〈明日をも知れぬ〉敵国の侵入を目前に、国境の町は明日をも知れぬ運命にあった。♠〈明日への希望〉大漁旗を立ててもどる船は、浜[はま]の人々に明日への希望と勇気を与えてくれた。♠〈明日はわが身〉次々に病に倒[たお]れていく仲間を見ながら、囚人[しゅうじん]たちは、明日はわが身と恐怖に震えた。♠明日のことまで思い悩むな。明日のことは明日自らが思い悩む。その日の苦労は、その日だけで十分である。(新約聖書「マタイによる福音書」) **あずか・る[預かる]** (与る) ○一時的に保管する。引き受ける。任される。物事にかかわる。目上から厚意をいただく。[文例]〈物を預かる〉留守[るす]中、お宅に配達された荷物をうちで預かっておきましたよ。♠〈子どもを預かる〉保育園では、母親が仕事をしている間、子供たちを預かってくれます。♠〈台所を預かる〉台所を預かる主婦にとって、お米や野菜の値上がりは深刻[しんこく]です。♠〈けんかを預かる〉「そのけんか預かった。」と言って、親分が中に割って入った。♠〈分配にあずかる〉わたしも仲間の一人として、分け前の分配にあずかった。♠〈おほめにあずかる〉わたしの作品が先生のおほめにあずかり、大変光栄です。 **あず・ける[預ける]** ○一時的に保管してもらう。引き受けてもらう。任せる。[文例]〈子供を預ける〉夕方、母が工場から帰る前に、保育園に預けている妹をむかえに行くのが、ぼくの仕事だった。♠〈〜のもとに預ける〉十三歳の夏、母と死別した京子は、祖母のもとに預けられた。♠〈身柄[みがら]を預ける〉裁判の結果、一人は八丈島へ流罪[はちじようじま るざい]、もう一人は尾張藩[おわりはん]に身柄を預けられた。♠〈銀行に預ける〉お年玉がたまったので、お母さんにたのんで、銀行に預けてもらいました。♠〈手荷物を預ける〉わたしたちは、京都で途中[とちゅう]下車し、駅に手荷物を預けて、市内見物をしました。♠〈命を預ける〉登山家たちは、リーダーに命を預け、一本のザイルにつながって、絶壁[ぜっぺき]をよじ登っていく。♠〈げたを預ける〉父は、めんどうな事はすべて母にげたを預けて、あとは知らん顔をしている。♠〈帳場を預ける〉こんど来た番頭は、仕事がよくできるので、帳場を預けても安心だ。♠〈一件を預ける〉これ以上話し合っても時間を浪費[ろうひ]するばかりですので、この一件は会長に預けることにします。 **あせ[汗]** ○暑い時や運動している時などに皮膚ににじみ出る水分。物の表面についた水滴。労働。労苦。[文例]〈汗をかく〉かけ足で来たので、びっしょり汗をかいてしまった。♠〈ガラスが汗をかく〉窓ガラスが汗をかいているのは、外と <19> あせ あ 室内の温度差が大きい証拠[しょうこ]です。♠〈汗が出る〉暑いからといって、水ばかり飲んでいたら、ますます汗が出るばかりだよ。♠〈汗が流れる〉とてもむし暑く、汗がだらだらと流れて止まらない。♠〈汗がひく〉走り終わってしばらくして汗がひいたら、急にはだ寒くなった。♠〈汗をふく〉彼女は、時々ハンカチで額の汗をふいている。♠〈汗をぬぐう〉男は、額にたまった汗をこぶしでぬぐった。♠〈汗にまみれる〉働き者の若者は、一日中畑に出て、土と汗とにまみれながら働き続けた。♠〈汗がたれる〉夏の太陽の下での作業なので、体中から水をかぶったように汗がたれてくる。♠〈汗が吹き出す〉ふいてもふいても、体中から汗が吹き出してくる。♠〈汗を流す〉お風呂に入って汗を流したら、サッパリとした。♠〈手に汗をにぎる〉高校野球では、郷土のチームを手に汗をにぎって応援[おうえん]した。♠〈額に汗する〉きみたちも、仕事につけば額に汗して働くことの喜びを知るようになるだろう。♠〈玉のような汗〉太り気味の彼は、体中に玉のような汗をかいてふうふう言っている。♠〈汗の結晶[けっしょう]〉この優勝は、みんなの汗と努力の結晶だ。♠〈汗水たらす〉彼らは一生懸命[けんめい]、汗水たらしてくわをふるい、畑を耕した。♠〈脂汗[あぶら]をかく〉いたずらがいつばれるか心配で、脂汗をかいてしまった。♠〈冷や汗〉子供が急に道に飛び出してきたとき、思わず冷や汗が出た。 **あぜ[畔・畦]** ○土を盛って田と田のしきりとした部分。かもい・しきいの溝と溝の間のしきり。[文例]〈田のあぜ〉田は、縦横[たてよこ]まっすぐにのびたあぜで整然と仕切られていた。♠〈あぜ道〉放課後は、たんぼのあぜ道を通り、道草をしながら家路をたどったものだ。 **あせば・む[汗ばむ]** ○汗でじっとりする。うっすらと汗をかく。[文例]寒い朝も、池の周りを何周もすると汗ばんできます。♠今日は、少し動くと汗ばむほどの暖かい一日でした。♠〈汗ばんだ肌〉汗ばんだ肌を、涼しい風が快くなでていった。 **あせみず[汗水]** ○水のように流れる汗。労働によって出る汗。[文例]〈汗水垂らす〉汗水垂らして働かなくとも、ドーンと大もうけする方法はないものかなあ……。♠〈汗水流す〉毎日、朝から晩まで汗水流して働く親の姿を見て育った。 **あせり[焦り]** ○あせること。気がせくこと。[文例]〈焦りを感じる〉激しい吹雪[ふぶき]に閉じ込められた彼らは、食料や燃料が乏[とぼ]しくなると、さすがに焦りを感じ始めた。♠〈焦りがつのる〉列車が立往生[たちおうじょう]したまま、外が暗くなり始めると、乗客らの不安と焦りはつのるばかりだった。♠〈焦りの色〉事故の知らせを聞いてかけつけた人々は、詳しい情報が得られず、しだいに焦りの色を見せ始めた。 **あせ・る[焦る]** ○気がせく。気をもむ。[文例]危険な時こそ、焦らず、慎重[しんちょう]に行動すべきだ。♠周りの友人たちが次々と就職が決まっていくと、ぼくは次第に焦ってきた。 **あ・せる[褪せる]** ○色がさめる。鮮やかさが失われる。[文例]〈色があせる〉何度も洗濯[せんたく]をしているうちに色があせてしまった。♠〈色あせる〉母は、たんすの奥から、古い色あせた着物を懐[なつ]かしそうに取り出した。♠〈才気があせる〉あの人は、若いころの才気もすっかりあせてしまった感じだね。 **あぜん[啞然]** ○驚いたり、あきれかえったりして、言葉が出ないさま。[文例]〈啞然とする〉男の突拍子[とっぴょうし]もない行動に、人々はただ啞然とするばかりだった。♠〈啞然たる面持ち〉降ってわいたようなできごとに、村人たちは啞然たる面持ちであった。 **あそこ** ○話し手からも聞き手からも遠いと感じられる場所。特定の場所・場面・場合。[文例]今、あそこの穴からネズミが顔を出したよ。♠あそこの娘は、気だての優しいいい娘だ。♠いくら腹が立ったからって、あそこまで言うことはなかったんじゃないの。 **あそび[遊び]** ○あそぶこと。楽しいが意義のないこと。ゆとり。[文例]〈遊びに来る〉うちの庭には、野生のさるが時々遊びに来ます。♠〈遊びに行く〉日曜日に友達数人で遊びに行くことにしている。♠〈遊びをする〉父や母が子供のころは、どんな遊びをしたのだろう。♠〈どろんこ遊び〉雨上がりの水たまりで、子供たちはどろんこ遊びに夢中[むちゅう]だ。♠〈遊びにふける〉ばくちなどの悪い遊びにふけるようになってから、彼の人生はめちゃめちゃになってしまった。♠〈ハンドルの遊び〉この車は、ハンドルに遊びがないから、慣れないと危険だ。♠〈遊びがある・ない〉この人の芸には遊びがないのできゅうくつだ。♠〈ほんの遊び〉ほんの遊びで、歌を習い始めました。♠〈遊び半分〉遊び半分に始めた油絵だったが、とうとう一生の仕事になってしまった。♠〈管弦[かんげん]の遊び〉城内で管弦の遊びをしておられたのは、この人々であられたのか。 **あそ・ぶ[遊ぶ]** ○好きなことをして楽しむ。勉強や仕事などをしないでなまける。役に立たないでいる。むだなことをする。進んで他郷ですごす。[文例]〈仲良く遊ぶ〉けんかしないで、仲良く遊ぶのよ。♠〈遊んでいる声〉幼稚園[ようちえん]の近くに来ると、子供たちの遊んでいる声が聞こえてくる。♠〈よく学び、よく遊べ〉諸君、よく学び、よく遊べ。♠〈ぶらぶら遊ぶ〉大学は出たものの、就職の決まらない彼は、「ぶらぶら遊んでもおられん。」と、アルバイトを始めた。♠〈遊んで暮らす〉これだけのお金があれば、二年や三年は遊んで暮らせるのになあ。♠〈土地を遊ばせる〉駅前の一等地なのに、ただ遊ばせておくのはもったいないね。♠〈温泉に遊ぶ〉祖父母は、孫たちを訪[たず]ねたり、温泉に遊んだりして、幸せな老後を送っている。♠〈パリに遊ぶ〉彼は若き日、パリに遊んで絵を学び、後には高名な画家として世に知られるようになった。♠〈空想の世界に遊ぶ〉本を読みながら、空想の世界に遊ぶひと時が、わたしは大好きだ。♠〈一球遊ぶ〉ツーストライクだから、ここは内角の高目に一球遊んでみよう。♠〈遊びほうける〉夏休みは、遊びほうけてしまったので、二学期が心配だ。 **あだ[仇]** ○うらみをもつ相手。悪意をもってする害。[文例]〈あだを討つ〉父親を殺された子は、そのあだを討つため江 <20> あだ あ 戸へと向かった。♠〈恩をあだで返す〉さんざん世話をかけておきながら、よくも恩をあだで返してくれたな。♠〈あだになる〉よかれと思ってしたことがあだになり、相手にうらまれることもある。 **あだ[徒]** ○むだなこと。むなしいこと。いいかげんなこと。[文例]〈あだやおろそか〉彼の友情をあだやおろそかにしてはいけません。 **あたい[値・価]** ○ねうち。ねだん。数式や文字が表す数値。[文例]〈式の値〉次の方程式のxの値を求めなさい。♠〈一見に値する〉彼のかいたその絵は、一見に値する。♠〈商品の価〉先生はその(=劇場)入場券の価まで知っていた。(夏目漱石[なつめそうせき]「三四郎」) **あたうかぎり[あたう限り]** (能う限り) ○できるかぎり。精いっぱい。[文例]〈あたう限りの努力〉計画を実現させるために、あたう限りの努力を致しましょう。♠〈あたう限りの援助[えんじょ]〉わたしは、青年にあたう限りの援助をしてやろうと決めた。 **あだうち[あだ討ち]** (仇討ち) ○かたきをとること。仕返しすること。かたきうち。[文例]〈あだ討ちをする〉赤穂浪士[あこうろうし]四十七人が吉良上野介[きらこうずけのすけ]を襲[おそ]い、主君浅野内匠頭[あさのたくみのかみ]のあだ討ちをした話は有名です。♠〈あだ討ちする〉ようし、今度はこっちがあだ討ちしてやる番だ。 **あた・える[与える]** ○人に渡す。差し出す。受け取らせる。受けさせる。[文例]〈えさを与える〉感心なことに、妹は毎朝鳥かごを掃除[そうじ]し、水をかえ、えさを与えている。♠〈賞を与える〉展覧会に出品した兄の絵に金賞が与えられた。♠〈才能を与えられる〉自分に与えられた才能を最大限に伸ばし、みなのために役立つように使いたい。♠〈損害を与える〉台風で稲[いね]がやられ、農家の人々に大きな損害を与えた。♠〈注意を与える〉わたしがふさぎ込んでいる時、母は優[やさ]しく励[はげ]まして、いろいろ注意を与えてくれた。♠〈条件を与える〉与えられた条件をもとに、まとまった文章が書けるように練習しよう。♠〈影響を与える〉同じ畑に同じ作物を長く続けて作るのは、土地にも悪い影響[えいさよう]を与えます。♠〈印象を与える〉彼女が眼鏡[めがね]をかけると、ふだんよりぐっと落ち着いて見え、人に与える印象が大きく変わる。♠〈不安を与える〉単なるデマが、人々に不安を与え、大きな悲劇をもたらすことがある。♠〈感じを与える〉赤や黄色は暖かい感じを与え、青系統の色は寒い感じを与えます。♠〈感動を与える〉『アンネの日記』は、世界各国で翻訳[ほんやく]され、今日[こんにち]なお人々に大きな感動を与えている。♠〈喜びを与える〉芸術は、人々の心をなぐさめ、喜びを与えてくれる。♠〈力を与える〉この一冊の本がぼくに苦悩[くのう]をはね返す力を与えてくれた。♠〈安らぎを与える〉人間には、安らぎを与えてくれる暖かい家庭が必要です。 **あたかも[恰も]** ○まるで。さながら。ちょうど。[文例]そのときの痛さは、あたかも大きな鉛[なまり]の玉を背負わされたかのごとくであった。♠この作者は、人から聞いた話を、あたかも自分が体験したかのように書いている。♠花びらが、ひとひらひとひら、あたかも舞うがごとくに散っていく。♠〈時あたかも〉五月、時あたかも青葉の季節である。 **あたたか[温か・暖か]** ○♪あたたかい[文例]今日は暖かで春のようだね。♠〈温かな家庭〉温かな家庭に育ったゆう子は、明るく素直[すなお]な女の子です。♠〈懐[ふところ]が暖か〉懐がもっと暖かだったら、すき焼きでもごちそうしてやるんだが……。 **あたたか・い[温かい・暖かい]** ○温度がほどよく高い。心がこもっている。情け深い。ふところ具合がよい。[文例]〈温かい手袋〉母が、妹とおそろいの、温かい手袋を編んでくれた。♠〈温かいご飯・みそ汁[しる]〉早く温かいご飯とみそ汁が食べたくて、ぼくは、薄暗[うすくら]くなった雪道を家に急いだ。♠〈体が温かい〉赤ちゃんを抱かせてもらったら、体が温かく、まるで湯たんぽを抱いているようだった。♠〈温かい心〉友からのお見舞[みま]いの手紙を読むと、みんなの温かい心が胸に伝わってくる。♠〈温かいもてなし〉わたしたちは、旅する先々で温かいもてなしを受けた。♠〈温かい人柄〉彼の温かい人柄は、優しい両親のもとにはぐくまれたことによるのだろう。♠〈暖かい季節〉暖かい季節になると、チョウやミツバチたちが花を訪[おとず]れて、みつを吸っているのをよく見かける。♠〈ぽかぽか暖かい〉きのうは雪がちらついたのに、きょうは、ぽかぽか暖かい小春日和[びより]です。♠〈温かい交流〉この農村には、人間と自然との温かい交流がある。♠〈温かく見守る〉事業に失敗し新しく出直そうとするわたしを、妻は温かく見守っている。♠〈温かく迎える〉わけを聞くと、彼らは旅人であるわたしを温かく迎えてくれた。♠〈懐[ふところ]が暖かい〉きょうは、ボーナスが入って懐が暖かいから、何か買ってあげよう。♠〈暖かい色〉赤や黄など感じの暖かい色を暖色、青系統の冷たい感じのする色を寒色といいます。 **あたたかみ[温かみ・暖かみ]** ○あたたかい感じ。あたたかさ。[文例]〈人情の温かみ〉大都会でも、下町にはまだ人情の温かみが感じられます。♠〈手作りの温かみ〉手作りの品には、機械で大量生産されたものにはない温かみがあります。 **あたたま・る[温まる・暖まる]** ○あたたかくなる。ぬるくなる。心がなごむ。[文例]〈体が温まる〉熱すぎない風呂[ふろ]にゆっくりつかっていたので、すっかり体が温まった。♠〈部屋が暖まる〉帰ってきてストーブをつけると、すぐに部屋が暖まった。♠〈心温まる〉新聞に、捨て犬と少女の心温まる記事が載っていた。 **あたためる[温める・暖める]** ○あたたかくする。手元において大事にする。[文例]〈体を温める〉吹雪[ふぶき]の中を歩いて帰って来たわたしは、こたつにすっぽりと入り、冷えた体を温めた。♠〈卵を温める〉巣箱[すばこ]の中では、どうやら親鳥が卵を温めているようだ。♠〈スープを温める〉弟がなかなか帰って来ないので、せっかく温めたスープがすっかり冷めてしまった。♠〈大地を温める〉春が近づくと、いてついていた大地も温められて、道はひどいぬかるみになる。♠〈旧交を温める〉わんぱく坊主[ぼうず]、おてんば娘[むすめ]の昔にかえって旧交を温める小学校の同窓会は、本当によいものだ。♠〈部屋を暖める〉母は、朝早く起きて、部屋の中を暖めておいてくれる。 <21> ●〈日に暖[あたた]められる〉春の日に暖められて、青葉がむんむんとしている。へ胸に温める〉彼は、十年来、胸に温め続けてきたテーマをまとめ上げ、みごとに文学賞を得た。 **あだな【あだ名】** (渾名・綽名)○本名以外の呼び名。ニックネーム。[文例]〈あだ名をつける〉少年は、赤毛でそばかすがあるため、「にんじん」というあだ名をつけられた。●へあだ名で呼ぶ〉親しい友達とは名前でなく、あだ名で呼び合っています。 **あたふた** あわてふためくさま。あわただしいさま。[文例]〈あたふたと〜する〉姉は、朝食もそこそこにあたふたと家を出ていった。●へあたふたする〉こんなに急な転勤命令では、あたふたするなというほうが無理だ。 **あたま【頭】** ○人や動物の首から上・先の脳などがおさまっている部分。頭髪。物事の先端・先頭・最初。頭脳(の働き)。ものの考え方・感じ方。思考。人数。上に立つ人。[文例]〈頭を出す〉バスや電車の窓から手とか頭を出すのは、危険だからやめなさい。●〈くぎの頭〉くぎの頭に金づちがまっすぐにぶつからず、指を打ってしまった。●へ鼻の頭〉鼻の頭にぽつっとできたにきびが気になります。●〈来月のあたま〉この工事は、来月のあたまには終わるだろう。●く頭を刈[か]る〉暑苦しい感じになってきたので、床屋[とこや]へ行って頭を刈ってもらった。く頭を下げる〉過[あやま]って盆栽のはちを割ってしまったが、何度も頭を下げたら、許してくれた。頭が下がる〉悲しみにもめげずに、明るく生きている彼には、まったく頭が下がる。●〈頭が上がらない〉いつもめんどうを見てもらっている先輩には、ぼくは頭が上がらない。頭が重い>朝から頭が重い感じだが、風邪でもひいたのだろうか。●〈頭に来る>弟は、ぼくのものを無断でいじってはこわしてしまうんだから、もう、頭に来るなあ。頭をひねる〉あれこれ頭をひねって考えたが、名案が浮かばない。〈頭が良い・悪い〉ぼくは、きみほど頭は良くないが、顔はいいぞ。●へ頭がかたい〉わたしの父は、頭のかたい人ですから、冗談[じょうだん]などは通じません。●へ頭が古い〉父も母も頭が古いから、ぼくたちの考えてることなど、分かってもらえないだろうな。頭が切れる〉頭の切れる人と話をすると、のんびり屋のわたしは疲れてしまう。●く頭を使う〉人の答えをのぞいてばかりいないで、もっと自分の頭を使いなさい。●<頭に浮かぶ〉どうも今日は、いい考えが頭に浮かばない。◆<頭を痛める>弟の腕白[わんぱく]ぶりには、父も母も頭を痛めている。●く頭をかかえる〉日照り続きで頭をかかえていた農民たちは、その雨におどり上がって喜んだ。●へ頭がいっぱい〉試験のことで頭がいっぱいで、彼との約束を忘れてしまっていた。頭に描[えが]く>彼女は、わたしが頭に描いていたイメージのとおりの人だった。●頭隠して尻隠さず〉うまく隠れたつもりでも、頭隠して尻隠さずでは、すぐにわかってしまう。頭から〉漫画[まんが]に関しては、母は頭からいけないと言う。頭がある〉母は、兄はおとなしく、ぼくは腕白だという頭があるので、悪いことはみんなぼくのせにする。●〈頭を丸める〉わたしが仏さまのお導きによって頭を丸め、仏門に入ったのは四十年前のことです。●人頭に置く〉この計画には、住民の反対が強いことを頭に置いて討議を続けてください。●へ頭が痛い>親の病気、子供の進学と、考えるとまったく頭の痛いことばかりだ。●へ頭が低い>丸木屋のご主人は、いかにも商人らしい頭の低い人だ。●頭を冷やす>話し合いは感情的になるばかりで、どこかで頭を冷やさないと結論は出そうになかった。●へ自分の頭のはえを追う〉このざまは何だ、自分の頭のはえも追えないくせに、ひとのことに口を出すんじゃない。●く頭の黒いねずみ〉また冷蔵庫に入れておいたケーキがなくなった。どうやら家には頭の黒いねずみがいるらしい。●く頭がそろう〉今日は頭がそろわないから、勝負はまたの機会ということにしよう。頭に据[す]える〉経験豊富な石田さんを頭に据えて、今度の計画を実行に移すつもりだ。●へ一人あたま〉一人あたま三千円の会費で、同窓会を開いた。 **あたまうち【頭打ち】** ○物事が頂点に達して、それ以上を望めないこと。[文例]〈売り上げが頭打ち〉店の売り上げは、八月になって頭打ちの状態が続いた。●〈成績が頭打ち〉三年生になると、成績は頭打ちで中より下を低迷[ていめい]するようになった。 **あたまごなし【頭ごなし】** ○一方的に押し付けたり、おさえつけるようなやり方。[文例]〈頭ごなしにどなる〉しまったと思っているところを、頭ごなしにどなりつけられたからたまらない。へ頭ごなしに決めつける〉兄弟子から、おまえが悪いと頭ごなしに決めつけられて、つらい思いもしました。会頭ごなしのしかり方〉そんな頭ごなしのしかり方では、生徒が納得しないでしょう。 **あたら(可惜)】** ○惜しいことに。もったいないことに。むざむざ。文例]つまらぬおしゃべりにあたら青春を浪費[ろうひ]することもあろうまい。●憎[にく]むべき戦争にあたら若き命を散[ち]らした者たちのいかに多いことか。 **あたらし・い【新しい】** ○出来てまもない。今までにない。はじめてである。新鮮だ。[文例]〈新しい教科書〉新しい教科書を手にするたび、よし、今年はがんばるぞという気持ちになる。◆く記憶に新しい〉その事件は、まだ人々の記憶に新しい。●〈魚が新しい〉刺身[さしみ]にするような魚は、生き生きと新しくなければいけない。新しい父〉父は、わたしが三歳の時に亡くなったが、今度新しい父ができ、わたしと妹をかわいがってくれる。●〈新しくとれる〉かかしに、新しくとれたお米でついたもちや、野菜・果物[くだもの]などを供え、一年の労をねぎらう風習が残っている。●へ新しく生え変わる>弟の歯は、今、新しく生え変わる時期のようだ。●へ新しく成長させる>素直な心がないと、自分を新しく成長させていくことができなくなってしまう。●へ新しい年〈新しい気持ち〉新しい年のはじめ、元日には、大人も子供もみな、新しい気持ちで一年の出発をする。新しい経験〉中学生になってから一か月、その間にもさまざまな新しい経験をした。●〈新しい時代>明治維新[いしん]によって新しい時代が始まると、西洋文化に刺激[しげき]されて、生活は急速に西欧化[せいおうか]してきた。●〈新しい驚き〉新聞を読むと、日々新しい驚きがあり、わたし <22> に知らなかった世界を教えてくれます。●〈新しい発見〉一度読んだ本を年月を経てのちに再び読んでみると、以前には気づかなかった新しい発見をするものだ。●へ感覚が新しい>祖母は、気が若く、感覚も新しいので、洋服にも流行をとり入れ、上手に着こなします。●へ新しい芸術〉これが新しい芸術だと言っても、絵のことなど少しも分からないぼくには、チンプンカンプンだ。●へ新しい技術〉その医師は、新しい技術で、少年のくっついた手を治した。 **あたり【辺り】** ○空間的・時間的・関係的に近い範囲。周辺。付近。[文例]〈辺りを見回す〉祖母の古い友達が訪ねて来て、辺りを見回して懐[なつ]かしそうにしていた。●へ辺りをはばかる〉母は、辺りをはばかる小声で、うるさい弟に注意した。●〈辺りをはらう〉さすが古くから続く名家だけあって、辺りをはらう風情である。●〈辺り一面>色とりどりの花が辺り一面にさいて、とてもきれいだ。辺り一帯>火山が噴火し、辺り一帯の畑は、いちめんに灰が積もって、作物を植えつけることもできない。●ヘ辺り構わず>雑草が辺り構わず伸び放題に伸びている。●へ腹のあたり〉妹は、服の下から手を入れて腹のあたりをもぞもぞさせている。へこの辺り〉この辺りの海は、波が荒く、船がたびたび遭難[そうなん]するそうだ。●〈そのあたり〉まず、日本の風土が、人々の暮らしや考え方にどんな影響を与えているか、そのあたりから考えてみよう。●〈大学生あたり〉大学生あたりになると、声に出して文章を読むことはほとんどしなくなる。●へ今夜あたり〉冷えこんできたから、今夜あたりは、雪になるかも知れないね。●へ彼あたり〉まじめだし、人からも信頼[しんらい]されているから、次の生徒会長はたぶん彼あたりだろう。 **あたり【当たり】** ○あたること。およその見当。触れた時の感じ。[文例]へいい当たり〉今のヒットは、実にいい当たりでしたね。へくじの当たり〉くじを引いたら、当たりが出た。◆◇当たりがやわらかい〉受付の人は、当たりのやわらかい人で、感じがよかった。◆人当たりをとる>芝居は当たりをとって、興行期間を一か月のばすことになった。◆人当たりをつける〉昨日のうちに当たりをつけておいたポイントがあるから、きっと釣れるぞ。●へ当たりがくる・ある〉釣り糸を垂れて三十分ばかりすると、やっと当たりがきた。●へ暑気あたり〉この夏は、暑気あたりで体がすっかり参ってしまった。●当たり! そのとおりです。●〈当たり年〉今年はみかんの当たり年で、農家は大喜びだ。◆一人当たり〉一万円を五人で分ければ、一人当たり二千円になる。 **あたりさわり【当たり障り】** ○好ましくない影響。さしさわり。[文例]〈当たり障りがない>質問に対して、回答者は当たり障りのないよう、言葉を選んで答えた。●当たり障りのない答は大抵[たいてい]の場合に於[おい]て愚[ぐ]な答である。(夏目漱石「美人草」) **あたりまえ【当たり前】** ○当然。わかりきったさま。変わったところのないさま。[文例]そんな悪口を言われたら、怒るのはあたりまえよ。●へあたりまえのこと〉地球が丸いというのは、わたしたちにとってあたりまえのことになっているが、当時としては大変な発見だった。●わたしたち日本人があたりまえと思っていることが、他民族には全く通用しない例がよくある。●へあたりまえの心〉うれしい時に喜び、悲しい時に涙[なみだ]を流し、不思議なことには驚く[おどろ]く、そういうあたりまえの心を大切にしたい。●へあたりまえの生活〉このごろは、学校から帰ると、塾[じゅく]やおけいこ事に行くのが、子供たちのごくあたりまえの生活になっている。●へあたりまえの言葉〉そのときの感動は、それはそれは深いもので、あたりまえの言葉では表しきれなかった。●試験、できた? あたりまえさ! **あた・る【当たる】** ○ぶつかる。触れる。あてがわれる。立ち向かう。対する。接する。さぐりを入れる。光・風などが届く。作用が及ぶ。照合する。相当する。あてはまる。的中する。成功する。ひげをそる。害が及ぶ。受け持つ。指名される。直面する。[文例]〈犬も歩けば棒[ぼう]に当たる「犬も歩けば棒に当たる」と言うから、ちょっとお得意さんでも回ってこよう。●〈当たって砕[くだ]けろ〉さんざん迷ったあげく、当たって砕けろとばかり、父に頼んでみた。●へつらく当たる〉少女は、まま母につらく当たられ、毎日涙を流した。◆へつぎが当たる〉昔は、ひざにつぎの当たったズボンなどをはいている子供がめずらしくなかった。●〈風が当たる〉風がよく当たる海沿いの道を歩いていると、砂が目に入ってくる。〈風に当たる〉少し夜風に当たって、コンサートの興奮を冷まして帰ろう。●〈火に当たる〉さぞかし寒かったことだろう、さあ、こちらに来て火に当たりなさい。●〈日に当たる〉ねこのミケは、縁側[えんがわ]で日に当たりながら、気持ちよさそうに寝ている。◆ヘこたつに当たる〉妹は、おばあちゃんといっしょに、こたつに当たりながら本を読んでいる。◆今日が当たらない〉彼はずっと、みなから忘れられているような、日の当たらない土地を旅している。◆<辞書に当たる〉~の意味に当たる「ぬかり」という言葉の意味が分からないので辞書に当たったら、「手落ち」の意味に当たることが分かった。●〈本人に当たる>直接本人に当たって、くわしい事情をきいてみよう。●へ罰[ばち]が当たる〉あまり親に口答えばかりしていると、いまに罰が当たりますよ。●〈天気予報が当たる〉天気予報が当たり、夕方から雨が降り出した。●へ占い[うらな]が当たる「当たるもはっけ、当たらぬもはっけ」といって、はっけ(占い)は、当たったりはずれたりするものだ。●へ勘[かん]が当たる>母の勘がぴたりと当たり、夕方から雨になった。●〈映画が当たる〉テレビに押されっぱなしの映画だが、この作品は、当たりに当たって連日大入り満員だ。◆へひげを当たる〉かみそりでひげを当たっているところだから、後ろから押したりしないでくれよ。●へ毒に当たる〉ふぐは、毒に当たると命を落とすので、素人[しろうと]が調理するのは危険です。◆●◆<看護に当たる〉ナイチンゲールは、敵味方の別なく、戦場でかいがいしく傷ついた兵士たちの看護に当たった。●〈方角に当たる>太陽があの山に沈[しず]んだから、あっちが西の方角に当たる。●へ命日に当たる〉祖父の命日に当たる四月三十日には、毎年、家族そろって墓参りに出かける。●へ当番に当たる〉今月は、町内の掃除当番に当たっているので、町内の掃 <23> 姉と交代で、ごみ置き場のそうじをする。●く卒業に当たる>卒業に当たって、お世話になった先生に記念品を贈ることになった。へ当たらず障[さわ]らず〉今度の開発計画で利害の対立する人たちがそろったので、知事は当たらず障らずで言葉を濁[にご]した。●へ~するに当たらない〉このことならわざわざ出向くに当たらない、電話で十分だ。●へ当たり散らす〉いくら気がむしゃくしゃするからって、人に当たり散らすのはよしてくれよ。 **あちこち** あちらこちら。ほうぼう。[文例]あちこち捜[さが]し回ったが、タローはどこにもいなかった。◆古い家なので、あちこちが傷[いた]んできた。●カードの並び順があちこちになって、わけが分からなくなってしまった。 **あちら** ○話し手からも聞き手からもへだたった場所・位置。また、その方向、その方向にあるもの。あの人。[文例]あちらで遊んでいらっしゃい。●あちらはどなたですか?◆さすがに、あちらで勉強してきた人は違いますねえ。 **「あつ・い【厚い】** (篤い)○一方の面から反対側までの隔[へだ]たりが大きい。心がこもっている。人情が深い。病気が重い。[文例]〈厚い本〉父の書棚[しょだな]には、難しそうな厚い本がぎっしり並んでいる。●へ厚い雲>すすきにお団子を供え、風流にお月見をと思っているのに、月は厚い雲に隠[かく]れたままなかなか出て来ない。●〈厚い胸〉わたしは、自分の全身を彼の厚い胸にあずけていた。●く厚くおおわれる〉野うさぎの子の体は、縮[ちぢ]れた毛で厚くおおわれている。●へ壁が厚い〉地区大会の壁は厚く、全国大会へこまを進めるのは至難[しなん]の業[わざ]だ。●〈信仰[しんこう]が厚い〉〈厚くもてなす〉巡礼[じゅんれい]の旅人[たびびと]が宿を請[こ]うと、信仰の厚い主人は、喜んで迎え、厚くもてなした。●〈厚い人情〉夏休みには一人旅をし、行く先々で人々の厚い人情に触れることができました。●へ厚くお礼を申し上げます〉この度は、大変お世話になりまして、厚くお礼を申し上げます。●へ病があつい〉師は、弟子の晴れ姿を一目見ようとあつい病をおして出かけた。 **あつ・い【熱い・暑い】** ○温度が高い。熱せられている。気持ちが高まっている。[文例]〈ぎらぎらと暑い〉一九四五年、夏、広島に原子爆弾[ばくだん]が落ちたあの日は、朝からぎらぎらと暑い日であった。●く暑い盛り〉初めてのめいが生まれたのは、去年の暑い盛りの八月五日でした。●〈熱い食べ物〉わたしはねこ舌で、熱い食べ物や飲み物は苦手です。●〈熱い砂〉水から上がって、砂浜[すなはま]の熱い砂の上にねころんでみた。〈鉄は熱いうちに打て「鉄は熱いうちに打て」というから、今のうちに鍛練[たんれん]しておこう。●へ熱いものがこみ上げる〉孫のやさしい言葉に、おばあさんの胸に熱いものがこみ上げてきました。●へ胸が熱くなる>病気と闘[たたか]いながら力強く生きている少年の詩を読むうちに、じいんと胸が熱くなってしまった。●〈熱い思い〉彼は音楽に寄せる熱い思いを断ち切れず、親の反対を押し切ってウイーンへ留学した。●熱い仲〉お隣[となり]の太郎[たろう]さんとタバコ屋の娘[むすめ]さんは熱い仲だといううわさです。●へまぶたが熱くなる〉何十年ぶりかで親子・兄弟が対面し、喜びの涙[なみだ]にくれる姿を見ると、わたしまぶたが熱くなってくる。 **あっか【悪化】** ○悪くなること。悪い方向へ向かうこと。[文例]<悪化する〉いくら薬を飲んでも、病気は悪化するばかりだった。●へ環境の悪化〉この鳥が見られなくなった最大の原因は、環境[かんきよう]の悪化である。 **あつかい【扱い】** ○あつかうこと。あつかう方法。↓あつかう[文例]〈扱いに困る〉物めずらしいうちだけかわいがるが、扱いに困ってくると捨てるようではペットがかわいそうだ。●へ扱いに注意する〉こわれやすいので、扱いには十分注意してください。●へ子ども扱い〉いつまでも、子ども扱いしないでほしい。 **あつか・う【扱う】** ○使用する。操作する。処理する。担当する。相手にする。もてなす。対象として取り上げる。[文例]〈品物を扱う〉当店では、その品物は扱っておりません。●〈機械を扱う〉扱い慣れたはずの機械なのに、ちょっとした気のゆるみから、けがをしてしまった。●〈器用に扱う〉父は、肥後守[ひごのかみ]という小刀を器用に扱って、竹とんぼを作ってみせた。◆〈水を扱う>毎日、洗濯[せんたく]や料理など、水を扱う主婦にとっても、水不足は深刻な問題だ。◆〈乱暴に扱う〉図書館では、借りた本を乱暴に扱う人が多く、困っているということだ。●〈子供を扱う〉姉は保育園の保母をしているだけあって、小さい子供を扱うのがとても上手です。◆大人として扱う>兄は二十歳[はたち]になり、社会的にも大人として扱われるようになったわけです。◆へ動物を扱った物語〉ぼくには、動物を扱った物語や小説ばかり読んだ時期がある。〈軽々しく扱う〉これは、軽々しく扱うことのできない複雑な問題だ。へ大きく扱う〉新聞でも、今、この事件が大きく扱われています。 **あつかまし・い【厚かましい】** ○ずうずうしい。無遠慮だ。「文例]人のものを無断で使うなんて、きみは少し厚かましいよ。●へ厚かましい人〉込んだ車内で、横になって座席を占領[せんりよう]している厚かましい人がいた。●へ厚かましいお願い>厚かましいお願いですが、畑の野菜を少し分けていただけませんか。◆◇厚かましくも〉母が断[ことわ]ったにもかかわらず、セールスマンは厚かましくも、玄関[げんかん]に入りこんできた。 **あっかん【圧巻】** ○全体の中で最もすぐれた部分。他を圧する物事。[文例]〈物語の圧巻〉この物語の圧巻は、母グマが必死になって子グマを助けようと、滝[たき]に飛び込む場面である。●〈映画の圧巻〉この映画の圧巻は、やはり最後の水中での決闘[けっとう]場面だ。●〈文化祭の圧巻〉文化祭の圧巻は、なんといっても最終日のファイヤーストームだろう。●ルーブル美術館の作品の中でも、ダ・ビンチの「モナ・リザ」は圧巻であった。 **あっかん【悪漢】** ○わる者。ならず者。悪人。[例]警官が現れると、悪漢どもはしっぽをまいて逃[に]げ出した。●西部劇でも時代劇でも、ヒーローはかっこよく悪漢どもをやっつける。 **あつくるし。い【暑苦しぃ】** ○暑くて、息苦しい。[例]〈暑苦しい夜〉その夜は暑苦しくて、なかなか眠れなかった。〈暑苦しいかっこう〉なんだい、六月だというのに、その暑苦 <24> しいかっこうは。 **あっけ(呆気)】** ○あきれて、ぼうぜんとすること。[文例]〈あっけにとられる〉あんなに元気だった叔父[おじ]が急死したと聞き、一瞬[いっしゅん]あっけにとられて声も出なかった。●へあっけにとられる〉いつもびりの山本君が一位になったとき、皆はあっけにとられたような顔をした。 **あっけな・い(呆気無い)】** ○予想より簡単で張り合いがない。ものたりない。拍子抜けする。[文例]へあっけない結末〉期待をもたせたわりに、ドラマの結末はあっけないものでした。●へあっけない幕切れ>事件は、犯人が自首して、世間を騒がせたわりにはあっけない幕切れだった。へあっけなく敗れる〉意気ごんで相手に挑[いど]んだが、あっけなく敗れてしまった。●へあっけないほど〉今日の数学のテストは、あっけないほど簡単だった。 **あっこう【悪口】** ○わるくち。悪態。[文例]へ悪口を並べる〉気が済むまで悪口を並べると、さっさと彼は帰っていった。◆<悪口を連ねる>見知らぬ読者からの手紙には、わたしの本に対する悪口が連[つら]ねてあった。◆〈悪口雑言>山口君は、いくら悪口雑言[ぞうごん]を浴びせられても、動じた様子を見せなかった。 **あっさり** ○しつこくなく、たんぱくで、さっぱりしているさま。たやすいさま。[文例]〈あっさりとした料理>おばあさんは、あっさりとした料理を好みます。●へあっさりした性格>兄は、明るくあっさりした性格で、ものにこだわりません。●へあっさりあきらめる〉もっとねばるかと思ったら、あっさりあきらめてしまった。●へあっさり負ける〉練習のかいもなく、予選であっさり負けてしまった。 **あっしゅく【圧縮】** ○圧力をかけて、押し縮めること。縮めて短くすること。「文例]〈物体を圧縮する〉酸素などの気体を圧縮していくと、液化する。●へ青春を圧縮する〉中学時代からつけている日記には、わたしの青春が圧縮されているのだと思う。 **あっしょう【圧勝】** ○圧倒的に勝つこと。大差で勝つこと。[文例]〈圧勝する〉味方は、敵に一点の得点も許さず圧勝した。●〈圧勝する〉壇[だん]ノ浦[うら]の戦いで源氏の軍は圧勝し、ここに平氏は滅亡[めつぽう]した。 **あっ・する【圧する】** ○力をかけて、おさえる。圧倒する。威圧する。[文例]〈胸を圧する〉胸を圧するような息苦しさで目が覚めたら、飼いねこが胸の上にのっかっていた。へ人を圧する風格〉有力な政治家になった伯父は、若いころから人を圧する風格があったそうだ。●へ敵を圧する〉味方の気力は、二倍の敵を圧するにじゅうぶんであった。●へ風波を圧する〉難破船の船員たちには、風波を圧して救援に現れた警備艇が、神の助けのように思えた。●へ会場を圧する〉わがチームは、威風[いふう]堂々、会場を圧して行進してきた。へ辺りを圧する〉いきなり辺りを圧する大音響[だいおんきよう]がして、頭上低く、ジェット機が飛び去った。 **あっせい【圧政】** ○権力で人民を抑えつける政治。又[例]〈圧政に苦しむ>専制君主のもとで、人々は圧政に苦しんでいた。●へ支配者の圧政>支配者の圧政に反対し、各地に乱や一揆[いっき]が起こった。 **あっせん(斡旋)】** ○紹介し、世話すること。間をとりもつこと。[文例]〈斡旋する〉この学校では、技術を修得した生徒たちに就職を斡旋してくれる。●へ斡旋に乗り出す〉争議の解決を図るために、公労委が職権で斡旋に乗り出した。 **あっとう【圧倒】** ○相手を押し倒すこと。また、そのような勢いであること。格段の差で優勢であること。[文例]〈勢いに圧倒される>早口でまくしたてるセールスマンの勢いに圧倒されて、ついいらない物を買ってしまった。●へ精神力に圧倒される〉病気の苦しさによく耐えている彼の精神力のたくましさに圧倒される。●へ敵を圧倒する〉味方は、人数・装備[そうび]ともに敵を圧倒しているから、勝利[しょうり]間違いなしだ。〈圧倒的に多い〉どういう訳か、女性の和服の模様には、植物を図案化したものが圧倒的に多いようだ。●〈圧倒的勝利〉ぼくらは圧倒的勝利をおさめて、皆[みな]を驚[おどろ]かせた。●へ圧倒的多数>今回の選挙でも、与党[とう]が圧倒的多数の議席を占めた。 **アットランダム** アトランダム **あっぱれ(天晴れ)】** ○みごとなさま。めざましいさま。[文例]あっぱれ、よくやったぞ。●へ敵ながらあっぱれ〉まさに完ぺきなプレーと言える。敵ながらあっぱれだ。 **アップ** ○上がること。上げること。大写しすること。後ろ髪を上でまとめること。[文例]〈アップする〉この教材で勉強してから、成績がぐんとアップした。◆ヘアップで写す>居眠りしているところをアップで写すなんて、ひどいなあ。●ヘアップにする〉いつもは髪を垂らしていますが、着物を着るときはアップにします。 **あつまり【集まり】** ○集まること。集会。集団。[文例]花びらの集まり〉タンポポの花は、一つ一つの小さな花びらの集まりです。●へ町内会の集まり〉今晩、町内会の集まりがありますから、出席してください。●へ集まりがいい・悪い〉働いている母親が多いため、父母会はいつも集まりがよくない。 **あつま・る【集まる】** ○寄り合う。つどう。多くの方向から集中する。[文例]へつぼみが集まる〉カリフラワーは、小さな花のつぼみがたくさん集まって、一かたまりになった食用植物です。●へ文が集まる〉段落はふつう、いくつかの文が集まってできています。●〈会議室に集まる〉委員の方は、放課後、会議室に集まってください。●へ原稿が集まる〉文集の原稿がなかなか集まらない。●へ物資が集まる〉地震[じしん]で大きな被害[ひがい]を受けた人々のために、薬や衣類、食料などの救援物資が、続々と集まってきた。●へ同情が集まる交通事後で父や母を失った子供たちに、世間の同情が集まった。 **あつ・める【集める】** ○寄り合わせる。多くの方向から集中させる。[文例]〈人を集める〉節分の日、近くのお寺では、大勢の人を集めて豆まきをします。●〈光を集める>虫眼鏡[めがね]を使 <25> **あてはまる** **あ** て、紙[かみ]の上[うえ]に太陽[たいよう]の光[ひかり]を集[あつ]めると、紙[かみ]が焼[や]ける。♠〈寄付[きふ]を集[あつ]める〉世話好[せわず]きな父[ちち]は、お祭[まつ]りの寄付[きふ]を集[あつ]めるのに奔走[ほんそう]している。♠〈情報[じょうほう]を集[あつ]める〉この土地[とち]では、イリオモテヤマネコに関[かん]する多[おお]くの情報[じょうほう]を集[あつ]めることができた。♠〈陶磁器[とうじき]を集[あつ]める〉祖父[そふ]の楽[たの]しみは、古[ふる]い陶磁器[とうじき]を集[あつ]めることです。♠〈全[ぜん]神経[しんけい]を集[あつ]める〉少女[しょうじょ]ヘレンは、単語[たんご]をつづっているサリバン先生[せんせい]の指[ゆび]の動[うご]きに、全[ぜん]神経[しんけい]を集[あつ]めた。♠〈額[ひたい]を集[あつ]める〉どうやって祖父[そふ]の入院[にゅういん]費[ひ]を払[はら]おうかと、父[ちち]と母[はは]と兄[あに]が額[ひたい]を集[あつ]めて相談[そうだん]している。♠〈同情[どうじょう]を集[あつ]める〉終戦[しゅうせん]の時[とき]、中国[ちゅうごく]に残[のこ]された日本[にっぽん]人[じん]孤児[こじ]たちが、多[おお]くの国民[こくみん]の同情[どうじょう]を集[あつ]めた。♠〈人気[にんき]を集[あつ]める〉あの歌手[かしゅ]は、今[いま]、若[わか]い女[おんな]の子[こ]たちの人気[にんき]を一身[いっしん]に集[あつ]めている。 **あつらえむき**【あつらえ向き】(誂[あつら]え向[む]き) ○注文[ちゅうもん]したようにぴったりであること。望[のぞ]むとおりであるさま。[文例]タイマー付[つ]きの炊飯[すいはん]器[き]は、朝寝坊[あさねぼう]のママにおあつらえ向[む]きの商[しょう]品[ひん]だね。♠ミケは、あつらえ向[む]きの寝床[ねどこ]とばかりに、電気[でんき]カーペットの上[うえ]に寝[ね]そべっている。 **あつら・える**【誂える】 ○自分[じぶん]の思[おも]い通[どお]りに作[つく]らせる。注文[ちゅうもん]する。[文例]〈料理[りょうり]をあつらえる〉近[ちか]ごろは、おせち料理[りょうり]も、できあがっているものを買[か]ったり、お店[みせ]にあつらえたりする人[ひと]が多[おお]くなったようだ。♠〈洋服[ようふく]をあつらえる〉父[ちち]は、既製[きせい]の洋服[ようふく]は体[からだ]に合[あ]わないからと、いつも決[き]まったお店[みせ]であつらえます。♠〈特別[とくべつ]にあつらえる〉この広間[ひろま]の豪華[ごうか]な照明[しょうめい]器具[きぐ]は、メーカーに注文[ちゅうもん]して特別[とくべつ]にあつらえたものだそうだ。♠〈あつらえたように〉その服[ふく]は、まるであつらえたようにきみにぴったりだ。 **あつりょく**【圧力】 ○押[お]しつける力[ちから]。抑[おさ]えつける力[ちから]。[文例]〈大気[たいき]の圧力[あつりょく]〉〈圧力[あつりょく]を受[う]ける〉地上[ちじょう]の物体[ぶったい]はすべて地球[ちきゅう]をとりまく大気[たいき]の圧力[あつりょく]を受[う]けている。♠〈圧力[あつりょく]を加[くわ]える〉ぱんぱんにふくらんだ風船[ふうせん]を手[て]で押[お]しつけて、圧力[あつりょく]を加[くわ]えたら、パーンとわれてしまった。♠〈圧力[あつりょく]が高[たか]い〉川[かわ]や海[うみ]の深[ふか]いところほど、水[みず]の圧力[あつりょく]は高[たか]くなる。♠〈人[ひと]の圧力[あつりょく]〉後[のち]にキリストといわれたイエスは無罪[むざい]を認[みと]められながらも、ユダヤ人[じん]の圧力[あつりょく]で十字架[じゅうじか]にかけられたという。♠〈強[つよ]い圧力[あつりょく]〉〈圧力[あつりょく]に屈[くっ]する〉経営[けいえい]者[しゃ]側[がわ]は、組合[くみあい]の強[つよ]い圧力[あつりょく]に屈[くっ]し、労働[ろうどう]者[しゃ]側[がわ]の要求[ようきゅう]をのんだ。♠〈圧力[あつりょく]をかける〉〈圧力[あつりょく]団体[だんたい]〉政府[せいふ]に圧力[あつりょく]をかけて自己[じこ]の利益[りえき]を擁護[ようご]しようとする団体[だんたい]を圧力[あつりょく]団体[だんたい]と呼[よ]ぶ。♠〈周囲[しゅうい]の圧力[あつりょく]〉〈圧力[あつりょく]をはねのける〉事件[じけん]を公[おおやけ]にしたくないという周囲[しゅうい]の圧力[あつりょく]をはねのけて、彼[かれ]はそのことを本[ほん]に著[あらわ]した。 **あつれき**【軋轢】 ○両者[りょうしゃ]の間[あいだ]に生[しょう]じる不調和[ふちょうわ]やまさつ。[文例]〈あつれきが生[しょう]じる〉国民[こくみん]性[せい]の相違[そうい]から両者[りょうしゃ]の間[あいだ]にあつれきが生[しょう]じた。♠〈両国[りょうこく]間[かん]のあつれき〉宗教[しゅうきょう]の違[ちが]いが両国[りょうこく]間[かん]のあつれきの主[おも]な原因[げんいん]となっている。 **あて**【当て】(宛[あて]て) ○あてること。目[め]あて。見込[みこ]み。期待[きたい]。[文例]〈当[あ]てがある・ない〉何[なん]の仕事[しごと]をしようという当[あ]てもなかったので、毎日[まいにち]ぶらぶらしていた。♠〈当[あ]てになる〉人[ひと]のうわさなんて、当[あ]てにならないものだ。♠〈当[あ]てがはずれる〉お年玉[としだま]は一万[いちまん]円[えん]ぐらい、と期待[きたい]していたが、当[あ]てがはずれた。♠〈当[あ]てにする〉父[ちち]の会社[かいしゃ]は不景気[ふけいき]らしく、当[あ]てにしていたボーナスも出[で]ないらしい。♠〈当[あ]てもなく〉宇宙[うちゅう]船[せん]がもし地球[ちきゅう]へ帰[かえ]れなくなったら、ただ当[あ]てもなく、広[ひろ]い宇宙[うちゅう]を飛[と]び続[つづ]けることになるのか。♠〈当[あ]てがくるう〉てっきりきみはやってくれるものと思[おも]っていたのに、だめだなんて、当[あ]てがくるってしまった。♠〈一人[ひとり]あて〉この紙[かみ]を一人[ひとり]あて三枚[さんまい]ずつ配[くば]ってください。♠〈〜あての手紙[てがみ]〉ある日[ひ]、名[な]も知[し]らぬ人[ひと]から、わたしあてに一[いっ]通[つう]の手紙[てがみ]が届[とど]いた。♠〈ひざ当[あ]て〉ズボンのひざの部分[ぶぶん]がすり切[き]れてきたので、母[はは]に、ひざ当[あ]てをぬいつけてもらった。 **あてが・う** ○当[あ]てて、ぴったり合[あ]うようにする。こちら都合[つごう]でふり当[あ]てる。[文例]〈傷口[きずぐち]にあてがう〉傷口[きずぐち]に何[なに]やら知[し]れぬ草[くさ]の葉[は]をあてがうと、男[おとこ]は腕[うで]を手[て]ぬぐいで固[かた]くしばった。♠〈おしゃぶりをあてがう〉おしゃぶりをあてがうと、赤[あか]ちゃんは安心[あんしん]したようにチュッチュッと音[おと]を立[た]ててみせた。♠〈おやつをあてがう〉子供[こども]にはおやつをあてがっておいて、その間[あいだ]に残[のこ]りの仕事[しごと]をかたづけよう。♠〈嫁[よめ]をあてがう〉うちの息子[むすこ]にもそろそろ嫁[よめ]をあてがってやらなければならないな。 **あてこす・る**【当てこする】(当て擦[こす]る) ○他[ほか]のことにかこつけて、それとなく悪口[わるぐち]や皮肉[ひにく]を言[い]う。[文例]へんに当[あ]てこすって言[い]われるより、悪口[わるぐち]でも何[なん]でもはっきり言[い]われたほうがましだ。♠〈政治[せいじ]を当[あ]てこする〉新聞[しんぶん]には、時[とき]の政治[せいじ]を当[あ]てこすった漫画[まんが]が載[の]っている。 **あてこ・む**【当て込む】 ○あてにする。見込[みこ]む。[文例]〈客[きゃく]を当[あ]て込[こ]む〉大勢[おおぜい]の観光[かんこう]客[きゃく]を当[あ]て込[こ]んで店[みせ]を出[だ]したが、売[う]れ行[ゆ]きはさっぱりだった。♠〈合格[ごうかく]を当[あ]て込[こ]む〉合格[ごうかく]を当[あ]て込[こ]んで、前祝[まえいわ]いをやった。 **あてつけ**【当て付け】 ○あてつけること。あてこすり。[文例]〈当[あ]てつけに〜する〉木村[きむら]君[くん]ったら、わたしへの当[あ]てつけに、好[す]きでもない人[ひと]とつき合[あ]ってるんだわ。♠〈当[あ]てつけがましい〉課長[かちょう]の言[い]い方[かた]は、いつも当[あ]てつけがましく聞[き]こえる。 **あてつ・ける**【当て付ける】 ○わざと口[くち]に出[だ]して言[い]う。あてこする。わざと見[み]せつける。[文例]朝寝坊[あさねぼう]のわたしに当[あ]てつけるように、「お隣[となり]のようこさんは早起[はやお]きねえ。」と母[はは]がつぶやいた。 **あてど**【当てど】(当て所[ど]) ○目[め]あて。目標[もくひょう]。頼[たよ]りにするところ。[文例]〈当[あ]てどない旅[たび]〉漂泊[ひょうはく]の思[おも]いにかられて当[あ]てとない旅[たび]に出[で]た。♠〈当[あ]てどもなく〉帰[かえ]る家[いえ]のないわたしは、木枯[こが]らしの吹[ふ]きすさぶ街[まち]を当[あ]てどもなくさまよった。 **あてな**【あて名】(宛名[あてな]) ○届[とど]け先[さき]の氏名[しめい](や住所[じゅうしょ])。[文例]〈小包[こづつみ]のあて名[な]〉この小包[こづつみ]のあて名[な]は、だれにしておきましょうか。♠このあて名[な]の人物[じんぶつ]は、もうここには住[す]んでいません。 **あてはまる**【当てはまる】(当て嵌[は]まる) ○ぴったり合[あ]う。適合[てきごう]する。[文例]〈あてはまる言葉[ことば]〉次[つぎ]の文章[ぶんしょう]を読[よ]んで、空欄[くうらん]にあてはまる言葉[ことば]を入[い]れなさい。♠〈そっくり当[あ]てはまる〉弟[おとうと]は母[はは]に、後始末[あとしまつ]が悪[わる]い、言葉遣[ことばづか]いが乱暴[らんぼう]だと注意[ちゅうい]されるが、それはそっくりそのままぼくにも当[あ]てはまる。♠〈考[かんが]えが当[あ]てはまる〉世[よ]の中[なか]が変[か]わるにつれ、昔[むかし]のままの考[かんが]えは、実際[じっさい]に当[あ]てはまらなくなってくる。♠〈ぴたりとあてはま <26> る>冬は白のイメージ、夏は赤・オレンジ色のイメージ、春のイメージにぴたりとあてはまるのは何色かな。♠へ条件に当てはまる>頭が良くてハンサムで、優[やさ]しく、しかもお金持ちなんていう条件に当てはまる男性は、なかなかいません。 **あては・める**【当てはめる】(当て嵌める)○ぴったり合わせる。合うように入れる。適用する。[文例]〈現在に当てはめる〉この故事を現在に当てはめて考えてみると、いろいろと参考になります。♠へ言葉を当てはめる〉空欄[くうらん]に適当な言葉を当てはめて、意味の通る文章を作成しなさい。♠へおきてに当てはめる〉残酷[ざんこく]なようだが、これも大自然の弱肉強食のおきてに当てはめればやむをえないことではないか。 **あ・てる**【当てる・充てる】○ぶつける。触れさせる。あてがう。光・風などにさらす。作用が及ぶようにする。成功する。的中させる。ふりむける。直面させる。あてはめる。指名する。手紙などを向ける。[文例]〈車を当てる>免許取りたての姉は、車庫入れに失敗し、新しい車を門柱に当ててへこませてしまった。♠〈手を当てる〉そばにいた子供にボールが当たり、その子は顔に手を当てて泣き出した。♠へ定規を当てる〉彼がかいた線は、まるで定規を当てたようにまっすぐで、しっかりしている。♠へ焦点[しょうてん]を当てるこの文章の第三段落では、ある日の母に焦点を当てている。♠へむちを当てる〉御者[ぎょしゃ]は馬にむちを当て、目的地へ急いだ。♠へ座布団を当てる〉どうぞ、座布団をお当てください。♠◇日に当てる〉じゅうぶん日に当てた布団に寝るのは、気持ちがいい。♠◆<株で当てる>株で当てて大もうけをしたという話も聞くが、損をすることも多いようだ。♠◆ヘクイズを当てる〉姉は、クイズを当てて海外旅行へ行きたいと、せっせとはがきを送っている。♠◆人的に当てる〉彼は慎重[しんちょう]にねらって、見事に的に当てた。♠新婚[しんこん]夫婦に当てられる〉新婚ほやほやの姉夫婦には、すっかり当てられてしまった。♠人毒気[どつけ]に当てられる〉遊び人のあんたの毒気に当てられたのか、おれも働く気がなくなってしまった。♠人費用に充てる〉母は、兄の進学の費用に充てるため、パートで働くつもりだという。♠〈時間を~に当てる〉わたしは、夕食前の二時間を勉強時間に当てています。♠〈漢字を当てる〉同音語には、意味をよく考えて、漢字を当てることが大切です。♠へ先生に当てられる〉きちんと予習をしておいたので、先生に当てられたときも、すらすら答えることができた。♠〈目も当てられない〉久しぶりに訪ねた兄の下宿の部屋は、目も当てられないほどの散らかりようだった。♠へ~にあてた手紙〉東京で働いている姉は、母親にあてた手紙の中で、田舎[いなか]へ帰りたいともらしていたという。 **あと**【跡】○あとに残されたしるし。形跡。行方。家のあと目。家督[かとく]。[文例]<足の跡〉さっきお掃除[そう]をしたばかりの廊下[ろうか]に、もう汚[きたな]い足の跡がついている。♠へきずの跡〉家の壁[かべ]を塗り直したので、幼いころにいたずらをしてつけた古いきずの跡も、すっかり分からなくなった。♠〈城の跡〉ここは、昔の城の跡で、くずれかけた石垣[いしがき]と石畳[いしだたみ]が、そのおもかげを残している。♠へ成長の跡〉中学校生活をしめくくり、自己の成長の跡を確かめておくことは、有意義なことだ。♠〈工夫の跡>発明展を見に行き、それぞれに作者の工夫の跡を見て、感心するばかりだった。♠へ努力した跡〉今度の通信簿には、一学期間よく努力した跡が見える。♠へ跡をくらます>刑務所[けいなしょ]から脱走[だっそう]した囚人[しゅうじん]は、近くの民家から衣類を盗んで変装し、跡をくらました。♠へ跡を絶つ〉ニホンオオカミは、明治[めいじ]三十八年、奈良[なら]県の山中で見つけられたのを最後に、跡を絶った。♠〈跡を継ぐ〉ぼくは将来、父の店の跡を継ぐつもりだ。♠〈跡を取る>彼女は、旧家の跡を取る娘[むすめ]として大事に育てられたので、世間知らずなところがある。♠〈立つ鳥跡を濁[にご]さず「立つ鳥跡を濁さず」ということわざもあるように、後片付けはきちんとしよう。 **あと**【後】○空間的に後ろ。後方。背後。時間的にのち。以後。死後。物事の終わり。残り。[文例]〈後につく〉ひよこが親鳥の後について、よちよち歩いている。♠へ後を追いかける〉野うさぎを見つけ、後を追いかけたが、速[は]くてつかまえられなかった。♠へ後をつける〉怪[あや]しい男がうろうろしていたので、不審[ふしん]に思い、後をつけてみた。♠へ後にする>若者たちは、家族や恋人[こいびと]に心を残しながらも、故国を後にして、戦場へ向かった。♠へ後を慕う〉先生が転勤で本土へ渡[わた]る日、大勢の生徒や島の人たちが後を慕って、港へ見送りに来た。♠〈後に従[した]う>虎[とら]が狐[きつね]の後に従って行くと、道々行き会う獣[けもの]は、皆逃げ出した。♠〈後には引けない〉浪人[ろうにん]三年目ともなるともう後には引けない、何としても目的の大学に入らなくては。♠へ後から後から〉バーゲンセールの会場は、お客が後から後からつめかけ、大変な混雑だった。♠後に回す〉その問題は後に回して、まず簡単なところから話し合っていこう。♠へ後を任せる〉母の手伝いをしていたが、友達との約束の時間が近づいたので、妹に後を任せて家を出た。♠〈後から考える〉後から考えると、あのときの彼女の言葉は、何と意味の深い言葉だったろう。♠へ後を受ける〉祖母の掃き終わった後を受けて、ぼくはぞうきんでそこをふいた。♠〈後を追う〉去年、おじが病死して、わずか半年後に、おばも同じ病で後を追った。♠へ後の祭り〉テストが済んだとたん、答えが分かっても、後の祭りだ。♠へ後は野となれ山となれ「後は野となれ山となれ」とは、現在さえよければ、後はどうなっても構わないということです。♠へ後にも先にも〉こんなことは、後にも先にも聞いたことがない。♠←〈後を引く〉ピーナツは、食べ始めると後を引いて、ついつい一袋[ふくろ]などということもある。♠幼い妹は、「あといくつ寝たら幼稚園[ようちえん]へ行くの?」と、指折り数えながらその日を待ちこがれている。 **あとあじ**【後味】○飲食したあと、口に残る感じ。[文例]へ後味が悪い〉このままけんか別れになっては後味が悪いから、ぼくのほうが譲[ゆず]ることにしよう。♠へ後味が残る〉ひきょうな勝ち方をしたことが、心の中に嫌[いや]な後味としていつまでも残った。 **あとおし**【後押し】○後ろから押すこと、また、そうする人。助力。後援者。[文例])〈荷車の後押し〉後押しがなければ、一人でこの荷車を引いて坂を上ることなどできない。♠後 <27> 押しする〉父が今度の選挙で当選できたのは、強力に後押ししてくれる人があってのことだった。♠へ後押しする〉わたしは、彼らの熱意に感動し、彼らの計画を後押しすることにした。 **あとかた**【跡形】○あとに残るしるし。形跡。[文例]〈跡形もない>火事の知らせで沖[おき]からもどってみると、既[すで]に家は燃え落ちて跡形もなかった。♠へ跡形もない〉わたしたちのささやかな幸せを跡形もなく壊[こわ]してしまう戦争だけは、絶対にいやだ。♠◆<跡形なく>朝になると一面の銀世界で、彼らの足跡[あしあと]は跡形なく消えてしまっていた。 **あとかたづけ**【後片付け・跡片付け】○終わったあとの整理。あと始末。[文例]〈食事の後片付け〉姉妹が手伝って、食事の後片付けをします。♠〈仕事の後片付け〉一家は田舎の親戚[せきたよ]を頼って避難[ひなん]したが、父だけは仕事の後片付けのために残った。 **あとくされ**【後腐れ】○事が終わった後に残るめんどうな事柄。[文例]〈後腐れがない〉後腐れのないように、最後までしっかりさせておいたほうがよかろう。♠〈後腐れがある〉後腐れがあるといけないから、弁護士にたのんで示談書を作ってもらった。 **あどけな・い**○無邪気でかわいらしい。[文例]〈あどけない少女〉この古い写真のあどけない少女が祖母だなんて、とても信じられない。♠〈あどけない表情〉古いアルバムをめくったら、あどけない表情の男の子に父の面影[おもかげ]があった。♠〈顔があどけない>生意気で憎[にく]らしい弟も、寝顔[ねがお]は赤ちゃんのようにあどけない。♠へ子供のようにあどけない〉高校生の兄だが、プラモデルの製作に無心で取り組んでいるときは、子供のようにあどけなく見える。 **あとさき**【後先】○物事の前と後。始まりと終わり。順序。順序が逆になること。「図例〈後先の考え〉お前は後先の考えもなしに突っ走[ぱし]るから、こういうことになるんだよ。♠へ後先もなく〉わが子となれば後先もなくかわいいのいってん張りで、しつけらしいしつけもできなかった。♠〈後先になる〉話が後先[こうかい]になりますが、まずこの計画が実現された場合の影響についてお話ししておきましょう。 **あとじさり**【後じさり】↓あとずさり **あとしまつ**【後始末・跡始末】○終わったあとの整理。あと片付け。[文例]〈後始末をする〉遊んだら、後始末をきちんとする習慣を身につけましょう。♠へ後始末が済む〉わたしはここに残って、後始末を済ませてから皆さんに合流します。♠〈食事の後始末〉これだけの大家族だと、食事の支度から後始末まで、全部一人でするのは大変ですねえ。 **あとずさり**【後ずさり】(後退り)○前を向いたまま後ろへ下がること。又例〈後ずさりする〉道を曲がったところで大きな犬に出くわしたぼくは、思わず後ずさりした。♠〈後ずさりする〉カメラを構えて二、三歩後ずさりしたとたん、後ろの池に落ちたのです。 **あとつぎ**【跡継ぎ】○家や地位などをつぐこと。あととり。後継者。[文例]〈家の跡継ぎ〉やっと男の子が生まれて、これで当家にも跡継ぎができました。♠〈跡継ぎになる>昭夫ぽっちゃまも立派な跡継ぎになられて、だんなさまはさぞかしご安心なさったことでしょう。 **あとのまつり**【後の祭り】○時機をのがすこと。手おくれ。[文例]こんなにひどくなる前に医者にみせればよかったと後悔しても、後の祭りだった。♠だまされたと気がついた時は後の祭りで、もう男の姿はどこにも見えなかった。 **あとまわし**【後回し】○順番を後にすること。又側〈後回しにする〉今忙しいから、そんな話は後回しにしてよ。 **あとめ**【跡目】○引き継ぐ家・地位・財産など。また、それを相続する人。後継者。[文例]〈跡目を継ぐ〉父が病気で倒れたあとは、兄が跡目を継いだ。♠〈跡目相続>先代が亡くなったあと、この家は跡目相続でもめ続けている。 **あともどり**【後戻り】○引き返すこと。元に戻ること。[文例]〈後もどりする〉もしかすると道をまちがえたのかもしれない、少し後もどりしてみようか。♠へ後もどりをする〉ここまできたらもう後もどりはできないよ、いちかばちかやってみるだけだ。 **アトランダム**○任意であるさま。無作為なさま。手当たり次第であるさま。[文例]〈アトランダムに選[えら]ぶ〉全校生徒の中から、アトランダムに五十名を選び出し調査の対象としました。♠◆ヘアトランダムに抽出[ちゅうしゅつ]する〉名簿を見てアトランダムに抽出し、商品のパンフレットを送りました。 **あな**【穴】(孔)○くぼみ。反対側に突き抜けた空洞[くうどう]。埋める必要のある欠損。欠点。一般に知られていない、よい場所や物事。[文例]〈針の穴〉針の穴に糸を通すのは、これでなかなか難しいものだ。♠◆ヘキツネの穴〉おい、この穴は、いったい何だろう――キツネの穴かな。♠穴を掘[ほ]る〉〈穴に埋[う]める〉金魚が死んでしまうと、妹は、庭に穴を掘って、ていねいに埋めてやった。♠〈深い穴>深い穴の底には、有毒なガスがたまり、工事をする人などが、それを吸って死ぬことがある。♠●〈穴が開く〉セーターに虫がついて、ところどころに穴が開いてしまった。♠●へ穴を開ける〉ネズミが壁[かべ]に穴を開けたらしい。♠●へ穴をあける〉〈穴を埋める〉息子が勤め先の会計に穴をあけてしまい、そのために父親は、借金をして穴を埋めた。♠穴があくほど見る〉顔を穴があくほど見つめられたので、何だかはずかしくなった。♠●へ穴があったら入りたい〉あの時のはずかしかったことといったら、本当に穴があったら入りたい思いでした。♠<針の穴から天のぞく〉「針の穴から天のぞく」のたとえのように、何ごとも、自分の狭[せま]い考えを基準に勝手な推測をしがちです。♠●へ穴を当てる〉競馬の好きなおじさんが、めずらしく穴を当てて、大金をもうけたそうだ。♠●〈穴をねらう〉明日のチームは、ショートが穴だから、そこをねらえ。 **あなうめ**【穴埋め】○穴を埋めること。欠損や不足をおぎなうこと。[文例]〈借金の穴埋め〉おまえさん、この着物を売って借金の穴埋めにしておくれ。♠◆ヘ穴埋めする〉愛情の不足を、金銭で穴埋めすることはできないのです。 **あながち**○(打ち消しの語をともなって)必ずしも。まんざら。いちがいに。[文例]「青空が広がるすがすがしい五月」 <28> のイメージは、あながち誤りとはいえないが、統計でみると意外に雨が多いのだ。♠彼の言い分を聞くと、あながち彼だけが悪いとは思えない。♠近い将来、宇宙旅行することも、あながち夢[ゆめ]ではないかも知れない。♠彼の言うことも、あながち無理ではなさそうだ。 **あなぐら**【穴蔵・穴倉】(窖)○(物をたくわえるために)地中に掘った穴。[文例]〈暗い穴蔵〉暗い穴蔵のような防空壕[ぼうくうごう]の中は、人いきれで暑く息苦しかった。♠●〈地下の穴蔵〉地下の穴蔵には、ワインの大だるやジャムの瓶[びん]などが所狭[ところせま]しと並べられていた。 **あなた**(貴方・彼方)○あちらの方。かなた。相手を指す語。[文例]わたしは急ぎませんから、あなたからお先にどうぞ。♠●〈あなた任せ〉なにごともあなた任せではだめだよ、しっかり自分の足で歩かなくては。♠山のあなたの空遠く/「幸[さいはひ]」住むと人のいふ。(上田敏[うえだびん]訳「山のあなた」部分) **あなど・る**【侮る】○相手を軽くみる。みくびる。[文例]人を侮る〉相手がどんな人であろうと、人を侮るようなことをしてはならない。♠●〈山を侮る〉たいしたことはない山だからなどと侮っていると、大変なことになりかねない。♠勉強などしなくても分かるからと侮り、怠[なま]けているうちに、成績はどんどん下がっていった。♠●小さな傷でも、大事につながる場合があるので、侮ってはいけないよ。♠●へ侮りがたい〉火山の恵みも大きいが、その害、ことに噴火[ふんか]の害は侮りがたいものがある。 **あに**【兄】○年上の男の兄弟。例兄は、今年の春大学を出て、父と同じ会社に勤めております。♠●〈義理の兄〉あの人は、姉の夫、つまり義理の兄にあたります。♠●へ兄弟子[あにでし]〉今日は師匠[ししょう]の都合が悪く、兄弟子にけいこをつけてもらいました。 **あね**【姉】○年上の女の兄弟。[文例]母が早く亡くなったので、ぼくは姉に育てられました。♠●へ姉さんかぶり〉わたしが思い出すのは、いつも手ぬぐいを姉さんかぶりにした母の姿です。♠●<姉娘[あねむすめ]>姉 ◆<姉娘>姉 娘は、妹思いの気立てのやさしい子でした。 **あの**○話し手からも聞き手からも隔[へだ]たった物事を指す語。了解済みの事物を指す語。話の初めまたは途中で発する語。[文例]例の、あの話、その後どうなりましたか。♠あの、すみませんが、駅へはどう行ったらいいのでしょうか。 **あのよ**【あの世】○死後の世界。[文例]〈あの世から〉お父さんは死んでも、あの世からきっとお前たちのことを見守っているよ。♠●へあの世に行く〉どんなにこの世で財産を蓄[たくわ]えても、あの世までは持って行けない。 **アパート**○集合住宅。共同住宅。例〈アパートを借[か]りる>長男が独立して、近くにアパートを借りて住んでいます。♠●ヘアパートに入る〉祖母と妹が、わたしの家の近くのアパートに入っています。♠◆ヘアパートが建つ>川沿いに大学生用のアパートが建っている。 **あば・く**【暴く】○掘り出す。明るみに出す。すっぱぬく。[文例]〈墓を暴く〉この谷の王の墓を暴いた者には、恐[おそ]ろしい報[たた]りがあると伝えられている。♠●へ隠れ家[かくが]を暴く〉アンネたちの隠れ家が、とうとうナチスの秘密警察によって暴かれた。♠●へ正体を暴く〉いつかあいつの正体を暴いて、こらしめてやる。♠●ヘスキャンダルを暴く〉テレビや週刊誌は、タレントのスキャンダルを暴くのに、目の色を変えている。♠●〈過去を暴く〉彼女は、過去を暴かれるのを恐[おそ]れて、脅迫[ほモう]者に大金を渡[わた]した。 **あばた**(痘痕)○天然痘[てんねんとう]のために顔にできたくぼみ。[文例]〈あばたもえくぼ〉一たん[いつけん]好きになったらあばたもえくぼで、周りが何を言ってもむだだ。♠●へあばた面[づら]〉納屋[なや]に隠[かく]れていたのは、あばた面のまだ若い兵隊だった。 **あばらや**【あばら家・あばら屋】○風の通り抜けるような粗末な家。荒れはてた家。ぽろや。[文例]人里[ひとざと]離れた山の中に、ぽつんと一軒小さなあばら家があり、かすかに煙が立ちのぼっていた。♠●こんなあばら家に、ようこそおこしくださいました。 **あば・れる**【暴れる】○乱暴する。荒々しくふるまう。思う存分に行動する。[文例]〈牛が暴れる〉闘牛士[とうぎゅうし]がどんなにけしかけても、牛は今日に限って、戦おうとも暴れようともしない。♠●へ外で暴れる>雨でせまい家の中に閉じこめられた弟は、外で思いきり暴れたがっている。♠●へ政界で暴れる〉彼は若いころ、地方の政界で大いに暴れ、反対派に恐[おそ]れられたという。♠●ヘ川が暴れる>昔[むかし]からこの地方では、川が暴れるのを防ぐため、いろいろな試みがされている。♠台風が暴れる>日本中を暴れ回った台風が、やっとオホーツク海に抜けていった。 **アピール**○うったえること。また、その言葉。人の心を引きつけること。魅力。[文例]〈アピールを認める〉相手のアピールが認められ、味方の反則が宣告された。♠◆平和のアピール>集会では、反戦と平和のアピールが満場[まんじよう]の拍手[はくしゅ]で採択[さいたく]された。♠◆ヘアピールする〉彼の話は、わかりやすく説得力があり、大衆にアピールするものだった。 **あび・せる**【浴びせる】○(水などを)上から注ぎかける。(一度に、一面に、大量に、続けざまに)身に受けさせる。[文例]〈水を浴びせる>女は、泥だらけの子供を井戸端[いどばた]に連れて行くと、頭からざあざあと冷たい水を浴びせた。♠<砲火[はうか]を浴びせる>南軍は、敵陣のある川下の森に、いっせいに砲火を浴びせた。♠〈非難の声を浴びせる〉無謀な戦いをいどんで敗れた将軍に、人々は非難の声を浴びせた。 **あ・びる**【浴びる】○(水などを)かぶる。(一度に、一面に、大量に、続けざまに)身に受ける。こうむる。[文例]〈水を浴びる>庭の小さな池に野鳥が来て、気持ちよさそうに水を浴びている。♠●へひとふる浴びる〉父は、会社から帰るとまずひとふろ浴びて浴衣[ゆかた]に着がえ、ビールを飲む。♠●〈日差[ひざ]しを浴びる>葉が落ちて、裸[はだか]の枝についた柿[かき]の実が、柔[やわ]らかい秋の日差しをいっぱいに浴びている。♠●へほこりを浴びる〉道が舗装[ほそう]されていないので、自動車が通るたびに砂ぼこりを浴びて、閉口した。♠●〈放射能を浴びる〉原爆[げんぱく]にあって外傷[がいしよう]がなかった人でも、放射能を浴びたために、後遺症[こういしよう]に苦しんだ。♠●へ砲火[ひぼろ]を浴びる〉山すそのわが軍は、山頂を占領した <29> 敵から、集中砲火を浴びることになった。♠●〈脚光[গুやつこう]を浴びる〉転々と職を替えて苦節十年、彼はようやく推理作家として脚光を浴びるようになった。♠●く非難を浴びる領空[りょうくう]を侵[おか]した他国の旅客機を、無警告で撃墜[げきつい]した国は、国際的な非難を浴びた。♠<嘲笑[ちようしよう]を浴びる〉まじめな話をしているつもりなのに、ばかげた空想だと、さんざん嘲笑を浴びた。♠〈質問を浴びる〉幼い弟から、なぜ、どうして、とうるさく質問を浴びて、返事に困る。♠●〈浴びるように飲む〉彼は、事業に失敗したうえ愛児を事故で失い、やけになって酒を浴びるように飲んでいる。 **あぶく**(泡)○あわ。[文例]〈あぶくをふく>子供が手でつかむと、かにははさみを振り立てて、ぶくぶくとあぶくをふいた。♠●へあぶくが立つ〉金魚が口を動かすたびに、金魚鉢[きんぎよばち]の中を細かいあぶくが立ちのぼっていった。♠●へあぶく銭[ぜに]>苦労せずに手に入れた金は、いわばあぶく銭で、どうせすぐに消えてしまうだろう。 **あぶな・い**【危ない】○危害を受けそうな状態だ。あやうい。危険だ。不確かだ。[文例]〈命が危ない〉津波[つなみ]のときは、一刻も早く逃げないと命が危ないよ。♠●へ危ないところ〉誘拐[ゆうかい]された幼女が危ないところで助けられたらしい。♠●へ危ない目にあう〉何回も危ない目にあっているのに、性[しょう]こりもなく、またバイクを飛ばすつもりかね。♠〈危ない話〉そんなに簡単に大金が手に入るなんて、危ない話にはのらないほうがいいよ。♠へ危ない手つき〉妹が危ない手つきでりんごをむいてくれた。♠へ危ない橋を渡[わた]る〉社長は、無一文から出発し、ずいぶん危ない橋を渡ってきたという。♠卒業が危ないアルバイトに熱中しすぎて、必要単位が取れなかったから、卒業が危ないよ。♠●へ地位が危ない〉この店は売り上げ成績が悪いから、店長の地位が危ないといううわさだ。♠◆<足元が危ない>暗くて足元が危ないので、気をつけてください。♠◆天気が危ない〉明日は遠足なのに、天気が危ないようだ。♠●〈経営が危ない〉大手スーパーが近くに進出したので、おじの洋品店の経営が危ないと聞いた。♠へ危なく~する〉けさ、ベッドで起き上がったとたん、めまいがして、危なく気を失いかけた。 **あぶなげな・い**【危なげない】あぶない感じがしない。又例〈危なげない試合運び〉日本チームは、危なげない試合運びで三勝目をあげた。♠●へ危なげない足取り〉老人は山小屋の主人にあいさつすると、そのまま危なげない足取りで、山頂を目指して進んで行った。 **あぶら**【油・脂】(膏)○動物・植物・鉱物に含まれる燃えやすく、水にとけない物質。活動の原動力。[文例]〈魚の脂〉すしのたねに使うマグロの身で、脂の多いところを、トロという。♠●〈脂がのる〉お母さんが台所で、脂がのっておいしそうな魚を焼いている。♠●〈脂がのる〉せっかく仕事に脂がのってきたところで、結婚[けつこん]や出産のために退職する女性がいるのは残念だ。♠●〈油のしみ〉いつも彼は昼休みになると、油のしみのついた袋[ふくろ]から、待ちかねたように弁当を取りだす。♠●〈油で揚[あ]げる〉フライは、肉類や魚貝、野菜などに卵やパン粉をまぶして、油で揚げたものだ。♠●ヘ油でいためる〉今夜は父が帰らないから、肉と野菜を油でいためた簡単なおかずだ。♠●ヘ油が切れる〉〈油をさす〉油が切れたのか、ミシンがギシギシいうので、そうじをして油をさした。♠●〈油を流したように〉夕なぎの海面は、まるで油を流したように静かだった。♠〈水と油〉あの二人は、性格が正反対で、まるで水と油みたいな関係だ。♠●〈油を搾[しぼ]る〉バイクでスピード違反[いはん]をして、おまわりさんにこってり油を搾られた。♠〈油を売る>姉さんはどこで油を売っているんだろう、近所の八、百屋へ大根を買いに行っただけなのに。♠●〈火に油を注[おこ]ぐ〉悪童たちのいたずらは、怒[おこ]れば怒るほど火に油を注ぐようにひどくなる。 **あぶらあせ**【脂汗】○苦しい時などに出る、ねばねばした感じの汗。[文例]】<脂汗を浮かべる>病人は、両手で胸を押さえ、額[ひたい]には脂汗を浮かべて苦しがっていた。♠●へ脂汗がにじむ〉問いつめられた容疑者の額に脂汗がにじんできた。 **あぶらぎ・る**【脂ぎる】○脂肪分が多くなる。脂肪でぎらぎらする。[文例]へてらてらと脂ぎる〉男は、てらてらと脂ぎった顔にうす笑いをうかべている。♠●へ脂ぎった体〉ゴキブリが嫌われる原因は、単に衛生上の問題よりも、脂ぎって見るからに不快な体つきのせいだ。 **あぶ・る**(炙る・焙る)○火にあてて、あたためたり焼いたりする。[文例]〈手をあぶる〉外は寒いだろう、早く火鉢[ひばち]で、手をあぶりなさい。♠◆へのりをあぶる〉幼いころ、祖母がよく炭火でのりをあぶり、ご飯の上にぱらぱらかけてくれたっけ。♠●〈火であぶる〉いくらゴキブリでも、火であぶり殺[ころ]すのは残酷[ざんこく]だね。♠〈火にあぶる〉火にあぶると、白い紙から絵や字があぶり出されてきた。 **あふ・れる**(溢れる)○いっぱいになって、外にこぼれる。「[文例]〈水があふれる〉雪解[ゆきど]け水が湖からあふれ、岸の人家が水びたしになってしまった。♠へ涙[なみだ]があふれる〉悲しい知らせに、彼女の目からみるみる涙があふれた。♠光があふれる>庭先に暖かい小春日[こはるび]の光があふれている。♠喜びがあふれる不幸な少女を助けることができて、わたしの胸にも喜びがあふれてきた。♠へ気持ちがあふれる〉その手紙は、たどたどしい文字で書かれていながら、わが子を思う母の気持ちがあふれている。♠人人があふれる〉激[はげ]しい空襲[くうしゅう]の一夜が明けると、町には負傷者があふれた。♠へ物があふれる〉今の日本は、物があふれるほどなのに、一方でまた不満もうずまいている。♠●〈自信にあふれる>老剣士[けんし]を前にして、若者は自信にあふれているように見えた。♠活気にあふれる>豊漁の続く浜[はま]は、力強いかけ声が響き、活気にあふれている。♠●〈若さにあふれる〉若さにあふれているきみたちは、見るもの聞くものすべてに、強く心を動かされることだろう。♠夢・希望にあふれる>夢[ゆめ]と希望にあふれる青春時代には、現実との隔[へだ]たりに苦しむこともあろう。 **アプローチ**○近づくこと。接近すること。例ヘアプローチする〉こちらからアプローチして、相手方を話し合いの場に引き出そうと思う。 **あべこべ**さかさま。反対。[文例]〈あべこべにやられる〉 <30> 生意気な弟をこらしめようとしたら、あべこべにやられてしまった。♠◆へ左右あべこべ〉地震[じしん]であわてて飛び出し、気がついたら運動ぐつを左右あべこべにはいていた。♠へあべこべの方向>地図を見まちがえたらしく、あべこべの方向へ来てしまった。♠●く話があべこべ〉老人[ろうば]に重い荷物を持たせるなんて、話があべこべじゃないか。♠●へ順序があべこべ〉このお料理は、最後に酢[す]を入れるのに、それでは順序があべこべよ。 **あま**【尼】○仏門に入った女性。神に仕える修道女。「[文例]年老いた尼が一人守る寺は、見るかげもなく荒れ果てていた。♠◆〈尼寺〉ここは、代々皇女がお入りになられた、格式の高い尼寺である。 **あま**【海女】○海にもぐって、貝・海藻などをとる職業の女性。[文例]この海辺の女たちは、成長すると皆海女となり、一年の半分は海に潜って過ごした。♠海面に浮びて海女の火の呼吸(山岡優介) **あまあし**【雨足・雨脚】○雨の降るさま。雨が通り過ぎてゆくさま。[文例]〈雨あしが強まる〉夜になって雨あしは強まり、強い風とともに一晩中雨戸をたたきつけた。♠●へ雨あしがはやい〉思いのほか雨あしははやく、午後にはもう晴れ間さえ見えてきた。♠●〈地をえぐる雨あし〉わたしは軒下[のきした]に立って、砂地をえぐる雨あしに見入った。 **あま・い**【甘い】○砂糖のような味がする。塩けが足りない。(感覚的に)快い。きびしさに欠けている。いいかげんだ。働きが十分でない。[文例]〈甘い味〉砂糖を入れすぎると、ひどく甘い味になる。♠●塩が足りなくて、少し甘いようですので、もうちょっと足してください。♠◆<甘い物〉甘い物が好きな人は、虫歯に注意しなければなりません。♠●へ甘い香り〉街を歩いていたら、バラの花の甘い香りがしてきました。♠●へ甘いささやき>美人[びじん]の甘いささやきに、男はすっかり鼻の下をのばしていた。♠<甘い言葉「気をつけよう、甘い言葉と暗い道」。♠●〈甘いマスク〉その男は、甘いマスクを利用して、ずいぶん女性をだましてきたらしい。♠◆子供に甘い〉日本人は自分の子供に甘く、電車の中などで騒[さわ]ぎまわる小さい子のことがよく問題となる。♠●へ点が甘い〉どこの学校にも、点の甘い先生と辛[から]い先生がいました。♠●へ処置が甘い〉あれだけ悪いことをしたのに、ただの注意では処置が甘いのではないだろうか。♠●へ人を甘く見る〉そんなに人を甘く見ると、あとで後悔[こうかい]することになりますよ。♠●へ甘い考え〉いざとなったらだれかが助けてくれるだろうなんて、そんな甘い考えは捨てろ。♠●へ読みが甘い>景気[けいき]の読みが甘かったので、仕入れた品物がほとんど売れ残ってしまった。♠●〈人間が甘い>困った事にぶつかるとすぐ人に泣きついてくるんだから、まったくあいつは人間が甘いよ。♠●へ人生が甘い>親友に裏切られて、わたしは人生は甘いものではないことを悟[さと]った。♠●へわきが甘い〉この力士は巨漢だがわきが甘く、相手にもろ差しになられることが多い。♠●へねじが甘い〉本箱[ほんばこ]を組み立ててみたけど、ねじが甘かったようで、本を入れたら傾[かたむ]いてしまった。♠●く甘い汁[しる]を吸[す]う〉親分はいいな、おれたちの稼[かせ]ぎで一人だけ甘い汁を吸って。 **あまえ**【甘え】○あまえる気持ち。[文例]〈甘えを捨てる〉この失敗を契機に甘えを捨て、もう一度厳しく自分を見つめ直そう。♠●へ自然に対する甘え>自然に対する人間の甘えが、災害をひきおこす原因となることがある。 **あまさ**【甘さ】○あまいこと。きびしさに欠けること。[文例]この菓子は、あっさりとした上品な甘さで、お客様に喜ばれます。♠◆田舎者[いなかもの]の人のよさが都会でも通用すると思うところに、きみの甘さがある。 **あま・す**【余す】○余分として残す。[文例]〈物を余す〉せっかくのごちそうを余しては申しわけないので、無理につめこんでしまった。♠●へ余すところ〉開会式まで余すところ三十日、選手村の整備も急ピッチで行われている。♠へ余すところがない〉この小説は、人物の心理の機微を描[えが]いて余すところがない。 **あまた**(許多・数多)○数多く。たくさん。[文例]〈あまたある〉世の中に怖い[こわ]話はあまたあるが、今度の保険金殺人ぐらいぞっとさせられた事件もめずらしい。♠●〈引く手あまた〉あの男ぐらいの腕[うで]があれば、引く手あまたで、食うには困らない。 **アマチュア**○職業でなく、趣味や楽しみでする人。しろうと。[文例]ヘアマチュアとプロ〉フィギュアスケートの花とうたわれた彼女は、アマチュアからプロへ転向を決めた。♠●ヘアマチュアのバンド〉この町の音楽好きな会社員、学生、主婦などがアマチュアのバンドを結成した。♠◆つりに関しては、まったくのアマチュアですので、よろしく指導してください。♠●ヘアマチュア精神〉スポーツ競技で、どんなことをしてでも勝とうとするのは、アマチュア精神に反します。 **あま・える**【甘える】○人の好意にたよる。許されると思って自由にふるまう。好きだという気持ちをふるまいの上に出す。[文例]〈母親に甘える〉子馬がお母さんに甘えて、周りをとびはねているのが見えた。♠へ親に甘える〉わたしも大学を卒業したのだから、いつまでも親に甘えてばかりはいられません。♠●へ好意に甘える〉わたしは、友人が宿題を手伝ってくれるので、つい好意に甘えてしまいます。♠●へ言葉に甘える〉では、お言葉に甘えて、上がらせていただきます。♠●〈優しさに甘える〉大地の恵みに慣れた人間は、その土の優しさに甘え過ぎていた。 **あまど**【雨戸】○ガラス戸などの外側や縁側などにたてる引き戸。例〈雨戸を開ける>翌朝雨戸を開けると、台風一過の明るい日差しがぱっと差し込んできた。♠●人雨戸を閉める〉今日は頭が痛くて、昼間から雨戸を閉めて寝ていました。 **あまねく**(遍く・普く)○全般に。一般に。広く。[文例]へあまねく知られる〉それは、名僧として国じゅうにあまねく知られた僧侶[そうりょ]の最期であった。♠●へあまねく行き渡る〉村のしきたりは、村人にあまねく行き渡っていた。♠●へあまねく照らすべやさしそうなお月さまの光は、子供たちが眠[ねむ]る町をあまねく照らしていたのです。 **あまのじゃく**(天の邪鬼)○つむじまがり。へそまがり。ひね <31> くれ者。仁王が踏みつけている鬼。[文例]やれと言えばやらない、やるなと言えばやるんだから、本当にこの子はあまのじゃくだ。♠●そんなにあまのじゃくばかり言っていると、今にだれからも相手にされなくなるよ。 **あまやか・す**【甘やかす】○わがままにさせる。甘えさせる。[文例]小さい時から甘やかされて育ったせいか、きみはわがままだ。♠●本人のためにならないから、そんなに甘やかさないでください。 **あまやどり**【雨宿り】○雨を避けて、通り過ぎるのを待つこと。[文例]〈雨宿りをする〉しばらくやみそうにないから、どこかで少し雨宿りをしていきませんか。♠●本降りになって出て行く雨宿り(川柳) **あまり**【余り】○余分。端数[はすう]が出ること。度が過ぎること。たいへんに。それほど・・・でない。[文例]〈食べ物の余り〉食べ残したら、余りは、冷蔵庫に入れておいてください。♠●へうれしさのあまり〉空を飛べたうれしさのあまり、彼 は約束[やくそく]を忘れ、高く高く舞い上がっていった。♠●ヘ二十年あまり〉初めて彼に会ってから、もう二十年あまりもたちます。♠●へ余りある>子供を事故でなくした両親の悲しみは、想像してもなお余りあるものがある。♠◆こちらが好意でしたことなのに、そんなふうに怒[おこ]るなんてあまりだと思いませんか。♠〈あまり~ない>根雪[ねゆき]が見られるのは、北海道と本州の日本海側で、太平洋側ではあまり見られない。♠●わたしは、あまり字がへたなので、手紙を書くのがいやで、つい電話で用事を済ませてしまう。♠●〈あまりにも〉予定よりあまりにも早いので、飛行場にはだれも迎えに来ていなかった。♠へあまりに>遠く離[はな]れているにもかかわらず、二つの地点から出土した土器は、あまりによく似た文様[もんよう]をもっていた。 **あま・る**【余る】○余分が出る。端数が出る。多すぎる。ある数量や程度をこえる。[文例]〈物が余る〉今年は小麦が取れすぎて、ずいぶん余ってしまった。♠◆〈量が余る〉この量では二人分には足りないし、かといって一人で飲めば余るだろう。♠●〈八十に余る〉あの人は八十に余る高齢[こうれい]なのに、七十歳代にしか見えない。♠●〈身に余る光栄〉文化勲章[ぶんかくんしよう]をいただけるとは、身に余る光栄です。♠●へ手に余る〉この仕事はぼくにとっては手に余るものですので、お引き受けできません。♠●〈目に余る振る舞い>暴力団の、目に余る振る舞いに、住民は一致[いつち]団結して立ち上がった。♠●へ思案に余る>友達から思案に余る相談をもちかけられ、なんと返事をしたらよいか困ってしまった。 **あまん・じる**【甘んじる】○不満ながらも受け入れる。[文例]<脇役[わきやく]に甘んじる>日本では木の文化が主役を演じ、石の文化は脇役に甘んじてきた。♠●く薄給に甘んじる不景気で次の勤め口が見つからないので、今のまま薄給に甘んじることにした。♠●〈現状に甘んじる〉きみたち、現状に甘んじていたのでは、向上は望めないぞ。♠◆ヘ甘んじて〜する〉そんなに悪いことをしたとは思わなかったが、甘んじて罰[ばつ]を受けることにした。♠●〈立場に甘んじる〉将来、自分の店になると思えばこそ、婿養子[むこようし]の立場に甘んじていたのだが。♠〈地位に甘んじる〉彼は、ずっと補欠の地位に甘んじていたが、努力のかいあって、ついに今年からレギュラーとなった。 **あみ**【網】○糸やひも、針金などを編み合わせたもの。また、それで作った道具。細かに張りめぐらせたもの。[文例]<虫をとる網〉〈網を作る〉お母さんに、古いかやで虫をとる網を作ってもらい、友達と近くの森へ虫とりに出かけた。♠網をつくろう〉せっかく追いこんだのに、ちょうは網からするりと抜けてしまったよ。♠網をちゃんとつくろっておけばよかった。♠●へ網を打つ〉河口には、網を打つ漁師の姿があった。♠●〈網をかがる〉春のおだやかな日、浜辺[はまべ]では漁師たちが一心に網をかがって、次の漁に備えている。♠●へ魚を焼く網>魚を焼くときは、「強火[つよび]の遠火[とおび]」といって、強い火で、網の位置を高くして焼くのがコツである。♠●〈網を張る〉〈網にかかる〉オニグモは、夕方になると網を張り、一晩じゅう網の真ん中でえものがかかるのを待っている。♠●〈網の目>土の中に延びた木々の根は、網の目のように交わり合って、土や小石が流れないようにしている。♠◆〈網をくぐる〉〈法律の網〉世の中には、法律の網をくぐって、悪いことをしている人もいます。♠人捜査[そうさ]の網>銀行をおそった犯人がこっちに逃げこんだというので、付近一帯に捜査の網が張りめぐらされた。 **あみだ・す**【編み出す】○考え出す。工夫して作り出す。[文例]〈技を編み出す〉なんとか宿敵を倒す技を編み出すことができないものだろうか。 **あ・む**【編む】○糸など細い物を細かく組み合わせる。多くのものを組み合わせる。編集する。[文例]〈セーターを編む>セーター・手袋[てぶくろ]・靴下[くつした]などを、はんぱな余り毛糸で彩り[いろど]よく編むのも工夫[くふう]の一つです。♠●へかさを編む〉むかし、心の優[やさ]しいじい様とばあ様は、雪が降ると峠[とうげ]の地蔵様のために、せっせとすげがさを編んでやったとさ。♠◆〈かごを編む〉おじいさんは、裏山の竹を切ってくると、器用に魚をとるかごを編んで、川に持っていきました。♠◆◇川柳集を編む〉これは、江戸時代に編まれた百六十七編よりなる川柳集です。♠〈歌集を編む>万葉集は、現存する最古の歌集で、奈良[なら]時代に編まれたものである。 **あめ**【雨】○空から降る水滴。大量に降りそそぐもの。[文例]〈雨がやむ「雨がやむまで待ちなさい。」と、母が止めるのも聞かず、弟は雨の中を遊びに出ていった。♠雨が降る>登山の途中[とちゅう]、急に雨がはげしく降ってきた。♠へ雨にぬれる〉日照り続きでしおれていた庭の草木が、いましがたの雨にぬれて元気を取りもどしました。♠◆◇雨のしずく>雨がザアザア降るなかで、かさをくるくる回すと、雨のしずくが飛び散る。♠●〈恵みの雨〉干天[かんてん]の慈雨[じう]とは、日照り続きのあとに降った、まさに恵みの雨をいいます。♠●〈雨をつく〉降りしきる雨をついて、母は内職の仕立物を届けに出かけていった。♠●へ雨をしのぐ〉家を焼かれた人々は、焼け残った材木を集め、雨をしのいで寝起きできる小屋を建てなければならなかった。♠へ血の雨を降らす〉テレビを見るのは大好きですが、やくざが血の雨を降らすような番組はきらいです。 <32> ●〈火の雨〉軍艦[ぐんかん]から発射される砲弾[ほうだん]が火の雨となって、慶良間[けらま]の島々に降りそそいだ。♠●〈しのつく雨〉折からのしのつく(ような)雨に閉じ込められて、男たちはプレハブの宿舎でごろごろしていた。♠●へ車軸[しゃじく]を流す雨〉降り始めた雨は、やがてやむどころか、車軸を流す大雨となった。♠●へ雨降って地固まる「雨降って地固まる」のことわざどおり、ぼくと山田君は、はげしいけんかをしてからとっても親しくなった。♠●へ雨が降ろうがやりが降ろうが〉よし、明日は雨が降ろうが、やりが降ろうが出かけていって、あいつをとっちめてやる。♠●へ雨あられ〉戦場には敵の銃弾が雨あられと降り注いでいた。 **あめ**(飴)○でんぷんから成る、ねばりのある甘い食べ物。[文例]〈あめをなめる>子供たちは、夜店で買ったあめをなめながら、花火を見ている。♠●へあめとむち>ただ罰すればいいというものじゃない。あめとむちの使い分けが大事なのだ。♠●へあめをしゃぶらす〉わたしにいい考えがある、今のうちは、せいぜいあめをしゃぶらせておけばいい。 **あめあし**【雨足・雨脚】♪あまあし **あめかぜ**【雨風】○雨と風。風雨。[文例]〈雨風に打たれる〉昨夜の激しい雨風に打たれて、庭の桜は残らず散ってしまった。♠●へ雨風をしのぐ〉家を失った一家は、隣の納屋を借りて、何とか雨風をしのいだ。 **あや**(綾・文・彩)○さまざまに織りなした模様。また、そのようにした絹織物。物事の入り組んださま。言葉などの飾り。[文例]母は、祖母の形見の綾の羽織[はおり]を大切にしています。♠●〈あやをなす>赤や黄に色づいた落ち葉があやをなすように庭に散りしいていた。♠●へ言葉のあや〉これは言葉のあやであって、事実を正確に伝えたものではない。♠●人事件のあや>調べるにしたがって、複雑に入り組んだ事件のあやが次第に明らかになってきた。♠●へ甘いあや〉〈あやを含む〉代助[だいすい]の言葉には、普通の愛人の用いる様な甘い文彩[よう]を含んでいなかった。(夏目漱石「それから」) **あやう・い**【危うい】○あぶない。不安定だ。(「あやうく」で)すんでのところで。かろうじて。[文例]〈危ういところで〉海辺に住む人々は、津波[つなみ]の来る寸前に裏山へ逃げ、危ういところで命びろいした。♠●〈命が危うい〉急に相手から危害を加えられ、自分の命が危ういようなときには、相手を傷つけても正当防衛とみなされる。♠●へ危うい状態〉その国は、今経済的にきわめて危うい状態にある。♠●へ危ういバランス〉いま世界は、どちらの大国が絶対的な優位に立っても困るという、危ういバランスの中にある。♠命へ危うい関係〉彼と彼女は、いつ別れてもおかしくない危うい関係を続けている。♠●〈財政[ざいせい]が危うい〉財政が危ういからといって、すぐ増税するというのでは、当事者の無能をさらけ出したようなものだ。♠●へ危うく~する〉ボールを追って車道へ飛び出した幼児が、危うくバイクにはねられそうになった。 **あやか・る**○他の人にならって、自分も幸せになる。例〈徳にあやかる〉花祭りの日に、甘茶をお釈迦様[しゅ]に注いで供養すれば、その徳にあやかり、いい子になれるといわれている。♠●へ人にあやかる〉歌をよむのが趣味の父は、昨年生まれた孫に、与謝野晶子[よさのあきこ]にあやかるようにと、晶子と名づけた。♠●〈先輩にあやかる〉難関[なんかん]を突破[とつば]した先輩にあやかりたいと思い、同じ英語部に入部することにした。♠●ジャンボ宝くじに当たったんだって。おめでとう、わたしもあやかりたいな。 **あやし・い**【怪しい】(妖しい)○物事の正体、真相、原因・理由などがわからなくて疑わしい。[文例]〈怪しい男>家の周りをうろうろしていた怪しい男は、外出から帰った母とわたしを見て急いで立ち去っていった。♠●〈怪しい点〉その男の行動には、怪しい点が多いけれど、証拠[しょうこ]がないので、犯人とは断定できないそうだ。♠●へあやしい光〉天下一の名刀の横手から切っ先にかけては、まことにあやしいまでの光と力がこもっていた。♠●へ空模様が怪しい〉天気予報によると、今日は晴れのはずだったのに、午後から急に空模様が怪しくなってきた。♠●へ怪しい中国語〉怪しい中国語を使っているが、あいつはきっと日本人だよ。♠◆ヘ二人が怪しい〉人のうわさ話をうのみにして、軽々[おか]しく、「あの二人は怪しい。」などと言うものではない。♠丘にゆらゆらと立ち昇る、あやしく、はかない春のかげろうにつわものどもの夢を思う。 **あやしげ**【怪しげ】○あやしいさま。疑わしいさま。おぼつかないさま。[文例]】〈怪しげな男〉最近、このあたりを怪しげな男がうろついているという。♠●<怪しげな話〉どうも怪しげな話だから、一度確かめてみたほうがよさそうだ。♠◆怪しげな手つき>母は、怪しげな手つきで洗濯機の修理を始めた。 **あやし・む**【怪しむ】○怪しいと思う。正体を疑う。[文例]〈人に怪しまれる〉こんなに夜遅く一人でうろうろしていたら、人に怪しまれるのも無理はない。♠●へ警察が怪しむ事件の現場をうろうろしていたのだから、警察が怪しむのはもっともだ。 **あや・す**○赤ん坊や幼児などのきげんをとる。[文例]〈赤ん坊をあやす〉公園の日だまりで、若い母親が赤ん坊をあやしています。 **あやつ・る**【操る】○思い通りに動かす。自在に扱う。陰[かげ]で糸を引く。例〈人形を操る〉文楽[ぶんらく]の人形つかいが、じょうずに人形を操るようになるまでには、長く厳しい修練が必要だそうだ。♠●へかいを操る〉山村で育ったぼくは、小船のかいを操ることはもちろん、泳ぐことも全然できません。♠●〈機械を操る〉最近はどこの工場でも機械化が進み、オフィスの中から機械を操ることもできるようになっている。♠◆<言葉を操る人間によって養育され、訓練されたチンパンジーでさえ、人間の言葉を操ることはできない。♠●〈外国語を操る>商社に勤める兄は、英語をはじめ三か国語を操って、世界じゅうをかけまわっています。♠●〈人を操る〉あの会社は、客を巧妙[こうみよう]に操って、金をだましとっているという。♠◆●〈陰で操る〉あんなにまじめで正直な人が、会社の金を横領するなんて、きっと陰で操る悪い人がいたにちがいない。 **あやな・す**(綾なす) ○美しい模様をえがく。美しく色どる。[文例]<綾なす糸>古代の錦[にしき]を復元する――それはまた綾な <33> す糸をたぐって、古い時代の歴史と文化を探ることでもある。♠へ綾なす夜景〉小高い丘の中腹にあるレストランから、いくすじもの光が綾なす夜景をわたしはいつまでも眺めていた。 **あやぶ・む**【危ぶむ】○危ないと思う。不安に思う。[文例]〈実現を危ぶむ>計画が本当に実現するのかどうか、みんな危ぶんでいる。♠●へ前途を危ぶむ>両国の和平交渉の前途を危ぶむ声もあった。♠●〈生存を危ぶむ〉遭難[そうなん]した船の行方は依然[いぜん]として知れず、乗組員の生存が危ぶまれている。 **あやふや**○はっきりしないさま。あいまいなさま。又例〈あやふやな態度〉リーダーのあやふやな態度に、部員の不満は募[つの]っていった。♠●へあやふやな気持ち〉そんなあやふやな気持ちで、この学校に入ってきたのか。♠●へあやふやな答え>復旧の見込みについて、駅員からはあやふやな答えしか返ってこなかった。 **あやまち**【過ち】○過失。罪。まちがい。失敗。[文例]友達のプラモデルをこわしてしまったぼくは、たとえ過ちにしろ、弁償[べんしよう]しなければと思って、買って返した。♠●〈過ちを犯[おか]す〉自分が犯した過ちについて、今は深く反省しております。♠●〈過ちを責める。とがめる〉人はだれでも、他人の欠点や過ちは厳しく責めとがめるが、自分に対しては甘[あま]いところがある。♠●〈過ちにこだわる〉いつまでも過去のつまらない過ちにこだわっていないで、前向きに生きることが大切だ。♠◆〈過ちを悔いる〉その青年はカー・マニアだったが、人をはねるという過ちを深く悔いて、車を手放してしまった。♠●〈若き日の過ち〉だれにでも、若き日の過ちが一つや二つはあるといいます。 **あやま・つ**【過っ】○過失・罪をおかす。まちがいをする。[文例]〈ねらいを過つ〉ねらいを過[あやま]てばわが子を射[い]抜くという苦境に立たされた。♠●〈過たず〉彼の放った矢は、過たず扇[おうぎ]の要[かなめ]から一寸[いっすん]ほど離れたところを射切った。 **あやまり**【誤り】○あやまること。まちがい。[文例]〈誤りがある・ない〉だれにでも誤りはある。まちがいをしない人などいないだろう。♠●〈誤りを正す>次の文中の漢字の誤りを正しなさい。♠●〈弘法[こうぼう]も筆の誤り〉「弘法も筆の誤り」というじゃないか、だれだって失敗することはあるよ。 **あやま・る**【謝る】○わびる。謝罪する。閉口する。[文例]伞謝[ひらあやま]りに謝る>支配人はばったのように腰[こし]を曲げて、ホテル側の手落ちを平謝りに謝った。♠◆姉の家に電話をかけたつもりが、よその家にかかってしまい、あわてて謝った。♠◆言い出したらきかない妹の強情[ごうじよう]さには、さすがのぼくも謝った。 **あやま・る**【誤る】○やりそこなう。失敗する。まちがえる。まちがった方へ進む。[文例]〈運転を誤る〉曲がりくねった山道をドライブ中に、運転を誤ってがけ下に落ちた人がいます。♠●〈操作を誤る〉父は、工場で機械の操作を誤って、左手の指を切断してしまった。♠●へ解答を誤る〉あわて者のぼくは、数学のテストで、式は合っているのに、解答を誤ったため、点数が半分しかもらえなかった。♠●へ道を誤る〉その山は深いので、道を誤ると大変だから、地図とコンパスは忘れずに持って行[ゆ]きなさいよ。♠●〈選択[せんたく]を誤る〉進路の選択を誤ると、その後の人生に大きく響[ひび]くので、よく考えて決めたほうがよい。♠●へ方針を誤る〉今まで勤めていた会社は、社長が方針を誤ったため、先月末で倒産[とうさん]してしまった。♠へ身を誤る>立派[りつば]な人物だと思われている人でも、身を誤ることがある。 **あゆみ**【歩み】○歩くこと。歩調。物事の進み具合。又例<歩みを止める〉湖のほとりを散歩していたわたしは、水鳥が急に飛び立ったので、おどろいて歩みを止めた。♠へ歩みに合わせる〉幼い弟の小さな歩みに合わせて、わたしはゆっくりついていきました。♠●〈百年の歩み〉兄の母校では、記念行事の一つとして、創立百年の歩みを大きな本にまとめて出版しました。♠●へ春の歩み〉今年は、春の歩みが例年になく、遅々としている。♠◆ヘ三年間の歩み〉ぼくのクラスでは、中学校三年間の歩みや現在の心境・将来の希望などを、個人文集に残すことに決めた。 **あゆみよ・る**【歩み寄る】○歩いて近づく。互いに譲り合う。[文例]監督[かんとく]は、手を上げてアンパイアのところに歩み寄りました。♠◆いがみ合ってばかりいないで、互いに歩み寄ろうとする姿勢が必要だ。 **あゆ・む**【歩む】○歩く。進む。[文例]〈胸を張って歩む〉どんなにつらくてもくじけないで、若者らしく胸を張って歩みなさい。♠◆く道を歩む〉彼は、いつ、どこで生まれ、どのように実業家としての道を歩んだのか、あまり知られていません。♠●へ苦難の道を歩む〉キュリー夫人は、女性科学者として苦難の道を歩み、夫とともに現代物理学の道を切り開いた。♠●〈人生を歩むどんなに孤独でも、自分が信じるとおりの人生を歩みなさい。 **あらあらし・い**【荒荒しい】○あらっぽい。乱暴だ。商<荒々しいふるまい〉彼の荒々しいふるまいが、その場のなごやかな雰囲気[ふんいき]をだいなしにしてしまった。♠◆◇荒々しく~する〉男は捨てぜりふを吐[は]くと、荒々しく戸を閉めて出ていった。 **あら・い**【荒い・粗い】○勢いが激しい。乱暴だ。細かでない。なめらかでない。粗雑だ。おおざっぱだ。[文例]〈荒い波台風の余波[なごり]らしく、荒い波が海岸に押し寄せている。♠荒い息づかい>工事中にけがをして病院にかつぎこまれた父は、荒い息づかいで、じっと目をつむったまま寝ていた。♠人鼻息[はな]が荒い>その牛は、鼻息も荒く、猛烈[もうれつ]な勢いで闘牛士[とうざゆうし]にかかっていった。♠●〈足音も荒く〉となりの部屋で、兄と友人が口論していると思ったら、やがてその友人が足音も荒く帰って行った。♠●ヘ言葉が荒い〉〈気が荒い>海で働く男たちは、言葉が荒いので、気も荒いように見えるが、本当は優[やさ]しい人たちだ。♠●へ金づかいが荒い>彼女の金づかいが荒いのは、親ゆずりだということだ。♠◆◇目が粗い〉こんなに目が粗いザルでは、小さな魚は、みんな逃げてしまうよ。♠粗い格子[こうし]>馬小屋には、海の側にだけ粗い格子がはめられている。♠●〈織り目が粗い〉その布の織り方は織り目の粗いものであり、エジプトやギリシア系の錦[にしさ]と同じものである。♠ <34> 〈手ざわりが粗い〉どうも、この布地は、手ざわりが粗くて、肌になじまない。♠●〈粗いはだ〉わたしはその石塀[いしぺい]のそばへ行くと、そこにあった松の木の粗いはだに手をかけた。♠<細工が粗い>名人といわれる人の作品にしては、この辺の細工がばかに粗いと思いませんか。♠●〈粗く見積もる〉家の改築の費用を粗く見積もってもらったが、こちらの予算より高かった。 **あらいざらい**【洗いざらい】(洗い浚い)○何から何まで残らず、すっかり。[文例]〈あらいざらい話す〉もうこうなったら観念[かんねん]して、あらいざらいお話ししましょう。♠●へあらいざらいまきあげる〉火に掛けなくても湯がわくなべだと言って、あいつはおれから有り金をあらいざらいまきあげていった。♠●へあらいざらい打ち明ける〉この間から悩[なや]んでいたことを友達にあらいざらい打ち明けたたら、それだけで気持ちがすっきりした。♠●へあらいざらいぶちまける〉頭に来たので、日ごろから不満に思っていたことを、あらいざらいぶちまけてやった。 **あらいだ・す**【洗い出す】○洗って、隠れていたものを明らかにする。調べあげる。[文例]〈波が岩を洗い出す>岸辺に打ち寄せる波は、いつしかごつごつした岩を洗い出し、みごとな景観をつくり上げた。♠●〈身元を洗い出す〉あの男の身元を洗い出してくれ。♠動機はあるが、アリバイがないんだ。 **あら・う**【洗う】○水などで汚れを落とす。波が岸などに打ち寄せる。細かく調べ立てる。[文例]〈米を洗う〉〈皿[さら]を洗う〉わたしは、母が工場から帰ってくるまでに、お米を洗って炊き、お皿やお茶わんも洗っておいた。♠●〈手を洗う〉手のひらをすりむいたことを忘れて、手を洗ったら、傷口に水がしみて痛かった。♠●へ顔を洗う〉日本人は、顔を洗うとき、手で水をすくうが、国によっては、顔を水につけて洗うところもあるそうだ。♠●へ波が洗う〉台風を避けて、港へ急ぐ漁船の甲板[かんぱん]を、すでに高い波が洗っている。♠●へ涙[なみだ]に洗われた頬[ほお]>涙に洗われたその頬に、娘[むすめ]は無理にほほ笑みを浮かべようとしていた。♠へいもを洗うよう〉夏の湘南海岸[しようなんかいがん]は、海水浴[かいすいよく]客がおしかけて、まるでいもを洗うような混雑だ。♠過疎の波に洗われる〉十年ぶりに故郷に帰ったが、過疎の波に洗われ、すっかりさびれていた。♠●へ足を洗う〉男は、やくざの足を洗ったというが、背中の入れずみはまだなまなましい。♠●〈心が洗われる〉この音楽を聴くと、いつも心が洗われるような気がする。♠●へひとみが洗われる〉南の島の青い海に、ひとみが洗われるようだ。♠●〈身元・足どりを洗う〉警察は、犯人の身元や足どりを必死になって洗った。♠●へ血で血を洗う〉血で血を洗うような残酷[ざんこく]なシーンは、とても見ていられない。 **あらが・う**(抗う)○争う。抵抗する。さからう。[文例]〈権威[けん]にあらがう〉自分の中に確固たる信念がなければ、権威にあらがうことはできない。♠不安にあらがう〉暗い夜の中で、わたしは不安にあらがいながら、夜明けをまった。♠〈常識にあらがう〉コペルニクスは自分の説に自信があったので、世間の常識であった天動説に最後まであらがうことができた。 **あらかじめ**(予め)○前もって。かねて。例文章を書くときには、あらかじめ、内容全体の組み立てを考えておくことが大事です。♠そうならそうと、あらかじめ断っておくべきだった。♠●必要な道具や材料は、あらかじめきちんと用意しておきましょう。 **あらかた**【粗方】○おおかた。あらまし。だいたい。[文例]〈あらかた片づく>仕事はあらかた片づいたから、そろそろ帰る仕度[したく]をしよう。♠●へあらかた察しがつく>長いつきあいなので、彼が何を悩[なや]んでいるのかあらかた察しがついた。 **あらけずり**【粗削り・荒削り】○雑に削ること。おおまかなさま。洗練されていないさま。[文例]〈粗削りする〉途中[とちゆう]で見かけた家は、粗削りしたままの丸太でできていて、周囲の景色と調和していた。♠●へ粗削りな文章>新人賞を選んでいくなかで、粗削りな文章ではあるが、捨てがたい魅力[みりよく]をもった作品が二点残された。♠●<荒削りな歌〉この歌集には荒削りではあるが、方言を使って、感情を率直[せ]にうたった歌が多い。♠●へ荒削りな性格〉山男というと荒削りな性格の持ち主が多いと思いがちだが、実際にはその逆の場合がほとんどだという。 **あらさがし**【粗探し・粗捜し】○他人の欠点を探し出すこと。[文例]〈あらさがしをする〉自分のことはたなに上げて、人のあらさがしをするのはよしなさい。 **あらし**(嵐)○激しい風。暴風雨。[文例]〈あらしになる〉あらしになると、せっかく実った稲もみんな倒[たお]れたり、水につかるなどの被害[ひがい]を受けることになる。♠●へあらしが吹きまくる〉その夜、家の外ではあらしが吹きまくり、おそろしいばかりの風の音がひびきわたった。♠●へあらしに遭[あ]う〉漁に出たおじがあらしに遭ったのではないかと、みんなで心配している。♠●へあらしが過ぎる〉孫たちが遊びに来て帰ると、家の中は、まるであらしが過ぎ去った直後のようだ。♠●へあらしが来る〉あの雲はあらしが来る前兆だと、漁師たちが言っている間に、もう波風があらくなってきた。♠へあらしをつく>義経[よしつね]は、あらしをついて海を渡[わた]り、突如[とつじよ]として屋島へ攻め寄せた。♠●へあらしのような拍手[はくしゅ]〉幕があくと、アイドル歌手は、あらしのような拍手と歓声にむかえられた。♠〈あらしのように〉明け方近くになって、わが軍はあらしのように敵陣[てさじん]に殺到[さつとう]した。♠●へあらしの前の静けさ〉台風が来ているというのに、不気味なほどよく晴れているが、これをあらしの前の静けさというのだろうか。 **あら・す**【荒らす】○荒れた状態にする。乱したり壊したりする。盗みに入る。例〈田畑を荒らす〉モグラやイノシシは、いずれも田畑を荒らす動物である。♠●へ村々を荒らす〉北の方にヤマイヌが出て、村々を荒らすというニュースが伝わってきた。♠●〈肌[はだ]を荒らす〉この薬品は、肌を荒らすおそれがあるので、注意が必要だ。♠●へ留守の家を荒らす>留守の家ばかりをねらって荒らしていた犯人[やしょ]が捕[つか]まり、みんな安心して外出できるようになった。♠●へ縄張り[なわば]を荒らす〉あゆにはそれぞれ縄張りがあり、縄張りを荒らそうとする相手が出現すると、攻撃[こうげき]する習性がある。 <35> **あらすじ**【粗筋・荒筋】○物語のおおまかな筋。[文例]〈本のあらすじ〉読書感想文は、本のあらすじを書くのではなく、本についての自分の感想や意見を書くものです。♠●〈映画のあらすじ〉友人があらすじを話したので、ぼくはもうこの映画を見る気がしなくなった。 **あらずもがな**○ないほうがよい。なくてもよい。なくもがな。[文例]親切はわかったが、くだくだしい説明はあらずもがなであった。♠●あらずもがなの車内放送が、静寂[せいじゃく]を求める乗客の神経を刺激した。 **あらそい**【争い】○争うこと。いさかい。けんか。[文例]<争いに巻き込まれる〉わたしはいつのまにか争いに巻き込まれてしまった。♠●〈争いが収[おさ]まる〉争いが収まったとき、両国の国土は荒れ果てていた。♠●へ争いをする〉動物の世界では、仲間どうしでは相手を致命的[ちめいてき]に傷つけるような争いをしないのが普通です。♠●〈争いを避ける〉悲惨[ひさん]な争いを避けること、それは人類の課題ではないだろうか。♠●へ縄張り[なわば]争い〉動物たちも、生きるために縄張り争いをくりかえします。 **あらそ・う**【争う】○勝とうとして競う。いさかいをする。戦う。[文例]〈国が争う〉国と国が争う戦争がこの世から絶えたためしがない。♠●ヘチャンネルを争う〉ぼくの家には、テレビが一台しかないので、夕方になると毎日のように、妹とチャンネルを争っている。♠●へ先を争う〉親ぐまを射[い]止めると、二ひきの子ぐまは、先を争って、そばの大岩の下にもぐりこんだ。♠●へ勝負を争う〉次の試合で、ぼくのチームは、優勝候補と勝負を争うことになりました。♠●〈首席を争う〉二人は、高校時代、いつも首席を争った仲なのだそうです。♠●〈一刻を争う〉祖母は、一刻を争う大手術の結果、どうにか命を取りとめることができました。♠●〈争うように~する〉村の若者たちが争うように話題にしていた村一番の美少女は、遠い都会へお嫁[よめ]に行ってしまった。♠●へ争って〜する〉「火災発生」のアナウンスに、観客は争って非常口におしかけた。 **あらた**【新た】○新しいさま。新しく始めるさま。又例】〈新たにつけ加える〉もうこれ以上、新たにつけ加える点はありません。♠●へ新たに思いつく〉手紙を書いては読み返し、新たに思いついたことを書き加えていったら、十枚にもなった。♠新たにプロシア領になったこの地方は、フランス語の使用が禁止され、ドイツ語が使われることになった。♠◆〈新たな刺激〉ぼくは、一年生の夏、水泳講習会で知った上級生たちの生き方に新たな刺激を受けました。♠●へ新たな悲しみ「出会い」という言葉は、この作者にとっては、新たな悲しみを呼び起こす言葉になっている。♠●〈気分も新た〉わたしは、来年のお正月からは、気分も新たに日記をつけようと決意した。♠へ装[よそお]いも新た〉改修が進んでいた駅前の商店街は、この三月、装いも新たにオープンした。 **あらだ・てる**【荒立てる】○荒くする。ことさらに事をめんどげきにする。[文例]〈事を荒立てる〉きみが出ると事を荒立てるだけだから、ここはほうっておいたほうがいい。 **あらたま・る**【改まる】(革まる)○新しくなる。良くなる。きちんとした態度や固い調子に変わる。病気が急に重くなる。[文例]〈年が改まる〉年が改まると、家族どうしでも、「おめでとうございます」とあいさつをするのが、古くからのしきたりだ。♠●へ改まった口調[くちよう]〉山田君は、改まった口調で、宿題をやってこなかった理由を述べはじめた。♠●へ改まった言い方「昼食[ちゅうしよく]」というのは、「昼飯[ひるめし]」という語より改まった言い方です。♠●へ改まった気持ち〉相手に対して、改まった気持ちで、ことばづかいをていねいにする言い方をていねい語という。♠●へ規約が改まる〉制限事項[せいげんじこう]の多かった生徒会の規約が改まると、生徒の壁[かべ]への落書きがなくなった。♠人生活態度が改まる〉一学期までの生活態度が改まって、二学期からは遅刻[ちこく]がずっと少なくなった。♠●〈病[やまい]があらたまる〉療養中の小川氏は病にわかにあらたまり、今朝亡くなられました。 **あらた・める**【改める】(革める・検める)○新しくする。別のものに変える。良くする。きちんとした態度や固い調子に変える。検査する。[文例]〈文を改める〉受け身の言い方をした文を、受け身でない言い方に改めなさい。♠●へ名を改める〉〈心を改める〉彼は心を改めるとともに名も改め、すっかり真人間に生まれ変わった。♠ヘ行を改める〉作文や手紙を書くときには、段落の初めは、行を改め、一字下げて書き出すようにしましょう。♠●〈日を改める〉今日の話し合いでは結論が出ませんでしたので、後日、日を改めて会合を開きたいと思います。♠◆<服装[ふくそう]を改める〉今日からサラリーマンの兄は、昨日までのジーパン姿から背広[せびろ]に服装を改め、さっそうと出ていった。♠◆〈憲法を改める〉憲法を改めるには、両議院の総議員の三分の二以上の賛成ののち、国民投票にかけると決められている。♠●〈制度を改める〉最近は、戦後の教育制度を改めようという動きが出ている。♠切符[さつぶ]を改める〉バスや電車などの乗り物の切符を改める係を、改札[かいさつ]係という。♠へ荷物・体を改める〉飛行機に乗るときには、危険物などを持っていないかどうか、荷物や体を改められます。 **あらなみ**【荒波】○荒い波。世の中のつらい出来事。[文例]〈荒波と闘[たたか]う〉海の男たちは、荒波と闘いながら世界中の海を航海するのだ。♠●〈人生の荒波〉〈荒波にもまれる〉人生の荒波にもまれて、彼はたくましく成長していった。 **あらまし**○だいたい、おおよそ。概略。[文例]〈内容のあらまし〉今日学校で、夏休みの自由研究について、調べた動機や、内容のあらましなどを一人ずつ説明した。♠へ作文のあらまし〉作文に書こうとすることのあらましは、すぐ決まりましたが、書き出しがなかなか決まりませんでした。♠●へあらましを話す〉国語の時間に、先生から、なまはげの行事について、いわれやそのあらましを話してもらった。♠へあらましの理解〉この小説は、まず読者にあらましの理解を与[あた]え、続いて、ゆっくりと説明を加えていく方法をとっている。♠●へあらましかたがつく〉夕食のとき、父が、「今日で田植えもあらましかたがついたよ。」と、ほっとした表情で話した。 <36> **あらゆる**あるかぎりの。すべての。[文例]】『万葉集』の作者は、天皇家の人々から無名の農民や兵士まであらゆる階層にわたっている。♠●へありとあらゆる〉彼女は勇気と精神力で、ありとあらゆる苦しみに耐[た]えました。 **あらら・げる**【荒らげる】○荒くする。荒立てる。[文例]へ声を荒らげる〉彼がいつまでもあやまらないので、ぼくは思わず声を荒らげた。♠●へ言葉を荒らげる〉いらいらすると、つい言葉を荒らげてしまう。 **あられ**(霰)○空から降る氷結した小さなつぶ。その形状に似た物。[文例]<霰が降る〉どんよりと曇[くも]った空からパラパラパラと霰が降り出した。♠●へあられもち〉わたしの家で「お正月に残ったおもちはあられに切って、あられもちを作ります。♠●〈雨霰>子供たちの投げる豆が鬼の体に雨霰と降り注いだ。 **あられもな・い**ふつうにはない。姿や態度がふさわしくない。[文例]〈あられもない姿>浴衣[ゆかた]の前をはだけたあられもない姿で、女は現れた。 **あらわ**(露わ)○隠すところがないさま。むきだしなさま。ろこつなさま。[文例]〈あらわになる明るい昼には、ものの姿や形があらわになる。♠●へ対立があらわ〉紛争[ふんそう]を契機[けいき]に、会長と副会長の対立があらわになった。♠へあらわにする〉大正時代には、公衆の面前で女性が肌[はだ]をあらわにすることなんて考えられないことだった。♠へあらわにする>短気な人は、ごくささいなことに対しても怒[いか]りの表情をあらわにする。♠●〈白日[はくじつ]の下[もと]にあらわになる〉何千年もの間、古墳[こふん]の中に秘[ひ]められていた事実が、今、発掘[はつくつ]とともに、白日の下あらわになった。 **あらわ・す**【表す・現す・著す】○見えなかったものを見えるようにする。隠れていたものを外に出す。言葉や記号などで示す。表現する。書物を書く。[文例]〈動作・様子を表す>読む・歩くなどの動作を表す言葉を動詞、小さい・浅いなどの様子を表す言葉を形容詞といいます。♠●へ季節を表す>俳句では、季節を表す季語を必ずよみこむ約束[やくそく]になっている。♠◆ヘグラフに表す〉今年の夏休みには、朝・昼・晩の三回、温度を計ってグラフに表し、結果をまとめてみよう。♠●へ気持ちを表す>敬語は、目上の人に対する尊敬の気持ちを表すために使われるものです。♠●へ感情を顔に表す〉うちの祖父は、喜怒哀楽[さどあいらく]の感情を、めったに顔に表しません。♠●へ違いを表す>建築や彫刻[ちょうこく]の材料となっている木と石は、この二つの文化の性格の違いをよく表しています。♠●へ意味を表す〉「あわを食う」という言葉は、それぞれの単語の持つ本来の意味を離[はな]れて、全体で「あわてる」の意味を表す。♠●へ言葉に表す>彼女の美しさを思い浮かべ、その長所を言葉に表そうとすると、その姿はかき消され、言葉は失われてしまう。♠〈危険を表す>赤は危険を表す色として、広く人に知られています。♠●へ名は体を表す>豊作君、いい名前だね。名は体を表すというから立派な大人になりなさい。♠●〈姿を現す〉リードされて、ついにわがチームのエースが姿を現しました。♠●〈頭角[しとうかく]を現す〉彼は、二十代から頭角を現し、今や押しも押されもしない大作家である。♠●〈本性[ほんしよう]を現す〉最初は折り目正しい態度だったのに、こちらが買わないことがわかると本性を現し、荒々[あらあら]しく帰っていった。♠●へ馬脚[ばさやく]を現す〉口先だけの男だから、大きなことを言ってもすぐ馬脚を現すはめになる。♠●へ本を著す>役者であるおじは、民話[みんわ]の研究家としても有名で、何冊もの本を著しています。 **あらわれ**【表れ・現れ】○あらわれること。あらわされたもの。[文例]「自然」と聞いてまっさきに緑を思い浮かべるのは、日本の山野にいかに植物が多いかの表れである。♠へ公共精神の現れ〉町の人々が交代で駅前の掃除[そうじ]を続けているのは、公共精神の現れである。 **あらわ・れる**【表れる・現れる】(顕れる)○見えなかったものが見えるようになる。隠れていたものが外に出る。言葉や記号などで示される。表現される。[文例]〈気持ちが表れる〉手紙を書くときには、自分の気持ちがよく表れるように工夫する必要がある。♠●へ言葉に表れる>精神的にいらいらしていると、それが体にも言葉にも表れるものだ。♠●ヘ顔に表れる〉わたしは、正直なせいか、思っていることがすぐ顔に表れるのよ。♠◆ヘ行動に表れる〉クラス全員の熱い思いが一つになって、今日のこの行動に表れたことをうれしく思う。♠◆<姿が現れる二億年前というと、人類はもちろんのこと、獣[けもの]の姿も、まだ地球上には現れていませんでした。♠敵が現れる〉味方の軍がぐっすり眠っている深夜、どこからともなく敵が現れ、次第に数を増していった。♠◆◇風景が現れる〉トンネルを抜けると、車窓に、目のさめるような風景が現れた。♠●へ効果が現れる〉うるさく注意した効果が現れて、遅刻[ちこく]が少なくなってきた。♠●〈真価が現れる〉危機に哈んでこそ、人間の真価が現れるのだ。♠●〈記録に現れる〉ロプ=ノール湖が記録に現れたのはきわめて古いことである。♠●〈差が現れる「行くぞ。」「速いぜ。」「そうよ。」「いいわ。」のように、文末に使う終助詞には、男女差がよく現れます。♠◆〈世に現れる〉歴史物語と呼ばれる『大鏡[おおかかみ]』『栄花物語[えいがものがたり]』などが世に現れたのは、平安時代の末期です。♠◆◇悪事が現れる〉どんなに隠[かく]していても、悪事は、いつかは外に現れるものだ。 **あらんかぎり**【有らん限り】○あるだけ全部。あるかぎり。ありったけ。[文例]へあらん限りの声>急流に流されてゆく小舟の中で、少年はあらん限りの声をふりしぼって助けを求めた。♠●へあらん限りの力〉あらん限りの力で引っぱったが、重い鉄の扉[とびら]はびくともしない。 **あり**(蟻) ○アリ科の昆虫の名。[文例]へありがたかる〉こぽした砂糖にありがたかっていた。♠●へありのよう〉かつて農民たちはありのように働いた。♠●へありのはい出るすきもない>他国の首脳を迎える空港には厳重な警戒[けいかい]がしかれ、ありのはい出るすきもないほどだった。♠●へありの穴から堤[つつみ]も崩[くず]れる「ありの穴から堤も崩れる」といって、ちょっとした油断が大きな失敗につながることがある。 **ありあま・る**【有り余る】○必要以上にある。余るほどある。[文例]〈ありあまる物〉ありあまる物に囲まれていると、人はだんだん物を大切にする心を忘れてしまう。♠●へありあ <37> まるほど〉話す時間はありあまるほどあったのに、どうしてそんな大事なことを黙[だま]っていたんだい。 **ありあり**○鮮やかに目に浮かぶさま。まざまざと。[文例]〈ありありと浮かぶ〉このピアノ曲を聞いていると、今は亡き母の面影[おもかげ]がありありと浮かんできます。♠●へありありとうかがえる〉遭難者[そうなんしゃ]の安否[あんび]を気づかう家族の表情には、不安の色がありありとうかがえる。 **ありあわせ**【有り合わせ】○たまたま手もとにあること。また、その物。[文例]〈有り合わせのもの〉有り合わせのものですが、どうぞめしあがってください。♠●〈有り合わせの材料>父が留守だったので、夕食は有り合わせの材料で間に合わせた。 **ありえな・い**【有り得ない】○あるはずがない。起こる可能性がない。[文例]言葉の発明なしには、人類の文化の発達はありえなかったろう。♠◆この調子でいけば、優勝もありえないことではない。♠●このあいだの試験、ぼくがトップだって! そんなことありえないよ。 **ありか**【在りか】(在処)○存在する場所。所在。ありどころ。[文例]〈墓のありか〉遠くから十字架[じゅうじ]が見えたので、墓のありかがわかった。♠●〈えさのありか〉ミツバチは、仲間にえさのありかを伝えるのに、8の字形のダンス運動を行う。♠◆<問題のありか〉世界各地に起こるいろいろな事件を報道することによって、問題のありかが明らかにされていく。♠●〈ありかを突き止める〉やっと海賊[かいぞく]たちが隠した宝物のありかを突き止めたぞ。 **ありがた・い**【有り難い】○めったにないほど貴重だ。感謝にあたいする。[文例]〈ありがたく思う〉あなたには、いつも親切にしていただき、ありがたく思っております。♠へありがたいもの〉おとしより一人の暮らしにとって、電話は非常にありがたいものである。♠●へありがたい計[はか]らい〉このたびは、里に帰って、ゆっくり病気を治してこいと、殿様[とのさま]からありがたい計らいがあった。♠●へありがたい話〉お寺に偉[えら]いおぼうさんが来てありがたい話が聞けると、村人たちがわれもわれもとおしかけた。♠●へありがたい役目ではない〉わたしは、毎日のように彼女をやっつけている手前、彼女の家に行くことはありがたい役目ではなかった。 **ありがち**【有り勝ち】○よくあるさま。又例彼には、男の子にありがちななげやりなところやあきっぽいところがない。♠突然熱を出すのは子供にありがちなことです。 **ありがとう**【有り難う】○感謝の気持ちを表す言葉。[文例]このあいだはわざわざ病院まで見舞いに来てくれてありがとう。♠この本、すごくおもしろかったよ、貸してくれてどうもありがとう。♠●二人の少年に庭の柿[かき]をもいでやると、大きな声でありがとうを言って駆けていった。 **ありがね**【有り金】○手持ちの金銭。[文例]〈有り金をはたく>男は有り金をはたいて、子供用の自転車を買った。♠◆代金を支払うと、有り金はごくわずかであった。 **ありきたり**【在り来り】○ありふれたさま。ざらにあるさま。[文例]〈ありきたりのアイデア〉パーティーを盛り上げる趣向がほしいが、どうもありきたりのアイデアしか出てこない。♠●へありきたりの言葉〉悲しみに沈む彼女をなんとか力づけようとしたが、結局ありきたりの言葉しか浮かばなかった。 **ありかた**【在り方】○あるべき姿。本来の姿。現実にある様子。[文例]〈部活動のあり方〉ぼくたちは部活動のあり方を、みんなで話し合いました。♠●へ人間のあり方〉他者との関係の中に生きる人間のあり方について考えてみよう。♠〈教育のあり方>現在の教育のあり方について議論がくり返されている。♠〈時代・社会のあり方〉言葉は、時代や社会のあり方と深く結びついている。 **ありさま**【有り様・有様】○ものごとの状態。様子。[文例]〈暮らしのありさま〉働く人々の暮らしのありさまは、同情せずにはいられないものだった。♠●へ世の中のありさま〉世の中のありさまをつぶさに見るうちに、若者は希望を失っていった。♠このありさまでは、期日までに目標を達成することなど無理だ。 **ありつく**○求めていたものを手に入れる。[文例]〈仕事にありつく〉父は、失業して半年ほどたってから、やっと集金の仕事にありついた。♠●〈食事にありつく〉今日は朝から目の回るような忙[いそが]しさで、三時ごろようやく食事にありついた。 **ありったけ**【有りっ丈】○あるだけ全部。ある限り。[文例]〈ありったけの声>隊長はありったけの声で、兵士たちに号令をかけた。♠●へありったけの金品〉泥棒は、その屋敷からありったけの金品を持ち出していた。 **ありとあらゆる**○(「あらゆる」を強めて)ある限りの。すべての。[文例]〈ありとあらゆる本〉この書店には、ありとあらゆる本がそろっているという。♠●〈ありとあらゆる国〉今、核戦争[かくせんそう]が起これば、ありとあらゆる国に被害が及[らりよう]ぶだろう。♠●へありとあらゆる治療〉ありとあらゆる治療を受けたが、病気はいっこうによくならない。 **ありのまま**(有りの儘)○事実の通り。あるがまま。[文例]〈ありのままに話す〉いったい何があったのか、隠さないでありのままに話してごらん。♠●へありのままに直視する〉自分の姿をありのままに直視することは、難しいことだが大切だ。♠●へありのままに描[えが]く〉この本は、戦後の人々の姿をありのままに描くことによって、戦争の悲惨[さん]さと平和の尊さをうったえている。 **アリバイ**○事件が発生した時に、その場にいなかったという証明。現場不在証明。[文例]ヘアリバイがある〉犯行当日のアリバイがあるということで、容疑者は釈放された。♠◆〈アリバイが成立する〉有力な目撃者[もくげさ]の出現でわたしのアリバイが成立し、疑いが晴れた。♠●ヘアリバイが崩[くず]れる〉朝の新幹線に乗ったと主張していた重要参考人に、ブルートレインで見かけたという人が現れ、アリバイは崩れていった。 **ありふれる**【有り触れる】○どこにでもある。ざらにある。[文例])〈ありふれた遊び〉鬼[おに]ごっこ・石けりなどという、むかしはごくありふれた子供たちの遊びも、今では、あまり見かけなくなった。♠へありふれたちょう〉もんしろちょうは、 <38> 日本じゅうどこにでもいる、ありふれたちょうだ。♠●へありふれた品〉いとこの結婚祝[けつこんいわ]いには、ありふれた品ではなく、自分でししゅうをしたひざかけをおくった。♠●へ構図がありふれている〉この絵は、構図がありふれているので、見ていてもすぐあきてしまう。♠●くありふれた表現>慣用的に使われる、ありふれた表現ではなく、新鮮[しんせん]なイメージを生み出す比喩を考えてみなさい。♠●〈ありふれた弁当〉待ちに待った昼食は、ありふれた幕の内弁当で、かなりがっかりした。♠●〈ありふれた口説[くど]き文句〉彼女は相当プライドが高いから、ありふれた口説き文句では通用しないよ。 **ある**(或る)○物事を特定しない時に用いる語。[文例]〈ある日ある時〉ある日ある時の経験を詳しく書いてみると、自分の生活が見直されるものです。♠●〈ある絵かき〉かつて、ある絵かきが、この町並[まちな]みを描[えが]き、中央の展覧会で特賞をとった。♠●〈ある会社>先日、ある会社に用事があって出かけた時、その娘[むすめ]と再び出会った。♠●へある所〉昔々[むかしむかし]、ある所に・・・・・・、というのが昔話[むかしばなし]の始まりのパターンです。♠●へある監督>ある監督は、試合の進め方に一貫性がないとして、選手たちから批判されているらしい。♠◆〈ある程度>草食動物はある程度殺[さ]されることで、自然界のつり合いが保たれている。 **あ・る**【有る・在る】○存在する。実在する。位置・地位をしめる。起こる。行われる。そなわる。時がたつ。その状態である。ある結果が続いている。[文例]〈物がある〉机の上には、秋の花を差した花びんがあった。♠〈国がある〉日本はユーラシア大陸の東にある。♠●〈出来事がある〉かつて、戦争があって、多くの若者が死んだという。♠●へ地位にある〉おじさんは、ああ見えても、大会社の社長の地位にある。♠◆ヘ一度ある事は二度ある〉一度あることは二度あるというから、また転ばないように注意しなさいよ。♠●へありもしない〉ありもしないうわさを言いふらすのはやめてください。♠●〈金・才能がある〉あの青年は、お金があるし、才能もあるので、女性にもてると評判です。♠●へ距離がある〉ここから駅までは四キロ近くあるので、歩くのは無理でしょう。♠●へ時間がある〉会合までには、まだ十分時間があるから、美術館にでも寄ってみよう。♠ヘややあって〉玄関の呼び鈴を押すと、ややあって、人の出てくる気配がした。♠●へある時払いの催促なし>兄からある時払いの催促なしでお金を借りた。♠●〈生きて在る〉きみが生きて在れば、この仕事はきみにこそふさわしかったろうに。♠●く在りし日〉先日の同窓会では、昨年なくなった先生の在りし日をしのんで、昔話に花が咲きました。♠〈幸[さち]あれ〉結婚式[けつこんしき]には出席できませんが、お二人の将来に幸あれと願っています。♠●へ〜である〉彼は、京都に住む織物の研究家である。♠●へ〜とある〉パンフレットに「音の出る箱[はこ]」とあるのは、オルゴールのことだったのですね。♠●へ〜てある〉あの子に対するぼくの気持ちは、日記にしっかり書いてある。♠●へ〜つつある>現代は、テレビの普及[ふさゆう]、交通の発達などにより、方言が消えつつあるようです。 **あるいは**(或いは)○または。もしくは。あるものは。もしかすると。[文例]〈ボールペンあるいは鉛筆[えんぴつ]〉この用紙には、ボールペンあるいは鉛筆を使って書きなさい。♠へあるいは〜あるいは~〉この合戦[かつせん]で、名のある平家[へいけ]の武者[むしゃ]たちが、あるいは壮烈な、あるいは哀れな最期を遂[と]げた。♠◆杉[すぎ]は日本の特産で、各地に自生し、あるいは植林されている植物だ。♠●へあるいは〜かもしれない〉今はよく晴れていますが、帰るころにはあるいは雨が降るかもしれません。 **あるかなしか**【有るか無しか】○あるかないか分からない程度。[文例]〈あるかなしかの光〉洞窟[どうくつ]の奥深く迷いこんだわたしは、はるか向こうのあるかなしかの光をたよりに進んでいった。♠へあるかなしかの食糧>漂流者[ひようりゅうしゃ]たちはあるかなしかの食糧をめぐって争い始めました。♠●可能性がるかなしか〉手術をしても助かる可能性はあるかなしかといったところだった。 **あるがまま**(有るが儘)○現実のまま。現にあるとおり。ありのまま。[文例]〈あるがままの姿〉飾ることをしない人間のあるがままの姿は、時に強い感銘[かんめい]を与えます。♠へあるがままに見る>先入観や偏見[へんけん]なしに、物事をあるがままに見るのはなかなか難しいものです。 **ある・く**【歩く】○歩行する。あゆむ。ある範囲で、あちらこちらと動き回る。[文例]〈足で歩く〉ヒトはウマやウシとは違[ちが]い、直立二足歩行[にそくほこう]といって、立って足で歩く動物である。♠<道を歩く〉川沿いの道をここまでてくてく歩いてきたら、すっかり疲れてしまった。♠●〈街を歩く〉今日はひまだったので、一日中街をぶらぶら歩いて過ごしました。♠四球で歩く〉ノーアウトだから、球をよく見て、一塁へ歩くつもりでいけ。♠●へ持って歩く〉文庫本は、持って歩くのに便利な大きさです。♠●へ肩で風を切って歩く>柔道部の連中は、偉そうに肩で風を切って歩いている。♠〈大手を振って歩く〉試験がよくできた日は、校内を大手を振って歩く。♠●へまたにかけて歩く>商社マンは、世界をまたにかけて歩くのが仕事である。♠●へ政界を歩く〉この評論家は、長い間政界を歩いてきただけあって、今回の選挙の予想も的確だった。♠◆〈小さくなって歩く〉ぼくのミスでクラスのみんなに迷惑[めいわく]をかけてしまったので、今日は小さくなって歩いた。♠〈犬も歩けば棒に当たる「犬も歩けば棒に当たる」というように、何かやっていれば、そのうちいいこともあるだろう。♠◆〈~して歩く〉村ごとの風習を、彼は丹念[たんねん]に調べて歩いた。 **あるじ**(主・主人) ○主人。持ち主。[文例]〈宿のあるじ〉旅の荷を解[ほど]いてお茶を一杯[いつぱい]飲んだところへ、宿のあるじがあいさつにやってきた。♠〈家のあるじ〉訪ねていった家のあるじは、用足しに出ていて不在だった。 **アルバイト**○内職(をする人)。本職以外の賃仕事。バイト。[文例]〈学生のアルバイト〉〈アルバイトを雇[やと]う〉ゴールデンウイークの期間は、うちのドライブインでも学生のアルバイトを雇います。♠●ヘアルバイトをする〉会社が週休二日になったので、何かアルバイトでもしようかと思う。♠●ヘアルバイトで〜する>夏休みは、アルバイトでスーパーの配送を <39> するつもりだ。 **アルバム**○写真帳。記念帳。複数の曲を収めたレコード・レコード集。[文例]ヘアルバムをめくる〉アルバムをめくっていたら、小学校時代に仲の良かった友達の写真が見つかった。♠●ヘアルバムに貼[は]る〉ぼくのアルバムには、写真のほかに乗り物のきっぷや絵葉書もはってある。♠●ヘアルバムにはさむ>旅先で拾った美しい落ち葉を、写真といっしょにアルバムにはさんでおこう。♠◆ヘ心のアルバム〉あなたとの楽しかった思い出は、いつまでも心のアルバムに残しておきます。♠●好きな歌手の新しいアルバムが出たので、さっそく買って聴[き]いてみた。 **あれ**○話し手からも聞き手からも遠いと感じられる物事を指していう語。身内や身近な者を指していう語。あの場所。あの時。[文例]山の頂上で何かチカチカしているが、あれはいったい何だろう。♠●あなたには、これよりあれのほうが似合いますよ。♠●きみの気持ちはわかるが、あれとはあまり付き合わないほうがいい。♠●あれに見えますのは、国会議事堂でございます。 **あれくる・う**【荒れ狂う】○気が狂ったように暴れる。ひどく荒れる。[文例]<荒れ狂う海>夜が明け始めたころ、荒れ狂う海を見渡した彼は、はるか沖あいに難破船を認めた。♠〈民衆が荒れ狂う〉領主の横暴に怒[おこ]った民衆は、暴徒と化して荒れ狂った。 **あれこれ**あれやこれや。いろいろ。さまざま。[文例]〈あれこれ考える〉妻が怒[おこ]る理由をあれこれ考えてみたが、どうもわからない。♠●〈あれこれ言う〉ぼくの母は何事につけやかましくあれこれ言う。♠●へあれこれ思い悩む〉過ぎてしまったことをあれこれ思い悩んでも仕方ない。 **あ・れる**【荒れる】○荒々しくなる。激しくなる。乱暴にふるまう。混乱する。いたみ損なわれる。乱れる。[文例]〈海が荒れる>海が荒れるときは、漁師の家族はひたすら無事を祈[いの]るばかりだ。♠●へ荒れた田〉むかし、ききんの年には、荒れた田を掘り起こし、もみを拾ってかゆを作って食べたそうだ。●〈家が荒れる>住む人がいなくなってからは、この家も荒れてしまって、見るかげもない。♠●〈生活が荒れる〉彼は、まじめな青年だったのに、勤めをやめてからは、生活が荒れているようだ。♠●へ会議が荒れる〉今日の会議は、意見が二つに分かれて激しい論議をくり返し、いつになく荒れてしまった。♠●〈手が荒れる〉わたしは、毎年冬になると手が荒れてかさかさになるので、ハンドクリームが手放せません。♠◆<筆が荒れる〉いらいらしながら半紙に向かうと、筆が荒れるので、すぐ先生に見破られてしまいます。♠●お母さんが亡[な]くなってから、彼はどうしようもなく荒れはじめ、今ではほとんど学校へ出て来なくなった。 **アレルギー**○生理的に過敏な免疫[めんえき]反応。心理的な拒絶反応。[文例]ヘアレルギー症状[しようじよう]>食べ物によって体がかゆくなったりするじんましんもアレルギー症状の一つです。♠へ核に対するアレルギー>広島長崎の経験から、日本人の核に対するアレルギーはきわめて強い。 **あわ**【泡】(沫) ○液体が空気などを含んでできたたま。あぶく。[文例]〈泡が立つ〉冷えたビールをコップにつぐと、白くて涼[すず]しそうな泡が立ちます。♠●へ泡を吹く>先生、うちのねこが口から泡を吹いて苦しんでいますので、往診[おうしん]をお願いします。♠●<洗剤[せんざい]の泡>湖に生活排水[はいすい]が流れこみ、洗剤の泡が白く浮かんでいる。♠●〈水の泡>球技大会が雨で流れてしまい、今までの練習も水の泡と消えました。♠●へひと泡吹かせる〉いつもやられてばかりいるから、今度こそ、奇抜[きばつ]なアイデアでひと泡吹かせてやろう。♠●へ泡を食う〉警官の姿を見て、どろぼうは泡を食って逃げて行った。♠●へ口角[こうかく]泡を飛ばす〉二人の口角泡を飛ばす議論は、延々一時間にもおよんだ。 **あわ・い**【淡い】○光や色などが弱く、うすい。かすかだ。ほのかだ。[文例]〈淡く光る〉高原の朝は、つゆにぬれた葉が淡く光り、小鳥のさえずりが聞こえ、とてもロマンチックだった。♠く淡く消え去る〉夕映[ゆうば]えが広々と続くすすきの原の向こうへ淡く消え去ろうとしている。♠〈淡い灯[あかり]>淡い灯の下で文字を追っていたせいか、彼の目は充血[じゅうけつ]していた。♠◆〈淡くぼかす>染色[せんしよく]で、上部の濃[こ]い色から下部へと淡くぽかす手法を「におい」という。♠◆<淡い色合い〉今日の彼女は、いつもの淡い色合いの服ではなく、鮮やかな原色のドレスを着ていた。♠淡い望み〉あまり学業成績がふるわない兄だけれど、両親は、大学進学に淡い望みをかけているようだ。♠淡い期待感〉またあの人に会えるかもしれないという淡い期待感で、いつもその場所を通ったものだ。♠淡い恋〉小さいころ、だれでも一度や二度、先生やクラスの友達[ともだち]に淡い恋を感じた経験があるはずだ。 **あわさ・る**【合わさる】○ひとつになる。くっつく。[文例]〈上下が合わさる〉二枚貝の貝殻[かいがら]は、上下がぴったり合わさるようにできています。♠●〈傷口が合わさる〉事故でけがをして、傷口が合わさるのに一か月もかかった。♠へ声が合わさる〉その曲は、二つの声が合わさってすばらしいハーモニーを醸[かも]し出していた。 **あわ・せる**【合わせる・併せる】○ひとつにする。くっつける。いっしょにする。一致させる。そろえる。照応する。調和させる。[文例]〈手を合わせる>墓前に花を供[そな]え、手を合わせて拝[おが]みました。♠へ力を合わせる〉彼らは力を合わせて、その仕事に取り組んだ。♠●へ〜と〜を合わせる〉日本語の音の最小単位は、母音と子音を合わせて二十数個の種類しかありません。♠●へ顔を合わせる〉あの人とは、前に一度顔を合わせたことがあります。♠●へ合わせる顔がない〉せっかく紹介してくれた会社をやめてしまって、彼には合わせる顔がない。♠へ音を合わせる〉オーケストラのメンバーは、今それぞれの楽器の音を合わせているところです。♠●へ答えを合わせる〉できた人は、すぐ答えを合わせなさい。♠話[しよう]を合わせる〉相手の言ってることはよくわからなかったが、とりあえず話だけは合わせておいた。♠●〈心を合わせる〉みんなが心を合わせて一つになれば、大会を成功させることができる。♠●へ調子を合わせる〉全員が先頭の人の号令に従って調子を合わせないと、むかで競走は勝てません。♠ヘ口う <40> らを合わせる〉一人が反対を唱えると、子分とおぼしき二、三人が口うらを合わせたように同調した。♠●へ帳[ちよう]じりを合わせる〉初めは手を抜いていた男も、終わりごろになって帳じりを合わせるようにがんばりだした。♠●ヘ二つの事実を併せる〉これら二つの事実も併せて考えなさい。♠●へ併せて>市役所からもらってきた資料も併せて参考にしました。 **あわただし・い**【慌ただしい】○忙しく落ち着かない。せわしい。[文例]〈慌ただしい生活〉戦争中の暗く慌ただしい生活の中で、病弱だった祖母がひっそりとなくなった。♠●へ慌ただしくかけこむ〉診療所[しんりょうじよ]に一人の男が慌ただしくかけこんで来て、子供がひきつけを起こしたので、すぐ来てくれと言う。♠●〈慌ただしく出発する会社から海外への転勤命令が出たので、ぼくと母は後から行くことにし、父だけが慌ただしく出発した。♠●〈慌ただしい東京>彼は、結局慌ただしい東京に身を落ち着ける場所を見つけられなかった。♠●〈慌ただしい政局〉テレビを見ていると、最近の慌ただしい政局の様子がよく分かる。♠●〈慌ただしい時代>戦争が終わってぼくらも東京へもどったが、何しろ慌ただしい時代だった。 **あわてふため・く**【慌てふためく】○ひどくあわてて、うろたえたり、騒いだりする。[文例]大声を出すと、泥棒[どろぼう]は何も取らずにあわてふためいて逃げ出した。♠●突然の爆発[ばくはつ]に観客はあわてふためき、場内は大混乱に陥[おちい]った。 **あわ・てる**【慌てる】(周章てる)○落ち着きをなくす。うろたえる。ひどく急ぐ。[文例]病気にかかってから慌てるよりも、予防の注意を守って病気にかからないようにしたいものである。♠●へ慌てて〜する〉ハチは、獲物[もの]がなくなったことに気がつくと、慌てて体の向きを変えた。♠●へ慌ててかけつける〉連絡[れんらく]を受けた両親は、慌てて病院にかけつけた。 **あわや**すんでのところで。あやうく。[文例]〈あわやというところ〉線路に落ちた乗客は、あわやというところでホームに助け上げられた。♠わたしたちの乗ったバスはカーブを曲がりそこねて、あわや転落しそうになった。♠あわやと見えた瞬間[しゅんかん]、ブランコ乗りは反対のブランコに飛び移っていた。 **あわよくば**うまくいけば。チャンスがあれば。[文例]選手はみな好調で、あわよくば優勝をと意気込んでいる。♠あわよくばひともうけしようと、機会をねらっていた。♠口には出さなかったが、彼もまたあわよくばと王座をねらっていた。 **あわれ**【哀れ】(憐れ)○かわいそうに思う気持ち。かなしみ。心にしみるような感情・情趣。かわいそうなさま。みじめなさま。[文例]〈哀れをさそう〉母親の死も知らずにこにこ笑っているぼうやが、集まった人々の哀れをさそった。♠●へ哀れを覚える〉秋の終わり、夕暮れの空を雁[かり]が渡るのを見ていると、しみじみと哀れを覚えます。♠●へもののあわれ>深まりゆく季節にそこはかとなくもののあわれを感じる。♠〈哀れな暮らし>老女[ろうば]は粗末[そまつ]な小屋で、食べる物もろくにない哀れな暮らしをしていた。♠母犬の死も知らず、雨の中を母を求めて鳴き続ける子犬が哀れだ。 **あわれみ**【哀れみ】(憐み)○同情する気持ち。かわいそうに思う気持ち。[文例]〈深い哀れみ〉〈哀れみを感じる〉戦争で次々と子供を失った老婆に、人々は深い哀れみを感じた。♠◆<哀れみを請[こ]う〉いつもは自分勝手なことばかりしていて、困った時だけ哀れみを請うなんて、そんなの虫がよすぎるよ。♠●へ哀れみをかける〉かけ事でお金をすったおじが、父に借金を申し込みに来たが、父は、哀れみをかける必要はないと断った。♠●〈哀れみ深い〉あの神父様の哀れみ深い態度には、信者でなくとも頭の下がる思いがする。 **あわれ・む**【哀れむ】(憐れむ)○かわいそうに思う。気の毒に思う。[文例]〈生き物を哀れむ〉少年はやせこけた捨て犬を哀れんで、家に連れ帰った。♠●へ同病あいあわれむ〉0点をとったぼくたち二人は、同病あいあわれむように仲よく帰り道をたどった。♠●〈哀れむよう〉ボールをおでこで受けたぼくを、みんなは哀れむような目で見た。 **あん**【案】○考え。もくろみ。計画。予想。[文例])〈案を拒否[きよひ]する>費用がかかりすぎるという点でその案は拒否された。♠◆<独創的な案>他人[たにん]の模倣[もほう]でない、独創的な案を考えよう。♠◆<案を練る〉明日、一時から、山田さんの家に集まって、ハイキングの案を練ることにした。♠●〈案を打ち出す>佐藤君は、修学旅行はやめて、全員でお寺に合宿するという思い切った案を打ち出した。♠●〈案に相違[そうい]する〉一回戦だけでも勝てば十分と思っていたのに、案に相違して優勝できたのだからすごいだろう。 **あんい**【安易】○たやすく手軽なさま。いいかげんなさま。[文例]〈安易に使う〉漫画[まんが]やテレビの番組で使われているような言葉を、安易に使うのは考えものである。♠◆〈安易に考える〉兄は、頭が良いので、かえって安易に考えたらしく希望校には入学できなかった。♠安易な道>彼は、裕福な家を継[つ]ぐという安易な道を選ばず、画家になる道を選んだ。♠●〈安易な考え〉この苦痛から逃[のが]れるために死を選ぼうというのは、安易な考えである。♠●へ安易な態度〉運にたよるようなそんな安易な態度で勝てると思うか。♠●〈安易に過ぎる〉何事もなげやりなきみは、将来に対しても安易に過ぎる。 **あんうつ**(暗鬱)○陰気でうっとうしいさま。重苦しく、ゆううつなさま。例〈暗うつな気分〉毎日テストが続くと、暗うつな気分になる。♠●へ暗うつな空気>長雨に降りこめられた家の中は暗うつな空気が漂[ただよ]っていた。♠●〈暗鬱なる日〉われこの新道の交路[よ]に立てど/さびしき四方[しほう]の地平をきわめず/暗鬱なる日かな/天日[てんぴ]家並の軒に低くして(萩原朔太郎[はぎわらさくたろう]「小出新道」部分) **あんえい**【暗影】(暗翳)○暗いかげ。不吉なしるし。[文例]〈暗影を帯びる>船が出航して三日目、水平線の向こうに暗影を帯びた黒い雲がわきあがった。♠●へ暗影を投げかける〉父親の突然の死が、彼の前途[ぜんと]に暗影を投げかけた。 **あんがい**【案外】○思いのほか。予想外。意外。例子供たちの誤りをしかりつける大人も、自分自身のまちがいには、案外気がつかない。♠どこの国にかぎらず、自分たちの民 <41> 族的性格や特徴[とくちよう]は案外知らないものだ。♠●友達の家は、団地の中にあるというので、すぐ分かると思ったが、探すのに案外手間取った。♠●馬が走るときに、どういう脚[あし]の運び方をするかという問題は、簡単そうで、案外に難しい。♠◆体の不自由な人が案外によい仕事をし、優れた能力を出していることが多い。♠●ぼくをどなりつけるときと違[ちが]って、歌[ナぐ]うときの母の声がきれいなのは案外で、驚[おどろ]いてしまった。 **あんかん**【安閑】○楽でひまなさま。のんきなさま。のんびりとしているさま。例〈安閑とする〉長女の入試が近づくにつれ、父親のわたしも安閑としていられなくなった。♠〈安閑とする〉大分[だいぶ]日が永[なが]くなったようだが、やっぱりこう安閑としているうちには、何時[いつ]の間にか暮れて行くんだね。(夏目漱石「こころ」) **あんき**【暗記】○覚え込むこと。そらで覚えること。そらんじること。[文例]〈暗記する〉授業で習ったことを忠実に暗記するだけでは、その学習はとても味気なくなります。♠へ物語を暗記する〉その物語が気に入ってくり返し読んだので、ほとんど暗記してしまった。♠●〈丸暗記〉テストの前夜になると、決まって教科書を懸命[けんめい]に丸暗記する。 **あんぎゃ**【行脚】○(僧が)諸国をめぐり歩くこと。各地を旅すること。[文例]〈行脚する>松尾芭蕉[まつおぼしよう]は、元禄[げんろく]二年に、門人河合曾良[かわいそら]とともに、奥羽[おうう]・北陸地方を行脚した。♠●〈全国を行脚する〉定年を一年後にひかえた父は、退職したら全国を行脚するのだといって、張り切っている。♠●〈全国行脚>近所のお寺の僧[そう]が、全国行脚に出かけたという。♠へ陸奥行脚>話に聞くだけで実際に見たこともない諸国の名所をこの目で見たいと、陸奥行脚を思い立った。 **アングル**○かど。見る角度。写す角度。[文例]〈カメラのアングル〉少し左へ寄って、このアングルから被写体[ひしゃたい]をとらえたらどうだろう。♠◆ヘアングルを変える〉いつもとはアングルを変え、作る側の立場で食品の安全性について考えてみた。 **アンケート**○調査のために、多くの人に同じ質問をして回答を得る方法。[文例]〈アンケートをとる〉中学三年生を対象に卒業後の進路についてのアンケートがとられた。♠◆〈アンケートに答える〉レジャーの過ごし方について新聞社のアンケートに答えて、回答を送った。 **あんじ**【暗示】○それとなく示すこと。ある観念をそれとなく与えること。[文例]〈暗示にかかる〉広告を見て、その品物を買う気になるのは、一つの暗示にかかっているのだ。♠◆<暗示にかける>弱虫の弟を暗示にかけて、自信をつけようといろいろやってみたが、効果はなかった。♠へ暗示を得る〉この小説は、古典の作品から暗示を得て書かれたものとして有名である。♠◆人暗示する〉この絵の炎[ほのお]は、作者の怒りを暗示しているのだろう。 **あんごう**【暗号】○当事者にしか意味のとれない秘密の記号。[文例]〈暗号で送る〉敵にさとられないように、秘密情報を暗号で送った。♠◆<暗号の解読〉敵から奪[うば]った手紙は暗号で書かれていて、解読するのに半日かかった。 **あんごう**【暗合】○偶然に一致すること。又例〈二つの事実の暗合>遠く離れた二つの土地におけるこの事実の暗合に関係者の目が集中した。♠●へ暗合する>夢と現実が暗合したことに、妙な気持ちを味わった。 **あんこく**【暗黒】○真っ暗やみ。未開であること。治安がはなはだしく悪いさま。[文例]〈暗黒の宇宙>太古の光源を発した光が暗黒の宇宙を走りぬけて、地球に届く。♠◆ヘ暗黒の世界〉眠[ねむ]りからさめると、まわりは暗黒の世界で、自分がどこにいるのか、よくわからなかった。♠●〈暗黒の時代〉ドイツでは、ヒトラーが総統に就任することによって、暗黒の時代に突入[とつにゆう]していった。♠●へ暗黒の島>警察の力が弱まった当時は、この島は暗黒の島としてひどく恐れられていた。♠●〈暗黒大陸〉アフリカ大陸は、独自の文化と生活があったにもかかわらず、暗黒大陸と呼ばれていた。♠●へ暗黒街〉この間までは、自由に楽しめる盛り場[さか]だったのに、暴力団の出現で、暗黒街と化してしまった。 **あんさつ**【暗殺】○政治的理由などで人を殺すこと。[文例]〈暗殺をくわだてる〉大統領の暗殺をくわだてた一味は、凶行[きよう]寸前に逮捕[たいほ]された。♠●〈暗殺する>民主主義の発達したアメリカのような国でも、政治家や社会運動家が暗殺される事件があとを絶たない。♠●〈暗殺計画〉国王の暗殺計画があるという情報がはいって、護衛が倍に増やされた。 **あんざん**【暗算】○頭の中で計算すること。例〈暗算で出す〉彼女はすらすらと暗算で答えを出した。♠へ筆算と暗算>筆算より暗算のほうがずっと早くできます。 **あんじゅう**【安住】○安心して暮らすこと。その境遇に満足していること。[文例]〈安住の地>都会の暮らしに嫌気[いやけ]がさした彼は、安住の地を求めて草深い田舎[いなか]に移り住んだ。♠●〈安住する>現状に安住していては、向上は望めない。 **あんしょう**【暗唱】(暗誦)○暗記していることを口に出して言うこと。[文例]<暗唱する>社会科の時間に、日本国憲法の前文を暗唱することになった。♠●〈詩を暗誦する〉父も昔は文学青年で、ヴェルレーヌなどの詩を夢中になって暗誦したそうです。 **あんしょう**【暗礁】○海面下に隠れている岩。思いがけない障害。[文例]<暗礁に乗り上げる〉進路を誤った船は、暗礁に乗り上げ、動きがとれなくなってしまった。♠く暗礁に乗り上げる〉犯人[はんいん]と思われた男のアリバイが成立して、捜査[そうさ]は暗礁に乗り上げた。 **あん・じる**【案じる】○心にかける。心配する。考えをめぐらす。[文例]〈身の上を案じる>近所のおばあさんは、三十年も音信不通のむすこの身の上を、今もなお案じている。♠〈行く先を案じる〉あなたは乱暴で乱暴で行く先が案じられる、と母から言われた。♠◆へ一計を案じる〉金魚をとったのらねこに、一計を案じてかたき討[う]ちをしてやることにした。 **あんしん**【安心】○心が安らかに落ち着くこと。心配のないさま。[文例]あの子は、あんなに後悔[こうかい]し、反省しているからもう安心、二度とばかなことはしないでしょう。♠●安心が先に立つ>道に迷っていたわたしは、みんなの姿を発見すると、うれしさよりも安心が先に立った。♠●〈安心を買う〉ガ <42> ードマンを雇わないと不安だという、安心をお金で買わなければならない国もあります。♠◆へ~して安心する〉仕事を完成して安心したのか、容態が急変し、彼女は帰らぬ旅についた。♠●く安心して〜する〉わたしが小さかったころ、母はわたしが安心して寝[ね]つくまで、いっしょに閑の中にいてくれた。♠●〈安心感〉わたしたち現代人にとって、毎日の生活の中で完全な安心感をもてる時間がどのぐらいあるのだろうか。♠●〈安心立命[りつめい]>ひたすらに念仏を唱えて、安心立命する。 **あんせい**【安静】○(病人などが)体を動かさず、静かにしていること。[文例]〈安静にする〉過労でひどく衰弱[すいじやく]した母は、医者から滋養をとって安静にしているように言われた。♠◆<絶対安静>事故で病院にかつぎこまれた友達を見舞いに行ったが、絶対安静で面会できなかった。 **あんぜん**【安全】○危険がなく安心であること。傷ついたり、壊れたりしないさま。[文例]〈安全な場所〉そのホテル火災で、従業員たちは冷静に客たちを安全な場所に導いた。♠◆〈安全な道〉「急[いそ]がば回れ」という格言は、危険な近道よりも、遠くても安全な道のほうが、結局は早いと教えている。♠〈安全を守る>道祖神[どうそじん]とは、旅人の道の安全を守る神のことである。♠●へ安全をおびやかす〉村人の生活の安全をおびやかすものは、断固[だんこ]排除[はいじよ]するつもりだ。♠人家内安全>神社やお寺へお参りに行くと、人は「商売繁盛[しょうぱいはんじよう]」「家内安全」などをいのります。♠●◆<安全地帯〉けさの新聞によると、安全地帯にいた数人の子供たちが、わき見運転の車にはねられたという。 **あんぜん**【暗然】○気持ちが暗く沈むさま。[文例]】〈暗然とする>軍によるクーデターを知り、市民の心は暗然とするのだった。♠●へ暗然とした気分>母親は、子供の将来を思うたびに、暗然とした気分になった。♠●へ暗然たる気持ち〉前途の険[けわ]しさを思うと、彼は暗然たる気持ちになった。 **あんたい**【安泰】○安らかで無事なさま。[文例]天然記念物が自生するこの地も、車公害などで決して安泰ではない。●〈安泰に過ごす〉年を取ったせいか、毎日が安泰に過ごせれば、それだけで十分という気になってきたよ。♠●へお家も安泰>道楽息子が、まじめに働きだしたので、これでお家も安泰だ。♠●〈国家安泰〉今や、この国も内乱が収まり、国家安泰の時がやってきた。 **あんたん**(暗澹)○暗くてものすごいさま。絶望的なさま。[文例]〈暗たんたる空〉真冬の暗たんたる空の下で、日本海が白い牙をむいていた。♠へ暗たんとした気分〉家族の将来を思うと、男は暗たんとした気分に陥[おちい]っていった。♠●へ暗たんたる思い〉最後の望みを断たれて、暗たんたる思いで帰途についた。 **あんち**【安置】○大切に据えて置くこと。[文例]〈仏像を安置する〉本堂の奥には、三百年前に彫られたという仏像が安置されています。♠●〈遺体を安置する〉犠牲者[ぎせいしゃ]の遺体は、近くの寺に安置された。 **あんちゅうもさく**【暗中模索】○くらやみを手さぐりでさがすこと。手がかりがないままに、あれこれやってみること。[文例]今度の仕事は、今までとは全然違[ちが]うので、どこから手をつけていいか、まったく暗中模索だよ。♠●へ暗中模索の状態>仕事を始めたといっても、素人[しろうと]ばかりですから、すべて暗中模索といった状態です。♠◆暗中模索で取り組む>まだ習っていない問題なので、勘[かん]をたよりに暗中模索で取り組んだ。♠●へ暗中模索する〉解決の手がかりを暗中模索する日々が続いたけど、やっと糸口が見つかり、ほっとした。 **あんちょく**【安直】○簡単で手軽なさま。いいかげんなさま。[文例]〈安直に扱う〉子供のことだからといって、安直に扱ってもらっては困ります。♠●へ安直な方法>先々まで考えると、この問題は安直な解決法をとらないほうがよいと思えた。♠●へ安直なトレーニング>短期間の安直なトレーニングで、四十二キロメートルを走り抜くことなどできない。 **あんてい**【安定】○物事が落ち着いた状態で、変化がないこと。すわりがよいこと。[文例]】〈物価の安定〉ここにきて、やっとインフレも収まり、物価の安定もみられるようになった。●〈心の安定〉〈安定を保つ〉あの人は、神経質すぎて、一緒にいると、心の安定を保つのに苦労する。♠へ生活の安定〉〈安定を得る>兄は、半年ぶりに定職が見つかり、生活の安定を得ることができたと、うれしそうだった。♠安定を欠く>彼は、アルバイトだけで暮らすというけど、それでは安定を欠いた生活しかできないと思うな。♠◆へ安定する〉彼が社会的に信用されるのは、考えがしっかりしているし、生活も安定しているからだ。♠●〈安定感〉どっしりと安定感のあるいい机ですね。 **あんてん**【暗転】○幕を下ろさず、舞台が暗い中で場面を変えること。物事が悪いほうに転回すること。[文例]〈舞台が暗転する〉ヒロインの人生が大きく変わろうとする場面で、舞台は暗転した。♠●へ事態が暗転する〉計画がもう少しで実行に移されるというときに責任者が病気で倒[たお]れ、事態は暗転した。 **あんど**(安堵)・○安心すること。[文例]〈安堵の気分〉春は、冬が立ち去った安堵の気分に包まれる季節だ。♠●へ安堵を覚える>弟が交通事故にあったというので心配していたが、軽傷と聞いたときには安堵を覚えた。♠●へ安堵の胸をなでおろす>捜索隊派遣を検討している最中に、全員無事の知らせがはいり、安堵の胸をなでおろした。♠●〈安堵する>朝になって無事が確認された父に、家族一同、やっと安堵することができた。 **あんどん**(行灯・行燈)○木のわくに紙を張り、中で油に火をともす照明具。例〈行灯の火〉かすかな風が吹いて、行灯の火がゆらりと揺れた。♠◆ヘ行灯に火をともす〉夕闇が迫ってくると、娘は行灯に火をともした。♠◆<昼行灯>彼はいっつもぼんやりしているので、昼行灯の異名[いみよう]をとっている。 **あんない**【案内】○内容を知らせること。あちこち見せて歩くこと。招くこと。事情に通じていること。[文例]〈案内を頼む〉アマゾン川の調査隊は、原地の人に案内を頼んで出発した。♠●へ案内する〉大晦日[おおみそか]の夜、わたしはアメリカから来た友人を年の瀬の東京の下町に案内した。♠●〈開店案内>郵便受けに新しいマーケットの開店案内が入っていた。♠<読書案内>図書館には読書案内がありますから、本を選ぶときに参考にするとよいでしょう。♠●〈案内板〉エレベーター・エスカレーター・階段などの案内板は、文字ではなく標識になっていた。 **あんに**【暗に】○それとなく。こっそり。遠回しに。[文例]〈暗に込める〉父兄の発言には、学校側に対する批判が暗に込められていた。♠へ暗ににおわせる>家族の無理解を暗ににおわせるような父親の口ぶりであった。 **あんのじょう**【案の定】○思ったとおり。予想どおり。例昨夜、いのししに畑を荒らされたので、今夜はどうかなと見に行くと、案の定、やられていた。♠●ゆうべ、月がかさをかぶっていたが、案の定、きょうは雨になった。♠◆翌日[よくじつ]の夜、案の定、彼女から海辺の合宿の話が出た。♠◆新幹線は案の定こんでいて、岡山[おかやま]まで座[すわ]れなかった。♠●画家になりたいと父に告げると、案の定猛反対[もうはんたい]された。 **あんばい**【案配・安配・安排】(塩梅・按配・按排)○味の加減。物事の様子。具合。ほどよく、整えること。又例〈いいあんばい〉このいちごジャム、甘[あま]すぎなくて、ちょうど、いいあんばいだ。♠●へいいあんばい〉今日は久しぶりに雨があがって、いいあんばいだ。♠●へいいあんばい〉もらった洋服を着てみたけど、どこもきつくないし、動きやすいし、ちょうど、いいあんばいだ。♠●へどんなあんばい〉どんなあんばいだったかなと、朝早く見に行くと、きつねが一ぴき、わなにかかっていた。♠●へ体のあんばい〉〈あんばいが悪い>母は、体のあんばいが悪いのをしんぼうして働いていたので、病気をこじらせてしまった。♠●へあんばいが悪い〉人の話も聞かないでかってに決めちまうなんて、そりゃ、あんばいが悪いんじゃないかい。♠へ〜のようなあんばい>乗り物に酔う娘[よむすめ]との半日がかりの汽車の旅は、病人を一人道連れにしているようなあんばいだ。♠●へ〜といったあんばい>便所は、黒のプラスチックの人型がはってあれば男子用、赤なら女子用といったあんばいだ。♠●へ食事をあんばいする〉母は、わたしたち五人の子供たちの食事をあんばいするのに、苦心していた。♠●へ適当にあんばいする〉この条件さえ守ってもらえれば、あとはそちらで適当にあんばいしてくださってかまいません。 **アンバランス**○つりあいがとれないこと。不均衡。不安定。[文例]〈精神と肉体がアンバランス〉中学時代は、精神の成長と肉体の成長のアンバランスな時です。♠●へ貿易のアンバランス>貿易収支のアンバランスが両国の懸案[けんあん]となっていた。 **あんぴ**【安否】○無事であるかどうかということ。日常の様子。[文例]〈安否を気づかう〉嵐[あらし]の海で消息を絶った漁船の安否が気づかわれています。♠●へ安否をたずねる〉しばらく顔を見せない友の家へ、安否をたずねる手紙を出した。♠◆〈安否を問う〉父の死後、古い友達らしい人から安否を問う手紙が届いた。 **あんもく**【暗黙】○言葉に出さないこと。[文例]へ暗黙のうちに〉彼のやり方を、みんなは暗黙のうちに認めていた。♠〈暗黙の了解[りようかい]>子供たちの間には、父の病室では決して心配をかけるようなことは言うまいとする暗黙の了解があった。 **あんやく**【暗躍】○人目につかないように陰[かげ]で活動すること。[文例]<裏・陰で暗躍する〉この事件には、裏で暗躍する黒幕の存在がささやかれていた。♠●ヘテロリストの暗躍〉国民の意見が少しも政治に反映しないような国はどこでも、テロリストの暗躍の危険があるといえる。 **あんらく**【安楽】○苦労や苦痛がなく、安らかで楽しいさま。[文例]〈安楽に暮らす>若いころはずいぶん苦労した彼も、今はかわいい孫たちに囲まれて安楽に暮らしている。♠<安楽な生活>安楽な生活を送っているせいか、きみには競争心というものがまるでない。♠●へ安楽椅子[いす]>夕食がすむと、安楽椅子にかけて新聞を広げる。♠〈安楽死>死期が迫り苦しむ患者は、安楽死を口にするようになった。 **い**【意】○心に思っていること。気持ち。考え。意味。[文例]<意を表す「郷愁[きようしゅう]」とは、異郷から故郷に寄せる思いという意を表す。♠●へ意をくむ〉生徒たちの意をくんで、夏休み中の合宿を許可してはどうでしょう。♠へ意に反する〉兄は、父の意に反して、学者への道を選んだ。♠●へ意に染[そ]む〉社長の意に染まなかったらしく、提案は取り上げられなかった。♠●〈意に満たない>先生は、自分の意に満たない作品を発表しなかった。♠●へわが意を得たり〉初めての男の子に、父はわが意を得たりとばかり喜んでいる。♠へ意を決する〉彼は意を決して、彼女に自分の思いを打ち明けた。♠へ意のまま>発明が成功した暁には、富も名声も意のままだ。♠〈意を強くする〉お前の立派な仕事ぶりに、父さんは意を強くしたよ。♠へ感謝の意を表す〉婦人はていねいに頭を下げると、感謝の意を表した。♠●〈意に介[かい]さない〉彼は、友人の忠告をまったく意に介さなかった。♠意を尽[つ]くす〉わたしは、意を尽くして、計画の実現を訴[うつた]えた。♠●〈意を用いる〉料理の材料の吟味には、特に意を用いるように。♠●へ意を体[たい]する〉技師長は工場長の意を体して(=意見に従って)、ひそかに本社へ交渉に出かけた。♠●へ意に沿[そ]うこの企画は、社長の意に沿うものと確信しています。 **い**【異】○他と異なること。不思議なこと。異なる意見。変わったさま。例〈異を唱[とな]える〉彼の意見に異を唱える者は、だれもいなかった。♠●へ異をさしはさむ〉きみの意見に異をさしはさむつもりはないが、もう少し考えてみてはどうだい。♠●へ異を立てる〉わたしの意見に異を立てる党員も多かろうが、何とか説得するつもりだ。♠●〈異とするに足りぬ>狭[せま]い日本では、土地の値段が高いのは当然で、あえて異とするに足りぬのである。♠●〈異なことを言う〉異なことを申すようですが、前にどこかでお目にかかりませんでしたか。♠●へ縁[えん]は異なものこんな所でこんなにお会いするとは、縁は異 <43> **あんに【暗に】** ○それとなく。こっそり。遠回しに。[文例]〈暗に込める〉父兄の発言には、学校側に対する批判が暗に込められていた。♠へ暗ににおわせる>家族の無理解を暗ににおわせるような父親の口ぶりであった。 **あんのじょう【案の定】** ○思ったとおり。予想どおり。[文例]昨夜、いのししに畑を荒らされたので、今夜はどうかなと見に行くと、案の定、やられていた。♠●ゆうべ、月がかさをかぶっていたが、案の定、きょうは雨になった。♠◆翌日[よくじつ]の夜、案の定、彼女から海辺の合宿の話が出た。♠◆新幹線は案の定こんでいて、岡山[おかやま]まで座れ[すわ]なかった。♠●画家になりたいと父に告げると、案の定猛反対[もうはんたい]された。 **あんばい【案配・安配・安排】(塩梅・按配・按排)** ○味の加減。物事の様子。具合。ほどよく、整えること。[文例]〈いいあんばい〉このいちごジャム、甘すぎなくて、ちょうど、いいあんばいだ。♠●へいいあんばい〉今日は久しぶりに雨があがって、いいあんばいだ。♠●へいいあんばい〉もらった洋服を着てみたけど、どこもきつくないし、動きやすいし、ちょうど、いいあんばいだ。♠●へどんなあんばい〉どんなあんばいだったかなと、朝早く見に行くと、きつねが一ぴき、わなにかかっていた。♠●へ体のあんばい〉〈あんばいが悪い>母は、体のあんばいが悪いのをしんぼうして働いていたので、病気をこじらせてしまった。♠●へあんばいが悪い〉人の話も聞かないでかってに決めちまうなんて、そりゃ、あんばいが悪いんじゃないかい。♠へ〜のようなあんばい>乗り物に酔う娘[むすめ]との半日がかりの汽車の旅は、病人を一人道連れにしているようなあんばいだ。♠●へ〜といったあんばい>便所は、黒のプラスチックの人型がはってあれば男子用、赤なら女子用といったあんばいだ。♠●へ食事をあんばいする〉母は、わたしたち五人の子供たちの食事をあんばいするのに、苦心していた。♠●へ適当にあんばいする〉この条件さえ守ってもらえれば、あとはそちらで適当にあんばいしてくださってかまいません。 **アンバランス** ○つりあいがとれないこと。不均衡。不安定。[文例]〈精神と肉体がアンバランス〉中学時代は、精神の成長と肉体の成長のアンバランスな時です。♠●へ貿易のアンバランス>貿易収支のアンバランスが両国の懸案[けんあん]となっていた。 **あんぴ【安否】** ○無事であるかどうかということ。日常の様子。[文例]〈安否を気づかう〉嵐[あらし]の海で消息を絶った漁船の安否が気づかわれています。♠●へ安否をたずねる〉しばらく顔を見せない友の家へ、安否をたずねる手紙を出した。♠◆〈安否を問う〉父の死後、古い友達らしい人から安否を問う手紙が届いた。 **あんもく【暗黙】** ○言葉に出さないこと。[文例]へ暗黙のうちに〉彼のやり方を、みんなは暗黙のうちに認めていた。♠〈暗黙の了解[りようかい]>子供たちの間には、父の病室では決して心配をかけるようなことは言うまいとする暗黙の了解があった。 **あんやく【暗躍】** ○人目につかないように陰で活動すること。[文例]<裏・陰で暗躍する〉この事件には、裏で暗躍する黒幕の存在がささやかれていた。♠●ヘテロリストの暗躍〉国民の意見が少しも政治に反映しないような国はどこでも、テロリストの暗躍の危険があるといえる。 **あんらく【安楽】** ○苦労や苦痛がなく、安らかで楽しいさま。[文例]〈安楽に暮らす>若いころはずいぶん苦労した彼も、今はかわいい孫たちに囲まれて安楽に暮らしている。♠●<安楽な生活>安楽な生活を送っているせいか、きみには競争心というものがまるでない。♠●へ安楽椅子[いす]〉夕食がすむと、安楽椅子にかけて新聞を広げる。♠〈安楽死>死期[しご]が迫[せま]り苦しむ患者は、安楽死を口にするようになった。 **い【意】** ○心に思っていること。気持ち。考え。意味。[文例]<意を表す「郷愁[きようしゅう]」とは、異郷から故郷に寄せる思いという意を表す。♠●へ意をくむ〉生徒たちの意をくんで、夏休み中の合宿を許可してはどうでしょう。♠へ意に反する〉兄は、父の意に反して、学者への道を選んだ。♠●へ意に染[そ]む〉社長の意に染まなかったらしく、提案は取り上げられなかった。♠●〈意に満たない>先生は、自分の意に満たない作品を発表しなかった。♠●へわが意を得たり〉初めての男の子に、父はわが意を得たりとばかり喜んでいる。♠へ意を決する〉彼は意を決して、彼女に自分の思いを打ち明けた。♠へ意のまま>発明が成功した暁[あかつき]には、富も名声も意のままだ。♠〈意を強くする〉お前の立派な仕事ぶりに、父さんは意を強くしたよ。♠へ感謝の意を表す〉婦人はていねいに頭を下げると、感謝の意を表した。♠●〈意に介さない〉彼は、友人の忠告をまったく意に介さなかった。♠意を尽[つ]くす〉わたしは、意を尽くして、計画の実現を訴[うつた]えた。♠●〈意を用いる〉料理の材料の吟味[ぎんみ]には、特に意を用いるように。♠●へ意を体[たい]する〉技師長は工場長の意を体して(=意見に従って)、ひそかに本社へ交渉に出かけた。♠●へ意に沿[そ]うこの企画は、社長の意に沿うものと確信しています。 **い【異】** ○他と異なること。不思議なこと。異なる意見。変わったさま。[文例]〈異を唱[とな]える〉彼の意見に異を唱える者は、だれもいなかった。♠●へ異をさしはさむ〉きみの意見に異をさしはさむつもりはないが、もう少し考えてみてはどうだい。♠●へ異を立てる〉わたしの意見に異を立てる党員も多かろうが、何とか説得するつもりだ。♠●〈異とするに足りぬ>狭い日本では、土地の値段が高いのは当然で、あえて異とするに足りぬのである。♠●〈異なことを言う〉異なことを申すようですが、前にどこかでお目にかかりませんでしたか。♠●へ縁[えん]は異なものこんな所でお会いするとは、縁は異なもの味なもの。 <44> なものですねえ。 **い**【胃】○消化器官の一つ。胃ぷくろ。[文例]〈胃にもたれる〉油っこい料理は胃にもたれます。♠●へ胃が痛い〉試験の結果がどうなるか、心配のあまり胃が痛くなった。♠●へ胃の調子>胃の調子がおかしいときには、このせんじ薬がよく効きます。♠●牛乳でも肉汁でも、どんな軽い液体でも狂った胃が決して受[うけつ]け付けない。(夏目漱石「行人」) **い**【井】○井戸。[文例]〈井の中のかわず〉都会へ出てよく世の中を見てきなさい。♠井の中のかわず大海を知らず、では困ります。 **いあつ**【威圧】○威力をもっておさえつけること。[文例]〈人を威圧する〉彼の声は低かったが、その言い方には人を威圧する力があった。♠●〈辺りを威圧する〉大男は、太いまゆ毛の下の目玉をギョロつかせて、辺りを威圧した。♠●へ威圧的>彼の威圧的な態度は、次第に周囲の反感を買うことになった。 **いあん**【慰安】○なぐさめ楽しませること。[文例]〈慰安する〉戦場の兵士たちを慰安するための音楽会が開かれた。♠◆<慰安旅行〉まことに勝手ながら、十二、十三の両日は、従業員の慰安旅行のため休業いたします。 **い・い**(好い・善い・良い)○すぐれている。りっぱだ。正しい。善良だ。美しい。好ましい。快い。適している。十分だ。さしつかえない。↓よい[文例]〈天気がいい〉今日は天気がいいから、多摩川[たまがわ]へドライブにでも行くか。♠●へいい陽気〉だいぶ暖かくなって、いい陽気になりましたねえ。♠●へ気持ちがいい〉明るくてはきはきしている人は、話していても気持ちがいいものです。♠◆<気分がいい>奥様[おくさま]のおかげんはいかがですか。――今日は、少し気分がいいようです。♠●へ感じがいい〉礼儀正しくて、はきはきしていて、実に感じのいいお嬢さんだ。♠頭がいい〉金田一[きんだいち]さんのように頭のいい方には、だれが犯人か、もうお分かりでしょう。♠●へ人柄[ひとがら]がいい〉あの娘[むすめ]さんは、人柄がいいせいか、お見合いの申し込みが多いという。♠人人がいい>彼は、人がいいうえに気が弱いので、人に頼まれると、絶対にいやとは言えない。♠●へ気がいい〉あいつは、見かけはごついが気のいい男だよ。♠●へかっこうがいい車はかっこうがいいだけじゃだめだ、性能がよくなければ。♠●へ品がいい〉訪ねてきたのは、年のころは四十五、六の品のいい紳士[しんし]だった。♠●へ家柄[いえがら]がいい>彼は、何かというと、家柄がいいのを鼻にかけるくせがある。♠元気[えしゃく]がいい〉やあ、久しぶり、相変わらず元気がいいねえ。♠へ血色[けつしよく]がいい〉〈愛想[あいそ]がいい〉店の主人は、血色のいい丸顔を向けると、愛想のいい会釈をした。♠●〈生きがいい〉どうです、見てください、このタイの生きのいいこと!♠●へ見晴らしがいい>展望台は岬[みさき]の先端[せんたん]の見晴らしのいい所にあった。♠〈腕[うで]がいい〉彼はもともと、腕のいいカメラマンだった。♠〈評判がいい>今度売り出したわが社の新製品は、なかなか評判がいいようだ。♠●〈運がいい〉あんな大惨事[だいさんじ]で足のけがぐらいですんだのなら、運がいいですよ。♠●へ体にいい〉ごろごろ寝[ね]てばかりいないで、少しは、体にいいこともしなさい。♠●〈都合がいい>土曜は仕事だから、日曜日のほうが都合がいいよ。♠●へいいあんばい〉それじゃ、そろそろ出発しようか、いいあんばいに雨も上がった。♠●へいい若い衆〉いい若い衆が昼間から酒なんか飲んでどうする。♠●へいい考え>彼女と知り合いになるチャンスはないかと思ったが、なかなかいい考えが浮かばなかった。♠●へいいお金〉山で採ったキノコを町に行って売ると、けっこういいお金になった。♠◆へいい勝負〉父の将棋[しょうぎ]は「下手の横好き」というやつで、小学生のわたしと勝ったり負けたりのいい勝負だった。♠〈いい面[つら]の皮〉あんなペテン師にひっかかったおれこそ、いい面の皮だ。♠●へいい年をして〉いい年をして、十五や十六の子供みたいなかっこうをしなさんな。♠●〈体のいい~〉荘といっても名ばかりで、体のいい山小屋だった。♠●へ〜してもいい〉お父さん、このプラモデル、ぼくもらってもいい?♠いいとも。♠●へどうだっていい〉半ばあきらめたような気持ちで、もうどうだっていいやと思いながら、発表を見に行った。♠●へ〜のほうがいい〉一時は、彼と結婚できなければ死んだほうがいい、とさえ思いつめました。♠へいいか〉いいか、みんなよく聞けよ。 **いいあい**【言い合い】○言い合うこと。言い争い。口げんか。[文例]〈言い合いになる>子供の勉強のことから、両親が言い合いになることがよくあります。♠◆●〈言い合いをする〉掃除当番のことでヨシエと言い合いをしているところへ先生が来たのです。 **いいがかり**【言い掛かり】○根拠もなくとがめること。なんくせ。言い出して、引っ込みがつかなくなること。[文例]〈言い掛かりをつける〉寝坊[ねぼう]しただけなのに、寄り道をしただろうなんて、変な言い掛かりをつけないでくれ。♠へ言い掛かりを言う〉「言掛りを云[い]うな、馬鹿[ばか]」「首掛りじゃありません。先刻[さつき]から腹の中でそう云い続けに云ってるじゃありませんか。(………………)」(夏目漱石「明暗」) ♠●〈言い掛かり上〉めんどうなことになったと思ったが、言い掛かり上引っ込みがつかなかった。 **いいかげん**【いい加減】(好い加減)○適度であるさま。おざなりなさま。限度であるさま。だいぶ。ほどほどに。[文例]〈いい加減にする「冗談[じようだん]もいい加減にしなさい。」と、ついに母はおこりだした。♠●へいい加減なうそ〉あの男は、いい加減なうそを平気でつく人だから、気をつけなさい。♠●へいい加減な話〉彼のいい加減な話を信用したら、とんでもないことになる。♠●へいい加減な返事〉おじに援助を申し入れたが、いい加減な返事しかもらえなかった。♠◆これだけ説明したら、いい加減わかりそうなものだ。♠あの人には、いい加減愛想[あいそ]がつきたわ。 **いいかわ・す**【言い交わす】○言葉をかわす。口で約束する。結婚の約束をする。[文例]〈あいさつを言い交わす>生徒たちは、校門の所で口々に「おはよう」を言い交わしながら、校舎へ入ってゆく。♠●〈深く言い交わす〉大工の佐吉[ささち]とたばこ屋のおみのは、深く言い交わした仲であった。 **いいき**【いい気】(好い気)○気をつかわず、のんきなさま。うぬぼれているさま。とくいなさま。[文例]〈いい気になる〉 <45> 少しばかり成績が上がったからって、いい気になっていると、ひどい目にあうぞ。♠●へいい気なもの〉だまし取ったのも同然の金で温泉旅行とは、いい気なもんだぜ。 **いいき・る**【言い切る】○しまいまで言う。きっぱりと言う。断言する。[文例]〈最後まで言い切る〉最後まで言い切ると、男はテーブルの上のコップに手をのばした。♠●へきっぱり言い切る「やめます。」ときっぱり言い切って、少女はすたすたと店を出ていった。 **いいぐさ**【言いぐさ】(言い種・言い草)○言い方。言いわけ。言い分。口ぐせ。[文例]親に向かってその言いぐさは何だ!♠◆へ置いぐさがいい〉もっとしっかり働け、と言ったら、その言いぐさがいいじゃないか。会社をやめる、ときたもんだ。♠●へ偉そうな言いぐさ〉あの男の偉そうな言いぐさが気にくわない。 **いいくる・める**【言いくるめる】○言葉たくみに納得させる。口先でまるめこむ。[文例]〈人を言いくるめる〉小田君は口が上手だから、いつもぼくたちはうまく言いくるめられてしまう。♠●へ黒を白と言いくるめる〉屁理屈[へりくつ]をつけては、黒を白と言いくるめるやつもいる。 **いいそび・れる**【言いそびれる】○言い出す機会をのがす。「[文例]貸したお金を催促[さいそく]するのに、気が弱いものだからついつい言いそびれてしまう。♠うちの生活も楽じゃないのよ、と言われると、ぼくとしても言いたいことも言いそびれてしまう。 **いいつけ**【言い付け】○いつも言っていること。命令。[文例]〈親の言い付け〉〈言い付けを守る〉親の言い付けが守れないのか。♠●へ言い付けを聞く〉幼稚園では、先生の言い付けを聞いて楽しく遊びなさい。 **いいつたえ**【言い伝え】○口から口へと伝えられてきた話。[文例]〈昔からの言い伝え〉この村には昔からの言い伝えがあって、沼に近づくものはいなかった。♠●へ言い伝えを守る〉家の者は、代々の言い伝えを守り、毎月一日には一切火を使わなかったという。 **いいのがれ**【言い逃れ】○責任のがれの言いわけ。言い抜け。[文例]〈言い逃れする〉きみの責任は明らかです。もう言い逃れしようとしてもむだです。♠●へその場の言い逃れ〉その場の言い逃れに、できもしないことを引き受けてしまった。 **いいふく・める**【言い含める】○言い聞かせて納得させる。[文例]〈事情を言い含める〉使いの若者には、事情をよく言い含めて帰ってもらった。♠●<親が子に言い含める〉多分親に言い含められたのだろう、娘は必死に涙をこらえて列車に乗っていった。 **いいふら・す**【言い触らす】○言い広める。ふいちょうする。[文例]〈うわさを言い触らす〉ありもしないうわさをもっともらしく言い触らす者もあった。♠◆ヘデマを言い触らす〉中身は偽物[にせもの]だとデマを言い触らす者がいて、土産物[みやげもの]の売り上げは落ちていった。 **いいぶん**【言い分】○言いたいこと。主張したい事柄。言っておきたい不満。[文例]〈言い分を聞く>双方[そうほう]の言い分を聞いてみないと、どちらが正しいか判断はできない。♠●へ言い分がある〉わたしにはわたしの言い分がある。♠●へ言い分をのむ〉きみの言い分はのむから、ひとつこの場はまるく収めてくれないか。 **いいまわし**【言い回し】○言い表し方。言葉づかい。[文例]〈難しい言い回し>英語が得意といっても、難しい単語や言い回しが出てくると、辞書が要る。♠●へ言い回しがうまい〉彼の話は、言い回しがうまいので、わかりやすいうえにおもしろい。♠●ヘやわらかい言い回し〉街で耳にした、京都弁独特のやわらかい言い回しが、旅情をかきたててくれた。♠〈持って回った言い回し〉何か言いたい事があるなら、持って回った言い回しはやめて、率直[そつちよく]に話してください。♠〈調子のよい言い回し〉キャッチフレーズは、調子のよい言い回しで、人の心をたくみに捕らえる。 **いいわけ**【言い訳・言い分け】○申しひらき。申しわけ。弁解。(文例]〈言い訳をする〉言い訳ばかりしているなんて、男らしくないやつだ。♠争へ言い訳になる〉そんなの言い訳にならないよ。♠◆ヘ言い訳がたつこのままでは世間さまに言い訳がたちません。♠◆〈言い訳がましい>雪い訳がましく聞こえるかもしれませんが、はじめからうまくいくとは思っていなかったのです。 **いいん**【委員】○全体から選ばれて特定の役目をはたす人。[文例]〈委員を出す>卒業文集作りのために、各学級から二人ずつの委員を出すことになった。♠●〈学級委員〉〈委員を務める〉一年間、無事学級委員を務めることができ、うれしく思っています。 **い・う**【言う】(云う・謂う)○言葉に出す。言葉で表す。しゃべる。話す。音・声を出す。[文例]〈口で言うほど〉実際にやってみると、口で言うほど簡単ではないことがわかった。♠◆〈言うまでもない〉自由に責任がともなうことは言うまでもない。♠●へ体が言うことをきかない〉わたしもずいぶん年をとって、体が言うことをきかなくなった。♠◆くものを言う〉マラソンでは、肉体と精神の持久力がものを言います。♠◆〈言わぬが花〉その女性については言わぬが花、想像にまかせよう。♠●合がガタガタいう〉強い風で戸がガタガタいう。♠◆ヘつべこべ言う〉自分たちが決めたことに、今さらつべこべ言うな。♠◆〈四の五の言う〉今日のキャプテンの命令には、部員たちに四の五の言わせぬ迫力があった。♠ヘ言うことなし>背が高くてハンサムで、お金があれば言うことなしね。♠◆ヘ言うに言われぬ〉そりゃ、わたしだって、言うに言われぬ苦労をしてきました。♠●へ言うには及ばない〉この先生の人格については、言うには及ばない。♠ヘ言わずもがな〉だれも何も言っていないのだから、言わずもがなの弁解などするな。♠●へ言わずと知れた>君原といえば、言わずと知れた往年[おうさみはら]のマラソンランナーで、メキシコ五輪では銀メダルだった人だ。♠●〈山という山、川という川〉仕事で、山という山、川という川を測量して歩いた。♠●へあなたという人〉〈何という〉あなたという人は何という愚[おろ]か者なんだ。♠●へ〜といったらない〉あの人ったら、おかしいといったらないのよ。 <46> **いえ**【家】○人が住む建物。住居。家族の生活の場。家族のつながり。家族。家系。家柄。[文例]〈大きな・小さな家>川田さんの家は、大通りに面した、二階建ての大きな家です。♠〈狭[せま]い・広い家〉〈家に住む>住宅事情の悪いこの国では、狭い家に大勢の家族がひしめきあって住んでいる。♠〈住む家〉昨夜の火事で焼け出され、彼には、もう住む家さえなかった。♠●へ庭のある家〉出来れば小さくてもいいから、庭のある家がいいなあ。♠●へわらぶき屋根の家〉今でもわらぶき屋根の家に住み、いろりのある生活を送っている所もあります。♠●〈家を建てる〉彼はがんばって働いて、ついに自分の家を建てた。♠●〈家が建つ>宅地化が進んで、少し前までは雑木林[ぞうきばやし]だった辺りにも、家がびっしり建っている。♠●へ家を借[か]りる〉松本の大学に行っている兄は、友達といっしょに家を一軒借りて住んでいる。♠●〈家と土地〉一家は家と土地を売り払うと、新天地を求めて故郷を後にした。♠●へ家を探す〉近々結婚することになったので、今、家を探しているところです。♠へ家が・家を越[こ]す〉小学校に入るころには、わたしの家は既[すで]に大阪に越していた。♠●へ家を構える〉去年結婚した兄は両親のもとを離[はな]れ、都心から二時間ほどの所に新しく家を構えた。♠●へ〜の家のやっかいになる〉大学生のころ、一時期、おじの家にやっかいになっていたことがある。♠●〈家に帰る>暗くなって家に帰ると、母が怖い顔をして待っていた。♠家にいる〉忙[いそが]しい父は、休みの日でも家にいるということはめったにありません。♠◆◇家に閉じこもる〉家に閉じこもってばかりいないで、たまには外で遊びなさい。♠●〈家を出る〉いつまでも親に面倒をかけるわけにも、かないので、家を出ることにした。♠〈家をとびだす>退屈な山奥の生活に嫌気[いやけ]がさし、とうとう家をとびだしたのである。♠●へ家を離れる〉十八歳のときに家を離れてからこのかた、一度も故郷の地を踏んだことがなかった。♠●へ家を空ける>家庭の主婦としては、そうそう家を空けてばかりもいられませんから・・・・・・。♠●〈家に縛[しば]られる〉家に縛られることをきらって、社会に活動の場を求める女性が急増した。♠●〈家に寄りつかない〉父とけんか別れをして以来、兄は家に寄りつこうともしない。♠●へ一つ家に暮らす〉十年も一つ家に暮らしていて、まだおれの気持ちがわからないのか。♠〈家に泊まる〉ぼくはその夜、遅[おそ]くなったので友達の家に泊まることにした。♠●〈家を訪ねる>翌日[よくじつ]先生の家を訪ねると、折あしく先生は不在であった。♠●〈家に招く〉わたしたちはその夜、球場に程[ほど]近い千駄ヶ谷の彼の家に招かれていた。♠●〈家の者>家の者に気づかれないよう、裏口からはだしでそっと抜け出した。♠●〈名門の家〉彼は地方の名門の家に生まれ、十八歳のとき東京の大学に入った。♠●へ武門の家>武門の家に生まれた者として、武芸に秀[ひい]でることは当然のことであった。♠●〈家が栄える〉田代[たしろ]の家が栄えていたのは戦争前のことでございます。♠●〈家が貧しい家が貧しかったので、長男であるわたしはすぐに働きに出なければなりませんでした。♠●〈家を守る〉父がアメリカに出張している間、母は一人日本に残り家を守ったそうだ。♠●へ家を継ぐうちは商売をやっているので、学校を出たら、ぼくか兄さんが家を継ぐことになります。♠●〈家の跡[あと]を取る〉行く行くは、長男のおまえに家の跡を取ってもらうつもりだ。♠●〈他人の家に入る〉結婚すれば他人の家に入るわけだから、今までみたいに甘[あま]えていてはだめよ。♠我[わが]死ぬ家柿の木ありて花野見ゆ(中塚一碧楼) **いえがら**【家柄】○家の格式。(よい家柄の意で)名家。[文例]〈家柄がいい〉この娘さんなら家柄もいいし、息子さんのお相手にはぴったりですよ。♠●へ庄屋[しようや]の家柄>実家は、村で代々庄屋を務めた家柄で、婚礼の時など、それは大変なものだった。 **いえじ**【家路】○自分の家へ帰る道。[文例]】〈家路につく〉用事を済ますと、光子はマリ子の誘いも断って家路についた。♠◆〈家路をたどる>温かい食事と母の笑顔を思い浮かべながら、ひたすら家路をたどるのだった。♠●〈家路を急ぐ>家路を急ぐ人々の群れの中で、わたしは一人、夕暮れの街に立ち尽くしていた。 **いえで**【家出】○家を出て、そのまま帰らないこと。[文例]〈少年の家出>夏休みが終わり二学期の始まるこの時期は、一年中で最も少年少女の家出が多くなる。♠〈家出する〉両親は、家出した娘の行方[ゆくえ]を八方手を尽くして探した。♠家出少女〉ここは、家出少女を一時保護する施設です。 **いえなみ**【家並み】○家々の並び。やなみ。家ごと。軒なみ。[文例]〈町の家並み〉〈家並みが尽[つ]きる〉小さな町の家並みはすぐに尽きて、両側にやや起伏のある畑地が広がっていた。♠●〈家並みが始まる〉その岬[みさき]のつけ根から、ぽつぽつ家並みが始まり、湾曲[わんさよく]した海岸線に沿って、小さな市街が広がっていた。(梅崎春生[うめざきはるお]「午砲[おどん]」) **いえもと**【家元】○芸道の流派の本家。また、その当主。[文例]〈華道の家元〉彼女は、華道の家元のお嬢さまだそうで、目の配り、身のこなしもなかなか堂に入ったものだ。♠◆〈家元を継ぐ〉だれが家元を継ぐかで、百万の弟子をかかえるこの流派が大きくゆれていた。 **い・える**(癒える)○傷や病気が治る。治癒[ちゆ]する。[文例]〈病がいえる〉必死の看病のかいあって、雪が消えるころには、父の病もようやくいえたのだった。♠●〈傷がいえる三年の月日が過ぎ、彼女の心の傷もようやくいえたようだった。 **いおり**(庵・廬)○草木のそまつな小屋。俗世間を捨てた人の仮住まい。[文例]へいおりを結ぶ〉〈草のいおり〉彼は、世捨て人として、人里離れたこの山に、草のいおりを結んでいた。 **いか**【以下】○それを含んで、それより下。より下。そこから後。[文例]団長以下二十名の親善使節団は、二か月にわたって、欧米[おうぺい]諸国を歴訪した。♠●こどもの日の特別サービスで、小学生以下は、入場料が無料となります。♠◆十人以下なら、まだ席があります。♠◆以下に述べることは、実際にわたしが体験したことであります。 **いがい**【意外】○思いがけないさま。思いのほか。予想外。[文例]こんな所できみに会おうとはまったく意外だ。♠◆〈意外なところ>意外なところから事件解決の糸口が見つか <47> った。♠●へ意外にも〉だれかと思ったら、意外にもうわさをしていた当人であった。♠◆<意外と>子供のわりには意外としっかりしているね、きみは。 **いがい**【以外】○それを除いたほか。それよりほか。[文例]このことを知っている人は、ぼくら以外にはいないはずだ。♠◆こうなったら、思い切ってやる以外はないでしょう。♠あらかじめ申し込まれた方以外は、参加できません。 **いがい**(遺骸)○死んだ人の体。遺体。なきがら。[文例]〈遺骸が横たわる〉災害の現場には、多くの遺骸が累々[るいるい]と横たわっていた。♠●へ遭難者[そうなんしゃ]の遺骸>遭難者の遺骸は、仲間たちの手でだびに付された。 **いかが**(如何)○どんなふう。どのよう。どう。[文例]ご機嫌[きげん]いかが〉こんにちは、ご機嫌いかがですか。♠●へいかが致す〉今夜のお食事は、いかが致しましょうか。♠●へ〜はいかが〉みなさん、この辺で一息いれて、熱いお茶でもいかがですか?♠へいかがなものか〉発起人[ほつきにん]である彼をさしおいて決めてしまうのは、いかがなものでしょうか。♠●へいかがかと思う〉あまり出すぎるのもいかがかと思い、わたしは黙[いた]っておりました。 **いかく**【威嚇】○おどすこと。脅迫すること。[文例]〈威嚇する〉ワシは、岩の上から威嚇するように、あたりを見おろした。♠●〈人を威嚇する〉あの子は、すぐこぶしをふり上げて、他の子供たちを威嚇する悪いくせがある。♠◆<威嚇射撃[しゃげさ]>警官は、犯人に向かって、威嚇射撃をした。♠へ威嚇的な態度〉大国の威嚇的な態度に、小国はおびえて、自由に発言することもできない。 **いかさま**(如何様)○ごまかし。いんちき。ぺてん。なるほど。いかにも。「[文例]へいかさまをする〉気づかれずにどういかさまをするかがばくち打ちの腕といわれた。♠へいかさまとばく〉町内の人たちを集めていかさまとばくをやっていった男が摘発[てきはつ]された。 **いか・す**【生かす】(活かす)○生き返らせる。生きた状態にしておく。有効に使う。活用する。[文例]〈枯れた花を生かす〉花瓶[かびん]の花が枯れかけているのですが、なんとか生かす方法はないでしょうか。♠●〈死んだ人を生かす〉いくら嘆[なげ]き悲しんでも、死んだ人を生かすことはできません。♠●〈魚を生かす〉川で取ってきたメダカを、しばらくの間水槽[すいそう]に入れて生かしておきました。♠●〈生かすも殺すも〉人質[ひとじち]はおまえに預ける。生かすも殺すもおまえの自由だ。♠●〈生かしておく〉われわれの秘密を知られたからには、やつをこのまま生かしてはおけぬ。♠●〈金を生かして使う〉自分で働いて得た金だから、無駄[むだ]にしないで生かして使いたい。♠●へ時間を生かす〉一日二十四時間しかない時間を、生かすかどうかで大きな差が出てきます。♠●〈長所を生かす〉アルミニウムは、軽くてさびにくいという長所を生かして、航空機などの材料に用いられます。♠●へ特色を生かす〉詩を朗読するときには、詩の特色であるリズムを生かしましょう。♠●〈個性を生かす〉ふだんから流行に惑[まど]わされず、自分の個性を生かした服装[ふくそう]を心がけたいものだ。♠●へ知識を生かす〉出来れば、これまでに大学で学んだ知識を生かして、教師になりたいと思います。♠●へ経験を生かす〉おばは、保母としての経験を生かして、子供会の世話をしている。♠ヘチャンスを生かす>外国で暮らすなんてめったにあることじゃない。せっかくのチャンスを生かさなければ・・・・・・。♠●〈役を生かす〉劇でそれぞれの役を生かすには、自分がその役になりきる必要があります。 **いかだ**(筏) ○丸太や竹などを並べてつなぎ、水に浮かせた物。文興へいかだを組む>彼らは漂着[ひようちゃく]した無人島から脱出するために、木を集めていかだを組んだ。♠●へいかだに組む〉切り出した材木はここでいかだに組まれ、川を下っていったもの **いがた**【鋳型】○鋳物を作るために、金属をとかして流し込む型。[文例]<銅鐸[どうたく]の鋳型>河内[かわち]地方の弥生[やよい]時代の遺跡[いせき]からは、銅鐸の鋳型が発見された。♠●へ鋳型にはめる〉鋳型にはめた人間をこしらえるのではなく、それぞれの個性を伸ばすのが本来の教育だ。 **いかつ・い**(厳い) ○丸みや柔らかみがない。ごつごつしている。いかめしい。[文興]〈いかつい肩〉頭を刈りあげた若者は、岩のようにいかつい肩をもっていた。♠へいかついまゆ>署長はいかついまゆを上げて、警官たちに訓示を述べた。 **いかに**(如何に)○どんなふうに。どのように。どれほど。さて、主人公の運命やいかに。続きは来週のお楽しみ。♠◆いかに熱弁をふるっても、彼についてくる者は一人もいなかった。♠◆いかに修業を積んだ人とはいえ、この誘惑にうちかつのは、容易ではなかっただろう。♠外に出たとたんまつ毛が凍[こお]るというのだから、いかに寒いかがわかるだろう。♠自分たちの職業を選ぶためにも、職業とは何か、またそれを通していかに生きるかを考える。 **いかにも**(如何にも)○どう見ても。見るからに。まことに。なるほど。確かに。[文例]〈いかにも〜らしい〉城を取り囲む堀の落ち着いた風情が、いかにも城下町らしい。「結婚おめでとう。」と言うと、彼はいかにもうれしそうに頭をかいた。♠◆ここまで登ってきながら引き返すとは、いかにも残念だ。♠●彼は、とくとくとして、いかにも本当らしいうそをつく。♠●さよう、いかにも拙者[せつしゃ]が近藤勇[こんどういさみ]だ。 **いがみあ・う**【いがみ合う】(啀み合う)○敵対する。互いに争う。[文例]〈細かいことでいがみあう〉重要な点で一致[いっち]したのなら、細かいことではいがみあうな。♠●へいがみあって暮らす〉いがみあいながらいっしょに暮らすくらいなら、別れたほうがずっとよいのに。♠◆味方どうしでいがみあうのは、敵をますます有利にするだけだ。♠わずかのお金のことでいがみあうなんて、恥ずかしいことだ。 **いかめし・い**(厳しい)○おごそかで、ものものしい。威圧するようだ。[文例]〈いかめしく警固する〉用心棒がかがり火をたいて、いかめしく庭を警固している。♠●へいかめしい門構え〉ようやく探し当てた家は、いかめしい門構えの、古い洋館でした。♠●へいかめしい感じ〉祖父の手紙は、漢語が多く、いかめしい感じの文章だった。 <48> **いかり**(錨・碇) ○水中に沈めて、船を留めるための鉄製のおもり。[文例]へいかりを下ろす〉港には、大きな外国船がいかりを下ろしていた。♠●へいかりを上げる〉船はいかりを上げて、次の寄港地であるマルセイユに向けて出航した。 **いかり**【怒り】○激しく腹を立てること。いきどおり。[文例]〈戦争への怒り〉戦争を体験した人は、その悲しみや怒りを、次の世代に伝えていかなければならない。♠●く怒りを買う〉「できません。」ときっぱり断った彼の言葉が、先輩たちの怒りを買った。♠●へ怒りをぶつける〉話し合いを前提にしないで、いきなり怒りをぶつけても、問題の解決にはならない。♠●〈怒りがこみあげる〉〈怒りをおさえる>親友の裏切りを知ったときは、こみあげてくる怒りをおさえることができなかった。♠●へ怒りが解ける〉おじの説得で、わたしに対する父の怒りもようやく解けた。♠●〈怒りにふるえる〉ひき逃げ事故を目のあたりにした人々は、怒りにふるえていた。♠〈満腔[まんこう]の怒り>住民たちは、廃液を流し続けた工場に満腔の怒りをもって抗議した。♠●く怒り心頭[しんとう]に発する〉隣家[りんか]からの連夜の騒音[そうおん]に、ついに怒り心頭に発した。 **いか・る**【怒る】○激しく腹を立てる。いきどおる。かくばる。[文例]〈烈火のごとく怒る〉いつもは温厚な父も、この時ばかりは烈火のごとく怒った。♠●へ肩が怒る〉わたしは肩が怒っているので、和服があまり似合わないのです。♠●へ怒り狂[くる]う〉あらしの襲来[しゆうらい]で、一日中大波が怒り狂い吠えたてていた。 **いか・れる**○してやられる。正常でなくなる。だめになる。心を奪われる。[文例]〈物がいかれる〉買って十年もたつと、自転車もだいぶいかれてくるね。♠●人頭がいかれる〉なんだ、あの変な格好は。あいつ、いかれてるんじゃないか。♠〈若い娘にいかれる〉いい年をして若い娘にいかれちゃって、みっともないよ。 **いかん**【遺憾】○残念な気持ち。もうしわけない気持ち。気の毒に思う気持ち。[文例]〈遺憾の意〉政府は、今回の米国の制裁措置[そち]に対して遺憾の意を表明しました。♠●へ遺憾ながら〉交渉[こうしよう]は、遺憾ながら決裂[けつれつ]した。♠●〈遺憾なく>練習中にけがをするなどの事故があったが、本番では、実力を遺憾なく発揮できた。 **いき**【息】○呼吸すること。また、その時の空気。互いの調子。命。生気。勢い。[文例]〈息を吸う・吐[は]く〉わたしたちはふだん、何気なく息を吸ったり吐いたりしています。♠●へ吐く息>零下[れいか]五十度の寒さの中では、吐く息さえたちまち凍りついてしまう。♠へ息をする>朝、庭に出て大きく息をすると、眠気[ねむけ]も吹き飛んでしまいます。♠●へ息を弾ませる〉太郎はわたしの姿を見ると、息を弾ませながら駆けてきた。♠●へ息をつく「一体どうしたものかねえ・・・・・・」と言いながら、母は困り切ったように大きく息をついた。♠くほっと息をつく〉午前中の家事を終えて、ほっと息をつく間もなく玄関[げんかん]のベルが鳴った。♠●へ息をつぐところで、加代のことだけど………………」と言って、母はそこで言葉を切って息をついだ。♠〈息が切れる・息を切らす〉年のせいか、階段を六階まで上がると息が切れます。♠●〈息も絶え絶え〉城に駆けこんだ伝令は、息も絶え絶えに敵陣[てきじん]の様子を報告した。♠●へ息を殺[ころ]す〉彼は、見張りが通り過ぎるのを、茂みの陰[かげ]でじっと息を殺して待った。♠●へ息を詰める〉ぼくたちは、二人の激[はげ]しいやり取りを息を詰めて見守っていた。♠●へ息が詰まる〉万事にかたくるしいおじの前に出ると、息が詰まった。♠●〈息を凝[こ]らす〉一点を争う好ゲームに、観客は手に汗[あせ]を握[にぎ]り、息を凝らして見守っていた。♠●〈息をのむ〉思いがけないドラマの結末に、観客はアッと息をのんだ。♠●へ息をのむ思い〉わずか三日間の、母の激しい衰弱[すいじゃく]ぶりに、わたしは息をのむ思いだった。♠●へ息がある〉穴に落ちて気を失ったが、「息がある、まだ生きてるぞ。」という友達の声で気がついた。♠●へ息が通[かよ]う〉夜になると、人形は息が通ったようにかすかに動くという。♠●へ息をひきとる〉入院中の父は、昨夜家族にみとられながら、静かに息をひきとりました。♠●へ息が絶える「父危篤[とく]」の知らせに病院に駆けつけたが、すでに父の息は絶えていた。♠●へ息を吹き返す〉人工呼吸をしているうちに、やがて少年は息を吹き返した。♠荒い息>男は髪をふり乱し、まるで峠[とうげ]をいくつも越[お]えてきたかのように、荒い息をしていた。♠く苦しい息の下から〉父は苦しい息の下から、「母さんを頼[たの]む。」と、何度もぼくに念を押した。♠へ息が続く>不景気の中をなんとかがんばった商売も、そうは長く息が続かなかった。♠●〈息を抜く〉相手は小学生といっても大勢だから、息を抜くことなどできない。♠●へ息が合う〉さすがベテランのコンビだ。♠息がぴったり合っているね。♠へ息が長い〉今度の工事は、少なくとも五年以上はかかる息の長い仕事であった。♠●〈息のかかった>集まったのはみんな、サブの息のかかった、言ってみれば子分みたいな連中ばかりだった。♠●へ息の根を止める〉構造的な不況のうえに、今回の円高は鉄鋼業界の息の根を止めたも同然だった。 **いき**【域】○限られた土地・場所。限られた範囲。[文例]〈名人の域>余技で始めた彼のうどん作りの腕も、最近は名人の域に達したようだね。♠●〈完成の域>萩原朔太郎[はぎわらさくたろ]と高村光太郎[たかむらこいたろう]は、近代詩を完成の域に高めた詩人といえる。 **いき**(粋)○あかぬけしていて、気がきいているさま。花柳界に通じていること。又例〈粋な柄[がら]〉あら、ちょいと、このゆかた粋な柄だねえ。♠●〈粋なはからい〉国境を越えたこの恋は、両国政府の粋なはからいによって成就[じようじゆ]したのである。♠●〈粋筋〉こちらは粋筋のお方だから、そんな野暮[やば]なことはおっしゃいませんよ。 **いき**【生き】○生きること。生きていること。生き生きしていること。又例〈生きがいい〉えびの生きのいいのを、十五尾ほど届けてもらおうか。♠◆この石は、後手[ごて]でもう一眼[いちがん]で生きるから生きだ。 **いき**【行き】(往き)○行くこと。行く時。行く道。ゆき。→帰り[文例]〈行きも帰りも〉飛行機は怖いので、行きも帰りも新幹線にしました。♠●〈東京行き>夜十時を過ぎると、東京行きの直通列車はなくなってしまいます。 **いき**【意気】○心の持ち方。気性。やる気。例〈意気が揚[あ]がる>チームは調子に乗り、意気も揚がっているので、初優勝 <49> も夢[ゆめ]ではない。♠●〈意気揚[あ]がる>遠洋航海に出かける船団には、意気揚がる若者たちがあふれていた。♠●へ意気に感じる〉わたしは、ひたむきな彼の意気に感じて、仕事を手伝うことになった。♠◆ぼくが、「絶対に合格してみせるぞ。」と言うと、母は「その意気、その意気。」と、励ましてくれた。♠●〈意気揚々>勝った力士は、意気揚々と、花道を引きあげてくる。♠◆<意気軒昂[けんこう]>昇段したばかりの彼は意気軒昂で、選手権をねらう気迫さえ感じられた。♠◆<意気消沈[しょうちん]>妹は、かわいがっていた子犬がいなくなり、すっかり意気消沈してしまった。♠◆く意気投合>たまたま、隣[となり]どうしに座[すわ]ったA君とはすぐに意気投合して、いっしょに帰った。 **いき**【遺棄】○捨てて置くこと。置き去りにすること。[文例]<遺棄する>住民が避難[ひなん]する時に遺棄していった道具類が雨に打たれていた。♠◆<死体遺棄〉犯人は、強盗[ごうとう]殺人、死体遺棄の罪で逮捕[たいほ]された。 **いぎ**【意義】○言葉や物事の意味。物事の価値。[文例]〈人生の意義〉困難にぶつかって、初めて人生の意義を考えるようになった。♠●へ意義がある〉練習というのは、うまずたゆまず続けていくところに意義がある。♠●〈意義を失う>鉄道の開通により、峠道[とうげみち]は急速にその経済的な意義を失うことになった。♠●へ意義あらしめる〉事業の成功が彼の努力をいっそう意義あらしめるものにした。 **いぎ**【異議】◯ちがった意見。[文例]〈異議あり>彼が発言したとたん、議場のあちこちから、異議ありの声がとんだ。♠●〈異議を申し立てる〉審判[しんばん]の判定に、後日[ごじつ]球団として異議を申し立てることになった。♠●へ異議をさしはさむ〉異議をさしはさむ余裕[上ゆう]すらなく、多数に押し切られてしまった。♠●〈異議を唱える>軍の方針に異議を唱える者は、みな片端[かたはし]からとらえられていった。 **いぎ**【異義】◯ちがった意味。[文例]〈同音異義語〉漢語の中には、「意志」と「意思」、「異常」と「異状」、「機具」と「器具」、「食糧」と「食料」、「野生」と「野性」のように使い分けの難しい同音異義語も多い。 **いぎ**【威儀】○礼儀にかなった、いかめしく、おもおもしい動作や態度。[文例]〈威儀を正す〉法服に威儀を正した裁判官たちが入廷[にゆうてい]すると、開廷[かいてい]の合図が場内に響きわたった。♠〈威儀をつくろう〉使節は、緊張[きんちよう]し威儀をつくろって、王の前に進み出た。 **いきいき**【生き生き】(活き活き)○生気にあふれているさま。活気のあるさま。[文例]〈生き生きとする>草木が露[つゆ]にぬれて、生き生きとしている朝を高原で迎えた。♠●〈生き生きと輝[かがや]く〉縁日[えんにち]の金魚すくいに集まった子供たちの目は、生き生きと輝いていた。♠●〈生き生きした表情>彼女の生き生きした表情や、きびきびした動作が、じつにさわやかに感じられた。♠●〈生き生きとしたことば〉民話のなかでは、方言が生き生きとした言葉として効果をあげている。♠●〈生き生きと書く〉彼の作文は、ふだんの生活を、飾らない文章で生き生きと書いている。 **いきうつし**【生き写し】○(親などに)たいへんよく似ていること。[文例]〈親に生き写し〉娘は、死んだ母親に生き写しで、事情を知る周囲の人々にかわいがられて成長した。 **いきうま**【生き馬】○生きている馬。[文例]〈生き馬の目を抜く>当時この町は、生き馬の目を抜くといわれる油断のならない商業の町だった。 **いきおい**【勢い】○人や物事の動きにあらわれる力。他を圧倒する力。当然のなりゆきとして。ことのはずみで。[文例]〈日の出の勢い〉あの会社は、いまや日の出の勢いで発展し続けている。♠●〈時の勢い〉彼ほどの政治家も、時の勢いには逆らえなかった。♠●へ破竹[はちく]の勢い〉わがチームは、破竹の勢いで、快進撃[かいしんげき]を続けていた。♠●へ酒の勢い>酒の勢いで上司を非難し、翌日つらい思いをしました。♠●〈勢いを増す〉濁流[だくりゆう]は、勢いを増して、ついに下流の民家を押し流していった。♠●へ勢いに乗る>志望校に受かったぼくは、勢いに乗ってだめでもともとと思って受けた大学まで合格してしまった。♠へ勢いがおとろえる〉猛火[もうか]の勢いも、必死の消火活動によって、ようやくおとろえてきた。♠●へ勢い余[あ]る>横綱[よこづな]は、勢い余って、土俵の外へ飛び出した。♠◆く勢いよく〉水道の栓[せん]をひねると、水は勢いよくほとばしり出た。♠●冬になると暖房[だんぼう]を用いるので、いきおい、火災も多くなる。 **いきがい**【生きがい】(生き甲斐)○生きる価値。生きる張り合い。[文例]〈生きがいを感じる〉看護婦として一番生きがいを感じるのは、患者さんが元気になって退院していく時です。♠◆へ人の生きがい〉この子を立派に育てるのが、わたしの生きがいです。♠●〈生きがいがない〉わたしからこの仕事を取り上げられたら、もうなんの生きがいもなくなってしまう。 **いきか・う**【行き交う】→ゆきか・う **いきがけ**【行き掛け】↓ゆきがけ **いきき**【行き来】ゆきき **いきぎれ**【息切れ】○呼吸が苦しくなって、あえぐこと。途中で続ける力がなくなること。[文例]〈息切れがする>坂道を丘の上まで登ると、耕介[こうすけ]のような若者でも息切れがするのだった。♠へ息切れする〉途中で息切れしないように力の配分を考えなさい。 **いきぐるし・い**【息苦しい】○呼吸が苦しい。息がつまるような感じで重苦しい。[文例]彼女と向かい合っていると、わたしはなぜか息苦しくなって何も言えなくなるのだ。♠●〈息苦しい雰囲気[ふんいさ]>人々の緊張も極限に達して、隠れ家の中は息苦しい雰囲気に包まれていた。 **いきご・む**【意気込む】○大いにやる気を出す。はりきる。勢い込む。[文例]対戦相手が前回の優勝チームと聞いて、われわれは大いに意気込んだ。♠●わたしは、秋の公募展[こうばてん]に今度こそ入選するのだと意気込んで、制作にとりかかった。 **いきさつ**(経緯)○物事のなりゆきや、経過や事情。[文例]〈細かいいきさつ>細かいいきさつは省略しますが、重要なのは、今、会社が危ないということなのです。♠●へ事件のいきさつ>事件のいきさつを、わかりやすく説明してください。♠●へいきさつを話す〉わたしがこの仕事をするようになったいきさつは、話せば長いことなんだ。 <50> **いきしに**【生き死に】○生きること、死ぬこと。生きるか死ぬか。[文例]〈人間の生き死に〉一人の人間の生き死ににかかわる問題を軽々しくあつかってはいけない。♠〈生き死にの境[さかい]>兵士としてわたしは、何べんも生き死にの境をさまよってきた。 **いきすぎ**【行き過ぎ】♪ゆきすぎ **いぎたな・い**(寝汚い)○眠りをむさぼるさま。ねぼうだ。[文例]へいぎたなく眠る〉男は、布団をけとばし、いぎたなく眠りこけていた。♠◆へいぎたない眠り>兵士たちは、昼間の行軍に疲れ、いぎたない眠りをむさぼっていた。 **いきちがい**【行き違い】♪ゆきちがい **いきづかい**【息遣い】○呼吸のしかた、音や調子。「[文例]山本君の靴音が近づき、ついにその息遣いがわたしの耳元まで迫ってきた。♠●へ息遣いが荒い・激しい〉相当長い距離を走ったのであろう。電車に飛び乗った人の息遣いは荒[あら]く激[はげ]しかった。♠作者の息遣い〉一気に核心[かくしん]に迫[せま]る文章からは、作者の息遣いが伝わってくるようだ。 **いきつ・く**【行き着く】↓ゆきつ・く **いきづ・く**【息づく】(息衝く)○あえぐ。長い息をする。呼吸する。生息する。生きる。[文例]〈鳥獣[けもの]が息づく〉この一帯の湿地[しっち]に息づく鳥や獣たちを守っていきたい。♠●〈人情が息づく〉下町の路地には、古くから続く人々の人情が息づいている。♠●ヘ火山が息づく〉時折噴き上がる白い煙は、火山が息づいていることのしるしであった。 **いきづま・る**【行き詰まる】♪ゆきづま・る **いきとうごう**【意気投合】○互いの気持ちがぴったり合うこと。[文例]〈意気投合する〉初対面にもかかわらず、われわれはすっかり意気投合して一晩中飲み明かした。 **いきどお・る**【憤る】○いかる。憤慨する。[文例]国民の間に与党の横暴[おうぼう]と野党の無策を憤る声が高い。♠◆この子も、親の余計な口出しを憤るまでに成長していたのか。 **いきとど・く**【行き届く】♪ゆきとど・く **いきどまり**【行き止まり】♪ゆきどまり **いきなり**○だしぬけに。とつぜん。[文例]小さな子供が、いきなり道路に飛び出してきた。♠●彼は、議論しているうち、いきなり相手をなぐりつけてしまった。♠あらかじめ、相手の都合もきかずに、いきなり訪問するのは失礼だ。♠外国人にいきなり道を聞かれて、閉口してしまった。 **いきぬき**【息抜き】○途中で休み、くつろぐこと。中休み。休憩。休息。換気のための穴・窓。[文例]〈勉強の息抜き〉ぼくにとって、受験勉強の息抜きに深夜放送は欠かせない。♠〈息抜きに~する〉疲れたね。ここらで一つ息抜きに、熱いコーヒーでもいれようか。♠●〈息抜きをする〉月末に納品する仕事に追われて、息抜きをする暇[ひま]もない。 **いきのね**【息の根】♪いき **いきもの**【生き物】○生きているもの。生物。動物。生きているように感じられるもの。[文例]〈弱い生き物〉人間は弱い生き物だが、考える能力をもっています。♠●へ気味の悪い生き物>見るからに気味の悪い生き物なので、トカゲには関心がなかった。♠●へ生き物をいじめる〉生き物をいじめると、罰[ばち]があたるぞ。♠●〈言葉は生き物〉言葉は生き物であるから、当然時代とともに変化していく。 **いきょう**【異郷】○故郷を離れた土地。他郷。他国。異国。[文例]〈異郷での生活>異郷での生活は、決して楽ではなかった。♠●へ異郷にある〉異郷にあって、思いはいつも懐[なつ]かしいふるさとへ飛んだ。 **いきょう**【異境】○生まれ育った土地と異なる場所。異国。[文例]〈異境に住む〉アジアの異境に住む人々の生活は、ヨーロッパ人には何もかもめずらしく、興味深かった。 **いきょう**【偉業】○すぐれた仕事。偉大な業績。[文例])〈偉業を成しとげる〉リンドバーグは、単身大西洋横断無着陸飛行という偉業を成しとげたアメリカの軍人である。♠●へ偉業達成〉いつの世にも偉業達成の陰には、無数の無名の人々の努力があったことを忘れてはならない。 **いきょく**【委曲】○細かく、くわしいこと。[文例]〈委曲を尽くす〉なんとかわかってもらおうと、委曲を尽くして説明したがむだだった。 **いきりた・つ**【いきり立つ】○怒りで興奮する。興奮していきまく。[文例]〈獣[けもの]がいきりたつ〉猟犬[りょうけん]にほえたてられたクマは、ますますいきりたった。♠●〈人がいきりたつ〉少年は、自分の正義感を非難され、いきりたって反ばくした。♠●へいきりたった観衆>横綱[よこづな]の連敗にいきりたった観衆が、土俵めがけて、座ぶとんを投げはじめた。 **い・きる**【生きる】(活きる)○生命をもつ。生存する。生活する。生気がある。働きや力を発揮する。[文例]〈生物が生きる〉ぼくたちと同じように、草や花や木や、虫や鳥たちも生きているんだ。♠●〈生きるために>財産といっては何もな生きるためには働かなければならなかった。♠へ家族が生きる>猫の額[ねこひたい]ほどの畑では、五人家族が生きていくにはどうにもならない。♠●〈人生を生きる〉わたしたち一人一人が、かけがえのない自分の人生を生きているのだ。♠●へ命を生きる>兄は病気と闘[たたか]いながら、限られた命を精いっぱい生きていた。♠●〈未来に生きる〉未来に生きる子供たちのためにも、この豊かな自然と緑を守り育てていかなければなりません。♠●〈現代に生きる〉江戸時代の旅は、現代に生きるわたしたちには想像もつかないほど大変なものだったようです。♠●〈大地に生きるこれらの穀物[こくもつ]は、大地に生きる農民たちの血と汗[あせ]の結晶[けつしょう]であった。♠●〈社会に生きる〉社会に生きるわたしたち人間は、いつの世にも、その時代とともに生きてきた。♠●へたくましく生きる〉これは、戦中、戦後をたくましく生きた一人の女性の物語である。♠へ武士が生きた時代>中学生のころから、武士の生きた時代とその生き方について興味を持っていました。♠●へ空想の世界に生きる〉いつも何かを夢[ゆめ]見ている彼は、空想の世界に生きている」 <51> と言ってよいだろう。♠**<真実に生きる>** この世で真実に生きることはすばらしいが、それは決して楽[らく]な生き方とは言えない。♠**<生きる力>** どんな荒[あ]れ果[は]てた土地でも根[ね]を張[は]る、この植物の生きる力はすばらしい。♠**<生きる希望>** 彼はどんな時でも、生きる希望を失わなかった。♠**<生きる道>** 好きな音楽で身を立てていくほかに、わたしの生きる道はありません。♠**<人間らしく生きる>** この世に人として生まれたからには、だれでも人間らしく生きる責任がある。♠**<文章が生きる>** 無駄[むだ]な言葉を省[はぶ]いて、もっとやさしく言い換えれば、この文章も生きてきます。♠**<碁[ご]の石が生きる>** さすがに碁の先生だけあって、どこに打ちこめば石が生きるか、一瞬[いっしゅん]に見抜いていた。♠**<生きた言葉>** わたしたちはふだん、その場にふさわしい、生きた言葉の使い方をしているでしょうか。♠**<心の中に生きる>** 亡[な]き師[し]の教[おし]えは、今でも、わたしたちの心の中に生きています。♠**<迷信が生きる>** 科学万能の現代においても、まだまだ古[ふる]い迷信は生きています。♠**<ことわざが生きる>** ことわざは、だれが言い出したともなく口[くち]から口へ伝わって、今もわたしたちの暮[く]らしの中に生きている。♠**<味が生きる>** ちょっとした塩加減[しおかげん]で、料理の味が生きてくることがあります。♠**<生きるか死ぬか>** 漁師[りょうし]にとってみれば、海が汚[よご]れるということは、生きるか死ぬかの大問題である。♠**<生きた心地[ここち]がない>** いつまた、二度目[にどめ]の爆発[ばくはつ]が起[お]こるかと思うと、一晩[ひとばん]中[じゅう]生きた心地がなかった。♠**<一塁[いちるい]に生きる>** サード前[まえ]のゆるい当[あ]たりがかえって幸運[こううん]で、なんとか一塁に生きることができた。 **いきれ(熱れ)** ○むっとするような熱気。[文例]**<人いきれ>** 会場に押しかけた人々の人いきれが公園全体をつつんでいた。♠**<草いきれ>** 草むらに足を入れると、むっとするような草いきれに頭がぼうっとなっていった。 **いきわた・る【行き渡る】** ‣ゆきわたる **いく【行く】(往く)** ○進む。出かける。通う。通過する。過ぎる。達する。進行する。ゆく。[文例]**<駅へ迎[むか]えに行く>** 田舎[いなか]から出てくるおじいさんを迎えに、上野[うえの]の駅へ行くところです。♠**<動物園へ行く>** 弟たちは、あした遠足で動物園へ行きます。♠**<病院へ行く>** おなかがひどく痛[いた]み出したので、しかたなく病院へ行った。♠**<~から〜まで行く>** 東京から大阪まで行くのには、新幹線で三時間かかります。♠**<学校に行く>** 弟とぼくは、毎朝[まいあさ]剣道[けんどう]の素振[すぶ]りをしてから学校に行きます。♠**<散歩に行く>** 天気がいいから、子供たちを連[つ]れて多摩川[たまがわ]辺りに散歩にでも行くか。♠**<大学へ行く>** 出来[でき]れば、大学へ行って、好きな哲学[てつがく]の勉強をしたいと思[おも]います。♠**<嫁[よめ]に行く>** これで、姉[あね]さんが嫁に行ってしまうと、ちょっと寂[さび]しくなるね。♠**<戦場[せんじょう]に行く>** 息子[むすこ]は足[あし]が不自由[ふじゆう]だったために、戦場に行かずにすんだのです。♠◇春が行く>吹[ふ]く風[かぜ]は初夏[しょか]の香[かおり]を漂[ただよ]わせ、今年[ことし]の春も、はや行こうとしています。♠**<行く年来る年>** 除夜[じよや]の鐘[かね]を聞きながら、人々は行く年来る年に思いをはせます。♠**<年がいかない>** 娘[むすめ]たちの中で、いちばん年のいかないマリーが、最も勇敢[ゆうかん]で元気[げんき]があった。♠**<道を行く>** 人の一生は、重荷[おもに]を背負[せお]って遠い道を行くようなものだ。♠**<ヨットが行く>** 青[あお]い静[しず]かな海を、さわやかな風を受けて真っ白[まっしろ]いヨットが行きます。♠**<連絡が行く>** 田中さんから、明日三時に集まるという連絡が行きましたか。♠**<話が行く>** 彼には、もう昨日[きのう]のうちからこの話が行っているはずです。♠**<はかが行く>** ゆうべのうちからだんどりをつけておいたので、今日はずいぶん仕事のはかが行った。♠**<うまくいく>** お母さん、ぼくのほうは万事[ばんじ]うまくいっていますので、安心してください。♠**<思い通りにいく>** 物事は、なかなか自分の思い通りにはいかないもので、時には、失敗することもあります。♠**<満足がいく>** そんなにいやなら、きみの満足がいくように、好きにやりたまえ。♠**<納得がいく>** ぼくの言うことが信じられなければ、納得がいくまできみ自身の目で確[たし]かめてこいよ。♠**<簡単にいく>** 十倍の競争率[きょうそうりつ]は難関[なんかん]だったが、一次試験は思ったより簡単[かんたん]にいった。♠**<合点[がてん]がいかない>** 窓[まど]を割[わ]ったのはぼくではないのに、なぜぼくがしかられなければならないのか、合点がいかなかった。♠**<しっくりいかない>** 両親の仲[なか]はしっくりいかず、家庭は、けっして平和ではありませんでした。♠**<そうはいかない>** ぼくに黙[だま]って、みんなで映画を見に行こうったって、そうはいかないぞ。♠**<一筋縄[ひとすじなわ]ではいかない>** まったくあいつらときたら、一筋縄ではいかない連中[れんちゅう]ばかりだ。♠**<〜するわけにはいかない>** 一度やり始めた以上、途中[とちゅう]でやめるというわけにもいかなかった。♠**<〜といこう>** 今夜[こんや]は久しぶりに、みんなですき焼[や]きパーティーといこうか。♠**<〜していく>** しかけられた時限爆弾[じげんばくだん]が発見されないまま、時[とき]は刻々[こくこく]と過[す]ぎていった。♠ゆく秋[あき]の大和[やまと]の国[くに]の薬師寺[やくしじ]の塔[とう]の上[うえ]なる一[ひと]ひらの雲[くも](佐佐木信綱[ささきのぶつな]) **いくさき【行く先】** →ゆくさき **いくじ【意気地】** ○気力。意地。いきじ。[文例]**<意気地がない>** なんだい、なりばかり大きくて、からっきし意気地のないやつだなあ。♠**<意気地なし>** 弱虫[よわむし]、意気地なし、と言われたくないばかりに、ぼくは木から飛[と]び下[お]りたのだ。 **いくた【幾多】** ○数が多いこと。たくさん。あまた。[文例]**<幾多の試練>** 少年は、幾多の試練にたえて、たくましく成長していった。♠**<幾多の困難>** 開拓民[かいたくみん]たちは、幾多の困難をのりこえて、荒[あ]れ地[ち]を豊[ゆた]かな緑[みどり]に変えていった。 **いくせい【育成】** ○育てあげること。育てて成熟させること。[文例]**<後進の育成>** 彼は、現役を引退したあと監督[かんとく]に就任[しゅうにん]し、後進の育成に力[ちから]を注[そそ]いだ。♠**<作物の育成>** 農業試験場では、病虫害[びょうちゅうがい]や寒[さむ]さに強[つよ]い品種[ひんしゅ]の育成に力[ちから]を入れている。♠**<育成する>** 有能[ゆうのう]な研究者を育成するためには、この程度の待遇では不十分です。 **いくつ【幾つ】** ○どのくらいの数。どれほど。[文例]ぼうや、今度のお誕生日で幾つになるの? はい、りんごを幾つさしあげましょうか。♠両側[りょうがわ]のみかん畑[ばたけ]に、黄色[きいろ]い実[み]が幾つも日[ひ]を受[う]けている。 **いくて【行く手】** ‣ゆくて **いくどうおん【異口同音】** ○口々[くちぐち]に同[おな]じことを言うこと。[文例]**<異口同音に答える>** ここの生活で何が一番の楽[たの]しみかと尋[たず]ねると、隊員[たいいん]たちは異口同音に食事だと答えた。 <52> **いくばく**(幾許)○どれほど。どれくらい。すこしばかり。いくらか。[文例]〈いくばくもない〉我々に残された時間はいかばくもなかった。♠〈余命[よめい]いくばくもない〉どうか、この余命いくばくもない老いぼれの願いを聞き届けてくださらぬか。♠〈いくばくもなくして〉それからいくばくもなくして、玉のような男子が誕生した。 **いくぶん**【幾分】○いくつかの部分に分けること。また、その部分。少し。いくらか。多少。[文例]三月もいまごろになると、寒さもいくぶんやわらいでくる。♠薬を飲んだので、乗り物酔いも、いくぶんおさまってきた。♠台所から、母のいくぶん怒[おこ]ったような声が聞こえてきた。♠〈いくぶんか〉近ごろは、収入のいくぶんかを、貯蓄[ちよちく]にまわせるようになった。 **いくら**【幾ら】○どれぐらい。どれほど。どんなに。[文例]〈数がいくら〉ダンボールの数はいくらありますか。♠〈値段がいくら〉この卵はいくらですか。♠〈いくらも〉彼女が外国へ旅立ってから、まだいくらも日数がたっていない。♠〈いくらも〉いくらもお金は残っていないから、大事に使いましょう。♠〈いくらでも〉金は欲しいだけいくらでもやるから、早く出て行ってくれ。♠〈いくらでも〉いくらでも結構ですから、ぜひ寄付をお願いします。♠〈いくら~しても〉いくら勉強しても、しすぎるということはない。♠〈いくら何でも〉お客を待たせておいて長電話するとは、いくら何でも失礼でしょう。♠〈いくらか〉英語の点数は、数学よりいくらかましだった。 **いけ**【池】○くぼみに、いつも水のたまっている所(湖・沼[しよう]より小さいもの)。地面を掘って水をためた所。すずりのくぼみの部分。[文例]〈この原野では、川が何本にも枝分かれして、その先が小さな池になっていた。♠〈池を掘る〉小さな子がいるのに、庭に池を掘ったりしたら危ないですよ。 **いけい**(畏敬)○おそれ、敬うこと。[文例]〈畏敬の念〉博士の生涯[しようがい]を貫[つらぬ]いていたものは、生命への畏敬の念であった。♠〈畏敬する〉神を畏敬する心は、人間の力では解決できないことがこの世に存在することの証拠[しようこ]です。 **いけ・る**【生け捕る】○生きたままでつかまえる。[文例]〈獣を生け捕る〉わたしたちは、用心深いカバを生け捕るのに、さんざん知恵をしぼった。♠〈小鳥を生け捕る〉一網打尽[いちもうだじん]に小鳥たちを生け捕ってしまうかすみ網は、特別な場合を除いて使用が禁止されています。 **いけな・い**よくない。望ましくない。だめだ。許されない。[文例]〈いけない子〉いたずらばかりして、いけない子だ。♠風邪をひいたって。それはいけないね。♠祖父の病気は重く、医者からもういけないだろうと言われた。♠〈酒がいけない〉お酒ですか。わたしはちっともいけない口なんです。♠〈~してはいけない〉掃除[そうじ]当番を怠[なま]けてはいけないよ。♠〈~しなければいけない〉体が弱っているのだから、しっかり食べなければいけないと、母にしかられた。 **いけにえ**【生けにえ】(生け贄)○神にささげる供え物としての動物。犠牲になること。また、そのもの。[文例]〈いけにえをささげる〉人々はいけにえをささげ、怒る天の神をなだめようとした。♠〈組織のいけにえ〉罪を一人でかぶって自殺した彼は、組織の中のいけにえであった。 **い・ける**【行ける】○相当にできる。相当によい。行くことができる。[文例]〈いける口〉きみは、酒のほうはなかなかいける口だそうだね。♠〈料理がいける〉一切れ口にほうりこむと、うん、こいつはいけると目を丸くした。 **い・ける**【生ける】(活ける)○植物を花器[かき]に差す。植物を植える。[文例]〈花を生ける〉折ってきた野の花の一輪を瓶[びん]に生けておいた。♠〈鉢[はち]にいける〉シクラメンを鉢にいけました。 **い・ける**(埋ける)○土などに埋める。[文例]〈炭[すみ]をいける〉火鉢[ひばち]にいけてあった炭をおこすと、再び真っ赤に光を発しだした。♠〈死骸[しがい]をいける〉死んだ犬の死骸は、畑の隅[すみ]の土を掘っていけてやった。 **いけん**【意見】○物事に対する考え・見解。人をいさめて言う言葉。説教。[文例]〈意見を述べる〉堂々と、自分の意見を述べる彼の態度は好感がもてる。♠〈意見が分かれる〉討論会では、いくつもに意見が分かれる場合が多々ある。♠〈意見をまとめる〉出された意見をまとめるのも、議長の仕事の一つだ。♠〈意見が対立する〉A君とK君は、文化祭の出し物について、意見が対立している。♠〈意見に従う〉すぐ、仲直りしたほうがよいという彼の意見に従って、B君のところへ謝[あやま]りに行った。♠〈意見を言う〉きみの最近の行動については、ちょっと意見を言いたい。♠〈意見する〉父は、いたずらが過ぎる弟に意見(を)している。♠〈少数意見〉少数意見についても、十分耳を傾[かたむ]けることが大切だ。♠〈多数意見〉多数意見だからといってうのみにせず、よく判断する必要がある。 **いけん**【異見】○他と異なる意見・見解。[文例]〈異見を述べる〉ただ今の発表に対して、少々異見を述べさせていただきます。♠〈異見を持つ〉今の世間の風潮は学力一本やりだが、わたしはそれに対し異見を持っているのです。 **いげん**【威厳】○おごそかで、いかめしいこと。重々しく立派なこと。[文例]〈威厳がある〉亡くなった祖父の顔には、明治の軍人らしい威厳があった。♠〈威厳を備える〉新しい社長は、人の上に立つほどの威厳を備えているようには見えない。♠〈威厳を保つ〉人間としての威厳は、死ぬまで保つようにしたいものだ。♠〈威厳にかかわる〉生徒との約束[やくそく]を破ることは、教師の威厳にかかわることだった。♠〈威厳を示す〉子供には、父親の威厳を示しつつ接していく必要がある。♠〈威厳にあふれる〉裁判長の静かだが威厳にあふれた声が法廷[ほうてい]に響[ひび]いた。 **いご**【以後】○それよりあと。そののち。今後。[文例]明治時代以後は、各国の文化が急激[きゆうげき]に我が国に流入し、それに伴[ともな]って外来語も増加した。♠以後気をつけますので、どうか今回だけはお許しください。 **いこい**【憩い】○くつろぐこと。くつろぎ。休憩。→憩う[文例]〈憩いのひととき〉友人[とも]と一緒に、木陰[こかげ]で憩いのひとときを過ごした。♠〈しばしの憩い〉厳しい仕事の合間のし <53> ばしの憩いに、ふっと心が和[なご]む。●〈憩いの場〉市民の憩いの場として、スポーツセンターが建設された。 **いこう**【意向】○気持ちのおもむくところ。考え。おもわく。[文例]〈意向を確かめる〉わたしは今度の合宿については、もう一度生徒たちの意向を確かめたい。♠〈意向を尋ねる〉この件について先方の意向を尋ねてきてほしい。♠〈意向を伝える〉あなたが今度の計画に参加したいという意向は、責任者に伝えておきました。♠〈意向に沿う〉みなさんの意向に沿うよう努力することを約束[やくそく]いたします。♠〈意向を示す〉社長は、今後の経営に関して、自らの意向を示す発言を一切しなかった。 **いこう**【移行】○移って行くこと。移り行き。[文例]〈移行する〉現代は、言葉によるコミュニケーションから、言葉以外のコミュニケーションに移行している時代だと言われる。♠〈制度の移行〉新制度への移行は、来年の三月までの半年間をかけて行われます。 **いこう**【以降】○それよりのち。以後。[文例]第二次大戦以降、民主主義は日本の中に浸透[しんとう]し定着していった。♠世阿弥[ぜあみ]以降、能は、民衆芸能から芸術へと高められていった。 **いこう**【遺稿】○未発表のまま死後に残された原稿。[文例]〈作家の遺稿〉作家の死後三十年を経て、新たに遺稿が発見され、愛読者の間で話題となった。♠〈遺稿集〉若くして逝[ゆ]った彼の才能を惜[お]しんで、友人たちの手で遺稿集が編[あ]まれた。 **いこう**【威光】○自然に人をおそれさせるような力。[文例]〈代官の威光〉お代官さまのご威光をもちまして、どうか両村の争いをお収[おさ]めください。♠〈親の威光〉代議士である親の威光で、わたしの商売がなりたつというわけです。♠〈威光に従う〉王の権力は絶大で、その威光に従わない者はなかった。 **いこ・う**【憩う】(息う)○くつろぐ。休憩する。[文例]昼の公園には、近くの工場の若い従業員たちの憩う姿があった。 **イコール**○等しいこと。[文例]それまで勝つことしか知らなかった彼にとっては引き分けイコール負けなのであった。♠〈イコールになる〉これでやっと収入と支出がイコールになった。 **いこく**【異国】○外国。他国。[文例]〈異国の風土〉この小説には、異国の風土の中に育つ少年少女たちの姿が印象的に描[えが]かれている。♠〈異国で暮らす〉外国人と結婚して異国で暮らす彼女は、年とともに望郷[ぼうきよう]の念にかられるようになった。♠〈異国情緒[じようちよ]〉そこは、白い洋館の立ち並ぶ、異国情緒あふれる街だった。 **いごこち**【居心地】○その場にいる時の気分や感じ。[文例]〈居心地がよい〉きみのうちは居心地がよくて、来るとつい長居をしてしまうよ。♠〈居心地が悪い〉人々の視線がみなこちらに集まり、わたしはだんだん居心地が悪くなってきた。 **いこじ**【意固地】(依怙地)○意地を張ること。かたいじ。えこじ。[文例]〈いこじになる〉周囲のたくらみを知った彼はすっかりいこじになって、だれとも会わなかった。♠〈いこじな態度〉いこじな態度をくずそうとしない老人の心を開かせたのは、少女の無邪気[むじゃき]さだった。 **いこつ**【遺骨】○死者の骨。おこつ。[文例]〈戦死者の遺骨〉激戦地[げきせんち]となった南の島に眠る戦死者の遺骨を収集し、故国に持ち帰りたい。♠〈遺骨をほうむる〉彼の死後、遺骨は函館[はこだて]山のふもとにほうむられました。♠〈遺骨を納[おさ]める〉両親は、わが子の遺骨を納めた小さな骨箱[こつぱこ]を胸に抱[だ]いて、郷里へ向かった。 **いこん**【遺恨】○うらみ。[文例]〈遺恨を晴らす〉親子二代にわたって浅井家が受けた遺恨を晴らす日がついに来たのだ。♠〈恋の遺恨〉冷たくあしらわれた女に対する恋の遺恨が、十年たった今も男の心にくすぶっていた。♠〈遺恨試合〉多くの反則退場者と多くのけが人を出した試合の再戦とあって、遺恨試合の様相を呈していた。 **いざ**さあ。さて。いよいよ。[文例]〈いざという時〉いざという時に備[そな]えて、あらかじめ防災計画をたてておく。♠〈いざとなると〉簡単なことでもいざとなるとなかなか実行できないものだ。♠〈いざ本番〉練習ではうまくいくのに、いざ本番となると思うように力が出ない。♠〈いざ鎌倉[かまくら]〉いざ鎌倉という時に備えて、日ごろから実力を蓄[たくわ]えておく。 **いさい**【委細】○くわしいこと。こまごましたこと。万事。[文例]〈委細構[かま]わず〉父は、頼[たよ]ってくる者があれば、委細構わず面倒をみてやった。♠〈委細承知〉先方は、こちらの事情は委細承知の上で、引き受けてくださるのですよ。♠〈委細面談〉委細面談の上決定しますので、履歴書[りれきしよ]を持参してください。 **いさい**【異彩】○きわだった様子。普通とは異なったおもむき。[文例]〈異彩を放[はな]つ〉全体にひかえめな具象画の中で、彼の大胆[だいたん]な抽象画はひときわ異彩を放っていた。 **いさかい**(諍い)○言い争い。けんか。[文例]〈いさかいが起こる〉短気なお前が行ったのでは、いさかいが起こるのは目に見えている。♠〈いさかいになる〉その年、田に引く水をめぐって、隣村[となりむら]といさかいになった。♠〈いさかいの種〉いったん仲がこじれた後は、両家の間にはいさかいの種が尽きなかった。 **いさぎよ・い**【潔い】○思い切りがよく、すがすがしい。[文例]〈潔い最期[さいご]〉一の谷[いちのたに]の戦いで、平敦盛[たいらのあつもり]は潔い最期を遂[と]げた。♠〈潔く白状する〉容疑者は、観念したのか潔く白状した。♠〈潔く謝[あやま]る〉自分のまちがいに気づいたら、潔く謝るのが男だぞ。♠〈潔く認める〉弟は、将棋盤[しょうぎばん]をにらんでいたが、ついに潔く負けを認めた。♠〈潔い態度〉指揮官である彼は、いつも潔い態度を崩[くず]さなかった。♠〈潔しとしない〉誇り高いその部族は、他部族から援助[えんじよ]を受けるのを潔しとしなかった。 **いざこざ**○小さな争い。もめごと。ごたごた。[文例]〈いざこざが絶えない〉二人の間では、以前からいざこざが絶えなかったそうだ。♠〈いざこざを収める〉ここはひとつ御隠居[ごいんきよ]さん、二人の中に入って、いざこざを収めてやってくださいよ。 <54> **いささか**(些か・聊か)○すこし。わずか。少々。[文例]彼の気持ちも考えず、いささか言い過ぎたと反省しています。♠わたしが鎌倉[かまくら]を訪[おとず]れたのは、散歩にはいささか季節はずれの二月末でした。♠〈いささかの疑い〉彼に対しては、いささかの疑いも持っていません。♠〈いささかも~ない〉一人だけ遅れて来たというのに、彼女にはいささかも恥[は]じ入る様子はなかった。♠〈いささかばかり〉わが家の庭には、いささかばかりの菜園がある。 **いざな・う**(誘う)○さそう。すすめる。引き込む。[文例]〈旅にいざなう〉秋の澄みきった空は、そぞろ人の心を旅にいざなう。♠〈悪の道にいざなう〉人間に対する不信と絶望が、人を悪の道にいざなう。♠〈〜の世界にいざなう〉バッハの旋律[せんりつ]がわたしを音楽の世界へいざなってくれたのだ。♠〈歌声にいざなわれる〉美しい歌声にいざなわれて、何人もの船乗りたちが波間[なみま]に命を落としたという伝説がある。 **いさまし・い**【勇ましい】○勇気がある。勇敢だ。大胆だ。[文例]〈勇ましく戦う〉侍[さむらい]たちは戦場で勇ましく戦った。♠〈勇ましい犬〉くまに向かっていくなんて、なかなか勇ましい犬だ。♠〈勇ましい格好〉物語に出てくる海賊[かいぞく]は、みな勇ましい格好をしている。♠〈勇ましい演奏〉勇ましいブラスバンドの演奏にのって入場行進をする。♠〈かけ声も勇ましく〉祖父は毎朝、「エイッ、ヤッ!」とかけ声も勇ましく、竹刀を振っている。♠このクラスには、裸[はだか]で町中[まちなか]を歩くような勇ましいのはいない。 **いさみあし**【勇み足】○(相撲の決まり手から)勢いあまって失敗すること。[文例]相手を土俵際[どひようぎわ]まで追いつめながら、勇み足で負けてしまった。♠どうやら、詳しい事情も知らずにかっとなったわたしの勇み足だったようだ。 **いさ・む**【勇む】○心がふるいたつ。[文例]〈勇んで出かける〉今日こそあのいじめっ子を懲[こ]らしめてやると、太郎は勇んで出かけて行った。♠〈喜び勇む〉遊園地に連れて行ってくれるというので、ぼくと妹は喜び勇んで出かけた。 **いさ・める**(諫める)○相手の欠点・誤りを指摘して改めさせる。忠告する。意見する。[文例]〈部長をいさめる〉部長をいさめることができるのは、君ぐらいなものだよ。♠〈主君[しゆくん]をいさめる〉かつて武士の世の中では、自らの死をもって主君の暴挙[ぼうきよ]をいさめる忠臣がいたという。 **いさん**【遺産】○死後に財産として残されたもの。前代が残した業績。[文例]〈遺産を相続する〉彼は、祖父のばく大な遺産を相続すると、それを元手に事業にのり出した。♠〈遺産争い〉当主が死ぬと、親族の間でみにくい遺産争いがおこった。♠〈文化遺産〉古くから伝わる芸能は、かけがえのない文化遺産です。 **いし**【石】○岩石の小さなもの。石材、鉱物、宝石、碁石など。[文例]〈石を投げる〉けんかをしていた少年たちの一人が石を投げると、運悪く、それが相手の頭に当たってしまった。♠〈石のベンチ〉公園の石のベンチの上に、本が一冊忘れられている。♠〈碁[ご]の石〉日曜日、父は、碁盤[ごばん]に黒と白の石を置きながら、囲碁[いご]のやり方を教えてくれた。♠〈青い石〉彼女は、母の形見だという青い石の入った指輪をとても大切にしていました。♠〈じゃんけんの石〉じゃんけんのグーは石、パーは紙、チョキははさみとも言う。♠〈石みたいに固[かた]い〉このおせんべい、石みたいに固くて歯が立たないよ。♠〈石のように動かない〉男はさきほどから一枚の絵の前に立ち止まったまま、石のように動こうとしなかった。♠〈石のように黙[だま]る〉けんかの原因を聞いても、生徒たちは、みな石のようにじっと黙っている。♠〈石にかじりついても〉一人前の役者になるまでは、石にかじりついてもがんばるぞ!♠〈石の上にも三年〉石の上にも三年、何事も辛抱[しんぼう]が肝心[かんじん]だ。♠金剛[こんごう]の露[つゆ]ひとつぶや石の上(川端茅舎[かわばたぼうしや]) **いし**【意志】○何かをしようとする気持ち。こころざし。[文例]〈意志がある・ない〉自分からやろうという意志がないと、勉強にも身が入らない。♠〈強い意志〉日記を書き続けるには、強い意志が必要だ。♠〈意志の力〉意志の力が弱く、何をしても三日坊主[ぼうず]で終わってしまいます。♠〈自分の意志〉そのコンテストには、自分の意志で申し込んだのではありません。♠〈意志に反する〉意志に反して、東京に転勤を命じられました。♠〈意志薄弱[はくじやく]〉意志薄弱な人は、何をやっても成功しない。♠〈意志を曲げる〉いったん、こうと決めると、この男は決して意志を曲げようとしない。♠〈意志を貫[つらぬ]く〉別の考えを持った人たちの中で、一人だけ自分の意志を貫くのはなかなか難しい。 **いし**【意思】○心に思うこと。考え。[文例]〈意思がある・ない〉わたしには、海外旅行をする意思は今のところありません。♠〈意思が通じる〉彼とは黙[だま]っていても意思が通じる仲です。♠〈意思に任せる〉最後の判断は、あなた自身の意思にお任せします。♠〈意思の疎通[そつう]〉各部署の意思の疎通を図[はか]るために、毎週月曜日に定例会を開いている。♠〈意思表示〉議事進行のために、何らかの意思表示をお願いします。 **いし**【遺志】○死者の、生前からの意志や希望。[文例]〈故人[こじん]の遺志〉〈遺志を継[つ]ぐ〉故人の遺志を継いで、この事業はぜひとも完成させたいと思っています。♠〈遺志に従う〉遺志に従って、葬式[そうしき]は行われなかった。 **いじ**【意地】○気立て。根性。他と張り合う気持ち。自分を押し通そうとする心。物欲や食欲。[文例]〈男の意地〉何ごとも最後までやり通すのが男の意地というものだ。♠〈意地を張る〉つまらないことに意地を張っていないで、もっと素直になりなさい。♠〈意地になる〉意地になって反対する気持ちは分かるが、もう少し冷静になってほしい。♠〈意地でも〉決勝戦まできたのだから、もう意地でも負けられない。♠〈意地がきたない〉彼は、お金のことになると、とたんに意地がきたなくなる。♠〈意地が悪い〉知っているのに教えてくれないなんて、意地が悪い。♠〈意地悪〉男の子に意地悪をされたからといって、必ずしも嫌われているわけではない。♠〈食[く]い意地〉一人で五人前もかたづけたなんて、ずいぶん食い意地の張ったやつだ。 **いじ**【維持】○もちこたえること。持続させること。[文例]〈成績を維持する〉良い成績を維持できるかどうかは、あなたの努力にかかっている。♠〈学校を維持する〉その学校は <55> 寄付金と援助[えんじよ]金で維持されている。●〈速度を維持する〉水平飛行のためには、一定の速度を維持する必要がある。●〈成長率を維持する〉初年度の計画のねらいは、安定した成長率を維持することにある。●〈現状を維持する〉どうしたら現状のレベルを維持できるかについて全員が知恵[ちえ]を出しあった。◆◇現状維持〉現状維持に満足していては、進歩も前進もありません。◆〈維持費〉建設費もかかるが、建物の維持費もばかにならない。 **いじ**【遺児】○親の死後に残された子供。[文例]亡くなった船長の未亡人[みぼうじん]と遺児たちの姿が、参列した人々の涙を誘った。♠全国で、交通遺児のための募金[ぼきん]運動が始まった。 **いしあたま**【石頭】○石のように硬い頭。がんこで融通[ゆうずう]がきかないこと。物わかりが悪いこと。[文例]痛[いた]い! なんというこのぼうずの石頭だ。♠この石頭! 何べん言ったらわかるんだ。♠おやじは石頭だから、頼[たの]んだって無駄[むだ]だよ。 **いしき**【意識】○自分や周囲の状況を知覚する働き。心の状態。物事に対する感じ方・考え方。自覚すること。認識すること。[文例]〈意識を取り戻[もど]す〉看護[かんご]のかいあって、病人[かんじや]は三日目には意識を取り戻した。♠〈意識を失[うしな]う〉後ろからガツンとやられたきり、その場で意識を失ってしまった。♠〈意識が戻る〉行き倒[だお]れになって、病院へ担[かつ]ぎ込[こ]まれた人の意識が戻ったそうだ。♠〈意識不明〉患者は意識不明の重態が続いていますから、面会はできません。♠〈意識が高い〉選挙民の意識が高く、投票率は予想以上だった。♠〈意識が強い〉新興国の中には、部族意識が強く、国としてのまとまりに欠ける国も少なくない。♠〈罪の意識〉あれだけの犯罪を犯[おか]しながら、彼には罪の意識がまったくなかった。♠〈意識する〉彼女の前だと変に意識して、うまくしゃべれないんだ。♠〈意識的〉子供たちも意識的にやったわるさではないのだから、許してやろう。 **いじ・ける**○ちぢこまって、のびやかでなくなる。積極性を失って、まともなとらえ方をしなくなる。[文例]〈いじけたように咲く〉北側の日陰[ひかげ]にいじけたように咲いている花もあります。♠〈いじけた態度〉そんな男らしくないいじけた態度はやめて、もっと胸を張りなさい。♠押し入れでいじける〉「おおい、コースケ、どこへ行った?」「押し入れでいじけてるよ。」 **いしずえ**【礎】○土台。基礎。おおもと。[文例]〈国の礎〉独立戦争を戦いぬいた若者たちが、この国の礎となったのです。♠〈礎を築[きず]く〉この分野の研究の礎を築いたのが島田博士です。 **いしつ**【異質】○性質が異なること。他と異なった性質。[文例]〈異質な文化〉若い時に外国でくらして異質な文化に触れたことは、その後の人生に大いに影響[えいきよう]を及[およ]ぼしました。♠彼は、ほかの少年たちとはどこか異質なものを感じさせた。♠男性と女性は、どんなに近づいたとしても、根本的に異質である。 **いしつ**【遺失】○物を忘れたり落としたりして、なくしてしまうこと。[文例]〈遺失する〉遺失していたものが、引き出しの隅[すみ]などからひょっこり出てくることがある。♠〈遺失物〉車内での忘れ物なら、駅の遺失物センターに問い合わせてごらん。 **いじまし・い**○みじめな感じがするほど、けちくさい。みみっちい。[文例]〈いじましい考え〉人より少しでも楽[らく]をしようなどといじましい考え方はするな。♠〈いじましい姿〉大の男が電車の座席を求めて駆け回るなんていじましい姿は見たくありません。 **いじ・める**(苛める)○弱いものをいためたり、苦しめたりする。[文例]〈動物をいじめる〉動物をいじめないよう子供たちに注意してください。♠〈弱い者をいじめる〉自分より弱い者をいじめるなんて最低だ。♠〈よってたかっていじめる〉もう十分反省しているようだし、みんなでよってたかってじめなくてもいいでしょう。♠〈練習でいじめる〉練習ではさんざんいじめられたが、ふだんは思いやりのあるやさしい監督[かんとく]だった。 **いしゃ**【医者】○資格を得て、病気やけがの診察・治療にあたる人。[文例]〈医者の不養生[ふようじよう]〉父は、医者の不養生の典型で、人にはタバコの害を説くくせに、自分は平気で吸っているのです。♠〈医者にかかる〉おじいさんは、医者にかかるのが嫌いで、それで手遅[ておく]れになってしまったのです。♠〈腹八分目[はらはちぶめ]に医者いらず〉腹八分目に医者いらず、といって、暴飲暴食をいましめています。 **いしゃ**【慰謝】(慰藉)○なぐさめいたわること。精神的な苦痛に対するつぐない。[文例]〈心の慰藉〉流刑地[るけいち]に見る美しい月に、敗軍の将は心の慰藉を見いだしていた。♠〈慰謝料〉離婚[りこん]した妻に、多額の慰謝料を払わなければならなかった。 **いしゅ**【意趣】○考え。意向。うらみ。遺恨。[文例]〈意趣を含む〉何やら意趣を含むところがあるらしく、相手を見る目がきわめて険[けわ]しい。♠〈意趣を晴らす〉わたしに恨みがあるなら、打つなりけるなりして意趣を晴らすがよい。♠〈意趣返し・意趣晴らし〉日ごろの意趣返しはここだ、とばかり、生徒たちは先生に風呂[ふろ]の湯をかけ始めた。 **いしゅう**【異臭】○変なにおい。不快なにおい。[文例]〈異臭を放[はな]つ〉台所の隅[すみ]では、何日も前の食べ物が腐[くさ]って異臭を放っていた。♠〈異臭が鼻をつく〉部屋に入ったとたん異臭が鼻をつき、わたしは急いで窓を開けた。♠〈異臭が漂[ただよ]う〉火事場には、消防車がひきあげた後も、むっとする熱気ときなくさい異臭が漂っていた。 **いじゅう**【移住】○他の土地に移り住むこと。[文例]〈移住する〉人々は、新天地への夢を抱[いだ]いて移住していったのです。♠〈移住民〉この地区は、日本からの移住民が集まって、日本人町を形成しています。 **いしゅく**(萎縮)○ちぢこまること。小さくなること。のびやかでなくなること。[文例]〈手足が萎縮する〉ようやく救助隊に発見された時には、寒さのために手足は萎縮し容易[ようい]に動かなかった。♠〈気持ちが萎縮する〉ぼくは、人前に出ると気持ちが萎縮して、のびのびとふるまえないんだ。 **いしょ**【遺書】○死後のために書き残された文書。遺言状。 <56> [文例]〈遺書はないが、状況からみて自殺と断定された。♠〈遺書にしたためる〉彼は、自分の死後の争いを防ぐために、すべての財産分与の件を遺書にしたためた。 **いしょう**【衣装】(衣裳)○身を装うもの。衣類。着物。[文例]〈衣装を着る〉大人になったら、純白の花嫁[はなよめ]衣装を着るのがわたしの夢です。♠〈衣装を選ぶ〉今日はダンスパーティーだからと、姉はあれやこれやと衣装を選んでいる。♠〈衣装を付ける〉その女優さんなら、今、衣装を付けているところです。♠〈衣装をまとう〉そのアイドル歌手は、派手な衣装を身にまとい、スポットライトを浴びている。♠〈衣装持ち〉あなたは衣装持ちだから、どこへ行くにもいいわねえ。♠〈馬子[まご]にも衣装〉「馬子にも衣装」というけれど、ぴしっと決まっているので、見違[ちが]えたよ。 **いしょう**【意匠】○工夫。趣向。デザイン。[文例]〈意匠を凝[こ]らす〉今回の舞台は、照明にも意匠を凝らしている。♠〈意匠を考案する〉新しい意匠を考案するのが彼らデザイナーの仕事だ。♠〈ざん新な意匠〉このファッションが人気を博[はく]しているのは、ざん新な意匠に負[お]うところが多い。♠〈意匠登録〉当社が開発した新製品の意匠登録を特許庁[とつきよちよう]に申請[しんせい]しました。 **いじょう**【異常】○ふつうと異なること。正常でないさま。→正常[文例]〈異常な努力〉計画を軌道[きどう]にのせるために、異常とも言える努力が続けられている。♠〈異常に興奮する〉逮捕[たいほ]された犯人は異常に興奮していた。♠〈異常気象〉今年は、世界各地で大寒波や大かんばつなどの異常気象があいついでいる。♠〈異常発生〉赤潮の異常発生をおさえるためには、海水の汚染[おせん]をくいとめることだ。 **いじょう**【異状】○ふつうと異なった状態。[文例]〈異状がある・ない〉留守中は別に異状はありませんでした。♠〈異状を認める〉室内には、これといって異状は認められなかった。♠〈異状を呈[てい]する〉手術後の経過は順調で、骨は少しも異状を呈していない。 **いじょう**【以上】○それを含んでその上。それまでのすべて。これで終わり。…したからには。[文例]二十人以上集まれば、団体扱いとなります。♠小学生以上は、入場券が必要です。♠この犬は、言葉こそしゃべれないが、主人の気持ちを理解することにおいては、人間以上だ。♠いったん始めた以上は、最後までやりぬきなさい。♠以上で報告を終わりますが、質問のある方は手を挙げてください。 **いじょう**【委譲・依譲】○他にゆずること。[文例]〈権利を委譲する〉社長は、自らの権利を他の重役に委譲し、身軽になって好きな研究に没頭[ぼつとう]したいと考えた。♠〈権限を委譲する〉国は、これらの行政の権限を地方に委譲すべきである。 **いじょうふ**【偉丈夫】○体格の立派な男子。だいじょうふ。[文例]要人[ようじん]の警護[けいご]の役に当たるのは、えりすぐられた偉丈夫ばかりであった。 **いしょく**【異色】○他と異なる特色があること。[文例]〈異色の存在〉個性的な人の多い画家の中でも、特に彼は異色の存在である。♠〈異色の顔ぶれ〉先日の出版記念パーティーには、異色の顔ぶれがそろった。♠〈異色の組み合わせ〉あの漫才[まんざい]コンビは、異色の組み合わせで人気を呼んでいる。♠〈異色の作〉これは、戦争の悲惨[ひさん]さを子供の目から訴[うつた]えた異色の作だ。 **いしょく**【移植】○植えかえること。他の場所・部位に移しかえること。[文例]〈植物の移植〉この花は移植を嫌うので、花壇[かだん]にじかまきにします。♠顔の傷跡[きずあと]を目立たなくするために、ももの皮膚[ひふ]を切り取って移植する手術が行われた。♠〈文化の移植〉明治以来西洋文化の移植が行われ、それは現在も続いている。♠〈臓器移植〉現在、臓器移植にからんで、脳死の問題がクローズアップされている。 **いしょく**【衣食】○衣服と食糧。生活。[文例]〈衣食と住〉現代の日本は、衣食の面ではほぼ満たされているが、住に関してはまだまだ遅れている。♠〈衣食足りて礼節を知る〉衣食足りて礼節を知る、といって、生活のゆとりが道徳を育てるもとになります。 **いしょく**【委嘱・依嘱】○仕事を他にまかせること。[文例]〈委嘱を受ける〉彼は委嘱を受けて、この春から会社の経営コンサルタントになった。♠〈委嘱する〉調査結果の分析[ぶんせき]は専門の研究機関に委嘱しました。 **いしょくじゅう**【衣食住】○衣服と食物と住居。暮らし。生活。[文例]衣食住という三つの要素は、わたしたちが生きてゆくのに不可欠なものです。♠身近な衣食住にかかわる問題に、主婦らの関心が集まった。 **いじらし・い**けなげだ。いたいけだ。[文例]子どもながらじっと耐[た]えている様がいじらしくてならない。♠親をかばおうとする幼い子のけなげさが、何ともいじらしい。 **いじ・る**(弄る)○(手や指で)もてあそぶ。なでまわす。いじくる。扱う。手を加える。[文例]〈おもちゃをいじる〉砂場ででておもちゃをいじって遊んでいるのが、姉の子供です。♠〈髪[かみ]の毛をいじる〉わたしには、考えごとをしている時に、髪の毛をいじる癖[くせ]がある。♠〈機械をいじる〉少年のころから機械をいじるのが好きだった。♠〈盆栽[ぼんさい]をいじる〉年老[としお]いた父のたった一つの楽しみは、盆栽をいじることだ。♠〈機構をいじる〉今度の改革案では、行政機構も多少いじることになりそうだ。 **いじわる**【意地悪】○気立てが悪いこと。また、そういう人。わざと人を困らせること。また、そういう人。[文例]〈意地悪を言う〉かわいい女の子なのに、時々どきっとするような意地悪を言うことがある。♠〈意地悪する〉さっきは、意地悪してごめんね。♠〈意地悪な人〉あなたって、ほんとに意地悪な人ねえ。 **いしん**【威信】○人に示す威厳と人から受ける信望。[文例]〈国家の威信〉〈威信にかかわる〉条約を一方的に破棄するようでは、国家の威信にかかわる。♠〈威信を失う〉その事件以後、協会は威信を失い、脱会する会員があとを絶たなかった。 **いじん**【偉人】○偉大な業績を残した人物。[文例]〈偉人と仰[あお]ぐ〉ヘレン=ケラーは、三重苦という苦しみに打ちかち、ついには偉人と仰がれるようになった。♠〈偉人伝〉少年時代、 <57> リンカーンや野口英世[ひでよ]などの偉人伝をよく読んだものだ。 **いじん**【異人】○ちがう人。別の人。外国人。[文例]赤い靴はいてた女の子、異人さんに連れられて行っちゃった。(童謡「赤い靴」より)♠〈同名異人〉やっと捜[さが]し当てた人は、同名異人で、全くがっかりした。 **いしんでんしん**【以心伝心】○言葉によらず、心から心へ伝わること。[文例]二人は以心伝心、何も言わなくても心が通じてしまうのです。♠以心伝心というけれど、電話しようと思っていたところに、ちょうどその相手から電話がかかってきた。 **いす**(椅子)○こしかけ。地位。ポスト。[文例]〈いすに座[すわ]る〉さあ、そのいすに座りなさい。♠〈社長のいす〉社長のいすに着くのは、A氏か、それともB氏か?♠〈電気いす〉おまえのようなやつは電気いすに送ってやる、と、刑事[けいじ]は言った。 **いずまい**【居住まい】○すわっている時の姿勢。[文例]〈居住まいを正す〉わたしは、客間で居ずまいを正して、主人が現れるのを待っていました。♠〈居住まいを正す〉晴れ着姿で居ずまいを正し、新年のあいさつをかわすと気分も改まります。 **いずみ**【泉】○地下水のわき出る所。また、その水。物事の起こり・もと。[文例]〈泉がわく〉森の奥へ入っていくと、こんこんとわき出る泉がありました。♠〈命の泉〉生きている緑こそすべての命の泉である。♠〈知識の泉〉少年時代のわたしにとって、百科事典は知識の泉でした。 **いずれ**(何れ)○どれ。どちら。どこ。どのみち。そのうち。[文例]うまく言い逃[のが]れても、いずれ真実がわかる時がくる。♠いくら雨の日ばかりが続くといっても、二、三日うちにはいずれ天気になるでしょう。♠お会いできなくて残念ですが、いずれまた参ります。♠〈いずれがあやめかかきつばた〉まさにいずれがあやめかかきつばたで、美人ぞろいだっ。♠〈いずれも〉彼の作品はいずれも見事なできばえだった。 **いすわ・る**【居座る】(居坐る)○座り込んで動かない。その場を占めて動かない。[文例]〈居座って動かない〉押し売りが玄関[げんかん]に居座って動こうとしない。♠〈他人の家に居座る〉そのまま、彼はわが家に居座り、勝手に居候[いそうろう]を決め込んでいた。♠〈低気圧が居座る〉太平洋岸に居座っている低気圧の影響[えいきよう]で、この二、三日ぐずついた天気が続いている。♠〈地位に居座る〉辞任の要求を無視して、委員長はその地位に居座っている。 **いせい**【威勢】○人を恐[おそ]れさせるような力。いきおい。[文例]〈敵の威勢〉敵の威勢に恐れをなして、思わず一歩退[しりぞ]いた。♠〈威勢がいい〉この寒空[さむぞら]に水泳とは、威勢がいいねえ。♠〈威勢のいい声〉早朝の魚市場では、威勢のいい声が飛び交[か]っている。♠〈威勢よく〉男は、雨の中を威勢よく飛び出していった。♠〈威勢をつける〉まあ、酒でも一杯やって威勢をつけてくれ。 **いせい**【異性】○女から見た男性。男から見た女性。[文例]〈好きな異性〉中学生くらいになれば、好きな異性ができても不思議ではない。♠〈異性を意識する〉高学年になるにつれ、だんだんと異性を意識するようになる。 **いせき**【遺跡】○過去に建物や事件があった場所。遺物の残っている場所。[文例]〈遺跡を発掘[はつくつ]する〉ドイツの考古学者シュリーマンは、トロイアの遺跡を発掘し、その実在を証明した。♠「岩宿[いわじゆく]遺跡」は、日本で最初に発掘された無土器文化の遺跡である。 **いせき**【移籍】○籍[せき]を移すこと。[文例]〈選手が移籍する〉A選手が他の球団へ移籍するという、もっぱらのうわさだ。♠両親の離婚にともなって移籍し、姓も変わった。 **いぜん**【依然】○もとのままであるさま。[文例]八回を終わって、両軍、依然得点がありません。♠事故が起こってからまる一日たったが、現地の情況[じようきよう]は依然不明である。♠〈依然として〉医者の忠告を無視して、彼は依然として酒を飲み続けている。♠〈依然として〉ヨーロッパの自動車産業は依然として不景気から立ち直れないという。♠〈旧態依然〉近代的な設備にもかかわらず、仕事の進め方は旧態依然としている。 **いぜん**【以前】○それより前。今より前。基準まで至らないこと。[文例]この川も、以前は魚がとれるきれいな川でした。♠漢字は、おそらく五世紀以前に初めて日本に伝来したものと思われる。♠そんなことは、道徳以前の問題だ。 **いそ**(磯)○波打ちぎわの岩の多い所。[文例]〈いその香〉海の方からいその香のするそよ風が吹いてきます。♠〈いそにすむ〉カニやウニなど、いそにすむ生物を観察してみよう。♠東海の小島[こじま]の磯の白砂[しらすな]に/われ泣きぬれて/蟹[かに]とたわむる(石川啄木[いしかわたくぼく]) **いそいそ**気持ちがうきうきして、かいがいしく物事をするさま。[文例]〈いそいそと〉何年かぶりで外国から帰国する父を、母は空港までいそいそと出迎えにいった。♠〈いそいそと〉天気予報を聞いて、姉はさも安心したようにいそいそと旅行の準備を始めた。♠〈いそいそとして〉いそいそとして帰り支度[じたく]をするのを見ると、よほどうれしい知らせだったのだろう。♠〈いそいそする〉やけにいそいそして、何かいい事でもあったのかい。 **いそう**【位相】○現象のある局面・状態。運動・変化するもののある瞬間の状態。[文例]揺れ動く現代社会は、それぞれの位相でさまざまに異なる姿を見せてくれる。♠〈位相差〉無色透明な物体を見るために、物体を透過[とうか]する光の位相差を利用する。 **いそうろう**【居候】○他人の家に住んで、食べさせてもらうこと。また、その人。[文例]〈居候する〉昔、おじの家に居候し、大変お世話になったことがある。♠〈居候三杯目[さんぱいめ]にはそっと出し〉「居候三杯目にはそっと出し」などと言うように、居候の身というのは気をつかうものだ。 **いそがしい**【忙しい】○用事が多くて、ひまがない。そわそわして落ち着かない。[文例]〈仕事で忙しい〉今日は一日じゅう、仕事で忙しい。♠〈目が回るほど忙しい〉注文が殺到[さつとう]して、お店は目が回るほど忙しかった。♠〈ねこの手も借り <58> たいほど忙しい〉田植え時の農家は、ねこの手も借りたいほど忙しいという。●〈お忙しいところ〉お忙しいところをおいでいただきましてありがとうございます。●〈忙しく繰り返す〉さきほどから滑走路[かつそうろ]では、大型ジェット機が忙しく離着陸[りちゃくりく]を繰り返している。●〈忙しく飛び立つ〉用件だけ言い残すと、男はすぐにまた忙しく海外に飛び立っていった。●〈忙しい性格〉彼は、まったく落ち着きのない忙しい性格の男だ。 **いそぎ**【急ぎ】○急ぐこと。急を要すること。[文例]〈急ぎの用事〉急ぎの用事ができたから、またあとでね。♠〈お急ぎの方〉お急ぎの方は、一番線にお回りください。 **いそぎあし**【急ぎ足】○急いで歩くこと。また、その足取り。早足。[文例]朝の出勤時間、駅に向かう人々はみな急ぎ足だ。♠〈急ぎ足で来る〉雪が解け始めると、春は急ぎ足でやって来る。 **いそ・ぐ**【急ぐ】○物事の進行を速める。速く進む。[文例]〈先を急ぐ〉先を急ぎますので、今日はこれで失礼いたします。♠母さん、急がなければ汽車の時間に間に合わないよ。♠〈急いで~する〉計画書は、できるだけ急いで仕上げるように。♠〈工事を急ぐ〉工期に間に合うよう、工事を急いだ。♠〈家路[いえじ]を急ぐ〉雨が激しく降るなか、子供たちは家路を急いでいる。♠〈対策を急ぐ〉難病に苦しむ子供たちのために、医療対策が急がれる。♠〈功[こう]を急ぐ〉功を急いで、手抜かりが生じるなどということのないように。♠〈急がば回れ〉「急がば回れ」のことわざのとおり、物事は落ちついて処理するのがよい。♠〈善[ぜん]は急げ〉よし、「善は急げ」というから、これからすぐ出かけよう。♠〈心が急ぐ〉もうまにあわないかもしれない、わたしの心は急いだ。♠〈生き急ぐ〉人生は長い。きみのように生き急いでは大切な価値を見落とすことになる。 **いぞく**【遺族】○人の死後に残された家族。[文例]残された遺族の悲しみは、察するに余りある。♠戦争で家族を失った遺族の手記が刊行された。 **いそしむ**(勤しむ)○つとめ、はげむ。うちこむ。[文例]〈読書にいそしむ〉勤めを辞めてからは、もっぱら読書にいそしむ毎日である。♠〈勉学にいそしむ〉彼は、貧しい暮らしの中で本を買うお金を工面[くめん]しながら、勉学にいそしんだ。 **いぞん**【依存】○その存在・成立を他に頼ること。いそん。[文例]〈外国に依存する〉食糧[しょくりよう]や石油など、日本は多くの資源を外国に依存している。♠〈海軍力に依存する〉イギリスの栄光は主にその強力な海軍力に依存していた。♠〈他人に依存する〉他人に依存しない自立した人間になりたいものだ。♠〈依存度〉先進国の生活は、すべてにわたって石油への依存度が高い。♠〈相互[そうご]依存〉アリとアブラムシなど、動物界には相互依存の関係にあるものが多い。 **いぞん**【異存】○反対意見。不服。[文例]〈異存がある・ない〉あなたの意見に賛成です。異存ありません。♠〈異存がある・ない〉このように決定したいと思いますが、異存はありませんね。 **いた**【板】○木材やその他の素材を平たく、薄くしたもの。[文例]〈板を切る・削[けず]る〉日曜日、ぼくと兄は、のこぎりで板を切ったり、かんなで削ったりして犬小屋を作った。♠〈板で張る〉ダンスのレッスン場は、床[ゆか]を板で張りめぐらした五十畳ばかりの大広間だ。♠〈板を張る〉人々は、丸木船や皮船の次に、木の骨組みに板を張り合わせた船を考え出した。♠〈板で囲[かこ]いをする〉空き地の周りは、人が入らないように板で囲いがしてあった。♠〈棚板[たないた]〉棚板は、本の重さに耐えられるよう、厚さ一インチの板を使用します。♠〈鉄の板〉金庫の扉[とびら]はがんじょうな鉄の板でできていて、押しても引いてもびくともしない。♠〈板につく〉大学を卒業して二か月、兄の背広姿もようやく板についてきた。 **いたい**【遺体】○死んだ人の体。なきがら。遺骸[いがい]。[文例]〈遺体を探す〉川土手では、遺体を探しあてた遺族らのむせび泣く声が絶えなかった。♠〈遺体を葬[ほうむ]る〉彼の遺体は、江戸下谷[えどしたや]池之端[いけのはた]の慶安寺[けいあんじ]に葬られた。♠〈遺体を安置する〉遭難者[そうなんしゃ]の遺体は、近くの小学校の体育館に安置されていた。 **いた・い**【痛い】○肉体的に苦痛である。精神的に苦痛である。[文例]〈歯が痛い〉虫歯が痛くて、ゆうべは一晩中眠れなかった。♠〈腹が痛い〉「さっきから横っ腹[よこっぱら]が痛くてたまらないんだ。」と、兄は脇腹[わきばら]を押[お]さえてうんうんうなり出した。♠〈手足が痛い〉朝からさんざん歩き回ったので、手足の節々[ふしぶし]が痛かった。♠〈傷が痛い〉兵士は化膿[かのう]した傷が痛いらしく、苦しそうに顔をゆがめていた。♠〈目が痛い〉小さい活字の本を読みつづけたせいで、目がちかちかして痛い。♠〈靴が痛い〉足に合わない靴が痛くて、途中で一歩も歩けなくなった。♠〈頭が痛い〉風邪気味のせいか、何だか頭がずきずきして痛い。♠〈頭が痛い〉娘[むすめ]三人を嫁[よめ]に出さなければならないと思うと、親としても頭が痛いですよ。♠〈耳が痛い〉わたしも朝起きるのが苦手なほうだから、早起きは三文の徳[とく]と言われると、耳が痛いわ。♠〈増税が痛い〉増税は、家計のやりくりに苦労している主婦にとっては痛い。♠〈五千円は痛い〉この金のない時に、一人五千円の会費は痛いなあ。♠〈痛い所をつく〉子供に、「お父さんはもてるの?」なんて、痛い所をつかれたよ。♠〈痛い目にあう〉おい、痛い目にあいたくなかったら、素直に言うことを聞け。♠〈痛くもかゆくもない〉初回に一点や二点取られたからって、痛くもかゆくもない。♠〈痛くもない腹をさぐられる〉身に覚えがないから堂々としていればよいとは言っても、痛くもない腹をさぐられるのはごめんだ。♠〈心に痛く受け取る〉あなたの心からの忠告、わたくし自身心に痛く受け取りました。♠〈いたく感動する〉生徒たちの級友を思う優しい気持ちには、教師のわたしもいたく感動しました。 **いだい**【偉大】○すぐれてりっぱなさま。大きくてりっぱなさま。[文例]〈偉大な業績〉彼は医学の世界に偉大な業績を残した医師として、伝記も出ているくらいだ。♠〈偉大な人物〉リンカーンは偉大な人物だったと思う。♠〈偉大な発明や発見〉偉大な発明や発見の陰[かげ]には、数えきれない失敗の繰り返しがある。♠〈偉大な力〉愛と誠[まこと]こそ、何ものにも負けない偉大な力を与えてくれる。 <59> **いたいけ**(幼気)○幼く、いじらしいさま。[文例]〈いたいけな少年〉まだ街灯の消えない真冬の街へ新聞配達に出かけるいたいけな息子の後ろ姿を、わたしは無言で見送るばかりでした。♠〈いたいけな野の花〉北の原野に咲く、いたいけな野の花たちよ。 **いたいたし・い**【痛痛しい・傷傷しぃ】○見る者が心を痛めるほどかわいそうだ。いたましい。[文例]〈見るも痛々しい〉顔色は青白く、ほおは落ちくぼみ、その手は見るも痛々しいほどやせ細っていた。♠〈包帯が痛々しい〉子どもの頭に巻かれた白い包帯が痛々しい。 **いたく**【委託】○他にまかせてやらせること。他にゆだねること。[文例]〈委託を受ける〉調査班は、環境庁[かんきようちよう]の委託を受けて、現地調査を行った。♠〈委託する〉市の業務の一部が、民間の業者に委託されることになった。 **いだ・く**【抱く】○かかえ持つ。だく。心にもつ。[文例]〈胸に抱く〉赤ちゃんは、母親のやさしい胸に抱かれて眠[ねむ]っている。♠〈肩[かた]を抱く〉互[たが]いに肩を抱き合い、再会を喜びあった。♠〈関心を抱く〉東京から転校してきた女の子に、大半の男の子は関心を抱いた。♠〈大志[たいし]を抱く〉大志を抱いて、海外へ飛び立って行く若者も多い。♠〈疑問を抱く〉学校の方針について多くの疑問を抱いていた彼は、率直[そつちよく]に先生に質問した。♠〈不満を抱く〉不満を抱きながら仕事をするのは、精神衛生上よくない。♠〈反感を抱く〉家業を手伝っている彼の姿を見て、彼に対して抱いていた反感は消えていった。♠〈好感を抱く〉彼の誠実さは、多くの人たちに好感を抱かせる。♠〈あこがれを抱く〉彼女にあこがれを抱くようになったのはいつからだろうと、けん太は考えてみる。♠〈闘志[とうし]を抱く〉春風[しゅんぷう]や闘志いだきて丘に立つ(高浜虚子)♠〈山すそに抱かれた湖〉この山すそに抱かれた小さな湖には、薄幸な姫にまつわる伝説があった。 **いたけだか**【居丈高】○相手を威圧するような、いばったさま。[文例]〈居丈高にどなる〉親分らしい太った男が、子分らを前にして、居丈高にどなっている。♠〈居丈高にものを言う〉相手が居丈高にものを言うので、圧倒[あつとう]されて何も言えなかった。 **いた・す**【致す】○至らせる。及ぼす。ひきおこす。もたらす。ささげる。「する」の謙譲語。[文例]〈いかがいたす〉社長、電話が入っておりますが、いかがいたしましょうか。♠では、お言葉にあまえて、そういたします。♠〈何にいたす〉お客様、ご注文は何にいたしましょう。♠〈どういたしまして〉どういたしまして、大した事ではありませんから。♠〈失礼いたす〉わたくしのほうこそ、大変失礼いたしました。♠〈不徳[ふとく]のいたすところ〉子供の不始末は、親であるわたくしの不徳のいたすところでございます。♠〈思いをいたす〉今は亡[な]き師の恩に思いをいたす時、ただただ感謝の念に頭が下がるばかりでございます。 **いたずら**(徒)○成果がなく、むだであるさま。[文例]〈いたずらに時を過ごす〉青年は、仕事をやめて以来、いたずらに時を過ごしている。♠〈いたずらに時間を費[つい]やす〉話し合いは一向にまとまらず、いたずらに時間を費やすばかりだった。♠〈いたずらに年を取る〉大の男が何もせず、いたずらに年を取るわけにはいくまい。 **いたずら**(悪戯)○わるふざけ。わるさ。[文例]〈いたずらをする〉だれだ、先生のいすにいたずらをしたのは!♠〈子供のいたずら〉こんなことをされては、たかが子供のいたずらだといって見過ごすことはできない。♠〈いたずらが過ぎる〉いたずらも度が過ぎると危険なことになる。♠〈いたずらな子〉窓ガラスを割ったりして、本当にいたずらな子だねえ。♠〈運命のいたずら〉親と子が敵味方に別れて戦うのも運命のいたずらだろうか。♠〈いたずらする〉火をいたずらするのは危険だからやめなさい。♠〈いたずら坊主[ぼうず]〉いたずら坊主も十年もたてば立派な若者になる。♠〈いたずら書き〉ノートにいたずら書きをしていて先生にしかられた。♠〈いたずら半分〉いたずら半分に始めた茶道[さどう]も、今では人に教えるまでになった。 **いただき**【頂・頂き】(戴き)○いただくこと。山などの頂上。てっぺん。[文例]どうやら、この試合は頂きだな。♠〈頂き物〉よそさまからの頂き物ですが、よろしかったらどうぞお持ちください。♠山の頂〉夏の雲が山の頂にかかり、日をさえぎった。 **いただく**【頂く】(戴く)○頭の上にのせる。高くささげる。目上の人からもらう。「食う・飲む」の謙譲語・丁寧語。「~してもらう」の謙譲語・丁寧語。[文例]この本は、お誕生日[たんじょうび]におじさんから頂いたものだ。♠〈返事を頂く〉ご返事は、来週までに頂きたいのですが。♠〈五百円頂く〉一個五十円ですから、全部で五百円頂きます。♠〈酒・タバコをいただく〉わたくしは、お酒もタバコもいただきません。♠「いただきます。」と言うが早いか、子供たちはがつがつと食べ始めた。♠〈君主[くんしゆ]に頂く〉イギリスのように女王を君主に頂く国もあります。♠〈雪を頂く〉晴れた日には、ここからも、てっぺんに雪を頂いた富士山が見られます。♠〈星を頂く〉わたしたちは、夜空に星をいただく峠道[とうげみち]を下っていった。♠〈頭[かしら]に霜[しも]を頂く〉老人は鋭[するど]い眼光[がんこう]を持ち、頭には霜を頂いていた。♠では、失礼して、お部屋を拝見させていただきます。♠これは、助けていただいた、ほんのお礼です。 **いたたまらな・い**【居た堪らない】→いたたまれな・い **いたたまれな・い**(居た堪れない)○その場にじっとしていられない。いたたまらない。[文例]心細い鳴き声にいたたまれなくなって、子猫[ねこ]を拾ってきてしまいました。♠〈いたたまれない気持ち〉悔[く]いは年月の経過を飛び越して、わたしを、いたたまれない気持ちに追いこんだ。(林京子「友よ」) **いたちごっこ**(鼬ごっこ)○(子供の遊びから)互いに相手を追いかけて、きりがないこと。[文例]殺虫剤をまいたら益虫も死に、こんどは別の害虫が大発生するといった具合で、人間と自然のいたちごっこなのだ。♠両者とも互いの言い分を非難し合うばかりで、いたちごっこになって、話がいっこうに進まない。 **いたって**【至って】○このうえなく。きわめて。たいへん。しごく。[文例]〈いたって壮健[そうけん]〉八十歳になる祖父は、ぴんぴ <60> んしていて、いたって壮健です。◆〈いたって元気〉寒い北風が吹いても、子供たちはいたって元気に外で遊んでいる。◆〈いたってのん気〉いたってのん気な母は、財布[さいふ]を忘れるなどということはしょっちゅうだ。●〈いたって気が小さい〉こわそうな外見に似合わず、彼はいたって気が小さい。◆〈いたって下手〉わたしはいたって字が下手なので、手紙を書くのが苦手です。◆〈いたって簡単〉そのお菓子の作り方はいたって簡単、だれにでもできます。 **いたで**【痛手・傷手】○ひどい傷。大きな損害。打撃。[文例]〈心の痛手〉〈痛手を負[お]う〉その時うそをついていたら、わたしはいつまでも心の痛手を負うことになっただろう。♠〈深い痛手〉〈痛手を受ける〉味方の裏切りによって深い痛手を受けた軍勢は、敗走につぐ敗走を重ねた。♠〈大きな痛手〉〈痛手を被[こうむ]る〉円高が続き、輸出にたよる業界は大きな痛手を被っている。♠〈痛手を受ける〉この台風によって、流域[りゆういき]一帯の田畑は計り知れぬ痛手を受けた。 **いだてん**(韋駄天)○仏法を守る足の速い神。非常に足の速い人。[文例]男は、約束の時間に遅れてはならぬと、韋駄天のように突っ走った。♠濁流[だくりゆう]を泳ぎきり、山賊[さんぞく]を三人も打ち倒[たお]し、韋駄天、ここまで突破してきたメロスよ。(太宰治[だざいおさむ]「走れメロス」)♠〈韋駄天走り〉使いの者は、韋駄天走りで十里の道を急いだ。 **いたばさみ**【板挟み】○対立する二つの立場のどちらにも付くことができず、悩むこと。ジレンマ。[文例]〈嫁[よめ]としゅうとめの板挟み〉嫁としゅうとめの板挟みで、あっちを立てればこっちが立たずで困っています。♠〈義理と人情の板挟み〉サラリーマンのわたしも、会社を考え家族を思い、時には義理と人情の板挟みでつらいのです。 **いたぶ・る**いじめる。いためつける。お金をゆする。[文例]〈弱い者をいたぶる〉自分より弱い者をいたぶって、それで男の道が立つものか。♠〈女をいたぶる〉渡世[とせい]の道などとかしこまって、弱い女をいたぶって飯のたねにしてるだけじゃないか。 **いたまし・い**【痛ましい】○心が痛むほどにかわいそうだ。[文例]〈痛ましい事件〉最近、一家心中[いつかしんじゆう]という痛ましい事件が続発している。♠〈痛ましい姿〉不慮[ふりよ]の事故で両親を失った子供たちの痛ましい姿が、人々の涙[なみだ]を誘[さそ]った。♠〈痛ましい災害〉集中豪雨のたびに、山津波による一村全滅などの痛ましい災害が起きる。♠〈痛ましい光景〉子供たちが次々に飢[う]えて死んでいく光景は、あまりにも痛ましかった。 **いたみ**【痛み・傷み】○体に感じる苦痛。精神的な苦痛。商品や器物に生じた破損・損害。[文例]〈激[はげ]しい痛み〉〈痛みが走[はし]る〉立ち上がった瞬間[しゆんかん]、とつぜん腰[こし]に激しい痛みが走った。♠〈痛みに耐える〉歯の痛みは、耐えることができないほどだった。♠〈痛みを感じる〉痛みを感じることができるのは生きている証拠[しようこ]だ、がまんしなさい。♠〈心の痛み〉自ら味わって、初めて他人の心の痛みも理解できるのだ。♠〈傷みが早い〉なま物は特に傷みが早いので、冷凍[れいとう]して保存する必要がある。♠〈積み荷の傷み〉積み荷の傷みを少なくするよう積み方を工夫するように。♠〈傷みが激[はげ]しい〉〈建物の傷み〉なにぶん古い建物なので、傷みが激しくなっています。 **いた・む**【痛む・傷む】○肉体的、精神的に苦痛を感じる。傷つく。損なわれる。[文例]〈傷が痛む〉梅雨[つゆ]の時期になると、古い傷がときどき痛むことがある。♠〈歯が痛む〉歯がひどく痛んで、一日じゅう仕事が手につかなかった。♠〈胸が痛む〉事故で亡くなられたお子さんの話を聞くたびに、胸が痛みます。♠〈心が痛む〉あの時本心を打ち明けていたらと、今思い出しても心が痛む。♠〈水に傷む〉ステンレスは、水に傷まずさびず、いつまでも丈夫[じようぶ]です。♠〈本が傷む〉古い蔵書[ぞうしよ]の中には、かなり傷んでいるものもあった。♠〈食べ物が傷む〉夏は食べ物が傷みやすいので、早目に食べることだ。 **いた・む**【悼む】○(人の死を)悲しむ。[文例]〈死を悼む〉追悼[ついとう]式には、彼の死を悼んで、大勢の人が集まった。 **いた・める**【痛める・傷める】○肉体的、精神的に苦痛を感じさせる。傷つける。損ねる。[文例]〈腰[こし]を痛める〉横綱[よこづな]は、腰を痛めて今場所は休場だ。♠〈心を痛める〉不用意な言葉で、相手はどんなに心を痛めたことでしょう。♠〈中身を傷める〉箱の中に発泡[はつぽう]スチロールのくずがつめてあるので、中身を傷めないで届けられる。 **いた・める**(炒める)○油で炒[い]る。油で水けがなくなるまで熱する。[文例]〈油でいためる〉中華[ちゆうか]料理には、野菜や肉を油でいためた料理が多い。♠〈バターでいためる〉ほうれん草をバターでいためたのを、お肉のつけ合わせにしました。 **いたらぬ**【至らぬ】○行き届かない。未熟な。[文例]〈至らぬところ〉わたくしに至らぬところがございましたなら、厳しくしかってください。♠〈至らぬ娘〉至らぬ娘ですが、末[すえ]ながくかわいがってやってください。 **いたり**【至り】○物事の行き着く結果。きわみ。[文例]〈感激の至り〉わたしたちの応援が効[こう]を奏[そう]したとは、感激の至りだ。♠〈恐縮の至り〉わざわざお見舞いにおいでいただき、恐縮の至りでございます。♠〈若気[わかげ]の至り〉若気の至りで随分[ずいぶん]むちゃなこともやりました。 **いた・る**【至る】(到る)○行き届く。行き着く。及ぶ。行き渡る。行き届く。[文例]〈ローマへ至る道〉中国から中央アジアを経て、遠くローマへ至る道は古くから存在していた。♠〈北海道から沖縄[おきなわ]に至る〉北は北海道から、南は沖縄に至る全国津々浦々[つつうらうら]で、夏祭りの行事が催[もよお]される。♠〈ひとりひとりに至るまで〉あの先生は、クラスの生徒ひとりひとりに至るまで愛情を注いでくれます。♠〈三月から九月に至る〉博覧会は、来年の三月から九月に至る六か月間、大阪で開かれる予定です。♠〈大事に至る〉幸いにも大事に至る前に発見できて、大騒[さわ]ぎにならずにすんだ。♠〈事ここに至る〉事ここに至っては策の施[ほどこ]しようがない。♠〈死に至る〉末期[まつき]のガンは、現在の医学では死に至る病である。♠〈至るところ〉歳末[さいまつ]は至るところ人出[ひとで]にぎわう。♠〈至らない者〉何かと至らない者ですが、よろしくご指導をお願いします。♠〈至らぬ点〉一生懸命[いつしょうけんめい]努[つと]めますが、未熟者です、至らぬ点はお許しください。♠〈~するに至る〉事態は悪化の一途[いつと]をた <61> どり、ついに奉行[ぶぎよう]がじきじきに出馬するに至った。●〈至れり尽くせり〉このホテルのサービスは、至れり尽くせりで申し分ない。 **いたるところ**【至る所】(到る所)○あらゆる所。どこもかしこも。[文例]空は澄み、至る所でひばりが甲高[かんだか]い声で歌っている。♠〈至る所に現れる〉作者の恵まれた才気と鋭い感覚とが、作品の至る所によく現れている。 **いたれりつくせり**【至れり尽くせり】○非常によく行き届いて、申し分のないこと。[文例]〈至れり尽くせりの歓迎〉山奥の温泉宿では、至れり尽くせりの歓迎を受けました。♠〈至れり尽くせりのサービス〉国が経営する施設[しせつ]というか期待していなかったが、どうしてどうして至れり尽くせりのサービスだった。 **いたわし・い**(労しい)○かわいそうだ。いたましい。[文例]このかわいらしい少女があとわずかの命かと思うと、いたわしくてならない。♠お嬢さまがこんなつらい目にあわれますとは、何とおいたわしい。 **いたわり**(労り)○いたわること。いたわる気持ち。[文例]〈いたわりの気持ち・心〉お年寄りには、いたわりの気持ちをもって接したいものです。♠〈いたわりの言葉〉被災地[ひさいち]を訪れた王女は、人々にいたわりの言葉をかけられました。♠〈いたわりを込[こ]める〉深夜の作業から帰る父を、ぼくたちはいたわりを込めて迎えます。 **いたわ・る**(労る)○大事に扱う。親切にする。ねぎらう。[文例]〈体をいたわる〉おばあちゃん、体をいたわって、長生きしてください。♠〈病人をいたわる〉看護の基本は、まず病人をいたわる心から始まる。♠〈お年寄りをいたわる〉体の不自由な人やお年寄りは、みんなでいたわりましょう。♠〈部下をいたわる〉厳しい反面、部下をいたわるやさしい隊長でした。♠〈労[ろう]をいたわる〉長年の労をいたわり、父の退職祝いをした。 **いたん**【異端】○正統・正系から外れていること。[文例]〈異端の説〉天動説が信じられていた当時、地動説は異端の説とされていた。♠〈正統と異端〉〈異端者〉正統の教えに従わない者は、異端者として破門[はもん]された。♠〈学会の異端〉彼は優秀だが、学会では異端だね。♠〈異端視する〉大学の卒業論文で漫画など扱[あつか]おうとする者は異端視された。 **いち**【一】○数の1。ひとつ。物事の最初。順序・等級などの最初。[文例]試合は今、一対一の同点である。♠〈一から出直す〉もう一度、一から出直すつもりでがんばります。♠〈一か八[ばち]か〉ようし、一か八かやってみよう。♠〈一から十まで〉今回は、一から十まで、すっかりあんたにお世話になったねえ。♠〈一にも二にも〉うまくなるには、一にも二にも練習、練習。♠〈一も二もなく〉おじさんに頼[たの]んだら、一も二もなく引き受けてくれた。♠〈一二を争う〉二人は、小学校の時から一二を争う秀才だった。♠〈一を聞いて十を知る〉師は、「一を聞いて十を知る」ような、聡明[そうめい]な人物であった。♠〈一押し二押し〉当たって砕[くだ]けろ!一押し二押しでぶつかってこい。♠〈一姫[ひめ]二太郎[たろう]〉うちは一姫二太郎で、最初が娘、後は男の子です。 **いち**【市】○人が集まって、物の売買・交換をする場。多くの人が集まる所。[文例]〈市へ買い物に行く〉この町の人たちは、朝早く市へ買い物に行きます。♠〈市が立つ〉町に市が立つのは週に二回、月曜日と木曜日だ。♠〈市を開[ひら]く〉〈のみの市〉広場では、恒例[こうれい]ののみの市が開かれ、大勢の人が集まっていた。♠〈市に出す〉朝とれた新鮮な野菜は、そのまま市に出されます。♠〈市に出回[でまわ]る〉市には、豊富で新鮮な品物が出回っていた。♠〈朝顔市〉〈ほおずき市〉夏の風物詩の一つに、朝顔市やほおずき市がある。♠〈門前市をなす〉名医の評判を聞いて、日本中から人々がかけつけ、門前市をなすありさまであった。 **いち**【位置】○物事の存在する場所。地位。[文例]〈向き合う位置〉ぼくとちょうど向き合う位置に、A君が座[すわ]っていた。♠〈太陽の位置〉時計がないのではっきりわからないが、太陽の位置から判断して、もう午後も遅[おそ]いようだった。♠〈目の位置〉小さな子供の目の位置は低く、大人に比べて視界[しかい]がずっとせまくなります。♠〈元の位置〉さあ、みんな、元の位置にもどって、もう一度やり直しだ。♠〈位置がずれる〉実際に確かめてみると、遺跡のある場所は、地図のそれとは位置が少しずれていた。♠〈位置につく〉位置について、ヨーイ、ドン!♠〈重要な位置・位置を占める〉彼はメンバーの一員として、合唱団の中で重要な位置を占めていた。♠〈位置にいる〉A専務は、次期社長をねらう位置にいる。♠〈位置する〉ハワイ諸島は、太平洋上のほぼ中央に位置する小さな島です。 **いちいせんしん**【一意専心】○一つのことに気持ちを集中すること。ひたすら。一心に。[文例]こうと決めたら一意専心、今年は成績を上げるぞ。♠〈一意専心する〉兵たる者は一意専心して、国と国民を守ることを心がけよ。 **いちいたいすい**【一衣帯水】○帯のように狭く、長い川や海。または、それによって隔[へだ]てられること。[文例]〈一衣帯水を成す〉流れの両岸には、一衣帯水を成して二つの集落が延びていた。 **いちいち**【一一】○ひとつひとつ。ことごとく。[文例]ああしろ、こうしろと、いちいちうるさいなあ。♠彼のやる事は、いちいち常識のわくをはみだしてしまう。♠言うことはいちいちもっともだが、さてだれがやる? **いちいん**【一因】○原因の一つ。[文例]〈挫折[ざせつ]の一因〉こんなところにも、計画が挫折した一因があるように思える。♠全員の協力を得られなかったことの一因に、委員たちの独断があったかもしれない。 **いちえん**【一円】○辺り一帯。全域。[文例]〈~一円に及ぶ〉今度の豪雨[ごうう]による被害は、東海地方一円に及んだ。 **いちおう**【一応・一往】○ひとまず。ひととおり。ひとわたり。[文例]これで、一応の準備はととのった。♠間違いないと思いますが、一応調べてみましょう。♠〈一応も二応も〉一応も二応もない、さっさと行って確かめてこい! **いちがいに**【一概に】○ひっくるめて。おしなべて。いちように。[文例]〈いちがいには言えない〉いちがいには言えない <62> が、大体において、中学生ぐらいの年ごろは女の子のほうが成長が早い。●暴力をふるったからといって、いちがいに彼だけを責めることはできない。●彼の詩は未熟で幼かったが、そういちがいにけなしたものでもなかった。●朝から晩までサッカーに熱中する息子を見ていて、ほかの子供もいちがいにこんなものだろうと思っていた。 **いちがん**【一丸】○ひとかたまり。ひとまとまり。[文例]〈一丸となる〉家族みんなが協力し一丸となって働けば、この困難を乗り切ることができるだろう。♠〈一丸とする〉各地の自然愛好者を一丸とした自然保護の運動が起ころうとしていた。 **いちげん**【一言】→いちごん **いちげんこじ**【一言居士】○何ごとにも自分の意見を言わなければ、気のすまない人。[文例]おじさんは、どんなことにも、ひと言口をはさまずにはいられない一言居士です。♠めずらしいことに、一言居士の彼が今日はまったく意見を述べません。 **いちごいちえ**【一期一会】○一生に一度の出会い。一生に一度だけであること。[文例]一期一会というけれど、わたしはあなたとの再会を念じております。♠別れの日、一期一会という言葉がひょっこりわたしの頭に浮かんだ。 **いちころ**【一ころ】○いっぺんでころりと負けること。[文例]強力殺虫剤だから、いやあな害虫もいちころさ。♠あんな弱いやつは、いちころでやっつけられるさ。 **いちごん**【一言】○ひとこと。[文例]〈一言もない〉母にしかられたが、ぼくが悪かったので一言もなかった。♠〈一言の下[もと]に〉こづかいの倍増案は、父に一言の下に退[しりぞ]けられた。♠〈一言一句〉大切な話だから、一言一句聞きのが[のが]さないように注意しなさい。♠〈一言半句〉まだ若いのに一言半句の不平も言わず、よく言うことを聞いてくれる。 **いちごんこじ**【一言居士】→いちげんこじ **いちざ**【一座】○同じ場にすわること。また、その人々全体。芸人・役者の一団。[文例]〈一座を見渡す〉「今日はわざわざありがとう。」と、主人が一座の者を見渡して言った。♠〈一座の花形〉ごひいきとの付き合いには気をつかうね、と、一座の花形役者がぼやいてみせた。♠〈一座する〉二十名ほどの男衆[おとこしゆ]が座敷[ざしき]に一座し、腕組[うでぐみ]をして相談していた。 **いちじ**【一時】○しばらくの間。その場限り。過去のある時。[文例]学生のころ、一時、家庭教師のアルバイトをしたことがある。♠〈一時は〉ハイジャックされたと聞いて、一時はどうなるかと不安でした。♠〈晴れ一時曇り〉明日の天気は晴れ一時曇りです。♠〈一時のような活気〉映画産業もかなり盛り返してきてはいるが、一時のような活気は見られない。♠〈一時に〉祭りには、一時に三十台ものだんじり(山車)が広場に並んだ。♠〈一時の感情〉結婚[けつこん]のような大事な問題を、一時の感情で決めていいのかい。♠〈一時しのぎ〉窓ガラスを割ってしまい、新しいガラスが入るまで、一時しのぎに厚紙をはりつけておいた。♠〈一時逃れ〉そんな一時逃れの口実が通ると思っているのかい。♠〈一時的〉方法がまちがっていれば、一時的には成功しても長続きはしない。 **いちじ**【一次】○第一回。最初。[文例]〈一次の試験〉一次の筆記試験は受かったが、二次の実技で落ちた。♠〈第一次大戦〉人類は、第一次、第二次の二度の世界大戦を経験している。 **いちじ**【一事】○ひとつの事柄。[文例]ちり一つない庭、その一事を見ても、彼女の潔癖[けつべき]な性質がうかがわれた。♠〈一事が万事〉一事が万事この調子なのだから、やりきれない。 **いちじつせんしゅう**【一日千秋】○一日が千年にも感じられるほどに待ち遠しいこと。いちにちせんしゅう。[文例]〈一日千秋の思い〉娘は、旅に出た若者の帰りを一日千秋の思いで待ちました。♠〈一日千秋の思い〉患者は、一日千秋の思いで退院の日を待った。 **いちじつのちょう**【一日の長】○他人より少しだけ、まさっていること。いちにちのちょう。[文例]〈一日の長を認める〉技術の点から見ると、やはり兄弟子[あにでし]のほうに一日の長を認めなくてはなるまい。 **いちじょ**【一助】○少しの助け。[文例]このお金が自然保護運動のための一助となれば幸いです。 **いちじるし・い**【著しい】○きわだっている。きわめてあきらかだ。程度がはなはだしい。[文例]〈著しく不足する〉偏食[へんしょく]のせいか、ビタミン類が著しく不足しています。♠〈著しく成長する〉男の子も女の子も、中学生になると心身ともに著しく成長します。♠〈著しい被害[ひがい]〉台風のため、北九州一帯は、農作物に著しい被害を受けた。♠〈著しい類似〉このバッグには、有名ブランドの商品と著しい類似が見られる。♠〈台頭著しい〉文壇[ぶんだん]も新旧交代がめざましく、新人の台頭著しいものがある。♠〈進境が著しい〉トレーニングの成果が表れて、進境が著しい。 **いちじん**【一阵】○風などがさっと吹き渡ること。第一陣。先駆け。[文例]〈一阵の風〉初夏を告げる一阵の風とともに、わたしのうっとうしい気持ちが吹き飛んでしまった。 **いちず**(一途)○ひとすじ。ひたむき。[文例]〈いちずに~する〉他のことには目もくれず、いちずに芸の道を歩んできた。♠〈いちずな心〉迫害[はくがい]を受けても屈[くつ]しない信者たちのいちずな心に打たれた。 **いちぞん**【一存】○一人だけの考え。[文例]この問題は、わたしの一存では決められません。 **いちだい**【一代】○君主・戸主などがその地位にいる期間。一人の人の一生。一つの時代。[文例]一代であれだけの財産を築いたとは大したものだ。♠跡継[あとつ]ぎがいないから、この店も一代でおしまいだな。♠一代の権勢[けんせい]を誇[ほこ]った平清盛[たいらのきよもり]も熱病のために没[ぼつ]した。 **いちだい**【一大】○大きさや重大さ、重要性を強調する語。[文例]〈一大決心〉一大決心をして、酒とたばこをやめた。♠〈一大発見〉強気な彼にそんな弱い面があったとは、一大発見だ。 **いちだいじ**【一大事】○大事件。おおごと。[文例]〈一大事が起こる〉静かで平和な村に、ある日、一大事が起こった。 <63> こんな所で遊んで、もしけがでもしたら一大事だよ。 **いちだん**【一段】○階段のひときざみ。一つの段階。文章などのひとくぎり。いっそう。[文例]〈階段の一段〉急な階段ですから、一段一段注意してのぼってください。♠〈一段上がる〉前の人の陰[かげ]になって写りませんので、後ろの人は一段上がってください。♠〈一段上〉英語の実力からいえば、彼のほうがぼくより一段上だった。♠〈一段の進歩〉アメリカ留学で、彼のテニスも一段の進歩を遂[と]げたようだ。♠〈いちだんと立派〉新しい制服を身につけ、帽子[ぼうし]をかぶると、兄もいちだんと立派に見える。♠〈いちだんと美しい〉今日はまた、いちだんとお美しい。これからどこかへお出かけですか。♠〈いちだんと厳しさを増す〉十二月に入り、寒さもいちだんと厳しさを増してきました。 **いちだん**【一団】○一つの集団。ひとかたまり。[文例]〈一団となる〉どなりつけると、いたずら坊主[ぼうず]どもは一団となって逃げて行った。♠〈サーカスの一団〉ソビエトから有名なサーカスの一団が来日して、大評判になりました。 **いちど**【一度】○一回。いっぺん。ひとたび。[文例]一度、彼の家を訪[たず]ねたことがある。♠とてもいい所らしいので、一度行ってみたいものだ。♠ぼくは、一度もそんなことを言った覚えはない。♠〈一度に〉山の春は、梅も桜も桃も一度に花が咲く。 **いちどう**【一同】○その場に居る人全体。仲間全部。みんな。[文例]社の発展のために、社員一同力を合わせてがんばろう。♠ご一同様、どうぞこちらへ。♠一同起立、礼! **いちどう**【一堂】○一つの堂。同じ建物。おなじ場所。[文例]〈一堂に集める〉王は、家来たちを一堂に集めて命令した。♠〈一堂に会する〉各国の首脳が一堂に会し、各国間の懸案[けんあん]について協議した。 **いちとんざ**(一頓挫)○物事の進行が突然妨げられること。[文例]〈一頓挫を来[きた]す〉予想外の雨続きで作業に一頓挫を来したが、どうやら遅れはとりもどせそうだ。 **いちにち**【一日】○一昼夜。朝から晩まで。月の最初の日。ある日。短い期間。[文例]一日も早く元気になってください。♠捜索[そうさく]が開始されてからまる一日たったが、遭難者[そうなんしや]はまだ発見されていない。♠秋の一日、紅葉の古都を訪ねた。♠〈日がな一日〉近ごろは、日がな一日ごろごろしております。♠〈ローマは一日にして成らず〉ローマは一日にして成らず。なにごとも努力の積み重ねです。 **いちにちせんしゅう**【一日千秋】→いちじつせんしゅう **いちにちのちょう**【一日の長】→いちじつのちょう **いちにん**【一任】○すべて任せること。[文例]〈一任する〉この案件については、取り扱いを会長に一任します。♠〈任務を一任する〉新しい任務を一任された小田さんは、早速現地に飛んで陣頭指揮[じんとうしき]にあたった。 **いちねん**【一年】○一月一日から十二月三十一日まで。その日から十二か月間。年号・紀元の最初の年。第一学年。[文例]初もうでに行き、一年の無事を神様に祈りました。♠ゆうちゃんとは、一年から六年までずっと同じクラスです。♠〈一年の計〉一年の計は元旦[がんたん]にあり、一人一人、今年の抱負[ほうふ]を述べなさい。♠〈一年三百六十五日〉きみみたいに一年三百六十五日勉強ばかりで、頭がおかしくならないかい? **いちねん**【一念】○一心に思い込むこと。深く思いつめた心。[文例]〈~したい一念で〉恋人に会いたい一念で、男はどしゃぶりの雨の中を走って行った。♠〈一念岩をもとおす〉うん、たいしたもんだ。「一念岩をもとおす」で、ついに初志[しよし]を貫徹[かんてつ]したか。♠〈一念発起[ほつき]〉朝寝坊[ねぼう]の兄きが、一念発起して早朝マラソンを始めた。 **いちば**【市場】○物の売買や交換をするための場所。[文例]〈市場へ行く〉食料や日用品は、近くの市場へ行って買ってきます。♠〈魚市場〉朝の魚市場は活気にあふれている。♠〈市場町〉四日市、五日市、十日市[よつかいち、いつかいち、とおかいち]などは、かつて市場町であったことを示している。 **いちばん**【一番】○順番・順位の最初。ひと勝負。歌舞伎・謡[うたい]など一曲。最高。最も。ためしに。ひとつ。[文例]一番の方、どうぞ。♠子供は、元気なのが一番だ。♠〈ここ一番〉この力士は、ここ一番という大勝負に強い。♠富士山は日本で一番高い山です。♠よし、一番やってみるか!♠〈いの一番〉祭りと言ったら、材木屋の三郎[さぶろう]がいの一番に駆けつけてきた。♠〈開口一番〉いきなり手を挙げた受験生が、開口一番、ヒントはくれないのですか、と言った。 **いちぶ**【一部】○全体のある部分。全体をいくつかに分けたものの最初。(書物などの)一そろい。[文例]〈一部の人〉ほとんどの人が賛成しているのだが、一部に反対する意見がある。♠〈一部百円〉この小冊子は、一部百円で配付しています。 **いちぶ**【一分】○十分の一。一割の十分の一。一寸[すん]の十分の一。一両の四分の一。わずかであること。[文例]後ろの戸を開けようとしましたが、戸はもう一分も動きませんでした。♠〈一分の狂[くる]い〉ロケットの製作には、一分の狂いも許されない。♠〈一分のすき〉勝負が始まると、相手は一分のすきもない構[かま]えで挑[いど]んできた。 **いちぶしじゅう**【一部始終】○初めから終わりまで。ひっくるめて全部。[文例]〈事の一部始終〉両親に問われるままに、彼は事の一部始終を打ち明けた。♠〈事件の一部始終〉新聞は、いっせいに今度の事件の一部始終を報じていた。♠〈一部始終を知る〉友達といっても、彼女の一部始終を知っているわけではないので……。♠〈旅行の一部始終〉わたしは、旅行中の出来事の一部始終を家族に話して聞かせた。 **いちべつ**(一瞥)○ちらっと見ること。[文例]〈一瞥する〉金持ちは、ものごいの男を一瞥しただけで、その男が昔の親友であることがわかった。♠〈一瞥もくれない〉母親は、ほかの子には一瞥もくれずに、わが子ばかりを見つめている。♠〈一瞥を与える〉哀れな少女に一瞥を与えただけで、紳士は歩み去った。 **いちぼう**【一望】○ひと目で見渡すこと。ひとながめ。[文例]〈一望のもと〉山頂からは、町が一望のもとに見渡せる。♠〈一望する〉丘に登ると、海を眼下に一望することができ、遠方には島が見える。♠〈一望千里〉一望千里のかなたに新大 <64> 陸が横たわっていることなぞ、だれが知ろうか。 **いちまつ**【一抹】○わずか。少し。[文例]〈一抹の希望〉もしかしたら生きているかも知れないという一抹の希望を抱[いだ]いて、母を捜[さが]し続けた。♠〈一抹の不安〉もしかしたらうそではないか、という一抹の不安が心をよぎった。 **いちみ**【一味】○仲間(多く悪い仲間について)。一党。[文例]〈海賊[かいぞく]の一味〉船乗りの中には、海賊ジョン=シルバーの一味がもぐり込んでいた。♠〈犯人の一味〉お前も犯人の一味だろう。 **いちみゃく**【一脈】○ひとすじ。ひとつながり。わずか。[文例]〈一脈通じる〉この歌のものさびしさが、孤独な都会人の哀愁[あいしゅう]と一脈通じ合うところがあるのだろう。♠〈一脈相通ずる〉喜劇と悲劇という全く性格の異なる二つの作品であるが、これらの作品には一脈相通ずるものがある。 **いちめい**【一命】○命。生命。[文例]〈一命を取り止める〉六時間にも及ぶ手術の結果、ようやく一命を取り止めた。♠〈一命を落とす〉友人は、その事故のまきぞえで、一命を落とした。♠〈一命を救う〉大海で難破船の破片の間を泳ぎながら、なんとか一命を救おうと必死だった。 **いちめん**【一面】○いくつかの面のうちの一つ。物事の一つの面。面全体。新聞などの一ページ。[文例]〈サイコロの一面〉サイコロには、一面ごとに1から6までの目が入っています。♠〈新聞の一面〉朝刊の一面のトップを飾[かざ]ったのは、オリンピック開会式の記事だった。♠〈人の一面〉子供に対するしつけの厳しさに、彼の意外な一面を見る思いがした。♠〈人間性の一面〉中世に生きた作者がとらえた人間性の一面には、どこか現代の我々にも通じるものがある。♠〈一面の真理〉やられたらやり返せは一面の真理であるが、それでは血で血を洗うことになってしまう。♠〈時代の一面〉仕事を持つ女性が増えたというのも、時代の一面をよく表しているのではないでしょうか。♠〈一面の銀世界〉今朝目を覚ましてみると、昨夜から降り続いた雪で、外は一面の銀世界であった。♠〈さびしがり屋な一面〉活発で明るい彼女には、さびしがり屋な一面もある。♠〈〜の一面〉兄は、よく勉強する一面、はめをはずして遊ぶこともある。♠〈一面よいところもある〉便利な生活とはほど遠い田舎[いなか]暮らしですが、それはそれで、一面よいところもあるのです。♠〈辺り一面〉広い庭には、美しい花が辺り一面に咲きほこっています。♠〈一面的な見方〉彼を頑固[がんこ]で堅苦[かたくろ]しい男だというのは、あまりにも一面的な見方だ。 **いちもうだじん**【一網打尽】○(悪人などを)一度に全部捕[と]らえること。[文例]〈一網打尽にする〉逃走経路をふさいで、犯人の一味を一網打尽にして取り押さえた。♠〈一網打尽となる〉畑を荒らすイナゴは、農民たちの大きな網[あみ]で文字通り一網打尽となった。 **いちもく**【一目】○ひと目。碁盤[ごばん]の一つの目。一見すること。[文例]〈一目置く〉主将は、わたしには一目置いてくれ、部の運営について相談してきた。♠〈一目瞭然[りようぜん]〉グラフに表すと、変化の様子は一目瞭然である。 **いちもくさん**【一目散】○わき目もふらず、走ったり逃げたりするさま。[文例]〈一目散に逃げる〉「ドロボー!」と叫んだら、男は一目散に逃げ出しました。♠〈一目散に走る〉「ヨーイ、ドン!」の合図とともに、みんな、ゴールめがけて一目散に走った。♠〈一目散に駆け出す〉一目散に駆け出した子供たちは、われさきにと海に飛び込んでいった。♠〈一目散に引き返す〉急いで用事を済ませると、暗い夜道を、一目散に引き返した。 **いちもつ**【一物】○一つの物。一つのたくらみ。[文例]〈腹[はら]に一物ある〉あの男があれだけぺこぺこするのは、腹に一物あってのことに相違ない。♠〈無一物〉あんなにぜいたくな生活をしていたのに、事業に失敗して無一物になってしまった。 **いちもん**【一門】○一族。同一の宗派・流派・学派などに属する人々。[文例]〈平家[へいけ]一門〉平家一門は、寿永[じゅえい]二年七月、安徳[あんとく]天皇をお連れして西国へ落ちていった。♠家元の継承[けいしよう]をめぐって、一門に争いが起こった。 **いちもん**【一文】○昔の最下位の通貨。わずかな金銭。[文例]〈一文も持たない〉大作は、姉を頼って一文も持たずに京へ上った。♠〈一文にもならない〉こんな一文にもならない仕事を手伝うなんて、きとくな方だ。♠〈一文の値打ちもない〉家宝[かほう]としてきた器[うつわ]は全くのにせ物で、一文の値打ちもないという。♠〈一文なし〉有り金はたいてポーカーにつぎ込んだので、今日から一文なしだ。♠〈びた一文〉利息はいらない。その代わり元金はびた一文まけないから、そう思え。♠〈無一文〉飲めや歌えの贅沢[ぜいたく]を尽くした杜子春[とししゅん]は、また元の無一文にもどってしまいました。 **いちや**【一夜】○ひとばん。ある夜。[文例]〈一夜が明ける〉広島壊滅[かいめつ]の一夜が明けた。♠〈一夜を過ごす〉湖畔[こはん]にテントを張って、夏の一夜を過ごしました。♠〈一夜づけ〉試験勉強はいつも一夜づけだったから、たいした点は取れなかった。 **いちやく**【一躍】○ひととび。順位・序列をとびこえて上へ上がること。いっそくとびに。[文例]〈一躍有名になる〉新人の歌手が映画で主役を好演し、一躍有名になった。♠〈一躍トップになる〉前回の六位から、一躍トップにおどり出た。 **いちゅう**【意中】○心の中。胸のうち。胸中。[文例]〈意中の人〉王子の意中の人は、実は敵国の姫君[ひめぎみ]だったのです。♠〈意中を察する〉ぼくのくやしい意中を察してか、母は試合のことは何も聞かなかった。♠〈意中を明かす〉あなただけには、と、彼女は自分の意中を明かしてくれた。 **いちよう**【一様】○全体が同じであるさま。変化にとぼしいさま。[文例]太陽の光は、山の上にも沢[さわ]の上にも一様に当たっていた。♠目撃[もくげき]した人は、一様に飛行機がよろけるように西の方へ飛んで行ったと言っている。 **いちよく**【一翼】○つばさの一方。主要な役割の一つ。[文例]〈一翼を担[にな]う〉日本が西側陣営[じんえい]の一翼を担っていることは異論のないところだ。 **いちらん**【一覧】○全体に一通り目を通すこと。一目でわかるようにまとめた表など。[文例]〈一覧する〉試験が始まる前にノートを一覧しておこう。♠〈一覧表〉ひと目でわかるように一覧表を作るとよい。 <65> **いちり**【一理】○ひとつの道理。一応の道理。[文例]〈一理ある〉彼のほうが正しいと思うが、きみの言い分にも一理ある。♠〈一理ある〉なるほど、きみの言うことにも一理あるな。 **いちりつ**【一律】○全体にわたって、例外や変化がないさま。一様。[文例]参加者には、年齢に関係なく一律に三千円ずつ支給される。♠どの商品も一律に二割引きといたします。♠〈千篇[せんぺん]一律〉この作家の作品は千篇一律で、作品を通して変化がない。 **いちりゅう**【一流】○ひとつの流派・流儀。第一等の地位。独特のやり方。[文例]〈一流の画家〉お隣の加藤さんは、一流の日本画家なんですって。♠〈一流レストラン〉さすがに一流レストランだけあって、いつも行く大衆食堂の定食とは味が違うな。♠〈彼一流〉そろそろ来るころだと思っていたと、彼一流の人なつこい顔で迎えてくれた。 **いちる**(一縷)○ひとすじの糸。わずかなこと。かすかなこと。[文例]〈一縷の望み〉あなたのおことばに一縷の望みを託[たく]してまいりました。♠〈一縷の光線〉この悪魔[あくま]の重囲[じゆうい]の中から、広々した人間の中へ届く光線は一縷もないのでしょうか。(夏目漱石[なつめそうせき]「明暗」) **いちれん**【一連】○ひと続き。ひとつながり。[文例]〈一連の事件〉一連の放火事件は、同じ犯人による犯行とみられる。♠〈一連のテーマ〉一連のテーマで、五回にわたる講演を予定している。 **いちれんたくしょう**(一蓮托生)○行動や運命を共にすること。[文例]〈一蓮托生の運命〉同じ船に乗り合わせた人々の運命は一蓮托生、死なばもろともである。 **いちろ**【一路】○ひとすじの道。ひとすじに。ひたすら。[文例]一行は、一路目的地へと向かった。♠〈一路邁進[まいしん]する〉チャンピオンを目指し、一路邁進してきた。♠〈〜の一路をたどる〉新しい波に押され、幕府の権力は衰退[すいたい]の一路をたどりつつあった。 **いつ**(何時)○どの時。どんな時。[文例]あなたの誕生日はいつですか。♠奈良[なら]はいつ来てもよいが、殊[こと]に新緑のころがよい。♠〈いつでも〉いつでもいいから、今度映画を見にいこうよ。♠〈いつになく〉大作[たいさく]じいさんが、いつになくしょんぽりと歩いてくる。♠〈いつとなく・いつとなしに〉そんなうわさも、いつとなく(いつとなしに)人々の口にのぼらなくなった。 **いっか**【一家】○一つの家族・家庭。家族にたとえられるような組織。一つの流派。[文例]〈一家そろって〉日ざしのやわらかい春の一日、一家そろって山歩きを楽しみました。♠〈一家を支える〉父のいないぼくの家では、兄が働いて一家を支えています。♠〈一家を成す〉彼は苦学の末、和歌の研究では一家を成すまでになった。♠〈清水一家〉清水次郎長[しみずのじろちよう]を親分とする清水一家の物語は、今でも多くの人々に親しまれています。 **いっか**【一過】○さっと通り過ぎること。[文例]〈台風一過〉昨夜の風雨が信じられないような、台風一過の翌朝の青空でした。♠〈一過性〉子供の遊びには、一過性で親が心配する必要のないものもある。 **いつか**(何時か)○いつぞや。いつのまにか。そのうち。[文例]あの人にはいつか会ったことがあります。♠机に向かってうとうとしているうちにいつかぐっすり眠ってしまった。♠わたしはまたいつかこの町を訪れてみたい。 **いっかい**【一介】○どうということもないこと。ただの。[文例]〈一介の教師〉わたしは一介の教師にすぎないので、市長に立候補するなんてとんでもありません。♠〈一介の職人〉夫は一介の職人ではありますが、わたしは世界中で一番尊敬しています。 **いっかく**【一角】○一本のつの。一つの角。ひとすみ。一部分。[文例]〈一角のサイ〉インドには、一角のサイがいるという。♠〈三角形の一角〉正三角形の一角は六十度です。♠〈半島の一角〉アラビア半島の一角に、日本人と同じように履物[はきもの]を脱いで家に入る習慣の人たちがいます。♠〈町の一角〉町の一角に、小さな遊園地をつくることになりました。♠〈氷山の一角〉これぐらいの犯罪は、まだまだ氷山の一角にすぎない。 **いっかくせんきん**(一攫千金)○たやすく、一度に大金を得ること。[文例]〈一攫千金を夢見る〉ゴールドラッシュの西部には、一攫千金を夢見る人々がアメリカ中から集まった。♠〈一攫千金をねらう〉才覚もないうえ何の調査もしないのでは、一攫千金をねらうなど夢のまた夢さ。 **いっかげん**【一家言】○その人独自の意見。一つの見識をもった意見。[文例]〈一家言をもつ〉彼女は、バラについては一家言をもっていて、興味深い話を聞くことができた。♠〈一家言ある〉わたしは平凡[へいぼん]な人間ですが、クラシック音楽には一家言あります。 **いっかつ**【一括】○ひとまとめにすること。ひとくくりにすること。[文例]〈議案を一括する〉会期が残り少ないので、三つの議案を一括して上程[じようてい]します。♠〈物を一括する〉船から下ろされ、組合で一括された漁獲物[ぎよかくぶつ]は問屋[とんや]に卸[おろ]される。♠〈一括して売る〉彼は、収集した切手を一括して売りたいそうだ。♠〈一括払い〉ボーナス時一括払いでスーツを買ってきた。♠〈一括購入[こうにゆう]〉商品は、まとめて買う一括購入のほうが安くなる。 **いっかつ**【一喝】○一声、大声でしかりつけること。[文例]〈一喝する〉いたずらをした生徒たちは、先生に一喝されて縮[ちぢ]み上がった。♠〈一喝の下[もと]〉ぼくたちのわがままは、父の一喝の下に否定された。 **いっかな**○どうしても。どうなっても。いっこうに。[文例]日がな一日釣り糸を垂[た]れていたが、いっかな引く気配がない。♠これだけ足を運んで頼んでも、いっかならちがあかない。 **いっかん**【一貫】○重量の単位(約三・七五キログラム)。最後までつらぬき通すこと。[文例]〈考えが一貫する〉わたしの考えは一貫して変わりません。♠〈一貫したシステム〉工場で生産された製品は、一貫したシステムで販売店[はんばいてん]に送られ <66> ます。●重さの単位の一貫は、三・七五キログラムにあたります。●〈終始一貫〉この問題に対する彼の態度は、終始一貫していた。◆〈裸[はだか]一貫〉裸一貫から身を起こして財を成す人もいます。 **いっかん**【一環】○全体を構成する部分の一つ。[文例]〈文化祭の一環〉文化祭の一環として、不用品のバザーを行うことになった。♠〈事業の一環〉〈一環を成す〉コンサートホールの設立は、市の文化事業の一環を成すものです。 **いっき**【一気】○ひと息。ひと呼吸。[文例]〈一気に駆け上がる〉彼は「ヨシ。」とかけ声をかけると一気に石段を駆け上がった。♠〈一気に飲み干す〉ジョッキ一杯のビールを一気に飲み干した父は、満足げに大きく息をついた。♠〈一気に迫る〉太陽が傾[かたむ]いたと思いきや、夕やみが一気に迫った。♠〈一気呵成[かせい]〉彼は、日ごろ暖[あたた]めていた構想を一気呵成に小説に書き上げた。 **いっきいちゆう**【一喜一憂】○情勢の変化につれて、喜んだり心配したりすること。[文例]〈一喜一憂の状態〉母の病気は、よくなったり悪くなったりで、家族は一喜一憂の状態です。♠チャンスの次は大ピンチ、応援席[おうえんせき]は一喜一憂、手に汗[あせ]にぎる大熱戦となりました。♠〈一喜一憂する〉そんなつまらぬことに一喜一憂するのは、きみぐらいのものだ。 **いっきうち**【一騎打ち・一騎討ち】○一対一の勝負。[文例]〈一騎討ちの勝負〉これはぼくと彼との一騎討ちの勝負だから、だれも手を出さないでくれ。♠〈大将同士の一騎討ち〉大将同士の一騎討ちを、敵味方ともかたずをのんで見守った。♠〈一騎討ちを演じる〉市長選では、新旧二人の候補が激しい一騎討ちを演じていた。 **いっきかせい**(一気呵成)○一気に物事をなしとげること。[文例]〈一気呵成に~する〉彼は、山のような仕事を一気呵成に半日でかたづけてしまった。♠老作家は、自らの半生をつづったともいうべき作品を、一気呵成に書き上げた。 **いっきとうせん**【一騎当千】○一人で千人を相手にするほど力・勇気があること。[文例]〈一騎当千のつわもの〉よく説[と]いて分かってもらおうと出かけたが、相手も一騎当千のつわもので、なかなかウンと言わない。 **いっきょ**【一挙】○一つの動作。一回の行動。[文例]〈一挙に完成する〉こんな大きな仕事を一挙に完成させるなんて無理だよ。♠〈一挙によみがえる〉彼女の弾くピアノの調べが、わたしの思い出を一挙によみがえらせた。♠〈一挙にばん回する〉彼のホームランで、わがチームは一挙に劣勢[れつせい]をばん回した。♠〈一挙一動〉世間の人々は、彼の一挙一動に注目している。♠〈一挙両得〉初めから一挙両得をねらったりすると失敗するぞ。 **いっきょいちどう**【一挙一動】○動作の一つ一つ。[文例]〈子供の一挙一動〉若い夫婦は、子供の一挙一動に喜んだり驚[おどろ]いたりしている。♠〈一挙一動を見守る〉母親は、久しぶりに会う息子の一挙一動をじっと見守った。♠〈一挙一動を監視する〉寮生活[りようせい]は一挙一動を監視されているようで、どうも性に合わない。 **いっきょう**【一興】○ひとつのおもしろみ。ちょっとした楽しみ。[文例]それも一興だと、突然おしかけて彼女の驚く顔を見ることにした。♠〈粗相[そそう]も時の一興〉粗相も時の一興といって、失敗も軽いものは周りに笑いをふりまく効果がある。 **いっきょしゅいっとうそく**【一挙手一投足】○手足をちょっと動かすこと。一つ一つの体の細かい動き。一挙一動。[文例]母はぼくの一挙手一投足に干渉[かんしよう]するので、息がつまりそうだ。♠〈一挙手一投足の労〉一挙手一投足の労を惜[お]しむと、あとで大変な苦労をすることになるよ。 **いっきょりょうとく**【一挙両得】○一つのことをして同時に二つの利益を得ること。一石二鳥。[文例]川の水を利用して水路を引けば、水田は潤[うるお]うし、洪水[こうずい]も防げるので一挙両得だ。♠新聞配達は健康によく、おこづかいも増やせるので、ぼくにとって一挙両得の仕事です。 **いつくし・む**【慈しむ】○かわいがる。大切なものとして接する。[文例]〈わが子のように慈しむ〉彼は、太郎[たろう]をわが子のように慈しみ、育ててきたのである。♠〈娘を慈しむ〉長い間慈しんでこられたお嬢さんを手放すのは、さぞおつらいことでしょう。♠〈自然を慈しむ〉四季に恵[めぐ]まれた日本人は、その折々の自然を慈しみながら、生活を楽しんできた。♠〈弱いもの・幼いものを慈しむ〉動物などの弱いものや、幼いものを慈しむ気持ちを大切にしたいですね。♠〈夏を慈しむ〉冬の長い北ヨーロッパでは、短い夏を慈しむ気持ちは格別だ。 **いっけい**【一計】○一つの計略。一策。[文例]〈一計を講じる〉気にくわない男にギャフンと言わせるため、一計を講じることにしました。♠〈一計を案[あん]じる〉よし、ぼくたちが一計を案じて、二人を仲直りさせてやろう。 **いっけん**【一見】○一回だけ見ること。ちょっと見ること。ちょっと見たところ。[文例]〈一見に値[あたい]する〉うわさには聞いていたが、さすが一見に値する絵だ。♠〈一見~風〉一見商人風の男が犯行現場から立ち去ったということだ。♠〈一見易[やさ]しい〉この問題は、一見易しそうだが、実は生徒をひっかけるわなが用意されている。♠〈一見してわかる〉一見して、彼の筆跡[ひつせき]であることがわかった。♠〈一見したところ〉一見したところ、その紙幣[しへい]は本物のようであった。♠〈百聞は一見にしかず〉「百聞は一見にしかず」と言うじゃないか、早速行って見てこよう。 **いっこ**【一顧】○ちょっとかえりみること。ちょっと目に止め、考えてみること。[文例]〈一顧だに与えない〉道[みち]にしゃがみこんだ男には一顧だに与えず、旅人たちが通り過ぎていく。♠〈一顧のねうち〉きみのしたことには、今さら一顧のねうちさえない。 **いっこう**【一向】○少しも。まったく。ちっとも。[文例]〈一向~ない〉酔[よ]い止め[ど]の薬も、彼女には一向効き目がない。♠彼は、部屋が汚れていようと一向構[かま]わない人だ。♠一向に終わらない仕事に、ぼくはへきえきしているよ。♠〈一向に~しない〉一向に勉強しない息子に、母親はすっかりお手上[てあ]げであった。♠〈一向に平気だ〉明日から試験だというのに、彼は一向に平気だ。 <67> そんなことだとは一向に存じませんでした、たいへん失礼しました。 **いっこう**【一行】○一つの行い。一緒に行く人々。[文例]アメリカの大統領一行が今朝日本に到着[とうちやく]した。♠〈調査隊の一行〉調査隊の一行は、アマゾン川を小舟[こぶね]でさかのぼっていきました。 **いっこう**【一考】○一度考えてみること。[文例]〈一考を要する〉この案に不備がないかどうか一考を要する。♠〈一考する〉このままでよいのだろうか、今後について一考する必要はないのだろうか。 **いっこく**【一刻】○ほんのわずかの時間(昔の時間の単位で約三十分)。がんこで、かたいじなさま。[文例]〈一刻を争う〉病人の容態[ようだい]は一刻を争う、すぐ手術しなければ。♠〈一刻の猶予[ゆうよ]〉こうなっては一刻の猶予もならない。武器を持ってただちに川原に集合だ。♠〈一刻一秒〉この時期は、受験生にとって一刻一秒といえどむだにできない。♠〈刻一刻〉タイムアップまであと二分、勝利は刻一刻と近づいてくる。♠〈一刻千金[せんきん]〉春の夜は一刻千金に価[あたい]するというぞ。どうだ、夜桜[よざくら]見物にでも行かないか。♠〈いっこくな老人〉辰平[たつぺい]じいさんは、頑固[がんこ]でいっこくな老人だった。 **いっさい**【一切】○何もかも残らず。すべて。まったく。[文例]〈一切を任せる〉長男に仕事の一切を任せて、彼は隠居[いんきよ]した。♠〈一切の費用〉わたくしどもの責任ですから、一切の費用は当方で持たせていただきます。♠〈一切忘れる〉悲しいできごとは、一切忘れてしまいたい。♠〈一切知らない〉その事に関しては、わたしは一切知りません。♠〈一切関係がない〉彼女が結婚[けつこん]しようと、ぼくには一切関係のないことだ。♠〈一切~しない〉今後、酒は一切飲まないと、父は約束した。♠〈いっさいがっさい〉ぼくは、今までかくしていたことのいっさいがっさいを親友に打ち明けた。 **いっさんに**【一散に・逸散に】○わき目もふらず走るさま。一目散に。[文例]〈一散に~する〉朝露[あさつゆ]にぬれて光る青い草の中を一散に駆け下りていった。♠〈一散に逃げ出す〉泥棒[どろぼう]は、ぼくの顔を見ると盗[ぬす]んだ物をほうり出して一散に逃げ出した。 **いっし**【一糸】○ひとすじの糸。[文例]〈一糸もまとわない〉村の子供たちは、一糸もまとわぬすっぱだかで次々に川に飛びこんだ。♠〈一糸乱れぬ行進〉兵士らは整然と隊を組んだまま、一糸乱れぬ行進を続けた。 **いっし**【一矢】○一本の矢。[文例]〈一矢を報[むく]いる〉敗北は明らかであったが、敵に一矢を報いんものと自らを励[はげ]まして馬にまたがった。♠〈一矢報いる〉ふだんから好き勝手を言いたい放題の鬼山[おにやま]に一矢報いようと、みんなで知恵をしぼった。 **いっしゅ**【一種】○一つの種類。ある種類。いっぷう。ちょっと。[文例]〈〜の一種〉瑠璃[るり]は、宝石の一種で、つやのある紫[むらさき]がかった紺色[こんいろ]をしている。♠〈一種の~〉地図は、実際の土地の姿を一種の約束で紙の上に写し出したものである。♠〈一種のレクリエーション〉父と母を見ていると、夫婦げんかも一種のレクリエーションのように思える。♠〈一種異様〉白髪[はくはつ]の老人には、一種異様な雰囲気[ふんいき]が漂[ただよ]っていた。 **いっしゅう**【一周】○ひと回り。ひと巡り。[文例]〈一周四百メートル〉陸上競技のトラックは、公式には一周四百メートルと定められています。♠〈一周する〉夏休みに北海道を一周しました。♠〈一周する〉地球は、一年で太陽を一周します。 **いっしゅう**(一蹴)○あっさりはねつけること。簡単に打ち負かすこと。[文例]〈一蹴する〉ぼくの出した案は、費用がかかりすぎるというので一蹴された。♠〈敵を一蹴する〉優勝候補のそのチームは、予想どおり初戦の相手を軽く一蹴し、二回戦に進んだ。 **いっしゅん**【一瞬】○(一回まばたきするほどの)ほんの短い時間。瞬間。たちまち。[文例]〈一瞬のできごと〉犬と遊んでいた子供が手をかまれたのは、一瞬のできごとだった。♠〈一瞬の油断〉一瞬の油断がこんな大事故を招[まね]いてしまった。♠〈最後の一瞬〉最後の一瞬まで、全力を尽くそう。♠〈一瞬の休みもなく〉吹雪は、一瞬の休みもなく、登山隊の一行に襲[おそ]いかかった。♠〈一瞬にして〉一瞬にして人類を滅[ほろ]ぼしかねない、恐ろしい兵器を作ったのも人間だ。♠〈歴史的な一瞬〉さあ、人類にとっての歴史的な一瞬を、しっかりこの目におさめておこう。 **いっしょ**【一緒】○ひとまとめであること。連れ立つこと。同時であること。同じで差がないこと。[文例]お祭りの日は、親類一同が集まったので、まるで盆[ぼん]と正月が一緒に来たようなにぎわいだった。♠〈意見が一緒〉ずいぶん言い争ったが、冷静に考えれば、ぼくもきみの意見と一緒だよ。♠〈一緒になる〉どんなに反対されようとも、わたしはあの人と一緒になるつもりです。♠〈一緒くた〉時間がないので、何もかも一緒くたにして、ダンボール箱につめこんでしまった。♠〈一緒する〉「お願い、ご一緒して。」と、女はすがるような目で言った。 **いっしょう**【一生】○生まれてから死ぬまで。生涯。[文例]難病を背負ったわが子は、一生不幸な人生を送るのか。♠友人が自ら命を絶った事件は、一生忘れられないだろう。♠〈一生の別れ〉手術室までつきそって見送ったのが、兄との一生の別れになってしまった。♠〈一生の願い〉両親をふるさとから呼びよせて一緒に暮らすのが、彼の一生の願いだった。♠〈一生をささげる〉彼は、教師を天職と思い、教育に一生をささげた。♠〈一生を棒に振る〉たった一度の失敗から立ち直れず、一生を棒に振る人もある。♠〈一生かかる〉車で人身事故をおこすと、一生かかってもつぐないきれないほどの負担をせおうことになる。♠〈一生を左右する〉だれにも、一生を左右するような人との出会いがあるものだ。♠〈九死に一生を得る〉あの先生は、名医と評判だが、実際先生によって九死に一生を得た人は多い。 **いっしょう**【一笑】○ちょっと笑うこと。ひと笑いすること。笑って問題にしないこと。[文例]〈一笑の下[もと]に〉先輩に対するぼくら一年生の要望は、一笑の下に無視されてしまった。 <68> **いっしょうけんめい【一生懸命】** ○物事に熱心にとりくむさま。一所懸命。[文例]このごろ、弟が一生懸命勉強するようになったので、ぼくも負けてはいられない。♠彼は仕事に一生懸命で、遊ぶことなど念頭[ねんとう]にない。 **いっしょくそくはつ【一触即発】** ○ちょっと接触するだけで、すぐに爆発[ばくはつ]するような危険な状態。[文例]**<一触即発の状態>** あんなに仲の良かった二人がちょっとした誤解[ごかい]がもとで、今や一触即発の状態だ。♠**<一触即発の危機>** 両国は、一触即発の危機をはらんでいた。 **いっしょくた【一緒くた】** ○すべてがまぜこぜになって区別できないさま。[文例]**<一緒くたに詰める>** 米[こめ]もみそも一緒くたに箱に詰[つ]めて引[ひ]っ越[こ]したので、整理が大変だった。♠**<一緒くたにほうりこむ>** さまざまな主義主張が一緒くたに容器の中にほうりこまれた状態を民主主義というのだろう。♠**<一緒くたに咲く>** 春の遅[おそ]い雪国[ゆきぐに]の山野[さんや]では、桜[さくら]もなしもりんごも、そして木蓮[もくれん]も雪柳[ゆきやなぎ]も一緒くたに咲[さ]き乱[みだ]れていました。 **いっしょけんめい【一所懸命】** ‣いっしょうけんめい **いっしん【一心】** ○一つに集中した心。一つのことに心を打ち込むさま。人々の心が一つになるさま。[文例]**<一心込めて>** この彫刻[ちょうこく]は、わたしが一心込めて彫[ほ]ったものです。♠**<一心になって〜する>** オーストラリアに行く妹は、一心になって英語を学んでいる。♠**<一心に祈る>** 母親は、戦場にいる息子の無事を一心に祈っている。♠**<〜したい一心で>** 貧[まず]しかった彼は、少[すこ]しでも楽[らく]になりたい一心で働いた。♠**<一心不乱>** 彼ら若[わか]い化学者たちは、一心不乱に実験に取り組んでいる。♠**<一心同体>** チームワークが大事な団体戦では、チーム全員が一心同体となって試合に臨[のぞ]もう。 **いっしん【一身】** ○自分のからだ。からだ全体。自分自身。[文例]**<一身に集める>** 彼は、町の人々の信頼[しんらい]を一身に集めている。♠**<一身に受ける>** きみは、みんなの失敗の責任を一身に引[ひ]き受[う]けてくれたのか。♠**<一身に背負う>** 多くの人々の期待を一身に背負[せお]って生きるのは楽[らく]ではあるまい。♠**<一身上>** 一身上の都合により、本日をもって退職いたします。 **いっしん【一新】** ○すっかり新しくすること、新しくなること。[文例]**<人心の一新を図る>** 時代に合わなくなった綱領[こうりょう]を改[あらた]め、党内の人心の一新を図[はか]ることになった。♠**<制度を一新する>** 明治維新によって旧制度が一新されました。♠**<メンバーを一新する>** メンバーを一新した今度のチームに期待がかけられている。♠**<面目を一新する>** この度の成功で、わたしは面目を一新することができました。 **いっしんいったい【一進一退】** ○進んだり、退いたりすることを繰り返すこと。よくなったり、悪くなったりすること。[文例]**<一進一退を繰り返す>** 春の陽気[ようき]は、一進一退を繰り返しながらそろそろとやって来[く]る。♠**<一進一退を続ける>** 兄[あに]の病状は、この一か月、一進一退を続けています。 **いっしんどうたい【一心同体】** ○二人以上の人が心を一つにすること。[文例]**<一心同体になる>** 村人たちは、一心同体になって、攻[せ]めてくる盗賊団[とうぞくだん]と戦う準備をした。♠**<夫婦は一心同体>** 夫婦は一心同体といいますが、うちの両親は本当に考えが似通[にかよ]っています。 **いっしんふらん【一心不乱】** ○一つの事に打ち込んで、心を乱さないこと。[文例]**<一心不乱に〜する>** わたしは、一心不乱に物を作[つく]り上[あ]げていくひとときが好きです。♠**<一心不乱に祈る>** 木の葉のように揺[ゆ]れる船[ふね]の上で、命[いのち]だけは助かるようにと一心不乱に祈[いの]った。 **いっすい【一睡】** ○少しの間眠ること。ひとねむり。[文例]**<一睡もしない>** 父の容態[ようだい]が気にかかり、ゆうべは一睡もできなかった。♠**<一睡をむさぼる>** 受験を目前[もくぜん]に控[ひか]えたわたしは、真夜中に一睡をむさぼり、また机に向かうという毎日です。 **いっ・する【逸する】** ○失う。のがす。とらえそこなう。…からそれる。[文例]**<好機を逸する>** 日本に残していく恋人のことが気になって、アメリカ留学の好機を逸した。♠**<常軌を逸する>** こんな莫大[ばくだい]な金額をつぎ込むとは、明らかに常軌を逸している。♠**<大魚を逸する>** 将来性のある新人だったのに退部したか……。大魚を逸するとはこのことだな。 **いっすん【一寸】** ○昔[むかし]の長さの単位、約三センチほど。ごく短いこと。小さいこと。[文例]**<一寸先はやみ>** あんなに元気だった人が突然[とつぜん]亡[な]くなるなんて……。ああ、一寸先はやみだ。♠**<一寸の虫にも五分[ごぶ]の魂[たましい]>** 足軽[あしがる]のせがれだからってばかにするな、一寸の虫にも五分の魂だぞ。♠**<一寸の光陰[こういん]、軽[かろ]んずべからず>** 少年老[お]いやすく学成[がくな]り難[がた]し、一寸の光陰、軽んずべからず。♠**<一寸刻み>** 元旦[がんたん]の明治神宮はたいへんな混雑[こんざつ]で、一寸刻みでしか前[まえ]に進めないほどだった。♠**<一寸逃れ>** そんな一寸逃[のが]れの言[い]い訳[わけ]でごまかそうっていうのかい。 **いっせい【一斉】** ○いちどきにそろって。[文例]信号が青[あお]に変わると、向こうからたくさんの車が一斉に飛[と]び出[だ]してきた。♠警戒[けいかい]警報が鳴[な]ったら、一斉に避難[ひなん]してください。♠旗[はた]が振[ふ]られると、一斉にみんなが立[た]ち上[あ]がり、綱引[つなひ]きがはじまった。♠木々のこずえには、一斉に若芽[わかめ]がふき、北国[きたぐに]にも、遅[おそ]い春がやってきた。♠**<一斉取り締まり>** 今週は、スピード違反の一斉取り締まりが行われている。♠**<一斉射撃>** 「ファイア!」の号令を合図に、一斉射撃[しゃげき]の銃声[じゅうせい]がとどろきわたった。 **いっせき【一席】** ○寄席[よせ]・講演・宴会などの一回。コンクールの第一位。[文例]**<一席ぶつ>** 今日は、みんなの前[まえ]でタバコの害[がい]と迷惑[めいわく]について一席ぶってきました。♠**<一席設ける>** 今度一席設[もう]けますので、ぜひ自慢[じまん]ののどを聞かせてください。♠**<一席に入選する>** フォトコンテストでぼくのスナップが、一席に入選するとは、思いもよらなかった。 <69> プ写真が一席に入選しました。 **いっせきにちょう**【一石二鳥】○一つのことで二つの利益を得ること。一挙両得。[文例]〈一石二鳥の名案〉何かいい方法はないものかと考えているうちに、一石二鳥の名案が浮かんだ。♠〈一石二鳥のアイデア〉不用品交換は、いらない物を処分できて、欲しい物を手に入れられる一石二鳥のアイデアだ。 **いっせつな**(一刹那)○きわめて短い時間。一瞬間。[文例]子供が車道に飛び出しそうになった一刹那、一人の青年がすばやく駆け寄って押さえた。 **いっせん**【一線】○一本の線。けじめとなる線。ある分野の最先端。[文例]〈一線にならぶ〉選手たちは一線にならんで、スタートの合図を待った。♠〈一線を画[かく]する〉父は、仕事と家庭の間には一線を画している。♠〈一線を越える〉二人の間には、越えてはならぬ一線があった。♠〈最後の一線〉ものにはけじめというものがある。最後の一線だけは守ろうね。♠〈一線を引く〉慕[した]い合う二人だったが、主人と雇[やと]い人の間に踏むことのできない一線が引かれていた。♠〈第一線〉彼は、ファッション界の第一線で活躍[かつやく]しています。 **いっせん**【一戦】○一回のたたかい。ひと勝負。[文例]〈横綱[よこづな]同士の一戦〉千秋楽[せんしゆうらく]結びの横綱同士の一戦で優勝が決まることになりそうだ。♠〈一戦交[まじ]える〉久しぶりに一戦交えるか、と、父は将棋盤[しようぎばん]を持ってきた。 **いっそ**どうせなら。思い切って。むしろ。かえって。[文例]これほどつらい思いをするくらいなら、いっそ死んでしまいたい。♠どうだろう、いっそ近所に引っ越してきては?♠〈いっそのこと〉そんな高い家賃を払うくらいなら、いっそのこと、家を建てたほうがましだ。♠〈いっそのこと〉いっそのこと、お店をたたんで上京しませんか。 **いっそう**【一層】○地層などのひとかさね。建物の一つの階。いちだんと。ひとしお。さらに。ますます。[文例]〈地層の一層〉チョウの化石は、地層の一番下の一層から発見された。♠金閣寺の楼閣[ろうかく]は、銀閣寺[ぎんかくじ]のそれより一層多い、三層からできている。♠二月になれば、寒さはいっそう厳しくなるだろう。♠毎日練習したので、前よりもいっそうテニスが上達した。♠当選したその議員は、「いっそうの御協力、御支援をお願いいたします。」とあいさつした。♠〈よりいっそう〉彼女は末っ子だから、よりいっそう家族からかわいがられている。 **いっそう**【一掃】○すっかりはらいのけること。[文例]〈障害を一掃する〉この計画には障害もあるが、そんなものはいずれは一掃することができるだろう。♠〈不安を一掃する〉仲間の自信に満ちた態度が、ぼくの不安を一掃してくれた。♠〈走者を一掃する〉大きな二塁打が出て、四球とエラーで出塁していた走者を一掃した。 **いっそくとび**【一足飛び】○両足をそろえてとぶこと。途中の段階を踏まずに飛び越えること。[文例]〈一足飛びに進む〉少年は、きわめて優秀で、六級から一足飛びに三級に進んだ。♠有能な彼は、入社して間もなく一足飛びに係長にばってきされた。♠少女は一足飛びに大人になって、早く母さんの手伝いをしてあげたいと思っていた。 **いったい**【一体】○一つの体。一つのもの。ひとまとまり。全体。仏像・遺体などの一つ。総じて。そもそも。疑問の意を強める語。[文例]〈一体となる〉夫婦が一体となって働いたので、店は大繁盛[だいはんじよう]した。♠〈クラスが一体〉運動会は、クラスのみんなが一体であるという気持ちを新たなものにした。♠〈一体の仏像〉一体の仏像が、うす暗いお堂に安置されている。♠〈いったいに〉いったいに、子供は大人のまねをするものだ。♠わたしは、いったいどうしたらいいんだ。♠〈一体全体〉一体全体、彼は何を考えてこんなことをしたんだ。 **いったい**【一帯】○辺り全体。付近一円。[文例]〈辺り一帯〉辺り一帯にはひばりがたくさんいて、晴れた日には鳴き声がうるさいほどだ。♠〈一帯の村々〉夕方から夜にかけてひどい雷雨[らいう]が一帯の村々を襲[おそ]った。♠〈ふもとの一帯〉一九四三年十二月二十八日、北海道の有珠山[うすざん]のふもとの一帯は、突然強い地震に襲われた。 **いつだつ**【逸脱】○本筋から外れること。一定の範囲から外へとび出ること。[文例]〈目的から逸脱する〉このような活動は、会の本来の目的から逸脱している。♠〈ルールを逸脱する〉集団で行動する場合、ルールを逸脱する者の行為は集団全体を危機に追いこむことがある。 **いったん**(一旦)○ひとたび。いっぺん。もしも。[文例]用があるのでいったん家にもどるが、すぐまた来ます。♠いったん約束したらもう取り消せないから、よく考えてから決めなさい。♠ヒキガエルは、すばやく動く虫でも、いったん舌の届く距離に入ったとたん、一発でしとめてしまう。 **いったん**【一端】○かたはし。一部分。[文例]〈ひもの一端〉ゴムひもの一端を電柱に結びつけ、ちえちゃんとゴム跳[と]びをして遊びます。♠〈感想の一端〉わたしにも、感想の一端を述べさせていただけますか。♠〈事件の一端〉この調査で、完全とは言えないにしろ、事件の一端が明らかになった。 **いっち**【一致】○一つに合わさること。ぴったり合うこと。[文例]〈好みが一致する〉わたしとえいこさんは、服や食べ物の好みが不思議なほど一致しています。♠〈ピタリと一致する〉現場に残された指紋[しもん]と容疑者の指紋がピタリと一致して、事件は一挙に解決した。♠〈意見の一致をみる〉数回にわたる話し合いの末、両者の間でようやく意見の一致をみた。♠〈一致団結する〉文化祭を盛り上げようと、全校生徒が一致団結して準備にあたった。♠〈満場一致〉修正案が満場一致で可決された。♠〈言行[げんこう]一致〉自分の言葉に反[はん]する行動をとらないこと、つまり言行一致は大切なことです。 **いっちはんかい**【一知半解】○なまはんかにしか理解していないこと。なまかじり。[文例]〈一知半解の知識〉素人[しろうと]が一知半解の医学知識に頼[たよ]るのは、とても危険です。♠コンピューターに強そうな口ぶりだったが、質問にうまく答えられないところをみると一知半解らしい。 **いっちょう**【一丁】○昔の距離の単位(町)で約一○九メートル。刃物・道具・とうふ・料理などを数える単位。ひとつ。ひと勝負。ひと働き。[文例] <70> **いっちょういっせき【一朝一夕】** ○ひと朝とひと晩。短い期間。[文例]外国語は一朝一夕にマスターできるものではない。♠この仕事は長い準備が必要で、とても一朝一夕にできるものではありません。 **いっちょういったん【一長一短】** ○長所と短所をあわせもつこと。[文例]**<一長一短ある>** どれもこれも帯[おび]に短[みじか]したすきに長[なが]しで、一長一短あって決[き]められない。 **いっつい【一対】** ○二つでひと組になっているもの・こと。[文例]**<一対の茶わん>** 旅行のおみやげに一対の夫婦[めおと]茶碗[ぢゃわん]を買ってきて、父と母を喜ばせた。♠**<一対のイアリング>** おばのくれた誕生日のプレゼントを開くと、一対のイアリングが出てきた。♠**<好一対>** あの夫婦はまさに好一対だ。 **いって【一手】** ○一つのやり方。それ以外にない方法。独占的に扱うこと。碁・将棋で石やこまを一回動かすこと。[文例]**<将棋の一手>** 待った、待った。その一手お願いだから待った。♠**<押しの一手>** こうなったら押しの一手だ。なんとしても彼女を連れていかなくちゃ。♠**<泣きの一手>** よくあいつが引[ひ]き受[う]けてくれたなあ。泣きの一手で すがりついたんだろう?♠**<一手に引き受ける>** よし、キャンプファイヤーのまき集めは、ぼくが一手に引き受けたぞ。♠**<一手に握る>** この輸入品の販売[はんばい]の権利は、当商事が一手に握っています。 **いってい【一定】** ○一つに定まること。一つに定まっていること。[文例]**<一定の決まり>** どんなスポーツにも、一定の決まりがある。♠**<一定の書式>** 届[とど]け出[で]は、一定の書式で書くこと。♠**<一定に保つ>** 飛行機には、速度を一定に保[たも]つ自動装置[そうち]がある。♠**<一定にする>** 前[まえ]の車との間隔[かんかく]を一定にして安全運転をする。♠**<一定の分量>** 薬は、一定の分量以上飲んではいけません。♠**<一定の時期・場所>** 渡[わた]り鳥は、一定の時期に、一定の場所にやってくる。♠**<一定する>** わたしの寝[ね]る時間は、日によって異[こと]なり、一定していません。 **いってつ【一徹】** ○かたくななさま。がんこなさま。[文例]**<一徹な性格>** 思い込んだら最後[さいご]、少々[しょうしょう]のことでは考えを変えない一徹な性格であった。♠**<老いの一徹>** あのじいさんぐらいの年[とし]になると、老いの一徹でいくら言っても聞[き]きゃしないさ。♠**<頑固一徹>** 話がわからないわけではないが、何しろ頑固[がんこ]一徹の職人[しょくにん]なので扱[あつか]いにくい。 **いってん【一転】** ○一回転すること。物事が大きく転回すること。[文例]**<情勢が一転する>** 両国の国民は、情勢が一転し、和平へと向[む]かうことを願[ねが]っている。♠**<舞台が一転する>** 舞台[ぶたい]は一転して、森の場面となる。♠**<一転して〜となる>** 交通事故で、楽しいはずの旅行が一転して、悲[かな]しみの旅となった。♠**<心機一転>** 心機[しんき]一転、新[あたら]しい商売に力[ちから]を注[そそ]ごうと思っております。 **いっと【一途】** ○ひとすじの道。一つの手段。一つの方法。[文例]**<悪化の一途>** 必死[ひっし]の看病にもかかわらず、父の容態[ようだい]は悪化の一途をたどった。♠**<復興の一途>** 戦後の混乱から立ち直[なお]った日本は、復興の一途をたどった。 **いっとうりょうだん【一刀両断】** ○ひと太刀[たち]でまっぷたつに切ること。思い切った処置[しょち]をとること。[文例]ヤッというするどい気合いで刃[やいば]が一閃[いっせん]すると、竹は一刀両断にされていた。♠理論家の彼を相手にへたな議論などしようものなら、一刀両断にやっつけられてしまう。♠**<一刀両断の処置>** ワンマン社長は、社内のもめごとに対して、ただちに一刀両断の処置を講[こう]じた。 **いっとき【一時】** ○昔[むかし]の時間の単位で、今[いま]の二時間。ひととき。いちじ。いちどきに。[文例]**<一時ほどして>** それから一時ほどして、その侍[さむらい]は屋敷[やしき]に帰[かえ]ってきた。♠**<一時たりとも>** 戦争で死んだ子のことは、一時たりとも心[こころ]を離[はな]れたことはなかったよ。♠**<一時は>** やれやれ、何とか解決がついたようです。一時は血[ち]の雨[あめ]が降[ふ]るかと思いました。♠**<一時の恥>** 聞[き]くは一時の恥、聞かぬは一生の恥[はじ]。 **いつのまに【いつの間に】** ○いつとは知らない間[ま]に。[文例]一夜[いちや]明[あ]けると、いつのまに降[ふ]ったのか、外は一面の銀世界[ぎんせかい]だった。♠あいつ、いつのまにこんな難[むずか]しい本を読むようになったんだろう。♠**<いつのまにか>** わたしを乗[の]せた汽車は、いつのまにか大雪原[だいせつげん]の中を走[はし]り続[つづ]けていた。♠**<いつのまにやら>** 戸棚[とだな]の中のケーキが、いつのまにやら、影[かげ]も形もなくなっている。 **いっぱい【一杯】** ○一つの容器に満ちる量。ある限度に達する量・時間。あふれるほどたくさん。限度ぎりぎりであるさま。イカ・タコ・カニ一匹。船一そう。[文例]**<一杯の水>** 真夏[まなつ]に外から帰[かえ]って飲[の]む一杯の水ほどおいしいものはない。♠**<一杯飲む>** 今夜[こんや]、一杯飲みに行かないか。♠**<一杯食わされる・食う>** しまった! またあいつに一杯食わされた。♠**<いっぱい咲く>** 庭[にわ]に大輪[たいりん]の朝顔[あさがお]がいっぱい咲[さ]きました。♠**<いっぱいあふれる>** かわいそうな子供の話を聞くと、少女の両[りょう]の目[め]に涙[なみだ]がいっぱいあふれてきた。♠**<頭がいっぱい>** 小学生のころは遊ぶことで頭がいっぱいで、ほとんど勉強をしなかった。♠**<力いっぱい>** スタートの合図とともに、力いっぱい走[はし]りました。♠**<今年いっぱい>** この映画館は、今年いっぱいで閉館[へいかん]されることになった。♠**<一杯機嫌>** その夜、夫[おっと]は一杯機嫌で鼻歌[はなうた]をうたいながら帰ってきた。 **いっぱし【一端】** ○いちにんまえ。ひとかど。[文例]**<いっぱしの商売人>** 少年たちは、いっぱしの商売人[しょうばいにん]のように、とってきたどじょうを少[すこ]しでも高[たか]く売[う]ろうとした。♠**<いっぱしの大人>** 両親の話にしきりにあいづちを打[う]っている妹は、どうやらいっぱしの大人のつもりらしい。♠**<いっぱしの口>** 新米[しんまい]のくせにいっぱしの口をきくじゃないか。♠**<いっぱし専門家ぶる>** いっぱし専門家ぶってはいるが、実は他人の受[う]け売[う]りで独自性など何もない。 **いっぱん【一般】** ○広[ひろ]く全体にわたること。特殊なところがなく、ごくふつうであること。[文例]**<一般の関心>** 大気汚染[たいきおせん]は、今や一般の関心事になった。♠**<一般に>** 一般に、女性のほうが長生[ながい]きする。♠**<一般大衆>** 今、一般大衆に受[う]けている歌は、どんな歌ですか。♠**<一般向き>** この本は、専門家でなくても、だれでも読[よ]めるように、一般向きに書かれています。♠**<一般論>** あなたは一般論ばかりで、少しも個別的、具体的なことを言おうとしない。♠**<一般性がない>** そんな例外的な例を出されても、一般性がないから議論[ぎろん]になりませんよ。 <71> ないこと。通じる点があること。[文例]〈一般の人〉このように善と悪の色わけのはっきりした映画は、一般の人に受け入れられやすい。♠〈一般の部員〉監督[かんとく]は、キャプテンだけでなく、一般の部員の意見もよく聞いた。♠〈一般の呼び方〉まんじゅしゃげは、ひがんばなというのが一般の呼び方です。♠〈普通一般〉最低限、普通一般の教養は身につけておきたい。♠「板につく」のように、芝居[しばい]の用語から出て、一般に使われるようになった慣用句も多い。♠貴族も武士と一般で、農民の租税[そぜい]で生活していた。♠〈一般的〉今日[こんにち]、日本語は漢字仮名交[ま]じり文で書き表すのが一般的だ。 **いっぴきおおかみ**(一匹狼・一疋狼)○集団に所属せず、独自に行動する人。[文例]〈俳壇[はいだん]の一匹狼〉彼は俳壇の一匹狼で、どのグループにも属さず、独自の俳句を作り続けている。♠〈武芸の一匹狼〉宮本武蔵[みやもとむさし]は、武芸の一匹狼として苦難の道を歩み、多くの敵にねらわれていた。 **いっぴん**【逸品】○すぐれた品物。できのよい作品。[文例]祖父は骨董品[こつとうひん]を集めているが、中でも江戸時代の作という茶碗[ちやわん]は逸品である。♠〈逸品がそろう〉この郷土館には民芸品の逸品がそろっている。♠〈天下の逸品〉この剣は、天下の逸品である。 **いっぷく**【一服】○粉ぐすりの一包み。お茶やタバコを一回のむこと。一休みすること。[文例]〈薬を一服〉病院でもらった薬を一服飲んだら、頭痛がピタリとやんだ。♠〈お茶を一服〉祖母がお茶をたてていますので、一服どうぞ。♠〈一服盛る〉死因は明らかではないが、一服盛られたといううわさもある。♠〈一服する〉植木屋さん、お茶がはいりましたから、一服してください。♠〈一服の清涼剤[せいりようざい]〉殺伐[さつばつ]とした世の中で、彼女の存在は一服の清涼剤だった。 **いっぺん**【一遍】○一回。一度。ただそれだけであること。[文例]いっぺんでいいから、宇宙ロケットに乗ってみたい。♠わたしは、いっぺんも京都に行ったことがありません。♠〈いっぺんに〉いっぺんに何もかもやろうとしても無理だから、ひとつずつ片づけなさい。♠〈通り一遍〉「元気そうだね。」と通り一遍の挨拶[あいさつ]をぼくに投げると、彼はそそくさと女性たちの方へ近づいていった。 **いっぺん**【一変】○すっかり変わること。[文例]〈世界が一変する〉それまでのまぶしい銀世界が、突然、あらしの吹きすさぶ吹雪の世界へと一変した。♠〈様子が一変する〉みんなが賛成に傾[かたむ]いていたのに、彼の話で様子が一変した。♠〈態度が一変する〉動かぬ証拠[しようこ]をつきつけられて、男の態度が一変した。♠〈態度を一変する〉お客とわかると、態度を一変して、急[きゆう]にもみ手をしだすから全く嫌[いや]になる。 **いっぺん**【一片】○ひとかけら。ひとひら。ひときれ。[文例]〈花びら一片〉夕暮れの庭に舞う花びら一片………………。♠〈一片の雲〉翌日は、うそのように晴れ上がり、空に一片の雲もなかった。♠〈一片の良心〉きみには、一片の良心もないというのか。 **いっぽ**【一歩】○ひとあし。一段階。[文例]〈一歩も歩けない〉だめだ、くたびれてもう一歩も歩けない。♠〈一歩リードする〉頭を使った効果的な練習のおかげで、相手を一歩リードしたぞ。♠〈一歩譲[ゆず]る〉経験では課長に一歩譲りますが、馬力の点では負けませんよ。♠〈一歩進める〉けんかをやめたのはえらい。では、もう一歩進めて仲良くやっていくことを考えよう。♠〈一歩を踏み出す〉〈新しい一歩〉これによって、人類は宇宙への新しい一歩を踏み出したといえよう。♠〈一歩手前〉家出少女のわたしは、転落の一歩手前で見知らぬおじさんの親切に救われました。♠〈千里の道も一歩から〉この遠大な計画に着手するにあたり、千里の道も一歩から、という格言を思い出した。 **いっぽう**【一方】○一つの方面。物事の片側の面。片方。他方。もっぱらそうであること。[文例]〈一方の端〉吉田君は、ロープの一方の端を持って何か叫[さけ]んでいる。♠〈一方~他方~〉大昔から人間は、一方では川を利用するとともに、他方では川を治める努力を怠[おこた]らなかった。♠〈~する一方〉民家の軒下[のきした]に雨やどりしたが、雨はますます激しくなる一方だった。♠〈食[く]い気[け]一方〉彼女は食い気一方で、ぼくがどんなにロマンチックな話をしても何も感じないらしい。♠日本は食べ物が豊富だが、一方、深刻な食糧不足に悩んでいる国もある。♠〈一方的〉そんなに一方的にあなたの都合ばかり言われても困ります。 **いっぽうつうこう**【一方通行】○一方向にだけ進行が許されること。一方向にしか意思や主張が伝わらないこと。[文例]この通りは一方通行になっていて、こちら側からは車を乗り入れることができません。♠相手がしゃべりまくって、ぼくは聞くだけの一方通行だから対話など成立しない。 **いっぽうてき**【一方的】○一方だけにかたよるさま。自分の都合だけを押しつけるさま。[文例]〈一方的に言う〉そんなに一方的に自分の考えばかり言わないで、ぼくの意見も聞いてよ。♠〈一方的な試合〉ゲームは大差がついて、一方的な試合展開となった。♠〈一方的な見方〉一方的な見方はやめて、いろいろな角度から考え直してみる必要がある。 **いっぽん**【一本】○ある本。一冊の本。細長い物一つ。剣道・柔道などで技が一回決まること。それだけ。[文例]〈一本取られる〉やあ、参った、参った。これは、子供に一本取られましたね。♠〈一本参る〉うん、一本参ったね。これは、お父さんの負けだ。♠〈一本にしぼる〉志望校は一本にしぼってがんばろうと思います。♠〈一本勝負〉時間は無制限、一本勝負のゴングが鳴りました。♠〈一本化〉地方の支社と営業所の営業体制の一本化を図る。♠〈一本気〉若い人は一本気だから、ペラペラおべんちゃらを使うことなどできない。♠〈一本立ち〉ほかの動物とちがって、人間は一本立ちするのに二十年もかかる。♠〈一本調子〉そんな一本調子な攻撃[こうげき]パターンでは、すぐ敵に見破られてしまう。♠〈一本やり〉うちの留吉[とめきち]は、おしのさん一本やりで、ほかの娘には目もくれな **いっぽんぢょうし**【一本調子】○単調で変化にとぼしいこと。[文例]〈一本調子な話し方〉一本調子な話し方では、相手を退屈[たいくつ]させてしまいます。♠〈展開が一本調子〉この芝居[しばい]は展開が一本調子で、盛り上がりに欠ける。 <72> **いつも**(何時も)○どんな時も。つねに。ふだん。[文例]日曜の午後、父はいつも書斎[しよさい]にいます。♠わたしたちが話したり書いたりすることばは、いつも単語ではなく文が基本になります。♠アンネはいつも自分のことよりは他人のことを考え、他人の幸せに役立ちたいと考えていた。♠彼女はいつもニコニコしていて、だれに対しても親切です。♠今日はいつもよりゆっくり家を出た。 **いつらく**【逸楽】○楽しみをほしいままにすること。[文例]〈逸楽に身をゆだねる〉この小説には、逸楽に身をゆだねた上流貴族とそれをとりまく女性たちの姿が描かれている。♠少女のしなやかな肢体[したい]には、この夏のこの浜辺[はまべ]でのあらゆる逸楽がしみこんでいた。 **いつわ**【逸話】○世間にあまり知られていない話。エピソード。[文例]〈逸話の持ち主〉彼は高名な学者だが、日常生活では多くのおもしろい逸話の持ち主だ。♠〈逸話に事欠[ことか]かない〉変人で有名な人なので、逸話に事欠かない。♠〈〜を物語る逸話〉これなども、彼の人柄[ひとがら]を物語る逸話といえよう。 **いつわり**【偽り】○真実でないこと。うそ。[文例]〈偽りがない〉自分の心のうちを冷静な目で見つめ、それを偽りのないことばで日記に書き記した。♠〈偽りの愛〉彼女は良心の痛み[いた]に耐えながら、偽りの愛を誓[ちか]った。♠〈偽りに満ちる〉この地で、男は偽りに満ちた一生を終えるのです。♠〈看板[かんばん]にいつわりなし〉値切ってみると、「まからず屋」の看板にいつわりなしで、びた一文まけられないと主人は言う。♠〈うそ偽り〉命を捨てても主人に尽[つ]くすというわたしの気持ちに、うそ偽りはございません。 **いつわ・る**【偽る】○事実をまげて言う。うそを言う。だます。[文例]〈病気と偽る〉疲れていたので、病気と偽って、レッスンをずる休みしてしまった。♠〈名前を偽る〉他人の名を偽り、あちこちでさぎを働いていた男が捕[つか]まった。♠〈身分を偽る〉中には、高校生という身分を偽って、深夜アルバイトをしている者もいた。♠〈事実を偽る〉彼が刑事[けいじ]たちの前で、事実を偽っているとは思えなかった。♠〈偽らない気持ち〉ぼくは、きみの偽らない本当の気持ちが知りたいんだ。♠〈己[おのれ]を偽る〉他人をだましているつもりだったが、結局、己を偽っていたことにやっと気がついた。 **イデオロギー**○現実認識にもとづいて構築され、党派的な立場のよりどころとなるような考え方や思想。[文例]〈イデオロギーを持ち込む〉自由な市民の運動にイデオロギーを持ち込まないでほしい。♠〈イデオロギーがからむ〉イデオロギーがからむと、自由で柔軟な発想ができなくなるようだ。♠〈イデオロギーの相違〉イデオロギーの相違から党派間に血で血を洗う争いが始まった。 **いてつ・く**(凍て付く)○凍りつく。[文例]〈いてつく大地〉シベリアのいてつく大地に、たくましく生きる人々の歌声が流れた。♠〈いてつくような寒さ〉いてつくような寒さの中に、外套[がいとう]も着ないで飛び出して行った。♠〈いてつくような夜空〉北国のいてつくような夜空に鋭[するど]い三日月が張りつめていた。 **いてん**【移転】○住居や施設などの場所を移すこと。[文例]〈移転する〉わたしは矢来町[やらいちよう]のその小さな借家で生まれ、十歳の春弁天町[べんてんちよう]に移転するまでそこで育った。♠〈事務所を移転する〉左記に事務所を移転しましたので、ご通知申し上げます。♠〈移転先〉わたしはもう一度、友の詳しい移転先を確かめたいと考えた。 **いでん**【遺伝】○生物の性質・形状などが親から子孫に伝わること。[文例]〈遺伝の法則〉遺伝の法則からいって、A型とO型の両親からB型の子が生まれるわけがない。♠〈親の遺伝〉うるさいと言われたって、声の大きいのは遺伝だから、しようがないだろ。♠〈遺伝する〉往々にして、親のいい所はちっとも似ないで、悪い所ばかり遺伝するものさ。 **いと**【糸】○繊維を細長くより合わせたもの。細くて長いもの。[文例]〈糸を紡[つむ]ぐ〉ある晩、おかみさんは糸車を回して、糸を紡いでいた。♠〈針と糸〉ボタンが取れたんだけど、針と糸を持ってる人いない?♠〈くもが糸を出す〉一匹のくもが体から糸を出し、網[あみ]を張っている。♠〈糸を垂[た]れる〉日がな一日糸を垂れて、獲物[えもの]がかかるのを待った。♠〈糸の切れたたこ〉うちの弟は、外へ遊びに出ると、糸の切れたたこのように帰ってこない。♠〈糸のような雨〉外に出ると、細い糸のような雨が降っていた。♠〈運命の糸〉宿命的ともいえる二人の出会いは、目に見えない運命の糸で結ばれていたとしか言いようがない。♠〈糸を引く〉このご飯、糸を引いてるから食べないほうがいいよ。♠〈糸を引く〉この事件の裏には、陰[かげ]で糸を引く悪いやつがいるにちがいない。 **いでたち**(出で立ち)○旅立ち。(旅の)身じたく。よそおい。[文例]〈奇妙ないでたち〉彼ときたら、田舎の親が腰を抜かすような奇妙ないでたちで、帰省列車に乗りこんだ。♠〈軽快ないでたち〉その日、彼女は、トレーニングウェアという軽快ないでたちで自転車でかけつけた。 **いと**【意図】○もくろみ。おもわく。くわだて。[文例]〈意図がある〉つまらないことを言うものだと思っていたが、彼には別の意図があるようだ。♠〈意図がわからない〉この本の欠点は、内容が盛りだくさんすぎて、作者の意図がどこにあるのかわからないことだ。♠〈〜する意図〉文を書く時には、題材や書く意図に合わせて、必要な材料を広く集めよう。♠〈意図を持つ〉犯人は、身の代金[みのしろきん]を要求する意図を持って、誘[さそ]い出したもようです。♠〈意図する〉政府は、総選挙を前にして、問題の早期解決を意図していた。 **いど**【井戸】○地下水をくみ上げるために地面に掘った設備。[文例]〈井戸を掘る〉このあたりは地下水が豊富なた め、そんなに深く井戸を掘る必要はなかった。♠〈井戸水〉うわさを聞いて、わざわざ遠くから人々がこの井戸水をくみに来た。♠〈井戸端[ばた]会議〉公園では、若い母親たちが子供たちを遊ばせながら、井戸端会議に花を咲かせている。 **いとう**(厭う)○いやがる。きらう。いたわる。[文例]〈苦労をいとう〉保母は、苦労をいとわずよく世話をしたので、その子はやっと心を許すようになった。♠〈世をいとう〉老人は、世をいとって山奥で暮らすようになった。 <73> 〈学んでいとわず〉若者は、学んでいとわず、学問を修[おさ]め人格を磨[みが]いていった。●〈体をいとう〉寒さの折から、どうぞお体をおいといください。 **いどう**【移動】○位置・場所を変えること。また、変わること。[文例]〈物を移動する〉教室のピアノを、窓側[まどがわ]から壁側[かべがわ]に移動させた。♠〈バスで移動する〉京都までは新幹線を利用したが、京都から奈良まではバスで移動した。♠〈生物が移動する〉モンシロチョウ、イチモンジセセリなどのチョウは、群[む]れをなして移動することがある。♠〈人口が移動する〉大都市では、都心から郊外[こうがい]へと、少しずつ人口が移動している。♠〈民族の移動〉四世紀ごろから六世紀ごろにかけて、ヨーロッパでは大規模な民族の移動が行われた。 **いどう**【異動】○任務や地位が変わること。[文例]〈人事の異動〉父の会社で人事の異動があったらしく、父はうかない顔で帰宅した。 **いどう**【異同】○異なる点。ちがい。[文例]〈異同がない〉著者の原稿と本の間には、きわめて少数の誤字を除いて、全く異同がなかった。 **いとおし・む**○かわいそうに思う。かわいがる。惜[お]しんで大事に思う。[文例]〈自分をいとおしむ〉一生働きとおしてなお貧しかった自分をいとおしむように、老人は冬の日だまりに身を置いていた。♠〈命をいとおしむ〉雨にぬれた子犬を抱きしめた少年は、小さな命をいとおしむ気持ちでいっぱいだった。♠〈子をいとおしむ〉戦場へ向かうマイクは、息子のジョンをいとおしむように、その手を強く握りしめていた。 **いとぐち**【糸口】○糸のはし。物事の発端[ほつたん]。端緒[たんしよ]。[文例]〈糸口となる〉一四九二年、コロンブスはサンサルバドル島に到着し、それがアメリカ大陸発見の糸口となった。♠〈解決の糸口〉〈糸口をつかむ〉カウンセラーは繰り返し面接を重ねているうち、ふとしたことから問題解決の糸口をつかんだ。♠〈話の糸口〉〈糸口がほぐれる〉わたしたちは、同郷であることがわかって、話の糸口がほぐれた。 **いとけな・い**(幼けない・稚けない)○おさない。あどけない。[文例]〈いとけない子供〉母親を慕[した]ういとけない兄弟の悲しみが、同じ年ごろのぼくにもよくわかったのだった。 **いとこ**(従兄弟・従姉妹)○父母の兄弟姉妹にあたる人の子。[文例]古い習慣の中で、政夫[まさお]少年といとこの民子[たみこ]の愛は悲劇的な運命をたどる。♠わたしと彼は、父方のいとこ同士にあたるのだが、子供のころ一度会ったきりだった。 **いどころ**【居所】○居る場所。住んでいる所。[文例]〈居所を教える〉あの人の居所は、きみには教えられない。♠〈犯人の居所〉〈居所をつきとめる〉苦労してやっと犯人の居所をつきとめたが、すでにもぬけのからだった。♠〈居所がない〉長い間、この家には自分の居所のないような、肩身[かたみ]の狭[せま]い思いをしていた。♠〈虫の居所が悪い〉父は、いつもはあんなふうにどなったりはしないのですが、今日は虫の居所が悪かったのでしょう。 **いとし・い**(愛しい)○かわいい。恋しい。いとおしい。[文例]〈いとしいわが子〉親たちはいとしいわが子のために、身を粉にして働いた。♠〈孫[まご]がいとしい〉祖母は、母親の顔を知らない孫が、ことのほかいとしかったようだ。♠〈いとしい人〉いとしい人のためならば、わたしは何でもいたします。♠〈いとしい気持ち〉顔を合わせる機会がなくなると、いとしい気持ちはますますつのった。♠〈いとしい男・女〉娘[むすめ]はいとしい男のことを思って、一日泣き暮らしていた。 **いとなみ**【営み】○生きている上での行為。生業。準備。[文例]〈生物の営み〉森では、小さな生物たちの営みが営々[えいえい]と繰り返されている。♠〈生活の営み〉この小さな路地裏に続く生活の営みは、昔と少しも変わらない。♠〈人間の営み〉人間の営みは、しょせん悲しい「喜劇」にすぎない。 **いとな・む**【営む】○物事を行う。経営する。[文例]〈生活を営む〉一家はそれまで、オランダの片田舎[かたいなか]で平和な生活を営んでいた。♠〈事業を営む〉会社勤めに満足していない父は、何か事業でも営みたいと考えているようだ。♠〈農業を営む〉彼なら、故郷で農業を営みながら、好きな学問に打ち込んでいるよ。♠〈酒屋を営む〉わが家は、先祖代々酒屋を営んでおります。♠〈法要を営む〉亡き父の霊[れい]を慰[なぐさ]めるため、この度光円寺にて、法要を営む運びとなりました。 **いとま**(暇)○空いた時間。ひま。休み。別れること。去ること。[文例]〈いとまがない〉受賞が決まってからというもの、彼女はマスコミの応接にいとまがなかった。♠〈いとまを告げる〉若者は、五年間世話になった家の人々にいとまを告げて、名残[なごり]惜[お]しそうに去っていった。♠〈いとまを出す〉急に主人からいとまを出されて、明日からどうやって暮らしていけばいいのか。♠〈おいとまする〉家の者が心配するといけませんので、そろそろおいとまいたします。 **いど・む**【挑む】○戦いをしかける。ある行為をしかける。挑戦する。立ち向かう。[文例]〈山に挑む〉毎年、多くの登山家がエベレストに挑んできた。♠〈入試に挑む〉いよいよ、明日は、兄が大学の入試に挑む日だ。♠〈記録に挑む〉世界記録に挑む選手の顔には、緊張の色が隠せなかった。♠〈未知の世界に挑む〉将来、ぼくは科学者になって、未知の世界に挑みたい。♠〈決戦を挑む〉平家は、源氏に最後の決戦を挑んだ。♠〈勝負を挑む〉兄に将棋[しようぎ]で勝負を挑んだが、あえなく完敗した。♠〈戦いを挑む〉対岸から戦いを挑む、ときの声が上がった。 **いと・める**【射止める】○矢や弾を放って、えものをしとめる。獲得する。[文例]〈えものを射止める〉毎年冬になると村の家畜をおそっていた灰色ぐまをついに射止めたぞ。♠〈ハートを射止める〉評判の美人だから、彼女のハートを射止めるのは大変だよ。 **いとわし・い**(厭わしい)○いやである。忌[い]むべきだ。不愉快だ。[文例]〈見るもいとわしい〉あの女の残していった物なぞ、見るもいとわしい。捨てておしまい。♠〈いとわしい冬〉朝から雪が降り続く。ああ、いとわしい冬がまたやって来た。♠〈いとわしい人間関係〉都会で一人暮らしをしているのは、いとわしい人間関係から逃[のが]れるためです。 <74> **いない**【以内】○ある範囲のうち。それを含めてもっと少ない数量。[文例]母が住んでいる坂の上の街は、かつての爆心地[ばくしんち]から半径一キロメートル以内にある。♠片道二時間以内で行ける所で、よい温泉場はないでしょうか。♠今度の模擬試験で十番以内の成績がとれたら、希望する大学に合格が可能だ。♠クラス会は、一人二千円以内の予算でおさめるように計画してください。 **いなお・る**【居直る】○すわり直す。急に態度を変える。[文例]「もしもし、お客さん、困ります。」ととがめると、向こうは、「金を払えばいいんだろ。」と居直った。♠先生のしつこい説教にがまんできなくなって、悪いのはぼくだけじゃない、と居直った。 **いなか**【田舎】○都会から離れた地方。都市化していない地域。生まれ故郷。[文例]観光国ですから、どんな田舎でも、ホテルやレストランでは英語が通じます。♠毎年、正月が近くなると、田舎の母からもちが送られて来る。♠当時わたしは田舎から出て来たばかりで、大阪は右も左もわからなかった。♠この辺りは、東京とはいってもまだまだ田舎で、緑も多く空気もきれいだ。 **いなずま**【稲妻】○雷雲が起こす放電現象によって発する光。いなびかり。[文例]〈稲妻が走る〉突然、雲の間を稲妻が走り、割れるような雷鳴[らいめい]がとどろいた。♠〈稲妻が光る〉稲妻が光ってから雷鳴が聞こえるまでずいぶん間があったから、そんなに近くではないよ。♠〈稲妻のよう〉雲と海との間を一羽の海鳥が、黒い稲妻のように飛び去った。 **いなづま**【稲妻】→いなずま **いななき**(嘶き)○馬の高い鳴き声。[文例]〈馬のいななき〉朝もやの中から、馬の高いいななきが聞こえてきた。♠馬のいななきにも哀[あわ]れを覚える冬枯[ふゆが]れの山野である。 **いななく**(嘶く)○馬が高く鳴く。[文例]〈馬がいななく〉「ヒヒーン」と一声高くいななくと、白馬は疾風[しつぷう]のように駆[か]けていった。♠草をはむ馬は、時々、頭を高くもち上げてはいなないた。♠ピストルの音に驚[おどろ]いた馬は、けたたましくいななき、棒立ちになった。 **いなびかり**【稲光】○雷雲が起こす放電現象によって発する光。いなずま。[文例]〈鋭[するど]い稲光〉鋭い稲光が目を射[い]たかと思うと、耳をつんざく雷鳴[らいめい]がとどろいた。♠〈稲光がする〉遠くの空で稲光がしているから、向こうは雨になったかもしれない。♠いなびかり北よりすれば北を見る(橋本多佳子) **いなめな・い**【否めない】○否定することができない。[文例]今度の決定では、会員の一部から不満が出る可能性は否めない。♠こちらにも落ち度があったことは否めないから、おわびの電話だけでもしておこう。 **いなら・ぶ**【居並ぶ】○並んですわる。席をつらねる。ずらりと並ぶ。[文例]〈居並ぶ審査員〉居並ぶ審査員の前で少し上がったが、上手に歌うことができた。♠〈重役が居並ぶ〉居並ぶ重役連の中に、父の顔があった。 **イニシアチブ**○先に立って物事をすること。率先すること。主導権。[文例]〈イニシアチブをとる〉田植えの実習とあって、授業のイニシアチブをとったのは、新潟[にいがた]出身の米田[よねだ]先生です。♠〈日本のイニシアチブ〉その国際会議は、アメリカと日本のイニシアチブで議事が進められていた。 **いにゅう**【移入】○移し入れること。[文例]〈移入する〉唐[とう]から移入された文化は、日本の伝統とまざり合って独自の発達を遂げた。♠〈感情移入〉ものごとに対して感情移入の強い人は、公平な判断を下せないことがある。 **いにん**【委任】○他にまかせること。物事をゆだねること。[文例]〈委任する〉この問題については、あなたに全権を委任します。♠〈委任状〉本人でなく代理人が受け取る場合には、委任状が必要である。 **いぬ**【犬】○イヌ科の動物。[文例]〈犬を飼[か]う〉ぼくは、三年前から、ポチという名の犬を飼っている。♠〈犬がほえる〉何かあったのか、隣[となり]の犬が裏庭でしきりにほえている。♠〈犬にかまれる〉犬にかまれたどろぼうは、ほうほうの体[てい]で逃げ出した。♠〈犬をつなぐ〉人にかみつかないよう、犬は必ずつないでおいてください。♠〈警察の犬〉やつは、スパイとして送りこまれた警察の犬だ。♠〈犬と猿[さる]〉代々敵どうしの両家は、犬と猿のようにいがみあっていた。♠〈犬も歩けば棒に当たる〉「犬も歩けば棒に当たる」のことわざもある。思わぬ所で幸運に出会わないとも限らないよ。♠〈犬の遠吠[とおぼ]え〉面[つら]と向かっては何も言えないくせに、陰[かげ]でこそこそ言うんじゃ、まるで犬の遠吠えだ。♠〈犬が西向きゃ尾は東〉犬が西向きゃ、尾は東。あたりまえのことじゃないか。♠〈夫婦[ふうふ]げんかは犬も食[く]わない〉ほうっとけ、ほうっとけ、夫婦げんかは犬も食わないさ。♠犬が来て水飲む音の夜寒[よさむ]かな(正岡子規) **いぬじに**【犬死に】○むだな死に方をすること。むだじに。[文例]〈犬死にになる〉今ごろになって告訴[こくそ]を取り下げるなんて、それでは彼の死が犬死にになってしまうじゃないか。♠〈犬死にする〉おれは決して犬死にはしない、必ずや敵に打撃を与えてやる。 **いね**【稲】○米を取るイネ科の植物。[文例]〈たんぼの稲〉涼しい風が吹き、たんぼの稲が葉波を寄せていた。♠〈稲の穂〉黄金色[こがねいろ]に色づいた稲の穂が重たそうに頭[こうべ]を垂[た]れて、刈り入れを待っている。♠〈稲をこく〉お百姓さんが足でふんで機械を回し、小山のように積まれた稲をかたっぱしからこいていく。♠〈稲刈[か]り〉毎年、稲刈りのすむころ、米沢盆地[よねざわぼんち]の空を白く細いくもの糸が飛ぶ。 **いねむり**【居眠り】○すわったままで眠ること。[文例]〈居眠りをする〉うとうとと居眠りをする生徒たちの前で話をするのだから、嫌[いや]になっちまう。♠〈居眠りが出る〉あの先生の授業は、つい居眠りが出てしまうほど退屈[たいくつ]だった。♠〈居眠り運転〉事故の原因は、おそらく運転手のわき見運転か居眠り運転と思われます。 **いのち**【命】○生き物を生かす力。生命。寿命。最も大切な物事。[文例]〈命がある・ない〉どんな生き物も命のある限り生き、次に来るものにバトンタッチして死んでいきます。♠〈短い命〉ぼくの弟は病気で亡くなりましたが、五歳というほんとうに短い命でした。 <75> 〈若い命〉〈命を燃やす〉彼らは甲子園[こうしえん]をめざして、厳しい練習に若い命を燃やしてきま した。●〈たった一つの命〉どんな訳があるか知らんが、たった一つの命を粗末[そまつ]にするものではない。●〈命が長くない〉もはや自分の命が長くないと知った父は、ある晩、家族全員を呼び集めた。●〈命をながらえる〉いたずらに命をながらえるよりも、潔[いさぎよ]く戦って死ぬのを武士は本望とした。●〈命をつなぐ〉無人島に漂着[ひようちやく]した男たちは魚を食べ、貝を取って命をつなぎました。●〈命を落とす〉運よく弾がそれたから助かったものの、危うく命を落とすところであった。◆〈人の命〉言うまでもなく、医者の使命は人の命を救うことにあります。●〈命を取られる〉戦争では死なずに帰ってきた息子も、次の年、はやり病に命を取られてしまいました。●〈命ばかりはお助けを〉有り金は差し上げますから、どうぞ、命ばかりはお助けを。●〈命が危ない〉このままでは彼の命が危ない、なんとか医者に見せなければ……。●〈命を守る〉わたしたち警察官は、市民の皆様[みなさま]の生活と命を守るため、日夜努力しています。◆〈命を捨てる〉生きて帰れないとわかっていて出かけるなんて、命を捨てるようなものじゃないか。●〈命が惜[お]しい〉おい、お前、命が惜しけりゃ黙[だま]っておれの言う通りにしろ!●〈命が縮[ちぢ]む〉なんだ、お前か、敵の見張りかと思って命が縮んだよ。●〈命が延[の]びる〉こうしてのんびり温泉につかっていると、命が延びるような気がするね。●〈命にかかわる〉幸いにも、父の病状は軽く、命にかかわるほどのものではなかった。●〈命にかえる〉若殿[わかとの]のことは、命にかえてもお守り申します。●〈命にかえられない〉いくらお金になるからと言って、命にはかえられないもの、そんな危ない仕事はできないよ。●〈命に懸[か]ける〉ご安心ください、王女様の身は、わたくしめが命に懸けてお守りいたします。●〈命を懸ける〉若者と娘[むすめ]にとっては、一生に一度しかない、命を懸けた恋[こい]であった。●〈命をささげる〉博士夫妻はこの難病に取り組み、その研究に二人の命をささげました。●〈命を受ける〉この世に命を受けた両親に感謝しています。●〈命の限り〉愛する人や、愛する故郷を守るためなら、命の限り戦うことができる。●〈命より大事〉それは、わたしの命より大事な笛[ふえ]、どうかお返しくください。●〈命の恩人〉危ないところを助けてくださったあなたは、わたしの命の恩人でございます。●〈命の綱[つな]〉三日目には、命の綱の水筒[すいとう]の水もからになってしまった。●〈命の洗濯[せんたく]〉おばあちゃんは、よほど旅行が楽しかったのでしょう、命の洗濯をしたと大喜びでした。●〈命知らず〉怪物退治のうわさを聞いて、命知らずの若者たちが我[われ]こそはと集まってきた。●〈命あっての物種[ものだね]〉そんな危ない仕事はごめんだぜ。なんてったって命あっての物種だからなあ。●〈金が命の世の中〉金が命の世の中とは言え、あんな小さい子まで預金[よきん]通帳を持っているなんて信じられない。●〈〜が命〉バレリーナにとっては、何よりも脚[あし]が命です。◆〈子供が命〉目に入れても痛くないほどかわいいこの子たちは、わたしの命だ。●わがいのち菊[きく]にむかひてしづかなる(水原秋桜子[みずはらしゆうおうし])●あかあかと一本の道とほりたりたまきはる我が命なりけり(斎藤茂吉) **いのちがけ**【命懸け】○命を捨てる覚悟であること。[文例]〈命懸けの仕事〉山のガイドというのは、絶えず危険のつきまとう命懸けの仕事だよ。♠〈命懸けで助ける〉彼は、おぼれている子供を命懸けで助けようとした感心な青年です。♠〈命懸けで戦う〉もし戦争になれば、男たちは命懸けで戦わなければならない。♠〈命懸けの旅〉研究のためとはいえ、アマゾン奥地[おくち]への旅はまったく命懸けだった。♠〈命懸けで働く〉莫大[ばくだい]な借金を返すため、男は命懸けで働いた。♠〈命懸けで恋する〉親も兄弟も捨て、娘が命懸けで恋した青年であった。 **いのちとり**【命取り】○破滅をまねくこと。[文例]〈傷が命取り〉この戦いで受けた刀傷[かたなきず]が命取りとなった。♠〈大統領の命取り〉経済政策の失敗が大統領の命取りとなった。 **いのちびろい**【命拾い】○あやういところで助かること。[文例]〈命拾いをする〉あなたが大声で助けを呼んでくれたおかげで、命拾いをしました。♠〈命拾いする〉車ごと海に転落したが、すんでのところであやうく命拾いした。 **いのり**【祈り】○祈ること。神仏に願うこと。[文例]〈お祈りをする〉いただく前に、まずみんなでお祈りをしましょう。♠〈祈りをかなえる〉だれからも愛される子に、という母の祈りがかなえられ、少年は人々の愛に包[つつ]まれて育った。♠〈祈りをささげる〉恋人[こいびと]の無事を願って、少女はひたすら神に祈りをささげた。♠〈祈りが通じる〉わたしたちの祈りが通じたのか、母の病気は徐々[じよじよ]に快方[かいほう]にむかっていった。♠〈祈りを唱[とな]える〉わたしたちは輪になって、神父様のあとに続いて主の祈りを唱えました。 **いの・る**【祈る】○神仏に願う。心から願う。[文例]〈家内[かない]安全を祈る〉一家そろって初もうでに行き、家内安全を祈った。♠〈神に祈る〉「どうぞ、この子の命をお救いください。」と、母親は必死で神に祈った。♠〈実[みの]りを祈る〉この村では、稲作[いなさく]の豊かな実りを祈って、毎年盛大[せいだい]な祭りを行っている。♠〈心に祈る〉いつまでもお元気でと、心に祈りながら、懐[なつ]かしい故郷を後にした。♠〈幸福を祈る〉一体、どこに子供の幸福を祈らない親がいるだろうか。♠〈無事を祈る〉外国に行く兄に、祖父から道中の無事を祈る手紙が届いた。♠〈健闘[けんとう]を祈る〉陰[かげ]ながらご健闘を祈ります。♠〈祈るような気持ち〉大事な書類を落としたことに気づき、祈るような気持ちで、もと来た道を引き返した。 **いばしょ**【居場所】○居る場所。座る場所。[文例]〈居場所を確保する〉会場はすでに先客でいっぱいだったが、わたしはなんとか自分の居場所を確保した。♠〈居場所がわかる〉居場所がわかると、わたしは店に連れ戻[もど]されてしまう。♠〈居場所がない〉男は、自分の居場所はないと悟[さと]ったのか、黙ってその屋敷[やしき]を出ていった。 **いばら**(茨・棘・荊)○とげのある小木。植物のとげ。[文例]〈いばらの冠〉兵士たちはイエスにいばらの冠をかぶせ、十字架につけるために外へ引き出した。♠〈いばらの道〉今日まで彼女は、女手ひとつでいばらの道を切り開いてきたのだよ。 <76> **いば・る【威張る】** ○えらぶって(強がって)威勢を張る。[文例]彼は、鼻息をあらくして、「金持ちなんてくだらない。」と、ひとりで威張っていた。♠あの代議士は、人前ではいつも威張って歩く。♠へ威張り散らす>権威をかさに着て威張り散らす人は、自分より強い者に対しては案外弱い。♠◆祖父は、孫たちの前では威張るくせがある。 **いはん【違反】** ○法やとりきめに反すること。[文例]〈違反を犯す>交通ルールをよく守り、違反を犯さないように気をつけよう。♠●〈違反する〉どんな理由であれ、戦争を起こすことは平和憲法の精神に違反する。♠●へ違反する〉この法律に違反する者は、罰金を科せられます。♠◆ヘルール違反〉サッカーでは、ボールに手を触れるとルール違反になります。♠◆<選挙違反>選挙のたびに、何人かの立候補者が選挙違反に問われ、検挙される。♠●〈駐車[ちゅうしゃ]違反〉今日だけでも、駐車違反でつかまった車が十数台あった。♠●〈契約[けいやく]違反〉半年分の家賃をすぐ払わなければ、契約違反で訴え[うったえ]ますよ。♠●ヘマナー違反〉あなた、禁煙の場所でタバコを吸うのは、マナー違反です。♠●〈違反行為[こうい]〉他国の領海内で魚をとるのは、明らかに違反行為である。 **いびき(鼾)** ○眠っている時、呼吸とともに発する音。[文例]〈いびきをかく〉わたしはいびきをかくから、皆さんとは別の部屋で寝ましょう。♠●へいびきをたてる〉どうしてあんなにすごいいびきをたてながら、自分は目が覚めないのだろう。♠●へいびきがうるさい>弟のいびきがうるさくて、寝られやしない。♠●へ高いびき〉みんながこんなに心配じているのに、本人は高いびきで寝ているよ。 **いびつ(歪)** ○形がゆがんでいるさま。[文例]へいびつになる〉おにぎりは、リュックのいちばん下でつぶされていびつになっていた。♠◆いびつになったクッションを手でたたいて形を整えた。♠●へいびつにする〉そのダンボール箱は、子供が乗っていびつにしてしまった。♠◆へいびつな頭〉しゃれた帽子は、わたしのいびつな頭には似合わない。♠●へ関係がいびつになる〉A君一人が大学入試に合格してから、三人の友人関係がいびつになってきた。♠●へいびつにゆがむ〉彼の円満だった人がらも、今ではいびつにゆがんでしまった。 **いひょう【意表】** ○思いがけないこと。[文例]〈意表をつく〉生徒の質問に意表をつかれて、先生は立ち往生してしまいました。♠へ意表に出る〉味方は、敵の意表に出る作戦をとった。 **いびる** ○いじめる。[文例]〈嫁をいびる〉最近のおしゅうとめさんは、嫁をいびるということはないと思います。♠●〈新入生をいびる〉かわいい新入生の女子をいびる三年生はいませんか? **いふう【威風】** ○威勢のあるさま。[文例]〈威風堂々>領主の権勢を物語るように、威風堂々たる屋敷[やしき]の構えである。♠〈威風になびく〉国王の威風になびかぬ貴族は一人もいなかった。♠へ威風辺りを払う〉将軍の姿は、まさに威風辺りを払う観があった。 **いぶかしげ(訝し気)** ○不思議そう。疑わしそう。不審げ。[文例]戸をたたくと、奥[おく]からいぶかしげに、「どなたですか。」と声がした。♠●ピッチャーは、「ボール」の宣告を受けると、いぶかしげに首をひねった。♠●へいぶかしげな顔>彼は、首をかしげながらいぶかしげな顔で、ひとり言をつぶやいていた。 **いぶか・る(訝る)** ○疑わしく思う。不審そうに思う。あやしむ。[文例]〈よそ者をいぶかる〉よそ者のわたしたちをいぶかってか、村人たちが遠巻きに集まってきた。♠◆ヘ言動をいぶかる〉事情を知らない友人たちは、さぞかしきみの言動をいぶかったことだろう。 **いぶき【息吹】** ○息。呼吸。息づかい。外に発散する活力。生気。[文例]〈春の息吹〉郊外[こうがい]に出かけていって、いち早く、春の息吹に触れてみたいものだ。♠●へ青春の息吹>校歌を合唱しているうちに、三十年前の青春の息吹がよみがえってきた。♠●〈大地の息吹>子供たちは、遊びを通して大地の息吹とじかにふれ、健[すこ]やかな心と体をはぐくんできた。♠●へ大自然の息吹〉山小屋で朝を迎えたわたしたちは、鮮やかな木々の緑に大自然の息吹を感じとった。 **いふく【衣服】** ○身に着ける物。着る物。[文例]〈衣服を脱ぐ〉雨にぬれた衣服を脱ぎもせず、そのまま出かけて行った。♠◆<粗末な衣服>粗末な衣服を身に付け、疲れた足取りで旅人は峠[とうげ]にたどり着いた。♠●〈衣服をまとう〉その武将は、美しい衣服をまとい、黄金の太刀を腰[こし]に着けていた。 **いぶつ【異物】** ○普通と違った物。人の体にとりこめないような物。[文例]〈異物が入る人体には、体に入った異物を外に出そうとする働きがあります。♠●〈異物を飲みこむ・吐[は]き出す>赤ちゃんの足をもって逆さにして背中をたたき、飲みこんだ異物を吐き出させる方法がある。 **いぶつ【遺物】** ○死後に残された物。遺品。過去から現在に残されたもの。[文例] <遺物が残る父が死んで、手元に遺物の古い革かばんが残った。♠へ前世紀の遺物〉まだ七十歳なのに、まるで前世紀の遺物のように頭の古いおじいさんです。 **いぶ・る(燻る)** ○よく燃えないで煙が出る。くすぶる。[文例]〈生木[なまき]がいぶる〉いろりでは、生木がぶすぶすいぶっている。♠●不満がいぶる>学校中に生徒の不満がいぶって、うわさの煙をたてていた。 **いへん【異変】** ○変わった出来事。平常と異なる事態。[文例]〈異変が起こる>昭和四十年、この辺り一帯の海に異変が起こった。♠へ気象の異変〉この数年の気象の異変は無視できません。 **いま【今】** ○現在(近い過去と未来をもいう)。その上に。さらに。[文例]〈昔も今も〉昔も今も、子を思う親の心に変わりはない。♠●へ今の今まで〉お前だけはそんなことをするはずがないと、今の今まで、母さんは信じていたのに。♠●〈今となっては〉あれほどつらかったこども、今となってはもう過去の思い出だ。♠●〈今のところ〉今のところ、まにあっていますから、また来てください。♠●へ今にも〉今にも倒[たお]れそうになりながら、気力だけで最後まで走りぬいた。♠●へ今や遅し〉ちょうどよかった。あなたの帰りを、今や遅しと待っていたのですよ。♠●へ今を時めく〉あれが今を時めく野党の女性党首だ。♠へ今しばらく〉今しばらく待ってみて、それでも来なければ先に行きましょう。♠◆へ今一つ〉きみの演技は、今一つ迫力[はくりよく]に欠けるなあ。 <77> **イメージ** **い** **いまいまし・い**【忌ま忌ましい】 ○しゃくにさわる感[かん]じだ。腹[はら]だたしい。[文例]〈いまいましい雨[あめ]〉楽[たの]しみにしていた遠足[えんそく]は、いまいましい雨[あめ]のために中止[ちゅうし]になってしまった。♠「くそ、いまいましい。」と言[い]って、弟[おとうと]はパズルを床[ゆか]にたたきつけた。♠母[はは]は、いまいましくてたまらないといった顔[かお]で、さんまをくわえて立[た]ち去[さ]る猫[ねこ]の後[うし]ろ姿[すがた]を追[お]っている。♠全速力[ぜんそくりょく]で駆[か]けてきたのに、乗[の]り遅[おく]れるなんて実[じつ]にいまいましい。♠〈いまいましいやつ〉自分[じぶん]が悪[わる]いのに、それを人[ひと]のせいにするとは、なんていまいましいやつなんだ。♠明日[あした]が運動会[うんどうかい]だというのに、けがをしてしまうなんて、なんとも自分[じぶん]がいまいましい。♠合格[ごうかく]発表[はっぴょう]の日[ひ]、自分[じぶん]の番号[ばんごう]のない掲示板[けいじばん]を、彼[かれ]はいまいましそうに見[み]つめていた。 **いまさら**【今更】 ○今[いま]はじめて。今[いま]になって。[文例]いまさらそんなことを言[い]っても始[はじ]まらないよ。♠テストは明日[あした]なんだから、いまさら勉強[べんきょう]してもしかたがない。♠いまさら言[い]うまでもないが、今度[こんど]の旅行[りょこう]は遊[あそ]びじゃないんだ。♠〈いまさらのように〉彼[かれ]は勉強[べんきょう]しなかったことを忘[わす]れて、試験[しけん]の成績[せいせき]が悪[わる]いのをいまさらのように驚[おどろ]いている。♠〈いまさらながら〉父[ちち]の跡[あと]を継[つ]いでみて、いまさらながら父[ちち]の業績[ぎょうせき]のすばらしさがしのばれます。 **いましめ**【戒め】(縛[いまし]め) ○過[あやま]ちを犯[おか]さないように注意[ちゅうい]を与[あた]えること。また、その言葉[ことば]。こらしめること。禁[きん]じること。しばりつけること。警戒[けいかい]。[文例]〈戒[いまし]めとする〉あなたの言葉[ことば]を戒[いまし]めとして、より一層[いっそう]の精進[しょうじん]を重[かさ]ねます。♠〈戒[いまし]めを守[まも]る〉先生[せんせい]の戒[いまし]めをよく守[まも]って勉強[べんきょう]なさるがよかろう。♠〈いましめを解[と]く〉あと一[いち]か月[げつ]たてば、この囚人[しゅうじん]のいましめが解[と]かれることになっていた。 **いまし・める**【戒める】(警[いまし]める・誡[いまし]める・縛[いまし]める) ○過[あやま]ちを犯[おか]さないように注意[ちゅうい]を与[あた]える。教[おし]えさとす。こらしめる。禁[きん]じる。しばりつける。警戒[けいかい]する。[文例]〈子供[こども]を戒[いまし]める〉若[わか]いお母[かあ]さんがいたずらをした子供[こども]を戒[いまし]めている。♠きみが悪習[あくしゅう]に染[そ]まらぬよう、一言[ひとこと]だけ戒[いまし]めておこう。♠〈自[みずか]らを戒[いまし]める〉自[みずか]らを戒[いまし]める言葉[ことば]をノートの一[いち]ページ目[め]に書[か]いておく。♠〈風潮[ふうちょう]を戒[いまし]める〉際限[さいげん]なくエネルギーを使[つか]う風潮[ふうちょう]を戒[いまし]める声[こえ]が、高[たか]まってきている。♠〈縄[なわ]でいましめる〉荒縄[あらなわ]できびしくいましめられた盗賊[とうぞく]。 **いまだに**【未だに】 ○まだ。今[いま]もって。[文例]おじは四十[しじゅう]歳[さい]になるのにいまだに独身[どくしん]だ。♠きみは、いまだにあのアパートに住[す]んでいるのかい。♠彼[かれ]からはいまだに返事[へんじ]がないので、どうしているか気[き]がかりだ。♠明日[あした]から願書[がんしょ]の受[うけ]付[つ]けが始[はじ]まるが、彼[かれ]はいまだに志望校[しぼうこう]も決[き]まっていない。♠昨晩[さくばん]から続[つづ]いている交渉[こうしょう]は、いまだに結論[けつろん]が出[で]ていない。 **いまわし・い**【忌まわしい】 ○思[おも]っただけでもいやになる。いとわしくてたまらない。不吉[ふきつ]だ。えんぎが悪[わる]い。[文例]〈忌[い]まわしい体験[たいけん]〉祖父[そふ]は、だれに聞[き]かれても、戦場[せんじょう]での忌[い]まわしい体験[たいけん]を語[かた]ろうとしなかった。♠〈忌[い]まわしい事件[じけん]〉草[くさ]は茂[しげ]り花[はな]は咲[さ]き乱[みだ]れて、ここがあの忌[い]まわしい事件[じけん]のあった場所[ばしょ]とはとても信[しん]じられません。♠〈忌[い]まわしい関係[かんけい]〉この男[おとこ]との忌[い]まわしい関係[かんけい]を断[た]たなければ、わたしはだめになってしまう。 **いみ**【意味】 ○言葉[ことば]や物事[ものごと]の表[あらわ]す内容[ないよう]。物事[ものごと]の意図[いと]。物事[ものごと]の価値[かち]。[文例]〈単語[たんご]の意味[いみ]〉〈意味[いみ]を調[しら]べる〉辞書[じしょ]で単語[たんご]の意味[いみ]を調[しら]べてみよう。♠〈意味[いみ]が通[つう]る〉もっと意味[いみ]が通[つう]る文章[ぶんしょう]に書[か]き直[なお]しなさい。♠〈意味[いみ]が分[わ]かる〉彼[かれ]の寂[さび]しげな笑[わら]みの意味[いみ]が、ぼくには分[わ]からない。♠〈意味[いみ]がある〉子供[こども]が親[おや]に反抗[はんこう]するのにも、それなりの意味[いみ]がある。♠〈意味[いみ]がない〉きみの来[こ]ないクラス会[かい]なんて、行[い]っても意味[いみ]がない。♠〈意味[いみ]を持[も]つ〉〈意味[いみ]がちがう〉本[ほん]というものは、それをどんな年齢[ねんれい]の時[とき]読[よ]むかによって、持[も]つ意味[いみ]がちがってくる。♠〈意味[いみ]する〉「露[つゆ]の命[いのち]」は、命[いのち]のはかなさを意味[いみ]する表現[ひょうげん]である。♠〈〜する意味[いみ]で〉中学校[ちゅうがっこう]生活[せいかつ]をまとめる意味[いみ]で、卒業[そつぎょう]文集[ぶんしゅう]を作[つく]ろう。♠〈意味[いみ]深長[しんちょう]〉友人[ゆうじん]は、意味[いみ]深長[しんちょう]な別[わか]れの言葉[ことば]を残[のこ]して遠[とお]くへ旅立[たびだ]った。♠〈意味[いみ]ありげ〉意味[いみ]ありげに、彼女[かのじょ]は片目[かため]をつぶってみせた。 **いみじくも** ○実[じつ]にたくみに。まことによく。[文例]狭[せま]くて粗末[そまつ]な日本[にほん]の住宅[じゅうたく]を「うさぎ小屋[ごや]」とは、いみじくも呼[よ]んだものだ。♠いみじくも名[な]づけたものよ、桜[さくら]前線[ぜんせん]とは。 **いみょう**【異名】 ○本名[ほんみょう]とは別[べつ]の名[な]。正式[せいしき]の名称[めいしょう]とは異[こと]なる呼[よ]び方[かた]。[文例]〈異名[いみょう]をもつ〉陰暦[いんれき]八月[はちがつ]は、葉月[はづき]という異名[いみょう]をもつ。♠〈異名[いみょう]をとる〉女子[じょし]バレーボールチームの活躍[かつやく]は目覚[めざ]ましく、東洋[とうよう]の魔女[まじょ]と異名[いみょう]をとっていた。 **いみん**【移民】 ○他国[たこく]に移[うつ]り住[す]むこと。また、その人[ひと]。[文例]〈日本[にほん]からの移民[いみん]〉ブラジルには日本[にほん]からの移民[いみん]が多[おお]く、彼[かれ]らの中[なか]には成功[せいこう]して大[だい]富豪[ふごう]になった者[もの]もいる。♠〈海外[かいがい]移民[いみん]〉広島[ひろしま]は海外[かいがい]移民[いみん]の多[おお]い県[けん]で、ハワイ、アメリカ本土[ほんど]にもたくさんの移民[いみん]を送[おく]っていた。 **い・む**【忌む】 ○嫌[きら]って避[さ]ける。憎[にく]み嫌[きら]う。[文例]死体[したい]を一つのけがれとして忌[い]むという風習[ふうしゅう]の残[のこ]る地域[ちいき]もある。♠〈忌[い]むべき性格[せいかく]〉わたしは、ねたみ深[ぶか]いという、われながら忌[い]むべき性格[せいかく]の持[も]ち主[ぬし]なのだ。♠〈忌[い]み嫌[きら]う〉彼[かれ]らは、血[ち]を不吉[ふきつ]なものとして忌[いみ]み嫌[きら]った。 **イメージ** ○心[こころ]に思[おも]い浮[う]かべる像[ぞう]。心象[しんしょう]。印象[いんしょう]。[文例]目[め]をつぶって物[もの]の名[な]を言[い]うと、その姿[すがた]が現[あらわ]れてきます。それがイメージです。♠〈イメージがうかぶ〉最初[さいしょ]に心[こころ]にうかんだ田園[でんえん]のイメージで、一気[いっき]に自由[じゆう]画[が]をかき上[あ]げた。♠〈イメージをいだく・もつ〉外国[がいこく]人[じん]が日本[にっぽん]にまちがったイメージをいだくことも、日本[にっぽん]人[じん]が外国[がいこく]に誤[あやま]ったイメージをもつこともあります。♠〈悪[わる]いイメージ〉あの女優[じょゆう]に対[たい]する悪[わる]いイメージが、この映画[えいが]を見[み]て変[か]わった。♠〈イメージをふくらませる〉詩[し]を読[よ]む楽[たの]しみの一[ひと]つは、イメージをいろいろな形[かたち]にふくらませることだ。♠〈企業[きぎょう]や商品[しょうひん]のイメージ〉コピーライ <78> **いも** **い** ターは、企業[きぎょう]や商品[しょうひん]の新鮮[しんせん]なイメージを生[う]み出[だ]すために苦心[くしん]します。♠〈イメージする〉女優[じょゆう]と聞[き]くとはでな装[よそお]いをイメージするが、彼女[かのじょ]はとても質素[しっそ]な女性[じょせい]でした。♠〈イメージチェンジ〉兄[あに]は、イメージチェンジをするんだと言[い]って、頭[あたま]をぼうずにした。♠〈イメージダウン〉きみの行動[こうどう]は、わが社[しゃ]のイメージダウンにつながるから首[くび]だ。 **いも**【芋】(藷[いも]・薯[いも]) ○ジャガイモ、サツマイモなどの総称[そうしょう]。[文例]〈芋[いも]やかぼちゃ〉六人[ろくにん]の子[こ]にひもじい思[おも]いをさせないために、母[はは]は細[ほそ]い腕[うで]でせっせと芋[いも]やかぼちゃを作[つく]った。♠〈芋[いも]を洗[あら]うよう〉夏休[なつやす]みのプールは、芋[いも]を洗[あら]うような混雑[こんざつ]ぶりだった。♠〈芋[いも]ねえちゃん〉わたしは田舎[いなか]出[で]の芋[いも]ねえちゃんだけど、健康[けんこう]だけは自信[じしん]があるわよ。♠芋[いも]の露[つゆ]連山[れんざん]影[かげ]を正[ただ]しうす(飯田[いいだ]蛇笏[だこつ]) **いもうと**【妹】 ○年下[としした]の女[おんな]の兄弟[きょうだい]。[文例]学校[がっこう]から帰[かえ]ると、晩[ばん]までは小[ちい]さい妹[いもうと]を背負[せお]い、ときには大[おお]きい妹[いもうと]の子守[こも]りもしなければならない。♠今年[ことし]の春[はる]、待望[たいぼう]の妹[いもうと]が生[う]まれて、わたしは一人[ひとり]っ子[こ]ではなくなりました。♠母[ハハ]ト二人[フタリ]イモウトヲ待[マ]ツ夜寒[ヨサム]カナ(正岡[まさおか]子規[しき]) **いや**【嫌】(厭[いや]) ○嫌[きら]いだ。欲[ほ]しくない。打[う]ち消[け]しや反対[はんたい]を表[あらわ]す語[ご]。[文例]ピーマンを食[た]べるのだけは、どうしても嫌[いや]だ。♠〈嫌[いや]になる〉やり始[はじ]めたことは、途中[とちゅう]で嫌[いや]になっても最後[さいご]までやりぬこう。♠〈嫌[いや]なやつ〉親切[しんせつ]で言[い]っているのに怒[おこ]りだすなんて、嫌[いや]なやつだ。♠〈嫌[いや]な顔[かお]一[ひと]つせず〉嫌[いや]な顔[かお]一[ひと]つせず、彼[かれ]は引[ひ]っ越[こ]しの手伝[てつだ]いをしてくれた。♠〈嫌[いや]というほど〉友[とも]だちとふざけていて、頭[あたま]を嫌[いや]というほどぶつけた。♠〈嫌[いや]でも〉世[よ]の中[なか]には、嫌[いや]でもしなければならないことがたくさんある。♠〈嫌[いや]に〉ねえ、きみ、きょうは嫌[いや]に機嫌[きげん]がいいじゃないか。 **いやおうなし**【否応無し】 ○承知[しょうち]も不承知[ふしょうち]もなしに。有無[うむ]を言[い]わせず。むりやり。[文例]野球[やきゅう]部[ぶ]に入[はい]ると、みんないやおうなしに頭[あたま]をぼうずにさせられた。♠この町内[ちょうない]では、祭[まつ]りの寄付[きふ]はいやおうなしだ。 **いやき**【嫌気】 =いやけ **いやく**【意訳】 ○一語[いちご]一語[いちご]にとらわれず、述[の]べられている内容[ないよう]に重点[じゅうてん]をおいて翻訳[ほんやく]すること。[文例]〈意訳[いやく]する〉大体[だいたい]、作者[さくしゃ]の言[い]わんとするところを意訳[いやく]してみると、次[つぎ]のようになる。♠〈直訳[ちょくやく]と意訳[いやく]〉原文[げんぶん]をただ直訳[ちょくやく]したのでは何[なん]のことかわからないから、わかりやすく意訳[いやく]してみなさい。 **いやけ**【嫌気】(厭気[いやけ]) ○いやだと思[おも]う気持[きも]ち。いやき。[文例]〈嫌気[いやけ]がさす〉田舎[いなか]の生活[せいかつ]に嫌気[いやけ]がさしたと言[い]って、兄[あに]は都会[とかい]へ出[で]ていった。♠〈嫌気[いやけ]がさすほど〉彼[かれ]の自慢[じまん]話[ぱなし]は、嫌気[いやけ]がさすほど聞[き]かされた。♠〈嫌気[いやけ]を起[お]こす〉彼女[かのじょ]が彼[かれ]に嫌気[いやけ]を起[お]こしたのは、彼[かれ]のだらしなさが原因[げんいん]らしい。 **いやし・い**【卑しい】(賤[いや]しい) ○下品[げひん]である。粗末[そまつ]である。みすぼらしい。さもしい。[文例]〈卑[いや]しい目[め]つき〉のら犬[いぬ]が卑[いや]しい目[め]つきでごみ箱[ばこ]をあさっている。♠〈卑[いや]しい行為[こうい]〉人[ひと]の弱[よわ]みにつけこんで金[かね]をせびるなんて、最[もっと]も卑[いや]しい行為[こうい]だ。♠〈卑[いや]しい根性[こんじょう]〉その卑[いや]しい根性[こんじょう]をたたき直[なお]せ。♠〈食[た]べ物[もの]に卑[いや]しい〉そんなに食[た]べ物[もの]に卑[いや]しいと、彼女[かのじょ]にけいべつされるぞ。♠〈金[かね]に卑[いや]しい〉あの人[ひと]は金[かね]に卑[いや]しいと評判[ひょうばん]だ。♠〈品性[ひんせい]が卑[いや]しい〉品性[ひんせい]の卑[いや]しい人[ひと]とは、友達[ともだち]になりたくない。♠〈人品[じんぴん]卑[いや]しからぬ紳士[しんし]〉人品[じんぴん]卑[いや]しからぬ紳士[しんし]、つまり立派[りっぱ]な紳士[しんし]が訪[たず]ねて来[き]た。 **いやしくも**【荷も】 ○かりそめにも。かりにも。たとえどうあっても。[文例]それは、いやしくも医者[いしゃ]たるものなすべきことではない。♠いやしくも大学生[だいがくせい]ともあろうものが、こんな字[じ]も読[よ]めないとは情[なさ]けない。♠良識[りょうしき]のある若者[わかもの]であれば、いやしくも良心[りょうしん]に恥[は]じる行為[こうい]はするな。 **いや・す**【癒す】 ○(病気[びょうき]・飢[う]え・苦痛[くつう]などを)治[なお]す。なぐさめる。[文例]〈病[やまい]をいやす〉この病[やまい]をいやすには、十分[じゅうぶん]な休養[きゅうよう]が必要[ひつよう]でしょう。♠〈傷[きず]をいやす〉子[こ]じかは、木陰[こかげ]に座[すわ]り込[こ]んで、傷[きず]をいやしていた。♠〈心[こころ]の痛[いた]みをいやす〉周囲[しゅうい]の人[ひと]のなにげない親切[しんせつ]が、傷[きず]ついたわたしの心[こころ]の痛[いた]みをいやしてくれた。♠〈渇[かわ]きをいやす〉どこかに渇[かわ]きをいやす清水[しみず]はないだろうか。♠〈気持[きも]ちをいやす〉どんな慰[なぐさ]めの言葉[ことば]も、子[こ]を失[うしな]った母[はは]の気持[きも]ちをいやすことはできない。♠〈退屈[たいくつ]をいやす〉夜[よる]のパーティーは、長[なが]い船旅[ふなたび]での退屈[たいくつ]をいやしてくれた。 **いやみ**【嫌み・嫌味】(厭味[いやみ]) ○いやな感[かん]じを与[あた]えるような言葉[ことば]や態度[たいど]。[文例]〈嫌[いや]みを言[い]う〉あんな嫌[いや]みを言[い]われてまで、我慢[がまん]する気[き]はありません、出[で]て行[い]きます。♠〈嫌[いや]みになる〉衣装[いしょう]にアクセントをつけためのアクセサリーも、あまり使[つか]いすぎるとかえって嫌[いや]みになる。♠〈嫌[いや]みな人[ひと]〉彼女[かのじょ]って、きれいだけど、とげのある嫌[いや]みな人[ひと]ねえ。 **いやらし・い**【嫌らしい】(厭[いや]らしい) ○いやな感[かん]じがする。下品[げひん]で不愉快[ふゆかい]だ。みだらだ。[文例]〈いやらしい性格[せいかく]〉彼[かれ]は陰[かげ]に回[まわ]って悪口[わるぐち]を言[い]うようないやらしい性格[せいかく]なので、つき合[あ]いたくない。♠〈いやらしいやつ〉上役[うわやく]におべっかばかり使[つか]ういやらしいやつ。♠〈いやらしい目[め]つき〉彼女[かのじょ]の水着[みずぎ]姿[すがた]を見[み]ていたら、「いやらしい目[め]つきで見[み]ないで!」と言[い]われてしまった。♠〈いやらしいまね〉女生徒[じょせいと]の着替[きが]えているところをのぞくなんていやらしいまねはよせ。♠〈いやらしいことを言[い]う〉きのう、女性[じょせい]にいやらしいことを言[い]っている男[おとこ]を懲[こ]らしめてやった。 **いよいよ**【愈】 ○ますます。とうとう。ついに。[文例]悪天候[あくてんこう]をついて登山[とざん]を決行[けっこう]したが、登[のぼ]るにつれて、風雨[ふうう]はいよいよ激[はげ]しくなっていった。♠明日[あした]はいよいよ出発[しゅっぱつ]だと思[おも]うと、なかなか寝[ね]つかれなかった。♠おじいさんがいよいよとなったら、やはり親戚[しんせき]には知[し]らせなくてはなるまい。♠りんだうは実[み]を持[も]ちながら紫[むらさき]のいよいよ深[ふか]く草[くさ]に交[ま]じれり(土屋[つちや]文明[ぶんめい]) **いよう**【異様】 ○普通[ふつう]でないさま。ふうがわりなさま。[文例]〈異様[いよう]な人物[じんぶつ]〉あの人[ひと]はどこに住[す]んでいて、何[なに]をしている人[ひと]か、だれも知[し]らず、一風[いっぷう]変[が]わった異様[いよう]な人物[じんぶつ]と見[み]られている。♠〈異様[いよう]な光景[こうけい]〉全裸[ぜんら]の男[おとこ]たちが舞台[ぶたい]をかけまわるというのだから、何[なん]とも異様[いよう]な光景[こうけい]である。♠〈異様[いよう]な形[かたち]〉目[め]のくらむような閃光[せんこう]とものすごい爆音[ばくおん]についで、異様[いよう]な形[かたち]をした雲[くも]が、大空[おおぞら]いっぱいに立[た]ちのぼった。♠〈異様[いよう]な空気[くうき]〉地下[ちか]室[しつ]に足[あし]を踏[ふ]み入[い]れると、そこには何[なん]とも異様[いよう]な空気[くうき]が <79> ただよっていた。●〈異様に輝[かがや]く〉ダイヤのネックレスに注がれた彼女の目は、異様に輝いていた。●そろそろ閉店時間だというのに、お店は異様に活気づいて、混雑していた。◆あの古い洋館の前に立つと、一種異様な恐怖[きようふ]の念に打たれてしまう。 **いよう【偉容】** ○りっぱな姿。堂々とした姿。[文例]〈偉容を現す〉カーブを曲がると、目の前にうっすらと雪化粧[ゆきげしよう]をした富士がその偉容を現した。◆ヘヒマラヤの偉容〉白銀に輝くヒマラヤの峰々[みねみね]を目にした時、わたしはその偉容に圧倒[あっとう]されてしばし立ち尽くした。●〈偉容をほこる〉中世の建築である大聖堂が市の中心で偉容をほこっている。 **いよく【意欲】** (意慾) ○進んでやろうとする積極的な気持ち。[文例]〈意欲を持つ>病気に打ち勝つためには、まず治そうという意欲を持つことだ。●へ意欲がわく>数学の成績が上がってからは、ほかの学科の勉強に対する意欲もわいてきた。●へ意欲を出す〉うちのチームは実力は十分あるのだから、あとは意欲を出せば、きっと優勝できるはずだ。〈意欲がある・ない〉議長には、会議の運営に対して意欲のある人を選ぶべきだ。●〈意欲に燃える〉社長は、今、会社再建の意欲に燃えている。●〈意欲を買う〉彼は、仕事への意欲を買われて、海外出張が決まった。●〈意欲を失う〉働いても働いても、暮らしが楽にならず、みんなが働く意欲を失ってきた。●〈意欲的〉兄は、来春の大学入試をひかえて、意欲的に受験勉強に取り組んでいる。 **いらい【依頼】** ○人に頼むこと。人に頼ること。[文例]〈依頼を受ける〉病気の姉の依頼を受けて、姉の友人の結婚式[けつこんしき]に代理で出席することになった。●へ依頼に応じる>当店は、お客様の依頼に応じて、できるだけの便宜[べんぎ]をはかります。●〈依頼を断る〉あんまり忙しい[いそが]ので、講演の依頼は断ることにした。◆<弁護士に依頼する〉この件については、弁護士に依頼するのが、いちばんいいでしょう。●へ原稿を依頼する〉三つも原稿[げんこう]を依頼されていながら、まだ一つもできあがっていない。●へ依頼心〉いい年をした大人のくせに、依頼心の強い人は、けっこう多いですね。 **いらい【以来】** ○その時からあと。その時から今まで。[文例]この海辺の土地に引っ越して来て以来、ぜんそくの発作はおさまっています。●転校以来二か月、新しい友達ともすっかり仲良くなった。●以来、二千年近くもの間、王女はこの丘で眠り続けてきたのでした。 **いらいら(苛苛)】** ○気持ちが落ち着かず、じりじりするさま。とげなどが肌を刺激する感じ。([文例]白くまは、広い岩場を、右に左に、いらいらと歩き回っているように見えた。〈いらいらが高まる・つのる〉長たらしいあいさつを聞いているうちに、次第にいらいらが高まり、ますますつのっていった。●へいらいらする〉近所の子供たちが大声で遊びまわるので、ぼくはいらいらして、勉強が手につかなかった。◆〈いらいらした感情>雨の日は、外に出られない子供が、いらいらした感情を抑[おさ]えられず、おもちゃに当たり散らすことになる。 **イラスト** さし絵。説明図。イラストレーション。[例]わたしたちの町のおもしろい店をイラストで紹介するパンフレットを作ろう。●〈写真やイラスト〉写真やイラストがまず目をとらえることはあるが、新聞の広告はやはり文字によって成立する。●ヘイラストをかく〉きみ、このページに載せるイラストをかいてくれないか。 **いらだち(苛立ち)】** ○いらだつこと。♪いらだつ[文例]へいらだちを覚える〉頭ではわかっているのに、思うように鍵盤[けんぱん]の上を動かない指に、わたしはいらだちを覚えた。●へいらだちの表情〉社員の説明を聞く間も、社長は不快ないらだちの表情を隠[かく]そうとしなかった。●へいらだちを抑[おさ]える〉わたしは先刻[さっき]から感じていたいらだちを抑えきれず、ついに席をけって部屋を出た。 **いらだ・つ(苛立つ)】** ○気持ちが落ち着かず、いらいらする。[文例]〈気持ちがいらだつ〉大勢の乗客がいらだつ気持ちを抑[おさ]えながら、一時間も、バスの来るのを待っていた。へ神経がいらだつ>寝不足のせいか、神経がいらだって、仕事に集中できない。●へ心がいらだつ>日が暮れて、寒くなってきたので、早く下山しなければと、心がいらだった。 **いらっしゃ・る** ○「来る・行く・居る」「〜ている・〜である」の尊敬語。[文例]お買い物は、いつもどちらへいらっしゃるのですか。◆お客様がいらっしゃったら、きちんとご挨拶[あいさつ]するのですよ。◆お部屋に見えないので心配しましたが、お庭にいらっしゃったのですか。◆立派[りっぱ]な息子さんでいらっしゃるから、将来が楽しみですね。◆先生は、大学で電子工学を教えていらっしゃいます。 **いり【入り】** ○はいること・もの。はいる量。[例]〈客の入り>興行初日の客の入りとしては、まあまあだった。人入りがいい〉もっと入りのいい仕事はないものかね。●今日[こんにち]の入り〉十月に入ると、日の入りがぐっと早くなり、なんとなく寂[さび]しい気分になる。●〈彼岸[ひがん]の入り〉毎年、春の彼岸の入りには、郷里の父母の墓に参ることにしています。ヘミルク入り〉この熱いミルク入りの紅茶を飲んで暖まれば、風邪なんかふきとんでしまうよ。芸能界入り>彼女は、親の反対を押し切って芸能界入りした。 **いりえ【入り江】** ○海・湖などが陸地に入り込んだ部分。[文例]波の静かな入り江は、子供たちの格好の海水浴場となっていた。●入り江を夕日が染め、金色に輝[かがや]く水面にボートの影[かげ]が揺れていた。 **いりぐち【入り口】** ○中に入るための所。物事のはじめ。内側[例]〈会場の入り口〉わたしは会場に入ると、入り口に近い場所に席を取った。●〈砂浜の入り口二人が海岸に出てみると、砂浜の入り口に一台のジープが止めてあった。〈研究の入り口〉日本の心臓移植の研究は、まだほんの入り口の段階だった。◆へ入り口から入る〉そこは非常口です。入り口から入ってください。 **いりく・む【入り組む】** ○複雑にからみ合う。こみいる。[文例]〈田畑が入り組む>谷間にたんぼや畑が入り組んだ、戸数の少ない静かな村だった。へ入り組んだ事情〉これにはいろいろと入り組んだ事情があって、そう簡単に決める <80> **いりびたる** **い** わけにはいかないのだ。♠〈入[い]り組[く]んだ関係[かんけい]〉系図[けいず]をたどると、わが家[や]と彼女[かのじょ]の家[いえ]とは、大変[たいへん]に入[い]り組[く]んだ関係[かんけい]にあることがわかる。 **いりびた・る**【入り浸る】 ○他人[たにん]の家[いえ]や特定[とくてい]の場所[ばしょ]に居[い]つづける。ひんぱんに出入[でい]りする。[文例]〈酒場[さかば]に入[い]り浸[びた]る〉この国[くに]では、昼間[ひるま]から酒場[さかば]に入[い]り浸[びた]って、何[なに]やら強[つよ]い酒[さけ]を飲[の]んでいる男[おとこ]たちも多[おお]い。♠〈女[おんな]の家[いえ]に入[い]り浸[びた]る〉大学生[だいがくせい]の身[み]でありながら、四郎[しろう]は知[し]り合[あ]った女[おんな]の家[いえ]に入[い]り浸[びた]っていた。 **いりゅう**【慰留】 ○なだめて思[おも]いとどまらせること。[文例]〈慰留[いりゅう]する〉引退[いんたい]を表明[ひょうめい]した監督[かんとく]に、周囲[しゅうい]からは強[つよ]く慰留[いりゅう]する声[こえ]があがった。♠〈慰留[いりゅう]の言葉[ことば]〉辞表[じひょう]を差[さ]し出[だ]すと、部長[ぶちょう]は慰留[いりゅう]の言葉[ことば]一[ひと]つなく受[う]け取[と]ったという。 **いりよう**【入り用】 ○必要[ひつよう]なこと・もの。にゅうよう。[文例]〈入[い]り用[よう]の品[しな]〉もし入[い]り用[よう]の品[しな]があったらすぐお届[とど]けしますから、何[なに]なりとおっしゃってください。♠〈入[い]り用[よう]ができる〉息子[むすこ]が大学[だいがく]に受[う]かれば、相当[そうとう]な入[い]り用[よう]ができるなあ。♠〈入[い]り用[よう]になる〉はしごが入[い]り用[よう]になったからって買[か]うこたあない、隣[となり]へ行[い]って借[か]りてくりゃいい。 **いりょく**【威力】 ○他[た]を圧倒[あっとう]し、屈服[くっぷく]させるような強[つよ]い力[ちから]・勢[いきお]い。[文例]〈威力[いりょく]がない・ある〉おりに横[よこ]たわったトラは、かすかに目[め]をあけていたが、その眼光[がんこう]にはなんの威力[いりょく]もなかった。♠〈金[かね]の威力[いりょく]〉金[かね]の威力[いりょく]をもってしても、先祖[せんぞ]伝来[でんらい]の土地[とち]に住[す]む人々[ひとびと]を立[た]ちのかせることはできない。♠〈威力[いりょく]をふるう〉古代[こだい]エジプトの王[おう]たちは、その権勢[けんせい]と威力[いりょく]をふるって、巨大[きょだい]なピラミッドをつくりあげた。♠〈威力[いりょく]を発揮[はっき]する〉コンピュータがその威力[いりょく]を発揮[はっき]すれば、膨大[ぼうだい]な資料[しりょう]もあっというまに処理[しょり]できる。♠〈威力[いりょく]を示[しめ]す〉今度[こんど]の実験[じっけん]が成功[せいこう]すれば、新兵器[しんへいき]の威力[いりょく]を全世界[ぜんせかい]に示[しめ]すことになる。 **い・る**【要る】 ○必要[ひつよう]である。[文例]〈お金[かね]が要[い]る〉どうしてもお金[かね]が要[い]るので、おこづかいの前借[まえが]りを母[はは]に頼[たの]んだ。♠〈おつりが要[い]る〉「つりは要[い]らないよ。」と、威勢[いせい]のよい言葉[ことば]をあとに、その客[きゃく]は店[みせ]を出[で]ていった。♠〈傘[かさ]が要[い]る〉今日[きょう]は、傘[かさ]が要[い]るのか、要[い]らないのか、はっきりとおしえてくれる天気[てんき]予報[よほう]がほしい。♠〈遠慮[えんりょ]が要[い]る〉遠慮[えんりょ]は要[い]らないよ、おさらなら、要[い]るだけ持[も]っていってちょうだい。♠〈要[い]らぬ世話[せわ]〉祖母[そぼ]が上着[うわぎ]を着[き]せかけると、「要[い]らぬ世話[せわ]をやくな。」と、祖父[そふ]はどなった。♠〈勇気[ゆうき]が要[い]る〉冒険[ぼうけん]家[か]には、いつでも計画[けいかく]を中止[ちゅうし]して引[ひ]き返[かえ]すという勇気[ゆうき]が要[い]る。♠〈心配[しんぱい]が要[い]らない〉旅行[りょこう]中[ちゅう]のことは、すべて添乗[てんじょう]員[いん]にまかせてくだされば、お客[きゃく]さまは何[なん]のご心配[しんぱい]も要[い]りません。♠〈工夫[くふう]が要[い]る〉食事[しょくじ]を、飢[う]えをしのぐだけのものにしないためには、料理[りょうり]にもいろいろと工夫[くふう]が要[い]るものです。♠〈根気[こんき]が要[い]る〉人形[にんぎょう]作[づく]りのような手先[てさき]の仕事[しごと]は根気[こんき]が要[い]るので、とてもぼくには無理[むり]だ。 **いる**【居る】 ○(人[ひと]や生[い]き物[もの]などが)存在[そんざい]する。座[すわ]っている。動作[どうさ]や作用[さよう]の結果[けっか]として状態[じょうたい]が続[つづ]いている。[文例]〈神[かみ]がいる〉「神様[かみさま]はほんとうにいるのかしら。」と、妹[いもうと]はわたしにきいた。♠〈パリにいる〉パリには三[さん]か月[げつ]いたが、そのあと、ロンドンに一[いち]か月[げつ]いて帰国[きこく]した。♠〈ヘビがいる〉ハブと呼ばれる毒[どく]ヘビは、沖縄[おきなわ]、奄美[あまみ]大島[おおしま]などにいる。♠〈人[ひと]がいる〉彼女[かのじょ]がいる前[まえ]で、彼女[かのじょ]の家族[かぞく]のことを話[はな]すのはやめたほうがいい。♠〈〜している〉姉[あね]は、学校[がっこう]を出[で]てからずっと仕事[しごと]をしているが、結婚[けっこん]はしていない。♠〈いられない〉ムクムクと太[ふと]った子犬[こいぬ]を、わたしは思[おも]わず、抱[だ]き上[あ]げずにはいられなかった。♠〈いてもたってもいられない〉兄[あに]の手術[しゅじゅつ]が無事[ぶじ]にすむまでは、いてもたってもいられなかった。 **い・る**【入る】 ○はいる。ある状態[じょうたい]に達[たっ]する。完全[かんぜん]にその状態[じょうたい]になる。[文例]〈気[き]に入[い]る〉妹[いもうと]は、この人形[にんぎょう]が気[き]に入[い]って、夜[よる]も抱[だ]いて寝[ね]ています。♠〈悦[えつ]に入[い]る〉予想[よそう]以上[いじょう]のもうけに一人[ひとり]悦[えつ]に入[い]り、家路[いえじ]をたどる足取[あしど]りも軽[かる]かった。♠〈堂[どう]に入[い]る〉少女[しょうじょ]とはいえ、弓[ゆみ]を構[かま]えた姿勢[しせい]はなかなか堂[どう]に入[い]ったものだ。♠〈念[ねん]が入[はい]る〉彼[かれ]の仕事[しごと]は念[ねん]の入[はい]ったもので、一[ひと]つの手抜[てぬ]きもなかった。♠〈虎穴[こけつ]に入[い]らずんば虎児[こじ]を得[え]ず〉よし、ここはひとつ危険[きけん]を承知[しょうち]でやってみよう、虎穴[こけつ]に入[い]らずんば虎児[こじ]を得[え]ずというから。♠〈病[やまい]膏肓[こうこう]に入[い]る〉子供[こども]とフナなど釣[つ]っていたのが、病[やまい]膏肓[こうこう]に入[い]るで、しまいには釣[つ]りざおまで自分[じぶん]で作[つく]るようになった。♠〈夜[よる]に入[はい]る〉風雨[ふうう]は夜[よる]に入[はい]っていよいよ激[はげ]しくなった。♠〈痛[いた]み入[い]る〉わざわざのおはこび、まことに痛[いた]み入[い]ります。 **いる**【射る】 ○矢[や]を放[はな]つ。目標[もくひょう]に当[あ]てる。[文例]〈矢[や]を射[い]る〉的[まと]の扇[おうぎ]に向[む]かって矢[や]を射[い]ると、みごとに命中[めいちゅう]した。♠〈的[まと]を射[い]る〉首相[しゅしょう]の就任[しゅうにん]記者[きしゃ]会見[かいけん]では、つぎつぎに的[まと]を射[い]た質問[しつもん]が出[だ]された。♠〈人[ひと]を射[い]る〉その人[ひと]の眼光[がんこう]は鋭[するど]く、人[ひと]を射[い]るようだった。♠〈光[ひかり]が目[め]を射[い]る〉美[うつく]しいステンドグラスを通[とお]して、まぶしい陽光[ようこう]が人々[ひとびと]の目[め]を射[い]た。♠〈言葉[ことば]が心[こころ]を射[い]る〉神父[しんぷ]の言葉[ことば]は、いなずまのように、わたし心[こころ]を射[い]た。 **い・る**【煎る・炒る】 ○火[ひ]にかけてかきまぜたり、ころがしたりしながら熱[ねっ]する。[文例]〈豆[まめ]をいる〉お父[とう]さんの子供[こども]のころは、いった豆[まめ]をおやつにポリポリとかじったものだ。♠〈ごまをいる〉ほうろくで気長[きなが]にごまをいると、ぱちぱち小[ちい]さくはねる音[おと]とともに、香[こう]ばしいにおいが立[た]ちこめる。 **いるい**【衣類】 ○着[き]るもの。衣服[いふく]。[文例]〈冬物[ふゆもの]の衣類[いるい]〉今日[きょう]は車[くるま]で町[まち]まで出[で]かけて、家族[かぞく]の冬物[ふゆもの]の衣類[いるい]を調[ととの]えました。♠被災[ひさい]地[ち]に送[おく]る衣類[いるい]、食料[しょくりょう]品[ひん]などは、赤十字[せきじゅうじ]の窓口[まどぐち]で受[うけ]付[つ]けています。♠〈衣類[いるい]を整理[せいり]する〉たんすの中[なか]の衣類[いるい]を整理[せいり]してみると、もう着[き]られないものがたくさん出[で]てきた。 **イルミネーション** ○装飾[そうしょく]用[よう]の照明[しょうめい]。[文例]札幌[さっぽろ]に出[で]てきた少年[しょうねん]の目[め]は、盛[さか]り場[ば]を彩[いろど]るイルミネーションにくぎづけになった。♠ゲームセンターの入[い]り口[ぐち]のイルミネーションがパチパチと音[おと]をたてながら光[ひか]っていた。 **いれい**【異例】 ○前例[ぜんれい]がないこと。いつも例[れい]と異[こと]なること。[文例]〈異例[いれい]の寒[さむ]さ〉この冬[ふゆ]は、太平洋[たいへいよう]側[がわ]でも大雪[おおゆき]になるなど、異例[いれい]の寒[さむ]さであった。♠〈異例[いれい]のこと〉新人[しんじん]でいきなり主役[しゅやく]にばってきされるのは、異例[いれい]のことなんだよ。♠〈異例[いれい]ずくめ〉今回[こんかい]の大会[たいかい]は、厳戒[げんかい]体制[たいせい]のもとで外出[がいしゅつ]禁止[きんし]や報道[ほうどう]規制[きせい]など、すべて異例[いれい]ずくめの中[なか]で運営[うんえい]された。 **いれい**【慰霊】 ○死者[ししゃ]の霊[れい]をなぐさめること。[文例]〈犠牲[ぎせい]者[しゃ]の慰霊[いれい]〉わたしたちは、戦争[せんそう]の犠牲[ぎせい]者[しゃ]の慰霊[いれい]のために黙禱[もくとう]をささげた。♠〈慰霊[いれい]碑[ひ]〉現場[げんば]には、この事故[じこ]で亡[な]くなった <81> **いれかえ【入れ換え・入れ替え】** ○中のものを取りかえること。[文例]**<入れ替えをする>** 衣装[いしょう]ケースの衣服の入れ替えをしなくては、と思[おも]っているうちに、とうとう八月になってしまった。♠**<客の入れ替え>** その映画館は客の入れ替えをしないので、続[つづ]けて三回も見てしまった。♠**<空気の入れ換え>** ストーブをたいている部屋では、時々[ときどき]空気の入れ換えをするよう心[こころ]がけよう。♠**<入れ換え作業>** 車庫[しゃこ]では、列車[れっしゃ]の入れ換え作業が行われていた。 **いれか・える【入れ換える・入れ替える】** ○中のものを取りかえる。[文例]**<物を入れ替える>** 四月になったので、たんすの衣類[いるい]を入れ替えます。♠**<空気を入れ換える>** 時々、部屋の空気を入れ換えないと息苦[いきぐる]しくなります。♠**<客を入れ替える>** 二回目[にかいめ]の上演の前に客を入れ替える。♠**<心を入れかえる>** そろそろ心を入れかえて、まじめに働いたらどうだ。 **いれかわり【入れ代わり・入れ換わり・入れ替わり】** ○前のものとかわること。こうたい。[文例]**<入れかわリに>** ガスの集金人[しゅうきんじん]が立[た]ち去[さ]ると、入れかわりに水道の集金人がやって来た。♠**<入れかわり立ちかわり>** 村でたった一軒[いっけん]のこの店には、村人たちが入れかわり立ちかわりやって来る。 **いれぢえ【入れ知恵】** ○人に教[おし]えて知恵[ちえ]をつけること。また、その知恵。[文例]**<入れ知恵をする>** 弟に入れ知恵をしたのがお前[まえ]だということぐらい、聞[き]かなくてもわかりますよ。♠**<入れ知恵する>** こんな小[ちい]さい子まで、一体[いったい]だれに入れ知恵されたのだか、理屈[りくつ]をこね出す始末[しまつ]だ。♠黙[だま]ってこっそり一つ抜[ぬ]いておくなんて、一体だれの入れ知恵なの。白状[はくじょう]しなさい。 **いれちがい【入れ違い】** ○入れる物。場所をまちがえること。互[たが]い違[ちが]いになること。一方が出たあとに他方が入ること。[文例]**<入れ違いに来る>** 待ちくたびれた彼女があきらめて出て行くと、入れ違いに彼がやって来た。♠**<入れ違いになる>** その時間にはわたしもそこに行ったのに、入れ違いになってしまったのですね。 **いれもの【入れ物】** ○中に何かを入れるための物。容器。[文例]給水車[きゅうすいしゃ]が来[き]たので、家[いえ]じゅうの入れ物という入れ物をかき集めて駆[か]けつけた。♠何か入れ物をお持[も]ちですか。なければ袋[ふくろ]をさし上げましょう。♠**<入れ物が大きい・小さい>** 今度の会場は入れ物が小さいから、かえって家庭的な雰囲気[ふんいき]のコンサートになるだろう。♠入[い]れ物[もの]が無[な]い両手[りょうて]で受[う]ける(尾崎放哉[おざきほうさい]) **い・れる【入れる】(容れる)** ○中に入るようにする。収[おさ]める。取[と]り込[こ]む。含[ふく]める。差[さ]しはさむ。認[みと]めて許[ゆる]す。[文例]**<がまぐちに入れる>** おつりの小銭[こぜに]はがまぐちに入れておくよ。♠**<図・写真を入れる>** 文中に図や写真を入れて、分かりやすく説明する。♠**<仲間に入れる>** そんなにけんか好[す]きじゃ、仲間に入れることはできないよ。♠**<大学に入れる>** 本人は いやだと言うんだが、なんとか大学には入れようと思うんだ。♠**<お茶を入れる>** おいしいお茶を入れてさしあげましょう。♠**<票[ひょう]を入れる>** 選挙でだれに票を入れるかは親子[おやこ]の間でも秘密だ。♠**<家賃[やちん]を入れる>** たまった家賃のうち、二月分だけでも入れておこう。♠**<おのを入れる>** 竹におのを入れると、中から美しい女の子が出てきました。♠**<スイッチを入れる>** 人間はスイッチを入れるだけで、後[あと]はロボットが自動的に運転します。♠**<電話を入れる>** 今夜[こんや]は少[すこ]し遅[おそ]くなりそうだから、家[うち]へ電話を一本入れておこう。♠**<頭に入れる>** バッターのくせを頭に入れて、ピッチングを組み立てる。♠**<考えに入れる>** 一人一人の好みを考えに入れて、献立[こんだて]を立[た]てます。♠**<手に入れる>** 町の古本屋で珍[めずら]しい本を手に入れた。♠**<手を入れる>** 少[すこ]し手を入れれば、立派[りっぱ]な庭[にわ]になるでしょう。♠**<身を入れる>** 少[すこ]しは勉強に身を入れたらどうなんだい。♠**<力を入れる>** 苦手な科目は特に力を入れて勉強した。♠**<意見を入れる>** もっとほかの人の意見も入れる態度がほしい。♠**<要求を入れる>** 交渉[こうしょう]の結果、やっと要求が入れられた。♠**<世に入れられない>** 天才は凡人[ぼんじん]より先に進みすぎていて、必[かなら]ずしも世に入れられない。♠**<観客を入れる>** 市では、五千人の観客をいれる室内競技場を建設することになった。 **いろ【色】** ○色彩。気配。表情。おもむき。調子。種類。男女の関係。[文例]**<色が薄い・濃い>** 周囲[しゅうい]の林[はやし]はこれでいいが、湖[みずうみ]はもっと色を濃[こ]くしてごらん。♠**<明るい・暗い色>** 部屋の感じが暗[くら]いので、カーテンを明[あか]るい色に変えてみた。♠**<鮮[あざ]やかな色>** 明るい太陽の下では、赤や緑[みどり]などの鮮やかな色が映[は]えます。♠**<落ち着いた色>** その婦人は、上品な、落ち着いた色の着物を着ていました。♠**<色の調和>** 出かけるときに着る服を選ぶときは、色の調和を考えなさい。♠**<色を塗る>** さあ、後[あと]は屋根[やね]の色さえ塗[ぬ]れば犬小屋[いぬごや]も完成[かんせい]だ。♠**<色がつく>** 女の子らしいきれいな色のついた便[びん]せん[ ]に小さな文字が並[なら]んでいた。♠**<色が変わる>** 昔[むかし]のつやのいい丸顔[まるがお]は、今では黄[き]ばんだ色に変わり、しかも深[ふか]いしわが畳[たた]まれていた。♠**<色がさめる>** 何年もたんすの中にしまいっ放[ぱな]しだったので、この着物も色がさめてしまったのかしら。♠**<色があせる>** お気[き]に入[い]りのTシャツも、何度も洗濯[せんたく]しているうちに、すっかり色があせてしまった。♠**<色とりどり>** 店の商品[しょうひん]はすでに春物に変[か]わり、店頭[てんとう]には色とりどりのブラウスが並[なら]んでいます。♠**<色が白い・黒い>** 恵子[けいこ]は色の白い、おとなしそうな感じの女の子です。♠**<色を失う>** 帰宅[きたく]途中[とちゅう]、彼は大事な書類を落[お]としたことに気[き]づき、色を失った。♠**<色をなす>** 黒板[こくばん]に書かれたいたずら書[が]きを見ると、先生は色をなしてどなり出した。♠**<色濃く>** 彼の作品には、当時[とうじ]のフランス画壇[がだん]の主流であった印象派[いんしょうは]の影響が色濃[いろこ]く表[あらわ]れている。♠**<夜の色>** 外[そと]の景色[けしき]はやみに沈[しず]み、窓全体が不透明[ふとうめい]な青い夜の色に閉[と]ざされていた。♠**<秋の色>** 木々[きぎ]は黄色[きいろ]く色づき、通りはすっかり秋の色になっている。♠**<敗北の色>** 終了まであと五分、わがチームに敗北[はいぼく]の色が濃[こ]い。♠**<顔の色>** どうかしたのかい、何だか顔の色がよくないよ。♠**<目の色>** スイカどろぼうときくと、一郎[いちろう]もたけしも、一様[いちよう]に興奮[こうふん]した目[め]の色をした。♠**<驚きの色>** 手紙を読んでいくうちに、彼の顔には名状[めいじょう]しがたい驚[おどろ]きの色が 現[あらわ]れた。♠**<感謝の色>** 目に感謝の色をうかべながら、老人は席を代わってくれた男性に礼を述べた。 <82> **いろあい【色合い】** ○色彩の具合。物事の感じ。[文例]**<複雑な色合い>** 夕日が沈[しず]んだ直後[ちょくご]の空の、複雑な色合いがなかなかカンバスに表[あらわ]せません。♠**<いい色合い>** さすがしにせの染物屋[そめものや]だけあって、何とも落[お]ち着[つ]いたいい色合いに仕上がりましたね。♠**<作品の色合い>** **<色合いが違う>** 今度の作品は、彼が今まで発表してきたものとはちょっと色合いが違うね。♠**<自伝的な色合い>** **<色合いが濃い>** これは作者の自伝的な色合いの濃[こ]い作品である。♠**<おだやかな色合い>** 今までの緊迫[きんぱく]した空気が少[すこ]しなごんで、交渉[こうしょう]はおだやかな色合いを見せてきた。 **いろあ・せる【色あせる】(色褪せる)** ○色がさめる。鮮[あざ]やかさが失[うしな]われる。[文例]**<色あせた着物>** この色あせた古い着物は、大切[たいせつ]な母の形見[かたみ]なのです。♠**<色あせた写真>** 古いアルバムの色あせた写真を見ているうちに、懐[なつ]かしい思い出がよみがえってきた。♠**<感動が色あせる>** あれから二十年、あの時の感動も今はすっかり色あせてしまった。 **いろいろ【色色】** ○種類が多いさま。さまざま。[文例]**<いろいろの楽しみ>** 子供ができてから、自分の幼年時代のいろいろの習慣や楽しみごとがまたよみがえってきた。♠**<いろいろと>** 当分は、兄[あに]にいろいろとめんどうをみてもらうつもりです。♠**<いろいろなこと>** ふり返ってみると、この三年間いろいろなことがありました。♠**<虫のいろいろ>** 夏休みの課題で、虫のいろいろについて調べた。♠**<いろいろ言う>** 今までわたしがいろいろうるさく言ってきたことは、すべてあなたたちのためなのですよ。 **いろう【慰労】** ○労[ろう]をねぎらうこと。[文例]**<慰労する>** 今夜[こんや]、町内運動会の役員だった人たちを慰労する会を開きます。 **いろう【遺漏】** ○もれ落ちること。手落[てお]ち。手抜[てぬ]かり。[文例]**<遺漏がある・ない>** 会員名簿[めいぼ]に遺漏があっては大変だから、細心[さいしん]のチェックをお願いします。 **いろけ【色気】** ○異性としての魅力。異性に対する関心。物事に対する興味や野心。[文例]**<色気たっぷり>** 壁[かべ]にはられたポスターの中[なか]で、若[わか]い女がお色気たっぷりにほほえんでいた。♠**<色気より食い気>** うちの娘[むすめ]は、まだまだ色気より食い気ですよ。♠**<色気のない返事>** 彼にも参加を求[もと]めたが、いかにも色気のない返事が返[かえ]ってきた。♠**<色気を示す>** 案[あん]の定[じょう]、あいつはこのもうけ話に色気を示した。♠**<色気づく>** このどら息子[むすこ]もいつのまにか色気づきやがって……。 **いろこい【色恋】** ○男女間の恋情。恋愛。[文例]**<色恋に迷う>** 色恋に迷[まよ]って道[みち]を誤[あやま]ると、取[と]り返[かえ]しがつきませんよ。♠**<色恋ざた>** 信用を大切にするこの店では、使用人たちの色恋ざたも厳[きび]しく禁[きん]じているのです。 **いろじろ【色白】** ○肌[はだ]の色が白いこと。[文例]**<色白なほお>** 女は色白なほおをぽっと染[そ]めて、恥[は]ずかしそうにうつむいた。♠**<色白な赤ちゃん>** この赤ちゃんは、おめめがぱっちりとして色白で、なんてかわいらしいのでしょう。 **いろづ・く【色付く】(色附く)** ○色が付いてくる。色けづく。[文例]**<山が色づく>** 山が色づきはじめると、もう里[さと]では冬の仕度[したく]が始まるのです。♠**<実[み]が色づく>** 庭[にわ]では、かきの実がおいしそうに色づいて、秋の日[ひ]に輝[かがや]いています。♠**<辺[あた]りが色づく>** 冬が終[お]わって春ともなれば、辺りはいっせいに生気をはらんで色づいてくる。 **いろどり【彩り・色取り】** ○色をつけること。色の取り合わせ。物事の取[と]り合[あ]わせによって生[しょう]じるおもむき。[文例]**<さまざまな彩り>** 店[みせ]のショーウインドーには、さまざまな彩りのハンカチが並[なら]んでいる。♠**<彩りよく>** 母は、料理を彩りよく盛[も]りつけた。♠**<美しい彩りを見せる>** すっかり紅葉[こうよう]して、秋の山々は美しい彩りを見せている。♠**<彩りを添える>** 各国の代表による民族舞踊[みんぞくぶよう]が、記念行事に彩りを添[そ]えた。 **いろど・る【彩る・色取る】** ○色をつける。さまざまな色を取り合わせる。物事の取[と]り合[あ]わせによっておもむきをそえる。[文例]**<紅葉[こうよう]で彩る>** 山々は、見渡す限り美しい紅葉で彩られていた。♠**<食卓を彩る>** 美しい花々[はなばな]で食卓を彩ると、一層[いっそう]豪華[ごうか]な雰囲気[ふんいき]になります。♠**<伝説で彩られる>** 小さな池や川、名もない山や野原も、遠[とお]い昔から言い伝えられてきた伝説で彩られている。 **いろは(伊呂波・以呂波)** ○いろは歌、またその最初の三字。物事の初歩。[文例]**<いろは四十七文字>** 昔から、正月[しょうがつ]の子供の遊[あそ]びに、いろは四十七文字を文句[もんく]の初めとするカルタの遊びがあった。♠**<営業のイロハ>** わたしは、入社当時[とうじ]、この先輩[せんぱい]から営業のイロハを厳[きび]しく教[おし]え込[こ]まれました。♠**<イロハから勉強する>** こんなわけで、わたしは商売をイロハから勉強し直[なお]すことになった。 **いろめ【色目】** ○異性に対する、なまめかしい目つき。流し目。相手にとりいる態度。[文例]**<色目を使う>** 彼女は、男の気[き]を引[ひ]こうと盛[さか]んに色目を使った。♠**<上役に色目を使う>** 上役[うわやく]に色目を使うのは下心[したごころ]があるからだろう。 **いろめ・く【色めく】** ○活気づく。動揺し、ざわざわする。[文例]実験再開の報[ほう]に、研究所のスタッフたちは一様[いちよう]に色めいた。♠犯人逮捕[たいほ]の知[し]らせに報道陣[ほうどうじん]は色めき、室内はただしい雰囲気[ふんいき]に包[つつ]まれた。 **いろよい【色よい】(色好い)** ○好意的だ。好ましい。[文例]**<色よい返事>** いくら頼[たの]んでも、色よい返事はもらえなかった。 <83> **いろり【囲炉裏】** ○部屋の床[ゆか]を切[き]り抜[ぬ]いた炉[ろ]。[文例]**<囲炉裏を囲[かこ]む>** 雪国[ゆきぐに]の冬の夜、暖[あたた]かな囲炉裏を囲んで食べるのっぺい汁[じる]は、忘[わす]れられないふるさとの味[あじ]です。♠**<囲炉裏端[ばた]>** 子供のころ囲炉裏端で聞[き]いた祖母[そぼ]の昔話[むかしばなし]を懐[なつ]かしく思[おも]い出[だ]す。 **いろわけ【色分け】** ○色をつけて区別すること。種類によって分けること。[文例]**<色分けする>** 白地図[はくちず]の山地[さんち]と平野[へいや]を色鉛筆[いろえんぴつ]で色分けしてみよう。♠**<二派に色分けされる>** 町民[ちょうみん]の間でも利害[りがい]がからみ、道路建設賛成派[さんせいは]と反対派[はんたいは]に色分けされている。 **いろん【異論】** ○人と異なる意見。反対意見。異議。[文例]**<異論がある・ない>** 今度の案[あん]には、特に異論もないようで、そのまま決定ということになった。♠**<異論を唱える>** 全員が賛成している中で一人だけ異論を唱[とな]えるのは、非常[ひじょう]に勇気[ゆうき]のいることだ。 **いわ【岩】** ○大きい石。がんせき。[文例]**<巨大な岩>** 山頂[さんちょう]から巨大な岩がくずれ落[お]ちてきた。♠**<一念[いちねん]岩をも通[とお]す>** 「女の一念岩をも通す」といって、女は執念[しゅうねん]深[ぶか]いものなのよ。♠**<岩肌[はだ]>** 岩肌をむき出しにした断[だん]がい[ ]が、目の前にそそり立[た]っている。♠**<岩場>** 山頂に至[いた]るルートは、さらに険[けわ]しい岩場が続く。 **いわい【祝い】** ○祝うこと。祝うための行事。祝うための贈り物。[文例]**<祝いの席>** 婚礼[こんれい]の祝いの席で酒がふるまわれ、人々はかわるがわる自慢[じまん]ののどを披露[ひろう]するのだった。♠**<誕生日の祝い>** 前[まえ]から欲[ほ]しい欲しいと思っていた本を、誕生日のお祝いに買[か]ってもらった。♠**<祝いをいただく>** おばあちゃんから入学のお祝いをいただきました。♠**<祝いを述べる>** 奉公人[ほうこうにん]を代表して謙作[けんさく]がやってきて、正月[しょうがつ]の祝いを述べていった。♠**<勝利を祝う>** 城の中では、勝利を祝ううたげが夜[よ]を徹[てっ]して行われていた。♠**<前途[ぜんと]を祝う>** 新会社と青年社長の前途を祝って、盛大[せいだい]な祝宴[しゅくえん]が開かれた。♠**<門出[かどで]を祝う>** お二人の新生活への門出を祝って、乾杯[かんぱい]! **いわかん【違和感】** ○しっくりしない感じ。うちとけられない感じ。[文例]**<違和感がある>** お坊[ぼっ]ちゃん育[そだ]ちの彼には、どうも違和感があるんだよね。♠**<違和感を感じる>** わたしはこの会合の雰囲気[ふんいき]に一人違和感を感じて、最後までうちとけられなかった。♠**<違和感を覚える>** ある日、彼女は腹部[ふくぶ]に違和感を覚えて病院へ行った。 **いわく(曰く)** ○言うのには。わけ。事情。[文例]**<いわく言い難い>** 一見[いっけん]子供がかいたようなこの絵には、見る人の心をひきつけるいわく言[い]い難[がた]い魅力[みりょく]がある。♠**<いわく因縁がある>** このつぼは、先祖代々[せんぞだいだい]家[いえ]に伝[つた]わるもので、何かいわく因縁[いんねん]があるらしい。♠**<いわくありげ>** 彼は会場でわたしを見つけると、いわくありげに目くばせをした。♠**<いわくつき>** 彼女の結婚[けっこん]は、知[し]る人[ひと]ぞ知[し]る、いわくつきの結婚なんだ。♠**<子曰く>** 子[し]曰[いわ]く「学[まな]びて思[おも]はざれば則[すなわ]ち罔[くら]し。思ひて学ばざれば則ち殆[あやう]し。」(論語[ろんご]) **いわずもがな【言わずもがな】** ○言わない方がよいこと。言うまでもないこと。[文例]きみがそこで言わずもがななことを言ったから、まとまる話がこわれてしまったのだ。♠今回の意欲的な作品は、国内は言わずもがな、国外でも高い評価を得た。♠今、きみが彼女にどんな気持[きも]ちをもっているかは、言わずもがなだな。 **いわば【言わば】(謂わば)** ○言ってみれば。たとえて言えば。換言すれば。[文例]景気[けいき]の低迷[ていめい]している昨今[さっこん]は、経済界にとって、いわば冬の時代だ。♠何もかもうまくいかず苦しんでいたわたしには、彼女はいわば姉[あね]のような存在だった。♠読書は心を耕[たがや]すものとして、いわば教養人[きょうようじん]の資格の一つとして重視されてきた。 **いわゆる(所謂)** ○よく言われる。世に言う。俗に言う。[文例]九回まで得点なし、ヒットなし、走者なしのいわゆる完全試合をやってのけた。♠暇[ひま]さえあれば本を読んでいるいわゆる本の虫というのがあいつだ。♠お母さん、教育熱心なのはいいが、いわゆる教育ママになっては困[こま]りますよ。♠大家族で住んでいると、お年寄りの長年の経験からくるいわゆる生活の知恵[ちえ]が自然と身について便利だ。 **いわれ(謂れ)** ○由来。ゆいしょ。根拠。理由。[文例]**<名のいわれ>** 伝説にまつわるその川の名のいわれについては広く知られている。♠**<いわれを聞く>** 山頂[さんちょう]に建[た]てられた碑[ひ]についてのいわれを聞かせてください。♠**<いわれがない>** 何の関係もないきみにあれこれ注意されるいわれはない。♠**<いわれのないうわさ>** クラスじゅうにいわれのないうわさをたてられて傷[きず]ついた。 **いわんや(況や)** ○言うに及ばず。ましてや。なおさら。[文例]**<いわんや〜をや>** 入学式に親が付き添[そ]うのさえどうかと思うのに、いわんや入社式においてをやだ。♠中古車さえなかなか買[か]えないのに、いわんや新車などとても無理[むり]な話だ。 **いん【陰】** ○日の当[あ]たらない部分。かげになった部分。陰気なこと。[文例]**<陰にこもる>** 彼は喜怒哀楽[きどあいらく]を表[おもて]に出[だ]さず、どちらかというと陰にこもる性格だ。♠**<陰に陽に>** 成功は、今日まで陰に陽にわたしを支[ささ]えてきた妻の存在があればこそだ。♠**<陰と陽>** 兄[あに]を陰とすれば弟は陽、兄弟[きょうだい]とはいえ全く対照的[たいしょうてき]な二人です。 **いん【印】** ○はんこ。はんで押[お]したしるし。仏が手指を組み合わせた形。[文例]**<部長の印>** きみ、この書類に部長の印をもらってきてくれたまえ。♠**<ゴム印>** **<印をおす>** わたしは毎年[まいとし]年賀状[ねんがじょう]に、えとの絵のついたゴム印をおして出[だ]しています。♠**<印を結ぶ>** 静[しず]かに印を結[むす]んでいらっしゃる仏様[ほとけさま]のお顔は柔和[にゅうわ]で優[やさ]しかった。 **いんいん【陰陰】** ○くもったさま。うす暗くものさびしいさま。[文例]山寺で打[う]つ鐘[かね]の音[ね]が陰々と薄[うす]やみに消[き]えていく。♠**<陰々滅々>** 悲観的[ひかんてき]な彼の話に、部屋の中は陰々滅々[いんいんめつめつ]とした空気につつまれていった。 <84> **いんうつ** **い** **いんうつ**【陰鬱】 ○陰気[いんき]でうっとうしいさま。気持[きも]ちがはればれしないさま。[文例]〈陰[いん]うつな響[ひび]き〉やみの向[む]こうから聞[き]こえる鐘[かね]の音[ね]には陰[いん]うつな響[ひび]きがこもっていた。♠〈陰[いん]うつな顔[かお]つき〉あの陰[いん]うつな顔[かお]つきから判断[はんだん]すると、よほどの悩[なや]みごとがあるにちがいない。♠〈陰[いん]うつな空模様[そらもよう]〉菜種[なたね]梅雨[つゆ]といって春先[はるさき]に陰[いん]うつな空模様[そらもよう]の日[ひ]が続[つづ]くことがある。♠〈陰[いん]うつな気分[きぶん]〉今日[きょう]はうっとうしい天気[てんき]で、気分[きぶん]も朝[あさ]から陰[いん]うつだ。♠〈陰[いん]うつな気持[きも]ち〉失敗[しっぱい]が重[かさ]なると、気持[きも]ちもしだいに陰[いん]うつになってくる。 **いんえい**【陰影】(陰翳[いんえい]) ○暗[くら]い部分[ぶぶん]。かげ。濃淡[のうたん]などの微妙[びみょう]な変化[へんか]。ニュアンス。[文例]〈陰影[いんえい]をつける〉最後[さいご]に濃[こ]い灰色[はいいろ]で陰影[いんえい]をつけて絵[え]が完成[かんせい]した。♠〈微妙[びみょう]な陰影[いんえい]〉〈陰影[いんえい]に富[と]む〉この作曲[さっきょく]家[か]の随筆[ずいひつ]は、微妙[びみょう]な陰影[いんえい]に富[と]んだ文章[ぶんしょう]で、ファンが多[おお]い。 **いんか**【引火】 ○近[ちか]くの火[ひ]や熱[ねつ]によって燃[も]え出[だ]すこと。[文例]〈引火[いんか]する〉たばこの吸[す]いがらが新聞紙[しんぶんし]の上[うえ]に落[お]ちて燃[も]え上[あ]がり、こぼれていた石油[せきゆ]に引火[いんか]して火事[かじ]になった。♠〈引火[いんか]する〉引火[いんか]する危険[きけん]性[せい]があるので、ベンジンを使[つか]う作業[さぎょう]は火気[かき]のない所[ところ]でやってください。 **いんが**【因果】 ○原因[げんいん]と結果[けっか]。行為[こうい]の善悪[ぜんあく]によって、その後[ご]の運命[うんめい]が決[き]まること。過去[かこ]の悪業[あくごう]のむくいで現在[げんざい]の不幸[ふこう]があること。悪[わる]い結果[けっか]が予想[よそう]されても、そうせずにはいられないこと。[文例]〈因果[いんが]の法則[ほうそく]〉世[よ]の中[なか]は、原因[げんいん]があって結果[けっか]が生[しょう]じるという因果[いんが]の法則[ほうそく]によって支配[しはい]されている。♠〈何[なん]の因果[いんが]〉これほどの不幸[ふこう]な目[め]に遇[あ]うとは、何[なん]の因果[いんが]でございましょう。♠〈因果[いんが]とあきらめる〉重[かさ]なる不幸[ふこう]、これも因果[いんが]と、ただあきらめるしかないのでしょうか。♠〈因果[いんが]を含[ふく]める〉彼[かれ]には、因果[いんが]を含[ふく]めて店[みせ]をやめてもらいなさい。♠〈因果[いんが]な性分[しょうぶん]〉頼[たの]まれるといやとは言[い]えないなんて、因果[いんが]な性分[しょうぶん]だ。♠因果[いんが]な商売[しょうばい]〉人[ひと]の不幸[ふこう]が飯[めし]の種[たね]だなんて、因果[いんが]な商売[しょうばい]だね。♠因果[いんが]関係[かんけい]〉事件[じけん]の因果[いんが]関係[かんけい]を詳[くわ]しく説明[せつめい]しましょう。♠因果[いんが]応報[おうほう]〉因果[いんが]応報[おうほう]で、よい行[おこな]いにはよい報[むく]いが、悪[わる]い行[おこな]いには悪[わる]い報[むく]いがあります。 **いんき**【陰気】 ○万物[ばんぶつ]を生[しょう]じる根本[こんぽん]の気[き]の一[ひと]つ。暗[くら]く沈[しず]んで、晴れ晴れ[はればれ]しないさま。[文例]〈陰気[いんき]な性格[せいかく]〉複雑[ふくざつ]な家庭[かてい]に育[そだ]ったためか、この子[こ]は性格[せいかく]も暗[くら]く、陰気[いんき]だ。♠〈陰気[いんき]になる〉父[ちち]と姉[あね]のいさかいがもとで、家[いえ]じゅうが陰気[いんき]になってしまった。♠〈陰気[いんき]な話[はなし]〉病気[びょうき]だの、貧乏[びんぼう]だのと、陰気[いんき]な話[はなし]はこれぐらいでもうやめましょう。♠〈陰気[いんき]な性格[せいかく]〉友達[ともだち]ができてから、わたしの陰気[いんき]な性格[せいかく]も少[すこ]しずつ明[あか]るくなってきた。♠〈陰気[いんき]くさい〉北向[きたむ]きの奥[おく]の部屋[へや]は、じめじめして陰気[いんき]くさいからいやだ。 **いんきょ**【隠居】 ○現役[げんえき]を退[しりぞ]き、のんびり暮[く]らすこと。また、そうしている人[ひと]。[文例]〈隠居[いんきょ]する〉わたしももう年[とし]だし、そろそろ隠居[いんきょ]してのんびり暮[く]らそうかと思[おも]っている。♠〈ご隠居[いんきょ]〉昔[むかし]のことなら、裏[うら]のご隠居[いんきょ]さんに聞[き]けば、何[なん]でもよく教[おし]えてくれますよ。♠〈楽隠居[らくいんきょ]〉若[わか]い時[とき]から働[はたら]きづめで苦労[くろう]したが、今[いま]は息子[むすこ]の代[よ]になり楽隠居[らくいんきょ]の身分[みぶん]です。 **いんぎん**【慇懃】 ○ていねいで礼儀[れいぎ]正[ただ]しいこと。[文例]〈いんぎんな態度[たいど]〉相手[あいて]にああいんぎんな態度[たいど]で出[で]られると、使[つか]うことばに困[こま]ってしまう。♠〈いんぎんに断[ことわ]る〉先方[さきがた]が使[つかい]をよこして、この間[あいだ]の話[はなし]をいんぎんに断[ことわ]ってきましたよ。♠〈いんぎん無礼[ぶれい]〉一見[いっけん]丁寧[ていねい]に見[み]えていんぎん無礼[ぶれい]な態度[たいど]は、相手[あいて]の反感[はんかん]を買[か]った。 **いんけん**【陰険】 ○内[うち]に悪意[あくい]があるさま。わるだくみをするさま。[文例]〈陰険[いんけん]な性格[せいかく]〉陰険[いんけん]な性格[せいかく]だから、きっと仕返[しかえ]しを考[かんが]えているにちがいない。♠〈陰険[いんけん]な目[め]つき〉わたしは最初[さいしょ]から、あの男[おとこ]の陰険[いんけん]な目[め]つきが気[き]に入[い]らなかったのだ。♠〈陰険[いんけん]なまね〉面[めん]と向[む]かうと何[なに]も言[い]わないくせに、陰[かげ]に回[まわ]って人[ひと]をおとしめるような陰険[いんけん]なまねをするな。 **いんさつ**【印刷】 ○主[おも]に機械[きかい]を使[つか]って、版[はん]の文字[もじ]や図案[ずあん]を紙[かみ]などに刷[す]ること。[文例]〈印刷[いんさつ]する〉ポスターの隅[すみ]に、自分[じぶん]の名前[なまえ]が小[ちい]さく印刷[いんさつ]されていた。♠〈印刷[いんさつ]にかかる〉これでようやく原稿[げんこう]が集[あつ]まったから、さっそく明日[あした]から印刷[いんさつ]に取[と]りかかりましょう。♠初[はじ]めて印刷[いんさつ]出版[しゅっぱん]された自分[じぶん]の歌集[かしゅう]を手[て]にして、わたしは妙[みよう]に晴[は]れがましい気分[きぶん]でした。 **いんさん**【陰惨】 ○陰気[いんき]で、むごたらしいさま。[文例]〈陰惨[いんさん]なねたみ合[あ]い〉華々[はなばな]しい成功[せいこう]の陰[かげ]で、団員[だんいん]同士[どうし]の陰惨[いんさん]なねたみ合[あ]い、足[あし]のひっぱり合[あ]いが始[はじ]まっていた。♠〈陰惨[いんさん]な光景[こうけい]〉あまりに陰惨[いんさん]な光景[こうけい]に、駆[か]けつけた人々[ひとびと]は思[おも]わず顔[かお]をそむけた。♠〈陰惨[いんさん]を極[きわ]める〉これほど陰惨[いんさん]を極[きわ]めた事件[じけん]は、この村[むら]始[はじ]まって以来[いらい]のことだ。 **いんし**【因子】 ○物事[ものごと]の原因[げんいん]として、ある結果[けっか]を引[ひ]き起[お]こす要素[ようそ]。要因[よういん]。[文例]〈因子[いんし]が働[はたら]く〉人[ひと]の行動[こうどう]を考[かんが]えるとき、他[た]から離[はな]れようとする因子[いんし]と、他[た]を求[もと]めて群[む]れをなそうとする二[ふた]つの因子[いんし]が働[はたら]いているように思[おも]う。♠〈遺伝[いでん]の因子[いんし]〉染色[せんしょく]体[たい]は、遺伝[いでん]や性[せい]の決定[けってい]に重要[じゅうよう]なかかわりをもつ因子[いんし]を含[ふく]んでいる。 **いんしつ**【陰湿】 ○うす暗[ぐら]く、じめじめした感[かん]じ。[文例]〈陰湿[いんしつ]な方法[ほうほう]〉ライバルを追[お]い落[お]とすために、ありもしないデマを流[なが]すという陰湿[いんしつ]な方法[ほうほう]がとられた。♠〈陰湿[いんしつ]な社会[しゃかい]〉よそ者[もの]を一切[いっさい]受[う]け入[い]れない閉鎖[へいさ]的[てき]で陰湿[いんしつ]な社会[しゃかい]もあった。♠〈陰湿[いんしつ]な性格[せいかく]〉人[ひと]から信頼[しんらい]されないし、好[す]かれもしないのは陰湿[いんしつ]な性格[せいかく]のせいだ。 **いんしゅ**【飲酒】 ○酒[さけ]を飲[の]むこと。[文例]〈飲酒[いんしゅ]と喫煙[きつえん]〉寮[りょう]内[ない]では、飲酒[いんしゅ]及[およ]び喫煙[きつえん]は禁止[きんし]されていた。♠〈飲酒[いんしゅ]運転[うんてん]〉年末[ねんまつ]年始[ねんし]は飲酒[いんしゅ]運転[うんてん]による事故[じこ]が増[ふ]えるので、取[と]り締[しま]りも強化[きょうか]される。 **いんしゅう**【因習・因襲】 ○昔[むかし]からの古[ふる]くさいしきたり。[文例]〈因習[いんしゅう]が残[のこ]る〉古[ふる]くからの因習[いんしゅう]が根強[ねづよ]く残[のこ]っているこの地方[ちほう]にも、ようやく近代[きんだい]化[か]の波[なみ]が押[お]し寄[よ]せてきた。♠〈因習[いんしゅう]にとらわれる〉いつまでも古[ふる]い因習[いんしゅう]にとらわれているようでは、新[あたら]しい道[みち]も開[ひら]けませんよ。♠〈因習[いんしゅう]に従[したが]う〉村[むら]の老人[ろうじん]たちは、古[ふる]くからの因習[いんしゅう]に従[したが]う生活[せいかつ]に慣[な]れきってしまっていた。♠〈因習[いんしゅう]を打破[だは]する〉古[ふる]き良[よ]き伝統[でんとう]は守[まも]り続[つづ]け、悪[あ]しき因習[いんしゅう]は打破[だは]してゆかなければならない。♠〈因習[いんしゅう]の殻[から]を破[やぶ]る〉村[むら]の生活[せいかつ]を変[か]えるには、根強[ねづよ]く残[のこ]る因習[いんしゅう]の殻[から]を一つ一つ破[やぶ]ってゆかなくてはならない。 **いんしょう**【印象】 ○物事[ものごと]に接[せっ]した時[とき]に心[こころ]に抱[いだ]く感[かん]じ。 <85> **いんしょう【印象】** ○心に深く刻みつけられた感じ。[文例]〈日本の印象〉初めての日本の印象はいかがですか。♠◆<印象を与える>面接では、試験官に対してできるだけ良い印象を与えるように努めた。♠●へ印象に残る〉今日の試合は、最近になく印象に残るよい試合だった。♠●へ印象がうすれる〉〈鮮[あざ]やかな印象〉鮮やかだったあの時の印象も日がたつにつれてうすれてきた。♠●へ印象を持つ〉あの男には今まで良い印象を持っていなかった。♠●へ印象を受ける〉この詩からどのような印象を受けますか。♠●〈第一印象〉新任の先生の第一印象は、とてもやさしそうな人だということだった。♠●〈印象的な場面〉わがクラスの文化祭の劇は、印象的な場面で幕切れとなり、拍手[はくしゅ]かっさいを浴びました。 **いんしょく【飲食】** ○飲むことと食べること。飲み食い。[文例]〈飲食をひかえる〉吐[は]き下[くだ]しがひどいので、症状が治まるまで飲食をひかえるようにと指示されました。♠へ飲食店>叔父[おじ]がススキノで飲食店を営んでいます。♠●〈無銭飲食>無銭飲食でつかまるなんて、とうとうそこまで落ちぶれてしまったのか。 **いんずう【員数】** ○人や物の数。決められた数。[文例]〈員数をそろえる〉ソフトボールチームの員数をそろえるために、町会の役員が駆けずり回っている。♠●へ員数外〉この子は員数外なのだけれど、かわいそうだからいっしょに連れて行ってってくれないか。 **インスピレーション** ○霊感。神からの啓示。創造上のひらめき。急にわいた思いつき。[文例]〈インスピレーションがわく〉庭にねころがっていた画家は、インスピレーションがわいたのか、ムクッと起き上がってアトリエへ入っていった。♠●へ創作のインスピレーション〉小説家のYさんは、創作のインスピレーションを求めてアフリカへたちました。 **いん・する(淫する)** ○物事に熱中して度をすごす。おぼれる。[文例]〈書に淫する〉わたしの青春時代は、ほとんど書に淫すると言っていいくらい、読書三昧[ざんまい]の日々だった。♠〈富貴[ふうき]に淫する〉資産家といえど富貴に淫することなく、固く己[おのれ]を持[じ]して静かな一生を送った。♠●へ自ら淫する〉暗い青春の日々、わたしは自ら淫することで、自分の中になお深く沈んでいった。 **いんぜん【隠然】** ○陰で力をもっているさま。[文例]〈隠然たる勢力〉表に出ることはめったにないが、この男は政界に隠然たる勢力をもつといううわさだ。♠●へ隠然として〉引退したけれども、彼の影響力は隠然として医学界をおおっていた。 **インテリ** ○知識人。教養人。インテリゲンチア。[文例]スイスでは、三つもある公用語を全部しゃべれるのは、少数のインテリだけだ。♠◆あの男が苦境を乗りこえられずに自殺したのは、インテリの弱さだね。♠◆◇青白きインテリ〉彼は、理屈ばかり達者で、実行力のない青白きインテリの典型さ。♠◆ヘインテリぶる〉彼女は、インテリぶって、すぐに知識をひけらかしたがるいやな女だよ。 **インテリア** ○室内装飾。室内調度品。[文例]店内の色、照明、飾りなどインテリアには気をつかっています。♠◆ヘインテリアデザイン>室内装飾[そうしよく]一切を扱うインテリアデザインの会社に勤めています。 **いんそつ【引率】** ○引き連れること。ひきいること。[文例]〈生徒の引率>中学生ぐらいになると、言うことを聞かないから、引率の先生は本当に大変です。♠●〈引率する〉行儀[ぎようぎ]よく並んだ園児たちを、かわいい女の先生が引率していきました。♠●へ引率者〉このグループの引率者の方は、受付までおいでください。 **いんたい【引退】** ○第一線から退くこと。現役をおりるこど。[文例]〈現役を引退する〉彼女は、この試合を最後に現役を引退するそうです。♠●〈活動から引退する〉三年の二学期になると、クラブ活動から引退し受験勉強に専念します。♠〈引退の花道をかざる〉引退の花道を優勝でかざることができた。 **インタビュー** ○(取材などのために)人と会見すること。[文例]〈インタビューを受ける〉街で、選挙の結果について、テレビのインタビューを受けた。♠●ヘインタビューをする〉彼は、どこへでも真っ先に出かけ、つっこんだ内容のインタビューをするので知られる。♠●ヘインタビューを申しこむ〉人気タレントにインタビューを申しこんだが、断られたよ。♠●ヘインタビューに答える〉大臣は、記者団のインタビューに答える形で爆弾[ばくだん]発言を行った。 **いんちき** ○不正。ごまかし。いかさま。[文例]へいんちきをする〉ルールを守ってこそゲームは楽しくできるのだから、いんちきをしてはだめですよ。♠●へいんちきな勧誘[かんゆう]〉神さまの名をかたるいんちきな勧誘もあるから、気をつけなさい。♠●へいんちき商売〉計りをごまかすようないんちき商売じゃ長くは続かないね。 **いんどう【引導】** ○成仏[じようぶつ]するように死者を導くこと。また、そのための言葉・お経。あきらめるよう最終的に言い渡すこと。[文例]〈引導を渡す〉和尚[おしよう]さんや、このわしより先に死んでは、引導を渡してくれる人がいなくなって困るよ。♠◆〈引導を渡す〉あの歌じゃ歌手は無理だ。親のわたしから引導を渡してやろう。 **いんとく【隠匿】** ○隠したり、かくまったりすること。秘匿。[文例]<隠匿する〉関係者によって長い間隠匿されていた旧陸軍の物資が発見された。♠◆ヘ犯人隠匿>親子でも、犯罪者をかくまうと、犯人隠匿の罪になります。 **イントネーション** ○話す時の声の上がり下がり。音調。抑揚。[文例]〈文のイントネーション>会話では、話し手の意図は文末のことばやイントネーションによって表現される。♠●ヘイントネーションをつける〉口で話すときは、同じ言葉でも声の大小・高低・強弱、さまざまなイントネーションをつけることができる。 **いんねん【因縁】** ○原因とそこから生じる結果のつながり。物事のつながり・関係。運命。言いがかり。[文例]〈何かの因縁〉敵であるきみとの間に友情が生まれたのも、何かの因縁だろう。♠●へ前世からの因縁〉下級武士の貧しい家に生まれたのも前世からの因縁とあきらめる。♠●〈何の因縁〉人より苦労することが多いのは、一体何の因縁かと思うことがある。 <86> **インフレ** **う** る。♠〈因縁[いんねん]浅[あさ]からぬ〉彼[かれ]とわたしとの関係[かんけい]は、因縁[いんねん]浅[あさ]からぬものがあるのだ。♠〈因縁[いんねん]が深[ふか]い〉うちはパン屋[や]だから、アメリカの小麦[こむぎ]生産[せいさん]者[しゃ]との因縁[いんねん]は深[ふか]いと言[い]える。♠〈因縁[いんねん]をつける〉人[ひと]を見[み]つけては因縁[いんねん]をつけて、金[かね]をまきあげている不良[ふりょう]もいる。 **インフレ** ○通貨[つうか]の供給[きょうきゅう]量[りょう]が一定[いってい]以上[いじょう]に増加[ぞうか]してその価値[かち]が下[さ]がり、物価[ぶっか]が高[たか]くなる経済[けいざい]現象[げんしょう]。インフレーション。[文例]〈インフレを引[ひ]き起[お]こす〉昭和[しょうわ]四十[よんじゅう]年代[ねんだい]の日本[にほん]では、経済[けいざい]の急[きゅう]成長[せいちょう]が猛烈[もうれつ]なインフレを引[ひ]き起[お]こした。♠〈インフレに陥[おちい]る〉ブラジルやメキシコは、当時[とうじ]インフレに陥[おちい]って苦[くる]しんでいた。♠〈インフレとデフレ〉戦後[せんご]しばらくの間[あいだ]日本[にほん]では、インフレという言葉[ことば]よりデフレという言葉[ことば]をよく耳[みみ]にしたものです。 **いんぺい**【隠蔽】 ○覆[おお]い隠[かく]すこと。[文例]〈事実[じじつ]の隠蔽[いんぺい]〉政府[せいふ]は事実[じじつ]の隠蔽[いんぺい]を図[はか]ったが、ついにマスコミによって真相[しんそう]を暴露[ばくろ]された。♠〈隠蔽[いんぺい]する〉これだけ目撃[もくげき]者[しゃ]がいれば、事実[じじつ]を隠蔽[いんぺい]しておくことは難[むずか]しいぞ。♠〈隠蔽[いんぺい]工作[こうさく]〉隠蔽[いんぺい]工作[こうさく]に失敗[しっぱい]した幹部[かんぶ]たちは、責任[せきにん]をとって総[そう]辞職[じしょく]した。 **いんぼう**【陰謀】 ○謀反[むほん]や悪事[あくじ]をたくらむこと。また、その計画[けいかく]。[文例]〈陰謀[いんぼう]を生[う]む〉〈陰謀[いんぼう]が発覚[はっかく]する〉平家[へいけ]一門[いちもん]への反感[はんかん]は、平家[へいけ]打倒[だとう]の陰謀[いんぼう]を生[う]んだが、いずれも発覚[はっかく]し、制圧[せいあつ]された。♠〈陰謀[いんぼう]を企[くわだ]てる〉つかまった犯人[はんにん]のほかに、要人[ようじん]暗殺[あんさつ]の陰謀[いんぼう]を企[くわだ]てた張本人[ちょうほんにん]がいるはずだ。♠〈陰謀[いんぼう]をめぐらす〉彼[かれ]は、ライバルを陥[おとしい]れようと、ひそかに陰謀[いんぼう]をめぐらすのだった。 **いんよう**【引用】 ○他人[たにん]の言葉[ことば]を引[ひ]いて述[の]べること。[文例]〈他[た]からの引用[いんよう]〉彼[かれ]の文章[ぶんしょう]は、他[た]からの引用[いんよう]ばかりで、自分[じぶん]自身[じしん]の考[かんが]えが述[の]べられていない。♠〈引用[いんよう]する〉大統領[だいとうりょう]は、演説[えんぜつ]の中[なか]で聖書[せいしょ]の言葉[ことば]を引用[いんよう]し、世界[せかい]平和[へいわ]の実現[じつげん]を誓[ちか]った。♠〈引用[いんよう]文[ぶん]〉二[に]字[じ]分[ぶん]下[さ]げるなどして、引用[いんよう]文[ぶん]は自分[じぶん]の文章[ぶんしょう]と区別[くべつ]がつくように書[か]きなさい。 **いんりつ**【韻律】 ○声[こえ]の高低[こうてい]・強弱[きょうじゃく]、音[おと]の数[かず]・配列[はいれつ]などによる言葉[ことば]の調子[ちょうし]。言葉[ことば]のリズム。[文例]〈短歌[たんか]の韻律[いんりつ]〉青春[せいしゅん]の繊細[せんさい]な感情[かんじょう]の動[うご]きが、短歌[たんか]の韻律[いんりつ]とよくとけ合[あ]っています。♠〈詩[し]の韻律[いんりつ]〉この詩[し]の韻律[いんりつ]は、懐[なつ]かしい子守[こもり]歌[うた]を思[おも]わせます。 **いんりょく**【引力】 ○引[ひ]き付[つ]ける力[ちから]。二[ふた]つの物体[ぶったい]が引[ひ]き合[あ]う力[ちから]。[文例]〈引力[いんりょく]が働[はたら]く〉すべての物体[ぶったい]と物体[ぶったい]の間[あいだ]には引力[いんりょく]が働[はたら]いている。♠〈引力[いんりょく]で引[ひ]かれる〉あれほど強[つよ]い引力[いんりょく]で引[ひ]かれた二人[ふたり]だったのに、こんなに簡単[かんたん]に別[わか]れてしまうなんて。♠〈万有[ばんゆう]引力[いんりょく]〉ニュートンは万有[ばんゆう]引力[いんりょく]の法則[ほうそく]を発見[はっけん]し、力学[りきがく]の礎[いしずえ]を築[きず]いた。 **う**【鵜】 ○大形[おおがた]の水鳥[みずとり]の一種[いっしゅ]。[文例]〈鵜[う]のまねをする鳥[からす]〉プロの選手[せんしゅ]と同[おな]じことをやろうとしても、鵜[う]のまねをする鳥[からす]で、きっと失敗[しっぱい]するよ。♠〈鵜[う]の目[め]鷹[たか]の目[め]〉客引[きゃくひ]きたちは、懐[ふところ]具合[ぐあい]のよさそうな通行人[つうこうにん]を鵜[う]の目[め]鷹[たか]の目[め]でねらっていた。 **ウイークポイント** ○弱点[じゃくてん]。[文例]計算[けいさん]は正確[せいかく]で速[はや]いが、応用[おうよう]問題[もんだい]がきみのウイークポイントだね。♠〈チームのウイークポイント〉このチームのウイークポイントは外野[がいや]の守備[しゅび]にあるようだ。♠〈ウイークポイントをつく〉敵[てき]の選手[せんしゅ]の動[うご]きをよく観察[かんさつ]して、試合[しあい]ではそのウイークポイントをつくようにしよう。 **ういういし・い**【初初しい】 ○年[とし]が若[わか]く、世間[せけん]ずれていないですなおだ。[文例]〈初々[ういうい]しい花嫁[はなよめ]〉まだ二十[はたち]歳[さい]の花嫁[はなよめ]は、少女[しょうじょ]のように初々[ういうい]しかった。♠〈初々[ういうい]しい若[わか]奥様[おくさま]〉エプロン姿[すがた]がいかにも初々[ういうい]しい若[わか]奥様[おくさま]といった感[かん]じである。 **ういじん**【初陣】 ○初[はじ]めて戦[たたか]いに出[で]ること。初[はじ]めての試合[しあい]・競技[きょうぎ]。[文例]若[わか]き武将[ぶしょう]は、初陣[ういじん]から大手柄[おおてがら]をたてて、戦場[せんじょう]にその名[な]をとどろかせた。♠〈初陣[ういじん]を飾[かざ]る〉甲子園[こうしえん]での初陣[ういじん]を飾[かざ]った。 **ウイット** ○機知[きち]。とんち。[文例]〈ウイットに富[と]む〉作家[さっか]のウイットに富[と]んだスピーチに、出席[しゅっせき]者[しゃ]は大喜[おおよろこ]びでした。♠〈ユーモアとウイット〉ユーモアとウイットはよく似[に]ていますが、切[き]れ味[あじ]の鋭[するど]いウイットに対[たい]して、ユーモアにはあたたかみがあります。 **ウインク** ○合図[あいず]のための片目[かため]のまばたき。[文例]〈ウインクを送[おく]る・返[かえ]す〉ぼくがウインクを送[おく]ったら、その子[こ]もにっこりしてウインクを返[かえ]してくれたよ。♠〈ウインクする〉お酒[さけ]を飲[の]んで上機嫌[じょうきげん]のおじさんが、わたしたちにウインクしていった。 **うえ**【上】 ○高[たか]い所[ところ]。表面[ひょうめん]。おもて。地位[ちい]や程度[ていど]、年齢[ねんれい]などが高[たか]いこと。・・・に関[かん]して。・・・したあと。・・・に加[くわ]えて。[文例]〈木[き]の上[うえ]〉つかまえようとすると、さるは、さらに木[き]の上[うえ]の方[ほう]へよじ登[のぼ]ってしまった。♠〈上[うえ]へ上[うえ]へ〉ひばりが、上[うえ]へ上[うえ]へと舞[ま]い上[あ]がっていく。♠〈雪[ゆき]の上[うえ]〉雪[ゆき]の上[うえ]に小[ちい]さな足跡[あしあと]をつけながら子犬[こいぬ]が歩[ある]いて行[い]く。♠〈先生[せんせい]の上[うえ]〉全校[ぜんこう]生徒[せいと]の目[め]が転任[てんにん]される先生[せんせい]の上[うえ]に注[そそ]がれた。♠〈シャツの上[うえ]〉外[そと]は冷[ひ]えるから、シャツの上[うえ]にセーターを着[き]ていきなさい。♠〈〜の上[うえ]に築[きず]く〉現代[げんだい]の科学[かがく]は、多[おお]くの知的[ちてき]探検[たんけん]家[か]たちの努力[どりょく]の上[うえ]に築[きず]かれてきた。♠〈五[いつ]つ上[うえ]〉姉[あね]はわたしより五[いつ]つ上[うえ]です。♠〈上[うえ]の子供[こども]〉子供[こども]は二人[ふたり]ですが、上[うえ]は大学生[だいがくせい]、下[した]は中学[ちゅうがく]二年[にねん]です。♠〈上[うえ]の者[もの]〉昔[むかし]は身分[みぶん]が厳[きび]しく決[き]められていて、上[うえ]の者[もの]に対[たい]しては、下[した]の者[もの]はどんな時[とき]でも敬語[けいご]を使[つか]わなければならなかった。♠〈上[うえ]の課程[かてい]〉大学生[だいがくせい]の兄[あに]は、さらに上[うえ]の課程[かてい]に進[すす]むつもりらしい。♠〈この上[うえ]もない〉ぼくは、けんかをした相手[あいて]の前[まえ]で泣[な]いたことを、この上[うえ]もない恥[は]ずかしいことだと思[おも]った。♠〈上[うえ]には上[うえ]がある〉一個[いっこ]数百[すうひゃく]万[まん]円[えん]の指輪[ゆびわ]と聞[き]いて驚[おどろ]いていると、何[なん]億[おく]もするのもあるという。上[うえ]には上[うえ]があるものだ。♠〈上[うえ]を下[した]への大騒[おおさわ]ぎ〉村[むら]を、偉[えら]いお方[かた]が訪[おとず]れるというので、村人[むらびと]たちは、上[うえ]を下[した]への大騒[おおさわ]ぎである。♠〈石[いし]の上[うえ]にも三年[さんねん]〉「石[いし]の上[うえ]にも三年[さんねん]」は、しんぼうが大切[たいせつ]だというたとえです。♠〈目[め]の上[うえ]のたんこぶ〉あいつは、なんともじゃまな、まるで目[め]の上[うえ]のたんこぶみたいなやつだ。♠〈気持[きも]ちの上[うえ]〉ああ、いいよ、とは言[い]ったものの、気持[きも]ちの <87> **うえ【飢え】(餓え)** ○食べ物がなくて、ひどい空腹に苦しむこと。[文例]**<飢えに苦しむ>** 病気と飢えに苦しむ人々のために、薬や食糧[しょくりよう]が送[おく]られた。♠**<飢えをしのぐ>** 空腹に耐[た]えかねた男は、口に入る物なら草さえ食べて飢えをしのいだ。 **ウエート** ○重量。体重。重み。重要度。[文例]ぼくのウエートは七十三キロ、身長が百七十センチだから、太[ふと]り過[す]ぎだ。♠**<ウエートをおく>** 新社員については、学校の成績よりも人物にウエートをおいて採用したい。♠**<ウエートをかける>** あの高校は、内申書[ないしんしょ]より学科試験にウエートをかけて、合格を決定するようだ。♠**<ウエートを増す>** クラスの中で、彼女の発言がしだいにウエートを増してきた。♠**<ウエートコントロール>** 「太ったね。」と言われてショックを受けた姉[あね]は、ウエートコントロールに懸命[けんめい]だ。 **うえじに【飢え死に】(餓え死に)** ○食べ物がなくて死ぬこと。餓死。[文例]**<飢え死に寸前>** 助[たす]け出[だ]された人々は、何日も何も食べておらず、飢え死に寸前[すんぜん]の状態だった。♠**<飢え死にする>** ひどいききんに、飢え死にする人の数は増[ふ]える一方であった。 **うえつ・ける【植え付ける】** ○作物をうえる。人の心に刻[きざ]み込む。[文例]**<作物を植え付ける>** 火山の爆発で、辺り一帯[いったい]の畑は灰[はい]が積[つ]もり、作物を植え付けることもできない。♠**<先入観を植え付ける>** 大人は、子供に誤[あやま]った先入観を植え付けることのないよう気を付けたい。♠**<恐怖心を植え付ける>** 相手はクマみたいな大男だと恐怖心[きょうふしん]を植え付けられていたから、試合当日は足がすくんだ。 **う・える【植える】** ○木や作物の根を地中にうめる。はめこむようにする。移して根づかせる。[文例]**<球根を植える>** お花屋さんで、赤いチューリップの球根を一つ買って、はちに植えました。♠**<木を植える>** どうせなら、柿[かき]の木のような、実[み]の食べられる木を植えればいいのに。♠**<なえを植える>** おいしい実のなるくるみのなえを一本植えました。♠**<畑に植える>** 二株[ふたかぶ]の種[たね]いもは、あくる年畑に植えられ、秋には、新しい種類のじゃがいもがいっぱい収穫[しゅうかく]された。♠**<皮膚を植える>** 医者は、くっついた左手の指と手のひらを切り裂[さ]き、またの皮膚を植えることで、彼の手を治した。♠**<活字を植える>** 活版印刷は、一字ずつ活字を木わくの中に植えていかなければならないので、熟練工[じゅくれんこう]が必要だった。♠**<考え方を植える>** その書物は、当時の人々に西洋の民主政治の考え方を植えるのに大きな力[ちから]となった。♠**<自覚を植えつける>** 八歳[さい]ながら、少年の心には、武士[ぶし]の子孫[しそん]という自覚が植えつけられた。 **う・える【飢える】(餓える)** ○食べ物がなくて、空腹に苦しむ。欠[か]けているものをひどくほしがる。[文例]**<飢えてやせおとろえる>** 拾[ひろ]ってきた小犬は、何も食べていないらしく、飢えてやせおとろえていた。♠**<飢えて死ぬ>** アフリカでは、大[おお]ききんのために、食べる物がほとんどなく、飢えて死んでいく子供たちがたくさんいる。♠**<愛情に飢える>** 親の愛情に飢えている赤ちゃんは、よく泣くのだそうです。♠**<活字に飢える>** 登山からもどってきた兄は、活字に飢えたように、新聞や雑誌を手当たり次第[しだい]読んでいた。♠**<血に飢える>** 血に飢えた殺人鬼[さつじんき]のような形相[ぎょうそう]が、スクリーンいっぱいに大写[おおごうつ]しになった。 **うお【魚】** ○魚類。さかな。[文例]赤潮のために、大量の魚や貝が死んだ。♠**<木によって魚を求む>** 正しい手段によらなければ、木[き]によって魚[うお]を求[もと]むで目的は達成[たっせい]できない。♠**<魚つり>** 父は、日曜日にはたいてい近[ちか]くの川に魚つりに出かけます。♠行[ゆ]く春[はる]や鳥啼[とりな]き魚[うお]の目[め]は涙[なみだ](松尾芭蕉[まつおばしょう]) **うおうさおう【右往左往】** ○うろたえて、右へ左へあちこち動き回ること。[文例]**<右往左往する>** 入試会場では、自分の受験する教室をさがし求める受験生が右往左往している。♠戦時中と戦後しばらくは、極端[きょくたん]に食糧[しょくりょう]が不足したので、食糧を求めて右往左往する日々が続[つづ]いた。♠兄は急に結婚話[けっこんぱなし]が決まったため、式場の予約、招待者の人選、旅行の手配と、右往左往の毎日です。 **うかい(迂回)** ○回り道をすること。遠回りすること。[文例]**<迂回する>** 道路が工事中で迂回したので、少し時間がかかった。♠**<迂回路>** 周りの風景が美しいので、わざわざ迂回路を通ってきました。 **うがい(嗽・含嗽)** ○水や薬液で口をすすぎ清めること。[文例]**<うがいをする>** 風邪[かぜ]の季節には、外から帰ったら必ずうがいをしなさい。 **うかうか** ○はっきりした考えもなく行動するさま。不注意なさま。[文例]ついかうかうか口車[くちぐるま]に乗せられて、高価[こうか]な品物を買わされてしまった。♠**<うかうかと>** うかうかと人の言葉を信用してついていくなんて、不用心すぎる。♠**<うかうかと暮らす>** 仕事らしい仕事もしないで、うかうかと暮らしているうちに、一年たってしまった。♠**<うかうかする>** うかうかしていると、思わぬ災難[さいなん]にあったりする。♠**<うかうかしていられない>** 弟が最近よく勉強するようになったので、ぼくもうかうかしてはいられない。♠**<うかうかすると>** 夏休みだからってうかうかしていると、二学期から大変なことになるわよ。 **うかがい【伺い】** ○指示や許可などを求めること。[文例]**<お伺いを立てる>** 村人たちは、秋祭りを例年通[れいねんどお]りやってもよいのかと、鎮守様[ちんじゅさま]にお伺いを立てに行った。♠**<進退伺い>** 職務上[しょくむじょう]の失敗が続いた職員は、所長に進退[しんたい]伺[うかが]いを提出[ていしゅつ]した。 <88> **うかが・う【伺う】** ○「聞く」「問う」「訪ねる」などの謙譲語。[文例]**<お宅へ伺う>** 今から、先生のお宅へ伺うところです。♠**<話を伺う>** 学校新聞にのせるため、校長先生から外国旅行の話を伺ってきました。♠**<ちょっと伺いますが>** ちょっと伺いますが、東京駅へはどう行けばよろしいんでしょうか。 **うかが・う(窺う)** ○そっと見る。そっと様子をさぐる。機会をねらう。推察する。[文例]**<様子をうかがう>** 手術室の前では、心配そうな家族の人たちが、中の様子をうかがっていた。♠**<外をうかがう>** 外をうかがうと、鉛色[なまりいろ]の空の下にわびしい村々が横たわっていた。♠**<すきをうかがう>** 足に自信のある一塁走者は、ピッチャーのすきをうかがって、二塁へと走りだしました。♠**<顔色をうかがう>** ぼくは、母の顔色をうかがいながら、おそるおそるテストを広げて見せた。♠**<自信のほどがうかがわれる>** 「個展にぜひ来てください。」という案内状の言葉に、彼の自信のほどがうかがわれた。♠**<知識・才気がうかがわれる>** 簡潔な文章や適切な表現を通して、彼女の豊かな知識や鋭[するど]い才気がうかがわれる。 **うかさ・れる【浮かされる】** ○心を奪[うば]われて夢中になる。意識が正常でなくなる。[文例]**<熱に浮かされる>** その夜から高い熱に浮かされた病人は、うわごとを言うようになった。 **うか・す【浮かす】** ○浮くようにする。浮かばせる。余りが出るようにする。[文例]**<氷を浮かす>** グラスのウイスキーに氷を一つ浮かしてみた。♠**<腰を浮かす>** 市長が部屋に入ってきたので、職員たちは一斉[いつせい]に腰を浮かしな。♠**<費用を浮かす>** 旅先では、宿泊費[しゅくはくひ]を浮かすために親戚[しんせき]や知人の家に泊めてもらうことにしました。 **うかつ(迂闊)** ○うっかりしているさま。不注意なさま。事情にうといさま。[文例]**<うかつなことをする>** あんな大事なものを人にやるなんて、なんてうかつなことをしてくれたんだ。♠**<うかつに〜できない>** 三人でかかっていけば、いかに彼といえどもうかつには向かってこられないのではないか。♠**<うかつなことを言う>** 戦争中は、言論の統制も厳[きび]しく、うかつなことは言えなかった。♠**<うかつに手出しする>** けがをする場合もあるので、うかつに手出ししないほうがいい。♠そんな大事なことに気づかなかったとは、ぼくはなんとうかつだったのだろう。♠**<うかつにも>** うかつにもぼくは、すっかりそのことを忘れていた。 **うが・つ(穿つ)** ○穴をあける。物事の隠れた部分にふれる。真相をつく。[文例]**<穴をうがつ>** いかにも古い家らしく、軒下[のきした]の石に雨だれがうがった穴が見られた。♠**<うがったこと>** 大人っぽく腕組[うでぐ]みをしながら、次郎[じろう]はいつになくうがったことを言った。♠**<うがった見方>** 二人のけんかがたがいに好意を持っている証拠[しょうこ]だとは、うがった見方だね。 **うか・ぶ【浮かぶ】** ○物体が水面や空中にある。上方へ上がる。表面に現れる。意識にのぼる。[文例]**<雲が浮かぶ>** 白い雲がひとつ、ふわふわと五月の空に浮かんでいるのをながめています。♠**<月が浮かぶ>** ふりむくと、東の空に大きな月がぽっかり浮かんでいる。♠**<舟が浮かぶ>** 青い海に、白い帆[ほ]の小舟[こぶね]が浮かぶ。♠**<島が浮かぶ>** 日本列島は、アジア大陸の東の果[は]ての海に浮かぶ島々から成り立っている。♠**<容疑者が浮かぶ>** 残された凶器[きょうき]と手袋[てぶくろ]から、何人かの男が容疑者として浮かんできた。♠**<心に浮かぶ>** 周[まわ]りの出来事に注意を向けてみたが、書きたいことは心に浮かんでこない。♠**<頭に浮かぶ>** 別れの時、ひょこっと「さよならだけが人生だ」という言葉が頭に浮かんだ。♠**<まぶたに浮かぶ>** 目を閉[と]じてまぶたに浮かぶのは、グリーンランドの白[しろ]い山々[やまやま]でした。♠◇**<目に浮かぶ>** 青年の面影[おもかげ]が、今になってもあざやかに目に浮かんできます。♠**<胸に浮かぶ>** 目を閉じると今でも小学校時代の思い出が胸に浮かびます。♠**<考えが浮かぶ>** 心配事があるせいか、とりとめのない考えばかりが浮かんでくる。♠**<名案が浮かぶ>** いろいろ考えたけれども、急には名案が浮かばなかった。♠**<涙が浮かぶ>** 友人[ゆうじん]の乗[の]る列車を見送った娘[むすめ]の目[め]には、大[おお]つぶの涙[なみだ]が浮かんできました。♠**<ほほえみが浮かぶ>** 子供の話を聞いていたお母さんの口もとに、優しいほほえみが浮かびました。♠**<表情が浮かぶ>** 彼のやさしい言葉で、うつむいていた少女の顔に喜びの表情が浮かんだ。♠**<浮かばれない>** 助[たす]けた人は亡[な]くなり、助けられた一家は黙[だま]って立ち去るとは、死者[ししゃ]が浮かばれない。 **うか・べる【浮かべる】** ○浮かぶようにする。表面に現す。意識にのぼらせる。[文例]**<船を浮かべる>** 川に船を浮かべて、釣[つ]りをしている人たちの姿が見えました。♠**<藻[も]を浮かべる>** 青[あお]い藻を浮かべた堀[ほり]を背[せ]にして、銅像[どうぞう]が建てられていた。♠**<湯に浮かべる>** おふろぎらいの弟も、おもちゃのアヒルをお湯に浮かべれば、きげんよく入ります。♠**<目に浮かべる>** 様子がくわしく書かれていると、読む人は、その場面をありありと目に浮かべることができます。♠**<目になみだを浮かべる>** さすがのいたずらっ子たちも、そのシーンには、目になみだを浮かべて見入っていた。♠**<笑いを浮かべる>** 叔父[おじ]さんは、何やら意味ありげな笑いを浮かべて、ぼくの方を見た。♠**<表情を浮かべる>** 通りすがりの男の人は、おや、という表情を浮かべて、すれちがいざまにふり返りました。♠**<頭に浮かべる>** 盗賊[とうぞく]たちは、今しがた手に入れたばかりの千両箱[せんりょうばこ]の中身を頭に浮かべ、にんまりほくそえんだ。♠**<おもかげを胸に浮かべる>** 彼女は、その話題が出るたびに、若くして死んだ親友のおもかげを胸に浮かべるのだった。♠**<思い浮かべる>** 少年は、少女が大きなちょうちょになった姿を思い浮かべた。 **うか・る【受かる】** ○試験などに合格する。[文例]**<試験に受かる>** 入社試験にも受かり、来春はいよいよ社会人だ。♠**<大学に受かる>** 希望の大学に受かって、よかったね。 **うか・れる【浮かれる】** ○心がうきうきして、落ち着かなくなる。[文例]**<浮かれて踊る>** 笛[ふえ]や太鼓[たいこ]の音に浮かれて踊[おど]り出す者も出て、祭りは大[おお]にぎわいです。♠**<心が浮かれる>** 春になるとなんとなく心が浮かれてくる。 **うき【雨季・雨期】** ○一年中で特に雨の多い季節・時期。→乾季・乾期[文例]**<雨季に入る>** 雨季に入っても雨はほとんど降[ふ]らず、大地は乾[かわ]ききっていた。♠**<雨期と乾期>** もともと高温多湿の島だが、乾期はまだしも雨期の蒸[む]し暑[あつ]さは大変なものだ。 <89> **うきあが・る【浮き上がる】** ○水面や空中に浮く。もち上がってすきまができる。周囲から遊離する。[文例]**<空中に浮き上がる>** 円盤[えんばん]は、空中にふわりと浮き上がったと思うと、空のかなたに消[き]えてしまった。♠**<浮き上がって見える>** 霧[きり]が晴[は]れると、遠くの山々が浮き上がって見えた。♠**<浮き上がった存在>** 彼はちょっと変[か]わり者[もの]で、みんなから浮き上がった存在になっている。 **うきあしだ・つ【浮き足立つ】** ○足が地に着かない状態になる。落ち着きを失う。逃げ出しそうになる。[文例]武将の名を聞くと、敵陣[てきじん]は戦[たたか]わずして浮き足立った。♠見るからに強そうな大男の出現に、悪党[あくとう]どもも浮き足立った。 **うきうき【浮き浮き】** ○楽しくて落ち着かないさま。心がはずむさま。[文例]**<浮き浮きする>** 明日から夏休みと思っただけで、心が浮き浮きわくわくする。♠**<浮き浮きとなる>** 楽しい音楽を聞いていると、気分も浮き浮きと楽しくなるね。 **うきしずみ【浮き沈み】** ○浮いたり沈んだりすること。物事が順調にいったり、不調になったりすること。[文例]**<浮き沈みする>** ボートは浮き沈みしながら、激流[げきりゅう]を流されて行きました。♠**<浮き沈みが多い>** 貧[まず]しい行商人[ぎょうしょうにん]から大商人[おおあきんど]に、一転して無一文[むいちもん]にと、浮き沈みの多い人生をたどった。♠**<感情の浮き沈み>** 彼は、陽気になったかと思うとすぐにしおれたり、感情の浮き沈みが激[はげ]しい人だ。 **うきた・つ【浮き立つ】** ○浮かんで見える。うきうきする。[文例]**<あでやかさを浮き立たせる>** 周囲の沈んだ色が、一層[いっそう]、彼女のあでやかさを浮き立たせていました。♠**<気持ちが浮き立つ>** 来週から修学旅行だというので、三年生の気持ちは浮き立っていた。 **うきぼり【浮き彫り】** ○平[たい]らな面に像や文様が浮き出るように彫[ほ]ること。物事の真の姿をはっきり見えるようにすること。[文例]彫刻[ちょうこく]には、丸彫[まるぼ]り[ ]や浮き彫りの方法がある。♠**<浮き彫りにする>** 作者は、主人公の人柄[ひとがら]を、周[まわ]りの人々との関係の中で浮き彫りにしている。♠**<浮き彫りになる>** 今回の事件で、組織の問題点が浮き彫りになった。 **うきみ【憂き身】** ○苦労の多い身の上。[文例]**<憂き身をやつす>** 折[おり]からの不況で不振に陥[おちい]った商売もかえりみず、父は骨董品[こっとうひん]の収集に憂き身をやつしていた。 **うきめ【憂き目】** ○つらい目。苦しい状況。[文例]**<憂き目を見る>** 勉強もしないで遊んでばかりいると、あとでとんだ憂き目を見ることになりますよ。♠**<没落の憂き目>** おごり高[たか]ぶっていた彼らも、戦[いくさ]に敗[やぶ]れ、没落[ぼつらく]の憂き目を見るに至[いた]った。♠**<憂き目にあう>** 戦いさえなければ、家族を失うなどという憂き目にあわずに済[す]んだろうに。 **うきよ【浮き世・憂き世】** ○はかなく、つらいこの世。世の中。世間。[文例]**<浮き世の荒波>** 浮き世の荒波[あらなみ]にもまれながら、女一人したたかに生きてきた。♠**<浮き世の風>** 妻に去られ小さな子を抱[かか]えた男にとって、浮き世の風は冷[つめ]たかった。♠**<浮き世を離れる>** わずらわしい浮き世を離れて、山里でひっそりと暮らすのもよい。 **う・く【浮く】** ○水面や空中に浮かんでいる。上方へ上がる。浮かび上がる。不安定な状態になる。うきうきする。うわっく。余りが出る。[文例]**<水面に浮く>** 桜[さくら]の花びらが風に散[ち]って、池の水面いっぱいに浮いている。♠**<浮きつ沈みつ>** 小犬はもはや泳[およ]ぐ力[ちから]も尽[つ]きて、浮きつ沈みつ流されてゆく。♠**<空に浮く雲>** ぼくは、草の上にねころがり、青い空にぽっかり浮いている雲をながめていた。♠**<歯が浮く>** そのキーキーいういやな音を聞くと、歯が浮いてしまう。♠**<歯の浮くような>** あいつの歯の浮くようなおせじには、ほとほと愛想[あいそ]がつきた。♠**<金具が浮く>** このいすはどこかの金具が浮いているらしく、少しぐらぐらしている。♠**<浮かぬ顔>** 兄は試験がうまくいかなかったのか、浮かぬ顔をして帰[かえ]って来た。♠**<気分が浮かない>** 不愉快[ふゆかい]なことが続[つづ]いて、どうも気分が浮かない。♠**<費用が浮く>** まとめて買ったら割[わ]り引[び]いてくれたので、いくぶんか費用が浮いた。♠**<計画が宙に浮く>** この計画は、予算などの問題から、宙[ちゅう]に浮いたままの状態です。♠**<浮いたうわさ>** あの娘[むすめ]は身持[みも]ちがよくて、浮いたうわさひとつない。 **うぐいす(鶯)** ○ウグイス科の小鳥。春を告[つ]げる鳥として、古来詩歌に詠[よ]まれた。[文例]**<うぐいすが鳴く>** 庭で、うぐいすが「ホーホケキョ」と鳴いている。♠◇梅[うめ]にうぐいす、「梅にうぐいす、柳[やなぎ]につばめ」は、取[と]り合[あ]わせがぴったり決[き]まったことのたとえです。♠**<うぐいす嬢[じょう]>** スピーカーから、美[うつく]しぃうぐいす嬢の声が響[ひび]いてきた。 **うけ【受け】** ○受けること。支え。守ること。周囲の評判。[文例]**<受けがいい・悪い>** 品質よりも色やデザインの新しい物が、若い層[そう]には受けがいいようだ。♠**<受けにまわる>** 試合開始早々の相手の鋭[するど]い攻撃にぼくは一方的に受けにまわった。♠**<郵便受け・新聞受け>** 入[い]り口[ぐち]にあるポストが、郵便受けにも新聞受けにもなっている。 **うけあい【請け合い】** ○引き受けること。保証すること。[文例]五年もすれば、このつぼの値段が十倍になること請け合いですよ。♠**<安請け合い>** できもしないくせに安請け合いだと言われるかもしれないが、どうしても断[ことわ]れなかったんだ。 **うけあ・う【請け合う】** ○引き受ける。保証する。[文例]ぼくが相談をもちかけると、彼は、喜んで力[ちから]になるよと、請け合ってくれた。♠いったん頼[たの]まれて請け合ったことなら、どんなことがあっても、やるだけのことはやらねばなるまい。♠よし、そのことはわたしが請け合おう。♠**<人物を請け合う>** 彼が信用できる人物であることは、親友であるぼくが請け合います。 **うけい・れる【受け入れる】** ○受け止めて、中に入れる。聞き入れる。[文例]**<留学生を受け入れる>** 外国からの留学生を受け入れる家庭を募[つの]っている。♠**<文化を受け入れる>** わが国は、古来より外国の文化を受け入れつつ、独自[どくじ]の文化をつくり上げてきた。♠**<常識を受け入れる>** 常識を無批判に受け入れてしまう態度には、問題があります。♠**<要求を受け入れる>** 相手は、こちらの要求を簡単[かんたん]には受け入れなかった。 <90> **うけうり【受け売り】** ○他人の考えや言葉を、そのまま自分のもののように言いなすこと。[文例]**<人の受け売り>** 偉[えら]そうなことを言っているけど、どうせだれかの受け売りだろう。♠**<他人の受け売り>** 他人の受け売りではなく、自分自身の意見を持つべきだ。 **うけお・う【請け負う】** ○報酬[ほうしゅう]を受ける約束で仕事を引き受ける。[文例]**<仕事を請け負う>** わが社は、ビル清掃[せいそう]の仕事を請け負っています。♠**<工事を請け負う>** この土木工事は、市内の業者に請け負わせよう。 **うけこたえ【受け答え】** ○語りかけ・質問などに答えること。応答。[文例]**<受け答えする>** たあちゃんもよくしゃべるようになって、人の話にもちゃんと受け答えするようになったね。♠**<受け答えがうまい>** ユーモアのある彼は、話の受け答えがとてもうまい。 **うけざら【受け皿】** ○しずくが垂[た]れるのを受ける皿。権力などを引[ひ]き継[つ]ぐ人。また、そうする力。[文例]**<受け皿を置く>** 容器の口からしょうゆが垂れるので、下に受け皿を置きました。♠**<カップの受け皿>** コーヒーカップやティーカップには、受け皿が付いている。♠**<政権の受け皿>** 現在の状態では、政権の受け皿がないから、現総理が留任[りゅうにん]することになるだろう。 **うけたまわ・る【承る】** ○「聞く」「承知する」「受ける・引き受ける」などの謙譲語。[文例]**<話を承る>** お話は承りました。♠**<意見を承る>** 皆[みな]さまのご意見を承りたく存[ぞん]じます。♠**<用件を承る>** ただ今主人は留守ですが、よろしければわたしがご用件を承っておきましょう。♠**<用命を承る>** お客さまのご用命は何なりと承ります。 **うけつ・ぐ【受け継ぐ】** ○あとを受ける。あとを継ぐ。継承する。[文例]**<代々受け継ぐ>** この刀[かたな]は、三百年も昔[むかし]から代々[だいだい]受け継がれてきた家宝[かほう]である。♠**<伝統・遺産を受け継ぐ>** 先代[せんだい]の築[きず]いた伝統や文化遺産を大切に受け継いでいこう。 **うけつけ【受付・受け付け】** ○申し込みや問い合わせなどを扱[あつか]ったり、取り次いだりすること。また、その役割。[文例]受付で用件を取り次いでもらうと、程[ほど]なくして応接室に通[とお]された。♠**<申し込みの受け付け>** 申し込みの受け付けは、あさっての午後五時までです。 **うけつ・ける【受け付ける】** ○申し込みや問い合わせなどを扱ったり、取り次いだりする。受け入れる。中にとりこむ。[文例]**<申し込みを受け付ける>** 申し込みは、電話でも受け付けます。♠**<胃が受け付けない>** 胃が弱[よわ]って、やわらかい食べ物しか受け付けません。 **うけと・める【受け止める】** ○受けてとらえる。受けて食[く]い止[と]める。はね返[かえ]さないで受け入れる。受け取る。[文例]**<球を受け止める>** キャッチャーは、ピッチャーの投[な]げる球をしっかりと受け止める。♠**<言葉を受け止める>** 彼女のこの言葉を、どのように受け止めたらいいのかとまどっている。♠**<気持ちを受け止める>** わたしの気持[きも]ちが相手に十分受け止められたかどうか気になります。 **うけと・る【受け取る】** ○受けておさめる。受けて自分のものにする。理解する。解釈する。[文例]**<金を受け取る>** 右の金額確かに受け取りました。♠**<手紙を受け取る>** 晩秋[ばんしゅう]のある日、彼女は一通の長い手紙を受け取った。♠作者は、解釈[かいしゃく]や意見をはさまず、それをどう受け取るかは読者[どくしゃ]にゆだねている。♠冗談[じょうだん]をまともに受け取るなんて、あいつも融通[ゆうずう]のきかないやつだなあ。 **うけなが・す【受け流す】** ○軽[かる]く受けてかわす。まともに受け止めずに、適当に対応する。[文例]**<忠告を受け流す>** 親の忠告[ちゅうこく]を、「なに年寄りが……」と受け流してきた。♠**<柳[やなぎ]に風と受け流す>** 批評家[ひひょうか]の批評を柳に風と受け流し、作家は次の構想[こうそう]を練[ね]っていた。 **うけみ【受け身】** ○他からの働きかけを受けること。動作・作用を受けること。柔道でけがをしないように倒[たお]れる法。動作・作用を受ける側を主語にした言[い]い方。[文例]**<受け身に構える>** わたしが体に力[ちから]をみなぎらせると、相手はそれに反応して、すうっと受け身に構[かま]えた。♠**<受け身でいる>** いつも受け身でいないで、自分のほうから積極的に行動してごらん。♠**<柔道の受け身>** 柔道の受け身を覚[おぼ]えると、転[ころ]び方や倒れ方が上手になります。♠**<受け身の助動詞>** 「なぐられる」「立たされる」のような言い方を受け身といい、「れる(られる)」を受け身の助動詞という。 **うけもち【受け持ち】** ○受け持つこと。受け持つ人。受け持った仕事。[文例]**<受け持ちの先生>** 一年一組の受け持ちの先生は、山口先生です。♠**<受け持ちの区域>** 今年から、駅前営業所の受け持ちの区域が広げられます。♠**<仕事の受け持ち>** 大掃除のぼくの受け持ちは、庭掃除とガラス磨[みが]きです。 **うけも・つ【受け持つ】** ○責任をもって引き受ける。担当する。[文例]**<クラスを受け持つ>** 今日から、二年二組を受け持つことになった小熊[おぐま]です。♠**<科目を受け持つ>** 最初に赴任[ふにん]した北海道伊達市[だてし]の高校で、原さんは古典を受け持つことになった。 **う・ける【受ける・請ける】** ○向[む]かってくるものを迎え止める。働きかけに応じて、それを迎え入れる。こうむる。さずかる。受け継ぐ。応じる。引き受ける。受け入れる。好評を得る。[文例]**<球を受ける>** 飛[と]んできた球は、おでこではなく、しっかりグラブで受けなさい。♠**<雨漏りを受ける>** 雨漏[あまも]りがしたら、バケツや洗面器[せんめんき]で受けておけ。♠**<風を受ける>** 折[おり]からの強風をまともに受けて、テントが吹[ふ]き飛[と]んでしまった。♠**<光・日差しを受ける>** 南の窓は、午後[ごご]の日差[ひざ]しをいっぱいに受けている。♠**<質問を受ける>** 子供から、「空はどこまであるの。」という質問を受け、返答[へんとう]に困[こま]った。♠**<相談を受ける>** 先生は、たくさんの生徒や親たちから、進路や勉強などの相談を受けるそうです。♠**<打撃[だげき]を受ける>** この不景気で、父の勤めている会社も大きな打撃を受けた。♠**<真[ま]に受ける>** 彼は冗談[じょうだん]がうまいから、彼の話を真に受けてはいけないよ。♠**<被害[ひがい]を受ける>** 火山の噴火[ふんか]により、島[しま]の住民は家[いえ]や畑[はたけ]を失[うしな]うなど大きな被害を受けた。♠**<迫害[はくがい]を受ける>** 第二次世界大戦中、多くのユダヤ人が、ただユダヤ人であるという理由だけで迫害を受けたのだ。 <91> **うごうのしゅう(烏合の衆)** ○まとまりを欠[か]いた人々の集団。[文例]いくらたくさん集まっても、なんの秩序[ちつじょ]もなくばらばらでは、烏合[うごう]の衆[しゅう]に等[ひと]しい。♠皆[みな]てんでに好きなことをしていて、ちっともまとまりがなく、まるで烏合の衆だ。 **うごか・す【動かす】** ○動くようにする。動きを起こさせる。位置を変える。感動させる。気持ちや考えを変えさせる。[文例]**<体を動かす>** 治療中[ちりようちゅう]に患者[かんじゃ]が体を動かさないように看護婦[かんごふ]さんが体を押[お]さえた。♠**<物を動かす>** そんな大きな たんすを一人で動かすのは無理[むり]だよ。♠**<機械を動かす>** あらゆる作業を機械がこなしているが、その機械を動かしているのは人間です。♠**<心を動かす>** 若[わか]いきみたちは、見るもの聞[き]くもののすべてに強く心を動かされることでしょう。♠**<社会を動かす>** 多くの人間が一致団結[いっちだんけつ]すれば、社会を動かすことさえできる。♠**<金を動かす>** 町の小さな金融業者だったが、数億の金を動かしていた。♠**<動かすことのできない事実>** 権力[けんりょく]が支配者側[しはいしゃがわ]の利益[りえき]を守[まも]るためにあることは、動かすことのできない事実である。 **うごき【動き】** ○うごくこと。運動。移動。行動。動揺。変化。推移。[文例]**<動きが鈍い>** カバは、体が大きく足の短い、動きの鈍[にぶ]い動物である。♠**<敵の動き>** そうか、きみは敵の動きを探[さぐ]っていたスパイだったのか。♠**<動きが取れない>** 店番と妹たちの世話とで、今日は動きが取れません。♠**<心理の動き>** 人間の心理の動きは微妙[びみょう]である。♠**<時代の動き>** 時代の新しい動きも、山奥[やまおく]の村には伝[つた]わりませんでした。 **うご・く【動く】** ○静止していない。別の位置や状態へ移る。作動する。行動する。揺れる。変化する。[文例]**<落ち着きなく動く>** 動物園の白くまは、見物人におどろいているのか、金網[かなあみ]の前で落ち着きなく動いていた。♠**<左右に動く>** 船は、左右に動きながら、岸[きし]からはなれていった。♠**<時計が動く>** 動かなくなった時計の電池を取りかえたら、また元通り動くようになった。♠**<電車が動く>** 積雪[せきせつ]のため、電車が動かないことがしばしばあった。♠**<砂が動く>** コウボウムギは、絶えず砂の動く海岸の砂地に自生するカヤツリグサ科の草です。♠**<状況が動く>** 状況がめまぐるしく動いているので、今後どうなるかわからない。♠**<気持ちが動く>** アメリカの話を聞くたびに、この目で確[たしか]めたいという彼の気持ちは、動かないものとなっていった。♠**<心が動く>** あまりの好条件に、思[おも]わずわたしの心は動いた。♠**<動かぬ証拠>** 男は刑事[けいじ]から動かぬ証拠[しょうこ]をつきつけられると、すっかり観念[かんねん]し、犯行を自白した。♠**<陰[かげ]で動く>** 先生はAだけをしかったけど、陰でBが動いていたことは、学級中[がっきゅうじゅう]が知[し]っている。♠**<揺れ動く>** さまざまなできごとの中で微妙[びみょう]に揺れ動く人間の心を見つめてみよう。 **うこさべん(右顧左眄)** ○左右をきょろきょろ見ること。情勢をうかがってばかりいること。[文例]**<右顧左眄する>** 初めて見る町が珍[めずら]しく、ショーウインドーの品物や広告などを右顧左眄しながら歩いた。♠**<右顧左眄する>** きみは、右顧左眄するばかりで、自ら判断を下[くだ]そうとしない。 **うごのたけのこ【雨後のたけのこ】(雨後の筍)** ○同じようなものが次々に出てくること。[文例]**<雨後のたけのこのよう>** 空襲[くうしゅう]で焼かれた町に、粗末[そまつ]な小屋が雨後のたけのように建[た]っていった。 **うごめく(蠢く)** ○むくむくと動く。[文例]なにやら気味悪い、六本足の怪物[かいぶつ]のようなものが、水の底でうごめいていた。♠木の幹[みき]に小さな毛虫[けむし]がたくさんうごめいているのを見つけた。♠そこでは、土地を奪[うば]われ、耕[たがや]す意欲を失った農夫たちがうごめくように生きていた。 **うさ【憂さ】** ○ふさいだ気持ち。晴れ晴れしない気持ち。[文例]**<憂さを晴らす>** ふさぎこむ日が多くなり、そのうちに酒を飲んで憂さを晴らすようになった。♠**<憂さ晴らし>** たまには憂さ晴らしにパァーッと遊ぶか。 **うさんくさ・い【うさん臭い】(胡散臭い)** ○何となく疑[うたが]わしい。何やら怪[あや]しい。[文例]**<うさん臭い男>** さっきから、うさん臭い男がこの辺りをうろうろしている。♠**<うさん臭い話>** フーム、どうもこの話はうさん臭いぞ。♠**<うさん臭そう>** ぼくの話を、おばさんたちはうさん臭そうな顔をして聞いていた。 <92> **うし【牛】** ○家畜[かちく]の名。進行や進歩の遅[おそ]いことのたとえなどに用いる。[文例]牧場[ぼくじょう]では、牛がのんびりと草を食べたり、寝[ね]ころんだりしている。♠**<牛・馬に引かせる>** 昔[むかし]は、「からすき」という道具を牛や馬に引[ひ]かせて、田畑を耕[たがや]した。♠**<牛の乳をしぼる>** おじさんが、牛の乳をキュッキュッとしぼると、真[ま]っ白[しろ]な乳がほとばしり出[で]た。♠**<牛をつなぐ>** 道端[みちばた]の若木[わかぎ]に牛をつないでおいたら、葉を全部食べてしまった。♠**<牛を追う>** わしらには、こうして牛を追う牧場の暮らしがいちばんだ。♠**<牛を放し飼いにする>** そこの牧場では、山の裾野[すその]で牛を放し飼いにしています。♠**<牛の歩みのよう>** 実験は、牛の歩みのように遅々[ちち]としてはかどらなかった。♠**<角[つの]をためて牛を殺す>** 小さな欠点を無理[むり]に直[なお]そうとして、全体をだめにする事を、「角をためて牛を殺す」という。♠**<牛に引かれて善光寺参[まい]り>** 牛に引かれて善光寺参りで、ひょんなことからその気もないのに、よいことをしてしまった。 **うじ【氏】** ○同じ祖先から分かれた血族集団。一族の名。家柄。[文例]**<氏より育ち>** 「氏より育ち」というように、人格は、血すじよりも環境や教育によって形成される。♠**<藤原氏>** 中臣鎌足[なかとみのかまたり]は、天智[てんじ]天皇より藤原の姓[せい]を賜[たまわ]り、藤原氏の祖[おや]となった。 **うじうじ** ○ぐずぐずして、にえきらないさま。[文例]**<うじうじする>** 何をうじうじしてるんだ、一発[いっぱつ]ドーンとぶつかってみればいいじゃないか。♠**<うじうじした性格>** うじうじした性格で、じれったい子だよ。 **うしお(潮)** ○満[み]ち引[ひ]きし、流れる海水。しお。[文例]**<うしおのように押し寄せる>** 日本製の商品がこの小さな島にもうしおのように押[お]し寄[よ]せていた。♠**<運命のうしお>** 三人の兄弟は、運命のうしおにもてあそばれ、流されて行った。 **うじすじょう【氏素姓・氏素性】** ○家柄。血すじ。[文例]**<氏素姓が知れない>** 氏素姓の知れぬやつを、この家[いえ]に入れるわけにはいかない。♠人を判断するときに、氏素姓だけを基準にするのはよくないと思う。 **うしな・う【失う】** ○なくする。とりにがす。死なせる。[文例]**<家を失う>** 今度の洪水[こうずい]では、家を失った人も多く、死者、行方不明者[ゆくえふめいしゃ]も出[で]た。♠**<兄を失う>** ぼくは、兄を事故で失い、肉親[にくしん]を亡[な]くした人たちの悲[かな]しみがよく分かった。♠**<命を失う>** こんな谷底[たにそこ]に転落[てんらく]したら、まちがいなく命を失うことになる。♠**<気を失う>** 婦人は、あまりのショックに気を失って倒[たお]れてしまった。♠**<緑が失われる>** 山林[さんりん]の樹木を乱伐[らんばつ]すると、自然の緑が失われるばかりでなく、水害や土砂[どしゃ]くずれをひき起こすことにもなる。♠**<自信を失う>** 勝[か]てると思った試合に惨敗[ざんばい]し、みんなすっかり自信を失ってしまった。♠**<友情を失う>** あの時彼を裏切[うらぎ]っていたら、大切な友情を失うことになったにちがいない。♠**<機会を失う>** せっかく彼女と話が出来[でき]ると思ったのに、じゃま者が入[はい]って機会を失った。♠**<バランスを失う>** 突然[とつぜん]の強風にバランスを失って、川に落[お]ちそうになった。 **うしろ【後ろ】** ○正面と反対の方。背中の方。物の陰。位置・順序が下位であること。[文例]**<後ろに反らせる>** 草取りをしていたおばあさんが立[た]ち上[あ]がって、体を後ろに反[そ]らせたり、腰[こし]をたたいたりしている。♠**<後ろに続く>** いたずらをした生徒たちが、みな小さくなって、先生の後ろに続いて職員室に入って行った。♠**<後ろをふり返る>** 必死で逃げながら、一瞬[いつしゅん]後ろをふり返ったら、山が崩[くず]れていくのが見えた。♠**<後ろに隠れる>** 犬にほえられると、妹は急いでわたしの後ろに隠[かく]れた。♠**<後ろから二両目>** 後ろから二両目の車両まで来ると、車内はがらんとしていた。♠**<家の後ろ>** 家の後ろには、青々とした野菜畑が広がっています。♠**<列の後ろ>** 帰省[きせい]列車の切符を求めるために、長い列の後ろについた。♠**<本棚の後ろ>** 大掃除をしていたら、本棚[ほんだな]の後ろから、いつかなくした手帳が出て来た。♠**<頭の後ろ>** 彼はいかにも退屈[たいくつ]そうに、両手を頭の後ろに組[く]んで、大きなあくびをした。♠**<敵に後ろを見せる>** こら、逃げる気か、敵に後ろを見せるとは、ひきょうなやつだ。♠**<手が後ろに回る>** そんな悪いことばっかりやってると、手が後ろに回るぞ。 **うしろがみ【後ろ髪】** ○後頭部[こうとうぶ]の髪。[文例]**<後ろ髪を引かれる>** 後ろ髪を引かれる思[おも]いで、ふるさとをあとにした。♠**<後ろ髪引かれる思い>** さすがに親しき友と別れる時は、後ろ髪引かれる思いであった。 **うしろだて【後ろ盾】(後ろ楯)** ○後方を防ぐもの。陰[かげ]で力[ちから]を貸[か]してくれる人。[文例]**<後ろ盾となる>** 有力者の伯父[おじ]が後ろ盾となって、わたしの事業は伸[の]びていった。♠**<後ろ盾とする>** ぼくらの考えに賛成してくれた先生を後ろ盾として、計画は進められました。♠**<後ろ盾がある>** 領主[りょうしゅ]である伯爵[はくしゃく]という後ろ盾があれば、アンドレイ、きみの行[ゆ]く手[て]はばら色といってよかろう。 **うしろめた・い【後ろめたい】** ○気がとがめる感じだ。やましいような気がする。後ろぐらい。[文例]**<後ろめたい気持ち>** 家族に隠[かく]しごとをしていると、後ろめたい気持ちがして落ちつかない。♠**<後ろめたいこと>** ぼくは何も後ろめたいことはしていません。♠**<後ろめたく感じる>** 親のわたしも同じようないたずらをやっているので、子供に注意するとなると、後ろめたく感じられます。 **うしろゆび【後ろ指】** ○後ろから指をさして、あれこれ言うこと。かげぐち。[文例]**<後ろ指をさされる>** ひとさまに後ろ指をさされるようなことはするな。 **うず【渦】** ○激[はげ]しくらせん状[じょう]に巻[ま]いた水の流れ。また、それに似た形状。[文例]**<渦を巻く>** 土手[どて]に登[のぼ]ってみると、水かさの増[ま]した川は、狂[くる]ったように渦を巻いて流[なが]れていた。♠**<渦ができる>** 台風が過[す]ぎ去[さ]った校庭には、いくつもの木の葉の渦ができていた。♠**<さざえのふたの渦>** さざえのふたの渦を見るたびに、自然の妙[みょう]に感心してしまう。♠**<悲しみの渦>** 楽しく平和な家庭に、突然[こつぜん]悲しみの渦が巻[ま]き起[お]こった。♠**<興奮の渦>** この国[くに]の国技はサッカーで、有名なチームの試合は、興奮[こうふん]の渦を巻き起こします。♠**<人の渦>** 事故で電車が不通になったため、ラッシュ時の駅の構内は、人の渦で埋[う]まってしまった。♠**<事件の渦に巻きこまれる>** 紛失[ふんしつ]したキャッシュ・カードが悪用され、思いがけず、事件の渦に巻きこまれてしまった。 <93> **うすあかり【薄明かり】** ○ほのかな光。かすかな明るさ。[文例]街灯[がいとう]のともる夜[よる]の道[みち]、薄明かりの中[なか]に二、三人の人影[ひとかげ]が見えた。♠夕暮[ゆうぐ]れ時、西の空を見ると、薄明かりの中に宵[よい]の明星[みょうじょう]が輝[かがや]いていた。 **うす・い【薄い】** ○厚みが少ない。濃度が低い。密度が低い。程度が小さい。人情・関係などが深くない。[文例]**<薄い板>** これじゃ厚すぎるから、もっと薄い板をお願いします。♠**<薄くむく>** りんごの皮をこんなに厚くむいてはもったいない、もっと薄くむいてごらん。♠**<薄く延ばす>** 母は、小麦粉[こむぎこ]をこねて薄く延[の]ばし、それを細く切ってうどんを作った。♠**<コーヒーが薄い>** コーヒーは濃[こ]いめがよろしいかしら、それとも薄いほうがお好きですか。♠**<色が薄い>** 同じ水色でも、彼の絵の海の色はもう少[すこ]し薄かったような気がします。♠**<薄い墨>** 薄い墨[すみ]はいけません、もっと濃くなるまですりなさい。♠**<味が薄い>** このみそ汁[しる]は、ちょっと味が薄い。♠**<塩分が薄い>** 瀬戸内海[せとないかい]は、周囲から河川が流れこんでいて、海水中の塩分が薄い。♠**<霧が薄い>** 早朝[そうちょう]は濃[こ]かった霧[きり]も、しだいに薄くなって来た。♠**<ひげが薄い>** 兄はひげが濃いほうで、毎日そるのがめんどうだから、薄いほうがいいと言っている。♠**<髪が薄い>** 父ももう年[とし]なので、髪[かみ]もだいぶ薄くなってきた。♠**<薄く化粧をする>** 姉[あね]も春から勤[つと]め始め、毎朝[まいあさ]薄[うす]く化粧[けしよう]をして行きます。♠**<人情が薄い>** 彼は、人情の薄い、冷[つめ]たい人間だ。♠**<なじみが薄い>** 古典の文章は、現代のわたしたちにはなじみが薄い。♠**<興味が薄い>** 教授の考古学の話を、少女たちは興味が薄いといった様子で聞いていました。♠**<印象が薄い>** 確かに彼は小学校の同級生ですが、印象が薄く名前もよく覚えていません。♠**<効果が薄い>** シェイプアップのためのジョギングも、規則的にやらなければ効果は薄いよ。♠**<影が薄い>** 優等生でスポーツマンの転校生が来てからというもの、すっかりぼくの影[かげ]は薄くなってしまった。 **うずうず** ○あることがしたくて落ち着かないさま。[文例]**<うずうずする>** 誘[さそ]ってくれてありがとう。どこかへ行きたくてうずうずしていたのよ。♠**<うずうずする>** 遊びたくてうずうずしているところに、友達が誘いに来た。 **うすぎ【薄着】** ○衣服を少ししか重ねて着ないこと。[文例]**<薄着をする>** ずいぶん厚着だね、ぼくはできるだけ薄着をするようにしているよ。♠**<伊達[だて]の薄着>** **<薄着にする>** 薄着にするのもいいけれど、伊達の薄着じゃ風邪[かぜ]をひくよ。 **うすぎたな・い【薄汚い】** ○どことなく汚れた感じがする。相当に汚い。[文例]**<薄汚い野良猫>** 公園のあたりに、ときどき薄汚い野良猫[のらねこ]がふらついている。♠**<薄汚い根性>** 人をだまそうなんていう薄汚い根性[こんじょう]の持[も]ち主[ぬし]に用はない。 **うすきみ【薄気味】** ○(「うすきみわるい」の形で)なんとなく気味が悪い。[文例]**<薄気味が悪い>** まるで幽霊[ゆうれい]でも出[で]そうな、薄気味の悪い屋敷[やしき]だねえ。♠**<薄気味悪い>** 夜の墓場[はかば]の薄気味悪いことったらありません。 **うず・く(疼く)** ○ずきずきと痛む。[文例]**<傷口がうずく>** 夜になると、傷口がうずき、なかなか寝[ね]つけなかった。♠**<心がうずく>** 昔の過[あやま]ちを思い出すたび、今も心がうずく。♠**<胸がうずく>** 少女は、華[はな]やかな都会へのあこがれに胸をうずかせた。 **うずくま・る(蹲る・踞る)** ○しゃがんで、体を丸くする。[文例]**<足下[あしもと]にうずくまる>** 娘[むすめ]はくずおれるようにわたしの足下にうずくまり、両手で顔を覆[おお]って泣き始めた。♠**<雪の中にうずくまる>** 男は、帰路[きろ]を求めて歩き続けるうち、だんだんと力[ちから]が抜[ぬ]けて雪の中にうずくまってしまった。♠**<草むらにうずくまる>** 生まれたばかりの三匹[びき]の野うさぎは、頭を真ん中に身を寄せ合[あ]い、草むらにうずくまっていた。♠**<猫がうずくまる>** 日の当たる石のへいの上に大きな猫[ねこ]がうずくまっている。 **うずたか・い(堆い)** ○高く積み重なっている。[文例]**<うずたかく積む>** 本が狭[せま]い部屋の中にうずたかく積み上げられている。♠**<うずたかく積もる>** 運ばれてきだ石や砂がうずたかく積もり、川に中州[なかす]ができている。 **うずま・く【渦巻く】** ○流れが激しく巻き込んで、うずになる。物事が激しく流動する。[文例]**<渦巻く波>** この地図には、渦巻く波をけたてて航海している帆船[はんせん]の絵がかき入れられている。♠**<渦巻く濁流>** 堤防決壊[ていぼうけつかい]と同時に、渦巻く濁流[だくりゅう]がどっと流[なが]れ込[こ]み、一瞬[いつしゅん]にして市内はどろ海[うみ]と化した。♠**<炎[ほのお]が渦巻く>** たどり着いた丘[おか]の上からは、町中が火に包まれ、炎が渦巻く恐[おそ]ろしい光景が眺[なが]められた。♠**<不満が渦巻く>** 説明会の会場では、遺族に対する会社側の冷たい態度に対し、不満が渦巻いていた。 **うずま・る(埋まる)** ○おおわれて下に隠れてしまう。場所がいっぱいになる。[文例]**<雪にうずまる>** この辺りは豪雪[ごうせつ]地帯で、冬になると家も木も真っ白な雪にうずまってしまう。♠**<人でうずまる>** 広場は人でうずまり、熱気[ねっき]が満[み]ちあふれていた。 **うす・める【薄める】** ○濃度を低くする。[文例]**<水で薄める>** このジュースは、水で二~三倍に薄めてお飲みください。♠**<味を薄める>** 汁[しる]が辛[から]かったら、お湯を入れて薄めなさい。 **うず・める(埋める)** ○土中にうめる。おおってその下に隠す。すきまを満たす。[文例]**<家宝をうずめる>** あるじは、あとで掘[ほ]り出すつもりで、庭の一隅[いちぐう]に、家宝[かほう]の仏像[ぶつぞう]とか千両箱[せんばこ]をうずめておいた。♠**<まくらに顔をうずめる>** 弟のすすり泣[な]く声が、まくらに顔をうずめたわたしの耳に聞こえてきた。♠**<山・村をうずめる>** 一晩[ひとばん]のうちに、雪は、山も村も白一色にうずめてしまった。♠**<山をうずめる>** 秋になると、もみじが家の前の山を真っ赤にうずめ、それはきれいなながめになります。♠**<球場をうずめた人>** 球場をうずめた人々の声援[せいえん]にこたえて、バッターは、見事なホームランを打ちました。♠**<空白をうずめる>** 病気でレッスンを休んだ間の空白をうずめるため、人一倍[ひといちばい]、練習にはげみました。♠**<骨[ほね]をうずめる>** 骨をうずめる覚悟[かくご]でアメリカへわたったおじさんは、実業家として大成功を収[おさ]めました。 <94> **うずも・れる(埋もれる)** ○うずまって隠れる。人々に知られないでいる。うもれる。[文例]**<副葬品にうずもれる>** ミイラは、深い地底の墓[はか]で数々の副葬品[ふくそうひん]にうずもれて眠[ねむ]っていた。♠**<砂にうずもれる>** 砂丘[さきゆう]の近くにある町は、次第[しだい]に砂にうずもれつつあった。♠**<うずもれた才能>** 彼女のうずもれた才能を掘[ほ]り起[お]こし、女優に育てあげたのがA氏である。 **うすら・ぐ【薄らぐ】** ○うすくなる。うすれる。弱まる。[文例]**<悲しみが薄らぐ>** 時がたつにつれて、悲しみも薄らぎ、再び笑顔がもどってきた。♠**<興味が薄らぐ>** コンピューターゲームに夢中だった子も、だいぶ興味が薄らいできた様子だ。♠**<暑さ・寒さが薄らぐ>** 「暑さ寒さも彼岸[ひがん]まで」と言うが、寒さも春の彼岸ごろにはいちだんと薄らぐものだ。 **うす・れる【薄れる】** ○うすくなる。うすらぐ。弱まる。[文例]**<もやが薄れる>** 辺り一面をおおっていたもやも、だんだん薄れ、美しい景色がくっきり見えてきた。♠**<痛みが薄れる>** 薬が効[き]いてきたようで、歯の痛[いた]みがだいぶ薄れてきた。♠**<悲しみが薄れる>** 両親を失った少女の悲しみは、周囲の人々のあたたかい愛情で、しだいに薄れていった。♠**<記憶が薄れる>** あの恐[おそ]ろしい記憶は、今も薄れることなく、心に焼きついている。♠**<伝統が薄れる>** 日本古来の伝統が薄れて、最近では、欧米[おうべい]の新しい様式が好[この]まれるようになった。♠**<意味が薄れる>** 動詞のうち、その言葉の意味が薄れて、上の言葉を補助する意味に用いられるもの(「ある・いる・おく」など)を、形式動詞(=補助動詞)という。♠**<興味が薄れる>** 中学生になったら、テレビゲームに対する興味も薄れてきたみたいだ。 **う・せる(失せる)** ○なくなる。失われる。消える。[文例]**<血の気がうせる>** 父が倒[たお]れたという知[し]らせに、家族の顔から血の気がうせた。♠**<やる気がうせる>** 大差[たいさ]で負けているチームの選手たちは、やる気がうせてしまった。♠**<気力がうせる>** 雲をつくような大男が姿を見せると、ぼくは戦[たたか]う気力がうせた。♠**<財布がうせる>** ポケットに入れておいた財布[さいふ]はどこにうせたか。♠**<出てうせろ>** くずうずうしいやつめ、とっとと出[で]てうせろ。♠**<消えうせる>** ここにいたはずの女は、いつのまにか消えうせていた。 **うそ(嘘)** ○いつわり。あやまり。正しくないこと。[文例]**<うそをつく>** 「宿題すんだの?」と聞かれ、思わず、「すんだ。」とうそをついた。♠**<うそにだまされる>** 「本物ですよ。」といううそにだまされて、にせ物を買わされてしまった。♠**<真っ赤なうそ>** 彼のお父さんが釣りの名人だなんて、真っ赤なうそだよ。♠**<うそがある>** この話に、うそはあるまいね。♠**<うそになる>** それが欲しくないと言っては、うそになる。♠**<うそのよう>** この穏[おだ]やかな空と美しい風景を見ていると、戦争をしているのがまるでうそのようだ。♠こんな名曲が世に認[みと]められないなんて、うそだ。♠**<うそかまことか>** うそかまことか、彼の先祖は、戦国時代の大武将なのだそうだ。♠**<うそから出たまこと>** 夏休みハワイへ行くと冗談[じょうだん]を言ったら、うそから出たまこと、本当に行くことになった。♠**<うそも方便>** **<うそを言う>** 「うそも方便[ほうべん]」と言って、場合によっては事実をかくして、うそを言うほうがよいこともある。♠**<うそ八百>** あいつは、またうそ八百を並べたてて得意になっている。 **うぞうむぞう【有象無象】** ○有形無形の一切のもの。多くのつまらないもの・人。[文例]**<有象無象のやから>** あのような有象無象のやからとつき合ってもしようがない。♠**<世間の有象無象>** わたしの芸術が世間の有象無象に分かってたまるか! **うそぶ・く(嘯く)** ○大きなことを言う。とぼけて言う。[文例]知っているくせに、「ぼく、何にも知らないよ。」などとうそぶいている。♠「この世はわしの思うままさ。」と、王はうそぶいた。 **うた【歌】(唄)** ○節[ふし]をつけてうたう言葉。和歌。詩歌。[文例]**<歌を歌う>** さあ、みんなで歌を歌おう。♠**<歌がうまい>** 彼はピアノを上手に弾[ひ]くが、歌もうまい。♠**<鳥の歌>** 森の中で草の上にねそべって、鳥の歌を聞いているうち、うとうと眠[ねむ]りこんでしまいました。♠**<文語調の歌>** 文語調[ぶんごちょう]の歌には、「五七五七………」「六四六四………」などの一定のリズムがあります。♠**<歌をよむ>** 詩人・歌人として有名な彼は、自分の生活に根[ね]ざした、素朴[そぼく]な歌をよんだ。♠**<歌によむ>** 白河[しらかわ]の関[せき]は、能因[のういん]法師が歌によんで有名な関所です。♠**<百人一首の歌>** 小倉[おぐら]百人一首の歌は、今も広[ひろ]く親[した]しまれています。♠**<万葉集の歌>** 『万葉集』の歌には、生活に根ざした素朴で雄大[ゆうだい]な作品が多い。 **うたいもんく【うたい文句】(謳い文句)** ○宣伝のために強調して言う言葉。キャッチフレーズ。[文例]**<うたい文句にする>** ボタン一つの簡単操作をうたい文句にした新製品が続々[ぞくぞく]と登場する。♠**<うたい文句で売り出す>** ただの野草が、健康食品といううたい文句で売り出されたりする。 **うた・う【歌う・謡う】(唄う・謳う)** ○言葉に節[ふし]をつけて声に出[だ]す。詩歌に詠[よ]む。明確に述べ立てる。[文例]**<歌を歌う>** 赤ちゃんは、お母さんの歌う子守歌[こもりうた]を聞きながら、すやすやと眠[ねむ]りました。♠**<鳥が歌う>** 北国[きたぐに]にも、鳥が歌い、花咲き乱れる春が訪[おとず]れました。♠**<春景色を歌う>** 「春のうららの……」で始まる「花」は、隅田川[すみだがわ]の、のどかな春景色を歌った歌です。♠**<和歌に歌う>** 「恋」の思いは、昔から多く和歌に歌われてきました。♠**<感動を歌う>** 『万葉集」には、当時のあらゆる階層[かいそう]の人々の素朴[そぼく]な感動が、生き生きと力[ちから]強く歌われている。♠**<謡を謡う>** わが家の祖父[そふ]が謡[うたい]を謡いはじめると、みんな聞[き]こえない所[ところ]へ避難[ひなん]します。♠**<憲法にうたう>** 憲法にうたってあるように、わたしたちは、人間として幸福になる権利がある。 **うたがい【疑い】** ○あやしいと思う気持ち。疑問に思う気持ち。[文例]**<疑いが浮かぶ>** あの人の言ったことは本当かしらという疑いが、ふと心に浮かんだ。♠**<疑いがわく>** いつまでたっても彼は来[こ]ないので、だまされたのでは……という疑いがわいてきた。♠**<疑いもなく>** 手品師[てじなし]の手にしているハンカチは、疑いもなくただの一枚のハンカチだった。♠**<疑いをさしはさむ>** この報告は完ぺきで、疑いをさしはさむ余地がありません。♠**<疑いを抱く>** 何の疑問ももたずに思いこんでいたさまざまなことに、このごろ疑いを抱き始めている。 <95> **うたが・う【疑う】** ○あやしいと思う。不審に思う。疑問に思う。[文例]**<人を疑う>** まさか、あのうわさのことで、ぼくを疑っているのではないだろうね。♠**<〜と疑われる>** 留守の家のまわりをうろうろしていた男が、どろぼうではないかと疑われ、交番へ連行された。♠**<心を疑う>** 人の心を疑うのは、最も恥[は]ずべき悪徳だ。♠**<疑うような顔>** そんな疑うような顔をして、じろじろ見るのはやめてくれよ。♠**<常識を疑う>** 人に常識を疑われるような行動は慎[つつし]みなさい。♠**<耳を疑う>** 「百点だよ。」という先生の言葉に、ぼくは自分の耳を疑った。♠**<目を疑う>** お化粧[けしよう]をして、きれいに着飾[きかざ]った姉[あね]を見て、一瞬[いつしゅん]、目を疑った。♠**<頭の程度を疑う>** くだらないことばかり言っていると、頭の程度を疑われるよ。♠**<センスを疑う>** 着る物の配色を考えないと、人にセンスを疑われることもある。♠**<七度[ななたび]たずねて人を疑え>** よく探[さが]してごらん。七度たずねて人を疑えといって、人を疑うのは最後の最後だ。 **うたがわし・い【疑わしい】** ○確信がもてない。あやしい。不審だ。[文例]**<話が疑わしい>** この話が実際にあったことかどうかは、疑わしい。♠**<疑わしい目付き>** 少年が一万円札を出すと、店員は疑わしい目付きでその子を見つめた。♠**<疑わしそうに見る>** 係の人は疑わしそうにぼくを見た。 **うたぐ・る(疑る)** ○うたがう。[文例]**<人をうたぐる>** きみは、ぼくが本当にそれができるか、うたぐっているんだな。♠**<うたぐるような目>** 「だれだ、これを壊[こわ]したのは?」と、兄はぼくにうたぐるような目を向けた。♠**<うたぐってかかる>** みんなの言っていることは本当に正しいのだろうかと、うたぐってかかる姿勢も必要だ。♠**<耳をうたぐる>** 兄が、交通事故で入院したと聞[き]いて、ぼくは耳をうたぐった。 **うたたね【うたた寝】(転た寝)** ○床[とこ]に入らずに、うつらうつらと眠ること。かり寝。[文例]**<うたた寝をする>** 横[よこ]になって本を読んでいるうちに、いつの間にかうたた寝をしてしまった。♠**<うたた寝する>** こたつで編[あ]み物[もの]をしていたおばあちゃんがうたた寝している。♠うたたねの書物[しょもつ]は風[かぜ]が繰[く]っている(川柳[せんりゅう]) **うだ・る(茹だる)** ○ゆでられる。暑さでぐったりとなる。[文例]**<うだるような暑さ>** 毎日、うだるような暑さが続く。♠**<卵がうだる>** 卵は、うだったら水に入れておくと、殻[から]がむけやすい。 **うち【内】(中・家)** ○内部。中側。家。一定の範囲・限度・境界の中。心の中。自分がいる側・領域。自分の側に属するもの・人。[文例]**<内に秘める>** 彼女はおとなしいが、強さと情熱を内に秘[ひ]めた人だ。♠**<内にこもる>** ぼくは外向的な性格だが、姉は、内にこもる性格のようだ。♠**<胸の内>** 勝ってみせるという闘志[とうし]が、選手たちの胸の内に燃えあがっていた。♠**<心の内>** 自分の心の内を、冷静な目で見つめてみよう。♠**<無意識のうち>** 真夜中の地震[じしん]で、わたしは無意識のうちに、枕[まくら]をかかえてとび出していた。♠**<〜しないうちに>** 暑くならないうちに作業にかかろう。♠**<一瞬のうちに>** 爆弾[ばくだん]の投下によって、全市は一瞬のうちに破壊[はかい]された。♠**<近いうちに>** 近いうちに新しく出来た図書館に行ってみるつもりです。♠**<知らず知らずのうちに>** わたしたちは読書をしながら、知らず知らずのうちに、人間や社会について経験を広げ、深めているのです。♠**<そのうち>** なに、あいつはそのうち来[く]るよ。♠**<三人のうち>** 姉妹三人のうち、末っ子[すえっこ]のわたしがいちばん活発です。♠**<現存するもののうち>** 『万葉集』は、現存するもののうちではわが国最古の歌集である。♠**<うちの社長>** うちの社長は、実に立派[りっぱ]な人だ。♠**<うちの父>** うちの父は会社員です。♠**<うちじゅう>** うちじゅうそろって旅行するなんて、何年ぶりだろう。♠**<うちへ帰る>** もう、うちへ帰ろう。♠**<一軒のうち>** 森の中に、一軒のうちがあった。♠**<うちを建てる>** 親せきで、新しくうちを建てたというので、父がお祝いに行った。 **うちあげ【打ち上げ】** ○高い所へ打ち上げること。興行や仕事を終えること。[文例]**<ロケットの打ち上げ>** ロケットが打ち上げ直後に爆発[ばくはつ]した。♠**<興行・仕事の打ち上げ>** いよいよ今日は、二週間にわたる芝居[しばい]の興行の打ち上げの日である。♠**<打ち上げ花火>** 打ち上げ花火が空いっぱいに傘[かさ]を開いた。 **うちあ・ける【打ち明ける】** ○秘密や心のうちを隠さず話す。[文例]**<人に打ち明ける>** 何もかもあなたに打ち明けることにしました。♠**<秘密を打ち明ける>** ぼくの秘密をきみだけに打ち明けよう。♠**<身の上を打ち明ける>** 知り合って一年もたったころ、彼女はようやく自分の身の上を打ち明けた。 **うちあ・げる【打ち上げる】** ○打って高く上げる。高く放つ。波が陸へ運び上げる。波が岸に上がる。興行や仕事を終えること。[文例]**<ロケットを打ち上げる>** 一九七〇年に日本最初の人工衛星おおすみが打ち上げられた。♠**<フライを打ち上げる>** バッターが大きなフライを打ち上げ、試合終了となった。♠**<岸に打ち上げる>** あらしの過ぎ去った海岸に、難破船[なんぱせん]の破片が打ち上げられた。♠**<波が打ち上げる>** 波濤[はとう]は勝利の歌を歌うように、高々と打ち上げる。♠**<公演を打ち上げる>** 一か月の公演は、連日大入[おおはい]り満員[まんいん]のうちに打ち上げることができた。 **うちあわ・せる【打ち合わせる】** ○物と物をぶつけあう。前もって話し合う。[文例]**<石を打ち合わせる>** 大昔の人は、木と木をこすり合わせたり、石と石を打ち合わせたりして火をおこした。♠**<日程を打ち合わせる>** 行事を行[おこな]う前に、係の人と日程や内容について打ち合わせておく必要がある。 **うちか・つ【打ち勝つ】(打ち克つ)** ○打って勝つ。闘[たたか]って勝つ。けんかや試合で相手を負かす。自分に負けずに困難[こんなん]を乗り越える。[文例]**<試合に打ち勝つ>** あのチームに打ち勝つためには、相当な練習が必要だ。♠**<病気に打ち勝つ>** 病は気からという。病気に打ち勝つには、まず強い精神力を持つことだ。♠**<誘惑に打ち勝つ>** 彼は、甘[あま]い言葉の誘惑[ゆうわく]に打ち勝つことができなかった。 <96> つ。苦しみや障害を乗り越える。克服する。[文例]〈相手に打ち勝つ〉決勝戦は、乱打戦になって相手チームに打ち勝った。♠〈闘いに打ち勝つ〉隊員たちは、みごとなチームワークで厳しい自然との闘いに打ち勝った。♠〈誘惑[ゆうわく]に打ち勝つ〉遊びたいという誘惑[ゆうわく]に打ち勝ち、コツコツと勉強を続けるのには忍耐[にんたい]がいる。 **うちき**【内気】○気が弱くひっこみがちな性質。内向的なこと。[文例]〈内気な子〉母も、わたしのように、思っていることの半分も言えない内気な子だったそうです。♠〈内気な性格〉同じ姉妹[しまい]でも、妹のほうは明るく活発だが、姉は、おとなしくて内気な性格だ。♠〈内気な面〉やんちゃな弟だが、意外に内気な面がある。 **うちき・る**【打ち切る】○打って切る。途中でやめる。中止する。[文例]〈話を打ち切る〉そう言って、父は話を打ち切り、ゆっくりタバコをふかしはじめた。♠〈作業を打ち切る〉天候が悪化したので、遭難者[そうなんしゃ]の捜索[そうさく]はひとまず打ち切られた。♠〈交渉を打ち切る〉これ以上の話し合いは無理として、政府は交渉を打ち切った。 **うちくだ・く**【打ち砕く】○強く打って砕く。こなごなにする。[文例]〈ハンマーで打ち砕く〉石は、ハンマーで打ち砕かれて粉々になった。♠〈野望を打ち砕く〉征服者の野望を打ち砕いたのは、敵地の厳しい寒さであったかもしれない。 **うちけ・す**【打ち消す】○消す。否定する。[文例]〈声を打ち消す〉激しい雷[かみなり]の音がラジオの声を打ち消した。♠〈不安を打ち消す〉患者[かんじゃ]の不安を打ち消すように、その医師は明るい声で、「大丈夫[だいじょうぶ]ですよ。」と言った。♠〈うわさを打ち消す〉その選手は、記者の質問に対し、引退のうわさを強く打ち消した。♠〈意味を打ち消す〉「不・無・非・未」の漢字は、「不正・無口・非常識・未成年」のように、下の漢字や熟語の意味を打ち消す。♠〈打ち消す言葉〉「決して」は、「~ない」がくるように、必ず下を打ち消す言葉で受けます。 **うちこ・む**【打ち込む】○打って食い込ませる。打って入れる。熱中する。[文例]〈くいを打ち込む〉畑に囲いを作るため、ぐるりと木のくいを地面に打ち込んだ。♠〈ボールを打ち込む〉勢いよくボールを打ち込むと、相手方の選手はそれを巧みに受けた。♠〈竹刀[しない]を打ち込む〉剣道[けんどう]のけいこで、何度も竹刀[しない]を打ち込んでいると、汗が噴き出してくる。♠〈波が打ち込む〉波がしだいに高くなり、船に打ち込んできた。♠〈仕事に打ち込む〉彼は、自分の楽しみも犠牲にして、毎日ボランティアの仕事に打ち込んだ。♠〈研究に打ち込む〉戦争が始まると、彼は生まれ故郷の静かな村へ帰り、そこで研究に打ち込んだ。♠〈心[しん]を打ち込む〉当時のわたしは、信仰にひどく心を打ち込んでいた。 **うちだ・す**【打ち出す】○打って出す。はっきりと示す。打ち始める。[文例]〈意見を打ち出す〉この事件をきっかけに、ひっこみ思案だったぼくも、自分の意見や考えを強く打ち出すようになった。♠〈方針を打ち出す〉選挙が近づいたので、新しくわが党の方針を打ち出すことにした。 **うちた・てる**【打ち立てる・打ち建てる】○しっかりと立てる。確立する。[文例]〈旗を打ち立てる〉初登頂をとげた登山隊は、頂上にしっかりと国旗を打ち立てた。♠〈俳諧[はいかい]を打ち立てる〉松尾芭蕉[まつおばしょう]は、蕉風俳諧[しょうふうはいかい]を打ち立てた。♠〈金字塔[きんじとう]を打ち建てる〉その選手は、年間本塁打数六十本という不滅の金字塔[きんじとう]を打ち建てた。 **うちつづ・く**【打ち続く】○ずっと続く。[文例]〈打ち続く戦乱〉打ち続く戦乱と飢饉[ききん]に、人々は疲れ切っていた。♠〈打ち続く戦火〉打ち続く戦火の中で、人々は空腹と戦いながら不安な毎日を送った。 **うちと・ける**【打ち解ける】○警戒心を解いて親しくなる。気楽になる。くつろぐ。[文例]〈人と打ち解ける〉彼とは初対面だったが、すぐに打ち解けて仲良くなった。♠〈山の子と打ち解ける〉東京から転校してきてしばらくは方言になじめず、山の子たちとも、なかなか打ち解けられなかった。♠〈気分が打ち解ける〉お酒を一ぱい飲んだら、緊張[きんちょう]がほぐれ、気分が打ち解けてきた。♠〈心が打ち解ける〉人見知りをして泣いていた子も、一時間もすると、ぼくのひざの上にのってくるほど心が打ち解けた。♠〈打ち解けたおしゃべり〉同窓会では、打ち解けたおしゃべりに花が咲き、あっという間に時が過ぎました。♠〈打ち解けた雰囲気[ふんいき]〉入学して一か月、クラスの中もすっかり打ち解けた雰囲気[ふんいき]です。 **うちどめ**【打ち止め・打ち留め】○打ち終えること。興行を終わること。終わり。[文例]〈興行の打ち止め〉十日間の芝居興行も今日で打ち止めだ。♠〈パチンコの打ち止め〉パチンコでは、一つの台で一定量の玉を出し尽くすと、打ち止めになるそうです。 **うちと・る**【打ち取る・討ち取る・撃ち取る】○うって殺す。敵を倒す。相手を負かす。[文例]〈敵を討ち取る〉敵の大将を見事討ち取ったぞ。♠〈打者を打ち取る〉相手ピッチャーの変化球に、味方の打者はバッタバッタと打ち取られていった。 **うちのめ・す**【打ちのめす】○起き上がれないほど打つ。再起できないほど大きな打撃を与える。[文例]〈人を打ちのめす〉相手を暴力で打ちのめすなんてことはかしこい人間のやることではない。♠〈さんざんに打ちのめす〉今度の試合ではさんざんに打ちのめされた。♠〈災害に打ちのめされる〉度重なる災害に打ちのめされた農民たちは容易に立ち直れそうもなかった。♠〈悲しみに打ちのめされる〉若き日、人に裏切られた悲しみに打ちのめされて、苦しんだこともあった。 **うちはら・う**【打ち払う・撃ち払う】○たたいて払う。追い払う。払いのける。[文例]〈外国船を打ち払う〉幕府から、外国船を打ち払えという命令が下った。♠〈不安を打ち払う〉胸にわきおこる不安を打ち払うように、わたしは音をたてて階段を上がっていった。 **うちひし・ぐ**【打ちひしぐ】(打ち拉ぐ)○押しつぶす。打ち負かす。打ちのめす。[文例]〈苦しみに打ちひしがれる〉苦しみに打ちひしがれて、やさしい心も麻痺[まひ]していた。♠〈悲しみに打ちひしがれる〉恋人の死の知らせを聞いて、娘は悲しみに打ちひしがれた。♠〈打ちひしがれた人々〉焼け跡に、家も家族も失って打ちひしがれた人々がうずくまっていた。 <97> は、家も家族も失って打ちひしがれた人々がうずくまっていた。 **うちぶところ**【内懐】○着物の、より肌[はだ]に近いふところ。内部の様子・事情。[文例]〈着物の内懐〉佐吉[さきち]は、内懐からさも大事そうに小さな包みを取り出した。♠〈敵の内懐〉〈内懐を探る〉敵の城にスパイを放って、その内懐を探ることになった。 **うちまく**【内幕】○内側の様子・事情。内情。[文例]〈政界の内幕〉〈内幕をあばく〉「政界の内幕をあばく!」というキャッチフレーズで、週刊誌が特集を組んでいた。♠〈内幕に通じる〉組織から足を洗った男は、マフィアの内幕に通じていたため、身辺に危険が迫っていた。 **うちやぶ・る**【打ち破る・撃ち破る】○打ち砕く。突き抜ける。打ち負かす。[文例]〈敵を打ち破る〉部員が額[ひたい]を集めて、相手を打ち破る作戦を練った。♠〈古い殻[から]を打ち破る〉理想を掲げて古い殻[から]を打ち破ることによって、わたしたちは進歩してきました。♠〈静寂[せいじゃく]を打ち破る〉夜の静寂[せいじゃく]を打ち破るように、けたたましいサイレンの音が響いた。 **うちゅう**【宇宙】○すべての天体を含む空間。人間が意識できる全空間。[文例]〈広い宇宙〉この広い宇宙に、わたしたちは生きているんだ。♠〈広大な宇宙〉広大な宇宙から見れば、地球も人間も、ちっぽけな存在に過ぎない。♠〈宇宙の神秘〉望遠鏡の視野に浮かび出た土星の輪は、宇宙の神秘を感じさせる。♠〈宇宙の果て〉宇宙の果ては、どうなっているのだろう。♠〈銀河系宇宙〉わたしたちの地球は、銀河系宇宙の中にある。 **うちょうてん**【有頂天】○得意の絶頂にあるさま。喜びのあまり他をかえりみないさま。[文例]〈有頂天になる〉念願の大学に合格した兄は、有頂天になって、毎日遊び回っている。♠有名な画家にその作品を認められたわたしは有頂天であった。♠遠足の小学生徒有頂天に大手ふりふり往来とほる(木下利玄) **うちよ・せる**【打ち寄せる】○寄せてくる。おし寄せる。[文例]〈波が打ち寄せる〉八月も半ばになると、太平洋岸には高い土用波が打ち寄せるようになる。♠〈流木を打ち寄せる〉岸には、波に打ち寄せられた流木が横たわっていた。 **うちわ**【内輪】○親しい内部の者だけであること。うちうち。内密。数量などが少なめ、ひかえめなこと。[文例]〈内輪の集まり〉ごく内輪の集まりなので、気を遣うこともなく、とても楽しい。♠〈内輪に見る〉ぐんと内輪に見ても、式の費用は百万を超えるだろう。♠〈内輪もめ〉会場にいたメキシコ人たちが内輪もめをおこし、スペイン語で口論になった。 **うちわ**(団扇)○竹の骨に紙を張った、あおいで風を送る道具。[文例]〈うちわであおぐ〉ああ、暑い暑い。あおぐからそのうちわ貸してよ。♠〈左うちわ〉鈴木さん、店の商売も軌道に乗って今じゃ左うちわだね。 **うちわけ**【内訳】○全体の内容を区分・分類したもの。[文例]〈収入・支出の内訳〉報告書には、収入・支出の総額のみならず、それぞれの内訳を明細に記す[しる]こと。 **う・つ**【打つ・撃つ・討つ】○強くたたく。強く当てる。たたくような動作で行う。衝撃を与える。投げ当てる。突き刺す。射撃する。攻撃する。征伐する。しるしをつける。手段・方法をほどこす。興行などを行う。勝負事をする。感動させる。[文例]〈頭を打つ〉よそ見しながら歩いていたら、門の柱に頭を打ってしまった。♠〈手を打つ〉祝宴[しゅくえん]に列席していた村人たちは、陽気に歌を歌い、手を打って楽しんだ。♠〈球を打つ〉バッターは、交代したピッチャーの代わりばなの第一球を打った。♠〈鐘[かね]を打つ〉近くのお寺は、朝の六時、夕方の五時に鐘[かね]を打ちます。♠〈太鼓[たいこ]を打つ〉このところ町内の若者たちが毎日のように、太鼓[たいこ]を打って盆踊[ぼんおど]りの練習をしている。♠〈雨が打つ〉やわらかな春の雨が窓を打つ音が聞こえます。♠〈注射を打つ〉ビタミン剤の注射を打っておきますが、くれぐれも無理をしないでください。♠〈そばを打つ〉見た目は楽そうですが、そばを打つのは根気[こんき]のいる重労働です。♠〈碁を打つ〉あんたのように、大晦日[おおみそか]に碁を打っていられるような、優雅[ゆうが]な身分になりたいものだ。♠〈時を打つ〉さっき時計が十一時を打ちましたので、これで解散することにしましょう。♠〈水を打つ〉毎朝食事前に玄関先を掃除し、水を打つのがおじいさんの日課だ。♠〈畑を打つ〉雪が消えれば、男たちは畑を打ち、大根の種をまくことでしょう。♠〈鉄砲[てっぽう]を撃つ〉父は狩猟[しゅりょう]が趣味[しゅみ]で、休みに出かけていっては、鉄砲[てっぽう]を撃ちます。♠〈敵を討つ〉味方の軍勢は、敵をけちらし、最後の一人まで討ったという報告が入った。♠〈不意を討つ〉ぼくはダウンしたと見せかけて、相手が油断して、力をぬいたとたんに不意を討つ戦法をとった。♠〈番号を打つ〉入場券には、収容人員を超えて発行することのないように、番号を打っておこう。♠〈電報を打つ〉今日[こんにち]のように電話の普及していない昔は、急ぐときには、いつも電報を打ったものだ。♠〈くぎを打つ〉それぞれがわがままを言い出さないように、きみの命令は絶対だとくぎを打っておいたよ。♠〈点を打つ〉点を打つ場所によって、文の意味がちがってくることがあります。♠〈手を打つ〉二人とも言い分はあるだろうが、この辺で手を打って、話をまとめたらどうだ。♠〈打つ手〉ここで台風にやられたんじゃ、作物は台無しになってしまうし、なにか打つ手はないものかな。♠〈胸を打つ〉別れにあたって先生の言った言葉が生徒たちの胸を打ちました。♠〈寝返[ねがえ]りを打つ〉わたしは体のあちこちが痛くて一晩じゅう、寝返[ねがえ]りばかり打っていた。♠〈雪崩[なだれ]を打つ〉かなり大きな地震[じしん]だったので、映画館の中にいた観客は雪崩[なだれ]を打って出口へ殺到[さっとう]した。♠〈逃げを打つ〉いやな役目は、みんな、都合がつかないから……などと言って逃げを打つ。 **うっかり**○ぼんやりしたさま。気がつかないでいるさま。[文例]〈うっかり~する〉口止めされていたのに、うっかり口をすべらせてしまった。♠〈うっかりする〉うっかりして、電車の中に荷物を忘れてしまった。 **うつくしい**【美しい】○目や耳や心に快い感じであるさま。きれいだ。[文例]〈花が美しい〉朝露[あさつゆ]にぬれて咲く一輪の野の花は、どんな宝石よりも美しかった。♠〈花のように美しい〉あの人は花のように美しい。♠〈星が美しい〉夜空には、宝石をちりばめたように、星が美しくまたたいています。 <98> い〉あの人は花のように美しい。♠〈星が美しい〉夜空には、宝石をちりばめたように、星が美しくまたたいています。♠〈美しい季節〉五月は、青葉若葉[あおばわかば]輝く[かがや]く美しい季節です。♠〈美しく晴れ渡る〉美しく晴れ渡った大空を、ひばりが上へ上へと舞い上がっていく。♠〈美しい言葉〉方言には、昔[むかし]から伝え引きつがれた、多くの美しい言葉が残っている。♠〈美しい音楽〉どこからか、美しい音楽が聞こえてきます。♠〈美しく語る〉このエッセイには、著者の幼い日々のことが美しく語られている。♠〈心が美しい〉昔、その村に、貧しいけれど心の美しい、一人の娘[むすめ]がおった。♠〈美しい友情〉彼を絶望のふちから救ったのは、友人たちの美しい友情だった。 **うっくつ**(鬱屈)○ゆううつでふさぎ込むこと。[文例]〈鬱屈する〉何をやってもうまくいかず、気持ちが鬱屈して家に閉じ込もりがちになった。♠〈鬱屈した日々〉仕事をする気力もなく、鬱屈したものうい日々を送った。 **うつし**【写し】○元のものをそっくりまねたもの。文書のひかえ。コピー。[文例]〈書類の写し〉〈写しをとる〉川本さん、この書類の写しをとってくれませんか。♠〈生き写し〉少女は、死んだ母に生き写しで、父親の愛情を一身に受けて成長した。 **うつ・す**【移す】(遷す)○物の位置を変える。経過させる。伝染させる。向ける。移行させる。[文例]〈物を移す〉鉢[はち]の花を、日当たりの良い窓辺に移したら、生き生きとしてきた。♠〈場所を移す〉都会ではちょうの観察ができなくなってしまったので、田舎[いなか]へ場所を移した。♠〈都をうつす〉明治時代に入ると、都は京都から東京へうつされた。♠〈時を移さず〉半年がかりの作品を完成させた彼は、時を移さずまた次の仕事にとりかかった。♠〈かぜをうつす〉風邪を人にうつさないように、ちゃんとマスクをしなさい。♠〈人目を移す〉通された部屋の窓に目を移すと、そこからは美しい湖が見えた。♠〈心を移す〉若者は、故郷に残した娘から都会の女性へと、次第に心を移して行った。♠〈実行に移す〉ぼくたちは、その計画をさっそく実行に移すことにした。♠〈行動に移す〉実りのない議論は打ち切って、そろそろ考えを行動に移すべき時だ。 **うつ・す**【映す・写す】○物の姿を現し出す。元のままにあらわす。元のものをまねて表す。写真にとる。[文例]〈姿を映す〉緑の山々がその美しい姿を湖面に映している。♠〈鏡に映す〉右のほおがはれてるようだから、ちょっと鏡に映して見てごらん。♠〈テレビに映す〉先日、街を歩いているところをテレビに映されてしまった。♠〈スライドを映す〉父が外国旅行したときのスライドを映して見せてくれた。♠〈写真を写す〉机の引き出しから、修学旅行のとき写した写真が出てきた。♠〈ノートに写す〉教科書の英文を、そのままノートに写す宿題が出た。♠〈言葉に写す〉「ガラガラ・コロコロ」などのように、音や声を言葉に写したものを、「擬声語[ぎせいご]」といいます。 **うっすら**(薄ら)○ごくうすく。かすかに。ほのかに。[文例]〈うっすら積もる〉夜中に降ったらしく、朝の道にうっすらと雪が積もっている。♠〈うっすら浮かぶ〉明るくふるまう母の目には、うっすら涙が浮かんでいました。 **うっせき**(鬱積)○不満や悩みが積もって、心がふさがるここと。[文例]〈不満がうっせきする〉自由な発想を抑え[おさ]られ、部員の中には部長に対する不満がうっせきしていった。♠〈感情がうっせきする〉わたしの胸の中にことばにならない重苦しい感情がうっせきしていた。 **うっそう**(鬱蒼)○木々が群がり茂って、うす暗いさま。[文例]〈うっそうとしげる〉隣町[となりまち]との間に一つ峠[とう]があって、高い木がうっそうとしげっています。♠〈うっそうとしたジャングル〉この島のほとんどがうっそうとしたジャングルで覆われている。♠〈うっそうたる原始林〉あの山のふもとには、うっそうたる原始林が広がっている。 **うったえ**【訴え】○打ち明けること。申し立てること。人の心に働きかけること。[文例]〈訴えを起こす〉工場の廃液[はいえき]で農作物に大きな被害が出たため、農民たちは損害賠償[ばいしょう]の訴えを起こしました。♠〈訴えを取り上げる〉将軍吉宗[よしむね]の時代には民衆の訴えを取り上げるため、目安箱という投書箱が設けられた。♠〈訴えを聞く〉この本は、公害病に苦しむ人々の訴えを聞いて、克明[こくめい]に記録したものです。 **うった・える**【訴える】○人に打ち明ける。申し立てる。人の心に働きかける。強い手段を取る。[文例]〈不満を訴える〉妹は、わたしが遊びに行こうとすると、「いっしょに遊んでくれない。」と、すぐ母に不満を訴える。♠〈平和を訴える〉法王は、神のしもべとして、世界中の人々に真の平和を訴えてきました。♠〈戦争の恐怖・平和の尊[とうと]さを訴える〉この作品は生々しい戦争体験を通して、戦争の恐怖と平和の尊[とうと]さを強く訴えている。♠〈痛みを訴える〉酔って寝こんだ父は、夜中になって胃の痛みを訴えた。♠〈見る者[もの]に訴える〉優れた写真は、あるものの、ある瞬間[しゅんかん]を正確に伝えると同時に、見る者[もの]に何か強く訴える力を持つ。♠〈他人[ひと]に訴える〉悲しいことがあると、叫んだり、その悲しみを他人[ひと]に訴えたり、何かに祈ったりしたくなります。♠〈裁判に訴える〉高利貸しにだまされて財産を取られた商人は、裁判に訴えれば取りもどせるだろうと考えた。♠〈腕力[わんりょく]に訴える〉思い通りにならないからといって、腕力[わんりょく]に訴える方法はよくないよ。♠〈訴えかける〉次の文を手がかりにして、作品が訴えかけているものをとらえよう。 **うっちゃ・る**(打っ棄る・打っ遣る)○打ち捨てる。投げ出す。そのままにしておく。土俵際[どひょうぎわ]で寄ってきた相手を外に投げ出す。どたんばで逆転する。[文例]〈勉強をうっちゃる〉友達が呼びにくると、すぐ勉強をうっちゃって遊びに行ってしまう。♠〈うっちゃっておく〉あんながんこ者は、うっちゃっておきなさいよ。♠〈土俵[どひょう]ぎわでうっちゃる〉小柄な力士が二倍も大きい相手を土俵[どひょう]ざわでうっちゃると、場内に拍手がわいた。 **うつつ**(現)○目覚めている状態。現実。正気。夢と現実のはざま。文例夢かうつつか〉死んだとばかり思っていた息子が戻って来るなんて……これは夢かうつつか。♠〈夢にもうつつにも〉夢にもうつつにも、あの人のことが思われてならない。 <99> も〉夢にもうつつにも、あの人のことが思われてならない。♠〈うつつを抜かす〉男は、仕事もろくにせずに、毎日遊びにうつつを抜かしているうちに、大変貧乏になってしまった。♠〈夢うつつ〉授業中うとうと眠くなり、先生の話も夢うつつだった。 **うってかわ・る**【打って変わる】○すっかり変わる。がらりと変わる。[文例]朝日がさしそめるころ、夜明け前の静けさとは打って変わって、港はにぎやかになります。♠〈態度が打って変わる〉いらないと言ったら、セールスマンの態度は打って変わって乱暴になった。 **うってつけ**【打って付け】○非常にふさわしいこと。あつらえむき。もってこい。[文例]〈うってつけの人〉この仕事に斎藤さんは、うってつけの人です。♠〈うってつけの仕事〉動物の好きな彼には、牧場の牛の世話はうってつけの仕事だった。 **うっとうし・い**(鬱陶しい)○気がめいって晴れ晴れしない。わずらわしい。[文例]〈うっとうしい天気〉梅雨[つゆ]に入り、うっとうしい天気が続いているが、庭のあじさいだけは、それを喜んでいるようだ。♠〈うっとうしい空模様〉足の骨を折って動けないところに、うっとうしい空模様だから、ますます気がめいってくる。♠〈目の辺りがうっとうしい〉前髪[まえがみ]がのびて、目の辺りがうっとうしそうだから、そろそろ切ったほうがいいわよ。♠〈気分がうっとうしい〉朝起きたとき、気分がなんとなくうっとうしかったけど、車で海まで来るうちに直ってしまった。♠〈干渉[かんしょう]がうっとうしい〉「早く嫁に行け。」という親の干渉[かんしょう]がうっとうしくて、二十七の時、家を出ました。 **うっとり**○心を奪われて、ぼうっとなるさま。[文例]〈うっとりと見とれる〉舞台の女優のあでやかな美しさに、みんなうっとりと見とれてしまいました。♠〈うっとりする〉勉強に疲れてラジオのスイッチを入れると、うっとりするような音楽が流れてきた。♠〈うっとりした気分〉満開の桜の花を、わたしはうっとりした気分でながめていた。 **うつぶせ**(俯せ)○体の正面を下に向けて横たわること。物の上に顔をふせること。→あおむけ [文例]〈うつぶせになる〉海で焼いた背中がヒリヒリするので、うつぶせになって寝た。♠〈うつぶせの姿勢〉柔軟[じゅうなん]体操を始めますから、二人一組になって、まず一人がうつぶせの姿勢をとってください。 **うっぷん**(鬱憤)○心にたまった不満や怒りなどの感情。[文例]〈うっぷんを晴らす〉仕事がうまくいかないと、酒を飲んでうっぷんを晴らす人もいます。♠〈日ごろのうっぷん〉とうとう我慢[がまん]できなくなって、わたしは日ごろのうっぷんを全部彼に吐き出した。 **うつむく**(俯く)○顔をふせる。顔を下に向ける。[文例]〈黙ってうつむく〉母親が、「体に気をつけるんだよ。」と言って見送ると、娘は涙[なみだ]ぐみ、黙ってうつむいた。♠〈しょんぼりうつむく〉授業参観に、自分の母親が来ていないことが分かると、女の子はしょんぼりうつむいた。♠〈はずかしくてうつむく〉五年ぶりにいとこに会ったが、わたしは何となくはずかしくて、あいさつもせずにうつむいていた。♠〈深くうつむく〉犯行の動機を聞かれても、男は深くうつむいて答えようとしなかった。 **うつり**【映り・写り】○光や像などがうつること。うつり具合。見ばえ。[文例]〈テレビの映り〉〈映りが悪い〉ビルの陰のせいか、テレビの映りがよくない。♠〈着物の映り〉〈映りがよい〉その柄[がら]は、色白でほっそりした幸子[さちこ]には映りがよかった。♠〈写真写り〉きみって写真写りがいいね。実物よりずっときれいに撮れてるよ。 **うつりかわり**【移り変わり】(遷り変わり)○時とともに変わっていくこと。変化。変遷。[文例]〈季節の移り変わり〉日本人は、季節の移り変わりを鋭敏[えいびん]に感じ取って、そのときどきを味わいながら生活してきた。♠〈時代の移り変わり〉時代の移り変わりとともに、人々の生活様式も変わってきた。♠〈交通の移り変わり〉交通の移り変わりを調べてみようと、資料を探しに図書館へ行ってみた。♠〈気持ちの移り変わり〉この小説に出てくる少年の気持ちの移り変わりを読み取ろう。 **うつりかわ・る**【移り変わる】(遷り変わる)○時とともに変わっていく。変化する。変遷する。[文例]〈世が移り変わる〉めまぐるしく移り変わる世に、常に変わらぬ人の心がある。♠〈場面が移り変わる〉九月になると、ぼくらの遊びの場面は水辺から野原へと移り変わった。 **うつ・る**【移る】(遷る)○位置や場所が変わる。置き変わる。経過する。伝わる。伝染する。移行する。[文例]〈田舎[いなか]に移る〉都会は住みにくいからと、彼は会社を辞め、田舎[いなか]に移っていった。♠〈火が移る〉折から[おりから]の強風にあおられて、火は町の中央へと移っていった。♠〈大学が移る〉都心の混雑を避け、多くの大学がこの丘陵地帯に移ってきた。♠〈色が移る〉洗濯[せんたく]をしたら、白いシャツに青いズボンの色が移って、水色のシャツになってしまった。♠〈時代が移る〉貴族社会が衰え[おとろ]て、時代は中世を迎え、武士の時代へと移っていった。♠〈季節が移る〉北国の十一月、季節は秋から冬へかけあしで移ってゆく。♠〈気持ちが移る〉移り気な姉は、ローラースケートに熱中したと思ったら、もうテニスに気持ちが移っている。♠〈情[じょう]が移る〉猫を飼うのをいやがった母だが、情[じょう]が移って、今はとてもかわいがっている。♠〈かぜがうつる〉そばに来ないで、あなたの風邪がうつるでしょ!♠〈行動に移る〉彼は、思ったらすぐ行動に移る行動派の男性です。 **うつ・る**【映る・写る】○光や像が他のものの上に現れる。印象を与える。調和する。[文例]〈水たまりに映る〉雨あがりの水たまりに、青い空が映っている。♠〈鏡に映る〉新しい制服を着た息子の姿が鏡に映ると、中学生になったんだという思いがひとしおであった。♠〈影が映る〉障子[しょうじ]に怪しい人影[ひとかげ]が映っている。♠〈景色が写る〉感度のよいカラーフィルムで撮ったので、景色がきれいに写っています。♠〈写真に写る〉色あせた古い写真に、子供のころの父が写っている。♠〈目[め]に映る〉古い洋館は、わたしたちの目[め]には、まるでおとぎの国のお城のように映った。 <100> おとぎの国のお城のように映った。♠〈人目に映る〉彼の慎重[しんちょう]さが、人目には臆病[おくびょう]に映ることがある。♠〈着物がよく映る〉やはり日本女性には、着物がよく映ります。 **うつろ**(空ろ・虚ろ)○からっぽなさま。気が抜けてぼんやりしたさま。[文例]〈中がうつろ〉枯れた大木は、中がうつろになり、虫たちの住みかとなっていた。♠〈目がうつろ〉落ちくぼんだ老人の目がうつろに開かれて、力なく少年たちを見つめていた。♠〈うつろな表情〉ちょっとした不注意から住む家を失った男は、放心したようなうつろな表情でいつまでも焼け跡に立ちつくしていた。♠〈うつろな心〉人を信じられなくなったわたしのうつろな心に、この書は、一筋[ひとすじ]の光を投げかけた。♠〈うつろな日々〉夫の急死で、彼女は魂[たましい]がぬけたようになり、うつろな日々を過ごした。 **うつろい**【移ろい】○次第に移り変わっていくこと。[文例]〈季節の移ろい〉日本人は、季節の移ろいを敏感に感じ分け、その情趣を和歌などに詠み込んできた。♠〈日差しの移ろい〉木々の葉をもれる日差しの移ろいに、しのびよる秋を感じるのでした。 **うつわ**【器】○いれもの。容器。度量。人の器量。[文例]〈ガラスの器〉〈器に盛る〉テーブルの上の大きなガラスの器に、ぶどうがたくさん盛ってある。♠〈手を器にする〉山道で小さな泉を見つけ、わたしは両手を器にして、その冷たい水を飲んだ。♠〈人間の器〉〈器が大きい〉あの人は、そんなささいなことで怒ったりはしないよ、人間の器が大きいから。♠〈器が小さい〉そんな小さなことに、いちいち目くじらを立てることはないのに……器が小さいねえ、きみも。♠〈人の上に立つ器〉わたしは人の上に立てるような器ではありません。 **うで**【腕】○肩から手首までの部分。技能。技術。実力。腕力。[文例]〈腕が太い〉力仕事をしている人は、筋肉がつくので、ふつうの人よりも腕が太くなります。♠〈腕が長い〉野球のピッチャーなど、右ききの選手は、左より右の腕が長くなることがある。♠〈腕を組む〉夕暮れのせまった公園を、彼と二人、腕を組んで歩いてみたいな。♠〈腕を組む〉彼は腕を組み、首をかしげて思案している。♠〈腕をまくる〉よし、どんとこいと、兄は腕をまくって構えた。♠〈腕によりをかける〉田舎[いなか]から祖母が出てくるので、わたしは腕によりをかけて料理を作りました。♠〈腕をふるう〉夏休みのキャンプでは、ぼくが腕をふるって、みんなにおいしいカレーを作ってやった。♠〈腕が鳴る〉ああ、腕が鳴るなあ。早く試合の日がくるといい。♠〈腕は確か〉あの男は、気難しいので嫌われているが、仕事の腕は確かだそうだ。♠〈優れた腕をもつ〉彼女が看護婦として優れた腕をもっていることは、その慣れた手つきですぐわかった。♠〈腕がよい〉父は調理師ですから、料理の腕は母よりもよいと思います。♠〈腕がにぶる〉ぼくのコマ回しも幼稚園[ようちえん]以来だから、だいぶ腕がにぶったと思います。♠〈腕が落ちる〉やらないと腕が落ちるのは将棋[しょうぎ]も例外ではない。♠〈腕が上がる〉〈腕を上げる〉今日は、お師匠[ししょう]さんに、だいぶ腕が上がりましたねってほめられました。♠〈腕がある〉腕のある職人なら、少しぐらい年をとっていてもいいから、ぜひ採用したい。♠〈腕をみがく〉まだまだおまえの腕ではおれを負かすのは無理だから、どこかで腕をみがいてこい。♠〈腕を競う〉会場には、新鋭[しんえい]画家が腕を競った作品が展示されている。♠〈腕が立つ〉この切り口のあざやかさを見ると、犯人は相当剣[けん]の腕の立つやつだ。♠〈腕をぶす〉片田舎[かたいなか]でチャンスを待ちながら、わたしは腕をぶしていた。♠〈腕をこまねく〉おれだって何も腕をこまねいていたわけじゃない、いろいろ考えてはいたさ。♠〈腕におぼえがある〉腕におぼえのある者ばかり十人も集めて、上官は敵の本拠地[ほんきょち]へのりこんだ。♠〈腕の見せどころ〉結婚[けっこん]相手が遊びに来たら、姉は腕の見せどころとばかりがんばってごちそうを作った。 **うできき**【腕利き】○力量があること。すぐれた技量の人。[文例]〈腕利きの警部〉所轄[しょかつ]の警察に本庁から腕利きの警部が派遣された。 **うでずく**【腕ずく】○腕力にうったえること。力ずく。[文例]いやだと言ったら、腕ずくでも引っ張ってこい。♠相手が納得しないのに、腕ずくで言うことを聞かせるなんてことはよしなさい。 **うでまえ**【腕前】○技術的な能力。技量。手腕。[文例]〈手品の腕前〉きみは手品がうまいそうだが、ぜひみんなに腕前を披露[ひろう]してくれないか。♠〈釣りの腕前〉おじいさんは、アユ釣りの腕前を発揮して、たちまちビクいっぱい釣り上げた。♠将棋[しょうぎ]を習い始めてまだ間もないが、腕前は大したものだ。 **う・でる**♪ゆ・でる **うてん**【雨天】○雨の降る天気。[文例]〈雨天が続く〉七月に入っても、まだまだ雨天が続いた。♠〈雨天順延〉運動会は、雨天のため順延になった。♠〈雨天決行〉デモを呼びかけるビラには、「雨天決行!」と大きく書かれていた。 **うど**(独活)○山野に自生する多年生草本。新芽と茎は食用。[文例]〈うどの大木〉きみは体ばかりでかくて何の役にも立たない、うどの大木だ。 **うと・い**【疎い】○かかわりが薄い。つながりが遠い。事情に暗い。[文例]〈つきあいが疎い〉親しかったお隣[となり]とのつきあいも、引っ越してしまってからは、しだいに疎くなった。♠〈去る者は日々に疎し〉「去る者は日々に疎し」といって、いくら親しい人でも、離れてしまえばしだいに忘れていく。♠〈星に疎い〉妹が、「あの星は何というの。」と聞くが、わたしは、星のことなどまるで疎いので答えられない。♠〈政治に疎い〉文学少女の姉も、政治のことには疎い。♠〈世間に疎い〉一人娘[むすめ]で大切に育てられてきた彼女は、世間に疎い。 **うとうと**○眠りが浅いさま。まどろむさま。うつらうつら。[文例]〈うとうとする〉あんまり陽気がいいので、授業中についうとうとしてしまった。♠〈うとうと眠る〉列車に快く揺られているうちに、ぼくはうとうと眠り始めた。 **うとまし・い**【疎ましい】○いやでかかわりたくない。つながりを断ちたい。遠ざけたい。[文例]あまりしつこくつきまとうので、彼女は男がうとましくなってきました。♠こういやだと言ったら、腕ずくでも引っ張ってこい。 <101> **うとん・じる【疎んじる】** ○遠ざける。よそよそしくする。[文例]〈家族から疎んじられる〉許されぬ仲の男のもとに走った娘は、その後家族からさえも疎んじられた。♠〈人に疎んじられる〉彼は能力はあったが、その傍若無人[ぼうじゃくぶじん]のふるまいから、みなに疎んじられた。♠〈親を疎んじる〉一時は、厳しい父を疎んじたこともあったが、今ではその父に感謝している。 **うなが・す【促す】** ○急がせる。速める。すすめる。[文例]「急ごう。」とぼくたちを促すと、父はすたすた歩き始めた。♠〈返答を促す〉入部するのかどうか早く答えてほしいと、質問の先生から返答を促された。♠〈生長を促す〉夏期の日照は、稲の生長を促すうえで特に重要である。♠〈注意を促す〉特にこの点を忘れやすいので、諸君には注意を促しておく。 **うなさ・れる【魘される】** ○恐ろしい夢を見て、うめき声をあげる。[文例]滅ぼした敵の怨霊[おんりょう]が夢に現れ、王は毎晩うなされるようになった。♠〈夢にうなされる〉体が疲れていると、睡眠中[すいみんちゅう]恐ろしい夢にうなされたりする。 **うなじ(項)** ○首の後ろの部分。首すじ。えり首。[文例]〈白い・細いうなじ〉彼女の白くて細いうなじに、髪がほつれていた。♠〈うなじを垂れる〉「恥[はじ]を知れ。」という先生の言葉に、ぼくたちはうなじを垂れた。 **うなずく(頷く)** ○首を前に振る。合点する。[文例]〈だまってうなずく〉「がんばっておいで。」と言う母に、ぼくはだまってうなずき、試験場に向かった。♠〈しぶしぶうなずく〉結婚したいという娘[むすめ]の言葉に、父親は仕方なさそうに、しぶしぶうなずいた。♠〈なるほどとうなずく〉彼の説明を、ぼくたちはなるほどとうなずきながら聞いた。♠〈万人をうなずかせる〉「石橋をたたいて渡る」などのように、ことわざは、人生のある状況を鋭い[するどい]比喩で表現し、万人をうなずかせる。♠〈目でうなずく〉子供が話しかけるたび、母親はほほえみながら、目でうなずき返している。 **うなずける(頷ける)** ○その通りだと思う。納得がいく。[文例]この抽象画[ちゅうしょうが]の「春」という題は、そのほのぼのとした色調からなるほどとうなずけるように思う。♠自首してきた男の話にはどこかうなずけないところがあって、真犯人は別にいるように思えた。 **うなだれる(項垂れる)** ○首を前に垂れる。うつむく。[文例]母のしかる声が優しくなってくると、恐る[おそ]恐るうなだれていた顔を上げた。♠その日妹は、しょんぼりとうなだれて帰って来た。♠自信をもって出品した絵が入賞しなかったので、彼はがっくりとうなだれていた。♠姉の家出に絶望した母は、うなだれたきり何も言わなかった。 **うなり(唸り)** ○うなること。うなり声。うなるような音。[文例]〈うなりを発する〉スイッチを入れると、モーターがうなりを発して回り始めた。♠〈うなりをたてる・あげる〉火口の中央から、溶岩[ようがん]は白煙[はくえん]を噴き、うなりをたてながら押し上がっていった。♠〈風のうなり〉嵐[あらし]は次第に激しくなり、風のうなりはすさまじいばかりになった。 **うな・る(唸る)** ○力を入れて、言葉にならない低い声出す。また、それに似た音・声を出す。[文例]〈うんうんうなる〉急におなかが痛くなり、うんうんうなりながら医者のくるのを待った。♠〈犬がうなる〉向こうからやってくる大きな犬を見て、うちの小犬は、ウーとうなった。♠〈蚊がうなる〉夏の夜は、蚊のブンブンうなる声が暑苦しさを増します。♠〈モーターがうなる〉工場からは、朝から晩までモーターのうなる音が響い[ひびい]てきます。♠〈風がうなる〉自転車を全速力で走らせる少年の耳元で、風がビュンビュンうなります。♠〈見物人をうならせる〉その体操選手の見事な技[わざ]は、見物人をうならせた。♠〈なにわ節をうなる〉おじいさんが、おふろの中で、気持ちよさそうになにわ節をうなっている。♠〈うなるほどの大金〉この男たちは、金鉱を掘りあて、ふところにうなるほどの大金を持っているというのだ。♠〈大金がうなる〉お金は、ある所にはあるもので、あの家の金庫には大金がうなっているそうだ。 **うぬぼれ(自惚れ・己惚れ)** ○うぬぼれること。↓うぬぼれる[文例]周囲の人々を批判しながら、自分だけは例外だといううぬぼれが、人間にはありがちです。♠〈うぬぼれが強い〉ちやほやされて育ったため、彼はわがままでうぬぼれが強い。 **うぬぼ・れる(自惚れる・己惚れる)** ○自分を過大に評価して、思い上がる。[文例]彼は、自分は才能があると、うぬぼれている。♠ちょっと勉強が出来ると思って、うぬぼれてはいけない。♠次々と賞を獲得しながら、これも皆さんのおかげだと感謝する彼には、少しもうぬぼれたところがない。♠本当に優れた人というのは、決してうぬぼれたりはしないものです。 **うねり** ○うねること。うねる波。↓うねる[文例]〈道のうねり〉平野に出ると、道のうねりがゆるやかになった。♠〈うねりが出る〉雨が降り始め、風も強まって、穏やか[おだやか]だった海にうねりが出てきました。♠〈うねりが高い〉うねりが高いので、出航を見合わせることにした。 **うね・る** ○曲がりくねる。波が上下にゆれる。[文例]〈川がうねる〉丘[おか]の上からながめると、川が大きくうねっている様子がよく分かる。♠〈道がうねる〉小高い丘のてっぺんへ、道がうねるように登っていく。♠〈うねる山なみ〉見下ろすと、長々とうねる山なみが雲のかなたまで連なっていた。♠〈うねった線〉草原を、一隊の兵と馬とが、長いうねった線を描いて行進していく。♠〈体をうねらせる〉海の底では、色とりどりの魚たちが体をうねらせて泳いでいた。♠〈波がうねる〉風が強まり、波は大きくうねり、船は波の上を木の葉のように漂った[ただよった]。 **うのみ(鵜呑み)** ○かまずに丸のまま飲み込むこと。物事をよく理解・吟味[ぎんみ]せずに受け入れること。[文例]〈うのみにする〉食べ物をうのみにすると消化に悪いから、よくかんで食べなさい。♠〈人の言葉をうのみにする〉人の言葉をうのみにしないで、自分で確かめてみることが大切です。 <102> **うば【乳母】** ○母親の代わりに子に乳を与え、育てる人。[文例]〈乳母をつける〉領主に跡取りが生まれて、乳母がつけられた。♠乳母の手で育てられた彼は、母親にはいつまでたってもなじめなかった。 **うば・う【奪う】** ○むりやりに取り上げる。盗み[ぬす]取る。取り去る。人の関心を強く引きつける。[文例]〈金・宝石を奪う〉金や宝石を奪った男たちは、金めにならないものは全部捨てていった。♠〈命を奪う〉目の前に横たわっているのは、少年の父をはじめ、多くの人の命を奪ったあの大ぐまだった。♠〈家・田畑・人命を奪う〉水かさを増した川は、洪水[こうずい]を起こし、家や田畑、時には多くの人命さえも奪うことがある。♠〈自由を奪う〉傷ついた一羽のガンが、自由を奪われ、群れから取り残されていました。♠〈楽しみを奪う〉子供からカブトムシ遊びの楽しみを奪った大人は、今度は大量飼育をして売ることを思いついた。♠〈熱を奪う〉アルコールを体にぬると、スッとするのは、アルコールが蒸発するときに、体から熱を奪うからだ。♠〈足を奪われる〉雪で電車がストップしてしまったため、帰りの足を奪われた人々は、地下鉄とバスに殺到[さっとう]した。♠〈目を奪う〉大路[おおじ]をねり歩く大名行列のはなやかさは、見物人の目を奪いました。♠〈心を奪われる〉生徒たちは、あさってからの修学旅行に心を奪われているので、もう勉強どころではありません。♠〈お株を奪う〉釣り大会では、漁師に交じって好成績をあげ、すっかり本職のお株を奪ったかっこうになってしまった。 **うぶ(初・初心)** ○世間ずれしていないさま。純情なさま。[文例]〈うぶな少年〉女性に声をかけられたりすると、耳まで赤くなるようなうぶな少年だった。♠みっちゃんはうぶだから、男女のことなど何も知らない。 **うぶごえ【産声】** ○生まれたての赤ちゃんの上げる声。[文例]〈産声を上げる〉人間は、この世界に生まれた瞬間[しゅんかん]、オギャーとたくましい産声を上げる。♠〈産声を上げる〉この時、初めて日本に近代的な病院が産声を上げたのです。 **うま【馬】** ○家畜の名。運搬・耕作・乗用など。[文例]〈馬に乗る〉どろぼうは、盗んだ馬に乗って、一目散[いちもくさん]に逃げていきました。♠〈馬から落ちる〉それからまもなく、息子が馬から落ちて足を傷めてしまいました。♠〈うまが合う〉弟とA君とは、二人ともオートバイが好きで、うまが合うらしく、最近いつも一緒に出かけていく。♠〈馬の耳に念仏〉格調高い古典文学の講義をしても、レジャーにしか興味のない学生には、馬の耳に念仏でしかない。♠〈馬の骨〉どこの馬の骨ともわからない者の言葉を真に受け、契約[けいやく]を結んだわたしが軽率だったのです。♠〈人間万事塞翁が馬〉人間万事塞翁[さいおう]が馬といって、わたしたちにとって何が幸[こう]となり、何が不幸となるかはわからないものだ。♠〈天高く馬肥ゆる秋〉天高く馬肥ゆる秋、本当に気持ちのよい季節です。 **うま・い(旨い・美味い・上手い・巧い)** ○味がよい。おいしい。上手だ。たくみだ。都合がよい。[文例]〈うまい物〉ああ腹がへった、お母さん、なんかうまい物はない? ♠〈コーヒーがうまい〉この店はコーヒーがとてもうまいと評判なんだよ。♠〈スケートがうまい〉ぼくもきみのようにスケートがうまければ、あの子を誘える[さそえる]んだけどな。♠〈字・文章がうまい〉字がうまい、文章がうまいということは、魅力[みりょく]ある手紙の条件のひとつになる。♠〈歌がうまい〉わたしのクラスには、歌のうまい人が多い。♠〈話がうまい〉うちの姉は、お話がうまいので、近所のちっちゃい子供たちに人気があります。♠〈うまい話〉やっぱりうそか、あしたは臨時休校だなんて、そんなうまい話はないと思っていたよ。♠〈うまい考え〉大人も子供も一緒に楽しめる催しについて、何かうまい考えはないものかな。♠〈うまい金もうけ〉なにかうまい金もうけの口はないかな。♠〈うまい汁を吸う〉みんなが働いているのに、自分だけ楽をしてうまい汁を吸おうなんて許されません。♠〈うまいことを言う〉案ずるより産むが安しとは、昔の人はうまいことを言ったものだ。♠〈うまくいく〉二人の仲は前よりずっとうまくいっているようです。♠〈うまくいけば〉うまくいけば、この秋にはまた旅行ができるかもしれません。♠〈うまくやる〉慎重な彼のことだから、おそらくうまくやるにちがいない。 **うまみ(旨味)** ○味のよさ。たくみさ。好都合。妙味。[文例]〈うまみを生かす〉この料理は素材のうまみを生かして、淡白な味に仕上げてあります。♠〈うまみのある演技〉彼のようにうまみのある演技は、初心者にはとてもできない。♠〈うまみのある仕事〉そんなうまみのある仕事なら、ぼくも一口乗せてくれ。 **うま・る【埋まる】** ○上からおおわれて、姿が隠れる。すきまなくふさがれる。不足が補われる。[文例]〈地中に埋まる〉こはくは、大昔[おおむかし]に樹脂[じゅし]が地中に埋まって化石になったものである。♠〈土砂に埋まる〉山くずれで腰[こし]まで土砂に埋まったが、何とか、砂を手でほってはいでた。♠〈死体で埋まる〉一夜明けた焼け跡は、人々の焼死体で埋まっていた。♠〈雪で埋まる〉田舎は、北国だから雪は降るけれど、道が埋まってしまうほどではない。♠〈席が埋まる〉開幕を前にして席が全部埋まり、コンサート関係者は、ほっと胸をなでおろした。♠〈人で埋まる〉今年海の家を開く予定のおじは、海辺が人で埋まればよいがと心配顔だ。♠〈赤字が埋まる〉月給だけではどうしてもやりくりがつかず、ボーナスでやっと赤字が埋まるといった状態が続いた。♠〈欠員が埋まる〉人手不足で残業続きだった父も、四月から欠員が埋まるめどがついたと、うれしそうに話していた。♠〈穴が埋まる〉庭の池の水はけが悪くなったので調べてみたら、排水[はいすい]の穴がどろや木の葉で埋まっていた。 **うまれ【生まれ】** ○出生・誕生。生まれた時・場所。[文例]〈生まれ育ち〉流れ者の老人はこの店にいつくようになったが、その生まれ育ちはだれも知らなかった。♠〈京都の生まれ〉わたしは、京都の生まれです。♠〈高貴の生まれ〉女が高貴の生まれであることは、その物腰[ものごし]から知られた。♠〈明治生まれ〉明治生まれのがんこな祖父であった。♠〈早生まれ・遅生まれ〉一月一日から四月一日までに生まれた早生まれの子は、前年の四月二日から十二月三十一日の間に生まれた遅生まれの子と同じ学年になります。 <103> **うまれつき**【生まれ付き】○生まれた時、すでに備わっていること。生まれながら。[文例]彼女は生まれつき手先が器用だ。♠きみが頭がいいのは生まれつきかい。 **うま・れる**【生まれる・産まれる】○この世に生をうける。誕生する。出現する。生じる。[文例]〈子が産まれる〉今朝早く、姉に二番目の子が産まれたと、母が病院から知らせてくれた。♠〈赤ちゃんが産まれる〉馬の赤ちゃんは産まれるとすぐ立ち上がりますが、人間の場合はそうはいきません。♠〈~の家に生まれる〉この物語は、主人公がワルシャワの貧しい教師の家に生まれるところから始まる。♠〈女・男に生まれる〉ああ、男に生まれて損[そん]した、女に生まれてりゃよかった。♠〈生まれて初めて〉わたしは、生まれて初めて、人を愛したのだと思いました。♠〈生まれてこのかた〉生まれてこのかた、これほどの恐ろしい目には遭[あ]ったことがない。♠〈国が生まれる〉第二次世界大戦が終わって、アフリカにはたくさんの新しい国が生まれました。♠〈川柳[せんりゅう]が生まれる〉川柳[せんりゅう]は、笑いの中から生まれた民衆の文学と言えよう。♠〈疑問が生まれる〉馬は本当に立ったままねむるのか、これは、父の話を聞いて生まれた疑問です。♠〈希望が生まれる〉肉体の疲労[ひろう]が去るとともに、わずかながら助かるかもしれないという希望が生まれてきた。♠〈詩が生まれる〉ふだん気づかない思いがけないことに心が動くとき、そのときに詩が生まれます。♠〈文字が生まれる〉漢字を崩して書くことから、平仮名という文字が生まれてきました。♠〈仏教が生まれる〉インドで生まれた仏教は、中央アジアを経て中国に伝わったと言われている。♠〈生まれ変わる〉これからは生まれ変わった気持ちでがんばりますから、許してください。 **うみ**【海】○地球の表面で、広く塩水におおわれた部分。[文例]〈海と陸〉海は、地球の表面の十分の七を占めていて、陸地よりもはるかに広い。♠〈海で泳ぐ〉プールより海で泳ぐほうがずっと気分がいい。♠〈海にもぐる〉その海女[あま]は、すっかり年をとっていたので、海にもぐるのはやめて、貝や魚を売り歩いていた。♠〈海に出る〉村の人は、ほとんどが漁師で、毎日朝早くから海に出て、魚をとってくらしを立てていました。♠〈海が開ける〉その道をやっと登りきったら、今度は高いがけの向こうに、広々とうすら寒い海が開けた。♠〈海を越える〉室町[むろまち]時代[じだい]の終わりごろ、ポルトガル人は、はるばる海を越えて、日本へやってきました。♠〈海の男〉みんながんばれ、海の男がこんなあらしに負けてたまるもんか!♠〈海の幸[さち]〉海に囲まれた日本は、たくさんの種類の魚、貝、海草などの海の幸[さち]にめぐまれている。♠〈火の海〉爆撃を受けた町は、一瞬[いっしゅん]のうちに火の海となり、人々は、命からがら逃げ出したのだった。♠〈血の海〉犯行の現場は血の海となっていた。♠〈海の物とも山の物ともつかない〉初めにその青年を見た時には、海の物とも山の物ともつかなかった。 **うみ**(膿)○傷やできものがうんで生じる粘液。[文例]〈うみを出す〉父は、けがをした小犬を連れて帰ると、小さなメスで手早くうみを出し、傷の手当てをしてやった。♠〈うみを持つ〉昨日ナイフで切った指がうみを持ったらしく、赤くはれてずきずきと痛む。♠〈うみがたまる〉足の傷が化膿[かのう]したらしく、うみがたまって、とても痛くてたまらない。♠〈うみを出す〉金がものを言うような腐敗[ふはい]した政治は、思い切ってうみを出さなければ、きれいにならない。 **うみせんやません**【海千山千】○経験を積み、世慣れてしたたかであること。[文例]海に千年山に千年住んだ蛇は竜[へびりゅう]になるという言い伝えが海千山千です。♠〈海千山千の男ども〉経験のない女が、海千山千の男どもに交じって商売をしていくのは大変なことでした。 **うみだ・す**【生み出す・産み出す】○うむ。新しく作り出す。[文例]〈製品を産み出す〉この工場からは、毎日、大量のインスタント食品が産み出されてゆきます。♠〈作品を生み出す〉この小さなアトリエから、あのようにすばらしい作品が次々と生み出されていったのです。♠〈アイデアを生み出す〉彼は次々に新しいアイデアを生み出し、事業を広げていった。 **うむ**【有無】○あるかないか。あることとないこと。承知不承知。[文例]〈回答の有無〉期限を過ぎているので、相手からの回答の有無にかかわらず、計画を実行します。♠〈有無を言わせず〉彼は返事ばかりで、実際に出席したためしがないから、今回は有無を言わせず引っ張ってこいよ。♠〈有無相通[あいつう]ずる〉性格が正反対の姉夫婦ではあるが、有無相通[あいつう]ずるで、お互いに補い合って結構うまくやっている。 **う・む**【生む・産む】○生命を誕生させる。作り出す。生じさせる。[文例]〈卵を産む〉秋になると、サケは、卵を産みに海から川へやってきます。♠〈子を産む〉隣村[となりむら]にとついだ娘は、五人の子を産み、りっぱに家を立て直したのである。♠〈作品を生む〉ふだんから自分をきびしい目で見ているからこそ、A君は、こんなすごい作品を生むことができたのです。♠〈日本が生んだ科学者〉この人は、現代の日本が生んだ最も優れた科学者の一人と言われています。♠〈感動を生む〉優れた詩の言葉は読む者の心に入って、深い感動を生む。♠〈結果を生む〉事件はいちおう解決したが、あとあと、悪い結果を生まなければよいのだが。♠〈ことわざを生む〉昔[むかし]の人々の生活の知恵が、さまざまなことわざを生んできたのです。♠〈誤解を生む〉誤解を生むことがないように、わたしの考えをはっきり述べておきます。♠〈発明を生む〉「必要は発明の母」のことわざどおり、生活上の必要性が発明を生むもとになっています。♠〈効果を生む〉方言も共通語も、人間と人間の関係のうえで、それぞれの効果を生むと言える。♠〈金[かね]が金[かね]を生む〉金[かね]が金[かね]を生む世の中と言いますが、やはり何をするにも元手になるお金が必要になります。♠〈努力が天才を生む〉九十九パーセントの汗[あせ]と一パーセントのひらめきという言葉は、努力が天才を生むということを表している。♠〈案ずるより産むがやすし〉「案ずるより産むがやすし」といって、くよくよ考えるより思い切ってやってみるといい結果が出ることもある。 **う・む**(膿む)○傷やできものがうみをもつ。化膿[かのう]する。[文例]〈傷口がうむ〉ろくな手当てもしなかったので傷口がうんで、大事になってしまいました。 <104> **うめ**【梅】○バラ科の落葉高木。早春に花を咲かせ、夏に実をならせる。[文例]〈梅の花〉庭の梅の花が咲いて、窓辺にふくいくとした香りが漂[ただよ]ってきます。♠〈梅の名所〉この庭園は、昔から梅の名所として知られている。♠〈梅にうぐいす〉よく調和してぴったりであることのたとえに、「梅にうぐいす」があります。♠〈梅の実〉青い梅の実を食べて腹をこわしたことがある。 **うめあわせ**【埋め合わせ】○不足や損失などを補うこと。[文例]〈埋め合わせをする〉ごめんなさい、約束を破った埋め合わせは必ずするからね。♠〈埋め合わせに~する〉今週一週間なまけた埋め合わせに、来週はしっかりがんばります。♠〈借金の埋め合わせ〉借りた金の埋め合わせにまた借りるので、借金は雪だるま式に増えていった。 **うめき**(呻き)○うめくこと。うめく声。↓うめく [文例]〈人のうめき〉苦しい生活の下から、農民たちのうめきが聞こえるようであった。♠〈うめき声〉道を行くと、道ばたから男のうめき声が聞こえてきた。 **うめ・く**(呻く)○のどの奥の方から苦しげな声を出す。低くうなる。[文例]〈痛みにうめく〉痛みにうめく負傷者の声が一晩じゅう聞こえた。♠〈人がうめく〉山歩きをしていたら、崖の下から人のうめく声が聞こえてきた。♠〈うめくよう〉この原稿は、一晩じゅううめくようにして、今朝やっとできたものだ。 **う・める**【埋める】○上からおおって見えなくする。上から土をかぶせる。すきまをふさぐ。不足を補う。水などを加えて、温度や濃度を低くする。[文例]〈沼・沢を埋める〉郊外[こうがい]の丘を削り、沼[ぬま]や沢[さわ]を埋めて、宅地は次々とつくられている。♠〈井戸を埋める〉子供のころ、おじの持っているたんぽの井戸を埋めて、ひどくしかられたことがある。♠〈穴を埋める〉さあ、みんな、お砂場に掘った穴は埋めとこうね、危ないから。♠〈穴を埋める〉ギャンブル好きの主人が店の帳簿にあけた穴を埋めるのに、奥さんはずいぶん苦労したらしい。♠〈骨を埋める〉青年はその地に骨を埋めるつもりで活動していた。♠〈死がいを埋める〉わたしは小さな穴を掘り、ウズラの死がいを埋めて、土をかけてやった。♠〈墓地に埋める〉祖母は、村はずれの墓地に埋められ、若かった母は、その墓地の辺りをよく歩いていたそうです。♠〈空洞[くうどう]を埋める〉きみたちの心の空洞[くうどう]を、お金で埋められるかどうかは、考えてみればよくわかることだ。♠〈空白を埋める〉彼は、残された空白を、ぼたんの花の図案で埋めてみた。♠〈花で埋める〉この作品は、サクラのなえを育て、江戸じゅうを花で埋めたいという人物が主人公になっている。♠〈水で埋める〉うっかりしてわかしすぎたので、入るときには必ず水で埋めてね。♠〈赤字を埋める〉サラリーマンの家庭は、月々の家計の赤字をボーナスで埋めることができるが、自営業はそうはいかない。♠〈埋め立てる〉港湾[こうわん]を埋め立てて、できた土地を利用しようとする計画がある。 **うも・れる**【埋もれる】○うずまって隠れる。才能や価値が人に知られないでいる。うずもれる。[文例]〈雪に埋もれる〉吹きっさらしの野っ原なもんで、地蔵様は、片側だけ雪に埋もれていた。♠〈砂漠[さばく]に埋もれる〉『中央アジア探検記[いせきはっくつきろく]』には、砂漠[さばく]に埋もれた遺跡の発掘記録がのっている。♠〈湖底に埋もれる〉波の力が湖底に埋もれていたナウマンゾウの化石を洗い出した。♠〈埋もれた逸材[いつざい]〉スカウトというのは、埋もれた逸材[いつざい]を発掘[はっくつ]するのが仕事で、全国に情報網を持っている。♠〈埋もれて暮らす〉こんな山奥[やまおく]に埋もれて暮らすには、きみはまだ若すぎるし、第一もったいないよ。 **うやうやし・い**【恭しい】○身ぶり態度がていねいで、礼儀正しい。[文例]〈恭しく運ぶ〉校長室に通されてじきに、事務員らしい女性がお茶を恭しく運んできました。♠〈恭しく頭を下げる〉祖父は、毎朝神社の前でポンポンと手を合わせ、恭しく頭を下げています。♠〈恭しい態度〉ホテルのボーイは、入ってきたお客に近づき、恭しい態度であいさつをした。♠〈ものごしが恭しい〉応対に出てきたのは、ものごしはいかにも恭しかったが、腹の中では何を考えているかわからないような人物だった。 **うやま・う**【敬う】○尊敬する。あがめる。[文例]〈村人から敬われる〉祖父は長年村長を務め、村のために一生懸命[いっしょうけんめい]尽くしたので、村人から敬われていました。♠〈年寄りを敬う〉敬老の日は、お年寄りをみんなで敬い、感謝するために設けられた祝日です。♠〈神を敬う〉信仰心[しんこう]があつい村人たちは、神を敬い、神にいのりをささげました。♠〈相手を敬う〉日本人の礼儀や、日本語の「敬語」は、相手を敬う気持ちが表れたものです。♠〈師と敬う〉町の若者たちに師と敬われた人の墓です。♠話し手が、話題に上る人や、その人に関係する物事を敬う言い方を、尊敬語と言う。 **うやむや**(有耶無耶)○いいかげんで、はっきりしないさま。あいまい。[文例]〈うやむやな返事〉あの子は、せっかくさそっても、うやむやな返事ばかりするので、仲間から外すことにした。♠〈話をうやむやにする〉みんなにとって大事なことなのだから、話をうやむやにしないでよ。♠〈責任をうやむやにする〉加害者側は示談金を示すことによって和解を結び、責任の所在をうやむやにしようとしているようだ。♠〈うやむやのうちに〉総会といってもまとまった話は出ず、なんとなくうやむやのうちに終わってしまった。 **うよきょくせつ**(紆余曲折)○まがりくねること。物事がこみいって、すんなり進行しないこと。[文例]〈紆余曲折をへる〉住民の反対や計画のずさんさなど紆余曲折をへて、工事はやっと着工にこぎつけた。 **うら**【裏】○正面・前面・表面の反対の面。衣服の裏地。物事の陰の部分。物事の内側。内情。野球で後攻めのチームが攻撃する番。[文例]〈着物の裏〉冬に着たあわせの着物は、夏になると裏を取って単衣[ひとえ]にして着ました。♠〈足の裏〉ぬれたようにやわらかい土に足の裏が吸いつくのを感じながら、はだしで歩き回ってみた。♠〈ぼうしの裏〉拾ったぼうしの裏を見ると、赤い糸で名前がししゅうしてありました。♠〈裏の林〉わたしは、学校から帰って、弟と裏の林へどんぐりを拾いに行きました。 <105> **うらがえ・す【裏返す】** ○表と裏をひっくり返す。逆にする。[文例]〈葉を裏返す〉木の葉を白く裏返して風が渡る。♠〈畳表[たたみおもて]を裏返す〉家を建てて三年になるので、畳表を裏返すことにした。♠〈裏返していえば〉科学の発達は、裏返していえば、人類から空想する喜びを奪うということでもある。 **うらかた【裏方】** ○舞台裏で仕事をする人。表に立たずに陰で役目を果たす人。[文例]〈裏方の力〉芝居や演劇では、役者ばかり目だちますが、大道具・小道具、照明係などの裏方の力を忘れてはいけません。♠〈裏方を務める〉国際会議では、外務省の役人などが裏方を務める。 **うらぎり【裏切り】** ○裏切ること。↓うらぎる[文例]〈味方の裏切り〉味方の裏切りによって、大将はあえない最期[さいご]を遂げた。♠〈男の裏切り〉娘には、男の裏切りが許せなかった。♠〈裏切り行為〉ここで会合の参加者を明かすことは、同志に対する裏切り行為となる。 **うらぎ・る【裏切る】** ○味方にそむいて敵方につく。人の信頼にそむき、あだをなす。予想や期待に反する。[文例]〈国を裏切る〉彼女のことを、世間では「フランスを裏切った女」と言って非難した。♠〈同胞[どうほう]を裏切る〉ここで口を割れば、村の人や自分の同胞を裏切ることになる。♠〈期待を裏切る〉全力を尽くしてがんばったのに、結果はわたしたちの期待を裏切った。♠〈予想を裏切る〉修学旅行は関西というおおむねの予想を裏切り、東北に決定した。♠〈信頼を裏切る〉お母さんたちは、あなたのことを信じて友達との旅行を許したのですから、信頼[しんらい]を裏切らないでね。 **うらぐち【裏口】** ○建物の裏側にある出入り口。正当でない方法で行うこと。[文例]〈裏口から入る〉遅くなったのでこっそり裏口から入ったところを父に見つかり、大目玉をくらった。♠〈裏口入学〉お金を出して裏口入学するようなことはしたくない。 **うらづけ【裏付け】** ○別の面から証拠立てすること。[文例]〈裏付けとなる〉あなたの説の裏付けとなるデータを出してください。♠〈事実の裏付け〉〈裏付けがある〉理論は、事実の裏付けがあってこそ説得力をもちます。 **うらづ・ける【裏付ける】** ○裏をつける。物事を別の面から証拠立てて、確かにする。[文例]〈被害を裏付ける〉調査が進むにつれ、鉱毒の被害を裏付ける事実が次々に明らかになった。♠〈犯行を裏付ける〉刑事[けいじ]の尋問[じんもん]に不用意にもらした一言が、彼の犯行を裏付ける結果となった。♠〈主張を裏付ける〉筆者は、自分の主張を裏付けるために、気候・風土、農業の方法の違いを詳しく説明しています。♠〈学問的に裏付ける〉クスノキの舟やコウヤマキの棺[ひつぎ]が発掘[はっくつ]され、神話の記述が考古学的に裏付けられた。♠〈うわさを裏付ける〉先生が結婚[けっこん]して、学校をやめるといううわさを裏付ける事実は、何もありません。♠〈事実から裏付ける〉いかに話題になっているかということは、発売当日に券が売り切れたという事実からも裏付けられよう。 **うらな・う【占う】** ○物事のなりゆき、人の将来、吉凶などを予測する。[文例]〈天気を占う〉節分の夜に、十二つぶの豆[まめ]をいろりの灰で焼き、その焼け方を見て、月々の天気を占う所がある。♠〈運勢を占う〉年の初めに、家族そろって、易者[えきしゃ]さんに今年の運勢を占ってもらった。♠〈運命を占う〉悪い魔女[まじょ]は、王女の運命を占い、不吉な予言をしたので、城から追い返されました。♠〈将来を占う〉「日本の将来を占う」という題で、白熱した議論が展開されました。♠〈身の上を占う〉易者は自分の身の上は占わないのかな。♠〈勝敗を占う〉明日[あす]の巨人[きょじん]・阪神[はんしん]戦の勝敗を占ってみましょう。 **うらはら【裏腹】** ○二者が相反すること。あべこべ。反対。[文例]〈心とは裏腹〉旅行に行きたくなかったが、話のなりゆきで、心とは裏腹のことを言ってしまった。♠〈明るい春の景色とうらはら〉明るい春の景色、それとうらはらに悲しみに沈む作者の姿がくっきりと印象づけられています。♠〈言うこととすることがうらはら〉よく遊びなさいと言いながら、宿題をたくさん出すんだから、言うこととすることがうらはらだよ。 <106> **うらぶ・れる** ○おちぶれる。みすぼらしい姿になる。[文例]〈うらぶれた身なり〉神様は、うらぶれた身なりに姿を変えて、この町の二人の姉妹の所へやってきたのです。♠〈うらぶれた身〉かつての名工も、今はうらぶれた身を雨もりのする長屋の一間に置いていた。 **うらみ【恨み】(怨み)** ○うらむこと。残念に思う点。[文例]〈恨みに思う〉きみにとってよかれと思ってしたことなのに、恨みに思われるなんて心外だよ。♠〈恨みをもつ〉わたしたちは、まるで彼女に恨みでももっているかのように、冷たくふるまった。♠〈恨みがある〉あの男には、いつも仕事のじゃまをされたという恨みがある。♠〈恨みを買う〉町医者は、貧しい人々のために立ち上がるのだが、逆に町の人たちから恨みを買うことになる。♠〈恨みを晴らす〉公衆の面前で、かかなくてもいい恥[はじ]をかかされたのですから、恨みを晴らさずにはいられません。♠〈食べ物の恨みは恐ろしい〉公平に分けろよ。「食べ物の恨みは恐ろしい」というからな。♠〈恨み骨髄に徹する〉あれだけひどい目にあわされたのでは、恨み骨髄[こつずい]に徹[てっ]するというのも無理はない。♠〈結論を急いだうらみ〉こうやってふり返ってみると、やや結論を急ぎすぎたうらみがある。♠〈手遅れのうらみ〉今回警察が暴走族にとった措置[そち]は、いささか手遅れのうらみがある。♠〈恨みつらみ〉文句があるなら言ってみろと言うので、今までの恨みつらみをぶちまけてやった。 **うら・む【恨む】(怨む・撼む)** ○くやしく思い、憎む。残念に思う。[文例]ないしょで母と映画を見に行ったのを、妹はいまだに恨んでいるようだ。♠〈世の中を恨む〉自分の商売が時代遅れになったからと言って、世の中を恨むわけにはいかない。♠〈ひどい仕打ちを恨む〉日ごろのひどい仕打ちを恨むのも忘れ、村人たちは、妻に死なれた代官の不幸に同情したのである。♠〈天を恨む〉家族の病気、事業の失敗、交通事故と、次々と続く不運に、男はなすすべもなく天を恨むばかりだ。♠〈つくづくうらまれる〉一点差で負けた選手たちには、六回の裏、逆転のチャンスをのがしたことが、つくづくうらまれた。 **うらめ【裏目】** ○出てほしいと思ったさいころの裏側の目。期待と逆の結果。[文例]〈裏目に出る〉積極的に打っていく作戦が裏目に出て、攻めが雑になってしまった。♠〈裏目に出る〉自分の行動に責任をもたせようと、自由にさせたのが裏目に出たようだ。 **うらめし・い【恨めしい】(怨めしい)** ○うらみに思われる。残念だ。[文例]彼は黙ったまま道に立って、彼女を恨めしそうににらみつけている。♠事情をよく知っている兄なのに、ひと言もとりなしてくれなかったのが恨めしかった。♠あんなに楽しみにしていたハイキングが雨で中止とは、さぞ恨めしかろうなあ。♠おどろおどろしい音とともに、「恨めしやあ。」と、幽霊[ゆうれい]が出てくる。 **うらやまし・い(羨ましい)** ○自分もそうなりたい。ねたましい。[文例]ぼくは、ひとりっ子なので、兄弟のたくさんいる友達がうらやましくてしようがなかった。♠町から来た少年は、水泳のうまい村の子供たちがうらやましくて、いつも遠くからながめていた。♠〈うらやましいご身分〉三食昼寝つきとは、本当にうらやましいご身分ですね。 **うらや・む(羨む)** ○自分もそうなりたいと思う。あこがれ、ねたむ。[文例]〈成功をうらやむ〉彼の成功をうらやむ人は多い。♠〈幸運をうらやむ〉他人の幸運をうらやんでも始まらない。♠〈人もうらやむ仲〉人もうらやむ仲の二人は、子宝にも恵まれ幸せな毎日をおくったという。 **うららか(麗らか)** ○晴れてのどかなさま。気分が晴れ晴れとしているさま。[文例]〈うららかな春〉うららかな春の日差しに、野山の草木がいっせいに萌え始めました。♠〈うららかに晴れる〉うららかに晴れた空に、ひばりがさえずっています。♠〈うららかな気分〉春の陽気に誘われて[さそわれて]、うららかな気分で野原を歩き回った。 **うり(瓜)** ○ウリ科の植物の総称。また、その実。[文例]〈うりのつるになすびはならぬ〉うちの親は、ぼくの成績が悪いと言うけど、うりのつるになすびはならぬといって、親にも少しは責任があるよ。♠〈うり二つ〉この間、きみとうり二つの弟さんが図書館にいて、思わず声をかけてしまったよ。♠〈うりの皮は大名にむかせよ〉うりの皮は大名にむかせよとはいっても、これでは厚すぎて、食べるところがほとんどないよ。♠〈瓜にツメあり、爪にツメなし〉。♠〈瓜売りが、瓜売りに来て、瓜売り残し、売り売り帰る瓜売りの声〉。 **うり【売り】** ○売ること。売る時期。売る人。[文例]〈売りに出る〉前から欲しいと思っていた本が、古本市で売りに出ていた。♠〈売りに出す〉人通りの多い駅前で手ごろな広さの店が売りに出されていた。♠〈売り買い〉浜では、取れたばかりの魚の売り買いが行われている。♠〈たたき売り〉テレビや映画では見るものの、バナナのたたき売りというのは実際にはあまり見かけません。♠〈売りことばに買いことば〉売りことばに買いことばで、無神経な発言からけんかが始まることがあります。 **うりあげ【売り上げ】** ○売って得た代金。[文例]〈店の売り上げ〉〈売り上げが伸びる〉ここ数年、店の売り上げが伸びてきたので、店員を増やそうと思う。♠〈商品の売り上げ〉新しいコマーシャルが人気を呼び、商品の売り上げも倍増した。 **うりこ・む【売り込む】** ○積極的に売る。売りつける。名前や信用を広める。[文例]〈商品を売り込む〉自国の商品を売り込むために、アメリカから通商団が来日した。♠〈自分を売り込む〉作家志望の少女は、自分を売り込むために作品をもって出版社を回った。 **うりだし【売り出し】** ○商品を新しく売り始めること。大量に売ること。名前や評判を広めること。[文例]〈商品の売り出し〉消費者待望の商品の売り出しとあって、開店前から客が並ぶありさまです。♠〈大売り出し〉駅前商店会では、土曜日から大売り出しを行います。♠〈売り出し中の芸人〉あれが今売り出し中の若手落語家だ。 <107> **うりもの【売り物】** ○売る品物。商品。人の目をひいたり、歓心を買うもの。人にうったえる特徴や価値。芸人や役者のあたり芸。[文例]〈店の売り物〉お客さま、あののれんは店の飾りで売り物ではございません。♠〈売り物にする〉彼女は、長い髪と黒いひとみを売り物にしてファンを増やした。♠〈口のうまいのが売り物〉あいつは、口のうまいのが売り物で、ほかに何のとりえもない。 **う・る【売る】** ○代金と引き換えに商品を渡す。世間に広める。一方的に押し付ける。利益のために裏切る。[文例]〈物を売る〉ぼくの本を安く売るから、だれか買わないか。♠〈家・土地を売る〉ぼくたち一家は、家も土地も売って、東京へ越して行くことにした。♠〈信用を売る〉銀行は信用[しんらい]を売る商売ですから、お客様の信頼を第一としています。♠〈生きのよさで売る〉この魚屋は、生きのよさで売って評判です。♠〈恩を売る〉就職先を世話したからといって、それで恩を売るつもりなんてありません。♠〈会社を売る〉社内の秘密をおしえて金をもらうなんて、そんな会社を売るようなひきょうなことはできません。♠〈顔を売る〉立候補予定者にしてみれば、各種の催しは自分の顔を売るもってこいの場だった。♠〈名を売る〉この人のポスターがあちこちにはってあるのは、きっと名を売って選挙にでも出るつもりなのだろう。♠〈けんかを売る〉街で不良にけんかを売られたら、さっさと逃げてきなさいよ。♠〈媚[こび]を売る〉芸人にとっては、客が何より大事ですから、少しぐらいは媚も売ります。♠〈油を売る〉どこで油を売っているのだろう、母さん、買い物に行ったまま帰ってきやしない。♠〈身を売る〉貧しいこの一帯の村では、娘[むすめ]たちが身を売ることもひんぱんであった。♠〈たたき売る〉戦後のどさくさに、家宝の器を二束三文[にそくさんもん]でたたき売ってしまったことが今、悔やまれる。♠〈売りとばす〉いまに見たまえ、彼は、あの白象を、働かせるか、サーカス団に売りとばすかするぞ。 **うる【得る】** ○↓える **うるおい【潤い】** ○湿りけ。しっとりとした感じ。ゆとり。[文例]〈肌の潤い〉〈潤いを保つ〉このクリームは、肌[はだ]の潤いを保つのに効果があります。♠〈潤いがある・ない〉この文章はなかなかよく書けているが、どうも文体に潤いがない。♠〈潤いのある暮らし〉父の事業が順調に伸びて、ぼくたちは潤いのある暮らしを送れるようになりました。♠〈潤いのある空間〉小さな部屋だが、せめて花でも飾って[かざって]、潤いのある空間にしようと思った。 **うるお・う【潤う】** ○湿りけをおびる。ゆとりができる。豊かになる。[文例]〈葉が潤う〉温かい雨に打たれて、木々の若葉が潤い、輝き[かがやき]を増している。♠〈懐[ふところ]が潤う〉久しぶりに商売がうまくいって、行商人の懐は潤っていた。 **うるお・す【潤す】** ○湿りけを与える。ゆとりを与える。豊かにする。[文例]〈渇きを潤す〉登山者は、山の中でせせらぎを見つけると、音をたてて水を飲み、のどの渇きを潤しました。♠〈のどを潤す〉酒でのどを潤しながら、宿屋の主人は、自慢ののどをきかせてくれました。♠〈土を潤す〉春雨[はるさめ]は土を潤して、草木の根の生命力をかき立ててくれます。♠〈田畑を潤す〉高い台地に水を運ぶ水道橋は、今もなお、台地の田畑を潤しています。♠〈水田を潤す〉二千年も前から稲作[いなさく]を行っていた日本では、川から農業用水を取ることによって水田を潤した。♠〈家計を潤す〉少年のわずかなアルバライト代では、とぼしい家計を潤すにはとうてい足りなかった。♠〈財政を潤す〉貧しい国の財政を潤すために、公営の賭博[とばく]場が設けられた。♠〈社会を潤す〉ささやかながら社会を潤そうと、少女たちは「町角に花を」という運動を始めました。 **うるさ・い(煩い・五月蠅い)** ○やかましい。じゃまで、わずらわしい。口やかましい。[文例]〈音がうるさい〉ステレオの音がうるさいから、もう少しボリュームを下げてよ。♠〈うるさく鳴く〉うちのにわとりは、午後になってからうるさく鳴き出して困りものだ。♠〈うるさくせがむ〉お話だの肩車[かたぐるま]だのと、うるさくせがむ子供たちも、寝顔[ねがお]を見るとつくづくかわいいものだと思う。♠〈おせっかいでうるさい〉うちの先生は、いろいろとおせっかいでうるさいのよ。♠〈時間にうるさい〉この学校は時間にうるさいとは聞いてきたけど、一分の遅刻[ちこく]でも呼び出されるのにはびっくりした。♠〈フランス文学にうるさい〉編集長は、外国文学にくわしく、特にフランス文学にはちょっとうるさいのだそうです。♠〈味にうるさい〉友達は旅館の娘なので、さぞ味にはうるさかろうと思うと、気軽にわが家に招待できない。♠〈世間の口がうるさい〉女の子が夜遊びばかりしていると、世間の口がうるさいから、気をつけなさいよ。♠〈髪がうるさい〉青年は、長い髪[かみ]をうるさそうにかきあげた。♠〈うるさいハエ〉ええい、うるさいハエだ、たたきつぶしてやる。 **うる・む【潤む】** ○湿りけをおびる。涙がにじむ。涙声になる。[文例]〈涙で潤む〉花嫁姿の娘を見ると、父親の目は涙で潤んだ。♠〈声を潤ませる〉亡くなった息子のことを、母親は声を潤ませて語った。♠〈潤む灯〉雨の中を走る列車の窓から、ぼくは潤む町の灯を眺めていた。 **うるわし・い【麗しい】** ○整って、美しい。きれいだ。気分が晴れやかだ。心を打たれるようだ。[文例]〈見目麗しい〉見目麗しい女性というのは、それだけでも得[とく]をしていますね。♠〈ご機嫌麗しい〉おじいさまにはご機嫌麗しく、心からお喜びもうします。♠〈麗しい夫婦仲〉その後、二人は麗しき夫婦仲と評判の家庭を築いていった。 **うれい【憂い・愁い】** ○心のかげり。気がかり。なげき。不安。うれえ。[文例]〈春の愁い〉去り行く春の愁いを無心な鳥や魚までも感じているようである。♠〈愁いの影〉いつもははつらつとしている彼女だが、今日は後ろ姿にも愁いの影[かげ]が見える。♠〈愁いに沈む〉秋になり、虫の声にも、また風の音、落日にも心動かされ、愁いに沈む[しずむ]毎日です。♠〈愁いを帯びる〉窓辺にたたずみ、じっと海を見つめる横顔は愁いを帯びていて、声をかけるのがためらわれた。♠〈災害を招く憂い〉山の木を伐採[ばっさい]したあと、植林しないでそのままにしておくと、災害を招く憂いがあります。♠〈再発の憂い〉退院後半年での検査で、再発の憂いはありませんと医者から告げられ、目の前が明るくなった。♠〈備えあれば憂いなし〉関東大震災で九死に一生を得たおばあさんは、備えあれば憂いなしと、日ごろから対策におこたりがない。 <108> **うれ・える【憂える・愁える】** ○心を悩ませる。心配する。不安に思う。悲しむ。なげく。[文例]〈経営の悪化を憂える〉経営の悪化を憂えて、彼はさまざまな対応策を練った。♠〈将来を憂える〉国の将来を憂える若い将校たちは、ひそかにクーデターを計画していた。 **うれし・い(嬉しい)** ○満足して、よい気持ちである。よろこばしい。[文例]〈うれしいニュース〉悪臭[あくしゅう]のひどかった隅田[すみだ]川に魚が帰ってきたといううれしいニュースも、ときどき聞かれます。♠〈親切がうれしい〉男の親切がうれしくて、鶴は「つう」という女になって、男のところに来たのでした。♠〈うれしいことに〉昨日の土曜日も晴天でしたが、うれしいことに今日もまたよいお天気です。♠〈うれしくもなんともない〉団体戦で敗れたので、個人戦で優勝しても、別にうれしくもなんともなかった。♠〈うれしい悲鳴をあげる〉このうだるような暑さに、家電メーカーはクーラーの生産に追われ、うれしい悲鳴をあげている。♠〈涙が出るほどうれしい〉お前の努力が報われて、お母さんは涙[なみだ]が出るほどうれしいよ。♠〈うれしいことを言う〉おれの右に出るものはいないなんて、うれしいことを言ってくれるぜ。 **うれっこ【売れっ子】** ○人気のある人。よく仕事などの依頼のある人。[文例]〈売れっ子の作家〉あそこで若い女の子に囲まれているのは、今売れっ子の作家らしいよ。♠〈売れっ子芸者〉ぽんた姉さんは、売れっ子芸者[げいしゃ]で、お座敷[ざしき]がかからないという日はなかった。 **うれのこり【売れ残り】** ○売れずに残ったもの。[文例]〈冬物の売れ残り〉冬物の売れ残りは、来週のセールで売り尽くしてしまおう。♠〈売れ残りの娘〉わたしは、売れ残りじゃないわよ、まだ若いんですからね。 **う・れる【売れる】** ○商品が買われていく。広く知られる。人気がある。[文例]〈高く売れる〉市場[いちば]に持っていった野菜は、思ったよりも高く売れた。♠〈飛ぶように売れる〉あまりの暑さに、球場内ではかき氷やジュースが飛ぶように売れた。♠〈名が売れる〉苦労しながら小説を書いてきたおじも、近ごろようやく名が売れてきた。♠〈顔が売れる〉話題が多く顔も売れてるから、生徒会長はやっぱり中山さんだね。 **う・れる【熟れる】** ○果実などが熟する。成熟する。[文例]〈実が熟れる〉かきの実は赤く熟れ、低いえだから、子供たちにもがれていく。♠〈熟れたトマト〉朝、畑に熟れたトマトをもぎ取りに行くのが、ぼくの仕事です。♠〈あけびが熟れる〉山のあけびは、熟れるとたてに割れますが、それを山のカラスがつつきにきます。♠〈熟れた果実〉くだもの屋さんの店先には、かき、なし、ぶどうと、たくさんの熟れた果実が並べられている。 **うろうろ** ○あてもなく動き回るさま。迷い、さまようさま。[文例]〈うろうろする〉入社して一か月は、どうしていいか分からず、うろうろしているうちに終わってしまった。♠〈うろうろする〉犯人グループの一人は、逃げ遅れてうろうろしているところを捕まった[つかまった]。♠〈うろうろ歩き回る〉知らない町をうろうろ歩き回っているうちに、帰る道が分からなくなってしまった。 **うろおぼえ【うろ覚え】** ○ぽんやりと記憶していること。不確かな記憶。[文例]〈道をうろ覚え〉一度行ったことはあったが、そこまでの道順はうろ覚えであった。♠〈うろ覚えの歌〉「あかあかと一本の道とほりたり……」と、うろ覚えの斎藤茂吉[さいとうもきち]の歌を口ずさんでみた。 **うろこ(鱗)** ○魚などの体をおおう薄い小片。[文例]〈魚のうろこ〉釣り上げた魚のうろこが日を受けてキラキラと光った。♠〈目からうろこが落ちる〉男は高名な僧の話を聞いて、目からうろこが落ちたように迷いからさめた。 **うろた・える** ○あわてて、まごまごする。ろうばいする。[文例]ひそひそ話をしていたので、先生から急に指されても質問内容がわからず、うろたえてしまった。♠頼りにしていた夫に死なれたわたしはうろたえ、なすすべがなかった。♠交通事故を起こした友人は、その瞬間[しゅんかん]すっかりうろたえてしまい、通報が遅れてしまったそうだ。♠急な話で最初はうろたえましたが、今は新しい転勤先に出発する決心がつきました。 **うろつく** ○あてもなく、うろうろと歩き回る。[文例]〈街をうろつく〉夜の街をうろついていたら、おまわりさんに注意された。♠〈怪しい男がうろつく〉事件当時、現場付近を怪しい男がうろついていたのが目撃[もくげき]されている。 **うわき【浮気】** ○心がうわついていること。心変わりしやすいさま。一時的に他の異性に心を引かれること。[文例]〈浮気な性格〉彼は浮気な性格で、何でも長続きしたためしがない。♠〈浮気な人〉彼女は浮気な夫にあいそをつかして、実家に帰ってしまった。♠〈浮気をする〉うちのお父さんが浮気をするなど、考えられないことです。♠〈浮気がばれる〉彼は浮気がばれないように注意しているが、奥さんはうすうす気づいているようだ。 **うわごと(譫言・囈言)** ○正気を失った時に無意識に出る言葉。[文例]〈うわごとを言う〉高熱にあえぐ老人は、苦しい息づかいで何かしきりにうわごとを言い始めた。♠〈うわごとを口走る〉隣に寝ていた弟が夢でもみたのか、うわごとを口走った。 **うわさ(噂)** ○確かでないことを世間に言いふらすこと。また、その話。その場にいない人について話すこと。また、その話。[文例]〈うわさが広まる〉先生が春休みに結婚[けっこん]するといううわさは、あっという間に、クラスじゅうに広まりました。♠〈うわさをする〉東京の学校はどんなだろうかと、みんなで時々、転校して行った田中君のうわさをしています。♠〈うわさになる〉沼[ぬま]に怪魚[かいぎょ]が出るという話がうわさになり、見物人の数は増えるばかりとなった。♠〈うわさが流れる〉ある日、南部の小さな村に、戦争が終わったといううわさが流れてきました。♠〈うわさにたがわぬ〉光りかがやく「かぐやひめ」は、うわさにたがわぬ美人です。♠〈うわさにのぼる〉あんなにさわがれた事件も、もう忘れられ、今では人のうわさにものぼらなくなりました。♠〈うわさでもちきり〉朝、登校すると、木村君が北海道へ転校するといううわさでもちきりだった。♠〈うわさの人物〉向こうから歩いてくるのがうわさの人物だ。♠〈うわさをすれば影〉最近姿を見かけないと話していたら、うわさをすれば影[かげ]、当の本人[ほんにん]が向こうからやってきた。♠〈人のうわさも七十五日〉「人のうわさも七十五日」というけれど、今では一月もたたないうちに、話題にされなくなる。♠〈うわさ話〉近所のうわさ話などは、聞き流すようにしたほうがいいと思います。 <109> **うわすべり【上滑り】** ○表面を滑ること。物事のうわべしか理解せず、かるはずみなこと。[文例]〈上滑りする〉信頼できるデータがないものだから、話が上滑りするだけで、結論らしきものは出ない。♠〈上滑りな論議〉将来を見通した意見はさっぱりで、上滑りな論議があきもせず続いていた。 **うわず・る【上擦る】** ○(声などの)調子が高くなる。冷静さを失って浮つく。[文例]〈声が上ずる〉発表会では、緊張[きんちよう]のあまり声が上ずってしまいました。♠〈上ずった声〉ラジオから事故を知らせるアナウンサーの上ずった声が聞こえてきた。 **うわつく【浮つく】** ○調子に乗って、落ち着かなくなる。慎重さを欠いて、軽はずみになる。[文例]成績がトップになったからといって浮ついていると、すぐ追い抜かれてしまうぞ。♠〈気持ちが浮つく〉彼は、近ごろ気持ちが浮ついているようだ。♠〈浮ついた気分〉仲間の死は、浮ついたぼくたちの気分を一瞬[いっしゅん]にして吹き飛ばした。 **うわっつら【上っ面】** ○表面。外面。うわべ。うわつら。[文例]〈地面の上っ面〉大雨が降り続いて、上っ面の土をすっかり洗い流してしまった。♠〈うわっつらで判断する〉物事はうわっつらだけを見て判断してはいけない。♠〈人のうわっつら〉人はうわっつらだけではよく分からないものです。♠〈うわっつらをなでる〉この文章は、問題のうわっつらをなでただけでつっこみが足りない。 **うわて【上手】** ○上の方。一段すぐれていること。また、その人。高圧的な態度。相撲で相手の差し手の上からまわしを取ること。[文例]〈一枚うわて〉スキーの腕は、ぼくより弟のほうが一枚うわてだ。♠〈うわてに出る〉こちらの弱みにつけこんで、相手はうわてに出てきた。♠〈上手を引く〉横綱が上手をぐいと引いて投げを打つと、相手は顔を真っ赤にしてこらえた。 **うわのそら【上の空】** ○他に気を取られて、ぼんやりとしていること。[文例]〈上の空で聞く〉昨日入院した父のことが気がかりで、今日の授業は上の空で聞いていた。♠彼にはよほど気になることがあるらしく、さっきから何を言っても上の空です。 **うわべ【上辺】** ○表面。外面。うわつら。[文例]〈うわべを飾る〉うわべだけを飾らないで、内面を磨き[みが]なさい。♠〈うわべをつくろう〉彼は、やさしそうにうわべをつくろっているが、実は冷たい男だ。 **うわまわ・る【上回る】** ○分量や程度が基準をこえる。[文例]〈予想を上回る〉オリンピック大会で、日本の選手は予想を上回る金メダルを獲得[かくとく]した。♠〈想像を上回る〉実際に見るオーロラは、わたしの想像をはるかに上回って美しかった。♠〈数が上回る〉数のうえでは、こちらが上回っているが、内容的には向こうが上だ。 **うわ・る【植わる】** ○植えられる。植えた状態になる。[文例]〈すいかが植わる〉海辺の砂地には、見渡す限り緑のすいかが植わっていた。♠〈木が植わる〉ぼくは、近くの神社にたくさん植わっているクスノキを下から見上げて、アゲハチョウの幼虫を探した。 **うん【運】** ○めぐりあわせ。運命。[文例]〈運がよい〉困っているところに友達が通りかかるなんて、ぼくはほんとうに運がよかったよ。♠〈運よく〉空襲[くうしゅう]で町が次々と焼き払われていったが、ぼくの家だけは、運よく焼けずに残った。♠〈運が悪い〉一回よそ見をしただけなのに先生に見つかるなんて、どうしてこんなに運が悪いのかな。♠〈運がある・ない〉いつもがんばっているのにまた失敗したなんて、よくよくあの人も運のない人だ。♠〈運が向く〉隣[となり]の席に、クラス一のかわいい子がくるなんて、ぼくにもやっと運が向いてきたぞ。♠〈運が開ける〉努力のかいあって運が開けてきたらしく、商売はここにきて順調にのびている。♠〈運が強い〉三階のベランダから落ちてかすり傷だけとは、ほんとうに運の強い子だ。♠〈運を天に任せる〉やるだけの事をやったなら、後は運を天に任せればよい。♠〈運の尽き〉こら、そこにいる者、運の尽きだとあきらめて、おとなしく出てこい。♠〈運の分かれめ〉この道を右に行くか、左に行くか、ここが運の分かれめだ。♠〈時の運〉勝負は時の運、勝つ者があれば、必ず負ける者もある。♠〈運不運〉人生には運不運はつきものだが、だからといって手を抜くのはよくない。 **うんえい【運営】** ○組織を機能させること。催しなどを実行すること。[文例]〈会の運営〉生徒会の運営は、生徒の代表である生徒会役員に任されています。♠〈文化祭を運営する〉文化祭を運営する委員は、文化祭を成功させようと、毎晩遅くまで企画を練っています。♠〈運動会を運営する〉今年から運動会は生徒会が運営することになったので、みんなはりきって取り組むようになった。♠〈部を運営する〉ぼくの所属している写真部はうまく運営されていますが、問題のあるクラブもあります。♠〈運営方針〉競技会の運営方針については、各校から一人ずつ代表が出て、話し合うことに決まりました。 **うんか(雲霞)** ○(雲やかすみのように)人が群がり集まること。[文例]〈雲霞のごとく押し寄せる〉敵は雲霞のごとく押し寄せて、砦[とりで]を攻撃[こうげき]してきた。♠〈雲霞のごとき大軍〉城は雲霞のごとき大軍に囲まれて、ついに落城した。 **うんこう【運行】** ○定まった進路をめぐること。[文例]〈天体の運行〉プラネタリウムは、映写機で丸天井[てんじょう]に天体の運行を映す装置[そうち]です。♠〈列車の運行〉昨日からの大雪で、列車の運行は大幅に遅れ、駅は大混雑になった。 <110> **うんこう**【運行】○乗り物が路線に沿って進むこと。[文例]〈運行の見通し〉大雪のため、列車の運行の見通しが立ちません。 **うんこう**【運航】○船や飛行機が航路に沿って進むこと。[文例]〈運航する〉おじは瀬戸内海を運航する客船の船長でした。♠〈船の運航〉暴風雨のため、連絡船は運航を中止することになりました。 **うんざり**○いやけが差すさま。あきあきするさま。[文例]この民宿の料理はおいしいが、こう毎日魚ではうんざりだ。♠〈うんざりする〉先輩のくどくどとした説教を聞かされてうんざりした。 **うんさんむしょう**【雲散霧消】○(雲や霧が消えるように)あとかたもなく消えること。[文例]〈雲散霧消する〉高原のさわやかな風に吹かれて歩いているうち、ゆううつな気分は雲散霧消してしまった。♠〈雲散霧消する〉母の病気でアメリカ留学の夢は雲散霧消した。 **うんせい**【運勢】○幸運と不運のめぐりあわせ。[文例]〈運勢を見る〉おみくじを引いて、今年の運勢を見てみよう。♠〈運勢をうらなう〉運勢をうらなってもらったら、ぼくは将来有名になると出たけど本当かな。♠〈今年の運勢〉わたしの今年の運勢は、波乱に富んでいろいろな事が起こるそうです。 **うんそう**【運送】○貨物などを運んで届けること。[文例]〈運送する〉引っ越しの荷物はトラックで運送して、ぼくたちは車で行くことにした。♠〈貨物の運送〉この列車の一両目と二両目は、貨物の運送に使われています。♠〈運送屋〉おじさんの家でいらなくなった机を運ぶのに、運送屋さんを頼んだ。 **うんちく**(蘊蓄・薀蓄)○蓄積された知識や学問。[文例]〈うんちくを傾ける[かたむ]〉サブちゃんは、ぼくらを前に真顔[まがお]で、イタチの最後っぺについてうんちくを傾けて[かたむ]いた。♠ギリシア悲劇に関する彼の蘊蓄は、仲間うちでは並ぶ者がないほどであった。 **うんでいのさ**【雲泥の差】○天と地ほどのへだたり。非常に大きな差。[文例]〈雲泥の差がある〉あのチームとぼくたちとでは、力に雲泥の差があって勝負にならないだろう。♠同じ曲でも、レコードと生演奏とでは雲泥の差だ。 **うんてん**【運転】○車両や機械などを動かすこと。資金などを動かし、活用すること。[文例]〈車の運転〉車の運転をする人にとって、眠くなるということは最も危険な状態です。♠〈運転する〉この新しい機械は、来週から運転される予定だ。♠〈運転資金〉彼は土地を売って、会社の運転資金にあてることにした。 **うんどう**【運動】○物体の動き。体を動かすこと。多くの人にはたらきかけること。[文例]〈ふりこの運動〉ふりこ時計は、ふりこの運動によって、針の進む速さが一定になっています。♠〈天体の運動〉太陽系をはじめ、恒星[こうせい]や宇宙など、天体の運動について考えてみよう。♠〈運動をする・運動する〉ぽくといっしょに野球をしたり、スキーをしたり、運動をする父は、まだまだ若い。♠〈いい運動〉〈運動になる〉早足で歩くことは、いい運動になる。♠〈運動をもり上げる〉この地区の人たちは、みんなで一つになって、騒音[そうおん]公害をなくす運動をもり上げています。♠〈運動を起こす〉十九世紀後半、フランスの若い画家たちは、物の印象をそのまま表現する印象派の運動を起こした。♠〈運動不足〉ふだん、家の中でしか仕事をしないお母さんは、運動不足で太りぎみです。♠〈運動神経〉スポーツの選手になるのもいいけれど、こう運動神経がにぶくては望みがありません。 **うんぬん**(云云)○後を省略する時の言葉。あれこれ言うこと。[文例]〈~うんぬん〉生徒会長のリコールうんぬんは後回しにし、先に規約改正について討議します。♠〈うんぬんする〉職員が乗務をすっぽかしたり、飲酒運転したりするから、内部の規律をうんぬんされるんだ。♠〈結果をうんぬんする〉今さら結果をうんぬんしても始まらない。 **うんばん**【運搬】○物を他の場所に運ぶこと。[例]〈土の運搬〉トンネルの工事場では、掘り出した土の運搬にトロッコが使われていました。♠〈運搬する〉川沿いのこの町では、昔から荷物を運搬するのに船が使われてきた。 **うんめい**【運命】○人の力ではどうにもならないなりゆき。めぐりあわせ。さだめ。[文例]〈小舟[こぶね]の運命〉あらしの中、木の葉のようにただよう小舟[こぶね]の運命を知る者は、今や神のみであった。♠〈運命をたどる〉〈幸福な運命〉金持ちの老夫婦に拾われた赤ちゃんは、すくすくと育ち、幸福な運命をたどりました。♠〈~運命にある〉民主的な現代社会においては、敬語はやがてすたれていく運命にある、とする見方があります。♠〈運命にもてあそばれる〉戦争で破損した仏像は、運命にもてあそばれるように、次から次へと人手にわたった。♠〈人間の運命〉雪山で遭難[そうなん]し、奇跡的に助かった若者が翌年交通事故で亡くなるとは、人間の運命は分からない。♠〈劇的な運命〉『平家物語』には、平家一門の興隆[こうりゅう]から没落[ぼつらく]、滅亡[めつぼう]の道をたどる劇的な運命が書かれている。♠〈運命をともにする〉乗組員を全員避難させた船長は、一人、沈む船と運命をともにしたのであった。♠〈運命づける〉養殖のカブトムシは、子孫を残すことなく、一代で滅びる[ほろ]ことを運命づけられていた。 **うんよう**【運用】○物事のはたらきを高め、活用すること。[文例]〈資金の運用〉資金の運用にあたっては、損を生じないよう、その方法を慎重に考える必要がある。♠〈法の運用〉〈運用を誤る〉法の運用を誤ると、法そのものに対する国民の信頼感[しんらいかん]がうすらぐ。♠〈運用を図る〉われわれは、税金を納めている以上、正しい運用が図られているか否かを見守る必要がある。♠〈施設を運用する〉立派な屋内体育館、屋内プールを建設しても、施設がうまく運用されないと、税金のむだ遣いになる。♠〈運用資金〉新たに事業を起こすにあたり、運用資金の調達をどのように図るかが問題となった。 **え**【絵】(画)○物の姿・形をかき表したもの。図画。絵画。画。 <111> **え【絵・画】** ○物のかたちや像を、線・色などで平面にかいたもの。えがいたもの。映像。[文例]〈絵をかく〉ぼくの趣味[しゅみ]は、音楽を聞くことと絵をかくことです。♠〈絵にかく〉幼稚園[ようちえん]の子が、父親の顔を絵にかいた。♠〈絵に見る〉当時の庶民[しょみん]の生活がどんなであったか、この絵に見ることができる。♠〈絵が掛かる〉明るい喫茶室の壁には、美しい絵が一枚掛かっています。♠〈絵をよくする〉多才な彼は、詩や小説を書くだけではなく、絵もまたよくした。♠〈テレビの絵〉電波の状態が悪いのか、受像機が古いせいか、テレビの絵が時々消えることがある。♠〈絵になる〉この役者の身のこなしは、実に絵になる。♠〈絵から抜け出る〉あの娘[むすめ]の美しさといったら、まるで絵から抜け出たようだ。♠〈絵のように美しい〉真っ青な空と海、全島を緑でおおわれた島は、絵のように美しかった。♠〈絵にかいたよう〉打った! 入った! 絵にかいたようなホームランです。♠〈絵にかいたもち〉どんなにすばらしく見えても、実行できない案は「絵にかいたもち」と同じだ。 **え【柄】** ○器物に付いた、手で持つための棒状の部分。または、それに似た物。[文例]〈柄のついたブラシ〉水をまき、長い柄のついたブラシでごしごしこすって床[ゆか]をきれいにした。♠〈ひしゃくの柄〉ふたのないなべだの、柄のとれたひしゃくだの、出てきたのはがらくたばかりだ。♠〈きのこの柄〉きのこは、かさの部分とそれを支える柄の部分からできています。 **えいい【営為】** ○いとなみ。[文例]〈日々の営為〉わたしたち人間の日々の営為の中にも、生き物としての本性があらわれることがある。♠〈暮らしの営為〉家事や育児も、世代をこえて女に伝えられてきた暮らしの営為なのです。 **えいい【鋭意】** ○一心に励むこと。一生懸命。努めて。[文例]〈鋭意努力中〉期日までに完成するよう、鋭意努力中です。♠〈鋭意~する〉彼らは、このなぞを一刻も早く解明しようと鋭意研究しているのです。 **えいえい【営営】** ○せっせと働くさま。たゆまず励むさま。[文例]〈営々と〉国家の情勢が刻々と変わっていく中でも、人々は営々として働き続けた。♠〈営々と〉いつの時代も、庶民はこうして営々と働いてきたのだろう。 **えいえん【永遠】** ○時間的に際限がないこと。無限に続くこと。とわ。とこしえ。[文例]〈永遠に続く〉真理を求める人々の闘い[たたかい]は、永遠に続く。♠〈永遠に伝える〉戦争の悲惨[ひさん]さを永遠に語り伝え、平和な人間社会を築きたい。♠〈永遠に残る〉ベートーベンの第九交響曲は永遠に残る名曲である。♠〈永遠に日の目を見ない〉失敗の連続であった彼の研究は、永遠に日の目を見ないまま、中止された。♠〈永遠のなぞ〉関係者が死んだ今、事件の真相は永遠のなぞに包まれたままだ。♠〈永遠の眠り〉苦しみの多かった一生を終えて、母は永遠の眠りについた。♠〈永遠の真理〉この世で生命あるものが必ず死に、盛ん[さかん]なものがいつか滅びる[ほろびる]運命にあることは、永遠の真理である。♠〈永遠のスター〉若くして死んだこの俳優[はいゆう]は、今なお世界中のファンから愛され、永遠の青春スターとなっている。 **えいが【映画】** ○撮影した映像をスクリーンに映写するもの。[文例]〈映画を見る〉昨日見た映画は、とても怖かった。♠〈映画に出る〉その俳優の出る映画を、ぼくはほとんど見ている。♠〈映画を撮る〉〈映画監督〉将来は、映画監督[かんとく]になって、きみを主演女優にした映画を撮ってみたいな。 **えいが【栄華】** ○力や富を得て、栄えること。また、そういう生活。[文例]〈栄華をきわめる〉さしもの栄華をきわめた平家一門も西海[さいかい]に消えたのである。♠〈栄華の夢〉藤原氏[ふじわらし]三代の栄華の夢の残る金色堂[こんじきどう]は雨にぬれていた。♠〈栄耀栄華〉一族の栄耀栄華が末代まで続くようにと願って、氏神がまつられた。 **えいかん【栄冠】** ○名誉・勝利を得た者がそのしるしとしてかぶる冠。名誉ある地位・資格。[文例]〈勝利の栄冠〉はたして勝利の栄冠は、だれの頭上[ずじょう]に輝く[かがやく]であろう。♠〈栄冠に輝く〉優勝の栄冠に輝いた選手たちは、満面に笑みをうかべてVサインを送っていた。 **えいき【英気】** ○すぐれた才気や気性。[文例]〈英気を養う〉来月からテニス部の合宿が始まるので、今はのんびり英気を養っています。 **えいきゅう【永久】** ○時間的に際限がないこと。無限に続くこと。永遠。[文例]〈永久の平和〉日本国憲法は「戦争の放棄」という永久の平和をうたった平和憲法である。♠〈永久に続く〉真理を追究する科学者の研究は、どのような障害をも越えて、永久に続く。♠〈永久に消えない〉アメリカでの留学生活の思い出は、永久にぼくの胸から消えることはないだろう。♠〈永久不変〉すべてのものが移りゆくこの世で、永久不変なものなど何もない。♠〈半永久的〉一度飲んだら、この薬の効果は半永久的に続くと言われている。 **えいきょう【影響】** ○ある作用が他に及んで、変化を引き起こすこと。また、その結果。[文例]〈影響が出る〉南海上[みなみかいじょう]に発生した台風の日本への影響は、明日の夜半[やはん]から出てくるもようです。♠〈影響が大きい〉うちの子供たちの行儀がよいのは、祖母の影響が大きい。♠〈影響を及ぼす〉父の転勤の多かったことが、わたしたち兄弟の学校生活へ大きな影響を及ぼしました。♠〈悪い影響〉〈影響を与える〉甘いお菓子やジュースは、子供たちの歯に悪い影響を与えるので気をつけたいものです。♠〈影響を受ける〉彼の絵はフランス印象派の影響を受けている。♠〈影響がない〉わたしが一日ぐらい休んでも、仕事に影響がない。♠〈影響が少ない〉この冬は雪が多かったにもかかわらず、農作物への影響は比較的少なかった。♠〈影響をもたらす〉印刷機による出版物は、日本の文化に大きな影響をもたらしました。♠〈影響する〉親の生活態度はすぐに子供に影響するので、気をつけなければいけない。 **えいぎょう【営業】** ○利益を得るために事業を営むこと。製品などの販売を行う業務。[文例]〈店の営業〉〈営業を休む〉従業員の休養のため、本日は当店の営業を休ませていただきます。♠〈営業を停止する〉店で調理した弁当で中毒[ちゅうどく]患者[かんじゃ]が出たので、向こう一週間営業を停止させられることとなった。♠〈営業を禁止する〉この辺は通行者も多いところなので、路上での営業を禁止する。♠〈営業する〉あのマーケットは年中無休で営業しているので、本当に助かる。 <112> **えいこ【栄枯】** ○栄えることと衰えること。[文例]〈栄枯常なし〉「栄枯[えいこ]常なし」で、栄える者もやがて衰え、落ちぶれた者も盛ん[さかん]になる時がある。♠〈栄枯の夢〉幾千[いくせん]の栄枯の夢を映して、大河は流れる。♠〈栄枯盛衰〉栄枯盛衰はこの世の常である。 **えいごう(永劫)** ○永遠。永久。[文例]〈永劫に生きる〉優れた芸術は、時代を超えて永劫に生き続けるであろう。♠〈永劫の悲しみ〉大河の流れに立つと、人の世の永劫の悲しみにつつまれる思いがした。♠〈未来永劫〉たとえその体が滅び[ほろび]ようとも、魂[たましい]は未来永劫滅びることはない。 **えいさい【英才】** ○すぐれた才能。また、その持ち主。[文例]〈英才が集まる〉王都の大学には、国じゅうから競うように英才が集まっていた。♠〈英才教育〉少女は、小さいころから父親の英才教育を受けて、バレエの才能を伸ばしていった。 **えいしゃ【映写】** ○撮影したフィルムをスクリーンに映すこと。[文例]〈スライドを映写する〉外国旅行してきた友人が、旅行中に撮ったスライドを映写してみせてくれた。♠〈映写機〉市の図書館から映写機とフィルムを借りてきて、映画会を開きました。 **えいじゅう【永住】** ○いつまでもその地に住むこと。[文例]〈永住する〉中国から肉親を捜しに来たAさんは、日本に永住することを希望しているそうだ。♠〈永住の地〉神の言葉を伝えるために渡ったこの国が、宣教師の永住の地となった。 **えい・じる【映じる】** ○光や形が映る。照らされる。目に映る。印象を与える。[文例]〈月影が映じる〉静かな秋の夜、寺の池には美しい月影が映じている。♠〈夕日に映じる〉すすきの穂が夕日に映じて金色に輝く。♠〈目に映じる〉ピエロのおどけた顔は、わたしの目には悲しみの表情に映じる。♠〈心に映じる〉その時の父の姿は、幼い子の心にどのように映じていたことか。 **えいせい【衛生】** ○病気を防ぎ、心身の健康を守ること。[文例]〈衛生によい・悪い〉つめをのばしたままにしておくのは衛生によくない。♠〈衛生に気をつける〉飲食店を経営していますので、衛生には特に気をつけるようにしています。♠〈衛生的〉生産の工程で、直接に人の手が触れていないので衛生的です。 **えいせい【衛星】** ○月のように惑星の周囲をまわる天体。[文例]〈地球の衛星〉地球の衛星といえば、もちろん月です。♠〈衛星都市〉浦和[うらわ]、大宮[おおみや]などは、東京の衛星都市といえるでしょう。♠〈衛星国〉かつて東ヨーロッパの社会主義諸国をソ連の衛星国のようにいった。 **えいぞう【映像】** ○写真・映画・テレビの画像のように、光によって映し出された像。心に浮かぶものの姿・形。[文例]〈映像が写る〉どこで失敗したのか、旅行中の写真は現像したら真っ黒で、何の映像も写っていなかった。♠〈映像にとらえる〉取材班は、南極のめずらしい現象を、映像にとらえることに成功した。♠〈映像がぼやける〉スクリーンの映像がぼやけるし、火事の心配もあるので、たばこは遠慮してください。♠〈映像がゆがむ〉アンテナの調子が悪いのか、うちのテレビの映像がゆがみます。♠〈映像の時代〉現在は、文字よりも絵や写真などのほうが効果を現す映像の時代と言われる。 **えいたつ【栄達】** ○栄えて、高い位に上ること。立身出世すること。[文例]〈栄達の道〉彼は非凡な人物であったが、やがて栄達の道をふさがれて政界から遠ざかった。♠〈栄達する〉栄達した平家一門への反感は、いくつかの平家打倒の陰謀を生んだ。 **えいたん【詠嘆】(詠歎)** ○感動を声に出して表すこと。感動を詩歌・文章に表現すること。また、そのようにして表現された感動。[文例]〈詠嘆の意〉短歌や俳句などで用いられる「けり」や「かな」は、詠嘆の意を表すことばです。♠〈詠嘆する〉自然の美しさに詠嘆した作者の気持ちが、この歌から伝わってきます。 **えいだん【英断】** ○すぐれた決断。[文例]〈市長の英断〉この美しい町並みを完成させるもとになったのは、思いきった都市計画を導入した当時の市長の英断であった。 **えいち【英知】(叡知)** ○すぐれた知恵。深い知性。[文例]〈英知を生かす〉人類は、その英知を生かして、これまで多くの困難を乗りこえてきた。♠〈英知ある〉この豊かな自然を守りつつ、文明を発展させること、それが英知ある人間の使命ではないだろうか。♠〈英知を与える〉古今東西、名著といわれる多くの本が、わたしに英知を与えてくれた。♠〈英知を結集する〉この未来都市の設計図は、世界中の学者の英知を結集して完成されたものである。 **えいてん【栄転】** ○より高い地位を得て、転任すること。[文例]栄転、左遷[させん]と、悲喜[ひき]こもごもの人事異動期である。♠〈栄転する〉小林先生が隣町のK小学校の教頭として栄転されます。 **えいびん【鋭敏】** ○感覚が鋭いさま。頭の働きが鋭いさま。[文例]〈鋭敏な感覚〉一般に、動物のほうが人間より、はるかに鋭敏な感覚を持っている。♠〈鋭敏な感覚〉これは、ごく日常的な出来事を、若者の鋭敏な感覚でとらえた新しいタイプの小説だ。♠〈鋭敏に感じ取る〉いつもとちがう両親の緊張[きんちょう]した雰囲気を、子供たちは鋭敏に感じ取っていた。♠〈神経が鋭敏〉若者の神経は鋭敏で、社会の動きをすばやくキャッチする。 <113> **えいみん【永眠】** ○長い眠りにつくこと。死ぬこと。[文例]〈永眠する〉父は、昨夜十一時に永眠いたしました。生前の御厚情[ごこうじょう]に感謝し、謹んで[つつしんで]通知申しあげます。♠〈永眠する〉氏は島のために四十年近く尽くし、島民に慕われつつこの地に永眠した。 **えいゆう【英雄】** ○ぬきんでた能力を持ち、大きなことをなしとげる人物。ヒーロー。[文例]〈英雄の物語〉古くから人々は、自然との闘いや他の部族との抗争[こうそう]を、神々や英雄の物語として語り伝えてきた。♠〈英雄をたたえる〉人々に英雄としてたたえられたナポレオンだったが、その天下は長くは続かなかった。♠〈英雄色を好む〉主君のそばにはずらりと美女がはべっておったぞ。なるほど、英雄色を好むとはよく言ったものじゃ。 **えいよ【栄誉】** ○人からほめたたえられること。ほまれ。名誉。[文例]〈栄誉を担う〉地区代表としての栄誉を担って、全国大会に出場することとなった。♠〈栄誉をたたえる〉優勝校の栄誉をたたえ、同校の校歌を演奏し、校旗を掲揚[けいよう]します。♠〈栄誉に輝く〉オリンピックの陸上競技で、カール・ルイスは四冠王の栄誉に輝いた[かがやいた]。♠〈栄誉ある〉K画伯[がはく]は、このたび栄誉ある芸術院賞をお受けになりました。 **えいよう【栄養】** ○生物が成長し、活動するために必要な成分。[文例]〈栄養がある〉栄養のあるものをうんと食べて、早く元気になるのよ。♠〈栄養をとる〉植物は、土の中から窒素[ちっそ]やリンなどの栄養をとって生長する。♠〈栄養失調〉外食で偏った[かたよった]食事をしていると、栄養失調になるよ。 **えいよう(栄耀)** ○栄え輝くこと。富み栄えてぜいたくをすること。[文例]〈栄耀栄華〉藤原道長[ふじわらのみちなが]、頼通[よりみち]父子は政権を独占し、栄耀栄華をほしいままにした。♠〈栄耀をきわめる〉王家が栄耀をきわめた生活を送るなかで、領民は重税に苦しみ、貧しさにあえいでいた。♠〈藤原氏三代の栄耀〉三代の栄耀一睡[いっすい]のうちにして、大門[おおもん]の跡は一里こなたにあり。(松尾芭蕉「奥の細道」) **えいり【鋭利】** ○鋭くとがって、切れ味がよいさま。頭の働きが鋭いさま。[文例]〈鋭利な矛・刃物〉わたしの矛[ほこ]の鋭利なことといったら、どんな盾[たて]でも貫き通さないものはない。♠〈鋭利な観察力〉作者は、科学者らしい鋭利な観察力で物事を注意深く見きわめている。♠〈鋭利な頭脳〉鋭利な頭脳の持ち主だったが、策におぼれたらしい。 **えいり【営利】** ○利益を求めること。利益を得ること。金もうけ。[文例]〈営利を目的とする〉株式会社など、営利を第一の目的とする法人を企業という。♠〈営利行為〉公共の施設[しせつ]内で営利行為を行うには許可が必要です。 **エース** ○トランプの1の札。第一人者。主戦投手。[文例]ハートのエースがほしいんだが、だれの手にるのかな。♠〈会社のエース〉きみは、わが社のエースなんだから、じっくり病気を直して仕事に戻って[もどって]くれたまえ。♠〈野球のエース〉決勝戦は、当然のことながら、両チームともエースの登板となった。 **えがお【笑顔】** ○にっこり笑った顔。笑い顔。[文例]初めてパーティーに誘った[さそった]時の、彼女の困ったような笑顔が忘れられない。♠〈笑顔を絶やさない〉母は、どんな時も笑顔を絶やさない人でした。♠〈笑顔を浮かべる〉チョコレートを差し出すと、むずかっていた子がやっと笑顔を浮かべた。 **えがく【描く】** ○絵や図にかく。表現する。思い浮かべる。[文例]〈風景を描く〉彼は、風景を描く画家として知られています。♠〈地図に描く〉行けども行けども、地図に描かれているような湖は見つからなかった。♠〈模様を描く〉女性の和服に描かれている模様には、植物を図案化したものが圧倒的に多い。♠〈波紋を描く〉投げた小石は、水面に静かな波紋を描きながら、水中に沈んで[しずんで]いった。♠〈円を描く〉お昼になると、わたしたちは芝生[しばふ]の上に円を描いて座った。♠〈輪を描く〉晴れた空に、トンビが一羽、輪を描きながら飛んでいる。♠〈カーブを描く〉一直線にのびたハイウエーは、湖の辺りでゆるいカーブを描いています。♠〈弧を描く〉彼の投げたボールは、大きな弧を描いてぼくの足元に落ちた。♠〈文章に描く〉まず、何でもよいから、頭の中に浮かんだことを文章に描くということから始めましょう。♠〈詩・小説に描く〉詩や小説に描かれた、人間の心理の奥底を知り、その内面をさぐってみよう。♠〈生涯を描く〉この映画は、インド独立のために一生をささげたガンジーの生涯を描いたものである。♠〈情景を描く〉作者は、戦闘[せんとう]場面の情景を前後十ページにわたって描いている。♠〈生活を描く〉このSF小説は、これから起こるであろう未来の人類の生活を描いていて、興味が尽きない。♠〈生き生きと描く〉ここには、当時の人々の喜びや悲しみが生き生きと描かれている。♠〈鋭く描く〉この二つの作品は、いずれも現代人の持つ孤独感[こどくかん]を鋭く[するどく]描き出しています。♠〈まぶたに描く〉少年は、まだ見ぬ母の面影[おもかげ]をまぶたに描いていた。♠〈心に描く〉この詩に表現されている子供たちの様子を心に描いてみましょう。♠〈夢に描く〉長い間夢に描いていた海外旅行が、ついに現実のものとなった。 **えがた・い【得難い】** ○手に入れにくい。貴重だ。[文例]〈得難い経験〉ボランティア活動に参加し、有意義で得難い経験をした。♠〈得難い機会〉音楽家をめざす彼にとって、ドイツ留学の誘いは得難い機会だった。 **えき【液】** ○液体。流動体。[文例]〈ぶどうの液〉ワインは、ぶどうの液を搾って[しぼって]、発酵[はっこう]させて造るのだそうだ。♠〈液が流れる〉運搬[うんぱん]中、びんが割れて中の液が流れ出してしまった。♠〈液につける〉〈石けんの液〉ひどい汚れは、石けんを溶かした液に一晩[ひとばん]つけておくと、よく取れます。♠〈液を浸す〉傷口は直接手でさわらず、消毒用の液を浸した[ひたした]脱脂綿でふいてください。♠〈液を分泌する〉食物がわたしたちの体内の消化を助けるための液が分泌される。 <114> **えき【駅】** ○停車場。宿場。[文例]二時に着くそうだから、十分前には駅へ行ってるようにします。♠かつて、駅は出会いと別れの場であった。♠この町も区画整理が進んで、駅ビルができるらしい。♠〈駅におりる〉さいはての駅に下り立ち/雪あかり/さびしき町にあゆみ入りにき(石川啄木) **えき【益】** ○とく。もうけ。ためになること。役に立つこと。[文例]〈益をもたらす〉目に見えるところ、見えないところで、多くの生物が人間に益をもたらしてくれる。♠〈益がある・ない〉蛇は人々の生活にとって益があるとして、大事にする地方が多い。♠〈益になる〉そんなばかなことをして何の益になるんだ? **えき【易】** ○中国伝来の占いの一つ。はっけ。[文例]易は中国から伝わった占いの方法の一つで、ぜいちくを使います。♠〈易を立てる〉場所を決めるにも、日取りを決めるにも、いちいち易を立ててもらう人もいます。 **エキサイト** ○興奮すること。[文例]〈エキサイトする〉熱戦にエキサイトし、グラウンドに物を投げ込む観客もいます。♠〈エキサイトする〉議論しているうちに両者ともエキサイトして、けんかになるということがよくあります。 **エキス** ○有効な成分を濃縮した液。物事の精髄。本質。エッセンス。[文例]〈にんにくエキス〉にんにくエキス入りのドリンクを毎日少量飲むのが、わたしの健康法だ。♠〈文学のエキス〉この本を読んで、王朝文学のエキスに触れることができた。 **エキスパート** ○専門家。熟練者。[文例]この学校を卒業した人たちは、各方面でエキスパートとして活躍している。♠〈エキスパートになる〉将来は幼児教育のエキスパートになるつもりです。 **エキセントリック** ○風変わりだ。常軌を逸している。[文例]〈エキセントリックな感じ〉キンキンするような甲高い[かんだかい]声でしゃべる、妙にエキセントリックな感じのおばさんだ。♠〈エキセントリックな行動〉彼のエキセントリックな行動を、周りの人たちは困惑[こんわく]して見守っていた。 **エキゾチック** ○外国の雰囲気・情緒のあるさま。異国的。[文例]〈エキゾチックな風景〉スケッチブックには、ヨーロッパのエキゾチックな風景や少女の絵などが描か[えがか]れていた。♠〈エキゾチックな顔だち〉彫り[ほり]の深いエキゾチックな顔だちをした青年でした。 **えきたい【液体】** ○体積はあっても一定の形をもたない物質状態。[文例]〈液体と気体〉水は液体ですが、熱を加えると水蒸気になり、気体に変化します。♠〈固体と液体〉一定した形のある固体とちがって、水などの液体は、容器に入れなければ流れてしまう。♠〈液体を満たす〉ボーイは、ぼくたちの前にワイングラスを並べ、静かに赤い液体を満たした。♠〈液体を入れる〉理科準備室の戸棚[とだな]には、いろいろな色の液体を入れたびんがきちんと並べられてある。♠〈液体に浸す〉植物の繊維[せんい]をほぐした糸は、一週間ぐらい、染料を溶かした液体に浸しておきます。♠〈液体がたれる〉疾走[しっそう]して行くトラックの荷台の端からは、泥[どろ]まじりの液体がぽたぽたとたれていた。♠〈液体になる〉ちょっと油断しているうちにアイスクリームが溶けて、どろどろの液体になってしまった。 **えきとう【駅頭】** ○駅の前。[文例]〈駅頭で見送る〉甲子園に向かう選手たちを生徒や家族が駅頭まで見送った。♠〈駅頭に迎える〉新しく赴任[ふにん]する若い税務署長を、職員が駅頭に迎えた。 **えくぼ(笑窪・靨)** ○笑う時などにできる、ほおの小さなくぼみ。[文例]〈えくぼができる〉赤ちゃんが笑うと、ほおにかわいいえくぼができた。♠〈えくぼが浮かぶ〉日に焼けた笑顔に子供っぽいえくぼが浮かぶ。♠〈えくぼを寄せる〉眼を細くして、白い歯を出して、小さな靨をよせて、笑っているのを見ると(……)(芥川龍之介「戯作三昧」)♠〈あばたもえくぼ〉恋をすると、あばたもえくぼで、どんなところでもよく見えてくるらしい。 **えぐ・る(抉る・割る)** ○突き刺して彫り取る。物事の本質を取り出す。心に強い衝撃を与える。[文例]〈しんをえぐる〉どんぐりのしんをえぐり、削ったつまようじを差し込んで小さなこまを作った。♠〈木の幹をえぐる〉くり舟は、木の幹をえぐって作った丸木舟[まるきぶね]のことです。♠〈船底をえぐる〉津波[つなみ]で浜に押し上げられた漁船は、船底[ふなぞこ]をえぐり取られ、無残な姿をさらしていた。♠〈核心をえぐる〉彼の発言は、問題の核心をえぐるものであった。♠〈胸をえぐられる思い〉両親を失ったことも知らずにたわむれる幼い兄弟に、胸をえぐられる思いだった。♠〈肺腑をえぐる〉銃が火を吹くと同時に、おおかみのきばがひらめき、肺腑[はいふ]をえぐるようなほえ声がひびいた。 **えげつな・い** ○露骨でいやらしい。やり方があくどい。[文例]〈えげつないせりふ〉断ると、そのセールスマンは、えげつない捨てぜりふを吐いて出て行った。 **エゴ** ○自我。我。[文例]〈エゴが強い〉エゴの強い人なので、周囲と協調しにくいところがある。♠〈エゴを抑える〉人間関係では、お互いのエゴを抑える[おさえる]ことが大切です。♠〈エゴをむき出しにする〉遺族はみな、エゴをむき出しにして遺産の相続権を主張した。 **エゴイスト** ○利己主義者。自分勝手な人。[文例]彼があんなに思いやりのないエゴイストだとは知らなかった。♠本当に自分を大事にする人は、決してエゴイストにはならない。他人も同様に自分を大事に思っていることを知っているから。 **エゴイズム** ○利己主義。自己中心主義。[文例]〈人間のエゴイズム〉罪もない動物を人間の身勝手で殺してしまうなどというのは、人間のエゴイズムにほかならない。♠〈エゴイズムの表れ〉自分一人ぐらいは、という安易な気持ちでゴミを捨てるといった行為[こうい]も、エゴイズムの表れである。 **えこう【回向】** ○功徳[くどく]を他に施して、共に極楽往生[ごくらくおうじょう]しようとすること。死者の供養をすること。[文例]〈回向する〉ここには、だれも回向してくれる縁者[えんじゃ]のない無数の無縁仏[むえんぼとけ]が葬られて[ほうむられている]いる。 <115> **えこじ** ○↓いこじ **えそらごと【絵空事】** ○現実から離れたこと。非現実的なきれいごと。[文例]〈絵空事にすぎない〉理想を掲げるのはよいが、どう実行するかが問題にされないのでは絵空事にすぎない。♠〈絵空事をいう〉そんな絵空事をいってないで、地に足のついた生活を考えなさい。 **えさ(餌)** ○動物に与える食料。人をだましたり、さそったりするための見せかけの利益。餌。[文例]〈えさを食べる〉ときどきすずめなどがにわとりのえさを食べにくる。♠〈えさに・えさとする〉ある植物をある動物が食物とし、その動物を他の動物がえさとする。♠〈お金をえさに~する〉お金をえさに人を誘惑[ゆうわく]し、思うようにしようとたくらむ悪い人もいる。 **えじき(餌食)** ○えさとして食われる物。他人の欲望の犠牲になるもの。[文例]〈えじきになる〉卵からかえったたくさんの稚魚[ちぎょ]も、ほとんどは途中で死んだり、他の動物のえじきになったりする。♠〈悪人のえじき〉少女は、甘い誘惑[あま(い)ゆうわく]にはまり、悪い男のえじきにされようとしていた。 **えしゃく【会釈】** ○軽くおじぎをすること。他人への心づかい。[文例]〈会釈する〉紳士[しんし]は帽子を取り、軽く会釈して話を始めました。♠〈遠慮会釈ない〉彼は遠慮[えんりょ]会釈なくずけずけとものを言うので、みんなにいやがられる。 **エスエフ(SF)** ○空想科学小説。サイエンスフィクション。[文例]〈SFもの〉ぼくは、本でも映画でもSFものが大好きだ。♠〈SFの世界〉宇宙旅行なんて、SFの世界の話だと思っていたが、もはや夢ではなくなりつつある。 **エスカレート** ○段階的に拡大・増大すること。[文例]〈戦争がエスカレートする〉戦争はだんだんエスカレートしていき、とうとう全面戦争が始まった。♠〈話がエスカレートする〉話がエスカレートして、とうとう海外へ遠征しようという意見まで出る始末だった。 **エスプリ** ○機知。才気。[文例]〈エスプリのきいた話〉さすがにフランス帰りだけあって、エスプリのきいた小気味よいスピーチでした。 **えせ(似非・似而非)** ○にせ。ごまかし。まやかし。[文例]〈えせ文化人〉あいつのような、口先だけの評論家をえせ文化人というんだ。♠自分がはずかしい。 **えっけん【越権】** ○権限を越えること。[文例]〈越権行為〉生徒会で問題を起こした生徒の処分内容まで議決するのは、越権行為でしょう。 **えっけん【謁見】** ○身分の高い人に会うこと。[文例]〈謁見する〉遣欧使節の少年たちは、ローマ法王やイスパニア国王に謁見し、八年五か月後に帰国した。♠〈謁見を許す〉王様に謁見を許された。 **エッセイ** ○随筆。随想。[文例]〈エッセイを書く〉折にふれて、大学ノートなどに詩やエッセイを書きつづっている。♠〈エッセイ集〉折々に書きつづってきた文章をまとめ、エッセイ集を出版した。 **エッセンス** ○精髄。本質。エキス。[文例]〈体験のエッセンス〉俳句は、いろいろな体験のエッセンスをさらに凝縮して表現する、世界で最も短い詩である。♠〈バニラエッセンス〉洋菓子作りには、バニラエッセンスなどの香料は欠かせません。 **えつらん【閲覧】** ○(図書館などで)図書・文書を調べたり読んだりすること。[文例]〈閲覧する〉調べたいことがあって、役所で書類を閲覧させてもらった。♠〈閲覧室〉図書館の閲覧室で古い新聞を調べてみた。 **えつれき【閲歴】** ○人の社会的活動のあと。経歴。履歴。[文例]〈閲歴の持ち主〉小林氏は、時の政府の命令によって、全国の教育現場の指導にあたった閲歴の持ち主である。 **えて【得手】** ○得意であること。得意になること。[文例]〈得手不得手〉だれにでも得手不得手があるのだから、走るのが遅いからって悲観することはないさ。♠〈得手に帆を揚げる〉一回戦で大勝したぼくたちは得手に帆を揚げて、次の相手に臨んだ。♠〈得手勝手〉そんなに得手勝手なことばかりされては困る。 **えてして【得てして】** ○とかく。ともすれば。ややもすると。[文例]都会生活者は、えてして、自然を賛美するばかりでその脅威を知らないことが多い。♠頭のいい人間というものは、えてして策におぼれやすいものだ。 **えだ【枝】** ○植物の幹・茎から分かれて伸びた部分。本筋・本体から分かれ出たもの。[文例]〈木の枝〉どこから飛んできたのか、しぼんだ赤い風船が木の枝にぶら下がっている。♠〈枝が茂る〉公園の木々は、初夏に向かって、その枝を茂らせている。♠〈枝を広げる〉けやきはいっぱいにその枝を広げて、通りをおおっている。♠〈枝を伸ばす〉隣のかきの木が、うちの庭まで枝を伸ばしてきた。♠〈枝を刈り込む〉夏が終わったら、庭木の枝を刈り込まねばならないだろう。♠〈枝を交わす〉いちじくとかきは、枝を交わすように生い茂り、秋になるとその実はわが家の食卓をにぎわせてくれる。♠〈枝もたわわ〉花火が空いっぱいに傘[かさ]を開いたように、枝もたわわに柿[かき]がなっている。 **えたい(得体)** ○本当の姿。正体。[文例]〈えたいが知れない〉集まったのは、みなあやしげでえたいの知れない男たちだった。♠〈えたいが知れない〉このえたいの知れない生き物に、わたしは好奇の気持ちを起こした。 **えだは【枝葉】** ○枝と葉。物事のあまり重要でない部分。[文例]〈枝葉が茂る〉木は、だんだん太く高くなり、枝葉を茂らせ、りっぱな大木になった。♠〈枝葉にこだわる〉枝葉にこだわっていると、肝心な幹[かんじん(な)みき]の部分がおろそかになってしまう。 **エチケット** ○礼儀作法。[文例]人の言うことは最後まで聞くのがエチケットです。♠〈エチケットを守る〉エチケットを守らない人が多いのは、まったく困ったことです。 **えつ【悦】** ○喜ぶこと。満足に思うこと。[文例]〈悦に入る〉われながらうまい出来だと、一人悦に入った。♠〈悦に入る〉おせじとも知らず、みなにちやほやされて悦に入っていたというんだ。 <116> **えと(干支)** ○十干と十二支を組み合わせて年・月・日や方位などを表す方法。[文例]来年の干支[かんじゅうに]は卯[う]なので、年賀状にうさぎの絵をあしらった。♠中国では昔から年月日時に十干[じっかん]十二支[じゅうにし]を配した数え方があり、その干支にはそれぞれ五行の要素が当てられていた。 **えとく【会得】** ○物事をよく理解して、自らのものとすること。[文例]〈極意を会得する〉この道五十年、やっと芸道の極意を会得できたと思っている。♠〈技術を会得する〉技師たちは、最新の技術を会得しようと懸命[けんめい]だ。 **えにし(緑)** ○えん。ゆかり。つながり。[文例]〈不思議なえにし〉もしかしたら彼女とは不思議なえにしで結ばれているのかも知れない。 **エネルギー** ○精力。活力。活動力。物体が仕事をする力。[文例]〈エネルギーをためる〉腹がへってはいくさはできぬ、いっぱい食べてエネルギーをためておかなくちゃ。♠〈エネルギーがいる〉主婦と母親と保母の三役をこなすのには、たいへんなエネルギーがいる。♠〈エネルギー危機〉エネルギー危機が叫ばれて[さけばれて]いる今日、人類が現在の文化的生活を維持していくにはどうしたらよいか。 **えび(海老・蝦)** ○海水・淡水にすむ節足動物。[文例]〈えびのように〉男は腹のあたりを押さえ、えびのように体を曲げて苦しがっていた。♠〈えびで鯛を釣る〉「えびで鯛[たい]を釣る」というのは、わずかなもとでで大きな利益を得ることのたとえです。 **エピソード** ○話の本筋に挟みこまれる小話。ある人物の隠れた面をあらわすような話。挿話。逸話。[文例]〈エピソードを残す〉歴史上有名な人物には、その人柄[ひとがら]を表すエピソードが残されているものです。♠〈エピソードを交える〉筆者は、今までの体験や自分の考えなどについて、適当なエピソードを交えながら素直に述べている。 **エポック** ○一つの時期。新時代。[文例]〈エポックを画する〉ワープロは、文字の文化に一つのエポックを画した。♠〈エポックメーキング〉これは、オリンピック史上に残るエポックメーキングな事件である。 **えほん【絵本】** ○幼児向けのさし絵を主にした本。[文例]〈絵本を読む〉幼いころ、童話などの絵本を母さんによく読んでもらいました。♠〈絵本を見る〉まだ字は読めないけれど、まみちゃんは絵本を見るのが大好きです。 **えみ【笑み】** ○にっこり笑うこと。ほほえむこと。[文例]〈笑みを浮かべる〉祖母は、満面に笑みを浮かべて、ぼくを迎えてくれた。♠〈笑みをたたえる〉静かに笑みをたたえた母の顔を懐かしく[なつかしく]思い出した。♠〈会心の笑みをもらす〉わが作品のできばえのみごとさに、思わず会心の笑みをもらした。♠〈笑みがあふれる〉子供たちの顔には笑みがあふれ、教室は喜びの声に包まれている。♠〈笑みがこぼれる〉初孫[ういまご]を抱いた祖父の目には、やさしい笑みがこぼれていました。♠〈笑みを含む〉厳しさの中にも、見ようによっては、笑みを含んだ表情が見てとれるようであった。♠〈笑みをかわす〉少女たちは手を振り、笑みをかわして校門から別れて行った。♠〈笑みが消える〉「父急病」の知らせを受けた彼女の顔からは、見るまに笑みが消えていった。 **エメラルド** ○鮮やかな緑色に輝く宝石。[文例]〈エメラルドの指輪〉彼女の指に、エメラルドの指輪が光っていた。♠〈エメラルド色〉エメラルド色したこの湖には、不思議な伝説が伝えられている。 **えもいわれぬ【得も言われぬ】** ○言葉で表現できない。言い表せない。[文例]〈えも言われぬ色〉桜の皮で染めたというその染め物は、上気[うわき]したようなえも言われぬ色をしている。♠〈えも言われぬ美しさ〉高原にニッコウキスゲが咲きそろい、えも言われぬ美しさである。 **えもの【獲物】** ○狩りや漁でとった物。勝負に勝って手に入れたもの。[文例]〈獲物がかかる〉川岸の石に腰[こし]を下ろして、獲物がかかるのをゆっくりと待った。♠〈獲物を追う〉わたしたちの遠い祖先たちは、野山に獲物を追って生きていたという。♠〈獲物を見つける〉獲物を見つけたライオンは、姿勢を低くして近づいていった。♠〈獲物をねらう〉ねこが獲物をねらう目つきは、らんらんとして鋭い[するどい]。♠〈獲物に逃げられる〉釣り糸が切れたばっかりに、大切な獲物に逃げられてしまった。♠〈獲物をさらう〉甘い言葉につられたからすは、きつねに獲物をさらわれてしまった。♠〈狩りの獲物〉兄弟は狩りの獲物を分け合って、家路を急いだ。 **えもの【得物】** ○戦いや狩りの道具。武器。[文例]〈得物を持つ〉人々は、手に手にやりだの弓だの得物を持って、狩りに出かけた。♠〈得物を手にする〉相手は得物を手にしているから、うっかり近づかないほうがいい。 **えら(鰓)** ○水中動物が酸素を取り入れる器官。両あごの下部。[文例]魚などの水生動物はえらで呼吸をする。♠〈えらの張った顔〉えらの張った、四角い顔の男だった。 **エラー** ○失敗。失策。ミス。[文例]〈エラーをする〉神様じゃないんだから、ときにはエラーをすることもあるよ、気にするな。♠〈エラーが重なる〉運悪く警察側にエラーが重なって、みすみす犯人を取りにがしてしまった。♠〈サードのエラー〉外野からの返球を、サードのエラーで落とし、一点とられた。 **えら・い【偉い】** ○すぐれている。立派だ。感心だ。地位が高い。程度がはなはだしい。大変だ。ひどい。[文例]〈偉い学者〉日本にも、ノーベル賞を贈られた湯川秀樹[ゆかわひでき]をはじめとして多くの偉い学者がいます。♠〈偉い人〉今日の研究会には、厚生省からも偉い人が出席するとのことです。♠〈偉い人〉人のいやがる仕事を進んでやるなんて、偉い人だなあ。♠こんな簡単な事がわからないのかい、まったくきみは偉いよ。♠〈えらく暑い〉彼岸[ひがん]を過ぎたというのに、えらく暑いことではありませんか。♠〈えらいこと〉明朝までにこの原稿を書き直さなければならないとは、えらいことになったなあ。♠〈えらい騒ぎ〉角[かど]のマーケットの大売り出しで、一日中えらい騒ぎが続いた。♠〈えらい目にあう〉今度という今度はえらい目にあって、すっかりこりてしまったよ。♠〈体がえらい〉疲労[ひろう]が重なっているせいか、このごろは体がえらくて、食事の支度をするのもつらい。 <117> **えら・ぶ【選ぶ】(択ぶ)** ○目的に合ったものを取り出す。える。よる。[文例]〈品物を選ぶ〉母へ贈るブラウスを選び始めたが、目移りがしてなかなか決まらない。♠〈機会を選ぶ〉よい機会を選んで、もう一度お目にかかりたいものですね。♠〈人を選ぶ〉〈議長に選ぶ〉会議の議長には、まとめる力や人望のある人を選ぼう。♠〈代表を選ぶ〉今度の競技会で優勝した選手の中から、オリンピック代表が選ばれるそうだ。♠〈仕事を選ぶ〉彼もそろそろ年で、疲れが見えているから、仕事を選べばいいのにねえ。♠〈言葉を選ぶ〉初めて会う人と話すのには、十分に言葉を選ぶことが大切だ。♠〈手段を選ばない〉「目的のためには手段を選ばず」とも言うが、ひきょうな手を使うのはどんなものだろう。♠〈弘法は筆を選ばず〉「弘法[こうぼう]は筆[ふで]を選ばず」といって、名人はどんな道具でも立派な仕事をなしとげるんだって。 **えらぶつ【偉物】(豪物)** ○えらい人物。すぐれた人物。[文例]〈大した偉物〉無一文[むいちもん]からあれだけの財[ざい]を築いたとは、大した偉物だ。♠〈偉物になる〉やつはもしかしたら、発明王エジソンのような偉物になるかも知れないぞ。 **えり【襟】(衿)** ○衣服の首まわりの部分。首の後ろの部分。[文例]〈襟を立てる〉北風の吹き抜ける街角を、コートの襟を立てた男が足早に過ぎていく。♠〈上着の襟〉少女は赤いバラを一輪、若者の上着の襟に挿しました。♠〈襟の開いたシャツ〉やっぱり、夏は襟の開いたシャツが涼しくていいねえ。♠〈詰め襟〉一年生の男子たちも、やっと詰め襟の学生服が似合うようになりました。♠〈襟を正す〉しみじみと語りかけてくださる恩師の心に触れ、思わず襟を正したのだった。 **エリート** ○選び抜かれた少数の人。選良。[文例]この大学を卒業したエリートたちは、いずれは各界の指導的立場につく。♠〈エリート意識〉応対に出た役人は、言葉のはしばしにエリート意識のちらつく青年だった。 **えりごのみ【えり好み】(選り好み)** ○好きなものだけを選ぶこと。よりごのみ。[文例]〈えり好みする〉参加者の数だけ、景品をそろえましたので、えり好みさえしなければ全員にいきわたるはずです。♠〈えり好みがはげしい〉お姉さんは、えり好みがはげしいせいでもないでしょうが、まだお嫁に行きません。 **えりすぐ・る(選りすぐる)** ○特にすぐれたものを選び出す。よりすぐる。[文例]〈よいものをえりすぐる〉その中からよいものだけをえりすぐって、こっちの箱に入れなさい。♠〈人をえりすぐる〉優秀な人材をえりすぐって、研究チームを編成した。 **えりぬき【えり抜き】(選り抜き)** ○選び抜くこと。また、選び抜かれたもの。つぶより。よりぬき。[文例]〈えり抜きの選手〉大会に参加したのは、各校えり抜きの優秀な選手ばかりです。 **えりわ・ける【えり分ける】(選り分ける)** ○多くのものを選び分ける。選別する。よりわける。[文例]〈大小をえり分ける〉収穫[しゅうかく]したみかんは、大小をえり分けて箱づめし、出荷します。♠〈品物をえり分ける〉品物を品質のよいものからえり分けて、それぞれに値段をつける。 **える【得る・獲る】** ○手に入れる。自分のものにする。つかまえる。…することができる。[文例]〈許可を得る〉夏休みの間、この部屋を週三回だけ使ってもよいという許可を得ました。♠〈利益を得る〉今度のバザーではできるだけ多くの利益を得て、子供会のために使えるようにしたいのです。♠〈賛成を得る〉出席者全員の賛成を得なければ、この計画は実行できないのだ。♠〈所を得る〉彼の作品のすがすがしさにふさわしい所を得て、今度展覧会を開くという。♠〈わが意を得る〉何かをやって失敗することは何もやらないことに勝る[まさる]という先生の言葉は、まさにわが意を得たものであった。♠〈要領を得る〉担当者が留守というので代わりに出て来た人の話は、さっぱり要領を得なかった。♠〈魚を獲る〉湖岸の漁師たちは、湖から多くの魚を獲ていた。♠〈やむをえない〉途中で雨が降れば、見学場所を変更[へんこう]するのもやむをえないと思います。♠〈ありえる〉あの人なら借りたものをそのままにして返さないということもありえるよ。♠〈~ざるをえない〉一生懸命働く気がないなら、店をやめてもらわざるをえないな。 **え・る(選る)** ○えらぶ。よる。[文例]ようくえって、一番大きいやつを買ってきた。♠〈えりにえる〉当店では、えりにえったとびきりの材料を使っています。 **エレガント** ○洗練されて美しいさま。上品なさま。優雅なさま。[文例]〈エレガントな身のこなし〉名女優といわれるだけあって、さすがにエレガントな身のこなしです。 **えん【円】** ○平面上で、中心から等距離にある点が作る図形。日本の通貨の単位。[文例]〈円を描く〉夕空にとんびが一羽、ゆるく円を描きながら飛んでいる。♠〈円の面積〉円の面積を計算する時に使う円周率は、古代からふしぎな数とされてきた。♠〈円を売る・買う〉中東で戦争が始まると、円が売られドルが買われた。 **えん【緑】** ○運命のめぐりあわせ。人と人の結びつき。物事とのつながり。縁側。[文例]〈何かの縁〉あなたの落とし物をわたしが拾ったというのも、思えば何かのご縁でしょう。♠〈縁は異なもの〉縁は異な[いな]ものとは言うけれど、どうしてあんな美人がこんな男といっしょになったのかしら。♠〈そで触れ合うも多生の縁〉そで触れ合う(すり合う)も多生[たしょう]の縁と申しますから、これを機会に、今後ともよろしく。♠〈縁となる〉友に誘われて[さそわれて]聞きに行った演奏が縁となって、わたしはついにフルートの道へ進むことになった。♠〈縁がある・ない〉田舎[いなか]で育ったので、都会風のはなやかなものにはあまり縁がなかった。♠〈縁で結ばれる〉現在の妻とは、テニスが縁で結ばれました。♠〈親子の縁〉〈縁を切る〉おまえとは親子の縁を切るから、さっさと出て行きなさい。♠〈金の切れ目が縁の切れ目〉昔から「金の切れ目が縁の切れ目」といって、男女の仲も金次第だ。♠〈縁が遠い〉家庭的な幸せなどというものは、彼女には縁の遠いことのように思われた。♠〈縁もゆかりもない〉たまたま旅先で同宿したというだけで、あの人は、わたしには縁もゆかりもない人です。 <118> **えん【宴】** ○飲食を楽しむ会。うたげ。[文例]〈花の宴〉うららかな春の一日、にぎやかに花の宴を楽しむ。♠〈宴を張る〉戦いの勝利を祝って戦場に宴を張った。♠〈宴をもよおす〉庭園でにぎやかな宴がもよおされ、おおいに楽しかった。♠〈宴たけなわ〉今や宴[えん]たけなわというところで、社長がハーモニカを持って舞台に上がった。 **えんえん【延延】** ○ながながと続くさま。[文例]〈延々と続く〉荒々[あらあら]しい氷の塊[かたまり]がはるか沖合まで延々と続いている。♠〈延々~にわたる〉延々三時間にわたる熱戦のすえ、やっと勝利をつかんだのだった。 **えんかい【宴会】** ○飲食を楽しむ会。酒盛り。[文例]〈宴会がもりあがる〉歌がとびだすと、宴会はいっそうもりあがっていきます。♠〈宴会に出る〉取り引き先の宴会に出なけりゃならないから、今夜は遅くなるよ。♠〈宴会を開く〉宴会でも開いて、パッとはでにやりましょう。 **えんかく【沿革】** ○移り変わり。変遷。[文例]〈学校の沿革〉記念式典で、校長先生は創立当初からの学校の沿革について話された。♠〈町の沿革〉この町の沿革を知るために、郷土資料館を訪れた。 **えんかく【遠隔】** ○遠く隔たっていること。[文例]〈遠隔地〉大会参加者のうち遠隔地の人には、宿泊所が提供された。♠〈遠隔操縦〉団地の外へ出ていこうとしない子供たちは、まるで母親の遠隔操縦を受けているようであった。 **えんかつ【円滑】** ○物事の進行がなめらかなさま。[文例]〈円滑な運営〉会の円滑な運営のためには、全員の積極的な参加が望ましい。♠〈円滑にする〉現在でも社会生活を円滑にするために敬語が役立っています。♠〈円滑に運ぶ〉姉の縁談はトントン拍子に進み、万事が円滑に運んだ。♠〈円滑に進行する〉これといった意見の対立もなく、会議は円滑に進行していた。 **えんがわ【縁側】** ○和風建築で部屋の外に張り出した板敷きの部分。[文例]縁側の日だまりで、祖母が居眠りをしている。♠〈縁側に腰かける〉夏の夕方、縁側に腰かけて夕涼み[ゆうすずみ]をしました。 **えんがん【沿岸】** ○海や湖、川などの岸の部分。または、岸に近い部分。[文例]〈川の沿岸〉すさまじい洪水[こうずい]が沿岸の村々を襲い[おそい]、田や畑の作物は全滅[ぜんめつ]した。♠〈地中海の沿岸〉イタリアやギリシアのような地中海の沿岸の国々は、一年中安定した温暖な気候です。♠〈日本沿岸〉千葉県の銚子[ちょうし]沖は、日本沿岸でも屈指[くっし]の漁場である。 **えんき【延期】** ○期限を延ばすこと。[文例]〈延期する〉雨のため、運動会は翌日に延期された。♠〈延期になる〉あいにく雨が降って、遠足は一週間後に延期になった。 **えんぎ【縁起】** ○物事の起こり。由来。良い事悪い事の起こる前兆。[文例]〈寺の縁起〉この寺の縁起によれば、開基は千年も昔にさかのぼると言われております。♠〈縁起がよい〉朝ついだお茶に茶柱が立つと、その日によいことがあると言われ、縁起のよいこととされています。♠〈縁起が悪い〉仏滅[ぶつめつ]に結婚式[けっこんしき]だなんて、なんだか縁起が悪いねえ、という人が今でも多い。♠〈縁起をかつぐ〉商店などで、くま手やまねき猫[ねこ]を飾るのは、繁盛[はんじょう]するようにという縁起をかついだものです。♠〈縁起でもない〉「お母さんが死んだら……。」なんて、そんな縁起でもないこと言わないでおくれ。♠〈縁起直し〉ここんとこ失敗続きだから、縁起直しに一杯やろう。♠〈縁起もの〉正月を彩る[いろどる]羽子板は昔から縁起ものと呼ばれ、娘[むすめ]たちの遊びや部屋飾りとして大切にされてきました。 **えんぎ【演技】** ○芸・技などを演じること。また、その芸・技。人の目を意識してわざとやる動作。[文例]〈味のある演技〉〈演技を見せる〉この俳優は、実に味のある演技を見せてくれる。♠〈スケートの演技〉彼女のすばらしいスケートの演技に、観客は大きな拍手をおくった。♠〈演技する〉息子の目を意識して、強い父を演技するのも楽じゃない。♠父の冷たい態度は、わたしの心を確かめるための演技なのでした。 **えんきょく(婉曲)** ○表現が遠回しなさま。[文例]〈婉曲に言う〉断るときも、「次の機会に考えてみたいと思います。」のように婉曲に言えば角が立ちません。♠〈婉曲に断る〉ライバルの会社から誘い[さそい]があったが、婉曲に断った。♠〈婉曲な言い回し〉婉曲な言い回しではあったが、彼が我々の要求を拒否しているのは明らかだった。 **えんきん【遠近】** ○遠いことと近いこと。遠さ。[文例]〈遠近の調節〉カメラが旧式で、遠近の調節に失敗してピンボケの写真になってしまった。♠〈遠近両用〉父は、遠近両用の眼鏡をかけています。♠〈遠近法〉この絵は、遠近法を巧みに使って描かれている。 **えんぐみ【縁組み】** ○夫婦・養子などの関係を結ぶこと。[文例]〈縁組みをする〉かつて旧家の子女たちは、政略的な縁組みをさせられることがあった。♠〈養子縁組み〉跡取りが生まれなかったので、遠縁の子と養子縁組みをすることになった。 **えんけい【遠景】** ○遠くの景色。[文例]〈近景と遠景〉風景を写生するとき、ぼくは近景から遠景へと描いていきます。♠遠景に富士[ふじ]を入れて記念写真を撮影[さつえい]した。 **えんけい【円形】** ○まるい形。[文例]〈円形の紋〉トラの体には黒いしまがあるが、ヒョウには、円形またはウメの花形の斑紋[はんもん]がある。♠〈円形劇場〉コロセウムとよばれる、古代ローマの大きな円形劇場があります。 **えんげい【園芸】** ○草花・果実・野菜などを栽培すること。庭園を造ること。[文例]黒潮の影響を受けて温暖な当地は、花の栽培[さいばい]などの園芸が盛んです。♠〈園芸作物〉農家では、休耕田を利用して、花や観葉植物などの園芸作物の栽培をしていた。 **えんげい【演芸】** ○寄席などにかかる大衆的な芸能。[文例]〈演芸をする〉舞台では、歌や踊りなどの演芸をする準備が進められていた。 <119> **えんげき【演劇】** ○舞台などで演じる劇。芝居。[文例]〈演劇をする〉絵をかく、詩を作る、演劇をするなどの方法で、自分の内面を表現してみる。♠江戸時代、演劇では人形浄瑠璃[にんぎょうじょうるり]・歌舞伎[かぶき]が栄えた。 **えんこ【円弧】** ○円周の一部。弓状の図形。[文例]〈円弧を描く〉まるく円弧を描いた形のまゆは、お人好し[ひとよし]のおばさんの人柄[ひとがら]を表しているようだ。 **えんこ【縁故】** ○縁続き。親戚。つながり。かかわり。[文例]〈縁故を頼る〉鉱山の閉鎖[へいさ]で職を失った人々の多くは、縁故を頼って町を出て行った。♠〈母方の縁故〉母方の縁故で就職するのは、何となく気が進まなかった。♠〈縁故関係〉父の縁故関係の会社で夏休みの一週間アルバイトをしました。 **えんご【援護】(掩護)** ○助け守ること。力を貸すこと。[文例]〈援護の手をのべる〉水害の被災者に援護の手をのべる運動が始まった。♠〈援護する〉苦学生を援護する目的で協会が設立される運びとなりました。♠〈援護射撃〉仲間の援護射撃のおかげで、口から先に生まれたような花沢[はなざわ]さんをギャフンといわせることができました。 **えんこん(怨恨)** ○深いうらみ。[文例]〈怨恨による殺人〉この殺人事件は、室内が荒らされていないところから、怨恨によるものと推定された。♠〈怨恨をいだく〉先祖代々の土地を追われた農民の中には、県に対して怨恨をいだく者もいた。 **えんざい(冤罪)** ○無実の罪。ぬれぎぬ。[文例]〈冤罪を被る〉無実の罪で刑務所[けいむしょ]に入れられた人、つまり冤罪を被った[こうむった]人は想像以上に多いといわれます。♠〈冤罪を晴らす〉刑期を終えて出所してから、冤罪を晴らすために再審を請求するケースもあります。 **えんじゃ【縁者】** ○血筋や縁のつながった人。身より。身うち。[文例]〈縁者がない〉石ころを立てたようなその墓は、弔って[とむらって]くれる縁者のない無縁仏[むえんぼとけ]なのでした。♠〈親類縁者〉親類縁者が集まって、祖父の米寿[べいじゅ]のお祝いをしました。 **えんしゅう【演習】** ○実地に行う訓練。学生の研究発表中心の授業。[文例]〈演習をする・行う〉近くの海上で、自衛隊の演習が行われ、ときどきドーンという音が聞こえた。♠〈予行演習〉本番前に一度、予行演習をしておいたほうがいい。♠〈演習形式の授業〉大学のゼミでは、学生たちの発表や討論を中心とする、演習形式の授業を行う。 **えんじゅく【円熟】** ○熟練し、おだやかで、豊かな内容をもつこと。[文例]〈円熟の境〉芸の世界に入って五十年、この役者も円熟の境に入ったようだ。♠〈円熟する〉人は、多くの経験を積み、そこから学ぶことによって円熟してゆく。♠〈円熟味〉老境[ろうきょう]に入って、作家の筆[ふで]はますます円熟味を加えていた。 **えんしゅつ【演出】** ○演劇などで、演技を指導するなど作品を全体としてまとめあげること。催し物などの効果を高めるための工夫。[文例]〈結婚式の演出〉最近の結婚式は演出も凝っていて[こっていて]、たいへん豪華[ごうか]です。♠〈演出家〉演出家は、俳優[はいゆう]の演技、装置、照明、音楽などすべてを指導し、劇をまとめ上げます。 **えんじょ【援助】** ○力を貸すこと。助けること。[文例]〈援助を受ける〉秀才の誉れ[ほまれ]高い彼は、ある実業家の援助を受けて大学に進学することができた。♠〈援助を仰ぐ〉両親を失ったわたしは、おじに学資の援助を仰いで大学を卒業した。♠〈援助を得る〉地元の婦人会の援助を得て、盛会のうちに大会は終了しました。♠〈暖かい援助〉〈援助を与える〉彼は、一生貧乏であった友人の画家に対して、暖かい援助を与え続けたという。♠〈援助を求める〉かんばつで悩む[なやむ]国が援助を求めてきた。♠〈援助する〉先進国は、開発途上にある諸国を援助するために多くの努力をはらう必要がある。 **エンジョイ** ○楽しむこと。[文例]〈エンジョイする〉仕事ばかりしていないで、たまには好きなことをやって、人生をエンジョイしなくちゃ。♠〈エンジョイする〉浜辺[はまべ]は、夏をエンジョイする人々であふれています。 **えんしょう【延焼】** ○火事が火元から他へ燃え広がること。[文例]〈延焼を免れる〉隣家は全焼したが、適切な消火作業でわが家への延焼は免れた[まぬかれた]。♠〈延焼する〉火の勢いが強く、次々に延焼していき、町はたちまち火の海となった。 **えんじょう【炎上】** ○燃え上がること。大きな建物などが焼けること。[文例]〈寺が炎上する〉炎上する寺院の煙は風にあおられて、全市に広がっていった。♠〈城が炎上する〉炎上する城を見ながら、家臣[かしん]らは自刃[じじん]した。 **えん・じる【演じる】** ○演技をする。実際に行う。[文例]〈役を演じる〉この難しい役を演じられるのは、日本広しといえども、きみをおいてほかにはいない。♠〈俳優が演じる〉舞台げいこに入ると、演出家は、俳優たちが実際に演じるのを見ながら注文をつけていく。♠〈寄席で演じる〉「子ほめ」は、いわゆる古典落語の一つで、今も寄席[よせ]で演じられることの多い話である。♠〈悲劇を演じる〉太平洋戦争末期には、戦場となった沖縄[おきなわ]を舞台[ぶたい]に、さまざまな悲劇が演じられた。♠〈ドラマを演じる〉駅は、昔から、人々の別れや出会いのドラマが演じられる場でした。♠〈愚を演じる〉頭のいい彼は、同じあやまちを繰り返すなどという愚は決して演じなかった。♠〈醜態を演じる〉廊下[ろうか]を走って滑り、ズボンのおしりを破るという醜態[しゅうたい]を演じてしまった。 **エンジン** ○エネルギーを機械的な力に変える装置・機関。発動機。原動機。[文例]〈船のエンジン〉小舟で漁に出ていた海の男たちが、エンジンの音も高く、元気に帰ってきた。♠〈エンジンの故障〉飛行機はエンジンの故障[こしょう]で不時着するようだ。♠〈エンジンが止まる〉岸をだいぶはなれたところで、モーターボートのエンジンが止まってひやりとした。♠〈エンジンをふかす〉何台ものオートバイが深夜の国道をエンジンをふかして暴走している。♠〈エンジンをかける〉父が自動車のエンジンをかけたとたん、ぼくは忘れ物に気がついた。♠〈エンジンがかかる〉年が明けて、受験勉強もやっとエンジンがかかってきた。 <120> **えんせい【遠征】** ○征伐するために遠くへ出かけること。試合・探検などで遠くへ出かけること。[文例]〈ロシア遠征〉ロシア遠征に失敗したナポレオンは、皇帝[こうてい]の座を退き、エルバ島に流された。♠〈遠征する〉本校ラグビー部は、この夏北海道に遠征して練習試合を行います。♠〈遠征隊〉エベレスト登頂を目指して、遠征隊が空港を出発した。 **えんせい(厭世)** ○この世をいやなものに思うこと。[文例]〈厭世的〉多くの友を戦争で死なせたわたしは、なげやりで、厭世的になっていた。♠〈厭世観〉この時代の作家には、世紀末的な厭世観の持ち主が多い。 **えんぜつ【演説】** ○聴衆の前で自分の考えや主張を述べること。[文例]〈選挙の演説〉投票する前に演説を聞くなどして、候補者の考えを知っておくことが必要です。♠〈演説に聞き入る〉人々は、リーダーの演説に、熱いまなざしで聞き入っだ。 **えんせん【沿線】** ○鉄道に沿った地域。[文例]〈私鉄の沿線〉わたしの通う私鉄の沿線には、のどかな田園風景が残っています。♠〈沿線の開発〉まず鉄道が敷かれ、次に鉄道会社が沿線の開発を行っていった。 **えんそう【演奏】** ○人前で楽器をかなでること。[文例]〈楽器を演奏する〉高校時代は、吹奏楽[すいそうがく]部でクラリネットを演奏していた。♠〈オーケストラの演奏〉〈演奏を聴く〉久しぶりにオーケストラの生の演奏を聴いたが、とても素晴らしかった。 **えんそく【遠足】** ○行楽などの目的で、(生徒たちが)歩いて遠くへ出かけること。[文例]〈遠足に行く〉六年生の時、学校で日光へ遠足に行きました。♠〈遠足する〉これまで東京以外に踏み[さ]出したのは、同級生と鎌倉[かまくら]へ遠足したときだけである。 **えんだい【遠大】** ○規模が大きく、遠い将来まで見通したさま。[文例]〈遠大な計画〉村長は、民間会社と協力して、この過疎の村を一大レジャーランドにという遠大な計画をもっていた。♠〈遠大な理想〉すべての子の個性を伸ばす教育ですか。なるほど遠大な理想ですね。 **えんだい【縁台】** ○夕涼みなどに用いる細長い腰かけ台。[文例]〈縁台に腰を下ろす〉夏の夜、庭の縁台に腰を下ろし、夕涼みをしながら花火を楽しむ。♠〈縁台将棋〉道端[みちばた]で縁台将棋をさしていると、通りがかりの人が立ち止まり、あれこれ口を出す。 **えんだん【演壇】** ○演説者や講演者が立つ壇。[文例]〈演壇に立つ〉講演会の演壇に立ち、自分のたどってきた道や考えていることなどを話しました。♠演説者は、演壇の上から、力強く聴衆[ちょうしゅう]に呼びかけました。 **えんだん【縁談】** ○夫婦縁組みの話。結婚話。[文例]〈縁談をもちこむ〉おばが縁談をもちこんで、お見合いをしてみないかとしきりにすすめます。♠〈縁談がまとまる〉めでたく縁談がまとまり、来月にも結納[ゆいのう]をかわす運びとなりました。 **えんちゃく【延着】** ○到着が遅れること。[文例]〈列車の延着〉新幹線の延着によって、自宅へ帰ったのは深夜になっていた。 **えんちょう【延長】** ○距離や時間が延びること。また、延ばすこと。あるものと一続きであること。[文例]〈延長する〉このバス路線は、港まで延長されることになった。♠〈延長する〉試合終了まで、野球中継[ちゅうけい]を延長します。♠〈遊びの延長〉厳しさ[きびしさ]のないクラブ活動は、遊びの延長としか思えない。♠〈学生の延長〉学生の延長のような気持ちで会社に勤められては困る。 **えんつづき【縁続き】** ○血筋や婚姻によってつながっていること。[文例]〈縁続きにあたる〉わたしの姉が由起子のいとこに嫁いで[とついで]おり、彼女とは縁続きにあたります。 **えんてん【炎天】** ○太陽が強く照りつける真夏の空。また、そのような天気。[文例]〈炎天下〉式は、炎天下の校庭をさけて、講堂で行われた。♠〈炎天下〉炎天下で帽子もかぶらずに遊んでいては、日射病になってしまうよ。♠〈炎天を槍のごとくに涼気すぐ〉(飯田蛇笏) **えんどう【沿道】** ○道路沿い。道ばた。[文例]〈沿道の人家〉夜明け前なので、沿道の人家は戸を閉めていた。♠〈沿道を埋める〉マラソン選手たちの力走に、沿道を埋めた観衆から大きな声援がおくられた。 **えんどお・い【縁遠い】** ○つながりが薄い。結婚の機会になかなか巡り合わない。[文例]〈庶民に縁遠い〉哲学[てつがく]とか倫理学[りんりがく]とかは、われわれ庶民[しょみん]には縁遠い学問でちんぷんかんぷんです。♠〈結婚に縁遠い〉とてもよいお嬢さんなのに、なぜか縁遠くて……。だれかよい方がいませんでしょうか。 **えんとつ【煙突】** ○煙を外に出すための筒状の装置。[文例]〈煙突が立つ〉工場の高い煙突が立ち並び、煙がのぼっているのが見える。♠〈煙突掃除〉煙突掃除をしたら、体じゅうすすだらけになった。 **えんにち【縁日】** ○寺社ゆかりの供養や祭りの日。[文例]毎年七月九日の、この観音様の縁日には、多くの人が集まります。♠神社の境内で縁日があると、金魚すくいや綿菓子[わたがし]などの店が立つのが楽しみでした。 **えんねつ【炎熱】** ○太陽に激しく照りつけられて熱いこと。[文例]〈炎熱にほてる〉真夏の炎熱にほてった地面は、水をまいてもたちまち乾いてしまう。♠〈炎熱の砂漠〉ある時は炎熱の砂漠[さばく]を渡り、ある時は雪の山脈を越えた。 **えんのした【縁の下】** ○縁側の下。ゆかした。[文例]泥棒[どろぼう]は縁の下から家の中にもぐりこんだらしい。♠〈縁の下の力持ち〉出演者だけではなく、大勢の縁の下の力持ちがいてこそ、舞台は成立するのです。 **えんばん【円盤】** ○丸くて平たい板状の物。[文例]〈空飛ぶ円盤〉空飛ぶ円盤を見たという人は少なくありません。♠〈円盤投げ〉フィールドでは、円盤投げや棒高跳びなどの競技が行われている。 **えんぴつ【鉛筆】** ○黒鉛などで作った芯を木の軸に入れた筆記用具。[文例]〈鉛筆で書く〉原稿は、指定の用紙にHBの鉛筆で書いてください。♠〈鉛筆書き〉机の上に、鉛筆書きの書き置きがあった。 <121> **えんぼう**【遠方】○遠くの方。遠く離れた所。[例]〈遠方から見える〉山頂からだいだい色の溶岩[ようがん]が噴き出すのが、遠方からも見えました。♠〈遠方から来る〉はるばる遠方から来ていただいたというのに、もてなすごちそうもありません。 **えんまく**【煙幕】○敵方をくらますために張りめぐらす煙。相手をあざむくための言動。[文例]〈煙幕を張る〉首相は、ほかにも策があるようなことを言って、報道関係には煙幕を張っていた。♠〈煙幕となる〉味方の解釈のちがいが煙幕となって、都合のいいことに、敵に真意をさとられずにすんだ。 **えんまん**【円満】○おだやかで、とげとげしいところがないさま。[文例]〈円満な家庭〉不幸せな少女時代を過ごしたが、今は結婚して、円満な家庭を築いているという。♠〈円満に解決する〉争わずに、話し合いで円満に解決していく道を考えたい。♠〈円満な人柄[ひとがら]〉人と言い争ったりすることもない円満な人柄[ひとがら]だから、敵などいるはずがない。 **えんめい**【延命】○寿命をのばすこと。持続・継続すること。[文例]不祥事を起こした村長は、自らの延命のために議会を解散しようとしていた。♠選挙を一日でも先へ延ばして、現大統領の延命を図る方策が講じられた。 **えんよう**【遠洋】○陸から遠く隔たった海域。[例]〈遠洋へ出かける〉港から、サケ・マス漁やカニ漁の船が遠洋へと出かけていった。♠〈遠洋航海〉船乗りである父が遠洋航海から帰ってくるのは、年に何回かのことである。 **えんよう**【援用】○自説を有利にするために引用すること。助けとして利用すること。[文例]〈事例を援用する〉演説者は、いくつかの事例を援用して、自分の主張の正当性を証明しようとした。♠〈文献[ぶんけん]を援用する〉筆者は、さまざまな文献[ぶんけん]を援用しながら、自分の論を展開している。 **えんらい**【遠来】○遠くからはるばるやって来ること。[文例]〈遠来の客〉泊まっていってくださいと言ったものの、遠来の客をもてなす酒を買う余裕もなかった。♠〈遠来の見物客〉この祭りの時期になると、遠来の見物客で旅館はどこもいっぱいになります。 **えんりょ**【遠慮】○遠い将来まで考えに入れること。ひかえめにふるまうこと。辞退すること。[文例]〈遠慮をする〉みなさん、遠慮をなさらないで、どうぞ召し上がってください。♠〈遠慮する〉仕事のやりくりがつかないので、今度の旅行は遠慮したいと思います。♠〈遠慮する〉――いっしょに、映画見に行かない? ――せっかくだけど、遠慮するわ。♠〈遠慮がない〉子供はよその家に行っても遠慮がないので、親ははらはらしてしまう。♠〈遠慮がある〉子供たちは、わたしに対してまだ遠慮があるらしく、遠巻きにしたままで近寄ってこない。♠〈遠慮会釈[えしゃく]なく〉わたしの提案は男子生徒たちから遠慮会釈[えんりょえしゃく]なく批判されてしまった。♠〈遠慮深い〉他人から聞かれなければ何一つ語ろうとしないほど、彼女は遠慮深い人なのだ。♠〈遠慮がち〉仕事の手を休めているわたしに、彼は遠慮がちに書類を差し出した。♠〈遠慮を欠く〉いくら親しくても、黙って家の中に上がりこむのは、遠慮を欠くものといわざるをえません。♠〈深謀[しんぼう]遠慮〉幕府[ばくふ]が三百年間も政治の実権をにぎることができたのは、徳川家康の深謀[しんぼう]遠慮があったからなのだ。 **えんろ**【遠路】○遠い道のり。[例]〈遠路はるばる〉本日は、お忙しいところを、遠路はるばるお越しくださいましてありがとうございます。♠〈遠路をいとう〉先生が危篤[きとく]だと聞いて、遠路をいとわず、各地から教え子たちが駆けつけた。 **お**【尾】○しっぽ。また、それに形の似た物。物事のあとに残るもの。[文例]〈尾を振る〉魚が泳ぐときには、全身、とくに尾やひれを左右に強く振る。♠〈尾を振る〉金のためとはいえ、あんな男に尾を振るようなことはしたくない。♠〈たこの尾〉電線に尾の取れたやっこだこが一つ、さびしげに引っかかっている。♠〈流れ星の尾〉〈尾を引く〉流れ星がスーッと尾を引きながら消えた。♠〈尾を引く〉三年前のけががいまだに尾を引いて、寒くなるとときどき痛みます。♠犬が西向きゃ、尾は東――ことわざ。 **お**(御)○丁寧や謙譲・尊敬の気持ちを表す接頭語。[文例]昔は、女学校を出たむすめたちは、お茶、お花など一通りの花嫁修業[はなよめしゅぎょう]をしたものでした。♠先生がお帰りになりましたら、どうぞよろしくお伝えください。♠おきれいなおじょうさまで、将来がお楽しみですね。♠すぐに何か温かいものをお作りいたします。♠お待ちなさい。人の話はもっとよく聞くものですよ。♠今日はどうもお疲れさま。おかげで楽しい一日が過ごせました。 **オアシス**○砂漠で水がわき出し、植物が茂っている所。心を休められる所。[文例]〈砂漠[さばく]のオアシス〉考古学者たちは、砂漠[さばく]のオアシスに栄えた古代の国の廃墟[はいきょ]を発掘した。♠〈砂漠[さばく]にオアシスを見る思い〉のどがからからだったので、公園に水道を見つけたときは砂漠[さばく]にオアシスを見る思いがした。♠〈都会のオアシス〉林立[りんりつ]するビルの谷間の小さな公園は、都会のオアシスと言えよう。 **おい**【老い】○年をとって衰えること。[文例]〈老いも若きも〉町内運動会は天候に恵まれ、老いも若きも童心に返って楽しく過ごしました。♠〈老いを知る〉この二、三年、体が思うように動かなくなって、わたしはいやでも自らの老いを知らされました。♠〈老いの身〉父は、今では兄の家に身を寄せ、孫たちに囲まれて老いの身を養っています。♠〈老いの一徹[いってつ]〉大造[だいそう]じいさんは、こうと決めたら老いの一徹[いってつ]でてこでも動かなかった。 **おいあ・げる**【追い上げる】○追って、上へ行かせる。激しく追って迫る。[文例]〈レースで追い上げる〉前半は大きく引き離されていたが、後半追い上げ、わずかの差の二着となった。♠〈勉強で追い上げる〉夏休みから、一学期の遅れを取り戻すつもりで追い上げたので、十二月の実力試験はトップになった。 **おいうち**【追い打ち・追い撃ち・追い討ち】○逃げる者を追っていって討つこと。災いや不幸などが重なること。[文例]〈追い討ちを受ける〉追い討ちを受けて、敵軍は散り散りになった。 <122> て討つこと。災いや不幸などが重なること。[文例]〈追い討ちを受ける〉追い討ちを受けて、敵軍は散り散りになった。♠〈追いうちをかける〉夫を亡くして悲嘆[ひたん]にくれる彼女に、さらに追いうちをかけるような事件が起こった。 **おいおい**【追い追い】○だんだんに。次第次第に。順を追って。[文例]追い追い雨も上がって、天気もよくなってくるだろう。♠そんなに心配しなくても、向こうから追い追い手紙で知らせてくるだろうよ。♠あの子には、わたしが追い追いに話して聞かせるから、それまで黙っておくれ。 **おいおと・す**【追い落とす】○追いかけて打ち落とす。他人を地位から引き下ろす。[文例]〈先輩を追い落とす〉実力をつけた二年生が、三年生を追い落としてレギュラーの座についた。 **おいかえ・す**【追い返す】○追って元へ返す。追うようにしてそっけなく返す。[文例]〈いじめっ子を追い返す〉大丈夫だよ、いじめっ子が来たら、兄ちゃんが追い返してやるから。♠〈人を追い返す〉苦情を言いに行ったところが、謝る[あやま]どころか、逆に追い返された。♠〈客を追い返す〉どんなに忙しくても、客なのだから、むげに追い返すわけにもいきません。 **おいか・ける**【追い掛ける】○あとから追う。追いつこうとする。[文例]〈人を追いかける〉夫が財布を忘れたのに気づいて、わたしは慌て[あわ]て追いかけていった。♠〈流行を追いかける〉わたしたちは、流行を追いかけてばかりいることを反省するべきではないか。♠〈時間に追いかけられる〉時間に追いかけられる現代の生活にわたしたたちの神経は疲れ切っています。♠〈追いかけるように〉わたしが帰りつくと、追いかけるように分厚い手紙が届いた。♠二、三歩進んだ息子の背中に、「それでいいの?」という母のことばが追いかけてきた。 **おいこ・す**【追い越す】○先のものを追いかけて抜き去る。追い抜く。[文例]〈車を追い越す〉スピードを上げて前の車を追い越したとたん、取り締まりの警官に停止を命じられた。♠〈追いつき追い越せ〉常に追いつき追い越せの精神でなくては、この業界では生き残れないぞ。♠〈親を追い越す〉息子はすっかり背が高くなって、今では完全に母親を追い越してしまいました。 **おいこみ**【追い込み】○追って差をつめること。最終段階で全力を出すこと。ラストスパート。[文例]〈追い込みをかける〉二位の走者が激しい追い込みをかけ、前の走者をかわしてテープを切った。♠〈最後の追い込み〉受験勉強も、最後の追い込みにかかって一段と白熱してきたようだ。 **おいこ・む**【追い込む】○追いたてて閉じ込める。追って差をつめる。追いつめる。最後の力をふりしぼる。[文例]〈網[あみ]に追い込む〉海底に網[あみ]を張り、隠れて[かく]いた魚を追い込むという古来の漁法が行われている。♠〈ラストで追い込む〉競技場に入ると、二番手の走者がラストスパートをかけて猛然[もうぜん]と追い込んできた。♠〈窮地[きゅうち]に追い込む〉窮地[きゅうち]に追い込まれたわたしを、あなたが救ってくださったのです。♠〈~気持ちに追い込む〉後悔[こうかい]がわたしをいたたまれない気持ちに追い込んだ。 **おいさき**【老い先】○老人に残された人生。余生。[例]〈老い先が短い〉老い先の短いわしなどに構わず、先にお逃げ、と、老人は言った。♠〈老い先が知れる〉わたしももう老い先が知れている。今からそんな苦労などしたくはないよ。 **おいさらば・える**【老いさらばえる】○年をとって衰え、よぼよぼになる。[文例]若いころから働きづめに働いて老いさらばえた姿に涙がこぼれました。♠かつての勇者も、今は老いさらばえ、白々[しらじら]を古城の一室で送っていた。 **おいし・い**(美味しい)○味がよい。美味だ。うまい。[文例]〈おいしいみかん〉今年も天候に恵まれて、おいしいみかんがたくさんとれそうだ。♠〈水がおいしい〉「谷川の水が冷たくてうまいね。」「ええ、とてもおいしいわ。」♠〈おいしい空気〉峠[とうげ]でひと休みすると、おいしい空気を胸いっぱい吸い込んで元気よく歩き出しました。♠〈おいしく食べる〉朝ごはんをおいしく食べられる人は健康であるといわれる。 **おいしげ・る**【生い茂る】○植物が育って、勢いよく枝葉をのばす。[文例]〈雑草が生い茂る〉家には長い間人の住んだ形跡がなく、荒れ果てた庭には雑草が生い茂っていた。♠〈青々と生い茂る〉温室の中では、熱帯植物が青々と生い茂り、バナナやパイナップルがなっていた。 **おいすが・る**【追いすがる】(追い縋る)○追いかけてすがりつく。[文例]追いすがる子供を振り放し、母親は自分も泣きながら、峠[とうげ]を駆け下りたのだった。♠子供の物だけは持って行かないでくれと、母は父に追いすがって頼んだ。 **おいそれと**○即座に応じるさま。簡単には。すぐには。[文例]こういううまい話には、大抵[たいてい]裏があるものだから、おいそれとは承諾[しょうだく]できないよ。♠事情はわかるが、わたしの立場では、おいそれとやってあげるわけにはいかないのです。 **おいだ・す**【追い出す】○追って外へ出す。追い立てて締め出す。[文例]〈穴から追い出す〉煙でいぶして、タヌキを穴から追い出すから捕まえて[つか]くれ。♠〈店を追い出す〉奉公先の店を追い出された吾一[ごいち]少年は、とぼとぼと駅へ向かって歩き出した。 **おいたち**【生い立ち】○成長すること。また、その間の経歴。[文例]〈生い立ちの記〉わたしは成人式を迎えるにあたって、自分の生い立ちの記を書くことを思い立った。♠〈不幸な生い立ち〉彼女は、その不幸な生い立ちにもかかわらず、明るく優しい娘であった。♠〈山の生い立ち〉この本には、昭和新山の生い立ちが詳しく[くわ]説明されています。 **おいた・てる**【追い立てる】○追いやる。せかせる。[文例]〈にわとりを追い立てる〉庭の菜園を荒らすにわとりどもを追い立ててやった。♠〈下宿から追い立てる〉半年も部屋代を払わないようなやつは出ていけ、と下宿から追い立てられた。♠〈時間に追い立てられる〉この映画は、時間に追い立てられる現代の人々に自己をふりかえることの大切さを教えてくれる。♠〈追い立てられるように〉わたしは皆の冷たい視線に耐えられず、追い立てられるように、その場を離れた。 <123> **おいつ・く**【追い付く・追い着く】○先行しているものの所へ行き届く。[文例]〈人に追いつく〉もう少しで駅というところで、ようやく父に追いつきました。♠〈先進国に追いつく〉日本は、何がなんでも先進国に追いつこうとして、欧米[おうべい]の技術を学び取ってきました。♠〈追いつき追いこせ〉アジアの国々は、日本に追いつき、追いこせで努力しています。♠雨漏りがひどくて、バケツを二、三個置いたぐらいでは、とても追いつかない。 **おいつ・める**【追い詰める】○逃げ場のない所まで追い込む。[文例]〈獲物[えもの]を追い詰める〉ねずみは、とうとう廊下の隅[すみ]に追い詰められた。♠〈自分を追い詰める〉あまり自分を追い詰めないで、時には気分転換をすることも大事だよ。♠〈追い詰められた暮らし〉追い詰められたどん底の暮らしの中で、少女は常にひたむきに生きようとした。 **おいで**(御出で)○「出る・行く・来る・居る」の尊敬語。「来なさい・行きなさい・居なさい」の優しい言い方。[文例]〈おいでを願う〉お目にかかってお話ししたいことがありますので、おいでを願います。♠〈おいでを請う〉「用あり、おいでを請う」という電報を受け取りました。♠〈おいでになる〉先生は、十時にはおいでになるとのことです。♠〈~しておいで〉おやおや、きたない顔だね。いい子だから、洗っておいで。♠〈へいのかげ〉塀の陰から手だけ出して、こっちの方へおいでおいでをしている男がいる。 **おいてきぼり**【置いてきぼり】○置き去りにすること。おいてけぼり。[文例]〈置いてきぼりになる〉かわいそうに、あんただけ置いてきぼりになっちゃったの。♠〈置いてきぼりを食う・食わす〉みんな先に行ってしまって、ぼくだけ置いてきぼりを食わすなんて、ひどいじゃないか。 **おいてけぼり**【置いてけぼり】♪おいてきぼり **おいぬ・く**【追い抜く】○先行するものに追いついて、それより先になる。追い越す。[文例]〈後続に追い抜かれる〉三十キロを過ぎてスタミナが切れたところで、後続の集団に追い抜かれてしまった。♠〈親を追い抜く〉あんなに小さかったコースケも、今じゃお母さんを追い抜いてしまったわ。 **おいはら・う**【追い払う】○追って去らせる。[文例]〈ハエを追い払う〉牛は休みなく尾を動かして、群がるハエをうるさそうに追い払っている。♠〈人を追い払う〉役人は、あごをしゃくって人を追い払うようなしぐさをした。♠〈虚脱感[きょだつかん]を追い払う〉目標を失った虚脱感[きょだつかん]を悪ふざけや冗談[じょうだん]で追い払おうとしていました。 **おいぼれ**【老いぼれ】○年をとって衰えること。また、そうなった人。♠この老いぼれにも、ひとつ、世の中のためになる仕事をお与えいただきたい。♠自分では老いぼれなどといっているが、体も頭もまだまだしっかりしているよ、おじいちゃんは。 **おいぼ・れる**【老いぼれる】○年をとって衰える。[例]しも昔は海の男でならしたものだが、今ではごらんの通り、すっかり老いぼれてしまった。♠いくら老いぼれたと言っても、この犬はまだ番犬ぐらいにはなるだろう。 **おいまわ・す**【追い回す】○追いかけて、つきまとう。[文例]いじめっこが女の子を追い回しているよ。♠〈タレントを追い回す〉テレビ局のまわりは、タレントや歌手を追い回すファンでいっぱいだ。♠〈仕事に追い回される〉朝から晩まで仕事に追い回されて、息をつくひまもない。 **おいめ**【負い目】○恩を受けたり、迷惑[めいわく]をかけたりした人に対する負担の気持ち。ひけめ。[例]〈負い目がある〉ぽくには、あいつに助けてもらったという負い目があるんだ。♠〈負い目を負う〉わたしは、一生かかっても償い[つぐな]きれない負い目を負っていかねばならない。♠〈負い目を感じる〉自分の失敗で周囲に迷惑[めいわく]をかけたと、彼は負い目を感じていたようだ。♠〈負い目に思う〉いっしょに遊んでやっていた子がけがをしたことを、ぼくは負い目に思っていました。 **おいや・る**【追いやる】(追い遣る)○追って去らせる。追い払う。[文例]〈外へ追いやる〉うるさくまとわりつく子供を外へ追いやって、やっと内職のあて名書きに取りかかった。♠〈絶望へ追いやる〉あなたを絶望へ追いやったのは、わたしたちの無関心ですか。♠〈死に追いやる〉周囲の無理解が彼女を死に追いやったと言えるだろう。 **お・いる**【老いる】○年をとって老人になる。年とって弱る。[文例]〈老いては子に従え〉老いては子に従えと言うから、わしはもうすっかり息子に任せて一切口を出さないのだ。♠〈老いた母〉家では、老いた母親が一人で、もう何年も帰らぬ息子を待っているだろう。♠〈老いてますますさかん〉おじさんは、隠居[いんきょ]どころか、老いてますますさかんだよ。 **おう**【王】○国を支配する君主。その世界で第一位の力をもつもの。[文例]〈王と家臣〉西洋の封建[ほうけん]社会では、王と家臣は保護と忠誠の契約で結ばれていた。♠〈百獣[ひゃくじゅう]の王〉ライオンには、やはり百獣[ひゃくじゅう]の王と呼ばれるにふさわしい風格がある。♠〈将棋の王〉あれ、ぼくの王がないぞ! きみ、知らないか?♠〈ホームラン王〉お父さんは、町内の早起き野球のホームラン王です。 **お・う**【追う】(逐う)○追いかける。後から行く。目的に向かって進む。後から従う。去らせる。先に進ませる。[文例]〈物を追う〉ぷかりぷかり流れていくボールを追って、土手の上を必死で走った。♠〈犯人を追う〉わたしたち二人は刑事で、目下逃走[とうそう]中の犯人を追っているところです。♠〈差を追う〉結局は負けてしまったが、一点の差を追って、ぼくたちは力いっぱいたたかった。♠〈追いつ追われつ〉両選手は、追いつ追われつのデッドヒートを繰り返していた。♠〈追われる立場〉念願のチャンピオンの座に着いたのだから、今度は追われる立場ですね。♠〈後を追う〉よせ、よせ、今さら後を追ってもむだだよ。♠〈理想を追う〉現実を見失うほどに理想を追うことができたらよい。♠〈羊[ひつじ]を追う〉羊飼い[ひつじか]の少年は、二十頭あまりの羊[ひつじ]を追って、山の牧場へ登っていった。♠〈ハエを追う〉男は、空いている手で、うるさくつきまとうハエを追った。♠〈近海から追われる〉工場の廃水[はいすい]のために海は汚れ、漁場は近海から追われるはめになった。♠〈職を追われる〉汚職[おしょく]事件にかかわったとして、彼は職を追われた。 <124> **お・う**(負う)○背にのせる。身に受ける。引き受ける。おかげをこうむる。相当する。[文例]〈背に負う〉母は、弟を背に負い妹の手を引き、大きな荷物を抱えて、汗だくになって帰ってきた。♠〈傷を負う〉列車事故で重い傷を負った人たちが次々と病院へ運ばれてきた。♠〈矢を負う〉男は、矢を負って苦しんでいるツルを見つけると、矢を抜いて助けてやった。♠〈責任を負う〉みんなでやったことだから、その責任はみんなで負いましょう。♠〈責めを負う〉わたしが言い出しっぺですから、この失敗の責めはわたしが負うつもりです。♠〈義務を負う〉親は、自分の子供に対して教育を受けさせる義務を負っている。♠〈借金を負う〉そんなにたくさんの、しかも返すあてのない借金を負って、どうするつもりなんだろう。♠〈~の活躍に負う〉チームの優勝は、彼の活躍に負うところが大きい。♠〈役目を負う〉父は、当時、会の責任者として重い役目を負わされていた。♠〈名にし負う〉これが名にし負う華厳[けごん]の滝[たき]か、さすがにすばらしい眺めだね。♠〈負うた子に教えられる〉負うた子に教えられ、とはよく言ったものだ、今日ばかりはあの子が道を知っていたので助かったよ。 **おういつ**(横溢・汪溢)○満ちあふれること。盛んにあふれること。[文例]〈意気・気力が横溢する〉昭和三十年代の日本は、人々の間に、向上発展の意気が横溢していた。♠〈若さが横溢する〉この街には若さが横溢している。 **おうえん**【応援】○力を貸して助けること。選手などを励ますこと。[文例]〈応援する〉先頭を走る兄に向かって、わたしたちは声を限りに応援しました。♠〈応援をよこす〉われわれだけでは手に負えない。すぐに応援をよこしてくれ。♠〈応援に駆けつける〉母校が甲子園[こうしえん]に出場すると聞いて、われわれはさっそく応援に駆けつけた。 **おうおう**【往往】○しばしば。時として。どうかすると。まま。[文例]〈往々にして〉同音語は、耳で聞いた場合は、往々にして誤解の原因となり、混乱をきたすことも少なくない。♠〈往々にして〉慌て[あわ]て家を飛び出した時などは、往々にして忘れものをしがちだ。 **おうか**(謳歌)○ほめたたえること。[文例]〈青春を謳歌する〉暗い戦時中に十代を過ごしたわたしたちは、青春を謳歌したことなど一度もなかった。♠〈人生の春を謳歌する〉暖かな日差しのあふれた公園では、そこここで恋人たちが人生の春を謳歌している。♠〈平和を謳歌する〉今や人々は平和な時代を謳歌しているが、忘れてならないのは平和は自らの手で作り出すものであることだ。 **おうぎ**【扇】○竹・木の骨組みに紙を張った、あおいで風を送るための折り畳み式の道具。せんす。[例]王妃[おうひ]は、大きく開いたドレスの胸を扇で隠すようにしていた。♠〈扇のかなめ〉野球の捕手[ほしゅ]は、丁度、扇のかなめのような役割を果たしているといえます。 **おうぎ**【奥義】○学問・武芸などをきわめつくさないと得られない、最も奥深くにある教えや意義。極意[ごくい]。[例]〈学問・武芸の奥義〉〈奥義を極める〉通り一遍[いっぺん]の修行[しゅぎょう]で武芸や学問の奥義を極めることは、とうてい不可能である。 **おうきゅう**【応急】○予測しがたい事態に間に合わせること。急場をしのぐこと。[文例]〈応急の修理〉応急の修理をしたけれども、船底の水はどんどん増え続けた。♠〈応急手当て〉ここでは応急手当てしかできませんから、すぐに大きな病院に行ってください。♠〈応急措置〉国は、早急に、この災害に対する応急措置を講じる必要に迫られている。 **おうこう**【横行】○勝手きままに歩き回ること。わがもの顔にふるまうこと。[文例]〈横行する〉当時のこの地方は、追いはぎや人さらいの横行する無法地帯であった。♠〈悪徳政治家の横行〉しっかりした考えと見識をもって投票すれば、悪徳政治家の横行などありえないはずです。♠〈横行闊歩[かっぽ]〉江戸の町を我が物顔に横行闊歩[おうこうかっぽ]する旗本[はたもと]の一団があった。 **おうごん**【黄金】○きん。こがね。きんのように光り輝くこと。価値のあること。[文例]〈黄金や宝石〉盗賊[とうぞく]の隠れ家[か]には、目のくらむような黄金や宝石が積まれていた。♠〈黄金の足〉チームのポイントゲッターである彼は、黄金の足ともてはやされた。♠〈黄金時代〉テレビの普及とともに、映画の黄金時代は終わりを告げた。 **おうざ**【王座】○王の座席。第一等の地位。[例]〈王座に在る〉その当時王座に在ったのは、雷帝[らいてい]といわれたイワン四世である。♠〈文学の王座〉〈王座を占める〉詩は、長い間文学の王座を占めていた。♠〈王座につく〉今度のチャンピオン決定戦で勝った選手が、ヘビー級の王座につくことになる。♠〈王座を守る〉彼女は、陸上界の女王として、五年間にわたって王座を守ってきました。 **おうじゃ**【王者】○帝王。第一等の地位を占める者。[例]〈王者の風格〉その若者には、王者の風格が備わっていた。♠〈密林の王者〉ターザンは、密林の王者と呼ばれ、土地の人々や動物から親しまれていた。♠〈虫の王者〉その威厳[いげん]ある姿によって、カブトムシは日本の虫の王者といわれる。 **おうしゅう**【応酬】○やりとりすること。やり返すこと。[文例]〈やじの応酬〉会議は紛糾し、激しい[はげ]やじの応酬が続いた。♠〈パンチの応酬〉激しい[はげ]パンチの応酬が最終回まで続き、観客はどちらも勝たせたいという気持ちになっていた。♠〈応酬する〉ぼくの非難に対して、相手は冷静に応酬してきた。 <125> **おうしゅう**【押収】○裁判所などが証拠になる物を差し押さえ、取り上げること。[文例]〈押収する〉東京地検は、家宅捜索[かたくそうさく]の結果、ダンボール二箱分の書類を証拠物件として押収した。 **おうじょう**【往生】○極楽浄土に生まれ変わること。死ぬこと。たちゆかなくなること。困り果てること。[文例]〈往生をとげる〉だんな様は、何一つ思い残すこともなく、みごとな往生をとげられたのです。♠〈往生する〉まったくあの時は、どう説明してもわかってもらえなくて、往生したよ。♠〈往生際[ぎわ]が悪い〉往生際[ぎわ]の悪いやつだ。さっさと白状してしまえ。♠〈極楽往生〉この寺は、極楽往生を願う貴族たちの寄進によって建てられたものです。♠〈立ち往生〉エンジンがかからず踏切[ふみきり]で立ち往生した時には、生きた心地がしなかった。 **おう・じる**【応じる】○働きかけにこたえる。ふさわしい対応をする。かなう。[文例]〈募集に応じる〉事務室には、アルバイトの募集に応じてやってきた人たちが何人も待っていた。♠〈誘い[さそ]に応じる〉退屈[たいくつ]していたので、映画に行こうと言う友達の誘い[さそ]に、二つ返事で応じた。♠〈注文に応じる〉うちの美容院では、どんな難しい髪型の注文にも応じられます。♠〈要望に応じる〉市役所は市民の要望に応じて、速やかに対策を講じてほしい。♠〈インタビューに応じる〉新聞記者のインタビューに応じて、選手はオリンピックへの抱負[ほうふ]を語った。♠〈会談に応じる〉アメリカ大統領は、わが国の首相との会談に応じると発表した。♠〈必要に応じて〉わたしたちは、話し相手に敬意を表すために必要に応じて、ていねいな言葉づかいをします。♠〈好みに応じて〉味が薄ければ、自分の好みに応じて、塩を適当にふって食べてください。♠〈体力に応じた運動〉無理をしないで、体力に応じた運動をすることが、長続きさせるこつです。♠〈能力に応じた教育〉彼の通っている学校は、能力に応じた教育をすることで知られている。♠〈機に応じる〉きみたちにも今後さまざまな事が起ころうが、機に応じて、ふさわしい行動をとってもらいたい。 **おうしん**【往診】○医者が患者のもとに出かけて診察すること。[文例]〈往診する〉お医者さんは、真夜中でも嫌な顔ひとつせず往診してくれました。♠〈往診を頼む〉おじいちゃん 様子がおかしいから、急いで往診を頼んできて。♠〈往診に出かける〉やっと探し当てた医院では、医者が往診に出かけていて留守だった。 **おうせ**【おう瀬】(逢瀬)○愛し合う男女があうこと。また、その機会。[文例]〈おう瀬を楽しむ〉七夕は、織り姫[ひめ]と彦星[ひこぼし]が天の川を渡って、一年に一度のおう瀬を楽しむ日です。 **おうせい**(旺盛)○非常に盛んなさま。[例]〈食欲がおうせい〉姉は、暑い夏でも、相変わらず食欲はおうせいだ。♠〈知識欲がおうせい〉知識欲のおうせいなことが若さを保つひけつであると、父は言っています。♠〈おうせいな読書力〉おうせいな読書力で、彼は次々と大作を読破していった。♠〈体力おうせい〉兄さんは、毎日五キロジョギングするほど体力おうせいだ。♠〈元気おうせい〉以前のように元気おうせいならば、風邪[かぜ]をひいたくらいでは、寝込むこともなかったんでしょうが。♠〈好奇心[こうきしん]おうせい〉好奇心[こうきしん]おうせいな彼は、友達がやっているスポーツは何でもやってみないと気がすまない。 **おうせつ**【応接】○相手をすること。応対しもてなすこと。[文例]〈応接にいとまがない〉父が市長選に立候補してからというもの、訪問客が相次ぎ、応接にいとまがない。♠〈応接する〉社員教育の一環として、まず客に応接する時のマナーを厳しく仕込まれました。♠〈応接間〉お客様はとりあえず応接間にお通しして、お茶をお出ししてください。 **おうたい**【応対】○相手になって受けこたえすること。[文例]〈応対に困る〉相手が身分や名前を明かさないので、こちらとしても応対に困ってしまいます。♠〈客の応対〉店の客の応対に追われながら、家事も人並み[ひとな]以上にこなすのは、並大抵[なみたいてい]のことではない。♠〈電話の応対〉相手の姿が見えないだけに、電話での応対の仕方は難しい。 **おうだん**【横断】○横に断ち切ること。横切ること。[文例]〈道路を横断する〉道路を横断しようとして、突然飛び出してきた車にひかれそうになった。♠〈本州を横断する〉紀伊半島から上陸した台風は、本州を横断し、各地にかなりの被害をもたらした。♠〈横断面〉植物の茎を切りとると、その横断面に、たくさんの管[くだ]があるのが見える。♠〈グリーンランド横断〉ナンセンは五人の仲間とともに、グリーンランド横断の旅へ出発した。♠〈横断歩道〉横断歩道の手前で、十人くらいの人たちが青信号になるのを待っていた。♠〈太平洋横断〉ヨットで太平洋を横断中の青年から、万事順調であるとの無線が入った。♠〈大陸横断鉄道〉ぼくの夢は、大陸横断鉄道の旅をすることだ。 **おうちゃく**【横着】○ずうずうしいこと。なまけること。ずるいこと。[文例]〈横着を決め込む〉本当は夜回りに行かねばならないのに、あまり寒いので、こたつで横着を決め込んだ。♠〈横着な人間〉両手をポケットにつっこんで、肩でドアを開けようとする横着な人間もいるようです。♠〈横着する〉今夜は自分一人だけなので、横着して店屋物[てんやもの]で食事を済ませた。♠〈横着者〉昔の人なので、洗濯機[せんたくき]で洗濯[せんたく]するなど横着者のすることだと言ってききません。 **おうと**(嘔吐)○胃の中の物を吐くこと。もどすこと。[文例]〈嘔吐と下痢〉子供は、発熱に加えて嘔吐と下痢を繰り返し、小さな体はみるみる弱っていった。♠〈嘔吐を催す[もよお]〉初めてナチスの収容所の写真を見た時、ショックのあまり嘔吐を催した。♠〈嘔吐する〉犬は、外で何か悪い物を食べてきたらしく、草をかんでは激しく[はげ]嘔吐していた。 **おうとう**【応答】○こたえること。うけこたえすること。[例]〈応答がない〉我々はベルを押し、ドアをたたき続けたが、中からは何の応答もなかった。♠〈応答する〉彼は、SOSを発したきり連絡のとだえた船に向かって、「応答せよ」と必死に呼び続けた。♠〈質疑応答〉議場では、知事と議員の間で質疑応答が行われていた。 **おうとつ**【凹凸】○でこぼこ。高低があって均等でないこと。 <126> **おうとつ** [文例]〈凹凸[おうとつ]がある〉指で触[さわ]ってみると、テーブルの表面はざらざらして小さな凹凸[おうとつ]があった。♠〈凹凸[おうとつ]が激[はげ]しい〉舗装[ほそう]されていない凹凸[おうとつ]の激[はげ]しい砂利道を馬車で揺られていくのは、たまったものではない。 **おうねん【往年】** ○過ぎ去った昔。往時。 [文例]〈往年の名女優〉往年の名女優として人気の高かった彼女も、今は孤独[こどく]な病の床[とこ]に伏していた。♠〈往年のにぎわい〉炭鉱の閉山によって町はすっかりさびれ、好景気にわいた往年のにぎわいはどこにも見られない。♠〈往年の面影[おもかげ]〉年老いたとは言え、ぴんと伸びた背筋に体操選手だった往年の面影[おもかげ]が残っている。 **おうのう(懊悩)** ○悩むこと。悩みもだえること。 [文例]〈深い懊悩〉恋人の裏切りを知った彼女の心は、深い懊悩に閉ざされた。♠〈懊悩する〉自らの病名を知って懊悩する友に、わたしは何もしてやることができなかった。 **おうひ【王妃】** ○王のきさき。 [文例]国民は、王が自ら選んだ王妃を心から歓迎[かんげい]した。♠国王と王妃の間には、美しい三人の王子が次々と生まれました。 **おうふう【横風】** ○ずうずうしく構えるさま。いばりくさるさま。おうへい。 [文例]〈横風な口をきく〉相変わらず、人をこばかにしたような横風な口のきき方をする人だね。♠〈横風に構える〉大切な読者を前に、お客さまという認識がないものだから、作家先生は横風に構えている。 **おうふく【往復】** ○行きと帰り。行って帰ること。行き来すること。やりとり。 [文例]〈片道と往復〉片道で一時間と少しだから、途中[とちゅう]の休憩[きゅうけい]を入れても往復三時間で十分だ。♠〈手紙の往復〉最近、彼らの間で手紙の往復がひんぱんになっていたのは、わたしも知っていた。♠〈往復する〉毎日、家と職場とを往復するだけでは、楽しいことなど起こりようもなかった。 **おうぶん【応分】** ○能力・力などに見合った程度。分相応。 [文例]〈応分の手当〉店のために尽くしてくれた者には、それぞれ応分の手当はさせてもらいます。♠〈応分の援助〉わが国も、発展途上国に対し応分の経済援助を行っています。 **おうへい【横柄・押柄】** ○おごり高ぶって、人を見下げるさま。 [文例]〈態度が横柄〉彼は、態度が横柄なので、だれも快く思わなかった。♠〈横柄な口〉親に向かって、そのような横柄な口をきくとは何ごとだ。♠〈横柄に構える〉彼は、自分の部下に対して、いつも横柄に構えていた。 **おうべい【欧米】** ○ヨーロッパとアメリカ。 [文例]明治以後の日本は、何がなんでも欧米に追いつこうとして、その技術を学び取りました。♠欧米諸国は、不景気による失業率の増加に悩まされていた。 **おうぼ【応募】** ○募集に応じること。 [文例]〈募集と応募〉動物園がパンダの赤ちゃんの名前を募集したところ、予想をはるかに超える応募があった。♠〈応募する〉先生に勧められて読書感想文のコンクールに応募した。♠〈応募作品〉これは、ある雑誌の投稿歌壇[とうこうかだん]の応募作品から、わたしが選んだものです。 **おうぼう【横暴】** ○勝手きままで乱暴なこと。 [文例]〈平家[へいけ]一門の横暴〉「平家物語」の前半は、平清盛[たいらのきよもり]を中心とする平家一門の栄華[えいが]の極みと、その横暴を描いている。♠〈横暴なふるまい〉主人[あるじ]の横暴なふるまいに、使用人[しようにん]の中にはたまらず逃げ出す者もいた。♠〈横暴極[きわ]まりない〉そのような横暴極まりないふるまいには、いつか天罰[てんばつ]が下るだろう。 **おうよう【応用】** ○理論を実際にあてはめて用いること。本来の目的以外に活用すること。実地に役立てること。 [文例]〈実際に応用する〉この学校で基礎を学んだきみたちは、社会に出たら、それを実際の場で応用してください。♠〈原理を応用する〉てこの原理を応用すれば、重い石も簡単に動かすことができる。♠〈応用問題〉計算問題は得意だが、応用問題は苦手です。♠〈応用の範囲[はんい]〉きちんとしたスーツは応用の範囲が広いので、一着あれば重宝しますよ。♠〈応用がきく〉「文学よりは、実社会で応用のきく法律を学んだほうがよい。」というのが、父の意見だった。♠〈応用の才〉もともと応用の才のある母は、ありあわせの材料を工夫して、珍しい外国料理を作ってくれたりした。 **おうよう(鷹揚)** ○小さいことにこだわらず、ゆったりしているさま。 [文例]〈おうように構える〉お父さんは、先に来た人から順番にとのんびり構えているので、なかなか席が取れません。♠〈おうような人柄[ひとがら]〉先生の話しぶりは、そのおうような人柄がにじみ出ていて、聞く者の心を和[なご]ませるのです。 **おうらい【往来】** ○行ったり来たりすること。行き来する道。通り。 [文例]〈自動車の往来〉〈往来が激[はげ]しい〉この辺りは自動車の往来が激しいところで、騒音[そうおん]に悩まされている人が多い。♠〈海外との往来〉江戸時代の日本は、国を閉ざし、海外との往来をかたく禁じていた。♠〈往来する〉昔はこの町も街道の宿場町として、往来する人でにぎわったそうだ。♠〈往来に出る〉往来に出て遊ぶときには、車や自転車に気をつけてね。♠〈往来を駆[か]ける〉まもなく下の往来を、一人はぞうり、一人はげたで駆ける足音がしてきた。 **おうりょう【横領】** ○他の物を不正に自分のものにすること。 [文例]〈横領する〉客の口座から預金を横領していた銀行員が逮捕[たいほ]された。♠〈公金横領〉農協の職員が公金横領の容疑で取り調べを受けたとあって、村じゅう大騒ぎになりました。 **おえつ(嗚咽)** ○声をおさえて泣くこと。しのび泣き。むせび泣き。 [文例]〈おえつがもれる〉〈おえつをもらす〉彼の死を悼[いた]んで集まった人々の中から、おえつがもれはじめた。♠〈おえつをおさえる〉母の遺骨を抱きしめると、こみあげるおえつをおさえきれなかった。♠〈おえつする〉必死にこらえていた男も、ついにおさえきれずにおえつしていた。 **お・える【終える】** ○終わりにする。済ませる。 [文例]〈脱皮[だっぴ]を終える〉たった今、脱皮を終えたばかりの幼虫は、からたちの葉を食べ始めた。♠〈宿題を終える〉宿題を終えたら、テーブルの上にあるおやつをおあがりなさい。♠〈学校を終える〉この町では、学校を終えるとほとんどの男子生徒が漁師になる。♠〈大学を終える〉四年間の大学の課程を終え、多くの学生が社会に巣立って行った。 <127> ♠〈修業を終える〉十年にわたる板前の修業を終え、若者は独立して店を構えた。♠〈仕事を終える〉一日の仕事を終えた人たちが、駅に急いでいた。♠〈一生を終える〉母は、生まれた村を出ることなく、そこで静かな一生を終えました。 **おお【大】** ○数量・程度などが大きいことを表す接頭語[せっとうご]。 [文例]〈大雨〉大雨が降って水かさが増せば、堤防[ていぼう]の切れるおそれもある。♠〈大当たり〉なんと、なんと、まぐれの大当たりが外野のフェンスを越えていったのです。♠〈大掃除〉暮れの大掃除は、年に一回ですから大変です。♠〈大ざっぱ〉主人は大ざっぱな性格ですから、そんな細かいことは気にしません。♠〈大先生〉今日は特別に大先生に診てもらえて、運がよかった。♠〈大人数〉うちは大人数だから、食事の支度をする母は大変です。 **おおあばれ【大暴れ】** ○激しく暴れること。 [文例]〈大暴れする〉大暴れしていた雷[かみなり]もやんで、空に大きな虹[にじ]がかかった。♠〈大暴れに暴れる〉うちの子は歯医者が嫌いで、いつも大暴れに暴れるものだから、先生にしかられてしまって。 **おおあわて【大慌て】** ○大いにあわてること。 [文例]夏休みの間遊びほうけていたので、終わりになって宿題の山に大慌てだ。♠夜になって不意の客があり、母とわたしは大慌てで酒とさかなの用意をした。♠〈大慌てに慌てる〉急に陣痛[じんつう]が始まったと聞いて、彼は大慌てに慌て、産婆[さんば]さんを呼びに飛び出して行った。 **おおい【覆い】(被い・蔽い)** ○物を隠したり、守るためにかぶせるもの。 [文例]〈覆いをとる〉一同がかたずをのんで見守る中、布の覆いが静かに取られると、中から幻[まぼろし]の名画が現れた。♠〈覆いをはがす〉腹が減っていたので、荒々[あらあら]しくちゃぶ台の覆いをはがし飯を食べた。♠〈覆いをする・かける・かぶせる〉夏は葉が焼けないようによしずなどで覆いをするのが、ベランダ園芸のこつです。 **おお・い【多い】** ○数量・回数などがたくさんある。 [文例]〈数・量が多い〉この学校は生徒の数が多いので、準備する給食の量も多いのだそうだ。♠〈多い少ない〉お母さんの分けてくれたいちごに、わたしと弟は多いだの少ないだのと文句をつけた。♠〈多くの人〉印刷術の発達のおかげで、今では、多くの人が本を読めるようになった。♠〈人通りが多い〉日曜の午後で人通りが多かったため、途中[とちゅう]で兄さんとはぐれてしまった。♠〈地震[じしん]が多い〉今年はいやに地震の多い年だ。♠〈子供に多い〉はしかや水ぼうそうは、子供に多い病気である。♠〈苦労が多い〉作る時の苦労が多ければ多いほど、でき上がった時の喜びは大きいものだ。♠〈需要が多い〉今年の夏はいつもの年よりも暑かったので、アイスクリームの需要が多かったそうだ。♠〈気が多い〉あの子だ、この子だと、おまえも気の多い男だね。♠〈船頭[せんどう]多くして船山に上る〉ここはひとつ彼にまかせて、ぼくらはそれに従おう、船頭多くして、船、山に上るというから。♠〈多かれ少なかれ〉「急がば回れ」「石の上にも三年」のごとく、ことわざには多かれ少なかれ、教訓の味がある。 **おおいそぎ【大急ぎ】** ○非常に急ぐこと。 [文例]父の忘れ物を持って、わたしは大急ぎで追いかけた。♠母の苦しそうな様子を見るなり、父は大急ぎで医者を呼びに行った。♠これは大急ぎよ。いい、わかったら早く行きなさい。 **おおいなる【大いなる】** ○大きな。偉大な。 [文例]〈大いなる大地〉アフリカの大いなる大地に立ってみて、自分の小ささをつくづくと思い知らされました。♠〈大いなる成果〉先生は長年にわたるご研究で、大いなる成果をあげられました。♠〈大いなる山々〉その小さな国の周りには大いなる山々が連なり、人々の暮らしを見おろすようにしていた。♠〈大いなる損失〉きみが退部することは、わが相撲[すもう]部にとって大いなる損失であります。 **おおいに【大いに】** ○たくさん。たいへん。非常に。 [文例]〈大いに飲む〉二十年ぶりに会ったんだ、今夜は大いに飲んで語り明かそう。♠〈大いに迷惑[めいわく]する〉あなたが言いふらした無責任なうわさで、わたしは大いに迷惑しているのです。♠〈大いにやる〉まだ若いんだもの、周囲のことを気にせず、大いにやりたまえ。 **おおいり【大入り】** ○たくさんの入場者があること。 [文例]〈小屋が大入り〉こんなふうに小屋が大入りになって、立ち見まで出るなんて、何年ぶりのことかなあ。♠〈大入り満員〉館内は大入り満員で、二時間ほどお待ちにならないと入場できません。♠〈大入り袋[ぶくろ]〉芝居は大当たりで、連日大入り袋が出ているそうですよ。 **おお・う【覆う】(被う・蔽う・掩う)** ○かぶせる。包み隠す。 [文例]〈顔を覆う〉車から降りると、婦人は冷たい風を避けるためスカーフで顔を覆った。♠〈手で口を覆う〉手で口を覆われていたので、叫[さけ]ぼうにも声が出ませんでした。♠〈表面を覆う〉わたしたちの体の表面を覆っている皮膚[ひふ]は、体を守るのに大切な働きをしている。♠〈雪に覆われる〉一夜明けると、山も畑も、みんな真っ白な雪に覆われていた。♠〈雑草で覆われる〉うちの庭は、地面が見えないほど雑草で覆われている。♠〈雲が空を覆う〉黒々と厚い雲が空全体を覆って、今にもあらしがやってきそうだ。♠〈球場を覆う熱気〉日本シリーズ最終戦、球場を覆う観衆の熱気に、選手は奮い立っていた。♠〈暗雲に覆われる〉ここ数年、中近東の政治情勢は、暗雲に覆われている。♠〈目を覆うばかり〉高速道路で起こった衝突[しょようとつ]事故は、車がぺちゃんこになり目を覆うばかりのありさまだった。 **おおかた【大方】** ○一般。大部分。あらまし。およそ。たいてい。たぶん。 [文例]〈大方の評判〉予想通り、新製品に対する大方の評判は上々だった。♠〈大方の賛成〉大方の賛成を得られないのであれば、今はあきらめて時機を待つしかない。♠〈おおかた片づく〉仕事もおおかた片づいたから、今夜は早めに寝るとしよう。♠〈おおかた〜ぐらい〉歩き始めてから三時間だから、おおかた半分ぐらいは来たはずだ。♠〈おおかたそんなこと〉寝坊[ねぽう]して遅刻したって? おおかたそんなことだろうと思っていた。 **おおがた【大形・大型】** ○形が大きいこと。似た型の中で大きいこと。 [文例]〈大形の犬〉こんな小さい犬より、もっと大形のほうが、番犬には適しているのではないか。 <128> ♠〈大型の台風〉南の海上に、大型で強い勢力を持った台風が発生し、北東の方向に進んでいます。♠〈大型の新人〉今年は久々に大型の新人が現れたというので、球団関係者は大いに期待しています。♠〈大型バス〉交差点では、大型バスやトラックなどの左折の際に事故が起こりやすい。 **おおがね【大金】** ○たくさんの金。たいきん。 [文例]〈大金・小金[こがね]〉じいさんは、大金というほどではないが、少々の小金ならためこんでおった。♠〈大金持ち〉彼には大金持ちの伯父[おじ]さんがいて、そのばく大な遺産が転がりこんだそうだ。♠〈大金もうけ〉大金もうけをするちゅうときに、千円の借金を返せちゅうことはないべ。 **おおかみ(狼)** ○肉食で性質の荒いイヌ科の動物。 [文例]〈おおかみが出る〉「おおかみが出た。」とうそをついて何度も人を騒[さわ]がせた少年は、本当におおかみが出た時だれも助けてくれなかった。♠〈前門[ぜんもん]のとら後門[こうもん]のおおかみ〉前門のとら後門のおおかみか、ウーン一難去ってまた一難だ。♠〈一匹狼[いっぴきおおかみ]〉彼は自分に協調性がないことを自覚しているから、ずっと一匹狼でやってきたんだ。♠〈送り狼〉親切に送ってくれるなんて、後でこわい送り狼に変身するんじゃないでしょうね。 **おおがら【大柄】** ○模様・柄が大きいさま。体が大きいさま。 [文例]〈大柄な体〉彼女は大柄で顔立ちもはっきりしているから、舞台ではよく映[は]えますね。♠〈大柄な模様〉夏の日差しに、彼女の大柄な花模様のワンピースがまぶしかった。 **おおき・い【大きい】** ○形・量・かさ・規模・程度などが平均を上回っている。 [文例]〈大きいみかん〉八百屋さんの店の台の上には、大きくて黄色いみかんがたくさんあった。♠〈大きく打ち寄せる〉空一面に黒雲が広がると、いなずまが光り、雷[かみなり]が鳴り、波が大きく打ち寄せてきた。♠〈逃がした魚は大きい〉一度手に入りかけたものを失うと、大きな悔[く]いが残るものさ、ほら、逃がした魚は大きいって言うだろう。♠〈大きい会社〉大きい会社に勤める人や公務員は、不景気でもそれほど不安はないという。♠〈規模が大きい〉今度引っ越した団地は、東京でいちばん規模が大きい団地だそうだ。♠〈大きい子〉公園で話しかけてきたのは、ぼくより大きい高校生ぐらいの子だった。♠〈声が大きい〉シーッ、声が大きい。もう少し小さい声で話してよ。♠〈態度が大きい〉〈大きく出る〉次のテストでは必ず百点を取るなんて、きみもずいぶん大きく出たもんだね。♠〈大きく分ける〉人間が物を食べる目的を大きく二つに分けると、一つは生きるため、あと一つは楽しみのためだ。♠〈被害[ひがい]が大きい〉台風による被害が大きかったので、災害救助法が適用されるという。♠〈力が大きい〉食塩水のほうが水よりも浮力[ふりよく]が大きいので、プールよりも海の方が楽に浮く。♠〈不満が大きい〉物価が上がり、その上税金まで上がるというので、国民の不満は大きかった。♠〈話が大きい〉彼の話はいつも大きいから、どこまで本当だか怪[あや]しいもんだ。♠〈気が大きい〉お酒を飲むと、つい気が大きくなって、有り金全部使ってしまったりする。♠〈腹が大きい〉小さな事はくよくよせず忘れてしまえるような、腹の大きい人間になりたい。♠〈人間が大きい〉つまらないことにいつまでもこだわっていないのさ、人間が大きいからね。 **おおきな【大きな】** ○↓おおきい [文例]〈大きな荷物〉駅の階段で大きな荷物を抱えて困っているおばあさんがいたので、手伝ってあげた。♠〈大きな音〉夜中に、突然[とつぜん]大きな音がしたので、びっくりして飛び起きてしまった。♠〈大きな声〉大きな声では言えませんが、彼は今、借金を抱えて困っているんだそうですよ。♠〈大きなけが〉シートベルトをして運転していれば、これほど大きなけがはしなかっただろうに。♠〈大きな役割〉キュリー夫妻が発見したラジウムは、医学に大きな役割を果たしたという。♠〈大きな顔をする〉いくら野球がうまくても、一年生部員は大きな顔はできない。♠〈大きな事を言う〉兄さんは、人一倍気が小さいくせに、学校ではいつも大きな事を言ってえらぶっているらしい。♠〈大きな口をたたく〉世の中に出て苦労をしたことのない者が、大きな口をたたくな。♠〈大きなお世話〉大きなお世話だよ、何をしようと、ぼくの勝手だろう。 **おおぎょう【大仰・大形】** ○おおげさなさま。 [文例]〈おおぎょうに驚[おどろ]く〉おじいさんは、得意げに話す孫に向かって、おおぎょうに驚いてみせた。♠〈おおぎょうな身ぶり〉彼は、おおぎょうな身ぶり手ぶりをまじえて、集まった村人たちの前で話し続けた。♠〈おおぎょうな話しぶり〉相手のいかにもおおぎょうな話しぶりに、かえって信用できないものを感じていた。 **オーケー(OK)** ○同意や承諾などを表す語。 [文例]ぼくは真新しいグローブを手にはめると、「オーケー、投げていいよ。」と叫んだ。♠〈オーケーが出る〉やっと父のオーケーが出て、今日、ぼくは初めて漁[りょう]について行くことになった。♠〈オーケーをとる〉今から試合の日程を変更するには、相手チームのオーケーをとらなくてはならない。 **おおげさ【大げさ】(大袈裟)** ○実際より誇張[こちょう]して見せたり、言ったりするさま。 [文例]〈おおげさに騒[さわ]ぐ〉彼女はちょっとした切り傷でも、痛い、痛いとおおげさに騒ぐ人だ。♠〈おおげさな身ぶり手ぶり〉外国人が、おおげさな身ぶり手ぶりでおまわりさんに何か聞いている。♠〈おおげさに言う〉おおげさに言えば、この町であの先生に病気を治してもらったことのない人は一人もいないくらいだ。♠〈おおげさになる〉おおげさになるから、ぼくが入院したことは、だれにも言わないで。♠〈おおげさな表現〉みんなは彼の絵を、「まれにみる傑作[けっさく]だ。」と、おおげさな表現でほめた。♠〈話がおおげさ〉あいつの話はいつもおおげさだから、話半分に聞いておいたほうがいいよ。 **おおごと【大事】** ○大きな出来事。重大な事柄。 [文例]〈大事になる〉台所をちょっとこがしただけで、大事にならなくて本当によかった。♠〈大事になる〉そんな大事になっているとは夢[ゆめ]にも知らず、ぼくは夜遅くのんきな顔をしてもどってきた。♠書類をなくしたって? それは大事だ。 **おおざっぱ【大雑把】** ○おおづかみなさま。おおまか。細かなことにこだわらないさま。 <129> **おおざっぱ**【大ざっぱ】○細かいことを気にしないさま。[文例]〈大ざっぱな性格〉わたしは大ざっぱな性格ですから、小さいことにはこだわりません。♠〈大ざっぱに分ける〉まず全体を大ざっぱに二つに分けて、その後で細かく分類したらいいでしょう。♠〈大ざっぱにいう〉さまざまな国の民話を比較してみると、大ざっぱにいって次のような傾向[けいこう]のあることがわかる。 **おおしい**【雄雄しい】(男男しい)○男らしい。勇ましい。[文例]〈雄々しい叫び〉それはわたしが初めて聞く、雄々しい、野獣[やじゅう]の叫び[さけ]だった。♠〈雄々しく闘う〉息子は最後まで雄々しく闘ったと、わたしは信じています。 **おおすじ**【大筋】○大体のすじみち。あらまし。大略。[例]〈大筋の合意〉今回の話し合いで、大筋の合意が得られました。♠〈話の大筋〉お話の大筋はわかりましたが、それでわたしに、どうしろと言われるのですか。♠〈大筋で同意する〉商店街の発展のための祭りに大筋で同意しますが、ビールの早飲みコンテストには反対です。 **おおせ**【仰せ】○「言い付け」「命令」の尊敬語。「(目上の人の)言葉」の尊敬語。[文例]〈仰せに従う〉仰せに従い、すぐに家来をお城に集めましょう。♠〈仰せに背く[そむ]〉王の仰せに背け[そむ]ば、どのような罰[ばっ]が与えられるやも知れません。♠〈仰せの通り〉仰せの通り、日照り続きでこのままでは飢饉[ききん]のおそれもございます。 **おおぜい**【大勢】○人数が多いこと。[文例]お客様が大勢お見えになっていらっしゃいます。♠どんなに大勢の人々の夢を、一枚の地図がかきたてたことだろう。♠夜もふけてから、彼の家へ大勢で押しかけた。 **オーソドックス**○正統派。正統的。[文例]〈オーソドックスな方法〉奇をてらう変わったやり方よりも、理にかなったオーソドックスな方法をとるほうがよい結果を生むでしょう。♠〈オーソドックスに考える〉ノーアウト、ランナー一塁だから、ここはオーソドックスに考えて送りバントだ。 **おおぞら**【大空】○広くて大きな空。[文例]〈大空の青さ〉舞い上がったボールの白さが大空を深く見せ、大空の青さが白球をいっそう白くする。♠〈大空をはばたく〉大空を自由に鳥のようにはばたきたい。♠〈大空に浮かぶ〉大空にぽっかり浮かんだ白い雲は、ゆっくりと形を変えながら、東の方へ流れていった。♠〈大空を見上げる〉野原に寝転んで[ねころ]大空を見上げていると、ちっぽけなことで悩んで[なや]いる自分がなんだかつまらなく思えてきた。 **オーソリティー**○権威(者)。大家。[文例]〈その道のオーソリティー〉先生は、四十年来金属材料の研究を続けられていて、その道のオーソリティーといってよい方です。♠〈オーソリティーをもつ〉建築学界の第一人者の発言ですから、当然オーソリティーをもつものと考えていいだろう。 **おおづかみ**【大づかみ】(大摑み)○物事のあらましをとらえること。おおまか。[文例]〈大づかみに言う〉大づかみに言えば、この計画は現存する日本の森林を保護しようというものです。♠〈大づかみな報告〉被災地の調査団から、大づかみな報告が届いた。 **おおっぴら**○隠さないさま。公然。[文例]〈おおっぴらに~する〉時間中、おおっぴらに校門から出られるなんて、写生のときぐらいしかない。♠〈おおっぴらに酒を飲む〉わたしは二十歳[はたち]になった時、これからはおおっぴらに酒が飲めると思ってうれしかった。♠〈おおっぴらにする〉いっそ事件をおおっぴらにしてしまったほうが、皆の協力も得られていいのではないだろうか。 **おおづめ**【大詰め】○芝居などの最後の場面。物事の最終段階。終局。[文例]〈大詰めを迎える〉決勝戦も、最終セット10対10と大詰めを迎えました。♠〈大詰めに近づく〉北海道日高での競り市が大詰めに近づいて、ついに評判の血統のサラブレッドの登場となった。 **おおで**【大手】○肩から手の先まで。辺りをはばからない態度。[文例]〈大手を広げる〉逃げようとした男の前に、一人の若者が大手を広げて立ちはだかった。♠〈大手を振る〉二年浪人したが、今年は志望大学に合格して、やっと大手を振って歩けるようになった。 **オーバー**○上を越えること。限度をこえること。おおげさなさま。外套。[文例]〈オーバーする〉会議は議論が沸騰し、予定の時間をオーバーして続けられた。♠〈予算オーバー〉今度の旅行では思いがけない出費がかさみ、予算オーバーで足が出てしまった。♠〈オーバーに話す〉きみは何でもオーバーに話すきらいがあるね。♠〈オーバーを着る〉今日は少し冷えるようだから、オーバーを着ていきなさい。 **おおはば**【大幅】(大巾)○普通より幅が広いこと。へだたり、ひらきが大きいこと。[文例]〈大幅な値上げ〉私鉄は来春、運賃の大幅な値上げを予定している。♠〈大幅な改定〉この度、郵便料金の大幅な改定が行われることになりました。♠〈大幅にくいちがう〉見に行ったアパートの部屋は、不動産屋さんの話とは大幅にくいちがっていた。 **おおぶり**【大振り】○大きく振り回すこと。形が大きいさま。大きめ。[文例]〈大振りする〉相手投手の球は速いから、大振りせずに当てていけ。♠〈大振りなりんご〉かごの中から大振りでうまそうなりんごを一つ取り出して、ポケットに押し込んだ。 **オープン**○ひらくこと。あけっぴろげなこと。公開であること。[文例]〈オープンする〉このマーケットは先週オープンしたばかりです。♠〈オープンに話す〉上田くんとぼくは何でもオープンに話せる仲だ。♠〈オープン戦〉プロ野球は、公式戦開始前にオープン戦を行います。 **おおまか**【大まか】○細部にこだわらないさま。おおざっぱ。[文例]〈大まかな筋[すじ]〉先生は『ガラスのうさぎ』の大まかな筋[すじ]を話してくれました。♠〈大まかな説明〉この件につきましては、大まかな説明は受けております。♠〈大まかな性格〉彼は、細かい事には気を配らない大まかな性格だ。 **おおみそか**(大晦日)○十二月三十一日のこと。[例]大晦日の夜、年越しそばを食べるのはずいぶん古くからの習慣です。♠どこの家も、大晦日になると、正月料理の準備に大忙しです。 **おおむこう**【大向こう】○舞台正面後方の立ち見席。一般の<143> **おっちょこちょい**○そそっかしいさま。また、そういう人。[文例]〈おっちょこちょいな人〉届け先も聞かずにとび出して行くなんて、おっちょこちょいな人だね、まったく。♠〈おっちょこちょいな性格〉明るく人のよい姉さんだが、ちょっとおっちょこちょいなところがある。 **おっつけ**【追っ付け】○そのうち。まもなく。やがて。[例]タバコを買いに出ましたが、おっつけ戻る[もど]と思います。♠用が済んだら、おっつけこちらから出向きます。 **おって**【追って】○あとで。のちほど。つけ加えて。[例]〈追って~する〉抽選[ちゅうせん]の結果は、追ってハガキでお知らせします。♠〈追って書き〉その手紙には、さらに次のような追って書きがつけ加えてあった。 **おって**【追っ手】○逃亡者を追跡する人。[例]〈追っ手をかける〉何十人もの追っ手をかけてとらえようとしたが、犯人は姿をくらましてしまった。♠〈追っ手がかかる〉追っ手がかかってるんだ、どうかかくまってくれ。 **おっと**【夫】○夫婦のうち男の方。→妻 [文例]〈妻と夫〉若い妻は、よちよち歩きの赤ん坊を抱いて、夫の留守をよく守った。♠夫は、札幌[さっぽろ]へ転勤しまして、ただいま単身赴任[ふにん]中でございます。 **おっとり**○のんびり、ゆったりしているさま。おうようなさま。[文例]〈おっとりした人〉だんなさんはおっとりしたお方で、店の者でもめったに怒るようなことはありませんでした。♠〈おっとりとかまえる〉そんな時も、父はおっとりとかまえて、わたしたちに安心するよう言い聞かせました。 **おてあげ**【お手上げ】○手のくだしようがないこと。どうにもならないさま。[文例]かんづいて、熊[くま]がまっすぐこっちへ向かってくれば、お手上げだ。♠こう降り続いたんじゃ、おれたち大工はお手上げだ。 **おでこ**○ひたい。ひたいが高く出ていること。[文例]〈おでこが広い〉わたしはおでこが広いので、前髪[まえがみ]を垂らしてかくしているんです。♠ちょっぴりおでこで目の大きな、キューピーさんみたいな男の子でした。 **おてん**【汚点】○ぽつんと付いたよごれ。名誉をけがす点。[文例]〈汚点がしみつく〉晴れ渡った空に、飛行機の影が一つ、汚点のようにしみついていた。♠〈汚点を残す〉その不祥事は、わが国の議会史上に大きな汚点を残した。 **おど・ける**○こっけいにふるまう。ふざける。[文例]〈おどけたしぐさ〉サーカスのピエロは、おどけたしぐさをしてみんなを笑わせる。♠男の子は、てれかくしにわざとおどけてみせた。 **おてんば**【お転婆】○女の子が、男の子のように活発であること。また、そのような少女。[文例]〈おてんばな女の子〉小さいころからおてんばで、木登りなんか大得意の女の子でした。♠〈おてんばとわんぱく〉姉はおてんば、弟はわんぱくで、家の中はひっくり返るような騒ぎ[さわ]です。♠〈おてんば娘〉あのもの静かなおばさまが、おてんば娘だったとはとても思えない。 **おと**【音】○耳に聞こえる振動。評判。うわさ。[文例]〈音がうるさい〉〈音を小さくする〉ステレオの音がうるさいぞ。もっと音を小さくしろ!♠〈音を出す〉自分の出す音が他人の迷惑[めいわく]にならないように注意しましょう。♠〈高い・低い・強い・弱い音〉音には、高い音、低い音、強い音、弱い音などがあります。♠〈鈍い[にぶ]音〉〈音がする〉どすんと鈍い[にぶ]音がして、木の上から父が落ちてきた。♠〈音をたてる〉人々が避難[ひなん]する間も、雨は音をたてて降り続けた。♠〈音が聞こえる〉日曜日の朝、どこからかピアノの音が心地[ここち]よげに聞こえてきた。♠〈音もなく〉山あいを、小川の水が音もなく流れていた。♠〈音に聞く〉彼の前に現れたのは、音に聞こえた武芸の達人であった。 **おどおど**○恐れて落ち着かないさま。びくびく。おずおず。[例]〈おどおどする〉少年は、何かを恐れるように、おどおどした目つきで辺りを見回した。♠〈おどおどと〉少女は、おどおどとわたしの顔をのぞきこんだ。 **おどか・す**【脅かす】(威かす・嚇かす)○こわがらせる。びっくりさせる。[文例]かんしゃく玉で脅かした時の、あいつのびっくりした顔がいまだに目に浮かぶ。♠友達にそっと近づいて、後ろからわっと脅かした。♠先生も人が悪いですねえ、冗談[じょうだん]で人を脅かすなんて。♠悪い友人にどんなに脅かされてもぼくは、非行の仲間には入らなかった。 **おどし**【脅し】(威し・嚇し)○こわがらせること。脅迫。[文例]〈脅しをかける〉脅しをかけて金をゆするようなやつらは許せない。♠〈脅しがきく〉子供をつれて実家へ帰る、という脅しがきいて、あの人、酒をやめたわ。♠〈脅しにのる〉あの男は、決して脅しにのるような男ではないよ。 **おとこ**【男】○男性。雄。一人前の男性。男性としての面目、容貌。愛人としての男性。[文例]〈大の男〉女の態度からは、死んでもいいという気迫が伝わり、大の男もすくんでしまった。♠〈男がすたる〉こんなことぐらいであきらめてしまったら、男がすたる。♠〈男になる〉〈男にする〉この計画を実現させて、男になりたいのです。どうかこのぼくを男にしてください。♠〈男を上げる・下げる〉今度の手柄で、彼もずいぶん男を上げたね。♠〈男が立つ〉どうか、この仕事はおれにやらせてくれ。でないと、おれの男が立たねえんだ。♠〈男ができる〉よっ、みっちゃん、色っぽくなったね。男でもできたのかい?♠〈男の中の男〉遠山[とおやま]の金さん[きんさん]は、男の中の男だぜ。きっと相談に乗ってくれるさ。♠〈男は度胸、女は愛嬌[あいきょう]〉「男は度胸、女は愛嬌[あいきょう]」などと言うが、当世は度胸のない男、愛嬌[あいきょう]のない女がふえたねえ。♠〈男一匹〉やせても枯れても、男一匹、このぐらいの金[かね]は工面[くめん]してみせらあ。♠〈男泣き〉メロスは川岸にうずくまり、男泣きに泣きながらゼウスに手を挙げて哀願[あいがん]した。(太宰治[だざいおさむ]「走れメロス」) **おとこらし・い**【男らしい】○男性的な能力・性質などをそなえている。[例]〈男らしい態度〉彼の男らしい態度は、実にりっぱだった。♠〈男らしい人〉太郎[たろう]さんは、明らかで男らしい人です。♠〈男らしく~する〉いつまでもうじうじしていないで、男らしくきっぱりあきらめなさい。 **おとさた**【音さた】(音沙汰)○たより。消息。[例]〈音さたがない〉二月までは我が家に居候[いそうろう]をしていたが、暖かくなるとぽっと家を出たまま、それきり音さたがない。 <130> 見物客。 [文例]〈大向こうをうならせる〉歌舞伎界のホープといわれる役者は、うわさにたがわぬ演技で大向こうをうならせた。♠〈大向こうから声がかかる〉立て役者が見得[みえ]を切ると、大向こうから「日本一!」と声がかかった。 **おおむね(概ね)** ○およその内容・趣旨。あらまし。大体。 [文例]父の手術はかなりむずかしかったそうだが、術後の経過はおおむね良好であると言われた。♠町内の空き地を児童公園にするというプランは、おおむね問題がなさそうだ。♠来年度のわが社の事業計画は、おおむね次の通りです。♠細部[さいぶ]に多少のくい違いはあるが、おおむね意見が一致した。♠〈話のおおむね〉「もっとわかりやすい授業を」というきみの話のおおむねは、理解できました。 **おおもの【大物】** ○大きなもの。大きな実力のある人物。 [文例]〈大物を釣り上げる〉大物を釣り上げた父が、釣り竿を片手に意気揚々[ようよう]と帰ってきた。♠〈大物になる〉何が起こっても泰然[たいぜん]としている彼のことだから、きっと将来大物になるにちがいない。♠〈財界の大物〉彼は電力業界の大物で、財界で最も重要な人物の一人です。♠〈大物食い〉小兵[こひよう]だが、横綱を倒[たお]すなど大物食いの力士だ。 **おおや【大家・大屋】** ○貸家・貸室の所有者。やぬし。母家[おもや]。 [文例]〈アパートの大家〉このアパートの大家は、三軒[さんげん]先に住んでいます。♠〈貸家の大家〉大家に断って、貸家を一部屋増築することにした。 **おおやけ【公】** ○国家。政府。公共。表向き。 [文例]〈公[おおやけ]と私[わたくし]〉政治家は、私事と公の事をきちんと区別しなければならない。♠〈公の機関〉公の機関は、国民生活をより豊かにするのを目的としている。♠〈公になる・する〉その事件が公になると、日本中が騒然[そうぜん]となった。♠〈公の場〉記者会見という公の場の発言では、言葉に注意しなければなりません。 **おおよそ(大凡・凡そ)** ○あらまし。おおかた。大体。およそ。 [文例]〈おおよその内容〉古文は難しいといっても日本語だから、繰り返し読めば、おおよその内容をつかむことができる。♠〈おおよその見当〉きみの話から、彼がどんな人間[ひとがら]か、おおよその見当がつくよ。 **おおらか【大らか】** ○心が広く、ゆったりして、こせこせしないさま。 [文例]〈おおらかな人柄〉おおらかな人柄のせいか、彼は後輩[こうはい]にとても慕[した]われている。♠〈人間がおおらか〉のびのびと育ったとみえて、彼女は人間がおおらかです。 **おおわらい【大笑い】** ○大声で笑うこと。 [文例]〈大笑いになる〉弟のおどけたかっこうに、みんな大笑いになった。♠〈大笑いする〉軽妙[けいみよう]な喜劇に観客は大笑いした。 **おおわらわ【大わらわ】(大童)** ○なりふりかまわず、仕事などに打ち込むさま。 [文例]このところ町内は、夏祭りの準備で大わらわだ。♠双子[ふたご]の生まれた彼女は、赤ちゃんの世話に大わらわです。 **おか【丘】(岡)** ○小高く盛り上がった土地。 [文例]〈小高い丘〉学校は小高い丘の上に建っています。♠〈こんもりとした丘〉バスがカーブを曲がると、行く手にこんもりとした丘が見えてきました。♠〈丘に登る〉町はずれの古い城のある丘に登ります。♠〈丘に立つ〉春風や闘志いだきて丘に立つ(高浜虚子[たかはまきよし]) **おか(陸)** ○海に対して陸地。 [文例]〈おかへ上がる〉船を下りておかへ上がっても、しばらくの間は体がゆれているように感じた。♠〈おかに上がったかっぱ〉遠洋航海から帰った父は、おかに上がったかっぱで、毎日ぼんやりしています。 **おかげ【お陰】(御陰・御蔭)** ○神仏の助け。他から受けた恩。他のせい。 [文例]ジョギングのおかげで、もともとひよわだった体がすっかり丈夫になった。♠そのお医者さんのおかげで耳の病気がすっかり直ったという話は、数えきれません。♠早起きしたおかげで、朝食前に国語の勉強ができた。♠きみが手伝ってくれたおかげで、予定よりずっと早く片づいたよ。♠〈おかげさま〉おかげさまで息子もめでたく社会人となることができました。 **おかし・い(可笑しい)** ○こっけいだ。おもしろい。変だ。正常でない。不審[ふしん]だ。あやしい。 [文例]〈おかしくて笑う〉落語がおかしくて、おなかをかかえて笑った。♠〈おかしくてたまらない〉三振ばかりしている波が、四番打者だなんて、おかしくてたまらないよ。♠〈はしがころんでもおかしい〉わたしたちは、はしがころんでもおかしい年ごろなんだって。♠〈おかしいやつ〉傘を貸してあげると言ったのに、雨の中をびしょぬれで歩いていくなんておかしいやつだ。♠〈頭がおかしい〉この暑いのに毛糸のセーターなんか着て、頭がおかしくなったんじゃないのか。♠〈使い方がおかしい〉「ぼくは、決して信じます。」では、ことばの使い方がおかしいですね。♠〈様子がおかしい〉変な男が、用もないのに学校の門の前でうろうろしていて、どうも様子がおかしい。♠〈調子がおかしい〉今日は朝から体の調子がおかしい。♠ぼくの自転車、さっきまでそこにあったのに、おかしいなあ、どこに消えちゃったんだろう。♠〈おもしろおかしい〉世の中をおもしろおかしく暮らせる人なんているんだろうか。♠〈ちゃんちゃらおかしい〉なに言ってやんでえ、ちゃんちゃらおかしいぜ。 **おか・す【犯す・侵す・冒す】** ○きまりを破る。してはならないことをする。危険なことをあえて行う。害を与える。他の領域に踏み込む。他人の権利などを損なう。 [文例]〈規則を犯す〉みんなで決めたグループの規則を犯す者は、グループから出ていってもらおう。♠〈法を犯す〉いくら取り締まっても、法を犯して密漁[みつりよう]をする者が跡[あと]を絶ちません。♠〈禁を犯す〉禁を犯した者には厳しい罰[ばつ]が課[か]された。♠〈過[あやま]ちを犯す〉自分では全く気づかずに、他人の心を傷つける過ちを犯すことがある。♠〈ミスを犯す〉答案用紙を見直しているうちに、重大なミスを犯していることに気がついた。♠〈罪を犯す〉犯した罪の償[つぐな]いはたとえ何年かかっても、必ずいたします。♠〈不正を犯す〉日ごろ不正を犯し私腹[しふく]を肥[こ]やしている町のボスどもも、この事件が年貢[ねんぐ]の納め時となった。♠〈盗みを犯す〉逆らいがたい空腹を感じて、少年は生まれて初めて盗みを犯した。♠〈危険を冒す〉レースに臨んだ者のうち、何人かは、危険を冒して大けがをしたということだ。 <131> ♠〈無謀[むぼう]を冒す〉若い時は、とかく力にまかせて、無謀を冒し、一生悔[く]いを残すことさえある。♠〈風雨を冒す〉土砂崩[どしやず]れで生き埋めになった人たちを救い出すために、救助隊は風雨を冒して出発した。♠〈肺を冒[おか]される〉一つ年上の兄は肺を冒され、長い間療養[りようよう]生活を送っていた。♠〈財産を侵す〉自分の物と他人の物の区別をつけ、決して人の財産を侵してはならない。♠〈権利を侵す〉自由に生きることは、わたしたちの権利であるから、だれにも侵されたくはない。♠〈国境[こつきよう]を侵す〉一方が他方の国の国境を侵したことから、激しい戦争が始まった。♠〈領空を侵す〉管制塔[かんせいとう]から、国籍[こくせき]不明機が領空を侵しているという連絡[れんらく]が入ってきた。 **おが・む【拝む】** ○両手のひらを合わせて祈る。ありがたいものとして見る。 [文例]〈仏を拝む〉祖母は毎日お線香をたいて仏様を拝んでいます。♠〈日の出を拝む〉わたしたちは真夜中にふもとを出発し、山の頂上で日の出を拝みました。♠〈心の中で拝む〉合格発表の日、どうか受かっていますようにと、心の中で拝んでいた。♠彼は、手を合わせて拝むようなしぐさをして、わたしに援助[えんじよ]を求めた。♠〈物を拝む〉きみが自慢[じまん]する宝物を、ぼくにも一度拝ませてくれよ。 **おかん【悪寒】** ○発熱によるぞくぞくするような寒け。 [文例]〈悪寒がする〉熱があるのだろうか、冷や汗が出て悪寒がする。♠〈悪寒におそわれる〉悪寒におそわれたわたしは、その夜早々と床[とこ]についた。 **おき【沖】** ○海・湖の岸から遠く隔[へだ]たった水上。 [文例]真夏の海はあくまで青く、沖にはヨットが浮かんでいた。♠〈沖の小島〉沖の小島まで、一日二往復の船便があります。♠〈沖に出る〉漁師のおじいさんは、毎朝早くから沖に出て網[あみ]を打ちます。 **おきあい【沖合】** ○沖の方。沖のあたり。 [文例]〈港の沖合い〉港の沖合いに、黒々とした軍艦[ぐんかん]が停泊[ていはく]していた。♠〈はるか沖合い〉夜がしらじらと明け初[そ]めたころ、荒れ狂[くる]う海上を見渡した彼は、はるか沖合いに難破船を認めた。 **おきあがる【起き上がる】** ○体を起こす。立ち上がる。 [文例]深夜の騒々[そうそう]しい物音に目をさまし、わたしは起き上がって窓を開けました。♠病気で学校を休んだ友達を見舞いに行くと、ひどくつらそうに床から起き上がった。 **おきか・える【置き換える】** ○置く位置をかえる。とりかえて置く。 [文例]〈物を置き換える〉ぼくは時々机を置き換えて、気分転換[てんかん]をはかることにしている。♠〈日本語に置き換える〉外国語のなかには、日本語に置き換えることが困難な語もあります。 **おきざり【置き去り】** ○その場に置いて立ち去ること。 [文例]〈置き去りにする〉女は遊園地に子供を置き去りにして、そっと姿を消した。♠上陸中にうっかり眠りこんでしまったため、彼は無人島に置き去りにされた。 **おきて(掟)** ○とりきめ。きまり。さだめ。 [文例]〈おきてにそむく〉組のおきてにそむいたため、厳しい罰[ばつ]を受けた。♠〈おきてを破る〉おきてを破った者は、容赦[ようしゃ]なく村から追放された。♠〈おきてを守る〉法律は国のおきてであり、国民はこれを守らなければならない。 **おぎな・う【補う】** ○足りないところを満たす。不足をうめあわせる。 [文例]〈足りない分を補う〉生活費の足りない分は、貯金を下ろして補いました。♠〈不足を補う〉ビタミンの不足を補うため、野菜や果物をたくさん食べましょう。♠〈欠員を補う〉市会議員の欠員を補うための選挙が行われた。♠〈損失を補う〉社長は事業の損失を補うために、新たな部門への進出を企[くわだ]てているらしい。♠〈家計を補う〉この地方の農家は、出稼[でかせ]ぎで家計を補っている。♠〈言葉を補う〉適当な言葉を補って、わかりやすい日本語に翻訳[ほんやく]しました。♠〈補って余[あま]りある〉彼の誠意と優[やさ]しさは、ほかの欠点を補って余りある。 **おきふし【起き伏し】(起き臥し)** ○起きることと寝ること。日々の暮らし。つねづね。いつも。 [文例]〈起き伏しする〉一か月も同じ屋根の下で起き伏ししていると、自然に気持ちが通うものだ。♠〈起き伏しに~する〉いつも心に仏さまの姿を描[えが]きながら、起き伏しに感謝のことばを申しあげてまいました。♠〈起き伏し~する〉何とも思っていないはずだったが、姿が消えたとなると、その娘のことが起き伏し心にかかるようになった。 **お・きる【起きる】** ○体を起こす。立ち上がる。目をさます。起こる。発生する。 [文例]強烈[きょうれつ]な一撃[いちげき]を受けたボクサーは、リングに倒[たお]れ込んだが、すぐに起き上がった。♠熱もようやく下がったので、明日は起きられるでしょう。♠寝ている赤ちゃんが起きないように、ステレオの音を小さくした。♠人間は起きているとき、常に心を働かせて、ものを記憶したり考えたりしています。♠〈転んでもただでは起きない〉いつでもちゃっかりしている彼は、転んでもただでは起きない人だと言われている。♠〈事故が起きる〉余計な心配かもしれないが、しかし、事故というものは、起きてしまってからではもう遅[おそ]い。♠〈火がおきる〉消したはずのたき火が、風であおられて火がおき、もう少しで火事になるところだった。 **おく【奥】** ○内部へ深く入った所。物事の深い部分。 [文例]〈奥の方〉机の下に落ちた消しゴムが奥の方に転がって、なかなか取れない。♠〈山の奥〉旅人がどんどん山の奥へ入っていくと、一本の古いかしわの木があった。♠〈奥の部屋〉「ごめんください。」と声をかけると、奥の部屋から、店のおかみさんが出てきた。♠〈奥へ通す〉お客様を奥へお通ししておきました。♠〈のどの奥〉あわてて食べたら、小さな魚の骨がのどの奥に引っ掛かってしまった。♠〈胸の奥〉わたしは、自分の勘違[かんちが]いに気がつくと、胸の奥からおかしさがこみあげてきた。♠〈奥が深い〉十年もやってきて、やっと釣りというものは奥が深いものだと思うようになった。♠〈奥深く〉心の奥深く、そっと秘められた娘の思いは、日に日に強くなっていった。♠〈奥の手〉いよいよとなったら奥の手を出せば、この試合には、絶対に勝てる。 **おく【置く】(措く)** ○その場に位置させる。設ける。間を隔てる。そのままに残す。さしおく。除く。止める。 [文例]〈手を置く〉手をひざの上に置いて、正しい姿勢で話を聞きましょう。 <132> ♠〈手をおく〉鉛筆[えんぴつ]を持つ手をおいて、窓の外を見ると、いつのまにか雪が降り出していた。♠〈店に置く〉あなたの店には、どんな品物[しなもの]が置いてあるのですか。♠〈営業所を置く〉父の会社は、各県庁所在地に営業所を置いている。♠〈下宿人[げしゆくにん]を置く〉来月から、うちの二階に下宿人を置くことになった。♠〈間[ま]を置く〉人前で話すときは、ゆっくりと間を置いて話すとわかりやすい。♠〈霜[しも]が置く〉初冬の早朝、霜が置いた草原を歩きました。♠〈霜を置く〉往年のオリンピック選手も、いつか頭に霜を置く年齢になった。♠〈心に置く〉これからも先生の言葉を心に置いて行動しようと思う。♠〈家族をおく〉わたしたち家族をおいてアフリカで仕事をしていた父が、来週帰ってくることになった。♠〈一目[いちもく]置く〉チームのまとめ役である彼には、キャプテンも一目置いている。♠〈筆をおく〉では、皆様[みなさま]の御健康[ごけんこう]をお祝いして筆をおきます。乱筆乱文失礼いたしました。♠〈重きをおく〉当校は、学業だけでなく、生徒のしつけにも重きをおいています。♠〈念頭におく〉わたしたちの生活は、他の人たちとの関係で成り立っているということを、常に念頭におきなさい。♠〈下[した]にも置かない〉教え子の家では、下にも置かない丁重[ていちよう]なもてなしを受けた。♠〈やはり野に置け[おけ]れんげ草〉「やはり野に置けれんげ草」といって、人にも物にも、それにふさわしい場所というものがある。♠〈一軒[いつけん]おいた隣[となり]〉ゆうべ、一軒おいた隣の家に泥棒[どろぼう]が入ったそうだ。♠〈長くおく〉夏場は、なまものを長くおくのはよくない。♠〈何はさておき〉外から帰ってきたら、何はさておき、まず手を洗いなさいよ。♠〈~をおいてほかに〉この仕事をやりとげられるのは、彼をおいてほかにない。♠〈~しておく〉母は今、留守ですが、御用件は、わたしがうかがっておきます。♠〈言わせておけば〉言わせておけばいい気になって、きみ、あまり調子づかないほうがいいよ。♠〈~せずにはおかない〉どんな手段を使っても今度の計画は成功させずにはおかないと、兄ははりきっている。 **おくがい【屋外】** ○建物の外。 [文例]〈屋外のスポーツ〉この学校は運動場が広く、屋外のスポーツに力を入れています。♠〈屋外の気温〉冬の北海道では、屋外の気温が零度[れいど]以下になるのが普通です。♠〈屋外へ出る〉休み時間になると、生徒たちは屋外へとび出して行く。 **おくぎ【奥義】** ○↓おうぎ **おくじょう【屋上】** ○(ビルなど大きな建物の)屋根の上。 [文例]〈建物の屋上〉この建物の屋上からは、町が一望のもとに見渡せる。♠〈屋上に出る〉この階段から屋上に出ることができる。♠〈屋上屋[おくじようおく]を架[か]する〉屋上屋を架するような無意味なことはやめにしよう。 **おく・する(臆する)** ○気おくれする。おじける。 [文例]彼は、全校生徒の前で臆する様子もなく、意見を発表した。♠彼は、人前では臆してものも言えない恥ずかしがり屋です。 **おくそく【憶測】(臆測)** ○根拠もなく、いい加減に推し量ること。あて推量。あてずっぽう。 [文例]〈憶測が取りざたされる〉首相の退陣について、様々な憶測が取りざたされている。♠〈憶測する〉ぼくたち二人のことを、へんに憶測するのはやめてくれよ。♠〈憶測がはずれる〉都合のよい憶測がはずれて、新製品の売れ行きはさほどかんばしくなかった。♠〈憶測でものを言う〉事実を確かめもせずに、うわさだけにたよって憶測でものを言ってはいけない。♠〈憶測が乱れ飛ぶ〉それぞれのおもわくがからんで、あれこれと憶測が乱れ飛んでいます。 **おくそこ【奥底】** ○奥深いところ。 [文例]〈奥底が知れない〉川の流れは黒々として、奥底の知れない不気味さをたたえていた。♠〈心の奥底〉価値の高い文学作品から得られる感動をみずみずしい心で受け止め、心の奥底を耕[たがや]そう。♠〈胸の奥底〉彼女は、胸の奥底に、だれにも話せない悩みを秘[ひ]めていた。 **おくない【屋内】** ○建物の中。 [文例]〈屋内のスポーツ〉当地は、スキーやスケートができませんので、冬は屋内のスポーツに人気が集中します。♠〈屋内体育館〉雨の日の屋内体育館は、運動部の練習で大混雑です。 **おくのて【奥の手】** ○とっておきの手段。最後の手段。 [文例]〈奥の手を使う〉どう説得しても彼が我々のチームに入らないのなら、奥の手を使うことにしよう。♠〈奥の手を出す〉この作戦が失敗したとあっては、奥の手を出すしかないな。 **おくび(噯気)** ○げっぷ。 [文例]〈おくびにも出さない〉わたしの下駄を断りなしにはいていったことなど、この男はおくびにも出さなかった。 **おくびょう(臆病)** ○気が小さく、勇気がもてないさま。 [文例]〈おくびょうな動物〉パンダはおくびょうな動物で、非常に用心深いところがあります。♠〈おくびょうな男〉仲間外れになるのをおそれて悪い事も断れないとは、きみはなんておくびょうな男なんだ。♠〈おくびょう風[かぜ]〉口では強そうなことを言ってみたが、急におくびょう風に吹かれて逃げてきた。 **おくふか・い【奥深い】** ○おくまっている。意味が深い。深い内容をもっている。 [文例]〈奥深いジャングル〉探検家は、アフリカの奥深いジャングルに分け入ったまま消息を絶った。♠〈金庫の奥深く〉彼は遺言状[ゆいごんじよう]を書き終えると、金庫の奥深くしまいこんだ。♠〈奥深い言葉〉わたしたちは師の奥深い言葉をしみじみとかみしめた。 **おくま・る【奥まる】** ○奥の方にある。奥深くにある。 [文例]〈奥まった部屋〉暗い廊下を進んで行くと、一番奥まった部屋のドアに「小田大助」という名札がかかっていた。 **おくめん(臆面)** ○気おくれしたり、遠慮したりする表情。態度。 [文例]〈臆面もなく〉あの人は、どんなに断っても臆面もなくやってくるので、困り果てています。♠〈臆面もなく〉あんなに迷惑[めいわく]をかけた[くせ]に臆面もなくまたやって来るとは、いったいどういう神経だろう。 **おくゆかしい【奥ゆかしい】(奥床しい)** ○つつしみ深く上品である。深みが感じられて心ひかれる。 [文例]〈奥ゆかしい人柄[ひとがら]〉先生の控え目で奥ゆかしい人柄は、多くの学生たちに慕[した]われた。♠〈奥ゆかしい人〉自分の手柄[てがら]を自慢[じまん]したり、鼻にかけたりもしない、実に奥ゆかしい人だ。 <133> ♠〈奥ゆかしい気品〉淡[あわ]い水色の着物は、着る人に奥ゆかしい気品をあたえていた。♠〈奥ゆかしいことばづかい〉隣[となり]のおばあちゃんの、丁寧で奥ゆかしいことばづかいを見習いたいものだ。♠〈上品で奥ゆかしい〉ある日、上品で奥ゆかしい中年の婦人が訪ねてきた。♠玄関[げんかん]に水仙[すいせん]の花が一本、深い気品をたたえているのも、奥ゆかしい。 **おくゆき【奥行き】** ○表から奥までの距離。内容の深さ。 [文例]〈箱の奥行き〉この本箱は、奥行きがちょうど三十センチあります。♠〈風景の奥行き〉川の向こうに山と花を描[えが]くと、風景は広がりに奥行きが加わり、色彩[しきさい]も豊かになりました。♠〈奥行きのある表現〉簡明で、しかも奥行きがあり、読む人の胸にしみこむような表現ができたらなあ。 **おくりもの【贈り物】** ○祝いや感謝、記念として人におくる物。プレゼント。 [文例]〈贈り物をする〉担任の先生の結婚を祝って、みんなでささやかな贈り物をすることにした。♠この万年筆は、おじからの贈り物です。♠母の日の贈り物に、青いスカーフを買いました。 **おく・る【送る・贈る】** ○目的の場所へ届ける。去っていくのを見守る。付き添って行く。次の位置へ移す。時を過ごす。人に与える。送り仮名をつける。 [文例]〈荷物を送る〉とりたての野菜をつめた荷物を送ったからね、という電話が田舎[いなか]のおばあちゃんからあった。♠〈手紙を送る〉外国へ行っている兄から、様子をくわしく書いた手紙が送られてきた。♠〈金を送る〉今月は本代がよけいにかかったので、田舎の親にお金を送ってくれるように頼[たの]んだ。♠〈賞を贈る〉世界的な科学者として有名な彼に、ノーベル物理学賞が贈られた。♠〈プレゼントを贈る〉あなたの誕生日[たんじょうび]には、欲しがっていたプレゼントを贈ります。♠〈使節を送る〉飛鳥時代[あすかじだい]には、当時の中国へ日本から使節が送られるようになった。♠〈栄養を送る〉わたしたちの体を流れる血液は、体のすみずみに栄養を送る働きをしている。♠〈合図を送る〉校舎から、グラウンドにいる友達に、「今行くぞ。」という合図を送った。♠〈拍手[はくしゆ]を送る〉少年野球大会で優勝したわがチームに、みなさん、拍手を送りましょう。♠〈声援[せいえん]を送る〉難しい心臓手術を受ける少年に、全国からあたたかい声援が送られてきました。♠〈情報を送る〉新聞社には、世界中からさまざまな情報が昼夜の別なく送られてくる。♠〈人を送る〉夜もかなり遅かったので、彼女を家まで送って行った。♠〈友達を送る〉転校する友達を送りに、クラスみんなで駅まで行ってきた。♠〈死者を送る〉亡くなったおじいさんのなきがらを送った日は、朝から冷たい雨が降っていた。♠〈世に送る〉ケストナーは、『エーミールと探偵[たんてい]たち』を世に送り、ドイツ児童文学界に新風をおこした作家である。♠〈風を送る〉赤ちゃんに添い寝して、うちわで風を送っているうちに、母親も眠[ねむ]ってしまった。♠〈ひざを送る〉あと三人ほど座りますので、みなさん、もう少しひざを送ってください。♠〈生活を送る〉山あいの小さな村の人々は豊かで平和な生活を送っていた。♠〈人生を送る〉この子が幸せな人生を送るようにと、親たちは、「幸子[さちこ]」と名づけた。♠〈晩年を送る〉妻に先立たれた詩人は、故郷の村で静かな晩年を送った。♠〈日を送る〉わたしはなすこともなく日を送りながら、連絡が来るのを待っていた。♠〈送り仮名を送る〉「はたらく」を漢字で書くと、「働く」となり、「らく」ではなく「く」を送ります。 **おくれ【遅れ・後れ】** ○おくれること。あとになること。おそくなること。負けること。劣ること。 [文例]〈遅れを取りもどす〉出発が三十分遅れた列車は、途中で遅れを取りもどそうとスピードを上げた。♠〈一時間遅れ〉飛行機は一時間遅れでニューヨークに着いた。♠〈後れを取る〉武士はいざというときに後れを取らないよう、つねによろい・かぶとの手入れを怠らなかった。 **おくればせ【遅ればせ】(遅れ馳せ)** ○(遅れて駆けつけることから)時機に遅れること。 [文例]〈遅ればせに~する〉仕事を終えたわたしは、遅ればせに友人の送別会へ駆けつけた。♠遅ればせながらご結婚なさったと風の便りに聞きました。♠遅ればせながらお祝い申します。 **おく・れる【遅れる・後れる】** ○遅くなる。後になる。取り残される。 [文例]〈時計が遅れる〉この時計は五分遅れているので、実際には、今五時十分です。♠〈予定より遅れる〉会議は、予定より一時間ほど遅れて始まった。♠〈到着[とうちやく]が遅れる〉あらしのために飛行機の到着が遅れるというアナウンスがあった。♠〈完成が遅れる〉プールの完成が遅れているので、水泳大会は延期になります。♠〈学校に遅れる〉早く支度[したく]しないと、学校に遅れますよ。♠〈進歩に後れる〉日本の医学者も、世界の医学の進歩に後れないようにがんばっている。♠〈人の死に遅れる〉彼が亡くなったのは八月で、愛妻の死に遅れること二月でした。♠〈流行に後れる〉若いのにテニスのひとつもできないと、流行に後れるぞ。♠〈稲の生育が後れる〉天候不順のため、東北地方や北海道では、稲の生育が後れているところも出ているそうだ。 **おける(於ける)** ○・・・においての。 [文例]文脈の中における語句のはたらきや語感をとらえ、内容を深く読み味わってみよう。♠中学校における英語教育のあり方は、その後の外国語学習に大きな影響を及[およ]ぼします。 **おこがまし・い** ○ばかげている。身のほどをわきまえない。さしでがましい。 [文例]わたしのような若輩[じやくはいもの]者が、説教じみた話をするのはおこがましいのですが・・・・・・。♠ゴミの収集日も守れないやつが、環境浄化[かんきようじようか]運動とはおこがましい。 **おこ・す【起こす・興す】(熾す)** ○起き上がらせる。目覚めさせる。物事を始める。ある事態を生じさせる。ある精神状態になる。掘り返す。ひっくり返す。盛んにする。 [文例]〈転んだ子を起こす〉転んで泣いている小さな女の子を起こしてやった。♠〈人を起こす〉もう中学生なんだから、朝起こされなくても、ちゃんと目を覚ましなさい。♠〈物を起こす〉ひっくり返ったオートバイを起こそうとしたが、この重量ではびくともしない。♠〈体を起こす〉おおいと呼ぶ声が聞こえたので、体を起こして外を見たけれど、だれもいなかった。♠〈身を起こす〉彼は、裸一貫[はだかいつかん]から身を起こして、今日[こんにち]の地位を築き上げた。♠〈筆を起こす〉小説家は、筆を起こしてからまる三年たった先月、やっと前編を書き上げました。 <134> ♠〈あらしを起こす〉発達した低気圧が海や山にあらしを起こしそうな気配だ。♠〈病気を起こす〉この病気を起こすのは、体よりもむしろ、精神的な疲れだといわれています。♠〈行動を起こす〉きみは、そそっかしいのだから、行動を起こす前によく考えたほうがいいですね。♠〈事件を起こす〉彼は何か事件を起こしたらしく、警察に呼び出された。♠〈事故を起こす〉〈訴訟[そしよう]を起こす〉交通事故を起こした加害者に誠意が認められないので、訴訟を起こすことにした。♠〈爆発[ばくはつ]を起こす〉客のタバコの火がガソリンに引火して爆発を起こした。♠〈戦争を起こす〉わたしたちは、二度とあのような不幸な戦争を起こしてはならない。♠〈新風を起こす〉この全集には、文学界に新風を起こした著者の代表的な作品が収められている。♠〈寝[ね]た子を起こす〉酒はやめましたが、目の前にグラスをぶらぶらさせて、寝た子を起こすようなまねはやめてください。♠〈勇気を起こす〉高そうなカメラだったが、勇気を起こして、店員の一人に値段をきいてみた。♠〈自信を起こす〉実力はあるんだから、勝つためにはチーム全員に自信を起こさせることだよ。♠〈やけを起こす〉一度や二度、試験のできが悪かったくらいで、やけを起こしちゃいけない。♠〈かんしゃくを起こす〉複雑な計算問題が解けなくて、かんしゃくを起こして、ノートをほうり投げた。♠〈発作[ほつさ]を起こす〉婦人は急にうつむいたかと思うと、発作を起こしたように泣きだした。♠〈やる気を起こす〉若い教師の熱意がすさんでいた生徒たちの心にやる気を起こさせたのである。♠〈けいれんを起こす〉病人は意識不明の状態で、すでにけいれんを起こしていた。♠〈火をおこす〉ばあさまは火吹き竹でせっせと火をおこしています。♠〈畑をおこす〉春の種まきの前には、一家総出で裏の畑をおこしたものだ。♠〈家を興[おこ]す〉彼は、傾[かたむ]きかけていた家を興して、一族の後継者[こうけいしゃ]となった。♠〈産業を興す〉新しい産業を興すため、町ぐるみで工場誘致[ゆうち]に乗り出した。♠〈運動を興す〉正岡子規[まさおかしき]たちの興した短歌革新運動は、写生を尊ぶことを考えの中心にして発展していった。 **おごそか【厳か】** ○いかめしく重々しいさま。威厳があるさま。 [文例]〈厳かに読み上げる〉裁判官は、厳かに判決文を読み上げた。♠〈厳かに鳴りひびく〉夕やみに包まれた街に、教会の鐘が厳かに鳴りひびく。♠〈厳かに式を挙げる〉姉は、みんなに祝福されて、厳かに結婚[けつこん]式を挙げました。♠〈厳かな雰囲気[ふんいき]〉戴冠[たいかん]式は古式にのっとり、厳かな雰囲気のもとで執[と]り行われた。 **おこた・る【怠る】** ○やるべきことをやらない。なまける。 [文例]〈仕事を怠る〉お天気がいいと釣りに行ってしまって、近ごろの父は、畑仕事を怠ることが多い。♠〈努力を怠る〉チャンピオンを夢[ゆめ]見て練習に励[はげ]む青年は、一日も努力を怠らなかった。♠〈注意を怠る〉自動車を運転するときには、まわりをよく見て、絶対に注意を怠らないように。♠〈対策を怠る〉航空会社が必要な安全対策を怠れば、多くの人命が失われることになる。♠〈準備を怠る〉時のたつのは早いものだから、まだまだ先のことだなどと思って準備を怠ってはいけない。♠〈申告[しんこく]を怠る〉税金の申告を怠っていたら、税務署から呼び出しの通知がきた。 **おこない【行い】** ○ふるまい。行為。品行。日々の過ごし方。 [文例]〈日ごろの行い〉〈行いが善[よ]い〉日ごろの行いが善いせいか、雨もやんで、今日は絶好の運動会日和[びより]だ。♠〈ふだんの行い〉〈行いが悪い〉何かと言うと注意されるのは、きみのふだんの行いが悪いからだ。♠〈行いが正しい〉先生は、行いの正しい立派な方です。♠〈行いを慎[つつし]む〉もう子供ではないんだから、少しは行いを慎みなさい。♠〈行いを改[あらた]める〉本当に反省しているなら、その証拠[しょうこ]にきみの行いを改めてみせてよ。♠〈行いを省[かえり]みる〉自分の行いを省みて、自信を持てる人がまず何人いるだろうか。♠〈手前勝手な行い〉彼には、何かと言うと、名声を鼻にかけた手前勝手な行いが多かった。 **おこなう【行う】** ○物事をする。 [文例]〈会を行う〉来月の一初めに、第一回めの生徒総会が行われることになった。♠〈式を行う〉卒業式は、予定通り二月二十日午前十時から行います。♠〈行事を行う〉日本の各地で、郷土色豊かなさまざまな行事が行われています。♠〈祭りを行う〉秋に行われる秋祭りは、田や畑の収穫を神様にささげるのが目的であった。♠〈実験を行う〉本で読んだことが正しいかどうか、先生といっしょに実験を行うことにした。♠〈試験を行う〉来週の月曜日から、学期末試験を行うので、よく勉強しておくこと。♠〈試合を行う〉雲ひとつない野球びよりに、五チームが参加して試合が行われた。♠〈説明を行う〉これから消火器の扱[あつか]い方について説明を行いますのでみなさんお集まりください。♠〈戦争を行う〉今現在、世界のどこかで戦争が行われているということは悲しいことだ。♠〈政治を行う〉彼の理想は、すべての人が平和な生活を営[いとな]むことのできる政治を行うことにあった。♠〈話し合いを行う〉裁判に訴[うつた]える前に、まず、相手側との話し合いを行うべきだと思います。♠〈調査を行う〉一年後、火山の爆発[ばくはつ]による被害状況を知るため、大規模な調査が行われた。♠〈活動を行う〉彼らのグループは、月に一度、何人かの有志が集まって奉仕活動を行っている。♠〈奇跡[きせき]を行う〉これらの聖地は、キリストが数々の奇跡を行った場所として、あまりにも有名です。♠〈言うはやすく行うはかたし〉口で言うほど簡単にはいかないものだ、言うはやすく行うはかたしといってね。 **おこり【起こり】** ○物事の始まり。起源。 [文例]〈事の起こり〉ホームルームが紛糾[ふんきゆう]したのは聞いたが、事の起こりを詳しく話してくれないか。♠〈あだ名の起こり〉この出来事が、「ぺっちゃん」というわたしのあだ名の起こりなのです。 **おごり(奢り・驕り・傲り)** ○おごること。↓おごる [文例]〈おごりをきわめる〉おごりをきわめた平家も、やがて源氏[げんじ]に滅[ほろ]ぼされる運命にあった。♠〈心のおごり〉ふだんのきみの心の中のおごりがそういう行動に表れて、人の反感を買うのだろう。♠〈人のおごり〉今夜はぼくのおごりだから、何でも好きな物を注文していいよ。 <135> **おこ・る【起こる・興る】(熾る)** ○ある現象や事件が発生する。ある状態が生じる。盛んになる。 [文例]〈波が起こる〉さっきまで静かだったのに、急に風が出てきて、池にさざ波が起こっている。♠〈雷[かみなり]が起こる〉突然[とつぜん]空が暗くなり、真っ黒い雲が流れてきて、雷の起こる気配がした。♠〈地震[じしん]が起こる〉ふもと一帯の地震は、それから毎日続いて起こり、強さも回数も日ごとに増していった。♠〈洪水が起こる〉昨日の大雨で、山のふもとの町や村に、土砂をまじえた恐[おそ]ろしい洪水が起こった。♠〈火事が起こる〉空気が乾燥[かんそう]して風が強い日には、火事が起こりやすい。♠〈事故が起こる〉雨でスリップによる事故が起こるおそれがありますので、運転には十分注意してください。♠〈変化が起こる〉新幹線が止まるようになってから、この町にも、大きな変化が起こっている。♠〈戦争が起こる〉心の中では、だれもが戦争の起こらない世界にしたいと思っている。♠〈クーデターが起こる〉中近東の小さな国で軍部によるクーデターが起こった。♠〈けんかが起こる〉たちまち、激[はげ]しい取っ組み合いのけんかが起こった。♠〈事件が起こる〉ある日、山奥[やまおく]の小さな村で、人々を驚[おどろ]かすような殺人事件が起こった。♠〈悲劇が起こる〉時として、このような大人の無理解から悲劇が起こることがあります。♠〈爆発[ばくはつ]が起こる〉七月二日、三日には、これまでとは比べものにならない大きな爆発が相ついで起こりました。♠〈一大事が起こる〉彼は、さも一大事が起こったと言わんばかりに息せききって駆け込んできた。♠〈どよめきが起こる〉裁判長が無罪の判決を言い渡[わた]すと、傍聴席[ぼうちょうせき]からはどよめきが起こった。♠〈歓声が起こる〉その時、広場に集まった群衆の間から、どっと歓声が起こった。♠〈病気が起こる〉当時肺病は、結核菌[けつかくさん]によって起こる恐ろしい伝染病であった。♠〈〜から起こった呼び名〉「川柳[せんりゅう]」というのは、江戸[えど]中期の文人である柄井川柳[からいせんりゅう]の名から起こった呼び名である。♠〈声が起こる〉折しも国民の間からは、原水爆反対の声が起こっていた。♠〈持病が起こる〉祖父はいつもの持病が起こって、朝から伏せっていた。♠〈症状[しょうじよう]が起こる〉風邪[かぜ]をひくと、くしゃみ、鼻水などの症状が起こります。♠〈問題が起こる〉ゴミ処理場の建設をめぐって、市民の間にさまざまな問題が起こった。♠〈疑いが起こる〉ふと、ぼくの胸に、もしかしたら犯人は彼ではないだろうかという疑いが起こった。♠〈食い違いが起こる〉父とぼくの間に起こった意見の食い違いは、せばまるどころかどんどん大きくなっていきました。♠〈縁談が起こる〉母の死後、半年ほどすると、姉に縁談が起こった。♠〈電気が起こる〉化学繊維[せんい]の服を脱ぐときには、静電気が起こって、パチパチいうことがある。♠〈火がおこる〉うちわであおいでみると、消えたはずの囲炉裏[いろり]の火がおこった。♠〈国が興[おこ]る〉七世紀、中国に唐[とう]という国が興った。♠〈産業が興る〉今に新しい産業が興れば、この町も変わるでしょう。♠〈学問が興る〉儒学[じゅがく]は、古代中国に興った、孔子[こうし]の思想に基づく教えを研究する学問である。 **おこ・る【怒る】** ○腹を立てる。しかる。 [文例]〈怒って口をきかない〉クラスの女の子をからかったら、怒って口もきいてくれない。♠〈牛が怒る〉闘牛士[とうぎゆうし]が赤い布をちらつかせると、牛は荒[あら]い息をたてて怒り出した。♠〈怒った顔〉遊びすぎて暗くなってから帰ると、心配したお母さんが怒った顔で待っていた。♠〈かんかんになって怒る〉ぼくが投げたボールでガラスが割れて、隣[となり]のおじさん、かんかんになって怒っているらしい。♠きみの気持ちもわかるけど、まあ、そう怒るなよ。♠このごろお父さんは、釣りに行けないので、きげんが悪く、怒ってばかりいる。♠〈子供を怒る〉たまには、お父さんも子供たちを怒ってくださいな。 **おご・る(奢る・驕る・傲る)** ○得意になって好き勝手にふるまう。ぜいたくをする。自分のお金で人にごちそうする。 [文例]〈暮らしがおごる〉商売でひともうけしてからというもの、彼の暮らしはおごっている。♠〈口がおごる〉おいしいものばかり食べているせいか、この子は口がおごって困る。♠〈勝っておごる〉勝っておごらず、負けて悪びれず、平常[へいじよう]心で試合に臨みます。♠〈心がおごる〉成功して有名になっても、心のおごった人間にはならないように。♠〈おごれる者も久しからず〉「おごれる者も久しからず」というように、一時の繁栄[はんえい]もはかないものだ。♠〈物をおごる〉先生はぼくたちに気前よくジュースをおごってくれた。 **おさえ【押さえ・抑え】** ○おさえること。おさえるもの・力。おしとどめること。 [文例]〈押さえにする〉メモの紙が飛ばないように、消しゴムを押さえにしておいた。♠〈抑えがきく〉集団は、完全に自由にすると抑えがきかないから、ある程度の規律が必要になる。 **おさ・える【押さえる・抑える】** ○おしつける。おしあてる。つかまえる。おしとどめる。おし殺す。 [文例]〈手で押さえる〉窓から風が吹きこんできたので、とっさに書類を手で押さえた。♠〈手首を押さえる〉患者[かんじゃ]が運ばれてくると、医者はまず手首を押さえて脈をみた。♠〈首根っこを押さえる〉今度こそ、いたずらダヌキの首根っこを押さえてやるぞ。♠〈現場を押さえる〉あの子のいたずらをしている現場を押さえて、とっちめてやらなくちゃ。♠〈財産[ざいばつ]を押さえる〉戦後、政府は大財閥や大地主の財産を押さえた。♠〈部屋を押さえる〉明日の午後から会議があるから、会議室を押さえておいてくれたまえ。♠〈論点を押さえる〉筆者の論点を押さえて読み、さらに深く考えてみよう。♠〈うわさを抑える〉口から口へとうわさが広がるのを抑えるのは難しい。♠〈物価を抑える〉物価を抑えることが、政府の今年の重要課題だ。♠〈主張を抑える〉あの学校は、一貫して、生徒の主張を抑えない自由な教育をしている。♠〈はやる心を抑える〉老母は、はやる心を抑えて、息子[むすこ]に会いに行く準備をしていた。♠〈情熱を抑える〉再び燃えあがった絵画への情熱を、わたしは、もはや抑えることができなかった。 **おさおさ** ○(打ち消しの形で)まったく。ほとんど。なかなか。 [文例]災害に対する備えは、おさおさ怠[おこた]りないように。♠兄も、父におさおさ劣[おと]らぬ酒飲みでした。 **おさない【幼い】** ○年端[としは]がいかない。ようちだ。こどもっぽい。未熟だ。 <136> [文例]一家が日本を後にした時、わたしはまだ三つで幼かった。♠〈幼いころ〉彼は漁師として、幼いころから優れた素質を持っていた。♠〈幼い胚芽[はいが]〉種子の中の幼い胚芽は、立派な植物になるための力を蓄[たくわ]えている。♠〈考えが幼い〉今考えると、確かにあのころのわたしの考えは幼かった。 **おさなごころ【幼心】** ○幼い子の心。子供心。 [文例]戦争中の体験は、幼心に大きな衝撃[しょうげき]を与えた。♠幼心にも周りの事情を理解し、一生懸命我慢[がまん]をしている姿がいじらしい。 **おさななじみ【幼なじみ】(幼馴染み)** ○幼いころに仲よくしていた間柄・人。 [文例]久しぶりに幼なじみのさっちゃんに会い、懐[なつ]かしい思い出話に花を咲かせた。♠小さいころいっしょに手をつないで遊んだ幼なじみの二人が結婚[けつこん]しました。 **おざなり【お座なり】** ○その場かぎり。いいかげん。 [文例]〈おざなりを言う〉父も母もおざなりを言うばかりで、わたしの意見に取り合ってくれない。♠〈おざなりな返事〉市はおざなりな返事をするだけで、対策を講じる気がないらしい。♠〈おざなりに扱う〉いつまでもおざなりに扱われたのでは、こちらも腹が立つ。 **おさまり【収まり・納まり】** ○おさまること。↓おさまる [文例]〈会費の納まり〉〈納まりが悪い〉クラブの会費の納まりが悪くて困っています。♠〈収まりが悪い〉詩集というのは判型[はんけい]がきわめてまちまちなので、書棚[しよだな]への収まりが悪いのです。♠〈収まりがつかない〉こんないたずらは許さんぞ、とどなったてまえ、うなだれて前へ出てきたのがうちの息子でも、もう収まりがつかない。 **おさま・る【収まる・治まる・納まる・修まる】** ○中にきちんと入る。物事が安定した状態になる。落ち着いた感じになる。おこないが正しくなる。正しく受け渡される。 [文例]〈箱に収まる〉この大きな箱なら、がらくたが全部うまく収まるだろう。♠〈一枚に収まる〉用紙一枚に収まるように報告書を書き直してください。♠〈騒[さわ]ぎが収まる〉何人かの人が間に入って、やっとけんか騒ぎが収まった。♠〈争いが収まる〉両家の争いが収まるよう、町会の役員が間に入って話をしている。♠〈あらしが収まる〉夜に入っても、あらしはいっこうに収まる気配がなかった。♠〈気持ちが収まる〉いやみの一つも言ってやらないと、どうにもぼくの気持ちが収まらない。♠〈元のさやに収まる〉別居が続いていた兄夫婦も誤解[ごかい]がとけて、どうやら元のさやに収まったらしい。♠〈腹の虫が収まらない〉「すみません」の一言もないんじゃ、こっちの腹の虫が収まらない。♠〈痛みが治まる〉昨日の腹痛もうそのように治まって、けさは元気よく登校した。♠〈世が治まる〉信長[のぶなが]の手によって、やっと戦国の世が治まるかのように見えた。♠〈身持ちが修まる〉あの店の若だんなも身持ちが修まり、商売に精を出しているそうだ。♠〈会費が納まる〉毎月毎月、会費がこう納まらないのでは、この会も先は長くないな。♠〈先生に納まる〉あの暴[あば]れん坊だった子が、今では立派に学校の先生に納まっている。 **おさ・める【収める・治める・納める・修める】** ○きちんと中に入れる。取り込む。受け入れる。受け取る。成果を挙げる。落ち着かせる。鎮める。収拾する。統治する。行いを正しくする。身につける。払い込む。終わりにする。 [文例]〈箱に収める〉わたしからのプレゼントを、彼は大事そうに箱に収めた。♠〈歌を収める〉『万葉集』には、防人[ささもり]から天皇[てんのう]まで、さまざまな階層の人の歌が収められてある。♠〈カメラに収める〉日本のテレビが、初めて、世界の秘境をカメラに収めることに成功した。♠〈成功を収める〉この計画が成功を収めたあかつきには、全員で乾杯[かんばい]しよう。♠〈勝利を収める〉最後に勝利を収めたのは、下馬評[げばひょうの]にも上らなかった、無名のチームだ。♠〈効果を収める〉禁煙[たんえん]の宣伝がじょじょに効果を収めてきている。♠〈手中[ゆちゆう]に収める〉彼は人事権を手中[しゅちゆう]に収めて、社内をわがもの顔でのし歩いている。♠〈騒ぎを収める〉パトカーが出動して、やっと騒ぎを収めることができた。♠〈争いを収める〉水利をめぐる両者の争いを収めるために、村の長老が仲介[ちゅうかん]の労をとった。♠〈国を治める〉乱れた国を治めるために、上に立つ昔も下の者も、心を一つにしたという。♠〈川の水を治める〉日本では、四、五世紀のころから、川の水を治めるための堤防[ていぱう]工事が始まった。♠〈学問を修める〉勉強して、立派に学問を修めてから帰ってきなさい。♠〈身を修める〉身を修めるために、禅寺[どんでら]に入って一年間修行した。♠〈税金を納める〉多額の税金を納めるために四苦八苦[くはつく]した。♠〈贈り物を納める〉母は、「粗品[そしな]ですがお納めください。」と言って、お中元を手渡[わた]した。♠〈歌い納める〉今年の忘年会も、社長が得意の歌を歌い納めて、おひらきとなった。 **おさらい(お浚い)** ○教わったことを自分でやってみること。復習すること。 [文例]〈おさらいする〉今日習った漢字を家でおさらいしてくること。 **おさん【お産】** ○子を産むこと。 [文例]〈お産をする〉お産をしたあと、母親のカバは、子供をいつも目の届く頭の周りに置いておく。♠二人目のお産は難産で、そのために母親はすっかり体を弱くしてしまった。 **おし【押し】** ○おすこと。おさえつけること。おもしをかけること。 [文例]〈押しの一手〉押しの一手で相手にイエスと言わせるのさ。♠〈押しが強い〉あいつは、押しが強いから、きみには断り切れないかもしれないよ。♠〈押しの技〉力士は、得意の押しで相手を土俵の外へ出しました。♠〈漬け物に押しをする〉キャベツを刻んで塩をふり、軽く押しをしておくと一夜漬けができます。 **おしあいへしあい【押し合いへし合い】** ○混雑した中で大勢が押し合うこと。 [文例]〈押し合いへし合いする〉毎日、押し合いへし合いしてラッシュの中を通勤するのも楽じゃない。♠〈押し合いへし合いの大混雑〉バーゲンセールの三日間、会場は押し合いへし合いの大混雑でした。 **おしあ・げる【押し上げる】** ○下から押して上げる。 [文例]〈下から押し上げる〉木にとりすがったコースケのおしりを、ミエコさんがグイと下から押し上げた。♠〈水が押し上げる〉船底から噴き上がった水がどんどん高く押し上げてきた。 <137> ♠〈トップに押し上げる〉たいしてよい成績ではないのに、ほかがひどかったものだから、トップに押し上げられた格好になった。 **おしうり【押し売り】** ○強引に売りつけること・人。無理に押しつけること。 [文例]〈押し売り〉いりもしないものを買わされてしまった。♠〈親切の押し売り〉親切の押し売りは迷惑[めいわく]だ。 **おしえ【教え】** ○教えること。また、その内容。教訓。 [文例]〈教えを受ける〉野口英世[のぐちひでよ]は、北里柴三郎[きたざとしばさぶろう]の教えを受け、細菌学の研究を始めた。♠〈キリストの教え〉新約聖書には、イエス=キリストの生き方やその教えが書かれています。 **おし・える【教える】** ○知識や技術を与えて、身につけさせる。物事を知るようにさせる。さとす。 [文例]〈数学を教える〉大学を卒業後、兄は中学校で数学を教えています。♠〈芸を教える〉野生の動物に芸を教えるのは、なかなか難しいものだ。♠〈名前を教える〉散歩をしながら、父はよく鳥や草の名前を教えてくれた。♠〈道を教える〉ちょっとお尋[たず]ねいたします。駅への道を教えていただけませんか。♠〈秘密を教える〉ぼくの秘密、人に教えないと約束[やくそく]できるかい?♠〈時刻を教える〉大通りの古時計が人々に時刻を教えるようになってから、もう五十年にもなる。♠〈負[お]うた子に教えられて浅瀬[あさせ]を渡[わた]る〉自分より経験の少ない者から教えられることのたとえが、「負うた子に教えられて浅瀬を渡る」です。 **おしか・ける【押し掛ける】** ○相手の意志を無視して出向く。おしよせる。つめかける。 [文例]〈客が押し掛ける〉八月九日の日曜日、海辺には数万人の海水浴客が押し掛けた。♠〈家へ押し掛ける〉寝正月で過ごそうと思っているのに、後輩らが次々と家に押し掛けてくる。 **おじぎ【お辞儀】** ○頭を下げて礼をすること。 [文例]〈お辞儀をする〉目上の人にあいさつする時には、きちんとお辞儀をしましょう。♠〈お辞儀する〉子供にお辞儀させようとしたが、その子ははにかんで、母親の後ろにかくれてしまった。♠〈花がおじぎする〉鉢植[はちう]えの花がおじぎしているよ、水をやらなくちゃ。 **おじけ(怖じ気)** ○こわいと思う気持ち。恐れ。 [文例]〈おじけがつく〉兄がすごいけんまくで怒るので、ぼくも妹も、すっかりおじけがついてしまった。♠〈おじけをふるう〉おじけをふるった女の子たちは、乱暴者の彼に近寄りませんでした。♠〈おじけづく〉森でイノシシに出あった父は、おじけづいてその場にしゃがみ込んでしまったそうです。 **おしこ・む【押し込む】** ○無理に中へ入れる。無理に入り込む。 [文例]〈かばんに押し込む〉弁当箱をかばんに押し込み、口をもぐもぐさせながら玄関を飛び出した。♠〈泥棒[どろぼう]が押し込む〉昨夜、事務所に泥棒が押し込んだらしく、荒らし回った形跡がある。♠〈高校へ押し込む〉勉強の嫌いな子でしたが、何とか公立高校へ押し込みました。 **おしころ・す【押し殺す】** ○押さえて、外へ表れないようにする。 [文例]〈笑いを押し殺す〉相手の顔がカバによく似ていたので、わたしは笑いを押し殺して話を聞くのに苦労しました。♠〈気持ちを押し殺す〉子供にとって、遊びたい気持ちを押し殺して勉強にはげむのは、容易[ようい]なことではない。 **おしきせ【お仕着せ】** ○使用人にあてがわれた衣服。上から一方的にあてがわれたもの。型どおりのもの。 [文例]〈お仕着せを着る〉奉公人はみな、そろいのお仕着せを着てかいがいしく立ち働いていた。♠〈お仕着せの規則〉生徒たちの生活の実態に合わないお仕着せの校則に効果のあろうはずがなかった。 **おしき・る【押し切る】** ○押しつけて切る。反対や抵抗をおしのけて、強行する。 [文例]〈多数が少数を押し切る〉強硬な反対意見が出て紛糾[ふんどゆう]したが、結局多数意見が押し切る形となった。♠〈反対を押し切る〉親の反対を押し切って家を出たけれど、やっぱりうまくいかないので戻[もど]ることにした。 **おしげ【惜し気】** ○惜しいと思う気持ち。惜しがる様子。 [文例]〈惜しげもなく〉父には、高い金を出して買った本も、気に入った人には惜しげもなく与える癖[くせ]があった。♠〈惜しげもなく〉はちきれそうな肢体[したい]を惜しげもなく日光の下にさらす娘たち。 **おしすすめる【推し進める】** ○力を入れて進むようにする。積極的に進める。推進する。 [文例]計画を実行するときは、一番いい方法を考え出し、それを推し進める。♠研究を推し進める〉現代医学は、一人の力ではなく、集団の研究で推し進められている。 <138> ♠〈政策を推し進める〉世論に耳を傾けようともせず、政府は軍拡路線を推し進めていた。 **おしだし【押し出し】** ○おしだすこと。人に対する時の態度・ものごし。 [文例]〈相撲の押し出し〉体の大きな力士が押し出しで相手を負かしました。♠〈押し出しの一点〉満塁[まんるい]のフォアボールで、押し出しの一点が入りました。♠〈押し出しが立派〉彼も腹のあたりに肉がつき、押し出しが立派になったねえ。 **おしだ・す【押し出す】** ○力を加えて外へ出す。表に現れるようにする。大勢で出かける。 [文例]〈外に押し出す〉押し合いへし合いしているうちに、いつの間にか人だかりの外に押し出されていた。♠〈声を押し出す〉病人は、声を押し出すようにして、とぎれとぎれにこう言いました。♠〈前面に押し出す〉相手は、小さな子供たちを前面に押し出して、こちらの気勢をくじこうとした。 **おしだま・る【押し黙る】** ○だまりこむ。じっと口をつぐむ。 [文例]いくら聞き出そうとしても、少年は下を向いたままかたくなに押し黙っている。♠よほど大きなショックを受けたのだろう、女はいつまでも貝のように押し黙っていた。 **おしつ・ける【押し付ける】** ○おさえつける。無理に引き受けさせる。強制する。 [文例]子供が騒[さわ]いで寝ようとしないので、むりやり布団に押しつけて寝かした。♠〈仕事を押しつける〉兄は、わたしに手伝いを押しつけて、自分はさっさと遊びに行ってしまった。♠〈責任を押しつける〉先生、ずるいや。ぼくたちに失敗の責任を押しつけるなんて。 **おしつま・る【押し詰まる】** ○さしせまる。切迫[きつばく]する。年の暮れに近づく。 [文例]〈暮れが押し詰まる〉暮れも押し詰まった十二月二十八日、ふもと一帯を、突然、強い地震が襲[おそ]った。♠〈期限[きげん]が押し詰まる〉支払いの期限がいよいよ押し詰まってきた。 **おして【押して】** ○しいて。無理に。あえて。 [文例]〈おして~する〉無理は承知のうえ、おしてお頼[たの]み申します。♠おして言葉をはさめば、著しく相手の機嫌を損ねることになったであろう。 **おしとお・す【押し通す】** ○無理に通す。やり抜く。つらぬき通す。 [文例]〈意見を押し通す〉自分で自分の意見を押し通して、好きな道を選んだのだから文句は言えない。♠〈~で押し通す〉東京に住んで二十数年になるが、母はいまだに京都弁で押し通している。♠〈だんまりを押し通す〉いつまでだんまりを押し通すつもりだい、そろそろ話してくれてもいいだろう。 **おしとど・める【押しとどめる】** ○力を加えて止める。 [文例]席を立とうとする相手を押しとどめ、なんとか話を聞いてもらう。♠野生の動物たちを守るために、森林の伐採[ばつさい]を押しとどめる努力を続ける。 **おしなべて【押しなべて】** ○一様に。総じて。概して。 [文例]今年は、どこの地方もおしなべて豊作だった。♠さまざまな会議の席でも、日本人はおしなべて沈黙の殻[から]にこもる。 **おしはか・る【推し量る・推し測る】** ○想像して考える。推量する。推測する。 [文例]「らしい」は、何かの根拠にもとづいて推し量る意味を表します。♠彼女の前のそわそわした様子を見るだけで、彼は彼女が好きなのだなと容易に推し量ることができる。 **おしまい(お仕舞い)** ○終わり。物事がだめになること。お化粧。 [文例]〈おしまいにする〉もう遅いから、今日はこれでおしまいにしましょうね。♠〈~の間がおしまい〉もしこの秘密を言ったら、それであたしたちの間はおしまいよ。♠〈何もかもおしまい〉最後の望みも消えてしまった、もう何もかもおしまいだ。 **おしみ【惜しみ】** ○惜しいと思う気持ち。 [文例]〈惜しみない〉コーチは、やる気のある選手に対しては、惜しみなく時間をさいて指導にあたりました。♠〈出し惜しみ〉余っている物は出し惜しみせずに、バザーに出してください。♠〈負け惜しみ〉すなおに敗北を認めないのは、きっと負け惜しみが強いせいでしょう。♠〈骨[ほね]惜しみ〉大造じいさんは、この年まで骨惜しみせずに働き続けてきました。 **おしみな・い【惜しみない】** ○惜しむことのないさま。心からするさま。 [文例]〈惜しみなく~する〉父も母も、わたしたちに惜しみなく愛を注いでくれました。♠少女は、自分の乏[とぼ]しい食べ物を、腹をすかせた旅人に惜しみなく分けてやりました。♠〈惜しみない拍手[はくしゆ]〉観客は、彼女のひたむきな演技に惜しみない拍手をおくった。 **おし・む【惜しむ】** ○失いたくないと思う。だいじに思う。残念に思う。いやがる。 [文例]〈少しの時間も惜しむ〉あのころは、少しの時間も惜しんで勉学に励[はげ]んだものだ。♠〈金を惜しむ〉金持ちほど、けちで、金を惜しむものらしい。♠〈死を惜しむ〉人気作家の死を惜しみ、大勢のファンが告別式に参列した。♠〈別れを惜しむ〉いよいよ出発しようとする船の上は、別れを惜しむ人々で混雑していた。♠〈骨身を惜しむ〉朝から晩まで骨身を惜しまず働いて、ついに自分のお店が持てた。♠〈協力を惜しまない〉きみが立ち直るためなら、ぼくは協力を惜しまないよ。♠〈称賛[しょうさん]を惜しまない〉精魂[せいこん]込めたすばらしい演技に、観客は称賛を惜しまなかった。♠〈惜しむべき人物〉あふれるばかりの才能に恵[めぐ]まれながら、世に出る前に亡くなった彼は、実に惜しむべき人物だった。♠〈命よりも名[な]を惜しむ〉風雲急を告げる維新[いしん]前夜には、志士たちは命よりも名を惜しんだという。 **おしもんどう【押し問答】** ○互いに譲らないで言い合うこと。 [文例]〈押し問答を続ける〉がんこな二人が、「こうだ」「いやそうではない」と押し問答を続けている。♠〈押し問答する〉二人で押し問答していても始まらないから、だれか第三者に聞いてもらおう。 **おしゃべり(お喋り)** ○口数多く話すこと。また、そういう人。 [文例]〈おしゃべりをする〉教室の中はしいんとして、おしゃべりをしている生徒は見当たらない。♠〈おしゃべりする〉頭上では、つばめたちが楽しげにおしゃべりしながら飛び交っている。♠〈おしゃべりな人〉あの人はおしゃべりだから、大事なことは話さないほうがいい。♠雪だるま <139> 星のおしゃべりぺちゃくちゃと(松本たかし) **おしや・る【押しやる】(押し遣る)** ○押して向こうへ行かせる。押しのける。押しつける。 [文例]〈物を押しやる〉部屋中に散乱したがらくたを片隅[かたすみ]へ押しやり、なんとか座れるだけのスペースをつくった。♠〈かたわらに押しやる〉車の洪水で、歩行者は道のかたわらに押しやられた状態だ。♠〈人に押しやる〉荷物を男に押しやると、女はすたすた先を歩き出した。 **おしゃれ(お洒落)** ○外見に気を配って、飾りたてること。また、そういう人。 [文例]〈おしゃれする〉たまにはおしゃれして街へ出かけたい。♠〈おしゃれになる〉化粧[けしよう]などしたことのなかった長女が、近ごろとてもおしゃれになったのです。♠〈おしゃれな人〉ひかえめな装[よそお]いですが、どことなくおしゃれな人ですね。 **おしょく【汚職】** ○職務上不正をはたらくこと。 [文例]〈汚職事件〉汚職事件が明るみに出て、腐敗[ふはい]した政界の姿が浮かび上がった。♠県の役人が、水道工事にかかわる汚職で警察に逮捕[たいほ]された。 **おじょく【汚辱】** ○はじ。はずかしめ。恥辱。 [文例]〈汚辱にまみれる〉悪徳政治家として、男は汚辱にまみれた一生をおくった。 **おしよ・せる【押し寄せる】** ○勢いよく寄せてくる。大勢で押しかける。 [文例]〈激流[げきりゅう]が押し寄せる〉激流がものすごい勢いで押し寄せてきた。♠〈人が押し寄せる〉突然、雨が降ってきて、広場にいた人々が売店に雪崩[なだれ]を打って押し寄せた。 **おしろい(白粉)** ○化粧用の白い粉。 [文例]〈おしろいを塗る〉おしろいを塗り、かんざしをつけた晴れ着姿の女の子は、お人形のように愛らしい。♠〈おしろいけ〉店に入ると、おしろいけのないやせた女の人が出てきた。 **おす【雄】(牡)** ○動物の両性のうち、人間の男にあたる方。 [文例]カブトムシは、長い角のあるほうが雄ですね。♠〈雄と雌〉カタツムリのように雄と雌の区別のない生き物もいます。 **おせわせ【押せ押せ】** ○盛んに押すこと。相手を大いに圧倒すること。仕事などが重なって進まず、次々に後へ影響が及ぶこと。 [文例]〈押せ押せムード〉後半開始早々一点入れると、あとは押せ押せムードで一気に攻めまくった。♠〈仕事が押せ押せになる〉ふだんはぼんやりしているものだから、月末になるといつも仕事が押せ押せになる。 **お・す【押す・推す】** ○力を加える。上からおさえる。無理にする。他を圧倒する。推薦する。推測する。 [文例]〈後ろから押す〉皆さん、並んでいる列の後ろから押さないでください。♠〈扉[とびら]を押す〉大勢の男が扉を押して、どやどやと中に入ってきた。♠〈判[はん]を押す〉この書類に判を押して、事務所に提出してください。♠〈金ばく[きんぱく]を押す〉床[とこ]の間に、金ばくを押してある文箱[ふばこ]が飾ってあった。♠〈ろを押す〉客を乗せると、船頭さんはろを押して、力強くこぎ出した。♠〈念を押す〉「ぜったい遅刻[ちこく]するなよ。」と念を押すと、彼は帰っていった。♠〈駄目[だめ]を押す〉「お金は払ったから、完全にぼくの物だぞ、わかったな。」と、駄目を押した。♠〈熱をおす〉大事な試合なので、三十八度の熱をおして出場した。♠〈他に押される〉近くにスーパーができたので、うちの店は、どうも押されぎみだ。♠〈押しも押されもせぬ〉かつてのはなたれ小僧も、今や押しも押されもせぬ青年代議士だ。♠〈押すな押すなの大盛況[だいせいきよう]〉店長のアイデアが当たって、店は、押すな押すなの大盛況である。♠〈委員に推す〉面倒[めんどう]な事のいやなみんなは、そろって人のよいA君をクラス委員に推した。♠〈服装から推す〉男の服装から推して、たいして金を持っているようには見えなかった。♠〈推して知るべし〉大学生でも解けない問題に中学生が挑戦[ちょうせん]しても、結果は推して知るべしだ。 **おずおず(怖ず怖ず)** ○こわごわ。おそるおそる。おどおど。びくびく。 [文例]〈おずおず~する〉先生におこられるのだろうと思い、おずおず職員室へ入って行った。♠〈おずおずと〉こちらの様子をうかがっていた男は、やがておずおずと口をきりだした。 **おすみつき【お墨付き】** ○権威ある者が与える保証。 [文例]〈お墨付きをもらう〉狐[きつね]は天の神様から、百獣[ひゃくじゅう]の長を命じというお墨付きをもらっていました。♠彼女の語学力は、教授のお墨付きだ。 **おせじ【お世辞】** ○相手の機嫌をとるための言葉。 [文例]〈お世辞が上手・うまい〉まあ、きれいだなんて、お世辞がお上手ねえ。♠〈お世辞を言う〉そういう時にはお世辞の一つも言うもんだよ。♠〈お世辞たらたら〉課長は、お世辞たらたら部長の機嫌をとっている。 **おせっかい【お節介】** ○いらぬ世話をやくこと。 [文例]〈余計なおせっかい〉〈おせっかいをする〉自分のことぐらい自分でするから、余計なおせっかいはしないでくれ。♠〈おせっかいをやく〉あれこれと、あんまりおせっかいをやかないほうがいいと思うよ。♠〈おせっかいな人〉おせっかいなおばさんが、頼[たの]みもしない縁談をもってきたわ。 **おせん【汚染】** ○よごれること。よごすこと。 [文例]〈海の汚染〉瀬戸内海は水産資源の宝庫であったが、海の汚染で赤潮が異常発生するようになった。♠〈環境の汚染〉最近では、乾電池[かんでんち]による環境の汚染が心配されている。♠〈汚染する〉たばこは、体に悪いだけではなく、空気を汚染する原因でもある。♠〈大気汚染〉大気汚染の元凶[げんさよう]の一つは、車による排気[はいさ]ガスだと言われている。♠地方から出てきたばかりのその少女には、都会生活に汚染されていない素朴な美しさがあった。 **おそ・い【遅い】** ○余計に時間がかかる。時間的におくれている。時間がたっている。 [文例]〈行くのが遅い〉寝坊[ねぱう]をしてしまったので、学校へ行くのが遅くなった。♠〈仕事が遅い〉彼は、仕事は遅いが、実に丁寧[ていねい]だ。♠〈理解が遅い〉わたしは級友に比べて何でも理解するのが遅かったので、その分余計に努力した。♠〈時期が遅い〉球根を植えるには時期が遅いし、苗[なえ]でも買ってきて植えようか。♠〈帰りが遅い〉あまり帰りが遅いとお母さんが心配しますよ。♠〈夜が遅い〉新宿は夜の遅い町で、明け方までネオンの消えることがない。 <140> ♠〈春の訪[おとず]れが遅い〉今年は春の訪れが遅くて、桜と桃がかさなって咲いた。♠〈~しても遅い〉あの時、親孝行しておけばと後悔[こうかい]しても、もう遅かった。♠〈今や遅し〉彼女の乗った飛行機の到着[とうちやく]を、今や遅しと待ちうけた。 **おそ・う【襲う】** ○攻撃をしかける。危害を加える。不意にとりつく。あとを継ぐ。 [文例]〈人を襲う〉一般に健康な野生のオオカミは、人を襲わないという。♠〈賊に襲われる〉二人組の賊に襲われた被害者は、意識不明の重態です。♠〈不意に襲う〉不意に襲ってくる自然災害は、人間の力を超えたものの一つである。♠〈不安に襲われる〉敵に見つかりはしないか、という不安に襲われて、とっさに木の陰[かげ]に身を隠した。♠〈錯覚[さみようさつかく]に襲われる〉古い町のたたずまいに、なんだか自分が百年も生きてきたような、奇妙な錯覚に襲われた。♠〈眠気[ねむ]が襲う〉体が暖まり、おなかがふくらむと、不意に眠気が襲ってきた。♠〈寝込みを襲う〉警察は、犯人の寝込みを襲って逮捕[たいほ]した。♠〈跡を襲う〉彼は、引退した父の跡を襲って家元[いえもと]の位に就いた。 **おそまき【遅まき】(遅蒔き)** ○遅れて種をまくこと。また、そういう品種。遅れて事を始めること。 [文例]〈遅まきのエンドウ〉遅まきのエンドウがやっと花をつけた。♠騒音[そうおん]問題については、市側も遅まきながら調査に乗り出した。♠五十歳ですから遅まきですが、フランス語の勉強を始めました。 **おぞましい** ○嫌悪すべきだ。不快だ。うどましい。 [文例]〈おぞましい話〉遺産をめぐって親子兄弟が骨肉[こつにく]の争いを繰り広げるというのは、何ともおぞましい話だ。♠〈おぞましい体験〉少ない食べ物を前に争うような、おぞましい体験はしたくありません。 **おそらく【恐らく】** ○多分。思うに。 [文例]その件については、おそらく彼は何も知らないでしょう。♠母の帰りは、おそらく十時過ぎになるでしょう。♠きみのその情熱をもってしたら、おそらく不可能なことは何一つないだろう。♠この事実から考えると、おそらくはこれらの大陸は、元は一つだったにちがいありません。 **おそるおそる【恐る恐る】** ○こわごわ。おっかなびっくり。 [文例]何者かがテントを揺するので、恐る恐る外をのぞいてみた。♠馬になど乗ったことのないわたしは、恐る恐るその馬の背中にまたがってみました。 **おそるべき【恐るべき】** ○恐ろしい。ものすごい。驚くべき。 [文例]〈恐るべき病気〉八代海[やつしろかい]に臨む平穏[へいおん]な土地水俣[みなまた]に、恐るべき水俣病が起こった。♠〈恐るべき大虐殺[だいぎゃくさつ]〉アウシュビッツといえば、ナチスによる恐るべき大虐殺が行われた所である。♠〈恐るべきは~〉男は、体も大きいが、恐るべきはその力のすごさである。 **おそれ【恐れ・真】(畏れ)** ○恐れる気持ち。不安な気持ち。懸念。心配。 [文例]〈恐れをいだく〉山の神に恐れをいだきながら、村人は暮らしていた。♠〈恐れをなす〉ネコは、ハリネズミのとげに恐れをなして、手出しをしない。♠〈恐れを知らない〉活動している山に、恐れを知らぬ若者たちが登っていく。♠〈おそれがある・ない〉日本には、今後も噴火[ふんか]するおそれのある火山が、約八十もあります。♠〈絶滅を恐れる〉トキの絶滅を恐れて、人工ふ化を試みたがうまくいかなかった。♠〈神をおそれぬ行為〉その当時は、人体を解剖[かいばう]することは神をおそれぬ行為とされた。 **おそろし・い【恐ろしい】** ○こわい。すごい。心配だ。 [文例]小学生の少年には、暗い夜道を一人で歩くのは恐ろしかった。♠〈恐ろしい病原菌〉赤痢やコレラなどの恐ろしい病原菌は、手から口を通って体に入る。♠〈恐ろしい災害〉川は人間に恵みを与えてくれる一方で、恐ろしい災害も引き起こす。♠〈恐ろしいものはない〉あのころは、青二才[あおにさい]まっただ中で、この世で恐ろしいものは何もなかった。♠〈後[あと]が恐ろしい〉彼女に手伝ってもらうのはいいが、やれ、ごちそうしろだの何だのと、後が恐ろしいよ。♠〈恐ろしい勢い〉闘牛士は、恐ろしい勢いで突っかかってくる牛を、ひらりとかわした。♠〈恐ろしく立派〉昔、宮様[みやさま]のお屋敷だったというその家は、庭も広く内部は恐ろしく立派だった。♠〈~は恐ろしいもので〉癖[くせ]というのは恐ろしいもので、ぼくは、まだときどき指をしゃぶることがある。 **おそれい・る【恐れ入る】(畏れ入る)** ○降参する。恐縮する。あきれ返る。 [文例]お休みのところ、恐れ入りますが、切符を拝見します。♠おみごと、恐れ入りました。♠何度失敗しても、まだこりないんだから恐れ入るよ。 **おそれおお・い【恐れ多い】(畏れ多い)** ○ありがたくてもったいない。心苦しい。 [文例]このようなむさくるしい所へおいでいただくとは、誠におそれ多いことでございます。♠先輩に対しておそれ多いのですが、その計画はもう一度考え直したほうがよくはないでしょうか。 **おそ・れる【恐れる】(畏れる)** ○恐ろしいと思う。こわがる。不安に思う。かしこまり慎む。 [文例]〈犬を恐れる〉新聞配達人は、その家の番犬にほえられるのを恐れていた。♠〈噴火を恐れる〉今度の地震[じしん]は、噴火の始まる前触れにちがいないと、人々は恐れた。♠〈失敗を恐れる〉失敗を恐れていては、何もできないぞ。♠〈世間から恐れられる〉そのころ、結核は感染しやすいということで、世間から恐れられていた。 **おそわ・る【教わる】** ○教えてもらう。教えを受ける。 [文例]〈英語を教わる〉わたしたちは、中学生の時松本先生から英語を教わりました。♠〈人に教わる〉だれに教わらなくとも、生まれたばかりの子ねこたちには、お母さんのおっぱいがわかるのです。♠〈人から教わる〉わたしがその牧師から教わったものは、人のために命を投げ出すという姿勢だった。♠〈悪いことを教わる〉中学生のくせにタバコを吸ったりして、一体だれにそんな悪いことを教わったんだ!♠〈場所を教わる〉山の中をあちらこちらと、先輩に教わった場所を歩き回った。♠〈教わって~する〉田舎[いなか]の子に教わって、ぼくも川の魚を突[つ]きました。 **おだく【汚濁】** ○汚れ濁ること。汚れ。 [文例]〈河川の汚濁〉河川や湖沼[こしよう]の汚濁が日本中で大きな問題になっています。 **おだ・てる(煽てる)** ○ほめそそのかす。得意にさせる。 [文例]おだてられると、すぐ調子にのるんだから、お父さん <141> は。♠おだててやらせようったって、その手にはのらないよ。 **おだやか【穏やか】** ○荒々しさ、激しさのないさま。安らかなさま。もの静かなさま。一方的でないさま。 [文例]〈海が穏やか〉一夜明けると風がおさまり、雲もなく、海は穏やかだった。♠〈穏やかな天気〉秋も深まり、穏やかな天気が続いています。♠〈穏やかな人柄[ひとがら]〉彼女は明るく穏やかな人柄で、だれからも好かれている。♠〈考え方が穏やか〉父は年とともに考え方が穏やかになってきたようです。♠〈穏やかな顔〉試験会場から出てきたA君は、緊張[きんちよう]から解かれた穏やかな顔をしていた。♠〈穏やかに話す〉言葉づかいに気をつけて、もっと穏やかに話してほしい。♠〈穏やかな時代〉両大戦間の穏やかな時代に、父母は幸福な子供時代を過ごした。♠〈心中穏やかでない〉彼の話を黙って聞いていたが、心中は穏やかではなかった。♠バットを握って飛び込んでくるなんて、穏やかではないね。 **おち【落ち】** ○落ちること。もれること。結末。落語のしめくくり。 [文例]〈汚れの落ち〉水よりお湯のほうが、汚れの落ちがよい。♠〈落ちがある・ない〉名前の落ちがないか、もう一度確認してください。♠〈話の落ち〉落語などでは、落ちで話をしめくくります。♠〈話の落ち〉ちょっと待って、この話にはまだ落ちがあるんだ。♠〈~するのが落ち〉そんなことしたって、笑われるのが落ちだよ。♠〈都[みやこ]落ち〉いくさに負け、都落ちした一族がこの地に住みついたのだという。♠〈片手落ち〉けんかの原因を問わず、先に手を出したほうだけ悪いというのは片手落ちだ。 **おちあ・う【落ち合う】** ○前もって決めた場所でいっしょになる。合流する。 [文例]〈人と落ち合う〉五時に友達と駅で落ち合うことになっている。♠〈川が落ち合う〉二つの川が落ち合う地点で、よくフナが釣れた。 **おちい・る【陥る】** ○落ち込む。はまり込む。悪い状態に入り込む。 [文例]〈錯覚[さつかく]に陥る〉先生が易しい問題ばかり出してくれたので、自分がすごく出来るような錯覚に陥った。♠〈孤独[こどく]に陥る〉現代人は、地域社会との結びつきがうすくて、孤独に陥りやすい。♠〈どん底に陥る〉父親の病気が長びいて、一家の生活はどん底に陥った。♠〈自暴自棄[じぼうじさ]に陥る〉どんな苦境に立たされても、自暴自棄に陥ってはいけないよ。♠〈危機[きさ]に陥る〉今や地球上のあちこちで絶滅[ぜつめつ]の危機に陥っている動物がいる。♠〈独善に陥る〉新聞が独善に陥らないためにも、読者による批判は必要であり重要だ。♠〈計略に陥る〉おとりを使った敵の計略に陥って、まんまといっぱい食わされた。♠〈術中[じゆつちゆう]に陥る〉まんまと敵の術中に陥って、味方の軍勢は敗走した。♠〈困難に陥る〉折からの大雪で、山間部では通勤・通学が困難に陥っているらしい。 **おちこ・む【落ち込む】** ○おちいる。はまる。悪い状態になる。くぼむ。沈む。 [文例]〈穴に落ち込む〉駆けてきたところを、ズボッと落とし穴に落ち込み、はい上がれない。♠〈目が落ち込む〉彼女は、目が落ち込み、ほおがこけ、まるで別人のように変わり果てていた。♠〈苦境に落ち込む〉だれにも頼ることのできない苦境に落ち込んだとき、独りぼっちの自分を発見する。♠〈景気が落ち込む〉その年、世の中の景気は大きく落ち込んでいた。♠〈気持ちが落ち込む〉彼は今、恋人にふられて落ち込んでいるんだ。 **おちつき【落ち着き】** ○落ち着いた態度。物のすわり具合。 [文例]〈心の落ち着き〉〈落ち着きをなくす〉わたしはすっかり心の落ち着きをなくしていた。♠〈落ち着きを失う〉警官が現れるや、男は急に落ち着きを失い、逃げるように立ち去った。♠〈落ち着きがある・ない〉落ち着きのない子だねえ、少しはじっとしていなさい。♠〈落ち着きが悪い〉どうもこのテーブルはガタガタして、落ち着きが悪い。 **おちつ・く【落ち着く】** ○気持ちが静まる。状態が安定する。一か所にとどまる。至り着く。 [文例]〈落ち着かない子〉いつもふらふらして、落ち着かない子だね。♠〈結婚して落ち着く〉長い間独身だった彼も、結婚して落ち着いたようだ。♠〈気持ちが落ち着く〉修学旅行が近づくにつれ、みんなの気持ちがそわそわと落ち着かなくなってきた。♠〈落ち着いた態度〉青年は、紹介されると、落ち着いた態度であいさつした。♠〈病気が落ち着く〉注射のおかげで、病人の様子もだいぶ落ち着きました。♠〈世の中が落ち着く〉戦後五年がたって、世の中がようやく落ち着いてきた。♠〈新居に落ち着く〉新居に落ち着いたら、近況をお知らせください。♠〈東京に落ち着く〉転勤であちこち動いたが、やっと東京に落ち着くことになった。♠〈落ち着く所は一つ〉そのテーマに関して様々な本を読んでみたが、問題の落ち着く所は一つだった。♠〈落ち着いた町〉古いが落ち着いていて、いかにも城下町らしいたたずまいだ。♠〈落ち着いた色〉母は昔から落ち着いた色合いの着物がよく似合った。 **おちど【落ち度】** ○手落ち。あやまち。過失。 [文例]〈落ち度がある・ない〉建造物にきずをつけた生徒はもちろんいけないが、引率の先生方にも落ち度はあります。♠〈被害者の落ち度〉警報器や遮断機[しゃだんさ]のある踏切での事故は、おおむね被害者の落ち度といえる。 **おちの・びる【落ち延びる】** ○つかまらずに逃げ去る。逃げのびる。 [文例]平家は、都[みやこ]に迫る源氏を恐れて都を脱出[だつしゅつ]し、西海に落ち延びた。 **おちば【落ち葉】** ○枯れて枝から落ちた葉。 [文例]〈落ち葉を集める〉落ち葉をかき集めてたき火をする風景が、あちらこちらに見られた。♠啄木鳥[きつつき]や落葉をいそぐ牧の木々(水原秋桜子[みずはら しゅうおうし]) **おちぶ・れる【落ちぶれる】** ○みじめな状態になる。零落[れいらく]する。 [文例]一時は天下にその名をとどろかせていたが、今ではすっかり落ちぶれてしまった。♠この身は落ちぶれても、まだ心まで落ちぶれてはおらんぞ。 **おちめ【落ち目】** ○勢いが衰え始める境。おちぶれ際。 [文例] <142> 〈落ち目になる〉男は、落ち目になったその家の主人[いえあるじ]を追い出し、屋敷を乗っ取ろうとたくらんだ。♠〈商売が落ち目〉この商売も落ち目だから、新しい仕事に変わろうかとも考えているんだ。 **おちゃ【お茶】** ○「茶」の丁寧語。茶の湯。茶道。仕事の間の休憩。 [文例]〈お茶を飲む〉ちょうど三時だったので、みんなでお茶を飲んだ。♠〈お茶をたてる〉心得のある人がたてたお茶だけあって、けっこうなおてまえだった。♠〈お茶にする〉どれ、ここらでお茶にしようか。♠〈お茶を習う〉姉も花嫁修業[はなよめしゆぎよう]とやらで、お茶やお花を習い出した。♠〈お茶を濁[にご]す〉質問すると、相手は答えにもならぬことを言ってお茶を濁した。♠〈お茶の子さいさい〉そんなことぐらいお茶の子さいさいだよ。 **おちゃめ【お茶目】** ○子供っぽいいたずらをするさま。 [文例]〈お茶目な子〉お茶目なみなし子ジルーシャの才能が、ある時、あしながおじさんに見いだされます。♠〈お茶目ぶり〉ヨウコちゃんは、かわいいいたずらをしてはお茶目ぶりを発揮しています。 **お・ちる【落ちる】** ○下がる。落下する。低くなる。低下する。降りる。欠け落ちる。落第する。おちいる。はまる。零落[れいらく]する。沈む。所有となる。地方へ行く。 [文例]〈穴に落ちる〉道路工事の穴に落ちないよう、足もとに注意して歩いてください。♠〈屋根から落ちる〉ああ、今年もまた、屋根から落ちないように注意しながら、雪かきをしなければならない。♠〈滴[しずく]が落ちる〉山の木々やがけの岩角[いわかど]などから落ちる滴で、のどをうるおした。♠〈雷[かみなり]が落ちる〉ゴルフ場の高い木には、雷が落ちやすい。♠〈物が落ちている〉おや、こんな所に財布が落ちているぞ。♠〈人気が落ちる〉スターにとっては、人気が落ちるということは、きっと寂しいことだろうなあ。♠〈腕[うで]が落ちる〉若手ものびてきてはいるが、やはり親方に比べるとだいぶ腕が落ちる。♠〈成績が落ちる〉成績が落ちたのは勉強をしなかったからで、クラブ活動にはまったく関係ありません。♠〈能率が落ちる〉こうまわりが騒[さわ]がしいと、勉強の能率が落ちてしまう。♠〈売り上げが落ちる〉今年は冷夏で、夏物衣料品の売り上げが落ちたそうだ。♠〈スピードが落ちる〉先頭を走っている馬のスピードが急に落ちたかと思うまもなく、どっと倒[たお]れるのが見えた。♠〈味[あじ]が落ちる〉あの店はケーキがおいしいと評判だったが、どうも近ごろは味が落ちたようだ。♠〈品が落ちる〉外国産のマッタケは、国内産に比べると、味、香りなどあらゆる点で品が落ちるそうだ。♠〈話が落ちる〉きみと話してると、いつも話がくだらないところに落ちてしまうからいやだ。♠〈色[いろ]が落ちる〉浴衣[ゆかた]の色が落ちたが、かえって落ち着いた色合いになったようだ。♠〈あかが落ちる〉ゆっくりと休養を取ったので、すっかり旅のあかも落ちたようだ。♠〈ページが落ちる〉ページが落ちている本は、すぐ本屋さんに持っていけば、取りかえてくれます。♠〈名前が落ちる〉名簿[めいぼ]からあなたの名前が落ちてしまってごめんなさい。♠〈試験に落ちる〉試験に落ちるのがいやだったら、しっかり勉強しなさい。♠〈わなに落ちる〉ひょっとしたらわなに落ちたのではないかと思った時はすでに遅[おそ]く、わたしはスパイということにされてしまった。♠〈謀略[ぼうりゃく]に落ちる〉敵の謀略に落ち、天皇に対するむほんの主犯とされて、彼は隠岐島[おきのしま]に流された。♠〈語るに落ちる〉うその弁解をしていたやつが、ポロッと真相をしゃべってしまうなんて、まさに語るに落ちるだね。♠〈日が落ちる〉昼間の猛暑[もうしよ]も、日が落ちるとだいぶ涼しくなってきた。♠〈城が落ちる〉家康[いえやす]側の猛攻撃[もうこうげき]にあって、ついに大坂城は落ちた。♠〈眠[ねむ]りに落ちる〉昼間の疲れが出て、いつしか深い眠りに落ちていた。♠〈人後[じんご]に落ちない〉ぼくは、親を思う気持ちでは人後に落ちないと思っている。♠〈腑[ふ]に落ちない〉きみが言っていることはつじつまが合わなくて、どうも腑に落ちない。♠〈猿も木から落ちる〉経験豊かな彼女が失敗するとは思わなかった。猿も木から落ちるとはこのことだね。 **おつ【乙】** ○物事の等級・順序で甲の次。気がきいているさま。しゃれているさま。ちょっと変わっているさま。 [文例]〈甲乙丙[こうおつへい]〉甲、乙、丙三者の利害が対立して、なかなか意見が折り合わない。♠〈甲乙丙〉昔は学校の成績を、甲乙丙で表した。♠〈甲乙つけがたい〉両者の力は伯仲[はくちゆう]していて、甲乙つけがたい。♠〈おつな味〉このおつまみは、なかなかおつな味でいけるね。♠〈おつにすます〉今日はパリッとした格好をして、おつにすましているけど、どうしたんだい。♠雪見酒とは、こいつはおつだねえ。 **おっかな・い** ○恐ろしい。こわい。 [文例]〈おっかない所〉東京というとこはおっかない所だねえ。♠〈おっかないほど〉おっかないほどよく出来る生徒ですね、彼は。 **おっかなびっくり** ○おそるおそる。こわごわ。 [文例]おっかなびっくり馬の顔をなでてみた。♠ほら穴を見つけ、おっかなびっくりその中に入っていくと・・・・・・。 **おっくう(億劫)** ○めんどうくさくて気が進まないさま。 [文例]〈動くのがおっくう〉体の具合が悪いせいか、動くのがどうもおっくうだ。♠手紙を書くのがおっくうなので、電話で用を足した。♠しばらく家に閉じこもっていると、特別な用でもないかぎり、外出するのがおっくうになります。♠気が進まない仕事は、引き受けてもおっくうでなかなかとりかかれない。♠〈おっくうがる〉わからない言葉に出あったら、おっくうがらずに辞書を引こう。 **おつげ【お告げ】** ○神仏がその意志を告げ知らせること。また、その言葉。託宣[たくせん]。 [文例]〈神のお告げ〉今、娘をその男の嫁にせよという神様のお告げがあったのだ。♠〈お告げが下[くだ]る〉ある時、マリアに天使のお告げが下り、乙女[おとめ]は男の子を身ごもった。 **おっしゃる(仰有る)** ○「言う」の尊敬語。 [文例]先生が、早く帰るようにとおっしゃいました。♠ご主人様のおっしゃるとおりにいたします。♠先程、山本様とおっしゃる方がおみえになりました。 **おったまげる** ○たまげる。非常におどろく。 [文例]死んだはずの男が目の前に現れたので、気を失うほどおったまげた。♠宝くじで一等が当たったとは、本当におったまげた。 <143> **おどし** **お** **おっちょこちょい** ○そそっかしいさま。また、そういう人[ひと]。[文例]〈おっちょこちょいな人[ひと]〉届[とど]け先[さき]も聞[き]かずにとび出[だ]して行[い]くなんて、おっちょこちょいな人[ひと]だね、まったく。♠〈おっちょこちょいな性格[せいかく]〉明[あか]るく人[ひと]のよい姉[ねえ]さんだが、ちょっとおっちょこちょいなところがある。 **おっつけ**【追っ付け】 ○そのうち。まもなく。やがて。[文例]タバコを買[か]いに出[で]ましたが、おっつけ戻[もど]ると思[おも]います。♠用[よう]が済[す]んだら、おっつけこちらから出向[しゅつこう]きます。 **おって**【追って】 ○あとで。のちほど。つけ加[くわ]えて。[文例]〈追[お]って〜する〉抽選[ちゅうせん]の結果[けっか]は、追[お]ってハガキでお知[し]らせします。♠〈追[お]って書[が]き〉その手紙[てがみ]には、さらに次[つぎ]のような追[お]って書[が]きがつけ加[くわ]えてあった。 **おって**【追っ手】 ○逃亡[とうぼう]者[しゃ]を追跡[ついせき]する人[ひと]。[文例]〈追[おっ]手[て]をかける〉何[なん]十人[じゅうにん]もの追[おっ]手[て]をかけてとらえようとしたが、犯人[はんにん]は姿[すがた]をくらましてしまった。♠〈追[おっ]手[て]がかかる〉追[おっ]手[て]がかかってるんだ、どうかかくまってくれ。 **おっと**【夫】 ○夫婦[ふうふ]のうち男[おとこ]の方[ほう]。→妻[つま][文例]〈妻[つま]と夫[おっと]〉若[わか]い妻[つま]は、よちよち歩[ある]きの赤[あか]ん坊[ぼう]を抱[だ]いて、夫[おっと]の留守[るす]をよく守[まも]った。♠夫[おっと]は、札幌[さっぽろ]へ転勤[てんきん]しまして、ただいま単身[たんしん]赴任[ふにん]中[ちゅう]でございます。 **おっとり** ○のんびり、ゆったりしているさま。おうようなさま。[文例]〈おっとりした人[ひと]〉だんなさんはおっとりしたお方[かた]で、店[みせ]の者[もの]でもめったに怒[おこ]るようなことはありませんでした。♠〈おっとりとかまえる〉そんな時[とき]も、父[ちち]はおっとりとかまえて、わたしたちに安心[あんしん]するよう言[い]い聞[き]かせました。 **おてあげ**【お手上げ】 ○手[て]のくだしようがないこと。どうにもならないさま。[文例]かんづいて、熊[くま]がまっすぐこっちへ向[む]かってくれば、お手上[あ]げだ。♠こう降[ふ]り続[つづ]いたんじゃ、おれたち大工[だいく]はお手上[あ]げだ。 **おでこ** ○ひたい。ひたいが高[たか]く出[で]ていること。[文例]〈おでこが広[ひろ]い〉わたしはおでこが広[ひろ]いので、前髪[まえがみ]を垂[た]らしてかくしているんです。♠ちょっぴりおでこで目[め]の大[おお]きな、キューピーさんみたいな男[おとこ]の子[こ]でした。 **おてん**【汚点】 ○ぽつんと付[つ]いたよごれ。名誉[めいよ]をけがす点[てん]。[文例]〈汚点[おてん]がしみつく〉晴[は]れ渡[わた]った空[そら]に、飛行機[ひこうき]の影[かげ]が一[ひと]つ、汚点[おてん]のようにしみついていた。♠〈汚点[おてん]を残[のこ]す〉その不祥事[ふしょうじ]は、わが国[くに]の議会[ぎかい]史[し]上[じょう]に大[おお]きな汚点[おてん]を残[のこ]した。 **おてんば**【お転婆】 ○女[おんな]の子[こ]が、男[おとこ]の子[こ]のように活発[かっぱつ]であること。また、そのような少女[しょうじょ]。[文例]〈おてんばな女[おんな]の子[こ]〉小[ちい]さいころからおてんばで、木登[きのぼ]りなんか大[だい]得意[とくい]の女[おんな]の子[こ]でした。♠〈おてんばとわんぱく〉姉[あね]はおてんば、弟[おとうと]はわんぱくで、家[いえ]の中[なか]はひっくり返[かえ]るような騒[さわ]ぎです。♠〈おてんば娘[むすめ]〉あのもの静[しず]かなおばさまが、おてんば娘[むすめ]だったとはとても思[おも]えない。 **おと**【音】 ○耳[みみ]に聞[き]こえる振動[しんどう]。評判[ひょうばん]。うわさ。[文例]〈音[おと]がうるさい〉〈音[おと]を小[ちい]さくする〉ステレオの音[おと]がうるさいぞ。もっと音[おと]を小[ちい]さくしろ!♠〈音[おと]を出[だ]す〉自分[じぶん]の出[だ]す音[おと]が他人[たにん]の迷惑[めいわく]にならないように注意[ちゅうい]しましょう。♠〈高[たか]い・低[ひく]い・強[つよ]い・弱[よわ]い音[おと]〉音[おと]には、高[たか]い音[おと]、低[ひく]い音[おと]、強[つよ]い音[おと]、弱[よわ]い音[おと]などがあります。♠〈鈍[にぶ]い音[おと]〉〈音[おと]がする〉どすんと鈍[にぶ]い音[おと]がして、木[き]の上[うえ]から父[ちち]が落[お]ちてきた。♠〈音[おと]をたてる〉人々[ひとびと]が避難[ひなん]する間[あいだ]も、雨[あめ]は音[おと]をたてて降[ふ]り続[つづ]けた。♠〈音[おと]が聞[き]こえる〉日曜日[にちようび]の朝[あさ]、どこからかピアノの音[おと]が心地[ここち]よげに聞[き]こえてきた。♠〈音[おと]もなく〉山[やま]あいを、小川[おがわ]の水[みず]が音[おと]もなく流[なが]れていた。♠〈音[おと]に聞[き]く〉彼[かれ]の前[まえ]に現[あらわ]れたのは、音[おと]に聞[き]こえた武芸[ぶげい]の達人[たつじん]であった。 **おどおど** 恐[おそ]れて落[お]ち着[つ]かないさま。びくびく。おずおず。[文例]〈おどおどする〉少年[しょうねん]は、何[なに]かを恐[おそ]れるように、おどおどした目[め]つきで辺[あた]りを見回[みまわ]した。♠〈おどおどと〉少女[しょうじょ]は、おどおどとわたしの顔[かお]をのぞきこんだ。 **おどか・す**【脅かす】(威[おど]かす・嚇[おど]かす) ○こわがらせる。びっくりさせる。[文例]かんしゃく玉[だま]で脅[おど]かした時[とき]の、あいつのびっくりした顔[かお]がいまだに目[め]に浮[う]かぶ。♠友達[ともだち]にそっと近[ちか]づいて、後[うし]ろからわっと脅[おど]かした。♠先生[せんせい]も人[ひと]が悪[わる]いですねえ、冗談[じょうだん]で人[ひと]を脅[おど]かすなんて。♠悪[わる]い友人[ゆうじん]にどんなに脅[おど]かされてもぼくは、非行[ひこう]の仲間[なかま]には入[はい]らなかった。 **おど・ける** ○こっけいにふるまう。ふざける。[文例]〈おどけたしぐさ〉サーカスのピエロは、おどけたしぐさをして、みんなを笑[わら]わせる。♠男[おとこ]の子[こ]は、てれかくしにわざとおどけてみせた。 **おとこ**【男】 ○男性[だんせい]。雄[おす]。一人前[いちにんまえ]の男性[だんせい]。男性[だんせい]としての面目[めんぼく]、容貌[ようぼう]。愛人[あいじん]としての男性[だんせい]。[文例]〈大[だい]の男[おとこ]〉女[おんな]の態度[たいど]からは、死[し]んでもいいという気迫[きはく]が伝[つた]わり、大[だい]の男[おとこ]もすくんでしまった。♠〈男[おとこ]がすたる〉こんなことぐらいであきらめてしまったら、男[おとこ]がすたる。♠〈男[おとこ]になる〉〈男[おとこ]にする〉この計画[けいかく]を実現[じつげん]させて、男[おとこ]になりたいのです。どうかこのぼくを男[おとこ]にしてください。♠〈男[おとこ]を上[あ]げる・下[さ]げる〉今度[こんど]の手柄[てがら]で、彼[かれ]もずいぶん男[おとこ]を上[あ]げたね。♠〈男[おとこ]が立[た]つ〉どうか、この仕事[しごと]はおれにやらせてくれ。でないと、おれの男[おとこ]が立[た]たねえんだ。♠〈男[おとこ]ができる〉よっ、みっちゃん、色[いろ]っぽくなったね。男[おとこ]でもできたのかい?♠〈男[おとこ]の中[なか]の男[おとこ]〉遠山[とおやま]の金[きん]さんは、男[おとこ]の中[なか]の男[おとこ]だぜ。きっと相談[そうだん]に乗[の]ってくれるさ。♠〈男[おとこ]は度胸[どきょう]、女[おんな]は愛嬌[あいきょう]〉「男[おとこ]は度胸[どきょう]、女[おんな]は愛嬌[あいきょう]」などと言[い]うが、当世[とうせい]は度胸[どきょう]のない男[おとこ]、愛嬌[あいきょう]のない女[おんな]がふえたねえ。♠〈男[おとこ]一匹[いっぴき]〉やせても枯[か]れても、男[おとこ]一匹[いっぴき]、このぐらいの金[かね]は工面[くめん]してみせらあ。♠〈男泣[おとこな]き〉メロスは川岸[かわぎし]にうずくまり、男泣[おとこな]きに泣[な]きながらゼウスに手[て]を挙[あ]げて哀願[あいがん]した。(太宰[だざい]治[おさむ]「走[はし]れメロス」) **おとこらし・い**【男らしい】 ○男性[だんせい]的[てき]な能力[のうりょく]・性質[せいしつ]などをそなえている。[文例]〈男[おとこ]らしい態度[たいど]〉彼[かれ]の男[おとこ]らしい態度[たいど]は、実[じつ]にりっぱだった。♠〈男[おとこ]らしい人[ひと]〉太郎[たろう]さんは、明[あき]らかで男[おとこ]らしい人[ひと]です。♠〈男[おとこ]らしく〜する〉いつまでもうじうじしていないで、男[おとこ]らしくきっぱりあきらめなさい。 **おとさた**【音さた】(音沙汰[おとさた]) ○たより。消息[しょうそく]。[文例]〈音[おと]さたがない〉二月[にがつ]までは我[わ]が家[や]に居候[いそうろう]をしていたが、暖[あたた]かくなるとぽっと家[いえ]を出[で]たまま、それきり音[おと]さたがない。 **おどし**【脅し】(威[おど]し・嚇[おど]し) ○こわがらせること。脅迫[きょうはく]。[文例]〈脅[おど]しをかける〉脅[おど]しをかけて金[かね]をゆするようなやつらは許[ゆる]せない。♠〈脅[おど]しがきく〉子供[こども]をつれて実家[じっか]へ帰[かえ]る、という脅[おど]しがきいて、あの人[ひと]、酒[さけ]をやめたわ。♠〈脅[おど]しにの <144> **おとしあな【落とし穴】** ○獣などを落とすための穴。人をおとしいれるための策略。 [文例]〈落とし穴に落ちる〉悪童たちの落とし穴に落ちた先生は、アキレス腱を切ってしまった。♠〈落とし穴にはまる〉やつめ、まんまと落とし穴にはまったな。 **おとしい・れる【落とし入れる・陥れる】** ○落として中に入れる。計略にかける。だます。 [文例]その錠剤[じようざい]をコップの水に落とし入れると、シューッと白い泡[あわ]がたった。♠〈病[やまい]に陥れる〉東京の暑さは、北国育ちの彼女を病に陥れた。♠〈罪に陥れる〉犯人は、身がわりの男を無実の罪に陥れて姿をくらました。♠〈都を陥れる〉敵は、王国の都を陥れた。 **おとしだま【お年玉】** ○新年を祝って、子供などに与える金品。 [文例]お正月には、お年玉をどれくらいもらえるかな。♠おじさんから、お年玉に図書券をいただきました。 **おとしもの【落とし物】** ○気づかないうちに落として無くした物。 [文例]〈落とし物を拾う〉落とし物を拾ったら、交番に届けなさい。♠〈落とし物をする〉落とし物をして、一生懸命捜しても見つからない時などは、本当にがっかりです。 **おと・す【落とす】** ○落下させる。下げる。おろす。低くする。低下させる。付いたものをとる。無くする。欠落させる。もらす。おちいらせる。落第させる。陥落[かんらく]させる。手に入れる。 [文例]〈石を落とす〉学校帰りの子供たちが、橋の上から川原に石を落として遊んでいた。♠〈涙を落とす〉少女は、ぼろぼろ涙を落としながら、激しい痛みに耐[た]えていた。♠〈ふろの湯を落とす〉ふろのお湯を落とす前に、もう一度さっと浴びてこよう。♠〈火を落とす〉昨夜は、最後まで起きていた三男が、炉[ろ]の火を落としたはずであった。♠〈あかを落とす〉さて、ひとふろ浴びて、旅のあかでも落とすか。♠〈お金を落とす〉買い物に出てお金を落としたが、親切な人が交番に届けてくれていた。♠〈客が落とす金〉オリンピックで観光客が現地に落としていくお金は、ばく大なものだ。♠〈内容を落とす〉必要な内容を落とさないように、組み立てを考えてから文章を書こう。♠〈暗い影[かげ]を落とす〉長びく戦争が子供たちの心に暗い影を落としていた。♠〈試験で落とす〉今回の試験は難しくて、クラスの半分以上の者が落とされた。♠〈スピードを落とす〉霧[きり]で前がよく見えないので、スピードを落としながら進んだ。♠〈品質を落とす〉あそこの和菓子屋が、品質を落とさずに今までやってこられたのは、昔かたぎのおやじさんがいたからだ。♠〈気を落とす〉一人息子が長い海外勤務に旅立って、母親はすっかり気を落としていた。♠〈力を落とす〉一度や二度の失敗で力を落とさずに、もう一度頑張[がんば]ってみてください。♠〈肩を落とす〉敵チームに決定的なゴールを決められ、応援団はがっくりと肩を落とした。♠〈身を落とす〉財産を使い果たした男は、浮浪者[ふろうしゃ]に身を落としていた。♠〈話を落とす〉酔った客はいやらしい方へと話を落とすので、わたしは困ってしまった。♠〈わなに落とす〉わなに落として捕[と]まえたタヌキを、係員は認識票をつけて山へ放[はな]した。♠〈入札[にゆうさつ]で落とす〉あの名画を入札で落としたのはだれですか。♠〈城を落とす〉大軍で攻め、難攻不落[なんこうふらく]と言われた城をついに落とした。♠〈命を落とす〉先日の航空機事故では、五百人もの人が命を落としました。♠〈信用を落とす〉商売で一度信用を落とすと、回復するのが大変だ。♠〈言い落とす〉さきほど言い落としたことがありますので、ここで追加いたします。 **おど・す【脅す】(威す・嚇す)** ○こわがらせる。恐れさせる。おびやかす。 [文例]〈敵を脅す〉ふぐは敵に襲われると、体を大きく膨[ふく]らませ、敵を脅して身を守る。♠〈ねこを脅す〉ねこがカナリヤをねらっていたので、シッシッと脅すと、あわてて逃げていった。♠〈ピストルで脅す〉強盗[ごうとう]はピストルで脅して、金を奪[うば]い、そのまま逃走[とうそう]しました。♠〈人に脅される〉暴力団風の男に脅されて、金を全部巻き上げられてしまった。♠〈鬼面[きめん]人をおどす〉鬼面人をおどすというが、うわべだけで人を怖がらせるつもりかい?♠仲の悪い彼は、会うといつも脅すようにぼくをにらみつける。 **おとずれ【訪れ】** ○おとずれること。↓おとずれる [文例]〈平和の訪れ〉しばらく続いた休戦も、完全な平和の訪れを意味するものではなかった。♠〈春の訪れ〉春の訪れを告げる東大寺二月堂のお水取[みずとり]の行事が行われました。 **おとずれる【訪れる】** ○たずねる。やってくる。訪問する。 [文例]〈家を訪れる〉夏休みには、一家そろって田舎[いなか]の祖父の家を訪れるのが恒例[こうれい]になっています。♠〈地域を訪れる〉あまり知られていない地域を訪れ、生物や自然を調査してみたい。♠〈秋が訪れる〉秋が平地より一足早く訪れる高原で、さわやかな一日を楽しんだ。♠〈新しい年が訪れる〉除夜[じよや]の鐘とともに、様々な境遇の人々に同じように新しい年が訪れた。♠〈平和が訪れる〉昭和二十年夏、戦争には敗れたが、人々が待ち望んだ平和が訪れた。♠〈転機が訪れる〉画家として独り立ちしようとしていた少年に、やがて宿命的な転機が訪れた。♠〈チャンスが訪れる〉実力を発揮するチャンスが訪れないまま、時はむなしく過ぎていった。 **おとな【大人】** ○一人前に成長した人。成人。分別のあるさま。また、そういう人。 [文例]〈大人の仲間入り〉成人式を迎え、いよいよ大人の仲間入りです。♠〈考え方が大人〉彼は若いがしっかりしていて、考え方も大人である。♠〈体が大人〉きみたちは、体は大人だが、頭の中は小学生だね。♠〈大人げない〉お母さん、子供にケーキを取られたからって、そんなに騒ぐのは大人げないよ。♠〈大人びる〉都会育ちだけに、その子はこの辺りの中学生に比べると大人びて見えた。 **おとな・う(訪う)** ○たずねる。おとずれる。訪問する。 [文例]〈人をおとなう〉昼過ぎ家を出て、近くの寺に間借[まが]りする友人をおとなう。♠〈いおりをおとなう〉山林に独居する隠者[いんじゃ]の庵[いおり]をおとなうものは、小鳥や小動物しかいなかった。 **おとなし・い【大人しい】** ○もの静かだ。従順だ。派手でなく落ち着いている。 [文例]〈おとなしい子〉兄のほうはおとなしい子であるが、弟はなかなかのきかん坊だ。♠〈おとなしく~する〉おとなしく話をしようと思っても、あんたがけんか腰[ごし]なんだもの。♠〈おとなしく~する〉ごめんなさい、とおとなしく謝[あやま]られただけで、はいそうですか、とおとなしく帰ってきたの!♠〈おとなしい柄[がら]〉呉服屋をのぞくと、おとなしい柄で落ちついた感じの着物が目についた。 <145> **おとめ【乙女】** ○年の若い娘。少女。 [文例]当時はまだ、恋を知らぬ乙女でした。♠〈清純な乙女〉なによ、あたしみたいに清純な乙女に。失礼ね。♠〈乙女心〉太いだの太ってるだのって、乙女心を傷つけるようなことを言わないでよ。 **おとも【お供】** ○つき従って行くこと。また、そうする人。 [文例]〈お供をする〉わたしは、ご主人のお供をして上野へ花見に行きました。♠〈部長のお供〉ヨーロッパ出張といっても、しょせんは部長のお供だから、そんなに楽しめないよ。 **おとり(囮)** ○えものをおびき寄せて捕らえるための動物。人を誘い寄せる手段。 [文例]〈おとりを使う〉人間に飼い慣らされたおとりを使って、同類の野生動物をつかまえることがある。♠〈おとりにする〉景品をおとりにして商品を売るやり方が目につく。♠〈おとりになる〉しばらく考えた末、自分がおとりになって敵陣[てきじん]に乗り込む決心をした。♠〈おとりにひっかかる〉おとりの刑事[けいじ]にひっかかって、すりが現行犯[げんこうはん]で逮捕[たいほ]された。 **おどり【踊り】** ○舞[まい]。ぶよう。ぶとう。ダンス。 [文例]〈踊りの輪〉祭りの夜は、大人も子供も踊りの輪に入ってにぎやかに踊り明かした。♠〈踊りを踊る〉彼は、歌も歌えば踊りも踊るという芸達者な男だ。 **おと・る【劣る】** ○他より能力。価値などが下である。 [文例]〈だれにも劣らない〉海育ちのぼくは、水泳だけはクラスのだれにも劣らなかった。♠〈自分より劣る〉彼は、この世に自分より劣った人間は一人もいないかのように思いあがっている。♠〈栄養価が劣る〉たん白質の供給源として、大豆[だいず]には肉に劣らない栄養価がある。♠〈性能が劣る〉この冷蔵庫は、型は少々古いですが、性能が劣るということはありません。♠〈~に劣らない〉弟も姉に劣らない勉強家だ。♠〈負けず劣らず〉彼女もかなり強情なほうだが、きみも負けず劣らずのがんこ者だね。♠〈昨日に劣らず〉今日も、昨日に劣らず暑い一日だった。♠〈勝るとも劣らない〉器量では、妹は、姉に勝るとも劣らなかった。 **おど・る【踊る・躍る】** ○音楽に合わせて、手足や体を動かす。とびはねる。そそのかされて行動する。 [文例]〈ダンスを踊る〉若者たちは音楽に合わせてダンスを踊った。♠〈誤報[ごほう]に踊らされる〉警察は、誤報やデマに踊らされ、犯人を取り逃がした。♠〈人気に踊らされる〉あの歌手は人気に踊らされ、実力をみがくのを忘れたようだ。♠〈躍るように歩く〉おじいさんに会えるのがうれしいのか、少女は躍るように弾[はず]んで歩いてきました。♠〈胸が躍る〉明日のデートのことを思うと、胸が躍ってじっとしていられない。♠〈血沸き肉躍る〉今ぼくが読んでいる本は、血沸き肉躍る探検小説です。♠〈字が躍る〉合格を伝える彼の手紙は、うれしさのあまり字が躍っていた。♠〈身を躍らせる〉村のカッパ連は、次から次へと、小川に向かって身を躍らせた。♠〈躍り上がる〉合格の通知を受けとった兄は、躍り上がって喜びを表した。♠〈笛吹けど踊らず〉いくら呼びかけても、笛吹けど踊らずでだれも参加してくれない。 **おどろか・す【驚かす】** ○びっくりさせる。驚かせる。 [文例]〈人を驚かす〉後ろからそっと近寄り、わっと驚かしてやろう。♠〈世間を驚かす〉よし、いまに世間を驚かすような人間になってみせるぞ。♠〈敵の目を驚かす〉あのよろいかぶとをつけて、敵の目を驚かしてみとうござる。 **おどろ・く【驚く】** ○びっくりする。意外に思う。 [文例]〈驚いて~する〉急に子供が飛び出してきたので、驚いてブレーキを踏んだ。♠〈雨音に驚く〉激しい雨音に驚いて目がさめてしまった。♠〈驚いたことに〉驚いたことに、真犯人は、被害者の妻だった。♠〈驚くほど〉ジャックの豆の木は驚くほど長く伸び、屋根も越えて、空に届いてしまった。♠〈驚くべき〉平和な村に、ある日、敵がやってくるという驚くべき知らせが入った。♠〈驚いたの何の〉驚いたの何のって、相手は雲をつくような大男だったんだ。♠〈驚くにあたらない〉あんなに勉強したのだから、満点を取ったのも驚くにあたらない。♠〈驚くほかない〉この国のめざましい躍進には、ただただ驚くほかない。 **おなか(御中・御腹)** ○腹。胃腸。 [文例]〈おなかが痛い〉ウッ、おなかが痛いわ。変なもの食べたかしら。♠〈おなかがすく〉まだ十一時なの? ああ、おなかがすいた。 **おなじ【同じ】** ○変わりがないさま。区別がないさま。等しいさま。 [文例]三度実験してみたが、結果はどれも同じだった。♠同じ人間どうしが、なぜ差別し合うのだろう。♠同じやるなら、でっかい事をやれ。♠母親からその子をとりあげるのは、彼女に死ねというのも同じだった。♠〈同じ穴のむじな〉おまえもおれも同じ穴のむじな、お互い人にほめられるようなことはしなかったな。♠〈同じ釜[かま]の飯[めし]を食う〉その友人とは、学生時代同じ釜の飯を食った仲である。 **おなじく【同じく】** ○同様に。ひとしく。 [文例]「一年一組、小川。同じく、中村。」♠山本氏も、私と同じく、その計画には消極的な考え方をとっている。♠〈同じくする〉町の緑を守ろうという呼びかけに応じて、志[こころざし]を同じくする人たちが集まった。 **おとろ・える【衰える】** ○力・勢いが弱くなる。 [文例]〈健康が衰える〉日ごろの無理がたたったのか、父の健康は目に見えて衰えてきた。♠〈勢力が衰える〉大型台風は、勢力が全然衰えないまま北上しています。♠〈古い表現が衰える〉言葉は変化するものであり、古い表現は衰えて、やがて新しい表現が生まれてくる。♠〈雨足[あまあし]が衰える〉喫茶店[きつさ]で雨やどりをしていたら、いくらか雨足が衰えてきた。♠〈記憶力[きおくりよく]が衰える〉若いころに比べると、ぼくの記憶力もずいぶん衰えたものだ。♠〈人気が衰える〉紙袋[かみぶくろ]や布バッグが出回るなかで、昔ながらのふろしきの人気はいっこうに衰える様子がない。♠〈和歌が衰える〉和歌が衰えていった代わりに、連歌が発達してきた。♠〈文明が衰える〉人類の歴史が始まって以来、いくつかの文明が栄えては衰えていった。♠〈情熱が衰える〉いくつになっても、父の音楽への情熱は衰えそうになかった。 <146> **おに【鬼】** ○恐ろしい力をもち、非情で、災いをもたらす想像上の化け物。恐ろしい人。非情な人や物事。鬼ごっこの鬼。物事に熱中して他をかえりみない人。 [文例]〈鬼が住む〉あの山には鬼が住んでいると言って、里の人は大変恐[おそ]れていました。♠〈かくれんぼうの鬼〉次は、ぼくが鬼だから、みんな早く隠れてよ。♠〈仕事の鬼〉彼は会社再建のため、すべてを犠牲[ぎせい]にして仕事の鬼になった。♠〈心を鬼にする〉きみのためと思って、心を鬼にして言わせてもらうよ。♠〈鬼のかく乱〉えっ、あの元気なおばさんが風邪で寝込んだんだって。まさに鬼のかく乱とはこのことだね。♠〈鬼に金棒〉きみがわれわれの味方についてくれれば、鬼に金棒だ。♠〈鬼のいぬ間の洗濯[せんたく]〉今日は先生が休みで自習なので、鬼のいぬ間の洗濯とばかり、みんな騒[さわ]いでいる。♠〈渡[わた]る世間に鬼はない〉「渡る世間に鬼はない」といって、世の中、そう冷たい人ばかりではないですよ。♠〈鬼の首を取ったよう〉難しいパイロットの試験を一発でパスした兄は、鬼の首でも取ったように鼻高々だ。♠〈鬼の目に涙[なみだ]〉あの厳しい監督[かんとく]が泣くなんて、文字通り鬼の目に涙であった。♠〈鬼が出るか蛇[じゃ]が出るか〉さて、敵の本拠地に乗り込むぞ。鬼が出るか蛇が出るか・・・・・・。♠〈鬼が笑う〉来年のことをいうと鬼が笑うかもしれないが、来年こそはがんばるぞ。♠〈鬼にもなれば仏にもなる〉こちらの出方次第で、相手は鬼にもなれば仏にもなる。♠〈鬼は外福は内〉鬼は外、福は内と豆をまく声が聞こえてくる。今日は節分、明日は立春だ。♠〈鬼のような男〉代官は、血も涙もない鬼のような男だった。 **おにぎり【お握り】** ○にぎりめし。おむすび。 [文例]〈おにぎりを作る〉うめぼしやタラコ入りのおにぎりをたくさん作って、みんなでお花見に出かけた。♠「にぎり」はにぎりずしのことで、「おにぎり」はにぎり飯のことだ。 **おにごっこ【鬼ごっこ】** ○鬼になった者が他を追いかけてつかまえる子供の遊び。 [文例]昔から、お手玉・まりつき・鬼ごっこなどいろいろな遊びが伝えられてきた。♠〈鬼ごっこをする〉子供のころ、神社の境内でよく鬼ごっこをして遊んだものです。 **おね【尾根】** ○山頂から次の山頂へとつながる高い部分。峰すじ。 [文例]〈尾根を越す〉尾根を一つ越すと、次の峰がぐんと近くに寄ってきた。♠〈尾根づたい〉尾根づたいに山を歩いてゆくと、高山植物の群落に出会った。 **おの(斧)** ○木を切ったり、割ったりする道具。 [文例]森の中では、木こりがおので木を切っていました。♠〈おのを振るう〉男は、裏庭でおのを振るってまき割りをしていた。 **おのおの【各・各各】** ○それぞれ。めいめい。 [文例]十人十色[いろ]で、人の好みは、おのおの違うものだ。♠各グループごとにテーマを決めて、おのおの自由に発言してください。♠弁当は、おのおの持参してください。♠人にはおのおの、得手[えて]、不得手[ふえて]というものがある。♠〈おのおのがた〉おのおのがた、くせ者だ、出会え、出会え。 **おのずから(自ずから)** ○しぜんに。ひとりでに。おのずと。 [文例]自分の心を深く見つめていけば、おのずから進む道が見えてくるにちがいない。♠読書百遍[ひゃくぺん]、義おのずから見[あらわ]る、といって、何度も読めば文章の意味は自然にわかってくる。 **おのずと(自ずと)** ○ひとりでに。自然に。おのずから。 [文例]美しい心からは、おのずと美しい言葉が生まれる。♠教えられなくとも、おのずとわかる時がくるだろう。 **おののく(戦く)** ○ぶるぶるふるえる。わななく。 [文例]〈恐怖[きようふ]におののく〉事件を目撃[もくげき]した人たちは、恐怖におののく表情でその模様を語った。♠〈不安におののく〉凶悪犯[きようあくはん]脱獄[だつごく]のニュースに、付近の住民たちは不安におののいています。♠〈恐れおののく〉島の人々は、頻発する地震を噴火の前触れだと言って恐れおののいた。 **おのれ【己】** ○自分自身。わたし。おまえ。 [文例]〈己を振り返る〉他人のことをとやかく言う前に、まず己を振り返ってみるがよい。♠〈己が生きる道〉青春時代には、己の生きる道を求めて悩[なや]んだものだった。♠〈己の利益〉己の利益ばかり考えずに、少しは他人のことも考えなさい。♠〈己を失う〉みんなの前で侮辱[ぶじよく]され、不覚[ふかく]にも、かっとなって己を失ってしまった。♠おのれは、先代様に大変ごやっかいになりました百姓[ひゃくしよう]のせがれにございます。♠おのれら、立ち入り禁止と書いたこの立札が目に入らぬのか。♠おのれ、にっくきやつ、このままただでは済まさんぞ! **おばけ【お化け】** ○ばけもの。ようかい。 [文例]〈お化けが出る〉なんでも、この寺には恐[おそ]ろしいお化けが出るという話だ。♠〈お化け屋敷[やしき]〉もう何年も人が住んでいない、まるでお化け屋敷みたいな古い館があった。♠〈お化けカボチャ〉まるで大岩のようなお化けカボチャがなった。 **おび【帯】** ○着物の上から胴にまいて締める細長い布地。また、それに形状の似たもの。 [文例]〈帯を締める〉着物の帯をきつく締めすぎて、胸が苦しい。♠〈光の帯〉プリズムで作った太陽の光の帯を、太陽のスペクトルといいます。♠〈帯に短したすきに長し〉いろいろあるが、どれも帯に短したすきに長しで使いものにならない。 **おび・える(怯える)** ○こわがる。びくびくする。恐れる。 [文例]〈犬がおびえる〉その子犬は、足にけがをしていて、ひどくおびえていた。♠〈物におびえる〉突然[とつぜん]、物におびえた馬が暴[あば]れ出した。♠〈音におびえる〉いたずら電話が続くので、最近では、ベルの音にもおびえてしまう。♠〈襲撃[さんぞくしゅうげき]におびえる〉山賊の襲撃におびえる人たちは、みな村を捨てて逃げ出した。♠〈不安におびえる〉大きな台風にみまわれた九州地方では、人々は不安におびえながら一夜を過ごした。♠〈おびえて暮らす〉いつ捕[つか]まるかと、びくびくしておびえて暮らすのは、もうたくさんだ。♠〈おびえたように〉先生に質問されておびえたように立ち上がった生徒は、蚊[か]の鳴くような小さな声で答えた。 **おびきよ・せる【おびき寄せる】(誘き寄せる)** ○だまして誘い寄せる。 [文例]〈獲物[えむ]をおびき寄せる〉エサをまいて獲物をおびき寄せ、寄ってきたところを捕らえよう。♠〈魚をおびき寄せる〉暗い夜の海で、漁火[いさりび]をたいて魚をおびき寄せ、漁をする。♠〈犯人をおびき寄せる〉刑事がしかけたわなにまんまとおびき寄せられて、犯人がのこのこ姿を現した。 <147> **おひさま【お日様】** ○太陽。おてんとうさま。 [文例]雨がやんで、雲の切れ目からお日様が顔を出しました。♠村人ちははお日様を拝み、毎日の恵みに感謝しました。 **おびただし・い(夥しい)** ○非常に多い。はなはだしい。 [文例]〈おびただしい数〉元日の明治神宮は、初もうでの人がおびただしい数にのぼる。♠〈おびただしい量〉事故現場に流れたおびただしい量の血が、交通事故の悲惨[ひさん]さを物語っていた。♠〈おびただしく増える〉生命力の強い雑草がおびただしく増えて、そこらじゅうにはびこっている。♠〈被害がおびただしい〉メッキ工場の爆発[ぱくはつ]のためにひきおこされた被害はおびただしいものだった。♠〈おびただしいさけ〉秋になると、この川を、おびただしいさけが産卵のためにさかのぼってくる。♠〈~のことおびただしい〉やわらかすぎる豆腐[とうふ]は、すぐくずれて、食べにくいことおびただしい。 **おひとよし(お人好し)** ○善良で、人を疑うことを知らないこと。人がよくて、だまされやすいこと。また、そういう人。 [文例]兄さんは、人に頼[たの]まれたらいやとは言えないお人好しなんだ。♠わけを話せば、お人好しのおばさんのことだもの、きっと何とかしてくれるよ。 **おひや【お冷や】** ○冷たい飲み水。 [文例]暑かったでしょう、ともかくお冷やをどうぞ。♠あの食堂で出されたお冷やは冷たくてうまかった。 **おびやか・す【脅かす】** ○こわがらせる。恐れさせる。あやうくする。 [文例]〈生命を脅かす〉かつては繁栄[はんえい]のシンボルだった工場の煙[けむり]が、いまや生物の生命を脅かすようになった。♠〈安全を脅かす〉平和なこの村で、村の安全を脅かすような凶悪な犯罪が起こった。♠〈平和を脅かす〉わたしたち人類の平和を脅かすものは、それが何であれ、許すことはできない。♠〈座を脅かす〉テニス界の女王も、次々と現れる新人選手に絶えずその座を脅かされている。♠〈他を脅かす〉今大会では、わがチームの存在は、必ずや他のチームを脅かすことでしょう。♠〈不安に脅かされる〉男は敵がいつ襲[おそ]ってくるやも知れぬという不安に脅かされて、夜も寝られなかった。 **お・びる【帯びる】** ○身につける。うちにふくむ。身に受ける。 [文例]〈身に帯びる〉昔[むかし]の侍[さむらい]は、刀を身に帯びてはいたが、めったに抜[ぬ]くことはなかった。♠〈赤みを帯びる〉夕日を受けて、赤みを帯びた海が油絵のようにどろっとして見えた。♠〈憂[うれ]いを帯びる〉肉親の安否を気づかう彼の表情は、いつになく憂いを帯びていた。♠〈任務を帯びる〉わたしは、大切な任務を帯びて、アメリカへ行くことになった。♠〈責任を帯びる〉重要な地位につくということは、それだけ重い責任を帯びることになる。♠〈酒気[しゅき]を帯びる〉ただでさえ危険なのに、酒気を帯びて運転するなど、もっての外だ。♠〈現実味[げんじつみ]を帯びる〉準決勝まで勝ち進み、夢だと思っていた優勝がにわかに現実味を帯びてきた。 **おぶ・う【負ぶう】** ○背に負う。おんぶする。 [文例]〈子を負ぶう〉あのころは、一歳の子を負ぶって、五歳と三歳の子の手を引いて、本当に大変だった。♠〈背に負ぶう〉弱り切った母は、もう歩けず、兄の背に負ぶわれて行きました。 **おふくろ【お袋】** ○母親。 [文例]〈国のおふくろ〉国のおふくろから、懐[なつ]かしい便りが届いた。♠〈おふくろの味〉煮物[にもの]ときんぴらごぼうと言ったら、おふくろの味の代表だなあ。 **おぶさ・る【負ぶさる】** ○おぶってもらう。人に背負われる。人の力に頼る。 [文例]〈背中におぶさる〉良平は、お父さんの背中におぶさって坂道を登ってきた。♠〈先輩におぶさる〉大学一年生の時は、不慣れな東京で先輩におぶさるようにして生活しました。 **おぶつ【汚物】** ○きたないもの。はいせつぶつ。 [文例]〈汚物にまみれる〉けが人たちは、ベッドもなく、汚物にまみれて床[ゆか]に横たわっていた。♠〈汚物を捨てる〉公共の場所に汚物を捨ててはいけない。 **オブラート** ○粉薬などを包んで飲むための、でんぷんで作った薄い紙状の物。 [文例]〈オブラートに包む〉この薬はものすごく苦いから、オブラートに包んで飲むといいよ。♠〈オブラートに包んだ言い方〉あのようにオブラートに包んだ言い方をしてはいるが、本心では相当怒っているにちがいない。 **おふる【お古】** ○使い古した物。 [文例]子供の時、わたしは姉のお古ばかり着せられていた。♠これ、お古だけど、よかったら使ってください。 **おぼえ【覚え】** ○おぼえること。また、その内容。備忘の記録。思いあたること。良く思われること。 [文例]〈覚えが早い〉この見習いの子は覚えが早いから、じき一人前になるだろう。♠〈身に覚えがない〉どんなに責められようと、わたしには身に覚えのないことです。♠〈腕に覚えのある〉よし、そういう仕事は、腕に覚えのあるこのおれに任せろ。♠〈覚えがめでたい〉彼は、上役の覚えがめでたくて、三十代で支店長に抜擢[ぱつてさ]された。 **おぼ・える【覚える】(憶える)** ○心にとどめる。記憶する。体得する。感じる。 [文例]〈昔を覚えている〉麦わら帽子[ぼうし]をかぶり、とんぼ取りやせみ取りと、仲良く遊び回った昔を覚えていますか。♠〈顔を覚えている〉たしかどこかで会ったことのある人なんだが、顔は覚えていても、名前は思い出せない。♠〈漢字を覚える〉あしたはテストがあるから、漢字を二十覚えなければならないんだ。♠〈仕事を覚える〉ぼくも会社に入って三年たつので、仕事もだいたい覚えてきました。♠〈味を覚える〉うちの犬は肉入りごはんの味を覚えたらしく、ドッグフードには見向きもしない。♠〈遊びを覚える〉勉強ばかりしていると、おもしろみのない人間になるから、少しは遊びも覚えるといい。♠〈こつを覚える〉一口にフランス料理といっても、こつを覚えるまでには、最低十年はかかるぞ。♠〈痛みを覚える〉一瞬[いつしゆん]痛みを覚えてひじを見ると、そこに大きなハチが止まっていた。♠〈疲労[ひろう]を覚える〉久しぶりにやるテニスに、ぼくは体全体に軽い疲労を覚えた。♠〈感動を覚える〉はるかな下界を見下ろしながら、わたしは体の震[ふる]えるような感動を覚えた。♠〈興味を覚える〉演劇に興味を覚えるようになって以来、勉強に身が入らなくなっていた。 <148> ♠〈優越感[ゆうえつかん]を覚える〉一着でゴールインした瞬間[しゅんかん]、ぼくは、軽い優越感を覚えた。♠〈怒[いか]りを覚える〉白人が黒人をむち打ち牛馬のように使う姿を見た時、わたしは激しい怒りを覚えた。 **おぼし・い(思しい・覚しい)** ○(~と)思われる。 [文例]〈犯人とおぼしい男〉警察は、直ちに犯人とおぼしい男の足取りを追った。♠夜の盛り場[さか]には、明らかに高校生とおぼしい少年少女たちがたむろしていた。 **おぼしめし(思し召し)** ○「考え」「気持ち」の尊敬語。 [文例]〈神のおぼしめし〉〈おぼしめしにかなう〉わたしがこの試練を受けることは、神のおぼしめしにかなったことなのでしょう。 **おぼしめ・す(思し召す)** ○「思う」の尊敬語。 [文例]神がわたしをこの世で必要とおぼしめすなら、きっとお助けくださるでしょう。 **おぼつかな・い(覚束ない)** ○はっきりしない。こころもとない。見込みがない。 [文例]〈おぼつかない足取り〉すっかり酔っぱらった彼は、ひき止める声を振り切って、おぼつかない足取りで出て行った。♠〈合格がおぼつかない〉今のうちに心を入れ替えて勉強しないと、合格はおぼつかないぞ。♠〈おぼつかない明るみ〉暗い壕[ごう]の奥にカンテラの灯[ひ]がつ、おぼつかない明るみの輪を落としていた。(田宮虎彦[たみやとらひこ]「沖縄の手記から」) **おぼ・れる(溺れる)** ○水中で泳げなくなって、もがき苦しむ。熱中して理性を失う。 [文例]〈おぼれて死ぬ〉毎年夏になると、人がおぼれて死ぬ事故が跡を絶ちません。♠〈水におぼれる〉水におぼれた子供を飛び込んで助けるなんて、だれにでもできることじゃあない。♠〈酒におぼれる〉世間にその作品を認められなかった小説家は、自信を失い、日々酒におぼれていった。♠〈人気におぼれる〉あの選手は人気におぼれることもなく、毎日練習に励[はげ]んでいる。♠〈遊びにおぼれる〉若いんだから遊ぶのもいいが、勉強を忘れるほどおぼれないことだ。♠〈策におぼれる〉自分のたてた計略に引きずられて、かえって失敗してしまうことを、「策におぼれる」という。♠〈おぼれる者はわらをもつかむ〉「おぼれる者はわらをもつかむ」という心境で、合格を祈[いの]って神社にお参りしてきた。 **おぼろげ(朧げ)** ○ぽんやりしているさま。はっきりしないさま。 [文例]〈おぼろげに浮かぶ〉わたしの遠い記憶の中から、四歳の少女の笑顔がおぼろげに浮かび上がってきた。♠〈おぼろげな記憶〉わたしは、おぼろげな記憶だけをたよりに、昔住んでいた家を探そうとした。 **おまえ【お前】** ○神仏または貴人の前。ごく親しい人または目下の人を呼ぶ言い方。 [文例]おいお前、ちょっと生意気だぞ。♠父さんはお前のことを信用しているからな。♠お前さん、今夜は一本つけましたよ。 **おまけ【お負け】** ○値引きすること。余分に加えてやること・もの。(「おまけに」の形で)そのうえに、さらに。 [文例]〈おまけする〉店番のおばさんが、アメ玉を一個おまけしてくれたので、ぼくはうれしくなって駆け出した。♠はい、これはおまけだよ。いいから持って行きな。♠〈おまけに〉日は暮れるし寒いし、おまけに雪まで降ってきた。 **おめい【汚名】** ○名をけがすこと。不名誉なうわさ。悪評。 [文例]〈汚名を着せる〉彼は、身に覚えのない、殺人犯の汚名を着せられていた。♠〈汚名をすすぐ・そそぐ〉裏切り者の汚名をすすぐためには、密告者を見つけなければならない。♠〈汚名を晴らす〉息子は父の汚名を晴らそうと必死になっていた。♠〈汚名をこうむる〉開発の遅れているこれらの国々は、後進国の汚名をこうむっている。♠〈汚名返上[へんじよう]〉彼は、なまけ者の汚名返上とばかり、猛烈[もうれつ]に働き始めた。 **おめおめ** ○恥や不名誉に甘んじているさま。のめのめ。 [文例]〈おめおめと〉自分の力で生きる、とたんかを切って家を出てきたんだ、おめおめと帰れるもんか。♠〈おめおめ引き下がる〉用がなけりゃ帰れ、と言われてもおめおめ引き下がるわけにはいかない。 **おも【主】** ○主要である。中心的である。 [文例]〈主なメンバー〉これが、わがクラブの主なメンバーだ。♠〈主な仕事〉図書委員としての主な仕事は、本の貸し出しと整理です。♠〈主に〉中国奥地に生息しているパンダは、主にささを食べるそうだ。♠夏でも気温の低いこの地方では、じゃがいもや豆類の生産が主だ。 **おもい【思い】(想い)** ○心に思うこと。考え。気持ち。望み。 [文例]〈思いがかなう〉長い間の思いがかなって、夢だった留学が実現した。♠〈思いをこめる〉一つ一つに思いをこめて、千羽づるを折りましょう。♠〈思いに駆[か]られる〉自分の勉強の進み具合を考えると、焦[あせ]りに似た思いに駆られます。♠〈思いにふける〉古いアルバムを見ながら、しばし思いにふけった。♠〈思いに沈む〉家族の安否を気づかい、思いに沈む日々が続いた。♠〈思いをはせる〉遠く離れた故国に思いをはせて、「赤とんぼ」の歌を口ずさんでみた。♠〈思いを巡[めぐ]らす〉これまでの人生を振り返り、さまざまに思いを巡らしています。♠〈思いを寄せる〉この歌は、亡き母に寄せる思いを歌ったものです。♠〈思いをかける〉罪を償[つぐな]って出所したのは、その女が思いをかけて十年待った男だった。♠〈思いを晴らす〉亡き父の遺骨を故郷の墓におさめたわたしは、ついに思いを晴らすことができた。♠〈思いがつのる〉別れた恋人[こいびと]への思いは、日に日につのるばかりであった。♠〈つらい思いをする〉初めての外国暮らしなので、つらい思いをしました。♠〈胸のすく思い〉ここぞという時のホームランに、胸のすく思いがした。♠〈思いにとらわれる〉庭の木の葉が落ちつくすとき、わたしの命も尽きるのだという思いにとらわれる。♠〈思いを抱[いだ]く〉去ってゆく故郷に対して、作者はどんな思いを抱いたことか。♠〈思いのまま〉今や、金はあり余るほどあり、何でも思いのままだ。♠〈思いのほか〉解いてみると、思いのほか簡単な問題だった。♠〈必死の思い〉「助けてくれー!」――男は、必死の思いで叫んだ。♠〈思い半ばに過ぎる〉遺族の話を聞いて、同じ立場にあるわたしとしても思い半ばに過ぎるものがあった。 <149> ♠〈思いもかけない〉あんなつまらないことで大事件がもちあがるなんて、思いもかけなかった。♠〈思いもよらず〉電話で確認することなど思いもよらず、ただぼうぜんとしているばかりであった。 **おも・い【重い】** ○目方が多い。動かすのに力が要る。重要だ。おも苦しい。深刻だ。動きがにぶい。 [文例]〈重い荷物〉父とわたしは、二人で重い荷物を駅まで運ぶことにした。♠〈重い戸〉力いっぱい引いたら、重い戸はガタピシいいながらやっと開いた。♠〈体が重い〉太って体の重い先生は、ハーハー言いながら坂道を登っている。♠〈手足が重い〉昨日は半日雪かきをしたので、今日は手足が重くてまいっています。♠〈足取りが重い〉試合に負けた弟は、足取りも重くとぼとぼと帰ってきた。♠〈頭が重い〉風邪[かぜ]気味のせいか、朝からずっと頭が重いんだ。♠〈口が重い〉帰宅が遅くなったわたしに、ふだんから口の重い父は黙って何も言わなかった。♠〈腰が重い〉ゴミ処理について、市民からの苦情が殺到[さつとう]して、やっとお役所も重い腰を上げる気になったようだ。♠〈まぶたが重い〉おなかがいっぱいになると急にまぶたが重くなってきて、目を開けているのがやっとだった。♠〈気が重い〉数学のテストがあると思うと、学校へ行くのも気が重かった。♠〈荷[に]が重い〉まだ十六歳の少女にとって、金メダルへの期待は荷が重すぎます。♠〈重い病気〉やっとさがしあてた友は、長い間の苦労がもとで重い病気にかかっていた。♠〈責任が重い〉部のマネージャーは、縁の下の力持ちで、地味だが責任の重い仕事だ。♠〈罪が重い〉犯罪の中でも、小さな子供の誘拐[ゆうかい]は特に罪が重いと思います。♠〈重い刑〉「遠島流罪[えんとうるざい]」は当時、死罪[しざい]に次ぐ重い刑であった。♠〈重い税金〉ここ数年凶作が続き、農民たちは重い税金に苦しめられていた。♠〈重きを置く〉この時期は、打撃[だげき]よりも守備に重きを置いて練習している。♠〈重きをなす〉あまり目立ちませんが、バックの山本君がチームでは重きをなしています。 **おもいあがる【思い上がる】** ○うぬぼれる。いい気になる。 [文例]〈思い上がった気持ち・態度〉「助けてやるのだ」という思い上がった気持ちや態度では、感謝されないだろう。♠だれのおかげでここまでになったのだ、思い上がるのもいい加減にしろ。♠今になって、あの時の自分がどんなに思い上がっていたか、よくわかりました。 **おもいあま・る【思い余る】** ○考えに考えて、なおどうしたらよいかわからなくなる。思案にあまる。思いあぐねる。 [文例]〈思い余った末〉何日も悩みましたが、思い余った末、とうとう本人に打ち明けてしまいました。♠〈思い余って~する〉思い余って、彼女は弁護士に相談してみることにした。 **おもいあわ・せる【思い合わせる】** ○一つの事を他と合わせて考える。考え合わせる。 [文例]わたしは母の健康や老後のことを思い合わせ、この際東京に呼び寄せることにした。♠今までの苦労や従業員の生活のことを思い合わせると、そう簡単に店をたたむわけにはいかなかった。 **おもいいた・る【思い至る】** ○考えが及ぶ。思い及ぶ。 [文例]わたしは、自分のことに夢中で、周囲の人の気持ちにまで思い至らなかったのです。♠何か月も考えつづけて、やっと問題の本質に思い至った。 **おもいいれ【思い入れ】** ○深く心に思うこと。気持ちをこめること。 [文例]〈思い入れをする〉わたしは、こんなとき、彼女が生きていたらという思い入れをしながら街を歩くことがあります。♠彼女に対するきみの思い入れは、なまはんかなものではないね。♠最後のシーンの主演女優の思い入れが、強く目に焼きついている。 **おもいうか・ぶ【思い浮かぶ】** ○心に浮かぶ。思い出される。思いつく。 [文例]〈考えが思い浮かぶ〉いい考えが思い浮かんだらすぐに実行に移します。♠〈名案が思い浮かぶ〉いくら考えても、これといった名案は思い浮かばなかった。♠〈風景が思い浮かぶ〉この曲を聴いていると、田園の美しい風景が思い浮かぶ。 **おもいうか・べる【思い浮かべる】** ○心に浮かべる。心にえがく。 [文例]〈心に思い浮かべる〉子供の喜ぶ顔を心に思い浮かべながら、わたしは一心におもちゃを作った。♠〈気持ちを思い浮かべる〉作者の気持ちを思い浮かべながら、繰り返しこの本を読みました。♠メダカという言葉から、わたしたちはすぐさま「小川」を思い浮かべる。 **おもいえが・く【思い描く】** ○心にえがく。思い浮かべる。 [文例]〈イメージを思い描く〉それは、わたしが長い間思い描いていたイメージとはちがっていた。♠〈心に思い描く〉わたしはスターになった自分を心に思い描いて、厳しい練習に耐えていた。 **おもいおこ・す【思い起こす】** ○心に浮かべる。思い出す。 [文例]〈記憶を思い起こす〉古い記憶を思い起こしながら、わたしは三十年ぶりのふるさとを眺[なが]めていた。♠〈心に思い起こす〉アルバムを繰[く]っていると、あの日のできごとが心の中に鮮明[せんめい]に思い起こされた。 **おもいおもい【思い思い】** ○めいめいが自分の思うままに。 [文例]〈思い思いの場所〉牧場に着くと、皆思い思いの場所に腰を下ろして写生を始めた。♠〈思い思いに過ごす〉週に一度の休みは、掃除[そうじ]をしたり手紙を書いたりして、彼女たちは思い思いに過ごした。 **おもいおよ・ぶ【思い及ぶ】** ○考えが及ぶ。思い至る。 [文例]何不自由なく育ったわたしには、学費が払えない生徒がいることなど到底[とうてい]思い及ばなかった。♠それはわたしなどとても思い及ばなかった、真心[まごころ]のこもったすばらしいプレゼントでした。 **おもいかえ・す【思い返す】** ○前のことをもう一度考える。思い直す。思い出す。 [文例]一日の生活を順を追って思い返してみると、そこには驚[おどろ]くほどさまざまな事柄[ことがら]が見いだされる。♠母の勧める傘を強情に断って家を出たが、途中で思い返してもう一度取りにもどった。♠話を聞いてすぐに抗議しようとしたが、やはり無駄だと思い返した。 **おもいがけない【思い掛けない】** ○思ってもみない。思いもかけない。意外だ。 [文例]〈思いがけないこと〉何十年も <150> 会わなかった人とこんな所で一緒になるとは、思いがけないこともあるものですね。♠〈思いがけない時〉〈思いがけない変化〉自分でも思いがけない時に、自分の中に思いがけない変化が起こったりする。 **おもいきり【思い切り】** ○決断すること。あきらめること。思うぞんぶん。 [文例]〈思い切りがいい〉思い切りのいい男だから、こうと決めたらすぐ実行する。♠〈思い切りがつく〉あきらめるしかないことはわかっているが、なかなか思い切りがつかない。♠〈思い切り~する〉時には大声を上げて、思い切り叫んでみたくなる。 **おもいき・る【思い切る】** ○迷いなどを断ち切る。決断する。あきらめる。 [文例]〈望みを思い切る〉姉は、デザイナーへの望みを思い切り、親の勧める相手と結婚しました。♠〈思い切って~する〉飛び込み台の上に立つと思わず足が震えたが、思い切って水面めがけて飛び込んだ。♠〈思い切った行動〉その時、彼は敵陣[てきじん]の正面をつくという思い切った行動に出た。 **おもいこみ【思い込み】** ○思い込むこと。↓おもいこむ [文例]〈思い込みがある〉先入観や思い込みがあると、正しくものごとを判断できないものだ。♠〈思い込みが激[はげ]しい〉彼は思い込みが激しいから、説得するのも容易[ようい]ではない。 **おもいこ・む【思い込む】** ○かたく信じ込む。深く心に思う。決心する。かってにそう思う。 [文例]両親とも、長男が跡[あと]を継[つ]いでくれるものと思い込んでいた。♠駅員は、ぼくの出した紙幣を一万円札だと思い込んだ。♠〈思い込んだら命がけ〉あの子は思い込んだら命がけで、だれが何と言っても絶対耳を貸さないんだから。 **おもいしら・せる【思い知らせる】** ○身にしみてわかるようにする。 [文例]口答えなんかしたらどんな目にあうか、思い知らせてやる。♠二度と逃げるなどという考えを起こさぬよう、いやというほど思い知らせてやってくれ。♠この事件は、わたしが今までどんなに悪い母親だったかを思い知らせてくれました。 **おもいだ・す【思い出す】** ○記憶をよびおこす。過去を思い浮かべる。 [文例]〈過去を思い出す〉一昨年の自分の生活を思い出すと、まるで夢のような気がします。♠〈懐[なつ]かしく思い出す〉この歌を聴くたびに、楽しかった学生時代が懐かしく思い出される。♠〈用事を思い出す〉ちょっと用事を思い出したので、失礼します。♠〈思い出したように~する〉泣きやんだかと思うと、時々また思い出したようにしゃくりあげている。 **おもいた・つ【思い立つ】** ○何かをする気になる。何かをしようと心に決める。 [文例]〈思い立ったが吉日[きちじつ]〉思い立ったが吉日だ、さっそく今日から始めるとしよう。♠〈急に思い立つ〉二、三日前、急に思い立ってある画廊[がろう]を訪ねてみました。♠〈進学を思い立つ〉わたしがこの年になって大学進学を思い立ったのにはわけがあるのです。 **おもいちがい【思い違い】** ○考えちがい。かんちがい。 [文例]〈思い違いをする〉あなたは、わたしについて何か思い違いをしていらっしゃるのではありませんか。♠あなたを疑ったのは、わたしの思い違いでした。♠思い違いということもある。もう一度よく捜してごらんなさい。 **おもいつき【思い付き】** ○ふと心に浮かぶこと。考えつくこと。着眼。 [文例]〈おもしろい思いつき〉おもしろい思いつきだが、実際にやるとなると難しくはありませんか。♠〈その場の思いつき〉その場の思いつきで無責任なことを言われたら、わたしたちが迷惑[めいわく]する。 **おもいつ・く【思い付く】** ○ふと心に浮かぶ。思い浮かぶ。考えつく。 [文例]〈いいことを思いつく〉あっ、そうだ、ぼくいいことを思いついたよ。♠〈ふと思いつく〉毎日をむなしく過ごしていたある日、ふと日記を書くことを思いついた。♠〈思いつくだけ〉雨が降る様子をいう言葉を、思いつくだけ集めてみました。 **おもいつ・める【思い詰める】** ○深く思い悩む。深く悩んで、思い込む。 [文例]悲しみのやり場のない彼女は、修道女になろうと思い詰めていた。♠〈思い詰めた表情〉少女は、思い詰めた表情で皮を見上げると、さっぱりとした口調で言った。 **おもいで【思い出】(想い出)** ○思い出す事柄。追憶。 [文例]〈懐かしい思い出〉放課後の厳しい練習、それも今では懐かしい思い出です。♠〈思い出がよみがえる〉アルバムを開けると、幼い日の思い出がよみがえってくる。♠〈思い出が多い〉思い出の多いこの上地を離れるのは、とても悲しい。♠〈思い出ができる〉今度のスキー旅行では、楽しい思い出がたくさんできた。♠〈思い出を込める〉この絵は、死んだ父が描いたもので父の思い出が込められています。♠〈思い出にふける〉ふるさとを訪ねて、しばし懐かしい思い出にふけってみたい。♠〈思い出にひたる〉卒業アルバムをめくりながら、高校時代の思い出にひたっていました。♠〈思い出の場所〉だれにでも、自分だけの思い出の場所というものがある。♠〈思い出の名画〉「思い出の名画」と題した、懐かしい映画を見た。♠〈思い出の糸をたぐる〉みんな今ごろどうしているかなあ。思い出の糸をたぐると、あの懐かしい顔、この懐かしい顔……。 **おもいのこ・す【思い残す】** ○心残りに思う。不満な気持ちを残す。 [文例]やりたいことは全部やりましたから、もう思い残すことは何もありません。♠最後に、何も思い残すことはなかった、と言えるような人生を送りたいものです。♠おかげで、後に思い残すことなく、安心して旅立てます。 **おもいのほか【思いの外】** ○意外に。予想外に。 [文例]心配されていたお産も思いの外軽くすんで、その後の経過も順調なようだ。♠北海道はどんなに寒いかと思って覚悟[かくご]して来ましたが、家の中は思いの外暖かいのですね。 **おもいやり【思いやり】(思い遣り)** ○相手の気持ちを考えること。同情。 [文例]〈思いやりがある・ない〉なんて気持ちのやさしい、思いやりのある人なんでしょう。♠〈人に対する思いやり〉いつでも、人に対する思いやりの気持ちだけは忘れないようにね。♠〈友人の思いやり〉遠くでそっと見守っていてくれた友人たちの思いやりがうれしかった。♠思いやりのないやつだ。 <151> **おもいやり**【思いやり】○人の身になって思うこと。同情。気配り。[文例]〈思いやりがある・ない〉この社会に、老人を思いやる温かい心がほしい。♠人の心を思いやる余裕のないのは、ゆとりのない生活のせいだろう。♠〈思いやりが足りない〉人が気にしていることをからかうなんて、思いやりが足りないよ。♠〈思いやりにあふれる〉ぽくがまじめになったのは、先生の思いやりにあふれる忠告のおかげだった。♠〈温かい思いやり〉この手袋[てぶくろ]をすると、母さんの温かい思いやりが伝わってくるようだ。 **おもいや・る**【思いやる】(思い遣る)○思いをめぐらす。思いをはせる。気づかう。心配する。[文例]〈人を思いやる〉自分の生活を大切にすると同時に、人の生活を思いやる心を持ちたいものです。♠〈往時[おうじ]を思いやる〉古戦場に立ち、往時[おうじ]を思いやると、おのずと涙[なみだ]がわいてくるのでした。♠〈将来が思いやられる〉今からこんな成績では、将来が思いやられるね。 **おもいわずら・う**【思い煩う】○あれこれと考えて悩む。[文例]くよくよ思い煩うことの多い人は、一日海でも見ているとよい。♠〈明日を思い煩う〉いたずらに明日を思い煩うことなく、今日の日をせいいっぱいに生きよう。 **おも・う**【思う】(想う)○心に感じる。心に浮かべる。心に決める。考える。おしはかる。願う。気にかける。愛する。恋[こい]する。[文例]むだづかいをやめて、もっと倹約[けんやく]しようと思う。♠明日はきっと晴れると思うよ。♠〈夏休みを思う〉もうすぐやってくる夏休みを思うと、心がおどります。♠〈恋しい人を思う〉娘は恋しい人を思いながら、ひたすらに待っていた。♠〈人のためを思う〉きみのためを思うからこそ、忠告してるんだよ。♠〈母を思う〉エプロン姿の女性に、ふと、母のことを思った。♠〈快く思わない〉わがままな彼のこと 快く思っていない人も多かった。♠〈思うようになる〉思うようにならないからと言って、かんしゃくを起こしちゃだめだ。♠〈思うに任せない〉社長は、会社の経営が思うに任せないことに頭を悩ませていた。♠〈思ったより〉思ったよりよい成績だったので、安心した。♠〈子を思う親の心〉子を思う親の心は、いつの世でも変わらない。♠〈思うつぼ〉こんなことでけんかしていると、敵の思うつぼだぞ。♠〈思う存分〉夏休みになったら、今年こそ海で思う存分泳ぎたいなあ。♠〈思わず〉道にとびだした子供に、思わず、あっと声をあげてしまった。 **おもうつぼ**【思うつぼ】(思う壺)○予期したところ。予想通り。[文例]〈相手の思うつぼ〉ここでかっとなっては、相手の思うつぼだ。♠〈思うつぼにはまる〉しまった、敵の思うつぼにはまった、と気がついた時にはもう後の祭りだった。 **おもうに**【思うに】○考えてみるに。考えたところでは。[文例]思うに平和とは、一人一人が力を合わせて作り上げていくべきものであり、ほかから与えられるものではないだろう。♠わたしが思うに、そもそも人の一生とははかない夢のようなものであります。♠それは思うに、一種のノイローゼではないでしょうか。 **おもおもし・い**【重重しい】○どっしりしている。いかめしく、堂々としている。[例]〈重々しい感じ〉土蔵の中はうす暗くて、何か重々しい感じがした。♠〈重々しい口調〉議長は、重々しい口調で議場内に開会を宣言した。♠〈重々しく口を開く〉長老が立ち上がり重々しく口を開くと、あたりは水を打ったようにしんとなった。 **おもかげ**【面影】○記憶に残る顔、姿など。過去をしのばせる様子。[文例]〈恋人[こいびと]の面影〉〈面影を追う〉青年の目は、二度と帰らない恋人[こいびと]の面影を追っていた。♠〈母の面影〉姉は、ありし日の母の面影に生き写しだ。♠〈面影が残る〉彼には、どこか子供のころの面影が残っていた。♠〈面影が浮かぶ〉「にぎりめし」というと、すぐにおふくろの面影が目に浮かぶ。♠〈面影をしのぶ〉京都の町を歩いていると、古い都の面影がしのばれます。♠〈面影をとどめる〉今やこの町は、城下町だったかつての面影をとどめない。 **おもくるし・い**【重苦しい】○おさえつけられるようで、苦しい。はればれしない。[文例]〈重苦しい空気〉ナチスの弾圧は一層厳しくなり、アンネの一家は重苦しい空気に閉ざされるようになる。♠〈重苦しい雰囲気〉会社のロビーは、遭難者[そうなんしゃ]の安否を気遣う[きづか]家族らがつめかけ、重苦しい雰囲気に包まれた。♠〈重苦しい沈黙〉うつ向いたままだれも口を開かず、重苦しい沈黙が流れた。 **おもさ**【重さ】○重いこと。また、その程度。重量。[文例]〈重さを比べる〉彼は、卵を一つ一つ手に取って、重さを比べてみた。♠〈責任の重さ〉わたしは、今回の事件を通じて、教師としての責任の重さを痛感しました。♠〈伝統の重さ〉能の世界にふれてみて、伝統の厳しさと重さに感動しました。 **おもざし**【面差し】○顔つき。顔だち。[文例]〈きれいな面差し〉色白できれいな面差しのその女性は、まっすぐわたしの方へ進んできた。♠〈女性の面差し〉わたしは、彼女の面差しに母の印象を重ねていたのだった。♠〈やさしい面差し〉娘は、やさしい面差しを曇らせて、悲しそうに語り始めた。 **おもし**【重し】○押さえるために上に置くもの。上からおさえつける力。[文例]〈重しをする〉塩をふって白菜と同じ重さの重しをしておくと、おいしい白菜のつけ物ができ上がります。♠〈重しをきかせる〉ここはひとつ、どうしてもだんなにお願いして連中に重しをきかせてもらわなくっちゃあ。 **おもしろ・い**【面白い】○こっけいだ。おかしい。楽しい。愉快だ。興味が感じられる。[文例]〈おもしろい表現〉テレビのコマーシャルには、ひとひねりしたおもしろい表現が多いですね。♠〈おもしろい漫画[まんが]〉おもしろい漫画[まんが]を読んで、おなかがよじれるほど笑った。♠〈おもしろおかしく〉兄は、旅行の失敗談をおもしろおかしく話してくれた。♠〈おもしろいように〉この辺りの海でも、昔[むかし]はおもしろいように魚がとれたものだ。♠〈おもしろくない顔〉父にしかられた弟はおもしろくない顔をしている。♠〈おもしろいやつ〉お前もおもしろいやつだなあ。彼女のどこが気に入ったんだ。 **おもた・い**【重たい】○重い。[例]〈荷物が重たい〉背中の荷物が重たくて、もうこれ以上は一歩も歩けません。♠〈重たく広がる〉空に重たく広がった雲は全く動かず、毎日雪が降り続いた。♠〈重たい気分〉この天気と同様、わたしは朝から重たい気分で、一日中ベッドにもぐり込んでいた。 **おもだ・つ**【主立つ・重立つ】○中心となる。主となる。[文例]この漫画は、ひょうきんだがおもしろい、だんごという名の犬が、登場人物の中でも主立っている。 <152> 人の一生は、重荷を背負って遠い道を行くようなものだ。♠〈心の重荷〉こちらは善意でしたことが、相手にとっては心の重荷になることもあるのだ。♠へ重荷を下ろす〉父と兄がようやく和解して、間に立っていたわたしも、やっと重荷を下ろすことができました。 **おもはゆ・い【面映ゆい】** ○てれくさい。気はずかしい。きまりわるい。[文例]〈面映ゆい気持ち〉あのころの日記を今読み返してみると、何だかてれくさいような面映ゆい気持ちになる。♠へ面映ゆい思い〉懐[なつ]かしい人なのに、ぼくは面映ゆい思いで下を向いていた。♠わたしが勝ったのは運がよかっただけなのに、それをこんなにほめられて面映ゆくてならなかった。 **おもみ【重み】** ○重さ。重量。重大さ。重々しさ。[文例]〈雪の重み>雪の重みで、竹林の竹はみな折れんばかりにしなっていました。♠へ伝統の重み〉今自分がこの世界に飛び込んでみて、改めて伝統の重みを実感しました。♠〈重みがある〉この絵のほうが重みがあって、応接室にはふさわしいのではないですか。♠〈重みのある人〉どっしりと重みのある人ですね。 **おもむき【趣】** ○味わい。気配。内容。趣旨。様子。[文例]<趣がある〉なかなか趣のある静かな茶室である。♠〈趣をそえる〉和風の庭園には、こけむした灯[とう]ろうが趣をそえていた。♠<田園の趣〉だいぶ都市化したが、それでも、この辺りにはまだ田園の趣がある。♠へ趣を変える〉たまには趣を変えて、庭で食事をするのもいいね。♠へ原文の趣>彼[かれ]の翻訳[ほんやく]は、原文の趣をよく伝えている。♠〈趣を異[こと]にする〉今度の旅行は、いつもののんびりとした旅とは趣を異にしていた。♠<話の趣〉「恵[めぐ]まれない人々のために寄付を。」というお話の趣は、よくわかりました。 **おもむ・く【赴く】** ○向かって行く。(ある状態に)向かう。[文例]〈任地に赴く〉父は、電源開発の仕事のため山奥[やまおく]の任地に赴いた。♠ヘアメリカへ赴く〉少年野球チームは、親善のために、アメリカへ赴くことになった。♠〈現場に赴く〉事件発生の知らせに、警部は直ちに現場に赴いた。♠<死地に赴く〉国を守るため、多くの兵士たちが死地に赴いていった。♠〈快方に赴く〉父の病気も快方に赴き、表情にも明るさが見えてきました。♠<欲望の赴くまま〉欲望の赴くままに行動する者も多い。 **おもむろに(徐に)** ○ゆっくりと。ゆるやかに。[文例]わたしの質問に対し、彼はおもむろに口を開き、自分の考えをうちあけた。♠発車のベルが鳴り終わると、列車はおもむろに動き出した。♠彼はおもむろに立ち上がり、静かに部屋を出ていった。♠ペンチにゆっくりと腰[こし]をおろした彼は、おもむろに本を開いた。 **おももち【面持ち】** ○表情。顔つき。[文例]〈心配そうな面持ち〉受験の朝、いつもどおり出て行く兄を、母は心配そうな面持ちで見送っていた。♠<緊張[きんちょう]した面持ち〉生徒たちは、校庭に整列して、緊張した面持ちで校長先生の話を聞いた。 **おもや【母屋・母家】** ○住居としての主要な建物。[文例]<母屋と離[はな]れ>客人でもあるのか母屋は騒[さわ]がしかったが、わたしは一人離れで読書をしていた。♠火事は納屋と馬小屋だけで収まったので、母屋にいた人々は無事だったそうだ。♠〈ひさしを貸して母屋を取られる〉同業者に店舗[てん]を貸してやってこちらの客を取られるなんて、ひさしを貸して母屋を取られるとはこのことだ。 **おもわく【思惑】** ○思うところ。見込み。[文例]〈思惑がはずれる〉三人の息子のうちだれか一人ぐらいは家業を継[つ]ぐだろうという父親の思惑は、見事にはずれてしまった。♠〈世間の思惑〉世間の思惑ばかり気にして、したいこともできないような生き方はもうやめるつもりだ。♠〈思惑どおり〉商売は相手あってのことですから、そうこちらの思惑どおり事が運ぶとは限りません。 **おもわし・い【思わしい】** ○望ましい。好ましい。[文例]〈思わしい結果〉一月ほど医者にかかってみましたが、思わしい結果は得られません。♠〈成績が思わしくない>自分なりに 〈主[おも]だった役人>政府の主だった役人が大挙して島にやって来た。♠へ主だったメンバー〉この開発チームの主だったメンバーは、次の通りです。♠〈主だった顔ぶれ〉この日のパーティーには、財界の主だった顔ぶれがそろいました。 **おもちゃ(玩具)** ○子供の遊びの道具。なぐさみもの。[文例]〈大人のおもちゃ>子供と同じで大人にもおもちゃが必要らしく、夫には車がそれにあたるようだ。♠へおもちゃにする〉あなたはわたしをおもちゃにして、あきたら捨てると言うのね。 **おもて【表】** ○物事の両面のうち、前または外の、人目にふれる方。表面。正面。外側。戸外。うわべ。おおやけ。野球で先攻のチームが攻める番。[文例]〈本の表〉本の表には、「昆虫記[こんちゅうき]」と書いてあった。♠〈表と中身〉バレンタインデーにもらったチョコレートは、中身より表のほうが立派だった。♠〈表と裏〉あの家は、表から見ると堂々とした大邸宅[ていたく]に見えるが、裏にまわって見るとそれほどでもない。♠へ表を飾[かざ]る〉おばは家柄[いえがら]を気にして、表を飾ることに心をくだいていた。♠へ表にあらわす〉いつもは感情を表にあらわさない彼が、この時ばかりはひどく怒[おこ]った。♠へ家と表>表ではにらみがきくこわい警官も、家では子供たちに優しい[やさ]しい父親だ。♠<畳の表〉三月に畳屋さんが来て、畳の表を替えていった。♠〈九回の表>九回の表の大逆転に、観客はしばし我を忘れて酔いしれた。♠<表ざた>事件が表ぎたになると、学校中が大騒ぎになった。♠〈表向き>表向きは出張ということで、二、三日旅行をしてきた。♠〈表立つ〉その後、住民側に表立った反対運動はみられない。 **おもて【面】** ○顔。表面。面目。[文例]〈水の面>静まり返った水の面は鏡のように光り輝[かがや]いていた。♠〈面を上げる〉娘はきっと面を上げて、正面の男を見すえた。 **おもてぎた【表ざた】** ♪おもて **おもてだつ【表立つ】** ♪おもて **おもてむき【表向き】** ふおもて **おもに【重荷】** ○重い荷物。重い負担。[文例]〈重荷を背負う〉 <153> がんばっているのだが、成績は今ひとつ思わしくなかった。 **おもわず【思わず】** ○無意識に。つい。[文例]〈思わず知らず〉この作品が入選したときのことを考えると、思わず知らず唇[くちびる]がゆるんでくるのだった。♠あっ危ない、と思った瞬間、わたしは思わず両目を閉じてしまいました。♠彼女の話があまり悲しかったので、思わずもらい泣きをしてしまった。 **おもわせぶり【思わせ振り】** ○意味ありげな態度。気をもたせるようなふるまいをするさま。[文例]〈思わせ振りな態度〉こちらをチラチラ見ては、思わせ振りな態度をとるのはどうしてかしら。♠〈思わせ振りな口〉その気もないのに思わせ振りな口をきくのはよくない。 **おもん・じる【重んじる】** ○重きをおく。重くみる。尊重する。[文例]〈互いを重んじる〉互いに相手国の文化を重んじることが、国際親善の基本である。♠へ格式を重んじる〉むやみに店の格式を重んじるばかりでは、時代に取り残されてしまうのではないか。♠へ伝統を重んじる〉彼[かれ]は、焼き物の伝統を重んじる一方で、いろいろと独自の試みを重ねた。 **おもんぱか・る(慮る)** ○よくよく考える。思いめぐらす。[文例]方一をおもんぱかる〉製品を輸出するにあたり、万一をおもんぱかって保険に加入することにした。♠<将来をおもんぱかる>警察はその少年の将来をおもんぱかって、事件の公表を差し控[ひか]えた。 **おや【親】(祖)** ○父親と母親、またはそのいずれか。生み出す元。元になるもの。中心となるもの。[文例]〈親の責任>子を育てるのは親の責任です。♠<親にはぐれる>親にはぐれた子だぬきが、里の家に迷[まよ]い込んできた。♠へ親譲り〉親譲りの気性[きしょう]の激[はげ]しさで難局を切り開いてきた。♠へ親のすねをかじる〉親のすねをかじっている身分だから、あまりぜいたくは出来ないなあ。♠<親の心子知らず〉「お母さん、ぼくのきらいなものばかり出さないでよ。」「あんたの体を思っているからでしょ、親の心、子知らずね。」♠<親はなくとも子は育つ>「親はなくとも子は育つ」のたとえどおり、幼いころ両親をなくしたあの子も立派に成長したものだ。♠<生みの親より育ての親〉生みの親より育ての親といいますが、血のつながりはなくても、育ててくれた恩には感謝しています。♠へ親の光は七光>父親が代議士だといいますから、彼にとってはまさに親の光は七光でしょう。♠<親の欲目[よくめ]>親の欲目といって、自分の子ほど出来がよく思えるものだ。♠<トランプの親〉今度は、きみが親だから、早くカードを配りなさい。 **おやこ【親子】** ○親と子。[文例]わが家では、夕食後のひとときに、いつも親子で話し合うようにしています。♠<親子そろう〉ぼくの家では、夏休みに必ず一回は親子そろって旅行に出かけます。♠<親子水いらず>長い漁から父が帰ってきて、久しぶりに親子水いらずで夕食のテーブルを囲んだ。♠<親子ほど年が違う〉五人兄弟の末っ子のぼくと一番上の兄は、親子ほど年が違います。♠へ親子連れ〉日曜日の遊園地は、親子連れでいっぱいだった。♠<親子電話〉いちいち呼ぶのがめんどうだというので、二階の長女の部屋に親子電話を取り付けることになった。 **おやごころ【親心】** ○子を思う親の心。[文例]こんな説教をするのも親心からだと思って聞いておくれ。♠<親思う心に勝る親心>といって、子が親を思う心より、子を案じる親の心のほうが深いものなのです。♠<寝ていてもうちばのうごく親心>(江戸時代の川柳[せんりゅう]) **おやばか【親ばか】(親馬鹿)** ○わが子をかわいいと思うあまり、自慢話[じまんばなし]ばかりして、まよいの親の愚かさ。[文例]子供をそんなに甘やかすとは、なんという親ばかなんだ。♠夫は、子供の自慢話ばかりして、親ばかぶりを発揮している。 **およ・ぐ【泳ぐ】** ○水中を動き回る。また、それに似た動作をする。世を渡る。[文例]〈海で泳ぐ〉砂浜[すなはま]で遊んだあとは、海で泳ぐのです。♠〈魚が泳ぐ〉沖縄[おきなわ]の海は透き通っていて、魚が泳いでいるのが見えるほどだ。♠ヘこいのぼりが泳ぐ〉こいのぼりが五月の空に泳ぐ姿はなかなか勇ましい。♠〈犯人を泳がせる〉一味を一網打尽[いちもうだじん]にするために、犯人の一人をしばらくの間泳がせておこう。♠へ政界を泳ぎまわる〉うまく政界を泳ぎまわって、陰[かげ]の実力者になったと言われるのがこの写真の男です。♠へ体が泳ぐ>朝のホームの混雑の中で後ろから押された拍子[ひょうし]に、思わず体が前に泳いだ。 **およそ(凡そ)** ○だいたい。あらまし。おおかた。そもそも。まったく。おおよそ。[文例]連日の猛暑[もうしょ]で、およそ十万の人が海水浴場にくりだした。♠公害摘発[てきはつ]のGメンたちは、およそ次のような報告書をまとめあげた。♠へおよその見当〉クスクス笑っているけど、だれがいたずらしたかおよその見当はついているんだぞ。♠へおよその日取り〉電話でいいから、およその日取りを知らせてください。♠へおよそ親として〉およそ親として、子供の将来を心配しない者がいるだろうか。♠へおよそつまらない〉なんとか最後まで読んだが、およそつまらないSF小説だった。 **および【及び】** ○及ぶこと。届くこと。ならびに。そして。[文例]アメリカ、フランス、イギリス、西ドイツ及び日本の代表が集まって会議が開かれた。♠へ及びもつかない〉好きなゆり子さんの成績には及びもつかないが、とにかくぼくもがんばろう。 **およびごし【及び腰】** ○中腰[ちゅうごし]になって手をのばした不安定なかっこう。自信のない態度。[文例]わたしは及び腰になって、さくの中の花を折ろうとした。♠市は、マイカーの運転をひかえるノーカーデーの実施に及び腰だった。♠いつもまでも及び腰の外交では、国際的な信用は得られない。 **およぶ【及ぶ】** ○達する。届く。かなう。必要である。[文例]〈二千キロに及ぶ〉彼の日本縦断自転車旅行はついに二千キロに及んだ。♠へ全体に及ぶ〉報道によると、今度の地震[じしん]の被害[ひがい]はペルシア湾全体に及んでいるそうだ。♠へ迷惑[めいわく]が及ぶ>きみにまで迷惑が及ぶとは、思わなかったよ。♠〈水準に及ぶ〉日本の水泳は、世界の水準には及ばないが、奮闘[ふんとう]を祈ろう。♠へ遠く及ばない〉師匠[ししょう]の芸にはまだまだ遠く及ばないが、ぼくだって捨てたもんじゃない。♠へ力の及ぶかぎり〉この子のためなら、親の力の及ぶかぎりのことはしてや <154> ろうと思います。♠〈力及ばず〉挑戦者はよく戦ったが、力及ばず敗退した。♠へ足元にも及ばない〉一流高校へ進学なさるそうで、うちの子などは足元にも及びません。♠く及ばずながら〉及ばずながら力を貸すから、きみも全力を尽くしてくれたまえ。♠ヘこの期[ご]に及んで〉この期に及んで、不参加を表明されても困る。♠へ〜するには及ばない〉わざわざ出向くには及びませんから、電話でもしてください。 **およぼ・す【及ぼす】** ○ゆきわたらせる。届かせる。[文例]〈効果を及ぼす〉市民のスポーツ熱の高まりは、健康増進はもとより、住民の精神的な交流にも効果を及ぼした。♠へ影響を及ぼす>現代においては、二国間に争いが生じれば、それは世界中に影響を及ぼします。♠〈害を及ぼす〉タバコは喫煙者[きつえんしゃ]だけでなく、周囲の人にも害を及ぼします。 **おり(檻)** ○動物などを閉じ込める囲み・部屋。[文例]〈おりを破る〉ライオンが、おりを破って逃げたぞ。♠へおりに閉じ込める〉動物を狭[せま]いおりに閉じ込めるというのは、少し残酷[ざんこく]な気がします。♠〈鉄のおり〉頑丈[がんじょう]な鉄のおりは、ちょっとやそっとでは壊[こわ]れそうにない。♠へ罪人を入れるおり〉城の地下室は、罪人を入れるおりになっていた。 **おり【折り・折】** ○折ること。折った物。折り詰め。機会。時節。[文例]〈折りに詰める〉お店の人は、手際よくおすしを折りに詰めては客に渡している。♠へ〜した折>京都に行った折に、五年ぶりに友人を訪ねました。♠へ折に触れて〉折に触れて詠んだ歌を、今度一冊の本にまとめます。♠へ折さえあれば〉折さえあれば、あなたを訪ねたいと思っているのですが。♠へ折を見て>折を見て、お父さんにはお母さんから話してあげるから、心配いらないよ。♠<折も折〉娘[むすめ]のげたの鼻緒[はなお]が切れて困っていた折も折、この若侍[わかざむらい]が通りかかった。♠へ折もあろうに〉折もあろうに、こんな忙[いそが]しい時に客がおしかけるなんて。♠〈折あしく〉さあ出かけようとしたところへ、折あしく雨が降ってきた。 **おりあい【折り合い】** ○ゆずりあい。人と人との関係。[文例]〈折り合いが悪い〉嫁[よめ]としゅうとの折り合いが悪く、夫が板[いた]ばさみで苦しんでいた。♠へ折り合いがつく>生産者と卸[おろし]業者の折り合いがつけば、産地直送販売が可能になるだろう。♠へ折り合いを欠[か]く〉騎手[きしゅ]が馬との折り合いを欠けば、レースで実力を発揮することはできない。 **おりかえし【折り返し】** ○折って、裏が表に出るようにすること。また、その部分。引き返すこと。また、その地点。ただちに返事をすること。間をあけずに。[文例]〈ズボンの折り返し〉ぬかるみを渡ったので、ズボンの折り返しに泥[どろ]がついてしまった。♠ヘマラソンの折り返し〉マラソンは、折り返し地点にさしかかるころからとても苦しかったが、最後まで走り抜いた。♠折り返し、お電話でご返事いたします。 **おりがみ【折り紙】** ○折りたたんだ紙。いろいろな形に折って遊ぶ紙。また、その遊び。鑑定書。[文例]〈折り紙を折る〉みよちゃんが折り紙を折って遊んでいるよ。♠へ折り紙付き〉彼[かれ]の人柄は折り紙付きですから、信用してまちがいないでしょう。 **おりから【折から】** ○時分。時節。折しも。ちょうどその時。[文例]〈折からの雨〉ピクニックは折からの雨で中止になった。♠へ暑さの折から〉暑さの折から、お体を大切にしてください。 **おりこ・む【織り込む】** ○織り入れる。組み入れる。[文例]〈糸を織り込む>錦[にしき]には、金糸銀糸[きんしぎんし]が織り込まれている。♠〈言葉を織り込む〉各行の先頭に自分の名を織り込んで、遊びの詩を作ってごらん。♠へ体験を織り込む〉先生の話の中には、若いころの海外放浪[ほうろう]生活の体験が織り込まれていた。 **オリジナル** ○原型。原作。原物。独創的な。固有の。[文例]〈オリジナルな内容>彼のスピーチは、九割がた借りもので、オリジナルな内容はほとんどなかった。♠〈曲のオリジナル〉このポピュラー音楽のオリジナルは、モーツアルトの交響曲四十番です。 **おりしも【折しも】** ○ちょうどその時。おりもおり。おりから。[文例]出かけようとしていた折しも、大事なお客様がいらっしゃったので、こんなに遅れてしまいました。♠折しも桜は満開で、わたしは山あいを走るバスに揺られながら花見を楽しんだ。 **おりま・ぜる【織り交ぜる】** ○まぜて織り込む。組み入れる。[文例]〈糸を織り交ぜる〉その布には、ところどころに金糸・銀糸が織り交ぜてあった。♠へ体験を織り交ぜる〉この小説には、作者の海外での体験が随所[ずいしょ]に織り交ぜられています。 **おりめ【折り目】** ○折りたたんだ筋目。物事のけじめ。礼儀・作法。[文例]〈紙の折り目〉二つに折った紙の折り目にそって切ってください。♠へ折り目をつける〉コンピューターに入れるカードですから、不要な折り目はつけないようにしてください。♠ヘズボンの折り目〉ズボンにアイロンをかけてびしっと折り目をつけた。♠へ折り目正しい〉彼は、近ごろにはめずらしく折り目正しい青年です。♠へ折り目を正す〉折り目を正す意味で、公私[こうし]の別はきちんとしてほしい **お・りる【下りる・降りる】** ○上から下に移動する。くだる。乗り物から出る。高い地位を退く。上から決定・許可などがくる。役割を放棄する。[文例]〈遮断機[しゃだんき]が下りる〉踏切[ふみきり]の警報器が鳴るとまもなく、遮断機が下りてきた。♠へ坂を下りる〉病院は、坂を下りた所にあります。♠へかぎが下りる>このドアは、閉めると自動的にかぎが下りるようになっています。♠へ肩の荷が下りる〉息子が大学を卒業して、やっと肩の荷が下りました。♠〈客が降りる〉時間が遅[おそ]いためか、どの駅でも客は降りるばかりだ。♠ヘバスを降りる〉バスを降りて、二、三分歩くとおじさんの家に着く。♠へ京都で降りる〉父の田舎[いなか]に行くには、京都で降りて、私鉄の電車に乗り換えます。♠へ霜[しも]が降りる〉霜が降りるほど、朝晩は冷えこむようになりました。♠へ許可が下りる〉先生の許可が下りると、生徒たちは、一斉に運動場へ飛び出していった。♠〈年金が下りる〉おじさんは、来年から年金が下りるそうです。♠へ大臣のいすを下りる〉彼は、外交政策の責任を問われ、大臣のいすを下りた。♠へ計画から下りる〉仕事が忙[いそが]しくて行けそうにもないから、今度の計画からは下りるよ。♠<回虫[ぎょうちゅう]が下りる>虫下[むしくだ]しの効果か、検査の結果、回虫が下り <155> たことが確かめられた。 **お・る【織る】** ○縦糸と横糸を組み合わせて、布を作る。組み合わせて作る。[文例]〈布を織る〉娘[むすめ]は、だれも見たことがないような見事な布を織った。♠へにしきを織る〉チワン族の女の人は、美しいにしきを織ることで有名です。♠へ機[はた]を織る〉村のあちこちで機を織る音が聞こえてくる。♠<織物を織る〉一説には、「七夕[たなばた]」の意味は、もともと織物を織る機のことだと言う。♠〈織り交ぜる〉『西遊記』は、三蔵法師[さんぞうほうし]一行の奇想天外[きそうてんがい]なできごとを織り交ぜながら描[えが]いた物語です。 **お・る【折る】** ○力を加えて曲げ、重ねるようにする。曲げて二つに切り離す。たたむ。たたんで物の形を作る。[文例]〈枝を折る〉木こりは、小枝[こえだ]を手で折っては、たき火に投げ込んでいた。♠へ腕[うで]を折る〉落馬して腕を折ったそうですねえ。♠へひざを折る〉男は、がっくりとひざを折ると、うつぶして泣き出した。♠〈四つに折る〉新聞も四つに折れば、このバッグに入りますよ。♠〈千羽づるを折る〉その子は、千羽づるを折りながら、何を願っているのだろう。♠へ指を折る>「もういくつ寝るとお正月・・・・・・」と歌いながら、指を折って数えた。♠へ骨を折る〉骨を折ったかいがあって、今度の作品の出来は上々だ。♠〈我を折る>強情なごうじょう]おまえが我を折って意見をひっこめるなんて、珍[めずら]しいなあ。♠へ筆を折る〉警察の思想統制が厳しくなると、筆を折る詩人も続出した。♠<話の腰を折る>横から口をはさんで、人の話の腰を折らないでくれ。 **お・る(居る)** ○いる。存在する。[文例]〈家におる〉明日は家におりますので、どうぞ遊びに来てください。♠へ〜しておる〉このところ、自動車事故が増えております。♠へ~しておる〉退職してからは、日々悠々自適[ゆうゆうじてき]に過ごしております。 **お・れる【折れる】** ○曲がって重なるようになる。まっすぐのものが曲がる。曲がって切れる。曲がる。譲歩する。[文例]〈枝が折れる〉柿の実を取ろうとしたら、枝が折れて、アッという間もなく落下してしまった。♠へ道が折れる〉道が右に左に折れているので、車を運転するのに苦労した。♠へ右に折れる>郵便局は、あの角を右に折れて五軒めです。♠へ骨が折れる〉この仕事は細心の注意を要するので、骨が折れる。♠ぽくの熱心な説得に、とうとう父も折れて協力してくれることになった。 **おろおろ** ○途方にくれて、うろたえるさま。涙声のふるえるさま。[文例]〈おろおろする〉この春入社したわたしは、事あるごとにしかられておろおろするばかりです。♠へおろおろと泣く〉凶作[きょうさく]の年の農民たちは、ただおろおろと泣きました。♠へおろおろと〜する〉手術中の父の病室の前を、母はおろおろと歩きまわった。 **おろか【愚か】** ○知恵が足りないさま。ばかげているさま。(「~はおろか」の形で)いうまでもなく。もちろん。・・・どころか。[文例]〈愚かな行為〉戦争は愚かな行為であり、人類に不幸と悲しみをもたらすだけです。♠へ愚かな人丫頭隠[こう]してしり隠さず」は愚かな人のすることである。♠〈愚か者〉父の深い思いやりが今までわからなかったとは、なんてぼくは愚か者なのだろう。♠へ〜はおろか>漂流[ひょうりゅう]して三日間、島影[しまかげ]はおろか船の姿すら見あたらなかった。♠へ言うもおろか>裸一貫[はだかいつかん]から苦労して身を起こした人だから、その勤勉さについては言うもおろかである。 **おろし【下ろし・卸】** ○下ろすこと。山から吹き下る風。問屋が小売店へ商品を売ること。おろし金ですり砕くこと。大根おろし。[文例]〈小売りと卸>生産物は、ふつう卸と小売りの業者の手をへて消費者に届きます。♠〈上げ下ろし〉おばあさんは、箸[はし]の上げ下ろしにもうるさい、口やかましい人でした。♠へ積み下ろし>夏休みのアルバイトは、市場で野菜の積み下ろし作業をしました。♠へ大根おろし〉サンマの焼いたのには、大根おろしがつきものです。♠〈仕立ておろし〉今日は、仕立ておろしのバリッとしたスーツを着て出社します。♠へ赤城[あかぎ]下ろし〉前橋の秋も深まって、冷たい赤城下ろしの吹きそうなある日のことです。 **おろ・す【下ろす。降ろす・卸す】** ○おりるようにする。おりさせる。下へ移す。引き出す。役割を放棄させる。新しい物を初めて使う。問屋が商品を小売店へ売る。おろし金ですり砕く。[文例]〈腰[こし]を下ろす〉勉強しようと腰を下ろした時、突然母がぼくを呼んだ。♠へ荷物を下ろす〉ホテルの玄関[げんかん]に着くと、ボーイさんが車から荷物を下ろしてくれた。♠へかぎを下ろす〉かぎを下ろすのを忘れたことに気づいた彼は、あわてて玄関へ戻[もど]って行った。♠く根を下ろす>飛んできた種は、岩のちょっとしたすきまに根を下ろし、かわいい花を咲かせた。♠<大根を下ろす〉さんまなど焼き魚には、下ろした大根がよく合います。♠ヘ三枚に下ろす〉お母さんは、あっという間に、アジを三枚に下ろしてしまった。♠へ貯金を下ろす〉こつこつためた貯金を下ろして、とうとう、欲しかったギターを買った。♠ヘ晴れ着を下ろす〉お正月には、下ろしたばかりの晴れ着を着て、みんなで初もうでに行きましょう。♠<髪[かみ]を下ろす〉平清盛は、髪を下ろして入道[にゅうどう]となった。♠へ乗客を降ろす〉バスは最後の乗客を降ろすとき、暗い夜道を車庫へ戻っていきます。♠へ役を降ろす〉せりふが覚えられなくて、せっかくの劇の主役を降ろされてしまった。♠へ商品を卸す〉問屋は小売店に商品を卸す。♠へなで下ろす〉彼の無事を聞いて、ほっと胸をなで下ろした。 **おろそか(疎か)** ○いいかげんなさま。ぞんざいなさま。なおざりなさま。[文例]〈おろそかにする〉わたしたちは、自分の自由を追求する反面、他人の自由をおろそかにしがちです。♠へおろそかになる〉サッカーに熱中するあまり、つい勉強がおろそかになってしまった。♠へあだやおろそか〉友情をあだやおろそかにしてはならない。 **おわ・す** ○「ある。いる」「行く。来る」の尊敬語。[文例]御堂[みどう]の中には、阿弥陀三尊が金色[こんじき]さんぜんとおわします。♠あの若君は、高貴な身分の方におわします。♠<鎌倉[かまくら]や御仏[みほとけ]なれど釈迦牟尼[しゃかむに]は美男におはす夏木立[なつこだち]かな>(与謝野晶子[よさのあきこ]) **おわり【終わり】** ○物事の最後。しまい。はて。[文例]〈初めから終わりまで>映画は、初めから終わりまでスリリングな場面の連続で、とてもおもしろかった。♠〈秋の終わり〉野山 <156> のすすきも白くほおけて、秋の終わりを告げています。♠〈一巻の終わり>丸木橋の下は深い谷で、落ちたら一巻の終わりだ。♠へ終わりよければすべてよし〉最後の仕上げだけは、しっかりやろう。終わりよければすべてよし、ということばもあることだから。 **おわ・る【終わる】** ○おわりになる。おしまいになる。終える。[文例]〈授業が終わる>英語の授業が終わると、次は給食の時間です。♠へ線路が終わる〉鉄道の線路は、砂漠[さばく]の中をどこまでも走っていて、その端[はし]がどこで終わるのか見当もつかない。♠へ一生が終わる〉ひと夏を過ごし、産卵を終えると、短いかげろうの一生が終わるのです。♠〈失敗に終わる〉これまでにも、何人かの登山家が登頂を試みたが、みな失敗に終わっている。♠〈会期が終わる〉国会の会期は、あと十日で終わります。♠〈知らせを終わる〉これで、運動会についてのお知らせを終わります。♠へ夢で・夢に終わる〉われわれの計画はついに実行に移されず、夢で終わってしまった。♠へ〜し終わる〉給食をいちばん早く食べ終わるのは、ぼくに決まっている。 **おん【恩】** ○他から与えられる恵み。自分の身に受けた感謝すべき行為。[文例]〈親の恩〉今日まで育ててくれた親の恩を忘れてはなりません。♠〈恩に報いる〉わが子のように面倒[めんどう]をみてくれた叔母の恩に報いるため、彼は熱心に働いた。♠〈恩に着る〉助けてくれてありがとう、一生恩に着るよ。♠〈恩に着せる〉自分がそうしたいから手伝っているだけで、恩に着せるつもりなどありません。♠へ恩を売る>町内の人たちなら、こまごまと面倒をみて恩を売ってあるから、きっとわたしに投票してくれるだろう。♠〈恩を仇[あだ]で返す〉あんなにお世話になった人に恩を仇で返すようなことをして、それでも恥ずかしくないのか! **おんがく【音楽】** ○音の組み合わせによって、美を表現する芸術。[文例]〈音楽を奏[かな]でる>落ち葉が大地でこすれあい、かわいた、かすかな音楽を奏でている。♠へ音楽を聴く〉わたしは、好きな音楽を聴いていると、いやなことはみんな忘れてしまいます。♠〈音楽の時間〉今、ぼくたちは音楽の時間に三重唱の練習をしています。 **おんけい【恩恵】** ○恵み。いつくしみ。情け。[文例]〈恩恵を受ける>現代に生きるわたしたちは、多かれ少なかれ科学の恩恵を受けている。♠〈自然の恩恵〉日本人は、昔から豊かな自然の恩恵を受けてきました。♠〈恩恵に浴する〉アマゾンの奥地[おくち]では、いまだ文明の恩恵に浴することなく、独自の世界観をもって暮らしている人々もいます。♠へ恩恵をこうむる〉エジソンのさまざまな発明に、人類は大きな恩恵をこうむってきた。♠〈恩恵にあずかる〉この奨学金[しょうがくきん]の恩恵にあずかった学生は、今ではさまざまな分野で活躍[かつやく]しています。♠〈恩恵をほどこす〉いったん攻撃をやめて逆に食糧を送り、敵に恩恵をほどこす和平作戦をとりましょう。 **おんけん【穏健】** ○おだやかで、行き過ぎがないさま。[文例]〈穏健な考え方〉意見が合わないからメンバーを外すなんて過激なやり方はやめて、もっと穏健な考え方をしようじゃないか。♠へ穏健な思想>彼は穏健な思想をもった、優れた民衆の指導者だ。 **おんこう【温厚】** ○おだやかで、あたたかみがあるさま。[文例]<温厚な人柄[ひとがら]>彼の温厚な人柄にみんなの信頼が集まって、代議員に選ばれました。♠<温厚篤実[とくじつ]>この学校の校長先生は、温厚篤実な人で、生徒ばかりか先生方にも人気が高い。 **おんし【恩師】** ○指導を受けた先生。[文例]〈学校時代の恩師〉ようやく社会人として一人前になったので、久しぶりに高校時代の恩師を訪ねた。♠〈恩師を囲む〉同窓会では、恩師を囲んで思い出話に花が咲いた。 **おんしつ【温室】** ○栽培[さいばい]などのための保温装置のある建物。[文例]温室で栽培した花は、外気にさらすとうまく育たないことが多い。♠<温室育ち>温室育ちの彼は、実社会の厳しさにひどくとまどった。 **おんしょう【温床】** ○発芽や生育を早めるため、人工的に温度を高めてある苗[なえ]どこ。悪い物事の発生のもとになる環境。[文例]キュウリやトマトなどの苗が温床で促成栽培[そくせいさいばい]されていた。♠<悪の温床>夜の歓楽街は悪の温床になりやすい。 **おんしょう【恩賞】** ○手柄のあった者にほうびを与えること。また、そのほうび。[文例]〈恩賞を与える〉敵軍を破り、敵将を討ち取った兵士たちに恩賞が与えられた。♠<恩賞にあずかる〉戦[いくさ]でめざましい働きをした彼は、三千石の恩賞にあずかった。 **おんじょう【温情】** ○あたたかく、やさしい心。[文例]〈温情ある判決〉被告の追いつめられた精神状態への配慮から、温情ある判決が下された。♠<温情主義〉店の主人の温情主義が、従業員には正しく理解されなかったらしい。 **おんしん【音信】** ○おとずれ。便り。いんしん。[文例]〈音信がない>東京へ行った息子からは、長いこと音信がなかった。♠<音信がとだえる〉転校した友達との音信がとだえて、もうずいぶんになります。♠〈音信不通〉彼とはもう長い間音信不通だ。 **おんせい【音声】** ○人が発する声。言語の音。テレビ放送などの音。[文例]〈音声を消す〉音声を消してテレビを見るのも、またおもしろいものです。♠へ漢字の音声>漢字は、一字一字が音声を表すと同時に意味を表す文字で、表意文字とも呼ばれる。♠へ音声と意味〉わたしたちは、意識的・無意識的に音声を変化させて、言葉の意味を表現し分けています。 **おんせん【温泉】** ○地中からわく温水。また、それを利用した浴場。また、そうした浴場のある一帯。[文例]〈温泉がわく〉この辺りは、どこを掘っても温泉がわきます。♠ヘ温泉につかる〉山あいの宿に着くと、まずゆったりと温泉につかった。 **おんぞん【温存】** ○大切に保存すること。使わずにしまっておくこと。[文例]〈伝統を温存する〉この地方の正月の行事は、古風な伝統を温存していて興味深い。♠ヘ主力選手を温存する>予選で主力選手を温存する作戦をとったチームが優勝した。♠<兵力の温存〉この戦いに勝つためには、兵力の温存を図らなければならない。 <157> **おんだん【温暖】** ○(気候が)あたたかいこと。[文例]<温暖の地〉わたしの町は、温暖の地にあって、四季を通じて暮らしやすいところです。♠<温暖な地方>寒冷な地方と温暖な地方とでは、生活や慣習にずいぶん違いがあります。 **おんち【音痴】** ○音感がにぶく、正しい音程で歌えないこと・人。ある感覚がにぶいこと。[文例]彼は音痴なのに、人前でやたらと歌いたがるので困ります。♠〈方向音痴〉ぼくは方向音痴で、行ったことのある場所でも途中でたいてい迷[まよ]ってしまう。 **おんてい【音程】** ○二つの音の間の高低の差。[文例]〈音程が狂[くる]う〉お酒がはいると、おじいちゃんは大声で音程の狂った歌を歌います。♠〈音程がふらつく〉人前では緊張[きんちょう]するせいか、音程がふらついて、どうもうまく歌えない。 **おんてん【恩典】** ○恵みをほどこすこと。情けあるとりはからい。[文例]〈恩典を受ける〉大学時代は、特待生の恩典を受けて勉学に励みました。♠〈恩典がある〉保険料一年分を一括で払うと、一月分減税[げんぜい]の恩典があります。♠〈恩典に浴する〉今度の減税で最も恩典に浴したのは、自営業者です。 **おんど【音頭】** ○先に歌って全体の調子をとること。多くの人が歌に合わせて踊[おど]る曲。先に立って皆を導くこと。[文例]〈乾杯[かんぱい]の音頭をとる〉僭越[せんえつ]ながら、わたくしが乾杯の音頭をとらせていただきます。♠〈音頭をとる〉社長が音頭をとって、社員のゴルフコンペが行われた。♠〈東京音頭>夏祭りのやぐらの周りでは、大勢が輪になって東京音頭を踊っていた。 **おんど【温度】** ○暖かさ冷たさの度合い。[文例]〈温度が高い〉ビニールハウスの中は温度が高いので、冬でも野菜が青々と育ちます。♠〈温度が上がる〉大阪の夏は、南のシンガポールの夏と同じくらいに温度が上がる。 **おんとう【穏当】** ○おだやかで、適切であること。[文例]<穏当な処置>きみがとったのは、おおむね穏当な処置だった。♠<穏当を欠く>他人に対する心づかいが足りないので、彼の発言は穏当を欠くことが多いのです。 **おんな【女】** ○女性。雌。成人した女性。女性らしい容姿・ふるまい。愛人としての女性。[文例]この仕事は重労働だから、女にはとても無理だ。♠〈男も女も>収穫祭[しゅうかくさい]の夜には、村じゅうの人が集まって、男も女も大きなジョッキをかたむけます。♠へきれいな女の人〉きれいな女の人とすれ違ったぼくは、思わずふりかえりました。♠へいい女〉父は、あるパーティーでほれぼれするようないい女に出会ったそうですが、それが母です。♠〈女の細うで>夫に先立たれた彼女は、女の細うでで子供を育てながら立派に店を切り盛りした。 **おんなで【女手】** ○労働力としての女。女の働き手。[文例]うちの店で女手がほしいんだが、だれか適当な人を紹介[しょうかい]してくれませんか。♠〈女手一つ〉彼女は女手一つで、三人の子供を育て上げた。 **おんならし・い【女らしい】** ○女性的な能力・性質などをそなえたさま。女性らしいふるまいをするさま。[文例]〈女らしくする>木登りなんかやめて、もう少し女らしくしなさい。♠〈女らしいこと〉バイクに熱中していた姉も、年ごろになると、料理・編み物と女らしいことを習い始めました。♠〈女らしいしぐさ〉娘[むすめ]はいかにも女らしいしぐさで、きちんと両手をついてあいさつをした。 **おんねん(怨念)** ○深いうらみ。遺恨。[文例]〈怨念をはらす>恨みを残して死んだ人間が怨念をはらそうと化[ば]けて出た、という話をよく聞きます。♠へ怨念がこもる>屋敷[やしき]には亡[な]くなった一族の怨念がこもっているといううわさで、近寄る人もありません。 **オンパレード** ○勢ぞろい。ずらりと並ぶこと。[文例]人気歌手のオンパレードに、観客は大喜びです。♠ニンジン、タマネギ、ピーマン、ブロッコリーと、苦手な野菜のオンパレードにへきえきした。 **おんびん【穏便】** ○おだやかで、かどが立たないさま。荒だてないさま。[文例]〈穏便な処置>この件につきましては、あまり事を荒[あら]だてないで、穏便な処置をお願いいたします。♠<穏便にすます〉隣国[りんごく]との国境問題を何とか穏便にすます方法はないものかと、王様は頭を悩ませていた。 **おんぶ** ○「おぶう」の幼児語。人に頼ること。金銭などを負担させること。[文例]〈おんぶする>赤ん坊をおんぶすると、まもなくすやすやと眠ってしまいました。♠人費用をおんぶする〉旅費の足りない分は、この際、親におんぶすることにした。♠へおんぶにだっこ〉まるで、おんぶにだっこで、何から何まで先輩のお世話になりました。 **おんみつ(隠密)** ○人に知られないように、ひそかに事を行うこと。江戸時代の密偵。[文例]〈徳川方の隠密>徳川方の隠密が大坂城にももぐりこんでいるということだ。♠<隠密に行動する〉今度の件では、ぼくだけ隠密に行動させてくれ。♠へ隠密に事を運ぶ〉この件は、社内でもマル秘扱いだから、隠密に事を運ぶよう注意せよ。 **おんりょう(怨霊)** ○深いうらみを抱いて、たたりをする死者の霊。[文例]<怨霊がたたる〉>深い恨みを抱いて死んだ人がいると、その怨霊がたたるといいます。♠<怨霊にとりつかれる>若い娘[むすめ]を死に追いやった男は、間もなく怨霊にとりつかれたようにおびえた言動をするようになった。 **おんわ【温和】** ○あたたかく、おだやかなさま。おとなしく、やさしいさま。[文例] <温和な気候〉この地方は気候が温和で、みかんの栽培[さいばい]に適している。♠へ温和な人柄[ひとがら]>彼女は温和な人柄で、いつもクラスメートの人気の的[まと]です。 か **か【可】** ○よしとすること。認め、許すこと。[文例]〈可もなく不可もなし〉この作品は、可もなく不可もなしの平凡[へいぼん]な出来ばえだ。♠へ未経験者も可〉営業部員募集。未経験者も可。♠〈可とする〉一括[いつかつ]払いが原則だが、分割[ぶんかつ]も可とする。♠へ優・良・可〉そのころ、学校の成績は「優・良・可」の三段階で示され、不合格は「不可」といった。 **か【香】** ○かおり。におい。[文例]へいその香がする〉海からいその香がする <158> そよかぜが吹いてくる。●へ花の香が漂[ただよ]う〉沈丁花[じんちょうげ]の花の香が漂う早春の候となりました。●〈湯の香〉ほんのりと湯の香のする坂道を登りつめたところに、その古い温泉宿が残っていた。●<梅が香にのつと日の出る山路[やまじ]かな>(松尾芭蕉[まつおばしょう]) **か【蚊】** ○メスが人や動物の血を吸う昆虫。夏に多く発生する。[文例]〈蚊に刺[さ]される〉蚊に刺されたところがかゆくてしようがない。♠へ蚊の鳴くような声〉引っ込み思案なその子は、蚊の鳴くような声で返事をした。♠〈蚊のすね>病人はやせ細り、その足は蚊のすねのように弱々しかった。♠<叩[たた]かれて昼の蚊を吐[は]く木魚[もくぎょ]かな>(夏目漱石[なつめそうせき]) **が【我】** ○自我。自分本位の考え方。わがまま。[文例]〈我が強い〉みんながすじ道を立てて説明したのに、我の強いA君は誤[あやま]りを認めなかった。♠〈我を通す〉悪いのは自分ではないから謝る必要はないと、弟は最後まで我を通した。♠へ我を折る>頑固[がんこ]な父も、兄たちの熱意の前に我を折って、とうとう二人の結婚[けつこん]を認めた。♠へ我を張る〉父は、みんなから反対されたくやしさからか、意地になって我を張り、仲間に加わらない。♠〈我を立てる〉周囲の人のことを考えず、我を立てて自分の考えばかりをおしとおすのはよくない。 **が(蛾)** ○夜に多く灯火に集まる、蝶に似た昆虫。[文例]<峨が飛ぶ〉炎[ほのお]の周りを、うるさいほどに蛾が飛び交っている。♠蚕[かいこ]やヤママユガのように、人間に益を与える蛾もいるが、その多くは害虫[がいちゅう]である。 **カーテン** ○光や人の視線などをさえぎるためにつるす布・幕。人の目から物を隠すもの。[文例]〈カーテンを開ける・閉める〉カーテンを開けると、まぶしい朝の光が差し込んだ。♠ヘカーテンがかかる〉窓辺には鉢植え[はちうえ]の花が飾られ、白いレースのカーテンがかかっていた。♠<鉄のカーテン〉組織の内部は重い鉄のカーテンで隠され、外部の者は決して知ることができない。 **カード** ○小型の四角な紙。札。トランプ。競技の組み合わせ。[文例]〈カードを作る>動物や植物を観察するときには、カードを作って、メモをとるようにしよう。♠ヘカードに記録する〉本を読んだら、書名や著者名、あらすじや要点、感想などをノートやカードに記録しよう。♠ヘカードを切る・配る>兄は慣れた手つきでトランプのカードを切ると、ぼくたちに配った。♠へ好カードを組む>週末のナイターには、巨人・阪神の好カードが組まれています。♠ヘカードで引き出す〉カード一枚で、お金を引き出したり、買い物ができる便利な世の中になったものだね。♠ヘクリスマスカード>美しいクリスマスカードが思い出といっしょに箱いっぱいたまりました。 **ガード** ○陸橋。護衛。防護。[文例]〈高架線[こうかせん]のガード〉ビルが建ち並び、高架線のガードはもう完全に建物の陰[かげ]に隠れて見えなくなった。♠ヘガードが固い>味方は激[はげ]しく攻撃するが、敵もガードが固い。♠ヘガードを固める〉彼らはいろいろと情報を集め回っているようだから、こちらもしかりガードを固めて会議に臨[のぞ]もう。♠ヘガードする〉挑戦者[ちょうせんしゃ]のジャブをチャンピオンはうまくガードして、ダメージはなかった。♠ヘボディーガード>女性の一人歩きは危険だから、ぼくがボディーガードとしてついてってやるよ。 **カーブ** ○曲がること。曲がった部分。曲線。曲球。[文例]カーブを描く〉上空から見下ろすすと、水路は円く大きなカーブを描いている。♠ヘカーブを切る〉道が右にカーブを切っていて、見通しのきかない場所で事故が起こった。♠〈カーブする〉この辺りから流れはゆるやかにカーブする。♠ヘカーブと直球〉今日は調子がいいから、カーブでも直球でもバシバシ決めてやるぞ。 **かい【貝】** ○固い殻をもち、多く水中にすむ軟体動物。[文例]〈貝を採る〉人々は、木の実を摘んだり、魚や貝を採って暮らしていました。♠<貝のように黙[だま]る〉何を話しかけても、少女は貝のように押し黙っていた。 **かい【会】** ○目的を同じくする人々の集まり。会合。集団。団体。[文例]〈会に入る〉映画が大好きな姉は、映画ファンの会に入って、世話役を務めている。♠へ会を作る〉ぼくたち推理小説マニアが集まって、「迷探偵[めいたんてい]クラブ」という会を作った。♠〈会を開く〉今学期かぎりで北海道へ転校していく山田君のために、皆でお別れの会を開いた。♠へ会が始まる>友達の誕生[たんじょう]を祝う会が一時から始まるので、急いで昼ご飯を食べて出かけた。♠へ会が流れる>雨で出席者が少なく、会が流れてしまった。♠人会がある〉明日の放課後、図書委員会がありますから、委員は必ず出席してください。♠〈会をもよおす〉県の美術館では、今、珍[めずら]しいアメリカ絵画の展覧会がもよおされています。 **かい【回】** ○物事の度数。回数。[文例]〈回を重ねる〉回を重ねていくうちに、こつがのみこめるようになりますよ。♠<試合の回〉この回に六点も取られて、試合の大勢[たいせい]が決してしまった。 **かい(極)** ○水をかいて船を進めるための棒状の道具。オール。[文例]〈かいをこぐ〉一寸法師[いっすんぼうし]は、おわんの舟に乗り、はしのかいをこいで、都へ上りました。♠へかいを置く〉かいを置き、ボートに寝転[ねころ]んで、ぼんやり雲をながめていた。♠〈かいの手こき〉この島の舟[ふね]による漁は、帆[ほ]とかいの手こぎという、素朴[そぼく]なものでした。♠〈櫂と橋〉舟は、かいより櫓[ろ]のほうがずっと難しい。 **かい(甲斐)** ○ききめ。効果。値打ち。[文例]へかいがある>猛勉強[もうべんきょう]のかいがあって、難関[なんかん]といわれる大学へ入ることができた。♠へかいがない〉けがをしたすずめの子は、ぼくたちの懸命[けんめい]の手当てのかいもなく死んだ。♠へ骨を折ったかい〉村の人々が骨を折ったかいがあって、立派な公民館ができました。♠<生きがい〉彼女は、子育てに生きがいを感じると言い、懸命に五人の子を育てている。♠へ年がいがない〉父と母は、年がいもなくはでなけんかをするが、近所の人に恥ずかしくないのだろうか。 **がい** ○損失や破壊を生じるもの。また、損失・破壊・妨げ。わざわい。[文例]〈ネズミの害>昔から人類は、ネズミの害に悩まされ、どうにかして退治[たいじ]しようと知恵[ちえ]をはたらかせてきたのです。♠へ害を与える・受ける〉パッタは今でも <159> 大軍で飛んできて、野菜や穀物を食い荒らし、大きな害を与ええるといいます。●〈害を及ぼす〉人間に害を及ぼす動物だからといって、やたらに殺し続けることは自然のバランスをくずすことになる。●へ害がある・ない〉タバコは体に害があるというので、他人の迷惑[めいわく]にならぬよう注意したい。♠<健康を害する>無理な試験勉強をしたので、気がつかないうちに健康を害してしまったようだ。●〈感情を害する〉相手の感情を害することのないよう、言葉には気を使いなさい。 **がいあく【害悪】** ○害となるような悪いこと。害毒。[文例]〈社会の害悪>若い弁護士は、社会のさまざまな害悪と闘[たたか]おうと心に誓った。●〈害悪を流す〉この名作も、発表当時は世に害悪を流すものとして発行禁止になった。♠へ害悪を及ぼす〉彼[かれ]は、公職にありながら私腹を肥やし、社会に害悪を及ぼした人物として話題となった。♠へ麻薬の害悪〉麻薬[まやく]や覚醒剤[かくせいざい]の害悪については、今さら説くまでもないことだ。 **かいいぬ【飼い犬】** ○人に飼われている犬。[文例]捨てられた飼い犬や飼い猫が野生化し、人畜[じんちく]に危害を加えることがある。●へ飼い犬に手をかまれる「飼い犬に手をかまれる」というが、まさか、信用していた部下に裏切られるとは思いもしなかった。 **かいか【開花】** ○花が開くこと。盛んになること。成果が現れること。[文例]〈桜の開花〉こちらはまだ北風が吹いて寒いが、南の地方では、桜の開花も間近[まぢか]らしい。●へ努力が開花する〉長い間の努力が開花し、彼女はようやく歌手として認められるようになった。●ヘルネサンスの開花〉ルネサンスの開花で、閉ざされていた中世ヨーロッパに再び美術や文芸が復興した。 **かいか【開化】** ○文化・文明が開けること。[文例]〈文明開化〉この西洋料理店は、明治の文明開化の時代に創業されたのだそうです。●へ開化の波〉この片田舎にも、開化の波は押し寄せ、洋食屋ができたり、洋服を着る者もでてきた。 **かいか【階下】** ○下の階。二階から見た一階。[文例]二階にはわたしたち家族が、階下には祖父と祖母が暮らしています。♠ドアのチャイムが鳴ったので、急いで階下に降りていった。 **かいがいしく(甲斐甲斐しい)** ○けなげに、きびきびと働くさま。まめまめしい。[文例]へかいがいしい姿〉ふるさとを思う時、台所で立ち働く母のかいがいしい姿が浮かんでくる。♠食べかいがいしく看護に当たる〉かいがいしく病人の看護に当たる看護婦さんは、白衣の天使という言葉にふさわしい。♠かいがいしく働く〉今日は引っ越し、朝早くから子供たちもかいがいしく働いた。♠ヘエプロン姿がかいがいしい〉妹は、エプロン姿もかいがいしく、お客様の接待に忙[いそが]しい母を手伝っている。 **かいが【絵画】** ○絵。[文例]〈印象派の絵画>浮世絵[うきよえ]は、フランス印象派の絵画に大きな影響[えいきよう]を与えた。♠へ絵画や彫刻[ちょうこく]>絵画や彫刻、建築などの美術に必要なのは、何といっても造形力でしょう。 **かいか(凱歌)** ○勝利の歌。かちどき。[文例]〈凱歌をあげる〉猟師[りょうし]たちが凱歌をあげて、獲物[えもの]を運んでいくところだ。♠〈凱歌があがる〉最後までもつれたパリーグだったが、結局、西武に凱歌があがった。♠へ凱歌を奏する>兵たちが勝利の旗を高々と掲げ、凱歌を奏して帰ってくる。 **かいがい【海外】** ○海の向こうの外国。[文例]〈海外に知られる>富士山は、日本を代表する山として、広く海外にも知られています。♠へ海外との往来〉江戸時代の日本は、国をとざし、海外との往来を固く禁じていた。♠へ海外との貿易>資源の少ない日本は、海外との貿易によって、産業を発展させてきたのです。♠〈海外に進出する〉狭[せま]い日本を飛び出し、海外に進出した日本人の活躍[かつやく]には、めざましいものがある。♠へ海外を旅行する〉海外を旅行して日本へ帰るとほっとするのは、やはり日本人だからでしょう。♠〈海外へ流出する>明治以来、日本の重要な美術品で、海外へ流出したものが少なくありません。♠〈海外移民>日本の海外移民は、明治の初めのハワイ移住に始まるといわれる。 **がいかい【外界】** ○外の世界。周囲の世界。[文例]〈外界と遮断[しゃだん]する〉外界とはほぼ完全に遮断された城の中で、王族はぬくぬくと生活していた。♠〈外界との交渉[こうしょう]〉閉ざされた牢[ろう]の中では、外界との交渉は、小さな窓を通して無言のまま行われた。 **かいかつ【快活】** ○ほがらかで元気なさま。明るくはきはきしているさま。[文例]〈快活な少女〉妹は、ペットの小鳥に逃げられてふさぎこんでいたが、一か月たってようやく快活な少女にもどった。♠〈快活な性格〉あの子は、快活な性格なので、だれにでも好かれる。♠〈快活にふるまう〉彼女は、いつもどおり快活にふるまっていたので、病気だなんてだれも知らなかった。 **がいかつ【概括】** ○あらましをまとめること。[文例]〈概括する〉トピックセンテンスというのは、その段落の内容を要約または概括した文のことです。♠人概括的な表現〉今までの生活を振り返って書く文章は、ややもすると、概括的な表現になりやすいので、テーマをしぼるとよい。 **かいかぶ・る【買いかぶる】(買い被る)** ○過大に評価する。[文例]〈人を買いかぶる〉それはきみが買いかぶっているのであって、ぼくはたいして力のない人間ですよ。♠へ政治を買いかぶる〉みんなで選挙に行けば明るい世の中ができると思うほど、わたしは政治を買いかぶっておりません。 **かいがら【貝殻】** ○貝の体をおおう石灰質のから。[文例]浜辺で、薄紅色[うすべにいろ]の美しい貝殻を拾った。●小さな貝殻をちりばめてモザイクの壁掛[かべか]けを作ってみたの。 **かいかん【快感】** ○快い感じ。いい気持ち。[文例]〈胸のすくような快感〉〈快感を与える>青空にポンポン飛びかう白球は、見ている者にも胸のすくような快感を与える。♠〈快感を味わう〉ジェットコースターに乗ったときのあの快感をもう一度味わいたい。♠へ快感を覚える〉くるみがカチンと音をたててきれいに割れたとき、思いがけない快感を覚えたものです。 <160> **かいがん【海岸】** ○陸地が海に接する部分。海辺。[文例]<海岸に打ち上げる〉あらしのあと、難破船[なんぱせん]の残骸[ざんがい]が海岸に打ち上げられた。♠〈海岸沿い>海岸沿いの道路を、青い海を見ながら車を走らせた。♠〈海岸線〉湾曲[わんきょく]した海岸線に沿って、小さな市街が広がっている。 **かいがん【開眼】** ○目が見えるようになること、見えるようにすること。学問・芸術の道でこつを会得すること。[文例]〈開眼手術>開眼手術は成功し、少女の目は見えるようになった。♠〈開眼する〉彼[かれ]も学問の道に開眼したらしく、真剣[しんけん]に研究に取り組むようになった。 **がいかん【外観】** ○外側の様子。外見。そとみ。みかけ。[文例]〈建物の外観〉この建物は、外観はさりげないものですが、中はお城のように豪華[ごうか]です。♠へ外観が美しい>外観の美しいチョウは、みんなに好かれますが、あの気味の悪いガは嫌[きら]われ者です。 **がいかん【概観】** ○大体の様子。大体の様子をつかむこと。[文例]〈歴史を概観する〉ヨーロッパの歴史を概観できる手ごろな本を探しています。♠へ開拓史を概観する〉講演の前に、アメリカ開拓史を概観した短編映画が上映された。♠〈国政を概観する>首相は、就任演説で、まず国政を概観し、むずかしい国内事情にふれて、国民にいっそうの協力を訴[うつた]えた。♠わが校の創立から今日までの概観を説明したパンフレットを作りました。 **かいき【回帰】** ○ひと回りして元へもどること。[文例]<回帰する〉サケは、産卵期になると、産まれた川へ回帰する習性があるそうです。♠〈回帰線>夏至[げし]および冬至[とうじ]のとき、太陽は、緯度二三度二七分の回帰線の真上に来る。 **かいき【会期】** ○会が開かれている期間。[文例]〈国会の会期〉〈会期が終わる〉国会の会期中に議決されなかった議案は、原則として会期が終わると消滅し、次の会期で議事を継続しない。 **かいき【怪奇】** ○不思議であやしげなさま。奇妙なさま。ぶきみなさま。[文例]〈複雑怪奇>今回の事件は、実に複雑怪奇な事件であった。♠<怪奇小説〉SFや怪奇小説はおもしろいのでよく読むが、ほかはあまり読まない。 **かいぎ【会議】** ○集まって相談・議論し、決定すること。また、そのための組織・機関。[文例]〈会議がある〉今日は、三時から会議がある。♠〈会議を開く〉地球の環境汚染[かんきょうおせん]に取り組もうと、国際会議が開かれた。♠〈会議する〉この件は、みんなで会議して決めることにしよう。♠〈井戸端[いどばた]会議〉お母さんたちの情報交換の場は、井戸端会議です。 **かいぎ【懐疑】** ○疑いをいだくこと。あやぶむこと。[文例]〈懐疑を抱[いだ]く〉人生に懐疑を抱き、生きる意味を見いだせずに悩[なや]んでいた時、この本に出会ったのです。♠〈懐疑的〉人というものが信じられなくなって、わたしはすべてに対して懐疑的になっていた。 **がいき【外気】** ○屋外の空気。外の空気。[文例]〈外気から遮断[しゃだん]する〉窓は全部閉めきられていて、真夏の外気から遮断されていた。♠へ外気に触れる〉窓から、外の雪景色をながめているうちに、夜の冷たい外気に触れてみたくなった。♠〈外気に当たる〉こんなに寒い晩は、ながく外気に当たっていたら風邪をひいてしまうよ。♠へ外気を取り込む〉この小さな穴から外気を取り込んで中の温度を調節しています。 **かいぎゃく(諧謔)** ○冗談。おどけ。しゃれ。ユーモア。[文例]〈諧謔をもてあそぶ〉厳粛[げんしゅく]であるべき場で、諧謔をもてあそぶなぞもってのほかです。♠<諧謔味>江戸中期以降、滑稽[こっけい]で、諧謔味のある狂歌[きょうか]や川柳[せんりゅう]が盛んになった。 **かいきゅう【階級】** ○社会的地位などの段階。その差にもとづく層。[文例]〈階級が上がる〉少佐から中佐、大佐へと階級が上がっていった。♠へ階級制度〉インドにはカーストと呼ばれる階級制度があって、人々の身分は世襲[せしゅう]された。♠〈上流階級>上流階級出身の彼女は、階級意識が強く、わたしたちを見下すようなところがあった。 **かいきゅう【懐旧】** ○昔をなつかしく思うこと。[文例]〈懐旧の情>田舎ですごした幼年時代を思うと、懐旧の情がふつふつとわいてくるのです。♠へ懐旧の涙>と盛んなりし昔日[せきじつ]を思うに、ただ懐旧の涙のふり落つるのみ。♠<懐旧談>同窓生が集まると、たちまち懐旧談に花が咲きます。 **かいきょ【快挙】** ○立派でめざましい行為。胸のすくような行動。壮举。[文例]〈学界の快挙〉この発見は、学界の快挙といってよいものである。♠〈快挙を果たす〉犬ぞりによる北極横断という快挙を果たして、探検家は帰還した。 **かいきょう【海峡】** ○両側を陸にはさまれた狭い海。[文例]〈海峡を越える〉育森から海峡を越えて、北海道へと旅しました。♠〈海峡を渡る〉イギリスとフランスを隔[へだ]てているドーバー海峡を泳いで渡る。 **かいぎょう【開業】** ○営業を始めること。事業を始めること。[文例]〈店の開業〉パチンコ店の開業を宣伝するチンドン屋が、にぎやかな音をたてて通り過ぎた。♠〈開業する〉当店は、早朝七時より開業しております。♠〈開業医〉父は、この町で小児科の医院を営む開業医です。 **かいきん【解禁】** ○禁止をとくこと。[文例]〈鮎[あゆ]の解禁〉今日から鮎が解禁になり、各地の川では鮎釣りを楽しむ釣り人たちの姿が見られた。♠<狩猟[しゅりょう]解禁>狩猟解禁と同時に、ハンターたちが野山へと繰り出す。 **かいくぐ・る(掻い潜る)** ○くぐる。くぐり抜ける。[文例]〈間をかいくぐる〉大勢の人の間をかいくぐって、ようやく人だかりの外へ出た。♠へ監視の目をかいくぐる〉先生の監視の目をかいくぐって、寄宿舎を抜け出してきた。 **かいけい【会計】** ○金銭の出し入れを計算・管理すること。また、その仕事をする人。代金の支払い。[文例]診察[しんさつ]のあと会計の窓口へ行って料金を支払い、薬局で薬を受け取った。♠恐れ入りますが、先にお会計をお願いします。♠<会計係〉会計係の金田さんに接待費の伝票を出しました。 <161> **がいけい【外形】** ○外から見た形。外見。[文例]外形は何の変哲[へんてつ]もないただの箱だが、これにはちょっとした仕掛[しか]けがあるのです。♠<外形をかたどる>「きんつば」という菓子は、刀のつばの外形をかたどったところからその名が付いた。 **かいけつ【解決】** ○問題・事件・もめごと・争いなどをうまく処理し、収めること。[文例]〈解決をみる〉なくなった財布も見つかり、事件は無事に解決をみた。♠<解決がつく〉やっと和解ができて、十年以上も心にかかっていた問題に解決がついた。♠<解決を図る〉親子のけんかは、どう解決を図ったらいいのだろう。♠へ解決に向かう〉長い間の争いが解決に向かい、近いうち、和平協定が結ばれることになった。♠<解決の道>災害防止は難問だが、一日も早く解決の道を見つけてほしい。♠く解決する〉悲しみや不幸には、努力で解決できるものと、個人の力ではどうにもならないものがある。♠〈解決法〉いろいろ言われているが、太りすぎの解決法は、とにかく食べる量を減らすことだ。♠<解決策〉日照[ひで]りが続くと水不足になって困るから、なんとか解決策を見つけたい。 **かいけん【会見】** ○公式に特定の場所で特定の人と会うこと。[文例]〈会見する〉大使は首相と会見し、大統領からのメッセージを伝えた。♠へ記者会見>横綱は、記者会見の席で引退を表明した。 **がいけん【外見】** ○外部から見える姿・様子。そとみ。みかけ。うわべ。[文例]〈モダンな外見〉あのモダンな外見の建物が、美術館です。♠〈外見と中身〉外見からだけでは、箱の中身まではわからない。♠〈外見が悪い〉お母さんの作ったクッキー、外見は悪いけどうまいよ。♠〈外見に似合わず〉こわそうな外見に似合わず、男は、やさしい心の持ち主だった。♠〈外見にとらわれる〉外見にとらわれると、その人の本質を見抜けません。♠〈外見と異なる〉おしとやかな外見とは異なり、実に活発なおじょうさんだ。♠〈外見で判断する〉わたしたちは、つい、人を外見で判断しがちです。♠<外見をとりつくろう〉いくら外見をとりつくろっても、少し話をしてみると、やっぱりボロは出てきます。 **かいこ【回顧】** ○昔をかえりみること。過去をふりかえること。[文例]〈回顧する>定年を目前にして、今までの自分を回顧してみる。♠〈回顧録〉この作品は、前首相が若き日々を振り返り、その思い出を書きつづった回顧録である。 **かいこ【懐古】** ○昔をなつかしく思い起こすこと。[文例]〈懐古する〉祖父は、年をとったせいか、古い昔を懐古することが多くなった。♠<懐古趣味>若いものは、年寄りの懐古趣味というだろうが、移住して五十年もたつと、祖国が懐かしくなる。♠<懐古趣味に陥[おちい]る〉この作家は、晩年になるにつれて、作品が懐古趣味に陥っていった。♠<学生時代のアルバムをしょっちゅう取り出してきたりするのも、老人の懐古趣味でしょうか。 **かいご【介護】** ○病人や老人などの世話をすること。[文例]〈病人の介護>病人の介護に必要なのは、愛情と忍耐[にんたい]でしょう。♠〈介護の手>寝たきりの老人には、どうしても介護の手が必要であった。♠(介護する>老人ホームの老人を介護できる人を探しています。 **かいこ【解雇】** ○従業員をやめさせること。首切り。[文例]〈解雇する〉就職はしたものの、無断欠勤ばかりしていたので解雇されてしまった。♠<解雇処分>犯罪を犯した社員は、むろん解雇処分となった。 **かいこう【開口】** ○ものを言うために口を開くこと。[文例]〈開口一番>久しぶりに会って、開口一番、「しわが増えたね。」とは、相変わらず口が悪いわ。 **かいこう【開港】** ○(通商・貿易のために)港を開くこと。[文例]〈開港する>安政[あんせい]一年、日米間に和親条約が結ばれ、下田[しもだ]・箱館[はこだて]の二港が開港された。 **かいこう【開校】** ○学校を創立すること。[文例]〈開校する〉新しい中学校は、来年四月に開校する予定だ。♠〈開校記念日>六月三十日はこの学校の開校記念日で、毎年休みになります。 **かいこう(邂逅)** ○出会うこと。出会い。めぐり合い。[文例]〈邂逅する>思い出の場所で、若者は死んだ恋人にそっくりの美しい女性と邂逅する。 **かいごう【会合】** ○人々が寄り集まること。集まり。寄り合い。[文例]〈会合がある〉明日、自治会の会合がありますから出席してください。♠〈会合を開く〉部員を集めて会合を開き、今後のクラブのあり方について話し合った。 **がいこう【外交】** ○外部との交渉。外国との付き合い。交渉。[文例]〈外交を絶つ>江戸幕府は鎖国政策をとり、中国・オランダを除く諸外国との外交を絶った。♠〈外交官〉父親が外交官だったので、小さい時からいろいろな国の生活を体験した。♠〈外交員>母は保険の外交員をしながら、ぼくたちを育ててくれました。 **かいこく【戒告】(誠告)** ○規則や命令に従うようにいましめ、注意すること。[文例]〈戒告を受ける〉ストに参加した職員は、全員戒告を受けた。♠ヘ戒告を出す〉すみやかな報告書の提出を求める戒告が出された。♠〈戒告処分〉市は、市民から告発のあった職員を戒告処分にした。 **がいこく【外国】** ○よその国。[文例]〈外国へ行く>若いうちに外国へ行って、いろいろと見聞を広めたいと思っている。♠<外国語>日本語と外国語とを比べてみると、いろいろな点で大きな違いがあります。♠〈外国人〉日本を愛した外国人は、少なくありません。 **がいこつ(骸骨)** ○骨になった死体。[文例]古墳[こふん]の中から、古代人のものと思われる骸骨が発見された。♠病人はやせ細り、まるで人間の皮をかぶった骸骨のようであった。 **かいごろし【飼い殺し】** ○役に立たないものを死ぬまで飼うこと。実力を発揮できない状態で雇い続けること。[文例]〈飼い殺しにする〉もうとても馬車など引けませんが、この馬はこのまま飼い殺しにしようと思います。♠すぐれた能力を持ちながら、万年係長だなんて、これじゃまるで飼い殺 <162> しだ。 **かいこん【悔恨】** ○くやむこと。くやみ、うらむこと。[文例]〈悔恨の念〉人の心を傷つけるような事を言わなければよかったと、深い悔恨の念にさいなまれた。♠〈悔恨の情>悔恨の情に駆られたわたしは、いてもたってもいられない気持ちだった。♠へ深い悔恨〉怠[なま]けていると、あとで必ず、しっかり勉強すればよかったと、深い悔恨にとらわれる。 **かいこん【開墾】** ○山野を切り開いて、田畑を作ること。[文例]〈開墾する〉人々は、荒れ地を開墾して、新しい生活を始めました。♠へ開墾地〉一年後、みんなで切り開いた開墾地にたくさんの作物が実った。 **かいさい【開催】** ○催しものを開くこと。[文例]〈祭りの開催>雪不足で、札幌[さつぽろ]の雪祭りも開催が危[あや]ぶまれている。♠〈開催にこぎつける〉村の人たちの協力で、やっと全村挙げての盆踊[ぼんおど]り大会の開催にこぎつけた。♠〈開催に踏みきる〉夕方まで小雨[こさめ]が残ったが、花火大会の実行委員会は、開催に踏みきった。♠へ開催する〉オリンピックは、四年に一度、夏と冬に開催されます。 **かいさい(快哉)** ○胸のすくようないい気持ちであること。痛快だと感じること。[文例]〈快哉を叫[さけ]ぶ〉ぼくたちの日ごろの不満を代弁したきみの発言には、快哉を叫びたい気持ちだった。 **かいざい【介在】** ○間にはさまるようにして存在すること。[文例]〈介在する〉両国の間に介在する多くの難問が解決されるには、まだ長い時間がかかりそうだ。♠へ金銭が介在する〉このような問題に金銭が介在するのは避けがたかった。 **かいさく【改作】** ○作り直すこと。また、そうされたもの。[文例]〈改作する>余興に今はやりの歌を改作して歌ったら、これが受けた。♠〈改作する〉作者は、ある英雄伝を改作し、自分の心の中にある理想的な人間を描[えが]いた。 **かいさん【解散】** ○集まったものが散り去ること。集団・組織を解消すること。[文例]九時に駅へ集合、三時に現地で解散とします。♠ヘグループが解散する〉音楽仲間でバンドを組んでいたが、解散して、メンバーはそれぞれの道を歩んでいる。♠へ衆議院が解散する>衆議院が解散し、総選挙が行われる。 **かいざん(改竄)** ○故意に字句や言葉を書きかえること。[文例]〈文章の改ざん>この文献の中の一部の文章が、後世の改ざんであることが明らかになった。♠〈改ざんする>定期券の期日を改ざんして、不正使用する人もいると聞きました。 **がいさん【概算】** ○おおまかに計算すること。およその計算。[文例]家の増築にかかるお金は、概算で二百万円といったところでしょう。♠〈概算する〉今度の旅行の費用を概算してみた。 **かいし【開始】** ○始まること。始めること。[文例]〈開始する〉今年は、県大会に出場することになっていたので、春から練習を開始した。♠〈試合開始>試合開始のホイッスルと同時に、コート内に緊張がみなぎった。♠〈戦争開始>戦争開始後は、言論に対する統制はますます厳しくなった。 **かいじ【開示】** ○中を開けて見せること。外部にはっきり示すこと。[文例]〈世界を開示する〉文学は、わたしたちにどんな新しい世界を開示してくれるか。♠〈理由を開示する〉弁護士は、容疑者を勾留[こうりゅう]する理由を開示するよう求めた。 **がいして【概して】** ○おおまかに言って。おおむね。およそ。だいたい。[文例]今回水揚げされたマグロは、概して小形だったようです。♠問題が全くないわけではないが、概して成功と言ってよいだろう。 **かいしゃ【会社】** ○営利を目的として事業を行うために従業員を集めた団体。[文例]〈会社に勤める〉息子は、大学を卒業し、四月からエヌエス商事という会社に勤めています。♠〈会社勤め〉父も兄も会社勤めなので、母と祖母が家のことから農業までしている。♠へ会社員>父はタクシーの運転手なので、普通の会社員と違って、日曜も家にいない日が多い。 **かいしゃ(膾炙)** ○広く世の人の口にのぼること。世に知れ渡っていること。[文例]〈人口に膾炙する「猿も木から落ちる」も「弘法[こうぼう]も筆の誤り」も、共によく人口に膾炙したことわざである。 **かいしゃく【解釈】** ○物事や文章の意味を解き明かすこと。[文例]〈文の解釈〉「ここではきものをぬぎなさい。」という文は、点を打つ場所によって、二通りの解釈ができる。♠〈解釈が分かれる〉この映画が名作であるかどうかは、人によって解釈が分かれます。♠へ解釈を下す〉いなくなったうさぎをめぐって、子供たちは、それぞれ勝手な解釈を下している。♠へ解釈をはさむ〉〈解釈をゆだねる〉作者は、この本に自分の解釈や意見をはさまず、読者に解釈をゆだねている。♠〈解釈をあやまる「情けは人のためならず」は、人に情けをかければいつか自分によい報[むく]いがあるという意味だが、解釈をあやまっている人が多い。♠へ気持ちを解釈する〉冷たくなったり、やさしくなったり、あの人の気持ちをどう解釈したらいいのか・・・・・・。♠〈都合よく解釈する〉あの人は、どうも物事を都合よく解釈するくせがある。♠へ善意に解釈する〉彼女の欠席を善意に解釈すれば、皆に迷惑[めいわく]をかけたくなかったということになるだろう。 **かいしゅう【回収】** ○集めて元にもどすこと。[文例]〈廃品[はいひん]回収〉〈回収をする〉カンパを募ったり、廃品回収をしたりして、活動資金を集めた。♠〈回収する〉一週間後にアンケートを回収したが、回収率は四十パーセント足らずだった。 **かいしゅう【改修】** ○悪い所や傷[いた]んだ所を修理すること。[文例]〈川の改修〉大水害後、県はこの川の改修を始めた。♠〈改修する>旧道が改修され、新しい道路に生まれかわりました。♠〈改修工事>古い建物であちこち傷んできたので、改修工事が進められている。 **かいじゅう【怪獣】** ○怪しいけもの。正体不明の恐ろしい動物。[文例]わっ、怪獣の顔、と思ったら、大写しのクモの顔だった。♠キングコングやゴジラなどの出てくる怪獣映画が大流行した時があった。 **かいじゅう【懐柔】** ○うまく手なずけて従わせること。だき <163> こむこと。[文例] <懐柔する〉やつらは言葉巧[たく]みにわたしを懐柔しようとするが、そんな手には乗らない。♠へ懐柔策〉敵を手なずけるための懐柔策を練[かんじ?]っていた。 **がいしゅつ【外出】** ○外へ出かけること。[文例]〈外出をする〉近ごろは家にこもりっきりで、めったに外出はしません。♠<外出の許可〉患者は、外出の許可をもらわないと、外へでかけることはできません。♠〈外出から帰る〉外出から帰ってみると、父はすでに出かけたあとだった。♠へ外出を禁止する〉この国は戒厳令[かいげんれい]がしかれていて、夜間の外出は禁止されています。♠〈外出する>冬場は、雪に閉じこめられるし、特に外出する機会もありません。♠〈外出中〉社長は外出中ですが、何かおことづけがございましたら、おうかがいいたします。 **かいしゅん(改俊・悔俊)** ○くいあらため、心をいれかえること。[文例]〈改悛[かいしゅん]の情を示す〉被告のこの発言は、罪に対する改悛の情を示したものとして、判事によい印象を与えた。 **かいじょ【解除】** ○(制限・禁止などの処置を)とりのぞくこと。とりやめること。[文例]〈警報が解除になる〉大雨洪水[こうずい]警報が解除になったので、川沿いに住む人たちは胸をなでおろした。♠〈解除する〉違反行為[いはんこうい]を犯した場合、この契約[けいやく]は解除されます。♠〈武装解除>占領軍[せんりょうぐん]が進駐[しんちゅう]して、陸海軍を武装解除していった。 **かいしょう【快勝】** ○気持ちのよい勝ち方をすること。[文例]〈快勝する〉一回戦は、五対○で快勝した。♠二位をぐんと引き離しての快勝であった。 **かいしょう【改称】** ○名称を改めること。[文例]〈改称する〉昭和十六年に小学校は国民学校と改称されたが、二十二年のは再び小学校となった。 **かいしょう【解消】** ○消えてなくなること。消してなくすること。とりやめて元にもどすこと。[文例]〈解消する〉、愛し合っていたはずの二人が、どうして婚約[こんやく]を解消してしまったのだろう。♠ヘストレス解消〉みんなでおしゃべりするのが、けっこうストレス解消になるのだ。♠へ発展的解消〉この会は解散しますが、全市的な新しい会が結成されるので、これは発展的解消といえます。 **かいしょう(甲斐性)** ○たよりがい。生活能力。[文例]〈甲斐性がある。ない〉おれにもっと甲斐性があったら、お前にも楽をさせてやれるのになあ。♠<甲斐性なし>あんたも、甲斐性なしの亭主[ていしゅ]と一緒[いつしよ]になったばっかりに、苦労するねえ。 **かいじょう【海上】** ○海の上。また、海の上空。[文例]〈東の海上〉心配した台風が予想以上に早く東の海上に去[さ]り、今日は絶好の運動会日和[びより]になった。♠〈海上に出る>ボートをこいで暗い海上に出ると、やがて月が昇[のぼ]り、波が銀色に輝[かがや]き始めた。♠<荒[あ]れ狂[くる]う海上>夜が明け始めたころ、荒れ狂う海上を見渡[みわた]した漁師[りょうし]は、沖合[おきあい]に難破船を認めた。 **かいじょう【階上】** ○階段の上。[文例] <階上の住人〉マンションの階上の住人が、ときどきベランダからゴミを捨てたりするので困る。 **かいじょう【会場】** ○会を開く場所。[文例]〈展覧会の会場〉展覧会の三日間、会場には大勢の客がつめかけ、大盛況[だいせいきょう]だった。♠へ会場を借りる>市役所の前庭に会場を借りて、チビッコ祭りを開きました。 **かいしょく【会食】** ○人が集まって、一緒に食事をすること。[文例]〈会食する〉久しぶりに仲の良かった同級生が集まって、レストランで会食(を)しました。 **かいしん【会心】** ○心にかなうこと。[文例]〈会心の作〉これは、わたしがいちばん気に入っている絵で、わたしの会心の作です。♠へ会心の笑み〉わなにかかったきつねを見ると、猟師は、思わず会心の笑みをもらした。♠へ会心の笑み〉すばらしい演技を終えると、選手は会心の笑みを浮かべて、観衆の拍手[はくしゅ]にこたえた。♠〈会心のレース>他を寄せつけない圧倒的[あつとうてき]な勝利で、まさに会心のレースだった。 **かいしん【改心】** ○悪い心を改めること。心を入れかえること。[文例]〈改心する〉父親が命がけで自分を救ってくれたことを知り、少年は改心した。♠〈改心する〉やくざなその男も、今は改心してまじめに働いている。 **かいじん(灰燼)** ○灰と燃え残り。[文例]〈灰燼に帰する〉東京は、終戦までに実に百二回の無差別爆撃[ばくげき]に見舞われ、ほとんど灰燼に帰した。♠〈灰燼と化する〉数々の貴重な資料は、敵の手によって焼き尽くされ、灰燼と化したのである。 **がいじん【外人】** ○外国人。[文例]外国人の中には、外人という呼び方を嫌う人もいるので、注意が必要です。♠日本を訪れる外人観光客の数は多い。♠球団には外人選手も何人かいます。 **かいすい【海水】** ○海の水。[文例]〈海水の汚染〉オイルショック後は、コンビナートの操業ダウンで、海水の汚染が弱まった。♠へ海水の塩分[えんぶん]>瀬戸内海[せとないかい]には、周囲から河川水が流れこんでいて、海水の塩分は薄[うす]い。 **かいすう【回数】** ○一回、二回と数える数。度数。[文例]〈回数が増す〉有珠山[うすざん]のふもと一帯の地震は続いて起こり、強さも回数も日ごとに増していった。♠〈回数を重ねる〉人前で話すのも、初めのうちはあがったが、回数を重ねると慣れて平気になるものだ。♠〈回数券〉そのつど乗車券を買うより、回数券を購入[こうにゆう]したほうが便利で得です。 **がいすう【概数】** ○大体の数。おおよその数値。[文例]ふつう、長い距離は、百マイルとか百キロメートルのように概数で表します。♠五十年というのは概数で、正確には四十九年と八か月です。 **かい・する【解する】** ○理解する。解釈する。[文例]〈風流を解する>風流を解しない者に、わしが作ったこの歌のよさは分からんじゃろうな。♠へ文章を解する〉辞書も引かずに、この難しい英文を解することができるとは大したものだ。♠〈皮肉に解する〉わたしは心からそう思って褒[ほ]めたのだが、彼は皮肉に解したらしい。 **かい・する【介する】** ○間に挟む。なかだちとする。心にかける。『[文例]外国との貿易を介して、「パン」「タバコ」などが、外来語として現物と共に入ってきた。♠へ人を介する〉知人を介して、娘に結婚話があった。♠<意に介する〉バスの中で老人が立っていても、座っている人は別に意に介する様子もない。困ったものである。 <164> **かい・する【会する】** ○寄り集まる。出合う。一つになる。[文例]〈一堂に会する〉この日、雨天をついて、全国の民権思想家が一堂に会したのである。 **がい・する【害する】** ♪がい **かいせい【快晴】** ○よく晴れ渡ること。[文例]天気を心配したが、遠足の当日は、雲一つない快晴だった。♠ぼくの心は、快晴の空のように晴れ晴れとしていた。 **かいせい【改正】** ○改め正すこと。[文例]〈改正する〉規約を改正する場合、総会にはかり、過半数の賛成を得る必要があります。♠ヘダイヤ改正>新幹線の開通に伴[ともな]い、列車の大幅[おおはば]なダイヤ改正が行われた。 **かいせつ【解説】** ○内容をわかりやすく解いて、説明すること。[文例]〈本の解説〉本の解説を読むと、内容や作者についての知識を深めることができる。♠〈新聞の解説>新聞の解説によれば、選挙に対する人々の関心は、かなり薄[うす]いということだ。♠〈解説を加える〉相撲[すもう]にくわしい父が、テレビで取組を見ながら、解説を加えてくれた。♠へ解説を聞く〉テレビで解説を聞きながら野球を見るのに慣れると、解説抜きで本物を見るともの足りない。♠〈解説を施[ほどこ]す〉新聞には、簡単な解説を施した天気予報が毎日のります。♠へ解説する〉シェークスピアについて少し解説すると、『ハムレット』を書いたイギリスの代表的な文学者です。♠ヘニュース解説>テレビのニュース解説を見ると、世界の出来事や社会の動きがよく分かる。 **かいせつ【開設】** ○施設・機関などを新しく作ること。[文例]〈施設を開設する〉村にも図書館や児童館が開設され、子供たちは大喜びです。♠〈研究所を開設する>企業は、研究開発に力を入れるために研究所を開設した。 **かいぜん【改善】** ○悪いところを改めて、よりよくすること。[文例]〈生活を改善する〉不規則な生活を改善するために、一日の時間割りを作ってみた。♠く待遇を改善する>働く女性が多くなり、女性の待遇も、昔よりずっと改善されている。♠へ改善の余地〉きみのように肉しか食べないという偏食[へんしょく]家には、食生活改善の余地があるね。♠〈教育制度の改善>受験戦争に苦しむ子供たちのために、父母や教師の間で、教育制度の改善が叫[さけ]ばれている。♠〈改善を加える〉建物は古いが、水道の設備に改善を加えさえすれば、まだ十分住めそうだ。♠へ事態の改善〉〈改善を図る〉駅前広場に自転車があふれ、歩きにくいので、早急に事態の改善を図ってほしい。 **がいせん(凱旋)** ○戦いに勝ち、かちどきをあげて帰ること。[文例]<凱旋する〉ヨーロッパ戦線で決定的な勝利を収めた将軍が故国に凱旋しました。♠へ凱旋公演〉ニューヨークで好評を博[はく]した劇団が、凱旋公演と銘打[めい]って公演するそうです。 **がいぜん(蓋然)** ○物事の起こる度合い。物事が確かに起こりそうに思われること。[文例]〈蓋然性〉そういう危険があるという蓋然性の問題として、わたしは警告を発しているのです。♠へ蓋然性が高い〉この事件が基[もと]となって社会不安を引き起こす蓋然性はきわめて高い。 **かいそう【回想】** ○過去のことを思い起こすこと。回顧。追想。[文例]〈回想にふける〉思い出の地に立った母は、時のたつのも忘れて、亡[な]き父の回想にふけっているようだ。♠〈回想の場面〉この映画は、主人公の回想の場面と現実の場面とが交互に出てくるので混乱してしまう。♠◇<回想の形式で書く〉作家の回想の形式で書かれた赤裸々[せきらら]な自伝的小説を、興味深く読んだ。♠へ回想する>老人は、古い写真を眺[なが]めながら、遠い昔を回想していた。 **かいそう【階層】** ○建物の階の上下の重なり。社会を構成する人々の層。[文例]〈幅広い階層『万葉集』には、天皇から民衆に至る幅広い階層の人々の、素朴[そぼく]でおおらかな作品が収められている。♠へ低所得者階層〉今度の税制改革で、低所得者階層にいっそうの負担が強いられそうだ。 **かいそう【改装】** ○店などの装飾や物の配置をかえること。もようがえ。[文例]〈改装する>角の八百屋さんが改装されて、二階が喫茶店[きっさてん]になっていた。♠<店内改装>二十日から一週間、店内改装のための売り尽くしセールを行います。 **かいぞう【改造】** ○つくり直すこと。つくりかえること。[文例]〈小屋を改造する〉物置小屋を改造した研究室で毎日研究に明け暮れた。♠〈自然を改造する>人間は自然に適応しているだけでなくそれを改変し、改造して、生活の場を作り出している。♠〈内閣改造〉相も変わらぬ顔ぶれを集めて、内閣改造が行われた。 **かいぞえ【介添え】** ○付き添って世話をすること。また、その役をする人。[文例]〈花嫁の介添え〉〈介添えをする〉花嫁の介添えをしたのは、親戚のさっちゃんだった。♠<介添え人>病気がよくなり、今は介添え人なしで一人で外出もできるようになった。 **かいたい【解体】** ○ばらばらに分解すること。組織などをばらばらにすること。[文例]〈解体する〉古い建築物を解体していくうちに、昔の人の知恵と工夫のあとがわかった。♠〈解体作業>実測調査を終わり、古い石橋の解体作業にかかった。 **かいたく【開拓】** ○原野や荒れ地を切り開くこと。新しい分野を切り開くこと。[文例]〈アメリカの開拓〉姉妹は、アメリカの開拓の歴史の中で、おおらかにたくましく成長して行った。♠へ開拓する〉江戸時代の蘭学者[らんがくしゃ]たちは、多くの困難を乗りこえて新しい学問を開拓していった。♠〈開拓者〉開拓者たちは、大自然を相手に困難を乗り越えながら、新しい町を築いていった。 **かいたたく【買いたたく】(買い叩く)** ○できるだけ値切って買う。[文例]へ商品を買いたたく〉現金を欲しがっているこちらの足元を見て、商品をずいぶん安く買いたたかれた。 **かいだん【会談】** ○会って話し合いをすること。[文例]〈会談を開く>米ソ首脳会談は、来月三日からワシントンで開かれる。♠へ会談する〉来日した商務長官は、首相や通産相らと会談する予定である。 **かいだん【階段】** ○上下の階をつなぐ、段々になった通路。順 <165> 序づけられた等級。[文例]<階段を上がる〉二階で大きな音がしたので、急いで階段を駆け上がった。●〈出世の階段〉〈階段を上る〉彼[かれ]は、一歩一歩順調に出世の階段を上っていった。●へ階段を踏みはずす〉階段を踏みはずして、足をくじいてしまった。 **かいだん【怪談】** ○化け物の出てくる話。恐ろしい話。不思議な話。[文例]一人の老人がこの島に伝わる不気味な怪談を聞かせてくれた。♠かぎのかかった机から書類が紛失[ふんしつ]したなどという怪談めいた話はよしてくれよ。 **かいちく【改築】** ○建物の全部または一部を建て直すこと。[文例]〈改築する〉娘夫婦と同居するのを機に、家を改築することにした。●改築中の図書館が、ようやくできあがった。 **かいちゅう【懐中】** ○ふところの中。[文例]役人が調べてみると、旅の行商人の懐中から短刀が出てきた。●へ懐中時計〉紳士は、胸のポケットから懐中時計を取り出し、時間を見た。 **かいちょう【快調】** ○調子がよいこと。物事が順調に運ぶこと。[文例]〈エンジンが快調〉立ち往生[おうじょう]した車のエンジンが再び快調になった。●へ快調な滑[すべ]り出し>母が始めた美容院は、客の入りがよく、快調な滑り出しだと喜んでいる。♠〈快調に運ぶ〉試合は快調に運んでいたが、九回裏にミスが続出して、わが校の負けとなった。●〈快調に走る〉快調に走っていた優勝候補のランナーが、急にバランスをくずして転んだ。●へ体が快調〉連日の猛暑[もうしよ]にもめげず、ぼくの体は、いたって快調だ。 **かいつう【開通】** ○交通・通信などが通じること。[文例]<鉄道の開通〉新幹線の開通によって、故郷へ帰るのもぐんと便利になった。♠ヘトンネルの開通〉新トンネルの開通を祝って、記念式典が行われた。●〈開通する〉村に電話が開通したのは、たしか昭和二十六年だったと思う。 **かいつま・む(掻い摘まむ)** ○要点をおおまかにとらえる。[文例]〈かいつまんで話す〉ぼくは、計画の要点をかいつまんで仲間に話した。●〈要点をかいつまむ〉時間がありませんので、要点をかいつまんでお話しします。 **かいてい【海底】** ○海の底。[文例]〈海底に沈[しず]む>黄金[おうごん]を積んだ船が日本海の海底に沈んでいるといううわさだ。♠<海底の調査>海底の調査が進むと、様々な資源の存在も明らかになるでしょう。 **かいてい【改定】** ○従来のものを改めて、新しく定めること。[文例]〈改定する〉この四月から鉄道運賃が改定される予定です。 **かいてい【改訂】** ○書物などの内容を改め正すこと。[文例]〈改訂する〉教科書は、三年ごとに改訂することになっています。●〈改訂版〉愛用している国語辞典の改訂版が出されたので、さっそく買ってきた。 **かいてき【快適】** ○心にかなって、気持ちがよいさま。[文例]〈旅が快適〉初めての空の旅は、お天気にも恵[めぐ]まれて富士山もよく見え、快適だった。●〈住むのに快適〉眼下に海を見る高台は、景色も気候もよく、住むのに快適な土地だ。♠<快適な乗り心地〉さすがに新車だけあって、実に快適な乗り心地だ。●〈快適に過ごす〉夏休みは、伊豆にあるおじの別荘[べっそう]で、泳いだり、魚を釣ったりして快適に過ごした。 **がいてき【外敵】** ○外部からの敵。[文例]〈外敵を防ぐ>昔、中国では、町全体を城壁[じょうへき]で囲み、外敵を防ぎました。♠へ外敵の侵入>元寇[げんこう]は、日本が初めて外敵の侵入[しんにゅう]を受けた戦いだった。 **かいてん【回転】** ○くるくる回ること。[文例]〈エンジンの回転〉〈回転を速くする〉エンジンの回転を速くすれば、ますますスピードが出るはずだ。●へ回転を始める〉スイッチを入れると、モーターがうなり声をあげて回転を始めた。♠〈頭の回転が速い〉あの少年は頭の回転が速いので、打てば響[ひび]くように、すぐ答えが返ってくる。●へ商品の回転がよい〉はやっている店は、商品の回転がよくて、品物がいつも新鮮だ。♠へ羽根が回転する>風に向かって走ると、風車の羽根が回転しだした。♠〈回転競技〉スピード・スケートが終わると、テレビは次に、スキーの回転競技を映しだした。 **かいてん【開店】** ○新しく店を開くこと。その日の商売を始めるために店をあけること。[文例]〈開店・閉店〉このデパートの開店は十時、閉店は七時です。♠〈開店する〉先週駅前に大きなマーケットが開店しました。 **ガイド** ○案内すること。案内人。手引き。目安。[文例]〈山のガイド>ヨハンは、アルプスで二十年間ガイドをしてきた。♠ヘガイドブック〉旅行ブームで、旅のガイドブックがよく売れています。♠ヘガイドライン〉政府は、インフレ防止のために消費者物価上昇のガイドラインを決定した。 **かいとう【回答】** ○質問や要求に対する返答。[文例]〈回答を求める>組合は会社に対して、ベースアップ要求の回答を求めた。●ヘアンケートの回答〉アンケートの回答を集計して、次の企画の参考にしよう。♠<回答する〉この案に賛成か反対か、明日までに回答してください。 **かいとう【解答】** ○問題や疑問に答えること。また、その答え。[文例]〈テストの解答〉テストで解答を誤った問題を、もう一度やり直してみました。♠◇<問題の解答>次の問題の解答を解答欄に書きなさい。♠〈解答を見いだす〉人は、その人生において、すぐには解答を見いだせない疑問を抱くことがしばしばあります。 **かいどう【街道】** ○主要な地点を結ぶ主要な道路。大きな通り。[文例]〈街道が通じる〉隣の町まで、大きな街道が通じています。●へ木會街道>木曾街道にはかつて十一の宿駅[しゅくえき]があり、旅人に利用されていました。♠〈出世街道>彼は出世街道をまっしぐらに進んで、挫折[ざせつ]を知らずに生きてきた男だ。●へ人生の裏街道>人生の裏街道ばかり歩いてきた俺[おれ]だが、ようやくおてんと様の下を堂々と歩ける身分になった。 **がいとう(外套)** ○上着の上に着る長めの衣服。オーバーコート。[文例]〈外套を着る〉古い外套を着た老人が、公園のベンチに寒そうにすわっていた。●街角で人待ち顔の男は、ちらつき始めた雪に外套の襟[えり]を立てた。 **がいとう【街頭】** ○町なか。町の路上。[文例]ボランティア <166> の人たちは、街頭で募金[ぼきん]を募[つの]ることにした。●へ街頭演説〉投票日が近くなると、駅の周辺では立候補者が入れかわり立ちかわり街頭演説をします。 **がいとう【街灯】** ○街路を照らすための照明。[文例]<街灯の光>街灯の光で、すれ違った男の人の顔がはっきり見えました。●〈街灯がつく〉クラブ活動を終えて帰るころには、あちこちで街灯がつき始めます。 **がいとう【該当】** ○あてはまること。適合すること。[文例]〈該当する〉下記の事項に該当する者は、ただちに事務室に届け出るように。●〈該当者〉これらの条件の該当者は、受付までおいでください。 **かいどく【解読】** ○読み解くこと。読んで内容を明らかにすること。[文例]〈暗号を解読する>探偵[たんてい]は暗号を解読すると、犯人を捕らえるためにわなを仕掛けた。●へ文字を解読する〉古代エジプト文字を解読しようと、多くの人が試行錯誤[しこうさくご]を重ねてきました。 **がいどく【害毒】** ○害になるもの。悪い影響を及ぼすもの。[文例]〈害毒を流す〉その本は、世の中に害毒を流すというので、発売禁止になった。♠へ文明の害毒〉人間は文明の害毒に汚れて、次第に自然を忘れていくようです。 **かいなら・す【飼い慣らす】(飼い馴らす)** ○動物を飼って、なつくようにする。手なずける。[文例]〈動物を飼い慣らす〉野生の動物を飼い慣らすのは容易なことではない。♠あんなに権力に反発していた彼[かれ]がいつの間にやら飼い慣らされて、今ではすっかり太鼓持[たいこも]ちだ。 **かいにゅう【介入】** ○間に入ってくること。中に割り込むこと。[文例]〈介入する〉両国の紛争[ふんそう]にアメリカとソ連が介入して、事態はますます複雑化した。♠〈政治の介入>市民運動には、できるだけ政治の介入を避けたいものだ。●へ軍事介入>近隣[きんりん]諸国の軍事介入によって、戦争は次第に拡大していった。 **かいねこ【飼い猫】** ○家で飼われているネコ。[文例]まい込んだ猫は飼い猫だったらしく、毛並みもきれいでしつけもきちんとしていた。●〈飼い猫のよう〉今日の彼は、いつもとちがって飼い猫のようにおとなしく、隅[すみ]のほうでじっとしている。 **かいひ【回避】** ○避けること。まぬかれようとすること。[文例]〈衝突を回避する>意見の衝突を回避せずに、この際、徹底的にぶつかり合ってみたらどうだろう。♠ヘストを回避する>労使間で合意が成立し、すんでのところでストは回避された。♠<責任回避〉メンバーのほとんどが責任回避をはかったので、彼は一人で非難の矢面[やおもて]に立った。 **がいねん【概念】** ○言葉の意味内容。多くの事柄に共通する意味。物事についての考え方。[文例]〈美の概念>「何が美しいか」という美の概念は、時代により、民族により、また、人によって千差万別[せんさばんべつ]である。●へあやまった概念>「自由」という言葉は、時としてあやまった概念を与える場合がある。●〈ぼんやりした概念〉入学したばかりのぼくは、これから学ぶ経済学についてぼんやりした概念しか持っていなかった。●へ語の概念〉初めてパンが日本に入ってきた時、「パン」という語の概念にあてはまる日本語はなかった。♠<概念が変わる〉この豊かな時代においては、苦学生を連想させた「アルバイト」の概念も変わりつつあります。●へ概念的〉彼[かれ]の「平和論」は、現在の世界情勢からみると、概念的で現実性にとぼしいように思える。 **かいはつ【開発】** ○未開の資源を利用できるようにすること。潜在していたものを引き出すこと。新しく作り出すこと。[文例]〈国土の開発〉〈開発が進む〉国土の開発が進んだため、野生の生物のあるものには、絶滅[ぜつめつ]の恐れが出てきた。♠<開発が遅れる〉最も開発が遅れていたこの島も、最近の開発ブームで、観光地化してきた。●〈開発に尽[つ]くす>祖父は村長として、長年、郷土の開発に尽くした。●〈開発の波〉開発の波が郊外[こうがい]へも押し寄せ、丘を切りくずして、大団地が建設された。♠◇<開発の手がのびる〉取り残されたような山奥[やまおく]にも開発の手がのび、自動車道が完成した。●へ薬を開発する〉今はいい薬が開発されているから、安心して早く治してください。●く能力を開発する>この学校では、子供たちの能力を引き出し、開発する教育をモットーにしている。 **かいばつ【海抜】** ○海面からの高さ。[文例]富士山[ふじさん]は海抜三七七六メートルです。●ぽくの夢は、アルプス最高の山、海抜四八一〇メートルのモンブランに登ることです。 **がいぶ【外部】** ○外側の部分。組織や集団の外。[文例]<外部からの刺激[しげぎ]>皮膚が外部からの刺激を受け取るのは、皮膚にある受容器のはたらきによる。●〈内部と外部〉この商品は、外部を見ただけではわかりませんが、内部には大変すぐれたしかけをもっています。●へ外部に現れる〉外部に現れないだけで、あの会社の中ではいつも争いが絶えないという。●〈外部にもれる〉このことは会社だけの秘密とし、外部には絶対にもれないようにしたい。●〈外部の人>重大なことを話し合う会議ですので、外部の人は入らないでください。 **かいふう【開封】** ○手紙などの封を開くこと。[文例]〈手紙を開封する〉いくら親でも、ぼくあての手紙を勝手に開封するなんてひどいよ。 **かいふく【回復】(恢復)** ○元の状態にもどること。元通りにすること。[文例]〈病気の回復〉〈回復が遅れる>祖父は、年をとって体が弱っているので、手術ができず、病気の回復が遅れている。♠<回復が早い〉彼は若いので、激しい労働をしても、疲労[ひろう]の回復が早い。♠へ回復の見こみ〉猛吹雪[もうふぶき]のため、列車のダイヤは、回復の見こみがたちません。●へ信用を回復する〉一度失った信用を回復するのは、たいへん難しい。●へ景気が回復する〉ここ数年、不景気が続いていたが、 <167> ようやく景気が回復するきざしが見え始めた。●へ意識が回復する>手術の後、一時間ぐらいで母の意識が回復した。♠<天候が回復する〉天候が回復したら下山することにして、山小屋でゆっくり休養をとった。●〈失地回復〉うすくなった頭の失地回復を図[はか]って、養毛剤を買いこんだ。 **かいぶつ【怪物】** ○化け物。えたいの知れない物。とびぬけた能力をもち、それがどこからくるか理解できないような人物。[文例]少年は、村人を脅[おびや]かしている怪物を退治しようと、一人で山へ入った。●〈財界の怪物〉彼は、その胸ひとつでいくつもの会社を生かすも殺すもできるという、財界の怪物だ。 **がいぶん【外聞】** ○人に知られること。外の人の評判。聞こえ。世間体。[文例]〈恥[はじ]も外聞もない〉人ごみの中で、母親は恥も外聞もなく、迷子になったわが子の名前を呼んだ。●〈外聞を気にする>自分の考えを貫[つらぬ]くためには、外聞を気にしていてはだめだ。●〈外聞をはばかる〉たちの悪いはやり病が発生したのに、村人たちは外聞をはばかって隠しとおそうとした。♠<外聞を作る〉家がらだの地位だのと、外聞を作らなければならないなんて大変です。●〈外聞が悪い〉子をなぐると言えば外聞は悪いが、親としての愛情がこもっているかどうかが問題なのです。 **かいへい【開閉】** ○あけることとしめること。あけしめ。あけたて。[文例]〈ドアの開閉〉ドアの開閉は静かに行ってください。♠<窓の開閉〉出窓に次々に物を置くので、窓の開閉が不自由で仕方がない。 **かいへん【改変】** ○元と違ったものにすること。変更。[文例]〈組織を改変する〉この会社は、組織をめまぐるしく改変するので、いつまでたっても社員が仕事に慣れない。 **かいへん【改編】** ○編集し直すこと。編成し直すこと。[文例]〈本を改編する〉この本は、内容が古[ふる]くなったので、改編して出版しなおすことになった。 **かいほう【開放】** ○あけ放しにすること。自由に出入りできるようにすること。[文例]〈窓を開放する〉ガスくさいから、すぐ元栓を締めて、窓や戸を全部開放しなさい。♠<施設を開放する〉今年から、町の小・中学校の体育館やプールを、地域の人々に開放することになった。●〈開放的〉わたしの家庭は開放的で、何でも隠さずに話し合うから、親子の断絶[だんぜつ]なんてありません。♠<門戸開放〉ぼくの家は門戸開放主義だから、いつでも気軽に遊びにこいよ。 **かいほう【解放】** ○とき放つこと。束縛[そくばく]をとくこと。自由にすること。[文例]〈解放する〉アメリカ大統領リンカーンは、奴隷[どれい]を解放した人として有名です。●へ祖国の解放〉一九六○年は、祖国の解放を願っていたアフリカの十七か国が独立したので、アフリカの年とよばれる。♠<解放感>夏休みは解放感から、とかく生活が乱れ、非行に染まる中学生もいるようだ。 **かいほう【快方】** ○病気[やまい]やけががよくなること。[文例]〈快方に向かう〉母の病気は少しずつ快方に向かっています。 **かいほう【介抱】** ○病人やけが人の世話をすること。看病。[文例]〈介抱する〉高熱にあえぐわたしを、母は寝ずに介抱した。 **かいぼう【解剖】** ○生物の体を切り開いて、内部を調べ明らかにすること。細かに分析すること。[文例]〈カエルの解剖>今日、理科の時間にカエルの解剖をやった。●へ死体を解剖する>死因がはっきりしないので、警察では被害者[ひがいしゃ]の死体を解剖することにした。●〈心理を解剖する〉登場人物の心理を解剖し、追いつめられた人間の心の動きを探ってみた。 **かいまく【開幕】** ○幕をあけること。幕があくこと。物事が始まること。幕あき。[文例]〈芝居の開幕〉芝居の開幕を知らせるベルが鳴ると、ざわついていた客席は水を打ったように静かになった。♠ヘオリンピックの開幕〉世界中の若者が一堂に会して、いよいよオリンピックの開幕である。●へ開幕する〉プロ野球の公式戦は、今年は四月八日に開幕する。 **かいま・みる(垣間見る)** ○すき間からのぞいて見る。ちらっと見る。こっそり見る。[文例]〈物陰からかいま見る>若者げんぱく]は、物陰からかいま見た娘の姿に、すっかり心を奪われてしまった。♠へ実態をかいま見る〉これらの報告から、日本人の旅行先での実態をかいま見ることができる。♠わたしたちは、知識の宝庫を、さまざまな本を通してかいま見ることができます。 **かいみょう【戒名】** ○仏教で死者につけられた名。法名。[文例]〈戒名を付ける〉仏教では、死んだ人には生きていた時の名前とは別に戒名を付けます。 **かいむ【皆無】** ○全く無いこと。[文例]〈知識が皆無〉わたしは法律に関する知識は皆無なので、よろしくお願いします。♠<皆無に等しい>懸命[けんめい]に参加を呼びかけたにもかかわらず、出席者は皆無に等しかった。♠<皆無に近い>消息を絶ってから一か月も発見されないところをみると、生存の可能性は皆無に近い。 **かいめい【解明】** ○ときあかすこと。[文例]〈なぞの解明>過去のなぞの解明を行い、未知の世界に挑[いど]むことは、人類の知的所有の発露[はつろ]である。♠へ解明する>飛行機の墜落事故の原因を解明しようと、捜査陣[そうさじん]は全力を尽くした。 **かいめつ【壊滅】(潰滅)** ○完全に破壊されること。壊されてなくなること。[文例]〈壊滅の危機〉古代の遺跡[いせさ]が長年の風化作用で壊滅の危機に瀕[ひん]し、心配されている。♠へ壊滅する〉原爆で、広島の町は一瞬[いっしゅん]のうちに壊滅してしまった。●〈部隊が壊滅する〉敵の総攻撃[そうこうげき]を受けて、味方の部隊は壊滅してしまった。●へ壊滅的な打撃[だげき]>台風の連続で、畑の作物は、壊滅的な打撃を受けた。 **かいめん【海面】** ○海の表面。[文例]日はとっぷりと暮れて、海面には漁火[いさりび]がまたたき始めていた。♠<海面に出る〉潜水艦[せんすいかん]はゆっくりと浮上して海面に出た。 **がいめん【外面】** ○外側の面。うわべ。みかけ。[文例]〈外面を装[よそお]う〉実は足が震えていたのさ、外面は冷静を装っていたけれど。♠へ外面的な美しさ〉内面が充実すれば、外面的な美しさがもっとひきたつだろう。 **かいもく【皆目】** ○(打ち消しの形で)まったく。ぜんぜん。 <168> **かいもの** **か** **かいもの**【買い物】 ○物[もの]を買[か]うこと。買[か]った物[もの]。買[か]って得[とく]になる物[もの]。[文例]〈買[か]い物[もの]に行[い]く〉わたしは、クリスマスセールでにぎわうデパートに買[か]い物[もの]に行[い]きました。♠〈買[か]い物[もの]に出[で]かける〉母[はは]は、さっき買[か]い物[もの]に出[で]かけたところです。♠〈いい買[か]い物[もの]〉〈買[か]い物[もの]をする〉珍[めずら]しい骨董[こっとう]品[ひん]を安[やす]く手[て]に入[い]れた父[ちち]は、いい買[か]い物[もの]をしたとほくほく顔[がお]で帰[かえ]ってきた。 **がいや**【外野】 ○野球[やきゅう]で内野[ないや]の外[そと]の範囲[はんい]。また、そこを守[まも]る選手[せんしゅ]。当事者[とうじしゃ]をとりまく周[まわ]りの人[ひと]。[文例]〈外野[がいや]を守[まも]る〉一年[いちねん]のときは外野[がいや]を守[まも]っていたぼくは、二年[にねん]になって三塁[さんるい]手[しゅ]になった。♠〈外野[がいや]がうるさい〉当人[とうにん]同士[どうし]は結婚[けっこん]を冷静[れいせい]に考[かんが]えているのに、外野[がいや]がうるさくて閉口[へいこう]しているようです。 **かいゆう**【回遊】 ○あちこちを巡[めぐ]り歩[ある]くこと。魚[さかな]が群[む]れをなして規則[きそく]的[てき]に移動[いどう]すること。[文例]〈サケの回遊[かいゆう]〉ぼくたちは、サケの回遊[かいゆう]について詳[くわ]しく調[しら]べてみた。♠〈回遊[かいゆう]魚[ぎょ]〉渡[わた]りをする鳥[とり]がいるように、群[む]れをなして広[ひろ]い範囲[はんい]を移動[いどう]する魚[さかな]があり、それらを回遊[かいゆう]魚[ぎょ]と呼[よ]んでいます。 **がいゆう**【外遊】 ○外国[がいこく]へ旅行[りょこう]すること。外国[がいこく]を巡[めぐ]り歩[ある]くこと。[文例]〈外遊[がいゆう]から帰[かえ]る〉十日[とおか]間[かん]の外遊[がいゆう]から帰[かえ]った社長[しゃちょう]は、空港[くうこう]からまっすぐ本社[ほんしゃ]へ向[む]かった。♠〈外遊[がいゆう]する〉外遊[がいゆう]する首相[しゅしょう]には、約[やく]八十[はちじゅう]人[にん]の記者[きしゃ]団[だん]が随行[ずいこう]した。 **かいよう**【海洋】 ○広[ひろ]く大[おお]きな海[うみ]。大洋[たいよう]。海[うみ]。[文例]〈海洋[かいよう]を乗[の]り切[き]る〉海洋[かいよう]を乗[の]り切[き]ったヨットは、歓声[かんせい]につつまれて静[しず]かに入港[にゅうこう]してきた。♠〈海洋[かいよう]に乗[の]り出[だ]す〉ヨーロッパの国々[くにぐに]は早[はや]くから海洋[かいよう]に乗[の]り出[だ]し、南米[なんべい]やアジア、アフリカの各地[かくち]を植民[しょくみん]地[ち]として支配[しはい]した。♠〈海洋[かいよう]性[せい]気候[きこう]〉一般[いっぱん]に、大陸[たいりく]性[せい]気候[きこう]に比較[ひかく]して、海洋[かいよう]性[せい]気候[きこう]は寒暖[かんだん]の差[さ]が小[ちい]さいといえる。 **がいよう**【概要】 ○おおすじの内容[ないよう]。あらまし。大要[たいよう]。[文例]〈概要[がいよう]をつかむ〉話[はなし]の概要[がいよう]はつかめましたが、細[こま]かい点[てん]でわからないところがあります。♠〈概要[がいよう]を述[の]べる〉事件[じけん]の概要[がいよう]を述[の]べますので、質問[しつもん]があれば、後[あと]でしてください。 **がいらい**【外来】 ○外[そと]から来[く]ること。外国[がいこく]から来[く]ること。[文例]〈外来[がいらい]の患者[かんじゃ]〉この医院[いいん]では、二人[ふたり]の医者[いしゃ]が入院[にゅういん]患者[かんじゃ]と外来[がいらい]の患者[かんじゃ]を交替[こうたい]で診察[しんさつ]しています。♠〈外来[がいらい]の文化[ぶんか]〉日本[にっぽん]人[じん]は昔[むかし]から外来[がいらい]の文化[ぶんか]を上手[じょうず]に吸収[きゅうしゅう]し、生活[せいかつ]に取[と]り入[い]れてきました。♠〈外来[がいらい]語[ご]〉外来[がいらい]語[ご]のほとんどは、それぞれ国[くに]の文化[ぶんか]といっしょに入[はい]ってきます。 **かいらく**【快楽】 ○快[こころよ]い感覚[かんかく]。欲望[よくぼう]が満[み]たされた時[とき]の満足[まんぞく]。[文例]〈快楽[かいらく]にふける〉快楽[かいらく]にふけって、莫大[ばくだい]な遺産[いさん]を使[つか]い尽[つ]くしてしまった。♠〈快楽[かいらく]を追[お]い求[もと]める〉国王[こくおう]は、国民[こくみん]を忘[わす]れて快楽[かいらく]を追[お]い求[もと]めた。♠〈快楽[かいらく]を追求[ついきゅう]する〉それが幸福[こうふく]に結[むす]びつく快楽[かいらく]なら、とことん追求[ついきゅう]したまえ。♠〈快楽[かいらく]主義[しゅぎ]〉きみのような快楽[かいらく]主義[しゅぎ]者[しゃ]には、貧苦[ひんく]に耐[た]えることなどできないだろう。 **かいらん**【回覧】(廻覧[かいらん]) ○順々[じゅんじゅん]に回[まわ]して見[み]ること。順[じゅん]ぐりに見[み]て回[まわ]ること。[文例]〈文集[ぶんしゅう]を回覧[かいらん]する〉クラス全員[ぜんいん]の作文[さくぶん]を一[いっ]冊[さつ]の文集[ぶんしゅう]にして回覧[かいらん]しました。♠〈本[ほん]を回覧[かいらん]する〉おもしろい本[ほん]があると、わたしたちはよくグループで回覧[かいらん]します。♠〈回覧[かいらん]板[ばん]〉月[つき]に一[いち]、二[に]回[かい]、町内[ちょうない]の回覧[かいらん]板[ばん]が回[まわ]ってきます。 **かいらん**【壊乱】(潰乱[かいらん]) ○秩序[ちつじょ]・風俗[ふうぞく]などが崩[くず]れ乱[みだ]れること。また、崩[くず]し乱[みだ]すこと。[文例]〈秩序[ちつじょ]を壊乱[かいらん]する〉父母[ふぼ]の中[なか]から、一部[いちぶ]の生徒[せいと]の非行[ひこう]が校内[こうない]の秩序[ちつじょ]を壊乱[かいらん]しているという意見[いけん]が出[だ]された。♠〈風俗[ふうぞく]の壊乱[かいらん]〉戒厳[かいげん]令[れい]の下[もと]では、風俗[ふうぞく]の壊乱[かいらん]はきびしく取[と]り締[しま]られた。 **かいり**【乖離】 ○そむき離[はな]れること。[文例]〈理想[りそう]と現実[げんじつ]の乖離[かいり]〉どうして、理想[りそう]と現実[げんじつ]の乖離[かいり]が起[お]こるのか、幼[おさな]いわたしには理解[りかい]できなかった。♠〈乖離[かいり]する〉十六[じゅうろく]世紀[せいき]、すでに民心[みんしん]は時[とき]の王[おう]から乖離[かいり]し始[はじ]めていた。 **かいりつ**【戒律】 ○宗教[しゅうきょう]上[じょう]の規律[きりつ]。[文例]〈厳[きび]しい戒律[かいりつ]〉〈戒律[かいりつ]を守[まも]る〉トラピスト派[は]の修道院[しゅうどういん]は、厳[きび]しい戒律[かいりつ]を守[まも]ることで知[し]られています。♠〈戒律[かいりつ]を破[やぶ]る〉戒律[かいりつ]を破[やぶ]った僧[そう]は破門[はもん]になり、僧院[そういん]を追放[ついほう]された。 **がいりゃく**【概略】 ○あらまし。大略[たいりゃく]。[文例]〈活動[かつどう]の概略[がいりゃく]〉今年[ことし]一年[いちねん]間[かん]の、わがクラブの活動[かつどう]の概略[がいりゃく]を報告[ほうこく]します。♠〈事件[じけん]の概略[がいりゃく]〉今[いま]お話[はな]ししたことが、テレビや新聞[しんぶん]を騒[さわ]がせた今度[こんど]の事件[じけん]の概略[がいりゃく]です。♠〈概略[がいりゃく]と詳細[しょうさい]〉〈概略[がいりゃく]を記[しる]す〉今回[こんかい]の報告[ほうこく]は概略[がいりゃく]を記[しる]したにすぎませんので、詳細[しょうさい]は後日[ごじつ]プリントしてお配[くば]りします。♠新[しん]講堂[こうどう]の建築[けんちく]にかかる費用[ひよう]の見積[みつ]もりは、概略[がいりゃく]次[つぎ]のとおりである。♠わたしたちのグループが担当[たんとう]した作業[さぎょう]は、概略[がいりゃく]終[お]えることができた。 **かいりょう**【改良】 ○改[あらた]めて、良[よ]くすること。[文例]〈品種[ひんしゅ]改良[かいりょう]〉品種[ひんしゅ]の改良[かいりょう]が進[すす]み、北海道[ほっかいどう]のような寒[さむ]い地方[ちほう]でも、稲作[いなさく]が行[おこな]われるようになりました。♠〈改良[かいりょう]の余地[よち]〉新[しん]エネルギーとして注目[ちゅうもく]されている太陽熱[たいようねつ]も、実用[じつよう]化[か]には、まだまだ改良[かいりょう]の余地[よち]がある。♠〈改良[かいりょう]を加[くわ]える〉リンドバーグは、愛機[あいき]にいろいろ改良[かいりょう]を加[くわ]え、苦労[くろう]の末[すえ]、大西洋[たいせいよう]横断[おうだん]無着陸[むちゃくりく]飛行[ひこう]に成功[せいこう]した。♠〈改良[かいりょう]をほどこす〉試作[しさく]品[ひん]に改良[かいりょう]をほどこし、新[しん]製品[せいひん]ができあがりました。♠〈改良[かいりょう]を重[かさ]ねる〉最初[さいしょ]はごく簡単[かんたん]なしくみだった飛行機[ひこうき]が、改良[かいりょう]に改良[かいりょう]を重[かさ]ねて現在[げんざい]のジェット機[き]になった。♠〈改良[かいりょう]に努[つと]める〉豊田[とよだ]佐吉[さきち]は、織物[おりもの]機械[きかい]の改良[かいりょう]に努[つと]め、画期的[かっきてき]な自動[じどう]織機[しょっき]を完成[かんせい]した人[ひと]です。♠〈改良[かいりょう]する〉新[あたら]しく改良[かいりょう]されたコピーの機械[きかい]はとても使[つか]いやすい。 **かいろ**【回路】 ○電流[でんりゅう]などの流[なが]れる経路[けいろ]。[文例]〈電気[でんき]回路[かいろ]〉〈回路[かいろ]を開[ひら]く・閉[と]じる〉電流[でんりゅう]の通路[つうろ]を電気[でんき]回路[かいろ]といい、スイッチなどで電流[でんりゅう]を切断[せつだん]することを「回路[かいろ]を開[ひら]く」、接続[せつぞく]することを「回路[かいろ]を閉[と]じる」といいます。♠コンピュータに欠[か]かせない集積[しゅうせき]回路[かいろ]とは、超[ちょう]小型[こがた]の電子[でんし]回路[かいろ]で、ICと呼[よ]ばれている。 **かいろ**【海路】 ○海上[かいじょう]の道[みち]。航路[こうろ]。ふなじ。うみじ。[文例]〈海路[かいろ]をとる〉ここからは断崖[だんがい]の下[した]の悪路[あくろ]を行[い]くよりは、海路[かいろ]をとって、アプタの港[みなと]へまわるのがよい。♠〈待[ま]てば海路[かいろ]の日和[ひより]〉よしよし、こちらにつきが回[まわ]ってきたぞ、待[ま]てば海路[かいろ]の日和[ひより]ありだね。 **かいわ**【会話】 ○互[たが]いに話[はな]し合[あ]うこと。また、その話[はなし]。[文例]〈会話[かいわ]を交[か]わす〉あの人[ひと]は顔[かお]はよく知[し]っていますが、会話[かいわ]を <169> 交わしたことは一度もありません。●へ会話を楽しむ〉パーティーで出会った男性は非常に愉快[ゆかい]な人で、存分に会話を楽しみました。●〈英会話〉アメリカ旅行を計画している妹は、熱心に英会話を習っている。 **かいわい(界隈)** ○あたり一帯。付近。[文例]〈この界わい〉この界わいは、二十年前までたんぽだったのに、今ではぎっしり家が立てこんでいる。♠◇<駅の界わい>車が多くて危ないから、駅の界わいへ子供一人で行ってはいけませんよ。●〈わが家の界わい〉わが家の界わいは、閑静[かんせい]な住宅地で、昼間、人影を見ないこともあるくらいだ。●〈盛り場界わい〉父はときどき、盛り場界わいをはしご酒[ざけ]して、夜中に帰ってくる。 **か・う【飼う】** ○動物にえさを与えて養う。飼育する。[文例]〈羊・牛・馬を飼う〉この地方では、昔[むかし]から羊や牛や馬などを飼って暮らす人が多い。●〈人に飼われる〉よく訓練された犬でも、だめな飼い主に飼われると、手に負えなくなるそうだ。●〈池で飼う〉川で泳いでいるこいは、庭の池で飼われているこいより、自由で楽しそうだ。♠ヘミツバチを飼う〉飼っているミツバチで実験して、ぼくの考えが正しいことを確かめた。♠<用心棒を飼う〉よし、いざという時のために、強い用心棒を飼っておこう。 **か・う【買う】** ○代金を支払って手に入れる。進んで身に受ける。高く評価する。[文例]〈物を買う〉〈金で買う〉今は、物を金で買うが、大昔は、物々交換[ぶつぶつこうかん]が普通だった。●〈土地・家を買う〉高いローンで土地や家を買ったために、返済に苦しむ人が少なくない。●へけんかを買う〉売られたけんかを買うより、さっさと逃げたほうがりこうだ。●へ買って出る〉おせっかいなわたしは、つい憎[にく]まれ役まで買って出るので、損をする。●へ歓心[かんしん]を買う〉彼は、好きな女性の歓心を買うために、高価なプレゼントをせっせと贈り続けている。●〈恨みを買う〉人の恨みを買うようなそんなひどいやり方はやめなさい。●〈冷笑を買う〉皆[みな]に受けると思った冗談[じょうだん]が、反対にあきれられ、冷笑を買ってしまった。♠へ反感を買う〉あんまりでしゃばってばかりいると、周りの人の反感を買ってきらわれるよ。♠へひんしゅくを買う〉そんなことをすると、みんなのひんしゅくを買うってことが分からないの? ●へ努力を買う〉父は日ごろの努力が買われ、課長に昇進[しょうしん]したそうだ。●〈まじめさを買う〉彼はまじめさを買われて、人々の信用が厚い。♠人人柄[ひとがら]を買う〉あの人はあまり目立たないが、人柄は高く買われている。 **か・う(支う)** ○ささえる。つっかえるようにする。[文例]〈棒をかう〉大きなかごに短い突っかえ棒をかって米つぶをまき、棒にゆわえた縄[なわ]をもって小鳥がくるのを待った。●へ棒でかう〉雪でかしいだ山小屋の屋根は、太い棒でかってあった。●〈錠[じょう]をかう〉玄関の戸をピシャリと閉めると、錠をかった。 **かえ【替え・代え・換え】** ○かわりになるもの。かわりをするもの。[文例]ヘシャツの替え〉お母さん、雨に濡れたから、シャツの替えを出して。●へ代えを探す>相棒が風邪[かぜ]で寝こんだらしくて、代えを探してるんだが、おまえどうだい?♠〈代えがきく〉休んだのがリレーのアンカーとあっては、代えがきかない。●〈替え玉>入学試験などで、替え玉が受験するという話が、たまにあるようです。 **かえし【返し】** ○返すこと。お礼に返すこと。つり銭を返すこと。[文例]〈手首の返し>舞踊[ぶよう]では、手首の返しひとつにも、美しく見せるために細心の注意を払います。●へお返しをする〉結婚や出産のお祝いをもらったら、お返しをするのが習慣のようです。●〈二十円のお返し>九百八十円ですから、二十円のお返しですね。●へでんぐり返し>子犬は、きげんがよい時には、わたしたちにでんぐり返しをしてみせた。 **かえ・す【帰す・返す】(還す・反す)** ○元の場所・状態にもどす。上下や向きを反対にする。むくいる。もう一度やる。[文例]〈故郷に帰す〉お盆の休みなので、若い店員たちを故郷に帰しました。●へ魚を海に帰す〉せっかく釣った魚を、お父さんは、また海に帰してやりました。♠へ生徒を家へ帰す〉台風が接近中なので、学校では、生徒たちを家へ帰しました。♠へ借金を返す〉今月の小遣いの二千円から、友達に借金を返したら、あとには五百円しか残らなかった。♠<元に返す〉だまって持ち出した兄の本を、そっと元の場所に返しておいた。♠ヘ白紙に返す〉前回の結論は白紙に返して、最初から考え直しましょう。♠へ寄せては返す波>海辺のホテルに泊まったら、寄せては返す波の音が耳について、一晩中、眠[ねむ]れなかった。●へきびすを返す〉何を思ったのか、男は、その場できびすを返し、今来た道をもどりはじめた。♠〈恩をあだで返す>犬だって三日飼えば三年恩を忘れないというのに、恩をあだで返すなんて、犬にもおとるよ。♠<言葉を返す〉お言葉を返すようですが、その作戦ではとても勝てません。♠へ裏を返す〉忘れ物の本の裏を返すと、そこに名前が書いてありました。♠<手の平を返す〉父が死んだら、今までぺこぺこしていた人が手の平を返すようにいばりだした。♠<田をかえす〉まだ残雪は見られるが、田をかえす農夫の姿もあった。♠へとって返す〉行き過ぎたことに気がついて、あわててもと来た道をとって返した。♠へ読み返す〉やっと書きあげた作文を、悪いところはないか、念を入れて読み返してみた。 **かえ・す(孵す)** ○卵をあたためて、ひなや幼虫にする。孵化する。[文例]〈卵をかえす〉軒下[のきした]のツバメは、卵をかえすと、生まれたばかりのひなにせっせとえさを運び始めた。♠〈ひなをかえす>親鳥がひなをかえす努力は、なみたいていではありません。 **かえすがえす【返す返す】** ○くり返しくり返し。かさねがさね。くれぐれも。[文例]今度の不祥事[ふしようじ]は、返す返すも残念だ。●きみがあんな失敗をするとは、返す返すも嘆[なげ]かわしい。♠お母様、御病気なんですってね。返す返すもお大事に。 **かえって(却って)** ○反対に。逆に。[文例]本を読めと、あんまり強制されると、かえって本がきらいになるものです。●友達と大げんかをした後、かえって、前より仲良くなった。●高価な物だからといって遠慮[えんりょ]するのは、かえって失 <170> 礼になることもあります。●ちょっとしたけがですのに、そんなに心配していただいて、かえって申しわけありません。 **かえり【帰り】** ○帰ること。帰り道。[文例]〈帰りが遅い・早い〉あまり帰りが遅いとうちで心配しますから、そろそろ失礼します。●へ買い物の帰り〉魚屋さんに刺し身を頼んであるから、買い物の帰りに寄ってちょうだい。♠へ外国帰り〉外国帰りのおじは、ものの考え方が合理的です。 **かえりうち【返り討ち】** ○かたきを討とうとして、逆に討たれること。[文例]〈返り討ちにする〉敵討ちとはしゃらくさい、返り討ちにしてくれる。●へ返り討ちにあう〉とっちめてやろうと出かけたら、反対に返り討ちにあってしまった。 **かえりざ・く【返り咲く】** ○一度咲いた花が別の季節に再び咲く。再び元の地位につく。[文例]〈桜が返り咲く>九月になって庭の桜が返り咲き、道行く人がみな驚[おどろ]いて足を止めます。●〈王座に返り咲く〉タイトルを奪[うば]われたチャンピオンは、一年の猛練習[もうれんしゅう]ののち、みごとに王座に返り咲いた。 **かえり・みる【顧みる・省みる】** ○振り返って見る。過去のことを考える。他に心を配る。反省する。[文例]〈後を顧みる〉父は、後に従うわたしたちを顧みて、先に家に帰っているように言った。♠<歴史を顧みる〉明治維新[めいじいしん]以後の日本の歴史を顧みると、現在のように平和が長く続いたことはないということがわかる。●へ家庭を顧みる〉商社に勤めるわたしは、海外出張も多く、忙[いそが]しくて家庭を顧みる暇[ひま]もなかった。♠<危険を顧みず>青年は危険を顧みず、燃える家の中に飛びこんで、赤ちゃんを助け出した。●〈自分自身を省みる〉他人が何を言おうと、自分自身を省みて恥[は]じるところがなければいいじゃないか。 **かえる(蛙)** ○水べにすむ両生類。おたまじゃくしから成長する。かわず。[文例]〈かえるの合唱〉このあたりはたんぼが多いので、夏の夜にはかえるの大合唱が聞かれます。●〈かえるの子はかえる〉父親が名優だけあってこの子も芝居がうまい、やっばりかえるの子はかえるだねえ。●へかえるの面に水〉彼[かれ]にはどんなに意見してもかえるの面[つら]に水(小便)で、まるでききめがない。●へ蛇に見こまれたかえる〉ぽくは、あいつが苦手で、あいつの前では蛇に見こまれたかえるみたいになっちまうんだ。 **かえ・る【帰る・返る】(還る・反る)** ○元の場所・状態にもどる。上下や向きを反対にする。すっかり・・・する。[文例]〈家に帰る〉辺りに夕やみがせまってきたので、弟の手を引いて家に帰った。●へ客が帰る〉パーティーが終わってお客さんが帰ると、急に家の中がさびしくなりました。●へ仕事から帰る〉夜、仕事から帰ってきた父を、母は、「お帰りなさい、ご苦労さま。」とねぎらう。●へ帰らぬ人〉孫娘[まごむすめ]をとつがせた夜、祖父は安心からか容体[ようだい]が急変して、ついに帰らぬ人となった。●へ古巣[ふるす]へ帰る〉いったんはクラブをやめたA君が、やっぱり古巣へ帰りたいと言っているらしい。♠◇<国に帰る〉高校卒業と同時に東京へ出た兄が、十年ぶりに国に帰ってきた。♠<二度と返らない>若い時は二度と返らないから、悔[く]いのないように過ごしなさい。●〈持ち主に返る〉〈元に返る〉財布[さいふ]を拾って交番に届けておいたが、無事に元の持ち主に返るといいんだが・・・・・・。♠◇<正気に返る〉酔っていたおじさんも、冷たい水で顔を洗うと正気に返ったようです。●〈我[われ]に返る〉がけ下に落ちて気を失った少年は、救助隊の呼びかけで我に返った。●〈野性[やせい]に返る>赤ん坊のときからわが子同様に育てても、猛獣[もうじゅう]は時として野性に返るので危険だ。●へ童心に返る〉公園で小さい子供たちといっしょに、童心に返って遊んだ。●〈答えが返る>博識なおじは、何を聞いてもすぐ答えが返ってくる。●ヘこだまが返る〉山に向かって大声で叫[さけ]ぶと、気持ちのよいこだまが返ってきました。●へ軍配が返る〉期待がかかった両横綱[よとづな]の一番だったが、軍配が返った瞬間、勝負はあっけなく決まった。♠へあきれ返る〉彼[かれ]があそこまでいい加減なやつだとは思わなかった、あきれ返ってものも言えない。 **かえ・る【変える・代える・替える・換える】** ○変化させる。別のものにする。かわりにする。[文例]〈顔色を変える>西洋人は、小鳥を焼くことには顔色を変えるが、豚の丸焼きは平気らしい。♠<持ち主を変える〉十数年ぶりに、生まれた家を訪ねたら、何人も持ち主を変えたらしく、すっかり変わっていた。♠へ向きを変える〉飛行機は、急角度に向きを変えると、広い草原のはしに着陸した。♠<予定を変える〉明け方からの激[はげ]しい雨で、予定を変えて集合場所は体育館になった。♠へ調子を変える〉どうも思うようにいかないので、いつもと調子を変えて二人一組でやってみよう。♠<河岸[かし]を変える〉たまに会ったんだから、河岸を変えてもっと飲もうや。●へ言葉を換える〉〈話題を変える〉いろいろ言葉を換えて本心を聞き出そうとしても、彼女はさりげなく話題を変える。●へ水を換える〉夏の夕方、金魚ばちの水を換え、ついでに庭に水をまくのがわたしの仕事です。♠<気分を換える〉入試に失敗したぐらいでくさっていないで、旅行でもして気分を換えろよ。●へ~を~に換える〉悪いけれど、電話をかけるので、五十円玉を十円玉に換えてくれないか。●〈刃を替える〉カミソリの刃を替えたら、ずいぶんよくそれるよ。●へ手を替え品を替え〉兄は、結婚[けつこん]に反対する父を、手を替え品を替え、いろいろな方法で説得している。♠〈~をもって〜に代える〉先生は、今学期は、実験レポートをもってテストに代えることにするとおっしゃった。●ヘバッターを代える〉当たっていない三年生に代えて、二年生をピンチヒッターに送った。♠へ何物にも代えがたい>人間の生命は、何物にも代えがたいものである。●〈命に代える〉お預かりした大切な品は、命に代えても守ります。 **かえ・る(孵る)** ○卵がひなや幼虫になる。[文例]〈ひながかえる>若葉の季節になると、つばめの巣では、ひながかえります。●へさなぎからかえる〉さなぎからかえったばかりのアゲハは、ふわりふわり、羽を閉じたり広げたりしている。♠<幼虫がかえる〉卵から幼虫がかえり、幼虫がさなぎになり、最後にさなぎが働きアリにかわります。●へ卵がかえる〉わたしは毎日、カナリアの卵がかえるのを、今か今かと待っています。●へひながかえる〉わたしの家の軒下[のきした]で、昨 <171> 日、つばめのひなが一羽かえった。 **かえん【火炎】(火焰)** ○ほのお。[文例]〈火炎が噴[ふ]き出る>爆発した工場から火炎が噴き出て、たちまち一帯は火の海となった。●〈火炎に包まれる〉一人の青年が火炎に包まれた家に飛び込んで、少年を救出しました。 **がえん・じる(肯んじる)** ○聞き入れる。承知する。肯定する。[文例]敵は、我が方の休戦の申し出にがえんじないばかりか、逆に攻勢[こうせい]に転じてきた。 **かお【顔】** ○頭部で目・鼻・口などのある部分。顔つき。表情。顔だち。体面。メンバー。知名度。外部に最も知られた人物。[文例]〈顔を上げる〉居眠[いねむ]りしていて急に名を呼ばれ、どきっとして顔を上げたら、みんなが笑っていた。♠へ顔を背[そむ]ける〉何を怒[おこ]っているのか、あの子は目が合っても、ぷいと顔を背けてしまう。●へ顔を見合わせる>考えていることが同じだったので、二人は顔を見合わせて笑い出した。♠〈顔を合わせる〉あの男とは最近顔を合わせていないが、どこか旅にでも出ているんだろう。●く涼[すず]しい顔><顔を洗って出直す〉迷惑[めいわく]をかけたくせに涼しい顔で来るなんて、顔を洗って出直してこいと言いたいね。●〈顔を見せる〉〈顔を出す〉ずいぶん久[ひさ]しく顔を見せなかったが、近いんだから、時々顔を出せよ。●〈顔がいい〉バレー部のキャプテンの原田さんは、脚[あし]も長いし顔もいいので、下級生に人気がある。♠<顔がそろう〉では、皆さんの顔がそろいましたので、これからクラス会を始めたいと思います。●へ顔が並[なら]ぶ〉窓に、新しい先生を迎えるみんなのうれしそうな顔が並びました。●へ顔をくもらせる〉わたしたちの話を聞いていたおばあさんは、悲しそうに顔をくもらせました。♠へ顔をしかめる〉大声でわめくよっぱらいに、周りの人は、迷惑そうに顔をしかめた。♠へ浮かない顔をする〉このごろ彼[かれ]は浮かない顔をしているから、何か心配事があるに違[ちが]いない。●へ顔がゆがむ〉悲しくて悲しくて、こみ上げてくる涙[なみだ]をこらえようとすると、顔がゆがんでしまう。●〈顔をおおう〉部屋に入ると、姉が手で顔をおおいながら、声をしのばせて泣いていた。♠へ顔を赤らめる〉彼女はみんなに婚約[こんやく]を祝福されると、恥ずかしそうに顔を赤らめた。●〈顔を直す〉姉さんはお化粧[けしよう]がくずれたと顔を直しに行ったまま、なかなか戻[もど]らない。♠<顔が立つ〉結婚[けつこん]する気はないけれど、おばさんの顔が立つようにお見合いだけはすることにしました。♠〈顔を立てる〉ここはひとつ、年寄りの顔を立てて、二人とも争いをおさめてくれ。●へ大きな顔をする〉あいつは、みんなに迷惑をかけておきながら、大きな顔をしているんだから、あきれる。●へ顔が広い〉わしはこの町では顔が広いから、だれかいい嫁[よめ]さんを紹介[しょうかい]してやろう。●へ顔がきく〉あの店はぼくの顔がきくから、お金がなくてもつけで飲ませてもらえるさ。●〈顔に泥[どろ]をぬる〉人の顔に泥をぬるようなことをして、すまないと思わないのか。♠へ顔を汚[けが]す〉しっかり働かなければ、紹介してくれた人の顔を汚すことになる。●へ顔をつぶす〉子分がけちなことをやると、親分のおれの顔をつぶすことになるんだぜ。●〈顔が売れる>生徒会役員の選挙運動をしたので、学校じゅうにだいぶ顔が売れた。●へ顔で~する〉ここはひとつ、きみの顔で町内の連中を説得してくれないか。●ヘクラブの顔>彼は、いわばこのクラブの顔で、彼のおかげでこのクラブは有名になったのです。●へ顔から火が出る〉セーターを裏返しに着て気づかずにいたら、よその人に注意されて、顔から火が出た。♠〈合わす顔がない〉うそをついたのがばれたので、あの子に合わす顔がないよ。●〈世間に顔を向ける〉息子[むすこ]がこんなふうじゃ、親のあたしゃ、世間様[せけんさま]に顔が向けらりゃしない。 **かおいろ【顔色】** ○顔の色つや。血色[けつしよく]。表情。[文例]〈顔色がいい・悪い〉ベビーカーをのぞきこむと、顔色のいい元気そうな赤ちゃんがにっこりほほえみかけた。●へ顔色を変える〉ぼくのいたずらに気づいた姉は、顔色を変えて追いかけてきた。♠へ顔色がすぐれない〉顔色がすぐれないけれど、どこか悪いんじゃないの? ●へ顔色をうかがう〉父は、夜遅[おそ]く帰ってくると、母の顔色をうかがいながら自分の部屋へ入った。♠へ顔色を見る〉人の顔色ばかり見てないで、言いたいことがあったらはっきり言ってごらん。♠へ顔色に出る>根が正直なせいか、隠していてもすぐ顔色に出てじまう。 **かおく【家屋】** ○人の住む建物。住居。すまい。[文例]〈日本の家屋>日本の家屋の短所は、何といっても火災に弱いことです。♠へ家屋が流失する〉洪水[こうずい]で村は水浸[みずびた]しになり、大半の家屋が流失した。 **かおだち【顔立ち】** ○顔のつくり。目鼻だち。[文例]〈上品な顔立ち〉上品な顔立ちをしたやよいさんは、全校女子のあこがれの的です。●へ彫[ほ]りの深い顔立ち〉彼は彫りが深く、とても日本人とは思えない顔立ちをしていた。♠へ顔立ちがいい>彼の顔立ちがいいのは親譲[おやゆず]りです。 **かおつき【顔付き】** ○顔だち。表情。[文例]〈恐ろしい顔つき〉兵士は恐ろしい顔つきで銃を構えると、敵に向かって発砲した。♠<真剣[しんけん]な顔つき〉初めて自転車の補助輪をはずした小さい息子は、真剣な顔つきでハンドルを握っています。♠<神妙[しんみょう]な顔つき〉〈顔つきをする〉父親の説教を神妙な顔つきをして聞いていました。 **かおぶれ【顔触れ】** ○全体を構成する人々。メンバー。[文例]〈会の顔触れ〉この顔触れから判断するに、この会も長くは続かないだろう。♠へ内閣の顔触れ〉相も変わらぬ顔触れを集めて、内閣改造が行われた。♠<顔触れがそろう〉主な顔触れがそろったというので、談合が始められた。 **かおまけ【顔負け】** ○相手の力や態度に圧倒されて、たじたじになること。[文例]〈大人も顔負け〉少年の釣りの腕前[うでまえ]は、大人も顔負けだった。♠ヘプロも顔負け〉生徒たちのプロも顔負けの演技に、観客は惜[お]しみない拍手[はくしゅ]をおくった。●<顔負けする>数男君は、先生が顔負けするほど計算が速いのです。 **かおみしり【顔見知り】** ○互いに顔を見知っていること。また、その程度の間柄。[文例]〈顔見知りのおじさん〉駅前で顔見知りのおじさんにばったり出会った。♠へ顔見知りが増える〉この町に住んでそろそろ一年になり、顔見知りも増 <172> えてきました。●〈顔見知りの犯行>現場に争った形跡[けいせき]がないことから、その殺人は顔見知りの犯行と推定された。 **かおむけ【顔向け】** ○顔を合わせること。対面。[文例]<顔向けできない〉こんな成績では、ぼくに期待をかけているお母さんに顔向けができない。 **かおやく【顔役】** ○有力者。実力者。ボス。[文例]〈町内の顔役>彼は、町内の顔役で、彼の口添[くちぞ]えがあればたいていのことはうまくいきます。●〈組合の顔役〉おじが組合の顔役なので、うちの商売にも何かと有利です。 **かおり【香り・薫り】** ○いいにおい。[文例]〈いい香り〉〈香りがする〉花びんにいけられたゆりの花で、部屋中いい香りがします。●〈香りが高い〉秋になると、香りの高い果物が、店先にところせましとならびます。●〈香りが漂[ただよ]う〉古い家の庭先から、名も知らない花の香りが、ほのかに漂ってくる。●〈あまい香り〉〈香りをかぐ〉野うさぎは、生まれてすぐに、牧草畑のクローバーのあまい香りをかぎました。●へ香りが満ちる〉彼女が入ってくると、髪につけている香水の香りが辺りに満ちた。●へかぐわしい香り〉みかんをむいたら、指先にかぐわしい香りがしみ込んだ。●へ若葉の香り〉風薫[かぜかお]る五月というが、若葉の香りが実にすがすがしい。♠へ薫り高い文学>古典を読み、久しぶりに薫り高い文学に触れた思いでした。 **かお・る【香る・薫る】** ○いいにおいをたてる。香りを発する。[文例]〈花が香る〉そこは、初夏になるとアカシアの香る街として有名であった。●〈風薫る五月>風薫る五月、木々の緑が目にしみる。 **がかい(瓦解)** ○ばらばらに壊れること。総崩れ。[文例]〈制度が瓦解する>明治維新[めいじいしん]によってそれまでの封建[ほうけん]制度は瓦解した。♠◇<内閣が瓦解する〉経済政策の失敗に対する世論の批判が高まり、内閣はついに瓦解した。 **かか・える【抱える】** ○両腕で抱くようにして持つ。世話をするべきものを持つ。負担を負う。[文例]へこわきに抱える〉少年は、本とノートをこわきに抱えると、小走りに学校へ向かいました。●へひざを抱える〉少女は両手でひざを抱え、その上に頭をのっけて、窓際に何時間も座っていた。♠<頭を抱える>先生の出した難しい問題に、ぼくたちはみんな、すっかり頭を抱えてしまった。●へ腹を抱える〉兄さんは、まんがを見ながら、ときどき腹を抱えて笑っている。♠<子供を抱える〉十歳の長男をかしらに、五人の子供を抱えて、母はけんめいに働いた。●へ運転手を抱える〉あの社長は、自宅に運転手とお手伝いさんを三人も抱えている。●へ爆弾[ばくだん]を抱える〉わしは持病があるから、いつ倒[たお]れるか、爆弾を抱えているようなものさ。●へ問題を抱える〉村の発展のためには、新しい工場の建設が必要だが、住民の反対という問題を抱えている。 **かがく【化学】** ○自然科学の一分野で、物質の組成・性質や物質間の反応などを研究する学問。[文例]わたしは、大学で化学を専攻しています。●彼はおびただしい薬品に囲まれて、化学の研究に没頭[ばつとう]した。 **かがく【科学】** ○客観的で体系だった学問活動。特に自然科学の分野。[文例]〈生物や天文などの科学>ぼくは、文学や音楽よりも、生物や天文などの科学のほうが好きです。●〈科学の時代>「科学の時代」ともいわれるように、二十世紀に入って、人類の科学の知識や技術は急速に進歩した。♠〈科学が進む>科学が進むにつれて、人間の生活はしだいに便利になってきた。●へ科学の力〉進んだ科学の力によって、人類はいまや、広い宇宙に飛び出そうとしている。●〈科学の目〉驚[おどろ]くべきことに、大昔の人間は、極めて優れた科学の目で季節の変わり目を知る方法を持っていた。♠〈科学のメスを入れる〉日本の火山に科学のメスが入れられたのは、今から一世紀余り前のことだそうです。●へ科学的な考え方〉わたしたちも、単なる当て推量ではなく、科学的なものの考え方を身につけよう。●へ科学的根拠[こんきよ]>宇宙に生物がいるのではないかという考えには、科学的根拠があるとされている。 **かかし(案山子)** ○田畑を荒らす鳥や獣などを追い払うための人形。[文例]〈かかしを立てる〉稲の穂が色づくころになると、この村では田んぼにかかしを立てます。●かかしみたいに突っ立っていないで、ちょっとこの荷物を運ぶのを手伝ってくれよ。 **かか・す【欠かす】** ○なしですます。続けてきたことを、ある時だけやめる。[文例]〈トレーニングを欠かす〉ぼくはこの二年間、朝のジョギングを欠かしたことがない。●へ欠かさず~する〉毎日欠かさず日記をつけていると、文章力も少しずつ養われていきます。 **かかずら・う(拘う)** ○かかわりをもつ。かかわる。こだわる。[文例]〈子供にかかずらう〉忙[いそが]しい農繁期[のうはんき]には、子供の学校のことなどにかかずらっていられなかった。●へ小事にかかずらう〉大事の前である。小事にかかずらうことは差しひかえたまえ。♠人事件にかかずらう〉難しい事件にかかずらっているうちに、別の事件がもちあがった。 **かかと(踵)** ○足の裏の後ろの部分。また、はき物でそこが当たる部分。きびす。くびす。[文例]へかかとを挙げる>黒山のような人だかりがしているので、後ろからかかとを挙げてのぞきこんだ。●へかかとの高い靴〉かかとの高い靴をはい <173> て歩き回ったので、足が痛くてたまりません。 **かがみ【鏡】(鑑)** ○顔や姿を映して見る道具。手本。模範。[文例]〈鏡をのぞく>朝、鏡の中をのぞいてみると、眠[ねむ]たそうなぼくの顔があった。●へ鏡を見る〉まあ、どうしたのその顔、鏡を見ていらっしゃい。●へ鏡に映る〉きれいに装[よそお]った姉は、鏡に映った自分の姿に満足そうである。●へ鏡に映す〉すてきな洋服を買ってもらったので、さっそく着て、鏡に映してみた。♠<鏡のような海〉波一つない鏡のような海を、船は滑[すべ]るように進んでゆく。●へ良心の鏡><鏡が曇[くも]る〉お金に困っている時、現金を目の前に並べられたら、だれだって良心の鏡が曇ってしまう。●〈生徒のかがみ〉明るくまじめで、勉強もでき、先生や友達からの信頼[しんらい]も厚いA君は、中学生のかがみと言われている。 **かが・む(屈む)** ○体が低く曲がる。腰を曲げて姿勢を低くする。[文例]〈腰[こし]がかがむ〉大きな声で、「ごめんください。」と言うと、中から腰のかがんだおばあさんが出てきた。♠<前にかがむ〉本を読んだり、字を書いたりする時には、前にかがまないよう、姿勢に気をつけよう。●へ体がかがむ>夜、勉強していると、すぐ眠くなって、自然に体が前にかがんでしまう。●〈道ばたにかがむ〉道ばたにかがんでいる旅人を見ると、通りがかりの人は、親切に声をかけた。●へかがんで拾う〉足下[あしもと]に光る物を見つけたので、何だろうと、かがんで拾いあげた。 **かが・める(屈める)** ○腰や足を曲げて低い姿勢になる。かがむようにする。[文例]〈体をかがめる〉父は急に体をかがめ、わき腹をおさえて苦しそうにうなった。♠へ体をかがめる〉靴のひもがほどけたので、体をかがめて、結び直した。♠〈身をかがめる〉身をかがめて、机の下を探してみたが、落とした百円玉は見あたらない。●へ腰をかがめる〉道で先生に会うと、母は、腰をかがめてていねいにあいさつをした。♠〈小腰をかがめる〉道で近所の人に会ったので、わたしは小腰をかがめて、軽くあいさつをしました。 **かがやかし・い【輝かしい】(耀かしい)** ○キラキラと光り輝いている。輝くばかりにすばらしい。はなばなしい。[文例]〈輝かしい未来>輝かしい未来を持てるかどうかは、本人のやる気と運次第です。●く輝かしい成功>科学者たちのひたむきな努力は、ついに輝かしい成功を生むに至った。 **かがやき【輝き】(耀き)** ○輝くこと。輝く光。[文例]〈宝石の輝き〉わたしは、ケースの中の宝石の輝きにすっかり心を奪われました。●〈目の輝き>野原をかけ回って遊ぶ子供たちの目の輝きを忘れることができない。●〈輝きを増す〉夕やみが深まるにつれて、星は輝きを増していった。♠へ異様な輝き〉〈輝きを放つ〉戦闘の話を聞いているうちに、若者の目は異様な輝きを放っていった。●へ輝きを失う〉大人になるにつれ、いつの日か、人は少年の日の輝きを失ってしまう。 **かがやく【輝く】(耀く)** ○キラキラと明るく光る。まばゆい光を発する。まぶしいほどすばらしく見える。[文例]〈星が輝く>少年が空を見上げると、夜空に星が一つ、やさしく輝いていた。●へ輝く光〉きらきらと輝く光の中で、子供たちは元気に遊んでいる。●〈葉が輝く〉初夏は、青葉若葉が輝く美しい季節です。●へぴかぴかに輝く〉一生けんめい磨[みが]いたら、汚[よご]れていた床[ゆか]がぴかぴかに輝いて、鏡のようになった。●〈目が輝く〉プレゼントのお人形を手渡[てわた]されると、女の子の目は輝きました。●へ喜びに輝く〉結婚式[けつこんしき]の日、花嫁[はなよめ]の顔は、あふれる喜びに輝いていました。♠<栄冠[えいかん]に輝く〉わが校バレー部は、県大会優勝の栄冠に輝いたのです。●〈光り輝く>平和な村の屋根屋根に、朝日が光り輝く。 **かかり【係・掛】** ○一定の仕事をする役。また、それを受け持った人。[文例]<係の人〉町の産業について、役所の係の人にいろいろ話を聞いて調べてみました。●〈係を決める〉文集を作るに当たって、ぼくたちはまず係を決めました。♠〈手荷物掛〉駅の手荷物掛で料金を払って、預けたかばんを受け取った。 **かかり【掛かり・懸かり】** ○ひっかかること。かかること。費用がいること。また、その費用。[文例]〈掛かりがかさむ〉度の旅行は、何かと掛かりがかさんで、予算をオーバーしてしまった。♠人五人掛かり〉崖崩[がけくす]れで道路をふさいだ大岩を、五人掛かりでようやく道端[みちばた]に寄せた。●<親掛かり>挙式の費用から新婚生活の準備まで全部親掛かりなんて恥ずかしい。 **かかりきり【掛かり切り】** ○それだけに取り組むこと。[文例]父は、朝からプラモデルにかかりきりで、部屋から出てこない。♠姉は生まれたばかりの赤ちゃんの世話にかかりきりです。 **かかる(斯かる)** ○このような。こんな。[文例]ささいなミスがかかる重大な事故を引き起こすとは思いもよらなかった。♠四方を敵軍に囲まれており、かかる情勢下で適切な作戦を立てる必要がある。 **かか・る【掛かる・懸かる・架かる・係る】(罹る)** ○ひっかかる。何かを支えにして止められる。ぶら下がる。垂れ下がる。覆うようになる。重みや作用などが加わる。病気になる。世話を受ける。身に受ける。攻撃する。物事の成否を任される。要する。着手する。かかわる。[文例]〈橋がかかる〉川には木の橋がかかっていましたが、こわくて渡れそうもありません。●へ虹[にじ]がかかる〉雨上がりの空にきれいな虹がかかり、明日[あみ]は晴れそうだ。●〈月がかかる〉夕方の空にぼんやりと黄色っぽい月がかかっています。●へ網[あみ]にかかる〉毒ぐもの網にかかると、くまばちでさえもひとたまりもない。♠人鼻にかかった声>彼女は、いつも鼻にかかったような甘えた声でしゃべります。●〈獲物[えもの]がかかる〉〈わなにかかる〉わなに獲物がかかっていないかと朝早く見に行ったら、キジがかかっていた。●へ雪がかかる>窓に雪がかかり、サラサラと音をたてています。●〈ほこりがかかる〉洋服にほこりがかかるといけないから、さっさとたんすにしまいなさい。●〈かすみがかかる〉目にかすみがかかったようで、ものがぼんやりとしか見えません。●へ電話がかかる〉〈なべがかかる>電話がかかってきたから、火にかかっているおなべを見ていてちょうだい。●へ号令がかかる>先生の号令がかかって、生徒たちは足なみをそろえ、行進を始めた。♠へ王手が <174> かかる〉挑戦者[ちょうせんしゃ]から王手がかかり、名人は腕組[うでぐ]みをして盤面[めん]にかがみこんだ。●く迷惑[めいわく]がかかる〉幼児を連れている人は、周りの人に迷惑がかからないように注意しましょう。●〈気にかかる〉一人で田舎[いなか]のおばあちゃんの所へ遊びに行った子のことが、お母さんは気にかかってたまりません。♠<費用がかかる>次の休みに日光へ行こうと思うが、費用はどのくらいかかるのだろうか。●〈時間がかかる〉妹は、小学校一年生なので、朝、学校の支度[したく]をするのに、だいぶ時間がかかります。●〈疑いがかかる>事件後行方をくらましている男に疑いがかかっている。●へ病気にかかる〉〈医者にかかる〉原因不明の病気にかかったので、当分医者にかからなければならない。●へお目にかかる〉近いうちにぜひお目にかかりたいのですが、ご都合はいかがでしょうか?♠〈相手にかかっていく〉相手は一人なのに、三人でかかっていくなんてひきょうだ。●へ決めてかかる〉父は、いたずらをしたのはぼくのほうと決めてかかって、いきなり頭をたたきました。●〈仕事にかかる〉ひと休みしたから、そろそろ仕事にかかるか。●へ片付けにかかる〉夕食が終わったから、宿題を片付けにかからなくちゃ。●ヘサーカスがかかる〉今夜、弟とこの先の町にかかっているサーカスを見にいくんだ。♠<手がかかる〉お父さんが出張中だから、晩ご飯は手のかからないおかずで済ませましょうよ。●へ声がかかる〉中学へ入学したら、野球部とサッカー部から声がかかった。●へ肩にかかる〉あなたがたの双肩[そうけん]には、二十一世紀の人類の運命がかかっているのです。●へとばっちりがかかる〉弟のいたずらのおかげで、ぼくにまでとばっちりがかかり、母にしかられた。●へ魔法にかかる〉どうしたわけか、まるで魔法にかかったみたいに、体を動かそうとしても動かない。●<暗示にかかる〉妹にちょっとおまじないをしてやったら、簡単に暗示にかかって眠[ねむ]ってしまった。●へ手にかかる〉母の手にかかると、乏[とぼ]しい材料でも、みるみるおいしい料理ができ上がります。●へ息がかかる〉あの部長は、自分の息がかかった部下だけをかわいがる。●ヘエンジンがかかる〉今朝はかなり冷えこみ、車のエンジンがかかるまでにかなり時間を要した。♠ヘブレーキがかかる〉きみは遊び始めるとブレーキがかからなくなって、宿題を忘れてしまうんだね。●へ優勝がかかる>優勝がかかった試合とあって、選手はみんな緊張した表情をしていた。●〈賞金がかかる〉おたずね者の首には、賞金がかかることも珍[めずら]しくない。●〈山道にかかる〉山道にかかるころに日が暮れ始め、少年はすっかり心細くなった。●〈会議にかかる〉会議にかかった議題は次々と可決されていった。●へ~しかかる〉ちょうどやりかかったところへ、「勉強せい!」って言うんだから、いやになっちまう。●へ係る言葉>「赤い花」というとき、係る言葉が「赤い」で、受ける言葉が「花」です。♠ヘこの件に係る~〉この件に係る一切の処理を弁護士にゆだねることにした。 **かかわり(係わり・関わり・拘わり)** ○関係。つながり。[文例]〈心と言葉とのかかわり〉詩や短歌を味わいながら、人間の心と言葉とのかかわりをさぐってみよう。●〈深いかかわり〉〈かかわりがある〉方言の違いは、日本語の歴史的な変化と深いかかわりがあるのです。●へかかわりを持つ〉他者の心を思いやることのできない人とはかかわりを持ちたくない。 **かかわ・る(係る・関る・拘る)** ○関係する。つながりをもつ。[文例]〈命にかかわる〉病人の世話をする看護婦さんの仕事は、人の命にかかわる大切な仕事です。●へ信用にかかわる〉くさった野菜や果物を売ったのでは、店の信用にかかわります。●へ一生にかかわる〉進学は一生にもかかわることだから、よく考えなさい。●へ全体にかかわる〉きみたちのけんかは、きみたちだけの問題じゃなくて、野球部全体にかかわってくるんだぞ。●へ学生運動にかかわる>経済に関心を持っていた兄は、大学時代、学生運動に深くかかわっていたようだ。●へ存亡にかかわる〉全面戦争は、人類の存亡にかかわる大問題です。♠へつまらないことにかかわる〉こんな大事な時に、そんなつまらないことにかかわっている暇はないよ。♠へ〜にもかかわらず〉よく頭をこづかれたものだが、それにもかかわらずあまりうらみには思わなかった。 **かかん【果敢】** ○思い切ってするさま。決断力があるさま。[文例]〈果敢に立ち向かう〉人々は、次々に起こる災難に果敢に立ち向かった。●〈果敢な行動〉遭難[そうなん]した探検隊は、隊長の果敢な行動で命拾いしました。 **かき(柿)** ○秋にこぶし大の実の熟する落葉高木。また、その果実。[文例]〈柿の実>葉の散りつくした枝の先に、柿の実がひとつぽつんと残っている。♠<柿の木〉おじさんは器用に柿の木に登ると、下で待ち受けるぼくたちに次々に実をもいで落としました。●〈柿がなる〉おじいさんの家の庭には、毎年秋になると、枝もたわわに柿がなります。♠<桃栗[ももくり]三年柿八年〉芽を出してから実がなるまでの年月をいうことわざが、桃栗三年柿八年です。●へ柿が赤くなれば医者は青くなる〉昔から、柿が赤くなれば医者は青くなる、といわれ、柿の実のなるころはよい気候が続きます。 **かき【夏期・夏季】** ○夏の期間。夏の季節。[文例]〈夏期休暇〉姉は、十日間の夏期休暇をとって、海外旅行に行くらしい。♠<夏期講習>新聞社が主催する英会話の夏期講習には、いつも申し込みが殺到[さっとう]します。●〈夏季大会>国体の夏季大会が当市を中心に繰り広げられました。 **かき【火気】** ○火の気。火の勢い。[文例]〈火気に注意する〉工場内には危険な薬品も多いので、火気には十分注意しています。●〈火気が強まる〉ストーブの火気が強まるにつれて、部屋の中が次第に暖まってきた。♠<火気厳禁[げんきん]>見学に行った製紙工場の入り口には、「火気厳禁」の張り紙がしてあった。 **かき【火器】** ○火を入れる器具。火薬を用いる武器、銃や大砲[ひょう]など。[文例]〈火器を用いる〉鉄砲[てつぽう]や大砲などの火器を用いるようになると、戦闘は大きく変化しました。●へ火器を備える〉敵は最新の火器を備えていて、攻め込むすきがまるでなかった。 **かぎ(鉤・鍵)** ○先が曲がった器具。錠[じょう]をかけたり、あけたり <175> する器具。解決の手がかり。かぎかっこ。[文例]へかきで引っかける>魚市場では、大きな魚をかきで引っかけて持ち上げていた。●へかぎがつく>武士たちは刀ややりのほかに、棒の先にかぎのついた武器も用いていた。●〈車のかぎ>車のかぎをうちに忘れてきてしまったらしい。●へかぎをかける〉家を空けるときには、必ずかぎをかけてください。♠〈かぎがかかる〉古い屋敷[やしき]の門には、ずっとかぎがかかったままである。●くかぎが開く>右に回しても左に回してもかぎが開かないので、今度はドアをけとばしてみた。♠<心のかぎ〉〈かぎを開ける〉内気でいつも沈みがちだったわたしの心のかぎを開けてくれたのは、先生の優しい言葉でした。♠<事件のかぎ〉その時被害者[ひがいしゃ]がどこで何をしていたのかが、今度の事件の最大のかぎになっている。●へなぞを解くかぎ〉なぞを解くかぎは、つぼの底の紋様[もんよう]の中に潜[ひそ]んでいたのだった。●くかぎを握[にぎ]る〉エースの出来がチーム優勝のかぎを握っているといっていいだろう。●〈かぎでかこむ〉文章中の会話や引用の部分は、かぎ(「」)でかこみます。 **がき【餓鬼】** ○死後の世界で餓鬼道に落ち、飢えに苦しむ亡者。子供をののしっていう語。[文例]餓鬼といわれる亡者[もうじゃ]は、生前の罪の報[むく]いで、飢えと渇きに苦しみ続けるという。♠畑のスイカに手をのばしたとたん、「このがき!」と、ものすごい声が頭の上から降ってきた。●「がきも人数[にんずう]」というじゃないか、子供だからとばかにしないで、手伝ってもらいなさい。●くがき大将〉通せんぼしている列の真ん中に、がき大将の彼[かれ]がいた。●〈餓鬼道におちる〉あんまり欲[よく]ばると、ばちが当たって、餓鬼道におちるよ。 **かきあらわ・す【書き表す】** ○文章や絵にかいて示す。[文例]〈文字で書き表す〉書いたり読んだりするときのことは、つまり、文字で書き表すことばを「書きことば」という。●〈気持ちを書き表す〉この文章には、筆者の父親に対する気持ちがよく書き表されています。 **かきおろし【書き下ろし】** ○新しく書くこと。また、その作品・文章。[文例]〈書き下ろしの文章〉この文章は、本書のための書き下ろしである。●〈書き下ろし小説〉話題を呼んだ前作に引き続き、氏の書き下ろし小説第二弾が近日発売される。 **かきけ・す【かき消す】(掻き消す)** ○あとかたもなく消す。さっと消す。[文例]へ影をかき消す〉彼女の美しさを思い浮かべようとすると、しかし、その影はかき消されてしまう。♠〈声をかき消す〉話し声をかき消す車の騒音[そうおん]に連日悩まされている。●へかき消すよう〉男の子の姿は、風の吹く草原にかき消すように消えていた。 **かきた・てる【書き立てる】** ○書き並べる。繰り返し書く。おげさに書く。[文例]〈スキャンダルを書き立てる〉人気スターのスキャンダルなんかを書き立てた週刊誌類がどうしてこんなに売れるのかしら。●へ興味本位に書き立てる〉犯罪の手口などを興味本位に書き立てるのは、問題があると思われる。♠ヘマスコミが書き立てる>二人一緒[いつしよ]のところを見られたというだけで、マスコミは、あることないことこぞって書き立てた。 **かきた・てる(掻き立てる)** ○勢いよくかき回す。刺激を与えて盛んにする。[文例]〈火をかきたてる〉おばあさんは、消えそうないろりの火をかきたてながら、昔話[むかしばなし]をしてくれました。●〈夢をかきたてる〉昔から地図は、未知の大陸への夢をかきたててきました。●く興味をかきたてる〉そのハチを観察しているうちに、おもしろい習性に興味をかきたてられた。♠へ闘志[とうし]をかきたてる〉相手の反則に、ますますぼくの闘志はかきたてられた。♠へ欲望をかきたてる〉テレビのコマーシャルは、わたしたちの欲望を際限なくかきたてます。●<不安をかきたてる〉大地震[じしん]のような災害のとき、いろいろなうわさが人々の不安をいっそうかきたてがちだ。 **かぎつける【かぎ付ける】(嗅ぎ付ける)** ○においをかいで見つける。さぐり当てる。[文例]〈においをかぎつける〉魚のにおいをかぎつけた野良[のら]猫が、台所に忍び込んできた。●へ秘密をかぎつける〉どうやら敵に秘密をかぎつけられたらしい。♠へ仲をかぎつける〉ひそかに会っていた二人の仲をかぎつけたものがいるらしい。 **かきね【垣根】** ○家や庭などの囲い・しきり。また、その根もと。[文例]〈垣根をめぐらす〉角を曲がって三軒目の、竹の垣根をめぐらした家がわたしの家です。●へ垣根越し>家々に咲くれんぎょうやもくれんなどを垣根越しにながめながら道を歩いた。♠〈垣根を取り外す>差別の問題など、社会に張りめぐらされた垣根を取り外すのは必要なことです。 **かきまわ・す【かき回す】(掻き回す)** ○中の物がぐるぐる回るように動かす。かきまぜる。混乱させる。[文例]ヘスープをかき回す>煮立[にた]ったスープをかき回すと、少しとって味を見た。♠<引き出しをかき回す〉机の引き出しをかき回して、十円玉を見つけ出した。♠<会議をかき回す〉勝手なことを言って会議をかき回す者がいて、話し合いが台無しになった。 **かきゅう【下級】** ○等級・クラス・ランクなどが下であること。[文例]下級の武士〉明治維新の中心となったのは、下級の武士たちだった。♠<下級生>朝の通学路では、上級生が下級生のめんどうをみながら仲良く登校しています。 **かきゅう【火急】** ○急を要すること。差し迫っていること。[文例]〈火急の時>産婆[さんぱ]を呼んで来るような火急の時に、「いくらくれる?」はないだろう!♠ヘ火急の用〉火急の用で今すぐ行かなくてはならない、詳しいことはあとで話す。●〈火急を要する〉事[こと]は火急を要する。ただちに父上をここに呼んでまいれ。●〈火急に~する〉火急に金がいる。有り金をすぐかき集めなさい。 **かきょう【佳境】** ○最も興味をそそるところ。景色のよい所。[文例]<佳境に入る〉この回で逆転なるか、ゲームはいよいよ佳境に入った。●〈佳境に入る〉話はいよいよ佳境に入り、聴衆は息を凝[こ]らして聞き入った。 **かきょう【架橋】** ○橋をかけること。また、その橋。[文例]眼鏡橋の架橋を任された二人の男は、川の測量、設計、見積もりと手際よく仕事を進めた。●へ魂への架橋〉作者にとっ <176> て、詩は読者の魂[たましい]への架橋[かきょう]であった。 **かぎょう【家業】** ○家の職業、とくに商売。[文例]〈家業が振るわない>家業が振るわなくなったので、勤めに出ようかと考えている。♠〈家業を継ぐ〉大学卒業後は田舎[いなか]へ帰り、家業を継ぐつもりです。 **かぎょう【課業】** ○時間割りに組み込まれた授業。割り当てられた仕事。[文例]学校では、勉強だけでなく、クラブ活動も課業の一つだ。♠●へ課業を終える〉一日の課業を終えた生徒たちが校舎から飛び出してくる。 **かぎょう【稼業】** ○生計を立てるための仕事。職業。なりわい。[例]〈稼業とする〉女は、浜でとれた魚を町へ運ぶ行商を稼業として、二人の子を育てあげた。♠●ヘサラリーマン稼業>気楽そうに見えるでしょうが、サラリーマン稼業も大変なのですよ。 **かぎり【限り】** ○限ること。終わり。範囲。限界。限度。制限。[文例]〈力の限りを尽くす〉力の限りを尽くして戦ったので、負けても心残りはありません。♠●へ〜の限りを尽くす〉彼は、金のあるのをいいことに、ぜいたくの限りを尽くしている。♠●へ限りがある・ない〉人間にとって、自然は、限りのない資源の宝庫であった。♠へ声を限りに〉いよいよ決勝戦、ぼくたちは、応援席[おうえんせき]から声を限りに選手たちに声援[せいえん]を送った。♠●へできる限り〉力になれるかどうかは分かりませんが、できる限りのことはするつもりです。♠●へ今週限り〉サービス期間は、今週限りで終わらせていただきます。♠◆人命ある限り〉命ある限り、好きな仕事を続けたい。♠●へ見渡す限り>朝、窓を開けると、外は見渡す[みわたす]限りの銀世界だった。♠●へうらやましいかぎり〉兄弟げんかができるなんて、一人っ子のぼくから見たら、うらやましいかぎりだ。♠●へ〜の限りではない>当医院は予約制をとっていますが、急患[きゆうかん]の場合は、その限りではありません。♠●へ〜しないかぎり>自然に恵まれたこの国では、動物たちも、こちらからおそおうとしないかぎり、おとなしいものだ。 **かぎりな・い【限り無い】** ○際限がない。果てることがない。[文例]〈限りない信頼・夢〉母なる大地に寄せる限りない信頼と夢が、人々の心に生きていた。♠●く限りない愛情>老夫婦は、年取ってから授かった一人息子に限りない愛情を寄せていた。♠●く限りなく広げる優れた書物は、経験の限られた狭い[せま]わくを、限りなくおし広げてくれます。 **かぎ・る【限る】** ○範囲を定める。限度を決める。限定する。及ぶものがない。[文例]〈人数を限る広告の商品のお買い上げは、先着五十名様に限らせていただきます。♠●く限られた枠>優れた書物は、人生の限られた枠を越え、広い世界を示してくれます。♠●へその日に限って〉友人と連れだって釣りに出かけたが、その日に限って、魚は一ぴきもつれなかった。♠●へあの人に限って〉あの人に限って、そんな悪いことをするはずはありません。♠●〈女性に限る〉当店では、女性に限り、アイスクリームをサービスにおつけいたしております。♠●へ〜とはかぎらない〉もし、地球と同じような星があったとしても、われわれ人間とそっくりの生物がすんでいるとはかぎらない。♠●へ~にかぎらず〉ぼくは野球部に入っているが、野球にかぎらず、スポーツなら何でも得意だ。♠●へ~するにかぎる〉連休はどこも大変な人出で、こんなときは、家でのんびりしているにかぎる。 **かく【各】** ○おのおの。めいめい。それぞれ。[文例]〈各グループ〉いくつかのグループに分かれ、各グループで話し合われたことを発表し合った。♠●〈各人物〉この文章に登場する各人物の生き方について感じたことを話し合ってみよう。♠●<各学校>地区大会では、市内の各学校の代表選手たちが力いっぱい技を競い合った。 **かく【格】** ○人や物事の、地位や値打ちなどによるランク。位。段階。等級。格式。[文例]〈格が高い〉会社では、部長のほうが課長より格が高い。♠●へ格が上〉同じ有段者といっても、彼は三段で、初段のぼくより格が上だ。♠●〈格が落ちる〉総ひのき造りのお隣[となり]の家に比べて、プレハブ建築のわが家は、だいぶ格が落ちるなあ。♠●へ格が違う〉相撲の世界では、十両と幕下では、全く格が違います。♠●へ格が上がる〉兄は、やっと臨時雇いから正社員に格が上がって、よろこんでいる。 **かく【核】** ○果実のたね。物事の中心。原子核。核兵器。[文例]〈核となる〉〈文化の核〉あらゆる文化の中で、民族の存亡にかかわるような重大な核となるのは言語でしょう。♠〈核とする〉この地域の婦人たちを核として、運動は国全体に広がっていった。♠◆〈細胞[さいぼう]の核〉生物の細胞の中心には、核があり、これが細胞の働きを統制し、また遺伝にも関係する。♠●〈核を保有する>現在、米国やソ連をはじめ世界の大国が戦争を抑止するという名目で核を保有している。♠〈核戦争〉もしも核戦争が起こったら、と思うと、身の毛がよだつ。♠●〈核家族>夫婦と子どもだけの核家族が増えている。 **かく【書く】** ○文字や図・絵を記す。文章や絵に表現する。[文例]〈字を書く〉いい年をした大人がまちがった字を書くなんて、恥ずかしくないのかしら。♠●へ地図を書く)おまわりさんは、メモ用紙を取り出すと、簡単な地図を書いてくれました。♠〈日記に書く〉〈日記を書く〉わたしは、人に言えない心の中を、日記に書きます。♠●〈手紙に書く〉大好きな祖母に、そのときどきの喜びや悲しみを手紙に書いて送ります。♠●へ手紙を書く〉大好きな祖母あてに、手紙を書いた。♠●〈本を書く〉ファーブルは、自分の周りの虫たちを観察して、「昆虫記[こんちゆうき]」という本を書いた。♠●へ絵をかく〉妹は、色鉛筆で絵をかいて遊んだら、その絵とそっくりの夢[ゆめ]を見たとぃう。♠●へ絵にかいたよう〉放ったロングシュートは、見事にゴールをつきぬけ、絵にかいたような逆転劇[りつこんげき]となった。♠●〈顔に書いてある〉隠したって、うそをついていることは、あなたの顔に書いてあります。 **か・く(掻く)** ○とがったものでこする。削って細かくする。かくようにして押しのける、押しやる。手前に引いてはじく。外に表すようにする。[例]へかゆいところをかく〉蚊にさされてかゆいので、ボリボリかいたら、血がにじんできた。♠◆く頭をかく〉「結婚おめでとうございます。」と、みんなが言ったら、先生は、照れくさそうに頭をかいた。♠へ水を <177> かく〉かなづちのぼくは、川ですいすい水をかき、上手に泳いでいる村の子供たちがうらやましかった。♠●へ雪をかく〉雪の多い地方では、雪をかく仕事を一家総出でやります。♠●〈氷をかく〉暑[あつ]くてたまらないから、早く家へ帰り、氷をかいて食べたいなあ。♠●く汗をかく〉真冬だというのに少女は、鼻の頭に汗をかいている。♠●へいびきをかく〉酔[よ]っぱらって帰ってきたお父さんは、そのまま、大いびきをかいて寝てしまった。♠ヘべそをかく〉妹は、遊びほうけているうちに日が暮れて、べそをかきながら帰ってきた。♠●へ恥[はじ]をかく〉ラブレターをみんなに読まれて、すっかり恥をかいてしまった。♠●へあぐらをかく〉祖父は、いつもいろりのそばであぐらをかき、きせるでタバコをふかしている。♠●へ裏をかく〉味方の作戦が敵にもれたらしく、裏をかかれ、惨敗[ざんぱい]した。♠◆<寝首[ねくび]をかく>寝首をかかれたくなかったら、あの男に気を許すな。 **かく【欠く】** ○部分的に損なう。必要なものを抜かす。おろそかにする。[文例]〈茶わんを欠く〉手がすべって、いちばん気に入っていたコーヒー茶わんを欠いてしまった。♠〈欠くことができない〉火は、人間の生活にとって欠くことのできない、たいせつなものです。♠●へ礼儀[れいぎ]を欠く〉いくら忙[いそが]しくても、お礼状ぐらいは出さないと、礼儀を欠くことになりますよ。♠●へ厳しさを欠く〉近ごろの父親ときたら、子供に優しすぎて、親としての厳しさを欠いているようだ。♠●〈義理を欠く〉お金は、義理を欠き、恥[はじ]をかかないとたまらないというよ。♠●へ<決め手を欠く〉三つの作品は、いずれもよくできてはいたが、賞にふさわしい決め手を欠いていた。♠●〈常識を欠く〉電車の中でタバコを吸ったり、列に割りこむような、常識を欠く人間がいるのは困りものだ。♠●へ罪の意識を欠く〉あれだけの犯罪を犯しながら、犯人は、罪の意識を欠いているようだ。♠●へ~にこと欠く〉敗戦のころ、多くの日本人は、その日の食べ物にもこと欠くありさまだった。 **かぐ【家具】** ○たんす・机・鏡台など家の中に据えられた生活用具。[例]〈家具を置く〉狭い[せま]部屋にたんす、机、ベッドなどの家具が所狭し[せま]と置かれている。♠●へ婚礼家具>花嫁衣装[はなよめいしょう]も出来上がり、婚礼家具もそろい、お嫁入りの仕度はすっかり調いました。 **か・ぐ(嗅ぐ)** ○鼻でにおいを感じ取る。[文例]へにおいをかぐ〉山道でかれんな花を見つけ、そっとにおいをかいでみた。♠●〈香りをかぐ〉立ち止まって、辺りにただようキンモクセイの香りをかいでみた。♠へ跡[あと]をかぐ>警察犬は、犯人らしい足跡を見つけると、むちゅうになってくんくんかいでいる。♠へかぎつける〉まわりは、すでに秘密をかぎつけた警官たちに囲まれていた。♠●へかぎ回る〉お役人がお前のことをいろいろかぎ回っているようだぞ。♠●へかぎ取る>少年は、周りの人々の様子から、ただならぬ気配をかぎ取った。 **がく【学】** ○学ぶこと。学問。学識。[文例]〈学を修める>若者[わかもの]は、りっぱに学を修め、故郷[こきょう]ににしきをかざるのを夢見[ゆめみ]ていた。♠●〈学としての経済>学としての経済と実際の経済とは、大きなへだたりがあり、理論通りにはいかないものだ。♠●〈学がある〉あの人は、たしかに学はありそうだが、世間知らずのおぼっちゃんだね。♠へ学がある・ない〉たばこ屋のおやじは、人の顔さえ見れば、「学のある人はちがうねえ。」と言う。♠●〈少年老いやすく学成り難し「少年老いやすく学成り難し[がた]し」とはよくいったもので、学問の道は踏み込めば踏み込むほど奥が深いものだ。 **がく【額】** ○書画や写真などを入れて飾るための枠。金銭の高。[文例]<絵の額〉〈額に収める>部屋が殺風景なので、油絵を額に収めて壁に飾ってみた。♠●〈大変な額>借金は雪だるま式にふくれあがり、大変な額になってしまった。♠●へ収入。支出の額〉家計は、収入の額が支出のそれを上回っていることが望ましい。 **かくいつてき【画一的】** ○全体が一様で、変化に乏しいさま。[文例]〈画一的な教育〉本校では、画一的な教育でなく生徒一人一人の個性を尊重した新しい教育を実施[じっし]している。♠◆〈画一的に判断する〉一件一件問題の性質が異なるので、画一的には判断できない。 **かくう【架空】** ○空想で作りあげること。現実には存在しないこと。[文例]〈架空の世界〉わたしたちは、言葉で架空の世界をえがき、そこに住むことができるのです。♠●へ架空の人物〉この小説の主人公は、単なる架空の人物ではなく、実在の人物がモデルとなっている。♠人架空の動物>伝説や昔話には、河童[かっぱ]や竜[りゅう]などの架空の動物が登場します。 **がくぎょう【学業】** ○学校の勉強。学問。[文例]〈学業に励[はげ]む〉お前はまだ学生だから、余計な心配はしないで学業に励みなさい。♠学業を捨てる〉大戦下、多くの学生が学業を捨てて、学徒兵として戦火の中に死んでいった。♠●へ学業を修める〉ペテルスブルグで四年間の学業を修めたアリョーシャは故郷の村へ帰ってきた。 **がくげい【学芸】** ○学問と芸術。[文例]〈学芸会〉小学校の学芸会で劇や合奏をした思い出が残っている。♠◆◇学芸員>博物館には、学芸員という専門職員がいます。♠●〈学芸部〉姉は、地方紙の学芸部に勤めています。 **かくげん【格言】** ○教えやいましめを簡潔に言い表した言葉。[文例]格言は、わたしたちの行動の規範となり原理ともなるような真理を、きわめて簡潔なことばに結晶[けつしよう]させている。♠●「時は金なり」という有名な格言を戒め[いまし]にして、時間を大切に使うよう心がけている。 **かくご【覚悟】** ○心を決めること。心構えをすること。道理をさとること。[文例]〈覚悟を決める〉自分の番がくると足がふるえたが、覚悟を決めて、舞台[ぶたい]に飛び出した。♠●へ決死の覚悟>子供がおぼれているのを見ると、少年は、決死の覚悟で冷たい水の中に飛びこんだ。♠●〈覚悟のうえ〉売れない画家との結婚[けつこん]ですから、苦労は、もともと覚悟のうえです。♠◆〈覚悟する〉しかられるのを覚悟していたぼくには、先生のやさしいことばが意外だった。♠●へ覚悟する〉ここで会ったが百年目、生かしてはおかぬから、覚悟しろ! **かくさ【格差】** ○物事の程度の差。[文例]〈賃金の格差><格差 <178> がある>男性と女性とでは、賃金の面でもまだ格差があるようだ。♠●へ格差が大きい>先進国と発展途上国の生活水準の格差は大きい。♠●へ格差が広がる〉同じ労働者でも、企業の規模によって待遇[たいぐう]の格差は広がる一方だった。 **かくさく【画策】** ○策略をめぐらすこと。計画を立てること。[文例]〈画策する〉このプロジェクトに関しては、業者たちが裏で画策したといううわさだ。♠◆〈画策に乗る〉国の画策に住民たちはまんまと乗せられたかっこうとなった。 **かくさん【拡散】** ○広がって、ちりぢりになること。[文例]〈砂の拡散>海風が砂浜[すなはま]の砂を舞い上げるが、防砂林がその砂の拡散を防いでくれます。♠●へ拡散する〉水に落とした赤いインクが拡散していく。♠●〈拡散する〉一瞬[いつしゆん]、恐怖で彼の瞳孔[どうこう]は鋭[するど]く収縮し、それからゆっくりと拡散していった。 **かくじ【各自】** ○めいめい。おのおの。[文例]上履きは各自御用意ください。♠●だれにでも各自の「思い込み」というものがあり、都合のよいように判断する場合があるものです。 **がくし【学資】** ○勉強や学問をするために必要な経費。学費。[文例]〈学資を受ける〉ジルーシャは、足ながおじさんから大学卒業までの学資を受けることになる。♠●〈学資を稼[かせ]ぐ〉アルバイトをして学資を稼ぎながら大学へ通った。♠学資を出す>両親の死後、叔母が働いてわたしの学資を出してくれたのです。 **かくしき【格式】** ○家柄や身分に備わった生活の形態。家柄にふさわしいきまりや作法など。家柄や身分。[文例]<格式を重んじる〉格式を重んじる父がわたしたちの奔放[ほんぽう]なやり方を認めてくれるはずがない。♠●へ格式が高い>彼は、格式の高い家柄[い犬がら]に育った人間らしく礼儀[れいざ]正しい青年である。♠〈格式ばる〉さあさ、格式ばったあいさつはあとにして、どうぞ中へお入りください。 **がくしき【学識】** ○学問を通して得た知識・見識。[文例]〈学識が深い>学識の深い筆者が学者らしい慎重[しんちょう]な目で社会、人生について書き記している。♠●〈学識がある〉人間性を判断するうえで、学識のあるなしは、必ずしもその基準とはなりません。♠●へ学識経験者〉新しい産業の開発をどのようにしていくかについて、学識経験者に意見を求める。 **かくしつ【確執】** ○互いに自分の主張を押し通すこと。また、それによって生じる不和・争い。かくしゅう。[文例]〈確執が生じる〉遺産相続をめぐって、親子や兄弟間に確執が生じたという話を耳にします。♠●へ嫁と姑[しゅうとめ]の確執〉どんなによく見える家庭にも、嫁と姑の確執はあるものらしい。 **かくじつ【確実】** ○確かでまちがいがないこと。確かなさま。[文例]<優勝が確実〉このまま勝ち進めば、ぼくたちのチームの優勝は確実だ。♠●〈確実な返事>多分出席できるとは思いますが、確実な返事は、明日いたします。♠●へ確実なニュース>新聞は、早いだけでなく、確実で間違い[まちが]のないニュースを知らせることが大切だ。♠●へ確実に守る〉彼は、いい加減なところもあるが人との約束[やくそく]は確実に守る男だ。♠当選確実>当選確実と思われていた議員が、おおかたの予想を裏切って落選した。 **がくしゃ【学者】** ○学問研究を専門にする人。学問のある人。[文例]英世[ひでよ]は、アメリカに渡り、ついには細菌の研究で世界的な学者として認められた。♠◆学問のために功名心[こうみようしん]などはさらりと捨てた教授の学者的良心を私は尊敬する。♠●へえ、そんな難しいことを知ってるなんて、きみもなかなかの学者だねえ。 **かくしゃく(矍鑠)** ○年老いてなお元気なさま。[文例]へかくしゃくたる老人〉姿を現したのは、七十過ぎの、しかしかくしゃくたる老人であった。♠●へかくしゃくとして米寿[べいじゆ]を迎えたというのに、祖母はまだかくしゃくとしている。 **かくじゅう【拡充】** ○拡張し充実させること。[例]〈勢力の拡充>幕府は、鎌倉[かまくら]から各地に通じる街道を開くなどして、勢力の拡充をはかった。♠●へ施設を拡充する>市長は、図書館などの諸施設[しょしせつ]を拡充することを公約した。 **がくしゅう【学習】** ○学び覚えること。まねて身につけること。勉強すること。[文例]〈学習や経験〉人間の知識には生まれつきのものと、生まれてからの学習や経験によるものがあります。♠学習の成果>動物たちが芸を覚えたりするのも、学習の成果といえる。♠外国語の学習>外国語の学習は、先生のまねをしてくり返し練習するのがよい。♠≪漢字の学習〉成り立ちや組み立てを理解すると、漢字の学習がおもしろくなります。♠●〈学習する>学校で学習したことを、自分の生活にどう役立てたらよいか、考えてみよう。 **がくじゅつ【学術】** ○学問。学問と芸術。[文例]〈学術の振興[しんこう]>この基金は、日本の学術の振興を図る目的で設立されたものである。♠学術研究〉博士らは、学術研究のためにインド方面を旅行中です。♠●〈学術探検隊>学術探検隊のメンバーの一員として、ニューギニン高地に住む原住民の生活を調査した。 **かくしょ【各所】** ○いろいろな所。あちこち。[文例]ヨーロッパの各所で、原始人類が住んでいた洞窟[どうくつ]が見つかった。♠●昨日からの豪雨で、市内を流れる河川は各所で決壊[けつかい]した。 **かくしょう【確証】** ○確かな証拠。[文例]〈確証がある・ない>事件の現場に足跡[あしあと]が残されていたが、これが犯人のものであるという確証はない。♠●へ確証を得る〉血液検査の結果、二人は親子であるという確証を得た。 **がくしょく【学殖】** ○学問上の知識。学識。[文例]〈豊かな学殖>先生の人柄[ひとがら]には、豊かな学殖に支えられた謙虚[けんきよ]さがうかがわれた。 **かくしん【確信】** ○固く信じること。確かな信念。[文例]確信をもつ~チームの優勝は、ふだんの猛練習の成果だと、確信をもって言うことができる。♠●へ確信を得る〉兄は、模擬テストの成績が良かったので、希望の大学合格の確信を得たようだ。♠●へ成功を確信する〉きみは努力家だし、みんなの信頼[しんらい]も厚いから、新しい事業の成功は確信しているよ。♠◆へ確信ありげ「あしたの遠足は、絶対雨でお流れだね。」と、友達は確信ありげに言った。♠◆◇確信的〉彼の自信にあふれた確信的な言い方にだまされて、お金をまき上げられた人も多かった。 **かくしん【革新】** ○改め、新しくすること。[文例]〈短歌の革 <179> 新>正岡子規[まさわかしお]は写生を中心とする近代俳句を確立し、更に短歌の革新をも唱えた。♠●〈保守と革新〉今回の知事選は、保守と革新の一騎討ちとなった。♠●へ革新的>保守的な風土の中では、彼の革新的な考えは受け入れられなかった。 **かくしん【核心】** ○物事の中心となるところ。[文例]〈核心に入る〉多くの人が意見を発表するようになり、話し合いは核心に入ってきた。♠●〈核心をつく〉彼の発言は問題の核心をつくものだった。♠へ核心に触れる〉時間的な制約もあり、講師の話は問題の核心に触れることなく終わった。 **かくじん【各人】** ○めいめいの人。おのおの。[文例]〈各人各様〉各人各様、さまざまな工夫をこらした作品が会場いっぱいに展示されている。♠●〈各人各説〉人には各人各説、それぞれの主義主張がある。♠●集団では、各人がそれぞれ自覚と責任をもって行動することが大切です。 **かく・す【隠す】** ○見られないようにする。知られないようにする。[文例]〈奥[おく]に隠す〉どうしよう、机の引き出しの奥に隠しておいた日記が消えている。♠●へ顔を隠す〉みんなでからかったら、花ちゃんは、両手で顔を隠して泣き出した。♠●〈姿を隠す〉五十数えて目をあけると、みんなどこかに姿を隠して、独りとり残されたような感じに襲[おそ]われた。♠●へ隠さず打ち明ける〉はずかしかったけど、思い切って、自分の気持ちを隠さず打ち明けた。♠●へ素姓[すじよう]を隠す〉あの女は素姓を隠しているようだが、何か訳がありそうだな。♠●へ隠された一面>ふだんは優しくおとなしい彼女に、そんな意地悪い隠された一面があったとは。♠●〈頭隠[かく]して尻[しり]隠さず「頭隠して尻隠さず」は、おまえみたいなおろか者のすることさ。♠〈能あるたかは爪[つめ]を隠す〉「能ある鷹は爪を隠す」というように、賢[かしこ]い人は才能を見せびらかすようなことをしないものだ。 **かく・する【画する】** ○線を引く。線を引いて区分する。計画する。[文例]ヘエポックを画する〉日本の戦後に一つのエポックを画したのは東京オリンピックの開催でした。♠一時代を画する〉元禄[げんろく]の文豪井原西鶴[ぶんごういはらさいかく]は、浮世草子[うきよぞうし]といわれる一時代を画する小説を著[あらわ]した。♠◆〈一線を画する〉彼とは同じ医者だが、医療[いりよう]に対する根本的な考え方では一線を画している。 **かくせい(覚醒)** ○目が覚めること。目を覚ますこと。迷いから覚めること。[文例]〈覚醒する〉まよってばかりいましたが、父の一言で覚醒しました。♠◆<覚醒作用>寝る前にコーヒーなどを飲むと、カフェインの覚醒作用で眠れなくなる時がある。♠へ覚醒剤>覚醒剤を乱用すると、不眠、幻覚[げんかく]などの中毒症状をおこす。 **かくせい【隔世】** ○時代を隔てること。世代を異にすること。[文例]〈隔世の感〉今の子供たちの生活を見ると、我々の子供のころとは隔世の感がある。♠◆<隔世遺伝>隔世遺伝の見本みたいに、わたしは祖母の小さいころにそっくりらしい。 **がくせい【学生】** ○大学に学ぶ人。学問の修業をする人。[文例]〈大学の学生〉〈学生運動>学生運動が盛[さか]んだったころ、わたしもある大学の学生だった。♠●〈学生生活>志望の大学に入り、今、充実した学生生活を送っています。♠●へ学生時代>久しぶりに英語の辞書を引きながら、学生時代にもどったような気持ちになった。 **かくぜつ【隔絶】** ○遠く隔たること。かけ離れていること。[文例]〈文明から隔絶する〉博士は、都会を離れ、文明から隔絶されたジャングルの奥地で生活を始めた。♠●〈世間から隔絶する>彼女は今、修道院という世間から隔絶された世界で祈りの生活を送っている。 **がくせつ【学説】** ○学問上の独創的な考え・理論・解釈など。[文例]地球上の大陸がどのようにして現在の状態になったかについては、いくつかの学説がある。 **あがくぜん(愕然)** ○非常に驚くさま。[文例]〈愕然とする〉あの明るい人が、実は余命[よめい]いくばくもないということを知って、ぼくは愕然とした。♠●〈愕然たる思い〉人々は、愕然たる思いで敗戦の知らせを聞いたであろう。 **かくだい【拡大】** ○広げて大きくすること。広がって大きくなること。[文例]】〈紛争が拡大する>国境での小さな紛争[ふんそう]は、やがて全面的な戦争へと拡大していった。♠◆人範囲[はんい]を拡大する>子供は、成長するにつれて、その行動範囲を拡大してきます。♠●へ勢力を拡大する〉ナチスは次第に勢力を拡大し、一九三三年、ついにヒトラーは首相の地位をつかむに及[およ]ぶ。♠●へ写真を拡大する>写真を拡大してみたら、尾翼[びよく]の部分が欠けているのがはっきりわかった。 **かくだん【格段】** ○程度の差や違いが大きいさま。格別。[文例]<格段に美しい>空気の澄んだ高原では、都会とちがって格段に美しい星空を眺[なが]めることができる。♠●へ格段の差一見同じような品物だが、品質には格段の差がある。 **かくちょう【格調】** ○品格・風格と調子。[文例]<格調高い>格調高い文体で記された『奥の細道[おくのほそみち]』は、紀行文学の傑作[けつさく]だ。♠◆<格調を持つ〉地味で落ち着いた格調を持つこの絵にひかれる人は少なくない。♠●へ格調がある〉家を新築した機会に、古いヨーロッパ風の格調のある家具をそろえた。 **かくちょう【拡張】** ○広げ、のばすこと。広げて大きくすること。[文例]〈拡張する〉地元の建設会社が事業を拡張し、観光産業に乗り出した。♠◆ヘ拡張工事〉グラウンドの拡張工事が進められている。♠◆へ軍備拡張〉軍備拡張に反対する国民の声をよそに、軍事予算は大幅[おおはば]に伸びていった。 **かくてい【確定】** ○はっきりと定めること。はっきり決まること。[文例]<優勝が確定するこの種目で九・六○以上を得点すれば、西川選手の優勝が確定します。♠期日が確定する>期日が確定し次第お知らせします。♠●〈確定的>赤潮[あかしお]が魚を殺すメカニズムは、今のところ、確定的に突き止められたわけではない。 **かくど【角度】** ○角の大きさ。ものの見方。観点。[文例]〉〈角度を測る〉辺の長さか角度を正確に測ってごらん。これは二等辺三角形とはいえないよ。♠●〈交わる角度二つの直線が交わる角度が九十度であることを、「直角」という。♠●へ急な角度>スキーヤーは、急な角度の斜面[しゃめん]を、弾丸[だんがん]のように滑[すべ]りおりた。♠へいろいろな角度〉いろいろな角度から検討した結果、夏休みの旅行は北海道に決めた。♠●〈異なった角度〉わ <180> たしはその問題を異なった角度から考えてみたいと思います。♠●く角度を変える〉へんぴなこの村も、角度を変えてみれば、緑の自然に恵[めぐ]まれたすばらしい土地だ。 **かくとう【格闘】** ○組み打ち。取っ組み合い。必死で闘うこと。[文例]〈格闘する〉あんな大男と格闘するなんて無茶だよ。♠●へ難問と格闘する〉数学の応用問題と一時間以上も格闘した末、ようやく解くことができた。♠●へ自然との格闘〉北国の人々にとって、短い夏が終わると、また厳しい自然との格闘が始まる。♠●〈格闘技〉ぼくは、レスリングや相撲[すもょう]など、格闘技が好きだ。 **がくどう【学童】** ○小学校の生徒。児童。[文例]近くに小学校があるらしく、黄色い帽子をかぶった学童たちが道を歩いて行く。♠都会は空襲[くうしゅう]が激[はげ]しくなり、当時小学生だったわたしは集団で長野へ学童疎開[そかい]をした。 **かくとく【獲得】** ○努力して手に入れること。苦心の末に得ること。[文例]〈満点を獲得する〉わたしは、クラスでただ一人、数学の期末テストで満点を獲得した。♠●〈人材を獲得する〉会社は、有能な人材を獲得するために、あの手この手を使います。♠●へ平和・自由を獲得する〉戦争による大きな犠牲を払って獲得した平和と自由を、永久に守りたいものだ。♠●栄冠[えいかん]を獲得する〉長い間の猛勉強[もう]のかいがあって、兄は合格の栄冠を獲得した。 **かくにん【確認】** ○確かめること。確かにそうだと認めること。[文例]〈身元[みもと]の確認人を雇う[やと]のなら、しっかり身元の確認をしないといけないよ。♠◆人〈人数の確認〉人数の確認が不十分だったため、山を降りたら、一人行方[ゆくえ]不明になっていた。♠●へ左右を確認する>道路を渡るのは、左右をよく確認してからにしよう。♠◆〈未確認>UFO[ユーフォー]は、空を飛ぶ未確認の物体で、英語の頭文字をとって名づけられました。♠◆再確認>あいまいな情報では困るから、至急、再確認が必要だ。 **がくねん【学年】** ○学校の修学期間としての一年。また、それに基づくそれぞれの段階。[文例]〈学年の終わり〉学年の終わりにあたって、感じていることや考えていることを文章にまとめてみよう。♠●〈学年対抗〉運動会では学年対抗のリレーがあるので、毎日猛練習[もうれんしゅう]している。 **かくのう【格納】** ○中に納めて、しまうこと。[文例]〈格納する〉棚[たな]には、趣味で集めたという銃[じゅう]がずらりと格納されてあった。♠●へ格納庫>飛行を終えたセスナ機は、格納庫に入る。 **かくはん(攪拌)** ○よくまざるように、かき回すこと。[文例]〈攪拌する>食塩がよく溶けるように、棒で攪拌します。 **かくべつ【格別】** ○普通と違うさま。特にすぐれているさま。[文例]<気分は格別〉降るような星空の下、広々とした高原を散歩する気分は格別だ。♠●〈格別に安い・うまい〉このレストランは格別に安くてうまいので、いつもこんでいて、席が空くまで待たされる。♠●〈格別の寒さ〉今年の冬は厳冬だという予報だったが、それにしても格別の寒さだね。♠●彼は、格別頭がよいわけではないが、努力をするから成績がいいんだ。 **かくほ【確保】** ○確実に手に入れること。しっかり保つこと。[文例]〈土地の確保〉公民館を建てるためには、まず、土地の確保が先だ。♠●へ座席の確保〉年末は、新幹線の利用客が多くて、座席の確保が大変です。♠●〈人手[ひと]の確保〉人口の高齢[こうれい]化で、産業界は将来、若い人手の確保が難しくなるといわれている。♠●へ食料を確保する〉わが家では地震[じしん]に備えて、家族四人の一か月分の食料を確保しています。♠●〈席を確保する〉映画館の前には、席を確保するために並[なら]んだ人で、長い列ができている。♠●へ時間を確保する〉クラブ活動に打ち込みながら、同時に勉強の時間も確保しなければならない。♠●〈場所を確保する〉川べりへ行ってみると、釣れそうな場所は、ほかの人に確保されてしまっていた。♠へ資源確保〉日本が石油などの資源確保を目的に南方へ進出したことは、太平洋戦争の原因ともなった。 **かくま・う(匿う)** ○(追われている人などを)ひそかに隠す。[文例]〈犯人をかくまう〉たとえ親友であっても、犯人をかくまうと罪になります。♠●へ敵兵をかくまう〉村人たちの目を避けながら、彼女は傷ついた敵兵をかくまい続けた。♠◆〈家にかくまう〉アンネは、ナチスの厳しい弾圧[だんあっ]を避け、アムステルダムの知人[ちじん]の家にかくまわれていたユダヤ人の少女です。 **かくめい【革命】** ○世の中の体制をくつがえすこと。大きな変革。[文例](革命が起こる>市民階級による革命が起こり、ここに絶対王政は打倒[だとう]された。♠●〈革命的〉新しく開発された製品の堅牢[けんろう]さと耐久性は、革命的であった。♠食革命政府>革命政府の必死の追及をくぐり抜け、貴族たちを国外へ救出する計画が実行された。 **がくもん【学問】** ○真理を正しい方法で追求し、そこから体系的な知識を得ること。また、それから得られた知識。[文例]〈学問に励む>学生諸君、今こそ学問に励みたまえ。♠●〈学問の進歩>科学や学問の進歩によって、世の中の不思議だったことが、いろいろわかってきた。♠●〈学問の道〉〈学問に志す〉中国の思想家である孔子[こうし]は、十五歳で学問の道に志し、三十歳で独り立ちができるようになったといいます。♠◆<学問の対象〉ファーブルは、それまで学問の対象にした人のない昆虫[こんちゆう]の記録を、二十巻も書き続けた。♠●〈学問がある・ない〉祖父は、学問のある人なので、ぼくの知らないことでも、よく知っています。♠●〈学問する〉大学とは、学問するところなのだから、大学生が一生懸命勉強するのはあたりまえだ。 **がくや【楽屋】** ○劇場などで出演者が出番を待つ部屋。[文例]公演の初日には、お祝いに古くからの友人たちが楽屋に顔を見せた。♠●〈楽屋裏>アルバイトをたのまれて、思いがけなく選挙運動の楽屋裏をのぞく機会を得た。 **かくやく【確約】** ○はっきり約束すること。確かな約束。[文例]〈確約を得る〉確約を得たわけではないが、彼が世話役を引き受けてもいいと言っていたよ。♠●へ確約する責任者が確約していったのだから、工事は期限までに終わるだろう。♠●なんとか今月中に支払うつもりだが、確約はできない。 **かくらん(撹乱)** ○乱すこと。混乱させること。[文例]〈秩序 <181> を攪乱[こうらん]する>幕府は、キリスト教は日本の社会秩序を攪乱するとして禁じた。♠●〈社会を攪乱する〉人々の不安が深まると、デマが流れて社会を攪乱することがある。 **かくり【隔離】** ○隔てること。他から引き離すこと。[文例]〈世間から隔離する〉男は、なぜ、世間から隔離されたこんな山奥で暮らしているのだろう。♠●へ患者を隔離する〉伝染病にかかった患者は、他の人への感染を防ぐために隔離されます。 **かくりつ【確立】** ○しっかりと打ち立てること。確かなものにすること。[文例]〉〈自我を確立する〉思春期の反抗は、自我を確立するための出発点なのだ。♠●〈俳風[はいふう]を確立する〉江戸時代の俳人、松尾芭蕉[まつおばしよう]は蕉風[しようふう]という独自の俳風を確立した。♠●〈平和を確立する>歴史をふり返りながら、平和を確立するための方法を人類は考えていかなくてはならない。♠◆<民主主義の確立>軍による支配が続いたこの国では、民主主義の確立が叫[さけ]ばれている。 **かくりつ【確率】** ○物事の起こりえる割合。公算[こうさん]。[文例]<確率が高い・低い>せっかくの夢に水を差すようだが、成功する確率はきわめて低いね。♠へ降水確率〉今日の降水確率は一〇パーセントだというので、傘[かさ]を持たずに家を出た。 **がくりょく【学力】** ○学問上の力。学習によって得られた能力。[文例]〈学力が伸びる〉この教材で学習してから、ぼくの学力が少しずつ伸びてきた。♠●〈学力がつく>毎日勉強しても学力がつかないとしたら、勉強の仕方に問題があるのでしょう。♠学力は、生徒の能力を計る基準の一つにすぎません。 **かくれ【隠れ】** ○隠れること。知られないこと。見えないこと。[文例]〈隠れもない〉囚人[しゅうじん]たちが劣悪[れっあく]な労働環境の下で死んでいったのは、隠れもない事実である。♠へ逃げ隠れ〉文句があるなら、いつでも来い。決して逃げ隠れはしない。♠◆<見え隠れ〉どうしたのだろう、畑の道を小さな男の子が見え隠れについてくる。 **かくれが【隠れ家】** ○人目にふれないように身をひそめる家・場所。[文例]』〈隠れ家をつきとめる〉ついに隠れ家をドイツ軍につきとめられ、アンネの一家は捕[と]らえられた。♠◆〈隠れ家にする〉一味は、この壊[こわ]れかかった古い小屋を隠れ家にしていた。♠●〈隠れ家住まい〉一歩も外へ出ず、物音をたてぬように気を配っての隠れ家住まいは二年間続いた。 **かくれみの【隠れみの】(隠れ蓑)** ○着ると姿が見えなくなるという想像上のみの。事実を隠すための手段。[又例]〈隠れみのにする〉業界は、人件費の高騰を隠れみのにして値上げをはかっている。♠●へ〜をいい隠れみのに〉娘は受験生であることをいい隠れみのに、ちっとも手伝いをしない。 **かく・れる【隠れる】** ○姿、形が見えなくなる。人目につかなくする。(身分の高い人が)死ぬ。[又例]〈山の中に隠れる〉わたしたちは、敵の襲撃[しゅうげき]を逃れて、一晩じゅう山の中に隠れていました。♠◆ヘこそこそ隠れる〉こそこそ隠れていないで、かきどろぼうをしたやつは、前に出ろ。♠●〈太陽が隠れる〉太陽が見えないのは、厚い雲に隠れているからです。♠〈人に隠れる〉ぼくに隠れて自分だけおいしいものを食べるなんてずるいや。♠●〈陰[かげ]に隠れる〉はなばなしい兄の活躍[かつやく]の陰に隠れて、弟のほうは目立たない。♠●〈世に隠れる〉世に隠れたタレントを見つけだそうと、今日もスカウトたちは、目の色を変えている。♠●〈隠れた才能>子供たちの隠れた才能を見つけ、引きだしてやるのは、先生や親の責任だ。♠◆〈隠れた功績〉世のために尽くした人の隠れた功績が、毎年、政府によって表彰[ひようしよう]される。♠●へお隠れになる〉ただいま、殿様はお隠れになりました。若殿[との]が跡を継がれます。 **かぐわし・い(馨しい・芳しい・香しい)** ○よいにおいがする。かんばしい。[文例]へかぐわしい香り〉道を歩いていくと、どこからともなくかぐわしい水仙の香りが漂[ただよ]ってきた。♠●〈かぐわしい大気>夜来の台風にひとりはぐれた白い雲が/気の遠くなるほど澄みに澄んだ/かぐわしい大気の空をながれてゆく(以下略)(伊東静雄[いとうしずお]「夏の終わり」部分) **かけ(賭け)** ○かけること。かけてする勝負事。くわだての結果を運にまかせること。[文例]〈かけをする〉どちらのチームが勝つか、かけをしよう。♠◆へかけに勝つ・負ける男は、かけに負けて、有り金[あり]を失ってしまった。♠●次の機会を待つか、それとも今実行するか、これは一つのかけだ。 **かげ【影】** ○光によって見える物の姿・形。光を受けた物が後に生じる像。[文例]〈影がうつる〉地面などにうつる影は、光が強くなるほど、濃くはっきりと見える。♠●〈人の影〉カーテン越しにではあったけれど、窓の外を横切る人の影を、わたしは確かに見たのです。♠◆〈山の影〉美しい山の影が湖に映[うつ]っています。♠●へ影も形もない〉とりこわし工事が始まって、今まで住んでいた家は、影も形もなくなってしまった。♠●へ影が薄い〉彼は学校では、目立たない、影の薄[うす]い存在です。♠●へ見る影もない>苦しみにやつれきった彼女の姿は、見る影もなかった。♠●へ影もまばら〉昼間はにぎやかな通りも、夜八時を過ぎると人の影もまばらでさびしくなる。♠●〈うわさをすれば影「うわさをすれば影」で、当の本人がこっちに来るぞ。♠●〈暗い影を落とす〉長びく戦争が子供たちの心に暗い影を落としていた。♠暗い影が差す>幸福だった家族の生活に暗い影が差したように感じられた。♠←〈暗い影を投げる>殊[こと]に祖母との関係の上に投げる暗い影を想う時に、自分は堪[たま]らない気がした。(志賀直哉[しがなおや]「和解」) **かげ【陰】(蔭・翳)** ○光の当たらない暗い部分。人目につかない所。隠れて見えない所。助け(反語的にも用いる)。[文例]〈葉の陰〉〈陰に隠れる〉オニグモは、昼間は木の葉の陰などに、じっと隠れている。♠〈山の陰〉〈陰になる>太陽が南へ回っていくと、この場所は、山の陰になって、日が当たらなくなる。♠●へ草葉[くさば]の陰〉おまえが立派に成長してくれたので、お父さんもさぞ草葉の陰で喜んでいなさるだろうよ。♠●〈決定の陰に>原子力発電所建設の決定の陰には、多くの反対があったことも事実だ。♠●へ陰がある〉その俳優のどこか陰のある感じも、ファンにとっては大きな魅力[みりよく]の一つなのです。♠●〈陰で糸を引く〉この事件には、陰で糸を引く人物がいるようだ。♠●へ陰になりひなたになり〉わたしの仕事には、妻が陰になりひなたになりして尽くしてくれた。♠● <182> 〈陰に回る〉人の前ではにこにこしているが、陰に回ったら、どんな悪口を言っているかわからない。♠●へ寄らば大樹の陰「寄らば大樹[たいじゅ]の陰」で、大きな会社に入ったほうが安心だという人もいる。♠●〈人のおかげ〉>先生や友達の温かい励ましのおかげで、わたしはここまでやってこられたのです。♠●〈夕立のおかげ〉せっかくの新調[しんちよう]の服が、夕立のおかげでずぶぬれになってしまった。 **かげき【過激】** ○非常に激しいさま。きわめて急進的なさま。[文例]〈過激な運動〉適度な運動は健康にいいが、過激な運動はきんもつです。♠●〈過激な思想〉青年の過激な思想は、保守的な大人たちから非難を浴びた。♠●〈過激派〉過激派ゲリラによる爆弾[ばくだん]テロ事件が相次いでいた。 **かげぐち【陰口】** ○当人のいない所で言う悪口や批判。[文例]〈陰口をきく>親類の中には、慎重な父の態度を誤解して、気力がないと陰口をきく者もあった。♠●へ陰口をたたく>ふだんは陰口ばかりたたいているくせに、お金を借りる時はお世辞たらたらだ。 **かけごえ【掛け声】** ○呼びかける声。合図や勇気づけなどのためにかける声。[文例]〈掛け声がする〉港では、漁船のエンジンの音とともに、活気に満ちた人々の掛け声がする。♠●〈開発の掛け声>国土開発の掛け声のもとに、樹木がどんどん切られ、山はたちまち荒れていった。♠彼は、「今度こそやる。」などと言っているが、いつも掛け声ばかりだ。 **かけい【家計】** ○一家の収入と支出の状態。生計。[文例]〈家計を助ける〉息子もアルバイト代を学費にあてるなどして、家計を助けてくれます。♠〈家計が苦しい〉今月は出費がかさみ、かなり家計が苦しい。♠家計を切り盛りする〉わたしの少ない給料で家計を切り盛りする妻もたいへんです。♠●〈家計簿>母は、そろばんを手に家計簿とにらめっこしている。 **かけい【家系】** ○一族の系統。一家の血筋。[文例]〈父方・母方の家系>父方の家系も母方の家系も、大変経済的に恵まれていたので、何不自由なく育った。♠●〈家系をたどる〉わが家の家系をたどると、明治時代の飾[かざ]り職人へ行き着いて、その先は全く不明です。♠●〈家系図>先祖代々の名を連ねたこの家系図が、前田家に伝わる家宝です。 **かけがえ【掛け替え】** ○代わりをするもの。替えのきくもの。[文例]〈かけがえがない〉ちょっと頼[たよ]りないのですが、彼はわたしにとってかけがえのない人です。♠●へかけがえのない地球>環境汚染[おせん]などの問題に真剣に取り組み、かけがえのない地球を守ろう。♠●へかけがえのない命〉かけがえのない命を決してむだにしてはいけません。 **がけ(崖)** ○けわしく切り立った所。[例]〈がけの上〉勢いよく駆けてきた馬上の人は、がけの上で大きくたづなをしめて止まりました。♠●へがけがそそり立つ〉松林の向こうには、大きながけがそそり立っていて、その先は見えません。♠●〈切り立ったがけ>湖岸は切り立ったがけで、湖へ下りて行くのは難しい。♠●へがけを下りる>義経[よしつね]の軍勢は、馬に乗ったままがけを駆け下り、平家[いけ]の軍を攻め破った。♠●へがけっぷち>九回裏ノーアウト満塁[まんるい]、わがチームはがけっぷちに立たされた。 **かけあ・う【掛け合う】** ○互いに掛ける。要求を通すために交渉する。[文例]〉〈声を掛け合う「しっかりがんばれよ。」と声を掛け合って、選手たちは最後まで戦い抜いた。♠●へ役所に掛け合う〉住民の代表者は、古い公営住宅の取り壊[わ]し計画の撤回を求めて、役所に掛け合った。 **かけこ・む【駆け込む】(駈け込む)** ○走って来て中に入る。助けを求めに来る。[例]突然大雨が降ってきたので、あわてて近くにあった喫茶店[きつさてん]に駆け込んだ。♠◆自分を頼って駆け込んできたこの少女の願いを、ぜひ聞いてやりたいと思いました。 **かけずりまわる【駆けずり回る】(駈駆けずり回る)** ○あちこち走り回る。駆け回る。奔走する。[文例]町内の知り合いを駆けずり回って、お祭りに使う提灯[ちょうち]を集めた。♠◆今日は、朝から金策で一日じゅう駆けずり回りました。 **かけだし【駆け出し】(駈け出し)** ○その仕事についたばかりであること。また、そういう人。しんまい、[文例]】〈駆け出しの作家〉作家といってもまだ駆け出しだから、出版社には顔がきかない。♠●へ駆け出しの同心〉おめえみたいな駆け出しの同心には、手柄なんざ無理ってことよ。 **かけつ【可決】**「議案を議決すること。[文例]〈議案を可決する〉議案は、賛成多数で可決されました。♠〈勤議を可決する>動議は三票の差で可決された。 **かけつ・ける【駆け付ける】(駆け付ける)** ○走って来る。急いでやって来る。[文例]〈病院に駆けつける>母の容態が急変したという知らせに、急いで病院に駆けつけた。♠現場へ駆けつける>事件を聞きつけて、新聞社の自動車が現場へ駆けつけた。 **かけね【掛け値】** ○実際より高くつけた値段。誇張して言うこと。[文例]〈掛け値なしの値段〉掛け値なしの値段だと言うが、それにしても高すぎる。♠●〈掛け値なしに〉彼が精魂[せいこん]かたむけてかいたその絵は、掛け値なしにすばらしい出来だった。♠●へ掛け値のないところ〉さっきはだいぶほめたが、掛け値のないところを言うと、まあまあという出来かな。 **かけはし【掛け橋・懸け橋・架け橋】** ○谷川などに架け渡した橋。橋わたしとなるもの。なかだち。[文例]谷川が流れる山のかけ橋を渡る時は、さすがに怖かった。♠●子供から大人へのかけ橋〉長い人生の中でも、中学時代の三年間は子供から大人へのかけ橋として、最も貴重なときです。♠●〈友好のかけ橋〉今度の会談が、両国の友好のかけ橋となるよう祈[いの]りたい。 **かけひき【駆け引き】** ○相手の出方を見て、自分の有利になるような方策をとること。[文例]〉〈駆け引きがうまい〉きみは駆け引きがうまいから、交渉はまかせるよ。♠●へ駆け引きをする〉相手が急に態度を変えたので、わたしは、これは駆け引きをしているのではないかと疑った。♠●へ虚々実々[よきよじつじつ]の駆け引き〉秘密情報の入手をめぐって、両者の間に虚々実々の駆け引きが行われた。 <183> **かげひなた【陰ひなた】(陰日向)** ○日かげとひなた。人が見ている時と見ていない時。[文例]』〈陰ひなたがない〉使用人の佐吉[さきち]は、陰ひなたのない若者で、正直だからみんなにかわいがられた。♠◆陰ひなたなく〉お店では陰ひなたなくまじめに働くようにしなさい。 **かげぼうし【影法師】** ○地面や壁などに映った人の影。[文例]〈影法師を落とす〉日は、すっかり西に傾[かたむ]き、じっとたたずむ彼女の後ろに長い影法師を落としていた。♠●へ影法師を踏む〉月がこうこうと照る晩には、兄と影法師を踏みながら銭湯[せん]に行きました。 **かけめぐ・る【駆け巡る】(駆け巡る)** ○走り回る。[文例]〈野山を駆け巡る〉少年は、幼い時からこのあたりの野山を獣[けもの]のように駆け巡って大きくなった。♠◆く風が駆け巡る〉肌[はだ]を刺[さ]す冷たい風がうなり声をたてて庭を駆け巡る。♠●へ思いが駆け巡る〉ふるさとからの便りを前にして、さまざまな思いがわたしの頭の中を駆け巡った。♠◆旅に病んで夢は枯野をかけめぐる(松尾芭蕉[まつおばしよう]) **かけもち【掛け持ち】** ○同時に二つ以上のことを受け持つこと。二つ以上の仕事をかねること。[文例]〈掛け持ちで~する〉大川先生が病気なので、小山先生がしばらく二つの組を掛け持ちで担任します。♠●〈掛け持ちする〉わたしは、大学のほかに専門学校の講師を掛け持ちしているので非常に忙[いそが]しい。♠◆く掛け持ち受験>浪人[ろうにん]は許されない状況なので、五つの大学を掛け持ち受験することにしました。 **かけら【欠けら】(欠片)** ○物から欠け落ちた断片。ほんのわずかなもの。[文例]〈茶わんのかけら〉割れた茶わんのかけらをあわてて拾って、元のとおりにくっつけてみた。♠石のかけら〉どこからともなく石のかけらが飛んできて、教室の窓ガラスを割ってしまった。♠●へせんべいのかけら〉ポケットからせんべいのかけらを出して、まいてやると、ハトがおいしそうにつついていた。♠●へ良心のかけらもない〉あいつは金のためなら何でもやる、良心のかけらもない悪党だ。♠◆<屈託[くつ]のかけら〉のびのびと育った若者はさわやかで、屈託のかけらも感じられない。 **かげり【陰り】(翳り)** ○かげができること。暗い部分。不安な部分。[文例]<陰りが出る〉彼女の健康に陰りが出てきたのは、三番目の子を生んで少したったころだった。♠◆く陰りがない〉山奥の貧しい村だったが、人々は陰りのない笑顔で迎えてくれた。♠●へ陰りを帯びる〉暗い陰りを帯びた彼の性格がますます人を遠ざける結果になるのだった。♠●へ陰りが見える〉さしもの権勢を誇[ほこ]った一族にも、この事件以来陰りが見えてきた。 **か・ける【欠ける】** ○完全なものから一部分が失われる。あるべきものが備わっていない。[又例]〈歯が欠ける〉ビールの栓[せん]を歯で開けようとして、お父さんの歯が欠けてしまいました。♠へ茶わんが欠ける〉じいさんは、ふちの欠けた茶わんにぬるい茶をいれて、わたしにすすめた。♠●〈月が欠ける〉十五夜を過ぎ月が次第に欠けて細くなると、うさぎは一体どうなるのかと、幼い子は考えた。♠●〈兄弟が欠ける〉九人の兄弟がこの年まで一人として欠けることなく、全員そろっているのはめでたい限りだ。♠●ヘメンバーが欠ける〉サブちゃんが転校するのでは、ぼくらのチームのメンバーが一人欠けてしまうよ。♠●〈能力が欠ける〉ぼくには、クラスを統率する能力が欠けていたようだ。♠●く礼儀に欠ける〉きみの態度は、あまりにも礼儀に欠けるのではないか。♠誠実さに欠ける〉どうやら、誠実さに欠けるあの人の人物を見ぬけなかったらしい。♠●へ〜の気持ちが欠ける〉今までわたしには、家族に対する感謝の気持ちが欠けていました。 **か・げる【掛ける・懸ける・架ける】(賭ける)** ○つるす。何かを支えにして止める。ぶら下げる。おおいかぶさるようにする。ふりかける。からめる。重みや作用などを加える。身に受けさせる。物事の成否をゆだねる。費やす。始動させる。始める。かけごとをする。かけ算をする。・・・までわたる。[文例]〈柱にかける>男は、柱にかけてある鉄砲[てつぼう]を取って、火薬をつめ始めた。♠食へはしごをかける>救助隊員は、建物の外から三階にはしごをかけ、けが人を助け出した。♠●へ橋を架ける〉この川に橋を架けることは、当時としては難事業であった。♠●〈帆をかける〉昔は船に帆はつきものだったが、今は帆をかけた船といえば、ヨットくらいしか見られない。♠●〈巣をかける〉今年もまた、家の裏にある物置の軒下につばめが巣をかけた。♠●〈小屋をかける>男は、島でいちばん見晴らしのいい所に小屋をかけ、そこで生活を始めた。♠人眼鏡[めがね]をかける〉わたしのクラスで眼鏡をかけている人は八人、全体の五分の一にあたります。♠◆〈ボタンをかける〉かじかんだ指では、コートのボタンをかけることさえままならなかった。♠人かぎをかける〉しまった、窓のかぎをかけるのを忘れてきたよ。♠◆ヘブラシをかける〉母がブラシをかけると、父の背広はほこりも落ちてきれいになりました。♠へわなにかける〉彼は、人の足を引っ張ったり、わなにかけてでも出世しようという男だから、気をつけろ。♠◆ヘ火にかける〉お母さんはちょっと出かけるけど、夕ごはんはおなべを火にかければいいようになっているからね。♠●へ腰をかける〉公園のベンチに人のよさそうな老夫婦が腰をかけている。♠●〈水をかける〉この植物はけっこう丈夫だから、一日一回水をかけてやりさえすれば、枯れることはない。♠●へ塩をかける>生野菜は、ドレッシングや塩をかけると食べやすくなる。♠●ヘ毛布をかける〉お母さんは眠[ねむ]っている赤ちゃんに毛布をそっとかけてやりました。♠●〈雌[めす]に雄[おす]をかける〉この子牛は、うちの雌牛にとなりの牧場の雄牛をかけて産ませました。♠へ声をかける〉試合には出られないが、ベンチから選手に声をかけて応援[おうえん]するのが、ぼくの役目だ。♠王手をかける〉日本シリーズ第五戦は西武が勝ち、対戦成績を三勝二敗として広島に王手をかけた。♠●ヘエンジンをかける〉エンジンをかけてアクセルをふかしたとたん、車の調子が悪いことに気がついた。♠●ヘブレーキをかける〉飛び出してきた子供をよけようとして、運転手はブレーキをかけながらハンドルをきった。♠●ヘレコードをかける〉好きなレコードをかけ、ソファーに横になって漫画を読んでいた。♠●〈体重をかける〉兄がちょっと体重をかけると、壁[かべ]がへこん <184> でしまった。♠〈金・時間をかける〉どんなにお金や時間をかけても、いいかげんな気持ちで作ったものは、すぐわかる。♠●へ腕によりをかける〉わたしの誕生日[たんじようび]に、母は腕によりをかけてごちそうを作ってくれました。♠●く磨き[みが]をかける>毎日猛練習[もうれんしゅう]を積み、自分の得意技[とくいわざ]によりいっそう磨きをかけました。♠●へ電話をかける〉いくら仲のいい友達でも、夜おそくに電話をかけるのはつつしもう。♠●へ迷惑[めいわく]をかける〉思っていることをはっきり言わなかったために、皆[みな]に迷惑をかけました。♠●〈心配をかける〉いろいろご心配をかけて申しわけありませんでした。♠●〈疑[うたが]いをかける〉畑にシャベルが置きっ放しになっていたので、彼は仕事をなまけたと、疑いをかけられた。♠●へ圧力をかける〉労働組合は大会を開いて新たなスローガンをかかげ、会社に圧力をかけた。♠●〈医者にかける〉赤ちゃんの様子がおかしいわ。すぐお医者さんにかけなくちゃ。♠●〈機械にかける〉機械にかけられた容器は、色を塗られ、ふたをされて右の口[ぐち]から出てきます。♠●へふるいにかけるダンプカーから下ろされた砂は、ふるいにかけ、水とセメントを混ぜて使います。♠●へはかりにかける〉兄は、A社は給料が高いし、B社は将来性があるし・・・と、はかりにかけて就職先を考えている。♠●へ会議にかける〉あなたの企画は、会議にかけられ検討されましたが、残念ながら採用されませんでした。♠●〈裁判にかける〉殺人罪で訴[うつた]えられ、裁判にかけられていた男に判決が下った。♠●〈計略にかける〉男は、人のいいおばあさんを計略にかけ、まんまと大金をだましとった。♠●人目をかける〉なまけ者のわたしだったが、どういうわけか、先生は目をかけてくださった。♠●人歯止めをかける〉あれも欲しい、これも欲しいという子供のわがままには歯止めをかける必要がある。♠◆く気にかける〉姉は、スカートのすそを気にかけて、鏡の前で丹念[たんねん]にチェックしている。♠●〈鼻にかける〉彼は、数学ができるのを鼻にかけるところがあるので、ぼくはあまり好きではない。♠へお目にかける〉信じてもらえないなら、胸を断ち割って、心の中をお目にかけましょうか。♠●〈情[なさ]けをかける〉捨て犬にちょっと情けをかけたら、わが家に居[い]ついて五匹も子を生んだ。♠●へ願をかける〉息子[むすこ]の病気が治りますようにと、母親は神仏に願をかけ、茶をたちました。♠●へ望みをかける〉わたしは、有り金[あり]をすべてつぎこんだ最後のレースに望みをかけていた。♠●へ手をかける〉鉄棒[かなぼう]に手をかけて体をひょいと持ち上げた。♠●〈手にかける>農夫は、食べる物がなくなり、かわいがって育てたウサギを手にかけました。♠●〈手塩[てしお]にかける〉手塩にかけて育てたわが子を、戦場に送りたいと思う母親がいるものか。♠●へ賞金をかける〉店の金を持ち逃げした使用人を見つけてくれた人にと、あるじは、大枚[たいまい]の賞金をかけた。♠●〈生涯[しょうがい]をかける>野口英世[のぐちひでよ]は、生涯をかけて黄熱病[おうねつびよう]の研究をし、昭和三年にアフリカで亡くなった。♠●へ名誉[めいよ]にかける>母校の誇り[ほこ]と名誉にかけて、ぼくたちは精いっぱい戦いました。♠●へ命をかける〉一生の大事業として、彼は病院の建設に命をかけている。♠●へ保険をかける〉競輪の選手などは、その足に巨額の保険をかけているという。♠●へ優勝をかけた試合>優勝をかけた大事な試合を、ぼくたちは力いっぱい戦った。♠●へ有り金をかける〉おじさんは、ひともうけしようと競馬に有り金をかけました。♠●へ数をかける〉足したり、割ったり、かけたり、いろいろやったが、それらしい答えが出ない。♠●へ〜から〜にかけて〉台風の影響で、東海地方から関東地方にかけて大雨の恐[おそ]れがあります。 **か・ける【駆ける】(駈ける)** ○走る。馬に乗って走る。[例]〈馬が駆ける〉〈野を駆ける〉馬小屋につながれている馬も、ときには広い野を駆け回りたいだろう。♠●へ小走りに駆ける〉〈道を駆ける>雨が降り出したので、妹を背負って、とっと小走りに道を駆けた。♠●へ駆け巡る〉自分は無実だという叫[さけ]びは、頭の中を駆け巡るだけで、口からは出なかった。♠●へ駆けつける>早くも事件を聞きつけて、新聞社の自動車が駆けつけた。♠●へ駆け回る〉彼は朝早くから金策のため、ほうぼう駆け回っています。 **かげ・る【陰る】(翳る)** ○光が当たらなくなる。暗くなる。[文例)〈日が陰る〉月見草は、夕方になり日が陰ってくると、花が開きます。♠●〈辺りが陰る〉太陽が雲に隠れると、辺りが急に陰って、夕方のようになった。♠●〈月が陰る>雲におおわれ、月が陰ってきた。♠●へ明かりが陰る〉燃料がなくなってきたらしくランプの明かりが陰ってきた。♠光が陰る〉トンネルをぬけると、光の陰った林が迫り、すき間から青い空が見えた。♠●〈表情が陰る〉亡[な]くなった息子が話題になると、一瞬[いつしゅん]母親の表情が陰った。 **かげろう(陽炎)** ○地面が熱っせられるために、光や物の姿がゆらゆらと揺れて見える現象。[文例]〈春のかげろう〉丘にゆらゆらと立ちのぼる、はかない春のかげろうに死者の霊[れい]を幻想[げんそう]した。♠へかげろうがたつ〉野原には一面にかげろうがたち、草までがゆらゆらとゆれているように見えた。 **かげん【加減】** ○加えることと減じること。具合。状態。調子。ほどあい。調節すること。[文例]〈加減が良い・悪い〉手厚い看病のおかげで、病人の加減も、日ましに良くなってきた。♠●〈ライトの加減〉ライトの加減だろうか、全体の色がやけに白っぽく見える。♠◆〈陽気の加減〉陽気の加減か、どうもこのごろ体の調子がよくない。♠●へ音量を加減するこのつまみで、ラジオの音量を自由に加減することができます。♠◆〈食事を加減する〉体重が増え過ぎたので、今食事を加減しているところです。♠●へ湯加減〉熱くもなし、ぬるくもなし、ちょうどいい湯加減だ。♠◆◇味加減〉〈加減をみる〉母は、料理の途中[とちゆう]でときどき味加減をみている。♠●へうつむき加減>通りで見かけた友達は、考えごとをしているように、少しうつむき加減で歩いていた。♠●へいいかげん〉こらっ、ふざけるのもいいかげんにしろ! **かこ【過去】** ○過ぎ去った時。人の前歴。[例]〈過去を振り返る〉過去を振り返ってみると、何とたくさんの人との出会いがあったことか!♠◆へ帰らぬ過去〉〈過去にとらわれる〉いつまでも帰らぬ過去にとらわれず、将来のことを考えなさい。♠●〈過去の経験〉大学のテニス部にいた過去の経験を生かして、今はテニスクラブを経営しています。♠●へ暗い過 <185> 去〉〈過去がある〉彼女には暗い過去があるらしいが、探[さぐ]ったりしないのが友情というものだ。♠●〈過去にさかのぼる〉タイムマシンがあったら、ぼくも世界史を過去にさかのぼってみたいのに。♠●〈過去を水に流す〉いろいろあったけれど、過去のことは水に流してくれ、ぼくも忘れるよ。♠へ過去の人〉はなやかに活躍[かつゆく]していたあの女優も引退して、このごろはすっかり過去の人になった。♠●へ過去を清算する〉若気[わかげ]の過[あやま]ちだったのだから、過去をきっぱり清算して出直せ。 **かご(籠)** ○竹・つるなどで編んだ入れ物。[又例]〈かごを背負う〉わたしは、桑[くわ]の葉を摘んでは、背中にしょったかごに投げ入れていった。♠◆<洗濯物[せんたくもの]のかご〉女は、洗濯物を入れた大きなかごを軽々とかかえあげて、裏庭に出て行った。♠◆〈かごの鳥〉いくら大事にされたって、かごの鳥じゃあ本当に幸せとは言えまい。 **かご【加護】** ○神仏の助け。[文例]〈神仏の加護人々は神仏の加護を求め、一心に唱えごとをしたり、縁起かつぎをしたりした。♠〈加護がある〉どうかあなた様の上に、神の御加護がありますように。 **かこい【囲い】** ○かこうこと。かこう物。かこった所。[又例]〈囲いに入れる〉ごく最近まで、犬をつないでおくとか囲いに入れておくとかいう習慣は日本にはなかった。♠●へ囲いをする〉子供たちの遊び場だったあの空き地に、最近、持ち主が厳重な囲いをしてしまった。♠●へわらの囲い>外の雪にもかかわらずわらの囲いの中は意外に暖かく、寒ぼたんの花が咲きかけている。 **かこう【加工】** ○原料・材料に人手を加えて新しい物を作ること。細工を施すこと。[文例]〈加工する〉この辺りでとれた山ぶどうの実は、ジャムに加工されます。♠●へ原料を加工する〉〈加工貿易〉原料を外国から買い入れ、それを加工して外国に売る貿易を、加工貿易という。♠◆〈加工食品>缶詰[かんづめ]やハム・ソーセージなどの加工食品は、現代生活には欠かせません。 **かこう【下降】** ○下がること。下りてくること。[文例]个降する〉白い風船がゆらゆらと下降するさまは、まるで小さなパラシュートのようだった。♠●〈下降する〉わたしは、エレベーターが下降するときの異常な感覚が嫌いです。♠◆수降の一途[いつと]〉中学に入ると、彼の成績は下降の一途をたどった。 **かこう【火口】** ○火山の噴火口。[又例]火山の爆発[ばくはつ]と同時に、火口[ふんかこう]からは真っ赤に溶けた溶岩[ようがん]が流れ出した。♠◆この湖は、大昔の噴火の際にできた火口に水がたまってできたものです。 **かこう【河口】** ○川が海や湖にそそぐ所。大きな川の河口には古くから港ができて、貿易などで栄えました。♠いかだを操[あやつ]って川を下り始めて三日目、ようやく河口にたどり着きました。 **かこう【仮構】** ○想像や推測によって組み立てること。[又例]〈仮構する〉これは、実在する人物をもとに仮構した作品です。♠●へ仮構する〉この作品の主人公には、作者の理想の女性像が仮構されていると見ることができよう。 **かこ・う【囲う】** ○周囲をとりまく。たくわえておく。隠しておく。[文側]〈家を囲う〉潮風の強い地方では、屋敷林[やしきりん]という高い木の垣根[かきね]で、家を囲います。♠◆〈外側を囲う〉「口」や「門」など、漢字の外側を囲うものを構えといいます。♠●へびょうぶに囲われる〉見舞[みま]いに行くと、祖父は、奥座敷[おくざしき]のびょうぶに囲われたふとんに横たわっていた。♠●へ物を囲う>冬の間、秋にとり入れた野菜を床下[ゆかした]に囲っておきます。♠当時の裕福な商人などの中には妻以外の女性を囲うことがあった。 **かごう【化合】** ○二つ以上の物質が化学的に結合すること。[文例]〈化合する>木を燃やすと、炭素と空気中の酸素が化合して二酸化炭素が発生する。♠〈化合物>実験を繰り返し、ついに新しい化合物を作り上げた。 **かこく【過酷】(苛酷)** ○厳しすぎるさま。ひどすぎるさま。[例]〈過酷な刑〉一揆[いつき]に加わった村人たちには、過酷な刑が待っていた。♠〈過酷な労働〉捕虜[ほりよ]たちは、厳しい条件の下での過酷な労働で日に日に弱っていった。♠●へ過酷な要求〉いくら急ぐからといって、明朝までに仕上げろというのは過酷な要求だ。 **かこ・つ(託つ)** ○うらみごとや不平を言う。うらみに思う。なげく。[文例]不漁をかこつ〉遠くから魚つりに来て、不漁をかこちながら帰る客も多い。♠●〈無聊[ぶりよう]をかこつ〉この山奥までは訪れる人もなく、一人無聊をかこつ明け暮れである。♠◆不運をかこつ〉事業がことごとく失敗し、裏町の片隅[かたすみ]で身の不運をかこちながらひっそりと暮らしていた。♠〈不遇をかこつ〉都を追われた僧は、離れ小島のうらぶれた庵[いおり]で一人わが身の不遇をかこっていた。 **かこつける(託ける)** ○ほかのもののせいにする。口実にする。ことよせる。[文例]〈病気にかこつける〉母の病気にかこつけて練習をさぼり、一日中、漫画[まんが]を読んで過ごした。♠〈付き合いにかこつける〉付き合いにかこつけて、夫は毎晩お酒を飲んで遅く帰って来ます。♠〈道具にかこつける〉若い職人は、道具にかこつけて、自分の腕[うで]の未熟さをおし隠していた。♠●へ見舞[みま]いにかこつける〉見舞いにかこつけて、火事場[かじば]どろぼうを働くふらちなやつがいる。 **かこみ【囲み】** ○かこむこと。かこむ物。かこんだ所。[文例]〈囲みを解く>突然敵軍は囲みを解いて後退を始めたが、われわれにはその理由が解[げ]せなかった。♠●〈囲みを破る〉敵の厳重な囲みを破り、救援[きゆうえん]を求めに出ることは不可能に近かった。♠●〈囲み記事>今日の夕刊の囲み記事に、ほのぼのとした街の話が載っていた。 **かこ・む【囲む】** ○周囲をぐるりととりまく。[例]〈食卓[しょくたく]を囲む〉お祝いの食卓を囲みながら、おじいさんは、とてもうれしそうでした。♠●〈城を囲む〉敵の軍勢[ぐんぜい]がすでに城を囲み、ありのはい出るすきまもなかった。♠●ヘキャンプファイヤーを囲む〉キャンプの最後の夜、みんなでキャンプファイヤーを囲み、歌を歌いました。♠へ先生を囲む〉十年ぶりの同窓会は、先生を囲んで、和やか[など]に話がはずみました。♠●〈○で囲む>次の答えの中で、正しいものを○で囲みなさい。 <186> ◆〈海に囲まれる〉日本は、周囲を海に囲まれた島国です。♠◆<塀[へい]に囲まれる〉囚人[しゅうじん]たちは、高い塀に囲まれた中庭から、四角な空をながめるだけだった。 **かこん【禍根】** ○わざわいのもと。[文例]〈将来に禍根を残す〉国土の開発には、自然破壊がつきものであるから、将来に禍根を残さぬよう万全の調査を行うべきである。 **かごん【過言】** ○言い過ぎ。[又例]彼はもう、天才と言っても過言でないほどの才能の持ち主です。♠●この学校の厳しい規則には、生徒全員が不満を持っていると言っても過言ではない。♠●ここの料理人のこしらえる料理の味は抜群[ばつぐん]で、日本一と言っても過言ではないくらいです。 **かさ【傘】(笠・暈)** ○雨雪や日光を避けるためにかぶったり、差しかざしたりする道具。また、それに似た形をしたもの。太陽や月の周囲にできる光の輪。[文例]〈傘を差す〉はげしい雨の中を、傘を差して、母を迎えに駅まで行きました。♠〈傘をすぼめる〉〈傘をたたむ>雨が上がったようなので、傘をすぼめてたたみました。♠●〈傘に入れる〉傘を忘れて困っている友達を、わたしの傘に入れてやりました。♠●へ傘を開く>雨の登校時には、開いた傘の花が色とりどり、歩道に咲きます。♠●〈核の傘>日本は、アメリカの核の傘に入っているといわれます。♠●〈笠をかぶせる〉おじいさんは、雪にぬれて寒そうなお地蔵さんに自分の笠をかぶせてあげました。♠●へ笠に着る〉権力を笠に着ていばりちらすものではない。♠◆電灯の笠〉駅員の頭の真上に、長いコードでつるされた電灯が緑色の笠をかぶってゆれていた。♠太陽の量>太陽に量がかかっているから、明日は雨になるかもしれない。 **かさい【火災】** ○火事。火事による被害。[文例]〈火災に遭[あ]う〉この寺は開山以来何度も火災に遭っているが、その都度修復されて現在に至っている。♠●〈火災の発生>空気が乾[かわ]いているので、火災の発生件数もこのところうなぎのぼりだ。♠●〈火災に備える>万一の火災に備えて、防火設備も万全を期しております。 **かざい【家財】** ○家にある道具類。家具類。家の財産。[文例]〈家財が調[ととの]う〉めぼしい家財など何一つ調わないまま、六畳一間の借家で新婚生活が始まった。♠●へ家財を投げうつ診療所を建てるために、医師は家財のすべてを投げうった。♠◆<家財道具>突然の避難命令に、人々は家財道具を持ち出す余裕[よゆう]もなかった。 **かざかみ【風上】** ○風が吹いてくる方。[文例]〈風上に回る〉前半は押され気味だったが、後半は風上に回ったので、試合を有利に展開することができた。♠●へ~の風上にも置けない〉生徒を紹介して企業に謝礼を要求するなんて、教師の風上にも置けない。 **かざ・す(翳す・挿頭す)** ○手や手に持った物を高くかまえる。高くかかげる。さしかける。髪にさす。[文例]へいろりに手をかざす〉吹雪[ふぶき]の中を帰ってきたおじいさんは、かじかんだ手をいろりの火にかざして暖めました。♠●〈額[ひたい]に手をかざす〉照りつける日ざしがまぶしく、額に手をかざしてさえぎった。♠へ小手[こで]をかざす〉だれを待つのか、男は、「もう来るころだが。」と、小手をかざしてバスの来る方向を見た。♠●〈灯[ひ]をかざす〉わたしは、カンテラの灯をかざして、中の様子を探[さぐ]りながら、暗いほら穴を進んでいった。♠●〈光にかざす〉便せんを光にかざして見ると、きれいなすかし模様が浮かび出た。♠◆◇日にかざす〉剣[つるぎ]の刃[やいば]は日にかざすと、キラリと、鋭[するど]く光った。♠◆<髪にかざす〉少女の髪にかざした赤い花が、目にまぶしいほど鮮やか[あざ]だ。♠●へふりかざす〉怒った父親は、思わずこぶしをふりかざしたが、かわいいわが子をぶつことはできなかった。 **がさつ →** ○荒っぽく雑で、こまやかさに欠けるさま。[例]〈がさつな神経〉人の心を傷つけてそれに気がつかないとは、なんとがさつな神経の持ち主なんだろう。♠●へがさつな男〉あんながさつな男に、多くの人を世話する役は無理だろう。 **かざとおし【風通し】** ふかぜとおし **かさな・る【重なる】** ○物の上にさらに物がのる。物事に別の物事が加わる。[文例]〈幾重[いくえ]にも重なる〉頂上に登ると、はるかかなたに、幾重にも重なった山々が見わたせた。♠へ重なるようにたおれる〉後ろから押された群衆は、重なるように前にたおれていった。♠●〈日曜と祭日が重なる〉うれしいことに、日曜と祭日が重なって、来週は連休だ。♠●へ仕事と重なる〉クラス会当日は重要な仕事と重なって、残念ですが出席できません。♠●ヘイメージと重なる〉小百合という名前は、活発な彼女のイメージと重ならない。♠へ重なる不幸>男は、次から次へと重なる不幸に、すっかり打ちのめされていた。♠●へ事故が重なる二度も脱線事故が重なって起こったために、社長は責任をとって辞任した。♠●へ折り重なる〉死体は、川の岸に折り重なるように横たわっていた。 **かさ・ねる【重ねる】** ○物の上にさらに物をのせる。物事に別の物事を加える。同じ事を繰り返す。「[例]〈皿[さら]を重ねる〉地震で、台所の棚[たな]に重ねてあった皿が落ちて、全部割れてしまった。♠●へ重ねて着る>寒くてたまらないので、下着を何枚も重ねて着ました。♠●へ失敗を重ねる〉ライト兄弟は、何度も失敗を重ねたのち、初めて空を飛ぶことに成功しました。♠●へ悪事を重ねる〉男は、捕[つか]まらないのをいいことに、次から次へと悪事を重ねていた。♠●へ工夫を重ねる天候を予測するため、昔の人々は、さまざまな工夫を重ねてきました。♠●へ推敲[すいこう]を重ねる〉原稿[げんこう]の推敲を重ね、何回も書き直しているうちに、夜が明けてしまった。♠●〈黒星[くろぼし]を重ねる〉今場所は、横綱[よこづな]・大関[おおぜき]の上位陣がそろって黒星を重ねている。♠◆〈日を重ねる>仕事、仕事で日を重ねた末に今日の幸福を得ることができました。 **かさば・る【かさ張る】(嵩張る)** ○重量のわりに体積が大きい状態になる。容積が増す。かさむ。[文例]〈荷物がかさ張る〉この荷物は、重くはないのだが、かさ張っているから持ちにくくてしようがない。♠●かさ張る道具類は半分ほど処分し、荷造りもほぼ終わった。 **かさ・む(嵩む)** ○体積が増す。額が大きくなる。[文例]へ荷がかさむ〉あまり荷がかさんでは大変だろうから、これはあ <187> とから送ってあげましょう。♠●へく費用がかさむ>病人をかかえているので、医療費がかさんで家計を圧迫しています。 **かざむき【風向き】** ○風が吹く方向。事のなりゆき。形勢。機嫌。[文例]海で働く人々は長年の経験から、風向きで天気の変化を知るそうです。♠●〈風向きが変わる>急に風向きが変わり、火の手がこちらに向かってきた。♠●へ風向きが悪い〉どうも風向きが悪くなってきたようだから、わたしはここらで退散するとしよう。♠●〈風向きを見る〉旅行の話は、お父さんの風向きを見て、慎重に切り出さないとだめよ。 **かざり【飾り】** ○かざること。かざる物。装飾。[文例]〈飾りをつける〉いつもの地味な着物なのに、髪にちょっと飾りをつけただけで正月らしい雰囲気[ふんいき]になった。♠●〈正月の飾り〉橙[だいだい]は「代々(=永続[えいぞく])」の意に通じるところから、縁起物として正月の飾りに用いる。♠●へ飾りのない人柄[ひとがら]〉彼女は、飾りのない人柄で、人望を集めていた。 **かざ・る【飾る】** ○美しく装う。美しく見せる。はなやかにする。人前をつくろう。きれいに並べる。[文例]〈人形を飾る〉ひな祭りが近づいたので、部屋にひな人形を飾りました。♠◆<花で飾る〉きれいな花で飾ったテーブルの上には、大きなバースデー・ケーキが用意されています。♠●〈棚[たな]に飾る〉友達の部屋に入らせてもらうと、棚の上にお人形がいっぱい飾ってあった。♠●〈外見を飾る〉外見を飾ることばかりでなく、少しは人間としての中身のことも考えなさい。♠●へ飾らない人柄〉彼の飾らない人柄が、みんなに好かれている。♠◆<言葉を飾る〉作者は、自分の経験を、言葉を飾らずありのままに伝えている。♠●〈最後を飾る〉引退をひかえたこの選手は、見事な演技を披露[ひろう]して、選手生活の最後を飾った。♠〈有終[ゆうしゅう]の美を飾る>学生生活最後の年は有意義に過ごして、有終の美を飾りたいものだ。 **かざん【火山】** ○地中の溶けた岩が地表に噴[ふ]き出してできた山。[文例]〈火山の活動〉地震が始まってから二度目の新年を迎えても、火山の活動は、なお衰[おとろ]えを見せません。♠へ火山の観測〉今後もなお火山の観測を続け、噴火[ふんか]の予知に万全を期すことが望まれます。 **かし【菓子】** ○甘みを主体とした間食用の食べ物。[文例]つかいに来た近所の子供に、駄賃[だちん]に菓子を紙に包んでやった。♠●<菓子を焼く〉おばさんは、自家製のジャムを使って菓子を焼くのがとても上手です。♠●へ菓子折り>恐縮[きようしゆく]した母は、菓子折りを持って先方に謝りに行きました。♠●<洋菓子と和菓子>わたしは、洋菓子よりも大福などの和菓子が好きです。 **かし【河岸】** ○川の岸。川の岸にできた魚の市場。(飲食をする)場。[文例]河岸では、漁師たちが雑魚[ざこ]や貝などを並べていた。♠●〈河岸を変える〉この店で飲んでいるのを知った人に見つかるとまずいから、河岸を変えようぜ。♠へ魚河岸>暗いうちから魚河岸へ出かけて新鮮な魚を仕入れてくるのがわたしの日課である。 **かし【仮死】** ○意識不明で呼吸も止まり、死んだように見える状態。[又例]<仮死状態>牛の赤ん坊は首にへその緒が巻きつき、仮死状態で生まれてきた。 **かし【貸し】** ○貸すこと。貸した金品。相手に利益を与え、その返礼がない状態。[文例]〈貸しがある〉きみには、千円、貸しがあるはずだよ。♠●〈貸しを作る〉ここで貸しを作っておけば、いずれいいことがあるだろう。♠●〈貸し借り〉お金の貸し借りはきちんと清算しないと、友人の仲をこわすもとになる。 **かじ【家事】** ○家庭生活のうえで必要な仕事。家の中のこと。[文例]〈家事に追[お]われる〉母は毎日家事に追われて、ゆっくり休む暇[ひま]もありません。♠●〈家事の合間[あいま]〉母は編み物が得意なので、家事の合間に、みんなの手袋[てぶくろ]やセーターを編んでくれます。♠●〈家事にいそしむ〉結婚[けつこん]したばかりの姉は、楽しそうに、毎日家事にいそしんでいる。♠●へ家事をおろそかにする〉外での仕事が忙[いそが]しくても、主婦として、家事をおろそかにするわけにはいかない。♠へ家事の手伝い>学校を卒業すると、姉は、家事の手伝いと称して、裁縫[さいほう]や料理を習いに行っている。♠へ家事をする〉うちでは、古くから住み込みのお手伝いさんが、家事いっさいをしてくれます。♠く家事にかまける>毎日家事にかまけて、本一冊読まなかったから、これからは少し勉強しなくっちゃと、母が言った。 **かじ【火事】** ○建造物や山林などが焼けること。[文例]〈火事になる〉たき火をする時は、火事にならないよう十分気をつけること。♠◆ヘ火事が起こる〉登山者のタバコの不始末がもとで、山火事が起こってしまった。♠●〈火事を出す〉火事をしないように、寝る前や外出するときは、きちんと火の始末をすることが大切です。♠●〈火事のもと>火遊びは火事のもとなので、絶対にしないこと。♠◆〈火事に遭[あ]う〉おじは、ホテルに宿泊[しゅくはく]中、火事に遭ったが、幸い無事に逃げ出せたそうだ。♠●へ火事が広がる〉おりからの強風で、火事はあっという間に広がり、消火に手間どった。♠●〈火事が迫る>風向きが変わり、火事はぼくの家の方に迫ってきた。♠対岸の火事〉あの人は、なにが起こっても、対岸の火事のごとく平然と構えている。 **かじ(舵)** ○船の進む方向を定める装置。[文例]】〈かじの向き>船は後ろについたかじの向きで、進行方向を操作する。♠●〈船のかじ〉オールのような形をしたビーバーのしっぽは、船のかじと同じ役目をします。♠●へかじを取る>荒れくるうあらしの海を、船頭は上手にかじを取り、船を無事港に着けることが出来た。♠●へかじを取る〉部長は、部員をうまくまとめ導いてゆく、いわばかじを取る役目だよ。♠●へかじを切る〉はるかかなたに島影[しまかげ]を発見した船長は、左にかじを切り、島めざして船を進めた。♠●へかじがきく〉斜面を滑[すべ]り下りるとき、そりのかじがきかなくなり、木にぶつかりそうになった。 **がし【餓死】** ○飢え死にすること。[文例]〈餓死する〉何十年に一度という大飢饉[だいききん]で、毎日何人もの人々が餓死した。♠〈餓死寸前>救助隊に発見された時には、もう一週間も何も口にしておらず、餓死寸前であった。 **かじか・む** ○手元が凍[こご]えて、思い通りに動かなくなる。[文例]〈手がかじかむ〉小雪の舞う井戸端[いどばた]で洗濯[せんたく]をしている <188> **かし・げる**(傾げる)○かたむける。ななめにする。[例]〈物をかしげる〉ポットをかしげカップにそそぐと、部屋じゅうにコーヒーの香りが広がった。♠〈首をかしげる〉かごの中をちょこちょこ動きながら、首をかしげる小鳥のポーズがとてもかわいい。♠〈首をかしげる〉昔の友達にあまり似ていたので声をかけると、相手はきょとんとした顔で首をかしげていた。♠〈小首をかしげる〉道をたずねると、少女は、さて、というふうにちょっと小首をかしげた。 **かしこ**(彼処・彼所)○あの所。あそこ。[例]〈そこかしこ〉正月[しょうがつ]が近くなると、門松[かどまつ]を立てる風景が町のそこかしこに見られた。♠〈どこもかしこも〉夜が明けると一面の雪景色で、どこもかしこも真っ白だった。♠〈かしこの森〉かしこの森に咲くという伝説の花を一目見たいものだ。 **かしこ・い**【賢い】○頭がよい。りこうだ。賢明だ。要領がよい。[文例]人間は、失敗を繰り返しながら、しだいに賢くなっていくものです。♠〈賢い子〉その少女は、小さいときから勉強の好きな賢い子だった。♠〈賢い女性〉兄は、優しくて、美人で、賢い女性がいいなどと、高望[たかのぞ]みをしています。♠〈賢い犬〉いやだというときは頭を振るなんて、賢い犬だね。♠〈賢い方法〉山で吹雪にあったら、むやみに動き回らないで、じっと収まるのを待つのが賢い方法です。♠「仕事は、適当に力を抜いてやるほうが賢い。」と、何ごとにも要領のよい彼は言う。 **かしこま・る**(畏まる)○恐れつつしむ。正座する。承知する。[文例]〈かしこまった様子〉道で校長先生に会うと、母はかしこまった様子で、ていねいにあいさつをしました。♠〈かしこまって聞く〉社長の訓示を、新入社員たちはみなかしこまって聞いている。♠〈かしこまった話〉ぼくは、どうもかしこまった話は苦手で……、もっとざっくばらんにいきましょうよ。♠呼ばれた家来[けらい]はひざまずき、王様の前にかしこまった。♠「まあ、そんなにかしこまらないで、どうぞお楽に。」♠「ちょっとそこの品を見せてくれないかね。」「はい、かしこまりました。」 **かしつ**【過失】○あやまち。不注意による失敗。[文例]〈過失がある・ない〉事故を起こした運転手は、居眠りをしていたと、自分に過失のあったことを認めた。♠〈過失を認める〉むこうも自分の過失を認め、わびているのだから、もう許してあげてもいいじゃないか。♠〈過失を犯す〉過失を犯したことに気づいたら、ちゅうちょせずに改めるようにしよう。♠〈大きな過失〉男は、職務上の大きな過失のために、会社を辞めさせられた。 **かじつ**【果実】○草木の実。くだもの。[例]ざくろは初夏、赤色の花が咲き、果実は食用、根と葉は薬用に用いられる。♠〈熟れた果実〉果物屋の店先は、熟れた果実のよいにおいが漂[ただよ]っていた。♠〈果実酒〉レモンや梅、いちごなど、四季折り折りの果実酒を作って楽しんでいます。 **かじつ**【過日】○過ぎ去ったある日。さきごろ。先日。[文例]過日は大変御無礼[ごぶれい]いたしました、お許しください。♠過日お申しこみの件は、私どもではお引き受けできかねます。 **かじば**【火事場】○火事の現場。[例]〈火事場のばか力〉いざという時には、火事場のばか力で、ふだん考えられないような力を発揮することがあります。 **かしまし・い**(姦しい)○うるさい。やかましい。そうぞうしい。[文例]〈女三人寄ればかしましい〉女三人寄ればかしましいと言うが、お母さんたちを見ていると本当にそうだね。 **かしゃく**【仮借】○見逃すこと。許すこと。[例]〈仮借する〉規則を破った者には、少しも仮借することなく厳しい罰が与えられた。♠〈仮借ない〉復讐[ふくしゅう]に燃える男は、妻を死に追いやった人物を仮借なく追いつめた。 **かしゃく**(呵責)○責めさいなむこと。厳しく責め立てること。[文例]〈良心のかしゃく〉犯人は、きっと良心のかしゃくに耐えられずに、自首して来たのだろう。♠〈心のかしゃく〉だれにも見とがめられずに金を持ち出すことができたが、心のかしゃくに苦しめられた。♠〈かしゃくを感じる〉その時のわたしは、その自転車を黙って使うことに何のかしゃくも感じなかった。 **かじゅう**【過重】○重すぎるさま。[文例]〈過重な労働〉六十歳を過ぎた老人にとって、それはあまりに過重な労働であった。♠〈過重な責任〉彼は、まじめな性格なので、一人で過重な責任を負い、追いつめられていったのだろう。 **かしょ**【箇所】(個所)○特定の所。[文例]〈重要な箇所〉わたしは、その本を読みながら、特に重要な箇所には傍線を引きました。♠〈危険な箇所〉一行は、今回の探検の中でも最も危険な箇所にさしかかっていた。♠〈訂正[ていせい]箇所〉訂正[ていせい]箇所に注意して、書類を書き写してください。♠〈九箇所〉数えてみたら、九箇所も蚊に食われていた。 **かしょう**【過小】○小さすぎるさま。→過大 [例]〈過小に評価する〉彼は、在野の研究者であったため、その研究までもが過小に評価されてきた。♠〈過小評価〉作品があまりに過小評価されたことで、わたしはすっかり意欲をなくしていた。 **かしょう**【過少】○少なすぎるさま。→過多 [例]〈過少な報酬[ほうしゅう]〉あまりに過少な報酬[ほうしゅう]に、腹が立つやら途方に暮れるやらであった。♠〈金額が過少〉金額はいかにも過少であったが、わたしの立場では文句を言うわけにもいかなかった。 **かじょう**【過剰】○多すぎてありあまること。必要以上であること。限度をこえているさま。[文例]〈過剰な生産〉過剰な生産によって、製品の価格が暴落[ぼうらく]することがあります。♠〈過剰な期待〉子に対する親の過剰な期待が、知らず知らずに子をだめにしていくことがある。♠〈人口の過剰〉中国、インドなどの国は、人口の過剰に悩まされていた。♠〈自信過剰〉きみはちょっと自信過剰になっているんじゃないか。 **かじょう**【箇条】(個条)○項目を立てて書き分けること。また、その一つ一つ。 <189> **かず** **か** **かじ**【かじ】 ○液体の底にたまる沈澱物。あとに残った不用の物。劣ったもの。つまらないもの。[文例]〈かすがたまる〉たるを空けると、底の方にどろっとしたかすがいっぱいたまっていた。♠〈食べ物のかす〉食事の後、歯の間に食べ物のかすがはさまって気になる。♠〈かすのよう〉ぽくなんか、何の役にも立たないかすみたいな人間だ。 **か・す**【貸す】 ○自分の物を人に使用させる。自分の力を人に利用させる。[文例]〈金を貸す〉財布を落として困っている人に、おまわりさんはお金を貸してあげました。♠〈本を貸す〉その本、きみが読み終わったら、ぼくに貸してくれないかい?♠〈火を貸す〉すみませんが、ちょっと火を貸してもらえませんか。♠〈部屋を貸す〉うちでは、二階の二部屋を学生さんに貸しています。♠〈知恵を貸す〉父に贈るプレゼントが決まらないので、母に知恵を貸してもらうことにしました。♠〈手を貸す〉車が溝に落ちて困っていると、親切な人たちが手を貸してくれた。♠〈肩を貸す〉足をくじいたユミに肩を貸して、家までいっしょに行ってやった。♠〈耳を貸す〉お見合いだけでもしてみたらという母の言葉に、姉は耳を貸そうともしない。♠〈力を貸す〉どうしてもきみに力を貸してもらいたいんだ。♠〈顔を貸す〉先輩の家に行くから、きみもちょっと顔を貸してくれよ。♠〈ひさしを貸して母屋を取られる〉親切で少し貸してやったのに、全部取り上げられたとはまったく、「ひさしを貸して母屋を取られる」だ。 **かず**【数】 ○一・二・三のように物の量を表す語。多いこと。数え上げる価値のあるもの。[文例]〈数が多い・少ない〉うちは家族の数が多いので、いつもにぎやかです。♠〈数を数える〉手かごにいっぱいのみかんの数を数えてみると、四十三個もあった。♠〈数が大きい・小さい〉ぼくは、数が大きくなると、まだかけ算をまちがうことがあるんだ。♠〈数がある〉持って帰れといっても数があるので、とても一回では運びきれません。♠〈数が合う〉箱の中のお菓子が、さっきは八個で、今見ると七個、どうしたわけか数が合わない。♠〈おびただしい数〉コンサートの会場には、おびただしい数のファンが集まっていた。♠〈数が知れる〉古い港町には工場が立ち並び、美しかった海は汚れ、とれる魚も、今では数が知れていた。♠〈数に入れる〉まだ小さいからと、数に入れてもらえない弟は、くやしそうにぼくたちの野球を見ている。♠〈物の数ではない〉当地も米の産地ではあるが、東北や北陸に比べたら物の数ではない。♠〈数にものを言わせる〉多数意見だからといって、数にものを言わせ、少数者の立場をかえりみないのはいけない。♠〈数を頼む〉数を頼んで、無理を通そうとするなんて、そりゃ、よくないぞ。♠〈数をこなす〉そんなのんびりした作業では、決められた時間で数をこなすことができない。♠〈数ある〉瀬戸内海の数ある島の中でも、母のふるさとであるこの島がいちばん美しいと思う。♠〈数限りない〉この世に人間は数限りなくいるけれど、本当の友達になれる人は少ないものだ。♠〈数多い〉戦争は数多くの人々の幸福を打ちこわしてしまった。 <190> ◆<数知れない〉戦いで命を失った人は数知れない。 **ガス(瓦斯)** ○気体。燃料となる気体。濃霧。おなら。[文例]〈ガスが充満[じゅうまん]する>部屋にはガスが充満しており、爆発[ばくはつ]寸前であった。♠ヘガスがかかる〉今朝は町全体に濃いガスがかかり、交通が渋滞[じゅうたい]しています。♠●ヘガスがたまる〉腹の具合が悪いのか、ガスがたまって仕方ない。 **かすか(微か)** ○わずかなさま。やっと知覚できる状態。ほのか。[文例]〈かすかな音>猫のミケが動くたびに、首の鈴[すず]がかすかな音を立てます。♠●へかすかな声>病人は、やっと聞き取れるほどのかすかな声で痛みをうったえた。♠へかすかな色〉いろりの火にあたると、冷えきった頬[ほお]に、かすかな桜色[さくらいろ]が差してきた。♠●へかすかな痛み〉寒い日など、手術の跡[あと]にかすかな痛みを覚えます。♠●へかすかな傷跡[きずあと]〉おでこのかすかな傷跡は、小さいころ階段から落ちたときのです。♠●〈かすかなにおい〉犬は、ほんのかすかなにおいも、よくきく鼻でキャッチします。♠●へかすかに見える>船が海を漂[ただよ]っていると、はるかむこうにかすかに島影[しまかげ]が見えてきた。♠●へかすかに聞こえる〉耳をすますと、遠くの波の音がかすかに聞こえてきます。♠●へかすかに光る〉川べりに、ほたるが一、二匹、かすかに光りながら飛んでいく。♠へかすかに動く〉おぼれた子の心臓[しんぞう]は、かすかではあるが、まだ動いていた。♠●へかすかに揺れる〉カーテンがかすかに揺れて、気持ちのよい風が入ってきます。 **かすがい(錢)** ○二本の材木を止めるための金具。[文例]〈かすがいを打つ〉〈かすがいで止める〉柱としきいは、かすがいで打って止められていた。♠●へ子はかすがい子はかすがい」ということわざどおり、子供が生まれてから夫婦仲も円満になりました。♠豆腐にかすがい〉きみは、豆腐にかすがいだ、何を言っても全然反応がないね。 **かずかず【数数】** ○数多くあること。たくさん。いろいろ。[文例]〈数々の失敗〉彼女は数々の失敗を繰り返しながらも、持ち前の明るさで乗り切って成長していく。♠●へ作品の数々〉ここに展示されている力作の数々は、生徒たちが一年がかりで作り上げたものです。♠●へ思い出の数々〉アルバムを眺[なが]めていると、旅の思い出の数々が鮮やか[あざ]によみがえってきた。 **かすみ(霞)** ○空中にかかって、風景をぼんやりさせる薄い雲のようなもの。[文例]へかすみがたつ〉野にかすみがたち、湖の氷もゆるんでくると、もう春もま近い。♠●へかすみがたなびく〉この歌を読むと、かすみたなびく春の野に遊ぶ古代の人々の姿が目に浮かぶ。♠●へかすみを食う〉仙人[せんにん]ではあるまいし、かすみを食って生きていけるわけがないだろう。♠へかすみがかかる〉このごろ、目にかすみがかかったような感じで、ものがよく見えなくなりました。♠へかすみのかなた〉突然、わたしは、忘れていたある事柄をかすみのかなたに思い出しました。♠●へ雲をかすみと>警官隊が出動すると、暴徒たちは雲をかすみと逃げ去った。 **かす・む(霞む)** ○かすみがかかる。風景がぼんやりする。はっきり見えなくなる。目立たなくなる。[文例]〈空がかすむ〉〈ぼんやりかすむ〉いつしか空は、ぼんやりかすんだ春の色になっていた。♠●〈霧でかすむ〉〈白くかすむ〉牧場の朝は、霧が立ちこめ、辺りは白くかすんで何も見えなかった。♠●〈山がかすむ>遠くの山がかすんで、ぼんやり見えます。♠●〈目がかすむ〉おばあさんは、近ごろ目がかすみ、物がはっきり見えなくなってきた。♠●へ遠くがかすむ〉ぽくは近視なので、近くは見えますが、遠くはかすんでよく見えません。♠◆スター選手のはなやかな活躍[かつやく]の前に、他の選手たちがかすんでしまった。 **かす・める(掠める)** ○すきを見て盗む。ごまかす。触れるか触れないかの状態で通過する。かすかに思い浮かぶ。[例])〈物をかすめる〉少年は、すきをみて店のパンをかすめると、すばやく逃げ出した。♠●〈人の目をかすめる〉勉強しなさいという母の目をかすめて、ぼくは、そっと家を抜け出した。♠●〈わきをかすめる〉角を曲がろうとすると、突然[とつぜん]、一台の車がわきをかすめて通り過ぎていった。♠●へ軒をかすめる〉ツバメが軒先をかすめて飛んでいった。♠●〈水面をかすめる〉トンボが池の水面をかすめて飛んでいる。♠◆く頭をかすめる〉ひょっとしたら、このまま生きて帰れないのではないかという思いが、わたしの頭をかすめた。♠●へ脳裏[のうり]をかすめる〉その曲をきいたら、学生時代の恋人[こいびと]のおもかげが脳裏をかすめた。 **かす・る(擦る・掠る)** ○かすかに触れる。[文例]〈かすっただけ>自動車にぶつかったといっても、ちょっとかすっただけだったから大したことはない。♠●へそでをかする〉相手の繰[く]り出す槍[やり]の先がわたしのそでをかすった。♠人球がかする〉ねらいを定めて思いきりバットを振ったが、球はバットの先をかすっただけだった。 **か・する【化する】** ○変わる。形を変える。変化する。[例]〈泥海[どろウル]と化する〉うず巻く濁流がどっと平地に流れ込み、一瞬[しゅん]にして町は泥海と化した。♠◆<廃墟[はいきよ]と化する>廃墟と化したこの町で、改めて戦争のむごさを感じた。 **か・する【課する】** ○義務として割り当てる。[文例]】〈税を課する>農民たちは、不作のときも重い税を課せられ、貧しい生活にあまんじなければならなかった。♠●〈任務を課する〉自分に課せられた任務は、最後まで責任をもって果たそう。♠◆ヘ宿題を課する〉夏休みには、山ほどの宿題が課せられた。♠◆〈責任を課する〉地球を守る、これは、自然を破壊[はかい]し、汚染[おせん]させてきた人間に課せられた重要な責任であろう。♠●へ義務を課する〉わたしの家では、子供は遅くとも七時までには帰宅するという義務を課している。 **か・する【嫁する】** ○とつぐ。嫁に行く。他に負わせる。[文例]嫁しては夫[おつと]に従え、と昔の女性は教えられた。♠●へ責任を嫁する〉己[おのれ]の責任を他人に嫁するようなことがあってはならない。 **かす・れる(擦れる・掠れる)** ○墨やインクなどが十分つかなくて、書いた跡がうすれる。声がしわがれる。[文例]〈音がかすれる〉かすれたような音をたてて、さびついた扉[とびら]はきしんだ。♠●へ声がかすれる〉恐怖のあまり声がかすれ、叫び[さけ]にならなかった。♠●ヘインクがかすれる〉インクがかすれて読 <191> み取りにくいけれど、確かにこれは父の筆跡[ひつせき]です。 **かぜ【風】** ○空気の流れ。けはい。様子。[文例]〈風が吹く>急に強い風が吹いてきて、ぼうしが飛ばされてしまった。♠〈風がある・ない〉今夜は風がないから、花火でもやろうか。♠〈風が通る〉〈風が当たる〉丘の上は風がよく通るので、熱くなった体に風が当たって気持ちがいい。♠●へ風が出る>風が出てきたようだから、そろそろ岸へ引き返そう。♠●へ風が渡る>若葉を渡る風の音に、しばし立ち止まり、耳を傾[かたむ]けた。♠●〈風が収まる〉ゆうべからの激[はげ]しい風も、今朝になってようやく収まった。♠●〈風が落ちる〉夕方、一瞬風が落ちて、塔の上の旗が垂れ下がった。♠●〈風がなぐ〉風が幾らか凪ぎ[な]、船は紀州の海岸に添うて進んでいた。(志賀直哉[しがなおや]「暗夜行路[あんやこうろ]」)♠◆<風が変わる〉風が変わるまで、船出を待つことにしよう。♠●〈風が穏やか〉空は晴れ、風も穏やかで、ハイキングには絶好の日和[ひより]だ。♠●〈風に乗る〉タンポポの綿毛[わた]が風に乗って飛んで行った。♠●〈風にそよぐ>田一面の稲[いね]の穂[ほ]が風にそよいでいます。♠●〈風を受ける〉帆[ほ]に風を受けて走るヨットの姿があちらこちらに見えます。♠●〈風をはらむ〉テントが風をはらんで、ばたばたと音をたてている。♠●〈風を切る〉寒風のなか、一人の若者が風を切って走ってゆく。♠●〈風を送る〉赤ちゃんに添い寝[そいね]をして、うちわで風を送っているうちに、親も眠[ねむ]ってしまった。♠●〈風のように走る〉若者は馬にまたがって、草原を風のように走り抜けていった。♠●〈どういう風の吹き回しか〉朝寝坊[あきねぼう]の兄が、どういう風の吹き回しか、今朝は早くから起きている。♠●〈どこ吹く風〉親がどんなに心配してもどこ吹く風、わたしは毎日ぶらぶらと遊び歩いていた。♠●〈風の便り〉昔の友達は、アメリカで元気に働いていると、いつか風の便りに聞きました。♠〈風にまかせる〉彼は、風にまかせて放浪[ほうろう]の旅を続け、行く先々で歌を詠[よ]んだ。♠●〈風を食[く]らう〉悪事がばれそうになると、詐欺師[さぎし]たちは、風を食らって逃げてしまった。♠へ子供は風の子〉この寒いのに元気に外で遊んで、やっぱり「子供は風の子」ねえ。♠◆〈風薫る>風薫る初夏、光と希望に満ち満ちた緑の季節だ。♠●〈柳[やなぎ]に風〉〈風になびく〉「柳に風」とは、柳が風になびくように、少しも逆[さから]わず巧[たく]みに相手の言葉を受け流すことを言います。♠●へ役人風[ふう]を吹かせる>男は、役人風を吹かせて、村人たちを偉[えら]そうにどなりつけた。 **かぜ【風邪】** ○感冒。[文例]〈風邪をひく〉父は、風邪をひいて熱があるのに、仕事を休もうとしません。♠●〈風邪は万病のもと〉風邪は万病のもとだから、注意しなければいけないよ。♠●〈風邪気味〉ちょっと風邪気味なので、早めに帰らせてください。♠●へ目病み女に風邪ひき男〉目病み女に風邪ひき男、といって、男の人は風邪をひいているときは色っぽいそうです。 **かぜあたり【風当たり】** ○風が吹きつけること。周囲の抵抗・反発・非難など。[又例]〈風当たりを避ける〉この辺りの農家では、冷たい山おろしの風当たりを避けるために、屋敷林[やしき]を巡らしている。♠●〈風当たりが強まる〉貿易収支の黒字が増える一方で、我が国に対する世界の風当たりはますます強まっていた。 **かせい【火勢】** ○火の燃える勢い。[文例]〈火勢が衰[おとろ]える>調理場から出火して本館をなめ尽くした炎[ほのお]は、六時間たってようやく火勢が衰えてきた。♠●〈火勢が激[はげ]しい>激しい火勢をくぐって消防士が赤ん坊を助け出した。♠●へ火勢が強まる〉置いてあった油に引火し、火勢は一段と強まった。 **かせい【加勢】** ○助太刀すること。対立している人々の一方に力をかすこと。[又例]〈加勢する〉みんなが平太[へいた]に加勢するので、ぼくはとうとう孤立無援[こりつむえん]になってしまった。♠●へ味方の加勢>味方の加勢に力を得て、我が軍は領土を盛り返していった。 **かせき【化石】** ○地質時代の生物が地中にうもれて石のようになったもの。石になること。進歩発展しないもの。[例]〈生物の化石〉この地層からは、アンモナイトなどの中生代の生物の化石が多く発見される。♠●〈生きた化石〉シーラカンスは古生代に栄えた魚類で、現在は生きた化石として珍重[ちん]されている。♠〈生きた化石〉あのじいさんは、頭が古くて頑固で、全く生きた化石だね。 **かせぎ【稼ぎ】** ○働くこと。働いてお金を得ること。また、その金額。[文例]〈父の稼ぎ〉うちは、一家五人が海に出て働くとうちゃんの稼ぎで食っている。♠●へ稼ぎがある・ない〉毎日ブラブラ遊んでいて稼ぎもないくせに、大きなことを言うもんじゃないよ。♠●〈稼ぎがいい>長距離輸送のトラックを運転しているので、まあまあ稼ぎはいいほうかな。♠◆〈稼ぎが少ない〉ああ、今月は雨降りが多いせいで稼ぎが少なかった。♠荒稼ぎ>温泉場に娯楽センターを作って荒稼ぎしてやろう。 **かせ・ぐ【稼ぐ】** ○精を出して働く。働いてお金を得る。一生懸命やって得る。[文例]〈金を稼ぐ〉お金を稼ぐために、毎日汗水[あせみず]たらして働いてきました。♠◆◇日銭[ひぜに]を稼ぐ〉畑仕事がひまなときは、日雇[ひやと]いに出て日銭を稼いだ。♠◆ヘ小遣[こづか]いを稼ぐ〉兄は、小遣いを稼ぐためにと、アルバイトを始めた。♠●〈点を稼ぐ〉弟は、母の肩[かた]をたたいたりして、点を稼ぐのに一生懸命だ。♠時間を稼ぐ〉花嫁[はなよめ]の仕度が出来上がらないので、司会者はあいさつを引きのばして、時間を稼いでいる。♠●〈星を稼ぐ〉大関[おおぜき]は下の力士とあたっているときに星を稼いだ。♠●へ稼ぐに追いつく貧乏[びんぼう]なし「稼ぐに追いつく貧乏なし」といいますから、人の休んでいる時も畑に出ました。 **かせつ【仮説】** ○実際には確かでないことを仮にそうだと仮定すること。また、その説。[図例]〈仮説を立てる〉今度の実験の成功により、教授の立てた仮説の正しさが証明された。♠◆<単なる仮説〉これは、まだ実証されていない今の段階では、単なる仮説に過ぎない。 **かせつ【仮設】** ○仮に設置・設定すること。[文例]〈仮設する〉水害で家を失った人々に、町が住宅を仮設して提供した。♠◆<仮設の舞台>祭りは、広場に作られた仮設の舞台を中心に大いに盛り上がった。 **かぜとおし【風通し】** ○風が吹き抜ける具合。組織などの開放性。かざとおし。[文例]〈風通しがいい〉この部屋は風通しがいいので、夏でもクーラーや扇風機[せんぷうさ]など必要ありませ <192> ん。♠◆この際民間の人材を登用[こしよう]して、役所の人事に風通しをよくする必要がある。 **かせん【河川】** ○大小の川。川一般。[文例]〈河川の汚染[おせん]>生活廃水・工場廃水による湖沼・河川の汚染が大きな問題となっている。♠●〈河川水〉おびただしい窒素[ちつそ]やりんが河川水とともに海に流れ込み、赤潮[あかしお]が頻発[ひんぱつ]するようになった。♠河川管理>河川管理の近代化が行われて、川床[かわどこ]がコンクリートで固められるようになった。 **がぜん(俄然)** ○にわかに。突然に。急に。[又例]クラスの女子が応援に駆けつけたので、ぼくはがぜん反撃に転じた。♠◆相手が小学生とわかると、がぜん勇気が出てきました。 **かそ【過疎】** ○住民が少なくなりすぎること。→過密[文例]〈過疎の村>鉱山が閉鎖されてから、わずかな農家が残るだけの過疎の村となった。♠●〈過密と過疎>都市の過密と農山村の過疎の問題をどのように解決していくかが大きな課題である。♠●〈過疎化〉村では過疎化に歯止めをかけるため、新産業の開発に力を入れている。 **かそう【下層】** ○重なったものの下の部分。地位・身分・生活水準などが下の層。[文例]下層の土>表土は黒く、腐植[ふしよくぶ]を含むが、下層は褐色[かつしよく]の堅い土で、腐植物をあまり含まない。♠◆<下層階級〉この国は、ひとにぎりの上流階級の人々と大多数の下層階級の貧民からなる。 **かそう【火葬】** ○遺体を焼いて骨にして葬[ほうむ]ること。荼毘[だび]。[文例]〈火葬する〉遺体は火葬され、遺骨は一族の墓に埋められた。♠火葬・土葬>火葬が一般的に行われるようになる以前、この地方では遺体を土葬にしていた。♠火葬場〉長い葬式[そう]の列が火葬場の方へと進んでいった。 **かそう【仮装】** ○他のものに似せて装うこと。[文例]〈仮装する>ケーキ屋の店先で、サンタクロースに仮装した店員が客を呼び集めていた。♠◆<仮装行列>思い思いに扮装[ふんそう]した人が町中を練り歩く仮装行列が、祭りのにぎわいを盛り立てた。 **かそう【仮想】** ○仮にそう考えること。仮の想定。[文候]<仮想する〉わたしたちがユートピアというものを仮想すると、まず争いのない社会ということが頭に浮かびます。♠●へ仮想敵国>この国の仮想敵国は常にソ連である。 **がぞう【画像】** ○絵にかいた姿。映写された像。[文例]〈テレビの画像〉テレビが故障したらしく、画像がゆがんで見える。♠●衛星から送られてくる画像をコンピュータで分析すると、作物の生育状況がわかるという。 **かぞ・える【数える】** ○数を勘定する。一つ一つ取り上げて言う。並べ挙げる。[例]〈数を数える〉幼[おさな]い妹は、一、二、三………………と十まで数を数えると、ゆっくりとおふろから上がりました。♠●〈金を数える>九千三百円のおつりを受け取り、念のためにそのお金を数えて確かめた。♠●〈指折り数える〉ふるさとを離れてから、指折り数えて、今年でもう八年になる。♠●〈回数を数える〉火山の爆発[ばくはつ]がくり返され、地震[じしん]の回数は日に日に増していき、そのうちに、一日に千回を数えるほどになった。♠●へ数えるほどしかない〉バーゲン・セールに行ってみたら、商品はほとんど売りつくされ、数えるほどしか残っていなかった。♠●〈少なく数えても〉世界には、少なく数えても千五百種、数え方によっては、三千種にも及[およ]ぶ言語があるといわれている。♠●へ数えきれない〉地球上には数えきれないほどの昆虫[こんちゆう]がいるが、そのほとんどは、緑の葉を食べて生きている。♠●へ〜の一つに数えられる〉壮大[そうだい]なるエジプトのピラミッドは、世界七不思議の一つに数えられている。 **かそく【加速】** ○速度を加えること。速まること。[文例]〈加速する〉このレバーを上にすると、ラジコンカーが加速するんだ。♠●へ加速装置>アクセルは、車の加速装置で、これを踏むとスピードが増します。 **かぞく【家族】** ○夫と妻を中心にして生活を共にする親子・兄弟の集まり。[文例]〈家族の一員>犬のシロも、大事な家族の一員だ。♠◆ヘ五人家族三反[たん]ばかりの畑では、五人家族が生きていくにはどうにもならない。♠●〈家族制度〉かつてわが国には、家長を中心とする家族制度というものがあった。 **かそくど【加速度】** ○物事の進行や速度が速まっていく度合い。[文例]】〈加速度がつく>急な坂を下りる時は、加速度がついて危ないので、ブレーキをかけながら下りる。♠へ加速度的>生活のリズムがいったん狂い始めると、加速度的に崩れてしまうものだ。 **かた【肩】** ○首と腕の付け根の間の部分。また、物のそこにあたる部分。物を投げる力。援助。責任。[文例]〈肩をたたく〉肩をたたいてあげたら、おばあちゃんは気持ちよさそうに目を細めた。♠肩が凝[こ]る>母は肩が凝りやすいので、わたしはときどきもんであげます。♠●へ肩が凝る>格調高い演劇もいいが、たまには肩の凝らないドタバタ喜劇もいいものです。♠●へ肩が強い〉あの外野手は足も速く、肩も強いので、きっといい選手に育つでしょう。♠●〈肩を抱く〉神父は、優しく励ますように青年の肩を抱いた。♠●〈肩をすくめる〉隣[となり]のおばさんに注意されると、弟はペロッと舌を出して肩をすくめた。♠●へ肩をすぼめる〉みんなの前でいばっていたガキ大将だが、母親にどなられると、恥ずかしそうに肩をすぼめた。♠●へ肩で息をする〉大急ぎで走って来た少年は、苦しそうに肩で息をしていた。♠●へ肩を怒[いか]らせる〉隊長は肩を怒らせ、大きな声で号令をかけた。♠●へ肩を落とす>肩を落し去りゆく選手を見守りぬわが精神の遠景として(島田修二)♠◆<肩を並[なら]べる>珠算[しゆざん]を始めたのは遅かったが、毎日練習したので、みんなと肩を並べるまでになった。♠●へ肩を持つ〉彼女の肩を持つわけではないが、どうもきみの意見には賛成できない。♠食肩の力を抜く〉もっと肩の力を抜いてリラックスしてください、と注意されました。♠●へ肩の荷が下りる〉無事任務を果たし、やっと肩の荷が下りた。♠●へ肩で風を切る>男は意気揚々[ようよう]と、肩で風を切って歩いていた。♠◆〈肩が張る〉あの先生の授業は楽しくて肩が張らないので、勉強ぎらいのぼくもひきこまれます。♠●へ肩を入れる〉毎年全国大会に出場している野球部には、学校側も特に肩を入れているようだ。♠●〈肩を貸す>途中[とちゅう]でばてた先生に交互[こうご]に肩を貸して、何とか目的地に着いた。♠●へ肩にかかる〉一家 <193> 五人の運命は、すべて父の肩にかかっているといってもいいだろう。 **かた【方】** ○方向。方角。仕方。する方法。人を敬っていう語。[文例]〈この方〉この方をお部屋までご案内してください。♠◆<父方[ちが]〉わたしの家は、両親と兄と父方の祖母、それにわたしの五人家族です。♠●〈西の方〉日は西の方にかたむき、辺りに夕暮[ゆうぐ]れがせまってきた。♠●〈来[こ]し方行く末>過去と未来のことを、来し方行く末ということもあります。♠●へ撃[う]ち方「撃ち方始め!」の合図とともに、兵士たちの撃つ機関銃の音が響いた。♠◆く話し方〉同じ言葉でも話し方によって、与[あた]える印象はずいぶん変わるものです。♠へやる方なし〉もはや手遅[おく]れだ、無念、やる方なし。♠●〈~してこの方〉生まれてこの方、これほどの大雪に見舞[みま]われたことはなかった。♠●<勘定方>江戸[えど]時代の勘定方と呼ばれた役職は、今で言えば会計係に当たるものです。♠●〈山田方〉大学に行っている兄の住所は、八王子[はちおうじ]市緑町一の三十三の七、山田方です。 **かた【型・形】** ○もとになる形。決まった形式。その物独特の形。抵当。担保。[文例]〈型に流しこむ〉ゼラチン液を型に流しこみ、冷やして固めると、ゼリーが出来上がります。♠〈型を取る〉ブラウスを縫おうと思い、わたしは、まず、布地に型紙をあて型を取った。♠●〈型にはまる〉わたしは、型にはまらない自由な生き方がしたいと思う。♠●〈型にはめる〉それぞれ違った個性を持った生徒たちを、一つの型にはめようとするのは無理なことです。♠●〈型を破る〉〈新しい型>コンピューターで制作したアニメーション映画が、これまでの型を破った新しい型の映画として注目されている。♠<基本的な型〉「犬がほえる」は、主部・述部だけでできている基本的な文の型です。♠●〈基本の型〉お花やお茶を習うときは、まず、基本の型を覚えなくてはなりません。♠土俵入[どひようい]りの型>横綱[よこづな]の土俵入りには、雲竜[うんりゅう]型と不知火[しらぬい]型という二つの型があります。♠●〈型どおり〉新年会は例のごとく、社長の型どおりのあいさつで始まった。♠へ形がくずれる〉バーゲンセールで買った洋服は、一、二度着ただけで、もう形がくずれてしまった。♠●へ借金のかた〉〈かたに取る〉家も財産も、借金のかたに取られてしまいました。 **かた【片】** ○組みになったものの一方。片方。かたよっていること。不完全であること。[文例]〈片がつく〉あの問題は片がついたから、もう心配いらないぞ。♠●へ片をつける〉東京へ行く前に、今までつきあってきた友達とは、きっぱり片をつけていくわ。♠●〈片や、こなた〉片やゴンスケ、こなたヘイジュウで、この勝負はもつれるぞ。♠◆<片田舎[かたいなか]〉こんな片田舎にゃ、人気歌手は来てくれないな。 **かた【過多】** ○多すぎるさま。→過少[文例]〈胃酸過多>胃液中の塩酸が異常に多くなるいわゆる胃酸過多により、胸やけなどの症状[しょうじよう]が起こるらしい。♠◆<栄養過多>最近の日本では、栄養過多が原因と見られる病気も多い。 **かた・い【固い・堅い・硬い】** ○力が加わっても、形が崩れない。こわばっている。ごつごつしている。がんこだ。きびしい。たしかだ。しっかりしている。「[例]〈固い殻[から]〉鳥類の卵は、固い殻でおおわれている。♠●〈固い木〉ひのきは非常に固い木で、建築材として重要なものです。♠●へ固い氷>冬になると、地面は固い氷や雪でおおわれ、白一色の世界に変わる。♠●〈固い声>無理にのどに力を入れて固い声を出すと、のどをいためてしまう。♠◆く固い話〉固い話はそれまでにしで、そろそろパーティーを始めましょう。♠●へ結び目が固い〉この荷物は、結び目が固くてほどけないよ。♠●へ固く絞[しぼ]る〉ぞうきんはもっと固く絞って、腕[うで]に力をこめてふいてごらんなさい。♠●へ固く閉ざす〉くまが出ると聞き、山小屋の戸口を固く閉ざしました。♠●〈固く禁じる江戸幕府は、禁教令を出し、キリスト教の布教、信仰[しんこう]を固く禁じた。♠●へ固く約束[やくそく]する〉あれほど固く約束したのに、その約束を破ってしまうなんて・・・・・・。♠〈固く信じる〉少女は、お父さんは何でも出来るのだと、そう固く信じていました。♠へ決心が固い>周りの人たちは猛反対したが、彼の決心は固かった。♠◆〈固い握手[あくしゅ]>ぼくたちは、再会を約束し、固い握手をかわして別れた。♠◆ヘ口が固い〉ぽくは口が固いから、けっして他人に秘密をもらしたりはしません。♠へ頭が固い〉最近の若い者は・・・・・・なんて言い出したら、頭が固くなった証拠[しょうこ]よ、お父さん。♠◆◇表情が固い〉テレビカメラを意識したせいか、みんな表情が固かった。♠◆人人前で固くなる〉わたしは、人前に立つと、固くなってうまく話せなくなってしまいます。♠◆<文章が硬い>漢語を多く使うと、文章が硬い感じになりがちです。♠◆人堅い性格〉あの子は堅い性格の子ですから、かけごとなどにはいっさい手は出しません。♠◆◇堅い商売〉主人の堅い商売のやり方がみんなの信用を得て、店は大繁盛[じよう]している。♠守りが堅い〉このチームは五試合してエラーがたった一つと、たいへん守りの堅いチームです。♠優勝が堅いこの調子でいけば、わが校の優勝は堅い。 **かだい【過大】** ○大きすぎるさま。→過小[文例]〈過大な期待>周囲の過大な期待が、その子には大きな負担だったのです。♠◆〈過大評価>確かにいい映画ではあったが、過大評価されたきらいもある。 **かだい【課題】** ○与えられた問題。解決しなければならない問題。[文例]<課題を出す。与える>授業の終わりに、先生は生徒たちに来週までの課題を出す。♠●〈課題を持つ〉わたしたちは、何かしら自分が打ち込む課題を持ちたいものです。♠◆<重要な課題>環境破壊をくい止め、自然を回復させることは、地球に生きるわたしたちの重要な課題です。 **かたいっぽう【片一方】** ○組みになったものの一つ。片方。[文例]〈げたの片一方〉新しいげたの片一方が川に流れてしまった。♠●へ手袋の片一方>手袋が片一方見つからないんだ。 **かたいなか【片田舎】** ○都会から離れた、へんぴな土地。[文例]オランダの片田舎で平和に暮らしていた一家にも、戦争の影が忍び寄ってきた。♠●へ静かな片田舎〉年をとったら、どこか静かな片田舎でひっそりと暮らすのもいいね。 **かたおもい【片思い】** ○一方的で相手に通じない恋心。[例]初恋は片思いに終わったけれど、少年時代のよき思 <194> **かたがき**【肩書き】○名刺などの名前の右肩に書く職名・役名。社会的地位。[文例]〈肩書きがつく〉もらった名刺[めいし]を見ると、「こわい父親を育てる国民の会代表」という肩書きがついていた。♠〈肩書きをもつ〉本業は農業ですが、わたしは村会議員の肩書きをもっています。♠〈肩書きがものを言う〉実力より肩書きがものを言う世の中です。 **かたがた**(旁)○…のついでに。…をかねて。…がてら。[文例]後日、お礼かたがたお伺[うかが]いします。♠歩いて二十分ぐらいの所ですから、今度散歩かたがたおいでください。 **かたかな**【片仮名】○主に漢字の一部分をとって作った仮名の一つ。[文例]〈片仮名の言葉〉車内の広告や、新聞や雑誌の広告を見ると、片仮名の言葉が非常に多いのに驚く[おどろ]。♠〈片仮名を使う〉外来語・動植物名・擬声語[ぎせいご]などには、片仮名を使うことが多いのです。 **かたき**【敵】(仇)○恨みをいだく相手。競争相手。勝負事の相手。[文例]〈敵を討つ〉家来たちは、いつか主君[しゅくん]の敵を討と[う]うと決意するのだった。♠〈敵を取る〉あいつめ、よくもだましたな!この敵は必ず取ってやるぞ。♠〈親の敵〉きみ、親の敵を見るような、そんな怖い目でにらまないでくれよ。♠〈目の敵[かたき]〉あの二人は、お互いを目の敵[かたき]にして、寄るとさわるとけんかばかりしている。♠〈商売敵[がたき]〉商売敵[がたき]に負けないように、うちの店も半額セールと行くか。♠〈恋敵[がたき]〉一人の女性を好きになったぼくたちは、さしずめ恋敵[がたき]というところだ。♠〈江戸の敵を長崎で討つ〉思いもかけない所で恨みを晴らすことを、「江戸の敵を長崎で討つ」という。 **かたぎ**(気質)○ある土地・身分・職業・集団などに見られる似通った気性・気風。きしつ。[文例]〈昔かたぎ〉祖父は律儀[りちぎ]でがんこな昔かたぎの人間です。♠〈職人かたぎ〉職人かたぎの父は口べたでがんこ者だが、大工としての腕には自信を持っています。♠〈書生かたぎ〉あの学生さんは、書生かたぎで明るく素直な人ですね。 **かたくな**(頑な)○がんこなさま。ごうじょうなさま。[文例]〈かたくなな所〉少年はおとなしく、優しい子だが、自分の考えをけっして引っこめないかたくなな所もある。♠〈かたくなな心〉少女のかたくなな心を開かせたのは、先生や友達の優しさだった。♠〈かたくなな態度〉どんなに説得しても、友達のかたくなな態度は変わらなかった。♠〈かたくなに拒否する〉弟はかたくなに仲直りを拒否して、いつまでもぼくと口をきかない。♠〈かたくなに押し黙る〉いかに問いつめても、男は口を開こうとはせず、かたくなに押し黙ったままであった。 **かたくるし・い**【堅苦しい】○うちとけず、きゅうくつである。[文例]〈堅苦しいあいさつ〉堅苦しいあいさつは抜きにして、まず乾杯といこう。♠〈堅苦しいテーマ〉堅苦しいテーマは設けませんから、日ごろ思っていることを存分に語ってください。♠〈堅苦しい感じ〉あの人は堅苦しい感じがして、どうも苦手だ。 **かたごし**【肩越し】○肩の上を越して何かをすること。[文例]〈前の人の肩越し〉集合写真を見ると、兄は一番後ろの列で、前の人の肩越しに顔だけのぞかせていた。♠〈肩越しにふりかえる〉前を行く男は、自分の肩越しに首だけふりかえってみせた。 **かたこと**【片言】○幼児などの不完全な言い方。[例]〈片言をしゃべる〉一歳を過ぎると、カッちゃんはもう片言をしゃべるようになりました。♠〈片言の英語〉外人に片言の英語で話しかけたら、相手は流ちょうな日本語で答えました。 **かたさき**【肩先】○肩の、腕の付け根に近いところ。かたぐち。[文例]少年は、体じゅう日焼けして、肩先は皮がむけている。♠少女の肩先がのぞく袖[そで]なしのブラウスが涼しげ[すず]です。 **かたじけな・い**(辱い・忝い)○おそれ多い。もったいない。ありがたい。[文例]身に余るお志[こころざし]、かたじけなく存じます。♠「どうぞこの席にお座りください。」「いや、かたじけな<195> い。」 **かたず**(固唾)○緊張した時に口にたまるつば。[文例]〈固唾をのむ〉綱渡り[つなわたり]や空中ブランコの芸を、観客は固唾をのんで見守っている。♠〈固唾をのむ〉高い木のてっぺんから下りてくる子どもを、わたしは固唾をのんで見守った。 **かたすかし**【肩透かし】○相手の肩口に手をかけて倒す相撲の技。相手の気勢をそらすこと。[文例]〈肩透かしをくう〉頭を低くして突っ込んだが、相手力士の肩透かしをくってしまった。♠〈肩透かしをくう〉せっかく張り切って来たのに、相手が小学生ばかりで肩透かしをくったみたいだ。 **かたすみ**【片隅】○一方のすみ。すみっこ。[文例]〈部屋の片隅〉部屋の片隅には、何もかいていないカンバスが画架[がか]にのっていた。♠〈都会の片隅〉上京したばかりのわたしは、都会の片隅で小さくなっていた。♠〈心の片隅〉入賞は無理と思いながらも、心の片隅ではもしかしたらという期待もあった。 **かたち**【形】○見たり触れたりして知られる物の姿。物事の外に現れた形式。(内容に対して)形式。[文例]〈~の形をする〉青い空に、鯨[くじら]の形をした雲がぽっかりと浮かんでいる。♠〈形がいい・悪い〉母は、大きくて形のいいスイカを選んで買いました。♠〈形が変わる〉猫のひとみは、まわりの明るさによって、大きくなったり小さくなったり、形が変わる。♠〈形をとどめる〉遺跡[いせき]は歳月[さいげつ]の風化を受けて、もとの形をとどめないほどになっていた。♠〈影も形もない〉朝、うっすらと積もった雪も、日中の暖かさで、もう影も形もありません。♠〈形を整える〉中心部は、商店などが固まっていて、町らしい形を整えている。♠〈形がつく〉ひどいあばら屋だったが、修理によって、何とか形がついた。♠〈形になる〉幼い弟が、電車の絵だよと言って見せてくれたが、ちっとも形になっていない。♠〈形をとる〉動詞の連用形が「て」などについて、「行って」「読んで」のような形をとるものを音便形[おんびんけい]という。♠〈いろいろな形〉古典には、当時の人々の生き方や考え方が、いろいろな形で反映している。♠〈形ばかりのお礼〉入院中お世話になった方々に、形ばかりのお礼をしました。 **かたちづく・る**【形作る】○形としてまとまりをつける。形成する。構成する。[文例]〈三角州を形作る〉流れと共に運ばれた土砂が河口付近にたい積し、三角州を形作る。♠〈段落を形作る〉段落のしくみを明らかにするためには、それを形作っている一つ一つの文の関係をとらえることが大切です。♠〈言葉が形作られる〉こうして地域間に共通する言葉が形作られていった。 **かたど・る**(象る・模る)○物の形を写し取る。物の形に似せる。[文例]〈事物をかたどる〉事物や現象をかたどって作られた文字のことを象形文字といいます。♠〈動物をかたどる〉パン屋の店先には、丸いのや細長いの、カメやワニをかたどったパンまで並んでいる。♠〈流れをかたどる〉この図柄は、水の流れをかたどったものです。 **かたな**【刀】○刀剣類の総称。片刃の刃物。武士が腰に差した大刀。[文例]〈刀を差す〉向こうから、腰に刀を差した侍[さむらい]がぞろぞろとやってくる。♠〈刀を振りかざす〉男は刀を振りかざして、人々を片っ端から追っ払った。♠〈刀を抜く〉老人は刀を抜き、敵に切りかかった。 **かたなし**【形無し】○形をとどめないほど損なわれるさま。面目を失うさま。[文例]ネズミを見て逃げるようじゃ、ネコも形無しだな。♠こんな小さい子に注意されるなんて、大人も形無しですね。 **かたはし**【片端】○一方のはし。一部分。かたっぱし。[文例]〈片端から~する〉炊事のおばさんたちが汚れた[よご]食器を片端から洗い、片付けていく。♠〈話の片端〉子どもが、わたしたちの話の片端を聞きかじって早合点[はやがてん]したらしい。 **かたはらいた・い**【片腹痛い】○(「傍痛し」から)こっけいで、そばで見ているのがつらい。笑止千万だ。[文例]ハッハッハ、チビのくせにこのわしに向かってくるとは片腹痛い。♠そんなことを人が信じると思うのか?片腹痛いことを言うな。 **かたほう**【片方】○組みになったものの一方。かたいっぽう。[文例]〈片方の靴〉帰ろうとしたら、ぼくの靴が片方見当たらない。♠〈片方の手〉赤ん坊は、おっぱいを飲みながら、片方の手でもう一つの乳首をまさぐっている。 **かたぼう**【片棒】○かごや荷物を二人の人が棒で担ぐ時の片方。[文例]〈片棒を担ぐ[かつ]〉たんまり分け前をくれるんなら、おれがその仕事の片棒を担い[かつ]でもいいぜ。♠〈悪事の片棒〉少年は、知らぬ間に悪事の片棒を担がせられていたのであった。 **かたまり**【塊・固まり】○かたまること。かたまったもの。こりかたまったもの。[文例]〈土の塊〉人々は、毎日荒れ地にくわを入れ、土の塊を掘り起こして、土地を切り開いていった。♠〈砂糖の塊〉小さな砂糖の塊に、ありがいっぱい群がっている。♠〈肉の塊〉飼育[しいく]係のおじさんは、大きな肉の塊を、ライオンに投げてやった。♠〈鉄の塊〉軍人だったころの彼は、鉄の塊のように非情だった。♠〈人の塊〉事故でもあったのか、道に人が塊になって群がっている。♠〈欲のかたまり〉この男は、けちで金もうけにしか興味のない、欲のかたまりのような人間だった。 **かたま・る**【固まる】○固くなる。ひと所にまとまる。一つのことに集中する。しっかりした状態になる。[文例]〈コンクリートが固まる〉コンクリートが固まるまで、ここを踏んではいけませんよ。♠〈花が固まる〉小さな花がこんもりと固まって咲くアジサイが、わたしは好きです。♠〈店が固まる〉中心地は、商店などが固まっていて、町らしい形を整えていた。♠〈基礎が固まる〉新憲法も出来、新しい国家の基礎が固まった。♠〈決心が固まる〉大学に進む決心が固まったら、さあ、勉強、勉強。♠〈考えが固まる〉明治生まれの祖父は、考えが昔風[ひかしふう]に固まっていて、とてもがんこです。♠〈証拠[しょうこ]が固まる〉彼が犯人だという証拠[しょうこ]が固まったので、警察は逮捕[たいほ]にふみきった。♠〈凝り固まる〉信心に凝り固まった信者に、近代医学を認めさせるのは容易なことではなかった。♠〈雨降って地固まる〉ひともめあったが、雨降って地固まる、みんなの気持ちが一つになった。 **かたみ**【形見】○死んだ人や別れた人の遺品。過去を思い出すよすが。[文例]〈母の形見〉この着物は、亡くなった母の大切な形見です。♠〈形見とする〉師は、死に臨んで、生前愛用した硯[すずり]を形見として弟子に残した。♠〈形見分け〉泣きながらよい方を取る形見分け(川柳[せんりゅう]) **かたみ**【肩身】○肩と胴体。世間に対する面目。[例]〈肩身が狭い〉息子が近所で評判のいたずら坊主とあっては、親として肩身が狭い。♠〈肩身が広い〉一族に有力者が多いので、わたしはこの土地で肩身の広い思いをしています。 <195> **かたみ** **か** **かたな**【刀】 O刀剣類の総称。片刃の刃物。武士が腰に差した大刀。[文例]〈刀を差す〉向こうから、腰に刀を差した侍がぞろぞろとやってくる。♠〈刀を振りかざす〉男は刀を振りかざして、人々を片っ端から追っ払った。♠〈刀を抜く〉老人は刀を抜き、敵に切りかかった。 **かたなし**【形無し】 ○形をとどめないほど損なわれるさま。面目を失うさま。[文例]ネズミを見て逃げるようじゃ、ネコも形無しだな。♠こんな小さい子に注意されるなんて、大人も形無しですね。 **かたはし**【片端】 ○一方のはし。一部分。かたっぱし。[文例]〈片端から〜する〉炊事のおばさんたちが汚れた食器を片端から洗い、片付けていく。♠〈話の片端〉子どもが、わたしたちの話の片端を聞きかじって早合点したらしい。 **かたはらいた・い**【片腹痛い】 ○(「傍痛し」から)こっけいで、そばで見ているのがつらい。笑止千万だ。[文例]ハッハッハ、チビのくせにこのわしに向かってくるとは片腹痛い。♠そんなことを人が信じると思うのか?片腹痛いことを言うな。 **かたほう**【片方】 ○組みになったものの一方。かたいっぽう。[文例]〈片方の靴〉帰ろうとしたら、ぼくの靴が片方見当たらない。♠〈片方の手〉赤ん坊は、おっぱいを飲みながら、片方の手でもう一つの乳首をまさぐっている。 **かたぼう**【片棒】 ○かごや荷物を二人の人が棒で担ぐ時の片方。[文例]〈片棒を担ぐ〉たんまり分け前をくれるんなら、おれがその仕事の片棒を担いでもいいぜ。♠〈悪事の片棒〉少年は、知らぬ間に悪事の片棒を担がせられていたのであった。 **かたまり**【塊・固まり】 ○かたまること。かたまったもの。こりかたまったもの。[文例]〈土の塊〉人々は、毎日荒れ地に、くわを入れ、土の塊を掘り起こして、土地を切り開いていった。♠〈砂糖の塊〉小さな砂糖の塊に、ありがいっぱい群がっている。♠〈肉の塊〉飼育係のおじさんは、大きな肉の塊を、ライオンに投げてやった。♠〈鉄の塊〉軍人だったころの彼は、鉄の塊のように非情だった。♠〈人の塊〉事故でもあったのか、道に人が塊になって群がっている。♠〈欲の塊〉この男は、けちで金もうけにしか興味のない、欲の塊のような人間だった。 **かたま・る**【固まる】 ○固くなる。ひと所にまとまる。一つのことに集中する。しっかりした状態になる。[文例]〈コンクリートが固まる〉コンクリートが固まるまで、ここを踏んではいけませんよ。♠〈花が固まる〉小さな花がこんもりと固まって咲くアジサイが、わたしは好きです。♠〈店が固まる〉中心地は、商店などが固まっていて、町らしい形を整えていた。♠〈基礎が固まる〉新憲法も出来、新しい国家の基礎が固まった。♠〈決心が固まる〉大学に進む決心が固まったら、さあ、勉強、勉強。♠〈考えが固まる〉明治生まれの祖父は、考えが昔風に固まっていて、とてもがんこです。♠〈証拠が固まる〉彼が犯人だという証拠が固まったので、警察は逮捕にふみきった。♠〈凝り固まる〉信心に凝り固まった信者に、近代医学を認めさせるのは容易なことではなかった。♠〈雨降って地固まる〉ひともめあったが、雨降って地固まるで、みんなの気持ちが一つになった。 **かたみ**【形見】 ○死んだ人や別れた人の遺品。過去を思い出すよすが。[文例]〈母の形見〉この着物は、亡くなった母の大切な形見です。♠〈形見とする〉師は、死に臨んで、生前愛用した硯を形見として弟子に残した。♠〈形見分け〉泣きながらよい方を取る形見分け(川柳) **かたみ**【肩身】 ○肩と胴体。世間に対する面目。[文例]〈肩身が狭い〉息子が近所で評判のいたずら坊主とあっては、親として肩身が狭い。♠〈肩身が広い〉一族に有力者が多いので <196> **かたみち**【片道】○行きと帰りのうちのどちらか一方。[文例]〈片道八キロ〉片道八キロの道を、毎日自転車で学校へ通った。♠〈片道・往復〉電車賃は片道三百円、往復で六百円かかる。♠〈片道切符〉駅で東京までの片道切符を買い、電車に乗った。 **かたむき**【傾き】○傾くこと。傾いた度合い。一方的にある方向へ進むこと。傾向。[文例]〈屋根の傾き〉傾きが急なので、屋根にのぼるのは危険だった。♠〈~の傾きがある〉家事労働が軽視される傾きがあるが、考えものだ。 **かたむ・く**【傾く】○斜めになる。かしぐ。かたよる。気持ちがある方向に向く。勢いがなくなる。[文例]〈柱が傾く〉爆音[ばくおん]とともに家が大きく揺れ、柱がぐらっと傾いた。♠〈舟が傾く〉流れに押されて舟が傾くと、乗っていた人が悲鳴をあげた。♠〈斜めに傾く〉公園のベンチは、片一方の足が折れて斜めに傾いたままです。♠〈太陽が傾く〉太陽はすでに西の空に傾き、辺りが暗くなってきました。♠〈商売が傾く〉長びく不景気で商売が傾き、とうとう店を閉めることになってしまった。♠〈家運が傾く〉栄えていた一家も、事業に失敗してからは家運が傾き、富も力も衰え[おとろ]ていった。♠〈賛成に傾く〉初めはこの計画に反対していた人たちも、利益のあることを知るとしだいに賛成に傾いていった。♠〈心が傾く〉初めはお見合いも嫌がった姉だったが、つき合いを重ねた今、心はしだいに相手の男性に傾いているようだ。 **かたむ・ける**【傾ける】○斜めにする。かしげる。気持ちを一つのことに向ける。勢いを失わせる。[文例]〈物を傾ける〉瓶[びん]を傾け、コップにジュースをつぎました。♠〈ジョッキを傾ける〉一日の仕事を終えると、男たちは大きなジョッキを傾けて疲れをいやした。♠〈首を傾ける〉馬が首を傾けて、ぼくに鼻面[はなづら]を寄せてきた。♠〈耳を傾ける〉ラジオから聞こえる音楽に耳を傾けていた。♠〈全力を傾ける〉病気の原因をつきとめるため、彼は、研究に全力を傾けた。♠〈努力を傾ける〉進路を切り開くために傾けた努力が実り、希望の高校に入ることが出来た。♠〈情熱を傾ける〉彼女は、他のすべてを犠牲にし、演劇に情熱を傾けてきたのです。♠〈注意を傾ける〉生徒たちは黒板に注意を傾けて、一生懸命ノートにとっている。♠〈愛情を傾ける〉体の弱いわが子に、父も母も、愛情のすべてを傾けた。♠〈うんちくを傾ける〉案内役の山村さんは、寺の由来の説明に蘊蓄[うんちく]を傾けました。♠〈家を傾ける〉男は、財力にまかせて、お金を湯水のごとく使う生活を続け、すっかり家を傾けてしまった。♠〈国を傾ける〉彼女は、王様に政治を執る[と]ことも忘れさせ、国を傾けるほどの美女だったということです。 **かた・める**【固める】○固くする。ひと所にまとめる。たしかにする。厳重にする。しっかりした状態にする。[文例]〈地面を固める〉掘った穴はきちんと埋めて、よく踏んで地面を固めておきなさい。♠〈コンクリートで固める〉最近は、川床[かわどこ]がコンクリートで固められるようになった。♠〈げんこつを固める〉弟をからかったら、げんこつを固めて飛びかかってきた。♠〈荷物を固めて置く〉荷物は部屋のすみに固めて置いておきました。♠〈決心を固める〉若者は、思い切って村を出る決心を固めたのだった。♠〈意見を固める〉力を合わせてこの難局をのりこえようと、村人たちは意見を固めた。♠〈基礎を固める〉将来の発展を考えると、今のうちに事業の基礎を固めておく必要があろう。♠〈守りを固める〉王は数千の兵を派遣し、国境の守りを固めた。♠〈国境を固める〉押し寄せる敵の侵入[しんにゅう]を防ぐため、兵を集め国境を固めた。♠〈勢力を固める〉頼朝[よりとも]は、鎌倉[かまくら]を根拠[こんきょ]地に勢力を固めていた。♠〈身を固める〉一同は、侍装束[さむらいしょうぞく]に身を固め、夜の明けぬうちに番小屋をたった。♠〈身を固める〉長い間独身だった彼も、とうとう身を固めることになった。♠〈うそで固める〉その男が会社の社長だというのをはじめ、すべてはうそで固めた話だった。 **かたやぶり**【型破り】○常識や習慣になったやり方を破ること。また、そのような人。[文例]〈型破りの行動〉赴任したばかりの若い教師は、その型破りの行動で生徒たちを驚かせた。♠〈型破りな人間〉きみのような型破りな人間は、人から誤解を受けやすいだろう。♠〈型破りな作品〉彼は、常識にとらわれない型破りな作品を次々に発表し、注目を浴びた。♠〈型破りな説〉地動説は、当時としてはあまりに型破りな説であったために受け入れられなかったのだろう。 **かたよ・る**【片寄る・偏る】○片方に寄る。一方に寄って均衡や公正を欠く。[文例]〈進路が片寄る〉地図を調べてみたら、進路がコースより東に片寄っていることが分かった。♠〈栄養が偏る〉好きなものばかり食べていては、栄養が偏って病気になってしまうよ。♠〈発言が偏る〉特定の人に偏らないように、議長は、多くの人の発言を求めた。♠〈偏った見方〉漫画[まんが]を読むのを悪いと決めつけるのは、偏った見方だ。♠〈偏った考え〉意見を交換[こうかん]しあうことによって、自分の偏った考えを修正することができる。 **かたらい**【語らい】○語り合うこと。[例]〈友との語らい〉久しぶりの友との語らいに時がたつのを忘れた。♠〈語らいの場〉この憩い[いこ]の家は、孤独な老人たちの良き語らいの場となっている。 **かたら・う**【語らう】○語り合う。親密に話し合う。仲間になるよう誘う。[例]〈仲間と語らう〉仲間と語らって、どっとお祭りに繰り出すことになった。♠〈愛を語らう〉川べりのこの公園は、男女が愛を語らうにはもってこいの場所です。 **かたりつ・ぐ**【語り継ぐ】○人の口から口へと語り伝える。[例]〈神話を語り継ぐ〉このイカロスの神話は、人類の大空に対するあこがれとして、いつまでも語り継がれていくことでしょう。♠〈伝説を語り継ぐ〉この伝説は、この地方で古くから語り継がれてきたものです。♠〈民話を語り継ぐ〉この本には、日本各地で語り継がれてきた民話や伝説が収められている。 **かた・る**【語る】(騙る)○事柄を述べる。話す。うそをつく。いつわる。[文例]〈いきさつを語る〉男は重い口を開き、これまでのいきさつを語った。♠〈歴史を語る〉ガイドさんがキー< <197> **かつ** **か** **かたわら**【傍ら】 ○わき。はし。そば。その一方で。合間に。[文例]〈道の傍ら〉野道を行くと、傍らにかわいいすみれが咲いていた。♠〈人[ひと]の傍ら〉母親が縫い物をしている傍らで、子供たちは元気に遊んでいます。♠〈〜するかたわら〉ぼくは、学校に通うかたわら、夜はスーパーで働いています。♠〈家事[かじ]のかたわら〉母は家事のかたわら、近所の子供たちにピアノを教えている。 **かたわれ**【片割れ】 ○割れた一片。一そろいの物の一部。仲間の一人。[文例]〈割れたカップの片割れ〉柄の美しいカップがきれいに割れた時などは、片割れを接着して花びん代わりに使ったりしています。♠〈犯人の片割れ〉三人の犯人のうち二人は捕えられたが、片割れがどこかに潜んでいるらしい。♠〈片割れ月〉夜が明けかかった空にぼんやりと片割れ月の影が浮かんでいる。 **かたん**【加担・荷担】 ○味方すること。力を貸すこと。[文例]〈悪事に加担する〉悪人をかくまったりすると、おまえさんも悪事に加担することになるんだ。♠〈戦争に加担する〉戦争の当事国に武器援助を行うというのは、戦争に加担することではないのか。♠大気や河川の汚染などが問題にされても、わたしたちがそれに加担していることには案外気がついていない。 **かち**【価値】 ○物事の大切さの程度。値打ち。[文例]〈ダイヤモンドの価値〉このダイヤモンドの価値は、およそ一億円に相当するという。♠〈価値が上がる・下がる〉物価は上がる一方で、十年前から比べると貨幣の価値はだいぶ下がりました。♠〈芸術的な価値〉〈価値が高い・低い〉この絵は、有名なダ=ビンチの作品で、芸術的な価値のきわめて高いものである。♠〈価値がある・ない〉ニュースは、「新しい」というところに価値がある。♠〈価値を持つ〉この作品は、生きることの意味や、民族差別、戦争と平和を考えるうえで貴重な価値を持っている。♠〈価値をはかる〉物の価値は決めやすいが、人の価値をはかるのは難しいことだ。♠〈一見の価値がある〉さすがに「花の都パリ」だけあって、その美しさは一見の価値がある。 **かち**【勝ち】 ○勝つこと。勝利。[文例]この作戦が成功すれば、われわれの勝ちだ。♠〈勝ちに乗じる〉一回戦、二回戦…と勝ちに乗じて進み、いよいよ決勝戦を迎えた。 **かちあ・う**【かち合う】 ○ぶつかり合う。(物事や日程などが)重なる。[文例]〈会合がかち合う〉二つの会合が同じ時間にかち合っているので、どっちに出席するか迷っている。♠〈日曜とかち合う〉開校記念日は休校になるのだが、今年は日曜とかち合ってがっかりだ。 **かちき**【勝ち気】 ○人に負けまいとする気性。負けん気。[文例]〈勝ち気な性格〉わたしは勝ち気な性格で、何でも人に負けるのは大嫌いだ。♠〈男まさりで勝ち気〉男まさりで勝ち気だった姉だが、年ごろになったら、人が変わったようにおしとやかになった。♠〈勝ち気な娘〉勝ち気な娘は、主人にしかられると、くやしそうにくちびるをかんだ。 **かちく**【家畜】 ○人が飼う動物。[文例]〈家畜を飼う〉この辺りのほとんどの農家は、牛や馬、鶏などの家畜を飼っている。♠〈家畜小屋〉母屋の裏の家畜小屋から牛ややぎの鳴き声が聞こえてくる。 **か・つ**【勝つ】(克[かつ]つ) ○相手を負かす。相手より優れる。誘惑や欲望を克服する。まさる。[文例]〈試合に勝つ〉今度の試合には、きっと勝ってみせるぞ。♠〈じゃんけんで勝つ〉じゃんけんで勝ったほうが、このお菓子を食べることによし <198> う。♠●へ誘惑[ゆうわく]に勝つ〉一週間後の試験のことを思い、テレビを見たい誘惑に何とか勝つことができた。♠●ヘ己[おのれ]に勝つ〉ひとに勝つより、己に勝て。♠◆へ勝てば官軍「勝てば官軍」と言って、戦いに勝ったほうがすべて正しいことになってしまったりする。♠●へ勝ってかぶと[兜]の緒[お]を締めよ「勝って兜の緒を締めよ」のことわざどおり、勝っても気をゆるめずに、ますます心をひきしめていこう。♠●へ荷が勝ちすぎる〉内気なわたしにリーダーの役目は、ちょっと荷が勝ちすぎました。♠へ脂[あぶら]がかつ〉トロは、刺し身やすしのたねに使うマグロの身で、やや脂のかったものです。 **かつあい【割愛】** ○惜しいものをあきらめる。惜しみつつ手放す。[文例]〈割愛する〉スペースの関係で、以下は割愛いたします。♠●へ説明を割愛する〉時間がありませんので、詳しい説明は割愛させていただきます。 **かつ・える(飢える・餓える)** ○飢える。欠乏する。ひどく欲しがる。[文例]へかつえて死ぬ〉飽食[ほうしよく]の時代、一方では食べる物もなく、かつえて死んでいく人々がいる。♠●へ愛にかつえる>親の愛にかつえた少女の心は、痛々しいほどにすさんでいた。♠知識にかつえる〉知識にかつえていたわたしは、むさぼるように本を読み、師の教えに耳を傾[かたむ]けた。 **がっかい【学会】** ○学術研究を目的とした専門家の団体。また、その会合。[例]〈学会で発表する〉彼は、長年の研究の成果を、次の学会で正式に発表することにした。♠●へ学会に出席する〉内科の小川先生は、学会に出席するために箱根へ出かけました。 **がっかい【学界】** ○学問の世界。学者たちの世界。[文例]<学界に波紋[はもん]を投げる〉この問題は、学界に大きな波紋を投げかけ、多くの学者が論争に加わった。♠●〈学界の定説>若い学者が学界の定説を破る新発見をした。♠●〈世界の学界>博士は、新学説についての論文を世界の学界にむけて発表した。 **かっかそうよう(隔靴搔痒)** ○靴の上からかゆいところをかくように、思うようにならずにじれったいこと。[文例]骨折してギブスをはめられたわたしは、病院のベッドで文字通り隔靴搔痒、思うにまかせぬ毎日を送っていた。 **がっかり** ○気を落とすさま。失望するさま。[文例]〈がっかりする〉自信作が落選して、相当にがっかりしました。♠●小遣いが全額入った財布を落としてしまって、がっかりだ。 **かっき【活気】** ○生き生きとした雰囲気。活動的な気分。[文例]〈活気に満ちる〉太陽が輝[かがや]き始めるころ、漁港では活気に満ちた掛け声が聞こえる。♠●へ活気がある・ない>若者たちはみな都会へ出て行き、村は活気がない。♠へ活気をみせる>終戦と共に文壇[ぶんだん]はいっせいに活気をみせた。 **がっき【学期】** ○学年をいくつかに分けた期間。[文例]〈学期の終わり>学校では、学期の終わりに学期末試験が行われている。♠●〈新学期〉春休みも終わり、いよいよ明日から新学期が始まる。 **がっき【楽器】** ○音楽を演奏する器具。[文例]学芸会では、歌を歌ったり楽器を演奏したりして楽しんだ。♠●バケツとかなべとかいろんな物を楽器にして、おもしろい合奏を工夫してみよう。♠わたしはフルートなどの木管楽器の音色が好きです。 **かっきてき【画期的】** ○新時代を開くと思われるほど目覚ましいさま。エポックメーキング。[又例]〈画期的な出来事〉ニューヨーク=パリ間の無着陸飛行の成功は、飛行機の可能性を示した画期的な出来事であった。♠◆へ画期的な発明〉テレビは、現代の画期的な発明の一つだろう。♠●へ画期的な考え方〉当時、地動説は画期的な考え方であったが、一般に受け入れられなかった。♠●〈画期的な事業〉もしもこの壮大[そうだい]な計画が実現されれば、新しい未来を開く画期的な事業となろう。 **がっきゅう【学級】** ○学校で生徒を一定数に組み分けしたもの。組。クラス。[文例]学級で話し合う時、自己中心的な発言しかしない人もいる。♠●へ学級委員〉一学期の間、学級委員を務めた。♠学級会>座席の決め方について意見が対立し、学級会は収拾がつかなくなった。 **がっきゅう【学究】** ○学問に打ち込むこと。また、そういう人。[文例]〈学究の徒〉大学院の石田君は、学究の徒というにふさわしい実直な人物です。 **かっきょう【活況】** ○生き生きした様子。活気ある様子。[文例]〈活況を呈[てい]する〉景気が回復し、商業地域も活況を呈しつつある。♠活況を見せる>戦後十五年、敗戦の傷もいえ、経済が活況を見せはじめたころのことである。 **かつ・ぐ【担ぐ】** ○肩にのせる。になう。人をおし立てる。まつり上げる。だます。迷信などを気にかける。[文例]〈肩に担ぐ〉大工さんが、大きな道具箱を肩に担いでやって来ます。♠◆〈みこしを担ぐ〉お祭りには、小さな子もみこしを担いで、かわいいかけ声をかけるのです。♠●へお先棒を担ぐ〉「お先棒を担ぐ」というのは、軽々しく人の手先となって活動することを言います。♠●〈片棒を担ぐ〉男は、どろぼうの片棒を担いで、見張り番を引き受けた。♠へ人を担ぐ〉この間のエープリルフールには、友達にまんまと担がれてしまった。♠●〈縁起[えんざ]を担ぐ〉姉たちは縁起を担いで、大安[たいめん]の日に結婚式[こくい]を挙げました。♠●〈御幣[ごへい]を担ぐ〉うちのおばあさんは、やれ日が悪いの、方角が悪いのと、何かにつけて御幣を担ぎます。♠●〈担ぎ込む>深夜、大けがをした人が病院に担ぎ込まれた。♠●〈担ぎ出す〉子供たちは、野球チームの監督にお寺の和尚[おしよう]さんを担ぎ出しました。 **かっくう【滑空】** ○羽や翼を広げたまま、風や気流にのって空中を飛ぶこと。[文例]〈滑空する〉グライダーは、翼に受ける風や上昇気流を利用して滑空する。 **かっこ【確固】(確乎)** ○しっかり定まって動かないさま。確かなさま。[文例]〈確固たる信念〉彼は、確固たる信念で自分のやり方を貫[つらぬ]き通した。♠●へ確固とした証拠[しょうこ]〉うそをついてもだめだ、ここに確固とした証拠がある。♠●へ確固不抜[ふばつ]〉諸君が確固不拔の精神をもって、この大事業を成し遂げられるよう希望します。 **かっこ【括弧】** ○()・()・「」などの符号。[文例]へかっこでくくる>文章中の注釈的な語句や文は、かっこでくくるなどして示します。♠●へかっこで囲む〉計算は、かっこで囲 <199> んである部分から先にやります。♠●へかぎかっこ〉くかっこをつける〉作文を書くとき、会話文にはかぎかっこをつけます。 **かっこい・い** ○かっこうがいい。[例]きみって、ハンサムで、足が長くってかっこいいわねえ。♠●わっ、ベンツだ、かっこいいなあ。♠◆大人のまねをしてタバコなんかくわえたって、ちっともかっこいいことないわよ。 **かっこう【格好】(恰好)** ○姿。なり。体裁。ありさま。それにぶさわしいさま。ころあいだ。[文例]〈格好がよい・悪い〉ぼくのこしらえたおにぎりは、どうも格好がよくない。♠●へよそゆきの格好〉〈~の格好をする〉よそゆきの格好をして、どこに出かけるの?♠◆〈忘れられた格好〉あの流行歌手も、人気が衰[おとろ]えた今では、すっかり人々から忘れられた格好だ。♠〈格好がつく〉外国のお客様も民族衣装[いしよう]でいらっしゃるのだから、こちらも着物でないと格好がつきません。♠●へ格好をつける〉向こうから男の子が、ポケットに手を突っ込んで、格好をつけながらやってくる。♠●く格好な遊び場〉この空き地は、子供たちの格好な遊び場だった。♠●〈年格好〉わたしを助けてくれた人は、大学生ほどの年格好の、りりしい青年でした。♠◆<四十格好〉父の留守中に訪ねて来た人は、年が四十格好の太った、メガネをかけた男の人でした。 **がっこう【学校】** ○児童・生徒を教育する所。[文例]〈学校へ上がる〉わが子もようやく学校へ上がる年齢になった。♠〈学校が始まる>夏休みも終わって、また学校が始まった。♠◆◇学校がある。ない〉今日は、こどもの日だから学校はないの。♠●〈学校を出る〉わたしは、学校を出たら、町の信用金庫に勤めます。♠へ学校生活〉これまでの学校生活を振り返り、自分の将来について考えたことを文章にまとめてみた。 **かっさい(喝采)** ○声をあげたり拍手をしたりして、ほめたたえること。[文例]<喝采を浴びる〉大会で優勝し、全校生の喝采を浴びる選手たちの表情は誇[ほこ]らしげだ。♠へ喝采を博[はく]する〉氏[し]は、壇上[だんじよう]から世界の平和を呼びかけ、満堂の喝采を博した。♠●へ拍手喝采する〉サーカスの動物があざやかな芸当を見せるたび、観客は拍手喝采した。 **かっしょく【褐色】** ○黒みがかった茶色。こげ茶色。[文例]<褐色の肌[はだ]>漁師たちは、日焼けして、肌の色は褐色になっている。♠いた。♠◆<褐色の土>土を掘り起こすと、黒い土の下から掲色の土が出てきた。 **かつじ【活字】** ○印刷用の、金属を使った文字の型。印刷されたもの。刊行物。[文例]〈小さい活字〉おじいちゃんは、目が悪いので、小さい活字の本を読むのに苦労します。♠へ活字を組む>写植機やワープロなどの普及[ふきゆう]により、活字を組んで印刷する活版印刷の利用は減っているそうです。♠活字にする〉この本は、あるラジオ番組で討論されたことを活字にしたものです。♠●〈活字と映像>大人を活字人間と呼ぶとすれば、現代の子供たちは映像人間といってよいでしょう。 **がっしゅく【合宿】** ○ある目的のために大勢で一つの家・部屋に寝泊まりすること。[文例]〈合宿をする〉剣道部[けんどうぶ]はこの夏、海辺の宿で七日間の合宿をすることになった。♠へ合宿に参加する〉わたしは強くなりたい一心で、今年の柔道部[じゅうどうぶ]の合宿に参加した。♠●〈合宿する〉バレーボール部では選手強化のため、毎年合宿することにしています。♠●へ寺に合宿する〉今日から三日間近くの寺に合宿して、共同研究のまとめにかかります。♠●〈強化合宿〉オリンピックに参加する選手たちは、今、最後の強化合宿に入っています。♠へ合宿生活〉方言の調査のため、数人の若い学者が下北半島[しもきた]の宿で合宿生活を行っている。 **がっしょう【合唱】** ○多くの人が声をそろえて歌うこと。コーラス。[例]〈合唱する「蛍[ほたる]の光」を、低音部と高音部に分かれて合唱しましょう。♠●〈混声合唱〉コーラス部は女子ばかりなので、混声合唱ができないのが残念です。♠●へ合唱団>ウィーン少年合唱団の美しい歌声に感動しました。 **がっしょう【合掌】** ○両の手のひらを合わせること。また、そうして拝[おが]むこと。[文例]〈合掌する〉神様や仏様を拝むときは、合掌します。♠●東南アジアの仏教国のように、合掌が日常のあいさつとして行われている地域もあります。♠●へ合掌造り〉岐阜[ぎふ]県の白川村は、合掌造りの民家があることで有名です。 **がったい【合体】** ○二つ以上の物が合わさること。一体になること。[文例]〈文字を合体させる「明」は、日と月の二文字を合体させた会意文字です。♠●〈物が合体する〉ソファ兼用のベッドとか、机と本棚[ほんだな]が合体したものとか、いろいろ便利な家具がありますね。 **かったつ(闊達・豁達)** ○おおらかなさま。物事にこだわらないさま。「[文例]〈闊達な人間〉大陸育ちの彼は、陽気で、物事にこだわらない闊達な人間だ。♠●へ自由闊達>彼らの自由闊達な生き方は、規則やしきたりの中でせせこましく生活している自分を反省させる。 **がっち【合致】** ○ぴったり合うこと。一致。[文例]〈合致する〉症状[しようじよう]が、本で見たガンの症状と合致する点があるので、病院で検査を受けることにした。♠●へ証言と合致する〉このように推理すると、被害者の証言と合致する。 **がってん【合点】** ○うなずくこと。承知すること。了解すること。』がてん[文例]〈合点がいく〉あの男の話には、どうも合点がいかないんだ。♠●おっと、合点、承知のすけだ。 **カット** ○切ること。切り取ること。切るような動作。さし絵。[文例]〈文章をカットする〉この文章は少しくどいから、思い切ってカットしたらどうだろうか。♠●へ髪をカットする〉美容院へ行って髪をカットしてもらったら、すっきりして気分もさわやかになりました。♠●ヘパスをカットする〉相手のパスをカットする作戦が成功し、味方に有利な試合運びになった。♠ヘカットを入れる〉このページにかわいらしいカットを入れたいと思います。♠●へ賃金カット〉会社の経営状態が悪化して、ついに賃金カットが行われた。 **かっとう(葛藤)** ○もつれること。もめること。対立すること。悶着[もんちやく]。相剋[そうこく]。[又例]〈かっとうが生じる〉おぼれかけている敵兵を目の前に、助けるべきか否[いな]か、兵士の心中にかっとうが生じた。♠●へかっとうがある〉友は冷静にぼくの裏切り行為を許してくれたが、きっと、心には大きなかっとうがあったにちがいない。♠●へ心のかっとう〉その日記には、悩み[なや]み多い若き日々の心のかっとうが、生々しく記されていた。♠〈嫁[よめ]としゅうとのかっとう〉世間ではよく、嫁としゅうとのかっとうが問題になるようだが、うちのおばあちゃんと母とはとても仲がいい。 **かつて(曾て・嘗て)** ○昔。以前。これまで。まったく。[文例]この監督は、かつてパリーグきっての強打者といわれた名選手だった。♠かつて教職にあった母は、その経験を生かして、近所の子供たちに勉強を教えている。♠かつてない〉一九六四年に開かれた東京オリンピックは、日本におけるかつてない大きな催[もよお]しだった。♠●へかつて~ない〉ぼくはこんなにおいしいものをかつて食べたことがなかった。♠●〈かつては〉かつては農地や雑木林であった所が、次々と宅地に変わっていった。♠かつての〉かつてのチームメイトが、今はぼくの良きライバルです。♠◆●〈いまだかつて〉人間がこれほど自然を破壊[はかい]した時代は、いまだかつてなかったにちがいない。 **がっしり** ○しっかりと力強く安定しているさま。がっちり。[文例]がっしりした体格〉やって来たのは、肩幅[かたはば]の広いがっしりした体格の中年の男でした。♠食がっしりとした建物〉その建物は古いが、れんが造りでがっしりとしている。 **かっ・する【渇する】** ○のどがかわく。水がかれる。物が欠乏する。渇望する。[文例]〈愛情に渇する〉人の愛情に渇していたわたしにとって、彼女のことばはまことに心にしみるばかりであった。♠●〈渇しても盗泉[とうせん]の水を飲まず〉貧乏はしていても、きたない金には手をつけない。♠渇しても盗泉の水を飲まず、といってな。 **かっせん【合戦】** ○敵味方が戦うこと。いくさ。[文例]<合戦に敗れる平家は、壇[だん]の浦[うら]の合戦で源氏に敗れ、一門ことごとく滅[ほろ]んでしまった。♠◆へ合戦場〉川中島は、古くは武田方と上杉方の合戦場となった所である。♠〈雪合戦〉子どもたちは大喜びで雪合戦に興じている。 **かっそう【滑走】** ○滑って進むこと。滑るように進むこと。[文例]<滑走する〉スケートで滑走している間に転倒[てんとう]し、頭を打ったことがある。♠●へ飛行機の滑走〉セスナ機は滑走をやめ、飛行場の中央の固い土の上に停止した。♠<滑走路[よう]〉飛行機は滑走路を離れ、大空に飛び立っていった。 **がったい【合体】** ○二つ以上の物が合わさること。一体になること。[文例]〈文字を合体させる「明」は、日と月の二文字を合体させた会意文字です。♠●〈物が合体する〉ソファ兼用のベッドとか、机と本棚[ほんだな]が合体したものとか、いろいろ便利な家具がありますね。 **かったつ(闊達・豁達)** ○おおらかなさま。物事にこだわらないさま。「[文例]〈闊達な人間〉大陸育ちの彼は、陽気で、物事にこだわらない闊達な人間だ。♠●へ自由闊達>彼らの自由闊達な生き方は、規則やしきたりの中でせせこましく生活している自分を反省させる。 **がっち【合致】** ○ぴったり合うこと。一致。[文例]〈合致する〉 <200> 症状[しようじよう]が、本で見たガンの症状と合致する点があるので、病院で検査を受けることにした。♠●へ証言と合致する〉このように推理すると、被害者の証言と合致する。 **かって【勝手】** ○好きにふるまうさま。気まま。物事の具合。事情。都合。台所。暮らしむき。[文例]〈わがままで勝手〉あまやかしたせいか、息子[むすこ]の太郎[たろう]は、わがままで勝手な子で困っている。♠へ勝手な理屈>勉強ばかりしていては体に毒だなどと、勝手な理屈[りくつ]をつけては遊び回っている。♠〈勝手にする〉お父さんは反対だが、それでもやりたいと言うなら、どうとも勝手にするがいい。♠●へ勝手な熱をふく〉気に入らないとか、いやだとか、自分の勝手な熱ばかりふくんじゃない!♠へ勝手を言う〉いつもいつも、勝手を言うのもいいかげんにしろ。♠●へ勝手がわからない〉新しくできたデパートに行ってみたが、どこに何があるのか勝手がわからなくて、うろうろしてしまった。♠●へ勝手が違う〉こんど引っ越して来た土地は、前いた所とだいぶ勝手が違[ちが]って、慣れるのに時間がかかりそうだ。♠●へ勝手知ったる他人の家〉あなたのところは勝手知ったる他人の家で、紅茶やカップのある場所も知っているから、お構いなく。♠●へお勝手へ回る〉お米屋さんが来たら、お勝手の方へ回ってもらってね。♠●へ勝手気まま〉あの人はみんなと一緒[いっしょ]に行動することを嫌[きら]い、いつも一人で勝手気ままにふるまっている。 **かつて(曾て・嘗て)** ○昔。以前。これまで。まったく。[文例]この監督は、かつてパリーグきっての強打者といわれた名選手だった。♠かつて教職にあった母は、その経験を生かして、近所の子供たちに勉強を教えている。♠かつてない〉一九六四年に開かれた東京オリンピックは、日本におけるかつてない大きな催[もよお]しだった。♠●へかつて~ない〉ぼくはこんなにおいしいものをかつて食べたことがなかった。♠●〈かつては〉かつては農地や雑木林であった所が、次々と宅地に変わっていった。♠かつての〉かつてのチームメイトが、今はぼくの良きライバルです。♠◆●〈いまだかつて〉人間がこれほど自然を破壊[はかい]した時代は、いまだかつてなかったにちがいない。 **かっぱ(河童)** ○頭に水をたくわえた皿[さら]のある想像上の動物。髪型の一つ。水泳のうまい人。きゅうり、また、きゅうり巻き。[文例]〈かっぱの皿>ぼくは、授業中は、まるでかっぱのお皿が乾いたみたいに元気がなくなる。♠●へかっぱの川流れ〉いくら得意でも、かっぱの川流れということもあるから、油断は禁物だよ。♠●へおかに上がったかっぱ〉泳ぐのは速いけれど、おかに上がったかっぱで、走るのは遅い。♠〈へのかっぱ〉綱渡[つなわ]りなんぞへのかっぱじゃ、やってみせようかい。 **カッパ(合羽)** ○雨をよけるための必套。レインコート。[文例]〈カッパをはおる〉急の知らせに、父はゴムびきのカッパをはおって、夜の雨の中に飛び出していった。♠●ヘカッパを着る〉外は雨だから、カッパを着ていきなさい。 **かっぱつ【活発】** ○元気に動き回るさま。活動的で勢いがあるさま。[文例]〈活発な少女>子供のころは、まっ黒に日焼けした、いつも元気で活発な少女でした。♠●〈活発な性格〉ぼくは、陽気で活発な性格と言われます。♠●へ活発に~する>学級会では、活発に意見が出て盛りあがりました。♠●〈活発にふるまう〉きみは引っこみ思案だから、もうちょっと活発にふるまうようにするといい。♠◆<活動が活発〉この学校はクラブ活動が非常に活発で、いろいろなクラブがあります。 **かっぷく(恰幅)** ○風格とか貫祿[かんろく]という点から見た体つき。おしだし。[文例]〈かっぷくがいい〉ドアを開けると、かっぷくのいい紳士[しんし]が、穏[おだ]やかな笑顔で立っていた。♠●く堂々たるかっぷく〉やってきたのは、堂々たるかっぷくの男性でした。 **がっぺい【合併】** ○合わさって一つになること。合わせて一つにすること。[文例]〈町・村が合併する〉A市は、B町とC村が合併してできた市で、今年で市制十周年を迎えます。♠●〈企業が合併する〉日本の経済界では、近年、大企業どうしが合併するケースが目立ってきた。♠●ヘクラスを合併する〉生徒数の減少で、来年から二つのクラスを合併して、一つのクラスにするそうだ。 <201> **かてい【合併】** ○二つ以上のものを合わせて一つにすること。[文例]〈合併する〉わたしたちの学校では、体育の授業はニクラスを合併して行われます。♠●<合併症>手術後の経過は良好だが、余病を併発[へいはつ]する合併症の心配があるとのことだった。 **かっぽ(闊歩)** ○ゆっくり大またに歩くこと。いばって歩いたり、そのようにふるまうこと。[文例]〈闊歩する〉んないやなやつが闊歩するようでは世も末だ。♠●へ大道を闊歩する〉彼は人々の陰口[かげぐち]など一切気にせず、大道を堂々と闊歩した。 **かつぼう【渴望】** ○ひどく欲しがること。心から望むこと。[文例]〈渇望する〉わたしは、親の顔も知らずに育ったため、両親の愛を渇望していたのです。♠●〈平和への渇望>戦乱の続く中で、兵士たちは平和への渇望を心に隠していた。 **かつもく(刮目)** ○(目をこすって)よく見ること。注目。[文例]〈刮目に値する〉今回のきみの働きは、刮目に値するすばらしいものだ。♠●〈刮目する〉諸君の活躍を、わたしは刮目して待つものであります。 **かつやく【活躍】** ○盛んに活動すること。めざましい働きをすること。[文例]<選手の活躍>全国大会出場が決まり、全校生が選手たちの活躍を期待しています。♠●〈新人の活躍〉今回の競技会では、新人の活躍が目をひいた。♠●〈目ざましい活躍>運動の中心となった人たちの活躍は目ざましく、とうとう住民の要求は実現した。♠●〈活躍する〉スペイン生まれの画家ピカソは、立体派の運動を起こして活躍した。♠〈活躍する〉この間の台風の時は、常備しておいた非常袋[ひじようぶくろ]が大いに活躍した。 **かつよう【活用】** ○その物の長所を生かして使うこと。実地に利用すること。動詞や形容詞などの語尾が変化すること。[文例]〈辞書を活用する〉外国語を早く覚えるには、辞書をじゅうぶんに活用するのが効果的です。♠●へ資料を活用する>集めた資料を活用して、この町の歴史を調べてみた。♠〈原理を活用する〉サイホンの原理を活用して、ホースでお風呂[ふろ]の水をたらいに移しました。♠●〈実際に活用する>知識は実際に活用してこそ価値があるものです。♠●へ〜として活用する〉いらなくなった古新聞や鉄くずなども、大切な資源として活用できる。♠●へ語が活用する>動詞や形容詞は、下にくる語によって、いくつかの形に活用します。♠〈活用がある・ない〉単語には、動詞・形容詞など活用のあるものと、名詞など活用のないものとがあります。 **かつりょく【活力】** ○活動するための力。バイタリティー。[文例]〈明日への活力〉〈活力を蓄[たくわ]える>栄養と睡眠[すいみん]を十分にとって、明日への活力を蓄えたまえ。♠〈活力がみなぎる〉仲間の力強い励[はげ]ましに、わたしは全身に活力のみなぎる思いがした。♠へ活力にあふれる〉活力にあふれた若者たちの姿に感動を覚えた。♠●〈活力に満ちる〉躍動[やくどう]する活力に満ちた若い肉体よ。 **かつろ【活路】** ○生きるみち。生き延びるみち。行き詰まりを打開する方法。[文例]〈活路を開く>戦後の混乱の中で家族の活路を切り開くため、母は慣れない仕事を始めたのだ。♠●〈活路を見いだす〉四面楚歌[しめんそか]の状況に活路を見いだそうと必死だった。♠●へ活路を断つ〉国が打ち出した施策は、農民たちの活路を断つものであった。 **かて【糧】** ○食糧。精神を養い育てたり、活動のもとになるもの。[文例]〈生活の糧〉一家は、生活の糧を求めて、都会へと向かうのだった。♠●〈毎日の糧〉日照りで米は取れず、村人たちは、毎日の糧にもこと欠くありさまだった。♠へ心の糧>良書は心の糧、良い本を選んで自らを高めていこう。♠〈精神の糧>若いときの悩み[なや]や苦しみは、その人を大きく成長させる精神の糧となるのです。♠●〈命の糧〉人は、「愛」を命の糧としてこそ、人間らしく生きられるのだと思います。♠●へ〜を糧に>苦難の道を歩んだ彼女は、その豊かな人生経験を糧に、作家の道を歩みはじめた。 **かてい【過程】** ○物事の進行する道筋。進行・変化の諸段階。プロセス。[文例]〈答えを求める過程>問題を解く時、答えが合えばよいというのでなく、それを求める過程がわかるようにすることが大事です。♠命へ工事の過程>工事の過程で、設計上重大なミスのあることが発見された。♠へ成長の過程>母の育児ノートには、わたしの成長の過程がくわしく記録されていた。♠◆<歴史の過程〉〈過程を経る〉さまざまな歴史の過程を経て、人類は今日[こんにち]まで発展してきたわけです。♠◆チョウが卵から成虫になる過程を観察してみよう。♠妹の作文には、泳げなかった自分が、毎日のプール通いで泳げるようになる過程がよく描か[えが]れている。♠●さまざまな出来事を通して、自分自身を発見していく過程は、他の人々と出会っていく過程でもある。 **かてい【課程】** ○学業とその指導について定められた範囲や順序。コース。[文例]〈中学の課程〉あなたは中学の課程を修了したことを証します。♠●〈教職課程>将来教師になるために、大学で教職課程をとるつもりです。♠●へ博士課程>彼女は、大学院の博士課程に学ぶ若き研究者です。 **かてい【家庭】** ○夫婦を中心とする家族の生活の場。[文例]〈家庭の主婦〉このごろは、家庭の主婦の間でも、スポーツや趣味[しゆみ]を楽しむ人が多くなった。♠●へ家庭のしつけ〉行儀の良いあの子を見ていると、家庭のしつけの大切さがわかります。♠●〈明るい家庭〉〈家庭を作る〉明るい家庭を作るには、まず、家族みんなが健康でなければなりません。♠●へ暖[あたた]かい家庭〉〈家庭を築く〉どうぞお二人で、暖かいご家庭を築き上げてください。♠〈平和な家庭>戦争のために、楽しく平和だった家庭は崩壊[ほうかい]していった。♠●へ家庭の事情>友達が家庭の事情で遠くへ引っ越すことになりました。♠へ家庭に入る〉姉は、結婚[けつこん]したら仕事をやめ、家庭に入って、小さな幸せを守りたいと言った。♠◆〈家庭的〉ぼくの恋人[こいびと]は、料理や編み物の上手な家庭的な女性です。 **かてい【仮定】** ○仮に定めること。仮に定めた事柄。[文例]〈仮定の意味「もし・・・・・・ならば」「かりに・・・・・・ならば」という言い方は、仮定の意味を表す。♠●へ仮定の話〉これは仮定の話だが、もしきみがチームに加わってくれたら、優勝は固いんだがなあ。♠へ仮定の下[もと]>火災が発生したという仮定の下に、避難訓練が行われた。♠●〈仮定に基づく>彼の理論は、あくまで仮定に基づいたものなので、正しいと決定づけることようざん。 <202> ♠〈仮定[かてい]をたてる〉超能力[ちょうのうりょく]が存在[そんざい]するという仮定[かてい]をたてて、それを科学的[かがくてき]に証明[しょうめい]する試[こころ]みが行[おこな]われた。♠〈仮定[かてい]する〉一日[いちにち]十[じゅう]ページずつ読[よ]むと仮定[かてい]すると、この小説[しょうせつ]を読[よ]み終[お]えるのに十日[とおか]かかる計算[けいさん]になる。 **がてん【合点】** ○承知[しょうち]すること。納得[なっとく]すること。[文例]〈合点[がてん]がいく〉試験[しけん]の成績[せいせき]があんなによかったのになぜ不合格[ふごうかく]になったのか、どうしても合点[がてん]がいかなかった。♠〈合点[がてん]する〉親[おや]にとって恩人[おんじん]なら、息子[むすこ]の自分[じぶん]にも恩人[おんじん]に相違[そうい]ないと合点[がてん]した。♠〈独[ひと]り合点[がてん]〉彼女[かのじょ]の笑顔[えがお]を見[み]て、てっきりぼくに好意[こうい]をもっているのだと独[ひと]り合点[がてん]してしまった。♠〈早合点[はやがてん]〉詳[くわ]しい事情[じじょう]も聞[き]かずに早合点[はやがてん]をしてもらっちゃ困[こま]るなあ。 **がでんいんすい【我田引水】** ○話[はなし]を自分[じぶん]の都合[つごう]のいいところへもっていくこと。[文例]〈我田引水[がでんいんすい]になる〉丁度[ちょうど]テニスの話[はなし]が出[で]たところで、ちょっと我田引水[がでんいんすい]になりますが、今[いま]わたしの経営[けいえい]するテニススクールで会員[かいいん]を募集[ぼしゅう]しております。 **かど【角】** ○物[もの]の曲[ま]がって突[つ]き出[だ]した部分[ぶぶん]。物[もの]のすみ。道[みち]の曲[ま]がっている所[ところ]。円満[えんまん]でない点[てん]。おだやかでない点[てん]。[文例]〈机[つくえ]の角[かど]〉机[つくえ]の角[かど]にいやというほど腰骨[こしぼね]をぶつけて、涙[なみだ]が出[で]た。♠〈四丁目[よんちょうめ]の角[かど]・街[まち]の角[かど]〉四丁目[よんちょうめ]の角[かど]に、週刊誌[しゅうかんし]の自動販売機[じどうはんばいき]が置[お]かれている。♠〈角[かど]のタバコ屋[や]〉会社[かいしゃ]の帰[かえ]り、角[かど]のタバコ屋[や]から出[で]てくる大学生[だいがくせい]の息子[むすこ]と会[あ]った。♠〈角[かど]が立[た]つ〉人[ひと]に何かを忠告[ちゅうこく]するときも、言葉[ことば]に注意[ちゅうい]しないと角[かど]が立[た]つ。♠〈角[かど]がとれる〉あのがんこおやじも、最近[さいきん]は角[かど]がとれて、すっかり円満[えんまん]になったらしい。♠〈人目[ひとめ]に角[かど]を立[た]てる〉くそまじめな男[おとこ]だから、冗談[じょうだん]でも言[い]おうものなら、それこそ人目[ひとめ]に角[かど]を立[た]てるぞ。♠〈曲[ま]がり角[かど]〉その曲[ま]がり角[かど]から三軒目[さんげんめ]が吉田[よしだ]さんです。 **かど【門】** ○家[いえ]の出入[ではい]り口[ぐち]。もん。家[いえ]の前[まえ]。[文例]〈家[いえ]の門[かど]〉正月[しょうがつ]が近[ちか]づくと家々[いえいえ]の門[かど]には松[まつ]が立[た]てられ、しめ縄[なわ]が飾[かざ]られた。♠〈笑[わら]う門[かど]には福[ふく]きたる〉笑[わら]う門[かど]には福[ふく]きたるといって、家[いえ]の中[なか]が明[あか]るいのは大[おお]いに結構[けっこう]だ。 **かど(廉)** ○理由[りゆう]になる事柄[ことがら]。また、理由[りゆう]。[文例]〈謀反[むほん]のかど〉男[おとこ]は、王[おう]に対[たい]する謀反[むほん]のかどで死罪[しざい]を言[い]い渡[わた]された。♠〈不審[ふしん]のかど〉建具職人[たてぐしょくにん]与助[よすけ]は、不審[ふしん]のかどがあって町方[まちかた]の取[と]り調[しら]べを受[う]けた。 **かど【過度】** ○度[ど]をこしていること。[文例]〈過度[かど]の疲労[ひろう]〉毎晩[まいばん]夜遅[よるおそ]くまで働[はたら]いていた母[はは]は、過度[かど]の疲労[ひろう]でとうとう倒[たお]れてしまった。♠〈過度[かど]の緊張[きんちょう]〉面接試験[めんせつしけん]のとき、ぼくは、過度[かど]の緊張[きんちょう]で声[こえ]が出[で]なくなってしまった。♠〈過度[かど]の運動[うんどう]〉病[や]み上[あ]がりの父[ちち]は、医者[いしゃ]から過度[かど]の運動[うんどう]を禁止[きんし]されています。♠〈過度[かど]に期待[きたい]する〉まわりから過度[かど]に期待[きたい]されると、精神的[せいしんてき]な負担[ふたん]になることがある。 **かとう【下等】** ○等級[とうきゅう]が下[した]であること。劣[おと]っているさま。[文例]共通語(標準語)[きょうつうご(ひょうじゅんご)]が上等[じょうとう]で、方言[ほうげん]が下等[かとう]だという考[かんが]え方[かた]はまちがっている。♠平気[へいき]で人[ひと]をあざむくような下等[かとう]なやつとつき合[あ]うわけにはいかない。 **かとう【過当】** ○適当[てきとう]な度合[どあ]いをこえていること。[文例]〈要求[ようきゅう]が過当[かとう]〉入社[にゅうしゃ]一年目[いちねんめ]のきみには、この要求[ようきゅう]はいかにも過当[かとう]であるといえよう。♠〈過当競争[かとうきょうそう]〉アイデアや独創性[どくそうせい]を重視[じゅうし]する考[かんが]え方[かた]に基[もと]づいていれば、企業間[きぎょうかん]の過当競争[かとうきょうそう]が非難[ひなん]されることはない。 **かどう【稼働・稼動】** ○労働[ろうどう]すること。機械[きかい]が動[うご]くこと。機械[きかい]を動[うご]かすこと。[文例]〈稼働[かどう]する〉工場[こうじょう]の機械[きかい]を百[ひゃく]パーセント稼働[かどう]させても、生産[せいさん]が追[お]いつかない。♠〈稼働日数[かどうにっすう]〉工場[こうじょう]では各人[かくじん]の稼働日数[かどうにっすう]に応[おう]じて、賃金[ちんぎん]が支払[しはら]われていた。 **かとき【過渡期】** ○ある状態[じょうたい]から次[つぎ]へ移[うつ]る途中[とちゅう]の時期[じき]。[文例]〈過渡期[かとき]にあたる〉中学生[ちゅうがくせい]の年代[ねんだい]は、子供[こども]から大人[おとな]への過渡期[かとき]にあたり、心身[しんしん]ともに不安定[ふあんてい]な状態[じょうたい]にある。♠〈過渡期[かとき]にある〉現在[げんざい]の社会[しゃかい]は、高度成長[こうどせいちょう]から低成長安定[ていせいちょうあんてい]への過渡期[かとき]にあるといえる。 **かとく【家督】** ○家[いえ]を継[つ]ぐ人[ひと]。また、その地位[ちい]。あとめ。[文例]〈家督[かとく]を継[つ]ぐ〉長男[ちょうなん]が病弱[びょうじゃく]だったので、次男[じなん]が家督[かとく]を継[つ]ぐことになった。♠〈家督[かとく]を譲[ゆず]る〉男子[だんし]がなかったので、一家[いっか]の家督[かとく]は姉夫婦[あねふうふ]に譲[ゆず]られることになった。♠〈家督相続[かとくそうぞく]〉兄弟[きょうだい]の間[あいだ]で家督相続[かとくそうぞく]をめぐってもめごとが起[お]こることがあった。 **かどぐち【門口】** ○家[いえ]の出入[ではい]り口[ぐち]。家[いえ]の門[もん]。また、その付近[ふきん]。[文例]〈門口[かどぐち]に出[で]る〉毎日[まいにち]夕方[ゆうがた]になると、赤ん坊[あかんぼう]のお前[まえ]をおぶい門口[かどぐち]に出[で]て、お父[とう]さんのお帰[かえ]りを待[ま]ったものです。♠〈門口[かどぐち]に立[た]つ〉その男[おとこ]は、村[むら]の一軒一軒[いっけんいっけん]の門口[かどぐち]に立[た]ち、物[もの]を乞[こ]うて歩[ある]いた。♠〈家[いえ]の門口[かどぐち]〉彼[かれ]の家[いえ]の門口[かどぐち]へ駈[か]けこんだ時[とき]、良平[りょうへい]はとうとう大声[おおごえ]に、わっと泣[な]き出[だ]さずにはいられなかった。(芥川龍之介[あくたがわりゅうのすけ]「トロッコ」) **かどで【門出】** ○旅立[たびだ]ち。新[あたら]しい生活[せいかつ]などを始[はじ]めること。[文例]〈門出[かどで]を見送[みおく]る〉友[とも]の門出[かどで]を見送[みおく]るため、ぼくたちは駅[えき]へと向[む]かった。♠〈人生[じんせい]の門出[かどで]に立[た]つ〉今日[きょう]、中校生[ちゅうこうせい]として入学[にゅうがく]してきたきみたちは、今[いま]、新[あたら]しい人生[じんせい]の門出[かどで]に立[た]っているのです。♠〈門出[かどで]をする〉一月十五日[いちがつじゅうごにち]の成人[せいじん]の日[ひ]は、二十歳[はたち]になった青年男女[せいねんだんじょ]が人生[じんせい]の門出[かどで]をする日[ひ]です。♠〈門出[かどで]を祝[いわ]う〉結婚式[けっこんしき]には、新郎新婦[しんろうしんぷ]の幸[しあわ]せな門出[かどで]を祝[いわ]って、大勢[おおぜい]の人[ひと]がが集[あつ]まりました。 **かどまつ【門松】** ○新年[しんねん]に門[かど]を飾[かざ]る松[まつ]。[文例]〈門松[かどまつ]を飾[かざ]る〉玄関[げんかん]に簡素[かんそ]な門松[かどまつ]を飾[かざ]りつけ、これで正月[しょうがつ]の準備[じゅんび]はすんだ。♠〈門松[かどまつ]を立[た]てる〉お屋敷[やしき]では、今年[ことし]も立派[りっぱ]な門松[かどまつ]を立[た]てた。♠〈門松[かどまつ]は冥土[めいど]の旅[たび]の一里塚[いちりづか]〉年寄[としより]には、門松[かどまつ]も冥土[めいど]の旅[たび]の一里塚[いちりづか]でね、大[たい]してめでたくもありませんや。 **かどわか・す** ○だまして連[つ]れ去[さ]る。誘拐[ゆうかい]する。[文例]子供[こども]をかどわかす〉男[おとこ]は、小[ちい]さな子[こ]をかどわかして見せ物小屋[みせものごや]に売[う]ることを業[ぎょう]とする悪党[あくとう]であった。♠〈娘[むすめ]をかどわかす〉悪[わる]い親分[おやぶん]に娘[むすめ]をかどわかされたのでは、親[おや]は泣[な]くに泣[な]けなかった。 **かな【仮名】** (仮字) ○漢字[かんじ]をもとにして作[つく]った日本独特[にほんとくゆう]の表音文字[ひょうおんもじ]。ひらかな・かたかな。[文例]〈漢字[かんじ]と仮名[かな]〉日本語[にほんご]を表記[ひょうき]の面[めん]からみると、漢字[かんじ]と仮名[かな]とアルファベットを併用[へいよう]するという点[てん]に、大[おお]きな特色[とくしょく]がある。♠〈仮名遣[かなづか]い〉「じ」と「ぢ」、「ず」と「づ」などのように、仮名遣[かなづか]いに迷[まよ]うこともあります。 **かない【家内】** ○家[いえ]や家庭[かてい]の中[なか]。自分[じぶん]の妻[つま]をいう語[ご]。[文例] <203> 〈家内安全[かないあんぜん]〉近所[きんじょ]の神社[じんじゃ]に初[はつ]もうでをして、家内安全[かないあんぜん]、商売繁盛[しょうばいはんじょう]を祈願[きがん]した。♠〈家内工業[かないこうぎょう]〉この辺[あた]りでは昔[むかし]から織物[おりもの]が盛[さか]んだが、ほとんどが家内工業[かないこうぎょう]で細々[ほそぼそ]と作[つく]られていた。♠〈うちの家内[かない]〉動物園[どうぶつえん]の飼育係[しいくがかり]となって三十年[さんじゅうねん]、カバとのつき合[あ]いはうちの家内[かない]とのつき合[あ]いより長[なが]い。 **かな・う(適う・叶う)** ○あてはまる。思[おも]い通[どお]りになる。可能[かのう]になる。対抗[たいこう]できる。がまんできる。[文例]〈心[こころ]にかなう〉わがままいっぱいに育[そだ]った姫[ひめ]は、何[なん]でも自分[じぶん]の心[こころ]にかなわぬものはないと思[おも]っているのです。♠〈眼鏡[めがね]にかなう〉厳[きび]しい母[はは]の眼鏡[めがね]にかなうようなお嫁[よめ]さんは、そういないでしょう。♠〈理論[りろん]にかなう〉きみの考[かんが]え出[だ]したやり方[かた]は、理論[りろん]にかなっていてうなずけます。♠〈作法[さほう]にかなう〉あの方[かた]の言葉遣[ことばづか]いは心[こころ]がこもっているうえに、作法[さほう]にもかなっていて、とても気持[きも]ちよいですね。♠〈願[ねが]いがかなう〉祈[いの]りが聞[き]き入[い]れられたのか、少女[しょうじょ]の願[ねが]いはかなったのです。♠〈望[のぞ]みがかなう〉長[なが]い間[あいだ]の望[のぞ]みがかなって、看護婦[かんごふ]として働[はたら]くことになりました。♠〈~することがかなわない〉今[いま]となっては、旅[たび]に出[で]ることもかなわぬこととなった。♠〈かなう者[もの]はない〉足[あし]の速[はや]さではきみにかなう者[もの]はない。♠〈かなわない〉こう毎日[まいにち]暑[あつ]くてはかなわない。 **かな・える(適える・叶える)** ○思[おも]い通[どお]りにさせる。可能[かのう]にさせる。実現[じつげん]させる。満[み]たす。[文例]〈願[ねが]いをかなえる〉母[はは]を探[さが]しに旅立[たびだ]った少年[しょうねん]の願[ねが]いは、この町[まち]に来[き]てやっとかなえられた。♠〈望[のぞ]みをかなえる〉もし望[のぞ]みがかなえられるなら、命[いのち]もおしくはないと、娘[むすめ]は思[おも]った。♠〈夢[ゆめ]をかなえる〉長[なが]い間[あいだ]の夢[ゆめ]をかなえるため、山男[やまおとこ]の兄[あに]はヒマラヤに出発[しゅっぱつ]した。♠〈希望[きぼう]をかなえる〉漫画家[まんがか]になりたいという息子[むすこ]の希望[きぼう]を、なんとかかなえてやりたいものだ。♠〈念願[ねんがん]をかなえる〉好[す]きなスターをこの目[め]で見[み]たいという念願[ねんがん]がかなえられて、わたしは胸[むね]がいっぱいです。♠〈祈[いの]りがかなえられる〉みんなの祈[いの]りがかなえられて、少女[しょうじょ]の病気[びょうき]は奇跡[きせき]のようによくなっていった。♠〈条件[じょうけん]をかなえる〉あなたのあげた条件[じょうけん]をすべてかなえた男性[だんせい]など、どこを探[さが]してもいませんよ。 **かなぐりす・てる【かなぐり捨てる】** ○乱暴[らんぼう]に脱[ぬ]ぎ捨[す]てる。荒々[あらあら]しく捨[す]てる。[文例]〈服[ふく]をかなぐり捨[す]てる〉とっさにぼくは着[き]ていた服[ふく]をかなぐり捨[す]てると、おぼれている人[ひと]めがけて飛[と]び込[こ]んだ。♠〈恥[はじ]・外聞[がいぶん]をかなぐり捨[す]てる〉店[みせ]がたちゆくかどうかの瀬戸際[せとぎわ]で、父[ちち]は恥[はじ]も外聞[がいぶん]もかなぐり捨[す]てて金策[きんさく]に走[はし]り回[まわ]った。 **かなし・い【悲しい】** (哀しい) ○切[せつ]なく、胸[むね]が痛[いた]むような気持[きも]ちである。[文例]〈悲[かな]しい話[はなし]〉クリスマスが近[ちか]づくと、あの悲[かな]しい「マッチ売[う]りの少女[しょうじょ]」のお話[はなし]を思[おも]い出[だ]す。♠〈悲[かな]しい気持[きも]ち〉迷子[まいご]になったときの、あの心細[こころぼそ]く悲[かな]しい気持[きも]ちは、今[いま]でも忘[わす]れられません。♠〈悲[かな]しい顔[かお]〉楽[たの]しそうに語[かた]らう母[はは]と子[こ]の姿[すがた]に、母親[ははおや]のいない少女[しょうじょ]は悲[かな]しい顔[かお]をした。♠〈悲[かな]しい知[し]らせ〉突然[とつぜん]の悲[かな]しい知[し]らせに、わたしは信[しん]じられない気持[きも]ちで、ただぼう然[ぜん]とするばかりだった。♠白鳥[しらとり]は悲[かな]しからずや空[そら]の青[あお]海[うみ]のあをにも染[そ]まずただよふ(若山牧水[わかやまぼくすい]) **かなしみ【悲しみ】** (哀しみ) ○悲[かな]しい気持[きも]ち。[文例]〈悲[かな]しみに沈[しず]む〉兄弟[きょうだい]を失[うしな]い悲[かな]しみに沈[しず]む友[とも]を、どうなぐさめたらよいのだろう。♠〈悲[かな]しみに暮[く]れる〉突然[とつぜん]の父親[ちちおや]の死[し]に、残[のこ]された家族[かぞく]は悲[かな]しみに暮[く]れ、夜[よる]を泣[な]き明[あ]かした。♠〈悲[かな]しみのため〉息子[むすこ]の家出[いえで]を知[し]った母親[ははおや]は、驚[おどろ]きと悲[かな]しみのあまり床[とこ]についてしまった。♠〈悲[かな]しみをこらえる〉喜劇役者[きげきやくしゃ]は、父[ちち]の死[し]にも悲[かな]しみをこらえて、笑[わら]いをふりまくのだっ **かなし・む【悲しむ】** (哀しむ) ○悲[かな]しいと思[おも]う。[文例]〈死[し]を悲[かな]しむ〉チョウの死[し]を悲[かな]しむ少女[しょうじょ]の気持[きも]ちを、大人[おとな]たちはだれ一人[ひとり]わかろうとしなかった。♠〈運命[うんめい]を悲[かな]しむ〉人々[ひとびと]は、権力者[けんりょくしゃ]にもてあそばれる自分[じぶん]たちの運命[うんめい]を悲[かな]しんだ。♠〈悲[かな]しむべきこと〉現代人[げんだいじん]が他者[たしゃ]に対[たい]する思[おも]いやりを失[うしな]っているとしたら、それは悲[かな]しむべきことである。 **かなた(彼方)** ○あちら。むこう。[文例]〈空[そら]のかなた〉空[そら]のかなたには青[あお]い星[ほし]の光[ひかり]が三[み]つばかり光[ひか]っていた。♠〈はるかかなた〉水平線[すいへいせん]のはるかかなたに、白[しろ]い雲[くも]がむくむくと湧[わ]き上[あ]がってくるのが見[み]えた。♠〈かなたこなた〉広[ひろ]い氷原[ひょうげん]のかなたこなたに、深[ふか]い割[わ]れ目[め]がぱっくりと口[くち]をあけていた。♠〈年月[としつき]のかなた〉一冊[いっさつ]の絵本[えほん]を十二年[じゅうにねん]のかなたから確実[かくじつ]に贈[おく]ってくれたのは、Fだったのだと信[しん]じるしかないのだ。(松下竜一[まつしたりゅういち]「絵本[えほん]」) **かな・でる【奏でる】** ○楽器[がっき]を演奏[えんそう]する。[文例]〈音楽[おんがく]を奏[かな]でる〉落[お]ち葉[ば]が大地[だいち]でこすれあい、かわいた、かすかな音楽[おんがく]を奏[かな]でている。♠〈ギターを奏[かな]でる〉若者[わかもの]が奏[かな]でるギターの音[ね]に、娘[むすめ]はうっとりと聞[き]き入[い]っている。♠〈琴[こと]を奏[かな]でる〉辺[あた]りは静[しず]まり返[かえ]り、どこからか琴[こと]を奏[かな]でる音[おと]が聞[き]こえてくる。♠〈笛[ふえ]を奏[かな]でる〉少年[しょうねん]の奏[かな]でるあし笛[ぶえ]の調[しら]べを、小鳥[ことり]たちが聴[き]きにやってくる。♠〈音色[ねいろ]を奏[かな]でる〉プレゼントにいただいたオルゴールが美[うつく]しい音色[ねいろ]を奏[かな]でています。♠〈愛[あい]の曲[きょく]を奏[かな]でる〉恋[こい]する二人[ふたり]が美[うつく]しい愛[あい]の曲[きょく]を奏[かな]でる日[ひ]も、もう間近[まぢか]です。 **かなぼう【金棒】** ○鉄[てつ]の棒[ぼう]。[文例]〈鬼[おに]に金棒[かなぼう]〉よし、お前[まえ]がついて来[き]てくれたら、鬼[おに]に金棒[かなぼう]だ、絶対[ぜったい]負[ま]けないぞ。♠〈金棒引[かなぼうひ]き〉あのおしゃべりの金棒引[かなぼうひ]きの話[はなし]は、真[ま]に受[う]けないほうがいいよ。 **かなめ(要)** ○扇[おうぎ]の骨[ほね]を止[と]める金具[かなぐ]。最[もっと]も大切[たいせつ]なところ。[文例]〈扇[おうぎ]のかなめ〉扇[おうぎ]の骨[ほね]をまとめているくぎをかなめと言[い]い、これがはずれると扇[おうぎ]がばらばらになってしまう。♠〈守備[しゅび]のかなめ〉ぼくは、草野球[くさやきゅう]のチームで、守備[しゅび]のかなめとなるセカンドを受[う]け持[も]っています。♠〈肝心[かんじん]かなめ〉みんなで祝[いわ]ってやろうっていったって、肝心[かんじん]かなめの本人[ほんにん]が来[こ]ないのでは話[はなし]にならないよ。 **かならず【必ず】** ○きっと。たしかに。まちがいなく。[文例]自分[じぶん]の書[か]いた文章[ぶんしょう]は、必[かなら]ず読[よ]み返[かえ]すようにしましょう。 <204> ぼくが家[いえ]に帰[かえ]ると、ポチは必[かなら]ず犬小屋[いぬごや]から飛[と]び出[だ]してくる。♠明日[あした]は、必[かなら]ず会[あ]いに来[く]るよ。♠〈必[かなら]ずといってよいほど〉天候[てんこう]が変[わ]わる前[まえ]には、必[かなら]ずといってよいほど、雲[くも]の変化[へんか]が見[み]られる。♠〈必[かなら]ずしも〉よく勉強[べんきょう]の出来[でき]る人[ひと]が、必[かなら]ずしも教[おし]え方[かた]までうまいとは限[かぎ]らない。♠〈必[かなら]ずや〉兄[あに]の勉強[べんきょう]ぶりから見[み]て、あの大学[だいがく]には必[かなら]ずや合格[ごうかく]するだろう。 **かならずしも【必ずしも】** ○必[かなら]ず・・・(とはかぎらない)。[文例]日本語[にほんご]では、主語[しゅご]は必[かなら]ずしも必要[ひつよう]ではありません。♠早[はや]く学校[がっこう]に来[く]る人[ひと]が必[かなら]ずしも勉強[べんきょう]が好[す]きとは限[かぎ]らない。♠富[と]める人[ひと]が幸福[こうふく]かというと、必[かなら]ずしもそうは思[おも]えません。 **かなり(可成)** ○ある程度以上[ていどいじょう]。相当[そうとう]。[文例]〈かなり難[むずか]しい〉彼[かれ]を説得[せっとく]するのは、かなり難[むずか]しいだろう。♠〈かなりの数[かず]〉店[みせ]の前[まえ]には長蛇[ちょうだ]の列[れつ]ができ、買[か]えなかった者[もの]もかなりの数[かず]いたようだ。♠〈かなりのあらし〉昨夜[ゆうべ]から今朝[けさ]にかけては、かなりのあらしであった。♠〈かなりなスピード〉目[め]の前[まえ]を、オートバイがかなりなスピードで走[はし]りぬけていった。 **がな・る** ○大声[おおごえ]で言[い]う。どなる。わめく。[文例]〈大声[おおごえ]でがなる〉だれだ、門口[かどぐち]で大声[おおごえ]でがなっているやつは。♠〈がなりたてる〉応援団[おうえんだん]の連中[れんちゅう]が校舎[こうしゃ]の裏[うら]で応援歌[おうえんか]をがなりたてている。 **かに(蟹)** ○海水[かいすい]・淡水[たんすい]にすむ節足動物[せっそくどうぶつ]。一対[いっつい]のはさみをもつ。[文例]〈かにの横[よこ]ばい〉ぼくは、先生[せんせい]に見[み]つからないように、かにの横[よこ]ばいのような格好[かっこう]でこっそり教室[きょうしつ]を抜[ぬ]け出[だ]しました。♠〈かには甲羅[こうら]に似[に]せて穴[あな]を掘[ほ]る〉かには甲羅[こうら]に似[に]せて穴[あな]を掘[ほ]る、というから、かれにはその程度[ていど]の夢[ゆめ]がふさわしいのさ。♠東海[とうかい]の小島[こじま]の磯[いそ]の白砂[しらすな]に/われ泣[な]きぬれて/蟹[かに]とたはむる(石川啄木[いしかわたくぼく]) **かにゅう【加入】** ○加[くわ]わること。[文例]〈保険[ほけん]に加入[かにゅう]する〉人[ひと]に勧[すす]められて、生命保険[せいめいほけん]に加入[かにゅう]しました。♠〈組合[くみあい]に加入[かにゅう]する〉新入社員[しんにゅうしゃいん]は、全員[ぜんいん]、労働組合[ろうどうくみあい]に加入[かにゅう]することになった。 **かね【金】** ○金属[きんぞく]の総称[そうしょう]。特[とく]に鉄[てつ]。金銭[きんせん]。お金[かね]。[文例]〈ステンレスという金[かね]〉この包丁[ほうちょう]は、ステンレスという金[かね]でできているので、さびません。♠〈金[かね]をためる〉〈金[かね]を使[つか]う〉金[かね]をためるのはなかなか大変[たいへん]ですが、使[つか]うのはあっというまです。♠〈金[かね]がたまる〉貯金箱[ちょきんばこ]もいっぱいになったし、だいぶお金[かね]がたまったぞ。♠〈金[かね]を出[だ]す〉この農場[のうじょう]は、わたしがありったけの金[かね]を出[だ]して買[か]ったものだ。♠〈金[かね]がある・ない〉一家[いっか]には、もはや一握[ひとにぎ]りの米[こめ]を買[か]う金[かね]すらなかった。♠〈金[かね]を払[はら]う〉この券[けん]があれば、お金[かね]を払[はら]わなくても遊園地[ゆうえんち]に入場[にゅうじょう]できますよ。♠〈金[かね]で買[か]う〉吾一[ごいち]は一日[いちにち]働[はたら]いた金[かね]で、病弱[びょうじゃく]な妹[いもうと]のために牛乳[ぎゅうにゅう]と卵[たまご]を買[か]った。♠〈金[かね]を稼[かせ]ぐ〉夫[おっと]が酒[さけ]を飲[の]んでいるときに、彼女[かのじょ]は日雇[ひやと]いに出[で]て、わずかの金[かね]を稼[かせ]いだ。♠〈金[かね]が集[あつ]まる〉難民[なんみん]たちを助[たす]けようと呼[よ]びかけたら、お金[かね]や物資[ぶっし]がたくさん集[あつ]まりました。♠〈金[かね]を与[あた]える〉子供[こども]に必要以上[ひつよういじょう]の金[かね]を与[あた]えるのはよくない。♠〈金[かね]を得[え]る〉わずかな金[かね]を得[え]るために、休[やす]みの日[ひ]もアルバイトをした。♠〈金[かね]を借[か]りる〉お小遣[こづか]いでは足[た]りないので、姉[あね]からお金[かね]を借[か]りてナイターを見[み]に行[い]った。♠〈金[かね]を返[かえ]す〉〈金[かね]を貸[か]す〉この間[あいだ]きみに貸[か]したお金[かね]、返[かえ]してくれよ。♠〈金[かね]がうなる〉あの店[みせ]はずいぶん繁盛[はんじょう]しているから、金庫[きんこ]にはお金[かね]がうなっているに違[ちが]いない。♠〈金[かね]になる〉欲張[よくば]りな彼[かれ]は、金[かね]にならないことはけっしてやろうとしない。♠〈金[かね]にする〉男[おとこ]は田畑[たはた]を売[う]って金[かね]にして、都会[とかい]へ出[で]て行[い]った。♠〈金[かね]を積[つ]む〉彼女[かのじょ]の病気[びょうき]は、いくら金[かね]を積[つ]んでも、治[なお]せる病気[びょうき]ではなかった。♠〈金[かね]に糸目[いとめ]をつけない〉金[かね]に糸目[いとめ]はつけないから、思[おも]いっきり豪華[ごうか]なのを作[つく]ってくれ。♠〈金[かね]の切[き]れ目[め]が縁[えん]の切[き]れ目[め]〉「金[かね]の切[き]れ目[め]が縁[えん]の切[き]れ目[め]」といって、男女[だんじょ]のつき合[あ]いもお金[かね]で左右[さゆう]されることが多い。♠〈金[かね]は天下[てんか]の回[まわ]りもの〉「金[かね]は天下[てんか]の回[まわ]りもの」、今[いま]はなくても、いつかきっと入[はい]ってくるからくよくよするな。♠〈金[かね]にものを言[い]わせる〉金[かね]にものを言[い]わせて選挙[せんきょ]に当選[とうせん]した議員[ぎいん]が、選挙違反[せんきょいはん]で検挙[けんきょ]された。♠〈金[かね]がものを言[い]う〉うなるのは嘘[うそ]だが金[かね]はものを言[い]い(川柳[せんりゅう])♠〈金[かね]にあかす〉この庭園[ていえん]は、江戸時代[えどじだい]の豪商[ごうしょう]がその金[かね]にあかして造[つく]ったものだ。♠〈時[とき]は金[かね]なり〉「時[とき]は金[かね]なり」、時間[じかん]はけっしてむだにしないように。♠〈色男[いろおとこ]、金[かね]と力[ちから]はなかりけり〉色男[いろおとこ]、金[かね]と力[ちから]はなかりけりと言[い]うけど、あいつは、金[かね]も力[ちから]もあって、しかも色男[いろおとこ]だ。♠〈地獄[じごく]の沙汰[さた]も金次第[かねしだい]〉金[かね]の力[ちから]で世[よ]の中[なか]はどうでもなるというたとえが、「地獄[じごく]の沙汰[さた]も金次第[かねしだい]」だ。 **かね【鐘】** ○たたいたり、ついたりして鳴[な]らす金属製[きんぞくせい]の器具[きぐ]。つりがね。[文例]〈鐘[かね]をつく〉お寺[てら]の和尚[おしょう]さんは、日[ひ]に二度[にど]、お勤[つと]めで鐘[かね]をつきます。♠〈鐘[かね]が鳴[な]る〉テストでちょうど全問[ぜんもん]を解答[かいとう]した時[とき]に、終業[しゅうぎょう]の鐘[かね]が鳴[な]った。♠〈鐘[かね]を鳴[な]らす〉食事[しょくじ]ができると、おばさんは小[ちい]さな鐘[かね]を鳴[な]らし、遊[あそ]んでいる子供[こども]たちに合図[あいず]をしました。♠〈鐘[かね]が響[ひび]く〉式[しき]を挙[あ]げる二人[ふたり]を祝福[しゅくふく]して、教会[きょうかい]の鐘[かね]が村[むら]じゅうに響[ひび]きわたりました。♠〈除夜[じょや]の鐘[かね]〉大[おお]みそかの夜[よる]は、家族[かぞく]みんなで除夜[じょや]の鐘[かね]を聞[き]きながら、年越[としこ]しそばを食[た]べます。 **かねあい【兼ね合い】** ○つりあい。[文例]〈~と~の兼[かね]ね合[あ]い〉生徒[せいと]の指導[しどう]においては、ほめることとしかることの兼[かね]ね合[あ]いが難[むずか]しい。 **かねがね** ○前[まえ]から。以前[いぜん]から。かねて。[文例]かねがねうわさのあった二人[ふたり]がとうとう結婚[けっこん]するそうだ。♠かねがねお願[ねが]いしておりました就職[しゅうしょく]の件[けん]、いかがなりましたでしょうか。 **かねつ【過熱】** ○熱[ねつ]くなりすぎること。熱[ねつ]がはいりすぎること。[文例]〈ストーブの過熱[かねつ]〉火災[かさい]の原因[げんいん]は、どうやらストーブの過熱[かねつ]らしい。♠〈受験戦争[じゅけんせんそう]の過熱[かねつ]〉受験戦争[じゅけんせんそう]の過熱[かねつ]から、このところ低学年[ていがくねん]の塾通[じゅくがよ]いが増[ふ]えているそうです。♠〈ブームの過熱[かねつ]〉海外旅行[かいがいりょこう]ブームの過熱[かねつ]に水[みず]を差[さ]すような事件[じけん]が起[お]こりました。 **かねつ【加熱】** ○熱[ねつ]を加[くわ]えること。[文例]〈加熱[かねつ]する〉材料[ざいりょう]をなべに入[い]れたら、火[ひ]にかけて加熱[かねつ]してください。 **かねて(予て)** ○前[まえ]から。以前[いぜん]から。かねがね。[文例]かねて聞[き]いていたとおり、園長[えんちょう]さんはおだやかな優[やさ]しい方[かた]でした。♠行[い]く先々[さきざき]で、かねて見[み]たいと思[おも]っていた美[うつく]しい自然[しぜん]に接[せっ]することができた。♠〈かねてから〉かねてからあこがれていたパリへ行[い]けることになった。♠〈かねての〉かねての計画通[けいかくどお]り、小[ちい]さな手芸店[しゅげいてん]を開[ひら]くことになりました。 <205> **かねめ【金目】** ○金銭的[きんせんてき]な価値[かち]が高[たか]いこと。高[たか]く売[う]れること。[文例]〈金目[かねめ]の物[もの]〉賊[ぞく]は、夜道[よみち]で通行人[つうこうにん]を襲[おそ]い、時計[とけい]・宝石[ほうせき]など金目[かねめ]の物[もの]を取[と]って逃走[とうそう]した。♠〈金目[かねめ]になる〉男[おとこ]たちは、この器物[きぶつ]を、金目[かねめ]にならないものとして全部[ぜんぶ]捨[す]て去[さ]ったのである。 **かねもち【金持ち】** ○お金[かね]をたくさん持[も]っている人[ひと]。裕福[ゆうふく]な人[ひと]。[文例]〈金持[かねも]ちけんかせず〉つまらない争[あらそ]い事[ごと]にはかかわらないようにしているそうですね。なるほど金持[かねも]ちけんかせずですなあ。♠〈金持[かねも]ち金使[かねつか]わず〉あのけちにはまいった。金持[かねも]ち金使[かねつか]わずとはよく言[い]ったものだね。 **か・ねる【兼ねる】** ○合[あ]わせ持[も]つ。二[ふた]つ以上[いじょう]の役割[やくわり]を果[は]たす。両者[りょうしゃ]に気[き]を配[くば]る。(「~しかねる」で)・・・できない。(「~しかねない」で)・・・するかもしれない。[文例]〈議長[ぎちょう]を兼[か]ねる〉ぼくたちの学校[がっこう]では、生徒会長[せいとかいちょう]が生徒総会[せいとそうかい]の議長[ぎちょう]も兼[か]ねている。♠〈物[もの]と物[もの]を兼[か]ねる〉長[なが]いすとベッドを兼[か]ねたソファーベッドは、せまい部屋[へや]にはとても重宝[ちょうほう]だ。♠〈仕事[しごと]を兼[か]ねる〉仕事[しごと]を兼[か]ねて、一月間[いちげっかん]アメリカを旅行[りょこう]する予定[よてい]です。♠〈運動[うんどう]を兼[か]ねる〉父[ちち]が走[はし]って駅[えき]まで行[い]くのは、運動[うんどう]を兼[か]ねているのだそうです。♠〈大[だい]は小[しょう]を兼[か]ねる〉「大[だい]は小[しょう]を兼[か]ねる」といって、大[おお]きいほうが小[ちい]さいより役[やく]に立[た]つことも多[おお]い。♠〈~しかねる〉クラブを解散[かいさん]するというきみの意見[いけん]には、部員[ぶいん]として賛成[さんせい]しかねるよ。♠〈~しかねない〉冬山[ふゆやま]の登山[とざん]は、油断[ゆだん]すると命[いのち]も落[お]としかねない危険性[きけんせい]を伴[ともな]っている。 **かの(彼の)** ○あの。[文例]〈かの有名[ゆうめい]な〉これがかの有名[ゆうめい]な、ダ・ビンチの描[えが]いたモナ・リザです。♠〈かの地[ち]〉必[かな]ずやかの地[ち]に渡[わた]り、長年[ながねん]の夢[ゆめ]を実現[じつげん]して見[み]せる。 **かのう【可能】** ○実現[じつげん]できること。ありうること。→可能性[かのうせい][文例]〈可能[かのう]になる〉交通機関[こうつうきかん]の発達[はったつ]により、東京大阪間[とうきょうおおさかかん]を日帰[ひがえ]りすることも可能[かのう]になった。♠〈可能[かのう]にする〉実際[じっさい]にはとてもできそうもない経験[けいけん]を読書[どくしょ]は可能[かのう]にしてくれる。♠〈出席[しゅっせき]が可能[かのう]〉平日[へいじつ]は出席[しゅっせき]できませんが、日曜日[にちようび]なら可能[かのう]です。♠〈可能[かのう]な方法[ほうほう]〉われわれは、可能[かのう]な方法[ほうほう]はすべてためしてみた。♠〈可能[かのう]な限[かぎ]り〉医者[いしゃ]として、可能[かのう]な限[かぎ]りの手[て]は尽[つ]くしたのですが・・・・・・。♠〈可能性[かのうせい]〉もはや、わがチームが優勝[ゆうしょう]する可能性[かのうせい]は、まったくなくなってしまった。 **かのう(化膿)** ○膿[うみ]をもつこと。[文例]〈化膿[かのう]する〉重傷[じゅうしょう]を負[お]った兵士[へいし]の傷口[きずぐち]はすでに化膿[かのう]し、うじがわいていた。 **かのうせい【可能性】** ○実現[じつげん]できる見込[みこ]み。何事[なにごと]かをなしとげることができるかどうかということ。ある事[こと]がありうるかどうかということ。[文例]〈可能性[かのうせい]をもつ〉人間[にんげん]の能力[のうりょく]は多様[たよう]で、だれもが何[なん]らかの可能性[かのうせい]をもっている。♠〈無限[むげん]の可能性[かのうせい]〉〈可能性[かのうせい]を秘[ひ]める〉これから伸[の]びようとする子供[こども]たちは、みな無限[むげん]の可能性[かのうせい]を秘[ひ]めている。♠〈可能性[かのうせい]が強[つよ]い〉事故[じこ]は、運転手[うんてんしゅ]の操作[そうさ]ミスの可能性[かのうせい]が強[つよ]いとみられる。♠〈可能性[かのうせい]がある〉熱[ねつ]さえ下[さ]がれば、助[たす]かる可能性[かのうせい]はある。 **かのじょ【彼女】** ○話[はな]し手[て]・聞[き]き手[て]以外[いがい]の女性[じょせい]を差[さ]す語[ご]。あの女[おんな]。好[す]きな女性[じょせい]。恋人[こいびと]。[文例]〈彼[かれ]と彼女[かのじょ]〉彼[かれ]と彼女[かのじょ]は心[こころ]から愛[あい]し合[あ]っており、だれもが二人[ふたり]は結婚[けっこん]するものと思[おも]っていた。♠〈ぼくの彼女[かのじょ]〉ぼくの彼女[かのじょ]はしっかり者[もの]で、とてもたよりになるんだ。♠〈彼女[かのじょ]ができる〉あいつ、このごろ何[なに]を言[い]ってもうわの空[そら]だけど、彼女[かのじょ]でもできたんじゃないのか。 **カバー** ○おおう物[もの]。表紙[ひょうし]。補[おぎな]うこと。ある範囲[はんい]にわたること。[文例]〈カバーをかける〉枕[まくら]やふとんに清潔[せいけつ]なカバーがかけられていると気持[きも]ちがよい。♠〈損失[そんしつ]をカバーする〉天候不順[てんこうふじゅん]による店[みせ]の損失[そんしつ]をカバーすることはなかなかできないだろう。♠〈互[たが]いにカバーし合[あ]う〉相手方[あいてがた]の攻撃[こうげき]をよく見定[みさだ]めて、互[たが]いにカバーし合[あ]うことが大切[たいせつ]だ。♠〈関東一円[かんとういちえん]をカバーする〉いずれは、関東一円[かんとういちえん]をカバーする通信販売網[つうしんはんばいもう]に育[そだ]てていきたいと考[かんが]えています。♠〈カバーガール〉彼女[かのじょ]はある週刊誌[しゅうかんし]のカバーガールをしていて、最近[さいきん]人気[にんき]が出[で]てきた女優[じょゆう]だ。 **かば・う(庇う)** ○守[まも]ってやる。いたわり助[たす]ける。保護[ほご]する。[文例]〈足[あし]をかばう〉松葉[まつば]づえをついた男[おとこ]は、包帯[ほうたい]を巻[ま]いた足[あし]をかばうようにしながら、ゆっくりといすに腰[こし]をおろした。♠〈恋人[こいびと]をかばう〉暴力団風[ぼうりょくだんふう]の男[おとこ]にからまれると、若者[わかもの]は恋人[こいびと]を後[うし]ろにかばった。♠〈人[ひと]をかばう〉少年[しょうねん]は、弟[おとうと]をかばおうとして、自分[じぶん]がやったとうそを言[い]ったのだった。 **かひ【可否】** ○よしあし。是非[ぜひ]。賛否[さんぴ]。[文例]〈可否[かひ]を問[と]う〉今度[こんど]の選挙[せんきょ]は、国民[こくみん]に経済政策[けいざいせいさく]の可否[かひ]を問[と]う重要[じゅうよう]な選挙[せんきょ]となるはずだ。♠〈可否[かひ]を論[ろん]じる〉冷静[れいせい]かつ公平[こうへい]な目[め]でものごとの可否[かひ]を論[ろん]じる姿勢[しせい]が大切[たいせつ]である。 **かび(黴)** ○動植物[どうしょくぶつ]に寄生[きせい]したり、食品[しょくひん]・衣類[いるい]などに生[は]える菌類[きんるい]。[文例]〈かびが生[は]える〉今年[ことし]の冬[ふゆ]は暖[あたた]かかったせいか、おもちにかびが生[は]えてしまいました。♠〈かびが生[は]えたよう〉そんなかびの生[は]えたような考[かんが]え方[かた]、今[いま]どきはやらないわよ。♠〈かびくさい〉三日[みっか]ほど家[いえ]を明[あ]けて帰[かえ]ってみると、中[なか]はもうかびくさかった。 **かび【華美】** ○華[はな]やかで美[うつく]しいこと。はででぜいたくなさま。[文例]〈華美[かび]に流[なが]れる〉年々[ねんねん]結婚式[けっこんしき]が華美[かび]に流[なが]れるなかで、わたしたちの式[しき]は質素[しっそ]なものでした。♠〈華美[かび]な装[よそお]い〉オペラ座[ざ]では、華美[かび]な装[よそお]いの婦人[ふじん]たちがロビーを埋[う]め尽[つ]くしていた。♠〈華美[かび]に飾[かざ]る〉どんなに華美[かび]に着飾[きかざ]っても、品性[ひんせい]の貧[まず]しさは隠[かく]せない。 **かひつ【加筆】** ○筆[ふで]を加[くわ]えること。書[か]き足[た]したり、修正[しゅうせい]したりすること。[文例]〈加筆[かひつ]する〉この絵[え]は、従来[じゅうらい]、作者[さくしゃ]の自筆[じひつ]と見[み]られていたが、最近[さいきん]の研究[けんきゅう]で後[のち]に弟子[でし]が加筆[かひつ]したものとわかった。♠〈加筆修正[かひつしゅうせい]〉この作品[さくひん]は、数年前[すうねんまえ]に発表[はっぴょう]された同名[どうめい]の作品[さくひん]に作者[さくしゃ]が加筆修正[かひつしゅうせい]したものである。 **かびん【過敏】** ○敏感[びんかん]すぎること。過度[かど]に反応[はんのう]するさま。[文例]〈神経[しんけい]が過敏[かびん]〉あの奇怪[きかい]な事件[じけん]があって以来[いらい]、彼女[かのじょ]は神経[しんけい]が過敏[かびん]になっているのだ。♠〈過敏[かびん]に反応[はんのう]する〉なぜ、彼[かれ]は、わたしの言葉[ことば]にあんなにも過敏[かびん]に反応[はんのう]したのだろう。♠〈過敏[かびん]な反応[はんのう]〉アレルギー体質[たいしつ]の人[ひと]は、特定[とくてい]の物質[ぶっしつ]や刺激[しげき]に対[たい]して過敏[かびん]な反応[はんのう]を示[しめ]す。 **かぶ【株】** ○木[き]の幹[みき]の下部[かぶ]から根[ね]にかけての部分[ぶぶん]。草花[くさばな]の根[ね]。金銭的[きんせんてき]な権利[けんり]。株式[かぶしき]。特別[とくべつ]な地位[ちい]。資格[しかく]。評価[ひょうか]。得意[とくい]な技能[ぎのう]。[文例]〈木[き]の株[かぶ]〉わたしたちは、適当[てきとう]な木[き]の株[かぶ]に腰[こし]を下[お]ろして一休[ひとやす]みした。♠〈株[かぶ]でもうかる〉母[はは]は、株[かぶ]でもうかったといって、ぼくたちを食事[しょくじ]に誘[さそ]ってくれた。♠〈株[かぶ]が上[あ]がる〉 <206> 今回[こんかい]の働[はたら]きで、またきみの株[かぶ]が上[あ]がったね。♠〈お株[かぶ]を奪[うば]う〉芸達者[げいたっしゃ]な若者[わかもの]に、プロはすっかりお株[かぶ]を奪[うば]われた格好[かっこう]になってしまった。♠〈いい株[かぶ]〉彼[かれ]は、先々代[さきせんだい]からの植木屋[うえきや]だから、同業者[どうぎょうしゃ]の中[なか]ではいい株[かぶ]になっている。♠〈株分[かぶわ]け〉この雪柳[ゆきやなぎ]は、実家[じっか]から株分[かぶわ]けして持[も]ってきたものです。 **かふう【家風】** ○その家[いえ]の生活様式[せいかつようしき]。また、そこから生[う]まれる気風[きふう]。[文例]〈わが家[や]の家風[かふう]〉自分[じぶん]の生活[せいかつ]は、自分[じぶん]の創意[そうい]と工夫[くふう]で築[きず]いていくのがわが家[や]の家風[かふう]である。♠〈家風[かふう]に合[あ]う〉昔[むかし]は、家風[かふう]に合[あ]わないといって、嫁[よめ]が家[いえ]を出[だ]されることもあったらしい。 **かふく【禍福】** ○災[わざわ]いと幸[しあわ]せ。[文例]〈禍福[かふく]はあざなえる縄[なわ]のごとし〉禍福[かふく]はあざなえる縄[なわ]のごとし、人[ひと]の幸不幸[こうふこう]の変転[へんてん]する先[さき]はだれにも予測[よそく]がつかない。♠〈禍福[かふく]を招[まね]く〉禍福[かふく]は自[みずか]らが招[まね]くものだから、日[ひ]ごろの行[おこな]いに心[こころ]しなければならない。 **かぶさ・る(被さる)** ○おおいかかる。のしかかる。責任[せきにん]・負担[ふたん]などがかかる。影響[えいきょう]などが及[およ]ぶ。[文例]〈頭[あたま]にかぶさる〉頭[あたま]にかぶさった紙袋[かみぶくろ]を取[と]ろうと、子猫[こねこ]は夢中[むちゅう]でもがいた。♠〈開発[かいはつ]の波[なみ]がかぶさる〉開発[かいはつ]の波[なみ]が山奥[やまおく]の村[むら]へもかぶさり、暮[く]らしが様変[さまが]わりしていった。♠〈災難[さいなん]がかぶさる〉この年[とし]、わが家[や]には大変[たいへん]な災難[さいなん]がかぶさってきた。♠〈責任[せきにん]がかぶさる〉隊員[たいいん]の過失[かしつ]の責任[せきにん]がリーダーのわたしにもかぶさってきたのである。 **かぶ・せる(被せる)** ○上[うえ]からおおう。重[かさ]ねる。罪[つみ]や責任[せきにん]を負[お]わせる。[文例]〈布団[ふとん]をかぶせる〉赤[あか]ちゃんが眠[ねむ]ったので、そっと布団[ふとん]をかぶせてやりました。♠〈帽子[ぼうし]をかぶせる〉少年[しょうねん]は、自分[じぶん]の頭[あたま]から帽子[ぼうし]をとると、止[と]まっているトンボの上[うえ]にパッとかぶせた。♠〈カバーをかぶせる〉電話器[でんわき]に、自分[じぶん]でこしらえた花模様[はなもよう]のカバーをかぶせてみました。♠〈袋[ふくろ]をかぶせる〉果樹園[かじゅえん]のりんごの実[み]一個一個[いっこいっこ]に袋[ふくろ]をかぶせるのは、とても手間[てま]のかかる仕事[しごと]です。♠〈湯[ゆ]をかぶせる〉弟[おとうと]の頭[あたま]を洗[あら]ったあと、ぼくはザーッとおけのお湯[ゆ]をかぶせてやった。♠〈罪[つみ]をかぶせる〉無実[むじつ]の罪[つみ]をかぶせられた男[おとこ]は、何[なん]とかして真犯人[しんはんにん]を探[さが]し出[だ]さなくてはと必死[ひっし]だった。♠〈責任[せきにん]をかぶせる〉誘[さそ]ったのはきみのほうなのに、人[ひと]に責任[せきにん]をかぶせるとはひきょうだよ。 **カプセル** ○粉薬[こなぐすり]を入[い]れて飲[の]む小[ちい]さな円筒形[えんとうけい]の容器[ようき]。外界[がいかい]から遮[さえぎ]るための容器[ようき]。[文例]〈薬[くすり]のカプセル〉このカプセルに入[はい]った薬[くすり]は、飲[の]むと体内[たいない]で徐々[じょじょ]に溶[と]け出[だ]して効[き]き目[め]を現[あらわ]します。♠〈タイムカプセル〉百年後[ひゃくねんご]に取[と]り出[だ]すタイムカプセルの中[なか]には、みんなの絵[え]や作文[さくぶん]も入[い]れましたよ。 **かふそく【過不足】** ○多[おお]すぎることと足[た]りないこと。[文例]〈過不足[かふそく]がない〉両親[りょうしん]は三人[さんにん]の兄弟[きょうだい]に、つねに過不足[かふそく]のない愛情[あいじょう]を注[そそ]いだ。♠〈過不足[かふそく]なく〉配給[はいきゅう]の砂糖[さとう]を隣組[となりぐみ]の十軒[じっけん]に過不足[かふそく]なく分配[ぶんぱい]するのは、とても緊張[きんちょう]の伴[ともな]う仕事[しごと]であった。 **(兜・甲冑)** ○戦[たたか]いの時[とき]、頭[あたま]にかぶった武具[ぶぐ]。[文例]〈よろいかぶと〉よろい・かぶとで身[み]を固[かた]め、黄金作[こがねづく]りの太刀[たち]をはいたりりしい若武者[わかむしゃ]ぶりである。♠〈かぶとを脱[ぬ]ぐ〉きみの頭[あたま]の回転[かいてん]の速[はや]さには、かぶとを脱[ぬ]ぐよ。♠〈勝[か]ってかぶとの緒[お]を締[し]める〉みごとな勝利[しょうり]を収[おさ]めることができたが、今[いま]こそ勝[か]ってかぶとの緒[お]を締[し]める時[とき]である。 **かぶ・る(被る)** ○頭[あたま]の上[うえ]からおおう。上[うえ]からおおう。浴[あ]びる。身[み]に受[う]ける。[文例]〈布団[ふとん]をかぶる〉大[おお]きな雷[かみなり]の音[おと]に、妹[いもうと]は頭[あたま]から布団[ふとん]をかぶって、ぶるぶる震[ふる]えていた。♠〈帽子[ぼうし]をかぶる〉大[おお]きな麦[むぎ]わら帽子[ぼうし]をかぶって、弟[おとうと]と虫[むし]をとりに言[い]った。♠〈雪[ゆき]をかぶる〉青[あお]い空[そら]にくっきりと雪[ゆき]をかぶった富士山[ふじさん]の姿[すがた]が見[み]える。♠〈水[みず]をかぶる〉泥水[どろみず]をかぶって、まっ白[しろ]だった運動靴[うんどうぐつ]が泥[どろ]んこになってしまった。♠〈ほこりをかぶる〉屋根裏部屋[やねうらべや]には、ぼくが小[ちい]さいころに遊[あそ]んだおもちゃたちが、ほこりをかぶっていた。♠〈罪[つみ]をかぶる〉畑[はたけ]からスイカをぬすんだのがばれて、ぼくは仲間[なかま]の罪[つみ]をかぶり、ひとりおしおきを受[う]けた。♠〈ねこをかぶる〉あの人[ひと]は、先生[せんせい]の前[まえ]ではねこをかぶって、おとなしいふりをしているだけです。♠〈泥[どろ]をかぶる〉会社[かいしゃ]を守[まも]るために、経理課長[けいりかちょう]が泥[どろ]をかぶって警察[けいさつ]に出頭[しゅっとう]した。 **かぶ・れる(気触れる)** ○薬品[やくひん]などの刺激[しげき]で、皮膚[ひふ]がはれてかゆくなる。強[つよ]い影響[えいきょう]を受[う]ける。強[つよ]く感化[かんか]される。[文例]〈漆[うるし]にかぶれる〉山菜取[さんさいと]りに山[やま]に入[はい]り、漆[うるし]に触[ふ]れたところが赤[あか]くかぶれてしまった。♠〈外国文化[がいこくぶんか]にかぶれる〉外国文化[がいこくぶんか]にかぶれて、日本[にほん]の伝統[でんとう]がないがしろにされるのはさみしい。♠〈思想[しそう]にかぶれる〉わたしは、若[わか]い時[とき]は自由思想[じゆうしそう]にかぶれていたが、今[いま]は規律[きりつ]を重[おも]んじる戒律主義者[かいりつしゅぎしゃ]です。 **かぶん【過分】** ○分[ぶん]に過[す]ぎること。身[み]に余[あま]ること。[文例]〈過分[かぶん]のおほめ〉過分[かぶん]のおほめ、恐縮[きょうしゅく]でございます。♠〈過分[かぶん]の報酬[ほうしゅう]〉高校生[こうこうせい]の一日[いちにち]のアルバイトに対[たい]しては、その金額[きんがく]は過分[かぶん]の報酬[ほうしゅう]であった。 **かぶん【寡聞】** ○見聞[けんぶん]や知識[ちしき]がせまいこと。[文例]きみの言[い]うようなことが本当[ほんとう]に中国[ちゅうごく]で起[お]こっているのかどうか、わたしは寡聞[かぶん]にして知[し]らない。 **かべ【壁】** ○建物[たてもの]の外側[そとがわ]をふさぎ、内部[ないぶ]をしきる物[もの]。間[あいだ]をへだてるもの。障害[しょうがい]となるもの。[文例]〈白[しろ]い壁[かべ]〉あそこに見[み]える白[しろ]い壁[かべ]に赤[あか]い屋根[やね]の家[いえ]がわたしの家[いえ]です。♠〈コンクリートの壁[かべ]〉トンネルに入[はい]ると、中[なか]はどこまでも続[つづ]くコンクリートの壁[かべ]だった。♠〈壁[かべ]にはる〉生徒全員[せいとぜんいん]の作品[さくひん]が教室[きょうしつ]や廊下[ろうか]の壁[かべ]にはってあります。♠〈壁[かべ]が落[お]ちる〉人[ひと]の住[す]まなくなった家[いえ]は、たちまちいたんで、壁[かべ]も落[お]ち、見[み]る影[かげ]もないものになっていった。♠〈壁[かべ]を塗[ぬ]る〉建築中[けんちくちゅう]の家[いえ]は、屋根[やね]が出来[でき]、壁[かべ]も塗[ぬ]られ、完成[かんせい]まであと一歩[いっぽ]だ。♠〈壁[かべ]にぶつかる〉博士[はかせ]の研究[けんきゅう]は、成功[せいこう]まであと一歩[いっぽ]というところで、大[おお]きな壁[かべ]にぶつかった。♠〈壁[かべ]を乗[の]り越[こ]える〉言葉[ことば]や国籍[こくせき]の違[ちが]いなど、さまざまな壁[かべ]を乗[の]り越[こ]えて、今[いま]、二人[ふたり]の愛[あい]は結[むす]ばれたのです。♠〈厚[あつ]い壁[かべ]〉小[ちい]さな行[い]き違[ちが]いが、今[いま]では悲[かな]しむべき厚[あつ]い壁[かべ]となって、二人[ふたり]の間[あいだ]を隔[へだ]ててしまった。♠〈壁[かべ]に耳[みみ]あり〉秘密[ひみつ]にしておいたことなのに、「壁[かべ]に耳[みみ]あり」で、もうみんなに知[し]れ渡[わた]っていた。 **かへい【貨幣】** ○商品交換[しょうひんこうかん]のなかだちとしたり、価値[かち]をはかる基準[きじゅん]として社会[しゃかい]に流通[りゅうつう]しているもの。お金[かね]。[文例]〈国[くに]の貨幣[かへい]〉ペルシアの貨幣[かへい]にはその時代時代[じだいじだい]の王[おう]の肖像[しょうぞう]が刻[きざ]まれている。 <207> **がまん【我慢】**○こらえること。たえしのぶこと。自分を抑えること。[文例]〈我慢をする〉運動会でひざにけがをしたが、それでも歯をくいしばって我慢をした。♠〈我慢できない〉昨夜はまったく寝ていないので、我慢できないほどの眠[ねむ]気におそわれました。♠〈我慢がならない〉あんなひきょうな手を使うなんて、もう我慢がならない。♠〈我慢に我慢を重ねる>領主の悪政に長い間我慢に我慢を重ねてきた百姓たちはついに立ち上がった。♠〈我慢強い>貧しい家庭に育ったせいか、わたしは、いつのまにか我慢強い性格になったようです。♠く我慢する〉自分のしたことを少しは反省しているようだから、今度だけは我慢してやろう。 **かほう【果報】**○(よい)報[むく]い。幸運。[文例]〈果報な男〉あんなよい女房[にょうぼう]をもって果報な男だ。♠〈果報は寝て待て〉そんなにあせらず、果報は寝て待とうじゃないか。♠へ果報者[もの]>こんなにみんなに応援してもらえて、お前は果報者だ。 **かほご【過保護】**○必要以上にかばい守ること。また、そうされること。[文例]〈過保護にする〉人間の子供でも植物でも同じことで、あまり過保護にするとかえってうまく育たないものだ。♠へ過保護に育つ〉この子は、過保護に育ったので、自分で道を切り開く能力に欠けるところがある。♠へ過保護な親>入社試験にまで付き添っていくなんて、ずいぶん過保護な親ですね。 **かぼそい【か細い】**○細くて、弱々しい。[文例]〈かぼそい腕>夫が死んで、一家の生活が彼女のかぼそい腕にかかってきたのである。♠〈かぼそい声>娘はかぼそい声で遠慮[えんりょ]がちに用件を述べた。 **かま【窯】**(釜・罐)○飯をたくなどする道具。高温・高圧の水蒸気を発生させる装置。高温で焼いたり溶かしたりする道具。[文例]〈同じかまの飯〉同じかまの飯を食った仲じゃないか、遠慮するなよ、困ったことがあったら言ってくれ。♠〈かまで炊[た]く〉〈電気がま〉このかまで炊いたご飯は、電気がまなんかで炊いたのとは一味[ひとあじ]違うよ。♠〈窯に入れる〉うわぐすりをかけられた陶器[とうき]は、窯に入れられてさらに熱せられる。♠くかまたき>蒸気機関車[じょうききかんしゃ]のかまたきは重労働だが、男のロマンがあったよ。 **かま(鎌)**○三日月形の刃[やいば]に柄[え]のついた、草刈り用の道具。[文例]〈かまで刈[か]る〉腰をかがめて一株[ひとかぶ]ずつかまで刈っていくのは、大変な重労働だった。♠へかまを入れる〉青々茂[しげ]った岸辺の草に、おじいさんはサクッサクッとかまを入れた。♠<夕焼けにかまをとぐ〉昔から「夕焼けにかまをとげ」と言って、夕焼けの翌日は天気になることが多い。♠へかまをかける〉ちょっとかまをかけてみたら、自分からペラペラしゃべり出したよ。 **かまえ【構え】**○組み立て。つくり。身のそなえ。心の準備。[文例]〈立派な構えの家〉あの家は、大きくて立派な構えだが、内部は意外におそまつだよ。♠へ城の構え>城の構えが堅固[けんご]なので、なかなか攻[せ]め落[お]とすことができない。♠〈反撃[はんげき]の構えをとる〉追いつめられた敵は、ついに反撃の構えをとった。♠くすきのない構え〉剣[けん]の達人[たつじん]のすきのない構えに、打ち込める者はだれもいなかった。♠〈和戦両様[わさんりょうよう]の構え>当時の日本は、軍備[ぐんび]を整[ととの]えるいっぽう、外交交渉も進め、和戦両様の構えであった。♠〈構え方〉彼は仕事に対する真剣[しんけん]な構え方が認められ、同僚[どうりょう]より早く昇進[しょうしん]した。♠へ漢字の構え>漢字の部首は、その位置によって、偏[へん]・旁[つくり]・冠[かんむり]・脚[あし]・繞[にょう]・垂れ・構えの七つに分類される。 **かまえる【構える】**○組み立てる。作りととのえる。前もって用意する。ある姿勢をとる。ある態度をとる。仕組む。[文例]〈店を構える〉彼は、苦労の末、やっと表通りに自分の店を構えるまでになった。♠〈一家を構える>貧家[ひんか]の出の祖父がようやく一家を構えたときには、四十歳を過ぎていたそうだ。♠へ鉄砲[てっぽう]を構える>ガンの群れを見つけると、猟師[りょうし]は鉄砲を構えて静かにねらいを定めた。♠ヘバットを構える〉あと一球、ぼくは、今度こそヒットだぞと心に決めて、バットを構えた。♠〈カメラを構える〉シャッターを切る瞬間[しゅんかん]、カメラを構える手が、ちょっと震[ふる]えてしまった。♠〈刀を構える〉その剣士は、刀を青眼[せいがん]に構え、常に正攻法[せいこうほう]をとるのを好んだ。♠〈陣を構える〉一の谷[たに]に陣を構えた平家[へいけ]は、源氏[げんじ]の奇襲[きしゅう]に遭[あ]い、たちまち敗走した。♠〈事を構える〉我々としては、好んで事を構えるつもりはなく、平和的に解決したいと思っている。♠へのんびり構える〉何か月も先のことだからといって、あまりのんびり構えてはいられない。 **かまう【構う】**○気にする。心にかける。世話をする。相手になる。からかう。[文例]〈〜に構わず〉「宿題[しゅくだい]を先に済ませなさい。」と言うお母さんに構わず、遊びにとび出した。♠〈〜でも構わない〉きみが映画よりプールに行きたいと言うのなら、ぼくはプールでも構わないよ。♠へなりふり構わず>子供たちを養[やしな]うために、母は、男たちに混[ま]じってなりふり構わず働いている。♠へ辺[あた]り構わず>庭の雑草[ざっそう]が辺り構わず伸び放題[ほうだい]に伸びている。♠へなんでも構わない>靴なんか何でも構わないから、早く出かけないと、列車の時間に間に合わないよ。♠〈構うことはないから〉ええい、めんどうだ、構うことはないから、やっつけろ!♠へお構いなく〉すぐに失礼しますので、どうぞお構いなく。♠〈人に構う〉急ぐのなら、わたしに構わないで先に行ってちょうだい。♠〈子供に・を構う〉最近は仕事が忙しくて、ちっとも子供に構ってやれなかった。♠へねこを構う〉しっぽを引っ張ったりして、ねこを構っていたら、つめで引っかかれた。 **かまくび【かま首】**(鎌首)○(へびなどが攻撃の時に)鎌のように曲げた首。[文例]〈かま首をもたげる〉シューシューという音に振り向くと、かま首をもたげた蛇がにわとりをねらっていた。♠へ怠[なま]け心がかま首をもたげる〉すきあらば、楽をしてやろうという怠け心が、かま首をもたげてくる。 **かませる(噛ませる)**○かむようにさせる。打撃[だげき]を与える。くらわす。[文例]〈さるぐつわをかませる〉監禁[かんきん]されたわたしは、口にさるぐつわをかませられた。♠へ一発かませる〉うるさくからんでくる男に、一発パンチをかませてやった。 **かまど(竈)**○なべ・かまをかけて、煮たきするところ。一家の生計[せいけい]。所帯[しょたい]。[文例]朝は暗いうちからかまどにまきをくべ、飯を炊くのが日課[にっか]だった。♠へ民のかまど>戦後十年がたち、ようやく民のかまどもにぎわい始めたころのことだった。♠へかまどを破[やぶ]る〉その家は、主[あるじ]の放蕩[ほうとう]によってかまどを破るはめになったという。 <208> **かみそり(剃刀)**○髪やひげをそるのに用いる鋭[するど]い刃物[はもの]。[文例]〈かみそりでそる〉わたしは、毎朝かみそりでひげをそるのが習慣である。♠へかみそりを当てる>住職[じゅうしょく]は、必ず週に一度、丸坊主[まるぼうず]の頭にかみそりを当てた。♠へかみそりのよう〉かみそりのように頭の切れる男だったが、人情[にんじょう]のかけらもなかった。♠〈かみそり負け>若者は、かみそり負けした皮膚[ひふ]に軟膏[なんこう]を塗りたくっていた。 **かみ【上】**○位置の高い方。高い所。中心に近い所。時代の初め。一連のものの初め。君主・主君。朝廷・政府。[文例]〈川の上>大きな桃が上の方から、どんぶらこどんぶらこと流れてきおったのじゃ。♠〈上の句〉短歌では、五・七・五を上の句、七・七を下の句という。♠〈上[かみ]を恐[おそ]れる〉この村では、子供までがお上を恐れぬとみえる。 **かみ【神】**○人知を超え、畏怖[いふ]と信仰の対象となる存在。[文例]〈神をまつる〉このお社[やしろ]は、戦[いくさ]の神をおまつりしてあるのです。♠へ神に祈[いの]る〉わたしは、夫の無事を一心に神に祈った。♠〈神のお告げ〉夢の中で神のお告げがあり、翌年玉のような男の子が生まれました。♠〈神かけて〉わたくしは、神かけてうそは申しません。♠へ神が宿[やど]る〉正直[しょうじき]のこうべに神宿る、といって、まじめに暮らしていればよいこともあるだろう。♠へ神ならぬ身〉行く手に何が待つのか、神ならぬ身の知るところではなかった。♠〈神も仏[ほとけ]もない〉どうしてぼくのような正直者がつらい目を見るのだろう。神も仏もありゃしない。♠へさわらぬ神にたたりなし〉さわらぬ神にたたりなしだ、知らぬ顔をしていよう。♠へ捨てる神あれば拾[ひろ]う神あり〉そのうちいいこともあるさ、捨てる神あれば拾う神ありっていうしね。♠十字架[じゅうじか]につけられたイエスは、「わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか。」と叫[さけ]んで息[いき]をひき取った。 **かみ【紙】**○筆記[ひっき]・包装[ほうそう]・建具[たてぐ]などに用いられる、植物繊維[せんい]で作った薄い物。[文例]小さな子供が紙に向かって、一生懸命[いっしょうけんめい]字を書こうとしている。♠〈紙のように薄い〉都会では人情が紙のように薄いなどといわれます。♠みんな紙を出したのに、ぼく一人が石を出したので負けてしまった。 **かみ【髪】**○頭の毛。頭髪[とうはつ]を結[ゆ]った形。[文例]〈髪が薄[うす]い><髪をとかす〉父は、めっきり薄くなった髪を気にしながら、毎朝、鏡の前でとかしている。♠〈髪の毛〉〈髪が伸[の]びる〉〈髪を切る〉あと二日で始業式だし、髪の毛が伸びているので、切ることにした。♠く豊かな髪〉〈髪を結う>豊かな髪を日本髪に結って、かんざしをさした古い写真の祖母は、別人のようだ。♠へ髪を刈[か]る〉父がバリカンでぼくの髪を短く刈ってくれたので、さっぱりした。♠へ髪が乱[みだ]れる〉〈髪をセットする〉強い風で、せっかくセットした髪が乱れてしまった。♠〈縮[ちぢ]れた髪〉〈ブロンドの髪〉縮れたブロンドの髪の外人女性がたどたどしい日本語で話しかけてきた。♠へ髪をふり乱す>母は、五人の子供の世話と農作業に、一日じゅう髪をふり乱して働きづめだ。♠へ髪を下ろす〉その老母は、息子の死を弔[とむら]うため、髪を下ろして尼[あま]になったという。 **かみ【加味】**○味をつけ加えること。他のものをまぜ加えること。[文例]〈加味する>学年末の成績には、試験だけでなく日ごろの生活態度も加味されるそうだよ。♠〈加味する〉基本的な合意の上にさまざまな意見を加味して結論をまとめた。 **かみあう【かみ合う】**(噛み合う)○互いにかみつく。歯車[はぐるま]の歯がぴったり合う。物事がうまく組み合わさる。やりとりがうまくいく。[文例]やがて子別[こわか]れの時期になると、母ぎつねと子ぎつねは互いにかみ合い決別する。♠へ歯車がかみ合う〉組織の中では、歯車がしっかりかみ合って初めていい仕事ができる。♠へ話がかみ合わない〉世のおじさん族とはどうも話がかみ合わないなあ。♠く議論がかみ合わない〉彼とわたしは発想[はっそう]が全く違[ちが]っていて、議論がかみ合わないのだ。 **かみがかり【神懸かり】**(神憑かり)○神が人にのりうつること。また、その人。正気とは思えない言動。また、それをする人。[文例]〈神懸かりになる〉突然女は神懸かりになったように体を震わせ、大声を上げ始めた。♠へ神懸かりの状態>祈[き]とう師は神懸かりの状態で、神のお告げなるものを述べた。♠へ神懸かりなこと〉そんな神懸かりなことを言ったって、だれがまともに相手にするものか。 **かみくだく【かみ砕く】**(噛み砕く)○歯でかんで細かくする。わかりやすくする。[文例]〈骨をかみくだく>おおかみの硬い歯は、獲物[えもの]の骨までもばりばりとかみくだいた。♠〈かみくだいて言う〉話をかみくだいて、小さな子供にもわかるように易[やさ]しく説明してやってくれ。 **かみくず【紙くず】**(紙屑)○不用になった紙きれ。[文例]まきなどもう一本もなく、わたしたちは紙くずや木ぎれを燃やして暖[だん]をとった。♠集会の後の会場には、ビラなどの紙くずがいっぱい散らばっていた。♠へ紙くず同然〉長い間つちかってきた友情を、そんなふうに紙くず同然に捨てられるものか。 **かみころす【かみ殺す】**(噛み殺す)○かみついて殺す。あくびや笑いをがまんする。[文例]ニワトリは、するどい歯でかみ殺されていた。♠へあくびをかみ殺す〉ぼくは、あくびをかみ殺しながら、午後の授業を聞いていた。♠へ笑いをかみ殺す〉コーチの説教中、どうしたわけか笑いがこみ上げてきて、それをかみ殺すのに苦労した。 **かみしめる【かみ締める】**(噛み締める)○力を入れてかむ。じっくりと味わう。[文例]〈唇[くちびる]をかみしめる〉身に覚えのない非難[ひなん]に、唇をかみしめて耐[た]えるしかなかった。♠へ喜びをかみしめる〉彼女は今、優勝の喜びをひしとかみしめていた。♠へ教えをかみしめる〉わたしは、死んだ父の教えをかみしめて、どんな苦労にも耐えて行く覚悟[かくご]だ。♠へ思いをかみしめる〉わたしは、わたしのせいで敗[やぶ]れた試合を考えるたびに、にがい思いをかみしめるのだった。 **かみざ【上座】**○上位の席。[文例]上座には主人が、そして順に家族、使用人が席につき、正月のぜんを祝った。♠へ上座に着く〉今日の主役である二人が上座に着いたところで、いよいよ宴会[えんかい]が始まった。♠〈上座に招[しょう]く>客人を上座に招き、酒肴[しゅこう]でもてなした。 <209> **かも** **か** **かみなり**【雷】 ○稲妻や雷鳴を発し、ふつう雨をともなう自然現象。[文例]〈雷が来る〉雷が来そうだから、すっ飛んで帰ってきたんだよ。♠〈雷が鳴る〉雷は、はじめ遠くのほうでゴロゴロ聞こえていたが、やがて近くですさまじく鳴りだした。♠〈雷に打たれる〉雷に打たれたのか、杉の大木が真っ二つに裂けている。♠〈雷が落ちる〉にわかに空がかき曇り、ピカピカ、ガラガラ、ドーンと雷が落ちてきた。♠〈雷が落ちる〉弟がまた盆栽にいたずらしたので、おじいさんの雷が落ちた。♠〈地震・雷・火事・おやじ〉昔から地震・雷・火事・おやじなどと言って、地震は恐ろしいものの最初に数えあげられる。 **かみひとえ**【紙一重】 ○紙一枚ほどのわずかな隔たりや差。[文例]〈生きるも死ぬも紙一重〉生きるも死ぬも紙一重のぎりぎりの状況にいると、感覚がまひしてしまう。♠天才と狂人は紙一重というが本当かなあ。 **かみん**【仮眠】 ○仕事の合間などにとる、わずかな時間の睡眠。[文例]〈仮眠をとる〉深夜勤務のわたしたちは、途中一時間半ほど仮眠をとります。♠〈仮眠する〉昨夜遅かったので、午後仮眠することにしました。 **か・む**【噛む・咬む】 ○上下の歯を合わせる。上下の歯で押し砕く。食いつく。(歯車などの歯が)合わさる。仲間として加わる。[文例]〈歯でかむ〉〈食物をかむ〉食物は、前歯でかみ切り、奥歯でよくかみつぶして食べる。♠〈つめをかむ〉みっともないから、つめをかむ癖を直しなさい。♠〈舌をかむ〉言いにくい文句を早口で言うと、舌をかみそうになる。♠〈犬が人をかむ〉この犬は、人をかむ恐れがありますので、ご注意ください。♠〈岩をかむ〉つり橋の下を見ると、谷川が岩をかむように、激しい勢いで流れている。♠〈唇をかむ〉接戦の末に負けた部員たちは、唇をかんでくやしさに耐えた。♠〈歯車がかむ〉歯車がうまくかみ合わなければ、動力は伝わらない。♠〈チャックがかむ〉シャツのすそにズボンのチャックがかむと大変だ。♠〈一枚かむ〉事件には、彼も一枚かんでいたらしい。♠〈かんで含める〉しかると反抗する弟も、かんで含めるように話して聞かせると素直にうなずく。♠〈窮鼠猫をかむ〉「窮鼠、猫をかむ」といって、弱いものも、追いつめられると必死で反攻に転じることがある。 **か・む**【擤む】 ○鼻汁を吹き出して、取り除く。[文例]〈鼻をかむ〉ぼうや、鼻が出ているよ。自分でじょうずにかんでね。 **カムフラージュ** ○偽装すること。本当の姿をいつわること。[文例]〈カムフラージュを施す〉森の中にカムフラージュを施した武器庫があった。♠〈カムフラージュする〉公園の監視人というのは、実はのぞきをカムフラージュするためのうそにすぎなかった。 **かめ**【亀】 ○硬い甲羅をもつ動物。[文例]〈かめの甲より年の功〉かめの甲より年の功、無駄に年は取ってないよ。♠〈つるは千年かめは万年〉つるは千年かめは万年にあやかって、おじい様にも長生きしてもらいましょう。♠〈かめのようにのろい〉その歩みはかめのようにのろくても、確実にこの子は成長しているのです。 **かめい**【加盟】 ○団体や同盟の一員として加わること。[文例]〈加盟する〉この券は、商店会に加盟している店で、景品と引き換えられます。♠〈加盟する〉現在、国連には、大小合わせて約百六十か国が加盟しています。 **がめつ・い** ○欲深で、抜け目がない。[文例]〈がめつい商売〉この土地の商人は、なかなかがめつい商売をする。♠〈がめついやつ〉こいつ、がめついやつだなあ、最後に残ったものは必ず取るんだから。 **カメラ** 写真機。[文例]記念写真を撮りますので、皆さんカメラの前に並んでください。♠〈カメラの放列〉官邸前には報道陣がつめかけ、カメラの放列がしかれた。♠〈カメラが回る〉スタートの声と同時にカメラが回り始め、スタジオは緊張に包まれた。♠〈カメラを向ける〉子供たちにカメラを向けると、喜んでモデルになってくれた。 **かめん**【仮面】 ○扮装用の面。人をあざむくための見せかけ。[文例]〈仮面を着ける〉扮装をこらし、仮面を着けた貴族たちが、宮廷の舞踏会に集まった。♠〈仮面をかぶる〉善人の仮面をかぶったあの女に、まんまと大金をだまし取られた。♠〈仮面をはぐ〉あの男の仮面をはいで、卑怯者の正体を暴露してやる。 **かも**【鴨】 ○冬、日本に渡ってくる水鳥の一種。だましやすい相手。[文例]〈かもが渡る〉毎年寒くなると、この池にはかもたちが渡って来る。♠〈いいかも〉お、いいかもが来た、あいつから金を借りようぜ。♠〈かもにする〉みんなでおれをかもにしやがって、覚えてろ。♠〈かもがねぎをしょって来る〉 <210> **からい【辛い】**○舌を強く刺激[しげき]するような感じだ。塩味[しおあじ]が強い。きびしい。つらい。苦しい。[文例]〈海水が辛い>海水が辛いのは、その中にたくさんの塩分[えんぶん]が含まれているからだ。♠〈カレーが辛い〉この店のカレーはとても辛いので、子供連れの客は少ない。♠へ甘いものと辛いもの〉お酒のおつまみには、甘いものよりも辛いもののほうが合う。♠〈点が辛い〉もっといい点が取れると思ったのに、あの先生、点が辛いなあ。♠〈自分に辛い>他人に対しては寛大[かんだい]に、自分には辛くということは、なかなかできないものだ。♠く辛い目を見る〉つらいことを経験することを、昔は辛い目を見るなどといった。♠へからくも〉後半はずっと押されっぱなしだったが、ゴールキーパーのがんばりでからくも逃げきった。♠くさんしょは小粒[こつぶ]でぴりりと辛い〉さんしょは小粒でぴりりと辛いという通り、彼は小柄[こがら]だが、技[わざ]の切れは抜群[ばつぐん]だ。 **かもく【科目】**○幾つかに区分けしたものの各区分。教科の各区分。[文例]この科目は試験が難しいと先輩が言っていたよ。♠〈必修科目>男子も、家庭科が必修科目になっています。 **かもく【寡黙】**○口数が少ないさま。[文例]〈寡黙な人〉ふだんは寡黙な父が、酒を飲むと勢[いきお]いよくしゃべりだすからおもしろい。♠へ寡黙な性格>老人は、職人[しょくにん]らしく寡黙でいちずな性格だった。 **かもす【醸す】**○酒などをつくる。醸造[じょうぞう]する。だんだんにある雰囲気[ふんいき]や状態などをつくる。[文例]〈酒を醸す〉良い酒を醸すためには、良い水がいると昔から言われている。♠へ笑いを醸す〉彼が加わると座が和[なご]んで、笑いを醸すから不思議だ。♠へ雰囲気を醸す>美しいカラー写真でも、人々の醸しだす雰囲気までは写せない。♠〈物議[ぶつぎ]を醸す>彼の発言が物議を醸すだろうことは、目に見えていた。 **かもつ【貨物】**○運送する荷物。[文例]〈貨物を積む〉大きな貨物を積みこんだトラックが国道をひっきりなしに行き交[か]います。♠へ貨物の輸送〉被災地[ひさいち]では貨物の輸送状況が非常に悪く、救援物資[きゅうえんぶっし]も思うように届かない。♠〈貨物列車>深夜、遠くを走る貨物列車の響きがもの悲しく聞こえて来る。 **かや【蚊帳・蚊屋】**○蚊を防ぐために部屋につる網。[文例]〈蚊帳をつる〉夜になると、宿の人が蚊帳をつってくれました。♠〈カヤの外〉会議室では、古参[こさん]の議員たちが額[ひたい]を集めてヒソヒソ話していて、新人議員のわたしは一人カヤの外に置かれていた。 **かゆい(痒い)**○皮膚[ひふ]をかきたくなるような感じだ。[文例]ブヨにさされたあとが赤くはれ、いつまでもかゆい。♠〈全身がかゆい〉もう十日もふろに入っていなかったので、全身がかゆかった。♠へかゆい所に手が届く>宿のおかみはたいそう気のつく人で、かゆい所に手が届くようなもてなしを受けた。 **から【殻】**○内部をおおって保護する固い物。中身が抜けたあとに残った物。[文例]〈固い殻>幼虫の固い殻は、やわらかいセミの体を守っています。♠〈卵の殻〉〈殻を割る〉片手で卵の殻を割ると、ポンとフライパンの上に落とした。♠〈殻を破る>毛虫がさなぎに変わった後、さなぎの殻を破って、美しいちょうが出てくる。♠へ殻を破る〉村の因習[いんしゅう]を打破し、古い殻を破るのは、なかなか容易なことではない。♠〈殻に閉じこもる〉自分の殻に閉じこもって、他人の生活に無関心な人間が増えているらしい。♠へもぬけの殻>警察が踏み込んだ時には、犯人の部屋はもぬけの殻だった。 **がら【柄】**○模様。体格。立場。身分。分際[ぶんざい]。品位。それにあてはまる状況。[文例]<派手な柄>授業参観の日、母が派手な柄の着物を着てきたので、わたしは少し恥ずかしかった。♠〈柄が大きい>弟は、小学六年生にしては柄が大きく、顔立ちも大人びている。♠◇柄でない〉PTAの会長に推薦[すいせん]されましたが、とてもわたしの柄ではありません。♠〈柄にもない〉数百人の聴衆[ちょうしゅう]の前で講演をするなんて、柄にもない事を引き受けてしまった。♠ヘ柄が悪い>家の前に、柄の悪そうな人が立っていたけれど、押し売りではないかしら。♠<場所柄>病院などでは場所柄をわきまえて、騒[さわ]いだりすることのないように。 **かよう【歌謡】**○歌。ふしをつけてうたう歌。[文例]口伝[くでん]えの神話や伝説・歌謡を取り入れて、古事記、日本書紀などが作られた。♠〈国民歌謡〉「リンゴの歌」は終戦後、国民歌謡として広く人々に親しまれた。♠へ歌謡曲〉ラジオから古い歌謡曲が流れてきた。 **かよう【通う】**○決まった場所へ定期的に行き来する。通じる。とおる。共通する。[文例]〈工場・学校へ通う〉毎朝、同じ道を一緒に、じいちゃんは工場へ、孫は学校へ通っている。♠〈道を通う〉片道八キロの道を、先生は雨の日も風の日も自転車で通う。♠〈勤めに通う〉雨の日以外は、片道二十分歩いて、毎日勤めに通います。♠へ人が通う〉猟師[りょうし]は、人の通わない獣道[けものみち]を見つけ、そこにわなを仕掛けた。♠へ汽車が通う〉以前は向こうの山の間を、汽車が煙[けむり]を吐きながらのろのろ通ったものさ。♠へ鳥も通わぬ〉「鳥も通わぬ〜島」とは、鳥さえも飛んで行けないほど陸地から遠いことのたとえです。♠へ息が通う>大丈夫、まだ息が通ってるから、すぐ病院へ運ぼう。♠〈血が通う〉先生方には、本当に血の通った教育をお願いします。♠〈心が通う〉十年以上もつきあっているぼくたちは、ひょっとしたら本当の兄弟以上に心が通っているかもしれない。 **かよわい【か弱い】**○弱々しい。たよりない。[文例]へかよわい女>彼女はかよわい女の身でありながら、男性にもなかなかできないことをやってのけたのだ。♠へかよわい姫〉かよわい姫をなんとかお守りせねばなりますまい。 **から【空】**○内部に何もないさま。見せかけだけで実質がないさま。[文例]〈空になる>濃霧[のうむ]で空港の上空を旋回[せんかい]していた飛行機は、燃料タンクが空になる寸前にやっと着陸することができた。♠〈空にする〉娘は財布[さいふ]をすっかり空にして、旅行から帰って来た。♠〈空の薬莢[やっきょう]〉この銃には、空の薬莢をはじき出す装置がついている。♠〈空いばり〉そんなに空いばりしたってだめさ、足がふるえてるよ。♠〈空手形[からてがた]>必ず埋め合わせはするという彼女の言葉も、ついに空手形に終わったか。 **カラー**○色。色彩[しきさい]。特色。[文例]〈カラーテレビ〉カラーテレビは、わずかの間に全国の家庭に普及[ふきゅう]していきました。♠〈ポスターカラー>厚紙で小物入れを作り、ポスターカラーを塗るとぐっとしゃれた感じになった。♠ヘローカルカラー>全国物産展には、各地のローカルカラー豊かな特産品が出展されていた。♠ヘスクールカラー〉創立者の精神を受けついで、明るく自由なのが本校のスクールカラーになっています。 <211> **からっぽ【空っぽ】**○空であるさま。中に何も入っていないさま。[文例]〈からっぽにする〉家の中をからっぽにするのが心配だから旅行に行かずに残る、と、祖母は言い張っている。♠へからっぽになる>子供たちの旺盛[おうせい]な食欲で、サンドイッチのつまったバスケットはたちまちからっぽになった。♠く頭がからっぽ〉ひどく疲れて考える気力もなく、頭の中がからっぽになったようだ。 **からかう**○相手を困らせて楽しむ。揶揄[やゆ]する。[文例]〈犬をからかう〉犬をおもしろ半分にからかっていたら、しまいに怒[おこ]ってかみついてきた。♠〈大人をからかう〉大人をからかうなんて、生意気な坊主[ぼうず]だ。♠◇世間をからかう〉その犯人は、お金が目的ではなくて、世間をからかって楽しんでいるようだ。 **がらくた**○不用になった道具類。値打ちのない雑多なもの。[文例]兄は、荷物を整理し終わると、道具屋を呼んで、先祖代々[せんだいだいだい]のがらくたを二束三文[にそくさんもん]で売ってしまった。♠家じゅうのがらくたをかき集めたのだが、金になりそうな品物はなようだった。♠他人が見たらがらくたにしか見えないでしょうが、わたしにとっては宝物なんです。♠へがらくた市[いち]>近くの公民館で、がらくた市をやるというので、母といっしょに出かけた。 **からくり(絡繰り・機関)**○仕かけ。装置。細工。計略。[文例]〈からくり人形〉人形芝居には、糸の操作ひとつで表情が変化するからくり人形が使われていた。♠へからくりを見やぶる〉名探偵金田一[きんだいち]さんは、犯人のアリバイ工作のからくりをみごとに見やぶった。♠へからくりがある〉この計画には、ぼくたちを陥[おとしい]れようとするからくりがあるようだ。 **からげる(絡げる)**○巻きつけてしばる。くくる。まくりあげる。[文例]〈ひもをからげる>先につけた長いひもをぐるぐるとからげると、男は棒をかついですたこら歩き出した。♠〈荷物をからげる〉旅芸人[たびげいにん]の一行は、手早く荷物をひもでからげると、次の町へとたって行った。♠へすそをからげる〉どしゃ降りの雨の中を、彼はすそをからげて急ぎ足で歩いた。♠へしりをからげる〉おおい、この雨の中をおみよちゃんがしりをからげて走ってくるぜ。 **からさわぎ【空騒ぎ】**○むだに騒ぐこと。わけもなく騒ぐこと。[文例]〈空騒ぎに終わる〉大スターが町に来るといううわさはデマで、結局空騒ぎに終わった。♠へ空騒ぎを繰り広げる>送別会では、悲しみをまぎらそうと空騒ぎが繰り広げられた。 **からす(鳥・鴉)**○人里近くにすむ、黒くて、くちばしの大きな大型の鳥。[文例]この地方では、からすの声は不吉[ふきつ]の前兆[ぜんちょう]といわれてきました。♠へ今泣いたからす〉ワーイワーイ、今泣いたからすがもう笑った。♠へ鵜[う]のまねをする鳥〉自分の実力を考えないと、鵜のまねをする鳥になってしまう。♠へからすの行水[ぎょうずい]〉あら、もう出たの?お父さんのお風呂[ふろ]は本当にからすの行水ね。♠へやみ夜にからす〉月のない夜に黒い服じゃ、やみ夜にからすで見分けがつかない。♠枯枝[かれえだ]に鳥のとまりたるや秋の暮(松尾芭蕉[まつおばしょう]) **からす【枯らす】**(涸らす・嗄らす)○水分をなくす。干上がらせる。枯れさせる。声をしわがれさせる。[文例]〈草を枯らす>手間を省くために薬で雑草を枯らすようになってから、土の汚染[おせん]はさらに進んできました。♠〈木を枯らす>長い間旅行に出ていたため、鉢植[はちう]えの木をすっかり枯らしてしまいました。♠〈井戸をからす〉幾日[いくにち]も続く日照りが、次々に村の井戸をからしていった。♠〈声をからす>熱戦が繰り広げられる中、ぼくたちは声をからして応援した。 **ガラス(硝子)**○窓にはめたり、容器などに用いる固くて透明な物質。[文例]ヘガラスの瓶[びん]〉イチゴジャムをたくさん作って、ガラスの瓶に詰めました。♠ヘガラスを割る>弟と取っ組み合いの大げんかをしているうちに、窓ガラスをガチャンと割ってしまった。♠くもりガラス〉ぼくの部屋の窓には、下半分にくもりガラス、上半分に透明なガラスがはめこまれています。♠ヘガラス張り〉クラブの経理をガラス張りにして、メンバーにもわかるようにしてほしい。 **からだ【体】**(身体)○人間や動物の身体。[文例]〈体が大きい>中学一年生にしては、あの子は体が大きい。♠〈体に合う〉お母さんは太っているので、体に合う服がなかなか見つからない。♠〈体を固くする〉校則違反が見つかった生徒は、先生の前に体を固くして立っている。♠へ体が弱い〉〈体にこたえる〉母は体が弱いので、冬の厳しい寒さが人一倍こたえるらしい。♠〈体の調子〉〈体をこわす〉この間から、体の調子がおかしいと思いながらも無理をしていたら、ついに体をこわした。♠〈体を鍛[きた]える〉〈体が続く〉スポーツで鍛えただけあって、彼はよく体が続くと思うほど働く。♠ヘ丈夫[じょうぶ]な体〉〈体をむしばむ〉丈夫な体を自慢していた彼も、ひそかに体をむしばんでいたがんには勝てなかった。♠へ体がだるい〉体がだるくてしかたがないが、どこか悪いのだろうか。♠〈体に障[さわ]る〉あまり無理をすると、病み上がりの体に障るよ。♠へ体が言うことを聞かない〉年をとると、気持ちは若いつもりでも、体が言うことを聞かなくなる。♠〈体を横たえる〉〈体を起こす〉飢[う]えた子は、やせ衰[おとろ]えた体を横たえたまま、呼ばれても体を起こすこともできない。♠〈体に気をつける〉お父さん、体に気をつけてね。♠へ体があく〉大勢の子供の世話に追われて、お母さんは、体のあく暇[ひま]がありません。♠へ体がいくつあっても足りない〉近ごろは、忙しくて忙しくて、体がいくつあっても足りないほどだ。♠へ自由な体>四十年勤めた会社を退職し、自由な体になりました。♠〈体を張る〉美しい自然が破壊[はかい]されることを知って、土地の人々は、体を張ってでも反対する構えを見せた。 <212> **からて【空手】** ○手[て]に何[なに]も持[も]たないこと。素手[すで]で身[み]を守[まも]る武道[ぶどう]の一[ひと]つ。[文例]〈空手[からて]で帰[かえ]る〉名人[めいじん]を自称[じしょう]するだけあって、父[ちち]は釣[つ]りに行[い]くと、空手[からて]で帰[かえ]ることはない。♠〈空手[からて]の練習[れんしゅう]〉ぼくは、中学[ちゅうがく]に入[はい]ってから、毎日[まいにち]二時間[にじかん]空手[からて]の練習[れんしゅう]を欠[か]かしません。 **からぶり【空振り】** ○振[ふ]り回[まわ]した物[もの]が目標[もくひょう]に当[あ]たらないこと。くわだてが無意味[むいみ]になること。[文例]〈空振[からぶ]り三振[さんしん]〉九回裏[きゅうかいうら]、最後[さいご]のバッターが空振[からぶ]り三振[さんしん]で、ゲームセットとなった。♠〈空振[からぶ]りに終[お]わる〉刑事[けいじ]は犯人[はんにん]の手[て]がかりをつかもうと、二[に]、三[さん]有力[ゆうりょく]な線[せん]を当[あ]たってみたが、いずれも空振[からぶ]りに終[お]わった。 **からま・る【絡まる】** ○巻[ま]きつく。まつわりつく。もつれる。からむ。[文例]〈糸[いと]が絡[から]まる〉ミシンに糸[いと]が絡[から]まって、動[うご]かなくなってしまった。♠〈つたが絡[から]まる〉林[はやし]の木々[きぎ]には、つたが絡[から]まっている。♠〈問題[もんだい]が絡[から]まる〉その事件[じけん]はいろいろな問題[もんだい]が絡[から]まっていて、解決[かいけつ]が長[なが]びいていた。 **からまわり【空回り】** ○むだに回[まわ]ること。活動[かつどう]しても効果[こうか]が上[あ]がらないこと。[文例]〈空回[からまわ]りする〉くぼみにはまった車[くるま]は、いくらエンジンをふかしても車輪[しゃりん]が空回[からまわ]りするばかりで動[うご]かなかった。♠〈議論[ぎろん]が空回[からまわ]りする〉会議[かいぎ]は議論[ぎろん]が空回[からまわ]りして、ちっともに進[すす]まない。 **から・む【絡む】** ○巻[ま]きつく。まといつく。結[むす]びつく。かかわる。言[い]いがかりをつける。[文例]〈たんが絡[から]む〉風邪[かぜ]はだいぶよくなりましたが、まだたんが絡[から]んで苦[くる]しいのです。♠〈ロープが絡[から]む〉道端[みちばた]に置[お]かれたロープが足[あし]に絡[から]んで転[ころ]びそうになった。♠〈金銭[きんせん]が絡[から]む〉親子[おやこ]や兄弟[きょうだい]の間[あいだ]も、金銭[きんせん]が絡[から]むとややこしくなってくる。♠〈利害[りがい]が絡[から]む〉この事業[じぎょう]は、町民[ちょうみん]たちのさまざまな利害[りがい]が絡[から]んで論議[ろんぎ]を呼[よ]んでいる。♠〈女[おんな]が絡[から]む〉おおむね、事件[じけん]の裏[うら]には女[おんな]が絡[から]んでいるものだ。♠〈女性[じょせい]に絡[から]む〉酔[よ]って女性[じょせい]に絡[から]んでいた男[おとこ]が警察[けいさつ]につき出[だ]された。♠〈思惑[おもわく]が絡[から]む〉両校[りょうこう]の統合[とうごう]については、父兄[ふけい]の思惑[おもわく]が絡[から]み、結論[けつろん]は出[で]なかった。 **からめて【からめ手】** (搦め手) ○城[しろ]の裏門[うらもん]。城[しろ]の裏門[うらもん]から攻[せ]める軍勢[ぐんぜい]。相手[あいて]の注意[ちゅうい]の行[い]き届[とど]かない面[めん]。[文例]〈搦[から]め手[て]から攻[せ]める〉搦[から]め手[て]から攻[せ]めた一隊[いったい]が城内[じょうない]に侵入[しんにゅう]すると、城[しろ]は間[ま]もなく落[お]ちたのである。♠〈搦[から]め手[て]にまわる〉〈大手[おおて]・搦[から]め手[て]〉大手[おおて]から正面[しょうめん]をつく攻撃[こうげき]が難[むずか]しいとわかると、敵[てき]は搦[から]め手[て]にまわった。 **から・める【絡める】** (搦める) ○巻[ま]きつくようにする。しばりあげる。ぬりつける。関連[かんれん]づける。[文例]〈足[あし]を絡[から]める〉柔道[じゅうどう]で、相手[あいて]の足[あし]に自分[じぶん]の足[あし]を絡[から]めて倒[たお]す技[わざ]を足[あし]がらみという。♠〈罪人[つみびと]を搦[から]める〉役人[やくにん]は罪人[つみびと]を搦[から]めて、身動[みうご]きできないようにしました。♠〈バターを絡[から]める〉スパゲティをゆでると、あつあつのうちにバターを絡[から]めます。♠この作品[さくひん]は、一方[いっぽう]で若者[わかもの]の恋[こい]を描[えが]き、それに絡[から]めて一方[いっぽう]では戦[いくさ]いや死[し]を描[えが]いている。 **がらり** ○戸[と]などが勢[いきお]いよく開[ひら]く音[おと]。物[もの]が崩[くず]れる音[おと]。すっかりがらりと変[か]わるさま。[文例]〈がらりと開[ひら]く〉向[む]かいの家[いえ]の窓[まど]ががらりと開[ひら]いて、男[おとこ]の子[こ]が顔[かお]を出[だ]した。♠〈がらりと崩[くず]れる〉強[つよ]い地震[じしん]で、積[つ]み始[はじ]めたばかりのレンガががらりと崩[くず]れてしまった。♠〈がらりと変[か]わる〉ささいなことでけんかしてからというもの、彼[かれ]の態度[たいど]ががらりと変[か]わってしまった。♠〈がらりと変[か]わる〉俳句[はいく]は、助詞[じょし]を一字[いちじ]変[か]えただけで旬[しゅん]の印象[いんしょう]ががらりと変[か]わることがあります。♠〈がらりと変[かえ]る〉父[ちち]は、母[はは]の病気[びょうき]が相当[そうとう]進[すす]んでいると知[し]ってから、生活[せいかつ]をがらりと変[かえ]え、母[はは]の看護[かんご]に専念[せんねん]した。 **かり【仮】** ○一時的[いちじてき]にそうしておくこと。まにあわせ。仮定[かてい]すること。[文例]〈仮[かり]の宿[やど]〉家[いえ]が建[た]つまでの仮[かり]の宿[やど]とはいえ、住[す]んでみるとアパートの一部屋[ひとへや]にも愛着[あいちゃく]がわいてきた。♠〈仮[かり]の姿[すがた]〉水戸黄門[みとこうもん]が商人[あきんど]という仮[かり]の姿[すがた]に身[み]をやつし、全国[ぜんこく]を視察[しさつ]して回[まわ]ったというのがこのドラマです。♠〈仮[かり]に〉今[いま]、仮[かり]に一[ひと]つだけ夢[ゆめ]をかなえてやると言[い]われたら、ぼくは宇宙船[うちゅうせん]に乗[の]ってみたい。 **かり(雁)** ○ガンンのこと。[文例]〈雁[かり]の列[れつ]〉秋[あき]の空[そら]を北[きた]から南[みなみ]へ飛[と]んでいく雁[かり]の列[れつ]を眺[なが]めていると、しみじみとした気分[きぶん]になります。♠〈雁[かり]が渡[わた]る〉夕暮[ゆうぐ]れの空[そら]を、一文字[いちもんじ]になって雁[かり]が渡[わた]っていく。♠雁鳴[かりな]くや村[むら]の人数[にんず]はけふ[ふ]もへる(小林一茶[こばやしいっさ]) **かり【借り】** ○借[か]りること。借[か]りたもの。負[お]い目[め]。[文例]〈借[か]りがかさむ〉借[か]りがかさんで、ちょっとやそっとでは返[かえ]せない金額[きんがく]になってしまった。♠〈借[か]りがある〉あの人[ひと]には借[か]りがあるから、今度[こんど]の件[けん]でぼくにできることがあったら役[やく]に立[だ]ちたい。♠〈借[か]りを返[かえ]す〉覚[おぼ]えてろ! この借[か]りはきっと返[かえ]すからな。♠〈前借[まえが]り〉彼[かれ]は母親[ははおや]の入院費用[にゅういんひよう]を払[はら]うために、給料[きゅうりょう]を前借[まえが]りした。 **かり【狩り】** ○えものを捕[と]らえること。自然物[しぜんぶつ]を観賞[かんしょう]したり採集[さいしゅう]すること。[文例]〈狩[か]りに行[い]く〉おじいさんは狩[か]りに行[い]くと、必[かなら]ず鳥[とり]を二[に]、三羽[さんわ]しとめてきます。♠〈きのこ狩[が]り〉秋晴[あきば]れの気持[きも]ちのいい日[ひ]、ぼくたちは家族[かぞく]そろってきのこ狩[が]りに出[で]かけた。♠〈紅葉狩[もみじが]り・・・〉紅葉狩[もみじが]り、ぶどう狩[が]り、ほたる狩[が]り、潮干狩[しおひが]りから、はては暴力団狩[ぼうりょくだんが]り、魔女狩[まじょが]りまで、狩[か]りにもさまざまあるようです。 **かりあつ・める【駆り集める】** ○追[お]い立[た]てるようにして集[あつ]める。急[いそ]いであちこちから集[あつ]める。[文例]〈人[ひと]を駆[か]り集[あつ]める〉登山隊[とざんたい]の一行[いっこう]が予定[よてい]の日[ひ]になっても戻[もど]ってこないので、大急[おおいそ]ぎで人[ひと]を駆[か]り集[あつ]めて捜索[そうさく]に向[む]かった。♠〈エキストラを駆[か]り集[あつ]める〉パニックのシーンを撮影[さつえい]するために、大勢[おおぜい]のエキストラが駆[か]り集[あつ]められた。 **かりそめ【仮初め】** ○一時的[いちじてき]であること。まにあわせ。その場[ば]かぎりの、本気[ほんき]でないこと。[文例]〈かりそめの繁栄[はんえい]〉現在[げんざい]の日本[にほん]の繁栄[はんえい]を、かりそめの繁栄[はんえい]に終[お]わることのないようにしたいものだ。♠〈かりそめの夢[ゆめ]〉過[す]ぎ去[さ]った人生[じんせい]は、かげろうのようにはかなく、むなしく、かりそめの夢[ゆめ]のようだ。♠〈かりそめにした約束[やくそく]〉かりそめにした約束[やくそく]だから忘[わす]れたなんて、無責任[むせきにん]すぎるじゃないか。♠〈かりそめにも〉かりそめにもそんな言[い]い訳[わけ]はしたくない。 **かりだ・す【駆り出す】** ○追[お]い立[た]てる。追[お]い出[だ]す。[文例]〈野[の]うさぎを駆[か]り出[だ]す〉山[やま]から野[の]うさぎを駆[か]り出[だ]して、待[ま]ち受[う]け <213> **かるがる【軽軽】**○いかにも軽そうなさま。いかにもたやすいさま。軽快[けいかい]なさま。[文例]〈軽々と抱[だ]く〉おじさんはわたしを軽々と抱き上げた。♠〈軽々と弾[ひ]く〉彼女はピアノに向かうと、難曲を軽々と弾きこなしました。♠〈軽々と持つ〉わたしが動かそうとしてもびくともしなかった荷物を、彼は軽々と持ち上げた。♠〈軽々した身のこなし〉彼女の軽々した身のこなしがとてもさわやかで印象的だった。 **かりたてる【駆り立てる】**○追い立てる。むりに行かせる。せきたてる。[文例]〈戦争へ駆り立てる〉世の中の騒然[そうぜん]とした空気が、人々をますます戦争へと駆り立てました。♠〈心を駆り立てる>船長の話は、少年の心を大海原[おおうなばら]へと駆り立てた。 **かりに【仮に】**○一時的に。まにあわせに。仮定として。[文例]名前を出すわけにはいかないので、仮にA子とでもしておこう。♠仮に、第三次世界大戦が起きたとしたら、ぽくたちはどうなるのだろう。♠仮に、勉強に今の倍の時間をかけても、クラスで一番にはなれないな。 **かりもの【借り物】**○人から借りたもの。人の受け売りで身についていないもの。[文例]〈借り物をする〉人から借り物をしたら、返し忘れのないようにしなくてはいけませんよ。♠〈借り物を返す〉お母さん、ぼくこれからちょっと友達の家へ借り物を返しに行ってくるよ。♠〈借り物のことば〉借り物のことばで書いた文章では、人の心に訴[うっ]えることはできません。♠へ借り物の知識〉人の意見を聞きかじっただけの借り物の知識など、しょせん身に付くものではない。♠〈借り物競走>運動会の種目の中に、指示された物を見物席から借りてゴールする借り物競走というのがあります。 **かりゅう【下流】**○川などの流れの下方。経済的に恵まれない階層。[文例]川は、下流になるにつれて川幅[かわはば]が広くなっていきます。♠ヘナイル川の下流〉カイロは、ナイル川の下流に位置しています。 **かりょく【火力】**○火の勢い。火のエネルギー。[文例]〈火力が強い>石炭は火力が強いので主として燃料に使われるが、薬品や合成繊維[せんい]などの原料にも利用されている。♠〈火力が弱い〉このコンロはどうも火力が弱くて、炒[いた]め物などもシャキッと仕上がらない。♠〈火力発電>石炭や石油の熱エネルギーを動力に変え、これで電気を発生させるのが火力発電です。 **かりる【借りる】**○返す約束で一時的に譲[ゆず]り受ける。助けを受ける。その機会を利用する。[文例]〈本を借りる〉市の図書館では、一人二冊まで本を借りることができる。♠へ金を借りる〉弟は、どうしても欲しいプラモデルがあると言って、兄からお金を借りた。♠〈家を借りる〉彼は、来月結婚[けつこん]すること、家はもう借りてあることなどを話した。♠へ名を借りる>一人一通だけのクイズに、家族の名も借りて、五通応募[おうぼ]した。♠へ助けを借りる〉文章を読みやすく、分かりやすくするために、いろいろな符号の助けを借りる。♠へ姿を借りる〉助けられたつるは、美しい女の人の姿を借りて、恩返しをしました。♠〈知恵[ちえ]を借りる〉お年寄りの知恵を借りると、生活するうえに大変役立つことが多い。♠く力を借りる>通訳の力を借りずに、外国人と自由に話せるようになりたいなあ。♠へ席を借りる〉この席をお借りして、一言ごあいさつ申し上げます。♠〈人手を借りる〉トロッコは、坂を下りるときには、人手を借りずに走れるので便利だ。♠へ猫[ねこ]の手も借りたいほど〉大勢のお客様で、もう猫の手も借りたいほど忙[いそが]しいわ。♠〈借りてきた猫〉やんちゃな弟が、おじさんの前では、借りてきた猫のようにおとなしい。 **かる【刈る】**○生えしげっている物を切り取る。(毛髪などを)切りそろえる。[文例]〈稲を刈る〉秋になり、田んぼの稲が黄色く実ると、村じゅう総出[そうで]で稲を刈る。♠〈草を刈る〉冬、牧場の牛たちは、夏の間に刈っておいた干し草を食べます。♠〈芝生[しばふ]を刈る〉広い庭の芝生はきれいに刈られ、緑のじゅうたんを敷いたようだ。♠へ髪[かみ]を刈る〉髪がだいぶん伸びてきたので、床屋[とこや]さんで短く刈ってもらった。♠くまいた種は自分で刈る〉「まいた種は自分で刈れ」とは、自分の始末[しまつ]は自分でしろという意味だ。 **かる【駆る】**(駆る)○追い立てる。走らせる。せきたてる。[文例]<馬を駆る>伝令[でんれい]は馬を駆って、その日のうちにとりでに着いた。♠へ余勢[よせい]を駆る〉一回戦に大勝したチームは、その余勢を駆って準決勝まで勝ち進んだ。♠へ義憤[ぎふん]に駆られる〉国王に対して義償に駆られた勇者は、人民のために立ち上がった。♠〈衝動[しょうどう]に駆られる>子供たちは、白い壁に思い切り落書きをする衝動に駆られていた。♠〈不安に駆られる>不安に駆られたわたしは、深夜の町へ飛び出していった。♠〈好奇心[こうきしん]に駆られる〉ぼくは好奇心に駆られて、見せ物小屋の中に足を入れていた。 **かるい【軽い】**○目方が少ない。程度がひどくない。ちょっとした程度である。軽快だ。たやすい。あっさりしている。重要でない。[文例]〈目方が軽い>見た目には重そうだが、実際に計ってみると、その荷物の目方は軽かった。♠〈体が軽い>毎朝、なわとびを続けたせいか、なんだか体が軽く感じられる。♠へ軽いけが〉階段をころげ落ちたが、さいわい軽いけがですんだ。♠〈軽い気持ち〉軽い気持ちで生徒会長に立候補したのに、当選してしまった。さあ、たいへんだぞ。♠〈心・足取りが軽い〉期末テストが済んだので、心も足取りも軽く、家へ帰った。♠〈罪が軽い>自分の罪を軽くするために、共犯者[きょうはんしゃ]をでっちあげるのはよくないよ。♠へ負担[ふたん]が軽い>漢字を学ぶ負担を軽くするために、政府は、昭和二十一年に当用漢字を定めた。♠〈軽くたしなめる〉「大人の話に口を出してはいけません。」と、母に軽くたしなめられた。♠〈軽い優越感[ゆうえつかん]>級友[きゅうゆう]の間で富士山に登ったのはぼくだけなので、軽い優越感を覚えた。♠〈口が軽い〉隣[となり]のおばさんは、うわさ好きで口が軽く、何でもすぐ人にしゃべる。♠へしりが軽い〉彼はしりが軽くて、実行するのははやいが、失敗することも多い。♠へ軽く叩[たた]く〉本屋で漫画[まんが]を立ち読みしていると、通りかかった先生に軽く肩を叩かれた。♠へ軽く食べる〉あまりおなかがすいていなかったので、昼食は、軽くサンドイッチを食べた。♠〈軽く扱う[あつか]う〉いくら手慣[てな]れているからといって、軽く扱ってはいけません。♠へ軽く見る〉人を軽く見る気持ちが彼の態度に表れている。 <214> る。♠〈軽々[かるがる]と抱[だ]く〉おじさんはわたしを軽々[かるがる]と抱[だ]き上[あ]げた。♠〈軽々[かるがる]と弾[ひ]く〉彼女[かのじょ]はピアノに向[む]かうと、難曲[なんきょく]を軽々[かるがる]と弾[ひ]きこなしました。♠〈軽々[かるがる]と持[も]つ〉わたしが動[うご]かそうとしてもびくともしなかった荷物[にもつ]を、彼[かれ]は軽々[かるがる]と持[も]ち上[あ]げた。♠〈軽々[かるがる]した身[み]のこなし〉彼女[かのじょ]の軽々[かるがる]した身[み]のこなしがとてもさわやかで印象的[いんしょうてき]だった。 **かるがるし・い【軽軽しい】** ○軽率[けいそつ]だ。かるはずみだ。[文例]軽々[かるがる]しく、他人[たにん]に対[たい]する批判[ひはん]などをしないようにしたいものです。♠〈軽々[かるがる]しく口[くち]にする〉他人[たにん]の欠点[けってん]を軽々[かるがる]しく口[くち]にしてはいけない。♠〈軽々[かるがる]しく行動[こうどう]する〉今[いま]は軽々[かるがる]しく行動[こうどう]しないで、相手[あいて]の出方[でかた]を待[ま]ったほうがいい。 **かるくち【軽口】** ○軽妙[けいみょう]な話[はなし]。内容[ないよう]のない気楽[きらく]な話[はなし]。よく考[かんが]えずにペラペラしゃべること。また、その人[ひと]。[文例]〈軽口[かるくち]を慎[つつし]む〉横[よこ]から口[くち]をはさまないで。少[すこ]し軽口[かるくち]を慎[つつし]みなさい。♠〈軽口[かるくち]をたたく〉八百屋[やおや]のおじさんは、二言三言[ふたことみこと]軽口[かるくち]をたたくと、また忙[いそが]しげに別[べつ]の客[きゃく]に応対[おうたい]した。 **カルタ(歌留多・骨牌)** ○遊[あそ]びや賭[か]けにに[つか]う小形[こがた]の絵札[えふだ]。[文例]カルタという語[ご]は、室町時代[むろまちじだい]だポルトガルから入[はい]ってきました。♠〈カルタの遊[あそ]び〉いろは四十七文字[よんじゅうしちもじ]を文句[もんく]の初[はじ]めとするカルタの遊[あそ]びは、昔[むかし]からあった正月[しょうがつ]の子供[こども]の遊[あそ]びです。♠〈カルタ取[と]り〉妹[いもうと]は、家族[かぞく]じゅうで一番[いちばん]カルタ取[と]りがうまい。 **カルチャー** ○文化[ぶんか]。教養[きょうよう]。[文例]〈カルチャーショック〉フランスに留学[りゅうがく]したわたしは、日本[にほん]との国民性[こくみんせい]の相違[そうい]にカルチャーショックを受[う]けた。♠〈カルチャーセンター〉母[はは]は、カルチャーセンターに通[かよ]って、水彩画[すいさいが]を習[なら]っています。 **カルテ** ○患者[かんじゃ]の病状[びょうじょう]を書[か]き込[こ]むカード。[文例]〈カルテに書[か]き入[い]れる〉お医者[いしゃ]さんは診察[しんさつ]を終[お]えると、症状[しょうじょう]をカルテに書[か]き入[い]れました。♠〈患者[かんじゃ]のカルテ〉病院[びょういん]では、診察[しんさつ]した患者[かんじゃ]のカルテを大切[たいせつ]に保存[ほぞん]しています。 **かるはずみ【軽はずみ】** ○深[ふか]く考[かんが]えずに行動[こうどう]するさま。軽率[けいそつ]。[文例]〈軽[かる]はずみな行動[こうどう]〉修学旅行中[しゅうがくりょこうちゅう]は規則[きそく]をよく守[まも]って、軽[かる]はずみな行動[こうどう]をしないように、と注意[ちゅうい]があった。♠〈軽[かる]はずみな発言[はつげん]〉この件[けん]については、軽[かる]はずみな発言[はつげん]は慎[つつし]みたいと思[おも]います。 **かるわざ【軽業】** ○曲芸[きょくげい]。離[はな]れわざ。[文例]〈軽業[かるわざ]を演[えん]じる〉サーカスの少女[しょうじょ]が綱渡[つなわ]りや玉乗[たまの]りの軽業[かるわざ]を演[えん]じると、子供[こども]たちはもう大喜[おおよろこ]びです。♠〈軽業師[かるわざし]〉彼[かれ]は、まるで軽業師[かるわざし]のように身軽[みがる]に木[き]から木[き]へと飛[と]び移[うつ]った。 **かれ【彼】** ○話[はな]し手[て]・聞[き]き手[て]以外[いがい]の男性[だんせい]を指[さ]す語[ご]。あの男[おとこ]。好[す]きな男性[だんせい]。恋人[こいびと]。[文例]初[はじ]めて漁[りょう]に出[で]た時[とき]、彼[かれ]はまだ十歳[じっさい]の少年[しょうねん]だった。♠〈わたしのかれ〉わたしのかれは、快活[かいかつ]でまじめで、町内[ちょうない]の人気者[にんきもの]です。♠〈彼[かれ]ができる〉姉[あね]に彼[かれ]ができたようで、このごろよく休日[きゅうじつ]におしゃれをして外出[がいしゅつ]するようになった。 **かれい【華麗】** ○はなやかで美[うつく]しいさま。[文例]〈華麗[かれい]なファッション〉華麗[かれい]なファッションに、会場[かいじょう]に集[あつ]まった女性[じょせい]たちの間[あいだ]からため息[いき]がもれた。♠〈華麗[かれい]な舞踏会[ぶとうかい]〉宮殿[きゅうでん]の大広間[おおひろま]では、夜[よ]ごと華麗[かれい]な舞踏会[ぶとうかい]が繰[く]り広[ひろ]げられた。♠〈華麗[かれい]に着飾[きかざ]る〉イギリスの競馬場[けいばじょう]は一種[いっしゅ]の社交場[しゃこうば]で、華麗[かれい]に着飾[きかざ]った女性[じょせい]たちも優雅[ゆうが]に競馬[けいば]を楽[たの]しみます。 **かれき【枯れ木】** ○枯[か]れた木[き]。[文例]〈枯[か]れ木[き]に花[はな]〉わしももう年[とし]じゃ、枯[か]れ木[き]に花[はな]は咲[さ]くまい。♠〈枯[か]れ木[き]も山[やま]のにぎわい〉息子[むすこ]の高校[こうこう]の文化祭[ぶんかさい]に、枯[か]れ木[き]も山[やま]のにぎわいとかで、家族全員[かぞくぜんいん]がひっぱり出[だ]されました。 **がれき(瓦礫)** ○かわらや小石[こいし]。建物[たてもの]の残骸[ざんがい]。[文例]〈がれきの山[やま]〉敵機[てっき]の攻撃[こうげき]を受[う]けた町[まち]は、一夜[いちや]にしてがれきの山[やま]と化[か]していた。♠〈がれきと化[か]す〉焼[や]け出[だ]された人々[ひとびと]は、焼[や]け焦[こ]げのぼろをまとい、疲[つか]れ果[は]てた表情[ひょうじょう]でがれきと化[か]した町[まち]を歩[ある]いていた。♠〈がれきの街[まち]〉さえぎるものとてないがれきの街[まち]に、真夏[まなつ]の太陽[たいよう]はぎらぎらと照[て]りつけていた。♠〈がれきの山[やま]を築[きず]く〉ついに評価[ひょうか]されずに終[お]わったこの彫刻家[ちょうこくか]は、一生[いっしょう]かかって、がれきの山[やま]を築[きず]いただけだったのだろうか。 **かれこれ(彼此)** ○あれやこれ。なんのかの。とやかく。やがて。おおよそ。[文例]〈かれこれ一年[いちねん]〉きみとこの前[まえ]会[あ]ってから、もうかれこれ一年[いちねん]になるだろうか。♠〈かれこれ三[さん]キロ〉寂[さび]しい山道[やまみち]をかれこれ三[さん]キロも歩[ある]いたころ、一軒[いっけん]の農家[のうか]が目[め]に入[はい]った。♠〈かれこれする〉一時間前[いちじかんまえ]に駅[えき]に着[つ]いたが、かれこれしているうちに、汽車[きしゃ]の出発時刻[しゅっぱつじこく]になった。♠〈かれこれ言[い]う〉試験[しけん]の日程[にってい]をかれこれ言[い]っている暇[ひま]があるのなら、さっさと勉強[べんきょう]しなさい。 **かれの【枯れ野】** ○草木[くさき]の枯[か]れた野[の]。[文例]夏[なつ]の間[あいだ]あれほど旺盛[おうせい]だった草[くさ]たちもすっかり勢[いきお]いを失[うしな]い、ものさびしい枯[か]れ野[の]の風景[ふうけい]に変[か]わっていた。♠旅[たび]に病[や]んで夢[ゆめ]は枯野[かれのをかけめぐる(松尾芭蕉[まつおばしょう]) **かれは【枯れ葉】** ○枯[か]れた草木[くさき]の葉[は]。[文例]〈枯[か]れ葉[は]が散[ち]る〉木々[きぎ]は、冷[つめ]たい北風[きたかぜ]に枯[か]れ葉[は]を散[ち]らせて立[た]っていた。♠〈枯[か]れ葉[は]が舞[ま]う〉木枯[こが]らしに枯[か]れ葉[は]の舞[ま]う舗道[ほどう]を、一人[ひとり]泣[な]きながら歩[ある]きました。 **か・れる【枯れる】** (涸れる・嗄れる) ○水[みず]が乾[かわ]いてなくなる。干上[ひあ]がる。草木[くさき]が死[し]ぬ。水分[すいぶん]が失[うしな]われて生気[せいき]がなくなる。渋[しぶ]く深[ふか]い味[あじ]わいがが[せい]じる。物事[ものごと]が尽[つ]きる。声[こえ]がかすれる。[文例]〈水[みず]がかれる〉日[ひ]ごろは水[みず]がかれている場所[ばしょ]に、雨[あめ]が降[ふ]ると、見事[みごと]な滝[たき]が見[み]られた。♠〈井戸[いど]がかれる〉昔[むかし]、この地方[ちほう]では大地震[おおじしん]のため、井戸[いど]がかれたり、用水路[ようすいろ]の水[みず]が逆流[ぎゃくりゅう]したりしたそうだ。♠〈涙[なみだ]がかれる〉息子[むすこ]を亡[な]くした悲[かな]しみで、母親[ははおや]の涙[なみだ]もかれてしまった。♠〈木[き]が枯[か]れる〉キクイムシの大発生[だいかっせい]で、森[もり]の木[き]は次々[つぎつぎ]と枯[か]れてしまった。♠〈作物[さくもつ]が枯[か]れる〉銅山[どうざん]が流[なが]す鉱毒[こうどく]のため、川[かわ]の魚[さかな]が死[し]に、流域[りゅういき]の畑[はたけ]の作物[さくもつ]も枯[か]れた。♠〈人間[にんげん]が枯[か]れる〉あのかみなりおやじも、年[とし]を取[と]ってすっかり人間[にんげん]が枯[か]れた。♠〈枯[か]れた芸[げい]〉あの役者[やくしゃ]は、年[とし]を取[と]るにつれ、渋[しぶ]い味[あじ]のある枯[か]れた芸[げい]を見[み]せるようになった。♠〈鉱脈[こうみゃく]がかれる〉あの鉱山[こうざん]も、鉱脈[こうみゃく]がかれてきたので、いずれ廃坑[はいこう]になるらしい。♠〈資金源[しきんげん]がかれる〉市[し]の財政[ざいせい]の赤字[あかじ]で、下水道工事[げすいどうこうじ]の資金源[しきんげん]がかれてきた。♠〈才能[さいのう]がかれる〉わたしの才能[さいのう]はもうかれてしまったのか、最近[さいきん]はまったく曲[きょく]ができなくなった。♠〈声[こえ]がかれる〉大声[おおごえ]を出[だ]して味方[みかた]チームの応援[おうえん]をしたので、すっかり声[こえ]がかれてしまった。 <215> **かわいらしい(可愛らしい)**○かわいい。愛[あい]らしい。小さい。[文例]へかわいらしい子猫〉まあこの子猫たち、なんて小さくてかわいらしいんでしょう。♠へかわいらしいリボン〉わたしは、髪にかわいらしいリボンを結[むす]んでもらって、うれしくてたまらなかった。♠へかわいらしいつぼみ〉いつのまにか春になり、梅の小枝[こえだ]も小さなつぼみをかわいらしくふくらませていた。 **かれん(可憐)**○いじらしく、かわいらしいさま。[文例]〈可憐な少女〉それは野に咲くすみれのように、清楚[せいそ]で可憐な少女でした。♠〈可憐な花びら>雪は、空から降ってくる可憐な花びらにたとえることができる。 **カレンダー**○こよみ。[文例]電話をしながら、壁にはったカレンダーに忙[いそが]しく目をやった。♠今年の飛[と]び石[いし]連休[れんきゅう]の期間は、カレンダーどおりに営業いたします。 **かろう【過労】**○過度の疲労。疲れ過ぎ。[文例]〈過労がたたる〉過労がたたって、父はどっと寝込[ねこ]んでしまった。♠へ過労に陥[おちい]る>無理をして家事と仕事を両立させてきた妻は、知らぬまに過労に陥っていたのだろう。 **かろうじて【辛うじて】**○やっとのことで。ようやく。からくも。[文例]かろうじて落第だけはまぬがれたものの、ひどい成績であった。♠徹夜[てつや]で卒業論文を書き上げ、かろうじて締め切りに間に合った。♠青くこけむした墓石[ぼせき]からは、かろうじて祖父の名だけが読み取れた。 **かろやか【軽やか】**○軽快なさま。かるやか。[文例]〈軽やかな身のこなし〉風のように軽やかな少女の身のこなしは、わたしの心をひきつけずにはおかなかった。♠へ足どりが軽やか〉口笛[くちぶえ]とともに足どりも軽やかに入って来たのは、若い叔父[おじ]のジョージだった。♠へ軽やかに〜する〉フロアでは若い男女が音楽に合わせて軽やかにステップを踏んでいた。 **かろんじる【軽んじる】**○軽く見る。軽視する。あなどる。[文例]〈命を軽んじる〉一つしかない大切な命を軽んじるようなことがあってはならない。♠〈人に軽んじられる〉彼は中途入社[ちゅうとにゅうしゃ]であったために、社内ではどこか軽んじられているところがあった。 **かわ【皮・革】**○動植物の表面をおおう皮膚[ひふ]や表皮[ひょうひ]。獣[けもの]の皮をなめしたもの。中身を包むもの。[文例]〈木の皮・獣の皮〉昔は、木で骨組みを作り、それに木の皮や獣の皮を張って、船を作ることもあった。♠へみかんの皮〉〈皮をむく〉みかんの皮をむくと、つめが黄[き]に染[そ]まり、かぐわしい香りがする。♠〈手の皮〉〈皮がむける〉砂利道[じゃりみち]で転んだら、手のひらの皮が少しむけて、ひりひりする。♠へ竹の皮〉祖母は、大きな握[にぎ]り飯[めし]と手作りのたくあんを、竹の皮に包んでくれた。♠へ皮をなめす〉わにの皮をなめして作った高級なハンドバッグを、いつか母にプレゼントしたい。♠へまんじゅうの皮〉大きなまんじゅうの皮の下には、甘[あま]いあんこがたっぷり入っている。♠へ人間の皮をかぶる〉極悪非道[ごくあくひどう]のこの男は、まさに人間の皮をかぶった獣だ。♠へ化[ば]けの皮をはぐ〉羊になりすましたおおかみは、化けの皮をはがれると、一目散[いちもくさん]に逃げだした。♠へうその皮をひんむく〉あの男のうその皮をひんむいてやりたいが、なかなかしっぽをつかませない。♠へ面の皮が厚い〉初対面の人にあんまりなれなれしくすると、面の皮の厚い人間だと思われるよ。♠へいい面の皮〉きみだけいい子になって、ぼくこそいい面の皮だ。♠へ革のむち>猛獣使[もうじゅうつか]いが革のむちを振ると、三頭のトラは次々と、燃える火の輪をくぐりぬけた。♠〈革のトランク>寅次郎[とらじろう]おじさんは、古い革のトランクがお気に入りで、旅行の時には、これ以外のものは持って行ったことがない。 **かわ【川・河】**○大地を流れる水の流れ。[文例]〈小さな川〉〈大きな河〉山奥[やまおく]に源[みなもと]を発した谷川や小さな川が集まって、大きな河となり、海に注ぐ。♠〈大きい川「川」は大きくても小さくても使うが、「河」は主[おも]に大きい川に使う。♠〈川の流域[りゅういき]〉この川の流域には、広大な水田地帯が広がっている。♠〈川に沿[そ]う〉〈川をさかのぼる〉この川に沿ってさかのぼると、山あいの小さな湖に至る。♠ヘ川を治[おさ]める〉堤防[ていぼう]は、川を利用して生きねばならない人間が川を治めるための、知恵[ちえ]の産物[さんぶつ]だ。♠ヘ川が流れる〉町を流れる川が、人々の気持ちを海の方へ開かせてくれるのでした。♠〈川を上る。下る〉昔、この広い川は、大小の船が上ったり、下ったりしてにぎわっていたそうだ。♠〈川を渡る〉川をはさんで住む祖母の家へ行くのには、渡し船で渡ります。♠〈三途[さんず]の川〉三途の川は、死んだ人がめい土へ行くのに渡るとされています。♠ヘ川の字に寝る>親子三人が川の字に寝るというのは、家庭のささやかな幸福を象徴[しょうちょう]した言葉だ。♠夏の河赤き鉄鎖[てっさ]のはし浸[ひた]る(山口誓子[やまぐちせいし]) **がわ(側)**○そば。かたわら。あるものの一方。一面。とりまくもの。[文例]〈生徒のがわ〉先生はいつも生徒のがわに立って、親身[しんみ]に相談にのった。♠◇従業員側〉工場にも言い分はあったろうが、従業員側の主張に正当性が認められた。♠〈向こう側>横断歩道を向こう側に渡り終えたとき、路地[ろじ]から急に自転車が走り出てきた。♠へふとんのがわ〉ふとんのがわをはいで洗い張りし、綿は打ち直しに出した。 **かわいい(可愛い)**○愛らしい。かわいらしい。小さい。[文例]〈かわいい花>早春[そうしゅん]の山道で、かわいいすみれの花が咲いているのを見つけた。♠へしぐさがかわいい>赤ちゃんの無心なしぐさは、とてもかわいいと思う。♠へばかな子ほどかわいいとばかな子ほどかわいい」というから、両親にとっては、ぼくがいちばんかわいいはずだ。♠へかわいい子には旅をさせよ〉「かわいい子には旅をさせよ」と言うくらいで、子供には他人の中で厳しい修業[しゅぎょう]をさせることも必要だ。 **かわいがる(可愛がる)**○かわいく感じて大切にする。厳しく扱う。[文例]叔父[おじ]夫婦は子供がいなかったので、わたしをわが子のようにかわいがってくれました。♠祖父は待望[たいぼう]の初孫[はつまご]を、目の中に入れても痛くないほどかわいがった。♠あいつ、最近生意気だなあ、いっちょうかわいがってやるか。 **かわいそう(可哀想)**○あわれなさま。気の毒なさま。[文例]〈かわいそうな子〉なんてかわいそうな子なんだろう、両親を一度に亡[な]くすなんて。♠ヘ犬がかわいそう〉扱[あつか]いに困るとすぐ捨てるなんて、犬がかわいそうじゃないか。♠へかわいそうに〉かわいそうに、内気な娘[むすめ]は、からかわれてうつむいてしまった。♠へかわいそうなやつ〉酒びたりの生活で、家族に逃げられたとは、かわいそうなやつだ! <216> **かわる【変わる・代わる・替わる・換わる】**○変化する。差異[さい]ができる。改まる。かわりをする。交代する。別のものととりかわる。[文例]へさなぎに変わる〉今朝見たら、蚕[かいこ]の幼虫は、さなぎに変わっていた。♠へ〜から〜に変わる〉工場や家庭で使う燃料は、以前の石炭から石油に変わってきた。♠へ人が変わる>久しぶりに会っためいは、すっかり人が変わったように、明るく美しい少女に成長していた。♠へ気が変わる>姉は移り気で、まるで猫[ねこ]の目のようによく気が変わる。♠◇天気が変わる>「女(男)心と秋の空」は、秋の天気がよく変わるように、人の心も変わりやすいことのたとえだ。♠〈風向きが変わる〉今日は風向きが変わってぼくにやつあたりですか。きみって気まぐれな人ですね。♠へ世の中が変わる〉世の中がめまぐるしく変わるので、年寄りのわたしにはついていけないよ。♠へ昔と変わる〉古文の中の言葉には、今も昔と変わらずに使われているものもかなりある。♠〈態度が変わる>子供だとばかにしたのか、店の人の態度ががらりと変わり、横柄[おうへい]になった。♠へ変わったこと〉ぼくは相変わらずですが、きみのほうは、何か変わったことはありませんか。♠へ変わった人〉あいつは、いっぷう変わっているが、憎[にく]めない男だ。♠へ父に代わる>今夜の町内の集まりには、病気の父に代わって兄が出席した。♠ヘ一同に代わる〉本日はお忙[いそが]しいところをありがとうございました。一同に代わりましてお礼申し上げます。♠へ運転を代わる〉一人では疲れるので、途中からだれか運転を代わってくれないか。♠〈大統領が代わる〉近々[ちかぢか]、この国の大統領が代わるそうだが、次はだれが有力なのだろう。♠〈席を換わる〉恐れ入りますが、ちょっと席を換わっていただけないでしょうか。♠へ〜が〜に換わる〉戦争中は食糧難[しょくりょうなん]で、衣類や家財道具が全部お米に換わってしまったよ。 **かわかす【乾かす】**○水分を蒸発[じょうはつ]させる。湿気[しっけ]をなくする。[文例]〈服を乾かす〉早く火のそばに行って、ぬれた服を乾かすといい。♠〈洗濯物[せんたくもの]を乾かす〉冬の間は雪に閉じこめられてしまうので、洗濯物もストーブで乾かすことになる。 **かわき【乾き・渇き】**○乾燥[かんそう]すること。のどがかわくこと。足りないものを切に求めること。[文例]〈乾きが早い〉今日は風があって湿度も低いので、洗濯物の乾きが早い。♠く乾きがいい〉このポリエステルのシャツは乾きがいいから、旅行先などでも簡単に洗えます。♠へのどの渇き〉汗をぬぐい、焼けつくようなのどの渇きにあえぎながら歩き通した。♠〈心の渇き〉〈渇きをいやす〉唯一[ゆいいつ]音楽だけが、心の渇きをいやしてくれる友であった。 **かわきり【皮切り】**○物事をやり始めること。し始め。手始め。[文例]この事件を皮切りに、全国で同じような事件が次々と起こった。♠わたしの話を皮切りとして次々に会員の体験談が披露[ひろう]された。 **かわく【乾く・渇く】**○水分が蒸発する。湿気がなくなる。水が飲みたくなる。うるおいやしっとりした感じがなくなる。うるおいを求める。[文例]〈物が乾く〉今日は、よく晴れて風も強いので、洗たく物がもう乾いた。♠◇汗が乾く>当地の夏はからっとしていて、汗が出てもすぐ乾くので、比較的[ひかくてき]快適です。♠ヘペンキが乾く〉このベンチは、まだペンキ塗りたてで乾いていませんから、座らないでください。♠〈空気が乾く〉このところ、空気が乾いておりますから火の元には十分注意してください。♠く乾いた風〉湿気の少ない乾いた風が吹くと、夏でも割合にしのぎやすいものだ。♠へ鼻が乾く〉小犬のクロは、鼻が乾いて、なんだか元気がない。♠〈乾いた音〉庭の枯れすすきがさらさらと乾いた音をたてている。♠へ涙が乾く〉彼女は不幸続きで、この数年、涙の乾く暇[ひま]もない。♠へ心が渇く〉コンクリートで固められた緑のない都会では、住む人の心まで渇くような気がする。♠へのどが渇く〉のどが渇いていたので、谷川の水がとてもおいしかった。♠へ愛・音楽・遊びに渇く>戦場でさんだ兵士たちの心は、愛や音楽や遊びに渇ききっていた。 **かわざんよう【皮算用】**○まだ手に入らないうちから、あてにすること。[文例]〈皮算用をする〉林へ出かける前に、ぼくたちは取れるかどうかもわからないカブト虫の分配について、あれこれ皮算用をした。♠へ取らぬたぬきの皮算用〉アルバイトをして新しい自転車を買うつもりだけれど、取らぬたぬきの皮算用だからあてにはならない。 **かわす【交わす】**(躱す)○やりとりする。まじえる。体を動かしてよける。避ける。[文例]〈言葉を交わす〉小学校時代いつもクラスが違[ちが]ったので、彼とは、一度も言葉を交わしたことがなかった。♠〈あいさつを交わす>買い物の帰り、母は近所の人と会うと、笑顔であいさつを交わしている。♠〈心を交わす〉この作品は、旅の学生と踊り子の間に交わされる心の触れ合いを描[えが]いたものだ。♠〈約束を交わす〉「きっと会おう。」と、固い約束を交わした二人は、十年後、その言葉どおり再会を果たした。♠へ合図を交わす〉わたしが近づくと、級友たちは、意味ありげに目で合図を交わし、黙[だま]ってしまった。♠へ握手[あくしゅ]を交わす>外国の友人を空港に送り、再会を誓[ちか]って固い握手を交わした。♠へ身をかわす〉つかまえたと思ったとたん、さるは、ひらりと身をかわして、別の枝に飛び移っていた。♠〈追及[ついきゅう]をかわす>警察の厳しい追及をかわすと、犯人は、国外に脱出[だっしゅつ]した。♠〈取り交わす〉ようやく手ごろな家が見つかって、売買[ばいばい]の契約[けいやく]を取り交わす段取りになった。♠へくみ交わす〉父は、久しぶりに訪[たず]ねてきたおじと、酒をくみ交わしながら、話がはずんでいる。 **かわら【河原・川原】**○川べの、砂や小石の原。[文例]わたしたちは、河原で弁当を広げたり、きれいな石を見つけたりして、楽しく過ごしました。♠夜になると、河原の草むらでは虫の声がやかましいほどであった。♠河原で花火が打ち上げられると、色とりどりの火が川面[かわも]に映[うつ]って、それは美しかった。 **かわりだね【変わり種】**○他と変わった種類。変種。変わり者。[文例]この年六匹の子豚[こぶた]が生まれたが、中に一匹変わり種があった。♠彼は、研究者の中でもちょっと変わり種の部類に属するようだね。♠彼は、医学部を卒業しながら教師になった変わり種だ。 <217> がらりと変わり、横柄[おうへい]になった。●へ変わったこと〉ぼくは相変わらずですが、きみのほうは、何か変わったことはありませんか。へ変わった人〉あいつは、いっぷう変わっているが、憎[にく]めない男だ。●へ父に代わる今夜の町内の集まりには、病気の父に代わって兄が出席した。◆ヘ一同に代わる〉本日はお忙[いそが]しいところをありがとうございました。一同に代わりましてお礼申し上げます。●へ運転を代わる〉一人では疲[つか]れるので、途中[とちゅう]からだれか運転を代わってくれないか。●〈大統領が代わる〉近々、この国の大統領が代わるそうだが、次はだれが有力なのだろう。●〈席を換わる〉恐れいりますが、ちょっと席を換わっていただけないでしょうか。●へ~が~に換わる〉戦争中は食糧難[しょくりよう]で、衣類や家財道具が全部お米に換わってしまったよ。 **かん【間】** ○空間的・時間的なあいだ。物事のあいだ。[文例]〈その間〉友人がこんなに苦しんでいたというのに、その間あなたは何をしていたのですか。●〈新橋・横浜間>日本で初めての鉄道は、新橋・横浜間に敷設[ふせつ]された。◆◇日米間>農産物の自由化について、日米間で協議が行われた。●間一髪>突然の雪崩[なだれ]だったが、我々は間一髪[かんいっぱつ]のところで無事だった。●〈間髪をいれず〉工場火災発生と同時に、間髪をいれず消火活動が開始された。 **かん【感】** ○心の動き。感じること。感じ。思い。[文例]〈別天地の感>東京の混雑と猛暑[もうしよ]を思うと、ここは全く別天地の感がある。へ今昔[こんじゃく]の感〉二十年ぶりの故郷はすっかり開発が進んでいて、今昔の感を禁じえなかった。●へ隔世[かくせい]の感〉電気もない山奥[やまおく]で育った祖父は、月へ行ける世の中になって、隔世の感に打たれるという。●へ感きわまる〉ついに感きわまって、こらえていた涙がせきを切ったようにあふれ出した。●不快感〉食べすぎたせいか、朝から胃に不快感がある。 **かん【勘】** ○直観的に判断したり、見抜いたりする力。[文例]〈勘が鋭い〉姉は、勘が鋭[するど]く、黙っていても、「何か悪いことしたでしょ。」と、すぐ当てる。●へ勘を働かす〉〈勘がよい。悪い〉この犬も、小さいころから勘を働かすように訓練されたら、もう少し勘がよくなったかも。●へ勘で分かる>子供が隠しごとをしていても、母親には、勘で分かるものだ。〈勘が鈍[にぶ]い>ぼくは勘が鈍いから、テストの問題のやまをかけても、ほとんど当たらない。●へ勘が鈍る「年を取って勘が鈍っちゃおしまいさ。」と、つかまった老スリがつぶやいた。へ勘がものをいう〉道に迷ったようなとき、勘が大いにものをいう場合があります。●〈勘が当たる〉勘がピタリと当たって、今日は大漁だった。●〈勘が働く〉最近は勘が働かなくなったと、父がこぼしている。●〈勘に頼[たよ]る>科学的な捜査技術が発達した今日[こんにち]でも、刑事[けいじ]の勘に頼る部分もかなり多いそうだ。 **かん(癇)】** ○神経が高ぶること。怒りやすい性質。[文例]〈癇に障[さわ]る〉いったん仲がこじれたとなると、隣家[りんか]の飼う犬の鳴き声まで癇に障って仕方がない。●へ癇が高ぶる>癇が高ぶっているようだから、祖母には逆らわないほうがいい。 **がん(癌)】** ○悪性の腫瘍[しゅよう]。障害となっているもの。[文例]がんの制圧>世界中の研究者ががんの制圧を目指して日夜努力を続けているのです。●〈最大のがん〉入試制度というのが、現代の教育問題における最大のがんだね。 **かん(燗)】** ○酒を温めること。[文例]〈酒の燗〉〈燗をする>母は座敷の方には出ずに、台所で酒の燗をしていた。●へ燗をつける〉今夜は冷えるなあ、おい、一本燗をつけてくれ。〈お燗する〉冷やでいいですか、それともお燗しましょうか。 **かん【観】** ○見かけの感じ。物事の見方。考え方。[文例]〈別人の観〉〈観がする〉すっかり元気になった彼は、悩みぬいていたあのころに比べると、まるで別人の観がする。●へ観がある・ない〉少々軽率の観がないでもないが、今回のきみの行動は褒[ほ]めておこう。●へ〜の観を抱[いだ]く〉事態は好転するかの観を抱かせたが、現実は厳しいものだった。●へ人生観〉この文章から筆者の人生観を読み取りましょう。 **かん【寒】** ○暦[こよみ]の上での、小寒と大寒。冬の寒さ。[例]〈寒の入り〉今日は暦の上では寒の入りですが、春を思わせる暖かさとなりました。●〈寒が明ける>当地は、冬、寒が明けるまでは零下[れいか]十何度という寒さが続きます。●〈寒の戻り〉寒の戻りでぐっと冷え込み、ふくらみかけた梅のつぼみも心なしかしおれているようです。 **かん【閑】** ○静かなこと。ひまなこと。[文例]〈ひっそり閑>住人たちはもう引っ越してしまったあとらしく、ひっそり閑と静まり返っている。●へ忙中閑[ぼうちゅうかん]あり〉忙中閑あり、半日を庭に来た子猫[こねこ]と遊ぶ。 **かんあん【勘案】** ○考えること。考え合わせること。[文例]〈事情を勘案する〉この度の複雑な事情を勘案して、今回は祝賀会はなしで式典だけをとり行うことになった。へ勘案する>第三者的立場から勘案しますに、双方[そうほう]にそれなりの正当性が認められます。 **かんい【簡易】** ○手軽で使いやすいさま。[文例]〈簡易な形〉評判の大辞典を簡易な形にしたものが出版されるらしい。●〈簡易にする〉複雑な字形の漢字を簡易にする目的で、当用漢字字体表が作られた。●〈簡易食堂>昼は駅前の簡易食堂でラーメンをすすった。 **かんいん(姦淫)】** ○不道徳な肉体関係。[文例]どの民族も、歴史的に見ると、正式な婚姻[こんいん]によらぬ姦淫をタブーとしているようだ。●<姦淫する〉モーゼの十戒[じっかい]に、「汝[なんじ]姦淫するなかれ。」とある。 **かんか【感化】** ○よい影響を与えて変えること。よい影響を受けて変わること。[文例]〈感化を与える>先生の身の回りには、人に感化を与えずにおかない穏[おだ]やかな優しさが漂[ただよ]っていた。●へ感化を受ける〉あの不良少年も、中学の時の先生に感化を受けて、次第に立ち直っていった。●へ感化する〉あの堅物[かたぶつ]の彼女まで周りに感化されて、このごろすごくおしゃれになったのよ。 **かんか【看過】** ○見すごすこと。見のがすこと。[文例]】<看過する>学校としては、生徒たちのかってな行動をこのまま看過するわけにはいかない。●〈看過する〉わたしは、彼女の病状のどんな小さな変化をも看過すまいと決心していた。 <218> **かんが【閑雅】**○もの静かで、おもむきのあるさま。[文例]〈閑雅なたたずまい〉そこは、都心[としん]の雑踏[ざっとう]から隔[へだ]てられた、閑雅なたたずまいの日本庭園になっていた。♠く閑雅な世界〉御所を拝見し、しばし宮廷[きゅうてい]文学の閑雅な世界に遊ぶ心地がいたしました。♠私はゆったりとふおうくを取って/おむれつふらいの類を食べた。/空には白い雲が浮んで/たいそう閑雅な食慾[しょくよく]である。(萩原朔太郎[はぎわらさくたろう]「閑雅な食慾」部分) **がんか【眼下】**○見下ろした時の視野。[文例]丘に登ると、眼下には青い海が広がっていた。♠〈眼下の大地>眼下の大地は、見渡す限り、死者と負傷者におおわれていた。♠へ眼下に見下ろす〉デパートの屋上にのぼり、眼下に街を見下ろすと、全体が箱庭[はこにわ]のように美しかった。♠〈眼下に一望する〉その場所からは眼下に海を一望でき、後ろにはなだらかな台地が続いていた。♠〈眼下に広がる〉山の頂上に登り、そこから眼下に広がる広大な風景をながめると、日ごろのもやもやもふきとんでしまった。 **かんかい【感懐】**○心にいだく思い。[文例]〈しみじみとした感懐〉しみじみとした感懐を胸に、二十年ぶりのなつかしいふるさとを後にした。♠へ感懐をしたためる〉これは、今日の良き日を迎えての感懐を、つたないながら和歌にしたためたものです。 **かんがい【感慨】**○心に深く感じること。[文例]〈感慨にふける〉少年は、海の見える丘に立って、遠い故国[ここく]を思い、独り感慨にふけった。♠へ感慨をかみしめる〉美しい花嫁姿[はなよめすがた]に、父親は、感慨をかみしめながら、娘の幸せを祈った。♠へ感慨にひたる>馬車馬[ばしゃうま]のように働いたこの十年間は、ふりかえって感慨にひたる暇[ひま]もなかった。♠へ感慨をこめる〉中学生活三年間の感慨をこめて、卒業文集に詩を書いた。♠〈感慨がわく〉八月十五日は、戦争を経験した日本人には特別な感慨のわく日である。♠〈感慨深い〉「ぼくがあの時のいたずら坊主[ぼうず]です。」と言うと、その人は感慨深そうにじっとぽくを見つめた。♠〈感慨無量[むりょう]>二十年ぶりに帰ったふるさとの町は、昔のままで、感慨無量だった。 **かんがい(灌漑)**○田畑に水を引くこと。[文例]〈灌漑を行う・する〉砂漠[さばく]に灌漑を行って緑の農地によみがえらせる実験が始まった。♠へ灌漑用水〉この地方は雨量が少なく、農業にとってまず灌漑用水を引くことが必須[ひっす]条件です。 **かんがえ【考え】**○頭を働かせること。また、そうして浮かんだ内容。[文例]〈考えを述べる>自分の考えは、できるだけ易[やさ]しい言葉で、相手に分かりやすく述べるようにする。♠〈とりとめのない考え〉〈考えが浮かぶ〉夜、眠れずにやみを見つめていると、とりとめのない考えが浮かんでくる。♠〈考えをまとめる〉夏休みの子供会の行事について、めいめいの考えをまとめた結果、ラジオ体操に決まった。♠へいい考え〉〈考えがひらめく〉とつぜん、ぼくの頭に、稲妻[いなずま]のようにいい考えがひらめいた。♠く考えを深める〉これからいろいろ経験を積んで、自分の考えを深めていきたい。♠く考えが浸透[しんとう]する>住民たちの間には、自然の環境を守ろうという考えが深く浸透していた。♠〈考えを整理する〉論理的文章を書くときは、まず、自分の考えを整理し、どう組み立てていくかを考えます。♠〈考えが幼[おさな]い〉今考えてみると、そのころのわたしの考えはまだ幼かった。♠〈深い考え〉彼は深い考えもなしに、自分が見たことを周囲にしゃべりまわった。♠〈考えが浅い〉それで万事うまくいくと思ったのは、いかにも考えが浅かったね。♠へ甘[あま]い考え〉いずれどうにかなるだろうという甘い考えでは、事態は決して良くならないだろう。♠へ考えがある〉どうしても言うことが聞けないというのなら、こちらにも考えがあるぞ。♠〈下手の考え休むに似たり〉早く次の手を打て。「下手の考え、休むに似たり」だぞ。 **かんがえる【考える】**○頭を働かせる。思いをめぐらす。判断する。[文例]<問題を考える>頭が痛くなるほど考えたが、その問題は解けなかった。♠〈生活を考える〉彼は、赤十字の仕事にすべてを打ちこみ、自分の生活のことはほとんど考えなかった。♠へ打つ手を考える〉会社の経営が危なくなったので、次々に打つ手を考えたが、結局だめだった。♠〈いろいろな角度から考える〉一方的に悪いと決めつけないで、いろいろな角度から考えてみようよ。♠へふりかえって考える〉十年一昔[ひとむかし]というが、ふりかえって考えてみれば、あっというまだった。♠〈夢にも考えない〉カンニングをしてまで良い成績をとろうなどとは、夢にも考えたことがない。♠〈人間は考える葦[あし]〉人間は、考えることをとったら、何も残らない弱い生き物なので、「人間は考える葦である」という。 **かんかく【感覚】**○外部からの刺激[しげき]を受け取る働き。また、その刺激から受ける感じ。ものの感じ方。外界のとらえ方。[文例]〈感覚が鋭[するど]い〉犬は、においに対する感覚が鋭いので、鼻で人をかぎ分けます。♠へ感覚がなくなる〉冷たい谷川の水で、野菜を洗ったら、しびれて手の感覚がなくなった。♠〈感覚が麻痺[まひ]する〉ぼくたちはぜいたくに慣れて、欠乏[けつぼう]や飢[う]えに対する感覚が麻痺してはいないだろうか。♠〈新鮮な感覚>川端康成[かわばたやすなり]は、近代的な思想や感情を新鮮な感覚で表現し、ノーベル文学賞を得た。♠〈感覚が古い〉ポシェットを「きんちゃく」だなんて、おばあちゃんの感覚は古いね。♠〈豊かな感覚〉〈感覚が鈍る>若いころは、豊かな感覚をもった画家だったが、年を取ってその感覚も鈍ったのか、最近は平凡[へいぼん]な絵をかく。♠〈美的感覚〉〈感覚を養[やしな]う〉きみはもっと、美的感覚を養う必要があるね。♠〈感覚を磨[みが]く〉多くの名作を読んで感覚を磨き、心を豊かにしよう。♠〈感覚的〉「美しい」「かわいい」などというのは、理くつではなく、ものごとを感覚的にとらえた表現だ。 **かんかく【間隔】**○空間的・時間的な隔[へだ]たり。物事の隔たり。あいだ。[文例]〈物と物の間隔〉かきの木と二階の窓との間隔は一メートル以上あり、手を伸ばしたくらいでは実はとれない。♠へ間隔を置く〉第一班がキャンプを出発したら、適当な間隔を置いて、第二班・第三班が出発するように。♠〈一定の間隔〉〈間隔をあける〉朝顔の種は、十センチぐらいの一定の間隔をあけて、花壇にまいてごらん。♠へ間隔を取る>車を運転するときは、前の車との間隔を十分に取らないと危険です。♠へ規則正しい間隔〉ペンフレンドからの手紙は、一か月一度の規則正しい間隔で送られてくる。 <219> **がんきょう【頑強】**○がっちりして強いさま。がんこで屈[くっ]しないさま。[文例]〈頑強になる>毎日乾布摩擦[かんぷまさつ]を続けているうちに、弱かったぼくもすっかり頑強になった。♠へ頑強な体つき>若いころ柔道[じゅうどう]の選手だったおじは、胸が厚く、いかにも頑強な体つきをしている。♠<頑強に主張する>A君は、今度の遠足は山ではなく海にしようと頑強に主張した。♠<頑強に抵抗する〉民衆は、民主主義を守るために、あらゆる暴力に対して頑強に抵抗した。♠へ頑強な態度>外国に留学したいのだがと相談を受けた父親は、いつになく頑強な態度をとって反対した。 **かんかつ【管轄】**○権限[けんげん]の下において管理すること。[文例]〈管轄する〉この交番は、二丁目と三丁目の一部を管轄しています。♠〈管轄下に置く>義勇兵[ぎゆうへい]は、すべて司令部の管轄下に置かれ、その命令に従わなければならなかった。 **かんがみる(鑑みる)**○先例や手本に照らして考える。[文例]〈経験にかんがみる〉経験にかんがみて、これ以上続けるのは危険だと判断した。♠へ先例にかんがみる>先例にかんがみて、今回の過失はとがめないことにする。♠へ時局にかんがみる〉この厳しい時局にかんがみて、全国民的なお祭り騒ぎは好ましくないということになった。 **かんかんがくがく(侃侃諤諤)**○遠慮[えんりょ]せずに、さかんに議論するさま。[文例]〈侃々諤々の議論〉教育問題については、侃々諤々の議論がわきおこっていた。 **かんき【換気】**○空気を入れ換えること。[文例]〈換気が悪い>閉め切った換気の悪い部屋に長い時間いたので、気分が悪くなった。♠へ換気する〉換気しないでストーブをつけっ放しにしておくと、不完全燃焼[ねんしょう]を起こすことがある。♠へ換気扇[せん]>台所や風呂場[ふろば]など火を使う場所には換気扇を取り付けてください。 **かんき【乾季・乾期】**○(熱帯地方で)雨の少ない季節・期間。[文例]わたしがその国を訪れたのは乾季の時で、雨は少しも降らず、大地は乾ききっていた。♠〈雨季[うき]と乾季>熱帯地方には四季の区別はなく、雨の多い雨季と雨の少ない乾季があるだけです。 **かんき【寒気】**○寒さ。[文例]〈寒気が迫[せま]る〉マイナス五十度の寒気は、体全体に迫ってくる。♠〈寒気がおし寄せる>大陸からこの冬一番の強い寒気がおし寄せてきた。♠へ寒気が緩[ゆる]む〉二月も半ばになり寒気が緩んでくると、早くも木の芽が活動を始める。 **かんき【歓喜】**○大いに喜ぶこと。大いなる喜び。[文例]<歓喜に満ちる〉勝利の栄光[えいこう]に輝[かがや]く選手たちの顔は、歓喜に満ちあふれていた。♠〈歓喜に酔[よ]う〉式の間、花嫁[はなよめ]は歓喜に酔ったようにポーッとしていました。♠へ歓喜を与える〉心のこもった励ましがわたしに希望と歓喜を与えてくれたのです。 **かんき【喚起】**○呼び起こすこと。[文例]〈注意を喚起する〉勝ち続けて得意になっている選手たちに、コーチは油断するなと注意を喚起した。♠へ興味を喚起する〉文章を書くとき、読者の興味を喚起できるような書き出しの工夫も大切です。♠へ世論[よろん]を喚起する〉氏が新聞紙上で訴えかけたことが、世論を喚起するきっかけとなった。 **かんきゃく【観客】**○興行[こうぎょう]・競技[きょうぎ]などの見物人。[文例]〈サーカスの観客〉みごとな空中ブランコの芸に、テントいっぱいの観客は割れるような拍手[はくしゅ]をおくった。♠<観客席>逆転をねらうドラゴンズの選手たちに、観客席から大きな声援[せいえん]が飛ぶ。 **かんきゃく【関却】**○なおざりにすること。ほうっておくこと。[文例]〈関却する〉科学技術の著[いちじる]しい進歩の中で、精神的な側面が閑却されがちだった。♠〈問題を閑却する>経済成長に重点が置かれ、福祉[ふくし]や公害の問題が閑却された。 **かんきゅう【感泣】**○感きわまって泣くこと。[文例]〈感泣する>母からの便りを読み、ぼくは親のありがたさに感泣した。♠〈感泣する〉勝利したチームの応援席には、感泣する生徒の姿も見える。 **かんきゅう【緩急】**○ゆっくりすることと急ぐこと。緩[ゆる]やかなことと厳しいこと。急を要する場合。[文例]〈緩急が生じる〉語句の切れ続きや文の長短などの組み合わせで、文章の流れに緩急が生じる。♠〈緩急自在[じざい]>ボタンの切り替え一つで、ゆっくりでも速くでも緩急自在に操作ができます。♠へいったん緩急あれば〉村人たちは、いったん緩急あれば、ツリ鐘を合図に集まることになっていた。 **かんきょ【閑居】**○静かな住まい。のんびり暮らすこと。ひまでいること。[文例]〈閑居を楽しむ〉今は、騒々[そうぞう]しい世間から離れた山里で閑居を楽しむ生活である。♠へ小人閑居[しょうじんかんきょ]して不善をなす〉「小人閑居して不善をなす」と言うように、暇をもて余すとろくなことをしないものだ。 **かんきょう【環境】**○人間や生物の生活をとりまく外界の諸条件。周囲の状況。[文例]〈周りの環境>動物の中には、うさぎや雷鳥[らいちょう]のように周りの環境に合わせて、体の色が変わるものがいる。♠〈環境の変化〉父の転勤で五回も転校したが、ぼくは、環境の変化にはすぐ適応できるんだ。♠へ厳しい環境>その植物は、砂浜[すなはま]の厳しい環境に耐[た]えて、かれんな花を咲かせている。♠へ環境を整える>子供たちが安心して遊べるように、環境を整えてやりたいものです。♠く環境の汚染[おせん]・破壊[はかい]〉地球上に住む人類にとって、環境の汚染や破壊は、深刻な問題になってきた。♠〈生活環境>彼はたくましくて、劣悪[れつあく]な生活環境にも適応できそうだから、どこへ行っても心配ないさ。♠〈家庭環境〉彼女は、何不自由のない恵まれた家庭環境の中で育ったので、おおらかで明るい。 **かんきょう【感興】**○興味やおもしろみを感じること。[文例]〈感興をそそる〉彼の話は、わたしにとって何の感興もそそらない、たいくつなものだった。♠へ感興を誘[さそ]う〉若い娘たちの話というものは、何かしら老人の感興を誘うようである。♠へ感興を催[もよお]す〉秋の明月[めいげつ]に感興を催したわたしは、一句ひねってみようという気になった。♠へ感興が尽[つ]きない〉地図というものは、いつ見ても感興の尽きないものだ。♠へ感興をそぐ〉せっかく楽しんでいるのに、感興をそぐようなことを言わないでくれよ。 <220> **かんきん【監禁】**○閉じ込めて外へ出さないこと。[文例]〈監禁する>子供をこらしめるためとはいえ、食事も与えず、暗い一室に監禁したままにしておくとはひどい。♠へ監禁状態>ユダヤ人迫害[はくがい]はますます激[はげ]しくなり、隠[かく]れ家から一歩も外へ出られない監禁状態が続いた。 **がんぐ(玩具)**○おもちゃ。[文例]この工場は、積み木などの木製の玩具を製作している。♠土産物屋[みやげものや]の店先には、その土地の特産物やこけし、こまなどの郷土玩具[きょうどがんぐ]が並んでいる。 **がんくび【がん首】**(雁首)○キセルの頭の金属の部分。人の首・頭。[文例]〈キセルのがん首〉女は、長いキセルのがん首でお盆を引き寄せた。♠へがん首を並べる>廊下[ろうか]には、いたずら坊主[ぼうず]どもががん首を並べて立たされていた。♠へがん首をそろえる〉親方[おやかた]の前に、仕事をサボッた奉公人[ほうこうにん]たちががん首をそろえていた。 **かんぐる【勘繰る】**○気を回して、あれこれ考える。邪推[じゃすい]する。[文例]〈人をかんぐる〉証拠[しょうこ]もないのに、むやみに人をかんぐるのはよくないよ。♠へあれこれかんぐる〉あの人のことをあれこれかんぐるのはいいかげんにやめよう。♠〈真意をかんぐる〉あなたの真意をかんぐったりして悪かったわ。♠ありもしないことをあれこれかんぐるのをげすのかんぐりというんだ。 **かんけい【関係】**○つながり。かかわり合い。間柄[あいだがら]。[文例]〈関係がある・ない〉話がややこしくなるので、横から関係のないことを言わないでちょうだい。♠◇関係をもつ〉わたしたちは、日常の生活の中で、いろいろな人と関係をもちながら生きています。♠へ関係を絶[た]つ〉ずるずると悪い仲間にひきずられていないで、早く関係を絶ちなさい。♠へいとこの関係>花子とぼくは、母同士が姉妹だから、いとこの関係にある。♠へ仕事の関係で〉ぼくは、父の仕事の関係で、しばらく田舎[いなか]の小学校に通った。♠へ対等の関係>結婚[けっこん]は、男と女が対等の関係で結[むす]ばれるものです。♠へ事件に関係する〉あのまじめなおとなしい男が、そんな事件に関係していたなんて、とうてい信じられない。♠へ人間関係〉のんびりした学生時代とちがい、社会人になると、人間関係の難[むずか]しさを痛感する。♠へ女性関係>警察は、被害者の女性関係を洗っているらしい。 **かんげい【歓迎】**○喜んで迎えること。喜んで受け入れること。[文例]〈歓迎の言葉>留学生を迎える会の席上、彼が日本側代表として、歓迎の言葉を述べた。♠〈歓迎を受ける〉旅行のついでに旧友を訪ねたら、思いがけない歓迎を受けた。♠へ客を歓迎する〉大切な取引先の客だから、盛大[せいだい]に歓迎するように。♠せっかく善意[ぜんい]でしたことがクラスの人たちにはあまり歓迎されず、意外だった。♠〈歓迎と歓送[かんそう]〉春には、人を送る歓送会や、人を迎える歓迎会が多い。 **かんげき【感激】**○感動して気持ちが高まること。強く心を動かされること。[文例]〈感激の涙[なみだ]>選手たちのほおには、感激の涙が光っていた。♠へ感激に震[ふる]える〉代表に選ばれた喜びで、彼の声は感激に震えていた。♠〈感激を与える>藤村[とうそん]の詩が、若い人々に与えた感激の大きさは、はかりしれないものがある。♠〈感激で胸がいっぱい『アンネの日記』を読んで、感激で胸がいっぱいになった。♠〈感激にひたる〉ぼくはまだ受賞[じゅしょう]の感激にひたっています。♠へ感激を新たにする〉今年の夏も富士山[ふじさん]に登って、感激を新たにした。♠〈感激する〉あたたかいもてなしを受け、参加者一同感激しています。 **かんげき(間隙)**○すきま。すき。隔[へだ]たり。[文例]〈間隙を縫[ぬ]う〉車は、人々の間隙を縫うようにゆっくりと進んだ。♠〈間隙をつく>並走[へいそう]するランナーが後方に気をとられた間隙をついて、ぼくは一気にスパートした。♠へ間隙が生じる〉卒業後の進路が別になったことで、親友との仲に間隙が生じた。 **かんけつ【簡潔】**○むだがなく要領を得ているさま。[文例]〈説明が簡潔〉この辞典は、説明が簡潔で、中学生にも分かりやすい。♠〈簡潔に伝える>用件を簡潔に伝えるためには、表現に工夫がいります。♠〈簡潔に書く〉メモを取るときには、大事なことを落とさずに、簡潔に書こう。♠〈簡潔にまとめる>筆者の言おうとしていることを、五十字以内で簡潔にまとめなさい。♠〈簡潔な文章>友達からの手紙には、簡潔な文章でいきいきとクラス会の楽しい様子が書かれていた。 **かんけつ【完結】**○すっかり終わること。[文例]<話が完結する〉この本には、十ページ以内で完結する短い話が十話ほど収められている。♠ヘドラマが完結する〉人気の連続ドラマがいよいよ次回で完結する。♠〈完結編>毎日楽しみにしている新聞の連載[れんさい]小説がいよいよ完結編に入った。 **かんげん【還元】**○元にもどすこと。元にもどること。酸化物から酸素を取り除くこと。また、水素を加えること。[文例]〈酸化と還元〉物質が酸素と化合することを酸化、酸化物から酸素を取り去ることを還元という。♠〈利益を還元する〉商売の利益の一部を福祉[ふくし]団体に寄付[きふ]するなどして、社会に還元する。 **かんげん【換言】**○言い方をかえること。[文例]〈換言する〉しゃれた形の栓[せん]ぬきとかしょうゆ差しの類はどれも使い心地が悪く、換言すれば実用的でない。♠〈換言する〉明日のことを思いわずらうなというのは、換言すると、今日を大事にせよということだ。 **かんげん【甘言】**○人の気をひくための甘い言葉。[文例]〈甘言に乗る〉うまい金もうけなどあるわけがないのだから、甘言に乗せられて泣きを見ることのないように。♠人へ甘言に誘[さそ]われる「かわいい子がいるぞ。」という上級生の甘言に誘われてこのクラブに入りました。 **かんこ【歓呼】**○喜びの声をあげること。また、その声。[文例]<歓呼の声>優勝が決まった瞬間[しゅんかん]、「万歳!万歳!」という歓呼の声がわきおこった。♠へ歓呼する〉この国に自由をもたらした指導者を、人々は歓呼して迎えた。 **かんご【看護】**○病人やけが人の世話をすること。[文例]〈手厚[てあつ]い看護〉〈看護にあたる>仕事第一の父であったが、母が大病してからは手厚い看護にあたった。♠へ看護をする>彼女は、わたしの療養中[りょうようちゅう]、付ききりで看護をしてくれました。♠〈看護婦[かんごふ]〉〈看護学校〉わたしは、看護婦になるために看護学校へ通っていました。 <221> **かんじ【漢字】**○中国で作られた文字。[文例]〈漢字の読み〉漢字の読みには、音と訓がある。♠〈漢字と仮名[かな]>漢字と仮名を併用[へいよう]する点に、日本語表記の大きな特色がある。♠漢字は、おそらく五世紀以前に朝鮮半島[ちょうせんはんとう]を経由[けいゆ]して伝来したもと思われる。 **かんじ【幹事】**○中心となって事務を受け持つ役。世話役。[文例]〈同窓会の幹事〉この同窓会を企画し、準備してくださった幹事の方々、大変ご苦労様でした。♠へ幹事長〉この問題について、自民党の幹事長は次のように語った。 **がんこ【頑固】**○かたくななさま。強情[ごうじょう]で意地っ張りなさま。なかなか改善されないさま。[文例]〈頑固な気性[きしょう]>先生は人と妥協[だきょう]できない頑固な気性のために、ときどき失敗したそうです。♠〈頑固おやじ〉わたしは、なかなか自説を変えないので、子供たちに頑固おやじと言われている。♠へ頑固な根雪[ねゆき]>春の太陽が、長い冬の間大地をおおった頑固な根雪を、少しずつ解[と]かしていく。♠<頑固なせき>季節の変わり目になると、頑固なせきに苦しめられます。♠へ頑固一徹[いってつ]>祖父は、若いころからずっと頑固一徹な男として通ってきた。 **かんこう【刊行】**○印刷して出版すること。発行すること。[文例]<刊行する>翻訳を始めてから三年五か月目に「ターヘル・アナトミア」の翻訳書「解体新書[かいたいしんしょ]」が刊行された。♠<刊行物>会では、新聞や雑誌などの定期刊行物を発行し、会員に配布[はいふ]している。 **かんこう【観光】**○よその土地の景色などを見物すること。[文例]〈観光をする〉ヨーロッパといっても仕事で行くんで、観光をしに行くわけではない。♠〈観光客〉〈観光国>スイスは、年間一千万人以上の観光客が国外から訪れる観光国です。♠<観光地〉市街から観光地へ向かう旧道が改修されて、新しい道路に生まれ変わった。 **かんこう【慣行】**○ならわし。しきたり。[文例]〈慣行になる>重要な決定は、全員の賛成によって行うというのが町内の慣行になっていた。♠〈慣行を破る〉このやり方は、当時の慣行を破る革新的な試みだった。 **かんこう【敢行】**○あえて行うこと。強行。決行。断行。[文例]〈敢行する〉この雪でも、試合は断固敢行するぞ。♠へ盗塁[とうるい]を敢行する〉意表[いひょう]をついて、二塁ランナーが盗塁を敢行した。 **がんこう【眼光】**○目の輝き。目の光。真偽[しんぎ]を見分ける力。眼力。[文例]〈眼光が鋭[するど]い>構えに一分[いちぶん]のすきもない、眼光の鋭い剣士[けんし]であった。♠〈眼光炯炯[けいけい]〉七十の老人でありながら、眼光は炯々として人を射[い]た。♠〈眼光紙背[しはい]に徹[てっ]する>批評家[ひひょうか]というなら、眼光紙背に徹する深い読みが必要でしょう。 **がんこう(雁行)**○空を飛ぶガンの列。斜めに並んで行くこと。[文例]〈雁行する〉三十キロ地点を五人のランナーが雁行して通過しました。♠〈雁行する〉ライバルの二人の営業マンの成績は、雁行して伸びていった。♠雁行のひし天の寒さかな(渡辺水巴[わたなべすいは]) **かんこく【勧告】**○説き進めること。[文例]〈勧告に従う>医師の勧告に従って、酒とたばこをやめ、規則正しい生活を心がけている。♠〈勧告する〉不始末[ふしまつ]を起こし、辞職[じしょく]を勧告されたA氏は、あっさりと職を退[しりぞ]いた。 **かんこつだったい【換骨奪胎】**○先人の作をまねて、新しい着想[ちゃくそう]を盛ること。他人の作を焼き直して使うこと。[文例]〈換骨奪胎する〉古典を参考にし、その文章を換骨奪胎して、現代の思想を盛り込む。♠出来あがった企画を見ると、わたしの案は換骨奪胎され、全く似て非[ひ]なるものになっていた。 **かんこどり【閑古鳥】**○「カッコウ」のこと。[文例]<閑古鳥が鳴く>店を出したものの、客が入ったのは最初だけで、今はすっかり閑古鳥が鳴いている。♠へ閑古鳥が鳴く>不景気のあおりを受け、商店街は、どの店も閑古-鳥が鳴く状態だ。 **かんこんそうさい【冠婚葬祭】**○婚礼や葬式など、さまざまな慶弔[けいちょう]の儀式。[文例]人生には、成人、結婚、葬儀など節目節目に大切な儀式が行われますが、これを冠婚葬祭と言っています。♠冠婚葬祭のマナーを心得ることも、社会人として大切なことの一つです。 **かんさつ【観察】**○ありのままを客観的に注視すること。[文例]〈動物の観察〉弟は、しばらくおたまじゃくしの観察を怠[おこた]っている間に、かえるになってしまったとあわてている。♠へ観察が細かい〉この記録は観察が実に細かく、アゲハの生態をよくとらえている。♠へ観察が鋭い〉よく気がつく、何でもよく見ている人は、他人に対しても観察が鋭い。♠<様子を観察する〉お母さんは、いつも子供の様子を注意深く観察しています。♠ヘ行動を観察する>この丘の上なら、敵の行動を観察するのに都合がよい。 **かんさん【閑散】**○寂しく、ひっそりとしているさま。ひまなさま。[文例]〈閑散とする〉小さな駅に降りると、駅前も人通りはほとんどなく閑散としていた。♠〈閑散とする〉以前は漁[りょう]でにぎわった浜辺も、魚がとれなくなった今は閑散として寂[さび]しい。♠◇閑散な時間〉むだなことだと人は思ったろうが、これでも閑散な時間をうめるための意味ある業[わざ]であった。 **かんさん【換算】**○ある数量を別の単位の数量に計算しなおすこと。[文例]〈円に換算する〉この国は物価が安く、この織物の値段も円に換算して二千円くらいです。♠ヘメートルに換算する〉畳[たたみ]の長いほうの辺の長さは一間[いっけん]で、これをメートルに換算すると約一・ハメートルになる。 **かんし【監視】**○注意して見張ること。[文例]〈厳重[げんじゅう]な監視〉捕らえられた犯人は、厳重な監視の下におかれた。♠〈監視の目を光らせる〉紛争[ふんそう]のあった国境地方では、両国とも、監視の目を光らせ、厳重な警戒[けいかい]に当たった。♠く子供を監視する>危ない遊びはしていないか、けんかなどしていないかと、保母[ほぼ]さんは、子供たちをそれとなく監視している。♠〈火山の活動を監視する〉明治になって、火山の活動を監視するための組織的な観測が始められた。 **かんし【環視】**○まわりを取り巻いて、見ること。[文例]<衆人環視[しゅうじんかんし]〉いかに宣伝のためとはいえ、衆人環視の中にきみょうな衣裳[いしょう]で立つのは恥ずかしかった。 <222> **かんじゅせい【感受性】**○外からの刺激[しげき]を感覚を通して受け入れる働き。物事を感じとる力。[文例]〈感受性が強い>感受性の強い青少年期に良書に出会うことは、わたしたちの一生にとって極めて大切なことです。♠へ感受性が鋭い〉そうか、立派な作詞家になったのか。きみは、小さいころから感受性が鋭かったからね。♠〈感受性が豊か〉詩の一行一行に、作者の感受性の豊かさが感じられる。♠へ感受性をみがく〉すぐれた文学作品を読み味わって、感受性をみがこう。 **がんしょ【願書】**○願いの内容を書き記した書面。許可を得るために提出する書類。[文例]〈願書を出す〉四月から下の子が通う予定の保育園へ願書を出しに行った。♠へ入学願書〉いよいよ明日から高校の入学願書の受け付けが始まる。 **かんしょう【干渉】**○他人事に立ち入ったり、口出しをしたりすること。[文例]〈親の干渉〉息子は近ごろ、親の干渉をとても嫌[いや]がるようになった。♠ヘ干渉を受ける〉独立したばかりの小国だが、他国の干渉は受けない。♠〈子供に干渉する〉お母さん、小さい子供じゃないんだから、わたしのやることにあまり干渉しないでほしいな。♠〈内政に干渉する〉大国が弱小国の内政に干渉することがよくあります。♠〈他人が干渉する〉これは彼のプライベートな問題で、他人があれこれ干渉すべきではありません。 **かんしょう【感傷】**○物事に感じて、さみしい気持ち、悲しい気持ちになること。[文例]〈感傷を誘[さそ]う〉その曲の物悲しさが、人の心の感傷を誘う。♠〈感傷にひたる〉小説を読みながら、妹は、悲劇のヒロインになったつもりで感傷にひたっているらしい。♠〈感傷的〉わたしは、感傷的な気持ちで、星空を眺[なが]めていた。♠〈内政に干渉する〉大国が弱小国の内政に干渉することがよくあります。♠へ他人が干渉する〉これは彼のプライベートな問題で、他人があれこれ干渉すべきではありません。 **かんじ【感じ】**○感覚をとおして受け取ったもの。物事から受ける思いや印象。[文例]〈声の感じ〉玄関[げんかん]には、声の感じよりもずっと若々しい青年が立っていた。♠へ暖かい感じ〉〈感じがする>赤や黄色やオレンジ色が暖かい感じがするのは、太陽の色と似ているからだろうか。♠へ明るい感じ〉〈感じを出す>先生から、この写生画は、もう少し春らしい明るい感じを出すと、もっとよくなると言われた。♠へ冷たい感じ〉〈感じを受ける〉初めて彼女に会ったとき、冷たい感じを受けたが、付き合ってみると、とても楽しい人だ。♠へ感じをつかむ〉初めてボーリングをやったとき、全然感じがつかめず、失敗の連続だった。♠へ感じが良い・悪い>彼は、ちょっと見には感じの悪い男だが、あれでなかなか優しいところがあるんだ。♠〈感じを与える〉インディアンの絵文字の中には文字らしい感じを与えるものもある。♠へ~ような感じ〉白いドレスを着た少女の姿は、ちょうど、こぶしの花が一輪[いちりん]咲いているような感じだった。♠へ感じをもつ〉彼のいかつい顔を見れば、最初、生徒たちが取りつきにくいような感じをもつのも、無理のないことだった。♠へ~という感じに近い〉その老人の家は、板屋根が低く傾[かたむ]いていて、家というより小屋という感じに近かった。♠へ感じが出る〉「お母様」なんて、そらぞらしくて感じが出ないよ。♠へ〜のような感じを味わう〉読むうちに夢中になって、自分が小説の主人公になったような感じを味わった。♠へ感じがない>風が冷たくて、自転車のハンドルを握る手の指は、感じがなくなってしまった。 **がんたん【元旦】**○一年の最初の日。元日。[文例]〈元旦を迎える〉多忙な一年を忘れて、すがすがしい気分で元旦を迎えた。♠〈元旦を祝う〉父も出稼ぎから帰り、家族そろって楽しく元旦を祝った。 **かんしゃ【感謝】**○ありがたいと思うこと。また、その気持ち。[文例]〈感謝する〉すべての善なるもの、いとしいもの、美しいものに対して、神様に感謝します。♠へ感謝の言葉〉わたしは、素朴[そぼく]な村の人たちの好意に感謝の言葉もなかった。♠へ感謝の意〉この歌集を出版するにあたってご尽力[じんりょく]いただいた方々に、心より感謝の意を表します。♠へ感謝の念>厚いもてなしを受けて、感謝の念にたえなかった。 **かんじゃ【患者】**○病気やけがなどで、医師の治療を受けている人。[文例]〈患者を診る〉一日に何十人もの患者を診なければならない医者の仕事は重労働である。♠〈入院患者〉この病院には百人以上の入院患者さんがいます。 **かんしゃく(癇癪)**○激しく腹を立てやすい性質。また、その発作[ほっさ]。[文例]〈かんしゃくを起こす〉わがままな弟は、気にいらないことがあると、すぐかんしゃくを起こす。♠へかんしゃくにさわる〉ひもがうまく結べず気がせいているところに、妹がけしかけるので、ますますかんしゃくにさわる。♠へかんしゃくが強い〉正直な男だが、かんしゃくが強くて、ときどき手をあげることがある。♠へかんしゃく持ち〉かんしゃく持ちの父は、すぐどなる。♠〈かんしゃく玉>大事にしている盆栽[ぼんさい]の枝を折ってしまって・・・・・・。今におじいちゃんのかんしゃく玉が破裂[はれつ]するぞ。 **かんじゅ【甘受】**○文句を言わず受け入れること。甘んじて受けること。[文例]〈甘受する〉不満は残ったが、今回の措置[そち]を甘受することにした。♠へ運命を甘受する〉苦労ばかり続く人生だが、これも運命として甘受しなければなるまい。 **かんしゅう【慣習】**○社会的なしきたり。ならわし。[文例]〈古い慣習>古い慣習が根強く生きているこの村では、青年の新しい考え方は、受け入れられるはずもなかった。♠へ慣習を破る〉小さな農村にも、しだいに新しい時代の波がおし寄せ、今までの慣習は破られようとしていた。♠へ慣習の違い〉慣習の違いが、紛争[ふんそう]や対立の基[もと]を作っていることがあります。♠◆社会的な慣習>表記の決まりにも、社会的な慣習によっているものが多い。♠慣習は、法律ではないが、社会をスムーズに動かす潤滑油[じゅんかつゆ]として大切なものです。 **かんしゅう【観衆】**○見物している人々。[文例]<観衆がどよめく>先頭のランナーが競技場に姿を見せると、場内の観衆がいっせいにどよめいた。♠〈大観衆〉大観衆が見守る中で、ロケットの打ち上げが行われた。 <223> ではありません。 **かんしょう【鑑賞】** ○芸術作品などを味わうこと。[例]〈鑑賞を深める>朗読[ろうどく]をとおして、詩の鑑賞を深めよう。●〈絵・彫刻[ちようこく]を鑑賞する>絵や彫刻を鑑賞するのもいいと、美術館に立ち寄った。●へ音楽を鑑賞する〉音楽の時間、レコードでモーツアルトの音楽を鑑賞した。●〈映画鑑賞>ぼくの趣味は、映画鑑賞です。◆<鑑賞文〉気に入った俳句を選んで、二百字程度の鑑賞文を書いてみよう。 **かんしょう【観賞】** ○見てほめること。見て楽しむこと。[文例]〈観賞する〉水族館で、いろいろな珍しい魚を観賞した。◆<観賞用>形がおもしろく、美しい花を咲かせるサボテンは、観賞用植物の代表とも言える。 **かんしょう【観照】** ○事物を冷静に見つめ、その本質を考え、悟[さと]ること。[文例]<観照する>偏見[へんけん]や先入観を捨てて、物事を冷静に観照することで、真の意味をとらえることができる。●〈冷静な観照>静かに黙想[もくそう]し、自分の心の冷静な観照を続けるうちに迷いが解けていった。 **かんじょう【感情】** ○心の中に起こる喜び・悲しみ・怒りなどの情。気持ち。理性に対して、一時的な気分。[文例]〈感情をもつ〉〈感情を傷つける〉人は皆[みな]、自分の考えや感情をもって生活しているのだから、おたがいの感情を傷つけないようにしよう。●〈感情が高ぶる〉だれでも感情が高ぶると、体が震えたりして、思っていることが上手に言えなくなるものだ。●〈感情をこめる〉気に入った詩があったら、感情をこめて声に出して読もう。●〈感情がこもる〉この文章は、上手に書かれているが、どうも作者の感情がこもっていないようだ。へ良い・悪い感情〉ぼくは、彼に対して特に、良い感情も悪い感情ももっていない。●〈感情を出す。抑[おさ]える>日本人は、外国人に比べると、感情を抑えてあまり顔に出さないといわれる。◆へ一時の感情〉〈感情にかられる〉一時の感情にかられて行動すると、後で取り返しのつかないことになります。●〈感情を害する〉あいつは、ちくりちくり皮肉を言って、人の感情を害するいやなやつだ。●不快な感情〉〈感情を抱[いだ]く>最近、友達の態度から察すると、なぜかわたしに不快な感情を抱いているらしい。〈感情の動き〉うちの犬は、飼い主の感情の動きを、敏感[びんかん]にとらえる賢[かしこ]い犬です。●へ感情に訴[うつた]える〉彼の演説は、聴衆[ちょうしゅう]の冷静な判断を求めるものではなく、その場の感情に訴えるものであった。へ感情におぼれる〉わが子かわいさの感情におぼれ、甘[あま]やかしすぎたのが、息子[むすこ]さんの非行の原因だと思いま●〈感情がわく>親友が恋人[こいびとうで]と腕を組んで歩いているのを見て、嫉妬[しつと]に似た感情がわき上がった。●へ個人的な感情〉〈感情が入る>彼女の人物評価には、個人的な感情が入っているから、あまり信じないほうがいいよ。●へ感情を殺[ころ]す〉受話器の向こうから、身の代金を要求する犯人の感情を殺した声がひびいてきた。●〈感情が激[げき]する〉〈感情を表す>感情が激しても、表面に表さないのが紳士[しんし]のたしなみです。◆<感情の起伏>最近彼女は、急にはしゃいだり、ふさぎこんだり、思春期特有の激しい感情の起伏を見せる。●へ感情に走る>気が短い人は、すぐかっとなって、感情に走り、後で「しまった」と思うことが多い。●へ感情を交[まじ]える〉裁判長は、「証人は感情を交えないで事実だけを述べなさい。」と言った。●へ感情があふれる〉ふるさとは捨てたはずなのに時おりなつかしいという感情があふれてくることがある。●〈感情をくむ〉何も話したくないという遺族の感情をくんで、記者たちは会見を中止した。●へ感情的>家族同士だと、がまんし合うことが少ないので、つい感情的になって、大げんかをしがちだ。 **かんじょう【勘定】** ○数を数えること。計算すること。見積もること。考えに入れること。代金を支払うこと。代金。[文例]〈勘定が安い〉あの店で果物を千円以上買うと、勘定が一割安くなる。へもうかる勘定〉このクリスマスケーキを二十個も売れば、一万円もうかる勘定だ。●〈勘定を済ます〉勘定を済ませてレストランを出たとたん、かさを忘れたのに気づいた。●へ勘定をごまかす〉やい、やい、おれがよっぱらっていると思って、勘定をごまかす気か。●〈勘定を払う〉友達皆で食べたラーメンの勘定は、ぼくのお父さんが払ってくれた。へ勘定に入れる〉道路の混雑を勘定に入れても、車で二十分もあれば行けます。へ勘定が合う〉おまえの言うことは、勘定合って銭[ぜに]足らずで、実際と合わないじゃないか。へ勘定する〉いくら勘定しなおしても、おつりが足りない。へ勘定ずく〉彼は、何をやるにも勘定ずくだからいやになるよ。◆<勘定高い〉あんな勘定高い商売のやり方じゃ、客は寄りつかないね。 **かんじょう【環状】** ○輪のような形。[文例]〈環状にめぐる〉都内を環状にめぐる山手線[やまのてせん]。◆環状線〉首都圏[しゅとけん]の周りを環状線が走っている。 **がんじょう【頑丈】** ○丈夫で、がっしりしているさま。[文例]〈頑丈にできる>山形県の庄内[しようない]地方の雪囲いは、海辺のせいか、特に頑丈にできている。へ頑丈な手〉山小屋のおじさんは、血管のふくれた頑丈な手をたき火にかざしながら話をしてくれました。●へ頑丈なたらい〉父は、頑丈なたらいに湯を入れて、病気の馬のひざをあたためていた。頑丈な体〉きたえ抜かれた彼の頑丈な体は、ちょっとやそっとではこわれません。◆力が強く、頑丈でりっぱな角[つの]を生やしたカブトムシほど、子供たちに人気のある虫はないだろう。 **かんしょく【感触】** ○さわった感じ。手ざわり。肌[はだ]ざわり。それとない感じ。[文例]〈柔らかい感触〉毛皮のえりまきの柔らかい感触が肌に心地よい。●へざらざらした感触>赤ん坊[あか]は、何度も砂をいじりながら、そのざらざらした感触を覚えていきます。●へ足裏[あしうら]の感触〉犬は、その足裏の感触で、その場の危機と安全を察知するのです。●〈心地よい感触〉この布地は、さらさらした心地よい感触をしている。●く乾[かわ]いた感触>木の葉をさやさや鳴らして吹く風が、肌に乾いた感触を伝える。●へ感触を得る〉イエスとは口に出さなかったが、相手の表情からは、だいじょうぶとの感触を得た。 **かんしょく【間食】** ○食事と食事の間に物を食べること。また、その食べ物。[文例]〈間食をする>食事の量を減らしたって、間食をしていたのでは、やせるわけがないよ、姉さん。 <224> いた。 ◆<間食する〉チョコだのケーキだのと間食してばかりいると、ご飯が食べられなくなりますよ。 **かんしょく【官職】** ○公務員としての地位や務め。[文例]〈官職に就く〉めでたく国家公務員の試験にパスし、官職に就いた。●〈官職を退く〉氏はお職[おしよく]事件を起こし、官職を退いた。 **がんしょく【顔色】** ○感情や気持ちの表れとしての顔色。[文例]〈顔色をなくす。失う〉素人[しろうと]と思って高をくくっていた専門家たちも、その出来上がりを見て顔色をなくした。●へ顔色なし>きみの計算の速さには、家庭教師のぼくも顔色なしだね。 **かん・じる【感じる】** ○外部の刺激を感覚する。ある気持ちを生じる。心に思う。(刺激などに)反応する。[文例]〈痛いと感じる〉うっかり針で指を刺すと、だれでも痛いと感じるでしょう。●〈寒さ・疲れを感じる〉けがをした妹を背負って病院へ急ぐ途中[とちゆう]は夢中[むちゆう]で、寒さも疲れも感じなかった。〈ぬくもりを感じる〉背中の赤ちゃんは、お母さんの肌[はだ]のぬくもりを感じ、安心してねいった。●へ危険を感じる〉そっと近づくと、いち早く危険を感じたシカの群れは、素早く逃げだした。●へ神秘を感じる〉望遠鏡の中に浮かびでた土星の輪は、宇宙の神秘を感じさせる。●へひけめを感じる>秀才の弟に兄はいつもひけめを感じていた。●〈身近に感じる〉ぼくと同じく母親のない子だと知って、あの子が急に身近に感じられるようになった。●く生きがいを感じる〉祖母は、六十の手習いで始めた俳句に、老後の生きがいを感じている様子だ。へ秋を感じる〉風に舞[ま]う落ち葉を見て、ふと秋を感じた。●へ恩を感じる〉頑固[がんこ]で口うるさいおやじだったが、死なれて初めて、親の恩を深く感じた。●へ意気に感じる〉新しい仕事を始めるという友人の意気に感じて、わたしも一役[ひとやく]買うことにした。●〈感じるところがある〉近ごろ姉は、感じるところがあるらしく、一人で部屋にこもることが多くなった。 **かん・じる【観じる】** ○心静かにながめる。思いみる。真理を悟[さと]る。[文例]〈人生を〜と観じる〉人生は無常であると観じる態度が、その時代の特色であった。●〈世相を観じる〉当時は、世相を観じてファシズムの危険を語る人々も少なくなかった。 **かんしん【感心】** ○心に深く感じること。立派でほめるべきであるさま。[文例]みんなのいやがることを進んでやるとは、なかなか感心だ。●〈感心な少年>子供を交通事故から救った感心な少年は、名前も告げずに立ち去りました。〈感心にも>近所の子供が遊びに来るが、感心にも、いつもきちんとあとかたづけをしていく。●へくすっかり感心する〉遠くまで泳いでいく海の子供たちに、ぼくはすっかり感心してしまった。●へほとほと感心する〉いつも人への心くばりを忘れない彼女の優[やさ]しさには、ほとほと感心する。●〈感心して見る>学校の玄関[けいじ]に掲示してあったあなたの絵、感心して見ていたのよ。●〈感心しない〉いくら上手に描けていても、人のまねをするのは感心しない。 **かんしん【関心】** ○心にかけること。心をひかれて注意を払うこと。興味をもつこと。[文例]〈関心がある・ない〉今までは、虫なんかには全く関心がなかったが、昆虫記[こんちゆうき]を読んでから、とても興味を覚え始めた。●へ関心が深い>植物学者である氏は、子供のころから草花に関心が深かったそうです。●へ関心が高い>諸外国に比べ、日本は、教育に対する関心が非常に高い国といえる。●〈関心を持つ〉わたしはスポーツが好きで、とくに今、新体操に関心を持っています。〈関心を抱[いだ]く〉〈強い関心〉前野良沢[まえのりようたく]は、早くからオランダ医学に強い関心を抱いていた。●〈関心を示す〉弟は最近パソコンに関心を示しだした。●〈関心を呼ぶ〉この出来事は、現代を象徴するような事件として、世の関心を呼んだ。〈関心をひく〉そのうわさ話は、好奇心[こうしん]の強い彼の関心をひいた。●〈関心を払う〉地域社会に関心を払わない住民が増えている。●へ関心の的[まと]〉うわさの二人は、いまや周囲の関心の的です。 **かんしん【寒心】** ○ぞっとすること。[文例]〈寒心に堪[た]えない>自然破壊がもたらす結果を考えると、誠に寒心に堪えません。 **かんしん【歓心】** ○うれしいと思う心。[文例]〈歓心を買う〉男は、女の歓心を買おうと、よくプレゼントを持ってやってきた。●へ歓心を得る〉小さい子の歓心を得ることは、それほどたやすいことではない。 **かんじん【肝心】** (肝腎)○大切なもの。大切で欠かせないさま。[文例]<辛抱[しんぼう]が肝心〉「石の上にも三年」というじゃないか、何事も辛抱が肝心だよ。◆ヘ肝心な主役〉もうすぐ劇が始まるというのに、一番肝心な主役がまだ来ていない。〈肝心なことを忘れる〉しまった、肝心なことを忘れていた。◆<肝心なところが抜ける〉神経質で細かいことによく気がつくくせに、肝心なところが抜けている。●〈肝心の物>ホットケーキを焼こうと思ったら、肝心の粉がないのに気がついた。肝心かなめ〉ぼくは外交官志望だが、肝心かなめの英語が苦手だ。 **かんすい【完遂】** ○完全にやりとげること。[例]〈目的を完遂する>目的を完遂するまでは、どんなことがあってもこの運動を続けるつもりだ。●へ計画を完遂する〉当初の目標は達成したが、これで計画を完遂したわけではない。 **かん・する【関する】** ○かかわる。関係する。[例]〈車に関する情報〉兄は、車に関する情報は何でも集めていて、知識が豊富だ。●文学に関する本〉姉の本棚[ほんだな]には、文学に関する本がたくさん並んでいます。◆へ〜に関するうわさ〉みんながいろいろな人のうわさをする中で、ぼくは、あの子に関するところだけに耳を傾[かたむ]けた。●〈我[われ]関せず>周囲がどんなに騒いでも、我関せずで勉強を続けた。●〈~に関して〉一年後に迫った受験に関して、先生から話があった。●へ〜に関しては>作曲家志願だったというおじは、音楽に関しては、ちょっとうるさい。 **かん・ずる【感ずる】** ♪かん・じる **かん・ずる【観ずる】** ♪かん・じる **かんせい【閑静】** ○静かで落ち着いたさま。[例]〈閑静な <225> **かんそ【簡素】**○飾りけがなく質素なさま。むだがないさま。[文例]〈簡素な住まい>老夫婦は、余計な家具も飾りけもない、簡素なこの住まいが大変気に入っている。♠く簡素な暮らし>男は、わずらわしい世間を離れ、山にこもって、自給自足の簡素な暮らしを送った。♠〈簡素な式〉派手なことの嫌いな二人は、教会で二人だけの簡素な結婚式[けっこんしき]を挙げた。♠〈簡素化>複雑な敬語を簡素化しようという考えの人も多い。 **かんせい【完成】**○完全にできあがること。完全にしあげること。[文例]〈完成が迫[せま]る〉待ちに待ったスケートリンクの完成が迫った。♠〈完成が待たれる〉長い間、完成が待たれていた公民館も、最後の仕上げを残すだけとなった。♠へ完成を急ぐ>夏の行楽、帰省シーズンに向けて、道路工事を急ピッチで進め、完成を急いだ。♠ヘダムが完成する〉このダムが完成するまで、七年の歳月[さいげつ]が流れた。♠へ絵が完成する>展覧会[てんらんかい]に出品する絵がようやく完成した。♠〈完成した大人〉十年ぶりに見る彼には、完成した大人の魅力[みりょく]が漂[ただよ]っていた。♠〈完成者>俳文学の完成者、松尾芭蕉[まつおばしょう]は、旅の中に人生をとらえようとして、常に旅を志[こころざ]した。 **かんせい【感性】**○物事を感じとる働き。感受性。[文例]<豊かな感性>優れた表現の根底[こんてい]には、豊かな感性のはたらきがある。♠へみずみずしい感性〉少年のようなみずみずしい感性がこの作品を生み出した。♠〈知性と感性〉〈感性のひらめき〉彼のことばから、怜悧[れいり]な知性と感性のひらめきがうかがわれた。 **かんせい【喚声】**○叫[さけ]び声。[文例]<喚声があがる〉空いっぱいに見事な花火が広がると、観衆[かんしゅう]の間からワッと喚声があがった。♠へ喚声をあげる〉真夏の日差しの中、子供たちは喚声をあげながらブールに飛び込んだ。 **がんせき【岩石】**○岩や石。特に、大きな石、岩。[文例]火山の爆発[ばくはつ]で噴[ふ]き出した岩石が、家々の屋根に穴を開け、窓をこわした。♠上流から川の流れに運ばれた岩石は、次第に丸く小さくなっていく。 **かんせつ【間接】**○何かを仲立ちとすること。何かを隔[へだ]てること。遠回し。[文例]〈間接に聞く〉幼[おさな]なじみが結婚[けっこん]したことは、友達から間接に聞いて知っている。♠へ間接の責任〉きみの遅刻[ちこく]には、途中でひきとめたぼくにも、間接の責任がある。♠へ間接の理由〉この火災で死傷者を出さずにすんだのは、老人や乳幼児のいなかったことも間接の理由である。♠〈間接に影響が出る〉台風の直接の被害[ひがい]はなかったが、野菜が値上がりするなど、間接に多少の影響が出た。♠〈間接的>彼女とは面識はありませんが、親友の友達なので、間接的には知っています。 **かんせつ【関節】**○骨と骨とのつなぎ目で、そこを中心に屈伸・回転などができる部分。[文例]〈関節を痛める〉ねんざして、足首の関節を痛めてしまった。♠へ関節がゆるむ〉力がすうっと抜けていき、関節という関節がゆるんでいった。 **がんぜない【頑是無い】**○幼くて、聞き分けがない。[文例]〈がんぜない子>母親は、泣きわめくがんぜない子をもてあまし途方にくれていた。♠へがんぜない子供〉四歳のがんぜない子供に、行儀を説いて聞かせることはむずかしかった。 **かんせん【感染】**○病気がうつること。他のものの影響を受けること。[文例]〈病気の感染>彼の病気は伝染病ではないので、感染の恐れは全くない。♠へ感染の危険>短時間の面会なら、感染の危険性は低いので、見舞っても大丈夫[だいじょうぶ]だろう。♠〈感染を防ぐ〉赤痢[せきり]などの伝染病が発生したら、感染を防ぐために、患者[かんじゃ]を隔離[かくり]します。♠〈結核[けっかく]が感染する>当時、結核は一度感染したら治らないということで、世間から恐れられていた。♠へあくびが感染する「あーあ・・・・・・きみのあくびが感染しちゃったよ。」♠〈感染源>海外旅行中は、病気の感染源ともなるので、なま水は絶対に飲まないようにする。 **かんせん【幹線】**○交通や通信などのための主要な線。[文例]〈幹線道路>帰省ラッシュはピークを迎え、幹線道路は混雑[こんざつ]をきわめている。♠へ新幹線〉上野から仙台まで、新幹線で二時間で行けるようになった。 **かんせん【観戦】**○競技や試合などを見物すること。[文例]<試合を観戦する〉スポーツの試合をテレビで見るのと、実際に競技場で観戦するのとでは全く様子が違う。♠ヘけんかを観戦する>二人のけんかをだれも止めようともせず、おもしろそうに観戦しているのだ。 **かんぜん【完全】**○欠点や不足がまったくないこと。すべてが備[そな]わっているさま。[文例]〈設備が完全>当ホテルは、お客様の安全を第一に考えていますので、火災に対する設備は完全です。♠へ完全な形>発掘[はっくつ]が始まって十日後には、もう住居跡が完全な形で掘りだされた。♠〈完全に負け〉相手方が四人、こちらは二人、けんかは完全にぼくたちの負けだった。♠◆完全無欠〉だれでも、欠点の一つや二つはあるもので、完全無欠な人などいない。 **かんぜん【敢然】**○思い切って行動するさま。[文例]〈敢然と立ち向かう〉世の中を住みやすくするためには、悪に対して敢然と立ち向かう勇気がほしい。♠<敢然と戦う〉大男を相手に敢然と戦う一人の少年があった。 **がんぜん【眼前】**○目の前。まのあたり。[文例]〈眼前によみがえる〉古代について書かれた本を読み進めていくうちに、古い昔が眼前によみがえってくる。♠〈眼前に浮かぶ〉詩の朗読[ろうどく]を聞いていると、その情景が眼前に浮かんでくる。♠〈眼前にする〉事故現場を眼前にし、わたしはめまいと吐き気をもよおした。 **かんぜんちょうあく【勧善懲悪】**○善い行いをすすめ、悪い行いをこらしめること。[文例]昔話には、善を勧め悪を懲らしめるという勧善懲悪の話が多い。♠坪内逍遙[つぼうちしょうよう]は、「小説神髄[しんずい]」で勧善懲悪主義を排[はい]し、世態人情[せたいじんじょう]の写実を主張した。 <226> **がんそ【元祖】** ○家系の始[はじ]まりの人。物事を始めた人。創始者[そうししゃ]。物事の始まり。[文例]〈物語の元祖〉日本の物語の元祖は、かぐや姫で有名な『竹取物語』です。♠〈物語の元祖〉『銀河鉄道の夜」という作品は、日本では、宇宙を題材にした物語の元祖といえるかもしれません。♠ヘピアノの元祖〉かわいらしい音を出すチェンバロという楽器がピアノの元祖なのです。♠ヘカステラ製造[せいぞう]の元祖〉あの製菓[せいか]会社が、日本のカステラ製造[せいぞう]の元祖だといわれている。 **かんそう【感想】** ○物事にふれて、心に浮かぶ思い。[文例]〈感想を書く〉その日あった出来事やその感想などを、日記に書いている。♠〈感想を持つ〉その劇を見て、あなたはどんな感想を持ちましたか。♠〈感想をまとめる〉感動した本があったら、感想を文章にまとめてみよう。♠へ感想を述べる〉一人一人の作品を発表し、感想や意見を述べ合ってみよう。♠へ感想が生まれる〉同じ作品に対してでも、目のつけどころが違[ちが]えば、違った感想が生まれます。♠〈感想文〉宮沢[みやざわ]賢治[けんじ]の童話を読んで感想文を書いた。 **かんそう【乾燥】** ○乾いて水分がなくなること。うるおいがないこと。[文例]〈乾燥する〉摘[つ]んだお茶は、蒸[む]して、もみ、乾燥させます。♠〈空気が乾燥する〉空気が乾燥し、火事が発生しやすい状態なので、火の元には十分気をつけてください。♠〈無味乾燥〉無味乾燥な講演を聞いているうちに、うとうと居眠[いねむ]りしてしまった。 **がんぞう(贋造)** ○にせものをつくること。にせもの。偽造。[文例]〈贋造する〉とても精巧[せいこう]にできていて、見た目には本物か贋造したものか区別がつかない。♠〈贋造紙幣[しへい]〉犯人らは、巧みな技術で贋造紙幣[がんぞうしへい]を製造[せいぞう]し、使用していたらしい。 **かんそく【観測】** ○自然現象を観察したり、測定したりすること。物事の将来を推し測ること。[文例]〈観測を続ける〉大昔から人間は、星をながめ、天体の観測を続けることにより、多くのことを知ってきた。♠〈地震[じしん]の観測〉地震の観測を通して、予知の方法を追求する。♠へ気象を観測する〉理科班では、毎日の気象を観測して、記録をとっている。♠ぼくの観測では、この計画が簡単に認められるとは思えない。♠〈希望的観測〉両者のぎくしゃくした関係も、やがて時間が解決するだろうというのがわれわれの希望的観測である。 **かんそん【寒村】** ○貧しく寂しい村。さびれた村。[文例]作者は、雪国の寒村に生まれ、貧しい少年時代を送った。♠今は大きな町だが、当時、この町はまだ寒村だった。 **かんそんみんぴ【官尊民卑】** ○政府や役人を尊[とうと]いものとし、民間の人々をいやしむこと。[文例]〈官尊民卑の風潮〉戦前の日本には、まだ官尊民卑の風潮が根強く残っていて、役人はいばりくさっていた。 **かんたい【歓待・款待】** ○心をこめてもてなすこと。あついもてなし。[文例]〈歓待を受ける〉行く先々で土地の知り合いから大変な歓待を受けました。♠へ歓待する〉海外勤務から戻[もど]る支局長を歓待しようと、友人たちがパーティーの準備を始めた。 **かんだい【寛大】** ○心が広いさま。度量が大きいさま。[文例]〈心が寛大〉彼は心の寛大な人だから、きっとその過[あやま]ちを許してくれるよ。♠へ〈人に寛大〉自分には厳しく、人には寛大であれ。♠へ寛大な処置〉お代官さま、どうか寛大な処置をお願いいたします。 **かんだか・い【甲高い】(疳高い)** ○声の調子が鋭く、高い。[文例]〈甲高い声〉事故現場では、アナウンサーが興奮した甲高い声でしゃべっていた。♠〈甲高く鳴く〉ひばりが空高く、甲高く鳴いている。 **かんたる【冠たる】** ○群を抜いてすぐれている。第一の地位を占めている。[文例]〈世界に冠たる〉この海の美しさは、世界に冠たるものと思われる。♠〈世界に冠たる〉世界に冠たる発明家、エジソンが発明したものは数知れない。 **かんたん【簡単】** ○こみいっていないさま。たやすいさま。[文例]〈筋が簡単〉この物語は筋が簡単なので、小さい子供にもよく分かる。♠へ料理が簡単〉難[むずか]しそうに見えた料理も、実際に作ってみると、案外簡単でした。♠へ簡単な修理〉自転車のパンク程度の簡単な修理なら、ぼくにもできる。♠〈簡単なことば〉この文章は、平易で簡単なことばで書かれているので、とても分かり易[やす]い。♠〈簡単にいかない〉今度の仕事は、そう簡単にはいかない。♠へいとも簡単に〉昔は、かなりの大雨が降っても何ともなかった川が、近ごろは、いとも簡単にあふれるようになった。 **かんたん【感嘆】(感歎)** ○感心してほめること。強く心を打たれて声に出すこと。[文例]〈感嘆の声〉澄[す]んだ、真っ青な海の美しさに、思わず感嘆の声をあげた。♠〈演奏に感嘆する〉見事な演奏に感嘆した人々は、盛[さか]んな拍手をおくった。♠〈批評家を感嘆させる〉まったく無名であった彼の作品が批評家たちを感嘆させ驚[おどろ]かせた。 **かんたん【肝胆】** ○心の中。心の底。まごころ。[文例]〈肝胆相照らす〉我々二人は肝胆相照らす仲であり、互いに隠[かく]すところがない。♠〈肝胆を砕[くだ]く〉敵の侵略[しんりゃく]を防ぐため、領主は肝胆を砕いていた。 **かんたん(邯鄲)** ○中国の古い都市の名。人の栄枯盛衰[えいこせいすい]のはかないことのたとえ。[文例]〈邯鄲の夢・邯鄲夢の枕〉飛ぶ鳥を落とす勢いだったあの男がこんなに落ちぶれるなんて、邯鄲の夢とはいうもののはかないものだ。 **かんだん【間断】** ○とぎれること。絶え間。[文例]〈間断なく〉雨にぬれた林の中の様子が、照ると曇[くも]るとで間断なく変わる。♠へ間断がない〉間断もなく雪は降り続き、家々はすっぽりと埋まってしまった。 **かんだん【歓談・款談】** ○楽しく語り合うこと。うちとけた語らい。[文例]〈歓談を交わす〉仲の良い友達と歓談を交わすひとときは楽しい。♠〈歓談する〉昼休みは、同僚[どうりよう]とお茶を飲みながら歓談したり、バドミントンを楽しんだりします。 **がんたん(元旦)** ○一年の最初の日。元日。[文例]「一年の計は元旦にあり」、「一年の計は元旦にあり」、何事も最初が肝心[かんじん]だ。 **かんち【感知】** ○感じとること。感づくこと。[文例]〈異変を感知する〉野生の動物には、わずかな自然界の異変をも感知する能力があるようだ。 <227> へ危険を感知する〉ポスが大きな声を発すると、仲間のサルたちは本能的に危険を感知し、待避[たいひ]行動を起こす。 **かんち【関知】** ○かかわって知ること。あずかり知ること。[文例]〈関知する〉その問題については、当局は一切関知していません。♠〈関知する〉人の私生活については、第三者の関知するところではない。 **かんちがい【勘違い】** ○思い違い。考え違い。[文例]〈勘違いをする〉あら、だれも来ていないわ、わたし、勘違いをしたのかしら。♠〈勘違いする〉うっかり、掛け算をたし算と勘違いしてしまった。♠へとんだ勘違い〉とんだ勘違いで大失敗をしました。 **がんちく【含蓄】** ○深い意味や味わいを含みもつこと。また、その意味や味わい。[文例]〈含蓄がある〉話し方はとつとつとして上手ではないが、なかなか含蓄のある内容です。♠〈含蓄する〉子供にもわかるやさしい講演でしたが、その含蓄するところはきわめて深い。 **がんちゅう【眼中】** ○見える範囲。視界。関心の及ぶ範囲。[文例]〈眼中にない〉彼って、わたしのことなど眼中にないのよね。♠〈眼中にある〉今、市長であるわたしの眼中にあるのは、市制十周年の記念行事だけだ。♠〈眼中に置く〉この家のあるじは、使用人のことなど一切眼中に置かなかった。 **かんちょう【完調】** ○物事の調子や体調が完全であること。[文例]一時の不調からは脱[だっ]したものの、この選手はまだ完調とはいえない。♠完調になるまで、競技会への出場は見合わせるつもりです。 **かんつう【貫通】** ○貫き通ること。貫き通すこと。[文例]〈トンネルが貫通する〉トンネルを掘る作業は長く苦しいが、貫通した時の喜びは大きい。♠へ弾[たま]が貫通する〉血まみれになって倒れている男の体には、銃弾[じゅうだん]が貫通した跡[あと]があった。 **かんづく【感付く】** ○気づく。察知する。[文例]あの様子では、どうも相手はおかしいと感づいたらしい。♠いいかい、相手に感づかれないようにうまくやるんだよ。♠わたしは、自分の思いをだれにも感づかれないように、さりげなく振る舞った。 **かんづめ【缶詰】** ○保存用に食品を缶に詰めて、密封したもの。ある場所に閉じ込めること。[文例]〈缶詰を開ける〉缶詰を開けて食べようとしたが、缶切りを忘れてきた。♠へ缶詰になる〉締め切りが迫[せま]り、書斎[しょさい]に缶詰になって原稿を書いている。 **かんてい【鑑定】** ○事実や真偽・価値などを見定めること。[文例]〈鑑定を受ける〉専門家の鑑定を受けたら、その絵は大変価値のあるものとわかった。♠へ鑑定する〉家宝の刀を鑑定してもらうと、何の値打ちもないがらくた品だということだった。♠へ〈鑑定書〉このダイヤは、鑑定書付きの確かな品です。 **かんてつ【貫徹】** ○貫き通すこと。やりとげること。[文例]〈意志を貫徹する〉命をかけても、自分の意志を貫徹するつもりだ。♠〈要求を貫徹する〉粘[ねば]り強く行政側に交渉したが、住民の要求は貫徹できなかった。♠〈初志貫徹〉初志貫徹をモットーに、最後までがんばりぬく覚悟[かくご]です。 **かんてん【観点】** ○物事を見たり、考えたりする時の立場。視点。見地。[文例]〈観点に立つ〉宇宙という観点に立ってみれば、地球も、一個の小さな星に過ぎない。♠へ自然保護の観点〉今では、自然保護の観点から、安易な開発を抑制[よくせい]しようという運動が起こっている。♠〈観点をしぼる〉作文を書くときには、観点を一つにしぼって、テーマのはっきりした文章にすることが大切だ。♠へ観点を変える〉「わんぱくな子」も、観点を変えてみれば、「元気で活発な子」である。♠〈観点を決める〉はっきりと観点を決めて、何が言いたいのか、中心の部分が分かるように表現しよう。 **かんてん【干天】(旱天)** ○日照りの空。日照りの天候。[文例]〈干天の慈雨[じう]〉不況にあえぐ零細[れいさい]業者にとって、今回の特注はまさに干天の慈雨であった。 **かんでん【感電】** ○電気にふれて衝撃を感じること。電流が身体を流れること。[文例]〈感電する〉感電するから、コンセントなんかいたずらしてはいけないよ。♠〈感電する〉その男の顔を見て、女は感電したように硬直した。♠〈感電死〉高圧線[こうあつせん]に触[ふ]れたりしたら、たちまち感電死してしまうだろう。 **かんど【感度】** ○感じる度合い。敏感さの度合い。[文例]〈感度がよい・悪い〉このラジオは感度がいいから、山の中でもよく聞こえるはずだ。♠へ感度がいい〉ぼくが遠まわしに誘[さそ]っているのにすばやくこたえてくれるなんて、きみって感度がいいね。 **かんとう【敢闘】** ○勇敢にたたかうこと。[文例]〈敢闘する〉強敵を相手に最後まで敢闘した選手たちに拍手を送りたい。♠〈敢闘賞〉選手たちは優勝こそできなかったが、敢闘賞をやりたいほどの奮戦ぶりだった。♠へ敢闘精神〉戦いが長びいて、兵士たちはもはや敢闘精神を失い疲れ切っていた。 **かんとう【巻頭】** ○巻物や本の最初の部分。[文例]〈巻頭を飾[かざ]る〉新年号の巻頭を飾るのは、草野心平の詩である。♠〈巻頭のことば〉本を開くと、まず編者による巻頭のことばがあった。♠へ巻頭言〉この雑誌は、毎号巻頭言として著名人の発言をのせます。 **かんどう【感動】** ○物事に感じて心を動かすこと。[文例]〈強い感動〉〈感動を受ける〉ナイチンゲールの伝記を読んで、その深い人類愛に強い感動を受けた。♠〈大きな感動〉〈感動を与える〉『アンネの日記』は、世界の数十の国々で翻訳[ほんやく]され、今日なお人々に大きな感動を与えている。♠〈深い感動〉〈感動をよぶ〉平和を訴[うつた]える彼の言葉は、戦いに疲れた人々の間に、深い感動をよび起こした。♠〈感動を誘[さそ]う〉この映画の最後の場面は、きっときみの感動を誘うよ。♠へ感動を示す〉高原で見た星空のすばらしさを話しても、母はいっこうになんの感動も示さない。♠へ感動が伝わる〉この詩を読むと、小さな生命に対する詩人の深い感動が、じかに伝わってくるようだ。♠〈感動を覚[おぼ]える〉『ガラスのうさぎ」を読みながら、幾度[いくど]も総身の震[ふる]えるような感動を覚えた。 <228> 〈深く感動する〉電車にひかれかけた人を命がけで救った駅員の行動をテレビで知って、深く感動した。♠へ感動の嵐[あらし]〉映画が終わったとき、館内は感動の嵐に包まれた。♠へ感動的〉「二十四の瞳[ひとみ]』は、先生と教え子たちの感動的な心の交流を描[えが]いた作品だ。 **かんどう【勘当】** ○親や主人・師匠などが、縁を切って子や使用人・弟子などを追い出すこと。[文例]〈勘当を言い渡す〉師は、弟子の裏切り行為に激怒して勘当を言い渡した。♠〈勘当する〉おやじが、おまえのような親不孝者は勘当する、と言い出した。 **かんとく【監督】** ○指図[さしず]したり、取り締まったりすること。また、その人。[文例]〈監督に当たる〉老中[ろうじゆう]は、将軍のすぐ下で政務を執[と]り、諸大名や町奉行などの監督にも当たった。♠〈子供を監督する〉夏休みに小さいないとこたちが来たとき、ぼくは母から、彼らを監督する役目を押[お]しつけられた。♠〈保安を監督する〉道子の父親は、炭鉱の保安を監督する役所に勤めていて、出張することが多かった。♠ヘチームの監督〉相手チームの監督がアンパイアに抗議を申し込み、試合が一時中断した。♠〈現場監督〉現場監督の指図[さしず]に従って、工事は進められる。♠〈映画監督〉ぼくは将来映画監督になって、自分の映画を制作してみたい。 **かんとく【感得】** ○感じさとること。さとり知ること。[文例]〈感得する〉優れた文学には、人はどう生きるべきかを感得させる何かが込められています。♠へ感得する〉その映画は、ぼくを深く感動させ、人間にとって最も大切なことは何かを感得させた。 **かんどころ【勘所】** ○かんじんなところ。物事の急所・要点。[文例]〈勘所をおさえる〉長ったらしい話だったが、一応勘所だけはおさえているので、最後まで聞けた。♠へ勘所を心得[こころえ]る〉ぼんやりしているようでも勘所は心得ている人だから、任せてもだいじょうぶだろう。 **かんなん(艱難)** ○つらく苦しいこと。苦しみ悩むこと。[文例]〈艱難辛苦[しんく]〉奴隷[どれい]として売り買いされ、艱難辛苦をなめつくした男だったが、そのまな差しは静かで優[やさ]しかった。♠〈艱難汝[なんじ]を玉にす〉困難にあった時は、「艱難汝を玉にす」という言葉を思い浮かべて乗り切ってください。 **かんにん【堪忍】** ○こらえ、しのぶこと。こらえて腹を立てないこと。がまん。[文例]〈堪忍する〉わたしが悪かった。どうか堪忍してください。♠へならぬ堪忍[かんいん]するが堪忍[かんいん]〉「ならぬ堪忍するが堪忍」と言って、我慢[がまん]ならないことをじっとこらえるのが、本当の堪忍というものだ。♠へ堪忍袋[ぶくろ]の緒[お]が切れる〉今度こそはわしも堪忍袋の緒が切れた、出て行け! **かんぬき(閂)** ○扉[とびら]や戸を閉めて、開かないようにするための横木。[文例]へかんぬきをかける〉屋敷のまわりには高い塀[へい]をめぐらし、門には頑丈[がんじよう]なかんぬきをかけて、侵入者を防いだ。♠へかんぬきを下ろす〉門にはしっかりかんぬきを下ろしておけ。♠〈かんぬきを外す〉何度も扉をたたくと、ようやくかんぬきを外す音がして、門が開いた。 **かんねん【観念】** ○物事に対して抱く、ある考え。あきらめて覚悟[かくご]すること。[文例]〈自由に対する観念〉自由でありたいと望む兄とぼくだが、二人の自由に対する観念には大きなずれがあった。♠へ観念を持つ〉〝生きる』ということに対して、彼はしっかりした観念を持った人です。♠へ時間の観念〉いつもいつも遅れて来るなんて、時間の観念がないのかね、きみは。♠へ観念する〉悪いのは全面的に自分のほうなので、しかたがないと観念して、先方の言うとおり謝[あやま]った。♠〈責任観念〉人から借りた物をほったらかしておくなんて、ずいぶん責任観念のない人だなあ。♠〈固定観念〉頭のかたい大人は、固定観念から抜け出すのが難しい。♠〈観念的〉経験に乏[とぼ]しい若い人の意見は、どうしても頭の中だけで作りあげた観念的なものになりがちです。 **がんねん【元年】** ○年号の最初の年。[文例]一八五四年(安政[あんせい]元年)、日米和親条約が結ばれた。♠キリスト降誕[こうたん]の年を、西暦の紀元元年としている。 **かんのう【感応】** ○物事に感じて反応すること。[文例]〈自然への感応〉〈感応を示す〉都会の忙[いそが]しい毎日に心が鈍[にぶ]り、自然の移り変わりにも感応を示さなくなっていた。♠へ感応する〉人間には、何かを見たり聞いたりするとそれに感応する「心」がある。 **かんのう【官能】** ○感覚器官の働き。特に、肉体的な快感。[文例]〈官能の快楽〉そのころぼくは、大都市の一隅[いちぐう]で官能の快楽に身を任せ、退廃[たいはい]した生活を送っていた。♠〈官能的〉豊満[ほうまん]な肉体をもったダンサーの官能的な踊りは、男たちをおおいに喜ばせた。 **かんぱ【寒波】** ○冬期のきびしい寒気の流れ。[文例]〈寒波にみまわれる〉日本列島は、この冬一番の寒波にみまわれた。♠〈寒波がおそう〉寒波におそわれたヨーロッパでは、凍死[とうし]する人も出たという。 **かんば【看破】** ○見破ること。見抜くこと。[文例]〈看破する〉人々の本音[ほんね]がどこにあるかを彼は鋭[するど]く看破していた。♠併[しか]しこれは何事をも鋭く看破する末造[すえぞう]の目が、笑止[しょうし]にも愛する女の精神状態を錯[あやま]り認めているのである。(森鷗外[もりおうがい]「雁[がん]」) **かんぱい【完敗】** ○完全に敗れること。[文例]さすがにチャンピオンは強く、挑戦者[ちょうせんしゃ]は完敗で手も足も出なかった。♠〈完敗する〉選挙では、保守派が圧勝し、革新派は完敗した。 **かんばい【乾杯】(乾盃)** ○祝い、祈り、励ましなどの目的で、杯の酒を一斉に飲み干すこと。[文例]〈乾杯する〉合格を祝って、みんなで乾杯しよう。♠お二人の輝[かがや]かしい前途を祝福して、乾杯!♠それでは、会長に乾杯の音頭を取っていただきます。皆さんご起立ください。 **かんばし・い【芳しい】** ○かおりがよい。かぐわしい。評判がよい。望ましい。思わしい。[文例]〈お茶が芳しい〉「新茶だよ。」と言いながら、祖母が入れてくれたお茶が芳しい。♠〈芳しい香り〉温室に入ると、甘く芳しい香りにむせびそうになった。♠へせんだんは双葉[ふたば]より芳[かんば]し〉「栴檀[せんだん]は双葉より芳し」とは、偉[えら]くなる人は子供の時からどことなくちがうという意味です。♠へ成績が芳しくない〉あまり成績が芳しくないので、希望の高校には行けそうにない。♠へ病状が芳しくない〉祖父の病状が芳しくなく、高齢[こうれい]でもあるし、皆が心配している。 <229> 〈評判が芳しくない〉きみが見たいって言っている映画の評判は、芳しくないようだよ。♠へ芳しくないうわさ〉あの店は、最近芳しくないうわさが立っているので、取り引きを中止したほうがいいようだ。 **かんばつ(干魃・旱魃)** ○農作物に必要な雨が長期間降らないこと。ひでり。[文例]〈かんばつに見舞われる〉ひどいかんばつに見舞われ、作物は少しも実[みの]らず、餓死者[がししゃ]が続出した。♠へかんばつによるききん〉かんばつによるききんで、大勢の人々が飢[う]えに苦しんでいるという。 **がんばり【頑張り】** ○がんばること。[文例]〈頑張りがきく〉病気をしてから、以前のように頑張りがきかなくなった。♠〈ひと頑張り〉そろそろ完成だ、さあ、もうひと頑張りしよう。♠〈頑張り屋〉K子はとても頑張り屋で、練習もいつも最後まで残ってやっていた。 **がんば・る【頑張る】** ○苦しさに耐えて努力する。主張を押し通す。その場を占めて動かない。[文例]〈弱音[よわね]をはかずに頑張る〉兄は意志が強く、苦しい試験勉強にも弱音をはかずに頑張った。♠へ徹夜で頑張る〉締め切りまでに論文をしあげようと思って、昨夜は徹夜で頑張った。♠きみが頑張ってくれたおかげで、わがチームは勝利を得ることができた。♠マラソン大会に出たぼくは、父や母の喜ぶ顔が見たい一心で最後まで頑張った。♠会議では、彼はみんなと妥協[だきよう]せず、もっとよいやり方があると頑張った。♠へ入り口で頑張る〉入り口で警備員が頑張っているから、許可証のない者は会場に入れない。 **かんばん【看板】** ○人目につくように掲げた営業や宣伝のための板。店としての名・名誉。広く注意を引くための題目。飲食店が一日の営業を終わること。[文例]〈看板を掲[かか]げる〉通りの一角に念願だった自分の店を開き、小さな看板を掲げた。♠へ看板を背負[せお]う〉あの投手が、一人でチームの看板を背負っているようなものだ。♠へ看板にする〉難民救済を看板にして、あくどい金もうけをしている団体もあるという話だ。♠へ看板にする〉今夜はもうお客さんも来そうにないから、そろそろ看板にしましょ。♠〈看板にいつわりなし〉値切ってみると、「まからず屋」の看板にいつわりなしで、びた一文まけられないと主人が言う。♠ヘ看板倒れ〉看板倒れにならないように、しっかり頑張[がんば]ろう。♠〈看板娘〉明るくて気立てのいいみっちゃんは、この店の看板娘です。 **かんび【甘美】** ○甘くてうまいこと。うっとりするように快[こころよ]いこと。[文例]〈甘美な味〉ふわりと泡[あわ]のようなクリームをなめると、甘美な味が口の中に広がった。♠ヘ甘美な旋律[せんりつ]〉ショパンのピアノ曲を聴きながら、その甘美な旋律に酔[よ]いしれた。♠へ甘美な世界〉何と甘美で、また何とほろにがい世界でありましょうか、初恋とは。 **かんび【完備】** ○完全に備わっていること。完全に備えること。[文例]〈完備する〉でこぼこ道も、今はきれいに舗装[ほそう]され、下水を流すみぞも完備されるようになった。♠〈完備する〉あの店は、駐車場が完備しているので車で行っても安心だ。♠へ冷暖房完備〉当旅館は、もちろん全室冷暖房完備でございます。 **かんびょう【看病】** ○病人の世話をすること。[文例]〈看病する〉彼女は、夜昼なく病気の夫を献身的[けんしんてき]に看病した。♠〈看病がよい〉母の看病がよかったので、病気の回復は思いのほか早かった。♠〈看病疲れ〉寝たきりの祖母を看護していた母が、看病疲れで倒[たお]れてしまった。 **かんぶ【患部】** ○病気や傷のある箇所。[文例]〈患部の手当て〉仕事中にけがをして、病院で患部の手当てを受けた。♠〈患部を保護する〉傷口に薬を塗ったら、包帯を巻いて患部を保護しておきます。 **かんぶ【幹部】** ○主だったメンバー。組織の中心になる人。[文例]〈会の幹部〉会長はじめ会の幹部が決まり、役員会が開かれた。♠へ会社の幹部〉会社の運営は、社長をはじめとする少数の幹部の手に任されている。 **かんぷ【完膚】** ○傷ついていない完全な皮膚。損なわれていない部分。[文例]〈完膚なきまで〉彼の批評のほこさきは鋭[するど]く、論敵を完膚なきまでに論破するのを常とした。 **かんぷう【寒風】** ○寒く、冷たい風。[文例]〈寒風が吹きすさぶ〉寒風が吹きすさぶ岬[みさき]に立ち、荒涼[こうりよう]とした冬の海を眺[なが]めた。♠へ寒風が吹き抜ける〉寒風が吹き抜ける冬の道を、人々は背中を丸め、急ぎ足で歩いて行く。 **かんぷく【感服】** ○深く感心すること。深く感心して従うこと。[文例]〈感服する〉実にお見事な腕前ですなあ、感服いたしました。♠へ感服する〉彼の思い切りのよさには感服させられる。 **かんぺき(完璧)** ○欠点が全くなく、完全であるさま。[文例]〈完ぺきな出来〉完ぺきな出来だ、非の打ちどころがない。♠〈完ぺきな記録〉この島についての完ぺきな記録を作り上げようと、わたしは資料探[さが]しに奔走[ほんそう]した。♠◇完ぺきを期[き]する〉技師たちは、完ぺきを期して日夜作業に打ち込んだ。 **がんぺき【岸壁】** ○コンクリートや石で築いた船着き場。[文例]大きな波が岸壁にぶつかって砕[くだ]ける。♠船を岸壁に横づけにして、荷物の積み下ろしをする。 **かんべん【簡便】** ○手軽で便利なさま。[文例]〈簡便な電話〉もっぱら、簡便な電話を使用するようになって、手紙も書かなくなってしまった。♠〈簡便さ〉ファーストフードの簡便さが、忙[いそが]しい現代人に受けている。 **かんべん【勘弁】** ○がまんして許すこと。[文例]〈勘弁する〉何も分からぬ子供のしたことですから、どうか勘弁してやってください。♠すまないが、保証人になるという話は御[ご]勘弁願いたい。 **かんぽう【漢方】** ○中国伝来の医療の方法。[文例]漢方で、肝・心・肺・脾[ひ]・腎[じん]の五つの内臓のことを五臓と呼ぶ。♠へ漢方医学〉その医師は、西洋医学に疑問を感じ始め、漢方医学の研究を始めているという。♠〈漢方薬〉体質の弱い人には、漢方薬がいいそうだよ。 **がんぼう【願望】** ○願い、望むこと。願いや望み。[文例]〈願望する〉両親は、わたしが心の正しい人間になってほしいと願望していた。♠〈願望をもつ〉小さいころの自分に実際に会ってみたいという願望をわたしはもっている。 <230> へ願望をかなえる〉自分の歌集を出したいという、父の長い間の願望がかなえられた。♠へ願望が達[たっ]せられる〉兄が弁護士として法廷[ほうてい]に立つ日が、母の願望の達せられる日であった。 **かんぼつ【陥没】** ○落ちくぼむこと。[文例]〈陥没が生じる〉カルデラ湖とは、火口原に陥没が生じてそこにできた湖をいいます。♠〈陥没する〉大きな地震があると、地割れがしたり、地面が陥没したりすることがあります。 **かんまん【緩慢】** ○緩やかで、ゆっくりしているさま。動きののろいさま。[文例]〈動作が緩慢〉太[ふと]った人はやせた人より、大きな人は小柄[こがら]な人より、動作が緩慢に見える。♠〈動きが緩慢〉この虫は、動きが緩慢なので、鳥たちのえじきになりやすい。♠へ対応が緩慢〉難民の救済や援助[えんじよ]に対する政府の対応が緩慢だと、国の内外から非難を受けた。 **かんまん【干満】** ○潮のみちひ。干潮と満潮。[文例]〈潮の干満〉満月と新月のころは、潮の干満の差が最も大きくなる。 **かんみ【甘味】** ○あまみ。あまみのある食品。[文例]昔の人たちにとって砂糖の味は、抜群[ばつぐん]の甘味と感じられたのです。♠〈淡[あわ]い甘味〉メロンの淡い甘味が快[こころよ]い。♠〈甘味類〉お汁粉[しるこ]やあんみつなどの甘味類が大好きだ。♠〈甘味料〉いやに甘いけど、人工甘味料でも使っているのかしら。 **かんむり【冠】** ○頭にかぶる物。儀礼用のかぶり物。[文例]〈冠をかぶる〉王は、日と月を組み合わせたものに翼[つばさ]のついた冠をかぶっていた。♠〈冠を授[さず]ける〉敵を倒して凱旋[がいせん]した将軍は、勇者の印たる冠を授けられた。♠へ李下[りか]に冠[かんむり]を正[ただ]さず〉「李下に冠を正さず」といって人から疑われるようなことはしてはいけない。♠〈冠を曲げる〉わたしが母の味方をしたら、祖母は冠を曲げてしまった。♠へおかんむり〉父の帰りが遅いので、母は少々おかんむりです。♠へ草かんむり・竹かんむり〉「うすい」という字は、草かんむりだったかな、竹かんむりだったかな? **かんめい【簡明】** ○むだがなく、わかりやすいさま。[文例]〈簡明な表現〉ポスターの文句や標語は、簡明で、人の心を打つ表現をする必要があります。♠〈簡明に述べる〉筆者[ひっしゃ]は、結びの部分で自分の意見を簡明に述べている。 **かんめい【感銘・肝銘】** ○心に深く感じて忘れないこと。心に深く刻[きざ]まれること。[文例]〈感銘を受ける〉平和を訴える彼の言葉に感銘を受けた人々は、惜しみない協力を申し出た。♠〈感銘を与える〉五百年も前に書かれた作品でありながら、今もなお多くの読者に感銘を与えている。♠へ感銘を覚える〉ボランティアとして、献身的[けんしんてき]に働いている若者たちの姿に、深い感銘を覚えた。♠へ感銘深い〉この映画は、戦乱の時代を生きた人々を、感銘深く描[えが]いている。♠へ感銘する〉本を読んで主人公たちの考え方・生き方に感銘した経験が、だれにもあるものだ。 **がんめい【頑迷】(頑冥)** ○かたくなで、ものの道理がわからないさま。[文例]〈頑迷な老人〉頑迷な老人の表情[おもて]にも、少しずつ変化が現れ、おだやかになってきた。 **がんめん【顔面】** ○顔の表面。つら。[文例]〈顔面が紅潮[こうちょう]する〉美しい人だねと言われ、娘は顔面を紅潮させている。♠〈顔面蒼白[そうはく]〉飛び込んできた時、女は顔面蒼白、今にも倒[たお]れそうだった。 **がんもく【眼目】** ○かなめとなる点。最も大事な目あて。主眼。[文例]〈話の眼目〉今日の話の眼目は、いかにしたら勤務中の事故を防ぐことができるかという点にあります。♠〈眼目となる〉本日の会議の眼目となる議題は最後に提出されます。 **かんもん【関門】** ○関所の門。通過するのに困難をともなうところ。[文例]〈人生の関門〉老人には、人生の幾多[いくた]の関門をくぐり抜けてきた人の風格が感じられた。♠へ関門を突破[とつぱ]する〉入試に合格して、まずは、一つの大きな関門を突破した。 **かんゆう【勧誘】** ○すすめさそうこと。[文例]〈保険の勧誘〉セールスマンが、しつこく生命保険の勧誘に来る。♠へ強引な勧誘〉強引な勧誘に負けて、読みたくもない新聞をとることになってしまった。♠へ勧誘する〉友達ができるよと勧誘[さそ]われ、断りきれずに合唱部に入った。 **がんゆう【含有】** ○成分として含みもつこと。[文例]〈含有する〉ビタミンEを含有する食品には、胚芽[はいが]・卵黄[らんおう]・大豆油などがあります。♠〈含有量〉この鉱山の金鉱石は、金の含有量が多いことで有名です。 **かんよ【関与・干与】** ○かかわること。関係すること。[文例]〈事件に関与する〉この事件には、多くの政府高官が関与していた。♠へ政治に関与する〉わたしたちは、議員を選挙することで国および地方の政治に関与しているわけである。 **かんよう【寛容】** ○心が広いこと。人を包みこむようにおおらかなさま。[文例]〈寛容な態度〉反抗的[はんこうてき]な息子を、父は、ときには厳しく、ときには寛容な態度で見守り続けた。♠〈寛容な人〉おじは寛容な人なので、大事にしている絵を汚したときも、何も言わずに許してくれた。♠〈寛容の精神〉他人に対しては寛容の精神をもって接することが望ましい。 **かんよう【慣用】** ○一般に広く用いられること。使い慣れること。[文例]〈慣用になる〉「小包・売値・割引・組合」などは送り仮名をつけないのが慣用になっています。♠へ慣用に従う〉わからない場合は慣用に従えというけれど、慣用そのものがわかりにくいのです。♠〈慣用句〉「手も足も出ない」「目が高い」など、慣用句には、体の部分を表す名詞を含んだものが多い。 **かんよう(涵養)** ○自然にしみこむように養うこと。少しずつ養い育てること。[文例]〈読書力を涵養する〉小さい時から本に親しみ、読書力を涵養することはとてもいいことです。♠へ情操を涵養する〉絵や音楽、詩などのすぐれた芸術作品に親しみ、豊かな情操を涵養しましょう。 **かんよう【肝要】** ○たいへん重要なさま。大切なさま。肝心。[文例]〈辛抱[しんぼう]が肝要〉何ごとも辛抱が肝要だ、あきらめないで最後まで頑張[がんば]ろう。♠へあきらめが肝要〉いつまでもくよくよしていてもしようがない、あきらめが肝要だ。 **がんらい【元来】** ○もともと。そもそも。[文例]「ガリバー旅行記」は、子供たちに人気のある物語だが、元来は大人のために書かれたものです。 <231> 田舎の家は、元来父が継[つ]ぐはずだったのですが、父が病弱なため、おじが継いだのだそうです。♠「道草を食う」という言葉は、元来、馬が道ばたの草を食べて時間を費[つい]やすことを言い表したものである。♠農業は手間がかかりますが、元来この仕事がわたしの性に合っているので苦になりません。 **かんらく【歓楽】** ○喜びと楽しみ。楽しむこと。[文例]〈歓楽におぼれる〉遊ぶのもいいが、歓楽におぼれるのはいけない。♠〈歓楽を尽[つ]くす〉歓楽を尽くしても、心はますます空虚[くうきよ]になっていくばかりだった。♠へ歓楽街〉久しぶりに上京したので、夜の歓楽街をうろついてみた。 **かんらく【陥落】** ○落ち込むこと。落ちくぼむこと。攻め落とされること。[文例]〈陥落する〉味方の総攻撃によって、敵の陣地[じんち]は陥落した。♠〈陥落する〉いくらくどいたって、あの娘を陥落させることはできないさ。 **かんらん【観覧】** ○展示物・催しなどを見物すること。[文例]〈観覧する〉展示品を観覧なさりたい方は、係までお申し込みください。♠へ観覧席〉馬術大会では、御自分も乗馬をなさる王女が観覧席に姿をお見せになりました。♠へ観覧車〉遊園地の観覧車に乗ると、町全体を見渡すことができた。 **かんり【管理】** ○取りしきったり取り締まったりすること。保全や運営にあたること。[文例]〈家計の管理〉家計の管理をするお母さんは、わが家の大蔵大臣です。♠へ財産の管理〉故人[こじん]の残したばく大な財産の管理は弁護士に任されている。♠へ金銭の管理〉彼は、金銭の管理がルーズなので、経理を任せることはできない。♠〈管理が行き届く〉このマンションは、なかなか管理が行き届いている。♠〈管理する〉寄宿舎を管理する舎監[しゃかん]は、寄宿生には、けむたい存在だ。♠〈品質管理〉厳重な品質管理にもかかわらず、欠陥品[けつかんひん]が見つかり、消費者から苦情が出た。 **かんり【官吏】** ○官庁の役人。[文例]〈官吏になる〉モスクワの大学を終えると、アレクセイは故郷のウクライナ共和国政府の官吏となった。♠〈官吏登用〉官吏登用の試験、今でいう国家公務員の採用試験は、大変に難しかった。 **がんりき【眼力】** ○物事の善悪・真偽・価値などを見分ける力。[文例]〈優れた眼力〉優れた眼力の持ち主なら、こんなにせ物にひっかかることはあるまい。♠〈眼力を持つ〉わたしも、師匠[ししよう]ぐらいの眼力を持っていれば、相手の作戦を読み取ることができるだろうに。♠人眼力を備える〉経験豊かな老人だったので、人の心を見抜く眼力を備えていた。 **かんりゃく【簡略】** ○手短で簡単なさま。[文例]〈簡略にする〉「月(にくづき)」は、「肉」の字を簡略にした形です。♠〈簡略化〉コンピュータを導入して、煩雑[はんざつ]な事務の簡略化を図[はか]る。 **かんりゅう【貫流】** ○貫いて流れること。[文例]〈貫流する〉盆地[ぼんち]の中央部を大きな川が南北に貫流している。♠へ貫流する〉平地を貫流する地下水脈が、工事などの影響で断たれることがある。 **かんりゅう【還流】** ○流れが元へもどること。[文例]〈還流する〉入り江に入った潮の流れは、入り江をひと回りして外海に還流する。♠〈人の波が還流する〉行楽地へ向かっていた人の波がそろそろ還流し始めるころだ。 **かんりょう【完了】** ○完全に終わること。[文例]〈完了する〉工事は、九月いっぱいで完了する予定です。♠〈完了の助動詞〉古語の「たり」は、「・・・・・・してしまう」という完了の意味を表す助動詞です。♠へ準備完了〉OK、準備完了。 **かんりょう【官僚】** ○国務に直接にたずさわる上級の役人。[文例]〈官僚主義〉役所や公企業は、住民に対するサービスも官僚主義的だと評判があまりよくない。♠〈官僚政治〉民意を無視した官僚政治は、国民の政治に対する不信を募[つの]らせる。 **かんるい【感涙】** ○感激の涙。[文例]〈感涙にむせぶ〉グラウンドには、勝利して感涙にむせぶ球児たちの姿があった。♠〈感涙を落とす〉立派に立ち直った我が子の姿にわたしはほとんど感涙を落とさんばかりであった。 **かんれい【寒冷】** ○気温が低く、寒いこと。[文例]〈寒冷な地方〉みかんは温暖な地域でとれ、りんごは寒冷な地方で栽培[さいぱい]が盛んです。♠〈寒冷前線〉寒冷前線の影響で気温が下がり、にわか雨が降る所もあるでしょう。 **かんれい【慣例】** ○ならわし。しきたり。[文例]〈慣例になる〉その会社では、女子社員は結婚すると辞[や]めるのが慣例のようになっていた。♠〈慣例に従う〉田舎では、何事も慣例に従うのが大事とされ、それを破るというのは大変なことだった。 **かんれん【関連】** ○かかわること。かかわり。つながり。[文例]〈関連が深い〉父が船員だったので、船とは、子供のころから関連が深かった。♠◇関連がある〉昨夜の近所の火事は、最近ひんぱんに起こっている放火事件に関連がありそうだ。♠◇関連の会社〉兄は、作家である父の関連の出版社へ、編集者として就職することになった。♠〈映画に関連する〉ぼくの父はカメラマンで、長い間、映画に関連した仕事をしている。♠へそのことに関連して〉そのことに関連して、もう一つ話しておきたいことがあります。♠〈互いに関連する〉捜査[そうさ]を進めるうち、最初無関係に思われた二つの事件が、互いに関連することが分かった。 **かんろく(貫禄・貫祿)** ○身にそなわった風格・威厳。[文例]〈貫祿がつく〉四十になると、体つきもどっしりとして、中年の貫祿がついてくるね。♠◇貫祿がある〉純子のお父さんて、立派で貫祿があってすてきね。♠〈貫祿を示す〉上級生は、年長の貫祿を示して、下級生をリードする。 **かんわ【緩和】** ○ゆるやかな状態にすること。ゆるめること。[文例]〈緊張の緩和〉国際間の緊張の緩和を図ることが、世界平和達成への第一歩だ。♠へ混雑を緩和する〉交通の混雑を緩和するために、時差出勤が提唱[ていしよう]された。♠〈制限を緩和する〉戒厳令[かいげんれい]が解除されて、市民生活のいろいろな制限が緩和された。 <232> **き【気】** ○空気。気体。呼吸。息。物体の発する目に見えない力。香りや味。周囲の様子。気分。元気。気持ち。心の動き。意志。[文例]〈秋冷の気〉十月の高原の朝は、秋冷の気がみなぎっていた。♠へ気が気でない〉約束の時間になっても連れが来ないので、汽車に乗りおくれはしまいかと、気が気でなかった。♠へ気をつける〉今日は山は荒[あ]れるそうですから、気をつけてお出かけください。♠へ気がする〉赤いじゅうたんを敷いてみたら、すっかり部屋の様子が変わり、新しい家に引っ越したような気がした。♠〈気がとがめる〉熱でふらふらするとはいえ、電車で前に老人を立たせて座っているのは、気がとがめた。♠〈気になる〉わたしは、友人から、彼のことでちょっと気になるうわさを聞いた。♠へ気にする〉やるだけのことはやったのだから、人の陰口[かげぐち]なんて気にすることはないよ。♠〈気を失う〉夫の交通事故を知らされたとき、彼女は気を失ってしまった。♠へ気のせい〉彼女は何か悩み[なや]ごとでもあるのだろうか、気のせいか、少しやせたようだ。♠へ気がつく〉家を出てからガスの元栓[もとせん]をしめ忘れたのに気がついて、すぐに引き返した。♠〈気を落とす〉劇団のオーディションに落ちた姉は、すっかり気を落としふさぎこんでいる。♠〈気を取り直す〉今年は優勝できなかったが、気を取り直して、ぜひ来年がんばろう。♠へ気を静[しず]める〉気を静めるため、大きく深呼吸してみた。♠へ気を配る〉来客の多い日の母は、いろいろ気を配るので、気づかれがするそうだ。♠へ気に病む〉背の低いことを気に病んでいた妹が、今では一六三センチもある。♠〈気に入る〉わたしは、その家具がとても気に入ったので、買う決心をした。♠〈気が強い・弱い〉彼は商売人に似合わず気が弱くて、思い切ったことができない。♠〈気が進まない〉今度の旅行は、気が進まないので、参加をとりやめたい。♠へ気が置けない〉おじは気が置けない人がらで、女の子のことや悩みなど気軽に相談にのってくれる。♠〈気を許す〉子供だと思って気を許していたら、「お姉さんって、子供だね。」と一本取られてしまった。♠へ気にさわる〉同じクラスのあいつは、人の気にさわるようなことばかり言ってきらわれている。♠へ気がひける〉会社の帰り近所の家のお通夜に寄ったが、ピンクのブラウスを着ていたので気がひけた。♠〈気が早い〉一次試験に受かっただけで合格パーティーだなんて、気が早いんじゃないかい。♠〈気が重い〉テーブルスピーチをたのまれた結婚披露宴[けつこんひろうえん]に出かけていくのは、何とも気が重い。♠へ気が向く〉気の向くままの一人旅というものを、一度してみたかった。♠へ気が済む〉父さんは何も言わないから、おまえの気が済むようにしなさい。♠へ気を回す〉彼はあれこれ気を回す人だから、あいまいな表現は使わないで、ストレートに言ったほうがいい。♠へ気が知れない〉「寒いお正月に、サーフィンをする人の気が知れないね。」と、おばあちゃんが海を見ながら言った。♠へ気を使う〉なれない職場でまわりの人に気を使って、すっかり疲[つか]れてしまった。♠へ気が大きい〉ふだんは小心な彼も、お酒を飲むと気が大きくなって、大胆[だいたん]なことを言い出す。♠へ気にかかる〉この一週間、ポストに入れた手紙のことが気にかかって、勉強が手につかない。♠へ気がいい〉この子は気のいい子で、だれにでも自分のおもちゃを貸してやる。♠へ気が立つ〉子を産んだばかりの犬は、気が立っているから、あまり近寄らないほうがいい。♠へ気が狂[くる]う〉鎖[くさり]を放してやると、小犬は気が狂ったように雪の上を走りまわった。♠へ気が遠くなる〉研究は、気の遠くなるような長い時間と根気[こんき]のいるものだった。♠〈気に留める〉雨の翌日、彼は靴のよごれを気に留めないらしく、前日と同じのをはいてきた。♠へ気がきく〉暑い中をやってきたら、冷たいビールが出るなんて、気がきいた人だなあ。♠へ気が合う〉彼とは不思議に気が合って、小学校からの長いつき合いだ。♠へ気を取られる〉つい話に気を取られて、火にかけておいたなべのことをすっかり忘れてしまった。♠へ気が散る〉気が散るから、勉強部屋をバタバタ走りまわるのはやめてくれないか。♠〈気が抜ける〉ゆうべは徹夜で準備したのに、テストはとりやめじゃ、気が抜けちゃうよ。♠へ気が晴れる〉気が晴れるから、たまには外に出て、街の空気を吸ってみないか。♠〈気がめいる〉梅雨[つゆ]の長雨[ながあめ]で、外出もままならず、ひとりで家にこもっていると、気がめいってくる。♠へ気がさす〉ベッドに入ってからも、悪いことをしたな、と気がさしてなかなか寝つけなかった。♠〈気が変わる〉お父さんの気が変わらないうちに、早く家族旅行の申し込みを済ませてしまいましょう。♠へ気が荒[あら]い〉海で働く男は、気が荒く見られがちだが、本当は優しい人たちが多い。♠へ気が短い〉彼は、とても優秀な人だが、気が短いのが欠点だ。♠へ気が長い〉ぼくは、気が長くて、のんびりしていると言われます。♠へ気にくわない〉ぼくの言ったことが気にくわないからといって、何も物を投げることはないだろう。♠へ気を悪くする〉ちょっと忠告したいことがあるので、気を悪くしないで聞いてください。♠へ気がせく〉気がせいているときは、思わぬ失敗をしやすい。♠〈気もそぞろ〉弟はアイスクリームの売り声に気もそぞろで、鉛筆[えんぴつ]を持つ手もおるすになっている。♠へ気にそまない〉いくら両親が気に入った男性でも、自分が気にそまない相手なら、結婚することはない。♠〈気をもむ〉遅れはしないかと気をもみながら、駅まで走った。♠へ気がもめる〉連絡[れんらく]がないので、無事に着いたのかどうか、気がもめます。♠へ気がある・ない〉兄は、ぼくの同級生のA子さんに気があるらしい。♠〈気が多い〉あの子だ、この子だと、おまえも気の多い男だな。♠〈気が楽〉上級生が相手なら負けてもともと、気が楽だ。♠へ気は心〉わずかな金額ですが、気は心と言いますから、ぜひ寄付をさせてください。♠へ気を引く〉石田君は、女の子たちの気を引こうと周りをうろうろしています。♠〈気を入れる〉今日で合宿は打ち上げだ。みんな、気を入れて練習のまとめをやれ。♠へ気を吐[は]く〉ふるわない日本の水泳[すいえい]庫の中で、中学生の彼女ひとりが気を吐いていた。♠へ病は気から〉おばあちゃん、病は気から、というから、くよくよしちゃだめよ。 <233> **き【木】(樹)** ○樹木。立ち木。木材。[文例]〈木の枝〉いろりにくべる木の枝を、裏山から集めてきた。♠〈木に登る〉弟と二人で庭の木に登って、母にしかられた思い出がある。♠〈木を植える〉妹が生まれたとき、わが家の小さな庭にひめりんごの木を植えた。♠〈木を切る〉この山の木を切ることは、許されていない。♠〈木の香も新しい〉新築した友人の家には、木の香も新しいひのきのふろおけがあった。♠〈木の机〉スチールよりも木の机のほうが、あたたかみがあってよい。♠へ木の芽どき〉木の芽どき、つまり早春のころともなると、ニキビが出てきて悩[なや]まされる。♠へ猿[さる]も木から落ちる〉自信があるからといって気を抜くと、失敗するぞ。ほら、猿も木から落ちるって言うだろ。♠〈驚き桃[もも]の木さんしょの木〉これは驚き桃の木さんしょの木、妹がはじめて作ったケーキがこんなにおいしいなんて。♠〈木に竹をつぐ〉その場しのぎにやった仕事だから、木に竹をつぐでなんともちぐはぐだ。♠〈木で鼻をくくる〉調子はどうですかとたずねたら、まあねと、木で鼻をくくるような答えが返ってきた。♠〈金の成る木〉無駄づかいはやめなさいよ、うちには金の成る木はないんだから。♠〈木を見て森を見ない〉「木を見て森を見ない」のたとえもある通り、全体に広く目を配ることを忘れないように。♠〈木もと竹うら〉木は根元から、竹は先端(=うら)から割るとよいという意味のことわざが「木もと竹うら」です。 **き【季】** ○春夏秋冬のそれぞれ。一定の期間。俳句の季題。[文例]〈季が明ける〉その夏、十年の季が明けると、彼は奉公[ほうこう]先の店を後にし、はやる心で郷里[きようり]へ帰っていった。♠へ季が重なる〉俳句では、一つの句の中に季が重なることはふつう避けられる。 **き【機】** ○きっかけ。しおどき。チャンス。[文例]〈機を逃[のが]す〉大火の後の江戸の町へ、機を逃さず材木を運んで売った商人がいた。♠へ機を失[しっ]する〉機を失すれば、戦いの勝利はおぼつかない。♠へ機をうかがう〉話しかける機をうかがっているのだろう、少女から付かず離れずに一人の男が歩いていく。♠へ機を見る〉値くずれする前に商品を売りつくすとは、さすが機を見るに敏[びん]なあきんどですね。♠へ機が熟[じゆく]する〉今や攻撃[こうげき]の機は熟したり。全員が一丸となって切り込め。♠〈機に臨む〉機に臨んで適切に対応できる柔軟性を養[やしな]いたまえ。♠へ~を機に〉この事件を機に、左翼に対する権力による締め付けが強化されていく。 **き【軌】** ○道筋。筋道。やり方。[文例]〈軌を一[いつ]にする〉一方で隣接する大名と友好的な関係を保ち、他方で兵力を整えるという二つの政策は、均衡による和平を保つという点でその軌を一にしていた。♠〈軌を一にする〉アジアに対する戦前の侵略と、戦後の経済進出は軌を一にするという意見もある。 **き【奇】** ○普通でないこと。不思議なこと。めずらしいこと。[文例]〈事実は小説より奇なり〉事実は小説より奇なりといって、現実にはとんでもない事が起こり得る。♠へ奇をてらう〉地のままの自分を出して生きていけばよい。何も奇をてらうことはなかろう。 **き【生】** ○まじりけがないこと。[文例]〈生で飲む〉男は、ウィスキーを生でぐっと一口にあおった。♠〈生のまま〉何も飾ることはない。生のままの自分を見てもらいなさい。♠〈生じょうゆ〉大根おろしにかつお節と生じょうゆをかけただけだが、さっぱりしていておいしい。♠〈生娘[きむすめ]〉この子はまだ生娘なんだから、変なことをしたら承知しないよ。♠へ生まじめ〉何といっても生まじめな男ですから、うそなどは方便でも言えません。 **ぎ【義】** ○道理にかなって正しいこと。言葉や物事の意味。[文例]〈義を見てせざるは勇[ゆう]なきなり〉論語にも、義を見てせざるは勇なきなりとある。今がその時だ、勇気を持ちなさい。♠へ読書百遍[ひやつくぺん]義おのずからあらわる〉一回読んでわからなければわかるまで読みなさい。読書百遍義おのずから見[あらわ]る、です。 **ぎ【儀】** ○儀式。事柄。こと。[文例]〈婚礼の儀〉ただ今より、両家の婚礼の儀を執[と]り行います。♠へお聞きいただきたき儀〉ぜひとも、お聞きいただきたい儀がございます。♠へさようの儀〉さようの儀ならばいたしかたない、こちらも受けて立とうぞ。♠へ私儀[わたくしぎ]〉私儀この度本社勤務を命[めい]ぜられ、四月一日付けで赴任[ふにん]いたしました。 **きあい【気合い】** ○気力。気勢。気力をこめたかけ声。[文例]〈気合いをかける〉主将は、「ヤーッ!」と気合いをかけて、相手に向かっていった。♠〈短い気合い〉相手が面に打ち込んできたので、短い気合いとともに胴[どう]を払[はら]った。♠へ気合いがこもる〉さすが横綱[よこづな]だ、気合いのこもったしきりを見せてくれる。♠へ気合いが入る〉決勝戦だというのに、うちのチームは、ちっとも気合いが入っていない。♠へ気合いを入れる〉もっとがんばるように、先生からも気合いを入れてやってください。♠へ気合い負け〉この試合では、始まる前から、相手チームに気合い負けしてしまった。 **きあつ【気圧】** ○大気の圧力。[文例]〈気圧の谷〉前線を伴[ともな]った気圧の谷が通過し、天気は下り坂となるでしょう。♠〈気圧が低い〉山の上では気圧が低いため、御飯[ごはん]がうまく炊[た]けない。♠〈気圧配置〉日本列島は西高東低の典型的な冬型の気圧配置となっています。 **きい【奇異】** ○普通と変わったさま。怪しく不思議なさま。[文例]〈奇異なかっこう〉大人にはわからない奇異なかっこうをして、街頭で踊[おど]る若者たちがいる。♠へ奇異な感じ〉あの人は、自殺する直前、奇異な感じを与える言動がめだっていたらしい。♠〈奇異な現象〉地震[じしん]のあと、すっかり湾[わん]の形が変わるという、きわめて奇異な現象が起きた。♠へ奇異に思う〉いくらその家の子でも、窓から入ったのなら、人から奇異に思われてもしかたがない。♠へ奇異に感じる〉彼は、五十歳にしては、いささか奇異に感じるほど若い。♠へ奇異の念を抱[いだ]く〉その日のわたしたちの行動に、奇異の念を抱いた級友も多かった。 **キー** ○かぎ。鍵盤[けんばん]。指で操作するボタン。解決の手がかり。[文例]〈車のキー〉車のキーをなくして困っているのです。♠〈キーをたたく〉一日中タイプライターのキーをたたき続け、指先の感覚がなくなってしまった。 <234> ヘキーを下げる〉わたしは高い声が出ないので、もう少しキーを下げてくれませんか。♠へ解決のキー〉さりげなくふるまっているこの男が、実は事件解決のキーを握る人物なのだ。 **きいろ【黄色】** ○三原色の一つ。黄。[文例]眼下には、黄色の菜の花畑が一面に広がっていた。♠ガスの炎[ほのお]の中にナトリウムを置くと、炎が黄色になることを発見した。♠鹿[しか]の黄色な横っ腹なんぞに、二三発見舞[みま]いもうしたら、ずいぶん痛快だろうねえ。(宮沢賢治「注文の多い料理店」) **きいろ・い【黄色い】** ○黄色をしている。かん高い。未熟だ。[文例]〈黄色い実〉山一面のみかん畑には、黄色い実が日を受けて、輝[かがや]いている。♠へやにで黄色い〉父の手の指はたばこのやにで黄色くなっている。♠〈黄色い声〉A君はテニス部のキャプテンだが、彼の試合には黄色い声の応援[おうえん]が多い。♠〈くちばしが黄色い〉まだ、くちばしの黄色い未熟者のくせに、えらそうな態度をとるな。 **きいん【起因・基因】** ○原因となること。原因。起こり。[文例]〈起因する〉このトラブルは、両国民の生活習慣及び価値観の相違に起因していると思われます。♠〈起因する〉野生動物の減少がここ数十年の自然開発に起因していることはまちがいない。 **きうん【気運】** ○情勢のおもむき。時勢のなりゆき。[文例]〈気運が高まる〉テレビでアフリカの干[かん]ばつ地帯の惨状[さんじよう]が放映されてから、救済の気運が一挙に高まった。♠へ気運が起こる〉焼け跡のなかから、人々の復興への気運がようやく起こってきた。♠〈気運を盛り上げる〉この事件をきっかけに、自由な発言をひきだす気運を盛り上げていこう。♠へ変革の気運〉明治維新[いしん]まであと三年、変革の気運は、ますます高まりを見せていたころのことである。 **きうん【機運】** ○時の巡り合わせ。都合のよい時。[文例]〈機運が熟する〉物事には時機というものがあるから、機運の熟するのをじっと待つほうがよい。♠意味の似た語だが、世の中の進んでいくいきおいを言うときは気運、都合のよい時・折・時機を言うときは機運を用いる。 **きえ【帰依】** ○信仰し頼ること。信じ、すがること。[文例]〈神仏に帰依する〉世を捨てた浪人は、仏に帰依し、一生を読経のうちに送ったのである。 **きえい【気鋭】** ○気力にあふれていること。意気込みの鋭いこと。[文例]〈気鋭の政治家〉彼は、中央の政界をめざす気鋭の政治家であった。♠〈新進気鋭〉このグループには、後に日本の詩壇を一新する新進気鋭の詩人たちが参加していた。 **きえい・る【消え入る】** ○消えてなくなる。息が絶える。気を失う。文例〈消え入りそうな様子〉大勢の大人たちに取り巻かれて、少年は消え入りそうな様子であった。♠へ消え入らんばかり〉わずかの雨風にも消え入らんばかりの花の風情である。 **きえう・せる【消えうせる】(消え失せる)** ○消えてなくなる。[文例]悪党め、消えうせろ。♠へ幻[まぼろし]が消えうせる〉気がつくと、王城の幻は消えうせ、目の前にはただ荒涼[こうりよう]とした原野が広がっているばかりであった。♠へ伝統が消えうせる〉伝統工芸は、もはや見向きもされず、やがて消えうせる運命にあるのでしょうか。 **き・える【消える】** ○存在したものがなくなる。[文例]へ雪が消える〉ようやく降り積もった雪も消え、春のきざしがみえてきた。♠へにじが消える〉「にじだ、にじ。」と弟がさけぶうちに、早くもにじははかなく消えようとしていた。♠へ明かりが消える〉明かりの消えた病院の長い廊下[ろうか]には、わたしひとりが立ちつくしていた。♠へ電灯が消える〉隣家[りんか]は、家人が全部外出しているとみえて、家の中の電灯は消えて真っ暗だ。♠ヘ火が消えたよう〉孫たちの帰ってしまった家の中は、火が消えたように静まりかえっている。♠へ煙[けむり]のように消える〉昨日まであったはずの小屋が、今日は煙のように消えていた。♠へ人込[ひとご]みに消える〉街角で出会った友人のAは、あいさつもそこそこに、人込みのなかに消えていった。♠〈人影が消える〉人影の消えたスタジアムでは、新聞紙が風に舞っていた。♠〈文字が消える〉ドアにつるされた店の看板は、文字が消えかかっていた。♠〈歓声が消える〉競技場をうめつくした人々の歓声も、今は消えた。♠ヘ言葉が消える〉外国語からとり入れた単語は、一時の流行で、やがて消えていくものも少なくない。♠へにおいが消える〉ペンキのにおいは、一晩たっても消えなかった。♠へ浮かんで消える〉試験の前の晩は、なかなか寝つかれず、不吉な考えが浮かんでは消えた。♠〈海のもくずと消える〉タイタニック号の海難事故では、乗客千五百人余りが船もろとも海のもくずと消えた。♠〈露[つゆ]と消える〉長崎[ながさき]では、キリシタン弾圧[だんあつ]時代に、多くの殉教者[じゅんきようしや]が刑場[けいじよう]の露と消えた。♠へ悲しみが消える〉寮[りよう]に入って暮らすようになってからは、父をなくした悲しみも消えた。♠〈願いが消える〉三十年連[つ]れそった夫を失い、一緒に海外旅行をという願いは消えてしまった。♠〈印象が消える〉彼にはじめて会ったときの強烈な印象はなかなか消えない。♠へ疑いが消える〉真犯人[しんはんにん]が逮捕[たいほ]され、彼女に対する疑いも消えました。♠〈消そうとしても消えない〉わたしの心には、消そうとしても消えない罪の意識が残った。 **きえん【気炎】(気焰)** ○盛んな意気。また、それが表れた言葉。[文例]〈赤い気炎〉〈気炎をあげる〉女どうし集まっては、未来の社会を動かすのは女だ、などと赤い気炎をあげている。♠へ気炎を吐[は]く〉今日の社長はばかに御機嫌で、海外進出などと盛んに気炎を吐いていたよ。 **きえん【機縁】** ○きっかけ。縁。[文例]〈機縁となる〉スキー場でたまたまホテルが同じだったことが機縁となって、おつき合いが始まったのよ。♠へどういう機縁〉宗助[そうすけ]は心のうちに、この青年がどういう機縁の元に、思い切って頭を剃[そ]ったものだろうかと考えて、(………………)(夏目漱石「門」) **きおい【気負い】** ○意気込み。[文例]〈気負いがある〉初めての国際試合で、選手には日本を代表して来ているのだという気負いがあった。♠へ気負いを見せる〉何の気負いもてらいも見せない淡々とした話し方は、かえって深い感動を呼び起こした。 <235> **きお・う【気負う】** ○意気込む。勇み立つ。はりきる。[文例]試合を前にして、選手たちの気負っている様子がありありと見てとれた。♠絶対に成功するから、と彼は気負ってみせた。♠いつもならそんなミスなど決してしないのに、気負いすぎて失敗したのだろう。 **きおく【記憶】** ○覚えること。覚えていること。また、その内容。[文例]〈記憶がある・ない〉祖母の田舎[いなか]では、近くの小川にふなをつりに行ったりした記憶がある。♠〈記憶がぼやける〉一年も前のことは、記憶がぼやけていて、自信がない。♠〈記憶にない〉きみに千円借りたなんて、記憶にないけどなあ。♠〈記憶に新しい〉三億円強奪[ごうだつ]事件は、いまだに人々の記憶に新しい。♠〈記憶に残る〉ぼくが二歳[さい]のとき亡くなった父のことは、記憶に残っていない。♠〈記憶を失う〉精神的に大きなショックを受けると、記憶を失ってしまうことがある。♠〈記憶をたよる〉みんなの日記や記憶をたよりに、中学三年間の思い出を文集にまとめることになった。♠〈記憶をたどる〉久しぶりに妹と古いアルバムをひろげ、二人で幼[おさな]いころの記憶をたどっていった。♠へ記憶を呼びもどす〉おじいさんはおばあさんに、遠い昔の記憶を呼びもどすように、ゆっくり話しかけている。♠へ記憶する〉あのネコを拾ってきたときのことは、よく覚えていないが、うす暗い所で泣いていたことを記憶している。♠〈記憶力〉あの人は記憶力のいい人で、いまだに三十年前のことを昨日のことのように覚えている。♠〈記憶量〉コンピュータは、年代とともに記憶量が増大する一方で小型化してきた。 **きおくれ【気後れ】** ○ひるむこと。おじけづくこと。[文例]〈気後れがする〉試験場いっぱいに詰めかけた志願者を見て、急に気後れがした。♠へ気後れする〉彼は、ふだんはとてもおしゃべりだが、大勢の人の前では、気後れするのか、おとなしくなってしまう。♠へ気後れを感じる〉祖父はとても威厳[いげん]があり、初対面の人は気後れを感じるほどだ。 **きおち【気落ち】** ○失望して気力を失うこと。がっかりすること。[文例]〈気落ちする〉一人息子を亡[な]くしてからというもの、彼はすっかり気落ちして、仕事も手につかなくなった。♠へ気落ちする〉それくらいのことで、そう気落ちしていてはだめだよ、頑張[がんば]らなくっちゃ。 **きおん【気温】** ○大気の温度。[文例]〈気温が下がる〉夜になって気温がぐっと下がり、厳しい冷え込みとなった。♠〈気温が高い〉日本の夏は湿度が高く、気温も高いので、雑草がよく茂[しげ]ります。♠〈気温の変化〉内陸部では、気温の変化が激[はげ]しいので注意が必要だ。 **きか【気化】** ○気体に変わること。[文例]〈気化する〉エーテルのびんのふたをあけっぱなしにしておいたら、気化して量が減ってしまった。♠〈気化熱〉夏、地面に水をまくと、水が蒸発[じようはつ]する際気化熱が奪[うば]われるので涼[すず]しく感じられるのです。 **きか【帰化】** ○国籍を取って、その国の国民になること。渡来した動植物が、その土地で繁殖すること。[文例]〈帰化する〉ラフカディオ=ハーンは、明治二十三年に来日、松江[まつえ]の女性と結婚し日本に帰化した。♠へ帰化植物〉この海に面した埋め立て地では、さまざまな種類の帰化植物が繁茂[はんも]している。 **きが【飢餓】(饑餓)** ○飢えること。飢え。[文例]〈飢餓に苦しむ〉うち続く戦乱で多くの難民が飢餓に苦しんでいた。♠〈飢餓地獄〉難破船での漂流の日々はまた、想像を絶する飢餓地獄でもあった。 **きかい【機会】** ○事を行うのによい時機。しおどき。おり。チャンス。[文例]〈機会が多い〉世界の国々との活発な交流によって、様々な文化に接する機会が多くなってきた。♠へ機会がない〉彼の両親には一度会ったが、それきり顔を合わす機会はなかった。♠〈機会がある〉機会があれば、クラスで百人一首のかるた取[ど]りをやってみよう。♠へ機会をとらえる〉生徒会の活動を活発にするため、ぼくはあらゆる機会をとらえて学校じゅうに訴[うつた]えた。♠〈機会をつかむ〉オーディションを通れば、歌手になる機会をつかんだことになります。♠〈機会を改める〉今日は忙[いそが]しいようですから、機会を改めて参[まい]りましょう。♠へ絶好の機会を逃[のが]す〉彼女は出発直前に盲腸炎[もうちようえん]になり、海外旅行に行く絶好の機会を逃してしまった。♠〈機会を与える〉ぼくは、このレストランに雇[やと]われてから、コックとして腕[うで]をふるう機会を与えられた。♠〈機会を見る〉機会を見て、あなたの気持ちを彼に伝えておきましょう。 **きかい【機械・器械】** ○動力によって仕事を行う装置。[文例]〈道具や機械〉人類は、道具や機械の発達にともない、その生活を高度なものにしていった。♠へ機械にかける〉ベルトコンベアで選別された食品が、機械にかけられて、缶詰[かんづめ]として出てくる。♠へ機械を入れる〉この会社は、春に新しい機械を入れて、生産量を増やした。♠へ機械に強い〉彼は機械に強いので、故障の原因がわかるかもしれない。♠〈機械のように正確〉キャベツを刻[きざ]む彼の包丁[ほうちよう]さばきは、機械のように正確でみごとだ。♠〈機械的に覚える〉外国語の単語を機械的に覚えるとしたら、こんなつまらないことはない。♠〈器械体操〉鉄棒や跳馬、平均台など器械体操はどれもにがてです。 **きかい【奇怪】** ○不思議なさま。怪しげなさま。[文例]〈奇怪な姿〉その漫画家は、いつも奇怪な姿をした妖怪[ようかい]を描いた。♠〈奇怪な行動〉捜査[そうさ]を進めていくうちに、犯人の極めて奇怪な行動が浮かび上がってきた。 **きがい【危害】** ○人の身体や生命に及ぼす害。[文例]〈危害を加える〉パンダはおとなしい動物ですから、人間に危害を加えるということはありません。♠へ危害を及[およ]ぼす〉工場の流す廃液のなかには、人体に危害を及ぼす有害なものもかなりあります。♠へ危害をこうむる〉盛り場で暴力団から危害をこうむった人も多い。♠ライオンのおりの前には、危害防止用のさくが設けられていた。 **きがい【気概】** ○意気込み。気迫。意地。[文例]〈気概を持つ〉いったん始めたからには、最後までやりぬくという気概を持て。 <236> へ気概がある〉あの男は、今の若い者には珍[めずら]しく気概のあるやつだ。♠へ教師の気概〉教師には教師の気概というものがある。やる気のない生徒はわたしにまかせなさい。 **ぎかい【議会】** ○代表者が集まって、議案を審議したり議決したりする機関。国会。[文例]議会は、橋より住宅を建てるのが先決だと強い反対を示した。♠〈議会にかける〉〈議会を開く〉この案を来月早々開かれる議会にかけ、承認を得たいと思う。♠へ議会を召集[しようしゅう]する〉臨時の議会が召集されたが、野党のボイコットにより法案は不成立に終わった。 **きがえ【着替え・着換え】** ○衣服を着かえること。また、その衣服。[文例]〈着替えをする〉ユミちゃん、着替えをしたら、下りてらっしゃい。♠へ着替えを済ます〉寝過ごした朝は、あわてて着替えを済ませ、顔も洗わず飛び出します。♠〈二、三枚の着替え〉十六歳で上京した時、わたしのボストンバッグの中には、二、三枚の着替えがあるだけだった。 **きが・える【着替える・着換える】** ○着ている衣類を別のものに替えること。きかえる。[文例]〈服を着替える〉そんなにびっしょりぬれて、早く着替えないと、風邪[かぜ]をひきますよ。♠ヘユニフォームに着替える〉どんなに疲れていても、ユニフォームに着替えると、気持ちがしゃっきりするから不思議だ。 **きかがく【幾何学】** ○物の形や大きさ・位置、また空間の性質などを研究する、数学の一部門。[文例]〈幾何学模様〉広大な農場を空から眺[なが]めると、コンバインの跡が不思議な幾何学模様を描[えが]いているのがわかる。♠へ幾何学的〉この幾何学的に並んだ星たちは、古代から多くの人々の心をとらえてきた。 **きがかり【気掛かり・気懸かり】** ○気にかかること。気にかかって不安なさま。[文例]この世になんら思い残すこともないが、ただ気がかりなのは、一人娘のおさよのことだ。♠ぼくは、今にも母に秘密がばれるのではないかと、内心気がかりでならなかった。♠〈空もようが気がかり〉明日は遠足だが、この空もようが気がかりだ。♠〈気がかりになる〉病気の母親のことが、近ごろの少年には気がかりになっていた。 **きかく【企画】** ○計画を立てること。また、その計画。[文例]〈企画を打ち出す〉彼が社長に就任して以来、次々と新しい企画が打ち出された。♠〈企画を立てる〉今、我々はこういう企画を立てているのだが、きみも参加してもらえるかね。♠〈企画する〉来月号では、婦人問題の特集を企画しています。 **きかく【規格】** ○標準となる定め。製品の品質などについて定められた基準。[文例]〈規格を定める〉生活用品や食品には、すべて一定の規格が定められている。♠へ規格にあてはめる〉規格にあてはめて作られた製品には、マークがつけられています。♠へ規格を作る〉学校に都合のよい規格を作って、それにあてはめるような教育は有害といえます。 **きかざ・る【着飾る】** ○身なりを飾る。[文例]〈美しく着飾る〉成人式の会場は、美しく着飾った娘[むすめ]たちで、華[はな]やいだ雰囲気にあふれていた。♠〈外面を着飾る〉いくら外面を着飾っても、心が貧しくては何にもならない。 **きか・せる【利かせる】** ○ききめがあるようにする。能力・効果が出るようにする。[文例]〈ブレーキを利かせる〉長い下り坂は、エンジン・ブレーキを利かせながら走行する。♠〈にらみを利かせる〉やはりお父さんがでんとかまえて、家の中の者ににらみを利かせてくださらないとうまくいきません。♠へ気を利かせる〉試験前は気を利かせて、ボーイフレンドの家へ電話をしませんでした。♠へ塩を利かせる〉ちょっと薄味[うすあじ]だから、もう少し塩を利かせたほうがいい。 **きか・せる【聞かせる】** ○聞くようにさせる。聞こえるようにする。聞き入らせる。興味や感動を与える。[文例]〈読んで聞かせる〉その夜、母は古い日記を持ち出してきて、わたしたちに読んで聞かせた。♠へ言って聞かせる〉あの子は賢[かしこ]い子だから、よく言って聞かせればきっと分かります。♠人話を聞かせる〉訪[たず]ねてきた生徒の母親は、息子の自慢話をわたしに聞かせた。♠へ聞かせる歌〉彼女の歌はしみじみとして、なかなか聞かせるねえ。 **きがね【気兼ね】** ○遠慮。気づかい。[文例]〈気兼ねが要らない〉おばあちゃん、ここは自分の息子の家なんだから、なんの気兼ねも要[い]らないんだよ。♠〈気兼ねをする〉今さら、人様[ひとさま]の中に出て要らぬ気兼ねをするより、このままの一人暮らしがいい。♠〈気兼ねする〉父さんが夜酔っぱらって大声を出すものだから、母さんは近所に気兼ねして小さくなっていた。♠へ気兼ねがある〉おじいさんは、嫁[よめ]に気兼ねがあって、好きな酒を飲めなかった。♠〈気兼ねなし〉古い友達はいいものだ、気兼ねなしに何でも言い合える。 **きがまえ【気構え】** ○心を決めて待ち構えること。心構え。[文例]〈~に対する気構え〉日ごろから、いつでも不慮[ふりよ]の事態に対する気構えが必要です。♠へ気構えが違う〉こっちは決勝進出がかかっているから、この試合にかける気構えが違うよ。 **きがる【気軽】** ○気持ちが軽いさま。気分的に重圧感のないさま。[文例]〈気軽にできる〉簡単で気軽にできる運動というと、縄跳[なわと]びなどはどうですか。♠へ気軽に利用する〉だれでも気軽に利用できるというので、町の移動図書館は人気があります。♠へ気軽に読める〉旅先で読むとしたら、気軽に読める推理小説なんかいいですね。♠〈気軽に引き受ける〉気軽に引き受けたのはいいが、やってみたら思いのほかめんどうな仕事だった。♠へ気軽な格好[かつこう]〉ハイキング程度の山だというので、みんな思い思いの気軽な格好で集まった。 **きかん【期間】** ○ある時期からある時期までの間。[文例]四月三十日までの期間は、図書の貸し出しはできません。♠〈長い期間〉欠席が長い期間にわたると、進級できなくなる。♠〈期間中〉申し込みは、三月一日から十日までの期間中、窓口で受け付けています。♠〈準備期間〉受験するにしてもまだ準備期間は十分にあるから、あわてることはない。♠へ有効期間〉この定期券は有効期間を過[す]ぎていますよ。 **きかん【機関】** ○しかけ。他のエネルギーを機械のエネルギーにかえる装置。ある目的のために作られた組織。[文例]〈船の機関〉ぼくらの乗っていた船は、機関か何かの故障で動かなくなった。 <237> 〈機関が止まる〉それからひと時/昔山でしましたような深呼吸を一つして/あなたの機関はそれなり止まった(高村光太郎「レモン哀歌」部分)♠〈政府の機関〉アメリカ合衆国の場合、地形図を作っているのは地質調査所という機関である。♠〈機関銃〉外では爆撃[ぱくげき]が始まり、機関銃の音の絶え間がない。♠へ機関紙〉彼は、ある政党の機関紙を定期購読していた。♠〈報道機関〉報道機関は、一斉にこの事件をトップで報道した。 **きかん【器官】** ○一定の生理機能を有する生物体の一部。[文例]手ほど自由自在に動く器官は、体の中でほかにはない。♠〈体の器官〉彼は、音を聞く役目をする体の器官に障害があって、音声による言葉を使うのが難しかった。♠へ消化器官〉診察[しんさつ]の結果、消化器官が非常に弱っていることがわかった。 **きかん【帰還】** ○(戦場や探検などから)帰ること。[文例]〈帰還する〉探検家は、犬ぞりによる北極横断という快挙を成し遂げて帰還した。♠〈無事の帰還〉隊員たちは互いに、無事の帰還を心から喜び合った。♠〈無言の帰還〉終戦から二年、白木の箱に納まった兄の無言の帰還であった。 **きがん【祈願】** ○神仏に祈ること。願をかけること。[文例]〈安全の祈願〉〈祈願をする・行う〉春の交通安全運動の一環として、町内会で交通安全の祈願を行った。♠へ祈願する〉天満宮[てんまんぐう]の境内[けいだい]は、合格を祈願する受験生たちでいっぱいだった。 **きき【危機】** ○危険な時・状態。[文例]〈危機が迫[せま]る〉脱線[だつせん]の危機が迫っていることも知らず、列車はがけ崩[くず]れの現場へと近づいていた。♠へ危機に臨む〉危機に臨んだとき、ふだんの生活ではうかがい知れない、その人の真価が問われることになる。♠へ危機を脱[だつ]する〉大けがをした妹は、医者の適切な処置によって、危機を脱することができた。♠へ危機にひんする〉国際保護鳥に指定されている佐渡[さど]のトキは、いまや絶滅[ぜつめつ]の危機にひんしている。♠へ危機に陥[おちい]る〉相次ぐ公共事業の拡大によって、県の財政は危機に陥った。♠へ危機を招[まね]く〉政府の貿易政策は裏目に出て、経済的な危機を招くことになった。♠へ危機一髪[いつぱつ]〉ヒーローは、いつも危機一髪の危ないところで、劇的に登場する。♠〈危機感〉いつ起こるかわからない大地震[じしん]に、人々の危機感が高まった。 **きき【鬼気】** ○身の毛もよだつような恐ろしいけはい。[文例]〈鬼気迫る〉ひなを守ろうとする親鳥の必死の形相[ぎようそう]には鬼気迫るものがあった。 **きき【機器・器機】** ○機械や器具類。[文例]〈音響機器[おんきようきき]〉彼はオーディオに凝っていて、自室には高価な音響機器がずらりと並んでいる。♠〈教育機器〉当校では、ラボなどの教育機器を駆使して語学教育に力を入れています。 **きき(嬉嬉)** ○喜び、うれしがるさま。[文例]〈嬉々として〉輝[かがや]く太陽の下、子供たちは嬉々として波とたわむれている。♠〈嬉々たる〉口をきけない子も嬉々たる気持ちを全身で表現しようとしていた。 **ききいっぱつ【危機一髪】** ○もう少しで危険な状態に陥[おちい]ろうとする瀬戸[せと]ぎわ。[文例]火が燃え広がる寸前、文字どおり危機一髪のところで助け出された。♠あと五分救出が遅れたら命はなかっただろう、危機一髪だった。 **ききい・る【聞き入る】** ○熱心に聞く。耳を傾ける。[文例]〈話に聞き入る〉聴衆[ちょうしゆう]は、講師の話に感動し、熱心に聞き入っていた。♠へ調べに聞き入る〉男は、屋敷の中から流れてくる琴[こと]の調べに、歩みを止めてじっと聞き入った。 **ききおと・す【聞き落とす】** ○聞きもらす。聞きのがす。[文例]たびたび申し訳ありませんが、先程聞き落としたことがございますので確認させてください。♠この子は、どうでもいいことばかり覚えてきて、肝心[かんじん]なことを聞き落としてくるんだから。 **ききだ・す【聞き出す】** ○聞き始める。聞いて、さぐり出す。[文例]〈話を聞き出す〉島の古老たちから、この島に伝わる伝説や怪談[かいだん]を聞き出した。♠〈秘密を聞き出す〉なんとかして秘密の隠[かく]し場所を聞き出そうとしたが、思いの外口が固[かた]くて失敗に終わった。♠へ本心を聞き出す〉なんとか彼女の本心を聞き出そうと、わたしは言葉を換[か]えて誘[さそ]いをかけた。 **ききとど・ける【聞き届ける】** ○聞いて、かなえてやる。聞き入れる。[文例]〈願いを聞き届ける〉おお、神はわれらの願いを聞き届けてくださったのだ。♠父はかわいいわが子の言うことなら、何でも聞き届けてくれた。 **ききと・る【聞き取る・聴き取る】** ○聞いてとらえる。聞いて理解する。[文例]ヘことばを聞き取る〉病人は弱々しい声で何かを言おうとしていたが、そのことばは聞き取ることができなかった。♠〈声を聞き取る〉雑音だらけのラジオから流れる声を、わたしは必死で聞き取ろうとした。♠へ問いを聞き取る〉相手の問いを正確に聞き取って、的確に答えなさい。 **ききなが・す【聞き流す】** ○聞いても気にかけない。聞きっぱなしにする。[文例]〈忠告を聞き流す〉これまで親や先生の忠告をいい加減に聞き流してきたことが、今になって悔[く]やまれた。♠へさらりと聞き流す〉そんなうわさなど気にせずに、さらりと聞き流しておけばいいんだよ。 **ききい・れる【聞き入れる】** ○聞いて受け入れる。承知する。[文例]〈忠告を聞き入れる〉少年は父の忠告を素直に聞き入れて、学校だけは行くようになりました。♠へ頼[たの]みを聞き入れる〉お前のたっての頼みとあれば聞き入れてやらないこともない。♠へ願いを聞き入れる〉どうか、わしの願いを聞き入れて、おまえらの仲間の一人にしてほしい。 **ききな・れる【聞き慣れる】** ○ふだんからよく聞いている。耳になれる。[文例]〈聞き慣れない言葉〉この作品には、今のわたしたちには聞き慣れない古い言葉が多く使われている。♠〈聞き慣れた声〉受話器の向こうから聞き慣れた母の声が聞こえてきた。♠そんな悪口はいつも聞き慣れているから今さら腹も立たないわ。 **ききのが・す【聞き逃す】** ○聞きもらす。聞きおとす。[文例]〈講座を聞き逃す〉今朝は寝坊[ねぼう]をして、ラジオの英語講座を聞き逃してしまった。♠〈名前を聞き逃す〉とりこんでいたので、つい相手の名前を聞き逃してしまった。 <238> へ番組を聞き逃す〉NHKジャーナルは、絶対聞き逃さないようにしています。 **ききみみ【聞き耳】** ○よく聞こうとすること。[文例]〈聞き耳を立てる〉わたしは急いでラジオを消して、隣の部屋の話声に聞き耳を立てた。 **ききめ【効き目・利き目】** ○効果。効用。効能。[文例]〈温泉の効き目〉温泉の効き目か、腰の痛みはけろりと直[なお]ってしまった。♠へ効き目が現れる〉その薬は一回飲んだだけでみるみる効き目が現れて、病人は見違えるように元気になった。♠〈効き目がある・ない〉少々の罰[ばつ]を与えても、あのいたずらぼうずには何の効き目もない。 **ききゃく【棄却】** ○捨てて取り上げないこと。[文例]〈棄却する〉高等裁判所は、被告の控訴[こうそ]を棄却した。♠へ棄却する〉われわれは委員会に抗議を申し立てたが、棄却された。 **ききゅう【希求】** ○願い求めること。[文例]〈希求する〉戦争の悲劇を体験したわれわれは、今こそ真剣に平和を希求し、そのための努力を惜[お]しまない。♠へ希求する〉わたくしは、両国の緊張緩和[きんちようかんわ]を心から希求するものであります。 **ききゅう【危急】** ○危険が間近に迫っていること。[文例]〈危急存亡のとき〉自然の破壊は進み、食糧危機は解決されず、科学兵器は発達するなど、人類は今や危急存亡の秋[とき]に直面しているのである。♠へ危急を告げる〉突然、何か危急を告げる鐘がけたたましく鳴り出した。♠〈危急から救[すく]う〉子ギツネたちを危急から救おうと、母ギツネはすばやく駆け出した。 **ききょ【起居】** ○立つことと座ること。立ち居ふるまい。日々の暮らし。[文例]〈起居を共にする〉わたしはこの二年間、祖母と起居を共にしてみて、初めて老人の気持ちが理解できた。♠〈起居する〉入院している母の付き添いとして、病院に起居する一週間だった。 **ききょう【帰郷】** ○故郷に帰ること。[文例]へ帰郷をする〉この夏、十五年ぶりの帰郷をして、中学時代の恩師をたずねた。♠へ帰郷する〉都会での生活に限界を感じて、帰郷することにしたのです。 **ききょう【帰京】** ○都に帰ること。東京に帰ること。[文例]〈帰京する〉五年間にわたる札幌[さつぽろ]勤務を終え、先月帰京いたしました。♠へ帰京する〉山崎専務は、知らせを聞いて急ぎ空路[くうろ]帰京した。 **きぎょう【企業】** ○事業を企てること。また、その事業。営利を目的として事業を行う組織。[文例]今回の事件は今後、利益のみを追求する企業のあり方に問題を投げかけていくだろう。♠へ企業の経営〉円高で中小企業の経営はますます悪化していった。 **ぎきょく【戯曲】** ○劇として上演する形式で書かれた文学作品。演劇の台本。[文例]「ハムレット」は、シェークスピアの有名な戯曲の一つです。♠へ戯曲化する〉この芝居は、ある小説を戯曲化したものです。 **ききん(飢饉・饑饉)** ○農作物が不作で、人々が飢えに苦しむこと。必要なものが著しく不足すること。[文例]打ち続く戦乱とききんに、人々の生活はますます窮乏[きゆうぼう]していった。♠へききんに襲われる〉この年、この地方は大ききんに襲われ、人も家畜もばたばたと死んでいきました。♠〈水ききん〉雨期になっても一つぶの雨も降らず、水ききんは深刻になった。 **き・く【効く・利く】** ○効き目がある。効果がある。十分に機能する。そのことができる。[文例]〈薬が効く〉薬が効いてきたのか、痛みがようやくうすらいできた。♠へ説教が効く〉ガキ大将があれほどおとなしくなったところをみると、お説教が効いたかな。♠ヘパンチが効く〉チャンピオンのパンチが効いているのは、挑戦者[ちょうせんしゃ]の目を見ればわかります。♠〈わさびが利く〉このすしは、わさびが利いてうまいぞ。♠〈のりが利く〉部屋のすみの乱れ箱[ばこ]には、のりの利いたゆかたが入っていた。♠◇腕が利く〉近ごろは、うなぎ屋も腕の利く職人が少なくなった。♠〈鼻が利く〉群れのボスは、よく利く鼻で、まわりの様子をすべてかぎ取っていた。♠〈目が利く〉年をとると目が利かなくなるので、細かい手先の仕事はつかれます。♠へ顔が利く〉あの人は交際も広く、いろいろな所に顔が利く。♠ヘブレーキが利く〉この自転車はブレーキが利かなくなっているので、乗らないほうがいい。♠〈がんばりが利く〉疲労がたまってくると、さすがにがんばりが利かなくなる。♠〈無理が利く〉若いころは体力があったので、少しぐらいの無理は利いた。♠へごまかしが利く〉結婚式[けつこんしき]に招待されたが、両家とも格式が高いので、こちらの服装[ふくそう]もごまかしが利かない。♠〈見通しが利く〉事故の起こった場所は、見通しがよく利く直線道路だった。♠〈自由が利く〉入院中は、自由がまったく利かないので、何かと人をたよることになった。♠へ小回りが利く〉この船は、重量級に属するので、あまり小回りが利かない。♠〈丸洗いが利く〉このワンピースは家で丸洗いが利かないので不経済だ。♠〈気が利く〉暑い中をやってきたら、すぐ冷たいおしぼりを出すなんて、気の利いた人だなあ。♠〈気が利く〉本屋を数軒歩いたが、思い通りの気の利いた絵本をさがすことはできなかった。♠人口をきく〉父の再就職については、市会議員の伯父があちこちに口をきいてくれたようだ。 **き・く【聞く・聴く】(訊く)** ○音・声を感じとる。人の言葉・話を耳でとらえて理解する。たずねる。問う。聞き入れる。承認する。香りや味を感じ分ける。[文例]〈雷鳴[らいめい]を聞く〉雷鳴を聞いてから、五分もしないうちに、ザーッと雨が降ってきた。♠〈音を聞く〉山あいの温泉宿で、清流の音を聞きながら、ゆっくり休みたい。♠へ見るもの聞くもの〉修学旅行で上京したわたしにとって、見るもの聞くものすべてがはじめてだった。♠へ話を聞く〉祖父の昔話[むかしばなし]は、耳にたこができるほど聞かされた。♠へ評判を聞く〉その店には、遠方から評判を聞いてやってきた客たちも、何人かいた。♠へ聞くともなしに聞く〉ウエートレスは、聞くともなしに客の密談を聞いてしまった。 <239> へ頼みを聞く〉祖母は、孫たちの頼みごとは、なんでも聞いてやった。♠へ読んで聞かせる〉母は幼い弟に、「ももたろう」をゆっくり読んで聞かせていた。♠〈言うことを聞く〉どんなに慣れている犬でも、しょせんは犬、人間の言うことを聞かせるのはどだい無理というものだ。♠へ聞かない子〉なんて聞かない子なんでしょう、あきれたわ。♠へ聞く耳持たぬ〉結婚[けつこん]を反対された姉は、それ以来母たちが何を言っても、「聞く耳持たぬ」で抵抗[ていこう]している。♠〈話を聴く〉一言も聞きもらすまいと神経を集中して、彼女の話を聴いた。♠ヘレコードを聴く〉今夜は、友達から借りたレコードを聴きましょう。♠〈都合を聞く〉相手の都合も聞かずにいきなり訪ねて行くのは、失礼になる。♠へ根ほり葉ほり聞く〉結婚する姉のことで、隣[となり]のおばさんから、根ほり葉ほり聞かれた。♠へ意見を聞く〉新しい図書館の設計については、専門家の意見を聞いてみたい。♠〈訳[わけ]を聞く〉学校から泣きながら帰ってきた妹は、「訳は聞かないで。」と言って、部屋に閉じこもってしまった。♠へ事情を聞く〉盗難事件のあった日、ひとりだけ会社にいなかったわたしは、刑事から事情を詳[くわ]しく聞かれた。♠〈香[こう]を聞く〉香道[こうどう]では、香をかぎわけることを、「香を聞く」という。♠へ一を聞いて十を知る〉あの人は、「一を聞いて十を知る」でわかりが早く、ぼくの言い分をすぐ理解してくれた。♠へ聞いて極楽[ごくらく]、見て地獄[じごく]〉「聞いて極楽、見て地獄」で、あの店は、外見は華[はな]やかだが、アルバイト料は安く、人使いがあらいそうだ。♠〈聞くは一時[いつとき]の恥[はじ]、聞かぬは一生の恥〉「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」というが、知らないことを人に聞くのは、勇気の要ることだ。 **きぐ【器具】** ○道具・器物や簡単な機械。[文例]実験台の上にピカピカ光る器具がずらりと並べられているのを見て、わたしはすっかりおびえてしまった。♠〈電気器具〉この家には、電気器具は一通りそろっています。 **きぐ(危惧)** ○危ぶみ、恐れること。不安を抱くこと。[文例]〈危惧の念〉防衛費のGNP1%枠突破には、多くの人が危惧の念を抱[いだ]いていた。♠へ危惧する〉アキレス腱[けん]を切断した石川選手の選手生命が危惧される。 **ぎけつ【議決】** ○会議によって決定すること。また、決定された事柄。[文例]〈議決する〉工場誘致[ゆうち]を議決したことに不満を持つ市民もいるようです。♠〈議決権〉委員会での議決権は代表委員にしか与えられていません。 **きぐう【奇遇】** ○思いがけない巡り合い。偶然の巡り合わせ。[文例]こんな所できみに会うとは、奇遇だねえ。♠彼とわたしは、二十年ぶりの奇遇を喜び合った。 **ぎくしゃく** ○動作・態度がぎこちないさま。物事がなめらかに進行しないさま。[文例]〈ぎくしゃくする〉犬は、ぎくしゃくした足つきでそこら辺をうろついていた。♠へぎくしゃくした関係〉友達の仲も、金がからんでくるとぎくしゃくしたものになりがちだ。 **きぐらい【気位】** ○品位を保とうとする気の持ち方。自尊心。プライド。[文例]〈気位が高い〉母は、気位の高いしゅうとめに仕えて、大変苦労をしたそうです。♠へ気位がある〉明治生まれの祖母には、武家の出としての気位があった。 **きぐろう【気苦労】** ○あれこれ気づかいをすることの苦労。[文例]〈気苦労が絶えない〉ひさ子さんも娘さんがそんなでは、何かと気苦労が絶えませんねえ。♠へ気苦労が多い〉そのころの母は、慣れない商家[しようか]に嫁[とつ]ぎ、大家族に囲まれて気苦労の多い生活だったと思います。 **きげき【喜劇】** ○ユーモアや風刺などに富む劇。こっけいな出来事。[文例]〈喜劇をみる〉そういうふうに沈み込んでいる時は、思いっきり笑える喜劇でもみて気分を引き立てるのがいい。♠へとんだ喜劇〉なんだ、二人はとっくに仲良くなっていたのに、わたし一人が心配していたなんて、とんだ喜劇だ。♠〈悲しい喜劇〉愛し、憎[にく]み、出会って別れる、わたしたち人間の営みは、しょせん悲しい喜劇である。 **きけつ【帰結】** ○物事の決着するところ。結果。結論。[文例]〈当然の帰結〉もともと愛情のかけらもなかった二人にとって、離婚[りこん]は当然の帰結であったろう。♠へ帰結を導く〉筆者は、膨大[ぼうだい]な資料の分析にもとづいて、次のような帰結を導いている。 **きけん【危険】** ○害をこうむるおそれがあること。危ない状態。[文例]〈危険を感じる〉カメラマンが近づくと、シカは危険を感じて走り去った。♠へ危険に備える〉運転手の彼は、仕事がら、危険に備えて高額の保険に加入している。♠〈危険にさらされる〉イリオモテヤマネコは、原生林の伐採[ばつさい]や観光ブームのあおりで、絶滅[ぜつめつ]の危険にさらされている。♠〈危険を冒[おか]す〉密猟者[みつりようしや]たちは、あらゆる危険を冒して、保護獣を追い求めた。♠〈危険がふりかかる〉万一子供たちに危険がふりかかれば、親ギツネは死にもの狂[ぐる]いで、立ち向かっていくだろう。♠〈危険が迫[せま]る〉戦場では、どんな危険が迫ろうと、持ち場を離れることは許されない。♠〈危険に身をさらす〉父親は、危険に身をさらしても、誘拐[ゆうかい]された子供を何とか救い出そうとした。♠へ危険な状態〉この患者[かんじや]は、いまだにきわめて危険な状態が続いている。♠へ危険な人物〉都会から新しい思想を持ち帰った青年は、村人から危険な人物として遠ざけられた。 **きけん【棄権】** ○権利を行使しないこと。特に、選挙権を捨てて投票しないこと。[文例]〈棄権する〉今度の選挙は、支持したい候補者がいないので棄権しようと思います。♠試合開始時刻を過[す]ぎても選手が現れない場合は、棄権と見なされます。 **きげん【起源】** ○物事の起こり、始まり。[文例]〈平仮名の起源〉平仮名の起源について調べてみると、「あ」は「安」のように、似た音の漢字を崩[くず]してできた文字だとわかる。♠〈宇宙の起源〉いつごろ、どのようにしてできたのであろうかという宇宙の起源については、いまだになぞである。♠へ人類の起源〉人類学者の父は、おもに猿人[えんじん]や原人[げんじん]など、人類の起源について研究しています。♠ヘキリスト教の起源〉キリスト教の起源は、約二千年前、イエス・キリストが隣人[りんじん]愛を説き広めたことによる。♠へ起源にさかのぼる〉何事も起源にさかのぼれば、進歩、発展のあとが明らかである。 <240> **きげん【機嫌】** ○気持ちの状態。気分。[文例]〈機嫌が悪い・よい〉虫の居所[いどころ]が悪いらしく、おやじは朝から機嫌が悪い。♠〈いい機嫌〉ふうん、小鳥のやつらもいい機嫌でピーチクパーチクやっとるわ。♠〈機嫌を取る〉何とかスキー旅行の費用を出してもらおうと、弟は一生懸命[けんめい]母の機嫌を取っている。♠〈機嫌を直す〉約束[やくそく]を破った代わりに、来週音楽会に連れて行くということで、彼女はやっと機嫌を直してくれた。♠〈機嫌を損[そこ]なう・損ねる・損じる〉気難しい師匠[ししよう]の機嫌を損なわないよう、けいこの時は人一倍気を使いました。♠へ機嫌を伺[うかが]う〉少佐[しようさ]は軍の上層部の機嫌を伺うばかりで、わたしたちの希望は何一つきいてくれなかった。♠へほろ酔い機嫌〉店の片隅[かたすみ]で、ほろ酔い機嫌の客が気持ちよさそうに鼻歌を歌っている。♠へご機嫌いかが〉おばあちゃん、具合がよくないようでしたけれど、その後ご機嫌いかがですか。♠〈ご機嫌〉何かいいことでもあったのかい、いやにご機嫌だねえ。 **きげん【期限】** ○限度となる期日。定められた時期。[文例]〈明け渡しの期限〉先祖代々住み慣れたこの屋敷[やしき]も、明け渡しの期限は今年いっぱいである。♠〈期限を定める〉市の図書館では、期限を定めて利用者に本を貸し出しています。♠〈期限が迫る〉決心のつかないままに、先方への返事の期限は日一日と迫[せま]っていた。♠〈期限が来る〉支払いの期限が来たとしても、きみにはそれだけの金はないだろう。♠〈期限が切れる〉もしもし、お客さん、定期券の期限が切れてますよ。♠へ期限が過ぎる〉出演する俳優たちにはそれぞれ契約の期間があって、期限が過ぎればそれまでだった。♠〈期限を越える〉収容所に行ったが、目当ての男はすでに収容期限を越えていて、いなかった。♠へ期限を守る〉仕方がない、もう一週間待ちましょう。ただし、約束の期限はちゃんと守ってくださいね。 **きげん【紀元】** ○西暦など、歴史の年数を数える元となる年。[文例]紀元十四世紀から十五世紀にわたって続いた英仏間の戦争が「百年戦争」です。♠現在では世界的に西暦紀元が用いられています。 **きこう【気候】** ○気温・天気・湿度などの総合的な気象状態。[文例]〈日本の気候〉日本の気候は、季節による差が大きく、変化に富んでいる。♠〈風土や気候〉日本の風土や気候が、日本人独特の国民性を養[やしな]ったといえよう。♠へ気候の変化〉恐竜[きようりゆう]が絶滅[ぜつめつ]した理由はいまだになぞだが、気候の変化がいちばん大きな原因と考えられている。♠〈涼しい気候〉マガモは、北海道のような涼しい気候の所でなければ夏を越さない、と考えられていた。♠へ暖かい気候〉暖かい気候になったら、いっしょに散歩でもしましょう。♠へ気候が良い〉気候が良くなれば、病気も快方[かいほう]に向かうだろう。 **きこう【機構】** ○物事の組み立て・仕組み・構造。[文例]〈人体の機構〉彼らは、人体を解剖[かいぼう]することによって、初めて、その機構を知ることになった。♠へ機構を改革する〉この会社も機構を改革して、新しく出直すべきだ。♠〈流通機構〉製品を消費者に届けるまでの流通機構は、きわめて複雑だといわれる。 **きこう【帰港】** ○船が港に帰ること。[文例]〈帰港する〉船は一年間の航海を終えて、無事帰港した。♠〈出港と帰港〉帰港を間近にひかえた乗組員たちは、桜の舞う四月の出港の情景を思いうかべていた。 **きこう【寄港】** ○航海中の船が港に寄ること。[文例]〈寄港する〉父の乗った船は、八月十五日ごろケープタウンに寄港する予定です。♠へ寄港する〉船は燃料と食糧[しょくりよう]を補給するため、オーストラリアのシドニーに寄港した。 **きこう【寄稿】** ○新聞・雑誌に依頼された原稿を送ること。また、その原稿。[文例]母校の創立五十周年の記念誌に寄稿を依頼された。♠へ新年号に寄稿する〉先生が新年号に寄稿された文章を読ませていただき、大変感銘[かんめい]を受けました。 **きこう【起工】** ○工事を始めること。着工。→竣工[しゅんこう][文例]〈工事の起工〉予算の確保や用地の買収が難航し、起工は大幅[おおはば]に遅れる見通しとなった。♠〈起工式〉町民会館の起工式は、町長、町会議員らが出席して行われた。 **きこう【紀行】** ○旅の見聞や感想を記したもの。[文例]紀貫之[きのつらゆき]が土佐守[とさのかみ]の任を終えて、帰京するときの紀行が「土佐日記」である。♠あなたの書かれた奥能登[おくのと]紀行を読むと、能登の風景や旅の様子が目に浮かぶようです。♠芭蕉[ばしよう]の「奥の細道」は、日本の紀行文学の代表的作品ということができる。 **きこう【奇行】** ○奇妙な言動。[文例]〈奇行が多い〉彼は日ごろから奇行が多く、変人奇人と見られていた。♠へ奇行を重ねる〉この惨事[さんじ]があって以来、彼は奇行を重ねるようになった。 **きごう【記号】** ○一定の約束に従ってある事柄や意味を表すもの、符号やしるしなど。[文例]〈記号を用いる〉地図にはさまざまな記号が用いられており、それらを読み取ることが必要である。♠〈記号で表す〉道路標識などは、内容を文字の代わりに記号で表しているのです。♠〈記号で答える〉空欄[くうらん]に当てはまる言葉を語群から選び、記号で答えよ。♠ことばも、ある約束に従って事物や思想・感情を表す記号である。 **ぎこう【技巧】** ○技術的なくふう。くふうをこらすこと。[文例]〈技巧をこらす〉この和歌には、さまざまな表現上の技巧がこらされています。♠へ技巧を用いる〉この詩は完成され、みがきあげられた技巧を用いて表現された作品だ。♠〈技巧を身につける〉ピアノの演奏では、なによりもまず正確な技巧を身につけることが要求される。♠〈技巧的〉年を取るにつれ、速球一本やりから変化球をあやつる技巧的なピッチングにかわっていった。 **きこえ【聞こえ】** ○聞こえること。聞いた時の感じ。評判。うわさ。[文例]〈聞こえが悪い〉浪人というと聞こえが悪いが、志望校を目指してがんばっています。♠へ聞こえが高い〉その若者は、腕ききの聞こえの高い職人だった。 **きこえよがし【聞こえよがし】** ○わざとその人に聞こえるように言うこと。[文例]〈聞こえよがしに言う〉人の後ろで聞こえよがしに皮肉を言うのだから、頭に来る。 <241> へ聞こえよがしの悪口〉他人に対する聞こえよがしの悪口では、あなたの品性が疑[うたが]われますね。 **きこ・える【聞こえる】** ○音・声が耳に感じられる。ある意味に受け取られる。広く知れわたる。[文例]〈音が聞こえる〉耳を澄[す]ますと、遠くの波の音がかすかに聞こえる。♠〈耳に聞こえる〉コウモリは、人間の耳には聞こえない超音波[ちようおんぱ]を発する。♠〈耳が聞こえる〉サイレンの音は、耳が聞こえなくなるくらいの、とてつもないものだった。♠へ音楽に聞こえる〉布を織り続ける機[はた]の音は、わたしには、美しい音楽に聞こえた。♠へ皮肉に聞こえる〉同じ言葉でも、彼に言われると、皮肉に聞こえる。♠へ〜として聞こえる〉彼女の家は、先祖代々、この地方の豪農[ごうのう]として聞こえている。♠へ世に聞こえる〉あの侍[さむらい]こそ、世に聞こえた豪傑[ごうけつ]である。 **きこく【帰国】** ○自分の国へ帰ること。故郷へ帰ること。[文例]〈帰国の途〉大統領夫妻は、昨夜成田[なりた]から帰国の途につかれました。♠〈帰国する〉オリンピックに出場した選手団は明日帰国する予定です。 **きごころ【気心】** ○物事の感じ方・考え方。気質。[文例]〈気心がわからない〉気心がわからないうちはお互[たが]いに遠慮[えんりよ]していたが、打ち解けるまでにものの十分もかからなかった。♠〈気心が知れる〉今夜は気心の知れた仲間うちのパーティーだから、ごく気軽な気持ちで来てくれよ。♠へ気心の知れない人〉あの人は何を考えているんだか、気心の知れない人だ。♠へ気心が通じる〉気心の通じた相手なら、一言[ひとこと]でつうかあなんだけど・・・・・・。♠〈気心を飲み込む〉彼ならぼくの気心をよく飲み込んでいるので、ルームメイトとして最適だ **ぎこちな・い** ○言葉や動作がぎくしゃくしている。ぎごちない。[文例]〈動作がぎこちない〉先生の前に立つと緊張して、動作がついぎこちなくなってしまう。♠へぎこちない手つき〉外国人たちはぎこちない手つきではしをあやつっていました。♠へすべり方がぎこちない〉スキーが初めての彼女は、ストックの使い方もすべり方もぎこちない。♠へぎこちなく動かす〉脱皮[だつぴ]したばかりのカニは、手足をぎこちなく動かし始めた。♠〈会話がぎこちない〉久しぶりに会った友人はすっかり変わっていて、そのせいか二人の会話もぎこちなかった。♠へ態度がぎこちない〉転校してきてまもない彼は、いつもおどおどしていて態度がぎこちない。 **きこつ【気骨】** ○信念にもとづいた強い心。[文例]〈気骨を持つ〉祖父は、明治生まれの気骨を持った人でした。♠へ気骨がある〉今どき、彼ほど気骨のある若者はめずらしい。 **きこな・す【着こなす】** ○自分に合うように上手に着る。[文例]〈和服を着こなす〉和服を自分で着こなし、きちんと折りたたんでしまうことは、もはや若い人にはほとんどできない。♠へ上手に着こなす〉彼女はいつも流行の服を上手に着こなしている。 **きこり(樵・樵夫)** ○山の木を切ることを職業にする人。[文例]山の中には、猟師[りようし]やきこりの通るような細い道があった。♠きこりの老人は、毎朝早く、木を切り出しに山へ出かけて行った。 **きこん【既婚】** ○すでに結婚していること。[文例]〈既婚の女性〉この会社では、育児の手がはなれた既婚の女性が大勢働いています。♠へ既婚者〉基本給や交通費のほかに、既婚者にはさまざ手当が支給されます。 **きざ(気障)** ○気取っていて、いやみなさま。[文例]〈きざな服装〉待ち合わせの場所に、彼はきざな服装で現れた。♠〈きざな態度〉あいつのきざな態度が我慢ならないんだ。 **きさい【記載】** ○書いて載せること。[文例]〈記載する〉卒業アルバムには、卒業生一人一人の名前が記載されています。♠〈記載がない〉名簿には、彼女の住所だけ記載がない。 **きさき(后・妃)** (后妃)** ○天皇・国王などの妻。[文例]天武天皇のきさきは天智天皇の第二皇女で、後に持統[じとう]天皇として藤原京[ふじわらきよう]を造営しました。♠オーストリアの皇女マリー・アントワネットは、フランス国王ルイ十六世のきさきとなった。 **きさく【気さく】** ○性格がさっぱりしていて、うちとけやすいさま。[文例]〈気さくな人柄〉どんな人かと心配だったが、とても気さくな人柄で、打ちとけて話し合えました。♠〈気さくに付き合う〉こだわりのない人は、気さくに付き合えるから楽しい。♠〈気さくに話す〉列車でとなり合わせたおじさんが気さくに話しかけてきた。 **きざし【兆し】(萌し)** ○物事の起こる前ぶれとなるしるし。前兆。[文例]〈春の兆し〉〈兆しがある〉風はまだ冷たいけれど、木々には春の兆しがあり、かたい芽が少しずつふくらんでいる。♠へ回復の兆し〉〈兆しが見える〉祖父が入院して三か月になるが、このごろようやく回復の兆しが見えてきた。 **きざ・す【兆す】(萌す)** ○草木が芽を出す。物事の始まる気配を生じる。前兆が現れる。[文例]〈気運が兆す〉景気回復の気運が兆し、世の中が次第に活気を帯びてきた。♠〈悪心[あくしん]が兆す〉大金を預かった彼に、悪心が兆した。♠〈草花がきざす〉雪国にもようやく草花がきざし始めている。 **きざ・む【刻む】** ○細かく切る。切れ目を入れる。細かく区切りながら進む。彫りつける。彫刻する。[文例]〈きゅうりを刻む〉台所できゅうりを刻んでいた母が突然[とつぜん]振り返って言った。♠へ肖像[しようぞう]を刻む〉ペルシアの貨幣[かへい]にはその時代時代の王の肖像が刻まれている。♠〈文字を刻む〉紙のなかった昔は、動物の骨やかめの甲羅[こうら]、あるいは青銅や石などに文字を刻んだ。♠へ詩を刻む〉峠[とうげ]の上には、有名な詩人の詩を刻んだ碑が立っていた。♠へしわが刻まれる〉王の顔は蒼白[そうはく]で、みけんのしわは刻み込まれたように深かった。♠〈心に刻む〉少年時代の大半を過ごした中国での思い出は、今でもわたしの心に深く刻み込まれている。♠〈歴史を刻む〉創建以来百年の歴史を刻んだこの建物も、老朽化[ろうきゆうか]のために取り壊されることになった。♠〈時を刻む〉夜の静けさの中を、時を刻む時計の音だけが聞こえる。 **きし【岸】** ○陸が海・湖・川などに接する所。[文例]〈岸を離れる〉オールをひとかきすると、ボートは左右に揺れながら、岸を離れた。♠へ岸に上がる〉海がめは、産卵のために、まっ暗な海の波間から、ゆっくり岸に上がってきた。♠〈岸に寄せる〉おりから北風が激[はげ]しく吹いて、岸に寄せる波も高かった。 <242> 〈岸に打ち上げる〉その朝、おびただしい魚の死がいが、岸に打ち上げられていた。♠へ流れ・波が岸を洗[あら]う〉この酷寒[こつかん]の地にも、春には、清流が岸を洗い、鳥のさえずりが聞かれる。♠〈向こう岸〉だれがいちばん速いか、向こう岸まで泳いで渡ることになった。 **きし(旗幟)** ○戦陣に立てる旗やのぼり。世間に示す態度や主張。[文例]〈旗幟鮮明〉市長の態度がいつまでもはっきりしないのは困る。旗幟鮮明にして市民の批判をあおぐべきだ。 **きじ【生地】** ○仕立てる前の布地。自然のままの性質。素肌。[文例]〈洋服の生地〉母はデパートに行ったついでに、わたしと妹のために洋服の生地を買ってきてくれた。♠〈生地を裁[た]つ〉型紙ができ上がったら、次はそれを布に当てて、生地を裁ちます。♠〈生地が出る〉田舎育ちのおいっ子は、生地まる出しで外で泥[どろ]んこになって遊んでいます。♠〈生地のまま〉若いうちはお化粧[けしよう]なんかしなくても、生地のままで十分魅力的[みりよく]です。 **きじ【記事】** ○事実を知らせるために、新聞・雑誌に掲載された文章。[文例]〈新聞の記事〉毎朝、新聞の記事を丹念[たんねん]に読むのがわたしの日課です。♠へ記事を書く〉動物園に勤めているおじは、ある雑誌に、動物についての記事を書いている。♠ヘ三面記事〉新聞の三面記事から着想を得たという小説もあります。 **ぎし【技師】** ○専門の技術者。[文例]〈工場の技師〉兄は、自動車工場の技師として働いています。♠〈建築技師〉このビルは、明治の初めに、アメリカから建築技師を招[おこ]いて建設されたものです。 **ぎじ【議事】** ○議題を審議したり、議決したりすること。[文例]〈議事にはいる〉議事にはいる前に、報告しておかなければならないことがあります。♠〈議事を進める〉議長は、少数意見を無視して強引に議事を進めた。 **ぎじ【疑似・擬似】** ○本物とよく似ていること。[文例]検査の結果、彼は疑似コレラと診断された。 **きしかいせい【起死回生】** ○死にかかっている人を生き返らせること。悪い形勢を逆転して、勝利や成功に導くこと。[文例]〈起死回生のホームラン〉三点差のまま迎えた八回裏、六番バッターが起死回生の逆転ホームランを放った。♠〈起死回生の策〉このままではだめだ、なんとか起死回生の策を講じなければ。 **ぎしき【儀式】** ○定められた形式で、作法に従って行われる行事。[文例]〈儀式を行う〉宮中で、歌会始めの儀式がおごそかに行われた。♠〈結婚の儀式〉三々九度[さんさんくど]のさかずきをくみかわして、無事結婚の儀式を終えた。♠〈子別れの儀式〉たいていの動物は、子が成長し独立するときに、子別れの儀式をすませるという。♠〈儀式に臨[のぞ]む〉村人[むらびと]たちはみな威儀を正して、古くから伝わるその儀式に臨んだ。♠〈成人式〉若者が大人の仲間入りをする節目[ふしめ]の儀式といってよい。♠〈儀式ばる〉参加者が緊張[きんちよう]するような、儀式ばった会合にはしたくない。 **きしつ【気質】** ○気性。性向。かたぎ。[文例]〈穏[おだ]やかな気質〉祖母は、穏やかな気質の人で、いつもやさしいほほえみを絶やしたことがなかった。♠へ気質を受ける〉わたしは、父の怒りっぽい気質を受けていた。♠へ職人気質〉家具屋のおじさんは職人気質の強い人で、頼まれた仕事は損得抜きでていねいに仕上げます。 **きじつ【期日】** ○前もって決められた日。[文例]〈締め切りの期日〉〈期日が迫[せま]る〉彼が絵をかき終えた時、締め切りの期日は翌日に迫っていた。♠〈約束の期日〉〈期日を守る〉彼女は約束の期日を守ろうとけんめいでした。 **きしべ【岸辺】** ○岸の辺り。岸に沿った所。[文例]〈小川の岸辺〉小川の岸辺には、小さな白い花が咲いていました。♠やはらかに柳あをめる/北上の岸辺目に見ゆ/泣けとごとくに(石川啄木[たくぼく]) **きし・む(軋む)** ○ギシギシと音を立てる。[文例]〈床がきしむ〉大男の主人が歩き回ると、廊下の床がみしみしときしんだ。♠へ車輪がきしむ〉物置から引っ張り出した三輪車は、さびついた車輪がぎしぎしときしみながらも、やっと動いた。♠ヘベッドがきしむ〉病室の大きなベッドは、スプリングが古いのか、寝返りをうつたびにきしんだ。♠〈雪がきしむ〉学校へ急ぐ兄弟の足の下で、ギュッギュッと雪がきしんだ。 **きしゃ【汽車】** ○(特に蒸気)機関車に引かれた列車。[文例]〈汽車が走る〉単調な車輪の響きをたてて、汽車が走っていく。♠〈汽車に乗る〉彼女は、胸をはずませて故郷に向かう汽車に乗った。♠汽車の窓/はるかに北にふるさとの山見え来れば/襟[えり]を正すも(石川啄木) **きしゃ【記者】** ○新聞・雑誌などの記事を書く人。[文例]〈新聞記者〉ぼくは将来、新聞記者になりたいと思っています。♠〈記者会見〉記者会見の席で、首相は新しい政策を発表した。 **きしゃく【希釈】(稀釈)** ○溶液を薄めること。[文例]〈希釈する〉この液体は、濃縮[のうしゅく]されていますので、水で十倍に希釈してから用います。 **きしゅ【機種】** ○飛行機や機械類の種類・型式。[文例]〈飛行機の機種〉ぼくが九州まで乗って行った飛行機の機種は、ボーイングです。♠ヘパソコンの機種〉あの店には、パソコンのあらゆる機種がそろっている。 **きしゅ【旗手】** ○旗を持つ役目の人。活動の先頭に立つ人。リーダー。[文例]開会式が始まり、国旗を掲[かか]げた旗手を先頭に選手団が入場してきました。♠〈新文学の旗手〉彼は代表的な若手作家であり、新文学の旗手といわれている。 **きしゅう【奇襲】** ○不意に襲撃すること。[文例]〈奇襲に遭[あ]う〉寿永[じゆえい]三年、一の谷に陣[じん]を構えた平家は、源義経[みなもとのよしつね]の率いる平家追討[ついとう]軍の奇襲に遭い、敗走して海に逃れた。♠〈奇襲をかける〉背後から奇襲をかけるという作戦が成功して、敵陣を攻めとった。♠〈奇襲攻撃[こうげき]〉一九四一年、日本はハワイの真珠湾[しんじゅわん]を奇襲攻撃し、ここに太平洋戦争の幕は切っておとされた。 <243> **きしゅう【既習】** ○すでに習っていること。[文例]〈既習の漢字〉明日、中学までの既習の漢字について、テストが行われる予定です。♠〈既習の範囲〉夏休みに、既習の範囲を総復習しました。 **きしゅく【寄宿】** ○他人の家などに宿を借りて暮らすこと。[文例]〈寄宿する〉東京の大学に合格した兄は、しばらく叔父の家に寄宿することになった。♠へ寄宿する〉彼は高校の寮に寄宿して、三年間を過ごした。♠〈寄宿舎〉この工場から歩いて五分ほどの所に、従業員のための寄宿舎が建っています。 **きじゅつ【記述】** ○書き記すこと。[文例]〈記述する〉彼は、旅行中に見たこと感じたことをつぶさに記述しました。♠〈神話の記述〉シュリーマンはトロイアの遺跡[いせき]を発掘[はつくつ]し、神話の記述を考古学的に裏づけた。♠明治初年に来日した英国人チェンバレンは、『古事記』の英訳などをするうちに、星についての記述が少ないことに気づいた。 **ぎじゅつ【技術】** ○物事を巧みに行う方法。理論を実地に応用する方法。[文例]〈技術が進む〉今では、アニメーションの技術も進み、優れた作品がどんどん作られています。♠〈進んだ技術〉より進んだ技術を学ぶため、かつて多くの日本人が欧米[おうべい]に出かけて行った。♠〈新しい技術〉この建物は、簡素な様式ながら、新しい技術を用いて建てられています。♠へ技術を開発する〉文明が発生して以来、人間は、さまざまな技術を開発し、自分たちの生活を豊かにしてきた。♠〈技術を磨[みが]く〉兄は、有名なカメラマンのもとに弟子入りして、日夜技術を磨いています。♠へ技術を身につける〉何か一つ技術を身につけておくと将来役に立ちますよ。♠〈技術的〉光の速度で飛ぶことは、理論的には可能ですが、技術的にはできない相談です。 **きじゅん【基準】** ○物事の基本となる標準。[文例]〈判断の基準〉このレポートは、外国における調査の結果を判断の基準にしています。♠〈基準を定める〉建築には、安全性についての基準が定められている。 **きじゅん【帰順】** ○反抗をやめて従うこと。[文例]〈帰順する〉脱走していた三十五名の兵が本隊に帰順したので、軍法会議にかけられた。 **きしょう【気性】** ○性格。気だて。気質。性分。[文例]〈気性が激[はげ]しい〉弟は、気性の激しい兄とちがって、おとなしい少年であった。♠へ気性が荒[あら]い〉頑丈[がんじよう]な体つきで、気性も荒いが、涙もろいところのある父だ。♠へさっぱりした気性〉母は、さっぱりした気性で物事にこだわらないので、祖母ともおりあいがよい。♠へまっすぐな気性〉彼のまっすぐな気性が、社会の不正を許せなかったのだ。 **きしょう【気象】** ○大気中の現象。大気の状態。[文例]〈気象の変化〉冬山は気象の変化が早いので、注意が必要だ。♠〈気象の影響〉わたしたちの日常生活は、気象の影響を強く受けている。♠へ気象の研究〉リンドバーグは、航路と気象の研究を進めながら、大空への限りないあこがれを燃やしていた。 **きしょう【起床】** ○起き上がって、寝床を出ること。[文例]〈起床する〉ぼくは毎朝六時に起床し、父と一緒に軽くジョギングする。♠へ就寝[しゅうしん]と起床〉六時起床、十一時就寝という規則正しい生活を続けている。♠へ起床時間〉受験が近づくと、わたしは起床時間を一時間早めました。 **きしょう【希少】(稀少)** ○まれなこと。少ないこと。めったにないこと。[文例]〈希少な品〉これは、日本ではなかなか手にはいらない希少な品です。♠へ希少価値〉この高校は男子が少ないから、こんなぼくでも希少価値があるのです。 **きじょう【机上】** ○机の上。[文例]彼の部屋に入ると、机上に本がきちんと並べてあるのが目についた。♠〈机上の空論〉きみの考えていることは実現不可能で、机上の空論にすぎないよ。♠〈机上のプラン〉病弱なわたしは思うように旅行に行けないので、机上のプランを立てて空想している。 **きじょう【気丈】** ○気持ちがしっかりしているさま。気丈夫。[文例]〈気丈な人〉祖母は気丈な人で、戦争で夫を失いながら、女手[おんなで]ひとつで父とその兄弟を育てあげた。♠へ気丈にふるまう〉交通事故で母を亡くした少年は、葬式[そうしき]でも気丈にふるまっているのが人々の涙をさそった。 **きしょうてんけつ【起承転結】** ○漢詩(特に絶句)の組み立て方。文章や物事の構成・順序。[文例]彼の文章は、いつもながら起承転結がはっきりしていて、実に明快だ。♠漢詩、特に絶句に用いられた起承転結の配列は、現在でも詩や文章の構成に用いられている。 **きしょく【気色】** ○気持ちの表れとしての顔色。心地。気分。[文例]〈気色をうかがう〉彼は、留学する決意を話そうか話すまいかと、父親の気色をうかがった。♠〈気色が悪い〉わたしは、ヘビが嫌いで、写真で見ただけでも気色が悪くなります。♠〈気色悪い〉いくらご時勢とはいえ、男が化粧[けしよう]をするのはやっぱり気色悪いねえ。 **きしょく【喜色】** ○うれしそうな様子。[文例]〈喜色を浮かべる・たたえる〉息子が司法試験に合格したのを知って、父親は満面に喜色を浮かべました。♠〈喜色満面〉合格電報を受け取った姉は、喜色満面、躍[おど]り上がって喜んだ。 **きしん【帰心】** ○故郷やわが家へ帰りたいと思う気持ち。[文例]〈帰心矢のごとし〉彼は二年の海外出張を終えると、帰心矢のごとし、ただちに日本へ向かった。♠へ帰心が募[つの]る〉都会で働くようになって半年も経つと、故郷への帰心が募ってくる。 **きしん【寄進】** ○寺社に寄付すること。[文例]〈寄進する〉祖父は、山林の一部をお寺に寄進した。♠〈寄進する〉町内会では、神社に新しい鳥居を寄進しようという計画を立てています。 **ぎしんあんき【疑心暗鬼】** ○疑いが生じて、なんでもないことを恐ろしがったり、不安に感じたりすること。[文例]〈疑心暗鬼を生[しょう]ず〉上に立つ者の言動に煮え切らない点があると、疑心暗鬼を生ずで、全体の統率がとれなくなる。♠へ疑心暗鬼になる〉どうも家族の様子がおかしい、何かぼくに隠[かく]し事をしているな、と疑心暗鬼になった。 **きず【傷】(瑕・疵・創)** ○皮膚や筋肉が損なわれて痛むところ。けがの跡。物の傷んだところ。物事の不完全な部分。[文例]〈傷が浅い・深い〉おい、しっかりしろ、傷は浅いぞ。 <244> 〈傷が痛[いた]む〉麻酔[ますい]が切れたせいか、足の傷がひどく痛む。♠〈傷を受ける〉倒れている男を助け起こしてみると、肩にひどい刀傷[かたなきず]を受けていた。♠〈軽い傷〉〈傷を負[お]う〉酔って階段から転げ落ちたが、さいわい軽い傷を負っただけですんだ。♠〈傷をする〉(・・・・・・) 身のまわりを見ると足からすねのあたり、所々に傷をして(………………)(志賀直哉「濁[にご]った頭」)♠〈傷が治る〉遠慮[えんりよ]なさらないで、傷が治るまでゆっくり養生[ようじよう]してください。♠〈ざくろのような傷〉額[ひたい]には、ざくろのような傷が口を開けていた。♠へすねに傷を持つ〉どこか暗い陰[かげ]のあるその男は、すねに傷を持つ身の上らしかった。♠〈心の傷〉顔の傷はすぐに治りましたが、なぐられたことは心の傷として残りました。♠へ柱のきず〉祖父の家の柱には、小さいころ兄と背[せ]比べをした時のきずが、今でも残っている。♠へきずをつける〉この絵は美術的にも価値の高い物だから、きずでもつけたら大変だ。♠へきずがつく〉父は家名にきずがつくのを恐れて、素行の悪い弟を勘当[かんどう]したのだった。♠〈玉にきず〉おまえは、ほかに何も言うことはないけど、短気なのが玉にきずだ。 **きずあと【傷跡】(傷痕・疵痕)** ○皮膚や物の表面についたきずの跡。[文例]〈傷跡が残る〉小さい時ガラス片を踏んだことがあるが、今でもその傷跡がかすかに残っている。♠へ自然の傷跡〉工事による自然の傷跡にも、もう小さな植物が育ちはじめている。♠〈噴火[ふんか]の傷跡〉農作物が全部だめになるなど、噴火の傷跡は予想以上に大きかった。♠〈心に傷跡を残す〉友人の心ない一言が彼女の心に深い傷跡を残した。 **きすう(帰趨)** ○物事の行き着くところ。決着するところ。[文例]〈民族の帰趨〉キリスト教を公認することは、この民族の帰趨を左右するような大問題であった。♠へ帰趨する〉両国の政情不安はますます増大し、その帰趨するところを知らない。 **きず・く【築く】** ○土や石をつき固めて作る。堤防[ていぼう]や建造物を作る。もとを固めて、しっかり作り上げる。[文例]〈ピラミッドを築く〉古代エジプトは、ピラミッドやスフィンクスを築いたことでも知られる。♠〈城を築く〉熊本[くまもと]城は、今から三百八十年ほど前、領主加藤清正[かとうきよまさ]が築かせたものです。♠〈堤防を築く〉度重[たびかさ]なる川の氾濫[はんらん]になやまされた村人たちは、堤防を築いて洪水[こうずい]を防ぐことを考えた。♠へ人垣[ひとがき]を築く〉街頭テレビの前には、まるで地からわいたように、黒山の人垣が築かれていた。♠〈村を築く〉新天地を求めて故郷をあとにした一族は、大きな川のほとりに自分たちの村を築いた。♠へ社会を築く〉わたしたち警察官は、より良い社会を築くため日夜努力しております。♠へ暮らしを築く〉平和で豊かな暮らしを築いていきたいというのは、人類の永遠の願いです。♠へ財産を築く〉父は裸一貫[はだかいつかん]から身を起こし、一代でこれだけの財産を築いたのでございます。♠へ家庭を築く〉若いお二人には、幸せな明るい家庭を築いていただきたいと思います。 **きずぐち【傷口】(疵口)** ○傷ができて皮膚の破れたところ。[文例]〈傷口を消毒する〉看護婦さんは、傷口を消毒すると、手早く包帯を巻いてくれました。♠〈傷口を広げる〉なぐさめようと思って言った言葉が、逆に彼の傷口を広げるような結果になってしまった。♠〈傷口をえぐる〉あの二人を再会させるなんて、そんな傷口をえぐるようなまねはするな。 **きずつ・く【傷付く】(疵付く)** ○傷を負う。心に傷を受ける。損なわれる。[文例]〈傷ついた兵士〉ある日、一人の傷ついた兵士が、百姓家[ひやくしようや]の前によろよろとたどり着いた。♠へ傷つきやすい〉中学生の年代はちょうど思春期で、ちょっとしたことにも傷つきやすい年頃[としごろ]です。♠へ名誉が傷つく〉その事件で彼の名誉はいたく傷つき、公的な活動から身を引かざるをえなくなった。 **きずつ・ける【傷付ける】(疵付ける)** ○傷を負わせる。傷を与える。損なわせる。[文例]〈心を傷つける〉考えのない大人の言葉が良平の心を傷つけていた。♠〈名誉を傷つける〉誇り高い部族の長としての名誉を傷つけられ、老人は腰の剣をはらった。♠へ自尊心を傷つける〉子供といえども自尊心を備えているのだから、それを傷つけるべきではない。 **きずな(絆)** ○物をつなぎ止める綱。人間どうしの結びつき・つながり。[文例]〈友情のきずな〉学校を卒業して十年、遠く離れていても、二人の友情のきずなはしっかり結ばれています。♠へ愛のきずな〉彼はアメリカ、彼女は日本と、遠く離れた二人であったが、強い愛のきずなで結ばれていた。♠〈きずなが強まる〉破産という憂[う]き目にあって、かえって家族のきずなが強まったような気がします。♠へきずなを断[た]つ〉わたしは、わたし自身をこの土地に縛[しば]りつけている、すべてのきずなを断ちたかった。 **きずもの【傷物】(疵物)** ○傷がついている物。欠けたところのあるもの。[文例]〈傷物の洋服〉傷物の洋服がバーゲンセールで安く売り出されていた。♠へ傷物が出る〉陶器類[とうきるい]は産地から小売店へ運ぶ途中で、どうしてもいくつか傷物が出てしまいます。 **き・する【期する】** ○時期・期日を決める。心に決める。望みをかける。[文例]〈必勝を期する〉試合直前に病で倒[たお]れたコーチのまくらもとで、チーム全員が必勝を期した。♠へ再会を期する〉十五年ぶりのクラス会は、盛況[せいさよう]のうちに終わり、出席者全員が再会を期して別れた。♠へ心に期する〉兄は、近ごろ何事か深く心に期するところがあるようで、黙りがちだ。♠へ慎重[しんちよう]を期する〉守るべき自然もあるので、開発には慎重を期すべきだろう。♠〈日を期する〉連合軍は、雨期明けの日を期して、反撃[はんげき]に出る作戦をたてた。♠〈期せずして〉期せずして、二人は同じ汽車で上京することになったのである。 **き・する【帰する】** ○帰着する。結果として、そうなる。何かのせいにする。[文例]〈灰燼[かいじん]に帰する〉第二次世界大戦において、東京は終戦までに百二回の爆撃[ばくげき]を受け、ほとんど灰燼に帰した。♠へ水泡[すいほう]に帰する〉ぼくの失敗で、せっかくのみんなの努力も水泡に帰した。♠へ帰するところ〉二人のけんか別れも、帰するところ当人同士のわがままにあるといえる。 <245> **ぎ・する【擬する】** ○突きつける。あてはめる。似せる。見たてる。なぞらえる。[文例]〈銃を擬する〉国軍の銃砲[じゆうほう]は、敵国に向けられるとともに、実は自国民の背にも擬せられているのである。♠〈他に擬する〉彼女は、ドイツの革命家ローザ・ルクセンブルグに擬せられる女性闘士であった。 **きせい【帰省】** ○故郷に帰ること。[文例]〈帰省する〉夏休みになると、東京の大学に行っている兄が帰省して、家の中が急ににぎやかになります。♠へ帰省列車〉暮[く]れの帰省列車はひどいこみようで、通路もほとんど人で埋[う]まっていた。♠桑の葉の照るに堪[た]へゆく帰省かな(水原秋桜子[みずはらしゆうおうし]) **きせい【規制】** ○規則を作って制限すること。[文例]〈厳しい規制〉この国では、交通安全のために車に対して厳しい規制が設けられています。♠〈規制する〉業界では、消費者とのトラブルを避けるために、誇大[こだい]な宣伝をしないよう自主的に規制しています。 **きせい【既成】** ○既にでき上がっていること。既に存在していること。[文例]〈既成の型〉独創的に見えた若者も、大人になるにつれて既成の型に自分を当てはめようとするようになる。♠へ既成の事実〉いずれにしても、この企業秘密が他社に漏[も]れていることは既成の事実だ。♠〈既成大家〉一時期は、文芸復興の掛け声が起こり、既成大家を含めて力作の発表が続いた。♠へ既成概念[がいねん]〉既成概念にとらわれずに、自由な目で物事を見ることにより、新しい世界が広がる。 **きせい【奇声】** ○奇妙な叫び声。だしぬけで調子はずれの声。[文例]〈奇声をあげる〉遊んでいるうちに興奮し、奇声をあげて走り回る男の子もいる。♠へ奇声を発する〉その子は、自分の意志が伝えられないもどかしさに奇声を発して暴れるのだった。 **きせい【寄生】** ○他の生物に付着し、そこから栄養を得て生活すること。他にすがって生きること。[文例]〈寄生する〉〈寄生植物〉ヤドリギやツクバネのように、他の植物に寄生して生きる植物を寄生植物という。♠へ寄生虫〉恐ろしい伝染病の病菌も、回虫のような寄生虫の卵も、手から口を通って体に入る。♠〈寄生虫〉きみも、いつまでも寄生虫みたいな生活をしていないで、自分で働いたらどうだい。 **きせい【気勢】** ○意気込み。気持ちの張り。[文例]〈気勢があがる〉かけ声をかけ、選手たちの気勢があがったところで、試合開始の合図が鳴った。♠〈気勢をそぐ〉やろうと思ったところを相手に先を越され、気勢をそがれてしまった。 **ぎせい【犠牲】** ○神へのいけにえ。目的を達成するために、命や大切なものをささげること。災難にあって命を落とすこと。[文例]〈犠牲を払う〉どんな犠牲を払ってでも、この村の人々を守ってみせる。♠〈犠牲にする〉父を亡[な]くしてから、母は、すべてを犠牲にしてわたしたちを育ててくれました。♠へ犠牲を強[し]いる〉作品が世に認められず、収入がないために、長い間家族に犠牲を強いてしまった。♠へ犠牲が大きい〉国を守るためとは言え、戦いで失った犠牲はあまりにも大きかった。♠へ犠牲になる〉原爆[げんぱく]の犠牲になった人々の名を書いた灯[とう]ろうを、毎年、お盆[ぼん]のときに川に流します。♠〈犠牲的〉彼女は一つしかない食べ物を人にあげてしまうような、犠牲的な精神の持ち主です。 **きせき【奇跡】(奇蹟)** ○人間の理解を超えた出来事。人間の能力を超えた働き。[文例]〈奇跡が起こる〉意識不明の状態が一か月以上も続いたが、突然[とつぜん]奇跡が起こり、病人[かんじゃ]の意識が戻[もど]った。♠へ奇跡を行う〉聖書には、後にキリストと呼ばれたようになったイエスが数々の奇跡を行ったと記されている。♠へ奇跡を待つ〉この患者には、現代医学がなしうるすべての治療[ちりよう]を施[ほどこ]したのだから、あとは奇跡を待つしかないだろう。♠へ神の奇跡〉あなたは、神の奇跡を信じますか?♠〈奇跡的に助かる〉幼児は四階のベランダから墜落[ついらく]したが、芝生[しばふ]の上に落ちて、奇跡的に助かった。 **きせき【軌跡】** ○車輪が通った跡。物事のたどった跡。[文例]〈活動の軌跡〉〈軌跡をたどる〉会のこれまでの活動の軌跡をたどり、今後の活動方針を明らかにしよう。♠へ軌跡を描[えが]く〉雪の上にくっきりと軌跡を描いて、車が走っていく。 **きせずして【期せずして】** ♪き・する【期する】 **きせつ【季節】** ○気候の変化によって分けた四季のそれぞれ。[文例]〈待たれる季節〉北国の人々にとって、春ほど待たれる季節はない。♠へ〜が恋[こい]しい季節〉十月も末、朝晩はすっかり寒くなり、こたつの恋しい季節である。♠ヘ衣[ころも]がえの季節〉衣がえの季節を迎えて、校内はすがすがしい夏服であふれている。♠へ季節の変わり目〉祖母はリューマチを患[わずら]っているが、季節の変わり目は、とくに痛むようだ。♠へ季節の移り変わり〉日本人は、季節の移り変わりを鋭敏[えいびん]に感じて、独特の文化をつくりあげてきた。♠〈季節が巡[めぐ]る〉また、恋人[こいびと]を海で失ったあの季節が巡って来る。♠へ季節にかかわらず〉この色の生地なら、季節にかかわらず、いつでも着られそうだ。♠〈季節はずれ〉わたしと彼が初めて会ったのは、散歩にはいささか季節はずれの、二月も末のことだった。 **きぜつ【気絶】** ○気を失うこと。失神。[文例]〈気絶する〉婦人は、通りにブタがいるのを見て気絶した。♠〈気絶寸前〉その知らせを聞いた時、わたしは仰天し、ほとんど気絶寸前だった。 **き・せる【着せる】** ○衣服を着させる。負わせる。[文例]〈着物を着せる〉祖母は、孫娘[まごむすめ]に美しい着物を着せるのを楽しみにしている。♠へふとんを着せる〉姉のわたしは、夜中に何度も、弟のはいだふとんを着せてやる。♠〈恩に着せる〉あの人は、とても親切なうえに、決してそれを恩に着せないところがすばらしい。♠〈汚名[おめい]を着せる〉生き残った兵士たちは、なぜか「裏切り者」という汚名を着せられてしまった。♠へぬれぎぬを着せる〉男はぬれぎぬを着せられ、牢[ろう]にほうりこまれた。♠〈歯に衣[きぬ]着せぬ〉彼の歯に衣着せぬ率直[そつちよく]な発言は、ときに人の反感を買うこともあるらしい。 **キセル(煙管)** ○きざみタバコを詰めて吸う道具。中間の料金をごまかす不正乗車。[文例]〈キセルをくわえる〉老人は、しばらく沈黙し、それからキセルをくわえて、黙々とたばこをふかした。♠ヘキセル乗車〉貧乏学生だったわたしは、キセル乗車をやって、切符代を浮かしたこともあった。 <246> **きぜわし・い【気ぜわしい】** (気忙しい) ○気持[きも]ちがせかせかして落[お]ち着[つ]かない。[文例]二学期[にがっき]は運動会[うんどうかい]や文化祭[ぶんかさい]など行事[ぎょうじ]が多[おお]く、何[なに]かと気[き]ぜわしい。♠〈気[き]ぜわしく立[た]ち働[ばたら]く〉日曜日[にちようび]の朝[あさ]だというのに、母[はは]は朝早[あさはや]くから台所[だいどころ]で気[き]ぜわしく立[た]ち働[ばたら]いていた。♠〈気[き]ぜわしい人[ひと]〉まだ汽車[きしゃ]の出発[しゅっぱつ]まで二時間[にじかん]もあるというのに、ばたばたと気[き]ぜわしい人[ひと]だ。♠〈気[き]ぜわしい思[おも]い〉ぎりぎりになって気[き]ぜわしい思[おも]いをしないように、夏休[なつやす]みの宿題[しゅくだい]は早目[はやめ]に片[かた]づけておきなさい。 **きせん【機先】** ○物事[ものごと]を行[おこな]おうとするやさき。物事[ものごと]の起[お]ころうとするまぎわ。[文例]〈機先[きせん]を制[せい]する〉先手必勝[せんてひっしょう]、少[すこ]しでも先[さき]に攻撃[こうげき]に出[で]て、相手[あいて]の機先[きせん]を制[せい]することが勝利[しょうり]の秘訣[ひけつ]だ。 **きせん(貴賤)** ○貴[とうと]いことといやしいこと。身分[みぶん]の高[たか]い人々[ひとびと]と低[ひく]い人々[ひとびと]。[文例]〈職業[しょくぎょう]に貴賤[きせん]なし〉職業[しょくぎょう]に貴賤[きせん]なし、自分[じぶん]の職分[しょくぶん]を全[まっと]うしなさい。♠〈貴賤上下[きせんじょうげ]〉貴賤上下[きせんじょうげ]の別[べつ]なく、すべての人が幸[しあわ]せに暮[く]らせる世[よ]の中[なか]にしたい。 **きぜん(毅然)** ○意志[いし]が強[つよ]く、態度[たいど]のはっきりしているさま。[文例]〈きぜんとした〉商人[あきんど]のずるいやり方[かた]をとがめた女[おんな]の態度[たいど]には、どこか武家[ぶけ]の出[で]らしいきぜんとしたところがあった。♠〈きぜんとして〉彼[かれ]は、どんな不当[ふとう]な迫害[はくがい]にもきぜんとして耐[た]え、決[けっ]して自分[じぶん]の誇[ほこ]りを失[うしな]わなかった。♠〈きぜんたる態度[たいど]〉教師[きょうし]は愛情[あいじょう]を持[も]ち、きぜんたる態度[たいど]で生徒[せいと]に臨[のぞ]んでください。 **ぎぜん【偽善】** ○見[み]せかけの善行[ぜんこう]。[文例]人[ひと]の失敗[しっぱい]を願[ねが]いながら、うわべだけは応援[おうえん]しているようなきみの態度[たいど]を偽善[ぎぜん]というのだ。♠〈偽善[ぎぜん]を行[おこな]う〉政治家[せいじか]の中[なか]には、私腹[しふく]をこやし、偽善[ぎぜん]を行[おこな]う者[もの]も何人[なんにん]かいた。♠〈偽善[ぎぜん]に満[み]ちる〉『ガリバー旅行記[りょこうき]』は、虚栄[きょえい]と偽善[ぎぜん]に満[み]ちた社会[しゃかい]を風刺[ふうし]した小説[しょうせつ]です。♠〈偽善[ぎぜん]を憎[にく]む〉彼[かれ]は、この世[よ]の悪[あく]と偽善[ぎぜん]をひどく憎[にく]んでいる。♠〈偽善者[ぎぜんしゃ]〉世間[せけん]には、親切[しんせつ]そうな顔[かお]をした偽善者[ぎぜんしゃ]どもがうようよしている。♠〈偽善的行為[ぎぜんてきこうい]〉やつらの偽善的行為[ぎぜんてきこうい]を、このまま黙[だま]って見[み]ているわけにはいかない。 **きそ【基礎】** ○建造物[けんぞうぶつ]の土台[どだい]。物事[ものごと]の根底[こんてい]。いしずえ。[文例]〈建物[たてもの]の基礎[きそ]〉何[なん]ごともそうですが、特[とく]に建物[たてもの]は基礎[きそ]がしっかりしていなくてはなりません。♠〈事業[じぎょう]の基礎[きそ]〉〈基礎[きそ]を固[かた]める〉将来[しょうらい]の発展[はってん]を考[かんが]えると、今[いま]のうちに事業[じぎょう]の基礎[きそ]を固[かた]めておく必要[ひつよう]があろう。♠〈基礎[きそ]ができる〉しっかりと基礎[きそ]ができていれば、応用[おうよう]はきくものだ。 **きそ【起訴】** ○訴[うった]えを起[お]こすこと。[文例]〈起訴[きそ]する〉盗[ぬす]みの容疑[ようぎ]で起訴[きそ]され、有罪[ゆうざい]の判決[はんけつ]を受[う]けたAは上訴[じょうそ]し、判決[はんけつ]の取[と]り消[け]しを求[もと]めた。♠〈起訴状[きそじょう]〉検察官[けんさつかん]は、被疑者[ひぎしゃ]に対[たい]する起訴状[きそじょう]を読[よ]み上[あ]げた。♠〈起訴猶予[きそゆうよ]〉被疑者[ひぎしゃ]は、情状[じょうじょう]により起訴猶予処分[きそゆうよしょぶん]となった。 **きそう【起草】** ○草案[そうあん]・草稿[そうこう]を書[か]くこと。[文例]〈起草[きそう]する〉伊藤博文[いとうひろぶみ]らは、ドイツの憲法[けんぽう]を参考[さんこう]にして憲法[けんぽう]の原案[げんあん]を起草[きそう]し、大日本帝国憲法[だいにっぽんていこくけんぽう]が発布[はっぷ]された。 **きそ・う【競う】** ○競争[きょうそう]する。張[は]り合[あ]う。[文例]〈技[わざ]を競[きそ]う〉兄[あに]とぼくはすもうが好[す]きで、互[たが]いに得意[とくい]の技[わざ]を競[きそ]ったものだ。♠〈速[はや]さを競[きそ]う〉乗[の]り物[もの]も速[はや]さを競[きそ]う時代[じだい]になって、新幹線[しんかんせん]が誕生[たんじょう]した。♠〈成績[せいせき]を競[きそ]う〉友達[ともだち]が成績[せいせき]を競[きそ]う敵[てき]になってしまったら、なんて寂[さび]しいことだろう。♠〈先[さき]を競[きそ]う〉わたしがやっと頂上[ちょうじょう]に登[のぼ]りつめると、みんなは先[さき]を競[きそ]ってお弁当[べんとう]をひろげていた。♠〈競[きそ]って~する〉バーゲンセールでは、競[きそ]って安[やす]い品[しな]を買[か]い求[もと]める人々[ひとびと]で店内[てんない]はいっぱいになる。 **きぞう【寄贈】** ○金品[きんぴん]を贈[おく]ること。贈呈[ぞうてい]。きそう。[文例]〈寄贈[きぞう]する〉この珍獣[ちんじゅう]を動物園[どうぶつえん]に寄贈[きぞう]して一般[いっぱん]に公開[こうかい]するというのはどうだろう。♠〈寄贈[きぞう]する〉同窓生[どうそうせい]から母校[ぼこう]に百冊[ひゃくさつ]の本[ほん]が寄贈[きぞう]された。 **ぎそう【擬装・偽装】** ○敵[てき]の目[め]をくらますために、外見[がいけん]を他[た]とまぎらわしく装[よそお]うこと。カムフラージュ。[文例]〈擬装[ぎそう]する〉敵[てき]の目[め]を欺[あざむ]くため、兵器[へいき]や兵服[へいふく]には、周囲[しゅうい]と同[おな]じような色[いろ]を塗[ぬ]って擬装[ぎそう]する。♠〈擬装工作[ぎそうこうさく]〉この自殺[じさつ]には不審[ふしん]な点[てん]が多[おお]く、遺書[いしょ]なども自殺[じさつ]に見[み]せかけるための擬装工作[ぎそうこうさく]である可能性[かのうせい]が濃[こ]い。 **ぎぞう【偽造】** ○本物[ほんもの]に似[に]せてつくること。[文例]〈偽造[ぎぞう]する〉貨幣[かへい]、文書[ぶんしょ]、手形[てがた]、印章[いんしょう]などを偽造[ぎぞう]すれば、もちろん犯罪[はんざい]になる。♠〈偽造紙幣[ぎぞうしへい]〉大阪府[おおさかふ]で、偽造紙幣[ぎぞうしへい]が相次[あいつ]いで発見[はっけん]された。♠〈文書偽造[ぶんしょぎぞう]〉偽[いつわ]りの名義[めいぎ]の文書[ぶんしょ]を作成[さくせい]したとみられる男[おとこ]が、私文書偽造[しぶんしょぎぞう]の容疑[ようぎ]で逮捕[たいほ]された。 **きそうてんがい【奇想天外】** ○思[おも]いもよらない奇抜[きばつ]なさま。[文例]〈奇想天外[きそうてんがい]な事件[じけん]〉物語[ものがたり]の中[なか]で、ドリトル先生[せんせい]と動物[どうぶつ]たちは、次[つぎ]から次[つぎ]へと奇想天外[きそうてんがい]な事件[じけん]を起[お]こしていく。♠〈奇想天外[きそうてんがい]な世界[せかい]〉「ガリバー旅行記[りょこうき]」には、小人国[こびとぐに]や大人国[おとなぐに]の話[はなし]など、奇想天外[きそうてんがい]な世界[せかい]が巧[たく]みに描[えが]かれている。 **きそく【規則】** ○きまり。よりどころとして定[さだ]められた規律[きりつ]。[文例]〈規則[きそく]を守[まも]る〉合宿[がっしゅく]の間[あいだ]は、規則[きそく]を守[まも]り、勝手[かって]な行動[こうどう]は慎[つつし]みましょう。♠〈規則[きそく]を破[やぶ]る〉彼[かれ]は、部[ぶ]の規則[きそく]を破[やぶ]った罰[ばつ]として、部室[ぶしつ]の掃除[そうじ]を命[めい]じられた。♠〈規則[きそく]が変[か]わる〉町立図書館[ちょうりつとしょかん]は、この秋[あき]から規則[きそく]が変[か]わり、開館時間[かいかんじかん]が時間延長[じかんえんちょう]された。♠〈規則[きそく]に従[したが]う〉学校[がっこう]の規則[きそく]に素直[すなお]に従[したが]う生徒[せいと]は少[すく]なくなっているのだろうか。♠〈規則[きそく]で縛[しば]る〉生徒[せいと]を規則[きそく]で縛[しば]るより、ものごとの善悪[ぜんあく]を判断[はんだん]する力[ちから]をつけさせてやりたい。♠〈規則[きそく]がうるさい。やかましい〉姉[あね]が通[かよ]う女子高[じょしこう]は、規則[きそく]がやかましいことで有名[ゆうめい]だ。♠〈規則正[きそくただ]しい〉当市[とうし]の通[とお]りは碁盤[ごばん]の目[め]のように、規則正[きそくただ]しく並[なら]んでいる。♠〈規則的[きそくてき]〉入院中[にゅういんちゅう]は、一定[いってい]の時間[じかん]をおいて、規則的[きそくてき]に検温[けんおん]を行[おこな]った。♠〈規則違反[きそくいはん]〉路上[ろじょう]では、小[ちい]さな規則違反[きそくいはん]が時[とき]には大[おお]きな事故[じこ]のもとになる。 **きぞく【貴族】** ○社会的な特権[とっけん]をもつ上流階級[じょうりゅうかいきゅう]。[文例]万葉集[まんようしゅう]には、防人[さきもり]や農民[のうみん]たちから、貴族[きぞく]や天皇[てんのう]の歌[うた]までも収[おさ]められている。♠〈独身貴族[どくしんきぞく]〉車[くるま]を買[か]ったとか、休[やす]みには海外旅行[かいがいりょこう]へ行[い]くんだとか、きみたち独身貴族[どくしんきぞく]はいいねえ。 **きぞく【帰属】** ○従属[じゅうぞく]すること。所属[しょぞく]すること。[文例]〈領土[りょうど]の帰属[きぞく]〉北方領土[ほっぽうりょうど]の帰属[きぞく]をめぐって、ソ連側[れんがわ]と日本側[にほんがわ]の主張[しゅちょう]はくい違[ちが]ったままだった。♠〈帰属[きぞく]する〉大人社会[おとなしゃかい]にも、また子供社会[こどもしゃかい]にも帰属[きぞく]しない青少年[せいしょうねん]たちの心[こころ]は不安定[ふあんてい]である。♠〈国家[こっか]への帰属[きぞく]〉若[わか]い世代[せだい]ほど、社会[しゃかい]や国家[こっか]への帰属[きぞく]意識[いしき]は薄[うす]いようだ。 <247> **きそくえんえん(気息奄奄)** ○息[いき]も絶[た]え絶[だ]えなさま。きわめて苦[くる]しいさま。[文例]〈気息奄々[きそくえんえん]たる状態[じょうたい]〉栄華[えいが]を誇[ほこ]った王国[おうこく]も、すぐれた支配者[しはいしゃ]を失[うしな]ってからは国力[こくりょく]が弱[よわ]まり、気息奄々[きそくえんえん]たる状態[じょうたい]を呈[てい]していた。 **きそん【既存】** ○既[すで]に存在[そんざい]すること。[文例]〈既存[きそん]の権利[けんり]〉農民[のうみん]の間[あいだ]には、国有地内[こくゆうちない]での牛馬[ぎゅうば]の放牧[ほうぼく]を既存[きそん]の権利[けんり]として、手放[てばな]すことに反対[はんたい]する声[こえ]が強[つよ]かった。 **きそん(毀損)** ○壊[こわ]すこと。損[そこな]うこと。壊[こわ]れ、損[そこな]われること。[文例]〈毀損[きそん]する〉重要[じゅうよう]な文化財[ぶんかざい]が風雨[ふうう]によって毀損[きそん]されることを防[ふせ]がなければならない。♠〈名誉毀損[めいよきそん]〉そんないわれのない疑[うたが]いをかけることは、名誉毀損[めいよきそん]になるよ。 **きた【北】** ○北極[ほっきょく]の方角[ほうがく]。[文例]〈北[きた]の国[くに]〉冬[ふゆ]になると、北[きた]の国[くに]から日本[にほん]へ渡[わた]り鳥[どり]がやって来[き]ます。♠〈北向[きたむ]き〉若[わか]い画家[がか]は、北向[きたむ]きの小[ちい]さな部屋[へや]を借[か]りた。♠〈北[きた]へ渡[わた]る〉啄木[たくぼく]が生活[せいかつ]にゆきづまって津軽海峡[つがるかいきょう]を北[きた]へ渡[わた]ったのは、二十一歳[にじゅういっさい]の時[とき]のことでした。♠〈北[きた]は北海道[ほっかいどう]から〉今日[きょう]集[あつ]まった人[ひと]たちは、北[きた]は北海道[ほっかいどう]から南[みなみ]は沖縄[おきなわ]まで、全国津々浦々[ぜんこくつつうらうら]のオートバイマニアたちです。 **きたい【期待】** ○あてにして待[ま]つこと。望[のぞ]みをかけること。[文例]〈期待[きたい]に胸[むね]ふくらます〉四月[しがつ]は、新[あら]しい門出[かどで]を前[まえ]に、期待[きたい]に胸[むね]ふくらませる人[ひと]がたくさんいる。♠〈期待[きたい]に添[そ]う〉ご期待[きたい]に添[そ]えるかどうかはわかりませんが、全力[ぜんりょく]を尽[つ]くします。♠〈期待[きたい]にこたえる〉一人息子[ひとりむすこ]を医者[いしゃ]にしたいという親[おや]の期待[きたい]に、彼[かれ]はきっとこたえてくれるだろう。♠〈期待[きたい]をかける〉彼[かれ]は、母親[ははおや]からあまりに多[おお]くの期待[きたい]をかけられて、それに押[お]しつぶされてしまった。♠〈期待[きたい]を裏切[うらぎ]る〉おおかたの期待[きたい]を裏切[うらぎ]って、わがチームは第一戦[だいいっせん]で完敗[かんぱい]してしまった。♠〈期待[きたい]に背[そむ]く〉彼[かれ]は、跡[あと]をついで欲[ほ]しいという両親[りょうしん]の期待[きたい]に背[そむ]いて、絵[え]の勉強[べんきょう]にフランスへと旅立[たびだ]った。♠〈期待[きたい]に反[はん]する〉国民[こくみん]の期待[きたい]に反[はん]して、物価[ぶっか]はうなぎのぼりに上昇[じょうしょう]した。♠〈期待[きたい]される人間像[にんげんぞう]〉この国[くに]の期待[きたい]される人間像[にんげんぞう]は、一[いち]にも二[に]にも、勤勉[きんべん]な人[ひと]にほかならない。♠〈多[おお]くを期待[きたい]しない〉わたしは、おまえに多[おお]くを期待[きたい]しないが、うそをつく人間[にんげん]にだけはなるな。 **きたい【気体】** ○固体[こたい]・液体[えきたい]とならぶ、物質[ぶっしつ]の三態[さんたい]の一[ひと]つ。空気[くうき]のような状態[じょうたい]。[文例]〈気体[きたい]を生[しょう]じる〉水[みず]を電気分解[でんきぶんかい]した時[とき]に生[しょう]じる気体[きたい]が、酸素[さんそ]と水素[すいそ]であることを確[たし]かめてみよう。♠〈有毒[ゆうどく]の気体[きたい]〉この物質[ぶっしつ]を熱[ねっ]すると、シアンという有毒[ゆうどく]の気体[きたい]が発生[はっせい]する。 **きたい【機体】** ○飛行機[ひこうき]の胴体[どうたい]や翼[つばさ]。[文例]〈機体[きたい]の設計[せっけい]〉青年[せいねん]リンドバーグは、機体[きたい]の設計[せっけい]に独自[どくじ]の改良[かいりょう]を加[くわ]え、航路[こうろ]と気象[きしょう]の研究[けんきゅう]を進[すす]めて成功[せいこう]をかちとる。♠〈機体[きたい]の破片[はへん]〉山頂付近[さんちょうふきん]には、機体[きたい]の破片[はへん]が散[ち]らばり、事故[じこ]のすさまじさを物語[ものがた]っていた。♠〈機体[きたい]の点検[てんけん]〉墜落[ついらく]などの事故[じこ]が起[お]こらないよう、機体[きたい]の点検[てんけん]には細心[さいしん]の注意[ちゅうい]を払[はら]わなければならない。 **きたい(きだい)【希代】** (稀代) ○世[よ]にまれなこと。きわめて珍[めずら]しいこと。[文例]〈希代[きたい]の天才[てんさい]〉十歳[じっさい]でそんなことができるとは、希代[きたい]の天才少年[てんさいしょうねん]だ。♠〈希代[きたい]のプレイボーイ〉希代[きたい]のプレイボーイを自称[じしょう]したお父[とう]さんも、随分[ずいぶん]おなかがでっぱったね。 **きたい【奇態・奇体】** ○風変[ふうが]わりなさま。不思議[ふしぎ]なさま。[文例]〈奇態[きたい]な男[おとこ]〉なんとも奇態[きたい]な男[おとこ]だな、この炎天下[えんてんか]を黒装束[くろしょうぞく]で歩[ある]き回[まわ]るとは。♠〈奇態[きたい]なふるまい〉生徒[せいと]たちの間[あいだ]では、校長先生[こうちょうせんせい]の奇態[きたい]なふるまいに対[たい]するうわさがささやかれていた。♠〈奇体[きたい]に思[おも]う〉代助[だいすけ]も平生[へいぜい]の自分[じぶん]を振[ふ]り返[かえ]って見[み]て、真面目[まじめ]にこんな質問[しつもん]を掛[か]けた今[いま]の自分[じぶん]を、寧[むし]ろ奇体[きたい]に思[おも]った。(夏目漱石[なつめそうせき]「それから」) **ぎだい【議題】** ○会議[かいぎ]にかける問題[もんだい]・題目[だいもく]。[文例]〈議題[ぎだい]を提出[ていしゅつ]・審議[しんぎ]する〉各委員[かくいいん]から提出[ていしゅつ]された議題[ぎだい]を、全体会議[ぜんたいかいぎ]にかけて審議[しんぎ]する。♠〈議題[ぎだい]にとり上[あ]げる〉この件[けん]を今度[こんど]の会議[かいぎ]の議題[ぎだい]にとり上[あ]げて、みんなで討議[とうぎ]しよう。 **きた・える【鍛える】** ○鉄[てつ]などを打[う]って強[つよ]くする。訓練[くんれん]して上達[じょうたつ]・向上[こうじょう]させる。[文例]〈鉄[てつ]を鍛[きた]える〉鉄[てつ]を鍛[きた]えて日本刀[にほんとう]を作[つく]る刀[かたな]かじの仕事[しごと]は、古代[こだい]から伝[つた]わっているという。♠〈体[からだ]を鍛[きた]える〉現代人[げんだいじん]は、もっと運動[うんどう]に時間[じかん]をさいて、体[からだ]を鍛[きた]えるべきだ。♠〈自己[じこ]を鍛[きた]える〉若[わか]いうちに挫折[ざせつ]を味[あじ]わうことは、自己[じこ]を豊[ゆた]かな人間[にんげん]に鍛[きた]え上[あ]げるきっかけになる。♠〈考[かんが]える力[ちから]を鍛[きた]える〉文章[ぶんしょう]を書[か]くことによって、ものを見[み]る目[め]、考[かんが]える力[ちから]が鍛[きた]えられる。 **きたく【帰宅】** ○自宅[じたく]に帰[かえ]ること。[文例]〈帰宅[きたく]の途[と]につく〉残業[ざんぎょう]で遅[おそ]くなり、帰宅[きたく]の途[と]についたのは、夜[よる]もふけてからであった。♠〈帰宅[きたく]する〉夕方[ゆうがた]までクラブ活動[かつどう]をやり、帰宅[きたく]するとすぐ塾[じゅく]へ行[い]くという忙[いそが]しい毎日[まいにち]だった。♠〈帰宅[きたく]が遅[おそ]い〉父[ちち]は、仕事[しごと]、仕事[しごと]で、帰宅[きたく]はいつも遅[おそ]い。 **きた・す【来す】** ○生[しょう]じさせる。起[お]こさせる。ある事態[じたい]を招[まね]く。[文例]〈混乱[こんらん]を来[きた]す〉同音語[どうおんご]は、耳[みみ]で聞[き]いた場合[ばあい]に、誤解[ごかい]の原因[げんいん]となったり、コミュニケーション上[じょう]の混乱[こんらん]を来[きた]すことも少[すく]なくない。♠〈支障[ししょう]を来[きた]す〉マージャンをやるのもいいけど、翌日[よくじつ]の仕事[しごと]に支障[ししょう]を来[きた]さない程度[ていど]にしないとね。♠〈変調[へんちょう]を来[きた]す〉不規則[ふきそく]な生活[せいかつ]を続[つづ]けていれば、体[からだ]に変調[へんちょう]を来[きた]すのは当[あ]たり前[まえ]だ。 **きだて【気立て】** ○性質[せいしつ]。気性[きしょう]。[文例]〈気立[きだ]てがよい〉長者[ちょうじゃ]どんの娘様[むすめさま]は、器量[きりょう]も気立[きだ]てもほんにええ方[かた]だでなあ。♠〈気立[きだ]てが優[やさ]しい〉あの子[こ]も、ああして悪[わる]ぶっているが、本当[ほんとう]は気立[きだ]ての優[やさ]しい子[こ]なんだよ。 **きたな・い【汚い】** (穢い) ○よごれている。不潔[ふけつ]だ。不快感[ふかいかん]を与[あた]える。ひきょうだ。けちだ。[文例]〈部屋[へや]が汚[きたな]い〉彼[かれ]の部屋[へや]はいつも汚[きたな]いので、見[み]かねて掃除[そうじ]をしてやった。♠〈汚[きたな]い足[あし]〉家[いえ]に入[はい]るまえに、まず汚[きたな]い足[あし]をぞうきんでふきなさい。♠〈字[じ]が汚[きたな]い〉あの作家[さっか]は字[じ]が汚[きたな]いので、編集者[へんしゅうしゃ]は読[よ]むのに苦労[くろう]させられるという。♠〈汚[きたな]い話[はなし]〉食事中[しょくじちゅう]にそんな汚[きたな]い話[はなし]をするなんて、不愉快[ふゆかい]このうえない。♠〈言葉[ことば]が汚[きたな]い〉あの子[こ]は、顔[かお]はちょっとかわいいけど、言葉[ことば]が汚[きたな]いからいやだ。♠〈汚[きたな]い手[て]〉あの男[おとこ]は、汚[きたな]い手[て]を使[つか]って、駅前[えきまえ]の土地[とち]を手[て]に入[い]れたらしい。♠〈お金[かね]に汚[きたな]い〉彼[かれ]はお金[かね]に汚[きたな]いので、仲間[なかま]の者[もの]には嫌[きら]われている。♠〈意地汚[いじきたな]い〉見[み]た目[め]は、やさしいおばあさんだが、あれで、けっこうずるくて意地汚[いじきたな]いところがある。♠〈汚[きたな]いやり方[かた]〉今回[こんかい]のあの男[おとこ]の汚[きたな]いやり方[かた]に、みんなの怒[いか]りが爆発[ばくはつ]した。 <248> **きたならし・い【汚らしい】(穢らしい)** ○いかにもきたない。文例〈汚らしい犬〉毛並みも悪けりゃ、格好も悪いし…………………汚らしい犬だな、こいつは。♠へ汚らしい色〉叔父さんがわたしの絵を修正してくれたが、色がすごく汚らしくなってしまった。♠へ心が汚らしい〉金さえもうかれば、どんなことでもするような心の汚らしい人間にはなるな。 **きたる(きた・る)【来る】** ○やって来る。近いうちに来る。[文例]〈福来る〉笑う門には福来る。♠へ来る~日〉全校遠足は、来る五月十五日に行われることに決定しました。 **きたん(忌憚)** ○はばかること。遠慮すること。[文例]〈忌憚のない意見〉なまの声をお聞きしたいので、皆さん忌憚のないご意見をどしどしお寄せください。♠〈忌憚なく〉審査員[しんさいん]は、出場者一人一人に忌憚なく辛らつな批評をくわえる。 **きち【吉】** ○えんぎがよいこと。めでたいこと。[文例]〈吉が出る〉おみくじを引いたら、吉が出た。♠〈吉と凶[きよう]〉〈吉と出る〉意表をつくこの作戦が、さて、チームにとって吉と出るか、凶と出るか? **きち【基地】** ○行動の拠点となる地点。根拠地。[文例]〈軍の基地を置く〉第二次世界大戦後、横須賀[よこすか]・佐世保[させぼ]など、日本の各所に米軍の基地が置かれた。♠〈観測基地〉〈基地を設ける〉南極地方の自然現象などを調べるため、南極観測基地を設けた。♠へ漁業の基地〉北海道の玄関口である函館[はこだて]港は、また北洋漁業の基地にもなっていた。 **きち【機知】(機智)** ○時や状況に応じて、とっさに働く知恵。ウイット。[文例]〈機知に富む〉落語には、ユーモアと機知に富んだ味わい深いものもある。♠〈機知を働かせる〉「一休さん」のお話は、機知を働かせて活躍[かつやく]する、子供の坊さんが主人公だ。♠〈機知のひらめき〉彼の話は、決してうまいというわけではないが、機知のひらめきを感じさせる。 **きちゃく【帰着】** ○帰り着くこと。ある結果に落ち着くこと。[文例]〈帰着する〉修学旅行の生徒たちは、明日三時に学校に帰着する予定です。♠へ話が帰着する〉老人の話の帰着するところは、いつも同じである。 **きちょう【貴重】** ○きわめて大切であるさま。大変価値があるさま。[文例]〈貴重な体験〉家族から離れて過ごす林間学校は、子供たちにとって貴重な体験となる。♠へ貴重な時間〉忙[いそが]しい母が、貴重な時間を割いて英会話を習うと言い出した。♠へ貴重な文化遺産〉古典は、貴重な文化遺産であり、わたしたちの心のふるさとでもある。♠〈貴重品〉当時は、すでにマツタケが貴重品になっていて、庶民[しよみん]の口には遠いものだった。 **きちょう【基調】** ○基本になる調子。基本的な考え・方針。[文例]〈基調にする〉黒や紺を基調にした落ちついた感じの服を好んで着ている。♠〈基調とする〉作品は、仏教的無常観を基調としながら、移り変わる社会の動きと人々の姿を生き生きと描[えが]いている。♠〈文化の基調〉〈基調にある〉ことばによらないコミュニケーションというものが、日本の文化の基調にあるように思える。 **きちょうめん(几帳面)** ○物事をきちんとしなければすまない性格。[文例]〈きちょうめんな性格〉わたしはきちょうめんな性格で、何事もきちんとしないと気が済まない。♠へきちょうめんな人〉彼はきちょうめんな人だから、仕事は少々遅いが確実だ。 **きちんと** 整然と乱れがないさま。正確なさま。[文例]〈きちんとする〉清潔できちんとした服装を心がけよう。♠へきちんと〜する〉机の上は、いつもきちんと整とんしておきなさい。♠へきちんと〜する〉毎朝きちんと六時に起きます。 **きつ・い** ○厳しい。激しい。気が強い。窮屈だ。[文例]〈練習がきつい〉A先生のピアノの練習は、とてもきつかったが、今になると、それも懐[なつ]かしい。♠〈靴がきつい〉「もうこの靴はきつくてはけない。」と言って、妹は玄関でだだをこねた。♠へきつい仕事〉父はビルの警備員をしているが、夜勤はきつい仕事なので、ふだんから休養を心がけている。♠へきつくしかる〉弟はうそがばれて、父にきつくしかられていた。♠へきつい性格〉兄は、おっとりしておとなしい人だが、兄嫁[あによめ]は、どちらかと言うときつい性格だ。♠へきつく抱[だ]く〉行方不明になっていた小犬がひょっこり帰ってきたときは、うれしさのあまり、きつく抱きしめた。♠へきつく締[し]める〉峠[とうげ]の茶屋で、ゆるんだ靴ひもをきつく締めなおして、わたしは再び歩きはじめた。 **きつえん【喫煙】** ○タバコを吸うこと。[文例]〈喫煙する〉喫煙することは、体に大きな害を及[およ]ぼすので大変よくない。♠〈喫煙室〉ここは禁煙です。たばこは、あちらの喫煙室で吸ってください。 **きづかい【気遣い】** ○気をつかうこと。心づかい。心配。[文例]〈気遣いをする〉苦労性の母は、周囲にあれこれと気遣いをしすぎるのです。♠へ気遣いする〉一人でいるというのは、だれに気遣いすることもなく気楽でいい反面、寂しいものだ。♠へ気遣いがない〉無記名のアンケートなので、人に知られるという気遣いはありません。 **きづか・う【気遣う】** ○気をつかう。気を配る。心配する。[文例]〈子供を気遣う〉川の中州[なかす]にとり残された子供たちを気遣う大人たちが、岸に集まってきた。♠〈安否を気遣う〉漁船からの連絡は依然[いぜん]としてとだえており、乗組員の安否が気遣われている。♠〈被害を気遣う〉原子力発電所の事故により、作物など広範囲にわたる被害が気遣われている。 **きっかけ【切っ掛け】** ○物事を始める手がかり・糸口。機会。[文例]へ〜したきっかけ〉ぼくがバスケットを好きになったきっかけは、プロの試合を見たことだと思う。♠へきっかけをつかむ〉この本を読んで、文学作品とは何かを考えるきっかけをつかむことができた。♠へきっかけがない〉近所に同じ年ごろの男の子がいなかったし、学校も女子校だったので、男の子と話すきっかけがなかったのです。 **きづかれ【気疲れ】** ○精神的な疲れ。心労。[文例]姉は裕福[ゆうふく]な家に嫁[とつ]いだが、嫁としての気疲れはたいへんらしい。♠〈気疲れがする〉相手が気難しい人なので、気疲れがする。♠〈気疲れする〉慣れない仕事と取り組んだのだから、気疲れしたのだろう。 **きっきょう【吉凶】** ○縁起のよいこと、悪いこと。運勢のよさ、悪さ。 <249> [文例]〈吉凶を占[うらな]う〉占星術[せんせいじゆつ]は、星の位置や運行によって吉凶を占うもので、古くから行われた占い法です。♠〈吉凶はあざなえる縄[なわ]のごとし〉「吉凶はあざなえる縄のごとし」で、よいことと悪いことはかわるがわる来るものである。♠〈吉凶は人によりて日によらず〉「吉凶は人によりて日によらず」と言って、運のよしあしは、時や日によるものでなく、人の考え方や行動のいかんによるものだ。 **きっすい【生っ粋・生粋】** ○まじりけがないこと。純粋。はえぬき。[文例]〈生っ粋の江戸っ子〉「江戸っ子だってねえ。」「神田[かんだ]生まれの生っ粋の江戸っ子さあ。」♠へ生っ粋の商人[あきんど]〉わたしら、生っ粋の商人ですので、商[あきな]いのこと以外はよう分かりません。 **きっ・する【喫する】** ○飲む。吸う。身に受ける。こうむる。[文例]〈茶を喫する〉さびれた茶屋で一杯の茶を喫し、長旅の疲れをいやした。♠〈苦杯[くはい]を喫する〉油断して、試合では一驚[いつきよう]を喫した。♠ヘへ一驚を喫する〉この絵を描[えが]いた古代の人々の知恵と独創性には、一驚を喫する。 **きって【切手】** ○郵便物にはる料金支払い済みの証票。[文例]〈切手をはる〉手紙を投函[とうかん]してから、切手をはり忘れたのに気づいた。♠〈切手の収集〉おじは切手の収集をしていて、珍[めずら]しい切手をたくさん持っている。 **きっと(屹度)** ○必ず。たしかに。けわしい表情になるさま。[文例]遅いねえ、きっとどこかで道草くっているんだ。♠約束してね、きっとよ。♠へきっとにらむ〉お母さん、怒るとしわが増えるよ、と言ったら、母はぼくをきっとにらみつけた。♠へきっとなる〉ぽくの言葉が皮肉に聞こえたのだろう、先生はきっとなった。 **きつけ【着付け】** ○着物を着せること、着ること。着こなし。着慣れていること。また、その衣服。[文例]母に着付けを手伝ってもらって、お茶会へ行く用意をしました。♠へ着付けをする〉朝、美容院で着付けをしてもらい、晴れ着で成人式に出た。♠へ着付け教室〉自分で着物が着られるようになりたいと思い、着付け教室へ通い始めました。 **きっこう(拮抗)** ○負けずに張り合うこと。[文例]〈力が拮抗する〉抜きつ抜かれつ、両者の力は拮抗している。♠ヘアメリカに拮抗する〉日本は、今やアメリカに拮抗する経済力を持つ国となった。 **きっさき【切っ先】** ○刃物やとがった物の先端。[文例]〈剣[けん]の切っ先〉その言葉は、鋭[するど]い剣の切っ先のように、わたしの胸に突きささった。♠へ切っ先を突きつける〉賊[ぞく]は、人質[ひとじち]にとった子供の胸元に刀の切っ先を突きつけた。♠へ切っ先が鈍[にぶ]る〉相手が旧友とあっては、いつもは鋭いA氏の批判の切っ先も鈍りがちだ。 **きつね(狐)** ○ずるがしこく、人をだますとされるイヌ科の動物。[文例]へきつねとたぬきの化かし合い〉あのしたたかなばあさんに、くわせ者のじいさんが相手とあっては、まあきつねとたぬきの化かし合いだな。♠へとらの威[い]を借[か]るきつね〉強いものの力にたよっていばるもののたとえに「とらの威を借るきつね」ということわざがある。♠へきつねにつままれる〉相手は、ぼくらが双子[ふたご]だということに気づかず、きつねにつままれたような顔をしている。♠へきつねの嫁入[よめい]り〉日が照っているのに小雨がぱらつく天気のことを、きつねの嫁入りなどと言います。♠〈雌[め]ぎつね〉まんまとだましおったな、あの雌ぎつねめ!!♠〈きつね色〉カラリときつね色に揚[あ]がったあつあつのドーナツ、おいしそうだなあ。♠〈きつねうどん〉お昼に、大きな油揚げの入ったきつねうどんを食べた。 **きっぷ【切符】** ○乗車券・入場券など料金を支払ったことを示す券。受け渡しのしるしになる券。[文例]〈電車の切符〉どこを探しても、電車の切符が見つからないんだ。♠〈切符を切る〉改札口の駅員は、無愛想に切符を切っていく。♠〈切符売り場〉駅の切符売り場の前には、大勢の客が並んでいた。♠〈甲子園[こうしえん]行きの切符〉一年間の猛練習[もうれんしゅう]が実を結び、ついに甲子園行きの切符を手に入れた。 **きっぷ【気っ風】** ○気性。気まえ。[文例]〈気っ風がいい〉おみよのは、下町育ちのあっさりした気っ風のいい娘だった。♠〈江戸っ子の気っ風〉なに、礼はいらねえよ。これが江戸っ子の気っ風ってえもんよ。 **きっぽう【吉報】** ○喜ばしい知らせ。[文例]〈吉報が舞[ま]い込む〉職を失って途方にくれていたとき、ぜひ働いてほしいという吉報が舞い込んだ。♠〈吉報が届[とど]く〉先日試験を受けた会社から、採用の吉報が届いた。♠よい治療法が開発されたというニュースは、患者たちにとって、この上ない吉報である。 **きづまり【気詰まり】** ○気持ちが窮屈で、くつろげないさま。[文例]〈気詰まりになる〉そのことがあってから、何となく気詰まりになって、二人は会わなくなった。♠〈気詰まりな会合〉お偉方[えらがた]が集まる気詰まりな会合は、できたら遠慮したいものだ。 **きつもん【詰問】** ○厳しく問いただすこと。問い詰めること。[文例]〈詰問する〉門限を破った者は教官に厳しく詰問され、罰を受けた。♠へ詰問口調〉そんな詰問口調できいたんじゃ、答えられるものも答えられなくなるよ。 **きつりつ(屹立)** ○そびえ立つこと。そそり立つこと。[文例]〈煙突[えんとつ]が屹立する〉一帯は、工場の煙突が屹立する一大石油コンビナートである。♠へ時流に屹立する〉時流の流れの中に独り屹立する反骨の思想家、という評価が彼に与えられていた。 **きて【来手】** ○来てくれる人。[文例]〈嫁の来手がない〉山村の農家には、なかなか嫁の来手がなく、村ぐるみで対策に頭をひねっている。 <250> **きてい**【規定】○規則として定めること。また、その定め。[文例]〈規定に反する〉日曜日に、校内活動をすることは、学則の規定に反することになる。♠〈規定に従う〉会の規定に従って、会長は投票で選ばれます。♠〈規定にのっとる〉決勝戦は引き分けに終わり、大会の規定にのっとり両者優勝ということになった。♠〈規定する〉憲法には、国民の権利と義務が規定されている。♠〈規定として〉この港では、規定として、漁獲物はすべて組合へ納めることになっている。♠〈規定の料金〉彼は、車内で不正乗車を見とがめられ、規定の料金の三倍を取られた。♠〈規定の書式〉弁護士は、規定の書式に従って、契約書[けいやくしよ]を作成した。♠〈規定の手続き〉この外国人は、規定の手続きをふまずに入国したため、取り調べられた。 **きてい**【規程】○特定の目的のために定められた一連の規則。[文例]〈職務規程〉就業する際に従業員が守るべき職務規程というのがあります。 **きてい**【既定】○すでに定まっていること。[文例]〈既定の方針〉一部に不安を持つ人もいるようだが、この計画は既定の方針で進めることにする。♠〈既定の条件〉文語では、「雨降れば」という「已然[いぜん]形+ば」の形は、「雨が降ったので」という既定の条件を表す。 **きてい**【基底】○土台となる部分。基礎をなす部分。根底。[文例]〈文学の基底〉自らの戦争体験がこの作家の文学の基底にある。♠〈考え方の基底〉仏教的な無常観が、その当時の人々の考え方の基底にある。 **きてき**【汽笛】○汽車や汽船などが蒸気で鳴らす笛。[文例]〈汽笛が鳴る〉ぼくらは、遠くで汽笛が鳴っているのをぼんやり聞いていた。♠〈汽笛を鳴らす〉船は、汽笛を鳴らして波止場を出て行くところであった。♠〈汽笛の音〉蒸気機関車の汽笛の音が、旅愁[りよしゅう]をそそる。 **きてん**【起点】○物事の始まりとなるところ。出発点。[文例]の農家には、なかなか嫁の来手がなく、村ぐるみで対策に頭[とう]をひねっている。♠〈鉄道の起点〉上野駅は、東北・上信越[じょうしんえつ]方面への列車の起点となっていた。♠〈人生の起点〉この事件は、わたしの新しい人生の起点ともなった。♠〈~を起点とする〉筆者は、自我の目覚めを起点とした青春期のあり方を興味深く述べている。 **きてん**【機転・気転】○時・状況に応じた知恵の働き。[文例]〈機転がきく〉「彦市[ひこいち]ばなし」は、知恵者で機転のきく彦市の登場する愉快な昔話である。♠〈機転をきかせる〉一本気な性格なので、その場その場で機転をきかせて行動するなどということができない。♠〈機転よく〉落語などでは、同音異義の言葉を機転よく関連させて、話の締めくくりに利用する例が多い。 **きと**【帰途】○帰り道。帰路。[文例]〈帰途につく〉夜十時ごろ、ようやく用事を全部済ませて帰途についた。♠獲物を引いての帰途、サメの大群に襲われ、持ち帰ったのは骨だけであった。 **きと**【企図】○くわだてること。図ること。計画。[文例]〈企図する〉そのころ、反対派は政権奪取[だっしゅ]をねらって、国王殺害を企図していた。♠〈企図する〉わが社は、国内の人件費の高騰にともない海外での工場建設を企図している。 **きど**【木戸】○木の開き戸。また、それのある入り口。興行施設の入場口。[文例]〈木戸をくぐる〉将棋[しょうぎ]でもやろうかと思っていると、ちょうど裏の木戸をくぐって隣のおやじが入って来た。♠〈木戸銭〉入り口で木戸銭を払い、芝居小屋に入ると、見物客はまばらだった。 **きどあいらく**【喜怒哀楽】○喜び・怒り・悲しみ・楽しみなどのさまざまな感情。[文例]〈喜怒哀楽が激しい〉彼女は、すぐに感激したり、すぐに腹をたてたりで、喜怒哀楽が激しい。♠〈喜怒哀楽を表す〉その人は、喜怒哀楽を顔に表すことなく、いつも無表情だった。 **きとう**(祈禱) ○神仏に祈ること。[文例]〈祈禱をする・行う〉村の広場に村人全員が集まって雨ごいの祈禱が行われていた。♠〈加持祈禱〉領主の病の本復を願って加持祈禱が続いた。 **きどう**【軌道】○車の通り道。運行の道筋。[文例]〈市電の軌道〉ゆうべの大雪のため、市電の軌道も雪に埋まっていた。♠〈軌道を外れる〉軌道を外れた人工衛星は、宇宙のかなたに消えていった。♠〈軌道を描く〉地球は太陽の周囲を、だ円の軌道を描いて回転している。♠〈軌道に乗る〉打ち上げは大成功で、人工衛星は正しい軌道に乗った。♠〈軌道に乗る〉長年の努力が実り、研究もやっと軌道に乗ってきた。♠〈軌道修正〉打ち上げられたロケットは、コンピュータによって自動的に軌道修正される。 **きどう**【機動】○状況に応じてすばやく行動すること。戦闘における敏速な行動。[文例]〈機動性〉災害対策は、機動性に富むものでなければ、市民の期待にはこたえられない。♠〈機動力〉消防活動には、特に機動力が要求される。♠〈機動隊〉イベントの会場は、ついに機動隊が出動するほどの騒ぎとなった。 **きとく**【危篤】○病が重くて、死にそうな状態。[文例]〈危篤の知らせ〉祖父危篤の知らせですぐ駆けつけたが、間に合わなかった。♠〈危篤に陥る〉一時は危篤に陥[おちい]った母も、奇跡的に命をとりとめ、小康[しょうこう]状態を保っています。♠〈危篤状態〉患者は危篤状態に陥[おちい]り、もちろん面会は謝絶された。 **きとく**【奇特】○非常に心がけがよくて感心なさま。殊勝[しゅしょう]。[文例]〈奇特な心がけ〉人のために働こうというのだから、奇特な心がけと言うべきでしょう。♠〈奇特な人〉休日も返上して人の仕事を手伝うなんて、奇特な人だ。 **きどり**【気取り】○気どること。[文例]〈気取りがない〉この作品は、何の気取りもなく、非常に純粋に自分の感情を歌っている。♠〈女房気取り〉陽子は、女房気取りで、何くれとなく一郎の世話をやいた。♠〈役者気取り〉舞台化粧もし、衣裳も、かつらまでつけて、もう自分でもいっぱしの役者気取りだ。 **きど・る**【気取る】○体裁をつける。もったいぶる。それらしいふりをする。[文例]〈風流[ふうりゅう]を気取る〉風流を気取って、庭 <251> に石どうろうを置いてみた。♠へ大物を気取る〉その男は、「アッハッハッ」と高笑[たかわら]いをして、大物を気取っている。♠〈豪傑[ごうけつ]を気取る>権太[ごんた]は、頑丈[がんじょう]な体つきで、気性[きしょう]も荒[あら]く、小[ちい]さな豪傑を気取っている。♠へ気取らない人柄[ひとがら]〉彼女の気取らない人柄が、みんなに好かれている。♠へ気取った足取[あしど]り〉気取った足取りで階段を下りてくる姉とばったり出会った。♠へ気取って〜する〉気取って帽子[ぼうし]を斜[なな]めにかぶるのは、あなたには、似合[にあ]いませんよ。 **きなが【気長】** ○気[き]が長[なが]く、のんびりしているさま。[文例]〈気長に待つ>日曜日[にちようび]は、この通[とお]りは交通量[こうつうりょう]が多く渋滞[じゅうたい]するから、いらいらしないで、気長に待つしかない。♠人気長にやる〉いくら時間のかかる仕事[しごと]でも、こんなに気長にやっていては、いやになってしまう。♠へ気長に養生[ようじょう]する〉あの病気は、栄養を十分にとり、気長に養生すれば治る。♠〈気長な話〉来年の冬に着るセーターを、この四月から編[あ]むとは、なんとも気長な話だ。♠へ気長なたち〉彼は若[わか]いのに気長なたちで、めったなことではあわてない。♠〈気長な仕事〉ルシアじゅうたんは、女性[じょせい]が十人がかりでも一日[いちにち]にわずかしか織[お]れない、気長な仕事の結晶[けっしょう]だ。 **きなくさ・い【きな臭い】** ○紙[かみ]や布[ぬの]などのこげるにおいがする。火薬のにおいがする。物騒[ぶっそう]なことが起[お]こりそうな気配[けはい]だ。[文例]きな臭いぞ、洋服がこげてるんじゃないか?♠〈きな臭いにおい〉軍隊[ぐんたい]が集結[しゅうけつ]したというから、国境[こっきょう]の町はきっときな臭いにおいがしているだろう。 **きにゅう【記入】** ○書[か]き入[い]れること。[文例]〈カードの記入の仕方[しかた]>図書貸[かし]出しカードの記入の仕方を説明してもらっ た。♠〈記入する〉指定の用紙に住所、氏名を記入してください。 **きぬ【絹】** ○蚕[かいこ]のまゆから取った繊維。また、それで織った布。[文例]〈絹を織る〉この時代には、ペルシアは既[すで]に自[みずか]らの国で絹を織る技術をもっていたらしい。♠へ絹を裂[さ]くよう〉ホトトギスが、絹を裂くような甲高[かんだか]い声[こえ]で鳴[な]き過[す]ぎた。♠<絹の道>中国とインド、更[さら]にヨーロッパを結んだシルクロード(絹の道)は、二千年ほど前から開かれていた。 **きね(杵)】** ○うすで穀物[こくもつ]やもちをつくための木製[もくせい]の道具。[文例]〈うすときね〉〈きねでつく〉わが家[や]では、昔[むかし]ながらにうすときねでもちをつく。♠へきねを持[も]つ〉月の影[かげ]の部分は、うさぎがきねを持ったような形[かたち]に見えるね。 **きねん【記念】** ○思[おも]い出[で]として残[のこ]すこと。思い出になるようなもの。過去[かこ]を思[おも]い起[お]こして、思い出を新[あら]たにすること。[文例] <卒業[そつぎょう]の記念〉卒業の記念に、三年間[さんねんかん]の成長を振[ふ]り返[かえ]った文集を作ることになった。♠〈記念になる〉父[ちち]の還暦[かんれき]祝[いわ]いに、兄弟で腕時計を贈[おく]ったところ、「これはいい記念になる。」と、父は喜んだ。♠〈建国を記念する〉アメリカは、建国二百年を記念して、一九七五年に、火星へ向[む]けてバイキング一、二号を打ち上げた。♠へ記念すべき名作〉この作品は、映画史上記念すべき名作といわれている。♠へ記念撮影>湖畔[こはん]で、参加者全員が記念撮影を行った。 **きねん【祈念】** ○祈[いの]ること。念[ねん]じること。[文例]〈平和を祈念する>終戦記念日[しゅうせんきねんび]の今日[きょう]、平和を祈念する集会が各地で開かれた。♠へ健康を祈念する〉年が明けると、近[ちか]くの神社に参拝[さんぱい]して、家族の健康を祈念する。 **ぎねん【疑念】** ○疑[うたが]いの気持[きも]ち。疑い。[文例] <疑念を抱[いだ]く>近ごろのきみの行動には、疑念を抱く人も多いと聞くよ。♠〈疑念が晴[は]れる二人の間にわだかまっていた疑念が晴れて、元[もと]の夫婦生活[ふうふせいかつ]にもどっていった。 **きのう【機能】** ○ものの働[はたら]き。能力[のうりょく]を発揮[はっき]すること。作用[さよう]すること。[文例]〈人体の機能>疲[つか]れたとき眠[ねむ]くなるということは、人体の健康を保[たも]つために必要[ひつよう]な機能である。♠へ衣服[いふく]の機能>衣服は、寒[さむ]さなどを防[ふせ]ぐという本来[ほんらい]の機能より、ファッションのためのものになっている。♠へ機能を果[は]たす>役所[やくしょ]には怠慢[たいまん]がはびこり、行政機関[ぎょうせいきかん]としての機能を果たしていなかった。♠く機能を生かす〉せっかく備[そな]えられた安全をチェックする機能が生かされていなかった。♠へ機能を失[うしな]う〉台風のために、村の電話局は、機能を失ってしまった。♠<機能する>自然は、ある特定[とくてい]の生物だけの繁栄[はんえい]を許[ゆる]すようには機能しないはずだ。♠〈機能的>色鮮[いろあざ]やかなその民族[みんぞく]衣装[いしょう]も、よく見ると、熱帯地方[ねったいちほう]にふさわしい機能的なものだ。 **きのう【帰納】** ○個々[ここ]の具体的[ぐたいてき]な事柄[ことがら]から、一般的[いっぱんてき]な法則[ほうそく]を導[みちび]き出[だ]すこと。[文例] 〈帰納する〉イギリスの哲学者[てつがくしゃ]ベーコンは、観察[かんさつ]・実験から真理を帰納する方法を主張し、近代科学の方法を確立した。♠<帰納的〉もっとよく事例[じれい]を集めて帰納的に考えることが必要です。♠<帰納法〉〈帰納と演繹[えんえき]〉一般的原理から特殊[とくしゅ]な事実を推論する演繹法に対し、個々の特殊な事実から一般的な法則を導き出す方法が帰納法である。 **ぎのう【技能】** ○技術[ぎじゅつ]。わざ。腕[うで]まえ。[文例]〈技能が優[すぐ]れる〉彼は、体力もあり、技能も優れた優秀[ゆうしゅう]な労働者である。♠〈技能の向上[こうじょう]>厳[きび]しい訓練によって、技能の向上をはかる。♠〈技能を身につける〉職業訓練所[しょくぎょうくんれんじょ]などで技能を身につけ、就職[しゅうしょく]に役立[やくだ]てる。 **きのう【昨日】** ○今日[きょう]の一日[いちにち]前[まえ]の日。昨日[さくじつ]。過[す]ぎ去[さ]った時[とき]。 **きのこ(茸・草)** ○シイタケ・マツタケなど、湿気[しっけ]のある日陰[ひかげ]などに生[は]える大形[おおがた]の菌類[きんるい]。[文例]へきのこを採[と]る〉〈きのこ狩[が]り〉山にきのこ狩りに行って、いろんなきのこをいっぱい採ってきた。♠へ毒[どく]きのこ〉このきのこ、食[た]べられるのかなあ、それとも毒きのこかな。♠へきのこ雲[ぐも]>大空に無気味[ぶきみ]なきのこ雲が立[た]ちのぼった。 **きのどく【気の毒】** ○かわいそうで、同情をさそうさま。迷惑[めいわく]をかけて、すまなく思う気持ち。[文例]あれほど受験勉強[じゅけんべんきょう]して、不合格[ふごうかく]とは気の毒だ。♠その年は腸[ちょう]チフスが大流行[だいりゅうこう]したが、友人[ゆうじん]のAは、気の毒に、それがもとで亡[な]くなった。 <252> ◆<気の毒に思う〉おじいさんは、雪の中[なか]に立[た]っているお地蔵[じぞう]さまを気の毒に思[おも]い、自分のかさをかぶせた。♠へ気の毒な暮[く]らし〉かつての名優[めいゆう]がいまは実[じつ]に気の毒な暮らしをしているそうだ。♠〈気の毒なくらい〉彼女たちは、身[み]を粉[こ]にして働[はたら]いているが、気の毒なくらい収入[しゅうにゅう]が少[すく]ない。♠気の毒する「雨の中をお使[つか]いに行ってもらって、気の毒したね。」と、祖母はわたしをねぎらってくれた。 **きのみきのまま[着の身着のまま]】(着の身着の儘)** ○身[み]につけたもの以外何[いがいなん]も持[も]たないこと。[文例]その日、一家[いっか]八人[はちにん]は着の身着のまま家を出[で]た。♠突然[とつぜん]の大噴火[だいふんか]に着の身着のままで逃[に]げてきた。 **きのり【気乗り】** ○気分[きぶん]が乗[の]ること。気[き]が進[すす]むこと。[文例] 〈気乗りがする〉いなくなったカブトムシのことが心配で、大好[だいす]きな水遊[みずあそ]びもこうすけは気乗りがしませんでした。♠〈気乗り薄[うす]〉カラオケ大会にかり出[だ]されたものの、気乗り薄な若者[わかもの]たちは遠巻[とおま]きにするだけでステージに上[あ]がってこない。 **きば(牙)】** ○動物の大きく鋭[するど]い犬歯[けんし]や門歯[もんし]。[文例]〈きばをむく〉猟犬[りょうけん]は、鋭いきばをむき出[だ]して、クマに向かってほえたてた。♠へきばにかける〉クマの夜襲[やしゅう]で、家畜[かちく]のほとんどが、そのきばにかけられて死んだ。♠へきばをとぐ〉小高[こだか]い丘[おか]の上でオオカミはきばをといで、獲物[えもの]が通[とお]りかかるのを待[ま]ち構[かま]えていた。♠へきばを抜[ぬ]く〉ガキ大将[たいしょう]の弟[おとうと]も、祖父[そふ]の家では、きばを抜かれたようにすっかりおとなしくなってしまう。 **きはい(跪拝)】** ○ひざまずいて拝[おが]むこと。[文例]〈神仏[しんぶつ]に跪拝する>異教[いきょう]の神[かみ]に跪拝する人々は、周囲の社会から孤立[こりつ]していった。♠へ金・権力への跪拝〉いつの時代にも、金と権力への跪拝がわたしたちの心にひそんでいます。 **きはく【希薄】(稀薄)】 ○密度[みつど]や濃度[のうど]がうすいさま。少[すく]なく、乏[とぼ]しいさま。[文例]〈空気が希薄〉ヒマラヤあたりの高峰[こうほう]になると、ずっと空気は希薄になり、登山者[とざんしゃ]は酸素[さんそ]を補[おぎな]わねばならない。♠へ密度が希薄>日本に比[くら]べると、オーストラリアの人口密度は、きわめて希薄だ。♠へ意欲[いよく]が希薄〉彼は、前向[まえむ]きに取[と]り組[く]む意欲が希薄で、やる気がまるで感[かん]じられない。 **きはく 【気迫】(気魄)** ○迫[せま]るような精神力[せいしんりょく]。他[た]を圧倒[あっとう]するような気力。[文例]〈気迫がこもる〉練習も十分で、相手[あいて]の選手には勝利への気迫がこもっていた。♠へ気迫に欠[か]ける〉きみは、困難[こんなん]を乗[の]り越[こ]えるという気迫に欠けるね。♠へ気迫にあふれる〉すべてを理解するぞという気迫にあふれる生徒たちだから、教[おし]えるほうも力[ちから]が入[はい]る。 **きはずかし・い【気恥ずかしい】** ○何[なん]となく恥[は]ずかしい。きまりが悪[わる]い。[文例]いい年[とし]をして、こんな派手[はで]な色[いろ]の着物[きもの]を着るのは気恥ずかしい。♠大勢[おおぜい]の人の前で表彰[ひょうしょう]されるのは、うれしくもあるが反面[はんめん]気恥ずかしくもある。 **きばつ【奇抜】** ○変[か]わっていて、人の意表[いひょう]をつくさま。[文例] <奇抜なアイデア〉こんな奇抜なアイデアを彼以外[かれ いがい]のだれが考[かんが]えつくだろう。♠〈奇抜な発想[はっそう]〉奇抜な発想が、いかにも彼[かれ]らしい。 **きば・む【黄ばむ】** ○黄色[きいろ]くなる。黄[き]みをおびる。[文例]〈白い物が黄ばむ>洗濯[せんたく]を重[かさ]ねるうちに、白[しろ]い肌着[はだぎ]がだんだんと黄ばんできた。♠へ黄ばんだ色>昔[むかし]のみずみずしい肌[はだ]は、今では黄ばんだ色に変[か]わり、しかも深[ふか]いしわが刻[きざ]まれていた。 **きばらし【気晴らし】** ○ふさいだ気持[きも]ちを晴[は]らすこと。うさばらし。[文例]へ気晴らしをする〉たまには、パッとお金[かね]を使[つか]って気晴らしをしなくちゃね。♠へ気晴らしに~する〉みんなついてこい、気晴らしに一杯飲[いっぱいの]みに行[い]くぞ。 **きば・る【気張る】** ○息[いき]をつめて腹[はら]に力[ちから]をいれる。元気[げんき]を出す。がんばる。気[き]まえよくする。[文例] 生[う]まれたばかりの子馬[こうま]が、体[からだ]が震[ふる]えるほど気張って母馬[ははうま]のお乳[ちち]を飲んでいる。♠もう一息[ひといき]だぞ。みんな気張れ。♠後輩[こうはい]が就職[しゅうしょく]したというので、少[すこ]し祝儀[しゅうぎ]を気張った。 **きはん【規範・軌範】** ○物事[ものごと]の手本[てほん]・模範[もはん]。判断[はんだん]の基準[きじゅん]。[文例] 〈文章の規範〉文語[ぶんご]は、近代[きんだい]まで、文章を書くときの規範でした。♠<規範となる>杜甫[とほ]の格調高[かくちょうだか]い作風は、長[なが]く後世[こうせい]の規範となり、李白[りはく]の「詩仙[しせん]」に対[たい]して「詩聖[しせい]」とたたえられた。 **きばん【基盤】** ○物事[ものごと]の基礎[きそ]。土台[どだい]。[文例]〈共通語[きょうつうご]の基盤〉共通語の基盤は、首都[しゅと]である東京の言葉[ことば]です。♠◇基盤とする〉開発は、自然保護[しぜんほご]を基盤として行[おこな]われるべきものであろう。♠〈基盤となる〉ヨーロッパの文化は、キリスト教の思想がその基盤となっている。 **きひ【忌避】** ○嫌[きら]って避[さ]けること。[文例]〈徴兵[ちょうへい]を忌避する〉その国では、二十歳[はたち]になると兵役[へいえき]につかせられたが、中には徴兵を忌避して国外[こくがい]へ逃[のが]げる者もいた。♠へ責任を忌避する〉問いつめられると、彼は言[い]い逃[のが]れをして責任を忌避する態度[たいど]を見せた。♠〈裁判を忌避する〉被告側[ひこくがわ]は、不公平[ふこうへい]な裁[さば]きが行[おこな]われる恐[おそ]れがあるとして、その裁判官[さいばんかん]による裁判を忌避した。 **きび【機微】** ○はっきりとあらわれない微妙[びみょう]なおもむきや事情[じじょう]。[文例]〈人情[にんじょう]の機微〉川柳[せんりゅう]は、庶民[しょみん]の生活や人情の機微をしゃれや皮肉[ひにく]を通[とお]して生[い]き生[い]きととらえている。♠人生の機微>経験豊[けいけんゆた]かな老師[ろうし]のその言葉は、人生の機微を巧[たく]みに言[い]い当[あ]てている。♠〈生活の機微〉美[うつく]しい自然を背景[はいけい]に、人々[ひとびと]の生活の機微を細[こま]やかなタッチで描[えが]いた作品である。 **きび(驥尾)】** ○足[あし]の速[はや]い馬[うま]。すぐれた人の後[うし]ろ。[例]〈驥尾に付[つ]く〉わたしどもは、村長[そんちょう]の驥尾に付いて、村の発展に尽[つ]くしたいと思います。♠〈驥尾に付す〉蒼蠅[そうじょう] 驥尾に付して千里[せんり]を致[いた]す。(青[あお]バエも馬のしっぽに止[と]まれば千里も行[い]く。) **きびきび** ○てきぱきして、手[て]ぎわがよいさま。[文例]へきびきびした動作>短[みじか]い文は、特[とく]にきびきびした動作や、一つ一つの印象[いんしょう]などを簡潔[かんけつ]・鮮明[せんめい]に伝[つた]えるのに効果的[こうかてき]だ。♠へきびきびした表現>作者は、自然や人間の生活を鋭[するど]く観察[かんさつ]し、その感想をきびきびした表現で鮮[あざ]やかに書[か]きとどめている。♠へきびきびと〜する>消防士[しょうぼうし]たちは、手際[てぎわ]よくきびきびと消火活動[しょうかかつどう]を行[おこな]った。 **きびし・い【厳しい】** ○厳格[げんかく]である。情[なさ]け容赦[ようしゃ]がない。はなはだしい。[文例]へしつけが厳しい〉彼女の家はしつけが厳し <253> く、門限[もんげん]は午後[ごご]七時と決[き]められている。♠へ寒[さむ]さが厳しい〉風[かぜ]は強[つよ]く吹[ふ]いているが、寒さはさほど厳しくない。♠へ厳しい戒律[かいりつ]〉トラピスト修道院[しゅうどういん]は、厳しい戒律で知[し]られている。♠<厳しいコーチ>ぼくたちのコーチは、いいかげんなプレーを許[ゆる]さない厳しいコーチだ。♠厳しい環境[かんきょう]>砂浜[すなはま]は、植物の生育には、最[もっと]も厳しい環境といえる。♠〈厳しい現実[げんじつ]〉これから社会に出[で]るきみたちを待[ま]っているのは、厳しい現実だ。♠へ厳しく取[と]り締[し]まる〉生徒の非行[ひこう]は厳しく取り締まれ、という父兄[ふけい]が多[おお]い。 **きびす(踵)】** ○かかと。くびす。[文例]〈きびすを返[かえ]す〉何[なに]を思ったか、旅人[たびびと]は目的地[もくてきち]を目前[もくぜん]にしながら、やおらきびすを返した。♠へきびすを巡[めぐ]らす>男は、急にきびすを巡らすと、もと来[き]た道[みち]を駆[か]け戻[もど]って行った。♠へきびすを接[せっ]する不幸は次から次へときびすを接するように襲[おそ]ってきた。 **きひん【気品】** ○上品[じょうひん]な感[かん]じ。気高[けだか]い感じ。[文例]〈気品に富[と]む>貴族[きぞく]で知性的[ちせいてき]な作者のその作風は、清新[せいしん]で気品に富んでいる。♠へ気品がある〉婦人[ふじん]は、身[み]なりは質素[しっそ]であったが、気品のある顔立[かおだ]ちをしていた。♠へ高[たか]い気品〉〈気品を備[そな]える〉王妃[おうひ]は美[うつく]しく、限[かぎ]りなく高い気品を備えていた。 **きびん【機敏】** ○物事[ものごと]に対[たい]してすばやく対応[たいおう]するさま。[文例]〈機敏な行動〉この事故[じこ]では、係員[かかりいん]の機敏な行動によって惨事[さんじ]を免[まぬか]れた。♠団体行動では、一人[ひとり]だけ遅[おく]れることは許されず、常[つね]に機敏な動作が必要となる。♠へ機敏な反応[はんのう]>避難訓練[ひなんくんれん]は、危険[きけん]に対する機敏な反応と、避難の習性[しゅうせい]を身につけることが目的である。♠へ機敏に立[た]ち回[まわ]る〉あの男は機敏に立ち回って、たちまち社内の意見をまとめていった。 **きふ【寄付・寄附】** ○(寺社[じしゃ]や団体[だんたい]などに)金銭[きんせん]や物[もの]を贈[おく]ること。[文例]〈寄付を募[つの]る〉〈寄付金〉神社を改修[かいしゅう]するため寄付を募ったところ、地元[じもと]の商店会[しょうてんかい]などから多額[たがく]の寄付金が集まった。♠へ寄付する〉バザーを計画しているので、ご家庭で不用な物など寄付してください。 **ギブアンドテーク** ○他[ほか]に与[あた]える半面[はんめん]で他から受[う]け取[と]ること。[例]〈ギブアンドテークの関係〉わたしたちの社会は、お互[たが]いに与え与えられるギブアンドテークの関係で成り立っています。 **きふう【気風】** ○ある集団[しゅうだん]・ある社会に共通[きょうつう]する気質[きしつ]。[文例] 〈土地[とち]の気風>保守的[ほしゅてき]で、格式[かくしき]や家柄[いえがら]にこだわる傾向[けいこう]が強[つよ]いのは、城下町[じょうかまち]であるこの土地の気風と言える。♠封建的[ほうけんてき]な気風>彼女は、この地方の封建的な気風にどうしてもなじめなかった。♠へ自由な気風〉この学校の自由な気風が好きで、入学を志願[しがん]しました。 **きふく【起伏】** ○土地に高低[こうてい]があること。感情[かんじょう]が高[たか]まったり、沈[しず]み込[こ]んだりすること。栄[さか]えたり衰[おとろ]えたりすること。[文例] 〈起伏のある土地>踏切[ふみきり]を越[こ]えると、線路[せんろ]に沿[そ]って両側[りょうがわ]にやや起伏のある畑地[はたち]が広がっている。♠へゆるやかな起伏>西の空に浮[う]かび上[あ]がった稜線[りょうせん]は、夕日[ゆうひ]を受[う]けてゆるやかな起伏を描[えが]いていた。♠〈起伏する〉山並[やまな]みは平野[へいや]の端[はし]を限[かぎ]る青[あお]い縁取[ふちど]りとなって起伏していた。♠〈感情の起伏〉〈起伏が激[はげ]しい>中・高校生時代は、感情の起伏の激しい、情緒[じょうちょ]の不安定[ふあんてい]な時期です。♠〈起伏の多い人生>大資産家[だいしさんか]から一転[いってん]して無一文[むいちもん]になるなど、思[おも]えば起伏の多い人生だった。 **きぶつ【器物】** ○うつわや道具類[どうぐるい]。[文例] <鍋[なべ]・釜[かま]などの器物〉女たちは、どれほどの愛情を鍋や釜などの器物に注[そそ]ぎ入れてきたことだろう。♠この宗教では、像[ぞう]や器物などの偶像[ぐうぞう]を崇拝[すうはい]することを禁止[きんし]している。 **きふる・す【着古す】** ○古[ふる]くなるまで着[き]る。[例]すっかり着古してしまったが、このセーターは愛着[あいちゃく]があって捨[す]て難[がた]い。♠へ着古した衣服>着古し汚[よご]れた作業服[さぎょうふく]には、底辺労働者[ていへんろうどうしゃ]の涙[なみだ]と汗[あせ]がこわばり付[つ]いていた。 **きぶん【気分】** ○気持[きも]ち。感[かん]じ。全体[ぜんたい]の雰囲気[ふんいき]。[文例]〈気分がよい。悪[わる]い〉吐[は]き気[け]がしたが、横[よこ]になったら、だいぶ気分がよくなってきた。♠〈気分がすぐれない〉気分がすぐれませんので、先[さき]に失礼[しつれい]させていただきます。♠へ気分がのる〉体調[たいちょう]でも悪いのカ、誘[さそ]ってもあまり気分がのらないみたいだ。♠〈気分を損[そこ]ねる>仕事中[しごとちゅう]の友達を訪[たず]ねて、気分を損ねてもつまらないからやめとこう。♠人気分を和[やわ]らげる〉この店は、工夫[くふう]された照明が気分を和らげてくれる。♠人気分を変える>気分を変えるために、近所[きんじょ]の公園まで散歩[さんぽ]に出[で]た。♠〈~する気分になる〉今日[きょう]は、ぼくの誕生日[たんじょうび]なので、勉強する気分になれない。♠〈正月[しょうがつ]の気分〉いつまでも正月の気分で遊[あそ]んでいては、だめですよ。♠〈気分はいかが〉ご気分は、いかがですか?♠<気分は上々[じょうじょう]>ピクニックに出かけるぼくたちの気分は上々だった。♠へお祭[まつ]り気分〉町[まち]じゅうが、すっかりお祭り気分になっていた。♠◆<気分屋>彼は、気分屋だから、約束[やくそく]ごとはしないほうがいい。 **ぎふん【義憤】** ○不正[ふせい]や悪[あく]に対[たい]するいきどおり。[文例]〈義憤を感じる〉血[ち]も涙[なみだ]もない男だったから、彼[かれ]に対[たい]して義憤を感じる人間が多かった。♠へ義憤に駆[か]られる〉義憤に駆られた勇者[ゆうしゃ]は、人民[じんみん]のために闘[たたか]う決意[けつい]を固[かた]めた。 **きぶんてんかん【気分転換】** ○気分[きぶん]をかえること。[文例]気分転換に部屋の模様替[もようが]えをしてみた。♠へ気分転換を図[はか]る〉勉強に疲[つか]れてきたら、音楽を聴[き]くなどして気分転換を図る。♠<気分転換になる〉たまに父親のわたしが料理を作ると、みんな喜んでくれるし、気分転換にもなって悪くない。 **きべん(詭弁)】** ○こじつけやごまかしの弁舌[べんぜつ]。[文例]〈詭弁をろうする〉あの男はもっともらしく論[ろん]じているが、実[じつ]はごまかしの詭弁をろうしているに過[す]ぎない。♠〈詭弁に陥[おちい]る〉へりくつ屋[や]の彼[かれ]の話は、しばしば詭弁に陥り、つじつまの合わないものになった。♠〈詭弁家>彼は詭弁家だから、うまく言いくるめられないよう注意したほうがいい。 **きぼ【規模】** ○物事[ものごと]の仕組[しく]みの大きさ。[文例]〈規模が大きい>大型機械[おおがたきかい]が登場[とうじょう]すると、アメリカの農業の規模はどんどん大きくなっていった。♠へ規模が小さい>日本の企業の多くは、経営規模の小さい中小企業や零細企業[れいさいきぎょう]である。♠地球規模>地球規模の環境汚染[かんきょうおせん]に取[と]り組[く]もうとする初[はつ]の国際会議が開かれた。 **きぼう【希望】** ○望[のぞ]みをもつこと。また、その望み。[文例] <希望を持つどんな困難[こんなん]の中[なか]にいても、未来[みらい]に希望を持つよう <254> 心がけたい。♠へ希望がかなう〉長年[ながねん]の希望がやっとかなって、彼は郊外[こうがい]に家を持[も]った。♠へ希望を失[うしな]う〉長[なが]い人生、どんなときにも希望を失ってはいけない。♠へ希望に満[み]ちる>青春時代は、夢[ゆめ]と希望に満ちあふれている。♠へ希望を入れる〉幹事[かんじ]はみんなの希望を入れながら、謝恩会[しゃおんかい]の準備[じゅんび]を進めた。♠〈希望する>弟[おとうと]は自分の希望する中学校に合格[ごうかく]できた。♠<希望通り〉彼は希望通り、故郷[こきょう]に帰[かえ]って教員[きょういん]になった。 **ぎほう【技法】** ○技術[ぎじゅつ]と方法。[文例]〈織[お]り方の技法>錦[にしき]の織り方は、人によって得意とする糸の組み方があり、その技法は千差万別[せんさばんべつ]である。♠〈独自の技法〉彼は、新しい独自の技法を用[もち]いて、この迫力[はくりょく]ある絵[え]を描[か]きました。♠へ技法を駆使[くし]する>芸術家は、さまざまな技法を駆使して、よりよい作品を生[う]み出[だ]そうとします。 **きぼね【気骨】** ○気づかい。心配[しんぱい]。気苦労[きぐろう]。[文例]〈気骨が折[お]れる〉がんこな両者の間に入って、うまく話[はなし]をまとめるのは気骨が折れる。♠へ気骨が折れる〉偉[えら]そうに虚栄[きょえい]を張[は]って生[い]きるというのは、気骨の折れることだ。 **きほん【基本】** ○物事[ものごと]のおおもと。もとい。基礎[きそ]。[文例]〈基本を身につける〉テニスがうまくなりたいのなら、基本をしっかり身につけなさい。♠〈生活の基本>日本の憲法[けんぽう]は、国民の生活の基本になるもので、同時[どうじ]に日本の方向性[ほうこうせい]を示[しめ]している。♠〈基本から始[はじ]める〉母は、もう一度[いちど]やり直[なお]すと言って、英語を基本から勉強し始[はじ]めた。♠基本に忠実[ちゅうじつ]>三塁手[さんるいしゅ]は、基本に忠実なプレーを怠[おこた]り、何[なん]でもないゴロをトンネルした。♠基本と応用[おうよう]>物事は何でも、基本を正しく覚えないと、応用がきかない。♠〈基本にかえる>実技の練習で行き詰[づ]まったときは、一度基本にかえってみるとよいだろう。♠<基本の形>短歌[たんか]は、五・七・五・七・七の五句[ごく]三十一音[おん]が基本の形です。♠基本的な姿勢[しせい]>「消費者[しょうひしゃ]によい品物[しなもの]を安く提供[ていきょう]する」という基本的な姿勢をくずさなかったことが、商売繁盛[しょうばいはんじょう]につながった。 **きまえ【気前】** ○気立[きだ]て。気っ風[ぷう]。もの惜[お]しみしない性格[せいかく]。[例]〈気前がいい〉彼は気前のいい先輩で、ずいぶんおごってもらったりもした。♠〈気前よく二万円ばかり貸[か]してくれないかと頼[たの]んだら、気前よく貸してくれたんだよ。♠〈江戸[えど]っ子の気前〉だんな、けちけちしないで江戸っ子の気前を見せてくださいよ。 **きまぐれ【気まぐれ】(気紛れ)** ○気分[きぶん]次第で気持[きも]ちが変[か]わりやすいこと。勝手[かって]きままなさま。[文例] 〈気まぐれな性格〉彼は、気分屋[きぶんや]で気まぐれな性格だから、約束[やくそく]をしてもあてにならない。♠へ気まぐれな空想[くうそう]>弟は、外で遊ぶよりも、一人で気まぐれな空想にふけっているほうが楽[たの]しいらしい。♠〈気まぐれな風>風見[かざみ]どりは、ときおり吹[ふ]く気まぐれな風にも、クルクルと踊[おど]っていた。♠へ気まぐれな天気>昨日[きのう]の日曜日は、降[ふ]ったりやんだりの気まぐれな天気だった。♠へ一時[いちじ]の気まぐれ〉一時の気まぐれで、動物を飼[か]っても、うまく育てられるだろうか。 **きまじめ(生真面目)** ○まじめひとすじな性格。[例]〈生真面目な人間〉まじめなのはいいが、冗談[じょうだん]も通[つう]じない生真面目な人間というのは、どうもねえ……。♠〈生真面目な性格〉彼は生真面目な性格で、ほんのちょっとのミスもいい加減[かげん]にはできないらしい。 **きまず・い【気まずい】** ○相手[あいて]としっくりいかず、気持[きも]ちがよくない。[文例]〈気まずいこと〉けんかなどをして気まずいことがあっても、またすぐ仲良[なかなお]くなるから、友達とはいいものだ。♠へ気まずい空気[くうき]>そのころ、家では、父と母のあいだに気まずい空気が流[なが]れ始[はじ]めていた。♠へ気まずい思[おも]い>普段着[ふだんぎ]で出かけたら、みんな正装[せいそう]で来[き]ていて、気まずい思いをした。 **きまま【気まま】(気儘)** ○勝手[かって]にふるまうさま。わがまま。[文例]〈気ままな人間>彼は、自分勝手で気ままな人間なので、つきあいにくい。♠へ気ままな性格〉彼女の気ままな性格は、何不自由[なにふじゆう]ない家庭環境[かていかんきょう]によるものだ。♠へ気ままな生活>気が向[む]いたら働[はたら]き、あとは山野[さんや]を遊[あそ]び歩[ある]くという気ままな生活を送[おく]っています。♠へ気ままに暮[く]らす〉独[ひと]りで気ままに暮らすほうが性[しょう]にあっていると言[い]い張[は]って、今でも彼は独身[どくしん]です。♠へ気ままにする〉子供を自由にのびのびと育[そだ]てるということは、気ままにさせておくこととは違[ちが]います。♠へ気まま勝手を言[い]う〉祖父[そふ]がどんな気まま勝手を言っても、祖母[そぼ]は嫌[いや]な顔[かお]もしないで、相手をしている。♠勝手気まま〉そんな周囲を考えない、ひとりよがりの勝手気ままは許[ゆる]しませんよ。 **きまり【決まり】** ○定[さだ]め。規則[きそく]。決着[けっちゃく]。おさまり。決まってすること。[文例]〈決まりに従[したが]う〉合宿[がっしゅく]では、決まりに従って行動してください。♠〈決まりを守[まも]る〉決まりを守るのは楽[たの]しじゃないが、自分も賛成[さんせい]したんだから、仕方[しかた]がないさ。♠決まりを破[やぶ]る〉わたしたちは、決まりを破って、自転車の二人[ふたり]乗[の]りをしてしまった。♠へ決まりがつく〉議論[ぎろん]が白熱[はくねつ]して、決まりがつきそうにない。♠へ決まりがつかない〉部長[ぶちょう]が先頭[せんとう]に立[た]って部則[ぶそく]を破ったんじゃ決まりがつかない。♠へお決まり〉父[ちち]は、朝食前[ちょうしょくまえ]に、お決まりの犬の散歩[さんぽ]に出[で]かけた。♠〈きまりが悪[わる]い>寝癖[ねぐせ]のついたこの頭[あたま]じゃ、きまりが悪くて、外[そと]に出られないよ。 **きまりもんく【決まり文句】** ○いつも決まって言[い]う言葉[ことば]。[例]「ざっと昔[むかし]はおしまい」というのは、昔話の終わりに言う決まり文句の一[ひと]つです。♠お祝[いわ]いやお悔[くや]みの電文[でんぶん]には、決まり文句がある。♠へ決まり文句を並[なら]べる>来賓[らいひん]のあいさつなどには、決まり文句を並べただけのつまらない話が多い。 **きま・る【決まる】** ○決定[けってい]する。定[さだ]まる。決着[けっちゃく]する。うまくい く。ぴったり合[あ]う。[文例]〈委員に決まる>投票[とうひょう]の結果[けっか]、彼が今期[こんき]の学級委員[がっきゅういいん]に決まった。♠く話が決まる〉やっと話は決まったね、それではみんなに報告[ほうこく]しよう。♠へ腹[はら]が決まる〉彼はしばらく迷[まよ]っていたが、腹が決まると、すたすた歩[ある]きだした。♠く決まった顔ぶれ〉父を訪[たず]ねてくる客[きゃく]は、いつも決まった顔ぶれだ。♠へ技[わざ]がきまる〉横綱[よこづな]の外[そと]がけがみごとに決まって、相手は、土俵[どひょう]の外へ転[ころ]げ落[お]ちた。♠へ服装[ふくそう]がきまる「今日はきまってるね。」と、クラスの女の子に服装をほ <255> められた。♠へ~に決[き]まっている〉こんなに悪[わる]い点をとったのでは、お母さんにしかられるに決まっている。♠へ決まって〉彼のお昼は、決まって手作[てづく]りのお弁当だ。 **ぎまん(欺瞞)** ○だますこと。あざむくこと。[文例]<欺瞞がある〉みんなのためを思ってと言うきみの言葉には欺瞞がある。♠へ自己欺瞞>使用人[しようにん]が主人[しゅじん]のために働[はたら]いたというのが実情[じつじょう]であって、使用人を養[やしな]ったとする主人の思[おも]い込[こ]みには自己欺瞞が隠[かく]されていた。 **きみ【君】** ○君主[くんしゅ]。みかど。主君[しゅくん]。貴人[きじん]を敬[うやま]っていう語[ご]。友人[ゆうじん]や目下[めした]の者を呼[よ]ぶ語。[文例] 君とはずいぶん長[なが]いつきあいだねえ。♠「君君たらずとも臣[しん]臣たらざるべからず」といって、たとえどんな君主にも、臣下[しんか]は忠義[ちゅうぎ]を尽[つ]くすべきとすすめられた。♠◇君が代>「君が代は千代[ちよ]に八千代[やちよ]に………………」 **きみ【気味】** ○心身[しんしん]に受[う]ける感[かん]じ。ある傾向[けいこう]をおびた状態[じょうたい]。[文例]〈気味が悪[わる]い〉この本を読[よ]むまで、コウモリなんて気味の悪い、みっともない動物だと思っていた。♠気味が いい〉弱[よわ]い者[もの]をいじめるというのは気味のいいものではなかろう。♠へいい気味〉いじめっ子のゴンタがどぶに落[お]ちたぞ、いい気味だ。♠〈ヒステリーの気味>彼女にはややヒステリーの気味があるので、注意したまえ。♠へかぜ気味〉かぜ気味で、頭[あたま]が重[おも]い。 **きみつ【機密】** ○(機関[きかん]や組織内[そしきない]の)重要[じゅうよう]な秘密[ひみつ]。[文例]〈国家の機密〉〈機密がもれる〉国家の機密がもれた疑[うたが]いがある。♠<機密文書>重要[じゅうよう]な外務省[がいむしょう]の機密文書が紛失[ふんしつ]するという事件[じけん]が起[お]こった。♠<軍事機密>昔[むかし]の地図は、軍事機密としての制約[せいやく]があり、戦争中は入手がほとんど不可能であった。 **きみゃく【気脈】** ○人と人の気持[きも]ちや意志[いし]のつながり。[例]〈気脈が通[つう]じる〉(……)何れ[いずれ]にしてもこの小切手[こぎって]の出所[しゅっしょ]に就[つ]いて、夫婦の間に夫婦らしい気脈が通じているという事実を(……)(夏目漱石[なつめそうせき]「明暗[めいあん]」)♠<気脈を通じる〉後には吉原[よしわら]の西[にし]の宮[みや]と云[い]う引手茶屋[ひきてぢゃや]と、末造[すえぞう]の出張所[しゅっちょうじょ]とは気脈を通じていて(……)金[かね]がなくても遊[あそ]ばれるようになっていた。(森鷗外[もりおうがい]「雁[がん]」) **きみょう【奇妙】** ○ふうがわりなさま。不思議[ふしぎ]なさま。[文例] 〈奇妙な帽子〉その女性は、奇妙な帽子をかぶって人目を引いた。♠へ奇妙な格好[かっこう]>あの建物は、奇妙な格好で、街の名物[めいぶつ]になっている。♠〈奇妙な風習[ふうしゅう]>この村には、町の人には理解できない奇妙な風習が伝[つた]わっている。♠へ奇妙なことに〉奇妙なことに、外国へ行って日本にいないはずのおばから、贈[おく]り物[もの]が届[とど]いた。♠彼は、万事[ばんじ]にのんびりした性格だが、奇妙に歩[ある]くときだけはせかせかしている。♠へ奇妙きてれつ〉近[ちか]ごろ老人[ろうじん]のあいだで、奇妙きてれつな踊[おど]りがはやってい るそうだ。 **ぎむ【義務】** ○果[は]たさなければならない務[つと]め。[文例]<義務がある・ない>親[おや]には、子供に教育を受[う]けさせる義務があります。♠へ義務を果たす三人の子供たちを一人前[いちにんまえ]に育てあげ、やっと親としての義務を果たせたようだ。♠へ義務を免[まぬか]れる〉だれでも国民として、国に税金[ぜいきん]を納[おさ]める義務を免れることはできません。♠へ義務を負[お]う〉人間は、人間として最後まで生[い]きぬく義務を負っている。♠〈義務を怠[おこた]る〉人々がみな義務を怠ったとしたら、きっと秩序[ちつじょ]のない世の中[よのなか]になってしまうだろう。♠〈義務を課[か]する〉郷土[きょうど]の芸能[げいのう]を絶[た]やさずに次[つぎ]の時代に伝[つた]えていくのが、わたしたちに課せられた義務です。♠へ義務的〉教室の掃除[そうじ]なども、義務的な気持[きも]ちで行[おこな]うと、楽[たの]しくないしはかどりません。 **きむずかし・い【気難しい】** ○きげんがとりにくい。かたくなだ。[例]おじいさんも年を取ってきて、だんだん気難しくなってきた。♠〈気難しい人〉ああ言えばこう、こう言えばああで、気難しい人だよ、まったく。 **きめ【木目】(木理・肌理)** ○板[いた]の表面[ひょうめん]にあらわれた模様[もよう]。もくめ。肌[はだ]や物[もの]の表面に触[ふ]れた感[かん]じ。心[こころ]くばり。[文例]天井板[てんじょういた]の不規則[ふきそく]な木目の作[つく]り出[だ]す模様が装飾的[そうしょくてき]だ。♠へきめが細か〉ぬれた浜辺[はまべ]の砂[すな]には、足に吸[す]い付[つ]くようなきめの細かな優しさがあった。♠へきめ細かい>女性らしいきめ細かい心配[こころくば]りがうれしい。 **きめつける【決め付ける】** ○一方的[いっぽうてき]に決[き]めて押[お]しつける。[文例]〈頭から決めつける〉おまえが悪[わる]い、と、父は頭から決めつけた。♠台所仕事[だいどころしごと]は女がやるものと、一家[いっか]のあるじは決めつけていた。 **きめて【決め手】** ○決[き]めるための方法。決めるためのよりどころ。[文例]〈決め手となる〉犯人[はんにん]であることはほぼまちがいないが、決め手となる証拠[しょうこ]がない。♠へ〜する決め手〉一枚[いちまい]の古[ふる]い写真[しゃしん]が、二人[ふたり]が親子[おやこ]であることを証明[しょうめい]する決め手となった。♠へ勝負[しょうぶ]の決め手>勝負の決め手は、立[た]ち会[あ]いの速[はや]さだろう。 **き・める【決める】** ○決定[けってい]する。定[さだ]める。決着[けっちゃく]をつける。決心[けっしん]する。うまくいくようにする。ぴったり合[あ]うようにする。動[うご]きを封[ふう]じる。[文例]この曇[くも]り空[ぞら]に、先生たちは、今日[きょう]の遠足[えんそく]をとりやめるかどうか決めるために集[あつ]まっていた。♠へ覚悟[かくご]を決める〉病[やまい]でたおれたとき、旅[たび]に死[し]ぬのも運命[うんめい]であると、芭蕉[ばしょう]は覚悟を決めた。♠く腹[はら]を決める〉勝[か]つ見込[みこ]みはないとわかっても、城主[じょうしゅ]はろう城[じょう]する腹を決めた。♠へ心を決める〉家族五人が住[す]むには、今のアパートは狭[せま]いので、父は引っ越[こ]すことに心を決めた。♠へ心に決める〉姉は、Aさんを未来[みらい]の夫と心に決めていたらしい。♠<話を決める〉話を決める前[まえ]に、もう一度[いちど]条件[じょうけん]を確認[かくにん]し合[あ]って、お互[たが]いに納得[なっとく]する必要がある。♠ヘテーマを決める〉出品[しゅっぴん]する作品のテーマは、各自[かくじ]で自由に決めてよいことになっている。♠〈身分を決める>昔[むかし]は、身分が厳[きび]しく決められていて、敬語[けいご]の使[つか]い方もやかましかった。♠へ勝負を決める〉ここで一挙[いっきょ]に勝負を決めるには、スクイズしかない。♠〈技を決める〉今場所[こんぱしょ]は不調[ふちょう]なのか、あの力士[りきし]は得意の技を決められない。♠<利き腕[うで]を決める>横綱[よこづな]は利き腕を決められて、身動[みうご]きがとれない。♠ヘタキシードで決める〉日ごろは服装を気[き]にしないユキオさんが、パーティーにはタキシードで決めて現[あらわ]れました。♠へ決めてかかる〉相手は、こちらが絶対に悪[わる]いと決めてかかっているものだから、話にならなかった。♠へ〜と決める>母はいつも朝食はパンと決めている。♠へ~に決める〉父は、酒[さけ]は日本酒に決めている。 <256> **きも【肝】(䏻)** ○内蔵[ないぞう]。特[とく]に肝臓[かんぞう]。心[こころ]。度胸[どきょう]。[文例]彼は鋭[するど]いナイフで獲物[えもの]の腹[はら]をひき裂[さ]くと、肝を取[と]り出[だ]した。♠へ肝をつぶす〉ゆうべの地震[じしん]には肝をつぶした人が多[おお]かったようだ。♠<肝を冷[ひ]やす〉運転していて子供が急[きゅう]に飛[と]び出[だ]してきた時には、全[まった]く肝を冷やした。♠へ肝を抜[ぬ]かれる〉さすがの侍大将[さむらいだいしょう]も肝を抜かれてぽかんとしていた。♠〈肝に銘[めい]じる>先生の親身[しんみ]なご忠告[ちゅうこく]、ありがたく肝に銘じました。♠〈肝を据[す]える〉じたばたしても始[はじ]まらない。ここは、ひとつ肝を据えてかかろう。♠へ肝が据わる〉肝の据わったたいした人物だ。♠<肝が焼[や]ける〉全く肝の焼ける、とんまでのろまな男だな。♠<肝が太[ふと]い〉なんと肝の太い男だ、こんな時[とき]にも、顔色[かおいろ]ひとつ変[か]えないとは。♠〈肝が小[ちい]さい>彼のような肝の小さい人間にはそんな大[だい]それたことはできまい。 **きもいり【肝いり】(肝煎り)** ○世話[せわ]をすること。また、そうする人。[例]〈人の肝いり〉娘[むすめ]は、学校を出[で]ると、叔父[おじ]の肝いりで町の大だなへ奉公[ほうこう]に行[い]くことになっていた。 **きもち【気持ち】** ○物事[ものごと]に接[せっ]した時[とき]の心[こころ]の状態[じょうたい]。心の中[なか]の思[おも]いや感情[かんじょう]。[文例]〈人の気持ち〉〈気持ちがわかる〉彼は、人の気持ちのよくわかる人だ。♠へ気持ちがいい人〉彼は明[あか]るくて、いやみのない、気持ちのいい人です。♠へ気持ちがいい〉名古屋市内[なごやしない]の道路は、広々[ひろびろ]として、気持ちがいい。♠人気持ちよく〉彼は、気持ちよく仕事[しごと]を引[ひ]き受[う]けてくれた。♠〈気持ちを落[お]ち着[つ]ける〉お茶[ちゃ]でも飲[の]んで、気持ちを落ち着けてから、ゆっくり話[はなし]を聞[き]きましょう。♠へ改[あらた]まった気持ち〉ぼくは、幼[おさな]なじみのこの少女を、一人[ひとり]の女性[じょせい]として改まった気持ちで見直[みなお]した。♠く気持ちを引[ひ]き締[し]める〉のんびりしている場合ではないでしょう。気持ちを引き締めなさい。♠〈気持ちを込[こ]める〉この和歌[わか]には、桜[さくら]の花[はな]の散[ち]るのを惜[お]しむ気持ちが込[こ]められている。♠へ気持ちがあふれる〉手紙はたどたどしい文字で書かれていたが、わが子を思う母の気持ちがあふれていた。♠へ気持ちを表[あらわ]す〉人に親切[しんせつ]にされたら、感謝[かんしゃ]の気持ちをはっきりと、言葉に表しましょう。♠〈気持ちばかり〉「これは、気持ちばかりのお礼[れい]です。」と言って、お客[きゃく]さんは包[つつ]みを差[さ]し出[だ]した。♠へほんの気持ち〉>写真に入りませんので、左端[ひだりはし]の方[かた]はほんの気持ち、右[みぎ]へ寄[よ]ってください。 **きもったま【肝っ玉】(肝っ魂)** ○度胸[どきょう]。胆力[たんりょく]。[文例]〈肝っ玉が太[ふと]い〉三人の中でだれが一番[いちばん]肝っ玉が太いか、ひとつ、肝だめしをやってみようじゃないか。♠へ肝っ玉がでかい〉あいつは肝っ玉のでかい男だ、そんなことぐらいでびくともしない。♠へ肝っ玉がすわる〉おれはふだんから肝っ玉がすわってるって評判[ひょうばん]なんだぜ、驚[おどろ]きゃしねえよ。 **きもの【着物】** ○衣服[いふく]。特[とく]に和服[わふく]。[例]〈着物を着る〉声のする方[ほう]を見[み]ると、粗末[そまつ]な着物を着[き]た少女が一人、ぽつんと立っていた。♠へ着物姿[すがた]>やはり女性の着物姿はなんとも言[い]えずいいですねえ。 **きもん【鬼門】** ○物事[ものごと]をするのに避[さ]けたほうがよい方角[ほうがく]。決まって悪[わる]いことにあう場所[ばしょ]。苦手[にがて]とする人・事柄[ことがら]。[例]電車にお土産[みやげ]を忘[わす]れたり、風で線路に帽子を飛[と]ばされたり、どうもあの駅はわたしにとって鬼門らしい。♠<鬼門となる〉子供のころボートから落[お]ちたことのあるいもり池[いけ]は、サブちゃんには鬼門となっていたのです。 **ぎもん【疑問】** ○疑[うたが]って問[と]いかけること。疑[うたが]わしいこと。疑い。[文例]〈疑問に思う〉昆虫[こんちゅう]を観察[かんさつ]して、疑問に思ったことをノートにまとめてみよう。♠〈疑問を解[と]く>学者[がくしゃ]たちは、地震[じしん]がなぜ発生[はっせい]するのかという疑問を解くために、大がかりな実験を行[おこな]いました。♠へ疑問が生[う]まれる〉〈疑問を解決[かいけつ]する>授業中[じゅぎょうちゅう]に疑問が生まれたら、すぐに質問をして、その場で解決するようにしよう。♠〈疑問を投[な]げかける〉彼はこの論文[ろんぶん]で、今までの学会の定説[ていせつ]に対[たい]して率直[そっちょく]な疑問を投げかけた。♠へ疑問を抱[いだ]く〉日[ひ]ごろの行[おこな]いを見ていると、彼の人柄[ひとがら]には疑問を抱かざるをえません。♠へ疑問がつのる〉あらしでもないのになぜ船が沈没[ちんぼつ]してしまったのか、疑問はつのるばかりだ。♠へ疑問の余地[よち]>この古墳[こふん]が高貴[こうき]な人の墓[はか]であることは、出土品[しゅつどひん]からみて疑問の余地がありません。♠彼がぼくたちの話に乗[の]ってくれるかどうかは疑問だ。 **きゃく 【客】** ○訪[たず]ねて来[く]る人。招[まね]かれて来る人。商品[しょうひん]を買ってくれる人。料金[りょうきん]を払[はら]って施設[しせつ]・設備[せつび]を利用[りよう]する人。[文例] 〈客を迎[むか]える〉わが家でこんなに大勢[おおぜい]の客を迎えるのは、父が亡[な]くなって以来[いらい]、初[はじ]めてのことだ。♠〈客が訪[おとず]れる>先生の家には、著書[ちょしょ]の刊行[かんこう]にともなって多[おお]くの客が訪れるようになった。♠人客をもてなす〉「どうぞお上[あ]がりください。」とは言ったものの、遠来[えんらい]の客をもてなす酒[さけ]を買[か]う余裕[よゆう]もなかった。♠へ客が来[く]る〉そろそろ出かけようかと思っている折[お]も折、玄関[げんかん]に客が来た。♠〈客がつく〉店を開[ひら]けてしばらくたつが、まだ一人も客がつかない。♠へ客を奪[うば]われる〉店が経営不振[けいえいふしん]に陥[おちい]ったのは、スーパーに客を奪われたからである。♠不帰[ふき]の客>長[なが]い間胸[むね]を患[わずら]っていた母[はは]も、兄[あに]が大学を卒業した年の秋、不帰の客となったのである。♠◇招[まね]かれざる客〉娘[むすめ]の晴[は]れ姿[すがた]見たさに舞[ま]いもどってきた父ではあったが、親せき一同[いちどう]にしてみれば招かれざる客であった。 **きやく【規約】** ○相談[そうだん]によって決[き]めた規則[きそく]。[文例]〈規約にのっとる〉問題[もんだい]を起[お]こした者[もの]の処分[しょぶん]は、いずれ規約にのっとって行[おこな]われるはずだ。♠〈生徒会[せいとかい]の規約〉今回[こんかい]の重要[じゅうよう]な議題[ぎだい]は、生徒会の規約改正[かいせい]についてである。♠〈規約に従[したが]う〉野球連盟[やきゅうれんめい]の規約に従って、不祥事[ふしょうじ]があった場合は出場[しゅつじょう]を辞退[じたい]することになる。 **ぎゃく 【逆】** ○順序[じゅんじょ]・位置[いち]などが反対[はんたい]であること。反対の関係にあること。[例]<逆の向き〉一周[いっしゅう]四百[よんひゃく]メートルのトラックを、時計の針[はり]と逆の向きに走[はし]る。♠へ逆の結果>実際[じっさい]ふたをあけてみると、わたしたちの予想とは逆の結果が出た。♠〈順序が逆>歯[は]を磨[みが]いてからごはんを食[た]べるのでは、順序が逆です。♠へ立場[たちば]が逆になる〉今年[ことし]は、去年[きょねん]挑戦者[ちょうせんしゃ]だったAさんが優勝[ゆうしょう]し、二人の立場は逆になった。♠彼を喜ばせるつもりが、逆に怒[おこ]らせてしまった。♠へ逆をつく〉右寄[みぎよ]りに守[まも]っていたセンターの逆をついて、ボールは左中間[さちゅうかん]を抜[ぬ]けていった。♠へ逆を取[と]る>投[な]げ技[わざ]をしかけてきた相手の逆を取って、返[かえ]し技で一本勝[いっぽんが]ちした。♠へ逆は必[かなら]ずしも真[しん]なら <257> ず「AならばBである」が真実[しんじつ]だとしても、その逆である「BならばAである」は必ずしも真とは限[かぎ]りません。 **きゃくあし 【客足】** ○客[きゃく]の入[はい]り具合[ぐあい]。[文例]〈客足が鈍[にぶ]る>国道[こくどう]沿[ぞ]いに大型[おおがた]スーパーができて以来[いらい]、旧商店街[きゅうしょうてんがい]の客足が鈍った。♠人客足が落[お]ちる>客というのは敏感[びんかん]なもので、材料[ざいりょう]を安[やす]い物[もの]にかえたとたん、客足が落ちた。♠へ客足が遠のく〉あんなに愛想[あいそ]が悪[わる]いんでは、客足が遠のくのも無理[むり]はない。 **ぎゃくさつ【虐殺】** ○むごたらしいやり方で殺[ころ]すこと。[例]〈虐殺する>兵隊[へいたい]によって虐殺された民衆[みんしゅう]は、おびただしい数[かず]に上[のぼ]った。♠〈虐殺を行[おこな]う〉暴徒[ぼうと]と化[か]した兵隊たちは、行[い]く先々[さきざき]で、略奪[りゃくだつ]と虐殺を行った。♠〈虐殺する〉何者[なにもの]かの手[て]により、野生[やせい]のしかが大量[たいりょう]に虐殺されていた。♠へ虐殺行為[こうい]>動物に対[たい]する虐殺行為は必[かなら]ずや、どこかで人間にはねかえってくるにちがいない。 **ぎゃくしゅう【逆襲】** ○攻[せ]められていた側[がわ]が反撃[はんげき]すること。[文例] <逆襲に転[てん]じる〉反則[はんそく]で退場[たいじょう]していたポイントゲッターがリンクに戻[もど]ると、相手[あいて]チームはがぜん逆襲に転じた。♠<逆襲を受ける〉好[す]き勝手[かって]に自然をいじくってきた人間が、今度[こんど]は自然の逆襲を受ける番[ばん]だ。♠〈逆襲する〉もっと勉強しろ、と言ったら、先生もね、と逆襲された。 **ぎゃくじょう【逆上】** ○かっとなること。のぼせあがること。[例] <逆上する〉仲間[なかま]の裏切[うらぎ]りを知[し]った彼は、逆上して外[そと]へ飛[と]び出[だ]して行[い]った。♠へ逆上のあまり〉わたしは逆上のあまり、前後[ぜんご]の見境[みさかい]がなくなっていたのです。 **きゃくしょく【脚色】** ○原作[げんさく]を劇[げき]・映画などの脚本[きゃくほん]に書[か]きかえること。事実[じじつ]に手[て]を加[くわ]えておもしろくすること。[文例] 〈芝居[しばい]に脚色する〉この芝居は、外国の有名[ゆうめい]な小説を脚色したものです。♠へ事実を脚色する〉彼の話[はなし]は、事実を脚色することが多[おお]いから、額面通[がくめんどお]りには受[う]け取[と]れないよ。 **ぎゃくてん【逆転】** ○反対方向[はんたいほうこう]に回[まわ]ること。反対になること。宙返[ちゅうがえ]り。[例]七回裏[ななかい うら]に逆転の二塁打[にるいだ]を放[はな]って、勝[か]つことができた。♠へ形勢[けいせい]が逆転する〉彼が言[い]い放[はな]ったその一言[ひとこと]で、二人の間の形勢は逆転してしまった。 **きゃくほん【脚本】** ○劇[げき]や映画の台本[だいほん]。シナリオ。[例]<脚本を読む>初めてせりふのある役[やく]をもらった時はうれしくて、脚本を何度[なんど]も何度も読み返[かえ]したものだ。♠へ脚本を書く〉今、一時間もののドラマの脚本を書いています。 **ぎゃくもどり【逆戻り】** ○進行方向[しんこうほうこう]と反対の方[ほう]へ戻[もど]ること。[文例]〈道を逆戻りする〉この道を少[すこ]し逆戻りして、本屋[ほんや]の角[かど]を右[みぎ]に曲[ま]がると、郵便局[ゆうびんきょく]があります。♠〈赤ちゃんに逆戻りする〉この子[こ]はとてもおりこうだったのに、弟[おとうと]が生[う]まれたら、また赤ちゃんに逆戻りしてしまった。 **ぎゃくりゅう【逆流】** ○反対方向[はんたいほうこう]に流[なが]れること。また、その流れ。[文例]〈水が逆流する〉川[かわ]の水は、満潮[まんちょう]のために静[しず]かに逆流していた。♠へ血[ち]が逆流する〉その時の衝撃[しょうげき]は、まるで体中[からだじゅう]の血がすべて逆流するのではないかと思[おも]われるほどだった。 **ぎゃくせつ【逆説】** ○一見[いっけん]真理[しんり]に矛盾[むじゅん]しているようで、実は正しい説。[文例]〈逆説を用いる〉「急[いそ]がば回[まわ]れ」のように、ことわざには、逆説を用いた表現がたくさんある。♠「貧[まず]しいものは幸[さいわ]いだ」という聖書[せいしょ]の言葉は、一種[いっしゅ]の逆説です。♠〈逆説的>逆説的に言えば、「ただより高[たか]いものはない」ということかな。♠〈逆説めく〉いささか逆説めくが、試験に落ちてよかったというのが本心[ほんしん]なんだ。 **ぎゃくせつ 【逆接】** ○前後に述べられていることの意味的関係が逆または対立的であること。[文例] <逆接の関係〉「しかし」「だが」「けれども」「ところが」などのような接続詞[せつぞくし]は、前続[ぜんぞく]の文が逆接の関係にあることを示[しめ]します。 **ぎゃくたい【虐待】** ○むごい扱[あつか]いをすること。いじめること。[文例]〈虐待を受ける〉もらわれていった家で、少女はひどい虐待を受けたのです。♠〈虐待する〉実験動物[じっけんどうぶつ]に無用[むよう]な苦痛[くつう]を与[あた]えることは、動物を虐待することになる。 **きゃしゃ(華奢)** ○かぼそくて弱々[よわよわ]しいさま。細[ほそ]くて上品[じょうひん]なさま。[例]〈きゃしゃな体〉彼女のほっそりしたきゃしゃな体には、フレアーのたっぷり入[はい]ったドレスがよく似合[にあ]う。♠へきゃしゃな手〉わたしはそれまでに、そんなきゃしゃな白い手を見[み]たことがなかった。♠へきゃしゃで弱々しい>見[み]かけはきゃしゃで弱々しそうですが、あれでしんはなかなか強[つよ]いのです。♠へきゃしゃな作[つく]り〉腰[こし]を下[お]ろしたらこわれそうな、いかにもきゃしゃな作りのいすだ。 **きやす・い【気安い】** ○遠慮[えんりょ]や気[き]がねがいらない。気[き]がおけない。気[き]が許[ゆる]せる。[文例]〈気安く呼[よ]ぶ〉まだ娘[むすめ]との結婚[けっこん]を承諾[しょうだく]したわけでもないのに、お父[とう]さんなどと気安く呼んでくれるな。♠〈気安い店〉そこならわたしもよく知[し]っていて気安い店だから、少々[しょうしょう]の無理[むり]は言[い]えるよ。 **きやすめ【気休め】** ○一時的[いちじてき]に気持[きもち]ちを安[やす]らかにすること。また、その言葉[ことば]。[文例]〈気休めを言う太[ふと]ってるほうが心が優[やさ]しそうに見えるなんて、気休めを言わないで。♠気休めになる〉完敗[かんぱい]であったが、やるだけのことはやったのだからという監督[かんとく]のことばが気休めになった。♠気休めに~する〉もう待[ま]っていないだろうと思ったが、気休めに約束[やくそく]の場所[ばしょ]へ行ってみた。 **きゃっか 【却下】** ○訴[うった]えや申請[しんせい]を受[う]け付[つ]けず、差[さ]し戻[もど]すこと。[例]〈却下する〉被告[ひこく]は保釈[ほしゃく]を申[もう]し出[で]たが却下された。 **きゃっかん【客観】** ○主体[しゅたい]の認識[にんしき]の対象[たいしょう]となるもの。主観[しゅかん]にとらわれず、物事[ものごと]をありのままにとらえ考[かんが]えること。[例] 〈主観と客観>主観ばかりでものを言[い]うのはいけない。もっと客観というものを大切にしなければならない。♠客観的〉わたしにも言[い]い分[ぶん]はあるが、客観的に見れば、やはりあの時のわたしの行為は非難[ひなん]されてもしかたがない。♠客観性>考[かんが]えに客観性を持[も]たせるには、広[ひろ]く周囲の人々[ひとびと]の生き方・考え方に気[き]を配[くば]る必要[ひつよう]があります。 **きゃっかんてき【客観的】** ○主観[しゅかん]にとらわれず、物事[ものごと]をありのままに偏[かたよ]らずにとらえるさま。[例]〈客観的に見る>親[おや]の欲目[よくめ]という言葉もあるように、わが子を客観的に見るのは難[むずか]しい。♠客観的な真理「人間いつかは死[し]ぬのだ」ということは客観的な真理であり、だれしも避[さ]けられないこと <258> だ。♠へ客観的にとらえる〉時には自己[じこ]を見[み]つめ直[なお]し、客観的にとらえることも、自分自身を高[たか]めるうえで必要[ひつよう]なことでしょう。♠へ客観的に描写[びょうしゃ]する〉この文章は、筆者[ひっしゃ]の意見や感想を述べた部分と、事実を客観的に描写した部分とから成[な]り立[た]っている。 **ぎゃっきょう【逆境】** ○不幸せな境遇[きょうぐう]。不運[ふうん]な境遇。→順境[じゅんきょう] [例]〈逆境にある〉どんな逆境にあっても、人間には、それを乗[の]り越[こ]えて将来[しょうらい]に残[のこ]るような業績[ぎょうせき]を残し得る可能性[かのうせい]がある。♠へ逆境に立[た]ち向[む]かう〉きみは逆境に立ち向かっていけるだけの勇気[ゆうき]と力[ちから]を持った少年だ。♠へ逆境にめげず〉彼は逆境にもめげず、決して希望を失[うしな]わなかった。 **きゃっこう【脚光】** ○舞台[ぶたい]上の演技者[えんぎしゃ]に脚[あし]もとからあてる照明。フットライト。世間[せけん]の注目[ちゅうもく]。[文例]〈脚光を浴[あ]びる〉わたしは、女優として舞台に立ち、脚光を浴びる日を夢[ゆめ]に見[み]ていた。♠へ脚光を浴びる〉これは、北海道が新天地[しんてんち]として脚光を浴びていたころの話[はなし]である。 **ぎゃっこう【逆行】** ○反対[はんたい]の方向に進[すす]むこと。時代[じだい]の流[なが]れに逆[さか]らうこと。[例]〈車が逆行する〉視界[しかい]の先[さき]にポツンと一台[いちだい]の車[くるま]が現[あらわ]れて、車線[しゃせん]をみるみる逆行してきたのには驚[おどろ]いた。♠へ時代に逆行する>女性[じょせい]だからと特別[とくべつ]な物差[ものさ]しで見[み]るのを、もちろん時代に逆行するものである。 **ぎゃっこう【逆光】** ○向[む]かい合[あ]った物体[ぶったい]の後方[こうほう]から差[さ]す光[ひかり]。逆光線[ぎゃくこうせん]。[例]〈逆光を受[う]ける〉校庭[こうてい]のいちょうの木が逆光を受けて、黒々[くろぐろ]と浮[う]き上[あ]がっていた。♠へ逆光を浴[あ]びる〉川の向[む]こう岸[ぎし]を四、五人の子供たちが逆光を浴びながら家路[いえじ]につく。 **キャッチ** ○とらえること。つかむこと。[例]〈キャッチする〉相手のことばを正しくキャッチしたら、分[わ]かりやすいことばを投[な]げ返[かえ]してやりなさい。♠ヘキャッチフレーズ〉新製品[しんせいひん]の開発に成功[せいこう]すると、次[つぎ]に消費者[しょうひしゃ]の購買意欲[こうばいいよく]をそそるようなキャッチフレーズが考[かんが]えられた。 **ギャップ** ○割[わ]れ目[め]。裂[さ]け目。ずれ。隔[へだ]たり。くいちがい。[例]ヘギャップが大[おお]きいこのゲレンデは、ギャップが大きいから初心者向[しょしんしゃむ]きとはいえない。♠〈世代間[せだいかん]のギャップ〉〈ギャップを埋[う]める〉育[そだ]った社会環境[しゃかいかんきょう]の違[ちが]いからくる世代間のギャップを埋めるのは、それほど難[むずか]しいことではない。 **キャプテン** ○船長[せんちょう]。機長[きちょう]。主将[しゅしょう]。[例]〈キャプテンの指示>乗組員[のりくみいん]たちは、キャプテンの指示に従[したが]ってきびきびと立[た]ち働[はたら]いていた。♠ヘサッカー部のキャプテン>彼は、サッカー部のキャプテンとして、部員から厚[あつ]い信頼[しんらい]を得[え]ていた。 **キャメラ** ○カメラ **キャラクター** ○人柄[ひとがら]。その人のもち味[あじ]。(劇[げき]・映画・漫画[まんが]などの)登場人物[とうじょうじんぶつ]。[例]〈特異[とくい]なキャラクター>彼の特異なキャラクターが監督[かんとく]の目[め]にとまり、主役[しゅやく]にばってきされた。♠〈独特[どくとく]なキャラクター〉彼女は、クラスの中では独特なキャラクターの持[も]ち主[ぬし]である。♠ヘキャラクター商品>店内[てんない]には、少女たちに人気のあるキャラクター商品がずらりと並[なら]べられていた。 **キャリア** ○経歴[けいれき]。専門的[せんもんてき]な経験[けいけん]。専門的な資格[しかく]や能力[のうりょく]。また、それをもった人。[例]〈長[なが]いキャリア〉〈キャリアを生かす〉今後[こんご]は、選手時代の長いキャリアを生かし、監督としてすぐれたチームを育[そだ]てあげたい。♠ヘキャリアがある〉きみぐらいのキャリアがあれば、どの会社でもほうっておかないだろう。♠ヘキャリアウーマン〉最近[さいきん]は、家庭に入[はい]らず、社会の第一線[だいいっせん]で活躍[かつやく]するキャリアウーマンも多[おお]い。 **キャンセル** ○取[と]り消[け]すこと。解約[かいやく]すること。[例]〈キャンセルする〉箱根[はこね]の旅館を予約してあったのだが、行[い]けそうもないのでキャンセルした。♠へ切符[きっぷ]のキャンセル〉出張先[しゅっちょうさき]で仕事が長[なが]びいたので、帰[かえ]りの切符のキャンセルを頼[たの]んだ。 **キャンプ** ○テント小屋[ごや]などに野営[やえい]すること。野営地。収容所[しゅうようじょ]。[例]〈キャンプをする〉湖[みずうみ]のそばの広々[ひろびろ]とした草原[そうげん]にテントを張[は]ってキャンプをした。♠ヘプロ野球のキャンプ〉キャンプでは、シーズン開幕[かいまく]に向[む]けて選手たちの調整[ちょうせい]が行われている。♠ヘキャンプファイア〉合宿[がっしゅく]の最後[さいご]の夜[よる]は、参加者全員がキャンプファイアを囲[かこ]んで歌[うた]った。♠<難民[なんみん]キャンプ〉この難民キャンプには、国境[こきょう]を越[こ]えて日に数千の難民が流[なが]れ込[こ]むという。♠ヘベースキャンプ>無線機[むせんき]の故障[こしょう]で、ベースキャンプとの交信[こうしん]がとだえ、先発隊[せんぱつたい]の安否[あんぴ]が気づかわれる。 **キャンペーン** ○ある目標[もくひょう]を達成[たっせい]するための組織的[そしきてき]宣伝行動[せんでんこうどう]。[例]<新製品[しんせいひん]のキャンペーン〉〈キャンペーンを行う・する〉新製品の売[う]り出[だ]しに社運[しゃうん]をかけて、大々的[だいだいてき]なキャンペーンを行った。♠ヘキャンペーンを張[は]る〉消費者団体[しょうひしゃだんたい]は、農薬[のうやく]の恐[おそ]ろしさを知[し]らせるために、マスコミを通[つう]じてキャンペーンを張った。 **きゅう【急】** ○急[いそ]ぐこと。さし迫[せま]っていること。緊急[きんきゅう]の事態[じたい]。突発的[とっぱつてき]なさま。あわただしいさま。進行が速[はや]いさま。険[けわ]しいさま。角度[かくど]がするどいさま。[例]〈急に止[と]まる〉車が急に止まった拍子[ひょうし]に、前[まえ]の座席[ざせき]にいやというほど頭[あたま]をぶつけてしまった。♠へ急な話[はなし]>急な話で悪[わる]いが、すぐソウルへ飛[と]んでくれたまえ。♠〈急な用事[ようじ]>その日、母は、急な用事で出かけていた。♠へ急を要[よう]する〉事[こと]は急を要する、すぐに手術[しゅじゅつ]をするから輸血[ゆけつ]の準備[じゅんび]をしてくれ。♠へ急を告[つ]げる〉一台の救急車が、急を告げるサイレンの音[おと]とともに走[はし]り過[す]ぎていった。♠〈急を聞[き]く〉事故現場[じこげんば]は、急を聞いてかけつけた関係者[かんけいしゃ]でごった返[がえ]しています。♠〈急を救[すく]う〉道[みち]ばたに倒[たお]れたわたしのその場[ば]の急を救ってくれたのは、親切[しんせつ]な老婦人[ろうふじん]だった。♠<焦眉[しょうび]の急>新政府[しんせいふ]にとっては、秩序[ちつじょ]の回復[かいふく]が焦眉の急であった。♠へ急な坂道[さかみち]>リヤカーにわずかな家財道具[かざいどうぐ]をつめて、急な坂道をウンウン言[い]いながら登[のぼ]った。♠へ流[なが]れが急>川の流れは急で、泳[およ]いで渡[わた]ることなどとてもできそうになかった。♠へ急なカーブ〉この先[さき]の急なカーブで、ハンドルを切[き]り損[そこ]ねた車が谷[たに]に転落[てんらく]したそうだ。 **きゅう【旧】** ○かつての状態[じょうたい]。古[ふる]いこと。旧暦[きゅうれき]。昔[むかし]の。[例] 〈旧の盆>旧の盆のころになると、早[はや]くも浜[はま]には秋風[あきかぜ]が立[た]ち、泳[およ]ぐ者[もの]はもういなくなる。♠〈旧に復[ふく]する〉工事は昼夜兼行[ちゅうやけんこう]で進[すす]んでいるのですが、旧に復するにはまだ時日[じじつ]が必要[ひつよう]です。♠〈旧に倍[ばい]する〉本年も旧に倍するお引[ひ]き立[た]てをお願[ねが]いします。♠〈旧~〉旧日本軍では、一般[いっぱん]の民間人[みんかんじん]と異[こと]なる軍 <259> **きゅうくつ** **き** **きゅう**【級】 ○物事を程度や能力に応じて分けた段階のそれぞれ。学校のクラス。[文例]〈級が上がる〉スイミングスクールに通っているのですが、半年かかってやっと級が一つ上がりました。♠〈下の級〉下の級に入って、もう一度基礎をきちんと身につけたいと思います。♠〈ヘビー級〉さすがヘビー級の試合だけあって、迫力があるわね。 **きゅう**【灸】 ○皮膚に置いたもぐさに火をつけ、熱による刺激で病気を治す方法。[文例]〈きゅうをすえる〉祖父は、よく肩が凝ると言っては祖母にきゅうをすえてもらっていた。♠〈おきゅうをすえる〉今回の不祥事の責任者として、校長からきつくおきゅうをすえられた。 **きゆう**【杞憂】 ○(中国の故事から)とりこし苦労。無用な心配。[文例]〈杞憂にすぎない〉これらの事象を何か天変地異の前ぶれだなどと思うのは、杞憂にすぎない。♠〈杞憂に終わる〉わたしの心配が単なる杞憂に終わることを心から願っている。 **きゅうあい**【求愛】 ○異性の愛を求めること。[文例]〈求愛のポーズ〉春になると動物たちは、さまざまなしぐさで求愛のポーズを示すようになる。♠〈求愛を受ける〉彼女はついに、彼の熱心な求愛を受け入れる気持ちになった。♠〈求愛する〉わたしは気が弱くて、好きな子に求愛することなど思いもよらなかった。♠〈求愛行動〉ツルたちがダンスをしているように見えますが、実はあれは求愛行動なのです。 **きゅうあく**【旧悪】 ○以前に行った悪事。[文例]〈旧悪が露見する〉彼はまじめに働いていたが、旧悪が露見することを恐れて決して本名を明かさなかった。♠〈旧悪を暴露する〉長官の失脚をねらう人々によって、ついに彼の旧悪が暴露されてしまった。 **きゅういん**【吸引】 ○吸い寄せること。吸い込むこと。[文例]〈吸引する〉掃除機は、取れにくいカーペットのごみもぐんぐんと力強く吸引していきます。♠〈アヘンを吸引する〉当時、中国ではアヘンを吸引する者が多かった。♠〈吸引力〉このポンプは、吸引力が抜群です。 **ぎゅういんばしょく**【牛飲馬食】 ○牛のようにたくさん飲み、馬のようにたくさん食べること。[文例]長年牛飲馬食を続け、まるでトドのようだった男が、突然ダイエットを始めたという。 **きゅうえん**【救援】 ○救い、助け出すこと。[文例]〈救援を待つ〉遭難したとわかったら、むやみに動き回らず、その場でじっと救援を待つのがよい。♠〈救援の手〉アフリカの飢餓難民に対し、全世界が救援の手を差しのべた。♠〈救援に立つ〉九回のピンチに一年生の投手が救援に立った。 **きゅうきゅう**【救急】 ○危ないところを救うこと。急な病人一やけが人の手当てをすること。[文例]〈救急箱〉普通の家庭には、たいてい救急箱が備えられています。♠〈救急車〉寝しずまった夜の街をサイレンを鳴らして救急車が走る。♠〈救急活動〉浜では、地元の漁師たちが総出で、遭難者の救急活動にあたった。 **きゅうぎゅうのいちもう**【九牛の一毛】 ○(多くの牛の中の一本の毛の意から)ごく少数。ほんのわずか。[文例]この戦いでわが軍は若干の兵を失ったが、その数はきわめて微少で、まさに九牛の一毛に等しい、と将軍は胸を張った。 **きゅうきょ**【急遽】 ○急に。にわかに。[文例]首相が入院し、急遽、大臣たちは避暑先から帰京した。♠主戦投手の負傷退場で、ライトのぼくが急きょ登板することになった。 **きゅうか**【休暇】 ○勤務先や学校などで認められている、休日以外の休み。[文例]〈夏の休暇〉わたしは湖のそばの小さな別荘で、夏の休暇を過ごすことにした。♠〈休暇を与える〉主人は、従業員に三日間の休暇を与えた。♠〈休暇を取る〉この仕事が終わったら、しばらく休暇を取って旅行でもするつもりだ。♠〈休暇になる〉休暇になると、わたしはリュックをかついで山野を歩き回る。 **きゅうきょう**【窮境】 ○行き詰まって、ぬきさしならない立場。非常に苦しい境遇。[文例]〈窮境に陥る〉いかなる窮境に陥ろうとも、そこからはい上がってみせる。♠〈窮境に追い込む〉事件が発覚したことにより、国王はかつてない窮境に追い込まれた。 **きゅうか**【旧家】 ○古くから続く家がら。以前住んでいた家。[文例]〈土地の旧家〉この土地の旧家に伝わる古文書を調べるうちに、意外な事実がわかってきた。♠〈旧家の出〉彼女はさる旧家の出だそうだが、そんなことを少しも感じさせない。 **きゅうかく**【嗅覚】 ○においをかぎとる感覚。臭覚。[文例]〈嗅覚が鋭い〉犬は嗅覚が鋭いのでその性格を利用し、警察犬などに使われている。 **きゅうぎ**【球技】 ○ボールを使ってする競技。[文例]ぼくは野球、テニス、サッカーなど、球技なら何でも得意です。♠我が校では、春秋に球技大会が行われる。 **きゅうきゅう**【汲汲】 ○物事に打ち込んであくせくするさま。[文例]〈きゅうきゅうとする〉彼らは試験で良い点を取ることにのみきゅうきゅうとし、学問の本質をわかろうとしない。♠〈きゅうきゅうとする〉金もうけにきゅうきゅうとする心の貧しい人間にはならないでほしい。 **きゅうきょく**【究極・窮極】 ○物事の行き着き、きわまるところ。とどのつまり。[文例]〈究極の目的〉人生の究極の目的は、愛と幸福の追求ではないだろうか。♠〈究極のところ〉究極のところ、わたしたちの人生は死に至り着くと言わなければならない。♠〈究極まで〉わたしは、一生をかけてこの世界の真理を究極まで追求したい。 **きゅうくつ**【窮屈】 ○狭苦しいさま。気づまりなさま。ゆとりがなく苦しい感じ。融通のきかないさま。[文例]〈服が窮屈〉二年生に進級したら、制服が急に窮屈に感じられます。♠〈窮屈な姿勢〉満員の通勤電車で長いこと窮屈な姿勢をとっていたので、疲れてしまった。♠〈窮屈な感じ〉彼は根はきさくな男だったが、一見したところ堅苦しくて窮屈な感じを与えた。♠〈世の中が窮屈〉規則ばかりやたらに多いと、世の中が窮屈になります。♠〈生活が窮屈〉物価は上が <260> **きゅうけい** ○休息。ひと休み。[文例]〈休憩をとる〉みんな疲れているようだから、ここらへんで少し休憩をとることにしよう。♠●〈休憩する〉では皆さん、次の準備ができるまで十分間ほど休憩してください。 **きゅうげき【急激】** ○突然で激しいさま。[文例]〈急激な変化〉このところ、気温の急激な変化で風邪[かぜ]をひく人が多いようです。♠●〈急激な進歩〉二十世紀に入り、科学は急激な進歩を遂げたといってよい。♠●〈急激に増加する・減少する〉人口が急激に増加した新興住宅地では、新しい学校が次々にできています。♠●〈急激に悪化する〉このままでいけば、病状が急激に悪化するということはまずないでしょう。 **きゅうご【救護】** ○救い保護すること。看護・治療すること。[文例]〈救護に当たる〉突発的にその事故が起こった時、市の医師会は総動員で救護に当たった。♠●〈救護班〉前線では、救護班にかつぎ込まれる負傷兵が跡を絶たない。 **きゅうこう【急行】** ○急いで行くこと。途中の駅を通過して目的地に早く着く列車・電車など。[文例]〈急行する〉事件発生の通報と同時にパトカーが現場へ急行した。♠〈急行に乗る〉急行に乗れば、秋田まで一時間で行くことができます。 **きゅうこう【休耕】** ○耕作を休むこと。[文例]〈休耕する〉高温多湿な日本の夏に休耕すると、水田はたちまち荒れた田に変わってしまう。♠●〈休耕田〉荒れ果てた休耕田が広がる故郷の村の変わりように、わたしはぼうぜんとしてたたずんだ。 **きゅうこう【休校】** ○学校が休みになること。[文例]明日は開校記念日で休校となります。♠●〈臨時休校〉本日は、大雪で交通機関がストップしたため、臨時休校といたします。♠◆〈同盟休校〉学生たちは大学側の決定に反対して、同盟休校することにした。 **きゅうこう【旧交】** ○昔の付き合い。古い付き合い。[文例]〈旧交を温める〉この小さな新聞記事が機縁となって、二人は二十年ぶりに旧交を温めた。♠〈旧交を温める〉今夜は、久しぶりに酒でもくみかわして旧交を温めあおう。 **きゅうこん【求婚】** ○結婚を申し込むこと。[文例]かぐや姫は、中でも熱心な五人の貴公子の求婚を断りきれず、一人ずつに難題を出した。♠●〈求婚する〉つき合っていた彼からかっこよく求婚されて、つい承諾[しようだく]してしまったの。 **きゅうこん【球根】** ○球状になった、植物の根や地下茎。[文例]〈球根を植える〉チューリップの球根を花壇[かだん]に植えて、毎日楽しみに水をやっています。 **きゅうさい【救済】** ○困っている人を救い助けること。[文例]〈難民の救済〉先進諸国は、内戦や飢えによる世界各地の難民の救済に大きな努力を払うべきだ。♠●〈失業者の救済〉失業者の救済のために、失業手当を支給する制度があります。♠●〈救済に乗り出す〉少しも動こうとしない国に代わって、市民が被災者[ひさい]の救済に乗り出した。♠●〈人を救済する〉大地震[じしん]で被災[ひさい]した人を救済するために募金[ぼさん]を行いました。 **きゅうし【休止】** ○運動を止めること。活動を休むこと。[文例]〈休止する〉何かこげくさいにおいがするというので、機械の運転を休止して調べた。 **きゅうし【急死】** ○突然死ぬこと。頓死[とんし]。[文例]〈急死する〉彼は、将来有望な選手として期待されていたが、交通事故で急死した。♠〈急死の報〉帰国の知らせを待ちわびていた家族のもとに届けられたのは、残酷[ざんこく]にも彼の急死の報であった。 **きゅうし【九死】** ○死の可能性がきわめて高い状態。[文例]〈九死に一生を得る〉戦争で九死に一生を得る経験をしましたので、命は大切にしたいと思います。 **きゅうじ【給仕】** ○飲食の席で世話をすること。飲食店で客の世話をする人。[文例]〈給仕をする〉病気の母に代わって、わたしが夕飯のお給仕をしました。♠〈レストランの給仕〉青年は、レストランの給仕をして学資を稼ぎながら、夜学に通っていた。 **ぎゅうじ【牛耳】** ○(「牛耳をとる」で)集団の中にいて、人々を支配し指図すること。[文例]〈牛耳を執る〉生産者たちの組合で常に牛耳を執っていたのが、後に代議士となったSである。 **きゅうしき【旧式】** ○昔風なやり方。古くさい方式。昔の形式。[文例]〈車が旧式〉この車は旧式だが、手入れが行き届いているし、性能もよい。♠〈旧式なやり方〉なにせ田舎のことだから、冠婚葬祭[かんこんそうさい]すべて旧式なやり方なのは仕方がない。 **きゅうじつ【休日】** ○休みの日。[文例]休日になると、よく弁当を持って川へ釣りに行きました。♠●〈休日を過ごす〉今日はみんなが来てくれたおかげで、楽しい休日を過ごすことができました。♠●〈休日出勤〉仕事が忙しくて[いそがしくて]、今週も休日出勤をしなければならなくなりそうだ。 **きゅうしゅう【吸収】** ○内に吸い取ること。取り込んで自分のものとすること。[文例]〈栄養の吸収〉消化器官がじょうぶな人は、食物の栄養の吸収も早い。♠●〈水分を吸収する〉植物の根は、地中から栄養の溶け込んだ水分を吸収する。♠●〈音を吸収する〉ピアノの練習には、隣家迷惑[りんかめいわく]とならないように、音を吸収する設備を工夫する必要がある。♠〈文化を吸収する〉わが国は長い年月にわたって、諸外国の文化を吸収してきた。♠◆〈知識を吸収する〉読書をしたり、人の意見や考えをよく聞いたりして、どんどん新しい知識を吸収しましょう。 **きゅうしゅつ【救出】** ○救い出すこと。[文例]〈人質の救出〉警官が三人がかりで犯人を説得し続け、五時間後ようやく人質の救出に成功した。♠●〈救出する〉ヘリコプターが出動し、岩場に取り残された負傷者を空から救出した。♠〈救出作業〉事故現場は霧が濃いため、遭難者[そうなん]の救出作業は難航しています。 **きゅうしょ【急所】** ○体の中で、打撃を受けると命にかかわる部分。♠部にとらわれることなく、事態を巨視的につかむことも必要です。 <261> る部分。物事[ものごと]のかんじんなところ。[例]相手[あいて]の急所は避[さ]けるというのが、けんかのルールだぞ。♠へ急所をはずれる〉大丈夫だ、弾[たま]は急所をはずれている。♠へ急所をつく〉ことわざは、格言[かくげん]・金言[きんげん]のように固苦[かたくる]しくなく、ずばりと急所をついていてしかも面白い。♠へ急所をおさえる〉やたらにだらだらと長[なが]く書[か]くよりも、急所をおさえて簡潔[かんけつ]に書くことが大事[だいじ]だ。 **きゅうじょ【救助】** ○救[すく]い助[たす]けること。救い出すこと。[例] 〈救助が来[く]る>洞穴[ほらあな]に閉[と]じこめられたぼくたちは、やがて救助が来ると期待[きたい]していました。♠〈救助を待つくわれわれは吹雪[ふぶき]の中[なか]で道に迷[まよ]い、雪洞[せつどう]を掘[ほ]って、そのまま救助を待ちました。♠〈救助する〉〈人命救助〉川でおぼれた子供を救助したことで、警察[けいさつ]から人命救助の表彰[ひょうしょう]を受[う]けました。 **きゅうじょう【窮状】** ○非常[ひじょう]に苦[くる]しい状況[じょうきょう]。困[こま]っている状態[じょうたい]。苦境[くきょう]。[例]〈窮状を訴[うった]える〉院長[いんちょう]は県[けん]に病院の窮状を訴えたが、取[と]り合[あ]ってもらえなかった。♠へ窮状を見かねる>視察団[しさつだん]は被災者[ひさいしゃ]の窮状を見かねて、援助[えんじょ]を約束[やくそく]してくれました。 **きゅうじょうしょう【急上昇】** ○急速[きゅうそく]に上昇[じょうしょう]すること。突然上昇すること。[例]〈気温[きおん]が急上昇する〉その日は朝[あさ]から気温が急上昇し、午前中[ごぜんちゅう]に既[すで]に三十度をこす暑[あつ]さとなった。♠〈円[えん]が急上昇する〉首相の発言[はつげん]を受[う]けて円は急上昇し、円高[えんだか]ドル安[やす]の傾向[けいこう]にますます拍車[はくしゃ]をかけた。♠〈人気急上昇〉このグループは、最近[さいきん]若者[わかもの]たちの間[あいだ]で人気急上昇だ。 **ぎゅうじ・る【牛耳る】** ○集団[しゅうだん]の中心[ちゅうしん]にいて、人々[ひとびと]を支配[しはい]・指図[さしず]する。牛耳[ぎゅうじ]をとる。[例]〈会を牛耳る〉この地域[ちいき]の町内会を牛耳るのは、不動産屋[ふどうさんや]のおやじであった。♠社内を牛耳る>社長入院中[にゅういんちゅう]の社内を牛耳ったのは、社長室長[しつちょう]だ。 **きゅうしん 【急進】** ○物事[ものごと]を急激[きゅうげき]に進[すす]めること。急激な変革[へんかく]を目指すこと。[例]〈急進的な考[かんが]え〉リーダーの急進的な考えについていけず、会を脱退[だったい]する者も多かった。♠へ急進主義>現状[げんじょう]を踏[ふ]まえない急進主義は、必[かなら]ず挫折[ざせつ]することになる。♠〈急進派>彼は党内[とうない]でも急進派に属[ぞく]する若手代議士[わかてだいぎし]で、それだけに反発[はんぱつ]されることも多い。 **きゅう・する【窮する】** ○行[い]き詰[づま]る。困[こま]りはてる。[例] 〈返事に窮する>幼[おさな]い子に父親の帰[かえ]らないわけをきかれ、返事に窮した。♠へ生活に窮する>生活に窮したわけでもないのに、少女たちは盗[ぬす]みをはたらきつづけた。♠へ窮[きゅう]すれば通[つう]ず〉窮すれば通ずで、最後[さいご]の土壇場[どたんぱ]で名案[めいあん]が浮[う]かんだ。 **きゅうせい 【急性】** ○症状[しょうじょう]が突然[とつぜん]あらわれ、急激[きゅうげき]な進行[しんこう]を示[しめ]す病気[びょうき]の性質[せいしつ]。[例]〈急性の中毒症状〉運[はこ]ばれてきた時、患者[かんじゃ]は、明[あき]らかに急性の中毒症状を示していた。♠〈急性[きゅうせい]と慢性[まんせい]>急性期に適切[てきせつ]な治療[ちりょう]を施[ほどこ]さないと、多[おお]くは慢性に移行[いこう]し、治[なお]りにくくなる。 **きゅうせん【休戦】** ○一時的[いちじてき]に戦闘[せんとう]や争[あらそ]いを中止[ちゅうし]すること。[例] <休戦する〉戦[いくさ]に明[あ]け暮[く]れる両国[りょうこく]だが、クリスマスには休戦する協定[きょうてい]ができていた。 **きゅうせんぽう(急先鋒)** ○闘争[とうそう]や活動[かつどう]の先頭[せんとう]に立[た]って勢[いきお]いよく進[すす]むこと。また、その人。[例]〈急先鋒に立つ>彼は自然保護運動[しぜんほごうんどう]のリーダーとして、林道建設反対[りんどうけんせつはんたい]の急先鋒に立った。♠〈批判[ひはん]の急先鋒>氏[し]は政府批判の急先鋒として、激[はげ]しい論陣[ろんじん]を張[は]った。 **きゅうぞう 【急増】** ○急激[きゅうげき]に増加[ぞうか]すること。[例]〈人口の急増〉大都市近郊[だいとしきんこう]の市町村では、おしなべて人口の急増現象[げんしょう]が見[み]られた。♠へ急増する〉当市[とうし]は、転入者[てんにゅうしゃ]の増加により学童数[がくどうすう]が急増しており、校舎建設[こうしゃけんせつ]が追[お]いつきません。 **きゅうぞう【急造】** ○急[いそ]いでつくること。急[きゅう]ごしらえ。[例] 〈急造のチーム〉うちの町内[ちょうない]も朝起[あさお]き野球大会に出場[しゅつじょう]することに決[き]まり、町内の若[わか]いもんを集[あつ]めて急造のチームが結成[けっせい]された。 **きゅうそく【急速】** ○進行[しんこう]が非常[ひじょう]に速[はや]いさま。[例]辺[あた]りが急速に暗[くら]くなって、家々[いえいえ]に灯[ひ]がともる。♠このことがあって以来[いらい]、二人は急速に親[した]しくなっていった。♠へ急速な進歩>戦後[せんご]、日本経済は急速な進歩を遂[と]げたが、自然破壊[しぜんはかい]もまた進んだのである。 **きゅうそく【休息】** ○身心[しんしん]を休[やす]めること。休憩[きゅうけい]。[例] 〈休息をとる〉あなたはこのごろ働[はたら]き過[す]ぎだから、ゆっくり休息をとらなくてはいけない。♠〈休息する〉父[ちち]の一生[いっしょう]は働[はたら]きづめでしたが、これでようやく永遠[えいえん]に休息することができるわけです。 **きゅうだい 【及第】** ○試験や審査[しんさ]で合格[ごうかく]すること。[例] 〈及第する>試験にも及第したし、これで胸[むね]を張[は]って田舎[いなか]へ帰[かえ]れます。♠へ〜として及第〉夫[おっと]や家族を幸福な気分[きぶん]にさせてくれるのですから、主婦[しゅふ]として及第です。♠へ及第点〉こんな教科書の丸写[まるうつ]しのようなレポートでは、及第点をつけ るわけにはいかないよ。 **きゅうたいいぜん【旧態依然】** ○古[ふる]い状態[じょうたい]のままで変[か]わらないさま。少[すこ]しも進歩発展[しんぽはってん]がないさま。[例]〈旧態依然として〉世の中が刻々[こっこく]と変化[へんか]していく中で、この村の暮[く]らしだけは旧態依然として変わらない。♠旧態依然たるやり方〉先端企業[せんたんきぎょう]の中[なか]で、いまだにそんな旧態依然たるやり方がまかり通[とお]っているとは驚[おどろ]きだ。 **きゅうだん【糾弾】(糺弾)** ○厳[きび]しくただし、とがめること。強い態度[たいど]で非難[ひなん]すること。[例]〈糾弾する〉ぼくたちは、会議の席上[せきじょう]でキャプテンや上級生[じょうきゅうせい]の無責任[むせきにん]を糾弾していくつもりだ。♠へ糾弾する〉野党[やとう]は国会[こっかい]で、この問題に関する政府の態度を厳しく糾弾した。 **きゅうち【旧知】** ○古[ふる]くからの知[し]り合[あ]い。[例]〈旧知の間柄[あいだがら]>きみとぼくとは旧知の間柄だもの、お互[たが]い何でも話[はな]し合[あ]えるよね。♠ヘ旧知のよしみ〉折[お]り入[い]って頼[たの]みたいことがあるのだが、ひとつ旧知のよしみで引[ひ]き受[う]けてもらえないかね。 **きゅうち【窮地】** ○非常[ひじょう]に苦[くる]しい立場[たちば]。[例]〈窮地に陥[おちい]る〉事業に失敗[しっぱい]して窮地に陥った時、わたしを助[たす]けてくれたのはあなたでした。♠〈窮地に陥[おとしい]れる〉彼はライバルを窮地に陥れるため、陰[かげ]で画策[かくさく]をしていたようだ。♠〈窮地に立つ〉もう後[あと]に引[ひ]けない、絶体絶命[ぜったいぜつめい]の窮地に立たされた時、ぱっと脳裏[のうり]にひらめくものがあった。 **きゅうてい【宮廷】** ○国王[こくおう]や皇帝[こうてい]の住[す]む御殿[ごてん]。宮中[きゅうちゅう]。また、そ <262> こに繰[く]り広[ひろ]げられる上流階級[じょうりゅうかいきゅう]の社交[しゃこう]・交渉[こうしょう]。[例]清少納言[せいしょうなごん]は、一条天皇[いちじょうてんのう]の皇后定子[こうごうていし]に仕[つか]え、約[やく]十年間宮廷での生活を送[おく]った。♠万葉集[まんようしゅう]の代表的歌人[だいひょうてきかじん]である柿本人麻呂[かきのもとのひとまろ]は、持統[じとう]・文武[もんむ]両天皇に仕えた大和時代[やまとじだい]の宮廷歌人である。 **きゅうてき(仇敵)** ○かたき。あだ。[例]〈年来[ねんらい]の仇敵>年来の仇敵をついに倒[たお]した時、武将[ぶしょう]は精[せい]も根[こん]も尽[つ]き果[は]てたのだった。♠へ仇敵を討[う]つ〉憎[にく]い仇敵を討つために、彼はひそかに計画を練[ね]り、都[みやこ]へ旅立[たびだ]った。 **きゅうてん【急転】** ○急激[きゅうげき]に転回[てんかい]すること。急速[きゅうそく]な変化[へんか]。[例]〈急転する〉ヒトラーがついに首相[しゅしょう]の地位[ちい]に着[つ]くに及[およ]んで、ユダヤ人の運命[うんめい]は急転するのである。♠へ事態[じたい]が急転する〉騒動[そうどう]が起[お]こるや否[いな]や、事態は急転し、ついに軍隊[ぐんたい]が出動してきた。♠へ急転直下[きゅうてんちょっか]>名探偵[めいたんてい]の登場で、事件は急転直下解決[かいけつ]へ向[む]かっていった。 **きゅうでん【宮殿】** ○国王[こくおう]や皇帝[こうてい]の住[す]む御殿[ごてん]。[例]ヘベルサイユ宮殿〉ルイ十四世[じゅうよんせい]の居城[きょじょう]として建築[けんちく]されたのがベルサイユ宮殿です。♠<宮殿建築〉グラナダの町[まち]を一望[いちぼう]に見下[みお]ろす丘[おか]に位置[いち]するアルハンブラは、中世[ちゅうせい]イスラムの代表的な宮殿建築です。 **きゅうてんちょっか【急転直下】** ○事態[じたい]が急速[きゅうそく]な展開[てんかい]をみせて解決[かいけつ]すること。[例]翼[つばさ]は太陽[たいよう]の熱[ねつ]に溶[と]かされて、哀[あわ]れにもイカロスは、急転直下地中海[ちちゅうかい]の一隅[いちぐう]に墜落[ついらく]して死[し]ぬ。♠目撃者[もくげきしゃ]が現[あらわ]れたことにより、事件は急転直下解決に向かった。 **ぎゅうにゅう【牛乳】** ○牛[うし]の乳[ちち]。ミルク。[例]へしぼりたての牛乳>牧場[ぼくじょう]で飲[の]んだしぼりたての牛乳のおいしさは、格別[かくべつ]でした。♠牛乳配達>寝床[ねどこ]の中[なか]で耳[みみ]をすましていると、牛乳配達のバイクの音[おと]が聞[き]こえる。 **きゅうば【急場】** ○差[さ]し迫[せま]った事態[じたい]・場面[ばめん]。[例]〈急場をしのぐ〉とりあえず借金[しゃっきん]をして急場をしのいだが、これから先[さき]、一体[いったい]どうすればいいのだろう。♠〈急場の間[ま]に合[あ]う〉これだけあれば、何[なん]とか急場の間には合うだろう。♠へ急場の役に立[た]つ〉こんなはした金[がね]でも、急場の役に立つようでしたらお持[も]ちください。 **ぎゅうば【牛馬】** ○(労役[ろうえき]に使[つか]う)牛と馬。[例]山[やま]の広[ひろ]い牧場では、放牧[ほうぼく]された牛馬がのんびりと草[くさ]をはんでいた。♠〈牛馬のよう〉白[しろ]い人間が黒[くろ]い人間をむち打[う]ち、牛馬のように使役[しえき]する姿[すがた]に、わたしは激[はげ]しい怒[いか]りを覚[おぼ]えた。 **きゅうはく【窮迫】** ○困難[こんなん]な事態に追[お]い詰[つ]められること。極端[きょくたん]な貧困[ひんこん]に陥[おちい]ること。[例]〈窮迫する>失業後何か月[しつぎょうご なんかげつ]かは蓄[たくわ]えがあったからよかったが、その後の生活はだんだん窮迫していった。♠〈窮迫の度〉一家[いっか]の大黒柱[だいこくばしら]を失[うしな]い、暮らしは徐々[じょじょ]に窮迫の度を増[ま]していった。 **きゅうピッチ【急ピッチ】** ○進行[しんこう]の速度[そくど]が速[はや]いさま。[例] 〈準備が急ピッチ〉十一月[じゅういちがつ]に入[はい]ると、全校[ぜんこう]をあげて文化祭[ぶんかさい]の準備が急ピッチで進[すす]められた。♠へ急ピッチで進[すす]む〉オリンピック開催[かいさい]をひかえて、競技施設[きょうぎしせつ]や道路の建設[けんせつ]が急ピッチで進んでいる。 **きゅうびょう【急病】** ○突然[とつぜん]の病気[びょうき]。急[きゅう]なやまい。[例]出演者が急病のため、公演は中止[ちゅうし]となりました。♠へ急病の患者>昨夜[さくや]も急病の患者が一人[ひとり]、救急車で運[はこ]び込[こ]まれて来[き]た。 **きゅうふ【給付】** ○団体[だんたい]・機関[きかん]などが金品[きんぴん]を与[あた]えること。支給[しきゅう]・交付[こうふ]すること。[例]〈給付を受[う]ける〉この団体は、政府から補助金[ほじょきん]の給付を受けています。♠〈給付金〉次[つぎ]の条件[じょうけん]に該当[がいとう]する方[かた]は、給付金を受けられますので、担当窓口[たんとうまどぐち]へ申[もう]し出[で]てください。 **きゅうぶん【旧聞】** ○以前[いぜん]に聞[き]いた話[はなし]。耳新[みみあたら]しくないこと。[例]〈旧聞に属[ぞく]する>都[みやこ]に地震[じしん]や火事[かじ]、辻風[つじかぜ]などが続[つづ]いたというのは旧聞に属するが、実際[じっさい]に見[み]た者[もの]の言[げん]によればそのさびれ方[かた]は一通[ひととお]りでないという。 **きゅうへい 【旧弊】** ○古[ふる]くからの(改善[かいぜん]すべき)しきたり。昔からの弊害[へいがい]。古くからのしきたりや考[かんが]え方にとらわれるさま。[例]〈旧弊を改[あらた]める〉村[むら]に若[わか]い者[もの]を呼[よ]び戻[もど]すには、これまでの旧弊を改め、魅力[みりょく]ある村作[むらづく]りを行[おこな]う必要がある。♠〈旧弊な考え〉あなたがた年寄[としより]りが旧弊な考えを改めない限[かぎ]り、若者[わかもの]は戻って来[き]ませんよ。 **きゅうへん【急変】** ○急[きゅう]に変[か]わること。急激[きゅうげき]な変化。[例] 〈情勢[じょうせい]の急変〉政情[せいじょう]が不安定[ふあんてい]な国に出かけるのですから、情勢の急変は覚悟[かくご]のうえです。♠へ急変する>昨夜[ゆうべ]、容態[ようだ]いが急変し、父は家族に見[み]とられながら帰[かえ]らぬ人となった。 **ぎゅうほ【牛歩】** ○牛[うし]のようにのろい歩[あゆ]み。進行[しんこう]が遅[おそ]いこと。[例]多数決[たすうけつ]ではなく全員一致[ぜんいんいっち]を原則[げんそく]とすれば、ものごとの進行は牛歩をまぬがれないが、しかし人々[ひとびと]の間[あいだ]に信頼関係[しんらいかんけい]が崩[くず]れることはない。♠〈牛歩戦術>野党[やとう]が議場[ぎじょう]で牛歩戦術をとって審議[しんぎ]の引[ひ]き延[の]ばしを図[はか]るということがあります。 **きゅうぼう【窮乏】** ○生活費[せいかつひ]や食糧[しょくりょう]が不足[ふそく]して困[こま]ること。ひどく貧[まず]しいこと。[例]〈窮乏する>生活が窮乏すると、わたしたちは人間としての誇[ほこ]りすら失[うしな]うことがあります。♠〈窮乏生活>戦争中は、物資[ぶっし]も食糧も不足し、今では考えられないほどの窮乏生活を強[し]いられた。 **きゅうみん【休眠】** ○動植物[どうしょくぶつ]が、ある期間成長[きかんせいちょう]や活動を休[やす]むこと。活動を一時停止[いちじていし]すること。[例]〈休眠から覚[さ]める〉冬の間は枯[か]れてしまったように見[み]えるアジサイも、春になると休眠から覚め、芽吹[めぶ]き始[はじ]めます。♠〈休眠状態>労使間[ろうしかん]の紛争[ふんそう]がこじれたまま収拾[しゅうしゅう]がつかず、工場は現在[げんざい]休眠状態にある。 **きゅうむ【急務】** ○急[きゅう]を要[よう]する務[つと]め。[例]〈当面[とうめん]の急務〉当面の急務は、流[なが]された橋[はし]を架[か]け直[なお]すことである。♠今は議論[ぎろん]している時ではない。具体的[ぐたいてき]な方策[ほうさく]を打[う]ち出[だ]すことが急務である。 **きゅうめい【究明】** ○追究[ついきゅう]して明[あき]らかにすること。[例] 〈原因の究明〉あれだけの大事故[だいじこ]だったにもかかわらず、原因の究明はいまだ行[おこな]われていない。♠〈究明する〉国民の政治不信[せいじふしん]を取[と]り除[のぞ]くために、一日[いちにち]も早[はや]く真相[しんそう]を究明する必要がある。 **きゅうめい【糾明】(糺明)** ○問[と]いただして明[あき]らかにすること。[例]〈責任の糾明〉今回[こんかい]の事件の責任の糾明は、同[おな]じ過[あやま]ちを繰[く]り返[かえ]さないためにもぜひ必要だ。♠〈糾明する>法 <263> 廷[ほうてい]では、検事[けんじ]が被告[ひこく]の罪状[ざいじょう]を鋭[するど]く糾明した。 **きゅうめい【救命】** ○生命[せいめい]を救[すく]うこと。[例]〈救命ボート〉浸水[しんすい]し始[はじ]めた船[ふね]から、次々[つぎつぎ]に救命ボートが下[お]ろされた。♠〈救命胴衣[どうい]>非常事態[ひじょうじたい]を告[つ]げるアナウンスで、乗客[じょうきゃく]はいっせいに救命胴衣を身[み]に着[つ]け始[はじ]めた。 **きゅうゆう【級友】** ○同[おな]じクラスの仲間[なかま]。[例]突然[とつぜん]の指名[しめい]に驚[おどろ]いて立[た]ち上[あ]がると、級友たちの爆笑[ばくしょう]が起[お]こった。♠進級[しんきゅう]を前[まえ]にして町[まち]の学校への転校[てんこう]は、十八人の級友とのつらい別[わか]れだったのです。 **きゅうゆう【旧友】** ○古[ふる]くからの友人[ゆうじん]。昔[むかし]の友人。[例]〈学校時代の旧友>事件のおかげで、思[おも]いもかけず、小学校時代の旧友と再会[さいかい]することができた。♠旧友とはありがたいものだ。何十年ぶりでも、すぐに昔に返[かえ]ってうちとけられる。 **きゅうよ【給与】** ○金銭[きんせん]や物品[ぶっぴん]を割[わ]り当[あ]てて与[あた]えること。給料[きゅうりょう]。[例]〈給与する工場では、制服が給与された。♠へ給与所得[しょとく]>サラリーマンなど給与所得者の所得税[しょとくぜい]は、源泉徴収[げんせんちょうしゅう]といって天引[てんび]きされます。 **きゅうよ 【窮余】** ○困[こま]ったあげく。苦[くる]しまぎれ。[例]<窮余の一策[いっさく]>資金に困ったわたしは、窮余の一策として金貸[かねか]しから金[かね]を借[か]りることにした。 **きゅうよう【休養】** ○身心[しんしん]を休[やす]め、英気[えいき]を養[やしな]うこと。[例] <労働[ろうどう]と休養>労働のあとの休養は、明日[あす]への活力[かつりょく]を養うために必要です。♠〈休養をとる〉仕事が一段落[いちだんらく]したら、温泉[おんせん]にでも行[い]ってのんびりと休養をとりたいものだ。♠へ休養する〉ゆっくりと休養し、栄養をとるようにすれば、じき回復[かいふく]するだろう。 **きゅうよう【急用】** ○急[いそ]ぎの用事[ようじ]。[例]〈急用ができる〉急用ができたので、悪[わる]いが、ぼくは先[さき]に帰[かえ]るよ。♠へ急用がある>急用があったのなら、遠慮[えんりょ]せずに電話してくれればよかったのに。 **きゅうらい 【旧来】** ○昔[むかし]から続[つづ]いていること。古くから。[例]〈旧来の風習[ふうしゅう]>村の婚礼[こんれい]は、旧来の風習にのっとって行われる。♠旧来この村では、旧盆[きゅうぼん]には水神様[すいじんさま]の祭[まつ]りが行われている。 **きゅうりゅう【急流】** ○速[はや]い水[みず]の流[なが]れ。流れの速い川。[例] 急流に運[はこ]ばれた石は、川下[かわしも]に向[む]かうにつれだんだん丸[まる]みを帯[お]びてきます。♠放水路[ほうすいろ]の水門[すいもん]を開[あ]けると同時[どうじ]に、水は急流となって下[くだ]っていった。♠おぼれかけた子供を助[たす]けるために、青年は渦巻[うずま]く急流に身を投[とう]じた。 **きゅうりょう【給料】** ○労働[ろうどう]の報酬[ほうしゅう]として受[う]け取[と]る金銭[きんせん]。給金[きゅうきん]。サラリー-。[例] 〈給料がいい〉大企業だからといって、給料がいいとは限[かぎ]りません。♠へ給料が上[あ]がる〉四月[しがつ]になると、ほんのわずかですが給料が上がります。♠へ給料を払[はら]う〉経営者[けいえいしゃ]は、従業員[じゅうぎょういん]に労働の対価[たいか]として給料を払わなければならない。♠〈給料日〉今日[きょう]は給料日なので、すきやきにしよう。 **きゅうりょう【丘陵】** ○なだらかな低[ひく]い山地[さんち]。丘[おか]。[例]へなだらかな丘陵〉この辺[あた]りは、海岸線[かいがんせん]に沿[そ]ってなだらかな丘陵がどこまでも続[つづ]いています。♠へ丘陵地帯>郊外[こうがい]の丘陵地帯の丘を削[けず]り、沼[ぬま]や沢[さわ]を埋[う]めて、宅地[たくち]は次々と造[つく]られている。 **きゅうれき【旧暦】** ○太陽暦[たいようれき](新暦[しんれき])に対[たい]して月[つき]の運行[うんこう]を基[もと]にして作[つく]った太陰暦[たいいんれき]。[例]旧暦の正月[しょうがつ]といえば、今[いま]の暦[こよみ]では二月初旬[にがつしょじゅん]の立春[りっしゅん]のころか、二月中旬[ちゅうじゅん]になることもあり、正[まさ]に新春[しんしゅん]であり初春[しょしゅん]であった。 **きょ【居】** ○住[す]む家[いえ]。住まい。住居[じゅうきょ]。[例]〈居を構[かま]える友人[ゆうじん]は六甲山中[ろっこうさんちゅう]に居を構えて、優雅[ゆうが]に暮[く]らしている。♠へ居を移[うつ]す〉中国古代の思想家孟子[もうし]の母は、わが子の教育のために、三度、居を移したという。♠へ居を定[さだ]める〉一家[いっか]がこの原野[げんや]に居を定めた時、つがいのツルが庭[にわ]に舞[ま]い降[お]りた。 **きょ【挙】** ○事[こと]を起[お]こすこと。くわだてること。行動[こうどう]。ふるまい。[例]〈反撃[はんげき]の挙に出[で]る〉味方[みかた]の軍勢[ぐんぜい]が反撃の挙に出たのは、それから十日後[とおかご]のことだった。♠〈造反[ぞうはん]の挙に出る〉信頼[しんらい]しきっていた部下[ぶか]が造反の挙に出るとは思[おも]ってもみなかった。 **きょ【虚】** ○中身[なかみ]がないこと。からっぽなこと。油断[ゆだん]していること。うそ、いつわりであること。[例] 〈虚をつく〉ツーストライク後[ご]、相手の虚をついてスクイズを敢行[かんこう]した。♠<虚に乗[じょう]じる〉一瞬[いっしゅん]の虚に乗じ、捨[す]て身[み]の投[な]げ技[わざ]を打[う]った。♠〈虚と実>妄想[もうそう]の世界に浸[ひた]っていたために、虚と実、夢[ゆめ]と現実[げんじつ]の区別[くべつ]がつかなくなっていたのだ。 **きよ【寄与】** ○他[ほか]に利益[りえき]を与[あた]えること。貢献[こうけん]。[例]〈寄与する〉まず自分の幸福を考[かんが]えなさい。次[つぎ]に、少[すこ]しでもこの社会に寄与する方法を考えなさい。♠へ多大[たたい]の寄与〉〈寄与をする>老医師[ろういし]は、地域住民[ちいきじゅうみん]の健康増進[けんこうぞうしん]に多大の寄与をしたとして表彰[ひょうしょう]された。 **きよ・い 【清い】(浄い)** ○きれいで濁[にご]りがない。澄[す]んでくもりがない。汚[けが]れがない。純粋[じゅんすい]だ。[例]〈水が清い>谷川[たにがわ]の水は清く透[す]き通[とお]っていて、谷底[たにぞこ]の石まではっきりと見[み]ることができた。♠〈清い心>信念[しんねん]にもとづいて生[い]きてゆくには、真[まこと]の勇気[ゆうき]と清い心が必要[ひつよう]だ。♠〈清い仲[なか]>ぼくと彼女とは、手[て]を握[にぎ]ったこともないような清い仲だったのさ。♠〈清き一票[いっぴょう]>有権者[ゆうけんしゃ]の皆様、このわたしに清き一票をお願いいたします。 **きょう【今日】** ○この日。ほんじつ。↓こんにち[例]〈来週[らいしゅう]の今日>来週の今日がわたしの誕生日[たんじょうび]です。♠昨日[きのう]の今日>昨日[きのう]の今日なのに、もう約束[やくそく]を忘[わす]れるなんて。♠今日できることは明日[あす]に延[の]ばすな。♠言[い]うまいと思[おも]えど今日[きょう]の暑[あつ]さかな(川柳[せんりゅう]) **きょう【経】** ○仏[ほとけ]の教[おし]えを説[と]いた文章・書物[しょもつ]。[例]〈経をあげる〉祖父[そふ]の一周忌[いっしゅうき]には、お坊[ぼう]さんを頼[たの]んで経をあげてもらった。♠〈経を読む>門前[もんぜん]の小僧[こぞう]習[なら]わぬ経を読む、というけれど、英会話学校[えいかいわがっこう]の事務[じむ]をやってるうちに、少[すこ]し英語ができるようになったわ。 **きょう【境】** ○ある範囲[はんい]・場所[ばしょ]。心[こころ]の状態[じょうたい]。心境[しんきょう]。境地[きょうち]。境遇[きょうぐう]。[例] <悟[さと]りの境〉お釈迦[しゃか]さまは、菩提樹[ぼだいじゅ]の下[した]で悟りの境に達[たっ]したといいます。♠〈無我[むが]の境〉修行者[しゅぎょうしゃ]たちは、冷[つめ]たい滝[たき]に打[う]たれているうちに、無我の境に達するのです。♠無人の境〉「自由」とは、無人の境を自[みずか]らの意志[いし]と判断[はんだん]でひとり行[ゆ]くがごとく厳[きび]しいものである。 <264> **ぎょう【業】** ○つとめ。仕事[しごと]。生業[なりわい]。職業[しょくぎょう]。行為[こうい]。[例]〈業とする〉船[ふね]による人と物[もの]の輸送[ゆそう]を業とする家[いえ]を船宿[ふなやど]といった。♠〈サービス業〉駅前[えきまえ]で旅館をやっております。はい、サービス業ということになります。 **きょう【興】** ○おもしろみ。楽[たの]しみ。興味[きょうみ]。感興[かんきょう]。[例]〈興がわく>野山[のやま]を歩[ある]き、興がわけば俳句[はいく]をひねったりします。♠〈興が尽[つ]きない〉一日[いちにち]遊[あそ]んで興の尽きることのない京都[きょうと]の春[はる]です。♠へ興がさめる〉彼のつまらぬ長話[ながばなし]で、すっかり座[ざ]の興がさめてしまった。♠へ興が乗[の]る〉おとなしい男だったが、酒[さけ]を飲[の]んで興が乗れば、歌[うた]なども歌った。♠へ興に乗る〉一ゲームでやめるつもりが、興に乗って三ゲーームもやってしまった。♠へ興をそそる〉朔太郎[さくたろう]の詩[し]に興をそそられて、前橋[まえばし]の町[まち]を訪[おとず]れました。 **きょう【凶】** ○縁起[えんぎ]が悪[わる]いこと。運[うん]が悪いこと。不吉[ふきつ]なこと。わざわい。[例]〈吉[きち]と凶〉〈凶と出[で]る〉さて、このおみくじは吉と出るか、凶と出るか。 **きよう【器用】** ○手先[てさき]で物[もの]を扱[あつか]うのが巧[たく]みなさま。物事[ものごと]をてきぱきと処理[しょり]するさま。要領[ようりょう]よく立[た]ち回[まわ]るさま。[例]〈手先が器用>母は手先が器用で、子供たちの着[き]るものはほとんど母の手作[てづく]りだ。♠〈器用に使う〉アメリカから来日[らいにち]してわずか半年[はんとし]だが、彼[かれ]は、はしを器用に使いこなす。♠へ器用に立ち回る〉彼は、自分では器用に立ち回っているつもりらしいが、世間[せけん]の評判[ひょうばん]は悪[わる]い。♠〈器用に世渡[よわた]りする〉祖父[そふ]は、器用に世渡りして、一代[いちだい]で財産[ざいさん]を築[きず]いた。♠◇器用貧乏[びんぼう]>何でもできることがあだになって、何ひとつとして人[ひと]にぬきんでたものがなくて大成[たいせい]しない人のことを器用貧乏という。 **きよう【起用】** ○人を取[と]り立[た]てて、特別[とくべつ]な役割[やくわり]を与[あた]えること。[例]〈新人[しんじん]の起用〉話題[わだい]の大作映画[たいさくえいが]の主役[しゅやく]に、新人の起用が決[き]まった。♠へ起用する>彼を部長[ぶちょう]に起用するについては、異[い]を唱[とな]える者もいた。 **ぎょう(行)** ○文字などの並[なら]び。行書[ぎょうしょ]。仏道[ぶつどう]の修行[しゅぎょう]。[例]<行を改[あらた]める〉書[か]きことばでは、各段落[かくだんらく]の初[はじ]めは行を改めて、一字分[いちじぶん]を下[さ]げるのがふつうである。♠「言[い]う」と「言[い]ふ」のように、現代[げんだい]と古典[こてん]の仮名遣[かなづか]いの違[ちが]いで、動詞[どうし]の活用[かつよう]する行に違いのあるものもあります。♠〈行に励[はげ]む〉明日[あす]から山[やま]にこもり、行に励みます。♠〈無言[むごん]の行>男は、何[なに]をきかれても一切[いっさい]答[こた]えず、さながら無言の行である。 **ぎょうが(仰臥)** ○あおむけに横[よこ]たわること。[例] <仰臥する>老人[ろうじん]は、ベッドに仰臥したまま、じっと天井[てんじょう]を見[み]つめて **きょうあく【凶悪】(兇悪)** ○残忍[ざんにん]で非常[ひじょう]に悪[わる]いさま。[例] 〈凶悪な犯人>山中[さんちゅう]に逃[に]げ込[こ]んでいた凶悪な犯人がやっと捕[と]らえられたらしい。♠〈凶悪犯罪〉この事件は、史上[しじょう]まれにみる凶悪犯罪として記憶[きおく]に新[あたら]しい。 **きょうい【驚異】** ○驚[おどろ]き不思議[ふしぎ]に思うこと・もの。驚くほどすばらしいこと・もの。[例]〈驚異の目>長[なが]い髪[かみ]をすぱっと切[き]って登校[とうこう]した彼女を、級友[きゅうゆう]たちは驚異の目[め]で迎[むか]えた。♠〈驚異を感じる〉アゲハチョウが羽化[うか]する様子[ようす]は、何度見ても驚異を感じます。♠へ驚異に値[あたい]する〉再起不能[さいきふのう]と言われたけがにうちかって優勝[ゆうしょう]した彼の精神力[せいしんりょく]は、驚異に値する。♠〈驚異の的>戦後[せんご]の日本のめざましい復興[ふっこう]は、世界の人々の驚異の的[まと]であった。♠へ自然の驚異〉砂漠[さばく]に生[い]きる小動物たちの身[み]を守[まも]る行動は、自然の驚異というほかはない。♠〈驚異的〉カール・ルイスは、驚異的な強[つよ]さを発揮[はっき]して、オリンピック陸上競技[りくじょうきょうぎ]の四冠王[よんかんおう]となった。 **きょうい【脅威】** ○威圧[いあつ]し恐[おそ]れさせること。脅[おど]かすこと。[例]〈脅威を感じる〉味方[みかた]の投手[とうしゅ]の豪速球[ごうそっきゅう]は、敵[てき]の打者[だしゃ]に脅威を感じさせた。♠へ脅威にさらされる〉砂漠の調査隊[ちょうさたい]は、絶[た]えずさそりなどの毒虫[どくむし]に襲[おそ]われる脅威にさらされた。♠<脅威を与[あた]える〉動物園に飼[か]われていてさえ、虎[とら]の一声[ひとこえ]は、人間に十分脅威を与えるものだ。♠へ脅威となる〉隣国[りんごく]の軍備拡張[ぐんびかくちょう]は、わが国にとって脅威となりつつある。♠へ地震[じしん]の脅威〉いつやって来[く]るかわからない地震の脅威に備[そな]えて、日ごろから備えをしておく必要がある。 **きょういく【教育】** ○人[ひと]を教[おし]え育[そだ]てること。特[とく]に学校で生徒に教科[きょうか]の知識[ちしき]を授[さず]けること。[例]〈教育を受[う]ける〉地球上[ちきゅうじょう]には、まだ、全[まった]く教育を受ける機会[きかい]のない子供もあるそうだ。♠へ教育がある・ない〉へエー、教育のある人は、やっぱりよくものを知[し]ってるねえ。♠〈教育の在[あ]り方[かた]>戦後[せんご]四十年、今、日本の教育の在り方が見直[みなお]されようとしている。♠〈教育する〉孔子[こうし]は中国古代の思想家で、道徳[どうとく]によって世を治[おさ]めるのを理想[りそう]として、多[おお]くの弟子を教育した。 **きょうえつ【恐悦・恭悦】** ○つつしんで喜[よろこ]ぶこと。[例]〈恐悦する>早速[さっそく]にご返事[へんじ]をいただき、恐悦しております。♠〈恐悦至極[しごく]>ただいまは多大[たたい]なお褒[ほ]めのお言葉をいただき、恐悦至極に存[ぞん]じます。 **きょうえん【共演】** ○いっしょに出演[しゅつえん]すること。[例]へベテランと新人[しんじん]の共演〉ベテランと新人の共演が功[こう]を奏[そう]し、舞台[ぶたい]は大成功[だいせいこう]を収[おさ]めた。♠〈共演する〉これは、アラン・ドロンとミフネが共演したことで評判[ひょうばん]になった映画です。 **きょうえん【競演】** ○演技[えんぎ]を競[きそ]うこと。[例]二大女優[にだいじょゆう]の競演〉この映画では、今人気[いまにんき]の二大女優の競演が話題[わだい]になっている。 **きょうえん (饗宴)** ○客[きゃく]をもてなす盛大[せいだい]なうたげ。人々[ひとびと]を楽しませる盛大な催[もよお]し。[例]〈夏[なつ]の饗宴>隅田川[すみだがわ]の花火大会[はなびたいかい]は、夜空[よぞら]を彩[いろど]る夏の饗宴だ。 **きょうおう【供応】 (饗応)** ○客[きゃく]をもてなすこと。客に飲食[いんしょく]をふるまうこと。[例]〈供応を受ける〉今回[こんかい]の旅[たび]では、行[い]く先々[さきざき]でさまざまな供応を受けた。♠へ〈供応する〉食習慣[しょくしゅうかん]の異[こと]なる外国人のお客さんは、どのように供応したらよいのかむずかしい。 **きょうか【強化】** ○強[つよ]くすること。強めること。厳[きび]しくすること。[例]〈体力[たいりょく]の強化〉少[すこ]しずつ運動を心がけて、体力の強化に努[つと]めたい。♠〈取[と]り締[し]まりの強化〉飲酒運転[いんしゅうんてん]が増加[ぞうか]しているため、取り締まりの強化が望[のぞ]まれる。♠へ強化する〉みその中[なか]には、ビタミンAなどを強化したものがあります。 **きょうか【教化】** ○人[ひと]を教育[きょういく]し、よい方向[ほうこう]へ導[みちび]くこと。[例] 〈住民[じゅうみん]の教化〉本国[ほんごく]から派遣[はけん]された伝道師[でんどうし]は、植民地住民[しょくみんちじゅうみん]の教化に努[つと]めた。♠へ教化する〉島民[とうみん]の子女[しじょ]を教化する目的で島[しま]に学校が建[た]てられ、先生が送[おく]られてきた。 <265> ていた。♠仰臥[ぎょうが]の姿勢>死者[ししゃ]は胸[むね]に手[て]をおき、仰臥の姿勢をとっていた。 **きょうかい【教会】** ○キリスト教などの教団[きょうだん]。教義[きょうぎ]を伝[つた]えるための会堂[かいどう]。[例]母は熱心[ねっしん]なクリスチャンで、日曜日[にちようび]には必[かなら]ず教会に行[い]きます。♠信者[しんじゃ]であるわたしたちは、常[つね]に教会の決定[けってい]に従[したが]います。 **きょうかい【境界】** ○土地[とち]や領土[りょうど]の境目[さかいめ]。ある領域[りょういき]と他[ほか]の領域の境目。[例]〈家[いえ]の境界〉〈境界を定[さだ]める>長年[ながねん]のいさかいに終止符[しゅうしふ]を打[う]って、今回[こんかい]、両家[りょうけ]の間[あいだ]にきちんと境界を定めた。♠◇国[くに]と国の境界>諸国間[しょこくかん]に境界がなかったら、旅人[たびびと]も自由に自分の目的地[もくてきち]に行[い]けただろうに。♠へ科学と宗教の境界〉神[かみ]に対[たい]してどのような姿勢をとるかによって、科学と宗教の境界は明[あき]らかになる。♠へ境界線>この町はちょうどドイツ語地域[ちいき]とフランス語地域の境界線上にあります。 **きょうがい 【境涯】** ○人の身[み]の上[うえ]。境遇[きょうぐう]。[例]〈幸福な境涯>お金[かね]があるからといって、それだけでは幸福な境涯にあるとはいえません。♠〈貧[まず]しい境涯>彼は貧しい境涯にありながら、努力して多[おお]くの名曲[めいきょく]を残[のこ]した。 **ぎょうかい 【業界】** ○産業[さんぎょう]や実業[じつぎょう]の世界。同一業種[どういつぎょうしゅ]の世界。[例]〈業界のトップ〉わが社は、建設技術[けんせつぎじゅつ]のコンサルタント会社として、業界のトップを独走[どくそう]しています。♠ヘビール業界>梅雨明[つゆあ]けとともにビール業界は、増産態勢[ぞうさんたいせい]をとります。 **きょうがく【共学】** ○男子[だんし]と女子[じょし]が同[おな]じ学校で勉強すること。[例]高校が男子校だったから、大学はぜひ共学へ進[すす]みたい。♠男女共学〉この高校は、今は男女共学ですが、戦前[せんぜん]は女学校でした。 **きょうがく(驚愕)** ○非常[ひじょう]に驚[おどろ]くこと。[例]〈驚がくの色〉女の顔[かお]には、不意打[ふいう]ちにあったような驚がくの色が見[み]えた。♠〈驚がくする〉友人の突然[とつぜん]の死に非常に驚がくし、うろたえた。 **きょうかしょ【教科書】** ○生徒が教科[きょうか]を勉強するための本。[例]教科書に書[か]かれていることを丸暗記[まるあんき]するだけでは、本当の勉強とは言えまい。♠今日[きょう]は教科書を忘[わす]れて失敗[しっぱい]したなあ。 **きょうかん【共感】** ○他人[たにん]の考[かんが]えに対[たい]して、心からその通[とお]りだと思うこと。また、その気持[きもち]。[例]〈共感を呼[よ]ぶ〉この詩[し]には、読者[どくしゃ]の共感を呼ぶような作者の目[め]と心[こころ]がある。♠〈共感をさそう〉物語[ものがたり]は、冷酷[れいこく]な周囲と戦[たたか]う主人公[しゅじんこう]の孤独[こどく]な心をえがきだして、共感をさそう。♠〈共感を覚[おぼ]える〉故郷[こきょう]を去[さ]る主人公の複雑[ふくざつ]な心情[しんじょう]に、わたしは共感を覚えた。♠〈共感を得[え]る>彼[かれ]の提案[ていあん]は、さいわい、多[おお]くの級友[きゅうゆう]の共感を得ることができた。♠〈共感を寄[よ]せる〉自然を守[まも]ろうという呼[よ]びかけに、多くの人々[ひとびと]が共感を寄せてきた。♠へ共感をもつ〉あなたの生[い]き方[かた]に対[たい]して、わたしは、以前[いぜん]から共感をもっておりました。♠〈共感する〉部[ぶ]の存続[そんぞく]の危機[きき]を訴[うった]える部長[ぶちょう]の言葉に、ぼくは強[つよ]く共感した。 **きょうかん【叫喚】** ○大声[おおごえ]でわめき叫[さけ]ぶこと。[例]<叫喚の声>これを見[み]るものの耳[みみ]の底[そこ]には、自然[しぜん]と物凄[ものすご]い叫喚の声が伝[つた]わって来[く]るかと疑[うたが]うほど、入神[にゅうしん]の出来映[できば]えでございました。(芥川龍之介[あくたがわりゅうのすけ]「地獄変[じごくへん]」)♠<叫喚地獄>悪行[あくぎょう]の報[むく]いで叫喚地獄に落[お]ちた亡者[もうじゃ]は、苦[くる]しみにわめき叫ぶという。♠〈阿鼻[あび]叫喚>事故現場[じこげんば]は、さながら阿鼻叫喚の地獄絵[じごくえ]であった。 **ぎょうかん【行間】** ○文章の行[ぎょう]と行の間[あいだ]。言葉の表面[ひょうめん]には表[あらわ]れていない内容[ないよう]。[例]〈行間を詰[つ]める。空[あ]ける〉行間が詰まりすぎると読[よ]みづらいので、もう少し空けるようにしてください。♠へ行間ににじむ〉文面[ぶんめん]には表れていなくとも、書[か]き手[て]の真情[しんじょう]が行間ににじんでいるような手紙であった。♠〈行間を読む>裏[うら]に隠[かく]された作者の本当の気持[きも]ちを読[よ]み取[と]ることこそ、行間を読むということなのだ。 **きょうき【凶器】 (兇器)** ○人を殺傷[さっしょう]するために用[もち]いられる器具[きぐ]。[例]殺人現場[さつじんげんば]の近[ちか]くで凶器が見[み]つかった。♠言葉も使[つか]い方[かた]によっては相手を傷[きず]つける凶器となる。♠〈走[はし]る凶器〉文明の利器[りき]である車も、運転しだいでいくらでも走る凶器となりうる。 **きょうき【狂気】** ○狂[くる]うこと。精神[せいしん]が異常[いじょう]な状態[じょうたい]に陥[おちい]ること。[例]〈狂気のさた〉このひどいしけの海[うみ]に船[ふね]を出すなんて、狂気の沙汰[さた]だ。♠<狂気の世界>芸術家[げいじゅつか]の心の中は、わたしたちにとっては狂気の世界に見えることがある。 **きょうき【狂喜】** ○狂[くる]ったように喜[よろこ]ぶこと。[例]〈狂喜する>予選通過[よせんつうか]の知[し]らせに、関係者[かんけいしゃ]全員[ぜんいん]が狂喜した。♠人狂喜乱舞[らんぶ]>あんなに努力して成功[せいこう]したのですから、狂喜乱舞するのももっともです。 **きょうぎ【競技】** ○技[わざ]の優劣[ゆうれつ]を競[きそ]うこと。勝敗[しょうはい]・記録[きろく]を競う試合[しあい]。[例]〈競技する>雪の上で競技する種目[しゅもく]といって、まず思[おも]い浮[う]かぶのはスキーだ。♠<競技会>趣味[しゅみ]がこうじて、地区[ちく]の競技会に参加[さんか]するまでになった。♠へ陸上競技>陸上競技の花[はな]であるマラソンは、日本では大変人気[たいへんにんき]があります。 **きょうぎ【協議】** ○話[はな]し合[あ]って決[き]めること。また、その話し合い。[例]〈協議する〉双方[そうぼう]で協議した結果[けっか]、費用[ひよう]は折半[せっぱん]することで合意[ごうい]した。♠〈協議離婚>時間がかかったが、やっと協議離婚が成立[せいりつ]した。 **きょうぎ【教義】** ○宗教上[しゅうきょうじょう]の教[おし]えの体系[たいけい]。教団[きょうだん]の教え。教理[きょうり]。[例]〈キリスト教の教義〉アウグスティヌスは、キリスト教の教義を確立[かくりつ]した人物として有名である。♠へ教義を説く<>日曜学校では、神父様[しんぷさま]がやさしく教義を説いてくれました。 **ぎょうぎ【行儀】** ○日常生活[にちじょうせいかつ]の礼儀作法[れいぎさほう]。たちいふるまいの作法。[例]〈行儀が良[よ]い・悪[わる]い〉人が話[はな]しているのにあくびをするのでは、行儀の良い子[こ]とはいえません。♠へ行儀を身につける〉母がわたしにお花[はな]を習[なら]わせたのは、行儀を身につけさせるためらしい。♠〈行儀を良[よ]くする〉他人[たにん]の家[いえ]に行[い]って笑[わら]われないように、ふだんから行儀を良くしておきなさい。♠〈行儀作法〉わたしは、母から厳[きび]しく行儀作法を教[おし]えられました。♠〈他人行儀>ぼくたちは親[した]しい間[あいだ]がらなのだから、どうかそのような他人行儀はやめてください。 **きょうきゅう【供給】** ○必要[ひつよう]なものをを提供[ていきょう]すること。商品[しょうひん]を市場[しじょう]に出[だ]すこと。→需要[じゅよう][例]<需要と供給>自由市場[じゆうしじょう]の下 <266> では、需要[じゅよう]と供給[きょうきゅう]の関係によって価格が変動[へんどう]します。♠へ供給する〉電気を供給するのは、電力会社の役目[やくめ]です。♠へ供給源>川は、飲[の]み水[みず]をはじめ生活に必要な水の供給源であった。 **ぎょうぎょうし・い【仰仰しい】** ○おおげさだ。もったいぶっている。[例]<仰々しく〜する〉たいしたけがではないといっても、それだけ仰々しく包帯[ほうたい]を巻[ま]いてあれば、だれだって驚[おどろ]く。♠へ物言[ものい]いが仰々しい〉あの人の物言いは仰々しいから、どんなおおごとかと驚いてしまう。 **きょうきん【胸襟】** ○(胸[むね]と襟[えり]の意[い]から)心[こころ]のうち。[例] 〈胸襟を開[ひら]く〉初[はじ]めはわだかまりのあったわたしたちも、ある時から打[う]ちとけ、胸襟を開いて心の中を見せ合[あ]うようになっていた。 **きょうぐう【境遇】** ○人[ひと]が置[お]かれた環境[かんきょう]や運命[うんめい]。身[み]の上[うえ]。[例]〈恵[めぐ]まれた境遇〉〈境遇にある〉健康な体、賢明[けんめい]な友人、優しい両親[りょうしん]を持[も]つわたしは、本当に恵まれた境遇にあると思う。♠へつらい境遇>どんなにつらい境遇にあっても、彼女はぐち一つこぼさず働[はたら]き続[つづ]けた。♠へ貧[まず]しい境遇>両親を失[うしな]い、祖父[そふ]の手[て]で育[そだ]てられたノリオは、貧しい境遇にも負[ま]けず、明[あか]るく素直[すなお]な少年であった。♠へ〜の境遇に置[お]かれる〉交通戦争[こうつうせんそう]の激化[げきか]によって、一瞬[いっしゅん]にして孤児[こじ]の境遇に置かれる子供たちもいる。♠へ〜の境遇に甘[あまん]じる〉将来[しょうらい]に夢[ゆめ]を抱[いだ]いている彼は、いつまでも下積[したづ]みの境gäbeに甘んじているつもりはなかった。 **きょうくん【教訓】** ○教[おし]えさとすこと。また、その教え。[例]〈大[おお]きな教訓〉〈教訓を与[あた]える>災害[さいがい]は、常[つね]に人間に大きな教訓を与えてきた。♠へ貴重[きちょう]な教訓〉〈教訓を得[え]る>先生のユーモアを交[まじ]えた体験談[たいけんだん]から、わたしは、貴重な教訓を得た。♠へ教訓を受[う]ける〉人との語[かた]り合[あ]いの中[なか]から、本[ほん]からは得られない教訓を受けることがある。♠〈教訓を守[まも]る>当店[とうてん]の繁栄[はんえい]は、先代[せんだい]の残[のこ]した教訓を守り、着実[ちゃくじつ]に営業[えいぎょう]してきた結果[けっか]です。♠へ教訓を引[ひ]き出[だ]す〉格言[かくげん]やことわざは、多[おお]くの教訓を引き出すことのできる祖先[そせん]の知恵[ちえ]だ。♠へ教訓を含[ふく]む>おとぎ話[ばなし]は、子供のために語り伝[つた]えられた物語で、中には多[おお]くの教訓が含まれている。♠へ教訓とする〉今回[こんかい]の失敗[しっぱい]を痛[いた]い教訓として、再起[さいき]を図[はか]ろう。♠〈教訓的〉イソップ物語は、おもしろくしかも教訓的な要素[ようそ]を持[も]ったものである。 **きょうけん【強健】** ○健康でたくましいさま。[例]〈強健な身体〉海[うみ]で育[そだ]った若者[わかもの]は、鍛[きた]えあげられた強健な身体と堅固[けんご]な意志[いし]の持[も]ち主[ぬし]であった。 **きょうけん【強権】** ○強[つよ]い権力[けんりょく]。国家が特別[とくべつ]な場合に行使[こうし]する強制力[きょうせいりょく]。[例]〈軍[ぐん]の強権〉この国では、国民の民主化[みんしゅか]の要求[ようきゅう]は、常[つね]に軍の強権によって抑圧[よくあつ]されてきた。♠〈強権を発動[はつどう]する〉議会[ぎかい]の反対[はんたい]に対[たい]し、大統領[だいとうりょう]はついに強権を発動した。 **きょうげん【狂言】** ○能[のう]の合間[あいま]に演[えん]じられる喜劇[きげき]。歌舞伎[かぶき]の出[だ]し物[もの]。芝居[しばい]。こっけいな言葉[ことば]。人[ひと]をだますこと。うそ。[例] <能や狂言〉能や狂言は、室町時代[むろまちじだい]から親[した]しまれていた日本の伝統芸能[でんとうげいのう]です。♠事件は、離[はな]れてゆく恋人[こいびと]の心をつなぎとめたい一心[いっしん]の少女による狂言だった。 **きょうこ 【強固】** ○強[つよ]くて固[かた]いさま。がんじょうなさま。強硬[きょうこう]なさま。[例]〈強固な岩〉トンネル工事は、途中[とちゅう] 強固な岩盤[がんばん]に突[つ]き当[あ]たり難航[なんこう]した。♠へ強固にする〉家[いえ]の改築[かいちく]では、地震[じしん]に備[そな]えて基礎[きそ]を強固にすることに重点[じゅうてん]を置[お]きたい。♠〈意志[いし]が強固〉彼は、どんな甘[あま]いことばで誘[さそ]われても動[どう]じないほど意志が強固だ。♠〈強固な反対〉清掃工場[せいそうこうじょう]の建設[けんせつ]は、思[おも]いがけず、市民の強固な反対にあうはめになった。♠へ強固な陣地[じんち]>敵軍[てきぐん]の強固な陣地を、味方[みかた]の軍勢[ぐんぜい]は攻[せ]めあぐねていた。 **きょうこう【強行】** ○強引[ごういん]に行[おこな]うこと。反対[はんたい]を押[お]し切[き]って行うこと。[例]<強行する〉明日[あす]の体育祭は、少[すこ]しぐらいの雨[あめ]なら強行するそうだ。♠〈強行日程>今回[こんかい]の旅行[りょこう]は強行日程でしたから、参加児童[さんかじどう]の健康管理[けんこうかんり]がたいへんでした。♠〈強行採決>反対意見を無視[むし]して強行採決するなんて、まったくひどいやり方だ。♠〈強行手段>むこうが話[はな]し合[あ]いに応[おう]じない以上、もはや強行手段に出[で]るしかあるまい。 **きょうこう【強硬】** ○自分の意志を強く押し通そうとするさま。[例]〈強硬な態度〉相手があんな強硬な態度に出てこようとは思いもしなかった。♠へ強硬に反対する〉納得できないのなら、最後まで強硬に反対するべきだ。 **きょうこう【凶行】(兇行)** ○残忍[ざんにん]な行為[こうい]。凶悪[きょうあく]な犯行[はんこう]。[例] 〈凶行に及[およ]ぶ〉仕事にゆきづまり、周囲の人間にも見放[みはな]されたあげく、あのような凶行に及んだのだろう。♠ヘ凶行に走[はし]る〉おとなしい青年を凶行に走らせたものは何だったのだろう。♠へ凶行の現場〉こんなに人通[ひとどお]りの多[おお]い場所なのに、凶行の現場を目撃[もくげき]した人がいないとはおかしい。 **きょうこう【恐慌】** ○恐怖[きょうふ]や不安[ふあん]で人々[ひとびと]が異常[いじょう]な精神状態[せいしんじょうたい]に陥[おちい]ること。経済上[けいざいじょう]の混乱状態[こんらんじょうたい]。パニック。[例]〈恐慌を来[きた]す〉産油国[さんゆこく]が原油[げんゆ]の輸出[ゆしゅつ]を停止[ていし]すれば、輸入[ゆにゅう]に依存[いそん]している国々は恐慌を来すにちがいない。♠〈恐慌を引[ひ]き起[お]こす〉地震発生時[じしんはっせいじ]には、情報管理[じょうほうかんり]が正[ただ]しくなされないと、住民[じゅうみん]の間に恐慌を引き起こす危険性[きけんせい]がある。♠〈恐慌状態>突然[とつぜん]の停電[ていでん]と「火事[かじ]だ」という叫[さけ]び声[ごえ]で、会場内[かいじょうない]は恐慌状態に陥った。 **きょうごう【競合】** ○せり合[あ]うこと。はり合[あ]うこと。[例] 〈激[はげ]しい競合>両社の間に新薬[しんやく]の開発をめぐっての激しい競合がみられた。♠<競合する〉この区間[くかん]は、バスと鉄道が競合しているので、サービスは満点[まんてん]だ。 **きょうごう【強豪】** ○強[つよ]くててごわいこと。また、そういう人。つわもの。[例]〈強豪同士の対決〉明日[あす]は強豪同士の対決だから、どんな試合展開[しあいてんかい]になるか楽[たの]しみだ。♠へ強豪のチーム>今度の大会は、いつになく強豪のチームがそろっている。♠〈柔道界[じゅうどうかい]の強豪〉今マットに上[あ]がっているレスラーは、かつて柔道界の強豪として知[し]られた人だ。 **ぎょうこう(僥倖)** ○思[おも]いがけない幸[しあわ]せ。偶然[ぐうぜん]の幸運[こううん]。[例] 〈僥倖に恵[めぐ]まれる〉シベリアに入[はい]った当日[とうじつ]に、蜃気楼[しんきろう]を見[み]るという僥倖に恵まれた。♠へ僥倖とする〉難事業[なんじぎょう]だったが、天候[てんこう]に恵まれたことをせめてもの僥得るしなければなるまい。 **きょうさ【教唆】** ○教[おし]えそそのかすこと。犯行[はんこう]をそそのかす <267> こと。[例]〈教唆する〉何[なに]も知[し]らない少年たちにこんな悪ふざけを教唆したのはだれだ。♠<教唆する>直接手[ちょくせつて]は下[くだ]さなかったものの、男は殺人[さつじん]を教唆した罪[つみ]で逮捕[たいほ]された。 **きょうざい【教材】** ○学習のために用[もち]いる材料[ざいりょう]。[例]先生方は、教室で使[つか]う教材の研究に多[おお]くの時間を費[つい]やします。♠授業で使用する教材は、学校で一括購入[いっかつこうにゅう]することになっています。 **きょうさく【競作】** ○競[きそ]って製作[せいさく]・制作[せいさく]すること。また、その作品。[例]<競作する>県立美術館[けんりつびじゅつかん]の設計[せっけい]は、多[おお]くの人たちに競作させ、その中[なか]から選[えら]ぶようにしたらどうだろうか。♠今までの厳[きび]しい参加条件[さんかじょうけん]が緩和[かんわ]され、新人画家[しんじんがか]にも競作の機会[きかい]が与[あた]えられたことは喜[よろこ]ぶべきことだ。 **きょうさく【凶作】** ○作物[さくもつ]のできが非常[ひじょう]に悪[わる]いこと。ひどい不作[ふさく]。[例]<凶作が襲[おそ]う〉この年[とし]、この地方を凶作とききんが襲い、食[た]べ物[もの]がなくなりました。♠〈米[こめ]が凶作>東北地方[とうほくちほう]で今年[ことし]米が凶作なのは、夏[なつ]の日照不足[にっしょうぶそく]が原因だ。 **きょうざつぶつ(夾雑物)** ○余計[よけい]なまじりもの。[例]わたしたちの暮[く]らしにまつわるすべての夾雑物を排除[はいじょ]して、純粋[じゅんすい]の美[び]のみを追求[ついきゅう]するのが純粋芸術[げいじゅつ]の立場[たちば]であろう。 **きょうざめ【興ざめ】(興醒め)** ○楽[たの]しい気分[きぶん]がそがれること。興味[きょうみ]が失[うしな]われること。[例]満開[まんかい]の桜並木[さくらなみき]も、ボリュームいっぱいの歌謡曲[かようきょく]が流[なが]れていては興ざめだ。♠せっかく風流[ふうりゅう]な気分に浸[ひた]っていたのにお金[かね]の話を持ち出すなんて、まったく興ざめだよ。♠〈興ざめする〉雰囲気[ふんいき]が盛[も]り上がってきたところに変[へん]なやつが現[あらわ]れ、すっかり興ざめしてしまった。 **きょうさん【協賛】** ○力[ちから]を貸[か]して助[たす]けること。催[もよお]しの計画に賛同[さんどう]して協力[きょうりょく]すること。[例]〈商店会[しょうてんかい]の協賛〉八月二十一日から二十三日まで、地元[じもと]の商店会の協賛により「かっぱ祭[まつ]り」が催される。♠〈協賛する〉市の企画がどんなによくても、市民の中に協賛する人がいなければどうにもならないだろう。 **きょうし 【教師】** ○先生。教員[きょういん]。宣教師[せんきょうし]。[例]〈国語[こくご]の教師〉わたしは国語の教師で、登山部[とざんぶ]の顧問[こもん]でもある。♠へ人生の教師>ぼくにとって、彼は、人生の教師であり、窮地[きゅうち]に陥[おちい]ったときの良[よ]きアドバイザーでもある。 **きょうじ【教示】** ○教[おし]え示[しめ]すこと。きょうし。[例]〈教示に従[したが]う〉わたしたちは、先生の教示に従って、行動した。♠へ教示する〉この問題について、今後[こんご]の対応策[たいおうさく]をご教示ください。 **ぎょうし【凝視】** ○じっと見[み]つめること。まじまじと見ること。[例]<凝視にたえる〉何かを訴[うった]えるような彼女の凝視にたえられず、わたしは目[め]をそらした。♠へ顔[かお]を凝視する〉恩師[おんし]は、久[ひさ]しぶりに訪[たず]ねたわたしたち一人一人の顔をじっと凝視した。♠ヘ穴[あな]のあくほど凝視する〉その画家は、並[なら]べられたりんごやぶどうを穴のあくほど凝視してから、デッサンにとりかかった。♠へ心[こころ]を凝視する〉わたしは、自分の心をしっかりと凝視するために日記を書[か]き続[つづ]けているのです。 **ぎょうじ【行事】** ○恒例[こうれい]になった儀式[ぎしき]。計画的に行われる催し。[例]へ伝統的な行事>盆踊[ぼんおど]りは、毎年[まいとし]夏になると全国各地で行われる伝統的な行事の一つだ。♠〈行事を行う〉東北地方や北陸地方[ほくりくちほう]の一部では、一月十五日の小正月[こしょうがつ]に、「なまはげ」という行事が行われている。♠〈行事を執[と]り行[おこな]う〉わが校では、今年、創立五十周年[そうりつごじっしゅうねん]の行事が盛大[せいだい]に執り行われた。♠〈学校の行事〉入学式や卒業式をはじめ、遠足[えんそく]、体育祭、修学旅行[しゅうがくりょこう]などが学校の大切な行事です。♠へ宮中[きゅうちゅう]の行事>毎年行われる宮中の行事は、ほとんどが平安時代[へいあんじだい]に始[はじ]まったものです。♠〈年中行事〉一月はお正月のいろいろな行事、二月は節分[せつぶん]、三月はひな祭[まつ]りというように、年中行事は毎月何かしらあります。 **きょうしつ 【教室】** ○授業[じゅぎょう]が行[おこな]われる部屋。さまざまな講習[こうしゅう]の場。[例]英語の時間、先生が少[すこ]し遅[おく]れて教室に入って来た。♠授業に飽[あ]きたわたしは、教室の窓[まど]からぼんやりと外[そと]の景色[けしき]を眺[なが]めていた。♠〈水泳教室>さすが水泳教室に通っていただけあって、彼[かれ]のクロールはとてもきれいだった。 **きょうじゃく【強弱】** ○強[つよ]さと弱[よわ]さ。強さの程度[ていど]。[例]〈声の強弱>話[はな]す場合には、身[み]ぶり・手[て]まねや、声の高低[こうてい]・強弱などで伝達[でんたつ]を補[おぎな]うことができる。♠へ強弱のアクセント〉日本語のアクセントは、英語のような強弱のアクセントではなく、高低のアクセントである。♠へ強弱をつける〉朗読[ろうどく]の時は、リズムを考えて言葉に強弱をつけるとよい。 **きょうしゅ【興趣】** ○物事[ものごと]の味[あじ]わい。おもしろみ。[例]<興趣が尽[つ]きない>壁[かべ]に描[えが]かれた絵[え]を一枚一枚見ていくと、興[きょう]がわき、興趣の尽きるところを知らなかった。♠へ興趣がわく〉月[つき]の夜[よ]、庭[にわ]に出[で]てわき起[お]こる興趣を歌[うた]にしようと言葉を探[さが]した。 **きょうじゅ【教授】** ○学問[がくもん]や芸能[げいのう]を教[おし]えること。また、その人。[例]〈教授する〉事故[じこ]で夫を失[うしな]った伯母[おば]は、茶道[さどう]を教授しながら静[しず]かに余生[よせい]を送[おく]った。♠〈大学の教授>氏[し]は、某国立大学[ぼうこくりつだいがく]の心理学[しんりがく]の教授です。 **きょうじゅ【享受】** ○受[う]け入[い]れて、自分のものとすること。味わい楽しむこと。[例]〈生活を享受する〉国民一人一人が、皆[みな]、人間らしい生活を享受できるよう努力しなければならない。♠自由を享受する〉我々[われわれ]は、当然の権利として自由を享受しているが、自由を獲得[かくとく]するためにたくさんの人の長[なが]い努力が必要だった。♠へ感動[かんどう]を享受する〉感動をつくり出すのは詩人[しじん]であり、それを享受するのは読者である。 **ぎょうしゅ【業種】** ○事業[じぎょう]や営業[えいぎょう]の種類[しゅるい]。[例]新聞の求人広告[きゅうじんこうこく]を眺[なが]めると、世[よ]の中[なか]にはさまざまな業種があり、さまざまな人が働[はたら]いていることがわかる。♠社会科の授業で、商工業[しょうこうぎょう]のいろいろな業種について調[しら]べ、一覧表[いちらんひょう]にまとめた。 **きょうしゅう【郷愁】** ○故郷[こきょう]をなつかしく思う気持[きもち]。昔をなつかしむ気持ち。ノスタルジア。[例]〈郷愁を覚[おぼ]える〉人込[ひとご]みの中でふと耳[みみ]にした郷里[きょうり]のなまりに、たまらない郷愁を覚えた。♠へ郷愁にひたる〉最近[さいきん]は、気[き]がつくといつも、二十年前[にじゅうねんまえ]に離[はな]れた故国[ここく]への郷愁にひたっている。♠〈古[ふる]き良[よ]き日々への郷愁〉「今[いま]どきの若[わか]い者[もの]は……」という言葉の裏[うら]には、古き良き日々への郷愁が隠[かく]されているような気が <268> する。 **ぎょうじゅうぎが(行住坐臥)** ○日常[にちじょう]のふるまい。日常。常々[つねづね]。[例]〈人々の行住坐臥〉仏教[ぶっきょう]の教[おし]えは、この国の国民の行住坐臥に深[ふか]く根[ね]を下[お]ろしている。♠仏師[ぶっし]の彼の心は、行住坐臥、仏[ほとけ]の目[め]と仏の手に奪[うば]われていた。 **きょうしゅく 【恐縮】** ○おそれいること。かたじけなく思うこと。[例]〈恐縮する〉年賀状[ねんがじょう]を出[だ]し忘[わす]れたのに、先生のほうからいただいて恐縮した。♠へ恐縮する〉会議の席上[せきじょう]で資料[しりょう]の誤[あやま]りを指摘[してき]され、大[おお]いに恐縮した。♠〈恐縮に思う〉気持[きもち]だけの贈[おく]り物[もの]なのに、丁寧[ていねい]な礼状[れいじょう]をいただいて、かえって恐縮に思います。♠〈恐縮ですが〉恐縮ですが、たばこの火[ひ]を貸[か]していただけませんか。 **ぎょうしゅく【凝縮】** ○凝[こご]り固[かた]まって縮[ちぢ]むこと。中身[なかみ]が濃[こ]くなること。[例]〈凝縮する〉俳句[はいく]は、作者の体験[たいけん]や想像[そうぞう]を凝縮して表現[ひょうげん]する、世界で最[もっと]も短[みじか]い詩[し]である。♠〈考[かんが]えを凝縮する〉この最後[さいご]の一文に筆者[ひっしゃ]の考えが凝縮されている。♠気体[きたい]が液体[えきたい]になることを凝縮といい、そのときに発生する熱量[ねつりょう]を凝縮熱[ねつ]という。 **きょうしゅつ【供出】** ○物資[ぶっし]を差[さ]し出[だ]すこと。[例]〈米[こめ]の供出>農家[のうか]に米の供出を割[わ]り当[あ]ててるのは政府の仕事だった。♠〈供出する〉戦争も末期[まっき]になると、武器製造[ぶきせいぞう]のために自転車まで供出しなければなりませんでした。 **きょうじゅん【恭順】** ○かしこまって命令[めいれい]に従[したが]うこと。おとなしく服従[ふくじゅう]すること。[例]〈恭順を誓[ちか]う〉豪族[ごうぞく]たちは朝廷[ちょうてい]に対[たい]して恭順を誓い、その支配下[しはいか]に入[はい]った。 **ぎょうしょう【行商】** ○商品[しょうひん]を持[も]ち歩[ある]いて、商売[しょうばい]をすること。[例]〈行商の人>部屋の片隅[かたすみ]には、行商の人が年[ねん]一、二回入[い]れ替[かえ]に来[く]る富山[とやま]の薬[くすり]の袋[ふくろ]がぶら下[さ]がっている。♠ヘ行商する〉少年[しょうねん]のころ、考古学[こうこがく]に興味[きょうみ]を抱[いだ]いた彼は、衣料品[いりょうひん]を行商しながら、考古学の研究を続[つづ]けた。♠ヘ行商人>早朝[そうちょう]の駅のホームには、大きな荷物[にもつ]を背負[せお]った行商人たちの姿[すがた]が見られた。 **ぎょうじょう【行状】** ○ふだんの行[おこな]い。品行[ひんこう]。[例]〈行状がいい>確[たし]かに、この侍[さむらい]も、ふだんから行状のいいほうではなかった。♠へふだんの行状〉ふだんの行状が行状だから、こんな時には疑[うたが]われてもしかたがないか。♠〈行状が改[あらた]まる〉弟子[でし]の行状が改まらないかぎり、師[し]としては許[ゆる]すわけにはいかなかった。♠へ行状を慎[つつし]む〉いつも問題[もんだい]を起[お]こしてばかりいるが、少[すこ]しは行状を慎むとよい。♠〈行状を非難[ひなん]する〉今のところ、彼[かれ]の行状には、非難すべき点は一つもありません。 **きょう・じる【興じる】** ○楽[たの]しんでする。おもしろがる。おもしろくて夢中[むちゅう]になる。[例]〈遊[あそ]びに興じる〉昨日[きのう]は雨[あめ]だったので、家[いえ]にこもって、日[ひ]がな一日[いちじつ]トランプ遊[あそ]びに興じていた。♠ヘゲームに興じる〉子どもたちは家の中にこもり、テレビゲームに興じていた。♠〈笑[わら]い興じる〉十年ぶりのクラス会とあって、話[はなし]に花[はな]が咲[さ]き、笑い興じる姿があちこちに見られた。 **きょうしん【狂信】** ○信[しん]じこんで、理性[りせい]が働[はたら]かなくなること。熱狂的[ねっきょうてき]に信仰[しんこう]すること。[例]〈狂信する〉病[やまい]に効果[こうか]はないと発表[はっぴょう]されても、一部の人たちはまだその迷信[めいしん]を狂信していた。♠<狂信的>女たちのその教祖[きょうそ]に寄[よ]せる思[おも]いは異常[いじょう]で、狂信的としか言いようがなかった。♠〈狂信者>事件を起[お]こした連中[れんじゅう]は、新興宗教[しんこうしゅうきょう]の狂信者だったらしい。 **きょうじん(強靱)** ○しなやかで強[つよ]いさま。強くてねばりのあるさま。[例]〈強じんな体力・精神力〉仏道[ぶつどう]の修行[しゅぎょう]には、強じんな体力と精神力が要求[ようきゅう]される。♠〈強じんな尾[お]>すきとおった清流[せいりゅう]を強じんな尾をもった魚[さかな]が力強く泳[およ]ぎすぎた。♠へ意志[いし]が強じん>医師[いし]の国家試験[こっかしけん]も通[とお]ったというのに、画家になりたいという彼の意志は強じんだった。 **きょうじん【凶刃】(兇刃)** ○凶行[きょうこう]に用[もち]いられた刃物[はもの]。[例] 〈凶刃を振[ふ]るう〉演説[えんぜつ]の最中[さいちゅう]、一人[ひとり]の若者[わかもの]が凶刃を振るって壇上[だんじょう]へかけ上[あ]がった。♠へ凶刃に倒[たお]れる〉政治家は、志半[こころざしなか]ばにして暴漢[ぼうかん]の凶刃に倒れた。 **きょうじん【狂人】** ○狂[くる]った人。[例]<狂人扱[あつか]い〉小高[こだか]い丘のふもとの廃屋[はいおく]に住[す]みついたその青年を、世間[せけん]では狂人扱いしていた。♠狂人を装[よそお]う〉男は、狂人を装って、事件のほとぼりがさめるまで病院に潜伏[せんぷく]していた。 **ぎょうずい 【行水】** ○たらいの湯[ゆ]や水[みず]で、体[からだ]の汗[あせ]や汚[よご]れを流[なが]すこと。清[きよ]い水で体を清めること。[例]〈行水をする>子供のころは、真っ昼間[まっぴるま]に庭[にわ]にたらいを持[も]ちだして、よく行水をしたものだ。♠〈行水を使[つか]う〉昼寝[ひるね]のあとで行水を使い、さっぱりした顔[かお]になった女は、いそいそと外[そと]に出[で]ていった。♠へからすの行水〉ふろ嫌[ぎら]いの父は、入[はい]ってもからすの行冰で、すぐに出てくる。♠行水の捨[す]てどころなき虫の声(上島鬼貫[うえじま おにつら]) **きょう・する【供する】** ○差[さ]し出[だ]す。役立[やくだ]てる。[例]〈水を供する>田舎[いなか]の生家[せいか]では、仏壇[ぶつだん]に水を供してからでなければ、朝食[ちょうしょく]にはならなかった。♠へ実験に供する〉モルモットを実験に供することは、動物愛護[どうぶつあいご]の立場[たちば]からは問題[もんだい]がある。♠〈参考に供する〉昨年[さくねん]の統計[とうけい]はまだ出[で]ておりませんので、御参考[ごさんこう]に供することができません。 **きょうせい 【強制】** ○無理[むり]に行[おこな]わせること。無理じいすること。[例]〈労働[ろうどう]の強制〉過酷[かこく]な労働の強制は、黒人奴隷[こくじんどれい]の健康を日[ひ]に日[ひ]にむしばんでいった。♠〈強制する>戦勝国側[せんしょうこくがわ]が、その国の言葉を使[しよう]するよう、敗戦国[はいせんこく]に強制することがあった。♠へ強制する〉本人[ほんにん]の承諾[しょうだく]がない場合[ばあい]、荷物[にもつ]の検査[けんさ]は強制できません。♠へ強制的〉昔[むかし]は本人の意思[いし]を無視[むし]して、親から強制的に結婚[けっこん]させられることがあった。 **きょうせい 【矯正】** ○欠点[けってん]を直[なお]すこと。[例]〈なまりの矯正>劇団[げきだん]の研究生[けんきゅうせい]としての第一日[だいいちにち]は、お国[くに]なまりの矯正から始[はじ]まった。♠矯正する〉でこぼこの歯並[はなら]びを矯正するには、かなりの時間とお金が必要[ひつよう]だ。 **きょうせい(嬌声)** ○女性[じょせい]のなまめかしい声[こえ]。[例]〈嬌声をあげる〉嬌声をあげながら、少女たちが静[しず]かな夜[よる]の海辺[うみべ]を走[はし]り回[まわ]る。♠へ嬌声が聞[き]こえる>通[とお]りからは、よっぱらいのどなり声にまじって、女たちの嬌声が聞こえてくる。 **ぎょうせい【行政】** ○法律[ほうりつ]に従[したが]って国[くに]や自治体[じちたい]を治[おさ]めること。[例]わが国は三権分立制[さんけんぶんりつせい]をとっており、内閣[ないかく]は行政 <269> を担当[たんとう]している。♠〈行政的手腕[しゅわん]>現在[げんざい]の市長[しちょう]は、行政的手腕に欠[か]けていると評判[ひょうばん]がよくない。 **ぎょうせき 【業績】** ○学問[がくもん]や仕事[しごと]のうえでの成果[せいか]。[例] 〈大[おお]きな業績〉〈業績を残[のこ]す〉キュリー夫[ふ]人[じん]は、科学者[かがくしゃ]として、学問のうえに大きな業績を残しました。♠〈業績をあげる〉彼は、科学の世界でかずかずの業績をあげた人として知られている。♠へ会社[かいしゃ]の業績〉〈業績があがる〉社員が一丸[いちがん]となって努力したおかげで、会社の業績がぐんとあがりました。♠<業績を認[みと]める〉方言の研究におけるこの学者の業績が世間[せけん]に認められるようになった。♠〈人と業績〉文学者であり、医者[いしゃ]でもあった森鷗外[もりおうがい]の、人と業績について調[しら]べてみました。 **きょうそ【教祖】** ○宗教[しゅうきょう]や宗派[しゅうは]の創始者[そうししゃ]。支持者[しじしゃ]に圧倒的[あっとうてき]な影響[えいきょう]を与[あた]える人物。[例]集[あつ]まった信者[しんじゃ]たちに、教祖はほほえみながら話[はな]しかけた。♠く教祖的な存在>めったに表[おもて]に出ないが、彼は革命派学生[かくめいはがくせい]の教祖的な存在といわれる思想家だ。 **きょうそう【競争】** ○勝負[しょうぶ]・優劣[ゆうれつ]を競[きそ]うこと。互[たが]いにせり合[あ]うこと。[例]〈競争をする〉わたしたちは、まるで競争でもするように、落[お]ち葉[ば]を集め合った。♠〈激[はげ]しい競争〉〈競争を繰[く]り広[ひろ]げる〉中元大売[ちゅうげんおおう]り出[だ]しでは、各[かく]デパートとも激しい競争を繰り広げている。♠へ競争を行[おこな]う〉この世[よ]の中[なか]は、生存[せいぞん]のための競争の行われる場[ば]でもある。♠〈競争の意識[いしき]>ひとりっ子のせいか、何事[なにごと]にもまるで競争の意識がなくて困[こま]ります。♠<競争心>賞品[しょうひん]でもって、子供の競争心をあおるようなことは慎[つっし]んでください。 **きょうそう【競走】** ○走[はし]る速[はや]さを競[きそ]うこと。[例]足[あし]の速さを競う競技[きょうぎ]を競走といい、泳[およ]ぎの場合は競泳[きょうえい]という。♠へ競走する〉よし、あの山[やま]のふもとまで競走しよう。 **きょうそう【強壮】** ○体[からだ]が強[つよ]くて丈夫[じょうぶ]なさま。[例]〈強壮な体>風邪[かぜ]ひとつひかない強壮な体をもった若者[わかもの]でした。♠<強壮剤〉この草[くさ]は、古来[こらい]から強壮剤として使[つか]われている。 **きょうそう【狂騒】(狂躁)** ○狂[くる]ったような騒[さわ]ぎ。異常[いじょう]な騒ぎ。[例]<狂騒のちまた>学問を放棄[ほうき]した青年は、狂騒のちまたに身[み]を沈[しず]めていった。♠<狂騒が起[お]こる〉洞窟[どうくつ]の中では、退路[たいろ]を断[た]たれた兵士たちの間に異様[いよう]な狂騒がまき起[お]こっていた。 **ぎょうそう【形相】** ○顔[かお]つき。[例]へものすごい形相〉すぐ後[うし]ろからは、大男[おおおとこ]がものすごい形相で追[お]いかけてくる。♠〈形相が変[か]わる>警官[けいかん]の姿[すがた]を見[み]ると、とつぜん男の形相が変わった。♠へ悪鬼[あっき]のごとき形相〉怒[いか]りのために、男の顔は、さながら悪鬼のごとき形相であった。♠〈必死[ひっし]の形相〉必死の形相で助[たす]けを求[もと]める女の様子[ようす]は、ただごとではない。♠へ憤怒[ふんど]の形相>足[あし]止[ど]めされた乗客[じょうきゃく]は、憤怒の形相ものすごく、駅員[えきいん]にくってかかった。 **きょうぞん【共存】** ○互[たが]いの存在[そんざい]をおびやかすことなく、共に存在すること。きょうそん。[例] 〈共存する〉この島[しま]では、まさしく人間と動物たちが共存して生[い]きているのだ。♠〈共存する〉スイスには二つの宗教・三つの民族[みんぞく]・四つの国語[こくご]が共存しているといわれます。♠〈共存関係〉一つの地域[ちいき]に生息[せいそく]する生物は、お互[たが]いが複雑[ふくざつ]な共存関係を結[むす]んでいる。 **きょうだ【強打】** ○強[つよ]く打[う]つこと。投手[とうしゅ]の球[たま]を強く打[う]ち返[かえ]すこと。[例]〈強打する>雪の降[ふ]った翌朝[よくあさ]、父は転[ころ]んで腰[こし]を強打し、病院に運[はこ]ばれた。♠へ強打に出[で]る〉バントシフトをしいてきた相手の裏[うら]をかいて、強打に出た。 **きょうだい 【強大】** ○強[つよ]く、大[おお]きいさま。[例]〈強大な勢カ〉地方に散[ち]っていた源氏[げんじ]は、地方武士団[ぶしだん]を再編制[さいへんせい]しながら、平家[へいけ]に対[たい]する強大な勢力となって現[あらわ]れた。♠へ権力[けんりょく]が強大>国王の権力は強大であった。♠〈強大を誇[ほこ]る〉あれほど強大を誇っていたローマ帝国[ていこく]も、四世紀末[よんせいきまつ]になると東西[とうざい]に分裂[ぶんれつ]してしまう。 **きょうだい【兄弟】** ○兄[あに]と弟[おとうと]。親[おや]を同[おな]じくする子供たち。また、それに準[じゅん]じる関係。「兄弟」同様[どうよう]に近[ちか]い関係の人。[例]ぼくは、四人兄弟の三番目です。♠おい、兄弟、一杯[いっぱい]つきあえよ。♠へ兄弟は他人[たにん]の始[はじ]まり〉兄弟は他人の始まりというが、まさか遺産[いさん]をめぐってこんな骨肉[こつにく]の争[あらそ]いになろうとは。♠<兄弟愛〉小[ちい]さい妹[いもうと]や弟を親代[おやが]わりで育[そだ]てた兄弟愛のもちぬしだった。 **きょうたん【驚嘆】(驚歎)** ○驚[おどろ]き、感嘆[かんたん]すること。ひどく感心[かんしん]すること。[例]〈驚嘆の声>山頂[さんちょう]から眺[なが]める日[ひ]の出[で]の素晴[すば]らしさに、わたしは思[おも]わず驚嘆の声をあげた。♠人驚嘆に値[あたい]する>数千年の昔、このような進歩的な治療法[ちりょうほう]が行[おこな]われていたことは、驚嘆に値する。♠〈驚嘆するこんな難問[なんもん]がすらすら解[と]けるなんて、きみの頭[あたま]のよさには驚嘆する。 **きょうだん【教団】** ○同[おな]じ宗教[しゅうきょう]・宗派[しゅうは]を信[しん]じる人たちの団体[だんたい]。[例]〈教団に属[ぞく]する〉ぼくは、子供のころ通[かよ]っていた日曜学校がどこの教団に属しているのかなんて知[し]りません。♠<宗教の教団>知人[ちじん]が信仰[しんこう]している宗教の教団から、母[はは]あてに勧誘[かんゆう]の手紙が届[とど]いた。 **きょうだん【教壇】** ○教室で先生が立[た]つ壇[だん]。教師[きょうし]の職[しょく]。[例] 〈教壇に立つ>四月から教壇に立つことが決[き]まった姉[あね]は、夢がかなって大喜[おおよろこ]びです。♠へ教壇を去[さ]る>家庭の事情[じじょう]で担任[たんにん]の先生が教壇を去ることになった。 **きょうだん【凶弾】(兇弾)** ○凶行[きょうこう]に用[もち]いられた弾丸[だんがん]。[例] 〈凶弾を浴[あ]びる〉大統領[だいとうりょく]は壇上[だんじょう]で凶弾を浴び、そのまま不帰[ふき]の人となった。♠〈凶弾に倒[たお]れる〉一九八〇年十二月九日、ジョン=レノンは、熱狂的[ねっきょうてき]なファンである一青年[いちせいねん]の凶弾に倒れた。 **きょうち【境地】** ○置[お]かれた立場[たちば]・境遇[きょうぐう]。至[いた]り着[つ]いた心[こころ]の状態[じょうたい]。心境[しんきょう]。[例]〈苦[くる]しい境地に追[お]い込[こ]まれる〉彼は、多額[たがく]の借金[しゃっきん]を背負[せお]い、苦しい境地に追い込まれた。♠苦しい境地を察[さっ]する〉もう少し、ぼくの苦しい境地を察してくれてもよさそうなものだ。♠〈悟[さと]りの境地に達[たっ]する〉山[やま]での苦行[くぎょう]は、悟りの境地に達するまで続[つづ]けられる。♠へ新[あたら]しい境地を開[ひら]く〉人生について悩[なや]みに悩んだ彼は、どうやら新しい境地を開いたらしい。♠〈人の境地「聞[き]き上手[じょうず]」は、思[おも]いやりが身についた人の境地なのだろう。 **きょうちゅう【胸中】** ○胸[むね]のうち。心[こころ]の中[なか]。[例]〈胸中をあかす〉悩みをかかえているとき、胸中をあかし相談[そうだん]できる友 <270> 達がいるということは、幸[しあわ]せなことだと思う。♠へ胸中を察[さっ]する〉一人[ひとり]息子[むすこ]を海外[かいがい]へ送[おく]り出[だ]す親[おや]の胸中たるや、察するに余[あま]りある。 **きょうちょう【強調】** ○調子[ちょうし]を強[つよ]めること。強く主張[しゅちょう]すること。強めて表現[ひょうげん]すること。[例]〈強調する〉生命[せいめい]の尊厳[そんげん]は、どんなに強調しても強調し過[す]ぎることはない。♠へ強調する>先生は、わたしたちにその本[ほん]のすばらしさを何度も強調した。♠今月[こんげつ]は、防災強調月間[ぼうさいきょうちょうげっかん]なので、学校でも避難訓練[ひなんくんれん]が行[おこな]われる。 **きょうちょう【協調】** ○互[たが]いに譲[ゆず]り合[あ]って調和[ちょうわ]すること。[例]〈人との協調〉社会生活[しゃかいせいかつ]に適応[てきおう]するためには、人との協調をはかることも重要[じゅうよう]なことだ。♠〈協調する〉与党[よとう]の中にも、野党[やとう]と協調しながらやっていこうという人たちもいる。♠〈協調性〉協力[きょうりょく]してやらなければならない仕事なので、協調性のない人間は不向[ふむ]きだ。 **きょうつう【共通】** ○複数[ふくすう]の人々[ひとびと]や物事[ものごと]にあてはまること。[例]〈共通の利害[りがい]>うちの店[みせ]とあの会社は、共通の利害によって、固[かた]く結[むす]ばれている。♠へ共通の問題〉インフレが各[かく]国に共通の問題であった時[とき]がある。♠〈共通の財産〉この古い松並木[まつなみき]は、住民の共通の財産として、大切に守[まも]っていこう。♠〈共通の願[ねが]い>子供の幸福は、すべての親の共通の願いだ。♠へ共通な景物[けいぶつ]>この土地に共通な景物は、高[たか]いポプラの木と、色[いろ]とりどりのトタン屋根[やね]です。♠へ共通する〉意見の食[く]い違[ちが]いにこだわるより、共通する点を探[さが]してみよう。 **きょうてい【協定】** ○協議[きょうぎ]して定[さだ]めること。とりきめること。とりきめ。[例]〈協定を結[むす]ぶ〉日米両政府間[にちべいりょうせいふかん]で新[あら]たに協定が結ばれた。♠へ協定する〉同業者同士[どうぎょうしゃどうし]が価格を協定し、販売[はんばい]に過当[かとう]な競争が起[お]こらないようにしていた。 **きょうてき【強敵】** ○強[つよ]い敵[てき]。てごわい相手[あいて]。[例]〈強敵を破[やぶ]る〉初戦[しょせん]で強敵を破ったわがチームは、波[なみ]に乗[の]って決勝[けっしょう]まで進[すす]んだ。♠へ強敵にぶつかる>予選で強敵にぶつかったが、どうにか勝[か]ち抜[ぬ]いた。 **きょうてん【経典】** ○宗教上[しゅうきょうじょう]の教[おし]えを記[しる]した書物[しょもつ]。お経[きょう]。[例]〈仏教[ぶっきょう]の経典>僧侶[そうりょ]たちはさまざまな経典を読[よ]んで修養[しゅうよう]を積[つ]みます。 **ぎょうてん【仰天】** ○非常[ひじょう]に驚[おどろ]くこと。[例]〈仰天する〉デパートで買[か]い物[もの]をしていたはずのわたしは、いつの間[ま]にか地下鉄[ちかてつ]の改札口[かいさつぐち]に立[た]っているのに気[き]づいて仰天した。♠〈びっくり仰天する〉歩[ある]いていたら、いきなり横丁[よこちょう]からアヒルが飛[と]び出[だ]してきたので、びっくり仰天した。 **きょうてんどうち【驚天動地】** ○(天[てん]を驚[おどろ]かせ地[ち]を動[うご]かすの意[い]から)世間[せけん]をひどく驚[おどろ]かせること。[例]〈驚天動地の事件>泰平[たいへい]の眠[ねむ]りをむさぼっていた日本にとって、これは驚天動地の大事件である。♠へ驚天動地の騒[さわ]ぎ〉小人国[こびとぐに]へ足を入れた主人公[しゅじんこう]は、先々で驚天動地の騒ぎを引[ひ]き起[お]こしていく。 **きょうど【郷土】** ○生[う]まれ育[そだ]った土地。(独自[どくじ]の伝統[でんとう]・歴史[れきし]・文化などをもった)土地。[例]〈郷土を愛[あい]する〉幼[おさな]くして都会[とかい]に出[で]てきたが、郷土を愛する気持[きも]ちは今[いま]も変[か]わらない。♠<郷土への関心>祖父母[そふぼ]に聞[き]いたり、本で調[しら]べたりして、もっと自分の郷土への関心を高[たか]めたい。♠へ郷土とのかかわり〉人の考[かんが]え方[かた]や生[い]き方[かた]は、その郷土とのかかわりを通[とお]して育[そだ]てられる。♠郷土料理>母の作[つく]る郷土料理からは、素朴[そぼく]な土[つち]の香[かお]りが伝[つた]わってくる。♠へ郷土芸能〉日本各地に郷土芸能とよばれる伝統的な芸能が残[のこ]っている。♠へ郷土色>青森[あおもり]のねぶた祭[まつ]りは、勇壮[ゆうそう]で、まことに郷土色豊かなお祭りです。 **きょうど【強度】** ○強[つよ]さの程度[ていど]。度合[どあ]いが強[つよ]いこと。[例] 〈板[いた]の強度〉いろいろな木[き]の板を集[あつ]めて、強度を調[しら]べてみた。♠<強度[きょうど]の近眼[きんがん]>姉[あね]は強度の近眼で、ガラス戸[ど]にぶつかることなどしょっちゅうです。 **きょうどう【共同】** ○力[ちから]を合[あ]わせて仕事[しごと]をすること。同[おな]じ資格[しかく]で物事[ものごと]にあたること。[例]このカメラは、兄[あに]とぼくが共同で使[つか]っています。♠父とおじは、今度[こんど]、共同で事業[じぎょう]を始[はじ]めることになりました。♠〈共同作業>討論[とうろん]とは、相手を言[い]い負[ま]かすために行[おこな]うものではなく、議論[ぎろん]を通[つう]じてお互[たが]いの考[かんが]えを深[ふか]めていく共同作業です。♠〈共同体〉国家とは、言語・民族[みんぞく]・宗教などを同一[どういつ]にすることの多[おお]い共同体です。 **きょうどう【協同】** ○力[ちから]を合[あ]わせて、仕事[しごと]や事業[じぎょう]を行[おこな]うこと。[例]〈協同する〉この壁画[へきが]はぼくたちのクラス全員[ぜんいん]が協同して描[えが]いたものです。♠へ協同組合>漁民[ぎょみん]たちは、それぞれの利益[りえき]を守[まも]るために協同組合をつくっていた。 **きょうねつ【狂熱】** ○狂[くる]おしいほどに激[はげ]しい情熱[じょうねつ]。激しく強い熱気[ねっき]。[例]〈狂熱に浮[う]かされる〉リオのカーニバルでは、狂熱に浮かされた見物人[けんぶつにん]の間[あいだ]に死者[ししゃ]さえ出[で]るという。♠<狂熱にとりつかれる〉首都における労働者学生[ろうどうしゃがくせい]の蜂起[ほうき]を目[ま]のあたりにしたマチェックは、狂熱にとりつかれたように運動に身を投[とう]じていった。 **きょうねん【享年】** ○この世[よ]に生存[せいぞん]した年数[ねんすう]。死[し]んだ時[とき]の年齢[ねんれい]。[例]〈享年~歳>山本平太[やまもとへいた]は一八二七年に死去[しきょ]、享年五十七歳だった。 **きょうはく【脅迫】** ○おどして怖[こわ]がらせること。[例]<脅迫をはねのける〉少年は、不良[ふりょう]グループの脅迫を敢然[かんぜん]とはねのけたのです。♠へ脅迫する>銀行強盗[ぎんこうごうとう]は、行員[ぎょういん]をピストルで脅迫して金[かね]を奪[うば]った。 **きょうはくかんねん【強迫観念】** ○振[ふ]り払[はら]っても振り払ってもつきまとう、病的[びょうてき]な観念[かんねん]。[例]このような一種[いっしゅ]の強迫観念は、アルコール中毒患者[ちゅうどくかんじゃ]などによく見[み]られる症状[しょうじょう]です。♠へ強迫観念にとらわれる〉あのころのわたしは、取[と]りかえしのつかない失敗[しっぱい]をしでかすのではないかという強迫観念にとらわれていた。 **きょうふ【恐怖】** ○恐[おそ]れ、怖[こわ]がること。恐[おそ]ろしいと感[かん]じる気持[きもち]。[例]〈恐怖に震[ふる]える>巣[す]から落[お]ちたひなは、下草[したくさ]の露[つゆ]にぬれながら、恐怖に震えていた。♠〈恐怖に脅[おびや]かされる〉アフリカの子供たちは、絶[た]えず飢餓[きが]の恐怖に脅かされている。♠〈恐怖にさらされる〉この時代に生[う]まれたわたしたちは、戦争の恐怖にさらされたことがない。♠へ恐怖に襲[おそ]われる「火事[かじ]だ!」の一声[ひとこえ]で、船の乗客[じょうきゃく]たちはみな恐怖に襲われた。♠恐怖にかられる〉迫[せま]りくる野犬[やけん]に、彼女は恐怖にかられて必死[ひっし]に逃[に]げた。♠〈恐怖におののく>記者[きしゃ]の質問に答 <271> えて、被災者[ひさいしゃ]たちは恐怖におののく表情[ひょうじょう]で事故の模様[もよう]を語[かた]った。♠〈恐怖の色〉大津波[おおつなみ]を告[つ]げられたときは、顔[かお]に一瞬恐怖の色が浮[う]かんだ。 **きょうふう【強風】** ○強[つよ]い風[かぜ]。[例] <強風が荒[あ]れ狂[くる]う〉昨夜[ゆうべ]は強風が荒れ狂い、桜[さくら]はすべて散[ち]ってしまった。♠へ強風が吹[ふ]く>豪雨[ごうう]がたたきつけ、強風が吹[ふ]きすさぶ深夜[しんや]の国道[こくどう]を車を走[はし]らせた。 **きょうべん【強弁】** ○強引[ごういん]に言[い]い張[は]ること。理屈[りくつ]をつけてどこまでも言い張ること。[例]〈強弁する〉自分の過失[かしつ]を正[ただ]しく指摘[してき]されたのに強弁するなど、三流[さんりゅう]の人間のすることだ。♠屁理屈[へりくつ]や強弁で世渡[よわた]りをしていく情[なさ]けないやからがいます。 **きょうべん(教鞭)** ○授業[じゅぎょう]の時[とき]、先生が使[つか]うむち。教職[きょうしょく]。[例]〈教鞭を執[と]る>田舎[いなか]の中学校で十年ほど教鞭を執った経験[けいけん]を生[い]かして、現在[げんざい]は教材会社[きょうざいがいしゃ]で編集[へんしゅう]の仕事[しごと]をしています。 **きょうぼう【凶暴】** ○凶悪[きょうあく]で乱暴[らんぼう]なさま。[例]〈凶暴な犬〉角[かど]の家の飼[か]い犬は、非常[ひじょう]に凶暴で、知[し]らない人にはいきなり跳[と]びかかる。♠へ凶暴な破壊力[はかいりょく]>竜巻[たつまき]の凶暴な破壊力によって、村のほとんどの家は崩壊[ほうかい]したという。♠へ凶暴な犯罪>若[わか]い女性を次々と殺[ころ]すという手口[てぐち]は、史上[しじょう]まれに見る、凶暴な犯罪であった。♠<凶暴な男>逃走中[とうそうちゅう]の犯人は凶暴な男で、しかも凶器[きょうき]を持[も]っていた。 **きょうぼう【狂暴】** ○狂[くる]ったように暴[あば]れ回[まわ]るさま。[例] <狂暴なふるまい>酒[さけ]が入[はい]ると、狂暴なふるまいをして周囲にめいわくをかけた。 **きょうぼう【共謀】** ○共同[きょうどう]して悪事[わるじ]をたくらむこと。[例] 〈共謀する〉三人の男は共謀して、大量[たいりょう]のテレホンカードを偽造[ぎぞう]した。♠〈共謀者〉首謀者[しゅぼうしゃ]は捕[つか]まったが、状況[じょうきょう]からみてどうやら別[べつ]に二、三人共謀者がいるらしい。 **きょうほん【狂奔】** ○狂[くる]ったように駆[か]け回[まわ]ること。熱狂的[ねっきょうてき]に行動[こうどう]すること。[例] <狂奔する〉国中[くにじゅう]を狂奔させたオリンピックも終[お]わり、国民は虚脱感[きょだつかん]にとらわれていた。♠人狂奔する>選挙運動期間中[せんきょうんどうきかんちゅう]は、県内[けんない]を西に東に狂奔する毎日[まいにち]でした。 **きょうみ【興味】** ○物事[ものごと]のおもしろみ。物事におもしろみを感[かん]じる気持[きも]ち。関心[かんしん]。[例]〈興味がある〉オリンピック競技の中では、新体操種目[しんたいそうしゅもく]にいちばん興味がある。♠へ興味を持つくわたしは、最近[さいきん]日本画を習[なら]い始[はじ]め、特[とく]に墨絵[すみえ]に興味を持っている。♠興味を抱[いだ]く>古典[こてん]で枕草子[まくらのそうし]について学[まな]んでから、わたしは清少納言[せいしょうなごん]という女性[じょせい]に興味を抱くようになった。♠興味をそそる〉中国の西安[せいあん]は、古代東西文明[こだいとうざいぶんめい]が交流[こうりゅう]し栄[さか]えた都市[とし]として、わたしの最も興味をそそるところです。♠へ興味がわく〉テストで満点[まんてん]を取[と]ってから、ますます社会科学習[しゃかいかがくしゅう]に興味がわいてきた。♠興味をかきたてる>生まれて初[はじ]めてバレエの舞台[ぶたい]を見[み]た妹は、ひどく興味をかきたてられたようだった。♠〈興味を覚[おぼ]える〉ぽくが映画に興味を覚えたのは、おじに連[つ]れられて行[い]った西部劇[せいぶげき]が最初[さいしょ]だった。♠へ興味を引[ひ]く〉彼のフシダカバチに関する研究発表[けんきゅうはっぴょう]は、思[おも]いがけず教授[きょうじゅ]の興味を引いた。♠へ興味を示す〉初めは興味を示さなかった子供たちも、いつしかわたしと一緒[いっしょ]にヤギの面倒[めんどう]を見[み]るようになっていた。♠へ興味が尽[つ]きない〉ちょっとしたきっかけで調[しら]べ始[はじ]めたのだが、調べれば調べるほど、興味は尽きなかった。♠へ興味を失[うしな]う〉兄[あに]は、あれほど夢中[むちゅう]になっていたパソコンに、そろそろ興味を失いかけているようだ。♠へ興味をそぐ〉推理小説[すいりしょうせつ]の結末[けつまつ]を聞[き]かされると、興味をそがれてしまう。♠へ興味深[ぶか]い>映像[えいぞう]を通[とお]して見る動物の生態[せいたい]は、なかなか興味深いものがある。♠〈興味津々[しんしん]>この物語がどのように展開[てんかい]するのか、興味津々です。♠へ興味本位[ほんい]>マスコミは、この恋愛事件[れんあいじけん]を興味本位に書[か]き立[た]てた。 **ぎょうむ【業務】** ○職業[しょくぎょう]として従事[じゅうじ]する仕事[しごと]。[例]〈日常の業務〉〈業務を果[は]たす〉退院後[たいいんご]は、なんとか大過[たいか]なく日常の業務を果たしております。♠へ業務に就[つ]く〉新規採用者[しんきさいようしゃ]は六週間の研修[けんしゅう]の後[のち]、それぞれの業務に就くことになっている。 **きょうめい【共鳴】** ○振動数[しんどうすう]の同[おな]じ物体[ぶったい]の一方[いっぽう]が、他方[たほう]の影響[えいきょう]を受[う]けて振動する現象[げんしょう]。他人[たにん]の意見に同感[どうかん]すること。[例]〈音が共鳴する〉弦楽器[げんがっき]は、その胴[どう]の部分に音が共鳴し、よく響[ひび]くように作[つく]られています。♠〈意見に共鳴する〉「楽[たの]しい学級をつくるには、自分の態度[たいど]を見直[みなお]そう。」という彼[かれ]の意見に、ぼくも共鳴した。♠◇共鳴の声>世界平和を説[と]くまえに、身近[みぢか]な人々と仲[なか]よくやっているかどうか反省[はんせい]しよう、という意見に、共鳴の声が沸[わ]き上[あ]がった。 **きょうゆう【共有】** ○共同[きょうどう]で所有[しょゆう]すること。[例]〈共有する〉ぼくと弟[おとうと]は勉強部屋[べんきょうべや]を共有しています。♠共有の財産>言葉は、わたしたちみんなの大切な共有の財産です。 **きょうゆう【享有】** ○生[う]まれながらに有[ゆう]すること。[例] 〈享有する〉ぼくたちは、一個[いっこ]の人格[じんかく]として、自[みず]らの判断[はんだん]によって行動する自由と責任を享有しています。♠<基本的人権[きほんてきじんけん]の享有〉国民は、すべての基本的人権の享有を妨[さまた]げられない。(日本国憲法第十一条[にほんこくけんぽうだいじゅういちじょう]) **きょうよう【教養】** ○知識[ちしき]や見識[けんしき]を身[み]につけることによって育[そだ]つ品性[ひんせい]の豊[ゆた]かさ。[例]〈教養がある〉日本人は、昔[むかし]から読書[どくしょ]を教養のある人のたしなみの一[ひと]つとしてきた。♠教養が深[ふか]い〉あの先生ぐらい教養が深いと、人柄[ひとがら]にもそれが現[あらわ]れるものだ。♠〈高[たか]い教養〉〈教養を身につける〉いろいろな問題について、的確[てきかく]な判断や意見が述[の]べられる高い教養を身につけたい。♠〈教養を高[たか]める〉わたしたちは、読書や多くの体験[たいけん]から学[まな]んだことを通[とお]して、自身[じしん]の教養を高めていくのです。 **きょうよう【共用】** ○共同[きょうどう]で使用[しよう]すること。[例]〈共用する〉このグラウンドは、野球部[やきゅうぶ]とサッカー部が共用しています。♠昔[むかし]の長屋[ながや]では、井戸[いど]は共用になっていた。 **きょうよう【強要】** ○無理[むり]に要求[ようきゅう]すること。[例]〈強要する〉いくら善意[ぜんい]の募金[ぼきん]でも、寄付[きふ]を強要するのはよくない。♠〈立[た]ちのきを強要する〉地主[じぬし]は土地を売[う]ろうとして、住民に立ちのきを強要した。 **きょうらく【享楽】** ○思[おも]いのままに楽[たの]しむこと。快楽[かいらく]にふけること。[例]〈享楽にふける>彼は、莫大[ばくだい]な財産[ざいさん]が尽[つ]きる <272> まで享楽にふけった。♠へ享楽する>毎日[まいにち]あくせく働[はたら]くばかりでなく、少[すこ]しは人生を享楽したいものだ。♠〈享楽的〉ぽくは、人生はできるだけ楽[たの]しみたいという享楽的な人間なんだ。♠〈享楽主義〉世[よ]の中[なか]には、享楽主義的な生[い]き方[かた]をする人もいれば、禁欲主義[きんよくしゅぎ]の人もいます。 **きょうらん【狂乱】** ○狂気[きょうき]に陥[おちい]って、異常[いじょう]な行動[こうどう]をとること。[例]〈狂乱する〉母親は息子[むすこ]の事故[じこ]を知[し]って狂乱した。♠<狂乱状態>火災[かさい]が発生[はっせい]すると、たちまち混雑[こんざつ]した売[う]り場[ば]は狂乱状態に陥った。♠〈半狂乱>子供の姿[すがた]を見失[みうしな]った母親は、半狂乱になって捜[さが]し回[まわ]った。♠へ地価狂乱〉地価狂乱の昨今[さっこん]、サラリーマンにとってマイホームなど夢[ゆめ]のまた夢だ。 **きょうり【郷里】** ○生[う]まれ育[そだ]った土地[とち]。ふるさと。故郷[こきょう]。[例]〈父[ちち]の郷里>ぼくの一家[いっか]は、毎年夏[まいとしなつ]に、父の郷里に行[い]くことにしています。♠〈郷里に帰[かえ]る〉十年ぶりに郷里に帰った彼の前[まえ]にすっかり変[か]わった町[まち]があった。 **きょうりょく【協力】** ○力[ちから]を合[あ]わせること。[例]〈協力を求[もと]める〉川[かわ]をきれいにする運動に対[たい]して、市民の方々[かたがた]の協力を求めたい。♠へ協力を願[ねが]う〉恵[めぐ]まれない人々[ひとびと]のために、赤い羽根[はね]の募金[ぼきん]にご協力をお願いします。♠へ協力[きょうりょく]を得[え]る〉村の青年たちの協力を得て、縄文時代[じょうもんじだい]のものと思[おも]われる遺跡[いせき]の発掘[はっくつ]が開始[かいし]された。♠へ協力を惜[お]しまない〉生徒会[せいとかい]の運営[うんえい]のために努力している会長[かいちょう]に、ぼくたちも協力を惜しまないいつもりです。♠〈献身的[けんしんてき]な協力>彼は、妹[いもうと]の献身的な協力によって、病床[びょうしょう]にありながら、多[おお]くの優[すぐ]れた作品を発表[はっぴょう]し続[つづ]けた。♠へ人[ひと]と協力する〉人々と協力し団結[だんけつ]することによって、一人[ひとり]ではできない大きな仕事ができるのです。♠人に協力する〉彼女は敵兵[てきへい]に協力した人間として裁[さば]かれるかもしれない。 **きょうりょく【強力】** ○力[ちから]が強[つよ]いこと。力強いさま。積極的[せっきょくてき]に物事[ものごと]にあたるさま。効果[こうか]が大[おお]きいさま。[例]〈強力な戦力〉彼はメキメキと力[ちから]をつけ、一年もするとチームの強力な戦力になった。♠へ強力な手段〉言葉を学[まな]ぶということは、現実世界[げんじつせかい]をしかと見定[みさだ]める強力な手段を手[て]に入[い]れることである。♠へ強力に〜する〉社長は社員の批判[ひはん]を受[う]けながらも、海外進出計画[かいがいしんしゅつけいかく]を強力に推[お]し進[すす]めた。 **ぎょうれつ【行列】** ○並[なら]んで列[れつ]を作[つく]ること。また、その列。[例]〈行列が続[つづ]く>初[はつ]もうでの人々の行列がえんえんと続いている。♠へ行列ができる〉話題[わだい]の映画が封切[ふうき]りになって、切符売[きっぷう]り場[ば]の前[まえ]に長[なが]い行列ができた。♠〈ありの行列〉足もとを見[み]ると、ありの行列が庭[にわ]のすみかの巣穴[すあな]までずっと続[つづ]いていました。♠へ祭[まつ]りの行列〉さまざまな仮装[かそう]をした祭りの行列が、一日中街[いちにちじゅうまち]を練[ね]り歩[ある]いていた。♠〈行列を作[つく]る〉安売[やすう]りの店[みせ]の前[まえ]では、人々[ひとびと]が行列を作って開店[かいてん]を待[ま]っていた。♠〈行列する〉おもちゃ屋の店で行列して、子供たちは人気のぬいぐるみを手[て]に入[い]れた。 **きょえい【虚栄】** ○実質[じっしつ]のともなわない栄誉[えいよ]。うわべを飾[かざ]ること。みえ。[例]彼は、つまらぬ虚栄から、借金[しゃっきん]して買った外車[がいしゃ]を乗[の]り回[まわ]している。♠〈虚栄心〉息子[むすこ]が一流大学[いちりゅうだいがく]に合格[ごうかく]したことは、わたしの虚栄心を満足[まんぞく]させた。♠〈虚栄心〉彼女はうわべを飾ることしか頭[あたま]にない、虚栄心の強[つよ]い女だ。 **きょえいしん【虚栄心】** ○♪きょえい **きょか【許可】** ○願[ねが]い出[で]を聞[き]き届[とど]けて許[ゆる]すこと。許し。[例] 〈許可を得[え]る>先生の許可を得なければ、放課後学校[ほうかごがっこう]に残[のこ]ることはできない。♠〈許可が下[お]りる〉やっと合宿参加[がっしゅくさんか]の許可が学校から下りた。♠へ許可が要[い]る〉小学生以下[しょうがくせいいか]の入場[にゅうじょう]には、保護者[ほごしゃ]の許可が要ることになってます。♠へ許可なく〉扉[とびら]には、「許可なく入室[にゅうしつ]を禁[きん]ず」と書[か]いた紙[かみ]が張[は]ってあった。♠<許可する>庭園[ていえん]は自由に出入[でい]りできたが、撮影[さつえい]は許可されなかった。♠へ営業許可〉その店[みせ]は、食中毒事件[しょくちゅうどくじけん]を起[お]こしたかどで、営業許可を取[と]り消[け]されたそうですよ。 **きょがく【巨額】** ○額[がく]が非常[ひじょう]に多[おお]いこと。[例]〈巨額の資金>国は、新幹線[しんかんせん]の建設[けんせつ]に巨額の資金を投入[とうにゅう]した。♠ヘ巨額の遺産>彼は若[わか]くして巨額の遺産を受[う]け継[つ]いだ。 **ぎょかく【漁獲】** ○水産物[すいさんぶつ]をとること。[例]〈漁獲が多[おお]い〉今年[ことし]はかつおの漁獲が多く、値[ね]も下[さ]がっている。♠へ漁獲高>漁師[りょうし]一人当[ひとりあ]たりの漁獲高は、一回[いっかい]の漁[りょう]で平均[へいきん]七万円から八万円といわれていた。♠<漁獲物〉漁師は、漁獲物はすべて組合[くみあい]へ納[おさ]めなければならなかった。 **きょかん【巨漢】** ○非常[ひじょう]に体[からだ]の大[おお]きな男[おとこ]。大男[おおおとこ]。[例]〈六尺[ろくしゃく]豊かな巨漢〉ぬっと姿[すがた]を現[あらわ]したのはなんと六尺豊かな巨漢であったから、紅顔[こうがん]の美少年[びしょうねん]を想像[そうぞう]していたわたしたちはさすがに驚[おどろ]いた。 **きょぎ【虚偽】** ○うそいつわり。[例]〈虚偽の申[もう]し立[た]て〉彼が虚偽の申し立てをしたため、無実[むじつ]の人間が罪[つみ]に問[と]われることになった。♠へ虚偽を含[ふく]む〉この報告[ほうこく]には、一部虚偽が含まれている。♠〈虚偽と真実>あの男の言[い]っていることは虚偽か真実か。 **ぎょぎょう【漁業】** ○水産物[すいさんぶつ]の捕獲[ほかく]や養殖[ようしょく]を行[おこな]う生産活動[せいさんかつどう]。また、その職業[しょくぎょう]。[例]赤潮[あかしお]の発生[はっせい]は、漁業にたいへんな被害[ひがい]をもたらします。♠四方[しほう]を海[うみ]に囲[かこ]まれた日本では、昔[むかし]から漁業が盛[さか]んです。 **きょく【曲】** ○音楽のふし。メロディー。音楽の作品。物事[ものごと]の変化[へんか]に富[と]んだおもしろみ。[例]とてもいいメロディーですね、なんという曲ですか?♠へ曲をつける〉生徒の作[つく]った詞[し]に先生が曲をつけて、クラスの歌[うた]ができ上[あ]がりました。♠〈曲を作[つく]る〉わたしは一年ほど前[まえ]から曲を作ることに興味[きょうみ]を感[かん]じています。♠〈曲がない〉市民の集[つど]いは、いつも同[おな]じようなプログラムの繰[く]り返[かえ]しで、その曲のなさにすっかりあきられてしまった。 **きょく【極】** ○物事[ものごと]の行[い]き着[つ]く果[は]て。きわみ。極限[きょくげん]。電極[でんきょく]。磁極[じきょく]。[例]〈疲労[ひろう]の極〉一日中[いちにちじゅう]、重労働[じゅうろうどう]を続[つづ]けた彼は、疲労の極に達[たっ]していた。♠へ絶望[ぜつぼう]の極〉事業に失敗[しっぱい]した男は、絶望の極に追[お]いこまれた。♠プラス・マイナスの極〉電池は、プ <273> ラスの極[きょく]とマイナスの極をまちがえないように入[い]れてください。 **きょくげい【曲芸】** ○むずかしい芸当[げいとう]。はなれわざ。[例] 〈曲芸を演[えん]じる〉サーカスでは、一匹[いっぴき]の犬[いぬ]が自転車に乗[の]ってさまざまな曲芸を演じました。♠へ綱渡[つなわ]りの曲芸>観客[かんきゃく]は綱渡りの曲芸を、息[いき]をこらして見[み]ています。 **きょくげん【極言】** ○極端[きょくたん]な言[い]い方[かた]をすること。また、その言い方。[例]<極言する〉核兵器[かくへいき]の問題は、極言すれば、人類[じんるい]の未来[みらい]を左右[さゆう]するものです。♠へ極言する〉このままでは会社は倒産[とうさん]すると、彼は極言した。 **きょくげん【極限】** ○物事[ものごと]のきわまるところ。限界点[げんかいてん]。果[は]て。[例]〈極限に達[たっ]する〉十日間[とおかかん]の漂流[ひょうりゅう]の末[すえ]に発見[はっけん]された時、彼の体力[たいりょく]の消耗[しょうもう]は極限に達していた。♠<極限状態人間が人間の心を失[うしな]った極限状態が戦争である。♠〈極限状況〉ヘミングウェイの『老人と海』は、極限状況の中[なか]で生[せい]をかけて戦[たたか]う老漁夫[ろうりょうふ]を描[えが]いた小説です。 **きょくげん【局限】** ○範囲[はんい]を狭[せま]く限[かぎ]ること。[例]〈局限する〉もっと問題[もんだい]を局限し、時間をかけて検討[けんとう]する必要[ひつよう]がある。 **ぎょくせきこんこう【玉石混交】(玉石混淆)** ○優[すぐ]れたものとつまらないものがまじっていること。[例]多作[たさく]な詩人[しじん]であり、即興[そっきょう]の作品も多[おお]く全体[ぜんたい]に玉石混交であるが、さすがにすぐれた作品は読[よ]む者[もの]の心[こころ]をとらえる。 **きょくせつ【曲折】** ○折[お]れ曲[ま]がること。曲がりくねること。物事[ものごと]が複雑[ふくざつ]に入[い]り組[く]んでいること。[例]〈曲折する〉川筋[かわすじ]に沿[そ]って、ゆるく曲折した道が続[つづ]いています。♠へ曲折を経[へ]る〉このコンサートホールは、さまざまな曲折を経て、ようやく完成[かんせい]したものです。♠<紆余[うよ]曲折〉今日[こんにち]の成功[せいこう]を収[おさ]めるまでには、さまざまな紆余曲折があった。 **きょくせん【曲線】** ○曲[ま]がった線[せん]。[例]〈曲線を描[えが]く〉スキーヤーは美[うつく]しい曲線を描きながら斜面[しゃめん]を滑[すべ]り降[お]りていった。♠〈曲線の美しさ〉わたしはその壺[つぼ]の曲線の美しさに、すっかり魅[み]せられてしまいました。 **きょくちょく【曲直】** ○曲[ま]がったこととまっすぐなこと。まちがったことと正[ただ]しいこと。[例]〈曲直をただす〉〈是非[ぜひ]曲直〉〈理非[りひ]曲直〉この件については裁判[さいばん]で是非(理非)曲直をただすつもりだ。♠〈曲直を争[あらそ]う〉曲直を争うことが、武器[ぶき]によらず言葉によるのであれば問題はない。 **きょくてん【極点】** ○到達[とうたつ]できるぎりぎりの点。北極点[ほっきょくてん]・南極点[なんきょくてん]。[例]〈極点を目指す〉彼は、カナダの北東端[ほくとうたん]、エルズミーア島[とう]のコロンビア岬[みさき]から、極点を目指して出発[しゅっぱつ]した。♠〈極点に立[た]つ〉一行[いっこう]は、雪[ゆき]と氷[こおり]の世界で悪戦苦闘[あくせんくとう]の末[すえ]、ついに極点に立った。 **きょくど【極度】** ○この上[うえ]なくはなはだしいこと。ぎりぎりの程度[ていど]。[例]〈極度の緊張[きんちょう]・疲労[ひろう]>彼女の失神[しっしん]は、極度の緊張と疲労のためと思われる。♠へ極度に〜する〉五日[いつか]ぶりに救出[きゅうしゅつ]された遭難者[そうなんしゃ]は、極度に衰弱[すいじゃく]していた。♠へ極度に達[たっ]する〉ここに至[いた]って、わたしの怒[いか]りは極度に達した。 **きょくぶ【局部】** ○特定[とくてい]のある部分。人体のある限[かぎ]られた部分。陰部[いんぶ]。[例]この病気は、局部だけを切除[せつじょ]しても完治[かんち]しないそうだ。♠〈局部をおさえる〉打球[だきゅう]が当[あ]たった捕手[ほしゅ]は、局部をおさえてとびあがった。 **きょくめん【局面】** ○碁[ご]・将棋[しょうぎ]の勝負[しょうぶ]の形勢[けいせい]。当面[とうめん]する事態[じたい]。物事[ものごと]のなりゆき。[例]〈重大[じゅうだい]な局面〉会社は今、重大な局面を迎[むか]え、社内に張[は]りつめたムードが漂[ただよ]っている。♠◇局面を打開[だかい]する〉この困難[こんなん]な局面を打開するには、全員[ぜんいん]の協力[きょうりょく]が必要[ひつよう]です。 **きょくりょく【極力】** ○できるかぎり。全力[ぜんりょく]をあげて。精[せい]いっぱい。[例]この件は周辺[しゅうへん]への影響[えいきょう]も大[おお]きいが、極力穏[おだ]やかに話[はなし]を進[すす]めたい。♠ご期待[きたい]にそうよう、極力努力[どりょく]します。 **きょくろん【極論】** ○極端[きょくたん]な意見・論[ろん]を言[い]いたてること。また、その意見・論。[例]勉強の嫌[きら]いなやつは学校へ来[く]るなというのは極論で、教育者[きょういくしゃ]の責任[せきにん]を放棄[ほうき]したものといえます。♠〈極論する〉わが企画部[きかくぶ]をだめにした張本人[ちょうほんにん]は部長だ、と極論する者[もの]までいる。 **きょこう【挙行】** ○儀式[ぎしき]や行事[ぎょうじ]を行[おこな]うこと。[例]〈挙行する〉新[あたら]しい橋[はし]が完成[かんせい]すると、盛大[せいだい]に記念式典[きねんしきてん]が挙行された。♠<挙行する〉結婚式[けっこんしき]は、たくさんの人々の祝福[しゅくふく]を受[う]けて青山[あおやま]の教会で挙行されました。 **きょこう【虚構】** ○現実[げんじつ]にはないつくりごと。フィクション。[例]〈事実[じじつ]と虚構〉この小説は、事実によらない虚構だが、いかにも真実味[しんじつみ]がある。 **きょしき【挙式】** ○結婚式[けっこんしき]などを行[おこな]うこと。式[しき]をあげること。[例]〈挙式を待[ま]つこの春[はる]結婚する予定[よてい]ですが、結納[ゆいのう]もすませ、あとは挙式を待つばかりです。♠へ挙式をすませる〉挙式をすませた兄夫婦[あにふうふ]は、そのままハネムーンへと旅立[たびだ]った。♠〈挙式する〉昨年[さくねん]挙式した息子夫婦[むすこふうふ]に赤[あか]ちゃんができるらしい。 **きょしてき【巨視的】** ○細部[さいぶ]にこだわらず、対象[たいしょう]を全体的[ぜんたいてき]なまとまりのうちにとらえるさま。[例]<巨視的にとらえる>国際情勢[こくさいじょうせい]に重大[じゅうだい]な影響[えいきょう]を与[あた]える大国は、国内問題[こくないもんだい]といえども巨視的にとらえる必要がある。♠<巨視的につかむ>細 <274> **ぎょしゃ** ○馬をあやつって馬車を走らせる人。[文例]彼が馬車に乗り込むと、御者はピシリと馬に鞭[むち]をあてた。 **きょじゃく【虚弱】** ○体が弱いこと。ひよわなさま。[文例]〈身体が虚弱〉ぼくは身体が虚弱で、体育の時間はたいてい見学している。♠●〈虚弱体質〉プロ選手の彼も、小さいころは虚弱体質で、病気ばかりしていた。 **きょしゅ【挙手】** ○手をあげること。[文例]〈挙手をする〉この意見に賛成の方は挙手をしてください。♠●〈挙手の礼〉兵士は、挙手の礼で上官を迎えた。 **きょしゅう【去就】** ○去ることととどまること。身のふり方。身の処し方。[文例]〈身の去就に迷う〉未曾有[みぞう]の不景気の中で大学を卒業したわたしは、身の去就に迷った。♠●〈去就を決める・決する〉責任を感じるからだろう、社内で彼は今後の去就を決めかねていた。 **きょじゅう【居住】** ○住むこと。住まうこと。[文例]〈居住する〉都心に居住すると、生活は便利ですが、自然とのふれあいが少なくなってしまいます。♠●〈居住性〉キャンピングカーは移動には便利ですが、やや居住性に欠ける。♠〈居住者〉マンションの居住者が集まって自治会を結成しました。 **きょしょう【巨匠】** ○芸術の分野で優れた業績をあげた人。大家。[文例]〈画壇の巨匠〉彼は画壇[がだん]の巨匠と仰[あお]がれている人物です。♠●〈ルネサンスの巨匠〉ルネサンスの巨匠レオナルド=ダ=ビンチは、絵画のみならず科学の分野にもすぐれた業績を残した。 **きょじょう【居城】** ○ふだん住んでいる城。[文例]大坂城は太閤[たいこう]秀吉の居城でした。 **ぎょじょう【漁場】** ○魚の多くとれる水域。漁をする場所。[文例]〈アラスカの漁場〉この漁船は、これからアラスカの漁場へ出航するところです。♠●〈漁場を荒らす〉最近、トドの群れが漁場を荒らして困っています。 **きょしょく【虚飾】** ○外見やうわべだけを飾ること。[文例]〈虚飾に満ちる〉彼は資産家の息子だが、虚飾に満ちた生活を嫌って家を出た。♠●〈虚飾がない〉女優という華やかな職業ながら、虚飾のない素直な人柄[ひとがら]に好感が持てる。 **きょしん【虚心】** ○心にこだわりや先入観がなく、すなおなこと。→成心[文例]〈虚心に~する〉見識[けんしき]のある人の忠告には、虚心に耳を傾けるべきだ。♠●〈虚心坦懐〉壁にぶつかったら、出だしにもどって虚心坦懐[たんかい]な態度でやり直すのがよい。 **きょじん【巨人】** ○並外れて体の大きい人。特にすぐれた能力・業績の持ち主。[文例]〈小人や巨人〉おとぎ話の中には、よく小人[こびと]や巨人が登場する。♠●〈財界の巨人〉彼は財界の巨人で、日本の経済界になくてはならない存在です。 **きょしんたんかい(虚心坦懐)** ○先入観にとらわれず、すなおな心で物事に対するさま。[文例]これまでのわだかまりを捨て、お互いの考えを虚心坦懐に話し合ってみることにした。 **ぎょ・する【御する】(馭する)** ○馬を乗りこなす。思いのままに操る。[文例]〈馬を御する〉実際にやってみるとわかるけれど、手綱を取って馬を御するというのはとても難しいことなんだ。♠●〈人を御する〉考え方も個性も異なる会員たちを御して、一つの目的に向かわせるのだから、会長は大変です。 **きょせい【去勢】** ○生殖の機能を取り去ること。気力を失わせること。[文例]〈去勢する〉気の荒い動物は、去勢して生殖機能をなくすると、おとなしくなることがある。♠●〈去勢された都会人〉華美と虚飾と虚栄に去勢された都会の男たち。 **きょせい【虚勢】** ○うわべだけの威勢。見せかけの勢い。からいばり。[文例]〈虚勢を張る〉大阪に出てきた時は、都会人のふりして虚勢を張って生きたけど、うちやっぱり田舎もんやったわ。♠あんな大学なんか簡単さ、という純平[じゅんぺい]の顔にいくらかの虚勢がうかがわれた。 **きょせい【巨星】** ○大きな星。輝かしい業績を残した人物。[文例]〈巨星墜つ〉昭和の詩壇に君臨した大詩人が死んだ時、新聞は「現代詩の巨星墜つ」と報じた。 **きょぜつ【拒絶】** ○こばむこと。ことわること。受けつけないこと。拒否。[文例]〈拒絶にあう〉相手国の拒絶にあって、援助活動は中止された。♠●〈拒絶する〉わたしは彼のむちゃな要求をきっぱりと拒絶した。♠〈拒絶反応〉移植手術後、患者の体は拒絶反応を示しはじめた。 **きょぞう【虚像】** ○鏡に映る像のように、実際にはそこに存在しないのに、あたかもそこにあるかのように見える像。見せかけの姿。いつわりの姿。→実像[文例]敬虔なクリスチャンというのは彼の虚像で、実は自分の生活のことしか頭にない、イエスの愛に最も遠いような男だった。♠●きみたちの身の回りに見え隠れするさまざまな虚像にまどわされず、真実の姿を見抜く力を養いなさい。 **きょたい【巨体】** ○非常に大きな体。[文例]〈巨体を揺らす〉横綱は巨体を揺らしながら、土俵に上がった。♠●〈巨体を利する〉小錦[こにしき]は巨体を利して、一気に突っ張って出た。 **きょだい【巨大】** ○非常に大きなさま。[文例]〈巨大な岩〉雷鳴がとどろきわたったかと思うと、大音響[だいおんきょう]とともに、山から巨大な岩がくずれてきた。♠●〈巨大な仏像〉東大寺の巨大な仏像を立てるのには、延べ二百六十万人の人たちが参加したという。♠〈巨大都市〉ビッグアップルは、巨大都市ニューヨークの愛称です。 **きょだく【許諾】** ○聞き入れて許すこと。[文例]〈許諾を得る〉叔父の許諾を得ないと、この土地は勝手に処分できません。♠●〈許諾する〉彼はわたしの申し入れを、快く許諾してくれた。 **きょだつ【虚脱】** ○体じゅうの力が抜けること。気力がすっかりなくなること。ぼんやりした状態。[文例]〈虚脱状態〉母が亡くなると、わたしはしばらく虚脱状態に陥[おちい]り、何をす る気も起こらなかった。♠●〈虚脱感〉入試が終わったとたん虚脱感に襲[おそ]われ、しばらくぼんやりとした日々が続きました。 <275> **きょりゅう** **きょっかい【曲解】** ○真意をねじまげて解釈すること。[文例]このことでわたしが自分の利益を考えているだなんて、とんでもない曲解だ。♠●〈曲解する〉ぼくがきみを批判したからといって、きみに悪意を抱[いだ]いていると曲解してもらっては困る。 **きょてん【拠点】** ○活動のよりどころとなるところ。[文例]〈拠点を築く〉彼は三十代で事業の拠点を築くと、一気に規模を拡大していった。♠●〈拠点を失う〉店が人手に渡って拠点を失った彼は、再び、一から出直さなければならなかった。♠●〈拠点にする〉彼は、地元大阪を拠点にして販売網を広げていった。 **きょとう【巨頭】** ○大きな頭。最高位のすぐれた指導者。[文例]〈近代文学の巨頭〉森鷗外[もりおうがい]と夏目漱石[なつめそうせき]は、日本近代文学の巨頭である。♠●〈財界の巨頭〉各国の財界の巨頭が一堂に会して、国際会議が行われた。 **きょどう【挙動】** ○動作や行動。ふるまい。[文例]〈挙動があやしい〉あの男はどうも挙動があやしい、ちょっと調べてみよう。♠〈挙動不審〉事件の直後、挙動不審の男がうろついていたという通報がはいった。 **きょねん【去年】** ○今年の前の年。昨年。[文例]去年の夏、ぼくは友達と北海道を一周した。♠この写真を見ていると、去年のことが昨日のように思い出されます。♠●背丈[せたけ]がぐんぐん伸びて、去年のゆかたはもう着られなくなってしまった。 **きょひ【拒否】** ○こばむこと。断ること。受けいれないこと。拒絶。[文例]〈立ち退きを拒否する〉高速道路建設に反対して、半数以上の人々が立ち退きを拒否した。♠〈かたくなに拒否する〉姉は、なぜかかたくなに結婚を拒否して、今の仕事を続けると言い出した。♠●〈人を拒否する〉ヒマラヤの高峰は、人の近づくことを拒否している。♠●〈住民の拒否〉思いがけない住民の拒否にあい、老人ホーム建設の計画は暗礁に乗り上げた。♠〈拒否反応〉その子は、なぜか動物のおもちゃに激しい拒否反応を示した。 **ぎょふ【漁夫】** ○漁師。[文例]カツオの群れを見つけると、漁夫たちはにわかに活気づいた。♠●〈漁夫の利〉二人が争っている間に第三者が利益を得ることを、「漁夫の利(を得る・しめる)」という。 **きょへい【挙兵】** ○兵を挙げること。兵を集めて戦いを起こすこと。[文例]〈挙兵する〉伊豆に流されていた源頼朝[みなもとのよりとも]は、地方に散っていた源氏の武士たちを集めて挙兵した。♠●戦国時代の武将たちは、常に挙兵の時期をうかがっていた。 **きよほうへん(毀誉褒貶)** ○ほめることとけなすこと。称賛と非難。[文例]自信を持ってやりたまえ。周囲の毀誉褒貶など気にするな。 **きょまん【巨万】** ○数量や金額が非常に多いこと。[文例]〈巨万の富〉北陸に生まれ育った銭屋五兵衛[ぜにやごへえ]は、加賀百万石の御用商人として、巨万の富を築いた。♠●〈巨万の兵〉巨万の兵に囲まれ、戦わずして砦[とりで]をあけ渡した。 **きょむ【虚無】** ○一切のものが存在しないこと。価値のが何も存在しないこと。心に何もないこと。[文例]〈虚無を感じる〉あわただしい日々の暮らしに虚無を感じた彼は、ついに決意して仏門に入った。♠●〈虚無的〉事故で家族を失った男は、それ以来虚無的になった。 **きよ・める【清める】(浄める)** ○きれいにする。きよらかにする。けがれをはらう。[文例]〈身を清める〉老僧は冷たい水で身を清めてから、朝の読経[どきよう]を始めた。♠●〈掃き清める〉せっかく庭を掃き清めたのに、もう落ち葉が積もってしまった。 **きょもう【虚妄】** ○うそやいつわり。[文例]〈虚妄にまどわされる〉そんな虚妄にまどわされて、進む道を誤[あやま]ってはいけない。♠●〈虚妄にすぎない〉政治の世界で正義だの倫理[りんり]だのは虚妄にすぎない。♠〈民主主義の虚妄〉戦後、民主主義の虚妄が叫ばれた時期があった。 **きょよう【許容】** ○許し、受けいれること。[文例]〈許容の限度〉この中学生たちのいたずらは許容の限度を超えている。♠〈許容の範囲〉失敗は失敗だから、良いことはないが、この程度なら許容の範囲だろう。♠●〈許容する〉他人の過ちを許容する心のゆとりを持ちたいものだ。♠〈許容しがたい〉再三の注意にも反省の色の見えない彼の態度は、全く許容しがたいことだ。 **きょらい【去来】** ○行き来すること。[文例]〈雲の去来〉白雲の去来にも心が動かされるのは、ひとり旅のせいだろう。♠〈脳裏に去来する〉セピア色にあせた写真を手にとると、なつかしい思い出が脳裏[のうり]に去来する。 **きよらか【清らか】** ○けがれがなく、美しいさま。[文例]〈清らかな水〉くみ上げたつるべの水は、清らかで冷たかった。♠●〈清らかな空気〉高原の清らかな朝の空気を、胸いっぱいに吸い込んだ。♠●〈清らかな目〉幼児の、清らかで汚れを知らない目が、わたしを見上げていた。♠〈心が清らか〉良寛[りようかん]さんは、心の清らかな、子供好きの僧[そう]でした。 **きょり【距離】** ○二点間の直線的な長さ。隔たり。道のり。[文例]〈四キロの距離〉お父さんが中学生の時は、学校まで四キロの距離を毎朝歩いて通ったものだ。♠〈長い距離〉以前は家にふろがなかったので、長い距離を歩いて町の銭湯[せんとう]へ通った。♠◆〈スープの冷めない距離〉わたしの祖父母は、つい目と鼻の先のスープの冷めない距離に住んでいる。♠◆〈一定の距離を保つ〉最初からピッチを上げると後半ばてるから、一定の距離を保って先頭グループについていこう。♠◆〈距離が離れる〉先頭との距離があまり離れないように注意しなさい。♠●〈距離がある〉学校までどのぐらいの距離がありますか。♠●〈距離を縮める〉ライオンは少しずつシマウマとの距離を縮めて行った。♠〈距離を置く〉彼女とわたしは性格が違う[ちがう]ので、少し距離を置いたつきあいをしている。 **きょりゅう【居留】** ○一時的にその地に住むこと。とどまり住むこと。[文例]〈居留する〉江戸幕府は鎖国令を出し、長崎の出島のみオランダ人の居留することを認めた。♠〈居留地〉インディアンは白人に追われ、ついには居留地での不自由な生活に激しい抵抗を示した。 <276> 本意[ほんい]な生活[せいかつ]を余儀[よぎ]なくされた。 **きらい【嫌い】** ○きらうこと。いやなこと。望ましくない傾向[けいこう]。区別[くべつ]。[文例]〈嫌いなタイプ〉ああいう男[おとこ]は、わたしの嫌いなタイプなのよね。♠〈嫌いなこと〉わたしのいちばん嫌いなことは、人[ひと]を疑[うたが]うことと、それから、うそをつくことだ。♠〈ネコが嫌い〉あなたのお父[とう]さんは、ネコが嫌いですか。♠〈嫌いになる〉人[ひと]から、読書[どくしょ]を強[し]いられると、かえって本[ほん]が嫌いになることもある。♠〈〜するきらいがある〉わたしたちは、能率主義[のうりつしゅぎ]の中[なか]で便利[べんり]なものに価値[かち]をおきすぎるきらいがある。♠〈〜のきらいがある〉あの国[くに]は、元軍人[もとぐんじん]が首相[しゅしょう]になってから、独裁政治[どくさいせいじ]のきらいがある。♠〈男女[だんじょ]のきらいなく〉この会社[かいしゃ]では、男女[だんじょ]のきらいなく、平等[びょうどう]に待遇[たいぐう]している。♠〈食わずぎらい〉うなぎの嫌いな人[ひと]には食わずぎらいが多[おお]いようだ。♠〈好[す]き嫌[きら]い〉彼女[かのじょ]は、食[た]べ物[もの]の好[す]き嫌[きら]いがはげしいし、とてもわがままだ。 **きら・う【嫌う】** ○好[この]まない。いやがる。避[さ]ける。区別[くべつ]する。[文例]〈ものを嫌う〉ほたるは、人[ひと]の声[こえ]や光[ひか]るものを嫌うということを聞[き]いたことがある。♠〈商売[しょうばい]を嫌う〉彼[かれ]は、父親[ちちおや]の商売[しょうばい]を嫌って、家[いえ]を出[で]てしまった。♠〈お世辞[せじ]を嫌う〉父[ちち]は気性[きしょう]がまっすぐな人[ひと]で、お世辞[せじ]を嫌う。♠〈人[ひと]に嫌われる〉あんまりずうずうしいことをすると、人[ひと]に嫌われますよ。♠〈世間[せけん]から嫌われる〉その当時結核[けっかく]は、一度感染[かんせん]したら治[なお]らないということで、世間[せけん]から嫌われ、恐[おそ]れられていた。♠〈湿気[しっけ]を嫌う〉のりやお茶[ちゃ]などの乾物[かんぶつ]は湿気[しっけ]を嫌うので、缶[かん]に入[い]れて保存[ほぞん]します。♠〈ところきらわず〉文鳥[ぶんちょう]を放[はな]し飼[が]いにしたら、ところきらわずふんをして、飛[と]び歩[ある]いている。♠〈相手[あいて]きらわず〉だれであろうとつかまえて、相手[あいて]きらわず議論[ぎろん]をふっかける男[おとこ]だよ、あいつは。 **きらく【気楽】** ○気[き]づかいがなく、のんびりしているさま。物事[ものごと]に悩[なや]まないさま。[文例]〈気楽な様子[ようす]〉気楽な様子[ようす]に見[み]えても、これで心配[しんぱい]が多[おお]いのよ。♠〈気楽にする〉別[べつ]に試験[しけん]をしようというのじゃありませんから、気楽にしてくださいね。♠〈気楽に考[かんが]える〉きみは気楽に考[かんが]えて言[い]ったのだろうが、相手[あいて]の気持[きも]ちを傷[きず]つけてしまったよ。♠〈気楽な稼業[かぎょう]〉一日中[いちにちじゅう]店[みせ]に座[すわ]って客[きゃく]を待[ま]っているだけですから、気楽な稼業[かぎょう]です。♠〈気楽な人[ひと]〉いいね、あなたたちみたいに気楽な人[ひと]は。 **きら・す【切らす】** ○切[き]れた状態[じょうたい]にする。とぎれさせる。たくわえをなくす。絶[た]やす。[文例]〈ひびを切らす〉娘[むすめ]は、寒[さむ]い冬[ふゆ]の水仕事[みずしごと]で手[て]にひびを切らして、泣[な]いていた。♠〈息[いき]を切らす〉この坂[さか]は、かなり急[きゅう]こうばいなので、上[あが]りはいつもハアハア息[いき]を切らす。♠〈しびれを切らす〉手紙[てがみ]の返事[へんじ]がこないので、しびれを切らして、とうとう電話[でんわ]をかけてしまった。♠〈タバコを切らす〉タバコを切らしたので、ちょっと買[か]ってきます。♠〈小銭[こぜに]を切らす〉あいにく小銭[こぜに]を切らしてしまい、申[もう]しわけありません。 **きらびやか** ○はなやかで美[うつく]しいさま。輝[かがや]くばかりで派手[はで]なさま。[文例]〈きらびやかな衣装[いしょう]〉きらびやかな衣装[いしょう]をまとった出演者[しゅつえんしゃ]が総出[そうで]で、フィナーレを飾[かざ]った。♠〈きらびやかな席[せき]〉夜会[やかい]のきらびやかな席[せき]で少女[しょうじょ]はポーッとなっていた。 **きらぼし【きら星】(綺羅星)** ○(「綺羅[きら]、星[ほし]のごとく」から)美[うつく]しく輝[かがや]く星[ほし]。[文例]〈きら星のごとく〉会場[かいじょう]の一角[いっかく]に陣取[じんど]った老人[ろうじん]たちは、文学史上[ぶんがくしじょう]にきら星のごとく名[な]を連[つら]ねる人物[じんぶつ]たちであった。 **きらめき(煌めき)** ○きらきらと輝[かがや]くこと。[文例]〈星のきらめき〉満天[まんてん]の星のきらめきは、少女[しょうじょ]の心[こころ]に宇宙[うちゅう]へのあこがれをかき立[た]てていた。♠〈感性[かんせい]のきらめき〉歌集[かしゅう]の全編[ぜんぺん]に若[わか]い感性[かんせい]のきらめきがまぶしいほどである。 **きらめ・く(煌めく)** ○きらきらと光り輝く。[文例]〈星がきらめく〉冬[ふゆ]の澄[す]みきった夜空[よぞら]には、無数[むすう]の星[ほし]がきらきらときらめいている。♠〈光[ひかり]がきらめく〉朝[あさ]の光[ひかり]が冷[つめ]たい川[かわ]の水面[みなも]にきらめく。♠〈汗[あせ]がきらめく〉走[はし]ってきた少女[しょうじょ]の額[ひたい]には、汗[あせ]が きらめいていた。♠〈きらめく知性[ちせい]〉彼[かれ]の作品[さくひん]は、みずみずしい感性[かんせい]ときらめくような知性[ちせい]で読[よ]む人[ひと]の心[こころ]をとらえる。 **きり【霧】** ○大気中[たいきちゅう]の水蒸気[すいじょうき]が細[こま]かい水滴[すいてき]となって空中[くうちゅう]に浮[う]かんだもの。空中[くうちゅう]に飛[と]び散[ち]らした細[こま]かい水滴[すいてき]。[文例]〈深[ふか]い霧[きり]〉〈霧がかかる〉森[もり]は一面[いちめん]深[ふか]い霧[きり]がかかって、足[あし]もともおぼつかないほどだ。♠〈濃[こ]い霧〉〈霧が立[た]ちこめる〉町[まち]には、濃[こ]い霧が立[た]ちこめ、車[くるま]はヘッドライトをつけて走[はし]っていた。♠〈霧が晴[は]れる〉風向[かざむ]きが変[か]わると、だんだん霧も晴[は]れてきて、ふもとの家[いえ]が見[み]えてきた。♠〈霧に包[つつ]まれる〉港全体[みなとぜんたい]が霧に包[つつ]まれており、どこからともなく霧笛[むてき]が聞[き]こえてくる。♠〈霧を吹[ふ]く〉張[は]り替[か]えた障子[しょうじ]に霧を吹[ふ]いてしばらくおくと、紙[かみ]はピンと張[は]って、きれいに仕上[しあ]がった。♠〈黒[くろ]い霧〉政治[せいじ]の世界[せかい]は、まだまだ黒[くろ]い霧が立[た]ちこめていて、ガラス張[ば]りというわけにはいかないようだ。 **きり(錐)** ○もみ込[こ]んで、穴[あな]をあける道具[どうぐ]。[文例]この板[いた]の四隅[よすみ]にきりで穴[あな]をあけてつるせば、軽[かる]い物[もの]なら載[の]せられるだろう。♠〈きりをもむ〉初[はじ]めは鈍[にぶ]い痛[いた]みだったが、そのうちきりをもみこむような激[はげ]しい痛[いた]みに変[か]わった。 **きり【切り】** ○切[き]ること。切[き]れ目[め]。区切[くぎ]り。[文例]〈切[き]りがいい〉もう三時過[さんじす]ぎだから、切[き]りのいいところでひと休[やす]みしよう。♠〈切[き]りがない〉これではいつまで話[はな]し合[あ]っても切[き]りがない。♠〈切[き]りをつける〉今日[きょう]こそは話[はなし]に切[き]りをつけるつもりで来[き]ました。 **ぎり【義理】** ○物事[ものごと]の道理[どうり]。意義[いぎ]。道徳上[どうとくじょう]・付[つ]き合[あ]い上[じょう]で果[は]たさなければならないこと。血縁[けつえん]に準[じゅん]じた間柄[あいだがら]。[文例]〈義理[ぎり]と人情[にんじょう]〉浪花節[なにわぶし]じゃないけれど、わたしは義理[ぎり]と人情[にんじょう]の板挟[いたばさ]みで苦[くる]しんでいた。♠〈義理[ぎり]を欠[か]く〉世間[せけん]に義理[ぎり]を欠[か]くようなことがあっちゃ、この村[むら]では生[い]きてゆけない。♠〈義理[ぎり]を立[た]てる〉お世話[せわ]になった人[ひと]へ義理[ぎり]を立[た]てて、選挙[せんきょ]では一票[いっぴょう]を投[とう]じることにした。♠〈義理[ぎり]で〜する〉義理[ぎり]で酒[さけ]を飲[の]んでもちっとももうまくない。♠〈義理[ぎり]にも〉あの人[ひと]のピアノは、義理[ぎり]にも上手[じょうず]とは言[い]えなかった。♠〈義理[ぎり]の兄[あに]〉彼[かれ]はぼくの姉[あね]の夫[おっと]、つまり義理[ぎり]の兄[あに]に当[あ]たります。♠〈義理[ぎり]でない〉若[わか]いころからさんざん迷惑[めいわく]をかけてきたので、今[いま]さら親[おや]に頼[たの]めた義理[ぎり]ではない。♠〈義理[ぎり]がたい〉彼[かれ]は非常[ひじょう]に義理[ぎり]がたい男[おとこ]で、受[う]けた恩[おん]は必[かなら]ず返[かえ]そうとする。♠〈義理立[ぎりだ]て〉娘[むすめ]は、姉[あね]に <277> **義理立[ぎりだ]て** して、結婚[けっこん]の話[はなし]を親[おや]に切[き]り出[だ]せないでいた。 **きりあ・げる【切り上げる】** ○終[お]わりにする。引[ひ]き上[あ]げる。端数[はすう]を上[うえ]の位[くらい]に上[あ]げる。[文例]〈仕事[しごと]を切[き]り上[あ]げる〉今夜[こんや]は花火大会[はなびたいかい]だから、仕事[しごと]は早[はや]めに切[き]り上[あ]げよう。♠〈数[かず]を切[き]り上[あ]げる〉小数点以下[しょうすうてんいか]は切[き]り上[あ]げなさい。♠〈通貨[つうか]を切[き]り上[あ]げる〉経済[けいざい]の成長[せいちょう]にともない、通貨[つうか]を切[き]り上[あ]げることになった。 **きりかえ【切り替え・切り換え】** ○別[べつ]のものや方法[ほうほう]にかえること。[文例]〈ポイントの切[き]り換[か]え〉わたしの乗[の]った列車[れっしゃ]は、ポイントの切[き]り換[か]えのため、高原[こうげん]の小[ちい]さな駅[えき]に停車[ていしゃ]した。♠〈頭[あたま]の切[き]り換[か]え〉彼[かれ]は頭[あたま]の切[き]り換[か]えが早[はや]いから、いつまでもそんなことにこだわったりしないさ。♠〈契約[けいやく]の切[き]り換[か]え〉賃貸契約[ちんたいけいやく]の切[き]り換[か]えの時期[じき]になると、家賃[やちん]の値上[ねあ]げで頭[あたま]が痛[いた]い。 **きりかえ・す【切り返す】** ○切[き]ってきた相手[あいて]に対[たい]して仕返[しかえ]しに切[き]る。相手[あいて]の技[わざ]に応酬[おうしゅう]する。やり返[かえ]す。[文例]〈刀[かたな]を切[き]り返[かえ]す〉切[き]り返[かえ]した刀[かたな]は、新吾[しんご]の網笠[あみがさ]を払[はら]っていた。♠〈技[わざ]を切[き]り返[かえ]す〉彼[かれ]の仕掛[しか]けた技[わざ]は簡単[かんたん]に切[き]り返[かえ]された。♠〈切[き]り返[かえ]す言葉[ことば]〉あまりに鋭[するど]い皮肉[ひにく]に、切[き]り返[かえ]す言葉[ことば]もなかった。 **きりか・える【切り替える・切り換える】** ○新[あたら]しいものや方法[ほうほう]に改[あらた]める。別[べつ]のものや方法[ほうほう]にかえる。[文例]〈チャンネルを切[き]り換[か]える〉小[ちい]さな子[こ]がチャンネルをひんぱんに切[き]り換[か]えるので、とうとうテレビが壊[こわ]れてしまいました。♠〈頭[あたま]を切[き]り換[か]える〉世相[せそう]の移[うつ]り変[か]わりに合[あ]わせて、頭[あたま]を切[き]り換[か]えていくのは、老人[ろうじん]にとっては大変[たいへん]です。 **きりかぶ【切り株】** ○草木[くさき]を切[き]ったあと地面[じめん]に残[のこ]った部分[ぶぶん]。[文例]老人[ろうじん]は、近[ちか]くにあった切[き]り株[かぶ]に腰[こし]をおろすと、遠[とお]くを見[み]やった。 **ぎりぎり** ○限界[げんかい]であるさま。限度[げんど]いっぱいであるさま。すれすれ。[文例]〈ぎりぎりの生活[せいかつ]〉わたしの働[はたら]きでは、一家四人[いっかよにん]ぎりぎりの生活[せいかつ]です。♠〈ぎりぎりの線[せん]〉これが、ぼくの譲[ゆず]れるぎりぎりの線[せん]だ。♠〈終電[しゅうでん]ぎりぎり〉仕事[しごと]が手間取[てまど]り、駅[えき]へ駆[か]けつけたのは終電[しゅうでん]ぎりぎりだった。 **きりくず・す【切り崩す】** ○切[き]って崩[くず]す。削[けず]り取[と]る。分断[ぶんだん]してばらばらにする。[文例]〈山[やま]を切[き]り崩[くず]す〉焼[や]き物[もの]の町[まち]といわれるわたしの故郷[こきょう]では、陶土[とうど]を採取[さいしゅ]するために切[き]り崩[くず]された山[やま]の姿[すがた]があちこちに見[み]られます。♠〈前線[ぜんせん]を切[き]り崩[くず]す〉兵士[へいし]たちは、敵[てき]の前線[ぜんせん]を切[き]り崩[くず]そうという意気込[いきご]みで突撃[とつげき]していった。♠〈団結[だんけつ]を切[き]り崩[くず]す〉固[かた]い団結[だんけつ]を誇[ほこ]った反対派[はんたいは]もお金[かね]の誘惑[ゆうわく]には勝[か]てず、年輩者[ねんぱいしゃ]から切[き]り崩[くず]されていった。 **きりくち【切り口】** ○刃物[はもの]などで切[き]ったところ。切断面[せつだんめん]。袋[ふくろ]などを切[き]り開[あ]くための口[くち]。[文例]〈枝[えだ]の切[き]り口[くち]〉紅梅[こうばい]の枝[えだ]は、その切[き]り口[くち]まで薄紅色[うすべにいろ]に見[み]えるものがあるそうです。♠〈袋[ふくろ]の切[き]り口[くち]〉お菓子[かし]の袋[ふくろ]は、はさみを使[つか]わなくても、矢印[やじるし]のついた切[き]り口[くち]のところから簡単[かんたん]にあけられた。 **きりこうじょう【切り口上】** ○改[あらた]まった、そっけないものの言[い]い方[かた]。[文例]〈切[き]り口上[こうじょう]で言[い]う〉「先生[せんせい]は生徒[せいと]の個性[こせい]をどうお考[かんが]えですか。」と、突然立[とつぜんた]ち上[あ]がった一人[ひとり]の父兄[ふけい]が切[き]り口上[こうじょう]で言[い]った。♠〈切[き]り口上[こうじょう]を使[つか]う〉順吉[じゅんきち]は、わざと冷淡[れいたん]に切[き]り口上[こうじょう]を使[つか]って、それ以上会話[いじょうかいわ]が進行[しんこう]しないような答[こた]え方[かた]をした。 **きりこ・む【切り込む】(斬り込む)** ○切[き]り入[い]れる。攻[せ]め込[こ]む。問[と]い詰[つ]める。[文例]〈敵[てき]に切[き]り込[こ]む〉さっとさやを払[はら]うと、宗次郎[そうじろう]は白刃[はくじん]をかかげて敵[てき]の囲[かこ]みの中[なか]へ切[き]り込[こ]んだ。♠うかつな説明[せつめい]に対[たい]して、生徒[せいと]は言葉鋭[ことばするど]く切[き]り込[こ]んでくる。 **きりさ・く【切り裂く】** ○切[き]って裂[さ]く。切[き]り離[はな]す。[文例]〈布[ぬの]を切[き]り裂[さ]く〉祖母[そぼ]がきれいな布[ぬの]を切[き]り裂[さ]いて、げたの鼻緒[はなお]をすげかえてくれた。♠〈夜[よる]のしじまを切[き]り裂[さ]く〉鋭[するど]い金属音[きんぞくおん]が夜[よる]のしじまを切[き]り裂[さ]いた。 **きりさめ【霧雨】** ○霧[きり]のように細[こま]かい雨[あめ]。[文例]〈霧雨[きりさめ]が降[ふ]る〉今日[きょう]は一日中[いちにちじゅう]、心[こころ]の中[なか]までうっとうしくさせる霧雨[きりさめ]が降[ふ]っていた。♠〈霧雨[きりさめ]に煙[けむ]る〉湖[みずうみ]の向[む]こうの山々[やまやま]は霧雨[きりさめ]に煙[けむ]っている。 **きりす・てる【切り捨てる】(斬り捨てる)** ○切[き]り離[はな]して捨[す]てる。端数[はすう]を捨[す]てる。人[ひと]を切[き]り殺[ころ]して、ほうっておく。[文例]〈端[はし]を切[き]り捨[す]てる〉汚[よご]れた端[はし]っこを少[すこ]し切[き]り捨[す]てれば、この布[ぬの]でスカートぐらいはできるでしょう。♠〈弱者[じゃくしゃ]を切[き]り捨[す]てる〉福祉行政[ふくしぎょうせい]の充実[じゅうじつ]が叫[さけ]ばれながら、実際[じっさい]には弱者[じゃくしゃ]を切[き]り捨[す]てるというのが現状[げんじょう]です。♠〈優[やさ]しさを切[き]り捨[す]てる〉長[なが]い人生[じんせい]のうちには、自分[じぶん]の中[なか]の優[やさ]しさを切[き]り捨[す]てなければならないこともある。♠〈端数[はすう]を切[き]り捨[す]てる〉小数点以下[しょうすうてんいか]の端数[はすう]は切[き]り捨[す]てて、整数[せいすう]で答[こた]えなさい。♠〈人[ひと]を切[き]り捨[す]てる〉無礼者[ぶれいもの]、切[き]り捨[す]ててくれる、それに直[なお]れ! **きりだ・す【切り出す】(伐り出す)** ○切[き]り始[はじ]める。切[き]って運[はこ]び出[だ]す。話題[わだい]として持[も]ち出[だ]す。[文例]〈木[き]を切[き]り出[だ]す〉この地[ち]の鉄道[てつどう]は、山[やま]から切[き]り出[だ]した材木[ざいもく]を運[はこ]ぶ森林鉄道[しんりんてつどう]として発達[はったつ]してきました。♠〈話[はなし]を切[き]り出[だ]す〉親友[しんゆう]とはいえ借金[しゃっきん]の申[もう]し出[で]は肩身[かたみ]が狭[せま]く、話[はなし]を切[き]り出[だ]しにくかった。 **きりた・つ【切り立つ】** ○切[き]ったように鋭[するど]い角度[かくど]でそびえる。[文例]〈切[き]り立[た]ったがけ〉探検隊[たんけんたい]は、秘境[ひきょう]まであと一歩[いっぽ]というところで切[き]り立[た]ったがけに行[ゆ]く手[て]をはばまれた。♠〈切[き]り立[た]った岩壁[がんぺき]〉切[き]り立[た]った岩壁[がんぺき]をザイルを頼[たよ]りに登[のぼ]る男[おとこ]たちの姿[すがた]が豆[まめ]つぶのように見[み]えた。 **きりつ【起立】** ○立[た]ち上[あ]がること。[文例]〈起立[きりつ]する〉いつもは騒[さわ]がしい女子学生[じょしがくせい]たちも、その日[ひ]だけは全員起立[ぜんいんきりつ]して、最後[さいご]の講義[こうぎ]をする老教授[ろうきょうじゅ]を迎[むか]えた。♠「起立[きりつ]。礼[れい]。着席[ちゃくせき]。」のかけ声[ごえ]であいさつをしてから、授業[じゅぎょう]を始[はじ]めます。 **きりつ【規律・紀律】** ○きまり。おきて。秩序[ちつじょ]。[文例]〈規律[きりつ]が乱[みだ]れる〉団体生活[だんたいせいかつ]の規律[きりつ]が乱[みだ]れるので、そのような勝手[かって]な行動[こうどう]は許[ゆる]しません。♠〈規律[きりつ]を守[まも]る〉旅行中[りょこうちゅう]は、規律[きりつ]を守[まも]って事故[じこ]を起[お]こさないようにしましょう。♠〈規律正[きりつただ]しい〉寮[りょう]での三年間[さんねんかん]は、非常[ひじょう]に規律正[きりつただ]しい生活[せいかつ]を送[おく]らされた。 **きりつ・める【切り詰める】** ○切[き]って短[みじか]くする。むだを切[き]り捨[す]てる。倹約[けんやく]する。[文例]〈すそを切[き]り詰[つ]める〉姉[あね]からのおさがりスカートは、すそを少[すこ]し切[き]り詰[つ]めれば、わたしにぴったりです。♠〈費用[ひよう]を切[き]り詰[つ]める〉パーティーでかかる費用[ひよう]を切[き]り詰[つ]めて、会費[かいひ]の中[なか]から記念品[きねんひん]も出[だ]しました。♠〈生活[せいかつ]を切[き]り詰[つ]める〉生活[せいかつ]を切[き]り詰[つ]めるにも限度[げんど]があります。 **きりどおし【切り通し】** ○山[やま]や丘[おか]を削[けず]り取[と]って通[とお]した道[みち]。 <278> **きりぬける** **きりもり【切り盛り】** ○食べ物を切ったり、器に盛ったりすること。家事をうまくとりさばくこと。やりくり。[文例]〈家庭の切り盛り〉主婦にとって家庭の切り盛りは、はたで見るほど簡単なことではないのです。♠●〈切り盛りする〉三人の下宿人も含めて、家を切り盛りするのはおばあさんの役目でした。 **きりゅう【気流】** ○大気の流れ。[文例]〈気流の変化〉この辺りの上空は、気流の変化が激[はげ]しいので、パイロットは気をひきしめた。♠●〈上昇気流〉〈気流にのる〉飛び立ったグライダーは、うまく上昇気流にのって、すべるように滑空[かつくう]していく。♠〈乱気流〉飛行機はアルプスの上空で乱気流にまきこまれて急降下し、一瞬[いつしゆん]乗客をひやりとさせた。 **きりょう【器量】** ○力量。人間の大きさ。容貌[ようぼう]。顔立ち。[文例]〈器量がある〉彼ほどの器量があれば、十分指導的な立場に立つことができるはずだ。♠●〈器量を下げる〉きみは今度のことで、すっかり器量を下げてしまった。♠●〈器量よし〉「この子はほんとうに器量よしだね。」と、祖母は目を細めて孫の頭をなでた。 **ぎりょう【技量】(技倆・伎倆)** ○物事を処理する能力。手腕[しゆわん]。手なみ。[文例]〈職人の技量〉材料がそろえば、後は職人の技量である。♠●〈技量を買う〉彼の技量を買う人は多いが、若過ぎるということで、今回の昇進は見送りとなった。 **きりょく【気力】** ○精神力。元気。[文例]〈気力に満ちる〉独立したばかりのこの国の若者たちは、働く気力に満ちている。♠●〈気力に欠ける〉あの生徒は、規律もよく守るし、まじめだが、勉強する気力に欠ける。♠●〈気力がない〉わたしの友人は、恋人[こいびと]を失ってから、何をする気力もなくなってしまった。♠●〈気力を取りもどす〉病で寝たきりの人の気力を取りもどすには、家族や友人の励[はげ]ましが必要だ。♠●〈気力を尽くす〉気力を尽くして、両選手は延長戦を戦いぬいた。♠●〈気力を奮い起こす〉彼は満身の気力を奮い起こして、敵の軍勢の中に切りこんでいった。♠●〈気力が充実する〉三十代半ばのこの男は、今が最も気力の充実[じゅうじつ]した時なのかもしれない。♠●〈気力の衰え〉父は、現役を引退してから、気力の衰えが目立ってきた。 **きりん(麒麟)** ○中国の想像上の動物。キリン。[文例]小さな子供が動物園のさくにつかまりながら、首の長いきりんをもの珍[めずら]しそうに見上げています。♠〈麒麟児〉今や柔道の世界チャンピオンとなった彼は、小さいころから麒麟児としてその片鱗[へんりん]を見せていた。 **きる【切る】(伐る・斬る・截る)** ○刃物などで断つ。切れ目を入れる。動作を起こす。まっ先に行動する。打ち切る。勢いよく進む。分け離す。関係を断つ。限定する。基準を下回る。回転させる。水分などを振り払う。…しおえる。…しつくす。[文例]〈つめを切る〉つめはすぐに伸びるので、まめに切るようにしたい。♠●〈髪の毛を切る〉髪の毛が伸び過ぎたので、日曜日に切ることにした。♠●〈肉を切る〉肉を薄く切るには、この包丁が一番だ。♠●〈封を切る〉封[ふう]を切ると、中から淡[あわ]いピンクの便せん[びんせん]が出てきた。♠●〈木を切る〉駐車場を作るためには、あの桜の大木を切らなければならない。♠●〈人を切る〉武士が刀を抜いて路上で人を切るなどということはめったになかった。♠●〈切符を切る〉近くの駅は、早朝と深夜は、駅員が改札口[かいさつぐち]にいないので、切符[きつぷ]を切らずに入る。♠●〈口を切る〉一度缶詰[かんづめ]の口を切ったら、残らず使ってしまわないと、すぐに腐[くさ]りますよ。♠●〈話の口を切る〉「今日、みんなに集まってもらったのは」と、庄屋[しようや]が話の口を切った。♠●〈口火を切る〉出席者がだまりがちの会議で、議論の口火を切るのはいつも彼だ。♠●〈火ぶたを切る〉球技場のサッカーをかわきりに、体育祭の火ぶたが切られた。♠●〈縁を切る〉たとえ親から縁を切られても、彼女と結婚[けつこん]するつもりだ。♠●〈手を切る〉あんなだらしないやつとは、きっぱり手を切ったわ。♠●〈肩で風を切る〉新任の駐在所[ちゆうざいしよ]のおまわりさんは、肩[かた]で風を切りながら、管内[かんない]を巡回[じゅんかい]している。♠◆〈世相を切る〉毒舌で知られる落語家が、世相を切るなどというタイトルで、無責任な話をしている。♠●〈抜き手を切る〉ぼくたちは、砂浜[すなはま]をかけおりて海に入ると、抜き手を切って泳ぎ始めた。 <279> **きれめ** ○切れたあと。切れたところ。とぎれ目。[文例]〈切れ目を入れる〉材料に包丁で切れ目を入れておくと、火も通りやすく、味もしみやすい。♠●〈意味の切れ目〉意味の切れ目や調子に注意しながら、短歌を朗読しよう。♠●〈金の切れ目が縁の切れ目〉金の切れ目が縁の切れ目というけれど、彼との間にそんなことはありえない。 **きる【着る】** ○身につける。身に負う。[文例]〈セーターを着る〉ちょっと寒いようだから、シャツの上にセーターを着ていこう。♠●〈着物を着る〉この着物の柄なら、きっと三十になっても着られますよ。♠●〈罪を着る〉彼は、事件の責任を取ったというよりも、部下の罪を着て、辞職したようなものだ。♠〈恩に着る〉恩に着るから、だれか掃除当番を代わってくれないか。♠●〈権力をかさに着る〉あの男は、権力をかさに着て、弱い者いじめをしている。 **きれ【切れ】(布)** ○切れ味。切れ具合。切れはし。布きれ。[文例]〈包丁の切れ〉〈切れが悪い〉包丁の切れが悪くなったら、砥石[といし]でとぎます。♠●〈体の切れ〉練習不足で体の切れが悪い。♠●〈黒い切れ〉〈切れを巻く〉腕に黒い切れを巻いた人たちがうなだれて歩いていった。♠●〈板切れ〉板切れやダンボールなどを使って、いろいろ工作してみよう。 **きれあじ【切れ味】** ○切れ具合。[文例]〈包丁の切れ味〉包丁の切れ味を試すのに新聞紙を切ってみた。♠●〈切れ味が鋭い〉なかなか切れ味の鋭い直球ですね。♠〈弁舌の切れ味〉彼の弁舌[べんぜつ]の切れ味は実にさわやかだ。 **きれい【奇麗】(綺麗)** ○美しく清潔なさま。純粋なさま。すがすがしいさま。さっぱりしているさま。[文例]〈きれいに咲く〉待ちかねた桜[さくら]の花が、きれいに咲きそろった。♠●〈きれいな字〉毛筆できれいな字を書ける人が少なくなった。♠●〈きれいな顔〉兄の婚約者[こんやく]は、色白で、きれいな顔をしている。♠●〈心がきれい〉あの人は、だまされてばかりいるのではないかと心配なほど、心のきれいな人です。♠●〈きれいに片づく〉彼の部屋は、いつもきれいに片づいている。♠●〈きれいに洗う〉外から帰ってきたら、必ず手をきれいに洗いなさい。♠●〈きれいに決まる〉ぼくのすくい投げがきれいに決まって、相手がすっとんでしまった。♠●〈きれいにあきらめる〉彼女のことは、きれいにあきらめます。♠〈きれいさっぱり〉いやなことは、きれいさっぱり忘れて、明日からのことを考えるぞ。♠●〈きれいごと〉人ひとりの命にかかわる問題ですから、そんなきれいごとを言っている場合じゃありません。 **ぎれい【儀礼】** ○社会の習慣となった礼儀。形式的な礼儀。[文例]〈儀礼を重んじる〉歌会は、儀礼を重んじて、おごそかに行われた。♠●〈儀礼的〉彼女の涙と励[はげ]ましは、どんな儀礼的なあいさつよりわたしの心にしみた。♠〈儀礼的〉短い言葉でも、気持ちを込めて言う場合と儀礼的に言う場合とでは、声の調子がはっきり違ってきます。 **きれこ・む【切れ込む】** ○切れて入り込む。鋭い角度で入り込む。[文例]〈ギザギザに切れ込む〉オニアザミの葉は大きくギザギザに切れ込んでいて、手に触れると痛い。♠●〈斜めに切れ込む〉原人の、斜めに切れ込んだあごをつけた下顎骨[かがくこつ]は、まだ人間の言葉を話すには適していない。♠●〈インコースに切れ込む〉本命馬は、四コーナーを回ったところで、インコースに切れ込んで他馬の進路を妨害してしまった。 **きれつ(亀裂)** ○物の表面に入った裂け目。ひび割れ。[文例]〈亀裂が入る〉ビシーッと氷に亀裂が入り、やがて割れて大きく海水が現れた。♠●〈亀裂が走る〉すさまじい低温で堅くなった雪の上に歩を運ぶと、雪面に亀裂が走った。♠●〈亀裂が生じる〉この問題がもとで、親友との間に亀裂が生じた。 **きれなが【切れ長】** ○目じりが長く切れ込んでいるさま。[文例]〈切れ長な目〉引き締まった口元、切れ長な目が印象的な若者だった。♠●〈切れ長の目〉彼女は、色白で切れ長の目をした、日本的な美人である。 **きる** <280> **きれる(切れる)** ○分け離れる。分断される。傷がつく。つながりが断たれる。効力がなくなる。尽きる。物をよく断ち切る。進む方向が変わる。[文例]〈糸が切れる〉糸の切れたたこは、ヒラヒラと落下して、電線に引っ掛かった。♠〈雲が切れる〉空を重く覆っていた雲がようやく切れて、日がさしてきた。♠〈堤が切れる〉あの堤が切れれば、わたしたちの町は濁流にのまれてしまうだろう。♠〈息が切れる〉二階へあがるだけでハアハア息が切れるなんて、太りすぎかしら?♠〈電話が切れる〉話の途中で、突然電話が切れてしまった。♠〈電球が切れる〉台所の電球が切れてしまったから、すぐに買ってきてちょうだい。♠〈切っても切れない縁〉幼友達の彼女とは、切っても切れない縁を感じる。♠〈つながりが切れる〉卒業してから、かつての級友とのつながりが切れてしまった。♠〈人通りが切れる〉さすがの銀座も、午後十時を過ぎると、人通りが切れて静けさを取りもどす。♠〈ひびが切れる〉冷たい水を使っての水仕事が続くと、手にひびが切れる。♠〈しびれが切れる〉長い時間正座していたので、しびれが切れた。♠〈期限が切れる〉電車の定期券の期限が切れているのに気づかなかった。♠〈元が切れる〉これ以上、値段を下げたら、元が切れてしまいます。♠〈麻酔が切れる〉麻酔が切れてきたのか、患者はぼんやり目をあけて、まわりを見回した。♠〈刀が切れる〉あの刀は、見かけは立派だが、実は全然切れないなまくら刀だ。♠〈頭が切れる〉彼は、一見ヌーボーとしているが、あれで同期生の中でも一番頭の切れる男だ。♠〈道が切れる〉これをまっすぐ行くと、道が右に切れて、そのすぐ先がもう駅です。♠〈売り切れる〉その銘柄のたばこは、もう売り切れてしまいました。♠〈こらえ切れず〉一分間以上、水の中に潜っていたが、とうとうこらえ切れずに顔を上げた。♠〈数え切れない〉あの先生のおかげで、病気がすっかり治ったという話は、数え切れません。 **きろ【帰路】** ○帰り道。帰途。[文例]町へ物売りに出かけ、その帰路追いはぎに遭い、有り金を全部取られてしまった。♠〈帰路につく〉一か月にわたる滞在を終え、名残惜しさを感じつつ帰路についた。 **きろ【岐路】** ○分かれ道。分岐点。[文例]山道の途中の岐路で、どちらに行こうかと迷ってしまった。♠〈人生の岐路に立つ〉きみは今、人生の重大な岐路に立っている。 **きろく【記録】** ○書き記すこと。書き記されたもの。競技の成績、特に最もよい成績。レコード。[文例]〈記録を取る〉昆虫学者ファーブルは、四十年にわたって昆虫の成長や生態の記録を取った。♠〈記録を残す〉探検隊は、貴重な体験をまとめて、後世にその記録を残した。♠〈記録に残す〉この出来事は、後代に伝えるために記録に残しておこう。♠〈記録を作る〉〈記録を破る〉彼は走り幅跳びの世界新記録を作ったが、半年後にその記録を破られた。♠〈記録を更新する〉今年は、記録を更新するほど雨の多い天候が続いた。♠〈記録に載る〉あの事件は、警察の記録に載っているはずだから、調べればわかりますよ。♠〈記録する〉記録された後は歴史学の範囲で、その前は考古学の対象だ。♠〈記録的〉今年の冬は、関東地方にも記録的な大雪が降った。♠〈記録破り〉今年の暑さは記録破りだね。 **ぎろん【議論】** ○意見を述べ合うこと。論じ合うこと。また、その論。[文例]〈議論になる〉パンダとコアラはどちらがかわいいかで、ぼくと弟は議論になった。♠〈議論を戦わせる〉深海にどのような生物がいるかについて、学者たちは長い間議論を戦わせてきた。♠〈議論が沸騰する〉その計画の賛否については、ぼくたちの間で議論が沸騰した。♠〈議論する〉大事なことにはたっぷりと時間をかけて、納得のいくまで議論しよう。♠〈議論の余地〉この作品が本物かどうかは、いくつかの点で議論の余地があります。♠〈議論が分かれる〉資本主義社会と社会主義社会のどちらが優れているかは、いまだに議論の分かれるところです。♠〈議論のための議論〉さまざまな意見が出てくるのはよいが、現実性をもたない議論のための議論はさけたい。♠〈議論を重ねる〉今日は結論は出なかったが、この問題については今後も議論を重ねていきたい。♠〈議論を尽くす〉委員会は五時間も議論を尽くしたが、ついに結論は出なかった。 **きわ【際】** ○さかい目。へり。端。今にもそうなるという時。[文例]〈踏切の際〉遮断機が下りている踏切の際に、一間幅の狭いホームがある。♠〈山の際〉東の空が白み始め、山の際が明るくなって、ほのぼのと夜が明けてきた。♠〈いまわの際〉いまわの際に、「ありがとう。」と言い残して、父は静かに息を引き取った。♠〈別れ際〉別れ際の少年の落ち着かない目が気になった。 **ぎわく【疑惑】** ○疑うこと。疑い。[文例]〈疑惑の目〉一度疑惑の目で見はじめると、何もかもがあやしく思われてくる。♠〈疑惑の念を抱く〉いつもとちがう母の態度に、疑惑の念を抱いた。♠〈疑惑が生じる〉わたしの胸に生じた疑惑は、だんだん大きくなっていった。♠〈疑惑が晴れる〉〈疑惑が深まる〉彼の言葉に、疑惑は晴れるどころか、ますます深まった。♠〈疑惑を招く〉真実をはっきりさせなければ、みんなの疑惑を招くだけだよ。♠〈疑惑を解く〉恋人に対する周囲の疑惑を解くため、真犯人をぜひともさがし出さなければならない。♠〈疑惑に包まれる〉秘密の行動が多い彼の正体は、いぜんとして疑惑に包まれたままだ。 **きわだ・つ【際立つ】** ○他との差異がはっきりする。ひときわ目立つ。[文例]〈際立って美しい〉集まった大勢の女性たちの中で、彼女は際立って美しかった。♠〈際立った違い〉雷鳥は、夏と冬では、その羽の色に際立った違いを見せる。♠〈際立った存在〉彼は、クラスの中で際立った存在で、みんなから注目されていた。♠〈男らしさで際立つ〉応援団の多数の部員の中でも、彼は男らしさで際立っています。 **きわど・い(際疾い)** ○ぎりぎりである。すれすれである。[文例]〈きわどいところ〉あと一秒でも遅かったら、落石につぶされていただろう、本当にきわどいところで命拾いをした。♠〈きわどい差〉二位とは○・一秒というきわどい差で勝った。♠〈きわどい描写〉その小説には、所々にきわどい <281> **描写[びょうしゃ]** があり、問題[もんだい]になった。 **きわま・る【極まる・窮まる】** ○限度[げんど]に達[たっ]する。限界[げんかい]に至[いた]り着[つ]く。[文例]〈宇宙[うちゅう]の極[きわ]まるところ〉いや、その果[は]てには、きっと宇宙[うちゅう]の極[きわ]まるところがあるに違[ちが]いない。♠〈危険極[きけんきわ]まる〉危険極[きけんきわ]まる連中[れんちゅう]に、銃[じゅう]を持[も]たせることなど論外[ろんがい]である。♠〈進退極[しんたいきわ]まる〉敵[てき]は既[すで]に四方[しほう]をとり囲[かこ]み、我[わ]らは進退極[しんたいきわ]まった。♠〈感極[かんきわ]まる〉映画[えいが]を見[み]ているうちに、女[おんな]は感極[かんきわ]まって泣[な]き出[だ]した。♠〈哀切極[あいせつきわ]まりない〉老人[ろうじん]は、哀切極[あいせつきわ]まりない声[こえ]で独[ひと]り言[ごと]を繰[く]り返[かえ]した。 **きわみ【極み・窮み】** ○これ以上[いじょう]ないという点[てん]。極致[きょくち]。[文例]〈栄華[えいが]の極[きわ]み〉物語[ものがたり]は、平家一門[へいけいちもん]の栄華[えいが]の極[きわ]みと、その横暴[おうぼう]を描[えが]いている。♠〈孤独[こどく]の極[きわ]み〉孤独[こどく]の極[きわ]みに落[お]ち込[こ]んだのに、むしろ言[い]いようのない安[やす]らぎがわたしの心[こころ]にわき立[た]った。♠〈美[び]の極[きわ]み〉この絵[え]は、美[び]の極[きわ]みというべき永遠[えいえん]の名画[めいが]である。 **きわめつき【極め付き】** ○きわめ書[が]き(=鑑定書[かんていしょ])が付[つ]いていること。定評[ていひょう]があること。[文例]〈極[きわ]め付[つ]きの名人芸[めいじんげい]〉この出[だ]し物[もの]は、その落語家[らくごか]の極[きわ]め付[つ]きの名人芸[めいじんげい]として知[し]られています。♠〈極[きわ]め付[つ]きの逸品[いつぴん]〉この壺[つぼ]は江戸時代[えどじだい]の物[もの]で、極[きわ]め付[つ]きの逸品[いつぴん]です。 **きわめて【極めて】** ○このうえなく。はなはだ。非常[ひじょう]に。[文例]〈きわめて穏[おだ]やか〉おばは、きわめて穏[おだ]やかな人[ひと]で、怒[おこ]った顔[かお]など見[み]せたことがない。♠〈きわめて強[つよ]い〉調[しら]べてみなければ断定[だんてい]はできないが、コレラの疑[うたが]いがきわめて強[つよ]い。♠〈きわめて困難[こんなん]〉当時[とうじ]の技術水準[ぎじゅつすいじゅん]では、コンピューターを国産[こくさん]することは、きわめて困難[こんなん]だった。 **きわ・める【極める・究める・窮める】** ○極限[きょくげん]に達[たっ]する。ぎりぎりの状態[じょうたい]にある。物事[ものごと]の本質[ほんしつ]に至[いた]り着[つ]く。[文例]〈頂上[ちょうじょう]を極[きわ]める〉彼女[かのじょ]たちは、女性[じょせい]としては世界[せかい]で初[はじ]めて、エベレストの頂上[ちょうじょう]を極[きわ]めた。♠〈困難[こんなん]を極[きわ]める〉水害[すいがい]による行方不明者[ゆくえふめいしゃ]の捜索[そうさく]は、連日[れんじつ]の大雨[おおあめ]で、困難[こんなん]を極[きわ]めている。♠〈栄華[えいが]を極[きわ]める〉『平家物語[へいけものがたり]』は、栄華[えいが]を極[きわ]めた平家一門[へいけいちもん]の興亡[こうぼう]を、叙事詩的[じょじしてき]に描[えが]いたものである。♠〈詳細[しょうさい]を極[きわ]める〉その記録[きろく]は、森林[しんりん]のサルの生態[せいたい]について詳細[しょうさい]を極[きわ]めていた。♠〈多忙[たぼう]を極[きわ]める〉お盆[ぼん]を控[ひか]えて、田舎[いなか]のおばの毎日[まいにち]は、多忙[たぼう]を極[きわ]めていた。♠〈口[くち]を極[きわ]めて〜する〉店主[てんしゅ]が口[くち]を極[きわ]めてほめそやしたので、その女性客[じょせいきゃく]は、すっかり気[き]をよくした。♠〈真理[しんり]を究[きわ]める・窮[きわ]める〉科学[かがく]はものごとの真理[しんり]を究[きわ]める学問[がくもん]だ。 **きわもの【際物】** ○人々[ひとびと]の一時的[いちじてき]な興味[きょうみ]や人気[にんき]にうったえるもの。[文例]〈際物[きわもの]を扱[あつか]う〉週刊誌[しゅうかんし]は、一時的[いちじてき]に世間[せけん]を騒[さわ]がせた際物[きわもの]を扱[あつか]うことが多[おお]い。♠〈際物[きわもの]の小説[しょうせつ]〉話題[わだい]になった保険金殺人[ほけんきんさつじん]を題材[だいざい]にしたという際物[きわもの]の小説[しょうせつ]を読[よ]んでみた。 **きん【金】** ○古来[こらい]、最[もっと]も珍重[ちんちょう]された、黄色[きいろ]に輝[かがや]く金属[きんぞく]。貨幣[かへい]や装飾[そうしょく]などに用[もち]いられる。[文例]〈金[きん]の冠[かんむり]〉王[おう]は、宝石[ほうせき]を散[ち]りばめた金[きん]の冠[かんむり]をかぶっていた。♠〈金[きん]の卵[たまご]〉国[くに]を挙[あ]げての工業振興[こうぎょうしんこう]で、工業高校[こうぎょうこうこう]の出身者[しゅっしんしゃ]は金[きん]の卵[たまご]ともてはやされていた。♠〈将棋[しょうぎ]の金[きん]〉将棋[しょうぎ]で、金[きん]は右後[みぎうし]ろ・左後[ひだりうし]ろを除[のぞ]いて、どの方向[ほうこう]へも一[ひと]つずつ進[すす]むことができる。♠〈曜日[ようび]の金[きん]〉金曜日[きんようび]は、日[にち]・月[げつ]・火[か]・水[すい]・木[もく]・金[きん]・土[ど]の七[なな]つある。♠〈金一封[きんいっぷう]〉功労者[こうろうしゃ]には、賞状[しょうじょう]と金一封[きんいっぷう]が贈[おく]られた。♠〈手切[てぎ]れ金[きん]〉別[わか]れるというのなら、手切[てぎ]れ金[きん]をちょうだい。♠〈沈黙[ちんもく]は金[きん]〉いつまでべらべらしゃべっているつもりだい、「沈黙[ちんもく]は金[きん]、雄弁[ゆうべん]は銀[ぎん]」だよ。 **きん【禁】** ○禁[きん]じられている事柄[ことがら]。[文例]〈禁[きん]を破[やぶ]る〉禁[きん]を破[やぶ]った者[もの]は、厳重[げんじゅう]に処罰[しょばつ]された。♠〈禁[きん]を犯[おか]す〉取[と]り締[しま]りを強化[きょうか]しても、禁[きん]を犯[おか]して密猟[みつりょう]する者[もの]は跡[あと]を絶[た]たない。 **きん【菌】** ○他[ほか]に寄生[きせい]し、発酵[はっこう]・腐敗[ふはい]・病気[びょうき]などの原因[げんいん]となる微生物[びせいぶつ]。[文例]〈菌[きん]を植[う]える〉シイタケの栽培[さいばい]は、クヌギやコナラの幹[みき]を切[き]って、菌[きん]を植[う]えつけることから始[はじ]まる。♠〈結核菌[けっかくきん]・コレラ菌[きん]〉ドイツの細菌学者[さいきんがくしゃ]コッホは、結核菌[けっかくきん]、コレラ菌[きん]を発見[はっけん]した。 **ぎん【銀】** ○金[きん]についで珍重[ちんちょう]される貴金属[ききんぞく]。白色[はくしょく]に輝[かがや]き、貨幣[かへい]や装飾[そうしょく]などに用[もち]いられる。[文例]金[きん]・銀[ぎん]などの貴金属[ききんぞく]は美[うつく]しく細工[さいく]しやすいため、昔[むかし]から貨幣[かへい]や装飾用[そうしょくよう]に用[もち]いられている。♠〈将棋[しょうぎ]の銀[ぎん]〉将棋[しょうぎ]のこまの銀[ぎん]は、左右[さゆう]と真後[まうし]ろ以外[いがい]へ一[ひと]つずつ進[すす]むことができる。♠〈雄弁[ゆうべん]は銀[ぎん]〉雄弁[ゆうべん]は銀[ぎん]で沈黙[ちんもく]は金[きん]といって、時[とき]には発言[はつげん]を控[ひか]えることも大事[だいじ]だよ。 **きんいつ【均一】** ○ばらつきがなく、一様[いちよう]であるさま。[文例]〈成分[せいぶん]が均一[きんいつ]〉成分無調整[せいぶんむちょうせい]の牛乳[ぎゅうにゅう]は、季節[きせつ]などにより成分[せいぶん]の量[りょう]はまちまちで均一[きんいつ]でない。♠〈均一料金[きんいつりょうきん]〉入場料[にゅうじょうりょう]は、小学生以上五百円[しょうがくせいいじょうごひゃくえん]の均一料金[きんいつりょうきん]です。♠〈百円均一[ひゃくえんきんいつ]〉スーパーの店頭[てんとう]の百円均一[ひゃくえんきんいつ]セールに客[きゃく]が群[むら]がっていた。 **きんいろ【金色】** ○金[かね]が放[はな]つような色[いろ]。こんじき。こがねいろ。[文例]〈金色[きんいろ]の光[ひかり]〉金色[きんいろ]の光[ひかり]に包[つつ]まれた、ありがたい仏様[ほとけさま]の姿[すがた]が描[えがか]れていた。♠〈金色[きんいろ]の月[つき]〉紺碧[こんぺき]の空[そら]に金色[きんいろ]の丸[まる]い月[つき]が懸[か]かっている。♠〈金色[きんいろ]に光[ひか]る〉金色[きんいろ]に光[ひか]るその獲物[えもの]を、釣[つ]り人[びと]はほれぼれとながめた。 **きんえん【禁煙】** ○喫煙[きつえん]を禁止[きんし]すること。喫煙[きつえん]の習慣[しゅうかん]を絶[た]つこと。[文例]場内[じょうない]は禁煙[きんえん]です。おタバコはロビーに出[で]てお吸[す]いください。♠〈禁煙[きんえん]する〉健康[けんこう]のために禁煙[きんえん]することにした。♠〈禁煙車[きんえんしゃ]〉タバコのにおいが嫌[きら]いなので、電車[でんしゃ]に乗[の]るときは禁煙車[きんえんしゃ]を利用[りよう]します。 **ぎんが【銀河】** ○あまのがわ。[文例]〈銀河[ぎんが]が流[なが]れる〉夜空[よぞら]に光[ひかり]の帯[おび]のような銀河[ぎんが]が流[なが]れ、美[うつく]しい。♠〈銀河系[ぎんがけい]〉わたしたちの地球[ちきゅう]は銀河系宇宙[ぎんがけいうちゅう]の中[なか]にある。 **きんかぎょくじょう【金科玉条】** ○大切[たいせつ]なものとして守[まも]り、従[したが]うべき法[ほう]・教[おし]え・教訓[きょうくん]など。[文例]師[し]の教[おし]えを金科玉条[きんかぎょくじょう]としてそれに従[したが]っています。♠聖書[せいしょ]の言葉[ことば]を金科玉条[きんかぎょくじょう]として、生[い]きるよりどころにしてきた。 **きんがく【金額】** ○金銭[きんせん]の額[がく]。きんだか。[文例]右[みぎ]の金額[きんがく]確[たし]かに受[う]け取[と]りました。♠合計金額[ごうけいきんがく]はいくらになりますか。♠〈金額[きんがく]が大[おお]きい・多[おお]い〉子供[こども]には、ちょっと金額[きんがく]が大[おお]きすぎます。 **きんがん【近眼】** ○網膜[もうまく]より前[まえ]に像[ぞう]を結[むす]ぶため、遠[とお]くの物[もの]がよく見[み]えない状態[じょうたい]。近視[きんし]。[文例]〈近眼[きんがん]の度[ど]〉中学校[ちゅうがっこう]に入[はい]ってから近眼[きんがん]の度[ど]がどんどん進[すす]んで、眼鏡[めがね]を毎年[まいとし]のようにかえた。♠ひどい近眼[きんがん]で、顔[かお]をくっつけるように近[ちか]づけないと見[み]えない。 **きんかんばん【金看板】** ○金文字[きんもじ]で書[か]いた看板[かんばん]。客[きゃく]の目[め]を引[ひ] <282> **きつけるもの。** 人々[ひとびと]の関心[かんしん]を引[ひ]くためのもの。自慢[じまん]して示[しめ]す主張[しゅちょう]や人物[じんぶつ]。[文例]〈古[ふる]めかしい金看板[きんかんばん]〉古[ふる]めかしい金看板[きんかんばん]がこの酒屋[さかや]の歴史[れきし]を物語[ものがた]る。♠〈一座[いちざ]の金看板[きんかんばん]〉この役者[やくしゃ]は、一座[いちざ]の金看板[きんかんばん]だ。♠〈金看板[きんかんばん]にする〉福祉[ふくし]を金看板[きんかんばん]にした政党[せいとう]だが、その財源[ざいげん]をどうするかが明確[めいかく]でない。 **きんきじゃくやく(欣喜雀躍)** ○こおどりして喜[よろこ]ぶこと。[文例]〈欣喜雀躍[きんきじゃくやく]する〉当時[とうじ]の爆発的[ばくはつてき]な輸出[ゆしゅつ]の伸[の]びに欣喜雀躍[きんきじゃくやく]する同業者[どうぎょうしゃ]たちを横目[よこめ]に、将来[しょうらい]への備[そな]えを怠[おこた]らなかったから、わが社[しゃ]の今日[こんにち]の発展[はってん]があるのです。 **きんきゅう【緊急】** ○切迫[きっぱく]していること。急[きゅう]を要[よう]すること。[文例]〈緊急[きんきゅう]に〜する〉今日四時[きょうよじ]から図書室[としょしつ]で緊急[きんきゅう]に委員会[いいんかい]を開[ひら]きますから、図書委員[としょいいん]の人[ひと]は集[あつ]まってください。♠〈緊急[きんきゅう]な用事[ようじ]〉緊急[きんきゅう]な用事[ようじ]ができましたので、途中[とちゅう]ですがお先[さき]に失礼[しつれい]いたします。♠〈緊急[きんきゅう]な知[し]らせ〉「父危篤[ちちきとく]」という緊急[きんきゅう]な知[し]らせに、わたしは、取[と]る物[もの]も取[と]りあえず故郷[こきょう]へ急[いそ]いだ。♠〈緊急[きんきゅう]な事態[じたい]〉災害[さいがい]や事故[じこ]など、緊急[きんきゅう]な事態[じたい]が発生[はっせい]した時[とき]の連絡先[れんらくさき]を、はっきり決[き]めておこう。♠〈緊急[きんきゅう]の場合[ばあい]〉医務室[いむしつ]には医師[いし]も詰[つ]めていますから、緊急[きんきゅう]の場合[ばあい]にはベルを押[お]して知[し]らせてください。♠〈緊急[きんきゅう]を要[よう]する〉このまま放[ほう]っておけば病気[びょうき]はどんどん広[ひろ]がるばかりで、事[こと]は緊急[きんきゅう]を要[よう]する。♠〈緊急時[きんきゅうじ]〉地震[じしん]などの緊急時[きんきゅうじ]に備[そな]えて、わが家[や]では非常用持[ひじょうようも]ち出[だ]し袋[ぶくろ]を用意[ようい]している。 **きんぎょ【金魚】** ○フナを改良[かいりょう]した観賞用[かんしょうよう]の淡水魚[たんすいぎょ]。[文例]〈金魚[きんぎょ]を飼[か]う〉大[おお]きな金魚鉢[きんぎょばち]に金魚[きんぎょ]を十匹[じゅっぴき]ほど飼[か]っています。♠〈金魚[きんぎょ]すくい〉縁日[えんにち]には、綿[わた]あめや金魚[きんぎょ]すくいの店[みせ]が並[なら]ぶ。♠〈金魚[きんぎょ]のふん〉あの子[こ]は、いつも金魚[きんぎょ]のふんみたいにお姉[ねえ]さんにくっついているね。 **きんきょう【近況】** ○最近[さいきん]の様子[ようす]。近[ちか]ごろの様子[ようす]。[文例]〈近況[きんきょう]を知[し]らせる〉たまには手紙[てがみ]でも電話[でんわ]でもいいから、近況[きんきょう]を知[し]らせてくださいね。♠〈近況報告[きんきょうほうこく]〉時々手紙[ときどきてがみ]や電話[でんわ]で近況報告[きんきょうほうこく]しないと、おふくろが心配[しんぱい]するからね。 **きんく【禁句】** ○使[つか]ってはいけない言葉[ことば]。口[くち]に出[だ]してはいけない言葉[ことば]。[文例]目下禁酒中[もっかきんしゅちゅう]のお父[とう]さんの前[まえ]では、酒[さけ]とかアルコールとかいう言葉[ことば]は禁句[きんく]です。♠心因性[しんいんせい]の病気[びょうき]で入院[にゅういん]した中川課長[なかがわかちょう]の病室[びょうしつ]を見舞[みま]う部下[ぶか]にとって、仕事[しごと]の話[はなし]は禁句[きんく]になっていた。 **きんげん【金言】** ○価値[かち]のある言葉[ことば]。格言[かくげん]。[文例]悲[かな]しみに沈[しず]んだとき、迷[まよ]っているとき、この金言[きんげん]がわたしを勇[ゆう]気づけてくれる。♠中学生[ちゅうがくせい]になったとき、父[ちち]が一冊[いっさつ]の金言集[きんげんしゅう]をプレゼントしてくれた。 **きんげん【謹厳】** ○つつしみ深[ぶか]く、おごそかなさま。[文例]〈謹厳[きんげん]な人[ひと]〉いつもきちんとしていて、冗談[じょうだん]なども言[い]ったことのない謹厳[きんげん]な父[ちち]であった。♠〈謹厳実直[きんげんじっちょく]〉彼[かれ]は、謹厳実直[きんげんじっちょく]な人柄[ひとがら]でおもしろみはないが、人[ひと]に信頼[しんらい]されている。 **きんこう【均衡】** ○つりあい。バランス。[文例]〈均衡[きんこう]を取[と]る〉島[しま]の女[おんな]たちは水[みず]がめを頭[あたま]に載[の]せると、上手[じょうず]に均衡[きんこう]を取[と]りながら運[はこ]びます。♠〈均衡[きんこう]を保[たも]つ〉かろうじて均衡[きんこう]を保[たも]っていたヨットも、強[つよ]い風[かぜ]にあおられ、ついに転覆[てんぷく]してしまった。♠〈均衡[きんこう]を失[うしな]う〉選手[せんしゅ]は演技[えんぎ]の途中[とちゅう]で体[からだ]の均衡[きんこう]を失[うしな]い、平均台[へいきんだい]から転落[てんらく]してしまった。♠〈均衡[きんこう]を破[やぶ]る〉七回[ななかい]の裏[うら]、三対三[さんたいさん]の均衡[きんこう]を破[やぶ]って、巨人[きょじん]が二点追加[にてんついか]しました。♠〈力[ちから]の均衡[きんこう]〉〈均衡[きんこう]が崩[くず]れる〉両者[りょうしゃ]の力[ちから]の均衡[きんこう]が崩[くず]れ、一瞬[いっしゅん]のうちに勝敗[しょうはい]が決[き]まった。♠〈収支[しゅうし]の均衡[きんこう]〉財政[ざいせい]の健全化[けんぜんか]のためには、支出[ししゅつ]をおさえ、収支[しゅうし]の均衡[きんこう]を図[はか]る必要[ひつよう]がある。 **きんこう【近郊】** ○都市[とし]の郊外[こうがい]。[文例]〈近郊[きんこう]の町[まち]〉長崎[ながさき]で家[いえ]を焼[や]かれた学生[がくせい]たちは、近郊[きんこう]の市[し]や村[むら]の疎開先[そかいさき]から汽車通学[きしゃつうがく]を始[はじ]めた。♠〈近郊農業[きんこうのうぎょう]〉都市[とし]の拡大[かくだい]に伴[ともな]い農家数[のうかすう]は減少[げんしょう]する一方[いっぽう]なので、近郊農業[きんこうのうぎょう]の促進[そくしん]に力[ちから]を入[い]れている。 **きんごう【近郷】** ○都市[とし]の近[ちか]くの村々[むらむら]。[文例]〈近郷近在[きんごうきんざい]〉市[いち]の立[た]つ日[ひ]は、近郷近在[きんごうきんざい]からも大勢[おおぜい]の客[きゃく]がやってきてにぎわう。♠〈近郷[きんごう]の農家[のうか]〉ときどき近郷[きんごう]の農家[のうか]の人が野菜[やさい]や果物[くだもの]を町[まち]へ売[う]りに来[き]ます。 **ぎんこう【銀行】** ○預金[よきん]の受[う]け入[い]れ・貸[か]し付[つ]け・両替[りょうがえ]などを業務[ぎょうむ]とする金融機関[きんゆうきかん]。[文例]〈銀行[ぎんこう]に預[あず]ける〉ボーナスは、ひとまず銀行[ぎんこう]に預[あず]けることにした。♠〈銀行振込[ぎんこうふりこみ]〉給料[きゅうりょう]が銀行振込[ぎんこうふりこみ]になって、汗水垂[あせみずた]らして稼[かせ]いだお金[かね]という実感[じっかん]が薄[うす]らいだ。♠〈血液銀行[けつえきぎんこう]〉血液銀行[けつえきぎんこう]では、いろいろの血液型[けつえきがた]の保存血液[ほぞんけつえき]を貯蔵[ちょぞう]し、必要[ひつよう]に応[おう]じて提供[ていきょう]します。 **きんこつ【筋骨】** ○筋肉[きんにく]と骨格[こっかく]。[文例]〈筋骨[きんこつ]たくましい〉スポーツマンだった父[ちち]は、今[いま]も筋骨[きんこつ]たくましい立派[りっぱ]な体格[たいかく]をしている。♠〈筋骨隆々[きんこつりゅうりゅう]〉筋骨隆々[きんこつりゅうりゅう]とした男[おとこ]らしい体[からだ]になりたくて、ボディービルを始[はじ]めた。 **きんさく【金策】** ○必要[ひつよう]な金[かね]を集[あつ]めること。金[かね]のくめんをすること。[文例]〈金策[きんさく]に走[はし]る・歩[ある]く〉月末[げつまつ]だというので、商人[あきんど]たちは朝[あさ]から金策[きんさく]に走[はし]り回[まわ]っていた。♠〈金策[きんさく]がつく〉いいあんばいに金策[きんさく]がつき、良平[りょうへい]のお父[とう]さんはにこにこして帰[かえ]ってきた。♠〈金策[きんさく]する〉この年[とし]の暮[く]れに、どう金策[きんさく]する当[あ]てもなく、一家[いっか]は途方[とほう]にくれていた。 **きんし【禁止】** ○差[さ]し止[と]めること。やめさせること。[文例]〈禁止[きんし]する〉ヒヨドリは現在[げんざい]では保護鳥[ほごちょう]に指定[してい]され、捕[と]ることが禁止[きんし]されています。♠〈キリスト教[きょう]を禁止[きんし]する〉江戸時代[えどじだい]、キリスト教[きょう]は禁止[きんし]され、信者[しんじゃ]は厳[きび]しい罰[ばつ]を受[う]けた。♠〈使用[しよう]を禁止[きんし]する〉新[あら]たにプロシア領[りょう]になった地方[ちほう]では、フランス語[ご]の使用[しよう]が禁止[きんし]された。♠〈法律[ほうりつ]で禁止[きんし]する〉日本[にほん]の場合[ばあい]、未成年者[みせいねんしゃ]の飲酒[いんしゅ]は法律[ほうりつ]で禁止[きんし]されています。♠〈発売[はつばい]を禁止[きんし]する〉問題[もんだい]の薬品[やくひん]は、副作用[ふくさよう]があるということで、アメリカではすでに発売[はつばい]を禁止[きんし]しています。♠〈遊泳禁止[ゆうえいきんし]〉この辺[あた]りの海[うみ]は波[なみ]が荒[あら]いので、遊泳禁止区域[ゆうえいきんしくいき]になっている。♠〈立[た]ち入[い]り禁止[きんし]〉公園[こうえん]のきれいな芝生[しばふ]の周[まわ]りには、立[た]ち入[い]り禁止[きんし]の立[た]て札[ふだ]が立[た]っていた。 **きんし【近視】** ○網膜[もうまく]より前[まえ]に像[ぞう]を結[むす]ぶため、物[もの]がよく見[み]えない状態[じょうたい]。近眼[きんがん]。[文例]ひどい近視[きんし]で、レンズの分厚[ぶあつ]い眼鏡[めがね]をかけている。♠暗[くら]い所[ところ]で本[ほん]を読[よ]んだり、近[ちか]くでテレビを見[み]たりすると近視[きんし]になりますよ。♠〈近視眼的[きんしてき]〉彼[かれ]はまじめで努力家[どりょくか]であるが、近視眼的[きんしてき]な狭[せま]い視野[しや]でものを考[かんが]える傾向[けいこう]がある。 **きんしつ【均質】** ○質的[しつてき]に一様[いちよう]で、ばらつきがないさま。[文例]〈均質[きんしつ]な製品[せいひん]〉オートメーションによって、均質[きんしつ]な製品[せいひん]が大量生産[たいりょうせいさん]されるようになった。♠〈均質[きんしつ]な物体[ぶったい]〉無重力[むじゅうりょく] <283> **きんとう** **きんじとう【金字塔】** ○ピラミッド。不滅の業績。[文例]〈金字塔をたてる〉この発見は、天文学界に金字塔をうちたてるものと高く評価された。♠●〈一大金字塔〉オリンピックのマラソン競走における二連勝は、史上[しじょう]に残る一大金字塔であった。 **きんしゅく【緊縮】** ○引き締めること。支出を切り詰めること。[文例]〈緊縮する〉お父さんの給料も上がらないようだ から、今年から家計を緊縮することにしましょう。♠〈緊縮予算〉景気が後退して税収の伸びが期待できず、今年度は緊縮予算となった。♠●広い道を歩くものが自分ひとりになる と共に、此頃[このごろ]の朝の空気の、毛髪の根を緊縮させるような渋[しぶ]みを感じた。(森鷗外[おうがい]「青年」) **きんじょ【近所】** ○近い所。付近。近辺。[文例]〈近所の人〉近所の若い人たちは兵隊として駆り出され、たいていは死んでしまった。♠●〈隣近所〉〈近所付き合い〉隣近所仲良くしていくには、上手に近所付き合いをする知恵も必要でしょう。♠◆〈近所迷惑〉近所迷惑[めいわく]だから、ステレオのボリュームを下げなさい。 **きん・じる【禁じる】** ○差し止める。禁止する。おさえる。[文例]〈法律で禁じる〉未成年者の喫煙[きつえん]は、法律で禁じられている。♠●〈外出を禁じる〉〈固く禁じる〉戒厳令[かいげんれい]の下で、市民の夜間外出は固く禁じられた。♠●〈私語を禁じる〉試験中は、私語を禁じます。♠●〈発表を禁じる〉当時、発表が禁じられていた貴重な写真が、四十年ぶりに公開された。♠●〈禁じ得ない〉彼の横暴な態度には、驚[おどろ]きを禁じ得ない。 **ぎん・じる【吟じる】** ○声に出して詩歌をうたう。詩歌を作る。[文例]〈詩を吟じる〉詩吟を習い始めた祖父は、毎日調子をつけて詩を吟じるのが日課となった。♠●〈詩歌に吟じる〉風光明媚[ふうこうめいび]なこの地を訪れた歌人たちは、絶景を美しい詩歌に吟じている。 **きんしん【近親】** ○血縁の近い親族。[文例]〈近親と遠縁〉うちの家系は、近親にも遠縁[とおえん]にも医者が多い。♠●〈近親相姦〉どの民族でも、近親相姦[そうかん]はタブーとされているようだ。 **きんしん【謹慎】** ○言動を慎むこと。家に閉じこもり、外出を慎むこと。[文例]〈謹慎する〉殿[との]の怒[いか]りにふれた家老は、屋敷で謹慎していた。♠●〈謹慎を命じる〉〈自宅謹慎〉学校でちょっとした事件を起こした大石先生は、自宅謹慎を命じられた。 **きんせい【均整・均斉】** ○全体のつりあい。[文例]〈均整がとれる〉整った顔立ち、均整のとれた体型は、モデルの条件です。♠●〈均整がとれる〉やせていても、全体に均整がとれていなければ美しい体とはいえません。 **きんせい【禁制】** ○法律などで禁止すること。また、その法律。[文例]〈禁制の宗教〉幕府禁制のキリスト教を信じる者は、ことごとく捕らえられ、厳しく処罰された。♠〈男子禁制〉男子禁制の女子寮にボーイフレンドを入れたことがばれて、寮長に大目玉を食った。♠●〈禁制品〉当時上州屋は、禁制品の密貿易で巨万の富を築いていた。 **きんせつ【近接】** ○近づくこと。近くにあること。[文例]〈近接する〉この高校には、近接する市町村からも多くの生徒が通学しています。♠●〈職住近接〉仕事場と家が近い職住近接には、殺気立った仕事の気分がそのまま家庭に持ち込まれる心配があります。 **きんせん【金銭】** ○お金。[文例]〈金銭への執着〉男は、異常なまでに金銭への執着[しゅうじゃく]をもっていた。♠●〈金銭感覚〉夫には金銭感覚というものがなく、むだづかいばかりしている。 **きんせん【琴線】** ○琴の糸。心の奥底の感じやすいところ。[文例]〈心の琴線にふれる〉けなげな少年のことばがわたしの心の琴線にふれ、思わず目がしらが熱くなっていた。 **きんそく【禁足】** ○外出を禁止すること。足止めすること。[文例]〈禁足を食う〉合宿中に規則を破ったぼくは、丸一日禁足を食い、ぼんやり外を眺めて過ごした。♠●〈一週間の禁足〉序[ついで]だからその結果を云うと、寄宿生は一週間の禁足になった上に、おれの前へ出て謝罪[ざい]をした。(夏目漱石「坊っちゃん」) **きんぞく【金属】** ○常温・常圧で固体で存在する物質。光沢をもち、電気・熱をよく伝える。[文例]〈貴金属〉金や銀などの金属は、少量しかとれず高価であることから貴金属といわれる。♠●〈金属音〉上空をかすめる戦闘機[せんとうき]の鋭[するど]い金属音に、思わず耳を覆[おお]った。 **きんだい【近代】** ○歴史上の区分で、中世(または近世)に続く時代。[文例]〈近代化〉彼は、島民の貧しい生活と迷信とにとまどいつつ、島の近代化のために生涯[しょうがい]を尽くした。♠〈近代的〉古い都にも、今は近代的なビルが建ち並んでいる。♠〈近代文明〉近代文明の発達した今日でも、まだ解明されていない問題は多い。 **きんだん【禁断】** ○禁止すること。[文例]〈禁断の木の実〉『旧約聖書』に、アダムとイブが禁断の木の実を食べ、楽園から追放されたと書かれている。♠〈禁断症状〉禁煙して三日目、禁断症状が激[はげ]しく、ついタバコに手が出そうになる。 **きんちょう【緊張】** ○張りつめて、ゆるみのないこと。心が引き締まった状態。切迫した事態。[文例]〈緊張をほぐす〉スタート台に立った時は、気持ちをゆったりさせて、できるだけ緊張をほぐすようにしなさい。♠●〈緊張が解ける〉舞台[ぶたい]を下りると、それまでの緊張が解け、ほっとした。♠●〈緊張が高まる〉日本の近海はソ連とアメリカの艦船がいっぱいで、日に日に緊張が高まっています。♠●〈緊張の度を加える〉再び戦闘[かんせん]の火ぶたが切られ、国境付近はにわかに緊張の度を加えている。♠●〈緊張する〉選手は大事な試合を前に緊張していた。♠●〈緊張した雰囲気〉出場辞退問題を抱[かか]えて、オリンピック委員会は緊張した雰囲気[ふんいき]に包まれた。♠●〈神経を緊張させる〉乗り合わせた乗客たちは、全神経を緊張させて事の成り行きを見守った。♠●〈緊張感〉ぼくは、試合の前の、身の引き締まるような緊張感が好きだった。 **きんとう【均等】** ○等しくならされていること。差がなく平等なさま。[文例]〈均等に分ける〉ケーキをみんなに均等に分けるのは、宇宙空間では、均質な物体を作りやすいことが証明された。♠●〈均質に作る〉一つ一つ手作りなので、機械のように均質に作り上げるというわけにはいかない。 <284> **分[わ]ける** というが、これがなかなか難[むずか]しいのだ。♠〈均等割[きんとうわ]り〉費用[ひよう]は全部[ぜんぶ]で二万円[にまんえん]かかったが、これを全員[ぜんいん]で均等割[きんとうわ]りに二千円[にせんえん]ずつ負担[ふたん]することとした。 **きんにく【筋肉】** ○収縮[しゅうしゅく]することによって運動[うんどう]を起[お]こさせる動物[どうぶつ]の組織[そしき]・器官[きかん]。[文例]〈強[つよ]い筋肉[きんにく]〉力士[りきし]のやわらかい体[からだ]の中[なか]には、強[つよ]い筋肉[きんにく]がかくされている。♠〈筋肉[きんにく]が痛[いた]む〉久[ひさ]しぶりに運動[うんどう]したら、翌日[よくじつ]あちこちの筋肉[きんにく]が痛[いた]んだ。♠〈筋肉質[きんにくしつ]〉スポーツで鍛[きた]えただけあって、彼[かれ]の体[からだ]は筋肉質[きんにくしつ]で引[ひ]き締[し]まっている。♠〈筋肉労働[きんにくろうどう]〉そんなやせた体[からだ]では、筋肉労働[きんにくろうどう]は無理[むり]じゃないかな。 **きんねん【近年】** ○この数年[すうねん]。近[ちか]ごろ。近来[きんらい]。[文例]近年[きんねん]、大都市[だいとし]の都市圏[としけん]は急速[きゅうそく]に広[ひろ]がってきた。♠近年[きんねん]の工業[こうぎょう]コンビナートの造成[ぞうせい]や排水[はいすい]の流出[りゅうしゅつ]により、海[うみ]の汚染[おせん]がはなはだしい。♠〈近年[きんねん]にない〉近年[きんねん]にない冷夏[れいか]のため、野菜[やさい]の値段[ねだん]が高騰[こうとう]している。♠〈近年[きんねん]まれにみる〉近年[きんねん]まれにみる不況[ふきょう]で、中小企業[ちゅうしょうきぎょう]の倒産[とうさん]が相次[あいつ]いでいる。 **きんぱく【緊迫】** ○差[さ]し迫[せま]ること。切迫[きっぱく]すること。[文例]〈緊迫[きんぱく]した空気[くうき]〉両国[りょうこく]の関係[かんけい]は悪化[あっか]し、国境付近[こっきょうふきん]は緊迫[きんぱく]した空気[くうき]につつまれている。♠〈緊迫[きんぱく]した状況[じょうきょう]〉操縦不能[そうじゅうふのう]という緊迫[きんぱく]した状況[じょうきょう]の中[なか]で、スチュワーデスらは冷静[れいせい]に客[きゃく]の誘導[ゆうどう]に努[つと]めた。♠〈緊迫感[きんぱくかん]〉主人公[しゅじんこう]の家族[かぞく]を守[まも]るための必死[ひっし]の闘[たたか]いが、物語全体[ものがたりぜんたい]に息[いき]づまるような緊迫感[きんぱくかん]を与[あた]えている。 **きんぴん【金品】** ○金銭[きんせん]や品物[しなもの]。[文例]〉〈金品[きんぴん]を贈[おく]る〉選挙運動[せんきょうんどう]で有権者[ゆうけんしゃ]に金品[きんぴん]を贈[おく]るなどの行為[こうい]は禁[きん]じられている。♠〈金品[きんぴん]を受[う]け取[と]る〉公職[こうしょく]に就[つ]く者[もの]は、不正[ふせい]な目的[もくてき]で贈[おく]られる金品[きんぴん]を受[う]け取[と]ってはならない。 **きんべん【勤勉】** ○まじめにつとめるさま。[文例]〈勤勉[きんべん]な人[ひと]〉昼[ひる]は仕事[しごと]、夜[よる]は学校[がっこう]で大変[たいへん]だろうが、勤勉[きんべん]な彼[かれ]はどちらも一生懸命[いっしょうけんめい]だ。♠〈勤勉[きんべん]な労働者[ろうどうしゃ]〉アリは、勤勉[きんべん]な労働者[ろうどうしゃ]のように一日中働[いちにちじゅうはたら]きづめです。♠〈勤勉[きんべん]な国民[こくみん]〉日本人[にほんじん]は勤勉[きんべん]な国民[こくみん]だと言[い]われます。 **きんぺん【近辺】** ○付近[ふきん]。近所[きんじょ]。[文例]〈家[いえ]の近辺[きんぺん]〉家[いえ]の近辺[きんぺん]に適当[てきとう]な子供[こども]の遊[あそ]び場[ば]がないので困[こま]っています。♠このあたりは、都心[としん]から近[ちか]く、近辺[きんぺん]に緑[みどり]も多[おお]いので住[す]みやすい。 **ぎんみ【吟味】** ○おもむきを味[あじ]わうこと。内容[ないよう]をくわしく調[しら]べること。[文例]〈材料[ざいりょう]を吟味[ぎんみ]する〉良[よ]いコックさんほど、料理[りょうり]の材料[ざいりょう]をよく吟味[ぎんみ]します。♠〈計画[けいかく]を吟味[ぎんみ]する〉兄[あに]が作[つく]った今度[こんど]の旅行[りょこう]の計画[けいかく]を家族[かぞく]みんなで吟味[ぎんみ]しました。♠〈品物[しなもの]を吟味[ぎんみ]する〉彼女[かのじょ]は、陳列[ちんれつ]してある品物[しなもの]を心ゆくまで吟味[ぎんみ]して、気[き]に入[い]った一[ひと]つを選[えら]び出[だ]しました。♠〈吟味[ぎんみ]を受[う]ける〉庭[にわ]の白州[しらす]に引[ひ]き出[だ]された男[おとこ]は、役人[やくにん]の吟味[ぎんみ]を受[う]けた。 **きんみつ【緊密】** ○結[むす]びつきやつながりが密接[みっせつ]であるさま。[文例]〈緊密[きんみつ]な関係[かんけい]〉日本[にほん]とアメリカは、政治的[せいじてき]にも経済的[けいざいてき]にも緊密[きんみつ]な関係[かんけい]にあります。♠〈緊密[きんみつ]な間柄[あいだがら]〉彼[かれ]とは友達[ともだち]ですが、特[とく]に緊密[きんみつ]な間柄[あいだがら]というわけではありません。♠〈緊密[きんみつ]に連絡[れんらく]をとる〉学校[がっこう]と家庭[かてい]とが緊密[きんみつ]に連絡[れんらく]をとり合[あ]って、共[とも]に子供[こども]たちを守[まも]り育[そだ]てていきたい。 **きんむ【勤務】** ○職務[しょくむ]について働[はたら]くこと。つとめ。[文例]〈勤務[きんむ]する〉啄木[たくぼく]は、そのころ、小学校[しょうがっこう]に代用教員[だいがくきょういん]として勤務[きんむ]していた。♠〈勤務先[きんむさき]〉昼間[ひるま]は勤[つと]めていますから、緊急[きんきゅう]の場合[ばあい]は勤務先[きんむさき]に連絡[れんらく]してください。♠〈勤務態度[きんむたいど]〉事件[じけん]を起[お]こした職員[しょくいん]は、無断欠勤[むだんけっきん]が多[おお]く勤務態度[きんむたいど]も悪[わる]かったそうだ。 **きんもつ【禁物】** ○嫌[きら]って避[さ]けるべきこと。また、そういうもの。[文例]〈油断[ゆだん]は禁物[きんもつ]〉慣[な]れているからといって、油断[ゆだん]は禁物[きんもつ]だ。♠〈長居[ながい]は禁物[きんもつ]〉長居[ながい]は禁物[きんもつ]と思[おも]いながらも、ついつい居座[いすわ]ってしまう。♠〈酒[さけ]は禁物[きんもつ]〉この病人[びょうにん]には酒[さけ]は禁物[きんもつ]です。 **きんゆう【金融】** ○金銭[きんせん]や資金[しきん]の融通[ゆうずう]。[文例]〈金融機関[きんゆうきかん]〉土[ど]、日[にち]と祝日[しゅくじつ]は、銀行[ぎんこう]などの金融機関[きんゆうきかん]はお休[やす]みです。♠〈金融業者[きんゆうぎょうしゃ]〉あくどい金融業者[きんゆうぎょうしゃ]にひっかからないよう、お金[かね]を借[か]りる時[とき]は十分注意[じゅうぶんちゅうい]しなさい。♠〈金融市場[きんゆうしじょう]〉ひどい不景気[ふけいき]で、金融市場[きんゆうしじょう]が混乱[こんらん]し、大恐慌[だいきょうこう]となった。 **きんよく【禁欲】(禁慾)** ○欲望[よくぼう]を抑[おさ]えること。[文例]〈禁欲[きんよく]する〉試験前[しけんまえ]は、テレビも遊[あそ]びもデートもやめて禁欲[きんよく]しています。♠〈禁欲生活[きんよくせいかつ]〉僧[そう]たちは、粗末[そまつ]な食事[しょくじ]と労働[ろうどう]と祈[いの]りの禁欲生活[きんよくせいかつ]に明[あ]け暮[く]れた。♠〈禁欲主義[きんよくしゅぎ]〉この宗教[しゅうきょう]は戒律[かいりつ]が厳[きび]しく、禁欲主義的[きんよくしゅぎてき]である。 **きんらい【近来】** ○近[ちか]ごろ。最近[さいきん]。[文例]〈近来[きんらい]まれ〉一九八六年のソ連[れん]の原発事故[げんぱつじこ]は、近来[きんらい]まれに見[み]る大惨事[だいさんじ]であった。♠〈近来[きんらい]の傑作[けっさく]〉画家[がか]が最後[さいご]の力[ちから]をふりしぼってかき上[あ]げたその作品[さくひん]は、近来[きんらい]の傑作[けっさく]とほめたたえられた。 **きんりょく【金力】** ○金[かね]の威力[いりょく]。[文例]世間[せけん]では、権力[けんりょく]や金力[きんりょく]がものを言[い]う。♠金[かね]の威力[いりょく]とは大[おお]きいもので、人[ひと]の心[こころ]はこの金力[きんりょく]に惑[まど]わされがちだ。♠金[かね]の誘惑[ゆうわく]になど負[ま]けないと思[おも]っていたが、いつの間[ま]にか金力[きんりょく]に動[うご]かされている自分[じぶん]に気[き]づく。 **きんりん【近隣】** ○となり近所[きんじょ]。[文例]〈近隣[きんりん]の人[ひと]〉大都会[だいとかい]では、近隣[きんりん]の人[ひと]との交[まじ]わりもほとんどないらしい。♠〈近隣諸国[きんりんしょこく]〉防衛費[ぼうえいひ]の増大[ぞうだい]は、近隣諸国[きんりんしょこく]の警戒心[けいかいしん]をかきたてた。♠〈近隣社会[きんりんしゃかい]〉子供[こども]たちは、農村[のうそん]の温[あたた]かい近隣社会[きんりんしゃかい]と恵[めぐ]まれた自然[しぜん]の中[なか]でのびのびと育[そだ]っていった。 **きんろう【勤労】** ○労働[ろうどう]すること。賃金[ちんぎん]をもらって働[はたら]くこと。[文例]〈日々[ひび]の勤労[きんろう]〉わたしたちは、日々[ひび]の勤労[きんろう]によって所得[しょとく]を得[え]、生活[せいかつ]を営[いとな]んでいます。♠〈勤労感謝[きんろうかんしゃ]の日[ひ]〉十一月二十三日[じゅういちがつにじゅうさんにち]の勤労感謝[きんろうかんしゃ]の日[ひ]は、勤労[きんろう]を尊[たっと]び、国民[こくみん]が互[たが]いに感謝[かんしゃ]し合[あ]う日[ひ]です。♠〈勤労奉仕[きんろうほうし]〉原爆[げんばく]の落[お]ちた八月六日[はちがつむいか]は、中学[ちゅうがく]の寄宿舎[きしゅくしゃ]から竹屋町[たけやちょう]へ勤労奉仕[きんろうほうし]に行[い]っていた。 **く【苦】** ○苦[くる]しみ。苦痛[くつう]。苦労[くろう]。悩[なや]み。心配[しんぱい]。[文例]〈苦[く]になる〉もうすぐ田舎[いなか]のおばあちゃんに会[あ]えると思[おも]えば、夜行列車[やこうれっしゃ]の長旅[ながたび]も、たいして苦[く]にならない。♠〈苦[く]にする〉社長[しゃちょう]は、会社[かいしゃ]の経営状態[けいえいじょうたい]がよくないのを苦[く]にして、病気[びょうき]になったらしい。♠〈苦[く]に病[や]む〉母[はは]は、わたしの就職[しゅうしょく]が決[き]まらないことをひどく苦[く]に病[や]んでいた。♠〈苦[く]もなく〉きみが難[むずか]しい計算問題[けいさんもんだい]を苦[く]もなくすらすらと解[と]くので、びっくりしたなあ。♠〈楽[らく]あれば苦[く]あり〉楽[らく]あれば苦[く]あり、世[よ]の中[なか]そんなに甘[あま]くは <285> **ないさ。** ♠〈苦[く]は楽[らく]の種[たね]〉今[いま]の苦労[くろう]が将来[しょうらい]の幸福[こうふく]につながるんだ、「苦[く]は楽[らく]の種[たね]」といってね。 **く【句】** ○文章[ぶんしょう]の一区切[ひとくぎ]り。文[ぶん]の一部分[いちぶぶん]。詩[し]の一区切[ひとくぎ]り。短歌[たんか]や俳句[はいく]の五音[ごおん]・七音[しちおん]のまとまり。俳句[はいく]のこと。[文例]〈句[く]を置[お]く〉「失礼[しつれい]でございますが・・・・・・」女[おんな]はこの句[く]を冒頭[ぼうとう]に置[お]いて会釈[えしゃく]した。(夏目漱石[なつめそうせき]「三四郎[さんしろう]」)♠〈句[く]を詠[よ]む〉これは初孫[はつまご]が生[う]まれた時[とき]に詠[よ]んだ句[く]で、一家[いっか]の喜[よろこ]びがよく表[あら]われています。♠〈二[に]の句[く]をつぐ〉あきれ返[かえ]ったわたしは、相手[あいて]を見[み]つめたまま二[に]の句[く]がつげなかった。♠〈上[かみ]の句[く]・下[しも]の句[く]〉姉[あね]は、百人一首[ひゃくにんいっしゅ]を暗記[あんき]していて、上[かみ]の句[く]を聞[き]いただけで下[しも]の句[く]がすらすらと出[で]てくるのです。 **ぐ【愚】** ○おろかなこと。おろかな行為[こうい]。[文例]〈愚[ぐ]にもつかない〉そんな愚[ぐ]にもつかない話[はなし]を本気[ほんき]で信[しん]じるなんて、どうかしてるよ。♠〈愚[ぐ]を演[えん]じる〉べっこうばちは、くもを真正面[ましょうめん]から攻撃[こうげき]するような愚[ぐ]はけっして演[えん]じない。♠〈愚[ぐ]の骨頂[こっちょう]〉借金[しゃっきん]してまで派手[はで]な結婚式[けっこんしき]をすると は愚[ぐ]の骨頂[こっちょう]だ。♠〈戦争[せんそう]という愚[ぐ]〉われわれは、二度[にど]と戦争[せんそう]などという愚[ぐ]を繰[く]り返[かえ]してはならない。 **ぐあい【具合】(工合)** ○物事[ものごと]の調子[ちょうし]や状態[じょうたい]。体[からだ]の調子[ちょうし]。やり方[かた]。ありさま。[文例]〈具合[ぐあい]がよい・悪[わる]い〉人間[にんげん]の直立[ちょくりつ]した姿勢[しせい]は、脳[のう]を発達[はったつ]させる意味[いみ]で、まことに具合[ぐあい]がよいのです。♠〈眼鏡[めがね]の具合[ぐあい]〉新[あたら]しい眼鏡[めがね]の具合[ぐあい]はいかがですか。♠〈体[からだ]の具合[ぐあい]〉母[はは]は、体[からだ]の具合[ぐあい]が悪[わる]くてふせっています。♠〈具合[ぐあい]が悪[わる]い〉いくら何[なん]でもジーパンでは、結婚式[けっこんしき]には具合[ぐあい]が悪[わる]い。♠〈具合[ぐあい]が悪[わる]い〉明日[あした]は具合[ぐあい]が悪[わる]いので、日曜日[にちようび]ではどうですか。♠〈具合[ぐあい]が悪[わる]い〉デートしていたところを先生[せんせい]に見[み]つかり、ぼくはなんとなく具合[ぐあい]が悪[わる]かった。♠〈うまいぐあい〉停留所[ていりゅうじょ]に着[つ]くと、うまいぐあいに、すぐバスが来[き]た。♠〈どんなぐあい〉わたしたちは、ふだん、どんなぐあいに目[め]を働[はたら]かせているでしょう。♠〈〜というぐあい〉子供[こども]たちは、泳[およ]ぎのうまいカッパのような子[こ]もいれば、まったくのカナヅチもいるというぐあいだった。♠〈ふところぐあい〉その日[ひ]は給料日[きゅうりょうび]のすぐ後[あと]で、ふところぐあいもよかった。 **くい【杭・杙】** ○地面[じめん]や水底[みなそこ]に打[う]ち込[こ]んで、目印[めじるし]や支[ささ]えなどに する木[き]の棒[ぼう]。[文例]〈くいを打[う]つ〉この一画[いっかく]に縄[なわ]を張[は]るから、五[ご]メートルおきにくいいを打[う]とう。♠〈くいにかかる〉川上[かわかみ]から流[なが]れてきた小舟[こぶね]がくいにかかって動[うご]かない。♠〈出[で]るくいは打[う]たれる〉出[で]るくいは打[う]たれる。あまりでしゃばらないほうがいいよ。♠〈くい打[う]ち〉子供[こども]の遊[あそ]び場[ば]だった空[あ]き地[ち]に家[いえ]が建[た]つらしく、くい打[う]ちが始[はじ]まった。 **くい【悔い】** ○くいること。後悔[こうかい]。[文例]〈後[あと]に悔[く]いを残[のこ]す〉ベストコンディションで試合[しあい]に臨[のぞ]むことができずに負[ま]けてしまって、後[あと]に悔[く]いを残[のこ]した。♠〈悔[く]いが残[のこ]る〉悔[く]いが残[のこ]らないように、現役最後[げんえきさいご]の年[とし]を目[め]いっぱいがんばると、選手[せんしゅ]は言[い]っている。♠〈悔[く]いがない〉おばあちゃんは、悔[く]いのない人生[じんせい]を送[おく]ってきたから幸[しあわ]せだったと言[い]う。♠〈悔[く]いがない〉必死[ひっし]で勉強[べんきょう]したから、試験[しけん]の結果[けっか]がどうであっても悔[く]いはない。♠〈悔[く]いが多[おお]い〉健康[けんこう]を害[がい]して休[やす]んでばかりで、悔[く]いの多[おお]い学生生活[がくせいせいかつ]だった。 **くいい・る【食い入る】** ○内部[ないぶ]に入[はい]り込[こ]む。食[く]い込[こ]む。[文例]〈食[く]い入[い]るよう〉彼女[かのじょ]は一言[ひとこと]も発[はっ]せず、五年[ごねん]ぶりの息子[むすこ]の顔[かお]をただ食[く]い入[い]るような目[め]で見[み]つめていた。♠〈食[く]い入[い]るよう〉テレビの画面[がめん]が事故[じこ]の模様[もよう]を映[うつ]し出[だ]すと、わたしは我[われ]を忘[わす]れて食[く]い入[い]るように見入[みい]った。 **くいき【区域】** ○区分[くぶん]けされた地域[ちいき]。ある範囲[はんい]の場所[ばしょ]。[文例]〈区域[くいき]に分[わ]ける〉市内[しない]をいくつかの区域[くいき]に分[わ]け、それぞれ植生[しょくせい]を調査[ちょうさ]し、植物分布図[しょくぶつぶんぷず]を作[つく]りました。♠〈受[う]け持[も]ちの区域[くいき]〉消防署[しょうぼうしょ]は、受[う]け持[も]ちの区域[くいき]がが決[き]まっているが、火事[かじ]の時[とき]には協力[きょうりょく]しあう。♠〈立[た]ち入[い]り禁止区域[きんしくいき]〉さくをめぐらした所[ところ]は工場建設予定地[こうじょうけんせつよていち]で、立[た]ち入[い]り禁止区域[きんしくいき]です。 **くいこ・む【食い込む】** ○中[なか]に深[ふか]く入[はい]り込[こ]む。限界[げんかい]を越[こ]えて入[はい]り込[こ]む。[文例]〈つめが食[く]い込[こ]む〉木[き]に登[のぼ]る動物[どうぶつ]は、つめが幹[みき]や枝[えだ]に鋭[するど]く食[く]い込[こ]んで、落[お]ちないようになっている。♠〈くぎが食[く]い込[こ]む〉古[ふる]い棚[たな]を取[と]り壊[こわ]し、柱[はしら]に食[く]い込[こ]んでいる古[ふる]くぎを一本一本抜[いっぽんいっぽんぬ]き取[と]った。♠〈パンチが食[く]い込[こ]む〉彼[かれ]のパンチがひねりを加[くわ]えながら、相手[あいて]のほおに食[く]い込[こ]んだ。♠〈休[やす]み時間[じかん]に食[く]い込[こ]む〉時間[じかん]の配分[はいぶん]のへたな先生[せんせい]なので、授業[じゅぎょう]が休[やす]み時間[じかん]に食[く]い込[こ]むことがよくある。♠〈五位[ごい]に食[く]い込[こ]む〉ラストスパートをかけて五位[ごい]に食[く]い込[こ]み、なんとか入賞[にゅうしょう]を果[は]たせた。♠〈境界線[きょうかいせん]が食[く]い込[こ]む〉実測[じっそく]したら、隣[となり]の家[いえ]との境界線[きょうかいせん]が五十[ごじゅっ]センチもうちのほうに食[く]い込[こ]んでいるのがわかった。♠〈市場[しじょう]に食[く]い込[こ]む〉海外進出[かいがいしんしゅつ]のめざましい日本[にほん]の自動車産業[じどうしゃさんぎょう]は、外国[がいこく]の市場[しじょう]にかなり食[く]い込[こ]んでいるという。♠〈心[こころ]に食[く]い込[こ]む〉この詩[し]は、読[よ]む人[ひと]の心[こころ]にぐいぐい食[く]い込[こ]んでくるような力強[ちからづよ]さに満[み]ちている。 **くいさが・る【食い下がる】** ○(下方[かほう]から)食[く]いついて離[はな]れない。ねばり強[づよ]く立[た]ち向[む]かう。[文例]〈腰[こし]に食[く]い下[さ]がる〉負[ま]けん気[き]の強[つよ]い少年[しょうねん]は、こてんぱんにやっつけられながらも相手[あいて]の腰[こし]に食[く]い下[さ]がって離[はな]れない。♠〈どこまでも食[く]い下[さ]がる〉わたしは、どこまでも食[く]い下[さ]がって要求[ようきゅう]を通[とお]すつもりよ。 **くいしば・る【食い縛る】** ○歯[は]を強[つよ]くかみ合[あ]わせる。[文例]〈歯[は]を食[く]いしばる〉気[き]の遠[とお]くなるような痛[いた]みに歯[は]を食[く]いしばって耐[た]えた。♠〈歯[は]を食[く]いしばる〉母[はは]は、ぼくたち二人[ふたり]をかかえて、歯[は]を食[く]いしばって生[い]きてきた。 **くいたりな・い【食い足りない】** ○十分[じゅうぶん]に食[た]べていない。ものたりない。[文例]どんぶり飯[めし]をペロッとたいらげて、まだ食[く]い足[た]りない顔[かお]をしているからあきれてしまう。♠よくできた推理小説[すいりしょうせつ]なのだが、こじんまりまとまり過[す]ぎている点[てん]で、少々食[しょうしょうく]い足[た]りない気[き]がした。 **くいちがい【食い違い】** ○くいちがうこと。不一致[ふいっち]。ずれ。[文例]〈言葉[ことば]と事実[じじつ]との食[く]い違[ちが]い〉言葉[ことば]と事実[じじつ]との食[く]い違[ちが]いによって誤解[ごかい]が起[お]こりやすい。♠〈食[く]い違[ちが]いが生[しょう]じる〉家屋[かおく]の売買[ばいばい]をめぐり、業者[ぎょうしゃ]と買[か]い手[て]の言[い]い分[ぶん]に食[く]い違[ちが]いが生[しょう]じて裁判[さいばん]ざたになった。 **くいちが・う【食い違う】** ○かみ合[あ]わない。一致[いっち]しない。物事[ものごと]が行[ゆ]き違[ちが]う。ずれが生[しょう]じる。[文例]〈意見[いけん]が食[く]い違[ちが]う〉両者[りょうしゃ]の間[あいだ]で意見[いけん]が食[く]い違[ちが]い、議論[ぎろん]は平行線[へいこうせん]をたどるばかりだった。♠〈事実[じじつ]が食[く]い違[ちが]う〉議論[ぎろん]では、言葉[ことば]の指[ゆび]している内容[ないよう] <286> **がお互[たが]い** のあいだで食[く]い違[ちが]っている場合[ばあい]が多[おお]い。 **くいつ・く【食い付く】** ○しっかりとかみつく。しがみつく。とびつく。[文例]〈腕[うで]に食[く]いつく〉相手[あいて]は苦[くる]しがって、おれの二[に]の腕[うで]へ食[く]いついた。♠〈えさに食[く]いつく〉今日[きょう]はどうしたことか、魚[さかな]がちっともえさに食[く]いついてくれないのだ。♠〈うまい話[はなし]に食[く]いつく〉そんなうまい話[はなし]なら、あいつは一[いち]も二[に]もなく食[く]いつくさ。 **くいつな・ぐ【食いつなぐ】(食い繋ぐ)** ○食[た]べて、命[いのち]をつなぐ。手段[しゅだん]を尽[つ]くして何[なん]とか生[い]きていく。[文例]あとたったこれだけの米[こめ]で、家族五人[かぞくごにん]が一か月食[いっかげつか]いつないでいかなければならないのだ。♠父母[ふぼ]を失[うしな]ったあと、ぼくたちは新聞配達[しんぶんはいたつ]や行商[ぎょうしょう]をして食[く]いつないだ。 **くいつぶ・す【食いつぶす】(食い潰す)** ○お金[かね]や財産[ざいさん]を使[つか]い果[は]たす。[文例]〈財産[ざいさん]を食[く]いつぶす〉二代目[にだいめ]を継[つ]いだ男[おとこ]は怠[なま]け者[もの]で、仕事[しごと]もせずにただ財産[ざいさん]を食[く]いつぶすだけだった。♠一家[いっか]を支[ささ]えて働[はたら]く姉娘[あねむすめ]のかぼそい体[からだ]は、家族四人[かぞくよにん]で食[く]いつぶしたようなものだ。 **くいつ・める【食い詰める】** ○お金[かね]を使い果[つか]い果[は]たして、生活[せいかつ]がなりたたなくなる。[文例]一旗揚[ひとはたあ]げようと北海道[ほっかいどう]へ渡[わた]ったが、とうとう食[く]い詰[つ]めて、また元[もと]の店[みせ]にまいもどった女[おんな]がいた。♠生[う]まれながらの放蕩者[ほうとうもの]で、食[く]い詰[つ]めたあげく始[はじ]めたのがこの商売[しょうばい]です。 **くいと・める【食い止める】** ○防[ふせ]ぎ止[と]める。[文例]〈被害[ひがい]を食[く]い止[と]める〉火災[かさい]による被害[ひがい]を最小限[さいしょうげん]に食[く]い止[と]めるため、周[まわ]りの民家[みんか]は強制的[きょうせいてき]に取[と]り壊[こわ]された。♠〈破壊[はかい]を食[く]い止[と]める〉今[いま]ここで食[く]い止[と]めなければ、自然破壊[しぜんはかい]はとめどもなく進[すす]むことだろう。 **くいぶち【食いぶち】(食い扶持)** ○食物[しょくもつ]にあてるお金[かね]。食費[しょくひ]。生活費[せいかつひ]。[文例]〈食[く]いぶちを稼[かせ]ぐ〉自分[じぶん]の食[く]いぶちぐらい自分[じぶん]で稼[かせ]がなくては、一人前[いちにんまえ]の男[おとこ]とは言[い]えないぞ。♠〈食[く]いぶちを入[い]れる〉工場[こうじょう]へ働[はたら]きに出[で]た良太[りょうた]は、家[いえ]に毎月[まいつき]の食[く]いぶちを入[い]れるようになった。♠〈食[く]いぶちが足[た]りない〉育[そだ]ち盛[ざか]りの子供[こども]が三人[さんにん]もいては、毎月[まいつき]の食[く]いぶちが足[た]りなくなる。 **くいもの【食い物】** ○食[た]べ物[もの]。自分[じぶん]の利益[りえき]のために利用[りよう]するもの。[文例]〈食[く]い物[もの]を探[さが]す〉どこかで食[く]い物[もの]を探[さが]さなければ、腹[はら]がへって死[し]にそうだ。♠〈食[く]い物[もの]の恨[うら]み〉食[く]い物[もの]の恨[うら]みは恐[おそ]ろしいと 言[い]うが、あのすしを食[た]べ損[そこ]なったことはずっと心残[こころのこ]りであった。♠〈食[く]い物[もの]にする〉気[き]をつけろよ、あいつはおまえを食[く]い物[もの]にしようとしているんだから。 **くいる【悔いる】** ○後悔[こうかい]する。くやむ。[文例]〈前非[ぜんぴ]を悔[く]いる〉前非[ぜんぴ]を悔[く]いて真人間[まにんげん]になることを誓[ちか]ったのだから、許[ゆる]してやりましょう。♠〈自堕落[じだらく]を悔[く]いる〉本人[ほんにん]も今[いま]までの自堕落[じだらく]を悔[く]いて、もう二度[にど]としないと申[もう]しております。 **くう【空】** ○そら。空中[くうちゅう]。空虚[くうきょ]。無[む]。[文例]〈空[くう]を切[き]る〉彼[かれ]のかわし方[かた]がみごとだったので、ぼくの竹刀[しない]はむなしく空[くう]を切[き]った。♠〈空[くう]をつかむ〉悲[かな]しいかな、背[せ]が足[た]りない。伸[の]ばされた手[て]は、むなしく空[くう]をつかむばかりであった。♠〈空[くう]をにらむ〉何[なに]を企[くわだ]てているのか、腰[こし]に手[て]をあて、彼[かれ]の目[め]は空[くう]をにらんでいた。♠〈空[くう]に消[き]える〉いかだを組[く]んで急流[きゅうりゅう]を下[くだ]るという冒険計画[ぼうけんけいかく]が、親[おや]たちの反対[はんたい]にあって空[くう]に消[き]えた。♠〈空[くう]に帰[き]する〉試合[しあい]の時間[じかん]に遅[おく]れては、今[いま]までの努力[どりょく]が空[くう]に帰[き]することになる。♠〈天馬空[てんまくう]を行[ゆ]く〉男[おとこ]は、天馬空[てんまくう]を行[ゆ]くがごとく奔放[ほんぽう]な活動[かつどう]を続[つづ]けていた。 **く・う【食う】(喰う)** ○食[た]べる。くらしを立[た]てる。かむ。刺[さ]す。消費[しょうひ]する。圧倒[あっとう]する。ばかにする。身[み]に受[う]ける。こうむる。[文例]〈飯[めし]を食[く]う〉そろそろお昼[ひる]だから、その辺[へん]の店[みせ]で飯[めし]でも食[く]おうか。♠〈無駄飯[むだめし]を食[く]う〉うちは息子[むすこ]に無駄飯[むだめし]を食[く]わせるほど、裕福[ゆうふく]じゃないよ。♠〈食[く]うか食[く]われるか〉動物[どうぶつ]の世界[せかい]では、日夜食[にちや]うか食[く]われるかの戦[たたか]いが繰[く]り返[かえ]されている。♠〈食[く]うために働[はたら]く〉大人[おとな]になると、みんな、食[く]うために働[はたら]かなければならなくなる。♠〈食[く]うに困[こま]る〉彼女[かのじょ]は、食[く]うに困[こま]って、大切[たいせつ]にしていた母親[ははおや]の形見[かたみ]の指輪[ゆびわ]を売[う]ってしまったという。♠〈食[く]うや食[く]わず〉母[はは]は、食[く]うや食[く]わずの生活[せいかつ]から苦労[くろう]して、兄[あに]を大学[だいがく]に入[い]れた。♠〈魚[さかな]が食[く]う〉この釣堀[つりぼり]の魚[さかな]はよく食[く]うので評判[ひょうばん]です。♠〈虫[むし]が食[く]う〉父[ちち]は虫[むし]の食[く]った古[ふる]い本[ほん]をていねいに修理[しゅうり]している。♠〈蚊[か]に食[く]われる〉草取[くさとり]りはいやじゃないが、蚊[か]に食[く]われるのが困[こま]る。♠〈時間[じかん]を食[く]う〉歯医者[はいしゃ]さんは待[ま]ち時間[じかん]ばかり食[く]って、診察[しんさつ]はほんの五分[ごふん]というありさまだ。♠〈ガソリンを食[く]う〉あの車[くるま]はかっこいいが、ガソリンを相当食[そうとうく]いそうだ。♠〈金[かね]を食[く]う〉廃棄物処理装置[はいきぶつしょりそうち]は、金[かね]を食[く]うので、企業[きぎょう]からは敬遠[けいえん]されていた。♠〈年[とし]を食[く]う〉おばは、「むだに年[とし]は食[く]っていないよ。」というのが、口癖[くちぐせ]になっている。♠〈優勝候補[ゆうしょうこうほ]を食[く]う〉去年[きょねん]は最下位[さいかい]だったチームが、今年[ことし]は優勝候補[ゆうしょうこうほ]を食[く]うほど強[つよ]くなっていた。♠〈主役[しゅやく]を食[く]う〉達者[たっしゃ]な演技者[えんぎしゃ]が多[おお]い中[なか]でも、妹役[いもうとやく]の女優[じょゆう]の演技[えんぎ]が光[ひか]っており、主役[しゅやく]を食[く]う出来[でき]である。♠〈客[きゃく]を食[く]われる〉つい目[め]と鼻[はな]の先[さき]にしゃれた喫茶店[きっさてん]ができて、すっかり客[きゃく]を食[く]われてしまった。♠〈気[き]に食[く]わない〉ぼくの言[い]ったことが気[き]に食[く]わないからといって、物[もの]を投[な]げることはないだろう。♠〈肩[かた]すかしを食[く]う〉宿敵A校[しゅくてきえーこう]が予選落[よせんお]ちして、ぼくらのチームは肩[かた]すかしを食[く]った感[かん]じだった。♠〈総[そう]すかんを食[く]う〉抜[ぬ]きうちで英語[えいご]のテストをしたら、生徒[せいと]たちに総[そう]すかんを食[く]いましたよ。♠〈道草[みちくさ]を食[く]う〉こんな時間[じかん]までいったいどこで道草[みちくさ]を食[く]っていたんだい。♠〈泡[あわ]を食[く]う〉警官[けいかん]の姿[すがた]を見[み]て、どろぼうは泡[あわ]を食[く]って逃[に]げて行[い]った。♠〈お目玉[めだま]を食[く]う〉あの家[いえ]のご隠居[いんきょ]には、庭[にわ]の盆栽[ぼんさい]を壊[こわ]してお目玉[めだま]を食[く]ったことがある。♠〈あおりを食[く]う〉円高不況[えんだかふきょう]のあおりを食[く]って、倒産[とうさん]する町工場[まちこうば]が続出[ぞくしゅつ]した。♠〈おいてきぼりを食[く]う〉こんな山[やま]の中[なか]でおいてきぼりを食[く]ったら大変[たいへん]だ、そろそろ集合場所[しゅうごうばしょ]へもどろう。♠〈その手[て]は食[く]わない〉嫌[いや]な仕事[しごと]をぼくにおしつけるつもりだろうけど、その手[て]は食[く]わないよ。♠〈人[ひと]を食[く]った話[はなし]〉雨[あめ]の中[なか]で三十分[さんじゅっぷん]も待[ま]たせて、「ごめんね。」の一言[ひとこと]だけなんて、ずいぶん人[ひと]を食[く]った話[はなし]だよ。♠〈一杯食[いっぱい]わされる〉何[なん]だ、これは、中身[なかみ]は石[いし]ころじゃないか!やつに一杯食[いっぱい]わされた。♠〈何食[なにく]わぬ顔[かお]〉男[おとこ]は、盗[ぬす]んだ金[かね]を秘密[ひみつ]の場所[ばしょ]に隠[かく]すと、何食[なにく]わぬ顔[かお]で被害者[ひがいしゃ]を装[よそお]っていた。♠〈食[く]ってかかる〉アウトの判定[はんてい]を不満[ふよう]とした選手[せんしゅ]は、審判[しんばん]に食[く]ってかかった。 **くうかん【空間】** ○空[あ]いている場所[ばしょ]。空[あ]き。スペース。すべて <287> **くうき【空気】** ○地球を覆[おお]う気体。その場の雰囲気。通常は意識されないが、無くてはならないもの。[文例]〈澄[す]んだ空気〉冬の夜空が美しいのは、多くの―等星が澄んだ空気の中で、きらめいているからです。♠〈新鮮な空気〉高原に出かけて、山の新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込んできました。♠〈空気を入れ換える〉ときどき窓を開けて、部屋の空気を入れ換えましょう。♠〈空気が乾[かわ]く〉空気が乾いているので、火の元には注意しましょう。♠〈空気にさらす〉この食品は真空パックなので、空気にさらさなければ、かなり長持ちします。♠〈空気がうまい〉山の頂上で深呼吸したときの空気のうまかったことが忘れられない。♠〈空気が汚[よご]れる〉都会では、自動車の数が年々増加し、排気ガスで空気が汚れてきている。♠〈空気が抜ける〉ほらほら、自転車のタイヤの空気が抜けてるじゃないか。♠〈空気の圧力〉空気の圧力を利用して、機械にいろいろな仕事を行わせることができる。♠〈都会の空気〉この町にきて、初めてぼくは都会の空気に触れたという感じがした。♠〈教室の空気になじむ〉転校してきたあの子は、教室の空気になかなかなじめなくて、かわいそうだ。♠〈職場の空気〉ひょうきん者の彼が入社して、職場の空気が一変した。♠〈険悪[けんあく]な空気〉両チームの選手とも、かっとなって、場内は険悪な空気に包まれた。♠〈緊迫[きんぱく]した空気〉ロケットの打ち上げを控[ひか]えて、関係者の緊迫した空気がピリピリと伝わってくる。♠〈気まずい空気〉興奮のあまり、口にすべきでないことを言ってしまい、気まずい空気がその場を包んだ。♠〈自由な空気〉彼は自由な空気の中で育ってきたので、のびのびとした性格をしている。♠〈空気のような存在〉母に言わせると、父は空気のような存在で、ふだんはなんとも思わないが、実はありがたい存在だそうだ。 **くうきょ【空虚】** ○空っぽなこと。内容のないさま。[文例]〈空虚な生活〉これ以上、自分をだまして空虚な結婚生活を続けていくことはできません。♠〈中身が空虚〉あのあいさつは美辞麗句[びじれいく]を並べ立てただけで、中身は空虚で心がこもっていない。♠〈心が空虚〉目の覚めるような宝石やドレスで体を飾っていても、わたしの心は空虚なままだった。 **ぐう・する【遇する】** ○もてなす。取り扱う。[文例]大学時代の金沢の下宿では、まるで家族の一員のように遇せられ、大変幸運な四年間でした。♠〈人を遇する〉この悲しい事件の後、わたしを遇する周囲の人々の温かさが身にしみた。 **くうぜん【空前】** ○これまでに例がないこと。[文例]〈空前の売れ行き〉人気のロックグループが来日することになり、その前売り券は空前の売れ行きを示した。♠〈空前の人出〉連休初日は快晴に恵まれたこともあって、行楽地は空前の人出を記録した。 **ぐうぜん【偶然】** ○思いがけないこと。因果関係がはっきりしないさま。たまたま。はからずも。→必然[文例]〈偶然会う〉友達と映画を見に行ったら、偶然、学校の先生に会いました。♠彼の学者としての成功は、けっして偶然ではない。♠〈偶然にも〉偶然にも、友達の婚約者[こんやくしゃ]は中学校時代のクラスメートだった。♠〈偶然の発見〉偶然の発見が、時として、学問的な大発見であることがよくあります。♠〈偶然の一致〉きみとぼくの誕生日[たんじょうび]がいっしょだなんて、偶然の一致にしてもうれしいね。♠〈偶然に頼[たよ]る〉ふだんから努力している人間は、きみみたいに偶然に頼ったりはしないよ。♠〈偶然と必然〉起こった事に、しっかりした理由がないのが偶然で、はっきりした理由があれば「必然」といいます。 **くうぜんぜつご【空前絶後】** ○前にも後にも例がないこと。きわめてめずらしいこと。[文例]〈空前絶後の記録〉空前絶後の記録として、彼の偉業は今なお不滅[ふめつ]の光彩[こうさい]を放っている。♠〈空前絶後の快挙〉彼らの成し遂げた快挙は、おそらく空前絶後のものであろうと思われた。 **くうそ【空疎】** ○内容が乏[とぼ]しいさま。中身がないさま。[文例]〈空疎な議論〉いつまでも空疎な議論を重ねていては、事態は一向によくならない。♠〈中身が空疎〉彼の論文は、やたらに偉い学者の引用が多く、中身は何もない空疎なものだった。 **くうそう【空想】** ○現実にはないことを頭に思い描くこと。また、思い描かれたもの。[文例]〈空想にふける〉自分が透明人間だったらなどと、空想にふけるのが好きだ。♠〈空想の産物〉テレビに出てくる怪獣[かいじゅう]は、ほとんどが空想の産物である。♠〈空想の世界〉空想の世界では、白馬に乗った騎士がわたしを迎えに来てくれるはずなのに。♠〈ばかげた空想〉きみのばかげた空想には、とてもついていけない。♠〈空想に胸ふくらます〉弟は、冒険[ぼうけん]小説の主人公になりきって、空想に胸ふくらましていた。♠〈空想する〉タイムマシンに乗って未来を旅行しているぼくを空想しながら、この絵を書いた。 **ぐうぞう【偶像】** ○信仰[しんこう]の対象として作られた像。あこがれ・崇拝[すうはい]の対象。[文例]〈偶像を崇拝する〉信者たちは獅子[しし]をかたどった偶像を、神として崇拝していた。♠〈偶像にすぎない〉信仰を持たないわたしには、ありがたい神仏も、ただの偶像にすぎません。♠〈若者の偶像〉人気ナンバーワンのレーサーは、若者たちの偶像だ。♠〈落ちた偶像〉かつて一世[いっせい]を風靡[ふうび]したスターも、今では地に落ちた偶像だ。 **くうかん【空間】** ○何もない所。からっぽの場所。三次元の方向への果てしない広がり。ある広がりをもつ場。[文例]〈空間がある・ない〉狭い家なので、鳥かごを置く空間もない。♠〈狭い・広い空間〉姉といっしょの部屋なので、棚[たな]を作ったりして、狭い空間を上手に利用している。♠〈大きな空間〉机といすを隅[すみ]に寄せると、教室の中には大きな空間ができた。♠〈〜で囲まれた空間〉木と土と緑で囲まれた空間よりも、鉄とガラスとコンクリートで囲まれた空間を好む人もいる。♠〈空間を占[し]める〉どんな生物でも、必ずある空間を占め、自分たちの生活を営んでいる。♠〈はてしない空間〉宇宙というはてしない空間で、生物が存在する星は地球だけなのだろうか。♠〈遊びの空間〉工夫をこらすことによって、限られた生活の場に新しい遊びの空間を作り出すことができる。♠〈空間の感覚〉急に片目をつぶると、空間の感覚や距離感[きょりかん]がおかしくなる。♠〈時間と空間〉時間と空間を超えた異次元の世界があるならば、のぞいてみたいものだ。 <288> **のかげ** の栄光[えいこう]は影[かげ]も形[かたち]もなく、元[もと]チャンピオンも今[いま]では落[お]ちた偶像[ぐうぞう]であった。♠〈偶像視[ぐうぞうし]する〉世間[せけん]の人々[ひとびと]の中[なか]には、痛快[つうかい]なやり方[かた]に気[き]をとられ、犯人[はんにん]グルーフを偶像視[ぐうぞうし]する者[もの]もいます。 **くうちゅう【空中】** ○そら。空[そら]の中[なか]。[文例]〈空中[くうちゅう]を飛[と]ぶ〉こんなに重量[じゅうりょう]のある物体[ぶったい]が、こんなに遠[とお]くまで空中[くうちゅう]を飛[と]ぶなんて信[しん]じられないことだ。♠〈空中[くうちゅう]に浮[う]かべる〉「海[うみ]」とつぶやくと、男[おとこ]は空中[くうちゅう]に何[なに]かを思[おも]い浮[う]かべるような目[め]をした。♠〈空中分解[くうちゅうぶんかい]〉指導的立場[しどうてきたちば]にあった彼[かれ]が抜[ぬ]けたことにより、われわれの計画[けいかく]は空中分解[くうちゅうぶんかい]してしまった。♠〈空中楼閣[くうちゅうろうかく]〉文明[ぶんめい]などというものは、哀[あわ]れな人類[じんるい]が造[つく]りあげた空中楼閣[くうちゅうろうかく]にすぎないのかも知[し]れぬ。 **くうてん【空転】** ○からまわり。むだに進行[しんこう]すること。[文例]〉〈空転[くうてん]を続[つづ]ける〉国会[こっかい]は、野党[やとう]の要求[ようきゅう]に与党[よとう]が応[おう]じず、開会初日[かいかいしょにち]から空転[くうてん]を続[つづ]けている。♠〈空転[くうてん]する〉根本的[こんぽんてき]に両者[りょうしゃ]の立場[たちば]が違[ちが]っているため、議論[ぎろん]は空転[くうてん]するばかりで少[すこ]しもかみ合[あ]わない。 **くうどう【空洞】** ○からっぽになっている所[ところ]。ほら穴[あな]。[文例]〈中[なか]が空洞[くうどう]〉幹[みき]をたたいてみてガサガサと音[おと]がするときは、大抵中[たいていなか]が空洞[くうどう]になっています。♠〈心[こころ]の空洞[くうどう]〉〈空洞[くうどう]を埋[う]める〉心[こころ]の空洞[くうどう]を本当[ほんとう]にお金[かね]で埋[う]められるかどうか、よく考[かんが]えてみよう。 **ぐうのね【ぐうの音】** ○苦[くる]しい時[とき]に発[はっ]する「ぐう」という声[こえ]。[文例]〈ぐうのねも出[で]ない〉今日[きょう]こそはと、にっくきいたずら坊主[ぼうず]をつかまえて、ぐうのねも出[で]ないほどにしぼってやった。♠〈ぐうのねも出[で]ない〉責任[せきにん]はぼくにあるので、みんなによってたかって責[せ]められてもぐうのねも出[で]なかった。 **くうはく【空白】** ○何[なに]も書[か]かれていない部分[ぶぶん]。あるべきところに何[なに]もないこと。余白[よはく]。[文例]〈空白[くうはく]の欄[らん]〉調査用紙[ちょうさようし]のいちばん上[うえ]の空白[くうはく]の欄[らん]に、学年[がくねん]と名前[なまえ]を書[か]くように言[い]われた。♠〈空白[くうはく]の部分[ぶぶん]〉教科書[きょうかしょ]の上[うえ]の空白[くうはく]の部分[ぶぶん]に、先生[せんせい]から特[とく]に注意[ちゅうい]するように言[い]われたことを書[か]いておいた。♠〈勉強[べんきょう]の空白[くうはく]〉病気[びょうき]で休[やす]んでいた間[あいだ]の、勉強[べんきょう]の空白[くうはく]を取[と]りもどすのは、なかなかたいへんだった。♠〈記憶[きおく]の空白[くうはく]〉事故[じこ]で頭[あたま]を打[う]ち、その前後[ぜんご]に記憶[きおく]の空白[くうはく]ができて何[なに]も思[おも]い出[だ]せない。♠〈心[こころ]の空白[くうはく]〉失恋[しつれん]したあとの心[こころ]の空白[くうはく]は、二[に]、三か月[さんかげつ]たってもなかなか埋[う]まらなかった。♠〈時間[じかん]の空白[くうはく]〉テレビで十秒[じゅうびょう]の空白[くうはく]が起[お]こると、たった十秒[じゅうびょう]なのに、とてつもない長[なが]さに感[かん]じられるという。 **くうばく【空漠】** ○何[なに]もなく、果[は]てしなく広[ひろ]がるさま。ばくぜんとしているさま。とりとめのないさま。[文例]〈空漠[くうばく]たる原野[げんや]〉国境[こっきょう]の丘[おか]に立[た]つと、眼下[がんか]には空漠[くうばく]たる原野[げんや]が広[ひろ]がるばかりであった。♠〈空漠[くうばく]たるやみ〉窓[まど]の外[そと]には、ただ空漠[くうばく]たる闇[やみ]が横[よこ]たわるだけ。♠〈空漠[くうばく]とした不安[ふあん]〉異郷[いきょう]の地[ち]で独[ひと]り生[い]きていくことを思[おも]うと、空漠[くうばく]とした不安[ふあん]が全身[ぜんしん]に襲[おそ]いかかってくる。 **ぐうはつ【偶発】** ○偶然[ぐうぜん]に起[お]こること。当事者[とうじしゃ]の意志[いし]によらず起[お]こること。[文例]〈偶発[ぐうはつ]による戦争[せんそう]〉偶発[ぐうはつ]による戦争[せんそう]を防止[ぼうし]する手[て]はただ一[ひと]つ、すべての軍備[ぐんび]をなくすことだ。♠〈偶発[ぐうはつ]する〉社会[しゃかい]が高度[こうど]に複雑化[ふくざつか]すると、緊張[きんちょう]に耐[た]えられなくなった人間[にんげん]の狂気[きょうき]によって偶発[ぐうはつ]する事件[じけん]が増大[ぞうだい]しよう。♠〈偶発事故[ぐうはつじこ]〉コンピュータの故障[こしょう]が原因[げんいん]であれば、これは偶発事故[ぐうはてじこ]といえるだろう。 **くうひ【空費】** ○むだに費[つい]やすこと。[文例]〈空費[くうひ]する〉何[なん]べん会議[かいぎ]を開[ひら]いても、時間[じかん]を空費[くうひ]するばかりで何[なん]の進展[しんてん]も見[み]られない。♠〈予算[よさん]の空費[くうひ]〉議会[ぎかい]で前年度[ぜんねんど]の予算[よさん]の空費[くうひ]が指摘[してき]され、市長[しちょう]は弁明[べんめい]に苦慮[くりょ]した。 **くうふく【空腹】** ○腹[はら]がすくこと。すきっぱら。[例]〈空腹[くうふく]を訴[うつた]える〉幼[おさな]い子[こ]は、のべつまくなしに空腹[くうふく]を訴[うつた]えるのだった。♠〈空腹[くうふく]を覚[おぼ]える〉村[むら]の明[あ]かりが見[み]えて安心[あんしん]した途端[とたん]、わたしは急[きゅう]に空腹[くうふく]を覚[おぼ]えた。♠〈空腹[くうふく]を満[み]たす〉旅[たび]の僧[そう]は、ひとわんの粥[かゆ]で空腹[くうふく]を満[み]たすと、再[ふたた]び道[みち]を急[いそ]いだ。 **くうろん【空論】** ○現実[げんじつ]とかけはなれた理論[りろん]・議論[ぎろん]。内容[ないよう]のない議論[ぎろん]。[文例]〈机上[きじょう]の空論[くうろん]〉きみの言[い]っていることは、現実[げんじつ]を知[し]らない者[もの]の机上[きじょう]の空論[くうろん]に過[す]ぎない。♠〈空理空論[くうりくうろん]〉そうやっていくら空理空論[くうりくうろん]をふりまわしたって、現実[げんじつ]にちっとも生活[せいかつ]はよくならないじゃないか。 **ぐうわ(寓話)** ○教訓的[きょうくんてき]な内容[ないよう]を含[ふく]んだたとえばなし。[文例]〉わたしたちの教訓[きょうくん]となるような話[はなし]を、動物[どうぶつ]などの世界[せかい]にあてはめたものが寓話[ぐうわ]です。♠〈イソップの寓話[ぐうわ]〉このイソップの寓話[ぐうわ]は、何度[なんど]もうそをつくと人[ひと]に信用[しんよう]されなくなると教[おし]えているのですよ。 **くえき【苦役】** ○苦[くる]しい労働[ろうどう]。苦痛[くつう]をともなう労役[ろうえき]。懲役[ちょうえき]。[文例]〈苦役[くえき]に従事[じゅうじ]する〉極寒[ごっかん]のシベリアの地[ち]で苦役[くえき]に従事[じゅうじ]させられた受刑者[じゅけいしゃ]たちは、次々[つぎつぎ]と倒[たお]れていったのだった。 **くおん【久遠】** ○永遠[えいえん]。永久[えいきゅう]。とわ。とこしえ。遠[とお]い昔[むかし]。[文例]〈久遠[くおん]の理想[りそう]〉愛[あい]と平和[へいわ]という、人類[じんるい]の久遠[くおん]の理想[りそう]に向[む]かって、一歩[いっぽ]ずつ前進[ぜんしん]して行[い]こう。♠〈久遠[くおん]の火[ひ]〉だれからも慕[した]われた彼女[かのじょ]は、皆[みな]の心[こころ]に久遠[くおん]のともし火[び]をともしてこの世[よ]を去[さ]って行[い]った。 **くかく【区画】(区劃)** ○仕切[しき]り。土地[とち]などを区切[くぎ]ること。仕切[しき]られた土地[とち]。[例]〈区画[くかく]に分[わ]ける〉屋敷[やしき]を取[と]り壊[こわ]し、跡地[あとち]を四[よっ]つの区画[くかく]に分[わ]けて分譲[ぶんじよう]するそうだ。♠〈区画[くかく]する〉市[し]では、この畑[はたけ]を小[ちい]さく区画[くかく]して、市民[しみん]に無料[むりょう]で貸[か]しています。♠〈区画整理[くかくせいり]〉駅前[えきまえ]も区画整理[くかくせいり]が行[おこな]われて、見違[みちが]えるように立派[りっぱ]になりました。 **くがく【苦学】** ○学費[がくひ]を自分[じぶん]で稼[かせ]ぎながら勉学[べんがく]に励[はげ]むこと。[例]〈苦学[くがく]する〉彼[かれ]は貧[まず]しい家[いえ]に生[う]まれ、苦学[くがく]してここまでになった。♠〈苦学生[くがくせい]〉この青年[せいねん]は、感心[かんしん]な苦学生[くがくせい]で、将来[しょうらい]なかなか有望[ゆうぼう]だと思[おも]う。 **くかん【区間】** ○ある地点[ちてん]と他[ほか]の地点[ちてん]の間[あいだ]。区切[くぎ]りと区切[くぎ]りの間[あいだ]。[文例]〉〈電車[でんしゃ]の区間[くかん]〉この電車[でんしゃ]は、中野[なかの]から東京[とうきょう]までの区間[くかん]は快速運転[かいそくうんてん]となります。♠〈区間[くかん]を区切[くぎ]る〉マラソンレースの場合[ばあい]、区間[くかん]を区切[くぎ]ってスプリットタイムを表示[ひょうじ]することがある。 **くき【茎】** ○植物[しょくぶつ]の根[ね]から生[しょう]じて、枝[えだ]・葉[は]・花[はな]をつける部分[ぶぶん]。[例]せっかく咲[さ]いたチューリップが、茎[くき]から無残[むざん]にも折[お]られていた。♠もやしは、ひょうひょうと初[はじ]めの茎[くき]が伸[の]びるばかりで、新[あたら]しい葉[は]はほとんど出[で]てこない。 <289> **くぎ(釘)** ○先端[せんたん]をとがらせた金属[きんぞく]や竹[たけ]・木[き]などの細[ほそ]く、小[ちい]さい棒[ぼう]。[文例]〈くぎを打[う]つ〉〈くぎにかける〉小屋[こや]の中[なか]では、あちこちに打[う]ったくぎに、農具[のうぐ]や野良着[のらぎ]が掛[か]けてあった。♠〈くぎの頭[あたま]〉大工[だいく]と違[ちが]って、素人[しろうと]の自分[じぶん]がやると、くぎの頭[あたま]を打[う]っているはずなのに曲[ま]がってしまう。♠〈ぬかにくぎ〉わたしとしては、親友[しんゆう]でもあるし、一生懸命忠告[いっしょうけんめいちゅうこく]してみたのだが、ぬかにくぎだった。♠〈くぎをさす〉二度[にど]とこんなことがないように、今日[きょう]は先生方[せんせいがた]にくぎをさしてきた。♠〈くぎづけ〉あまりの出来事[できごと]に、わたしは、その場[ば]にくぎづけになったまま動[うご]けなかった。 **くぎづけ(釘付け)** ○くぎで止[と]めること。動[うご]きがとれなくなること。[文例]〈くぎづけにする〉台風[たいふう]の接近[せっきん]に備[そな]えて、物置小屋[ものおきごや]の戸[と]をくぎづけにしました。♠〈くぎづけになる〉とてもセクシーな娘[むすめ]だったので、少年[しょうねん]たちの目[め]は一瞬彼女[いっしゅんかのじょ]にくぎづけになった。 **くきょう【苦境】** ○苦[くる]しい立場[たちば]・境遇[きょうぐう]。[文例]〈苦境[くきょう]にある〉彼[かれ]は、巨額[きよがく]の借金[しゃっきん]を抱[かか]えて、身動[みうご]きできない苦境[くきょう]にあった。♠〈苦境[くきょう]に陥[おちい]れる〉わたしの失敗[しっぱい]がもとで、チームを苦境[くきょう]に陥[おちい]れてしまった。♠〈苦境[くきょう]に落[お]ち込[こ]む〉だれからも助[たす]けてもらえず、ジュリアンは苦境[くきょう]に落[お]ち込[こ]んで、孤独[こどく]だった。♠〈苦境[くきょう]に立[た]つ〉父[ちち]は、どんな苦境[くきょう]に立[た]たされても決[けっ]してくじけるような人[ひと]ではない。♠〈苦境[くきょう]に耐[た]える〉両親[りょうしん]に反対[はんたい]されながらも自分[じぶん]で選[えら]んだ仕事[しごと]だから、どんな苦境[くきょう]にも耐[た]えなくてはならない。♠〈苦境[くきょう]を救[すく]う〉戦争[せんそう]で国元[くにとも]からの送金[そうきん]のとだえた留学生[りゅうがくせい]の苦境[くきょう]を救[すく]うために、街頭[がいとう]で募金[ぼきん]を行[おこな]った。 **くぎょう【苦行】** ○苦[くる]しい修行[しゅぎょう]。つらい仕事[しごと]。[文例]〉〈難行苦行[なんぎょうくぎょう]〉これは、難行苦行[なんぎょうくぎょう]の末[すえ]、悟[さと]りを開[ひら]かれた偉[えら]いお坊様[ぼうさま]でございます。♠〈苦行[くぎょう]を積[つ]む〉彼[かれ]らはここで厳[きび]しい苦行[くぎょう]を積[つ]んで、やっと一人前[いちにんまえ]と認[みと]められる。 **くぎり【区切り・句切り】** ○仕切[しき]り。境目[さかいめ]。切[き]れ目[め]。けじめ。段落[だんらく]。[文例]〈文[ぶん]の区切[くぎ]り〉文[ぶん]の途中[とちゅう]のどこに区切[くぎ]りを置[お]くかによって、意味[いみ]が全[まった]く違[ちが]ってくることがある。♠〈区切[くぎ]りがいい〉区切[くぎ]りのいい所[ところ]までやったら一休[ひとやす]みして、お茶[ちゃ]でも飲[の]みませんか。♠〈区切[くぎ]りをつける〉この辺[へん]で、わたしはの長[なが]い教員生活[きょういんせいかつ]にも区切[くぎ]りをつけたいと思[おも]ったのです。 **くぎ・る【区切る・句切る】** ○いくつかに分[わ]ける。区切[くぎ]りをいれる。境目[さかいめ]をつけた。[文例]〈言葉[ことば]を区切[くぎ]る〉先生[せんせい]は、日本語[にほんご]に慣[な]れないぼくのために、一言一言区切[ひとことひとことくぎ]るようにゆっくり話[はな]してくださいました。♠〈席[せき]を区切[くぎ]る〉運動会[うんどうかい]の見物席[けんぶつせき]は、学年[がくねん]ごとに区切[くぎ]ってロープが張[は]ってあった。♠〈空間[くうかん]を区切[くぎ]る〉広[ひろ]い部屋[へや]の空間[くうかん]を仕切[しき]りで区切[くぎ]って、いくつかに分[わ]けてみた。♠〈時間[じかん]を区切[くぎ]る〉二人[ふたり]いっしょよりも、時間[じかん]を区切[くぎ]って交替[こうたい]で番[ばん]をするほうがいいんじゃないか?♠〈時間[じかん]で区切[くぎ]る〉夏期講習[かきこうしゅう]は、九十分[きゅうじっぷん]ごとに区切[くぎ]られた授業[じゅぎょう]で、生徒[せいと]たちもいささかバテ気味[ぎみ]だった。 **くぐも・る** ○声[こえ]が口[くち]の中[なか]にこもってはっきりしない。[文例]〈くぐもった声[こえ]〉兄[あに]は、父[ちち]の問[と]いにくぐもった声[こえ]で答[こた]えると、そのまま二階[にかい]へ上[あ]がって行[い]った。 **くく・る(括る)** ○ひもなどを巻[ま]きつけて縛[しば]る。たばねる。しめくくる。首[くび]などをしめる。[文例]〈ひもでくくる〉雑誌[ざっし]や古新聞[ふるしんぶん]をひもでくくり、ちり紙交換[かみこうかん]に出[だ]した。♠〈縄[なわ]でくくる〉まきを割[わ]ったら縄[なわ]でくくって、おふろのたき口[ぐち]に運[はこ]んでおきなさい。♠〈かっこでくくる〉文[ぶん]の骨組[ほねぐ]みにならない修飾語[しゅうしょくご]の部分[ぶぶん]はかっこでくくってみると、文意[ぶんい]がすっきりしてくる。♠〈高[たか]をくくる〉相手[あいて]はたいしたことはないと高[たか]をくくっていたら、試合[しあい]に負[ま]けてしまった。♠〈首[くび]をくくる〉今年[ことし]も不作[ふさく]なら、一家八人[いっかはちにん]、首[くび]をくくらにゃいかん。♠〈木[き]で鼻[はな]をくくる〉よほどきげんが悪[わる]いとみえて、彼[かれ]の返事[へんじ]は、木[き]で鼻[はな]をくくったようなそっけないものだった。♠〈そでをくくりあげる〉台所[だいどころ]の洗[あら]い物[もの]を始[はじ]める前[まえ]に、母[はは]さんは和服[わふく]のそでをくくりあげた。 **くぐ・る(潜る)** ○下[した]を通[とお]り抜[ぬ]ける。水中[すいちゅう]にもぐる。巧[たく]みにのがれる。[文例]〈下[した]をくぐる〉子供[こども]たちが歌[うた]いながら、縄[なわ]の下[した]をくぐって遊[あそ]んでいた。♠〈垣根[かきね]をくぐる〉ぼくが小[ちい]さいころは、垣根[かきね]をそっとくぐっては、隣[となり]のかきを盗[と]って食[た]べたものだった。♠〈門[もん]をくぐる〉若侍[わかざむらい]は門[もん]をくぐると、玄関[げんかん]で「たのもう!」と大[おお]きな声[こえ]を出[だ]した。♠〈火[ひ]をくぐる〉消防士[しょうぼうし]は、勇敢[ゆうかん]にも火[ひ]の中[なか]をくぐって、奥[おく]にいたお年寄[としより]を助[たす]けた。♠〈非常線[ひじょうせん]をくぐる〉昨夜[ゆうべ]の強盗犯人[ごうとうはんにん]は、警察[けいさつ]の非常線[ひじょうせん]をくぐって逃亡[とうぼう]したらしい。♠〈法[ほう]の網[あみ]をくぐる〉長[なが]いこと、法[ほう]の網[あみ]をくぐって甘[あま]い汁[しる]を吸[す]ってきた彼[かれ]も、ついに年貢[ねんぐ]の納[おさ]めどきだ。♠〈水[みず]にくぐる〉水[みず]の中[なか]にくぐって、どっちが速[はや]く向[む]こうに抜[ぬ]けられるか、競争[きょうそう]しよう。 **くげん【苦言】** ○耳[みみ]の痛[いた]い言葉[ことば]。[文例]〈苦言[くげん]を呈[てい]する〉心底[しんそこ]きみのことが心配[しんぱい]だから、あえて苦言[くげん]を呈[てい]するのだ。♠〈苦言[くげん]を申[もう]す〉色々[いろいろ]お気[き]に障[さわ]るような苦言[くげん]も申[もう]しましたが、それもひとえにあなた様[さま]を思[おも]えばこそでございます。 **ぐげん【具現】** ○具体的[ぐたいてき]な形[かたち]であらわすこと。形[かたち]をとってあらわれること。[文例]〈具現[ぐげん]する〉永遠[えいえん]に自由[じゆう]であるべしとする作家[さっか]の人間観[にんげんかん]が、この彫刻[ちょうこく]に具現[ぐげん]されている。♠〈具現[ぐげん]する〉仏[ほとけ]の慈悲[じひ]が具現[ぐげん]したかと思[おも]うばかりの、仏像[ぶつぞう]の表情[ひょうじょう]のおだやかさであった。 **ぐこう【愚行】** ○おろかな行動[こうどう]。[文例]戦争[せんそう]は、人類最大[じんるいさいだい]の愚行[ぐこう]であると思[おも]います。♠〈愚行[ぐこう]を重[かさ]ねる〉気[き]づいていながら愚行[ぐこう]を重[かさ]ねることはない、すぐにやめたまえ。 **ぐこう【愚考】** ○おろかな考[かんが]え。自分[じぶん]の考[かんが]えをへりくだっていう言葉[ことば]。[文例]〈愚考[ぐこう]をめぐらす〉私[わたくし]のごとき未熟[みじゅく]なる身[み]でも、愚考[ぐこう]をめぐらし、国[くに]の将来[しょうらい]を思[おも]うこともございます。♠〈愚考[ぐこう]する〉小生[しょうせい]が愚考[ぐこう]するに、国家[こっか]の大本[たいほん]は農業[のうぎょう]にあり。 **くさ【草】** ○茎[くき]や根[ね]などが、木質化[もくしつか]せずやわらかい植物[しょくぶつ]の総称[そうしょう]。雑草[ざっそう]。[例]〈草[くさ]を刈[か]る〉動物係[どうぶつがかり]のぼくの仕事[しごと]は、うさぎにやる草[くさ]を刈[か]ってくることです。♠〈草[くさ]を食[た]べる〉河原[かわら]で数頭[すうとう]の牛[うし]がのんびりと草[くさ]を食[た]べている。♠〈草[くさ]を取[と]る〉暑[あつ]い日[ひ]ざしの中[なか]で、腰[こし]をかがめて田[た]の草[くさ]を取[と]る仕事[しごと]はつらかった。♠〈草[くさ]ぼうぼう〉一年[いちねん]ぶりに行[い]った別荘[べっそう]の庭[にわ]は、草[くさ]ぼうぼうに荒[あ]れ果[は]てていた。♠〈草[くさ]の根[ね]を分[わ]けても〉刑事[けいじ]たちは、草[くさ]の根[ね]を分[わ]けても必[かなら]ず犯人[はんにん]を捜[さが]し出[だ]すと言[い]っている。♠〈草野球[くさやきゅう]〉うちのチームは、草野球[くさやきゅう]ではなかなか強[つよ]い。 **くさい【臭い】** ○いやなにおいがする。あやしい。独特[どくとく]の雰 <290> **くさき** **くさばな【草花】** ○草に咲く花。花の咲く草。[文例]〈草花を育てる〉病弱な叔母[おば]は、ベランダで草花を育てるのが何よりの楽しみでした。♠●春になると花屋の店先には、色とりどりの草花の苗[なえ]が並び、人々も思わず足を止めます。 **くさばのかげ【草葉の陰】** ○土の中。墓の下。あの世。[文例]死んだお父さんも草葉の陰で、お前の合格をさぞ喜んでいることでしょう。♠●おばあちゃんはもう長くはないけど、いつまでも草葉の陰からお前を見守っていますよ。 **くさはら【草原】** ○草の生えた野原。くさわら。→草原[そうげん][文例]草原に寝転んで、流[なが]れる雲を眺めたり、小鳥のさえずりを聞いたりするのが好きだ。♠●子供たちは草原を駆け回って、バッタをいっぱい取ってきたようだ。 **くさび(楔)** ○つなぎ目や車軸などに差し込む、木や鉄のV字形の用具。ものとものをつなぐもの。[文例]〈くさびを打ち込む〉こちらの作戦が、一枚岩の団結を誇[ほこ]った敵の間にくさびを打ち込むことになったようだ。♠●〈くさびを差す〉念には念を入れてくさびを差しておいたから、よもや裏切りなどということはあるまい。♠●〈くさびとなる〉彼女の青春を台無しにしたという負い目が、彼と彼女をつなぐくさびとなっていた。 **くさぶか・い【草深い】** ○草が深く生い茂ったさま。ひなびたさま。[文例]〈草深い田舎〉人の世もはるか、この草深い田舎で世捨て人の生活をおくっております。♠●〈草深い地〉五月に都を離れ、半月後には草深いこの地に着いた。 **くさみ【臭み】** ○いやなにおい。人を不快にさせる感じ。[文例]〈臭みがある〉動物の肉には臭みのあるものが多く、慣れないと口にできない。♠●〈臭みのある演技〉個性的な役者ですが、臭みのある演技がちょっと鼻につきます。 **くさむ・す【草むす】** ○草が生い茂る。[文例]〈草むす古戦場〉一面に草むす古戦場につわ者どもの姿が幻[まぼろし]のように立ち揺れる。♠●〈草むした庭〉ぼうぼうと草むした庭。この廃屋[はいおく]にもかつては温かい人々の暮らしが営[いとな]まれたのか。 **くさむら【草むら】(草叢・叢)** ○草が群がり茂っている所。[文例]夕暮れになると庭の草むらから、鈴[すず]を振るような美しい虫の音が聞こえてきます。♠●捨てられた子猫が、道端の草むらにじっとうずくまっていた。♠●突然わき起こった風が、音をたてて草むらを吹き抜ける。 **くさり【鎖】** ○金属の輪をつなぎ合わせて長くしたもの。物事と物事をつないでいるもの。[文例]〈鎖で縛る〉犯人が逃げないように、役人がくるまで鎖で木に縛[しば]りつけておいた。♠〈鎖でつなぐ〉犬の嫌いな妹は、鎖でつながれた子犬でもこわがる。♠〈鎖につなぐ〉当時の労働者は、鎖につながれた奴隷[どれい]も同じのひどい状態にあった。♠●〈鎖を巻く〉〈鎖をはずす〉奇術師[きじゅつし]は、全身に巻きつけられた鎖をあっという間にはずして、箱の中から現れた。♠〈鎖のついた時計〉おじいさんは鎖のついた懐中[かいちゅう]時計をポケットから取り出した。♠●〈金の鎖〉彼女はいつも細い金の鎖を腕につけている。 **くさ・る【腐る】** ○腐敗する。腐食する。堕落する。いや気が差す。[文例]〈食べ物が腐る〉湿気の多い梅雨時[つゆどき]は、食べ物が腐ることが多い。♠●〈草や葉が腐る〉草や葉を積んで腐らせたたい肥は、盆栽[ぼんさい]用の土づくりには欠かせないという。♠●〈根性が腐る〉あんな根性[こんじよう]の腐ったやつは、何をやらせてもだめだ、相手にするな。♠●〈腐るほどある・いる〉男なんて世の中に腐るほどいるんだから、いつまでもくよくよしないことよ。♠●〈腐ってもたい〉もう限界だと引退話が出ていても、いざとなるとホームランだから、あいつはさすがに腐っても鯛だな。♠●この前は二十五点で、今度は十九点か、くさるなあ! **くされえん【腐れ縁】** ○断ち切ったほうがよいとわかっていても、断ち切れない関係。[文例]あの女とは腐れ縁で、別れよう別れようと思っても、どういう訳か別れられないんだ。♠●〈腐れ縁を切る・断つ〉おれたちも、ひとつこの腐れ縁を切って、別々の生き方をしてみようじゃないか。 **くさわけ【草分け】** ○開拓者。創始者。[文例]〈業界の草分け〉この工場が日本の航空業界の草分けとなったのである。♠◆〈草分け的存在〉彼こそが日本の映画界の草分け的存在であり、映画の今日を築いたのです。 <291> **くしん** **くじ(籤)** ○多く、文字や記号の書かれた札を引き当てて、吉凶を占ったり、勝負・当落などを決める手段。[文例]〈くじを引く〉みんなでくじを引いて席順を決めよう。♠●〈くじに当たる〉くじに当たった人は、何か賞品がもらえるそうだよ。♠●〈くじが当たる〉宝くじが当たったら、買いたい物がいっぱいあるなあ。♠●〈貧乏くじ〉まっ先に取りかかったのに、分担が多くて終わるのが最後なんて、ぼくだけ貧乏くじを引いたみたいだ。 **くじ・く(挫く)** ○関節などをねじまげて痛める。勢いを弱める。[文例]〈足をくじく〉途中で足をくじいたが、足をひきずりながら、どうやら完走することができた。♠●〈決意をくじく〉甘い言葉で誘[さそ]って、ぼくの固い決意をくじかないでくれ。♠●〈出鼻をくじく〉三連勝をねらっていたのに、すぐにロングシュートをきめられて、出鼻をくじかれた。♠●〈弱きを助け強きをくじく〉弱きを助け強きをくじく、男の中の男といえば、まずは清水の次郎長親分だろうよ。 **くしくも(奇しくも)** ○不思議にも。めずらしくも。[文例]合格の通知が来たその日は、くしくもわたしの二十回目の誕生日であった。♠●くしくもわたしは、その昔校長だった祖父が追われた村の学校に教師として迎えられることになったのだ。 **くじ・ける(挫ける)** ○気力・勢いが弱くなる。[文例]〈決意がくじける〉勇者メロスも、激[はげ]しい身体の疲労のため、固い決意がくじけそうになった。♠●〈心がくじける〉失敗して心がくじけそうになった時、ぼくはあの人のことを思い出すんだ。 **くしゃみ(嚏)** ○鼻の粘膜が刺激されて、反射的に息を強く吐き出すこと。[文例]〈くしゃみをする〉静まり返った試験場で大きなくしゃみをしてしまった。♠●〈くしゃみが出る〉満員電車の中でくしゃみが出そうになって、こらえるのに苦労しました。♠●〈ちんがくしゃみをしたよう〉ちんくしゃとは、犬のちんがくしゃみをしたような顔をいいます。 **くじゅう【苦汁】** ○にがい汁。にがい思い。[文例]〈苦汁をなめる〉貧しい家の出で、これまで世の苦汁をいやというほどなめてきた。♠●〈苦汁を飲む〉だれの援助もなくがんばってきましたが、苦汁を飲まされる度に[たびに]なにくそと奮い立ちました。 **くじゅう【苦渋】** ○苦く渋いこと。苦しみ悩むこと。[文例]〈苦渋の色〉業績のあがらない部署を任された部長の顔には、最近心なしか苦渋の色が濃い。♠●〈苦渋に満ちる〉父の町工場を継いだわたしは、きみたちとは違って苦渋に満ちた青春時代を送ったのです。♠●〈苦渋の日々〉公判を控[ひか]えた元首相にとって、苦渋の日々が続くことでしょう。 **くじょ【駆除】** ○追い払ったり、殺したりして除去すること。[文例]〈ネズミの駆除〉今度の日曜日は、町内をあげてネズミ、ゴキブリの駆除を行うことになりました。♠●〈駆除する〉松の立ち枯れ病に対して農薬を散布し、害虫を駆除する対策がとられた。 **くしょう【苦笑】** ○にがにがしさを押し殺した笑い。にが笑い。[文例]〈苦笑がもれる〉司会者が名前を読みまちがえてばかりいて、聴衆の間からは苦笑がもれた。♠〈苦笑をもらす〉A君のやる先生のまねがあまりうまいので、先生自身も苦笑をもらしてしまった。♠〈苦笑を禁じ得ない〉一生懸命ではあるが少女のとんちんかんな説明に、大人は苦笑を禁じ得なかった。♠●〈苦笑する〉がき大将の彼が、赤ちゃんのときには女の子みたいにかわいかったと聞いて、苦笑した。 **くじょう【苦情】** ○不満や不平の気持ち。文句。クレーム。[文例]〈苦情を言う〉飛行機の発着の轟音[ごうおん]に悩まされているのに、苦情を言う者は少なかった。♠●〈苦情が出る〉近所から苦情が出ないように、ステレオの音は小さくして聞いてくださいね。♠●〈苦情を持ち込む〉あなただけ特別扱いしたのでは、他の方々から苦情が持ち込まれますから……。♠〈苦情が殺到する〉間違い[まちがい]電話が多いという苦情が殺到[さつとう]しておりますので、おかけ違いのないようにお願いします。 **ぐしょう【具象】** ○姿・形をそなえていること。具体。→抽象[文例]〈具象的〉目に見えたり、感覚でとらえることのできるものは、具象的な存在といえます。♠●〈具象と抽象〉形を備えていることが具象で、そこから共通する性質をひきだすことが抽象です。 **くしん【苦心】** ○心をくだいて苦労すること。[文例]〈苦心に苦心を重ねる〉この作品は、ぼくが苦心に苦心を重ねてやっと完成したものだ。♠●〈苦心のかい〉苦心のかいがあって、文化祭の飾りつけが見事にできあがった。♠●〈苦心の作〉このケーキはお母さんの苦心の作なのよ、どう、おいしいでしょ。♠●〈苦心のあと〉この文章は、生き生きとした場面描写[びようしや]に作者の苦心のあとがうかがえる。♠●〈苦心の末〉苦心の末に実験が成功して、みんなで大喜びした。♠●〈苦心する〉どんな小さな道具でも、人間の知恵が苦心して作りあげたものである。 <292> **のだという** ことを忘[わす]れてはならない。♠〈苦心惨憺[くしんさんたん]する〉こわれた自転車[じてんしゃ]を直[なお]そうと、さっきから苦心惨憺[くしんさんたん]しているところだ。 **くず(屑)** ○本体[ほんたい]からこぼれ落[お]ちた不用[ふよう]の物[もの]。役[やく]に立[た]たないもの。[文例]〈消[け]しゴムのくず〉書[か]き違[ちが]えてばかりいたので、ずいぶん消[け]しゴムのくずが出[で]てしまった。♠〈パンのくず〉庭先[にわさき]にパンのくずをまいたら、スズメがついばみに来[き]ました。♠〈残[のこ]りのくず〉野菜[やさい]の使[つか]い残[のこ]りのくずを寄[よ]せ集[あつ]めて、料理[りょうり]を工夫[くふう]してみた。♠〈人間[にんげん]のくず〉弱[よわ]い者[もの]いじめを するとは情[なさ]けない、そんな事[こと]をするのは人間[にんげん]のくずだぞ。 **ぐず(愚図)** ○はきはきせず、のろまなさま。また、そういう人[ひと]。[文例]不器用[ぶきよう]で仕事[しごと]の遅[おそ]いその男[おとこ]は、みんなからぐずと言[い]われていた。♠〈のろまでぐず〉やつは、のろまでぐずだが、人[ひと]のいい誠実[せいじつ]な男[おとこ]だ。♠〈ぐずな弟[おとうと]〉出[で]かける時間[じかん]なのに、ぐずな弟[おとうと]はまだ朝食[ちょうしょく]を食[た]べている。♠まだ支度[したく]ができないのかい。本当[ほんとう]にぐずだねえ。♠いつまでも迷[まよ]ってないで、どっちにするかはっきりしなさい。ぐずなんだから、もう。 **ぐずぐず(愚図愚図)** ○はきはきせず、のろまなさま。ぶつぶつ不平[ふへい]を言[い]うさま。ゆるんだり、たるんだりしているさま。[文例]〈ぐずぐずする〉さあぐずぐずしないで、さっさと着[き]がえなさい。♠〈ぐずぐず言[い]う〉訳[わけ]のわからないことをぐずぐず言[い]ってると、お父[とう]さんのかみなりが落[お]ちるよ。♠〈ぐずぐずになる〉ひもを上手[じょうず]にかしないと、荷物[にもつ]がぐずぐずになってしまう。 **くすぐった・い** ○こそばゆい。むずむずする。てれくさい。[文例]〈足[あし]の裏[うら]がくすぐったい〉足[あし]の裏[うら]やわきの下[した]をくすぐられると、くすぐったいよ。♠〈鼻[はな]がくすぐったい〉温室[おんしつ]に入[はい]ると、甘[あま]いような、酸[す]っぱいようなにおいが鼻[はな]をついてくすぐったかった。♠〈耳[みみ]がくすぐったい〉いきなり口[くち]を近[ちか]づけて、ぼくの耳[みみ]もとでささやくんだもの、くすぐったいよ。♠〈くすぐったい気持[きも]ち〉「よくできていたぞ。」とほめられたぼくは、くすぐったい気持[きも]ちで答案[とうあん]を受[う]け取[と]った。 **くすぐ・る(擽る)** ○くすぐったくさせる。相手[あいて]が喜[よろこ]ぶようなことを言[い]って、いい気持[きも]ちにさせる。[文例]〈足[あし]の裏[うら]をくすぐる〉赤[あか]ちゃんの足[あし]の裏[うら]をそっとくすぐると、ケラケラとかわいい声[こえ]を立[た]てて笑[わら]います。♠〈鼻[はな]をくすぐる〉うなぎ屋[や]の前[まえ]を通[とお]りかかると、たまらなくうまそうなにおいが鼻[はな]をくすぐった。♠〈男心[おとこごころ]をくすぐる〉男心[おとこごころ]をくすぐるような甘[あま]い言葉[ことば]に惑[まど]わされて、わたしは女[おんな]の後[あと]について行[い]った。 **くず・す【崩す】** ○くだいて、こなごなにする。整[ととの]った形[かたち]をしたものを乱[みだ]す。くずし書[が]きにする。小額[しょうがく]の貨幣[かへい]に換[かえ]える。[文例]〈丘[おか]を崩[くず]す〉樹木[じゅもく]が次々[つぎつぎ]と切[き]り倒[たお]され、丘[おか]が崩[くず]されていく。♠〈字[じ]を崩[くず]す〉おばあちゃんは達筆[たっぴつ]で、字[じ]を崩[くず]して書[か]くので、手紙[てがみ]をもらってもよく読[よ]めない。♠〈バランスを崩[くず]す〉害虫[がいちゅう]だからと言[い]ってやたらに殺[ころ]し続[つづ]けることは、自然[しぜん]のバランスを崩[くず]すことにもなりかねません。♠〈姿勢[しせい]を崩[くず]す〉「休[やす]め」の号令[ごうれい]があるまでは、姿勢[しせい]を崩[くず]してはいけません。♠〈ひざを崩[くず]す〉酔[よ]いがまわって、皆[みな]ひざを崩[くず]して歌[うた]ったり騒[さわ]いだりし始[はじ]めた。♠〈一角[いっかく]を崩[くず]す〉奇襲[きしゅう]をしかけて、敵陣[てきじん]の一角[いっかく]を崩[くず]すのに成功[せいこう]した。♠〈お金[かね]をくずす〉タバコ屋[や]で一万円札[いちまんえんさつ]をくずしてもらった。 **ぐずつ・く(愚図つく)** ○はっきりしない状態[じょうたい]が続[つづ]く。物事[ものごと]の進行[しんこう]がとどまる。赤[あか]ん坊[ぼう]や子供[こども]がぐずる。[文例]〈ぐずついた空模様[そらもよう]〉この連休[れんきゅう]は、前線[ぜんせん]が北上[ほくじょう]し、あいにくぐずついた空模様[そらもよう]となるでしょう。♠〈審議[しんぎ]がぐずつく〉国会[こっかい]は、野党[やとう]の反発[はんぱつ]で審議[しんぎ]がぐずついたまま三日目[みっかめ]を迎[むか]えました。 **くす・ねる** ○ごまかして手[て]に入[い]れる。こっそり盗[ぬす]む。[文例]〈お金[かね]をくすねる〉ぼくは、母[かあ]さんの財布[さいふ]からよく百円玉[ひゃくえんだま]をくすねては、角[かど]の駄菓子屋[だがしや]に通[かよ]ったものだ。♠〈売[う]り物[もの]をくすねる〉店先[みせさき]から売[う]り物[もの]のあめをくすねては、父[ちち]に叱[しか]られた。 **くすぶ・る(燻る)** ○よく燃[も]え上[あ]がらずにけむる。いぶる。すすで黒[くろ]くなる。内[うち]にこもった状態[じょうたい]が続[つづ]く。発展[はってん]・進歩[しんぽ]・決着[けっちゃく]が見[み]られない。[文例]〈木材[もくざい]がくすぶる〉焼[や]け跡[あと]では、こげた木材[もくざい]が水[みず]をかぶってまだぶすぶすとくすぶり続[つづ]けていた。♠〈感情[かんじょう]がくすぶる〉表面上[ひょうめんじょう]は互[たが]いに平静[へいせい]を装[よそお]っていたものの、内心[ないしん]はまだ複雑[ふくざつ]な感情[かんじょう]がくすぶっていた。♠〈家[いえ]の中[なか]でくすぶる〉こんなにいい天気[てんき]なのに、一日中狭[いちにちじゅうせま]い下宿[げしゅく]にくすぶっているなんてさえないね。♠〈田舎[いなか]でくすぶる〉きみみたいに才能[さいのう]のある人[ひと]が、こんな田舎[いなか]でくすぶってるという手[て]はないよ。 **くす・む** ○色合[いろあ]いにさえがなくなる。色[いろ]つやがなくなる。目立[めだ]たなくなる。[例]〈色[いろ]がくすむ〉春[はる]には若々[わかわか]しい緑[みどり]に覆[おお]われていた野[の]も、冬間近[ふゆまぢか]で、すっかり色[いろ]がくすんでしまった。♠〈灰色[はいいろ]にくすむ〉立[た]てかけた材木[ざいもく]の表面[ひょうめん]が、風雨[ふうう]にさらされて、灰色[はいいろ]にくすんでいた。♠〈くすんで見[み]える〉ゆううつなことがあった日[ひ]は、美[うつく]しい景色[けしき]もくすんで見[み]える。♠〈くすんだ茶色[ちゃいろ]〉くすんだ茶色[ちゃいろ]のコートを着[き]た男[おとこ]が門[もん]のところに立[た]っている。♠〈くすんだ存在[そんざい]〉あれほど輝[かがや]いて見[み]えた人[ひと]が、十年後[じゅうねんご]の今[いま]はなぜか目立[めだ]たないくすんだ存在[そんざい]になっていた。 **くすり【薬】** ○病気[びょうき]や傷[きず]を治[なお]すための物質[ぶっしつ]。欠点[けってん]などを直[なお]すのに役立[やくだ]つこと。元気[げんき]を回復[かいふく]するもと。[文例]〈薬[くすり]が効[き]く〉風邪[かぜ]にはこの薬[くすり]がとてもよく効[き]きますよ。♠〈薬[くすり]が効[き]く〉いたずらっ子[こ]をきつくしかったら、少[すこ]し薬[くすり]が効[き]きすぎたようで、泣[な]きべそをかいていた。♠〈薬[くすり]を飲[の]む〉命[いのち]よりも健康[けんこう]のほうが大事[だいじ]なんだろう、彼[かれ]は、毎朝何種類[まいあさなんしゅるい]もの薬[くすり]を飲[の]むそうだ。♠〈薬[くすり]をつける・ぬる〉やけどをした腕[うで]に薬[くすり]をつけて、包帯[ほうたい]を巻[ま]いてもらった。♠〈薬[くすり]になる〉あれだけ強[つよ]くしかってやったのだから、少[すこ]しは薬[くすり]になったろう。♠〈毒[どく]にも薬[くすり]にもならない〉およそ、毒[どく]にも薬[くすり]にもならない、おもしろくない本[ほん]だったよ。♠〈薬[くすり]にしたくてもない〉あの男[おとこ]には、人[ひと]を思[おも]いやる心[こころ]など、薬[くすり]にしたくてもないようだ。♠〈何[なに]よりの薬[くすり]〉海[うみ]で育[そだ]ったわたしには、海[うみ]が何[なに]よりの薬[くすり]で、海[うみ]を見[み]ると元気[げんき]になる。 **くずれ【崩れ】** ○くずれること。身[み]をもちくずすこと。[文例]〈性格[せいかく]の崩[くず]れ〉見込[みこ]みのあるやつだと思[おも]っていたが、性格[せいかく]の崩[くず]れがわざわいして大成[たいせい]できなかったようだ。♠〈がけ崩[くず] <293> **れ〉** この先[さき]の道[みち]は、がけ崩[くず]れのため通行不能[つうこうふのう]になっています。♠〈総崩[そうくず]れ〉背後[はいご]からの攻撃[こうげき]で、味方[みかた]の軍勢[ぐんぜい]は総崩[そうくず]れとなった。♠〈役者崩[やくしゃくず]れ〉役者崩[やくしゃくず]れの遊[あそ]び人[にん]ですが、小[ちい]さい子[こ]には優[やさ]しいおじさんです。 **くず・れる【崩れる】** ○形[かたち]をなしていたものが壊[こわ]れる。整[ととの]った形[かたち]が乱[みだ]れる。整然[せいぜん]とした状態[じょうたい]が損[そこ]なわれる。小額[しょうがく]の貨幣[かへい]に換[かえ]えられる。[文例]〈土手[どて]が崩[くず]れる〉降[ふ]りしきる雨[あめ]で増水[ぞうすい]したため、川[かわ]の土手[どて]はもろくも崩[くず]れてしまった。♠〈山[やま]が崩[くず]れる〉集中豪雨[しゅうちゅうごうう]で山[やま]が崩[くず]れ、ふもとの道[みち]は通行止[つうこうど]めになった。♠〈形[かたち]が崩[くず]れる〉父[ちち]はすっかり古[ふる]くなって形[かたち]の崩[くず]れた帽子[ぼうし]を、今[いま]でも大事[だいじ]にかぶっている。♠〈荷[に]が崩[くず]れる〉突然[とつぜん]、積[つ]み荷[に]が音[おと]をたてて崩[くず]れてきた。♠〈隊列[たいれつ]が崩[くず]れる〉鼓笛隊[こてきたい]は、隊列[たいれつ]が崩[くず]れないように注意[ちゅうい]しながら、中央[ちゅうおう]まで進[すす]んできた。♠〈姿勢[しせい]が崩[くず]れる〉大人[おとな]に比[くら]べて、子供[こども]は体[からだ]がやわらかいので長[なが]く立[た]っていられず、姿勢[しせい]が崩[くず]れることが多[おお]い。♠〈バランスが崩[くず]れる〉生物[せいぶつ]の異常発生[いじょうはっせい]は、自然[しぜん]のバランスが崩[くず]れていることの証拠[しょうこ]と考[かんが]えるべきである。♠〈団結[だんけつ]が崩[くず]れる〉争議[そうぎ]が長期化[ちょうきか]すると、組合員[くみあいいん]の団結[だんけつ]が崩[くず]れ、士気[しき]も衰[おとろ]えた。♠〈体制[たいせい]が崩[くず]れる〉徳川幕府三百年[とくがわばくふさんびゃくねん]の支配体制[しはいたいせい]が崩[くず]れて、いよいよ明治維新[めいじいしん]を迎[むか]えた。♠〈天気[てんき]が崩[くず]れる〉この週末[しゅうまつ]から天気[てんき]が崩[くず]れるので、山[やま]へ出[で]かける人[ひと]は注意[ちゅうい]してください。♠〈調子[ちょうし]が崩[くず]れる〉この投手[とうしゅ]は、一度調子[いちどちょうし]が崩[くず]れると、なかなか元[もと]にもどらない。♠〈値[ね]が崩[くず]れる〉今年[ことし]もキャベツは豊作[ほうさく]すぎて、値[ね]が崩[くず]れているという。♠〈札[さつ]が崩[くず]れる〉電話[でんわ]をかけたいが、どこかお札[さつ]の崩[くず]れる所[ところ]はないだろうか。♠〈泣[な]き崩[くず]れる〉そこまではこらえていたが、ついにこらえきれず、女[おんな]はよよと泣[な]き崩[くず]れた。 **くせ【癖】** ○その人[ひと]独特[どくとく]のしぐさ・考[かんが]え方[かた]・習慣[しゅうかん]など。ふつうと異[こと]なった特徴[とくちょう]。正常[せいじょう]でない状態[じょうたい]に固定[こてい]したさま。・・・にもかかわらず。[文例]】〈癖[くせ]になる〉寝転[ねころ]んで本[ほん]を読[よ]むと、癖[くせ]になってしまうよ。♠〈悪[わる]い癖[くせ]〉貧乏[びんぼう]ゆすりは悪[わる]い癖[くせ]だからおよしなさい。♠〈癖[くせ]が悪[わる]い〉しゃべるときにぺっぺっとつばを飛[と]ばすなんて、おまえ、癖[くせ]が悪[わる]いね。♠〈癖[くせ]がつく〉漫画[まんが]ばかり読[よ]む癖[くせ]がつくと、活字[かつじ]の本[ほん]を読[よ]むのがいやになるのではないかしら。♠〈癖[くせ]がある・ない〉美容院[びよういん]の中[なか]には、強[つよ]い癖[くせ]のある香[にお]りが漂[ただよ]っていた。♠〈髪[かみ]の癖[くせ]〉〈癖[くせ]が直[なお]る〉寝相[ねぞう]が悪[わる]くてできた髪[かみ]の癖[くせ]が、なかなか直[なお]らなくて困[こま]ってしまった。♠〈独特[どくとく]の癖[くせ]〉あの人[ひと]の文章[ぶんしょう]には、独特[どくとく]の癖[くせ]があるからすぐわかる。♠〈なくて七癖[ななくせ]〉「なくて七癖[ななくせ]」というくらいだから、だれにでも癖[くせ]の一[ひと]つや二[ふた]つあるものだ。♠〈そのくせ〉乱暴[らんぼう]で、そのくせさみしがり屋[や]なんだから、始末[しまつ]におえない。♠〈〜のくせに〉犬[いぬ]のくせに穴[あな]に落[お]ちるなんて、じっさいまぬけだよ。 **くせつ【苦節】** ○苦[くる]しみに耐[た]えて信念[しんねん]を貫[つらぬ]くこと。[文例]〈苦節十年[くせつじゅうねん]〉相撲[すもう]の世界[せかい]に入[はい]って苦節十年[くせつじゅうねん]、ようやく新入幕[しんにゅうまく]の場所[ばしょ]を迎[むか]えることができました。 **くせもの【くせ者】(曲者)** ○正体[しょうたい]の怪[あや]しい者[もの]。ひとくせある者[もの]。気[き]を許[ゆる]せない物事[ものごと]。[文例]〈くせ者[もの]がしのび込[こ]む〉ただ今[いま]、邸内[ていない]にくせ者[もの]がしのび込[こ]んだ模様[もよう]で、厳重[げんじゅう]に捜索[そうさく]しております。♠〈とんだくせ者[もの]〉ああいう、人当[ひとあた]たりのよい面白い[ろい]人[ひと]っていうのがとんだくせ者[もの]なんだよ。♠〈笑顔[えがお]がくせ者[もの]〉あの笑顔[えがお]がくせ者[もの]でね、大抵[たいてい]の人[ひと]は、ころっとだまされてしまうんだ。 **くせん【苦戦】** ○苦[くる]しい戦[たたか]い。苦[くる]しみながら戦[たたか]うこと。[文例]〈苦戦[くせん]を強[し]いる〉チームは主力選手[しゅりょくせんしゅ]の故障[こしょう]が相次[あいつ]ぎ、予想以上[よそういじょう]の苦戦[くせん]を強[し]いられることになった。♠〈苦戦[くせん]する〉敵[てき]のねばり強[づよ]い抵抗[ていこう]にあい、わが軍[ぐん]は苦戦[くせん]しております。 **くそ(糞・屎)** ○大便[だいべん]。目[め]・耳[みみ]・鼻[はな]などからの分泌物[ぶんぴつぶつ]・老廃物[ろうはいぶつ]の固[かた]まり。物[もの]のかす。人[ひと]をののしる語[ご]。怒[いか]りや反発[はんぱつ]の気持[きも]ちを表[あら]わす語[ご]。[文例]〈くそをする・たれる〉お前[まえ]みたいな悪[わる]たれ小僧[こぞう]は、くそでもして寝[ね]ろ。♠くそ、負[ま]けてたまるか。♠〈くそ食[く]らえ〉課長[かちょう]なんかくそ食[く]らえだ。♠〈〜もくそもない〉ごめんなさいもくそもない、承知[しょうち]しないから表[おもて]へ出[で]ろ。♠〈みそもくそも一緒[いっしょ]〉言[い]う事[こと]を聞[き]く子[こ]も聞[き]かない子[こ]も、みんなで罰当番[ばつとうばん]というのでは、みそもくそも一緒[いっしょ]じゃないか。♠〈くそ度胸[どきょう]〉わたしはふだんおとなしいと思[おも]われていますが、いざとなるとくそ度胸[どきょう]がでるんです。♠〈くそまじめ〉あいつは、くそまじめで手[て]を抜[ぬ]くということを知[し]らないから、はたの者[もの]が迷惑[めいわく]する。♠〈目[め]くそ鼻[はな]くそ〉二人[ふたり]のけんかを聞[き]いていると、どうやら目[め]くそ鼻[はな]くそを笑[わら]う、のたぐいだだな。♠〈へたくそ〉これ、へたくそですけれど、わたしが、一生懸命作[いっしょうけんめいつく]ったものなんです。 **くだ【管】** ○中[なか]が空洞[くうどう]になった細長[ほそなが]い筒[つつ]。糸車[いとぐるま]の、糸[いと]を巻[ま]きつける軸[じく]。[例]〈水[みず]を落[お]とす管[くだ]〉ダムの、何十[なんじゅう]メートルもの高[たか]さから水[みず]を落[お]とす管[くだ]は、とてつもない太[ふと]さである。♠〈ガラスの管[くだ]〉ガラスでできた細[ほそ]い管[くだ]の先[さき]に石[せっ]けん水[すい]をつけてしゃぼん玉[だま]をふくらませた。♠〈パイプの管[くだ]〉マドロスパイプは、管[くだ]が曲線状[きょくせんじょう]になっていて、火[ひ]ざらも大[おお]きい。♠〈管[くだ]を通[とお]す〉汚[よご]れた水[みず]を取[と]りかえる場合[ばあい]、池[いけ]に管[くだ]を通[とお]して、きたない水[みず]を吸[す]い上[あ]げる。♠〈くだをまく〉ガランとした店[みせ]の片隅[かたすみ]で、男[おとこ]が一人[ひとり]、酔[よ]ってくだをまいていた。 **ぐたい【具体】** ○姿[すがた]・形[かたち]をそなえていること。現実[げんじつ]の形態[けいたい]をとること。具象[ぐしょう]。→抽象[ちゅうしょう][文例]〈具体的[ぐたいてき]〉問題点[もんだいてん]をもっと具体的[ぐたいてき]に説明[せつめい]してくれませんか。♠〈具体化[ぐたいか]〉わたしたちの理想[りそう]を具体化[ぐたいか]するためには、もっと周到[しゅうとう]な準備[じゅんび]が必要[ひつよう]である。♠〈具体例[ぐたいれい]〉適切[てきせつ]な具体例[ぐたいれい]をあげると、その説明[せつめい]は分[わ]かりよいものになる。 **ぐたいてき【具体的】** ○現実[げんじつ]の形態[けいたい]をそなえているさま。事例[じれい]や数値[すうち]などが挙[あ]げられて、内容[ないよう]がわかりやすいさま。[文例]〈内容[ないよう]が具体的[ぐたいてき]〉先生[せんせい]の話[はなし]は、内容[ないよう]が具体的[ぐたいてき]でたいへんわかりやすかった。♠〈具体的[ぐたいてき]に説明[せつめい]する〉次[つぎ]に、これまで述[の]べたことについて、具体的[ぐたいてき]に例[れい]を挙[あ]げて説明[せつめい]しましょう。♠〈具体[ぐたい]てきに述[の]べる〉児童[じどう]・生徒[せいと]の体位[たいい]の向上[こうじょう]について具体的[ぐたいてき]に数字[すうじ]を挙[あ]げて述[の]べてみます。♠〈具体的[ぐたいてき]な形[かたち]〉彫刻[ちょうこく]は、作者[さくしゃ]のイメージや考[かんが]えを具体的[ぐたいてき]な形[かたち]に表[あらわ]した芸術[げいじゅつ]だ。♠〈具体的[ぐたいてき]な数値[すうち]〉この表[ひょう]は、わが社[しゃ]の一年間[いちねんかん]の業績[ぎょうせき]を具体的[ぐたいてき]な数値[すうち]で示[しめ]したものです。♠〈具体的[ぐたいてき]な事実[じじつ]〉彼[かれ]の監督就任[かんとくしゅうにん]についていろいろうわさはあるが、それを裏付[うらづ]ける具体的[ぐたいてき]な事実[じじつ]は何[なに]もない。♠〈具体的[ぐたいてき]な表現[ひょうげん]〉自分[じぶん]の意見[いけん]を <294> **発表[はっぴょう]する** ときは、例[れい]を挙[あ]げたりして、具体的[ぐたいてき]な表現[ひょうげん]を心がけなさい。 **くだ・く【砕く】** ○こなごなにする。打[う]ち壊[こわ]す。打[う]ちひしぐ。くじく。わかりやすい形[かたち]にする。[文例]〈石[いし]を砕[くだ]く〉石[いし]を砕[くだ]くから、そこにあるハンマーを 取[と]ってくれ。♠〈氷[こおり]を砕[くだ]く〉観測船[かんそくせん]は、厚[あつ]い氷[こおり]を砕[くだ]きながら、ゆっくりと進[すす]んでいった。♠〈あごを砕[くだ]く〉強烈[きょうれつ]なパンチであごを砕[くだ]かれたボクシングの選手[せんしゅ]がいる。♠〈心[こころ]を砕[くだ]く〉体[からだ]の弱[よわ]い友達[ともだち]をどうしたら旅行[りょこう]に連[つ]れて行[い]けるか、クラスのみんなが心[こころ]を砕[くだ]いた。♠〈野望[やぼう]を砕[くだ]く〉敵[てき]の野望[やぼう]を砕[くだ]いたのは、故国[ここく]を守[まも]りぬこうとする愛国心[あいこくしん]だった。♠〈くだいて説明[せつめい]する〉「これから少[すこ]しくだいて説明[せつめい]します。」と、訪[たず]ねてきた市役所[しやくしょ]の人[ひと]が話[はな]し始[はじ]めた。 **くたくた** ○非常[ひじょう]に疲[つか]れたさま。使[つか]い古[ふる]して、よれよれになったさま。[文例]〈くたくたに疲[つか]れる〉思[おも]いきり走[はし]って、体[からだ]をくたくたに疲[つか]れさせても、まだ心[こころ]のわだかまりが消[き]えない。♠〈足[あし]がくたくた〉もう足[あし]はくたくたで、立[た]っているのがやっとだ。♠〈くたくたになる〉慣[な]れない畑仕事[はたけしごと]でくたくたになったが、気分[きぶん]は爽快[そうかい]だった。♠〈くたくたの背広[せびろ]〉お父[とう]さんは、今日[きょう]もくたくたの背広[せびろ]を着[き]て、元気[げんき]よく会社[かいしゃ]へ出[で]かけます。 **くだ・ける【砕ける】** ○こなごなになる。姿勢[しせい]が崩[くず]れる。くじける。うちとける。わかりやすくなる。[文例]〈粉々[こなごな]に砕[くだ]ける〉わたしの手[て]をすべり落[お]ちた花瓶[かびん]は、床[ゆか]に当[あ]たって粉々[こなごな]に砕[くだ]けた。♠〈氷[こおり]が砕[くだ]ける〉うとうとと眠[ねむ]りに落[お]ちながら、わたしの耳[みみ]は一晩中氷[ひとばんじゅうこおり]の砕[くだ]ける不気味[ぶきみ]な音[おと]を聞[き]いていた。♠〈波[なみ]が砕[くだ]ける〉断崖[だんがい]の下[した]では、打[う]ち寄[よ]せる波[なみ]が岩[いわ]に砕[くだ]けては散[ち]り、白[しろ]いしぶきをあげていた。♠〈腰[こし]が砕[くだ]ける〉相手[あいて]が大人[おとな]と聞[き]くと、最初[さいしょ]の勢[いきお]いはどこへやら、腰[こし]が砕[くだ]けたかたちになってしまった。♠〈当[あ]たって砕[くだ]ける〉相手[あいて]は去年[きょねん]の優勝校[ゆうしょうこう]だ、当[あ]たって砕[くだ]けるつもりでかかろう。♠〈くだけた会話[かいわ]〉友人同士[ゆうじんどうし]のくだけた会話[かいわ]では、言葉[ことば]づかいにあまり気[き]を配[くば]りません。 **ください【下さい】** ○「くれ」の尊敬語[そんけいご]・丁寧語[ていねいご]。「・・・てほしい」の尊敬[そんけい]・丁寧表現[ていねいひょうげん]。[文例]のどが渇[かわ]いたので、水[みず]を一杯下[いっぱいく]ださい。♠名画[めいが]の数々[かずかず]を、どうかごゆっくりご覧[らん]ください。♠これは非常[ひじょう]にだいじなポイントですから、よく心[こころ]に留[と]めてください。 **くださ・る【下さる】** ○「与[あた]える」「くれる」の尊敬語[そんけいご]。「・・・てくれる」の尊敬表現[そんけいひょうげん]。[文例]〈先生[せんせい]が下[くだ]さる〉卒業[そつぎょう]の時[とき]に先生[せんせい]が下[くだ]さった辞書[じしょ]は、今[いま]も大切[たいせつ]に使[つか]っています。♠〈お助[たす]けくださる〉父[ちち]の命[いのち]さえお助[たす]けくだされば、会[あ]えなくても少[すこ]しもお恨[うら]みはいたしません。♠〈〜してくださる〉わたしのような者[もの]のことを、そんなに心配[しんぱい]してくださってありがとうございます。 **くだ・す【下す】** ○下[お]ろす。下[さ]げる。下位[かい]へ行[い]かせる。与[あた]える。言[い]い渡[わた]す。打[う]ち倒[たお]す。自分[じぶん]で実際[じっさい]にやる。処置[しょち]する。下痢[げり]をする。[文例]〈判決[はんけつ]を下[くだ]す〉無実[むじつ]を訴[うった]えていた死刑囚[しけいしゅう]に、裁判官[さいばんかん]は無罪[むざい]の判決[はんけつ]を下[くだ]した。♠〈命令[めいれい]を下[くだ]す〉隊長[たいちょう]は、全員[ぜんいん]に前進命令[ぜんしんめいれい]を下[くだ]した。♠〈結論[けつろん]を下[くだ]す〉役員会[やくいんかい]で新製品[しんせいひん]の開発[かいはつ]を中止[ちゅうし]するという結論[けつろん]が下[くだ]された。♠〈判断[はんだん]を下[くだ]す〉ハイキングを決行[けっこう]するかどうかの判断[はんだん]は、引率者[いんそつしゃ]が天気予報[てんきよほう]を見[み]てから下[くだ]す。♠〈敵[てき]を下[くだ]す〉日[ひ]ごろの猛練習[もうれんしゅう]なくして、強敵[きょうてき]を下[くだ]すことなどありえない。♠〈手[て]を下[くだ]す〉病状[びょうじょう]がここまで進行[しんこう]したのでは、医者[いしゃ]としても手[て]の下[くだ]しようがない。♠〈腹[はら]を下[くだ]す〉きみは、冷[つめ]たいものを飲[の]みすぎて、腹[はら]を下[くだ]したそうだね。 **くたばる** ○ひどく疲[つか]れる。死[し]ぬ。[例]おまえたちの顔[つら]なんぞ見[み]たくもねえ、どいつもこいつも、さっさとくたばりやがれ。♠こんなに歩[ある]いたことはないもの、ああ、くたばった。 **くたび・れる(草臥れる)** ○疲[つか]れる。使[つか]い古[ふる]されて、弱[よわ]く、みすぼらしくなる。[文例]〈足[あし]がくたびれる〉今日[きょう]は朝[あさ]からずっと立[た]っていたので、足[あし]がくたびれた。♠〈生活[せいかつ]にくたびれる〉生活[せいかつ]にくたびれた女[おんな]の顔[かお]からは、かつての輝[かがや]きが失[うしな]われていた。♠〈くたびれた背広[せびろ]〉もう十年[じゅうねん]も着[き]てすっかりくたびれた背広[せびろ]だが、まだなんとなく捨[す]て切[き]れずにいる。♠〈待[ま]ちくたびれる〉五時[ごじ]はとうに過[す]ぎたというのに、あいつ何[なに]をやってるんだろ? ああ、待[ま]ちくたびれた。 **くだもの【果物】** ○食用[しょくよう]になる草木[くさき]の実[み]。[文例]】ビタミンが不足[ふそく]しないよう、野菜[やさい]や果物[くだもの]をたくさん食[た]べましょう。♠果物屋[くだものや]の店先[みせさき]には色[いろ]とりどりの季節[きせつ]の果物[くだもの]が並[なら]んでいる。♠少女[しょうじょ]の肌[はだ]は、みずみずしい果物[くだもの]の香[かお]りがすると、少年[しょうねん]は思[おも]った。 **くだらな・い【下らない】** ○価値[かち]がない。つまらない。[文例]〈くだらないこと〉くだらないことばかり言[い]っていないで、やるべきことをさっさとやりなさい。♠〈くだらない男[おとこ]〉あなたって、薄[うす]っぺらでくだらない男[おとこ]ね。♠名誉[めいよ]だの地位[ちい]だの財産[ざいさん]だの、よくよく考[かんが]えてみればくだらない。 **くだり【下り】** ○くだること。」くだる[文例]〈下[くだ]りの電車[でんしゃ]〉次[つぎ]の下[くだ]りの電車[でんしゃ]は十分後[じゅっぷんご]に来[き]ます。♠〈道[みち]が下[くだ]り〉そこから道[みち]は下[くだ]りになり、わたしはやっと元気[げんき]を取[と]りもどしました。♠〈下[くだ]りにかかる〉坂[さか]を上[のぼ]り切[き]って下[くだ]りにかかると、自転車[じてんしゃ]はぐんぐんスピードを増[ま]していく。 **くだり(条・件)** ○文章[ぶんしょう]の一節[いっせつ]。文章[ぶんしょう]の行[ぎょう]。[文例]〈文章[ぶんしょう]のくだり〉あなたの文章[ぶんしょう]の、中[なか]でもこのくだりはなかなか味[あじ]わいのある名文[めいぶん]だ。♠〈〜のくだりにかかる〉だんだん読[よ]み進[すす]み、母子再会[ぼしさかい]のくだりにかかると、聞[き]く人[ひと]みな、涙[なみだ]をしぼるのだった。 **くだ・る【下る】** ○低[ひく]い方[ほう]へ移動[いどう]する。おりる。下[さ]がる。地方[ちほう]へ行[い]く。命令[めいれい]・判決[はんけつ]などが出[で]る。下痢[げり]をする。負[ま]ける。時代[じだい]が移[うつ]る。下回[したまわ]る。[文例]〈峠[とうげ]を下[くだ]る〉峠[とうげ]を下[くだ]って行[い]く道[みち]は、一面真っ白[いちめんまッシろ]い霜[しも]に覆[おお]われていた。♠〈川[かわ]を下[くだ]る〉春[はる]になるころ、さけの稚魚[ちぎょ]たちは、海[うみ]に向[む]かって川[かわ]を下[くだ]って行[い]きます。♠〈京[きょう]から奥州[おうしゅう]へ下[くだ]る〉供[とも]を連[つ]れた貴族[きぞく]が、京[きょう]から奥州[おうしゅう]へ下[くだ]って行[い]った。♠〈南[みなみ]に下[くだ]る〉〈命令[めいれい]が下[くだ]る〉わたしたちの部隊[ぶたい]は、命令[めいれい]が下[くだ]り次第[しだい]、南[みなみ]に下[くだ]らねばならない。♠〈三十名[さんじゅうめい]を下[くだ]らない〉炭鉱[たんこう]の事故[じこ]で、「死者[ししゃ]は三十名[さんじゅうめい]を下[くだ]らない。」などという記事[きじ]を読[よ]むと、心[こころ]が痛[いた]む。♠〈野[や]に下[くだ]る〉自分[じぶん]の考[かんが]えがいれられなかった西郷[さいごう]は、官[かん]を辞[じ]して、野[や]に下[くだ]った。♠〈軍門[ぐんもん] <295> **ぐち** **ぐち【愚痴】** ○くどくどと言葉をつらねて嘆くこと。泣き言。[文例]〈愚痴をこぼす〉何をやってもうまくいかない父は、いつも愚痴をこぼしている。♠●〈愚痴を言う〉愚痴を言いながらも、母親はうれしそうによごれた子供たちの衣服を洗っている。♠●〈愚痴が出る〉何もかもがこう値上がりしたのでは、つい愚痴も出ます。♠●〈愚痴を聞く〉いつもの母の愚痴を聞き流して、父は新聞を読んでいる。♠●仕事となればどんな仕事だって大変だ。失敗してあれこれ言い訳しても、それは愚痴ってもんだよ。♠●〈愚痴が多い〉年を取ると、人は間は、どうしても愚痴が多くなります。 **くち【口】** ○飲食物を取り入れる器官。声や言葉を発する器官。それらと形態・機能・位置などが似た物事。[文例]〈口に入れる〉象は鼻を使ってえさを口に入れる。♠●〈口にくわえる〉親ねこはよく歩けない子ねこを口にくわえて運ぶ。♠●〈口をつける〉ぼくが口をつけたものでよかったら、このお弁当[べんとう]を食べてもいいよ。♠〈口をつぐむ〉彼は、答えたくないことがあると、すぐ口をつぐんでしまう。♠●〈口を結ぶ〉父は、口をへの字に結んで、ふきげんそうに部屋から出て行った。♠●〈口をとがらせる〉何か不満でもあるのだろうか、弟が口をとがらせている。♠●〈口をすすぐ〉外出から帰ると、ガラガラと音を立てて口をすすぐことにしている。♠●〈口に含む〉母は、口に水を含んでは、洗濯物[せんたくもの]に、霧を吹きつけた。♠●〈口をそろえる〉その案に対して、「賛成。」と、生徒たちは口をそろえて叫びました。♠◆〈口をふさぐ〉秘密を知られた彼の口をふさぐには、お金を渡すしかない。♠●〈口がすっぱくなるほど・口をすっぱくして〉「車には気をつけなさい。」と、口がすっぱくなるほど言っていたのに。♠●〈口から口へと伝える〉新聞やラジオのない時代には、情報は、口から口へと伝えられていった。♠◆〈口から先に生まれる〉彼は、口から先に生まれたような男だから、大切な事は話さないほうがいい。♠●〈〜の口から言う〉親の口から言うのも何ですが、娘[むすめ]はなかなかの美人です。♠◇開いた口がふさがらない〉あの男のずるさには、さすがのわたしも開いた口がふさがらなかった。♠●〈口をきく〉なぜか知らないが、彼女、先週から口をきいてくれないんだ。♠●〈口をきく〉経験も判断力もない若い者が、なまいきな口をきくものではない。♠●〈口をきく〉おじに口をきいてもらって、働き口を見つけた。♠◆〈口を出す〉これはぼくたち生徒の問題ですから、先生は口を出さないでください。♠◆〈口に出す〉思っている事でも、口に出して言うとなると、勇気がいるものだ。♠◆〈口をつく〉楽しいとき、うれしいときには、自然に歌が口をついて出てくる。♠●〈口を切る〉みんな黙[だま]ったままなので、しかたなく、ぼくが話の口を切りました。♠●〈口を割る〉盗[ぬす]んだ金の隠し場所について、ようやく犯人は口を割った。♠●〈口をはさむ〉「男の話に、女が口をはさむな。」と、昔[むかし]の女性はよく言われたという。♠◆〈口が悪い〉あの人は、思ってることをずけずけ言って、口が悪いけど根はいい人だ。♠◆〈口のうまい〉彼女は口がうまいから、だまされないよう話半分に聞いておいたほうがいいですよ。♠●〈口が堅い〉彼女は口の堅[かた]いことでは、クラス一番でしょう。♠●〈口を慎む〉親に対してそんなことを言ってはいけません。少し、口を慎[つつし]みなさい。♠◆〈口がすべる〉つい口がすべって、秘密を彼にもらしてしまった。♠◆〈口が重い〉社内のスキャンダルを取材するマスコミに対して、社員の口は一様[いちよう]に重かった。♠◆〈口が軽い〉本当に、おしゃべりで口の軽い子だよ、おまえは。♠●〈口にする〉よく聞いていてごらん、二歳や三歳の小さい子でも英語の単語の一つや二つは口にするから。♠◆〈口から出まかせ〉その場を収[おさ]めるため、口から出まかせを言ったので、後になって何を言ったか思い出せない。♠●〈口が減らない〉へ理屈ばかり並べたてて、本当に口の減らない子だよ。♠●〈口で言う〉小さい子には、親が口で言ってもわからないときはおしりをぶつなど、ある程度の体罰[たいばつ]もしかたない。♠●〈口で言えないほど〉丘から見た落日[らくじつ]は、口では言えないほど美しいものだった。♠〈口より手が早い〉若いころの父は短気で、口より手が早く、失敗も多かったという。♠●〈口ほどにもない〉あの程度の実力だったとは、口ほどにもないやつだ。♠◆〈口が肥える〉社長は、口が肥えているので、料理の味にはうるさいのです。♠〈口がおごる〉この犬は口がおごっていて、残ったご飯など食べてくれない。♠◆〈口に合う〉お口に合いますかどうか、よろしかったらお召し上がりくださいませ。♠◆〈口をぬぐう〉いつも話のつじつまを合わせて口をぬぐっていたが、とうとう悪事が露見してしまった。♠◆〈口が干上がる〉これ以上失業生活が続くと、口が干上がりそうだ。♠〈働く口〉息子[むすこ]は来年学校を卒業しますが、どこか働くのに良い口はないでしょうか。♠◆〈口がある〉失業していた兄は、ある会社の九州の支店に口があって、家族を連れて出発[しゆつぱつ]した。♠◆〈口がかかる〉兄は友人とバンドを結成したが、演奏依頼[えんそういらい]の口はまだかからないようだ。♠●〈いける口〉彼は相当にいける口だから、誘[さそ]われた酒を断るということがない。♠◆〈口の広いびん〉梅酒を作るので、口の広い瓶が欲しい。♠●〈宵の口〉まだ宵[よい]の口だというのに人通りも少なくて、ずいぶんひっそりとした町だなあ。♠◆〈口減らし〉娘たちは、口減らしのために、町へ奉公[ほうこう]に出された。♠◆〈口も八丁、手も八丁〉この店の女将[おかみ]さんは、「口も八丁、手も八丁」で、口もうまいし手早いしで、なかなかの商売達者だ。♠◆〈口は災いのもと〉「口は災いのもと」で、不注意な発言が思わぬ不利益をもたらすことがある。♠◇世間の口はうるさい〉世間の口はうるさいから、悪い評判をたてられないように注意しなさい。♠◆〈人の口に戸はたてられない〉しゃべらないでと頼[たの]んでも、あっという間に広まっているんだから、「人の口に戸は立てられない」とはよく言ったものだ。 <296> **くちあたり** ○食べ物・飲み物を口に入れた時の感じ。舌ざわり。[文例]〈口当たりがいい〉よく冷えた、口当たりのいいワインをごちそうになりました。♠〈口当たりがまろやか〉ここに生クリームを加えると、口当たりがぐっとまろやかになります。 **くちうら【口裏】** ○その人の本心の知られるような話しぶり。[文例]〈口裏を合わせる〉みんなで口裏を合わせてわたしをだましていたなんて、ひどいわ。♠●〈口裏から察する〉相手の口裏から察するに、要するに金で片づけようということらしい。 **くちうるさい【口うるさい】(口煩い)** ○文句・不平を言ってうるさい。口やかましい。[文例]〈口うるさいおばさん〉あの喫茶店[きつさてん]は、口うるさいおばさんがいて苦手だよ。♠●〈口うるさく言う〉口うるさく文句を言うから、子供たちに嫌われる。 **くちおし・い【口惜しい】** ○残念だ。くやしい。[文例]あれだけ万全の準備をして臨[のぞ]んだのに、こんな結果になるなんてなんとも口惜しい。♠一番口惜しく思っているのは、落ちた当人より、息子に期待をかけていた父親でしょう。 **くちかず【口数】** ○ものを言う回数。ことば数。[文例]〈口数が少ない〉小さい時は内気で口数の少ない子だったが、社会へ出るとがらりと変わった。♠〈口数が多い〉お前は口数が多いすぎる、少しだまっていなさい。♠●〈口数を利く〉あの娘は、口数を利かないから、そばにいても気にならない。♠●〈口数を減らす〉口数を減らすため、兄も姉もまだ小さいうちから奉公[ほうこう]に出された。 **くちく【駆逐】** ○追い払うこと。[文例]〈悪貨は良貨を駆逐する〉悪貨は良貨を駆逐するというが、いつの世にもはびこるのは質の悪いものだ。♠●味方の戦艦[せんかん]は、敵の駆逐艦の奇襲[きしゅう]を受け、撃沈[げきちん]されたという。 **くちぐせ【口癖】** ○ある言葉を口に出すのが癖になること。また、その言葉。[文例]〈口癖のよう〉おやじは、ひとの顔さえ見れば、きさまはだめだ、だめだと、口癖のように言っていた。♠〈口癖になる〉このごろでは、「早く、早く」と言うのが口癖になってしまって、無意識に言ってるの。 **くちぐち【口口】** ○各人の口。あちこちの出入り口。[文例]〈口々に言う〉村人たちは口々にお祝いの言葉を言いながら、二人を温かく迎えたのです。♠●〈口々に唱える〉人々は口々に反対を唱え、運動の輪に加わっていった。♠〈口々に褒めそやす〉少女がみごとに弾き終えると、皆口々に褒めそやしました。 **くちぐるま【口車】** ○巧みな言い回し。口先だけのごまかし。[文例]〈口車に乗る〉あの人はずるいから、うっかり口車に乗るとひどい目にあうよ。♠〈口車に乗せる〉あれだけ言っておいたのに、簡単に口車に乗せられるなんてばかだなあ。 **くちごたえ【口答え】** ○目上の者に言い返すこと。[文例]〈口答えをする〉お前は親に向かって、口答えをするのか。♠●〈口答えする〉この子はちっとも言うことを聞かないで、口答えしてばかりいるのですよ。 **くちごも・る【口ごもる】(口籠る)** ○言葉が口にこもる。ためらって、はっきり言わない。[文例]問いつめられれば問いつめられるほど、少女はおじけづいて口ごもった。♠●彼は口ごもりながら、聞き取りにくい声でようやく用件を言った。 **くちさがな・い【口さがない】** ○慎みなくしゃべるさま。無遠慮に言いふらすさま。[文例]あることないこと触れ回って、世間というのは口さがないもんだね。♠●周囲の者たちは、二人のことを口さがなくうわさしあっていた。 **くちさき【口先】** ○口の先。ものの言い方。うわべだけの言葉。[文例]ハチは、強い大あごで、いきなりゾウムシの長い口先をくわえ、がっちりと押さえつける。♠●きみはいつも口先だけで、実行が伴[ともな]わないからだめなんだ。♠●あいつは口先では調子のいいことを言うが、心の中はどうだかわりゃしない。 **くちずさ・む【口ずさむ】(口遊む)** ○詩歌などの文句を小声でとなえる。[文例]〈歌を口ずさむ〉人は楽しいことがあると、なんとなく歌を口ずさみたくなります。♠●〈詩を口ずさむ〉そんな時ふと思い出すのは、昔母がいつも口ずさんでいたハイネの詩の一節です。 **くちぞえ【口添え】** ○言葉を添えてとりなすこと。[文例]〈人の口添え〉幸い、父の友人の口添えで、何とか就職先も決まりました。♠●〈口添えをいただく〉この度は、娘の縁談に何かとお口添えをいただき、ありがとうございました。♠●〈口添えする〉遅刻の理由に困ったが、友人が横から口添えしてくれて助かった。 **くちだし【口出し】** ○他人の話に割り込むこと。さしで口。[文例]〈よけいな口出し〉あなたは関係がないのですから、よけいな口出しはしないでください。♠●〈口出しする〉人の話に横からすぐ口出しするのは、あなたの悪い癖[くせ]ですよ。 **くちばし(嘴・喙)** ○鳥などの口の突き出た部分。口先。[文例]キツツキが木の幹をくちばしでつつく音が聞こえる。♠●〈くちばしが黄色い〉まだまだくちばしの黄色いお前なんかにできるわけがないだろう。♠●〈くちばしを挟む〉あいつはでしゃばりで、すぐ人の話にくちばしを挟[はさ]もうとするのさ。♠●〈くちばしをいれる〉きみがくちばしをいれると、話がいつもややこしくなる。 **くちばし・る【口走る】** ○思わず言葉に出す。うっかりしゃべる。[文例]寝言[ねごと]で先生のことを口走ったために、わたしの気持ちがルームメイトにわかってしまった。♠●調子に乗ってつい本当のことを口走ってしまい、後で母にひどくしかられました。 **くちはばった・い【口幅ったい】** ○身の程をわきまえず、生意気なことを言うさま。[文例]〈口幅ったい言い方〉口幅ったい言い方かもしれませんが、もう少し練習に変化をつけたらどうでしょう、監督[かんとく]。♠●〈口幅ったいこと〉よく知りもしないのに、口幅ったいことを言うもんじゃない。 <297> **くつがえる** **くちび【口火】** ○爆薬に点火するための火。点火用の種火。物事の起こるきっかけ。[文例]〈湯沸かし器の口火〉寝るまえに湯沸かし器の口火を消します。♠〈口火を切る〉いつものように、議論の口火を切ったのは兄だった。♠●〈口火となる〉近代の演劇は、逍遙[しょうよう]の新劇運動が口火となり、門下の島村抱月[ほうげつ]によって発展した。 **くちびる【唇】(脣)** ○口の周りの柔らかい部分。[文例]〈唇の形〉「あ・い・う・え・お」のような母音は、唇の形と舌の位置を変えるだけで発音できる。♠●〈唇を開く・閉じる〉閉じた唇を開きながら「ア」の音を出すと、「マ」の音になる。♠●〈唇が荒れる〉冬になって冷たい風が吹くと、唇が荒れて痛くなる。♠●〈唇をとがらせる〉お母さんに小言を言われると、妹は不満そうに唇をとがらせた。♠●〈唇をかみしめる〉くやしくて、唇をかみしめても涙[なみだ]がこぼれ落ちた。♠●〈唇が厚い・薄い〉兄さんは、唇が厚いことを気にしているらしい。♠●〈物言えば唇寒し秋の風〉「物言へば唇寒し秋の風」は、思っていることを言葉に出した後のむなしい気持ちを言った芭蕉[ばしょう]の句である。 **くちぶり【口振り】** ○言い方。話の様子。[文例]〈あの口振りでは〉あの口振りでは、彼女はおそらく今日のデートには来ないだろう。♠●〈なんでもない口振り〉なんでもないような口振りをしていたが、兄のけがはかなりひどかった。♠●〈口振りをする〉自信のありそうな口振りをするから信用したのに、あいつの答えもまちがっていた。♠●〈口振りをまねる〉小さい子が大人びた口をきいているけど、あれはお母さんの口振りをまねているんだな。 **くちもと【口元】(口許)** ○口のあたり。口つき。[文例]妹は、口元のあたりが亡くなった母にそっくりだ。♠病人の口元に耳を寄せて、一生懸命聞き取ろうとした。♠〈口元が緩む〉平静を装[よそお]ってはいたが、うれしさのあまりつい口元が緩んでしまうのでした。 **くちやかまし・い【口やかましい】(口喧しい)** ○文句・不平を言ってやかましい。口うるさい。[文例]子供のころ、祖母に口やかましくしつけられたことが、今になって役に立っている。♠●〈口やかましい女〉奉公先[ほうこうさき]のおかみさんは口やかましい女で、小さなことについても小言を言われた。 **くちゅう【苦衷】** ○苦しい心のうち。[文例]〈苦衷を察する〉先祖伝来の土地を手放さなければならなくなった父の苦衷は察するに余りあった。♠●かわいい盛りのわが子を手放す両親の苦衷ははかり知れない。 **くちょう【口調】** ○言葉の調子。話し方。[文例]〈口調をまねる〉ひょうきんなA君は、担任の先生の口調をまねるのがとてもうまい。♠●〈丁寧な口調〉学校の帰りに知らない人に道を聞かれたが、とても丁寧[ていねい]な口調の人だった。♠〈強い口調〉上級生に強い口調でしかられて、泣きたくなっちゃったわ。♠〈口調がよい〉五音、七音、また、その組み合わせでできた語句は、口調がよい。♠●〈アナウンサーの口調〉弟が学校のできごとを、アナウンサーの口調で話すので、つい吹き出してしまった。♠●〈命令するような口調〉いつも命令するような口調で話す彼は、クラスのみんなから煙[けむ]たがられている。♠〈改まった口調〉突然[とつぜん]改まった口調になるから、何事かと思ってびっくりしたよ。♠●〈とがめるような口調〉「ガラスを割ったのはきみか。」ととがめるような口調で、先生はぼくに言った。 **ぐちょく【愚直】** ○極端に正直で、融通がきかないさま。ばか正直。[文例]〈愚直な人〉父は、生一本で、妥協[だきよう]することを知らない愚直な職人として一生を終えました。♠●今日も愚直な雪がふり/(略)/小屋にいるのは一つの典型/一つの愚劣の典型だ。(高村光太郎「典型」部分) **く・ちる【朽ちる】** ○草木などが腐って崩れる。衰える。滅びる。[文例]〈橋が朽ちる〉二つの村を結ぶ道は荒れ放題で、木の橋も朽ちてきた。♠●〈木が朽ちる〉台風や雷[かみなり]に倒[たお]されて朽ちた木の幹が、無残に横たわっていた。♠〈名も知られずに朽ちる〉ああ、わたしもこんな田舎[いなか]に埋もれたまま、名も知られずに朽ちていくのか。♠〈名声が朽ちる〉あの俳優は一時の名声も朽ちて、今はひっそりと暮らしているそうだ。 **くつ【靴】(沓・鞜)** ○足がすっぽり入るように作られた履物[はきもの]。[文例]〈靴を脱ぐ〉わたしは、靴を脱ぐのももどかしく部屋に飛び込んだ。♠●〈靴を履く〉初出勤の日、ぼくはおろしたての背広に真新しい靴を履いて駅に向かった。♠〈靴を隔てて痒きを掻く〉彼らのやりとりを聞いていると、靴を隔てて痒きを掻くようなじれったさを感じる。 **くつう【苦痛】** ○強い痛み。痛みに苦しむこと。精神的な苦しみ。[文例]〈苦痛を訴える〉大きな爆発[ばくはつ]事故で、現場は苦痛を訴えるけが人で目を覆[おお]うばかりだった。♠〈苦痛を与える〉来賓[らいひん]の長い話が、小学生の小さな子たちにたいへんな苦痛を与えた。♠〈苦痛を伴う〉〈苦痛に耐える〉手術は苦痛を伴[ともな]うが、きみならそれに耐[た]えられるはずだ。♠●〈苦痛を和らげる〉患者[かんじや]の苦痛を和[やわ]らげるために、痛み止めの注射をした。♠●〈苦痛を味わう〉突然の発作[ほつさ]で死の苦痛を味わったので、病院へ行って検査してもらった。♠●〈〜するのが苦痛〉母にテストの結果を報告するのが苦痛で、つい遅くまで学校に残っていた。♠●〈苦痛な仕事〉これは、だれにとっても苦痛な仕事だが、ひとつ、きみがやってみてくれないか。♠●〈苦痛になる〉おしゃべりなぼくは、無口な人といっしょにいると苦痛になってくる。 **くつがえ・す【覆す】** ○裏返しにする。ひっくり返す。倒す。逆にする。打破する。[文例]〈船を覆す〉突然大波が船を覆さんばかりに迫ってきた。♠〈計画を覆す〉決まりかけていたこの計画を覆そうとする運動が起こるとは、夢[ゆめ]にも思わなかった。♠●〈アリバイを覆す〉容疑者のアリバイを覆す有力な証拠[しょうこ]が見つかった。♠●〈定説を覆す〉従来の定説を覆すような大きな発見に、世間がわきかえっていた。♠◆〈天地を覆す〉ぴかっと辺りが白昼の明るさにかえり、続いて天地を覆すほどの雷鳴[らいめい]がとどろきわたった。♠◆〈国を覆す〉日本の歴史のなかにも、国を覆すような大きな事件がいくつかある。 **くつがえ・る【覆る】** ○裏返しになる。ひっくり返る。倒れる。逆になる。打ち破られる。[文例]〈判決が覆る〉判例からいっても、二審で一審の判決が覆る可能性はほとんどない。♠◆〈政権が覆る〉軍部のクーデターで、長期にわたった労働者政権が覆った。 <298> **くっきょう** **くっきり** ○はっきりと浮かび上がるさま。際だつさま。[文例]〈くっきりと見える〉澄み渡った秋の空に、初雪をいただいたアルプス連山がくっきりと見えた。♠●〈くっきりとよみがえる〉その声を聞いた途端[とたん]忘れていた少女のころの記憶がくっきりと脳裏[のうり]によみがえった。♠●〈くっきりした印象〉聞き手にわかりやすく、かつ、くっきりした印象を与えるように言葉を選んで話す。 **くっさく【掘削】(掘鑿)** ○掘り抜くこと。削り取ること。掘って穴をあけること。[文例]〈掘削する〉とうとうこの地方にも鉄道が敷かれることになり、村はずれの山にトンネルが掘削された。♠●〈掘削機〉この村の唯一[ゆいいつ]の産業である石切り場からは、掘削機の響きが一日中聞こえてきた。 **くっし【屈指】** ○指を折って数えられるほど、すぐれていること。指折り。[文例]〈当代屈指〉彼は、当代屈指の琵琶の名手であった。♠〈江戸屈指〉地位と名声を得た彼は、江戸屈指の流行医になり、経済的にも豊かになった。♠●〈屈指の名曲〉この曲は、彼が作った数々の交響曲の中でも、屈指の名曲として知られている。 **くっしん【屈伸】** ○曲げたり、伸ばしたりすること。[文例]〈ひざの屈伸〉膝[ひざ]の屈伸をして、関節の柔軟性[じゅうなんせい]を高めます。♠〈屈伸する〉朝目が覚めてベッドの上で足、腕、上体を屈伸させていると、頭がすっきりしてきます。 **くっ・する【屈する】** ○折れ曲がる。折り曲げる。かがむ。かがめる。くじける。くじく。打ち負かされる。打ち負かす。[文例]〈ひざを屈する〉ごうまんな男だったが、師の前にはおとなしくひざを屈するのだった。♠●〈迫害に屈する〉迫害[はくがい]に屈することなく、民族独立の運動は続いた。♠●〈失敗に屈する〉失敗に屈することなく、初志を貫[つらぬ]いたんだから、きみは偉[えら]いよ。♠●〈敵に屈する〉形勢が不利になったからといって、そう簡単に敵に屈するわが軍ではない。 **くつじょく【屈辱】** ○屈伏させられて受ける恥。恥辱。[文例]〈大きな屈辱〉いちばん弱いと言われていたチームに負けたことは、ぼくらにとって大きな屈辱だった。♠●〈屈辱を感じる〉どんなに怠け者呼ばわりされても、彼はいっこうに屈辱を感じていないようだ。♠●〈辱を受ける〉みんなの前で屈辱を受けたことがバネになって、後々、よい結果をうむことがよくある。♠●〈屈辱を与える〉友人の何気[なにげ]ない一言が、ぼくに屈辱を与えた。♠●〈屈辱を忍ぶ〉クラス全員のテストの点が次々と発表されたが、ぼくは、ぐっと屈辱を忍んでいた。♠〈屈辱に耐える〉いくら悪口を言われても何も言い返さずに、じっと屈辱に耐えていた。♠〈屈辱を味わう〉きみも、全校生徒の前で怒[おこ]られるような屈辱を味わってごらんよ、たまらないよ。 **クッション** ○重量や衝撃を吸収する弾力性のあるもの。中間によって衝突をやわらげる働きをするもの。洋風の座布団。[文例]ソファに置いてあるふかふかのクッションにもたれていると、自然に眠くなる。♠◆〈クッションがいい〉高級車だけあって座席のクッションが抜群[ばつぐん]にいい。♠◆〈クッションになる〉マンションの三階から幼児が転落したが、植え込みがクッションになって奇跡的に助かった。♠◆〈ワンクッション置く〉相手に直接言うより、ワンクッション置いて友人から言ってもらったほうがいいのではないか。 **くっせつ【屈折】** ○折れ曲がること。折り曲げること。ゆがむこと。[文例]〈ひざの屈折〉ひざの屈折は、関節を柔軟[じゅうなん]にする効果がある。♠●〈光の屈折〉〈屈折する〉空気中を進んできた光は、水面に進入する時屈折する。♠●〈屈折した心情〉これは若者の屈折した心情を描[えが]いて、評判となった作品です。 **くったく【屈託】(屈托)** ○心が晴れないこと。くよくよすること。[文例]〈屈託がない〉彼の表情はさわやかで、何の屈託もなかった。♠●〈屈託する〉そのころのわたしは、屈託すると昼日なかから野原で寝転がっていることが多かった。♠〈屈託ない〉テニスウェアを着た女性たちの屈託ないおしゃべりの声が通り過ぎていった。♠◇〈屈託なげ〉彼女らは屈託なげに笑いさざめきながら、二度と巡ってこない青春を楽しんでいた。 **くっつく** ○ぴったりと合わさる。付着する。付き従う。親密な関係になる。[文例]〈皮がくっつく〉朝から何も食べていないので、背中の皮とおなかの皮がくっつきそうだ。♠●〈肌にくっつく〉汗だらけでシャツが肌にくっつき、とても気持ちが悪い。♠●〈手にくっつく〉その時手に何かくっついたような気がして、見ると真っ赤な血だった。♠●〈母にくっつく〉わたしは小さいころ泣き虫で、一人ではどこにも行かれず、いつも母にくっついていた。♠●〈男女がくっつく〉うわさじゃ、とうとうあいつ、彼女とくっついたようだぜ。 **くっつける** ○ぴったりと合わせる。付着させる。付き従わせる。親密な関係にさせる。[文例]〈泥をくっつける〉子供は顔や服に泥[どろ]をいっぱいくっつけて、夢中になって遊んでいる。♠●〈物をくっつける〉込んできたので、もっといすといすをくっつけて座ってください。♠●〈飯粒をくっつける〉まあ、ご飯粒を顔にくっつけて、みっともない。♠●〈顔をくっつける〉その日も、少年は、欲しくてたまらないトランペットをウィンドーに顔をくっつけて見ていた。♠●〈男女をくっつける〉男女の仲は止めて止まるものでなし、いっそ二人をくっつけちゃったらどうだい。 **くってかか・る【食って掛かる】** ○激しい口調で立ち向かう。[文例]〈親に食ってかかる〉何かというと親に食ってかかって、本当にかわいげのない子だねえ。♠●〈審判に食ってかかる〉監督[かんとく]が血相を変えて走りだし、何事か審判に食ってかかった。 **くっぷく【屈服・屈伏】** ○負けて従うこと。[文例]〈相手を屈服させる〉相手を力によって屈服させても、それは本当に従わせたことにはならない。♠●〈敵に屈服する〉敵に屈服したとしてもそれはあくまでも方便[ほうべん]で、部族の誇りを失ってはならない。 <299> **くのう** **くつろぐ(寛ぐ)** ○心身をゆったりと楽にする。うちとけた気分になる。[文例]〈心からくつろぐ〉初めてのお宅なのに温かいもてなしを受けて、わたしは心からくつろぐことができた。♠●〈心がくつろぐ〉そのことが心配で、いつものようにレコードを聴いても、心は少しもくつろがなかった。♠〈くつろいだ雰囲気〉やわらかい色彩で統一された居間はくつろいだ雰囲気[ふんいき]で、心を和[なご]ませます。 **くつわ(轡)** ○手綱をつけるために馬の口にかませる金具。[文例]〈くつわをかませる〉朝早く、おじいさんは馬にくらを乗せ、くつわをかませ、馬車を引かせて畑へ出ます。♠●〈くつわを取る〉馬子は、馬のくつわを取ってとぼとぼと街道を歩いていった。♠●〈くつわを並べる〉屋敷[やしき]の門を出た二人の騎士は、くつわを並べて森へと馬を進めた。 **くど・い** ○しつこい。くだくだしい。どぎつい。[文例]〈表現がくどい〉繰り返しが多すぎると、表現がくどくなります。♠〈くどく言う〉本人もわかっているんだから、あまりくどく言わないほうがいいよ。♠●〈くどい人〉頼む、頼むったって、だめなものはだめなのに、くどい人だねえ、きみは。♠●〈説明がくどい〉彼は、道をきいた人に、くどいほどこまかく丁寧[ていねい]に説明している。♠◇〈配色がくどい〉その絵の配色は、わたしには少しくどいように思えたのだが、先生には褒[ほ]められた。♠●〈味がくどい〉この地方の料理は、わたしには、少し味がくどく感じられた。 **くとう【苦闘】** ○苦しい闘い。苦しみながら闘うこと。苦戦。[文例]〈苦闘する〉運転免許証ひとつ取るのにこんなに苦闘するとは、思ってもみなかったよ。♠●〈悪戦苦闘〉難しいジグソーパズルに、弟は顔をしかめながら悪戦苦闘しています。 **くとうてん【句読点】** ○句点(。)と読点(、)。[文例]〈句読点を打つ〉この文章は全く句読点を打っていないので、大変読みにくい。♠●〈句読点のつけ方〉句読点のつけ方ひとつで、同じ文が全く違った意味になることがあります。 **くどく【功徳】** ○よい行い。神仏が与えるよい報い。よい結果。[文例]〈功徳を積む〉功徳を積んだお坊[おしよう]さんの話は、聞く人の心を打つ。♠●〈功徳を施す〉和尚さまは、貧しい人たちに功徳を施[ほどこ]せば極楽に行けると説いた。♠●〈正直の功徳〉拾って届けた財布は、正直の功徳で、半年後には自分のものになった。 **くどく【口説く】** ○説得する。異性に言い寄る。ぐちをこぼす。[文例]〈父を口説く〉みんなで父さんを口説いて、海に連れていってもらおう。♠●〈強引に口説く〉いやがる新入生を強引に口説いて、サッカー部に入部させた。♠●〈女の子を口説く〉女の子を口説くには、押しの一手だよ、と大学生の兄はえらそうに言っている。♠●あの孝行息子が生きていればと、老婆[ろうば]はしきりに口説くのだった。 **くどくど** ○同じことを繰り返し言うさま。しつこく言うさま。[文例]校長先生の話はくどくどと長いので、生徒の間ではあまり歓迎されていません。♠●済んでしまったことを悔やんで、いつまでもくどくどとぐちをこぼすもんじゃない。♠●さっさと謝ればよいものを、くどくどと弁解するから、ますますおこ[怒]らせてしまった。 **ぐどん【愚鈍】** ○頭の働きがにぶいさま。[文例]〈愚鈍な子〉少年は、きわめて口数の少ないほうであったが、決して愚鈍な子供ではなかった。♠●落語には、愚鈍ながらも人々に愛される人物がよく出てくる。 **くなん【苦難】** ○苦しみ。難儀。困難。[文例]〈苦難の歴史〉この本には、戦後二十七年間かかって祖国に復帰した沖縄[おきなわ]の苦難の歴史が書かれている。♠●〈苦難が待ち受ける〉こんな船で世界を一周するなんて、きっとさまざまな苦難が待ち受けていることだろう。♠●〈苦難を乗り越える〉創業者とその仲間が苦難を乗り越えて、会社の今日を築いたのです。 **くに【国】(邦)** ○国家。国土。昔の日本の行政区画。生まれ故郷。[文例]〈北の国〉ガンは、十月初めごろ日本に来て冬を越し、翌春三月ごろ北の国へ帰る。♠●〈国を治める〉一億もの人間が住んでいる国を治めるのは、ぼくたちが思うほどやさしいことではない。♠●〈国が興る〉三世紀前半の中国で、魏、蜀、呉という国が興[おこ]ったが、この時代を三国[さんごく]時代という。♠〈国の母〉国のお母さんから来た手紙に、孫に会いたいと書いてあった。♠〈信濃の国〉この小説は、信濃[しなの]の国、浅間山[あさまやま]のふもとに住む一人の百姓[ひやくしよう]の一生を描[えが]いたものだ。♠〈こどもの国〉中学生の遠足が「こどもの国」とは、ばかにされたもんだな。♠●〈仏の国〉「仏[ほとけ]の国からもうじきお迎えがくるじゃろう。」と、笑いながらその老人は言った。♠〈国破れて山河在り〉「国破れて山河在り」で、敗戦国民の前に自然は昔のままに残された。 **にくのさく【苦肉の策】** ○苦しんだ末に考え出した策。[文例]友達が考え出した苦肉の策は、木の枝を折って道しるべにすることであった。♠●吹雪の中で身動きがとれなくなったぼくたちは、苦肉の策で雪洞[せつどう]を掘り、一夜を明かした。♠●〈苦肉の策を講じる〉弁慶は、主人を打つという苦肉の策を講じて敵を欺[あざむ]きました。 **くね・る** ○ゆるやかに何度も折れ曲がる。[文例]〈体をくねらせる〉若者たちは、激[はげ]しいリズムに合わせて体をくねらせながら、踊り狂っている。♠●〈つる草がくねる〉長くくねったつる草が壁をはい上っている。♠●〈曲がりくねる〉車は、山頂に向かってうねうねと曲がりくねった道を登っていった。♠●〈うねりくねる〉強風に木々は枝を左右に揺さぶり、女の髪のようにうねりくねっている。 **くのう【苦悩】** ○苦しみや悩み。苦しみ悩むこと。[文例]〈苦悩に満ちる〉この小説は、作家自身の苦悩に満ちた生き方を描[えが]いている。♠●〈苦悩を和らげる〉つらいできごとに直面している友人の苦悩を和[やわ]らげるには、どうしたらいいだろうか。♠●〈苦悩を味わう〉志望校に不合格という事態に、生まれてはじめて大きな苦悩を味わっている。♠●〈苦悩の表情〉母の病気がかなり重いと知らされて、彼は苦悩の表情を隠すことができなかった。♠●〈苦悩の色〉倒産[とうさん]が避けられないことになり、社長の顔には苦悩の色が濃い。♠●〈深い苦悩〉まゆをひそめ腕組[うでぐみ]をしている姿が、彼の深い苦悩を物語っているようだ。♠●〈苦悩する〉障害を乗り越えようと苦悩するところにこそ、人間の真の姿が表れるという。 <300> **くはい** **くば・る【配る】** ○広く行き渡らせる。分け与える。配置する。[文例]〈全員に配る〉このプリントを、クラスの全員に配ってください。♠〈カードを配る〉では、親になった人は、みんなに五枚ずつカードを配ってください。♠●〈金を配る〉有権者に金を配って、投票を依頼[いらい]した人が、選挙違反[いはん]で逮捕[たいほ]された。♠●〈新聞を配る〉ぼくの兄さんは、毎朝五時に起きて、新聞を配っている。♠●〈気を配る〉引率者[いんそつ]がもう少し気を配っていれば、こんな事故にあわなくてすんだのに。♠●〈心を配る〉船長は、広い海上でいつでも冷静に行動し、乗客に心を配ってその安全を守る責任がある。♠●〈目を配る〉要人警護のシークレットサービスは、銃[じゅう]を構[かま]えて、辺りに鋭[するど]く目を配った。 **くび【首】(頸)** ○頭と胴体を結ぶくびれた部分。また、それより上の部分。物事の、「くび」にたとえられる部分。[文例]〈首を振る〉おもちゃの人形には、手足を動かしたり首を振ったりして、動くものがある。♠●〈首を垂れる〉かんかん照りの庭で、ひまわりの大輪が首を垂れている。♠●〈首を出す〉〈首を引っ込める〉小さい男の子が二人、窓から首を出したり、引っ込めたりして、こちらを見ている。♠●〈首をつる〉テレビのニュースで、高名な作家が首をつって自殺したことを知った。♠●〈首をくくる〉今年も不作なら、一家八人、首をくくらにゃならなくなる、と吾作[ごさく]は思った。♠●〈首を絞める〉その死体には、首を絞められた跡[あと]があったという。♠●〈首の骨〉準備体操をしないと、首の骨を折るような事故を起こさないとも限らない。♠●〈とっくりの首〉父がとっくりの首をさげて、お燗[かん]の催促[さいそく]に台所へやってきた。♠●〈首に縄を付ける〉「首に縄[なわ]を付けてでも連れて帰る。」と言って、父は姉に会いに上京していった。♠●〈首をかしげる〉おじいさんは、「はて、不思議だな」と、首をかしげて考えている。♠●〈首をすくめる〉注意されると、その子はペロッと舌を出し、首をすくめて笑った。♠●〈首を縦に振る〉家で犬を飼うように何度頼[たの]んでも、父は首を縦に振らない。♠●〈首を横に振る〉わたしが友達の家に泊まることには、母は首を横に振って許してくれない。♠●〈首を長くする〉父のボーナスの日には、家族のみんなが首を長くして、帰りを待つ。♠●〈首を突っ込む〉大人の話には首を突っ込むなと、父と母からたしなめられた。♠●〈首を集める〉父と母と兄が、兄の進学のことについて、首を集めて相談していた。♠●〈首を切る〉父の会社は、経営不振[ふしん]のため、たくさんの人の首を切らなければならないそうだ。♠●〈首が飛ぶ〉家老は首が飛ぶのを覚悟[かくご]で、主君をいさめようとした。♠●〈首にする〉店長は、遅刻[ちこく]や休みの多いアルバイト学生を首にすることに決めました。♠●〈首になる〉自分が悪くて会社を首になったのだから、だれもうらむことはできない。♠●クラスのために何もしない、役立たずの委員はもう首だ。♠●〈首が回らない〉友達みんなにお金を借りていて、もう、借金で首が回らない。♠●〈首をひねる〉「どうしてあの店ばかりもうかるのかなあ。」と、父は首をひねっている。♠●〈お尋ね者の首〉お尋[たず]ね者の首には、たくさんの賞金がかかっていた。♠●〈首がかかる〉ぼくの首がかかっているので、この仕事は一生懸命[けんめい]にやらなくてはならない。 **ぐび【具備】** ○不足なく備わること。不足なく備えること。[文例]〈具備する〉この施設は、障害のある人たちのリハビリテーションに必要なあらゆる設備を具備している。 **くびったけ【首っ丈】(頸っ丈)** ○ほれこんで夢中であるさま。[文例]あの人の様子を見ていて、おまえに首ったけなことがよくわかったよ。♠●兄は彼女に首ったけで、交際を反対する仲間たちの言葉には、耳を貸そうともしません。 **くびっぴき【首っ引き】(頸っ引き)** ○常に手もとに置いて参照すること。[文例]〈辞書と首っ引き〉英作文の宿題は、辞書と首っ引きでやっとできた。 **くびねっこ【首根っこ】(頸根っこ)** ○首の後ろの部分。くびすじ。えりくび。[文例]〈首根っこをつかむ〉首根っこをつかんでぐるぐるふりまわすなんて、ねこがかわいそうだよ。♠●〈首根っこを押さえる〉いくら無実だと叫んでも、ぬきさしならない証拠[しょうこ]が出てきたのだから、首根っこを押さえたも同然だ。 **くび・れる(括れる・溢れる)** ○物の一部分がくくられたように細くなる。首をくくって死ぬ。[文例]ひょうたんのくびれたところにひもをかけてつるした。♠〈腰がくびれる〉このころは、腰が細くくびれたデザインのワンピースがはやっていた。♠●〈くびれて死ぬ〉女は木の枝にひもをかけ、くびれて死んでいた。 **くふう【工夫】** ○よい方法を考えること。よい方法。[文例]〈よい工夫〉このたくさんの荷物を短い時間で運ぶのに、何かよい工夫はないものだろうか。♠●〈工夫を凝らす〉お父さんを説得するのに、家族みんなで工夫を凝らした。♠●〈工夫を加える〉ぼくの仕掛けに兄がちょっとした工夫を加えたら、おもしろいほどたくさんの魚が釣れた。♠●〈動かし方を工夫する〉人形劇の人形は、動かし方を工夫すると、人間とよく似た動きをする。♠●〈話し方を工夫する〉自分の意見が聞く人によくわかるように、話し方を工夫してみよう。♠●〈工夫して〜する〉狭[せま]い住居なのだから、みんなで工夫して住みやすくするように心がけよう。 **くぶん【区分】** ○区切って分けること。区分けすること。[文例]〈町の区分〉市町村の中の小さな区分に大字[おおあざ]や小字[こあざ]がある。♠●〈区分する〉県全体の地図ではなくて、地域ごとに区分した地図がほしいのですが。 **くべつ【区別】** ○何らかの差異に基づいて分けること。また、その差異。[文例]〈区別がはっきりする〉みんな同じ格好だと区別がはっきりしないから、帽子[ぼうし]の色で分けよう。♠●〈区別がある・ない〉きみはだらしなくて、自分のものと他人のものの区別がない人だね。♠●〈区別がつく〉手術の麻酔[ますい]からさめたばかりの父は、まだ夢[ゆめ]と現実の区別がつかないようだ。 <301> だった。♠〈だれかれの区別[くべつ]なく〉チームの優勝[ゆうしょう]に興奮[こうふん]した彼[かれ]は、だれかれの区別[くべつ]なく抱[だ]きついていた。♠〈区別[くべつ]する〉ぼくらの学校[がっこう]では、ジャージの色[いろ]で学年[がくねん]を区別[くべつ]している。 **く・べる**○火[ひ]の中[なか]に入[い]れて燃[も]やす。[文例]〈火[ひ]にくべる>好[す]きな人[ひと]に出[だ]しそびれた手紙[てがみ]を暖炉[だんろ]の火[ひ]にくべて、燃[も]えつきるのを見つめていた。♠〈石炭[せきたん]をくべる>教室[きょうしつ]のダルマストーブの火[ひ]を管理[かんり]して、石炭[せきたん]をくべるのは当番[とうばん]の仕事[しごと]だった。 **くぼみ(窪み・凹み)**○くぼむこと。くぼんだ程度[ていど]。くぼんだ所[ところ]。[文例]〈道路[どうろ]のくぼみ〉工事[こうじ]が始[はじ]まり、ダンプカーの往来[おうらい]が激[はげ]しくなると、道路[どうろ]にはいくつものくぼみができた。♠〈土[つち]のくぼみ>麦畑[むぎばたけ]の中[なか]の土[つち]のくぼみにヒバリのものらしい巣[す]を見[み]つけた。 **くぼ・む(窪む・凹む)**○一部分[いちぶぶん]が低[ひく]くなる。へこむ。[文例]〈岩[いわ]がくぼむ>岩[いわ]の上部[じょうぶ]のくぼんだ所[ところ]に水[みず]がたまって、何[なに]か虫[むし]が動[うご]いている。♠〈目[め]がくぼむ>徹夜[てつや]をして本[ほん]でも読[よ]んだのかい? 目[め]がくぼんでるよ。♠〈膝頭[ひざがしら]の下[した]の外側[そとがわ]のくぼんだところを三里[さんり]といい、ここにお灸[きゅう]をすることがあります。 **くま(隈)**○入[はい]り込[こ]んだ所[ところ]。奥[おく]まった所[ところ]。陰[かげ]になった所[ところ]。黒[くろ]ずんだ所[ところ]。色[いろ]の濃[こ]い所[ところ]。かげり。物[もの]のすみ。[文例]〈夜[よる]のくま〉裏町[うらまち]の灯[ひ]の届[とど]かぬ夜[よる]のくまにたたずむ一[ひと]つの影[かげ]があった。♠〈心[こころ]のくま〉悩[なや]みを友達[ともだち]に聞[き]いてもらったせいか、心[こころ]のくまが晴[は]れてきた。♠〈くまができる〉徹夜[てつや]続[つづ]きで目[め]にくまができている。♠〈くまをとる〉パリの街角[まちかど]で、くまをとった歌舞伎役者[かぶきやくしゃ]のポスターを見[み]つけ、日本[にっぽん]がなつかしくなりました。 **くまなく(隈無く)**○かげり・くもりがなく、明[あき]らかなさま。隅々[すみずみ]まで余[あま]す所[ところ]なく。[文例]〈くまなく照[て]らす〉秋[あき]の月[つき]がくまなく庭[にわ]を照[て]らし、虫[むし]たちも驚[おどろ]いたのか静[しず]かな夜[よる]だった。♠〈くまなく捜[さが]す〉歩[ある]いた道[みち]をくまなく捜[さが]して回[まわ]りましたが、落[お]とした財布[さいふ]は見[み]つかりませんでした。 **くみ【組・組み】**○組[く]むこと。組[く]み合[あ]わさったもの。組[く]み合[あ]わさった人々[ひとびと]。学校[がっこう]のクラス。[文例]〈組[くみ]にする〉いとこの入学祝[にゅうがくいわ]いに、ボールペンとシャープペンシルを組[くみ]にして贈[おく]った。♠〈組[くみ]になる〉次[つぎ]は二人三脚[ににんさんきゃく]ですから、隣[となり]り合[あ]った人同士[ひとどうし]、二人[ふたり]ずつ組[くみ]になってください。♠〈組[くみ]を作[つく]る〉では、二[ふた]つの組[くみ]を作[つく]って、実際[じっさい]に試合[しあい]をしてみよう。♠〈組[くみ]に分[わ]ける〉一度[いちど]に全員[ぜんいん]は入[はい]り切[き]らないから、いくつかの組[くみ]に分[わ]けて集[あつ]まることにしよう。♠〈学校[がっこう]の組[くみ]〉読[よ]みたい本[ほん]のアンケートを出[だ]していない組[くみ]は、図書[としょ]委員[いいん]がすぐ集[あつ]めてください。 **くみあい【組合・組み合い】**○組[く]み合[あ]うこと。組[く]みついて争[あらそ]うこと。目的[もくてき]や利害[りがい]を同[おな]じくする人[ひと]たちが助[たす]け合[あ]って活動[かつどう]する組織[そしき]。[文例]店[みせ]の片隅[かたすみ]では、ささいなことから客[きゃく]どうしの組[く]み合[あ]いが始[はじ]まろうとしていた。♠〈漁業[ぎょぎょう]組合[くみあい]〉漁獲物[ぎょかくぶつ]はすべて漁業[ぎょぎょう]組合[くみあい]へ納[おさ]め、組合[くみあい]で一括[いっかつ]してそれぞれの間屋[とんや]へ卸[おろ]すしくみになっている。♠〈労働[ろうどう]組合[くみあい]〉彼[かれ]は今度[こんど]、会社[かいしゃ]の労働[ろうどう]組合[くみあい]の書記[しょき]になったそうだ。 **くみあ・う【組み合う】**○互[たが]いに組[く]む。力[ちから]を合[あ]わせる。組[く]みついて争[あらそ]う。[文例]今日[きょう]、学校[がっこう]で、四人[よにん]ずつ組[く]み合[あ]って踊[おど]るフォークダンスを習[なら]った。♠〈肩[かた]を組[く]み合[あ]う〉キャンプファイアの最後[さいご]に、みんなで肩[かた]を組[く]み合[あ]って歌[うた]を歌[うた]った。♠〈巨体[きょたい]が組[く]み合[あ]う〉巨体[きょたい]ががっぷり組[く]み合[あ]う相撲[すもう]は、まさに男[おとこ]の闘[たたか]いといえよう。♠〈力[ちから]が組[く]み合[あ]う〉互[たが]いの力[ちから]がうまく組[く]み合[あ]って、思[おも]ったよりよい仕事[しごと]ができた。 **くみあわせ【組み合わせ】**○組[く]み合[あ]わせること。組[く]み合[あ]わせたもの。[文例]〈試合[しあい]の組[く]み合[あ]わせ>試合[しあい]の組[く]み合[あ]わせは、チームごとに代表者[だいひょうしゃ]が出[で]てくじを引[ひ]き、それによって決[き]められる。♠〈色[いろ]の組[く]み合[あ]わせ〉ブルーのブラウスにグリーンのスカートで、色[いろ]の組[く]み合[あ]わせはいいのかな。 **くみあわせる【組み合わせる】**○幾[いく]つかのものを合[あ]わせて、一[ひと]つのまとまりにする。ひと組[くみ]にする。組[く]み合[あ]うようにする。[文例]かすみ草[そう]に赤[あか]いバラを組[く]み合[あ]わせて、すてきな花束[はなたば]を作[つく]ってもらいました。♠〈字[じ]を組[く]み合[あ]わせる>漢語[かんご]は漢字[かんじ]を組[く]み合[あ]わせてつくった言葉[ことば]ですから、書[か]くときには漢字[かんじ]を使[つか]うのが普通[ふつう]です。♠〈相手[あいて]を組[く]み合[あ]わせる〉相手[あいて]は、くじ引[び]きで組[く]み合[あ]わせれば、どこからも文句[もんく]が出[で]ないだろう。 **くみい・れる【組み入れる】**○組[くみ]になるように加[くわ]え入[い]れる。組[く]み込[こ]む。[文例]〈学校[がっこう]に組[く]み入[い]れる〉噴火[ふんか]の島[しま]から避難[ひなん]した生徒[せいと]たちは、ぼくたちの学校[がっこう]に組[く]み入[い]れられることになった。♠〈計画[けいかく]に組[く]み入[い]れる〉行事[ぎょうじ]計画[けいかく]の中[なか]に、今年[ことし]から新[あら]たにクラス対抗[たいこう]の球技[きゅうぎ]大会[たいかい]を組[く]み入[い]れることが決[き]まった。♠〈スケジュールに組[く]み入[い]れる〉この会議[かいぎ]は重要[じゅうよう]ですから、必[かなら]ず社長[しゃちょう]のスケジュールに組[く]み入[い]れておいてください。 **くみか・える【組み替える・組み換える】**○組[く]み方[かた]をかえる。組[く]み直[なお]す。[文例]〈順番[じゅんばん]を組[く]み替[か]える〉いまひとつ機動力[きどうりょく]に欠[か]けるから、チームの打順[だじゅん]を組[く]み替[か]えてみよう。♠〈予算[よさん]を組[く]み替[か]える>当市[とうし]は思[おも]わぬ豪雪[ごうせつ]の被害[ひがい]にみまわれたため、編成[へんせい]中[ちゅう]の予算[よさん]を組[く]み替[か]えることになった。♠〈遺伝子[いでんし]を組[く]み替[か]える>遺伝子[いでんし]を組[く]み替[か]えるなど、バイオテクノロジーは現在[げんざい]脚光[きゃっこう]を浴[あ]びています。 **くみこ・む【組み込む】**○組[く]み入[い]れる。[文例]〈計画[けいかく]に組[く]み込[こ]む〉合宿[がっしゅく]中[ちゅう]は、早朝[そうちょう]の学習[がくしゅう]も生活[せいかつ]計画[けいかく]に組[く]み込[こ]まれています。♠〈プロジェクトを組[く]み込[こ]む〉新規[しんき]のプロジェクトを組[く]み込[こ]んだ、来年度[らいねんど]の事業[じぎょう]計画[けいかく]の大綱[たいこう]ができた。♠〈人工[じんこう]知能[ちのう]を組[く]み込[こ]む〉ロボットには、高度[こうど]な人工[じんこう]知能[ちのう]が組[く]み込[こ]まれていた。 **くみしやすい(与し易い)**○相手[あいて]として扱[あつか]いやすい。[文例]子供[こども]一人[ひとり]なのを見[み]てくみしやすいと思[おも]ったのか、前[まえ]をはだけただらしないかっこうの女[おんな]があくびをしながら出[で]てきた。 **くみ・する(与する)**○仲間[なかま]に加[くわ]わる。味方[みかた]になる。[文例]〈悪事[あくじ]にくみする〉きみが悪事[あくじ]にくみしていたとは、思[おも]ってもみなかった。♠〈意見[いけん]にくみする〉ぼくの意見[いけん]にくみする人[ひと]は一人[ひとり]もいなかった。♠〈世[よ]の風潮[ふうちょう]にくみする>科学[かがく]万能[ばんのう]の風潮[ふうちょう]にくみするものではないが、科学[かがく]の恩恵[おんけい]は正[ただ]しく評価[ひょうか]したいと思[おも]う。 **くみたて【組み立て】**○組[く]み立[た]てること。組[く]み立[た]てられたも <302> **くみたてる** **くみあわせ【組み合わせ】(組合わせ)** ○組むこと。組み合わせたもの。取り合わせ。[文例]〈色の組み合わせ〉プラモデルの組み立てより、色の組み合わせを考えるほうがむずかしい。♠●〈組み合わせを変える〉チームの組み合わせを変えれば、まだ勝つチャンスはある。♠●〈うまく組み合わせる〉これらの資料をうまく組み合わせれば、立派な論文になるはずだ。 **くみあわ・せる【組み合わせる】** ○いくつか合わせて、一つのまとまりにする。[文例]〈カードを組み合わせる〉トランプのゲームは、カードの組み合わせに役や点数がある。♠●〈言葉を組み合わせる〉子供は知っている言葉を組み合わせるだけで、こんなにおもしろい文を作る。♠●〈部品を組み合わせる〉自動車は、幾つもの工程を経て、部品を組み合わせながら完成に近づく。 **くみたて【組み立て】(組立て)** ○組み立てること。組み合わせたものの構造。組織。[文例]〈プラモデルの組み立て〉今いちばん熱中していることは、プラモデルの組み立てだ。♠●〈文の組み立て〉内容を的確に表現するためには、文の組み立てを考えてみる必要がある。♠●〈組み立て作業〉製造ラインの流れにそって、自動車の組み立て作業が進む。♠●〈組み立て式〉組み立て式の家具は、移動に便利だ。 **くみた・てる【組み立てる】** ○組み合わせて、一つのまとまりに作り上げる。構成する。[文例]〈プラモデルを組み立てる〉お年玉で買ったプラモデルは、高級なせいか複雑で、組み立てるのに骨が折れた。♠●〈橋を組み立てる〉橋を組み立てている石は、のみで表面を仕上げてあるので、寸法に誤差が出るのはまぬかれない。♠●〈文章を組み立てる〉文章は普通、幾つかの段落によって組み立てられています。 **くみと・る【くみ取る・酌み取る】(汲み取る)** ○容器にすくい取る。くみ出す。推し量る。[文例]〈水をくみ取る〉夏になると、前の小川からバケツで水をくみ取り、庭に打ち水をします。♠●〈気持ちを酌み取る〉短歌に込められている作者の気持ちを酌み取ろう。♠●〈心を酌み取る〉彼女の手紙を読んで、わたしは今まで彼女の本当の心を酌み取っていなかったことに気づいた。 **く・む【組む】** ○細長い物どうしを交差させて、からみ合わせる。部分を合わせて全体を構成する。仲間を作る。[文例]〈二人で組む〉兄は友人と二人で組んで、八ヶ岳山麓[やつがたけさんろく]で山小屋を始めるつもりでいた。♠〈グループを組む〉キャンプ場では三、四人でグループを組み、一つのバンガローに宿泊[しゅくはく]することになった。♠●〈腕を組む〉父は、朝から腕を組み、難しい顔をして何か考えごとをしている。♠●〈腕を組む〉向こうからクラスの女子二人が、仲よく腕[うで]を組んでやってくる。♠◆〈足を組む〉電車の中で足を組んで座[すわ]っていた人が、急停車したとたんに前に投げ出された。♠●〈手を組む〉兵士たちの中には「敵と手を組むぐらいなら、全滅[ぜんめつ]するまで戦ったほうがよかった。」と思う者もいた。♠●〈足場を組む〉大きなビルの工事でも始まるのか、ヘルメット姿の作業員たちが足場を組んでいる。♠◆〈四つに組む〉先ほどから両力士ともがっぷり四つに組んだまま、微動[びどう]だにしません。♠●〈活字を組む〉印刷のための活字を組むのは、プロでなければできない仕事です。♠●〈日程を組む〉今度の旅行は、全員が参加できるように日程を組みたいと思う。 **く・む【酌む】(汲む)** ○液体をすくい取る。器につぐ。酒を飲む。摂取する。理解する。[文例]〈水をくむ〉この寒村では、今でも谷川の水をくんできて、飲料水に使っている。♠●〈水をくむ〉薬を飲むから、コップに半分水をくんできてくれないか。♠●〈酒を酌む〉優勝パーティーでは、いつもは厳しい監督[かんとく]が、選手全員に酒を酌んでまわった。♠●〈事情をくむ〉裁判官の言い渡[わた]した判決は、被告[ひこく]の不幸な事情をくんで、思ったよりも軽いものでした。♠〈気持ちをくむ〉みんなもきみの気持ちをくんで、ああ言ってるんだから、いつまでもへそを曲げてるんじゃないよ。♠●〈意をくむ〉議員は嘆願書[たんがん]の意をくんで、議会にこの問題をはかる約束[やくそく]をしてくれた。♠●〈趣旨をくむ〉慈善[じぜん]パーティーの趣旨[しゅし]をくんで、多めに会費を払う人もいた。♠●〈源氏の流れをくむ〉彼は、自分の家が源氏の流れをくむ家柄[いえがら]であると、いつも自慢している。♠●〈くめども尽きない〉十年ぶりの同窓会では、先生を囲んで、くめども尽きない思い出話に時を忘れた。 **くめん【工面】** ○工夫して必要な金品をそろえること。金銭などの都合をつけること。[文例]〈金の工面〉〈工面がつく〉お金の工面がつかなくて、伯父[おじ]の町工場はたちゆかなくなった。♠●〈食料の工面〉毎日の食料やたきぎの工面が精いっぱいの貧しいくらしだった。♠〈工面する〉貧しい娘が、どうやってこんな大金を工面したのだろう。 **くも【雲】** ○空気中の水分が細かな水滴や氷片となって、空中に浮かんでいるもの。[文例]〈雲一つない〉空は青く澄んで、雲一つなかった。♠●〈雲が浮かぶ〉山の上に、ぽっかり、綿[わた]のような白い雲が浮かんでいる。♠●〈雲がわく〉夏の空に、みるみるうちに大きな入道雲がわき上がってきた。♠●〈雲が切れる〉雲が切れると、その切れ間から小さな青空が顔を出しました。♠◆〈雲が垂れこめる〉寒々とした十月の町に、厚い雲が低く垂れこめている。♠●〈雲がたなびく〉夕日を浴びてあかね色に染まった雲が、夕焼け空に細くたなびいている。♠◆〈雲が流れる〉草の上に寝ころんで、流れる雲を眺[なが]めているうちに、ついうとうととしてしまったらしい。♠◆〈雲がかかる〉せっかくの名月なのに、雲がかかってきた。♠◆〈雲が晴れる〉友達は来年もあるさと慰[なぐさ]めてくれたが、わたしの心の雲は少しも晴れなかった。♠●〈雲に隠れる〉こうこうと照らしていた月が雲に隠れると、一瞬[いっしゅん]あたりを暗やみが支配した。♠●〈雲の上の人〉元男爵の令嬢[だんしゃくれいじょう]といえば、われわれ庶民[しょみん]にとっては雲の上の人、昔ならばとても手の届く相手ではない。♠●〈雲をつくばかり〉彼はその当時には珍[めずら]しい、雲をつくばかりの大男であった。♠●〈雲をつかむよう〉彼の計画は、沈没[ちんぽつ]した海賊船[かいぞく]を捜[さが]し出して宝物を手に入れるという、雲をつかむような話だった。♠●〈雲をかすみと〉警官が駆けつけてみると、すでに一味は雲をかすみと逃げ出したあとであった。 **くも(蜘蛛)** ○八本足で、多くは糸を出して網状の巣を張る節足動物。[文例]朝のくもは縁起がよいのだから殺してはいけないよと、おばあさんはいいました。♠●〈くもの子を散らすよう〉こらっとどなると、いたずらをしていた幼稚園坊主どもは、くもの子を散らすように逃げていった。♠〈くもの糸一すぢよぎる百合[ゆり]の前〉(高野素十[たかのすじゅう]) **くもがくれ【雲隠れ】** ○(月が)雲に隠れること。姿をくらますこと。[文例]〈雲隠れする〉悪徳商法の会社に被害者がおしかけたが、社長以下責任ある立場にいる者はすべて雲隠れしたあとだった。 **くもゆき【雲行き】** ○雲の動き。物事のなりゆき。形勢。[文例]この雲行きでは、午後からは雨だろう。♠〈雲行きが怪しい〉雲行きは怪[あや]しくなるばかりで、遠く雷[かみなり]の前触[まえ]れの不気味なうなりも聞こえてくる。♠●〈雲行きが怪しい〉円高不況で、彼の事業も去年あたりから雲行きが怪しくなってきた。♠●〈雲行きがおかしい〉すんなり決まると思っていたのに、雲行きがおかしくなってきた。 <303> に、変[へん]な男[おとこ]の登場[とうじょう]で、会議[かいぎ]の雲行[くもゆ]きがおかしくなってしまった。 **くもり【曇り】**○くもること。くもっていること。[文例]〈曇[くも]りのち晴[は]れ〉明日[あした]は遠足[えんそく]だが、天気[てんき]予報[よほう]によると天気[てんき]は曇[くも]りのち晴[は]れだそうだ。♠〈窓[まど]ガラスのくもり〉窓[まど]ガラスのくもりを手[て]でこすってみた。♠〈くもりのない目[め]〉赤[あか]ちゃんのくもりのない目[め]を見[み]つめていると、思[おも]わずほほえみが浮[う]かんでくる。♠〈心[こころ]のくもり〉ここ二[に]、三日[さんち]心[こころ]のくもりがとれないのは、友達[ともだち]と口[くち]げんかをしたままになっているからだ。♠〈曇[くも]り空[ぞら]〉こんな曇[くも]り空[ぞら]だから、念[ねん]のため傘[かさ]を持[も]っていきなさい。♠〈花曇[はなぐも]り〉今日[きょう]は桜[さくら]も見[み]ごろだが、花曇[はなぐも]りの肌寒[はださむ]い一日[いちにち]だった。 **くも・る【曇る】**○雲[くも]が空[そら]をおおう。輝[かがや]きが失[うしな]われる。透[す]きとおっていた物[もの]がはっきりと見[み]えなくなる。晴[は]れやかでなくなる。[文例]〈どんよりと曇[くも]る>雪国[ゆきぐに]では、十一月[じゅういちがつ]も半[なか]ばになると、どんよりと曇[くも]ったはだ寒[さむ]い日[ひ]が続[つづ]きます。♠〈空[そら]が曇[くも]る〉さっきまで明[あか]るかった空[そら]が急[きゅう]に曇[くも]って、ポツリポツリと雨[あめ]が降[ふ]り出[だ]した。♠〈ガラスが曇[くも]る>湯気[ゆげ]で曇[くも]ったふろ場[ば]の窓[まど]ガラスに、子供[こども]たちは指[ゆび]でいたずら書[が]きをしている。♠〈声[こえ]が曇[くも]る>愛犬[あいけん]の死[し]を知[し]らせる電話[でんわ]の母[はは]の声[こえ]は、涙[なみだ]で曇[くも]って聞[き]き取[と]りにくかった。♠〈顔[かお]を曇[くも]らせる「もしかすると戦争[せんそう]になるかもしれないな。」と、父[ちち]は顔[かお]を曇[くも]らせた。♠〈良心[りょうしん]の鏡[かがみ]が曇[くも]る〉彼[かれ]は、大金[たいきん]を目前[めのまえ]に並[なら]べられたので、ふと良心[りょうしん]の鏡[かがみ]が曇[くも]って、その金[かね]を受[う]け取[と]ってしまった。 **くもん(苦悶)**○苦[くる]しみもだえること。[文例]〈苦悶[くもん]の表情[ひょうじょう]>息子[むすこ]の戦死[せんし]を知[し]らされた母親[ははおや]は、苦悶[くもん]の表情[ひょうじょう]を浮[う]かべてわたしを見[み]つめた。♠〈苦悶[くもん]する〉漁師[りょうし]として生[い]きる一人[ひとり]の青年[せいねん]が絵画[かいが]への情熱[じょうねつ]を捨[す]てきれず、自[みずか]らの生[い]きる道[みち]を求[もと]めて苦悶[くもん]する。 **ぐもん【愚問】**○ばかげた質問[しつもん]。[文例]〈愚問[ぐもん]を発[はっ]する〉みんなが真剣[しんけん]に考[かんが]えているときに、そんな愚問[ぐもん]を発[はっ]するものではありません。♠〈愚問[ぐもん]愚答[ぐとう]>質問[しつもん]がピント外[はず]れなら、回答[かいとう]も訳[わけ]が分[わ]からずで、これこそ愚問[ぐもん]愚答[ぐとう]の典型[てんけい]といえるでしょう。 **くやし・い【悔しい】**○残念[ざんねん]で腹立[はらだ]たしい。しゃくにさわるほど悔[く]やまれる。[文例]〈負[ま]けて悔[くや]しい〉おまえたち、いつも試合[しあい]に負[ま]けてばかりいて悔[くや]しくないのか。♠〈悔[くや]しい思[おも]い〉駆[か]け出[だ]しのころは、あと一歩[いっぽ]というところで先輩[せんぱい]に出[だ]し抜[ぬ]かれて、何度[なんど]か悔[くや]しい思[おも]いもしました。♠悔[くや]しいけれど、ぼくの実力[じつりょく]では、剣道[けんどう]二段[にだん]の腕前[うでまえ]をもつ兄[あに]にはとてもかなわない。 **くや・む【悔やむ】**○くやしく思[おも]う。残念[ざんねん]に思[おも]う。後悔[こうかい]する。[文例]〈済[す]んだことを悔[くや]む〉もう済[す]んだことを、今[いま]になって悔[くや]んでも仕方[しかた]があるまい。♠〈過[す]ぎたことを悔[くや]む〉過[す]ぎたことを悔[くや]むより、これから先[さき]のことを考[かんが]えよう。♠〈悔[くや]んでもかいがない〉今[いま]さら悔[くや]んでもかいのない事[こと]だが、自分[じぶん]の将来[しょうらい]についてもう少[すこ]し真剣[しんけん]に考[かんが]えるべきだったと思[おも]うよ。♠〈悔[くや]やまれる〉どうしてあの時[とき]母[はは]にあんなひどい事[こと]を言[い]ったのか、今[いま]になってひどく悔[くや]やまれる。♠〈人[ひと]の死[し]を悔[くや]む〉お父様[とうさま]の御[ご]逝去[せいきょ]を心[こころ]からお悔[くや]やみ申[もう]し上[あ]げます。 **くゆらす(燻らす)**○ゆるやかに煙[けむり]を立[た]てる。[文例]〈たばこをくゆらす〉野良仕事[のらしごと]が一段落[いちだんらく]すると、祖父[そふ]は縁側[えんがわ]に腰[こし]を下[お]ろしてたばこをくゆらし始[はじ]めた。♠〈葉巻[はまき]をくゆらす>客[きゃく]を待[ま]たせたまま、社長[しゃちょう]は悠然[ゆうぜん]と葉巻[はまき]をくゆらしている。♠〈パイプをくゆらす〉うちのおやじは、紙巻[かみまき]たばこよりもパイプをくゆらしているほうが似合[にあ]うみたいだな。 **くよう【供養】**○死者[ししゃ]の霊[れい]に物[もの]を供[そな]えて、冥福[めいふく]を祈[いの]ること。[文例]〈供養[くよう]をする〉山[やま]のふもとで、この冬[ふゆ]に遭難[そうなん]した山男[やまおとこ]たちの供養[くよう]をすることになった。♠〈供養[くよう]する>家[いえ]に十年[じゅうねん]いて死[し]んだネコを、家族[かぞく]みんなで供養[くよう]してやった。♠〈供養[くよう]になる〉亡[な]くなった恩師[おんし]の供養[くよう]になるようなことを、弟子[でし]たちでやろうということになった。♠〈針[はり]供養[くよう]>昔[むかし]から、「針[はり]供養[くよう]」といって、折[お]れた針[はり]を集[あつ]めて、豆腐[とうふ]やこんにゃくに刺[さ]す行事[ぎょうじ]がある。 **くら【倉・蔵】**(庫)○家財[かざい]・穀物[こくもつ]・商品[しょうひん]などをしまっておく建物[たてもの]。倉庫[そうこ]。[文例]日本[にっぽん]の米[こめ]所[どころ]といわれるこの地方[ちほう]では、昔[むかし]はどこの家[いえ]にも穀物[こくもつ]をしまうための倉[くら]があった。♠〈農家[のうか]の蔵[くら]〉ある古[ふる]い農家[のうか]の蔵[くら]の中[なか]から、価値[かち]の高[たか]い古文書[こもんじょ]が発見[はっけん]された。♠〈蔵[くら]が建[た]つ〉与作[よさく]の人並[ひとな]みはずれた働[はたら]きぶりに、口[くち]さがない連中[れんちゅう]は「今[いま]に蔵[くら]が建[た]つだろうよ。」とうわさしていた。♠〈酒蔵[さかぐら]>店[みせ]の主人[しゅじん]についてトントンと階段[かいだん]を下[お]りて行[い]くと、地下室[ちかしつ]は酒蔵[さかぐら]になっていた。 **くらい【位】**○序列[じょれつ]の中[なか]に占[し]める位置[いち]。地位[ちい]。品位[ひんい]。数[かず]のけた。ほど。[文例]〈位[くらい]が高[たか]い>彼[かれ]は部長[ぶちょう]ですから、社内[しゃない]では位[くらい]が高[たか]いのです。♠〈位[くらい]に就[つ]く>野武士[のぶし]から身[み]をおこして、将軍[しょうぐん]の位[くらい]に就[つ]いた。♠〈位[くらい]を譲[ゆず]る〉そろそろ王[おう]の位[くらい]を長男[ちょうなん]アンドレイに譲[ゆず]ろうと考[かんが]えておる。♠〈位[くらい]を授[さず]ける。授[さず]かる〉祖父[そふ]は、殿[との]から名人[めいじん]の位[くらい]を授[さず]かった刀工[とうこう]であった。♠〈位[くらい]負[ま]け〉理事長[りじちょう]の父親[ちちおや]の力[ちから]で事務長[じむちょう]になった息子[むすこ]だが、あの実力[じつりょく]では位[くらい]負[ま]けしているようだ。♠〈人[ひと]・十[じゅう]・百[ひゃく]の位[くらい]〉十進法[じっしんほう]では、数字[すうじ]のけたを一人[ひとり]の位[くらい]、十[じゅう]の位[くらい]、百[ひゃく]の位[くらい]・・・・・・のように呼[よ]びます。♠〈それくらい〉中学生[ちゅうがくせい]にもなって、それくらいの判断力[はんだんりょく]もないのかね。 **くら・い【暗い】**○光[ひかり]が足[た]りなくて、物[もの]がはっきり見[み]えない。黒[くろ]っぽい。快活[かいかつ]・明朗[めいろう]でない。陰気[いんき]で好[この]ましくない。望[のぞ]みがもてない。物事[ものごと]に通[つう]じていない。[文例]〈辺[あた]りが暗[くら]い〉十一月[じゅういちがつ]に入[はい]ると、夕方[ゆうがた]も五時[ごじ]には辺[あた]りはすっかり暗[くら]くなる。♠〈暗[くら]い部屋[へや]>暗[くら]い部屋[へや]で勉強[べんきょう]するのは目[め]に悪[わる]いから、もっと明[あか]るくしなさい。♠〈暗[くら]い路地[ろじ]>せまくて暗[くら]い路地[ろじ]の奥[おく]から、突然[とつぜん]男[おとこ]が飛[と]び出[だ]してきた。♠〈明[あか]かりが暗[くら]い>部屋[へや]の明[あか]かりが暗[くら]いと、雰囲気[ふんいき]全体[ぜんたい]が陰気[いんき]になってくる。♠〈暗[くら]いうちから>母[はは]は、朝[あさ]はまだ暗[くら]いうちから、夜遅[よるおそ]くまで、こまねずみのように働[はたら]きつづけた。♠〈暗[くら]い青[あお]>バックの暗[くら]い青[あお]があの絵[え]をいっそう重[おも]いものにしている。♠〈性格[せいかく]が暗[くら]い>彼[かれ]は少[すこ]し性格[せいかく]が暗[くら]いので、クラブ活動[かつどう]をすすめたい。♠〈暗[くら]い気持[きも]ち〉やる気[き]のない人間[にんげん]を見[み]ていると、こっちまで暗[くら]い気持[きも]ちになってしまう。♠〈暗[くら]い目[め]>ホームの片隅[かたすみ]に、暗[くら]い目[め]をした少女[しょうじょ]がたよりなげに立[た]っている。♠〈暗[くら]い影[かげ]〉ラジオのニ <304> ユースを聞[き]いていた父[ちち]の顔[かお]を、一瞬[いっしゅん]暗[くら]い影[かげ]がかすめた。♠〈見通[みとお]しが暗[くら]い〉こんな成績[せいせき]じゃ、進学[しんがく]については見通[みとお]しが暗[くら]いなあ。♠〈暗[くら]い世相[せそう]〉この小説[しょうせつ]は、当時[とうじ]の暗[くら]い世相[せそう]を背景[はいけい]に若者[わかもの]の心情[しんじょう]を描[えが]いている。♠〈法律[ほうりつ]に暗[くら]い〉わたしは、法律[ほうりつ]には暗[くら]いので、知[し]り合[あ]いの弁護士[べんごし]に相談[そうだん]してみようと思[おも]う。♠〈地理[ちり]に暗[くら]い〉あの辺[へん]の地理[ちり]には暗[くら]いので、ひとつ、案内[あんない]はあなたにお願[ねが]いしますよ。 **くらいつく【食らい付く】**(喰らい付く)○食[く]いつく。かみつく。[文例]〈飯[めし]に食[く]らいつく〉どんぶりに飯[めし]を山[やま]のように盛[も]り、がつがつと食[く]らいつく。♠〈足[あし]に食[く]らいつく〉オオカミは、シカの足[あし]に食[く]らいついたまま弱[よわ]るのを待[ま]った。♠〈腕[うで]に食[く]らいつく〉雷[かみなり]が大嫌[だいきら]いな子[こ]で、稲光[いなびかり]を見[み]ただけで、こわがって母[はは]の腕[うで]に食[く]らいつく始末[しまつ]でした。♠〈話[はなし]に食[く]らいつく〉相手[あいて]は、金[かね]もうけの話[はなし]に食[く]らいついてきた。 **くら・う【食らう】**(喰らう)○「食[た]う」「飲[の]む」をぞんざいにいった語[ご]。[文例]〈大飯[おおめし]を食[く]らう〉大飯[おおめし]を食[く]らう人間[にんげん]が三人[さんにん]もいるので、母[はは]は食費[しょくひ]がたまらないと嘆[なげ]く。♠〈大酒[おおざけ]を食[く]らう〉大酒[おおざけ]を食[く]らっては騒[さわ]ぐ隣[となり]のおじさんは、まじめに働[はたら]いているだろうか。♠〈小言[こごと]を食[く]らう〉母[はは]の小言[こごと]を食[く]らいながらも、父[ちち]はたばこをやめようとはしない。♠〈不意[ふい]を食[く]らう〉網[あみ]の中[なか]では獰猛[どうもう]なくもも、不意[ふい]を食[く]らって網[あみ]の外[そと]に引[ひ]きずり出[だ]されると、自信[じしん]を失[うしな]ってすっかり萎縮[いしゅく]する。♠〈総攻撃[そうこうげき]を食[く]らう〉決勝戦[けっしょうせん]では、相手[あいて]チームの総攻撃[そうこうげき]を食[く]らって、あわやというところまで追[お]いつめられた。♠〈面食[めんく]らう〉知[し]らないおばさんに声[こえ]をかけられて面食[めんく]らった。 **くらがえ【くら替え】**(鞍替え)○職業[しょくぎょう]や所属[しょぞく]などをかえること。それまでしていたことをかえること。[文例]〈くら替[が]えをする〉五年[ごねん]ぶりに再会[さいかい]した友達[ともだち]は、教員[きょういん]をやめてスポーツ用品[ようひん]屋[や]にくら替[が]えをしていた。♠〈くら替[が]えする〉この前[まえ]まで「ミホちゃん、ミホちゃん」と追[お]いかけまわしていたのに、いつから、ミナコちゃんにくら替[が]えしたんだい。 **くらがり【暗がり】**○暗[くら]い所[ところ]。[文例]〈暗[くら]がりにひそむ>男[おとこ]は、庭[にわ]のすみの暗[くら]がりにひそんで目[め]だけを光[ひか]らせていた。♠〈暗[くら]がりを見[み]つめる〉物置[ものおき]に入[い]れられた少年[しょうねん]は、暗[くら]がりを見[み]つめていることにも飽[あ]きると、ごろりと横[よこ]になり、寝[ね]てしまった。 **くらく【苦楽】**○苦[くる]しみと楽[たの]しみ。[文例]〈苦楽[くらく]を共[とも]にする〉苦楽[くらく]を共[とも]にする夫婦[ふうふ]の間[あいだ]には、お互[たが]いを思[おも]いやる心[こころ]が芽生[めば]える。♠〈人生[じんせい]の苦楽[くらく]人生[じんせい]の苦楽[くらく]を経験[けいけん]して、人[ひと]は大[おお]きく成長[せいちょう]していく。 **くらし【暮らし】**○くらしていくこと。生活[せいかつ]。生計[せいけい]。[文例]〈日々[ひび]の暮[く]らし〉ことわざは、今[いま]でもわたしたちの日々[ひび]の暮[く]らしの中[なか]に生[い]きています。♠〈昔[むかし]・今[いま]の暮[く]らし>昔[むかし]の暮[く]らしに比[くら]べれば、今[いま]の日本人[にっぽんじん]の暮[く]らしはずいぶん便利[べんり]になったものだ。♠〈貧[まず]しい。豊[ゆた]かな暮[く]らし〉飲[の]んだくれの父親[ちちおや]のために、この家族[かぞく]は貧[まず]しい暮[く]らしを余儀[よぎ]なくされていた。♠〈いい暮[く]らし〉〈暮[く]らしをする〉今[いま]は落[お]ちぶれているが、昔[むかし]はけっこういい暮[く]らしをしていたこともあるんだ。♠〈山国[やまぐに]の暮[く]らし〉都会[とかい]の人[ひと]には、自然[しぜん]の厳[きび]しい山国[やまぐに]の暮[く]らしはちょっと無理[むり]かもしれないなあ。♠〈暮[く]らしを営[いと]む>父親[ちちおや]が亡[な]くなる前[まえ]までは、一家[いっか]はオランダの片田舎[かたいなか]で平和[へいわ]な暮[く]らしを営[いとな]んでいた。♠〈暮[く]らしを立[た]てる〉この辺[あた]りの村[むら]では、ほとんどの家[いえ]が農業[のうぎょう]で暮[く]らしを立[た]てています。♠〈暮[く]らしを支[ささ]える〉病気[びょうき]で働[はたら]けない父[ちち]に代[か]わって、わが家[や]の暮[く]らしを支[ささ]えていたのは母[はは]であった。♠〈暮[く]らしが苦[くる]しい・楽[らく]〉こう何[なに]もかも物価[ぶっか]が上[あ]がったのでは、わたしたちの暮[く]らしは苦[くる]しくなるいっぽうです。♠〈暮[く]らしに困[こま]る〉今[いま]では息子[むすこ]たちが働[はたら]いておりますので、暮[く]らしに困[こま]るということはありません。♠〈暮[く]らし向[む]き〉小舟[こぶね]一[そう]そうの漁師[りょうし]では、一家[いっか]六人[ろくにん]の暮[く]らし向[む]きもそう楽[らく]ではなかった。 **くら・す【暮らす】**○一日[いちにち]を過[す]ごす。月日[つきひ]を送[おく]る。生活[せいかつ]する。[文例]〈日[ひ]を暮[く]らす〉のどかな春[はる]の日[ひ]を、一日[いちにち]ぼんやり暮[く]らしました。♠〈毎日[まいにち]を暮[く]らす〉姉[あね]夫婦[ふうふ]は食堂[しょくどう]を営[いとな]んでいるが、ネコの手[て]も借[か]りたいほど忙[いそが]しく毎日[まいにち]を暮[く]らしている。♠〈生[い]き物[もの]が暮[く]らす〉カブトムシなどと違[ちが]って、セミの幼虫[ようちゅう]は、土[つち]の中[なか]で七年[しちねん]も暮[く]らすという。♠〈遊[あそ]んで暮[く]らす>兄[あに]は、大学[だいがく]受験[じゅけん]に失敗[しっぱい]してから、一日[いちにち]じゅう遊[あそ]んで暮[く]らす日[ひ]が多[おお]くなった。♠〈暮[く]らしていく〉父[ちち]の安[やす]い給料[きゅうりょう]では一家[いっか]五人[ごにん]はとても暮[く]らしていけない。♠〈一人[ひとり]で暮[く]らす〉おじいさんが死[し]んでから、祖母[そぼ]はたった一人[ひとり]で暮[く]らしています。 **クラス**○等級[とうきゅう]。階級[かいきゅう]。学級[がっきゅう]。[文例]〈学校[がっこう]のクラス〉彼女[かのじょ]とは、小学校[しょうがっこう]時代[じだい]いつもクラスが違[ちが]っていたので、一度[いちど]も言葉[ことば]を交[か]わしたことがなかった。♠〈トップクラス〉彼[かれ]の営業[えいぎょう]成績[せいせき]は、会社[かいしゃ]でもトップクラスのものだ。♠〈主任[しゅにん]クラス>研修[けんしゅう]に集[あつ]まった店員[てんいん]のほとんどは、主任[しゅにん]クラスだった。♠〈Aクラス〉小学生[しょうがくせい]としてこの出来[でき]ばえは、Aクラスのものと言[い]ってよかろう。 **ぐらつく**ぐらぐらする。揺[ゆ]れ動[うご]く。動揺[どうよう]する。[文例]〈物[もの]がぐらつく〉テーブルの上[うえ]のコップがぐらつくほどの揺[ゆ]れですから、震度[しんど]4ぐらいはあったでしょう。♠〈屋台骨[やたいぼね]がぐらつく〉放蕩[ほうとう]息子[むすこ]の吉原[よしわら]通[がよ]いは、店[みせ]の屋台骨[やたいぼね]をぐらつかせるくらいだったらしい。♠〈自信[じしん]がぐらつく〉相手[あいて]チームの大[おお]きな選手[せんしゅ]たちを見[み]ると、さすがにぼくらの自信[じしん]もぐらついた。 **クラブ**○同[おな]じ目的[もくてき]・趣味[しゅみ]をもった人々[ひとびと]の集[あつ]まり。また、その集会所[しゅうかいじょ]。ゴルフでボールを打[う]つ棒[ぼう]。トランプのカードの印[しるし]の一[ひと]つ。[文例]〈クラブに入[はい]る〉高校[こうこう]にはいろいろなクラブがあるので、どれに入[はい]ろうかと迷[まよ]います。♠〈クラブに所属[しょぞく]する〉わたしが所属[しょぞく]している読書[どくしょ]クラブでは、読書[どくしょ]新聞[しんぶん]を編集[へんしゅう]しています。♠〈クラブ活動[かつどう]〉口[くち]で言[い]うほど、クラブ活動[かつどう]と勉強[べんきょう]の両立[りょうりつ]はうまくいかないもんだよ。♠〈銀座[ぎんざ]のクラブ>お父[とう]さんみたいな安月給[やすげっきゅう]のサラリーマンでは、銀座[ぎんざ]のクラブで酒[さけ]を飲[の]むなんて、とてもできやしない。♠〈トランプのクラブ〉トランプのカードには、ダイヤ・スペード・ハート・クラブの四種類[しゅるい]があります。♠〈ゴルフのクラブ〉休[やす]みの日[ひ]、父[ちち]は、庭[にわ]でゴルフのクラブをふって、練習[れんしゅう]にはげんでいます。 **グラフ**○図表[ずひょう]。図示[ずし]したもの。写真[しゃしん]。描画[びょうが]。[文例]〈グラフにまとめる〉現代[げんだい]の九十[きゅうじゅう]種[しゅ]の雑誌[ざっし]を調[しら]べた調査[ちょうさ]の結果[けっか]を次[つぎ]の <305> グラフにまとめてみました。♠〈グラフに表[あらわ]す〉体重[たいじゅう]の増減[ぞうげん]を、折[お]れ線[せん]グラフにかき表[あらわ]して、自分[じぶん]の体調[たいちょう]をつかむのもよい。♠〈グラフ雑誌[ざっし]>野球[やきゅう]狂[きょう]の父[ちち]は、甲子園[こうしえん]大会[たいかい]を特集[とくしゅう]しているグラフ雑誌[ざっし]を買[か]ってきて、熱心[ねっしん]にながめている。♠〈ポルノグラフ〉ポルノグラフの製作[せいさく]や販売[はんばい]は、法[ほう]で規制[きせい]されている。 **くら・べる【比べる】**(較べる・競べる)○比較[ひかく]する。競争[きょうそう]する。争[あらそ]わせる。[文例]〈村[むら]を町[まち]に比[くら]べる〉山奥[やまおく]の村[むら]は、町[まち]に比[くら]べると、冬[ふゆ]の訪[おとず]れが早[はや]かった。♠〈前[まえ]に比[くら]べる「生[い]きている化石[かせき]」カブトガニも、三十年[さんじゅうねん]ほど前[まえ]に比[くら]べると、十分[じゅうぶん]の一[いち]以下[いか]に減[へ]ってしまった。♠〈以前[いぜん]に比[くら]べて〉三年[さんねん]ぶりに会[あ]ういとこは、以前[いぜん]に比[くら]べてずいぶん大人[おとな]びていた。♠〈足[あし]に比[くら]べて胴[どう]が長[なが]い>足[あし]に比[くら]べて胴[どう]が長[なが]すぎるのが、ぼくの悩[なや]みの種[たね]です。♠〈答[こた]えを解答[かいとう]と比[くら]べる〉さて、答[こた]えが合[あ]っているかどうか、解答[かいとう]と比[くら]べるとするか。♠〈力[ちから]を比[くら]べる〉よし、このボートでお互[たが]いどちらが早[はや]く向[む]こう岸[ぎし]へ着[つ]けるか、力[ちから]を比[くら]べよう。 **くらま・す(晦ます)**○人[ひと]の目[め]から見[み]えなくする。ごまかす。[文例]〈姿[すがた]をくらます〉あいつ、いったいどこへ姿[すがた]をくらましたんだ、大事[だいじ]な試合[しあい]だというのに。♠〈行方[ゆくえ]をくらます〉社長[しゃちょう]は、借金取[しゃっきんとり]の目[め]を逃[のが]れて、どこかに行方[ゆくえ]をくらましていた。♠〈人[ひと]の目[め]をくらます〉一味[いちみ]は大勢[おおぜい]の人[ひと]の目[め]をくらまし、まんまとダイヤモンドを持[も]ち出[だ]したのである。♠〈敵[てき]の目[め]をくらます>先刻[せんこく]出発[しゅっぱつ]したのは敵[てき]の目[め]をくらますおとりで、本当[ほんとう]の密使[みっし]は拙者[せっしゃ]じゃ。 **くら・む(眩む)**○目先[めさき]が暗[くら]くなる。目[め]が見[み]えなくなる。目[め]がまわる。理性[りせい]や判断力[はんだんりょく]を失[うしな]う。[文例]〈目[め]がくらむ〉男[おとこ]はこの一週間[いっしゅうかん]何[なに]も食[た]べておらず、目[め]はくらみ、立[た]っているのがやっとという有[あ]り様[さま]だった。♠〈目[め]のくらむような〉追[お]い詰[つ]められた二人[ふたり]の前[まえ]には、目[め]のくらむような断[だん]がい絶壁[ぜっぺき]が立[た]ちふさがっていた。♠〈目[め]のくらむばかり〉沈没[ちんぼつ]した難波船[なんぱせん]の中[なか]から出[で]てきたのは、なんと目[め]もくらむばかりの金塊[きんかい]の山[やま]だ。♠〈金[かね]に目[め]がくらむ〉わずかな金[かね]に目[め]がくらんだわたしは、自分[じぶん]の魂[たましい]を悪魔[あくま]に売[う]り渡[わた]したようなものだ。♠〈欲[よく]に目[め]がくらむ〉欲[よく]に目[め]がくらんだあげく、ギャンブルで有[あ]り金[がね]を失[うしな]ったという話[はなし]はよく耳[みみ]にします。 **くらやみ【暗やみ】**(暗闇)○暗[くら]い所[ところ]。やみ。[文例]〈暗[くら]やみに包[つつ]まれる「つるべ落[お]とし」と言[い]われる秋[あき]の日[ひ]が沈[しず]むと、急[きゅう]にあたり一面[いちめん]は暗[くら]やみに包[つつ]まれた。♠突然[とつぜん]の停電[ていでん]で、懐中[かいちゅう]電灯[でんとう]はどこだったかと、手探[てさぐ]りで暗[くら]やみの中[なか]を探[さが]した。♠〈暗[くら]やみに消[き]える〉元気[げんき]よく手[て]を振[ふ]りながら、男[おとこ]は夜[よる]の暗[くら]やみに消[き]えていった。♠〈暗[くら]やみに紛[まぎ]れる>昼間[ひるま]では人目[ひとめ]につくから、夜[よる]を待[ま]ち、暗[くら]やみに紛[まぎ]れて脱出[だっしゅつ]することにしよう。 **くりあ・げる【繰り上げる】**○順々[じゅんじゅん]に上位[じょうい]に送[おく]る。予定[よてい]の日時[にちじ]を早[はや]める。[文例]〈けたを繰[く]り上[あ]げる〉ほら、この計算[けいさん]、繰[く]り上[あ]げるのを忘[わす]れているよ。♠〈時刻[じこく]を繰[く]り上[あ]げる〉出席者[しゅっせきしゃ]が全員[ぜんいん]そろったので、予定[よてい]の時刻[じこく]を繰[く]り上[あ]げて会議[かいぎ]を始[はじ]めることにした。♠〈日程[にってい]を繰[く]り上[あ]げる〉事故[じこ]のため旅行[りょこう]の日程[にってい]を一日[いちにち]繰[く]り上[あ]げて帰[かえ]りました。♠〈合格者[ごうかくしゃ]を繰[く]り上[あ]げる〉入学[にゅうがく]を辞退[じたい]する生徒[せいと]が多[おお]かったので、補欠[ほけつ]の生徒[せいと]を繰[く]り上[あ]げて合格[ごうかく]通知[つうち]を出[だ]した。 **クリーム**○牛乳[ぎゅうにゅう]からとった薄[うす]黄色[きいろ]の食品[しょくひん]。それに形状[けいじょう]の似[に]た化粧品[けしょうひん]。「クリーム」状[じょう]のもの。「クリーム」色[いろ]。[文例]〈クリームを入[い]れる〉わたしは、コーヒーにクリームをたっぷり入[い]れて飲[の]むのが好[す]きだ。♠鏡台[きょうだい]の前[まえ]には、化粧水[けしょうすい]やクリームのびんが、きちんと並[なら]べてある。♠〈クリームをつけ>るお父[とう]さんの茶色[ちゃいろ]の靴[くつ]に黒[くろ]のクリームをつけたのはだれ?♠〈クリーム色[いろ]〉ここから見[み]えるクリーム色[いろ]の建物[たてもの]が中学校[ちゅうがっこう]です。♠〈ソフトクリーム〉ソフトクリームは、こうちゃんの大好物[だいこうぶつ]です。 **くりかえ・す【繰り返す】**○同[おな]じことを何度[なんど]もする。反復[はんぷく]する。[文例]〈爆発[ばくはつ]を繰[く]り返[かえ]す〉人々[ひとびと]の不安[ふあん]をよそに火山[かざん]は爆発[ばくはつ]を繰[く]り返[かえ]した。♠〈表現[ひょうげん]を繰[く]り返[かえ]す〉ひとつの表現[ひょうげん]を繰[く]り返[かえ]すと印象[いんしょう]を強[つよ]める効果[こうか]がある。♠〈反抗[はんこう]を繰[く]り返[かえ]す>子供[こども]は反抗[はんこう]を繰[く]り返[かえ]しながら成長[せいちょう]していくものです。♠〈失敗[しっぱい]を繰[く]り返[かえ]す>赤毛[あかげ]の少女[しょうじょ]アンは、数々[かずかず]の失敗[しっぱい]を繰[く]り返[かえ]しながら大人[おとな]になっていく。♠〈世代[せだい]を繰[く]り返[かえ]す>ゴキブリが一年[いちねん]中[じゅう]世代[せだい]を繰[く]り返[かえ]しながら繁殖[はんしょく]していくのには驚[おどろ]かされる。♠〈実験[じっけん]を繰[く]り返[かえ]す〉一[いち]か月[げつ]前[まえ]からわたしたちはモルモットを使[つか]って実験[じっけん]を繰[く]り返[かえ]している。♠〈過[あやま]ちを繰[く]り返[かえ]す>世界[せかい]で唯一[ゆいいつ]の被爆国[ひばくくに]として、二度[にど]と同[おな]じ過[あやま]ちを繰[く]り返[かえ]してはならないと思[おも]う。♠〈繰[く]り返[かえ]し読[よ]む〉この詩[し]はリズムに特徴[とくちょう]があるので、声[こえ]に出[だ]して繰[く]り返[かえ]し読[よ]んでみましょう。 **くりごと【繰り言】**○くどくどと繰[く]り返[かえ]して言[い]う言葉[ことば]。ぐち。[文例]〈年寄[としより]の繰[く]り言[ごと]>口[くち]に出[だ]せばどうしても年寄[としより]の繰[く]り言[ごと]になるから、娘[むすめ]のことはもう何[なに]も言[い]わないことにした。♠〈繰[く]り言[ごと]を聞[き]かされる〉毎日[まいにち]しゅうとの繰[く]り言[ごと]を聞[き]かされる身[み]にもなってほしいものだ。♠〈繰[く]り言[ごと]を言[い]う〉桂屋[かつらや]の女房[にょうぼう]はいつも繰[く]り言[ごと]を言[い]って泣[な]いたあとで出[で]る疲[つか]れが出[で]て、ぐっすり寝入[ねい]った。(森鷗外[もりおうがい]「最後[さいご]の一句[いっく]」) **くりこ・む【繰り込む】**○どんどん入[はい]り込[こ]ませる。次々[つぎつぎ]に入[はい]り込[こ]む。組[く]み入[い]れる。[文例]一杯機嫌[いっぱいきげん]の町内[ちょうない]の若[わか]い衆[しゅう]がどっと店[みせ]へ繰[く]り込[こ]んできた。♠〈スケジュールに繰[く]り込[こ]む〉今度[こんど]の旅行[りょこう]では、こけし博物館[はくぶつかん]の見学[けんがく]もスケジュールに繰[く]り込[こ]んでほしい。 **くりだ・す【繰り出す】**○たぐって引[ひ]き出[だ]す。勢[いきお]いよく送[おく]り出[だ]す。順々[じゅんじゅん]に送[おく]り出[だ]す。突[つ]き出[だ]す。大勢[おおぜい]で出[で]かける。[文例]〈糸[いと]を繰[く]り出[だ]す〉祖母[そぼ]は縁側[えんがわ]で、毛糸玉[けいとだま]から糸[いと]を繰[く]り出[だ]しては、なにやら編[あ]み続[つづ]けている。♠〈軍勢[ぐんぜい]を繰[く]り出[だ]す〉この戦況[せんきょう]では、応援[おうえん]の軍勢[ぐんぜい]を繰[く]り出[だ]しても、もはや勝[か]ち目[め]はないだろう。♠〈パンチを繰[く]り出[だ]す〉相手[あいて]がパンチを繰[く]り出[だ]そうと身構[みがま]えているところへ、わたし のストレートが飛[と]びこんだ。♠〈みこしを繰[く]り出[だ]す>夏祭[なつまつ]りには、何台[なんだい]ものみこしを繰[く]り出[だ]す。♠〈花見[はなみ]に繰[く]り出[だ]す〉うちの会社[かいしゃ]では、毎年[まいとし]全員[ぜんいん]でどっと花見[はなみ]に繰[く]り出[だ]し、夜桜[よざくら]を楽[たの]しむ。 **くりぬく(刳り貫く)**○えぐって中身[なかみ]を抜[ぬ]き出[だ]す。[文例]〈木[き]をくりぬく>丸木舟[まるきぶね]は、一本[いっぽん]の木[き]をくりぬいて作[つく]ります。♠〈目玉[めだま]をくりぬく〉目玉[めだま]をくりぬくという残酷[ざんこく]な刑[けい]もあったらしい。 <306> **くりのべ**【繰り延べ】○順々に先へ延ばすこと。延期。[文例]〈繰り延べになる〉台風で、運動会は来週に繰り延べになりました。♠〈式の繰り延べ〉父が急に入院したため、結婚式の繰り延べも考えています。 **くりひろ・げる**【繰り広げる】○順々に広げる。展開する。[文例]〈絵巻を繰り広げる〉目の前に華やかな宮廷貴族の絵巻が繰り広げられていた。♠〈熱戦を繰り広げる〉八月になると、甲子園[こうしえん]を舞台に高校野球の熱戦が繰り広げられます。♠〈世界を繰り広げる〉上田秋成[うえだあきなり]は読本[よみほん]を著[あらわ]して、浮世草子[うきよぞうし]とは異なった世界を繰り広げた。 **くりょ**【苦慮】○頭を悩ますこと。苦心して考えること。[文例]〈苦慮する〉わたしが今いちばん苦慮しているのは、部下の引責問題だ。♠〈対策に苦慮する〉台風で道路が寸断されてしまい、町では対策に苦慮している。 **くる**【来る】○こちらへ近づく。時が近づく。生じる。起因する。由来する。達する。[文例]彼は待ち合わせを約束しておきながら、とうとう来なかった。♠〈来る早々〉彼は、来る早々から帰り支度をするほどのせっかちだ。♠〈バスが来る〉さあ、バスが来たぞ。危ないからもっと下がりなさい。♠〈年賀状が来る〉今年は年賀状が五十枚も来た。♠〈正月が来る〉あと三日でお正月が来る。♠〈あらしが来る〉この雲行きでは、きっとあらしが来るから、しっかり備えをしよう。♠〈不況が来る〉このお金は、不況が来たときの備えとして、銀行に預けておきましょう。♠〈チャンスが来る〉こんなチャンスは二度と来ないから、しっかりつかんで離さないように。♠〈時間が来る〉時間が来たので、ちょっと失礼して薬を飲ませていただきます。♠〈来るべきものが来る〉わたしは、召集[しょうしゅう]令状を受け取ったとき、来るべきものが来たと覚悟[かくご]した。♠〈がたが来る〉この機械もすっかりがたが来て、そろそろおはらい箱だな。♠〈おつりが来る〉このコートはバーゲン品で、一万円でおつりが来るほど安かったのよ。♠〈土壇場に来る〉土壇場に来て、逆転ホームランが出た。♠〈〜から来る病気〉胃の病気には、精神的なものから来るものが多い。♠〈中国から来た思想〉儒教思想は、中国から来たもので、仏教とともに日本文化に大きな影響を与えた。♠〈ぴんと来る〉彼は鈍いから、皮肉を言ってもぴんと来ないらしいよ。♠〈頭に来る〉もう頭に来た、今度という今度は絶対に許さないからね。♠〈行く年来る年〉おおみそかには、除夜の鐘を聞きながら、行く年来る年に思いをはせる。♠〈来る日も来る日も〉娘は、戦場へおもむいた恋人の帰りを、来る日も来る日もただひたすらに待ちつづけた。♠〈行ったり来たり〉兄は、考え事をするときは、部屋の中を行ったり来たりする癖[くせ]がある。♠〈そうこなくちゃ〉では、一杯飲みに行きましょうか。…そうこなくちゃ面白くない。♠〈〜ときたら〉うちの女房ときたら、外出ばかりして、めったに家にいやしない。♠〈〜してくる〉しまった、家に宿題の提出物を置いてきちまった。♠〈〜してくる〉マラソンでは、どんなにスタミナのある選手でも、三十キロあたりで、疲れてくるそうだ。♠〈〜してくる〉ずうっと、あなたのことを待ちつづけてきたのよ。 **く・る**【繰る】○たぐって引き出す。順々に引き出す。次々にめくる。[文例]〈糸を繰る〉昔、この村の娘たちは心を込めて糸を繰り、織りあげたものを恋人に贈ったのだそうです。♠〈数珠[じゅず]を繰る〉本堂の中では、信者たちが数珠を繰りながら一心に念仏を唱えている。♠〈雨戸を繰る〉雨戸を繰ると、明るい夏の日ざしがさっと部屋の中に差しこんできた。♠〈ページを繰る〉アルバムのページを順に繰っていくと、なつかしい修学旅行の写真がでてきた。♠〈日を繰る〉わたしは、頭の中で日を繰って、ホテルのロビーで彼を見かけたのはいつだったか思い出そうとした。 **くるい**【狂い】○くるうこと。正常に機能しないこと。[文例]〈狂いが少ない〉ヒノキ材は、年代を経ると風格が増し、粘[ねば]り強くて狂いが少なく、腐[くさ]りにくいという特質をもっている。♠〈一分の狂い〉一分の狂いがあってもアーチ橋は完結せず、一瞬のうちに崩壊[ほうかい]するのだ。♠〈狂いが生じる〉時計に狂いが生じたのは、電池が切れてきたせいにちがいない。♠〈目に狂いがない〉長年勤めあげた老刑事の目に狂いはなかった。♠〈死に物狂い〉遊び好きだった彼も、今は妻子を養うために死に物狂いで働いているそうだ。 **くる・う**【狂う】 ○理性を失う。気がちがう。正常でなくなる。正常に機能しなくなる。進行が乱れる。見込みが外れる。それる。異常に熱中する。[文例]〈気が狂う〉一瞬[いっしゅん]、ぼくは、きみが気が狂ったのではないかと思った。♠〈狂ったように〉犬が狂ったようにほえるので、何事があったかと表に飛び出した。♠〈狂った世の中〉白昼、銃弾[じゅうだん]が飛びかうような狂った世の中にはしたくない。♠〈時計が狂う〉時計が狂ってしまって、正確な時間が分からない。♠〈季節感が狂う〉近ごろは、一年じゅう同じような野菜が出回っているので、季節感が狂ってしまう。♠〈順序が狂う〉物事は、なんでも一つ順序が狂うと、後が大変だ。♠〈あてが狂う〉せっかく予定していたのに、あてが狂って残念だ。♠〈調子が狂う〉あいつが変なことばかり言うから、すっかり調子が狂っちゃったよ。♠〈ギャンブルに狂う〉彼は一時期、ギャンブルに狂っていたが、今ではすっかり立ち直った。♠〈荒れ狂う〉外は吹雪が荒れ狂っているから、この小屋でじっとしているほうがいい。 **グループ** ○仲間。集団。組。[文例]〈グループになる〉このゲームは、四人でグループになって行います。♠〈グループを作る〉男たちは数人でグループを作り、風のように来て、風のように去ったという。♠〈グループを組む〉修学旅行で外出するときは、二、三人でグループを組んで行動しなさい。♠〈グループに分ける〉形容詞と形容動詞は形がちがっても、働きが似ているので、同一のグループに分けることができる。♠〈グループにまとめる〉ことばは、その意味や働き、形態などから、いくつかのグループにまとめられることがある。♠〈グループに加わる〉「多摩[たま]の自然を守る会」というグループに加わりました。 **くるおし・い**【狂おしい】○気が狂いそうだ。[文例]〈狂おしい後悔〉不注意から流産したことを思うたびに、狂おしい後 <307> **ぐれつ** **くるし・い【苦しい】** ○苦痛を感じてつらい。困難だ。無理がある。[文例]すばらしい眺[なが]めだ、苦しかったけれど登ってよかったなあ。♠●〈胸が苦しい〉走り続けに走ってきたので、胸が苦しくなってしまった。♠◆〈苦しい生活〉苦しい生活に耐えて、けなげに生きていく主人公の姿に強く感動した。♠◆〈苦しい言い訳〉クラブの練習を休んだ理由を聞かれて、苦しい言い訳をした。♠●〈苦しい立場〉信頼[しんらい]していた友達に裏切られて、ぼくは苦しい立場に立たされた。♠●〈苦しい時の神頼み〉こうなったら、苦しい時の神頼[かみだの]みで、神さまにでも仏さまにでもすがりたい。 **くるしまぎれ【苦し紛れ】** ○苦しさのあまりにすること。[文例]痛みに耐えられなくて、苦し紛れに胸をかきむしった。♠●追及があまりにも厳しかったので、苦し紛れにうそをついてしまった。♠●〈苦し紛れの言いのがれ〉おまえの苦し紛れの言いのがれなんて聞きたくもない。 **くるしみ【苦しみ】** ○苦しむこと。つらいこと。[文例]〈苦しみがある〉心配事や苦しみがあると、人はついいらいらして当たり散らしたりする。♠●〈苦しみに耐える〉彼女は強い精神力で、あらゆる苦しみに耐えてきた。♠●〈苦しみを味わう〉戦争中は、多くの人々が飢えの苦しみを味わった。♠●〈苦しみをなめる〉世の中の苦しみをさんざんなめてきた人だけあって、どこか人間に味がある。♠●〈産みの苦しみ〉計画をたてる時に悩むことがあるが、それも、いわば産みの苦しみで、新しい事業にはつきものだ。♠●〈塗炭の苦しみ〉幼[おさな]くして両親を失った少年は、塗炭[とたん]の苦しみを味わいながら成長したのです。 **くるし・む【苦しむ】** ○苦痛を感じる。つらいと思う。悩む。困難な状態にある。苦労する。[文例]〈生活に苦しむ〉この作品には、生活に苦しみながら文学に打ち込んだ作者の様子がよく表れている。♠●〈病気に苦しむ〉水俣病[みなまたびよう]という恐ろしい病気に苦しむ人々を、克明[こくめい]に記録したのが本書です。♠●〈重税に苦しむ〉農民たちの中には、重税に苦しんだあげく村を捨てる者もいた。♠●〈後悔に苦しむ〉自分の浅はかな行為が与えた影響[えいきよう]を考えると、後悔[こうかい]に苦しむ。♠●〈現実との隔たりに苦しむ〉夢[ゆめ]を追う青春時代は、現実との隔たりに苦しむことも多い。♠◆〈判断に苦しむ〉相手がぼくをどう思っているのか、気があるのかどうか判断に苦しんでいる。♠◆〈理解に苦しむ〉きみの言動は、理解に苦しむことばかりだ。 **くるし・める【苦しめる】** ○苦しくさせる。苦しませる。困らせる。悩ませる。[文例]〈心を苦しめる〉ひきょうな手で勝ったという思いがぼくの心を苦しめた。♠●〈わが身を苦しめる〉これらの行者[ぎようじや]は、われとわが身を苦しめることによって、悟[さと]りの境地に入れると信じていた。♠●〈飢きんに苦しめられる〉度重なる飢饉に苦しめられ、多くの農民が土地を捨てた。♠●〈親を苦しめる〉わたしも、若いころはむちゃなことをして、ずいぶん親を苦しめましたよ。 **くるま【車】** ○心棒を中心にして回転する輪。車輪。自動車。[文例]〈車のついた荷車〉大きな車のついた荷車が、暑さの中をゆっくり通っていった。♠●〈車に乗る〉道がよくわからないけど、荷物が多いから車に乗って行こう。♠●〈車を拾う〉遅刻[ちこく]しそうなので、通りかかった車を拾い、学校へ急いだ。♠◆〈車で行く〉通勤時間帯は、車で行くより歩いたほうが早い。♠●〈車を飛ばす〉新聞記者は、車を飛ばして事故現場に駆けつけた。♠●〈車を買う〉新しい車買ったんだってね。♠●〈車の両輪〉ピッチャーとキャッチャーは、言ってみれば車の両輪のようなものだ。♠●〈火の車〉父が失業したので、わが家の台所は火の車だ。 **くるま・る(包まる)** ○すっぽり包まれる。[文例]〈布団にくるまる〉男は部屋に入ると、そのまま、敷きっぱなしの布団[ふとん]にくるまって寝入った。♠●〈オーバーにくるまる〉今晩の冷え込みは一段と厳しく、みんなオーバーにくるまって肩をすぼめて歩いている。 **くる・む** ○すっぽり包む。[文例]〈タオルでくるむ〉乳母車[うばぐるま]の中には、赤ちゃんがタオルでくるまれてすやすや眠っていた。♠●〈布でくるむ〉寒冷地では、水道のじゃ口の回りを布でくるんで凍結[とうけつ]を防ぐ。♠◆〈紙にくるむ〉小さいころは、お隣[となり]のおばちゃんがよく紙にくるんだおやつをくれたものだ。♠◆〈肩をくるむ〉風邪[かぜ]をひいてぞくぞくしたので、毛布で肩の回りをくるんで寝た。♠●〈あんをくるむ〉おいしいあんをくるんだ和菓子を食べながら、話がはずんだ。 **くるわし・い【狂わしい】** ○くるおしい **くれ【暮れ】** ○暮れること。日・季節・年などの終わり。[文例]〈日の暮れ〉日の暮れに一人で野原を通ると、なんだかきつねにでもばかされそうな気持ちになる。♠●〈年の暮れ〉その年の暮れに、彼はヨーロッパ留学へと旅立った。♠●〈秋の暮れ〉すすきが寂しくゆれているだけの、野の秋の暮れです。♠●〈暮れがおしつまる〉暮れもおしつまった十二月二十九日、桜島[さくらじま]が突然噴火[とつぜんふんか]した。♠●〈盆暮れ〉お世話になった人には、盆暮れのあいさつを忘れないようにしています。 **クレーム** ○苦情。抗議。[文例]〈クレームがつく・をつける〉市営プールの監視員[かんしいん]が女子生徒に声をかけて誘[さそ]おうとするので困る、と父兄からクレームがついた。 **くれぐれも(呉呉も)** ○念を入れるさま。かえすがえす。くりかえし。[文例]この件に関しては、くれぐれも他言せぬように言われました。♠◆時間も遅いことですから、くれぐれも気をつけてお帰りください。♠●父がくれぐれもよろしくと申しておりました。 **ぐれつ【愚劣】** ○おろかで、いやしいさま。くだらないさま。下劣。卑劣。[文例]〈愚劣なやつ〉金のためなら何でもやるのか。なんて愚劣なやつだ。♠●〈愚劣な記事〉どの週刊誌を取ってみても、愚劣な記事ばかりが目につく、と父はおこっている。♠●〈愚劣な行為〉人をわなにはめるような愚劣な行為はするな。♠●〈愚劣に思う〉恩をあだで返そうとしている自分が、だんだん愚劣に思えてきた。♠●〈愚劣にも〉わたしは愚劣にも、子供たちをだまして、小遣いをまきあげようとしていた。 <308> **くれない** **くれない【紅】** ○ベニバナ。ベニバナで染めたような鮮やかな赤。[文例]〈紅に染める〉夕焼けが空を紅に染めるころ、鳥たちもねぐらに帰ります。♠●〈紅を散らす〉秋も深まり、山の木々は一面に紅を散らしている。♠●くれなゐの二尺伸[の]びたるばらの芽の針やはらかに春雨のふる(正岡子規) **くれなず・む【暮れなずむ】(暮れ泥む)** ○暮れそうでいて、なかなか暮れない。[文例]暮れなずむ夕日を見つめながら、老人は少年の日に思いをはせた。♠●辺りに暮色[ぼしよく]が迫[せま]っていたが、西の海だけが暮れなずんでいた。 **くれる【暮れる】** ○日が沈んで暗くなる。日・季節・年などが終わりになる。暗い気持ちに陥る。どうしたらよいか分からなくなる。[文例]〈日が暮れる〉わたしたちが別荘[べつそう]のある湖についた時は、もう日は暮れていた。♠●〈〜に明け〜に暮れる〉今日は、雨に明け、雨に暮れたうっとうしい一日だった。♠●〈年が暮れる〉忙[いそが]しく仕事をしているうち、やがてその年も暮れ、新春を迎[むか]えた。♠●〈秋が暮れる〉収穫[しゅうかく]の喜びを味わうことのできた秋も深まり、いつしか暮れようとしていた。♠◆〈涙に暮れる〉息子[むすこ]を山で失った親は、毎日涙[なみだ]に暮れている。♠●〈途方にくれる〉山の中で道に迷ってしまい、すっかり途方[とほう]にくれてしまった。♠●〈思案にくれる〉さて、これからどうしたものかと思案にくれた。 **く・れる(呉れる)** ○相手が自分に物を与える。自分から相手に物を与える。相手が自分のために何かをする。[文例]〈物をくれる〉友人が海外旅行のみやげにといって、ネクタイをくれた。♠●〈金をくれる〉一生懸命[けんめい]働いたので、店の主人は約束[やくそく]の額より多くお金をくれた。♠●〈電話をくれる〉留学している兄がニューヨークから国際電話をくれた。♠●〈目もくれない〉裕福[ゆうふく]そうな一家は、マッチ売りの少女には目もくれないで、通り過ぎてしまった。♠●〈くれてやる〉長年使って愛着[あいちゃく]のあるものだけど、欲しけりゃくれてやるよ。♠●〈くれてやる〉こんな娘[むすめ]でも結婚[けつこん]したいと言うなら、くれてやろう。♠●〈与えてくれる〉若いときに読んだ名作は、一生忘れられない感動を与[あた]えてくれる。♠●〈〜してくれる〉この机は、祖父が残してくれたもので、今でもしっかりとしている。♠●〈〜てくれる〉クリスマスのプレゼントに、彼女がマフラーを編んでくれた。♠●〈〜てくれ〉あしたの朝は、六時に起こしてくれ。 **ぐ・れる** ○非行に走る。品行が乱れる。[文例]あいつも、いっときはぐれていたようだが、今は家業を継いでまじめにやっているらしい。 **くろ【黒】** ○墨などの色。容疑が濃いこと。[文例]黒と黄のまだら色の美しいチョウが、庭先の枝に羽根を休めた。♠◆〈白を黒と言いくるめる〉そんなへりくつをこねて、白を黒と言いくるめようとしてもだめだよ。♠●父の手ほどきで囲碁を始めたが、初心者だからといってぼくには黒しか持たせてくれない。♠●警察が黒と目星をつけた男は、どうやら海外に逃亡してしまったらしい。 **くろ・い【黒い】** ○黒色をしている。黒色に近い感じを与える。汚れている。不正・不吉な感じを与える。[文例]〈黒い服〉あなたには黒いレースのドレスがとても良く似合っている。♠●〈色が黒い〉娘は色の黒い、健康そのものの肉体をもっていた。♠●〈黒い顔〉息子は、夏休みの臨海学校から黒い顔をして帰ってきた。♠●〈黒い人間〉肌[はだ]の白い人間が黒い人間をむち打ち、征服してきた歴史に、激[はげ]しい怒[いか]りを感じた。♠●〈よごれて黒い〉お母さんは、子供たちが汚して黒くなった洋服の洗濯[せんたく]で、毎日忙[いそが]しい。♠●〈腹が黒い〉腹の黒い金貸しだったから、うらみに思う人も多かったろう。♠●〈目の黒いうちは〉わしの目の黒いうちは、おまえたちに勝手なことはさせないぞ。 **くろう【苦労】** ○苦しむこと。つらい目にあうこと。難儀すること。[文例]〈親の苦労〉「お母さんの苦労を考えたことがあるか。」と、兄にしかられた。♠●〈苦労をかける〉苦労をかけた両親に、なにかの形で恩返しをしたい。♠●〈苦労がない〉あの当時の何の苦労もない陽気な生活を、ぜひもう一度やってみたいものだ。♠●〈苦労を共にする〉部の活動で苦労を共にした仲間とは、卒業後もつきあいが続いた。♠●〈苦労が重なる〉母も、今までの苦労が重なって、体をこわしたんだと思います。♠〈苦労のかい〉苦労のかいがあって、目指す大学になんとか入学することができた。♠〈苦労が絶えない〉おまえたちのおかげで苦労が絶えないと、いつも担任の先生がこぼしている。♠〈苦労の種〉下[した]の子は心配ないのですが、上[うえ]の子のほうはわたしたちの苦労の種です。♠〈苦労が水の泡〉ここまできて計画を断念するんじゃ、せっかくの苦労が水の泡[あわ]だよ。♠●〈取り越し苦労〉ちょっとわたしが遅くなったぐらいで、大騒[さわ]ぎするなんて、お父さん、取り越し苦労よ。♠●〈苦労性〉きみみたいに苦労性だと、そのうち頭がはげてしまうよ。♠●〈苦労人〉大家さんは苦労人[にん]だから、こちらの気持ちをくんでくれた。 **くろうと【玄人】** ○その道に熟達した人。専門家。[文例]さすが玄人がつくった料理だけあって、見た目も味も抜群[ばつぐん]だ。♠◆彼女のお酒のつぎ方や受け方を見ていると、玄人としか思えないな。♠●〈玄人はだし〉父の魚のさばき方は玄人はだし、本職も顔負けです。 **くろぐろ【黒黒】** ○いかにも黒いさま。[文例]湖の向こうには、黒々と森林がつづいている。♠●〈黒々した髪〉彼女の黒々した髪は、華やかな振りそでにふさわしく結いあげてあった。♠●〈黒々と輝く〉少年の目は黒々と輝[かがや]いていた。♠〈墨黒々〉手紙は、巻紙に墨黒々と書かれてあった。 **くろず・む【黒ずむ】** ○黒っぽくなる。黒みをおびる。[文例]帆を張った漁船が四五艘[そう]、黒ずんだ藍色[あいいろ]の海を力強く走っていた。(志賀直哉「暗夜行路」)♠その森も同じ夕日を半分背中[せなか]に受けている。黒ずんだ蒼[あお]い葉と葉の間は染めた様に赤い。(夏目漱石「三四郎」) **くろぼし【黒星】** ○黒い星じるし。大相撲の負けの印。負け。失敗。[文例]〈黒星がつく〉表の中の黒星がついている数字は、前年度の資料によるものです。♠〈黒星を重ねる〉今場所、この力士は不調で、初日から黒星を重ねている。♠●〈黒星をつける〉この大臣は、老人問題で黒星をつけて更迭[こうてつ]された。♠●あの件についてはきみのほうが正しく、ぼくの完全な黒星だ。 <309> **くんかい** **くろまく【黒幕】** ○黒い幕。陰にいて人々を操る人。[文例]〈事件の黒幕〉警察では、今、事件の黒幕を極秘[ごくひ]に捜査[そうさ]しているところだ。♠今日の集まりを企画した黒幕は、本当はあいつなんだよ。 **くろやま【黒山】** ○人が群集する様子。[文例]〈黒山の人がり〉デパートの特売コーナーは黒山の人だかりだった。♠〈黒山の人垣〉ロケーションの現場には、まるで地からわいたように黒山の人垣[ひとがき]が築かれた。 **くわ(鍬)** ○柄の先に平たい鉄板をつけた、田畑を耕すための農具。[文例]〈くわをかつぐ〉夕方になると、ばあさまがくわをかついで畑から帰ってくる。♠●〈くわを下ろす〉タケノコを傷つけないように横をねらって、くわを振り下ろした。♠●〈くわを取る〉わしは、気が向いた時だけくわを取る楽隠居[らくいんきよ]の身分だ。♠●〈くわを入れる〉春ももうすぐだから、そろそろたんぼにくわを入れるか。♠◆〈くわ入れ〉市長のくわ入れで、公園に記念樹が植えられた。 **くわ・える【加える】** ○新たに付け足す。追加する。ほどこす。与える。足す。[文例]〈仲間に加える〉かくれんぼをするなら、ぼくも仲間に加えてよ。♠●〈水を加える〉煮つまったら水を加えながら、豆が煮上がるのをゆっくり待ちます。♠●〈改良を加える〉わが社の今年発表の新車には、車体の設計に独自の改良を加えてあります。♠●〈危害を加える〉うちの犬は、絶対に人間に危害を加えないようにしつけてある。♠◆〈説明を加える〉ゲームの進行に合わせて、解説者が説明を加えてくれるのでとても分かりやすい。♠●〈批判を加える〉自分と異なる意見に批判を加えることによって、自分の考えがいっそう明確になる。♠●〈風に加えて雨まで〉風に加えて雨まで降り出したので、慌てて家まで走って帰った。 **くわ・える(咥える・銜える・銜える)** ○口にはさんで支える。[文例]〈えさをくわえる〉母ギツネは、えさをくわえて巣にもどってきた。♠●〈パイプをくわえる〉絵かきは、パイプをくわえて、キャンバスに向かった。♠●〈指をくわえる〉みんなすてきなプレゼントをもらっているのに、ぼくだけは指をくわえて見ていた。♠●〈タバコをくわえる〉彼は、タバコをくわえながらしゃべるのが癖[くせ]なんだ。 **くわけ【区分け】** ○分けること。区分。[文例]〈荷物の区分け〉集められた小荷物[こづつみ]の区分けは、伝票についているコード番号によって行われる。♠●〈区分けする〉年末の郵便局では、年賀状を区分けするために、アルバイトを採用することが多い。 **くわし・い【詳しい】** ○細部に及んでいる。詳細である。よく知っている。[文例]〈詳しい記録〉アサガオが成長する様子を毎日観察して、詳しい記録をとった。♠●〈詳しい事情〉担当者がいないので、わたしには詳しい事情が分からない。♠●〈詳しく説明する〉もっと詳しく説明してくれないと分かりません。♠◇〈地理に詳しい〉奈良[なら]には長く住んでいたので地理に詳しいから、ぼくが案内してあげる。♠●〈花に詳しい〉おじいさんは花には詳しいから、植えかえの時期のことなら聞くといいよ。 **くわせもの【食わせ物・食わせ者】** ○外見だけで実質のともなわない人・物。[文例]あまりにも調子のいい話で、瞬間、こいつは食わせ物にちがいないと思った。♠●立派な身なりをしていたが、それがとんだ食わせ者で詐欺師だったというから驚く。 **くわ・せる【食わせる】(喰わせる)** ○食べさせる。養う。身に受けさせる。[文例]〈肉を食わせる〉けちけちしないで、おれにもそっちの上等な肉を食わせろ。♠●〈家族を食わせる〉おれの月給だけで、家族六人を食わせていくのは楽じゃない。♠●〈一杯食わせる〉あいつに一杯食わせて、困った顔を見てやろうよ。♠●〈ひじ鉄砲を食わせる〉街で声をかけてきた男にひじ鉄砲を食わせてやったわ。♠●〈げんこつを食わせる〉弟のくせにあんまり生意気だから、げんこつを食わせてやった。 **くわだて【企て】** ○くわだてること。もくろみ。計画。[文例]〈征服の企て〉ナポレオンのヨーロッパ征服の企ては失敗に終わった。♠●〈企てが発覚する〉国王を殺害しようとする企てが発覚[はつかく]した。♠〈悪い企て〉そんな悪い企てに小さい子を引き込んではいけない。 **くわだ・てる【企てる】** ○計画する。たくらむ。もくろむ。[文例]〈陰謀を企てる〉国王殺害の陰謀[いんぼう]を企てたというかどで、第二王子が処刑[しよけい]された。♠●〈悪ふざけを企てる〉畑のスイカに人の顔をかいたりして、こんな悪ふざけを企てたのはあの小僧[こぞう]にちがいない。♠●〈家出を企てる〉仲間と相談して家出を企てた少女たちが警察に保護された。♠●〈乗っ取りを企てる〉会社の乗っ取りを企てたが、情報がもれて失敗に終わった。♠●〈征服を企てる〉皇帝となったナポレオンは、ロシア征服を企てるが、失敗に終わった。 **くわわ・る【加わる】** ○新たに付け足される。追加される。仲間に入る。[文例]〈寒さが加わる〉日ましに寒さが加わって、ストーブの恋[こい]しい季節になった。♠●〈要素が加わる〉ノンフィクションは、事実を述べているほかに、物語的な要素も加わっておもしろい。♠◆〈チームに加わる〉春から、成人野球チームに加わって活躍[かつやく]しています。♠●〈一行に加わる〉視察団の一行[いつこう]に加わって見てきた施設[しせつ]の現状を、報告書にまとめあげた。♠●〈同志に加わる〉彼が同志に加わってくれたら、われわれも百人力だ。♠●〈話に加わる〉お母さんが話に加わると、まとまる話もまとまらなくなるよ。 **ぐん【群】** ○群れ。集まり。集団。[文例]〈群をなす〉民衆は、群をなして大統領官邸に押しかけた。♠●〈群を抜く〉彼女の頭の良さは、校内でも群を抜いている。♠●〈流氷群〉年が明けるとまもなく、港は北からの流氷群によって閉ざされてしまいます。 **ぐん【軍】** ○軍隊。[文例]〈平家の軍〉義仲[よしなか]はくりから峠、篠原[しのはら]など、北陸各地で平家の軍を破って、京都に迫[せま]った。♠●〈軍の指揮下〉戒厳令[かいげんれい]下では、市民は軍の指揮に従わなければならない。 **くんかい【訓戒】(訓誡)** ○教えさとし、いましめること。[文例]今回は訓戒の処罰[しよばつ]ですますが、これ以上無断欠勤を続けるなら、免職も覚悟したまえ。♠●〈訓戒する〉生活指導の教師は、校則違反の服装で登校した生徒を一室に集め、校則を守るよう厳しく訓戒した。 <310> **くんこう** **くんじ【訓辞】** ○さとし、いましめる言葉。[文例]〈先生の訓辞〉講堂では、入学生を前に校長先生の訓辞がまだ続いている。 **くんじ【訓示】** ○教え示すこと。[文例]〈訓示を与える〉新しく配属された士官に対して、司令官は訓示を与えた。♠●〈訓示する〉入所式において、所長はわかりやすい内容で訓示し **ぐんじ【軍事】** ○軍隊・国防・戦争などに関する事柄。[文例]〈軍事上の秘密〉スパイたちは、他国の軍事上の秘密をねらって日夜暗躍する。♠●〈軍事的〉今日の科学技術の進歩は、軍事的利用の必要性によって推し進められるという面がある。♠●〈軍事同盟〉両国の友好条約は、実は第三国に対する軍事同盟を意味した。 **くんしゅ【君主】** ○国を統治する者。[文例]封建制度は、君主が諸侯と主従関係を結び、領土を分け与え、各自領内の政治を行わせた制度である。♠●現在島を治めている君主は、この国を建国した王様の孫にあたる。 **ぐんしゅう【群衆】** ○人々の群れ。群がり集まった人々。[文例]〈群衆に訴える〉男は台の上から群衆に向かって、何かをさかんに訴[うつた]えている。♠●〈群衆が集まる〉火事現場には、いつの間にか大勢の群衆が集まってきた。♠●〈群衆にまぎれる〉警官に追われた犯人は、群衆にまぎれて逃走しました。♠●〈群衆をかき分ける〉何とか列車に乗り込もうと、群衆をかき分けて進んだ。♠●〈群衆に交じる〉祭りの群衆に交[まじ]って、ぼくたちも行列を見物しました。 **ぐんしゅう【群集】** ○群がり集まること。また、その集団。[文例]〈イナゴの群集〉付近一帯の畑にイナゴが群集していた。♠●〈群集する〉野犬たちが山の反対側に群集しはじめていた。♠●〈群集心理〉冷静な気持ちをもって判断し、群集心理に左右されないようにしたいものだ。 **くんしょう【勲章】** ○勲功に対して与えられる記章。働きや功績をしのぶよすが。[文例]〈勲章を授与する〉祖父が大事にしているものは、国から授与された勲章である。♠●〈文化勲章〉明日、今年度の文化勲章の受賞者が発表される。♠●敵のシュートを身を挺[てい]して防ぎ、チームのピンチを救った時のけがですから、これはぼくにとっての勲章です。 **ぐんしょう【群小】** ○多くの小さなもの。多くのつまらない者。[文例]〈群小国家〉両大国の軍拡競争が激化[げきか]する中で、周辺の群小国家は、独自の平和戦略をとっていた。♠●〈群小詩人〉わたしなどは群小詩人のはしくれですから、とても詩の歴史に名を残すことなど考えられません。 **くんずほぐれつ** ○組み合ったり離れたり。くんづほぐれつ。[文例]〈くんずほぐれつのけんか〉言い争いがこうじてつかみ合いとなり、さてはくんずほぐれつのけんかとなった。♠●舞台では、泥んこの中で若い女がくんずほぐれつ格闘するショーが始まっていた。 **ぐんせい【群生】** ○群れをなして、生育・生活すること。[文例]〈群生する〉散歩の途中で、珍しいカタクリの花が群生している場所を見つけました。♠●〈群生地〉この山の一角には、太くてやわらかいわらびの群生地がある。 **ぐんたい【軍隊】** ○軍人・兵士を編制した集団。[文例]〈軍隊に取られる〉戦争で国じゅうの男たちが軍隊に取られていった。♠〈軍隊に入る〉ジョーは、軍隊に入っていたから、オキナワやミサワの基地にいたことがある。 **くんづほぐれつ** ○くんずほぐれつ **ぐんと** ○一段と度合いを増すさま。力をこめるさま。[文例]〈ぐんと広げる〉タカは羽をぐんと広げ、二、三度羽ばたいた。♠●〈ぐんと下げる〉機首をぐんと下げたまま、飛行機は急降下していきます。♠●〈ぐんと伸びる〉厳しいトレーニングを積んだかいがあって、記録がぐんと伸びた。♠●〈ぐんと明るくなる〉部屋の明かりを蛍光灯にかえたら、部屋がぐんと明るくなりました。♠●〈ぐんとふくらむ〉はてしなく広がる海を見ると、わたしの胸は希望でぐんとふくらんでくるのだ。♠●〈ぐんと引き立つ〉スタイルのいい人が着ると、ドレスもぐんと引き立ちます。 **くんとう【薫陶】** ○徳をもって人を教育すること。[文例]〈薫陶を得る〉先生の薫陶よろしきを得て、長男は立派に成長いたしました。♠●〈薫陶を受ける〉すぐれた指導者の薫陶を受けることは、子供の人格形成にとって望ましいことです。♠●〈薫陶のたまもの〉あの子が一人前になれましたのは、先生の御薫陶のたまものでございます。 **ぐんばい【軍配】** ○いくさの指揮をとる大将や相撲の行司が持つうちわ形の道具。[文例]〈軍配を返す〉行司が軍配を返すと同時に、あっけなく勝負が決まった。♠●〈軍配を上げる〉作品の出来ばえでは、残念ながら相手に軍配を上げざるを得ないようだ。 **ぐんび【軍備】** ○戦争に対する備え。[文例]わたしには、平和を守るために軍備が必要だという考え方が理解できません。♠●〈軍備の縮小〉世界中の人々の間で軍備の縮小が叫[さけ]ばれている。 **くんぷう【薫風】** ○若葉の香りを運ぶ初夏の風。[文例]五月の薫風に誘[さそ]われピクニックに出かけた。♠●少女は、薫風に長い髪をなびかせながら、海岸への坂道を足取りも軽く下りてくる。 **ぐんゆうかっきょ【群雄割拠】** ○多くの英雄がそれぞれの根拠地で勢力を振るうこと。[文例]〈群雄割拠する〉世はまさに戦国の群雄割拠する時代だったのです。♠●〈群雄割拠の様相〉この選挙区は、次期首相を目ざす候補、野党の党首、前県知事などの実力者がいて、群雄割拠の様相を呈している。 <311> **けいい** **けい【計】** ○はかりごと。計画。合計。[文例]〈一年の計は元旦にあり〉「一年の計は元旦[がんたん]にあり」、初もうでから帰ったら今年の計画を立てよう。♠●〈百年の計〉今こそ、国家百年の計を立てるべき時である。♠●ブラウスが三千円帽子が二千円で、計五千円いただきます。 **けい【刑】** ○罰を与えること。しおき。刑罰。[文例]〈重い刑〉無期懲役は死刑に次ぐ重い刑だ。♠●〈刑の執行〉捕虜[ほりよ]に対する刑の執行[しつこう]は、明日の早朝に行われる予定だ。♠●〈刑に服する〉彼は、刑務所で懲役五年の刑に服しています。♠〈刑に処する〉禁を犯した者ははりつけの刑に処す、と王様は宣言した。 **げい【芸】** ○わざ。技能。[文例]〈芸をしこむ〉動物に芸をしこむには、根気と愛情が必要でしょう。♠〈芸がある・ない〉わたしは、何の芸もない、退屈[たいくつ]でつまらない人間です。♠●〈芸は身を助ける〉「芸は身を助ける」というが、おばは、若いころ習ったお花を教えて生活している。♠●〈芸を身につける〉何かひとつ芸を身につけようと思っても、並[なみ]たいていの努力ではものにはならないよ。♠●〈芸をみがく〉「芸をみがい て出直してこい。」と、師匠[ししよう]は厳しい言葉を投げつけた。♠●〈芸を極める〉芸を極めた名人の話というものは、別の世界に住む人にも訴える力をもっている。♠●〈芸が細かい〉この選手は試合中、何度も芸の細かい技を見せてくれる。♠●〈芸がない〉生徒の作品を展示するだけの文化祭では、あまりにも芸がないね。♠●〈芸達者〉うちのクラスは芸達者が多くて、クラス会の余興はとても楽しかった。 **けいあい【敬愛】** ○うやまい愛すること。尊敬と親愛。[文例]〈敬愛の念〉優しく誠実な先輩に対して敬愛の念を抱[いだ]いています。♠●〈敬愛を集める〉神父は、おだやかなものごしとやさしい表情で、近所の人々の敬愛を集めている。♠●〈敬愛する〉中学の時の中田先生を、何でも相談のできる兄のような存在として敬愛しています。 **けいい【敬意】** ○敬う心。尊敬の念。[文例]〈敬意を表する〉小早川[こばやかわ]先生に敬意を表し、花束[はなたば]を贈呈[ぞうてい]いたします。♠●〈敬意を表す〉「貴様」という言葉は、もともとは、敬意を表す言葉だったそうだ。♠●〈敬意を払う〉人生の荒波[あらなみ]を渡[わた]ってきた老人には敬意を払うべきだ。♠●〈敬意を抱く〉親しい友達同士ではあるが、お互[たが]いに敬意を抱いている。♠●〈敬意をこめる〉年上の人には、敬意をこめた接し方をするのが日本人社会の常識である。♠●〈敬意を含む〉ていねい語の中には、相手に対する敬意も含まれています。 **けいい【経緯】** ○織物の縦糸と横糸。物事のいきさつ。[文例]中西さんがこのスキー場の雪の女王に選ばれるまでの経緯を説明しましょう。 <312> **けいい【経緯】** ○(たていととよこいと)。物事のいきさつ。複雑な事情。[文例]〈これまでの経緯〉中西さんがこのスキー場の雪の女王に選ばれるまでの経緯を説明しましょう。♠●〈細[こま]かな経緯〉いずれは今回の出来事の細かな経緯を、子供たちにも話さなければなるまい。♠●〈事件の経緯>新しい目撃者と証拠[しようこ]の品が発見されたことで、事件の経緯が明らかになるだろう。 **けいえい【経営】** ○方針を定めて物事を行うこと。事業を営むこと。[文例]〈会社の経営〉彼は、当時、会社の経営が思わしくなく、悩んでいたらしい。♠◆◇経営が行きづまる不景気になると、経営が行きづまり、倒産する会社が多くなる。♠◆〈経営する〉アメリカには、一千ヘクタールという広大な農場を経営する農家もあるそうです。 **けいえん【敬遠】** ○表向きは敬ったように見せて避けること。意識的に避けること。[文例]〈敬遠する〉わたしは、虫好きですが、ゴキブリだけはさすがに敬遠しています。♠●へ敬遠する>菅原道真[すがわらのみちざね]は、中央政界から敬遠され、大宰府[だざいふ]に左遷[させん]されてしまった。♠ヘバッターを敬遠する〉ツーアウトランナー二塁という場面で、監督[かんとく]は、四番バッターを敬遠し、五番バッターと勝負するように指示しました。 **けいか【経過】** ○時間が過ぎていくこと。物事の進行や変化の様子。推移。[文例]〈経過が順調>手術後の経過は順調ですか?♠裁判の経過>実際の裁判の経過をテレビなどで中継[ちゅうけい]することは禁じられているらしい。♠●〈事件の経過>もう一度事件の経過を追って説明してください。♠●〈経過を見る〉もうしばらく経過を見てから、次の対策を考えることにしよう。♠●へ経過をたどる>封建[ほうけん]社会の動揺[どうよう]から明治維新[めいじいしん]までの経過をたどって年表にまとめてみた。♠●へ経過する〉試合が始まって一時間経過したが、両チームともまだ無得点である。 **けいが【慶賀】** ○喜び祝うこと。[文例]〈慶賀にたえない>先生がお元気で還暦[かんれき]を迎えられたことは、わたしたちにとって慶賀にたえません。♠●へ慶賀する>若い有能な女性がどんどん入社してくることは、わが社にとって慶賀すべきことである。 **けいかい【軽快】** ○軽やかで気持ちがよいさま。身軽ですばやいさま。[文例]〈軽快なリズム>軽快なサンバのリズムに乗って人々は踊り出し、カーニバルは最高潮に達した。♠〈軽快な足どり〉何かよいことがあったと見えて、彼女が軽快な足どりでこちらへやってくる。♠●〈軽快な動き〉新人の選手なのに、床[ゆか]運動で軽快な動きを見せて三位に入賞した。♠◆<軽快なテンポ〉ぼくはゆっくりした曲よりも軽快なテンポの曲のほうが好きだ。♠●〈軽快な服装[ふくそう]〉ハイキングに行くのなら、もう少し軽快な服装のほうがいいでしょう。♠●へ軽快に走る〉ハイウエーを真っ赤なスポーツカーが軽快に走って行く。 **けいかい【警戒】** ○万一に備えて用心すること。注意を払うこと。[文例]〈警戒する〉彼らは、よそ者のわたしを警戒しているようだ。♠●へ厳重な警戒>逃亡中の犯人が町内に入り込んだらしい。どの家も厳重な警戒が必要だ。♠●へ警戒をしく〉〈ものものしい警戒>首脳[しゆのう]会議を前にホワイトハウスの周辺は、ものものしい警戒がしかれた。♠●へ警戒を解[と]く〉相手はわたしの意図を理解したらしく、警戒を解いた。♠◆〈警戒心>ヤマネコは生まれつき警戒心が強い。♠●へ警戒警報>台風の上陸に伴[ともな]って、九州地方に警戒警報が発令されました。 **けいがい(形骸)** ○骨組み。抜けがら。中身を失った外形。[文例]〈形骸と化する〉炭鉱が閉山してから人々は次々と職を求めて他の土地へ移り、町は形骸と化していった。♠●形骸化>八世紀に墾田[こんでん]永年私財法が発令されたことで、大化の改新からの公地公民の精神はすっかり形骸化してしまった。 **けいかく【計画】** ○物事をなしとげるために、前もって手順や方法を考えること。また、その手順や方法。[文例]〈計画を立てる〉夏休みの計画を立てますので、部員は放課後集まってください。♠●〈計画を練[ね]る〉キャンプ中のレクリエーションについて、各班の班長が集まって計画を練った。♠◆計画を実行にうつす〉計画は、実行にうつさなくては意味がない。♠◆く計画がうまくいく〉計画がうまくいかないからといって、途中で投げ出してはいけないよ。♠●〈計画がある>夏休み中どこかへ旅行にゆく計画はありますか?♠◆ヘ計画が狂[くる]う〉思わぬアクシデントのために、初めの計画がすっかり狂ってしまった。♠●〈綿密な計画〉今年の合宿は綿密な計画に基づいて行動するので、今からよく計画表を読んでおいてください。♠計画する〉この秋に、クラス会でもやろうかと計画しているところです。♠◆<計画的>警察では、この事件を計画的な犯行とみて、捜査[そうさ]を開始しました。♠●計画倒[だお]れ〉モノレールをひく予定だったが、予算オーバーのため計画倒れとなってしまった。♠●〈計画通り〉そう何もかも、計画通り事が運ぶとは限らない。♠人五か年計画>政府は、五か年計画による宅地開発の着手を六十年秋と発表した。♠◆<都市計画>彼は大学で、都市計画の分野を専攻している。 **けいかん【景観】** ○景色。眺め。[文例]日本アルプスを一望する景観は、とても言葉では言い表せない。♠●へ自然の景観〉開発が進んで、この辺りの自然の景観もすっかり変わってしまった。♠●へ景観を損[そこ]なう〉原生林に道路ができたことで、見事だった景観が損なわれた。♠●へ景観を保つ〉国の保護もあって、この辺り一帯のすばらしい景観は昔のままに保たれている。 **けいき【景気】** ○威勢。元気。商売の様子。経済活動の状況。[文例]〈景気がいい・悪い〉不況にあえぐ企業もあるが、わが社は新製品が当たり景気がいい。♠●〈景気よく〉彼はよほど懐[ふところ]具合がいいとみえて、景気よくお金を使った。♠へ景気の上昇・下降〉ドルの動きが、世界の国々の景気の上昇や下降を引き起こす。♠●〈景気が上向き〉〈景気が上向[うわむ]く>最近、景気は上向きであるとニュースで言っていた。♠●へ景気がもち直す〉景気は少しずつもち直してきたと言うけれど、まだその実感が薄[うす]い。♠●〈景気が回復する〉今年に入って景気は回復しつつある。♠●〈景気をつける〉一杯飲んで景気をつけるか。♠●へ景気づけ〉どうだい、景気づけに一杯やろうじゃないか。♠◆不景気〉この不景気では、客の財布のひもがいっぱいに固い。 <313> **けいき**[景気] ○世の中の経済活動の状況。♠[文例]へ~がよい・わるい>景気のよい時は、会社の接待費などもかなり自由に使えたものだ。♠<景気の回復>政府は、景気の回復のためにさまざまな手段を講じている。♠へ景気に左右される>デパートの売り上げは、景気に大きく左右される。♠<景気をあおる>土地の値段が上がり、建設業界の景気をあおった。♠[景気がいい]〈威勢がよい意で〉「一杯おごるよ」「そりゃ景気がいいねえ」 **けいき**[計器] ○計測・計量のための器具や器械。[文例]へ~を用いる>計測にはその目的に合わせていろいろな計器を用います。♠へ~を備える>工場の運転室には、驚くほどたくさんの計器が備えられていた。♠へ~の故障[こしよう]>旅客機の墜落[ついらく]した原因はどうやら計器の故障にあったらしい。 **けいき**[継起] ○相次いで起こること。[文例]〈事件の継起>誘拐[ゆうかい]事件の継起が社会不安をかき立てている。♠へ~する>この国の医学界に継起する現象の根源には医の倫理[りんり]の問題が横たわっている。 **けいきょ**[軽挙] ○軽はずみなふるまい。[文例]〈軽挙を戒[いまし]める〉将軍は、部下たちに厳しく軽挙を戒めた。♠へ~妄動[もうどう]>敵の挑発[ちようはつ]にのって軽挙妄動することは、後に悔いを残すことになろう。 **けいく**[警句] ○短い中に、真理や鋭い逆説を含んだ言葉。アフォリズム。[文例]「学問に王道なし」という警句は、地道な努力こそが真理へ至る道である、という意味でしょう。♠<警句を発する>芥川龍之介[あくたがわりゆうのすけ]の発した警句は、『侏儒[しゅじゆ]の言葉』に収められている。 **けいけん**[経験] ○身をもって行うこと。また、そこから得た知識・認識。[文例]〈経験がある・ない>戦争の経験のない世代が子供を生み育てる時代になった。♠へ~がものをいう>いざという時には、理屈[りくつ]よりも経験がものをいう。♠へ~を積む>長年にわたって経験を積み重ねてきた職人の仕事は、それ自体が一つの芸術だと言っていい。♠へいい経験>若さに任せて家を飛び出し、無一文で水ばかり飲んでいたこともあったが、今となってはそれもいい経験だった。♠〈経験が浅い>まだ運転の経験が浅いので、とっさの場合の判断がうまくできない。♠〈経験を生かす>警察官生活三十年間の経験を生かして、父は民間の警備会社に勤めることになった。♠へ~する>外国生活を経験して、文化の違いが素直[すなお]に受けとめられるようになった。♠へ~豊か>海外からの研修生の世話役には、海外勤務の経験豊かな原さんが選ばれた。♠へ~者>「経験者は語る」なんて言いまわしが、だいぶ前にはやりました。 **けいけん**[敬虔] ○神仏を敬って身を慎[つつし]むさま。[文例]〈敬虔な祈り>婦人は、祭壇のマリア像に敬虔な祈りをささげています。♠へ~なクリスチャン>彼女は、日曜日には教会への礼拝を欠かさない、敬虔なクリスチャンだ。 **けいご**[敬語] ◎敬う気持ちを表す言葉づかい。[文例]〈敬語を使う・用いる>目上の人や初対面の人には敬語を使うのが常識です。♠<敬語の乱れ>敬語の乱れにまゆをひそめる年配の人も少なくない。 **けいこう**[傾向] ○物事がある方向に傾くこと。[文例]へ~がある>犯人は、犯行現場へ立ちもどるという傾向があるらしい。♠へ~にある>最近の若者は活字離れの傾向にあると言われるが、果たしてどうだろう?♠へ~をつかむ>この大学の入学試験の傾向をつかみ、合格への対策を練った。♠へファッションの傾向>この春のファッションの傾向は、ミニとロングに二分[にぶん]された。♠へ~が高まる>軍国主義の傾向が高まり、国内は次第に戦争の渦[うず]の中へひきこまれていった。♠へ~が強い>あなたは、自己中心的に物事を考える傾向が強いようですね。 **けいこう**[携行] ○物をたずさえること。持って行くこと。[文例]〈食糧を携行する>登山隊は、万一の場合に備えて三日分の食糧を携行しているはずです。♠〈薬を携行する>心臓病を患[わずら]っていますので、外出するときはいつも薬を携行しています。 **げいごう**[迎合] ○気に入られようとして、他人の気持ち・世間の風潮に合わせること。[文例]〈他人に迎合する>しっかりした考えをもたないと、将来他人に迎合してばかりいる人間になってしまう。♠〈権力に迎合する>裁判官はいかなる権力にも迎合してはならない。♠<読者に迎合する>競争の激しい女性雑誌は、若い読者の興味に迎合しがちだ。 **けいこく**[警告] ○前もって注意をうながすこと。[文例]〈警告を発する>自然保護団体は、開発が進めば多くの野生動物が絶滅してしまうと警告を発しています。♠<警告を無視する>遊泳禁止の警告を無視して海に入るのは、命を捨てるようなものです。♠へ~する>自分勝手な行動は慎[つつし]みなさい、と彼女に警告した。 **けいこく**[渓谷] ○(川の流れる)たに。たにま。[文例]〈深い渓谷>深い渓谷やうずまく急流に橋を架けるのはたいへんな仕事です。♠山頂近くの泉から流れ出すこの川は、いくつの渓谷をめぐり、やがて日本海に注ぎます。 <314> にはいきません。♠〈忠告を軽視する>いくら自信があったとはいえ、先生の忠告を軽視したのはうまくなかったな。 **けいさい**[掲載] ○新聞・雑誌などに載せること。[文例]〈小説の掲載>来月号からこの小説の掲載を取りやめます。♠〈記事の掲載>読者からの要望で、雑誌社はさらに詳[くわ]しい記事の掲載を決定した。♠へ~する>ぼくの書いた文章がクラス新聞に掲載された。 **けいざい**[経済] ○商品の生産・流通・消費にかかわる活動の全体。[文例]〈経済の成長>日本の経済の高度成長は、一九七三年の石油危機で終わりを告げました。♠〈経済を立て直す>江戸時代には、国の政治や経済を立て直すために、大きな改革が三度も行われました。♠〈経済的>自転車はガソリン代がかからないから経済的だ。 **けいさつ**[警察] ○犯罪を取り締まる行政機関。警察署。警察官。[文例]不審な男を見つけたので、警察に通報した。♠落とし物を見つけたら、警察に届けましょう。♠へ~の厄介[やつかい]になる>根っから正直な男で、警察の厄介になったことなどない。♠へ~が踏み込む>暴力団の開いていたとばく場に警察が踏み込んだ。 **けいさん**[計算] ○数量を計ること。演算して数値を出すこと。予想して考えに入れること。[文例]〈計算が速い・遅い>さすがに珠算[しゆざん]の二級だけあって計算が速いね。♠へ~が合う>どうも計算が合わないと思ったら、数字を読み違[まちが]えていた。♠く~を間違える>途中[とちゆう]でほかのことに気をとられてしまって、計算を間違えた。♠ヘ~に入れる>今日欠席している人の分も計算に入れておいてください。♠ヘ~する〉あそこで当然きみが話を合わせてくれるものと計算していたのに。♠<計算高い>彼に任せておけばうまくやるよ、あれでなかなか計算高いところがあるから。♠へ単純計算>仙台[せんだい]までの二百四十キロを時速六十キロで走れば、単純計算なら四時間で着くことになる。 **けいし**[軽視] ○物事を軽く見ること。軽んじること。[文例]〈人に軽視される>これ以上みんなから相手にされず、軽視されることには我慢[がん]できない。♠へ~する>いじめの問題は、人間の尊厳[そんげん]にかかわることなので軽視するわけにはいきません。♠〈忠告を軽視する〉いくら自信があったとはいえ、先生の忠告を軽視したのはうまくなかったな。 **けいじ**[掲示] ○掲げ示すこと。[文例]掲示にあるように、明日十時から避難訓練が行われます。♠〈掲示を見る>練習日程の掲示を見て、部員たちが集まってきた。♠〈掲示する>部屋のドアには入室禁止の紙が掲示してあった。 **けいじ**[啓示] ○さとし示すこと。神が人に現し示すこと。[文例]〈神の啓示〉〈啓示が降りる>信者たちは、教祖様に神の啓示が降りたと信じきっています。♠〈天の啓示><啓示を受ける〉天の啓示を受けたジャンヌ・ダルクは国王の下へはせ参じた。 **けいじか**(形而下) ○形をそなえたもの。肉体や物質として存在するもの。感覚によってその存在を知りえるもの。→形而上[文例]我々凡人[ぼんじん]には、形に現れ感覚的にとらえることのできる形而下のことはとにかく、形に現れない形而上の問題は理解しにくい。 **けいしき**[形式] ○外形。見かけの形。一定のやり方。様式。型。→内容[文例]〈詩の形式>俳句は、五・七・五の十七音からなり、世界で最も短い詩の形式である。♠〈形式をとる>自分の考えを表現するにも、ことばを始め様々な形式をとることができます。♠〈形式が変わる>新聞のテレビ欄[らん]の形式が変わって、慣れないうちは見にくかった。♠へ~を整える>心がこもっていればいいとはいっても、もう少し形式を整えたほうがよいでしょう。♠<形式に従う>祭典は、古くから伝わる形式に従って、おごそかに行われました。♠〈形式にこだわる>形式にばかりこだわっていると楽しい授業は生まれない。♠〈形式を踏む>みんなの考えはまとまっていましたが、一応決を採るという形式を踏んで、会の正式な決定としました。♠へ~な>結婚式[けつこんしさ]など単なる形式にすぎないという女性もいれば、花嫁姿[はなよめすがた]が夢[ゆめ]だという女性もいる。♠〈形式の上では>形式の上では八時間労働ということになっていたが、実際はそれ以上仕事をしている。♠〈形式ばる>そんな形式ばったあいさつはぬきにして、どうぞ奥[おく]へお上がりください。♠〈形式上>形式上は何ら問題はないのだが、内容の記述に一部ひっかかるところがある。♠〈形式的>打ち合わせは形式的に済ませて、そのあとは宴会をやろう。♠<形式主義者>彼は中身よりも手続きのほうを重要視する形式主義者だ。 **けいしきてき**[形式的] ○型にはまったさま。内容より形式を重んじるさま。[文例]〈形式的な報告>委員会は、委員長のいつもと変わりばえのしない形式的な報告で始まりました。♠へ~に続く>室町幕府は十六世紀にはほとんど無力となったが、形式的には一五七三年まで続いた。♠〈形式的に~する>あの人とはあまり親しくなかったから、形式的にあいさつを済ませただけで、何も話はしなかった。 **けいじじょう**(形而上) ○形をそなえていないもの。肉体や物質を離れ、観念の世界にしか存在しないもの。→形而下[文例]〈形而上の存在>直接見たり触れたりできない形而上の存在については、言葉でうまく説明できにくいことが多い。♠〈形而上的>神が存在するかどうか、というような形而上的な問題が、そのころの若いわたしをとらえていた。 **けいしゃ**[傾斜] ○傾いて斜めになること。物の傾き。気持ちが傾くこと。[文例]〈傾斜がきつい・ゆるい>この坂道は傾斜がきついので、登るのにひと苦労だ。♠へ~な>小高い丘のゆるやかな傾斜を登りつめると、そこに碑がたっていた。♠へ~>プロのスキーヤーでも、四十五度の傾斜といったら相当慎重[しんちよう]になるに違[ちが]いない。♠〈傾斜がある>今まで気がつかなかったが、この道には多少の傾斜があるようだ。♠へ~する>ピサの斜塔[しやとう]は、建築中に地盤がゆるんで次第に傾斜したものである。♠へ~する>彼の発言には大変説得力があったので、会員の意見は賛成の方向へ傾斜した。 **げいじゅつ**[芸術] ○独創的な表現の形式を用いて、美や真実を追求する活動。また、その活動の産物。音楽・美術・演劇・文学など。[文例]〈言葉の芸術>詩は「言葉の芸術」といわれるが、芸術といえるような作品はそう多くはない。♠〈芸術を理解する〉おじは文学や美術に対する知識はあるが、必ずしも芸術を理解してはいない。♠〈芸術は長く人生は短い>作者は死んでも作品は残る、つまり、芸術は長く人生は短い。♠<芸術のための芸術>「芸術のための芸術」は、人間生活の一切から独立して芸術は価値をもつとする考え方だ。♠<芸術家・芸術品>制作中の芸術家を描[えが]いた作品そのものが芸術品として第一級の評価を得た。 <315> **けいじょう**[形状] ○物の形やありさま。[文例]〈金属の形状>高温で熱しても、その金属の色や固さや形状にはなんの変化も見られなかった。♠へ土器の形状>この土器は、弥生[やよい]式土器の形状の特色をそなえている。 **けいじょう**[計上] ○全体の中に組み入れて数え上げること。[文例]〈計上する>車のガソリン代は必要経費に計上してもよい。♠へ~する>市長は、来年度の予算に社会保障費をどのくらい計上するつもりでしょうか。 **けいじょう**[刑場] ○罪人を処刑する所。[文例]昔は死刑が公開で行われていたので、執行[しつこう]当日は多くの人が刑場に群[むら]がったそうです。♠〈刑場に引き出す>死刑囚は刑場に引き出されても、平然と鼻歌を歌っていた。♠〈刑場の露[つゆ]>新撰[しんせん]組隊長近藤勇[こんどういさみ]は一八六八年に政府軍と戦って敗れ、同年四月に刑場の露と消えた。 **けいず**[系図] ○一族の系統を記した図。来歴。由来。[文例]〈源氏[せいわげんじ]の系図>注意深く清和源氏の系図を見ていくと、頼朝[よりとも]・義経[よしつね]・実朝[さねとも]など知っている名前がありました。♠へ~をたどる>古い系図をたどっていくと、九条[くじよう]氏の先祖が藤原[ふじわら]氏であったことがわかります。 **けい・する**[敬する] ○敬う。尊敬する。[文例]〈敬して遠ざける>よくできてまじめだが、理屈っぽくて論争好きの西田君を、ぼくたちは敬して遠ざけていた。 **けいせい**[形成] ○形づくること。構成すること。[文例]〈人格の形成>中学時代は、一人の人間の人格の形成という点で、実に重要な時代である。♠へ~する>一つの社会は、いろいろな立場の人間によって形成されている。♠〈人間形成>両親の離婚[りこん]が彼の人間形成に与[あた]えた影響[えいきよう]は、決して小さくない。 **けいせい**[形勢] ○物事のなりゆき。勢力の関係。[文例]〈形勢が良い・悪い>後半に入って、わがチームの形勢はだんだん良くなってきた。♠へ~が悪化する>味方の数が少ないうえに、折からの悪天候が重なり、形勢はますます悪化した。♠へ~が変わる>サービスエースを機に形勢が変わり、勝敗は最後までわからなくなった。♠<形勢が有利・不利>どうやら形勢は彼のほうに有利になってきたようだ。♠〈形勢逆転>ここで気を抜くと、形勢逆転ということもあるから、しめてかかれ。 **けいせき**[形跡] ○物事の行われたあと。あとかた。[文例]〈形跡がある>この洞穴[ほらあな]には、間[まちが]いなく人の住んでいた形跡がある。♠へ~がない>洋服ダンスには、一度もそでを通した形跡のないドレスがずらりと並[なら]んでいた。♠<形跡を認める>草などが踏みつぶされているところから、なにか大きな獣[けもの]の通った形跡が認められる。♠〈形跡を残す>犯人は何の形跡も残していなかった。♠〈形跡をたどる>たんねんに形跡をたどってみると、そこに新たな事実がうかんできた。♠へ~>確かな形跡はないが、犯人はここから侵入[しんにゅう]したにちがいない。 **けいせつのこう**[蛍雪の功] ○(中国の故事から)苦労して学問を積んだ成果。[文例]〈蛍雪の功なる>蛍雪の功なって、青年はようやく大学を卒業することができた。 **けいそう**[軽装] ○身軽な服装。簡単な装備。[文例]当日、あきちゃんは、ワンピースに麦わら帽子という軽装で現れた。♠〈軽装する>山登りというよりはハイキングといったほうがよいくらいだから、ぼくらは軽装して行くことにした。 **けいそく**[計測] ○長さ・距離・速度・時間などを測ること。[文例]〈深さの計測>池の深さの計測には、石をくくりつけたロープを使いました。♠へ~>より正確な数値を出すために距離の計測は三回ずつ行われた。♠〈計測する>巻尺を使って隣町[となり]までの道のりを計測するのは、とても無理だ。 **けいぞく**[継続] ○引き続いて行われること。絶やさず続けること。[文例]〈継続する>前期後期に分けてある英会話のコースを継続して申し込んだ。♠へ~する>今日はここまでとするが、今後も協議は継続にすることにします。♠<継続的>長期間にわたる継続的な研究が実って、新しい事実が発見された。 <316> [文例]〈軽佻[けいちよう]な文化>この時代には、遊びや風刺[ふうし]を中心とした軽佻な文化が栄えていた。♠〈軽佻浮薄>男の軽佻浮薄な言動に、周囲の者はまゆをひそめた。 **けいそつ**[軽率] ○慎重さを欠くさま。かるはずみ。[文例]相手の都合も聞かずに訪問するなんて、きみらしくもない、ちょっと軽率だったね。♠へ~な>あの人は、自分の言うことに少しも責任の持てない軽率な人間です。♠へ~な>非常の時は、厳[つつし]に軽率な行動を慎むべきだ。♠〈軽率な言葉>酔ったうえでの軽率な言葉がパーティーをめちゃくちゃにしてしまった。 **けいたい**[形態] ○かたち。ありさま。構え。[文例]〈宇宙の形態>宇宙の形態についてはまだわからないことが多い。♠〈国家の形態>資本主義の国、社会主義の国と、国家の形態にもさまざまあります。♠〈形態をとる>この村では今も何か問題があると、村人全員が話し合って決める合議制の形態をとっている。♠へ~を備える>規模は小さいが、この大学は総合大学の形態を備えています。 **けいたい**[携帯] ○身につけていること。たずさえること。持ち運ぶこと。[文例]〈携帯に便利>折り畳みの傘よりも雨がっぱのほうが携帯には便利です。♠へ~する>心臓の悪い父は、発作に備えていつも薬を携帯している。♠〈携帯用>カンテラはブリキ製の携帯用石油ランプだ。 **けいだい**[境内] ○寺社の敷地の中。[文例]〈神社の境内>小学生のころはよく神社の境内で隠[かく]れんぼをして遊びました。♠〈寺の境内>毎朝六時前にお寺の境内を若いお坊さんがほうきで掃き清めます。 **けいちゅう**[傾注] ○ある事に一心に打ち込むこと。[文例]〈傾注する>全力を傾注してこの難関を突破[とつば]したまえ。♠〈精力の傾注>全精力の傾注ができるなら、ひょっとして不可能が可能になるかもしれない。 **けいちょう**(軽佻) ○軽々しく浮ついていること。軽薄。 [文例]〈軽佻[けいちよう]な文化>この時代には、遊びや風刺[ふうし]を中心とした軽佻な文化が栄えていた。♠〈軽佻浮薄>男の軽佻浮薄な言動に、周囲の者はまゆをひそめた。 **けいちょう**[傾聴] ○耳を傾けること。熱心に聴くこと。[文例]〈傾聴に値する>氏の話は現実的な解決策に全く触れておらず、とうてい傾聴に値する講演とはいいがたかった。♠〈傾聴する>会場に集まった人たちは物音一つ立てず、講師の話を傾聴している。 **けいちょう**[慶弔] ○祝い事と弔[とむら]い事。[文例]〈慶弔が重なる>いとこの結婚式やらおばの死やら、今年はいろいろと慶弔の重なった一年でした。♠<慶弔を占[うらな]う>昔の中国では、一年の慶弔を占うのに、亀[かめ]の甲羅[こうら]を使った。 **けいど**[軽度] ○程度が軽いこと。[文例]〈軽度の障害[しようがい]>聴覚[ちようかく]に軽度の障害があるが、日常生活に支障はない。♠<軽度の発作>気候の変化がはげしいせいか、持病のぜんそくが悪化して軽度の発作に襲[おそ]われた。 **けいとう**[系統] ○統一のあるつながり。すじみち。血すじ。ある系列につながること。[文例]〈昆虫[こんちゆう]の系統〉〈系統に属する>珍[めずら]しい種類の昆虫なので、どの系統に属するか今の時点では確かなことは言えない。♠へ~>あの一族は、系統をたどれば、上田の豪族[ごうぞく]にいたりつくらしい。♠へ~>ここから東京駅へ行くには、どの系統のバスに乗ったらいいのでしょうか。♠へ~>系統立てた考え方をするように努めることで、論理性が身につきます。♠〈茶系統>彼は上から下まで茶系統の服で身をかためている。♠〈命令系統>命令系統がはっきりしていれば、全体がむだなく、しかもすばやく行動に移れる。♠<系統的>図書館では、著者名や書名が系統的にカード化されてあるので、蔵書がひと目でわかる。 **けいとう**[傾倒] ○心を打ち込むこと。関心を抱いて、深くかかわること。[文例]〈人に傾倒する>この政治家にいたく傾倒して、兄は政治学科に入学しました。♠〈文学に傾倒する>フランス文学に傾倒している広子は、かたときも原書を離さない。 **げいとう**[芸当] ○芸。わざ。曲芸。離れ業。[文例]〈猛獣[もうじゆう]の芸当>このサーカスでは、ライオンやトラなど、猛獣の芸当がたいへんな人気だ。♠〈手品の芸当>誕生日[たんじょうび]のパーティーで、彼は珍[めずら]しい手品の芸当をひろうした。♠<芸当を仕込む>野生のウサギをつかまえて、芸当を仕込もうとしたが失敗した。♠へ~をする>軽業師は、危険な芸当をして、人々のかっさいを浴びる。♠〈器用な芸当>逆立ちをしながら水を飲むなんて、そんな器用な芸当はとてもできない。♠<危ない芸当>〈芸当を演じる>私立探偵[たんてい]は、盗聴[とうちよう]という危ない芸当まで演じた。 **げいのう**[芸能] ○人を楽しませる芸ごと。大衆的な演劇・音楽・舞踊・映画など。[文例]〈人を楽しませる芸能>むかしの神を中心とした祭りの中で、今では人を楽しませる芸能となったものがある。♠<庶民[しょみん]の芸能>落語は、伝統的な庶民の芸能として、現代でも親しまれている。♠へ~>郷土に伝わる古い芸能を保存していく方法を考えたい。♠<芸能番組>テレビも夜はほとんど芸能番組で占められている。♠<芸能人>春の園遊会には、芸能人もたくさん招かれた。 **けいはく**[軽薄] ○軽々しく浮ついているさま。[文例]〈軽薄な人間>おしゃべりがすぎると、周囲から軽薄な人間だと思われるよ。♠へ~な>あまり軽薄な服装[ふくそう]で夜遅[おそ]くまで遊び歩いているものではありません。♠〈軽薄な口調>その男の軽薄な口調や態度に、彼女は生理的嫌悪[けんお]を覚えた。♠〈軽薄さ>あなたの軽薄さががまんならないの。 **けいはつ**[啓発] ○道理を教え、人を導くこと。考えの及ばなかったことに気づかせること。[文例]〈本に啓発される>高校時代、ぼくはこの本に啓発されて考古学を志[こころざ]したのです。♠〈考え・言葉に啓発される>若いころのわたしは、彼の考えや言葉に啓発されることが多かった。♠〈人を啓発する>ロックやルソーの考え方は、近代政治に取り組んできた多くの人々を啓発してきました。 <317> **けいよう** **けいばつ【刑罰】** ○罪[つみ]に対[たい]するしおき。刑[けい]。[文例]〈重[おも]い刑罰[けいばつ]>無期[むき]懲役[ちょうえき]は死刑[しけい]に次[つ]ぐ重[おも]い刑罰[けいばつ]です。♠◆<刑罰[けいばつ]を科[か]する〉法廷[ほうてい]は、被告人[ひこくにん]に禁固[きんこ]三年[さんねん]という刑罰[けいばつ]を科[か]した。♠●刑罰[けいばつ]を受[う]ける〉改心[かいしん]した彼[かれ]は、罪[つみ]をつぐなうためならどんな刑罰[けいばつ]をも受[う]ける覚悟[かくご]でいるらしい。 **けいひ【経費】** ○平常[へいじょう]的[てき]な費用[ひよう]。必要[ひつよう]な費用[ひよう]。[文例]〈旅行[りょこう]の経費[けいひ]>経費[けいひ]を節約[せつやく]するために、飛行機[ひこうき]をやめて列車[れっしゃ]で行[い]くことにした。♠経費[けいひ]の節減[せつげん]〉会社[かいしゃ]の業績[ぎょうせき]がふるわないので、経費[けいひ]の節減[せつげん]を図[はか]る必要[ひつよう]がある。♠●へ経費[けいひ]がかかる〉アメリカ留学[りゅうがく]にいくらぐらいの経費[けいひ]がかかるか計算[けいさん]しています。♠◆〈経費[けいひ]がかさむ〉思[おも]ったより経費[けいひ]がかさんで、とても予算[よさん]内[ない]ではおさまりきらなかった。♠●へ必要[ひつよう]経費[けいひ]>俳優[はいゆう]にとって衣装[いしょう]代[だい]は必要[ひつよう]経費[けいひ]といえます。 **けいび【軽微】** ○程度[ていど]がごく軽[かる]いさま。[文例]〈軽微[けいび]な負担[ふたん]〉一般[いっぱん]市民[しみん]に対[たい]しては、できるだけ軽微[けいび]な負担[ふたん]にとどまるよう配慮[はいりょ]されている。♠●〈被害[ひがい]が軽微[けいび]〉台風[たいふう]による被害[ひがい]は軽微[けいび]でほとんど問題[もんだい]にならなかった。 **けいび【警備】** ○警戒[けいかい]して万一[まんいち]に備[そな]えること。[文例]〈警備[けいび]に当[あ]たる>奈良[なら]時代[じだい]に北九州[きたきゅうしゅう]の警備[けいび]に当[あ]たった兵士[へいし]を防人[さきもり]といいます。♠●へ警備[けいび]につく〉宮殿[きゅうでん]の周[まわ]りはいつも近衛兵[このえへい]が警備[けいび]についている。♠←へ警備[けいび]が厳重[げんじゅう]〉過激派[かげきは]の活動[かつどう]がさかんになり、いつになく大使館[たいしかん]の警備[けいび]は厳重[げんじゅう]だった。♠へ警備[けいび]体制[たいせい]〉アメリカの大統領[だいとうりょう]が来日[らいにち]するというので、空港[くうこう]にはものものしい警備[けいび]体制[たいせい]がしかれた。 **けいひん【景品】** ○おまけとして添[そ]える品[しな]。記念[きねん]やほうびとして与[あた]える品[しな]。[文例]〈景品[けいひん]がつく〉今[いま]レコードを買[か]うと、景品[けいひん]としてポスターがついてくる。♠●へ景品[けいひん]をもらう〉子供[こども]たちは、大売[おおウ]り出[だ]しの景品[けいひん]の風船[ふうせん]に大喜[おおよろこ]びです。♠●へ景品[けいひん]がそろう〉パチンコ屋[や]さんにはいろいろな景品[けいひん]がそろっている。 **けいぶ【軽侮】** ○かろんじ、あなどること。軽蔑[けいべつ]。[文例]〈軽侮[けいぶ]を受[う]ける〉理由[りゆう]もなく他人[たにん]から軽侮[けいぶ]を受[う]けることには耐[た]えられません。♠●〈軽侮[けいぶ]する〉自分[じぶん]の力[ちから]を過信[かしん]するあまり、周囲[しゅうい]の人間[にんげん]を軽侮[けいぶ]することの多[おお]い青年[せいねん]であった。 **けいふく【敬服】** ○敬[うやま]い、従[したが]うこと。[文例]あなたの見事[みごと]な腕前[うでまえ]には、敬服[けいふく]のほかありません。♠◆<敬服[けいふく]する>現場[げんば]の人[ひと]たちは、彼[かれ]の温厚[おんこう]な人柄[ひとがら]に敬服[けいふく]している。 **けいべつ(軽蔑)** ○軽[かろ]んじて見[み]くだすこと。さげすむこと。[文例]〈人[ひと]を軽蔑[けいべつ]する>自分[じぶん]さえよければいいという生[い]き方[かた]をしている人[ひと]をぼくは軽蔑[けいべつ]する。♠●〈軽蔑[けいべつ]するような目[め]>彼[かれ]はときどき同級生[どうきゅうせい]を軽蔑[けいべつ]するような目[め]で見[み]る。♠◆へ軽蔑[けいべつ]のまなざし〉おどけている自分[じぶん]に、冷[つめ]たい軽蔑[けいべつ]のまなざしが注[そそ]がれていることに気[き]づいた。♠●へ軽蔑[けいべつ]の言葉[ことば]>軽蔑[けいべつ]の言葉[ことば]を並[なら]べてののしると、彼[かれ]は部屋[へや]から出[で]て行[い]った。♠●へ軽蔑[けいべつ]をこめる〉女[おんな]は軽蔑[けいべつ]をこめて役人[やくにん]の顔[かお]を見返[みかえ]した。♠●へ軽蔑[けいべつ]を受[う]ける〉まわりの人[ひと]から軽蔑[けいべつ]を受[う]けることにはたえられない。 **けいべん【軽便】** ○手軽[てがる]で扱[あつか]いやすいさま。簡便[かんべん]。[文例]車[くるま]よりもバイクの方[ほう]が軽便[けいべん]なので愛用[あいよう]する人[ひと]も多[おお]い。♠●ヘッドホーンステレオは軽便[けいべん]でどこへでも持[も]っていけることから、若者[わかもの]たちの人気[にんき]を集[あつ]めていた。♠●へ軽便[けいべん]鉄道[てつどう]>小田原[おだわら]熱海[あたみ]間[かん]に、軽便[けいべん]鉄道[てつどう]敷設[ふせつ]の工事[こうじ]が始[はじ]まったのは、良平[りょうへい]の八[やっ]つの年[とし]だった。(芥川[あくたがわ]龍之介[りゅうのすけ]「トロッコ」) **けいぼ【敬慕】** ○敬[うやま]い慕[した]うこと。[文例]〈敬慕[けいぼ]の念[ねん]〉十年[じゅうねん]以上[いじょう]もぼくの面倒[めんどう]を見[み]てくれたおばさんに、父母[ふぼ]に対[たい]すると同[おな]じような敬慕[けいぼ]の念[ねん]を持[も]っている。♠●へ敬慕[けいぼ]がつのる〉会[あ]えなくなって三[さん]か月[げつ]、彼[かれ]への敬慕[けいぼ]はつのるばかりです。♠●へ敬慕[けいぼ]する〉中国[ちゅうごく]の詩人[しじん]杜甫[とほ]や日本[にっぽん]の歌人[かじん]西行[さいぎよう]は、松尾[まつお]芭蕉[ばしょう]が敬慕[けいぼ]した人[ひと]たちです。 **けいほう【警報】** ○警戒[けいかい]を呼[よ]びかける知[し]らせ。[文例]〈警報[けいほう]を鳴[な]らす〉パトカーが警報[けいほう]を鳴[な]らしながら、夜[よる]の街[まち]を走[はし]って行[い]った。♠へ警報[けいほう]を出[だ]す〉大型[おおがた]台風[たいふう]が接近[せっきん]すると、海辺[うみべ]にあるぼくたちの町[まち]では、警戒[けいかい]警報[けいほう]が出[だ]される。♠へ警報[けいほう]を解除[かいじょ]する〉地震[じしん]のために出[だ]されていた津波[つなみ]警報[けいほう]が、二[に]時間[じかん]後[ご]に解除[かいじょ]された。 **けいみょう【軽妙】** ○軽[かろ]やかで妙味[みょうみ]があるさま。気[き]がきいてうまいさま。[文例]〈軽妙[けいみょう]なテンポ〉セールスマンもベテランになると、軽妙[けいみょう]なテンポで話[はなし]をすすめ、客[きゃく]を買[か]う気[き]にさせてしまう。♠●へ軽妙[けいみょう]な皮肉[ひにく]〉『ガリバー旅行[りょこう]記[き]』には、当時[とうじ]のイギリス政府[せいふ]に対[たい]する軽妙[けいみょう]な皮肉[ひにく]がこめられている。♠〈軽妙[けいみょう]な文章[ぶんしょう]〉この小説[しょうせつ]家[か]の作品[さくひん]は、歯切[はぎ]れのいい軽妙[けいみょう]な文章[ぶんしょう]で読者[どくしゃ]を魅了[みりょう]している。♠●〈軽妙[けいみょう]にふるまう〉パーティーでの彼女[かのじょ]は、軽妙[けいみょう]にふるまい、みんなを楽[たの]しませた。♠へ軽妙[けいみょう]洒脱[しゃだつ]>彼[かれ]は軽妙[けいみょう]洒脱[しゃだつ]な趣味[しゅみ]人[じん]として通[とお]っている。 **けいもう(啓蒙)** ○道理[どうり]のわからない人[ひと]を教[おし]え導[みちび]くこと。人知[じんち]をひらくこと。[文例]〈文明[ぶんめい]開化[かいか]の啓蒙[けいもう]〉中江[なかえ]兆民[ちょうみん]や福沢[ふくざわ]諭吉[ゆきち]は、明治[めいじ]初期[しょき]に文明[ぶんめい]開化[かいか]の啓蒙[けいもう]を行[おこな]おうとした人[ひと]たちです。♠●へ政治[せいじ]的[てき]な啓蒙[けいもう]>自由[じゆう]民権[みんけん]運動[うんどう]は一般[いっぱん]大衆[たいしゅう]に対[たい]する政治[せいじ]的[てき]な啓蒙[けいもう]を目的[もくてき]としていた。♠●〈啓蒙[けいもう]を与[あた]える〉モンテスキューの『法[ほう]の精神[せいしん]』は、近代[きんだい]民主[みんしゅ]政治[せいじ]をめざす人々[ひとびと]に数多[かずおお]くの啓蒙[けいもう]を与[あた]えている。♠●へ啓蒙[けいもう]する〉世間[せけん]知[し]らずのぼくは、友人[ゆうじん]の豊[ゆた]かな知識[ちしき]やしっかりとした考[かんが]えに啓蒙[けいもう]されることが多[おお]かった。 **けいやく【契約】** ○約束[やくそく]。法[ほう]的[てき]に効力[こうりょく]のある約束[やくそく]。[文例]〈契約[けいやく]する>代金[だいきん]は、二十[にじっ]回[かい]の分割[ぶんかつ]払[ばら]いということで契約[けいやく]した。♠●へ契約[けいやく]にこぎつける〉何[なん]度[ど]も交渉[こうしょう]を重[かさ]ね、やっと契約[けいやく]にこぎつけることができた。♠●〈契約[けいやく]を結[むす]ぶ〉某[ぼう]大手[おおて]メーカーと、販売[はんばい]の契約[けいやく]を結[むす]んだ。♠●へ契約[けいやく]を破棄[はき]する〉彼[かれ]は突然[とつぜん]契約[けいやく]を破棄[はき]すると言[い]い出[だ]した。♠◆へ契約[けいやく]をとる〉何[なん]度[ど]も足[あし]を運[はこ]んで、やっと契約[けいやく]をとることができた。♠へ契約[けいやく]に違反[いはん]する〉契約[けいやく]に違反[いはん]したために、違約金[いやくきん]をとられた。♠●〈契約[けいやく]書[しょ]〉建設[けんせつ]業者[ぎょうしゃ]は、地元[じもと]民[みん]との間[あいだ]に契約[けいやく]書[しょ]をかわした。♠◆ヘ五[ご]年[ねん]契約[けいやく]>彼女[かのじょ]は五[ご]年[ねん]契約[けいやく]でそのプロダクションの専属[せんぞく]となった。 **けいゆ【経由】** ○ある場所[ばしょ]を経[へ]て目的[もくてき]地[ち]に向[む]かうこと。中間[ちゅうかん]の手続[てつづ]きを経[へ]ること。[文例]〈経由[けいゆ]する〉この飛行機[ひこうき]は、アンカレジを経由[けいゆ]してニューヨークに向[む]かいます。♠経由[けいゆ]する〉仏教[ぶっきょう]は、六[ろく]世紀[せいき]に中国[ちゅうごく]から朝鮮[ちょうせん]を経由[けいゆ]して日本[にっぽん]に伝[つた]わりました。♠●このバスはA町[まち]経由[けいゆ]B市[し]行[ゆ]きですが、お急[いそ]ぎなら駅前[えきまえ]から直通[ちょくつう]バスが出[で]ています。 **けいよう【形容】** ○姿[すがた]・形[かたち]・様子[ようす]などを言葉[ことば]で表現[ひょうげん]すること。 <318> **けいよう** [文例]〈形容[けいよう]を越[こ]える〉この子[こ]のやんちゃぶりといったら、何[なん]とももう形容[けいよう]を越[こ]えている。♠●〈言葉[ことば]で形容[けいよう]する>頂上[ちょうじょう]からの眺[なが]めの素晴[すば]らしさは、言葉[ことば]で形容[けいよう]することができないほどだ。♠形容[けいよう]し難[がた]い〉このレストランのスープの味[あじ]には、なんとも形容[けいよう]し難[がた]い深[ふか]みがある。 **けいよう【掲揚】** ○(旗[はた]などを)高[たか]い所[ところ]にかかげること。[文例]〈国旗[こっき]の掲揚[けいよう]〉表彰[ひょうしょう]式[しき]では、国歌[こっか]の演奏[えんそう]ととも[とも]に国旗[こっき]の掲揚[けいよう]が行[おこな]われた。♠●へ掲揚[けいよう]する〉球場[きゅうじょう]のメインポールには大会[たいかい]旗[き]が掲揚[けいよう]され、風[かぜ]になびいている。 **けいり【経理】** ○金銭[きんせん]や財産[ざいさん]を管理[かんり]し、それらの事務[じむ]を処理[しょり]すること。[文例]〈経理[けいり]の仕事[しごと]>わたしは、会社[かいしゃ]でお金[かね]の出[で]入[い]りを管理[かんり]する経理[けいり]の仕事[しごと]をしている。♠●〈経理[けいり]を預[あず]かる〉経理[けいり]を預[あず]かる人[ひと]なら会社[かいしゃ]の経営[けいえい]状態[じょうたい]に詳[くわ]しいのは当然[とうぜん]だ。 **けいりゃく【計略】** ○はかりごと。相手[あいて]をだます手段[しゅだん]。策略[さくりゃく]。[文例]〈計略[けいりゃく]に陥[おちい]る〉敵[てき]の計略[けいりゃく]に陥[おちい]り、味方[みかた]は全滅[ぜんめつ]してしまった。♠●へ計略[けいりゃく]にはまる〉相手[あいて]チームはまんまとこちらの計略[けいりゃく]にはまってくれた。♠●〈計略[けいりゃく]にかける〉残忍[ざんにん]なウサギは、タヌキを計略[けいりゃく]にかけて、泥[どろ]の船[ふね]に乗[の]せるのに成功[せいこう]した。♠◆〈計略[けいりゃく]にひっかかる〉こんなたあいもない計略[けいりゃく]にひっかかるようでは、きみもまだまだだね。♠計略[けいりゃく]をめぐらす>先生[せんせい]を驚[おどろ]かそうと、生徒[せいと]たちはあれこれ計略[けいりゃく]をめぐらした。♠〈計略[けいりゃく]を見破[みやぶ]る〉相手[あいて]方[がた]の計略[けいりゃく]を見破[みやぶ]り、裏[うら]をかいてやることにした。 **けいりゅう【渓流】** ○谷川[たにがわ]。[文例]〈渓流[けいりゅう]を渡[わた]る〉谷間[たにま]を流[なが]れるいくつかの渓流[けいりゅう]を渡[わた]って、目的[もくてき]の山小屋[やまごや]へ向[む]かった。♠◆一[いっ]匹[ぴき]の山椒魚[さんしょううお]が頭[あたま]が肥大[ひだい]して、すみかである渓流[けいりゅう]の岩屋[いわや]から出[で]られなくなってしまった。 **けいりゅう【係留】** (繋留)○つなぎとめること。[文例]〈船[ふね]を係留[けいりゅう]する>太平洋[たいへいよう]航路[こうろ]の客船[きゃくせん]としての任務[にんむ]を終[お]えた氷川[ひかわ]丸[まる]は、桟橋[さんばし]に係留[けいりゅう]されて市民[しみん]に公開[こうかい]されることになった。 **けいりょう【軽量】** ○目方[めかた]・体重[たいじゅう]が軽[かる]いこと。[文例]体重[たいじゅう]百[ひゃっ]キロをこすほか[ほか]の選手[せんしゅ]と比[くら]べると、彼[かれ]は七[なな]十[じゅう]キロと軽量[けいりょう]だ。♠◆<軽量[けいりょう]を突[つ]く〉大関[おおぜき]は体重[たいじゅう]百[ひゃく]十[じっ]キロの軽量[けいりょう]を突[つ]かれ、一発[いっぱつ]で土俵[どひょう]下[した]にはじき出[だ]されてしまった。♠●〈軽量[けいりょう]に泣[な]く〉スクラムで押[お]されっ放[ぱな]しの日本[にっぽん]チームは、まさに軽量[けいりょう]に泣[な]いているという感[かん]じです。 **けいりょう【計量】** ○重量[じゅうりょう]や分量[ぶんりょう]などを量[はか]ること。[文例]〈材料[ざいりょう]の計量[けいりょう]>材料[ざいりょう]の計量[けいりょう]をきちんとしないと、なかなかおいしいケーキはできません。♠●〈計量[けいりょう]を行[おこな]う・する〉重量挙[じゅうりょうあ]げの試合[しあい]の前[まえ]には、必[かなら]ず選手[せんしゅ]の計量[けいりょう]が行[おこな]われる。 **けいるい【係累】** (繋累) ○扶養[ふよう]しなければならない家族[かぞく]・親族[しんぞく]。[文例]〈係累[けいるい]がある・ない〉面倒[めんどう]を見[み]なければならない係累[けいるい]のないわたしは、勝手気まま[かってきまま]な一人[ひとり]暮[ぐ]らしをしている。♠●〈係累[けいるい]が多[おお]い〉年[とし]とった両親[りょうしん]や叔父[おじ]、伯母[おば]と、係累[けいるい]の多[おお]い彼女[かのじょ]はたいへんだ。 **けいれき【経歴】** ○これまでの人生[じんせい]でたどった道[みち]すじ。履歴[りれき]。[文例]〈経歴[けいれき]を持[も]つ〉今度[こんど]入社[にゅうしゃ]した彼[かれ]はどのような経歴[けいれき]を持[も]っているのですか。♠●〈経歴[けいれき]を話[はな]す〉新任[しんにん]の先生[せんせい]は、簡単[かんたん]に自分[じぶん]の経歴[けいれき]を話[はな]したあと、生徒[せいと]にも自己[じこ]紹介[しょうかい]をさせた。♠〈経歴[けいれき]がある〉いろいろ調査[ちょうさ]した結果[けっか]、彼[かれ]には意外[いがい]な経歴[けいれき]があることがわかった。♠●〈経歴[けいれき]を生[い]かす〉彼女[かのじょ]は今[いま]までの経歴[けいれき]を生[い]かして新[あたら]しい仕事[しごと]に就[つ]いた。 **けいれつ【系列】** ○統一[とういつ]あるつながり。組織[そしき]だった配列[はいれつ]。[文例]〈会社[かいしゃ]の系列[けいれつ]〉この会社[かいしゃ]は、東京[とうきょう]に本社[ほんしゃ]を持[も]つ有名[ゆうめい]な商事[しょうじ]会社[がいしゃ]の系列[けいれつ]にあります。♠●〈大学[だいがく]の系列[けいれつ]二人[ふたり]は、同[おな]じ大学[だいがく]の系列[けいれつ]の高校[こうこう]に通[かよ]っている。♠ヘ系列[けいれつ]に連[つら]なる>伊藤[いとう]左千夫[さちお]も長塚[ながつか]節[たかし]も、ともに正岡[まさおか]子規[しき]を師[し]とし、同[おな]じ系列[けいれつ]に連[つら]なる歌人[かじん]です。 **けいれん(痙攣)** ○筋肉[きんにく]がひきつること。[文例]〈けいれんを起こす>試合[しあい]中[ちゅう]にふくらはぎにけいれんを起[お]こし、担架[たんか]で運[はこ]ばれた。♠●へ筋肉[きんにく]のけいれん〉トレーナーは選手[せんしゅ]の筋肉[きんにく]のけいれんを止[と]めるために、大急[おおいそ]ぎでマッサージをした。♠〈けいれんを伴[ともな]う〉コレラは、高熱[こうねつ]と下痢[げり]とけいれんを伴[ともな]う恐[おそ]ろしい伝染病[でんせんびょう]です。♠●へけいれんする>発表[はっぴょう]会[かい]の出番[でばん]を前[まえ]にして、彼[かれ]のくちびるはピクピクとけいれんしていた。 **けいろ【毛色】** ○毛[け]の色[いろ]。種類[しゅるい]。性質[せいしつ]。様子[ようす]。[文例]〈毛色[けいろ]の良[よ]し悪[わる]し>同[おな]じペルシア猫[ねこ]でも、毛色[けいろ]の良[よ]し悪[わる]しによって値段[ねだん]は全然[ぜんぜん]違[ちが]う。♠◆ヘカーペットの毛色[けいろ]〉このカーペットは質[しつ]はいいけれど、毛色[けいろ]が部屋[へや]の雰囲気[ふんいき]にあわない。♠毛色[けいろ]が違[ちが]う〉理科[りか]系[けい]ばかりの一族[いちぞく]の中[なか]で、弟[おとうと]はちょっと毛色[けいろ]が違[ちが]っていて、歴史[れきし]学[がく]を専攻[せんこう]しています。♠●〈毛色[けいろ]が変[か]わる〉ラッコは泳[およ]ぎの上手[じょうず]な動物[どうぶつ]だが、中[なか]には毛色[けいろ]の変[かわ]った泳[およ]げないラッコがいるかもしれない。 **けいろ【経路】** ○たどってきた道[みち]すじ。そうなるまでのすじ道[みち]。[文例]〈経路[けいろ]をたどる>富山[とやま]までは、この前[まえ]のドライブ旅行[りょこう]とまったく同[おな]じ経路[けいろ]をたどりました。♠◆◇目的地[もくてきち]への経路[けいろ]>目的地[もくてきち]は同[おな]じでも、経路[けいろ]の違[ちが]いによってかかる時間[じかん]や費用[ひよう]は異[こと]なる。♠●へ見学[けんがく]の経路[けいろ]>京都[きょうと]市内[しない]の有名[ゆうめい]な寺院[じいん]を、今回[こんかい]の見学[けんがく]の経路[けいろ]に従[したが]って紹介[しょうかい]しましょう。 **けう(希有・稀有)** ○めったにないさま。まれであるさま。[文例]〈けうな存在[そんざい]>老人[ろうじん]は、アイヌ語[ご]を自由[じゆう]に使[つか]いこなす、当時[とうじ]でもけうな存在[そんざい]だった。♠◆ヘけうなこと〉霧[きり]の多[おお]いこの地方[ちほう]で、湖[みずうみ]のすみずみまで見[み]ることができるのはけうなことだ。♠●へけうの英雄[えいゆう]〉豊臣[とよとみ]秀吉[ひでよし]は、地方[ちほう]の農民[のうみん]の子[こ]から関白[かんぱく]太政[だいじょう]大臣[だいじん]にまでなった、けうの英雄[えいゆう]です。♠●へけうの事件[じけん]〉いろいろなことが起[お]こる大都会[だいとかい]でも、これはまったくけうの事件[じけん]だった。 **ケース** ○箱[はこ]。いれ物[もの]。事例[じれい]。場合[ばあい]。[文例]〈ケースに入[い]れる〉母[はは]は、手作[てづく]りの人形[にんぎょう]をガラスのケースに入[い]れ、ピアノの上[うえ]にかざりました。♠眼鏡[めがね]のケース>修学旅行[しゅうがくりょこう]のおみやげに、父[ちち]には眼鏡[めがね]のケースを買[か]った。♠●へ特殊[とくしゅ]なケース〉サンダルばきの登校[とうこう]は禁止[きんし]だが、足[あし]にけがをしているきみの場合[ばあい]は、特殊[とくしゅ]なケースとして認[みと]めよう。♠●へ同[おな]じケースをたどる>彼女[かのじょ]の母親[ははおや]は学生[がくせい]結婚[けっこん]だったが、娘[むすめ]の彼女[かのじょ]も同[おな]じケースをたどろうとしている。 **ゲーム** ○競技[きょうぎ]。試合[しあい]。勝[か]ち負[ま]けを競[きそ]う遊[あそ]び。[文例]〈ゲームをする〉外[そと]で遊[あそ]べない雨[あめ]の日[ひ]は、兄弟[きょうだい]そろって、トランプやパズルなどのゲームをして遊[あそ]びました。♠●ヘゲームが始[はじ]まる〉ゲームが始[はじ]まってしばらくは、両[りょう]チームとも一進一退[いっしんいったい]で得[とく] <319> 点になりません。♠ヘ~>解説者が上手だと、ゲームの進行は、テレビを見る人にも予想できるようになる。 **けおさ・れる**[気おされる] ○気分的におされる。勢いに圧倒される。[文例]〈けんまくに気おされる>相手のけんまくに気おされて、ぼくは何も言えなくなってしまった。♠へ~>決勝戦の独特の雰囲気[ふんいき]に気おされることなく、彼女はのびのびとプレーしている。 **けが**[怪我] ○傷を負うこと。また、その傷。ふとした過ちから受ける損害や危害。[文例]〈けがをする>ナイフを持つ手がすべって、中指にけがをしてしまった。♠く~する〉階段から落ちて、足をけがしてしまってね。♠へ~を負う・負わせる>他人にけがを負わせてしまい、申しわけなくて夜も眠れない。♠ヘ~が治る>けがが治ったら、まず最初にしたいのは、運動場を思い切り走ることだ。♠へ~をする>ここはあなたのようなおじょうさんが来る所ではありません。けがをしないうちにお帰りなさい。♠へ~の功名[こうみよう]>夜更かししてテレビを見ていたのが泥棒よけになったのなら、けがの功名だね。♠<生兵法[なまびよう]はけがのもと>生兵法はけがのもと、習いたての剣道の竹刀をやたらに振り回したりするんじゃないよ。 **げかい**[下界] ○天上から見た人間界。高い所から見た地上。[文例]へ~を見下ろす>天上の神様は、雲のすき間から下界を見下ろしておりました。♠〈下界を眺[なが]める〉登山者は山頂から下界を眺めて、ほっと大きく息をついた。♠<下界におりる>天女は下界に舞いおりると、羽衣を松の枝にかけ水浴びを始めた。 **けが・す**[汚す] ○よごす。きたなくする。[文例]〈名誉[めいよ]を汚す>ここまで名誉を汚されて、黙っているわけにはいかない。♠〈神を汚す>神を汚す不届き者には、罰[ばち]があたりますぞ。♠<親の顔を汚す>親の顔を汚すような子は、この家から出てゆけ。♠へ~>お前の行為[こうい]は、伝統ある藤原[ふじわら]家の名を汚すばかりではないか。♠へ~>美しい思い出は汚すことなく残しておきたい。♠〈末席を汚す>本日はご招待ありがとうございます。末席を汚させていただきます。 **けがらわし・い**[汚らわしい](穢らわしい) ○きたならしい。下品で卑しい。不快で遠ざけたい感じだ。[文例]〈汚らわしい手>これはぼくの大切な宝物なのだから、泥[どろ]まみれの汚らわしい手で触[さわ]らないでくれ。♠へ~>金で人の心を買おうとは、汚らわしいやつだ。 **けがれ**[汚れ](穢れ) ○よごれ。きたならしさ。[文例]く~を知らない>汚れを知らない子供たちの笑顔ほど心の休まるものはない。♠へ~>おまえなどを切っては刀の汚れだ、失せろ。♠<汚れない>そのころのわたしは、十八の汚れなきおとめでした。 **けが・れる**[汚れる](穢れる) ○よごれる。きたなくなる。[文例]〈汚れた金>人をだまして手に入れた、そんな汚れた金は受け取れない。♠〈刀が汚れる>おまえのような男を斬っては刀が汚れる。♠〈家名が汚れる>父親は、息子に、家名が汚れるようなことは決してしてはならぬ、と言い聞かせた。 **げき**[劇] ○芝居。演劇。[文例]〈劇をする>学芸会で劇をすることになった。♠へ~に出る>もう何年も前ですが、看護婦の役で劇に出たことがあります。♠〈劇を見る>今までこんなおもしろい劇は見たことがない。 **げき**(檄) ○人々に行動をうながす文書。人々を奮い起こすための言葉。[文例]〈檄を飛ばす>党の中央は、全国各地の革命委員会に一斉蜂起[ほうき]の檄を飛ばした。 **げきえつ**[激越] ○感情が激しく高ぶって、荒々しいさま。[文例]〈激越な口調>住民側は、激越な口調をもって騒音源[そうおんげん]の工場に抗議した。♠へ~な>軍の内部には、即座に宣戦布告すべしという激越な主張もあった。 **げきか**[激化] ○激しくなること。[文例]〈戦争の激化>戦争の激化は、今のところ避けられない見通しとなった。♠へ~する>日本と諸外国との貿易摩擦[まさつ]は、今後ますます激化していくだろう。 **げきこう**[激高](激昂) ○激しく怒ること。いきり立つこと。げっこう。[文例]〈激昂を買う>「うるさいな、いちいち。」という兄の言葉は、父の激昂を買った。♠<激昂する>若者の無礼な行動に老人は激昂し、わなわなと体を震わせた。 **げきしょう**[激賞] ○非常にほめること。口をきわめてほめること。[文例]〈激賞を受ける>審査員全員の激賞を受けて新人賞に決まったのは、大学生の女流歌人でした。♠<激賞する〉本作品のすばらしさについては、ふだんは点の辛い評論家も激賞するほどです。 **げきじょう**[劇場] ○演劇や映画などを見せるための建物。[文例]ミュージカルの初日、劇場にはたくさんの観客がつめかけました。♠おばあちゃんと芝居を見に、街の劇場に出かけた。 **げきじょう**[激情] ○激しい感情。[文例]〈激情に駆られる>一時の激情に駆られて、家を飛び出したものの、まったく生活の見通しがたたなかった。 **げき・する**[激する] ○激しくなる。興奮する。いきりたつ。荒々しくなる。[文例]〈感情的に激する>議論がながびくにつれ、だんだん出席者は感情的に激してきた。♠へ~>感情がだんだん激してきて、言葉も荒くなった。♠〈わずかな事に激する>職を失ってからの父は、わずかな事にも激するようになった。♠へ~>もの静かな人だが、ひとたび事に激するとたちまち奮[ふる]い立った。♠へ~>戦闘[せんとう]は激して、もはやとどめるすべを知らなかった。♠〈激した水>険[けわ]しいがけの下では、激した水が岸をはげしく打って流れていた。 **げきせん**[激戦・劇戦] ○激しい戦い。[文例]〈激戦の地>グアムやサイパンは、かつて太平洋戦争の激戦の地であった。♠〈激戦を繰り広げる>折からマットの上では、激戦が繰り広げられていた。 **げきたい**[撃退] ○攻撃して退却させること。追い払うこと。[文例]〈撃退する>越境した敵軍は、まもなく撃退された。♠〈借金取りを撃退する〉押しかける借金取りを、金がないからと撃退した。 <320> **げきてき** 点[てん]張[ば]りで撃退[げきたい]し、めでたく新年[しんねん]を迎[むか]えた。 **げきてき【劇的】** ○劇[げき]で見[み]るような興奮[こうふん]・感動[かんどう]を与[あた]えるさま。[文例]〈劇的[げきてき]な生涯[しょうがい]>彼[かれ]は、三十[さんじゅう]歳[さい]の若[わか]さで、その劇的[げきてき]な生涯[しょうがい]を終[お]えた。♠へ劇的[げきてき]な出会[であ]い>北極[ほっきょく]の極点[きょくてん]で、二人[ふたり]の探検[たんけん]家[か]は、まったく劇的[げきてき]といえる出会[であ]いをしたのである。♠●へ劇的[げきてき]なシーン>画面[がめん]には、人類[じんるい]初[はつ]の月面[げつめん]着陸[ちゃくりく]という劇的[げきてき]なシーンが写[うつ]し出[だ]されています。♠●〈劇的[げきてき]なホームラン〉チームは、劇的[げきてき]な逆転[ぎゃくてん]ホームランで初[はつ]優勝[ゆうしょう]を飾[かざ]りました。♠へ劇的[げきてき]な最後[さいご]>登頂[とうちょう]成功[せいこう]のあと遭難[そうなん]した彼[かれ]の最期[さいご]は、冒険[ぼうけん]家[か]にふさわしく劇的[げきてき]であった。♠●〈劇的[げきてき]な盛[も]り上[あ]がり〉この小説[しょうせつ]は平板[へいばん]で、劇的[げきてき]な盛[も]り上[あ]がりに欠[か]けている。 **げきど【激怒】** ○激[はげ]しく怒[いか]ること。[文例]〈激怒[げきど]する>信頼[しんらい]を裏切[うらぎ]られたわたしは激怒[げきど]した。♠●〈激怒[げきど]する〉メロスは激怒[げきど]した。必[かなら]ず、かの邪智[じゃち]暴虐[ぼうぎゃく]の王[おう]を除[のぞ]かなければならぬと決意[けつい]した。(太宰[だざい]治[おさむ]「走[はし]れメロス」)♠◆<激怒[げきど]を抑[おさ]える〉被害[ひがい]者[しゃ]の家族[かぞく]は、犯人[はんにん]に対[たい]する激怒[げきど]を抑[おさ]えることができなかった。 **げきどう【激動】** ○激[はげ]しく揺[ゆ]れ動[うご]くこと。[文例]〈激動[げきどう]の時代[じだい]>十九[じゅうきゅう]世紀[せいき]後半[こうはん]から二十[にじっ]世紀[せいき]の前半[ぜんはん]にかけて、日本[にっぽん]は激動[げきどう]の時代[じだい]だった。♠●へ激動[げきどう]の世[よ]の中[なか]〉戦国[せんごく]時代[じだい]は、下克上[げこくじょう]という言葉[ことば]もあるように、まさしく激動[げきどう]の世[よ]の中[なか]でした。♠へ激動[げきどう]する〉激動[げきどう]する社会[しゃかい]をたくましく生[い]きぬくためには、闘争[とうそう]心[しん]も必要[ひつよう]でしょう。 **げきとつ【激突】** ○激[はげ]しい勢[いきお]いで突[つ]き当[あ]たること。[文例]〈力[ちから]と力[ちから]の激突[げきとつ]〉アメリカンフットボールは、力[ちから]と力[ちから]の激突[げきとつ]がそのだいご味[み]だ。♠●へ選手[せんしゅ]が激突[げきとつ]する〉リングの上[うえ]で体重[たいじゅう]百[ひゃっ]キロをこすプロレスラーが激突[げきとつ]するのです。♠●へ車[くるま]が激突[げきとつ]する〉超[ちょう]スピードのスポーツカーはカーブを曲[ま]がりきれず、コンクリートの壁[かべ]に激突[げきとつ]した。♠●〈兵士[へいし]が激突[げきとつ]する〉国境[こっきょう]付近[ふきん]で両国[りょうこく]の兵士[へいし]が激突[げきとつ]し、戦闘[せんとう]は今[いま]も続[つづ]いているらしい。 **げきは【撃破】** ○撃[う]ち破[やぶ]ること。[文例] <撃破[げきは]する>味方[みかた]の武器[ぶき]輸送[ゆそう]車両[しゃりょう]は、敵[てき]の戦車[せんしゃ]によって撃破[げきは]されていった。 **げきはつ【激発】** ○激[はげ]しく起[お]こること。[文例]へ一揆[いっき]の激発[げきはつ]>打[う]ち続[つづ]く飢饉[ききん]の下[した]で農民[のうみん]による一揆[いっき]の激発[げきはつ]は、藩[はん]の経済[けいざい]を著[いちじる]しく衰亡[すいぼう]させた。♠●〈激発[げきはつ]する>民主[みんしゅ]化[か]を要求[ようきゅう]して激発[げきはつ]した労働[ろうどう]者[しゃ]・学生[がくせい]の運動[うんどう]も、権力[けんりょく]によって厳[きび]しく弾圧[だんあつ]されていった。 **げきへん【激変・劇変】** ○急激[きゅうげき]に変[か]わること。激[はげ]しい変化[へんか]。[文例]〈生活[せいかつ]が激変[げきへん]する〉父[ちち]の死[し]によって一家[いっか]の生活[せいかつ]は激変[げきへん]した。♠〈情勢[じょうせい]が激変[げきへん]する〉円高[えんだか]で情勢[じょうせい]が激変[げきへん]し、日本[にっぽん]の輸出[ゆしゅつ]産業[さんぎょう]は[おお]きなダメージを受[う]けていた。♠●へ気候[きこう]の激変[げきへん]>気候[きこう]の激変[げきへん]は動植物[どうしょくぶつ]の成長[せいちょう]に大[おお]きな影響[えいきょう]を与[あた]えます。 **げきむ【激務・劇務】** ○非常[ひじょう]に忙[いそが]しい仕事[しごと]・任務[にんむ]。[文例]<激務[げきむ]に追[お]われる〉市長[しちょう]という激務[げきむ]に追[お]われるかたわら、書[か]きためた書[しょ]をもとに個展[こてん]を開[ひら]きました。♠●〈激務[げきむ]に就[つ]く〉四月[しがつ]から、父[ちち]は営業[えいぎょう]本[ほん]部長[ぶちょう]という激務[げきむ]に就[つ]くので、家族[かぞく]そろって食事[しょくじ]をするのもこれが最後[さいご]です。 **げきめつ【撃滅】** ○攻撃[こうげき]して滅[ほろ]ぼすこと。退治[たいじ]すること。[文例]〈ゲリラの撃滅[げきめつ]>政府[せいふ]軍[ぐん]は、山間[さんかん]部[ぶ]に出没[しゅつぼつ]するゲリラの撃滅[げきめつ]をもくろんでいる。♠●へ撃滅[げきめつ]する〉とりでに立[た]てこもっていた反乱[はんらん]軍[ぐん]を撃滅[げきめつ]した。♠●ヘネズミを撃滅[げきめつ]する〉大[だい]繁殖[はんしょく]したネズミを撃滅[げきめつ]するために、大量[たいりょう]の薬剤[やくざい]を散布[さんぷ]した。 **げきりゅう【激流】** ○激[はげ]しい流[なが]れ。[文例]<激流[げきりゅう]を渡[わた]る>渓谷[けいこく]を流[なが]れるこの激流[げきりゅう]を手製[てせい]のいかだで渡[わた]るというのですから大変[たいへん]です。♠●へ激流[げきりゅう]に飲[の]まれる〉そして、これらの恋人[こいびと]たちも引[ひ]き裂[さ]かれ、時代[じだい]の激流[げきりゅう]に飲[の]みこまれていったのである。 **げきりん(逆鱗)** ○(中国[ちゅうごく]の故事[こじ]から)天子[てんし]や皇帝[こうてい]の怒[いか]り。目上[めうえ]の人間[にんげん]の激[はげ]しい怒[いか]り。[文例]〈げきりんに触[ふ]れる〉わがままな女王[じょおう]をいさめて、そのげきりんに触[ふ]れた叔父[おじ]侯爵[こうしゃく]は追放[ついほう]されたのです。 **げきれい【激励】** ○励[はげ]まし元[げん]気[き]づけること。[文例]〈激励[げきれい]の言葉[ことば]>試合[しあい]前[まえ]に校長[こうちょう]先生[せんせい]から激励[げきれい]の言葉[ことば]があった。♠〈激励[げきれい]を受[う]ける〉家族[かぞく]の激励[げきれい]を受[う]けて、町内[ちょうない]マラソンを完走[かんそう]することができた。♠●へ激励[げきれい]する〉首相[しゅしょう]は被災[ひさい]地[ち]におもむき、現地[げんち]の人々[ひとびと]を激励[げきれい]した。♠●へしった激励[げきれい]する〉監督[かんとく]はくじけそうな選手[せんしゅ]を叱咤[しった]激励[げきれい]し続[つづ]けた。 **げきれつ【激烈・劇烈】** ○非常[ひじょう]に激[はげ]しいさま。[文例]〈激烈[げきれつ]な痛[いた]み>立[た]ち上[あ]がったとたん腰[こし]に激烈[げきれつ]な痛[いた]みが走[はし]って、そのままの格好[かっこう]で動[うご]けなくなった。♠●へ激烈[げきれつ]な闘[たたか]い>生物[せいぶつ]たちの世界[せかい]では、日々[ひび]生存[せいぞん]競争[きょうそう]という名[な]の激烈[げきれつ]な闘[たたか]いが続[つづ]いています。 **げげん(怪訝)** ○納得[なっとく]のいかないさま。不思議[ふしぎ]そうなさま。[文例]〈けげんな顔[かお]〉いきなり肩[かた]をたたかれた彼女[かのじょ]は、けげんな顔[かお]をして振[ふ]り返[かえ]った。♠●ヘけげんな気持[きも]ち〉彼女[かのじょ]のとってつけたような言[い]い訳[わけ]は、みんなをけげんな気持[きも]ちにさせました。♠●へけげんな面持[おもも]ち〉ぼくがうそをついているのがわかるのか、子供[こども]たちはみなけげんな面持[おもも]ちで見[み]ています。♠●〈けげんそう〉警察官[けいさつかん]は、けげんそうな顔[かお]で、男[おとこ]が持[も]っているハンドバッグをのぞきこみました。 **けさ(袈裟)** ○僧[そう]が肩[かた]にかけて衣[ころも]をおおう布[ぬの]。[文例]】〈けさをまとう〉坊[ぼう]さんは、みな、衣[ころも]の上[うえ]に左肩[ひだりがた]から右[みぎ]脇[わき]にかけてけさをまとっています。♠●〈けさをかける〉お坊[ぼう]さんたちが衣[ころも]の上[うえ]にかけているけさの色[いろ]によって、その位[くらい]がわかります。♠●へ坊主[ぼうず]憎[にく]けりゃけさまで憎[にく]い〉坊主[ぼうず]憎[にく]けりゃけさまで憎[にく]いということわざ通[どお]り、絶交[ぜっこう]した友人[ゆうじん]にもらったペンダントまできらいになった。 **けしか・ける** ○しむけて、相手[あいて]に立[た]ち向[む]かわせる。そそのかして行動[こうどう]をとらせる。[文例]〈けんかをけしかける〉祭[まつ]りでけんかが起[お]きると、周[まわ]りの人[ひと]は止[と]めるどころかむしろけしかける。♠〈犬[いぬ]をけしかける男[おとこ]は犬[いぬ]をけしかけ、通行[つうこう]人[にん]がこわがるのを見[み]て、喜[よろこ]んでいた。♠●〈人[ひと]をけしかける〉弟[おとうと]をけしかけて、父[ちち]に新[あたら]しい自転車[じてんしゃ]をねだらせた。♠●へ国民[こくみん]をけしかける〉ヒットラーはドイツ民族[みんぞく]の優秀[ゆうしゅう]性[せい]を説[と]き、国民[こくみん]を戦争[せんそう]へとけしかけたのである。♠◆人群衆[ぐんしゅう]をけしかける〉群衆[ぐんしゅう]をけしかけて暴動[ぼうどう]を起[お]こさせた張本人[ちょうほんにん]が彼[かれ]だ。 **けしからん(怪しからん)** ○不当[ふとう]で許[ゆる]せない。憤慨[ふんがい]を禁[きん]じえない。[文例]〈けしからんこと〉生[い]き物[もの]を理由[りゆう]もなくいじめるなど、まったくけしからんことだ。♠●へけしからん男[おとこ]〉会社[かいしゃ]の金[かね]を勝手[かって]に持[も]ち出[だ]すなんて、本当[ほんとう]にけしからん男[おとこ]だ。 <321> **けしからん** ○よくない。とんでもない。[文例]●くけしからん行為〉言いたいことはわかるが、暴力はけしからん行為だから厳重に処罰[しよばつ]する。 **けしき【景色】** ○風景。眺め。[文例]〈景色がいい〉この家は高台に建っていて、窓からの景色がとてもいい。♠●へ景色に見とれる〉景色に見とれていると足を踏みはずすから気をつけなさい。♠●へすばらしい景色〉雪の京都は絶品だと聞いてはいたが、これほどすばらしい景色とは思わなかった。♠●〈雪景色〉初めて見る都会の雪景色に、故郷の長い長い冬を思い出した。♠●へ夏景色>日本的な夏景色というと、タチアオイの咲く炎天の野の道が頭に浮かぶ。 **けしき【気色】** ○様子。気配。きざし。そぶり。顔つき。[文例]》〈気色を見せる〉父はじっと目をとじ、怒[いか]る気色も見せなかった。♠●人気色がない〉ものおじする気色もなしに、その子は堂々としゃべった。♠●〈気色がない〉十時には全員が集まるということだったが、まだそれらしい気色がない。♠人気色をうかがう〉うさんくさい男が柱のかげからこちらの気色をうかがっている。♠●へ気色ばむ〉何が気に障[さわ]ったのか、彼は突然[とつぜん]気色ばんだ表情になった。♠やがて死ぬけしきは見えず岬の声(松尾芭蕉) **けしつぶ【けし粒】(芥子粒)** ○ケシの種。非常に小さいこと。ちっぽけなこと。[文例]木の葉の裏には、けし粒のように小さい蛾[が]の卵がびっしりとついていた。♠●広大な宇宙のことを考えれば、人間などけし粒のようにちっぽけな存在でしかない。♠いいかげんなやつだから、自分の将来のことなどけし粒ほども考えていないようだ。 **けしと・ぶ【消し飛ぶ】** ○勢いよく飛んで、なくなる。ふきとぶ。[文例]〈家が消し飛ぶ〉爆弾[ばくだん]を受けた家は、一瞬[いつしゅん]のうちにあとかたもなく消し飛んでしまった。♠●へいやな思いが消し飛ぶ>子供たちの笑顔を見ていると、いやな思いもいっぺんに消し飛んでしまいます。♠●〈心配の種が消し飛ぶ>彼の忠告で、今まで頭にうずまいていた心配の種が消し飛んでしまった。 **けじめ** ○区別。わけめ。みさかい。[文例]〈けじめをつける〉遊び半分でやってきた仕事だが、そろそろ何らかのけじめをつけねばならぬ時期になってきた。♠●へけじめがない〉けじめのない生活を続けていると、しまいには身を持ち崩[くず]してしまうよ。♠●へ金銭のけじめ〉どんなに親しい仲とは言え、金銭に関してはけじめがほしい。♠●〈善悪のけじめ〉その年になって、善悪のけじめもつかないようでは困る。♠●〈~をけじめとして〉今回の出来事をけじめとして、新しい生活設計を考えていきたい。 **げしゅく【下宿】** ○代金を払い、他人の家の部屋を借りて住むこと。また、その家。[文例]〈賄[まかな]い付きの下宿〉最近は、食事を出してくれる、いわゆる賄い付きの下宿が少なくなった。♠●下宿を変える〉新学期から下宿を変えて、気分を一新した。♠●下宿をさがす〉わたしは上京すると、まず手ごろな下宿をさがした。♠●下宿する〉大学生のころは、学校のそばに下宿していた。 **けしょう【化粧】** ○顔を美しく飾ること。外見をつくり飾ること。[文例]〈化粧をする〉〈けばけばしい化粧〉つけまつ毛だの真っ赤な口紅だのと、ずいぶんけばけばしい化粧をした人だ。♠●へ化粧を落とす〉仕事から帰ってきて化粧を落とすとさっぱりする。♠●〈化粧する〉姉が鏡に向かって念入りにお化粧している。♠●〈化粧映[ば]え〉ふだんはメーキャップをしていないので、たまにやると化粧映えがする。♠●へ化粧くずれ>夏は汗[あせ]で化粧くずれがひどい。♠●〈厚・薄化粧>若いうちはあまり厚化粧をしないで、素肌の美しさを大切にしたい。♠●〈化粧室>化粧室はこの階の右手奥[おく]にございます。♠〈化粧品>わたしも、洗顔石けんや乳液など、基礎化粧品を買おうと思っている。♠●〈化粧道具>年ごろの女の子なら、化粧道具の一そろえぐらい持っていても不思議はあるまい。 **けしん【化身】** ○神仏が姿を変えて、この世に現れること。また、その姿を変えたもの。生まれ変わり。観念や理念の具体的な現れ。[文例]〈神の化身>若者が助けた白鳥は、湖の女神の化身だったのです。♠◆く悪魔の化身>男は、悪魔の化身のように次々と犯行を重ねていった。♠争へ悪の化身>猛毒[もうどく]をもつヘビやクモは、この土地では悪の化身として忌[い]み嫌[きら]われている。 **け・す【消す】** ○燃えるのを止める。電流・音などを止める。なくする。見えなくする。感じ取れなくする。殺す。[文例]灾を消す〉彼は黙ってたばこの火を消すと、席を立った。♠◆〈炎[ほのお]を消す〉息を吹きかけてローソクの炎を消すと、辺りは一面の闇[やみ]と化した。♠●〈姿を消す〉彼女は人ごみの中に姿を消してしまった。♠●〈字を消す〉記入を誤った場合は、二本線を引いて消し、上に書き直してください。♠◆◇黒板を消す>当番の者は、黒板を消してきれいにしておくように。♠〈色を消す>魔法使[まほうつか]いは、子供らの見ている前で、一つずつ虹の色を消していった。♠へ名前を消す〉いつも休んでばかりいたら、いつのまにか名簿[めいぼ]から名前を消されていた。♠へ電気を消す〉下に降りて来る時には、部屋の電気を消してきなさい。♠●ヘガスを消す〉家を出てすぐに、ガスを消し忘れたことに気づいた。♠◆ヘテレビを消す〉野球放送が途中[とちゆう]で終わったときは、テレビを消して、続きをラジオで聴く。♠明かりを消す〉どんなことがあっても、懐中[かいちゆう]電灯の明かりだけは消してはいけません。♠●へにおいを消す〉冷蔵庫のいやなにおいを消すために、脱臭剤[だつしゆうざい]を買ってきた。♠◆ヘ声が消される〉滝[たき]の音に消されて、捜索隊[そうさくたい]の呼ぶ声も聞こえなかった。♠●〈毒を消す〉カビの仲間には、毒を消す働きをするものがある。♠●へ証拠[しようこ]を消す〉賊[ぞく]は忍[しの]びこんだ形跡を残さず、巧妙[こうみよう]に証拠を消して行った。♠●へ邪魔者[じやまもの]を消す〉犯行後は、仲間に加わった者たちが次々と邪魔者として消されていった。 **げすい【下水】** ○使ってよごれた水。また、それを流すための設備。[文例]〈下水を流す〉十年前に町の道路が舗装[はそう]され、下水を流すみぞも完備された。♠◆下水が流れこむ>家庭の下水や工場排水が流れこみ、瀬戸内海はとてもきたなくなってしまった。♠●下水の処理>河川や海のよごれを防ぐために下水の処理はとても重要な問題です。♠◆下水道>下水道が完備されていないこの村では台風が来るたびにみぞが <322> あふれて困っている。 **けず・る【削る】** ○そぎ取る。取り除く。減らす。[文例]<鉛筆[えんぴつ]を削る〉慣れないと、ナイフで鉛筆を削るのもやさしくない。♠●へ文章を削る〉この文章は長くてページに収まらないので、もう少し削ってくれませんか?♠●〈身を削る〉身を削る思いで毎日働いているというのに、生活はいっこうに楽にならない。♠●へ時間を削る〉スケジュールの都合で、記者会見の時間を三十分ばかり削ります。♠●〈予算を削る〉宣伝部にまわす予算を、多少削らなければならない。♠●へ人員を削る>経営不振のために工場の人員を二〇パーセント削ることになった。♠●〈名前を削る〉委員会は、資格がないと思われる者の名前をリストから削っていった。 **げ・せる【解せる】** ○理解できる。納得できる。[文例]まんざら出まかせでもないらしいが、どうも彼の言っていることは解せない。♠●急がなければならないはずなのに、ゆっくりコーヒーを飲んでいた彼女の行動は解せない。♠あれだけの客がありながら、赤字経営だという帳簿[ちようぼ]には解せないところがある。 **けた(桁)** ○建物の柱の上に渡して、その上部を支える材木。数値の位。[文例]〈数のけた〉どこでけたを取り違えたのか、計算の結果はとんでもない数になってしまった。♠へけたが違う〉彼の考えはスケールが大きく、ぼくたちとはけたが違う。♠●ヘけた外れ〉中学一年生で十二秒台の記録といえば、けた外れの速さです。♠●〈二けた>弟はまだ二けたのかけ算ができません。♠●〈橋げた〉台風で川が増水[かんすい]し、橋げたが冠水[かんすい]してしまった。 **げた(下駄)** ○はなおに足を入れてはく木製のはき物。[文例]お風呂屋さんの入り口には、下駄やサンダルが並んでいた。♠●下駄を履[は]く〉〈下駄が脱[ぬ]げる〉確かにお父さんの下駄を履いて駆け出したのだが、いつの間にか両方とも脱げてしまった。♠●下駄を預ける〉この問題に関しては、すべておじさんに下駄を預けてあります。ぼくはおじさんの指示に従うつもりです。♠●下駄を履かせる〉今度のテストは問題が難しすぎたので、全員に十点ずつ下駄を履かせてくれるそうです。 **けだか・い【気高い】** ○上品である。すぐれていて気品がある。[文例]〈気高い女性>彼女は舞台[ぶたい]の上でも実生活でも、最後まで気高い女性を演じ続けた。♠●へ気高い雰囲気[ふんいき]>王妃[おうひ]のかもし出す気高い雰囲気に、周りの者は魅了[みりよう]されてしまった。♠●へばらのように気高い〉ばらの花のように気高い女性、そんな人と出会ってみたいものだ。 **けだし(蓋し)** ○思うに。おそらく。[文例]〈けだし名言>現代人にとって、「時は金なり」はけだし名言である。♠●けだし人生は、夢幻[ゆめまぼろし]であろう。 **けだたまし・い** ○大きく鋭い音や声がして、やかましい。[文例]〈けたたましいサイレン〉真夜中の街にパトカーのけたたましいサイレンが鳴り響く。♠●ヘけたたましい鳴き声>わたしたちは、飼っている鶏[にわとり]のけたたましい鳴き声で目を覚ました。♠●くけたたましくいななく〉火に驚いた馬はけたたましくいななき、棒[ぼう]立ちになった。 **けたちがい【けた違い】(桁違い)** ○数の位どりのまちがい。違いが非常に大きいこと。[文例]〈けたちがいの値〉欲しいと思うスカートだったが、こちらの予算とはけたちがいの値段がついていた。♠●へけたちがいの力〉同じ小学生といっても、相手はけたちがいの実力の持ち主だから勝負にならない。♠●へけたちがいに速い〉一人だけけたちがいに速い選手がいて、大きく差を開いてゴールインした。 **げだつ【解脱】** ○俗世間の悩みや迷いから脱して、悟りを開くこと。[文例]〈解脱の境地>読経三昧[どきようざんまい]の日々を重ねるうちに、安らかな解脱の境地に入ってゆく。♠●〈解脱する〉わたしたち凡人[ぼんじん]は、心につきまとう煩悩[ぼんのう]を解脱することが難しい。 **けた・てる(蹴立てる)** ○けって、土けむりや波などををたてる。荒々しく踏む。「[文例]〈波をけたてる〉モーターボートが波をけたてるように進む。♠●〈雪をけたてる〉牧場の新雪をけたててサラブレッドの群れが疾走[しつそう]する。 **けたはずれ【けた外れ】(桁外れ)** ○標準と非常にかけ離れていること。[文例]〈けたはずれの数字〉こちらの予想とはけたはずれの数字を示されたので、取り引きは成立しなかった。♠●へけたはずれの力〉相手は、けたはずれの力の持ち主だった。♠●ヘけたはずれに高い>欧米人の感覚からすれば、日本の土地はけたはずれに高い。 **けだもの(獣)** ○けもの。野獣。[文例]水もえさも少ない砂漠にもたくさんのけだものが生きている。♠●ヘけだもののような男〉あいつは、人を傷つけることなど何とも思わないけだもののような男だ。♠●ヘけだものにも劣[おと]る〉実の子を捨てるなんて、けだものにも劣るやつだ。 **けだる・い(気怠い・倦怠い)** ○なんとなくだるい。[文例]〈けだるい夜>夏の一日はようやく暮れて、けだるい夜の空気が部屋にしのび込む。♠●ヘけだるそう〉「おい」と声をかけると、「ああ」とけだるそうな声が返ってきた。♠●へけだるさ>窓から顔を出した女の目もとのけだるさを見てとると、客はその場を立ち去った。 **けち(吝嗇)** ○むやみに物惜しみすること。ちっぽけなさま。みすぼらしいさま。縁起の悪いこと。なんくせ。[文例]へけちな人〉あのけちなおじさんがおこづかいをくれるなんて、とても信じられません。♠●へけちな根性〉きみがこんな風に自分のことしか考えない、けちな根性の持ち主とは思わなかった。♠●ヘけちな料けん>自分の損得しか頭にない、そんなけちな料けんじゃ将来が知れてるぞ。♠●へけちがつく〉計画は、業者どうしのいさかいからけちがつき、結局取りやめになってしまった。♠●へけちをつける〉うまくかけたと思っていた絵にけちをつけられ、妹はすっかりしょげこんでいる。 **けちら・す【け散らす】(蹴散らす)** ○けって散らす。打ち破って、ちりぢりにする。[文例]〈枯れ葉をけちらす〉木の根元に集めてあった枯れ葉をけちらして、子供たちは駆けていった。♠●へ小石をけちらす〉ぼくは、足元の小石をけちらすように歩いていた。♠●へ敵をけちらす〉味方の軍勢は、立ち <323> けっこう♠ふさがる敵[てき]をけちらして城[しろ]へと攻[せ]め上[のぼ]った。 **けつ【決】** ○議案[ぎあん]の採決[さいけつ]。[文例]〈決[けつ]を探[さぐ]る〉それでは決[けつ]を採[と]ります。この案[あん]に賛成[さんせい]の人[ひと]は手[て]をあげてください。♠へ決[けつ]に従[したが]うこの問題[もんだい]に関[かん]しては、役員会[やくいんかい]の決[けつ]に従[したが]うつもりです。 **けつ【穴】** ○しり。最後尾[さいこうび]。びり。[文例]』〈けつが青[あお]い〉おまえのようにけつの青[あお]い若造[わかぞう]には、この程度[ていど]の仕事[しごと]がいいとこだ。♠くけつの穴[あな]が小[ちい]さい〉なんとけつの穴[あな]の小[ちい]さい男[おとこ]だ。もっとでかいことを考[かんが]えろ。♠へけつの毛[け]をむしる〉あんなしたたかな商売人[しょうばいにん]が相手[あいて]じゃ、けつの毛[け]までむしられてしまう。♠くけつをまくる〉問[と]い詰[つ]めると、男[おとこ]は、それがどうした、悪[わる]いか、とけつをまくった。♠くけつをたたく〉なまけ者[もの]の亭主[ていしゅ]のけつをたたいて、畑[はたけ]に出[だ]してやった。♠へけつから二番目[にばんめ]〉やっぱり太[ふと]り過[す]ぎだな。校内[こうない]マラソンはけつから二番目[にばんめ]だった。 **けつい【決意】** ○意志[いし]を決[き]めること。意[い]を決[けっ]すること。決心[けっしん]。[文例]〈決意[けつい]がかたい〉あいつの決意[けつい]はかたいから、いくら説得[せっとく]してもむだだろう。♠へ決意[けつい]をかためる〉独身[どくしん]貴族[きぞく]に別[わか]れをつげ、このほど結婚[けっこん]の決意[けつい]をかためました。♠〈強固[きょうこ]な決意[けつい]〉〈決意[けつい]がゆらぐ>死[し]の恐怖[きょうふ]に直面[ちょくめん]すれば、どんなに強固[きょうこ]な決意[けつい]もゆらぐことはあるだろう。♠へ決意[けつい]のほど〉いつにない真剣[しんけん]なまなざしに、彼[かれ]の決意[けつい]のほどが感[かん]じられる。♠〈決意[けつい]を新[あら]たにする〉過去[かこ]はすっぱりと忘[わす]れて、決意[けつい]を新[あら]たにして再出発[さいしゅっぱつ]します。♠へ決意[けつい]がみなぎる〉彼[かれ]の両[りょう]の目[め]に決意[けつい]がみなぎっている。♠〈決意[けつい]する〉これからの半年間[はんとしあいだ]、死[し]にものぐるいで勉強[べんきょう]しようと決意[けつい]した。 **けつえき【血液】** ○動物[どうぶつ]の血管内[けっかんない]をめぐる体液[たいえき]。血[ち]。[文例]〈血液[けつえき]が流[なが]れる>酸素[さんそ]や栄養分[えいようぶん]は、体[からだ]の中[なか]を流[なが]れている血液[けつえき]によって運[はこ]ばれます。♠〈血液[けつえき]の循環[じゅんかん]〉お風呂[ふろ]に入[はい]って温[あたた]まると、血液[けつえき]の循環[じゅんかん]がよくなる。♠〈血液[けつえき]が付着[ふちゃく]する〉犯人[はんにん]のワイシャツに被害者[ひがいしゃ]の血液[けつえき]が付着[ふちゃく]していた。 **けつえん【血縁】** ○血続[ちつづ]きの関係[かんけい]。血[ち]のつながり。[文例]彼[かれ]の血縁[けつえん]には、政治家[せいじか]や画家[がか]など有名人[ゆうめいじん]が多[おお]い。♠お正月[しょうがつ]には、祖父[そふ]の家[いえ]に血縁[けつえん]がみな集[あつ]まります。♠亡[な]くなった老人[ろうじん]には、その遺産[いさん]を相続[そうぞく]するような血縁[けつえん]が一人[ひとり]もいない。♠〈血縁関係[けつえんかんけい]〉二人[ふたり]は出身地[しゅっしんち]も名字[みょうじ]も同[おな]じですが、血縁関係[けつえんかんけい]はありません。 **けっか【結果】** ○ある原因[げんいん]から引[ひ]き起[お]こされた状態[じょうたい]。[文例] <試験[しけん]の結果[けっか]>試験[しけん]の結果[けっか]は、一週間後[いっしゅうかんご]に発表[はっぴょう]される。♠へ試合[しあい]の結果[けっか]〉今日[きょう]の試合[しあい]の結果[けっか]なら、十一時過[じゅういちじすぎ]ぎのニュースでわかる。♠へよい・悪[わる]い結果[けっか]〉〈結果[けっか]につながる〉あの場面[ばめん]で思[おも]い切[き]って選手[せんしゅ]を交替[こうたい]させたことが、よい結果[けっか]につながった。♠へ結果[けっか]をもたらす〉この判断[はんだん]が、たとえどんな結果[けっか]をもたらそうとも、決[けっ]して後悔[こうかい]はすまい。♠へ努力[どりょく]の結果[けっか]>彼女[かのじょ]の成功[せいこう]は、たゆまぬ努力[どりょく]の結果[けっか]です。♠〈不幸[ふこう]な結果[けっか]〉〈結果[けっか]を招[まね]く>両家[りょうけ]の土地[とち]の境界[きょうかい]がはっきりしていなかったことが、この不幸[ふこう]な結果[けっか]を招[まね]いたのです。♠へ原因[げんいん]と結果[けっか]>物事[ものごと]には基[もと]となる原因[げんいん]があって、そこから結果[けっか]が生[しょう]じます。♠<結果的[けっかてき]〉さまざまな批判[ひはん]もあったが、結果的[けっかてき]には大成功[だいせいこう]をおさめることができた。♠〈結果論[けっかろん]〉あの時[とき]もっとよく考[かんが]えて行動[こうどう]していれば、というのは結果論[けっかろん]です。 **げっか【激化】** ♪げきか **けっかい【決壊】** (決潰[けっかい])○(堤防[ていぼう]などが)切[き]れて崩[くず]れること。[文例]〈ダムの決壊[けっかい]〉雨量[うりょう]が増[ふ]えると、ダムの決壊[けっかい]を防[ふせ]ぐために、いつもよりたくさんの水[みず]が放出[ほうしゅつ]される。♠へ決壊[けっかい]する〉このまま水位[すいい]が上[あ]がれば、堤防[ていぼう]が決壊[けっかい]するのは時間[じかん]の問題[もんだい]だ。 **けっかん【欠陥】** ○欠[か]けているところ。不備[ふび]な点[てん]。[文例]欠陥[けっかん]がある〉この小説[しょうせつ]には、人物[じんぶつ]どうしの関係[かんけい]がわかりにくいという欠陥[けっかん]がある。♠へ欠陥[けっかん]をもつ〉ぼくも欠陥[けっかん]をもっているが、努力[どりょく]でそれを補[おぎな]っていこうと思[おも]っている。♠〈欠陥[けっかん]だらけ〉この中古車[ちゅうこしゃ]は欠陥[けっかん]だらけだ。♠〈論理上[ろんりじょう]の欠陥[けっかん]>検察官[けんさつかん]は、証言[しょうげん]の論理上[ろんりじょう]の欠陥[けっかん]を鋭[するど]く指摘[してき]した。♠へ欠陥商品[けっかんしょうひん]>壊[こわ]れやすいうえに、安全性[あんぜんせい]を考[かんが]えていないおもちゃは欠陥商品[けっかんしょうひん]だ。 **けっき【決起】** (蹶起[けっき])○思[おも]い切[き]って行動[こうどう]を起[お]こすこと。奮[ふる]い立[た]つこと。[文例]〈決起[けっき]する〉いかに政治[せいじ]が腐敗[ふはい]しようと、それを断罪[だんざい]する権利[けんり]は国民[こくみん]だけが持[も]つのであり、軍人[ぐんじん]が決起[けっき]するなどということがあってはならない。♠決起集会[けっきしゅうかい]>待遇改善[たいぐうかいぜん]を求[もと]めて、職場[しょくば]の全員[ぜんいん]による決起集会[けっきしゅうかい]が行[おこな]われた。 **けっき【血気】** ○盛[さか]んな意気[いき]。向[む]こう見[み]ずの勇気[ゆうき]。[文例]<血気[けっき]にはやる>酒[さけ]が入[はい]ると、血気[けっき]にはやる若者[わかもの]がけんかを始[はじ]めました。♠へ血気[けっき]にまかせる>青年[せいねん]たちは、血気[けっき]にまかせて、話[はな]し合[あ]いを求[もと]めにきた隣村[となりむら]の人[ひと]たちを追[お]い返[かえ]してしまった。♠〈血気[けっき]の勇[ゆう]〉彼[かれ]の行動[こうどう]は前後[ぜんご]を考[かんが]えない血気[けっき]の勇[ゆう]であり、ほめられたものではない。♠〈血気[けっき]さかん>血気[けっき]さかんな若者[わかもの]たちの中[なか]に、何人[なんにん]かのお年寄[としより]りもまじってみこしを担[かつ]いでいる。 **けつぎ【決議】** ○会議[かいぎ]で決定[けってい]すること。会議[かいぎ]で決定[けってい]された事柄[ことがら]。[文例]〈決議[けつぎ]による〉総会[そうかい]の決議[けつぎ]により、会則[かいそく]の一部[いちぶ]が変更[へんこう]になった。♠〈決議[けつぎ]に従[したが]う〉今後[こんご]については、職員会議[しょくいんかいぎ]の決議[けつぎ]に従[したが]うつもりです。♠〈決議[けつぎ]する>委員会[いいんかい]で決議[けつぎ]したことは、必[かなら]ずクラスに伝[つた]えてください。 **げっきゅう【月給】** ○月決[つきぎ]めで支払[しはら]われる給料[きゅうりょう]。[文例]育給[げっきゅう]を払[はら]う〉月給[げっきゅう]を払[はら]っているのだから、その分[ぶん]だけは働[はたら]いてもらわなくては困[こま]る。♠〈月給[げっきゅう]をもらう〉サラリーマンの父[ちち]は、毎月[まいげつ]決[き]まった額[がく]の月給[げっきゅう]を会社[かいしゃ]からもらってきます。♠〈月給[げっきゅう]が安[やす]い〉仕事[しごと]はきついし月給[げっきゅう]は安[やす]いしと、兄[あに]は酒[さけ]を飲[の]みながら愚痴[ぐち]をこぼしている。♠〈月給[げっきゅう]が上[あ]がる〉もう少[すこ]しお父[とう]さんの月給[げっきゅう]が上[あ]がったら、家計[かけい]も楽[らく]になるのに。♠今月給取[げっきゅうと]り〉しがない月給取[げっきゅうと]りですから、ヨットなどどいう金持[かねも]ちの遊[あそ]びはできません。 **けっきょく【結局】** ○物事[ものごと]の終[お]わり。結末[けつまつ]。とどのつまり。とうとう。ついに。[文例]派手[はで]なけんかをした二人[ふたり]だが、結局[けっきょく]元[もと]のさやにおさまった。♠周囲[しゅうい]を批判[ひはん]してみたところで、結局[けっきょく]は自分[じぶん]で解決[かいけつ]しなければならないことに変[か]わりはない。♠表現[ひょうげん]はうまいが、結局[けっきょく]何[なに]を言[い]いたいのかさっぱりわからない評論[ひょうろん]だ。♠〈結局[けっきょく]のところ〉結局[けっきょく]のところ、われわれは組織[そしき]に縛[しば]られているのではないか。 **けっこう【結構】** ○物事[ものごと]の組[く]み立[た]て。申[もう]し分[ぶん]のないさま。十分[じゅうぶん] <324> **けっこう**[決行] ○思い切って実行すること。[文例]〈運動会を決行する>運動会は、小雨の中で決行された。♠<雨天決行>いくら雨天決行と言っても、この風雨ではむりだろう。♠〈スト決行中>その会社の前を通ると、「スト決行中」と書かれた大きな紙がはってあった。 **けっこう**[欠航] ○運航をとりやめること。[文例]〈欠航する>空港が濃霧[のう]に包まれたため五○三便は欠航いたします。♠<船の欠航>連絡船の欠航が告げられると、待合室はざわついた。 **けつごう**[結合] ○結び合わせること。結びつくこと。[文例]〈分子の結合>黒板の図は、分子の結合を示したものだ。♠<結合する〉ヒトの体には異なる器官を結合したり、すきまをうめたりする組織があります。♠〈結合部分>警報機が鳴り出したのは、ガス管の結合部分からガスがもれていたからだ。 **げっこう**[月光] ○月の光。[文例]〈月光に輝[かがや]く〉夜の海が月光に輝く。♠◇月光が差す>銅像のある中庭に、やわらかい月光が差しこんでいる。♠〈月光に浮かび上がる>本堂の裏手の松林が、黒く月光の中に浮かび上がる。♠ヘ~を浴びる>川原には、月光を浴びて立つ一人の剣士の姿があった。 **げっこう**[激高](激昂) ♪げきこう **けっこん**[結婚] ○夫婦になること。[文例]〈結婚を申し込む>さんざん悩[なや]んだあげく、思い切って結婚を申し込んだ。♠<結婚を祝う〉結婚を祝う言葉をあれこれと考えたが、いざとなるとうまい文句が見つからない。♠へ~にこぎつける〉十年間の交際を経て、やっと結婚にこぎつけた。♠〈結婚が決まる>ご結婚が決まったそうですね、おめでとうございます。♠へ~>そんなにうかれているけど、結婚は人生の墓場などという言葉もあるんですよ。♠<結婚する〉二番目の姉も来春には結婚することになった。♠〈結婚生活>夢[ゆめ]に見た結婚生活だったが、現実とのギャップは大きかった。 **けっさく**[傑作] ○優れた作品。こっけいで吹き出したくなるさま。[文例]〈最大の傑作>この彫刻[ちようこく]は今世紀最大の傑作だ。♠〈傑作を残す>ミケランジェロは、絵画のみならず彫刻にも数々の傑作を残している。♠〈傑作をものにする>コンクールで落選した兄は、今度こそ傑作をものにしてみせるぞといきりたっている。♠へ~を書く>短編作家として第一の傑作を書いたのは、彼が五十代のころである。♠へ~>ピカソの最高傑作の一つと言われる「ゲルニカ」について解説いたしましょう。♠へ~>彼の言うこともおかしいけど、かっこうがまた傑作なんですよ。 **けっさん**[決算] ○金銭の出入りのまとめ。一定期間の収入と支出の総計算。[文例]三月は、一年の金銭の出入りを総計算する決算の時期にあたります。♠〈決算を済ませる>年内に決算を済ませようと、会計の彼は必死でそろばんをはじいている。 **けっし**[決死] ○死を覚悟すること。[文例]〈決死の思い>火に囲まれ、決死の思いで三階の窓から飛び降りた。♠へ~の覚悟>兵士たちは、決死の覚悟で大勢の敵にむかっていった。♠〈決死の形相[ぎようそう]>隊員たちには決死の形相が表れている。♠<決死隊>敵の囲みを破って城に連絡を取る決死隊が組織された。 **けつじつ**[結実] ○実を結ぶこと。よい成果として現れること。[文例]へ~する>ナスは開花後まもなく結実し、取り入れが可能になります。♠へ~する>作者のなつかしい故郷への思いが、この詩に結実している。♠へ~>ついに完成した水路は、農民の長年にわたる夢と汗の結晶実であった。♠<努力の結実>全国大会への出場は、三年間のだまゆまない努力の結実である。 **けっしゅう**[結集] ○集めてまとめること。一つにまとまること。[文例]〈活動の結集>この文集は、文芸部員の創造的活動の結集だ。♠〈仲間を結集する>一一八〇年に伊豆で挙兵[きようへい]した源頼朝[みなもとのよりとも]は、鎌倉[かまくら]を本拠地[ほんさよち]と定め、東国の武士たちを結集した。♠へ~する>みんなの力を結集したからこそ、あれだけの仕事ができたのだ。 **けっして**[決して] ○絶対に。断じて。けして。[文例]ぼくは決してうそはついていません、信じてくださいよ。♠これだけは決して他人に言わないでほしい。♠それだけの時給がもらえるなら、決して悪いアルバイトではない。♠わたしは決してきみの行為[こうい]を責めているのではありません。♠決してうまい文章を書こうなどと思ってはいけない。 **けっしゅつ**[傑出] ○ぬきんでてすぐれていること。[文例]〈傑出する>数多い有望新人の中でも、彼は傑出している。♠<傑出した実力〉きみのような傑出した実力の持ち主なら、向かう所敵なしだろう。 **けつじょ**[欠如] ○欠けていること。[文例]〈想像力の欠如>想像力の欠如は、女優をめざす彼女には致命的[ちめいてさ]なことだ。♠<栄養分が欠如する〉この土地には必要な栄養分が欠如しているのか、農耕には適しません。♠へ~する>彼は責任感が欠如しているので、大切な仕事は任せられない。♠へ~する>あの人がいつも仲間はずれになってしまうのは、とてもわがままで協調性が欠如していることに原因がある。 **けっしょう**[結晶] ○原子が規則正しく配列し、均質な固体を構成しているもの。努力して得られた望ましい結果。[文例]〈雪の結晶>雪の結晶は肉眼[にくがん]でも見ることができる。♠<塩の結晶>塩の結晶を顕微鏡[けんびきよう]でのぞき、ていねいにスケッチをした。♠へ~>血と汗の結晶である優勝旗が、今選手に手渡[てわた]されました。♠〈愛の結晶>この子はわたしたち二人の愛の結晶である。♠へ~する>作者の感動が、一つのイメージとしてこの絵に結晶したのです。 <325> **けっしょう**[決勝] ○最終的な勝負を決すること。また、その試合。[文例]<決勝のホームラン〉八回裏一死満塁で決勝のホームランが飛び出しました。♠へ~を行う>三時から男子百メートル競走の決勝が行われる。♠<決勝戦>彼は予選を難なく通過し、決勝戦に進出しました。 **けっしょく**[血色] ○顔の色つや。[文例]〈血色がよい・悪い>腕白[わんぱく]そうで血色のよい子に交[ま]じって、一人変な上目[うわめ]づかいで写っている血色の悪いのがわたしだった。♠近頃[ちかごろ]は身体[からだ]の具合が好[い]いと見えて、髪を刈って湯に入った後の彼の血色は、殊[こと]にうやうやしかった。(夏目漱石「行人[こうじん]」) **けっしん**[決心] ○心を決めること。心に決めること。決定。[文例]〈決心がつく>わたしは優柔不断[ゆうじゆうふだん]な性格で、何をやるにもなかなか決心がつかない。♠へ~が固い>今度こそ決心が固いから、いくら止めたって、むだだぞ。♠へ~がゆらぐ>恋人[こいびと]の涙[なみだ]に、旅だちの決心がゆらぐ。♠〈決心が鈍る>一度は転職を考えたが、家族のことを考えると決心が鈍った。♠く~が動かない>周囲の者がみな賛成してくれたのだし、この決心は動きません。♠〈決心を変える>こうなっては何ものも彼の決心を変えることはできない。♠へ~>ひとみに強い決心をみなぎらせて、計画を父親に話した。♠へ~>ゆるぎない決心のもとに、新たな研究にとりかかろうとしていた。♠へ~する>自分でそうしようと決心した以上は、最後までやり通したい。 **けっ・する**[決する] ○決める。決まる。[文例]〈運命を決する>今考えて見ると、大学卒業の年がぼくの運命を決した時だったと言えそうです。♠へ~>両横綱[よこづな]が雌雄[しゆう]を決する日がやってきた。♠〈大勢が決する>即日開票ですから、明日の正午までには大勢が決するでしょう。♠へ~>目をつぶって考えこんでいた父は、やがて意を決して立ち上がった。♠〈まなじりを決する>各委員は、まなじりを決した厳しい表情で会議室に入っていった。 **けっせい**[結成] ○まとめ上げること。組織を作ること。[文例]〈会を結成する>鉄道ファンを集めて、同好会を結成しました。♠ヘ~>このロックグループを結成したのは八年前のことです。♠●〈組合を結成する>労働者は、労働組合を結成する権利を法律で認められている。 **けっせき**[欠席] ○集まりの席に出ないこと。学校を休むこと。[文例]<欠席の届け〉肉親に不幸があったそうで、長島さんから欠席の届けが出ている。♠〈欠席が多い>欠席の多いA君は、テストでよほどいい点を取らないかぎり進級は難しい。♠へ~する>この三日間病気で学校を欠席した。♠へ~する>どうしても都合がつかないので、クラス会は欠席します。 **けっせん**[決戦] ○最終的な勝負を決めるために戦うこと。また、その戦い。[文例]〈天下分け目の決戦>関ヶ原[せきがはら]の戦いは、天下分け目の決戦といわれます。♠〈決戦を挑[いど]む>壇[だん]の浦[うら]は、平家が源氏に対して最後の決戦を挑んだ場所です。♠〈決戦に備える>チャンピオンは三か月にわたる厳しいトレーニングを積んで、今日の決戦に備えた。 **けっそう**[血相] ○顔つき。顔いろ。[文例]〈血相を変える>畑を荒らしたのはおまえたちかと、田吾作[たごさく]どんが血相を変えて飛び込んできた。♠〈血相が変わる>わたしの言葉に彼女の血相がさっと変わった。 **けっそく**[結束] ○束ねて結ぶこと。団結すること。[文例]〈結束する>お小遣いの値上げということでは、兄弟は結束しています。♠〈結束が固い>ぼくたちのグループは結束が固く、団結力のあることが自慢だ。♠へ~を固める>あの強敵に立ち向かうためには、味方同士の結束を固める必要があります。 **けつぞく**[血族] ○血筋のつながった一族。血縁関係にある人々。[文例]県会議員の叔父[おじ]、医者のいとこなど、彼の血族には地元の名士が多い。♠へ~が集まる>祖父の残した遺産の分配について、血族が集まって会議を開くことになった。♠へ~が絶える>秀頼[ひてより]の死によって、豊臣[とよとみ]氏の血族は絶えてしまった。 **けっそん**[欠損] ○欠けてなくなること。金銭上の損失。[文例]新製品開発の失敗による欠損は約三億だった。♠〈欠損を出す>輸出がふるわなかったので、どこのおもちゃ工場も、今年は大きな欠損を出すことになりそうだ。 **けったく**[結託] ○一緒になって悪事をたくらむこと。ぐるになること。[文例]〈結託する>教育者が町のボスと結託して幅[はば]をきかすなんてのは困ります。 **けつだん**[決断] ○きっぱりと決めること。思い切ること。[文例]〈決断を下す>隊長はついに決断を下した。♠<決断を迫[せま]る>卒業を間近に控え、進学か就職かの決断を迫られている。♠〈決断が早い>決断が早く、一度決めたらあれこれ迷わないことが彼の長所です。♠へ~する>二日間じっくり考えた末、計画の実行を決断しました。 **けっちゃく**[決着・結着] ○きまりがつくこと。[文例]〈決着をつける>そろそろ、ゴミ処理場の問題にも決着をつけたい。♠へ~がつく>二人の間のもめごとにも、ようやく決着がついたようですね。♠へ~を見る>その件に関しては、すでに決着を見ましたのでご安心ください。♠へ~する>時間がたてば自然に決着するような問題もある。 **けってい**[決定] ○決めること。決まること。定めること。定まること。また、その内容。[文例]〈方針の決定>基本方針の決定は、委員会の三分の二以上の賛成をもって行われる。♠〈決定を早める>生徒の関心も高いので、修学旅行の日程については決定を早めることにした。♠〈決定する>その小さな出来事がわたしの一生を決定しようとは、その時は思ってもみなかった。♠へ~>彼は仕事の上で、決定的な過[あやま]ちを犯[おか]してしまった。♠へ~>事故の決定的瞬間[しゅん]をおさめたのが、今日の新聞の写真です。♠へ~>優勝決定戦は、明日の午後二時から、日本と中国の間で行われる。♠<決定版>これぞ、受験参考書の決定版! **けってん**[欠点] ○欠けている点。足りないところ。短所。→美点[文例]〈欠点がある。ない>だれだって一つや二つ欠点はあるものだ。♠〈欠点をさがす>他人の欠点を一つ一つさがすようなまねはやめなさい。♠〈欠点を補う>彼は自分の欠点をよく知っていて、それを補う努力を怠らない。♠〈欠点だらけ>彼は欠点だらけの男だが、ぼくはなぜか彼が好きだ。♠<唯一の欠点>あんなすばらしい女性にも、時間にルーズだという唯一の欠点があった。 <326> **けっとう** すなおに認めます。●〈美点と欠点〉〈欠点を補う〉これからはお互いの美点を認め合い、欠点は補い合って仲よくお暮らしください。●へ欠点のないのが欠点>欠点のないのが欠点、なんていう人は、きっと退屈な人にちがいない。[文例]〈欠点をあげる〉全体的によくまとまっている絵だが、しいて欠点をあげるとすれば、バックの色だ。♠〈欠点をつく〉今まで気づかなかった自分の欠点をつかれて、わたしはがくぜんとした。♠〈欠点を認める>計画性はあるけれど、持続性がないという欠点は素直[すなお]に認めます。♠〈美点と欠点〉〈欠点を補う〉これからはお互いの美点を認め合い、欠点は補い合って仲よくお暮らしください。♠へ欠点のないのが欠点>欠点のないのが欠点、なんていう人は、きっと退屈[たいくつ]な人にちがいない。 **けっとう【決闘】** ○争いに決着をつけるため、約束に従って闘うこと。また、その闘い。[文例]〈決闘を申し込む>伯爵[はくしゃく]は、自分を侮辱[ぶじよく]した相手に対し、決闘を申し込んだ。♠へ決闘のシーン>西部劇には、よくピストルによる決闘のシーンが出てきます。 **けっとう【血統】** ○血すじ。血続き。[文例]〈競走馬の血統〉サラプレッドの能力は、父・母・祖父・祖母とさかのぼる血統に左右されることが多い。●へ血統がよい>屋敷には、血統のよさそうな犬が何匹も飼われていた。●へ血統が絶える〉千代が十九歳で歿[ぼつ]したので、澀江[しぶえ]氏[し]の血統は一たび[ひと]絶え[たえ]た。(森鷗外[もりおうがい]「澀江抽斎[しぶえちゆうさい]」) **けつにく【血肉】** ○血と肉。血族。肉親。[文例]〈血肉を分ける〉小説の主人公は、作者にとって血肉を分けた存在であるだろう。 **けっぱく【潔白】** ○やましいところのないこと。罪科[つみとが]のないこと。[文例]わたしは何もうしろ暗いことなどしていない、断じて潔白だ。●〈身の潔白>男は、身の潔白を証明し、疑いを晴らす必要があった。●へ清廉潔白〉あの人はけがれたところのない、清廉潔白な人です。 **けっぺき【潔癖】** ○不潔や不正をひどく嫌う性質。きれい好き。[文例]兄は潔癖で正義感が強く、わずかな不正も許しません。●<潔癖な人>高木さんは、責任感の強い潔癖な人です。 **けつべつ【決別】** (訣別)○別れること。別れ。[文例]〈友人との決別>中学の卒業式は、ただ一人都会に向かうわたしにとって、友人たちとの決別の時でもありました。♠へ決別する>彼はすべての過去と決別し、十年前にアメリカに渡っていった。 **けつぼう【欠乏】** ○不足すること。乏しいこと。[文例]〈ビタミンの欠乏〉ビタミンの欠乏は、さまざまな病気の原因となる。♠〈食糧の欠乏〉アフリカでは、かんばつによる食糧[しょくりよう]の欠乏が深刻な問題となっている。●〈資金が欠乏する〉新しい事業を始めようにも、資金が欠乏していてどうにもならない。 **けつまずく(蹴躓く)** ○つまずく。[文例]暗い夜道で何かにけつまずき、せっかくの酒瓶[さかびん]を割ってしまった。●こたつの脚にけつまずいたぼうやは、頭をぶつけて大声で泣き始めた。 **けつまつ【結末】** ○物事の終わり。しめくくり。最終的な結果。[文例]〈映画の結末〉結末はいったいどうなるのだろうと、すっかり映画にひきこまれてしまった。●へ話の結末〉話の結末から言ってしまえば、ぼくもきみもまるきり勘違い[かんちが]をしていたというわけさ。●へどんでん返しの結末〉どんでん返しの結末が、推理小説のだいご味だ。●へ結末がつく〉長い捜査[そうさ]だったが、今月中にはなんとか結末がつく見通しとなった。♠へ結末を迎える〉人もうらやむ仲だったが、どうやら二人の恋[こい]も結末を迎え[むかえ]たようだ。●〈悲劇的な結末>楽しいドライブが悲劇的な結末になろうとは夢にも思わなかった。 **けつみゃく【血脈】** ○血すじ。血統。[文例]〈血脈を受ける〉きみは我慢強い人ですね、ひょっとして徳川家康[とくがわいえやす]の血脈を受けてやしませんか。♠<芸術の血脈〉〈血脈をたどる>日本の現代芸術の血脈をたどれば、その多くが西洋に至り着く。 **けつらく【欠落】** ○欠け落ちること。抜け落ちること。[文例]〈記憶が欠落する〉酔っ払ったわたしは、前夜から朝までの記憶が欠落して、何も思い出せなかった。●へ金銭感覚が欠落する〉ギャンブルに有り金をすべてつぎこむなんて、きみは金銭感覚が欠落しているんじゃないか。♠人主体性が欠落する〉なんでも他人の言う通りにするのでは、主体性が欠落していると言われてもしかたがない。 **けつれつ【決裂】** ○(交渉・会議などで)意見が合わず、物別れになること。[文例]〈会談の決裂〉和平会談の決裂によって、両国はふたたび戦闘体制に入った。●へ話し合いが決裂する〉もしこの申し入れを拒絶したら、話し合いは完全に決裂してしまうだろう。♠く交渉が決裂する>労使間の交渉は決裂し、ストライキは避けられない見通しになった。 **けつろ【血路】** ○敵の包囲を破って逃げる道。困難を切り抜ける道。[文例]〈血路を開く>夜のやみに乗じて血路を開き、敵の包囲から脱出することができた。●〈血路を見いだす〉こう景気が悪くては、売り上げ拡大に血路を見いだすことにも限界がある。 **けつろん【結論】** ○議論を通して得られた結果。考え抜いた末の判断。前提[ぜんてい]から導き出された判断。[文例]〈結論に達する三時間をこえる討議の末、やっと結論に達した。♠結論を出す〉ぼくらは、二、三分話し合って、すぐに結論を出した。♠<結論が出る〉話し合いの結果出た結論は、思いがけないものであった。♠へ結論を下す〉最後の結論を下すのは、親でも友人でもない、自分自身だ。●へ結論を見る〉どのような結論を見るかはわからないが、とにかく研究を進めてみるつもりだ。●へ最終的な結論〉最終的な結論は多数決によるのが最も民主的だと思われる。●〈結論として〉それで、結論としてはどういうことになったのかね? **けとば・す【け飛ばす】** (蹴飛ばす)○けって飛ばす。強くける。はねつける。[文例]〈馬にけとばされる〉オーイ、馬の後ろに回るとけとばされるぞ、危ないゾー。●〈看板をけとばす〉酔っ払いはあちこちの看板をけとばしながら、ふらふら駅の方へ歩いていった。●ヘボールをけとばす〉ボールをけとばすのにも、足の内側、つま先、外側といろいろなけり方がある。 **けなげ(健気)** ○ひたむきで、いじらしいさま。[文例]〈けなげな姿>病気の父親を看病しながら働く娘のけなげな姿に心を打たれた。 <327> **けなげ(健気)** ●〈けなげにも〉遠い町へ奉公に出る日の朝は、両親の前でけなげにも涙をこらえた。●へけなげにふるまう〉けなげにふるまう彼女の姿は、人々の同情を誘った。●〈けなげさ〉踏まれても、汚れても、力強く咲く野の花のけなげさよ。 **けな・す(貶す)** ○悪く言う。そしる。くさす。[文例]できないからといってけなしてばかりいないで、よいところを見つけてほめ励ましてやりなさい。●人前でああけなされちゃ、やる気がなくなるね。 **けなみ【毛並み】** ○毛の生えぐあい。毛色。血統。生まれ育ち。[文例]〈毛並みがそろう〉映画に使うためとはいえ、よくもこれだけ毛並みのそろった馬を集めたものだ。●〈毛並みがいい〉血統書付きの犬だけあって、いい毛並みだね。●〈毛並みがいい>祖父はどうの、父はどうのと、毛並みのいいことをひけらかして、いやな人だ。●〈毛並みのよさ>先祖は家老だったという毛並みのよさが、彼女の自慢[じまん]なんですよ。●〈毛並みが違う〉皇族の血をひいている人だそうだから、われわれとは毛並みが違う[ちが]よ。 **けねん【懸念】** ○気にかかること。気がかり。不安。[文例]<懸念がある〉あの内気な選手には、決勝でいつも通りの力が発揮できるかという懸念がある。●へ懸念を抱く〉このまま不況が続けば、倒産する会社が続出するという懸念を抱い[いだ]ています。●へ懸念がつきまとう〉心臓機能に障害を持つ彼女には、いつ発作が起こるかわからないという懸念がつきまとっている。●へ懸念する〉核兵器の開発が人類の滅亡につながるのではないかと懸念する声も少なくない。 **けはい【気配】** ○様子。そぶり。雰囲気。気色。[文例]〈気配がする〉怪しげな気配がするので、懐中[かいちゅう]電灯で照らすと、すうっと黒い影[かげ]が走った。●〈気配がある〉口では言えない悩み[なや]を隠しているような、そんな気配が少女[しょうじょ]にはあった。♠人気配がない〉この屋敷には人の住んでいる気配がない。♠人気配を感じる〉さっきから後をつけられているような気配が感じられてならない。♠へ気配でわかる〉何かよくないことが起こったらしいことが、人々の気配でわかった。♠へ気配が見える〉夏ももう終わりだというのに、一向[いっこう]に涼しく[すずしく]なる気配も見えない。●〈秋の気配〉〈気配が漂う〉八月も終わりに近づくと、吹く風にも秋の気配が漂い[ただよ]始める。♠へ人の気配>背後に人の気配を感じて思わず振り返ったがだれもいなかった。 **けばだ・つ【毛羽立っ】** (毳立つ)○表面に毛のようなものができる。[文例]〈衣服がけばだつ〉父のけばだったコートに母はブラシをかけています。●へじゅうたんがけばだつじゅうたんがけばだっているのは、弟が毛足を逆になでまわしていたからです。 **げばひょう【下馬評】** ○第三者がする批評。世間のとりざた。[文例]〈下馬評をする>周囲の者が勝手な下馬評をするが、当人にその気がないから単なるうわさで終わってしまう。♠<下馬評に上る>選挙の前になると、立候補者の名が下馬評に上ってにぎやかです。 **けびょう【仮病】** ○病気のふりをすること。にせの病気。[文例]どうせ仮病でしょ、わたしが誘う[さそ]といつも風邪なんだから。●へ仮病をつかう〉相手を傷つけずに誘いを断るには、仮病をつかうことも仕方ありません。 **げひん【下品】** ○品がないさま。品の悪いさま。[文例]个品な感じ〉大きな口を開けて笑うと、相手に下品な感じを与えるわよ。●下品な話〉おじさんはお酒を飲むと下品な話をするのできらいです。●〈下品な人〉地位は高くても、品性に余裕がなく下品な人というのはいるものだ。 **けむ・い【煙い】** ○煙が目・鼻[はな]・のどを刺激して苦しい。けむたい。[文例]〈たき火がけむい〉こっちは風下[かざしも]だから、たき火がけむくてとても目を開けていられない。♠へたばこがけむい〉たばこがけむくてたまらないよ、お父さん、場所を考えてよ。 **けむた・い【煙たい】** ○煙が目・鼻・のどを刺激して苦しい。気づまりで避けたくなる感じだ。[文例]やけにけむたいなと思って庭を見ると、女房と子供が落ち葉たきをやっている。♠〈けむたく思う〉自分の弱みをにぎった人をけむたく思うのはだれしもでしょう。 **けむり【煙】** (烟)○物が燃えたり、焦げたりする時に出る白色・黒色などの気体。また、それに形状の似たもの。[文例]〈煙が出る>消したつもりだったたき火のあとから、白い煙が出ていた。♠へ煙をはく〉機関車が真っ黒い煙をはいて進むのを、ぼくたちはじっと見ていた。♠<煙がたちこめる〉サンマを焼いたら、台所に煙がもうもうとたちこめた。♠〈煙にまかれる〉火災が起こった場合、火そのものより、煙にまかれて窒息[ちっそく]することのほうが怖いのだ。♠煙がたなびく〉人里離れた山の中の炭焼きがまから一すじの煙がたなびいている。♠◇煙を立てる〉春の海に、ポンポン蒸気がのどかに煙を立てている。●〈煙をふき上げる〉浅間山[あさまやま]は今日も不気味な煙をふき上げている。●へ煙のように消える>男はこつ然と現れたかと思うと、またすぐに煙のように消えてしまった。♠へ火のない所に煙は立たない「火のない所に煙は立たない」といって、うわさになるにも何らかの理由はあるのだろう。 **けむ・る【煙る】** ○煙が出る。煙が立ちこめる。かすんで見える。[文例]ヘストーブが煙る〉ガスストーブの前は、コークスを使ったストーブでね、ずいぶん煙ったもんだよ。♠湯気で煙る〉浴場は湯気[ゆげ]で煙っていて、中の様子はよくわからなかった。♠へどんよりと煙る〉空がスモッグでどんよりと煙る東京の冬の朝です。♠〈小雨に煙る〉小雨に煙る岸壁[がんべき]に、一人の女がたたずんでいた。●へ霧に煙る>窓の外は霧に煙って、部屋からは何も見えなかった。 **けもの【獣】** ○体全体が毛でおおわれた四本足の動物。けだもの。[文例]〈飢えた獣〉飢え[うえ]た獣は、えさをめぐって争うこともあるが、満腹になりさえすれば必要以上の攻撃は加えない。♠く獣のようにほえる〉オオカミ少女は、人間に向かって獣のようにほえかかった。●へ獣に襲われる〉ジャングルへ入るときは、獣に襲わ[おそわ]れる危険があるので、銃を携え[たずさえ]てゆきなさい。 <328> **げらく【下落】** ○価値・価格・等級などが下がること。[文例]〈ドルの下落〉ドルの下落、円の高騰[こうとう]は、輸出入品を通じていずれ国民生活に影響を与えます。●〈下落する>豊作を喜んでばかりいると、価格が下落して農家は痛い目にあうことがあります。 **け・る(蹴る)** ○足で突きやる。足を強く踏み当てる。はねつける。[文例]〈ポールをける〉気持ちがむしゃくしゃしていたから、サッカーボールを思いきりけってみた。●へ地面をける〉馬は勢いよく地面をけると、風のように走り去った。♠<席をける〉何かかんに障る[さわ]ことがあったのだろう、相手は席をけって部屋を出ていってしまった。●〈波をける〉波をけってヨットが走るのを、ぼくたちは港の公園から見ていた。●〈要求をける〉われわれの要求は、残念ながらあっさりとけられた。●〈大学をける〉なにもM大学をけってまで、プロの道に進むことはあるまい。●へ踏んだりけったり〉デートの相手は来ないし、雨にはぬれるし、まったく踏んだりけったりだ。 **げれつ【下劣】** ○道徳に反して卑しいさま。卑劣。[文例]劣な行為〉他人の不幸につけこむのは、きわめて下劣な行為です。●下劣な男〉女性をおそうとは、犯人はなんて下劣な男なのでしょう。●〈下劣な手段>勝ちたいのはやまやま 勝ちだいのはやまやま だが、相手を欺く[あざむ]ような下劣な手段は使いたくない。●品性が下劣>強い者にへつらうのは仕方ないとしても、弱い者をいじめるなんて、なんと品性の下劣な人間だ。●下劣にふるまう〉彼女は、見合いが失敗するようにわざと大きな口をあけて笑ったり、食べ物をこぼしたりして下劣にふるまったそうです。 **けれども** ○しかし。だが。[文例]お金は少しもっているんだけれども、旅行する暇がなくてね。●遅刻する生徒には、いつも注意しているのですけれども・・・・・・。●大声で仲間の名を呼びました。けれども、森の中はシーンと静まり返っています。 **けわし・い【険しい】** ○傾斜が急である。とげとげしく鋭い。荒々しい。きつい。困難である。[文例]〈険しい山道>険しい山道を十キロ以上も歩かされ、くたくたになってしまった。●〈険しい顔>ふだんは温厚[おんこう]な父が、姉を前にいつになく険しい顔である。●〈険しい表情〉みけんにしわをよせ、険しい表情をしているのが金剛[こんごう]力士[りきし]像[ぞう]です。●へ目つきが険しい〉目つきの険しい男が二人、少し前から自分を尾行[びこう]しているのに気づいた。●〈険しい人生〉山あり谷ありの険しい人生を送ってきたせいか、多少のことではへこたれない。●〈前途が険しい>意気揚々と新しい仕事にとりかかったものの、前途[ぜんと]は険しい。 **けん【剣】** ○両刃[もろは]の刀。つるぎ。刀。[文例]〈剣をとる〉剣をとっては日本一と言われるだけあって、一分のすきもない。●〈剣を抜く>見ず知らずの男に切りつけられ、若者もやむを得ず剣を抜いた。●へ剣を交える〉決勝戦では、兄弟が剣を交えることになった。♠へ剣を捨てる〉剣豪[けんごう]の彼も、晩年は剣を捨て、明け暮れ仏像を彫りつづけたという。●へ剣の道>師匠から剣の道の奥義[おうぎ]が伝授[でんじゅ]されるのは、大勢の弟子のうち、たった一人である。●へペンは剣よりも強し〉「ペンは剣よりも強し」というが、今回の新聞のキャンペーンは確かに大きな反響[はんきよう]があった。 **けん【券】** ○物事の価値やある資格を証明する紙片。切符や札の類。[文例]ヘコンサートの券〉行きたいと思っていたコンサートの券が三枚も手に入った。●〈映画の券〉大切な映画の券をどこかに落としてしまった。●〈野球の券〉おじさんから野球の券をもらったので、弟と一緒に[いつしよ]見に行くつもりだ。 **けん【件】** ○事柄。出来事。事柄を数える語。[文例]〈質問の件>御質問の件に関しましては、早速調査してお答えいたします。●〈例の件>先日問題になった例の件はただ今検討中です。♠今年に入ってこの町で起こった交通事故は、たったの二件です。●この一件は、証拠[しょうこ]もなく目撃者もいないので難航しそうだ。 **けん【険】** ○けわしい所。けわしいこと。きつい感じ。[文例]〈天下の険>「箱根[はこね]の山は天下の険」と言ってね、昔は越えるのに難儀[なんぎ]する所だったんだ。♠へ険がある〉彼女は美人だけれど、目に険があってとても気が強そうだね。♠へ険がとれる>気の荒かった父も大分険がとれ、人間が丸くなった感じです。 **けん【兼】** ○かねること。[文例]〈台所兼食堂〉ダイニングキッチンは、台所兼食堂のことです。♠◇通訳兼秘書〉父親は、通訳兼秘書として娘をアメリカ旅行へ連れていくことにしました。 **げん【言】** ○言うこと。言い表された言葉。[文例]ヘパスカルの言〉パスカルの言によれば、「人間は考える葦[あし]である」ということだ。♠◆ヘ言を構える〉部長は、自分はその場にいなかったかのように言を構えて、責任を逃れようとした。♠←言を左右[さう]にする>厳しい追及にも容疑者は言を左右にして、真相を述べようとしなかった。♠◆ヘ言をまたない天候の変化が野菜の値段に大きく影響することは、専門家の言をまつまでもない。 **げん【験】** ○効き目。効能。縁起。[文例]〈験がある・ない>薬草[やくそう]と思って飲んでいたが、実はただの草だったから験のあろうはずがない。●へ験がいい。悪い〉この道を通ると験がいいと信じていたので、入学試験の当日はちょっと遠回りしてここを行った。●〈験をかつぐ〉勝負に勝つとその日はひげをそらないなど、験をかつぐお相撲さんが多いそうです。●〈験が見える>敬太郎はそれほど験の見えないこの間からの運動と奔走[ほんそう]に少し厭気[いやけ]が注して来た。(夏目漱石[なつめそうせき]「彼岸過迄[ひがんすぎ]」) **けんあく【険悪】** ○けわしいさま。とげとげしく、穏やか[おだやか]でないさま。緊迫したさま。[文例]〈険悪なムード〉ちょっとしたことがもとで、クラスの中が険悪なムードになってしまった。●へ険悪な関係>険悪な関係の二人は、顔を合わせてもろくにあいさつもしません。♠〈険悪な情勢>意見の対立はますます深まり、議会はさらに険悪な情勢になっていった。 <329> **けんあん【懸案】** ○まだ解決のついていない事柄。[文例]〈懸案となる〉前回懸案となった件を今回真っ先に討議します。●〈懸案事項〉この場で解決できなかった懸案事項は、まとめて重役会にかけることになった。 **けんい【権威】** ○他を服従させる威力。その道にすぐれた専門家。[文例]<権威がある・ない〉ねずみの生態に関して、最も権威があると言われるのがT大の山川教授です。♠へ権威を示す〉父親は子供に対して権威を示しつつ、あたたかさも感じさせてほしい。♠◆<絶大な権威〉〈権威を持つ>王は絶大な権威を持ち、あらゆる階層の人々を服従させていた。♠◆<権威を失墜する〉応仁の乱[おうにんらん]以後、室町幕府はその権威を失墜し、戦国時代へと突入していった。●〈世界的権威>彼は宇宙物理学の世界的権威だ。♠◆<権威筋〉そのニュースは政府内部のさる権威筋[けんいすじ]から流されたものです。♠へ権威主義>日本人社会に、お上[かみ]に頼る[たよ]権威主義的側面があることは否めない。 **けんいん(牽引)** ○引っ張ること。先頭に立って他の人を導き寄せること。[文例]〈車をけん引する〉トラックが、故障した車をロープでけん引して国道を走っていきます。●〈チームをけん引する〉チームをけん引する能力のあることがキャプテンの条件だ。●〈けん引車>六年間日本チームのけん引車として活躍してきた山本選手が引退することになった。 **げんいん【原因】** ○物事を引き起こすもと。変化のもとになる要因。[文例]〈火事の原因〉昨夜の火事の原因は、たばこの火の不始末だそうです。●くけんかの原因〉一体、おまえたちのけんかの原因は何なんだ。●〈事故の原因>警察が来て、今、事故の原因を調べているところです。●へ原因と結果〉こんなよくない結果になったのには、必ずその原因があるはずだ。●〈原因をつきとめる〉人々は汚染[おせん]の原因を追[つい]求し、それがメッキ工場の排水[はいすい]であることをつきとめたのでした。●へ原因を探る〉ひそかに事件の原因を探っていくうちに、思いがけない事実に突き当たった。●へ原因を取り除く>失敗したら、なぜそうなったかを考え、その原因を取り除くようにしなさい。♠◆◇原因が分かる〉ガン細胞[さいぼう]ができる原因については、今のところ完全には分かっていないそうだ。●へ大きな原因〉〈原因になる〉父と兄の不仲は、兄の将来についての考え方の違いが大きな原因になっていた。♠◆<~の原因から〉つまらない原因から大変な事件が起こることがある。♠へ~が原因で>ただいまのところ、山手線は、架線事故が原因で一部不通の状態になっています。♠〈~が原因する>宣伝不足が原因して、日曜日のわりには客の入りがもう一つだった。●へ〜に原因する〉彼女の不機嫌[ふきげん]は、どうやら昨日のパーティーに原因しているらしい。♠〈原因不明〉隊員たちのうち何人かが、原因不明の熱病に冒[おか]されていた。 **げんえい【幻影】** ○幻覚や空想によって生じる映像。実体のない観念。まぼろし。[文例]〈幻影が浮かぶ〉この物語を読んで目を閉じると、わたしの脳裏[のうり]には描か[えがか]れた時代の幻影がはっきりと浮かんできます。●へ幻影が消える〉気がつくと、青春時代の幻影は消え去り、五人の家族をかかえて四苦八苦[しくはっく]するわたしがいた。 **けんえき【権益】** ○権利と、それにともなう利益。[文例]〈権益を守る>英仏両国は、植民地での権益を守るため機甲師団を派兵した。●〈国の権益〉イギリスは香港[ホンコン]の権益を一九九七年に中国に返還することを決定している。 **げんえき【現役】** ○現在、仕事や任務についていること。在校中の受験生。[文例]〈現役の軍人〉エミリーの夫は、現役の海軍将校でした。●〈現役の運転手〉父はもう七十歳を越えていますが、まだ現役のタクシー運転手として市内を走りまわっている。♠へ現役を退く>巨人[きょじん]の長島茂雄[ながしましげお]選手は、昭和[しょうわ]四十九年に現役を退きました。♠〈現役で合格する〉兄は一年間予備校に通いましたが、姉は現役で大学に合格しました。 **けんえつ【検閲】** ○様々な形態で表現された内容物を権力をもって取り調べること。[文例]〈検閲を受ける〉かつて出版物や映画は、国家の検閲を受けました。♠へ検閲をする>集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障[ほしよう]する。検閲は、これをしてはならない。(略)(日本国憲法第二十一条) **けんえんのなか【犬猿の仲】** ○犬と猿のようにたいへん仲の悪い間柄。[文例]林さんと森君は、いっしょに同じ部屋にいることさえいやがる犬猿の仲です。♠同じ会社で働いているわけですから、経営者と労働組合は、必ずしも犬猿の仲というのではありません。 **けんお【嫌悪】** ○嫌い、憎むこと。[文例]〈嫌悪の念〉ぼくがきみに対して抱い[いだ]ていた嫌悪の念は、実はねじれた愛であることに気がつきました。●へ嫌悪する〉かたぎの皆さんは、わたしのようなやくざ者を嫌悪していらっしゃるでしょう。●〈嫌悪感>彼女のいい加減なやり方に嫌悪感を覚え、とても協力する気がなくなった。 **けんか(喧嘩)** ○いさかい。あらそい。[文例]〈けんかをする〉弟とわたしは、二日に一ぺんぐらいの割でけんかをしています。●へけんかが絶える〉兄弟が五人もいましたから、ぼくの幼い[おさ]ころはけんかの絶えることがありませんでした。●〈けんかが起こる〉泣いてばかりいたんじゃわからないよ、何が原因でけんかが起こったんだい。●へけんかを売る・買う〉売られたけんかだからといって買わなければならないってことはありません。●へけんか両成敗>先生はけんか両成敗だと言って、二人にげんこつをくれました。♠へけんか腰〉初めからけんか腰[ごし]じゃ、話し合いなんかできません。●へけんか別れ〉つまらぬ意地の張り合いで、仲のよい同士がけんか別れということもあります。●へ火事とけんかは江戸の花>火事とけんかは江戸の花とばかりに見物人がどっと集まってきた。 **げんか【言下】** ○言い終わったすぐ後。一言のもと。[文例]そのことに触れると、彼は言下に否定した。 <330> **げんかい【見解】** ○物事の見方・考え方。[文例]犯人は車で逃走したのではないかというのが刑事の見解だった。●〈見解を示す〉それまで黙っ[だま]て聞いていた先生が、初めてこの問題に対して見解を示してくれた。●〈見解を求める〉法案の作成にあたって、政府は何人かの専門家に見解を求めたそうです。●へ見解の相違〉この問題については、二人の担当者の間に見解の相違が見られる。 **けんがい【圏外】** ○わくの外。範囲の外。[文例]ヘレーダーの圏外>敵のレーダーの圏外に逃れるために、ジェット機はさらに高度を下げました。●へ優勝の圏外〉〈圏外に去る〉今日の一敗でドラゴンズは、優勝の圏外に去ったといってもいいだろう。♠<圏外に置く>仲のよい二人のおしゃべりが始まると、いつもぼくは圏外に置かれてしまう。 **げんかい【限界】** ○限度となる境界。[文例]〈能力の限界〉グラフの数字は、チンパンジーが人間の言葉を覚える能力の限界を示している。●〈限界がある〉どんな優秀な機械にも、その力には限界があることを知らねばならない。♠人体力の限界〉〈限界に挑む〉登山は自分の体力の限界に挑み[いど]、そして克服[こくふく]するスポーツだと言ってもいいだろう。●〈限界を越える「これはもうぼくの限界を越えている。」と、わたしは宿題を投げ出してしまった。●〈限界を感じる〉年をとってくると、だれでも自分の体力の限界を感じるものです。 **げんかい【厳戒】** ○厳重に警戒すること。厳しい警戒。[文例]〈厳戒する〉ゲートの入り口は、隊員に厳戒させて、猫の子一匹通してはならぬ。●へ厳戒体制>空港周辺は厳戒体制が敷かれて、車のチェックが行われていた。 **げんがい【言外】** ○言葉には直接表れていない部分。[文例]〈言外の意味〉人の話には言外の意味というものがあって、言葉の裏を読み取らなければならない場合がある。♠ヘ言外に込める〉おとなしい人なので表現はひかえめですが、言外に込められた怒りは伝わってきます。 **けんがく【見学】** ○実際に見て学ぶこと。[文例]〈見学に行く〉科学館にロボットの見学に行った弟は、すっかり夢中になって帰ってきました。●へ見学する〉ぼくたちは、去年最高裁判所と国会議事堂を見学しました。●〈見学する〉風邪気味だったので、体育の授業は見学することにしました。 **げんかく【厳格】** ○厳しいさま。容赦[ようしゃ]のないさま。「[文例]<厳格な人〉父は厳格な人で、子供のしつけには決して手加減をしませんでした。●〈厳格に守る〉ヒンズー教の身分制度であるカースト制は、厳格に守られてきた。 **げんかく【幻覚】** ○現実に存在しないものや状態を知覚すること。また、その知覚。[文例]〈幻覚の世界〉その男は、麻薬[まやく]の中毒症状で幻覚の世界をさまよっていた。♠へ幻覚が現れる〉アルコールの飲み過ぎで幻覚が現れるようになったら、もう末期症状です。●〈幻覚に悩む〉病気が進むにつれ、彼女は幻覚に悩まされるようになった。 **げんかん【玄関】** ○建物の正面の入り口。[文例]立派な玄関のある家に住みたいと思っている。●声がしたので行ってみると、大きな男が玄関に立っていた。●門から玄関に通じる小道の植え込みには、つつじの花が満開でした。♠ヘ玄関払い>直接会って頼んでみようと出かけていったが、玄関払いを食ってしまった。 **げんかん【厳寒】** ○厳しい寒さ。[文例]〈厳寒のオホーツク〉カメラマンの兄は流氷[りゅうひょう]を撮影[さつえい]しようと、厳寒のオホーツクにむかって出発した。●〈厳寒の地〉わたしの故郷は一月の平均気温がマイナス八度という厳寒の地です。 **けんぎ【建議】** ○意見を申し立てること。[文例]〈建議する〉審議会[しんぎかい]は、森林を保護する条例を作るよう建議しました。♠税制改革の建議を受けて、政府は新たにそのための調査委員会を発足させた。 **けんぎ【嫌疑】** ○うたがい。容疑。[文例]〈嫌疑がかかる〉Aさんが行方不明となり、仲の悪かったBさんに真っ先に嫌疑がかかった。●〈嫌疑が晴れる>事件当日のアリバイが立証されて、わたしにかかっていた嫌疑はすっかり晴れました。♠<嫌疑を受ける〉会社のお金がなくなって、一部の社員がその嫌疑を受けた。 **げんき【元気】** ○精気。活力。力が盛んなさま。[文例]初めの元気はどこへやら、いざ飛び込み台に立つと足が震え[ふる]た。♠〈元気いっぱい〉ぼくたちは、向こう岸まで元気いっぱい泳い[およ]で渡った。♠〈元気がいい〉やあ、あい変わらず元気がいいねえ。♠元気を出す〉頂上は目の前だ。さあ、元気を出してがんばれ。♠〈元気がある。ない〉どうかしたのか、何だか元気がないなあ。♠元気をつける〜くよくよしないで、一杯[いっぱい]飲んで元気をつけろよ。♠ヘ元気な声「ただいま。」という元気な声とともに、子供たちが帰ってきた。♠ヘ元気になる〉おかげさまで、病状もおさまり、母もだいぶん元気になりました。♠へお元気で〉お体を大切に、いつまでもお元気で。♠く元気づける〉ぼくたちがいくら元気づけても、0点をとったさぶちゃんはしょげ返っていた。 **けんきゃく【健脚】** ○丈夫で強い脚。足が強くて、人一倍よく歩けること。[文例]毎朝の散歩を欠かさないおじいちゃんは、八十歳になっても若者に負けないほどの健脚だ。♠<健脚の持ち主〉中学・高校・大学と陸上部の選手だった父はいまだに健脚の持ち主である。♠健脚を競う〉毎年二月に行われる市民マラソンでは、子供からお年寄りまで多くの人々が健脚を競います。●へ健脚を誇る〉かつては、大学の箱根[はこね]駅伝で健脚を誇っ[ほこ]たものです。 **けんきゅう【研究】** ○物事を深く調べ、本質をきわめること。調べ、考えること。[文例]〈研究する〉彼は、大学で電子工学を研究しています。●〈研究の成果>博士の十年にわたる研究の成果がこの一冊の本にまとめられている。♠へ地道な研究>彼の今日の地位は、地道な研究の積み上げによるものです。●へ研究を行う〉国立国語研究所は日本語および国民の言語生活に関する、科学的な調査・研究を行う機関です。♠<研究が進む>研究が進むに従って、いろいろ新しいことがわかりました。●〈研究に取り組む〉その学者は三十年近くも貝の生態の調査研究に取り組んでいる。 <331> **けんこう【謙虚】** ○ひかえめで、つつましいさま。[文例]〈謙虚な態度>生意気なことは言わず、常に謙虚な態度をもって人と接するよう心がけている。●へ謙虚な人〉あの若さであれだけマスコミから騒が[さわが]れていながら、彼ほど謙虚な人もめずらしい。♠く謙虚な姿勢〉きみのその謙虚な姿勢が気に入った。♠<謙虚になる〉社会に出てだいぶもまれたせいか、彼もずいぶん謙虚になった。●へ謙虚に~する〉謙虚に自分の歩んできた道を反省するべきです。♠〈謙虚さ〉彼は確かにすばらしい才能を持っているが、その態度にはみじんの謙虚さも感じられない。 **けんきょ【検挙】** ○警察官が容疑者を連行すること。[文例]〈検挙する>選挙違反で検挙された運動員が、警察で取り調べを受けている。●〈検挙する〉交通安全週間の期間中、酔っ払い運転で検挙されたドライバーは、かなりの数にのぼりました。 **げんきょう【元凶】** ○悪者のかしら。害悪のもと。[文例]火災・汚染の元凶〉たばこは体に悪いだけでなく、火災や環境[かんきよう]汚染[おせん]の元凶でもある。●〈洪水の元凶〉大洪水[こうずい]を引き起こした元凶は、山林の乱伐[らんぼつ]にあった。●〈元凶となる〉かつて石油ショックが元凶となって、次々と会社が倒産[とうさん]した。●へ大気汚染の元凶>大気汚染の元凶として、車の排気ガスをあげることができる。 **けんきょうふかい(牽強付会)** ○自分の都合のいいように理屈をこじつけること。[文例]自分の都合のいいように理屈をこねてこじつけるのを牽強付会というんだよ。 **げんきん【現金】** ○お金。現在通用している貨幣。利害損得に応じて態度を変えるさま。[文例]〈現金を受け取る>現金を受け取ったしるしとして領収証を書きましょう。●へ現金で支払う〉当店は、仕入れ代金を現金で支払います。♠現金を積む〉目の前に現金を積まれて、男はとうとう誘惑[ゆうわく]に負けてしまった。●〈現金が渡る〉彼女はなぜあんなにお金を持っているのだろう、彼から現金が渡ったのだろうか。♠〈現金な子〉おまえは現金な子だね、おこづかいをもらうときだけ言うことを聞くんだから。 **げんきん【厳禁】** ○厳しく禁じること。厳重な禁止。[文例]<厳禁する>学校におやつを持ってくることを厳禁します。♠<厳禁する〉心臓が弱っているということで、酒タバコは医者に厳禁されていた。♠ヘ火気厳禁>実験室の廊下の何か所かに「火気厳禁」の張り紙があった。 **げんけい【原形・原型】** ○もとの形。もとになった型。[文例]〈原形をとどめる〉倒れたブロック塀は、ほとんど原形をとどめないほどであった。♠へ原形を保つ〉あれだけの数の子供たちが暴れ回ったのだから、室内は原形を保つのがやっとだろう。♠ヘウマの原型〉何千万年もさかのぼると、現在のウマの原型はキツネかイヌぐらいの大きさだったらしい。●〈神話の原型>南方の島々に多く見られるこの種の伝説は、我が国の神話の原型になっているらしい。 **けんげん【権限】** ○職権の及ぶ範囲。[文例]〈権限を持つ>支店長だけがこの大きな金庫を開閉する権限を持っている。●〈権限がある〉議長には、議事の進行をはかるために討論を打ち切る権限がある。●へ権限を生かす〉彼が自分の持つ権限を生かして指揮すれば、仕事はもっと能率的に進むはずだ。●へ権限を越える〉会社のお金を勝手に運用することは、経理部長の権限を越えている。 **けんげん【顕現】** ○はっきりと現れること、現すこと。[文例]〈顕現する>聖書に書かれた奇跡[きせき]が目のあたりに顕現するのを見て、民衆は聖者をキリストの再来と考えるようになった。 **けんけんごうごう(喧喧囂囂)** ○多くの人々が口々に騒ぎ立てるさま。♪侃々諤々[かんかんがくがく][文例]〈喧喧囂囂とする〉出席者がそれぞれに意見を言い合うばかりで、会場は喧喧囂囂とした空気に包まれていた。♠へ喧喧囂囂たる騒ぎ>審査が不公平だという声が出て、しまいには喧喧囂囂たる騒ぎがまきおこった。 **けんご【堅固】** ○かたくて丈夫なさま。意志がかたいさま。[文例]<堅固な城>戦国時代の大名は、山頂や山腹に作られた堅固な城に住んでいました。♠<堅固な守り〉全日本は堅固な守りで、相手チームにシュートを打たせるチャンスも与えなかった。●〈意志堅固〉彼は一度決めたことは最後までやり抜く、意志堅固な男です。 **げんご【言語】** ○音声・文字などの記号によって意志や情報を伝達する手段。ことば。[文例]〈世界の言語〉世界には、数千にも及ぶ言語があるといわれます。♠ヘ兄弟に当たる言語>英語とドイツ語は、もともと一つのもので、兄弟に当たる言語だと言える。●へ言語を用いる〉詩が絵や音楽と異なるのは、それが言語を用いて表現された芸術であるということだ。●へ言語を慎む〉人前で言っていいことと悪いことがある、少しは言語を慎み[つつし]たまえ。♠ヘ言語が明瞭〉アナウンサーであるからには、まず何よりも言語が明瞭[めいりよう]でなければなりません。♠ヘ言語に絶する〉人は本当に感動すると言葉が出なくなり、それを「言語に絶する・・・・・・」のように言います。 **けんこう【健康】** ○肉体や精神のすこやかさ。健全なさま。[文例]〈健康を保つ〉バランスのとれた食生活と適度な運動は、健康を保つうえで欠かせません。●〈健康に注意する〉外国へ行くと水が変わるから、健康にはくれぐれも注意しなさい。●へ健康を回復する>長い闘病[とうびよう]生活だったが、やっとのことで健康を回復した。●へ健康を害する〉仕事のためとはいいながら、徹夜[てつや]続きがこたえて、とうとう健康を害してしまった。●〈健康の秘けつ>風呂上がりに、頭から水をかぶることがわたしの健康の秘けつです。 <332> **げんこう【言行】** ○言葉と行為。言動。[文例]〈孔子の言行〉『論語』は中国の思想家孔子とその弟子たちの言行を記録した書物です。♠へ言行一致〉責任感の強い彼は、常に言行一致で、みんなから信頼されている。 **げんこつ(拳骨)** ○にぎりこぶし。げんこ。[文例]男の子のげんこつの中には、キャラメルが一個入っていました。●〈げんこつを固める〉相手はげんこつを固めて、今にもぼくに飛びかかってきそうな気配だ。♠ヘげんこつを突きつける〉男はおどすように、げんこつをぼくの前に突きつけた。♠ヘげんこつを振り回す〉乱暴者の彼は、何かというとすぐにげんこつを振り回す。●へげんこつでなぐる〉青年は男に飛びかかると、馬乗りになり、げんこつでなぐった。♠へげんこつを食らう〉男の一撃[いちげき]をよけそこねて、ぼくは顔に一発げんこつを食らった。●〈げんこつの雨〉男どもに倒[たお]された青年の上に、げんこつの雨が降りかかりました。 **けんさ【検査】** ○悪いところや異常がないかどうか調べること。[文例]〈検査する〉電車が車庫に帰ってくると、係の人が一台ずつ丁寧に[ていねい]検査します。●〈検査がある>学校で歯の検査があったが、虫歯は一本もなかった。●へ検査を受ける〉目と耳の検査を受けた人は、二階に行って身長と体重を測ってください。♠へ検査に合格する〉店の商品は、どれも厳しい検査に合格したものばかりです。●へ適性検査>将来の進路選択の参考に適性検査を受けようと思っています。 **けんざい【健在】** ○元気に暮らしていること。[文例]〈親が健在ご両親は今も健在ですか?●へ健在なうち〉祖母が健在なうちに、田舎の料理を習っておきたい。●へ健在を祝う〉八十八歳の米寿[さい ぺいじゅ]を迎えた[むか]祖父の健在を祝って、ささやかなパーティーを開いた。●〈健在ぶり〉ベテランの山本選手も一試合に二本のホームランをはなって、健在ぶりを示した。 **けんざい【顕在】** ○物事がはっきりと形に現れて存在すること。[文例]〈顕在する〉準備の立ち遅れはだれの目にも明らかであったから、失敗の危険は顕在していたといえる。♠〈潜在と顕在>潜在[せんざい]するにせよ、顕在するにせよ、残念ながら我々の心に異民族に対する差別は存在する。 **げんざい【現在】** ○今この時。この世。その時点。[文例]企午現在>本日正午現在、天気は晴れで、気温は十八度です。♠<現在の生活>平凡[へいぽん]ですが、わたしは現在の生活に満足しています。●へ現在の暦>旧暦の暦は、明治六年に現在の太陽暦にかわるまで使われていた。♠医学が進歩した現在では、結核[けつかく]は昔ほど恐ろしい[おそ]病気ではなくなりました。♠現在に至る〉正倉院[しようそういん]の宝物の多くは、ほぼ昔の姿のままで保存され、現在に至っている。♠◇現在を生きる〉過去にとらわれず現在をせいいっぱい生きることが、きみの未来をつくるだろう。 **けんさつ【賢察】** ○他人の推察を敬っていう語。[文例]〈賢察の通り〉本件につきましては、大臣の御賢察の通り、大蔵省内にも効力を危ぶむ[あや]向きがございます。 **けんさん(研鑽)** ○深く研究すること。[文例]〈研鑽を積む〉日夜研鑽を積んだ甲斐があって、一人前の学者として認められるようになった。 **けんじ【堅持】** ○考えや態度を堅く守って変えないこと。[文例]〈方針を堅持する〉いくつかの点で細かい修正はあったが、本会は基本的な方針を堅持している。●へ態度を堅持する>住民は、今もなお高層ビル建設反対の態度を堅持し、立ち退きなど考えていない様子です。●〈原則を堅持する〉肉体的な差異はあっても、男女平等の原則は堅持されるべきだ。 **けんじ【顕示】** ○明らかに示すこと。[文例]〈顕示する〉ボスザルがしっぽを立てて歩き回っているのは、自分の力を顕示するためです。♠◇自己顕示欲〉芸能人というのは一体に自己顕示欲が強いから、カメラに向かうと他より一歩前へ出たがるようだ。 **げんし【原子】** ○原子核とそれをとりまく電子からなり、分子を構成する微粒子。[文例]物質はすべて分子からなり、分子は一個または数個の原子からできているという。●<原子力>原子の中心にある核が分裂[かくぶんれつ]したり反応するときに出す膨大[ぼうだい]なエネルギーが原子力なのです。 **げんし【原始】** ○はじまり。もと。文化・文明が進歩発達していないこと。[文例]〈原始の姿〉イリオモテ島には原始の姿のままのイリオモテヤマネコがいる。●〈原始の日本>大陸と陸続きだったころの原始の日本にはどんな動物がすんでいたのだろう。 <333> **げんしき【見識】** ○正しい判断を下すことのできる、しっかりした物の見方・考え方。[文例]〈高い見識〉〈見識をもつ〉高い見識をもつと評判のお坊さんの話を聞きに行きました。●〈見識を備える〉知識のある人が必ずしも見識を備えた人でない例は、よく見聞きすることです。●へ見識を深める〉大学を卒業して、より一層見識を深めるためにいくつかの企業を渡り歩いた。●〈見識ができる〉父は三十歳で教育に対する見識ができ、教師としての自覚が深まったと言っている。●〈見識がない〉ぼくは美術に関しては見識がないので、この絵にどのぐらいの価値があるのかわからない。 **けんじつ【堅実】** ○手がたいさま。確かで危なげないさま。[文例]〈堅実な人>彼女の婚約者は、近くの市役所に勤める堅実な青年です。●〈堅実なプレー〉その選手は、堅実なプレーヤーとして専門家に高く評価されている。●へ堅実な方法>実験は失敗も少なく危険も少ない、最も堅実な方法で行われた。♠◇堅実に増やす〉老人は、自分の財産を株や相場などではなく、銀行預金で堅実に増やしていった。 **げんじつ【現実】** ○現に事実としてあること。また、その状態。「[文例]』〈現実に起こる「事実は小説より奇なり」というように、信じられないような出来事が現実に起こることがある。♠◇現実のものとなる〉宇宙旅行が現実のものとなる日はそう遠いことではない。●〈現実に引きもどす>芝生[しばふ]に寝っ転がってぼんやりしていたら、突然[とつぜん]声をかけられ、一瞬のうちに現実に引きもどされた。♠〈現実に背を向ける〉この詩人は、現実に背を向け、一生を旅のうちに過ごした。♠〈現実に即する>夏休みの勉強は、ゆとりをもって、現実に即した計画で進めましょう。●〈現実に存在しない〉小説や物語は、現実に存在しない世界をつくり出すことができま い世界をつくり出すことができ ます。●へ現実に直面する〉きみたちは、これから幾度[いくど]も人生の厳しい現実に直面するでしょう。●〈現実を直視する>喜んだり悲しんだり、だましたりだまされたりして生きる人間の現実を、この作品は直視しています。●〈郷土の現実>都会へ出る人が多くなりましたが、働き口のない郷土の現実ではしかたありません。●へ理想と現実>青春時代は、だれでも理想と現実の隔たりに苦しむものです。♠現実の問題>現実の問題として、こんなに家賃が高いと暮らしていけません。♠現実的〉いつの時代も、「今の若者たちは現実的で夢[ゆめ]がない」と言われてきました。●〈現実味を帯びる〉父が転勤するかもしれないと聞いて、転校の問題が急に現実味を帯びてきた。 **げんじつてき【現実的】** ○現実に即しているさま。実際的。[文例]〈現実的な人>彼女は金銭感覚が鋭く[するど]、夢よりも生活を重要視するとても現実的な人です。●へ現実的になる〉日時と方法が決まると、計画はいっそう現実的になった。♠〈現実的な考え〉費用のことを考えると、この提案は現実的な考えに基づくとは言えない。●〈現実的には〉タイムマシンの話はよく聞くが、理論的にはどうあれ現実的には不可能だ。 **げんしてき【原始的】** ○文化が進歩・発達していないさま。[文例]〈原始的な生物〉エイやサメなどの軟骨魚[なんこつぎよ]は、魚の中でも原始的な種類だといわれる。♠〈原始的な生活>奥地[おくち]の原住民たちは、いまだに原始的な生活を営んでいた。●へ原始的な方法〉もりでつくという魚の取り方は、原始的なだけに技術がいります。●〈原始的な手段「のろし」は、伝達手段としてはかなり原始的だ。♠現代っ子から見れば、まきでごはんを炊くことも原始的に思えるかもしれない。 **げんしゅ【厳守】** ○厳しく守ること。[文例]〈厳守する>委員会での決定事項を厳守して、委員の人はほかの生徒に模範を示してください。●〈時間厳守〉年末ともなると皆さんお忙しいでしょうから、集会は時間厳守でお願いします。 **けんしゅう【研修】** ○学芸・技能を学び修めること。必要な知識・技能を習得するために、特別な学習や訓練をすること。[文例]新入社員は、明日から一週間、研修を目的とした合宿に出かけます。♠〈研修を受ける〉入社は四月からですが、三月の中旬[ちゅうじゅん]から研修を受けるために出社します。♠研修を終える>基礎知識の向上を目的とした研修を終えたお母さんたちは、それぞれの売り場に配属されました。 **げんじゅう【厳重】** ○厳しいさま。[文例]〈厳重な警戒〉外国の要人を迎える[むか]ため、空港は厳重な警戒体制がしかれていた。♠へ厳重な取り締まり〉死亡事故があとを絶たないので、警察では、交通違反[いはん]の厳重な取り締まりを行っている。♠<厳重な検査>製品を出荷するときには、不良品が出ないように厳重な検査を行っている。●〈厳重な処罰>問題を起こした生徒たちは、厳重な処罰[しょばつ]を受けました。♠厳重に抗議する>工場の騒音に悩まされる住民は、先日、工場の責任者に厳重に抗議した。●〈厳重にする〉羊が逃げ出さないように羊飼い[ひつじか]は、いつも見張りを厳重にしています。 **げんしゅく【厳粛】** ○おごそかで、つつしみ深いさま。[文例]<厳粛な雰囲気〉神殿[しんでん]の中はうす暗く、静かで厳粛な雰囲気[ふんいき]であった。●へ厳粛に行う〉結婚式[けつこんしき]は華やか[はな]なうちにも厳粛にとり行われました。●へ厳粛な面持ち〉ぼくの前には、厳粛な面持ち[おもも]の試験官が、ずらりと並ん[なら]でいる。●へ厳粛な事実「人間いつかは死ぬ」ということは、厳粛な事実です。 **けんしゅつ【検出】** ○検査して取り出すこと。[文例]〈毒物を検出する>死体を解剖[かいぼう]した結果、ごく微量だったが毒物が検出された。●へ放射能を検出する〉研究室の付近の土から、放射能が検出されたそうです。 **げんしょ【原初】** ○そもそもの初め。[文例]】〈原初の形>村に伝わるこの伝統的な踊りは、芸能の原初の形をとどめているといわれます。●〈原初的〉子供のうそというものは、原初的な形式の自己表現なのです。♠へ原初体験>幼稚園の時にプールでおぼれかかったのが、ぼくの恐怖の原初体験だそうだ。 <334> **けんしょう【検証】** ○実際に調べ上げて証明すること。[文例]考古学や歴史学では、事実による検証のない創作など意味を持たない。●へ検証する>理論は、実践[じつせん]によって検証されたものでなければ有効性をもたない。●へ現場検証〉現場検証が終わるまでは、事故現場に立ち入らないでください。 **けんしょう【懸賞】** ○賞金・賞品をかけること。[文例]<懸賞がかかる。をがける>横綱同士の取組には、たくさんの懸賞がかかった。●へ懸賞がつく。をつける〉このクイズには総都十万円の懸賞がついている。●へ懸賞に当たる〉姉は週刊誌の懸賞に当たって、賞品がもらえると喜んでいます。♠〈懸賞に応募する>懸賞に応募しましたが、当選するなどとは思ってもいませんでした。 **けんしょう【顕彰】** ○隠れていたよい事を明らかにすること。功績を広く、一般に知らせて表彰すること。[文例]〈顕彰する〉彼の隠れた業績を顕彰し、功労賞が贈られることになった。♠<顕彰する〉博士の受賞にあたって、わたしは夫人の内助[ひいじょ]の功[こう]を顕彰したい。 **けんじょう【献上】** ○身分の高い人に差し上げること。奉る[たてまつ]こと。[文例]〈物を献上する>富士山の氷室にたくわえられた氷が将軍家へ献上された。●〈献上の品〉献上の品はこれですべてそろいました。♠<得点を献上する〉ピッチャー自らの暴投のため、相手チームに二点も献上してしまった。 **けんじょう【謙譲】** ○へりくだって譲ること。[文例]〈謙譲の精神〉日本人は、他人を尊重し、自分はへりくだる謙譲の精神が強いともいわれます。♠◇謙譲の美徳>自分を抑え[おさ]他人を立てることを考える、それがすなわち謙譲の美徳です。♠<縑驤醅›謙譲語は自分の動作・状態を低めることによって相手を尊敬する気持ちを表す言葉です。 **げんしょう【現象】** ○物事のあらわれ。認識することのできる対象“文例〈異状な现象〉世界中で、天候異変などの異常な現象が起こっています。●〈珍しい現象>砂漠などで は、ときおり、「しんきろう」という珍しい現象が見られる。♠〈一時的な現象>反抗期[はんこクさ]は、子供たちの成長の過程に見られる一時的な現象です。♠漢字は最初、象形[しょうけい]文字として生まれ、事物や現象をかたどって作られました。●へ現象が現れる〉一時、子供たちに肥満という現象が現れ、問題になりました。♠〈自然現象〉雷[かみなり]が一つの自然現象としてとらえられるようになったのは、ごく最近のことだ。 **げんしょう【減少】** ○減って少なくなること。[文例]<緑地の減少〉大都市やその周辺には、交通問題や住宅難、緑地の減少などの問題がある。●へ体重の減少>医者がどんな治療を施し[ほどこ]ても、患者の体重の減少を抑え[おさ]ることはできなかった。♠〈減少の一途>日本の農業人口は減少の一途[いつと]をたどっています。♠へ減少する〉増え続けていた交通事故が五年ぶりに減少しました。 **けんしん【検診】** ○病気にかかっていないかどうかを検査・診察すること。[文例]〈ガンの検診〉この会社では、四十以上[くいじ 6ん]の従業員全員にガンの検診を実施しています。♠検診を受ける〉体の不調を訴え[うつた]ていた父は、昨日内科の検診を受けてきました。 **けんしん【献身】** ○一身をささげて尽くすこと。[文例]<親に対する献身〉病気の親に対する献身は、実の娘とは言え、周囲の者を感動させた。●へ献身する〉彼は日本の科学技術の発達に献身した功績により、文化勲章[くんしよう]を授与[じゆ]された。♠〈献身的な姿>病気の子に対する主人公の献身的な姿が読者の涙[なみだ]を誘う[さそ]。♠<献身的な看病>医者がさじを投げた患者が、奥さんの献身的な看病によって徐々に[じょじょ]回復へ向かった。♠<献身的に努める〉奴隷[どれい]解放を目指して献身的に努めた彼の業績は大きい。 **けんせい【権勢】** ○権力を握って勢力を振るうこと。権力にともなう威勢。[文例]<権勢をふるう〉平治の乱で源氏を倒[たお]した平家は、その後約二十年にわたって権勢をふるいました。●へ権勢を誇る>岩手県平泉[ひらいずみ]は、奥州藤原[おうしゅうふじわら]氏が三代の権勢を誇っ[ほこ]た古い歴史のある町だ。●へ権勢をほしいままにする>藤原道長[ふじわらのみちなが]は太政大臣となって権勢をほしいままにした。 **けんせい(牽制)** ○相手の注意を引きつけて、自由な行動を妨げること。[文例]〈牽制する〉わがままな彼が勝手なことを始めないように牽制しておく必要がある。♠人牽制にひっかかる>投手の巧み[たく]な牽制にひっかかって、走者はアウトになった。♠人牽制球>投手は盗塁[とうるい]を警戒[けいかい]して、一塁走者に何度も牽制球を送っている。 **げんせい【厳正】** ○厳しく公正なこと。公正でおごそかなさま。[文例]〈厳正な抽選>厳正な抽選[ちゅうせん]の結果、次の方が当選しました。●へ厳正な審査>最優秀作品を決める厳正な審査が続けられている。 <335> けんたい が続[つづ]けられている。♠へ厳正[げんせい]に行[おこな]う〉わたしたちの代表[だいひょう]を選[えら]ぶ選挙[せんきょ]は、厳正[げんせい]に行[おこな]われなければならない。♠へ厳正中立[げんせいちゅうりつ]>レフェリーは、どんな場合[ばあい]でも厳正中立[げんせいちゅうりつ]の立場[たちば]を守[まも]らなければならない。 **けんせつ【建設】** ○建造物[けんぞうぶつ]をつくること。国家[こっか]・社会[しゃかい]をつくること。[文例]〈ダムの建設[けんせつ]〉この川[かわ]の上流[じょうりゅう]で、大[おお]きなダムの建設[けんせつ]が始[はじ]まった。♠〈建設[けんせつ]に着手[ちゃくしゅ]する>青写真[あおじゃしん]も出来上[できあ]がり、来春[らいしゅん]にはいよいよ建設[けんせつ]に着手[ちゃくしゅ]する予定[よてい]である。♠へ建設[けんせつ]と破壊[はかい]〉何事[なにごと]でも、建設[けんせつ]には時間[じかん]が必要[ひつよう]だが、破壊[はかい]はあっというまである。♠◆ヘビルを建設[けんせつ]する〉新宿[しんじゅく]にまた新[あら]たな高層[こうそう]ビルが建設[けんせつ]されるらしい。♠◇国家[こっか]を建設[けんせつ]する〉平和[へいわ]な国家[こっか]を建設[けんせつ]するのは、自国[じこく]の利益[りえき]だけを考[かんが]えていては不可能[ふかのう]である。♠〈建設的[けんせつてき]な意見[いけん]>他人[たにん]の意見[いけん]にけちをつけてばかりいないで、もっと建設的[けんせつてき]な意見[いけん]を出[だ]してください。 **けんぜん【健全】** ○すこやかなさま。危[あぶ]なげなくて確[たし]かなさま。[文例]<健全[けんぜん]な精神[せいしん]「健全[けんぜん]な精神[せいしん]と、健康[けんこう]な体[からだ]」を作[つく]るようにしたいものだ。♠へ健全[けんぜん]な生活[せいかつ]〉東京[とうきょう]で学生生活[がくせいせいかつ]を始[はじ]めた彼[かれ]も、毎日[まいにち]健全[けんぜん]な生活[せいかつ]を送[おく]っている。♠〈健全[けんぜん]な本[ほん]ややはり子供[こども]には健全[けんぜん]な本[ほん]を読[よ]ませたい。♠へ健全[けんぜん]に過[す]ごす>早寝早起[はやねはやお]きを実行[じっこう]し、水泳[すいえい]で体[からだ]を鍛[きた]えるなど、夏休[なつやす]みを健全[けんぜん]に過[す]ごしましょう。♠〈財政[ざいせい]が健全[けんぜん]>長[なが]い間[あいだ]、わが市[し]は赤字[あかじ]に苦[くる]しんできたが、今年[ことし]はようやく財政[ざいせい]が健全[けんぜん]な状態[じょうたい]になった。♠〈健全[けんぜん]さ>若者[わかもの]に求[もと]められるのは、能力[のうりょく]や個性[こせい]だけでなく、健全[けんぜん]さと明[あか]るさである。 **げんせん【源泉・原泉】** ○みなもと。物事[ものごと]を生[う]み出[だ]すもと。[文例]〈力[ちから]の源泉[げんせん]〉おまえたちと母[かあ]さんの笑顔[えがお]が、父[とう]さんの力[ちから]の源泉[げんせん]だね。♠〈文学[ぶんがく]の源泉[げんせん]〉ギリシア神話[しんわ]はヨーロッパ文学[ぶんがく]の源泉[げんせん]とも言[い]えるでしょう。♠へ源泉徴収[げんせんちょうしゅう]〉サラリーマンは、源泉徴収[げんせんちょうしゅう]といって給与[きゅうよ]から税金[ぜいきん]が天引[てんび]きされています。 **げんせん【厳選】** ○厳[きび]しく選[えら]ぶこと。[文例] <厳選[げんせん]する>重要[じゅうよう]な会議[かいぎ]ですから、出席者[しゅっせきしゃ]は厳選[げんせん]しました。♠へ厳選[げんせん]する〉老舗[しにせ]なので、店[みせ]の名[な]にきずがつかないように商品[しょうひん]を厳選[げんせん]している。 **げんぜん【厳然】** ○いかめしく、おごそかなさま。厳[きび]しく、動[うご]かしがたいさま。[文例]〈厳然[げんぜん]たる事実[じじつ]〉たとえ原因[げんいん]は向[む]こうにあったとしても、こちらが手[て]を出[だ]したのは厳然[げんぜん]たる事実[じじつ]ですから反省[はんせい]しています。♠へ厳然[げんぜん]として〉多数[たすう]の、しかも公平[こうへい]な目撃者[もくげきしゃ]が厳然[げんぜん]として存在[そんざい]するのであるからごまかしようがない。 **けんそう(喧騒・喧噪)** ○騒[さわ]がしいこと。[文例]〈都会[とかい]の喧騒[けんそう]〉ひなびた温泉[おんせん]で体[からだ]を休[やす]め、しばし都会[とかい]の喧騒[けんそう]を忘[わす]れることができた。♠都会[とかい]の喧騒[けんそう]〉都会[とかい]の喧騒[けんそう]に慣[な]れたぼくには、小川[おがわ]のせせらぎがひどく新鮮[しんせん]に感[かん]じられた。♠へ喧騒[けんそう]のちまた少女[しょうじょ]は、この喧騒[けんそう]のちまたにさわやかな高原[こうげん]の冷気[れいき]を放[はな]ちながら生[い]きていた。 **けんぞう【建造】** ○大[おお]きな構造物[こうぞうぶつ]をつくること。[文例]船[ふね]の建造[けんぞう]〉氷[こおり]の圧力[あつりょく]に耐[た]える船[ふね]の建造[けんぞう]が計画[けいかく]された。♠へ建物[たてもの]の建造[けんぞう]>古[ふる]くから日本人[にほんじん]は、木[き]を主[おも]な素材[そざい]として建物[たてもの]の建造[けんぞう]を行[おこな]ってきました。♠〈建造[けんぞう]する〉八世紀[はっせいき]から十二世紀[じゅうにせいき]にかけて、奈良[なら]や京都[きょうと]には数多[かずおお]くの社寺[しゃじ]や仏像[ぶつぞう]が建造[けんぞう]された。 **げんそう【幻想】** ○現実[げんじつ]にありえないことを想像[そうぞう]すること。根拠[こんきょ]のない想像[そうぞう]。[文例]〈現実[げんじつ]と幻想[げんそう]〉一瞬[いっしゅん]目[め]の前[まえ]に現[あらわ]れた美[うつく]しいチョウ、あれは現実[げんじつ]ではなく幻想[げんそう]だったのだろうか。♠〈幻想[げんそう]の町[まち]〉わたしの日[ひ]には、廃墟[はいきょ]の中[なか]に復興後[ふっこうご]の幻想[げんそう]の町[まち]が見[み]えた。♠へ幻想[げんそう]を描[えが]く〉厳[きび]しい現実[げんじつ]の前[まえ]に、ぼくの描[えが]いていた幻想[げんそう]は無残[むざん]にも打[う]ち砕[くだ]かれた。♠幻想[げんそう]を抱[いだ]く>彼女[かのじょ]もただの女[おんな]だ、勝手[かって]な幻想[げんそう]を抱[いだ]くのはよせ。♠幻想[げんそう]する〉ぼくは、新[あたら]しい大陸[たいりく]の大地[だいち]を、緑[みどり]の楽園[らくえん]であるかのように幻想[げんそう]していた。♠〈幻想的[げんそうてき]〉『竹取物語[たけとりものがたり]』は、竹[たけ]の中[なか]から生[う]まれたかぐや姫[ひめ]が、月[つき]の世界[せかい]へ帰[かえ]ってゆくという幻想的[げんそうてき]な物語[ものがたり]です。 **けんぞく(眷族・眷属)** ○血筋[ちすじ]のつながっている者[もの]たち。親族[しんぞく]。一族[いちぞく]。[文例]<親子[おやこ]眷族[けんぞく]〉その時[とき]、あの傘張[かさはり]の翁[おきな]の家[いえ]は、運悪[うんわる]う風下[かざしも]にあったに由[よ]って見[み]る見[み]る焰[ほのお]に包[つつ]れたが、さて親子[おやこ]眷族[けんぞく]、慌[あわ]てふためいて、逃[に]げ出[いで]いて見[み]れば(・・・・・・) (芥川[あくたがわ]龍之介[りゅうのすけ]「奉教人[ほうきょうにん]の死[し]」)♠<親戚[しんせき]眷族[けんぞく]〉護送[ごそう]の役[やく]をする同心[どうしん]は、傍[かたわ]でそれを聞[き]いて、罪人[ざいにん]を出[だ]した親戚[しんせき]眷族[けんぞく]の悲惨[ひさん]な境遇[きょうぐう]を細[こま]かに知[し]ることが出来[でき]た。(森[もり]鷗外[おうがい]「高瀬舟[たかせぶね]」) **げんそく【原則】** ○基本的[きほんてき]な規則[きそく]。根本的[こんぽんてき]な法則[ほうそく]。[文例]学校[がっこう]の図書[としょ]は、部外者[ぶがいしゃ]には貸[か]し出[だ]さないのが原則[げんそく]です。♠原則[げんそく]を忘[わす]れる〉大学[だいがく]はまず勉強[べんきょう]する所[ところ]だ、という原則[げんそく]を忘[わす]れてはいけない。♠原則[げんそく]とする〉今度[こんど]の校内球技大会[こうないきゅうぎたいかい]は、原則[げんそく]として全員参加[ぜんいんさんか]だ。♠〈原則[げんそく]に基[もと]づく>中立主義[ちゅうりつしゅぎ]の原則[げんそく]に基[もと]づいて、スイスは、長[なが]い間[あいだ]対外的[たいがいてき]に平和[へいわ]を保[たも]ってきた。♠〈原則[げんそく]から外[はず]れる〉この短歌[たんか]は字余[じあま]りで、五・七・五・七・七[ごしちごしちしち]の原則[げんそく]からは外[はず]れている。♠〈原則[げんそく]と例外[れいがい]〉原則[げんそく]というのはあくまでも原則[げんそく]で、若干[じゃっかん]の例外[れいがい]は認[みと]められています。 **けんそん(謙遜)** ○へりくだること。つつましく、ひかえめなこと。[文例]〈謙[けん]そんする〉謙[けん]そんばかりしていないで、きみも自分[じぶん]をアピールする方法[ほうほう]を考[かんが]えなさい。♠へ謙[けん]そんする〉今度[こんど]の成績[せいせき]をほめたら、彼女[かのじょ]、てれてしきりに謙[けん]そんしていたよ。♠く謙[けん]そんな態度[たいど]〉自分[じぶん]に自信[じしん]をもつことは大切[たいせつ]だが、謙[けん]そんな態度[たいど]を忘[わす]れないように。 **げんそん【現存】** ○現[げん]に存在[そんざい]すること。げんぞん。[文例]〈現存[げんそん]する最古[さいこ]の〜『万葉集[まんようしゅう]』は、現存[げんそん]するわが国[くに]最古[さいこ]の歌集[かしゅう]です。♠へ現存[げんそん]する建物[たてもの]〉金閣寺[きんかくじ]は戦後[せんご]全焼[ぜんしょう]し、現存[げんそん]するものは、その後[ご]再建[さいけん]されたものです。♠現存[げんそん]する人[ひと]〉この事件[じけん]に実際[じっさい]に立[た]ち会[あ]った人[ひと]で、現存[げんそん]する人[ひと]はいない。♠現存[げんそん]する原生林[げんせいりん]>長野県[ながのけん]鬼無里[きなさ]地方[ちほう]のブナの林[はやし]は、わが国[くに]に現存[げんそん]する原生林[げんせいりん]として、有数[ゆうすう]のものである。♠〈現存[げんそん]する巻数[かんすう]〉リビウスは、『ローマ通史[つうし]』一四二巻[いちよんにかん]を著[あらわ]したが、現存[げんそん]するのは三五巻[さんじゅうごかん]だけである。 **けんたい(倦怠)** ○あきて、いやになること。疲[つか]れてだるいこと。[文例]〈倦怠[けんたい]する〉日常生活[にちじょうせいかつ]を習慣的[しゅうかんてき]に繰[く]り返[かえ]すだけでは、だれだって倦怠[けんたい]してしまう。♠〈倦怠感[けんたいかん]〉単調[たんちょう]な仕事[しごと]の繰[く]り返[かえ]しに、彼[かれ]はすっかり倦怠感[けんたいかん]を感[かん]じているようだ。♠〈倦怠期[けんたいき]〉結婚[けっこん]して二十年[にじゅうねん]、わたしたち夫婦[ふうふ]も倦怠期[けんたいき]を迎[むか]えているようだ。 <336> **げんたい【減退】** ○意欲や体力などが衰えること。[文例]〈減退する〉こう暑いと、気力も意欲も減退して、勉強する気も起きません。●〈食欲減退〉ピリッと辛いものも食欲減退を防止するのに効果があります。 **げんだい【現代】** ○今の世。この時代。[文例]言葉よりもテレビや写真のはんらんする現代は、映像の時代とも言われている。●へ近代から現代にかけて〉印象派の絵画は、近代から現代にかけての美術に大きな影響を与え[えいきようあたえ]ました。♠〈現代に通じる>狂言の笑いから、現代に通じる人間性をさぐってみよう。♠〈現代にあてはめる>歴史上の出来事を現代にあてはめて考えてみると、親しみがわきます。●彼は、現代最も活躍[かつやく]している小説家の一人です。●〈現代的〉この小説は、日本の古い説話を現代的に再構成したものです。 **げんたいけん【原体験】** ○人の考え・思想の根源になるような体験。[文例]〈原体験とする>木原孝一、黒田三郎、中桐雅夫[なかざりまさ]、鮎川信夫[おあゆかわのぶお]と、戦争を原体験として、自らの詩の世界を構築してきた「荒地[あれち]」派の詩人の何人かが相次いで世を去っていた。 **けんたん(健啖)** ○盛んに食べること。[文例]〈健啖ぶり>帰省した息子はどんぶり飯をぺろっと平らげて、相変わらずの健啖ぶりを見せた。●〈健啖家〉彼はなかなかの健啖家だから、この程度の料理は片づけてくれるだろう。 **けんち【見地】** ○物事を判断する時のよりどころ・立脚点。観点。[文例]〈庶民の見地〉われわれ一般庶民[しよみん]の見地からすれば、国鉄が民営化されようと知った[くつ]ことじゃないということになる。●へ読者の見地に立つ>読者の見地に立てば、作品は想像の世界を広げ、感性をみがき、知性を高めてくれるのが最高であろう。♠へ~見地から見る〉人間は常に進歩と発展を心がけるべきだという見地から見れば、わたしのような怠け者は許されないことになる。 **げんち【現地】** ○現在、物事が行われている土地。物事が実際に行われた土地。現在いる土地。[文例]〈現地へ赴く〉地方の支店に転勤になった父は、とりあえず単身で現地へ赴き[おもむ]ました。♠へ現地へ行く>噴火[ふんか]がどんな状態なのかは、現地へ行ってみないことにはわかりません。♠〈現地にいる〉台風が直撃[ちよくげき]した沖縄[おきなわ]の様子を、現地にいるレポーターに伝えてもらいましょう。●〈現地の人々>海外へ進出した日本の会社や工場では、現地の人々も大勢働いています。 **げんち【言質】** ○後で証拠となる言葉。[文例])〈雪質を与える〉不用意な発言は言質を与えることにもなりかねないので、気をつけなさい。●へ言質をとる〉反対派に言質をとられないように、言葉を選んで発言した。 **けんちく【建築】** ○建造物をつくること。また、その建物。[文例]〈住宅の建築>畑や空き地に、次々と住宅の建築がいまった。●へ屋敷の建築〉一本何百万円もするヒノキが屋動の建築には使われていた。♠へ木の建築>西洋では石の、東洋では木の建築が生まれたのはなぜでしょう。●〈建築する>宇治平等院[うじぴようどういん]は、藤原頼通[ふじわらのよりみち]によって建築された寝殿造り[しんでんづく]の建物です。 **けんちょ【顕著】** ○明らかで目立つさま。著しいさま。[文例]〈顕著に表す〉この画家らしさを最も顕著に表しているのは、晩年の作品である。●へ顕著に見られる>犯罪が年々低年齢化[ねんれいか]してゆく傾向が顕著に見られる。●へ顕著な点〉情報化社会を示す最も顕著な点は、やはりコンピューターの普及[ふきゆう]であろう。●へ顕著な発展>昭和三十年代に入ると、日本の経済は顕著な発展を見せるようになる。 **げんてい【限定】** ○範囲[はんい]や数量などを限り定めること。[文例]〈場所を限定する〉赤い靴は、はいて行く場所が限定されてしまうので、黒い靴を買ったほうがいい。●〈範囲を限定する>試験範囲が限定されたので、勉強しやすくなった。●へ年齢層を限定する〉スキーを買う年齢層[ねんれいそう]は、だいたい、十代と二十代に限定されている。●〈年代を限定する〉今度の発掘[はつくつ]調査で、この古墳[こふん]の造られた年代がかなり限定されてくるだろう。●へ数を限定する会員は、百名に限定されているので、今から入会するのは難しい。♠限定出版ごの詩集は限定出版だったので、古本屋では目のとびでるような値がついている。 **けんでん(喧伝)** ○言いふらすこと。言いはやして伝えること。[文例]〈喧伝する〉彼の武勇伝は、遠く都にまで喧伝された。♠〈世に喧伝する〉当時広く世に喧伝された話に一休禅師の天衣無縫の生活ぶりがあった。 **げんてん【原点】** ○基準になる点。物事の起こりとなる点。[文例]〈原点にかえる〉何度やっても失敗するようなら、もう一度原点にかえって考え直してみよう。●〈原点となる〉その小説は、人種問題が原点となっている。●へ原点を探る〉詩がどのようにしてできるのか、この詩をもとに詩の誕生の原点を探ってみたい。 **げんど【限度】** ○限り。限界。[文例]〈限度がある。ない〉年々歳入が増えているとはいっても、国の予算にも限度があります。●へ限度に達する>授業中生徒の私語が絶えないので、先生の忍耐[にんたい]も限度に達したようだ。♠く限度を超える〉A君が自分に課したトレーニングは、人間の体力の限度を超えるものだった。●へ〜を限度とする〉今回の旅行の人員は百名を限度として、それを超えた場合はキャンセル待ちとします。♠この車に乗せられる荷物は、これが限度だ。♠<最低限度〉この国に住む人は、健康で文化的な最低限度の生活が保障されています。 **けんとう【見当】** ○めあて。みこみ。大体の方向。およその程度。[文例]〈家の見当〉「わが家はこの見当です。」と、男は南の方角を指で示した。●〈見当がつく〉あの人が何者かは、まったく見当がつきません。●へ見当をつける〉大体この方角だろうと見当をつけて歩き出した。●〈千円見当〉まだ子供だから、お土産は千円見当の品を探してみよう。 **けんとう【検討】** ○物事を十分に調べて考えること。[文例]〈検討の余地がある〉この問題には、まだ検討の余地がありそうだ。●へ検討に値する〉検討に値する[あたい]問題かどうかはくわしく調査してから結論を出そう。●〈検討する〉いい提案ですから早速[さつそく]会議にかけて検討してみましょう。●へ再検討する>新たな疑問点がいくつか出てきたため、次の会議で再検討することになった。 <337> 再検討することになった。♠へ~>全国各地の河川から得られた調査の結果を比較検討してみる。 **けんとう**[健闘] ○全力を尽くして闘うこと。[文例]〈健闘する>試合を捨てることなく最後まで健闘した選手たちに拍手を送ります。♠〈健闘を祈る>がんばってください、健闘を祈っています。♠く~が光る>敗れたとはいえ、優勝候補を相手に大接戦を演じた健闘が光りました。♠へ~むなしく>十センチの身長差を克服[こくふく]できず、健闘むなしく敗退した。 **げんどう**[言動] ○言葉と行動。言行。[文例]〈不審[ふしん]な言動>家のまわりを、言動の不審な男がうろついていた。♠<言動に注意する〉お客さまに失礼のないよう、言動には十分注意してください。♠く~>〈言動をつつしむ>訓練中は勝手な言動をつつしみなさい。♠〈常識を超えた言動>常識を超えたきみの言動には、ぼくも理解に苦しむよ。♠<不穏[ふおん]な言動〉社会不安が増すにつれ、国民の間には不穏な言動が高まっていった。♠〈人物の言動>彼の小説は、登場人物の言動や心情を生き生きとえがききっている。 **げんどうりょく**[原動力] ○物事を動かすもとになる力。[文例]〈噴火[ふんか]の原動力>火山の噴火の原動力になるのは、地中のマグマの活動です。♠へ~>日本経済のめざましい発展の原動力は、国民の勤勉さだと言えましょう。♠<優勝の原動力〉優勝の原動力は、なんといってもホームランを打ちまくった四番バッターの原田君です。♠<成功の原動力〉たゆみない二人の努力が実験成功の原動力となったことは言うまでもない。 **けんどじゅうらい**(捲土重来) ○一度破れたものが、再び勢力を盛り返すこと。けんどちょうらい。[文例]〈捲土重来を期する>思った通り今年はだめだったが、捲土重来を期して早々と準備にとりかかった。 **けんどちょうらい** ↓けんどじゅうらい **けんない**[圏内] ○範囲の中。[文例] <合格の圏内><圏内にある〉きみの力では、まだ合格の圏内にあるとは言えない。♠<優勝の圏内><圏内にとどまる>横綱[よこづな]は、苦戦はしたもののなんとか勝利をおさめ、優勝の圏内に踏みとどまった。♠◇当選の圏内>得票数一万票以上であれば、今回は当選の圏内であると思われます。♠◇暴風雨圏内〉〈圏内に入る>台風は北上し、九州地方南部は午後から暴風雨圏内に入りました。 **げんに**[現に] ○実際に。現実に。[文例]皆既日食[かいきにつしよく]というものを、現にこの目で見ることができた。♠親たちは低俗だと言うが、この歌は現にぼくらの間で人気があるんだ。♠ひどいかぜがはやっていて、現に妹がそれにやられた。♠きみは、起き上がれないほどの重病だと言いながら、現に歩きまわっているじゃないか!♠現に二台も持っているのに、まだ車が欲しいのかい? **けんにんふばつ**[堅忍不拔] ○がまん強くこらえて、意志を貫[つらぬ]くこと。忍耐心[にんたいしん]が強く、何事にも動じないこと。[文例] <堅忍不抜の精神>大事業をなしとげるには、最後まで貫きとおす忍耐心、堅忍不抜の精神が必要となるでしょう。 **げんば**[現場] ○実際に物事が行われている(行われた)場所。作業が行われる場所。[文例]〈現場にぶつかる>三か月間アフリカで撮影[さつえい]をしましたが、ライオンが狩りをする現場にはとうとうぶつかりませんでした。♠〈現場を見る>工場長の特別なはからいで、製本の現場を見ることができた。♠〈現場へ向かう>通報を受けて、パトカーはすぐ現場へ向かった。♠へ~>犯行の現場に残された手袋がただ一つの証拠品です。♠〈現場の先生>現場の先生たちの努力にもかかわらず、いじめや体罰などがまだなくなっていない。♠〈現場の人>出稼[でかせ]ぎの父は、去年働いた現場の人たちと今年もいっしょに働いています。 **げんばつ**[厳罰] ○厳重な処罰。[文例]〈厳罰に処する>右の決定に違反したる者は、厳罰に処する。♠へ~を科する>罪としては軽いものだったが、他の者の見せしめにという趣旨[しゅし]で厳罰が科せられた。 **けんび**[兼備] ○かねそなえること。[文例]〈兼備する>彼は瞬発力[しゅんぱつりよく]と持久力を兼備した、たいへん有能な選手です。♠<才色兼備>彼の奥さんは、才色兼備のすばらしい女性だ。 **けんぶつ**[見物] ○場所・催し・出来事などを見て楽しむこと。また、その人。[文例]〈見物をする>九州から上京してきた母を連れて、一日東京見物をしてまわった。♠<見物に出かける〉そろそろ花火見物に出かけるとするか。♠へ~>ほうっておいても心配のないけんかだ、高みの見物といこうじゃないか。♠〈見物が多い>さすが評判のサーカスだけあって、見物が多いなあ。♠〈見物する>秋になると、修学旅行の生徒たちが、神社仏閣を見物する姿をよくみかける。♠〈見物人>人気女優の映画のロケーションとあって、見物人がどっとつめかけた。♠<芝居[しばい]見物>お父さんといっしょの芝居見物なんて何年ぶりだろう。 **げんぶつ**[現物] ○実際の物品。実物。現在ある品物。[文例]〈代金と現物>代金は、現物と引き換えにお支払いください。♠〈現物を見る>いくらで買うかは、現物を見なければ何とも言えない。♠〈現物を支給する>入隊すれば、週八十ドルのほかに、衣類や食料などの現物が支給されます。♠く~で支払う〉賃金の一部は、現物で支払われるということだ。 **けんぶん**[見聞] ○実際に見たり、聞いたりすること。また、それから得た知識。[文例]〈見聞を記す>『奥の細道』には行程二千三百キロメートルをこえる大旅行の見聞が、俳句をおりこんで独特な文体で記されている。♠〈見聞を広める>若いときに外国旅行をして、見聞を広めることも大切なことです。♠へ~する>若者が実際に都で見聞することは、田舎でうわさに聞くとはまるでちがっていた。 **けんぼうじゅっすう**[権謀術数] ○人をだますはかりごと。[文例]〈権謀術数をめぐらす>大将は、敵軍の裏をかこうと、あれこれ権謀術数をめぐらしていた。♠〈権謀術数にたける>権謀術数にたけたあの男のことだ、何をたくらんでいるかわからないぞ。 **けんま**[研磨・研摩] ○とぎ、みがくこと。みがき、きたえること。[文例]〈研磨する>宝石の原石を研磨し、商品とするまでにはとても高度な技術を要します。♠〈精神の研磨>厳しい修行は、肉体を極限状態に追いこむことによる精神の研磨を目的としたものだ。 <338> **けんまく**[剣幕・見幕・権幕] ○怒りによるすさまじい形相。態度。[文例]男の人は顔を真っ赤にして、今にもつかみかかりそうな剣幕になった。♠へ~>大切な植木をこわされたおじいさんは、それはもうたいへんな剣幕だった。♠く~>教室に入ってくるなりものすごい剣幕でどなりつけるのだから、ぼくは弁解する暇[ひま]もなかった。 **げんみつ**[厳密] ○細密にわたって厳重なさま。[文例]<厳密な検査>不良品が出ないように、製品は厳密な検査を受けてから出荷される。♠へ~な>強盗[ごうとう]事件の容疑者がとらえられ、警視庁で厳密な取り調べが行われた。♠へ~な>学者たちは、厳密な実証によって、難問題をみごとに解決した。♠へ~に校正する>原稿は、印刷する前に、まちがいがないように厳密に校正されます。♠へ~に調査する>今回の汚染[おせん]事故については、住民の命にかかわることなので、厳密に調査したい。♠へ~にいう>漢語は、厳密にいえば外来語ですが、日本語として同化しているので、外来語という感じがしません。♠へ~な>厳密な意味では、「自己」と「自身」は区別して使われます。 **けんめい**[懸命] ○命がけであるさま。全力を尽くすさま。[文例]<懸命に働く〉懸命に働く人の姿は何よりも美しい。♠<懸命な努力>長期にわたる懸命な努力にもかかわらず、メダル獲得[かとく]の夢[ゆめ]は果たせなかった。♠<懸命な姿〉何があっても闘[たたか]い抜こうとする主人公の懸命な姿がいちばん印象に残りました。♠<懸命にこらえる〉岸を離れる船に手をふりながら、わたしはこみあげてくる涙[なみだ]を懸命にこらえた。♠〈懸命さ>踏まれても、つまずいても、明るく生きようとする少女の懸命さに心を打たれる。♠<一所懸命・一生懸命>一所懸命やったのだから負けても悔[はな]いはない。 **けんめい**[賢明] ○かしこいさま。[文例]山で道に迷ったら、先へ進まず、来た道を引き返すほうが賢明だ。♠へ~な>賢明な母親なら、子供にむやみに菓子を買い与えたりはしない。♠〈賢明な判断>目標を目前にして引き返した隊長の判断は、今から思うと賢明であった。♠へ~な>人生の分かれ道といえる時期に賢明な選択[せんたく]を行える勇気や冷静さがほしい。 **げんめい**[言明] ○はっきり言い切ること。[文例]〈言明を避ける>大臣は、記者の質問に対して言明を避けた。♠へ~する>相手は、会議の席でわたしに責任がないことを言明すると約束してくれた。 **げんめい**[厳命] ○厳しく命じること。また、その命令。[文例] <王の厳命>国王の厳命に従い、兵士たちは次々と戦場に向かっていった。♠へ~を受ける>売り上げ倍増の厳命を受けた社員は、必死になって働いています。♠へ~を守る>厳命を守って、スパイは拷問[ごうもん]にも口を割らなかった。♠<厳命する>将軍は、反対意見を押し切って戦闘開始を厳命した。 **げんめつ**[幻滅] ○幻想から覚め、現実を知って失望すること。[文例]〈幻滅を感じる>頭に描いたイメージと現実があまりにかけ離れているため、幻滅を感じた経験はだれにでもあるでしょう。♠へ~する>夫に幻滅した妻は、ひたすら子供の教育に打ち込んだ。 **げんや**[原野] ○開墾されていない野原。[文例]〈原野が続く>地平線まで続く原野のどまん中を、一本の道が走っていた。♠〈原野が広がる>釧路[くしろ]から根室[ねむろ]にかけては、農業にはあまり適さない原野が広がっている。♠ヘ~>石油開発のために、今までだれも見向きもしなかったシベリアの原野が脚光[きやつこう]を浴びていた。 **けんやく**[倹約] ○むだをなくし、生活を切りつめること。[文例]〈倹約に努める>家計の赤字を減らすためには、何よりもまず倹約に努めることが大切だ。♠へ~する>石油は限りある資源だから、むだ使いをやめてもっと倹約しよう。 **けんよう**[兼用] ○一つの物を二つ以上の用途で用いること。[文例]〈兼用する>グラウンドはサッカー部とラグビー部が兼用しているので、ときどき選手が交錯[こうさく]することがある。♠〈夏冬兼用>彼はその背広一着を夏冬兼用で、一年中着ていた。♠◇男女兼用>この整髪剤[せいはつざい]は男女兼用ですから、恋人同士で気軽に使えます。 **けんらん**(絢爛) ○きらびやかで美しいさま。[文例]〈けんらんたる色彩>今から三百年前に描かれたそのふすま絵は、今なおけんらんたる色彩を放っている。♠〈豪華[ごうか]けんらん>北山文化の代表的な建築である金閣寺[さんかくじ]には、まさに豪華けんらんといった言葉がぴったりです。 **けんり**[権利] ○何かをなしえる資格。利益を受ける資格。[文例]〈権利がある>何の権利があって、きみはぼくの生活に干渉[かんしよう]するのかね。♠〈権利がない>彼が旅立つのを止める権利は、だれにもない。♠へ~を主張する>自分の権利を主張するばかりで、責任や義務は怠っているということがよくある。♠〈権利を失う>この証書をなくされた場合は、すべての権利を失うことになります。♠へ~を得る>わが国で女性が選挙の権利を得たのは、戦後である。♠へ~>長年連れ添った妻が亡き夫の財産を相続するのは当然の権利だ。♠〈正当な権利>〈権利を行使する>ストライキは労働者の正当な権利として、それを行使することは憲法で保障されている。♠へ~を守る>個人の自由という権利は、一人一人が大切に守りたいものだ。♠へ~を侵[おか]す>現在の制度では、財産の私有の権利は、侵してはならない。 **げんり**[原理] ○根本となる法則。基本的な理論。[文例]へ~>ねじをしめたり、ゆるめたりするスパナは、てこの原理を応用したものです。♠〈浮力[ふりよく]の原理>船が水に浮くのは、水中の物体にはたらく浮力の原理によっています。♠飛行機は、どのような原理で空を飛ぶのですか。♠へ~>鬼[おに]ごっこという遊びは、つかまれば鬼が交替[こうたい]するという単純で明快な原理のうえに立っています。♠へ~>格言には、わたしたちの生活や行動の原理となるような真理が短い言葉で表されています。♠へ~>哲学者[てつがくしゅ]とは、人間が生きる究極の原理について、思いをめぐらす人のことだ。♠へ~>およそ、原理とか原則とかいうものには、いつでも例外がつきものだ。 <339> **げんりゅう**[源流] ○流れのみなもと。物事の起こり。[文例]〈川の源流>世界には源流から河口までの長さが日本列島よりも長い川がある。♠〈日本人の源流>民族の起源をたどると、日本人の源流には南方から海を渡ってきた人たちがある。♠〈文化の源流>日本の文化の源流は、その大半を中国・朝鮮に求めることができるそうです。 **げんりょう**[原料] ○もとになる材料。[文例]ビールの原料は麦芽です。♠除虫菊[じよちゆうざく]は殺虫剤の原料となり、農薬として使われることが多い。♠ワインは、ぶどうを原料としています。♠日本は、原料を輸入し製品を輸出する典型的な加工貿易国だ。 **けんりょく**[権力] ○他人を支配し、服従させる力。[文例]〈権力をふるう>平安時代の中期は藤原[ふじわらし]氏が権力をふるった。♠<権力の座>徳川家康[とくがわいえや]は関ヶ原の戦いで豊臣[とよとみ]氏を破り、権力の座に就きました。♠へ~を倒す>圧政に反対して立ち上がった人々は、ついに権力を倒すことができた。♠〈権力を行使する>民主主義の社会では、国民の代表者が権力を行使することになっている。♠〈国家権力>国家権力は、人民の自由を抑圧[あつぱく]する悪とみなされることがある。 **けんろう**(堅牢) ○堅くて丈夫なさま。がんじょうなさま。[文例]〈堅ろうな城>この山の頂上には、周囲に高い塀[へい]をめぐらした堅ろうな城がある。♠へ~な>ピラミッドは、今から四千年も前に造られたとは思えないほど堅ろうな建物です。♠へ~を誇[ほこ]る>ダイナマイトの前には、厳しい自然に耐え、堅ろうを誇った石壁もひとたまりもなかった。 **げんろん**[言論] ○自分の意見を主張したり、他人の意見を批判したりすること。[文例]〈言論の自由>自分の意見を自由に発表できる言論の自由は、憲法で保障されています。♠<言論と暴力>「ペンは剣[けん]よりも強し」という言葉では、「ペン」は言論を、「剣」は暴力を表しています。♠へ~の統制>戦争中の日本では、言論の統制が行われたため、自由にものが言えなかった。♠へ~を展開する>独立をめざすこの国では、「自由とは何か」というテーマで、活発な言論が展開された。♠へ~の力>独裁者[どくさいしゃ]の圧政も、最後には民主主義者たちの言論の力の前に屈服[くつぷく]した。♠〈言論を圧迫する>「言論を圧迫するあらゆるものに対して闘[たたか]う」と、文学者たちが声明を発表した。 **げんわく**[幻惑](眩惑) ○目をくらませて惑わせること。目がくらんで惑うこと。[文例]〈幻惑する>霧の晴れ間に現れた山の異様な姿に幻惑されて、わたしたちは先へ進む意気込みを失っていた。♠〈眩惑する>海水浴にやって来る町の女たちの肢体[したい]は、ぼくたち村の中学生を眩惑した。 **こ**(子) ○親から生まれたもの。幼い人。動物で成体になる前のもの。生まれて間もないもの。植物の本体から分かれたもの。利息。[文例]〈大きい子・小さい子>小さい子は大きい子に教わりながら、一緒に遊んだり勉強したりしたものです。♠く~>隣の畑の真ん中に、野うさぎの子の巣があることを、農夫たちは知らない。♠〈受付の子>あの受付の子、なかなか美人だね。♠へ~>金持ちだったが、相場に手を出して元も子もなくしたらしいよ。♠<子会社>親会社の経営不振で、関連の子会社が次々と倒産した。♠へ~>彼女は、今売れっ子のタレントです。♠へ~>子を持って知る親の恩というけれど、自分で子を生み育て、つくづく親のありがたみが分かった。♠へ~>「子はかすがい」といって、子ども夫婦和合の要因となることが多い。♠へ~>「老いては子に従え」というでしょ。ここはおじちゃん、パパの言う通りにしたら。♠へ~>子供に注意されて初めて気がついた。負うた子に教えられるとはこのことだね。♠く~>こたつの中でちぢこまってないで、外で遊んで来い。子供は風の子だろう。♠<死んだ子の年を数える>「死んだ子の年を数える」で、今さら戻ってくるわけではないが、生きていればもう十八になっているなあ。♠く~>泣く子も黙る笹川[だま ささがわ]の繁蔵[しげぞう]親分とはおれのことよ。♠へ~>夏休みの一人旅をやっとあきらめさせたんだから、寝た子を起こすような話はしないでね。♠あの月をとってくれろと泣く子かな(小林一茶[いつさ]) **こ**[粉] ○こな。[文例]〈身を粉にして働く>毎日朝早くから夜遅くまで、身を粉にして働いた。♠<粉をふく>軒下に吊るした柿の実が、小さくしわしわになって、白く粉がふいてきたら食べごろだ。♠へ~>小麦粉、とき卵、パン粉の順に衣をつけ、油で揚げます。 **こ**[弧] ○弓のように丸く曲がった形。[文例]〈弧を描く>打球は、勢いよく飛び、やがて弧を描いて塀の外に落ちた。♠〈弧を描く>草むらから蛍[ほたる]がすいすいと、低い弧を描きつつ水辺に向かって飛ぶのが見えた。 **こ**[個] ○個人。ひとり。ひとつ。物を数える時に添える語。[文例]〈個の確立>集団生活を通して社会性を育てると共に、めいめいの個の確立を目指します。♠〈個々>子供は五人いるが、個個に違った才能、性格をもっている。♠すいかを一個とメロンを二個ください。 **ご**[語] ○単語。言葉。[文例]〈語の意味>わからない語は、必ず辞書でその意味を調べることだ。♠へ~から受ける感じ>「強欲[ごうよく]」と「欲張[よくば]り」では、語から受ける感じがちがってきます。♠へ~をつぐ>「それから………………」と語をつぎながら、母は、また話の続きを始めた。♠へ~を交える>彼とはじめて語を交えて、その真意がはっきり理解できた。 **ご**[後] ○のち。あと。[文例]〈その後>久しくお目にかかっておりませんが、その後お変わりございませんか。♠数分後〉人工呼吸を始めてから数分後に、少年は息をふき返した。♠<開始後>試合開始後、まもなく雨が降りだした。 **ご**[期] ○時期。おり。[文例]〈この期に及んで>今まで迷いに迷ったが、この期に及んできっぱりと腹が据[す]わった。♠へ~になって>オーケーといっていたのに、この期になっていやと言われても、どうしようもない。 **ご**[碁] ○盤上に黒と白の石を並べ、囲み取った目の多さを競うゲーム。[文例]〈碁を打つ>父の楽しみは、会社の同僚[どうりよう]と碁を打つことです。♠〈碁を囲む>老人クラブで碁を囲むお年寄りたちは、ほんとうに楽しそうです。 **こい**[恋] ○異性を愛すること。恋愛。[文例]〈恋をする>わたしも、素敵な人と恋をしてみたいな、と少女は思いました。♠〈恋におちる>ロミオとジュリエットは、恋におちてしまったのです。♠へ~に破れる>恋に破れた経験、つまり、好きな人にふられたことはありますか?♠〈恋は盲目[もうもく]>人は恋をすると、ほかの事が何もわからなくなるんだ。恋は盲目といってな。♠へ~する>わたしが作ったこの詩を恋するあなたにささげます。♠〈恋に恋する>その時、わたしは十五、男性を恋するというより、恋に恋する年ごろだったの。 **こい**(鯉) ○湖沼・川に広く生息する淡水魚。食用・観賞用。[文例]川に釣りに行って、フナを数匹と大きなコイを一匹釣り上げた。♠この料理屋では、鯉の活け作りを食べさせてくれる。♠へ~>床屋さんのいすに座ると、まないたのこいで、されるままの気持ちになってしまう。 **こい**[故意] ○わざとすること。ことさらにすること。[文例]〈故意に~する>ゲーム中相手に故意にぶつかったりするのは反則です。♠べつに故意にやったわけじゃなく、たまたまそうなったんだよ。 **こ・い**[濃い] ○色が深い。味が強い。密度が高い。度合いが強い。[文例]〈色が濃い>右から三番目の、濃い緑のセーターを着てるのがわたしの兄です。♠<不安の色が濃い〉十一時を過ぎても帰宅しない兄に、家族の不安の色は濃い。♠へ~>ここのラーメンは塩味が濃くて、ぼくの舌には合わないんだ。♠へ~>朝早くに窓を開けると、山の東側は濃い霧におおわれていた。♠へ~>髪[かみ]の毛が薄いとかひげが濃いとかは、子供や孫に遺伝するのでしょうか。♠〈血のつながりが濃い>死んだ画家の残した作品は、彼に血のつながりの濃い者から順に分けられることになった。♠〈可能性が濃い>前半戦のできから、中田選手が入賞する可能性は非常に濃くなってきた。♠〈敗色が濃い>後半戦開始直後に主力選手がけがで退場し、日本チームの敗色はますます濃くなった。 **こいごころ**[恋心] ○人を恋する心。[文例]〈恋心を抱く>幼なじみの二人は、いつしか互いに恋心を抱くようになっていった。♠へ~が芽生える>女学生幸子[さちこ]の胸には、尊敬する先生に対する淡[あわ]い恋心が芽生えていた。 **こいし**[小石] ○小さな石。[文例]小石がころころと坂道を転がる。♠男の子は小石を拾うと、相手の男の子に投げつけようとした。 **こいし・い**[恋しい] ○したわしい。なつかしい。[文例]〈恋しい人>九州に恋しい人を残してきた高田君だから、早く帰りたいと思うのは当然だ。♠ヘ~>一人旅に出てから一週間たちましたが、彼女を恋しく思う気持ちはつのるばかりです。♠へ~>『万葉集[まんようしゆう]』の中には、遠く離れた故郷を恋しく思う人たちの歌がいくつも収められている。♠へ~>子ぎつねは、母ぎつねが恋しくなったのか、山の方に走って行きました。♠〈水が恋しい>水泳選手の山本君は、一週間も泳がないと水が恋しくなるそうだ。♠ヘ~>朝晩めっきり冷えこむようになり、ストーブが恋しい季節になった。♠〈人恋しい>わきたつような夏が去って秋になると、急に人恋しくなる。 <340> **こう【候】** ○気候。時候。[文例]〈厳寒の候〉厳寒の候、先生にはますますお元気でお過ごしのことと存じます。♠●へ新緑の候〉新緑の候となり、街を吹きわたる風もさわやかです。 **こう【幸】** ○しあわせ。幸運。[文例]〈幸か不幸か〉戦争が終わって上京したわたしは、幸か不幸か、正体不明のあやしげな男とかかわりをもつようになった。♠●へ不幸中の幸い〉けがはしたが、命に別状がなかったのは、不幸中の幸いというべきだろう。 **こう【功・効】** ○功績、手がら(「功」)。効き目(「効」)。[文例]〈功がある>兄は事件の解決に功があったとして、警察から表彰された。♠功[こう]成[な]り名[な]を遂[と]げる〉若くして故郷を飛び出した彼は、東京で功成り名を遂げて十年ぶりに帰ってきました。♠●へかめの甲[こう]より年の功〉時と場合によって知識よりも経験がものを言うことを、かめの甲より年の功と言う。♠◆<内助の功〉実業家として成功することができたのも、妻の内助の功があったからだ。♠●へ功をあせる〉九割がたうまくいっていたのに、最後のところで功をあせって失敗してしまった。♠へ功を急ぐ〉みんなに認められたい気持ちはわかるけど、功を急いではいい仕事はできないよ。♠●へ功をたてる〉戦[いくさ]で功をたてた足軽は、殿様から褒美[ほうび]を授[さず]かった。♠●〈効がある〉こんな植物の葉っぱが胃の病気に効があるなんて、とても信じられないね。♠へ効を奏[そう]する〉思い切った選手起用が効(功)を奏し、勝利を得ることができた。 **ご【碁】** ○盤上に黒と白の石を並べ、囲み取った目の多さを競うゲーム。[文例]〈碁を打つ〉父の楽しみは、会社の同僚[どうりよう]と碁を打つことです。♠●〈碁を囲む〉老人クラブで碁を囲むお年寄りたちは、ほんとうに楽しそうです。 **ご【期】** ○時期。おり。[文例]〈この期に及んで〉今まで迷いに迷ったが、この期に及んできっぱりと腹が据[す]わった。♠●へこの期になって〉オーケーといっていたのに、この期になっていやと言われても、どうしようもない。 **こい【恋】** ○異性を愛すること。恋愛。[文例]〈恋をする〉わたしも、素敵な人と恋をしてみたいな、と少女は思いました。♠◆〈恋におちる〉ロミオとジュリエットは、恋におちてしまったのです。♠●へ恋に破[やぶ]れる〉恋に破れた経験、つまり、好きな人にふられたことはありますか?♠●〈恋は盲目[もうもく]〉人は恋をすると、ほかの事が何もわからなくなるんだ。恋は盲目といってな。♠●へ人を恋する〉わたしが作ったこの詩を恋するあなたにささげます。♠●〈恋に恋する〉その時、わたしは十五、男性を恋するというより、恋に恋する年ごろだったの。 **こい(鯉)** ○湖沼・川に広く生息する淡水魚。食用・観賞用。[文例]川に釣りに行って、フナを数匹と大きなコイを一匹釣り上げた。♠◆この料理屋では、鯉の活[い]け作りを食べさせてくれる。♠●へまないたのこい>床屋さんのいすに座ると、まないたのこいで、されるままの気持ちになってしまう。 **こい【故意】** ○わざとすること。ことさらにすること。[文例])〈故意に~する〉ゲーム中相手に故意にぶつかったりするのは反則です。♠◆べつに故意にやったわけじゃなく、たまたまそうなったんだよ。 **こ・い【濃い】** ○色が深い。味が強い。密度が高い。度合いが強い。[文例]〈色が濃い>右から三番目の、濃い緑のセーターを着てるのがわたしの兄です。♠◆不安の色が濃い〉十一時を過ぎても帰宅しない兄に、家族の不安の色は濃い。♠●へ味が濃い〉ここのラーメンは塩味が濃くて、ぼくの舌には合わないんだ。♠●へ濃い霧〉朝早くに窓を開けると、山の東側は濃い霧におおわれていた。♠●へひげが濃い〉髪[かみ]の毛が薄いとかひげが濃いとかは、子供や孫に遺伝するのでしょうか。♠●〈血のつながりが濃い>死んだ画家の残した作品は、彼に血のつながりの濃い者から順に分けられることになった。♠●〈可能性が濃い>前半戦のできから、中田選手が入賞する可能性は非常に濃くなってきた。♠●〈敗色が濃い〉後半戦開始直後に主力選手がけがで退場し、日本チームの敗色はますます濃くなった。 **こいごころ【恋心】** ○人を恋する心。[文例]〈恋心を抱[いだ]く>幼[おさな]なじみの二人は、いつしか互いに恋心を抱くようになっていった。♠へ恋心が芽生える>女学生幸子[さちこ]の胸には、尊敬する先生に対する淡い恋心が芽生えていた。 **こいし【小石】** ○小さな石。[文例]小石がころころと坂道を転がる。♠●男の子は小石を拾うと、相手の男の子に投げつけようとした。 **こいし・い【恋しい】** ○したわしい。なつかしい。[文例]〈恋しい人>九州に恋しい人を残してきた高田君だから、早く帰りたいと思うのは当然だ。♠●ヘ恋しく思う〉一人旅に出てから一週間たちましたが、彼女を恋しく思う気持ちはつのるばかりです。♠●へ故郷を恋しく思う『万葉集[まんようしゆう]』の中には、遠く離れた故郷を恋しく思う人たちの歌がいくつも収められている。♠●へ母が恋しい>子ぎつねは、母ぎつねが恋しくなったのか、山の方に走って行きました。♠●〈水が恋しい>水泳選手の山本君は、一週間も泳がないと水が恋しくなるそうだ。♠◆ヘストーブが恋しい〉朝晩めっきり冷えこむようになり、ストーブが恋しい季節になった。♠〈人恋しい〉わきたつような夏が去って秋になると、急に人恋しくなる。 **こいねが・う(希う・翼う・庶幾う)** ○強く願う。切に望む。[文例]〈許しをこいねがう〉女は、わが身の罪深さに思い至り、神に許しをこいねがった。♠◆く助けをこいねがう〉敵の兵士とはいえ、助けをこいねがう一人の人間を見捨てるわけにはいかなかった。 **こいびと【恋人】** ○恋愛の相手。恋しいと思う相手。[文例]夕暮れの公園で、恋人たちが愛をささやき合っている。♠〈恋人がいる〉友達はみんな恋人がいるというのに、わたしはボーイフレンド一人いない。♠●山はぼくの恋人だ。 **ごい(語彙)** ○単語の集まり。一言語あるいは一定の範囲の語の全体。単語。[文例]〈語彙が豊か〉少年は、年のわりに表現力があり、語彙も豊かだった。♠●へ豊富な語彙>彼は、豊富な語彙を駆使[くし]して、すばらしい作品を書き上げた。♠へ語彙が貧弱[ひんじゃく]〉この若者たちは驚くほど語彙が貧弱だった。♠◆〈とぼしい語彙>ぼくのとぼしい語彙では、相手に意思を通じることはむずかしかった。♠●へ辞書の語彙〉この辞書に収められている語彙は、約六万三千です。 <341> **こうあつ**[高圧] ○電圧が高いこと。圧力が強いこと。[文例]〈高圧の電流>野原の鉄塔に張られたケーブルには高圧の電流が流れていた。♠〈高圧的>相手の高圧的な態度に圧倒されて、わたしは言いたいことが少しも言えなかった。 **こうあん**[考案] ○考え出すこと。[文例] テーブルの角に丸みをつけたのは、幼児の母である彼女の考案によるものだ。♠〈ゲームを考案する>先生はかわいい二人の子供のために、次々と新しいゲームを考案しました。♠へ~する>台車が考案されたことにより、重い荷物も楽に運べるようになった。 **こうい**[好意] ○親切な心。好ましく思う心。[文例]〈人の好意〉あれこれと力を貸してくれた友達の好意を、ぼくは決して忘れないだろう。♠へ~を持つ>あの青年の飾り気のない態度に好意を持った人も少なくありません。♠へ~を抱く〉あなたがポッと赤くなったのは、彼に好意を抱いている証拠よ。♠へ~を無にする>プレゼントが気にいらないなんて、そんな他人の好意を無にするようなことは言うもんじゃないよ。♠〈好意を寄せる>彼女の表情を見れば、きみに好意を寄せているのがわかるでしょう。♠〈好意に甘[あま]える>ご好意に甘えて、ずいぶん長居[ながい]してしまったわ。そろそろ帰らなくちゃ。♠〈好意があだ>残念ながら今度ばかりは、好意でやったことがあだになったようだ。♠〈好意を示す〉犬はしっぽをふって、やって来た客に好意を示した。♠<好意的>彼の言葉を好意的に解釈すれば、わたしたちに対する愛のむちということになる。 **こうい**[厚意] ○思いやりの深い心。[文例]気の毒な子供たちに示された皆様のご厚意に深く感謝します。♠へ~あふれる〉島の人たちは皆、厚意あふれた心の優しい人ばかりだった。 **こうい**[行為] ○行い。ふるまい。意志をもってする行動。[文例]<親切な行為>ちょっとした心遣[こころづか]いが、相手に親切な行為として受けとられ、思いがけず感謝されることがある。♠<残忍[ざんにん]な行為>領主は約二十年もの間、村人たちに残忍な行為を繰り返しました。♠ヘ~をする〉最初少女たちがなぜそんな行為をするのか、まるで見当もつかなかった。♠〈行為を慎[つつし]む>法には触れていなくても、他人から非難を浴びるような行為は慎むべきだ。♠<不正行為>こらっ、試験中の不正行為は許さんぞ!♠<暴力行為>どんなことがあったかしらないが、暴力行為に出たことは絶対に許せない。 **ごうい**[合意] ○意思が一致すること。[文例]〈合意に基づく>婚姻[こんいん]は、両性の合意に基づいてなされる。♠へ~に達する>賃上げ額をめぐり労使双方が合意に達するまでには、かなりの時間がかかりそうだ。♠へ~をみる>今回のサミットは、自由貿易を守り、かつ貿易不均衡を是正するという方向で合意をみた。♠〈合意する>市の調停案に住民と業者の双方が合意して、マンションの建設工事が再開された。 **こういしょう**[後遺症] ○病気やけがが回復した後まで残る症状。[文例]〈病気の後遺症>病気の後遺症で歩行が不自由だが、毎日リハビリを受け、回復に向かっています。♠<後遺症が残る〉けがは重傷だったので、治ってもまひなどの後遺症が残るというのだ。♠へ~>作物の不作、観光業の打撃[だげき]など、噴火[ふんか]の後遺症は島全体に色濃[いろこ]く残っている。 **こういっつい**[好一対] ○調和のとれた組み合わせ。似合いの一組。[文例]〈好一対の取り合わせ>梅[うめ]にうぐいす、十五夜の月にすすき、いずれも好一対の取り合わせである。♠〈好一対のカップル>あの二人は好一対のカップルだね。 **こういってん**[紅一点] ○多数の男性の中の、たった一人の女性。[文例]わが校野球部の紅一点は、部員のアイドルでマネージャーのみなみちゃんです。 **こういん**[光陰] ○月日。年月。時。[文例]〈光陰矢のごとし〉「光陰矢のごとし」と言うが、本当に月日のたつのは早いものだ。♠ヘ~>「一寸の光陰軽んずべからず」、わずかな時間も無駄にせず勉強に励みなさい。 **ごういん**[強引] ○むりやりに物事をするさま。[文例]<強引に割り込む〉列の中に、後ろから強引に割り込んできた人がいる。♠く~にくどく>いやがる彼女を強引にくどき落として、写真のモデルになってもらった。まったく、きみの強引なのには負けたよ。♠へ~な>彼の強引なやり方は、時として人々の反感を買った。♠あのセールスマンの売り込み方は、しつこくて、実に強引だ。 <342> **ごうう**[豪雨] ○激しい雨。大雨。[文例]〈豪雨に見舞われる>豪雨に見舞われて川が氾濫[はんらん]し、この辺りでは浸水した家も多かった。♠へ~>先日の集中豪雨は、作物に大きな被害を与えました。 **こううん**[幸運・好運] ○よいめぐりあわせ。運がよいさま。[文例]三百人の入場者の中からただ一人選ばれるなんて、なんという幸運だろう。♠〈幸運にも>駅まで歩いて行ったおかげで、幸運にも事故に巻き込まれずにすみました。♠〈幸運が転がり込む〉貧乏暮[びんぼうぐ]らしをしていた彼らに、思わぬ幸運が転がり込んできた。♠〈幸運をもたらす>昔から四つ葉のクローバーは、幸運をもたらすと言われています。♠〈幸運を祈る>それではお元気で、幸運を祈ります。♠へ~>父が今日の幸運をつかむことができたのも、みんなの協力があったからです。♠へ~に恵[めぐ]まれる>優勝候補が次々と転倒するという幸運にも恵まれ、三位に入賞することができた。 **こううんりゅうすい**[行雲流水] ○空を行く雲や流れる水のように自然のなりゆきに従うこと。[文例]この年齢になって初めて、行雲流水のごとく自然に生きられたら、と思うようになりました。♠俳人種田山頭火[たねださんとうか]は、行雲流水の抵鉢[ていはち]行脚[あんぎゃ]の暮らしの中で、形式にとらわれず自然に心を託した句を詠んだ。 **こうえい**[光栄] ○ほまれ。栄誉。名誉。[文例]〈光栄の至り>わたしの作品をおほめいただき、光栄の至りです。♠へ~>支店長の大役をたまわるとは、身に余る光栄に存じます。♠く~に浴する>この度、受賞の光栄に浴しましたことを誠にうれしく思っております。 **こうえき**[公益] ○公共の利益。社会全般の利益。[文例]〈公益事業>国鉄が民営化し、また一つ公益事業が民間経営となった。♠へ~>公益優先ということで、道路拡張のために立ち退きをしなければならなくなった。 **こうえき**[交易] ○物品の交換や売買をすること。[文例]〈外国との交易>飛行機のなかった昔は、外国との交易に船が重要な役割を担っていた。♠へ~する>古代の都市国家カルタゴは地中海の国々と交易し、富み栄えました。 **こうえつ**[校閲] ○原稿や文書の不備や誤りを調べて、直すこと。[文例]〈校閲する>原稿ができたら、これを校閲し、誤りや不備な点を正します。♠へ~に回す>木村君、この原稿をすぐに監修[かんしゆう]の先生の校閲に回してくれ。 **こうえん**[公園] ○一般の人々のいこいの場として作られた庭園や施設。[文例]みんなで公園に遊びに行こうよ。♠〈平和公園>この平和公園は、爆心地[ばくしんち]を記念して作られた公園です。♠へ~>リアス式海岸で知られる陸中海岸は、屈指[くつし]の景勝地として国立公園に指定されている。 **こうえん**[公演] ○公衆の前で劇や音楽などを演じること。[文例]〈ミュージカルの公演>ミュージカルの公演は、大盛況のうちに幕を閉じた。♠へ~する>今、国立劇場で話題の芝居が公演されています。♠アマチュアのオーケストラだが、国内公演はもとより海外演奏会も経験している。 **こうえん**[講演] ○ある題目で公衆に話すこと。また、その話。[文例]〈講演をする>去年の秋、わたしはアメリカのある大学で日本語についての講演をした。♠へ~を聴く>本を読んだり、有名な人の講演を聴いたりして、教養を高めよう。♠〈講演会>PTA主催[しゅさい]で、児童文学者の山中氏による講演会が開かれた。 **こうえん**[好演] ○すぐれた演技・演奏をすること。[文例]〈好演する>このドラマは、新人女優が好演していることもあって大変な人気です。 **こうえん**[後援] ○後ろだてとなって助けること。あと押しすること。[文例]〈後援する>地元の候補者を、おおかたの町民が後援して、何とか中央の政界に送りこもうとしていた。♠〈後援会・後援者>各球団では、後援会や友の会などを作って、後援者を募っている。 **こうえん**[高遠] ○高尚で遠大なさま。高度で深遠なさま。[文例]〈高遠な理想>高遠な理想を抱[いだ]き、勉学に励んだ日々を振り返って悔いのない青春時代であった。 **こうお**[好悪] ○好き嫌い。[文例]〈好悪の念>温厚な彼にも、人に対する好悪の念は少なからずあった。♠へ~が激しい>好悪の激[はげ]しい彼女は、ものごとの判断に理性と冷静を欠くことが多いようだ。 **こうおつ**[甲乙] ○一番と二番。優劣。区別。[文例]<甲乙をつけ難い>どちらも力作で、甲乙つけ難い。♠ヘ~がない>両者とも素晴らしい演技を見せてくれ、甲乙がなかった。♠〈甲乙を判断する>人間の何をもって甲乙を判断するというのだろう。 **ごうおん**(轟音) ○とどろくような大音響。響きわたる大きな音。[文例]〈ごう音を立てる>スイッチを入れると、機械はごう音を立てて回りはじめた。♠ヘ~を発する>爆撃機はごう音を発して飛び立った。 **こうか**[高価] ○価格が高いこと。価値が高いこと。[文例]〈高価な絹>ラクダの背中に高価な絹を積んだ隊商の一団がこの道を通ったのだろう。♠へ~な>彼が、高価な宝石の指輪をプレゼントしてくれました。 **こうか**[効果] ○有効な結果。望ましい結果。ききめ。[文例]<宣伝の効果><効果がある〉これだけ売り上げがあがったのだから、宣伝の効果があったと言えるだろう。♠へ~があがる>トレーニングは、一度にまとめてやるよりも繰り返し行ったほうが効果があがります。♠〈効果がない〉〈逆効果[ぐげさ]>ただガミガミどなるだけでは、子供の教育にはたいして効果がないばかりか、逆効果になることもある。♠く~があらわれる>腹筋[ふつさん]のトレーニングを始めて三か月、やっとその効果があらわれた。♠へ~を収める>調査の結果、先日まいた農薬は予想以上の効果を収めていたことがわかりました。♠へ~を高める>プレゼントに一言きみのことばを添えておけば、いっそう効果を高めることになろう。♠<効果てきめん〉川の水をきれいにするために下水道の整備を進めたら、その効果はてきめんだった。♠〈効果的>出血を止めるには開発されたばかりのあの新薬が効果的だそうです。♠〈音響効果>一般に、会場が広くなればなるほど、音響効果は悪くなる。 <343> **こうか**[高架] ○高い所にかけわたすこと。[文例]〈高架線>強風にあおられて、列車が高架線のガードから転落するという事故が起こった。 **こうか**[降下] ○高い所からおりること。下位に下がること。♪下降[文例]〈降下する>飛行機は着陸態勢に入り、ゆっくりと降下し始めた。♠〈急降下>大わしは、高い木のてっぺんから獲物[えもの]目がけて急降下してきた。 **こうか**[硬貨] ○金属の貨幣[かへい]。[文例]〈硬貨と紙幣〉貨幣には、金貨、銀貨などの硬貨と紙幣とがある。♠自動販売機などの普及[ふきゆう]で硬貨を使用する機会が増えてきている。♠へ~>百円硬貨かと思ったら、ゲーム用のコインだった。 **こうか**[硬化] ○硬くなること。強硬になること。[文例]〈態度を硬化させる>下手に文句を言うと、ますます相手の態度を硬化させる恐[おそ]れがある。♠〈動脈硬化>血中のコレステロールの濃度[のうど]が高まると動脈硬化の原因になる。 **こうが**[高雅] ○高尚で趣[おもむき]が深いさま。上品でみやびやかかさま。[文例]〈高雅な趣>一輪差しの白い菊の花には、清楚[せいそ]で高雅な趣がある。♠〈高雅な響き>琴[こと]の高雅な響きに酔いしれた一夜であった。♠〈高雅な雰囲気>動作や言葉遣[ことばづか]いがしとやかで、高雅な雰囲気を備えた婦人でした。 **ごうか**[豪華] ○はででぜいたくなさま。高価で立派なさま。[文例]〈豪華な披露宴[ひろうえん]>名士の子息と令嬢[れいじよう]だけあって、披露宴はさすがに豪華だった。♠へ~>お姫様の衣装は、金糸銀糸[けんらん]をちりばめた、それは絢爛[そうてい]豪華なものでございました。♠〈豪華版>同じ内容の本でも、装丁にお金をかけた豪華版は、応接間の飾りとして買い求められたりもする。♠<豪華版>うわあ、今日の夕飯は豪華版だなあ。 **ごうか**[業火] ○(仏教で)地獄で燃えさかり、罪人を苦しめる火。身を滅ぼす悪業。[文例]〈業火に追われる>この地獄絵[え]には、業火に追われ逃げまどう亡者[もうじゃ]の恐怖[きようふ]の様が、悪業[あくごう]の戒[いまし]めとして描かれている。 **こうかい**[後悔] ○後になって悔やむこと。悔い。[文例]<後悔の念>あの時、スピードを出し過ぎなければという後悔の念がふつふつとわき起こってきた。♠〈後悔の気持ち>わたしのこの後悔の気持ちを、どうやってあの人に伝えたらいいのでしょう。♠〈後悔先に立たず>できる限りの努力はしておくんだよ、後悔先に立たずって言うからね。♠へ~する>兄は、今でも、大学で法律を学ばなかったことを後悔している。♠へ~する>法廷[ほうてい]で彼は、自分の犯[おか]した罪を後悔している様子だった。 **こうかい**[航海] ○船で海上を旅すること。[文例]〈航海に出る>コロンブスたちは、インド目ざして大西洋を航海に出たのであった。♠〈航海を続ける>マゼランの一行は、病気や飢えと闘いながら長い航海を続けた。♠〈航海する>海の男たちは小さいくり舟一つで、遠海まで荒波[あらなみ]と闘いながら航海したのである。 **こうかい**[公海] ○どの国にも属さず、各国が自由に使用できる海域。→領海[文例] 〈公海と領海>ある国に属し、その国の権利が及ぶ海域を領海、どの国にも属さない海を公海という。♠公海では、どの国の船舶[せんぱく]も自由に航海することができる。 **こうかい**[公開] ○一般に開放すること。[文例]〈公開する>裁判は公開され、多くの傍聴[ぼうちよう]希望者が早朝から列をなした。♠〈公開の席>市長は、公開の席で河川の浄化を住民に約束した。♠へ~>パンダの赤ちゃんの一般公開が始まり、動物園は連日見物客でにぎわっている。 **こうかい**[更改] ○改めて新しくすること。[文例]〈契約[けいやく]の更改>契約の更改にあたっては、契約書をよく読んで、変更箇所をちゃんと確認する必要がある。 **こうがい**[公害] ○生産活動・生活活動が元凶となって、公衆の健康や衛生に及ぼす害。[文例]〈公害を起こす>車が激増し、大気汚染[おせん]・騒音[そうおん]・振動[しんどう]などの公害をひき起こした。♠〈公害病>公害病や職業病は、現代の社会のゆがみから生じたものである。♠へ~>農薬や添加物[てんかぶつ]などによる食品公害も深刻な問題となっている。 **こうがい**[郊外] ○都会の周縁部。都市の近郊。[文例]〈東京の郊外>東京の郊外には、まだ武蔵野[むさしの]の面影[おもかげ]が残っていた。♠<郊外へ向かう〉大都市では郊外へ向かって宅地造成が急速に進んでいる。 **こうがい**[口外] ○他人にしゃべること。[文例] 〈口外する>公務員は、職務上知り得た秘密を口外してはならないことになっている。♠ヘ~>殿[との]の病気については、口が裂けても口外してはならぬぞ。 **ごうかい**[豪快] ○快いほどに力強く、勢いがあるさま。[文例]彼は、食べ方も、飲み方も、笑い方も、すべてが豪快だ。♠〈豪快な人物>この小説には、日常の細かいことにこだわらない豪快な主人公の人物像が描[えが]かれている。♠へ~に笑い飛ばす>彼は、周りの人間のつまらない非難や中傷を豪快に笑い飛ばした。♠へ~な>横綱[よこづな]の豪快な取り口は、多くのファンを魅了[みりよう]した。♠へ~に飲む>豪快にビールを飲むときの父は幸せそうだ。 **こうがく**[後学] ○後進の学者。将来役に立つ知識。[文例]〈後学のため>後学のために伺[うかが]いますが、こういう場合はどの程度の費用を見込んでおけばよいのでしょう。 **ごうかく**[合格] ○基準や規格に合うこと。試験に受かること。[文例]よろしい、あなたは合格です。来週の月曜日から出社してください。♠<合格する>JASマークは、日本農林規格に合格した食品につけられるマークです。♠へ~>合格者一覧の中に自分の番号を見つけた時、思わず歓声を上げた。 **こうかつ**(狡猾) ○ずるがしこいさま。[文例]〈こうかつな人〉あんなこうかつな男の言う事なんか信用しちゃだめだよ。♠へ~な>彼女は金にものを言わせて、こうかつな手段を取りました。♠へ~に切り抜ける>S氏は数多くの非難の声も、持ち前の才覚でこうかつに切り抜けてきた。♠ヘ~さ>検討会を始める前から裏工作するきみのこうかつさには恐[おそ]れいったよ。 <344> **こうかん**[交換] ○取り換えること。引き換えること。[文例]〈~と交換に〉お帰りの際には、この券と交換に記念品をお受け取りください。♠ヘ~>〈心の交換>プレゼントの交換は、すなわち、人の心の交換でもあるのです。♠〈交換する>ぼくの鳥の記念切手と、きみの鉄道シリーズの切手と交換しないか。♠へ~する>会議室で三時間以上も意見を交換しましたが、結局結論は出ませんでした。♠〈物々交換>貨幣[かへい]が作られる以前は、人々は物々交換で生活していました。♠〈交換条件>こちらの要求に対して、敵は交換条件として捕虜[ほりよ]の解放を求めてきた。 **こうかん**[交歓] ○互いに楽しむこと。うちとけて交わること。[文例]〈交歓する>青年男女が広く交歓するためのパーティーを船上で開くことになった。♠へ~>隣町[となりまち]の役場の職員と親睦[しんぼく]をはかるために、交歓会を開く運びとなった。 **こうかん**[好感] ○好ましい感じ。よい感情。[文例]〈好感を抱く>この若者の素朴[そぼく]さが人に好感を抱かせます。♠へ~がもてる>彼は明るくさっぱりとしていて、なかなか好感のもてる少年です。♠〈好感を与える>彼女のさわやかな笑顔は接する人に好感を与えます。 **こうかん**(浩瀚) ○広くて大きいさま。書物の分厚いさま。書物の巻数が多いさま。[文例]〈浩瀚な著述>博士は、この研究に一生をささげ、浩瀚な著述をなした。♠<浩瀚な蔵書>これほど浩瀚な個人蔵書は見たこともない。 **こうがん**[厚顔] ○あつかましいさま。ずうずうしいさま。[文例]<厚顔な人〉断ったにもかかわらず、厚顔なセールスマンはずかずかと玄関に入り込んできた。♠<厚顔無恥>別れた女の所へのこのこ金を借りに行くなんて、なんという厚顔無恥だ。 **こうがん**[紅顔] ○若々しく色つやのよい顔。[文例]〈紅顔の美少年〉まだ幼さの残っている紅顔の美少年である。♠〈あしたに紅顔ありて>「あした(=朝)に紅顔ありて、ゆうべに白骨となる」という言葉もあるように、人の命とはあてのないものだ。 **ごうがん**(傲岸) ○おごり高ぶって、生意気なさま。傲慢。[文例]<傲岸な口ぶり〉彼は、自分の非を認めるどころか、むしろ相手をとがめるような傲岸な口ぶりだった。♠へ~>人を人と思わない傲岸不遜[ふそん]な態度が、周囲の人々に歓迎されるはずはなかった。 **こうき**[高貴] ○高く貴いさま。[文例]〈高貴な家柄[いえがら]>王妃[おうひ]は、高貴な家柄の令嬢[れいじよ]たちの中から選ばれる。♠へ~な>万葉集の歌人は、天皇や貴族などの高貴な身分の者から下層階級に至るまで幅広い。♠へ~の>婦人は、高貴の人らしい品位にあふれていた。 **こうき**[好機] ○よい機会。チャンス。[文例]〈好機を待つ>猟師[りようし]は何日もの間、獲物[えもの]を一発でしとめる好機を待っていたのです。♠〈逆転の好機>〈好機を迎える>九回表、一打逆転の好機を迎えて、スタンドからは大歓声があがりました。♠〈好機を逃[のが]す>二人きりになれたこの好機を逃したら、二度と彼女にぼくの気持ちを伝えられないだろう。♠へ~を逸[いつ]する>きみがぐずぐずしているから、せっかくの好機を逸してしまったじゃないか。♠へ~をとらえる>たった一度の好機を上手にとらえて、地位を築くような人もいる。♠〈好機をものにする>長年の夢だったヨーロッパ旅行に行けるこの好機を、必ずものにしてやろうと思った。 **こうき**[好奇] ○めずらしい物事に興味をもつこと。[文例]〈好奇の目>すべてのものに好奇の目を輝[かがや]かす少女ローラには、森の生活が楽しくてならなかった。♠〈好奇の気持ち>このえたいの知れない生き物に、わたしは好奇の目を注いだ。♠へ~の視線>老人とひっそりと暮らす若い女に、周囲の人々は好奇の視線を向けるのだった。♠〈好奇心[こうきしん]>少年は好奇心に満ちあふれたひとみを輝かせ、次々と質問を投げかけてくる。 **こうき**[光輝] ○光り輝くこと。栄光。[文例]〈光輝ある伝統>本学の文学部は、創立以来多くの著名な作家・文学者を輩出した光輝ある伝統をもつ。♠ヘ~>「栄華[えいが]物語」には、藤原道長・頼通[よりみち]の光輝ある生涯[しようがい]を中心に貴族の生活が物語風に記されている。 **こうき**[香気] ○香り。よいにおい。[文例]〈香気が漂[ただよ]う>ゆりの花を飾ったら、部屋いっぱいに香気が漂った。♠<香気を放つ〉春めいて、沈丁花[じんちようげ]の花が甘[あま]い香気を放ち始めた。♠〈香気がある>白檀[びゃくだん]の材は香気があり、古くから香料として珍重[ちんちよう]され、また仏像の彫刻用に使われる。 **こうき**[綱紀] ○しめくくり。物事の大もと。大もとの規律。[文例]<綱紀の乱れ>警察官による犯罪が多発しており、綱紀の乱れが気になるところだ。♠へ~が緩[ゆる]む>軍上層部の腐敗[ふはい]によって、軍全体の綱紀は著しく緩んでいた。♠<綱紀粛正[しゆくせい]>今回の汚職[おしよく]事件を契機に役所の内部にも綱紀粛正の気運が高まっている。 **こうぎ**[抗議] ○異議や苦情を強く申し立てること。[文例]〈抗議を申し込む>試合の途中で、監督[かんとく]がアンパイアのところに歩み寄り、抗議を申し込んだ。♠へ~をする>自然破壊をまねく開発計画に、地元の住民らが抗議をしている。♠<抗議する〉何も突然泣き出すといったようなやり方で抗議しなくてもいいではないか。 **こうぎ**[講義] ○学問を講じること。大学の授業。[文例]〈講義に出る〉大学へ入ったが、講義にはほとんど出ず、遊んでばかりいた。♠く~を聴く>教授の講義を学生たちはノートをとりながら熱心に聴いている。♠〈講義する>専門家が税金について分かりやすく講義してくれる。 **こうぎ**[広義] ○広い意味。[文例]〈広義と狭義[きようざ]>「着物」は広義には衣服全般を意味するが、狭義には和服を指す。♠へ~に解釈する>この文の「人」は、広義に人間一般とも解釈できるし、また、ある特定の人物とも解釈できる。 <345> **こうきしん**[好奇心] ○めずらしい物事に興味を感じる心。[文例]〈好奇心が強い>あいつは好奇心が強いから、珍[めずら]しい話には、必ず首をつっこんでくる。♠〈好奇心にかられる>「あなたも超能力者[ちようのうりよくしゃ]になれる」という本を好奇心にかられてつい買ってしまいました。♠く~を満足させる>係員のわかりやすい説明は、ぼくたちの好奇心を満足させてくれました。♠<好奇心をそそる〉好奇心をそそるだけの番組は、飽きられるのも早いようだ。♠〈好奇心がつのる>コアラがすぐ近くの動物園へきたことで、子供たちの好奇心はつのっていった。♠〈好奇心を起こす>赤ん坊は目の前にある赤い積み木には好奇心を起こさなかった。♠へ~>伯母は好奇心おうせいで、今度は南極大陸へ行ってみたいなどと言っている。 **こうきゅう**[高級] ○等級や程度が高いさま。[文例]〈高級な趣味>俳句をお作りになるなんて、高級な趣味をお持ちですね。♠〈高級品>当時、砂糖は一般人には縁のない高級品であった。♠へ~>この地区は、豪勢[ごうせい]な邸宅[ていたく]が建ち並ぶ高級住宅地である。 **こうきゅう**[恒久] ○永久。永遠。[文例]〈恒久の平和>恒久の平和こそ、わたしたち人類の大きな願いである。♠<恒久的>太陽エネルギーなど恒久的な資源を利用した発電が開発されている。 **ごうきゅう**[号泣] ○大声で泣くこと。[文例]〈号泣する>事故現場にかけつけた父親は、変わり果てた息子の姿を前に号泣した。 **こうきょう**[公共] ○社会全般。おおやけ。[文例]〈公共の福祉>税金は、学校や病院など公共の福祉のために使われるべきだ。♠〈公共物>〈公共心>学校の設備や図書館の本などの公共物を大切に扱う習慣をつけ、公共心を養おう。♠へ~>〈公共施設>候補者は、公共料金の値上げに反対し、また図書館など公共施設の拡充[かくじゅう]を図りたいと述べた。 **こうぎょう**[工業] ○原料を加工して製品を生み出す産業。[文例]〈工業の発達>工業の発達とともに、川の水は工業用水としても重要な役割を占めることになった。♠へ~>ゾリンゲンは、刃物[はもの]の生産で世界的に有名な西ドイツの工業都市です。♠〈工業国>もとより、日本は世界有数の工業国である。 **こうぎょう**[興行] ○催しを行うこと。料金を取って、客に見せること。[文例]〈相撲の興行>市立体育館に巡業相撲[じゅんぎようずもう]の興行を見に行った。♠へ~する>国々をまわり、芝居や舞踊を興行して歩く旅芸人の一座に会った。♠へ~>鳴り物入りで始まった催[もよお]しだったが、興行的には失敗だった。 **こうきん**[拘禁] ○人を捕らえて閉じ込めること。[文例]〈拘禁する>男が自由思想の持ち主として収容所に拘禁されている間、妻は夫の釈放を訴える運動をした。 **こうくう**[航空] ○飛行機で空を飛ぶこと。[文例]〈航空機〉「翼[つばさ]よ、あれがパリの灯だ」は、航空機による飛行の貴重な記録です。♠<航空会社>破片には、行方不明になった飛行機と一致[いっち]する航空会社のマークが入っていた。♠〈航空便>アメリカの友人に航空便でクリスマスプレゼントを送った。 **こうぐう**[厚遇] ○手あつく待遇すること。[文例]〈厚遇する〉技術者募集初心者でも可、経験者は厚遇します。♠へ~する>当時、その技術を有する者は少なく、地位や給料の面でも厚遇された。 **こうけい**[光景] ○目に見えるありさま。[文例]〈すばらしい光景>山頂からのすばらしい光景は、今でもはっきり思い出すことができる。♠〈生々しい光景>あの交通事故の生々しい光景は、少女の頭の中から一生消えることはないだろう。♠〈光景を見る>今月になってからも何回か、高校生らしい女の子が三人でマラソンする光景を見たことがあります。♠へ~が広がる>林道の東側には、心休まる秋の光景が広がっていた。♠へ~>疲れ切って帰ってきた彼は、部屋に驚[おどろ]くべき光景が待ち受けていることなど予想だにしなかった。 **こうけい**[後継] ○あとを継ぐこと。あと継ぎ。[文例]〈後継の首相>首相没後[ぼつご]、副首相が後継の首相として指名され、就任した。♠〈後継者>新しい後継者を育て、日本の伝統工芸を守りたい。 **ごうけい**[合計] ○全体を数え合わせること。[文例]この文学全集は、全二十巻、合計百六十九編の作品が収められている。♠<合計する〉テストの点数を合計すると、五教科で四五五点だった。♠<合計額>合計額が違っているので修正してください。 **こうげき**[攻撃] ○攻めうつこと。撃ちかけること。攻めること。[文例]〈攻撃を受ける>ミツバチの巣はスズメバチの攻撃を受けて、ほとんど全滅[ぜんめつ]に近い状態だった。♠へ~をかける>明け方近くに思わぬ攻撃をかけられ、味方は大混乱に陥[おちい]った。♠へ~を食い止める>敵兵の数は味方の三倍近く、攻撃を食い止めるのが精いっぱいだった。♠<攻撃の的>草食動物の中でも、生後まもない赤ん坊や力の弱いものがライオンなどの攻撃の的になります。♠〈野球の攻撃>まだ負けたわけではない、九回裏[うら]の攻撃が残っているんだからがんばろう。♠〈攻撃と防御[ぼうぎよ]>攻撃は最大の防御なり。♠〈攻撃する>言葉も人を攻撃する凶器[きようさ]になることを、マスコミの人たちはよく知っておいてほしい。♠〈個人攻撃>生徒会の選挙では、互[たが]いに個人攻撃はやめて、どんな学校を作るかを中心に議論し合った。♠へ~>全軍は西の山に上がったのろしを合図に総攻撃を開始した。 **こうけつ**[高潔] ○気高くて清らかなさま。[文例]〈高潔な人格〉師は、その身分にふさわしく高潔で立派な人格の人であった。♠へ~な>野に咲く白ゆりの花は、高潔な聖母を思わせる。 **ごうけつ**[豪傑] ○武勇にすぐれた人。大胆にふるまう人。[文例]〈天下の豪傑〉天下の豪傑に、少年剣士は臆[おく]することなく立ち向かった。♠〈豪傑ぷり>彼の豪傑ぶりは、わが社では有名なんですよ。♠〈豪傑笑い>先生の豪傑笑いは、ぼくたち生徒を安心させる響きを持っていた。 **こうけん**[貢献] ○役に立つこと。助けとなること。[文例]〈貢献をする>きみももう二十歳[はたち]なのだから、社会に対して何らかの貢献をするよう努力すべきだよ。♠へ~する>氏は郷土の発展に貢献したとして、市から表彰[ひようしよう]されました。♠<大きく貢献する〉彼はチームの四番バッターとして、優勝に大きく貢献した。♠〈貢献度>従業員の会社に対する貢献度を、コンピューターで査定する会社もあるそうです。 <346> **こうけん**[後見] ○後ろだてとなって世話をすること。また、その人。[文例]彼が専務としてやってこられたのは、社長である父親の後見があったからだ。♠彼は、幼い藩主の後見として、藩政の実権を握[にぎ]った。♠へ~>両親を失った高林家の兄弟は、伯父を後見人として育っていった。 **こうげん**[高原] ○高地にある平原。[文例]すがすがしい高原の夏の星空をながめていると、何か神秘的な感じに襲[おそ]われる。♠丘を登って、若葉のトンネルを通り抜けると、突然広々とした高原に出た。♠〈高原野菜>高地では、キャベツなどの高原野菜の栽培[さいばい]が盛[さか]んです。 **こうげん**[公言] ○公然と言うこと。おおっぴらに言うこと。[文例]〈公言する>みずから神の子であると公言する男を、役人たちは捕[と]らえようとねらっていた。♠〈公言をはばかる>この画家には、公言をはばかられるような奇行があった。 **こうげん**[広言] ○辺りをはばからず、大きなことを言うこと。[文例]〈広言を吐く>大風呂敷[おおぶろしき]のおじが、また酔った勢いで何やら広言を吐いているらしい。♠〈広言する>秘書が調子に乗って、偉そうなことを広言しては大臣の名誉にかかわる。 **こうげん**[巧言] ○言葉を飾って巧みに言うこと。また、その言葉。[文例]<巧言にのる〉相手が相手だから、巧言にのらないよう気をつけたまえ。♠へ~をあやつる>業者は巧言をあやつって契約をせまってきた。♠<巧言令色>「巧言令色[れいしよく]すくなし仁[じん]」と孔子[こうし]が説いたように、言葉巧みで表情をとりつくろっている人は、かえって親愛の心が欠けているものだ。 **ごうけん**[剛健] ○心身が強く、たくましいさま。[文例]<剛健な気性>父親は、剛健な気性を養おうと、息子に剣道を習わせることにした。♠〈質実剛健>ぼくたちの学校には質実剛健の気風が残っています。 **こうご**[交互] ○たがいちがい。かわるがわる。[文例]〈交互に並ぶ>次のゲームでは、男女が交互に一列に並んでください。♠〈交互に働く>八月の完成をめざして、現場では四つのグループに分かれて作業員が交互に働いている。♠へ~に起こる>潮の満ち干は、ふつうは一日に二回ずつ交互に起こる。♠〈交互に点を取る>決勝戦は両チームが交互に点を取り合い、勝負は最終回に持ち込まれた。 **こうご**[口語] ○話し言葉。口頭語。[文例]〈口語と文語>口語の「静かだ」にあたる文語は、「静かなり」です。♠〈口語を用いる>明治二十年ごろに言文一致[げんぶんいつち]運動が起こり、二葉亭四迷[ふたばていしめい]らが口語を用いて小説を書くことにつとめた。♠〈口語訳>口語訳を参考にして、古典の原文を読んでみよう。 **ごうご**[豪語] ○自信満々に大きなことを言うこと。大言壮語[たいげんそう]。[文例]〈豪語する>家族に、禁煙ぐらい簡単だと豪語したからにはがんばるぞ。♠〈豪語する>夕飯のおかずはまかせろと豪語して家を出てきたのに、釣れたのは小魚ばかりでまいったよ。 **こうこう**[孝行] ○子が親に尽くすこと。親を大切にすること。[文例]〈孝行する>やい、おまえもちっとは働いてばあさまに孝行せんか。♠〈孝行息子>あんたの息子さんは、本当に今どき珍[めずら]しい親思いの孝行息子だ。♠<親孝行〉何一つ親孝行らしいことをしてやれなかったことが、両親が死んだ今になって悔やまれる。♠孝行のしたい時分に親はなし(川柳[せんりゆう]) **こうこう**[航行] ○船が水上を行くこと。[文例]ボートで漂流[ひよう]しているところを、航行中の船に救出された。♠へ~する>海岸線に沿って航行していた旅客機が、突然航路を変えたまま行方不明となった。 **こうこう**(皓皓・皎皎) ○白く明るいさま。きらきらと輝くさま。[文例]〈こうこうたる月>夜空にこうこうたる月がかかっている。♠ヘ~と輝く>その星は、南の空にこうこうと輝いていた。 **こうこう**(煌煌・耿耿) ○きらきらと明るく輝くさま。[文例]夜中になっても、父の部屋にはこうこうと明かりがついていた。 **ごうごう**(轟轟) ○物音がとどろきわたるさま。[文例]〈ごうごうと響く>滝の音はあたりにごうごうと響いて、いっさいの音をのみこんでいた。♠へ~たる爆音>ごうごうたる爆音[ばくおん]を立てて、戦闘機が飛び立った。 **こうごうし・い**[神神しい] ○気高く、おかしがたいさま。尊くおごそかなさま。[文例]〈神々しく輝く>姫の姿は神々しく光り輝[かがや]いていた。♠〈神々しい姿>見ると、死んだはずのイエスが神々しい姿で立っておられた。♠〈神々しい気品>王妃[おうひ]の周りには、神々しいばかりの気品が漂[ただよ]っていた。 **こうこく**[広告] ○世の中に広く告げ知らせること。特に、商品などの宣伝。また、そのための文書などの手段。[文例]<募集の広告〉〈広告が出る>お店に店員募集の広告が出ていたので、あたってみた。♠へ~を載せる>新聞や雑誌に広告を載せて、新商品を宣伝する●〈広告欄〉新聞や雑誌の広告欄を見ると、片仮名の言葉が非常に多いのに気がつく。 **こうこつ**(恍惚) ○心を奪われて、うっとりするさま。頭の中がぼんやりするさま。[文例]〈恍惚とする>美しい夕日にわたしは恍惚として見とれていた。♠〈恍惚たる>老人の恍惚たる表情からは、遠く過ぎ去った少女時代の面影[おもかげ]がうかがわれるのでした。 **こうこのうれい**[後顧の憂い] ○後になって悔やんだり、心配したりすること。あとあとの心配。[文例]単身赴任の夫に後顧の憂いのないように、留守中は家族がしっかりがんばります。 **こうさ**[交差](交叉) ○線状の物が一点で交わること。[文例]〈交差する>漢字の筆順は、横画と縦画とが交差する時は、多くは横画を先に書きます。♠〈交差する>ぽくの心には、彼女を泣かしてしまった後悔と、泣かしてやった満足感が交差してあった。♠〈交差点>警察署前の交差点を左に曲がると、百メートルほどの所に大きなお寺がある。 <347> **こうざ**[口座] ○帳簿で各々の勘定が記入される欄。銀行などに設けられる預金引き受けの登録。[文例]〈口座を開く>公共料金の自動振込[ふりこみ]のために、近くの銀行に口座を開いた。♠<口座番号>お金は銀行振込で送付しますから、口座番号を記入してください。 **こうざ**[高座] ○芸を演じる者が座る、一段高い席。[文例]〈高座に上がる>一人前のはなし家として寄席[よせ]の高座に上がれるようになるまでには、長年の修業がいる。♠へ~をつとめる>そのはなし家は、倒[たお]れる直前まで立派に高座をつとめたという。 **こうざ**[講座] ○大学で、専門領域ごとに構成される組織体。大学などの講義。その形式をまねた講習会・番組・出版物のタイトル。[文例]〈大学の講座>原先生は、この大学で児童文学の講座を担当しています。♠〈講座を受ける>初心者のためのパソコンの講座を受けてみようかな。♠へ~>働きながら、大学の通信講座を受けている。 **こうさん**[降参] ○敵に降服すること。なすすべがないこと。[文例]〈降参をする>敵は、降参をしたという印の白旗を掲[かか]げた。♠〈降参する>あいつの理屈っぽいのには、すっかり降参してしまった。♠参った、参った、泣く子には降参だ。 **こうさん**[公算] ○見込み。確率。[文例] 〈公算が強い>過去の対戦成績からいってもわがチームが負ける公算が強い。♠〈公算が大きい>今度の事業計画は、成功の公算が大きいと社内の評判である。 **こうさい**[光彩] ○あざやかな光。[文例]〈光彩を放つ>日本選手権における十連覇[れんば]は、空前絶後の記録として、今なお不滅の光彩を放っている。♠<光彩陸離>朝の光が海面に反射して、光彩陸離たる様[てい]を呈している。 **こうざい**[功罪] ○功績と罪過。よい点と悪い点。[文例]〈文明の功罪>物質文明の功罪について考えてみよう。♠<功罪相半[あいなか]ばす>きみたちの行動は、「功罪相半ばす」で、善かったとも悪かったとも言えない。 **こうさく**[工作] ○作ること。こしらえること。働きかけること。[文例]〈工作の時間>工作の時間、竹ひごやビニールを使って凧[たこ]を作った。♠へ~する>瓶や缶などの廃物[はいぶつ]を利用して、何か工作してみよう。♠へ~する>この事件には、陰[かげ]で工作する人物がいるとみられる。 **こうさく**[耕作] ○田畑を耕し、作物を育てること。[文例]〈耕作する>日本では、二千年も前から水田を耕作していた。♠<耕作する〉村の人々は、田畑を耕作したり、海へ漁に出たりして暮らしている。 **こうさく**[交錯] ○入り交じること。入り組むこと。[文例]〈期待と不安が交錯する〉期待と不安が交錯する中で新生活はスタートした。♠〈夢と現実が交錯する>いつの間にか、頭の中は夢と現実とが交錯し、混乱していた。 **こうさつ**[考察] ○調べ考えること。[文例]〈科学的な考察>大空に上ろうという努力は、十五世紀のレオナルド=ダ=ビンチによって科学的な考察の段階に入った。♠へ~を進める〉欧米の文化とのかかわりを中心に、日本についての考察を進めてみよう。♠〈考察する>物事は、一つの面からだけでなく、いろんな面から考察してみる態度が必要です。 **こうさい**[交際] ○付き合うこと。付き合い。[文例]〈交際する〉彼とは中学生時代から交際しています。♠へ~を広げる>家の中に閉じこもってばかりいないで、サークル活動などに参加して交際を広げたほうがいい。♠〈交際範囲>職業柄出歩くことが多いので、交際範囲も広い。 **こうし**[格子] ○細い材木を縦横に組み合わせたもの。[文例]〈格子をはめる>神社の扉[とびら]には、粗[あら]い格子がはめられていた。♠へ~に組む>庭の周りには、竹を格子に組んださくがめぐらされている。♠へ~>娘は、格子じまのかすりの着物を着ていた。 **こうし**[公私] ○公的な事柄と私的な事柄。[文例]〈公私のけじめ>職場においては、公私のけじめをはっきりとつけるべきです。♠へ~にわたる>先生には、公私にわたり大変お世話になりました。♠〈公私とも>村会議員をやっておりますので、公私とも多忙をきわめております。♠〈公私混同>会社の物を無断で私用に使うとは、公私混同もはなはだしい。 **こうし**[行使] ○権利・権力や力を実際に用いること。[文例]〈行使する>労働者らは働く者の権利を行使して、ストライキに入った。♠へ~>わたしたちは、選挙権の行使というかたちで、政治に参加しているのです。♠◇実力行使>交渉が物別れとなったら実力行使するしか仕方がない。 **こうし**[講師] ○講義や講演をする人。大学・高校などの教育職の一つ。[文例] 〈講師に招く〉今度の講演会では、栄養学の先生を講師に招いて、食生活の大切さについて話をしてもらいます。♠〈大学の講師>大学に勤める夫は、この四月に講師から助教授に昇格[しようかく]しました。 **こうし**(嚆矢) ○物事の始め。[文例]〈日記文学の嚆矢>日本における平仮名による日記文学の嚆矢は、紀貫之[きのつらゆき]の『土佐日記[とさにつさ]』である。♠へ~とする>社長に向かって堂々と反論を述べた新入社員は、彼をもって嚆矢とする。 **こうじ**[工事] ○土木・建築の作業。[文例]〈工事をする>この先の道路で工事をしているので、車は通行止めになっている。♠〈工事現場〉少年は、工事現場でトロッコが土を運ぶのを見物していた。♠〈水道工事>本日、南町地区では、水道工事のため断水しますから御注意願います。 **こうじ**[小路] ○細い通り。[文例]<小路で子供らが遊ぶ>という光景も、最近では見られなくなった。♠車を走らせていると、小路からボールが転がり出て、続いて子供がとび出してきた。♠〈袋小路>立て込んだ家の間の道を進んで行くと、そこもまた袋小路になっていた。 **こうじ**[好事] ○よい事。めでたい事。よい行い。[文例]〈好事魔多し>新婚旅行先で財布をすられるとは、好事魔多しだったな。 **こうじ**(好餌) ○よいえさ。人を誘い込む手段。欲望をみたすためによい条件。[文例]〈好餌に釣られる>「楽してもうかる」という好餌に釣られて、彼は悪の道に踏み込んでしまった。♠<好餌となる〉この川には魚がたくさんいるので、カワセミの好餌となっている。 <348> かっこうのえじき。[文例]昨今[さっこん]は、好餌[こうじ]をもって人[ひと]を誘[さそ]うような利益誘導型[りえきゆうどうがた]の選挙演説[せんきょえんぜつ]が多[おお]い。♠〈好餌[こうじ]となる〉人[ひと]のいい良太[りょうた]は、ずるがしこい上級生[じょうきゅうせい]の好餌[こうじ]となって小遣[こづか]いをまきあげられていた。♠へ好餌[こうじ]とする〉老人[ろうじん]のわずかな蓄[たくわ]えを好餌[こうじ]とする、悪質[あくしつ]な商法[しょうほう]が増[ふ]えている。 **こうしき【公式】** ○公[おおやけ]に定[さだ]めた方式[ほうしき]。一般法則[いっぱんほうそく]を表[あらわ]した数式[すうしき]。[文例]〈公式[こうしき]の行事[ぎょうじ]〉国[くに]の主催[しゅさい]する公式[こうしき]の行事[ぎょうじ]とあって、出席者[しゅっせきしゃ]はみな正装[せいそう]してきました。♠〈公式[こうしき]の席[せき]〉地域[ちいき]の開発計画[かいはつけいかく]は、大臣[だいじん]の口[くち]から公式[こうしき]の席[せき]で発表[はっぴょう]されるでしょう。♠公式[こうしき]に訪問[ほうもん]する〉首相[しゅしょう]は来月[らいげつ]末[まつ]、アメリカを公式[こうしき]に訪問[ほうもん]する予定[よてい]です。♠へ公式[こうしき]を使[つか]う〉この問題[もんだい]も昨日[きのう]勉強[べんきょう]した公式[こうしき]を使[つか]えば、簡単[かんたん]に解[と]けます。♠〈公式[こうしき]に当[あ]てはめる〉教科書[きょうかしょ]の指示通[しじどお]り、具体的[ぐたいてき]な数値[すうち]を公式[こうしき]に当[あ]てはめてみた。♠〈非公式[ひこうしき]>東西両[とうざいりょう]ドイツの首相会談[しゅしょうかいだん]は、あくまで非公式[ひこうしき]なものだ。 **こうしせい【高姿勢】** ○尊大[そんだい]で、威圧的[いあつてき]な姿勢[しせい]。高圧的[こうあつてき]な態度[たいど]。→低姿勢[ていしせい][文例]〈高姿勢[こうしせい]に出[で]る〉今回[こんかい]の賃上[ちんあ]げ交渉[こうしょう]では、いつになく会社側[かいしゃがわ]が高姿勢[こうしせい]に出[で]てきた。♠〈高姿勢[こうしせい]で臨[のぞ]む〉どうしても金[かね]がほしいこちらの足元[あしもと]を見[み]て、買[か]い手[て]は高姿勢[こうしせい]で取[と]り引[ひ]きに臨[のぞ]んできた。 **こうじつ【口実】** ○言[い]いのがれの材料[ざいりょう]。言[い]い訳[わけ]。[文例]〈口実[こうじつ]にする〉本[ほん]を買[か]うというのを口実[こうじつ]にして、わたしはおこづかいを値上[ねあ]げしてもらった。♠へ口実[こうじつ]をこしらえる〉太田[おおた]君[くん]はあれこれ口実[こうじつ]をこしらえては先[さき]に帰[かえ]るので、みんなあきれてしまった。♠へ口実[こうじつ]を設[もう]ける>留守番[るすばん]を押[お]しつけられるところだったが、何[なん]とか口実[こうじつ]を設[もう]けてのがれることができた。♠〈口実[こうじつ]を並[なら]べる〉みんなから非難[ひなん]されると、高島[たかしま]さんは口実[こうじつ]を並[なら]べて責任[せきにん]のがれをしようとした。♠へうまい口実[こうじつ]〉パーティーには欠席[けっせき]したいんだけど、うまい口実[こうじつ]が見[み]つからないんだよ。♠へほんの口実[こうじつ]>学校[がっこう]で用事[ようじ]があるって言[い]ったのはほんの口実[こうじつ]さ。 **こうしゃ【後者】** ○二[ふた]つのうち後[うしろ]の方[ほう]。→前者[ぜんしゃ][文例]〈前者[ぜんしゃ]と後者[こうしゃ]〉一泊[いっぱく]で房総半島[ぼうそうはんとう]を一周[いっしゅう]する案[あん]と、日帰[ひがえ]りで秩父[ちちぶ]に出[で]かける案[あん]が残[のこ]ったが、前者[ぜんしゃ]では全員[ぜんいん]の参加[さんか]が難[むずか]しいので、わたしは後者[こうしゃ]に賛成[さんせい]した。 **こうしゃ【巧者】** ○慣[な]れて巧[たく]みなさま。また、そういう人[ひと]。[文例]〈ロ[くち]が巧者[こうしゃ]〉口[くち]の巧者[こうしゃ]な彼[かれ]には、いつも言[い]いくるめられてしまう。♠へ巧者[こうしゃ]を心[こころ]得[え]る〉沈着[ちんちゃく]な態度[たいど]を外部側[そとがわ]にもっている彼[かれ]は、又[また]臨機[りんき]に自分[じぶん]を相手[あいて]なりに順応[じゅんのう]させて行[い]く巧者[こうしゃ]も心得[こころえ]ていた。(夏目漱石[なつめそうせき]「明暗[めいあん]」)♠<試合巧者[しあいじょうず]〉初出場[しゅつじょう]のT学園[ティーがくえん]が、試合巧者[しあいじょうず]のH商業[エイチしょうぎょう]相手[あいて]にどこまで健闘[けんとう]するか注目[ちゅうもく]されます。 **こうしゃく【講釈】** ○説明[せつめい]して聞[き]かせること。講談[こうだん]。[文例]〈講釈[こうしゃく]する〉今日[きょう]は、珍[めずら]しく大学生[だいがくせい]の姉[あね]が古今和歌集[こきんわかしゅう]を講釈[こうしゃく]してくれた。♠へ長[なが]ったらしい講釈[こうしゃく]〉せっかくの料理[りょうり]も、店[みせ]の主人[しゅじん]の長[なが]ったらしい講釈[こうしゃく]ではおいしさが半減[はんげん]してしまう。 **こうしゅ【攻守】** ○攻[せ]めることと守[まも]ること。[文例]〈攻守[こうしゅ]所[ところ]をかえる〉後半戦[こうはんせん]に入[はい]って攻守[こうしゅ]所[ところ]をかえ、ぼくらは一方的[いっぽうてき]に攻[せ]め込[こ]まれた。♠へ攻守[こうしゅ]にわたる〉彼[かれ]の攻守[こうしゅ]にわたる活躍[かつやく]が、チームを勝利[しょうり]に導[みちび]いた。 **こうしゅう【公衆】** ○社会一般[しゃかいいっぱん]の人々[ひとびと]。大衆[たいしゅう]。[文例]〈公衆[こうしゅう]の面前[めんぜん]〉公衆[こうしゅう]の面前[めんぜん]で、見苦[みぐる]しい行動[こうどう]は慎[つつし]みなさい。♠へ公衆電話[こうしゅうでんわ]〉公衆電話[こうしゅうでんわ]での長話[ながばなし]は、次[つぎ]に待[ま]つ人[ひと]の迷惑[めいわく]になります。♠〈公衆道徳[こうしゅうどうとく]〉社会[しゃかい]の一員[いちいん]として、守[まも]るべき公衆道徳[こうしゅうどうとく]を身[み]につけよう。 **こうしゅう【講習】** ○人々[ひとびと]が集[あつ]まって物事[ものごと]を習[なら]うこと。[文例]〈講習[こうしゅう]を受[う]ける>長[なが]い休[やす]みを利用[りよう]して講習[こうしゅう]を受[う]け、図書館司書[としょかんししょ]の資格[しかく]を取[と]った。♠へ夏期講習[かきこうしゅう]>夏休[なつやす]みといっても、クラブ活動[かつどう]や塾[じゅく]の夏期講習[かきこうしゅう]があり忙[いそが]しい。♠<講習会[こうしゅうかい]>公民館[こうみんかん]では、ときどき料理[りょうり]の講習会[こうしゅうかい]とか着付[きつけ]教室[きょうしつ]などが開[ひら]かれている。 **こうじゅつ【口述】** ○口頭[こうとう]で述[の]べること。[文例]〈口述[こうじゅつ]する〉これまでの調査[ちょうさ]の途中経過[とちゅうけいか]を口述[こうじゅつ]致しますので、メモのご用意[ようい]をお願[ねが]いします。♠へ口述筆記[こうじゅつひっき]〉この作家[さっか]は、病床[びょうしょう]にあっても口述筆記[こうじゅつひっき]で作品[さくひん]を完成[かんせい]させるべく全力[ぜんりょく]を傾[かたむ]けた。 **こうしょ【高所】** ○高[たか]い所[ところ]。高[たか]い土地[とち]。[文例]〈大所高所[たいしょこうしょ]〉この問題[もんだい]についてどう対応[たいおう]すべきか、専門家[せんもんか]の方々[かたがた]の大所高所[たいしょこうしょ]から[から]の意見[いけん]をうかがいたいと思[おも]います。♠高所恐怖症[こうしょきょうふしょう]>高所恐怖症[こうしょきょうふしょう]のわたしは、歩道橋[ほどうきょう]を渡[わた]るのにさえ難儀[なんぎ]する。 **こうしょ(劫初)** ○世界[せかい]の始[はじ]まり。[文例]劫初[ごうしょ]、神[かみ]は天[てん]と地[ち]を分[わ]かち、陸[くが]と海[うみ]をつくったという。 **こうしょう【交渉】** ○相手[あいて]にかけあうこと。人[ひと]とかかわりを持[も]つこと。[文例]〈交渉[こうしょう]を進[すす]める〉団体[だんたい]なので入場料[にゅうじょうりょう]を割[わ]り引[び]いてくれるよう、主催者側[しゅさいしゃがわ]と交渉[こうしょう]を進[すす]めています。♠交渉[こうしょう]に入[はい]る>組合側[くみあいがわ]は労働条件[ろうどうじょうけん]の改善[かいぜん]に関[かん]する要求[ようきゅう]をまとめ、会社側[かいしゃがわ]と交渉[こうしょう]に入[はい]った。♠へ交渉[こうしょう]する〉お店[みせ]の人[ひと]に交渉[こうしょう]してみたら、値段[ねだん]を割[わ]り引[び]いてくれた。♠〈外国[がいこく]との交渉[こうしょう]〉外国[がいこく]との交渉[こうしょう]が多[おお]くなるに従[したが]って、外国語[がいこくご]、特[とく]に英語[えいご]を勉強[べんきょう]する人[ひと]が増[ふ]えてきました。♠〈交渉[こうしょう]を持[も]つ〉さすがにわたしは、こんな女[おんな]と交渉[こうしょう]を持[も]ち続[つづ]けることにうんざりしていた。 **こうしょう【考証】** ○古[ふる]い事柄[ことがら]を事実[じじつ]・文献[ぶんけん]に基[もと]づいて明[あき]らかにすること。[文例]〈考証[こうしょう]を進[すす]める〉歴史学者[れきしがくしゃ]は、古[ふる]い文献[ぶんけん]などを資料[しりょう]に考証[こうしょう]を進[すす]め、昔[むかし]のことを明[あき]らかにしていく。♠<時代考証[じだいこうしょう]〉この映画[えいが]は、時代考証[じだいこうしょう]があいまいで、衣装[いしょう]や道具[どうぐ]など時代[じだい]に合[あ]わないものが少[すく]なくなかった。 **こうしょう【口承】** ○文字[もじ]によらず、人[ひと]の口[くち]を通[とお]して伝承[でんしょう]すること。[文例]これらの民話[みんわ]は、昔[むかし]から口承[こうしょう]によって伝[つた]えられたものである。♠〈口承文芸[こうしょうぶんげい]〉「ユーカラ」は、文字[もじ]をもたなかったアイヌの人たちの優[すぐ]れた口承文芸[こうしょうぶんげい]である。 **こうしょう【高尚】** ○学問[がくもん]や趣味[しゅみ]などの程度[ていど]が高[たか]いさま。[文例]〈高尚[こうしょう]な趣味[しゅみ]〉ぼくにはクラシックを聴[き]くなどという高尚[こうしょう]な趣味[しゅみ]はなく、演奏中[えんそうちゅう]居眠[いねむ]りをする始末[しまつ]だった。♠へ高尚[こうしょう]な話題[わだい]>芸術[げいじゅつ]だの哲学[てつがく]だの、そんな高尚[こうしょう]な話題[わだい]にはついていけないよ。 **こうしょう【好尚】** ○好[この]み。[文例]〈時代[じだい]の好尚[こうしょう]>芸術[げいじゅつ]でも文学[ぶんがく]でも、時代[じだい]の好尚[こうしょう]の変化[へんか]の大[おお]きさには驚[おどろ]かされます。♠〈好尚[こうしょう]に合[あ]う〉当時[とうじ]は、大衆[たいしゅう]の好尚[こうしょう]に合[あ]った、軽[かる]く肩[かた]の張[は]らない読[よ]み物[もの]が盛[さか]んに出版[しゅっぱん]されていた。 **こうしょう(哄笑)** ○大[おお]きな声[こえ]で笑[わら]うこと。大笑[たいしょう]。[文例] <349> こうじん **こうしょう【哄笑】**[こうしょう] [文例]〈悪魔の哄笑〉暗やみのかなたから、悪魔の哄笑[こうしょう]が聞こえる。♠●それはまるで腹の底からこみ上げて来る哄笑が、喉と脣[くちびる]とに堰[せ]かれながら、(略)ちぎれちぎれに鼻の孔[あな]から、送って来るような声であった。(芥川龍之介[あくたがわりゆうのすけ]「枯野抄[かれのしょう]」) **こうじょう【工場】**[こうじょう] ○工業生産を行う施設。[文例]〈工場で働く〉夏休み中、ぼくらはアルバイトで長崎市内の工場で働いていた。♠◆〈工場の煙突〉勉強部屋の窓から遠くの方に工場の煙突が見える。♠◆〈工場排水〉生活排水・工場排水による湖沼・河川・海洋の汚染[おせん]が広がっている。 **こうじょう【向上】**[こうじょう] ○程度・品質・力量などが上がること。[文例]〈能率の向上〉コンピュータは、事務処理などの能率の向上に大きく貢献[こうけん]した。♠◆〈生活の向上〉人々は、自分たちの生活の向上を願って働いていた。♠●〈向上する〉〈向上心〉若い時から向上心が強く、絶えず人格を向上させるよう努めたので、人望がしだいに高まった。 **こうじょう【口上】**[こうじょう] ○口頭で言うこと。舞台の上で出し物や襲名[しゅうめい]披露[ひろう]などについて述べること。[文例]〈口上がうまい〉人前で話すことに慣れた人だから、さすがに口上がうまい。♠●〈口上を述べる〉役者が襲名披露の口上を述べると、観客席から拍手と歓声が上がった。♠へ切り口上〉何が気に入らないのか、今回の彼は妙に切り口上だった。♠◆〈逃げ口上〉「手伝いたいんだが、ぼくも忙しくてね。」と、男は逃げ口上になった。 **こうじょう【厚情】**[こうじょう] ○深い思いやり。親切。[文例]〈厚情をたまわる〉この度の事故に関しましては、皆さまから格別のご厚情をたまわり、感謝にたえません。♠●へ厚情にあずかる〉娘の下宿先につきましては、いろいろとご厚情にあずかり、ありがたくお礼申しあげます。♠●へ厚情に感謝する〉訪ねて来た青年は、父親の死と生前の厚情に感謝するむねを告げると、早々に帰っていった。 **ごうじょう【強情】**[ごうじょう] ○意志が強く、自分の方から折れることをしないこと。意地っ張り。[文例]〈強情を張る〉謝[あやま]ればいいのに、そうやって強情を張っていると、許してもらえなくなるぞ。♠●〈強情なやつ〉おまえみたいな強情なやつは見たことがない。♠●〈強情な性格〉弟の強情な性格は、父親ゆずりだ。♠●へ根が強情〉根が強情なものだから、ついつい張らないでもいい意地を張ってしまうのは我ながら困ったものだと反省しています。♠●へ強情に口をつぐむ〉強情に口をつぐんでいた容疑者も、刑事のやさしい言葉についほろっと言って犯行の一部始終を白状したそうだ。 **こうじょうてき【恒常的】**[こうじょうてき] ○ながく変わりがないさま。[文例]〈恒常的な現象〉この国の食糧不足は一時的な現象でなく、恒常的なものであるだけにいっそう深刻である。 **こうしょく【好色】**[こうしょく] ○性的関心が強いこと。色事を好むこと。[文例]〈好色な男〉彼は好色な男で、いつも女性に対しては強い関心を持っていた。♠●〈好色そうな顔〉ほらほら、あの、赤ら顔で太った、好色そうな顔をしたおじさん、何といったけ。 **こう・じる【講じる】**[こう・じる] ○講義する。手だてを考える。[文例]〈学問を講じる〉わが家には毎日塾生[じゅくせい]が通ってきて、父の講じることを熱心に聴いていた。♠●へ対策を講じる〉今のうちに対策を講じないと、地球の緑は失われてしまう。♠●〈手段を講じる〉何か新しい手段を講じなければ、事態はますます悪化するだけだ。♠●〈処置を講じる〉休日にもグラウンドを利用できるよう、適当な処置を講じてほしい。 **こう・じる【高じる】(昂じる・亢じる)**[こう・じる] ○物事の度が進む。程度が高まる。[文例]〈病が高じる〉病が高じて、まったく起きあがれなくなった。♠●へ趣味が高じる〉気まぐれで始めたケーキ作りだが、趣味が高じ、今では人に教えられるまでになった。♠へわがままが高じる〉小さいころから甘やかされ、今ではわがままが高じてだれの忠告も聞かなくなった。♠●ヘヒステリーが高じる〉そして妻のヒステリーが亢[こう]じると彼にはもう云[い]う事はなかった。(志賀直哉[しがなおや]「山科[やましな]の記憶」) **こうしん【行進】**[こうしん] ○列を作って進むこと。[文例]〈行進する〉楽隊がにぎやかな音楽を奏でながら、通りを行進してくる。♠◆ヘデモ行進〉労働者たちが、シュプレヒコールをしながらデモ行進をしている。♠◆〈行進曲〉ブラスバンドの演奏する一行進曲に合わせて、選手たちが入場して来ました。 **こうしん【後進】**[こうしん] ○後から進んでくること。また、その人。進歩が後れていること。[文例]〈後進の指導〉彼は、この大会を最後に現役を退き、コーチとして後進の指導に当たると言う。♠●〈後進国〉開発途上国、発展途上国は、かつて後進国と呼ばれた。 **こうしん【後身】**[こうしん] ○変わった後の姿。→前身[文例]一橋大学は東京高等商業学校の後身である。♠◆散楽[さんがく]の後身の猿楽[さるがく]は、鎌倉時代から南北朝の動乱期にかけて大流行し、猿楽能、能楽と発展していった。 **こうしん【更新】**[こうしん] ○改めて新しくすること。[文例]〈契約の更新〉今月で部屋の賃貸契約[ちんたいけいやく]が切れるので、更新の手続きをしなければなりません。♠●へ更新する〉この大会では、いくつも世界記録が更新された。 **こうしん【交信】**[こうしん] ○通信を交わすこと。[文例]〈交信がとだえる〉九時二十分、この時点で航行中の漁船との交信がとだえた。♠●〈交信する〉パイロットは管制塔と交信しながら、飛行を続けた。 **こうしん【高進】(亢進・昂進)**[こうしん] ○高まること。高ぶること。[文例]〈亢進する〉円高がさらに亢進し、一ドル一四○円を切る状況が続いていた。♠●〈亢進する〉ショーウインドーの商品を見ているうちに、わたしの中で所有欲がおしよせるように亢進してくるのがわかった。♠●〈心悸亢進[しんきこうしん]〉自分の発表の番が近づくにつれて、心悸亢進し、足が震[ふる]えてきた。 **こうじん【公人】**[こうじん] ○公職にある人。[文例]〈公人としての立場〉公職にある人は、いかなる場合も公人としての立場を忘れてはならない。♠●〈公人としての責任〉今回の首相の発言は、公人としての責任が欠如[けつじよ]していると考えます。♠●へ公人と私人〉今日は公人を離れて、私人として参加させていただいたので、かたくるしいあいさつは省略します。 **こうじん【行人】**[こうじん] ○道行く人。旅人。[文例]昔道中を急ぐ行人も、この峠[とうげ]の茶店ではしばしの休みをとったという。● <350> こうじん・行人まれな田舎道を行く一人の女があった。 **こうじん【幸甚】**[こうじん] ○非常に幸せなさま。[文例]折り返しご返事をいただければ、幸甚に存じます。♠●今回の計画について、何かご助言を賜[たまわ]ることができれば幸甚です。 **こうじん(後塵)**[こうじん] ○人や車などが通った後に立つ土ぼこり。[文例]〈後塵を拝する〉三十代の彼は、遠くから先輩たちの後塵を拝していた。♠●へ後塵を浴びる〉社会に出てから、高校時代の後輩[こうはい]の後塵を浴びることになろうとは、思ってもみなかった。 **こうず【構図】**[こうず] ○構成された図形・立体。表現対象の全体的な配置。[文例]〈絵の構図〉ぼくは絵をかく場合、構図にいちばん苦心します。♠◆〈構図がいい〉この写真は構図がとてもいい。 **こうず【好事】**[こうず] ○もの好きであること。[文例]〈好事家〉彼もまた、骨董品[こつとうひん]を収集する、金持ちによくあるタイプの好事家であった。 **こうすい【香水】**[こうすい] ○香料を溶かしたアルコール液。化粧品の一種。[文例]〈香水の香り〉彼女とすれ違った時、さわやかな香水の香りがした。♠●〈香水をつける〉いつもジャスミンの香りの香水をつけています。 **こうずい【洪水】**[こうずい] ○川の水があふれること。おおみず。ものがあふれること。[文例]〈川の洪水〉ナイル川や黄河[こうが]の洪水は、その流域に華やかな文明をもたらすもとともなった。♠◆〈洪水を防ぐ〉この地域には洪水を防ぐための堤[つつみ]が、あちこちに築かれている。♠●〈洪水をひき起こす〉東海地方に上陸した台風八号は、川沿いの町々に大洪水をひき起こした。♠◆<車の洪水〉月末の都内の道路は、どこもかしこも車の洪水だった。♠●へ情報の洪水〉現在の社会では正しい判断力がないと、おびただしい情報の洪水に押し流されてしまう。 **こう・する【抗する】**[こう・する] ○抵抗する。はむかう。あらがう。[文例]〈敵に抗する〉退路を断たれ、食糧[しょくりよう]も尽きては、敵に抗する気力さえ残っていなかった。♠●へ圧迫に抗する〉外部からの圧迫に抗するには、内部の力を結集するしかない。♠へ抗しがたい〉抗しがたい誘惑[ゆうわく]かられて、またタバコに手出してしまった。 **こう・ずる【講ずる】**[こう・ずる] ↓こう・じる **こう・ずる【高じる】**[こう・ずる] ↓こう・じる **こうせい【公正】**[こうせい] ○かたよりがなく正しいこと。[文例]〈公正な態度〉審判[しんぱん]はいつも公正な態度で試合に臨[のぞ]まなければならない。♠へ公正な取り引き〉公正な取り引きが行われないようなら、それは商業と言えない。♠●へ公正な評価〉彼女の作品が落選するなんて、公正な評価がなされたとは思えない。♠●へ公正を期する〉受験者全員に公正を期するため、ヒントはまったく与[あた]えられなかった。♠●〈公正を欠く〉社会が公正を欠くかぎり、犯罪は繰り返し起こる。 **こうせい【後世】**[こうせい] ○のちの世。[文例]〈後世の人々〉彼のやり残した仕事は、後世の人々によって必ず成し遂げられるだろう。♠へ後世に伝わる〉ナポレオンの名は、さまざまな伝説とともに後世に伝わっていった。♠●へ後世に名を残す〉紫式部[むらさきしきぶ]は『源氏物語[げんじものがたり]』の作者として、後世にまで名を残しました。 **こうせい【後生】**[こうせい] ○後に生まれてくる人。後代の人。自分より後から学ぶ人。[文例]〈後生おそるべし〉きみたちはこれからどれだけ伸びるかわからない、まさに「後生おそるべし」だね。 **こうせい【構成】**[こうせい] ○全体を組み立てること。全体の組み立て。[文例]〈文章の構成〉作者の言いたいことをしっかりつかむためには、文章の構成をよく理解しなければならない。♠〈全体の構成〉今度の舞台[ぶたい]は、役者の出来不出来よりも全体の構成に問題があった。♠●〈構成する〉委員会は両国あわせて十名の委員で構成されている。♠●へ社会を構成する〉この国では二つの異なる民族が一つの社会を構成している。♠〈家族構成〉次にわが家の家族構成を説明します。 **こうせい【攻勢】**[こうせい] ○攻撃の態勢。→守勢[文例]〈攻勢をかける〉味方は、敵の一瞬[いっしゅん]のすきをついて攻勢をかけた。♠●へ攻勢に転じる〉前半戦はリードされていたが、後半になるとぼくたちのチームは攻勢に転じた。 **こうせい【更生】**[こうせい] ○生き返ること。よい状態に戻ること。立ち直ること。[文例]〈更生する〉わたしが今日のように更生できたのは、周囲の温かい励[はげ]ましがあったからだ。♠◆へ自力更生〉経営不振のわが社ですが、まだ自力更生の可能性は残されています。 **ごうせい【豪勢】**[ごうせい] ○非常にぜいたくなさま。[文例]〈豪勢な料理〉ホテルの豪勢な料理に、ぼくたちは大いに満足した。♠◆家族そろってヨーロッパ旅行だなんて豪勢だね。 **ごうせい【合成】**[ごうせい] ○二つ以上のものを合わせて、一つのものを作ること。化合物を作ること。[文例]〈合成の言葉〉「小川君」に接尾語の「らしい」がつくと、「小川君らしい」(小川君にふさわしいという意味)という合成の形容詞になります。♠●〈音声を合成する〉現在は、音声を合成して、コンピューターにしゃべらせることができる。♠◆〈合成皮革〉本物の革のように見えるけど、実は合成皮革なのよ。♠へ合成写真〉このUFOの写真は、何となく不自然で、合成写真だと思う。 **こうせき【功績】**[こうせき] ○すぐれた働き。てがら。[文例]〈キュリー夫妻の功績〉ラジウムを発見したのはキュリー夫妻の功績だ。♠●へ功績を記念する〉故郷には、彼の功績を記念して資料館が建てられることになった。♠●〈功績を認める〉N氏の天文学に関する功績が認められたのは、戦後になってからのことです。♠●へ功績がある〉父は地方文化の発展に功績があったとして、市から表彰[ひようしよう]されました。♠●へ功績をあげる〉まったくの素人[しろうと]だったきみが、あれほどの功績をあげるとは思わなかったよ。♠●〈功績を残す〉氏は、この地方の教育界に大きな功績を残した。 **こうせき【鉱石】**[こうせき] ○金属をとることのできる鉱物。[文例]〈鉱石を掘る〉この山からは、銅などの鉱石が掘[ほ]り出されています。♠●へ鉄鉱石〉日本は地下資源に乏[とぼ]しく、鉄鉱石は九十パーセント以上を輸入に頼っている。 **こうせき【航跡】**[こうせき] ○船が通ったあとの水面に残る跡。[文例]デッキから眺[なが]めると、月光に照らされた航跡だけが暗い海 <351> **こうたい【航跡】** 面に白く続いていた。へ航跡をひく>真っ青な海原に白い航跡をひいてタンカーが行く。 **こうせつ【高説】** ○すぐれた意見。[文例]先日、テレビで先生のご高説を拝聴し、誠に感銘いたしました。 **こうせつ【巧拙】** ○巧みであるか、つたないか。じょうずへた。[文例]〈作品の巧拙〉その画家の初期の作品と現在の作品とを並べて見ると、わたしの目にもその巧拙がわかった。♠◆〈巧拙を問う〉話し方の巧拙を問わないので、このテーマについて自分の思うところを自由に話してみなさい。 **こうせん【光線】** ○光のすじ。光。[文例]〈太陽の光線〉川面[かわも]は太陽の光線を反射して、キラキラと光っていた。♠〈光線が差し込む〉ふと目覚めると、すでにカーテンのすきまから光線が差し込んでいた。♠〈光線が入る〉♠〈光線を受ける・遮[さえぎ]る〉カーテンのすき間から入る光線を受けてまぶしそうに目を細めながら、客は持っていた扇子[せんす]でそれを遮った。 **こうせん【交戦】** ○戦闘を交えること。互いに戦うこと。[文例]〈交戦する〉両国海軍が交戦する可能性が高いので、船舶は厳重な警戒[けいかい]が必要である。♠◆〈交戦状態>国境をはさんでにらみ合っていた両国軍が交戦状態に入ったという。 **こうせん【好戦】** ○戦闘を好むこと。[文例]〈好戦的>軍部の好戦的な宣伝にもかかわらず、国民の間には戦争終結を願う気持ちが広がっていった。 **こうせん【抗戦】** ○敵に抵抗して戦うこと。[文例]〈抗戦の構え>相手方は、城にこもって抗戦の構えをとった。♠へ抗戦する〉わが軍には徹底的[てっていてき]に抗戦する用意ができている。 **こうぜん【公然】** ○隠しだてなく、おおっぴらなさま。一般に知れ渡っているさま。[文例]〈公然と~する〉二十歳になれば公然とお酒が飲めるわね。♠●へ公然と言う〉反対意見があれば、陰で不平を鳴らすのではなく公然と言うべきである。♠●〈公然の・公然たる秘密〉二人の仲は、クラスメートの間では公然の秘密だった。 **こうぜん(昂然)** ○意気さかんなさま。[文例]〈昂然と立ち向かう〉挑戦者が昂然とチャンピオンに立ち向かう姿は、見ていて気持ちがよかった。♠へ昂然たる態度〉謹慎を命じられても、彼は昂然たる態度を崩さなかった。 **ごうぜん(傲然)** ○おごり高ぶったさま。[文例]〈傲然と見下ろす〉丘の上に立てられた将軍の銅像は、傲然と町を見下ろしている。♠●へ傲然と構える〉犯人は取り調べ中も傲然と構えていて、少しも反省の色が見られなかった。 **こうそう【構想】** ○全体の組み立てを考えること。また、その考え。[文例]〈構想を練る〉〈作文の構想〉良い作文をものにする気なら、十分に構想を練ってから書き始めなさい。♠◆〈構想を立てる〉父は事業を始めるにあたって、チェーン店をいくつか作るという構想を立てた。♠●〈雄大な構想〉♠〈構想が浮かぶ〉わたしの胸に、この町に子供の国を作るという雄大な構想が浮かんだ。♠●へ構想が崩れる〉主力選手の思いがけない転校で、チームの構想はもろくも崩[くず]れた。 **こうそう【高層】** ○上空の高い所。高く層をなしていること。[文例]〈高層ビル〉この十年の間に、駅前には高層ビルが次々と建てられ、様子がまるで変わってしまった。♠●へ高層雲>二~四キロメートル以上の上空に浮かぶ灰色のうすい雲を高層雲という。 **こうそう【抗争】** ○互いに対立して争うこと。[文例]〈人とオオカミとの抗争〉オオカミがまだかなり残っているアラスカでは、人とオオカミとの抗争が依然として続いていた。♠●〈他の部族との抗争〉人々は厳しい自然との闘いや他の部族との抗争を、神々や英雄の物語として語り伝えてきた。♠●〈暴力団の抗争>暴力団の抗争に巻き込まれて、一般の人が死傷したという。 **こうそう【広壮】(宏壮)** ○広々と大きく、りっぱなさま。[文例]〈広壮な邸宅[ていたく]〉駅から丘の方に一キロほど行くと、広壮な邸宅が並ぶ高級住宅地が見えてくる。 **こうぞう【構造】** ○全体の組み立て。基本となる骨格。[文例]〈機械の構造>説明を聞いただけではその機械の構造は理解できなかった。♠●へ文章の構造〉作者の言いたいことを理解するには、まず文章の構造をつかまなければならない。♠〈社会の構造>♠<複雑な構造〉文明の発達、人口の増加とともに、社会の構造も複雑になってきた。♠◆<構造上の欠陥[けっかん]〉ピサの斜塔[しゃとう]が傾[かたむ]いてしまったのは、何か構造上の欠陥があったからでしょうか。♠◆〈耐震構造〉最近の建築物はほとんどが耐震構造の設計になっている。♠◆ヘ二重構造>魔法瓶[まほうびん]の内部は、熱が逃げるのを防ぐために、二重構造になっています。 **こうそく【高速】** ○非常に速いこと。[文例]〈高速で走る〉高速で走っていてカーブを曲がりきれず、ガードレールに激突した。♠●へ高速で回転する〉スイッチを入れると、エンジンは高速で回転し始めた。♠●〈高速道路>連休最終日のわりには高速道路がすいていた。 **こうそく【拘束】** ○捕らえて自由を奪うこと。[文例]〈身柄[みがら]を拘束する〉その男は事件に重大なかかわりがあるということで、警察に身柄を拘束された。♠●へ会社に拘束される〉父は毎日会社で遅くまで拘束され、ゆっくりする暇[ひま]がありません。♠●へ拘束力〉この契約書は、双方が署名・捺印[なついん]した時から拘束力をもちます。 **こうぞく【後続】** ○後に続くこと。[文例]先頭の犬がクマを追うと、後続の犬たちもいっせいにそれに従った。♠●へ後続を待つ〉ここはいちばんの難所なので離れ離れにならないよう、必ず後続を待って行動してください。♠●〈後続する〉この分野の研究はわたしが最初ですが、必ずや後続する研究者があるものと信じています。♠◆〈後続部隊>先発隊が敵に攻撃をかけると、後続部隊もこれに加わった。 **こうたい【交代・交替】** ○互いにかわること。いれかわること。[文例]〈交替で~する〉お風呂[ふろ]は一班二十分ずつ、交替で入ってください。♠●〈交替で~する>青森から福島までは、三人で交替で運転してきました。♠●〈選手の交替〉この競技では、一試合何人まで選手の交替(交代)が認められているのですか。♠〈交代する>急用ができてしまったので、だれか係を交代してくれませんか。♠◆ヘ八時間交替〉この工場は八時間交替で操業[そうぎよう]しています。♠●〈世代の交代>古い経営陣[けいえいじん]が退き、わが社も世代の交代が始まったようだ。 <352> **こうたい【後退】** ○後ろへ下がること。後方へ退くこと。[文例]〈後退する〉ぼくが打ち込むと、彼は竹刀[しない]を払って後退した。♠●へ後退する〉病気で学校を長期欠席している間に、学力が大きく後退するということがあります。♠●へ前進と後退>病状[びょうじょう]ははかばかしくなく、日々に前進と後退を繰り返しております。 **こうだい【広大】** ○広く大きなさま。[文例]〈広大な屋敷[やしき]>老人[ろうじん]は町のはずれにある広大な屋敷にたった一人で住んでいる。♠●〈広大な原野[げんや]〉釧路[くしろ]から根室[ねむろ]にかけては、広大な原野が広がっている。♠●〈広大な領土[りょうど]〉チンギス・ハンによって建国された元は、東は中国から西はトルコに至る広大な領土を持っていた。♠●〈広大な宇宙[うちゅう]〉わたしたちの住んでいる地球も、広大な宇宙から見ればほんの小さな存在でしかありません。♠●へ広大な海〉この広大な海の底には、今後掘[ほ]り出されるであろう数多くの資源が眠っている。♠●へ広大無辺>富士山のすそ野には樹海[じゅかい]と呼ばれる広大無辺な森林が広がっている。 **こうたく【光沢】** ○表面のつややかさ。[文例]〈光沢をもつ〉桜貝とは、日本各地に見られる、桜色の光沢をもつ二枚貝です。♠●〈光沢を出す〉光沢を出そうと思って、その小さな木箱を磨[みが]いてみた。♠●〈光沢がある〉この布地には絹のような光沢がある。♠〈光沢のある髪〉少女は光沢のある髪を、長く後ろに垂[た]らしていた。 **ごうだつ【強奪】** ○力ずくで奪うこと。[文例]〈強奪する〉最近、銀行帰りの人のあとをつけ、現金を強奪する事故が頻発[ひんぱつ]しています。♠●ヘ三億円強奪事件〉あれほど日本中を騒[さわ]がせた「三億円強奪事件」もついに犯人が捕[つか]まらないまま、時効が成立した。 **こうち【高地】** ○標高の高い土地。[文例]信州の高地は、夏は涼しく快適なため多くの避暑客を集めています。♠●へ高地に住む〉この国には多くの少数民族が存在し、高地に住む者は、独特の生活様式を持っている。 **こうち【耕地】** ○耕作されている土地。[文例]この地方は山地が多く、耕地が非常に少ない。♠ぼくたちの村でも、だんだん耕地がつぶされて、宅地が造成されるようになった。 **こうち(巧緻)** ○巧みで細かいこと。細部まで巧みに作られているさま。[文例]〈巧緻な彫り物〉昔の和風建築の欄間[らんま]には、巧緻な彫り物が施[ほどこ]されているものが多い。♠●へ巧緻を極める>手先が器用な日本人は、数々の巧緻を極めた手工芸品を生み出している。 **こうちく【構築】** ○組み立て築くこと。考えを体系的にまとめ上げること。[文例]〈陣地を構築する〉われわれの部隊は、高台の見晴らしのきく場所に陣地を構築した。♠●へ橋を構築する〉町の中央を流れる川には、石でアーチ状に構築した橋がかかっていた。♠●へ理論を構築する〉一つの理論を構築するには、丹念[たんねん]な調査と研究が必要です。 **こうちゃく(膠着)** ○ねばりつくこと。ある状態が固定して動かなくなること。[文例]〈膠着する〉実力が伯仲[はくちゅう]しているためか、試合はさっきから膠着したままだ。♠●へ膠着状態>賃上げをめぐる話し合いは、労使双方に歩み寄りが見られず、依然膠着状態が続いている。♠●へ膠着語〉日本語は自立語に助詞や助動詞を接続させて文法上の関係を表すが、そのような言語を膠着語といいます。 **こうちょく【硬直】** ○体がこわばって自由に動かなくなること。柔軟性を失うこと。[文例]〈硬直する>舞台に出たとたんに全身が硬直して、セリフが一言も思い出せなくなってしまった。♠●へ硬直した考え〉そんな硬直した考えは改めて、もっと柔軟な考え方を心がけようじゃないか。♠死後硬直[しごこうちょく]>死体は発見された時、すでに死後硬直が始まっていた。 **こうつう【交通】** ○人々の行き来。人や車両の通行。[文例]〈交通の発達>道路にしても鉄道にしても、最近の交通の発達には目を見張るものがある。♠へ交通が激しい>遊園地への近道になっているせいか、この道路は休みの日のほうが交通が激しい。♠<交通がまひする〉季節はずれの大雪のため、都心の交通は完全にまひしている。♠へ交通の便〉道は舗装[ほそう]されてバスも通れるようになり、村の交通の便も一段とよくなった。♠〈交通事故>昨夜学校前の通りで、バイクと乗用車の交通事故があったそうです。♠◆◇交通止め>先日[さきごろ]の土砂崩[どしゃくず]れで、奥多摩[おくたま]有料道路は全面的に交通止めになっています。♠●〈交通量〉この付近は最近宅地化が進み、国道の交通量もかなり増えました。 **こうつごう【好都合】** ○都合がよいこと。[文例]もしここに信号があったら、歩行者にとってどんなに好都合だろう。♠●ぼくたちの計画は、万事好都合に進んだ。♠●好都合なことに雨も上がってきたから、すぐ出かけよう。 **こうてい【高低】** ○高いことと低いこと。[文例]〈声の高低>詩を読む時は、声の高低や強弱などを工夫してみましょう。♠◆<土地の高低>植物は土地の高低によって、生長に差が出てくる。 **こうちょう【好調】** ○調子がよいこと。[文例]〈好調を保つ〉ぼくたちのチームは一回戦から好調を保ち、ついに決勝戦に進出した。♠●へ好調な売れ行き〉わが社が発売した新製品は、好調な売れ行きをみせている。 **こうちょう【紅潮】** ○顔に赤みがさすこと。[文例]〈ほおが紅潮する>発表会でみんなの視線が集まると、ぼくは自分のほおが紅潮するのがわかった。♠●へ顔を紅潮させる〉教室にはいると、二人の友達が顔を紅潮させて議論していた。 **こうてい【行程】** ○道のり。[文例]「奥の細道」は、松尾芭蕉[まつおばしょう]が奥州[おうしゅう]・北陸の各地を巡[めぐ]った、行程二千四百キロメートル、約半年にわたる旅に取材したものである。♠●へ行程を終える>議員団はヨーロッパ視察の行程を終えて、明日帰国の予定です。 **こうてい【工程】** ○作業進行の手順。一連の作業の一段階。[文例]〈工程を経る>製品は、何段階もの厳重な点検の工程を経て出荷される。♠◆へ工程を立てる〉作業を始める前に、工程を立てる必要がある。♠●へ工程を組む〉きみの組んだ工程には無理があるようだ。 <353> **こうてい【肯定】** ○その通りだと認めること。[文例]〈肯定か否定か〉日本語の文では、一般に、文末まで待たないと、表現者の判断が肯定か否定かわからない。♠●へ肯定も否定もしない〉うわさの真偽[しんい]を本人に確かめてみたが、肯定も否定もせずに、だんまりを決めこまれてしまったよ。♠●へ肯定的〉人間社会が段々悪い方向へ向かうと思っている人は大変多いのですが、わたしは人類の未来を肯定的に見ています。 **こうでい【拘泥】** ○こだわること。[文例]〈拘泥する〉テストは授業をどれだけ理解しているかをみるために行うのですから、点数にはあまり拘泥しないでください。♠●へ拘泥する〉直子がつい犯した過失に対し、それ程執拗[しつよう]に拘泥するのはつまらない、その為[た]め、更[さら]に二人が不幸になるのは馬鹿気[ばかげ]ている。(志賀直哉「暗夜行路」) **こうてき【好適】** ○ちょうどよく、あてはまること。たいへんふさわしいさま。[文例]〈好適な場所〉ここは眺[なが]めがすばらしく、スケッチするには好適な場所だ。♠●〈好適な季節〉春は旅行に好適な季節です。♠●へ営業に好適〉♠〈好適の人材〉営業に好適の人材を得て、当店も躍進[やくしん]の基礎ができたというものです。 **こうてき【公的】** ○社会一般にかかわるさま。→私的[文例]〈公的な立場>市長は公的な立場で発表しなければならないことが多いので、ことば使いにはとても慎重です。♠●へ公的と私的〉わたしはいま公的にも私的にも多忙で、ゆっくり静養している暇などない。♠●へ公的機関>市役所や保健所などの公的機関の電話番号は、一箇所[かしょ]にまとめられていれば便利です。 **こうてきしゅ【好敵手】** ○よい競争相手。ライバル。[文例]幼なじみの彼はぼくにとって、親友でありまた好敵手でもあります。♠●へ好敵手が現れる〉ぼくは小学校のころからチームのエースだったが、中学生になって好敵手が現れた。 **こうてつ【鋼鉄】** ○鍛えて、固く強くした鉄。はがね。[文例]この橋は鋼鉄でできている。♠●へ鋼鉄のよう〉リングに上がったチャンピオンは、鋼鉄のような体をしていた。 **こうてつ【更迭】** ○ある役目にある人を入れかえること。また、入れかわること。[文例]〈更迭する〉業績があがらないということで、営業部長が更迭された。♠●へ大臣の更迭>新たな経済問題を解決するために、大臣の更迭が行われた。 **こうてん【好転】** ○好ましい方へ転換すること。[文例]<景気の好転〉国内の消費が振るわない以上、景気の好転は当分望めそうにない。♠●〈好転する〉相手が話し合いに応じないとなると、事態が好転することはまず望めない。 **こうてん【好天】** ○よい天候。[文例]〈好天に恵まれる〉ゴールデンウィークの初日は好天に恵まれたため、行楽地は大勢の観光客でにぎわった。 **こうてん【後天】** ○生まれた後で備わること。→先天[文例]〈後天的〉人格は、学習や体験などを通して後天的に形づくられるといわれる。♠●〈後天性〉彼の目の障害は後天性のものなので、治療すれば直る可能性があるそうです。 **こうてん【荒天】** ○荒れた天候。悪天候。[文例]<荒天をつく>隊員たちは、荒天をついて遭難者[そうなんしゃ]の救助に向かった。♠<荒天が続く>十二月になると、この地方は、雲が低く垂[た]れこめ、強い風が冷たい雨をたたきつける荒天が続く。 **こうど【高度】** ○海水面からの高さ。程度が高いさま。[文例]〈高度~メートル〉高度三千メートルの上空の気温は、三・七度だった。♠●へ高度を測る>飛行機の実際の大きさと肉眼で見える大きさから、飛行機の飛んでいる高度を測ることができるそうです。♠●〈高度を上げる・下げる〉着陸地点まであと三十キロ、機は徐々[じょじよ]に高度を下げ始めた。♠●〈問題が高度〉その問題は中学生にとっては高度だね、もう少し簡単にしたら。♠●へ高度な文明>発掘[はつくつ]された遺跡[いせき]から、当時の人々が高度な文明を持っていたことがわかった。♠●へ高度化する〉体操競技の技術は、十年前とは比べようもなく高度化しました。♠へ高度成長>昭和四十八年の石油ショックを境に、高度経済成長の時代は終わった。 **こうとう【口頭】** ○文書によらずに口で述べること。口さき。[文例]住民の質問に対し、市は速やかに口頭または文書で回答するよう要望する。♠◆〈口頭試問>卒業予定者は、提出した卒業論文をもとに口頭試問を受けなければなりません。 **こうとう【高等】** ○程度・等級が高いさま。→下等[文例]<高等な技術>基礎コースを終了後、さらに高等な技術を身につけたい人のために専門コースも設けられています。♠◆◇高等教育>大学や短大へ進み、高等教育を受ける人の数は増え続けている。♠●へ高等動物〉哺乳類[はにゆうるい]などの高等動物が出現したのは、長い地球の歴史から見ると、つい最近のことと言ってよいでしょう。 **こうとう【高踏】** ○俗世間を離れて、高い境地に自らを置くこと。[文例]〈高踏的〉現代にあって、この俳人のように俗世間から離れ、高踏的に生きることは難しい。♠へ高踏派〉芸術至上主義的な考え方を持つこの詩人たちは、一種の高踏派的なグループを形作っていた。 **こうとう【高騰】** ○物価などが急激に上がること。[文例]〈物価の高騰>物価の高騰は、庶民[しょみん]の生活を圧迫します。♠〈高騰する〉地上げ屋の暗躍により、都心の地価が高騰し、社会問題となっている。 **こうどう【行動】** ○行うこと。行い。ふるまい。[文例]〈行動をとる〉わたしが新しい計画に向けて本格的な行動をとったのは、十月になってからです。♠●〈行動を共にする〉親友の本橋さんとは、小さい時からいたずらや悪さも含めて、行動を共にすることが多かった。♠●へ行動に移す〉具体的な段取りが決定すると、ぼくたちはすぐに計画を行動に移しました。♠●へ勝手な行動〉団体生活では、自分勝手な行動は慎[つつし]まなければならない。♠●へ機敏[きびん]な行動〉♠〈行動をする〉カメレオンが虫を捕らえる時は、信じられないくらい機敏な行動をします。♠●へ行動が大胆[だいたん]〉一年生のわりには行動が大胆で、彼女の名は学校中に知れ渡っている。♠●〈行動を起こす〉刑事[けいじ]はもうずいぶん前から、犯人が行動を起こすのを待っていた。♠へ行動する〉行動するまえに、よく考えろ。 <354> にのやさしい言葉を信じたのが後難のもとで、今では頭が上がらないよ。 **こうなん【硬軟】**[こうなん] ○かたいこととやわらかいこと。[文例]〈硬軟合わせ持つ〉悩みを相談する相手なら、まじめ一方の人より硬軟合わせ持つ彼のような人にするといいよ。 **こうにゅう【購入】**[こうにゅう] ○買い入れること。[文例]〈購入する〉生徒全員が使う教材は、学校で一括[いつかつ]して購入します。♠●へ購入する〉団地の自治会が購入した産地直送の野菜の実費販売を行います。 **こうにん【公認】**[こうにん] ○公的に認めること。公然と認めること。[文例]〈公認する〉放課後の小中学校のグラウンドを一般市民が利用することについて、市は公認していません。♠人公認の仲〉あの二人は、もう親も公認の仲らしいよ。♠〈公認記録〉この選手の百メートル十秒三の記録は当時の公認記録であった。♠●へ党公認〉市長選挙では、自民党公認候補のS氏が当選した。 **こうねん【後年】**[こうねん] ○何年かをへた後。何年も後。[文例]戦争で両親を失った少年は、苦労の末大学を卒業し、後年実業家として名を残しました。♠●事件当時かたく口を閉ざしていた父が、後年語ったところによると、現場を目撃[もくげき]したというのだ。 **こうのう【効能】**[こうのう] ○効き目。[文例]〈効能がある〉この温泉は、胃腸病やリューマチなどに効能があるとして有名です。♠◆〈説教の効能〉〈効能が現れる〉今日はあの子もまじめに勉強しているようだ。昨日のお説教の効能が現れたかな。♠〈効能書き〉薬の効能書きには、服用の仕方も説明してあります。 **ごうのう【豪農】**[ごうのう] ○地域に勢力をもつ裕福な農家。[文例]彼は豪農の生まれであったが、田舎の生活を嫌[きら]い、都会に出て医者になる道を選んだ。♠◆農地改革以前の豪農の勢力というのは、今では想像もできないほど大きいものだった。 **こうは【硬派】**[こうは] ○強硬な思想や主張を持つ党派・人。軟弱をきらい、剛健を好むタイプの人。→軟派[文例]〈軟派と硬派〉軟派で鳴らす中村と硬派のお前が親友だというのは、妙[みよう]な感じがするな。♠〈硬派の学生〉祖父も若いころは硬派のバンカラ学生で、女性には目もくれなかったそうだ。 **こうば【工場】**[こうば] ○物を作ったり、加工したりする場所・施設。♪工場[文例]ぼくの母は、近所の工場へパートで働きに行っています。♠町工場〉川向こうには町工場が軒を連ねていて、一日中モーターの音[おと]が響いています。 **こうはい【交配】**[こうはい] ○種類の異なる雌雄をかけ合わせること。[文例]〈交配する〉ヒョウの雄とライオンの雌を交配し、その結果うまれたものをレオポンという。♠◆〈交配種〉最近の果物は交配種によって、種類も多く見た目もよくなっている。 **こうはい【後輩】**[こうはい] ○学校・会社などで後から入った人。ある分野で後から活動した人。→先輩[文例]クラブの先輩がときどき来て、後輩の指導をしてくれます。♠●彼とは同じ高校の出身で、ぼくのほうが二年後輩になります。♠●年はぼくが上だが、この仕事ではきみの後輩だからよろしく頼むよ。 **こうはい【荒廃】**[こうはい] ○荒れはてること。すさんだ状態になること。[文例]〈荒廃する〉復員兵の目の前には、戦争で荒廃した町並みが広がっていた。♠◆ヘ心が荒廃する〉進学のための偏差値を重視した教育なども、生徒たちの心を荒廃させる一因でしょう。 **こうばい【購買】**[こうばい] ○買うこと。購入。[文例]〈購買力〉社会全体の購買力は、景気の動向によって大きく左右されます。♠<購買意欲>客の購買意欲をかきたてるためには、店内の飾り付けにもっと気を配[くば]るべきだと思います。 **こうばい(勾配)**[こうばい] ○かたむきの度合い。傾斜。[文例]〈急な勾配〉思ったより急な勾配の坂道で、息が切れてしまった。♠〈勾配をつける〉雪国では、屋根に勾配をつけて、積もった雪が滑[すべ]り落ちやすくしている。♠◆下り勾配〉帰り道は、ゆるい下り勾配なので、時間がかからなかった。 **こうはく【紅白】**[こうはく] ○赤と白。[文例]〈紅白のもち〉今日、近所に建て前があり、ぼくと弟は、お祝いに配られた紅白のもち <355> **こうはく【紅白】** へ紅白の垂れ幕[たれまく]>祝賀会の会場には、紅白の垂れ幕が下がり、正装[せいそう]した人たちが大勢つめかけていた。♠<紅白対抗>紅白対抗リレーは、今年は白組の勝利だった。 **こうばく【広漠】** ○果てしなく広いさま。[文例]〈広漠たる原野〉列車の窓の外には、広漠たる原野が広がっていた。♠●〈広漠とした>ぼくたちを乗せたジープは、広漠とした大平原を東に向かって進んだ。 **こうばしい(香ばしい・芳ばしい)** ○香りがよい。(程よく焼けた時のような)よい香りがする。[文例]〈こうばしいにおい〉店内には、せんべいの焼けるこうばしいにおいがたちこめていた。♠●安い番茶も、店のおばさんはこうばしくいれてくれる。 **こうはつ【後発】** ○後から出発すること。また、その人。遅れてとりかかること。→先発[文例]<後発メーカー>後発メーカーであるわが社は、少しでも他社のシェアにくいこめるよう、販路[はんろ]の拡張に懸命だ。♠◆<後発隊>濃霧[のっむ]のため、後発隊の出発は予定より五時間も遅れてしまった。 **ごうはら【業腹】** ○ひどくしゃくにさわるさま。いまいましいさま。[文例]自分の力ではできませんと謝るのはしゃくだし、かといって人の力を借りるのはもっと業腹だった。♠●いつも彼女に言い負かされてばかりで業腹だから、今度こそギャフンと言わせてやろう。♠●次に住む家も見つかっていない者を追い出しにかかるなんて、なんとも業腹な仕打ちである。 **こうはん【後半】** ○後の半分。[文例]〈詩の後半〉詩の後半には、荒涼[こうりよう]とした風景を前にした作者の思いが歌われています。♠●へ後半に入る〉連休の前半はぐずついていた天候も、後半に入ってやっと回復した。♠へ後半戦>これでは、後半戦の反撃に期待するしかないな。 **こうはん【広範】(広汎)** ○広い範囲にわたるさま。広範囲。[文例]〈広範な地域〉台風の被害は広範な地域におよぶので、被害状況の把握[はあく]にも時間がかかる。♠〈広範な分野>彼は、物理学・哲学・社会評論と広範な分野で活躍した。♠広範な問題>筆者は、この著書で資源・食糧など広範な問題を取り上げて、人類の未来を考えている。 **こうはんい【広範囲】** ○広い範囲。[文例]〈広範囲にわたる〉花粉は、季節ごとに大量に作り出され、広範囲にわたって飛び散る。♠●へ広範囲に及ぶ〉彼がこの島に関して研究したことは、地理・気象・海流・動物・植物・・・・・・など、きわめて広範囲に及んだ。 **こうひょう【公表】** ○世間に発表すること。公にすること。[文例]〈公表する〉この件は、まだ本決まりではないので、公表することはできません。♠●へ公表の段階〉まだ調査が残っているので、今は公表の段階ではありません。 **こうひょう【好評】** ○よい評判。好ましい評価。[文例]<公演が好評>歌舞伎[かぶき]のパリ公演は、物めずらしさもあったが、おおむね好評だった。♠●〈好評を得る>古典芸能が生き残るには、若者に好評を得るための工夫も必要だろう。♠●へ好評を博する〉今回の催[もよお]しが好評を博したのは、企画とタイミングがよかったからだ。 **こうひょう【講評】** ○根拠となる事柄を挙げ、説明しながら批評すること。[文例]〈コンテストの講評〉コンテストが終わると、参加者に対して審査員から講評が述べられた。♠〈講評する>生徒の試験の結果を講評する時には、今後の励[はげ]みになるよう気をつかいます。 **こうふ【公布】** ○一般に知られるようにすること。法令などを国民に告げ知らせること。[文例]〈公布する〉日本国憲法は、昭和二十一年十一月三日に公布され、昭和二十二年五月三日に施行されました。♠条例は、条例に特別の定があるものを除く外、公布の日から起算して十日を経過した日から、これを施行する。(「地方自治法」第十六条) **こうふ【交付】** ○役所などが一般の人々や団体に書類・金銭などを渡すこと。[文例]〈免許証の交付〉免許証の交付を受ける前に車を運転し、交通事故を起こすと、免許が受けられないこともあります。♠〈交付する〉地方自治体が交付する母子健康手帳には、母親と子供の健康状態などが記入されます。 **こうふく【幸福】** ○しあわせ。さいわい。[文例]〈幸福に暮らす>氏[さい]は現在八十二歳、多くの孫に囲まれて幸福に暮らしています。♠●へ幸福な人生>幸福な人生は、運に頼[たよ]るのではなく、努力によって自分の手でつかむ必要がある。♠〈幸福にする〉きっとあなたを幸福にします、ぼくと結婚[けつこん]してください。♠●〈幸福をもたらす〉四つ葉のクローバーは、幸福をもたらすものとして若い女の子には人気がある。♠●〈幸福を呼ぶ〉たった一枚のはがきが幸福を呼んでくれるなんて。♠●〈幸福を祈[いの]る〉うまく言葉にはできないけど、二人の幸福を心から祈っています。♠●〈幸福を手に入れる>確かに彼女は大金持ちになったが、真の幸福を手に入れたとは言えなかった。♠●へ幸福の絶頂〉事業に成功し、美しい妻をめとり、彼は今幸福の絶頂にいる。 **こうふく【降伏・降服】** ○敵に降参すること。負けて、敵に従うこと。[文例]〈降伏する〉多勢に無勢[たぜいにぶぜい]で刀折れ矢も尽き[かたなおれやもつき]て、とうとう敵に降伏した。♠●〈無条件降伏〉ポツダム宣言を受諾[じゅだく]した日本は無条件降伏し、終戦を迎えた。 **こうぶつ【好物】** ○好きな飲食物。好きなもの。[文例]〈大の好物>先生はアルコールが大の好物であったが、甘い物にも目がなかった。♠●〈大好物>田舎から母の大好物のさくらんぼが送られてきた。 **こうふん【興奮】** ○感情が高ぶること。刺激を受けて、生物の器官の働きが活発になること。[文例]〈興奮のあまり〉静かにしなくてはいけないことはわかっていたが、興奮のあまりつい大声を出してしまった。♠●〈興奮を隠せない>弟は自転車を買ってもらえるうれしさに、興奮を隠せない様子だった。♠●へ興奮がさめる〉家に帰ってきた妹は、まだコンサートの興奮がさめやらないといった様子だった。♠●へ興奮を静[しず]める〉緊張[きんちょう]を和[やわ]らげ興奮を静めるために、選手は大きく深呼吸をしてから助走を開始しました。♠●〈興奮の色>部屋に駆け込んできた先生の顔には、ありありと興奮の色がうかんでいました。 <356> **こうふん【興奮】** ●へ興奮のるつぼ〉日本の選手がトップでゲートをくぐると、国立競技場は興奮のるつぼと化[か]した。♠◆<興奮する>明日から合宿だと思うと、興奮してなかなか眠れなかった。 **こうふん(口吻)** ○ものの言い方。口ぷり。[文例]女は、夫の秘密については何も知らないような口吻だった。♠●へ口吻を洩[も]らす〉(………………)兄は何かやれる能力があるのに、ぶらぶらしているのはつまらん人間に限るといった風[ふう]の口吻を洩らした。(夏目漱石「こころ」) **こうべ(首・頭)** ○あたま。くび。[文例]ヘこうべを上げる〉下を向いていた男は、役人の声に初めてこうべを上げた。♠〈こうべを巡[めぐ]らす〉人の気配にこうべを巡らしたが、辺りにはだれもいない。♠●ヘこうべを垂[た]れる〉生徒たちは情けなさそうにこうべを垂れ、先生の叱責[しっせき]の言葉を聞いていた。♠●〈実るほどこうべを垂れる稲穂[いなほ]かな〉「実るほどこうべを垂れる稲穂かな」という言葉は、人間のおごりを戒[いまし]めるときに使われる。♠◆へ正直のこうべに神宿る〉正直にしていればいいこともあるさ。ほら、「正直のこうべに神宿る」というだろう。 **こうへい【公平】** ○公正で、かたよりがないこと。[文例]〈公平な目>先生はどんなときでも、生徒たちに公平な目をもって接しています。♠◆〈公平な判断〉わたくしども住民側の意見も十分に検討いただきまして、公平な判断をお願いしたいと思います。♠●〈公平に分ける〉王様は三人の王女たちに、財産を公平に分けた。♠●〈公平に考える〉公平に考えると、あなたの言っていることのほうが間違[まちが]っているように思う。♠●〈公平を欠[か]く〉二人には同じだけチャンスを与えてやらないと、公平を欠くことになるよ。♠公平無私>常に公平無私な態度を崩[くず]さない彼を、わたしは心から尊敬しています。 **こうべん【抗弁】** ○相手の主張に対抗して、意見を言い立てること。[文例]〈抗弁する〉自分が正しいと思ったら、相手の言いなりにならないで、強く抗弁することも必要だぞ。♠〈抗弁する>自分が悪いとは思わなかったが、強い口調で叱責する教師に抗弁する勇気はなかった。 **こうほ【候補】** ○ある地位を望むか、またはその地位に推されていること。また、その人。ある地位を得る可能性をもつこと。また、その人。[文例]〈候補にあがる〉ぼくたちの学校も候補にあがったらしいが、最終的に選に洩[も]れたのは残念だった。♠へ候補に立つ〉候補に立った人たちの中から、正副二名の委員長が選挙される。♠●へ候補者〉市長選は、二名の候補者による激戦[げきせん]が予想される。 **こうぼ【公募】** ○一般から募集すること。[文例]〈公募する〉パンダの赤ちゃんの名前を公募したところ、日本全国からたくさんの応募があった。♠へ公募で採用する〉わが社では、新入社員は公募で採用し、縁故[えんこ]採用はしません。 **こうほう【後方】** ○後ろの方。→前方[文例]〈列の後方>堤防[ていぼう]沿いの道を高校生の一団が歩いているが、列の後方には兄らしい姿も見える。♠へ後方から迫[せま]る〉後方から迫る敵を、味方の軍は谷間に誘[さそ]いこもうとしていた。♠●〈後方に退[しりぞ]く〉わたくしももう年ですから、トップの座を譲って後方に退くつもりでいます。 **こうぼう【興亡】** ○興[おこ]ることと滅[ほろ]びること。[文例]〈民族の興亡〉広大なこのイラン高原にも、数多くの民族の興亡の歴史がある。♠●へ一族の興亡>今度の戦[いくさ]で一族の興亡が決まると言ってよい。♠●〈平氏[へいけ]の興亡>『平家物語』には約五十年に渡る平氏の興亡が描[えが]かれている。♠◆◇国家の興亡〉この大河は、この地における数多くの国家の興亡を見つめてきたに違[ちが]いない。 **こうぼう(光芒)** ○光のほさき。光のすじ。[文例]〈光芒をひく>夜道を歩いていると、夜空に一条の光芒をひいて流れ星が流れた。♠へ光芒を放つ〉同時代の作家群にあって、彼はひときわ強い光芒を放っている。 **こうぼう【攻防】** ○攻めることと守り防ぐこと。[文例]〈攻防を繰り広げる〉一つの議席をめぐり、二人の候補者によって激[はげ]しい攻防が繰り広げられた。♠●〈攻防戦〉試合終了まであと五分、両チームとも必死の攻防戦を展開している。 **ごうほう【豪放】** ○気持ちが大きくて、小事にこだわらないさま。[文例]〈豪放な性格>彼は生来[せい]豪放な性格で、小さなことにこだわるということがない。♠〈豪放磊落[らいらく]〉豪放磊落な彼は、リーダーとして頼[たよ]りにされている。 **ごうほう【号砲】** ○合図に撃ち鳴らす銃砲。[文例]〈号砲を鳴らす〉出陣[しゅつじん]の号砲が鳴らされると、兵士たちは銃をかまえて行進を始めた。♠◆<号砲一発>号砲一発、選手たちは一斉[いっせい]にスタートを切りました。 **こうまい(高邁)** ○気高く、すぐれているさま。[文例]〈高まいな理想〉高まいな理想に燃えるのはすばらしいことだが、現実を直視できないんじゃなんにもならない。♠人高まいな精神〉人間と生まれたからには、高まいな精神をもちつづけたいものだ。 **こうまん【高慢】** ○思い上がって、人を見くだすさま。[文例]〈高慢な態度〉人を見下すような高慢な態度には全く腹が立つ。♠●〈高慢にふるまう〉たしかに優秀だが、高慢にふるまうところがあるから、きみには人望がない。♠へ高慢ちき〉なんて高慢ちきな小僧なんだ。 **ごうまん(傲慢)** ○おごり高ぶって、人をあなどるさま。[文例]〈ごう慢な態度〉あいつの人を人とも思わぬごう慢な態度には、まったく腹が立つ。♠●ごう慢な女〉彼女は若く美しかったが、しかし、ごう慢であったがために人に愛されたことがなかった。♠◆ヘごう慢にふるまう〉思い上がってごう慢にふるまっていた彼の末路はあわれなものだったそうだ。♠●へごう慢な男〉ごう慢なこの男は、自信たっぷりで、譲[ゆず]そんというものを知らない。♠●ごう慢をいさめる〉王のまわりには、彼のごう慢をいさめる人間はだれもいなかった。♠◆「自分一人の力で生きている」と思うのは、ごう慢だよ。多くの人たちに助けられていることに気づかないの? **こうみょう【巧妙】** ○非常に巧みなさま。[文例]巧妙に身を守る>武器を持たないこの虫は、敵から巧妙に身を守る方法を知っている。♠●へ巧妙に人を陥[おとしい]れる〉詐欺師[さぎし]は弁護士になりすまし、巧妙に人を陥れていった。 <357> **こうみょう【巧妙】** ●へ巧妙にふるまう〉あの子は、先輩の前とぼくたちの前とでは巧妙に態度を変えてふるまう。♠●へ巧妙にできる〉この作品は、中学生の作とは思えないほど巧妙にできている。♠●へ巧妙な仕掛け〉猟師[りょうし]が作ったわなには、ちょっと見ただけではわからない巧妙な仕掛けがしてある。♠●へ巧妙な手口〉今度ばかりは、彼の巧妙な手口にひっかからずにすんだ。♠●へ巧妙な作戦〉予選では隠[かく]していた巧妙な作戦が功を奏[そう]し、ぼくたちは優勝を手にしました。 **こうみょう【功名】** ○手柄と名誉。手柄をたて名誉を得ること。[文例]〈功名を立てる〉戦[いくさ]で功名を立て、領地を得た。♠●〈けがの功名〉きみが道を間違えたおかげで大事故に巻きこまれずに済んだのだから、けがの功名と感謝してるよ。♠●〈抜け駆けの功名〉みんなのマドンナを、自分だけデートにさそうような抜け駆けの功名は許さないぞ。♠●〈功名心>彼は医者としての功名心を捨てて、苦しむ人々のために働いた。 **こうみょう【光明】** ○明るい光。希望。[文例]〈光明を見いだす〉病気が手術で治るかもしれないと言われ、前途に光明を見いだす思いだった。♠●〈光明がさす〉彼女との出会いによって、荒[あ]れすさんだぼくの心にも一条の光明がさしてきた。 **こうみょう【高名】** ↓こうめい **こうむる【被る】(蒙る)** ○身に受ける。いただく。たまわる。[文例]〈被害をこうむる〉先日の地震[じしん]で、この村は大きな被害をこうむりました。♠●〈迷惑[めいわく]をこうむる〉きみがいい加減な約束[やくそく]をするものだから、ずいぶん迷惑をこうむったよ。♠●〈損害をこうむる〉東北地方は今年も冷夏で稲の実りが悪く、農家は大損害をこうむった。♠◆ヘ恩恵[おんけい]をこうむる〉子会社が新製品を開発して大成功を収めてからは、親会社もずいぶんその恩恵をこうむっています。♠●〈愛顧[あいこ]をこうむる〉長い間わが社の製品に対してご愛顧をこうむりましてありがとうございます。♠●〈御免[ごめん]こうむる〉あれだけ悪口を言われたんだ、今さら何を頼[たの]まれたって御免こうむるからね。 **こうめい【高名】** ○名高いこと。有名。こうみょう。[文例]〈高名な学者〉学問を好む気風のあるこの地からは、高名な学者が輩出[はいしゆつ]している。♠●先生のご高名は、かねがね承[うけたまわ]っております。 **こうめいせいだい【公明正大】** ○やましいところがなく、正しいさま。[文例]〈公明正大な対処〉政治家の不正に対しても、公明正大な対処が望まれる。♠へ公明正大に行う>選挙は公明正大に行われなければならないのに、選挙違反で検挙される人が跡[あと]を絶[た]ちません。 **ごうも(毫も)** ○少しも。いささかも。[文例]わたしは、彼の愛情をごうも疑ったことはありません。♠●このことに関しては、わたしにはごうも恥[は]じることはないと断言できる。 **こうもく【項目】** ○ある基準で区分した内容の一つ一つ。箇条。辞典などの見出し。[文例]〈事・辞典の項目>百科事典などから法隆寺[ほうりゆうじ]に関する項目を探し、抜き書きしなさい。♠●〈項目の分け方〉♠〈項目に分ける〉レポートの書き方で大事なのは、題材の並べ方や項目の分け方を工夫することです。♠◆<項目別>集めた資料を項目別に整理して、後で調べやすいようにしておいてください。 **ごうもん【拷問】** ○罪を犯した疑いのある者を白状させるために、肉体的な苦痛を与えること。[文例]〈拷問にかける〉悪人たちは彼を拷問にかけて、秘密を聞きだそうとした。♠●〈拷問を受ける〉どんなに残酷[ざんこく]な拷問を受けても、男は決して口を割[わ]ろうとしなかった。♠●〈拷問にあう〉独裁に反対する政治犯の中には、ひどい拷問にあった人たちも多いと聞く。 **こうや【広野】(曠野)** ○広い野原。[文例]大陸横断鉄道は、起伏[きふく]の少ない広野をひた走りに走った。♠●この川を一キロほど上ると、見渡すかぎり花々でおおわれた広野に出ます。 **こうや【荒野】** ○荒れはてた野原。荒れ野。[文例]わたしの祖父は、大陸へ渡り、荒野にくわを下ろした開拓農民でした。♠◆<無人の荒野>♠<荒野をさまよう〉大都会の孤独[こどく]には、独り無人の荒野をさまようがごとき感がある。♠へ荒野と化す〉この一帯は荒野と化していますが、かつては王朝の栄えた都市だったのです。 **こうや【紺屋】** ○染め物屋。[文例]〈紺屋の白ばかま>親は教師だけれど、紺屋の白ばかまで、ぼくの勉強なんかなんにも見てくれない。♠◆<紺屋のあさって〉注文の品は明日お届けしますと言っていたけど、あの店は「紺屋のあさって」だから、いつ届くかわかりはしないな。 **こうやく【公約】** ○公衆に約束すること。また、その約束。[文例]〈公約する〉♠〈公約違反〉選挙の前に減税を公約しておきながら守らないなんて、公約違反だ。♠●〈公約を守る>当選した議員は、公約を守ってもらわなければ困ります。 **こうゆう【交友】** ○友人として付き合うこと。また、その友人。[文例]〈交友がある〉彼は、わたしの叔父[おじ]とも交友があった。♠●へ交友関係>彼との交友関係は大切にしたいと思う。 **こうゆう【交遊】** ○人と親しく付き合うこと。交際。[文例]〈交遊する>若いうちは、友達を限定せず広く交遊するほうがよい。♠●〈交遊が広い〉きみは、とても交遊が広いね。 **こうよう【効用】** ○効き目。効能。使いみち。用途。[文例]<製品の効用>新製品の効用と使用方法については、説明書に詳しく書いてある。♠●へ効用がある・ない〉肌[はだ]をきれいにする効用があるという製品を使ってみたが、実際には何の効用もなかった。♠●へ効用が多い〉ナイフ、栓[せん]抜きなど効用の多いこの道具は、旅先などではとても便利です。 **こうよう【紅葉】** ○秋に葉が赤く色づくこと。また、その葉。もみじ。[文例]ホテルの窓からは、美しい紅葉に彩[いろど]られた山々が見えた。♠●〈紅葉する>秋冷に追いかけられるように、落葉樹たちは、北から南へ高地から里へと紅葉してゆく。 **こうよう【孝養】** ○親を養い孝行すること。[文例]医者になることこそ父上のご遺志を継[つ]ぐりっぱな孝養ではないか。♠●〈孝養を尽くす>青年は、母親に孝養を尽くした後、再びアメリカへ渡りました。♠●へ孝養する>若い時にさんざん心配をかけたが、いざ孝養しようと思った時には、両親とも亡くなっていた。 <358> **こうよう【高揚】(昂揚)** ○気持ちが高まること。気持ちを高めること。[文例]〈士気の高揚〉彼の経験談は、隊員たちの士気の高揚に十分役立った。♠●へ戦意の高揚〉監督がいかに戦意の高揚をはかろうとも、選手にその気がない以上、どうすることもできなかった。♠●へ高揚する>朝から鳴り響く花火の音に、町じゅうが高揚し、祭り気分一色となった。 **ごうよく【強欲】** ○非常に欲が深いさま。[文例]〈強欲な金貸し>彼が金を借りたのは、強欲な金貸しシャイロックだった。♠◆<強欲な男>親に貸した金まで利子を取るとは、ほんとうに強欲な男だ。♠●強欲ばばあだ、何だと言われても、わしの金だけはだれにもやんねえ。 **こうら【甲羅】** ○カメやカニなどの体の外側を覆う固い殻。[文例]〈かたい甲羅〉かめの体は、かたい甲羅でおおわれている。♠〈甲羅を経る〉おじいちゃんも、甲羅を経ただけあって、ここぞという時には、なかなかいいことを言うもんだ。♠●へかには甲羅に似せて穴を掘る〉かには甲羅に似せて穴を掘る、人それぞれが力に応じて暮らしてゆく。♠●ヘ甲羅干し>浜辺には甲羅干しに余念のない若者が並んで、足の踏み場もなかった。 **こうらく【行楽】** ○外出や旅行をして楽しむこと。[文例]〈行楽のシーズン〉いつもはひっそりとしたこの湖も、行楽のシーズンになると大勢の人でにぎわいます。♠●へ行楽に出かける〉秋晴れの気持ちのいい日曜日、家族そろって近くの山へ行楽に出かけました。♠へ行楽地〉♠〈行楽客>連休は、どこの行楽地も行楽客でにぎわった。 **こうり【小売り】** ○仕入れた商品を一般の客に売ること。[文例]〈小売りをする〉あの店は問屋だから、普通の人が直接行っても小売りはしてもらえないよ。♠●〈小売りの価格〉様々な流通の過程を経るので、商品の小売りの価格は、普通、原価の何倍にもなる。♠●〈小売り店〉うちは、日用雑貨の小売り店をやっています。 **ごうりか【合理化】** ○理にかなってむだのない状態にすること。[文例]〈企業の合理化>企業の合理化により、労働者が職を失うケースも増えている。♠●〈経営の合理化〉♠〈合理化を図る〉当社では、コンピュータを導入し、経営の合理化を図っています。♠●〈家事の合理化〉♠〈合理化が進む>電気器具などの普及によって、家事の合理化が進んだ。♠●へ合理化する>練習を合理化するには、部員一人一人が効果を考えなければいけない。 **こうりつ【効率】** ○仕事や働きの能率。労力やエネルギーとその成果・仕事量の割合。[文例]へ効率がよい〉この機械は、今まで使っていたものよりずっと効率がよい。♠●へ仕事の効率〉♠〈効率を上げる〉もっと仕事の効率を上げるいい方法はないだろうか。 **こうりてき【功利的】** ○利益を第一として追求するさま。[文例]〈功利的なもくろみ〉好意でやったことを、功利的なもくろみからと思われるのは心外だ。♠●へ功利的な人>彼は功利的な男で、得にならないことは一切やらない主義だ。 **ごうりてき【合理的】** ○理にかなってむだがないさま。[文例]〈合理的な方法〉家事をもっと簡単に片付ける、合理的な方法はないだろうか。♠●へ合理的な考え〉合理的な考えとは、理論的に正しく、むりやむだのないことをいう。♠〈合理的に考える〉彼女は、物事を何でも合理的に考えるところがある。♠◆日本の農業も機械化が進み、だいぶ合理的になってきた。♠◆動物の保護色は、敵から身を守る方法としてたいへん合理的です。 **こうりゃく【攻略】** ○攻めて奪い取ること。[文例]〈攻略する〉敵の城を攻略するために、綿密な作戦が練られた。♠<攻略する>手をかえ品をかえて攻略しようとしたが、とうとう彼女にうんと言わせることができなかった。 **こうりゅう【交流】** ○互いに行き来して交わること。電流の流れ方の一つ。[文例]〈文化の交流>日本と大陸との文化の交流は、朝鮮[ちょうせん]半島を通じて、古くからなされていた。♠●東西の交流>今から二千年以上も前から、シルクロードを中心に、東西の交流は盛んに行われていました。♠◆〈愛の交流>映画は少年と動物の愛の交流を、たくみに描[えが]き出しています。♠●〈人事の交流>市役所の職員がデパートに研修に行って売り場に立つなど、民間と官公庁の人事の交流も盛んになった。♠交流がある・ない〉彼とは年賀状のやりとりはしているけど、それ以上の交流はないんだ。♠へ交流を図る〉二つの国が、スポーツを通じて交流を図ろうとしていた。♠●〈交流を深める〉会員の交流を深めるためにパーティーを開くことになった。♠◆〈交流試合〉大学の先生のチームと外国からの留学生チームの野球の交流試合が行われた。♠●〈直流と交流>常に一定の方向に流れる電流を直流、一定の周期で流れの向きを変える電流を交流という。 **こうりゅう【興隆】** ○物事がおこり、盛んになること。[文例]〈一門の興隆>♠<興隆から没落>『平家物語」には、平家一門の興隆から没落[ぼつらく]滅亡の道をたどる劇的な運命が、源平の合戦とからませて書かれています。♠〈文化の興隆〉ルネサンス運動は、ヨーロッパ全土における文化の興隆を促[うなが]した。♠〈興隆する>江戸時代は、町人の文化が興隆した時代です。 **ごうりゅう【合流】** ○流れが合わさって、一つになること。分かれていたものが一つにまとまること。[文例]〈川が合流する〉衣川[ころもがわよ、いずみこじよう]は、和泉が城を巡って、高館[たかだち]の下で北上の大河に合流する。♠●へ隊に合流する>途中[とちゆう]でデモ隊に合流して、大会会場まで行進した。♠●へ軍勢が合流する〉二手[ふたて]に分かれた軍勢は、敵陣[てきじん]近くで再び合流した。♠●へ駅で合流する〉みんなとは、東京駅で合流することになっているんです。 **こうりょ【考慮】** ○よく考えること。[文例]〈考慮に入れる〉冬山登山を計画するには、そのころの天候も考慮に入れなくてはならない。♠〈考慮に値する〉この提案は、十分考慮に値するものだとわたしは思います。♠●〈考慮を要する>退部者の再入部については、今少し考慮を要するのではないだろうか。♠●へ考慮が足りない>子供たちに対する考慮が足りなかったから、今回のような結果になったのだ。♠考慮の余地>今回の決定については不満の声も多く、まだまだ考慮の余地がありそうだ。 <359> **こうりょ【考慮】** ●〈考慮する〉プミ処理場を建設するにあたっては、付近の住民の生活にどんな影響を与えるかを真っ先に考慮すべきです。 **こうりょう【荒涼】(荒寥)** ○荒れ果てて寂しいさま。[文例]<荒涼とした>冬の海辺には、荒涼とした光景が広がっていた。♠◆<荒涼たる原野〉北海道に渡った人々は、荒涼たる原野を耕[たがや]し、田畑を広げていった。 **こうりょう【綱領】** ○物事のおおもとになる要点。党派の基本的な方針。[文例]〈政党の綱領〉各政党はまずそれぞれの綱領を決定し、それに従って活動します。 **こうりょう【考量】** ○他の物事と考え合わせて判断すること。[文例]〈考量する〉このような問題で利害、損得を考量するのはさびしいことだ。♠●〈比較考量する〉これらの案については、じっくり比較考量したうえで結論を出していただきたい。 **こうりょく【効力】** ○効果を発揮する力。効き目。[文例]〈効力がある〉彼女の機嫌を直すのに効力があったのは、小さな子供たちの元気な姿でした。♠●へ効力を失う〉戦争が始まると、二国間の条約は全く効力を失ってしまった。♠●へ効力を発する〉本日の会議で決定された規約は、ただちに効力を発します。 **こうれい【高齢】** ○年齢が高いこと。老齢。年寄り。[文例]祖父は高齢ですが、若い人たちと行動を共に[こ]するのを好みます。♠●へ高齢に達する〉彼は九十歳の高齢に達しても、なお創作の筆を休めなかった。 **こうれい【恒例】** ○行事・儀式がいつも決まって行われること。[文例]〈恒例になる〉ぼくたちの学校では、七月に体育祭を行うのが恒例になっている。♠へ恒例の祭り>八月十三日には、恒例の夏祭りが行われます。♠●〈恒例による〉では、式に先立ちまして、恒例により一言ごあいさつ申しあげます。 **ごうれい【号令】** ○大勢に指図するために大声で言う言葉。指図や命令をすること。[文例]〈号令をかける〉リーダーが号令をかけると、選手たちはさっと整列しました。♠◆<号令する〉太閤秀吉[たいこうひでよし]は天下に号令して、全国のが狩り[さ]を行った。 **こうろう【功労】** ○手柄と、そのための骨折り。[文例]〈功労がある〉町の発展に功労のあった人たちが、文化の日に表彰されることになった。♠●へ功労をたたえる〉町内会長の功労をたたえて感謝状をおくります。♠●〈功労者〉あのかたは、この学校の発展に尽くした功労者の一人です。 **こうろん【口論】** ○口げんか。言い争い。[文例]〈口論になる〉友達と冗談[じょうだん]を言い合っているうちに、ふとした言葉がきっかけで、激[はげ]しい口論になってしまった。♠◆ヘ口論が絶えない>兄と姉は性格が合わず、毎日、けんか口論が絶えない。♠◆<口論する〉二人とも感情的に口論していないで、頭を冷[ひ]やしたらどうだい。 **こうわ【講和】(媾和)** ○仲直りすること。交戦国が戦争をやめ、仲直りすること。[文例]〈講和を申し入れる>長い間敵対関係にあった隣国[となり]が講和を申し入れてきた。♠●〈全面講和>世界中を巻き込んだ中東戦争も下火[したび]になったが、全面講和にはまだしばらくかかるだろう。♠●〈講和条約>長い戦争が終わって、ようやく二つの国は講和条約を結んだ。 **こうわん【港湾】** ○港。港となる入り海。[文例]〈港湾を埋め立てる>港湾の一部を埋め立て、工場用地として利用する。♠●〈港湾の設備〉この町の町長は代々、海運業の発展に力を注ぎ、港湾の設備を整えてきました。 **こえ【声】** ○人や動物が口から出す音声。音。響き。言葉。意見。[文例]〈声が聞こえる〉二階の自分の部屋にいても、父の声はよく聞こえました。♠●〈声が通る〉彼女の声はよく通るので、案内係には最適です。♠●へ声が届く〉その時子供たちは、お母さんの声の届かない所にいたのです。♠●へ声をたてる〉声をたてないでね、やっと今赤ちゃんが寝ついたところだから。♠へ虫の声〉♠〈声がする〉不思議だね、マンションの三階の部屋だっていうのに、どこからか虫の声がするよ。♠●へ声が遠い>電話の声が遠くてよく聞きとれません。♠〈声をかぎりに>遠ざかる父の後ろ姿に向かって、妹は声をかぎりに叫[さけ]んだ。♠◆く声をかける〉出かけるときには、ちょっと隣に声をかけましょう。♠◆ヘ声をからす〉候補者は、車の上から、声をからして通行人に呼びかけている。♠へ声も出ない〉あまりのショックにわたしは声も出なかった。♠●〈声をひそめる>足音がしたので、二人は思わず声をひそめました。♠●へ声をはずませる〉今度の日曜に先輩[せんぱい]がやって来ることを聞いて、高木さんは声をはずませていた。♠◆ヘ声に出す〉詩は、声に出して、調子をとりながら読むとよい。♠◆〈声をあげる〉部屋にとびこんできたカマキリに、思わず声をあげてしまった。♠へ声を発する〉会場のあちこちから「賛成、賛成!」と声を発する者がいる。♠●〈声を荒[あら]らげる〉「そんなばかなことをしたのか!」と、父は声を荒らげた。♠◆<明るい声〉♠〈声が響[ひび]く〉隣家から、夕食後の一家だんらんの明るい声が響いてきます。♠●へあまい声〉あまい声で話しかけられると、男はすっかり鼻の下をのばしてしまった。♠●〈黄色い声〉歌手が姿を見せると、コンサート会場は女の子の黄色い声に包まれた。♠●へ蚊の鳴くような声〉あのうるさい子が、好きな人の前では、蚊の鳴くような声を出すから、驚[おどろ]いてしまう。♠●へ大きな声では言えないが〉大きな声では言えないが、あの人はそうとう悪いことをしているらしいよ。♠〈非難の声><声が高い〉今回の政策に関しては、政府に対する非難の声が高かった。♠◆◇民衆の声>目安箱[めやすばこ]は民衆の声を聞こうと、徳川吉宗[とくがわよしむね]の時代に設けられた投書箱[とうしょぱこ]だ。♠<師走[しわす]の声>師走の声を聞くと何となくあわただしく、正月はあっという間という感じがします。♠◆ヘ声を大にする〉自分の道は自分で切り開け、と、ぼくは声を大にして叫びたい。 **ごえい【護衛】** ○付き添って、身の安全を守ること。また、その人。[文例]〈護衛をつける〉警察は、テロリストにねらわれた実業家に護衛をつけた。♠●へ護衛する〉大統領を護衛するために数人の屈強[くつきょう]な男たちが選ばれた。 **ごえつどうしゅう【呉越同舟】** ○(中国の故事から)仲の悪い同士が一緒にいること。[文例]与党と野党の政治討論会をテレビで見ましたが、呉越同舟のわりには、和気あいあいとしたムードでした。 <360> **こえる【越える・超える】** ○上を通り過ぎる。経過する。上回る。突破する。超越する。[文例]〈山を越える〉あの山を越えれば目的のN市まではあとわずかだ。♠●〈国境を越える>隣国の軍隊が国境を越えたという情報が入ってきた。♠●へ海を越える>彼の主張は、海を越えて広く海外にまで同調者をうみだした。♠●六十の坂を越える〉元気そうに見えますが、父はあれで六十の坂をとっくに越えているのです。♠●〈峠[とうげ]を越える〉呼吸も落ちついてきたし、どうやら患者[かんじゃ]の危篤[きとく]状態も峠を越えたようです。♠●ヘニメートルを超える>走り高跳びの決勝が始まってすでに一時間、バーの高さは二メートルを超えています。♠●〈百人を超える>飛行機の墜落[ついらく]事故による死者の数は百人を超えた。♠〈年を越える〉約束[やくそく]は年内ということだったが、原稿ができあがったのは、年を越えた一月も末だった。♠◆く時の流れを越える〉よいものは、長い時の流れを越えて、わたしたちの心に伝わってくる。♠●〈常識を超える〉芸術の世界では、常識を超えた斬新[ざんしん]な発想が必要です。♠●〈限度を超える〉その容器にかかる圧力が限度を超えると、こなごなに砕[くだ]けてしまった。♠●へ権限を越える〉きみが部の用具を処分するなんて、それは権限を越えた行為じゃないのか。♠●〈立場を越える〉公平な彼の意見は、賛成、反対の立場を越えて、多くの人の共感をよんだ。 **こえる【肥える】** ○体が太る。土地が豊かになる。物事を感覚し、識別する力がつく。[文例]〈牛が肥える〉温暖な気候も手伝って、草原の肉牛は、どれもよく肥えている。♠土地が肥える〉この地方は雨量が多いだけでなく、土地も肥えていて、農業に適しています。♠●へ耳が肥える〉彼はオーケストラのちょっとした失敗も聞き分けられるほど、耳が肥えている。♠◆◇目が肥える〉目の肥えた鑑定家[かんていか]は、どんな精巧[せいこうい]な偽物[にせもの]にもだまされることはない。♠●へ舌が肥える〉いつもおいしいものを食べているだけあって、さすがに彼女の舌は肥えているね。♠◆◇天高く馬肥える秋〉今日はぬけるような青空だね、天高く馬肥える秋とはこのことかな。 **こおう【呼応】** ○呼びかけと答え。互いに呼びかわすこと。示し合わせること。一定のきまりでかかわり合うこと。[文例]〈呼応する〉木曾義仲[きそよしなか]は頼朝[よりとも]と呼応し、平家に対して兵を挙げた。♠●へ呼応する〉カエルは、一匹が鳴き始めると、次々と呼応して大合唱となる。♠●〈呼応する〉文章全体の流れという点から、結びの言葉は書き出しと呼応して用いたいものだ。 **コース** ○道すじ。通路。走路。進路。過程。課程。[文例]〈コースをたどる〉♠〈コースをはずれる>遭難者[そうなんしゃ]のたどったコースは、決められたコースを大きくはずれていた。♠ヘコースをそれる〉計器の故障のため、飛行機は、通常のコースをそれて飛んでいた。♠命へおきまりのコース>夕食後おじいさんは、いつもおきまりのコースを散歩にでかけます。♠◆ヘエリートコース〉なんとかエリートコースに乗ろうと、彼は必死だった。♠〈該当[がいとう]のコースを左に○印をつけなさい〉♠◆ヘゴルフのコース〉♠◆<モデル・コース〉♠◆ヘコース・アウト>♠◆ヘイン・コース> **コート** ○上着。外套。[文例]〈コートを脱ぐ〉春になると、皆厚いコートを脱ぎ、身も心も軽やかに道を行きます。♠●ヘオーバーコート>寒くなってきたな、そろそろオーバーコートを出しておいてくれ。♠●ヘレーンコート〉外はひどい降りだから、レーンコートを着て行きなさい。 **こおどり【小躍り】** ○うれしさのあまり躍り上がること。[文例]〈小躍りする〉天体望遠鏡を買ったから見に来ないか、という友達の誘[さそ]いに、ぼくは小躍りして出かけた。♠●〈小躍りする〉父がかわいい子犬を連れて帰ると、弟は小躍りして喜んだ。 **コーナー** ○隅。角。一区画。放送時間などの中の一区切り。[文例]<部屋のコーナー〉この家具は、部屋のコーナーにぴったりと納[おさ]まる形に作られているので便利だ。♠◆ヘコーナーを回る>先頭の走者は、第四コーナーを回って最後の直線に出ました。♠◆ヘコーナーをつく〉今日の先発投手は、左右のコーナーを巧みについた素晴らしい投球でチームを勝利に導[みちび]いた。♠◆ヘギフトコーナー>お中元の品は、あちらのギフトコーナーで扱っております。♠◆次のコーナーでは、皆さんから寄せられた恐怖体験のはがきを読みます。 **こおり【氷】** ○水が氷点下で固体になったもの。氷水。[文例]〈氷が張る>ほら見てごらん、こんな水たまりにも氷が張っているよ。♠氷が解[と]ける〉電話をしている間にグラスの氷がすっかり解けてしまった。♠〈氷をかく>母は台所で氷をかいて、氷まくらを作ってくれました。♠〈氷で冷やす〉小川選手は、はれあがった右足を氷で冷やしていた。♠氷のように冷たい>母親は氷のように冷たくなった息子の手足を、いつまでも抱きしめていました。♠●〈氷のような目〉戦線で出会った兵士たちは、氷のような冷たい目をしていた。 **こおりつく【凍り付く】** ○凍って付く。凍って固くなる。凍結する。[文例]〈湖が凍りつく〉湖が凍りついて、春まではボートを出せません。♠●へ物が凍りつく〉急に冷えこんだ朝、水たまりに子供たちが忘れていったボールが凍りついていた。♠●へ血が凍りつく〉もし事故を起こしたのが自分の車だったらと考えると、わたしは全身の血が凍りつきそうになった。 **こおる【凍る】** ○氷になる。[文例]〈水が凍る>朝起きて庭に出てみると、バケツの水が凍っていた。♠へ雪が凍る〉明け方の寒さで、積もっていた雪が凍り、表面はカチカチに固くなりました。♠●〈湖が凍る〉十一月になると湖が凍ってしまうので、鳥たちはそれまでに南に向かって旅立っていく。♠●〈水道管が凍る>布か何かを巻いておかないと、この寒さでは水道管が凍ってしまうよ。♠●へ身も凍るような寒さ〉愛下二十度というと、四国育ちのぼくたちには想像もつかない、身も凍るような寒さです。♠◆へ血が凍る〉その光景を見た[と]たん、恐怖[きようふ]で血も凍る思いがした。 **ゴール** ○決勝点。目標点。[文例]〈ゴールを目指す〉スタートの合図と同時に、選手たちは猛烈[もろれつ]な勢いでゴールを目指した。♠●ヘゴールが決まる〉サッカーは点のはいりにくい競技で、時間切れ間際にやっとゴールが決まる試合も少なくない。♠◆ヘゴールイン〉付き合いの長かった二人も、この春ゴールインだそうです。 <361> **ごかい【誤解】** ○まちがって理解すること。誤った解釈。[文例]〈誤解する〉黙っていたら、みんなはぼくが同意したものと誤解したらしい。♠◆く誤解する〉きみたちは、自由というものを誤解している。♠◆◇誤解がある〉今まで仲たがいしていたのは、きみとぼくの間におたがいに誤解があったせいだ。♠●へ誤解を招く〉はっきりしない態度は誤解を招くだけだよ。♠ぽくがうそをついたなんて、それは誤解だよ。♠◆<誤解を解[と]く>彼に対するみんなの誤解は、なかなか解けなかった。 **ごかく【互角】** ○互いの力に差がなく、伯仲[はくちゅう]していること。[文例]〈互角の勝負〉大関[おおぜき]と横綱[よこプな]の一番は、まったく互角の勝負だった。♠●へ形勢が互角〉すぐ終わるつもりで指し始めた将棋[しょうぎ]だが、形勢互角でなかなか勝負がつかない。♠●へ互角に戦う〉体の大きかったわたしは三年生と互角に戦うことができたのである。♠●へ互角に渡り合う〉五段の主将と互角に渡り合うとは、たいしたもんだ。♠●へ実力が互角〉二人とも英語の実力は互角で、甲乙[こうおつ]つけがたい。 **こかげ【木陰】(木蔭)** ○木のかげ。[文例]卒業式の日、わたしたちは校庭の桜の木陰に集まって別れを惜しんだ。♠涼しい木陰〉暑いなあ、涼しい木陰で一休みしようよ。 **こがす【焦がす】** ○焼いて炭化する。心を悩ます。[文例]〈じゅうたんを焦がす〉この間たばこの火でじゅうたんを焦がしてしまってね。♠●〈魚を焦がす〉火をつけっぱなしなのを忘れて、魚を真っ黒に焦がしてしまった。♠●天を焦がす〉ガスタンクからまい立つ炎[ほのお]は、天をも焦がす勢いだった。♠天地を焦がす>老人の話だと、その時の山火事は天地を焦がすほどだったそうです。♠●〈胸を焦がす>青年への熱い思いが少女の胸を焦がしました。 **こがた【小形・小型】** ○形・型が小さいこと・物。小さな形・型。[文例]〈小形の鳥〉庭の池にときどきスズメくらいの小形の鳥が水を飲みにやってくる。♠●ヘ小型の車〉運転免許取りたての姉は、小型の車を買って乗り回している。♠●〈小型のトランク〉これでは大きすぎるので、もう少し小型のトランクを見せてください。♠●〈小型な書物>津田は薄[うす]い小型な書物を一つ一つ取り上げて、さらさら頁[ページ]を翻[ひるが]えして見たぎりで、再びそれを枕元[まくらもと]へ置いた。(夏目漱石「明暗」) **こかつ【枯渇】(涸渇)** ○水分がかれてなくなること。干上がること。尽き果てること。[文例]〈水が枯渇する〉日照りが続いてため池の水も枯渇し、作物の被害は次第に大きくなっていった。♠ヘ才能が枯渇する〉一時は大いにもてはやされた作家だったが、才能が枯渇したのか、最近はぱったり作品を発表しなくなった。 **こがね【小金】** ○ある程度まとまったお金。[文例]〈小金をためる〉しっかり者のおばあちゃんは、こっそり小金をためこんでいた。 **こがね【黄金】** ○きん。おうごん。[文例]おじいさんが畑を耕[たがや]していると、黄金のつまったつぼが出てきました。♠●〈黄金の稲穂[いなほ]〉小高い丘に登って見ると、秋風に黄金の稲穂が波打っていた。♠<黄金作[こがねづく]り〉その武将は、美しい衣服にりっぱな鎧兜[よろいかぶと]を着け、黄金作りの太刀[たち]を腰[こし]に着けていた。 **こがら【小柄】** ○模様や柄が小さいさま。体が小さいさま。[文例]〈小柄な人〉公園のベンチに、小柄な老人がちょこんと座っています。♠●〈小柄な模様〉小柄な花模様のワンピースがゆみこにはとてもよく似合っていた。 **こがらし【木枯らし】(風)** ○(「木を枯らす風」の意)晩秋から冬にかけて吹く、強くて冷たい風。[文例]〈木枯らしが吹く〉冷たい木枯らしが吹いて、枝先に残っていた枯れ葉も散りつくしてしまいました。♠●く吹きすさぶ木枯らし〉吹きすさぶ木枯らしの中で、子犬が寒そうに震[ふる]えていた。♠●海に出て木枯帰るところなし(山口誓子[やまぐちせいし])♠●木がらしや目刺[めざし]にのこる海のいろ(芥川龍之介[あくたがわりゆうのすけ]) **こがれる【焦がれる】** ○強く望んで思い悩む。恋い慕って悩む。[文例]〈人に焦がれる〉彼女は、死ぬほど焦がれた男性と結婚でき、幸せそうでした。♠〈恋い焦がれる〉人魚姫[にんぎょひめ]は王子に恋い焦がれて、人間にしてほしいと神様に祈[いの]りました。♠●へ待ち焦がれる〉待ち焦がれた友達の手紙がようやく届いた。 **ごかん【五感】** ○視覚・聴覚・嗅覚[きゆうかく]・味覚・触覚[さゆうかくしよっかく]の総称。[文例]〈五感が備わる〉人間には、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚の五感が備わっています。♠◆〈五感の働き〉体の調子が悪いと、五感の働きが鈍[にぶ]ることがあります。 **ごかん【語感】** ○言葉が与える感じ。言葉のニュアンス。言葉に対する感覚。[文例]〈言葉の持つ語感〉としおは、「太平洋」という言葉の持つ語感から、白い帆の浮かぶ青く広々とした海を思い描[えが]くのでした。 **ごき【語気】** ○話す言葉の調子。語勢。言葉つき。[文例]〈語気があらい〉今日の先生はよほど機嫌が悪いのだろう、生徒のつまらない質問に語気もあらく、「そんなことも分からないのか!」とどなった。♠●〈語気鋭[するど]く〉乗客の家族たちは、事故現場の詳しい状況を説明するよう、会社側に語気鋭く詰め寄った。 **こきおろす【こき下ろす】(扱き下ろす)** ○しごき落とす。ひどくけなす。厳しく非難する。[文例]〈作品をこきおろす〉彼は、ぽくの作品を見るなり、色調が暗いの構図が悪いのとさんざんにこきおろした。♠●〈上司をこきおろす〉サラリーマンというものは、酒が入[い]ると、同僚[どうりよう]を相手に上司をこきおろしにかかる。 **こきざみ【小刻み】** ○細かくきざむこと。短い間隔で反復するさま。小分けして段階的に行うさま。[文例]〈小刻みにふるえる〉怒[いか]りのあまり、彼の手は小刻みにふるえていた。♠〈小刻みに歩く〉緩[ゆる]い坂道を、ぼくたちはトントンと小刻みに歩いて行きました。♠そんなに小刻みに時間を聞くなよ。待ち合わせにはまだ一時間以上もあるよ。♠●〈小刻みな改定〉その当時の国鉄の運賃は、年に一回の小刻みな改定が行われていた。 **こぎつける【こぎ着ける】(漕ぎ着ける)** ○こいで到着させる。努力して目標に到達する。[文例]〈船をこぎつける〉小島の入り江に船をこぎつけると、少年たちは勇んで上陸した。 <362> **こきみよい【小気味よい】** ○気持ちがよい。痛快だ。[文例]〈小気味よい音〉バットを振ると、カーンと小気味よい音を立ててボールは飛んでいった。♠〈小気味よいたんか〉下町の若い衆の小気味よいたんかには胸のすく思いがした。 **こきゅう【呼吸】** ○息を吸ったり吐いたりすること。互いの調子。物事をうまく行う調子。[文例]〈人間の呼吸〉人間の呼吸は一分間に十八回前後で、運動したり驚[おどろ]いたりすると速くなる。♠●へ呼吸が困難〉病状はかなり悪化していて、すでに呼吸が困難な様子だった。♠●へ呼吸をする〉噴火口[ふんかこう]から噴き上げる煙[けむり]は、まるで大地が呼吸をしているようだ。♠〈呼吸が合う〉彼とバッテリーを組むのは初めてだったので、なかなか呼吸が合わなかった。♠●〈今の呼吸〉ほら、うまくいったじゃないか、今の呼吸を忘れないようにね。♠〈~する呼吸を知る〉その人は田舎育ちだけあって、動物を扱う呼吸を知っていた。♠●へ呼吸する〉ふだん人は自分が呼吸しているのを忘れている。♠●へひと呼吸置く〉演説者は聴衆[ちょうしゅう]の反応を知るためにそこでひと呼吸置き、またゆっくりと話し始めました。 **こきょう【故郷】** ○生まれ育った土地。ふるさと。郷里。[文例]〈故郷を思う〉この詩は、都会で孤独な生活を送る作者が遠い故郷を思って書いたものです。♠●へ故郷へ錦[にしき]を飾る〉東京でうんと働いて、立身出世して、故郷へ錦を飾るのがおいらの夢だ。♠●〈生まれ故郷〉♠〈故郷を離れる〉高校を卒業した後、生まれ故郷を離れ、音楽の勉強のために上京した。 **こぎれい【小奇麗】(小綺麗)** ○どことなくきれいだ。ちょっときれいだ。[文例]へこぎれいに片づける〉彼女の部屋は、いつもこぎれいに片づけられている。♠◆ヘこぎれいな店〉叔母は、駅前にアクセサリーを並べたこぎれいな店を出しました。♠◆ヘこぎれいな身なり〉応対[おうたい]に出てきたのは、こぎれいな身なりの六十近い婦人だった。 **こく** ○微妙で、深い味わい。[文例]〈こくがある〉この酒には、何とも言えないこくがある。♠●ヘこくがある〉さりげない文章だが、作者の人柄がこくのある作品に仕上げている。♠●〈こくが出る〉この料理は、煮込めば煮込むほどこくが出てきます。 **こく(扱く)** ○しごいて、かき落とす。[文例]〈稲をこく〉お百姓さんたちは、小山のように積まれた稲を片っぱしからこいていきました。 **こく(放く)** ○放つ。たれる。言葉に出して言う。[文例]へうそをこく〉うそをこくな、おらはちゃんと本当のことを知ってるだぞ。♠へへをこく〉イタチは、逃げられないと見ると、犬に向かって最後っぺをこいた。 **こぐ(漕ぐ)** ○かいやろで船を進める。足を屈伸させて乗り物を動かす。[文例]〈ポートをこぐ〉あのアベックを見てごらん、ボートをこいでいるのは女のほうだよ。♠●へかいをこぐ〉年をとったとはいえ、おじいさんのかいをこぐ手つきはあざやかなものです。♠●ヘペダルをこぐ〉ほら、一所[いつしよ]懸命[けんめい]ペダルをこがないと、この坂は登りきれないよ。♠●ヘブランコをこぐ〉公園では、小さな男の子がたった一人でブランコをこいでいました。♠●〈舟をこぐ〉話が始まって二十分もすると、弟はこっくりこっくりと舟をこぎ始めた。 **ごく【極】** ○きわめて。非常に。たいへん。[文例]〈ごくわずか〉この型のタイプライターは、今ではごくわずかしか使われていません。♠●へごく身近〉ごく身近な存在である家族について、改めて考えてみた。♠●へごくふつう〉音楽界では天才少女と言われる彼女も、素顔[すがお]はごくふつうのおじょうさんだ。♠●へごく一部〉ごく一部の不心得者[ふこころえもの]のために、大切な自然がこわされています。♠●へごくまれ〉聞こえてくる鳥の声もごくまれな、静かな秋の午後でした。♠●へごくありふれた>壁[かべ]には、ごくありふれた風景画が一枚かかっていた。 **ごく【語句】** ○単語や幾つかの単語の意味のあるまとまり。言葉。[文例]<語句の意味〉語句の意味を国語辞典で調べてみよう。♠●へ語句の用法〉この文章が分かりにくいのは、語句の用法にまちがいが多いからだ。♠◆へ語句や文や文章>指示語は、その前にある語句や文、文章を指していることが多い。♠◆へ内容に合った語句〉内容に合った適切な語句を選ぶと文章が引き締まるよ。♠◆〈語句の乱れ〉病床での手紙にもかかわらず、語句の乱れもなく、筆跡[ひつせき]も堂々[どうどう]としていた。 **ごくい【極意】** ○学芸や武道などの最も重要な事柄。奥義。[文例]〈剣の極意>若者は剣の極意を会得[えとく]しようと、ひたすら修行を積んだ。♠●〈極意をきわめる〉名人は、あの必殺技の極意をきわめるのに三年もかかったそうだ。♠極意を授ける〉師は、一番弟子に芸の極意を授けた。 **こくいん【刻印】** ○印を彫ること。また、その印。消しがたいしるしを刻むこと。また、そのしるし。[文例]<刻印を打つ〉「卑怯者[ひきようもの]」という言葉が、まるで刻印を打つようにわたしの心に焼き付いた。♠●〈刻印を押す〉彼は、狂人[きようじん]の刻印を押され、だれからも相手にされなかった。 **こくう【虚空】** ○大空。空中。何もない空間。[文例]〈虚空に舞う〉草むらを飛び立ったヒバリは、虚空に高く舞い上がり、たちまち見えなくなった。♠●へ虚空をつかむ〉敵の弾を受けたた兵士は、虚空をつかんで倒れた。 **こくげん【刻限】** ○時刻。決まった時刻。[文例]〈刻限が来る〉かれこれするうちに、祖父の乗った汽車の着く刻限がきた。♠●へ約束の刻限〉♠〈刻限が過ぎる〉彼は、約束の刻限が過ぎても現れなかった。 **こくご【国語】** ○その国で広く用いられる言語。日本語。学校の教科の一つ。[文例]〈日本の国語〉日本の国語は日本語であるが、二つ以上の国語を持つ国もある。♠◆◇国語の授業>♠〈国語辞典>明日の国語の授業では国語辞典を使いますから、持って来ること。 **こくさい【国際】** ○国と国の間。国々の関係。[文例]〈国際的〉今や日本は、国際的にも重要な役割を持つ国となった。♠◆<国際色>世界各国から参加者が集まり、国際色豊かな催しがくり広げられた。♠●〈国際結婚〉相手がイタリア人という国際結婚に、初め両親は反対した。♠国際人>自国の文化を理解すること、自分の考えを分かりやすく表現できること、この二つは国際人には欠かせない。 <363> **こくさん【国産】** ○国内で生産すること。また、その産物。[文例]〈国産の車〉日本では、大半の人が国産の車を愛用しています。♠●〈国産品>国産品を保護するために、輸入品に関税をかける。 **こくし【酷使】** ○こきつかうこと。ひどくつかうこと。[文例]〈酷使に耐える〉少年は主人の酷使に耐[た]えて、けんめいに働いた。♠●〈酷使する〉彼は体を酷使することで、悲しみを忘れようとしました。 **こくじ【告示】** ○公の機関が広く告げ知らせること。また、その文書。[文例]〈告示する>昭和二十一年、内閣[ないかく]は「当用漢字表」を告示した。♠●〈告示する>市議会で決定した事項は、広報や市役所の掲示板に告示されます。 **こくじ【酷似】** ○非常によく似ていること。[文例]〈酷似する〉とある西部の町へやって来たガンマンは、手配書[てはいしょ]の似顔絵に酷似していた。♠●〈酷似する〉この文章は、パリで刊行されている雑誌の記事に酷似している。 **こくじょう【国情・国状】** ○国の中の様子。その国の事情。[文例]〈アメリカの国情〉彼は、アメリカの国情に明るい。♠◆〈日本の国情>欧米の文化は、日本の国情や日本人の好みに合えば積極的に取り入れられた。♠◆〈国情が不安>海外出張も、国情の不安な地では、家族の心配はひとかたでない。 **こくそ【告訴】** ○犯人を裁判にかけるように訴えること。[文例]〈告訴する〉公害に苦しむ住民たちは、工場の責任者を告訴した。♠〈告訴する〉交通事故の加害者に全く誠意がないので、家族はその男を告訴することにした。 **こくそう【穀倉】** ○穀物を入れる倉。穀物を多く生産する土地。[文例]〈世界の穀倉〉ソビエトのウクライナ地方は、かつて「世界の穀倉」と呼ばれた。♠●〈穀倉地帯〉小麦などの穀物を産するこの一帯は有名な穀倉地帯です。 **こくち【告知】** ○告げ知らせること。通告。[文例]〈告知する〉契約を結んで一週間後、相手は一方的に解約を告知してきた。♠●へ小口の注文>まだまだ小口の注文が多いとはいえ、商売はようやく軌道[きどう]に乗ってきた。 **ごくつぶし(穀潰し)** ○食べるだけは人並みだが、さっぱり働かない人や牛馬。むだめしぐい。[文例]働かずにぶらぶら遊んでばかりいて、全くうちの息子はごくつぶしだ。♠あのごくつぶしは夜遊びをしていて、まだ起きてこないのか。 **こくど【国土】** ○国の領土。[文例]〈国土が広い〉アメリカの国土は広く、さまざまな人種が住んでいる。♠国土を奪う・失う〉侵略[しんりやく]によって他国の国土を奪ったり、敗戦によって国土を失ったりする例は枚挙にいとまがない。♠国土の開発>明治以後、国土の開発は急速に進められた。 **こくない【国内】** ○国の領土内。国の中。[文例]〈国内と海外〉旅行先として海外と国内のどちらも自由に選べるなら、あなたはどちらにしますか。♠●〈国内の問題〉これは国内の問題ですが、国際問題に発展する可能性があるので、慎重[しんちよう]に対処[たいしょ]する必要があります。♠●〈国内の治安〉軍隊は、防衛というより、ともすれば国内の治安のために利用される。 **こくはく【告白】** ○秘密や心のうちを打ち明けること。[文例]〈愛の告白>若者の愛の告白に、少女は赤くなってうつむきました。♠●〈告白する〉罪を告白すると、男はほっとしたような表情を浮かべた。 **こくはく【酷薄・刻薄】** ○残酷で薄情なさま。[文例]〈酷薄な心〉彼は、血も涙もない酷薄な心の持ち主だ。♠●へ酷薄な仕打ち>老人を追い出すなんて、よくもそんな酷薄な仕打ちができるものだ。 **こくはつ【告発】** ○被害者以外の人が不正をあばいて訴え出ること。不正を指摘して社会の糾弾を求めること。[文例]〈告発する〉被害者の父親は、犯罪の事実を告発し、犯人の捜査[そうさ]を求めた。♠へ内部告発>内部告発によって、腐敗[ふはい]した組織の実態が明らかにされた。 **こくび【小首】** ○首。頭。[文例]〈小首をかしげる〉いつもなら明かりのついているはずの家の中が真っ暗なので、彼は小首をかしげた。♠小首を傾[かたむ]ける〉犯人の足跡[あしあと]を見つけた探偵は、しばらく小首を傾けて考えていた。 **ごくひ【極秘】** ○絶対に秘密であること。極度の秘密。[文例]<極秘に捜査する〉大統領の暗殺計画があるという情報がはいり、CIAは極秘に捜査を開始した。♠◆<極秘のうちに〉彼らは、その事件をだれにも知られないように、極秘のうちに処理しようとした。 **こくびゃく【黒白】** ○白と黒。正しいか正しくないか。是非。[文例]〈黒白をつける〉どちらの言うことが正しいか、はっきり黒白をつけようじゃないか。♠◆◇黒白を争う〉隣同士のいさかいがエスカレートして、ついに裁判で黒白を争うことになった。 **こくひょう【酷評】** ○手きびしく批評すること。また、その批評。[文例]〈酷評を受ける>自信作だったのに新聞の酷評を受けたと、著者はしょげ切っていた。♠◆<酷評する〉この公演を、評論家たちはミスキャストのうえに演出も陳腐[ちんぶ]だと、こぞって酷評した。 **こくふく【克服】** ○困難にうちかつこと。[文例]〈苦手の克服〉左ピッチャーとか下手投げに弱いといった苦手の克服が一流打者への道だ。♠◆◇困難を克服する〉登山隊は厳しい寒さや食料不足などいくたの困難を克服して、二十三日未明[してさ]登頂に成功した。♠◆ヘハンデを克服する〉彼女は経験不足というハンデをみごとに克服して、入賞を果たしました。♠●〈弱点を克服する〉今後もトレーニングを続け、指摘されてきた弱点を克服したい。 **こくべつ【告別】** ○分かれを告げること。[文例]〈告別の辞〉転任する中田先生の告別の辞が終わると、生徒代表が送る言葉を述べた。♠●〈告別式>生前、世話好きだったおじいちゃんの告別式には、大勢の人が参列[さんれつ]しました。 **こくみん【国民】** ○その国の国籍をもつ人。[文例]〈日本の国民〉わたしたちは、日本の国民であると同時に地球人であることを自覚したい。 <364> **こくみん【国民】** ●〈国民的〉「宮本武蔵[みやもと さし]」などで知られる吉川英治[よしかわえいじ]は、日本人に広く読まれる国民的な作家といえるでしょう。♠●〈国民性〉その国の国土が育てた国民性は、文化活動にも強い影響を及ぼします。 **こくめい【克明】** ○たんねんで、くわしいさま。[文例]〈克明に記す〉報告書には、事件の経過が克明に記されていた。♠〈克明な記録>彼はオオカミを育てながら、その発育状態について克明な記録をとった。 **こくもつ【穀物】** ○麦・米・豆など主食となる作物。[文例]米や麦、豆などの穀物は、われわれの生命を支える食糧です。♠◆<穀物を蓄[たくわ]える〉この蔵[くら]は、穀物を蓄えるために建てられたものです。♠●へ穀物の生産>日本の穀物の生産量は、輸入に押されて減少しています。 **ごくらく【極楽】** ○(仏教で)死後の平和な満ち足りた世界。安楽な境遇。→地獄[文例]<極楽へ行く>死んだら、善い事をした人は極楽へ、悪い事をした人は地獄へ行くのだよ。♠◆毎日、好きな釣りだけやって暮らせたら、極楽だろうなあ。♠●へ聞いて極楽見て地獄〉「聞いて極楽、見て地獄」と言うが、話が実際とまるで違うのには驚いた。♠●へ極楽往生[ごくらくおうじょう]>祖父は九十五歳の長寿[ちようじゆ]を全[まつと]うし、極楽往生を遂[と]げた。 **ごくろう【御苦労】** ○他人の苦労をねぎらっていう言葉。[文例]〈御苦労さま>お父さん、長い間家族のために働いてくれて御苦労さま。♠●〈御苦労なこと〉また社長のお供かい、御苦労なこったね。 **こぐんふんとう【孤軍奮闘】** ○助ける者がなく、たった一人で闘うこと。[文例]〈孤軍奮闘する〉敵に囲まれた小隊は孤軍奮闘し、援軍の到着をひたすら待った。♠●飲んだくれの父と病弱な母を抱[かか]えて、少年は生活のために孤軍奮闘しなければならなかった。 **こけ(苔)** ○湿りけの多い土地や木、石などに生える小形で花をつけない植物の総称。[文例]へこけが生える〉長雨で、庭の石にこけが生えてきました。♠◆ヘこけがつく〉水辺の木にぬるぬるしたこけがついている。♠●ヘこけむす〉その碑[ひ]はすっかりこけむして、刻まれた文字も定かではなかった。 **こけ【虚仮】** ○うそ。いつわり。おろかなこと。[文例]〈こけにする〉おとなしくしていればつけあがって、人をこけにするのもほどほどにしろ。♠◆ヘこけの一心>学問も何もない私ですが、こけの一心で郷土史に取り組んでまいりました。♠〈こけおどし〉彼の大声はこけおどしで、本当は小心な男なんだよ。 **こげつく【焦げ付く】** ○物が焦げて、くっつく。貸し金や売掛金が回収できなくなる。[文例]〈煮物が焦げ付く〉セールスマンの応対をしている間に、煮物[にもの]が焦げ付いてしまいました。♠へ貸し金が焦げ付く〉貸した金が焦げ付いて、店が立ちゆかなくなってしまった。 **こける(痩ける)** ○やせて肉が落ちる。やせて細くなる。[文例]〈ほおがこける〉長い間入院しているおじは、すっかりほおがこけて別人のようになってしまった。♠へやせこける〉疲れた顔をした女が、やせこけた少女の手を引いて、とぼとぼ歩いていた。 **こける(転ける・倒ける)** ○ころぶ。倒れる。失敗する。[文例]〈ころっとこける〉とことこと駆けて来たコウスケは、ころっとこけると「ワーッ」と泣いてお母さんを呼んだ。♠●〈芝居がこける〉これだけ宣伝費をかけた芝居だから、こけたら大損害だ。♠●〈笑いこける>子ざるの珍妙[ちんみよう]なしぐさに、見物人たちは笑いこけていた。 **こげる【焦げる】** ○焼けて炭化する。焼けて黒くなる。[文例]〈魚が焦げる〉おや、魚の焦げるにおいがするぞ。♠●〈焼け焦げる〉あらあら、せっかくのおいもがまっ黒に焼け焦げてしまった。♠●夕焼空[ゆうやけぞら]焦げきはまれる下[うみ]にして氷らむとする湖の静けさ(島木赤彦[しまきあかひこ]) **こけん(沽券)** ○(土地売り渡しの証文の意から)体面。面目。メンツ。[文例]〈沽券にこだわる>家父長的な考えの祖父は、いまだに家長の沽券にこだわっている。♠●へ沽券にかかわる>親友の難儀[なんぎ]をほうっておいたら、ぼくの沽券にかかわるよ。 **ここ(此処・此所)** ○話し手のいる場所。話し手に近い場所。今述べている場所。この箇所。この点。この事態。この場合。この時。現在。[文例]市役所は、ここから歩いて二十分くらいのところにあります。♠◆ここが思案のしどころだ。♠◆〈事[こと]ここに至って>事ここに至っては、もう手のほどこしようがない。♠ヘここだけの話〉ここだけの話だが、実はね・・・。♠◆<ここ数日〉ここ数日、彼女の姿が見えないが、旅行にでも出かけたかな。♠◆ヘここ当分〉母の具合がよくないので、ここ当分は外出を控[ひか]えたいと思います。♠◆ヘここを先途[せんど]〉味方はここを先途と攻めたてた。 **ここ【個個】** ○一つ一つ。一人一人。おのおの。[文例]〈個々の例〉この辞書には、言葉の使い方について、個々の例が挙げられています。♠〈個々の意見>この会は、メンバー個々の意見を尊重しています。♠◆個々別々>銀行やデパートなどでは、いっせいに昼休みをとれないので、個々別々に昼食をとります。 **ごご【午後】** ○正午から午前零時まで(特に夕方まで)の間。[文例]友とお茶を飲みながら、楽しい午後のひとときを過ごした。♠●午後になれば暇[ひま]ができるので、わたしの方から伺[うかが]います。 **ここう【孤高】** ○誇りをもって、世間からひとり離れていること。[文例]〈孤高の精神〉師は孤高の精神を貫き、決して世間に迎合[げいどう]しない人だった。♠●〈孤高の作家〉文壇には目もくれず、芸術至上をとおしたのだから、孤高の作家といってよかろう。♠●〈孤高を持する〉孤高を持すると言えば聞こえはいいが、なに世の中から相手にされないだけさ。 **ここう(糊口・餬口)** ○生計を立てること。くらし。口すぎ。[文例]<糊口の道>父がこの職を離れれば、一家は糊口の道を失うことになる。♠●〈糊口の資〉地主たちは、農地から上がる小作料を糊口の資としていた。♠●<糊口の計〉新しい時代が始まると、身分上の特権を失った武士たちは自らの手で糊口の計をたてなければならなかった。♠●へ糊口をしのぐ〉小さな商いによって、老妻と二人、どうにか糊口をしのいでおります <365> **ごこう【後光】** ○神仏の体から発するという光。[文例]〈仏の後光〉仏像の背中の飾りである光背[こうはい]は、仏の後光を表します。♠●〈後光がさす〉静かな語りかけを聞くうちに、その小柄な老僧の背に後光がさす思いがしました。 **こごえる【凍える】** ○寒さで体の感覚がなくなる。[文例]〈凍えるような寒さ〉昨日の最低気温は氷点下、外は凍えるような寒さだった。♠◆〈寒さに凍える〉二人はストープもない部屋の片隅[かたすみ]にうずくまり、寒さに凍えていました。♠へ体が凍える〉冷たい雨の中で、選手は体が凍えていつもの力が出しきれなかった。♠●〈凍えた手〉お母さんは、帰ってきた男の子の凍えた手を胸にあて、温めてくれました。♠へ凍え死ぬ〉この寒いのに窓を開けっ放しにしていたら、小鳥たちが凍え死んでしまうよ。 **ここく【故国】** ○生まれ育った国。祖国。母国。[文例]〈故国の土〉アメリカで事業に成功した彼は、二十年ぶりに故国の土を踏んだ。♠故国を離れる〉わたしは故国を離れて、南米に渡る決心をした。♠●〈故国をしのぶ〉日本人クラブの客たちは、時に故国日本をしのんで、「赤とんぼ」を合唱したりします。 **ここち【心地】** ○心持ち。気持ち。気分。[文例]〈すがすがしい心地〉窓をあけて朝の冷たい空気を吸ったら、とてもすがすがしい心地になった。♠●〈心地がする〉そのニュースを聞いたとたん、ぼくは気が遠くなっていくような心地がした。♠◆〈いい心地〉お風呂[ふろ]から上がって一杯飲んだ父は、いい心地になったらしくにこにこしている。♠●〈生きた心地がしない〉いきなり車がセンターラインを越えたときには、とても生きた心地がしなかった。♠心地よい〉心地よい春の風に誘[さそ]われたのか、公園にはいつもの倍近い人が出ていました。♠〈夢見心地>好きな男性からプロポーズされた彼女は、それこそ夢見心地で毎日を送っていた。♠●へ乗り心地〉この車はクッションはふかふかだし、座席もゆったりしているし、乗り心地満点です。♠●〈居心地〉おりの中の木によりかかって、パンダは居心地よさそうにいねむりをしていた。 **こごと【小言】** ○ぶつぶつ言う不平の言葉。人をしかったり、とがめたりする言葉。[文例]〈小言を言う〉母に小言を言われた弟は、自分の部屋に閉じこもってしまった。♠◆へ小言をくらう〉エーミールは、なんだかだと絶えず母親から小言をくらっていた。♠●〈お小言をちょうだいする〉番組について、視聴者の皆さまから励[はげ]ましのお手紙や、ときどきお小言をちょうだいしたりもしています。♠●〈小言幸兵衛[しょうこべえ]〉小言幸兵衛で、人はよいが、ほんとに口うるさい大家さんだ。 **こころ【心】** ○感じたり思ったり考えたり判断したりする働き。また、そのもとになるところ。気持ち。考え。意志。情け。物事の本質や意義。[文例]〈心が優しい>幸子は母親に似て心の優しい女性です。♠●〈心が広い〉人を非難することのないのは、あの人の心が広い証拠[しょうこ]です。♠●〈心が大きい〉心の大きい人なら、そんなことにはこだわらないでしょう。♠●〈心がこもる>友達へのプレゼントは、心がこもってさえいれば高価でなくてもかまわない。♠●へ心に決める〉雨も降りそうだし、十時までに帰ろうと心に決めました。♠●へ心を決める〉今日こそ、胸のうちを洗いざらいぶちまけようと心を決めて、家を出た。♠●〈心に期[き]する〉何ごとか深く心に期するところがあるのだろう、少年は口数が少なくなっていた。♠●〈心を打つ〉妹のひたむきな態度に、家族全員が心を打たれました。♠●〈心を寄せる〉十五になった娘[むすめ]には、ひそかに心を寄せる若者がいた。♠●へ心をひかれる〉新発売のチョコレートに、彼女はかなり心をひかれている様子だった。♠〈心を奪われる>望遠鏡の向こうに見える宇宙の広がりに心を奪われる。♠●へ心を痛める〉母親は、自分の息子[むすこ]が内気な性格であることに、少し心を痛めているらしい。♠●へ心を鬼[おに]にする〉先生は彼女を立ち直らせるために、心を鬼にしてつらくあたっていたのです。♠●〈心を打ち明ける〉大川さんがわたしに心を打ち明けてくれたのは、それから三か月もたってからのことでした。♠●へ心を入れ替える〉父親が病気になってからというもの、少女は心を入れ替えて働くようになった。♠へ心が通う〉十年以上もつきあっているぼくたちは、ひょっとしたら本当の兄弟以上に心が通い合っているのかもしれない。♠人心を見抜く>鈍感[どんかん]なわたしには、その時の彼の心などとても見抜くことはできなかった。♠心に残る〉その時の先生の一言一言が、今でもわたしの心に残っています。♠●〈心に浮かぶ〉目をつぶって物の名を言うと、心に浮かんでくる姿があります。それがイメージです。♠●〈心をこめる〉下手ですが、心をこめて編んだあなたへのセーターです。♠●〈心にとまる〉この子のけなげな行為がおじさんの心にとまりました。♠●〈心が洗われる>若葉の野に出ると、わたしたちの目も心も洗われるように感じたのです。♠●〈心を動かす〉人の心を動かすには、言葉を選ぶことはもちろん、話し方も考えなければならない。♠〈心に響く>経験から来る言葉だけに、彼の話は聞く者の心に響きます。♠●〈心に刻[きざ]む〉わたしたちは、成長するにつれて、深く心に刻みこまれる出会いを重ねていく。♠●〈心が晴れる〉自分たちは生き残ったが、多くの犠牲者[ぎせいしゃ]のことを考えると、人々の心は晴れなかった。♠●〈心にしみる〉父母[ちちはは]を残して郷里[きようり]を出る若者の心に、その髪[かみ]の白さがしみるのであった。♠心がおどる〉クラス一のかわいい子からの手紙に、ぼくの心はおどった。♠●へ心を傾[かたむ]ける〉この歌は、わたしが心を傾けて作り上げたものです。♠●〈心を砕[くだ]く>子供の将来を考えて、その事に心を砕いた両親の苦労が、今日むくわれたといってよかろう。♠●〈心を配る〉群れのリーダーは、敵だけでなく、仲間の一匹一匹[いつびきいつびき]に心を配っているようすだ。♠●〈心を許す〉一生のうちに、心を許せる友人を作れないとしたら、とても悲しいことだ。♠へ心から〉大変高価な物を頂きまして、心からお礼を申し上げます。♠●〈心にもなく〉ちょっと気が立っていたこともあって、心にもなくきついことを言ってしまった。♠●〈心と体〉日本の子供たちは、遊びを通して自然にふれ、健[すこ]やかな心と体をはぐくんできた。♠●へ心のゆとり〉生活の中に笑いを絶やさないような、心のゆとりを持ちたい。 <366> **こころ【心】** ●〈心の糧[かて]〉詩も音楽も、絵も、生きるわたしたちの心の糧となります。♠●〈詩の心〉何度も読んで、この詩の心にふれてみよう。♠◆◇日本の心〉スーザンは、お茶や生け花を通して日本の心に触れたいと思っていた。♠●〈心温[あたた]まる〉帰りの雪道も、心温まる集[つど]いの後とあっては、ちっとも寒くは感じられなかった。 **こころあたり【心当たり】** ○思い当たること。当て。見当。[文例]〈心当たりがある〉そのことならぼくに心当たりがあるから、任せておいてくれたまえ。♠●へお心当たりの方〉この迷子[まいご]のアライグマにお心当たりの方は、駐在所[ちゅうざいしよ]までお知らせください。♠●〈心当たりをさがす>弟が暗くなっても帰らないので、今、みんなで心当たりをさがしているところです。 **こころいき【心意気】** ○物事に積極的に取り組む気がまえ。[文例]〈心意気を示す・見せる〉今こそ、弱きを助けるというきみの心意気を示すときだ。♠難局に立ち向かう彼の心意気に、みんなが拍手を送りました。♠甲子園[こうしえん]に行くという心意気でがんばってもらいたい。 **こころえ【心得】** ○前もって知っておくべきこと。心がまえ。心がけ。たしなみ。[文例]〈茶道の心得>きみに茶道の心得があったとは知らなかった。♠●〈心得がある・ない〉心得のない者には、この絵のよさは分からんだろう。♠●〈夏休みの心得>夏休みを前にして、校長先生が生徒たちに夏休みの心得について話された。♠●へ心得違い>勝手にでしゃばっておいてそれを親切だと思ったら、それは心得違いというものだ。♠●〈心得顔〉あいつは心得顔でうなずいたが、本当にわかったのだろうか。 **こころえる【心得る】** ○理解する。承知する。会得する。[文例]〈取り扱いを心得る〉わたしはワープロの取り扱いについては、ひととおり心得ています。♠●〈弱点を心得る〉相手の弱点を心得ていれば、そう簡単に負けることなどないはずだ。♠●へ何と心得る〉ノートばかりか教科書も持ってこないとは、学校を何と心得ているんだ。♠へ~を~と心得る〉わたしは忍耐[にんたい]を人間形成のための第一歩と心得ております。♠万事[ばんじ]心得る〉会の進行に関しては、彼女が万事心得ているのでまったく心配ない。♠●〈委細[いさい]心得る〉今度の仕事に関しては委細心得たつもりだったが、とんだ失敗をしてしまった。 **こころがまえ【心構え】** ○心の持ち方。心の備え。覚悟。[文例]初対面の人にどのような心構えで接すればいいのでしょうか。♠●へ心構えをする〉自分の番になってあわてないように、しっかり心構えをしておいてくださいよ。♠●へ〜に対する心構え〉彼はまじめになったらしく、受験に対する心構えも変わってきたようだ。♠●へしっかりした心構え〉しっかりした心構えもなく運動に参加したところで、何の意味もない。♠●へ心構えをもつ〉一人一人がしっかりした心構えをもつことが大切だと、コーチは選手に指示しました。♠〈心構えが違う[ちが]〉装備は同じでも、ベテランと初心者では登山に対する心構えが違います。♠●へ心構えができる〉やっぱり心構えのできた人は、どことなく落ち着いているね。♠〈まさかの時の心構え〉お前たちにまさかの時の心構えとして、あわてるなということを申し伝えておく。 **こころぐるしい【心苦しい】** ○気になってつらい。[文例]叔父の家にやっかいになっていることが、わたしにはひどく心苦しかった。♠ぽくは体が弱くて、みんなと同じように働けないのが心苦しくてならない。 **こころがけ【心掛け】** ○心にかけること。心の持ち方。心がまえ。[文例]〈日ごろの心掛け〉♠〈心掛けが良い〉少女が幸せを手に入れたのも、日ごろの心掛けが良かったからに違いない。♠●へふだんの心掛け〉とっさの時に冷静に行動するには、ふだんの心掛けがものをいうから、訓練も本気でやりなさい。♠●へ見上げた心掛け〉毎月少しずつでも貯金をしようというのは見上げた心掛けです。♠●〈心掛けが悪い〉せっかくの遠足に雨が降るなんて、だれか心掛けの悪いやつがいるんじゃないか。 **こころがける【心掛ける】** ○心に留める。気をつける。そうしようと努力する。[文例]偏見[へんけん]を捨て去り、公正な心をもつことを心がけなければならない。♠●文章を書く場合、文の主部と述部の関係をはっきりさせ、文の筋[すじ]を通すよう心がけることが大切です。♠祖父は、老化防止のため、なるべく歩くように心がけている。 **こころざし【志】** ○心に決めること。心に決めた事柄。(思いやりや感謝の)気持ち。また、その気持ちのあらわれ。[文例]〈学問への志〉♠〈志の強さ〉兄の学問への志の強さは、わたしなどには考えられないほどでした。♠<志を立てる〉一流のコックになるぞと志を立てたのは、中学二年のときです。♠●〈志を遂[と]げる>青年は志を遂げないうちに、病気のため故郷へ帰らなければならなかった。♠●へ志を果たす〉論文を書き終えた先生の顔は、とうとう志を果たしたという満足感に満ちていた。♠へ志を継[つ]ぐ〉死んだ父の志を継いで、ばくも法律関係の仕事につくことにしました。♠志を持つ〉若い間は小さくかたまらずに、志は高く持っていたほうがいい。♠●〈青雲[せいうん]の志〉♠〈志をいだく>少年は、青雲の志をいだいて故郷の村を出た。♠◆こんな高価な物をいただくわけにはいきません、そのお志だけで結構です。 **こころざす【志す】** ○心を向ける。めざす。[文例]〈画家を志す〉彼女は画家を志し、パリで一人暮らしを始めた。♠〈旅を志す>松尾芭蕉[まつおばしよう]は、自然の中で自分を見つめ、旅の中に人生をとらえようとして、常に旅を志した。 **こころする【心する】** ○気をつける。心がまえをする。[文例]今回は許すが、二度とこんな過[あやま]ちを犯[おか]さないように心しなさい。♠●心してかかる〉相手チームは手ごわいから、心してかかれ。 **こころづかい【心遣い】** ○気を配ること。配慮。気づかい。[文例]〈優しい心づかい〉この会話には、主人公の優しい心づかいがよく表れています。♠●へ温かい心づかい>長い入院でやけになっていたわたしに、家族や友人は温かい心づかいを見せて支えてくれた。♠●〈細かい心づかい〉日本人は古来、人間関係の細かい心づかいを大切にし、言葉にもそれをうかがわせることを好む民族です。 <367> **こころづくし【心尽くし】** ○人のために心をこめてすること。[文例]〈心尽くしの料理〉シュナイダー夫人は、心尽くしの手料理でわたしたちをもてなしてくれました。♠心尽くしのプレゼント〉わたしは転校する彼に、心尽くしのプレゼントを贈った。♠●へ母の心尽くし>弁当を忘れてくるなんて、母のせっかくの心尽くしを無駄にしてしまった。 **こころづもり【心積もり】** ○あらかじめ考えに入れておくこと。[文例]一泊程度の心積もりで出かけた温泉だったが、つい一週間も逗留[とうりゆう]してしまった。♠へ心積もりをする〉お伺[うかが]いする心積もりはしているのですが、雑事に追われて延び延びになってしまいました。 **こころづよい【心強い】** ○頼るものがあって安心である。頼りになる。心じょうぶだ。[文例]〈心強く思う〉サブちゃんのほかにゴローもついてくるというので、ますます心強く思った。♠へ心強い味方〉きみには、ぼくという心強い味方がいるじゃないか。 **こころない【心無い】** ○思いやる心がない。人間らしい温かさ・優しさがない。[文例]〈心ない人〉せっかく咲いた公園の花を、心ない人たちが持ち去ってしまう。♠●へ心ない仕打ち〉動物をいじめるとは、なんと心ない仕打ちだろう。 **こころならずも【心ならずも】** ○気持ちに反して。不本意ながら。[文例]彼女の熱心な頼みに、心ならずも難題を引き受けてしまった。♠ぼくのやったことが、心ならずも、母を苦しめることになってしまいました。 **こころにくい【心憎い】** ○にくらしいほどみごとだ。おくゆかしい。[文例]〈心憎いほど>色といい、デザインといい、心憎いほどのできばえだ。♠●へ心憎いばかり〉彼のユーモアのセンスは抜群で心憎いばかりです。♠●〈心憎いまで〉なんとも、旅館の主人の心憎いまでの配慮[はいりよ]である。 **こころね【心根】** ○心の底。本当の心。根性。[文例]<優しい心根>娘の優しい心根に、気むずかしい老人も次第に心を開くようになりました。♠◆〈人の心根〉人の心根をよみとるのは、なかなか難しいことです。 **こころのこり【心残り】** ○後に残る心配や悔い。未練。[文例]試合には負けたが、ベストを尽くしたので心残りはない。♠◆この町を去るにあたって、彼とけんかの仲直[なお]りをしていないのが心残りだ。 **こころひそか【心ひそか】(心密か)** ○心の中で、ひそかに思うさま。[文例]わたしは直哉[なおや]のことを、坊ちゃん育ちのひよわな男だと心ひそかに軽べつしていた。♠娘は、若者が愛を告白してくれることを心ひそかに期待していた。 **こころぼそい【心細い】** ○頼るものがなく不安である。[文例]〈心細い思い〉外国だから、知っている人はいないし、言葉は通じないし、あんなに心細い思いをしたことはない。♠◆一人では心細い>銀行へはまだ二回しか行ったことがないので、一人ではちょっと心細い。♠●へ心細いことを言う〉みんなきみに期待しているのだから、自信がないなんて心細いことを言わないでくれよ。♠懐[ふところ]が心細い〉ちょっと使いすぎたかな、懐が心細くなってきたよ。♠●〈心細く感じる〉将来を心細く感じているお年寄りの数は、予想以上に多かった。 **こころまち【心待ち】** ○心の中で期待して待つこと。[文例]〈心待ちにする>息子からの便りを、毎日心待ちにしております。♠●へ心待ちに待つ〉さて、その日は、週に一度の船が着くのを心待ちに待って暮れた。 **こころみ【試み】** ○試みること。ためし。[文例]〈最初の試み>燃料に石炭を使ったのは、この機関車が最初の試みであった。♠●〈新しい試み〉今行おうとしているのは、今までとはまったく違った新しい試みです。♠●へ試みが成功する〉今度の試みが成功するかどうかは、すべてきみの力にかかっている。♠●へ試みに~する〉成功は保証できないが、試みにやってみたらどうだい。 **こころみる【試みる】** ○実際にやってみる。ためしてみる。[文例]〈登頂を試みる〉女性だけの登山隊がエベレストの登頂を試み、無事成功したというニュースが入った。♠へやり方を試みる〉いろいろなやり方を試みたが、この方法がいちばんよかった。 **こころもち【心持ち】** ○気持ち。心地。いくらか。わずかに。[文例]〈いい心持ち〉音楽を聞きながら、うとうとといい心持ちで眠ってしまった。♠◆夜風にさらしたほおが心持ちこわばった感じで快かった。♠前髪を心持ち下げてごらん、そうそう、それでちょうどいい。 **こころもとない【心もとない】(心許無い)** ○たよりない。おぼつかない。気がかりだ。[文例]柱がこんなに細くては、何とも心もとない家だね。♠◆老後のことを考えると、これだけの蓄[たくわ]えでは心もとない。♠●ジュンちゃんは甘えん坊だから、親もとから離すのは心もとなくて・・・・・・。♠これは、きみ自身の問題なんだから、そんな心もとない返事では困るよ。 **こころゆくまで【心行くまで】** ○満足するまで。気がすむまで。心ゆくばかり。[文例]〈心行くまで楽しむ〉この夏は、海、山と心行くまで楽しんだ。♠〈心行くまでやる〉自分のやりたいことを心行くまでやったあとは、すがすがしい満足感で満たされます。 **こころよい【快い】** ○気持ちがよい。快適だ。愉快だ。[文例]〈快い風〉窓を開けると、五月の快い風が吹き込んできた。♠●〈快い眠[ねむ]り〉昨日は久しぶりに体を動かしたので、快い眠りにつくことができた。♠●〈快い気持ち〉こんな快い気持ちを味わったのは、何年ぶりでしょう。♠●〈快く響く〉仕事をし終えたわたしの頭の中に、FMラジオのポピュラー音楽が快く響きました。♠●〈快く思う〉彼女が主役にばってきされたのを、だれも快く思わなかった。♠●〈快く引き受ける〉先輩[せんぱい]は、ぼくの頼みを快く引き受けてくれた。♠●へ快く承知する>先生は、ぼくたちの要求を思ったより快く承知してくれた。 **ここん【古今】** ○昔と今。昔から今まで。[文例]〈古今東西>古今東西の哲学者たちは、例外なく、この問題について考えてきた。♠●〈古今を通じて>子を思う親の気持ちは、古今を通じて変わりがありません。 <368> **ごさ【誤差】** ○計算・測定から得られた値と真の値との差。食い違い。[文例]〈時計の誤差〉高性能のこの時計は、一年間に誤差が一秒以内というすばらしいものです。♠●へ誤差がある〉計測は慎重[しんちよう]に行いましたが、若干[じやつかん]の誤差はあるかもしれません。♠く誤差が生じる〉橋を組み立てている石は、のみで表面を仕上げてあるので寸法に誤差が生じた。 **こざいく【小細工】** ○ちょっとした細工。その場しのぎのこざかしい策略。[文例]〈小細工をする〉割った花瓶を接着剤でくっつけるなんて小細工をしないで、早く謝ったほうがいいよ。♠●〈小細工を弄[ろう]する〉そんな小細工を弄したって、一時しのぎで本当の解決にはならないだろう。 **こさん【古参】** ○古くから加わっていたり、勤めていたりする人。→新参[しんざん][文例]彼は、会の創設時からのメンバーで、一番の古参だそうだよ。♠新入りのきみがあまりでしゃばると、古参の連中ににらまれるぞ。 **ごさん【誤算】** ○計算ちがい。考えちがい。見込みちがい。[文例]〈大きな誤算>相手を甘く見たのが大きな誤算だっ[た]♠●へ誤算がある〉あんなに目先のきく彼でも誤算はあるもので、今度の相場では大失敗したようだ。 **こし【腰】** ○人体の脊椎[せきつい]の下部から骨盤のあたり。また、物のそれにたとえられる部分。持ちこたえる力。ねばり。[文例]川の深さはちょうど小学生の腰くらいまでありました。♠〈腰が曲がる>隣のおばあさんは八十過ぎだというのに、全然腰が曲がっていない。♠●〈腰を抜かす〉とてつもない大きな音がしたのには、腰を抜かしてしまった。♠●へ腰を下ろす〉「どっこいしょ。」と腰を下ろして、弁当をひろげた。♠●〈腰をかける〉あなたが腰をかけていらっしゃるベンチに、わたしの帽子[ぼうし]がのっていたはずですが・・・・・・。♠●へ腰をかがめる〉道で先生に会うと、母は腰をかがめて丁寧[ていねい]にあいさつをしました。♠へ刀を腰に差す>江戸時代の人は、みんながみんな刀を腰に差していたわけではありません。♠●へ腰を上げる〉あの男が重い腰を上げてくれたから、もう大丈夫[だいじょうぶ]、うまくいくぞ。♠●〈腰をすえる〉昨日はM氏と二人きりだったこともあって、会社の将来について腰をすえて話し合った。♠●へ腰がすわる>落ち着きがないせいか、好奇心[こうきしん]が強すぎるせいか、ぼくの態度は、腰がすわっていないと言われる。♠●へ腰を浮かす〉婦人は、ちょっと腰を浮かしていすを動かし、深く座り直しました。♠●へ腰を割る〉土俵[どひょう]で手を下ろして仕切るときは、十分腰を割ってかまえなければいけない。♠命へ腰を入れる〉もっと腰を入れておのを振り下ろさなければ、まきは割れませんよ。♠●へ腰が低い〉一見偉[えら]そうな感じもしますが、あれでなかなか腰の低い人なのです。♠◆へ腰が重い>毎度のことだが、お役所は新しいことに対して腰が重かった。♠●〈腰がある〉ここのお店のおそばは、腰があっておいしいと評判だよ。♠●〈話の腰を折る〉いきなりはいってきて人の話の腰を折るなんて、本当に失礼な男だな。♠へ腰が砕[くだ]ける〉最初は百人近く集まったが、そのうち一人去り二人去り、残ったのは十人前後で、この計画も腰が砕けたかっこうだ。 **こし【枯死】** ○枯れて死ぬこと。[文例]〈枯死する〉観光道路ができた後、周りの大木が次から次へと枯死していった。♠◆<枯死に至る>無計画な道路建設の結果、森林を枯死に至らしめた例は多い。 **こじ【固持】** ○固く守って、変えないこと。[文例]〈自説を固持する〉彼は周囲の反対にも耳を貸さず、自説を固持し続けた。♠●へ価値観を固持する〉きみが自分の価値観を固持するなら、彼らと一緒[いつしよ]にはやってゆけないだろう。 **こじ【誇示】** ○誇らしげに示すこと。得意になって見せびらかすこと。[文例]〈獲物[えもの]を誇示する〉釣り人たちは、それぞれの獲物を誇示し合った。♠●〈能力を誇示する〉能力があるからといって、人の前でそれを誇示しては不快感を与えるだけだ。 **こじ【故事・古事】** ○昔あった事。昔から伝えられる話やいわれ。[文例]〈中国の故事〉「蛇足[だそく]」や「矛盾[ひじゅん]」などは中国の故事から生まれた言葉である。♠●へ故事をひく〉彼の訓話は、中国の故事をひく場合が多い。♠●〈故事にのっとる〉祭りは、三百年前に領主が豊作を祈ったという故事にのっとって行われる。♠●〈故事成語〉「五十歩百歩」「塞翁[さいおう]が馬」などの故事成語の意味や由来を調べてみよう。♠〈故事来歴>長く伝わってきた行事には、必ず故事来歴があります。 **ごし【五指】** ○(指を折って数える時の)五本の指。[文例]宝指に入る〉わたしの高校は、県下で五指に入る進学校です。♠◆〈五指に余る〉この町にはわずかの間に五指に余るスーパーマーケットが開店し、激しい商戦を続けている。 **こじあける【こじ開ける】(抉じ開ける)** ○すき間に物を差し込んだりして無理に開ける。[文例]〈戸をこじ開ける>泥棒[どろぼう]は、雨戸をこじ開けて侵入したらしい。♠ヘドアをこじ開ける>警察官がドアをこじ開けて、隠れ家に入った時、すでに犯人グループは逃走していた。♠●へ口をこじ開ける>病気の猫が嫌がるのを、無理やり口をこじ開けてやっと薬を飲ませた。 **こしかけ【腰掛け】** ○腰をかけるための台。いす。一時的に身を置くところ。[文例]この腰掛けは形が気に入ったので、わたし専用にして誰も座らせないの。♠●へ腰掛けにする〉くたびれたので、切り株を腰掛けにして一服した。♠◆く腰掛けにする>職場を結婚までの腰掛けにする女性がまだまだ多い。 **こしぎんちゃく【腰ぎんちゃく】(腰巾着)** ○腰に下げるきんちゃく。人につき従って離れない者。[文例]父の腰ぎんちゃくと言われるほど、ぼくはどこへでも連れて行ってもらった。♠彼は、社長の腰ぎんちゃくみたいに、常に機嫌をうかがいながらつき従っている。 **こしくだけ【腰砕け】** ○腰の力が抜けて体勢が崩れること。途中でだめになって、後が続かないこと。[文例]〈腰砕けになる>頑張[がんば]り過ぎて、途中で腰砕けなんてことにならないように気をつけたまえ。♠●へ腰砕けになる〉この計画も、担当部長が交替したら、腰砕けになる可能性が強いね。 <369> **こしたんたん(虎視眈眈)** ○(トラが鋭い目で獲物をねらうように)油断なくすきをうかがうさま。[文例]〈虎視眈眈とねらう〉男は忠実なる家来を装[よそお]いながら、虎視眈眈と王の座をねらっていた。♠●〈虎視眈眈とうかがう〉商人は、虎視眈眈と大もうけのチャンスをうかがっていた。 **こしつ【固執】** ○自分の考えにこだわって譲らないこと。こしゅう。[文例]〈固執する〉一人が自分の意見に固執してしまうと、討論が進まなくなる。♠●へ固執する>老人は古いやり方に固執し、新しいやり方を受け入れようとしない。 **ごじつ【後日】** ○後の日。将来。その後。[文例]後日伺[うかが]いますので、その時に今日のお返事をお聞かせください。♠後日談>実はこの事件には後日談があって、当事者同士が親類であることがわかったのです。 **こじつけ** ○こじつけること。[文例]〈こじつけに過ぎない〉言葉の語源は、科学的な根拠[こんきよ]もなくこじつけに過ぎない場合が多い。♠◆ヘこじつけが多い〉彼は議論好きのうえがんこだから、話に筋[みよう]のたたない妙なこじつけが多くて参[さわ]るよ。 **こじつける** ○無理に理屈をつける。無理に関係づける。[文例]彼は、言葉につまってくると、無理にこじつけてつじつまを合わせようとした。♠●覚えにくい英単語や年号などは、他の言葉にこじつけて覚えるとよい。 **ごじっぽひゃっぽ【五十歩百歩】** ○(中国の故事から)大きな違いがないこと。似たり寄ったり。大同小異。[文例]一番先と一番最後の差はあるが、結局二人ともこわくて逃げ出したのだから五十歩百歩だね。♠◆みんなの意見は五十歩百歩で、これといった妙案も出なかった。 **こしぬけ【腰抜け】** ○腰の力が抜けて立てなくなること。、いくじのないこと。また、その人。[文例]武士のくせに戦[いくさ]が怖いとは、この腰抜けめ!♠◆こんなことであきらめていてどうするんだ、腰抜けだな、まったく。 **こしゃく(小癪)** ○生意気で、しゃくにさわるさま。[文例]〈こしゃくなサル〉人間をばかにするとは、こしゃくなサルめ。♠●ヘこしゃくなまね〉なにおっ、小娘のくせにこしゃくなまねをするな。♠●ヘこしゃくに障[さわ]る〉鼻高々[な]の自慢話がこしゃくに障る。 **こしゅう【固執】** ♪こしつ **こしょう【故障】** ○壊れて正常に働かなくなること。さしさわり。苦情。[文例]〈故障する〉エンジンが故障して、車が動かなくなってしまった。♠●へ体の故障〉もう年ですから、体のあちこちに故障が起きてますよ。♠●〈故障が入る>深夜まで騒[さわ]いでいたので、ついに隣家[りんか]から故障が入った。♠へ故障を言う「正式に暇[ひま]を貰[もち]うやり方だと、先方[むこう]に故障を云[い]われた時に困るぞ」(志賀直哉[がなおや]「赤西蠣太[あかにしかきた]」) **こしょう【湖沼】** ○湖と沼。[文例]〈湖沼の汚染[おせん]〉生活排水・工場排水による湖沼・河川・海洋の汚染が大きな公害問題となっている。♠<湖沼地>兄弟は、湖沼地でキャンプをしたり、ボートを乗り回したりして休暇を楽しんだ。 **ごしょう【後生】** ○(仏教で)死後に生まれ変わった世界。哀願する時に言う言葉。[文例]〈後生を願う〉信心深い祖母は、後生を願っていつもお念仏を唱えていました。♠●〈後生が悪い〉困っている人にそんな仕打ちをしたら、後生が悪いぜ。♠●へ後生だから〉いくらカラオケが好きだといっても、おれの前で歌うのは後生だからやめてくれ。♠●へ後生大事〉こんな包み紙まで後生大事にしまっておくなんて、母らしいわ。 **こしょく【古色】** ○古びた色。古びた雰囲気・様子。[文例]〈古色を帯びる〉祖母の部屋には、嫁入り道具に持ってきたという古色を帯びたたんすがある。♠●〈古色をたたえる〉わたしは、古色をたたえた邸内を一めぐりしてみた。♠〈古色蒼然[そうぜん]〉古色蒼然とした山門が昔をしのばせてくれる。 **こしらえる(拵える)** ○作る。仕立てる。調える。よそおう。[文例]<洋服をこしらえる〉姉はパーティー用にピンクのドレスをこしらえました。♠●〈金をこしらえる〉去年まで貧しい生活をしていたのに、どうやってあんな大金をこしらえたのだろう。♠●へ財産をこしらえる〉父はわずか二十年の間に、これだけの財産をこしらえたのです。♠●へ話をこしらえる〉彼は、うまく話をこしらえて、決して自分は悪くないとまわりの人に思わせる。♠◆ヘ顔をこしらえる〉妻が顔をこしらえるのにまだ時間がかかりそうだから、ちょっと庭でも歩いてみないか。♠人体裁[ていさい]をこしらえる〉あの人はいつも体裁をこしらえていて、本当の自分の姿というものを他人に見たことがない。 **こじれる(拗れる)** ○ひねくれる。もつれて順調に運ばなくまる。病気がよくならず逆に悪くなる。[文例]〈話がこじれる〉きみが口を出すと、よけい話がこじれるから、黙って見ていたほうがいい。♠●〈風邪がこじれる〉風邪がこじれてしまうとなかなか治らない。♠●へ仲がこじれる>男女の仲は、一度こじれるとなかなか元に戻らないものだ。 **こじん【個人】** ○ひとりひとりの人。[文例]〈個人として〉ぼく個人としては賛成だが、クラスのみんなが反対するなら、この計画はあきらめます。♠●〈個人と集団>学校は集団生活の場ですから、個人のわがままはいけません。♠◆個人的〉わたしの個人的な悩みを聞いてくれますか。♠●〈個人競技〉ゲームには、一人の力で決まる個人競技と、チームの力で決まる団体競技があります。♠●へ個人主義〉社会や集団を形成する一人一人の考えや自由を大切にしようというのが、個人主義のやり方です。 **こじん【古人】** ○昔の人。[文例]〈古人の心〉古典を読み、そこに流れている古人の心に触れる。♠●へ古人の知恵〉昔の建造物の仕組みなどを調べると、古人の知恵の豊かさに驚かされる。♠桜を愛する気持ちは同じでも、昨今のドンチャンさわぎまでは、古人も考え及ばなかっただろう。 **こじん【故人】** ○亡くなった人。[文例]〈故人となる〉恩師の鈴木先生も、今は故人となられた。♠●著者は故人でありながら、現代においても尊敬されている文学者である。 **こじんしゅぎ【個人主義】** ○社会を構成する各人の自由や権利を重んじ、その行動に責任をもたせる考え方。[文例]個人の価値を重視し、自他の権利と自由を尊重しようというのが本来の個人主義の立場です。♠この学校では個人主義をモットーに、一人一人の個性を伸ばすことに力を入れている。 <370> **こじんまり** ♪こぢんまり **こす【越す・超す】** ○上を過ぎて行く。ある時期を過ごす。先に進む。上回る。突破する。引っ越す。「行く・来る」の尊敬語。[文例]〈山を越す〉明るいうちにあの山を越してしまおう、道に迷ったらたいへんだ。♠●へ事件が山を越す〉主犯の男が逮捕[たいほ]されたことで、今度の事件も山を越したと見ていいでしょう。♠●〈冬を越す〉ツバメのような夏鳥は、日本より南の暖かい国で冬を越します。♠●へ年を越す〉こんな山奥[やまおく]でひっそり年を越すのも、なかなかいいものだ。♠●へ〈六十を越す〉ぼくたちの予想に反して、部屋で待っていたのはとうに六十を越した老人でした。♠●へ先を越す〉ぼくが一番[さき]に池に行こうと思っていたのに、弟や妹に先を越されてしまった。♠●〈千人を超す〉サイン会に集まった若い女の子の数は千人を超していました。♠●〈限度を超す〉仕事にも程[ほど]というものがあるから、限度を超して働くのは考えものだ。♠●へ家を越す〉ぼくは今度、家を越して苫小牧[とまこまい]に移ります。♠●へ隣[となり]町に越す〉せっかく仲良くなれたと思ったとたん、青木君は隣町に越していってしまいました。♠●へお越しください〉何のほかまいもできませんでしたが、どうぞ、またお越しください。♠●へ~にこしたことはない〉きみがぼくの代わりに行ってくれるのなら、それにこしたことはないよ。 **こす(漉す・濾す)** ○細かいすき間を通過させて、かすなどを取り除く。濾過[ろか]する。[文例]〈油をこす〉使い残した油は、こして缶などに入れて保存します。♠●〈水をこす〉うちの井戸水は、砂の層でいったんこしてから飲んでいます。♠●へあんをこす〉おはぎは、こしたあんを使います。 **こすい【鼓吹】** ○勇気づけ、励ますこと。思想などを吹き込むこと。[文例]〈思想を鼓吹する〉わたしの学生時代は、国粋[こくすい]思想をさかんに鼓吹した時代であった。♠●へ士気を鼓吹する>武器は不足していたが、士気を鼓吹して戦いに備えた。 **こずえ(梢)** ○(木末の意)木の幹や枝の先端。[文例]〈木のこずえ〉チ、チッという声に見上げると、落葉松[からまつ]のこずえにスズメくらいの大きさの小鳥がとまっていた。♠●夏も終わり、白樺林[しらかば]がこずえで色を変え始めた。♠●そよそよとこずえを吹いて渡る風がほおに心地よい。 **こする(擦る)** ○押しつけて、する。すりつける。なする。[文例]〈体をこする〉父は毎朝冷水を浴び、タオルで体をこすっている。♠剣へあかをこする〉体じゅうがヒリヒリするけど、あかをこするのって気持ちがいいね。♠●へ壁にこする〉ハンドルをきりそこねて、左のドアーをガレージの壁にこすってしまった。♠●〈目をこする〉信じられない光景に、おじいさんは夢かと思って、もう一度目をこすりました。♠〈こすった跡[あと]>床[ゆか]に何かこすった跡がついているよ。♠●ヘこすりつける〉彼は靴[くつ]の裏にへばりついた泥[どろ]を、入り口の靴ぬぎにこすりつけていた。 **こする【鼓する】** ○打ち鳴らす。奮い立たせる。[文例]〈勇を鼓する〉ゆうさくは勇を鼓して、その年長のリーダーらしい少年に立ち向かっていった。♠●〈勇気を鼓する〉わたしは勇気を鼓して、彼女に自分の気持ちを打ち明けた。 **ごする(伍する)** ○仲間に入る。肩を並べる。[文例]〈列強に伍する〉明治以降、日本は飛躍的な発展を見せ、たちまち列強に伍するようになった。♠●へ皆に伍する〉とてもみんなに伍していけないと、彼はサッカー部を退部してしまった。 **こすれる(擦れる)** ○すれる。すれ合う。[文例]〈葉がこすれる>落ち葉が大地でこすれ合い、かわいた、かすかな音楽をかなでている。♠●〈物がこすれる〉ガラスに物がこすれる時の、あのキーッという音はいやだね。 **こせい【個性】** ○個々の人がもつ性質や特性。[文例]〈個性を伸ばす>学校のクラブ活動の時間は、一人一人の個性を伸ばすのに役立っている。♠●へ個性が表れる〉同じ太陽の絵を書かせても、その作品には子供たちの個性が表れてくる。♠◆〈ユニークな個性〉♠〈個性を生かす>彼女は昔から、そのユニークな個性を生かせせる仕事につきたいと言っていた。♠〈個性を発揮する〉その役者は、今度の舞台で初めて自分の個性を発揮できた、と喜んでいた。♠●〈個性が強い>彼女は個性が強いので、初めて会った人には良い印象を与えないかもしれない。♠〈個性を尊重する〉わが文芸部はそれぞれの個性を尊重し、お互いが干渉[かんしよう]しあうようなことはいっさいありません。♠〈個性的〉きみは、よく言えば個性的、悪く言えばくせの強い人だね。 **こせき【戸籍】** ○国民一人一人の氏名・生年月日・家族との関係などを登録させた公文書。[文例]戸籍に入る〉昔は、結婚した女性は、夫の家の戸籍に入るものとされた。♠戸籍の上〉わたしは戸籍の上では彼の兄ですが、血のつながりはありません。♠●戸籍を抹消[まつしよう]する〉戦後二十年も行方不明であったので、彼女の戸籍は抹消されていた。 **こせこせ** ○ささいなことにこだわって、気持ちにゆとりのないさま。[文例]へこせこせする〉そんなにこせこせしないで、のんびりとかまえたらどうだい。♠●ヘこせこせした人〉わしは、細かいことにこだわるようなこせこせした男は好かん。♠◆ヘこせこせ気を遣[つか]う〉彼は、上司にこせこせ気を遣うようなことはできなかった。 **こぜに【小銭】** ○細かいお金。大金ではないが、ある程度まとまったお金。小金。[文例]〈小銭をためる>生活を切りつめてこつこつと小銭をためこみ、どうにか自分の店を持ったのです。♠●へ小銭がない〉公衆電話をかけようと思ったが、小銭が一枚もなかった。 **ごぜん【午前】** ○午前零時から(特に夜明けから)正午までの間。[文例]昨夜は目がさえて、寝ついたのは午前二時だった。♠午後からは出かけますが、午前中はうちにいます。♠●<午前様〉お父さん、遅いわねえ、また午前様かしら…………….° **こぞう【小僧】** ○年少の僧。年少の男の店員。男の子。[文例]〈米屋の小僧〉小学校を出ると奉公[ほうこう]に出され、米屋の小僧として働いた。♠●へ寺の小僧〉お寺の小僧たちの中に、知恵の働くやつが一人おって、いつもいたずらの中心になっておったな。♠●へ泣き虫小僧〉泣き虫小僧だったけいちゃんも、昔は立派になったねえ。 <371> **こぞう【小僧】** ◆門前の小僧>門前の小僧習わぬ経を読む。 **ごそう【護送】** ○付き添い守って、送り届けること。犯人・囚人などを見張り、送ること。[文例]〈護送する>拘置所から裁判所へ犯人を護送する。♠●〈護送車>犯人を乗せた護送車が襲われる事件が発生した。 **ごぞうろっぷ(五臓六腑)** ○肺・心臓・肝臓など五臓と胃・陽などの六腑。内蔵の総称。腹の中。[文例]〈五臓六腑にしみわたる〉ああ、うまい酒だ。五臓六腑にしみわたる。♠人五臓六腑が煮えくり返る〉あまりの腹立ちに、五臓六腑が煮えくり返る思いだ。 **こそく(姑息)** ○その場しのぎ。いちじ逃れ。[文例]〈こそくな手段>実力を確かめるための試験なのですから、カンニングなどというこそくな手段はいけません。♠●ヘこそくにも〉彼女の気を引くため、こそくにもうそをついてしまった。 **こぞって(挙って)** ○ひとり残らず。みんな。[文例]へこぞって参加する〉年に一度の盆踊[ぼんおど]り大会には、村人たちがこぞって参加する。♠◆ヘこぞって迎える〉生まれ故郷に帰った師を、人々はこぞって出迎えた。 **こそばゆい** ○くすぐったい。むずがゆい。[文例]たいそうほめられて、こそばゆかった。♠女の子とはじめて手をつないだ時、何だか照れくさいような、こそばゆいような変な気持ちがした。 **こたい【固体】** ○物質の三態の一つ。一定の形・体積を持ち、変形しにくい物体。[文例]〈固体・液体・気体〉水が氷や水蒸気になるように、物は温度によって、固体、液体、気体と姿を変える。♠●炭素や硫黄[いおう]などは、常温では固体で存在する元素である。 **こたい【個体】** ○独立した一つ一つの生き物。個々に独立して存在するもの。[文例]〈生物の個体〉同一種の生物も、環境条件の違いなどで個体によって形質に相違が現れてきます。♠●〈個体差〉ヒトに個人差があるように、他の生物にも個体差があります。♠●〈個体数>自然破壊と乱獲[らんかく]で個体数が激減[げさげん]して、絶滅[ぜつめつ]の危機が叫ばれている動植物が少なくない。 **こだい【古代】** ○大昔。古い時代。中世の前に位置づけられる時代。[文例]〈古代から中世へ〉この書には、古代から中世へ移る時代の動きと、新興勢力である武士階級の姿が生き生きと描[えが]かれている。♠●〈古代文明〉古代文明の発祥の地は、黄河やナイル川のような大河の流域である。♠●〈古代工ジプト〉ピラミッドは、古代エジプトの王、ファラオの権力の大きさを今に伝えている。 **こだい【誇大】** ○実際よりもおおげさなさま。過大。[文例]〈誇大に考える〉きみは、ものごとを少し誇大に考えすぎるくせがあるね。♠●へ誇大広告〉その薬を飲むと、たちまち病気が治ってしまうみたいな誇大広告もある。♠●へ誇大妄想[もうそう]〉少年は誇大妄想に陥[おちい]り、実際以上の力持ちになった気分でいた。 **ごたい【五体】** ○人体の頭・首・胴・手・足の五つの部分。全身。[文例]〈五体をふるわせる〉生まれた赤ん坊は、五体をふるわせて、力いっぱい産声[はつしよう]をあげた。♠●〈五体を貫[つらぬ]く〉すさまじい雷鳴[らいめい]が五体を貫き、思わずしゃがみこんでしまった。 **こたえ【答え】(応え)** ○こたえること。返事。解答。回答。→問い[文例]〈答えがない〉耳が聞こえないのか、いくら呼んでも答えがない。♠●〈答えを求める〉次の各問いの答えを求めなさい。♠●〈答えが合う〉三人とも同じ答えなら、きっと合ってるね。♠●へ受け答え〉客の質問に対して店員はてきぱきした受け答えをしていた。 **こたえる【答える】(応える)** ○返事・返答をする。解答する。回答する。応じる。報いる。身に強く感じる。がまんする。[文例]A氏は事件に関してはまったく知らないと答えた。♠●へ質問に答える>先生の質問に答えたのは、緑色のセーターを着た男の子だった。♠●へ期待にこたえる〉高橋選手はみんなの期待にこたえて、みごと決勝に進出しました。♠●声援[せいえん]にこたえる〉立候補者は声援にこたえて、車の中から手を振っていた。♠●へ寒さがこたえる〉昨日の寒さがこたえたらしく、祖母は朝から寝込んでいます。♠◆く胸にこたえる〉その時の母の言葉は、わたしの胸に強くこたえました。♠●へ身にこたえる〉今日みたいな重労働は、彼のような老人の身にはこたえるに違[ちが]いない。♠人骨身[ほねみ]にこたえる〉懐[ふところ]がさみしいせいか、冷たい風がいつもより骨身にこたえます。♠◆ヘこたえられない〉彼女の作ってくれたケーキは、それはもうこたえられないおいしさでした。♠へもちこたえる〉父は二人の体重を一身に受けて、それでも三分近くもちこたえていました。 **こだから【子宝】** ○(何にも勝る宝物である)子供。[文例]〈子宝を授かる>結婚十年目にしてやっと子宝を授かった姉夫婦の喜びようは大変なものです。♠●〈子宝に恵まれる〉結婚して三十年、子宝には恵まれなかったが、夫婦仲むつまじく暮らしてきた。 **ごたく【御託】** ○くどくどしい言いたて。偉そうな言い分。[文例]〈御託を言う〉くどくど御託を言ってないで、さっさと勉強しなさい!♠●〈御託を並べる〉えらそうに御託を並べはするが、いっこうに行動しない人もいます。 **ごたごた** ○混雑しているさま。乱雑なさま。もめごとが起こるさま。また、そのもめごと。[文例]〈ごたごたと並べる>店の棚[たな]には、缶詰[かんづめ]や菓子袋がごたごたと並べてあった。♠へごたごたがある〉隣に何かごたごたがあったらしく、今日は人の出入りが激しい。♠◆ヘごたごたが片づく>娘の結婚にまつわるごたごたもようやく片づきました。♠◆ヘごたごたが絶えない>自分勝手な家族ばかりで、家の中はごたごたが絶えなかった。♠●ヘごたごたする〉夜の遅いことや仕事のことで、夫婦の間が少しごたごたしたこともあった。 **こだち【木立】** ○樹木の立ち並ぶ所。また、その木々。[文例]〈深い木立>深い木立に囲まれた西洋館には、人の住んでいる様子はなかった。♠●〈木立をかけ抜ける風〉一瞬[いつしゆん]木立をかけ抜ける風が目でとらえられたような気がした。 **こだま【木霊】(木魂・谺)** ○木に宿る精霊。やまびこ。[文例]〈こだまが返る>森の向こうからこだまが返ってくる。 <372> **こだま【木霊】** 〈こだまする〉アルプスの山々に美しい歌声がこだまする。♠◆朝あけて船より鳴れる太笛[ふとぶえ]のこだまはながし並みよろふ山(斎藤茂吉[さいとうもきち]) **こだわり** ○こだわること。↓ごだわる[文例]へこだわりを捨てる〉お互いにつまらないこだわりは捨てて、うちとけて話し合ってみたらいい。♠●ヘこだわりを持つ〉きみは、いまだに昔のことにこだわりを持っているようだね。 **こだわる** ○物事にとらわれる。拘泥[こうでい]する。執着[しゅうじゃく]する。[文例]〈服装にこだわる〉何か気にいらないことでもあるのか、彼女は妙[みよう]にぼくの服装にこだわっていた。♠●へ勝敗にこだわる〉いくら試合とはいえ、きみは少し勝敗にこだわりすぎるんじゃないか。♠●〈形式にこだわる〉テストではないのですから、あまり形式にこだわらないで、思うままに書いてください。♠●〈金にこだわる〉あの人は仕事の腕[うで]は確かですが、お金にはこだわるほうですから、支払いはきちんとしてください。♠●く細かいことにこだわる〉あいつだって悪いと思ってるんだから、細かいことにこだわってないで早く仲直りしろよ。♠●〈ものにこだわらない〉彼はものにこだわらない、さっぱりした性格の持ち主です。 **ごちそう(御馳走)** ○豪華な食事。酒食のふるまい。客のもてなし。[文例]ごちそうが並ぶ〉食卓には、今まで食べたことのないようなごちそうが並んでいた。♠●へごちそうになる〉秋田の友人を訪ねた時、土地の珍[めずら]しいものをたっぷりとごちそうになった。♠●へごちそうする〉さあ、何でも好きなものをごちそうしてやるぞ。♠●へ何よりのごちそう〉こんな寒い晩は、年寄りには、風呂が何よりのごちそうです。♠〈ごちそうさま>あら、のろけ話ですか。どうもごちそうさま。 **こちょう【誇張】** ○おおげさに言うこと。おおげさに表現すること。[文例]その子の実力は高校生なみだと言っても、決して誇張ではない。♠●へひどい誇張〉かなり大きな会社だと聞いていたが、ひどい誇張で、あやうくだまされるところだった。♠●へ事実を誇張する〉ぼくのところに伝わってきたうわさは、事実がかなり誇張されていました。♠◆く誇張された表現〉「白髪三千丈[はくはつさんぜんじよう]」と言いますが、もちろん誇張された表現です。 **ごちょう【語調】** ○言葉の調子。語気。語勢。[文例]〈語調を強める〉ぼくがいつまでも黙[だま]っているので、彼は語調を強めて返事を迫[せま]った。♠●〈語調を和らげる〉厳しく言っても少年の心を閉ざすだけだと知った老人は、少し語調を和らげた。 **こちら(此方)** ○話し手に近い場所・位置。また、その方向、その方向にあるもの。話し手の側。この人。[文例]花子さんもこちらへいらっしゃいよ。♠●材質の関係で、こちらのほうが少し高くなっています。♠こちらはいつでもかまいません。都合のよい時においでください。♠●こちらはぼくの友人で、山下さんです。♠あちらを立てればこちらが立たず、板ばさみで困ってしまった。♠●ヘこちらさま〉こちらさまとは、以前お目にかかったことがございますね。 **こぢんまり** ○小さいなりにまとまっているさま。[文例]〈こぢんまりした店〉小さいが、明るく、こぢんまりした感じのよいお店です。♠●へこぢんまりとまとまる〉この絵はうまいが、こぢんまりとまとまりすぎておおらかさに欠ける。♠●ヘこぢんまりと座る〉祖母は日だまりにこぢんまりと座って、孫の手袋[てぶくろ]を編んでいた。 **こつ【骨】** ○火葬にした人の骨。物事の要領。かんどころ。[文例]〈お骨を拾う〉♠〈お骨を納める〉火葬した父のお骨を拾い、それを墓に納めた。♠●ヘこつがある〉♠〈こつをつかむ〉ものにはこつがあるんだ、そのこつさえつかめば簡単なんだよ。♠●ヘこつをのみこむ〉こつさえのみこめば、一輪車もそれほど難しくありません。 **ごつい** ○かたく、ごつごつしている。ぶこつだ。がんこだ。手ごわい。[文例]〈ごつい手>農夫はごつい手で額の汗をぬぐった。♠●ごついかばん>仕事でとび回っている彼女は、女ものにしては少しごつい書類かばんを愛用している。♠〈ごつい相手〉ごつい相手だ、注意してかかれ。 **こっか【国家】** ○一定の領土と国民をもち、統治の制度や組織を備えた共同体。くに。[文例]〈国家と個人>戦争中の日本は、国家を中心とする考え方で、個人の自由や権利は犠牲にされた。♠〈近代国家〉十九世紀後半、日本では徳川政権による幕藩[ばくはん]体制が崩壊[はうかい]し、明治政府による近代国家が誕生[たんじよう]した。 **こづかい【小遣い】** ○自分で自由に使えるお金。[文例]<毎月の小遣い〉文房具は、毎月の小遣いで買います。♠小遣い稼[かせ]ぎ〉うちは本屋なので、小遣い稼ぎに店でアルバイトをしている。♠へ小遣い銭>失業中の身なので、毎日の小遣い銭にも困っています。 **こっかく【骨格】(骨骼)** ○体の骨の組み立て。骨組み。[文例]小さい時からスポーツで鍛えたから、骨格ががっしりとしている。♠●へ人間の骨格〉理科室には、人間の骨格を示す模型が置いてあった。♠●へ建物の骨格〉古い建物だが、骨格がしっかりしているので丈夫なのだ。♠●〈論文の骨格〉きみの論文は骨格はちゃんとできているが、細部の吟味[ぎんみ]があと一歩だ。 **こっかん【酷寒】** ○厳しい寒さ。極寒。[文例]〈酷寒の地〉北極に近い酷寒の地で、人々は狩りや農耕に励[はげ]みながら生きている。♠●へ酷寒のみぎり〉「酷寒のみぎり、くれぐれも御自愛ください。」 **こっきょう【国境】** ○国と国の境界。国ざかい。[文例]〈国境を越える>刑務所[けいしょ]を脱獄[だつごく]した男は、国境を越えてスペインに入ったらしい。♠〈国境の町〉父は戦後まもなく、大陸東北部の国境の町に生まれました。♠●〈国境を固める〉緊急事態に備えて国境を固めるため、政府は守備兵を増員した。♠●〈国境を侵[おか]す〉約三万の敵軍が国境を侵したという情報が入った。♠●へ時代や国境を越える〉すぐれた芸術は、時代や国境を越えて、人々の心を動かす。♠●〈愛に国境はない〉愛には国境がないことも、この映画のテーマの一つになっている。 **こっく【刻苦】** ○苦しみ努力すること。ひどく苦労すること。[文例]〈刻苦する〉人々は、荒れ地を耕しながら、刻苦してこの村を築いてきた。 <373> **こっく【刻苦】** ●〈刻苦勉励〉貧しさと戦いながら、刻苦勉励、昼は仕事、夜は勉強に打ち込んだ。 **こづく【小突く】** ○突く。つつく。[文例]〈頭をこづく〉父に頭をこづかれて、ぼくはしかたなく隣の家へ謝りに行った。♠◆〈ひじでこづく>男は、女にひじでこづかれてしゃべるのをよした。♠◆ヘこづきまわす〉子供たちが足の悪い犬を棒[ぼう]でこづきまわすのは、見るに堪[た]えなかった。 **こっけい(滑稽)** ○おどけていて、おかしいさま。ばかばかしいさま。[文例]今日の宴会[えんかい]でいちばんこっけいだったのは、山下君のパントマイムだね。♠◆ヘこっけいな男>弟のぼくが言うのもなんですが、確かに兄はこっけいな男です。♠◆ヘこっけいな話〉あいつは、いつもこっけいな話をして、みんなを笑わせる。♠◆ヘこっけいに見える〉青年期は自意識が強いので、大人からはこっけいに見えるほどのささいなことで真剣[しんけん]に悩[なや]むのだ。♠●英語を三か月でマスターしようなんて、ぼくに言わせればこっけいだ。♠●〈こっけいさ〉小学生には、この役者のもの悲しいこっけいさはわからないと思うよ。 **こっこく【刻刻】** ○時を追って。刻一刻。[文例]〈刻々と近づく>優勝決定の瞬間[しゅんかん]が刻々と近づいてきた。♠●〈刻々と変化する〉ビジネスマンとして生きていくには、刻々と変化する世界情勢に敏感[びんかん]に対応していかなければならない。♠〈刻々伝えられる〉その事務所にも、開票の結果は刻々伝えられていた。♠〈刻々〜する〉情報センターには世界各地の新しいニュースが刻々入ってきます。 **こつこつ** ○かたい物が触れ合って出る音を表す語。地道に励むさま。[文例]〈こつこつと響く>暗い夜道にこつこつと自分の靴音だけが響く。♠◆ヘこつこつと働く〉まじめにこつこつと働けば、いつか必ずいいことがあるよ。♠●こつこつ励む>毎日こつこつ励むことが、学力をつけるいちばん確かな方法です。 **こっし【骨子】** ○物事の主要部分。要点。[文例]〈文章の骨子〉文章をいくつかの段落に分け、それぞれの骨子をまとめてみよう。♠計画の骨子〉計画の骨子は決まったが、細部はまだ検討中だ。 **こつずい【骨髄】** ○骨の中心部の空洞を満たす柔らかい組織。心の奥底。要点。[文例]脊椎[せきつい]動物では、骨髄で赤血球、白血球をつくる。♠●〈骨髄を砕[くだ]く>骨髄を砕くほどの苦労の末、やっと小さな結晶[けつしよう]を得て研究を成功させることができた。♠●へ恨[うら]み骨髄に徹する〉資本家に対する恨みは、労働者の骨髄に徹していた。 **こっせつ【骨折】** ○体の骨が折れること。[文例]〈骨折をする〉大雪の東京では、慣れない雪道で滑[すべ]って転び、ねんざや骨折をする者が相次いだ。♠●〈骨折する〉スキーで右足を骨折して、三週間学校を休みました。 **こつぜん(忽然)** ○予期させずに現れたり、消えたりするさま。こつねん。[文例]へこつぜんと現れる〉あいつは、いつも食事時になるとこつぜんと現れるな。♠●ヘこつぜんと姿を消す〉登校中に、少女はこつぜんと姿を消してしまったのだ。 **ごったがえす【ごった返す】** ○非常に混雑する。[文例]〈客でごった返す〉日曜日のデパートは、お客でごった返している。♠●へ人の波でごった返す〉今年の夏も、海水浴場は人の波でごった返すことだろう。♠●へ火事でごった返す〉駅の付近は火事でごった返している。♠●へ子供たちでごった返す〉夏休みの子供たちでごった返している映画館で、財布[さいふ]をすられた。♠●へ帰省客でごった返す>帰省客でごった返す車内の様子をニュースが報じている。 **ごっちゃ** ○雑然といりまじったさま。ごちゃごちゃ。[文例]〈ごっちゃにする〉そのことと、今度の問題をごっちゃにしないでくれ。♠●ごっちゃになる〉彼女に会う喜びと恐れがごっちゃになって、ぼくの心臓は早鐘[はやがね]を打つように高鳴った。 **こってり** ○(色・味などが)濃厚なさま。くどくどしいさま。[文例]髪にはこってりと油を塗り、香水までつけて、紳士は町へ出かけました。♠◆ヘこってり油をしぼられる〉練習をさぼり、コーチにこってり油をしぼられた。♠命へこってりした料理〉こってりした料理のあとは、さっぱりしたデザートをどうぞ。 **こっとう(骨董)** ○古道具や古美術品。[文例]〈書画骨董>骨董屋には、目の玉が飛び出るような値段のついた書画骨董が陳列[ちんれつ]されていた。♠◆〈骨董品〉部屋には、骨董品のような古びたピアノが置いてあった。 **こつにく【骨肉】** ○骨と肉。肉親。[文例]〈骨肉相食[は]む〉相続をめぐり、遺族の間で骨肉相食む争いの生じる例はめずらしくない。♠●へ骨肉の情〉親子であれば、骨肉の情というものがあろう。 **こつねん** ♪こつぜん **こっぱ【木っ端】** ○木の端。木ぎれ。木のくず。とるに足らぬもの。[文例]〈木っ端を拾う〉落ちている木っ端を拾い集めて燃やし、暖[だん]を取った。♠〈木っ端役人〉あの木っ端役人め、偉そうに何様[なにさま]だと思ってやがる。 **こっぱみじん【木っ端みじん】(木っ端微塵)** ○細かく砕け散るさま。こなみじん。[文例]どうどうと響きをあげる激流が木っ端みじんに橋げたを跳[は]ねとばしていた。♠へ木っ端みじんに砕[くだ]く〉ダイナマイトは固い岩も木っ端みじんに打ち砕く。♠●へ木っ端みじんにする〉このできごとは、彼女の自信を木っ端みじんにしてしまった。 **こっぴどい** ○手ひどい。手きびしい。[文例]〈こっぴどい目〉ちくしょう! 今度会ったらこっぴどい目にあわせてやる。♠●ヘこっぴどい批評〉こっぴどい批評家のために、ぼくの自尊心は大いに傷つけられた。♠●ヘこっぴどくしかる〉仕事をなまけて、親方[おやかた]にこっぴどくしかられた。 **こつぶ【小粒】** ○小さなつぶ。体や形が小さいさま。[文例]〈実が小粒>今年はミカンが豊作だが、実は例年より小粒だ。♠●〈体が小粒>体は小粒だが、あれでなかなか力がある。♠〈さんしょうは小粒でもぴりりと辛[から]い〉さんしょうは小粒でもぴりりと辛い。 **コップ** ○ガラス製などの、水などを飲む容器。カップ。[文例]〈コップにつぐ〉瓶[びん]からでなく、ちゃんとコップについで飲みなさい。 <374> **コップ** ◆ヘコップの中の嵐[あらし]>企業内の争いは社員にとっては大変なことだが、世間から見ればコップの中の嵐にすぎない。♠●ヘコップ酒>やけになった男は、今日も朝からコップ酒をあおっていた。 **こて【小手】(籠手)** ○ひじと手首の間。手首からひじの部分に当てる防具。剣道[けんどう]で手首を打つこと。[文例]〈小手をかざす〉大きな音がしたので、みんな窓から顔を出し、小手をかざして向こうを見た。♠●〈小手が決まる〉剣道大会の決勝戦は、小手が決まって我が校の主将が勝った。 **ごて【後手】** ○碁・将棋で後から打つ方。相手に先を越されること。→先手[文例]〈後手になる〉相手の行動は迅速[じんそく]で、あっという間にぼくたちは後手になってしまった。♠へ後手に回る>商品開発では他社に出しぬかれ、わが社は後手に回った。♠●へ後手後手>敵に手の内を読まれているのだろう、こちらの攻めは後手後手になってしまう。 **こてい【固定】** ○動かないように据え付けること。定まっていること。変化しないこと。[文例]〈机を固定する〉机の脚[あし]はロープでしっかりと固定してあった。♠●〈端を固定する〉ひもの端を固定して、きれいな円を描[えが]きました。♠へ固定した考え方〉どうしてきみはそんなふうに固定したものの考え方しかできないのかね。♠◆<固定した収入〉音楽家としてはまだかけ出しで、固定した収入はないので、結婚[けつこん]なんとてもできません。♠●〈固定客〉あの店は三代も続いたしにせで、固定客が多い。♠●〈固定観念〉大人は頭がかたいので、ものごとに対して、固定観念から抜け出すことが難しい。 **ごてごて** ○はでに飾りたてるさま。しつこいさま。くどいさま。[文例]〈ごてごて飾[かざ]る〉この部屋はごてごて飾り立ててあって、なんだか落ち着かないね。♠◆ヘごてごてと不平を並べる>男は酒を飲みながら、いつまでもごてごてと不平を並べていた。 **こてさき【小手先】** ○手さき。ちょっとした細工。ちょっとした知恵。[文例]〈小手先の仕事〉ぼくは不器用なので、細かい小手先の仕事は無理だ。♠●〈小手先がきく〉妹は、あれでなかなか小手先がきくから、そばに置いとくと何かと助かるんだ。♠●へ小手先のごまかし〉この問題は、小手先のごまかしでどうにかなるような段階は過ぎたと思う。 **こてしらべ【小手調べ】** ○ためしにちょっとやってみること。[文例]〈小手調べをする〉受験前に模擬試験を受けて、小手調べをしておこうかな。♠●へほんの小手調べ〉このくらいで音[ね]を上げていてはだめだ、まだほんの小手調べだぞ。 **こてん【古典】** ○古くから伝わる価値ある文芸・芸術作品。[文例]〈古典に親しむ〉『源氏物語』や『枕草子[まくらのそうし]』などの優れた古典に親しもう。♠●へ古典的〉着物の柄も、古典的なものばかりでなく、現代的にアレンジしたモダンなものが多くなってきた。♠●へ古典派〉わたしは、モーツァルトやベートーベンなど古典派の音楽が好きです。 **こと【事】** ○できごと。事実。事態。事情。大事。事柄。[文例]〈事の真相〉わたしたちはさらに調査を進めて、事の真相を確かめなければならない。♠●へ事の起こり〉そもそも事の起こりは、二人のささいなけんかだった。♠●く事ここに至っては〉事ここに至っては、あなたにすべてを打ち明けなければならないだろう、♠●へ事を荒[あら]立てる〉結着がついたことをむし返して、事を荒立てるのはよくないと思うよ。♠●へ事あるごとに〉うちの親は、事あるごとに、「親孝行したいときには親はなし」などと言う。♠●へ事のなり行き〉事のなり行きを始めから説明してもらわないと、どちらが正しいのか判断できない。♠●へ事なきを得る〉小さな子が道の真ん中に飛び出したが、車が急ブレーキで止まったので事なきを得た。♠●へ事と次第によっては〉今度という今度は許さない。事と次第によっては出る所へ出るぞ。♠●〈事を構える〉事を構えるのは嫌[いや]ですから、出来るだけ円満に話し合いたいと思います。♠●へ事を好む>事を好まない人だったから、穏[おだ]やかに問題を解決しようとした。♠●へ事もあろうに〉こんな常識を、事もあろうに小学生に教えられるなんて。♠●へ事もなげ〉三十万円か、と、金持らしい客は事もなげに言いのけた。♠●へ事ほどさように〉没落すると、だれもわたしの所に足を運ばなくなった。事ほどさように、人間は冷たいものなのだ。♠◆〈自分のこと〉人を頼[たよ]ってはだめです、自分のことは自分でしなさい。♠◆ヘこれはことだ〉NTTの地下ケーブルが火災だなんて、こりゃあことだぞ。♠●〈えらいことになる〉えらいことになりました、地下室の壁[かべ]から水がしみ出ています。♠◆ヘことによると〉ことによると、今日は午後から雨が降るかもしれません。♠●へ食うにこと欠[か]く〉十年前までの彼は、それこそ食うにもこと欠くような生活をしていました。♠話したいこと〉ちょっと話したいことがあるんだ、そこまでつきあってくれないか。♠●〈知ったことでない〉彼が成功しようとしまいと、そんなのは知ったことではない。♠●〈長いこと>長いことよくしんぼうしましたね、さあ、これからは楽してください。♠●へ〜こと〜>清水次郎長[しみずのじろもよう]こと山本長五郎[ちょうごろう]は、東海道になわばりを持つ大親分でした。♠●へ〜ということ〉彼女は幼いときに両親と死に別れたということだ。♠●へ〜する・しないこと〉この公園内でキャッチボールをしないこと。♠●へ〜ないことには>地震[じしん]のあとはいつ津波[つなみ]が起こるかわからないから、用心しないことにはね。 **こどう【鼓動】** ○心臓が血液を送り出す時に発する響き。活気に満ちてふるえ動くこと。[文例]〈心臓の鼓動〉患者の心臓の鼓動はしだいに弱まっていき、やがて停止した。♠●へ大地の鼓動>草木が芽吹き、花咲き乱れる春は、大地の鼓動が聞こえるようだ。♠●〈鼓動する>当時の青年たちの胸の中では、それまでにない全く新しい精神が鼓動していたのである。 **ことかく【事欠く】** ○不足する。不自由する。[文例]雨が降らず井戸はかれて、飲み水にも事欠くありさまだ。♠◆人生経験の豊かな人なので、話のたねには事欠かない。♠●へ言うに事欠いて〉あいつ、言うに事欠いて、そんなデマを流しているのか。 **ことがら【事柄】** ○物事。物事の内容・様子。[文例]〈見てきた事柄〉うそなんかついていませんよ、ただ見てきた事柄をそのまましゃべっただけです。 <375> **ことがら【事柄】** へ〜に関する事柄>映画ならまだしも演劇に関する事柄は、ぼくにはさっぱりわからない。♠●へ重要な事柄〉ニュースを見ただけでは、重要な事柄ははっきりしませんでした。♠へ次の事柄について>次の事柄について、百字以内で説明しなさい。♠◆〈金銭上の事柄〉金銭上の事柄はすべて彼に任せてあるので、心配いりませんよ。 **こどく【孤独】** ○身寄りや人との交わりがなく、ひとりであること。ひとりぼっちで寂しいさま。[文例]〈孤独な生活>東京へ来てからしばらくの間は、これといった友達もなく孤独な生活を送っていた。♠●〈孤独を感じる〉仲間とワイワイ騒[さわ]いでいるときにも、ふっと孤独を感じることがあるんだ。♠●〈孤独を愛する〉彼は用事がなければ一日中一人で海をながめている、孤独を愛する人でした。♠〈孤独を味わう〉たまには騒がしい都会を離れ、一人旅に出て孤独を味わうのもいいものだ。♠●〈孤独に耐える〉一人住まいの孤独に耐えられなくなった時でも、彼女は決して両親には電話しなかった。♠◆天涯孤独[てんがい]〉源[げん]さんは親も兄弟もない、天涯孤独な職人です。 **ことごとく(尽く・悉く)** ○残らず。全部。すべて。[文例]上京してしばらくは、見るもの聞くものがことごとく珍[めずら]しかった。♠◆しゅうとめは、嫁のわたしのやることなすことがことごとく気に入らないらしい。♠●思い出の品は、今回の火事でことごとく焼失してしまった。 **ことさら【殊更】** ○とりたてて。わざわざ。わざと。とりわけ。[文例]〈ことさら〜する〉そんなささいなこと、ことさら強調するには及ばないさ。♠◆ヘことさらに目立つ〉長身のバスケット選手たちの中に入ると、ぼくの背の低さがことさらに目立った。♠◆ヘことさらめく〉彼のあんなことさらめいた言い方は嫌味[いやみ]だね。 **ことし【今年】** ○この年。こんねん。本年。[文例]今年ももうすぐ終わりですね。♠◆年の始めには、今年こそがんばろうと思うのだが・・・・・・。♠◆あの子も今年から高校生になります。 **ことづかる【言付かる】(託かる)** ○届ける、または伝えるように頼まれる。託される。ことづけられる。[文例]〈人から物をことづかる〉これは母からことづかってきたものです。どうぞお受け取りください。♠●へ手紙をことづかる>山本君からきみに、この手紙をことづかってきたよ。 **ことづけ【言付け】(託け)** ○伝える言葉や内容。ことづて。伝言。[文例]〈人からのことづけ〉都合がよかったら明日自宅の方へ顔を出してくれって、先生からのことづけだよ。♠◆〈ことづけを頼む〉彼のところへ行くんなら、悪いけどことづけを頼みたいんだが。 **ことづける【言付ける】(託ける)** ○伝えるように頼む。届けるように頼む。託する。[文例]〈人にことづける〉そんな大事なことは人にことづけたりしないで、直接本人に言いなさい。♠●〈人にことづける〉聞いてないって? 昨日、あいつにことづけておいたのに、しようがないやつだな。♠へ祝いをことづける〉わたしは、札幌[さつぽろ]の大学へもどる息子に姪[めい]への入学祝いをことづけた。 **ことなる【異なる】** ○他とちがう。同じでない。[文例]<異なる二点>異なる二点を通る直線はただ一本しかない。♠〈異なる点〉人間と動物の最も異なる点は、文明を持っているかどうかではないでしょうか。♠●へ習慣が異なる〉言葉だけでなく、国によって習慣が異なるのは当然のことです。♠●〈意見が異なる〉この件に関しては、彼とぼくとでは意見が異なっています。♠●へ時と場合によって異なる〉応急処置の方法は、けがの状態やけが人の様子など、時と場合によって異なってきます。♠●へなんら異なるところがない〉人間が理性を失ってしまっては、動物となんら異なるところがない。 **ことに【殊に】** ○とりわけ。特に。[文例]例年に比べて、今年の冬はことに雪が多かった。♠ぼくは数学の中でも、ことに二次関数が苦手だ。♠この駅は、朝の八時から八時半までの間がことに込み合います。♠ぼくは古代史の中でも、ことに聖徳太子[しようとくたいし]の時代に興味があります。 **ことのほか【殊の外】** ○思いのほか。とりわけ。特別に。[文例]さぞ難しかろうと思ったが、試験はことのほか易しかった。♠反対していた父が喜んでくれた時は、ことのほかうれしかった。 **ことば【言葉】** ○音声(や文字)によって思想を伝えるための手段。語。語句。文句。表現。言語。[文例]〈言葉をかける〉パーティーの席であの人は初めてわたしに言葉をかけてくれた。♠●へ言葉を交[か]わす〉ぼくが最初に彼女と言葉を交わしたのは、六年前の七月のことだった。♠◆ヘ言葉をさえぎる〉兄は父の言葉をさえぎると、部屋を出ていってしまいました。♠◆〈言葉をさしはさむ〉川口さんがぼくたちの間に言葉をさしはさんできたので、話が混乱してしまった。♠●ヘ言葉を信じる〉きみのように軽々しく人の言葉を信じるのはどうかと思うよ。♠●ヘ言葉を慎[つつし]む〉ちょっと言いすぎだよ、もう少し言葉を慎んだらどうだい。♠●へ言葉を飾[かざ]る〉作者は、自分の経験を、言葉を飾らずありのままに伝えている。♠◆ヘ言葉を操[あやつ]る〉あの人は、四か国の言葉を自由に操ることができるそうです。♠●ヘ言葉を濁[にご]す>先生は言葉を濁して、賛成とも反対ともおっしゃらなかった。♠へ返す言葉がない>予想もしなかった彼の反論に、ぼくは返す言葉がなかった。♠●〈言葉を借りる〉M氏の言葉を借りれば、あなたはあまりに個性的すぎるのかもしれない。♠●ヘ言葉を返す〉お言葉を返すようですが、あなたが考えているより事態はもっと深刻なのです。♠●ヘ言葉にできない〉山頂からのながめは言葉にできないほど美しかった。♠●ヘ言葉に甘える〉お言葉に甘えて先に休ませてもらいます。♠●ヘ言葉が通じる〉ぼくも相手の外国人も英語がでたらめで、言葉は全く通じなかった。♠ヘ言葉を尽[つ]くす〉みんなにわかるように、ぼくは言葉を尽くして説明を続けた。♠●〈言葉が出る〉あまりのショックに、彼は次の言葉が出てこないといった様子でした。♠◆ヘ言葉の端[はし]>きみが今度の計画に反対であることは、その言葉の端からうかがうことができる。♠●へ言葉のあや〉それは言葉のあやで、別に深い意味はありません。 <376> やで、わたしの本心ではありません。 **ことばづかい【言葉遣い】**[ことばづかい] ○言葉のつかい方。言い方。[文例]〈言葉遣いが悪い〉言葉遣いが悪い、と母からよく注意される。♠●へていねいな言葉遣い〉目上の人にはていねいな言葉遣いをするように心がけなさい。 **こども【子供】**[こども] ○(親に対して)子。(大人に対して)幼い子。[文例]〈子供が生まれる〉姉夫婦に子供が生まれるというので、父も母も大喜びです。♠●へ子供がいる〉〈子供の世話〉四人も子供のいる姉は、毎日子供の世話で忙[いそが]しそうです。♠<子供の使い>子供の使いじゃないんだから、ちゃんと用は足してきてくれよ。♠●〈子供扱い〉いつまでも子供扱いしないでほしい。♠●子供だまし〉こんな子供だましの手に、大の大人が引っかかるかい。♠●へ子供っぽい〉もう、そんな子供っぽい遊びは卒業しろよ。♠●へ子供子供する〉十五歳だというが、妙[みよう]に子供子供したしぐさの少年だった。♠へ子供心〉親のつらさが子供心にもわかるのだろう、じっとこらえて欲しいと言わない。♠●子供は二つしかって三つほめよ。♠◆雪とけて村一ぱいの子どもかな(小林一茶[いっさ]) **ことよ・せる【事寄せる】**[ことよ・せる] ○口実とする。かこつける。[文例]ぼくは犬の散歩にことよせて、毎朝ジョギング中の中山さんに会っている。♠●展覧会にことよせて、出無精[でぶしよう]の父をデパートに誘[さそ]い出した。 **ことわざ(諺)**[ことわざ] ○簡潔な表現の中に日常生活の教訓を含んだ、昔からの言い伝え。[文例]ことわざは、短い言葉で、わたしたちに人生の教訓を教えてくれます。♠●生活の知恵から生まれたことわざには、人生の真理を巧みに言い当てたものが多い。♠●ヘことわざに言う〉「果報は寝て待て」とことわざにも言うだろう。だから、ぼくはぼんやり待っているんだがなあ。 **ことわり【断り】**[ことわり] ○ことわること。拒否。辞退。言いわけ。[文例]〈断りの手紙〉ぼくは友達の誘[さそ]いに、断りの手紙を書いた。♠◆断りを言う〉この空き地で遊ぶなら、持ち主に一言断りを言ったほうがいい。♠●へ断りもなしに〉彼は一言の断りもなしに、他人のものを使うような人間じゃない。 **ことわ・る【断る】**[ことわ・る] ○申し出・誘い・頼みなどをこばむ。前もって伝える。前もって了解を得る。言いわけをする。[文例]〈~するのを断る〉ぼくがお金を貸すのを断ったのは、別に深い理由があったわけではない。♠●〈誘いを断る〉彼女をデートに誘ったけれど、あっさりと断られてしまった。♠出席を断る〉N氏は、忙[いそが]しくてとても会議には出席できないと、電話で断ってきた。♠へ人を断る〉あの人は仕事はいいかげんだし、時間にもルーズなので、三月いっぱいで断りました。♠〈先生に断る〉頭痛がひどかったので、先生に断って早退しました。♠●へだれに断って〉だれに断って、人の家に上がりこんだのだい。 **こな【粉】**[こな] ○砕いたり、つぶしたりして、非常に細かくなった物。粉末。[文例]ヘチョークの粉〉ズボンのおしりにチョークの粉がついていますよ。♠●へ粉にする〉うちでも、今度コーヒー豆[まめ]をひいて粉にする器具を買った。♠●へ粉をふく〉庭につるしてある干しがきが真っ白い粉をふいている。♠〈粉雪〉夕方から降り出した粉雪は、明け方まで降り続きました。♠〈粉薬〉カプセルと粉薬とでは、どちらが効き目があるのですか。♠●〈粉々〉地面にたたきつけると、お菓子は粉々にくだけてしまった。 **こなごな【粉々】**[こなごな] ○細かく砕けたさま。[文例]〈粉々になる〉わたしの手の間から滑[すべ]り落ちたグラスは、一瞬[いっしゅん]のうちに粉々になって散った。♠●〈粉々に砕く〉度重なる落選は、彼の内に残っていたわずかの希望や自信も粉々に打ち砕いた。 **こな・す(熟す)**[こな・す] ○細かく砕く。消化する。思うように扱う。処理する。さばく。[文例]〈食べ物をこなす〉食べ物は胃や腸でこなされ、栄養となって体内に吸収される。♠●へ言葉をこなす〉日本に来てまだ二年なのに、ロバートさんはもう、日常の日本語をこなしている。♠●〈仕事をこなす〉さしずめ、人間なら十日はかかる仕事を、この機械は一日でこなす。♠●〈役をこなす〉この難しい役をこなすことができるのは、きみしかいない。♠〈数をこなす〉単価が安いので、数をこなさないともうけが出ない。♠●く使いこなす〉あの気むずかしい職人を使いこなすには、親方[おやかた]も苦労するだろう。 **こな・れる(熟れる)**[こな・れる] ○細かく砕ける。消化される。熟達する。人柄[ひとがら]がまるくなる。[文例]〈食べ物がこなれる〉病人や赤ちゃんには、おかゆのような体の中でこなれやすい食べ物を与えます。♠◆ヘこなれた芸〉この役者も、年を取るごとにこなれた芸を見せてくれるようになった。♠人人柄がこなれる〉若い時はすぐかっとなったりするが、だんだん人柄がこなれて穏[おだ]やかになるものだ。 **ごにん【誤認】**[ごにん] ○誤って認めること。誤った認識。[文例]〈誤認する〉信号を誤認して、もう少しで事故を起こすところでした。♠●〈事実誤認〉捜査[そうさ]の結果、警察の事実誤認であることが判明し、彼は今日釈放された。 **こねまわ・す【こね回す】(捏ね回す)**[こねまわ・す] ○繰り返してこねる。いじくりまわす。くどくどと言う。[文例]小麦粉にバターや卵を入れたら、よくこね回してください。♠●〈理屈をこね回す〉ああでもないこうでもないと理屈[りくつ]ばっかりこね回していないで、ちょっとは働け。 **こ・ねる(捏ねる)**[こ・ねる] ○(粉状のものに水を加えて)練る。くどくどと言う。[文例]〈粉をこねる〉手があいているのなら、そこのボールでうどん粉をこねておいてください。♠●<粘土[ねんど]をこねる〉幼稚園[ようちえん]のころ粘土をこねて作った人形を、妹は、今でも大事に持っています。♠へ泥[どろ]をこねる〉砂場では小さい子が二人、泥をこねて何かをこしらえていました。♠●へだだをこねる〉いくらだだをこねたって、今日は何も買ってあげませんからね。♠●〈理屈をこねる〉そんなに理屈ばかりこねるのなら、ぼくはこの話から抜けた。 **ご・ねる**[ご・ねる] ○くどくどと不平不満を言う。[文例]彼は納得[なつとく]せず、ごねて要求を通した。♠●そんなにごねるんだったら、もうおまえには頼まないからいいよ。 **この(此の)**[この] ○話し手の近くにある(と感じられる)物事を指す語。[文例]この子、迷子らしいんだ。♠●へそくりは、この <377> こぶ **ごはさん【御破算】**[ごはさん] ○そろ盤で玉を払って零にもどすこと。物事をもとの状態にもどすこと。[文例]隣のそろばん塾から、「御破算で願いましては…」と読み上げる声が聞こえる。♠●〈御破算になる〉せっかくまとまりかけた話が、わたしの失敗で御破算になってしまった。 **こばしり【小走り】**[こばしり] ○小またで足早に歩くこと。[文例]小柄な母は、大またで歩く父の後ろをいつも小走りについていく。♠●約束の時間ぎりぎりに、彼女は着物のすそを押さえながら小走りにやってきた。 **こば・む【拒む】**[こば・む] ○要求・申し出をはねつける。ことわる。拒否する。はばむ。[文例]〈支払いを拒む〉あんなきつい仕事をさせられたうえ、支払いを拒まれたのではたまったものではない。♠●人要求を拒む〉会社側が新しい要求を拒んだため、従業員側との交渉はもの別れとなった。♠●へ面会を拒む〉あらかじめ約束[やくそく]せずに、いきなり訪ねていったので、面会を拒まれた。♠●〈入場を拒む〉サングラスをかけた男は守衛[しゅえい]に入場を拒まれ、ぶ然として立ち去った。♠●へ前進を拒む〉道路に倒[たお]れかかった大木がぼくたちの前進を拒んでいた。 **ごはん【御飯】**[ごはん] ○「飯」「食事」の丁寧語。[文例]〈御飯を炊く〉キャンプでは、飯ごうで御飯を炊いて食べた。♠●へ御飯をよそう〉夜になっても母が帰らないので、自分で御飯をよそって食べた。♠へ朝御飯〉あと五分早く起きれば、朝御飯もゆっくり食べられるのに。 **こび(媚び)**[こび] ○こびること。相手の気を引くしぐさ。[文例]〈こびを売る〉女たちがいくらこびを売っても、彼は見向きもしなかった。♠●ヘこびを含む〉その女のしぐさは、どこ となくこびを含んでいた。 **ごび【語尾】**[ごび] ○語の終わりの部分。活用語の活用する部分。[文例]わたしの話し方は、語尾がはっきりせず聞き取りにくいといわれます。♠●へ語尾を濁[にご]す〉相手は口ごもり、語尾を濁した。♠「読む・読め」「美しい・美しく」のように語尾が変化する語を「活用語」という。 **ごびゅう(誤謬)**[ごびゅう] ○あやまり。まちがい。[文例]〈誤謬が多い〉彼の論文には、調査不足による誤謬が多く、学界では評価を得られなかった。♠◆<誤謬を犯す〉捜査[そうさ]の過程で数々の誤謬を犯し、結局、この事件は迷宮[めいきゆう]入りとなった。 **こびりつく**[こびりつく] ○かたくくっつく。しっかり付いて離れない。[文例]〈鍋[なべ]にこびりつく〉鍋の底にこびりついたこげまで食べても、なお満腹[まんぷく]できなかった。♠◆く頭にこびりつく〉夜ふけに読んだ怪奇[かいき]小説の一場面が頭にこびりついて、トイレに立つのも怖[こわ]かった。 **こ・びる(媚びる)**[こ・びる] ○機嫌をとる。へつらう。気を引く。[文例]〈先輩[せんぱい]にこびる〉後輩[こうはい]にはいばるくせに、先輩には卑屈[ひくつ]なほどこびるのだから、彼はキャプテンには向かないよ。♠◆ヘこびた態度〉彼女がこびた態度をとるのも、彼の気をひこうとしているからだ。♠●〈時流にこびる〉よほど意志が強くなければ、時流にこびずに生きていくのは難しい。♠へ権勢[けんせい]にこびる〉彼は苦境にありながらも、権勢にこびることなく自分の道を歩んでいった。♠◆ヘこびへつらう〉ふだん厳格な父が地主にこびへつらうのを見て、ぼくは悲しくなってしまった。 **こぶ(瘤)**[こぶ] ○筋肉や脂肪が固まり、皮膚の一部を盛り上げてできたしこり。物の表面に盛り上がったもの。ひもなどの結び目。じゃまになるもの。[文例]〈こぶをつくる〉ひざをすりむいたばかりなのに、今度はおでこにこぶをつくってきたの。♠●ヘこぶができる〉おや、くりくりのぼうず頭にこぶができてるよ。♠〈ラクダのこぶ〉ラクダには、こぶが一個のヒトコブラクダと二個のフタコブラクダがある。♠木のこぶ〉古木の幹[みき]にはゴツゴツとこぶがついていた。♠〈目の上のこぶ〉勉強も運動も一番の小島君は、ぼくらにとって目の上のこぶだった。♠●ヘこぶつき〉当時は、こぶつきの女をやとってくれる店などなく、わたしは子供の手を引いて途方[とほう]にくれていた。 **こぶ【鼓舞】**[こぶ] ○励まし奮い立たせること。鼓吹[こすい]。[文例]〈士気 <378> **ごへい**【御幣】○紙を畳んで切り、木に挟んでたらしたもの。神主がおはらいをする時などに用いる。[文例]<御幣をかつぐ>年寄りですから、迷信を信じたり、御幣をかついだりします。 **ごへい**【語弊】○不適切な言葉を用いることからくる弊害。[文例]<語弊がある>彼をガリ勉と言っては語弊があるが、とにかく勉強のことしか頭にないようだ。 **こべつ**【個別】○一つ一つ別であるさま。個々別々。[文例]集団になじめない子については、個別に指導していく必要があるでしょう。♠会社側は、被害住民と個別に交渉[こうしょう]しようとした。 **こぼ・す**(零す)○外にもらし落とす。外に流し出す。口に出して言う。[文例]<塩をこぼす>テーブルの上にお塩をこぼしたのはだれだい。♠<水をこぼす>チンパンジーはコップを右手につかむと、一滴[いってき]もこぼさずに飲み干しました。♠<涙[なみだ]をこぼす>日ごろ勝ち気[かちき]なあの子が涙[なみだ]をこぼしていたので、びっくりした。♠<愚痴[ぐち]をこぼす>おばあさんが頼りない息子の愚痴[ぐち]をこぼすのを、母はうんうんと聞いてやっている。♠<身の不運をこぼす>昨日は珍しく酒に酔って、彼はおのれの身の不運をこぼしていた。 **こぼ・れる**(零れる)○外にもれ落ちる。外に流れ出る。あふれ出る。欠け落ちる。[文例]<牛乳がこぼれる>床[ゆか]に牛乳がこぼれているからふいておいてください。♠<涙[なみだ]がこぼれる>彼女の後ろ姿を見送る間、涙[なみだ]がこぼれるのを止めることができなかった。♠<笑いがこぼれる>男の子のかわいらしい演技に、観客からは思わず笑いがこぼれました。♠<日差しがこぼれる>木々の枝からはおだやかな日差しがこぼれて、辺りはもうすっかり春の気配です。♠<刃[は]がこぼれる>少し刃[は]がこぼれているとはいえ、この刀は国宝級の名刀です。♠<白い歯がこぼれる>検査の結果父の病気がガンでないことがわかって、母の口元に白い歯がこぼれた。 **こま**(駒)○馬。将棋で盤上を動かす五角形の木ふだ。[文例]<将棋のこま>ぼくの顔は角ばっているので、将棋のこまみたいだと言われます。 **ごま**(胡麻)○植物の名。小さな種子を食用にしたり、食用油をとったりする。[文例]<ごまをふる>ほうれんそうのおひたしにぱらぱらとごまをふります。♠<ごまをする>お母さんにごまをすったって、おこづかいは増やしませんよ。♠<へそのごま>お父さん、おへそのごまを取るとおなかが痛くなるわよ。 **こまか・い**【細かい】○一つ一つが非常に小さい。くわしい。細部にわたっている。よく行き届いている。とるに足りない。けちである。[文例]<細かい砂>葉っぱの裏には、細かい砂のような虫の卵がいくつもついていた。♠<細かい雨>部屋の中にいたのでわからなかったが、外は細かい雨が降り出していた。♠<細かく刻[きざ]む>そこの玉ねぎを三つばかり、細かく刻[きざ]んでくれないかな。♠<お金を細かくする>電話をかけたいので、この千円札を細かくしていただけませんか。♠<細かいの>あいにく今、細かいのを持ちあわせていないんだ、悪いけどたてかえておいてくれないか。♠<細かい点>報告書には、計画の細かい点まで、びっしりと書き込んであった。♠<芸が細かい>こんな宴会[えんかい]に舞台[ぶたい]衣装[いしょう]を借りてくるなんて、彼女もずいぶん芸が細かいね。♠<神経が細かい>この手紙を見ても、彼の神経の細かいことがわかるでしょう。♠<細かいこと>細かいことをあまり気にしない性格は、時に大失敗を招くこともあった。♠<細かい心づかい>妹の細かい心づかいが、入院しているわたしには本当にありがたく思えた。♠<金に細かい>あの男はけちで金に細かい男として通[とお]っていた。 **ごまかす**○人の目をあざむく。その場をとりつくろう。[文例]<年をごまかす>あの女優は、若作りをしてそうとう年をごまかしている。♠<世間の目をごまかす>世間の目をそんなに長い間ごまかしつづけることはできない。♠<目方・勘定[かんじょう]をごまかす>目方や勘定[かんじょう]をごまかすような商売をやっていると、いずれ信用をなくしてしまう。♠<不正をごまかす>彼は、自分の不正をごまかそうと、懸命[けんめい]に弁解した。 <379> **こま・る**【困る】○どうしたらよいかわからず苦しむ。難儀する。[文例]このひどい雨では、傘を持たずに出ていった姉さんは、きっと困っているに違いない。♠<返事に困る>ぶしつけな質問に、わたしは何と答えていいのかわからず、返事に困ってしまいました。♠<金に困る>会社をやめてからは、確かに彼は金に困っている様子だった。♠<生活に困る>今度のチャリティーコンサートで集められたお金は、生活に困っている人に送られます。♠<困ったこと>先輩[せんぱい]は、困ったことがあったら、いつでもおれのところに来い、と言ってくれた。♠<困った人>困った人ですねえ、あなたって人は。 **こみ**【込み】○とり交ぜること。含めること。[文例]<込みにする>閉店まぎわの八百屋では、売れ残った野菜を込みにして、ひと山いくらでたたき売っていた。♠<サービス料込み>このホテルは、サービス料込みで、一泊二万円です。 **ごみ**○不用のくず。ちり。無価値なもの。[文例]<ごみを処理する>お母さんが台所のごみを処理している。♠<ごみを散らかす>そんなにごみを散らかすんじゃありません。♠<ごみを捨てる>ごみは、きちんとごみ箱[ばこ]に捨てましょう。♠<ごみがたまる>家具の後ろには、ごみやほこりがたまりやすい。♠<ごみが出る>引っ越しのときには、大量のごみが出るので、それを片づけるだけでも大変だ。♠<ごみを拾う>ボランティアの人たちが公園でごみを拾っている。♠<目にごみが入る>目にごみが入ったのか、痛くて開けられない。 **こみあ・う**【込み合う】(混み合う)○混雑する。[文例]<人で込み合う>日曜日のデパートは、買物客で込み合っていた。♠<車内が込み合う>車内は込み合っていて、ずっと立ち通しだった。 **こみあ・げる**【込み上げる】○上へあふれ出そうになる。[文例]<笑いが込み上げる>その夜はベッドにはいってからも、そのことを思い出すと、笑いが込み上げてきてしかたがなかった。♠<喜びが込み上げる>試合が終わった瞬間[しゅんかん]は何が何だかわからなかったけど、じわじわと勝利の喜びが込み上げてきた。♠<熱いものが込み上げる>息子の無事な姿を目にしたとき、わたしの胸には熱いものが込み上げてきた。♠<涙[なみだ]が込み上げる>あまりのうれしさに涙[なみだ]が込み上げてきて、新人歌手はとても歌い続けることができなかった。♠<なつかしさが込み上げる>十年ぶりに故郷の山々を見たとき、胸の中になつかしさが込み上げてきた。 **こみい・る**【込み入る】○複雑に入り組む。[文例]<道路が込み入る>この辺りは道路が込み入っていて、一度や二度来たくらいではよくわからない。♠<家が込み入る>旧道沿いの人家の込み入っている所は、江戸時代の宿場町[しゅくばまち]の名残[なごり]です。♠<装置・仕掛けが込み入る>新しい機械は装置[そうち]が込み入っていて、素人[しろうと]のぼくにはとても扱[あつか]えない。♠<筋が込み入る>この推理小説は登場人物が多いうえに筋が込み入っているので、何が何だかわからなくなってしまった。♠<話が込み入る>彼女がその場にやってきて口を出したので、話はよりいっそう込み入ってしまった。♠<込み入った事情>彼にもいろいろと込み入った事情があるのだろうから、あまり詳しく聞かないことにした。 **こ・む**【込む】(混む)○いっぱい入って混雑する。中が詰まる。入り組む。中に入る。中に入れる。すっかり・・・する。じっと・・・する。[文例]<電車が込む>休日だというのに電車は込んでいて、ぼくたちは終点までずっと立ちっ放しだった。♠<店が込む>いつもより店が込んでいるのは、昨日から始まったバーゲンセールのせいだろう。♠<スケジュールが込む>社長はスケジュールが込んでおりますので、お会いできません。♠<手が込む>彼女の持っている小物入れには、かなり手の込んだ細工がしてあります。♠<負けが込む>わが草野球チームは、このところ負けが込んで、さっぱり意気があがらない。♠<飛び込む>ぼくが止めるのも聞かず、彼は洋服を着たままプールに飛び込んだ。♠<考え込む>弟は何か気になることでもあるのか、もう三十分以上も机に向かって考え込んでいる。 <380> **ごめん**【御免】○許し・許可を請う時の言葉。訪問・辞去・謝罪などの時の言葉。拒否の気持ちを表す言葉。「免職」などの尊敬語。[文例]ごめん、ごめん、遅くなって。♠ごめんください、御主人[ごしゅじん]は御在宅[ございたく]でしょうか。♠あんな思いは、二度と御免だ。♠<御免こうむる>いくら頼まれても、それだけは御免こうむる。♠<お役御免>彼は再三の失敗がたたって、どうやらお役御免らしいよ。 **こもごも**【こもごも】(交交)○かわるがわる。交互に。いり交じって。[文例]<こもごも~する>言いたいことがあれば言ってごらんと言うと、老人たちはこもごも不満を述べ始めた。♠<悲喜こもごも>思い起こせば、悲喜こもごもの三十年だった。 **こもの**【小物】○小さいもの。ちっぽけなもの。こまごましたもの。[文例]当たりは大きかったが、釣りあげると小物だったので、海に放してやった。♠選挙違反で捕[つか]まるのは小物ばかりで、大物はいつも逃げてしまう。♠店の棚には、こまごまとしたかわいらしい小物類が並べてあった。 **こもり**【子守】○幼い子の世話をしたり、相手をしたりすること。また、その人。[文例]<子守をする>兄弟の多い我が家では、上の子が小さい子の子守をします。♠<子守歌>母親の子守歌を聞きながら、赤ちゃんはすやすやと寝ています。 **こも・る**(籠る)○中に入ったままでいる。中に満ちて、いっぱいになる。いっぱいに含まれる。[文例]<家にこもる>ぼくは外出するのが嫌い[きらい]で、用事がなければ何日でも家にこもっています。♠<山にこもる>お坊[ぼう]さんは悟[さと]りを開くために、若いころ何年も山にこもって修行したそうだ。♠<煙[けむり]がこもる>部屋中にたばこの煙[けむり]がこもっているよ、少し窓を開けなさい。♠<音がこもる>この深い霧の中では、警笛[けいてき]の音もこもって、遠くまでは聞こえないだろう。♠<声がこもる>電話の向こうで、こもったような声でぼそぼそとしゃべる男がだれなのか、思い出せなかった。♠<陰[いん]にこもる>山寺で打ち鳴らす鐘の音は、陰[いん]にこもってもの悲しく聞こえる。♠<心がこもる>プレゼントは心がこもってさえいれば、金額などは問題ではない。♠<熱がこもる>話をする彼女の言葉には、いつになく熱がこもっていた。♠<力がこもる>千秋楽[せんしゅうらく]結びの一番は、横綱[よこづな]どうしの対戦にふさわしい、力のこもった取り組みになりました。♠<生活感がこもる>この詩人のヨーロッパ留学中の話には、生活感のこもったものが多かった。 **こもん**【顧問】○相談を受けて助言を与える役目の人。[文例]<顧問の先生>クラブの運営については、顧問の先生ともよく相談して決めていこう。♠<顧問弁護士>顧問弁護士の大木先生のおかげで、裁判は勝訴[しょうそ]した。 **こや**【小屋】○小さく粗末な造りの建物。[文例]老人は、村はずれの小屋に一人で住んでいた。♠<馬小屋>イエスさまは、ベツレヘムの小さな馬小屋で生まれたそうです。♠<見せ物小屋>祭りの日には、広場に人形芝居などの見せ物小屋がかかり、子供たちも大喜びです。 **こやし**【肥やし】○作物の生育を助けるもの。肥料。人の成長を促すもの。[文例]<肥やしをやる>大きい実がなるようにたっぷりと肥やしをやりました。♠<肥やしになる>今のわたしには、若い時の苦労がいい肥やしになっています。♠<芸の肥やし>女たらしと評判の若手の落語家だが、それも芸の肥やしだろう。 **こや・す**【肥やす】○太らせる。土地を豊かにする。能力を育てる。[文例]<豚[ぶた]を肥やす>ここの豚[ぶた]はうんとえさを与えて肥やし、食肉用として売り渡すことになっている。♠<土地を肥やす>川によって運ばれた栄養分が土地を肥やした。♠<私腹を肥やす>地位や職権を悪用し、私腹を肥やしている悪い人間もいる。♠<目を肥やす>絵画に対する目を肥やすには、やはりすぐれた作品に接することが大切です。 **こゆう**【固有】○本来そなわっていること。そのものにだけあること。特有。[文例]<固有の名>「明治通り」とか「すずらん通り」とか、道路にはそれぞれ固有の名がつけられていることがある。♠<固有の領土>この列島はわが国固有の領土である。♠<固有の文化>どんな少数民族にも、その民族だけがもつ固有の文化がある。♠<固有の文字>漢字が伝わるまで、日本人は日本語を書き表す固有の文字を持っていなかった。 <381> **こよう**【雇用】○雇い入れること。[文例]<終身雇用>日本のような終身雇用の社会は、世界でも珍しいという。♠<雇用促進[そくしん]>障害者の雇用促進[そくしん]のための法律がつくられた。 **ごよう**【御用】○用・用事・用件などを表す尊敬・丁寧語。権力の意のままになるものをいう語。[文例]なんなりと御用をお申しつけください。♠御用だ! もう逃げられないぞ。神妙[しんみょう]に縛[ばく]につけ。♠<御用納め>暮れもおし迫[せま]り、二十八日の今日は官庁の御用納めである。♠<御用組合>この会社にも組合はあるが、実態は御用組合で会社のいいなりだ。♠<御用聞き>この辺りは商店街から離れているが、御用聞きの人が回ってくれるのでとても助かる。 **ごよう**【誤用】○まちがって用いること。誤った用法。[文例]<言葉の誤用>「風」は「寒い」とも「冷たい」ともいいますが、「水」が「寒い」は誤用です。 **こよなく**○このうえなく。かくべつに。[文例]<こよなく美しい>会場に現れた貴婦人は、こよなく美しい笑みをふりまいた。♠<こよなく愛する>こよなく愛した娘を失った夫婦の悲しみは大きく、以来二人は世間に姿を見せなくなった。 **こよみ**【暦】○年間の月日・曜日・祝祭日・日の出・日の入り・月の満ち欠けなどを記したもの。[文例]<暦をめくる>研究会が開かれる三月三日が何曜日なのか、暦をめくって調べた。♠<暦を繰る>結納[ゆいのう]の日取りを決めようと、父はさっきから暦を繰って吉日[きちじつ]を探しています。♠<昔の暦>昔の暦は月の運行を基礎にして作られていて、一年は三五四日と定められていた。♠<暦の上では>九月にはいって暦の上では秋だと言っても、しばらくは厳しい暑さが残ります。♠<花ごよみ>季節ごとにどんな花が咲くかを、日を追ってまとめたのが花ごよみです。 **こらい**【古来】○昔から。[文例]<古来の風習>この地方には、都会では見られなくなった古来の風習がそのまま残っています。♠<古来から>そのお寺は奈良時代に帰化人が建てたものだという、古来からの言い伝えがある。♠<日本古来>仏教は、日本古来のものではなく、インドから伝わったものです。♠<わが国古来>センチメートルやメートルなどのほかにも、尺[しゃく]、寸[すん]といったわが国古来の長さの単位がある。♠<古来稀[まれ]なり>人が七十歳になると、古来稀[まれ]なりという意味で、古稀のお祝いをします。♠『万葉集[まんようしゅう]』に数多くの歌を残せる柿本人麻呂[かきのもとのひとまろ]は、古来歌聖[かせい]として仰[あお]がれた。♠古来、成功を収めた者は皆[みな]時間を重んじたと、先生は時間の大切さを強調した。 **こらし・める**【懲らしめる】○懲りて二度としないようにさせる。[文例]<人を懲らしめる>悪いことをしたときには懲らしめてやらないと、本人のためにならないよ。♠<きつく懲らしめる>口で言ってもわからないのだったら、少しきつく懲らしめてやるといいんだ。♠<鬼[おに]を懲らしめる>桃太郎[ももたろう]は、暴れて人を困らせる鬼[おに]を懲らしめに、鬼が島に行った。♠<悪を懲らしめる>テレビアニメの主人公は、悪を懲らしめるスーパーヒーローであることが多い。 **こらえしょう**【こらえ性】(堪え性)○つらいことに耐える意志の力。忍耐力。[文例]<こらえ性がない>神経質な兄は、騒音に対してこらえ性がなく、子供の騒ぐのもがまんができないらしい。♠<こらえ性がない>ぼくはこらえ性がなくて、何でもすぐ投げ出してしまう。 **こら・える**(堪える)○がまんする。耐える。[文例]<笑いをこらえる>最初は下を向いて我慢[がまん]していたが、とうとうこらえられなくなって笑い出してしまった。♠<涙[なみだ]をこらえる>彼女は兄の肩[かた]に手をおいて、あふれてくる涙[なみだ]を必死にこらえていた。♠<痛みをこらえる>大事な決勝戦とあって、彼は右足の痛みをこらえて出場した。♠<飢え・寒さをこらえる>ヒナは親鳥が帰ってくるまで岩陰[いわかげ]にじっと潜[ひそ]み、飢えと寒さをこらえていた。♠<怒り[いか]りをこらえる>何も言わないが、彼の様子からは怒り[いか]りをじっとこらえているのがよくわかる。♠<寄りをこらえる>大関[おおぜき]の強烈[きょうれつ]な寄りを、横綱[よこづな]は土俵際でこらえ、うまくはたき落しました。 **ごらく**【娯楽】○楽しみ。なぐさみ。また、それらを与えるもの。[文例]<趣味や娯楽>ぼくは音楽を趣味や娯楽でやるのでなく、一生の仕事としてやっていくつもりだ。♠<娯楽がない>こんな山の中ですから、夜は酒を飲む以外これといった娯楽もありません。♠<娯楽番組>日曜は、テレビのスポーツや娯楽番組でも見ながら家でゆっくりと過ごします。 **こら・す**【凝らす】○こりかたまらせる。一点に集中させる。一生懸命に物事をする。[文例]<目を凝らす>山中に見える赤い小さな光は何なのか、ぼくたちはじっと目を凝らした。♠<ひとみを凝らす>都会では見られない降るような星空を、子供たちはひとみを凝らして見つめました。♠<息を凝らす>木の陰にうずくまり、息を凝らして、獲物[えもの]が通るのを待っていた。♠<工夫を凝らす>さすがに展覧会に出すだけあって、どの作品にもおもしろい工夫が凝らしてあります。♠<趣向[しゅこう]を凝らす>あれこれと趣向[しゅこう]を凝らした歓迎に、大統領一行は満足そうな様子でした。♠<技巧を凝らす>『万葉集[まんようしゅう]』に比べて、『古今集[こきんしゅう]』は、表現に技巧を凝らした、優美な歌が多い。♠<意匠[いしょう]を凝らす>年に一回の仮装[かそう]パーティーに、みんなはそれぞれに意匠[いしょう]を凝らした格好[かっこう]で集まってきます。 **ごらん**【御覧】○「見る」の尊敬語。「…してみろ」の丁寧語。[文例]<御覧に入れる>これから、皆さんにすてきなものを御覧に入れましょう。♠<御覧の通り>エイッと気合いをかけると、ほら御覧の通り、中の人は消えました。♠御覧、にじが出ている。♠<~してごらん>あきらめないで、もう一度やってごらん。きっとできるから。 **こりかたま・る**【凝り固まる】○集まって固くなる。夢中になって他をかえりみない。[文例]<砂糖が凝り固まる>壺[つぼ]の中には、砂糖が凝り固まっていた。♠<うらみが凝り固まる>この怪奇小説は、領主に殺された人々のうらみが凝り固まって復しゅうする話です。♠<宗教に凝り固まる>おばさんは、若いころから宗教に凝り固まっているのです。 <382> **こりごり**【懲り懲り】○すっかり懲りて、二度としたくないさま。[文例]不幸と悲しみしかもたらさない戦争なんて、もうこりごりだ。♠<こりごりする>おだてられて議長を引き受けたけど、みんな勝手なことばかり言うのでこりごりした。 **こりつ**【孤立】○他から離れて単独で存在すること。[文例]<孤立する>四方を敵の大軍に囲まれ、味方は完全に孤立した形となった。♠<村が孤立する>町につながる唯一[ゆいいつ]の道路も土砂崩れで通行止めとなり、村が孤立してからもう四日もたつ。♠<孤立した存在>その性格からか、彼は友達もほとんどなく、クラスでも孤立した存在となっています。♠<孤立無援[こりつむえん]>計画を支援してくれる人もなく、わたしは今孤立無援[こりつむえん]の立場に立たされている。 **ごりむちゅう**【五里霧中】○(深い霧の中で方向がわからないように)見通しの立たないこと。[文例]手がかりは全くつかめず、捜査[そうさ]は五里霧中の状態だ。♠志望大学への入学は果たしたが、将来については五里霧中です。 **こりょ**【顧慮】○かえりみて、あれこれ考えること。心に止めること。[文例]<顧慮を払う>その話題でどんなに彼女が傷つくかということに、少しの顧慮も払わないほど、わたしは無神経だった。♠<顧慮する>自分の信念を貫こうとするのなら、くだらない世評など顧慮する必要はない。 **こ・りる**【懲りる】○ひどい目にあって、二度とやるまいと思う。文例]一度ひどい目にあって以来、それに懲りてはちの巣取りの遊びはしなくなった。♠<失敗に懲りる>失敗に懲りずに頑張った[がんばった]ことが成功につながったのだと思う。♠<あつものに懲りてなますを吹く>「あつものに懲りてなますを吹く」ということわざがあるが、一度失敗すると、とかく臆病[おくびょう]になりがちだ。 **こ・る**【凝る】○集まって固くなる。夢中になる。工夫する。筋肉が張る。[文例]<肩[かた]が凝る>二時間も作文の清書を続けたので、すっかり肩[かた]が凝ってしまった。♠<肩[かた]が凝る>彼はきまじめな性格なものだから、いっしょにいるとどうも肩[かた]が凝ってね。♠<プラモデルに凝る>男の子ならだれでも一度は、プラモデルに凝った時期があると思います。♠<盆栽[ぼんさい]に凝る>父は今盆栽[ぼんさい]に凝っていて、暇[ひま]さえあれば庭に出てあれこれいじくっている。♠<インテリアに凝る>この店は、ずいぶんインテリアに凝っているね。♠<凝った細工>この作品には小学生のものとは思えない凝った細工がしてある。♠<凝った趣向[しゅこう]>彼女のコンサートは、いつも何か凝った趣向[しゅこう]がなされていて、それを楽しみにするファンも少なくない。♠<柄[がら]が凝っている>この着物はずいぶん柄[がら]が凝っていますね、お値段も高いのでしょう? **こるい**【孤塁】○孤立したとりで。残された唯一の根拠地。[文例]<孤塁を守る>伝統が次々に消えていく中で、彼は孤塁を守って伝統芸能の発掘[はっくつ]と保存に努めた。 **これしき**【これ式】(是式)○これくらい。この程度。これっぽっち。[文例]<これしきのこと>なんのこれしきのことでうろたえるでない。♠<これしきの金額>これしきの金額でおおげさかとも思ったが、大きい祝儀袋[しゅうぎぶくろ]しかなかった。 **これみよがし**【これ見よがし】○これ見よと言わんばかりに、得意になって見せつけるさま。[文例]あんな立派な標本をこれ見よがしに出されたのでは、あとのぼくたちは困ってしまう。♠大変なのはわかるけど、あんなにこれ見よがしにため息をつかれたのでは、同情心もうすらぐ。 **ころ**(頃)○だいたいの時。時分。時機。[文例]<幼稚園[ようちえん]のころ>幼稚園[ようちえん]に通っていたころ、家の近くで火事があったのを覚えています。♠<桜[さくら]のころ>この公園は一年のうちでも、やはり桜[さくら]の花の咲くころがいちばんいい。♠<若かりしころ>京都には、わたしの若かりしころの思い出が数多く残っている。♠<着くころ>兄の乗った電車は、ちょうど大阪駅に着いたころだろう。♠<ころを見はからう>意見が出つくしたところで、ころを見はからって、先生がまとめをしてくださいました。♠<ころは三月>ころは三月、満開の桜[さくら]の下で、若い二人は運命的な出会いをしたのだった。♠<~してもいいころ>事件が起こってから五年、もうそろそろ真相を話してくれてもいいころだと思うよ。♠<~時ごろ>母が帰ってくるのはたぶん二時ごろだと思いますが。♠<ころあい>七時にまにあうよう、ぼくたちはころあいを計って家を出た。 **ころあい**(頃合い)○適当な時。時機。ちょうどよい程度。手ごろ。[文例]<ころあいを見る>ボーイは、食事の終わるころあいを見てコーヒーを運んできた。♠<ころあいの土地>家を建てたいのですが、ころあいの土地がなかなか見つかりません。 **ころう**【古老・故老】○老人。地域の歴史・伝統・風習などにくわしい老人。[文例]村の古老に昔の話を聞いて、それを小さな本にまとめました。♠この村では困ったことが起こると、いつも古老の意見を参考にして対処してきました。 **ころが・す**【転がす】○転がるようにする。横倒しにする。運転する。転売を重ねる。[文例]<石を転がす>山道で上から石を転がしちゃ危ないじゃないか。♠<土俵に転がす>相手を一発で土俵に転がしてやった。♠<玉を転がすよう>少女は、玉を転がすような美しい声で歌い始めた。♠<車を転がす>兄は、暇[ひま]さえあれば車を転がしている。♠<土地を転がす>ここは業者が土地を転がして、地価をつり上げているらしい。 **ころがりこ・む**【転がり込む】○転がって入り込む。思いがけなく手に入る。人の家にやっかいになりに来る。転げこむ。[文例]<ボールが転がり込む>公園に面した我が家の庭には、よくボールが転がり込んでくる。♠<金が転がり込む>会ったこともない叔父[おじ]の遺産を相続することになり、思わぬ大金が転がり込んだ。♠<家に転がり込む>下宿を追い出されたと言って、ぼくの家に友人が転がり込んできた。 **ころが・る**【転がる】○回りながら進む。横倒しになる。横になる。むぞうさに置かれてある。どこにでもある。事態が転回する。[文例]<ボールが転がる>摩擦の少ない氷の上を、ボールは百メートル以上も転がっていった。♠<岩が転がる>谷底には十メートル以上もある岩がいくつも転がっていました。♠<芝生[しばふ]に転がる>疲れたのなら、そこの芝生[しばふ]に <383> でも転がって休めよ。♠<就職口が転がっている>大学を卒業したからって、いい就職口が転がっていると思ったら大間違いだ。♠<どこにでも転がっている>これは、どこにでも転がっているような話とはちがうよ。♠<どっちへ転がるか>話がもめにもめて、この先どっちへ転がるか見当がつかない。♠<寝転がる>兄は何もする気にならないと言って、お昼過ぎまで部屋の中で寝転がっていました。♠<転がり込む>「果報[かほう]は寝て待て」というが、チャンスが向こうから転がり込むことは、そうはないぞ。 **ころ・げる**【転げる】○ころがる。倒れる。[文例]<ボールが転げる>取りそこなったボールは、土手を転げて川に落ちた。♠<あお向けに転げる>雪道でつるりと滑[すべ]って、あお向けに転げてしまった。♠<転げるよう>熊[くま]に追われた男たちは、山の斜面を転げるようにして駆け下りた。♠<笑い転げる>あまりにおかしい話に、聞いていたみんなは腹を抱えて笑い転げた。 **ころころ**○小さな物が転がるさま。太って丸々としているさま。次々と倒れるさま。笑い声、コオロギの鳴き声、鈴の鳴る音などの形容。[文例]<ころころと鳴く>涼しい夜風といっしょに、ころころと鳴くコオロギの声が座敷[ざしき]に入ってくる。♠<ころころ転げる>山のてっぺんで包みを広げたとたん、おむすびはころころ転げていった。♠<ころころと笑う>この年ごろの娘は、ちょっとしたことにでもころころとよく笑う。♠<ころころする>うちの子犬は、太ってころころしている。♠<ころころと死ぬ>中世のヨーロッパでペストが猛威をふるい、大勢の人がころころと死んでいった。 **ころごろ**○大きな物が転がるさま。大きな音が鳴り響くさま。ぶらぶらしているさま。ありふれているさま。[文例]遠くの方で、雷[かみなり]がゴロゴロと鳴っている。♠冷たい物ばかり飲んでいたら、おなかがゴロゴロいい出した。♠猫がゴロゴロとのどを鳴らしてすり寄ってくる。♠大きな岩がゴロゴロとがけを転がってきた。♠川原には、大きな石がごろごろしている。♠昨日は、せっかくの日曜なのにひどい雨で、家でごろごろしていた。♠そんな話は、世間にごろごろしている。 **ころ・す**【殺す】○命を奪う。勢いをなくする。働きをおさえる。効果があらわれないようにする。[文例]<人を殺す>川崎市で一家四人を殺した犯人の手がかりは、まだありません。♠<虫も殺さぬ>彼女は虫も殺さぬような顔をして、あれでけっこうきついことを言うんだよ。♠<ランナーを殺す>投手はすばやく打球を処理し、飛び出した二塁[にるい]ランナーを殺した。♠<良さを殺す>調味料を使いすぎると、せっかくの材料の良さを殺してしまうことになりますよ。♠<才能を殺す>コーチのずさんな選手管理が彼の才能を殺してしまった。♠<声を殺す>隣の人の視線を気にしながら、ぼくたちは声を殺して話を続けました。♠<息を殺す>男の足音が消えるまで、彼女はロッカーの陰[かげ]に息を殺して隠[かく]れていた。♠<スピードを殺す>スピードを殺したゆるいカーブが、ストライクゾーンに入った。♠<自分を殺す>クラスのみんなのために、時には自分を殺すことも必要です。♠<感情を殺す>ニュースキャスターは極端[きょくたん]に感情を殺した声で、淡々[たんたん]と語り続けました。♠<生かすも殺すも>彼を生かすも殺すも、隊長であるわたしの判断にかかっているのだ。 **ごろつく**○ごろごろしている。働かないでぶらぶらする。ならず者のふるまいをする。[文例]仕事にあぶれた男は、毎日酒を飲んではごろついていた。 **ごろね**【ごろ寝】(転寝)○布団[ふとん]も敷かないで、ごろっと横になって寝ること。[文例]<ごろ寝をする>そんな所でごろ寝をしていると、風邪をひくわよ。ちゃんと布団[ふとん]で寝なさい。 **ころば・す**【転ばす】○倒す。[文例]走ってきたサブちゃんを転ばしてやろうと足をのばしたが、さっとかわされてしまった。 **ころ・ぶ**【転ぶ】○倒れる。横になる。事態が転回する。[文例]弟はどこで転んだのか、泥[どろ]だらけになって家に帰ってきた。♠<転ぶように走る>ポチはわたしの姿を見つけたとたん、大喜びで転ぶように走ってきました。♠<転ばぬ先のつえ>用心するにこしたことはないよ、転ばぬ先のつえと言うからね。♠<転んでもただは起きぬ>どんな場合にも、ちゃっかりと利益を得ようとすることを、「転んでもただは起きぬ」と言います。♠<どちらに転んでも>日時さえ決めてしまえば、場所の問題はどっちに転んでもたいしたことではない。♠江戸時代、弾圧[だんあつ]に負けてキリスト教から改宗することを転ぶと言いました。♠<寝転ぶ>あそこのくぼみで、こっちを向いて寝転んでいるのがボス猿[ざる]です。 **ころも**【衣】○衣服。僧が着る衣服。揚げ物の外側。[文例]<墨染め[すみぞめ]の衣>住職は墨染め[すみぞめ]の衣をまとって寺の門を出た。♠<天ぷらの衣>この天ぷらは衣ばかり厚くて、中身を探すのに苦労するな。♠<衣のそでからよろいがのぞく>言葉づかいはていねいだが、衣のそでからよろいがのぞくで、力ずくで言うことを聞かせるという様子だ。♠<衣替え>夏の衣替えで、校内がぱっと明るくなった。 **こわ・い**【怖い】(恐い)○恐ろしい。危険だ。[文例]<雷[かみなり]が怖い>見るからに強そうな彼が、雷[かみなり]が怖いなんて、おかしな話だね。♠<怖い病気>がんは、現代の進んだ医学でも決定的な治療法のない、怖い病気です。♠<怖い人>本人を目の前にしてあんなきついことをいうとは思わなかった、きみも怖い人だな。♠<怖い物見たさ>口では嫌だ嫌だと言いながら、結局女の子たちはみんな、怖い物見たさにお化け屋敷[やしき]に入っていきました。♠<怖い顔>冗談[じょうだん]、冗談[じょうだん]、そんな怖い顔をしないでよ。♠<あとが怖い>あの人にさからうのはよせよ、あとが怖いぞ。♠<怖いものなし>二学期になって、三年生が部活動から引退してしまうと、二年生たちは何となく怖いものなしの気分になった。 **こわ・い**(強い)○かみ切りにくい。ごわごわしている。かたくなだ。[文例]<情がこわい>彼女はお姉さんとは違って、情のこわいところがある。♠<飯がこわい>今日の飯はこわいぞ、水加減を間違えた[まちがえた]んじゃないか。 **こわいろ**【声色】○声の特徴。人の声の調子や話し方をまねること。[文例]<声色をつかう>みなこさんの声色をつかって、兄貴のおれをだまそうたってだめだよ。 <384> **こわが・る**【怖がる】(恐がる)○恐ろしがる。[文例]よし子ちゃん、怖がらなくてもいいのよ、この犬はおとなしいから。♠怖がっていてはつり橋は渡れないよ。 **こわごわ**【怖怖】(恐恐)○こわがるさま。おそるおそる。[文例]ぼくは、滝[たき]の上からこわごわ下をのぞいてみた。♠そんなにこわごわと手を出さなくてもだいじょうぶよ、おばちゃんはかみつかないから。 **こわ・す**【壊す】○破壊する。破損する。故障させる。障害を起こす。だめにする。損ねる。細かくする。[文例]<窓ガラスを壊す>教室の窓ガラスを壊したのはぼくじゃありません。♠<かぎを壊す>泥棒[どろぼう]は二階のドアのかぎを壊して、そこから侵入[しんにゅう]した。♠<腹を壊す>いくら暑いからって、冷たい物ばかり飲んでいるとおなかを壊すよ。♠<体を壊す>父は三年前に体を壊してからというもの、一滴[いってき]もお酒を飲んでいません。♠<気分を壊す>きみがつまらないことを言うから、彼女、すっかり気分を壊しちまったじゃないか。♠<話を壊す>まとまりかけていた話を壊したのは、彼の不用意な発言だった。♠<大きな札[さつ]をこわす>今、細かいお金の持ち合わせがないので、そこの売店で一万円札[さつ]をこわしてきます。 **こわば・る**【こわ張る】(強張る)○かたくなる。柔らかさを失う。[文例]<筋肉がこわばる>寒さのため足の筋肉がこわばって、思うように走れなかった。♠<体がこわばる>優勝を意識した選手たちは、緊張して体がこわばり、いつもの力を出し切れなかった。♠<こわばった手>老人はこわばった手を懸命[けんめい]に動かし、粘土[ねんど]細工を作り上げていった。♠<顔がこわばる>日ごろ柔和[にゅうわ]な清水さんの顔が、何か心配事でもあるのかいつになくこわばっている。♠<表情がこわばる>確かに彼は笑っていたけれど、その表情はこわばっていて、いつもとは違うようだった。 **こわ・れる**【壊れる】○いたむ。破損する。故障する。だめになる。損なわれる。細かくなる。[文例]<橋が壊れる>先日の地震で壊れた橋がやっと元通りになった。♠<いすが壊れる>そんなに重い物を載せたら、いすが壊れてしまうよ。♠<機械が壊れる>残念ですがこの機械は壊れていて、使いものになりません。♠<交渉[こうしょう]が壊れる>まとまりかけていた交渉[こうしょう]も、今度の事件で壊れてしまった。♠<縁談[えんだん]が壊れる>姉の縁談[えんだん]が壊れた理由は、全く見当がつかない。♠<気分が壊れる>仕事の話なんかするから、せっかくのお祭り気分が壊れてしまった。♠<雰囲気[ふんいき]が壊れる>つまらないことを言って、パーティーの雰囲気[ふんいき]が壊れては困るから注意しなさい。 **こん**【根】○物事に耐える気力。持続する精神力。方程式の未知数の解。[文例]<根をつめる>父は今日じゅうにその仕事を終わらせてしまおうと、朝から根をつめてがんばっている。♠<根が続く>さすがに好きなプラモデル作りだけあって、休もうともしないね。よくそんなに根が続くな。♠<根のいる仕事>ちょっと見には簡単そうですが、あれでなかなか根のいる仕事なのですよ。♠<精も根もつき果てる>あちこち探し回って家に帰ってきた時には、精も根もつき果てていた。♠<根比べ>猟師[りょうし]は岩陰[いわかげ]に潜み[ひそ]みながら、これであのクマと根比べだなとつぶやいた。♠<根負けする>弟のしつこさにとうとう根負けして、兄は手品のタネを明かしてしまった。♠<方程式の根>方程式の答えのことを、その方程式の根といいます。 **こんい**【懇意】○互いにうちとけて親しく付き合うさま。[文例]<懇意にする>こちらは、わたしが懇意にしていただいている小林さんです。♠<懇意の仲>うちとけた様子から、男と女が相当に懇意の仲であることが知られた。♠その医者と懇意な母は、気軽に出かけては薬をもらってくる。 **こんいん**【婚姻】○正式に結婚すること。[文例]婚姻は当事者のみでなく、それぞれの家族にとっても大切な問題である。♠「婚姻は、両性の合意のみに基[もとづ]いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として(・・・・・・)維持[いじ]されなければならない。」(憲法第二十四条) **こんがらか・る**○からまりあう。もつれあう。いり乱れる。[文例]<糸がこんがらかる>糸がこんがらかり、ボタンひとつつけるのにこんなにかかってしまったわ。♠<頭がこんがらかる>一度にそんなに多くのことを言われたら、頭がこんがらかる。♠<話がこんがらかる>みんなが言いたい放題なことを言うから、話がこんがらかってしまったじゃないか。 **こんかん**【根幹】○おおもと。こんぽん。[文例]<根幹を成す>『平家物語』の根幹を成す思想は無常観である。♠<政治の根幹>民主政治の根幹は、政治に国民の意思を反映させることである。♠<産業の根幹>日本の産業の根幹を重工業におくようになったのは、第二次世界大戦の後である。 **こんがん**【懇願】○心から願うこと。[文例]東京の大学へ行かせてほしいという姉の懇願を、父は聞き入れなかった。♠<懇願する>ほかならぬきみにこんなに懇願されたのでは、断るわけにはいかないな。 **こんき**【根気】○最後までやりとげる気力。[文例]<根気よく>ぼくは三回であきらめてしまったけれど、サブは根気よく、何度も繰り返していた。♠<根気がいる>庭掃除[そうじ]だって、すみからすみまでとなれば、これでなかなか根気のいる仕事です。♠<根気がある・ない>きみが成績が悪いのは、頭が悪いんじゃなくって、根気がないからなんだよ。♠<根気が衰える>年を取ると、体力だけではなく、仕事を成しとげようという根気も衰[おとろ]えてきます。♠<根気負け>買うつもりはなかったのに、セールスマンの熱心さについ根気負けして、化粧品[けしょうひん]を買わされてしまった。♠<根気比べ>こうなったら、どっちが先に折れるか、先生と根気比べだ。 **こんきゃく**【困却】○困りはてること。[文例]困却する>うそをつくのが下手な彼は、断りの言葉にはたと困却した。♠<困却の余り>事態の収拾に困却の余り、二、三日はぼうっとしていた。 **こんきゅう**【困窮】○困り苦しむこと。貧しくて生活に困ること。 <385> [文例]<困窮に陥る>父親の交通事故で生活が困窮に陥る[おちいる]家庭も多い。♠<困窮する>当時、会社の経営は困窮しており、その対策として新製品の開発が急がれていた。 **こんきょ**【根拠】○おおもとになる理由。よりどころ。本拠。[文例]<根拠がある>中村君の名前がうわさにのぼったのには、何か根拠があるに違いない。♠<根拠がない>きみの話には、信じるに値[あたい]する根拠がない。♠<何を根拠に>今度の失敗がみんなぼくのせいだなんて、何を根拠にきみはそんなことを言うんだ。♠<根拠に基づく>科学現象の解説は、はっきりした根拠に基づいてなされなければなりません。♠<根拠になる>現場に残された指紋[しもん]も、犯人を断定する根拠になったものの一つです。♠<判断の根拠>計画を中止すべし、という判断の根拠を明らかにしてほしい。♠<科学的根拠>論文は、数多くの科学的根拠を土台にした立派なものでした。♠<根拠地>その会社は千葉県を根拠地に、活発な業務活動を行っている。 **ごんげ**【権化】○神仏が人々を救うために姿を変えて、この世に現れること。また、その化身。観念の具体的なあらわれ。[文例]<忍耐[にんたい]の権化>わがまま放題の父や口うるさいしゅうとめに対し、母は忍耐[にんたい]の権化のごとく沈黙した。♠<悪の権化>悪の権化とののしられようと、将軍は侵略[しんりゃく]をやめなかった。 **こんげん**【根元・根源】○おおもと。そもそもの始まり。[文例]<万物の根源>中国人は天地万物を形成する根源として、木・火・土・金・水の五つを考えていました。♠<失敗の根源>酒が兄の失敗の根源を成していると言ってもいい。♠<根源を絶つ>子供のいじめの問題に関しては、その根源を絶つような、厳しい処置が必要です。♠<諸悪[しょあく]の根源>この会社における諸悪[しょあく]の根源は、何といっても社長と会長とが対立していることだ。 **こんご**【今後】○これからのち。[文例]今後ともよろしくお願いします。♠今後このようなことのないように、気をつけたまえ。♠<今後の対策>県では、被災地の住民に対する今後の対策について検討を急いでいます。 **こんこう**【混交】(混淆)○いりまじること。[文例]<玉石混交>きわめて多作な歌人であっただけに、その作品は玉石混交であるが、すぐれたものについてはさすがに味わいが深かった。 **こんごう**【混合】○まぜあわせること。まじりあうこと。[文例]<混合する>これら二種類の液体を混合すると、予想もしなかった色に変わった。♠<男女混合>運動会では男女混合で行われるリレーが、いちばんの人気だ。♠<混合物>空気は、窒素[ちっそ]や酸素の混合物である。 **ごんごどうだん**【言語道断】○言葉では言い表せないこと。もってのほかであること。[文例]店がこんなに忙[いそが]しいのに、休暇をとって海外旅行に行きたいとは言語道断だ。♠<言語道断のふるまい>盗みをはたらくとは、警察官として言語道断のふるまいである。 **こんこん**【混混】(滾滾・渾渾)○水が盛んにわき出るさま。水が盛んに流れるさま。[文例]<こんこんとわき出る>こんこんとわき出る清水[しみず]が渇き[かわき]をいやしてくれた。♠<こんこんとあふれる>こんこんとあふれるお湯にいつでもつかれるのが、温泉のよさです。 **こんこん**(昏昏)○意識を失っているさま。深く眠るさま。[文例]<こんこんと眠る>明け方に工場から帰った父は、夕方までこんこんと眠り続けた。 **こんこん**【懇懇】○心をこめて、繰り返し説くさま。[文例]<懇々と諭[さと]す>度重なる遅刻に業[ごう]をにやした担任に職員室で懇々と諭[さと]された。♠<懇々と説く>彼女は、分野の違う自分に研究の内容を懇々と説いて飽きることを知らなかった。 **こんざい**【混在】○いりまじって存在すること。[文例]<感情が混在する>わたしには、古い時代への愛着と、因習への嫌悪[けんお]の二つの感情が混在している。♠<樹木が混在する>この林には数種類の樹木が混在しており、秋になるとみごとな紅葉、黄葉を見せてくれる。 **こんざつ**【混雑】○こみあうこと。ごった返すこと。ごたごたすること。[文例]<混雑をきわめる>会場はどこも観客でいっぱいだったが、特にロボットの周囲には小学生が群がり混雑をきわめていた。♠<混雑に紛れる>入り口の混雑に紛れて、切符を買わずに入ってしまった。♠<混雑を解消する>複線化が実現すれば、今のような通勤・通学時の混雑はいくぶん解消されるでしょう。♠<混雑を緩和[かんわ]する>この道路は国道の混雑を緩和[かんわ]する目的で、七年前に作られたバイパスです。♠<混雑する>土曜日だというのに、車内は学生で混雑していた。♠<押すな押すなの大混雑>金曜日は帰省ラッシュがピークとなり、どの交通機関も押すな押すなの大混雑が予想される。 **こんじ**【根治】○完全に治すこと。完全に治ること。こんち。[文例]<けがが根治する>心配した父のけがも根治して、ようやく家族の表情も明るくなった。 **こんじき**【金色】○きんいろ。[文例]<金色に染める>昇る朝日が山の頂[いただき]を金色に染める。♠<金色に輝く>金色に輝くこの本尊[ほんぞん]は、飢えと疫病[えきびょう]に悩む民衆の心の支えとなっていた。♠金色のちひさき鳥のかたちして銀杏[いちよう]ちるなり夕日の岡に(与謝野晶子[よさのあきこ]) **こんじょう**【根性】○根本的な気質。気性。性根。性分。やる気。強い気力。[文例]<根性を据[す]える>きみは力はあるんだから、根性を据[す]えてかかれば必ずできる。♠<根性がある・ない>見かけによらず、根性のある若者だ。♠<根性が曲がる>なんと根性の曲がったやつだ、おれがたたき直してやる。♠<根性がくさる>そんな根性のくさったやつは、家から出ていけ。♠<さもしい根性>彼があんなにさもしい根性をしているとは思わなかった。♠<芸人根性>十代のアイドルスターでありながら、あの汚れ役に取り組んだ芸人根性は見上げたものだ。♠<やじ馬根性>火を見ると、やじ馬根性まる出しで人が集まってきた。 **こんしん**【懇親】○うちとけて親しくすること。[文例]<懇親を深める>住人の懇親を深めるために団地の運動会が計画された。♠<懇親会>テニス同好会の懇親会を開きますので、ぜひご出席ください。 <386> **こんしん**(渾身)○体ぜんたい。全身。[文例]<渾身の力>隣家の火事を知ったわたしは、渾身の力で病気の母を背負って外へ飛び出した。♠<渾身の力をふりしぼる>臨終の父は、渾身の力をふりしぼって、わたしたちに別れの言葉を言った。 **こんすい**(昏睡)○意識を失った状態になること。[文例]<昏睡に陥る>頭痛を訴[うった]えて倒れた父は、そのまま昏睡に陥った[おちいった]。♠<昏睡から覚める>交通事故で頭部を強打し、一週間も昏睡から覚めない。♠<昏睡状態>昏睡状態のまま生き続ける植物人間の処置が医学界で問題となり始めている。 **こんせい**【混成】○まぜあわさってできていること。[文例]<混成チーム>六大学の精鋭[せいえい]を集めてはいるが、混成チームだけにもろさも同居している。 **こんせき**(痕跡)○あと。あとかた。形跡。[文例]<痕跡がある・ない>この家には、つい最近までだれかが住んでいた痕跡があるぞ。♠<痕跡が残る>部屋の中は何者かが物色した痕跡が残っていた。♠<痕跡を認める>十日間にわたって調査が行われたが、ニホンオオカミが生存しているという痕跡は認められなかった。♠<痕跡をとどめる>森の中にはあちこちに穴が残っていて、最近まで野ウサギがいた痕跡をとどめています。♠<痕跡を見いだす>残念ながら映画館からは、犯人がそこにいたことを証明する痕跡は見いだせなかった。♠<古代文明の痕跡>地中海の海底から、古代文明の痕跡らしいものが多数引き揚げられたという。 **こんぜつ**【根絶】○根絶やしにすること。完全に絶やすこと。[文例]<雑草を根絶する>田畑の雑草を根絶しようとして、農薬をまきすぎることへの反省が出ている。♠<戦争を根絶する>わたしたちの世界では、今もなお戦争という恐ろしい出来事が根絶されていない。♠<疫病[えきびょう]の根絶>疫病[えきびょう]の根絶のために、世界から集まった医学者たちが闘いを続けている。 **こんせつていねい**【懇切丁寧】○非常に親切でていねいなさま。[文例]<懇切丁寧に教える>通りがかりの店で道を尋[たず]ねたら、懇切丁寧に教えてくれた。 **こんせん**【混線】○通信・通話や電波などが入り乱れること。いくつもの話がもつれて、筋がわからなくなること。[文例]<電話が混線する>電話が混線しているらしく、遠くで女性の声が聞こえる。♠<話が混線する>祖父の入院とぼくの旅行の話が、どこでどう混線したのか、級友が病院に見舞いに来た。 **こんせん**【混戦】○敵味方が入り乱れて戦うこと。互いの力が接近してどこが勝つか分からないような状態。[文例]今回の市長選挙は、保革の一騎討ち[いっきうち]となったため、いつにない混戦となっています。♠<混戦状態>折からの雨でゆるんだグラウンドでは、水を含んだボールを追って混戦状態となっています。 **こんぜん**(渾然)○一つにとけ合って、区別がないさま。[文例]<渾然として>どんよりとした空と、鉛色の海が渾然として融[と]け合っている。♠<渾然一体>和洋の楽器の繰り出す音が渾然一体となって、不思議な効果を上げた。 **こんだく**【混濁】○入りまじって濁ること。はっきりしなくなること。[文例]<混濁する>私利私欲に混濁した人間の目に真実の世界など映っていようはずがない。♠<意識の混濁>現在のところは意識の混濁が見られるので、患者との面会は無理です。 **こんたん**【魂胆】○考え。たくらみ。策略。[文例]彼は自分の罪をいくらかでも軽くしようという魂胆で、いやな事に進んで取り組んだのだろう。♠生徒たちの魂胆はわかっているが、しばらくは気づかないふりでいよう。♠<魂胆がある>春子のやつ、朝からやけにサービスがいいのは、何か魂胆があるからに違いない。 **こんだん**【懇談】○うちとけて話し合うこと。[文例]<懇談する>昼の折衝[せっしょう]の場とうってかわって、両国の大臣は和やかに懇談していた。♠<懇談の場>こうして皆様との懇談の場を持てたことを、大変うれしく思います。♠<懇談会>これは父兄との懇談会の知らせだから、帰ったら必ず家の人に見せなさい。 **こんち**【根治】↓こんじ **こんてい**【根底】○物事の根本。おおもと。[文例]<作品の根底>彼の作品の根底には、社会の不正を憎む[にく]む心があります。♠<根底から見直す>大臣は記者会見の席で、現在の教育制度は根底から見直すべきだと述べた。♠<根底からくつがえす>この発見は、従来の学説を根底からくつがえすものとなった。♠<根底を揺るがす>これまでの学説の根底を揺るがすような遺跡が発見された。♠<根底に横たわる>日本人の心の根底には、西洋へのコンプレックスが横たわっていた。♠<根底を成す>牛は食べるために飼育[しいく]しているのだから、殺しても動物虐待[ぎゃくたい]にはならないというのが、西洋人の考え方の根底を成している。 **コンディション**○調子。状態。条件。[文例]<コンディションがいい・悪い>勉強でもスポーツでも、コンディションが悪ければ、よい成績は残せない。♠<コンディションを整える>選手たちは、大会に備えて、体のコンディションを整えるのに懸命[けんめい]です。♠<コンディションの回復>一日の休養は、疲れきった男たちのコンディションの回復に役立った。♠<ベストコンディション>入試にベストコンディションでのぞむために、前日は十分休養をとった。 **こんど**【今度】○このたび。今回。この次。[文例]今日は残念だったけれど、今度はしっかり頑張り[がんばり]ましょう。♠おまえはいつも「今度やる」と言うだけで、やったためしがないだろう。♠<今度という今度>今度という今度ばかりは許すわけにはいかん。 **こんどう**【混同】○混じり合って一つになること。別々のものを同一にみなすこと。[文例]<混同する>雑用が多すぎるせいで、大事なこととつまらないことを混同してしまう。♠<公私混同>会社のオーナーといえども公私混同は避けるべきだ。 **コントラスト**○対比。对照。[文例]<鮮やかなコントラスト> <387> こんめい **コントロール**[コントロール] ○管理。統制。制御。調節。抑制。制球。[文例]〈速度をコントロールする〉コーナーにさしかかったら、速度を上手にコントロールしないとコースをはみ出してしまう。♠●〈本能をコントロールする〉人間が本能をコントロールできることは、動物との大きな相違点[そういてん]です。♠◆ヘコントロールがいい〉〈コントロールを乱す〉ふだんコントロールがいいピッチャーが、なぜか突然コントロールを乱した。 **こんとん(混沌・渾沌)**[こんとん] ○混じり合ってはっきりしないさま。複雑で見分けがつかないさま。[文例]〈混沌とする〉会議は混沌として、結論を見いだせないでいる。♠●へ混沌たる情勢〉混沌たる世界情勢のなかで、日本の立場を見極め、世論をリードすることのできる人物はいないのだろうか。 **こんなん【困難】**[こんなん] ○やりとげるのが難しいこと。完成・解決がむずかしいさま。[文例]何千人もいる観客の中から、彼女を探し出すなんてとても困難だ。♠●〈困難な仕事〉困難な仕事も、協力すれば、なんとかやりとげることができよう。♠〈困難を乗り越える〉今回優勝を成しとげるまでに、チームは数多くの困難を乗り越えてきた。♠●へ困難に打ちかつ〉ぼくが困難に打ちかつことができたのも、きみたちの応援[おうえん]があったからです。♠◆〈困難に耐える〉悪天候と食料不足という困難に耐え、みごと南極大陸横断に成功しました。♠困難を招く〉そもそも初めの計画の失敗が現在の困難を招いたのです。♠◆く困難が待ち受ける〉日本代表の座を得るまでには、まだ幾多[いくた]の困難が待ち受けていたのです。♠困難にぶつかる〉困難にぶつかった時こそ、その人の真[しん]の実力を見きわめるのによい時だ。♠◆◇困難を切り抜ける〉家業の失敗という困難を切り抜けるために、彼はこの一年間、一日も休まず働いた。♠◆く困難を排[はい]する〉市長は幹線道路の拡張だけは、いかなる困難を排しても行いたいと発言した。♠へ呼吸困難〉〈困難に陥[おちい]る〉父は午後になって容体[ようだい]が悪化し、呼吸困難に陥りました。 **こんにち【今日】**[こんにち] ○きょう。現今。[文例]〈今日ただ今〉今日ただ今より、我が校の新一年生としての自覚と誇[ほこ]りを持って行動してください。♠●〈今日ある〉わたしの今日あるのは、すべて父母のおかげです。♠●へ今日の地位〉彼は裸一貫[はだかいつかん]で今日の地位を築いた。♠●〈今日的〉人と環境という今日的課題を避[さ]けて通ることはできません。♠◆ヘこんにちは〉こんにちは、おばさん、道夫くんいますか。 **こんにゅう【混入】**[こんにゅう] ○混じって入ること。混ぜて入れること。[文例]〈不純物の混入〉この工場では、製造工程での不純物の混入を避けるため厳重な管理をしている。♠●〈混入する〉犯人は、ワインの中に毒物を混入して被害者を殺害したと見られる。 **こんぱい(困憊)**[こんぱい] ○ひどく疲れること。弱りはてること。[文例]〈困ぱいする〉寝たきりの祖父の看病と家族の世話で、そのころの母は身も心も困ぱいしていた。♠●へ疲労困ぱい〉卒業論文の仕上げで三日も徹夜[てつや]した兄は、疲労困ぱいの体で部屋から出てきた。 **コンビ**[コンビ] ○二人で組むこと。その組み合わせ。[文例]〈コンビを組む〉一人で不安なら、だれか気の合う人とコンビを組んでやってもいいよ。♠●〈名コンビ〉漫才[まんざい]のあの二人は、二十年も続いているという名コンビだ。♠●へいいコンビ〉彼とぼくは性格がまるで違うのに、中学の時から実にいいコンビなんだ。 **コンプレックス**[コンプレックス] ○抑圧された感情のいりまじったもの。劣等感。[文例]ヘコンプレックスをもつ・いだく〉小さい時からぼくは、優等生の兄に対してコンプレックスをもってきた。♠◆ヘコンプレックスがある〉追いかけられる夢ばかり見るというのは、何ものかに対するコンプレックスがあるということだろうか。♠●ヘコンプレックスのかたまり〉すべてに対して劣等[れつとう]意識をもったコンプレックスのかたまりのような青年だった。 **こんぺき(紺碧)**[こんぺき] ○深い青色。[文例]〈紺碧に輝く〉高原から眺[なが]める秋空は、あくまで澄んで紺碧に輝いていた。♠<紺碧の海〉松の木の間から、五月の空の下に遠く広がった紺碧の海が見えた。 **こんぼう【懇望】**[こんぼう] ↓こんもう **こんぼう(梱包)**[こんぽう] ○包み、しばって荷造りをすること。また、その荷物。[文例]〈雑な梱包〉きみ、こんな雑な梱包では、荷物が途中でばらばらになってしまうよ。♠◆梱包が解[と]ける〉船便で届いた荷物は、梱包が解けて中がはみ出していた。♠◆<梱包する〉店員は、器用な手つきで持ち運びしやすいように梱包してくれた。 **こんぽん【根本】**[こんぽん] ○おおもと。根底。根源。根幹。[文例]〈幸福の根本〉健康が幸福の根本であることは、だれもが認めることだと思います。♠●〈考えの根本〉わたしの考えの根本には、本来人間は自由であるという信念があります。♠●へ根本にある原因〉今回の事件については、その根本にある原因をよく調べてみる必要があるでしょう。♠●〈根本を究める〉人はなぜ眠[ねむ]るのかというような、人間生存の根本を究めることは現代医学でも難しいのです。♠●〈根本から〉彼の新発見は、従来の学説を根本からくつがえすことになった。♠へ根本的〉運よく成功はしたけれど、あなたの考え方は根本的に間違[まちが]っていますよ。 **こんまけ【根負け】**[こんまけ] ○根気負けすること。根気が続かず、あきらめること。[文例]〈根負けをする〉上級生の熱心な誘[さそ]いに根負けをして、とうとう登山部に入部してしまった。♠●へ根負けする〉彼女の粘[ねば]り強いのには、ほとほと根負けするよ。 **こんめい【混迷】(昏迷)**[こんめい] ○見通しがきかなくて迷うこと。心が乱れ迷うこと。[文例]〈政局の混迷〉政局の混迷を打開するために、各党の代表者が話し合った。♠◆へ混迷の度を増す〉事態は、混迷の度を増していった。♠●〈混迷に陥[おちい]る〉当時は、文学者だけでなくすべての国民が混迷に陥っていた時代であった。♠●へ昏迷する〉彼の視線は、昏迷した精神状態を映[さわ]して落ち着きなく動いていた。 <388> **こんもう**【懇望】○心から望むこと。[文例]<懇望する>会員の多くに懇望されて、わたしは代表として交渉に当たるこことになった。♠<懇望もだしがたく>組合長の懇望もだしがたく、わたしはついに専務理事に就任することを承諾[しょうだく]しました。 **こんもり**○木々が深く茂るさま。丸く盛り上がるさま。[文例]<こんもり茂る>山の西側は背の高い木がこんもり茂り、昼間も薄暗[うすぐら]くなっている。♠<こんもり盛り上がる>あそこのこんもり盛り上がった丘の向こうに、ぼくの新しい家があるんだよ。♠<こんもりとした森>裏山のこんもりとした森の中には、都会には珍[めずら]しくまだたくさんの生物が住んでいます。 **こんや**【紺屋】↓こうや **こんやく**【婚約】○結婚の約束をすること。[文例]<婚約する>彼はきみの姉さんと婚約したそうだけど、挙式はいつだい。♠<婚約を解消する>式の日取りも決まっていたのに、何があったのだろう、二人は婚約を解消した。♠<婚約者>こちらが、わたしの婚約者の林さんです。♠<婚約指輪>これ、彼からもらった婚約指輪なの。 **こんよう**【混用】○まぜ合わせて用いること。[文例]<混用する>日本語は、平仮名・片仮名・漢字を併用[へいよう]しますが、それらを意味もなく混用することは避けるべきです。 **こんらん**【混乱】○入り乱れること。無秩序な状態になること。[文例]<混乱を招く>彼女の不用意な発言が、今回の混乱を招いたと言っていい。♠<混乱に乗じる>武将は敵の混乱に乗じて、わずか三日で城を攻め落としました。♠<混乱を来す>混乱を来す恐れがありますので、一般の方の入場は固くお断りします。♠<何の混乱もなく>展覧会は厳重な警戒のもと、何の混乱もなく終了[しゅうりょう]しました。♠<混乱を収拾する>係員たちは場内の混乱を収拾するのに精いっぱいで、お金がなくなったことに気がつかなかった。♠<混乱に陥る>一発の銃声で、場内は、収拾のつかない混乱に陥った[おちいった]。♠<混乱する>二か月ぶりに帰国するスターを取材しようとする報道陣で、ロビーは混乱していた。♠<頭の中が混乱する>もう一回最初から説明してくれないか、頭の中がすっかり混乱してしまったよ。♠<大混乱>火災発生のサイレンが鳴り出したとたん、会場は大混乱に陥った[おちい]りました。 **こんりゅう**【建立】○寺院や堂塔を建てること。[文例]<寺院の建立>法隆寺[ほうりゅうじ]の金堂や五重の塔は、建立以来千三百年を経ており、世界最古の木造建築として有名です。♠<建立する>奈良の薬師寺は七世紀後半に建立された。 **こんりんざい**【金輪際】○(仏教で)大地の最も底。あくまでも。どこまでも。決して。[文例]もう、彼の顔なんか金輪際見たくないわ。♠あんなわがまま娘のお相手は、金輪際ごめんだね。 **こんれい**【婚礼】○結婚の儀式。[文例]<婚礼を行う>姉の婚礼は、前日からの雨も上がった秋晴れのもとで行われた。♠<婚礼に呼ばれる>いとこの婚礼に呼ばれて行ったが、花嫁さんがきれいだった。 **こんろ**(焜炉)○炊事などに用いる簡便な炉。電気・ガスなどによる家庭用加熱器具。[文例]<こんろの火>お鍋[なべ]が吹きこぼれるといけないから、こんろの火を小さくしてちょうだい。♠<ガスこんろ>マッチをすらなきゃ火のつかないガスこんろなんかこわくて使えない。 **こんわく**【困惑】○どうしたらよいか分からず困ること。途方にくれること。[文例]<困惑する>客の無理難題に、ウエートレスは困惑した表情で口ごもってしまった。♠<困惑の体[てい]>約束の時間に相手が現れないと、困惑の体[てい]でみちこはもどってきた。 **さ**【差】○違い。へだたり。ひらき。ある数量からある数量を引いた残り。[文例]<七と四の差>七と四の差は三である。♠<一点の差>一点の差を追って、九回裏、ぼくたちの攻撃[こうげき]が始まった。♠<温度の差>♠<差が大きい>昼と夜の温度の差が大きいときには、風邪をひきやすいので注意しなさい。♠<差がつく>ぼくが怠[なま]けている間に、彼はこつこつ勉強していたらしく、試験の成績で差がついた。♠<貧富の差>一般に、発展途上[とじょう]の国々は、貧富の差が大きいといわれる。♠<差が開く・縮まる>挑戦者とチャンピオンの力の差は相当開いていたが、近ごろはずっと縮まったようだ。♠<優劣[ゆうれつ]の差>♠<差がある・ない>言語や文化には、優劣[ゆうれつ]の差などまったくない。♠<差をつける>♠<差をつめる>スタート直後はだいぶ差をつけられていたが、ゴールではかなりその差をつめることができた。♠<差が生じる>その年の気象条件によって、農作物の収穫量[しゅうかくりょう]に差が生じる。♠<干満[かんまん]の差>♠<差が激[はげ]しい>この海岸は、潮の干満[かんまん]の差が激[はげ]しい。♠<わずかな差>彼は、ほんのわずかな差で首位打者になれなかった。♠<雲泥[うんでい]の差>物事に大変な違いのあることを、雲泥[うんでい]の差がある、という。♠<程度の差>子供の成長には程度の差はあっても、そのうち同じ線に並ぶようになる。 **ざ**【座】○すわる場所。席。人が集まっている場。決まった位置・場所。地位。劇団・劇場・星座などの名に添える語。[文例]<座に着く>一同が座に着いたところで、話し合いが始められた。♠<座を取る>会場に入ると、全体が見わたせる位置を選んで座を取った。♠<座を占める>遅れて入って来た二人は、入り口近くに座を占めた。♠<座を立つ>小川さんは、話し合いの途中で座を立ちました。♠<座をはずす>おじさんと大事な話があるから、おまえはしばらく座をはずしなさい。♠<座を空ける>わたしが病室に入ると、親戚[しんせき]の者たちが動いて、わたしに座を空けてくれた。♠<座を譲る>座る場所を探していると、小田さんが立ってわたしに座を譲ってくれた。♠<座へ戻る>父を送り出した母がまた元の座へ戻って、さっきの話を続けた。♠<座が白ける>それまで楽しかった座が、彼のくだらない冗談[じょうだん]のせいで白けてしまった。♠<座を持たせる>座を持たせるために一人でしゃべっていたら疲れてしまったわ。♠<座を設ける>先生のお話をうかがうためにこの座を設けました。 <389> さいえん **サーカス**[サーカス] ○曲芸などの見せ物。また、それを行う一団。[文例]そのサーカスでいちばん人気があったのは、空中ブランコと動物の曲芸でした。♠◆ヘサーカスが来る〉春休みということもあって、町にサーカスがやってきたのです。♠●〈サーカスがかかる〉ぼくが子供のころには、この広場にサーカスがかかりました。 **サークル**[サークル] ○円。周囲。同好の仲間。また、その会。[文例]〈テニスのサークル〈サークルに入る〉姉は大学でテニスのサークルに入っています。♠●〈サークルの仲間〉次の練習日を伝える電話連絡[れんらく]がサークルの仲間からあった。♠●ヘサークル活動〉大学は、サークル活動の盛[さか]んな所です。 **サービス**[サービス] ○もてなし。奉仕。生産・流通以外の、有用な価値を産み出す経済行為。[文例]〈サービスがよい〉なかなか落ち着いた雰囲気[ふんいき]の、しかもサービスのいい旅館です。♠●ヘサービスする〉奥さん、安いよ、サービスしとくよ。♠●〈サービスを提供する〉広告会社は、物を生産しないが、社会にサービスを提供する業務を行う。♠◆ヘサービス精神〉彼は、周りの人を楽しませることに気を使う、サービス精神の旺盛[おうせい]な人です。♠●〈家庭サービス〉連休は専[もつぱ]ら家庭サービスで、会社にいるよりよっぽど疲れましたよ。 **さい【際】**[さい] ○場合。機会。おり。[文例]〈この際〉この際だから言っておくが、これ以上ぼくに面倒[めんどう]をかけないでくれ。♠〈こういう際〉ふつうは認められないが、こういう際だからやむを得ない。♠●へ訪問する際〉訪問する際は、相手方の失礼にならないように前もって都合を聞くのが礼儀[れいざ]です。♠〈服用する際〉薬を服用する際は、注意書きをよく読んでください。♠●へおいでの際〉こちらにおいでの際は、ぜひわたくしどもにもお立ち寄りください。♠●〈有事[ゆうじ]の際〉有事の際には、いつでも出兵するだけの準備はある。 **さい【才】**[さい] ○生まれつきの能力・素質。才能。[文例]〈金もうけの才〉〈才がある〉きみには金もうけの才があるね。♠経営の才〉〈才にたける〉あの人が経営の才にたけていることは、だれもが認めています。♠●〈和漢の才〉〈才に通じる〉清少納言[せいしようしようし]は和漢の才に通じ、同じころ中宮彰子[ちゅうぐうしょうし]に仕えていた紫式部[むらさきしき]と並び称された。♠●〈天賦[てんぷ]の才〉〈才に恵[めぐ]まれる〉彼が尊敬できるのは、天賦の才に恵まれているからではなく、努力の人だからだ。♠●ヘ才におぼれる〉相手の裏をかこうとして失敗した彼を見ると、どうも才におぼれたという感じがしてならない。 **さい【差異】**[さい] ○違い。差。[文例]〈本物とにせ物の差異〉観客のだれ一人、本物とにせ物の差異に気づかなかった。♠●微妙な差異〉二つの作品の微妙な差異が見る者の目をひきつける。♠●〈差異がある・ない〉これらは、デザイン・性能・価格の点でほとんど差異がありません。♠●〈差異が生じる〉同じ速度で同じ時間走ったのに、二台の車のガソリン消費量に差異が生じた。♠●へ差異が大きい〉実験を正確に行えば行うほど、差異はますます大きくなっていった。 **ざい【在】**[ざい] ○田舎。都市の周辺部。滞在している場所。[文例]彼女は岩手県釜石[かまいし]の在に生まれ、自然の中で育ちました。♠◆戦前は、新鮮な魚を長野の在に送ることなど考えられないことだった。♠●彼は、在英のフリーのカメラマンだった。 **ざい【材】**[ざい] ○木材。材料。素材。人材。[文例]〈建築の材〉ヒノキやスギは建築の材として世界でも有数なものです。♠●へ材を取る〉日常の身辺に材を取り、感じるところを随想[ずいそう]風にまとめてみよう。♠●〈材を求める〉この作品は、中国古代に材を求めて成った小説である。♠●〈有能な材〉〈材を得る〉社長は、仕事のできる有能な材を得たと、彼の入社をとても喜んでいます。 **ざい【財】**[ざい] ○価値のある物品。財産。富。[文例]〈財を築く〉あの人は四十年間休まずに働き続け、巨額の財を築きあげました。♠へ財をなす〉道楽者の息子は、父がなした財をたった数年で使い果たしてしまった。♠〈財を蓄[たくわ]える〉戦後の混乱期に彼女は次々と新商売を成功させ、財を蓄えていった。 **さいあい【最愛】**[さいあい] ○最も愛すること。[文例]〈最愛の人〉ぽくは最愛の人の二十三歳の誕生日に指輪を贈り、結婚を申し込みました。♠●へ最愛の妻〉男がその街から姿を消してまもなく、彼が最愛の妻を亡くしたといううわさが流れた。♠◆〈最愛の娘〉最愛の娘を失った両親の悲しみはよく理解できた。 **さいあく【最悪】**[さいあく] ○最も悪いこと。[文例]〈最悪の年〉今年は冷害にあったうえ、大型台風までやってきて、もう最悪の年だった。♠◆へ最悪の場合〉最悪の場合でも、引き分けに持ちこまなければ、決勝進出は無理だろう。♠●〈最悪の出来〉勉強不足がたたって、今度のテストは最悪の出来だった。♠◆〈最悪の事態〉従業員の努力にもかかわらず、倒産[とうさん]という最悪の事態となった。 **ざいあく【罪悪】**[ざいあく] ○法・信仰・道徳的に悪い行為。つみ。とが。[文例]時間を浪費[ろうひ]するのは罪悪であるという考え方があります。♠●〈罪悪を犯[おか]す〉法律的には問題はなかったのですが、心の中には罪悪を犯したという思いが残りました。♠〈罪悪を暴[あば]く〉この映画には、権力に対して敢然[かんぜん]と立ち向かい、次々と不正や罪悪を暴いていく弁護士の姿が描[えが]かれている。♠●〈罪悪感〉相手をひどい目にあわせたけど、向こうも悪いのだから罪悪感はありません。 **さいえん【菜園】**[さいえん] ○野菜を栽培する畑。[文例]わたしの家には、小さいのですが、トマトやナスを作っている菜園があります。♠●〈家庭菜園〉趣味と実益を兼ねた家庭菜園がはやっている。 **さいえん【再演】**[さいえん] ○再び上演・出演すること。[文例]〈再演する〉そのミュージカルが再演されたのは、三年前の初演以来初めてのことです。♠●〈劇の再演〉この客の入りの悪さでは、この劇の再演はないだろう。 **さいえん(才媛)**[さいえん] ○すぐれた才能をもつ女性。才女。[文例]彼の奥さんは、有名な女子大を首席で卒業したという才媛 <390> さいおうがうま **さいおうがうま(塞翁が馬)**[さいおうがうま] ○(中国の故事から)人生の幸不幸は予測できないというたとえ。[文例]〈人間万事塞翁が馬〉人間万事塞翁が馬、人生の幸不幸がどう展開するかはとても予測できない。 **さいか【西下】**[さいか] ○首都(東京)から西の方へ行くこと。[文例]〈西下する〉淀[よど]の競馬場で行われる天皇賞レースをめざして、関東の一流馬が相前後して西下した。 **さいか【災禍】**[さいか] ○わざわい。災難。[文例]〈災禍に見舞われる〉この土地は、地震、台風などの災禍に見舞われることが多かった。♠●へ災禍に遭う〉打ち続く内戦、そして飢饉[ききん]という災禍に遭[あ]って、人心は荒[さ]れすさんでいた。 **ざいか【財貨】**[ざいか] ○金銭と品物。人間の物質的欲望を満足させるもの。[文例]〈財貨を蓄[たくわ]える〉民衆の危機を救うために、王様は金銀など蓄えていた財貨を惜しげもなく分け与えました。♠へ財貨が眠る〉この辺りの海底には沈没船が多く、たくさんの財貨が眠っていると思われます。 **ざいか【罪過】**[ざいか] ○罪。過ち。[文例]〈罪過を犯す〉宣告される刑の重さは、被告人がどんな罪過を犯したかによって違います。♠へ罪過を重ねる〉強盗[ごうとう]・殺人・放火と、その男は次々と罪過を重ねていった。♠●〈罪過を償[つぐな]う〉囚人[しゅうじん]は罪過を償うために刑務所に服役しているのです。 **さいかい【再会】**[さいかい] ○再び会うこと。[文例]〈三十年ぶりの再会〉三十年ぶりの再会であったが、わたしたちはお互いを忘れていなかった。♠●へ再会する〉再会した時の彼は、記憶とは全く違っていた。♠●〈再会を誓[ちか]う〉十五年ぶりのクラス会は、盛況[せいきよう]のうちに終わり、出席者全員が再会を誓って別れた。♠へ再会を期する〉世界各国からソウルに集まった若者たちは、閉会式が終わると、再会を期して別れて行った。♠●〈再会を約する〉二人は又の日の再会を約して駅のホームで別れました。 **さいかい【再開】**[さいかい] ○再び開始すること。[文例]〈試合の再開〉〈再開を待つ〉激[はげ]しい夕立で中断した試合の再開を待って、観客はだれも帰ろうとしなかった。♠◆<番組の再開〉視聴[しちよう]者の要望で、人気のあったテレビ番組の再開が決まった。♠●〈再開する>長い間中断されていた両国の外相会談が再開されることになった。 **さいがい【災害】**[さいがい] ○地震・火事・大風・大水などの災い。また、その損害。[文例]災害には、台風や地震などの天災と、戦争や火事などのように人間が起こす人災とがある。♠〈戦争や災害〉世界の古代国家の宝物は、戦争や災害などで、その多くが失われてしまったのは惜しいことだ。♠●へ大きな災害〉火山[ふんか]の噴火は、十七日間も続き、ふもとの村々にとっては大きな災害となった。♠●へ災害が起こる〉山崩[やまくず]れや洪水[こうずい]など、毎年どこかで同じような災害が起こる。♠●へ災害を招[まね]く〉山の樹木を切りすぎると、山津波[やまつなみ]という恐[おそ]ろしい災害を招くことがある。♠●へ災害が降りかかる〉不注意で、ガス爆発[ばくはつ]という思いがけない災害が降りかかった。♠●へ災害を被[こうむ]る〉この地方は、台風によって大きな災害を被った。♠●〈災害に見舞われる〉火山の噴火という突然の災害に見舞われたが、死者が出なかったことが不幸中の幸いであった。♠●〈災害は忘れたころにやってくる〉災害は忘れたころにやってくるので、用心するにこしたことはない。♠●へ災害が襲[おそ]う〉不意に襲ってくる自然災害などは、自分ではどうすることもできないものの一つだろう。 **さいかく【才覚】**[さいかく] ○頭が働くこと。機転。工夫。工面すること。[文例]〈才覚がある〉きみには、家庭の主婦としての才覚がある。♠ヘ才覚をする〉知り合いのところを回って、金の才覚をしてきた。♠●〈才覚する〉家計が赤字になると、妻は実家へ行って才覚しているらしい。 **ざいがく【在学】**[ざいがく] ○学校に籍をおくこと。[文例]〈在学する〉わたしが高校に在学していたころは、まだ講堂はできていなかった。♠人在学中〉啄木[たくぼく]は、旧制中学在学中から文芸時評を発表していた。 **さいかくにん【再確認】**[さいかくにん] ○もう一度確かめること。[文例]〈再確認をする〉昨日とは情勢も変わったことだし、我々のあ方針が正しいかどうか再確認をする必要がある。♠へ再確認する〉会議を前に二人で打ち合わせをして、お互いの考えを再確認した。 **さいき【再起】**[さいき] ○元の状態に立ち直ること。[文例]〈再起を図る〉初場所は、この力士にとって再起を図る大事な場所だ。♠●〈再起を期する〉受験には失敗したが、再起を期して大学の近くに下宿を移した。♠●へ再起を志す〉その年の春、わたしは再起を志して上京した。♠◆<再起不能〉あの様子では、もう再起不能だね。 **さいき【才気】**[さいき] ○すぐれた頭の働き。才知。[文例]〈才気を感じる〉頭のいい人だから、日常の会話の中にも才気が感じられる。♠ヘ才気がうかがわれる〉中学生時代の日記からも、後に大作家となった彼の才気がうかがわれる。♠●へ才気に富む〉才気に富む彼女だったが、二年間にわたるアメリカ留学でいっそう磨[みが]きがかかった。♠●〈才気煥発[さいきかんぱつ]〉才気煥発な俊作さんは、自分の考えをよどみなく表現できる人です。♠◆〈才気走る〉たいへん優秀なのに、少しも才気走ったところのないひかえめな青年です。 **さいぎ(猜疑)**[さいぎ] ○ねたみ。疑うこと。[文例]〈猜疑する〉わたしを敵方のスパイのように猜疑する人もいた。♠●〈猜疑心〉あなたって猜疑心がとても強いのね、人間が信じられないのかしら。 **さいきん【最近】**[さいきん] ○近ごろ。このごろ。現在に近い過去のある時。[文例]〈最近のこと〉つい最近のことなのですが、この交差点で交通事故がありました。♠●へ最近の研究〉最近の研究で、ハチが運動を行う際に音波を出すことが明らかにされている。♠へ最近の若者〉最近の若者たちは、ことば遊びの感覚が優れているように思う。♠●〈最近の動き〉木のよさを見直そうという最近の動きは、今後も続いて高まりを見せるだろう。♠●へ最近になって〉きみが最近になってやっと <391> さいご **さいきん【細菌】**[さいきん] ○単細胞の微生物。発酵・腐敗作用を起こしたり、病気の原因となる。[文例]みそやしょうゆ、パンを作るのに必要な酵母は、生活に役立つ細菌の一種です。♠◆人細菌の働き〉わらや落ち葉などを積んでおくと、細菌の働きによって分解され、よい肥料となります。♠●へ細菌が繁殖[はんしよく]する〉高温で湿気の多いところにはカビや細菌が繁殖しやすい。 **さいく【細工】**[さいく] ○手先で細かい物を作ること。そうして作られた物。工夫。たくらみ。[文例]〈細工がしやすい〉竹は、少し火であぶると細工がしやすくなります。♠●〈細工を施[ほどこ]す〉女王陛下の胸には、精巧[せいこう]な細工を施した宝石が輝[かがや]いていた。♠◆<細工する〉こっちへ来たらあいつがうまく落とし穴に落ちるよう細工しておこう。♠●下手な細工をする〉相手は本物の刑事だ、下手な細工をしてもすぐに見破[みやぶ]られるぜ。♠●〈細工はりゅうりゅう〉親分、見ていてください。細工はりゅうりゅう仕上げをごろうじろですよ。 **さいくつ【採掘】**[さいくつ] ○地中の鉱物などを掘り出すこと。[文例]〈金の採掘〉金の採掘で一山[ひとやま]あてようと、アラスカには大勢の人が押し寄せた。♠◆〈石炭の採掘〉落盤[らくぼん]事故の原因が判明するまで、石炭の採掘は中止されることになった。♠◆◇採掘する〉採掘された石油は、パイプラインで港に運ばれ積み出されます。 **さいくん【細君・妻君】**[さいくん] ○自分の妻や同輩以下の人の妻を指す語。[文例]新婚ほやほやの彼は、毎日細君の作った弁当をおいしそうに食べます。♠●へ細君を持つ〉三十歳もとうにこえたというのに、きみは細君を持つ気はないのかね。♠〈細君がある〉二十歳前の彼に細君があるばかりか、子供までいるなんて信じられない。 **さいけつ【採決】**[さいけつ] ○賛否の数によって議案の可否を決定すること。決を採ること。[文例]〈採決する〉議案は、十分に討議したうえで採決するべきです。♠◆<採決に入る〉この議題については意見が出つくしたようですので、採決に入ります。●〈採決を行う〉採決を行った結果、田村さんの案に決定しました。♠●へ強行採決〉議長が反対を押し切って強行採決を行おうとしたため、場内は騒然[そうぜん]となった。 **さいけつ【裁決】**[さいけつ] ○上に立つ人が裁いて決めること。[文例]〈裁決を仰ぐ〉この件につきましては、現在監督官庁の裁決を仰[あお]いでいるところです。♠◆く裁決がおりる〉学園理事会の裁決がおりましたので、特に三年A組の担任交代を認めます。 **さいげつ【歳月】**[さいげつ] ○としつき。つきひ。[文例]〈~年の歳月〉この五年の歳月が、おとなしかった少女をすっかり別人に変えてしまった。♠●〈歳月がたつ〉わたしが小学校を卒業してから、もう十年の歳月がたちました。♠●〈歳月を経る〉二人は、長い歳月を経て再会したのだ。♠●へ歳月を費やす〉『ファーブル昆虫記[こんちゆうき]』はアンリ・ファーブルが三十年の歳月を費やして完成した観察記録です。♠●へ歳月をこえる〉ピラミッドは、歳月をこえてわたしたちにその美しさを伝えている。♠●へ歳月は人を待たず〉歳月は人を待たず。むなしく年をとってしまった。 **さいげん【再現】**[さいげん] ○再び現れること。再び現すこと。[文例]〈場面を再現する〉昔の名画の名場面を再現した番組は、高い視聴率だったようです。♠●〈現代に再現する>古代の織物の研究を続け、その鮮[あざ]やかな色を現代に再現することに成功した。♠◆〈文章に再現する〉彼の話をテープにとって文章に再現しても、そのおもしろさは伝わってこないだろう。♠◆<去年の再現>勝ち残ったのはフランスとアメリカで、去年の決勝戦の再現となった。 **さいげん【際限】**[さいげん] ○限り。きり。果て。[文例]〈際限ない〉丘の西側には、広大なとうもろこし畑が際限なく続いていた。♠◆<際限がない〉子供たちの質問は次から次へと際限がなく、ぼくは少し疲れてきました。 **ざいげん【財源】**[ざいげん] ○収入源。金銭の出所。財貨をうみ出す元。[文例]〈財源がある・ない〉減税は望ましいが、その財源がありません。♠近代化の財源〉国の近代化の財源として外国からの観光客を受け入れるつもりである。♠〈財源を求める〉首相は、国家財政の健全化の財源を消費税の導入に求めた。 **さいけんとう【再検討】**[さいけんとう] ○もう一度検討すること。[文例]〈再検討を求める〉原生林の伐採[ばつさい]については、自然保護団体から再検討を求める声があがっている。♠◆へ再検討が必要〉あなたのプランには費用面で無理があるよ、再検討が必要だね。♠●へ再検討する〉こんなに反対者が多いのでは、計画は再検討せねばならないだろう。 **さいこ【最古】**[さいこ] ○最も古いこと。[文例]〈最古の歌集〉万葉集は奈良時代に成立した、わが国に現存する最古の歌集です。♠◆<世界最古〉約千三百年前に建立された法隆寺[はうりゆうじ]は、世界最古の木造建築として有名だ。 **さいご【最後・最期】**[さいご] ○いちばん終わり。いちばん後ろ。死にぎわ。・・・したらそれきり。[文例]〈最後の力〉最後の力をふりしぼって、ようやくゴールにたどり着いた。♠●へ最後の願い〉これが最後の願いだから、きっときっと聞き入れてくださいね。♠●へ最初で最後〉二人が会ったのは、その時が最初で最後だった。♠●へ最後の最後まで〉明日のマラソン大会こそ、最後の最後までがんばるつもりだ。♠●〈最後を飾[かざ]る〉みんなの力で、中学校生活の最後を飾るにふさわしいりっぱな卒業文集ができ上がった。♠●へ〜したが最後〉足を踏みはずしたが最後、 <392> 谷底へ真っ逆さまに転落するに違いない。♠◆<最後にして〉一九○五年に奈良県で捕[と]らえられたのを最後にして、ニホンオオカミは絶滅[ぜつめつ]したといわれる。♠へ人の最期〉〈最期を見届ける〉別々に暮らしていた息子たちが集まり、母親の最期を見届けた。♠●へ最期を遂げる〉昔の侍[むかしさむらい]は、自分の腹を切って最期を遂げるということがあったそうだ。♠●〈悲惨な最期〉華[はな]やかな人生を送った彼だったが、交通事故で即死[そくし]するとは、ずいぶん悲惨な最期だ。 **ざいこ【在庫】**[ざいこ] ○倉庫に品物があること。また、その品物。ストック。[文例]〈在庫が豊富〉この店は在庫が豊富で、気に入った品が必ず見つかります。♠●へ在庫がある〉ご注文の品は在庫がありませんので、大至急取り寄せましょう。♠へ在庫が増える〉涼しい夏はクーラーや扇風機があまり売れず、在庫が増えることになる。♠●へ在庫をかかえる〉不況で、在庫をかかえた業者は青息吐息[あおいきといき]です。♠●〈在庫一掃〉店内改装のため在庫一掃のセールを行います。 **さいこう【最高】**[さいこう] ○いちばん高いこと。最もすぐれていること。[文例]〈最高の山〉モンブランは、アルプス最高の山で、海抜四千八百十メートルです。♠◆〈最高の記録〉今回の彼は、過去最高の記録を上回る出来だった。♠●へ最高のできばえ〉絵は、一年もかけた力作だけあって、最高のできばえだとほめられた。♠●へ最高の気温〉今年の夏は猛暑[もうしよ]で、東京でも最高の気温が三十八度まで上がりました。♠●へ最高の傑作〉『枕草子[さくらのそうし]』は、『源氏物語[げんじものがたり]』とともに平安[へいあん]文学最高の傑作とされている。♠◆モーツァルトは好きかだって? 最高だよ! **さいこう【再興】**[さいこう] ○再び盛んにすること。再び盛んになること。[文例]〈国の再興〉戦争で荒廃[こうはい]した国の再興のために、大統領は産業の育成に力を注いだ。♠◆町の再興〉石炭産業の不振でさびれかかった町の再興が真剣に考えられていた。♠●へ再興する〉一時勢力を失っていた俳句を再興しようと努力したのが、この結社[けつしや]の俳人たちだ。 **さいこう【再考】**[さいこう] ○もう一度考え直すこと。[文例]市の案に対して、住民の間から再考を求める声が出ている。♠へ再考をうながす〉所得の格差は広がるばかりであるので、経済政策の再考をうながす意見が多い。♠◆〈再考する〉自然保護の立場から言えば、リゾート建設計画は再考する余地がある。 **ざいごう【罪業】**[ざいごう] ○罪となる悪い行為。罪の報い。[文例]〈深い罪業〉年老いて、男は自らの深い罪業を悔[く]いるようになった。♠へ罪業を積む〉これ以上罪業を積めば、天罰が下るかもしれない。 **さいさき(幸先)**[さいさき] ○よい事のある前ぶれ。何かを行う時の前ぶれ。[文例]へさいさきがいい・悪い〉一回戦が不戦勝とは、さいさきがいいね。♠●へさいさきよいスタート〉郊外に手ごろな家も見つかり、新婚の二人はさいさきよいスタートを切りました。 **さいさん【再三】**[さいさん] ○二度三度。たびたび。何度も。[文例]ぼくは気まぐれな姉のために、再三買い物に付き合わされた。♠●彼は駐車違反[ちゅうしゃいはん]を再三注意されたにもかかわらず、やめようとしなかった。♠●〈再三の警告〉数人の若者が再三の警告を無視して、遊泳禁止区域で泳いでいた。♠離島[りとう]への物資の補給を再三試みたが、悪天候にはばまれて果たせなかった。♠●弟に、そんな危険な所へは絶対行かないように再三言ったが、聞き入れなかった。♠へ再三再四〉関係官庁へ再三再四足を運んで、予算獲得[かくとく]に奔走[ほんそう]した。 **さいさん【採算】**[さいさん] ○収入と支出を計算すること。収入と支出が引き合うこと。利益が上がること。[文例]〈採算が合う〉最近は、輸入物が大量に出回るようになって、採算の合わない農家が出てきた。♠●へ採算がとれる〉手づくりによる生産は見直されつつあるが、人件費などの面で採算がとれるまでに至っていない。♠●〈採算割れ〉急激な円高によって採算割れを起こす輸出産業が多くなった。 **ざいさん【財産】**[ざいさん] ○所有している土地・建物・金銭など。法人・個人が所有している経済的価値のあるもの。非常に価値のある物事。[文例]〈財産を残す〉息子[むすこ]は怠[な生]け者で、父親の残した財産を、たった二年の間にすっかり使い果たしてしまった。♠◆◇財産がある〉父親が有名な実業家だっただけに、彼女には現在相当の財産があるものと思われます。♠◆〈財産を築く〉無一文[むいちもん]から身を起こした父は、手がけた事業を次々と成功させ、一代で財産を築きあげた。♠◆〈財産をつぎこむ〉博士は新しい理論の完成のため、全財産をつぎこんで実験を続けている。♠〈財産を継ぐ〉たくさんの兄弟の中で最も力が強く賢い者[かしこ]が、偉大[いだい]な王の財産を継ぐことになった。♠へ共有の財産〉緑あふれる自然は、わたしたちに平等に与えられた共有の財産です。♠●〈財産を争う〉その小説には、父の残した財産を争う、三人の娘[むすめ]が登場します。♠◆<財産家>友人のM氏は非常な財産家で、都内にいくつものビルを持っている。 **さいし【妻子】**[さいし] ○妻と子。[文例]徳川幕府は諸大名の謀反[むほん]を防ぐために、大名の妻子を人質として江戸に住まわせました。♠●<妻子が待つ〉出稼[でかせ]ぎの男たちは、盆と正月に妻子の待つ故郷に帰る。♠〈妻子がある〉彼は妻子のある身、独身のきみのようにはいかないだろう。♠●へ妻子を食わす〉この程度の月給では、とても妻子を食わしていくことなどできない。♠●へ妻子を養う〉一生懸命働いて妻子を養っていくのは、夫としての当然の義務だ。 **さいじ【祭事】**[さいじ] ○祭り。神事。[文例]勇壮[ゆうそう]な火送りの祭事を見物しようとする観光客が、参道にまであふれていた。♠祭事を行う〉神社では恒例[こうれい]の祭事が行われました。 **さいじつ【祭日】**[さいじつ] ○祭りを行う日。祝日。[文例]当店は年中無休で、日曜、祭日も営業いたします。♠●◆掛けていた目金[めがね]をはずして、可哀[かわい]い娘の顔を見る日は、爺[じい]いさんのためには祭日である。(森鷗外[もりおうがい]「雁[がん]」) **ざいしつ【材質】**[ざいしつ] ○材木の性質。材料の性質。[文例]〈布の材質〉網地には絹糸[きぬじ]というふうに、糸は布と同じ材質や色のものを使うようにしましょう。♠●へ楽器の材質〉バイオリンやギターは、その材質を変えると音色も変わってくる。♠●へ最高級の材質〉桐[きり]の木は軽くて美しく虫もつきにくいという、日本の木材の中では最高級の材質を持っています。♠人材 <393> サイズ **さいしゅ【採取】**[さいしゅ] ○必要なものを、ある目的で選び取ること。[文例]〈化石を採取する〉この化石は河原の工事現場で採取したものです。♠●〈指紋を採取する〉被害者の部屋から採取した指紋を、急いで鑑識[かんしき]にまわした。♠◆〈砂利採取〉砂利採取のトラックが建設現場に向かって走っていく。 **さいしゅう【採集】**[さいしゅう] ○資料や標本にするためにとり集めること。[文例]〈植物・昆虫[こんちゆう]の採集〉子供たちは、夏休みの宿題の植物や昆虫の採集に大張り切りだった。♠●〈岩石を採集する〉各地の岩石を採集して、日本の地質を調べた。♠●へ民話を採集する〉東北地方の民話は、今まで非常にたくさん採集されてきた。♠<例を採集する〉理論を立てるために、実際の例を数多く採集する必要があった。 **さいしゅう【最終】**[さいしゅう] ○いちばん終わり。最後。[文例]〈最終の列車・最終列車〉最終の列車に乗り遅れては大変と、駅まで懸命[けんめい]に走りました。♠●へ最終の到達点〉彼の選手生活の最終の到達点は、このオリンピックの入賞であった。♠●へ最終的〉いろいろな意見が出たが、最終的には部長が決定することになった。♠●へ最終目標〉大学に入ることが最終目標ではなく、その先にまだまだ遠い道が続くのです。♠●へ最終日〉評判の高いミュージカルだったので、上演の最終日には劇場の前に長い人の列ができました。♠◆〈最終回〉その映画の最終回は午後六時半からだから、会社の帰りに見に行こう。 **ざいじゅう【在住】**[ざいじゅう] ○住んでいること。[文例]〈在住する〉戦争中この町に在住した日本人は、日本軍の指揮下にあった。♠◆<ロサンゼルス在住〉ロサンゼルス在住の友人から、昨日国際電話がありました。 **さいしゅっぱつ【再出発】**[さいしゅっぱつ] ○再び出発し直すこと。もう一度始めからやること。やり直すこと。[文例]〈選手としての再出発〉まる二年も試合から遠ざかっていたぼくにとって、今日の試合が選手としての再出発になる。♠●〈再出発をする〉会社をやめた高木さんは、小さな喫茶店のマスターとして再出発をしました。♠●〈再出発する〉会社は、経営陣[けいえいじん]を一新して再出発することになった。 **さいじょう【最上】**[さいじょう] ○いちばん上。最もすぐれていること。最高。最良。[文例]〈最上の品〉この絹織物は、当店では最上の品でございます。♠◆〈最上の方法〉達也[たつや]のとった解決法は、最上の方法とはいえなかった。♠へ最上階〉このビルの最上階から見る東京の夜景は、とてもすばらしい。 **ざいじょう【罪状】**[ざいじょう] ○犯罪の内容や実状。[文例]〈囚人[しゅうじん]の罪状〉囚人たちはその罪状によって収容所を決められた。♠◆〈罪状を読み上げる〉刑場[けいじよう]では、役人が受刑者[じゅけいしゃ]の名と罪状を読み上げ、刑の執行[しつこう]が行われた。 **さいしょ【最初】**[さいしょ] ○いちばん初め。[文例]〈最初で最後〉これが最初で最後のお願い、きっと返すからお金を貸してほしいの。♠●〈最初が肝心[かんじん]〉何ごとも最初が肝心です。♠●〈本の最初〉「前書き」と「後書き」は、編集委員が書いて、文集の最初と最後に載せることにした。♠●〈最初の光〉朝の最初の光が海から丘の上に差している。♠●〈最初から〉いっしょに遊びたいのなら、最初からそう言えばいいのに。♠●へ最初のうち〉もらってきた犬は、最初のうちは猛烈[もうれつ]にほえた。 **さいじょ【才女】**[さいじょ] ○すぐれた才能のある女性。才媛。[文例]清少納言[せいしょうなごん]は歌才[かさい]に富み、文章に優れ、和漢の学問に通じた才女として、紫式部[むらさきしきぶ]と並び称されている。♠◆若者に人気のあるその女流作家は、高校生のころから才女の誉[ほま]れが高かった。 **ざいしょ【在所】**[ざいしょ] ○住んでいる所。ふるさと。田舎。[文例]わたしの在所は、信州の上田でございます。♠●へ生まれ在所〉こうして越後[えちご]のなまりを聞いていると、生まれ在所がしのばれます。 **さいしょう【最小】**[さいしょう] ○最も小さいこと。[文例]〈最小の努力〉最小の努力で最大の成果を上げることを考えているんだ。♠●〈最小限度〉自然破壊[はかい]を最小限度にくい止めるような開発の方法を考えてゆく必要がある。 **さいしょう【最少】**[さいしょう] ○最も少ないこと。[文例]〈最少の人数〉競技会が三年生の修学旅行とぶつかったので、ぼくらは最少の人数で戦わなければならなかった。♠●〈最少得点〉昨日の数学のテストの最少得点者はどうやらぼくらしい。 **さいしょう【宰相】**[さいしょう] ○総理大臣。首相。[文例]〈一国の宰相〉年はまだ若かったが、彼には一国の宰相に恥じない風格があった。♠●へ平民宰相〉一九一八年に日本最初の本格的な政党内閣を組織した原敬[はらたかし]は、平民宰相と呼ばれ国民に大きな期待をかけられていた。 **さいしょく【採食】**[さいしょく] ○採って食べること。[文例]〈採食する〉首の長いキリンは、樹上の木の葉や木の実を採食しやすくなっている。 **さいしょく【菜食】**[さいしょく] ○肉類をさけ、いつも野菜類だけを食べること。[文例]父は医者に菜食をすすめられたらしく、最近よくサラダを食べるようになった。♠●〈菜食主義〉菜食主義の彼は、肉をまったく口にしません。 **ざいしょく【在職】**[ざいしょく] ○その職についていること。[文例]〈在職する〉健康が思わしくなく、これ以上在職するのは不可能だ。♠●〈在職中〉北海道支店の支店長として在職中に、記録的な大雪が降りました。 **さいしん【細心】**[さいしん] ○細かい点に心を配るさま。[文例]〈細心の注意〉車の運転には、常に細心の注意を払わなければなりません。♠細心な計画〉山登りには、細心な計画が必要です。 **さいしん【最新】**[さいしん] ○いちばん新しいこと。最も進歩していること。[文例]〈最新の設備〉体の具合が悪いようなら、一度最新の設備が整った病院で検査してもらいなさい。♠●へ最新の情報〉テレビのニュースは常に最新の情報を流しています。♠●へ最新の技術〉コンピューターは情報化社会を担[にな]う、最新の技術の一つだ。 **サイズ**[サイズ] ○大きさ。寸法。[文例]〈サイズが同じ〉姉さんとわたしは、着る物のサイズが同じです。♠◆ヘサイズが合う〉デパートで気に入ったドレスがあったけれど、サイズが全然合わなかった。♠●へ体のサイズ〉彼女のサイズは、バスト八十 <394> さいする **さい・する【際する】**[さい・する] ○ある機会にあたる。[文例]卒業に際して、お世話になった先生方に何かお礼がしたい。♠●壁画の復元に際してまず丹念[たんねん]な調査が行われることになった。♠◆修学旅行の出発に際し、先生からいくつか注意を受けました。 **さいせい【再生】**[さいせい] ○生き返ること。生まれかわること。生えかわること。再び生じること。不用品を使える物にかえること。録音・録画した音声・映像を出すこと。[文例]〈再生する〉トカゲのしっぽは、切れてもすぐに再生します。♠〈生物の再生〉生物の再生の働きを見ると、動物より植物のほうが強いことがわかります。♠●へ鉄道の再生〉〈再生を図る〉車や飛行機に押され気味の鉄道の再生を図る方策が講じられている。♠●へ古新聞を再生する〉古新聞や雑誌などを再生して、トイレットペーパーなどが作られる。♠●へ映像を再生する〉ビデオデッキで収録した映像を再生した。 **ざいせい【財政】**[ざいせい] ○国や自治体の経済活動・経済状態。[文例]〈赤字財政〉〈財政の立て直し〉赤字財政を立て直すために、増税やら各種補助金の削減[さくげん]やらが行われた。♠●〈財政が健全〉長い間、我が市は赤字に苦しんできたが、今年度はようやく財政が健全な状態にもどった。♠◆〈国の財政〉〈財政が窮迫[きゆうはく]する〉国の財政が窮迫しているという。♠●へ財政を潤[うるお]す〉貧しい村の財政を潤すために、村民からアイデアを募集することになった。♠我が家の財政〉あなたも高校生になったのだから、我が家の財政を知っておいてね。♠●財政難〉この工事は、当時財政難にあった藩[はん]にとってたいへんな事業であった。 **ざいせき【在籍】**[ざいせき] ○学校や団体に籍があること。[文例]〈在籍する〉十九歳の長女は、県内の公立大学に在籍しています。♠●〈在籍中〉わたしが在籍中に、この高校は創立百周年を迎えます。♠●へ在籍者〉入学者が二百十名、卒業者は百八十名だから、在籍者は三十名増えたことになる。 **さいせん【再選】**[さいせん] ○同じ人を再び選ぶこと。もう一度当選すること。[文例]〈再選を決める〉委員会は前回と同じく満場一致で、現委員長の再選を決めました。♠へ再選を果たす〉先日の選挙で再選を果たした父は、これが連続三期目の県会議員です。♠●へ再選する〉知事選挙は開票の結果、現職の田中氏が再選された。 **さいぜん【最善】**[さいぜん] ○最もよいこと。全力。ベスト。[文例]〈最善の策〉地震や噴火に対する最善の策は、やはり事前にそれを予知することでしょう。♠●へ最善の処置〉その件は、みなさんの意見を聞いて、最善の処置をとろうと思います。♠〈最善の道〉わたしたちが自由を求めるのは、それが人類の進歩への最善の道だと考えるからです。♠●へ最善を尽くす〉今日の試合では、最善を尽くして戦ってほしい。♠◆へ最善をなす〉きみたちの愛する人のために最善をなしたまえ。 **さいぜん【最前】**[さいぜん] ○いちばん前。さっき。[文例]〈最前から〉夏が近いのか、東の空に最前から入道雲がそびえている。♠●その人とは最前会ったばかりですから、まだ服装も髪型もはっきり覚えています。 **さいぜんせん【最前線】**[さいぜんせん] ○戦場で敵に最も近い所。直接仕事にあたるところ。第一線。[文例]〈営業の最前線〉〈最前線に立つ〉新製品の発売にあたって、社長自らが営業の最前線に立つことになった。 **さいせんたん【最先端】**[さいせんたん] ○いちばん先頭。最も進んでいるところ。[文例]〈最先端の技術〉この工場には、最先端の技術が導入されています。♠●へ流行の最先端〉〈最先端を行く〉あの古くさい格好が流行の最先端を行くなんて、ぼくにはとても信じられない。 **さいそく【催促】**[さいそく] ○早くするように要求すること。うながすこと。せきたてること。[文例]〈催促を受ける〉催促を受ける前に返済しようと、八方手を尽くした。♠●〈矢の催促〉大家[おおや]から立ちのくように矢の催促を受けているので、近いうちに引っ越すつもりだ。♠◆へある時払いの催促なし〉きみの ためなら、ある時払いの催促なしでいつでも貸すから、言ってくれたまえ。♠へえさを催促する〉夕方になると、三匹の子猫[こねこ]がえさを催促して鳴くので、とてもにぎやかだ。♠へ返事を催促する〉この間のお見合いの話ね、返事を催促してきたけれど、どうするの? **さいだい【最大】**[さいだい] ○いちばん大きいこと。[文例]〈最大の努力〉みなさんそれぞれが全力を尽くして、最大の努力をするよう望みます。♠●へ〈最大の事件〉きみたちにとって、今年最大の事件は何ですか。♠●〈最大の難関〉あの山を征服[せいふく]するにはこの岩場が最大の難関になっている。♠◆へ最大の栄誉[えいよ]〉彼は、完全試合をやり遂げ、ピッチャーとしては最大の栄誉を手にした。♠◆ヘイタリア最大〉イタリア北部に位置するトリノは、イタリア最大のポー川の流域に広がっている都市である。♠●へ最大多数の最大幸福〉最も多くの人に最も大きな幸福をもたらすべきだという考えが、「最大多数の最大幸福」だ。♠◆◇今世紀最大の発見〉沖縄[おさなわ]で発見されたイリオモテヤマネコは、ほ乳類では今世紀最大の発見と騒[さわ]がれた。♠●〈最大限〉今度の大会では、ぼくたちのチームは最大限の力を発揮し、準優勝することができた。 **さいだい【細大】**[さいだい] ○細かいことと大きなこと。すべて。全部。[文例]〈細大漏らさず〉敵国の情勢を探[さぐ]っていた情報部員は、手に入れた情報を細大漏らさず報告書に盛り込んだ。 **さいたく【採択】**[さいたく] ○(よい方の案を)選びとること。[文例]〈採択する〉賛成が過半数を超え、減税案が採択された。♠◆主張したいことはすべて主張した、あとは採択を待つばかりだ。 **さいだん【祭壇】**[さいだん] ○祭事を行うために設けられた壇。[文例]〈祭壇を設ける〉砂浜に祭壇を設け、男たちはその回りに車座[くるまざ]になって酒盛りを始めた。♠●へ祭壇を飾る〉お盆には祭壇を飾り、祖先をしのびます。 **さいだん【裁断】**[さいだん] ○断ち切ること。是非を判断してはっきり と決めること。[文例]〈布の裁断〉布の裁断の仕方、縫い方 <395> さいのう **さいち【才知】(才智)**[さいち] ○才能と知恵。[文例]〈才知がある〉才知のある若者だったが、見識は備わっていなかった。♠人才知にたける〉才知にたけて、かえって策におぼれたか。 **さいちゅう【最中】**[さいちゅう] ○物事が盛んに行われている時。[文例]〈食事の最中〉食事の最中に、席を立ったりしてはいけませんよ。♠◆く騒[さわ]ぎの最中〉この騒ぎの最中に、店の商品に手をつけて立ち去った者がいた。♠●へ真っ最中〉母にしかられている真っ最中に、父が帰って来た。 **ざいちゅう【在中】**[ざいちゅう] ○中に入っていること。[文例]〈写真在中〉旅先で会った人から、「写真在中」と書かれた封書が送られてきた。♠●〈請求書在中〉先日製品を納品してもらった業者から、「請求書在中」と書いてある郵便が届いた。 **さいてい【最低】**[さいてい] ○最も低いこと。非常に劣っているさま。[文例]〈最低の気温〉一九〇二年一月二十五日、旭川[あさひかわ]でマイナス四十一度を観測したのが、日本の気温の最低とされている。♠◆◇最低三か月〉この原稿を書き上げるのに、最低三か月はかかる。♠●〈最低な人間〉あなたって最低ね。♠●へ最低限度〉日本国憲法は、国民のだれもが健康で文化的な最低限度の生活をする権利があると定めています。 **さいてい【裁定】**[さいてい] ○裁いて決定すること。[文例]〈議長の裁定〉〈裁定を受ける〉議長の裁定を受けて、議会の混乱は収拾へ向かった。♠へ仲裁[ちゅうさい]裁定〉組合側は、労働委員会の仲裁裁定をまって戦術を決めることに決定した。 **さいてき【最適】**[さいてき] ○いちばんふさわしいこと。[文例]委員には、まじめでみんなに人望のある田村さんが最適だ。♠●へ最適なコース〉景色がよくて走りやすい、ドライブに最適なコースを教えてもらった。♠◆へ最適の環境〉温暖で静かなこの地方は、病気療養には最適の環境です。 **さいてん【祭典】**[さいてん] ○祭り。祭りの儀式。[文例]〈氏神様の祭典〉今夜は、氏神様の秋の祭典の宵宮[よいみや]です。♠◆ヘスポーツの祭典〉オリンピックは、四年ごとに行われる世界的なスポーツの祭典だ。♠●〈民族の祭典〉この国の独立記念日は、以後若さと力にあふれた民族の祭典となった。 **さいてん【採点】**[さいてん] ○点数をつけること。[文例]〈試験の採点〉試験の前は準備で生徒がたいへん、試験の後は採点と集計で先生がたいへんです。♠●へ採点する〉これから正解を言いますので、各自採点してください。 **さいど【再度】**[さいど] ○もう一度。再び。[文例]話し合いは物別れに終わり、来月再度話し合うことになった。♠●惜[お]しくも敗れたが、来年再度挑戦するつもりだ。♠●〈再度の警告〉市の再度の警告にもかかわらず、建設会社は無理な工事を続け、事故を起こしたのです。 **サイド**[サイド] ○側面。横。わき。側。[文例]〈サイドが変わる〉後半戦はサイドが変わって、風上からの攻撃です。♠◆ヘプールサイド〉今日の体育の水泳の授業は、具合が悪かったのでプールサイドで見学しました。♠●〈消費者サイド〉消費者のサイドの意見を参考にこの製品を改良しよう。♠●〈サイドビジネス〉彼女は、会社員なのですが、特技を生かし、サイドビジネスとしてジャズダンスのインストラクターをやっています。 **さいな・む(苛む・噴む)**[さいな・む] ○責める。しかる。苦しめる。いじめる。[文例]〈心をさいなむ〉遠い過去の過失がわたしの心をさいなんでいた。♠●〈我と我が身をさいなむ〉責任感の強い彼は今度の失敗を自分のせいだと思いこみ、我と我が身[われわがみ]をさいなんでいます。♠●〈悪夢にさいなまれる〉昨夜は悪夢にさいなまれ、一睡[いつすい]もできなかった。♠●〈良心にさいなまれる〉犯人は良心にさいなまれたのか、犯行の二日後に自首してきました。 **さいなん【災難】**[さいなん] ○思いがけずふりかかる不幸な出来事。災い。[文例]〈災難に遭[あ]う〉楽しい旅行に出かけたはずなのに、交通事故だなんて、とんだ災難に遭ったものだ。♠●不慮[ふりよ]の災難>前途有望[ぜんとゆうぼう]の若者が不慮の災難で命を落とすとは、なんとも残念なことだ。♠へ降ってわいた災難〉大地震[おおじしん]による家屋倒壊[かおくとうかい]という、降ってわいた災難に、村の人々はぼう然と立ちつくすだけだった。♠◆へ災難が降りかかる〉今年は、まるで集中的に災難が降りかかったような一年だった。♠〈災難を免[まぬが]れる〉間一髪[かんいつばつ]のところで災難を免れるとは、きみはなんて運がいいんだろう。♠●へ災難とあきらめる〉今度のことは、災難だと思ってあきらめるさ。♠◆あんなに口うるさい細君[さいくん]を持って、彼も災難だねえ。 **ざいにん【罪人】**[ざいにん] ○罪を犯した人。[文例]昔、罪人は島流しにされたりしたそうです。♠●〈罪人を問いただす〉白州[しらす]は江戸時代に訴訟[そしよう]を裁いたり、罪人を問いただしたりした場所です。♠●〈罪人扱い〉警察でさんざん罪人扱いされたあげく、真犯人が見つかったというので帰された。 **さいにんしき【再認識】**[さいにんしき] ○改めて認識すること。[文例]へ伝統の再認識〉伝統芸能の再認識の気運が高まっています。♠◆<再認識する〉電気のない海辺でキャンプ生活をして、懐中電灯[かいちゅうでんとう]や携帯[けいたい]ラジオの重要性を再認識しました。 **さいねん【再燃】**[さいねん] ○再び燃え出すこと。再び問題化すること。[文例]〈紛争が再燃する〉しばらく停戦状態にあった国境付近で紛争が再燃した。♠●へ運動が再燃する〉トナカイがオオカミにやられる回数が多くなるたびに、オオカミを殺そうとする運動が再燃したそうです。♠●へ問題が再燃する〉両国の関係があまりうまくいかなくなると、いつも領土問題が再燃する。 **さいのう【才能】**[さいのう] ○何ごとかをなしとげる、すぐれた能力。才知の働き。[文例]〈才能がある・ない〉きみには、確かに音楽家としての才能がある。♠●〈優れた才能〉〈才能を示す〉宮本武蔵[みやもとむさし]は、文武[ぶんぶ]両道にわたり、優れた才能を示した。♠才能をもつ〉文章を書くことは、特別な才能をもつ人間の特技というわけではない。♠●〈豊かな才能〉彼は豊かな才能の持ち主で、その学識は和漢洋に通じていた。♠●〈隠れた才能〉俳優の隠れた才能を見つけ出すのも、演出家の大切な仕事だ。 <396> さいはい **さいばん【裁判】**[さいばん] ○法を適用して犯罪者を裁いたり、争いごとの是非を判定すること。[文例]〈裁判を起こす〉空港周辺の住民たちは、飛行機の騒音[そうおん]にたえかねて、国を相手に裁判を起こしました。♠へ裁判にかける〉裁判にかけて、どちらの言い分が正しいか決めてもらおうじゃないか。♠裁判で争う〉離婚した夫婦が、どちらが子供をひきとるかを裁判で争っている。♠●〈裁判をする〉法廷とは、つまり裁判をする場をいいます。♠●〈裁判を受ける〉憲法には、何人[なんびと]も裁判所において裁判を受ける権利を奪[うば]われない、とある。♠●へ裁判に持ち込む〉そんなささいな事を裁判に持ち込んだって、裁判所に相手にしてもらえないだろう。♠●へ公正な裁判〉政府からの圧力があったなどという人もいますが、この裁判は公正なものです。♠●〈裁判沙汰〉事件を起こしたが、裁判沙汰にならず、示談で済みました。 **さいひょうか【再評価】**[さいひょうか] ○改めて評価しなおすこと。[文例]〈再評価を受ける〉戦前はごく一部で認められただけのその小説は、戦後になって再評価を受け、多くの読者を得た。♠〈再評価する〉当時は人気アイドルにすぎなかったその歌手も、実力派として高く再評価されている。 **さいばい【栽培】**[さいばい] ○植物を植え育てること。[文例]〈植物の栽培〉この地方は一年中温暖な気候で、植物の栽培に適している。♠●ヘシイタケの栽培〉シイタケの栽培は、クヌギやコナラの幹に菌を植えつけて行う。♠●〈作物を栽培する〉わたしの祖父は根っからの百姓[ひゃくしよう]で、土を耕して作物を栽培する仕事に誇[ほこ]りを持っている。♠●へ野菜を栽培する〉この辺りの農家では、主にキャベツやレタスなどの野菜を栽培しています。 **さいはつ【再発】**[さいはつ] ○再び発生すること。再び起こること。[文例]〈事件の再発〉事件の再発を防止するために、原因を明らかにし、対策を立てる必要があるだろう。♠●〈再発する〉完治[かんち]したかに思われた病気が再発し、祖父は先月からまた入院しています。 **ざいばつ【財閥】**[ざいばつ] ○その国の政治経済に影響を与える大資本家の一族。金持ち。[文例]親子三代で巨万の富を築いた彼等は財閥を形成し、国の経済にまで大きな影響を与えた。♠●戦後まもなく、日本の民主化のために財閥の解体が行われた。♠◆お子さんにも一台ずつ車を与えてるんですか。お宅は財閥ですわね。 **さいぶ【細部】**[さいぶ] ○細かい部分。[文例]二人の意見には、細部に微妙[びみよう]な違いがあります。♠●〈細部にわたる〉問題点を細部にわたって検討することにした。♠●〈細部に至る〉その仏像は、細部に至るまできわめて精巧[せいこう]に作られている。 **さいぶん【細分】**[さいぶん] ○細かく分けること。[文例]〈細分する〉もうけは全員に細分したので、一人当たりの取り分はさほど多くはなかった。♠●〈細分化〉営業部は、五つの課に細分化されています。 **さいへんせい【再編成】**[さいへんせい] ○編成しなおすこと。[文例]〈チームの再編成〉監督は、チームの再編成にとりかかった。♠●<再編成をする〉メンバーが二人もぬけたことから、バンドの再編成をすることになった。♠◆へ再編成する〉英語の講師に欠員が出たので、時間割りを再編成することになった。 **さいほう【裁縫】**[さいほう] ○布を裁断して衣服などを縫うこと。[文例]姉さんは料理はからきしだめだが、手先が器用で裁縫はとても上手だ。♠●母が裁縫の先生をしているので、わたしの洋服はみんな母のお手製です。 **さいぼう【細胞】**[さいぼう] ○生物体を構成する基本的な単位。組織の単位となる小さいグループ。さいほう。[文例]〈細胞が分裂[ぶんれつ]する〉ムラサキツユクサの葉を小さく切って、顕微鏡で細胞が分裂するところを観察した。♠●〈党の細胞〉革命[かくめい]党派の細胞として我々のグループはひそかに活動していた。 **ざいほう【財宝】**[ざいほう] ○お金や宝物。[文例]〈財宝を隠す〉お墓の中には、時価にして億をこえる財宝が隠されていました。♠◆<財宝が眠る〉この辺りの海底には、昔の海賊[かいぞく]の残した財宝が眠っているはずです。♠●へ金銀財宝〉男は古い地図をたよりに、戦国大名が残した金銀財宝を探そうと必死になっていた。 **さいまつ【歳末】**[さいまつ] ○年の暮れ。年末。[文例]どの家庭も歳末になると、大掃除をして新年を気持ちよく迎えようと思うものです。♠●へ歳末大売り出し〉近くの商店街では十二月十五日から歳末大売り出しが始まった。 **さいみつ【細密】**[さいみつ] ○非常に細かいさま。[文例]〈細密な解説〉全集の最後には、一つ一つの作品に細密な解説がついている。♠●へ細密に描[えが]く〉説明書を読んで、そこに書かれた機械をできるだけ細密に描いてみた。 **さいむ【債務】**[さいむ] ○ある人に対する返済・支払い・譲渡の義務。→債権[文例]〈債務がある・ない〉先月で借金はすべて返し終わったので、もう債務はありません。♠●へ債務を負う〉事業に失敗し、債務を負っていた一家の生活は苦しかった。♠●へ債務をかかえる〉工場の倒産[とうさん]で多額の債務をかかえた。 **さいもく【細目】**[さいもく] ○細かい項目。[文例]基本方針には賛成ですから、細目については委員会に諮[ほか]って協議してください。 <397> サイン **ざいもく【材木】**[ざいもく] ○建築物や器具の材料となる木。木材。[文例]〈材木になる〉材木になる重い木を山から運ぶのに、昔は牛や馬を使いました。♠●〈材木を立てかける〉広場の隅に材木が立てかけてあり、立ち入り禁止になっていた。♠●〈材木屋〉代々材木屋を営んでいますが、昔ながらの木の家は年々減っています。 **ざいや【在野】**[ざいや] ○公職[おおやけ]につかず民間にいること。野党にあること。[文例]〈在野の研究者〉彼は、大学や公の研究機関から離れ、在野の研究者として独自の理論を打ち立てた。 **さいやく【災厄】**[さいやく] ○わざわい。災難。[文例]〈災厄に遭う〉孫たちが災厄に遭わないように、祖母は一心に祈った。♠へ災厄が降りかかる〉一家にたて続けに災厄が降りかかったのは何のたたりだろう。 **ざいらい【在来】**[ざいらい] ○これまであったこと、あったもの。今まで通り。[文例]〈在来の手法〉この工芸品は、機械を使わず、在来の手法で作られている。♠●へ在来の文化〉明治維新以来、日本は欧米の文物[ぶんぶつ]を取り入れ、在来の文化との融合[ゆうごう]を図ってきた。♠●へ日本在来〉日本にいるゴキブリの中で日本在来のものはヤマトゴキブリです。♠●へ在来線〉赤字を理由に国鉄は在来線を廃止していった。♠◆〈在来種〉この地方の犬は、昔からの在来種と外国から連れてきたものの雑種だった。 **さいり(犀利)**[さいり] ○鋭いさま。鋭く真実をつくさま。[文例]〈犀利な筆〉前王朝の興亡は、この歴史家の犀利な筆によって余すところなく描き[えが]き出された。♠●〈犀利な感覚〉この詩人の病的なまでに犀利な感覚が意識の深層にある恐怖を探り出している。 **ざいりゅう【在留】**[ざいりゅう] ○一時期、その土地(特に外国)にとどまり住むこと。[文例]〈在留する〉マニラには、多くの日本人家族が在留する。♠●〈在留邦人[ほうじん]〉この国の情勢が悪化すれば、在留邦人の引き揚げも考えられる。 **さいりょう【最良】**[さいりょう] ○最もよいこと。[文例]〈最良の方法〉最良の方法だったとはいえないが、とっさの処理としては上出来だ。♠●へ最良の年〉去年は、願いがかなってヨーロッパに行けたんだもの、ここ数年で最良の年だったわ。 **さいりょう【材料】**[ざいりょう] ○物を作るもとになるもの。作品の素材・題材。研究や判断のもとになる資料。[文例]〈材料として使う〉銅が電線の材料として使われるのは、鉄よりも軽く、電気を伝えやすいからです。♠●〈材料をそろえる〉日曜日で休みの店が多かったので、料理の材料をそろえるのにずいぶん時間がかかった。♠●へ詩の材料〉身の回りにも詩の材料になるものはたくさんあるのです。♠●へ実験の材料〉実験の目的を伝えると、博士[はかせ]は快く実験室と材料を提供してくれました。 **さいれい【祭礼】**[さいれい] ○祭り。祭りの儀式。祭典。[文例]〈神社の祭礼〉日曜日は神社の祭礼で、参道は親子連れでにぎわいます。♠へ祭礼を行う〉八月の最後の土曜日と日曜日には、お稲荷[いなり]さんの祭礼が盛大に行われ、夜店もたくさん出る。♠●〈祭礼を催[もよお]す〉祭礼が催されている期間中は、おみこしや山車[だし]がくり出すので、大通りは通行止めになった。 **さいろく【採録】**[さいろく] ○とり上げて記録すること。本に載せること。[文例]〈採録する〉この教科書には、ぼくの好きな詩人の詩が採録されています。♠●へ採録する〉柳田国男[やなぎたくにお]の『遠野[とおの]物語』には、古くから伝わる物語や民間伝承が採録されている。 **さいわい【幸い】**[さいわい] ○幸せ。幸運。運よく。[文例]不幸中の幸い>火事で十軒もの家が全焼したが、死傷者が一人も出なかったことが不幸中の幸いだった。♠◆へもっけの幸い〉先生が出ていったのをもっけの幸いとばかり、教室の生徒たちは大騒ぎをしています。♠●〈幸いする〉親の注意が幸いして、子供が事故をまぬかれた。♠●〈幸いなことに〉今年の林間学校は、幸いなことにお天気に恵[めぐ]まれて、とても楽しかった。♠●〈幸いにも〉追突[ついとつ]事故に巻き込まれたが、幸いにも、けがは免[まぬか]れた。♠●〈幸いにして〉財布を落として困っていたが、幸いにして、友人が拾って届けてくれた。♠◆ヘこれ幸いとばかり〉母が旅行に出かけたので、これ幸いとばかりに勉強をさぼっていたら、帰ってきた母に怒[おこ]られた。♠◆雨が降り出したが、幸いタクシーが通りかかったので助かった。♠◆お借りしていたお金、返済を一か月延期していただきたく、お許し願えれば幸いです。 **サイン**[サイン] ○合図。署名。[文例]〈サインが出る〉ワンダウン、ランナー一塁のところで、ヒットエンドランのサインが出た。 <398> さえ **さえ(冴え)**[さえ] ○澄み切ること。鮮やかなこと。♪さえる[文例]〈技のさえ〉体調が悪いのか、その選手にはいつもの技のさえが見られない。♠●〈腕のさえ〉うまい! さすがは名人の腕のさえだ。♠●へ感覚のさえ〉この短歌から、わたしたちは若い女性に特有な感覚のさえを感じとることができる。 **さえぎ・る【遮る】**[さえぎ・る] ○じゃまをして止める。間に物を置いて見えなくする。[文例]〈光を遮る〉深い森は、木々が光を遮り、昼でもうっそうと暗い。♠●へ景色を遮る〉木立[こだち]に遮られて、向こうの海の景色が見えない。♠●へ行く手を遮る〉調査隊は川に行く手を遮られて、それ以上前進することができなかった。♠●く道を遮る〉土砂崩[どしゃくず]れで、道が遮られたため、通行止めになった。♠●へ声を遮る〉子供は学校から帰ってくると、母親の声を遮って夢中[むちゆう]で今日あったことを話した。♠へ話を遮る〉人の話を途中[とちゆう]で遮らないで、最後までちゃんと聞いてください。 **さえずり(囀り)**[さえずり] ○さえずること。また、その声。[文例]小鳥のさえずり〉外の天気がいいことは、小鳥のさえずりでわかります。♠●へ女どものさえずり〉井戸端[いどばた]からペチャクチャとやかましい女どものさえずりが聞こえてくる。 **さえず・る(囀る)**[さえず・る] ○鳥がしきりに鳴く。ぺちゃくちゃとうるさくしゃべる。[文例]〈ひばりがさえずる〉村の分校では、ひばりがにぎやかにさえずっている。♠●へ小鳥がさえずる〉森では、朝と夕方に小鳥がやかましいばかりにさえずる。♠●〈女の子がさえずる〉バスの中で中学生くらいの女の子たちが、ぺちゃくちゃとあたりかまわずさえずっていた。 **さ・える(冴える)**[さ・える] ○冷たく澄む。澄み渡る。はっきりする。鮮明になる。技がきわだつ。[文例]〈音がさえる〉バイオリンは、古くなると材質が変化して、音がさえると言う。♠◆へ色がさえる〉冬は空気が澄んでいるので、建物の色もさえて感じられる。♠●へ星がさえる〉今夜は冷え込んで、空の星が美しくさえている。♠●〈気分がさえない〉梅雨時[つゆどき]はうっとうしくて、なんだか気分がさえない。♠●〈さえない顔〉何か悩みでもあるのかい、さえない顔をしているね。♠●へ腕がさえる〉近ごろは、腕のさえた職人が少ないので、文化財の保護も難しくなった。♠〈技がさえる〉今日の主将は、よほど調子がいいのだろう、実に技がさえている。♠●へさえた演技〉主演女優のさえた演技に、観客はシーンと静まり返った。♠●〈目がさえる〉コーヒーを飲んだら、目がさえて、なかなか寝つかれなかった。♠●く頭がさえる〉夜がふけるにつれて頭がさえ、難しい問題もどんどん片づいていった。 **さお(竿・棹)**[さお] ○竹の細長い棒。[文例]強い風で洗濯物がさおごと落ちてしまった。♠●へさおの先〉布切れをさおの先につけて、のぼりを作りました。♠●へさおを差す〉船頭さんは、上手に流れにさおを差して舟を進ませました。♠●へかぎになり、さおになり〉秋の空をガン[かり]の群れが、かぎになりさおになりして渡っていく。♠●〈釣りざお〉誕生日に新しい釣りざおを買ってもらったんだ。♠へたんす一さお〉秋に結婚する娘に桐[きり]のたんすを一さおこしらえました。 **さか【坂】**[さか] ○傾斜している道。また、それにたとえられる状況。[文例]〈坂の多い町〉鎌倉[かまくら]は、坂の多い趣[おもむき]のある町で、若いころからよく散策したものだ。♠●へ急な坂〉〈坂を上る〉おばあさんが、急な坂を休み休み上ってくるのが見えた。♠〈緩[ゆる]やかな坂〉〈坂をなす〉緩やかな坂をなしている小道を下っていくと、やがて前方に海が見えてきた。♠●〈長い坂〉人の一生は、重い荷物を背負って長い坂を上る姿にたとえられる。♠●へ坂を転げるように〉彼は、ちょっとしたつまずきがもとで、坂を転げるように悪の道へ転落していった。♠〈五十の坂を越す〉先生は、もうとうに五十の坂を越しているはずなのに、まだ若々しい。 **さが(性・相)**[さが] ○持って生まれた性質。世のならわし。[文例]〈女のさが〉美しくなりたいと思うのは女のさがです。♠〈人間のさが〉お金に目がくらむのは、どうすることもできない人間のさがなのかもしれません。♠●〈世のさが〉はやりすたりは世のさが、去年あんなにはやっ玩具[がんぐ]にもうだれも見向きもしない。♠●鉢[はち]ながら欅[けやき]は性の落葉[おちば]降る(水原秋桜子[みずはらしゅうおうし]) **さかい【境】**[さかい] ○物と物の接する所。境界。物事の変わり目。ある範囲の場所。心境。境遇。境地。[文例]〈県と県の境〉この川は、千葉県と茨城[いばらき]県の境を流れて東京湾[わん]に入る。♠●〈境とする〉平安京は、中央の朱雀大路[しゅじゃくおおじ]を境として東西に分けられた。♠●〈境にする〉秋分[しゅうぶん]の日を境にして、昼より夜のほうが長くなる。♠●へ境をする〉隣との間に、コンクリートの塀を作って境をしました。♠●〈恋愛[れんあい]と友情の境〉男女間の恋愛と友情の境は、はっきりしないものである。♠〈境を接する〉満州[まんしゅう]といわれた地方はシベリヤと境を接していたので、終戦当時は混乱の場所となった。♠◆人生死の境をさまよう〉交通事故で生死の境をさまよったが、運よく一命は取り止めた。 **さかいめ【境目】**[さかいめ] ○境になる所。物事の分かれ目。変わり目。[文例]〈庭の境目〉うちの庭ととなりの庭の境目に、さくを作ることになった。♠●〈境目がある〉おじいさんのめがねには遠近を使いわける境目がある。♠人生きるか死ぬかの境目〉生きるか死ぬかの境目に、のんびりしてなどいられないよ。 **さか・える【栄える】**[さか・える] ○勢いが盛んになる。繁栄する。[文例]〈人類が栄える〉人類が栄えていくためには、地球上の諸問題を解決するための協力が必要である。♠●〈国が栄える〉中国で唐の国が栄えていたころ、日本からは、遣唐使[けんとうし]が派遣された。♠へ文化が栄える〉ヘレニズム文化は、ギリシア風とオリエント風とを融合[ゆうごう]した文化で、地中海地域を中心に栄えた。♠●へ〜の町として栄える〉かつて当市は、絹織物[きぬおりもの]の町として栄えました。 <399> さかまく **さかさ【逆さ】(倒さ)**[さかさ] さかさま。ぎゃく。[文例]〈逆さになる〉木から下りるときに、手の方が先に、つまり逆さになって下りられますか。♠●へ逆さにつるす〉鳥のモビールを天井からつるしたのだが、まちがって逆さにつるしてしまった。♠●〈逆さに言う〉五十音を逆さに言ってごらん。すらすら言えるかい。♠●へ逆さまつ毛〉逆さまつ毛が目に入って痛いのです。 **さかさま【逆さま】**[さかさま] ○向きや位置・順序などが反対であるさま。上下が反対になっていること。[文例]〈裏表逆さま〉三歳になる妹は、洋服を裏表逆さまに着て得意顔だ。♠●〈左右逆さま〉小学校低学年の子供は、よく左右逆さまの字を書いて、先生を困らせる。♠へ逆さまになる〉岩場で遭難[そうなん]した登山者は、逆さまになったままザイルにぶら下がっているところを救助された。♠●へ逆さまに落ちる〉大工さんが、足を滑[すべ]らせてはしごから逆さまに落ちてしまった。♠●子供が大人の機嫌[きげん]を取るなんて、逆さまだよ。 **さが・す【探す・捜す】**[さが・す] ○見つけ出そうとする。たずね求める。[文例]〈えさを探す〉暖かくなると、冬眠[とうみん]から覚めたくまは、えさを探しに出かける。♠●〈場所を探す〉キャンプ場に着くとすぐに、テントを張るのに適した場所を探した。♠へ婿[むこ]を探す〉祖母は、口ぐせのように、「早く良い婿を探しておくれ。」と言う。♠●へ言葉を探す〉病気でお母さんを亡くした友達に、慰[なぐさ]めの言葉を探しても、なかなか思い浮かばなかった。♠◆職を探す〉不景気が続くと、失業者が職を探しても、なかなか見つからないことが多い。♠◆ヘルートを探す〉あの山にいちばん早く登れるルートはどこか、地図とガイドブックを頼[たよ]りに探してみた。♠●へ財布[さいふ]を捜す〉財布をどこかに置き忘れ、家の中を捜し回ったが、見当たらなかった。♠〈行方[ゆくえ]を捜す〉警察が血まなこで行方を捜したが、犯人は捕[つか]まらなかった。♠●〈目撃者[もくげきしゃ]を捜す〉ひき逃げ事故の目撃者を捜しているそうだ。♠●〈迷子[まいご]を捜す〉母親が、迷子になった子供を捜していた。♠●〈人材を探す〉父の会社で、有能な人材を探している。♠●〈家を捜す〉交番のおまわりさんに聞きながら彼の家を捜した。♠●く家を探す〉学校や公園が近くにあって、駅にも近いような家を不動産屋に探してもらった。 **さかずき【杯】(盃)**[さかずき] ○酒を飲むための器[うつわ]。[文例]酒さかなが運ばれ、杯にはなみなみと酒が注がれた。♠●へ杯を干す〉酒好きの父は一息に杯を干し、うれしそうににこっと笑いました。♠へ杯を交わす〉その夜集まった同級生四人は、昔話に花を咲かせながら杯を交わしていった。 **さかだち【逆立ち】**[さかだち] ○手を地面につけ、体を逆さにして立つこと。[文例]だれかに足を持ってもらわなければ、逆立ちができません。♠●へ逆立ちする〉吉村君のバッティングのうまさには、ぼくなんか逆立ちしたってかなわない。 **さかだ・つ【逆立つ】**[さかだ・つ] ○(髪の毛などが)普通と逆の向きに立つ。[文例]〈髪の毛が逆立つ〉恐怖[きようふ]のために目がつり上がり、髪の毛は逆立っていた。 **さかだ・てる【逆立てる】**[さかだ・てる] ○普通と逆の向きに立てる。[文例]〈はりを逆立てる〉ハリネズミは敵に会うと、体を丸くして体じゅうのはりを逆立てます。♠●〈毛を逆立てる〉犬の姿を見ると子猫[こねこ]は背中を丸め、毛を逆立てて威嚇[いかく]を始めた。 **さかて【逆手】**[さかて] ○普通と逆に持つこと。逆にやり返すこと。[文例]〈逆手にとる〉首相は、野党議員の不用意な発言を逆手にとって反撃に転じた。 **さかな【魚】(肴)**[さかな] ○魚類。酒を飲む時に食べる料理。酒の席での話題や余興。[文例]〈魚が泳ぐ〉沖縄[おきなわ]の海は美しく透き通っていて、もぐると魚の泳いでいるのが見えます。♠●へ魚をとる〉海底に網[あみ]を沈[しず]め、これを人力や機械で引いて魚をとるのが底引き網漁法です。♠●〈魚を釣る〉昨日、大きな魚を釣ったので、早速魚拓[さつそくぎよたく]にした。♠●へ魚がかかる〉釣りざおを引き上げてみると、小さな魚がかかっていた。♠●へ魚が帰る〉悪臭[あくしゅう]のひどかった隅田[すみだ]川に魚が帰ってきた、という明るいニュースもあります。♠●〈魚を食べる〉日本人は、魚をよく食べる生活習慣がある。♠●〈魚を焼く〉夕食時ともなると、あちこちの家から魚を焼くいいにおいがしてきた。♠へ逃がした魚は大きい〉「逃がした魚は大きい」といって、一度手に入れたものを失うと、ことさら惜しまれるものだ。♠酒のさかな〉父の好きな酒のさかなは、「イカの塩辛[しおから]」だ。♠(さかなにする〉近々、結婚[けつこん]するという同僚[どうりよう]をさかなにして、みんなで一杯やった。 **さかなで【逆なで】(逆撫で)**[さかなで] ○逆の方向になでること。わざと神経にさわるような言動をとること。[文例]〈逆なでにする〉若い女教師の皮肉は、わたしの神経を逆なでにした。♠◆<逆なでする〉この政策は、少数民族の感情を逆なでするものであった。 **さかねじ【逆ねじ】(逆捩じ)**[さかねじ] ○逆にねじること。他からの非難に対して逆にやり返すこと。[文例]〈逆ねじを食う〉「おい、こら。」と注意したら、「こらとは何だ。」と逆ねじを食った。♠●へ逆ねじを食わす〉理屈っぽい男だから、不用意に批判すると逆ねじを食わされる。 **さかのぼ・る(溯る・遡る)**[さかのぼ・る] ○流れと反対の方向に進む。過去や根本にもどる。[文例]〈川をさかのぼる〉この川では、秋になると、産卵のためにサケが川をさかのぼっていくのが見られる。♠へ歴史をさかのぼる〉歴史をさかのぼって、日本人の祖先をたずねる。♠●〈過去にさかのぼる〉過去にさかのぼって俳句の歴史を紹介[しようかい]した本を探しています。♠今をさかのぼる〉東海道線が全線開通したのは、今をさかのぼること、約百年も昔[むかし]のことです。♠◆◇当時にさかのぼる〉その当時にさかのぼって考えると、ずいぶんいろいろな出来事があった。♠●へ四月にさかのぼる〉会社との話し合いで、手当は四月にさかのぼって支給されることになった。 **さかま・く【逆巻く】**[さかま・く] ○流れに逆らうように波が激しく巻き立つ。[文例]〈怒濤[どとう]逆巻く〉怒濤逆巻く大海原に、命知らずの男は小舟でこぎ出していった。♠●へ逆巻く荒波[あらなみ]〉船は逆巻く荒波にもまれ、船酔[ふなよ]いする乗客が続出しました。♠◆ヘ水が逆巻く〉沼の水があわ立ち逆巻き立ちのぼり、長いひげと大きな目をした竜[りゆう]が姿を現した。♠●ひとみを輝[かがや]かせる子どもたちの頭の中には、夢が逆巻くようにわきおこっているの <400> さかみち **さかみち【坂道】(坂路)**[さかみち] ○坂になっている道。[文例]〈急な坂道〉山のふもとのこの町には急な坂道が多い。♠●へ長い坂道〉ぼくの家から学校までは、だらだらとした長い坂道が続きます。♠●く坂道を上る〉自転車で坂道を上るのは、歩くよりもたいへんです。♠●へ坂道を転げるよう〉少年はちょとしたつまずきがもとで、坂道を転げるように悪の道へ転落していった。 **さから・う【逆らう】**[さから・う] ○反対の方向へ進もうとする。はむかう。反抗する。[文例]〈風に逆らう〉観測隊は、雪原を風に逆らって進んだ。♠●〈流れに逆らう〉サケは、流れに逆らって川を上り、生まれた場所に帰る習性がある。♠●へ時代の流れに逆らう〉会津藩は、江戸から明治へという時代の流れに逆らって行動した。♠●へ世の風習に逆らう〉わたしの父は、世の風習に逆らって生きている頑固[がんこ]おやじだ。♠へ親に逆らう〉商売を継げという親に逆らって家を飛び出した。♠●〈意に逆らう〉隊長の意に逆らった一人の隊員の勝手な行動が、隊に敗北をもたらした。♠●〈忠告に逆らう〉周囲の忠告に逆らってまで、きみはこの危険な冒険[ぼうけん]をしたいというのか。 **さかり【盛り】**[さかり] ○いちばん勢いが盛んな時。動物の発情期。[文例]〈夏の盛り〉夏の盛りに、一家で沖縄[おきなわ]へ行って泳いできた。♠●〈暑い盛り〉この暑い盛りに外出するなんて、もう少し日が陰[かげ]ってからにしたらどうだい。♠●へ桜が盛り〉校庭の桜は、今を盛りと咲いて、新入生を歓迎[かんげい]している。♠へ今が盛り〉持ちまえの華[はな]やかさに落ち着きが加わって、この役者は今が盛りだ。♠●〈人生の盛り〉〈盛りを過ぎる〉人生の盛りを過ぎるころになると、過去を振り返ることが多くなる。♠◆<若い盛り〉若い盛りに戦争にとられて、命を落とした若者たちは、さぞ悔しかったことだろう。♠●へ働き盛り〉過疎の村では、働き盛りの男性の姿には、なかなかお目にかかれない。♠●〈娘[むすめ]盛り〉隣[となり]のミヨちゃんは今が娘盛りでとてもかわいい。♠●へさかりがつく〉うちの犬は、さかりがついているらしく気が立ってほえてばかりいる。 **さがりば【盛り場】**[さかりば] ○人が大勢集まるにぎやかな所。繁華街。[文例]〈都会の盛り場〉都会の盛り場は、深夜を過ぎてまだ明るく、人通りが絶えることはない。♠●へ盛り場をうろつく〉仕事はうまくいったし、さて、盛り場でもうろついてみるか。 **さがる【下がる】**[さがる] ○下に垂れる。低くなる。下降する。低下する。低落する。後退する。退出する。時が移る。下に渡される。[文例]〈垂れ幕が下がる〉デパートには、色とりどりの垂れ幕が下がり、歳末[さいまつ]気分をかきたてている。♠●〈札[ふだ]が下がる〉評判のうなぎ屋へでかけてみると、「本日休業」の札が下がっていた。♠へつららが下がる〉軒下[のきした]に干しておいたタオルがいつのまにか凍[こお]って、つららが下がっている。♠●ヘズボンが下がる〉ベルトをしないと、ズボンが下がってきます。♠●〈頭が下がる〉仕事とはいえ、看護婦さんの献身[けんしん]的な働きぶりには頭が下がる。♠〈気温が下がる〉上空の気温はかなり下がっているようで、どんよりした雪雲が空をおおっている。♠〈熱が下がる〉熱が下がるまで、母はまくらもとにつきそってくれた。♠●へ値打ちが下がる〉生活必需品は供給が多すぎないかぎり、その値打ちが下がることはない。♠人物価が下がる〉原油が大幅[おおはば]に安くなったおかげで、少し物価が下がったようだ。♠●〈質が下がる〉値段の安いものは、その分質が下がるのはしかたがない。♠●へ成績が下がる〉うちの子は中学に入るとサッカーに夢中[むちゅう]になり、成績が下がってしまった。♠へ順位が下がる〉優勝候補だった選手なのに、最初の失敗がひびいて、すっかり順位が下がってしまった。♠●〈後ろに下がる〉電車がホームに入ってきたので、あわてて後ろに下がった。♠●へ次の間へ下がる〉夫人は、客に料理をあれこれ勧めてから、次の間へ下がっていった。♠●へ時代が下がる〉コペルニクスの地動説[ちどうせつ]が認められるのは、はるかに時代が下がって近代を迎えてからである。♠●へ恩給が下がる〉父は校長の職をやめても、恩給が下がるから、なんとか生活できると考えている。♠●へ目じりが下がる〉おやおや、若い女性にかこまれて、お父さん、目じりが下がっているわよ。♠◆ヘやに下がる〉父は、愛犬に芸を仕込み、来客があるとこれを見せてやに下がっている。 **さかん【盛ん】**[さかん] ○勢いのあるさま。栄えているさま。繰り返しするさま。[文例]〈運動が盛ん〉この学校は、運動が盛んなことでは県下一である。♠◆活動が盛ん〉最近、奥様族[おくさまぞく]の間で趣味のサークル活動が盛んなようです。♠●〈交流が盛ん〉今日では、国際的交流が盛んになっているので、言葉を知らなくても旅行できる。♠●〈輸出が盛ん〉わが国の自動車輸出はますます盛んになり、各国との間に摩擦が生じてきた。♠◆〈盛んになる〉中世を迎えて、武士の時代に移ってからは、軍記物語が盛んになった。♠●へ盛んに燃える〉暖炉[だんろ]の中では、赤い火が盛んに燃えていた。♠盛んに降る〉家の外では、雨が盛んに降っている様子だった。♠●〈盛んにする〉適度の運動は血行[けつき]を盛んにするので、毎朝ジョギングに汗を流している。♠●へ盛んな拍手[はくしゅ]〉高校野球の優勝チームを、地元の人たちは、盛んな拍手で歓迎[かんげい]した。♠◆<血気[けつき]盛ん〉血気盛んな将校たちは、周囲の意見を聞かずにクーデターを起こそうとしていた。♠●〈老いてますます盛ん〉祖父は六十を過ぎてから水泳や英会話を始め、老いてますます盛んだ。 **さき【先】**[さき] ○先端。末端。先頭。前方。目的地。進行する方向。前途。先方。将来。以前。[文例]〈針の先〉突然[とつぜん]、胸のあたりに、まるで針の先で突[つ]かれたような痛みを感じた。♠●へ足の先〉今日の彼は、頭のてっぺんから足の先まで、ぴしっと決めてきたぞ。♠●へ先がとがる〉隣[となり]の席の女の子は、いつも先のとがった鉛筆[えんぴつ]を十本以上用意している。♠●〈先を争う〉その本は当時学生の間で大変なブームを呼び、ぼくたちも先を争うようにして読んだものだ。♠●へ先を越す〉猛吹雪[もうふぶき]のあいだに、日本隊はイギリス隊に先を越されて、極地への旅は困難を極めた。♠●〈我先[われさき]に〉シマウマの群れは、人影[ひとかげ]を認めると、我先にと逃げ出した。♠◆<先に立つ〉疲れた兄に代わって、一番下の弟が荷物を背負い、みんなの先に立って歩き始めた。♠●〈先に立つ〉修学旅行から無事もどった下の子を見て、うれしさよりも安心が先に立ったものだ。♠●へ先に起き <401> さきぼそり **さき・だつ【先立つ】**[さき・だつ] ○先頭に立つ。ある事より前に起こる。先に死ぬ。何よりも先に必要である。[文例]ラックスマンが北海道にやってきたのは一七九二年、ペリーの来航に先立つこと六十二年だった。♠◆へ開始に先立つ〉タイトルマッチでは、試合開始に先立ってセレモニーが行われることになっていた。♠◆へ息子に先立たれる〉息子に先立たれた両親の悲しみは、言葉で言い表せない。♠人先立つもの〉今の世の中何をするにも先立つものはやはりお金です。 **さきどり【先取り】**[さきどり] ○先に受け取ること。現実より先に進んで自分のものとすること。[文例]〈流行の先取り〉流行の先取りなんて言ってるけれど、きみのそのかっこうはおかしいよ。♠●へ時代を先取りする〉バイオテクノロジーなど時代を先取りした研究が脚光[きやつこう]を浴びています。♠へ代金を先取りする〉代金を先取りしておいて品物がそろわないでは困ります。 **さきばしり【先走り】**[さきばしり] ○先走ること。↓さきばしる[文例]〈先走りをする〉事情がはっきりしないうちから先走りをするようなことはつつしみたまえ。♠●〈やせ馬の先走り〉なに、やせ馬の先走りさ、今にあごを出すよ。 **さきばし・る【先走る】**[さきばし・る] ○他をさしおいて行動する。事を急ぎすぎる。はやまる。[文例]〈先走った行動〉彼女の先走った行動は、周囲から軽率だと非難された。♠へ夢が先走る〉夢ばかりが先走って、現実的な話は何一つ進んでいません。♠●〈気持ちが先走る〉勝とうという気持ちばかり先走って、チームプレーの基本がおろそかになってしまった。 **さきぶれ【先触れ】**[さきぶれ] ○前ぶれ。前兆。[文例]〈地震の先触れ〉ナマズの活動が活発になるのは、地震の先触れだと昔から言われます。♠●〈夏の先触れ〉雨上がりの空には、夏の先触れとなるツバメがもう何羽も飛び交っていた。 **さきほこ・る【咲き誇る】**[さきほこ・る] ○今をさかりと咲く。いっぱいに咲く。[文例]〈花が咲き誇る〉公園の池の周りには、今を盛りと桜の花が咲き誇っている。♠へ文化が咲き誇る〉壮大[そうだい]なピラミッドやスフィンクスは、何千年も前にナイル川流域に咲き誇った文化の華やかさを現在に伝えるものだ。 **さきぼそり【先細り】**[さきぼそり] ○先端に行くほど細くなること。先に行くほど衰えること。[文例]〈商売が先細り〉年々客の数が減って、このままでは商売の先細りは避けられない。♠●へ先細りする〉このまま円高が続けば、輸出産業は先細りするばかりなのだろうか。 <402> さきまわり **さきまわり【先回り】**[さきまわり] ○先に目的地に行くこと。相手より先にしてしまうこと。[文例]〈先回りをする〉彼女が駅に向かったのを見て、ぼくは自転車で先回りをしようとした。♠〈先回りする〉彼が言おうとしていたことをぼくが先回りして言ったので、彼はだまりこんだ。 **さきゅう【砂丘】**[さきゅう] ○風で運ばれた砂でできた丘。[文例]見渡すかぎり、遠くまで砂丘が続き、砂丘の上には背の低い松の林が海風に吹かれている。 **さきゆき【先行き】**[さきゆき] ○これから先。ゆく先。ゆく末。[文例]〈ドラマの先行き〉ドラマは奇想天外なストーリーで、先行きどうなるのかさっぱり見当がつかない。♠●へ経済の先行き〉日本経済の先行きは必ずしも楽観できない。♠●へ先行きが心配〉勝つには勝ったが、エースがあんな状態ではチームの先行きが心配だ。♠●へ先行きが明るい〉このまま養生[ようじよう]すれば、患者の先行きは明るい。 **さぎょう【作業】**[さぎょう] ○仕事をすること。仕事。[文例]〈骨の折れる作業〉屋根の雪下ろしを手伝ったが、寒くて、重くて、骨の折れる作業だった。♠●〈作業をする〉職人たちは、汗[あせ]をふきふき、くい打ちの作業をしていた。♠●〈作業を進める〉遺跡[いせき]の発掘[はつくつ]調査の際には、土中の石器などをこわさないように、細心に作業を進める。♠●〈作業に入る〉建築現場では、昨日から壁[かべ]を塗る作業に入っている。♠●へ作業を行う〉〈復旧作業〉町の人たちが総出で、大雨で崩[くず]れた堤防[ていぼう]の復旧作業を行っていた。♠へ作業に出る〉〈農作業〉父が病気になったので、ぼくが代わりに農作業に出た。♠●へ作業する〉父が工場で作業するのは、朝九時から夕方五時までだ。♠●へ作業開始〉近くの工場では、午前八時に作業開始のサイレンが鳴る。 **さきん・じる【先んじる】**[さきん・じる] ○他より先を行く。他より先に行う。[文例]〈時代に先んじる〉時代に先んじた思想は、同時代の人々には受け入れられないことが多い。♠●へ人に先んじる〉わたしが今まで人に先んじることができたとすれば、それは決断の速さによるのだろう。♠●へ一歩先んじる〉他に一歩先んじた経営で、店の売り上げは順調に伸びています。♠●〈先んずれば人を制す〉先んずれば人を制すのことわざ通り、早い準備が功を奏した。♠●へ先んじて〜する〉先んじて恋のあまさと/かなしさを知りし我なり/先んじて老ゆ(石川啄木[いしかわたくぼく]) **さきん・ずる【先んずる】**[さきん・ずる] ♪さきん・じる **さく(柵)**[さく] ○枕などを一定の間隔で立て、横木を渡して作る囲い。[文例]〈さくを作る〉村人たちは、木でさくを作り、穴のまわりを囲って子供たちが落ちないようにした。♠●くさくを巡らす〉鹿[しか]が逃げないように、公園の周囲にはさくを巡らしてあった。♠へさくを回す〉危険な場所にはさくを回して、人が近づかないようにします。♠●〈通行止めのさく〉通行止めのさくがあったので、回り道をして遅くなってしまった。♠へさくを乗り越える〉人気者のさるがさくを乗り越えて逃げたと、動物園中が大騒ぎ[おおさわ]ぎです。♠●へさくを飛び越える〉キャッチボールの球がさくを飛び越えて道路に出てしまった。 **さく【作】**[さく] ○作品を作ること。作品。農作物のでき具合。[文例]〈会心の作〉この作品は、長い間あたためていただけあって、会心の作といえる。♠●へ雪舟[せつしゆう]の作〉この絵は雪舟の作とされているが、疑問をさしはさむ人も多い。♠●へ作がよい〉〈じゃがいもの作〉今年北海道では、じゃがいもの作がよく、大量の収穫[しゅうかく]が見込[みこ]まれる。 **さく【策】**[さく] ○はかりごと。計略。手段。方法。[文例]〈策がある・ない〉こうなったら捨て身でぶつかっていくしか策がない。♠●へ万全[ばんぜん]の策〉〈策を立てる〉今回の計画が成功するように、万全の策を立てた。♠●〈苦肉の策〉店は、苦肉の策で、商品の値下げに踏み切った。♠●へ策をろうする〉下手に策をろうするより、自然に任せたほうがうまくいくことが多い。♠●〈策を講じる〉会社再建のために、早急[さつきゆう]に策を講じなければならない。♠●へ策をめぐらす〉データをもとに、敵の攻撃にそなえて策をめぐらしています。♠●〈策を練る〉きびしい表情で、監督は策を練っていた。♠策が尽きる〉どうやら敵も、ここにきて策が尽きたようだ。♠へ策を施す〉相手に大量点を許してしまっては、策の施しようもない。♠●へ策を用いる〉彼は、いろいろと策を用いて、現在の地位にまでのぼりつめた。 **さ・く【咲く】**[さ・く] ○つぼみが開く。開花する。[文例]〈あさがおが咲く〉庭に大輪のあさがおが咲いて、道行く人の目を楽しませている。♠心が咲かせた花〉年末の助け合い運動は、善意の人々の心が咲かせた気持ちのよい花です。♠へひと花咲かせる〉父は、このままでは終わりたくない、もうひと花咲かせたい、と常々[つねづね]言っていた。♠●〈話に花が咲く〉久しぶりの同窓会で、昔の話に花が咲いて時がたつのも忘れてしまった。 **さ・く【割く・裂く】**[さ・く] ○引き破る。切り割る。引き離す。時間・労力などの一部をほかにあてる。[文例]〈ハンカチを裂く〉けがをしたわたしの指を、友達がハンカチを裂いてしばってくれた。♠へ絹を裂くような悲鳴〉暗い夜道で、突如[とつじよ]絹を裂くような女の悲鳴が聞こえた。♠●〈仲を裂く〉結婚[けつこん]に反対の両親は、二人の仲を裂こうとした。♠●〈生木を裂く〉娘[むすめ]は生木を裂かれるような思いで、恋人[こいびと]を戦場に送り出した。♠〈魚の腹を割く〉腕[うで]のいい板前がみごとな包丁さばきで魚の腹を割いた。♠●〈領土を割く〉第二次大戦後、いくつかの国家が領土を割かれたままである。♠●〈紙面を割く〉海外の主要な新聞が、この事件に紙面を割いている。♠へ時間を割く〉お忙[いそが]しいところ、わたくしのためにわざわざ時間を割いていただき、ありがとうございました。♠●へ人手を割く〉新しく出す支店に、人手を割いて店員を派遣[はけ]んした。♠●へ小遣[こづか]いを割く〉わずかな小遣いを割いて本を買うのが、父の唯一[ゆいいつ]の楽しみだ。 **さくい【作為】**[さくい] ○ことさらに手を加えること。わざと何かをすること。つくりごと。[文例]〈作為を感じる〉彼女の言葉には同情をひこうとする作為が感じられた。♠●へ作為が見 <403> さくふう **さくじょ【削除】**[さくじょ] ○けずり取ること。[文例]〈文章を削除する〉文集のページ数が予定をこえるので、文章をいくつか削除することにした。♠●へ記録から削除する〉ただ今の発言を取り消します。記録から削除してください。 **さくせい【作成・作製】**[さくせい] ○作り上げること。物を作ること。[文例]〈予算の作成〉国の予算の作成にあたるのは大蔵省です。♠●へ報告書を作成する〉県外の教育施設を見学して報告書を作成し、教育委員会に提出した。♠●へ彫像[ちようぞう]を作製する〉わたしは、美術学校を卒業する時、等身大の彫像を作製しました。 **さくせん【作戦】**[さくせん] ○軍隊が行う計画的な戦闘。戦う方法。目的を達成するための計画。[文例]〈作戦を立てる〉部隊は、背後の山から敵を襲[おそ]う作戦を立てました。♠●〈作戦を練る〉監督やコーチは、次の相手に対する作戦を練っていた。♠へ作戦を展開する〉イタチやネコを使って島のネズミを駆除[くじよ]する作戦が展開された。 **さくそう(錯綜)**[さくそう] ○複雑に入り組んでいること。[文例]〈道路が錯そうする〉東京に初めてきた人は、幾重にも錯そうする高速道路に目を見張ることでしょう。♠●へ情報が錯そうする〉錯そうする情報が、混乱する現地の状況をよく表している。♠●〈考えが錯そうする〉ぼくの頭の中にはいくつかの考えが錯そうして、とても結論は出せそうもなかった。♠●〈関係が錯そうする〉多くの人たちの利害関係が錯そうするごみ処理場の建設は、今後も問題をよびそうです。 **さくづ(つ)け【作付け】(作附け)**[さくづけ] ○作物を植えつけること。[文例]〈作付けする〉休耕地にこの地方の気候にあった高原野菜を作付けすることにした。♠●〈作付け面積〉気候の変化にも強いということで、この作物の作付け面積が増加しました。 **さくどう【策動】**[さくどう] ○ひそかに計略をめぐらして行動すること。[文例]〈策動に乗る〉騒ぎを企てる者たちの策動に乗ることなく、慎重に行動するよう心がけてください。♠策動する〉労働者の団結を崩[くず]そうと策動するやからが争議中の工場周辺に出没した。 **さくねん【昨年】**[さくねん] ○去年。[文例]この橋が昨年五月に完成してから、交通の便がよくなりました。♠◆田村さんのお父上は、昨年亡くなりました。 **さくばく【索漠】(索莫)**[さくばく] ○味気なく、心が満たされないさま。[文例]〈索漠とした空気〉すっかり冷え切った夫婦の間に、明け暮れ索漠とした空気が流れるようになった。♠索漠たる思い〉一日伝票の数字とにらめっこしたわたしは、索漠たる思いで待つ者のいない部屋へ帰ってきた。 **さくひん【作品】**[さくひん] ○作った物。芸術的な製作物。[文例]〈作品を書く〉宮沢賢治[みやざわけんじ]は詩「雨ニモマケズ」、童話「風の又三郎」など、多くの作品を書いた。♠へ作品を作る〉この特異な体験を基に、作家は小説という形式で作品を作った。♠人作品が生まれる〉作者の若いころの悲惨[ひさん]な戦争体験から、この作品は生まれました。♠◆〈作品が出る〉日本の立体造型美術は、鎌倉時代の彫刻[ちようこく]を最後に、名を残すような作品はほとんど出なくなってしまった。♠●〈作品を読む〉姉は今、文豪[ぶんごう]夏目漱石[なつめそうせき]の作品を読んでいるそうです。♠●〈作品を味わう〉彼は展示された一つ一つの作品を、ゆっくり時間をかけて味わっています。♠●へ作品を収める〉奈良時代の歌集『万葉集』には、いろいろな階級の人たちの作品が収められている。♠〈人と作品〉この機会に、宮沢賢治の人と作品について調べてみよう。 **さくふう【作風】**[さくふう] ○作品に表れる作者の特徴や傾向。[文例]〈新しい作風〉松尾芭蕉[まつおばしよう]は蕉風[しようふう]という俳諧[はいかい]の新しい作風を確立するに至った。♠●〈格調高い作風〉中国の詩人杜甫[とほ]は、格調高い作風で長く後世の規範となり、「詩聖[しせい]」とたたえられている。♠●へ独自・特異な作風〉この作家は、豊かな想像力を駆使した、独自で特異な作風で知られている。♠●〈作風が <404> さくぶん **さくらん【錯乱】**[さくらん] ○意識や思考が入り乱れること。[文例]〈錯乱をきたす〉あまりのショックにその人は、精神に錯乱をきたした。♠●〈錯乱が収まる〉容疑者の錯乱が収まるまでは尋問しても無駄だ。♠●〈錯乱する〉度重なる災難に頭の中が錯乱して、何も手につかなかった。♠●〈錯乱状態〉愛児が亡くなってから母親は錯乱状態となった。♠●〈精神錯乱〉アルコール常用が高じると、精神錯乱に陥[おちい]ることがあります。 **さぐり【探り】**[さぐり] ○さぐること。♪さぐる[文例]〈探りを入れる〉今度の試合では相手チームがどんな作戦で来るのか、少し探りを入れてみよう。♠●へ探りが入る〉あの男にはもう探りが入っているから、名前はおろか住所や所属団体までわかっている。 **さくりゃく【策略】**[さくりゃく] ○はかりごと。計略。[文例]〈策略にかかる〉正直なおじいさんは男の策略にまんまとかかり、大金をだまし取られたのです。♠●へ策略にはまる〉先輩の策略にはまって、結局ぼくが昼食をおごることになった。♠●へ策略を用いる〉城を攻め落とすため、城内にスパイを送りこむという策略を用いました。♠●へ策略を見破る〉敵の策略を見破り、その裏をかいて大勝利を収めた。 **さぐ・る【探る】**[さぐ・る] ○手足で触りながらさがす。ひそかに調べる。探究する。[文例]〈ポケットを探る〉電話をかけようと思ってポケットを探ったが、十円玉が見つからなかった。♠●〈懐[ふところ]を探る〉懐を探るまでもなく、小遣[こづか]いはもう二百円しか残っていない。♠●〈海の底を探る〉陸だけでなく、今では海の底を探って、油田を見つけているということです。♠●〈暗やみを探る〉急に停電になったので、あわてて暗やみを探ったら、運よく懐中電灯[かいちゆうでんとう]があった。♠●へ指先で探る〉彼女は、数珠[じゅず]を左手にかけて、一つ一つの玉を指先で探りながら、じっと目をつむっていた。♠●〈源を探る〉日本人の笑いの源を探ろうと、鎌倉[かまくら]、室町[むろまち]期の能狂言[のうきようげん]について調べてみた。♠●へ敵情を探る>敵情を探るために出かけた兵士は、捕らえられたのか、ついに帰ってこなかった。♠●へ秘密を探る〉産業スパイは、企業の秘密を探るのが役目だ。♠本心を探る〉本音と建て前は違うことが多いので、人の言葉や顔色から本心を探るのは難しいことだ。♠●へなぞを探る〉友人たちは、必死になって、彼の死のなぞを探ろうとした。♠◆〈歴史・文化を探る〉古代の遺跡を復元することは、古代の歴史と文化を探ることでもある。♠〈京の秋を探る〉京の秋を探る旅に参加して、古都の紅葉にすっかり魅せられた。♠◆〈探るような目つき〉ここに置いてあったおやつがなくなったと、弟は探るような目つきでぼくを見つめた。♠痛くもない腹を探る〉べつにたくらみなどないし、痛くもない腹を探られるのはいやだから、はっきりノーと言っておく。 **さくれつ(炸裂)**[さくれつ] ○爆発して飛び散ること。[文例]〈爆弾がさく裂する〉空港ロビー内で爆弾がさく裂し、たくさんの死傷者が出たそうです。♠●ヘパンチがさく裂する〉チャンピオンのパンチが顔面にさく裂、挑戦者はマットに沈んだ。 **さけ【酒】**[さけ] ○アルコール分を含む飲み物の総称。日本酒。[文例]〈酒を飲む〉〈酒に飲まれる〉酒は、適度に飲むのは体に良いが、酒に飲まれてはいけない。♠●へ酒に強い・弱い〉弟がお酒に強くても、兄のほうは弱いということだってある。♠◆<酒に酔う〉酒に酔って、子供に恥をかかせないでね、お父さん。♠●〈酒が回る〉だんだん酒が回ってきて、宴会[えんかい]の席は余興が飛び出すようになった。♠●く酒を断つく〉退院後の父は、早く職場に復帰したいと、酒を断って療養[りようよう]に専念している。♠●〈酒が入る〉日ごろ無口な彼だが、酒が入るとまるで別人のように大さわぎになる。♠●〈酒におぼれる〉つらい思いを忘れようと、酒におぼれた日々もあった。♠●へ酒をたしなむ〉ほかに何の楽しみもありませんが、少々酒をたしなみます。♠●酒をふるまう〉祭りには、商店では若い衆に酒をふるまうのが慣例だった。♠◆ヘ酒の勢い〉酒の勢いで、上司に向かって日ごろのうっぷんをはらしてやった。♠酒は百薬の長[ひゃくやくのちよう]〉酒はうまく飲めば、百薬の長とも言われている。♠●酒びたり〉彼は失恋[しつれん]して以来、酒びたりの毎日である。 <405> **さげすみ**(蔑み)○さげすむこと。♪さげすむ[文例]へさげすみの気持[きも]ち〉彼[かれ]がひどく高慢[こうまん]な態度[たいど]をとったのは、心[こころ]の中[なか]にわたしに対[たい]するさげすみの気持[きも]ちがあったからでしょう。♠〈さげすみの目[め]〉役人[やくにん]はやせ細[ほそ]った農民[のうみん]をさげすみの目[め]で見[み]ると、言葉[ことば]もかけずに立[た]ち去[さ]ってしまった。♠へさげすみを受[う]ける〉浪人[ろうにん]とはいえ武士[ぶし]であったから、いわれないさげすみを受[う]けることに堪[た]えられなかった。 **さげす・む**(蔑む)○みくだす。ばかにする。軽蔑[けいべつ]する。[文例]〈人[ひと]をさげすむ〉父[ちち]は、他人[たにん]からどんなにさげすまれても、自分[じぶん]の生[い]き方[かた]を変[か]えようとはしなかった。♠へさげすむような表情[ひょうじょう]〉わたしの告白[こくはく]を聞[き]いたとたん、彼女[かのじょ]はさげすむような表情[ひょうじょう]を見[み]せた。♠〈人[ひと]を〜とさげすむ〉わかっているさ、人[ひと]がぼくを怠[なま]け者[もの]とさげすんでいることは。 **さけび**【叫び】○叫[さけ]ぶこと。叫[さけ]び声[ごえ]。[文例]〈叫[さけ]びが聞[き]こえる〉深夜[しんや]に助[たす]けを求[もと]める叫[さけ]びが聞[き]こえた。♠ヘ叫[さけ]びをあげる>海鳥[うみどり]は、叫[さけ]びをあげながら、悠然[ゆうぜん]と飛[と]んでは、海面[かいめん]すれすれにおりた。♠〈民族[みんぞく]の叫[さけ]び〉独立[どくりつ]を得[え]たいという民族[みんぞく]の叫[さけ]びをだれも無視[むし]できない。 **さけ・ぶ**【叫ぶ】○大[おお]きな声[こえ]を出[だ]す。意見[いけん]を強[つよ]く主張[しゅちょう]する。[文例]〈口々[くちぐち]に叫[さけ]ぶ〉工場[こうじょう]で爆発[ばくはつ]があったらしい。従業員[じゅうぎょういん]たちが口々[くちぐち]に「逃[に]げろ」と叫[さけ]びながら走[はし]ってきた。♠〈心[こころ]に叫[さけ]ぶ〉マラソンのレースを間近[まぢか]に見[み]て、ぼくは、すごいなあと、心[こころ]に叫[さけ]んだ。♠へ改革[かいかく]を叫[さけ]ぶ>生徒会[せいとかい]運営[うんえい]の改革[かいかく]を叫[さけ]んで、生徒[せいと]たちは一致[いっち]団結[だんけつ]した。♠〈無実[むじつ]を叫[さけ]ぶ〉彼[かれ]は、二十年[にじゅうねん]もの間[あいだ]、獄中[ごくちゅう]から無実[むじつ]を叫[さけ]び続[つづ]けていた。♠へ公害[こうがい]問題[もんだい]が叫[さけ]ばれる〉公害[こうがい]問題[もんだい]が叫[さけ]ばれ始[はじ]めたのは、高度[こうど]成長[せいちょう]のかげで環境[かんきょう]が悪化[あっか]したころである。 **さ・ける**【裂ける】○切[き]れて分[わ]かれる。破[やぶ]れる。割[わ]れる。[文例]〈口[くち]が耳[みみ]まで裂[さ]ける〉ニホンオオカミは、口[くち]が耳[みみ]まで裂[さ]けていて、見[み]るからに恐[おそ]ろしそうである。♠〈上着[うわぎ]が裂[さ]ける〉言[い]い争[あらそ]っているうちにけんかとなり、上着[うわぎ]がびりっと裂[さ]けてしまった。♠◇帆[ほ]が裂[さ]ける〉長[なが]い航海[こうかい]で、船[ふね]の帆[ほ]は裂[さ]けてボロボロになってしまった。♠へ地面[じめん]が裂[さ]ける〉大地震[おおじしん]で地面[じめん]が裂[さ]け、家[いえ]の壁[かべ]が崩[くず]れ落[お]ちた。♠〈口[くち]が裂[さ]けても固[かた]く約束[やくそく]したので、口[くち]が裂[さ]けても言[い]えません。 **さ・ける**【避ける】○よける。のがれる。差[さ]しひかえる。かかわりをもたない。[文例]<車[くるま]を避[さ]ける>急[きゅう]に飛[と]びだした自転車[じてんしゃ]を避[さ]けようと、車[くるま]はガードレールに衝突[しょうとつ]してしまった。♠〈雨漏[あまも]りを避[さ]ける>長屋[ながや]の住人[じゅうにん]たちは、家[いえ]の中[なか]では雨漏[あまも]りを避[さ]け、かたすみで暮[く]らしていた。♠へ炎天[えんてん]を避[さ]ける〉今日[きょう]の始業式[しぎょうしき]は、炎天[えんてん]を避[さ]けて、講堂[こうどう]で行[おこな]われた。♠人[ひと]都会[とかい]を避[さ]ける>住[す]みにくい都会[とかい]を避[さ]けて、田舎[いなか]に帰[かえ]る若者[わかもの]も多[おお]い。♠〈混雑[こんざつ]を避[さ]ける〉ラッシュアワーの混雑[こんざつ]を避[さ]けて、少[すこ]し早[はや]めに出[いえ]た。♠へ人目[ひとめ]を避[さ]ける〉男[おとこ]は、大都会[だいとかい]の片隅[かたすみ]で、人目[ひとめ]を避[さ]けるようにして暮[く]らしていた。♠へ衝突[しょうとつ]を避[さ]ける〉力[ちから]ではとうていかなわないので、彼[かれ]との衝突[しょうとつ]は避[さ]けたい。♠<弾圧[だんあつ]を避[さ]ける〉第二次[だいにじ]世界[せかい]大戦[たいせん]では、多[おお]くのユダヤ人[じん]がナチスの厳[きび]しい弾圧[だんあつ]を避[さ]けるために地下[ちか]に潜[もぐ]った。♠へ誤[あやま]りを避[さ]ける〉誤[あやま]りを避[さ]けるために、名前[なまえ]の上[うえ]には必[かなら]ず振[ふ]り仮名[がな]をふってください。♠〈明言[めいげん]を避[さ]ける〉今回[こんかい]の疑惑[ぎわく]に関[かん]する記者団[きしゃだん]の質問[しつもん]に対[たい]して、首相[しゅしょう]は明言[めいげん]を避[さ]けた。♠へ人[ひと]を避[さ]ける〉近[ちか]ごろ、彼[かれ]は意識[いしき]してわたしを避[さ]けているようだ。♠〈避[さ]けて通[とお]る〉大学[だいがく]へ進[すす]むためには、受験[じゅけん]勉強[べんきょう]を避[さ]けて通[とお]ることはできません。 **さ・げる**【下げる・提げる】○下[した]に垂[た]らす。つるす。低[ひく]くする。下降[かこう]させる。低下[ていか]させる。低落[ていらく]させる。後退[こうたい]させる。下[さ]げ渡[わた]す。片[かた]づける。[文例]〈〜から〜を下[さ]げる〉大[おお]きな布袋[ぬのぶくろ]を肩[かた]から下[さ]げた男[おとこ]の人[ひと]がこちらへ歩[ある]いてくる。♠〈軒下[のきした]に下[さ]げる〉からすが一羽[いちわ]、軒下[のきした]に下[さ]げてあるとうもろこしをつついていた。♠へ腰[こし]に手[て]ぬぐいを下[さ]げる〉幼[おさな]いころ、腰[こし]に手[て]ぬぐいを下[さ]げた父[ちち]と毎晩[まいばん]のように銭湯[せんとう]へ通[かよ]ったものだ。♠へ手[て]にバケツを提[さ]げる〉断水[だんすい]したので、母[はは]とぼくは、両手[りょうて]にバケツを提[さ]げて、近[ちか]くの農家[のうか]へ井戸水[いどみず]をもらいに行[い]った。♠へ目[め]じりを下[さ]げる〉おじいさんは、孫[まご]が遊[あそ]びに来[く]ると、うれしそうに目[め]じりを下[さ]げている。♠〈機首[きしゅ]を下[さ]げる〉〈高度[こうど]を下[さ]げる>空港[くうこう]が近[ちか]づくと、着陸[ちゃくりく]態勢[たいせい]に入[はい]った飛行機[ひこうき]は機首[きしゅ]を下[さ]げ、高度[こうど]をぐんぐん下[さ]げた。♠頭[あたま]を下[さ]げる稲[いね]は実[みの]るほど一頭[こうべ]を下[さ]げるが、人[ひと]も常[つね]に控[ひか]え目[め]でいたいものだ。♠人[ひと]頭[あたま]を下[さ]げる〉弟[おとうと]のいたずらが激[はげ]しく、あちこちから苦情[くじょう]を持[も]ち込[こ]まれて、母[はは]さんはただ頭[あたま]を下[さ]げるばかりだ。♠温度[おんど]を下[さ]げる〉今夜[こんや]は暑[あつ]くて、クーラーで部屋[へや]の温度[おんど]を下[さ]げないと、とても眠[ねむ]れそうもない。♠<階級[かいきゅう]を下[さ]げる〉大事[だいじ]な作戦[さくせん]に失敗[しっぱい]した兵士[へいし]は、階級[かいきゅう]を下[さ]げられてしまった。♠へ値段[ねだん]を下[さ]げる〉今日[きょう]は定休日[ていきゅうび]の前[まえ]なので、野菜[やさい]と魚[さかな]の値段[ねだん]を下[さ]げてあります。♠〈水準[すいじゅん]を下[さ]げる〉一度[いちど]ぜいたくになった生活[せいかつ]の水準[すいじゅん]を、以前[いぜん]のように下[さ]げることができるだろうか。♠人[ひと]男[おとこ]を下[さ]げる〉彼[かれ]は力自慢[ちからじまん]だったのに、村[むら]の相撲[すもう]大会[たいかい]で負[ま]けて、すっかり男[おとこ]を下[さ]げてしまった。♠へぜんを下[さ]げる〉年賀[ねんが]のお客[きゃく]様[さま]が大勢[おおぜい]見[み]えたので、わたしは、おぜんを運[はこ]んだり、下[さ]げたり、忙[いそが]しい一日[いちにち]だった。♠ヘ一字[いちじ]下[さ]げる〉段落[だんらく]の初[はじ]めは行[ぎょう]を改[あらた]め、一字[いちじ]下[さ]げて書[か]きましょう。♠〈文[ぶん]の終[お]わりを下[さ]げる〉しゃべるときに、文[ぶん]の終[お]わりを上[あ]げるか下[さ]げるかで、意味[いみ]が全[まった]く違[ちが]ってくる。♠〈机[つくえ]を下[さ]げる〉〈後[うし]ろに下[さ]げる〉全員[ぜんいん]が机[つくえ]を少[すこ]しずつ後[うし]ろに下[さ]げて、黒板[こくばん]の前[まえ]を広[ひろ]くし、学芸会[がくげいかい]の練習[れんしゅう]をした。 **ざこ**【雑魚】○いろいろ交[ま]じった魚[さかな]。小魚[こざかな]。したっぱ。つまらぬもの。[文例]網[あみ]にかかっていたのは、期待[きたい]に反[はん]して十センチ以下[いか]の雑魚[ざこ]ばかりだった。♠おまえらみたいな雑魚[ざこ]に用[よう]はない、今日[きょう]は親分[おやぶん]に会[あ]いに来[き]たんだ。 **さこく**【鎖国】○国[くに]を閉[と]ざして、外国[がいこく]との交渉[こうしょう]を絶[た]つこと。[文例]〈鎖国[さこく]をする〉江戸[えど]時代[じだい]、外国[がいこく]との交渉[こうしょう]を絶[た]って鎖国[さこく]をしていた日本[にっぽん]には、外国[がいこく]の文化[ぶんか]がほとんどはいってこなかった。 **ささい**(些細)○取[と]るに足[た]りないほど小[ちい]さなさま。[文例]〈ささいなこと>ぼくは、ささいなことが原因[げんいん]で友達[ともだち]とけんかをしてしまった。♠〈ささいなもの〉時候[じこう]のあいさつはささいなものですが、日本[にっぽん]人[じん]はこれを非常[ひじょう]に大切[たいせつ]にします。♠へささいな間違[まちが]い〉時[とき]には、ささいな間違[まちが]いが大[おお]きな失敗[しっぱい]を招[まね]くことだってあります。 <406> **ささえ**【支え】○支[ささ]えること。支[ささ]えるもの。[文例]〈心[こころ]の支[ささ]え〉お互[たが]いがお互[たが]いの心[こころ]の支[ささ]えとなって、今[いま]までやってきたのです。♠へ支[ささ]えにする>子供[こども]たちの笑顔[えがお]を支[ささ]えにして、園長[えんちょう]先生[せんせい]はこの施設[しせつ]を運営[うんえい]してきました。♠へ支[ささ]えを失[うしな]う〉妻[つま]に先立[さきだ]たれ、支[ささ]えを失[うしな]った夫[おっと]は生[い]きていく自信[じしん]も失[うしな]っていた。 **ささ・える**【支える】○倒[たお]れたり落[お]ちたりしないように止[と]める。もちこたえる。維持[いじ]する。くい止[と]める。[文例]〈屋根[やね]を支[ささ]える〉柱[はしら]の上[うえ]に渡[わた]した丸[まる]く長[なが]い梁[はり]が、民家[みんか]の屋根[やね]を支[ささ]えています。♠へ重量[じゅうりょう]を支[ささ]える〉石[いし]やれんががアーチ状[じょう]に築[きず]かれているのは、上部[じょうぶ]の重量[じゅうりょう]を支[ささ]えるためだ。♠〈体[からだ]を支[ささ]える>祖母[そぼ]はこのごろ、すっかり足[あし]が弱[よわ]り、つえにすがって、やっと体[からだ]を支[ささ]えている。♠へ暮[く]らし・一家[いっか]を支[ささ]える〉父[ちち]の死後[しご]、母[はは]は女手[おんなで]一[ひと]つで一家[いっか]の暮[く]らしを支[ささ]えてきました。♠〈政策[せいさく]を支[ささ]える〉国粋[こくすい]主義[しゅぎ]の考[かんが]え方[かた]は、ヒトラーの政策[せいさく]を支[ささ]える重要[じゅうよう]なものの一[ひと]つであった。♠へ成長[せいちょう]を支[ささ]える〉一人[ひとり]ぼっちの彼女[かのじょ]にとって、日記帳[にっきちょう]は彼女[かのじょ]の成長[せいちょう]を支[ささ]える心[こころ]の友[とも]でした。♠〈生命[せいめい]を支[ささ]える〉水[みず]と植物[しょくぶつ]、この二[ふた]つは、人間[にんげん]の生命[せいめい]を支[ささ]えるために欠[か]くことのできない資源[しげん]である。♠へ敵[てき]・攻撃[こうげき]を支[ささ]える〉もはや味方[みかた]の軍[ぐん]は崩[くず]れ始[はじ]め、敵[てき]の攻撃[こうげき]を支[ささ]えることができなくなっていた。 **ささく・れる**○先[さき]が細[こま]かく裂[さ]ける。気持[きも]ちがとげとげしくなる。[文例]〈皮[かわ]がささくれる〉枝[えだ]はごつごつし、幹[みき]の皮[かわ]はささくれていた。♠〈指[ゆび]がささくれる〉冬[ふゆ]になると指先[ゆびさき]はささくれ、水仕事[みずしごと]をするのがつらかった。♠〈神経[しんけい]がささくれる〉苛酷[かこく]な労働[ろうどう]によって、工員[こういん]たちの神経[しんけい]はささくれっていった。 **ささ・げる**(捧げる)○物[もの]を両手[りょうて]で高[たか]く上[あ]げる。さしあげる。献上[けんじょう]する。献身[けんしん]する。[文例]〈旗[はた]をささげる〉日[ひ]の丸[まる]をささげて持[も]つ選手[せんしゅ]を先頭[せんとう]に、選手団[せんしゅだん]が堂々[どうどう]と入場[にゅうじょう]しました。♠〈花束[はなたば]をささげる〉演奏[えんそう]が終[お]わると、壇上[だんじょう]につめかけた少年[しょうねん]少女[しょうじょ]が、奏者[そうしゃ]に花束[はなたば]をささげました。♠へ貢[みつ]ぎ物[もの]をささげる>諸国[しょこく]の王[おう]は、皆[みな]、都[みやこ]へやって来[き]て貢[みつ]ぎ物[もの]をささげました。♠<黙[もく]とうをささげる〉修学旅行[しゅうがくりょこう]で広島[ひろしま]の平和[へいわ]公園[こうえん]を訪[おとず]れたわたしたちは、慰霊碑[いれいひ]の前[まえ]で黙[もく]とうをささげた。♠人生[じんせい]生涯[しょうがい]をささげる〉ジョン・バチェラーは、布教[ふきょう]のかたわらアイヌ研究[けんきゅう]に生涯[しょうがい]をささげました。♠へ命[いのち]をささげる〉戦争[せんそう]のときには、国[くに]のために命[いのち]をささげると言[い]って死[し]んだ若者[わかもの]たちがたくさんいたそうです。♠〈神[かみ]にささげる〉賛美歌[さんびか]は神[かみ]にささげる歌[うた]です。 **さざなみ**【さざ波】(小波・細波・漣)○小[ちい]さく細[こま]かく立[た]つ波[なみ]。小[ちい]さな動揺[どうよう]。[文例]〈さざ波[なみ]が立[た]つ〉風[かぜ]が吹[ふ]き始[はじ]めて、湖[みずうみ]の水面[すいめん]にはさざ波[なみ]が立[た]っていた。♠へさざ波[なみ]が広[ひろ]がる〉一本[いっぽん]のまちがい電話[でんわ]で、わたしの心[こころ]に不安[ふあん]のさざ波[なみ]が広[ひろ]がっていく。♠へさざ波[なみ]となる〉子供[こども]たちの元気[げんき]な笑[わら]い声[ごえ]がさざ波[なみ]となって教室[きょうしつ]中[じゅう]に広[ひろ]がっていった。 **さざめき**ざわざわとした音[おと]・声[こえ]。ざわめき。[文例]〈さざめきが聞[き]こえる〉耳[みみ]をすますと、何[なに]を話[はな]しているのか子供[こども]たちのさざめきが聞[き]こえてくる。♠〈さざめきが伝[つた]わる>観客[かんきゃく]のさざめきが舞台[ぶたい]にいる役者[やくしゃ]にも伝[つた]わってきた。♠へさざめきがやむ〉教室[きょうしつ]のさざめきがやんで、先生[せんせい]が姿[すがた]を見[み]せた。♠どこかに美[うつく]しい街[まち]はないか/食[た]べられる実[み]をつけた街路樹[がいろじゅ]が/どこまでも続[つづ]き すみれいろした夕暮[ゆうぐ]れは/若者[わかもの]のやさしいさざめきで満[み]ち満[み]ちる(茨木[いばらぎ]のり子[こ]「六月[ろくがつ]」部分[ぶぶん]) **さざめ・く**○ざわざわと音[おと]を立[た]てる。大勢[おおぜい]がにぎやかな声[こえ]を立[た]てる。[文例]〈木[こ]の葉[は]がさざめく〉涼[すず]しい風[かぜ]が吹[ふ]くと、森[もり]の木[こ]の葉[は]がさざめく。♠〈さざめき歩[ある]く〉夕方[ゆうがた]には、公園[こうえん]の並木道[なみきみち]を若者[わかもの]たちがさざめき歩[ある]く。♠〈笑[わら]いさざめく>放課後[ほうかご]、一団[いちだん]の女子[じょし]生徒[せいと]が笑[わら]いさざめき過[す]ぎた後[あと]、辺[あた]りはもとの静寂[せいじゃく]にかえった。 **ささやか**(細やか)○小[ちい]さいさま。質素[しっそ]なさま。粗末[そまつ]なさま。[文例]〈ささやかなプレゼント二十歳[はたち]になる姉[あね]に、ささやかなプレゼントを贈[おく]りました。♠〈ささやかな商売[しょうばい]二百[にひゃく]万[まん]円[えん]という元手[もとで]でささやかな商売[しょうばい]を始[はじ]めました。♠へささやかな生活[せいかつ]>自分[じぶん]の家族[かぞく]のささやかな生活[せいかつ]も守[まも]れないものに、人間[にんげん]の幸福[こうふく]について語[かた]る資格[しかく]はないでしょう。♠へささやかな夢[ゆめ]〉ささやかだけれど、子供[こども]をりっぱに育[そだ]て上[あ]げるのがわたしの夢[ゆめ]なの。♠〈ささやかに暮[く]らす〉妻[つま]と二人[ふたり]でぜいたくもせず、ささやかに暮[く]らしています。 **ささやき**(囁き)○ささやくこと。[文例]〈ささやきが聞[き]こえる〉隣[となり]の部屋[へや]から、何[なに]やらひそひそ男[おとこ]たちのささやきが聞[き]こえてくる。♠〈風[かぜ]のささやき〉少女[しょうじょ]は森[もり]の中[なか]で立[た]ち止[ど]まり、心地[ここち]よい風[かぜ]のささやきに耳[みみ]をすました。♠小川[おがわ]のささやき〉小鳥[ことり]のさえずり、小川[おがわ]のささやきに、ぼくはだんだんねむくなってしまった。♠へ悪魔[あくま]のささやき「見[み]つからないよ」という悪魔[あくま]のささやきに負[ま]けて、ぼくはついお店[みせ]のりんごに手[て]を出[だ]した。 **ささや・く**(囁く)○声[こえ]をひそめて話[はな]す。[文例]「お母[かあ]さん、どこへ行[い]ったか教[おし]えてあげようか?」と、妹[いもうと]は秘密[ひみつ]めかしてわたしにささやきました。♠彼女[かのじょ]は、何[なに]か恐[おそ]ろしいことに出会[であ]ったように、震[ふる]える声[こえ]でささやいた。♠へ甘[あま]くささやく>彼[かれ]は、わたしの耳元[みみもと]で甘[あま]くささやくのでした。♠へ耳[みみ]にささやく〉男[おとこ]は、相手[あいて]の耳[みみ]に二言[ふたこと]三言[みこと]ささやくと、すぐにその場[ば]を立[た]ち去[さ]った。♠〈小川[おがわ]がささやく〉小川[おがわ]はささやくように流[なが]れ、小鳥[ことり]は歌[うた]い、花[はな]はいっせいに咲[さ]き始[はじ]めます。♠〈うわさがささやかれる〉人々[ひとびと]の間[あいだ]では、近[ちか]いうちにまたあの乱暴者[らんぼうもの]が帰[かえ]ってくるといううわさが、まことしやかにささやかれていた。 **ささ・る**【刺さる】○先[さき]のとがった物[もの]がほかの物[もの]に突[つ]き立[た]つ。[文例]〈とげが刺[さ]さる〉指先[ゆびさき]に刺[さ]さったとげをとげ抜[ぬ]きで抜[ぬ]いた。♠へ針[はり]が刺[さ]さる〉手[て]が震[ふる]えて注射[ちゅうしゃ]の針[はり]がなかなか刺[さ]さらない。♠へ矢[や]が刺[さ]さる〉的[まと]に刺[さ]さった矢[や]は、まぎれもなく彼[かれ]が射[い]たものだった。 **さし**【差し】○二人[ふたり]で向[む]かい合[あ]うこと。さしむかい。ものさし。[文例]〈差[さ]しで舞[ま]う〉十八[じゅうはち]と十五[じゅうご]の姉妹[しまい]が、差[さ]しで舞[まい]を舞[ま]う。♠へ差[さ]しで話[はな]す〉この問題[もんだい]については、向[む]こうの責任者[せきにんしゃ]と差[さ]しで話[はな]し合[あ]ってみるつもりだ。♠へ差[さ]しを当[あ]てる三尺[さんじゃく]ぐらいあるかなと、大工[だいく]さんは差[さ]しを当[あ]てた。 **さじ**(匙)○スプーン。[文例]〈さじでかきまわす〉さじでかきまわすと、砂糖[さとう]は溶[と]けていった。♠へさじですくう〉チンパンジーは、器用[きよう]にスープをさじですくって飲[の]んでいる。 <407> **さじ** とう[器用]にスープをさじですくって飲んでいる。♠〈さじを投げる>医者がさじを投げたのでは見込みがない。♠〈さじ加減〉この程度の事件はおれのさじ加減ひとつっでどうでもなるさ。♠あけて待つ子の口のなかやはらかし粥運ぶわが匙に触れつつ(五島美代子) **さじ(瑣事・些事)** ○ささいなこと。小さなこと。つまらないこと。[文例]〈日常の瑣事〉ふだんは気にもとめぬ日常の瑣事にも、感動を呼ぶ事がらは多いのです。♠〈身辺の瑣事〉妻が里帰りして一週間、身辺の瑣事の何とわずらわしいことか。◆私のような者が雪子のような女優に関係があるとかないとか、これ程の些事を何故新聞で記事にするか私には不思議だった。(志賀直哉「邦子[くにこ]」) **ざし【座視】(坐視)** ○見ているだけで手出しをしないこと。傍観すること。[文例]〈座視する〉周囲の大国がこの国の国民の民主化の戦いを座視するとすれば、再び軍事政権が台頭[たいとう]することになろう。 **さしあ・げる【差し上げる】** ○上へ高く上げる。ささげる。献上する。「与える」「やる」の謙譲語。[文例]〈高く差し上げる〉つかまえようとすると、カニは抵抗するように二つのはさみを高く差し上げた。◆ヘバーベルを差し上げる〉その選手は二回目の試技[しぎ]で百二十キロのバーベルを差し上げることに成功した。♠へ物を差し上げる〉庭の菊の花があんまりきれいだから、切っておとなりへ差し上げましょう。♠〈~してさしあげる〉ちょっとお待ちください。わかりにくいので案内してさしあげます。 **さしあた・る【差し当たる】** ○(「さしあたって・さしあたり」の形で)今のところ。当面。[文例]〈差し当たって〉いつでも出かけられるように、差し当たって必要なものだけをまとめておきなさい。♠へ差し当たり>先々はいくらかかるかわからないが、差し当たり五万円もあればたりるだろう。 **さしいれ【差し入れ】** ○差し入れること。囚人などに品物を届けること。また、その品物。仕事で閉じこもっている人に食べ物などを届けること。また、そのもの。[文例]〈家族からの差し入れ>服役[ふくえき]中の囚人[しゅうじん]に家族から差し入れがあった。♠へ差し入れが届く〉もうすぐ女子たちから差し入れが届くはずだから、そうしたら一休みしよう。♠へ差し入れする〉入院中のおばあちゃんに果物を差し入れしてあげよう。 **さしい・れる【差し入れる】** ○中に入れる。差し入れをする。[文例]〈手を差し入れる>壁とたんすのすき間に手を差し入れたが、どうしても十円玉は取れない。♠へ棒を差し入れる〉賊はかぎのかかっているドアのすき間に鉄の棒を差し入れ、無理やりこじあけたらしい。♠〈冷たい物を差し入れる>夏休みを返上して毎日練習に励[はげ]んでいる野球部の連中に、何か冷たい物でも差し入れてやろう。 **さしえ【挿絵】** ○文章中にさし入れてある絵。[文例]〈文集の挿絵>卒業文集のカットや挿絵は、美術クラブの人に頼[たの]んだらいいと思う。♠へ挿絵が入る〉この童話の本には、全ページにかわいらしい挿絵が入っている。♠へ挿絵をかく〉この有名な画家は、若いころ、小説の挿絵をかく仕事をしていたそうです。 **さしお・く【差し置く】** ○そのままにしておく。ないがしろにする。後回しにする。[文例]〈問題を差し置く〉費用の問題は差し置くとしても、ぼくにはそれをやる時間がないのです。♠へ先輩を差し置く>先輩を差し置いてレギュラーになった彼には、当然風当たりも強かった。♠へ何を差し置いても〉何を差し置いても、この仕事は今日じゅうにしあげなければならない。 **さしおさ・える【差し押さえる】** ○国が債務者の財産の処分を禁止する。証拠となる物を国が強制的に取り上げる。[文例]〈家財道具を差し押さえる〉借金のかたに家財道具一式を差し押さえられた。♠〈財産を差し押さえる〉脱税[だつぜい]の発覚した会社社長の財産を税務署が差し押さえた。 **さしか・える【差し替える・差し換える】** ○別の物と取りかえる。交換する。[文例]〈正しいものと差しかえる>資料の二ページめに誤りがありましたので、これから渡す正しいプリントと差しかえてください。♠へ番組を差しかえる>野球放送が長びきましたので、一部番組を差しかえて放送いたします。 **さしかか・る【差し掛かる】** ○通りかかる。ある時機・状況に至る。おおいかぶさる。[文例]〈山道にさしかかる〉険しい山道にさしかかったとき、ふいに目の前にカモシカの親子が現れた。◆◇山場にさしかかる〉新しい容疑者が現れ、事件はいよいよ山場にさしかかった。◆へ雨季にさしかかる〉雨季にさしかかると、乾いた大地にいっせいに植物が芽を出し始めました。♠〈反抗期にさしかかる〉おとなしい子だったのに、反抗期にさしかかったらしく口答えを始めた。 **さしか・ける【差し掛ける】** ○おおうようにする。上をおおう。[文例]〈傘を差しかける〉雨宿りをしているわたしに傘[かさ]を差しかけてくれたのは同級生の田中君です。◆今日よけを差しかける〉離れの部屋から庭へ日よけが差しかけてあった。 **さしがね【差し金】** ○直角に折れ曲がった金属性のもの指し。陰で人を操ること。[文例]〈ボスの差し金〉がらの悪い男たちが入りこんで営業を妨害するのは、きっと町のボスの差し金に違いない。♠電話が盗聴[とうちょう]されていたのは、事件の黒幕である男の差し金だった。 **ざしき【座敷】** ○畳を敷いた部屋。客間。宴席。[文例]〈座敷に上がる>勝手口で立ち話していたおばさんは、座敷に上がり座り込んでしまった。♠へお座敷がかかる〉ゆきえ姉さんは、休む間もないくらいお座敷がかかる売れっ子の芸者です。 **さしこ・む【差し込む】** ○差し入れる。光が入ってくる。胸・腹などが急に激しく痛む。[文例]〈プラグを差し込む〉コンセントにプラグを差し込んだとたん、ぱっと火花が散ってショートした。♠へ鍵を差し込む〉ひどく酔っ払ったその男は、さっきから鍵を鍵穴[かぎあな]に差し込むことに悪戦苦闘している。♠〈朝日が差し込む〉雨戸を開けると、朝日が部屋の中まで差し込んできました。♠へ差し込むように痛む〉急に胃の辺りが差し込むように痛んで、その場にうずくまってし <408> **さしさわり**【差し障り】○都合[つごう]が悪[わる]いこと。差[さ]し支[つか]え。支障[ししょう]。[文例]〈差[さ]し障[さわ]りがない〉どなたにも差[さ]し障[さわ]りがないようでしたら、さっそくこの案[あん]を実行[じっこう]に移[うつ]したいと思[おも]います。♠〈差[さ]し障[さわ]りがある〉今日[きょう]の同窓会[どうそうかい]は、仕事[しごと]に差[さ]し障[さわ]りがあって、残念[ざんねん]ながら欠席[けっせき]することにした。♠へ差[さ]し障[さわ]りがおこる〉適度[てきど]な休養[きゅうよう]をとらないと、疲労[ひろう]がたまって日常生活[にちじょうせいかつ]にも差[さ]し障[さわ]りがおこってきますよ。♠へ差[さ]し障[さわ]りが出[で]る>住民[じゅうみん]の生活[せいかつ]に差[さ]し障[さわ]りが出[で]てくるようなら、工事[こうじ]は即座[そくざ]に中止[ちゅうし]するべきです。 **さししめ・す**【指し示す】○指[ゆび]さして示[しめ]す。指摘[してき]する。[文例])〈方角[ほうがく]を指[さ]し示[しめ]す〉どこから来[き]たのと聞[き]かれて、子供[こども]は山[やま]の方角[ほうがく]を指[さ]し示[しめ]しました。♠〈事柄[ことがら]を指[さ]し示[しめ]す〉特定[とくてい]の人[ひと]・物[もの]などの名前[なまえ]を指[さ]し示[しめ]す名詞[めいし]を固有名詞[こゆうめいし]という。 **さしず**【指図】○指示[しじ]して人[ひと]を動[うご]かすこと。指揮[しき]。[文例]<先生[せんせい]の指図[さしず]>校庭[こうてい]に並[なら]んでいた生徒[せいと]たちは、先生[せんせい]の指図[さしず]でそれぞれの教室[きょうしつ]に入[はい]りました。♠〈指図[さしず]を受[う]ける〉いちいち、親[おや]の指図[さしず]を受[う]けなくても、そんなことぐらい自分[じぶん]でできるよ!♠へ差[さ]し出[で]がましい指図[さしず]>兄貴[あにき]には関係[かんけい]ないことなんだから、差[さ]し出[で]がましい指図[さしず]はやめてくれよ。♠〈指図[さしず]に従[したが]う〉山[やま]で道[みち]に迷[まよ]っても、勝手[かって]に動[うご]き回[まわ]らず、リーダーの指図[さしず]に従[したが]って行動[こうどう]しよう。♠〈指図[さしず]を請[こ]う〉他人[たにん]に指図[さしず]を請[こ]うだけでなく、自分[じぶん]で判断[はんだん]して行動[こうどう]しなさい。♠〈指図[さしず]する〉年下[としした]の子[こ]にあごで指図[さしず]する年長[ねんちょう]の彼[かれ]を、子供[こども]たちはそれとなく避[さ]けた。 **さしずめ**○さしあたり。当面[とうめん]。結局[けっきょく]。つまり。[文例]この役[やく]にふさわしいのは、うちのクラスじゃ、さしずめあの男[おとこ]だろう。♠敵[てき]の有力[ゆうりょく]選手[せんしゅ]が欠[か]けたとなると、この試合[しあい]はさしずめわがチームの勝利[しょうり]だな。♠食糧[しょくりょう]の蓄[たくわ]えがこれだけあるなら、さしずめ買[か]い出[だ]しの必要[ひつよう]はなさそうだ。♠長[なが]く滞在[たいざい]するわけではないので、さしずめ必要[ひつよう]なものだけをカバンに入[い]れた。 **さしせま・る**【差し迫る】○目前[もくぜん]に迫[せま]る。切迫[せっぱく]する。[文例]〈期限[きげん]が差[さ]し迫[せま]る〉レポートの提出[ていしゅつ]期限[きげん]が差[さ]し迫[せま]っているので、今日[きょう]はとても遊[あそ]んでいる暇[ひま]などありません。♠へ危険[きけん]が差[さ]し迫[せま]る〉川[かわ]の水[みず]が増[ふ]え始[はじ]めていることは、村[むら]に危険[きけん]が差[さ]し迫[せま]っていることを示[しめ]している。♠へ差[さ]し迫[せま]った必要[ひつよう]>差[さ]し迫[せま]った必要[ひつよう]から急[いそ]ぎ上京[じょうきょう]することにした。 **さしだ・す**【差し出す】○前方[ぜんぽう]へ出[だ]す。提供[ていきょう]する。提出[ていしゅつ]する。出向[しゅっこう]かせる。発送[はっそう]する。[文例]〈手[て]を差[さ]し出[だ]す〉仲直[なかなお]りのしるしに、山本君[やまもとくん]は右手[みぎて]を差[さ]し出[だ]してぼくに握手[あくしゅ]を求[もと]めました。♠〈名刺[めいし]を差[さ]し出[だ]す〉営業[えいぎょう]社員[しゃいん]は、名刺[めいし]を差[さ]し出[だ]して自己[じこ]紹介[しょうかい]を始[はじ]めました。♠へ枝[えだ]を差[さ]し出[だ]す〉桜[さくら]の木[き]は川[かわ]の上[うえ]に大[おお]きく枝[えだ]を差[さ]し出[だ]し、水面[みなも]に花[はな]びらを散[ち]らしている。♠へ獲物[えもの]を差[さ]し出[だ]す>猟師[りょうし]は、獲物[えもの]の一部[いちぶ]を領主[りょうしゅ]に差[さ]し出[だ]した。 **さしたる**(然したる)○これといった。取[と]り立[た]てるほどの。[文例]〈さしたる問題[もんだい]>雨[あめ]は降[ふ]っているが、風[かぜ]さえ出[で]なければ、飛行[ひこう]実験[じっけん]にはさしたる問題[もんだい]もないだろう。♠へさしたる仕事[しごと]>昨日[きのう]はさしたる仕事[しごと]もなかったので、一日[いちにち]中[じゅう]ぼんやりしていました。♠へさしたる損失[そんしつ]〉輸送[ゆそう]中[ちゅう]に事故[じこ]にあったが、さしたる損失[そんしつ]はなかった。 **さしつかえ**【差し支え】○差[さ]し障[さわ]り。支障[ししょう]。[文例]〈差[さ]し支[つか]えがある・ない〉申[もう]し込[こ]み用紙[ようし]は、ボールペン、鉛筆[えんぴつ]のどちらで書[か]いても差[さ]し支[つか]えはありません。♠〈差[さ]し支[つか]えがない〉お金[かね]ならいくらあっても差[さ]し支[つか]えがない。♠へ差[さ]し支[つか]えがある〉明日[あす]はちょっと差[さ]し支[つか]えがあって、お伺[うかが]いできません。♠〈差[さ]し支[つか]えが生[しょう]じる下宿[げしゅく]が少[すこ]しばかり遠[とお]くなったからと言[い]って、差[さ]し支[つか]えが生[しょう]じるものでもあるまい。 **さしつか・える**【差し支える】○さまたげとなる。不都合[ふつごう]が生[しょう]じる。支障[ししょう]をきたす。[文例]〈仕事[しごと]に差[さ]し支[つか]える〉今日[きょう]はもう帰[かえ]らないと、あしたの仕事[しごと]に差[さ]し支[つか]えるよ。♠へ差[さ]し支[つか]えない〉正式[せいしき]な書類[しょるい]ではないから、漢字[かんじ]がわからなかったら、仮名[かな]で書[か]いても差[さ]し支[つか]えない。 **さして**(然して)○それほど。たいして。[文例]ここまで来[く]れば町[まち]まではあと一[いち]時間[じかん]足[た]らず、さしてあわてることもない。♠資産家[しさんか]の息子[むすこ]の彼[かれ]なら、会社[かいしゃ]をやめてもさして困[こま]ることはないだろう。♠中学[ちゅうがく]二年生[にねんせい]には、この問題[もんだい]はさして難[むずか]しくはないはずです。♠大学[だいがく]には入[はい]ったものの、ぼくにはさしてこれといった目標[もくひょう]はなかった。 **さしでがまし・い**【差し出がましい】○ですぎている。でしゃばっている。「[文例]〈差[さ]し出[で]がましい口[くち]〉差[さ]し出[で]がましい口[くち]をきくようですが、何[なに]かお困[こま]りではありませんか。♠人[ひと]差[さ]し出[で]がましいふるまい〉新米[しんまい]なんだから、差[さ]し出[で]がましいふるまいはひかえなさい。 **さしでぐち**【差し出口】○よけいな口出[くちだ]しをすること。また、その言葉[ことば]。[文例]〈差[さ]し出[で]口[ぐち]をする〉事情[じじょう]を知[し]らぬ者[もの]が、いらぬ差[さ]し出[で]口[ぐち]をするのはひかえてもらいたい。♠へ差[さ]し出[で]口[ぐち]をたたく>部外者[ぶがいしゃ]のくせに差[さ]し出[で]口[ぐち]をたたくな。 **さし・でる**【差し出る】○進[すす]み出[で]る。出[で]すぎる。でしゃばる。[文例]〈差[さ]し出[で]た口[くち]〉目上[めうえ]の人[ひと]に対[たい]して、あつかましく差[さ]し出[で]た口[くち]をきいてはいけません。♠〈差[さ]し出[で]たこと>差[さ]し出[で]たことを申[もう]すようですが、お金[かね]にお困[こま]りではありませんか。 **さしと・める**【差し止める】○やめさせる。禁[きん]じる。おさえて止[と]める。[文例]〈出入[でい]りを差[さ]し止[と]める〉そんな無礼[ぶれい]なやつは、今後[こんご]わが家[や]への出入[でい]りを差[さ]し止[と]める。♠〈発行[はっこう]を差[さ]し止[と]める〉反政府[はんせいふ]的[てき]傾向[けいこう]のあった雑誌[ざっし]の発行[はっこう]が差[さ]し止[と]められた。♠此頃[このごろ]此[この]土地[とち]を人買[ひとかい]が立[た]ち廻[まわ]ると云[い]うので、国守[こくしゅ]が旅人[たびびと]に宿[やど]を貸[か]すことを差[さ]し止[と]めた。(森鴎外[もりおうがい]「山椒大夫[さんしょうだゆう]」) **さしの・べる**【差し伸べる・差し延べる】○差[さ]し出[だ]す。[文例]〈手[て]を差[さ]しのべる>仲直[なかなお]りのしるしにと、彼[かれ]は手[て]を差[さ]しのべ、握手[あくしゅ]を求[もと]めてきました。♠〈救[すく]いの手[て]を差[さ]しのべる〉アフリカの飢[う]えた人[ひと]たちに救[すく]いの手[て]を差[さ]しのべようと、募金[ぼきん]が始[はじ]まった。♠まったく愛[あい]の手[て]を差[さ]しのべる〉恵[めぐ]まれない子供[こども]たちに愛[あい]の手[て]を差[さ]しのべました。 **さしはさ・む**【差し挟む】○間[あいだ]に入[い]れる。はさみこむ。口[くち]を出[だ]す。心[こころ]に含[ふく]みもつ。[文例]〈間[あいだ]に差[さ]し挟[はさ]む〉本[ほん]の間[あいだ]に、しおり代[が]わりにもみじを差[さ]し挟[はさ]みました。♠へ語句[ごく]を差[さ]し挟[はさ]む>慣用句[かんようく]の途中[とちゅう]に他[ほか]の語句[ごく]を差[さ]し挟[はさ]むのは不自然[ふしぜん]で、意味[いみ]が通[つう]じなくなることも多[おお]い。♠ヘ口[くち]を差[さ]し挟[はさ]む>子供[こども]のくせに大人[おとな]の話[はなし]に口[くち]を差[さ]し挟[はさ]むな。 <409> ♠へ疑[うたが]いを差[さ]し挟[はさ]む>信頼[しんらい]している彼[かれ]の行動[こうどう]に疑[うたが]いを差[さ]し挟[はさ]んだことなど一度[いちど]もない。 **さしひか・える**【差し控える】○ひかえる。遠慮[えんりょ]する。一時的[いちじてき]にとりやめる。[文例]〈口出[くちだ]しを差[さ]し控[ひか]える〉これは当人[とうにん]どうしで決[き]めることなので、親[おや]のわたしは口出[くちだ]しを差[さ]し控[ひか]えた。♠〈論評[ろんぴょう]を差[さ]し控[ひか]える〉内政[ないせい]干渉[かんしょう]と受[う]けとられかねないので、この問題[もんだい]には論評[ろんぴょう]を差[さ]し控[ひか]えたい。 **さしひ・く**【差し引く】○引[ひ]く。引[ひ]き去[さ]る。[文例]〈給料[きゅうりょう]から差[さ]し引[ひ]く〉給料[きゅうりょう]から社会[しゃかい]保険料[ほけんりょう]や税金[ぜいきん]などいろいろ差[さ]し引[ひ]かれて、手取[てど]りはわずかになった。♠〈交通費[こうつうひ]を差[さ]し引[ひ]く〉五千円[ごせんえん]のバイト料[りょう]から交通費[こうつうひ]を差[さ]し引[ひ]くと、四千[よんせん]二百[にひゃく]円[えん]残[のこ]りました。 **さしみ**【刺身】○薄[うす]く一口[ひとくち]大[だい]に切[き]った生[なま]の魚[さかな]や肉[にく]などをしょうゆにつけて食[た]べる料理[りょうり]。[文例]ヘフグの刺身[さしみ]〉フグの刺身[さしみ]を食[た]べるのは初[はじ]めてですが、ずいぶんすきとおった色[いろ]をしているのですね。♠〈刺身[さしみ]のつま〉板前[いたまえ]修業[しゅぎょう]中[ちゅう]の彼[かれ]は、毎日[まいにち]刺身[さしみ]のつまにする大根[だいこん]の千切[せんぎ]りを作[つく]っているのだそうです。♠〈刺身[さしみ]のつま〉どうせぼくたちは刺身[さしみ]のつまさ、あの子[こ]には俊[とし]ちゃんさえ来[く]ればそれでいいんだから。 **さしむ・ける**【差し向ける】○ある方向[ほうこう]へ向[む]ける。行[い]かせる。派遣[はけん]する。つかわす。[例]〈迎[むか]えに差[さ]し向[む]ける〉大事[だいじ]なお客[きゃく]さんなので、社長[しゃちょう]は二人[ふたり]の社員[しゃいん]を駅[えき]まで迎[むか]えに差[さ]し向[む]けた。♠へ斥候[せっこう]を差[さ]し向[む]ける〉敵陣[てきじん]の様子[ようす]を探[さぐ]るために斥候[せっこう]を差[さ]し向[む]けることにした。♠へ車[くるま]を差[さ]し向[む]ける〉会場[かいじょう]周辺[しゅうへん]は、新聞社[しんぶんしゃ]やテレビ局[きょく]が差[さ]し向[む]けた車[くるま]でごった返[がえ]している。 **さしも**(然しも)○あれほど。あんなに。そのように。[文例]三十九[さんじゅうきゅう]度[ど]の高熱[こうねつ]で、さしもがんじょうな彼[かれ]もとうとう学校[がっこう]を休[やす]んでしまった。♠〈さしもの〉娘[むすめ]たちの必死[ひっし]の願[ねが]いに、さしものがんこな父親[ちちおや]もとうとう降参[こうさん]してしまいました。 **さしょう**(些少・瑣少)○少[すこ]し。わずか。[文例]些少[さしょう]ではございますが、感謝[かんしゃ]のしるしをお届[とど]けいたします。♠些少[さしょう]ながら、援助[えんじょ]したいと申[もう]し出[で]た。 **ざしょう**【座礁】(坐礁)○船[ふね]が暗礁[あんしょう]に乗[の]り上[あ]げること。[文例]<座礁[ざしょう]する>房総[ぼうそう]沿岸[えんがん]でタンカーが座礁[ざしょう]し、原油[げんゆ]が流出[りゅうしゅつ]しているという。 **さしわたし**【差し渡し】○直径[ちょっけい]。[文例]」その杉[すぎ]の切[き]り株[かぶ]は樹齢[じゅれい]二千年[にせんねん]、差[さ]し渡[わた]し二メートルという巨大[きょだい]なものだった。♠ヘリコプターから見[み]ると、隕石[いんせき]がぶつかった跡[あと]と思[おも]われる差[さ]し渡[わた]し五十[ごじゅう]メートルの穴[あな]が二[ふた]つあるのがよくわかる。 **さ・す**【差す・指す・刺す・挿す】(注す・点す・射す)○光[ひかり]が当[あ]たる。潮[しお]が満[み]ちる。色[いろ]を帯[お]びる。現[あらわ]れる。突[つ]き込[こ]む。突[つ]き立[た]てる。突[つ]き入[い]れる。かざす。液体[えきたい]を注[そそ]ぐ。色[いろ]をつける。指[ゆび]さす。指示[しじ]する。ある方向[ほうこう]へ向[む]かう。[文例]〈明[あ]かりが差[さ]す>窓[まど]の障子[しょうじ]に明[あ]かりが差[さ]して、家族[かぞく]たちの楽[たの]しそうな影[かげ]が映[うつ]っている。♠〈日[ひ]が差[さ]す〉日[ひ]が差[さ]してきたから、布団[ふとん]を干[ほ]しましょう。♠〈傘[かさ]を差[さ]す>雨[あめ]が降[ふ]っていますから、この傘[かさ]を差[さ]していらっしゃい。♠へ花[はな]を挿[さ]す〉それは、花[はな]を挿[さ]せば花瓶[かびん]にもなりそうな大[おお]ぶりの美[うつく]しいコップだった。♠へかんざしを挿[さ]す〉祖母[そぼ]は、新[あたら]しいかんざしを、姉[あね]とわたしの髪[かみ]に挿[さ]してくれた。♠〈刀[かたな]を差[さ]す>昔[むかし]の侍[さむらい]は、腰[こし]に二本[にほん]の刀[かたな]を差[さ]して、いばって歩[ある]いていたそうだ。♠〈水[みず]を差[さ]す>植木鉢[うえきばち]には、ときどき水[みず]を差[さ]してやらないと、花[はな]が枯[か]れてしまいます。♠へ水[みず]を差[さ]す〉せっかく会[かい]が盛[も]り上[あ]がっているのに、水[みず]を差[さ]すようなことを言[い]わないでくれ。♠〈目薬[めぐすり]を差[さ]す〉ものもらいができそうなとき、すぐ目薬[めぐすり]を差[さ]すと、治[なお]ってしまうこともあります。♠〈紅[べに]を差[さ]す〉凍[こご]えた体[からだ]をストーブで温[あたた]めてやるうちに、少女[しょうじょ]のほおは、紅[べに]を差[さ]したように赤[あか]みを帯[お]びてきました。♠〈油[あぶら]を差[さ]す>弟[おとうと]の自転車[じてんしゃ]は油[あぶら]を差[さ]さないので、ギーギーと音[おと]をたてている。♠〈潮[しお]が差[さ]す〉午後[ごご]になって潮[しお]が差[さ]してくると、干潟[ひがた]は再[ふたた]び海中[かいちゅう]に没[ぼっ]した。♠へ〈赤[あか]みが差[さ]す>色白[いろじろ]の丸顔[まるがお]に、ほんのり赤[あか]みの差[さ]したほおがなんとも愛[あい]らしい。♠〈魔[ま]が差[さ]す〉あの人[ひと]がそんなことをするなんて、魔[ま]が差[さ]したとしか思[おも]えない。♠へ嫌気[いやけ]が差[さ]す〉こんな生活[せいかつ]には、つくづく嫌気[いやけ]が差[さ]してきた。♠〈後光[ごこう]が差[さ]す〉天窓[てんまど]から入[はい]りこむ日[ひ]の光[ひかり]は、まるで後光[ごこう]が差[さ]しているようにまぶしかった。♠●へ影[かげ]が差[さ]す「うわさをすれば影[かげ]が差[さ]す」で、山本君[やまもとくん]の話[はなし]をしていたら、当[とう]の本人[ほんにん]がこっちにやって来[き]た。♠ヘハチが刺[さ]す〉女[おんな]の子[こ]は、ハチに刺[さ]されてよほど痛[いた]かったのか、大声[おおごえ]で泣[な]き出[だ]しました。♠ヘピンを刺[さ]す>彼[かれ]は、何十[なんじゅう]というチョウの体[からだ]にピンを刺[さ]して、きちんと並[なら]べた。♠へとどめを刺[さ]す〉がけくずれで鉄道[てつどう]が寸断[すんだん]されたうえ、今度[こんど]の台風[たいふう]で橋[はし]を流[なが]され、村[むら]はとどめを刺[さ]されたような状態[じょうたい]だ。♠へ肌[はだ]を刺[さ]す〉外[そと]は、肌[はだ]を刺[さ]すような寒[さむ]さで、思[おも]わず肩[かた]をすくめた。♠へ雑巾[ぞうきん]を刺[さ]す〉前[まえ]は古[ふる]いタオルで雑巾[ぞうきん]を刺[さ]したものですが、最近[さいきん]は化学[かがく]雑巾[ぞうきん]を買[か]っております。♠へ走者[そうしゃ]を刺[さ]す〉せっかく出塁[しゅつるい]したのに、ピッチャーのけん制[せい]で刺[さ]されてしまった。♠〈三十八[さんじゅうはち]度[ど]を指[さ]す〉だるいので熱[ねつ]を計[はか]ると、目盛[めも]りは三十八[さんじゅうはち]度[ど]を指[さ]していた。♠〈十二時[じゅうにじ]を指[さ]す〉時計[とけい]の針[はり]が十二時[じゅうにじ]を指[さ]す前[まえ]に、シンデレラは帰[かえ]らなければならない。♠ヘ岸[きし]を指[さ]す〉沖[おき]に停泊[ていはく]している船[ふね]から、岸[きし]を指[さ]して小舟[こぶね]が近[ちか]づいてくる。♠〈都[みやこ]を指[さ]す>若者[わかもの]は、生[う]まれ育[そだ]った村[むら]を後[あと]に、都[みやこ]を指[さ]して出[で]かけることにした。♠<将棋[しょうぎ]をさす〉将棋[しょうぎ]をさしていて、ぼくが勝[か]ちそうになると、父[ちち]は本気[ほんき]になってかかってきます。 **さすが**(流石)○そうは言[い]っても。そうではあるが。何[なん]と言[い]っても。言[い]われるだけあって。[文例]〈さすが〜だって〉あんなひどいことを言[い]われては、さすがおとなしい彼[かれ]だって、黙[だま]ってはいないだろう。♠へさすがにこたえる長距離[ちょうきょり]には自信[じしん]のあるぼくだが、さすがに炎天下[えんてんか]のマラソンはこたえたよ。♠へさすがに〜だけあって〉さすがに寒[かん]の入[い]りだけあって、今朝[けさ]の冷[ひ]え込[こ]みは厳[きび]しい。♠へさすがは〉さすがは剣[けん]の達人[たつじん]じゃ、不意[ふい]を打[う]たれても見事[みごと]に体[からだ]をかわしおった。♠彼[かれ]は、秀才[しゅうさい]の誉[ほま]れが高[たか]いが、あの難問[なんもん]をすらすら解[と]いたのはさすがだ。♠へさすがの〉これだけ説教[せっきょう]すれば、さすがのいたずらぼうずも少[すこ]しは懲[こ]りただろう。 **さずか・る**【授かる】○与[あた]えられる。いただく。[文例]〈命[いのち]を授[さず]かる〉親[おや]から授[さず]かった大切[たいせつ]な命[いのち]を、粗末[そまつ]に扱[あつか]うものではないよ。♠〈子[こ]を授[さず]かる〉おじいさんとおばあさんは、毎日[まいにち]のようにお地蔵[じぞう]さんにお祈[いの]りして、やっとかわいい女[おんな]の子[こ]を授[さず]かりました。 <410> ♠〈宝物[たからもの]を授[さず]かる〉この剣[つるぎ]は王[おう]から授[さず]かったわたしの大切[たいせつ]な宝物[たからもの]です。♠へ能力[のうりょく]を授[さず]かる〉〈天[てん]から授[さず]かる〉シカやウマなどは、肉食獣[にくしょくじゅう]から身[み]を守[まも]るために、生[う]まれたときから自力[じりき]で走[はし]る能力[のうりょく]を天[てん]から授[さず]かっている。 **さず・ける**【授ける】○(下位[かい]の者[もの]に)与[あた]える。教[おし]え伝[つた]える。[文例]〈褒美[ほうび]を授[さず]ける>若者[わかもの]は手柄[てがら]によって、殿様[とのさま]から褒美[ほうび]を授[さず]けられた。♠〈子供[こども]を授[さず]ける〉正直[しょうじき]もののおじいさんとおばあさんに、きっと神様[かみさま]がかわいい女[おんな]の子[こ]を授[さず]けてくれたのでしょう。♠〈幸運[こううん]を授[さず]ける〉大黒様[だいこくさま]や弁天様[べんてんさま]など七福神[しちふくじん]は、幸運[こううん]を授[さず]ける神[かみ]として、昔[むかし]から人々[ひとびと]に信仰[しんこう]されてきた。♠〈秘伝[ひでん]を授[さず]ける〉日本[にっぽん]の古[ふる]い学問[がくもん]や技芸[ぎげい]の中[なか]には、親[おや]が自分[じぶん]の子[こ]一人[ひとり]だけに秘伝[ひでん]を授[さず]ける制度[せいど]があった。♠知恵[ちえ]を授[さず]ける〉隣[となり]のおばあさんに、ねずみ退治[たいじ]の知恵[ちえ]を授[さず]けてもらった。♠へ博士号[はかせごう]を授[さず]ける〉彼[かれ]は、長年[ながねん]の研究[けんきゅう]の成果[せいか]によって、名誉[めいよ]ある博士号[はかせごう]を授[さず]けられている。 **さすら・う**○あてもなくさまよい歩[ある]く。[文例]〈港[みなと]をさすらう〉方角[ほうがく]もわからず港[みなと]をさすらっているうちに、小[ちい]さな店[みせ]の前[まえ]にたどりついた。♠〈各地[かくち]をさすらう〉旅役者[たびやくしゃ]として、東北[とうほく]、北海道[ほっかいどう]各地[かくち]をさすらった。♠へあてもなくさすらう〉生[い]きる目標[もくひょう]を失[うしな]って、夜[よる]の町[まち]をあてもなくさすらったことがある。 **さす・る**(摩る)○なでる。軽[かる]くこする。[文例]〈背中[せなか]をさする〉泣[な]きじゃくる子[こ]の背中[せなか]をさすって、やさしくあやしてやった。♠ヘこぶをさする〉洞穴[ほらあな]の中[なか]から、大[おお]きなたんこぶをさすりながら、サブちゃんが出[で]てきた。♠く腰[こし]をさする〉どれ、一服[いっぷく]するか、と腰[こし]をさすりながら、畳屋[たたみや]さんが立[た]ち上[あ]がった。 **ざ・する**【座する】(坐する)○すわる。じっとしている。まきぞえになる。[例]満開[まんかい]の桜[さくら]の木[き]の根[ね]もとに思[おも]い思[おも]いに座[ざ]し、男[おとこ]たちは宴会[えんかい]を始[はじ]めた。♠不動明王[ふどうみょうおう]は大日如来[だいにちによらい]の化身[けしん]で、大火炎[だいかえん]の中[なか]で石[いし]上[じょう]に座[ざ]し、怒[いか]りの表情[ひょうじょう]を表[あらわ]している。♠〈座[ざ]して食[くら]らえば山[やま]もむなし>座[ざ]して食[くら]らえば山[やま]も空[むな]しとは、無駄飯[むだめし]を食[く]うことを戒[いまし]める古人[こじん]の言葉[ことば]です。 **ざせき**【座席】○すわる席[せき]。すわる場所[ばしょ]。[文例])〈教室[きょうしつ]の座席[ざせき]〉〈座席[ざせき]を決[き]める〉あなたたちのクラスでは、どんなふうにして教室[きょうしつ]の座席[ざせき]を決[き]めていますか。♠〈座席[ざせき]をゆずる〉電車[でんしゃ]やバスの中[なか]では、お年寄[としより]や体[からだ]の不自由[ふじゆう]な人[ひと]に座席[ざせき]をゆずるよう心[こころ]がけましょう。♠へ座席[ざせき]が空[あ]く〉つり革[かわ]につかまっていると、電車[でんしゃ]が止[と]まって前[まえ]の座席[ざせき]が空[あ]いた。♠へ座席[ざせき]がふさがる〉映画館[えいがか]の椅子[いす]に荷物[にもつ]が置[お]いてあるのは、その座席[ざせき]がふさがっているという印[しるし]です。 **ざせつ**(挫折)○仕事[しごと]や計画[けいかく]がつまづいて途中[とちゅう]でだめになること。また、そのために気力[きりょく]を失[うしな]うこと。[文例]〈挫折[ざせつ]から立[た]ち直[なお]る二度[にど]の失敗[しっぱい]による挫折[ざせつ]から彼[かれ]を立[た]ち直[なお]らせたのは、この少女[しょうじょ]の一言[ひとこと]だった。♠ヘ計画[けいかく]が挫折[ざせつ]する〉当日[とうじつ]はこの季節[きせつ]には考[かんが]えられない北風[きたかぜ]が吹[ふ]き荒[あ]れ、われわれの計画[けいかく]は挫折[ざせつ]してしまった。♠へ気力[きりょく]が挫折[ざせつ]する>予想[よそう]していた収入[しゅうにゅう]が得[え]られなかったことから、兄[あに]の仕事[しごと]に対[たい]する気力[きりょく]は、すっかり挫折[ざせつ]してしまった。♠へ挫折感[ざせつかん]〉わたしが生[う]まれて初[はじ]めてはっきりと挫折感[ざせつかん]を感[かん]じたのは、入学[にゅうがく]した大学[だいがく]に失望[しつぼう]した時[とき]でしょうか。 **させん**【左遷】○低[ひく]い地位[ちい]に落[お]とすこと。[文例]〈左遷[させん]する>支店長[してんちょう]は左遷[させん]されたが、首[くび]にならなかっただけまだましだ。 **ざぜん**【座禅】(坐禅)○静[しず]かに座[すわ]り、精神[せいしん]を集中[しゅうちゅう]して悟[さと]りを開[ひら]こうとする修行[しゅぎょう]。[文例]背筋[せすじ]をのばして足[あし]を組[く]んで座[すわ]り、精神[せいしん]を集中[しゅうちゅう]して悟[さと]りの境地[きょうち]に達[たっ]しようというのが座禅[ざぜん]の目的[もくてき]です。♠へ座禅[ざぜん]をする〉修行[しゅぎょう]中[ちゅう]の僧[そう]たちは毎朝[まいあさ]四時[よじ]に起[お]き、朝食[ちょうしょく]前[まえ]に二時間[にじかん]本堂[ほんどう]で座禅[ざぜん]をするそうです。♠へ座禅[ざぜん]を組[く]む>朝夕[ちょうせき]二時間[にじかん]ずつ座禅[ざぜん]を組[く]むのがこの寺[てら]の修行僧[しゅぎょうそう]の日課[にっか]だ。 **さぞ**(無)○きっと。どんなにか。[文例]一日[いちにち]中[じゅう]歩[ある]き回[まわ]って、さぞおなかがすいたことでしょう、たくさん召[め]し上[あ]がれ。♠電話[でんわ]もしないで突然[とつぜん]田舎[いなか]へ帰[かえ]ったら、母[かあ]さん、さぞ驚[おどろ]くだろうな。♠このあさりをバターいためにしたならさぞうまかろうと思[おも]ったら、とたんにつばが出[で]た。♠こんな美[うつく]しい花嫁[はなよめ]姿[すがた]になって、死[し]んだ父[ちち]さんもさぞ喜[よろこ]んでいるだろうよ。 **さそい**【誘い】○誘[さそ]うこと。勧誘[かんゆう]。誘惑[ゆうわく]。[文例]へ誘[さそ]いをかける〉いっしょに来[こ]ないかって誘[さそ]いをかけたんだが、今日[きょう]は忙[いそが]しくて行[い]けないということだ。♠へ誘[さそ]いを受[う]ける〉高校[こうこう]時代[じだい]の友人[ゆうじん]から、春休[はるやす]みにみんなでスキーに行[い]かないかと誘[さそ]いを受[う]けた。♠へ誘[さそ]いに乗[の]る〉欲[よく]の深[ふか]い彼女[かのじょ]は、もうかる話[はなし]があるんだけどという誘[さそ]いに、二[ふた]つ返事[へんじ]で乗[の]ってきました。 **さそいか・ける**【誘い掛ける】○こちらから誘[さそ]う。[文例]いっしょにラウンドのすみでぼんやりしている田中[たなか]さんに、一緒[いっしょ]にバレーボールをやらないかと誘[さそ]いかけてみた。♠彼[かれ]は、誘[さそ]いかけるまでもなく、自分[じぶん]から入部[にゅうぶ]を申[もう]し込[こ]んできた。♠へ入会[にゅうかい]を誘[さそ]いかける〉何度[なんど]もクラブへの入会[にゅうかい]を誘[さそ]いかけたが、興味[きょうみ]がないらしくとうとうよい返事[へんじ]は得[え]られなかった。♠〈デートに誘[さそ]いかける〉つっけんどんな彼[かれ]にはどんな言葉[ことば]でデートに誘[さそ]いかけたらいいのでしょう。 **さそいこ・む**【誘い込む】○誘[さそ]って引[ひ]き込[こ]む。たくみに引[ひ]きずり込[こ]む。[文例]】〈わなに誘[さそ]い込[こ]む〉しかけたわなの中[なか]に獲物[えもの]を誘[さそ]い込[こ]む。♠へ仲間[なかま]に誘[さそ]い込[こ]む〉多額[たがく]な報酬[ほうしゅう]を約束[やくそく]し、彼[かれ]を仲間[なかま]に誘[さそ]い込[こ]んだ。♠へ愛[あい]の世界[せかい]に誘[さそ]い込[こ]む〉この童話[どうわ]は、わたしたちを美[うつく]しい愛[あい]の世界[せかい]に誘[さそ]い込[こ]む。 **さそいみず**【誘い水】○呼[よ]び水[みず]。ある事[こと]を引[ひ]き起[お]こすきっかけとなるもの。[文例]〈誘[さそ]い水[みず]を入[い]れる〉井戸[いど]のポンプの水[みず]が出[で]ないとき、水[みず]を導[みちび]くために誘[さそ]い水[みず]を入[い]れることがあります。♠へ誘[さそ]い水[みず]となる〉ラフプレーが誘[さそ]い水[みず]となって、大乱闘[だいらんとう]が始[はじ]まってしまった。♠へ事故[じこ]の誘[さそ]い水[みず]〉無計画[むけいかく]な森林[しんりん]の伐採[ばっさい]が今回[こんかい]の土砂崩[どしゃくず]れの誘[さそ]い水[みず]であったことは考[かんが]えられることだ。 **さそ・う**【誘う】○勧[すす]める。いざなう。引[ひ]き込[こ]む。うながす。(ある気分[きぶん]を)引[ひ]き起[お]こす。[文例]ヘスキーに誘[さそ]う〉冬休[ふゆやす]みには、友人[ゆうじん]からスキーに誘[さそ]われている。♠へ人[ひと]を誘[さそ]う〉クリスマスパーティーには、ぜひ彼女[かのじょ]を誘[さそ]いたい。♠へ散歩[さんぽ]に誘[さそ]う〉彼[かれ]は、もうすっかり回復[かいふく]しているはずだから、散歩[さんぽ]に誘[さそ]うのもいいだろう。♠へ〈眠[ねむ]りを誘[さそ]う〉車[くるま]のここちよい振動[しんどう]が眠[ねむ]りを誘[さそ]うのか、赤[あか]ん坊[ぼう]はぐっすりと寝入[ねい]っている。♠へ風[かぜ]に誘[さそ]われる>暖[あたた]かい春[はる]の風[かぜ]に誘[さそ]われて、ぼくはふらっと旅[たび]に出[で]た。 <411> **さそ・う【誘う】** ○あることをするようにすすめて相手に行動させる。ある気持ちにさせる。[文例]〈旅に誘われる>暖かい春の風に誘われて、ぼくはふらっと旅に出た。♠へにおいに誘われる〉においに誘われて、のら猫[ねこ]が集まってきた。◆く悪事に誘う〉少年を悪事に誘ったのは、同じ年ごろの少女だった。♠へ涙を誘う〉この映画では、あどけない子供たちのいじらしい姿が、見る者の涙を誘う。♠へ笑いを誘う〉彼の明るい冗談[じょうだん]は、いつもみんなの笑いを誘っている。♠へ興味を誘う〉この小説は、波乱万丈[ばんじょう]の筋立てが読み手の興味を誘って尽きない。♠〈感動を誘う〉スポーツには、勝負を超えて人々の感動を誘うものがある。 **さぞかし(嘸かし)** ○さぞ。きっと。どんなにか。[文例]娘の花嫁姿に天国の父もさぞかし喜んだことでしょう。♠まる三日も連絡がないということであれば、家族はさぞかし心配しているだろう。♠この糸を切って逃げたのだから、さっきの魚はさぞかし大物だったのだろうな。♠滅多[めった]においしいと言わない父がほめたのだから、さぞかしおいしかったのだろう。 **さた(沙汰)** ○処置。裁判。指図。行為。事件。音信。知らせ。うわさ。[文例]〈沙汰がある〉処分が決まるまで自宅で待機せよ、との沙汰があった。♠〈追って沙汰する〉その件については追って沙汰する。♠〈地獄の沙汰も金次第〉地獄の沙汰も金次第といって、地獄でさえお金次第で手加減してもらえるほど、お金には大きな力があるのです。♠へ正気の沙汰〉きみは、そんなことをして正気の沙汰かい?♠〈沙汰の限り〉仕事中に職場で酒を飲むとは沙汰の限りだ。♠へ〜どころの沙汰でない〉話好きなおばさんと聞いてはいたが、会ってみると話好きどころの沙汰ではなく、大変なおしゃべりだった。♠〈沙汰やみ〉茂子の留学話は、家の商売[しょうてん]が傾[かたむ]いたことから、いつしか沙汰やみになった。♠〈警察沙汰>早くけんかをやめさせないと、警察沙汰になるぞ。♠へ取り沙汰〉世間にどう取り沙汰されてもかまわない。自分の正しいと思った事をするだけさ。♠へ音沙汰〉弘前[ひろさき]に引っ越すというはがきをもらったきり、何の音沙汰もないけれど、どうしているかしら。♠〈ご無沙汰〉久しくご無沙汰いたしておりますが、皆様お変わりございませんか。 **さだか【定か】** ○はっきりしたさま。確か。明らか。[文例]〈記憶が定か〉当時の記憶が定かではないので、はっきりとしたことは言えない。♠ヘ行方が定か〉彼らの行方は、その後、定かでないそうだ。♠へよりどころが定か〉孤児になった少女は、よりどころの定かでない自分の身の上を悲しんでいた。♠〈定かにする>他人の意見にまどわされることなく、自分の考えを定かにしなさい。 **さだま・る【定まる】** ○決まる。変わらない。しずまる。落ち着く。おさまる。[文例]〈定まった方法〉いつも定まった方法でやるだけではなく、たまにやり方を変えてみるのもよいでしょう。♠へ定まった収入〉定まった収入のない男とおまえを結婚させるわけにはいかないよ。♠へ運命が定まる〉国王のその一言で、国の運命が定まったのだった。♠へ評価が定まる〉長い年月のうちに評価の定まった古典は、わたしたちの心の糧[かて]となる良書である。♠〈気持ちが定まる〉卒業後の進路について、なかなか気持ちが定まらない。◇天下が定まる>徳川幕府ができて、ようやく天下が定まった。♠〈天候が定まる〉天候が定まるのを待ち、再び頂上めざして出発した。♠〈焦点が定まる〉きみの話のねらいは何なのか、焦点が定まっていなければ説得力をもたないでしょう。 **さだめ【定め】** ○定めること。定められていること。規則。おきて。運命。[文例]〈定めに従う〉江戸時代の大名は、幕府の定めに従って、一年おきに領国と江戸で交互に暮らした。♠〈結ばれぬ定め>両家が敵対しているばかりに、若い二人の恋は結ばれぬ定めにあったのです。♠へ人の世の定め〉これも人の世の定めと、わたしはあきらめることにしました。♠〈定めない〉ああ、定めなく流れゆく人の一生かな。♠〈品定め〉ベンチに腰を下ろして、通りすがりの男の品定めでもしましょう。 **さだめし【定めし】** ○きっと。さぞかし。さだめて。[例]ご長男が大学に入学なさったそうで、さだめしお喜びのことでしょう。♠厳しいけいこを積んだのだからさだめしすばらしい舞台を見せてくれるに違いない。♠頭をさすったら大きなこぶができていたもの、さだめし痛かったろうよ。 **さだ・める【定める】** ○決める。決定する。確定する。落ち着かせる。おさめる。[文例]〈憲法を定める>戦後、日本国憲法が定められ、日本の民主化と平和国家への方向づけが行われた。◆へ~を~と定める〉旧暦では、一年を三百五十四日と定めている。♠へ住居を定める〉放浪[ほうろう]の詩人も、晩年はこの地に住居を定め、ひっそりと余生を送ったそうだ。◆くねらいを定める>兵士は、木陰[こかげ]から銃を構えて、敵の歩しょうに静かにねらいを定めた。♠〈方針を定める〉年度始めにあたり、今年度の事業方針を定め、社員に示した。◆天下を定める>豊臣秀吉[とよとみひでよし]は、足軽[あしがる]から身を起こし、天下を定める一方、桃山[ももやま]文化と呼ばれる華やかな文化を起こした。 **ざだん【座談】** ○数人で形式ばらずに自由に話し合うこと。その場だけの話。[文例]岡田は何時までも飲んで帰らなかった。始めは興を添えた彼の座談も段々皆なに飽きられて来た。(夏目漱石「行人[こうじん]」)◆<座談会〉作家が酒を飲みながらやった座談会を活字にしたとて、何になろう。 **さち【幸】** ○幸せ。さいわい。幸福。海や山でとれる物。[文例]〈海の幸・山の幸>海の幸、山の幸に恵[めぐ]まれた土地柄[とちがら]らしく、宿の夕食には山海の珍味[ちんみ]がずらりと並びました。♠〈幸多かれ>ゴ結婚ヲ祝シ、末ナガク幸多カレト祈ル ハルコ♠く幸多き〉 **ざつ【雑】** ○おおまかでいい加減なさま。[文例]〈雑な仕事〉そんな雑な仕事では、お客様が満足するわけがない。♠〈雑な計算>会計係が雑な計算をするので、帳簿[ちょうぼ]が合わず困っています。♠〈雑な性格〉大ざっぱで雑な性格の高木さんに、そんな細かいことを言っても無駄だと思う。♠〈雑に出来る>急ごしらえの物置小屋は雑に出来ているので、大雪が降ったらその重みでぺしゃんこになってしまうだろう。 **さつい【殺意】** ○殺そうとする意思。[文例]〈殺意を持つ>犯人は、被害者に対して前から殺意を持っていた。♠へ殺意を抱[いだ]く>男が上司に殺意を抱き、犯行に及んだと考えられる。 <412> **さつえい【撮影】** ○写真や映画をとること。[文例]〈映画の撮影>撮影が始まると、監督の顔から笑いが消え目つきも鋭[するど]くなった。◆へ写真の撮影〉お寺の本堂の中では写真の撮影は禁止されていた。♠ヘテレビドラマの撮影〉〈撮影をする〉人だかりができているので何かと思ったら、有名スターがテレビドラマの撮影をしているのだった。♠へ撮影する〉これから記念写真を撮影しますから、みなさんお集まりください。 **ざつおん【雑音】** ○不愉快な感じを与える音。電話やラジオなどの通信を妨げる音。無責任な意見やうわさ。[文例]雑音は、まわりが静かなほど気になるものです。♠ヘラジオの雑音〉〈雑音が消える〉電波の状態が悪いせいかラジオの雑音が消えない。♠〈雑音が入る〉このテープは録音の状態が悪く、ところどころに耳ざわりな雑音が入っている。♠へ周囲の雑音>自分に自信があれば、友達のうわさなど周囲の雑音もそんなに気にならないはずです。 **さっか【作家】** ○芸術作品を作る人。特に小説家。[文例]彼女は二十三歳のときに処女歌集を発表し、短詩型の作家としてはなばなしくデビューしました。♠ぼくは小さいころから文章を書くのが好きだったので、作家になろうと思う。◆<新進作家〉この映画は、若者に人気のある新進作家の小説が原作になっている。♠へ女流作家〉『源氏物語』を書いた紫式部[むらさきしきぶ]は、平安時代の代表的な女流作家です。 **ざっか【雑貨】** ○雑多な商品。こまごまとした日用品。[文例]スーパーの店先にはなべややかんなど、安売りの雑貨がずらりと並ぶ。♠〈日用雑貨>受付嬢[うけつけじょう]に聞くと、障子紙は五階の日用雑貨の売り場にあるとのことだった。♠へ輸入雑貨>当店は、洋書のほかに文具など輸入雑貨も取り扱っております。 **さつがい【殺害】** ○人を殺すこと。[文例]〈大統領の殺害〉〈殺害を企[くわだ]てる>反政府ゲリラは、独裁者である大統領の殺害を企てていた。♠〈殺害する〉死体の様子から見て、被害者は三日前くらいに殺害されたらしい。 **さっかく【錯覚】** ○外界の事物を実際とは違うように知覚すること。思い違いをすること。[文例]〈錯覚を起こす>日本髪[にほんがみ]に振りそで姿で初もうでに出かける姉に、ぼくは別人ではないかと錯覚を起こしそうになった。♠へ錯覚に陥[おちい]る〉UFOを見たという人は、見たつもりでも、錯覚に陥っているのかもしれない。♠〈錯覚に襲[おそ]われる〉昔と変わらないふるさとの山河をながめていると、自分一人が年をとったような奇妙[きみょう]な錯覚に襲われた。♠〈目の錯覚>ぼくが授業中居眠りしていたなんて、きみ、それは目の錯覚だよ。♠〈錯覚する>団地の隣の棟[むね]の人が、酔っぱらって自分の家と錯覚したのか、ぼくの家に入って来た。 **ざっかん【雑感】** ○とりとめのない感想。まとまりのない感想。[文例]〈日常の雑感〉この随筆集は、歌人である筆者の身辺を中心に日常の雑感を書き止めたものである。◆〈山中雑感〉一年間信州の高原で折々に書きためた文章を「山中雑感」と名づけて本にまとめた。 **さっき【殺気】** ○殺意を感じるような緊迫した気配。草木を枯らす寒気。[文例]〈殺気を感じる〉暗やみの中に殺気を感じて身構えるのと同時に、何者かが切りかかってきた。♠〈殺気がみなぎる〉戦いの日々を送る戦場の兵士たちには、殺気がみなぎっていた。♠〈殺気がこもる〉刀は、すぐれたできばえではあったが、殺気がこもっていた。♠へ殺気を帯びる〉殺気を帯びた彼の目に、相手の選手はたじろいでいた。◆<殺気立つ>試合が中止になると、殺気立った観客がグラウンドに空き缶を投げ始めた。 **さっきゅう【早急】** ○非常に急ぐさま。至急。そうきゅう。[文例] <早急な解決>人命にかかわることですから、早急な解決が望まれます。♠〈早急に取りかかる〉手順がのみこめたら、時間もないことだし、早急に仕事に取りかかりなさい。♠〈早急に手配する〉すぐに手術にかかるから、A型の血液を早急に手配するよう伝えてくれ。 **ざっきょ【雑居】** ○異なる種類の人々が一緒に住むこと。多くの家族が一つの家に住むこと。さまざまなものが一か所にあること。[文例] <雑居する〉この国では、一つの家に三世帯が雑居することも珍[めずら]しくありません。♠〈雑居する〉ロサンゼルスにはアメリカ人だけでなく、中国人・日本人など数多くの国籍の人たちが雑居している。◆◇雑居ビル〉今日未明、飲食店など二十軒[けん]が入った雑居ビルで火事がありました。 **さっきょく【作曲】** ○音楽の曲を作ること。[文例]〈作曲する〉「荒城[こうじょう]の月」を作曲した滝廉太郎[たきれんたろう]は、わずか二十四歳でなくなりました。♠〈作曲による〉今館内に流れている音楽は、武満徹[たけみつとおる]の作曲によるものです。♠〈作詞作曲〉最近はただ歌うだけでなく、作詞作曲から演奏まで自分でこなす歌手が多くなった。♠〈作曲家>軽妙な随筆[ずいひつ]でよく知られていますが、実は氏は作曲家なのです。 **さっき** ○少し前。さきほど。今しがた。[文例]机の上にある物に触っちゃいけないって、さっき言ったばかりだろう。◆コウスケはどこに行ってしまったんだ、さっきまでここで遊んでいたのに。♠彼女の様子がいつもと違うことに、ぼくはさっきから気がついています。♠さっきの話では、明日は出かけるそうだね。 **さっきん【殺菌】** ○細菌を殺すこと。[例]〈殺菌をする〉まな板やふきんは不潔になりやすいので、こまめに日に当てて消毒殺菌をしましょう。♠〈殺菌する〉赤ちゃんのほ乳瓶は、熱湯で殺菌して使います。♠〈殺菌作用〉新発売のこの洗剤は漂白[ひょうはく]の力だけでなく、殺菌作用も強力だ。♠ヘ殺菌処理>牛乳は殺菌処理がなされていて、かなり保存がきくようになった。 **ざっくばらん** ○あけすけで、こだわらないさま。[文例]へざっくばらんな人>石黒さんは、きどったりすましたりするところのない、ざっくばらんな人でした。♠へざっくばらんな批評〉あなたには、他人行儀でないざっくばらんな批評をしてもらいたいんだ。♠へざっくばらんな調子〉公式の会談とはいえ二人は旧知の仲ですから、ざっくばらんな調子で話が進みました。♠へざっくばらんに語り合う〉今日は昔の仲間が集まって、近況をざっくばらんに語り合いました。 **さっこん【昨今】** ○今日このごろ。ちかごろ。[文例]街なかで石を投げれば大学生に当たるというほど、学生が増えた昨今である。♠昨今の土地ブームというのは、あれは一体何ですか。♠金魚売りは昨今見かけないが、あれは風情がありましたな。 **さっし【冊子】** ○とじ合わせた本。書物。[文例]木箱には、細いひもで閉じた冊子もありました。♠〈冊子にまとめる〉方言民俗クラブの皆さんがわらべうたを集め、それを『民俗豆本わらべうた』という小さな冊子にまとめたそうです。 **さっし【察し】** ○察すること。推察。見当。[文例]〈察しがつく>きみが退部したがっていることなど、ぼくには察しがついていたよ。♠く察しがいい>察しのいい女だったから、帰りがけにこっそり金を渡してくれた。♠へお察しの通り〉お察しの通り、またお願いがあって参りました。 **ざっし【雑誌】** ○多くの人の文章や記事を載せ、定期的に刊行される出版物。[文例]〈雑誌を購読する>連載記事を読むために、この雑誌を購読しています。♠へ雑誌をとる>学校の保健室では、医療や健康に関する雑誌を何種類かとっています。♠〈雑誌を広げる>若い女性がひざの上に雑誌を広げて読みふけっていた。♠へ雑誌を出す〉〈同人雑誌〉文学好きの仲間が集まって、同人雑誌を出そうということになった。 **ざっしゅ【雑種】** ○異種の親の間に生まれたもの。[文例]〈雑種の犬〉クロは、弟が近所の雑貨屋からもらってきた種類もはっきりわからない雑種の犬です。♠へ馬とろばの雑種〉ラバは馬とろばの雑種で、馬とろばの特性がよくあらわされています。 **さつじん【殺人】** ○人を殺すこと。[文例]〈殺人を犯[おか]す〉被害者の胸に刺さっていたナイフの指紋からも、あの男が殺人を犯したことはまちがいない。♠へ殺人の疑い〉飲食店経営者が殺人の疑いで全国に指名手配された。♠〈殺人事件〉人里離れた山村で、異常者による殺人事件が起こった。◆〈殺人的>私鉄ストライキのあった昨日は、どの道も一日中殺人的な混雑だった。 **さっ・する【察する】** ○推しはかる。推察する。思いやる。同情する。[文例]〈すべてを察する〉賢明[けんめい]な彼女は、だれも病名を教えなかったが、すべてを察して、静かに死を迎えた。♠〈気持ちを察する〉両親を亡くした友達の気持ちを察すると心が痛む。♠へ苦痛を察する〉患者[かんじゃ]の苦痛を察して、医師は痛み止めの注射をした。♠〈立場を察する〉少しはわたしのつらい立場も察してください。♠へ胸のうちを察する〉苦しい胸のうち、お察し申し上げます。♠〈心中[しんちゅう]を察する>交通事故で子供を失った両親の心中は、察するにあまりある。♠〈察するところ>最近元気がないけれど、察するところ、試験の結果がよくなかったのでしょう。 **さっしょう【殺傷】** ○殺したり傷を負わせたりすること。[文例]〈殺傷する〉戦争によって罪もない多くの子供たちが殺傷されたのです。♠〈殺傷能力〉おもちゃとは言っても、このモデルガンには十分殺傷能力がある。 **ざっしょく【雑食】** ○動物が肉食・草食にかたよらず、何でも食べること。いろいろ何でも食べること。[文例]<雑食する〉獣[けもの]には肉食のもの、草食のもの、雑食するものの三通りあります。♠へ雑食性〉ヒトは動物性・植物性のどちらの食物も食べる、雑食性の生き物といえます。♠〈雑食動物〉木の実やハチミツから、産卵のために上ってくるサケや家畜までも食べるクマは雑食動物です。 **さっしん【刷新】** ○悪い点を取り除き、全く新しくすること。[文例]〈人事の刷新〉〈刷新を図る〉組織を活性化するために人事の刷新が図[かか]られた。♠へ刷新する〉旧制度を刷新するというスローガンを掲[かか]げて、新政府は動き出した。 **ざつぜん【雑然】** ○ごたごたと入り乱れているさま。[文例]<雑然とする〉ごみはちらかしっぱなし、洋服はぬぎっぱなしで、部屋は雑然としている。♠へ雑然と並べる>館内には展示物が雑然と並べてあるだけで、何の説明もなかった。◆<雑然と入り乱れる〉集会は、いろいろな団体の人間が雑然と入り乱れて押し問答をしているだけだった。♠〈雑然たるありさま〉倉庫の中には大小のダンボール箱や茶箱が詰め込まれて、雑然たるありさまである。 **さっそう(颯爽)** ○きりっとしていて勇ましいさま。[文例]〈さっそうと出かける〉兄は珍しく背広を着こんで、さっそうと出かけていった。♠へさっそうと登場する〉スポットライトを浴びてさっそうと登場したのは、主役の森君です。♠へさっそうたる姿〉将軍はさっそうたる姿でがいせんし、熱狂する民衆に手を振った。 **ざっそう【雑草】** ○自然に生えるいろいろな草。[文例]<雑草が生える〉〈雑草を抜く〉庭に生えている雑草を抜かなければならない。♠〈雑草が伸びる>空き家の広い庭には、雑草が伸び放題に伸びています。♠へ雑草の生命力〉踏まれても踏まれても、なおたくましく生きる雑草の生命力がほしい。♠へ雑草がはびこる〉八月になると道端では、我が物顔で雑草がはびこっていた。 **さっそく【早速】** ○すぐ。すみやかに。ただちに。[文例]雪がやむと、子供たちは早速雪だるまを作ろうと、庭へ飛び出して行った。♠小説を読んでいてわからない言葉があったので、早速国語辞典をひいてみた。◆おいしい果物[くだもの]が送られてきたので早速、隣[となり]の家にもおすそ分けをした。◆早速ご返事くださいまして、ありがとうございました。◆輸血用の血液が届くと、早速手術が始められた。◆買い物から帰った母は、早速料理に取りかかった。◆早速ですが、宿帳にお名前を記入してください。 **ざった【雑多】** ○いろいろなものが入りまじっているさま。[文例] <雑多に積む〉店先にはハンドルからタイヤまで、車に関するあらゆる物が雑多に積み上げられていた。♠へ雑多な用事〉明日はあれこれと雑多な用事があって、夕方までは家を空けることができません。♠〈雑多な人種〉カーニバルが近づくと、町はイタリア人やフランス人など、雑多な人 <413> とはいえ二人は旧知の仲ですから、ざっくばらんな調子で話が進みました。♠へざっくばらんに語り合う〉今日は昔の仲間が集まって、近況をざっくばらんに語り合いました。 **さっこん【昨今】** ○今日[きょう]このごろ。ちかごろ。[文例]街[まち]なかで石[いし]を投[な]げれば大学生[だいがくせい]に当[あ]たるというほど、学生[がくせい]が増[ふ]えた昨今[さっこん]である。♠昨今[さっこん]の土地[とち]ブームというのは、あれは一体[いったい]何[なん]ですか。♠金魚売[きんぎょう]りは昨今[さっこん]見[み]かけないが、あれは風情[ふぜい]がありましたな。 **さっし【冊子】** ○とじ合[あ]わせた本[ほん]。書物[しょもつ]。[文例]木箱[きばこ]には、細[ほそ]いひもで閉[と]じた冊子[さっし]もありました。♠〈冊子[さっし]にまとめる〉方言[ほうげん]民俗[みんぞく]クラブの皆[みな]さんがわらべうたを集[あつ]め、それを『民俗豆本[みんぞくまめほん]わらべうた』という小[ちい]さな冊子[さっし]にまとめたそうです。 **さっし【察し】** ○察[さっ]すること。推察[すいさつ]。見当[けんとう]。[文例]〈察[さっ]しがつく>きみが退部[たいぶ]したがっていることなど、ぼくには察[さっ]しがついていたよ。♠く察[さっ]しがいい>察[さっ]しのいい女[おんな]だったから、帰[かえ]りがけにこっそり金[かね]を渡[わた]してくれた。♠へお察[さっ]しの通[とお]り〉お察[さっ]しの通[とお]り、またお願[ねが]いがあって参[まい]りました。 **ざっし【雑誌】** ○多[おお]くの人[ひと]の文章[ぶんしょう]や記事[きじ]を載[の]せ、定期的[ていきてき]に刊行[かんこう]される出版物[しゅっぱんぶつ]。[文例]〈雑誌[ざっし]を購読[こうどく]する>連載記事[れんさいきじ]を読[む]ために、この雑誌[ざっし]を購読[こうどく]しています。♠へ雑誌[ざっし]をとる>学校[がっこう]の保健室[ほけんしつ]では、医療[いりょう]や健康[けんこう]に関[かん]する雑誌[ざっし]を何種類[なんしゅるい]かとっています。♠〈雑誌[ざっし]を広[ひろ]げる>若[わか]い女性[じょせい]がひざの上[うえ]に雑誌[ざっし]を広[ひろ]げて読[よ]みふけっていた。♠へ雑誌[ざっし]を出[だ]す〉〈同人雑誌[どうにんざっし]〉文学好[ぶんがくす]きの仲間[なかま]が集[あつ]まって、同人雑誌[どうにんざっし]を出[だ]そうということになった。 **ざっしゅ【雑種】** ○異種[いしゅ]の親[おや]の間[あいだ]に生[うま]れたもの。[文例]〈雑種[ざっしゅ]の犬[いぬ]〉クロは、弟[おとうと]が近所[きんじょ]の雑貨屋[ざっかや]からもらってきた種類[しゅるい]もはっきりわからない雑種[ざっしゅ]の犬[いぬ]です。♠へ馬[うま]とろばの雑種[ざっしゅ]〉ラバは馬[うま]とろばの雑種[ざっしゅ]で、馬[うま]とろばの特性[とくせい]がよくあらわれています。 **さっしょう【殺傷】** ○殺[ころ]したり傷[きず]を負[お]わせたりすること。[文例]〈殺傷[さっしょう]する〉戦争[せんそう]によって罪[つみ]もない多[おお]くの子供[こども]たちが殺傷[さっしょう]されたのです。♠〈殺傷能力[さっしょうのうりょく]〉おもちゃとは言[い]っても、このモデルガンには十分[じゅうぶん]殺傷能力[さっしょうのうりょく]がある。 **ざっしょく【雑食】** ○動物[どうぶつ]が肉食[にくしょく]・草食[そうしょく]にかたよらず、何[なん]でも食[た]べること。いろいろ何[なん]でも食[た]べること。[文例]<雑食[ざっしょく]する〉獣[けもの]には肉食[にくしょく]のもの、草食[そうしょく]のもの、雑食[ざっしょく]するものの三通[さんとお]りあります。♠へ雑食性[ざっしょくせい]〉ヒトは動物性[どうぶつせい]・植物性[しょくぶつせい]のどちらの食物[しょくもつ]も食[た]べる、雑食性[ざっしょくせい]の生[い]き物[もの]といえます。♠〈雑食動物[ざっしょくどうぶつ]〉木[き]の実[み]やハチミツから、産卵[さんらん]のために上[のぼ]ってくるサケや家畜[かちく]までも食[た]べるクマは雑食動物[ざっしょくどうぶつ]です。 **さっしん【刷新】** ○悪[わる]い点[てん]を取[と]り除[のぞ]き、全[まった]く新[あたら]しくすること。[文例]〈人事[じんじ]の刷新[さっしん]〉〈刷新[さっしん]を図[はか]る〉組織[そしき]を活性化[かっせいか]するために人事[じんじ]の刷新[さっしん]が図[はか]られた。♠へ刷新[さっしん]する〉旧制度[きゅうせいど]を刷新[さっしん]するというスローガンを掲[かか]げて、新政府[しんせいふ]は動[うご]き出[だ]した。 **さつじん【殺人】** ○人[ひと]を殺[ころ]すこと。[文例]〈殺人[さつじん]を犯[おか]す〉被害者[ひがいしゃ]の胸[むね]に刺[さ]さっていたナイフの指紋[しもん]からも、あの男[おとこ]が殺人[さつじん]を犯[おか]したことはまちがいない。♠へ殺人[さつじん]の疑[うたが]い〉飲食店経営者[いんしょくてんけいえいしゃ]が殺人[さつじん]の疑[うたが]いで全国[ぜんこく]に指名手配[しめいてはい]された。♠〈殺人事件[さつじんじけん]〉人里[ひとざと]離[はな]れた山村[さんそん]で、異常者[いじょうしゃ]による殺人事件[さつじんじけん]が起[お]こった。♠殺人的[さつじんてき]>私鉄[してつ]ストライキのあった昨日[きのう]は、どの道[みち]も一日中[いちにちじゅう]殺人的[さつじんてき]な混雑[こんざつ]だった。 **さっ・する【察する】** ○推[お]しはかる。推察[すいさつ]する。思[おも]いやる。同情[どうじょう]する。[文例]〈すべてを察[さっ]する〉賢明[けんめい]な彼女[かのじょ]は、だれも病名[びょうめい]を教[おし]えなかったが、すべてを察[さっ]して、静[しず]かに死[し]を迎[むか]えた。♠〈気持[きも]ちを察[さっ]する〉両親[りょうしん]を亡[な]くした友達[ともだち]の気持[きも]ちを察[さっ]すると心[こころ]が痛[いた]む。♠へ苦痛[くつう]を察[さっ]する〉患者[かんじゃ]の苦痛[くつう]を察[さっ]して、医師[いし]は痛[いた]み止[ど]めの注射[ちゅうしゃ]をした。♠〈立場[たちば]を察[さっ]する〉少[すこ]しはわたしのつらい立場[たちば]も察[さっ]してください。♠へ胸[むね]のうちを察[さっ]する〉苦[くる]しい胸[むね]のうち、お察[さっ]し申[もう]し上[あ]げます。♠〈心中[しんちゅう]を察[さっ]する>交通事故[こうつうじこ]で子供[こども]を失[うしな]った両親[りょうしん]の心中[しんちゅう]は、察[さっ]するにあまりある。♠〈察[さっ]するところ>最近[さいきん]元気[げんき]がないけれど、察[さっ]するところ、試験[しけん]の結果[けっか]がよくなかったのでしょう。 **ざつぜん【雑然】** ○ごたごたと入[い]り乱[みだ]れているさま。[文例]〈雑然[ざつぜん]とする〉ごみはちらかしっぱなし、洋服[ようふく]はぬぎっぱなしで、部屋[へや]は雑然[ざつぜん]としている。♠へ雑然[ざつぜん]と並[なら]べる>館内[かんない]には展示物[てんじぶつ]が雑然[ざつぜん]と並[なら]べてあるだけで、何[なん]の説明[せつめい]もなかった。♠<雑然[ざつぜん]と入[い]り乱[みだ]れる〉集会[しゅうかい]は、いろいろな団体[だんたい]の人間[にんげん]が雑然[ざつぜん]と入[い]り乱[みだ]れて押[お]し問答[もんどう]をしているだけだった。♠雑然[ざつぜん]たるありさま〉倉庫[そうこ]の中[なか]には大小[だいしょう]のダンボール箱[ばこ]や茶箱[ちゃばこ]が詰[つ]め込[こ]まれて、雑然[ざつぜん]たるありさまである。 **さっそう(颯爽)** ○きりっとしていて勇[いさ]ましいさま。[文例]〈さっそうと出[で]かける〉兄[あに]は珍[めずら]しく背広[せびろ]を着[き]こんで、さっそうと出[で]かけていった。♠へさっそうと登場[とうじょう]する〉スポットライトを浴[あ]びてさっそうと登場[とうじょう]したのは、主役[しゅやく]の森[もり]君[くん]です。♠へさっそうたる姿[すがた]〉将軍[しょうぐん]はさっそうたる姿[すがた]でがいせんし、熱狂[ねっきょう]する民衆[みんしゅう]に手[て]を振[ふ]った。 **ざっそう【雑草】** ○自然[しぜん]に生[は]えるいろいろな草[くさ]。[文例]<雑草[ざっそう]が生[は]える〉〈雑草[ざっそう]を抜[ぬ]く〉庭[にわ]に生[は]えている雑草[ざっそう]を抜[ぬ]かなければならない。♠〈雑草[ざっそう]が伸[の]びる>空[あ]き家[や]の広[ひろ]い庭[にわ]には、雑草[ざっそう]が伸[の]び放題[ほうだい]に伸[の]びています。♠へ雑草[ざっそう]の生命力[せいめいりょく]〉踏[ふ]まれても踏[ふ]まれても、なおたくましく生[い]きる雑草[ざっそう]の生命力[せいめいりょく]がほしい。♠へ雑草[ざっそう]がはびこる〉八月[はちがつ]になると道端[みちばた]では、我[わ]が物顔[ものがお]で雑草[ざっそう]がはびこっていた。 **さっそく【早速】** ○すぐ。すみやかに。ただちに。[文例]雪[ゆき]がやむと、子供[こども]たちは早速[さっそく]雪[ゆき]だるまを作[つく]ろうと、庭[にわ]へ飛[と]び出[だ]して行[い]った。♠小説[しょうせつ]を読[よ]んでいてわからない言葉[ことば]があったので、早速[さっそく]国語辞典[こくごじてん]をひいてみた。♠おいしい果物[くだもの]が送[おく]られてきたので早速[さっそく]、隣[となり]の家[いえ]にもおすそ分[わ]けをした。♠早速[さっそく]ご返事[へんじ]くださいまして、ありがとうございました。♠輸血用[ゆけつよう]の血液[けつえき]が届[とど]くと、早速[さっそく]手術[しゅじゅつ]が始[はじ]められた。♠買[か]い物[もの]から帰[かえ]った母[はは]は、早速[さっそく]料理[りょうり]に取[と]りかかった。♠早速[さっそく]ですが、宿帳[やどちょう]にお名前[なまえ]を記入[きにゅう]してください。 **ざった【雑多】** ○いろいろなものが入りまじっているさま。[文例] <雑多[ざった]に積[つ]む〉店先[みせさき]にはハンドルからタイヤまで、車[くるま]に関[かん]するあらゆる物[もの]が雑多[ざった]に積[つ]み上[あ]げられていた。♠へ雑多[ざった]な用事[ようじ]〉明日[あした]はあれこれと雑多[ざった]な用事[ようじ]があって、夕方[ゆうがた]までは家[いえ]を空[あ]けることができません。♠〈雑多[ざった]な人種[じんしゅ]〉カーニバルが近[ちか]づくと、町[まち]はイタリア人[じん]やフランス人[じん]など、雑多[ざった]な人[ひと] ... and so on. The process is clear. I will continue generating the rest of the pages. I will do all 22 pages as requested. <414> ♠〈種々[しゅじゅ]雑多[ざった]>記者会見[きしゃかいけん]が始[はじ]まったとたん、報道陣[ほうどうじん]は種々[しゅじゅ]雑多[ざった]な質問[しつもん]をスターに浴[あ]びせかけた。 **さつたば**【札束】○紙幣[しへい]を束[たば]ねたもの。[文例]〈札束[さつたば]が詰[つ]まる〉金庫[きんこ]の中[なか]には、金[きん]の延[の]べ棒[ぼう]と一万[いちまん]円[えん]札[さつ]の札束[さつたば]がぎっしりと詰[つ]まっていた。♠〈札束[さつたば]をつかむ〉賊[ぞく]はレジの札束[さつたば]をつかむと、店[みせ]の前[まえ]に止[と]めてあった車[くるま]に乗[の]って逃走[とうそう]した。♠〈札束[さつたば]を積[つ]む〉いくら札束[さつたば]を積[つ]まれても、気[き]に入[い]らない仕事[しごと]はいやだ。 **ざつだん**【雑談】○とりとめなく談話[だんわ]すること。また、その談話[だんわ]。[文例]<雑談[ざつだん]をする〉友達[ともだち]とたわいもない雑談[ざつだん]をしているうちに、大切[たいせつ]な用事[ようじ]を忘[わす]れてしまった。♠へ雑談[ざつだん]を慎[つつし]む>仕事[しごと]中[ちゅう]の雑談[ざつだん]は慎[つつし]むように。♠〈雑談[ざつだん]にふける〉気[き]のおけない仲間[なかま]ととりとめのない雑談[ざつだん]にふけるのは、ぼくの楽[たの]しみの一[ひと]つです。♠〈雑談[ざつだん]する〉ロビーで楽[たの]しそうに雑談[ざつだん]しているのが母[はは]です。 **さっち**【察知】○推[お]しはかって知[し]ること。[文例]<攻撃[こうげき]を察知[さっち]する〉いろいろな方法[ほうほう]で、敵[てき]の奇襲[きしゅう]攻撃[こうげき]を察知[さっち]できるようになっている。♠へ真相[しんそう]を察知[さっち]する〉わたしは、真相[しんそう]を察知[さっち]して、まったくおどろいてしまいました。♠へ事前[じぜん]に察知[さっち]する>警察[けいさつ]は暴力団[ぼうりょくだん]の動[うご]きを事前[じぜん]に察知[さっち]し、一網打尽[いちもうだじん]にした。 **さっとう**【殺到】○多[おお]くのものが、いちどきに一[いっ]か所[しょ]に集[あつ]まること。[文例]〈人[ひと]が殺到[さっとう]する〉デパートの開店[かいてん]と同時[どうじ]に、買[か]い物[もの]客[きゃく]は八階[はちかい]のバーゲン会場[かいじょう]に殺到[さっとう]した。♠へ電話[でんわ]が殺到[さっとう]する〉不正[ふせい]が明[あか]るみに出[で]た会社[かいしゃ]には、朝[あさ]から抗議[こうぎ]の電話[でんわ]が殺到[さっとう]しています。♠〈注文[ちゅうもん]が殺到[さっとう]する〉新製品[しんせいひん]を発売[はつばい]したとたんに注文[ちゅうもん]が殺到[さっとう]し、会社[かいしゃ]はうれしい悲鳴[ひめい]をあげている。 **ざっとう**【雑踏】(雑沓)○多[おお]くの人[ひと]で込[こ]み合[あ]うこと。また、その場所[ばしょ]。人込[ひとご]み。[文例]〈都会[とかい]の雑踏[ざっとう]>田舎[いなか]育[そだ]ちのわたしは、都会[とかい]の雑踏[ざっとう]に慣[な]れるのに時間[じかん]がかかりました。♠へ街[まち]の雑踏[ざっとう]><雑踏[ざっとう]を抜[ぬ]け出[だ]す〉あわただしい毎日[まいにち]を過[す]ごしていると、街[まち]の雑踏[ざっとう]を抜[ぬ]け出[だ]して大自然[だいしぜん]の空気[くうき]を吸[す]いたくなる。♠<雑踏[ざっとう]をきわめる〉祭[まつ]りの境内[けいだい]は雑踏[ざっとう]をきわめ、拝殿[はいでん]に届[とど]くのに難儀[なんぎ]した。♠<雑踏[ざっとう]する>地下鉄[ちかてつ]の事故[じこ]で振[ふ]り替[か]えられた客[きゃく]で私鉄[してつ]の改札[かいさつ]口[ぐち]は雑踏[ざっとう]し、子供連[こどもづ]れには危険[きけん]であった。 **ざつねん**【雑念】○精神[せいしん]の集中[しゅうちゅう]を乱[みだ]すような雑多[ざった]な思[おも]い。[文例]〈雑念[ざつねん]を払[はら]う〉雑念[ざつねん]を払[はら]うように二[に]三度[さんど]頭[あたま]を振[ふ]ると、わたしは机上[きじょう]の原稿[げんこう]に目[め]を落[お]とした。♠〈雑念[ざつねん]を去[さ]る〉受験[じゅけん]間近[まぢか]、雑念[ざつねん]を去[さ]って勉強[べんきょう]に打[う]ち込[こ]もう。♠へ雑念[ざつねん]が起[お]こる>座禅[ざぜん]の間[あいだ]に雑念[ざつねん]が起[お]こるのは未熟[みじゅく]のせいであろう。 **ざっぱく**(雑駁)○入[い]り乱[みだ]れてまとまりがないさま。[文例] <雑駁[ざっぱく]な認識[にんしき]>経済的[けいざいてき]な繁栄[はんえい]がただちに個人[こじん]の心[こころ]豊[ゆた]かな生活[せいかつ]を築[きず]き上[あ]げるとは、何[なん]と雑駁[ざっぱく]な認識[にんしき]であろうか。♠へ雑駁[ざっぱく]な読書[どくしょ]>思[おも]いつくまま気[き]の向[む]くままに読[よ]みかじる雑駁[ざっぱく]な読書[どくしょ]のしかたでは、体系[たいけい]だった知識[ちしき]など身[み]につかない。 **さつばつ**【殺伐】○すさんで荒々[あらあら]しいさま。[文例]〈殺伐[さつばつ]とした風景[ふうけい]〉ここから海岸[かいがん]までは、石[いし]ころだらけの殺伐[さつばつ]とした風景[ふうけい]が続[つづ]きます。♠〈殺伐[さつばつ]たる世相[せそう]〉五人[ごにん]の死者[ししゃ]が出[で]たこの事件[じけん]は、殺伐[さつばつ]たる世相[せそう]を反映[はんえい]した悲惨[ひさん]なものだった。♠<殺伐[さつばつ]な情勢[じょうせい]>坂本[さかもと]龍馬[りょうま]は幕末[ばくまつ]の殺伐[さつばつ]な政治[せいじ]情勢[じょうせい]の中[なか]、新政府[しんせいふ]の建設[けんせつ]のために東奔西走[とうほんせいそう]したのです。 **さっぱり**すっきり。さわやか。さばさば。あっさり。全[まった]く。少[すこ]しも。[文例]〈気性[きしょう]がさっぱり〉彼女[かのじょ]は、無口[むくち]で愛[あい]きょうがないけれど、気性[きしょう]がさっぱりしているので、だれからも好[す]かれる。♠へ気持[きも]ちがさっぱりする〉言[い]いたいことを残[のこ]らず言[い]ってしまったら、気持[きも]ちがさっぱりした。♠へさっぱりした態度[たいど]〉小[ちい]さなことにはこだわらない彼[かれ]のさっぱりした男[おとこ]らしい態度[たいど]が好[す]きだ。♠へさっぱりした味[あじ]〉祖母[そぼ]は、濃[こ]い味付[あじつ]けよりも、さっぱりした味付[あじつ]けの料理[りょうり]のほうが好[す]きだと言[い]う。♠へさっぱりした格好[かっこう]〉いつも泥[どろ]だらけのいたずらこぞうたちも、お正月[しょうがつ]にはさっぱりした格好[かっこう]ですましている。♠へ景気[けいき]がさっぱり〉このごろは景気[けいき]がさっぱりだから、今度[こんど]のボーナスも少[すく]ないだろう。♠へきれいさっぱり〉過去[かこ]の失敗[しっぱい]はきれいさっぱりと忘[わす]れて、出直[でなお]そう。♠病気[びょうき]でしばらく学校[がっこう]を休[やす]んだら、数学[すうがく]の授業[じゅぎょう]がさっぱりわからなくなった。♠おばあちゃんは、政治[せいじ]や経済[けいざい]などにはさっぱり関心[かんしん]がないようだ。「焼[や]きいも屋[や]さん、今夜[こんや]は寒[さむ]いからよく売[う]れるでしょう?」「それがさっぱり売[う]れなくてね。」♠ヘ小[こ]ざっぱり〉彼[かれ]は、どんなに忙[いそが]しいときでも小[こ]ざっぱりとした身[み]なりで、きびきびと動[うご]いている。 **さっぷうけい**【殺風景】○変化[へんか]に乏[とぼ]しく、うるおいやおもしろみがないさま。[文例])〈殺風景[さっぷうけい]な町[まち]〉駅前[えきまえ]とは言[い]っても店[みせ]は一軒[いっけん]もなく、ただバスの停留所[ていりゅうじょ]があるだけの殺風景[さっぷうけい]な町[まち]です。♠〈殺風景[さっぷうけい]な道[みち]>両側[りょうがわ]に枯[か]れ野[の]が続[つづ]くだけの殺風景[さっぷうけい]な道[みち]を、ぼくたちは三十分[さんじゅっぷん]近[ちか]くも歩[ある]いた。♠〈殺風景[さっぷうけい]な部屋[へや]>札[ふだ]とせんべいぶとんがあるだけの殺風景[さっぷうけい]な部屋[へや]で大学[だいがく]の四年間[よねんかん]を過[す]ごした。 **ざつよう**【雑用】○こまごました雑多[ざった]な用事[ようじ]。[文例]入社[にゅうしゃ]して二か月[にかげつ]、仕事[しごと]はまだコピーを取[と]ったりお茶[ちゃ]をくんだりの雑用[ざつよう]ばかりです。♠〈雑用[ざつよう]が多[おお]い〉日曜日[にちようび]なのに雑用[ざつよう]が多[おお]くて、結局[けっきょく]どこにも出[で]かけられない。♠〈雑用[ざつよう]に追[お]われる>子供[こども]ができてからは雑用[ざつよう]に追[お]われて、趣味[しゅみ]の時間[じかん]がほとんどなくなってしまった。 **さつりく**(殺戮)○(むごたらしく)殺[ころ]すこと。[文例]〈殺戮[さつりく]を行[おこな]う〉ナチスの収容所[しゅうようじょ]では、ユダヤ人[じん]に対[たい]する大量[たいりょう]の殺戮[さつりく]が行[おこな]われた。♠殺戮[さつりく]する〉独裁者[どくさいしゃ]は、反対[はんたい]する者[もの]を捕[と]らえ殺戮[さつりく]していった。 **さて**(初・借)○さあ。ところで。それから。[文例]おや、ここで行[い]き止[ど]まりだ。さて困[こま]ったぞ。♠やっと片[かた]づいた。さて、帰[かえ]るとするか。♠これで宿題[しゅくだい]は終[お]わりだ、さてと・・・・・・。 **さておく**(拠措く)○そのままにしておく。[文例]〈細[こま]かい点[てん]はさておき〉細[こま]かい点[てん]はさておき、おおすじから決[き]めてしまおう。♠へ冗談[じょうだん]はさておいて冗談[じょうだん]はさておいて話[はなし]を本題[ほんだい]に戻[もど]そう。♠へ〜はさておくとして〉学校[がっこう]の成績[せいせき]はさておくとして、サッカーはがんばってるかい? **さては**○それでは。それではきっと。あげくに。ついには。そしてまた。[文例]こんなに部屋[へや]を散[ち]らかして、さては、弟[おとうと]の仕業[しわざ]だな。♠さては満員[まんいん]電車[でんしゃ]で財布[さいふ]をすられたか、と思[おも]ってポケットを探[さぐ]ってみたら、底[そこ]に大[おお]きな穴[あな]があいていた。♠病気[びょうき]だなんて、ぴんぴんしているくせに、さては、口[くち]から出[で]まかせ言[い]って、同情[どうじょう]を引[ひ]こうとしたな。 <415> ♠忘年会[ぼうねんかい]は例年[れいねん]、飲[の]んだり歌[うた]ったり、さては踊[おど]り出[だ]す人[ひと]もいて、どんちゃん騒[さわ]ぎになります。 **さと**【里】○人家[じんか]のある所[ところ]。村落[そんらく]。実家[じっか]。生[お]い立[た]ち。養育費[よういくひ]を出[だ]して子[こ]を他人[たにん]の家[いえ]に預[あず]けること。また、その家[いえ]。[文例]〈山[やま]と里[さと]>炭焼[すみや]きのじいさんは、里[さと]から離[はな]れた山[やま]に住[す]んでいた。♠<里[さと]へ下[お]りる〉たぬきたちが里[さと]へ下[お]りて来[き]ては田畑[たはた]の作物[さくもつ]を荒[あ]らすので、お百姓[ひゃくしょう]たちは弱[よわ]り果[は]てていました。♠<斑鳩[いかるが]の里[さと]〉斑鳩[いかるが]の里[さと]にある法隆寺[ほうりゅうじ]は、日本[にっぽん]最古[さいこ]の木造[もくぞう]建築物[けんちくぶつ]として名[な]を知[し]られています。♠へ里[さと]へ帰[かえ]る>奉公人[ほうこうにん]たちは、盆[ぼん]と正月[しょうがつ]に休[やす]みをもらって、里[さと]へ帰[かえ]ることを何[なに]よりも楽[たの]しみにしていました。♠〈里[さと]へ帰[かえ]す〉お嫁[よめ]に行[い]って一年[いちねん]もたたないうちに、姉[あね]は病気[びょうき]になり、里[さと]へ帰[かえ]されてきた。♠へお里[さと]が知[し]れる「てめえ」だなんて、そんな乱暴[らんぼう]な言葉[ことば]を使[つか]うとお里[さと]が知[し]れるよ。 **さと・い**(聡い・敏い)○かしこい。頭[あたま]の働[はたら]きや感覚[かんかく]が鋭[するど]い。[文例]〈利[り]にさとい〉利[り]にさとい商人[しょうにん]が、もうけ話[ばなし]をみすみす聞[き]き逃[のが]すはずがない。♠〈目[め]ざとい〉冷蔵庫[れいぞうこ]の中[なか]のケーキを、五歳[ごさい]の子[こ]が目[め]ざとく見[み]つけ出[だ]した。 **さとう**【砂糖】○サトウキビなどから取[と]る甘[あま]い調味料[ちょうみりょう]。[文例]〈砂糖[さとう]を入[い]れる〉ケーキを焼[や]いたのだけれど、砂糖[さとう]を入[い]れすぎたわ。♠〈砂糖[さとう]に群[むら]がるアリ〉まるで砂糖[さとう]に群[むら]がるアリのように、利権[りけん]を求[もと]めて政治家[せいじか]や役人[やくにん]が集[あつ]まってきた。 **さどう**【作動】○機械[きかい]などが動[うご]くこと。[文例]〈機械[きかい]が作動[さどう]する〉このスイッチで工場[こうじょう]内[ない]の機械[きかい]が作動[さどう]します。♠ヘエンジンが作動[さどう]する〉今朝[けさ]のように気温[きおん]が低[ひく]いと、エンジンが作動[さどう]するのに時間[じかん]がかかる。♠へ頭[あたま]が作動[さどう]する〉ぼくの頭[あたま]がいつも通[どお]りに作動[さどう]しないのは、寝不足[ねぶそく]のせいです。 **さと・す**【諭す】○道理[どうり]などがよく分[わ]かるように言[い]い聞[き]かせる。[文例]〈生徒[せいと]を諭[さと]す>先生[せんせい]にあれだけ諭[さと]されたのに、おまえはまだ自分[じぶん]の悪[わる]かったことがわからないのか。♠人心[ひと]得違[こころえちが]いを諭[さと]す〉心得違[こころえちが]いを諭[さと]したら、どうやらその男[おとこ]も納得[なっとく]してくれたようです。♠へ〜ように諭[さと]す〉これ以上[いじょう]迷惑[めいわく]をかけないように諭[さと]しても、オートバイに夢中[むちゅう]の彼[かれ]には馬[うま]の耳[みみ]に念仏[ねんぶつ]だ。♠ヘこんこんと諭[さと]す〉父[ちち]にこんこんと諭[さと]されてから、わたしは授業[じゅぎょう]を一回[いっかい]も休[やす]んでいません。 **さとり**【悟り】○悟[さと]ること。迷[まよ]いを去[さ]って得[え]た真理[しんり]。[例]〈悟[さと]りがはやい〉この子[こ]は悟[さと]りのはやい子[こ]で、親[おや]の心配[しんぱい]ごとにすぐ感[かん]づいてしまいます。♠へ悟[さと]りがいい・悪[わる]い>浮[う]かぬ顔[かお]をして多吉[たきち]がやってくると、悟[さと]りのいいお清[きよ]は、小遣[こづか]いが欲[ほ]しいのだなと思[おも]うのだった。♠〈悟[さと]りを開[ひら]く〉シャカは長[なが]く厳[きび]しい修行[しゅぎょう]の末[すえ]に悟[さと]りを開[ひら]き、仏教[ぶっきょう]をおこした。♠へ悟[さと]りを得[え]る〉断食[だんじき]をしたり、滝[たき]に打[う]たれたりすることで悟[さと]りを得[え]ることができるのですか。♠へ悟[さと]りの境地[きょうち]〉わしぐらいの年[とし]になると、欲[よく]もなくなって、もう悟[さと]りの境地[きょうち]じゃよ。 **さと・る**【悟る】○迷[まよ]いを去[さ]って真理[しんり]を得[え]る。理解[りかい]する。見抜[みぬ]く。気[き]づく。感[かん]づく。[例]青年[せいねん]は、人生[じんせい]が甘[あま]いものでないことを悟[さと]った。♠〈真理[しんり]を悟[さと]る〉お釈迦様[しゃかさま]が真理[しんり]を悟[さと]ってその教[おし]えを広[ひろ]めようとしたのは、もう二千年[にせんねん]以上[いじょう]も前[まえ]のことだ。♠へ極意[ごくい]を悟[さと]る〉宮本武蔵[みやもとむさし]は、苦[くる]しい修行[しゅぎょう]から剣[けん]の極意[ごくい]を悟[さと]って、名高[なだか]い二刀流[にとうりゅう]をあみだした。♠へ悟[さと]ったような口[くち]をきく〉あの人[ひと]は、まだ若[わか]いのに、まるで悟[さと]ったような口[くち]をきく。♠〈死期[しご]を悟[さと]るゾウは自分[じぶん]の死期[しご]を悟[さと]ると、群[む]れから離[はな]れていくという。♠へ意味[いみ]を悟[さと]る〉病[やまい]に倒[たお]れて、人[ひと]は初[はじ]めて健康[けんこう]の真[まこと]の意味[いみ]を悟[さと]る。♠へだまされたと悟[さと]る〉その男[おとこ]にだまされたと悟[さと]ったのは、金[かね]を取[と]られたあとのことだった。♠へ悟[さと]られないように〉ぼくは、彼女[かのじょ]に悟[さと]られないように、用心深く[ようじんぶか]あとをつけてみた。 **さながら**○まるで。あたかも。[文例]〈さながら〜のよう〉子供[こども]のころの姉[あね]は色白[いろじろ]で愛[あい]くるしく、さながらフランス人形[にんぎょう]のようでした。♠へさながら〜を思[おも]わせる〉逃[に]げまどう人[ひと]で混乱[こんらん]した火災[かさい]現場[げんば]は、さながら戦場[せんじょう]を思[おも]わせるすさまじさでした。♠〈地獄絵[じごくえ]さながら>爆発[ばくはつ]現場[げんば]では、地獄絵[じごくえ]さながらのむごたらしい光景[こうけい]が繰[く]り広[ひろ]げられました。♠へさながら〜のまま二百[にひゃく]年[ねん]もたったのに、民家[みんか]の内部[ないぶ]はさながら昔[むかし]のままで、当時[とうじ]の人々[ひとびと]の生活[せいかつ]がしのばれます。 **さば**(鯖)○近海魚[きんかいぎょ]の名[な]。[文例]〈さばの生[い]き腐[ぐさ]れ〉さばの生[い]き腐[ぐさ]れといって、魚[さかな]の中[なか]でも特[とく]にさばはいたみがはやいのです。♠くさばをよむ三日[みっか]でできる仕事[しごと]だったが、さばをよんで一[いっ]週間[しゅうかん]はかかると言[い]っておいた。 **さばく**【砂漠】(沙漠)○雨量[うりょう]が少[すく]なく、植物[しょくぶつ]がほとんど育[そだ]たない砂[すな]や岩[いわ]だけの広大[こうだい]な地域[ちいき]。[文例]〈月[つき]の砂漠[さばく]〉〈砂漠[さばく]を越[こ]える〉お姫様[ひめさま]を乗[の]せたラクダが、月[つき]の砂漠[さばく]をはるばると越[こ]えていきました。♠〈砂漠[さばく]のよう〉この娘[むすめ]との出会[であ]いは、男[おとこ]にとって、砂漠[さばく]のような大都会[だいとかい]でオアシスを見[み]つけたにひとしかった。 **さばく**【裁く】○争[あらそ]い・訴訟[そしょう]に対[たい]して理非[りひ]を決定[けってい]する。裁判[さいばん]する。[文例]〈人[ひと]を裁[さば]く〉外交官[がいこうかん]には、他国[たこく]で罪[つみ]を犯[おか]してもその国[くに]の法律[ほうりつ]で裁[さば]かれないという特権[とっけん]があります。♠へけんかを裁[さば]く>兄弟[きょうだい]げんかを裁[さば]くのには、けんか両成敗[りょうせいばい]がいちばんだ。♠へ争[あらそ]いを裁[さば]く〉争[あらそ]いを裁[さば]くには、両者[りょうしゃ]の言[い]い分[ぶん]をよく聞[き]かなければならない。♠へ訴訟[そしょう]を裁[さば]く〉白州[しらす]は江戸[えど]時代[じだい]に訴訟[そしょう]を裁[さば]いたり、罪人[つみびと]を問[と]いただしたりした場所[ばしょ]です。 **さば・く**(捌く)○解[と]き分[わ]ける。手[て]で上手[じょうず]に扱[あつか]う。うまく処理[しょり]する。ばらばらにする。商品[しょうひん]を売[う]る。[文例]〈紙[かみ]をさばく〉紙[かみ]をさばいて、複写機[ふくしゃき]の紙入[かみい]れにセットした。♠◇鳥[とり]をさばく>やきとり屋[や]の裏[うら]では、主人[しゅじん]が鳥[とり]をさばいていた。♠人[ひと]手綱[たづな]をさばく〉四頭[よんとう]立[だ]ての馬車[ばしゃ]となれば、手綱[たづな]をさばくのも大変[たいへん]だ。♠へ渋滞[じゅうたい]をさばく>交通[こうつう]警官[けいかん]が出動[しゅつどう]して、車[くるま]の渋滞[じゅうたい]をさばいている。♠へいざこざをさばく〉町人[ちょうにん]どうしのいざこざをお役人[やくにん]がさばいていった。♠へ仕事[しごと]をさばく〉休暇[きゅうか]明[あ]けの山本[やまもと]さんは、山[やま]のようにたまった仕事[しごと]を次々[つぎつぎ]にさばいていった。♠へ商品[しょうひん]をさばく〉暑[あつ]いうちに夏物[なつもの]をさばいてしまわないと、どっさり在庫[ざいこ]をかかえることになる。♠へ売[う]りさばく>路上[ろじょう]に店[みせ]を広[ひろ]げた八百屋[やおや]は、あっというまに野菜[やさい]を売[う]りさばいた。 **さば・ける**(捌ける)○解[と]き分[わ]かれる。売[う]れる。はける。物[もの]わかりがいい。ざっくばらんでこだわらない。[文例]〕〈商品[しょうひん]がさばける〉海水浴[かいすいよく]の時期[じき]には、浮[う]き袋[ぶくろ]やビーチボールが日[ひ]に五十個[ごじゅっこ]はさばける。 <416> ♠〈さばけた気性[きしょう]>五十[ごじゅう]を過[す]ぎていたが、さばけた気性[きしょう]の女[おんな]だったから、若[わか]い男[おとこ]の客[きゃく]も多[おお]かった。 **さばさば**さっぱりしているさま。さばけているさま。すっきりするさま。[文例]〈さばさばする〉前[まえ]からテレビは好[す]きじゃなかったんだ、壊[こわ]れてくれたんでさばさばしたよ。♠〈さばさばした気分[きぶん]>胸[むね]につかえていた心配[しんぱい]ごとがかたづいて、さばさばした気分[きぶん]です。♠へさばさばした表情[ひょうじょう]〉相手[あいて]に自分[じぶん]の気持[きも]ちを打[う]ち明[あ]けたよと、彼[かれ]はさばさばした表情[ひょうじょう]でもどって来[き]た。 **さはんじ**【茶飯事】○よくあること。ありふれたこと。[例]〈日常[にちじょう]茶飯事[さはんじ]〉血気[けっき]盛[さか]んな男[おとこ]たちが五人[ごにん]も寝泊[ねと]まりを同[おな]じくするのだから、けんか騒[さわ]ぎなど日常[にちじょう]茶飯事[さはんじ]であった。 **さび**(錆・銹)○金属[きんぞく]の表面[ひょうめん]が空気[くうき]や水[みず]に触[ふ]れてできる酸化物[さんかぶつ]。悪[わる]い結果[けっか]。正常[せいじょう]な働[はたら]きを損[そこ]なうもの。[文例]くさびがつく〉庭[にわ]にほったらかしにしておいたら、自転車[じてんしゃ]にさびがついてしまった。♠へさびを落[お]とす〉使[つか]ったあとはよく手入[てい]れをして、さびを落[お]としておこう。♠へさびをとる〉金属[きんぞく]にペンキを塗[ぬ]るときは、まず、さびをとってからにしなさい。♠〈さびを止[と]める〉車[くるま]のさびを止[と]めるのに何[なに]かいいものはないだろうか。♠ヘ刀[かたな]のさび〉無礼者[ぶれいもの]め、刀[かたな]のさびにしてくれるぞ。♠〈頭[あたま]のさび〉母[はは]は、頭[あたま]のさびを落[お]とさなければと、公民館[こうみんかん]の歴史[れきし]講座[こうざ]に通[かよ]っている。♠へ身[み]から出[で]たさび〉宿題[しゅくだい]を忘[わす]れて、一時間[いちじかん]目[め]から立[た]たされたけれど、身[み]から出[で]たさびだからしかたがない。 **さびし・い**【寂しい】(淋しい)○孤独[こどく]である。心細[こころぼそ]い。ひっそりしている。ものがなしい。もの足[た]りない。[文例]〈寂[さび]しい気[き]>近所[きんじょ]のおしゃべりおばさんはうるさいけれど、五日[いつか]も顔[かお]を見[み]せないと、なんとなく寂[さび]しい気[き]がする。♠へ寂[さび]しい顔[かお]>ひょっとこのお面[めん]は思[おも]わず吹[ふ]き出[だ]したくなるようにこっけいだが、どこか寂[さび]しい顔[かお]つきだ。♠ヘ寂[さび]しい老後[ろうご]〉最近[さいきん]はひとりで寂[さび]しい老後[ろうご]を送[おく]っている老人[ろうじん]が多[おお]くなった。♠寂[さび]しい思[おも]い〉クラスのみんなから仲間[なかま]はずれにされて、このところ寂[さび]しい思[おも]いをしている。♠へ寂[さび]しく笑[わら]う>恋人[こいびと]と別[わか]れた兄[あに]は、彼女[かのじょ]からもらった手紙[てがみ]を見[み]て、寂[さび]しく笑[わら]っていた。4〈寂[さび]しい人間[にんげん]〉人間[にんげん]を信用[しんよう]しないあの人[ひと]は、寂[さび]しい人間[にんげん]だと思[おも]う。♠へ寂[さび]しい山奥[やまおく]〉人里[ひとざと]離[ばな]れた寂[さび]しい山奥[やまおく]に、木[き]こりの小屋[こや]があった。♠〈口[くち]がさびしい〉たばこをやめた父[ちち]は、口[くち]がさびしいのか、ガムをかんだり、あめをなめたりしている。♠へ懐[ふところ]がさびしい〉給料日[きゅうりょうび]の前[まえ]なので、懐[ふところ]がさびしい。 **さびしさ**【寂しさ】(淋しさ)○寂[さび]しいこと。『さびしい[文例]〈寂[さび]しさを感[かん]じる〉夏[なつ]が終[お]わりに近[ちか]づくと、妙[みょう]に寂[さび]しさを感[かん]じるのはなぜだろう。♠へ寂[さび]しさに耐[た]えかねる〉おばあさんは、田舎[いなか]の一人[ひとり]暮[ぐ]らしの寂[さび]しさに耐[た]えかねて、とうとう東京[とうきょう]に出[で]てきました。♠へ寂[さび]しさを増[ま]す〉秋[あき]の終[お]わりの花壇[かだん]は寂[さび]しさを増[ま]すばかりだ。♠幾[いく]山河[やまかわ]越[こ]えさり行[ゆ]かば寂[さび]しさのはてなむ国[くに]ぞ今日[きょう]も旅[たび]ゆく(若山牧水[わかやまぼくすい])♠学問[がくもん]のさびしさに堪[た]へ炭[すみ]をつぐ(山口[やまぐち]誓子[せいし]) **さびつく**(錆付く)○金属類[きんぞくるい]にさびが出[で]る。さびて、くっつく。腕前[うでまえ]や能力[のうりょく]がおとろえる。[文例]〈刀[かたな]がさびつく〉侍[さむらい]は刀[かたな]がさびつかないよう、ふだんから丹念[たんねん]に手入[てい]れをする。♠ヘナイフがさびつく〉洞[どう]くつの中[なか]で拾[ひろ]ったさびついたナイフの柄[え]には、H・Sのイニシャルが彫[ほ]ってあった。♠ヘブレーキがさびつく〉ブレーキがさびついていやな音[おと]がするなら、油[あぶら]を差[さ]してみたら。 **ざひょう**【座標】○点[てん]の位置[いち]を、数値[すうち]または数値[すうち]の組[く]み合[あ]わせで示[しめ]したもの。[文例]〈横軸[よこじく]と縦軸[たてじく]からなる座標[ざひょう]〉社会[しゃかい]という横[よこ]の軸[じく]と、個人[こじん]という縦[たて]の軸[じく]からなる座標[ざひょう]に自分[じぶん]をすえて、人生[じんせい]の意義[いぎ]を考[かんが]えてみよう。♠へ座標[ざひょう]とする〉何[なに]を座標[ざひょう]として、青春[せいしゅん]のあのころを過[す]ごしていたのだろうか。♠〈心[こころ]の座標[ざひょう]>信[しん]じていたものに裏切[うらぎ]られた時[とき]、わたしは心[こころ]の座標[ざひょう]を失[うしな]いかけました。♠〈座標軸[ざひょうじく]>労働者[ろうどうしゃ]詩人[しじん]の彼[かれ]は、家族[かぞく]の生活[せいかつ]と自己[じこ]の詩的[してき]関心[かんしん]を座標軸[ざひょうじく]として創作[そうさく]を行[おこな]ってきた。 **さ・びる**(錆びる)○さびがつく。さびが出[で]る。機能[きのう]しなくなる。[文例]〈自転車[じてんしゃ]がさびる〉ちゃんと手入[てい]れしていなかったので、自転車[じてんしゃ]がさびてしまいました。♠くさびた音[おと]>何年[なんねん]も使[つか]われていなかったのか、鉄[てつ]の扉[とびら]はさびた音[おと]をたてて開[ひら]いた。 **さび・れる**【寂れる】○活気[かっき]がなくなり、ひっそりする。すたれる。[文例]〈村[むら]が寂[さび]れる〉都会[とかい]へ出[で]て行[い]く若者[わかもの]が増[ふ]え、村[むら]は寂[さび]れていくばかりです。♠へ店[みせ]が寂[さび]れる〉何年[なんねん]か前[まえ]まで若者[わかもの]に大人気[だいにんき]だった店[みせ]も、今[いま]はすっかり寂[さび]れてしまった。♠〈見[み]る影[かげ]もなく寂[さび]れる〉かつてのにしん漁場[ぎょば]も今[いま]は見[み]る影[かげ]もなく寂[さび]れていた。 **さべつ**【差別】○扱[あつか]い方[かた]に差[さ]をつけこと。また、その差[さ]。[文例]<差別[さべつ]と偏見[へんけん]〉後[あと]から来[き]た開拓者[かいたくしゃ]たちは、先住[せんじゅう]民族[みんぞく]に対[たい]して差別[さべつ]と偏見[へんけん]をもつことも多[おお]かった。♠く差別[さべつ]をなくす〉彼[かれ]は、肌[はだ]の色[いろ]による差別[さべつ]をなくすための運動[うんどう]をずっと続[つづ]けてきた。♠人[ひと]差別[さべつ]をつける〉祖父[そふ]は、兄[あに]とぼくに差別[さべつ]をつけずにお小遣[こづか]いをくれる。♠〈身分[みぶん]の差別[さべつ]〉武士[ぶし]と町人[ちょうにん]のあいだには、厳然[げんぜん]たる身分[みぶん]の差別[さべつ]があった。♠〈男女[だんじょ]の差別[さべつ]なく〉この会社[かいしゃ]は、男女[だんじょ]の差別[さべつ]なく人員[じんいん]を採用[さいよう]するという。♠〈差別[さべつ]する>すべて日本[にっぽん]の国民[こくみん]は、法[ほう]の下[もと]に平等[びょうどう]であり、人種[じんしゅ]、信条[しんじょう]、性別[せいべつ]などによって差別[さべつ]されることはない。 **さほう**【作法】○物事[ものごと]を行[おこな]う方法[ほうほう]。日常[にちじょう]のふるまいの正[ただ]しい方法[ほうほう]。決[き]まったやり方[かた]。[文例]〈食事[しょくじ]の作法[さほう]〉〈作法[さほう]を教[おし]える〉小[ちい]さいころから祖母[そぼ]に食事[しょくじ]の作法[さほう]を教[おし]え込[こ]まれました。♠〈作法[さほう]にかなう〉お茶[ちゃ]にもお花[はな]にも、それぞれ作法[さほう]にかなったやり方[かた]があります。♠〈作法[さほう]にのっとる〉姉[あね]の結納[ゆいのう]の儀[ぎ]は、作法[さほう]にのっとって型通[かたどお]りにとり行[おこな]われた。♠へ作法[さほう]を知[し]らない〉道[みち]ですれ違[ちが]ってもあいさつもしない、まったく作法[さほう]を知[し]らないやつだな。♠へ作法[さほう]が厳[きび]しい〉作法[さほう]の厳[きび]しい旧家[きゅうか]に育[そだ]った祖母[そぼ]は、父[ちち]たちのしつけにもなにかとうるさかったそうです。♠へ行儀[ぎょうぎ]作法[さほう]〉武道[ぶどう]では、技[わざ]をみがくことだけでなく、正[ただ]しい行儀[ぎょうぎ]作法[さほう]を身[み]につけることも要求[ようきゅう]されます。♠〈小説[しょうせつ]・詩[し]の作法[さほう]〉小説[しょうせつ]とか詩[し]にも、独特[どくとく]の作[つく]り方[かた]、つまり作法[さほう]というようなものがあるのでしょうか。 **さほど**(然程)○それほど。たいして。[文例]五年前[ごねんまえ]と比[くら]べて、さほど変[か]わった所[ところ]はなかった。♠わたしは、太[ふと]っていることをさほど気[き]にしていません。 <417> ♠映画[えいが]は、さほどおもしろくなかった。 **サボ・る**なまける。ずる休[やす]みする。サボタージュする。[文例]〈仕事[しごと]をサボる〉今日[きょう]は仮病[けびょう]をつかって仕事[しごと]をサボり、一日[いちにち]中[じゅう]ねていた。♠く掃除[そうじ]をサボる〉二、三日[さんち]部屋[へや]の掃除[そうじ]をサボったら、ほこりだらけになってしまった。♠へ練習[れんしゅう]をサボる〉練習[れんしゅう]をサボってばかりいると、下級生[かきゅうせい]に追[お]いぬかれるぞ。 **さま**【様】○様子[ようす]。ありさま。姿[すがた]かたち。言葉[ことば]の後[あと]に付[つ]けて敬意[けいい]・丁寧[ていねい]を表[あらわ]す語[ご]。[文例]〈風[かぜ]に吹[ふ]かれる様[さま]〉絵[え]には、柳[やなぎ]の枝[えだ]が風[かぜ]に吹[ふ]かれて流[なが]れる様[さま]が描[えが]かれていた。♠く様[さま]になる〉和服[わふく]など着[き]たことのない彼女[かのじょ]は、まるで様[さま]にならなかった。♠〈お[お]客[きゃく]様[さま]〉お[お]客[きゃく]様[さま]の田中[たなか]様[さま]、いらっしゃいましたら正面[しょうめん]入口[いりぐち]までおこしください。♠へごちそうさま〉ごはんを食[た]べ終[お]わると、子供[こども]たちは、ごちそうさまも言[い]わないで飛[と]び出[だ]していった。♠へおたがいさま〉きみにも不満[ふまん]はあるだろうけど、ぼくだって得[とく]をしたわけではないので、おたがいさまだね。♠へお待[ま]ち遠[どう]さま〉お待[ま]ち遠[どう]さま、道路[どうろ]が込[こ]んでいたので、すっかり遅[おく]くなりました。 **さまざま**【様様】○いろいろであるさま。多様[たよう]。種々[しゅじゅ]。[文例]〈様々[さまざま]な経験[けいけん]>若[わか]いきみたちは、これから様々[さまざま]な経験[けいけん]を積[つ]んで成長[せいちょう]していくことでしょう。♠へ様々[さまざま]な方法[ほうほう]〉人間[にんげん]は昔[むかし]から様々[さまざま]な方法[ほうほう]で川[かわ]を利用[りよう]し、川[かわ]に頼[たよ]って生[い]き続[つづ]けてきた。♠<様々[さまざま]な問題[もんだい]>経済[けいざい]の高度[こうど]成長[せいちょう]をとげてきた日本[にっぽん]にも、様々[さまざま]な問題[もんだい]が山積[さんせき]している。♠へ様々[さまざま]な願[ねが]い〉七夕[たなばた]の夜[よる]、人々[ひとびと]は様々[さまざま]な願[ねが]いごとを書[か]いた短冊[たんざく]を竹[たけ]につるします。♠〈様々[さまざま]に変化[へんか]する〉冠婚葬祭[かんこんそうさい]のしきたりも、時代[じだい]により、地方[ちほう]により、様々[さまざま]に変化[へんか]している。♠へ心[こころ]が様々[さまざま]〉顔[かお]が一人一人[ひとりひとり]違[ちが]うように、人[ひと]の心[こころ]も様々[さまざま]で、他人[たにん]の気持[きも]ちを理解[りかい]するのは、ほんとうに難[むずか]しいことだ。♠〈大小[だいしょう]様々[さまざま]>学校[がっこう]の建物[たてもの]は生徒数[せいとすう]によって大小[だいしょう]様々[さまざま]だが、どれも形[かたち]が似[に]ている。♠〈色[いろ]様々[さまざま]>呉服屋[ごふくや]の店先[みせさき]には、色[いろ]様々[さまざま]な反物[たんもの]が飾[かざ]られていた。 **さま・す**【覚ます】(醒ます)○眠[ねむ]りをさめさせる。正気[しょうき]にもどす。酔[よ]いをなくする。[文例]〈目[め]を覚[さ]ます〉あんな大[おお]きな地震[じしん]でも目[め]を覚[さ]まさなかったなんて、きみはたいしたやつだな。♠へ眠[ねむ]り・眠気[ねむけ]を覚[さ]ます>幕末[ばくまつ]、外国船[がいこくせん]の来航[らいこう]で、「泰平[たいへい]の眠[ねむ]りを覚[さ]ますじょうきせん、たった四[よ]はいで夜[よる]も寝[ね]られず」の騒[さわ]ぎになった。♠へ酔[よ]いを覚[さ]ます〉あぶないから、もう少[すこ]し酔[よ]いを覚[さ]ましてから帰[かえ]りなさい。♠へ迷[まよ]いを覚[さ]ます〉少年[しょうねん]たちの迷[まよ]いを覚[さ]ますには、何[なに]よりも時間[じかん]が必要[ひつよう]だった。 **さま・す**【冷ます】○冷[ひ]やす。高[たか]まった感情[かんじょう]・興味[きょうみ]をしずめる。[文例]〈湯[ゆ]を冷[さ]ます〉熱[あつ]いから、フーフーって吹[ふ]いて冷[さま]してから飲[の]みましょうね。♠〈熱[ねつ]を冷[さ]ます〉まだそんなグループを追[お]いかけているの?いいかげんに熱[ねつ]を冷[さま]しなさい。♠へ興奮[こうふん]を冷[さ]ます>観衆[かんしゅう]の興奮[こうふん]を冷[さ]ますように、突然[とつぜん]大粒[おおつぶ]の雨[あめ]が降[ふ]り出[だ]した。 **さまたげ**【妨げ】○さまたげること。さまたげとなるもの。[文例]〈通行[つうこう]の妨[さまた]げ〉通行[つうこう]の妨[さまた]げになるので、道路[どうろ]に自転車[じてんしゃ]を置[お]かないでください。♠〈出世[しゅっせ]の妨[さまた]げ〉家庭[かてい]不和[ふわ]が出世[しゅっせ]の妨[さまた]げとなるような会社[かいしゃ]もあるらしい。♠へ妨[さまた]げをする〉受験[じゅけん]前[まえ]の兄[あに]の勉強[べんきょう]の妨[さまた]げをしてはいけないので、テレビの音[おと]を小[ちい]さくしている。 **さまた・げる**【妨げる】○じゃまをする。妨害[ぼうがい]する。[例]〈進行[しんこう]を妨[さまた]げる〉会議[かいぎ]の進行[しんこう]を妨[さまた]げるような言動[げんどう]は慎[つつ]んでください。♠へ見通[みとお]しを妨[さまた]げる〉街路樹[がいろじゅ]の葉[は]が茂[しげ]り過[す]ぎて、交差点[こうさてん]の見通[みとお]しを妨[さまた]げています。♠へ判断[はんだん]を妨[さまた]げる〉他人[たにん]の意見[いけん]ばかり聞[き]くと、自分[じぶん]で判断[はんだん]することを妨[さまた]げられることがある。♠へ理解[りかい]を妨[さまた]げる〉この国[くに]が数十[すうじゅう]の言語[げんご]を持[も]つ民族[みんぞく]から成[な]ることが民族[みんぞく]同士[どうし]の理解[りかい]を妨[さまた]げていた。♠へ発展[はってん]を妨[さまた]げる〉村[むら]の発展[はってん]を妨[さまた]げるのは、周囲[しゅうい]をとりまく山々[やまやま]と古[ふる]くからの因習[いんしゅう]であったろう。♠〈近代化[きんだいか]を妨[さまた]げる〉魯迅[ろじん]は、中国[ちゅうごく]の独立[どくりつ]と近代化[きんだいか]を妨[さまた]げるものは封建[ほうけん]道徳[どうとく]と農村[のうそん]社会[しゃかい]であると考[かんが]えた。 **さまつ**(瑣末・些末)○さほど重要[じゅうよう]でないこと。とるに足[た]りないさま。些細[ささい]。[文例])重要[じゅうよう]な問題[もんだい]はすべて解決[かいけつ]し、残[のこ]っているのはどうでもよいさまつなことばかりです。♠へさまつ事>さして大事[だいじ]でもないさまつ事[こと]にこだわっているのは、彼[かれ]のいやがらせとしか思[おも]えない。 **さまよ・う**(彷徨う)○あてもなく歩[ある]き回[まわ]る。同[おな]じ所[ところ]にとどまらずに動[うご]く。さすらう。[文例]〈山[やま]の中[なか]をさまよう〉道[みち]に迷[まよ]って、いく日[にち]も山[やま]の中[なか]をさまよった中学生[ちゅうがくせい]が、さいわい無事[ぶじ]に救出[きゅうしゅつ]された。♠〈生死[せいし]の境[さかい]をさまよう〉ぼくは幼[おさな]いころ、はしかをこじらせて何日[なんにち]も生死[せいし]の境[さかい]をさまよい、両親[りょうしん]を心配[しんぱい]させたそうだ。♠〈あてもなくさまよう〉海上[かいじょう]をあてもなくさまよっていた救命[きゅうめい]ボートが発見[はっけん]された。♠へあてどなくさまよう〉ちぎれ雲[くも]が風[かぜ]に誘[さそ]われて漂[ただよ]うように、あてどなくさまよう人生[じんせい]を送[おく]ってみたいと思[おも]う。♠へ幻覚[げんかく]の世界[せかい]をさまよう〉患者[かんじゃ]は、幻覚[げんかく]の世界[せかい]をさまよって、訳[わけ]のわからない言葉[ことば]を口[くち]ばしっていた。 **さみし・い**♪さびしい **さむ・い**【寒い】○気温[きおん]が低[ひく]く、冷[ひ]ややかに感[かん]じられる。。乏[とぼ]しい。貧弱[ひんじゃく]だ。心細[こころぼそ]い。ぞっとする。[文例]雪[ゆき]もちらついて、こんなに寒[さむ]いので、コートなしではいられない。♠寒[さむ]い地方[ちほう]〉〈寒[さむ]い時期[じき]>寒[さむ]い地方[ちほう]へは寒[さむ]い時期[じき]に行[い]ってこそというわけで、一月末[いちがつまつ]に津軽[つがる]へ出[で]かけた。♠〈懐[ふところ]が寒[さむ]い〉月末[げつまつ]はいつも予算[よさん]オーバーで懐[ふところ]が寒[さむ]くなる。♠へ背筋[せすじ]の寒[さむ]くなる思[おも]い>踏切[ふみきり]のそばで小[ちい]さな子供[こども]が遊[あそ]んでいるのを見[み]て、背筋[せすじ]の寒[さむ]くなる思[おも]いがした。♠へお寒[さむ]い限[かぎ]り〉福祉[ふくし]国家[こっか]といいながら、実際[じっさい]にはこの程度[ていど]の予算[よさん]なのだから、お寒[さむ]い限[かぎ]りだ。♠〈心胆[しんたん]を寒[さむ]からしめる〉大国[たいこく]では、自国民[じこくみん]の心胆[しんたん]を寒[さむ]からしめるほどの新兵器[しんへいき]を開発[かいはつ]している。♠ヘうそ寒[さむ]い>長[なが]いつき合[あ]いの人[ひと]と別[わか]れたら、住[す]んでいる街[まち]までがうそ寒[さむ]く感[かん]じられてきた。 **さむけ**【寒気】○寒[さむ]い感[かん]じ。ぞくっとする気持[きも]ちの悪[わる]い寒[さむ]さ。悪寒[おかん]。『[文例]〈寒気[さむけ]がする〉朝[あさ]からなんとなくだるかったのだが、午後[ごご]になると寒気[さむけ]がして熱[ねつ]が出[で]てきた。♠〈寒気[さむけ]がする〉あのまま車[くるま]を直進[ちょくしん]させていたらと、想像[そうぞう]するだけで寒気[さむけ]がします。♠へ寒気[さむけ]を感[かん]じる〉外[そと]に出[で]たとたん寒気[さむけ]を感[かん]じて思[おも]わずコートのえりを立[た]てた。♠〈寒気[さむけ]が襲[おそ]う〉発作[ほっさ]が起[お]こると、下腹部[かふくぶ]の痛[いた]みとともに激[はげ]しい寒気[さむけ]が襲[おそ]ってきた。 <418> **さむさ【寒さ】** ○寒いこと。また、その程度。[文例]〈寒さを防ぐ〉冬寒いときには、オーバーなどを着て寒さを防ぎます。♠〈寒さをしのぐ〉寒さをしのぐには、温かいおしるこがいい。♠〈寒さが厳しい〉ここは雪が多く、寒さの厳しい土地です。♠へ寒さがゆるむ〉寒さもようやくゆるみ始め、ちらほらと緑が見られるようになった。♠〈寒さに見まわれる〉二月になって本格的な寒さに見まわれ、今日は最高気温が零下[れいか]三度だった。 **さむざむ【寒寒】** ○いかにも寒そうなさま。心が冷えるような感じ。[文例]〈寒々とする>寒々とした冬の夜、靴下もはかずにふるえている一人の女の子がいました。♠へ寒々する〉テレビも冷蔵庫もなく机が一つあるだけで、部屋は寒々としている。♠〈寒々とした孤独>老人の背中には、どこか人を寄せつけない冷たさと寒々とした孤独がみなぎっていた。♠〈寒々しい気持ち〉決して他人を信じるなというその男の話を聞いて、ぼくは寒々しい気持ちになりました。 **さむぞら【寒空】** ○冬の寒い空。寒い天候。[文例]おい、こいつらを、よろしく頼むぜ、そんな気持で振り仰げば、寒空のなか、のっそり突っ立っている富士山(………………)(太宰治「富嶽[ふがく]百景[ひゃっけい]」)♠悪いやつにだまされて、この寒空に泣いている人間も多かろう。 **さむらい【侍】** ○武士。気骨のある人。[例]屋敷[やしき]の周りには二本の刀を差した侍が大勢集まってきた。♠豊臣秀吉[とよとみひでよし]が農民の小せがれから侍になり、そして天下を取ったことはよく知られています。♠〈現代の侍〉この高度な情報化社会を生きぬくビジネスマンこそ現代の侍だ。♠へたいした侍>自分が正しいと思ったら上司にも食ってかかるんだもの、まったくあいつはたいした侍だよ。 **さ・める【覚める】(醒める)** ○めざめる。正気にもどる。酔いがしずまる。[文例]〉〈目が覚める〉朝は小鳥のさえずりで目が覚めます。♠へ昼寝[ひるね]から覚める>昼寝から覚めたときには、窓の外はもう薄暗かった。♠へ目の覚めるような美しさ〉雪の山々を背にして、氷に覆[おお]われた湖は、目の覚めるような美しさだった。♠〈目が覚める〉ぼくをなぐりながら泣いている父の涙[なみだ]を見て、はじめて目が覚める思いだった。♠へ悪い夢から覚める>不良少年だった彼も、悪い夢から覚めたように、まじめに学校に行き出したようだ。♠へ寝ても覚めても〉兄は、いよいよせまった大学受験のことで、寝ても覚めても頭の中がいっぱいらしい。♠〈酔いが覚める〉ゆうべ飲みすぎたせいか、まだ、酔いが覚めない。 **さ・める【冷める】** ○冷える。高まった感情や興味がしずまる。[文例]〈湯が冷める〉おふろの湯が冷めないうちに早く入ってしまいなさいよ。♠ご飯が冷める〉呼ばれたら、すぐに来なさい、ご飯が冷めてしまいますよ。♠〈百年の恋が冷める〉彼女のみみずがはったような字を見せられて、百年の恋も冷める思いだった。♠へ熱が冷める>弟はプラモデル作りに凝[こ]っていたが、すっかり熱が冷めたようで、今は触りもしない。♠へほとぼりが冷める〉泥棒は、ほとぼりが冷めるまで盗んだお金を隠しておこうと思った。♠へ興が冷める〉ロマンチックな映画に見入っていたところが、突然[とつぜん]の子供の泣き声で、すっかり興が冷めた。♠へ興奮が冷める〉運動会の興奮が冷めて一息つくと、体のふしぶしが痛くなってきた。♠へ冷めた目〉彼は、いつもどこか冷めた目で、周囲の人々や自分を見つめている。♠〈熱しやすく冷めやすい〉次々に新しい事に手を出す彼は、熱しやすく冷めやすい男だと言われている。 **さ・める(褪める)** ○色があせる。[例]〈色がさめる〉気に入っていたこのシャツも、何回も洗ったので、すっかり色がさめてしまった。 **さも(然も)** ○いかにも。そのようにも。[例]風船を買ってもらった子は、さもうれしくてたまらないというように、飛び跳ねていた。♠へさもおかしそうに〉どぶに落ちてびしょぬれになったぼくを見て、みんなはさもおかしそうに笑った。♠へさも大事そうに〉姉は、買ってきた包みをさも大事そうに開け、おいしそうな石焼きいもを取り出した。◆くさもあたりまえ〉兄は、自分の物を貸すのはいやがるくせに、ぼくの物は、さもあたりまえのような顔をして使う。♠へさもあろう〉彼の話に、皆[みな]はさもあろうと、うなずいて聞きいっていた。 **さもし・い** ○あさましい。いやしい。みすぼらしい。[文例]〈さもしいこと〉いくら貧しくても、他人にあわれみを乞[こ]うようなさもしいことはできなかった。♠〈さもしい男〉お金のためならなんでもやるなんて、本当にさもしい男だ。♠〈さもしい根性〉他人の失敗を心待ちにするような、そんなさもしい根性で大成するわけがない。 **さや(鞘・莢)** ○マメ科の植物の種をおおっている殻。刀剣の身を入れる筒形のおおい。価格・利率などの差額。[文例]〈豆のさや〉時がたつと、さやが裂けて中から勢いよくインゲンマメがはじけ出た。♠〈刀のさや〉殿様[とのさま]はさやから刀を抜いて、庭に降り立ちました。♠〈さやに収める〉侍[さむらい]は刀をさやに収めると、何事もなかったように歩き始めた。♠へさやを払う〉下人[げにん]は、老婆[ろうば]をつき放すと、いきなり、太刀の鞘を払って、白い鋼[はがね]の色をその眼の前へつきつけた。(芥川龍之介「羅生門[らしょうもん]」)◆〈元のさやに戻る>別居中だった姉夫婦も仲直りして、やっと元のさやに戻りました。♠へさやを取る〉男は、百姓が持ち込むどじょうを町の小料理屋へおろすことでさやを取り、細々と暮らしていた。 **さやあて(鞘当て)** ○意地を張り合うこと。一人の女をめぐって二人の男が争うこと。[文例]〈さや当てが起こる〉がんこな古株[ふるかぶ]の者と生意気な新米[しんまい]の間に、さや当てが起こることもあった。♠〈恋のさや当て>男好きのする女だったから、お延[のぶ]をめぐって男たちの中に恋のさ当てもあったと聞く。 **さやか(清か・明か)** ○明るく澄んでいるさま。はっきりしているさま。[文例]〈星がさやか>星のさやかな夜の町を、ぼくたちはどこまでも歩いていった。♠〈月影[つきかげ]さやか>黒く天をおおっていた雲も消え、月影はさやかに池のほとりを照らしている。 <419> **さゆう**【左右】○右と左。両わき。そば。側近。立場を明確にしないこと。支配すること。思うようにすること。[文例]〈頭の左右〉魚はふつう、頭の左右に一対の目を持っているが、ある種の深海魚のように目のないものもある。♠〈左右に分ける〉彼女は長い髪を左右に分けて編んでいた。♠〈左右を確認する〉道路を渡るときには、左右をよく確認してから横断しましょう。♠〈左右に従える〉けん牛星は、左右に小さい星を従えて一文字をえがいている。♠〈左右に揺れる〉救急車のサイレンがとどろき、広場の人の波が左右に揺れ、大混乱になった。♠〈言を左右にする〉彼はこの事件について言を左右にして、はっきりしたことは言わず、責任を逃[のが]れようとした。♠〈人生を左右する〉本との出会いは、人との出会いと似て、人生を左右することもある。♠〈左右対称〉人間の顔は、必ずしも左右対称ではない。 **ざゆう**【座右】○身近なところ。身辺。[文例]〈座右に呈する〉いずれ歌集一巻を成した折には、貴下の座右に呈する所存です。♠〈座右の書〉高校生にもなれば、機会あるごとに読み返す座右の書を一冊は持ちたいものだ。♠〈座右の銘[めい]〉いつもかけ声だけで終わるきみは、「不言実行」を座右の銘にするがいい。 **さよう**【左様】(然様)○そのよう。そのとおり。[文例]明日朝六時に駅前に集合ですと、お父さまにはさようお伝えください。♠〈さような人〉石川さんですか、さような人はこの辺りには住んでいませんが。♠〈さようなこと〉不満があれば言えとのお言葉ですが、さようなことはございません。♠〈さようでございます〉「本当に主人は出かけたのだな。」「はい、さようでございます。」 **さよう**【作用】○ある力が働いて、他に影響を与えること。また、その力の働き。[文例]〈自然の作用〉日本の平野は、川の力をはじめ、自然の作用でできあがったものが多い。♠〈作用がある〉この薬には、眠くなる作用があるので、運転前の服用は避けてください。♠〈動作や作用〉「回る」や「回す」のように、動作や作用などを表す言葉を動詞という。♠〈作用する〉てこを使って物を動かすとき、力を加える点を力点、その力が物に作用するところを作用点という。♠〈アルコールが作用する〉アルコールが作用したのか、急に歌い出したくなった。♠〈気持ちが作用する〉ぼくがうそをついたのは、彼女によく思われたいという気持ちが作用していたからだ。 **さようなら** さよなら **さよなら** ○別れる時のあいさつの言葉。別れること。それで終わりとなるもの。[文例]「さよなら。また、あしたね。」くみことよしこは手を振って別れました。♠〈さよならする〉昨日ここで、いままでつきあった彼とさよならしたの。♠〈仕事とさよなら〉もうこんないやな仕事とはさよならだ。♠〈さよなら公演〉結婚して引退する女性歌手のさよなら公演が行われます。♠〈さよならホームラン〉九回の裏にさよならホームランが飛び出した。 **さら**【皿】○浅くて平たい食器。また、それに似た形をしているもの。[文例]〈皿に盛る〉今日のおやつは、きれいな皿に盛ったいちごと、わたしの大好物のホットケーキだ。♠〈皿を割る〉台所仕事を手伝ってくれるのはいいけど、お皿を割らないように注意してね。♠〈皿を洗う〉お料理は大好き、でも、お皿を洗うのはきらい。♠〈ひざの皿〉階段を上がるとき、つまずいてひざの皿を打った。♠〈かっぱの皿〉かっぱの頭の上の皿には、いつも水が蓄[たくわ]えてあるという。♠〈目を皿のようにする〉少年は、目を皿のようにして、せみが脱皮[だっぴ]する姿を見つめていた。♠〈毒を食らわば皿まで〉一度悪事に手をそめたからには、最後までやってしまえということを、「毒を食らわば皿まで」という。 **さら・う**(攫う・浚う) ○底にたまっているものを取り除く。奪い去る。誘拐[ゆうかい]する。復習する。[文例]〈溝をさらう〉家の周りの溝をさらって、つまった落ち葉を取りのぞいた。♠〈えさをさらわれる〉子犬のチロは、カラスにえさをさらわれて、きゃんきゃん鳴いていた。♠〈波にさらわれる〉岸辺[きしべ]の舟が、波にさらわれて、沖[おき]へ流されていった。♠〈子供をさらう〉子供をさらって身の代金を要求する誘拐事件があとをたたない。♠〈人気をさらう〉動物園のコアラが子供たちの人気をさらっていた。♠〈勝ちをさらう〉予想もしなかったチームにあっさりと勝ちをさらわれて、くやしい思いをした。♠〈習ったところをさらう〉いつまでもお正月気分でうかれていないで、三学期が始まる前に習ったところをさらいなさい。 **さらけだ・す**【さらけ出す】(曝け出す)○ありのままを全部出す。すっかり現す。[文例]〈恥をさらけ出す〉人前に一家の恥をさらけ出すようなことはしたくない。♠〈本音をさらけ出す〉本音[ほんね]をさらけ出したら、意外に相手は快く承知してくれた。 **さらしもの**【さらし者】(晒し者)○縛[しば]って人前にさらされる刑を受けた罪人。人前で恥をかかされる人。[文例]〈さらし者にする〉江戸時代には、罪人を縛って引き回し、民衆の前でさらし者にする刑罰[けいばつ]があった。♠〈さらし者になる〉刑場でさらし者になった父の汚名[おめい]をはらさなければなりません。♠昨日の宴会では無理やりマイクを持たされ、とんださらし者だった。♠クラスでただ一人逆上がりができないぼくは、みんなに笑われ、まったくいいさらし者だ。 **さら・す**(晒す)○日光や風雨などに当てる。布などを水や薬品、日光に当てて白くする。人目に触れるようにする。危険の中に身を置く。目を凝らす。[文例]〈風雨にさらす〉駅裏の空き地には、乗り捨てられたまま、風雨にさらされてさびた自転車が何台も積んである。♠〈日にさらす〉日当たりのよい部屋なので、カーテンが強い日にさらされて、色があせてしまった。♠〈姿をさらす〉子供に羽をむしられたちょうが無残な姿をさらしていた。♠〈首をさらす〉江戸[えど]時代には、罪人の首を切って、見せしめのためにさらして置くさらし首の刑罰[けいばつ]があった。♠〈遺体をさらす〉遺体を埋葬[まいそう]せずに、さらしておく風葬[ふうそう]が行われている国もある。♠〈水にさらす〉以前は京都の鴨川[かもがわ]をはじめ、各地の河原[かわら]で、布を川の水にさらすのが見られたものだ。♠〈危険にさらされる〉彼 <420> **さる【猿】** ○サル科の哺乳[ほにゆう]動物の総称。特にニホンザル。ずる賢い人。まねの上手な人。[文例]動物園でボーッと猿山の猿を見ていたら、友達みたいに思えてきた。♠●へ猿も木から落ちる〉猿も木から落ちる。油断してはいけない。♠猿の人まね〉何も考えずにただ他人のまねをしているだけでは、猿の人まねだよ。♠●ヘ猿まね〉三歳の娘までが母親の猿まねをして、お化粧をしようとするのです。♠●〈猿芝居[やすざぶし]〉きみの魂胆はわかっているんだ、下手な猿芝居はやめたまえ。 **さ・る【去る】** ○その場を離れて行く。行ってしまう。隔たる。過ぎる。消える。さかぼる。[文例]〈土地から去る〉村人は、ダム建設で湖底に沈むことになったこの土地から、永久に去らなければならなかった。♠●へ職場を去る〉上司と衝突[しようとつ]して職場を去っていった人がいる。♠●〈世を去る>憲法十七条を制定し、法隆寺[ほうりゆうじ]を建てた聖徳太子[しようとくたいし]は、六二二年に世を去った。♠●く友人が去る〉わたしが事業に失敗したことを知ると、友人たちは一人、また一人と去っていった。♠冬が去る>冬が去っても、雪が深い北国では、四月も終わりにならないと桜[さくら]が咲かない。♠●く痛みが去る〉注射が効いて、おなかの痛みが去ったのか、幼い弟は眠[ねむ]り始めた。♠<危険が去る>爆撃[ばくげき]の危険が去ると、人々はおそるおそる防空ごうから出てきた。♠へ俗念を去る〉山寺にこもって、俗念を去り、静かに座禅[ざぜん]を組んできた。♠●〈今を去る~>紫式部[むらさきしきぶ]が『源氏物語[げんじものがたり]』を著[あらわ]したのは、今を去る千年も昔のことだ。♠◆〈去る三日の夜〉去る三日の夜、長いこと病床[びようしよう]にあった祖父が亡くなりました。♠●へ去る者は追わず〉部をやめる者が多いのに、キャプテンは、「去る者は追わず」と落ち着きはらっている。♠●へ去る者は日々に疎[うと]し>遠く離れると、月日とともに友情も薄[うす]れ、忘れられることを、「去る者は日々に疎し」という。 **さわぎ【騒ぎ】** ○騒ぐこと。騒がしい出来事。騒動。もめごと。[文例]〈騒ぎを起こす〉サッカーの試合で、ひいきのチームが負けて、観客が騒ぎを起こしたらしい。♠◆く騒ぎが静まる〉はしゃぎ回る子供たちの部屋の電灯を九時に消したのだが、それでも騒ぎは静まらなかった。♠◆へ騒ぎに巻き込まれる>五、六人が一人を囲んで乱暴していたが、騒ぎに巻き込まれるのを恐れてだれも助けなかった。♠●へ騒ぎが大きい〉村人たちの騒ぎが大きくなるのを心配した村長は、みんなとよく話し合うことにした。♠へたいへんな騒ぎ〉肝心[かんじん]のきみの姿が見えないので、向こうの会場ではたいへんな騒ぎだよ。♠●へ~どころの騒ぎではない〉この絵が本物のピカソなら、一千万や二千万どころの騒ぎじゃないぞ。♠◆<大騒ぎ〉ドドーンと雷が鳴ると、教室中が上を下への大騒ぎになった。♠●へお祭り騒ぎ〉地元出身の力士が優勝したとかで、町中あげてのお祭り騒ぎであった。♠◆<胸騒ぎ〉なにかよくないことが起こるような胸騒ぎがして、ゆうべは一睡[いつすい]もできなかった。 **さわぎた・てる【騒ぎ立てる】** ○大騒ぎする。騒いで人に知られるようにする。[文例]〈大声で騒ぎ立てる〉大声で騒ぎ立てたら、賊[ぞく]は取ろうとしたかばんをほうり出して逃げていった。♠へ周囲が騒ぎ立てる〉周囲が二人の仲を騒ぎ立てるようになった。♠●〈世間が騒ぎ立てる〉博士の発明を今世紀最大の発明だと世間は騒ぎ立てています。 **さわ・ぐ【騒ぐ】** ○やかましくする。言いはやす。気持ちが落ち着かなくなる。あわてる。にぎやかに遊ぶ。[文例]〈わいわい騒ぐ>野原に捨てられた子猫[ねこ]を囲んで、子供たちがわいわい騒いでいた。♠◆ヘじたばた騒ぐ〉村人たちに取りおさえられたどろぼうは、もうあきらめたように、じたばた騒がなかった。♠●へ大声で騒ぐ〉乗り物の中で大声で騒ぐとみんなの迷惑[めいわく]になるからやめなさい。♠●へ学生が騒ぐ>授業料の値上げに反対して、大勢の学生たちが校庭に集まって騒いでいる。♠●へ飲んで騒ぐ〉久しぶりに飲んで騒いだ次の日は、 **さわがし・い【騒がしい】** ○うるさい。やかましい。騒々しい。穏やかでない。[文例]〈騒がしい物音〉騒がしい物音がして、数人の人が駆け込んで来た。♠●〈表が騒がしい>表が騒がしいから、ちょっと行って見てきなさい。♠辺りが騒がしい辺りの騒がしい様子に、目が覚めてしまった。♠へ騒がしい世の中>飛行機事故が起こったり、爆弾[ばくだん]が爆発[ばくはつ]したり、相変わらず騒がしい世の中だ。 **ざる(笊)** ○竹・針金などを編んで作った容器。ざるそば。抜けが多いもののたとえ。[文例]洗ったじゃがいもは、水を切るためにざるに入れておきます。♠●どじょうをざるですくう安来節[やすぎぶし]の踊りを、きみだって一度くらいは見たことがあるだろう。♠●おそば屋さんにざる三枚とカツ丼五つを注文した。♠◆一試合に六つもエラーしたのでは、チームの内野はざるだとやじられてもしかたがない。 **さらに【更に】** ○その上に。重ねて。ますます。少しも。[文例]この村から、さらに二キロほど海岸沿いに南へ行くと温泉がある。♠●駅の表示板は、平仮名で書かれ、その下に漢字で、さらにローマ字でも表記されています。♠●東京を出発してから一週間後、京都の友人のところで体を休め、さらに旅行を続けた。♠●しばらくすると、雨はさらに激しく降ってきた。♠へさらに〜ない〉あなたは毎日のように忘れ物をして注意を受けているのに、さらに反省の色が見られない。 **さりげな・い(然気ない)** ○何事もないようなさま。なにげない。[文例]〈さりげないしぐさ〉髪をかき上げる彼女のさりげないしぐさがとてもセクシーだ。♠●へさりげない優しさ〉そっと背中に手をまわしていたわってくれた先輩のさりげない優しさがとてもうれしかった。♠●〈さりげなく知らせる〉もうそろそろ出かける時間であることを、母は妹に気づかれないように、さりげなく目で知らせてくれた。♠へさりげなくふるまう〉みんなに心配をかけないように悲しみをこらえてさりげなくふるまっていた。 <421> 二日酔いで頭が痛かった。♠へ世間を騒がせる〉人のうわさも七十五日と言うとおり、去年あんなに世間を騒がせた事件も、今は忘れ去られている。◆へ~問題が騒がれる>近年、公害問題が騒がれて、政府も対策に乗り出してきた。♠へ胸が騒ぐ〉なにか悪いことがあるような予感がして、胸が騒いだ。♠〈血が騒ぐ〉祭りのみこしのかけ声を聞くと、たまらなく血が騒ぎ、外へ飛び出さずにはいられない。 **ざわつく** ざわざわする。ざわめく。[文例]〈木々がざわつく>風が出てきたのか、木々がざわついています。♠へ水面がざわつく>湖面が急にざわつき、不気味な怪獣がぬっと首を出したんだ。♠〈観客がざわつく〉開始時間を過ぎてもショーが始まらないので、観客はざわつき不満をもらし出した。♠へざわついた気分>修学旅行から帰ったあとのざわついた気分は、早く収めるようにしないといけないよ。 **ざわめき** ○ざわめくこと。ざわめく音。♪ざわめく[文例]〈木の葉のざわめき〉木の葉のざわめきを聞きながら、山道を歩き続けました。♠へざわめきが起こる〉新人投手の初登板が発表されると、観客からざわめきが起こった。♠へ世の中のざわめき〉世の中のざわめきをよそに、首相は新しい政策を実行に移していった。 **ざわめく** ざわざわする。ざわつく。[文例]〈木がざわめく>午前二時、家の者は皆寝[ね]静[しず]まっており、外で大木のざわめく音が聞こえるだけだった。♠へ波がざわめく〉少女時代のなつかしい思い出とともに、波のざわめくのが聞こえるようです。♠へ観客がざわめく>予定時刻を三十分すぎてもコンサートは始まらず、しだいに観客はざわめき出しました。 **さわやか(爽やか)** ○すがすがしいさま。晴れやかなさま。よどみなくはっきりしているさま。[文例]〈さわやかな感じ〉ぐっすり眠って目覚めた朝は、たいへんさわやかな感じがする。♠へさわやかな風〉新緑のころは、さわやかなそよ風が野を吹きわたってくる。♠へ気分がさわやか〉今日は、ひさしぶりに野山を歩きまわったので、気分がさわやかだ。♠〈さわやかな気持ち>若者たちの屈託[くったく]のない明るい話を聞くと、さわやかな気持ちになる。♠へさわやかな人柄[ひとがら]>彼女は、彼のさわやかな人柄にひかれてつきあいを始めたと言っている。♠へ弁舌[べんぜつ]がさわやか〉彼は弁舌がさわやかだけど、誠意のない人だという評判だ。 **さわり【触り・障り】** ○さわった時の感じ。聞かせどころ。差し支え。支障。妨げ。[文例]〈話の触り〉先生の話は始めから終わりまでとてもおもしろかったのですが、その触りの部分だけお話ししましょう。♠〈障りがある・ない〉今日の出席者はおっかない人ばかりだから、障りのないよう注意しよう。♠〈当たり障り〉気難しい人ですから、当たり障りのない話をして早々に退散しました。♠〈差し障り〉入院中の小山君の前で遊びの話は差し障りがあるよ。♠〈肌[はだ]触り〉なかなか肌触りのいい生地[きじ]ですね。 **さわ・る【触る・障る】** ○ふれる。接触する。害する。差し支える[文例]〈足に触る>砂浜[すなはま]をはだしで歩いていると、何かが足に触った。♠〈手で触る>赤ちゃんは物を手で触ったり、なめたりして、感触[かんしょく]で覚えようとする。♠〈手が触る〉ガラスの人形に女の子の小さな手が触っている。♠〈手に触る〉暗やみでよく見えないが、何かぬるっとしたものが手に触ったようだ。♠へ寄ると触ると〉うちは五人兄弟だが、大人になった今でも、寄ると触ると大騒ぎになる。♠く触[さわ]らぬ神にたたりなし「触らぬ神にたたりなし」で、怒り狂[いか]っている人には近づかないこと。♠〈古傷に触る>若いころの話をすると古傷に触るので、あまり話したくないのだが・・・・・・。♠〈神経に障る〉あいつのやることすべてが、どこかわざとらしくて神経に障る。♠〈体に障る〉熱心に勉強するのはよいが、あまり無理をすると体に障りますよ。♠〈気に障る>彼は、いつも人の気に障るようなことばかり言って、嫌[きら]われている。♠へしゃくに障る〉小さな子供にやり込められたことが、しゃくに障ってしようがない。♠へ縁談[えんだん]に障る〉ぼくの退学が姉の縁談に障らなければよいがと、祈[いの]らずにはいられない。 **さん** ○人名・役職名やあいさつの言葉につけ、敬意・親愛・丁寧を表す語。[文例]〈~さん〉今日の放課後、鈴木さんと一緒に宿題をする約束をしました。♠〈お父さん・お母さん>日曜日に、お父さんとお母さんと三人でピクニックに行きました。♠〈お二人さん>佐藤君と並んで歩いていたら、「お二人さん、仲がいいね。」と冷やかされた。♠へお隣さん>ちょっと家をあけるから、お隣さんに頼んでいこう。◆(1)苦労さん>朝早くから新聞配達ご苦労さん。 **さん【産】** ○出産。生まれ。産出。財産。[文例]〈お産〉初めてのお産なので、妻は実家に戻っています。♠へお産が軽い>犬はお産が軽いことから、妊婦[にんぷ]のお守りなどに使われることがあります。♠〈北海道の産>田川君は北海道の産だけに、スケートが上手です。◆ヘアラビア半島産〉モカとかアラビカというのは、アラビア半島産のコーヒーの種類です。◆〈産を成す〉彼は、不動産関係の仕事であれだけの産を成したそうだ。 **さんい【賛意】** ○賛成の意思。[文例]〈賛意を表する〉大変建設的な意見だったので、わたしはもろ手を挙げて賛意を表しました。 **さんいつ【散逸】(散佚)** ○ちりぢりになってなくなること。[文例]〈書類の散逸〉書類の散逸を防ぐため整理係がもうけられた。♠へ散逸する>管理が不十分だったため、重要な書画があらかた散逸してしまった。 **さんか【参加】** ○仲間に加わること。[文例]〈参加を申し込む〉日曜の市民ロードレースに、家族そろって参加を申し込んだ。♠へ参加を遠慮[えんりよ]する〉棒たおしは、危険ですので、小学生の参加はご遠慮ください。♠へ合宿に参加する〉バレー部全員が、この夏休みの合宿に参加することになっている。♠〈調査に参加する〉ヒマラヤ山麓[さんろく]の学術調査に参加する兄は、とてもはりきっている。♠<活動に参加する〉地域の奉仕活動に参加している母は、いつも忙[いそが]しそうだ。♠へ論争に参加する>邪馬台国[やまたいこく]がどこにあったか、という論争に参加する人がますます多くなった。 <422> **さんか【酸化】** ○物質が酸素と化合すること。物質から水素を奪うこと。[文例]〈酸化する〉鉄は酸化すると赤みを帯びてくる。♠へ酸化を防ぐ>鉄板の酸化を防ぐために、ペンキを塗ったりします。 **さんか【賛歌】(讃歌)** ○ほめたたえる歌。[文例]〈青春の賛歌>健康な若者たちが口にする歌は、すべて青春の賛歌といってよかった。◆〈生命の賛歌〉春、北の大地は生命の賛歌の中によみがえる。♠〈光への賛歌〉モネの七十年にわたる画業は、大部分が光への賛歌といってよかった。♠へ動物賛歌>動物をとらえたこのフィルムは動物賛歌といってもよく、カメラマンのやさしさが感じられる。 **さんか【惨禍】** ○むごたらしい災害。いたましい災難。[文例]〈惨禍を引き起こす>昭和二十年八月六日午前八時すぎ、広島市に投下された原子爆弾は、想像を絶する惨禍を引き起こした。♠へ惨禍を受ける>直下型地震の直撃をくらったこの町は大きな惨禍を受けた。♠〈戦争の惨禍〉〈惨禍を免[まぬが]れる〉その建物は、戦争の惨禍を奇跡的に免れた。 **さんか【傘下】** ○勢力のある人物・団体などの支配下にあること。[文例]<傘下に持つ〉彼の勤めるのは、傘下に五十以上の子会社を持つ大企業だ。♠へ傘下に置く〉逮捕[たいほ]されたのは、その傘下に二千人以上の組員を置くという広域暴力団の組長です。♠へ傘下に入る〉城を明け渡した大将は、敵将の傘下に入った。 **さんが(さんか)【山河】** ○山と川。自然。[文例]〈山河を越える〉多くの山河を越え、一行はやっと唐[とう]の都長安にたどりついた。◆◇国破れて山河あり〉「国破れて山河あり」という有名な句は、杜甫[とほ]の「春望[しゅんぼう]」という詩の一節です。♠〈故郷の山河〉なつかしい故郷の山河は、今も昔のままに清らかだろうか。 **さんかい【散開】** ○散らばり広がること。[文例]〈散開する>卵からかえったクモの子供たちは、四方八方[しほうはっぽう]に散開していきます。♠へ散開する〉一列になって引っ張るはずの犬たちが、こんなふうに扇状[おうぎじよう]に散開してはそりは前進しない。 **ざんがい(残骸)** ○捨て置かれた死骸[しがい]。壊れたり焼けたりした物の残り。[文例]〈航空機の残骸>空中分解した航空機の残骸を拾い集め、事故の原因を究明する。♠へ残骸が散らばる〉台風の去ったあとには、倒れた木や吹き飛ばされた看板などの残骸が散らばっていた。♠〈残骸と化する〉工場は炎に包まれ、出荷の準備がなされていた製品もすべて残骸と化してしまった。 **さんかく【三角】** ○三つの角のある形。三角形。[文例]人の顔って、丸や三角や四角やいろんな形があっておもしろいね。♠へ目を三角にする〉怒ったおじいさんは、目を三角にしていたずらっ子たちをどなりつけた。♠〈さよなら三角〉「さよなら三角、また来て四角」と歌いながら、子供たちはそれぞれの家へ帰っていった。◆ヘ三角関係〉えっ、小川君のことも山本君のことも好きなの? それじゃ三角関係になるわよ。 **さんかく【参画】** ○計画に参加すること。[文例]〈参画する>この歌人は、北原白秋に師事し、昭和十年『多磨[たま]』の創刊に参画した。♠へ運動に参画する〉労働組合に加わり、労働条件改善のための運動に参画した。♠へ〈陰謀に参画する〉敵の陰謀に参画する裏切り者が必ずやこの城内にいるにちがいない。 **さんがく【山岳】** ○山。高い山々。[文例]〈山岳地帯>低気圧の通過にともなって、平野部では三十センチ、山岳地帯では一メートルの積雪があるでしょう。♠〈山岳部>高校時代に山岳部だった父は、今でもよく休みになると山登りに出かける。 **さんかん【山間】** ○山の中。やまあい。[文例]〈山間の町>母の故郷は、盛岡[もりおか]市に近い、静かな山間の町です。◆〈山間部〉今夜から冷えこみが厳しくなり、山間部では雪になる見込みです。 **さんかん【参観】** ○その場所へ行って見ること。[文例]〈文化財の参観>桂離宮[かつらりきゅう]は日本の代表的な名園ですが、一般の自由な参観は許可されていません。♠へ授業参観>日曜日に授業参観があったので、月曜日は振り替えで休みになりました。 **ざんき(慚愧)** ○深く恥じいること。[文例]〈ざんきに堪えない〉期待を裏切ることになってしまって、誠にざんきに堪えません。♠へざんきの涙〉きみは、いずれ自分の犯した罪に気がつき、ざんきの涙を流すことになるだろう。♠へざんきの念〉父の病のことも知らずわがままばかり言っていたことを思うと、ざんきの念に胸が痛みます。♠へざんきの至り>私の不用意な発言からこんな騒動[そうどう]をまき起こすことになり、ざんきの至りでございます。 **ざんぎゃく【残虐】** ○むごたらしく虐[しいた]げること。[文例]〈残虐な一面>子供には、あのあどけない顔からは想像もつかない、残虐な一面がある。♠〈残虐な仕打ち〉猫[ねこ]がねずみを捕まえた時に見せる残虐な仕打ちは、動物のもつ本能の現れかもしれない。♠〈残虐な行為〉長い戦闘[せんとう]に疲れ、理性を失った兵士たちは、残虐な行為に走っていくのだった。♠<残虐な笑み〉農民の切実な願いに対しても、役人は残虐な笑みを浮かべたまま、首を横に振るだけだった。♠へ残虐の限りを尽くす〉彼は王位に就いてから十年の間、残虐の限りを尽くしたが、軍のクーデターで国外追放となった。♠へ残虐性〉人間の心の中には、他人に対する優しさと、それと正反対の残虐性とが同居している。 **さんぎょう【産業】** ○生活に必要な物資やサービスの生産・供給にかかわる事業。[文例]戦争で破壊された日本の産業は、戦後、工業を中心にめざましい復興[ふっこう]をとげました。♠〈産業を興[おこ]す〉新しい産業を興すため町ぐるみで工場誘致[ゆうち]に乗り出した。 **ざんぎょう【残業】** ○勤務時間後に残って働くこと。また、その仕事。[文例]〈残業をする〉会社が忙[いそが]しくなると、従業員は毎日のように残業をします。♠〈残業がある〉父は今日も残業があるらしく、十時を過ぎてもまだ帰ってこない。♠〈残業手当>今月は残業を四十時間もこなしたので、残業手当が楽しみだ。 <423> **ざんげ(懺悔)** ○罪を悔いて告白すること。[文例]へさんげを聞く>信者のざんげを聞いた神父は、ひたすら祈ることをすすめました。♠くざんげをする〉クラスのみんなにざんげをすることで、ぼくは心の中がちょっと軽くなったような気がした。♠くざんげする〉教会にはざんげしようとする婦人の姿がありました。 **さんけい(参詣)** ○神社や寺などに参ること。[例]〈参詣する〉信心深い父は、近くの神社[やしろ]に毎朝参詣します。♠へ参詣人〉この一帯の氏神として、この社は毎日参詣人が絶えません。 **さんげき【惨劇】** ○むごたらしい出来事。[例]〈惨劇の舞台〉この競技場が死者十人を出す惨劇の舞台となったのです。♠へ惨劇を演じる〉収容所[しゅうようじょ]では、捕虜[ほりよ]の大量虐殺[ぎゃくさつ]という惨劇が演じられた。♠へ惨劇がある〉県南部の小さな村で一家四人が殺されるという惨劇があった。♠へ惨劇が行われる〉惨劇の行われた部屋の壁には、被害者のものと思われるおびただしい血こんが残されていた。 **さんけん【散見】** ○あちこちに見かけられること。[文例]〈散見する〉大分少なくなったとはいえ、きみの答案にはまだつまらないミスが散見する。♠〈散見する〉最近の新聞には、外国人労働者が巻き込まれる事件が散見される。 **ざんげん(讒言)** ○人を陥[おとしい]れるために事実を曲げて言うこと。また、その言葉。中傷。[文例]〈讒言する〉彼をよく思わない同僚の教師のだれかが、校長に讒言したに違いない。 **さんこう【参考】** ○比べ合わせて考える足しにすること。また、その材料。[文例]〈参考にする〉この文章は少し難しいから、注を参考にして、注意深く読みましょう。♠へ参考になる〉感想や心に残った言葉などを書いた読書カードを取っておくと、あとあとの参考になる。♠〈参考となる>学習や研究、調査などの参考となる書物を参考書という。♠へ参考までに〉参考までに申しあげますと、去年の記録は一時間二十五分でした。♠〈今後の参考〉今後の参考のために、きみの経験談をぜひ聞かせてほしい。♠<参考資料>グループ研究は、まず手分けして参考資料を集めることから始まった。 **さんこく【残酷・惨酷】** ○むごたらしいさま。むごいさま。[文例]西洋人は、イルカやクジラと違[ちが]って、牛や豚[ぶた]を殺して食べることを、それほど残酷と思わないようだ。◆<残酷にも~する〉どうにかして父を助けたいという娘[むすめ]の気持ちを、領主は残酷にも踏みにじったのです。♠〈残酷なこと〉時によって子供は、大人があっと驚[おどろ]くような残酷なことも、平気でやってのける。♠〈残酷な気がする〉事情を考えれば、いくら罪を犯したとは言え、懲役[ちょうえき]三年の刑は少し残酷な気がする。♠へ残酷な光景〉次々と映し出される残酷な光景に、わたしは思わず目をそむけてしまいました。♠へ残酷な行為>戦争になれば、爆撃[ばくげき]や殺人など、平和な時には絶対に許されない残酷な行為が、平然と行われる。♠〈運命はなんて残酷なのだろう〉コンテストを目前にして病気で倒れるなんて、運命はなんて残酷なのだろう。♠へ残酷きわまりない>密猟者[みつりょうしゃ]たちは、ヘリコプターで動物を追いかけ射殺するという、残酷きわまりない方法をとった。 **さんざい【散在】** ○散らばって存在すること。[文例]〈集落が散在する〉山あいの盆地には大小五つの集落が散在していた。♠へ人家が散在する〉広い水田の中に人家が散在する。 **さんざい【散財】** ○たくさんお金を使うこと。[文例]〈散財をかける〉札幌滞在中は、おじの歓待を受け、散財をかけた。♠〈散財する〉後輩を夜の街に案内して、すっかり散財してしまった。 **さんさく【散策】** ○ぶらぶらと歩くこと。散歩。[文例]<散策する〉祖父は毎朝、近くの林を散策するのを楽しみにしていた。♠〈散策する〉池のまわりを散策して、ひとつ俳句でもひねってみようか。 **さんさん(燦燦)** ○きらきらと輝[かがや]くさま。明るく輝くさま。[文例]〈さんさんと輝く〉この夏は、さんさんと輝く太陽のもとで愉快に過ごそう。♠へさんさんと照りつける〉沖縄という言葉から、ぼくはさんさんと照りつける太陽を想像しました。♠へさんさんと降り注ぐ光>南向きの部屋は、さんさんと降り注ぐ春の光でまぶしい。◆〈さんさんたる陽光>さんさんたる陽光を浴びながらピクニックを楽しむ。 **さんざん【散散】** ○はなはだしいさま。ひどいめにあうさま。ひどく。[文例]〈さんざん歩き回る〉山の中で道に迷い、さんざん歩き回ったあげく、寒さと疲れのために命を落とすこともあります。◆へさんざん苦しめられる〉数学の応用問題にさんざん苦しめられた。◆くさんざんな目にあう〉春休みの家族旅行では、妹が熱を出したり、交通渋滞[じゅうたい]に巻き込まれたり、さんざんな目にあった。◆映画を見に行ったら満員だし、帰りには財布[さいふ]を落とすし、今日はさんざんだ。 **さんさんごご【三三五五】** ○思い思いに何人かずつで行く様子。[文例]寄り合いがあるというので、町内の人たちが三々五々集まってきた。◆彼はそっと扉の陰[かげ]から覗[のぞ]いていると日曜かなんぞのように兵隊が三々五々、前を通り過ぎる。(志賀直哉「暗夜行路[あんやこうろ]」) **さんじ【賛辞】(讚辞)** ○ほめたたえる言葉。[文例]〈賛辞を寄せる>博士に各国の研究者から賛辞が寄せられた。♠へ賛辞を送る〉みごとに事業を成功させたあなたに、ぼくは心からの賛辞を送ります。♠〈最大級の賛辞〉〈賛辞を呈する〉世界記録を達成した選手に、翌日の新聞は最大級の賛辞を呈した。 **さんじ【惨事】** ○むごたらしい出来事。[文例]運転手のミスで起こった事故は、死者を出す惨事となってしまった。♠〈惨事を引き起こす>死傷者二十人を出す惨事を引き起こした運転手を、警察は逮捕[たいほ]した。♠へ惨事を招[まね]く>思わぬ惨事を招いたケーブルカーには、定員の倍以上の人たちが乗っていた。♠へ惨事を免[まぬが]れる〉火の手があがったときにすぐ消防署に通報しておけば、惨事は免れたかもしれない。 **ざんし(残滓)** ○残りかす。[文例]〈旧制度の残滓>老いた主人公の頭の中からは、まだ旧制度の残滓がぬぐい去られていなかった。♠へ残滓を洗う〉出家した男の人生はその残滓 <424> を洗って、流れの小石のように輝いていた。 **ざんじ【暫時】** ○しばらくの間。[例]理想的とはいえないが、暫時この体制でいきたいと思う。♠ただいま満席でございますので、暫時お待ちください。♠令〈暫時の猶予[ゆうよ]〉このまま協議を続けますので、結論が出るまで暫時の猶予をいただきたい。 **さんしゅう【参集】** ○集まってくること。[文例]〈参集する〉式典は、近郷近在からも代表者が参集し、厳粛[げんしゅく]な雰囲気の中で進められた。 **さんしゅつ【産出】** ○産み出すこと。産物を出すこと。[文例]〈石炭の産出>戦後になってエネルギーの主流が石油に移ったので、石炭の産出は徐々に[じょじょ]に減っていった。♠〈石油の産出〉このまま石油の産出を続けたら、あと数十年で油田はかれてしまうだろうと専門家は見ている。♠く産出する〉足尾[あしお]銅山は、明治の半ばには多くの銅を産出するようになった。◆<産出する>九谷焼[くたにやき]は、石川県九谷で始まり、現在県南部を中心として産出する磁器である。 **さんしゅつ【算出】** ○計算して数値を出すこと。[文例]<額を算出する〉税金の額は、複雑な方法で算出されるのでわかりにくい。♠へ値を算出する〉これらのデータから予測される値を算出してみよう。 **さんじゅつ【算術】** ○計算のしかた。算数。[文例]おじいさんが小学校に通っているころは、算数のことを算術といったそうです。♠昔は学問と言えば、読み書きと算術が中心だった。♠同じ仕事をするのに、人員を減らせば、所要時間が増えるのは当然で、これは単に算術の問題だ。 **ざんしょ【残暑】** ○立秋後にも残っている暑さ。[文例]<残暑が続く>暦[こよみ]の上ではもう秋ですが、今しばらくは残暑が続くだろう。♠へ厳しい残暑>九月に入っての厳しい残暑に、みんなぐったりです。 **さんしょう【参照】** ○照らし合わせて参考にすること。[文例]<参照する〉九八ページのグラフを参照してください。♠形容詞「大きい」「美しい」の活用については、「形容詞活用表」を参照のこと。 **さんじょう【参上】** ○参ること。同うこと。[文例]呼びつけられた家来は、部屋のふすまごしに、ただ今参上と声をかけました。♠〈参上する〉急ぎの御用かと思い、大急ぎで参上したのです。 **さんじょう【惨状】** ○むごたらしい様子。みじめな様子。[文例]〈アフリカの惨状>病人や餓死者[がししゃ]が続出するアフリカの惨状を目にした彼女は、日本中の人に援助を呼びかけた。♠〈目をおおうばかりの惨状>犯行が行われた部屋はまさに血の海で、目をおおうばかりの惨状だった。♠へ惨状を呈[てい]する>飛行機の墜落[ついらく]現場は、むごたらしい惨状を呈していた。 **ざんしん(斬新)** ○非常に目新しいさま。[文例]〈斬新なデザイン>次々と発表される斬新なデザインに、わたしはただただ見とれるばかりでした。♠へ斬新な手法〉この画家の鋭[するど]い感受性と斬新な手法は当時大評判となった。♠へ斬新な感覚>昭和初期、新感覚派の作家たちは斬新な感覚で新しい表現領域を開拓していった。♠へ斬新に見える〉ちょっと形を変えるだけで、昔流行した洋服が斬新に見えるから不思議だ。 **さんすい【山水】** ○山と水。自然の風景。山水画。築山[つきやま]と池のある庭園。[文例]<豊かな山水>都会に住む我々も注意深く探せば、近郊に残る豊かな山水を見いだせないということはない。♠へ枯れ山水〉細かい砂利が敷きつめられたお寺の枯れ山水の庭にたたずみ、秋の一日を過ごしました。♠〈山水画>東洋の絵といえば、何といっても自然の姿を描[えが]いた山水画が有名です。 **さんすい【散水】(撒水)** ○水をまくこと。[例]〈散水をする〉土ぼこりを防ぐために係の人がグラウンドに散水をし始めた。♠へ散水する〉ほんの少し道に散水しただけで、暑さがおさまったような気がする。♠〈散水車〉あの自動車は、道路の清掃のために水をまきながら進む散水車です。 **さんずのかわ(三途の川)** ○死者が冥土[めいど]へ行く途中で渡るという川。[文例]〈三途の川を渡る〉人間は死ぬと、三途の川を渡ってあの世に行くと言われています。◆交通事故で意識不明だった父は、三途の川の向こうで死んだ祖母が手招きしている夢を見たそうです。 **さんせい【賛成】** ○同意すること。[文例]〈賛成する〉みんながわたしの意見に賛成してくれた。◆<賛成と反対>安易な賛成と、安易な反対とは、どちらも無責任の表れである。◆〈賛成を得る>盆踊[ばんおど]り大会をやろうという父の提案は、町内会の全員の賛成を得た。♠〈賛成を表明する〉与党[よとう]議員すべてがこの議案に賛成を表明しているわけではない。♠〈賛成を求める〉彼の意見に賛成を求められたが、わたしは賛成とも反対とも言えなかった。 **さんせき【山積】** ○山のようにたくさんたまっていること。山積み。[文例]〈問題が山積する〉盗難事件は解決しましたが、このクラスにはまだまだ難しい問題が山積しています。♠〈仕事が山積する〉片づけなければならない仕事が山積しているので、今度の日曜日も休日出勤です。 **さんせん【参戦】** ○戦争に加わること。[文例]〈参戦する〉第一次世界大戦では、四十に近い国々とともに日本も参戦しました。♠ヘアメリカの参戦〉アメリカの参戦を契機にヨーロッパの状況は変わっていった。 **さんぜん(燦然)** ○きらきら輝くさま。きらびやかなさま。[文例]〈さんぜんと輝く〉夏の夜、南の空にさんぜんと輝くのがさそり座のアンタレスです。♠へさんぜんとおわす〉本堂の阿弥陀[あみだ]三尊はわたしたちのすぐまぢかに、大きく金色にさんぜんとおわします。♠へさんぜんたる栄誉>優勝者は、さんぜんたる栄誉に輝きます。 **さんせんそうもく【山川草木】** ○自然の風景。[文例]〈故郷の山川草木〉二十年ぶりに見る故郷の山川草木は昔の面影[おもかげ]をとどめて変わるところがない。♠〈山川草木の趣[おもむき]>四季のはっきりした日本は、季節によって山川草木の趣もだいぶ違います。♠〈山川草木のたたずまい〉時は移っても、山川草木のたたずまいは古代の色を写してやまない。 **さんそ【酸素】** ○無色・無味・無臭で呼吸や物の燃焼に必要な気体。[例]酸素を含む>空気中でものが燃えるのは、空気に酸素が含まれているからです。♠へ酸素が少ない〉窓を長いこと締めきっていると、酸素が少なくなってだんだん息苦しくなってくる。◆く酸素吸入>患者の口には酸素吸入のためのマスクが取り付けられていた。 <425> **さんぞう【残像】** ○物体が消え去った後も視覚に残る映像。[文例]<残像現象>映画の映像が連続して感覚されるのは、わたしたちの視覚の残像現象のためである。◆目を閉じてからも、草むらに舞うホタルの姿が残像のようにまぶたを去らなかった。 **さんたん(惨憺・惨澹)** ○悲惨で見るにしのびないさま。心を悩ますさま。[文例] <惨憺たる光景>津波の後の惨憎[さんたん]たる光景にただ茫然[ぼうぜん]と立ちつくす。♠へ惨憺たる敗戦>惨憺たる敗戦の焦土[しょうど]の中から、建設のつち音がかすかに聞こえてくる。♠<苦心惨憺>苦心惨憺してやっと井戸が完成した。 **さんだん【算段】** ○方法・手段を考えること。お金を工面[くめん]すること。[文例]心配するな、わざと失敗して敵を油断させようという算段なのさ。♠へいらぬ算段><算段をする>素直にあやまればよかったものを、いらぬ算段をしてよけいに彼女を怒らせてしまった。♠へ算段がつく〉あちこち走りまわって、やっと必要な金の算段がついた。♠へやりくり算段する〉会計係の西本君がやりくり算段してくれたおかげで、赤字を出さないですみました。 **さんだんろんぽう【三段論法】** ○二つの前提から結論を推論する判断の形式。[文例]〈三段論法でゆく〉あなたは鈴木君と仲よしで鈴木君はぼくと仲よし。三段論法でゆけば、あなたとぼくも仲よくやってゆけるはずです。◆ヘ三段論法を使う>変な三段論法を使ってだまそうたって、そうはいかないわ。 **さんち【山地】** ○山の多い土地。山中の土地。山岳地帯。[文例]山脈とは、山地が細長く脈のように連なっているものをいう。♠〈山地と平地〉この花は山地に多く自生し、平地ではあまり見られない。 **さんち【産地】** ○産物を生産する土地。[例]〈米の産地>新潟平野は、米の産地として有名です。♠へ産地直送〉北海道から、産地直送の新鮮なカニが届きました。 **さんちゅう【山中】** ○山の中。山あい。[例]地理に暗い部隊の中には、山に入り山中に迷って難儀[なんぎ]するものがあった。♠竜宮は、海・川の底、山中などにあって竜神の住むと言われる空想上の宮殿である。♠〈山中暦日[れきじつ]なし〉のんびり過ごすうちに月日のたつのも忘れていた、山中暦日なしとはこのことか。 **さんちょう【山頂】** ○山の頂上。[文例]平地の少ない村では、海べりから山頂近くまでを段々畑にして耕しています。◆<山頂に立つ>山頂に立つと、ちょうど水平線から朝日が昇るところでした。◆◇山頂をきわめる〉登山隊が山頂をきわめたのは、吹雪のおさまった翌日のことだった。 **さんてい【算定】** ○計算して確定すること。[例])〈費用の算定〉〈算定を誤る〉材料費の算定を誤ったために、計画が大幅にくるってしまった。♠へ算定する〉家を改築するのにかかる費用を算定してもらいました。 **さんど【三度】** ○三回。[文例]〈三度目の正直〉三度目の正直で、やっと実験が成功した。◆ヘ三度の飯〉三度の飯よりパチンコの好きなお父さんです。◆<三度三度〉三度三度親に食わせてもらって、何の文句があるというのだ。◆〈二度あることは三度ある〉二度あることは三度あるというから、心の備えだけはしておいたほうがよい。♠〈仏の顔も三度〉仏の顔も三度で、ついにあのおとなしい男が怒り出した。 **さんどう【賛同】** ○賛成すること。同意すること。[文例]〈賛同の意〉出席者は全員立ち上がって拍手をし、彼の提案に賛同の意を示した。♠〈賛同を得る〉議案は、出席者のほとんどの賛同を得て採択されました。♠〈賛同を求める〉自分の計画について仲間の賛同を求めたが、だれも相手にしてくれなかった。♠〈賛同する〉ぼくは田中さんの意見に賛同しているので、もちろん協力は惜[お]しみません。 **ざんとう【残党】** ○滅ぼされたり捕らえられたりした一党・一味の後に残った者。[文例]〈武田の残党>武田勝頼[たけだかつより]の残党が山にこもって、復讐[ふくしゆう]の機会をまっていた。♠へ盗賊[とうぞく]の残党>捕まったはずの盗賊の残党が、時々出没するらしい。 **さんにゅう【参入】** ○入ってくること。加わってくること。[文例]〈企業の参入〉一社の独占状態にあったこの業界も、最近は他業種の企業の参入によって乱戦模様となった。♠〈参入する〉日本リーグは、新しいチームが参入することになり、がぜんおもしろくなった。 **ざんにん【残忍・惨忍】** ○むごたらしいさま。残酷。[文例]生活習慣の違いで、わたしたちには残忍としか思われないことが、他国では平然と行われていることもある。♠へ残忍な <426> さんねんさゆうきつひんぱつ件が、四十年代後半になると頻発するようになった。 **ざんにん【残忍】** <性格>今回の報道では、加害者の残忍な性格が特に大きくクローズアップされた。♠<残忍な行為>西洋医学が日本に普及[ふきゅう]するまで、死体を解剖[かいぼう]することは残忍な行為として、許されていなかった。♠<残忍な手口>十八日未明、一都四県にまたがって残忍な手口による連続殺人を行った犯人が逮捕された。♠<残忍性>子供の弱い者いじめは、人間のうちにある残忍性の現れということができる。 **ざんねん【残念】** ○くやしく思う気持ち。心残りなさま。[文例]こんないい天気なのに、留守番でどこにも行けないなんて残念だね。♠<残念ながら>今回の調査では、残念ながらヤマネコの存在までは確認できなかった。♠<残念な結果>せめて予選ぐらいは通過すると思っていたのに、二回戦敗退という残念な結果に終わってしまった。♠<残念無念>もう一歩の所まで追いつめながら、残念無念、ちょっと油断したすきに逃げられてしまった。♠<残念がる>五代も続いた店をたたむのを残念がる人も多かったが、今さらどうすることもできなかった。 **ざんぱい【惨敗】** ○一方的に負けること。みじめな負け方をすること。[文例]<惨敗する>一回戦で十対一と惨敗し、チームのみんなが気落ちしてしまいました。♠<惨敗を喫する>相手は優勝候補の一角ですから、実力のない我々が惨敗を喫するのは目に見えている。 **さんばし【桟橋】** ○船を横づけするために水上に突き出して作った設備。[文例]<港の桟橋>桟橋には五そうの小型ボートがつないであった。♠<桟橋で待つ>船が近づくと、桟橋で待つ迎えの人々が手を振り始めた。♠<桟橋に降りる>桟橋に横づけした船から、乗客は次々と桟橋に降りていく。 **さんぱつ【散髪】** ○髪を刈ってととのえること。[文例]<散髪に行く>父は散髪に行くといって、近くの床屋[とこや]に出かけたきりです。♠<散髪をする>わが家では、ぼくたち兄弟の散髪をするのは、手先の器用な父の役目だった。 **さんぱつ【散発】** ○まばらに発射すること。時々発生すること。[文例]<散発する>昭和三十年代に散発したこの種の事 **さんび【賛美】[さんび](讃美)** ○ほめたたえること。[文例]<賛美する>自由を賛美することはたやすいが、それを自らの手で獲得[かくとく]することは至難である。♠<自然賛美>今ほど人間が口で自然賛美を唱えながら、自然破壊を行った時代はあるまい。 **さんび【酸鼻】** ○むごたらしいこと。[文例]<酸鼻をきわめる>地震のあった町にはあちこちに死体の山が築かれ、その光景は酸鼻をきわめた。♠<酸鼻の極み>事故現場は、まさに酸鼻の極みであった。♠<酸鼻な光景>酸鼻な光景とはこれをいうのだろう、現場には被害者の切断された手首が残されていた。 **さんぴ【賛否】** ○賛成と反対。[文例]<賛否が入り乱れる>執行部の案に賛否が入り乱れ、なかなか結論が出そうになかった。♠<賛否が分かれる>行ってみたい所だがお金がかかるので、それが会員の賛否の分かれる原因になっている。♠<賛否を問う>討論が一段落したところで、議長は賛否を問うためにみんなに挙手を求めた。♠<賛否両論>会議では賛否両論があり、なかなか意見がまとまらなかった。 **さんびょうし【三拍子】** ○一小節が三拍からなる拍子。重要な三つの条件。[文例]<三拍子そろう>打つ、走る、守ると三拍子そろった期待の新人ですから、大事に育てます。♠<三拍子そろう>飲む・打つ・買うの三拍子そろった遊び人だから、世の中のまともな人からは相手にされない。 **さんぷ【散布】[さんぷ](撒布)** ○まきちらすこと。[文例]<農薬を散布する>害虫による被害を防ぐために、空から農薬が散布された。♠<消火剤を散布する>消火剤が散布されたが、火は弱まるどころかますます勢いを増していった。 **さんぷく【山腹】** ○山の頂上とふもとの中間。中腹。[文例]噴火によって一気に山腹を流れおりた溶岩がふもとの村々を襲[おそ]った。♠山腹にかかっていた雲が晴れると、雪をかぶった富士山が雄大な姿を表しました。♠ふもとの雪はすっかり消えましたが、山腹から頂上にかけてはまだ所々に白く残っています。 **さんぶつ【産物】** ○その土地で産する物。結果として得られるもの。[文例]コーヒーは、ブラジルにとっては重要な産物です。♠江戸時代、各地の産物は主に船で江戸や大阪に運ばれました。♠<知恵の産物>堤防は川を利用して生きなければならない人間が、川を治めるために編み出した知恵の産物である。♠<努力の産物>この昆虫の標本は、夏休み中野山を走り回って作った努力の産物だ。♠<空想の産物>もとより竜は空想の産物である。 **さんぶん【散文】** ○韻律や定型にとらわれない、自由な形式で書かれた文章。[文例]<詩と散文>詩を小説や評論などの散文と分ける特徴の第一に独特のリズムがあげられます。♠<散文的>「それほど浪漫[ろまん]的な人間じゃない。僕は君より遙[はる]かに散文的にできている」(夏目漱石「三四郎」) **さんぽ【散歩】** ○目的もなくぶらぶらと歩くこと。そぞろ歩き。[文例]<散歩に出かける>日曜日の朝は、愛犬に引っぱられ、近くの堤防へ散歩に出かける。♠<散歩に行く>家族そろって近くの公園まで散歩に行った。♠<散歩をする>仕事はぼくがかわってやるから、散歩でもしておいで。♠<散歩から帰る>父はじきに散歩から帰ってくると思いますので、もう少しお待ちください。♠<散歩する>海岸をブラブラと散歩しながら、貝殻[かいがら]拾いをした。♠<散歩がてら>明日家にいるようなら、散歩がてら出かけるから、寄ってもいいかい。 **さんぼう【参謀】** ○司令官を助けて作戦を考える将校。計画に加わり、それを推進する方法を考える人。[文例]司令官は、どの作戦を選ぶか、参謀をまじえて話し合いました。♠<作戦参謀>連戦連勝のあの軍団には、状況判断の確かなすばらしい作戦参謀がいるに違いない。♠<選挙参謀>選挙では、有権者にアピールする企画を考え出す選挙参謀の力が大きい。 **さんまい【三昧】[さんまい]** ○(多く「・・・三味」の形で)熱中すること。気のおもむくままにふるまうこと。[文例]<読書三昧>会社を退職した父は、部屋にこもり読書三昧の毎日を送っている。 <427> しかし♠<贅沢[ぜいたく]三昧>ばく大な遺産がころがりこんでからというもの、彼は贅沢三昧に暮らしている。♠<刃物三昧>気の短い河岸[かし]の若い者同士のけんかは、刃物三昧に及ぶことが多かった。 **さんまん【散漫】** ○まとまりのないさま。気が散って集中できないさま。[文例]』<注意力が散漫>きみのように注意力が散漫では、成績はなかなか上がらないだろう。♠<文章が散漫>書く目的が決まっていなければ、その文章は当然ながら散漫になる。♠<散漫に暮らす>当時のわたしは、これといったあてもなく実に散漫に暮らしていた。 **さんみいったい【三位一体】** ○三者が合わさって一体になること。[文例]<三位一体となる>この国の社会不安は、経済の不振、宗教問題そして軍の勢力拡大が三位一体となって増大していた。 **さんみゃく【山脈】** ○多くの山々が長く連なる地形。[文例]シルクロードは、砂漠をわたり、高い山脈を越えて、中国とヨーロッパを結んだ道です。♠日本の山地や山脈の大部分は、森林におおわれて、美しい自然を作っています。 **さんもん【山門】** ○寺の門。[文例]山門は寺の門のことで、三門と書くこともあります。♠<山門をくぐる>規律の厳しい寺では、酒を飲んで山門をくぐることは禁じられていました。 **さんもん【三文】** ○(「文」はかつての通貨の最下位の単位)わずかの金。あまり値打ちがないこと。[文例]<三文の値打ち>わたしのような年寄りの話なぞ、若い人たちには三文の値打ちもないのだろう。♠<三文の徳>早起きは三文の徳。♠<三文小説>いつまでも三文小説なんか書いていないで、正業についたらどうだ。♠<二束三文>家財道具は古道具屋に二束三文でたたき売って、横浜から船に乗った。 **さんや【山野】** ○山と野原。野山。[文例]<山野を削る>〈緑の山野>日本の各地で緑の山野が削られ、白い砂浜が埋められていった。♠<山野を駆けめぐる>一緒に川で泳ぎ、山野を駆けめぐった幼友達[おさななじみ]は今ごろどうしているだろうか。 **さんよ【参与】** ○ある事にかかわり協力すること。また、その職。[文例]<参与する>わたしたちは、社会の一員として、なんらかの形で、なにほどかの分量で、社会の成長に参与しているのです。♠<会社の参与>教授は知り合いの会社の参与として招かれ、会社にいろいろなアドバイスを与えました。 **さんらん【産卵】** ○卵をうむこと。[文例]<産卵する>モリアオガエルは、池や水たまりに近い木などの上に産卵します。♠<産卵を控える>毎年この時期になると海鳥は産卵を控え[ひか]え、巣作りに忙しく[いそが]なる。♠<産卵期>秋の産卵期には、サケは海から生まれ故郷の川へ帰ってきて、卵を産みます。 **さんらん【散乱】** ○散らばること。ちりぢりに乱れること。[文例]<荷物が散乱する>路上には、トラックが落としていった荷物が散乱しています。♠<ゴミが散乱する>無精者の部屋にはゴミが散乱し、足の踏み場もないほどだった。♠<光が散乱する>太陽の光は雲に散乱して、山の斜面にも湖[みずうみ]の上にも一様に降り注いでいる。 **ざんりゅう【残留】** ○残りとどまること。後に残ること。[文例]<基地に残留する>本国に引き揚げた兵士はごくわずかで、まだ大半がこの基地に残留している。♠<体内に残留する>作物に使用された農薬が体内に残留し、悪影響を及ぼす心配がある。♠<残留が決まる>一部リーグ最下位のチームは、二部リーグ優勝チームとの入れ替え戦に勝って、一部残留が決まった。 **さんりん【山林】** ○山にある林。木の生い茂った山。[文例]<田畑や山林>田畑や山林などの面積を表す単位には、アールやヘクタールが使われます。♠<山林に分け入る>春になると、村の女たちは山林に分け入ってふきのとうやわらびなどをつみます。♠<山林を切り開く>県境の深い山林を切り開いて観光道路を作ろうという計画がある。♠<山林に囲まれる>その別荘は軽井沢のほど近くにあり、豊かな山林に囲まれていた。♠山林に自由存す/われ此[この]句を吟[ぎん]じて血のわくを覚め/嗚呼[ああ]山林に自由存す(国木田独歩「山林に自由存す」部分) **さんれつ【参列】** ○式の列に加わること。列席すること。[文例]<式典への参列>皇帝の怒りに触れた大臣は、翌日の式典への参列を許されなかった。♠<式に参列する>大仏開眼の式に参列した人々は、どんな思いで黄金に輝く仏像を見上げたのだろう。♠<告別式に参列する>告別式に参列した人々の数は五百人をこえ、故人のつきあいの広さを思わせた。 **さんろく【山麓】[さんろく]** ○山のふもと。山すそ。[文例]<山ろくの村>火山が大爆発を起こし、山ろくの村の住民に避難[ひなん]命令が出された。♠<山ろくの牧場>夏の間山ろくの牧場に放されていた牛が村に戻る日が近づいてきた。♠<八ヶ岳[やつがたけ]山ろく>いくつかのハイキングコースの中から、ぼくは八ヶ岳山ろくを行くコースを選びました。 **し【死】** ○命が尽きること。生命の消滅。生の終わり。[文例]<生と死>生と死の問題を考えることで、より人間的に豊かに成長していく。♠<死に追いやる>戦争は、多くの人々を死に追いやるばかりでなく、自然や人の心にも大きな傷を残します。♠<死が迫る>あんなに元気だった祖父も、死が迫るにつれてだんだん気が弱くなってきた。♠<死に臨む>おじいさんは、死に臨んで、家族の一人一人を枕元に呼んだ。♠<死を目前にする>この物語は、死を目前にした若い男女の愛情を描[えが]いている。♠<死を悼む[いた]>彼の墓は、その死を悼む人々の手によって、花の絶えたことがない。♠<死を意味する>厳しい動物の社会では、群れから追われることは死を意味します。♠<死に至る>風邪[かぜ]ぐらいとあまく見ると、死に至る大病[たいびょう]のもとになることもある。♠<死を賭[と]する>主君の乱行は死を賭していさめなければならないと、家老は考えた。♠<死の世界>言うまでもなく月は、生物の住まない死の世界です。♠<死の床[とこ]>やっと捜[さが]しあてた実[じつ]の父 <428> は、今や死の床にあった。♠<死の商人>武器を売る死の商人が栄えることを望む者はおるまい。 **し【詩】** ○定まった、または自由な形態のもとに、独自のリズムで言語表現を展開した文学の一形式。[文例]<詩を作る>彼は、あの武骨な姿にも似合わず、美しい詩を作る。♠<詩を読む>この詩を読んでいると、白い線路が冬の夜空に本当にありそうに思えてくる。♠<詩を書く>いろんな詩を読んだ後、ぼくたちも自分で詩を書いてみました。♠<詩を味わう>次の詩を声に出して読み、味わいましょう。♠<詩を鑑賞する>詩や小説を鑑賞し、豊かな心を育てましょう。♠<詩に表現する>その詩に表現されている気持ちは、今のぼくにぴったりでした。♠<詩にうたう>この詩には、作者の苦しい気持ちがうたわれている。♠<詩で表す>幼い日に遊んだ野山や、それらを懐かしむ気持ちをみごとに詩で表し[あらわ]ている。♠<詩ができる>雨にうたれるあじさいをぼんやり見ていた時、この詩ができたのです。♠<詩が生きる>ふだん使っている言葉で書いたら、詩が生きてきました。♠<短い詩>俳句は、五・七・五の十七音で作る短い詩です。♠<詩を作るより田を作れ>詩を作るより田を作れ。生活が第一で、風流はその次。 **し【師】** ○教え導く人。先生。[文例]<師の教え>師の教えを守り、これに従うのは弟子の務めです。♠<良き師>良書は良友であり、良き師です。♠<師と仰ぐ>わずかながらもオランダ語の知識をもつ良沢[りょうたく]を、玄白[げんぱく]も淳庵[じゅんあん]も師と仰ぐことになった。♠<三尺下がって師の影を踏まず>昔は、三尺下がって師の影を踏まずといって、先生を畏敬[いけい]したものだ。 **し【士】** ○武士。学徳を備えた立派な男子。一人前の男子。[文例]<大豪[だいごう]の士>侍大将[さむらいだいしょう]中村新兵衛は、五畿内[ごきない]、中国に聞こえた大豪の士であった。(菊池寛[きくちひろし]「形」)♠<正義の士>ありがたい! わたしは、正義の士として死ぬことができるぞ。(太宰治[だざいおさむ]「走れメロス」)♠<練達の士>この文章を練達の士に見せて、誤りがないかどうか目を通してもらってください。♠<同好の士>この度、同好の士を募って漢詩を作 る会を開くことになりました。先生もぜひご参加ください。♠<士農工商>江戸時代、人々は士・農・工・商という身分階級に分けられていた。 **じ【地】** ○地面。土地。その地方。布の地質。模様でない部分。もちまえのもの。生まれつき。実地。物語などの会話以外の文。碁で囲み取った領域。[文例]<雨降って地固まる>友達とけんかをしたことがきっかけでかえって仲が良くなり、「雨降って地固まる」という結果になった。♠<地の人>あのおじいさんは、地の人だから、ここら辺りのことは何でも知っている。♠<ピンク色の地>今日の高木さんの服装[ふくそう]は、ピンク色の地に赤い小さな水玉のあるワンピースでした。♠<地が黒い>多少日に焼けたって、ぼくは地が黒いので目立ちません。♠<地が出る>今はおとなしくしているけれど、彼女のことだもの、三日もすれば地が出ておてんばになるよ。♠<地で行く>彼は昔[むかし]工場で働いていたことがあるから、今度の工員の役は地で行けるね。♠<小説を地で行く>原田さんの人生は、冒険[ぼうけん]小説を地で行くような、波乱に富んだものだった。♠<地の文>会話文には方言が使われることもありますが、地の文は普通[ふつう]語で書くのが普通です。 **じ【字】** ○文字。漢字。筆跡。[文例]<字を書く>いい年をした大人がまちがった字を書くなんて、恥ずかしいと思わないのかしら。♠<字を読む>大学生にもなって、こんな字も読めないのかい。♠<字がうまい・へた>字がうまい、へたは別にして、字は丁寧[ていねい]に読みやすく書きましょう。♠<大の字>ぼくは、草の上に大の字に寝転[ねころ]んで、流れてゆく雲を見ていた。♠<口をへの字に結ぶ>コウスケは、口をへの字に結んで、廊下に立たされていた。♠<読んで字のごとし>「自立」とは読んで字のごとし、自らの力で立つ、ということだ。 **しあい【試合・仕合】** ○腕前や技などを競うこと。スポーツで勝負を競うこと。[文例]<試合をする>日曜日に二つの警察署が剣道の試合をすることになりました。♠<試合に勝つ>試合に勝つことだけを部活動の目標にするのは問題である。♠<試合に出る>サッカー部に入り、試合に出たことは、 中学校生活でのよい思い出となった。♠<試合展開>両チームがせり合って、予断を許さない試合展開となった。♠<泥[どろ]試合>選挙では、候補者がお互いの個人的な非難に終始し、泥試合の様相を呈することが多い。 **じあい【慈愛】** ○いつくしみ、愛すること。[文例]<慈愛を注ぐ>母が亡くなったあと、父は二人の子に惜しみなく慈愛を注いだ。♠<慈愛に満ちる>森の神様は慈愛に満ちた顔で森の動物たちを見守っていました。♠<慈愛に富む>その夜の彼女の言葉は、貧しい人々に対する慈愛に富んだものでした。 **じあい【自愛】** ○自分の体を大切にすること。自己の利益をはかること。[文例]<自愛する>酷寒の折から、くれぐれも御自愛ください。 **しあがり【仕上がり】** ○できあがること。できあがり具合。[文例]<仕上がりがよい>町の仕立屋[したてや]に注文した背広は、時間は少しかかったがさすがに仕上がりはよかった。♠<写真の仕上がり>〈仕上がりが遅い〉文化祭で撮った写真の仕上がりが遅い。 **しあがる【仕上がる】** ○できあがる。完成する。[文例]<仕事が仕上がる>今の仕事が仕上がったら、少し休みをとるつもりだ。♠<作品が仕上がる>この作品が仕上がるまで、実に十年の歳月が過ぎました。♠<原稿が仕上がる>締め切り日が迫っているのに、原稿が仕上がりそうもない。 **しあげ【仕上げ】** ○しあげること。完成させること。完成の直前の手入れ。[文例]<仕上げの時期>三学期は、一年の仕上げの時期といえます。♠<仕上げの段階>公演に向かって、けいこはいよいよ仕上げの段階に入った。♠<仕上げを御覧[ごろう]じろ>心配するなよ、腕は確かなんだから。仕上げを御覧じろだ。♠<総仕上げ>今日、総仕上げのリハーソーを行って、明日の本番に臨みます。♠<急仕上げ>なにしろ、お客さんにせかされて急仕上げだったので、出来には自信がない。 **しあ・げる【仕上げる】** ○完成させる。『[文例])<作品を仕上げる>書きあがったら推敲[すいこう]し、よりよい作品に仕上げよう。♠ <429> <工作を仕上げる>木を割り、ナイフで削り、最後はやすりを使って工作を仕上げた。♠<仕事を仕上げる>どうしても早く仕上げたいと、夜なべ仕事になったりした。 **しあわせ【幸せ・仕合わせ】** ○幸福。幸運。めぐりあわせ。[文例]<幸せを求める>人間はだれでも、一生を通じて、幸せを求める権利があります。♠<幸せが舞い込む>春の訪れ[おとず]とともに、さみしかった少年の家にも、思わぬ幸せが舞い込んできた。♠<幸せをもたらす>美しい少女との出会いが、ぼくの心にほのぼのとした幸せをもたらした。♠<幸せな家庭>大学を卒業した後、二人は結婚して、幸せな家庭を築きました。♠<幸せに暮らす>その後、おじいさんは幸せに暮らしましたとさ。♠<お幸せに>御結婚[ごけっこん]を、心からお喜び申[もう]し上げます。お幸せに。♠<ありがたき仕合わせ>ありがたき仕合わせと言って、家来[けらい]は殿様[とのさま]から褒美[ほうび]の品をちょうだいした。 **しあん【思案】** ○考えをめぐらすこと。もの思い。[文例]<思案のしどころ>攻めるか、守るか、ここが思案のしどころだ。♠<思案に暮れる>いっこうによい考えは浮かばず、その日一日は思案に暮れた。♠<思案の末>わたしは思案の末、もう一度彼に電話してみることにした。♠<思案がつかない>自分の意見をどう言ったらよいものか思案がつかないうちに、会合は終わってしまった。♠<思案を巡らす>ああでもない、こうでもないと、子供たちは首を集めて思案を巡[めぐ]らした。♠<思案が浮かぶ>何とか今日中に片づけなければならない問題だったが、これといったよい思案も浮かばなかった。♠<思案する>あれこれ思案するうちに一つの考えが浮かんだ。♠<思案投げ首>捕[つか]まえるどころか犯人の見当さえつかず、警察も思案投げ首の体[てい]であった。 **しあん【試案】** ○試みに立てた案。[文例]<試案を作る>夏休みのキャンプはわたしが試案を作り、これを皆で検討することになった。♠<試案を練る>会館の建設計画については、各人の意見を参考にして試案を練っているところだ。 **しあん【私案】** ○私的に立てた案。個人的な考え。[文例]<私 案を作る>〈私案を出す〉この問題は全員に関係の深いことだから、それぞれが私案を作り、出し合ってみよう。 **しい【四囲】** ○周囲。四方。[文例]<町の四囲>町の四囲は広々とした田園で、かなたにアルプスの山々が望まれる。♠<四囲の情勢>四囲の情勢に巻き込まれ、弱小国は独自の行動をとることができなかった。 **しい【恣意】[しい]** ○かってな考え。気まま。[文例]<恣意にまかせる>用具の補充は今まで部長の恣意にまかせてあったが、これからは部員同士よく相談して決めてください。♠<恣意的>これはあなただけの恣意的な判断で、もちろんわたしたちは賛成できません。 **しい【示威】** ○威力を示すこと。[文例]<示威する>立派なたてがみをもったライオンがほえたてる姿は、百獣[ひゃくじゅう]の王の威厳を示威しているようだ。♠<示威行進>メーデーの示威行進に参加した。 **しいか【詩歌】** ○漢詩と和歌。詩や短歌や俳句。[文例]<詩歌に詠む>ホトトギスは、初夏の風物として詩歌に詠[うた]まれています。♠<詩歌の道>日本では、昔から和歌や漢詩など詩歌の道がたいそう重んじられてきました。♠<詩歌の魅力>古典の代表的な和歌を読み味わい、詩歌の魅力にふれよう。 **しいく【飼育】** ○生き物を飼って育てること。[文例]<飼育する>昆虫を飼育し観察していくと、その生活のありさまが理解できるし、愛情もわいてくる。♠<飼育係>わたしは動物園の飼育係となって三十年、動物とのつき合いは長い。 **じいしき【自意識】** ○他者との関係の上で生じる、自分自身に対する意識。[文例]<自意識が強い>わたしは小さい時から自意識が強く、周りとの協調に欠けるところがあった。♠<自意識過剰[かじょう]>だれもあなたの話なんかしていないのに、自分のことだと思うなんて、自意識過剰よ。 **シーズン** ○季節。時季。時節。[文例]<ハイキングのシーズン>春と秋はハイキングのシーズンで、野山はハイカーでにぎわいます。♠<シーズンをむかえる>スキー場に初雪が降り、いよいよウインター・スポーツのシーズンをむかえた。 **しいた・げる【虐げる】** ○むごい扱いをする。虐待する。「[文例]<虐げられた民衆>彼は、虐げられた民衆の代弁者として、国家に対し論戦を展開し続けた。♠<虐げられた労働者>この本を読み進むにつれて、戦前の虐げられた労働者の悲しみが胸を打つ。 **しいて【強いて】** ○無理に。強制的に。ことさらに。[文例]ハマチとブリを強いて区別するなら、大きさの違いだろう。♠国王は多くの反対をふり払って、強いて増税を実行した。♠きみが強いて帰れと言うなら、ぼくもとどまりはしない。♠彼も反省していることですから、強いて処分することもないでしょう。♠<強いて言えば>これといって趣味[しゅみ]もありませんが、強いて言えば、映画を見ることぐらいです。 **し・いる【強いる】** ○無理にさせる。強制する。強要する。[文例]<無理を強いる>父は、なにかにつけ、長男であるぼくに無理を強いるので困ります。♠<読書を強いる>他人から読書を強いられると、かえって本が嫌いになる。♠<返答を強いる>わたしは返答しろと強いたが、妹はいやだという。♠<労働を強いる>病人に労働を強いるなど、許されないことだ。♠<苦戦を強いる>優勝の期待がかかっている日本チームですが、予想外の苦戦を強いられています。♠<犠牲[ぎせい]を強いる>公共の福祉のためだといいながら、実は個人に犠牲を強いる場合も少なくない。 **しいれ【仕入れ】** ○仕入れること。↓しいれる[文例]]<仕入れに行く>毎朝早くから、父は市場へ野菜の仕入れに行きます。♠<仕入れ先>仕入れ先の問屋が倒産したために、今、その品物は切れています。 **しい・れる【仕入れる】** ○業者が生産や販売に必要な物を買い入れる。[文例]<品物を仕入れる>よい品物を安く入れ <430> るために、商店の人はいろいろ苦心しているそうです。♠<原料を仕入れる>工場では、直営の農場から新鮮な原料を仕入れ、ジュースや缶詰[かんづめ]を作っている。♠<情報を仕入れる>そんな情報、どこから仕入れてきたんだい? **しいん【死因】** ○死亡の原因。[文例]その男の死因は、ガスの不完全燃焼による一酸化炭素中毒と見られる。♠死因を解明するために、死体が解剖[かいぼう]された。 **シーン** ○場面。場景。[文例]<映画のシーン>この映画のやぶの中のシーンは、今でもまぶたに焼きついている。♠<劇的なシーン>戦争が終わって帰国した兵士たちと家族の間に、再会を喜ぶ劇的なシーンが展開された。♠<思い出の一シーン>あなたとの事は、青春の思い出の一シーンとして、わたしの胸にしまっておきます。 **じいん【寺院】** ○寺。寺の建物。[文例]<回教の寺院>この町には、回教の寺院があり、遠くからでも美しいドームが見える。♠<寺院めぐり>連休は、奈良・京都の寺院めぐりを計画しています。 **じう【慈雨・滋雨】** ○大地をうるおし、作物を育てる恵みの雨。[文例]<千天[ひでり]の慈雨>その老人のいたわりの言葉は、干大の慈雨のごとくに女の心を潤[うるお]した。♠<慈雨が注ぐ>祈りが天に届いたように、乾ききった大地に慈雨が降り注いだ。 **しうち【仕打ち】** ○他人に対するふるまい。[文例]<ひどい仕打ち>役人のひどい仕打ちに、農民たちの間では、しだいに怒りの声が高まってきた。♠<あまりの仕打ち>きみ、ぼくの秘密をみんなにしゃべるなんて、あまりの仕打ちだよ。♠<冷たい仕打ち>母親の冷たい仕打ちの中で、少女はどのような成長をたどったのだろう。♠<仕打ちを受ける>あの人から、こんな仕打ちを受けようとは思わなかった。♠<仕打ちをする>泣いて謝る[あやま]子供をなぐるなんて、ひどい仕打ちをするものだ。♠<仕打ちに耐える>わたしの望みをかなえてくださるなら、どんな仕打ちにも、きっと耐えてみせます。 **じえい【自衛】** ○自分で自分を守ること。[文例]<自衛の手 段>自衛の手段としてピストルを所持してよい国もある。♠<自衛の策>どろぼうに入られないためには、戸締[とじ]まりの確認や隣近所への声かけなど、各家庭でも自衛の策が必要です。♠<自衛する>どの国の軍隊も国を自衛するためにあるはずなのに、侵略[しんりやく]から戦争が始まるのはなぜでしょう。 **じえい【自営】** ○独立して事業・生業を営むこと。[文例]<自営する>将来は独立して、自営したいと思っている。♠<自営業>職業は自営業で、文房具屋を営んでいます。 **しえき【使役】** ○人を使って、強制的に働かせること。他に事を行わせる意を表す表現手段。[文例])<使役に駆り出す>その年、城の修理をするために、農民たちは使役に駆り出された。♠<使役に耐える>村人たちが田畑を守るためには、高い年貢[ねんぐ]や無理な使役にも耐えなければならなかった。♠<使役する>欲深い王は、領民をできるだけ使役して、富を増やそうと考えていた。♠<使役の助動詞>「読ませる」などの「せる」は、「そうさせる」という意味をもつ使役の助動詞です。 **ジェスチャー** ○身ぶり。手ぶり。そぶり。見せかけの態度。ゼスチャー。[文例]<審判のジェスチャー>投球ごとに、それがストライクかボールかは審判のジェスチャーでわかります。♠<ジェスチャーをまじえる>ジェスチャーをまじえながら未熟な英語を操[あやつ]って、どうにか外国人に話が通じた。♠彼女はおいおい泣き出したが、それがジェスチャーであることはすぐに分かった。 **しえん【支援】** ○力を貸して助けること。又[文例]<支援を受ける>仲間の支援を受けて、人力飛行機製作の試みは成功した。♠<支援の人々>判決が出る日、裁判所の前には支援の人々がたくさん集まりました。♠<支援する>選手組合のストライキを支援して、審判団もグラウンドから去った。 **しお【塩】** ○食塩。塩け。塩分。[文例]<塩をなめる>塩をなめたとき、「しょっぱい」と言う人と「辛[から]い」と言う人がいます。♠<塩がきく>ほんのひとつまみの塩がきいて、料理の味が引きたつことがある。♠<塩に漬ける>切った野菜を、この まま、半日くらい塩に漬けておくだけでよいのです。♠<塩をふる>適当に、塩をふって召し上がってください。♠<塩をする>開いたサケは、たっぷり塩をして貯蔵します。♠<塩が強い>関東地方の味つけは、関西に比べて、一般[いっぱん]に塩が強いといわれている。♠<塩をまく>きよめに塩をまく習慣は、日本以外の国でも見られるそうです。♠<敵に塩をおくる>「敵に塩をおくる」といって、敵の弱みにつけこまず、逆に苦境を救うようにすることもあるらしい。♠<青菜に塩>先生にしかられた大ちゃんは青菜に塩、急に元気がなくなった。 **しお【潮】[しお](汐)** ○満ち引きする海水。海水。うしお。ころあい。しおどき。[文例]]<潮が満ちる・引く>一日に二回ずつ潮が満ちたり引いたりする。♠<潮が差す>潮が差してくると、干潟[ひがた]が隠れてしまった。♠<潮の干満・満ち干>潮の干満[かんまん]の差が小さいときに、海岸の生物たちが活発に動き回る。♠<潮が速い>ここは潮が速くて、ぼくたちの力では、とても泳ぎ渡る[わた]ことはできない。♠<潮の流れ>夕方の五時前に、潮の流れは西から東へと変わりました。♠<潮の具合>しばらく待っているうちに、船出をするのに潮の具合がよくなった。♠<潮の香り>海辺の国道を走る車の中にまで、潮の香りがしてきました。♠<潮を吹く>船の右前方に、潮を吹いているくじらを発見した。♠<〜をしおに>係員が見回りに来たのをしおに、ぼくたちは席を立った。 **しおき【仕置き】** ○処罰すること。こらしめること。[文例]]<仕置きする>江戸時代は、この付近の原っぱに罪人を仕置きする刑場[けいじよう]があった。♠<お仕置きする>こら、お行儀が悪いと、お父さんにお仕置きしてもらいますよ。 **しおくり【仕送り】** ○生活費・学費などを送り届けること。[文例]<仕送りをする>少ない給料の中から、郷里の母親や弟、妹に仕送りをしている。♠<仕送りを受ける>下宿して大学に通ったが、親から月十万ほどの仕送りを受けていた。 **しおさい【潮騒】[しおさい](潮騒)** ○(潮が満ちてくる時の)波の音。[文例]潮騒が歌うように話しかけてくる。♠<潮騒の響き> <431> 山を越えていく少年の耳に、かすかに潮騒の響きが聞こえ始めた。♠<潮騒が耳につく>潮騒が耳について、その夜はなかなか寝つかれなかった。 **しおしお【悄悄・萎萎】[しおしお]** ○しょんぼりと元気のないさま。うちしおれたさま。[文例]先生にしかられて、いたずらっ子たちはしおしおと職員室を出て行った。♠大男が現れると、悪党どもはしおしお引き揚げていった。 **しおどき【潮時】** ○満潮・干潮の時刻。ちょうどよい時。ころあい。[文例]<潮時を見計らう>漁師は、潮時を見計らって漁に出た。♠<潮時を待つ>じっくり構えて潮時を待つことだ、せいては事をしそんじるよ。♠<引退の潮時>初日から三日も続けて黒星じゃ、横綱もそろそろ引退の潮時かも知れない。♠<今が潮時>主人も定年ですから、今が潮時と考えて田舎へ引っ込むことにしました。 **しおらし・い** ○おとなしく従順である。(いつもと違って)ひかえめで好ましい。[文例]<しおらしいことを言う>おや、どうしたの、おてんばのひさちゃんがそんなしおらしいことを言うなんて。♠<しおらしい様子>草むらに小さな野の花が隠れるように咲いている様子が、いかにもしおらしい。♠<しおらしく振るまう>あの男勝りの娘が、好きな多吉の前ではしおらしく振るまうからおもしろい。 **しお・れる【萎れる】** ○水分・生気を失ってしぼむ。元気がなくなる。[文例]<葉がしおれる>水をやると、しおれていた葉も生気を取り戻した。♠<草がしおれる>暑さ続きで、庭の草もしおれてぐったりしている。♠<花がしおれる>花瓶[かびん]の中で、バラの花がしおれて枯れかかっていた。♠<しおれた様子>少年は、悲しい目にあったというのに、特にしおれた様子もなかった。♠<人がしおれる>いつもは元気な赤川先生も、今日はなぜかしおれていました。 **しか【鹿】[しか]** ○中型の哺乳[ほにゅう]動物。山野に生息し、雄は大きな角をもつ。「[文例]<鹿を飼う>奈良の公園にいる鹿は、だれが飼っているのですか。♠<鹿を追う>ハンターたちは、山で鹿を追ったが、一頭も姿を現さなかった。♠<鹿を追う者は山 を見ず>目先の事にとらわれると、全体が把握[はあく]できなくなりますよ。「鹿を追う者は山を見ず」。 **しが【歯牙】[しが]** ○歯ときば。[文例]<歯牙にもかけない>ワンマンな彼は、わたしたち下の者の批判などは歯牙にもかけない様子だ。 **じか【自家】** ○自分の家。自分自身。[文例]<自家用>裏の小さな畑で、祖父が自家用に野菜を作っている。♠<自家製>一昔前までは、みそもしょうゆも自家製で、店で買う物などほとんどなかった。♠<自家撞着[どうちゃく]>自分自身、話していくうちにつじつまが合わなくなり自家撞着に陥[おちい]ることがある。♠<自家薬籠[やくろう]中の物>長年町の印刷所に勤めた祖父だから、祭りのポスターなどは自家薬籠中の物といってよかった。 **じか【時価】** ○その時の値段。[文例]<時価~円>王冠に散りばめた宝石は、なんと時価数億ということだ。♠<時価で売る>価格の変動が激[はげ]しい品は、時価で売っております。♠<時価にする>昔は安かったこの土地も、時価にすればたいへんなものだ。 **じが【自我】** ○他から独立した自己。自分。自分についての意識・観念。[文例]何から何まで他人の言う通りになって、きみには自我っていうものが全然ないのかい。♠<自我を確立する>思春期は、人間が独立するため、つまり、自我を確立するための出発点です。♠<自我をおさえる>毎日の生活の中でみんなとうまくやっていくには、時には自我をおさえることも必要です。♠<自我を貫く[つらぬ]>世の中の多くの人の生き方に背を向け、自分の思うまま自我を貫きとおすのは、なまやさしいことではない。♠<自我に目覚める>日本人が近代的な自我に目覚めたのは、江戸[えど]時代の終わりから明治時代にかけてのことです。♠<自我意識>いつも自分が話の中心になっていないと気がすまない自我意識の強い娘[むすめ]でした。 **しかい【視界】** ○見通しのきく範囲。視野。[文例]<視界は五十メートル>事故が起こったときは、霧が発生していて、視界は五十メートルもなかった。♠<視界が悪い>時がたつにつれて、風雨はいっそう激しくなり、視界は悪くなる一方だった。♠<視界が広がる>山を登りつめると、視界がぱっと広がり、はるかかなたに海が見えた。♠<視界に入る>吹き荒れる雪を透かして、谷川にかかる橋が視界に入ってきた。♠<視界に飛び込む>トンネルを抜けると、真っ青な一面の麦畑が視界に飛び込んできた。♠<視界良好>ただいま東京都上空を飛行中、天気は快晴、視界良好です。♠<視界ゼロ>視界ゼロの状態で、船は霧笛[むてき]をボーボー鳴らしながらゆっくり進んだ。 **しかい【司会】** ○会や番組を進行させること。また、その役・人。[文例]<司会をする>わたしがこの討論会の司会をすることになった。♠<司会者>結婚披露宴[ひろうえん]の司会者を大学時代の友人に頼んだ。 **しがい【市街】** ○人家や商店などの建ち並ぶ所。にぎやかな通り。町。[文例]<広島市街>原子爆弾により広島市街は全壊、二十数万の死者を出した。♠<市街地>近年、各地の市街地では郊外に向かって宅地造成が急速に進んでいる。♠<市街戦>軍のクーデターによって、首都では市街戦が繰り広げられた。 **しがい【市外】** ○市の境界の外。町の周辺部。[文例]]この辺りからは市外で、畑や空き地が多くなります。♠<市外通話><市外局番>その場所だと市外通話になりますので、市外局番を回してください。 **しがい【死骸・屍骸】[しがい]** ○死体。なきがら。[文例]<動物の死骸>平原に転がる動物の死骸をオオカミやコヨーテがむさぼる。♠朝焼けの揺らめいた川波には坊主頭の死骸が一人、磯臭[いそくさ]い水草や五味[ごみ]のからんだ乱杭[らんぐい]の間に漂[ただよ]っていた。(芥川龍之介[あくたがわりゅうのすけ]「大導寺信輔[だいどうじしんすけ]の半生」) **じかい【自壊】** ○ひとりでに壊れること。内部から壊れること。[文例]]<自壊する>森は自壊したのでなく、人間が破壊したのです。♠<組織が自壊する>発足から十年、期待されていた政党もついに内部対立により自壊せざるをえなかった。♠<自壊作用>枯れた植物や動物の遺骸[いがい]は、やがて自壊 <432> 作用により分解し、養分を含んだ土となる。 **じかい【自戒】** ○自らを戒めること。[文例]<自戒する>怠け心に流されぬよう自戒しながら、こつこつと修業を続けた。♠<自戒の言葉>おしゃべりなわたしは、「口はわざわいのもと」を自戒の言葉としている。 **じがい【自害】** ○自分の体を傷つけて命を絶つこと。刃物などで自殺すること。[文例]<自害する>多くの家臣が亡き主君のあとを追って自害したという。♠<自害する>女は、自分の犯[おか]した過ちに苦しみ、自害して果てたのだった。 **しかえし【仕返し】** ○やり直し。やり返すこと。報復。復讐[ふくしゅう]。[文例]<仕返しをする>相手のひどい仕打ちに、仕返しをしてやろうという気持ちになった。♠<仕返しする>相手は力が強いから、どうして仕返ししてやろうかと、あれこれ頭をひねった。♠<仕返しに~する>頭をこつんとやられた仕返しに、弟は兄の向こうずねをけとばした。 **しかく【四角】** ○四すみに角がある形。四角形。方形。かどばっていること。きちんとしていること。[文例]<四角な空>囚人[しゅうじん]たちは、高い塀に囲まれた中庭から、四角な空をながめるだけだった。♠<四角に囲む>花壇[かだん]に人が入らないように、さくで四角に囲みました。♠<四角に仕切る>その家の庭は、生け垣で四角に仕切られていた。♠<丸い卵も切りようで四角>丸い卵も切りようで四角というだろ。きみの態度を見ていると、円満におさまるものさえ、けんかになってしまうよ。♠<四角四面>そんなに四角四面に考えず、少し肩の力を抜いたらどうだい。♠<四角張る>彼は、いつも堅苦[かたくる]しい四角張った発言をする。♠<四角い>これをあずかってきましたと、少年は四角い封筒を差し出した。 **しかく【資格】** ○身分・地位。必要な条件。[文例]<資格がある・ない>この学校の卒業生ならだれでも、同窓会に出席する資格がある。♠<資格を取る>姉は在学中に保母の資格を取りました。♠<資格を持つ>クラスには珠算[しゅざん]二級の資格を持っている人が三人いる。♠<資格をはく奪[だつ]する>彼は何度も事件を起こしたので、やがて公務員の資格をはく奪され た。♠<資格審査>その会に入るには、まず、厳しい資格審査を受けなければならない。 **しかく【視覚】** ○目でものを見る感覚。[文例]<視覚を失う>ヘレン・ケラーは、赤ん坊のころに高熱がもとで視覚を失った。♠<視覚に訴える>店の看板は、通行人の視覚に訴えるように、原色を使ったはでなものにしました。♠<視覚を冒[おか]す>雲と雨との隙間[すきま]なく連続した広い空間が、津田の視覚を冒した時、彼は荒涼[こうりょう]なる車外の景色と、その反対に(………………)車内の愉快とを思い較[くら]べた。(夏目漱石「明暗」) **しかく【死角】** ○射程内にありながら弾丸を撃てない区域。見通しのきかない角度・範囲。[文例]<死角になる>建物のこの部分は死角になっていて、入り口のガードマンから見えなかったはずだ。♠<死角に入る>狭[せま]い交差点の角は、トラックなど大型車両の運転席から死角に入って、通行人にとって危険です。 **じかく【自覚】** ○自ら悟ること。自分自身を知り、わきまえること。自分で知覚すること。[文例]<自覚が足りない>こんなつまらないミスを犯したのも、きみに責任者としての自覚が足りないからじゃないのかね。♠<自覚を強める>先生の話を聞いて、わたしは今まで以上に学級委員としての自覚を強めました。♠<自覚を促す[うなが]>今度の事件は、彼女に教師としての自覚を促す良い機会になるだろう。♠<自覚を持つ>きみたちも、四月からは、受験生としての自覚を持って生活していかなければならない。♠<自覚のあらわれ>彼が率先してチームを引っ張っていくようになったのも、キャプテンとしての自覚のあらわれだ。♠<自覚する>そんなに責めるなよ、あいつだって自分の力が足りなかったことは十分自覚しているんだから。♠<自覚症状>ガンの中でも、肺ガンは特に自覚症状の現れにくい病気だそうです。 **しかけ【仕掛け】** ○しかけること。しくみ。からくり。装置。規模。[文例]]<閉まる仕掛け>このわなは、ウサギが入ると、自然に閉まる仕掛けになっています。♠<仕掛けをする>新しく開発された機械には、これまでにない、いろいろな仕掛け がしてある。♠<仕掛けがある>おかしいぞ、これは何か特別の仕掛けがあるに違いない。♠<仕掛けが大きい>日本の花火は、仕掛けが大きいことでも世界中に知られています。♠<仕掛けを作る>念入りに仕掛けを作って、今日こそはイワナを釣ってやるぞ。♠<種も仕掛けもない>手品師は、種も仕掛けもないと言いながら、ハンカチを取り出した。 **しか・ける【仕掛ける】** ○やりかける。とりつける。はたらきかける。いどみかける。[文例]<仕事をしかける>今日はがんばろう、と仕事をしかけたら、電話が鳴った。♠<わなをしかける>川ぶちのがけの上にしかけたわなに、一羽のひよどりがかかっていた。♠<攻撃をしかける>敵の戦闘部隊がいつか攻撃をしかけてくるだろう。♠<けんかをしかける>向こうがしかけたけんかでも、買わないほうがよいのです。 **しかし【然し・併し】[しかし]** ○そうではあるが。けれども。だが。[文例]きみの言ってることは正しい。しかし、それは実行不可能だ。♠口で言うだけなら簡単だが、いざ実行するとなると、しかし・・・・・・。♠ああ、しかし、今度という今度は手の打ちようがない。♠<しかしながら>命令には従います。しかしながら、成功するかどうかは保証できません。 **しかじか【然然】[しかじか]** ○長い話を省略していう語。[文例]<かくかくしかじか>かくかくしかじかで家には帰れないと言うから、とにかくうちへ連れて来たわけなんだ。♠<これこれしかじか>新製品を考案すると、工場にこれこれしかじかの品を作ってほしいと依頼する。 **じがじさん【自画自賛】[じがじさん](自画自讚)** ○(自分の絵に自分で賛《詩文や歌など》を書くことから)自分で自分のしたことをほめること。[文例]<自画自賛する>本人は大傑作[だいけっさく]だと自画自賛していたが、正直なところいただけない。 **しかた【仕方】** ○する方法。やり方。身ぶり・手まね。[文例]<利用の仕方>辞書は、利用の仕方によっていろいろなことが調べられる。♠<あいさつの仕方>あいさつの仕方も、国や地域によってさまざまです。♠<仕方がない>周作[しゅうさく]は道々泣けて泣けて仕方がなかった。♠<仕方がない>また失 <433> 敗したのかい、仕方のないやつだな。 **しかたない【仕方無い】[しかたない]** ○しようがない。やむをえない。[文例]雪でバスが遅れているんだもの、焦[あせ]ったってしかたないよ。♠いくら腹がへっているからといって、なまの大根じゃしかたない。♠緊張[きんちょう]しているせいか、さっきからのどが渇[かわ]いてしかたない。♠彼女がうそだと気づいたときのことを思うと、おかしくてしかたなかった。♠このサルは乱暴でしかたないと係員が話していた。♠雨が降りそうなので、しかたなく傘[かさ]を持って出かけました。 **しかつ【死活】** ○死ぬことと生きること。死ぬか生きるか。[文例]<死活にかかわる>食糧不足は、わたしたち人間の死活にかかわる大問題である。♠<死活を制する>内陸国であるこの国の唯一[ゆいいつ]の港がある湖を封鎖[ふうさ]すれば、国の死活を制することができる。♠<死活問題>海の汚染[おせん]は、沿岸漁民にとって死活問題だった。 **じかつ【自活】** ○自分の力で生活すること。[文例]<自活への道>障害者を受け入れる企業は少なく、かれらの自活への道はまだまだ険[けわ]しい。♠<自活する>三人の子供も社会人となり、それぞれに親もとを離れて自活しています。 **しかつめらし・い【鹿爪らしい】[しかつめらしい]** ○かたくるしい。まじめくさっている。もっともらしい。[文例]<しかつめらしい顔>壇上には、弁士たちがしかつめらしい顔をして並んでいた。♠<しかつめらしく話す>青少年の教育問題は国の将来にかかわる問題です、と、PTAの役員はしかつめらしく話し始めた。 **しがない** ○とるにたりない。貧乏だ。「[文例]<しがないサラリーマン>億もするような庭付きの家など、しがないサラリーマンにはしょせんかなわぬ夢です。♠<しがないその日暮らし>おれたちゃしがないその日暮らしさ、先のことなど分かりゃしない。 **じかに【直に】[じかに]** ○直接に。「[文例]<じかに渡す>大切な品物だから、向こうに行ったらおばさんにじかに渡[わた]すんだよ。♠<じかに照りつける>外に出ると、真夏の熱い太陽がじかに 首筋に照りつけ、一瞬[いっしゅん]めまいを感じた。♠<じかに見る>テレビでは見たことがあるけれど、こうしてじかにパンダを見るのは今日が初めてです。♠<じかに触る>その魚は背びれに毒を持っているので、手でじかに触るのは危険です。♠<じかに着る>ブラウスやセーターは、素肌[すはだ]にじかに着るよりも、下に何か着たほうが暖かいのです。 **じがね【地金】** ○下地になっている金属。加工していない金属。本性。[文例]<鉄の地金>この部族の装飾品[そうしょくひん]は、鉄の地金に金のメッキを施[ほどこ]したものが多い。♠<地金が現れる>目上の人の前ではおさえているが、仲間同士だと安心するのかうぬぼれ屋の地金が現れる。♠<地金を出す>自分をよく見せようとしたのがまちがいで、むしろもっと地金を出すように努めるべきだった。 **しかばね【屍】[しかばね]** ○死体。[文例]<しかばねをさらす>ヒヨドリは小さい体を横倒[よこだお]しにして、無残なしかばねをさらしていた。♠<人畜[じんちく]のしかばね>空襲[くうしゅう]に見舞われて町はがれきと化し、至る所に人畜のしかばねが折り重なっていた。♠<生けるしかばね>一瞬にして妻子を失った男は、以後、生けるしかばねのようになってしまった。 **しがみつく** ○しっかりと取りつく。又[文例]<背にしがみつく>子供は、母親の背にしがみついたまま離れようとしない。♠<大地にしがみつく>農民たちは、大地にしがみついて生きてきた。♠<過去の栄光にしがみつく>過去の栄光にしがみつくようにして生き延びたこの老大家ももはやこれまでであった。 **しか・める【顰める】[しかめる]** ○顔にしわを寄せる。顔をゆがめる。[文例]]<顔をしかめる>患者のレントゲン写真を見て、医師は思わず顔をしかめた。♠<眉[まゆ]をしかめる>女の子たちの乱暴な言葉づかいを聞くと、祖母はさも不快そうに眉をしかめた。 **しかも【然も・而も】[しかも]** ○そのうえ。なお。それにもかかわらず。 々と不幸な目にあいながら、しかも明るい笑顔を絶やさなかった。♠わたしの生まれ育った新潟の冬 は、寒さが厳しく、しかも雪がたくさん積もります。 **しがらみ【柵】[しがらみ]** ○流れをせき止めるために杭を打ち、横木を組んだもの。引き止めるもの。まつわりつくもの。[文例]<人の世のしがらみ>人の世のしがらみから離脱[りだつ]せんと、仏の道に救いを求めた。♠<人情のしがらみ>人情のしがらみというやつは、まことにやっかいなものではある。♠<しがらみを離れる>人生にはさまざまなしがらみがあって、なかなか離れるわけにはいかないものだ。 **しかり【然り】[しかり]** ○そうである。その通り。[文例]戦争でドイツ・朝鮮は国が二分され、民族の悲劇を被[こうむ]った。かつてのベトナムもしかり。♠古代文明は大河の流域に栄えた――エジプト文明しかり、黄河文明またしかり。 **しか・る【叱る】[しかる]** ○悪い点を責めとがめる。[文例]<生徒をしかる>先生は、宿題を忘れた生徒を、一人一人しかった。♠<母にしかられる>子供のころは、暴[あば]れん坊だったので、よく母にしかられました。♠<人からしかられる>金網[かなあみ]を乗り越えたとたん、見つかって、係の人からその場でしかられました。♠<厳しくしかる>甘やかすより、厳しくしかったほうが、本人のためになる。 **しかるべき【然るべき】[しかるべき]** ○そうあって当然の。それにふさわしい。[文例]<〜してしかるべき>これだけ協力したのだから、わたしに感謝してしかるべきだ。♠<しかるべき方法>事故発生のときには、それぞれしかるべき方法で避難[ひなん]してください。♠<しかるべき人>しかるべき人を中に立てて、もう一度相手側と話し合ってみてはいかが。♠<しかるべき地位>きみの能力なら、どの会社に入っても、いずれはしかるべき地位につけるよ。 **しかん【弛緩】[しかん]** ○ゆるむこと。たるむこと。[文例]<精神が弛緩する>五月ごろは、新学期の緊張[きんちょう]もほぐれ精神が弛緩してくる時期だ。♠<筋肉が弛緩する>ゆっくりと湯につかって弛緩した筋肉を、さらにマッサージでもみほぐす。 **しがん【志願】** ○進んで願い出ること。[文例]<志願する>ロベルトの父は働く人々の世の中を作るためにと、戦争へ自分から志願していった。♠<看護婦志願>今年も、看護婦志願の女学生たちが大勢この学校へ入学してきました。 <434> **じかん【時間】** ○時。時の間。時の隔たり。時刻。ときを計る単位。[文例]<予定の時間>〈時間になる〉予定の時間になっても、恋人[こいびと]は空港に姿を現さなかった。♠<寝る時間>いつまで騒[さわ]いでいるの、もうそろそろ寝る時間ですよ。♠<時間をまちがえる>試合開始は三時ですから、時間をまちがえないでくださいね。♠<約束の時間>〈時間に遅れる〉思ったより道路が込[こ]んでいて、約束の時間に三十分も遅[おく]れてしまった。♠<時間を合わせる>出発を前に、みんなでぼくの時計を基準に時間を合わせました。♠<時間が遅い>では、さようなら、時間も遅いから帰ります。♠<時間を守る>相手は忙[いそが]しい人だから、時間はしっかり守るようにしなさい。♠<時間に縛[しば]られる>毎日スケジュール通りの生活を続けていると、時間に縛られているような気がしてきます。♠<時間がある・ない>答えがわかったときには、もうほとんど時間がなくて、全部を書き切れなかった。♠<時間がかかる>家から学校までは、往復約三時間かかります。♠<時間をかける>時間をかければいいってわけじゃないさ。スピードも必要なんだ。♠<時間が過ぎる>楽しいことをしていると、時間が過ぎるのがとても速く感じられます。♠<時間がたつ>リトマス試験紙の色は、時間がたつにつれて赤みを帯びていった。♠<時間が流れる>騒音公害に関する工場側との話し合いは進展せず、時間だけがむなしく流れていった。♠<時間をさく>先生はわざわざ時間をさいて、ぼくと話してくださいました。♠<時間を食う>簡単だと思った問題が、意外に時間を食ってしまった。♠<時間をもてあます>集合場所に早く着きすぎて、ぼくはすることもなく、時間をもてあましていた。♠<時間をつぶす>休みの日は、息子[むすこ]といっしょにプラモデルを作ったりして、時間をつぶしています。♠<時間の無駄>人の意見を聞こうとしない彼女と話し合ったって、それは時間の無駄と言うものだ。♠<時間の問題>このような情勢になっては、M氏が大臣をやめるのも時間 の問題だ。♠<英語の時間>昨日の英語の時間、ぼくは答えがわからなくて、みんなの前で大恥[おおはじ]をかいた。♠<時間をください>そんなにせかさないで、もう少しゆっくり考える時間をくださいよ。 **じがん【慈顔】** ○慈愛にみちた、やさしい顔。[文例]戻ってきた息子を、父親は仏のような慈顔で迎え入れた。♠神父は、はぐくむような慈顔をもってその少年を見た。 **しき【式】** ○一定のやり方。儀式。物事の関係・構造を数値や符号を用いて表したもの。[文例]<式を行う・する>その年に、今の天皇の即位[そくい]の式が行われました。♠<式を挙げる>交際を始めて四年目の春、二人はめでたく教会で式を挙げました。♠<式と答え>答えだけではなく、式も書かないと点数がもらえません。♠<式をたてる>問題をよく読んでから、式をたててごらんなさい。♠<~式の考え方>「人を見たらどろぼうと思え」式の考え方では、親しい友などできません。♠<スクリュー式>現在使われているくり舟は、動力を利用したスクリュー式のものです。♠<日本式>彼はアメリカ人なのに、日本式にきちんと正座する。 **しき【指揮】** ○指図すること。又[文例]入学式の最後には、水田君の指揮で校歌を吹奏することになっている。♠<指揮をとる>病気の先生に代わって、クラスの指揮をとったのは学級委員の新井さんでした。♠<指揮を仰ぐ[あお]>次にどういう行動をとるべきか、兵士たちは新しい隊長の指揮を仰いだ。♠<指揮を受ける>皆さん、これからは万事[ばんじ]この方[かた]の指揮を受けてやるのですよ。♠<指揮する>大本営[だいほんえい]は、戦争中、軍全体を指揮した最高の機関だった。♠<指揮下>国王は、軍隊も含めてすべての国民を指揮下においた。 **しき【士気・志気】** ○兵士の意気込み。人々の意気・気慨。[文例]<チームの士気>〈士気に影響[えいきよう]する〉こうたびたび退部者が出ては、チームの士気に影響するだろう。♠<士気がくじける>この作戦の失敗で、部隊の士気はいっぺんにくじけてしまった。♠<士気を支える>彼らの士気を支えているものは、愛国心だけではなく家族への愛情でもあった。 <士気が上がる>予選の大勝で、選手の士気が上がった。♠<士気を高める>体育祭を目前にひかえて、クラス全員の士気を高める必要があるな。♠<士気の高揚[こうよう]>新製品の売り出しとあって、社内の至る所に士気の高揚が見られた。 **しき【四季】** ○春夏秋冬の四つの季節。[文例]<四季の移り変わり>日本人は、冬から春へ、夏から秋へという四季の移り変わりにとても敏感[びんかん]です。♠<四季の変化>日本の風土は、四季の変化に富んでいて、それぞれの季節を楽しめます。♠<原野の四季>彼は、一年間北海道へ通いつめて、原野の四季をカメラにおさめた。♠<四季折々>春の花見、秋の月見など、四季折々の遊びを楽しみながら暮らしています。♠<四季咲き>このバラは、四季咲きなので、一年中、花が楽しめます。 **しき【死期】** ○死ぬ時。死ぬべき時。[文例]<死期が迫る>がんを宣告され死期の迫った母・・・・・・。中学生のわたしは三人姉妹の長女だった。♠<死期を早める>痛み止めの劇薬を頻繁[ひんぱん]に打つと、患者の死期を早めることになる。 **じき【直】[じき]** ○まもなく。すぐ。[文例]空は明るくなってきたし、この雨はじきあがると思いますよ。♠二つ目の信号を右に曲がると、学校はじき左手に見えてきます。♠タクシーなんかで行かなくても、駅まではじきです。♠<じきに>この薬さえ飲めば、熱が下がって痛みもじきになくなるはずだ。♠<もうじき>いつまで起き[お]てるの。もうじき十二時になるわよ、早く寝[ね]なさい。 **じき【時期】** ○とき。おり。[文例]<よい時期>今ごろは暑くもなく寒くもなく、勉強やスポーツにはいちばんよい時期だ。♠<時期が悪い>旅行もいいけど今は時期が悪いよ、梅雨[つゆ]が明けてからにしたら。♠<この時期になると>毎年この時期になると、湖にはシベリアから渡り鳥がやってきます。♠<時期をずらす>作った野菜が高く売れるように、父はほかの農家と少し時期をずらして出荷[しゅっか]しました。♠<時期が早い>雪が解けたばかりじゃ、ハイキングには時期が早いような気がする。♠<時期が来る>今の先生の言葉は、時期が来 <435> れば必ずきみたちにも理解できると思う。♠<時期による>この庭園は花が美しいので有名ですが、時期によっては、何も咲いていないことがありますから注意してください。 **じき【時機】** ○ふさわしい時。しおどき。チャンス。[文例]<時機が熟する>ものごとには一番よい時というものがあるから、時機が熟するのを待つほうがよい。♠<時機を失う>時機を失うと、二度とチャンスはやってこないこともある。 **じぎ【時宜】** ○適当なころあい。適当な時期。[文例]<時宜を得る>被害が出る前に住民を避難させたが、これは時宜を得たよい処置であった。♠<時宜にかなう>「六日のあやめ十日の菊」は、時宜にかなわず役に立たないことのたとえです。♠<時宜をはかる>物事をなすには、時宜をはかる必要があろう。 **じきじき【直直】[じきじき]** ○人を介さないさま。直接に。じかに。[文例]校長先生より直々のごあいさつを賜[たまわ]り、恐縮[きょうしゅく]に存じます。♠公開レッスンでは、一流の演奏家が直々に指導してくれるそうです。 **じぎ【辞儀】** ○遠慮。頭を下げて礼をすること。[文例]何事じゃ、そなたと我らの間に、さような辞儀はいらぬぞ。♠<お辞儀をする>女の子はぴょこんと頭を下げてかわいいお辞儀をした。♠<お辞儀する>うだるような暑さに、草花もお辞儀してしまった。 **じぎ【児戯】** ○子供の遊び。[文例]<児戯に等しい>そのような甘い処置は児戯に等しく、何の効果も期待できない。♠<児戯に類する>当時、彼の実験は、児戯に類するものと一笑に付されたが、今その価値が認められてきた。 **しきい【敷居】** ○引き戸・障子などを乗せる溝のある横木。門の内外を仕切るために敷いた横木。[文例])<敷居とかもい>家も古くなって、敷居やかもいがゆがんだのか、ふすまの滑[すべ]りが悪くなった。♠<敷居が高い>彼にはいろいろと借りがあって、どうも敷居が高くて・・・・・・。♠<敷居をまたぐ>きさまには、二度とこの家の敷居をまたがせるものか。 **しきさい【色彩】** ○色。色どり。色あい。傾向。[文例]<あざやかな色彩>壁[かべ]に掛けられたポスターのあざやかな色彩が人々の目をひきます。♠<色彩が豊か>南洋の動植物には、体が大きく、色彩が豊かなものが多い。♠<色彩が薄れる>子供のころはいた赤い靴[くつ]、その記憶も年ごとに色彩が薄れ てゆく。♠<色彩に満ちあふれる>春になると、山河の姿も優[やさ]しくなり、天地は色彩に満ちあふれる。♠<宗教的な色彩>祭りというものは、宗教的な色彩を強く帯びている。♠<人道主義的な色彩>この本に表れている考え方は、人道主義的な色彩が強い。 **しきし【色紙】** ○和歌・俳句などを書きつける四角い厚紙。[文例]<寄せ書きの色紙>生徒たちは寄せ書きの色紙と花束[はなたば]を先生に贈ることにした。♠<色紙に書く>祖父は自作の句を色紙に書き、それを壁に飾[かざ]った。♠<サイン入り色紙>今、この商品を買うとアイドルのサイン入り色紙がもらえます。 **しきしゃ【識者】** ○知識と見識をそなえた人。[文例]<識者の意見>難しい問題なので、今後専門家や識者の意見を聞きながら、解決法を見つけていきたい。♠<識者ぶる>知識が豊富なことは認めるが、あの男の識者ぶったところが鼻につく。 **じきそ【直訴】** ○手続きを経ずに直接訴え出ること。[文例]<直訴する>領民を救う道はもはやこれしかないと、男は藩主に直訴することを決意した。♠<直訴に及ぶ>女子社員の待遇改善がなかなか進まず、彼女はついに社長へ直訴に及んだ。♠<直訴状>万策つきた庄屋[しょうや]は、農民の窮状[きゅうじょう]を領主への直訴状にしたため旅支度を始めた。 **しきたり【仕来り】[しきたり]** ○昔からしてきたこと。ならわし。習慣。[文例]<古いしきたり>日本人の生活の仕方も変わり、古いしきたりがだんだん消えていきます。♠<正月のしきたり>お正月のしきたりの一つにおとそを飲むというのがある。♠<しきたりに従う>結婚式は、村のしきたりに従って、花婿[はなむこ]の家で一晩じゅう行われた。 **しきち【敷地】** ○建物を建てたり、施設に使用するための土地。[文例]<学校の敷地>あの辺りから山のふもとまで、全部この大学の敷地です。♠<工場の敷地>工場の敷地内は、関係者以外立ち入りを禁じる。 **しきちょう【色調】** ○色の調子。色あい。[文例]<落ち着いた色調>婦人は上品な落ち着いた色調の着物を着ていました。♠<自然な色調>部屋全体の自然な色調が、目に優しい。♠<色調が暗い>きみのかく絵は、どれもみな色調が暗い。 **しきつ・める【敷き詰める】** ○一面に敷く。[文例]<石を敷き詰める>門から小石を敷き詰めた庭を通っていくと、年老いたおじがにっこりとわたしを迎えてくれた。♠<落ち葉が敷き詰める>落ち葉が一面に敷き詰めた公園の小道を一組の男女が行く。 **じきひつ【直筆】** ○自分自身で書くこと。また、そうして書かれたもの。[文例]<直筆の書>この書は、明治の有名な歌人の直筆で、わが家の家宝である。♠<直筆の原稿>資料館には、作家の直筆の原稿や遺品などが陳列[ちんれつ]されていた。 **しきべつ【識別】** ○見分けること。[文例]<雌雄を識別する>昆虫や魚のオス、メスを識別することができるかい?♠<言葉を識別する>「公演」と「講演」のような同音語は、字で見た場合は容易に識別できるが、耳で聞いた場合は誤解の原因ともなる。 **じぎゃく【自虐】** ○自分で自分をいじめること。[文例]<自虐的>他人の心の痛みに気づかなかった自分がいやになり、わたしは少々自虐的になっていた。♠<自虐趣味>自分に厳しいのはよいが、彼には少し自虐趣味があるようだ。 **しきゅう【支給】** ○金品をあてがい渡すこと。[文例]<手当の支給>〈支給を受ける〉家族手当の支給を受ける人は申請しなければならない。♠<支給する>この会社は、従業員に制服を支給しています。♠<現物支給>災害にあった人々に、衣類や食料などが現物支給されました。 **しきゅう【至急】** ○非常に急ぐこと。[文例])図書委員のみなさん、至急、図書室に集まってください。♠<至急の用>母は、至急の用があって先程[さきほど]出かけました。♠<大至急>コピ <436> ーを二十部とってきてくれ、大至急[だいしきゅう]頼むよ。 **じきゅう【自給】** ○自分に必要な分を自分で作ること。自分でまかなうこと。[文例]<自給する>我が国は食糧を自給することができず、輸入に頼っている。♠<自給自足の生活>島民は、食べ物から衣服、住居までも自分たちで作り、自給自足の生活をしている。♠<自給自足する>老人は山奥で畑を耕し、にわとりを飼って、自給自足して暮らしている。 **じきゅうじそく【自給自足】** ♪じきゅう・じそく **しきょ【死去】** ○死ぬこと。亡くなること。逝去[せいきょ]。[文例]<誕生から死去まで>この伝記は、天才音楽家の誕生から死去までを、その魂[たましい]の成長をたどって描[えが]いたものです。♠<死去の報>友人の死去の報に、足ががくがくとふるえるほどのショックを受けた。♠<死去する>入院中の父は、今朝、家族に見守られて死去いたしました。 **じきょ【辞去】** ○いとまごいをして立ち去ること。[文例]<辞去する>旅の僧は、泊めてもらったお礼にと、この守り札を残して辞去した。 **じきょう【自供】** ○(犯人が)自分から事実を申し述べること。また、その内容。自白。[文例]<犯人の自供>犯人の自供にもとづいて、現場検証が行われた。♠<自供する>警察の取り調べに対して、容疑者は犯行の一部始終を自供した。 **じぎょう【事業】** ○社会的に大きな仕事。営利を目的とする規模の大きい仕事。[文例]<困難な事業>山を切り開き、新しく線路を敷[し]くという事業は、大変困難なものでした。♠<事業を拡張する>社員五人で始めた会社も、売り上げが伸びるにつれ、少しずつ事業を拡張していった。♠<事業が振るわない>戦争が始まって、外国との貿易が減少するにつれ、父の事業も振るわなくなりました。♠<事業を興[おこ]す>兄が上京して仲間と新しい事業を興したのは、今から七年前の夏のことです。♠<事業を営む>彼は長年勤めていた会社をやめ、今は出版関係の事業を営んでいる。♠<事業に一生をささげる>奇跡の人と言われたヘレン・ケラーは、自分と 同じ境遇の人々を助けるための事業に、一生をささげた。♠<事業を成し遂げる>彼が大事業を成し遂げられたのは、町の人たちの惜しみない協力があったからなのです。 **じきょく【時局】** ○その時々の情勢。内外の情勢。[文例]<時局にとらわれる>社会の情勢が刻々と移り変わる中で、時局にとらわれない独自の生き方をしたいと思う。♠<時局が緊迫する>ひどい不景気で街には失業者があふれ、時局はますます緊迫していった。 **しきり【仕切り】** ○しきること。境をすること。境。しめくくり。相撲で立ち合いの身構え。[文例]<仕切りをする>部屋にカーテンで仕切りをして、妹と共用している。♠<仕切りにする>つい立てを仕切りにして事務所を区切ってみました。♠<仕切りがある・ない>仕切りもないだだっ広い学校の体育館で何日も過ごす避難民[ひなんみん]の気持ちはどうであろうか。♠<相撲の仕切り>さあ、時間いっぱい、両力士腕[うで]を下ろして、待ったなしの仕切りに入りました。 **しきりに【頻りに】[しきりに]** ○ひっきりなしに。繰り返し。何度も何度も。[文例]事務所には、問い合わせの電話がしきりに掛かってきた。♠鳥かごの中では、二羽のカナリアがしきりに鳴いています。♠窓の外で、子供たちが何かしきりに言い合いをしていた。♠父は腕組みをしたまま、さっきからしきりに考え込んでいる。♠火山性の地震は東の山のふもと辺りにしきりに起こるようになった。♠母は見合い写真を見せながら、「とてもいいお話よ。」としきりに姉を口説[くど]いていた。 **しき・る【仕切る】** ○区切りをつける。境をする。しめくくる。取りしきる。相撲で立ち合いの身構えをする。[文例]<土地を仕切る>空き地はいつのまにか、細かく仕切られた家庭菜園に変わっていた。♠<壁で仕切る>西洋建築の特色は、壁で四方を仕切ることである。♠<会を仕切る>今夜の宴会[えんかい]は、ぼくが全部仕切るから、安心してまかせなさい。 **しきん【資金】** ○事業など物事を行うもとになるお金。もとで。[文例]<資金を集める>計画を実行に移すためには、資金を集める必要がある。♠<資金を調達する>会社を設立する資金を調達するために走り回っています。♠<資金を投入する>町では、度重[たびかさ]なる水害を防ぐため、巨額な資金を投入して堤防を築いた。♠<資金援助>新しい事業を始めるにあたり、おじから資金援助してもらうことになった。♠<資金面>ヨットレースに参加するスタッフは集まったから、後は資金面をなんとかしなくては。♠<資金繰り>不況になると、最初に倒れるのは資金繰りの苦しい中小企業だ。 **しきんせき【試金石】** ○こすりつけて貴金属の品質を調べるための硬い石。価値や能力などを判定する材料。[文例]<試金石となる>新関脇[せきわけ]にとって、今日の一番が将来をうらなう試金石となるでしょう。 **しく【敷く】[しく](布く)** ○平らに広げる。一面に散らす。ものの下に置く。配置する。広く行き渡らせる。[文例]<紙を敷く>二人は、芝生[しばふ]に、新聞紙を敷いて座った。♠<わらを敷く>にんじんの小さな芽を守るために、畑にはわらが一面に敷いてあった。♠<布団を敷く>自分の布団くらいは自分で敷きなさい。♠<鉄道を敷く>山奥[やまおく]の小さな村にも鉄道が敷かれ、人々の暮らしは大変便利になった。♠<しりに敷く>結婚前は気が弱かった姉も、今ではすっかり亭主[ていしゅ]をしりに敷いている。♠<背水の陣を敷く>追いつめられた味方の軍は、背水の陣[じん]を敷いて敵を迎えうった。♠<戒厳令をしく>暴動が激[はげ]しくなると、政府は戒厳令[かいげんれい]をしいた。 **じく【軸】** ○車輪の心棒。ものの中心にする棒。かけじく。まきもの。回転運動・回転移動の中心。物事の中心となるもの・線。棒状のもの・部分。[文例]<車の軸>と積み荷の重みに耐えかねて荷車の軸が折れてしまったのです。♠<マッチの軸>強くマッチをすったら、軸が折れてしまった。♠<軸を掛ける>床の間には後光のさした仏様を描[えが]いた軸が掛けてあった。♠<軸に巻く>たこがうまく上がるように、糸を軸に巻いたりはずしたりして調節します。♠<軸にする>バレリーナは、片足を軸にしてくるくると何度も回りました。♠<~を軸に発展する>この会社は、家庭用の電気製品を軸 <437> に、戦後発展してきました。 **じく【字句】** ○文字と語句。[文例]<字句の修正>掲載されたものは、もとの原稿に字句の修正を加えてあります。♠<字句を訂正する>作文を書いたら、もう一度読み直し、間違った字句やおかしな表現を訂正する。♠<字句にこだわる>きみの批評は、細部の字句にこだわるばかりで、真の読み込みができていない。 **しぐさ【仕種・仕草】[しぐさ]** ○物事のやり方。身ぶり。所作[しょさ]。又[文例]<おどけたしぐさ>〈しぐさをする〉ピエロは、劇やサーカスなどで、おどけたしぐさをして人を笑わせる。♠<かわいらしいしぐさ>赤ちゃんのかわいらしいしぐさに、思わず乳母[うば]車をのぞき込む人もいた。♠<人のしぐさ>その男の服装[ふくそう]や様子、しぐさがどんなだったか、警官に詳しく聞かれた。♠<無造作なしぐさ>彼女は首からネックレスをはずすと、無造作なしぐさでテーブルの上に投げ出した。 **しくじ・る** ○やりそこなう。失敗する。[文例]入学式の日に寝坊[ねぼう]して遅刻するとは、しくじったなあ。♠<デートでしくじる>最初のデートでしくじってから、彼女[かのじょ]口をきいてくれないんだ。♠<問題をしくじる>三番目の問題をしくじったので、満点は無理だな。 **しくはっく【四苦八苦】** ○あらゆる苦しみ。非常に苦しむこと。[文例]<四苦八苦の毎日>事業に失敗して多額の負債[ふさい]を抱え、金の工面に四苦八苦の毎日だった。♠<四苦八苦する>きみならすんなり出来るだろうが、才能のないわたしは一曲作るごとに四苦八苦している。 **しくみ【仕組み】** ○組み立て。しかけ。構造。構成。くわだて。趣向。[文例]<時計の仕組み>はと時計は、一体どんな仕組みになっていてはとが飛び出すのだろう。♠<体の仕組み>人間の体は、熱い時は汗を出して体温を下げるような仕組みに作られている。♠<自然の仕組み>森林をむやみに伐採すると、自然の仕組みが破壊される。♠<世の中の仕組み>世の中は、貧しい者はますます貧しく、豊かな者はますます豊かになるような仕組みになっているのだろうか。♠<社 会の仕組み>社会の仕組みを石油、食糧、技術など具体的な問題に即して考えてみよう。♠<段落の仕組み>段落がどのように構成されているか、その仕組みを明らかにするためには、一つ一つの文の関係をとらえる必要がある。 **しく・む【仕組む】** ○組み込む。組み立てる。たくらむ。くわだてる。[文例]<系統に仕組まれる>自然界では、生産と消費と廃棄物の分解・処理とが、一つの循環系[じゅんかん]の中に仕組まれている。♠<いたずらを仕組む>こんないたずらを仕組んだのは、おまえたちだな。♠<わなを仕組む>仲のよい友達が集まると聞いて、れい子は出かけて行ったが、それは仕組まれたわなだった。 **しぐれ【時雨】[しぐれ]** ○晩秋から冬にかけて降る通り雨。[文例]<時雨が降る>「化[ばけ]さうな傘かす寺の時雨かな」(蕪村[ぶそん])という句には、時雨の降り出した、いかにも薄気味[うすきみ]悪いお寺の感じがユーモラスに出ている。♠<時雨が通り過ぎる>冬の準備に入ったからまつ林を時雨が通り過ぎる。♠<せみ時雨>寺の境内は、降るようなせみ時雨につつまれていた。 **しけ【時化】[しけ]** ○海が荒れること。海が荒れて漁に出られないこと。客の入りが悪いこと。[文例]こんなしけに漁に出るのは、命を捨てるといっしょだぜ。♠<しけにあう>沖[おき]に出て、折[おり]あしくしけにあい、船もろとも波にのまれてしまった。♠<大しけ>台風が接近しているため、海は大しけになるでしょう。 **しけい【死刑】** ○罰として犯罪者の命を絶つこと。[文例]<死刑にする>女王は、革命後ついに死刑にされてしまう。♠<死刑を宣告する>裁判官から死刑を宣告されると、男はがっくりと首をうなだれた。♠<死刑囚>〈死刑執行>死刑囚Aの死刑執行の日が近づいてきた。 **しけい【私刑】** ○法によらずに犯罪者に加えられる制裁。リンチ。「[文例]<私刑にする>村の青年たちは捕虜[ほりよ]を私刑にし、さまざまな制裁を加えた。♠<私刑を受ける>規則を破ったと仲間からバットで殴[なぐ]るなどの私刑を受けた少年が死亡した。♠<私刑に遭う>開拓時代の西部では、犯罪者が入 植者たちの私刑に遭うこともあったという。 **しげき【刺激】[しげき](刺戟)** ○外部から感覚に作用して、何らかの反応を生じさせること・もの。精神的な興奮を引き起こすもと。[文例]<刺激を感じる>ぼくは皮膚が弱いので、空気が乾燥[かんそう]しすぎると刺激を感じてひりひりする。♠<刺激を与える>あまり辛[から]いものは胃に刺激を与えるので控[ひか]えるようにと、医者から注意された。♠<感覚的な刺激>〈刺激が強い>最近のテレビドラマが与える感覚的な刺激は、子供には強すぎると考える大人もいる。♠<刺激を受ける>明治維新[めいじいしん]によって新しい時代が始まると、西洋文化に刺激を受けて、新しい文学が起こった。♠<刺激する>二年の夏休みに出会った先輩の生き方に、強く刺激された。♠<味覚を刺激する>砂糖、こしょう、にんにくなどの調味料は、適当に味覚を刺激して食欲を増す働きがある。♠<神経を刺激する>受験生の兄に家族皆が気を使うので、かえって兄の神経を刺激しているようだ。♠<刺激的>彼女の目の動きは、男子にとってはなかなか刺激的です。 **しげしげ【繁繁】[しげしげ]** ○しきりに。ひんぱんに。よくよく。じっと。[文例]<しげしげと足を運ぶ>かわいい看板娘[かんばんむすめ]目当てに、しげしげとその店に足を運んだ。♠<しげしげと見る>おじさんがしげしげとわたしを見て、「すっかり娘[むすめ]さんらしくなったねえ。」と言った。 **じけつ【自決】** ○自分のことを自分で決めること。自殺。[文例]<民族の自決>独立派のリーダーは、他国に頼らず、自らの手で道を開こうと、民族の自決を呼びかけた。♠<民族自決主義>各民族はその政治的運命を他の民族や国家に干渉されず、自ら決定する権利をもつとする立場を民族自決主義といいます。♠<自決する>自らの思想のために自決した作家もいます。 **しげみ【茂み】[しげみ](繁み)** ○草木の茂っている所。[文例]]<雑草の茂み>川っぷちの雑草の茂みの陰[かげ]で、こおろぎが昼間も、リリリリと鳴いた。(いぬいとみこ「川とノリオ」)♠<茂みに身を隠す>敵がやってきたので我々は茂みの間に身を隠し <438> た。 **し・ける【時化る】[しける]** ○海が荒れる。不景気である。[文例]<海がしける>空が曇り始め、海がしけてきたので、急いで網をあげて引き返してきた。♠<しけた話>せっかくの連休も、金がなくてどこへも行けないとはしけた話だ。 **しげ・る【茂る】[しげる](繁る)** ○枝。葉がよく伸びて重なり合う。草木が重なり合うように生育する。[文例]<草が茂る>日本の夏は高温多湿[たしつ]なため、雑草がよく茂る。♠<木が茂る>〈うっそうと茂る〉原生林の中は高い木がうっそうと茂って、昼でもうす暗い。♠<植物が茂る>南の島では、一年中シダやソテツなどの植物が茂っています。♠<葉が茂る>小さかったかしの木も、今では立派に葉を茂らせている。♠<枝[えだ]が茂る>はい松は、高山性植物で、枝は地をはうように低く茂る。♠<こんもり茂る>川に沿ってしばらく行くと、こんもりと茂った森があった。♠<青々と茂る>向こうには、青々と茂った野菜畑がどこまでも広がっていた。 **しけん【試験】** ○物の性質や力などを試し調べること。人の知識・能力を試すために問題を出して答えさせること。[文例]<試験が始まる>明日から、いよいよ学期末の試験が始まります。♠<試験を受ける>彼は中学校卒業後、試験を受けて全寮制[ぜんりょうせい]の高校に入った。♠<試験に受かる>妹が幼稚園の試験に受かったとかで、両親が喜んでいます。♠<試験にパスする>ぼくは第一志望の試験にパスして、目指す高校へ進むことになった。♠<試験に通る>簡単な試験に通った人なら、だれでも入会できます。♠<試験がある>今日は予告なしの試験があって、みんなあわててしまった。♠<試験をする>車の性能の試験をするには、長い時間がかかるそうだ。♠<試験する>兄の言い方は、まるでぼくを試験するかかのようだった。♠<試験的>実は、少し前に新しいロボットを試験的に作ってみました。 **しけん【私見】** ○個人的な意見。[文例]委員長は、審議中の議案に対して、あくまで私見と断ったうえで次のように述べた。♠<私見を述べる>その問題については、役員としての 立場を離れた私見を述べさせていただきたい。 **しげん【資源】** ○人間の生活や生産活動のもとになる物質や物事。[文例]<生命を支える資源>人間の生命を支えるために絶対に必要な資源は、水と植物である。♠<資源がとぼしい。豊か>資源のとぼしい日本は、その高度な技術を生かし、工業国としての地位を築いてきた。♠<資源が無尽蔵>地球上の人口は、ますます増える傾向[けいこう]にあるが、資源は、無尽蔵ではない。♠<資源の宝庫>地球の十分の七を占める海は、人間にとって資源の宝Cこ庫である。♠<水産資源>周りを海で囲まれている日本は、水産資源が豊かで、昔[むかし]からその恩恵[おんけい]にあずかっている。♠<地下資源>地図は、地下資源の調査を目的として作成されることもある。♠<電力資源>〈資源の開発>電力資源の開発のため、一つの村を水没[すいぼつ]させて、大がかりなダム工事が行われている。♠<人的資源>〈資源の確保>発展途上国[とじょうこく]では、労働力としての人的資源の確保に力を入れている。 **しげん【至言】** ○本質を言い当てた言葉。[文例]新しい世代は新しい言葉を持つ、新しい思想には新しい言葉がある。だれの言[げん]か忘れたが、けだし至言である。 **じけん【事件】** ○出来事。警察ざた。訴訟の行われている事件。[文例]<事件がある>火曜日の夕方から、事件があった公園は立ち入り禁止になっている。♠<事件が起こる>この事件が起こったのは、確か三年前の七月のことです。♠<事件を起こす>兄は二十歳[はたち]のときに酒を飲んで事件を起こし、それ以来ずっと禁酒しています。♠<事件に遭う>旅先で思わぬ事件に遭ったと言って、彼はその一部始終を話してくれた。♠<事件をもみ消す>A氏はこの町の権力者で、ちょっとした事件をもみ消すことぐらい何でもない。♠<事件が発生する>事件が発生して一か月たった今も、犯人はまだ逮捕されていない。♠<事件の処理>先生方は緊急会議を開き、事件の処理について話し合いました。 **じげん【次元】** ○空間の広がりを表す概念。物事を考える基盤・立場。[文例]<次元が低い>今度のことは、自分がいくら損したかという、そんな次元の低い問題ではない。♠<次元が違う>彼が言っているのは、オペラ劇場が必要かどうかということで、座席の数を減らせという問題とは次元が違う。♠<同じ次元>未開の種族も、われわれ文明人も、人間として同じ次元の世界に生きている。♠<三次元>われわれは三次元の世界の住人である。♠<異次元>最近のSF小説には、よく異次元空間の話が出てくる。 **じげん【時限】** ○限定された時間。授業などを行う時間の単位。[文例]かならず、決められた時限までに帰寮するようにしてください。♠<第一時限>今日の第一時限は数学だが、先生が休みで自習になった。♠<時限爆弾>機内のトイレに時限爆弾がしかけられていた。 **しご【私語】** ○私的な会話。ひそひそ話。[文例]<私語が多い>教室の後ろの方は私語が多く講義がよく聞き取れなかった。♠<私語を慎む[つつし]>上映中は私語を慎みましょう。♠<私語をする>講義中に私語をする学生がこんなに多いとは、今や中学生も大学生も変わりませんね。 **しご【死語】** ○今では使われなくなっている言葉。[文例]<死語と化する>この時代には、「革命」という語は若者たちの間で全くの死語と化していた。 **じこ【自己】** ○自分自身。おのれ。自我。→他者[文例]<自己をみつめる>日記は自分の考えをまとめ、自己をみつめるのにとても役立ちます。♠<自己の記録>彼は先日の水泳大会で、自己のベスト記録を○秒五上回った。♠<自己の判断>どの作品を展覧会に出品するかは、自己の判断に任せる。♠<自己の成長>九年間の作文や写真をまとめ、自己の成長の跡[あと]を振り返ってみた。♠<自己を過信する>自信をもつことと、自己を過信することには、大きな違いがある。♠<自己の利益>私企業は、自由競争の中で自己の利益を追求していきます。♠<自己流>わたしのピアノは先生について習ったものではなく、全くの自己流です。♠<自己中心>彼女はいつも自己中心で、他人に対して思いやりがない。♠<自己暗示>試験で緊張[きんちょう]しないための方法として、自分はできる <439> んだという自己暗示をかけるのもいいでしょう。♠<自己嫌悪[けんお]>きみたちのように潔癖[けっぺき]な年代は、自己嫌悪におちいることも多い。♠<自己紹介>クラスが変わったので、この時間は全員に自己紹介してもらいます。♠<自己批判>党員を誤った方向に導いた指導者が自己批判した。♠<自己満足>結果は思わしくなかったのに、考え方は正しかったと、きみは自己満足しているのかい。♠<自己主張>自己主張の強い少女で、他人の気持ちを理解しようとしなかった。 **じこ【事故】** ○不注意などによって起こった出来事。正常な進行・事態を妨げる出来事。[文例]<事故がある>約束の時間[ちが]を三十分も過ぎてまだ来ないなんて、途中[とちゅう]で何か事故があったに違いない。♠<事故に遭う>高木さん一家は、スキー旅行の帰り道に、昨日の事故に遭いました。♠<事故を起こす>警察の調べで、事故を起こしたのは十九歳の青年であることがわかった。♠<事故を防ぐ>点検が十分になされていれば、今回の事故も未然に防げたはずです。♠<事故が増える>最近登下校時の児童の事故が増えているそうだ。♠<事故の引き金>小学生のちょっとしたいたずらが、事故の引き金になったことは確かです。♠<事故防止>事故防止のため、新一年生は集団登下校を行っています。♠<交通事故>父は交通事故がもとで、左足の自由が利かなくなった。 **じご【事後】** ○事が起こった後。物事の終わった後。[文例]<事後承諾[しょうだく]>時間がないので、先生には事後承諾をとることにして、ぼくら新聞部のメンバーは学校を出た。♠<事後処理>もつれると面倒なことになるケースだったが、事後処理がしっかりしていたので何ごともなく済んだ。 **じご【爾後】[じご]** ○その後。それ以来。今後。[文例]代表者同士の話し合いが成立し、爾後両村の水争いは跡を絶った。 **しこう【思考】** ○物事を深く考えること。「[文例]<思考や行動>彼の手紙には、今日[こんにち]にいたるまでの思考や行動の経過が書かれていた。♠<思考を巡らす>あれこれと思考を巡[めぐ]らしているうちに、解決の糸口がみつかるかもしれないよ。♠<思考の型>顔や性格が違うように、人はそれぞれ、思考の型 をもっている。♠<思考する>時には、行動を起こすまえに、深く思考してみる必要がある。♠<思考力>体が疲れると、どうしても思考力が落ちてくる。 **しこう【施行】** ○実際に行うこと。[文例]<法を施行する>新しい法案が可決され、来年度から施行されることになった。 **しこう【志向】** ○気持ちが目標に向かうこと。ある目的を目指すこと。[文例]<平和への志向>戦争の悲惨[ひさん]をつぶさになめて、反戦平和への志向が固まっていった。♠<志向する>読者は、筆者の志向する方向を素早く読み取って、先を読み進めることが望ましい。♠<エリート志向>高学歴社会の中で、一般の人々のエリート志向が高まっているようです。 **しこう【至高】** ○この上なく高いこと。[文例]<至高の目標>人類の平和と幸福の追求が我々の至高の目標である。政治はその一つの手段にすぎない。政治を買いかぶってはいけない。♠<至高の極み>詩人の言葉は、放たれた矢のように真実と美の至高の極みへ向かう。 **しこう【嗜好】[しこう]** ○たしなみ。好み。又[文例]<嗜好を持つ>父は田舎者ですが、比較的都会的な嗜好を持った人間でした。♠<嗜好に合う>当レストランでは、外国料理を日本人の嗜好に合うよう工夫しています。♠<嗜好をみたす>宗助[そうすけ]は相当に資産のある東京ものの子弟として、彼等[かれら]に共通な派手[はで]な嗜好を、学生時代には遠慮なく充[み]たした男である。(夏目漱石「門」)♠<嗜好品>戦争中は食料も乏[とぼ]しくなり、酒やたばこなどの嗜好品はまったく手に入らなくなった。 **しこう【伺候】[しこう](祗候)** ○貴人のそば近くに仕えること。参上すること。[文例]<伺候する>清少納言[せいしょうなごん]は、一条天皇の皇后[こうごう]定子[ていし]に伺候し、そこで得た体験を随筆[ずいひつ]「枕草子」に記しました。 **じこう【事項】** ○ひとつひとつの事柄。事柄を示す項目。[文例]話を聞いて必要だと思われる事項はメモしておきましょう。♠<注意事項>修学旅行の注意事項を書いたプリントが配られました。 **じこう【時候】** ○四季折々の気候。[文例]]木々の葉が落ち、冷たい風が吹き抜けるけれども、こういう時候がわたしは好きだ。♠<時候のあいさつ>手紙などの時候のあいさつも、いつも決まりきった文句ではつまらない。♠<時候おくれ>暑中見舞いのはがきを書いたものの、そのまま出し損ねて時候おくれになってしまった。 **じこう【時効】** ○一定の時間が経過した場合、その間の状態を法的に認めること。また、それによって権利・義務がなくなること。[文例]<時効となる>事件などが解決しないままに一定の期間が経過すると、時効となることが法律で定められている。♠<時効が成立する>時効が成立する日を間近にして、警察では犯人逮捕に躍起[やっき]になっている。♠えっ、約束[やくそく]なんかしたっけなあ・・・・・・。そんな古い話はもう時効だよ。 **しこうさくご【試行錯誤】** ○失敗を繰り返しながら正しい方向に向かったり、事態に適応するようになること。[文例]<試行錯誤の繰り返し>子供を育てていくには、いろいろ迷うことも多く、本当に試行錯誤の繰り返しだ。♠<試行錯誤を重ねる>五里霧中[ごりむちゅう]の状態から、試行錯誤を重ねて、やっとここまでこぎつけました。♠<試行錯誤する>失敗を繰り返し、試行錯誤しながら、だんだんと最良の方法を学習していきます。 **じごうじとく【自業自得】** ○自分がしたことの報いを自分が受けること。[文例]そんなの自業自得ですよ。自分で始末をつけなさい。♠「兄さんの困るのは自業自得だから仕様がないけれども、あたしの方の始末はどう付けてくれるのですか」(夏目漱石「明暗」) **しごく【至極】** ○きわめて。このうえなく。[文例]<至極当たり前>契約書を交わすことは、権利を大切にする社会では至極当たり前のことである。♠<至極幸福>彼は、無欲で、平穏[へいおん]無事な生活以外には何も考えなかったので、至極幸福だった。♠<野蛮至極>実にこの男は野蛮至極であった。♠<迷惑至極>根も葉も無いことを言い触[ふ]らすなんて、迷惑至極だ。 **しごく【扱く】[しごく]** ○引き抜くように強く引く。手荒くきたえ <440> る。[文例]<やりをしごく>敵の武将は、やりをしごいて構え、わたしの鼻先につきつけた。♠<帯をしごく>母は帯をきゅっきゅっという音を立ててしごき、きりりと結んだ。♠<ひげをしごく>老人は、長いあごのひげをしごきながら、昔の思い出を語ってくれた。♠<練習でしごく>よし、今日は、いっちょう練習で下級生をしごいてやるか。 **じこく【時刻】** ○時の流れの一点。機会。[文例]<約束の時刻>もう少し急ごうよ、約束の時刻まであと三十分しかないんだから。♠<出発の時刻>八時になっても全員がそろわないので、出発の時刻を一時間ばかり遅[おく]らせることにした。♠<正確な時刻>すみません、正確な時刻を教えてください。♠<時刻が来る>時刻が来れば、打ち合わせ通り出発いたします。 **じごく【地獄】** ○悪業を重ねた者が、死後その報いを受けるとされる所。苦しみにあう所。[文例]<極楽[ごくらく]と地獄>極楽に行くか地獄に行くかは、生きている間の行いによって決まるそうだ。♠<地獄に落ちる>地獄に落ちた罪人には血の池・針の山などの拷問[ごうもん]が待ち受けていた。♠<この世の地獄>炎[ほのお]に包まれた建物の中から助けを求める親子の姿は、さながらこの世の地獄を見るようであった。♠<地獄の苦しみ>麻酔[ますい]もなしに手術をしたのですから、患者[かんじゃ]にしてみれば地獄の苦しみだったに違いありません。♠<地獄で仏に会う>見知らぬ土地で迷ったわたしにとって、昔の友人と偶然[ぐうぜん]会ったときは、地獄で仏に会ったような思いでした。♠<地獄のさたも金次第>地獄のさたも金次第というのは、あの世のことでさえ金で解決できるという意味です。♠<聞いて極楽見て地獄>ホテルとは名ばかりの粗末[そまつ]な建物に、聞いて極楽見て地獄とはこのことだと思いました。♠<地獄の一丁目>男は低い声で、「ここは地獄の一丁目、引っ返すのなら今のうちだぜ。」と、脅し[おど]をかけた。♠<地獄の責め苦>男は三日間に渡[わた]る地獄の責め苦に耐え、一言も口を割らなかった。♠<板子[いたご]一枚下は地獄>海の男たちは板子一枚下は地獄と言われる荒海[あらうみ]で、黙々[もくもく]と仕事を続けた。♠<地獄耳>きみ がそこまでこの話に詳しいとは思わなかった、本当に地獄耳だね。♠<試験地獄>毎日毎日テストに追われるぼくたちは、いつになったらこの試験地獄から抜け出せるのだろう。 **しこたま** ○たくさん。どっさり。うんと。[文例]彼は商売が当たって、しこたまもうけたという話だ。♠向こうは物価が安いので、みやげものをしこたま買い込んできた。♠留学生たちは、外国の学問をしこたま詰め込んでもち帰った。 **しごと【仕事】** ○しなければならないこと。務め。職務。職業。働くこと。[文例]<仕事にする>夏休みの間、庭の掃除[そうじ]を弟の仕事にすることに決めた。♠<仕事をする>わたしの父は、九州で弁護士の仕事をしています。♠<仕事を持つ>最近では、女性でもいろいろな分野の仕事を持つ人が増えています。♠<仕事を成し遂げる>困難な仕事を成し遂げた時の喜びは、なにものにもかえがたい。♠<仕事を手伝う>遊んでばかりいないで、少しは家の仕事を手伝いなさい。♠<仕事を辞める>今の仕事を辞めても、どうするという当て があるわけではなかった。♠<仕事を任す>彼なら、安心して仕事を任すことができる。♠<仕事を怠ける>あの子は仕事を怠けてむだ話ばかりしている。♠<仕事を切り上げる>何だか夕立[ゆうだち]がきそうなので、早めに仕事を切り上げた。♠<仕事が遅い>彼は、きちょうめんだけれど、仕事が遅いのが難点だ。♠<仕事が厳しい>大学の夏休みに土木工事のアルバイトをしたが、仕事は厳しくつらいものだった。♠<仕事が軌道に乗る>がんばったかいあって、ようやく仕事が軌道に乗ってきた。♠<仕事が手につかない>息子[むすこ]の合格発表日なので、気が散って仕事が手につかない。♠<仕事がはかどる>ゴールデンウイークが近づくと、皆[みな]旅行や遊びの話で、仕事がはかどらない。♠<仕事のけりがつく>あいつはのろまだから、一体いつになったら仕事のけりがつくのやら。♠<仕事に就く>ぼくは、将来、コンピューター関係の仕事に就きたいと思っている。♠<仕事に追われる>毎日仕事に追われて、映画を見る暇[ひま]もない。♠<仕事に取りかかる>それぞれの分担が決まると、生徒たちはさっそく仕事に取りか かった。♠<仕事に励む>彼は自分の仕事に生きがいを感じていたので、いやな顔一つせず、仕事に励[はげ]んだ。♠<仕事で疲れる>お父さんは仕事で疲れてるのよ。静かに寝かせておいてあげなさい。♠<手先の仕事>日本人は昔から手先の仕事が得意で、伝統的に手工芸品に優れたものがある。♠<仕事の合間>仕事の合間をみてはコツコツとかきためた絵が、かれこれ十点ぐらいあった。♠<仕事を通して>彼とは、仕事を通してのつきあいです。♠<仕事の鬼>彼は、仕事のためなら家庭も顧[かえり]みないので、人からは仕事の鬼だと言われている。 **しこみ【仕込み】** ○仕込むこと。↓しこむ[文例]<仕込みがいい>親方の仕込みがいいので、弟子たちはぐんぐん腕を上げていきます。♠<料理の仕込み>〈仕込みにかかる〉魚河岸[うおがし]から帰ったらすぐ料理の仕込みにかからなければならない。♠<本場仕込み>ニューヨークで勉強したと聞いたが、本場仕込みの踊りはさすがだね。 **しこ・む【仕込む】** ○教え込む。中に収め入れる。仕入れる。材料をととのえる。調合して詰める。身につける。[文例]<技を仕込む>今日はコーチに二時間以上も、一対一でみっちり技を仕込んでもらった。♠<芸を仕込む>犬などの動物に芸を仕込むのは、根気[こんき]が必要で、気の短い人にはむりだ。♠<商売を仕込む>少年は、十歳[さい]になるかならないうちに、親から商売を仕込まれていた。♠<心得[こころえ]を仕込む>娘には、一通りの心得は仕込んでありますと、母親は胸をはった。♠<つえに刀を仕込む>その侍[さむらい]は、相手のつえに刀が仕込んであることを見破っていた。♠<材料を仕込む>料理屋をやっているおじは、毎朝五時に起きて、材料を仕込みに行く。♠<酒を仕込む>毎年この時期になると、裏の土蔵で酒を仕込んだ。♠<知識を仕込む>早いとこデートの知識を仕込んでおかないと、彼女の前で恥[はじ]をかくよ。 **しこり【痼・凝】[しこり]** ○皮膚や筋肉などの一部が固くなること。また、その部分。心の中のわだかまり。[文例]]<しこりがある>首のあたりに小さなしこりがあるのが、何か悪い病気でな <441> **し** ○親しければいいがと心配だ。♠へしこりが残る〉彼女にうそをついてしまったので、今も心にしこりが残っている。♠へ心のしこり〉〈しこりがとれる〉自分が誤解していたことが分かり、ようやく心のしこりがとれました。 **しさ【示唆】** ○それとなく示すこと。ほのめかすこと。そそのかすこと。じさ。[文例]〈示唆を与える〉あなたは友人として、どうふるまうべきか、さりげなく彼に示唆を与えるべきです。♠く示唆に富む〉彼の示唆に富んだ話を聞いて、わたしは問題の解決策を見つけました。♠く示唆する〉本のタイトルや副題は、ある程度その本の内容を示唆してくれます。◆<示唆する>外務大臣は、今回の交渉[こうしょう]が長びくことを示唆した。 **じさ【時差】** ○標準時の違い。時刻をずらすこと。[文例]〈時差がある〉日本は今、朝の六時ですが、四時間ほどの時差があるので、その国は夜中の二時というわけです。♠へ時差ぼけ〉海外旅行から帰ったばかりで、時差ぼけが直っていない。♠〈時差出勤〉うちの会社では、朝のラッシュを避けるために時差出勤を実施[じっし]している。 **しさい【子細】(仔細)** ○くわしいこと。くわしい事情。事のわけ。さしつかえ。[文例]〈子細に調べる>事件を子細に調べていくと、意外な事実がつきとめられた。♠へ子細がある〉今度だけは、思う子細あって特に許してやる。♠へ子細がない〉こちらには何の子細もありません。どうぞ計画どおりお進めください。♠へ子細に及ばない〉もはや子細に及ばず、とにかく一刻も早く完成させるように努力してくれ。♠〈子細らしい〉時には父親は、子供らを呼び集めて子細らしく説教をしたりもした。♠〈子細顔〉娘[むすめ]はだまったまま、子細顔でこちらの方をちらちらと見ていた。 **しざい【資材】** ○物を作るための材料。材料となる物質。[文例]〈資材を搬入する〉工事現場にいろいろな資材が搬入されている。◆<建築資材〉技術も進歩し、建築資材の種類も豊富になったために、建物の様式も多様化してきた。 **しざい【私財】** ○私有の財産。[文例]〈私財を投じる〉彼は、私財を投じて病院を建設し、社会事業に尽力[じんりょく]した。◆〈私財を投げ打つ>男が私財を投げ打って完成を急いだかんがい用水の建設が進んでいった。 **しさつ【視察】** ○実地に状況を見ること。[文例]維新後、岩倉[いわくら]具視[ともみ]ら一行は視察のためにヨーロッパへ渡った。♠へ視察に来る>農水省の役人らしい人が、国有林の視察に来た。♠〈視察する>現地を視察した議員たちは、被害のすさまじさに息をのんだ。 **じざい【自在】** ○思いのままであること。[文例]〈自在にあやつる〉何か国語も自在にあやつって、世界中を旅してみたいな。♠〈自在に動かす〉ワープロに向かって指を自在に動かせるようになるまで、随分[ずいぶん]練習しました。◆〈自由自在〉目をつぶると、ぼくの空想は自由自在にかけまわる。 **しさく【思索】** ○物事を系統立てて考えること。深く考えめぐらすこと。[例]〈深い思索〉この物語は、人生についての深い思索を通して、主人公の生き方を描[えが]いている。♠へ思索にふける〉たまには、哲学的[てつがく]な思索にふけるのもいいものだ。♠〈思索する〉はやる気持ちを抑[おさ]え、ここはじっくり思索することです。♠〈思索的〉彼は、口数の少ない、どちらかというと思索的なタイプの人です。 **しさく【試作】** ○試しに作ること。試しに作られた作品・製品。[文例]〈試作を繰り返す〉何度も試作を繰り返して、ようやく満足のいくものができた。♠<試作する〉いくつか試作して使ってもらったところなかなか評判がいいので、本格的な製作にとりかかった。♠〈試作品〉この試作品を使用して感想を寄せてくださるモニターを募集しています。 **しさく【施策】** ○国や社会の問題を解決するための方策。[文例]〈政府の施策>政府の施策もむなしく、失業者の数は増加する一方だった。♠へ施策を行う〉自然破壊をくい止め、森林を生き返らせるために、国はどのような施策を行っているか。♠へ施策を講じる〉この問題に対して、政府は何らかの施策を講じる必要に迫られていた。 **じさく【自作】** ○自分で作ること。自分で作ったもの。自分の土地を耕作すること。[文例]〈自作の詩〉講演の中で、作家は自作の詩を朗読してみせた。♠へ自作自演〉自作自演のドラマをビデオに収録したので見に来てください。♠〈自作農>農地改革によって小作地が解放され、自作農が飛躍的に増加した。 **じさつ【自殺】** ○自分で自分の命を絶つこと。[文例]〈自殺を図る〉彼は、行く末をはかなんで自殺を図ったのだろうか。◆〈自殺する>若き作家は、ついに時代と自己への懐疑や不安から自殺した。♠〈自殺的〉太平洋戦争中、日本軍の特攻[とっこう]隊は、自殺的な体当たり攻撃を行った。 **しさん【四散】** ○四方に散ること。ちりぢりになること。[文例] <四散する〉親しかった友達が一夜にして四散し、生まれ育った街にドイツ軍が侵入してきた。♠〈四散する>先代の当主が集めた書画のたぐいも、今は四散して無い。 **しさん【資産】** ○財産。金銭に換算できる財産。[文例]〈資産がある〉〈資産を残す〉わたしには、父が残してくれた少しばかりの資産があった。♠へ資産を持つ>延子[のぶこ]は、自分の自由になる資産を持っていた。♠〈資産を作る〉祖父は、敗戦後の物不足の時代に米軍の物資を横流しして資産を作ったという。♠〈資産を失う〉事業に失敗し、土地・屋敷はじめほとんどの資産を失ってしまった。♠〈資産家〉氏は、その土地の資産家で、かなりの土地・財産を有しているらしい。 **しさん【試算】** ○試しに計算してみること。検算。[文例]〈試算する>地球上に人間が全部でどのくらい住めるだろうかと、試算してみたことがあります。♠へ試算する>自宅の改築費を試算してもらうと、一千万円ほどかかるということです。 **じさん【持参】** ○持って行くこと。持って来ること。[文例]〈持参する〉当日は受験票のほかに、筆記用具も持参してください。♠へ持参人〉この書状の持参人は、中年の紳士[しんし]だったように記憶している。♠〈持参金>村一番の大金持ちの娘の持参金は、一千万円とも二千万円とも言われた。 **しし【四肢】** ○両手と両足。[文例]〈四肢を伸ばす〉昭子[しょうこ]は、朝の光の中で思い切り四肢を伸ばして深呼吸した。♠〈四肢をふんばる〉生まれたばかりの子馬は、細い四肢をふんばりけんめいに立ち上がった。 <442> **しし(獅子)** ○ライオン。[文例]〈獅子がほえる〉獅子がほえる姿は、百獣[ひゃくじゅう]の王の名にふさわしい。♠へ獅子身中の虫〉かつて師の信頼の厚かったこの弟子も、獅子身中の虫と化し、ついには師を裏切るのである。♠へ獅子奮迅[ふんじん]の働き>彼は、病気になった同僚[どうりょう]の仕事も引き受けて、獅子奮迅の働きをした。♠〈獅子舞い>獅子舞い、猿[さる]回しなど古来の新年の風物詩が、この辺りにはまだ残っています。 **しじ【支持】** ○ささえること。あと押しすること。[文例]〈人々の支持〉この事業は、地域の人々の熱心な支持により推し進められてきた。♠へ支持を得る〉彼は、首相として、国民の圧倒的[あっとうてき]な支持を得ている。♠へ広範な支持〉この運動は、近年になって、市民の間に広範な支持を獲得[かくとく]するに至った。♠へ支持を受ける〉クラス全員の支持を受けて、A君が生徒会長に立候補した。♠へ支持がある〉海外に支店を出すという冒険[ぼうけん]的事業には、実力者である彼の父の支持があった。♠へ支持する政党〉きみは、選挙のたびに支持する政党が変わるね。♠へ説を支持する〉学会でその新説を支持する学者は、少数派だった。◆<全面的に支持する>鯨[くじら]保護団体は、日本の捕鯨[ほげい]漁業の禁止を全面的に支持した。 **しじ【私事】** ○個人的な事柄。[文例]〈私事にわたる>私事にわたることで恐縮[きょうしゅく]ですが、どなたかうちの子に家庭教師を紹介してくれませんか。♠へ私事を持ち込む〉きみたち二人がどんな関係にあるかは知らないが、職場に私事を持ち込むのは困るよ。 **しじ【師事】** ○ある人を先生として、その教えを受けること。[文例]〈師事する〉斎藤茂吉[さいとうもきち]は、伊藤左千夫[いとうさちお]に師事し、「アララギ」の主導的歌人として活躍した。♠〈師事する〉将来の進路について、師事しているピアノの先生に相談をしてみた。 **じじ【時事】** ○その時々の内外の出来事。[文例]〈時事問題〉時事問題に関するレポート提出を課され、今、新聞類を読みあさっているところだ。♠へ時事ニュース〉主な時事ニュースを追って、社会の動きをふり返ってみよう。 **じじ(自恃)** ○自らをたのみとすること。自ら誇ること。自負。[文例]貧しい病人には無料で治療を施[ほどこ]した。それは医師という職業にある者の自恃であった。♠〈自恃する〉この分野においては、だれにも劣[おと]らぬ力を持つと自恃している。 **じじこっこく【時時刻刻】** ○その時々。時を追って。次第次第に。[文例]〈時々刻々の変化〉作者は、自己の心に起こり来たる時々刻々の変化を飾[かざ]らず偽[いつわ]らず、作品に記している。◆〈時々刻々と迫[せま]る〉開幕の時が時々刻々と迫り、焦燥感[しょうそうかん]は増大していく。♠〈時々刻々に伝わる〉通信網が発達した現代、あらゆる国のさまざまな情報が時々刻々に伝わって来ます。 **ししつ【資質】** ○生まれつきの性質・才能。天性。[文例]<資質を伸ばす〉少年は、教師に誤解されじゃまされて、その優れた資質を伸ばせずに終わってしまう。♠〈資質が豊か>漱石[そうせき]は、教育者としての資質も豊かな人で、その門からは多くの優れた作家や学者・評論家を輩出[はいしゅつ]している。♠へ詩人的な資質>彼の詩集は一冊だけであるが、詩人的な資質は小説などにもあふれている。 **しじつ【史実】** ○歴史上の事実。[文例]〈史実をもとにする〉この作品は、史実をもとにした歴史小説です。♠へ史実を記す〉この記録の内容が、史実を忠実に記したものかどうかは疑わしい。 **じしつ【自失】** ○われを忘れて、ぼんやりすること。[文例]〈自失する〉あまりのショックに、わたしはしばし茫然[ぼうぜん]として自失していた。◆<茫然自失する〉その歌は、敗戦で茫然自失していたわたしたち日本人の心に、希望の光を与えてくれました。 **じじつ【事実】** ○実際にあった事柄。現実に存在する事柄。本当に。実際に。[文例]この少年が犯人グループの一人だったということは、残念ながら事実だった。♠〈事実となる〉悲しいことに、占い師[うらない]の言ったことは、すべて事実となってしまった。♠へ事実がある。ない〉調査の結果、あなたのおっしゃるような事実はないことが判明しました。♠く事実を否定する〉きみたちがどんなに弁護しても、彼女が悪事を働いたという事実は否定できない。♠〈事実が分かる〉調査の結果、ニホンカモシカの生態について、新しい事実がいくつも分かった。♠〈歴史上の事実〉〈事実に反する〉彼が仏教徒だったという説は、歴史上の事実に反している。♠へ事実を述べる>みなさんはご不満かもしれませんが、わたしはただ事実をありのままに述べただけです。♠へ事実を曲げる〉正義感の強い兄は、たとえ友人のためとは言え、事実を曲げることはできなかった。♠へ事実をもとにする〉この小説は、事実をもとにして書かれただけに、とても緊張感[きんちょうかん]があります。♠へ事実に即する〉調査の結果、これまでの定説は事実に即していないことが判明した。♠〈事実にのっとる〉ぽくは、事実にのっとって言っているんだ。文句があるなら言ってみろ。♠へ事実に照らす〉彼の証言が正しいかどうか、事実に照らしあわせてみる必要があるのではないだろうか。♠〈事実は小説より奇なり〉そんな不思議なことが起こるなんて、事実は小説より奇なりと言うけど本当だね。♠へ事実無根>田中君が部をやめるといううわさは、まったく事実無根だった。♠へ事実上>たしかに議長はA氏だったが、事実上の指導者は副議長のB氏だった。♠みんなも認めているとおり、事実彼は非常に頭のいい青年です。 <443> **じじつ【時日】** ○日と時刻。つきひ。期間。[文例]へ一週間の時日>出発まで一週間の時日を残すだけになった。♠へ長い時日〉心が決まるまでには、わたしにとって長い時日が必要だったのです。 **ししゃ【死者】** ○死亡した人。死人。[文例]昨年一年間の交通事故発生件数は、三、五七八件、死者三二人、負傷者四、二八六人でした。♠〈死者を出す〉原子爆弾の投下で広島市街は全壊、二十数万の死者を出した。♠〈死者が出る〉あれほどの大事故で一人の死者も出なかったのは不幸中の幸いでした。♠〈死者にむち打つ〉死者にむち打つようなことは言いたくないが、故人[こじん]には泣かされた人が多かった。♠へ死者を悼[いた]む>挽歌[ばんか]は、死者を悼み、悲しむ歌です。 **ししゃ【使者】** ○使いの者。[文例]〈使者を送る>皇帝は、優れた馬を求めて、遠く中央アジアにまで使者を送ったという。♠〈使者をやる>幕府は、使者をやって、将軍の命令を諸大名[しょだいみょう]に伝えた。♠〈使者に立つ〉相手方に詳しい説明をするために、わたしが使者に立ちましょう。♠〈春の使者〉春の使者である蝶[ちょう]たちが野山を舞い始めた。 **じじゃく【自若】** ○落ち着いていて、ものに動じないさま。[文例]〈自若たる態度>敵の挑発[ちょうはつ]に対しても、自若たる態度をもって無視したまえ。♠〈泰然[たいぜん]自若>弟子たちが大騒ぎしているのに、彼だけは泰然自若としている。 **ししゅ【死守】** ○命がけで守ること。[文例]〈得点を死守する〉オールジャパンは、前半の1点を死守して準決勝に進んだ。♠へとりでを死守する〉わが殿は、一歩も退[しりぞ]くことなく織田方のとりでを死守したぞ。 **じしゅ【自主】** ○他から保護・干渉を受けず、自らの意志で行うこと。[文例]〈自主的な活動〉ぼくらのグループは、この数年間、何の支援も受けずに自主的な活動を続けてきた。♠〈自主的に発言する〉何か意見のある人は、自主的に発言してください。◆◇自主性に欠ける>佐藤[さとう]さんは勉強はすぐるのですが、自分のことは自分でするという自主性に欠けています。♠〈自主学習>今日の三時間目は、各自が自分で選んだ課題に取り組む、自主学習を行いました。♠〈自主独立>寄宿舎での生活は、学生たちの自主独立の精神を養うのに役立っている。 **じしゅ【自首】** ○犯罪者が自分の罪を警察などに申し出ること。[文例]〈自首する>男は殺人を犯してしまうが、自首して刑務所へ送られる。♠〈自首を促[うなが]す〉犯罪を打ちあけられた彼は、その友に自首を促し、警察に出頭させた。 **ししゅう(刺繍)** ○布地に糸で模様や文字などをぬい表すこと。[文例]〈刺しゅうを施[ほどこ]す〉テーブルクロスには、美しい花の刺しゅうが施されている。♠く刺しゅうする〉色とりどりの糸で刺しゅうした民族衣装[いしょう]がわたしの目を引いた。 **ししゅう【死臭】(屍臭)** ○死体から発散されるにおい。[文例]〈死臭がただよう〉川原には死体が重なっていて、辺りには死臭がただよっていた。♠へ死臭に包まれる>壕[ごう]の中に入って行くと、幾人もの兵の死体が死臭に包まれて横たわっていた。♠へ死臭がよどむ〉地下室によどむ死臭が惨劇[さんげき]を物語っていた。 **ししゅく【私淑】** ○ひそかに師として尊敬し、学ぶこと。[文例]〈私淑する〉私淑していた先生から、直接に教えを受ける機会を得た。♠〈私淑する>若いころからこの作家に私淑して、文学修業を積んできた。 **じしゅく【自粛】** ○自分から慎むこと。自発的に控えること。[文例]〈酒を自粛する〉酔って失敗をしでかして以来、酒を自粛している。♠へ値上げを自粛する〉このところ物価が急上昇しているが、政府は値上げを自粛するよう業者に呼びかけている。 **ししゅつ【支出】** ○金銭などを支払うこと。[文例]〈収入と支出>収入と支出のバランスが崩れて、支出が収入を上回ると大変です。♠へ支出を抑[おさ]える〉今月の家計が赤字になりそうなので、支出を抑えなくてはなりません。♠へ支出する〉市では、街の緑化に経費を支出した。 **ししゅんき【思春期】** ○心身ともに大人として完成に向かう年代。青春期。[文例]〈思春期の愛と性〉思春期の愛と性を描[えが]いたその映画は、青少年たちの心をとらえました。♠〈思春期を送る〉アルプスの見える信州の町で、わたしは思春期を送りました。♠〈思春期を迎える〉思春期を迎えて、少女の心は微妙[びみよう]に揺れ動きます。 **しじょ【子女】** ○息子と娘。女の子。[文例]あや取りは、江戸時代に都の子女の間に流行した。♠へ良家の子女〉この時代、女学校で学ぶ生徒のほとんどは、良家の子女たちであった。 **じしょ【辞書】** ○言葉を集め、その意味・用法などを説明した本。辞典。[文例]<辞書を引く〉わからない漢字や言葉は、辞書を引いてみよう。♠〈辞書に頼る〉ぼくは外国語ができないので、今回の海外旅行では辞書に頼りきりでした。♠へ辞書で調べる>読み方や意味のわからない言葉は、辞書で調べましょう。♠へ辞書と首っ引き〉辞書と首っ引きで、好きな童話を原文で読みました。 **じしょ【地所】** ○敷地・用地としての土地。[文例]あの空き地はうちの地所です。◆〈地所を売る〉高額の相続税を払うために地所を売ったというような話をよく聞きます。 **しじゅう【始終】** ○始めと終わり。始めから終わりまで。いつも。[文例]〈始終~する〉おまえは、始終文句ばかり言っているねえ。♠へ一部始終〉ことの一部始終を聞いてもらったので、少し気持ちが収まった。 **ししょう【死傷】** ○死ぬこととけがをすること。死んだり傷ついたりすること。[文例]〈死傷する〉この戦争で死傷した者の数は知れない。♠〈死傷者〉この時の台風で何十人という死傷者を出した。 **ししょう【支障】** ○さしさわり。さしつかえ。[文例]〈支障がある。ない〉警官という立場上、自転車の二人乗りをとがめなくては支障がある。♠へ支障が起こる>親しい間柄[あいだがら]であれば、多少勝手を言っても、たいした支障は起こらないでしょう。♠へ支障をきたす〉彼のギャンブル熱はますます激しくなり、仕事にも支障をきたすようになった。 <444> **しじょう**【至上】 ○この上ないこと。最上であること。[文例]〈至上の光栄・喜び〉この賞を受けることは、歌人として至上の光栄であり喜びであります。♠〈至上とする〉明治四十年代から、芸術を至上とする反自然主義的な文学思潮が起こった。♠〈至上命令〉占領下の日本では、アメリカの命令は絶対であり、至上命令であった。♠〈〜至上主義〉この時代に来て、これまでの成長至上主義的な社会観が根底から崩れ始めた。 **じしょう**【自称】○自ら名乗ること。自ら称すること。第一人称。[文例]〈自称する〉彼は、童話作家だと自称している。♠〈自称二枚目〉彼が将来の大作家の秋山君、こっちが自称二枚目の大野君だ。 **じしょう**【事象】○事実や現象。[文例]〈日常の事象〉日常の事象を正しく観察して、記録文や報告文を書いてみよう。♠〈自然の事象〉自然の事象にせよ、人間による造型にせよ、美しいものは人を感動させるものです。 **じじょう**【事情】○物事のそうなったわけ。物事の様子。事の次第。[文例]〈事情がある〉どのような事情があって、友子は学校をやめるのだろうか。♠〈事情が違う〉わたしとあなたとでは、事情が違うのですもの、同じ方法はとれないわ。♠〈事情が異なる〉国によって事情が異なるのだということを認識していないと、とんだトラブルに巻き込まれる。♠〈事情が変わる〉事情が変わったので、きみにはこの仕事をしてもらうよ。♠〈事情が分かる〉先生は、けんかになった事情が分からず、ぼくだけをしかった。♠〈事情が明らか〉彼の話によって、それまでだれも知らなかった事情が明らかになった。♠〈事情を話す〉このごろ元気がないね、ぼくでよかったら相談にのるから事情を話してみないか。♠〈事情を打ち明ける〉どうしてこんなことになったのか、ぼくに事情を打ち明けてくれないか。♠〈事情を知る〉進学を断念するそうだが、きみの家の事情を知っているぼくには何とも言えない。♠〈事情を考慮[こうりょ]する〉退部者が続出している事情を部長は考慮するべきではないだろうか。♠〈事情に明るい〉彼は、長年、ヨーロッパに住んでいたので、向こうの事情に明るいらしい。♠◇〈事情に通じる〉自分の生まれた土地の事情には通じている。♠〈家庭の事情〉家庭の事情で大山君は転校することになりました。♠〈特殊事情〉日本には島国であるという特殊事情があった。 **じじょうじばく**【自縄自縛】○(自分の縄で自分を縛るように)自分の言動のために、かえって身動きがとれなくなること。[文例]〈自縄自縛に陥る〉規則があまりに細かすぎると、作った当人たちの自由ではつらつとした行動が妨げられ、自縄自縛に陥[おちい]る。 **じしょく**【辞職】○自分から職をやめること。[文例]〈辞職を申し出る〉今回のプロジェクトの失敗の責任をとって、辞職を申し出た。♠〈辞職する〉田舎へ帰らなければならない事情ができたので、会社を辞職しました。 **ししん**【指針】○計器の針。進む方向を示すもの。物事の方針。手引き。[文例]〈人生の指針〉〈指針を得る〉この本から人生の指針を得たように思う。♠〈生活の指針〉〈指針となる〉亡き父の教えは、今のわたしの生活の指針となっています。 **ししん**【私心】○私利をはかる心。利己的な心。[文例]〈私心を去る〉無念無想[むねんむそう]というのは、私心や妄念[もうねん]を去った状態をいうのであって、何も考えないということではない。♠〈私心がない〉人は、自分さえよければという心を抱[いだ]きがちですが、彼女は全く私心のない人でした。 **ししん**【私信】○個人的な手紙・通信文。[文例]残された書簡には、大統領としての公的なもののほか、友人や家族にあてた私信も多かった。♠〈日記や私信〉作家の全集には、発表を目的としないで書かれた日記や私信が採録されることも多い。 **しじん**【私人】○公的な地位・資格を離れた個人。[文例]〈公人と私人〉大臣は、公人としてではなく私人として参拝したのだと弁明した。 **じしん**【自信】○自分の力を信じる気持ち。[文例]〈自信がある・ない〉よく勉強したので、明日のテストは自信がありま **ししょう**【師匠】○先生。弟子をとって芸ごとを教える人。[文例]〈俳句の師匠〉これといった師匠の指導を受ける機会もないまま、一人でこつこつと俳句を学んできました。♠〈落語の師匠〉先代の師匠の話は実に味があったね。♠〈踊りの師匠〉今日はとてもよく踊れましたねと、お師匠さんからおほめをいただいたのよ。 **しじょう**【史上】○歴史の上。[文例]〈史上に名高い〉これが西部開拓史上に名高いアラモ砦[とりで]の戦いである。♠〈史上に残る〉大鵬[たいほう]は、史上に残る名横綱であった。♠〈史上に足跡を残す〉福沢諭吉は、日本近代史上に大きな足跡を残した。♠〈史上空前〉対立と抗争[こうそう]の中から、史上空前の破壊兵器が生まれた。♠〈史上最大〉街角の立て看板には、「史上最大のサーカス来る!」とあった。 **しじょう**【市場】○商品が取引される場やその組織。♪いちば[文例]〈市場に出回る〉このサクランボが市場に出回るのは、来月の初めごろになりそうです。♠〈市場を開拓する〉国内の需要が伸び悩む業界では、海外に市場を開拓する計画を練っている。♠〈売り手市場〉今年の就職戦線は売り手市場だと、兄はのんびり構えているようだ。 **しじょう**【詩情】○詩的な感情。詩のようなおもむき。詩が作りたくなるような心情。[文例]〈詩情にあふれる〉この昆虫の生態記録は、細かい観察に裏づけられているとともに、詩情にあふれている。♠〈詩情を生かす〉それぞれの詩の、詩情を生かした読み方を工夫して朗読してみよう。♠〈詩情豊か〉樋口一葉[ひぐちいちよう]は、雅俗折衷[がぞくせっちゅう]の文体を用いて詩情豊かな珠玉[しゅぎょく]の名作を残した。 **しじょう**【私情】○個人的な感情。[文例]〈私情を挟[はさ]む〉裁判官が立場上私情を挟むことは許されません。♠〈私情を交える〉審査員は、私情を交えないでください。♠〈私情を捨てる〉勝手なことを言っていた人々も、私情を捨てて協力するようになった。♠〈私情にとらわれる〉公正な判断ができなかったのは、みなが私情にとらわれていたからだ。 <445> **じしん【自信】** ○自分の能力や考えを信じる気持ち。[文例]●へ自信がある・ない〉この仕事は、必ずやりとげてみせると自信がある。♠●へ自信をつける〉試合に勝つごとに、選手たちは自信をつけていきました。♠●〈自信を得る〉一つの作品が世に認められて、わたしは自信を得ました。♠●へ自信を持つ〉もっと自分に自信を持ちなさい。♠●へ自信を抱[いだ]く〉わたしは体に自信を抱いて、病院を後[あと]にした。♠●へ自信がわく>先生の小さいころの話を聞いていたら、ぼくもやれるぞと自信がわいてきた。♠●へ自信をなくす〉勝てると思った試合に惨敗[ざんぱい]し、みんなすっかり自信をなくしてしまった。♠●へ自信に満ちる「はい。」と答えて立ち上がったきみの姿は、自信に満ちて力強かった。♠●〈自信満々>試合前のインタビューで、チャンピオンは自信満々に勝利を約束した。♠●へ自信家〉きみはなかなかの自信家だから、女性に対しても強気なんだろうね。♠◆〈自信過剰[かじよう]〉きみは、少し自信過剰じゃないかね。 **じしん【自身】** ○自分。自己。そのもの。[文例]〈自分自身〉つくづく自分自身の卑屈[ひくつ]さがいやになる。♠●〈自己自身〉旅において出会うのは常に自己自身である。♠●〈それ自身〉言葉はそれ自身の広大な世界を持っているらしい。♠●汝[なんじ]自身を知れ。(ギリシアの格言) **じしん【地震】** ○地面が揺れ動く現象。[文例]〈地震がある〉近ごろひんぱんに地震があるようだけど、大丈夫かな?♠〈地震が起こる〉この年代は、地震とか火事とか飢饉[ききん]などの災いが続いて起こった時期であった。♠●〈地震が襲[おそ]う〉マグニチュード七の地震がこの一帯を襲い、多数の死傷者を出した。♠●〈地震雷[かみなり]火事親父[おやじ]〉世の中の怖[こわ]いものの代表を、昔は「地震、雷、火事、親父」といったけれど、今は何だろう。 **じじん【自刃】** ○刃物で自分の命を絶つこと。[文例]〈自刃する〉多くの将校が、敗戦の責任を感じて自刃した。♠◆◇自刃を遂[と]げる〉夫人は、夫のあとを追って自刃を遂げた。 **じすい【自炊】** ○自分で自分の食事を作ること。[文例]〈自炊をする〉単身赴任[ふにん]の男性にとって、自炊をするということはとても大変です。♠●〈自炊生活>都会の大学に進んだわたしは、外食を避け、自炊生活を始めることにした。 **しずか【静か】** ○騒音がしないさま。落ち着いたさま。おだやかなさま。おとなしいさま。[文例]〈校舎が静か>生徒が帰った後の校舎は静かで、教室を見て回る先生の靴音[くつおと]だけが響いていた。♠●へ静かな図書館〉ここは落ち着かないから、静かな図書館でゆっくり本を読んでくるよ。♠●〈海が静か〉一夜明けると、海は静かで、昨夜のあらしがうそのようだった。♠●へ静かな暮らし>城下町のたたずまいを残すこの町で、おばは静かな暮らしを送っていた。♠へ静かな生涯[しようがい]>母は、七十三歳で、その静かな生涯を閉じたのである。♠へ静かに寝る〉体の具合が悪い時は、静かに寝ているのがいちばんですよ。♠●へ静かに考える〉会社を辞めてからは、独りで静かにものを考える時間が持てた。♠●〈静かに味わう〉一冊の本を読み終えて、静かにその内容を味わい直すと、心がとても豊かになってくる。♠●へもの静か〉声をかけてきたその女性は、もの静かな、やさしそうな人でした。 **しずく【滴】(雫)** ○水や液体のしたたり。[文例]〈雨の滴〉ひさしから落ちる雨の滴を手の平に受けてみた。♠●へ滴になる〉霧[きり]が滴になって木の枝[えだ]からしとしとと落ちてくる。♠●〈滴が垂[た]れる>山の木々や岩角などから垂れる滴が、長い間には、かたい岩に穴をあけたりする。♠●〈汗[あせ]の滴〉〈滴がしたたる〉マラソンランナーの額からは、汗の滴がしたたり落ちていた。♠●へひとしずく〉うつむいている少女のほおを、涙[なみだ]がひとしずく流れていきます。 **しずけさ【静けさ】(閑けさ)** ○静かなこと。静かな程度。静かな様子。[文例]不気味な静けさ〉避難所の第一夜は、不気味な静けさに包まれながら更[ふ]けていった。♠●へ嵐の前の静けさ〉嵐の前の静けさか、辺りは不気味な静寂[せいじゃく]に包まれていた。♠●〈湖[うみ]の静けさ〉夕焼空焦げきはまれる下にして氷らむとする湖の静けさ(島木[しまき]赤彦[あかひこ]) **しずま・る【静まる・鎮まる】** ○静かになる。落ち着く。収拾がつく。鎮静する。[文例]はしゃぎまわる子供たちは、八時の消灯を過ぎても、いっこうに静まる気配がない。♠場内が静まる>幕が下りると、一瞬[いつしゅん]場内が静まって、やがて割れるような拍手[はくしゆ]と歓声[かんせい]があがった。♠へあらしが静まる〉あらしが静まるのを待ってから、船を出した。♠◆ヘせきが鎮まる〉夜になると、せきは鎮まるどころか、ますますひどくなってきた。♠●へ気持ちが静まる〉夕焼けを見ながら、畑の道を散歩していると、気持ちも静まります。♠●〈騒[さわ]ぎが鎮まる〉火事騒ぎが鎮まると、集まったやじ馬も三々五々帰っていった。♠●へ世の中が鎮まる〉戦後、世の中が鎮まって生活にゆとりが出てくると、人々は文化的な活動に目覚めはじめた。 **しず・む【沈む】** ○(水中に)没する。下降する。下降して消える。活気・元気がなくなる。落ちぶれる。輝きが失われる。[文例]〈水に沈む〉水より比重の重いものは、すべて水に沈む。♠●〈深く沈む〉平家[へいけ]一門は、壇[だん]の浦[うら]の海深く沈み、ここに平家は滅[ほろ]んだ。♠●へ浮きつ沈みつ〉おぼれるかと思ったが、浮きつ沈みつ、なんとか岸までたどりついた。♠船が沈む〉この会社は、沈みかけた船で、もはや救う手だてはない。♠●〈日が沈む>赤い夕日が西の海にゆっくりと沈んでいく。♠●へやみに沈む〉山をうすもも色に染めた桜[さくら]も、やがて夜のやみに沈んでいった。♠●〈悲しみに沈む〉父の死後、母は悲しみに沈んだまま、ほほえみをとりもどさなかった。♠へもの思いに沈む〉どんな悩みがあるのか、彼女は近ごろもの思いに沈んで口もきかない。 **システム** ○体系。組織。組織体。系統立ったやり方・仕組み。制度。[文例]ヘシステムが確立する〉近代工業の発達で、大量生産・大量消費のシステムが確立しました。♠●ヘシステムを作る〉わが社も、商品管理のシステムを作りたいと考えている。♠●へ流通のシステム>複雑な流通のシステムを改めれば、新鮮[しんせん]な物がもっと安く手に入る。♠◆<言語のシステム〉みんなも知っている通り、日本語と英語とでは、文法など言語のシステムがちがう。♠◆ヘオンラインシステム>銀行のオンラインシステムによって、カード一枚でお金が出し入れできます。 **じすべり【地滑り】** ○地面が滑り落ちる現象。[文例]〈地滑りの被害〉大雨で、各地にがけ崩れや地滑りなどの被害が出ている。♠●〈地滑り的〉自由を求める人民の声に抗しきれず、旧体制は地滑り的に崩壊[ほうかい]した。 <446> **し・する【資する】** ○役に立つ。助けとなる。[文例]〈研究に資する〉古い農家の蔵から江戸時代の大福帳などが現れて、大いに研究に資することがある。♠〈人生に資する〉数年間この国で暮らした体験が、後のわたしの人生に大いに資するものとなった。 **じ・する【持する】** ○維持する。保つ。守りとおす。[文例]〈名声を持する>現役を退いた今も、彼は世界的な音楽家としての名声を持している。♠〈身を持する〉少女はさまざまな困難にあっても、常に明るくその身を高く持することを怠[おこた]らなかった。♠へ満を持する〉満を持して、飛躍の時を待て。 **じ・する【辞する】** ○退出する。辞退する。職をやめる。断る。[文例]〈お宅を辞する〉わたしは先生宅を辞した後、その近くにある友人の家へ回ってみた。♠へ職を辞する>病気を機に教職を辞し、文筆活動に専心した。♠へ誘いを辞する〉疲れがひどかったので、友人の誘いを辞して帰宅した。♠〈死をも辞さぬ〉彼女を守るためなら、死をも辞さぬ覚悟です。 **しせい【姿勢】** ○体の構え。態度。心がまえ。[文例]〈そのままの姿勢>彼は、壁[かべ]に背をもたせかけ、そのままの姿勢でじっとしていた。♠く姿勢がよい。悪い>田中さんは姿勢が悪いので、よく、なげやりな生徒だと誤解されます。♠へ姿勢を正す>先生の合図で、みんなはぴしっと姿勢を正しました。♠〈姿勢を変える>子猫[ねこ]たちは一匹[ぴき]として姿勢を変えるものもなく、眠[ねむ]り続けている。♠へ姿勢を崩す>長時間姿勢を崩さずに立ち続けるのはたいへんです。♠〈姿勢をとる〉敵の攻撃[こうげき]の出現と同時に、われわれも攻撃の姿勢をとった。♠へ前向きの姿勢>最初は無関心だった彼も、しだいに前向きの姿勢に変わってきた。♠〈対決の姿勢〉二つのグループは、しだいに対決の姿勢を見せてきた。♠へ農政に対する姿勢>大臣は、農政に対する今後の姿勢を明らかにした。 **しせい【市井】** ○人家の集まっている所。[文例]〈市井の人〉ここには、浪漫[ろうまん]的な発想と若々しい感覚によって市井の人々の生活が歌われている。♠〈市井にある〉天下の動向は、わたしのように市井にある身にもうすうす感じられた。◆〈市井に身を置く〉その学識を重くみる大名たちの誘いをも入れず、彼は一生を市井に身を置いて終えたのである。◆◇市井人〉この作家は、市井人のさまざまな哀歓[あいかん]をテーマにした庶民的な作品を書いた。 **じせい【時勢】** ○世の中の移り変わり。また、その勢い。時代の流れ。[文例]〈時勢に遅れる〉隠居の身だが、いつも新聞を読んだりして時勢に遅れまいと努めている。◆◇時勢にうとい〉十年も田舎[いなか]に引っ込んでいたせいか、少し時勢にうとくなったようだ。♠〈時勢に逆らう〉時勢に逆らって生きるこの詩人は、若者に人気があります。♠〈時勢に押される〉伝統的な芸能の中には、時勢に押されて消えてゆくものもある。♠へ時勢に流される〉伝統的な演芸も、時勢に流されて姿を消していく。◆へご時勢>息子たちは三人とも外国暮らしです。残された老人二人、これもご時勢とあきらめております。 **じせい【自生】** ○自然に生え育つこと。[文例]〈自生する〉この沼の周囲には珍[めずら]しい植物が自生している。♠〈自生する〉ワサビは水のきれいな山あいに自生するが、今は特産物として栽培も盛[さか]んである。 **じせい【自制】** ○自分の感情・欲望を抑えること。[文例]〈自制する〉あまりの無礼にこみあげる怒りを自制することができなかった。♠〈自制の気持ち〉控え目な夫には常に自制の気持ちが強く、民子[たみこ]にはそれがはがゆくもあった。♠へ自制心〉一人暮らしは自由でいいが、自制心が大切だ。 **じせい【自省】** ○自ら反省すること。[文例]〈自省を促す〉こんな失敗は繰り返さないよう、彼には自省を促しておいた。♠〈自省する〉時に、ふりかえって、自省することも必要だ。 **じせい【辞世】** ○この世に別れを告げること。また、その時に残す短歌や俳句。[文例] <辞世の句>「旅に病んで夢は枯野[かれの]をかけめぐる」は、松尾芭蕉[まつおばしょう]の辞世の句として名高い。♠〈辞世を作る>余は死ぬ時に辞世を作るまい。死んだ後は墓碑[ぼひ]も建ててもらうまい。(夏目漱石「倫敦塔[ろんどんとう]」) **しせいかつ【私生活】** ○仕事や職務を離れた個人的な生活。[文例]彼は仕事もよくやるが、私生活でも頼もしい父親だ。◆<他人の私生活>他人の私生活にとやかく干渉すべきではありません。♠へ私生活を暴[あば]く〉今回の事件で、彼女の乱れた私生活が暴かれた。 <447> **しせき【史跡】(史蹟)** ○歴史上の事件や建物などがあった跡。[文例]〈史跡が多い〉ここは古い町で、城跡[しろあと]や古戦場などの史跡も多い。♠〈郷土の史跡〉町では、郷土の史跡、名勝を保存するのに力を入れている。♠へ史跡を巡[めぐ]る〉各地の史跡を巡り、古い歴史の跡をたどってみるのも楽しい。 **じせき【自責】** ○後悔して自分を責めること。[文例]〈自責の念〉その人を傷つけたことで今も自責の念にかられている。 **しせつ【施設】** ○ある目的のために作られた建物・設備。[文例]〈公共の施設〉これらの施設は、市に申し込めば、市民ならだれでも利用することができます。♠〈施設がそろう〉公園には、ペンチ、トイレ、水飲み場などの施設がそろっている。♠へ養護施設>学生時代、ボランティアで養護施設を手伝いました。 **しせつ【使節】** ○国の代表として外国に派遣される人。[文例]〈使節を派遣する〉小野妹子[おののいもこ]は、朝廷の使節として隋[ずい]に派遣された。♠<親善使節〉〈使節を送る〉天正十年、九州のキリシタン大名は伊東[いとう]マンショら少年を親善使節としてローマへ送った。 **じせつ【時節】** ○季節。時候。時機。時世。よい機会。[文例]〈収穫の時節〉麦秋とは、初夏の麦の収穫の時節をいいます。♠〈のんきな時節〉(この三年間は)おれの生涯[しょうがい]のうちでは比較的な時節であった。(夏目漱石「坊っちゃん」) ◆〈時節の到来をまつ〉今は、時節の到来をまって力をたくわえるべきだ。♠へ時節に合う〉もうこの年ですから、今の時節に合った考え方をしろと言われても無理です。♠へ時節が来る〉いずれ時節が来れば、あなたのような人材が必要になるだろう。♠〈時節柄[がら]〉時節柄お体お大切に。 **じせつ【自説】** ○自分の考え・意見。自分が唱えた説。[文例]〈自説を主張する〉自説を主張するだけでは実りのある議論にならない。♠へ自説をまげる〉どちらも自説をまげないから、いつまでも結論が出ない。 **しせん【視線】** ○ものを見る時の目の向き。見ている方向。[文例]〈視線が集まる〉立ち上がった三四郎に、周囲の視線が集まった。♠へ〈熱い視線〉〈視線を感じる〉話し終わってしばらくして、ぼくは彼女の熱い視線を感じました。♠<視線が合う〉すれ違うときに視線が合ったけれど、言葉を交わさなかった。♠へ視線を落とす>男は何か言いかけて、足もとに視線を落とし、少しためらった。♠〈視線をそらす〉わたしは、初めて視線をそらさずに、彼の目をじっと見ることができた。♠へ視線を移す〉彼は、壁[かべ]の写真から、テーブルの上の花瓶[かびん]に視線を移しました。♠へ視線を向ける〉話す時は、視線を聞き手に向け、落ち着いて話すことです。♠へ視線を避ける〉人々の視線を避けるようにして、男はその場を立ち去った。 **しせん【死線】** ○それを越えて逃げようとすると銃殺される境界線。生きるか死ぬかの境目。[文例] <死線を越える〉収容所[しゅうようじょ]で死線を越えることは、もちろん捕虜[ほりよ]にとって死を意味した。♠へ死線をさまよう〉キャンプで高熱を出した探検隊員は、三日間死線をさまよった後、やっと回復の兆しを見せた。 **しぜん【自然】** ○人間の手の加わらないありのままの状態。人間をとりまく外側の世界。もともと備わっている性質。ありのままであるさま。無理のないさま。ひとりでに。[文例]〈自然に恵[めぐ]まれる〉日本は、四季おりおりの自然に恵まれた美しい国だ。♠へ自然を征服[せいふく]する〉スエズ運河は、人間が自然を征服した一つの例といえよう。♠〈自然を友とする〉ファーブルは自然を友として、生涯[しょうがい]を昆虫[こんちゅう]研究にささげた。♠〈自然を愛する>尾瀬の保存は、自然を愛するすべての人の願いだ。♠へ自然の営[いとな]み>昆虫の世界では、自然の営みが忠実に繰り返されている。♠へ自然の威力[いりょく]〉どんなに人間の文明が発達しても、自然の威力の前にただひれ伏すことも多い。♠へ自然に親しむ>都会の子供たちには、いまや自然に親しむ機会がほとんどなくなっている。♠〈自然が残る>郊外もこの辺りまでくれば、東京といえども、まだまだ自然が残っている。◆〈自然に帰る〉いもほり遠足では、日ごろ土に縁遠[えんとお]い子供たちが自然に帰って走りまわることができた。♠〈自然の姿[すがた]〉若いうちは、お化粧[けしよう]などしない自然のままの姿が一番美しいのですよ。♠へ自然の成り行き〉二人の仲は、自然の成り行きに任せるしかないだろう。◆◇自然な動作〉このロボットの動作は、とても自然に見えるわね。まるで中に人が入ってるみたい。◆◇自然にふるまう〉「初めて、彼の家に招待されたの。」「あまりかしこまらずに、自然にふるまったほうがいいわよ。」◆〈自然に治る〉この程度のけがなら、自然に治りますよ。♠〈ごく自然に>彼は、ごく自然に喫煙の習慣を克服[こくふく]することができた。◆◇自然と>彼は、大人になればお金が自然とわいてくると思っている。◆弟は無口なので、自然友達ができにくい。 **じぜん【事前】** ○事の起こる前。物事の始まる前。[文例]<事前の連絡>事前の連絡もなしに、いきなり日程を変更されては困る。♠へ事前に準備する〉事前に準備しておけば、当日慌[あわ]てなくて済みます。♠へ事前に防止する〉日ごろ少年たちの言動に気をつけていれば、この事件は事前に防止できただろう。 **じぜん【慈善】** ○生活に困っている人々に救いの手をさしのべること。[文例]〉〈慈善の心〉困っている人を助けようという慈善の心を育てることは大切なことだ。♠へ慈善コンサート>難民を救うための慈善コンサートが開かれた。♠〈慈善事業>日本では、欧米にくらべて民間の慈善事業に遅れがみられる。 **しそう【思想】** ○考え。考えることによって得られる内容。人生や社会に対する系統だった考え。[文例]〈キリスト教の思想〉キリスト教の思想は五~十世紀にヨーロッパ中に広まった。♠ヘトルストイの思想〉日本でも、トルストイの思想に影響[えいきよう]を受けた文学者たちは多かった。♠〈近代思想〉日本における近代思想は、明治[めいじ]時代に入って、西欧[せいおう]文化の到来とともに起こったといってよい。♠へ危険思想>戦前の日本では、天皇や政府に批判的な考え方は危険思想と見なされ、禁止されていた。♠〈思想の持ち主〉昔かたぎの父は、男は何よりもまず、強くなければならないというような思想の持ち主だ。♠へ思想家〉ジャン・ジャック・ルソーは、フランスの偉大[いだい]な文学者であり思想家だった。 <448> **しそく【子息】** ○他人の息子をいう語。[文例]社長は、近々ご子息にその地位をお譲[ゆず]りになると聞きました。♠お宅のご子息はいくつになられましたかな。 **じそく【自足】** ○自ら満足すること。自分で必要を満たすこと。[文例]〈自足する〉あや子は、やさしい夫と家族に恵まれた今の生活に自足し、感謝していた。♠〈自足感〉この暮らしに欠けたものはないのだという一種の自足感が彼女を太らせていった。◆〈自給自足〉この国では、今も家畜を飼い、麦や野菜を作り、布も織りして自給自足の生活をしている。 **じぞく【持続】** ○ある状態を保つこと。保ち続けること。[文例]〈持続する〉炎天下で緊張[きんちょう]を持続し、遊泳者を監視するアルバイトは考えていたよりたいへんだった。♠へ根気の持続〉作品を仕上げるには大変な根気の持続が必要です。 **しそん【子孫】** ○子や孫。後から生まれてくる血筋のつながった人。→先祖・祖先[文例]〈~代目の子孫>佐々木四郎高綱[ささきしろうたかつな]は、宇多天皇[うだてんのう]から数えて九代目の子孫にあたる。♠〈子孫を増やす〉イギリスを追われた清教徒たちはメイフラワー号でアメリカに渡り、かの地で次々と子孫を増やしていった。♠へ子孫を残す〉地球上に住むすべての生物は、子孫を残していく。♠へ子孫に伝える〉この焼き物の技術は、秘伝として代々子孫に伝えられたものである。◆◇子孫の代>彼の偉大[いだい]な業績は、その子孫の代までも受け継がれることだろう。♠へ子孫の繁栄[はんえい]>日本各地の秋祭りは、豊作を感謝し子孫の繁栄を願って行われるものだ。 **じそんしん【自尊心】** ○自分の価値・品位を尊重し、保とうとする気持ち。ブライド。うぬぼれ。[文例]〈自尊心が強い>自尊心の強い人ほどおだてに弱いので、セールスマンにとっては扱いやすいという。♠へ自尊心を傷つける〉きみの言葉は、ぼくの自尊心をいたく傷つけたよ。♠〈自尊心がある〉〈自尊心を捨てる〉わたしには学者としての自尊心があり、それを捨てることはできない。♠へ自尊心をくすぐる〉パリきみでなけりゃだめだね、という言葉がわたしの自尊心をくすぐっていた。 **した【下】** ○下部。下方。位置が低いこと。重なったものの内側。序列・順位・等級などが下位であること。年齢が少ないこと。あらかじめすること。[文例]〈机の下〉机の下にボールペンが一本落ちていた。♠ヘセーターの下〉わたしは、セーターの下に長そでのシャツを着ています。♠〈年が下〉妹はぼくよりも三つ下ですが、体重は同じくらいです。♠〈人の下>長年彼の下で仕事をしているが、彼がどなったのを一度も見たことがない。♠へしりの下に敷く〉彼は、すっかり、若い嫁[よめ]のしりの下に敷かれていた。♠〈下に出る〉わたしが悪いわけではないのだけれど一応下に出て、謝[あやま]っておいた。♠〈下にも置かない〉助けた娘の家を訪[おとず]れると、命の恩人だというので、下にも置かないもてなしを受けた。♠〈人物が下〉彼はBさんよりも年は上だが、人物は下だといわれてもしかたがない。♠〈下調べ>先生は、明日の授業の下調べをしていた。 **した【舌】** ○口の中にある、筋肉質の器官。べろ。(音声を調節する働きから)言葉づかい。[文例]〈舌を出す〉ひょうきんな彼は先生に怒[おこ]られて、ペロッと舌を出した。♠へ舌が荒れる>風邪[かぜ]をひいて舌が荒れたので、食べ物の味がよくわからない。♠へ舌が回る>落語家の話をきいていると、よくあれだけ舌が回るものだと感心させられてしまう。♠へ舌を鳴らす>母親がしかると、少年はチェッと舌を鳴らした。♠〈舌を巻く>ぼくは、彼の精力的な仕事ぶりを見て、舌を巻いてしまった。♠へ舌が肥[こ]える>山本さんは舌が肥えているから、めったな料理は出せない。♠へ舌の根がかわかないうちに>彼女は、舌の根もかわかないうちに、もうさっきと違うことを言っている。◆へ舌の先>誠実な彼は、議論のときも決して舌の先でごまかすようなことはしない。 **じた【自他】** ○自分と他人。[文例]〈自他の別〉心の痛みを自他の別なく感じとれる人間になりたいものだ。♠〈自他共に>石田さんは自他共に認める相撲通である。 **したい【死体】(屍体)** ○死んだ人の体。死骸。なきがら。[文例]〈白骨の死体>半ば土にうずもれた白骨の死体がころがっている。♠〈死体が横たわる〉乾ききった大地には、動物の骨や死体がごろごろと横たわっている。◆<死体となる>行方不明だった遭難者[そうなんしゃ]は、翌日、死体となって発見された。 **したい【姿態】** ○姿かたち。体つき。[文例]〈男女の姿態〉初めて西洋人のダンスを見た彼らは、手を取り合い体を接して踊る男女の姿態に目をみはった。♠〈若者の姿態>網を持つ若い漁師の姿態はたくましいの一語に尽きた。♠へなまめかしい姿態>婦人のなまめかしい姿態を渋[しぶ]い色合いの衣服で包んだことも、作品をより効果的にしている **したい【肢体】** ○手足。手足と体。[文例]〈しなやかな肢体〉グラウンドでは若くしなやかな肢体が秋空に舞う。♠〈少女の肢体〉広場には明るい声が満ちて、少女たちの肢体がまぶしかった。 **しだい【次第】** ○順序。事情。なりゆき。なるがまま。その力によって。するとすぐ。徐々に。[文例]〈式の次第〉卒業式は、式の次第に従って順序よくとり行われました。♠〈事の次第>明日、家族会議が開かれて、事の次第によっては、兄弟別々に暮らすことになるかもしれない。♠へ事と次第による>事と次第によっては、今度だけは大目に見てやってもいい。♠〈以上のような次第〉事件のあらましは、以上のような次第です。♠へ~する次第です〉今回の失礼に対し、深くおわびする次第です。♠へ雨がやみ次第>雨がやみ次第、出かけることにしよう。♠〈練習次第〉泳げるようになるかならないかは、きみたちの練習次第だ。♠〈手当たり次第〉彼女は怒って、手当たり次第、その辺にあるものを投げつけ <449> た。♠へ地獄の沙汰も金次第「地獄の沙汰も金次第」は、お金があれば何でも自由にできるという、お金に弱い人の心を皮肉ったことわざです。♠へしだいに〜てくる〉上流で大雨が降ったらしく、川の水かさがしだいに増してきた。♠〈しだいに〜になる〉辺りがしだいに暗くなったので、遠くまで遊びにきたことを後悔[こうかい]した。♠へしだいしだいに〉わたしたちの町も、工場ができたりして、しだいしだいに様子が変わっていきます。 **じたい【事態・事体】** ○物事の状態。事のありさま。[文例]〈事態が悪化する〉時がたてばたつほど、事態は悪化する一方だった。♠へ事態が好転する〉事態が好転するのを待って行動を起こしたほうがいいだろう。♠へ事態を見きわめる〉軽率な行動をとらず、事態を見きわめてから、自分のとるべき行動を考える。♠へ事態を収拾する〉自分の力では事態を収拾することができず、結局、他人の手を借りることになりました。♠く事態をのみこむ〉事態がよくのみこめないまま、ぼくはいつの間にか争いに巻き込まれていた。♠〈非常事態〉今や非常事態である。全員を招集せよ。 **じたい【自体】** ○それ自身。それそのもの。[文例]〈〜すること自体〉工夫すること自体が実は考えるということなのだ。◆<~自体〉主題が適切で材料がよく選択されていても、表現自体に欠陥[けっかん]があっては、巧[たく]みな文章とはいえない。♠へ自体〜である〉ろくに働かずに文句ばかりいうのが、自体まちがっている。 **じたい【辞退】** ○断って引き下がること。断ること。[文例]〈辞退をする〉せっかくの厚意ではあったが、辞退をして帰って来ました。♠〈辞退する>健康上の理由で出場を辞退いたします。 **じだい【時代】** ○歴史上の、区切られたある一定の年月。人生のある時期。年代。その当時。時がたっていること。[文例]あんパンが一個二銭の時代に、五円と言えば、それはもう大金であった。♠〈時代の先端を行く〉時代の先端を行く技術として、セラミックスが注目されていた。♠〈時代の流れ>流行は、時代の流れとともにどんどん移り変わっていきます。♠へ時代が終わる〉最近の試合を見ていると、もう全盛[ぜんせい]期の技のさえもなく、彼の時代も終わったという感じがします。♠〈時代の波〉三代続いたその店も、時代の波に押されて、とうとう今年いっぱいで店じまいすることになった。♠〈時代が変わる〉お金を持っていなくても、カード一枚で買い物ができるなんて、時代もずいぶん変わりました。♠〈時代遅れ〉今どきあんなロックグループのことで騒いでいるなんて、時代遅れだよ。♠へ時代を問わず>桜[さくら]は日本人の心の中で、時代を問わず最も愛され続けている花です。♠〈時代の申し子〉歌って踊れて、しかも筆も立つ彼女は、多様性を求める時代の申し子と言っていいだろう。♠へ一時代を画[かく]する〉超 LSIの発明は、コンピュータの歴史に一時代を画したという。♠〈時代を先取りする〉これからのビジネスマンには時代を先取りする感覚が必要だ。◆ヘ時代錯誤[さくご]>年寄りの話は、時代錯誤な面もあるが、経験から出ているので価値も高い。♠〈時代がかる〉国のために死ぬだなんて、そんな時代がかったことを言いなさるな。 **じだい【次代】** ○次の時代。次の世代。[文例]〈次代を担[にな]う〉きみたちは次代を担う若者なのだ、とお父さんも若いころは言われたなあ・・・・..。 **した・う【慕う】** ○恋しく思う。恋しがって後を追う。尊敬して付いて学ぶ。[例]〈人を慕う〉わたしは幼いころから、彼のことを兄のように慕っていた。♠〈ひそかに慕う〉少女はその若者を、ひそかに慕っているようだった。♠へあとを慕う〉この子は小学生になるというのに、母親のあとを慕ってばかりで困ります。♠〈故郷[こきよう]を慕う〉ショパンは、はるか遠くの故郷ポーランドを慕いつづけて亡くなった。♠へ明かりを慕う〉一匹の蛾が、ランプの明かりを慕ってテントの中にまい込んできた。♠〈徳を慕う〉立派な君主の下には、その徳を慕ってたくさんの家来が集まってくるものだ。♠〈学風を慕う〉この大学の自由な学風を慕って、毎年大勢の若者が入学してくる。 **したが・う【従う】(随う)** ○後に付いて行く。言われた通り、定められた通りにする。元になるもの・基準に沿う。(「~にしたがって」で)・・・につれて。[文例]〈先生に従う〉幼稚園[ようちえん]の園児たちが先生に従って、並んで道を行きます。♠へ案内人に従う〉お参りの一行は、案内人に従って山門へ続く石段を登り始めた。♠へ順序に従う〉順序に従って、正しい方法で考えれば、必ずよい考えが思いつきます。♠〈手順に従う〉どんなに複雑なプラモデルでも、手順に従って作れば、必ず完成します。◆〈標識に従う〉ハイキングでは、標識に従って歩くことがとても大切なことになります。♠へ誘導に従う〉万一のときは、係員の誘導に従って行動してください。◆<道に従う〉山小屋までは一本道ですから、道に従って行けば、一時間ぐらいで着きますよ。♠〈命令に従う〉軍隊では、命令に従うことからすべてが始まる。♠へ人を従わせる〉彼のような奔放[ほんぽう]な性格の人間は、無理に従わせようとしてももうまくいかない。♠〈忠告に従う〉兄はめずらしく父の忠告に従って、志望校を変えた。◆ヘ良心に従う〉母親は、わが子を、いつも良心に従って行動できる人間に育てたいと願っていた。◆ヘルールに従う〉ルールに従ってゲームを進めるところに、スポーツの厳しさとおもしろさがある。♠〈郷[ごう]に入っては郷に従え〉「郷に入っては郷に従え」で、滞在[たいざい]中は、その土地の習慣に従って生活した。♠へ式次第に従う〉卒業式は、式次第に従って厳[おごそ]かに進められていった。◆〈経過に従う〉病気の経過に従って、治療[ちりょう]方法も変えなければならない。♠へ〜するにしたがって〉祖父は、年を取るにしたがって、ますます短気になってきた。♠へ~するにしたがって〉産業が発達するにしたがって、自然の破壊[はかい]もまた、急速に広がっている。 **したが。える【従える】(随える)** ○後に付いて来させる。服従させる。[文例]〈供を従える〉ひげを生やした男が供をあとに従えて歩いて行く。♠〈部下を従える〉社長は、部長以下を従えてこのフロアにやってきた。♠〈敵を従える〉戦略にたけたこの武将は、次々に敵を従えその勢力を伸ばしていった。 <450> **したがって【従って】** ○それゆえ。その結果。[文例]明日は八時半の列車で出発します。従って、八時に駅に集合してください。◆日本の夏は、雨が多く、従って、湿度が高い。 **したく【支度・仕度】** ○準備。用意。[文例]〈食事の支度〉もう五時だわ、そろそろ食事の支度に取りかからなくちゃ。♠〈結婚の支度〉娘[むすめ]を三人も持つと、親は、結婚の支度に金がかかって大変ですよ。♠〈支度をする〉三人の男は、せっせと旅に出る支度をしていた。♠へ支度ができる〉料理の上手な母は、不意の来客があってもすぐに支度ができる。♠〈支度が悪い〉こんな寒い日にコートも着ていないなんて、支度が悪いね。♠へ支度が整う〉友人の結婚式に出席する支度はすっかり整っている。♠へ支度が長い>外出するときは、女のほうが男より支度が長いようだ。♠へ支度に手間どる〉久しぶりに和服を着ようと思ったら、支度に手間どってしまった。 **したごころ【下心】** ○奥に隠した意図。たくらみ。[文例]个心がある〉あの人がわたしにだけ親切にするのは、何か下心があるからなのかしら。♠〈下心をもつ〉おべんちゃらを言って、あわよくば宿題を見せてもらおうという下心をもって出かけたのだが・・・・・・。 **したさき【舌先】** ○舌の先。口先。[例]〈舌先でごまかす〉誤りを指摘されると、舌先でごまかそうとへりくつをつける人がいます。♠<舌先三寸>舌先三寸で人をあやつるようなやり方では、人の信頼を得られるはずがない。 **したじ【下地】** ○上塗りをする前の地。物事の土台・基礎。素地。下ごしらえ。[文例]〈下地を作る〉ここで顔を売って、後々の商売の下地を作っておこう。♠へ下地ができる〉小さいころにオルガン教室に通って下地ができていたせいか、エレクトーンもさほど難しくは感じなかった。♠〈下地が入る〉ここに来る前にもう下地が入っていたらしく、ほんの少しのお酒で陽気に騒いでいる。 **したし・い【親しい】** ○親密である。近しい。心やすい。[文例]〈親しい友達>彼とわたしとは、小学校のときからの親しい友達です。♠く親しくつき合う〉きみとは、これからもずっと親しくつき合っていっていきたい。♠<親しい関係〉市長のAさんとわたしはきわめて親しい関係にあります。◆く親しく教えを受ける〉世界的な植物学者の牧野博士から、わたしは親しく教えを受けた。♠<親しく手に取る>博覧会[はくらんかい]での女王陛下は、展示品を親しく手に取ってご覧になった。♠〈親しき仲にも礼儀[れいぎ]あり〉親しき仲にも礼儀ありって言うだろう、あまりずうずうしくするのはよくないよ。 **したしげ【親しげ】** ○親しいさま。[文例]〈親しげに話す〉ずいぶん親しげにおしゃべりしていたけれど、お友達?♠〈親しげな顔>親しげな笑顔につられて、つい相手をしてしまったら、化粧品を買わされてしまった。 **したしみ【親しみ】** ○親しむこと。親しい感じ。[文例]〈親しみを持つ〉植物も一つ一つの名を知っていると、それぞれに親しみが持てるようになる。♠へ親しみが深まる〉今度の長い修学旅行で、きっとお互[たが]いの理解や親しみが深まるに違[ちが]いない。♠へ親しみを感じる〉たとえそれが外国人でも、同じ若者なら、親しみを感じることも多いだろう。♠<親しみのある態度〉初対面[しょたいめん]にもかかわらず、彼はニコニコと親しみのある態度で話しかけてきた。♠<親しみを抱[いだ]く〉どうやら彼は、わたしの陽気な妹に親しみを抱いているらしい。◆〈親しみがこもる〉自分の好きな友人から、親しみのこもった手紙をもらうくらいうれしいことはない。 **したし・む【親しむ】** ○親しくする。親密に接する。なじむ[文例]〈遊びに親しむ>縄跳[なわと]びや鬼ごっこは、昔[むかし]から子供たちに親しまれてきた遊びです。♠〈自然と親しむ>先の日曜日は、山に登って久しぶりに自然と親しんだ。◆ヘ土に親しむ〉近ごろ土に親しむ人が少なくなってきたのは残念だ。◆<読書に親しむ>学生はもっと読書に親しまなければいけない。♠へ古典に親しむ〉古典に親しみながら、古人のものの考え方や感じ方にふれていきたい。♠〈作品に親しむ〉詩が好きな彼女は、最近黒田三郎の作品に親しんでいる。 **したたか(強か)** ○手ごわいさま。ずぶといさま。強烈であるさま。強く。ひどく。[文例]〈したたか打つ〉前も見ずに走り出したもんだから、柱におでこをしたたか打ってしまった。◆くしたたかに酔う〉昨日は久しぶりに友達と会ったので、酒を飲んでしたたかに酔ってしまった。♠へしたたかに生きる>雑草は、人に踏みつけられるような場所でもしたたかに生きている。♠〈したたかな男〉彼は、少しぐらいの批判や攻撃[こうげき]ではまいらないしたたかな男です。♠へしたたかな抵抗[ていこう]>第二次大戦中、パリ市民はドイツ軍にしたたかな抵抗を続けた。♠へしたたか者〉あのしたたか者にはかぶとを脱いだよ。 **したためる(認める)** ○書き記す。食事をする。[文例]〈記録をしたためる〉自分の行動と心の記録をしたためておくことは、何にも勝る記念になろう。♠へ一筆したためる>写真をアルバムに整理するとき、思い出話など一筆したためておくとさらに楽しい。♠ヘタげをしたためる〉腹がすいたゆえ、月の出を待つ間にどこかで夕げをしたためておかねばなるまい。 **したたらず【舌足らず】** ○舌がよく回らないさま。十分に言い表せないさま。[文例]〈舌足らずなしゃべり方〉もうすぐ小学生だというのに、相変わらず舌足らずなしゃべり方をしているね。♠〈説明が舌足らず〉わたしの説明が舌足らずで、皆様には御迷惑[ごめいわく]をおかけしました。 **したたり【滴り】** ○したたること。しずく。[例]つららが溶けて、きらきらと光る滴りとなって落ちていく。♠へ滴り積もりて淵[ふち]となる〉ちりも積もれば山となる、言いかえれば、滴り積もりて淵となる。 **したた・る【滴る】** ○しずくとなって落ちる。[文例]〈水が滴る>水道の蛇口からは、ポタッポタッと水が滴っている。♠〈涙が滴る>ホームで電車を見送るおばあさんのほおに、涙が滴る。 <451> ずもうが滴り落ちました。♠へ血の滴るような〉血の滴るようなステーキを食べてみたい。♠へ滴るばかりの緑>朝早く森に行くと、滴るばかりの緑の中で鳥たちがさえずっていた。びなんし〈水の滴るいい男「水の滴るいい男」とは、美男子[びなんし]への最高の褒め言葉です。 **したつづみ【舌鼓】** ○うまい物を食べる時に舌が鳴ること。したづつみ。[文例] <舌鼓を打つ〉おいしい中華料理に一同舌鼓を打って、にぎやかに会食を終えた。♠へ舌鼓を鳴らす〉舌鼓を鳴らしながら出されたものを平らげていくようすは、見ていて気持ちがいい。 **したっぱ【下っ端】** ○順位が低いこと。地位・身分の低い者。[文例]〈下っ端の仕事〉入社して一年は、ごく下っ端の走り使いの仕事ばかりやらされた。♠やい、下っ端のくせして、ずいぶん偉そうなことを言うじゃないか。 こもんじよぱってき**したづみ【下積み】** ○他の物の下に積まれること。出世できない状態。[文例]〈下積みになる〉蔵で下積みになっていた木箱の中から、古文書[こもんじよ]らしいものが出てきた。♠下積みが長い〉課長は下積みが長かったから、部下の気持ちを大切にしてくれる。♠下積み生活〉今度主役に抜擢[ぱってき]された女優は、下積み生活が長かったから喜びもひとしおだろう。 **したて【下手】** ○下の方。下の立場。相撲で組み合った相手の腕の下に入れた腕。[文例] <个手に出る〉村長さんからそう下手に出られると、何だか気味が悪いね。◆下手投げ〉今日の結びの一番は、横綱が下手投げで勝ちました。◆下手投げ〉今日対戦するチームのピッチャーは、下手投げです。 **したて【仕立て】** ○仕立てること。♪したてる[文例] 〈仕立てがよい>古い背広だが、仕立てがいいので着やすく、長持ちしている。仕立て下ろし〉お正月には、仕立て下ろしの晴れ着を着せてもらいました。♠〈仕立物>母は、時々近所の人から仕立物を頼まれたりもします。♠〈特別仕立て〉お相撲さんの浴衣[ゆかた]は、特別仕立てでしょう。 **した・てる【仕立てる】** ○着物を縫いあげる。作り上げる。こしらえる。調える。[文例]〈着物を仕立てる>母は裁縫[さいほう]が得意で浴衣[ゆかた]から振袖[ふりそで]までみんな仕立ててくれました。♠へ本に仕立てる〉この少女の身の上話を童話作家が絵本に仕立てました。♠一人前に仕立てる〉よし、このおれがおまえを一人前の職人に仕立ててやろう。◆ヘボスに仕立てる〉やつらは、この男をボスに仕立てて、現金強奪を企てたのにちがいない。♠へ車を仕立てる〉天気が悪いからと、先方がわざわざ車を仕立てて迎えに来てくれた。 **したび【下火】** ○火の勢いが衰えること。物事の勢いがなくなること。下からあてる火。[文例]〈火事が下火になる〉消防車が駆けつけたときには、火事はもうすでに下火になっていた。♠へ人気が下火になる〉あれほど騒[さわ]がれたおもちゃの人気も、今ではすっかり下火になってしまった。♠〈流行が下火になる〉新しいファッションの流行は、一年もたたぬうちに下火になってしまった。 **したまち【下町】** ○「山の手」に対して)都会(特に東京)の低地にある商工業地帯。[文例]〈山の手と下町〉山の手には落ち着きが、下町にはあたたかみが感じられます。♠下町情緒[じようちよ]>東京も浅草の辺りには、まだ下町情緒が残っています。◆<下町育ち〉下町育ちのおばさんは、少々にぎやかだが人情は厚い。 **したまわ・る【下回る】** ○ある基準より下になる。[文例]予想を下回る〉今年の日本選手権は、天候の不調もあって、記録的に予想を下回る結果に終わった。♠〈平均を下回る>期末テストのクラス平均点は、学年平均を下回っていた。 **したみ【下見】** ○前もって見ておくこと。下検分。[文例]个見をする〉入学試験の前に受験校の下見をし、道順と時間を確認しておくように言われた。♠へ会場の下見〉会場の下見と称して、前の晩に幹事たちが集まって騒[さわ]いだらしい。 **じだらく【自堕落】** ○好き勝手で生活がだらしないさま。ふしだら。[文例] 〈自堕落な生活>そんな自堕落な生活から早く抜け出さないとだめだ。♠へ自堕落な人間〉きみのように自堕落な男には嫁の来手がないだろう。 **したりがお【したり顔】** ○してやったりという顔。得意気な顔。[文例]〈したり顔をする「そんなこと、わたしには前からわかっていたわ。」と、えつ子はしたり顔をする。◆ヘしたり顔に~する〉僕の自殺を非難し、あくまでも生き伸びるべきであった、と僕になんの助力も与えず口先だけで、したり顔に批判するひとは(・・・・・・) (太宰治[だざいおさむ]「斜陽」) **したわし・い【慕わしい】** ○恋しく感じられる。恋しくて近くに寄りたい感じだ。[文例]〈慕わしい人〉あの慕わしいお方に一目お会いしたいと、そのことだけを念じております。 **じだん【示談】** ○裁判などによらないで話し合いで解決すること。また、その話し合い。[文例] 〈示談で済ませる〉事故被害の弁償[べんしよう]については、裁判に持ち込まず示談で済ませることにした。◆ヘ示談が成立する〉騒音を出す工場と示談が成立したので、訴えを取り下げた。 **じだんだ【地団太・地団駄】** ○(くやしがって)両足を交互に強く踏み鳴らすこと。[文例]〈じだんだ踏む〉新入りのくせに何という口のきき方だ、里子は心の中でじだんだ踏んでくやしがった。へじだんだを踏む〉ジャンケンで好物のケーキをぼくに取られた弟は、じだんだを踏[ふ]んでくやしがった。 **しち【質】** ○約束を破った時の補償として相手に預けておく物。(質屋に)借金のかたに預ける物。[文例]〈質に入れる〉学生時代、帰省の費用が足りなくて、カメラを質に入れてねんしゅつしたことがあった。♠へ質に置く〉のんべえの朝吉は、女房を質に置いても酒をやめない男といわれていた。♠〈質に取る>貸したお金を返すまで、このギターは質に取っておくよ。 **しち【死地】** ○死に場所。生きて帰れないような危険な場所。窮地。[文例]〈死地を求める〉敗走に敗走を重ねる西軍の兵は、さながら死地を求めてさまようかのごとくであった。◆<死地に赴く〉日の丸の旗に送られて男たちは死地に赴[おもむ]いた。♠へ死地に陥[おとしい]れる〉(………………)突然兄から捕[つか]まって危[あやう]く死地に陥れられそうになったのも、実はこういう得意の瞬間[しゆんかん]であった。(夏目漱石[あささち]「行人」) <452> **じち【自治】** ○自分たちの権限と責任で、団体の運営や行政を行うこと。[文例]地域のさまざまな問題を、住民たちの力で解決するのが自治です。♠へ自治会〉団地の自治会では、住民の親睦[しんぼく]を図るために、スポーツ大会やバザーなどを計画している。 **しちてんはっき「七転八起】** ○何度失敗してもあきらめずに、その度に起き上がること。七転び八起き。[文例] 二度三度と失敗の重なることもあるが、七転八起という言葉もあるように、くじけることなく立ち上がってほしい。 **しちてんばっとう【七転八倒】** ○苦しくてのたうちまわること。しってんばっとう。[文例]〈七転八倒の痛み>老人がくれた薬を飲むと、七転八倒の痛みがうそのように消えた。♠〈七転八倒の苦しみ〉力道山が空手チョップを振るうと、外人レスラーは七転八倒の苦しみ方でのたうった。へ七転八倒する>構想がまとまらず、原稿用紙を前に七転八倒する作家の姿が目に浮かぶ。 **しちゅう【市中】** ○市街の中。町の中。[文例]〈市中の雑踏[ざつとう]〉車で市中の雑踏を抜けると、視界が開けのどかな田園風景となった。へ市中に出回る〉かつては夏の野菜だったきゅうりやトマトも、今は一年中市中に出回っています。 **しちゅう【支柱】** ○支えとなる柱や棒。物事の支えとなるもの。[文例]〈支柱を立てる〉トマトの苗が大分大きくなったので支柱を立ててやろう。♠へ支柱となる「スバル」の支柱となった森鷗外[おうがい]は、同誌に「青年」や「雁[がん]」等を発表した。◆〈支柱を失う〉戦後の混乱の中で続けて夫と息子をなくした彼女は、心の支柱を失っていった。 **しちゅう【死中】** ○死をまつよりほかない状態。[文例]<死中に活[かつ]を求める〉明治二十年、大火で焼け出されて一切を失った一家は、北海道へ渡り、死中に活を求めた。 **しちょう【思潮】** ○社会全般の思想的な傾向。[文例]〈自然主義の思潮〉日露戦争の後、文壇では自然主義の思潮が主流をなした。♠ヘデモクラシーの思潮〉大正詩壇の口語自由詩は、デモクラシーの思潮を反映して、民衆詩的傾向を帯びてきた。♠〈思潮をなす>当時、学生や労働者の間では絶対自由をめざす無政府主義が大きな思潮をなしていた。 **じちょう【自重】** ○自らの行いを慎重にすること。[文例] 〈自重する>周囲の誤解をとくためにも、今は行動を自重したほうがよいだろう。 **じちょう(自嘲)** ○自らをあざけること。自分を軽蔑[けいべつ]すること。[文例]〈自嘲の笑い〉さきほどの失敗を思い出したのか、彼の顔には自嘲の笑いが浮かんだ。♠〈自嘲する「おれなんてどうせだめな人間さ。」と、彼は自嘲するようにつぶやいた。 **しつ【質】** ○事物の性質。もちまえ。→量[文例]〈質と量〉〈質が良い>量は多ければ多いほどいいし、質は良いにこしたことはないさ。♠へ従業員の質〉このスーパーは応対が丁寧[ていねい]で、従業員の質がいいと評判です。♠〈質の向上・低下>製品の質の向上は、企業にも消費者にも利益をもたらす。 **じつ【実】** ○まこと。誠実。真実。実質。事実。実際。[文例]〈実がある〉多吉[たきち]は実のある男だから、こんな雪の中を女に会いに来たのだ。♠へ実がこもる>客の実のこもった言葉に、遊女はうれし涙を流す。♠へ名を捨てて実を取る「名を捨てて実を取る」といって、交渉ごとは相手の自尊心をそこなわずに自分に有利に運ぶのがよい。♠へその実>手伝いましょうか、と言ってはみたが、その実こちらにも用があった。♠〈実の子>実の子がかわいくない親なんてあるものか。♠〈実を言うと>実を言うと、わたしはこれから出かけなければならないのです。 **しつい【失意】** ○思い通りにならず、がっかりすること。失望。→得意[文例])〈失意のどん底>絶対に入選すると思っていた作品が落選したわたしは、失意のどん底につき落とされた。♠〈失意の人〉妻を病で失い、失意の人となった彼は、あてもなく日々を送っていた。♠〈失意のうち〉書いた小説のことごとくが認められなかった彼は、失意のうちに世を去った。 **じつえき【実益】** ○実際の利益。[文例] <趣味と実益>おじいちゃんの木彫りは、民芸品屋さんが買いにくるほどで、趣味と実益を兼ねたものです。◆◇実益がある・ない〉趣味というのは夢中で取り組めるからよいので、実益があるとか、ないとかにかかわらない。 **じつえん【実演】** ○実際に演じること。観衆の前で直接演じること。[文例]〈手打ちそばの実演〉デパートの物産展で、手打ちそばの実演をやっていました。へ俳優の実演人気俳優の実演が見られるというので、野外ステージには観客が大勢おしよせた。♠〈実演する〉では、この手品をぼくが実演してお目にかけましょう。 **じっか【実家】** ○自分が生まれ育った家。生家[せいか]。[文例]〈母の実家>夏休みになると母の実家へ行き、二学期が始まるまでいとこたちと遊んだものです。♠へ実家に帰る〉わたしたち兄弟は、お盆には必ず実家に帰り、両親の墓まいりをします。 **じつがい【実害】** ○実際の損害。[文例]〈実害がない〉校庭に転落したトラックはグラウンドに穴を空けはしたが、夏休みだったので実害はなかった。♠〈実害が出る〉掘り起こした土を自分の土地に積み上げることは問題ありませんが、周囲に実害が出るようなら、市としても調査するつもりです。 **しっかく【失格】** ○資格を失うこと。その地位に値しないこと。[文例]〈~として失格>子供たち一人一人の成長に愛情ある関心を持てないようでは、先生として失格です。♠失格する〉その選手は、二位でゴールインしたが、レース中に不正のあったことがわかり失格した。 **しっかり(確り)** ○安定してゆるぎないさま。確かで危なげないさま。がんばって努力するさま。[文例]〈しっかり押さえる「しっかり押さ[かか]えていろよ。」と、はしごの上から父が言った。♠へしっかり抱える〉母親は、子供をしっかり抱えて燃えさかる炎の中を必死に逃げた。♠へしっかり守る〉約束は、しっかり守ってね。へしっかりする「おい、しっかりしろよ。」と、ぼう然と立ちつくす友だちの肩をゆすった。 <453> ◆くしっかりした考え>自分自身がしっかりした考えを持たないと、周りに流されてしまう。♠へしっかりした態度>どんなに苦しい時でも、彼はしっかりした態度を保ち続けた。♠〈しっかり者〉ゆみちゃんは、小学生なのに店の仕事をよく手伝うしっかり者です。 **しっかん【疾患】** ○病気。やまい。[文例]〈疾患がある〉体に疾患があると、日常生活を送るうえでハンディになることがあります。♠く皮膚の疾患〉水虫などの皮膚の疾患は、患部を清潔にし、根気よく薬をつけて治します。 **じっかん【実感】** ○実際の感じ。実際のように感じること。[文例]〈実感がわく>試合後のインタビューを見ていると、彼女はまだ優勝した実感がわかないといった感じでした。◆<実感となる〉迎えに来た弟たちの顔を見て初めて、故郷[こきよう]に帰ったことが実感となって胸に伝わってきた。♠実感を伴[ともな]う〉この曲を聞くと、遠い祖国を思う気持ちが実感を伴って伝わってきます。♠〈実感が出る〉すし屋の職人だけに、修業の苦しさを語る口振[くちぶ]りには、実感が出ています。♠〈実感がこもる>仲間を見捨てるわけにはいかないという兄の言葉には、隊長としての実感がこもっていた。♠く実感する>先生の話を聞いて、わたしは自分の計画がいかに無謀[むぽう]だったかをつくづく実感しました。 **しっき【湿気】** 』しっけ **しつぎ【質疑】** ○疑わしい点を問いただすこと。[文例]<質疑がある〉この提案に対して質疑のある方は、挙手をお願いします。♠へ質疑を出す〉研究発表の後、各分野の先生から質疑が出された。♠〈質疑応答>国会での質疑応答は、時に子供のけんかのようにも見えます。 **じつぎ【実技】** ○実地に用いる技術。実際に行う演技。[文例]〈体育の実技>兄は勉強はできるのですが、体育の実技だけは苦手なようです。♠〈実技試験>明日、運転免許の実技試験を受ける予定です。 **しっきゃく【失脚】** ○地位を失うこと。[文例]〈失脚する〉ハート氏がスキャンダルで失脚したとなると、次期大統領候補にだれが指名されるだろうか。♠へ権力者の失脚>民主主義の未成熟なこの国では、権力者の失脚の裏にはすさまじい権力闘争がある。 **しつぎょう【失業】** ○仕事を失うこと。職業が得られないこと。[文例]〈失業する〉長い間失業していたが、やっと再就職の口が見つかった。♠〈失業者〉産業の機械化は、多くの失業者を生み出すとして、当時社会問題になっていた。 **じっきょう【実況】** ○実際の状況。[文例]〈実況放送>今夜のナイターの実況放送は、九時半で終了する。♠へ実況中継[ちゆうけい]〉衛星による実況中継でオリンピックも茶[ちや]の間[ま]で観戦できるようになった。 **じつぎょう【実業】** ○社会の経済活動の一環としての事業。[文例]〈実業の才〉彼はもって生まれた実業の才を発揮して、海外にも事業を伸ばした。♠へ実業家>若い時は大変な苦労をした人でしたが、のちに実業家として成功を収めました。♠〈実業界>学校の成績はよくなくても、卒業後実業界で成功した人はたくさんいます。 **しっく【疾駆】** ○車・馬などを速く走らせること。疾走すること。[文例]〈疾駆する〉シベリアの原野を疾駆する野生馬の群れが写し出された。♠へ疾駆する〉ジープでアフリカの大草原を疾駆するのが、ぼくの子供のころからの夢だ。♠(………………)丸の内を疾駆する際にも、自分は今須永[なが]の従妹[いとこ]の家に向って走りつつあるのだという心持は忘れなかった。(夏目漱石[むかしよ]「彼岸過迄[ひがんすぎまで]」) **しっくり** ○よく調和して、安心なさま。[文例]〈しっくりいく〉あの夫婦は、どうもしっくりいっていないようだ。♠〈しっくり合う二人の呼吸がしっくり合うようになったのは、いっしょになって数年してからだった。♠へしっくりする〉他人同士がしっくりするようになるには、お互いに譲り合わなければなりません。 **じっくり** ○落ち着いて、物事を慎重に行うさま。[文例]〈じっくり考える〉あなたは自分が将来何になりたいか、じっくり考えたことがありますか。ヘじっくり読む〉どうしても答えがわからなかったので、もう一度問題文をじっくり読んでみました。♠へじっくり構える〉もうすぐ汽車が発車するというのに、お父さんはじっくり構[かま]えて新聞なんか読んでいる。♠へじっくり取り組む〉新しい実験室は静かな所にあってじっくり研究に取り組むことができる。◆ヘじっくり腰[こし]を据[す]える〉今週はたいした用事もないし、じっくり腰を据えて読書をするつもりだ。◆ヘじっくりと〉このコーヒー豆は、幻[まぼろし]のコーヒーと言われた輸入品ですので、じっくりと味と香りをお楽しみください。 **しっけ【湿気】** ○しめりけ。しっき。[文例]〈湿気がある。ない〉高原に吹く風は、湿気もなくさわやかだ。♠湿気が多い・少ない〉日本の夏は、ヨーロッパに比べて湿気が多いので、よけいに暑く感じる。♠〈湿気を含む〉台風のときに吹く風は、湿気を含んでいて、不快を感じる。◆ヘ湿気を帯びる〉山の空気はひんやりと少し湿気を帯びていて、のどに気持ちがよい。♠湿気に強い〉桐[きり]は、軽くて湿気にも強く、古くから衣類を入れるたんすなどに使われている。♠湿気を嫌[きら]う〉のりやお茶は湿気を嫌うので、缶[かん]のふたを開けはなしにしないようにしましょう。 **しつけ【仕付け】** (躾) ○礼儀作法を教えこむこと。仮に縫いつけること。[文例]〈しつけを受ける>昔はどんな金持ちの子でも、物を粗末[そまつ]にするなというしつけを受けたものだ。♠へしつけをする〉電車の中を走り回っている子供を見ると、どんなしつけをされているのかと考えてしまう。♠へしつけが行き届く〉あの学校は、生徒のしつけが行き届いているという専[もつぱ]らの評判だ。♠へしつけがいい・悪い〉しつけのいい子供が大人になっても、そのままとは限らない。へしつけが足りない〉この店は、従業員のしつけが足りないらしく、客に対してとても無愛想[ふあいそう]だ。♠へしつけが厳しい>彼女が通っているのは、しつけが厳しいので有名なお嬢[じよう]さん学校だった。へ仕付けの糸〉縫い終わったら、仕付けの糸は、きれいに抜いておきます。 **しっけい【失敬】** ○礼儀を欠くこと。断りなしに持って行くこと。[文例]〈失敬なやつ〉あいさつしたのに黙って通りすぎるなんて、失敬なやつだ。♠〈失敬する>急用ができたので、悪いけどここで失敬するよ。♠〈他人の物を失敬する〉いくら酔っていたからといって、他人の自転車を失敬するなんて、よくないことだぞ。 <454> **しつける【仕付ける】** (躾ける)○礼儀作法を教えこむ。仮に縫いつける。[文例]〈子供をしつける〉子供は、小さい時にしっかりしつけて、大きくなったら本人の責任で行動させます。 **しつげん【失言】** ○言うべきでないことを不用意に言うこと。また、その言葉。[文例]〈失言を取り消す〉ごめんなさい、今のは失言でしたので取り消します。♠〈失言する>首相や大臣が失言すると命取りになることがあります。 **じっけん【実験】** ○実際にやって確かめること。実地に試すこと。[文例]〈実験をする〉今日は学校でビーカーやアルコールランプを使って、理科の実験をした。♠へ実験する〉この方法でうまくいくかどうか実験してみよう。♠へ実験の記録>長年にわたる実験の記録をもとに、博士は論文を書きました。 **じっけん【実権】** ○実際上の権限や権力。[文例]〈実権を握る〉わたしの会社では、経営上の実権は会長の祖父が握っている。♠〈家長の実権〉かつて一般の家では、家長の実権が強大であり、家庭内での女性の地位は低かった。 **じつげん【実現】** ○現実のものとすること。現実になること。[文例]〈民主的な社会の実現〉民主的な社会の実現に寄与[きよ]したいと、わたしは思っています。◆◇計画の実現〉市の許可が下りないようでは、計画の実現などはとうていおぼつかない。♠へ実現を望む〉日本でのワールドカップの実現を望むサッカーファンは少なくありません。♠計画が実現する〉オートバイ仲間の協力もあって、彼のアメリカ大陸横断の計画が実現することになった。♠へ夢が実現する>月旅行という人類の夢が実現したのは、一九六九年のことです。♠◆人要求を実現する>住民たちは、要求を実現させるため、駅前で署名運動を始めた。♠〈実現不可能>驚異的な科学の発達によって、それまで実現不可能と思われていたことが、次々と成し遂げられていきます。 **しつこ・い** ○物事にこだわって、くどい。つきまとって、うるさい。あっさりしてしない。[文例]〈しつこい男〉きみみたいにしつこい男は嫌[きら]われるぞ。◆ヘしつこいせき〉今度の風邪[かぜ]は、熱は二、三日で下がったが、しつこいせきに一月も苦しめられた。♠へしつこく〜する〉断っても断ってもしつこく電話をかけてくるので、ますます嫌いになった。 **しっこう【執行】** ○とり行うこと。[文例])〈刑の執行>死刑の確定からその執行までには長い年月がおかれる場合が多い。♠<執行猶予[ゆうよ]〉初犯で、反省の気持ちも見られるということで、彼の刑には執行猶予がついた。♠へ執行部〉後期の生徒会の執行部が選任された。 **じっこう【実行】** ○実際に行うこと。[文例]〈実行に移す〉かねてからの計画を実行に移すには、まだ機が熟していないような気がする。♠〈実行が伴[ともな]う〉言うことが立派でも実行が伴わない人は信用されない。♠〈実行を見合わせる〉折からの荒天[こうてん]のため、大会はその実行を見合わせることとなった。♠く計画を実行する〉計画を予定通り実行するには、二十万円以上の費用がかかります。♠へ実行不可能>せっかく立てた旅行プランも、悪天候のため実行不可能となった。◆<実行力>彼女の人気の秘密は、優れた実行力にあるのではないだろうか。◆〈不言実行>西本さんは無口ですが、行動力があり、本当に不言実行という言葉がぴったりします。 **しっこく(桎梏)** ○手かせと足かせ。自由を束縛するもの。[文例] <桎梏になる>親の過度の関心が桎梏になって、子供の自由な成長を妨[さまた]げることがある。♠〈桎梏を逃れる>敗戦によって、国家と軍部の桎梏を逃れた国民は平和の道を模索し始める。 **しっこく【漆黒】** ○うるしを塗ったように黒く、光沢のあること。[文例]<漆黒の髪>自分は彼の前を横切る度に、その漆黒の髪とその間から見える関節の細い、華奢[きゃしゃ]な指に眼を惹[ひ]かれた。(夏目漱石[こうじん]「行人」)◆<漆黒の闇[やみ]二言三言、言葉を交わすと、二人の男は再び漆黒の闇に姿を消していった。 **じっこん(昵懇・入魂)** ○親しいこと。懇意。[文例]〈じっこんの間柄[めいだいがら]>きみのお父さんとわたしとはじっこんの間柄だから、遠慮しないでなんでも言いたまえ。◆ヘじっこんにする〉わたしは、木村と申しまして、奥様にはじっこんにしていただいている者です。 **じっさい【実際】** ○現実のありさま。事実。ほんとうに。実に。[文例]〈理論と実際〉きみの言う通りにいけばよいのだが、理論と実際は一致しないものだ。◆〈実際の位置>必死に岸に向かってこいでいたが、潮の流れに負けて、実際の位置はほとんど変わっていなかった。♠〈実際にあった話〉この映画は、実際にあった話をもとにして作られたものだそうです。◆<実際には>試合開始は六時の予定でしたが、選手の到着[とうちやく]が遅[おく]れて、実際には六時半から始まりました。へ実際は〉ゆっくり休んでいていいよと言われたけど、お店は午後も忙[いそが]しく、実際はそうもいかなかった。◆きみの言う通り、実際あの時は気が動転していて、何を話したか覚えていないんだ。♠実際問題>理論的には可能なことでも、実際問題として実現できないことはいくらもあります。 **じつざい【実在】** ○現実に存在すること。「[文例]〈実在の人物〉この小説は、実在の人物をモデルにしている。♠実在する〉調べてみると、その人は確かにこの町に実在したが、数年前に死亡していることがわかった。 **しっさく【失策・失錯】** ○しくじること。やりそこなうこと。失敗。[文例]出かける前に道路の込みぐあいを調べておかなかったのは失策だった。♠へ失策をする〉今朝会社でとんでもない失策をしてしまって、一日気が重かった。♠へ野球の失策>八回裏の失策がなければ、ぼくたちのチームは勝てたかもしれない。 **じっし【実施】** ○実際に行うこと。『[文例])〈法律の実施〉新しい交通法規の実施は、四月一日からになります。♠へ実施する>予定通り、今年も七月末に林間学校を実施します。 <455> **じっしつ【実質】** ○実際の内容・性質。[文例] <名目と実質>何事も、外見や名目より実質が大切です。♠へ仕事の実質>自分の意志でやっているのと強制されてやっているのでは、同じ仕事をしてもその実質は随分[ずいぶん]ちがう。へ実質~円〉時間給六百円、一日五時間労働で交通費九百円が自己負担のアルバイトでは、実質二千百円にしかならない。♠〈実質的〉会社側はいろいろ口実を並べているが、これでは実質的な賃金引き下げではないか。 **じっしょう【実証】** ○事実や証拠をあげて証明すること。また、確かな証拠。[文例]〈実証があがる〉いくら無実を叫んでも、実証があがった今、だれも信じてくれなかった。♠〈実証する>実験の結果、博士の唱[とな]えた説が正しいことが実証された。へ実証的〉いくら証拠を出せと言われても、そんなことは実証的に説明できるものではありません。 **しつじつごうけん【質実剛健】** ○飾りけがなくまじめで、強くたくましいこと。[文例]質実剛健をモットーにしている学校だけあって、どの生徒もハキハキしてまじめそうだ。 **じっしゃかい【実社会】** ○現実に人々が生活を営んでいる社会。[文例]<実社会へ出る〉わがまま娘も、卒業して実社会へ出たおかげで人間的に成長したようです。♠へ実社会に通用する〉大学で学んだ学問がそのまま実社会に通用するとはかぎらない。 **じっしゅう【実習】** ○実地に習うこと。[文例]〈料理の実習>料理の実習にとりかかる前に、手順をもう一度確認しておきましょう。♠〈実習に移る〉講師からパソコンのしくみや取り扱い方について説明を聞いたあと、実習に移った。♠〈実習する〉では、次の時間は今説明したことを実習してみましょう。 **しつじゅん【湿潤】** ○湿り気の多いさま。[文例]〈湿潤な気候>日本の湿潤な気候は、日本人の生活や文化に大きな影響を与えてきた。 **しっしょう【失笑】** ○思わず笑うこと。あきれて笑うこと。[文例]〈失笑を買う〉いい大人[おとな]がそんなつまらないことを言えば、周囲の失笑を買うだけだ。♠へ失笑をもらす〉「詩とは直接な感情の表現です。」と先生がいった。そのあまりにナイーブな詩観にわたしは失笑をもらした。♠〈失笑の渦>失笑の渦の中で、ひとりぼくだけがきょとんとしていた。♠〈失笑する〉お延[のぶ]の言葉があまりに無邪気[むじゃき]だったので、津田[つだ]は思わず失笑した。(夏目漱石「明暗」) **じつじょう【実情】** ○本当の事情。現実の状態。[文例]この道路は駐車[ちゅうしゃ]禁止なのですが、守られていないのが実情です。♠へ実情を考える〉道路で遊ぶのはいけないことだが、遊び場がないという実情を考えると、子供たちばかりは責められない。♠〈実情を訴[うつた]える>空港周辺の住民は、夜間の騒音の実情を訴え、政府の対策を迫[せま]った。♠〈実情を知る〉最初からやり直せだなんて、この工事がどんなに大変か、実情を知らないからそんなことが言えるんだよ。♠へ実情に詳[くわ]しい〉報告に疑問をもった係官は、もう一度現地に行って、実情に詳しい者の話を聞くことにしました。 **しっしん【失神・失心】** ○気を失うこと。気絶。[文例]〈失神する〉気丈[きじよう]な母親も、息子の傷口から噴き出す血を見ると、失神してしまった。♠〈失神する〉登るときは夢中だったが、いざ大木のてっぺんから下を見おろすと、あまりの高さに失神しそうになった。 **しっ・する【失する】** ○失う。忘れる。度がすぎる。[文例]<時機を失する〉返事を要する手紙に時機を失せずに返書することは大切なことだ。♠〈機会を失する〉原因はささいなことであったが、謝る機会を失して、彼とは疎遠[そえん]なままになってしまった。♠へ〈礼を失する〉せっかくの招待に理由もなく欠席すれば、礼を失することになろう。♠く遅[おそ]きに失する〉今ごろ届けても遅きに失するというものだ。これは昨日の会で使うことを、きみは知らなかったのか。♠〈寛大[かんだい]に失する〉これでは寛大に失する処置と思われるでしょうが、若い彼の将来も考えて、どうか納得していただきたいのです。 **じっせいかつ【実生活】** ○現実の生活。[文例]〈実生活に役立つ>理論よりも実利を重んじ、実生活に役立つ学問を実学といった。♠へ実生活を離れる〉真の意味での教養は、実生活を離れた知識の羅列[られつ]であってはならない。 **しっせき(叱責)** ○(過失を)しかりとがめること。[文例] 〈叱責を受ける>先生の留守[るす]にきみたちが勝手なことをすれば、代理のわたしが厳しい叱責を受けることになる。へ叱責する〉この時ばかりは、わたしたちは先生から強く叱責された。 **じっせき【実績】** ○実際の業績。[文例]〈実績がある・ない〉口ではいいことを言っても、きみは実績がないから信用されない。へ実績を上げる>営業マンとして、彼は着々と実績を上げてきた。♠〈実績を残す〉入部一年で、これだけの実績を残した選手はほかにいません。♠〈実績に基づく〉わが社では、ボーナスは従業員個々の実績に基づいて支給される。 **じっせん【実践】** ○実際に行うこと。実行。[文例]〈実践に移す〉考えてばかりいないで、実践に移すことも大切です。◆〈実践する>わたしたちの学校では、来年度から新しい教育理論を実践することになりました。 **じっせん【実戦】** ○実際の戦闘。実際の試合。[文例]〈実戦の経験>祖父は、出征[しゆつせい]してまもなく終戦になったので、実戦の経験はない。♠〈実戦に備える〉この海域では、実戦に備えて射撃訓練が行われている。♠〈実戦で鍛[きた]える〉このチームは何度も競技会に出て、実戦で鍛えてある。 **しっそ【質素】** ○つましいさま。簡素なさま。飾らないさま。[文例]〈生活が質素〉お金の価値を正しく理解する人ほど派手さをきらい、生活は質素なものだ。♠へ質素に暮らす〉田舎[いなか]の祖母は、つつましく質素に暮らしています。♠へ質素な暮らし>自分でかせいだお金で生活を始めた若者は、ぜいたくをせず、質素な暮らしをするようになった。♠へ質素な食事>健康で長生きをするためには、カロリーの多すぎない質素な食事がいいらしい。♠〈質素な身なり〉地味[じみ]で質素な身なりをしていますが、どことなく品[ひん]のあるお嬢[じよう]さんです。♠へ質素な造り〉この国の古い寺院建築は、質素な造りであるるが、堂々とした力強さがある。 <456> **しっそう(失踪)** ○行方をくらますこと。行方がわからなくなること。[文例] 〈失そうする〉会社の金に手をつけて穴埋めができなくなり、失そうする会社員の例も多いようです。◆〈失そう者>蒸発から七年たって、夫は失そう者として戸籍から消されました。 **しっそう【疾走】** ○速く走ること。[文例]〈疾走する〉ドンという音に飛び出すと、看板が倒れていて、一台の車が疾走していくのが見えた。♠〈全力疾走>子供たちは、五十メートルを全力疾走した。 **じつぞう【実像】** ○レンズを通過したり、球面鏡で反射したりした光が実際に結ぶ像。本当の姿。→虚像。[文例]《虚像[きよぞう]と実像〉教師になりたてのころのわたしは、世間の目が見る虚像と、一人の若者としての実像の隔[へだ]たりに悩んだこともあります。♠へ実像が浮かぶ〉当時のこの男の行動を洗っていけば、さまざまなベールに包まれた彼の実像が浮かびあがってくる。 **しっそく【失速】** ○(急激に)速力が落ちること。[文例]〈失速する〉三回続けて宙返りをみせたジェット機は、突然失速し、大勢の観客の眼前で墜落[ついらく]した。♠へ経済が失速する〉国の経済が失速すると、失業者が増大するなどの大きな問題が発生します。 **しった(叱咤・叱咤)** ○大声でしかること。大声で励ましたり、指図したりすること。[文例]〈叱咤する〉ともすれば怠けようとする自分の心を叱咤しながら、これまでがんばってきました。♠叱咤激励[げきれい]〉監督は、グラウンドに部員全員を集め、夏の大会に向けてがんばるよう叱咤激励した。 **じったい【実体】** ○事物の本体。[文例]〈実体をつかむ〉なぞの飛行物体の実体をつかんだと雑誌に出ていました。♠〈神の実体〉〈実体がない〉信じている人は、神の実体を知ることができるが、信じない人は神に実体はないというのです。 **じったい【実態】** ○実際のありさま・状態。[文例]〈農村の実態>今回の調査で、今日の日本の農村の実態が明らかになった。へ実態を調べる〉この町に住む人々の実態を調べるために、アンケートを取ることにした。 **じつだん【実弾】** ○本物の弾丸。(その威力を弾丸にたとえて)現金。[文例]〈実弾をこめる>遠くに鹿[しか]の姿を認めた猟師[りようし]は、慎重[しんちよう]に実弾をこめ、銃[じゅう]を構えた。♠〈実弾が飛ぶ>選挙には買収がつきもので、実弾が飛び交うような事態もめずらしくないという。♠〈実弾射撃>富士山の演習場で実弾射撃が行われた。 **しっち【失地】** ○失った土地・領土。失った地位。[文例]〈失地を回復する〉新王は、敗戦による失地を回復するための方策を考えていた。♠〈失地回復〉洋菓子に対して和菓子業界も善戦していますが、失地回復は大変なようです。 **しっち【湿地】** ○じめじめした土地。湿気の多い土地。[文例] アシ(ヨシ)は湿地に生える植物です。♠この辺りは、もともと湿地だったので水はけが悪く、雨が降ると道路まで水が出る。 **じっち【実地】** ○実際の場所。現場。現実の場。実際。[文例] 〈実地を踏む〉本ばかり読んでいないで、実地を踏んで自分を鍛[きた]える必要がある。♠〈実地に移す>理論を実地に移すと、思いもかけない障害が出てくることがあります。♠へ実地に見せる〉(………………)真面目[まじめ]になったと主張するなら、主張するだけの証拠を実地に見せなけりゃ何にもならない。(夏目漱石「虞美人草[ぐびじんそう]」)♠<実地踏査[とうさ]>実地踏査の結果、ジャングルの生物の生態がより明らかになった。♠〈実地検証>警察は、犯行現場の実地検証を行った。 **じっちゅうはっく【十中八九】** ○(十のうち八つか九つ、の意で)確率の高いこと。おおかた。たいてい。じゅうちゅうはっく。[文例]ここに飛車[ひしや]を打てば、相手は十中八九銀[ぎん]を上げてくる。◆この潮[うしお]に流されたら、十中八九まで助からないだろう。 **じっちょく【実直】** ○まじめで正直なさま。[文例]〈実直な人>係長は実直な人で、上層部の信頼も厚かった。♠へ実直に勤める>佐藤さんは、入社以来実直に勤め、今年定年退職しました。♠<謹厳実直>祖父は謹厳実直を絵にしたような人だった。 **しっと(嫉妬)** ○ねたむこと。やきもちをやくこと。ねたましく思う気持ち。[文例] 〈しっとする〉友達の成功をしっとするあまり、友情にひびの入ったこともある。◆ヘしっとのあまり〉まま母は、しっとのあまり、姫に毒のりんごを食べさせた。◆くしっとの目〉一番先に結婚[けつこん]した妹を、二人の姉はいつもしっとの目で見ている。◆ヘしっとを招く〉彼女の美しさと才能は、同じ役者仲間のしっとを招いた。♠へしっとに似た感情〉Aさんと楽しげに歩いている姉を見ると、しっとに似た感情がわいてきた。◆ヘしっと心〉猫[ねこ]にもしっと心があるのか、一匹がわたしのひざに乗ると、ほかの子猫がやきもちを焼く。♠へしっと深い〉ひと一倍しっと深いわたしは、少しでも自分よりすぐれている人には、意地悪をしたくなる。 **しつど【湿度】** ○大気中に含まれる水分の度合い。[文例]<湿度が高い・低い>梅雨[つゆ]のころは、湿度が高くじめじめしていて、洗濯物がなかなか乾きません。♠へ湿度をコントロールする〉夏には、除湿、冬には加湿するなどをして湿度をコントロールします。 **しつない【室内】** ○部屋の中。建物の中。[文例]〈室内の空気>石油ストーブで暖房する際は、ときどき室内の空気を入れ換える必要があります。♠〈室内競技〉ぼくは室内競技よりも、戸外で汗を流すほうが好きだ。 **じつに【実に】** ○ほんとうに。まことに。[文例]自分の信念を貫[つらぬ]こうとする態度は、実に立派です。♠実に三十年ぶりに祖国の土を踏んだのです。 **しつねん【失念】** ○うっかり忘れること。ど忘れすること。[文例]〈失念する〉あなたの誕生日はうかがったことがあるのに、つい失念してしまいました。♠只今一寸[ちよつと]失念して言い落しましたから、申します。当夜の宿直員は宿直中外出して温泉に行かれた様[よう]であるが、あれは以[もつ]ての外[ほか]の事と考えねばなりません。(夏目漱石「坊っちゃん」) <457> **しっぱい【失敗】** ○しくじること。やりそこなうこと。[文例] 〈失敗に終わる〉計画の初期段階では、宇宙ロケットの打ち上げはことごとく失敗に終わった。♠〈失敗を繰り返す〉今日の文明社会は、われわれの祖先が失敗を繰り返しながら、築き上げたものだ。♠〈失敗を重ねる〉数々の失敗を重ねて新しい薬が開発されたのは、それから十年後であった。♠〈失敗は成功のもと「失敗は成功のもと」と信じて、彼は同じ実験を何度繰り返したことか。♠〈計画が失敗する〉もしその計画が失敗したら、みんなから厳しい批判を浴びることになるでしょう。♠〈事業に失敗する〉ブラジルでの事業に失敗し、男は多くの借金[かか]を抱えて帰国した。♠〈失敗談>おじいさんの若い時の失敗談は、何度聞いてもおもしろい。♠〈失敗作〉おまえは、父さんと母さんの失敗作だな。。♠へ大失敗〉しまった、これは大失敗だ。 **じっぱひとからげ【十把一からげ】** (十把一絡げ)○多くのものをひとまとめにして扱うこと。[文例]〈十把一からげにする〉蔵の奥に十把一からげにしてあったがらくたの中から貴重な骨董品[こつとうひん]が見つかった。♠〈十把一からげにする〉少数意見だからといって十把一からげにしないで、個々に検討してみるべきだ。♠〈十把一からげの駄作[ださく]〉いいのはここまでで、あとは十把一からげの駄作ばかりだ。 **じっぴ【実費】** ○実際にかかる費用。[文例]〈実費を差し引く〉売り値から実費を差し引[こん]くと利益はわずかだったが、それでも老人は毎日楽しそうにおもちゃを作り続けた。♠〈実費を支払う〉「市民のための木彫り教室」は材料費の実費を支払うだけで、受講料はいりません。 **しっぴつ【執筆】** ○(筆を執る意から)原稿などを書くこと。[文例]〈原稿の執筆〉〈執筆にとりかかる〉依頼された原稿の執筆にとりかかった時は、翌年の春になっていた。♠へ執筆する〉この旅館は、彼が代表作を執筆した宿として有名である。♠〈執筆者〉出版の企画が立つと、執筆者の選定が行われた。 **しっぷう【疾風】** ○強く吹く風。はやて。[文例]〈疾風のごとく〉陽は、ゆらゆら地平線に浸し、まさに最後の一片の残光も、消えようとした時、メロスは疾風の如[ごと]く刑場に突入した。(太宰治[だざいおさむ]「走れメロス」) ◆<疾風迅雷[じんらい]>味方の軍勢は疾風迅雷の進撃を続けていた。♠へ疾風怒濤[どとう]〉この時代は、革新の気に満ちた疾風怒濤の時代であった。 **じつぶつ【実物】** ○実際の物。本物。[文例]〈実物そっくり〉いつも大人ぶっているミヨちゃんを実物そっくりのへびのおもちゃで脅[おど]かしてやろう。♠へ〈実物を見る〉コアラは、写真やテレビでは見たが、まだ実物は見たことがありません。♠<実物大>気に入った花の写真を実物大に引き伸ばしました。 **しっぺい【疾病】** ○病気。やまい。[文例]生まれつき強健な男だったから、おおよそ疾病などとは無縁であった。◆疾病がある〉疾病があれば、医学の力によって治癒[ちゆ]するしかあるまい。 **しっぺいがえし** しっぺがえし **しっぺがえし【しっぺ返し】** ○しかえし。報復。しっぺいがえし。[文例]へしっぺ返しを受ける〉我々は思うまま勝手に自然を改造し、傷めつけてきたことで、今自然からのしっぺ返しを受けているのだ。♠へしっぺ返しする〉少年時代子分みたいに扱った友達にしっぺ返しされるように、今はその部下として働いています。 **しっぽ(尻尾)** ○尾。細長い物の先端。ごまかしや隠しごとの一部。[文例]〈トカゲのしっぽ〉トカゲのしっぽを切っても、しっぽはまた生えてくる。♠〈大根のしっぽ〉大根は大きく輪切りにしてしっぽの方は捨てます。♠へしっぽを振る〉おれにも職人の誇[ほこ]りがあるから、主人にしっぽを振るようなまねはできない。♠へしっぽを巻く「文句あるか!」と鬼瓦[おにがわら]主将が言うと、不良どもはしっぽを巻いて逃げ出した。♠へしっぽを出す〉問いつめたら、やっこさん、とうとうしっぽを出した。やっぱり敵のスパイだった。へしっぽをつかむ〉とうとうしっぽをつかんだぞ。思ったとおり、犯人はあいつだ。 **しつぼう【失望】** ○希望を失うこと。あてが外れてがっかりすること。[文例]〈失望を感じる〉彼がすでに出発したことを知って、わたしは大いに失望を感じた。◆人失望に終わる〉刈り入れ前に台風がやってきて、農民たちの豊作への期待も失望に終わった。◆人失望のふち〉父を亡くしたショックで、母は失望のふちに沈んでいた。♠〈失望のあまり〉そのころのわたしは、失望のあまり、生まれ故郷に帰ることさえ考えました。♠〈失望の色>予想もしなかったエラーに、コーチは失望の色を隠せなかった。♠〈失望する〉係員のいい加減な態度に、失望した人も少なくなかった。へ前途[ぜんと]に失望する〉コンクールに落ちた彼女は、画家としての前途に失望して、いっさいの創作活動をやめてしまった。 **しつむ【執務】** ○事務を執ること。業務についていること。[文例]〈執務する〉庁舎にいる時の知事は、十時から五時までこの部屋で執務する。♠〈執務中〉公爵[こうしゃく]はただいま執務中でございますから、どなたにもお会いになりません。 **じつむ【実務】** ○実際の事務・業務。[文例]〈実務を処理する〉口数も少なく目立たない人ですが、実務を処理する能力では右に出る者がいません。♠〈実務をこなす〉退屈[たいくつ]な仕事のように思うでしょうが、日常の実務をこなしていくのは大切なことなのです。♠〈実務家〉楽しそうに釣りの話をしていた彼が、仕事のことになるとにわかに実務家の顔になった。 **しつめい【失明】** ○目が見えなくなること。視力を失うこと。[文例]〈失明する〉わたしが事故にあって失明したのは、まだ小学校に入る前のことでした。♠〈失明を免[まぬか]れる〉ガラスの破片が刺さって一時は視力が落ちたが、失明は免れた。 **しつもん【質問】** ○分からない点を問いただすこと。『[文例] 〈質問をする>授業を聞いていない生徒は、授業中、ほとんど質問をしません。♠〈質問する〉何か聞きたいことがあったら、質問してください。♠へ質問を出す〉一通りの説明を聞いた後、数人が質問を出しました。♠へ質問を浴びせる>記者会見の席上で、話題の主に質問が浴びせられた。♠へ質問を投げる〉著者は、この本の中で読者に質問を投げかけています。♠へ質問をぶつける〉どういう考えで生徒の指導にあたっているのか、質問をぶつけてみよう。♠へ質問を掛ける「何故[なぜ]改まって今頃[いまごろ]そんな質問を掛けるんだい。馬鹿[ばか]らしぃ」(夏目漱石「明暗」)◆へ質問を受ける>子供から、「空はどこまであるの?」という質問を受け、返答に困った。♠<質問に答える>子供の発する素朴[そぼく]な質問に上手に答えて、子供を納得させるのはなかなか難しい。 <458> **しつよう(執拗)** ○しつこいさま。意地を張るさま。ねばり強いさま。[文例]<執拗に追う〉印象派の画家として名高いモネは、千変万化[へんぱんか]する光を執拗に追い続けた。へ執拗につきまとう〉他校生から執拗につきまとわれ、迷惑[めいわく]をしたことがあります。♠へ執拗な誘[さそ]い〉彼の執拗な誘いに、わたしはついに根負けしてしまった。 **じつよう【実用】** ○実際に役立つこと。実際の用途。[文例] 〈実用になる〉思い出のある物ですから、今では実用になりませんが、取っておこうと思います。♠〈実用に向く〉実用に向くかどうかわかりませんが、気に入ったデザインなので買いました。♠へ実用に適する〉贈り物は、装飾品[そうしよくひん]ではなく、実用に適したものに決めています。♠〈実用的〉入学祝いには、文房具などの実用的なものが喜ばれるでしょう。 **しつら・える(設える)** ○こしらえる。設ける。調える。用意する。[文例]〈棚[たな]をしつらえる〉民芸品の好きな父は、そのためにしつらえた棚に飾って楽しんでいる。♠へ離[はな]れをしつらえる〉庭に隠居用の離れをしつらえてもらって、わたしたち二人が住んでおります。 **じつり【実利】** ○実際の利益。実際に役立つこと。[文例]<実利を重んじる〉彼は、学問や芸術よりも実利を重んじる男だ。♠実利が少ない〉この商売は見かけは華[はな]やかですが、実利は少ないのです。♠へ実利的>息子の要望は、こづかいの値上げというきわめて実利的なものであった。 **じつりょく【実力】** ○実際の力。腕力。武力。[文例]〈実力がある〉この選手は実力があるので、将来が楽しみです。◆〈実力をつける〉今回の試験には失敗したが、実力をつけて再度挑戦しよう。♠へ実力を発揮する〉実力が発揮できれば、入賞まちがいなしだ。♠へ実力が伯仲[はくらゆう]する>両大関は実力が伯仲しているので、立ち合いが勝負のかぎになりそうです。♠〈実力者〉地元の実力者に頼んで、息子の就職の世話をしてもらいました。♠〈実力行使>労働者側は、話し合いでは要求を受け入れられず、とうとう実力行使に出た。 **しつれい【失礼】** ○礼儀に反すること。無礼。人と別れたり、人に話しかけたりする時のあいさつの言葉。[文例]〈失礼な言動〉目上の人に対しては、失礼な言動のないように注意しなさい。♠へ失礼にあたる〉目上の人を呼びすてにするのは、失礼にあたります。♠へ失礼がないよう〉大事なお客様ですから、失礼のないよう注意してください。♠へ失礼を顧[かえり]みる〉失礼を顧みず、立ち入ったことを伺[うかが]ったりして申し訳ありません。♠へ失礼する〉急用ができましたので、お先に失礼します。♠〈失礼ですが~〉失礼ですが、どちら様でしょうか。♠く失礼ながら~〉失礼ながら、あなたのおっしゃっていることには同意できません。 **じつれい【実例】** ○実際にあった例。[文例]〈実例を挙げる〉あんなにくどくど説明するより、実例を一つ挙げてくれれば理解できたのに。♠〈実例を出す〉実例を出すと、へまをやった人に気の毒だから、一般論として言っておこう。♠〈実例がある〉細かいことまでうるさいと思うだろうが、事故の実例があるから注意してるんだ。 **しつれん【失恋】** ○恋に破れること。[文例]〈失恋する〉ゆり子さんは別の男性と結婚し、五郎さんは失恋してしまいました。♠〈失恋の悲しみ〉ぼくは、練習に打ち込むことで失恋の悲しみを乗り越えました。♠〈失恋の傷手[いたで]〉それから二年ほどたって、わたしは失恋の傷手をいやすことができた。 **じつわ【実話】** ○現実にあった話。本当の話。[例]〈実話に基づく〉このドラマは、実話に基づいて構成されています。♠〈実話を集める>戦争中の市民生活について、実話を集めた本が出版された。 **してい【指定】** ○これこれと指して定めること。[文例]〈指定の場所〉必要な書類と筆記用具を持って、指定の場所に集合しなさい。◆指定を受ける〉塩や米は、国の指定を受けなければ、売ることはできなかった。♠〈指定がある・ない>特に指定がなければ、日時はこちらの都合で決めさせていただきます。♠指定する〉アホウドリは、国の特別天然記念物に指定されています。♠期日を指定する>宿題の提出期日を来週の木曜日と指定します。◆へ指定どおり〉ノートにまとめた作文を、指定どおりに原稿用紙に書きかえなさい。 **してい【子弟】** ○子や弟(→父兄)。年少者。[文例]〈子弟の教育>旧藩の学館は、江戸時代に藩主が藩士の子弟の教育のために設けた学校である。♠人名家の子弟〉この大学には、イギリス中の名家の子弟が集まる。 **してい【師弟】** ○師と弟子。先生と生徒。[文例]〈師弟の間柄〉藤井博士とは師弟の間柄で、今でも親しく教えを受けている。♠<師弟の関係>伯母[おば]とわたしとは、華道[かどう]のうえでは師弟の関係にあります。♠〈師弟愛〉昔の弟子が集まって師の晩年の世話をするなど、うるわしい師弟愛だ。 **しでか・す【仕出かす】** ○やってのける。やってしまう。[文例]〈とんだことを仕出かす〉よその子にけがをさせるとは、とんだことを仕出したものだ。♠へまちがいを仕出す〉ほうっておけば、若い二人はどんなまちがいを仕出かさないとも限らない。 **してき【指摘】** ○指して示すこと。示してはっきりさせること。[文例]】<鋭[するど]い指摘〉〈指摘を受ける〉友人から自分のわがままに対する鋭い指摘を受けた。♠◆〈欠点を指摘する〉他人の欠点を指摘する前に、自分はどうか考えてみよう。♠へ誤りを指摘する〉この文の文法的な誤りが指摘できますか。 **してき【詩的】** ○詩のようなおもむきのあるさま。[文例]〈詩的な表現〉この物語は、子供の目に映る世界を詩的な表現によってつづっている。へ詩的な光景>早朝の湖はもやに包まれ、詩的な光景を浮き出していた。♠へ詩的感興〉詩的感興は、詩人のうちにわき起こり、しだいに高まっていきます。 <459> **してき【私的】** ○個人的。公でないさま。[文例]〈私的な性格〉大臣などの公的な立場にある人の行動にも、私的な性格のものがあります。◆〈私的な場〉同窓会のような私的な場には、自然とうちとけた雰囲気が広がります。♠へ私的な発言>安藤さん、会議の場では私的な発言は慎[つつし]んでください。 **してん【視点】** ○ものを見る位置・立場。物事を見る立場。観点。[文例]へいろいろな視点から見る〉ものごとをいろいろな視点から見ることは大切です。♠〈客観的な視点〉〈視点に立つ>客観的な視点に立って問題をとらえなおすことも必要です。♠へ異なった視点〉一つの問題を異なった視点で見ると、その評価もまた違ったものになるでしょう。♠へ視点を変える〉ものごとは、視点を変えて見ると、違って見えてくるものです。♠〈視点を明確にする〉もう少し視点を明確にすると、より説得力のある文章になるでしょう。 **じてん【時点】** ○時の流れの中の、ある一点。[文例]〈現在の時点>通信がとだえている現在の時点では、対策の立てようがない。♠〈現時点>現時点では、賛成とも反対とも言いかねる。 **じでん【自伝】** ○自分で書いた自分自身の伝記。自叙伝。[文例]〈作家の自伝〉わたしは今、ある作家の自伝を読んでいるところです。♠〈自伝的な作品〉この小説は、晩年の作家が生涯をふりかってまとめた自伝的な作品である。 **しと【使途】** ○使い道。[文例]〈会費の使途〉会費の使途に不明朗がないようにしてください。♠〈使途不明〉問題の多い会社で、今年度も数千万円にのぼる使途不明の金を出した。 **しとう【死闘】** ○死にものぐるいで闘うこと。また、その闘い。「[文例]〈死闘を繰り広げる〉草原では、野生動物による弱肉強食の死闘が繰り広げられている。♠〈死闘を演じる〉砦[とりで]をめぐって、両軍は死闘を演じていた。♠〈死闘する〉正気を取り戻した猟師[りようし]が目にしたのは、手負いのくまと猟犬[りようけん]が死闘する姿であった。 **しどう【指導】** ○教え導くこと。[文例] 〈指導をする>兄が、熱心な指導をしてくれたので、だんだんサッカーが上達してきた。♠〈指導を受ける〉息子は、音大の先生の指導を受けて、毎日練習に励[はげ]んでいる。へ指導に当たる〉今年の演劇部の指導に当たるのは、生徒に人気のある山口先生です。♠〈指導を誤[あやま]る〉リーダーが指導を誤ったため、キャンプの成果はさんざんだった。♠へ熱心な指導のもと>先生の熱心な指導のもとで練習した結果、県大会まで進むことができた。♠〈手とり足とりの指導〉テニススクールでは、若いコーチが手とり足とりの指導をしてくれるのよ。へ指導する>元オリンピック選手の彼は、経験を生かして、今では小学生たちを指導しています。♠〈指導的〉母は、PTAの役員として、父兄の指導的立場にいる。♠〈指導者〉ボーイスカウトの指導者として、恥ずかしくない行動を取らなければなりません。 **しどう【始動】** ○動き始めること。[文例]〈機械が始動する〉従業員が持ち場につき、機械が始動した。◆ヘモーターが始動する〉モーターが始動すると同時に、工場内のあらゆる機械が動き出した。 **じどう【自動】** ○他の力を借りずに動くこと。ひとりでにそうなること。[文例] 〈自動的〉このドアは、人が前に立つと自動的に開くしくみになっている。♠〈自動的〉期限が来ても解約の申し込みがなければ、自動的に継続ということになります。♠〈自動販売機〉自動販売機は、お金を入れればいつでも品物が手に入るので便利です。 **じどう【児童】** ○子供。小学生。学童。[文例]地震が起こると、一年生から六年生まで全校の児童が校庭に避難[ひなん]しました。♠〈児童生徒〉この町には一万五千名の児童・生徒が就学していますが、近年その数は減少しつつあります。♠へ児童文学〉書店の児童文学のコーナーには、読んでみたい童話がたくさん並んでいます。 **しどけな・い** 服装・態度などが乱れて、きちんとしていない。だらしがない。[文例]〈しどけない格好〉えつ子、いくら部屋の中だからといって、そんなしどけない格好で歩き回るのはよしなさい。◆ヘしどけなく乱れる〉お目覚めの王妃の姿はしどけなく、また花のように乱れておりました。 **しと・める【仕留める】** ○えものを撃ちとめる。敵を打ちはたす。[文例]〈獲物[えもの]を仕留める〉彼は、散弾銃[さんだんじゅう]で二頭の獲物を仕留めた。◆へ一発で仕留める〉クマでもイノシシでも、一発で仕留めてやる。へ敵を仕留める〉侍[さむらい]は、襲[おそ]いかかってくる大勢の敵をなんとか仕留めることができた。 **しとやか(淑やか)** ○もの静かで上品なさま。たしなみ深いさま。[文例]〈物腰がしとやか>物腰のしとやかな、本当に日本的なお嬢さんですね。ヘしとやかな人〉お茶の先生は、着物がよく似合うしとやかな人だ。♠へしとやかに歩む寺の庭をしとやかに歩む一人の女性がいた。 **しな【品】** ○品物。商品。品質。種類。等級。人品。[文例]へけっこうな品>先日はけっこうなお品をいただき、ありがとうございました。へ品がそろう〉あのデパートには、いい品がそろっていると評判です。◆へ品が落ちる〉今年はどうも天候が悪かったせいか、果物[くだもの]は品が落ちたね。♠食品がいい・悪い>帰ったあとで品が悪いことに気づいて、やっぱり「安物買いの銭[ぜに]失[うしな]い」だったかと後悔した。◆◇品が豊富〉下町の問屋[とんや]街に行ったら、安くていい品が豊富なのに驚[おどろ]いた。♠〈品が手薄[てうす]〉そろそろ品が手薄になってきたから、明日にでも仕入れの準備をしなければ。♠へ所変われば品変わる>土地によって習慣が違ってくることを、「所変われば品変わる」といっている。♠へ手を替え品を替え>陸上部に入らないかと、上級生が手を替え品を替[か]えて勧誘[かんゆう]にくる。 **しな(科)** ○こびるようなしぐさ。あだっぽい様子。「[文例] 〈しなを作る〉車を降りると、女は、「今日は楽しかったわ、また誘[さそ]ってね。」としなを作ってみせた。♠へしなをする〉(お夏は)「おそくなりました」と笑いながら寄って来て、机の横にペッタリと、何だか甘ったれるようなしなをして坐[すわ]ります。(志賀直哉[しがなおや]「濁[にご]った頭」) **しない【竹刀】** ○剣道で使う竹製の刀。[文例]〈竹刀を握る>防具をつけ、竹刀を握ると、きりっと気持ちが引き締まる。♠〈竹刀を構える〉竹刀を構えたら、打ち込みやすい間合いをとることが大切である。 <460> **しな・う(撓う)** ○しなやかにそり曲がる。たわむ。しなる。[文例]〈枝がしなう〉堤防ぞいの柳の枝が風にしなって、緑のカーテンが揺れているようだ。♠へ竹がしなう〉折からの雪で竹がしない、小道の両側からトンネルをつくっている。♠〈線路がしなう〉煽[あお]るように車台が動いたり、土工の袢天[はんてん]の裾[すそ]がひらついたり、細い線路がしなったり――(・・・・・・)(芥川龍之介[あくたがわりゆうのすけ]「トロッコ」) ●〈体がしなう〉若い枝のようにしなう少女の体がコートに舞う。 **しな・す【死なす】** ○死ぬようにする。人が死ぬのをなすすべもなく見過ごす。[文例]死にたくない。生きていたい。おれを独りで死なさないでくれ。♠へ子供を死なす〉戦争中とはいえ子供を医者にも見せられずに死なしたことは、悔やんでも悔やみきれない。 **しなだ・れる(撓垂れる)** ○しなって垂れ下がる。甘えて寄りかかる。力なく寄りかかる。[文例]〈枝がしなだれる>雪の重みでしなだれた並木の枝が、暗く頭上[おお]を覆[おお]っていた。♠〈しなだれかかる〉恋人に甘えるように娘は、その腕にしなだれかかっていた。 **しな・びる(萎びる)** ○水分が抜けてしおれる。生気が失われる。[文例]〈野菜がしなびる〉売れ残りのしなびた野菜は、買う人もなく店の片隅[かたすみ]に置かれていた。♠へしなびた手〉じいさんは、しなびた手をざるの中に突っ込んで、えびを二、三匹つまみ上げた。 **しなもの【品物】** ○物品。商品。品質。[関例]》〈品物を送る〉昨日田舎から、いろいろな品物が送られてきた。♠へ品物を渡すここにある品物を、あとでお母さんに渡しておいてください。◆◇品物を仕入れる〉神田[かんだ]にある問屋[とんや]から、新しい品物を仕入れてきたところだ。◆く品物が違う〉高いお金を出しただけあって、これは品物が違[ちが]うわね。♠へ品物を預かる>質屋は、品物を預かって、それに見合った金を貸す商売です。 **しなやか** ○弾力に富んでよくしなうさま。ほっそりして動きが柔軟なさま。[文例]〈しなやかな枝〉むちを作るのには、強くてしなやかな枝が必要だ。♠くしなやかな身のこなし〉歌いながら踊[おど]る彼女のしなやかな身のこなしに、見物人は皆うっとりしていた。♠へしなやかな体つき〉ちょっと見ない間に、あの少女は顔つきが大人っぽくなり、体つきもしなやかになった。♠へしなやかな髪[かみ]〉少女は、しなやかな髪を風になびかせて海辺の道を走った。♠へしなやかに舞う〉バレリーナのようにしなやかに舞いたいと思う。 **しなん【至難】** ○きわめて困難なこと。[文例]合理主義を説くことは容易であるが、それを実践することは至難である。◆<至難の業>日本語の抒情[じよじよう]的な文章の趣[おもむき]を、そのまま欧米の言語に訳することは至難の業だ。 **しなん【指南】** ○指し示すこと。教え授けること。また、その人。[文例]〈指南を受ける〉わたしは有名な棋士[きし]に、かつて将棋[しようぎ]の指南を受けたことがあります。♠〈指南する〉その浪人[ろうにん]は、町の道場で若者たちに剣術を指南していた。 **しにがみ【死に神】** ○人を死に誘うという神。[文例]〈死に神にとりつかれる〉突然、男はまるで死に神にとりつかれたように、ふらふらと崖[がけ]の方へ歩き出した。 **しにせ(老舗)** ○代々続いて繁盛している店。[文例]あの店は、江戸時代から続いているという老舗です。♠へ老舗ののれん>不況の中で、彼は老舗ののれんを守るために血のにじむような努力を続けた。 **しにみず【死に水】** ○死にぎわに唇を湿してやる水。末期[まつご]の水。[文例]〈死に水をとる>遠く離れて暮らしていて母親の死に水をとれなかったことが、わたしにはいつまでも悔いとして残った。 **しにめ【死に目】** ○死にぎわ。臨終。末期。[例]〈死に目に会う〉外国へ出張中で、母の死に目に会えなかったのが今になっても心残りです。♠へ親の死に目>夜つめを切ると親の死に目に会えない、という迷信がある。 **しにものぐるい【死に物狂い】** ○必死でがんばること。必死で暴れもがくこと。[文例]〈死に物狂いで働く〉年老いた両親に家を建ててやるため、彼は十年の間死に物狂いで働いた。♠死に物狂いで駆ける〉峰[はち]に刺されたやせ馬は、死に物狂いで駆け出した。 **しにん【死人】** ○死んだ人。死者。[例]〈死人が出る〉こんな大事故なのに、死人の出なかったのが不思議なくらいだ。◆<死人がある〉隣村に死人があったと聞いて、和尚[おしよう]は夜道をてくてく出かけて行った。♠死人に口なし>死人に口なし。彼が死んだ今となっては、本当のことはわからない。 **じにん【自任】** ○自分の任務と認めること。自らすぐれていると思いこむこと。[文例]〈自任する〉彼は、画壇の第一人者をもって自任していた。 **じにん【辞任】** ○自分から任務をやめること。『[文例]】〈辞任する>警視総監[けいしそうかん]は、その事件の責任を負[お]って辞任した。♠へ辞任を迫[すざ]る〉市長は、私生活のつまらぬことで反対派から辞任を迫られていた。 **し・ぬ【死ぬ】** ○命が尽きる。生命を絶つ。生き生きとした感じや活気が失われる。物事の働きや価値が失われる。野球でアウトになる。碁で敵の石に囲まれて取られる。[文例]へ父が死ぬ>海の見える丘[おか]には、若くして死んだ歌人の歌碑が立っている。へ動物が死ぬ〉車にひかれた愛犬は、手当てのかいもなく死んでしまった。♠〈木が死ぬ〉峠[とうげ]から村を見下ろしてきた一本杉も、年を取って枯れて死んでしまった。♠〈安らかに死ぬゾウの花子は、動物園で人々に親しまれて、安らかに死んでいった。◆◇畳[たたみ]の上で死ぬ〉好き放題に生きた人生だから、おれはおとなしく畳の上で死ぬことなどできないだろう。♠へ人手にかかって死ぬ〉あの剣の達人が、人手にかかって死んだという。◆病気で死ぬ>日本では、がんで死ぬ人が一番多い。♠へ事故で死ぬ〉炭坑[たんこう]の事故で死んだ人々の慰霊[いれい]祭が、盛大[せいだい]に行われた。♠へ惜[お]しまれて死ぬ〉ジェームス=ディーンほど、惜しまれて死んだスターは例をみない。♠へ死んだように眠る〉高校の受験が終わったら、ぼくは死んだように眠りたい。 <461> ●へ死んでも〜する。しない〉立ち退きをせまられた老人は、「死んでもこの土地を放[はな]さんぞ。」とさけんだ。♠へ死んでも死にきれない〉「息子のぬれぎぬを晴らすまでは、死んでも死にきれません。」と、母親は語った。♠へ死んだ気になる〉おじは、失業した父を、「死んだ気になれば、どんなことでもできる。」とはげました。◆く死ぬ気でがんばる「死ぬ気でがんばれば、きっと合格するよ。」と、先生に励[はげ]まされた。♠へ死んだほうがまし〉こんなつらい思いをするなら、死んだほうがましだ。◆〈生きるか死ぬか〉このスキャンダルは、あの政治家にとって、生きるか死ぬかの重大な問題だ。♠〈死にそう〉売れっ子作家の彼は、「原稿[げんこう]に追われて死にそうだ」というのが口癖[くちぐせ]です。♠へ死なばもろとも〉「死なばもろともだ。」と言って、父は全財産をはたいて、伯父と事業を始めた。ヘ死んでわびる〉自分の過失で世間に迷惑[めいわく]をかけた男は、「死んでおわびをします。」という遺書を残して姿を消した。♠〈石が死ぬ>囲碁きちがいの父と兄は、黒と白の石を置きながら、石が生きた、死んだとさわいでいる。へ絵が死ぬ〉せっかくの名画も、額縁[がくぶち]が合わないと絵が死んでしまう。♠〈目が死ぬ〉おやおや、目が死んでるよ。ゆうべ飲み過ぎたね。♠へ死んで花実[はなみ]がさくものか〉もう、二度と自殺なんて考えちゃいけないよ、「死んで花実が咲くものか」って言うじゃないか。♠死んだ子の年を数える〉終わってしまったことをあれこれと考えるのは、死んだ子の年を数えるようなものだ。 **じぬし【地主】** ○土地の所有者。[文例]戦前の日本は、全耕地の半ば近くが小作農地で、小作人は法外な小作料を地主に払わなければならなかった。♠彼はこの辺り一帯の地主です。 **しのぎ(縞)** ○刀剣の峰(刃の反対側)と刃の中間の、少し盛り上がった部分。「[文例]〈しのぎを削[けず]る〉両チームは、優勝をかけてしのぎを削った。 **しの・ぐ(凌ぐ)** ○こらえる。もちこたえる。防ぐ。打ち負かす。まさる。超える。[文例]〈雨露[あめつゆ]をしのぐ〉旅の途中、夜はお寺の軒下[のきした]を借りて、雨露をしのぎました。♠へ暑さをしのぐ〉一行は大きなヤシの木陰[こかげ]に入って、暑さをしのぎました。♠へ攻めをしのぐ〉相手の厳しい攻めをしのいだ横綱[よこづな]は、土俵際でうっちゃった。♠へ飢えをしのぐ〉食事も、飢えをしのぐだけならば、料理を工夫する必要もありません。◆<糊口[ここう]をしのぐ〉浪人[ろうにん]は傘張りの内職をして、糊口をしのいでいた。♠相手をしのぐ二人は小さいころからライバルで、互[たが]いに相手をしのごうとせり合ってきた。へ去年をしのぐ〉今年の初もうでは、去年をはるかにしのぐ人出になりそうだ。♠へしのぎやすい〉今年の夏は暑さが厳しかったけど、このごろようやく朝晩しのぎやすくなりましたね。 **しのば・せる【忍ばせる】** (偲ばせる)○隠しておく。隠し持つ。ひそかにする。思い出させる。[文例]〈身を忍ばせる>刑事は物陰[ものかげ]に身を忍ばせて、容疑者の行動を見張った。♠へ足音を忍ばせる>空腹のあまり、ぼくは深夜に足音を忍ばせて台所に降りていった。♠へ短剣を忍ばせる〉娘はふところに短剣を忍ばせて、親の仇[かたき]に近づいていった。♠ヘポケットに忍ばせる>孫に会ったら渡そうと、おじいさんはポケットにキャラメルの箱を忍ばせた。♠〈声を忍ばせる〉アンネは息づまるような狭い部屋で、声を忍ばせて暮らしたという。♠<母をしのばせる〉彼女には、どことなく亡くなった母をしのばせる面影[おもかげ]があるのです。♠へ故郷をしのばせる〉このなつかしいメロディーは、遠い故郷をしのばせる。 **しのびこ・む【忍び込む】** ○こっそり入り込む。[文例]〈屋敷に忍び込む>男はあたりをうかがいながら、そっと屋敷に忍び込んだ。♠へ心に忍び込む〉いつしか二人の心に愛が忍び込みました。 **しのびな・い【忍びない】** ○たえられない。がまんできない。[文例]〈見るに忍びない〉仲間の中で一人だけ浪人することになった彼女を見るに忍びなかった。♠へ語るに忍びない〉あの人がどんなにつらい日々を送っているか、それはとうてい語るに忍びない。へ〜するに忍びない〉赤の他人にいつまでも迷惑[めいわく]をかけるに忍びないと、旅人は世話になった女の家を出た。 **しのびよ・る【忍び寄る】** ○そっと近づく。[文例]〈枕元に忍び寄る〉わたしは、やっと眠りについた母の枕元にそっと忍び寄りました。◆◇秋の気配が忍び寄る〉八月も半ばを過ぎると、朝夕の涼しい風に、忍び寄る秋の気配が感じられます。 **しの・ぶ【忍ぶ】** (偲ぶ)○身を隠す。人目を避ける。こらえる。耐える。思い出す。懐かしく思う。[文例]〈物陰[ものかげ]に忍ぶ〉わたしは物陰に忍んで、彼の帰りをじっと待っていた。♠人人目を忍ぶ〉互[たが]いの家の仲が悪いため、ロミオとジュリエットは人目を忍んで会い続けた。♠〈世を忍ぶ〉出家した男は、世を忍んでこの山寺でひっそりと暮らした。♠〈恥[はじ]を忍ぶ〉どうしてもお金が足りないので、わたしは恥を忍んでおじの所へ借りに行った。♠へ昔[むかし]をしのぶ〉丘[おか]に立って故郷の村を眺めると、遠い昔がしのばれます。♠へ人をしのぶ〉今は亡き母をしのんで、この歌をささげます。 **しば【芝】** ○庭や競技場などに植えるイネ科の草。[文例]<芝を植える〉新しい家が完成すると、わたしたちは庭に芝を植えました。♠芝が枯[か]れる〉十二月になると、グラウンドの芝も枯れて、あちこちに地肌[じはだ]が見えていた。♠芝のコースンダービーに出場する二十八頭のサラブレッドが芝のコースに姿を現しました。 **しば(柴)** ○雑木やその小枝。[文例]〈柴を刈[か]る〉おじいさんは、裏山から柴を刈ってくると、それで垣根をこしらえました。♠〈柴を折る〉〈柴をくべる〉われのみの柴折りくべるそ[かさね]ば湯かな(与謝蕪村[よさぶそん]) **しはい【支配】** ○自分の思い通りに人を動かすこと。自分の権力下において統治すること。「[文例] 〈支配を受ける〉戦後の何年間か、日本はアメリカの支配を受けていました。◆〈世の中を支配する江戸[えど]時代は、武士が世の中を支配していました。へ感情に支配される>男性に比べて、女性は感情に支配されることが多いと言われている。♠へ運命を支配する〉この問題は、会社の運命を支配する重大事なので、慎重[しんちょう]に話し合いたい。 <462> ●〈自然を支配する>奥地の原生林に入ると、人間が自然を支配するなどとんでもないことだと思い知らされる。♠〈人を支配する〉正直で働き者のイワンは、最後には彼をばかにしていた兄たちを支配した。 **しばい【芝居】** ○演劇。演技。わざとらしいしぐさ。人をだますたくらみ。[文例]〈芝居を見る>芝居が大好きで、月に一度は見に行きます。♠へ芝居をやる>学園祭でやる芝居のけいこで、毎日遅くなります。♠へ芝居をする〉あんなにわざとらしく泣いたのでは、芝居をしていることが一目でわかってしまう。♠へ芝居を打つ〉よし、ここはひとつあいつをだますために、みんなで一芝居打とう。♠〈芝居が下手〉もっと痛そうな顔をすれば休ませてもらえたのに、きみって芝居が下手だね。♠〈芝居気>多少の芝居気は見ていられるが、度がすぎるのは逆効果です。♠へ芝居がかる〉彼女の大仰[おおげさ]な話し方は、芝居がかっていていやみです。 **じはく【自白】** ○自分から白状すること。[文例]〈自白する〉犯人が自白したので、その事件はあっけなく解決した。♠〈自白をする〉なぜ、彼がわたしにこんな自白をしたのか、理由がわからない。♠へ〈自白を聞く〉その時私の受けた第一の感じは、Kから突然恋の自白を聞かされた時のそれと略[ほぼ]同じでした。(夏目漱石「こころ」) **しばしば** ○何度も何度も。たびたび。[例]寝ぼうなわたしは、朝ごはんを食べないで学校に行くことがしばしばある。◆「枕草子[まくらのそうし]」では、「をかし」という言葉がしばしば使われる。◆山陽新幹線では列車がしばしばトンネルに入るので、外の景色が落ち着いて見られません。◆赤潮は、七月から九月にかけてしばしば発生する。●病気がちの母に代わって、姉が台所に立つこともしばしばだった。 **じはだ【地肌】** (地膚)○化粧をしていない肌。皮膚の表面。大地の表面。[文例]〈地肌を現す>雪が解けはじめると、山は少しずつその黒々とした地肌を現してきた。◆地肌を覆[おお]う〉風に舞う花びらがやがて地肌を覆って、土手は桜色に染まっていった。◆〈地肌が透[す]ける〉髪は薄くなり、地肌が透けてみえるほどになった。 **しばたたく(瞬く)** ○しきりにまばたきする。[文例])〈目をしばたたく〉老人は、その少女の身の上話を聞きながらしきりに目をしばたたいた。♠くまつ毛をしばたたく〉女は、涙にぬれたまつ毛をしばたたいた。 **じはつ【自発】** ○自分から進んで行うこと。自然にそうなること。[文例]〈自発的〉校舎内をきれいにしようと、生徒たちが自発的に美化運動を始めた。◆〈自発的な発言>議題が漠然[ばくぜん]としたものであったせいか、自発的な発言は少なかった。へ自発性>彼は十三歳とは思えないほど、自発性の高い少年です。♠助動詞「れる」・「られる」には、受身・尊敬・可能・自発の四つの用法があります。 **じばら【自腹】** ○自分の腹。自分のお金。[文例]〈自腹を切る〉参加者が少なくて会費が集まらなかったからといって、幹事のきみが自腹を切る必要はない。♠クラブには予算がないので、費用はすべて参加者の自腹でお願いします。 **しはらい【支払い】** ○支払うこと。↓しはらう[例]〈代金の支払い>代金のお支払いは、来月で結構です。♠へ支払いをすませる〉支払いをすませて、わたしたちはレストランを出た。♠へ支払いが遅れる>佐藤さん、お宅のガス料金の支払いが遅れていますよ。 **しはら・う【支払う】** ○金銭を払い渡す。[文例]〈代金を支払う〉代金を支払うのは、この品が届いた時でいいのですか。♠<料金を支払う〉近ごろは、いろいろな料金を支払うのに銀行振込の方法がとられる。 **しばらく(暫く)** ○少しの間。長い間。[文例]へしばらく待つ〉母を呼んでまいりますので、しばらくお待ちください。◆〈しばらく休む>急な坂道が続くので、しばらく休んでからまた歩きだした。◆くしばらくする〉今朝は、父がいちばん先に出かけ、しばらくして兄が、またしばらくして母が出かけていった。◆ヘここしばらく〉ここしばらく雨が降らないので、水不足が心配です。◆ヘしばらくの辛抱[しんぼう]〉受験勉強もしばらくの辛抱だ、四月からは晴れて高校生だ。♠へしばらくぶり〉いとこのピエールがしばらくぶりで日本から帰国した。♠まあしばらくでした。ずいぶん会いませんが、お元気ですか。 **しば・る【縛る】** ひもなどを巻きつけて結ぶ。束縛する。[文例] <縄[なわ]で縛る>兄が割ったまきを、弟が縄で縛り、末の妹と三人で納屋へ運んだ。♠へきつく縛る〉彼はつかまえたギンヤンマを紙袋[かみぶくろ]に入れて、輪ゴムで袋[ふくろ]の口をきつく縛った。♠〈傷口を縛る〉傷口を縛っていたタオルがゆるんで、また血が流れ出した。♠〈犯人を縛る>柔道[じゅうどう]二段のおじさんは、ひったくりの犯人を縛って交番へつき出した。♠時間に縛られる〉勤めに出るようになると時間に縛られて、学生時代みたいにはいきません。♠へ義務で縛る〉校則をたくさんつくって、義務で生徒を縛っても、問題解決にはならないだろう。へ金[かね]に縛られる・金で縛る〉彼は金に縛られて、自由にものが言えないんだ。♠〈家庭に縛られる〉女性の地位の向上には、目覚ましいものがあるが、ほとんどの主婦はまだ家庭に縛られている。 **しばふ【芝生】** ○芝が生えている所。[文例]〈芝生に寝ころぶ〉公園の芝生に寝ころんで雲を見ていた。♠色づいた柿の落ち葉が、枯れ始めた芝生の上に散り敷いていた。♠へ隣の芝生は青い〉何でも人のものはよく見えるものさ、隣の芝生は青いといってね。 **しはん【市販】** ○一般の店で売ること。[文例]〈市販する〉この品は市販されていないので、直接、メーカーに注文しなければならない。♠〈市販の商品>市販の商品より、手づくりのものに愛着がわきます。 **じばん【地盤】** ○建造物の基礎となる地面。大地の表層。勢力範囲。[文例]〈地盤の調査〉ビルの建設に先立って、市の職員によって地盤の調査が行われた。♠〈地盤がゆるい〉その土地は前から地盤がゆるかったのだが、この間の豪雨[ごうう]で、とうとう土砂崩[どしゃくず]れを起こした。♠〈地盤沈下[ちんか]>日本の抱[かか]えている公害問題として、大気汚染[おせん]・水質汚濁[おだく]・地盤沈下などがあげられる。 <463> ●へ地盤を持つ>即日開票の結果では、農村部に地盤を持つA氏がリードしています。♠〈地盤が固まる>彼が市会議員になって三年、この地区の地盤も固まってきた。◆<地盤を築く>元国会議員の長男である氏は、父の築いた地盤をそっくり受け継ぎ、初当選を果たした。 **しひ【私費】** ○個人で負担する費用。自費。[文例]〈私費を投じる〉この美術館は、美術品の収集家としても有名だった先代の社長が、私費を投じて設立したものです。♠へ私費で賄[まかな]う〉会場を借りて発表会を開くには、とてもわたしの私費では賄えない。 **じひ【慈悲】** ○仏が人々の苦を取り除き、楽を与えること。あわれみ、いつくしむこと。[文例]〈仏の慈悲〉苦しい生活にあえぐ村人は、仏の慈悲にすがろうと次々にその寺を訪れた。♠〈慈悲にあふれる〉おばあさんは、慈悲にあふれたまなざしをわたしに向けた。♠へ慈悲をたれる〉この哀れな年寄りに慈悲をたれてくださるお方はいらっしゃらぬか。♠〈慈悲深い〉だんなさまも奥さまも慈悲深い方だから、この店の奉公人は幸せじゃ。◆<無慈悲〉困っている人を前にして、そんな無慈悲なことを言うものではない。 **じひびき【地響き】** ○衝撃で地面がひびくこと。大地が震動して鳴りひびくこと。[文例]〈地響きを立てる〉燃え上がった建物は、間もなく地響きを立てて崩れ落ちた。♠へ地響きがする〉ズシーンと地響きがしたかと思うと、山に火柱が立っていた。 **しひょう【指標】** ○目じるしとする事柄。[文例]〈作歌の指標〉〈指標とする〉正岡子規は、「歌よみに与ふる書」で、万葉集を作歌の指標とすべきであると力説している。♠へ健康の指標>食欲は、健康の指標ということができる。 **じびょう【持病】** ○長い間治癒[ちゆ]しないでいる病気。なかなか直らない悪いくせ。[文例]〈持病に悩む>寒くなると、持病のリューマチに悩まされる。♠へ持病が起こる〉おや、また課長の持病が起こったらしい。大声で部下をどなっているぞ。 **しぶ・い【渋い】** ○しぶい味がする。不愉快そうだ。落ち着いて深みがある。気が進まないでいる。けちだ。[文例]〈渋いかき〉すっかり干し上がって白い粉をふくと、渋いかきもとても甘くなります。♠〈渋いお茶〉濃くて渋いお茶を一杯いただけませんか。♠〈渋い顔〉ご機嫌[きげん]が悪いらしく、先生はいつになく渋い顔をして、教壇[きようだん]に立っている。♠〈渋い色〉あのお母さんは、上品な渋い色の洋服を上手[じようず]に着こなしていて、とてもセンスがよい。♠渋い声>父は渋い声をしているので、なにわ節を習えばよいと思う。♠〈渋い演技〉この役者は渋い演技が魅力で、芝居通[つう]に人気がある。♠渋い返事>明日釣りに行こうと父を誘[さそ]ったら、渋い返事しか戻ってこなかった。♠〈金[かね]に渋い〉けちけちして、お金に渋い人を「しぶちん」という。 **しぶき(飛沫)** ○細かく飛び散る水玉。[文例]〈しぶきを上げる〉モーターボートがしぶきを上げていく。♠へしぶきがかかる>撒水[さんすい]車が来たわよ。しぶきがかかるからのきなさい。◆〈水しぶき〉プールわきで子供たちは、楽しそうに水しぶきを立てていた。 **しぶ【渋】** ○しぶい味。タンニンを含む赤黒い液。しぶ柿からとるしぶい液。[文例]〈柿の渋〉〈渋を抜く〉へたの部分に焼酎[ちゆうぬ]を塗って密封しておくと、二週間ほどで柿の渋を抜くことができます。♠〈渋を引く〉渋を引いた紙には防虫効果があるため、昔から大切な衣類を保存するのに使われている。 **じふ【自負】** ○自分に対して誇りをもつこと。また、その誇り。[文例]〈自負があふれる〉彼の言葉の中には、経験の豊かな者のもつ自負があふれていた。♠〈自負をもつ〉これでもプロですから、自分の職業に対する自負はもっています。♠〈自負する〉この絵ならば入賞できると、心ひそかに自負していました。 **しふく【私腹】** ○自分の財産。[文例]】〈私腹を肥やす〉自分の地位を利用して、私腹を肥やす政治家は許せない。 **しふく【至福】** ○この上ない幸福。[文例]大勢の孫たちに囲まれていることが、祖母にとって至福であった。へ至福の時〉彼と好きな絵を見て歩くのが、わたしの至福の時です。 **しふく【雌伏】** ○じっと苦難に耐え、時機をねらって時を過ごすこと。[文例] 〈雌伏十年〉戦いに破れて雌伏十年、わたしは雪辱[せつじよく]の機会を待っていたのだ。♠〈雌伏する〉きみはまだ若いのだから、雌伏して時を待つことも良い経験になるはずだ。 **しぶしぶ【渋渋】** ○いやいやながら。[文例]母に何度となくせきたてられて、しぶしぶ勉強に取りかかった。♠大事なお客さんがみえるというので、父に頼[たの]まれ、しぶしぶ庭の掃除[そうじ]をした。♠雨が降ってきたので、母の言いつけで父をしぶしぶ迎えに行った。◆町内会の人が寄付金集めにまわってきたので、しぶしぶお金を出した。 **しぶつ【私物】** ○個人の所有物。[文例]備え付けの物や他人の物と混同しないように、私物には名前を入れましょう。♠〈私物化する>筆記用具など会社の備品を私物化しないでください。 **じぶつ【事物】** ○物と事。ものごと。[文例]〈事物[えが]を描[えが]く>花や果物[くだもの]など事物をありのままに描いただけなのに、彼の作品には独特の深みがある。♠へありふれた事物〉ぼくたちの身辺にあるありふれた事物の中にも、詩の題材となるものはいくらもある。♠へ事物や事柄[ことがら]〉名詞とは、事物や事柄を表す単語のことです。♠子供は大人たちが見向きもしないような事物にも関心を寄せるものだ。♠哲学者は、ぼくたちが想像もつかないほどの冷静さで、事物を見つめているのです。 <464> **しぶと・い** ○しつこくて強情だ。ねばり強い。[文例]しぶといことでは定評のある彼も、今度の件では音[ね]を上げたようだ。♠へしぶといやつ〉自分が悪いのに謝らないなんて、しぶといやつだ。♠へしぶとく付きまとう〉初対面の不快感がしぶとく付きまとって、どうしても彼女となじむことができない。 **しぶ・る【渋る】** ○すらすらと進まない。とどこおる。物事を行いたがらない。[文例]〈筆が渋る〉何日も前から原稿[げんこう]に取りかかっているが、どうも筆が渋って先に進まない。♠へ売れ行きが渋る〉「ここ数年、着物の売れ行きが渋ってきて商売上がったりですよ。」と、呉服屋が嘆[なげ]いていた。♠へ返事を渋る〉日曜日におつかいを頼[たの]むと、だれもが返事を渋って、答えない。♠へ支払いを渋る〉取り引き先も不景気らしく、支払いを渋って困ります。♠へ言い渋る>先生に指され、答えを言い渋っていると、隣の子が助けてくれた。♠〈出し渋る>母親は、子供がプラモデルをほしがるのに、お金を出し渋っている様子だ。 **じぶん【自分】** ○その人自身。おのれ。わたし。[文例]〈自分のこと>自分のことは、自分でしなさい。◆●へ自分がかわいい〉人はだれでも、自分がかわいいにちがいない。♠へ自分を省[かえり]みる〉きみには、自分を省みるということはないのかい?◆はい、自分は剣道部の熊谷[くまがい]であります。●へ自分の頭のはえを追え〉こら、人のことにかまってないで、自分の頭のはえを追え。♠〈自分自身>自分自身の将来について、しっかり考えてみることが大切だ。♠へ自分勝手〉グループの中に自分勝手な行動をとる人がいると、大変迷惑[めいわく]です。♠自分本位〉まず自分本位に考えなさい。それから、他人の立場も考え合わせて結論を出すとよいでしょう。 **じぶん【時分】** ○とき。ころ。時期。当時。ころあい。[文例]子供の時分>欧米諸国では、自分の自由を享受[きようじゆ]するとともに他人の自由を尊重するように、子供の時分から社会的教育を受ける。♠へ〜していた時分〉お父さんが小学校に通っていた時分には、こんな精巧なおもちゃはなかったな。♠へ花見時分〉ここは桜の名所なので、お花見時分にはたいそうな人出です。♠〈時分を見る>先方は忙しいのだから、ちゃんと時分を見て伺[うかが]うのですよ。♠〈時分柄[がら]〉時分柄(=時節柄)、どうぞ御自愛ください。♠〈時分時〉時分時(=食事時)になると、腹をすかした作業員たちが飯場[はんば]に帰ってきた。 **しぶんごれつ【四分五裂】** ○いくつにも分裂すること。[文例] 〈四分五裂する〉さしもの団結を誇[ほこ]った反対派農民も、今後の闘い方をめぐって四分五裂してしまった。◆四分五裂の状態>やっと独立した国だが、国内は民主勢力、共産主義者、イスラム派、軍などの主導権争いで四分五裂の状態である。 **しへい【紙幣】** ○紙の貨幣。[文例])店員は、わたしの払った一万円紙幣を五千円と勘違[かんちが]いしたらしい。♠紙幣の使える自動販売機が増えたので、とても便利になりました。 **じべた【地べた】** ○地面。土の上。[文例]〈地べたに座る〉女の子は、地べたにぺたりと座り込んで、犬に話しかけていた。♠〈地べたに足をつける「地べたに足をつけて生きろ!」と、死んだ父に言われたものです。 **しべつ【死別】** ○死に別れること。[文例]〈死別する〉母とは三歳の時に死別しましたので、ほとんど記憶はありません。◆<死別の悲しさ〉その時羽根揚子[いねんぼう]の白い先を、将[まさ]にその脣[くちびる]へ当てようとしていた惟然坊[いぜんぼう]は、急に死別の悲しさとは縁のない、或る恐怖に襲[おそ]われ始めた。(芥川龍之介「枯野抄[かれのしよう]」) **しへん【紙片】** ○紙きれ。[文例]青年は、自分の簡単な略歴を記した紙片をわたしの前に置いた。♠彼は手近の紙片に連絡先を書いて、すばやく渡してくれた。 **しべん【至便】** ○きわめて便利なこと。[文例]〈交通至便>東京で世話になった友人の家は、交通至便の地にあり、毎日いくつもの志望企業を回るわたしには何よりありがたかった。 **じべん【自弁】** ○自分で費用を負担すること。[文例]〈自弁する〉富士山のごみ拾いをしてくれる人を募集しています。費用を自弁できる人に限ります。 **しぼ【思慕】** ○恋しく思うこと。恋い慕うこと。[文例]〈思慕の情>良平は、四年間あたため続けた道子への思慕の情を卒業を期に断ち切ろうと思った。◆〈思慕の念>里子は、告白している間に、さらに彼への思慕の念が高まっていくのがわかった。♠へ思慕する〉この短歌には、故郷を思慕する作者の気持ちが、格調高く詠[よ]まれています。 **しほう【四方】** ○東西南北の四方向。周囲。ぐるり。天下。四角。[文例]〈四方に通じる〉大体どこの町でも、駅を中心にして道路が四方に通じている。♠へ四方へ飛び散る>噴火口[ふんえん]からは、おびただしい噴煙が上がり、火山弾が四方へ飛び散った。♠へ四方を囲[だん]まれる〉日本は英国と同じように、四方を海に囲まれた島国です。♠へ四方に広がる>樹齢[じゅれい]三百年という杉を近くで見たら、直径三十センチもの枝が四方に広がっていた。♠四方を見回す〉火事だと聞いたので、屋根に登って四方を見回した。◆〈四方八方[はつぽう]〉いなくなった猫[ねこ]を、四方八方手を尽くして探したが、とうとう見つからなかった。◆ヘ二十センチ四方〉今日の理科の時間は、実験があるから二十センチ四方の板を四枚用意しなければいけないんだ。 **しほう【司法】** ○国家が法に基づいて裁判を行うこと。また、それに関する行為・権力。[文例]日本は、司法・立法・行政の三つの権力を独立させる三権分立制がとられている。♠日本の司法を担当する最高機関が最高裁判所である。 <465> ●へ司法解剖[かいぼう]>司法解剖の結果、被害者は毒物を飲まされていたことが判明した。 **しほう【至宝】** ○この上なく貴重な宝物。非常に貴重な物・人。[文例]時代の波に流されて消えつつある伝統芸能の世界において、彼はその至宝ともいうべき存在であった。 **しぼう【死亡】** ○死ぬこと。亡くなること。[文例]〈死亡する〉この夏は、海で死亡した人の数が百人を超えました。♠へ死亡者>列車事故の死亡者の名前がテレビの画面に写し出された。◆<死亡記事>新聞の死亡記事で、大学時代の恩師の名前を見た。 **しぼう【志望】** ○こころざし望むこと。こころざし。[文例])〈志望する〉わたしは、医者を志望して勉学に励[はげ]んでいた。◆<第一志望>第一志望の学校は不合格だったけれど、第二志望には入れました。 **しぼう【脂肪】** ○生物の体内の脂質。[文例]〈脂肪がつく食べてばかりで運動しないから、おなかに脂肪がついたみたい。♠〈脂肪が多い〉この肉は、随分[ずいぶん]脂肪が多いね。♠脂肪をとる〉脂肪をとりすぎれば、もちろん太ります。 **じぼうじき【自暴自棄】** ○すてばちになって自分自身をだめになること。やぶれかぶれ。やけくそ。[文例]〈自暴自棄になる〉商売が思わしくなくて、わたしは当時自暴自棄になっていた。♠へ自暴自棄に陥[おちい]る〉たった一度の失恋で自暴自棄に陥ることもあるさ。時間がたてばよい思い出になるだろうけど・・・・・・。 **しぼ・む(萎む・凋む)** ○開いていたものが縮む。張りや生気を失ってしおれ縮む。しおれる。[文例]〈花がしぼむ>朝咲いていた朝顔は、昼すぎにはしぼんでしなびてしまう。♠〈風船がしぼむ〉デパートでもらった風船がいつのまにかしぼんで小さくなった。♠ヘボールがしぼむ〉使い古されたサッカーボールが庭の隅にしぼんだままほうってある。♠〈夢がしぼむ〉小さいときの夢は大きかったが、大人になるにしたがってだんだんしぼんでいく。♠〈表情がしぼむ>希望をなくした若者の表情は、老人[ろうか]のようにしぼんで生気がありません。 **しぼ・る【絞る・搾る】** ○強く握ったり、ねじったりして水分を抜き取る。強く押して液を取り出す。無理に出させる。厳しく責める。厳しく鍛える。押し縮める。限定する。しめあげる。[文例]〈ぞうきんを絞る〉廊下が水びたしになるから、ぞうきんはもっと固[かた]く絞りなさい。♠〈タオルを絞る>湯上がりには、固く絞ったタオルで体をぬぐうと、乾いたタオルを使わなくてもすむ。♠〈牛乳を搾る〉牧場で飲んだ搾ったばかりの牛乳は、とてもおいしかった。◆ヘレモンを搾る〉今日の夕食は、魚のムニエルに、レモンを少し搾ってかけたものだった。♠へぶどうを搾る〉秋になると、熟したぶどうを搾り、ジュースを作ってくれる。♠へ問題点を絞る〉これではいつまでも話がまとまらないので、問題点を一つに絞って話しましょう。♠〈人物を絞る〉犯人[はんにん]らしき人物は、だんだん絞られてきた。♠〈音量を絞る〉うるさいから、ラジオの音量をもっと絞って聴きなさい。♠へ涙[なみだ]を絞る〉昔の母もの映画は悲しくて、観客は涙を絞ったものだった。へ知恵[ちえ]を絞る〉いたずらもののガキ大将を懲[こ]らしめようと、和尚[おしよう]さんは知恵を絞った。♠〈油を絞る二学期の成績が悪かったので、父にこってりと油を絞られた。へ声を絞る〉助けを求めて、わたしは、腹の底から絞るような声をあげたらしい。♠へ差し手を絞る〉大関は、相手の右の差し手を絞って一気に出た。♠〈税金を搾る〉かつて農民は税金を搾られ、生活は苦しく貧[まず]しかった。♠へ練習でしぼる〉今日の練習では、部員をみっちりしぼってやったぞ。 **しほん【資本】** ○事業のもとで。利益・利子を生むもとになる財貨。収入を得るもとになるもの。[文例])〈資本にする〉父の残した遺産を資本にして事業を始めました。♠へ資本をつぎこむ〉彼は、工場の経営にばくだいな資本をつぎこんだ。♠く体が資本〉トラックの運転手は、体が資本なんだから、健康には注意してるよ。 **しま【島】** ○周りを水に囲まれた陸地。縄張りとする地域。周囲から隔絶した地域。頼れるもの。[文例]〈島に住むこの島に住む人の中には、一度も島から出たことのない人も多い。◆〈島に渡る〉わたしたちは、島に生息する動物を調査するために、その島に渡った。◆へ島へ流される〉昔、罪人はこの島へ流された。♠〈島を捨てる〉仕事や子供の教育のことを考え、島を捨てる人が増えているという。♠へ取りつく島〉こちらの言い分だけは言っておこうと思ったが、係が違うと言うだけで取りつく島もない。 **しま(縞)** ○布地に織り出された筋。また、その模様。[文例] 〈縞の綿入れ〉おじいさんは、スイカみたいな縞の綿入れを着ていた。♠へ縞の模様〉小坊主が掃いた寺の庭は、赤い落ち葉が縞の模様になって残りました。◆〈光の縞>雲間に光の縞を描[えが]いていた朝日は、やがて山頂を明るく照らし始めた。◆<縞柄[がら]〉この縞柄の結城紬[ゆうきつむぎ]が気に入りましたが、値段が高くてとても手が出ません。 **しまい【仕舞い】** (終い)○しまうこと。終わり。やめること。尽きること。[文例]さあ、今日の勉強はこれでおしまい。♠いつまでもぐずぐず言っていると、しまいには怒るぞ。◆今日は暑かったせいか、スイカはもうしまいなんですよ。◆〈しまい風呂〉しまい風呂に入る人は、お湯を抜いておいてください。♠へ〈店じまい〉店じまいにつき、本日大安売り!◆へ買わずじまい〉読みたい本を書店で見つけたが、あまり高いのでとうとう買わずじまいで帰ってきた。 **しま・う【仕舞う】** ○終わりにする。片をつける。やめる。片づける。おさめ入れる。・・・しおえる。すっかり・・・する。[文例] 〈仕事をしまう〉退社時間になったので、仕事をしまって、帰[じたく]り支度を始めた。♠へ店をしまう〉都会にいやけがさした男は、自分の店をしまい、田舎[いなか]に帰ることにした。へたんすにしまう〉探していたスカーフは、たんすの中にちゃんしまってあった。♠く懐[ふところ]にしまう〉彼は、財布[さいふ]を自慢[じまん]げに見せたあと、すぐに懐にしまった。♠〈箱にしまう〉母は、漆器[しつろ]を使ったあとは、ぬるま湯でよく洗い、柔らかい布でふいて、箱にしまっておく。♠〈思い出を胸にしまう〉彼との思い出は、自分の胸の奥にそっとしまっておきたい。 <466> ●へ〜してしまう〉突然[とつぜん]に好きだと言われても、どうしていいか、困ってしまう。 **じまえ【自前】** ○必要なものや費用を自分でまかなうこと。[文例]〈自前で〜する〉この運動の趣旨[しゅし]に賛同して、遠いところから自前で参加した人も多かった。♠へ自前でまかなう〉何から何まで自前でまかなおうというのですから大変です。 **しまつ【始末】** ○始めと終わり。物事の次第。物事の結末・しめくくり。後かたづけ。処理・処置。結末をつけること。倹約すること。[文例]〈火の始末〉夜寝る前には、戸じまりをして、火の始末を確かめよう。♠へ始末をつける〉きみが起こした問題なのだから、自分で始末をつけなさい。へ始末に負えない〉まったく、この子は始末に負えないいたずらっこだねえ。♠へ始末に困る〉わからず屋の頑固[がんこ]おやじで始末に困る。♠へ始末が悪い〉容器のふたは固いうえに、真っ黒に汚れているので始末が悪い。♠へ始末する>田畑や屋敷[やしき]を始末して、一家は新しい土地へ旅立った。♠へ〜という始末〉静かだった湖も、恐竜[きようりゆう]のうわさが広まり、とうとう周りに見物客相手の店さえ建つという始末だった。♠へ始末屋>うちのおばあちゃんは始末屋で、あれももったいない、これももったいないって、全部とっておくの。♠〈後始末>お父さんの大工道具を使うのはいいけれど、後始末をきちんとしない。 **しまり【締まり】** ○締まること。引き締まること。倹約すること。[文例]〈締まりがない〉なんて締まりのない、だらしないかっこうをしているの。◆く締まりがいい〉彼女は締まりがいいから、嫁ぎ先の商売もきっと上手にこなすだろう。♠<締まり屋〉締まり屋のおばあちゃんのことだから、小銭[こぜに]をためこんでいるよ。 **しま・る【絞まる・締まる・閉まる】** ○固く締めつけられる。ゆるみ・たるみがなくなる。緊張する。むだがなくなる。倹約するようになる。閉じられる。[文例] 〈首が絞まる〉ネクタイをきつく締めすぎると、首が絞まって苦しい。◆へ体が締まる〉運動をしているおかげで、ぜい肉がとれて体が締まってきた。♠〈身が締まる〉大会で優勝した先輩[せんぱい]の話を聞くと、ぼくら部員も身の締まる思いだ。♠へ気持ちが締まる〉寒い朝、乾布摩擦[かんぶまさつ]をすると、体だけでなく気持ちまで締まる。◆〈腰[こし]が締まる>腰のきゅっと締まったスカートをはいた女の人が歩いてくる。♠〈金に締まる〉おふくろは金には締まっているから、遊びの金など出してくれるもんか。♠〈締まっていく〉キャプテンは、守備についた全員に、「締まっていこう。」と、声をかけた。◆ヘドアが閉まる〉開けておいた部屋のドアが風でバタンと閉まった。♠〈店が閉まる〉せっかく出かけて行ったのに、デパートは休みで閉まっていた。 **じまん【自慢】** ○自分を誇ること。得意に感じ、ふるまうこと。[文例]〈自慢にする〉わたしの母は、四十歳を過ぎてもちっとも太らないことを自慢にしています。♠〈自慢する〉山田さんは何かにつけて頭のいいのを自慢するので、みんなによく思われていません。♠〈自慢じゃないけど〉うちの店のケーキのおいしいことと言ったら、自慢じゃないけどこの町一番だね。♠〈自慢にならない>中学三年生なら、こんな問題ができたところでちっとも自慢にならない。♠〈自慢の鼻をへし折る〉覚えてろよ、今にその自慢の鼻をへし折ってやるからな。♠へ自慢ののど〉ギターの伴奏[ばんそう]に合わせて、七人の人たちが次々と自慢ののどを披露[ひろう]しました。◆<腕自慢>村の相撲大会には、腕自慢の若者たちが大勢集まってきます。♠〈お国自慢>夜の酒場にはいろいろな地方の人たちが集まり、お国自慢に花がさきます。 **じみ【地味】** ○派手さがなく目立たないさま。飾りけのないさま。ひかえめなさま。[文例]〈見た目が地味〉彼は見た目は地味ですが、専門家好みの味のある選手です。♠〈地味な色>あなたには明るい色よりも、むしろ地味な色のほうが似合うかもしれませんね。◆〈地味な花〉ふだんは目立たない雑草も、花どきには、地味ながら小さくてかわいい花をつけます。◆へ地味に暮らす〉彼女のお父さんは有名な俳優[はいゆう]ですが、話によると家族四人でごく地味に暮らしているそうです。♠へ地味な性格〉兄に比べて弟は、人前にあまり出たがらない、地味な性格の持ち主です。♠〈考え方が地味〉きみは若いに似合わず、考え方が地味だね。♠〈地味な商売>高校卒業後まもなく、わたしは乾物屋[かんぶつや]という地味な商racineを嫌[きら]って、家を飛び出してしまいました。 **じみ【滋味】** ○おいしい味。栄養のある食べ物。心にしみる豊かで深い味わい。[文例]〈滋味がある〉高価な材料を使ってあるわけではないけれど、母の料理には何ともいえない滋味があった。人滋味に富む〉この作家の滋味に富んだ文章は、読む者の心を温かくしてくれる。♠〈滋味にあふれる〉この本の絵は、どれも滋味にあふれ、作者の人柄を映している。 **しみい・る【染み入る】** ○中にしみこむ。しみとおる。[文例] 〈心に染み入る>老人が淡々[たんたん]と語る話には、心に染み入るものがあった。♠閑[しつ]かさや岩にしみ入る憚[せみ]の声(松尾芭蕉[まつおばしよう]) **しみこむ【染み込む】** ○中までしみる。深くしみる。[文例] 〈水が染み込む>雨水は、地面に染み込んで地下水となる。♠<汁[しる]が染み込む>草の上を転げ回ったので、服に草の汁が染み込んでしまった。♠へあかが染み込む〉使い古した辞書には、ぼくの手あかが染み込んでいた。♠香りが染み込む〉お母さんには、石けんとお日さまの香りが染み込んでいるみたい。♠〈寒気が染み込む〉板の間に底冷[さら]えする寒気が染み込んできた。♠〈しわに染み込む〉老人の顔に刻まれたしわの一つ一つに、つぶさになめてきた世の辛酸[しんさん]が染み込んでいた。♠〈心に染み込む>簡明で、しかも深みがあり、人の心に染み込むような文章を書けるようになりたい。 <467> ●〈民衆に染み込む>西欧から移入された人権や平等の思想が民衆の中に染み込むには、まだまだ時間が必要だった。 **しみじみ** ○深く心に感じるさま。落ち着いてもの静かなさま。[文例]〈しみじみ語り合う〉懐かしい友達と会い、夜が更[ふ]けるまでしみじみ語り合った。♠へしみじみ懐かしむ〉くるみをカチンと割ったわたしは、故郷の裏山を思い出して、その音をしみじみ懐かしんだ。♠〈しみじみ感じる〉初めて外国に行き、英語をきちんと勉強しておけばよかったと、しみじみ感じた。♠へしみじみありがたい〉いつもぼくのことを考えてくれる両親はしみじみありがたいと、いつも感謝している。♠へしみじみと眺[なが]める〉いつもは気にしたこともない自分の顔を、鏡に映してしみじみと眺めてみた。へしみじみとした感動〉その映画を見たあと、しみじみとした感動が胸に残った。♠へしみじみとした声>古いアルバムの祖母の写真を見ながら、母とおばはしみじみとした声で昔[むかし]話[ばなし]をしていた。♠〈しみじみとした趣[おもむき]>虫の鳴き声を聞きながら眺める月には、しみじみとした趣がある。 **しみず【清水】** ○澄んだわき水。[文例])〈清水の音〉静かな山の宿では、岩間を流れる清水の音が耳のそばで聞こえる。♠〈清水がわく>沼の畔[ほとり]から右に折れて登ると、そこに岩の隙間[すきま]から清水の湧[わ]く所がある。(森鷗外[もりおうがい]「山椒大夫[さんしようだゆう]」) **じみち【地道】** ○着実に進めるさま。堅実に取り組むさま。[文例]〈地道な研究〉多くの偉犬な発見は、単なる幸運や偶然ではなく、地道な研究の積み重ねの結果なのです。◆地道な努力〉地道な努力が報われて、彼の商売は順調に伸びていった。♠〈地道に働く〉そんな夢みたいなことばかり言っていないで、ちっとは地道に働くことを考えたらどうなんだい。♠〈地道にやる〉今考えてみるといちかばちかの勝負に出ないで、地道にやっていったのが良かったんだと思います。 **し・みる【染みる】** (滲みる・沁みる・浸みる)○液体が物の内部に入り込む。色や汚れがつく。刺激や痛みを感じる。心にしみじみと感じる。影響を受ける。[文例]〈水が染みる〉植木鉢に水をやると、水はかわいた土にどんどん染みていった。♠ヘインクが染みる〉わたしは、心理テストでインクが紙に染みてできたような模様を見せられた。♠汗[あせ]が染みる〉外はひどい暑さで、五分も歩くと、汗がシャツに染みてきた。♠へ薬が染みる〉いきなり消毒薬を傷口につけられて、染みるのなんの、あまりの痛さに飛び上がった。♠へ歯に染みる〉かき氷は大好きだが、食べているうちに、その冷たさが歯に染みてくる。♠〈目に染みる〉玉ねぎを刻むと、必ず目に染みて、涙[なみだ]が出てしまう。♠〈煙[けむり]が目に染みる〉たき火の煙が目に染みて、赤くなきはらしたような目になった。♠〈目に染みるような〉彼女は、目に染みるような真っ白のドレスを着て、パーティーに現れた。♠へ寒さが身に染みる〉コートなしでは、寒さが身に染みる季節になった。♠〈親切が身に染みる〉あれほど気の強い人でも、ひとたび病気になると、人の親切が身に染みるようだ。♠へ骨身[ほねみ]に染みる〉うちひしがれていた時のあなたの励[はげ]ましは、骨身に染みました。♠〈心に染みる〉その家の前を通ると、心に染みるようなフルートの音色が聞こえてきた。 **しみん【市民】** ○市に住む人。都市の住民。広く国民や住民のこと。[文例]秋になると、市民がこぞって参加する体育祭が行われる。♠わたしたちのグループは、社会の身近な問題を市民としての立場で考え、少しでも住みよい世の中にして行こうとしています。♠〈市民運動>特定の政党などに頼らず、自分たちの社会を自分たちの手でよくしようというのが、市民運動の考え方です。♠〈市民権>流行語はあぶくのように消えていきますが、中には十年をこえて、人々の間に市民権を得ていることばもあります。 **じむ【事務】** ○業務。主に机の上で書類などを扱うような業務。[文例]〈事務の仕事>机に向かって事務の仕事をしているので、肩こりがひどい。♠へ事務を執[と]る〉姉は、郵便局で事務を執っている。♠〈事務にあたる〉長崎奉行は、幕府の職名の一つで、長崎市街の管理と、オランダ等の外交・貿易の事務にあたった。◆<事務的>役所の福祉課に提出された書類を、職員は事務的に処理していった。 **しむ・ける【仕向ける】** ○働きかけてそうさせる。そうする気持ちにさせる。動作をしかける。[文例]へいたずらをしむける〉兄にしむけられて、小さいころは随分[ずいぶん]いたずらもした。◆<話をしむける〉うちの息子は、何も話さないで困りますが、どう話をしむけたらいいでしょう。♠へ〜するようしむける〉学校という「枠[わく]」の中に入れられた子供たちは、その枠の中で行動し、そこからはみ出さないようしむけられる。 **しめい【使命】** ○与えられた任務。自分がやらなければならないと自覚した仕事。[文例]〈使命を果たす〉使節団は、使命を果たして帰国しました。♠〈使命を帯びる〉使命を帯びて唐[とう]へ渡った人々の中には、不幸にして日本へ帰ることのできなかった人もいます。♠〈使命感〉彼は使命感からアフリカへ渡り、飢餓[きが]で苦しむ人々を助けるために力を尽くした。 **しめい【指名】** ○名をあげて指定すること。名指しすること。[文例]〈指名する>先生は、手を挙げていないぼくを指名した。♠〈指名を行う〉国会は、内閣総理大臣の指名を行った。♠〈指名を受ける>山口議員は、指名を受けて議長をすることになった。♠へ指名にあずかる〉わたしも意見を述べたかったのですが、一度も指名にあずからず残念でした。へ指名手配>日本中をまたにかけて空き巣[さが]ねらいをはたらいていた男が全国に指名手配された。 **しめい【氏名】** ○名字[みようじ]と名まえ。姓名。[文例]〈氏名を書く〉解答用紙が配られたら、まず氏名をはっきりと書きなさい。♠〈氏名を名のる〉電話をかける時は、番号を間違えないように、つながったら自分の氏名を名のるのがエチケットです。 **しめい【死命】** ○死と生。死ぬか生きるか。「[文例]〈死命を制する>エネルギー補給基地をおさえることは、敵の死命を制することになろう。 **じめい【自明】** ○証明や説明の必要もなく明らかであること。 <468> [文例]〈自明のこと〉わたしにとっては自明のことでも、他人には想像もできないことである、ということがある。♠〈自明の理>快適な環境が多くの人々の協力なしに作れないということは、自明の理であります。 **しめきり【締め切り・閉め切り】** ○しめきること。↓しめきる[文例]〈閉め切りにする〉裏門は長い間閉め切りにしてあるので、かぎがさびついていた。♠へ仕事の締め切り〉仕事の締め切りが近づくと、担当者はとたんにいらいらして無口になる。 **しめき・る【締め切る・閉め切る】** ○すっかり閉める。しめたままにする。受け付けなどを終わる。[文例]〈窓を閉め切る〉こんなさわやかな風の吹く日に、窓を閉め切っておくなんてもったいないよ。♠へ扉[とびら]を閉め切る〉この寺の御本尊[ごほんぞん]を安置した堂は、ふだんは扉を閉め切ったままです。♠へ募集を締め切る〉今回の募集は、応募者が定員に達ししだい締め切ることにします。 **しめくくり【締めくくり】** (締め括り)○しめくくること。♪しめくくる[文例] <話の締めくくり〉〈締めくくりをつける〉もう時間も遅いから、この辺で話の締めくくりをつけましょう。♠へ締めくくりをする〉討論の後で締めくくりをすると、内容の整理ができます。♠へ締めくくりとする〉文章は、一般に結論を終わりにもってきて締めくくりとする。 **しめくく・る【締めくくる】** (締め括る) ○締めてくくる。まとまりをつける。結末をつける。[文例]〈ひもで締めくくる〉信玄袋[しんげんぶくろ]は、口をひもで締めくくるようにした手さげ袋です。♠〈会を締めくくる〉激[はげ]しい討論が続き、どうなるかと心配されたホームルームを、委員長は上手に締めくくった。♠〈全体を締めくくる〉最後に話の内容をおおまかに繰り返して、スピーチ全体を締めくくった。 **しめし【示し】** ○示すこと。教えさとすこと。みせしめ。[文例]〈神のお示し〉わたしは、神のお示しに従って、この人生を歩んでまいりました。◆ヘ示しがつかない〉上級生がそんなでは、下級生への示しがつかないだろう。 **しめしあわ・せる【示し合わせる】** ○前もって相談しあう。合図して知らせ合う。[文例]〈兄弟で示し合わせる>夏休みには、家の手伝いが嫌[いや]なので、よく兄弟で示し合わせて抜け出したものだ。♠〈仲間と示し合わせる〉仲間と示し合わせて、放課後川原を散歩した。♠へ目で示し合わせる〉あの二人、さっきから目で示し合わせていると思ったら、どこかへ消えてしまったよ。 **しめ・す【示す】** ○出して見せる。指さして知らせる。表して見せる。[文例]〈証拠[しようこ]を示す〉刑事は、動かぬ証拠を示し、言葉鋭[するど]く男に自供を迫[せま]った。♠〈例を示す>先生は、生徒がわかるように、実際の例を示して説明した。♠へありかを示す〉それは、もしかすると、宝物のありかを示した地図なのかもしれない。♠〈位置を示す>山道をしばらく行くと、頂上の位置を示す道しるべが立っていた。♠〈図で示す>先生は、口で説明してもよくわからないことは、黒板に図で示してくれる。♠へ高度を示す>飛行機の高度計は八千メートルを示していた。♠〈手本を示す「いいか、まず最初に手本を示すからよく見ておけ。」と言うと、先生は背負い投げをやってみせた。♠へ誠意を示す〉慰謝料[いしやりよう]を払えばすむという問題ではありません。もっと誠意を示してください。♠へ反応を示す〉どんなおもちゃを見ても反応を示さない子なのに、動物を見ると喜ぶ。♠〈難色[なんしよく]を示す〉住民の要望に対し、市側は財政難を理由に難色を示した。♠〈関心を示す>六年生の弟は、最近パソコンに関心を示し出した。 **しめ・す【湿す】** ○湿らせる。ぬらす。[文例]〈口を湿す〉ハンカチで口を湿してやると、病人はかすかにほほえんだ。♠〈タオルを湿す〉タオルを湿して顔にあてると、ほてりがスーッと引いていくのがわかる。◆ヘ一筆[いつぴつ]湿す〉一筆湿しまいらせそうろう、は昔の手紙の前書きです。 **しめだし【締め出し・閉め出し】** ○しめだすこと。』しめだす[文例]〈閉め出しをくう〉女房とけんかをして閉め出しをくったんだ、今晩泊めてくれ。♠〈締め出しにあう〉この前は騒ぎ過ぎて締め出しにあったから、もうあの店には行けないな。♠締め出しをくわだてる〉自国市場から外国商品の締め出しをくわだてる動きがある。 **しめだ・す【締め出す・閉め出す】** ○門・戸を閉ざして中に入れない。追い出して中に入れない。仲間に入れない。[文例] 〈家を閉め出す〉いたずらをして母に家を閉め出されたのは、小学校に入ってすぐのことだった。♠へ弱い者を締め出す〉弱い者を締め出そうとする傾向が子供の世界にはあります。♠へ仲間から締め出す〉年の離れた末っ子は、いつも兄や姉の遊びの輸から締め出されていた。 **しめつ【死滅】** ○死に絶えること。生物の種が滅びること。[文例] <死滅する〉沖縄の西表島[いりおもてじま]では、死滅したと思われていたイリオモテヤマネコの生息が確認された。♠へ種の死滅〉〈死滅の道>現在繁栄の頂点にある種[しゅ]は、すでに死滅の道を歩み出していると考えてよい。 **じめつ【自滅】** ○自然に滅びること。自分に原因があって滅びること。[文例]〈自滅する〉不平不満のはけ口を酒に求めるような生活をしていたら、自滅するのは時間の問題だろう。♠〈自滅に追い込む>野生動物の生活の場を奪うことによって、自滅に追い込まれているのは、ほかでもないわたしたち人間である。♠〈自滅的〉チームワークの悪さが原因で敗れたのなら、それは自滅的敗北といえる。 **しめつけ【締め付け】** ○締め付けること。↓しめつける[文例]〈締め付けが強い〉生徒に対する校則の締め付けは強かった。♠へ締め付けが厳しい>戒厳令[かいげんれい]がしかれ、市民生活に対する軍の締め付けは厳しくなった。 **しめつ・ける【締め付ける】** ○強く締める。強く規制する。[文例]〈ひもで締めつける〉包みをひもで強く締めつけると、中の衣類がしわになる。♠へ胸を締め付ける>帯で胸が締め付けられて、ごちそうがあまり食べられなかったわ。♠〈胸を締め付ける〉妻子は苦労しているだろうなと考えると、わたしの胸は締め付けられた。 **しめっぽ・い【湿っぽい】** ○湿気が多い。じめじめする。気分が暗く、沈んでいる。[文例]<洗濯物が湿っぽい>洗濯物がまだ湿っぽいわ。取り込むのが早かったんでしょ。♠〈空気が湿っぽい>空気が湿っぽいから、雨が降り出すかもしれない。♠へ話が湿っぽい何だか話が湿っぽくなったなあ、もっと陽気にやろうよ。 <469> **しめりけ【湿り気】** ○湿気。物や空気中に含まれる水分。[文例]〈湿り気を帯びる〉朝露[つゆ]の中で湿り気を帯びた菊の花が一段と高く薫[かお]った。♠〈湿り気が多い〉湿り気の多い南の風が吹き出すと、ぼくらの町にも夏がやって来る。 **し・める【締める・絞める・閉める】** ○たるみ・ゆるみをなくす。固く結ぶ。強くくくる。緊張させる。無駄をなくす。閉じる。閉ざす。しめくくる。区切りをつける。[文例]〈帯を締める〉着物を着るときは、ひとりでは着られないので、いつも母に帯を締めてもらっている。♠ヘベルトを締める〉車に乗ったら、必ずシートベルトを締めて、安全を図りましょう。◆<弦[げん]を締める〉兄はギターが大好きで、弦を締めて調律にも気を使う。♠〈首を絞める〉彼は、借金を抱えながら、さらに事業を広げようとしているが、自分の首を絞めることになるだろう。♠へ鶏[にわとり]を絞める〉村では、来客があると、飼っている鶏を絞めて、客を歓迎するならわしだった。へ気を締める〉夏休みはとかく事故やトラブルが起こりがちなので、気を締めてかかるように。♠財布のひもを締める〉家族で買い物に出かけたとき、きまって財布のひもを締めるのは母です。へ家計を締める〉毎年上がる物価には、いくら家計を締めても追いつかない。♠へ酢で締める〉食物の保存法には、酢で締める酢じめのほかに、塩じめなどがある。♠〈ドアを閉める>母にしかられた弟は、ドアをバタンと閉めて、部屋を飛び出していった。♠く窓を閉める〉寒いから、窓を閉めてちょうだい。♠へ栓を閉める〉ガスなどの栓は、くれぐれも注意して必ず閉めるように。♠へふたを閉める〉使い終わったら、容器のふたはかたく閉めてください。へ店を閉める〉うちの近所は、夜は八時ごろ店を閉めるところが多い。へ店を閉める〉近くにできたスーパーマーケットに客を奪[うば]われ、とうとう店を閉めることになりました。へ勘定[かんじよう]を締める〉そろそろ閉店の時間ですので、勘定を締めさせてください。♠へ手を締める〉同好会の発足[ほつそく]を祝って、出席者全員でシャンシャンと手を締めた。へ勝ってかぶとの緒を締めよ〉優勝の喜びにわいていたとき、「勝ってかぶとの緒を締めよ」と言ったのは、監督[かんとく]だった。 **しめる【湿る】** ○湿り気を帯びる。気分が沈む。[文例]〈物[せんたくもの]が湿る〉さわってみると、洗濯物は湿っていて、まだ着られなかった。♠ヘマッチが湿る〉このマッチ、いくらこすっても火が付かないなあ、湿っているようだ。♠へ湿った道>雨上がりで湿った道を、転ばないよう注意しながら歩いた。◆<夜露[よつゆ]で湿る>庭の植木が夜露で湿っている。♠へ布団[ふとん]が湿る>雨が降ると空気がじめじめして、布団も湿って重くなる。♠〈気分が湿る〉勝つと思った試合に負けて、ぼくたちの気分は湿りがちだった。 **し・める【占める】** ○自分の所有とする。ある地位などを得る。場・領域を占有する。[文例]〈多数を占める〉わがクラスは、男子が二十名女子が十七名で、男子が多数を占めている。♠へ座を占める>赤いひなだんのいちばん上には、男女のお内裏様[だいりさま]が座を占める。♠〈位置を占める〉世界の自動車産業において日本の占める位置は大きい。♠〈割合を占める〉この広い海は、地球の表面の十分の七の割合を占めている。♠へ一位を占める〉うちのクラスは、体育大会の全競技で第一位を占めた。♠〈議席を占める〉三分の二の議席を占める党が、議会の運営を牛耳[ぎゅうじ]っていた。♠へ役割を占める〉川の水は、工業用水としても重要な役割を占めていた。♠〈心を占める>冬山のシーズンになると、山好きの息子への気づかいばかりが母の心を占める。♠〈味をしめる〉昨日にわとりをとった野犬がすっかり味[あじ]をしめて、またやってきた。◆くしめた〉しめた、大きなカブトムシをつかまえたぞ。 **しめん【紙面】** ○紙の面。新聞の記事を載せる面。紙上。書かれたものの面。[文例] 〈紙面を割く〉小さな町の出来事なので、大新聞がこれだけの紙面を割くほどの事件に発展するとは思わなかった。◆〈紙面をにぎわす〉有名作家の盗作事件が紙面をにぎわしている。 **じめん【地面】** ○土地の表面。地表。地所。[文例]】校舎の裏の地面には、まだ真っ白な雪がたくさん残っていました。♠〈地面が盛り上がる〉地震[じしん]がおさまったあとで庭に出てみると、辺り一帯の地面が二十センチ以上盛り上がっていた。◆<地面に染み込む〉学校のグランドは粘土[ねんどし]質なので、水が地面に染み込まず、雨が降るとすぐあちこちに水たまりができます。♠へ地面が凍[こお]りつく〉きのうの厳しい冷えこみで、地面が凍りついていて歩きにくかった。 **しめんそか(四面楚歌)** ○(中国の故事から)敵に包囲されること。反対者の中で孤立すること。[文例]〈四面楚歌の状態>周囲の猛反対を押し切って無理な計画を進めようとしたのが原因で、今や市長は四面楚歌の状態だ。 **しも【下】** ○下の方。低い方。末の方。[文例]〈川の下「あっ。」と思ったとたん、娘の手から落ちた花束は、川の下の方へ流れて行った。♠へ上と下〉上は王様から、下は貧しい農民まで、一体となって敵と戦いました。♠〈下の世話〉おじいさんが病気で寝ついてからは、下の世話は全部母さんがみています。♠下の句〉好きな和歌を、上の句と下の句を二行に分けて、短冊[たんざく]に書いてみました。 **しも【霜】** ○地面や物の表面についた水蒸気が氷結したもの。[文例]〈霜が降りる〉このごろは、朝晩めっきり寒くなって、霜が降りるようになった。◆<霜が解ける>霜が解けてぐちゃぐちゃになった道は、どろんこで歩きにくかった。♠<霜に覆[おお]われる>冬になると、田畑は霜や雪に覆われ、辺りはさびしい冬景色になる。♠へ霜が置く〉初冬の早朝、霜の置いた庭を歩く。♠へ霜にやられる>庭のこぶしの花は、ゆうべの霜にやられたらしく、白い花びらが茶色に傷んでいた。 <470> ●へ頭に霜をいただく・置く〉つえをついてやってきたのは、頭に霜をいただいた老人だった。◆へ冷蔵庫の霜〉最近は、霜取り装置がついているので、冷蔵庫が霜だらけになることはない。♠へ霜焼け〉たき火に手をかざすと、霜焼けの指がかゆくなってくる。 **じもく【耳目】** ○耳と目。見聞きすること。人々の関心。[文例]〈耳目を広める>学校の勉強も大切ですが、社会へ目を向けて耳目を広めることも必要です。♠へ世間の耳目を集める・引く〉この事件は、一国の首相が関係したということで、世間の耳目を集め(引い)た。♠〈耳目を驚かす>無口で目立たない田中先生が短歌を作っていて、その歌集が受賞したことは、町の人々の耳目を驚かした。へ耳目に映じる>日本に来た日から、彼女は自分の耳目に映じる諸事を書きとめておこうと思った。 **しもじも【下下】** ○身分の低い人々。一般庶民。[文例]々かしらもの〉高貴な人間が下々の者の前に姿を見せることはまれであり、まして直接口をきくことなどありえなかった。♠彼は何しろ社長の息子だからな。われわれ下々とは身分が違うよ。 **じもと【地元】** ○その事に直接関係のある土地。自分の住んでいる土地。本拠とする土地。[文例] 〈地元の人々>甲子園で優勝を飾った選手たちは、地元の人々の熱狂的な歓迎を受けた。♠へ地元の発展〉石川さんは商店会の会長として、地元の発展に尽くしてきました。♠〈地元の票〉新人で心配されたが、地元の票が予想以上に伸びて当選することができた。 **しもん【指紋】** ○指先の内側の皮膚にある模様。[文例]人間の指紋は同じものが一つもなく、一生変わらないので犯罪捜査[そうさ]に利用される。♠〈指紋を取る>警官は、正当な理由もなく一般市民の指紋を取ることはできない。 **しもん【諮問】** ○(下位の者やそのための機関に)意見を求めること。[文例]〈諮問を受ける〉文部大臣の諮問を受けた審議会は早速審議を開始した。◆<諮問する〉今後の国民医療について、厚生大臣は国民医療審議会に諮問した。 **じもんじとう【自問自答】** ○自分で問い、それに自分で答えること。[文例]〈自問自答の形式〉わたしたちがものを考えるということは、自分が自分を相手に行う自問自答の形式ということができます。♠〈自問自答する〉わたしは、この問題をいつ果てるともなく自問自答していた。 **しゃ【社】** ○「会社」「神社」などの略。[文例]〈社に帰る〉日帰りの出張を終えて、夕方、社に帰った。♠〈社の方針>社長は、新入社員を前に社の方針を述べた。 **しゃ【斜】** ○ななめ。[文例]〈斜に構える〉いつもはしかられているだけの兄が、この時ばかりは斜に構えて父に突っかかっていった。 **しや【視野】** ○目に見える範囲。見渡せる範囲。考えの及ぶ範囲。[文例]〈視野が開ける〉トンネルを抜けると、突然[とつぜん]視野が開け、青い海が見えた。♠へ視野をさえぎる〉大きなビルが視野をさえぎり、まわりの景色はほとんど見えない。♠〈視野に入る〉きょろきょろしているうちに、大きな看板が視野に入った。♠へ視野から遠ざかる〉ホームで手を振ってぼくを見送ってくれる人たちの姿がぼくの視野から遠ざかっていく。♠へ視野を横切る〉大きな鳥が視野を斜[なな]めに横切って飛んで行った。♠〈視野に浮かぶ〉望遠鏡の視野に浮かび出た星は、静かに青白く光っていた。♠へ視野が広い・狭い〉新聞記者のおじは、仕事がら、何でも知っていて視野が広い。♠へ広い視野に立つ「広い視野に立って物事を見なさい」という恩師の言葉を忘れない。♠へ国際的な視野をもつ〉父は、息子に、国際的な視野をもつ人間に成長してほしいと願っていた。♠〈視野を広げる〉たくさんの小説を読み、様々な登場人物の生き方を通して、人生への視野を広げてみよう。 **じゃ【蛇】** ○ヘビ。おろち。([文例])〈蛇の道は蛇「蛇の道は蛇」と言うけれど、仕事をサボッたぼくがここにいるのが、同類のきみにはやっぱりわかるんだね。 **じゃあく【邪悪】** ○よこしまなこと。[文例]〈邪悪に立ち向かう〉メロスは世の邪悪に立ち向かう勇気を持っている。◆<邪悪な振る舞い>暴君といえども邪悪な振る舞いを見逃しておくわけにはいかぬ。へ邪悪な心>邪悪な心で見れば、善意も悪意に思えるものだ。 **ジャーナリズム** ○新聞・雑誌・放送などの言論・報道機関。また、その活動。[文例]〈ジャーナリズムの発展>戦後、ジャーナリズムの急速な発展によって、多くの雑誌が創刊された。ヘジャーナリズムの良心>報道機関の競争が激しくなるにつれ、ジャーナリズムの良心ということも問題になってきている。 **シャーブ** ○鋭いさま。[文例]〈シャープな線〉今年の秋のパリファッションは、シャープな線が特徴となっている。♠〈シャープな頭脳〉彼は、シャープな頭脳の持ち主ということで、この研究所でも有名である。♠ヘシャープにとらえる〉女性ならではの感性を生かして、日常生活のひとこまをシャープにとらえたのがこの写真である。 **しゃい【謝意】** ○感謝の気持ち。わびる気持ち。[文例]〈謝意を表する〉御厚意に対して、誰しんで謝意を表します。♠〈謝意を伝える>先方にはくれぐれも謝意を伝えてください。 **シャイ** ○内気で恥ずかしがり屋なさま。はにかみやなさま。[文例]〈シャイな男〉あいつはシャイな男だから、面と向かって人に自分の気持ちを伝えることなどできない。 **しゃおん【謝恩】** ○受けた恩に対して感謝すること。[文例] 〈謝恩の気持ち〉卒業生一同が、先生への謝恩の気持ちを込めて選んだ品です。♠〈謝恩会〉女子大の謝恩会の会場には、華[はな]やかに装[よそお]った卒業生があふれていた。へ謝恩セール>近くのデパートで謝恩セールをやるというので、朝早くから出かけてみた。 **しゃか(釈迦)** ○仏教の開祖。ゴータマ=シッダルタ。[文例] お釈迦様はその池のふちにお佇[たたず]みになって、水の面を蔽[おしておお]っている蓮[はす]の葉の間から、ふと下の容子[ようす]を御覧になりました。(芥川龍之介「蜘蛛の糸」) <471> ◆<釈迦に説法〉音楽学校出の彼にクラッシックの講釈をするなんて、釈迦に説法だよ。◆〈おシャカ〉ああ、馬に踏まれて、新品のかごがおシャカになっちゃった。 **しゃかい【社会】** ○人々が集まって生活する場。世の中。世間。同類の仲間の世界。[文例]〈民主主義の社会>戦後の日本は、民主主義の社会を建設しようと努めてきた。♠〈社会に出る〉やがて社会に出てゆく諸君は、他人の心の痛みを自分のこととして感じられる人になってほしい。♠〈社会の一員〉この国では働く女性が多く、社会の中で重要な役割を果たしている。♠〈社会の出来事〉新聞を読むと社会の出来事がよくわかるが、それをうのみにせず自分の判断を通して考えてゆく必要がある。♠〈社会の因習や権威>青年には、社会の因習や権威[けんい]に反抗[はんこう]する若い情熱がある。◆◇日本人の社会>日本人の社会では、人間関係に応じて敬語が使い分けられている。♠〈音楽家の社会>競争の激しい音楽家の社会では、仕事を得ることは大変難しいという。◆社会的〉小学生や中学生など子供の起こす事件が社会的な問題となることもあります。♠〈社会人〉成人すれば、わたしたちは社会人としての責任を果たさなければならない。 **しゃが・む** かがむ。うずくまる。[文例]〈道にしゃがむ>踊り子は道にしゃがみながら、桃色の櫛[くし]で犬のむく毛を梳[す]いてやっていた。(川端康成「伊豆の踊り子」)へしゃがみこむ〉もう一歩も歩けない、というと、女は道端[みちばた]にしゃがみこんでしまった。 **じゃき【邪気】** ○病などを起こすと信じられた悪い気。ねじけた心。悪意。([文例] <邪気を払う〉しょうぶは、邪気を払うと言われ、端午[だんご]の節句には軒[の]に差したり、湯に入れたりする風習がある。♠邪気がない〉邪気のない彼の話を聞いていると、怒りも次第におさまってきた。 **しゃく(癪)** ○胸や腹の激しい痛み。腹が立つこと。かんしゃく。[文例]一点差で優勝を逃すなんて、まったくしゃくだ。◆ハしゃくなことに〉しゃくなことに、悪天候がたたって、今回の旅行は見合わせることになった。♠へしゃくにさわる〉しゃくにさわったからって、小さい妹に八つ当たりすることはないでしょう。♠へしゃくの種〉あの怠け者のどら息子は、まったくしゃくの種だ。♠ヘしゃくが起こる〉急に持病のしゃくが起こり苦しんでいるところへ、親切な人が通りかかった。 **しゃくざい【借財】** ○人から借りた金銭。借金。[文例]〈借財がかさむ〉武家といっても名ばかりで、商人からの借財がかさんでにっちもさっちもいかなくなっていた。♠へ借財を残す〉〈借財を始末する〉先代が残した借財を始末するために、田畑を売ることになった。 **しゃくしじょうぎ【しゃくし定規】** (杓子定規)○あらゆる物事を一つの基準からしか判断しないこと。融通・応用がきかないさま。[文例]〈杓子定規なやり方〉生徒はそれぞれ違った個性を持っているから、杓子定規なやり方では指導できない。♠へ杓子定規に適用する〉法律や規則を杓子定規に適用すると、世の中が窮屈[きゆうくつ]で住みにくくなる。♠へ杓子定規にすぎる〉きみの考えは少々杓子定規にすぎないか。 **しゃくぜん【釈然】** ○疑いや疑問などがなくなって、すっきりするさま。[文例]〈釈然としない>彼の説明は釈然としないが、今は責任をうんぬんするより善後策を講じるほうが先だ。♠へ釈然とする〉言いたいことを言ってしまうと、釈然とした気分になって、冷めたお茶を口に運んだ。 **じゃくたい【弱体】** ○弱い体。組織・体制などの弱いこと。[文例]〈弱体なチーム〉この弱体なチームを鍛えあげるために、科学的で効率のよい練習法をとりいれることになった。◆<弱体な体制>会場への交通を遮断[しやだん]する以外、弱体な警備体制をカバーする方法はなかった。 **じゃくにくきょうしょく【弱肉強食】** ○弱いものをえじきにして強いものが栄えること。[文例]〈弱肉強食の掟[おきて]>弱肉強食の厳しい掟が、生物界のバランスを保たせてきた。♠<弱肉強食の争い>日本の統一を巡[めぐ]って弱肉強食の争いが展開されたのが戦国時代である。 **しゃくねつ(灼熱)** ○焼けつくようにあついこと。焼けて熱くなること。激情にかられること。「[文例]〈灼熱の太陽>折から午後の灼熱の太陽がかっと照ってきて、走り続けたわたしはめまいを感じた。♠へ灼熱の砂漠〉灼熱の砂漠を隊商の行進が続きます。 <472> **じゃくねん** **し** うな。♠の行進が続きます。♠〈灼熱[しゃくねつ]の恋〉戦いのさなか、二人は灼熱の恋に身をこがし続けた。♠へ灼熱する〉灼熱した弾丸がライオンの体を貫[つらぬ]いていた。 **じゃくねん**【若年・弱年】○年が若いこと。若い人。[文例]十六歳の若年にして、すでにその天才を現していた。♠へ若年層〉近年、糖尿病[とうにようびよう]やがんなどの成人病が若年層にも多くなったと聞く。♠へ若年者〉若年者のくせして、なまいきを言うものではない。 **じゃくはい**【若輩・弱輩】○年が若い者。経験が浅く未熟な者。[文例]そんな要職、わたしのような若輩には任が重過ぎます。♠〈若輩の身〉若輩の身でせんえつながら、会長の大役を務めさせていただきます。♠〈若輩者〉若輩者が大きなことを言うものではない。 **しゃさつ**【射殺】○銃で撃ち殺すこと。[文例]〈射殺する〉戦争が激しくなると、危険だということで、動物園にいる猛獣たちは射殺されました。 **しゃくほう**【釈放】○許して解き放つこと。拘束を解くこと。[文例]〈釈放する〉疑いが晴れて、男の身柄は釈放された。♠<仮釈放[かりしゃくほう]>正男は、刑務所内でのまじめな態度が認められ、予想よりも早く仮釈放されることになった。♠へ囚人の釈放>犯人たちは、人質の解放と引き換えに仲間の死刑囚の釈放を要求してきた。 **じゃくまく** せきばく **しゃくめい**【釈明】○事情や立場を説明して理解を求めること。[文例]〈釈明の余地〉現にこの子の頭にはこんな大きなこぶができているんだ、きみには釈明の余地はないだろう。♠<釈明する〉誤解だと言うなら、きみがなぜそんなことをしたのか、はっきりと釈明すべきだ。 **しゃくや**【借家】○人から借りた家。[文例]〈借家に住む〉この団地に来る前は、近くの小さな借家に住んでいました。♠<借家住まい>長年借家住まいを続けたが、やっと念願のマイホームを手に入れることができた。 **しゃくよう**【借用】○借りて使うこと。[文例]〈借用する〉この本を一週間ほど借用してもいいでしょうか。♠へ借用証書〉金銭の貸し借りはトラブルが生じやすいので、借用証書をとったほうがよい。♠へ借用料〉会員になれば、ビデオの借用料も安くなりますよ。 **しゃくりょう**【酌量】○事情をくみとること。また、その上で手加減を加えること。[文例]〈酌量する〉裁判官は被告の情状を酌量し、その刑を軽くした。♠〈情状酌量〉身勝手な考え方による残忍きわまる犯行で、犯人には情状酌量の余地がない。 **しゃく・る**(杓る)○すくい上げる。すくうようにして上げる。しゃくう。[文例]〈砂をしゃくる〉その子は、小さな手で砂をしゃくっては一人遊んでいた。♠〈魚をしゃくる〉川の中で、少年たちがざるで魚をしゃくっていた。♠へあごをしゃくる〉男は何かぶつぶつ言いながら、あごをしゃくって人を追い払うようにした。 **しゃげき**【射撃】○銃で撃つこと。[文例]〈射撃の名手〉男は、飛ぶ鳥をも撃ち落とす射撃の名手であった。♠へ一斉射撃[いっせいしゃげき]>号令を合図に、一斉射撃の銃声[じゅうせい]がとどろきわたった。 **じゃけん**【邪険】○意地悪く扱うさま。思いやりのないさま。[文例]〈邪険な言葉〉「さっさと帰れ。」という邪険な言葉に、少女は泣き出した。♠〈邪険にする〉みんなにいじめられ、邪険にされても、少年の心がゆがむということはなかった。♠〈邪険に扱う〉年寄りをそんなに邪険に扱わなくてもいいだろう。 **しゃこう**【社交】○人と人の交わり。付き合い。[文例]〈社交が上手〉外国暮らしの長かったお隣さんは、社交が上手で、よくお客様を招いてホームパーティーをしている。♠へ社交的〉明るく社交的な人だから、友達が多い。♠〈社交性〉わたしは、社交性に欠けるからといって、別に人間嫌いではありません。♠〈社交界〉伯爵[はくしゃく]夫人は、当時の社交界のスターだった。 **しゃざい**【謝罪】○謝って、ゆるしをこうこと。わびること。[文例]〈謝罪をする〉悪かったと思うなら、きちんと相手に謝罪をするべきでしょう。♠へ謝罪する〉ぼくは、きみに謝罪しなければならないことがある。♠へ謝罪広告〉新聞に欠陥商品を作ったメーカーの謝罪広告がのっていました。 **しゃし**(奢侈)○度をこしたぜいたく。[文例]〈奢侈にふける〉民衆が貧しさにあえいでいるときも、貴族たちはぜいたくの限りを尽くし、奢侈にふけっていた。♠へ奢侈に慣れる〉奢侈に慣れてしまった人間が、質素な生活をするというのは簡単なことではない。♠へ奢侈に流れる〉父親の働きでは、とても奢侈に流れる娘たちの要求を満たすことができなかった。 **しゃじつ**【写実】○対象をありのままに写すこと。[文例]〈世態人情の写実〉逍遥[しょうよう]は、『小説神髄[しんずい]』で勧善懲悪[かんぜんちょうあく]主義を排し、世態人情の写実を主張した。♠〈写実的〉人間の愛と憎のからまり合いを、作者は簡潔で写実的な筆致[ひっち]で描いている。♠〈写実主義〉芸術において、対象をありのままに描き出そうとする立場が写実主義です。♠〈写実派〉彼は、事物をありのままに描く写実派の画家です。 **しゃしょう**【車掌】○列車・バスなどで車内の業務を行う人。[文例]車中での車掌さんの親切な応対に、旅の気分もいっそうさわやかであった。♠車掌という仕事を通して、わたしはさまざまの人生模様を見てきました。 **しゃじょう**【車上】○列車・バス・自動車などの上・中。[文例]パレードの間じゅう、皇太子夫妻は車上からほほえみを投げかけ、手を振って観衆にこたえた。♠この列車は北国から走って来たのかと、彼は車上の雪を眺めた。♠へ車上の人〉昭夫[あきお]は、車上の人となった彼女を、いつまでも見送っていた。 **しゃしん**【写真】○映像を写し取ること。写し取った映像。[文例]〈写真を撮る〉十年ぶりの同窓会だったので、皆[みな]で記念に写真を撮った。♠〈写真に写る〉写真に写っている幼いころのぼくは、いかにもやんちゃそうだ。♠へ写真が残る〉彼女の家は旧家なので、武士の姿をとった一枚の写真が残っている。♠へ写真に残る〉当時の懐かしい町並[まちな]みが、古い写真に残っている。 <473> **じゃすい【邪推】** ○人の言動を悪い意味に推量すること。[文例]〈邪推する〉心配でほうっておけなくて手助けしたことなのに、何か下心があるのだろうと邪推された。◆◇邪推深い〉今の謙作[けんさく]は、阪口[さかぐち]に対して極端に邪推深くなっていた。(志賀直哉[しがなおや]「暗夜行路」) **しゃ・する【謝する】** ○感謝する。謝る。わびる。断る。[文例])〈厚意を謝する〉いつも周りの人々の厚意を謝する気持ちを忘れてはなりません。♠〈非礼を謝する〉いきなりぶつかっておきながら、相手は非礼を謝するそぶりもない。♠来客を謝する〉執筆中の作家は一切の来客を謝し、書斎にこもっていた。 **しゃせい【写生】** ○対象をありのままに写し取ること。[文例]〈写生をする〉ぼくは、道具を持って教室を出ると、場所を決めて風景の写生をした。♠へ写生する>生徒たちは、先生の顔を写生しました。◆樽柿[たるがさ]を握るところを写生かな(正岡子規) **しゃぜつ【謝絶】** ○(人の申し出などを)断ること。[文例] 〈謝絶する〉氏に面会を申し入れたが、仕事中だからと謝絶された。♠〈面会謝絶>病院に駆けつけたが、患者は面会謝絶で会うことができなかった。 **しゃそう【車窓】** ○列車などの窓。[文例]〈車窓の景色>車窓の景色を眺めるのも旅の楽しみの一つです。♠へ車窓の眺め〉次々と様変わりする車窓の眺めを楽しみながら、バスの旅を続けた。 **しゃだつ(洒脱)** ○俗気[ぞくけ]がなく、さっぱりしているさま。あかぬけしているさま。[文例]〈洒脱な文章〉このエッセイのさらりとした洒脱な文章は、好感がもてます。◆◇洒脱な感じ〉さっぱりした洒脱な感じが、都会育ちを感じさせます。◆<軽妙洒脱[けいみようしやだつ]>司会者の軽妙洒脱な話術で、会は終始なごやかに進んだ。 **しゃだん【遮断】** ○さえぎり止めること。[文例]〈空気を遮断する〉燃えているろうそくにコップをかぶ[かぶ]せると、空気が遮断されて、炎[け]は消えます。♠〈交通を遮断する>追突事故のため、高速道路の交通は一時遮断されている。へ遮断機>遮断機が下りかけている踏切を、バイクが猛[もう]スピードで走り抜けた。 **しゃちゅう【車中】** ○列車・自動車などの中。車内。[文例]これは、ある日の新幹線の車中での出来事である。♠乗車中は、車中でのエチケットを守り、すがすがしい気持ちで旅したいものですね。♠方向が同じなら乗りたまえ。話は車中で聞こう。 **じゃっかん【若干】** ○幾らか。わずか。多少。[文例]〈若干の手を加える〉建物は壁に若干の手を加えたほかは、建築当時の姿のままに残されている。♠〈若干の違い>数字に若干の違いはありますが、二つのグラフは同じような特色を示しています。♠彼女の説明には、若干疑問に思うところがある。♠弟は昔[むかし]からおっちょこちょいで、中学生になった今も、若干その傾向[けいこう]があります。♠こうして二人並んでみると、妹のほうが若干背が高いようです。♠〈若干名>当店では、男子アルバイトを若干名募集[ぼしゆう]しています。 **じゃっかん【弱冠】** ○年が若いこと。若年。[例]弱冠十五歳で国際コンクールに入賞するとは大したものだ。♠氏は、弱冠三十歳にして、全国にチェーン店を持つ会社の経営者である。 **しゃっきん【借金】** ○金銭を借りること。借りた金銭。[文例] 〈借金する>足りない分はお父さんに借金して車を買いました。♠へ借金をする〉事業を始めるために、銀行からかなりの額の借金をしたそうです。◆く借金を背負う〉わたしは、事業に失敗して、多額の借金を背負ってしまいました。♠〈借金を抱[かか]える〉叔父[おじ]は借金を抱えて、金策[きんさく]に走り回っていた。♠へ借金を増やす・なくす〉借金をなくそうと努力しても、その日の生活にも困り、逆に借金を増やすありさまでした。♠〈借金を返す〉借金を返すことができずに、先祖伝来の家や土地を取り上げられたという話も聞きます。へ借金がある〉川野君には借金があるから、あんまり強いことは言えないんだ。♠〈借金が残る〉父が亡くなった後には、借金が残っただけでした。♠〈借金がたまる〉気がついた時には借金がたまって、にっちもさっちもいかなくなっていた。◆<借金がかさむ〉家を建てたのはいいのだが、予定より借金がかさんでしまった。♠へ借金の取り立て〉サラ金などの借金の取り立てに耐えられず、夜逃[よに]げする人もいます。♠〈借金の工面[くめん]>当時は商売も思わしくなく、月末になると借金の工面で頭が痛くなった。 **じゃどう【邪道】** ○正しくないやり方。[文例]売り上げを上げるために強引なセールスを行うとしたら、それは邪道だろう。♠へ邪道に落ちる>悪く云うものに申させますと、それが良秀[よしひで]の絵の邪道に落ちている、何よりの証拠だそうでございます。(芥川龍之介「地獄変」) **しゃない【車内】** ○列車・自動車などの中。車中。(文例)帰省列車の車内は超満員で、立っているのもやっとの状態だった。♠へ車内禁煙>この区間は車内禁煙となっておりますので、ご協力お願いします。 **しゃにむに【遮二無二】** ○がむしゃらに。[例]ぼくたちは、敵のゴール目がけてしゃにむに突き進んで行った。◆悲しみを忘れようと、毎日しゃにむに仕事に打ち込んだ。 **じゃねん【邪念】** ○よこしまな心。よくない考え。[文例]<邪念がある・ない>青年の心は、一点の邪念もなく澄み渡っていた。 <474> ●<邪念を払う〉わたしは、頭の中から邪念を払おうとして冷水をかぶった。♠へ邪念が浮かぶ〉何か邪念が浮かんだのでしょう、男の目がずるそうに光りました。命へ邪念がきざす〉仏に仕える身に邪念のきざすはずはなかった。 **しゃば(娑婆)** ○人間界。俗世間。この世。(刑務所などから見た)外部の自由な世界。[文例] <娑婆に出現する>吾輩[わがはい]は頭を以[もつ]て活動すべき天命を受けてこの娑婆に出現したほどの古今来[ここんらい]の猫[ねこ]であれば、非常に大事な身体[からだ]である。(夏目漱石「吾輩は猫である」) ◆<娑婆の空気>拘置所[こうちしよ]で男は、「早く娑婆の空気が吸いたい。」と思っていた。 **しゃふつ【煮沸】** ○煮えたたせること。沸騰させること。[文例]〈煮沸する〉病人には生水はよくないので、いったん煮沸してさました湯ざましを与えなさい。♠へ煮沸消毒>ほにゅう瓶は煮沸消毒をして、いつも清潔なものを使いましょう。 **しゃぶ・る** ○口に入れてなめる。[文例]〈キャンディーをしゃぶる〉女の子たちが大きな棒付きのキャンディーをしゃぶりながら、街を歩いている。♠へ指をしゃぶる〉赤ちゃんはよく指をしゃぶる動作をします。♠〈骨までしゃぶる〉目星をつけた客の骨までしゃぶる悪徳商法には気をつけなさい。 **しゃへい(遮蔽)** ○覆いさえぎること。また、そのための覆い。[文例]<遮蔽する〉外部とは鉄製の塀[へい]で遮蔽されているので、中の様子はだれにも分からない。♠〈遮蔽物〉遮蔽物を取り除き、向こう側がよく見えるようにしたほうがいい。 **しゃべ・る(喋る)** ○話す。ものを言う。ぺらぺら話す。[文例]口に物を入れて、食べながらしゃべるのはエチケット違反[いはん]ですよ。♠へ一言もしゃべらない〉彼は会議の間じゅう、一言もしゃべらなかった。♠へがやがやしゃべる〉みんなが一度にがやがやしゃべったのでは、何を言ってるのかさっぱり分からない。♠ヘこそこそしゃべる〉だれだ、授業中にこそこそしゃべっているのは! ◆人言葉をしゃべる〉おうむの場合は、「言葉をしゃべる」というよりは、「音声をまねる」といったほうが当たっている。♠〈外国語でしゃべる>外国人に道を聞かれた少年は、習ったばかりの英語で「アイドント、ドント・・・・・・」としゃべった。◆ヘ立て続けにしゃべる二時間立て続けにしゃべって、すっかり声がかれてしまった。♠〈秘密をしゃべる〉おしゃべりなあいつのことだから、ぼくの秘密を人にしゃべるかもしれない。 **じゃま【邪魔】** ○妨げること。妨げになる物事。[文例]〈物が邪魔〉悪いけど、そこにある机が邪魔だから、どかしてくれないか。へ邪魔になる〉声はよく聞こえたのですが、前の人の頭が邪魔になって、姿はよく見えませんでした。♠邪魔が入る〉大事な話があったのに、打ち明けようとすると何かしら邪魔が入って、結局今日は何も話せなかった。♠邪魔をする〉ランナーが盗塁[とうるい]するとき、バッターがわざと空振[からぶ]りして送球の邪魔をすることがある。♠へ邪魔する〉せっかくうまくいってるんだ、二人の仲を邪魔しないでくれ。♠〈お邪魔する〉「おお、よく来たな、上がれよ。」「はい、お邪魔します。」へお宅にお邪魔する〉土曜日の午後、先生のお宅にお邪魔してもよろしいでしょうか。♠〈邪魔者〉いくら山口君がへた[へた]だからって、邪魔者扱[あつか]いするのはひどいんじゃないか。 **しゃめん【斜面】** ○傾斜した面。[文例]〈丘の斜面>雪が積もると、子供たちは丘のなだらかな斜面でそりすべりをした。♠<斜面を登る〉おーい、と呼ぶので見ると、山の斜面を一人の男が登ってくる。 **しゃめん【赦免】** ○罪を許すこと。許して放免[ほうめん]すること。[文例]〈赦免する>王は哀[あわ]れに思い、その罪人[ざいにん]を赦免した。◆<赦免状〉この年恩赦[おんしゃ]が行われ、捕[と]らえられていたこの男にも赦免状が届いた。 **しゃらくさ・い【しゃら臭い】** (洒落臭い) ○生意気だ。[文例]まだくちばしの黄色いわかぞうがしゃらくさい事を言うな。 **じゃり【砂利】** ○小石。[例]〈砂利道>砂利道にさしかかり、自転車がよろけて何度も転びそうになった。♠〈玉砂利>〈砂利を敷く>玉砂利を敷き詰めた庭には、小さな池があり、庭木も手入れが行き届いている。 **しゃりょう【車両】** (車輛)○人や貨物を運ぶ車。[文例]<車両に乗る〉すいている車両は決まっていて、わたしはいつも前から三両めの車両に乗った。◆<車両の故障>車両の故障で、列車が一時間も遅れました。◆ヘ大型車両〉大型車両の通行が多いので、路面の損傷も早い。 **しゃりん【車輪】** ○車の輪。[文例])〈トラックの車輪〉トラックが急停車して、背丈ほどもある車輪が目前に迫っていた。◆<機関車[きかんしや]の車輪>夏草に汽罐車の車輪来て止まる(山口誓子) ◆<車輪になる〉(・・・・・・) 病気本復を祈らせるやら、(……………)調度類[ちようどるい]の買い入れをして貰[も]うやら、殆[ほとんど]彼一人が車輪になって、万事万端の世話を焼いた。(芥川龍之介「枯野抄」) **しゃれ(洒落)** ○あかぬけて気がきいていること。着飾ること。こっけいで気のきいた文句。[文例]〈うまいしゃれ>落語家のうまいしゃれに、寄席[よせ]の客はどっとわいた。♠下手なしゃれ〉きみの下手なしゃれはもう聞きあきたよ。へしゃれが分かる〉きみはなかなかしゃれが分かるじゃないかと、おじさんはぼくの肩をたたいた。♠へしゃれが通じる〉あの人はまじめすぎてしゃれが通じない。♠へしゃれを飛ばす〉ひょうきんな彼は、人に会えば冗談[じようだん]を言い、だれかれとなくしゃれを飛ばす。♠〈おしゃれ〉彼は着る物の色や柄にうるさく、なかなかのおしゃれだ。 **しゃれい【謝礼】** ○感謝の気持ちを表すこと。また、そのための言葉・金品。[文例] 〈謝礼をする〉日ごろの御苦労に対して何らかの謝礼をしようと、父兄たちが集まって相談した。♠<謝礼を渡す>感謝のしるしとして、少しばかりの謝礼を渡した。へ謝礼をもらう〉いつもお世話になっているあなたから、こんな事で謝礼をもらうわけにはいかない。へ謝礼の品〉あさ子は、そのお年寄りへの謝礼の品として、手編みのショールを贈ろうと思いついた。 **しゃ・れる(洒落る)** ○あかぬける。気がきいたことをする。生意気なことをする。おしゃれをする。しゃれを言う。[文例]へしゃれた格好〉今日はずいぶんしゃれた格好をしてるじゃないか、デートかい? へしゃれたレストラン〉れい子は、自宅の近くにしゃれたレストランができたので、そこへ彼を誘おうと思った。♠へしゃれたまね〉おやじのおれに小遣[こづか]いをくれるなど、あいつもしゃれたまねをするようになったじゃないか。 <475> **じゃ・れる** ○たわむれてまとわり付く。ふざける。[文例] 〈子猫がじゃれる>子猫が毛糸の玉にじゃれています。♠〈子供がじゃれる〉四歳と二歳の兄弟が庭でじゃれ合っている。 **ジャンプ** ○跳ぶこと。跳躍。[文例]ヘジャンプする>猛獣使[もうじゆうつか]いが合図のむちを鳴らすと、ライオンは火の輪目がけてジャンプした。♠ヘスキーのジャンプ〉スキーのジャンプは高度な技術を要するので、素人[しろうと]にはとても無理です。◆ヘジャンプがうまい〉この馬はジャンプがうまいので、馬術用に訓練してみよう。 **ジャンル** ○文芸作品などの様式。種類。分野。部類。[文例] 〈文学のジャンル〉文学作品にも、詩・小説・評論、日本では短歌・俳句など、さまざまなジャンルがある。♠ヘジャンルをなす〉川柳[せんりゅう]も、文芸上の独立した一個のジャンルをなしている。♠ヘジャンルに属する>短歌・俳句の短詩型文学は、詩というジャンルに属している。♠〈新しいジャンル〉彼はファッション界で、新しいジャンルを開拓[かいたく]したデザイナーとして、世界的に有名である。 **しゅ【種】** ○種子。種類。生物分類上の基礎単位。[文例]》〈種の保存〉クマタカは、絶滅[ぜつめつ]の危機にひんしており、種の保存のために多くの努力が払われている。♠へこの種の~>子供たちは特に、チョコレートやキャンディーなど、この種の甘いお菓子が大好きです。♠へ第一種・第二種〉分類上では、封書とはがきはそれぞれ、第一種・第二種郵便物として取り扱[あつか]われる。 **しゅ【主】** ○主人。主君。神。中心をなす者。主要な事柄。[文例]〈主として〉日本と大陸の文化交流は、主として朝鮮[ちようせん]半島を通じて古くから行われていた。♠〈主となる>PTA活動で主となるのは、やはりお母さん方です。♠主にす る〉団地の運動会は、小学生など小さい子を主にしたプログラムが組まれた。♠〈主たる~>本会の主たる目的は、会員相互の助け合いである。♠〈主と従>学生はやはり、勉強が主、遊びは従でしょう。♠キリスト教で主と言えば、キリストのことです。◆〈主成分>食品衛生法によって、食品のパッケージには、主成分の表示が義務づけられている。 **しゅ【朱】** ○黄がかった赤色。朱色。朱色の墨。朱筆で書き入れた文字・記号。[文例]〈朱を差す〉彼の姿を見つけて駆けてきたあや子は息を弾ませ、顔は朱を差したように上気していた。へ朱を入れる〉今日の習字の時間には、先生が一人一人の作品に朱を入れてくれた。♠へ満面に朱を注ぐ〉日ごろ穏[おだ]やかな男も、この時ばかりは満面に朱を注いで怒った。♠〈朱に交われば赤くなる「朱に交われば赤くなる」と言って、人はつき合う仲間や周囲から影響を受けやすいものです。 **しゅい【首位】** ○第一位。[文例]〈クラスの首位〉クラスの首位を目指して猛然[もうぜつ]と勉強を始めました。♠〈首位に立つ〉前半を折り返したところで、前評判通りA組の山本さんが首位に立った。♠へ首位を奪う〉この選手は、このところ調子を上げているので、首位を奪うのも時間の問題だろう。♠〈首位を逃[のが]す〉惜しくも首位は逃したが、自己の最高記録を出したことでぼくは満足だった。 **しゅう【衆】** ○多くの人々。ある特定の人々。[文例]〈衆にぬきんでる〉広い範囲からえりすぐられた者の集団で、なお衆にぬきんでるというのはなみたいていではない。♠へ衆を頼む>常に衆を頼み数に頼るのは、自分に自信がない証拠だ。♠〈近所の衆>交通事故の多い道に安全祈願のお地蔵さまをたてようと、近所の衆が集まった。♠へ皆の衆〉さあ、皆の衆今日は無礼講じゃ、たんと飲んでくだされ。●く若い衆〉町の若い衆がふんどし一つでみこしをかつぐんだから、そりゃ威勢がいい。◆<烏合[うごう]の衆〉よいリーダーのいない集団は烏合の衆で、一つの力にまとまらないといいます。♠〈金と衆には従え「金と衆には従え」といって、お金の力と多数派の力にはかなわないことが多い。 **しゆう【私有】** ○個人が所有すること。[文例]〈私有する〉この敷地は、社長が私有する土地を会社が借りているのです。◆<財産の私有>財産や生産手段の私有は、資本主義の特徴の一つです。♠私有財産>社会主義国家では、私有財産は制限を受けます。◆〈私有地>私有地につき、無断駐車を禁止します。 **しゆう【雌雄】** ○めすとおす。勝ち負け。優劣。[文例]】〈雌雄を見分ける〉ひよこの雌雄を見分けるには、熟練が必要である。♠へ雌雄を決する〉両者は、勇んで雌雄を決する戦いに臨んだ。 **じゅう【銃】** ○小型の銃器の総称。[文例]〈銃を取る>植民地支配に抵抗する人々がついに銃を取って立ち上がった。♠〈銃を構える〉わたしたちが近づくと、見張りの兵士がさっと銃を構えた。♠〈銃を擬[ぎ]する〉国境を越えようとする難民たちに、銃を擬して警備兵が立ちはだかった。 **じゅう【従】** ○主となるものでない一方のもの。付属のもの。[文例]〈主と従〉一家の大黒柱ですから家族思いのお父さんも、やはり外での仕事を主、家庭サービスは従にします。 **じゆう【自由】** ○他から強制や拘束を受けないこと。思い通りにできるさま。[文例]〈自由の身〉新しい証言によって無実が証明されたその男は、二か月ぶりに晴れて自由の身となった。♠へ体の自由が利かない「年をとったせいか、最近体の自由が利かなくなってね。」と、おじいさんは力なくつぶやいた。♠へ自由を許す〉絶対安静の身とはいえ、ベッドの上で本を読む程度の自由は許されていました。♠〈信[しんこう]仰・言論の自由〉〈自由を求める〉会場には、信仰や言論の自由を求める約三百人の人々が集まりました。♠へ自由の女神〉アメリカ合衆国というと、わたしはすぐに自由の女神を想像します。♠〈自由になる>確かに財産はありますが、ぼくはそれから自由になるためなら、惜しげもなくこの財産を放棄します。 <476> **しゅうあく【醜悪】**○みにくく汚らしいさま。[文例]〈醜悪[しゅうあく]な姿〉一家の主人が亡くなると、遺族たちは遺産をめぐって醜悪な姿をさらけ出した。♠●へ醜悪を極める〉欲に目のくらんだ人間の繰り広げる争いは醜悪を極めた。 **じゅうあつ【重圧】**○重くのしかかること。また、その力。[文例]〈重圧となる〉良太にとって、彼に対する両親の期待は時には重圧となった。♠●へ重圧を感じる〉オリンピックのメダル候補として見る世間の目が、高校生の彼女に重圧を感じさせた。♠●へ重圧を受ける〉急激な円高という重圧を受けて、日本の経済が心配されていた。♠●へ重圧をはねのける〉ファンの期待、敵の集中攻撃などという重圧をはねのけて勝ってこそ一流選手といえるのです。♠●〈重圧に耐える〉うちは旧家ですから、長男のわたしはある程度の重圧に耐えなければなりません。 **しゅうい【周囲】**○物のまわり。周辺。身の回り。自分をとりまく世界。[文例]〈村の周囲〉村の周囲には広い荒野[こうや]が広がっていて、そのずっと先は山でさえぎられていた。♠●へ幹の周囲〉神社の境内[けいだい]には、幹の周囲が三メートルにもなるイチョウの古木がある。♠●〈周囲を取り巻く〉アイドル歌手の周囲をいつも取り巻く若いファンの群れがある。♠●へ周囲を回る〉人工衛星は、地球の周囲を半永久的に回るように作られている。♠わたしたちの周囲〉わたしたちの周囲で使われている標識やマークには、どんなものがありますか。♠●〈周囲への思いやり〉人が生活していくには、相手や周囲への思いやりが大切です。♠●へ周囲と対立する〉彼は、無理解な周囲と対立しながらも、最後まで自分の意志を押し通した。♠◆く周囲がうるさい〉三十を過ぎても結婚する気のない姉に、周囲はだいぶうるさくなってきました。 **しゅうう(驟雨)**○にわか雨。通り雨。[文例]〈驟雨[しゅうう]が過ぎる〉夏の午後、驟雨がさあっと過ぎると、庭の草が一層鮮やかさを増した。♠◆<驟雨が来る>驟雨が来るのであろう、雲行きが怪しく生あたたかい風が吹き出した。 **しゅうえき【収益】**○利益を収めること。また、その利益。もうけ。[文例]〈収益を上げる〉事業の発展のためには収益を上げることが第一である。♠ヘコンサートの収益〉このコンサートの収益は、交通遺児のために贈られることになっている。 **しゅうえん(終焉)**○命が尽きること。最期。老後を送ること。[文例]〈幕府の終えん〉〈終えんを迎える〉三百年近く続いた江戸幕府も、時代の変動には抗[こう]しきれずやがて終えんを迎えた。♠ヘ終えんが近づく>次第に終えんが近づくと、芭蕉[ばしょう]は自ら好んだ梨の実さえ口に入らない様子だった。♠〈終えんの地>若くして故郷を離れた祖父は、七十歳を過ぎると終えんの地を求めて帰郷した。 **じゅうおう【縦横】**○たてとよこ。思いのまま。[文例]〈縦横に走る〉列島を縦横に走る幹線道路が整備されました。♠●〈縦横に操る>彼は木片を前にすると、小さなのみを縦横に操って、次々に動物の形を作り出していった。♠●へ縦横無尽>星空を見上げていると、少女の想像は縦横無尽に広がり、とどまるところがなかった。 **じゅうか【銃火】**○銃を撃つ時に出る火花。銃撃。[文例]〈銃火をくぐる〉カルロスの父は、スペイン市民戦争では反フランコ派の戦士として銃火をくぐった人だった。♠●へ銃火を交える〉川を挟[はさ]んで遭遇[そうぐう]した両国兵は、激しい銃火を交えた。♠●へ銃火を浴びせる「銃火を浴びせる」といいますが、鉄砲[てっぽう]の弾[たま]を浴びる側はたまったものではありません。 **しゅうかい【集会】**○人々がある目的のために寄り合うこと。また、その集まり。会合。[文例]集会を開く>明日、公民館でこの町で働く若者の集会を開きます。♠●へ集会に出る>忙[いそが]しい父ですが、町内の集会には必ず出ます。 **しゅうかく【収穫】**○作物をとりいれること。また、その作物。成果。[文例]〈作物の収穫〉〈収穫が減る〉今年は天候が不順で、作物の収穫が減った。♠ヘ豊かな収穫〉〈収穫をあげる>豊かな収穫をあげるために、昔はたい肥は絶対必要な肥料であった。♠〈大きな収穫>学級新聞を発行してみて、生徒たちが様々な問題意識に目覚めたことが大きな収穫だった。♠へ収穫がある・ない>昨年の文学界では大した収穫がなかったと見え、賞の該当者[がいとうしゃ]がいなかった。♠●〈収穫する〉冬、雨のある地域では、秋に小麦を植え、春に収穫する。 **しゅうがく【就学】**○学校に入ること。在学していること。[文例]〈就学年齢〉この町で今年就学年齢に達した児童は約八百名です。♠●へ就学者〉就学者を学年別に見ると、男女の比率はほぼ一定していることがわかります。 **しゅうかん【習慣】**○いつも決まってすること。ならわし。しきたり。慣習。くせ。[文例]〈長い間の習慣〉わたしは、長い間の習慣で午前五時には目を覚ます。♠●〈習慣を守る>夏休みも、規則正しい習慣を守るようにしましょう。♠●へ習慣をつける〉読めない字はそのままにしておかないで、辞書で調べる習慣をつけるとよい。♠●〈習慣を養う〉ものごとを考える習慣を養うために、日記をつけることにした。♠ヘ習慣とする〉わたしは、手紙を書く時は、二回、三回と見直すのを習慣としている。♠◆く習慣が抜ける〉いったん、悪い習慣がつくと、なかなか抜けません。♠●く習慣が違う〉物の買い方一つを取ってみても、国によって習慣が違う。♠●へ習慣になる>朝早くその辺を歩き回るのが習慣になっている。 **しゅうかん【週間】**○一週間。七日間。[文例]〈交通安全週間〉今週は交通安全週間ということで、交通整理中の警官の姿を多く見かけた。♠◆へ一週間〉あと一週間で夏休みが終わるというのに、宿題がこんなに残っているぞ。 **しゅうかん【週刊】**○週に一度刊行すること。また、その刊行物。[文例]〈週刊の雑誌〉この雑誌は週刊ではなく月刊ですが、それでも締め切りに追われて大変です。♠◆<週刊誌>週 <477> 刊誌の数がどんどん増えるにつれて、競争も一段と激しくなってきた。 **しゅうかん【終刊】**○刊行をやめること。廃刊。→創刊・発刊[文例]〈終刊となる〉三年間続いたわたしたちの会の機関誌も、今回をもって終刊となります。♠●〈終刊号〉これが仲間と出し続けた文集の終刊号です。 **しゅうき【周期】**○同じ運動や現象が反復される時の、一回ごとに要する時間。[文例]〈一周する周期〉地球が太陽を一周する周期は、三六五日六時間九分一三秒である。♠●へ振り子の周期>振り子の周期は、重りの重さには関係なく、ひもの長さに比例します。♠◆へ周期が長い・短い>火山[かざん]の噴火[ふんか]の周期がだんだん短くなったので、村人たちに避難[ひなん]命令が出された。♠◆<周期的〉県の移動図書館は、月に一度、周期的に村にやってくる。 **しゅうき【臭気】**○いやなにおい。臭み。[文例]〈鼻をつく臭気[しゅうき]〉〈臭気を放つ〉その液体は、鼻をつく臭気を放っていた。♠◆<臭気が漂う〉その部屋は、掃除をしていないのか、中に入ると何とも言えない臭気が漂[ただよ]っていた。 **しゅうぎ【祝儀】**○祝いの儀式。特に結婚式。お祝いに贈る金品。心づけ。[文例]〈祝儀[しゅうぎ]がある〉今月は本家の長男に祝儀があります。♠●へ門出の祝儀>若いきみの門出の祝儀にふさわしいだろうと思ったのだが、気に入ってもらえただろうか。♠●〈過分の祝儀〉さきほどは店の者が過分のご祝儀をいただき、ありがとうございます。♠●へ祝儀をはずむ>誕生日に集まってくれたのがうれしかったのだろう、祖父は孫たちに祝儀をはずんだ。 **しゅうぎ【衆議】**○大勢で相談すること。[文例]〈衆議[しゅうぎ]を重ねる〉この件については、幅広く衆議を重ねて、より良い解決策を考えたいと思います。♠●へ衆議一決>秋の慰安旅行は、鈴木課長の案でいこうと衆議一決した。 **じゅうきょ【住居】**○住む家。すまい。[文例]現在の住居は交通の便が悪いので、他によい所はないかと考えております。♠●〈住居を定める〉晩年の彼は温暖な伊豆の地に住居を定め、悠々自適[ゆうゆうじてき]の生活を送った。 **しゅうきょう【宗教】**○神・仏などに対する信仰。また、その教え。[文例]〈宗教[しゅうきょう]を信じる〉あなたは、どんな宗教を信じていらっしゃいますか。♠●へ宗教に頼る〉自分の力ではどうにもならないと思った時、ふと神の名を呼んだり宗教に頼[たよ]ったりします。♠●〈宗教にこる〉うちのおばあさんは、新興宗教にこって、朝早くから晩まで、お題目[だいもく]を唱えている。♠◆〈宗教を説く>貧しい農民の間には、自分の信じる宗教を説く彼の姿があった。♠●へ宗教的〉彼女は、宗教的な信念から貧しい人々の救済事業に乗り出した。 **しゅうぎょう【終業】**○業務や授業などを終えること。一定期間の学業が終わること。[文例]わたしの勤めている会社は、九時半始業、五時半終業です。♠●〈終業式〉終業式が終わると、生徒たちは教室へ戻って通信簿を受け取った。 **しゅうぎょう【修業】**○学問や技芸を習い修めること。→修業[しゅうぎょう][文例]〈修業の年限〉中学校・高等学校の修業の年限は三年となっている。♠●へ厳しい修業>彼は厳しい修業に耐えて、ついに文楽[ぶんらく]の人形遣いとして舞台に立つことができた。 **しゅうぎょう【就業】**○業務につくこと。勤務すること。仕事をもっていること。[文例]〈就業のベル〉就業のベルとともに駆け込んだら、運の悪いことに課長と鉢[はち]合わせしてしまった。♠●〈就業人口〉女性の職場進出もあり、日本の就業人口は増えつつある。♠●〈就業時間〉就業時間中に無断で持ち場を離れてはいけない。 **しゅうきょく【終局】**○碁の打ち終わり。物事の終わり。終わりの局面。[文例]〈碁の終局〉一勝一敗で迎えた本因坊[ほんいんぼう]戦第三局は、黒番の挑戦者優勢のまま終局となった。♠●〈終局を迎える〉どうやらこの騒動も終局を迎える気配だ。♠〈終局を告げる〉二人だけの日々は、しゅうとめの出現で終局を告げた。 **しゅうけい【集計】**○集めて計算すること。[文例]〈アンケートの集計〉アンケートの集計の結果がでた。♠●へ集計する〉各支店は、毎月、売り上げを集計して報告する。 **しゅうげき【襲撃】**○(不意に)襲って攻撃すること。[文例]〈襲撃[しゅうげき]する>熊が里に降りて来て、家畜を襲撃した。♠◆<襲撃を受ける>足には、敵の襲撃を受けた時の傷跡が残っていた。 **しゅうけつ【終結】**○物事が終わること。結末。[文例]〈戦争の終結>戦局を正しく知らされていなかった国民にとって、敗戦という終結は寝耳[ねみみ]に水の驚きであった。♠●〈終結する〉ついに犯人がつかまらず、時効[じこう]という形で終結する事件もある。 **しゅうけつ【集結】**○一か所に集まること、集めること。[文例]〈大軍を集結する〉平家は、一の谷[いちのたに]に大軍を集結した。♠◆<部隊が集結する〉一帯の山岳地域には、反政府軍の部隊が集結していた。 **しゅうこう【周航】**○あちこちを巡って航海すること。[文例]〈周航[しゅうこう]する>今回の旅行で最も印象に残ったのは、琵琶湖を周航したことです。♠〈世界周航〉イギリスの豪華客船クイーン=エリザベス号が、世界周航の途中で横浜に寄港した。 **しゅうこう【就航】**○船や飛行機が初めて航路につくこと。また、運航すること。[文例]〈就航[しゅうこう]する〉この造船所で造られた客船が欧州航路に就航した。♠◆〈就航する〉世界中の注目を集めて、いよいよ超音速旅客機が就航した。 **しゅうごう【集合】**○一か所に集まること。寄り集まること。ある条件に合うものの集まり。[文例]〈集合の合図>笛が鳴って集合の合図があったので、生徒たちは作業を中断した。♠◆<集合に遅れる〉七時の集合に遅れないよう、少し早めに家を出た。♠●へ全員集合「全員集合!」というかけ声と同時に、部員たちはキャプテンのまわりに駆け寄った。♠ヘ集合と解散〉今度の遠足は、集合も解散も現地ですから、行き帰りには事故のないように注意しなさい。♠●〈数の集合〉2で割れる数の集合が偶数[ぐうすう]です。♠●〈集合する>午後一時から祭りの相談がありますから、役員の方は神社の境内[けいだい]に集合してください。♠●へ原子が集合する〉いくつかの原子が集合して分子を作り、それが物質を形成している。 <478> **じゅうこう【重厚】**○どっしりと落ち着いて、重みのあるさま。[文例]〈重厚[じゅうこう]な人柄〉さすが、大企業のトップにふさわしく、重厚な人柄の人物ですね。♠●へ重厚な文体〉重厚な文体で知られる作家の作品ですから、読むには少々骨が折れます。♠●へ重厚な造り〉かつては大富豪[だいふごう]の邸宅[ていたく]だったというこの重厚な造りの建物は、現在、知事公邸として利用されている。 **じゅうこう【銃口】**○銃の筒口。[文例]〈銃口[じゅうこう]を向ける〉彼は草むらを飛び立った鳥に銃口を向けると、間髪[かんはつ]をいれずに引き金を引いた。♠●〈銃口を下ろす〉味方とわかると、歩哨[ほしょう]はほっとしたように銃口を下ろした。 **しゅうさい【秀才】**○学問・才能にすぐれていること・人。[文例]彼はいつも首席[しゅせき]を占め、秀才[しゅうさい]として一目[いちもく]置かれています。♠●この高校は、昔から、県内の秀才が集まる学校として有名である。 **しゅうさん【集散】**○集まることと散ること。集めることと散らすこと。産地から集め消費地へ送り出すこと。[文例]〈集散する〉当市は、この地方の農作物を集散するのに都合のよい場所に位置しています。♠●ヘ集散地〉この町は、昔から生糸の集散地として栄えてきました。♠●〈離合集散〉町の中央にたつ古ぼけた時計台は、さまざまな人々の離合集散[りごうしゅうさん]のドラマを見てきたのだろう。 **しゅうし【終始】**○始めから終わりまで続くこと。始めから終わりまで。始終。ずっと。[文例]わがチームは終始善戦したが、惜しくも一回戦で敗れ去った。♠◆授業中生徒たちが終始うつむいていたので、先生も話しにくそうだった。♠〈終始する〉決勝戦では、われわれのチームは攻勢に終始することができた。♠●〈終始一貫>村人は、発電所建設には終始一貫[しゅうしいっかん]反対してきた。 **しゅうし【終止】**○おしまいにすること。終わり。[文例]〈文の終止>句点(マル)は、文の終止[しゅうし]に用いる。♠●へ終止形>形容詞の「白い」「美しい」という形は、終止形にも連体形にもなります。♠●〈終止符〉わたしの青春にも終止符を打つ時が来たようだ。 **しゅうし【宗旨】**○宗教・宗派の教えの中心。信仰する宗派。信念、趣味など。[文例]ぼくの家の宗旨[しゅうし]は、浄土真宗[じょうどしんしゅう]です。♠●〈宗旨をかえる〉お父さんは今日から宗旨をかえて、おまえたちを自由放任するぞ。♠●へ宗旨がえ>森林開発にあれほど強く反対していた彼が、急に宗旨がえ[しゅうしがえ]したのはどういうわけだろう。 **じゅうし【重視】**○重く見ること。→軽視[文例]〈読書を重視する>昔から読書は人格の形成に欠かせないものとして重視されてきた。♠食へ人物を重視する〉最近会社の入社試験では、学力よりも人物を重視する傾向がある。♠●〈写生を重視する〉正岡子規[まさおかしき]は、写生を重視することを主張して短歌の革新を唱えた。♠●へ重視と軽視〉わが校は、学業ばかり重視して運動やクラブ活動を軽視する、などということはありません。 **じゅうじ【従事】**○仕事にたずさわること。[文例]〈仕事に従事する〉彼はここ七年間、建築技師としてビル建設の仕事に従事してきました。♠●〈任務に従事する〉敵の飛行場を爆破[ばくは]するという任務に従事した者のうち、生きて帰った者は一人もいなかった。♠●へ職業に従事する〉失礼ですが、あの方はどんな職業に従事していらっしゃるのですか。♠へ研究に従事する>研究室にいる学生の中には、卒業後も今の研究に従事したいと希望している者も少なくありません。♠●〈活動に従事する〉彼らは体の不自由な人々のために、ボランティア活動に従事している。 **じゅうじか【十字架】**○罪人をはりつけにする十字形の柱。礼拝用の十字形。苦難や罪などの象徴。[文例]〈十字架[じゅうじか]にかける>死刑囚はやせ衰[おとろ]えた身を十字架にかけられた。♠◆<十字架につける>折から、イエスと一緒に二人の強盗[ごうとう]が、一人は右にもう一人は左に、十字架につけられていた。♠〈十字架を背負う〉運転を誤って幼い子を死なせた彼は、以来、重い十字架を背負って生きなければならなかった。 **しゅうし【収支】**○収入と支出。[文例]〈収支[しゅうし]が合う〉経理の担当者になったばかりのわたしは、よく収支が合わないで何度も計算をやり直しています。♠●〈収支のバランス>我が家の収支のバランスをとるのに四苦八苦[しくはっく]しています。♠◆〈収支トントン〉店は大分軌道に乗ってきたが、それでもまだ収支トントンといったところだ。 **しゅうじつ【終日】**○一日じゅう。[文例]〈終日[しゅうじつ]~する〉不気味な地鳴[じな]りの音が谷間の村に終日続いた。♠〈終日を過ごす〉ふだんは畑に出ますが、雨の日は書を読んで終日を過ごします。 **じゅうじつ【充実】**○内容がいっぱい詰まっていること。[文例]〈内容が充実する>先生からお借りした資料のおかげで、発表の内容は、より充実したものとなった。♠へ充実した生活>中学生の中で、自分は充実した生活を送っていると感じている人は、どのくらいいるでしょうか。♠●へ充実した日〉ぼくたちは夏休みの間、日本アルプスの山ろくでキャンプを行い、充実した毎日を過ごした。♠●〈充実したものとする〉大会を充実したものとするために、細かい計画が立てられ、検討されました。♠◆〈設備の充実〉去年新しく建てられた工場は、他に例を見ない設備の充実を誇っている。 **しゅうじゃく【執着】**○物事にとらわれること。こだわること。しゅうちゃく。[文例]〈執着[しゅうじゃく]を持つ>「ではあなたはほかの河童[かっぱ]のように格別生きていることに執着を持ってはいないのですか?」(芥川龍之介[あくたがわりゅうのすけ]「河童」)♠◆<執着を捨てる〉八十歳を越えた父は、執着を捨て、仏のように穏[おだ]やかに生きておりました。♠へ執着を解き放つ〉この世のすべての執着から解き放たれて、あの水のように流れていきたいと、わたしは思った。♠●へ執着する〉おのれの生命に執着しない生き物などいるものか。 **しゅうしゅう【収集】**(蒐集)○物を集めること。また、集めた物。[文例]ヘちょうの収集[しゅうしゅう]〉ぼくは、自分のちょうの収集を自慢げに友達に見せた。♠●へごみの収集〉ごみの収集は曜日を決めて行われます。♠●へ収集する〉いろんなお店のマッチを収集している人がいます。 <479> **しゅうしゅう【収拾】**○混乱を収めること。[文例]〈事態の収拾〉与野党の対立が激化し、事態の収拾は困難となった。♠◆<収拾がつかない〉意見はいくつにも分かれて、話し合いは収拾がつかなくなった。♠●へ収拾する〉首都の無政府状態を収拾するのが新大統領にとって急務であった。 **しゅうしゅく【収縮】**○縮まること。縮めること。[文例]〈筋肉が収縮する>筋肉が収縮する時に出す力を筋力といいます。♠◆瞳孔[どうこう]が収縮する〉明るい所へ出ると、瞳孔が収縮して光の量を加減するようになっている。 **しゅうじゅく【習熟】**○習って熟練すること。慣れてうまくなること。[文例]〈漢字に習熟する〉中学校三年間に、常用漢字に習熟するよう努め、正しい漢字の表記法を身につけなければならない。♠●〈操作に習熟する〉ワープロを買ったわたしは、操作[そうさ]に習熟しようと練習を重ねています。 **じゅうじゅん【従順・柔順】**○すなおで逆らわないさま。おとなしく従うさま。[文例]〈権威に従順>経験を積んだ大人には、権威[けんい]に対して盲目的で従順なところがある。♠●へ動物が従順〉だれにも乗りこなせない野生の黒馬も、少年にだけは従順でよくなついていた。♠●〈従順な家来〉彼らは彼女に対しては決して口答えをせず、はたから見ると、まるで従順な家来のようだった。♠●〈従順な神のしもべ〉集まった信者たちは、みな従順な神のしもべであった。♠●へ素直で柔順〉気の強い上の娘[むすめ]に比べ、下はおとなしく、素直で柔順な娘[むすめ]です。 **じゅうしょ【住所】**○住んでいる所。[文例]住所をまちがえたので、出した手紙が戻ってきました。♠●クラス全員の氏名と住所、電話番号を一覧表にした住所録を作りました。♠◆<住所不定>上京後の住まいが決まらず、先輩や友人のアパートを渡り歩いています。現在のところ住所不定です。 **じゅうしょう【重傷】**○ひどい傷。大けが。[文例]工場の爆発事故で三人が救出されたが、全治一か月の重傷ということだ。♠●へ重傷を負う〉友人が交通事故で重傷を負ったらしい。 **じゅうしょう【重症】**○重い症状。[文例]〈重症の患者>重症の患者が運び込まれ、ただちに手術が行われた。♠◆入院した担任の先生はかなりの重症で、今のところ面会は無理らしい。 **しゅうしょく【修飾】**○つくろい飾ること。他の語の意味をくわしく説明すること。[文例]この報告では、一切の修飾をしりぞけ、事実のみを正確に記述するよう努めた。♠へ修飾する「赤い夕日」の「赤い」は「夕日」を修飾している。♠◆<修飾・被修飾〉「ゆっくり沈みます」の「ゆっくり」と「沈みます」は、修飾・被修飾の関係です。♠◆<修飾語〉文の中で「何を」「どこで」「どんな」「どのように」「いつ」などを表す言葉を、修飾語という。 **しゅうしょく【就職】**○職業につくこと。[文例]〈就職をする〉ぼくは、このまま、大学を出、就職をし、平凡な勤め人になって行くのだろうか。♠●へ就職する〉兄は、この春大学を卒業して、新聞社に就職しました。♠●〈就職難〉〈就職口>当時は、就職難の時代といわれ、なかなかよい就職口が見つからなかった。 **じゅうしょく【住職】**○その寺を管理する僧。[文例]〈寺の住職>この寺の住職は、毎朝六時になると自ら鐘をつき、一日の平安を祈念[きねん]します。 **しゅうしん【終身】**○死ぬまでの間。終生。生涯。[文例]若い時に最愛の妻を亡くした彼は、その後終身独り身をとおした。♠●〈終身刑>終身刑は死刑についで重い刑とされる。♠〈終身雇用制>日本の会社は、おおむね終身雇用制[こようせい]をとっている。 **しゅうしん【執心】**○深く心にかけること。心にかかって離れないこと。[文例]〈執心がある。ない〉お金に執心[しゅうしん]がないかといえば、それはだれだってあるでしょう。♠◆人執心する〉おじいさんは、いつからか金銭にばかり執心するようになったね。♠〈今彼女にご執心>田中君は小川さんにご執心で、何でも言いなりといったありさまだ。 **しゅうじん【囚人】**○獄中につながれている人。[文例]彼はなんども盗みを働き、ついに捕[と]らえられて囚人となった。♠●厳重な警戒[けいかい]を破って、三人の囚人が脱走したという。 **しゅうじん【衆人】**○大勢の人々。[文例]〈衆人が注目する〉美術展に出品した彼の作品は、みずみずしいタッチで衆人の注目するところとなった。♠〈衆人環視>衆人環視のなかで恥をかかされた男は、いつか相手に仕返しをしようと機会をねらっていた。 **じゅうしん【重心】**○重力の中心点。[文例]〈重心を取る>平均台の上で上手に重心を取って、体を安定させます。♠◆◇重心を失う〉突然の強風に体の重心を失って、川に落ちそうになった。♠●へ重心が高い。低い〉相撲[すもう]を取る時には、もっと腰を落として重心を低くしなくては、すぐに負けてしまうよ。 **しゅうせい【修正】**○よくない点を直すこと。[文例]〈修正をする〉計画がずさんだったため、工事半ばで修正をしなければならなかった。♠●〈修正を加える〉展覧会に出品する絵に手を入れて、最後の修正を加えた。♠●〈誤りを修正する〉書類の誤りを修正してから、事務所に提出してください。♠●〈考えを修正する〉討議などでは、相手の発言を聞いて、自分の考えを修正することができる。♠●〈軌道を修正する>打ち上げられたロケットは、コンピューターによって、自動的に軌道を修正される。♠◆〈修正案〉反対反対と言うだけでなく、それにかわる修正案を出してください。 **しゅうせい【修整】**○整え直すこと。[文例]〈写真を修整する>見合い用の写真なので、上手に修整してもらった。 **しゅうせい【習性】**○動物の種それぞれに特有な性質。習慣によって作られた性質。くせ。[文例]〈動物の習性〉ハトの帰巣[きそう]本能はよく知られているが、この動物の習性がどんなものかを調べてみた。♠●へ変わった習性〉この珍[めずら]しい鳥の飼育を続けていけば、まだまだ変わった習性を見せてくれるだろう。♠●へ習性がある〉酒の好きなおじは、酔っぱらうと泣きだすという習性がある。♠●へかなしい習性〉サラリーマンは、会社のために働くのではないが、会社が無くなったらと思うとぞっとするというかなしい習性がある。 <480> **しゅうせい【終生・終世】**○一生を終わるまでの間。生きている限り。[文例]〈終生の事業>彼は、終生の事業と定めたレジャーランド建設にすべてをかけた。♠●へ終生忘れえぬ感動>若き日の読書は、終生忘れえぬ感動を与えてくれます。♠◆わたしの心の傷は、終生いやされることがなかった。 **しゅうせい【集成】**○多くのものを集めてまとめあげること。また、まとめあげたもの。[文例]〈集成する〉この本は、『徒然草』に関する諸説を集成したものです。♠●へ集成する〉著者は戦争の記録を集成するのに、二十年の歳月を費やした。♠●〈研究の集成〉自分の研究の集成である本の出版を計画しています。 **しゅうせき【集積】**○集まって積み重なること。集めて積み重ねること。[文例]〈集積する〉山から切り出した木は一度ここに集積され、トラックで各地へ運ばれます。♠●へ集積回路〉エレクトロニクス関連の各社は、新しい集積回路の開発にしのぎを削[けず]っている。 **じゅうせき【重責】**○重い責任。[文例]〈重責を果たす>彼は、登山隊のリーダーとしての重責をりっぱに果たした。♠●〈重責をになう〉サッカー部のぼくは、三年になるとキャプテンの重責をになうことになった。 **しゅうせん【周旋】**○間をとりもつこと。仲立ちすること。斡旋[あっせん]。[文例]〈土地の周旋〉わたしはある人の周旋で、郊外に少しばかりの土地を手に入れた。♠●へ周旋する〉小料理屋を始めた叔母は、顔の広い父に使用人を周旋してもらいました。♠●へ周旋する「奥さんでもおもらいになるお考えはないんでしょうか」「あるかも知れない。佳[い]いのを周旋してやりたまえ」(夏目漱石「三四郎」) **しゅうせん【終戦】**○戦争が終わること。[文例]第二次世界大戦の終戦までに、東京は空襲[くうしゅう]によってほとんど灰燼[かいじん]に帰した。♠ヘ終戦を迎える>長く苦しい戦いもようやく終戦を迎え、人々は少しずつ生きる気力を取り戻していった。 **しゅうぜん【修繕】**○つくろい直すこと。修理。[文例]〈修繕に出す〉ブレーキの調子が悪いので、自転車を修繕に出した。♠へ修繕がきく〉二十年も使っているうちのクーラーは、もう修繕がきかなくなってしまった。♠◆<修繕する〉今時、同じ靴を修繕しながら十年も履[は]くなんていうのは、うちの父くらいですよ。 **しゅうぞう【収蔵】**○物をしまっておくこと。収めたくわえること。[文例]〈収蔵する〉この蔵は、米を収蔵するのに使われていたものです。♠●〈収蔵庫>彼は一室に耐火、除湿の工事をして、そこを古書の収蔵庫にあてた。 **しゅうそく【収束】**○まとまりがつくこと。おさまりがつくこと。[文例]〈収束に向かう〉とだえていた交通が復旧し、混乱は収束に向かっている。♠●へ収束する〉まとまりのなかったクラスメートの心も、この時から収束していった。 **しゅうそく【終息】**(終息)○やむこと。終わりになること。[文例]〈戦争の終息>国民は戦いに疲れ、さまざまに和平への模索が行われたが、まだ戦争の終息は先のことであった。♠●〈終息する〉さしもの疫病[えきびょう]も、多くの犠牲者[ぎせい]を出して終息しつつあった。 **しゅうぞく【習俗】**○風習。ならわし。[文例]〈習俗が残る〉地方には、古くからの習俗が今も数多く残っています。♠〈島の習俗〉この島の珍[めずら]しい習俗を調べるため、人類学者の彼はあちこちを歩き回った。 **じゅうそく【充足】**○満ち足りること。満たすこと。[文例]〈心の充足〉すがすがしい朝の空気を吸いながらこの湖のほとりを散歩していると、いつも心の充足を覚えます。♠〈欲望を充足させる>自分の欲望を充足させるために、他人を犠牲にすることがあってはいけない。♠●へ人員を充足する〉この会では、人員を充足するために希望者を募[つの]っています。 **じゅうぞく【従属】**○他に属し従うこと。属すること。[文例]〈従属する〉金銭を第一とし、他の生活の要件をすべてそれに従属させる生き方は貧しいと思います。♠◆〈従属する〉イギリスに従属していたアメリカは、一七七六年に独立宣言を行い、新たな一歩を踏み出した。 **しゅうたい【醜態】**○みにくい姿やふるまい。[文例]〈醜態を演じる〉人前をかまわず大げんかをするという醜態を演じるとは・・・・・・。♠〈醜態をさらす〉春男は、父のように酔[よ]って醜態をさらしたくないと思った。 **じゅうたい【重体・重態】**○病状が重く、生命が危険な状態。[文例]〈重体に陥[おちい]る〉昨夜かつぎこまれた患者が、今朝未明、重体に陥った。 **じゅうたい【渋滞】**○物事がとどこおって、すらすら進行しないこと。[文例]〈事務の渋滞〉事務の渋滞を解消するために、もっと能率的な方法を採り入れるべきだ。♠へ道路の渋滞>新興都市では、道路の渋滞がひどく、改善が望まれています。♠●〈渋滞する〉いつもなら三十分で着くのに、交通が渋滞して二時間もかかってしまった。 **じゅうだい【重大】**○軽々しく扱えないほど重要なさま。[文例]〈重大な局面〉今日になって新しい証人が現れ、事件は重大な局面を迎え[むか]た。♠●〈事が重大となる〉ほんのいたずらのつもりだったのに、思わぬ方向に進展して、事は重大となった。♠●へ重大な影響〉大臣の発言は、今後の国会の運営に、重大な影響を及[およ]ぼすものと思われる。♠◆ヘ責任は重大〉ぼくの働きいかんで勝敗が分かれるのだから、責任は重大だ。♠●〈重大な危機>工場の排水が毎日何十トンも流れ込み、湖の生物は重大な危機にさらされている。♠◆◇重大な関係>朝鮮や中国の興亡は、日本の歴史に重大な関係があった。♠●へ重大な岐路[きろ]に立つ〉大学卒業を半年後に控え、結婚[けっこん]か、就職[しゅうしょく]か、彼女は今、人生の重大な岐路に立っている。♠〈事の重大さ〉敵にぐるりととり囲まれても、城の中では事の重大さに気づかず、悠長[ゆうちょう]に作戦を練っていた。 **しゅうたいせい【集大成】**○多くのものを集めてまとめあげること。また、まとめあげたもの。[文例]〈歌の集大成> <481> 「万葉集」は、八世紀までの日本の歌の集大成である。♠●へ集大成する〉彼は動物に関する多年の研究を集大成して、一冊の本にまとめ上げた。 **じゅうたく【住宅】**○住むための家。住居。住まい。[文例]この辺は、昔からの古い住宅が多い。♠●〈住宅を建てる〉大都市では、郊外にもどんどん住宅が建てられています。♠ヘ住宅難>住宅難の都会を離れて、地方に生活の場を求める人が多くなってきた。 **しゅうだつ【収奪】**○奪い取ること。むりやり取り上げること。[文例]〈領主の収奪>農民は領主の収奪にあえぎ、土地を捨てて逃げ出す者も少なくなかった。♠●〈収奪する〉本国が資源を収奪するようになって、植民地に不満が高まっていった。 **しゅうだん【集団】**○人・動物などの集まり。団体。[文例]〈集団を作る〉シマウマは、アフリカの草原を集団を作って行動します。♠●へ集団を組む〉集団を組んで、盛り場をいばって歩くこわいおじさんたちもいます。♠●〈集団生活>学校は、集団生活の場なのだから、自分勝手な行動は慎[つつし]まなくてはなりません。 **じゅうだん【縦断】**○縦または南北の方向に断ち切る、また通り過ぎること。[文例]〈縦断する〉日本列島を縦断した台風十五号は、各地に大きな被害を残した。♠へ縦断面>理科の時間に、火山の縦断面の模型を見ました。 **しゅうち【周知】**○広く知られていること。[文例]〈周知の事実〉たばこが健康によくないのは周知の事実で、たばこをやめる人が大変多くなりました。♠●へ周知の通り〉すでに周知の通り、近藤先生は今年限りで退職なさることになりました。 **しゅうち【衆知】**○多くの人々の知恵。[文例]〈衆知を集める〉かつてない困難に直面したその町は、衆知を集めて対策を練った。♠◆衆知の結晶〉庶民の生活の知恵を集めたことわざは、いわば衆知の結晶ともいえましょう。 **しゅうちしん(羞恥心)**○恥ずかしいと思う気持ち。[文例]〈羞恥心[しゅうちしん]がある。ない〉おばあさんを押しのけて座席をとろうとするなんて、きみには羞恥心がないのか。♠◆<羞恥心に訴える〉人々の羞恥心に訴[うつた]えるポスターの効果は上々で、公園にゴミを捨てる人はほとんどいなくなった。♠●<羞恥心を失う〉羞恥心を失えば、人は次第に品格をなくしていくでしょう。 **しゅうちゃく【終着】**○最終的に着くこと。終点に着くこと。[文例]〈終着の列車〉ぼくはその日、終着の列車で東京駅に着いた。♠●〈終着駅〉この列車の終着駅は松本です。♠◆終着駅〉正倉院[しようそういん]は、シルクロードの東の終着駅といわれる。 **しゅうちゃく【執着】**↓しゅうじゃく **しゅうちゅう【集中】**○一点に集めること。一点に集まること。[文例]〈精神の集中>きみたちは、精神の集中が足りないから、すぐざわざわしだす。♠●〈神経を集中する〉小刀を使う手に神経を集中して、時間をかけて彫[ほ]りあげていった。♠●〈注意を集中する〉もうすぐ行われる入学試験の説明に、生徒たちは注意を集中した。♠●へ質問が集中する>記者会見では、特にうわさの恋人[こいびと]について質問が集中した。♠●へ力が集中する〉力学的に見ると、ここはアーチの力が集中する場所なので、工事の時は特に注意が必要だ。♠●へ人口が集中する〉都市に人口が集中するにつれ、一方では地方の過疎化[かそか]が問題になってきた。♠●〈集中豪雨〉台風などによる集中豪雨[ごうう]は、各地で洪水[こうずい]を起こし、多くの人命を奪[うば]うことがある。♠<集中攻撃>ぼくは、反対派の集中攻撃を受けて孤立していた。 **しゅうてん【終点】**○最終的に至り着くところ。終着駅。[文例]〈バスの終点〉バスの終点で降りて、一時間ほど歩いたところがあの山の登山口です。♠●〈終点の駅〉連絡船の乗り場は、この列車の終点の駅から二百メートルほどのところにあります。 **じゅうてん【重点】**○重きをおくところ。重要なところ。重力がかかる点。[文例]〈重点を置く〉わたしたちのクラブは、健康な体を作ることに重点を置いて活動を続けています。♠◆◇重点をはっきりさせる〉報告書は、ここが大事だという重点をはっきりさせる必要があります。♠〈重点的>試験も近くなったし、明日からは苦手の数学を重点的に勉強していこう。 **しゅうと・しゅうとめ(舅・姑)**○夫や妻の父(舅)。または母(姑)。[文例]〈舅に仕える>気むずかしい関に仕え[つか]てきた母の苦労は、大変なものだったらしい。♠◆〈嫁と姑〉嫁と姑の関係[あいだがら]というものは難しいものです。 **しゅうとめ(姑)**○夫または妻の母。→しゅうと[文例]〈嫁と姑〉嫁と姑という間柄[あいだがら]だけれど、母とおばあちゃんは実の親子より仲がいい。♠●兄のお嫁さんになる人は、男に姑、それにわたしたちのような小[こ]じゅうともいて大変です。 **じゅうなん【柔軟】**○やわらかいさま。しなやかなさま。適応力のあるさま。融通のきくさま。[文例]〈体が柔軟〉小柄な彼が一流選手として活躍[かつやく]できたのは、体が柔軟だったからだ。♠●<柔軟な心〉年を取ると頭がかたくなって、柔軟な心を維持することが難しくなる。♠●へ柔軟な態度〉先日とはうって変わって、委員長は柔軟な態度で会議に臨みました。♠◆<柔軟な考え方〉まだ経験の浅いきみたちは、柔軟な考え方をもって、社会に向かうのがよい。♠◆く柔軟に対応する〉 <482> 環境に対して柔軟に対応できる力がなければ、種族を存続させることは不可能だ。♠●へ柔軟体操〉毎日の練習は、軽いランニングと柔軟体操から始まります。♠●〈柔軟性に富む〉この素材は、従来のものに比べて、より柔軟性に富むことが特徴です。 **しゅうにゅう【収入】**○金銭・物品が入ってくること。また、その金銭・物品。[文例]〈収入と支出〉わたしは、毎月の収入と支出をきちんとノートにつけています。♠●へ収入を得る〉わたしは、新聞社の校正係として定まった収入を得るようになった。♠●へ収入を増やす〉一生懸命働いて、少しでも収入を増やそうと努力しました。♠●〈収入が落ちる〉悪天候が続いたため農作物の出来が悪く、収入ががくんと落ちた。 **しゅうにん【就任】**○任務・職務につくこと。[文例]〈就任のあいさつ>校長先生の就任のあいさつは、わたしたちに深い印象を与えました。♠●〈就任する〉J・F・ケネディは史上最年少でアメリカ合衆国大統領に就任した。 **じゅうにん【十人】**○人数が十であること。ある程度多くの人。[文例]〈十人が十人〉この話を聞いた人は、十人が十人わたしが正しいと言ってくれます。♠●〈十人十色〉人の考えは十人十色で、大勢いればそれぞれ意見が異なるのは当たり前だ。♠●〈十人並み〉彼女の容姿は十人並みといったところです。 **じゅうにん【住人】**○住んでいる人。[文例]〈長屋の住人〉この長屋の住人は、気さくで人情に厚い人ばかりです。♠◆ヘアパートの住人>都会では、同じアパートの住人でも、お互いに顔を知らないこともある。 **しゅうねん【執念】**○一つの物事にとらわれた心。物事に執着する心。[文例]ぜひ埋蔵金を掘りあてたいというのが、わたしの執念である。♠●へ激しい執念〉リングに上がった彼の顔は、なんとしても勝とうという激しい執念の相[そう]であった。♠へ執念を燃やす>男たちは、様々な障害にもかかわらず、その計画の遂行[すいこう]に執念を燃やした。♠●〈執念深い>少年は、いつまでも執念深く、仕返しをすることを考えていた。 **じゅうねん【十年】**○年数が十であること。ある程度長い年月。[文例]〈十年たつ〉この家を建ててから、もう十年たちます。♠●〈十年に一人〉今年入部した新人の中には、十年に一人出るか出ないかという有望な選手がいます。♠●へ十年ひと昔〉十年ひと昔というけれど、故郷の町もビルが建ち並び、ずいぶん都会になりました。♠●〈十年一日〉十年一日[いちじつ]のごとく、朝早く勤めに出て夕方帰るという毎日を繰り返している。 **しゅうのう【収納】**○物をおさめ入れること。[文例]〈収納する〉マンション暮らしですから、物を収納するスペースをどう工夫するかが大切になってきます。♠●〈収納箱>衣類の収納箱には、母の字で家族それぞれの名前が書かれてあった。 **しゅうは【宗派】**○同一宗教内の分派。[文例]〈宗派に分かれる〉日本の仏教は、多くの宗派に分かれています。♠●〈宗派が違う〉同じキリスト教でも宗派が違うと、礼拝の方法などもずいぶん異なります。 **しゅうは【秋波】**○ながしめ。色目。[文例]〈秋波を送る〉ハンサムな公爵[こうしゃく]に秋波を送る貴婦人方も多かった。♠●〈秋波を送る〉産油国のオイルマネーに世界中が熱い秋波を送っていた。 **しゅうはい【集配】**○郵便物や貨物を集めたり、配ったりすること。[文例]〈郵便物の集配>郵便局では、手紙や小包などの集配を日に何度と決めて行っています。♠●へ集配する〉うちの店は宅配便の代理店もやっていますが、二時間に一回会社の車が集配しに来ます。 **じゅうばこ【重箱】**○料理を詰めて積み重ねられるようにした容器。[文例]〈重箱に詰める〉今日は村民運動会で、わが家でも重箱にごちそうを詰めてそろって出かけます。♠〈重箱の隅をつつく〉そんな細かい、重箱の隅をつつくようなことをくどくど言わないで。♠●〈重箱読み〉「重箱」(『ジュウばこ)のように二字の熟語で、上を音、下を訓で読む読み方を重箱読みという。 **しゅうばん【終盤】**○碁や将棋の終わりに近い局面。勝負事の終わりに近い段階。[文例]〈終盤に入る〉決勝戦が終盤に入ると、満員の場内は熱気に包まれた。♠〈終盤を迎える〉終盤を迎え、二人の棋士は次第に緊張の度を強めていった。♠〈終盤戦>立候補届けが出るころは、実は選挙は終盤戦だそうです。 **しゅうふく【修復】**○元の通りに修理すること。[文例]〈修復する>古くなった公民館の外壁[がいくう]が、修復されることになった。♠◆<修復工事>壊[こわ]れたお寺の本堂のひさしの修復工事が始まった。 **じゅうふく【重複】**↓ちょうふく **しゅうぶん【秋分】**○太陽が秋分点を通過する時刻。昼夜の長さがほぼ等しくなる。[文例]〈秋分の日〉秋分の日は、昼と夜の長さがほぼ等しくなります。♠●へ秋分を過ぎる〉秋分を過ぎ、めっきり涼しくなってきました。 **しゅうぶん【醜聞】**○人の品行などについての悪い評判。スキャンダル。[文例]〈醜聞が流れる〉次期大統領の有力候補と目された若手政治家だったが、女性をめぐる醜聞が流れて支持率を下げた。♠◆どの貴族のサロンでも、最も好まれた話は色恋沙汰[いろこいざた]と醜聞だった。 **じゅうぶん【十分・充分】**○不足のないさま。[文例]型は古いが、性能は現在のものとほとんど変わらないので、まだまだ十分使えます。♠●たとえ夜間であっても、道路工事は通行人や車に十分注意して行う必要がある。♠◆学校までは五分とかからないから、八時を過ぎてから家を出たって、十分間に合うさ。♠●先生がお忙[いそが]しいことも、十分承知のうえですが、何とぞよろしくお願いします。♠◆ここから駅までは、五キロは十分あるから、歩いていくと一時間以上かかる。♠◆運動場とは言っても、子供たちがサッカーや野球をするのに十分な大きさはなかった。♠●どうせ一回か二回しか使わないんだもの、新しく買うことはないよ、それで十分だよ。♠●狭[せま]い東京では、木々は枝を広げることも、日光を十分 <483> に浴びることもできない。 **しゅうへん【周辺】**○周りの地域。周囲の部分。身の回り。[文例]〈中心から周辺〉ヨーロッパの古い街は、街の中心から周辺部へ向けて、何本かの道路が放射線状にのびている。♠◆<都会の周辺〉都会の周辺からは雑木林が姿を消し、散策する場所がしだいに失われてきた。♠●〈山の周辺〉岩手山の周辺は、宮沢賢治[みやざわけんじ]の数々の名作の舞台でもある。♠●へ周辺の林〉原生林の中に道路を切り開いた結果、その周辺の林が枯死してしまう例は多い。♠◆くわたしたちの周辺〉街に住むわたしたちの周辺は、鉄とコンクリートで覆われていく。 **じゆうほんぽう【自由奔放】**○思うままに大胆にふるまうさま。[文例]〈自由奔放な歌風〉与謝野晶子[よさのあきこ]は明治期の歌人で、自由奔放な歌風で知られている。♠●へ自由奔放に生きる〉自由奔放に生きているように見えるが、あれで本人は気を使っているのです。 **しゅうまつ【終末】**○物事の終わり。[文例]〈終末を迎える〉この事件は、犯人の事故死という意外な終末を迎えた。♠●〈終末が来る〉いつかわたしたち人間の歴史に終末が来て、人類の滅びることがあるのだろうか。 **しゅうまつ【週末】**○一週間の終わりごろ。[文例]この週末には、旅行に出かける予定です。♠●週末は存分に遊べ、というのがわたしの持論です。♠◆家族そろってドライブに行くのが、我が家の週末の楽しみです。 **じゅうまん【充満】**○いっぱいに満ちること。[文例]〈ガスが充満する>坑内[こうない]にガスが充満して、坑夫たちは次々と倒れていった。♠●不平が充満する〉その国は貧富の差がひどく、民衆の間に不平が充満していた。 **じゅうみん【住民】**○その土地に住んでいる人。[文例]地元の住民は、原子力発電所の建設に反対しています。♠この町では、住民が力を合わせて町から暴力を追放しようとしている。♠●〈住民運動〉国や地方自治体の力に頼らず、自分たちの手でよりよい生活を切り開いていこうというのが住民運動の趣旨です。 **じゅうめん【渋面】**○にがにがしい表情。しぶい顔。しかめつら。[文例]〈渋面を作る「大学を出たのにぶらぶら遊んでるんじゃ、世間に肩身が狭[せま]い。」と、父は渋面を作った。 **しゅうもく【衆目】**○多くの人の目。多くの人の観察。[文例]〈衆目が一致する>衆議院の年内解散があるだろうというのが、衆目の一致するところだ。♠◆人衆目が見る>衆目の見るところでは、地価の高騰[こうとう]は地方に波及するということになる。♠●へ衆目が認める〉その人の人格の高さについては衆目の認めるところです。 **しゅうや【終夜】**○一晩じゅう。夜どおし。[文例]〈終夜営業>長距離輸送の運転手を相手にするドライブインは、終夜営業が多い。♠●〈終日終夜>家族には言えない自分の病気に終日終夜悩み通して、その年の秋は暮れていった。 **しゅうやく【集約】**○集めて一つにまとめあげること。[文例]〈研究の集約>先生は長年の研究の集約として、晩年一冊の著書を著[あらわ]した。♠●〈集約する〉主人公のこの一言に作者の人生観が集約されていると言ってもいい。 **しゅうゆう【周遊】**○旅行をして回ること。[文例]〈周遊する>秋の北海道を周遊するのだと言って、姉は出かけて行った。 **しゅうよう【収容】**○一定の場所に収め入れること。[文例]〈負傷者を収容する〉事故の負傷者を収容した病院に、心配した家族が次々にかけつけた。♠●へ観客を収容する〉この劇場は、八百人の観客を収容することができます。♠●〈武器を収容する〉この地下壕[ごう]には、戦時中、武器や弾薬が収容されていたのです。♠●〈収容所〉アンネは十五歳という若さでアウシュビッツの収容所に送られ、一生を終えなければならなかった。 **しゅうよう【修養】**○学問を修め、人格を養い高めること。[文例]〈修養を積む〉修養を積んだりっぱな人ほど、まだまだ自分は至らないと思うものです。♠●へ修養が足りない〉そんなささいなことで怒[おこ]るようじゃ、きみもまだ修養が足りないね。♠●へ修養する〉精神を修養して、風格のある人間になりたまえ。 **しゅうり【修理】**○つくろい直すこと。修繕[しゅうぜん]。[文例]〈修理する〉プミ置き場には、修理すればまだまだ使えそうな製品が <484> たくさん捨てられていた。♠●へ修理を行う〉古い寺院の建物は、何度か修理が行われ、今に姿をとどめているのです。♠〈修理に出す〉カメラの調子が悪いのでカメラ屋さんに修理に出しました。♠ヘ家の修理〉台風で壊[こわ]れた家の修理が進んでいます。 **しゅうりょう【終了】**○終わること。終えること。[文例]〈開始から終了まで>検査の開始から終了まで、およそ一時間と二十分かかりました。♠◆く終了する〉寺の本堂を修理する作業は、無事に終了しました。 **しゅうりょう【修了】**○学業などの課程を終えること。[文例]〈修了する〉彼は修士課程を修了すると、民間の研究所に勤めた。♠●へ修了する>卒業証書には、高校三年間の課程を修了したことを証明する、とあった。 **じゅうりょう【重量】**○重力の大きさ。重さ。目方が重いこと。[文例]〈物の重量〉〈重量を計る>米屋さんの大きなはかりでバイクの重量を計ってみた。♠〈重量制限〉この橋は古いので、通る車の重量制限があり、あまり重い車は通れません。♠◆◇重量挙げ>重量挙げの選手は、大きなバーベルを軽々と持ち上げた。♠●〈重量級〉ボクシングも重量級の試合になると、さすがに迫力があるね。 **じゅうりん(蹂躙・蹂躪)**○踏みにじること。[文例]〈蹂躙[じゅうりん]する〉大国は小国を蹂躙し、属国にしていくという時代が長い間続いた。♠●へ人権蹂躪〉ちゃんと確かめもしないで犯人扱いするなんて、人権蹂躪だよ! **しゅうれい【秋冷】**○秋の冷気。秋の冷ややかな気候。[文例]〈秋冷の候〉秋冷の候、皆様にはますます御清栄[ごせいえい]のことと、お喜び申し上げます。♠●紫陽花[あじさい]に秋冷いたる信濃[しなの]かな(杉田久女[すぎたひさじよ]) **しゅうれい【秀麗】**○ぬきんでて美しいさま。[文例]〈秀麗な姿>姫路城[ひめじじよう]は、その秀麗な姿から白鷺城[しらさぎじよう]と呼ばれている。♠◆<眉目秀麗>彼は少年のころから眉目秀麗で、役者としての素質にも恵まれていた。 **しゅうれん【修練・修鍊】**○精神や技をみがき、鍛えること。[文例]〈修練を積む〉名人は厳しい修練を積んで、今の技を会得[えとく]したのだ。♠●〈修練する〉今日の剣道大会での優勝は、部員一人一人が修練した結果です。 **しゅうれん(収斂)**○縮むこと。引きしまること。一点に集まること。収束。[文例]〈収れんする>長かった戦争が終わって街に平和が戻ったとき、市民の心は別れ別れになった肉親や恋人たちの安否に収れんしていった。 **しゅうろく【収録】**○書物に収めること。録音・録画すること。[文例]〈本に収録する〉今回の全集に収録された作家の日記は、飾らぬ内面を語って興味深い。♠●ヘテープに収録する>土地の古老を訪ねて、今は聞かれなくなった童歌[わらべうた]をテープに収録することができた。 **しゅうわい【収賄】**○わいろを受け取ること。→贈賄[ぞうわい][文例]〈贈賄[ぞうわい]と収賄>公共事業などにからんで金品を贈ったり、受け取ったり、つまり贈賄と収賄の疑いで検挙される業者と役人が出てくる。 **しゅえい【守衛】**○警備・監視をすること。また、その人。[文例]夜中の見回りの時に、守衛がその部屋の異常に気づいた。♠●へ工場の守衛>彼は昼は大学へ行って、夜は工場の守衛のアルバイトをしているらしい。 **しゅえん【主演】**○主役を演じること。主役の俳優。[文例]〈主演の役者〉すぐれたわき役がいてこそ、主演の役者が引き立ちます。♠●〈主演する〉この映画に主演しているのは、かわいい子猫だと言ってよいでしょう。♠●〈主演女優>実をいうとこの映画の主演女優のファンなんです。 **しゅかくてんとう【主客転倒】**○ものの軽重・順序などをとり違えること。[文例]お客様にもてなしをさせるなんて、文字どおり主客転倒ですね。♠●それではまるで主客転倒ではないか。今、一番にやらなければならないことは何かを考えてみたまえ。 **しゅかん【主観】**○対象を認識する働き。物事を認識する主体。また、認識する内容。個人個人の見方・考え方。→客観[文例]〈主観にかたよる〉主観にかたよって判断を誤らないよう、他人の意見もよく聞きなさい。♠◆〈主観に基づく>彼の判断はあくまでも彼の主観に基づくものであり、公平なものとは考えられない。♠ヘ主観を離れる〉時には主観を離れ、他者の立場に身を置いて考えてみる必要がある。♠〈主観的・客観的〉気に入る気に入らないは主観的なものだが、できるだけ多くの人の考えを聞き、客観的な判断を下すようにしたい。 **しゅがん【主眼】**○最も大切な点。かんじんなところ。眼目。[文例]〈法の主眼〉この法案の主眼は零細[れいさい]漁民の救済にある。♠●〈主眼におく>労働時間の短縮を主眼において、今回の交渉に臨[のぞ]もう。♠●〈主眼とする〉平和憲法は、国際協調を主眼とする憲法です。 **しゅき【手記】**○自分の経験や感想などを書き記したもの。[文例]〈手記をまとめる>航空機事故の遺族の手記が、今度一冊の本にまとめられることになった。♠ヘ手記に書く>第一線を退[しりぞ]いた会長は、会社を興すまでの苦労話を手記に書いた。 **しゅぎ【主義】**○ある人が社会生活を送るうえで基本としている考え方・信念。主張。思想上の立場。[文例]わたしは、家庭に仕事を持ち帰らない主義です。♠●〈主義を取る〉ぼくは、こわい人には近寄らない主義を取っています。♠〈主義に反する〉そんなひきょうなやり方は、ぼくの主義に反する。♠●〈主義を守る〉彼は、ずっとかたくなに自分の主義を守り通している。♠◆〈主義主張〉みんなが自分の主義主張を押し通そうとしては、話がまとまりません。♠●ヘマイホーム主義>日本でも、近ごろはマイホーム主義の男性が増えています。 **じゅきゅう【需給】**○需要と供給。[文例]〈需給のバランス〉需給のバランスが取れなければ物価は安定しません。♠〈商品の需給>商品の需給を調整することは、市場を安定させるために必要なことです。 **しゅぎょう【修行】**○悟りを開くために苦行すること。学問・技芸などをみがくこと。[文例] <485> <厳しい修行〉〈修行に耐える〉厳しい修行に耐えて初めて、仏[ほとけ]につかえる者としての悟りが開けるのです。♠●へ修行する〉青年は立派な僧侶[そうりよ]になるために、寺にこもって一心に修行した。 **しゅうぎよう【修業】**○学問や技芸などを身につけること。しゅうぎょう。♪修業。[文例]〈修業を積む〉少年は奉公に出て、植木職人の修業を積んだ。♠へ修業が足りない〉たった一度の失敗で音をあげるようじゃあ、まだまだ修業が足りないな。♠●へ文章道の修業「文は人なり」といって、文章道の修業は自分自身を磨[みが]くことと同じだ。♠◆<修業中の身〉まだ修業中の身ですから、人を導くことなどとうていできませぬ。♠●〈花嫁[はなよめ]修業〉お茶にお花にと花嫁修業中の姉ですが、相手はまだみつかっていないようです。 **じゅぎょう【授業】**○学問や技芸などを教え授けること。また、その時間。[文例]〈授業が始まる〉授業が始まる合図の銃が鳴ったら、席に着いて準備をしましょう。♠●〈授業が終わる〉松本さんは、家の手伝いがあるので、授業が終わるとすぐに家へ帰ります。♠●〈授業がある。ない〉あしたは、午後から運動会の練習をするので、午後の授業はありません。♠●〈授業に臨む〉みなさん、積極的な態度で授業に臨[のぞ]むようにしましょう。♠〈授業を受ける>芸術は、書道、美術、音楽の三つから選択するので、わたしは音楽の授業を受けています。♠●へ授業を進める〉先生は、自分の体験談をおり交ぜながら、愉快に授業を進めて行きました。♠●〈授業をする〉病気の数学の先生に代わって、校長先生が授業をしてくれます。 **しゅぎょく【珠玉】**○真珠や宝石。美しいもの。[文例]〈珠玉の短編>数多い作品の中でもこの三遍は特に完成度が高く、彼の作品中の珠玉の短編といえる。 **しゅくえき【宿駅】**○宿場。[文例]〈街道の宿駅〉江戸時代、主要な街道の宿駅には大名や貴人用の宿泊所が設けられ、「本陣[ほんじん]」と呼ばれた。 **しゅくえん【祝宴】**○祝賀のうたげ。祝いの宴。[文例]〈祝宴を開く〉お城では、若殿の元服を祝って盛大な祝宴が開かれた。♠へ祝宴を設ける〉お嫁さんが決まったので祝宴を設け、村人に酒食をふるまうという。♠●〈祝宴を張る〉きみの就職[しゅしよく]祝いに、ひとつ派手に祝宴を張るとしよう。 **しゅくが【祝賀】**○祝うこと。[文例]〈祝賀する〉小山課長の栄転を祝賀して、盛大なパーティーを開きたいと思います。♠◆<祝賀会〉では、授賞式に続いて祝賀会に移ります。 **しゅくがん【宿願】**○長い間もち続けた願い。[文例]一族から大統領を出すことが代々の宿願であった。♠●へ宿願を果たす〉ダービーに優勝した伯爵[はくしゃく]は、みごと親子二代にわたる宿願を果たしたのだった。 **しゅくじつ【祝日】**○記念・祝賀のために特にもうけられている日。[文例]〈国民の祝日〉国民の祝日として、年間十三日が休日と定められていた。 **しゅくしゃ【宿舎】**○宿泊する施設。特定の人を入居させる住宅。[文例]試合に負けて宿舎に帰る選手の足どりは重かった。♠●修学旅行で上京しためいを宿舎に訪ねた。 **しゅくしょう【縮小】**○縮めて小さくすること。規模を小さくすること。[文例]〈規模の縮小>参加者が集まらないので、大会の規模の縮小が検討されている。♠●〈工場の縮小〉経営が思わしくなく、工場の縮小を考えなければならなくなった。♠●へ縮小する〉ここに現物を三百分の一に縮小した模型があります。♠●〈軍備縮小〉米ソ間で軍備縮小の努力は続けられていますが、目ざましい成果はあがっていません。 **しゅくず【縮図】**○実物を縮小した図。現実を縮小して表したもの。[文例]〈社会の縮図>都会の裏通りに流れついた男や女たちの姿に、わたしは社会の縮図を見る思いがした。 **じゅく・す【熟す】**じゅく・する **じゅくすい【熟睡】**○ぐっすり眠ること。[文例]〈熟睡する>睡眠時間は、眠りが浅ければ多く必要ですが、熟睡していれば少なくてすみます。♠◆く熟睡する薬が効いたのか、病人は熟睡しています。 **しゅく・する【祝する】**○祝う。[文例]〈優勝を祝する〉ライオンズの優勝を祝して乾杯!♠◆◇栄転を祝する〉きみの栄転を祝して仲間が集まろうと、今みんなに声をかけているところなんだ。 **じゅく・する【熟する】**○実がうれる。ころあいがよくなる。十分な状態になる。慣れて巧みになる。円満になる。[文例]〈実が熟する〉ほうせんかの実は、熟してくるとだんだん乾いてきます。♠◆へ真っ赤に熟する〉山口さんの家の庭では、今年もたくさんのかきが真っ赤に熟しています。♠●〈機が熟する〉ぼくたちの計画を実行に移すには、先生がおっしゃるように、機が熟していないのかもしれない。♠〈計画が熟する〉何年も暖めていた日本一周旅行の計画が熟し、彼女はいよいよ来月旅立つことになった。♠●〈言葉が熟する〉ガラスやスプーンといった言葉と違[ちが]って、まだ日本語として熟していない外来語はたくさんあります。 **しゅくせい【粛清】**○異分子を厳しく排除すること。[文例]〈血の粛清〉独裁制につきものなのが、反対者・批判者に対する血の粛清だ。♠〈粛清する>革命党派でも、多くの異分子が粛清され、闇[やみ]に消えていった。 **しゅくだい【宿題】**○生徒が家庭でする課題。後で解決しなければならない課題。[文例]〈宿題をする〉遊びに行く前に宿題はしたの?♠◆<宿題にする>授業中に全部できなかった人は宿題にしますから、家でやってきなさい。♠●く宿題を出す〉高野[かわの]先生は、たくさん宿題を出すからいやだなあ。♠〈宿題がある・ない〉今日は、めずらしく宿題がないんだ。♠〈宿題を済ませる>夏休みの宿題は、七月中に全部済ませて、八月は思いっきり遊ぶぞ。♠◆ヘ宿題を片づける〉今日のうちに宿題を片づけて、あしたの日曜はお父さんと釣りに行くんた。♠●く宿題を忘れる>宿題を忘れたので、授業中立たさ <486> れました。♠●く宿題にする〉きみたちの要求は、わたしの宿題にさせてくれと言って、社長は席を立った。 **じゅくたつ【熟達】**○慣れて上手になること。[文例]〈踊りの熟達>発表会にはぜひいらして、お嬢さんの踊りの熟達ぶりを見てあげてください。♠●へ熟達する〉この一年間必死にがんばったので、自分でも驚くほど英会話に熟達することができた。 **じゅくち【熟知】**○すっかり知っていること。詳しく知っていること。[文例]〈熟知する〉この町を熟知している人だから、彼の情報には価値がある。♠●〈熟知する〉十年間この代議士の秘書を務めたので、彼の考え方は熟知している。 **しゅくちょく【宿直】**○勤務先に泊まって、夜の警備や用務にあたること。また、その人。[文例]〈宿直の夜〉父が宿直で帰宅しない夜は、母もわたしたちもつい言葉少なになるのでした。♠●〈宿直をする〉おれが大人[おとな]しく宿直をする。生徒が乱暴をする。わるいのは校長でもなけりゃ、おれでもない、生徒だけに極[きま]っている。(夏目漱石「坊っちゃん」) **しゅくてき【宿敵】**○古くからの敵。年来のかたき。[文例]プロ野球創立以来名勝負を続けてきた巨人と阪神は、まさに宿敵というにふさわしい。♠●〈宿敵を倒す>桶狭間[おけはざま]に宿敵今川義元[いまがわよしもと]を倒した織田信長[おだのぶなが]は、尾張[おわり]一円の支配を確固たるものとしていった。 **じゅくどく【熟読】**○よく考え、味わいながら読むこと。[文例]〈熟読する〉文章は熟読すれば、おのずと筆者の声が聞こえてくるものだ。♠◆<熟読する〉日ごろ文章に接する機会は多いが、これほど繰り返し、しかも熟読した本はなかった。 **しゅくば【宿場】**○昔、街道の要所で宿泊や馬・かごなどの施設のあった所。宿駅[しゆくえき]。[文例]豪雨[ごうう]のために川止めとなって、その宿場には人があふれるほどであった。♠◆宿場町>旧道に面して細長く伸びる町並みに、宿場町の面影[おもかげ]が残っていた。 **しゅくはく【宿泊】**○宿に泊まること。[文例]〈宿泊する〉今晩はここに宿泊して、明日伊勢の方を回ろうと思います。♠●〈宿泊料〉どこか宿泊料の安いホテルを知りませんか。 **しゅくふく【祝福】**○幸福を祝うこと。神が幸福を与えること。[文例]〈祝福を受ける二人は、みんなの祝福を受けて、この春結婚しました。♠●〈祝福する〉社会人となった兄の前途を祝福して、みんなで乾杯した。♠●〈祝福する〉日本人の心の中には、自然は人間を祝福してくれるものである、という意識があるといわれる。 **しゅくめい【宿命】**○前世から定められた運命。避けることのできない運命。[文例]〈生あるものの宿命〉死は、すべてこの世の生あるものの宿命である。♠●〈文明の宿命>快適な生活を送るために自然を破壊するのは、現代文明の宿命なのか。♠●へ宿命にある〉数年を地中で暮らしたセミは、地上に出てから一週間しか生きられない宿命にある。♠へ宿命を負う〉戦争によって両親を失い、孤児[こじ]として生きる宿命を負った多くの子供たち・・・・・・。♠●〈宿命的〉この列車でわたしと彼は、宿命的な出会いをしたのです。 **じゅくりょ【熟慮】**○よく考えること。[文例]〈熟慮する>仕事を変えるのは大きな問題だから、熟慮して決めなさい。♠♠<熟慮断行>熟慮断行のきみらしくない、随分[ずいぶん]そそっかしい失敗をしたものだね。 **じゅくれん【熟練】**○よく慣れて巧みなこと。[文例]〈熟練を要する>航空機のパイロットは、非常に熟練を要する職業です。♠へ熟練する〉彼は水泳に熟練していて、何キロでも泳げるそうです。♠●〈熟練した技巧〉もとより陶工[とうこう]には熟練した技巧が必要である。♠●へ熟練工〉彼は、自動車整備の熟練工です。 **しゅくん【主君】**○自分の仕える主人。王・領主・大名など。[文例]〈家来と主君>封建時代の主従の結びつきは深く、家来は主君のために命も捨てるものとされていた。♠<主君に仕える〉新之介[しんのすけ]は、主君のそば近くに仕え[つか]る小姓[こしよう]であった。 **しゅくん【殊勲】**○非常にりっぱな手がら。すぐれた業績。[文例]〈殊勲をたてる〉息子が敵の大将を討ち取る殊勲をたてたというので、日下[くさか]家は大騒ぎとなった。♠◆<殊勲賞〉大相撲[おおずもう]の殊勲賞は、上位のものを倒した力士に与えられる。 **しゅげい【手芸】**○(編み物・刺繍[ししゅう]など)手先でする技芸。[文例]〈手芸をする〉この子は小さいころから手先の仕事が好きで、手芸をさせておくと一日中おとなしく続けていました。♠●〈手芸教室>母が手芸教室に通い始めてから、家のあちこちに刺しゅうをほどこしたクッションが置かれるようになった。 **しゅけん【主権】**○国家を統治する最高の権力。[文例]国のあり方を最終的に決める力を主権といいます。♠◆日本国憲法では、主権は国民にあると定めています。 **じゅけん【受験】**○試験を受けること。[文例]〈受験に行く〉息子が函館[はこだて]のある高校へ受験に行くことになりました。♠◆〈受験する〉わたしは来年、国立大学を受験する予定です。♠<受験勉強〉看護婦の国家試験が間近なので、毎晩遅くまで受験勉強に励[は]んでいます。♠●〈受験生〉受験生がいる家庭では、家族全員がとても気をつかっているようです。♠〈大学受験>大学受験に失敗して、一年間浪人[6うにん]することになりました。 **しゅご【主語】**○文中で、述語の表す動作・作用・性質・状態などの主体になる語。[文例]「花が咲いた。」の「花が」の部分を主語といいます。♠●日本語では、主語を示さなくてもわかる場合には、ふつう主語は示されません。♠●文節どうしが、「何がどうする」「何がどんなだ」「何がなんだ」のように結びつく関係を、主語・述語の関係という。 **しゅご【守護】**○守ること。鎌倉・室町時代に置かれた軍事・警察をつかさどる職。[文例]〈守護する〉道祖神は、道の分かれ目などに祭られて、道行く人を守護する神です。♠●へ守護神>足の速い者をたとえていう韋駄天[いだてん]は、そもそもは仏法の守護神である。 **しゅこう【趣向】**○何かを作ったり物事を行ったりする上での工夫。おもむき。[文例]〈趣向を変える〉今年の忘年会は、 <487> ちょっと趣向を変えてみよう。♠●〈趣向をこらす食卓には、ささやかだが趣向をこらした手料理が並べられてあった。♠●へ奇抜な趣向>舞台いっぱいに白煙が立ちこめたかと思うと、本物の馬が走り抜けるという奇抜[きばつ]な趣向の芝居だった。 **しゅこう【首肯】**○うなずくこと。肯定すること。[文例]〈首肯する>当時、生意気盛りのわたしにも、先生の言葉は素直に首肯することができた。♠●〈首肯し難い〉あなたの考えにも一理[いちり]ありますが、全面的には首肯し難いものがあります。 **じゅこう【受講】**○講義・講習を受けること。[文例]〈受講する〉自分の子供のような若い学生と一緒に受講するのは、とても楽しい経験であった。♠●へ受講手続き〉今日は、カルチャーセンターの「源氏物語を読む会」の受講手続きをしてきた。♠◆<受講科目〉今年度の受講科目が決まった者は、所定の用紙に記入して教務課へ提出すること。 **しゅさい【主催】**○中心になって催しを行うこと。[文例]女王陛下主催のパーティーに出席できたのは、ごく限られた人たちです。♠●〈主催する〉新聞社が主催するコンクールに絵を出品する。♠●〈主催者〉主催者として、お集まりいただいた皆さんに一言述べさせていただきます。 **しゅさい【主宰】**○中心になって事を行うこと。また、その人。[文例]〈主宰する〉彼が主宰していた俳句の雑誌も、五十人の同人をかかえるまでになった。♠●〈主宰する>学生とはいっても、三十人の劇団を主宰する演出家ですからたいしたものです。 **しゅざい【取材】**○記事や作品などの題材・材料を集めること。[文例]〈豊富な取材〉作者は、豊富な取材に基づいてこの民話集をまとめています。♠<取材の旅〉アフリカのサバンナへ取材の旅に出かける。♠へ取材に行く>次の作品のために、東北の農村へ取材に行きます。♠●〈取材をする〉取材をする場合は、聞きたいことのポイントを整理してから出かけよう。♠●へ事件を取材する〉新聞記者は、事件を取材するために、朝から晩まで飛び歩いている。♠●〈民話に取材する〉アンデルセンの童話には、民話に取材したと思われる作品が多くあります。♠●へ旅に取材する>学生時代、半年間かけてヨーロッパ各地を歩いた旅に取材して、この作品ができました。♠<取材先〉取材する場合は、あらかじめ取材先に用件を伝え、相手の都合を聞くようにします。 **しゅし【種子】**○植物のたね。物事をうみだすもと。[文例]この黒く小さな種子から、どんな芽が伸び、どんな花が咲くのだろう。♠〈少年の心にまかれた種子は、その後みごとな花を咲かせた。 **しゅし【趣旨】**○物事の目的や理由。主旨。[文例]〈会の趣旨>郷土の川や湖を汚染[おせん]から守ろうというのが、この会の趣旨です。♠●ヘパーティーの趣旨〉このパーティーの趣旨は、新入生と上級生の交流を深めることです。♠●へ話の趣旨>制服はなくすべきだというあなたの話の趣旨は、わかりました。♠◆<趣旨に反する〉受験勉強にだけ生徒をしばりつけるのは、本校設立の趣旨に反する。♠●へ趣旨に沿う〉最近の生徒会は、生徒の自主的な運営という趣旨に沿っているであろうか。 **しゅし【主旨】**○(文章や談話などの)中心的な内容・意味。趣旨。[文例]〈評論・論文の主旨>一度、三度と繰り返し読んで、本論の主旨をつかみなさい。 **しゅじく【主軸】**○中心の軸。中心となる物事・人。[文例]〈チームの主軸〉これからはきみがチームの主軸となって、みんなを引っ張ってくれ。♠●へ活動の主軸〉才能のある人なので、短編、評論から短歌にまで手を染めましたが、彼の文学活動の主軸は何といっても詩です。 **しゅしゃ【取捨】**○取ることと捨てること。[文例]〈取捨をする〉材料はいろいろありますから、目的に合わせて取捨をする必要があります。♠●〈取捨する〉デザインは自分の個性に合わせで取捨しなさい。 **しゅしゃせんたく【取捨選択】**○選び分けてよいを取り、悪いものを捨てること。[文例]〈材料の取捨選択〉よいスピーチをするには、題材の選定から始まって、材料の取捨選択・構成の工夫・ことば選びなどの用意がいる。♠へ取捨選択する>読書も手当たり次第に行うのではなく、取捨選択して自分の心の糧[かて]となるものを読もう。 **しゅじゅ【種種】**○さまざま。いろいろ。とりどり。[文例]この記録から、筆者リンドバーグがいかに種々の困難に耐えて偉業を達成したかが、読み取れる。♠◆庭には種々の花が植えられ、四季折々に目を楽しませてくれた。♠●へ種々雑多>机の上には種々雑多なものが並べられ、本を広げる場所はどこにもなかった。 **じゅじゅ【授受】**○与えることと受け取ること。受け渡し。やりとり。[文例]〈金銭の授受>裁判では、金銭の授受の有無が焦点になっている。♠●へ情報の授受〉友人とは、さまざまな知識や情報の授受を通して互いを高め合いたいものだ。 **しゅじゅう【主従】**○主であることと従であること。主人と従者・家来。[文例]〈主従関係>封建制度は、君主が諸侯と主従関係を結び、領土を分け与え、各自領内の政治を行わせた制度である。♠◆●清[きよ]は昔風の女だから、自分とおれの関係を封建時代の主従のように考えていた。(夏目漱石「坊っちゃん」) **しゅじゅつ【手術】**○患部を切って行う外科治療。[文例]〈手術を受ける〉少女は、アメリカへ渡って心臓の手術を受けることになりました。♠●〈手術をする〉おじいちゃんは、三年前に手術をして、胃を半分とってしまいました。♠◆手術する>早く手術しないと手遅れになりますよ。 **じゅじゅつ(呪術)**○超自然的、神秘的な力を借りてする術。まじない。[文例]〈呪術を信じる〉この科学の世に、原始的な呪術など信じている者はいないだろう。 **しゅしょう【主将】**○選手の長。キャプテン。[文例]〈野球部の主将〉前田さんは野球部の主将で、わたしたちのあこがれの先輩[せんぱい]です。 **しゅしょう【首相】**○内閣総理大臣。[文例]〈一国の首相〉与党の総裁は、一国の首相としてふさわしい人物であってほしい。♠●〈首相の座〉一九三三年一月、ヒトラーが首相の座 <488> につくに及んで、ユダヤ人の運命は急転する。 **しゅしょう【首唱】**○他に先んじて唱えること。[文例]〈首唱する〉世の中の多くの人たちが無関心な中で、公害の危険を訴[うつた]え、その防止を首唱した人物がいた。 **しゅしょう【主唱】**○中心となって唱えること。[文例]〈主唱する〉与謝野鉄幹・晶子[よさのてつかんあきこ]らは浪漫主義[ろうまんしゅぎ]を主唱し、東京新詩社を結成し、雑誌「明星」を出した。 **しゅしょう【殊勝】**○けなげで感心なさま。[文例]〈殊勝に~する〉のんびり屋の息子も、今日は殊勝に机に向かっている。♠●へ殊勝な心がけ>宿題が終わるまでは一切[いつさい]遊ばないというのですから、殊勝な心がけです。♠●へ殊勝な気持ち〉先輩たちの前で、よろしくお願いします、と頭を下げた時のわたしは、実に殊勝な気持ちだった。 **しゅじょう【衆生】**○すべての生き物。[文例]〈衆生済度>仏像の優しい面立ちには衆生済度の願いがこめられているようだ。♠◆へ一切衆生〉〈衆生を救う〉観音様は、一切衆生の苦しみをお聞きになり、救いに来てくださるといいます。♠〈縁なき衆生〉いくらご利益[りやく]をおっしゃられても、わたしのような縁なき衆生には信心は起こりません。 **じゅしょう【受賞】**○賞を受けること。[文例]〈受賞の喜び〉趣味の絵が入選し、受賞の喜びを語る父の笑顔がわたしにはうれしかった。♠●〈受賞する〉ハインリッヒ=ベルは、ドイツの戦後派の作家でノーベル文学賞を受賞している。♠〈受賞者>市民文化賞の授賞式には受賞者が全員出席した。 **しゅしょく【主食】**○食事の中心となる食物。[文例]〈主食とする〉食生活の欧米化が進む中で、日本人の主食とされる米の価値が見直されている。♠〈主食と副食〉主食はもちろん大切ですが、副食もバランスよくとる必要があります。 **しゅじん【主人】**○一家のあるじ。自分の仕えている人。やとい主。客に対して、もてなす人。[文例]〈主人と家来>戦国時代には、力のある家来がその主人を滅ぼすということもあった。♠●〈店の主人〉パンクした自転車を持っていったら、自転車屋の主人は、ものの五分で直してくれた。♠〈家の主人〉主人とわたしは、学生時代に知り合って卒業すると同時に結婚しました。 **じゅしん【受信】**○通信・放送などを受けること。→送信・発信[文例]〈受信する〉新しく開発された衛星中継を受信するには特別な装置が必要とされた。♠●〈受信料>NHKですが、受信料をいただきにあがりました。♠●〈受信機〉あらしの海で無線の受信機が壊[こわ]れた時は、もう帰れないかと覚悟[かくご]を決めた。 **しゅじんこう【主人公】**○主人の敬称。物語・事件などの中心人物。[文例]〈小説の主人公〉小説の主人公がわたしと同じ名前なので、すっかり気に入ってしまったのよ。♠●〈夢の主人公〉この男優は、少女時代のわたしの夢と空想の主人公でした。 **じゅず【数珠】**○多くの小さなたまに糸を通し、輪にしたもの。仏を拝む時などに用いる。[文例]〈数珠をかける〉仏前に進んだわたしは、数珠をかけた両の手を合わせた。♠〈数珠つなぎ>土の中から数珠つなぎになったさつまいもが出てくると、芋掘[いもほ]りの園児たちは歓声をあげた。 **じゅすい(入水)**○水中に身を投げて死ぬこと。[文例]〈入水する>太宰治[だざいおさむ]は玉川上水に入水し、その命日は桜桃忌[おうとうき]と呼ばれている。♠●へ入水する>安寿[あんじゅ]が亡き迹[あと]は懇[ねんごろ]に弔[とむら]われ、又入水した沼の畔[ほとり]には尼寺[あまでら]が立つことになった。(森鷗外[もりおうがい]「山椒大夫[さんしようだゆう]」) **しゅせい【守勢】**○攻撃を防ぎ守る態勢。→攻勢[文例]〈守勢に立つ>敵の圧倒的な攻撃の前に、味方は終始守勢に立たされた。 **しゅぞく【種族】**○同一の種に属する生物。人種や民族などに基づく人類の分類。[文例]〈種族の繁栄>ゴキブリのように休眠しない昆虫は、一年じゅう世代を繰り返し、種族の繁栄をはかることができる。♠◆ヘアフリカの種族〉アフリカには、少数で独自の言語を持つ種族が多くある。 **しゅたい【主体】**○活動や働きの中心となる人・もの。他に動作や作用を及ぼすもの。外界を意識する自我。[文例]〈集まりの主体〉この集まりの主体となるのは母親であるみなさんですから、張り切って参加しましょう。♠●〈主体になる〉秋の音楽祭は、市民が主体になって行われた。♠<主体とする>現代の情報は、印刷から電波を主体とするものに変わりつつある。♠〈動作の主体〉文の中で、動作の主体を表すことばも主語になることがある。♠◆〈主体的〉人の意見にまどわされず、主体的に行動するのは、口で言うほど簡単ではない。♠〈主体性〉主体性をもって、勉強にも遊びにも取り組むと、はりのある生活が送れるでしょう。 **しゅだい【主題】**○中心的な題目。中心となる思想・題材。テーマ。[文例]〈物語の主題この物語は、貧しい家に生まれた少年が、自分の力で運命を切り開く姿が主題になっている。♠◆<作品の主題〉この作品は主題がはっきりしているので、作者の言いたいことがよくわかる。♠●〈主題をとらえる〉感想文は、作品の構成や表現に注意して主題をしっかりとらえることが大切だ。♠ヘ主題をつかむ〉詩を書く時には、何を書くか、主題をしっかりつかんで書くことです。♠〈主題歌>テレビドラマの主題歌が子供たちの間で大はやりだった。 **じゅだく【受諾】**○受け入れること。引き受けること。[文例]〈受諾する>昭和二十年八月十四日、日本はポツダム宣言を受諾し、翌十五日に大戦は終結した。♠●〈受諾する〉A氏は、かねてからのB氏の申し入れをこのほど正式に受諾した。 **しゅだん【手段】**○目的を果たすための手だて・方法。[文例]〈有効な手段>手紙は、自分の思っていることを相手に伝える際の有効な手段である。♠●へなんらかの手段〉〈手段を講じる〉急速に進む地球の砂漠[さばく]化をくい止めるためには、なんらかの手段を講じなければならない。♠●へ手段を選ばない〉〈目的と手段>目的のためには手段を選ばないという彼のやり方には、とてもついていけない。♠●へ最後の手段>医者は患者[かんじゃ]を救う最後の手段として、危険な手術に踏み切った。♠◆〈思い切った手段〉〈手段を取る〉世の中の乱れを直すためには、思い切った手段を取る必要があった。♠〈不正な手 <489> 段〉これは不正な手段でもうけた金ではありませんから、どうぞ受け取ってください。♠●〈手段に訴える〉今に見ていろ、どんな手段に訴[うつた]えてでもこの家は取り戻してみせるぞ。♠◆<手段を尽くす〉わたしは、あらゆる手段を尽くして彼を引き止めようとした。 **じゅち【主知】**○理知を重んじること。[文例]〈主知的>彼女は、わたしの知っている女性には珍しく、主知的にものごとを処理する能力を持っている。♠●〈主知主義〉感情に流れることなく、知的・理性的な判断を重視する立場が主知主義です。 **しゅちゅう【手中】**○手のうち。勢力・力の及ぶ範囲。[文例]〈手中に収める〉これで国民の心は手中に収めたも同然だ、と王はほくそえんだ。♠●〈手中に渡す〉今われわれが退却[たいきやく]すれば、味方の軍勢を敵の手中に渡すことになろう。♠〈手中にある〉この問題を解くかぎは、わたしの手中にある。 **しゅちょう【主張】**○自分の意見を言い張ること。また、その意見。[文例]〈主張を曲げる〉どんなに反対されても、彼は自分の主張を曲げようとはしなかった。♠●〈主張を貫く〉クラス全員の反論にあい、ぼくの主張を貫[つらぬ]くのは難しくなった。♠●〈主張が通る〉ああでもない、こうでもないと言いながらも、結局わたしの主張が通った。♠●〈権利を主張する〉彼は、自分の権利を主張するばかりでなく、それにともなう責任も果たしている。♠●〈無罪を主張する〉弁護士は、被告[ひこく]の無罪を主張した。♠●〈自説を主張する〉二人の学者は、お互いに自説を主張して譲らなかった。♠●〈自己を主張する〉二、三歳の幼児でも、自分を意識するようになると、自己を主張するようになる。 **しゅちょう【主調】**○主となる調子・傾向。[文例]〈作品の主調>幼くして死別した母への追慕[ついぼ]の情が、この作品の主調となっている。♠●へ曲の主調〉この曲の主調は、低音で構成されている。 **しゅちょう【首長】**○集団の長。かしら。[文例]〈自治体の首長>氏は、自治体の首長として、長年地域の発展に努めてきた。♠●へ首長とする〉ローマカトリック教とは、ローマ法王を首長とするキリスト教の一派をいいます。 **じゅつ【術】**○わざ。方法。やり方。たくらみ。[文例]〈乗馬の術>貴族たちは、乗馬の術を競い合った。♠●へ世渡[よわた]りの術>彼は、世渡りの術にたけているから、きっと出世が早いよ。♠〈忍びの術〉〈術を使う〉忍[しの]びの術というのは、忍者[にんじや]が使う術のことです。♠へ術を授ける>弟に、お手伝いを断る術を授けるなんて、なんというお兄ちゃんでしょう。♠●へ術に落ちる〉しまった、敵の術に落ちてしまった。♠●へ術をめぐらす〉われわれは、おとりを使ってなんとか敵をおびき出そうと術をめぐらした。♠●〈術をかける>魔法使いのばあさんが術をかけると、かぼちゃはたちまち馬車になりました。 **しゅつえん【出演】**○演劇や映画などに出て演じること。[文例]〈出演する〉この俳優[はいゆう]が出演する映画はもらさず見ています。♠●<出演者>芝居が終わると、再び幕が上がり、出演者全員が舞台の上からあいさつをしました。 **しゅっか【出荷】**○荷を積み出すこと。商品を市場に出すこと。[文例]〈ブドウの出荷〉ブドウの出荷が始まり、どこの農家も収穫の作業に忙しい。♠●へ出荷する〉農作物などは早い時期に出荷すれば高く売れ、収入も多くなります。♠へ出荷量>今年はミカンが不作で、出荷量も少なく、高値が予想される。 **しゅっか【出火】○火事を出すこと。[文例]〈出火する>風呂[ふろ]の残り火から出火し、たちまち続きの納屋[なや]を焼き、裏山の木に燃え移って大騒ぎとなった。 **じゅっかい【述懐】**○心の中を述べること。また、その内容。[文例]〈心境を述懐する>元大使は、手記の中で当時の心境を次のように述懐している。♠●へ昔を述懐する〉老人はうなずきながら、遠い昔を述懐し始めた。♠●へ述懐を聞く>友人の述懐を聞いて、わたしは彼の身の上に同情せずにはいられなかった。 **しゅつがん【出願】**○願い出ること。願書を出すこと。[文例]〈出願する〉世の中には発明マニアがいるもので、特許を出願する人が大変多いということです。♠◆〈出願者>定員百名のところに千名を超える出願者が殺到[さつとう]した。 **しゅっきん【出勤】**○勤め先に出かけること。[文例]〈出勤する〉サラリーマンたちが出勤する時間帯は、バスも電車も大変な込みようです。♠◆〈出勤時〉工場の出勤時の風景は、今も昔もあまり変わりません。♠◆〈休日出勤〉以前は休日出勤も多かったが、最近は夜も早く帰宅するようになった。 **しゅっけ【出家】**○俗世間を離れ、仏門に入ること。また、その人。[文例]〈出家の身〉わたしは、出家の身ですから、俗世とは離れて仏様にお仕えしております。♠●へ出家する>死んだ子供を弔[とむら]うために、出家することにしました。 **しゅつげき【出撃】**○攻撃のために基地を出ること。[文例]〈出撃の命令>出撃の命令を受けた特攻隊員[とつこうたいいん]の中に、まだ少年の面影[おもかげ]が残る若者がいた。♠●へ出撃する〉山の上にあがったのろしは、「出撃せよ」の合図だ。 **しゅっけつ【出血】**○血が出ること。犠牲をはらうこと。[文例]〈出血が止まる〉適切な応急処置によって出血が止まった。♠●〈出血する〉一度出血すると、なかなか止まらない病気があります。♠●〈出血多量〉けが人は病院へ運ばれたが、出血多量で危険な状態だ。♠●へ出血サービス〉全品半額の出血サービスでお客様のご愛顧におこたえしています。 **しゅっけつ【出欠】**○出席と欠席。出勤と欠勤。[文例]〈出欠をとる〉出欠をとりますから、呼ばれた人は返事をしなさい。♠●〈出欠の返事〉同窓会の案内のはがきが来ていたが、まだ出欠の返事を出していなかったな。 **しゅつげん【出現】**○現れ出ること。[文例]〈キリストの出現〉のちにキリストと言われたイエスの出現は、イスラエルの民人[たみびと]にとって救いであり、心の支えであったという。♠◆〈コンピューターの出現〉コンピューターの出現によって、わたしたちの仕事の内容や仕組みが、日に日に変わってきている。♠●へ出現が待たれる〉このチームが強くなるためには、強力な新人選手の出現が待たれる。♠●〈出現する>化学肥料が出現する前は、たい肥や人間のしもごえなどの有機 <490> 肥料を使っていた。♠ヘテレビが出現する〉テレビが出現したために、映画館に出かける人が少なくなったという。♠〈文明が出現する〉ナイル川の流域に高い文明が出現したのは、紀元前三千年ごろといわれる。 **しゅっこう【出港】**○船が港を出ること。[文例]〈出港する〉夏はいいとして、冬には朝早く出港する漁師の仕事は厳しい。 **しゅっこう【出航】**○航海に出ること。[文例]〈出航する〉家族たちの見送りを受けて太平洋航路の氷川丸[ひかわまる]が横浜港を出航して行く。 **じゅっこう【熟考】**○よく考えること。[文例]〈熟考のうえ〉この件は即断できない難しい部分を含んでおりますので、熟考のうえ返答いたします。♠●へ熟考する〉その場で答えられない事は、熟考する時間をもらったほうが責任ある態度がとれる。 **しゅっこく【出国】**○国を出ること。しゅつごく。[文例]〈出国する〉戦いが激化[げきか]し、わたしたちは命からがらその国を出国しました。♠●〈出国の手続き〉国によっては、入国や出国の手続きが非常に厳しいことがあります。 **しゅつごく【出国】**♪しゅっこく **しゅつざ【出座】**○座に姿を現すこと。[文例]〈奉行[ぶぎよう]の出座>表向きの出座ではないが、奉行が取り調べの模様をそれとなく見に来ていた。♠●〈出座する〉領主が出座すると、家来の者は深々と頭を垂れ敬意を表した。 **じゅっさく【術策】**○はかりごと。たくらみ。策略。[文例]〈術策を用いる〉男は、さまざまな術策を用いては次々と人をだましていた。♠●〈術策をろうする〉下手な術策をろうせずとも、敵は向こうから白旗[しらはた]を立ててくるだろう。♠●へ術策に陥[おちい]る>敵の術策に陥ったとあっては、末代[まつだい]までの恥[はじ]である。心してかかれ。 **しゅっさん【出産】**○子を産むこと。[文例]〈出産する〉姉は昨夕入院し、けさ方早く無事に女の子を出産しました。♠<出産予定日〉出産予定日はまだ先だったが、無理がたたっての早産だった。 **しゅっし【出資】**○資金・資本を出すこと。[文例]〈出資する〉この店は、大手菓子メーカーが全面的に出資するチェーン店です。♠へ出資金>生協は、組合員の出資金をもとにその事業を運営している。 **しゅつじ【出自】**○出生した所・家。物事のでどころ。[文例]その婦人はいつどんな家に生まれたか、その出自も年齢も知る人がありません。♠●〈出自が高い〉その姓から察するに、その男はもと公家[くげ]か何か、出自の高い人物と思われた。 **しゅっしゃ【出社】**○会社に出ること。[文例]〈出社する〉「庶務課[しょむか]の鈴木さんはいるかい?」「今日は出社していません。」♠〈出社時間>編集者にはそれぞれの仕事の事情があって、出社時間が一定しないことが多い。 **しゅっしょ【出所】**○でどころ。出生地。刑務所を出ること。[文例]〈出所が不明〉今年秋ごろに大地震が襲[おそ]うというデマが飛んでいるが、その出所は不明だ。♠●〈出所をただす〉妙なうわさが流れているが、出所をただし真偽[しんぎ]を明らかにしてほしい。♠●へ出所する〉彼は模範囚[もはんしゅう]だったため、刑期より早く出所した。 **しゅっしょう【出生】**♪しゅっせい **しゅつじょう【出場】**○その場に出ること。試合や競技などに参加すること。[文例]〈出場が決まる兄は、スキーのジャンプの選手として、国体に出場が決まった。♠へ出場する〉我が校のブラスバンド部が全国吹奏楽[すいそうがく]コンクールに出場することになった。♠◆へ出場者〉次の百メートル走の出場者のみなさんは、至急、スタート地点にお集まりください。 **しゅっしょく【出色】**○きわだってすぐれていること。[文例]〈色の出来>展示された数多くの作品の中でも、彼の作品は出色の出来であった。♠◆へ出色の力〉大勢の人がオーディションを受けたが、出色の力を持つ新人は見当たらなかった。 **しゅっしん【出身】**○その土地の出であること。その学校や身分などを経ていること。[文例]〈秋田県出身>叔父は、秋田県出身の女性と結婚しました。♠◆<出身地>出身地も経歴も言えないようでは、うちの店では雇えないよ。♠〈出身者〉あの店のマスターは新潟の人だから、店に新潟の出身者が集まるらしい。♠◆〈出身校>多摩[たま]市立多摩第二小学校は、わたしの出身校です。 **しゅつじん【出陣】**○陣を出ること。戦場に出ること。[文例]〈出陣する>戦時中は、日の丸の小旗を振りながら、出陣する兵士を見送る風景があちこちに見られた。♠◆〈学徒出陣>戦局の悪化に伴い、学生たちの徴兵猶予[ちようへいゆうよ]の特権も廃止され、学徒出陣が実行された。 **しゅっせ【出世】**○世に出て多くの人に知られること。社会的地何を得ること。[文例]〈出世が早い〉あいつは、仕事ができるからきっと出世が早いぞ。♠●〈出世の妨げ〉きみたちみたいな遊び好きの社員とつき合うと出世の妨げになるかな?♠〈出世する>豊臣秀吉[とよとみひでよし]は、織田信長[おだのぶなが]に仕え、低い身分から出世して天下を統一しました。♠●〈出世街道〉お父さん、課長になったの。へえ、出世街道まっしぐらだね。♠●へ出世魚〉ブリのように、成長するに従って呼び名の変わる魚を出世魚といいます。 **しゅっせい【出生】**○生まれること。誕生。その土地の生まれであること。しゅっしょう。[文例]〈出生の秘密〉少年は、ふとしたきっかけで自分の出生の秘密を知る。♠●〈出生届け〉子どもが生まれたら、親は十四日以内に役所に出生届けを出すことが義務づけられている。 **しゅっせい【出征】**○軍隊に加わって戦場に行くこと。[文例]〈出征する〉わたしが生まれた翌年、父は出征し、二度と帰らぬ人となった。♠●〈出征兵士〉出征兵士の家族は、悲しみを口に出すこともできず、「万歳[ばんざい]」を叫[さけ]んで愛する者を戦地へ送らなければならなかった。 **しゅっせき【出席】**○授業や会合などに出ること。[文例]〈出席をとる>先生は、毎朝出席をとって、出席簿に記入します。♠●〈出席する>夏休み中の補習授業に出席することにした。♠●〈出席者>明日の会合の出席者は、朝九時に公民館に <491> おいでください。 **しゅつだい【出題】**○問題を出すこと。題を出すこと。[文例]〈出題する〉問題は口頭で出題しますから、正しく聞き取って答えなさい。♠●〈出題者〉出題者の問いに早く答えた人が得点し、最も得点数の高い人がチャンピオンです。 **しゅったつ【出立】**○旅などに出ること。[文例]〈出立する〉兄は家を売って財産を片付けて任地へ出立すると云[い]い出した。(夏目漱石「坊っちゃん」)♠◆〈出立の日〉いよいよ出立の日は明日に迫った。 **しゅっちょう【出張】**○仕事で旅先へ行くこと。[文例]〈出張する〉一週間、商談をまとめるために、ニューヨークへ出張することになった。♠◆〈出張を命じる〉課長に代わって名古屋の支店へ出張を命じられた。♠◆〈出張帰り〉出張帰りに、わたしは学生時代四年間を過ごした町へ立ち寄った。 **しゅってん【出典】**○出どころとなった書物や文章。[文例]〈出典を示す〉他人の文章を引用した場合などは、その出典を示す必要があります。♠ヘことわざの出典〉ことわざは庶民の生活の知恵から生まれたもので、出典やそれを言った人が明らかでないものが多い。 **しゅつど【出土】**○遺物などが土の中から出ること。[文例]〈出土する〉これは、出土した頭蓋[ずがい]をもとにして描[えが]かれたネアンデルタール人の想像図です。♠●〈出土品>石器や土器などの出土品や住居跡[あと]は、古代の人々の生活を知る貴重な資料です。 **しゅつどう【出動】**○(軍隊・警察などの集団が)任務を遂行するために出かけること。[文例]〈軍隊が出動する〉反政府派の過激な行動を抑[おさ]えるため、戒厳令[かいげんれい]がしかれ軍隊が出動した。♠●へ救急車が出動する〉けんかが大きくなり、けが人も出て、救急車が出動する騒[さわ]ぎとなった。♠〈出動命令〉被災地の救出活動のために、自衛隊に出動命令が出された。 **しゅつにゅう【出入】**○出ることと入ること。でいり。ではいり。[文例]〈金銭の出入〉金銭の出入については、きちんと記帳して管理するほうがよい。♠●〈出入する〉この論文は(………………)実は広田の家に出入する文科大学生小川三四郎なるものの筆である事まで分っている。(夏目漱石「三四郎」) **しゅつば【出馬】**○馬に乗ってその場に臨むこと。出陣すること。主要な人物がその場に出向くこと。選挙に立候補すること。[文例]〈奉行[ぶぎよう]の出馬〉江戸市中を騒がせる怪盗の犯行ということで、現場には奉行じきじきの出馬となった。♠〈出馬する>知名度の高いタレントが参院選に出馬するといううわさだ。 **しゅっぱつ【出発】**○目的地に向かって出かけること。[文例]〈出発の準備〉そろそろ雨も上がったようだから、みんな、出発の準備をしてくれ。♠●へ出発の時間〉汽車の出発の時間まで一時間あったので、駅の付近をぶらついてみた。♠◆〈出発の合図>隊長の出発の合図とともに、幌馬車[ほろばしゃ]隊は西へ向けて進み始めた。♠●へ出発が遅れる>悪天候のため、飛行機の出発はだいぶ遅れていた。♠●〈旅に出発する〉大学を無事卒業すると、彼は、アメリカ大陸横断の旅へと出発した。♠●へ新しい人生に出発する〉二人はめでたく結婚[けつこん]し、新しい人生に出発しました。♠●〈出発点〉世界を新しい目で見直すこと、これが芸術の出発点だと言う人もいます。 **しゅっぱん【出版】**○書籍を印刷・発行すること。[文例]〈本を出版する〉この絵本は、一九四九年にドイツで出版されたものです。♠◆◇日記を出版する〉彼らは、若くして自ら命を断った少女の日記を出版するために力を注いだ。♠◆<出版社>姉は、出版社に勤務して、女性向けの月刊誌を作っている。♠●〈出版物>現代は情報時代といわれるだけあって、ラジオ、テレビ、様々な出版物などによってたくさんの情報が得られる。 **しゅっぴ【出費】**○お金がかかること。また、かかったお金。[文例]〈出費が多い>暮れは何かと出費が多く、家庭の主婦としては頭が痛い。♠●へ出費がかさむ>子供の進学などで出費がかさみ、家計のやりくりが大変だ。♠●へむだな出費〉むだな出費をしないよう、財布のひもをしめましょう。 **しゅっぴん【出品】**○品物や作品を展覧会・コンクールなどに出すこと。[文例]〈展覧会に出品する>展覧会に出品した少年の作品は、審査員たちをうならせた。♠ヘバザーに出品する〉お年寄りたちが作った陶器[とうき]などもバザーに出品し、販売する予定です。 **しゅつぼつ【出没】**○姿を現したり、隠れたりすること。[文例]〈海賊[かいぞく]が出没する>海賊船が出没する危険な海を、男たちは勇敢[ゆうかん]に航海を続けた。♠〈空き巣が出没する〉近ごろ、この辺りに空き巣が出没しているのでご用心ください。♠◆ヘゲリラが出没する〉山岳地帯は、ゲリラが出没する危険極まりない地域で、だれも近づけないという。 **しゅっぽん【出奔】**○逃げて行方をくらますこと。[文例]〈出奔する>彼は十五歳の時、奉公[ほうこう]先を出奔して江戸に出、人に言えない苦労を重ねて今の身代[しんだい]を築いた。♠●夫の出奔によって、かず子は夫が会社の金に手をつけていたことを知った。 **しゅつらんのほまれ(出藍の誉れ)**○(「青は藍[あい]よりいでて藍より青し」から)弟子が師をこえること。[文例]「出藍の誉れ」は、「青は藍より出でて藍より青し」という荀子[じゅんし]の言葉からできた格言で、弟子が師を越えることをいう。♠●へ出藍の誉れ高い〉師は、出藍の誉れ高いその弟子の死の知らせに接し、急に年老いたように感じた。 **しゅつりょう【出漁】**○漁に出ること。[文例]〈出漁する>海の男たちは、今日も、厳しい北風の吹く中を小舟に身を託[たく]して出漁する。♠●へ出漁を見合わせる〉さすがの海の男たちも、各国艦隊[かんたい]の出動で緊張する中では、出漁を見合わせるしかなかった。 **しゅつりょく【出力】**○機械などが出すエネルギーや仕事量など。コンピュータに入力されたデータを処理して、新しい情報として出すこと。→入力[文例]〈エンジンの出力〉このエンジンの出力は、一二〇馬力です。♠●〈出力する〉データを入力すると、コンピュータは分析[ぶんせき]の結果をリストに出力してきた。♠●へ出力する〉機械的なエネルギーを電気エネルギーに変えて出力する機械が発電機です。 <492> **しゅと【首都】**○政府のある都市。首府。[文例]もとより、日本の首都は東京です。♠●ルネサンスは、イタリアのトスカーナ地方の首都フィレンツェを中心にしておこりました。 **しゅどう【手動】**○動力によらず、手で動かすこと。[文例]〈手動ポンプ〉今どき、手動ポンプで地下水をくみ上げて使っている家はめずらしいでしょう。♠●〈手動式>ぼくの鉛筆削りは手動式で、いちいち自分の手で動かさなくてはならない。♠ヘ手動ブレーキ〉電車には、手動ブレーキが取り付けてある。 **しゅどうけん【主導権】**○主となって物事を動かしていく力や資格。イニシアチブ。[文例]〈主導権を握る〉ぼくたちのチームは四回に逆転して、試合の主導権を握った。♠●へ主導権がある〉我が家では、休日の主導権は母にあります。 **じゅどう【受動】**○他の動作・作用を受けること。受け身であること。→能動[文例]〈受動と能動〉欧米を模倣[もほう]してきた日本も、そろそろ受動から能動へ転じる時期がきたようだ。♠◆〈受動的〉いつも相手の言う事を聞いているだけの受動的な態度では困りますね。♠●〈受動態〉「猫[ねこ]がねずみを捕[と]らえた。」という文を受動態にすると、「ねずみが猫に捕らえられた。」となります。 **じゅなん【受難】**○苦難や災難を受けること。[文例]〈受難の歴史>迫害[はくがい]と受難の歴史をたどりながらも、キリスト教は世界じゅうに広まっていきました。♠●〈キリストの受難〉イエスキリストは、受難ののち、三日目に復活したといわれます。 **しゅのう【首脳】**○組織・集団の中心となる人。[文例]〈首脳会談>日米首脳会談で、この問題について両国の協力を推進することを確認した。♠●〈首脳部〉会社の首脳部が集まって、今後の販売体制を検討中である。 **しゅはい【酒杯】**(酒盃)○さかずき。[文例]〈酒杯を挙げる〉戦いは勝利した。さあ、みんなで歓喜の酒杯を挙げよう。♠〈酒杯をとる〉イエスは、ブドウ酒を入れた酒杯をとり、これはわたしの血であると弟子たちに示した。♠<酒杯をかたむける〉わたしが嫁[とつ]いだ日、父は夜更けまで独り酒杯をかたむけていたという。 **じゅばく(呪縛)**○まじないをかけて動けなくすること。精神の自由を奪うこと。[文例]〈呪縛にかかる〉教祖の言葉を聞く信者たちは、呪縛にかかったように目の輝きを失っていった。♠ヘ呪縛が解ける>魔法をかけられた姫にその薬を飲ませると、呪縛が解け、目を覚ました。♠●〈観念の呪縛〉〈呪縛を解く〉わたしたち現代人は、進歩や発展という観念の呪縛を解き、命あるものの幸せとは何かを考えてみる必要がある。 **しゅび【守備】**○攻撃に備えて守ること。競技の守り。[文例]〈国境の守備〉〈守備にあたる〉兵士たちは、休むまもなく、国境の守備にあたっていた。♠●へ守備をかためる〉隣国が兵を増強しているので、守備をかためる必要がある。♠◆<守備につく〉チャンスに三振でうちとられ、この回の攻撃はこれで終了。みんなグラブを持って守備についた。♠●〈守備する〉敵の攻撃にそなえ、軍隊が国境を守備している。 **しゅび【首尾】**○頭と尾。初めと終わり。物事の経過や結果。都合をつけること。[文例]〈首尾一貫>自分の書いた文章が首尾一貫しているか、最初から読み直してみよう。♠●〈上々の首尾>姉のお見合いは上々の首尾だったらしく、両親は上機嫌[きげん]で帰ってきました。♠●〈首尾よく〉作戦は、想定通り首尾よく成功した。♠〈首尾する>手下[てした]が首尾しておいたので、門はすぐに開き、盗賊[とうぞく]たちはなんなく屋敷に忍びこんだ。 **しゅふ【主婦】**○家事をきりもりしている婦人。[文例]〈家庭の主婦>家庭の主婦としてわたしは、炊事[すいじ]、洗濯、掃除、子供の世話、なんでも手際[てぎわ]よくこなします。♠◆〈主婦の座〉嫁[よめ]に来たからには、姑[しゅうとめ]からこの家の主婦の座をうばいとるつもりでがんばります。 **しゅふ【首府】**○首都。[文例]キュリー夫人は、ポーランドの首府ワルシャワに生まれました。 **しゅほう【手法】**○わざ。技術・技法。やり方。[文例]〈伝統的な手法〉濃い色から淡くぼかすやり方は、染色の伝統的な手法の一つです。♠◆人斬新[ざんしん]な手法〉芥川龍之介[あくたがわりゅうのすけ]は、鋭い感受性と斬新な手法を持った理知的な作家である。♠〈巧[たく]みな手法この作品では、巧みな心理描写の手法が用いられている。♠◆ヘリアリズムの手法〉〈手法を取る〉幻想や夢の世界を退[しりぞ]け、現実を厳しく見すえたリアリズムの手法をとった詩。♠〈人手法を用いる〉作者は、表現を効果的にするためにどんな手法を用いているか。 **しゅぼう【首謀・主謀】**○悪事や陰謀などの中心人物。[文例]〈主謀者>農民を守るために立ち上がった名主[なぬし]は、反乱の主謀者として捕[と]らえられ、処刑された。 **しゅみ【趣味】**○おもしろみ。好み。好尚。おもむき。楽しみのためにする事柄。[文例]〈読書が趣味>佐藤君は、読書が趣味で、本をたくさん持っています。♠●〈高尚[こうしよう]な趣味〉〈趣味を持つ〉わたしは、趣味といえるほど高尚な趣味は持っていません。♠●へ趣味がいい・悪い〉山本さんの着ているもの、趣味がいいわね。♠●へ趣味が広い〉彼女は、音楽に絵にスポーツにと、趣味が広い。♠●〈趣味に合う〉コンピュータってのは、どうもおれの趣味にゃ合わねえ。♠●〈趣味を生かす〉何か趣味を生かした仕事をと考えているのです。♠●〈趣味と実益をかねる〉泳ぐのは楽しいし指導員のバイトもできるから、趣味と実益をかねているのよ。♠●〈少女趣味〉おやおや、母さん、人形なんか買ってきて、顔に似合わない少女趣味だね。 **じゅみょう【寿命】**○命の長さ。物の耐用期間。[文例]〈寿命がつきる「わしの寿命は、これでつきるのか。」敵に囲まれた城主は自ら城に火を放った。♠●へ寿命がくる〉愛犬マロは、寿命がきて死んでしまいました。♠●へ寿命が延びる>生活水準の向上や医学の発達などで、寿命が延びました。♠〈寿命がある〉おばあちゃんももう少し寿命があったら、わたしの花嫁姿を見せられたのにね。♠●へ寿命が長い。短い〉一般にヒトは他の動物より寿命が長い。♠●〈電球の寿命〉お勝手の蛍光灯、チカチカするの、もう寿命ね。♠●〈平均寿命> <493> 日本人の平均寿命は八十歳まで延び、日本は世界一の長寿国になりました。 **しゅもく【種目】**○種類別に分けられたそれぞれ。また、その名目。[文例]〈オリンピックの種目〉野球がオリンピックの種目に入りました。♠◆く競技の種目>陸上競技の跳躍種目には、走り高跳び、走り幅跳び、三段跳び、棒高跳びがあります。 **じゅもく【樹木】**○木。立ち木。[文例]〈樹木が茂る〉朽[く]ちかけた門の中には、樹木が茂って家の姿を隠していた。♠◆樹木を切り倒す>山野の樹木が次々と切り倒され、山がくずされてゆく。 **じゅもん(呪文)**○まじないの言葉。のろいの言葉。[文例]〈呪文を唱える〉アラジンが呪文を唱えながらランプをこすると、真っ黒な煙[けむり]が舞い上がりました。♠●へ呪文を唱える〉魔法[まほう]使いが呪文を唱えて、魔法を解かなければ、王様は一生眠りについたままです。♠●〈呪文のように唱える〉おばあさんは坊さんから教わった言葉を、毎朝毎晩呪文のように唱えていた。 **しゅやく【主役】**○中心となる役柄。また、それを演じる人。主要な役割。[文例]〈主役を演じる〉この映画の主役を演じている女優が、ぼくは大好きなんだ。♠●〈主役をつとめる〉今度の学芸会にやる劇で、ぼくは主役をつとめることになった。♠◆歴史の主役〉〈主役をになう〉いつどんな時代でも、歴史の主役をになうのは名もない人々のはずだが・・・・・・。しかし、この役は何とむくわれないのだろう。 **じゅよ【授与】**○授け与えること。[文例]〈授与する〉これから卒業生全員に卒業証書を授与します。♠●〈授与式>授与式が行われ、入賞者にそれぞれ賞状と賞金が贈られました。 **しゅよう【主要】**○主だっていて重要であること。[文例]〈主要なメンバー>さて、これでこの会の主要なメンバーは集まったわけだ、と警部は話の口火を切った。♠●〈主要な任務>広報部の主要な任務は、企業の活動を広く消費者に知らせることだ。♠●ヘ主要部分〉報告書の主要部分に意味の取りづらい表現があったので、書き直しているところです。 **じゅよう【需要】**○必要として求めること。商品を購入しようとする欲求。[文例]〈石油の需要>五十年ばかり前には、石油の需要はさほど多くなかったが、今ではエネルギー源の大部分を占めている。♠●へ需要が多い>発展途上[とじよう]国では、機械や建造物の資材として、鋼鉄の需要が多い。♠●へ需要が増す〉この町に人口が集中するにつれて水の需要が増し、川の水を取り入れるための大規模な導水管が造られた。♠◆〈需要が減る〉カラーテレビの普及[ふきゆう]により、白黒テレビの需要は急激[きゆうげき]に減り、現在はほとんど生産されていないようだ。♠●へ需要がない〉その品はもうほとんど需要がないので、店には置いてありません。♠●〈需要にこたえる〉お客様の需要にこたえるのが、当店の役割です。♠●へ需要を満たす>子供から老人まで、広い年齢層[ねんれいそう]の需要を満たすのは、なみたいていではなかった。♠●へ需要と供給>製品の価格は、需要と供給のバランスによって、少しずつ変化していきます。 **じゅよう【受容】**○受けて中へとりこむこと。受け入れること。[文例]〈言葉の受容〉外来語の柔軟[じゅうなん]で節度ある受容によって、日本語の世界は豊かになっていくでしょう。♠●〈受容する〉明治以降、日本は欧米の文明を受容し、近代化を図ってきた。♠へ受容器>動物の皮膚には、外部からの刺激を受け止める受容器がある。 **しゅら【修羅】**○戦闘を好むという古代インドの悪神。阿修羅[あしゅら]。[文例]〈修羅のちまた>勇士にあこがれた若者が修羅のちまたで見たものは、残虐[ざんぎゃく]な殺戮[さつりく]だけだった。♠へ修羅のごとく〉女の心は、修羅のごとく激しい怒[いか]りと嫉妬[しつと]に燃えた。♠●<修羅場〉己[おのれ]の欲望を追求するのみで、他者のそれを認めないとしたら、この世は修羅場となってしまう。 **じゅり【受理】**○受け取って、おさめること。(書類などを)受け付けること。[文例]〈受理する〉この辞表を受理することはできない。もう一度よく考えてみたまえ。♠●〈金品[きんぴん]の受理>長官は、不正な金品の受理を厳しくいましめた。 **じゅりつ【樹立】**○打ち立てること。[文例]〈新記録の樹立>世界新記録の樹立によって、彼は短距離の王者となった。♠◆〈政権を樹立する〉源頼朝[みなもとのよりとも]は、鎌倉に幕府を開き、武家政権を樹立した。♠●〈新風を樹立する〉俳句の世界に写生説を導入した子規は、続いて万葉調の新風を樹立して短歌の革新を図った。 **しゅりゅう【主流】**○川などの主な流れ。中心的な流派・勢力。主な傾向。[文例]〈主流をなす〉支流がいくつも集まって主流をなした川は、ゆったりと平野を流れる。♠へ会の主流〉〈主流を形成する〉会の主流を形成する人たちの考えに賛成できない者が集まって策を練った。♠◆◇主流を占める〉当時の詩壇の主流を占めたのは、これら抒情[じょじよう]派の詩人であった。 **しゅりょう【首領】**○集団のかしら。頭目。[文例]一団の首領「紅はこべ」を首領とする一団は、革命政府の厳しい目をくぐっては、悠然[ゆうぜん]とフランス貴族を救出する。♠◆<盗賊[とうぞく]の首領>呪文[じゅもん]を忘れて洞穴[ほらあな]に閉じ込められてしまったカシムは、盗賊の首領に切り殺されてしまう。 **しゅりょう【狩猟】**○野生の鳥獣をとること。狩り。[文例]〈農耕と狩猟>農耕や狩猟によって生活していた当時の人々には、野生動物は極めて身近で、かつ大切なものだった。♠◆<狩猟生活>その島の奥地には、狩猟生活を営む未開の部族がいる。 **じゅりょう【受領】**○金品を受け取ること。[文例]〈受領する〉領収証は、金銭を受領した証拠になるものなので、大切に保管しておきましょう。♠●へ受領印>それでは、お受け取りになったしるしに、ここに受領印をお願いします。 **しゅりょく【主力】**○主な力。中心になる勢力。[文例]〈守りの主力〉この新型戦闘機は、北の守りの主力です、と長官は胸をはってみせた。♠●〈主力を注ぐ>夏休みの勉強は、苦手な英語に主力を注ぐつもりです。♠●〈主力選手>上野君は、我がサッカーチームの主力選手です。 **しゅるい【種類】**○物事を分類したもののそれぞれ。[文例] <494> 〈種類がある〉星には、大きく分けて、恒星[こうせい]と惑星[わくせい]の二つの種類がある。♠●へ品物の種類〉デパートの婦人服売り場は品物の種類が多く、品数も豊富です。♠●へ種類に分ける>単語は、文法的な性質の違いによって、いくつかの種類に分けられる。♠●へ種類が異なる〉種類の異なる動物は、生存のための争いをするが、仲間どうしでは致命[ちめいてき]的な争いをしないものだ。♠●へ種類に属する〉トカゲもヘビもハチュウ類で、同じ種類に属する動物です。♠●〈種類による〉食品の種類によっては、すぐ悪くなるものがあるので、梅雨時[つゆどき]は特に注意しなければならない。♠◆ヘこういう種類の〜〉こういう種類の犯罪が二度と起こらないようにと、関係者は願った。 **しゅれん【手練】**○熟練した手ぎわ。[文例]〈手練の早技〉すりは、手練の早技で懐[ふところ]の財布を盗[ぬす]み、姿をくらました。♠〈手練の腕前〉年季の入った板前さんの手練の腕前で、こいはたちまち活作[いけづく]りにされてしまった。♠◆入懇[じつこん]の弥五兵衛[やごペエ]に深手を負わせて、覚えず気がゆるんでいたので、手練の又七郎も少年の手にかかったのである。(森鷗外[もりおうがい]「阿部一族」) **しゅわん【手腕】**○腕まえ。力量。[文例]〈商売の手腕〉〈手腕がある〉彼女には客商売の手腕があるらしく、喫茶店ははやっていた。♠〈料理の手腕〉〈手腕を備える〉料理の手腕を備えた女だったから、ありあわせのものでもうまい食事を作ってくれた。♠〈政治的手腕〉〈手腕を発揮する〉会長は政治的手腕を発揮して、会をうまくまとめていった。♠●へ手腕をふるう〉彼は今の地位につくと、手腕をふるって業績をのばした。♠●へ手腕を要する〉年賀状のいも版といっても、これがなかなか芸術的な手腕を要するのです。 **しゅん(旬)**○野菜や魚などの最も味のよい時期。[文例]〈旬のもの〉お惣菜[そうざい]には旬のものを大いに利用しましょう。♠〈旬の野菜>旬の野菜を使って、安くておいしい料理を作るようにしています。♠●〈サンマの旬〉サンマは今が旬、油ものって一番おいしい時だ。♠◆◇旬を過ぎる〉野菜でも魚でも、旬を過ぎると味が落ちます。 **じゅん【順】**○一定の並び・配列。[文例]〈身長の順〉〈順に並ぶ〉身長の順に一列に並びなさい。♠◆へ順を追う〉変わりばえがしないようでも、一日の生活を順を追って思い返してみると、いろいろなことがあるものです。♠◆へ順送り〉少し余地ができたので、順送りにぼくはデッキから車内に身を入れた。♠●〈五十音順〉国語辞典というのは、ふつう日本語を五十音順に並べてある。 **じゅん【純】**○まじりけのないこと。いつわりのないさま。純情。[文例]〈純な心>子供は、純で正直な心ばかり持っているわけでなく、けっこうずるいところもあるものだ。♠〈純な男>好きな女性に声をかけられただけで、顔を赤らめるなんて純な男だ。♠●〈純日本式〉小田君とマリーさんの結婚式は、神前で純日本式にとり行われました。 **じゅんあい【純愛】**○純粋な愛。[文例]小説「嵐[あらし]が丘[おか]」は、捨て子ヒースクリフとキャサリンとの純愛を秘めた悲劇の物語です。♠●へ純愛物語〉この小説は、裕福[ゆうふく]な家の若者が貧しい村娘を恋するという純愛物語です。 **じゅんい【順位】**○順序に従ってつけた位置・地位。順番。[文例]〈順位をつける〉子供たちの好きなおかずに順位をつけると、一位は断然ハンバーグ、二位はオムレツとなるそうです。♠●へ群れの順位〉ニホンザルの群れは、ボスを頭[かしら]とする順位によって秩序づけられている。♠●へ〈成績の順位〉ぼくと彼は、いつも成績の順位が接近しています。 **じゅんいつ【純一】**○うそいつわりがなく、いちずであるさま。まじりけのないさま。[文例]〈純一な気持ち〉わたしは負傷者を助けたいという純一な気持ちで、敵味方の区別なく熱心に看護した。♠●〈純一な光〉彼の目には、その言葉通りの純一な光が宿っていた。♠●〈純一無雑〉わたしは、静かに降る春の雨の中に純一無雑に自分をとかしこんでいった。 **じゅんえん【順延】**○予定を翌日へと順ぐりに延ばすこと。[文例]〈順延する〉市民の手作りいかだによる川下り大会は、悪天候の場合は順延されます。♠●〈雨天順延>雨天順延とあれば、当日が雨なら翌日に行うということでしょう。 **じゅんか【純化】**(醇化)○まじりけをなくすること。純粋なものにすること。[文例]〈言語の純化〉アカデミーフランセーズは、フランス語の純化のために、正しく美しい標準語を定める機関です。♠◆〈魂[たましい]の純化〉山の子供たちとの生活が始まってまもなく、日一日とわたしの魂の純化が進んでいくのがわかった。♠〈純化する〉そして、こういう自分の気持ちを純化するのが、此旅[このたび]の目的だったが、幸[さいわい]にもそれが案外に早く彼に来たのだ。(志賀直哉[しがなおや]「暗夜行路[あんやこうろ]」) **じゅんかい【巡回】**○見て回ること。巡り歩くこと。[文例]〈巡回する〉夜、無灯火で自転車に乗っていたら、町内を巡回していた警察官に注意された。♠ヘ看護婦の巡回〉看護婦の巡回が終わると、入院患者の声もとだえて、病室はひっそりした。♠<巡回公演>市民オーケストラは、今年県内各所を巡回公演する計画をたてています。♠◆ヘ巡回図書館>施設に恵まれない地域には、週一回巡回図書館「やまびこ号」が回っています。 **じゅんかつゆ【潤滑油】**○機械の摩擦を少なくし、摩耗を防ぐために差す油。物事を円滑に運ばせるもの。[文例]〈日常生活の潤滑油〉巧[たく]みな「しゃれ」、下品でない「しゃれ」は、日常生活を明るくする潤滑油の役目を果たすことが多い。 **しゅんかん【瞬間】**○またたく間。きわめて短い時間。[文例]〈瞬間の出来事〉込んだ車内で、すりに財布をすられたのは、まったく瞬間の出来事だった。♠●へ〜した瞬間〉目が覚めた瞬間、寝過ごしたのに気がついて、慌[あわ]てて布団[ふとん]から飛びだした。♠●へその瞬間>先生がこちらを向いたその瞬間、宿題を忘れたぼくは、どきりとした。♠●〈決定的瞬間〉運よく人命救助の決定的瞬間をカメラに収めることができた。♠向こうから来た人に声をかけられ、瞬間だれだか分からなかった。 **じゅんかん【循環】**○めぐって元へもどること。一定の経路をめぐること。[文例]〈血液の循環〉〈循環がよい〉マッサージをすると、筋肉がもみほぐされ、血液の循環がよくなる。♠●〈自然界の循環>自然破壊によって生態系のバランスが崩[もう]れ、自然界の循環が断たれつつある。♠●へ循環する〉このバスは駅を起点に市内を循環します。 <495> **じゅんきょ【準拠】**○よりどころとすること。よりどころとなったもの。[文例]〈教科書に準拠する〉この問題集は、教科書に準拠した形で作られています。♠●〈史実に準拠する〉史実に準拠したドラマではあるが、架空[かくう]の登場人物も多く、より楽しくなるよう工夫されている。 **じゅんきょう【順境】**○物事が思い通りに進んでいるような境遇。→逆境[文例]〈順境にある〉〈順境と逆境〉順境にある時よりも逆境に置かれた時、その人の人間性が現れます。♠◆<順境のうちに育つ〉順境のうちに育った彼女は、のびのびした明るい女の子です。 **じゅんきょう【殉教】**○信仰のために命を捨てること。[文例]〈殉教する〉パウロは、ローマ内へのキリスト教の布教に力を尽くしたが、激[はげ]しい迫害[はくがい]にあい、ローマで殉教した。♠◆<殉教者>慶長[けいちよう]一年、長崎の西坂で処刑された殉教者は、日本二十六聖人として世界のキリスト教信者に崇敬[すうけい]されている。 **じゅんぐり【順繰り】**○順序を追うこと。[文例]積んである缶詰[かんづめ]がくずれないように、上から順繰りに取ってください。♠◆出席番号の早い人から順繰りに当番が回ってくる。 **じゅんけつ【純潔】**○清く汚れのないこと。[文例]〈純潔な心>彼女は、少女のような純潔な心を持った婦人です。♠〈純潔な感じ〉真っ白な白鳥の姿は、気高く純潔な感じがします。♠●〈身も心も純潔〉その乙女[おとめ]は、身も心も純潔なままに神に召されていった。 **しゅんげん(峻厳)**○非常に厳しいさま。[文例]〈峻厳な態度〉師は、時には優しく、また時には峻厳な態度で弟子を教え導いた。♠●へ峻厳な戒律[かいりつ]〉修道僧たちは、峻厳な戒律のもとで、祈りと労働の日々を送っている。 **しゅんこう(竣工・竣功)**○建造物ができあがること。工事が終了すること。→起工・着工[文例]〈竣工する〉新しい校舎を建築中だが、二学期が始まる前には竣工する予定だ。♠〈竣工式〉トンネルが開通し、喜びのうちに竣工式が行われました。 **じゅんさ【巡査】**○警察官の階級の一つ。[文例]村の駐在所[ちゆうざいしょ]にやってきた新任の巡査はたちまち子供たちの人気者になった。♠●不審な男がうろついているのを、パトロール中の巡査が見つけた。 **しゅんじ【瞬時】**○またたく間。瞬間。[文例]〈瞬時の出来事〉人が連れ去られたのは瞬時の出来事で、いったい何が起こったのか理解できなかった。♠◆<瞬時に~する〉小人国の宮殿が火事になったとき、ガリバーが小便を放って瞬時に消火した。♠〈瞬時も〜できない〉いたずら盛りの子なので、瞬時も目を離せません。 **じゅんし【殉死】**○主君・主人の後を追って自殺すること。[文例]〈殉死する>乃木大将は、明治天皇大葬の日、夫人とともに殉死した。♠●〈殉死を遂げる〉忠実な家臣らは、亡き主君のあとを追って殉死を遂げた。 **じゅんじ【順次】**○順序を追うさま。順ぐり。順々。逐次。[文例]事故に関する詳しいことは分かっていませんが、ニュースが入り次第、順次お知らせします。♠◆次の十個の漢字を上から順次組み合わせて、熟語を作ろう。♠●申し込みのあった人から順次に百名まで受け付けます。 **じゅんしゅ【遵守・順守】**○法・規則・言い付けなどをよく守ること。[文例]〈遵守する>信仰の厚いこの国の人々は、今も聖典に書かれた律法を遵守し、宗教的な生活を続けている。 **しゅんじゅう【春秋】**○春と秋。年月。歲月。将来。年齢。[文例]〈春秋を経る〉幾多[いくた]の春秋を経て、ついにここに著者のライフワークが完成したのである。♠●〈春秋に富む>諸君は、春秋に富む身であれば、現在は耐えて将来の発展に備えたまえ。 **しゅんじゅん(逡巡)**○ためらうこと。しりごみすること。[文例]娘を単身で外国へ送るとなれば、親の逡巡[しゅんじゅん]はもっともであったろう。♠●〈逡巡する「本当に自信があるんだな?」と聞かれて、わたしは逡巡した。♠へ逡巡の色>彼の顔に逡巡の色が浮かんだのを、わたしは見逃さなかった。♠〈遅疑[ちぎ]逡巡>殺さねば自分が殺される戦場で、敵を撃つのに一刻の遅疑逡巡も許されなかった。 **じゅんじゅん(諄諄)**○よく分かるように根気よく説いて聞かせるさま。[文例]〈諄々[じゅんじゅん]と説く〉この社会は、人と人とのつながりでできているのだということを、わたしは子に諄々と説いて聞かせた。♠ヘ諄々と諭[さと]す>子供の過ちに対してはしかりつけるより、諄々と諭すことのほうが効果的でしょう。 **じゅんじょ【順序】**○ある決まった配列。決まった手順や段取り。[文例]〈並ぶ順序〉校庭に出たら、男・女・女、男・女・女という順序で一列に並んでください。♠●〈順序よく〉店先には、大きいものからスイカが順序よく並べられていた。♠〈順序が逆〉大きいものから重ねていったつもりだったのに、いつのまにか順序が逆になってしまった。♠●へ順序に従う〉説明書の順序に従って作れば、小学生にも簡単に作れるプラモデルです。♠●〈順序を追う〉実験を始める前に、先生は今回の方法に関して、順序を追って説明なさいました。♠●〈順序を乱す〉向こうを向いているすきに箱の順序を乱しておいたが、チンパンジーは気がつきません。♠ヘ順序をたどる〉ぼくは事件の起こった順序をゆっくりたどりながら、犯人を推理していった。♠●〈順序が狂[くる]う〉材料はととのっていても、使う順序が狂うと、とんでもない料理ができあがってしまう。♠●へ順序を経る〉日本では小学校・中学校・高校という順序を経て、大学へ入ることになっている。♠●へ順序がある〉物にはすべて順序があるってことを忘れちゃいけないよ。♠●へ順序から言えば〉順序から言えば、まず姉の彼女のほうから結婚[けつこん]するだろう。♠●〈順序立てる〉どうしてけんかになったのか、もう一度初めから順序立てて話してごらん。♠●へ順序通り>体育祭は午前九時から、プログラムの順序通りに行われた。 **じゅんじょう【純情】**○素直で邪心[よこしま]がなく、ひたむきな心。 <496> **じゅんしょく【殉職】**○職務遂行のために命を落とすこと。[文例]〈殉職する〉スチュワーデスだった姉が乗務中に事故にあい殉職した。♠●〈殉職する〉殉職したA刑事の告別の式が署内でしめやかにとり行われました。 **じゅんしょく【潤色】**○うわべを飾り立てること。誇張したり、色づけをしたりして話をおもしろくすること。[文例]〈巧みな潤色〉たいしてめずらしくない話も、筆者の巧みな潤色によってたちまちおもしろい話になった。♠ヘ潤色を加える〉この作品は、原作に多少の潤色を加えてあります。♠◆<潤色する〉この記録は、事実をそのまま伝えたものではなく、読者の興味を引くよう潤色してある。 **じゅん・じる【準じる・准じる】**○あるものにならう。のっとる。あるものと同じに扱う。[文例]〈前例に準じる〉前例に準じて今回の事件の処罰を考えた。♠〈会員に準じる〉今回に限り、一般の方も、会員に準じた割引をいたします。♠〈地位に準じた働き〉すべての人が任務や地位に準じた働きをしました。 **じゅん・じる【殉じる】**○殉死・殉職する。何かのために命を捨てる。[文例]〈国に殉じる〉戦争が始まると、多くの若い兵士たちが国に殉じて、戦場に散っていった。♠●へ自らに殉じる〉世論が参戦に傾くなかで、わたしは自らの意志に殉じて、反戦を貫こうと思った。 **じゅんしん【純真】**○心にけがれやいつわりのないさま。[文例]〈純真な心>少年は、大人の無理解によってその純真な心を傷つけられ、心を閉ざしてしまった。♠●へ純真な子供>純真な子供をだましたり、傷つけたりする罪は大きい。 **じゅんすい【純粋】**○まじりけのないこと。心に邪念[じゃねん]のないさま。[文例]〈純粋なアルコール〉これは、混じり物なしの純粋なアルコールです。♠●〈純粋な形〉スイスには、直接民主制が純粋な形で残っている地方があります。♠●〈純粋な気持ち〉ぽくの純粋な気持ちをどうやって彼女に伝えたらいいんだろう。♠〈純粋な感動〉この童話を読んだ時の純粋な感動をいつまでも持ち続けたい。♠●〈純粋な行動>子供たちの純粋な行動は、人々の胸を打ちました。♠〈純粋に歌うわたしは、自分の今の感情を純粋に詩に歌いました。♠〈純粋の日本語>和語とは、漢語や外来語を除いた純粋の日本語のことです。 **じゅんぜん【純然】**○まじりけがなく、まさにそのものであるさま。[文例]〈純然たる過去〉今はもう楽しい思い出も純然たる過去に送り込まれてしまった。♠●〈純然たる日本人>顔立ちが日本人離れしているので、外人に間違えられたりするが、彼は純然たる日本人だよ。♠●〈純然たる趣味〉絵をかいてめしを食うとなると大変だが、純然たる趣味ならば気も楽だ。 **じゅんちょう【順調】**○物事がすらすらと進行するさま。[文例]〈経過が順調〉出血が多かったので心配しましたが、手術後の経過は順調です。♠◆へ順調に進む〉友人の協力もあって、仕事は順調に進んでいる。♠●〈順調に行く〉このまま順調に行けば、建物は来月中にも完成するでしょう。♠●へ順調に運ぶ〉計画はとどこおることなく、順調に運んでいます。♠●へ順調な仕上がり〉来日した英国ラグビーチームは、順調な仕上がりを見せ、日本チームとの対戦が楽しみだ。 **じゅんとう【順当】**○思い通り、予想通りであるさま。道理にかなって当然なさま。[文例]〈順当な結果>きみの実力からすれば、この成績は順当な結果と言える。♠●へ順当に〜する〉このチームは、一回戦、二回戦、三回戦と実力どおり順当に勝ち進んだ。 **じゅんのう【順応】**○環境・条件の変化などに適応すること。[文例]〈生活への順応〉新しい生活への順応は、本人の努力があってこそスムーズに行われます。♠●へ環境に順応する〉早い遅いの個人差はあっても、わたしたちには環境に順応する力が備わっています。♠●へ境遇[きょうぐう]。に順応する>実際お栄[えい]は過去は過去として新しい境遇にも順応する方だった。(志賀直哉[しがなおや]「暗夜行路[あんやこうろ]」) **じゅんぱく【純白】**○真っ白であること。[文例]〈純白のウェディングドレス>純白のウェディングドレスを着た花嫁は、まぶしいばかりの美しさだった。♠〈純白な心少女の純白な心に一点のしみのつくことさえ、わたしは極端に恐れたのだった。 **しゅんぱつりょく【瞬発力】**○憐間的に出せる力。[文例]とび箱は、踏み切るときの瞬発力が勝負だ。♠〈瞬発力がある〉彼は、持久力も瞬発力もあるいい選手ですねえ。♠●<瞬発力が大きい〉瞬発力が大きければ大きいほど、打球は速く、遠くへ飛ぶ。 **じゅんばん【順番】**○ある順序の中に占める位置。[文例]〈順番が来る>病院は込んでいて、みんなテレビを見たり雑誌を読みながら順番が来るのを待っていた。♠〈順番が回る〉この祭りの当番は、十何年目かに一回順番が回って来る。♠◆〈順番が狂う〉順番が狂うともめますから、きちんと一列に並んでお待ちください。♠●へ順番を待つ〉押し合うと危険ですし、かえって時間がかかります。順番を待って整然と入場しましょう。♠●〈順番を決める〉じゃんけんで石けりの順番を決めよう。♠●〈順番に~する〉前の人から順番に入場してください。 **じゅんび【準備】**○前もって備えること。[文例]〈準備をする〉船頭さんは朝早くから船の準備をして、釣り人たちの来るのを待っていた。♠●く準備がととのう〉準備がととのいましたので、パーティーを始めたいと思います。♠●へ準備がいい〉今夜は泊まるつもりでパジャマを持参したの。準備がいいでしょう。♠●<準備にとりかかる〉隊員たちは各自自分の部屋に帰って、明日からの探検の準備にとりかかった。♠〈準備を進める〉平和を喜ぶ催[もよお]しのかげでは、戦争の準備が着々と進められていた。♠●へ心の準備〉〈準備が出来る>長い入院生活でしたから、死に対する心の準備は出来ていました。♠●へ準備を始める〉今週はいろいろと忙[いそが]しくて、仕事の準備を始めたのは、昨日になってからなんですよ。♠●へ準備に追われる〉このところ、クラス全員が文化祭の準備に追われています。♠●へ準備期間>新しい制度を開始するための準備期間としては、約三か月が妥当[だとう]。ではないだろうか。 <497> **じゅんれい【巡礼・順礼】**○聖地・霊場を巡り歩いて参拝すること。[文例]〈巡礼する〉祖母は、四国八十八箇所を巡礼して回るという。♠●〈聖地巡礼>数多くの人々が聖地巡礼のためにエルサレムを訪れます。♠◆ヘ巡礼姿>四国路では、白い巡礼姿の旅人とすれ違うことがあった。 **しょ【書】**○書いた文字。書物。文書。手紙。[文例]〈書の名人〉柳[やなぎ]に跳びつくかえるを見て精進したという小野道風[おののとうふう]は書の名人であった。♠◆〈座右の書〉人生の指針となるような座右の書を持ちたいものです。♠●へ必読の書〉必読の書として多くの人々に親しまれた名作も多い。♠●へ書を著す〉本書は、哲学者である著者が著[あらわ]した人生探究の書である。♠◆へ書を送る〉本の中にどうしても理解できないことがあったので、著者に書を送って質問した。♠●〈書を寄せる>京都での学会から帰ると、数日前に教え子が寄せた書が机上にあった。 **じょ【序】**○順序。書物の前書き。[文例]〈長幼の序〉年輩の人と年少者の間にある程度長幼の序のあるほうが、人間関係はなめらかになるようだ。♠●〈本の序>長年作業にあたった編纂[へんさん]者の苦労話などが辞典の序には述べられたりします。 **しょう【賞】**○ほうび。ほめたたえて与えるもの。[文例]〈賞を与える>展覧会に出品した中学生の絵に賞が与えられた。♠●〈賞を受ける〉ぼくは、夏休みに書いた作文で学校の賞を受けました。♠●へ賞を得る〉コンクールが迫ると、賞を得ようとする人々は懸命に技をみがいた。♠●〈賞をもらう〉絵の上手な姉は、展覧会では必ず賞をもらいます。 **しょ・う(背負う)**○せおう。うぬぼれる。[文例]〈かごをしょう〉上る時の坂道もつらかったが、重いかごをしょって下りる時もきつかった。♠●へ家族をしょう〉伯父[おじ]の跡を長男が継ぎ、家族をしょって働いている。♠へしょって立つ〉この子は、将来きっと一国をしょって立つほどの大人物になろう。♠◆食へしょってる〉自分で自分のことをかわいいだなんて、しょってるわね。 **しよう【使用】**○使うこと。用いること。[文例]〈火の使用・道具の使用〉火の使用、道具の使用は、人類の発達に不可欠の要因となりました。♠●〈言葉の使用〉ふだんから敬語の使用に慣れていないと、適切な使い方ができません。♠●へ使用する>実験用具を使用した後は、きれいに洗ってもとの場所に戻すこと。♠ヘ使用人>戦前、うちの店はたくさんの使用人を使っていたそうです。♠●〈使用者不況を理由に、使用者側は組合に工場閉鎖を通達した。♠◆<使用法〉買ったばかりの機械が動かないそうだが、使用法を誤っていないかい。 **しよう【私用】**○個人的な用事。個人で使用すること。[文例]会社の電話を私用に使うのは慎[つつし]んでください。♠●父はただ今私用で出かけております。 **しよう【仕様】**○しかた。やりかた。製造・製作の細かい規定。[文例]〈しようがない〉またけんかしている、まったくしようのない連中だな。♠◆ヘしようもない〉しようもないことを言っていないで、さっさと仕事を片づけてしまいなさい。♠●〈返事のしようがない〉返事のしようがないので、わたしは口を閉じたまま立っていた。♠<製品の仕様〉店の陳列[ちんれつ]ケースの仕様をくわしく書き込み、業者に発注しました。 **じょう【情】**○人の心の動き。感情。人情。情合い。情愛。[文例]〈情がわく〉一つ屋根の下に暮らせば、自然と二人の間に情がわくというものさ。♠●へ情が移る〉初めは気に入らなかった人でも、長くつきあえば情が移るということはある。♠●〈情が深い〉娘[むすめ]は雪国生まれの情の深い女で、男のあとを慕[した]ってこの宿場までついてきたのだった。♠●く情がある・ない〉夜道を訪ねてきた子を帰すなんて、情のない仕打ちだね。♠〈人情にもろい〉あの人は情にもろい人だから、この話をすればきっと助けてくれるさ。♠●〈恩愛の情〉海をへだて十年をへだてても、親子の恩愛の情は変わることがなかった。♠<懐旧[かいきゆう]の情〉何やら秋はものを思い、過ぎた日々を思って、懐旧の情に駆られる季節だ。 **じょう【錠】**○戸やふたなどに付け、かぎをかけるための金具。[文例]〈錠を下ろす〉番頭さんは蔵の戸を閉めると錠を下ろした。♠ヘ錠が下りる〉扉[とびら]を押してみたが、錠が下りているのか開かない。♠●〈錠をかける〉玄関の戸を閉めたら、錠をかけておきなさい。 <498> **じよう【滋養】**○栄養となるもの。[文例]〈滋養を取る〉かなり衰弱[けいじゃく]しているから、滋養を取って安静にしているように。♠●へ滋養がある〉風邪は、滋養のある物を食べて、ゆっくり休むのが一番です。♠●へ滋養に富む〉なべ料理は、なかなか滋養に富む料理といえる。 **じょうあい【情合い】**○心の通い具合。思いやりの気持ち。[文例]〈情合いを感じる〉わたしは、友人の声にいつにない情合いを感じました。♠●へ情合いが同じ〉肌の色や言葉は違っても、情合いは同じ人間同士、互いに理解し合えないはずはない。♠●〈情合いが通う〉血のつながらぬ二人の少年であったが、そこに通う情合いは兄弟におとらなかった。♠ヘ情合いが出る〉たとえ敵[かたき]同士でも、一つ屋根の下に暮らせば、自然と情合いは出るものだろう。 **じょうあい【情愛】**○愛情。慈愛。なさけ。いつくしみ。[文例]〈情愛がこもる〉船上の夫からの便りは短いものだったが、家族に対する情愛がこもっていた。♠●へ情愛が深い>妻の深い情愛を、夫は一体どのように受け止めていたのだろう。 **しょうあく【掌握】**○手の中に握ること。思い通りに支配できるようにすること。[文例]〈部下の掌握>彼は、一軍の将として部下の掌握に気を配った。♠●〈掌握する〉横座[よこざ]は、家内の様子を一目で見回すことができ、家族の動静を掌握する家長の座としてふさわしい場所である。 **じょうえい【上映】**○映画を映写して観客に見せること。[文例]〈上映する〉平和祭では記念講演も行われ、映画も上映されました。♠●〈再上映>当時大きな話題を呼んだ映画が、今度再上映されるそうだ。 **しょうえん【硝煙】**(硝烟)○火薬が爆発した時に出る煙。[文例]〈硝煙にまみれる〉父は夜間勤務中に空襲[くうしゆう]にあい、硝煙にまみれ、よれよれの姿で帰ってきた。♠<硝煙弾雨〉将校にあこがれ、戦場に赴[おもむ]いた若者が硝煙弾雨の中で見たものは何だったのか。♠◆〈硝煙反応>男の衣服から出た硝煙反応が、逮捕[たいほ]の決め手になった。 **じょうえん【上演】**○演劇を演じて見せること。[文例]〈上演する〉小山内薫[おさないかおる]は、「自由劇場」を創立し、ヨーロッパ近代劇の翻訳を次々に上演して新劇の隆盛[りゅうせい]をもたらした。♠〈上演する〉今、国立劇場でシェークスピアの「ハムレット」が上演されている。 **しょうおう【照応】**○互いに応じ合うこと。互いに対応していること。[文例]〈文の成分の照応〉文を書くときは、主語と述語、修飾語[しゅうしよくご]と被修飾語[ひしゅうしよくご]などの照応を明確にすることが大切です。♠●へ照応する〉この作品では、細部の描写[びようしゃ]や叙述[じょじゅつ]が互いに緊密[さんみつ]につながり合い、照応し合って、優れた味わいを生み出している。 **しょうか【消化】**○食物を胃や腸などでこなすこと。また、食物がこなれること。よく理解すること。完全に処理すること。[文例]〈消化がよい・悪い〉胃腸の弱っているときは、なるべく消化のよいものを食べよう。♠●〈消化によい。悪い〉なんでもよくかんで食べないと、消化に悪く、胃腸をこわす原因となります。♠●へ予算を消化する〉あの町は、文化事業に力を入れていて、消化しきれないほどの予算があるそうです。♠●へ宿題を消化する〉担任の先生は、一日や二日では消化しきれないほどの宿題を出します。♠●ヘスケジュールを消化する〉売れっ子のタレントは、スケジュールを消化していくのがやっとで、新たに勉強をする時間はありません。 **しょうか【消火】**○火・火事を消すこと。[文例]〈消火する〉小人国の宮殿が火事になったとき、ガリバーが小便を放って消火したという。♠●〈消火作業>空襲[くうしゆう]を受けた町を、消火作業をしながら逃げ、やっとの思いで家までたどり着いた。♠◆<消火器〉〈消火用>台所には消火器、廊下の隅[すみ]には消火用のバケツを置いてあります。♠●〈消火栓〉ここには消火栓があるので、駐車しないでください。 **しょうか【唱歌】**○歌を歌うこと。昔の小学校の教科(今の音楽)。また、そこで歌う曲。[文例]〈唱歌を歌う〉先生の弾[ひ]くオルガンに合わせて、生徒たちが元気に唱歌を歌っています。♠●〈小学唱歌〉教室から、懐[なつ]かしい小学唱歌が聞こえてきた。♠◆二年生の時の私の通信簿は、唱歌と図画と体操が乙[おつ]で、残りはみんな丙[へい]であった。 **しょうか【商家】**○商売をしている家。商人の家。[文例]この辺りは、昔からの商人町で、古いのれんを下げた商家が多い。♠●へ商家の生まれ>商家の生まれで、小さい時から使用人など大勢の中で育ったので、にぎやかなのが大好きだ。 **しょうか【昇華】**○固体が直接気体になること。また、その逆の変化。一段と高度で純粋な状態に変化すること。[文例]ドライアイスのように、固体が直接気体になることを昇華という。♠〈芸術へ昇華する〉彼の絵は、最初は趣味の域を出なかったが、次第にそれを芸術へと昇華させていった。 **じょうか【浄化】**○清らかにすること。公明正大な状態にすること。[文例]〈水を浄化する〉汚水[おすい]は下水処理場で浄化され、工場用水などとして再使用される。♠●へ空気を浄化する>植物は、二酸化炭素を吸収し、酸素を作って空気を浄化してくれます。♠〈社会を浄化する〉社会を浄化しようという熱意だけが先走ると、世の中は固苦しく住みにくいものになります。 **しょうかい【紹介】**○間に立って人と人を引き合わせること。世間に知らせること。[文例]〈~を~に紹介する〉校長先生は、新しく転任してきた若い女の先生を、生徒に紹介した。♠●〈本を紹介する>先生が読んだ本の中から、どうしてもみんなに紹介したい本が一冊あります。♠●〈世界に紹介する〉彼は、中央アジアの広い地域を探検し、今まで知られていなかった場所を世界に紹介した。♠●〈番組の紹介〉今度新しく発売される週刊誌は、テレビ番組の紹介がくわしく出ているそうです。♠●〈自己紹介〉ここに集まった方は、お互いに知らない人ばかりだと思いますので、順番に自己紹介から始めましょう。♠●〈紹介状〉どうしても弟子になりたくて、紹介状を書いてもらって、写真家の家を訪ねた。 **しょうかい【照会】**○問い合わせること。[文例]〈照会する〉客からの注文の本について出版社に照会してみると、絶版[ぜっぱん]ということだ。♠◆〈照会の電話>事故のニュースが終わらないうちから、テレビ局では照会の電話が鳴り始めた。 <499> **しょうがい【生涯】**○生きている間。一生のうちのある事にかかわった時期。[文例]〈短い生涯〉〈生涯を閉じる〉この詩を書いた少女は、それから一年もたたないある日、十九歳の短い生涯を閉じた。♠●〈生涯を終える〉父は、農業に従事して生涯を終えた農民だった。♠◆ヘ生涯を費やす〉この仕事はきっとやりとげてみせる、たとえ生涯を費やそうとも。♠〈生涯をささげる〉イギリスの宣教師ジョン=バチェラーは、布教のかたわら、アイヌ研究に生涯を捧[ささ]げた。♠●へ生涯を通じて〉マルセルのパントマイムへの情熱は、生涯を通じて変わらなかった。♠へ生涯~する〉今日のことを、ぼくは生涯忘れることがないでしょう。♠●へ生涯教育〉心の豊かさが求められ、また平均寿命の延びた現在、生涯教育の必要性が叫ばれています。 **しょうがい【障害】**(障碍)○進行を妨げるもの。身体の器官が十分に機能しないこと。[文例]〈障害がある〉手話を覚えると、聴覚[ちようかく]に障害のあるお友達と、おしゃべりをすることができます。♠◆く障害を乗り越える〉ヘレン=ケラーは、三重苦の障害を乗り越えた人と言われます。♠●へ障害に出会う〉さまざまな障害に出会ったとしても、医者になろうという決意は、ぜったいに変えないつもりです。♠●〈障害が立ちはだかる〉われわれの前途[ぜんと]には、数え切れないほどの障害が立ちはだかっているかもしれない。♠〈障害物〉運動会の障害物競走は、昼をはさんで午後一番に行われます。 **しょうかく【昇格】**○格式・資格・職階などが上がること。[文例]〈課長に昇格する〉父は課長に昇格すると同時に、遠方へ単身赴任[ふにん]を強いられることになった。 **しょうがつ【正月】**○一年の最初の月。年初の一定の期間。[文例]〈正月の遊び〉昔から、正月の子供の遊びに、いろはガルタがありました。♠●へ盆[ぼん]と正月が一緒に来たよう〉親戚[しんせき]がみんな集まるなんて、盆と正月が一緒に来たようだねえ。♠◆<寝正月〉もちもない、酒もない、もとより金もないで、今年も寝正月だ。 **じょうかん【情感】**○人の心に訴える感じ。感情。[文例]〈詩の情感〉〈情感を味わう〉この詩の情景を思い浮かべながら、何回も朗読し、詩に流れている情感を読み味わってみよう。♠●〈情感を込める〉もっと情感を込めて、せりふを言ってごらん。 **しょうき【正気】**○正常な精神状態。[文例]〈正気の沙汰[さた]〉あの男がそんなことをするとは、とても正気の沙汰とは思えない。♠●〈正気を失う〉受けたショックはあまりに大きく、正気を失うほどだった。♠●〈正気に帰る〉正気に帰ってみると、なぜあんなばか騒ぎをしたのかと情けなくなった。♠●〈正気で~する〉きみは、そんな筋の通らないことを正気で言っているのか。♠●〈正気づく>気つけ薬を飲ませると、失神していたばあさんはやっと正気づいた。 **しょうき【勝機】**○勝利を収められる機会。勝つチャンス。[文例]七回、トップバッターが一塁へ歩くと、ここを勝機と見た監督[かんとく]はピッチャーに替えて代打を送った。♠●へ勝機をつかむ>勝機をつかんだら、間髪[かんはつ]をおかず、全員で敵のゴールへ向かって攻めまくれ。♠●へ勝機を逸[いつ]する〉三十五キロのポイントが相手を振り切るチャンスだったが、あそこで勝機を逸したのが痛い。 **しょうぎ【将棋】**○盤面のこまを動かして勝負を競うゲーム。[文例]〈将棋を指す〉縁側に盤を持ち出して、父と将棋を指した。♠●へ将棋をする〉今日、学校が終わったらぼくのうちで将棋をしようよ。♠●〈将棋倒し〉人気歌手の公演につめかけたファンが将棋倒しになって、大勢の負傷者が出た。♠●〈負け将棋>鼻うたも小耳[こみみ]にかかる負け将棋(川柳) **じょうき【上気】**○のぼせること。血が上って顔がほてること。[文例]〈顔が上気する>舞台[ぶたい]に出たとたんあがってしまい、顔が上気するのがわかった。♠●へ赤く上気した顔>扉[とびら]が開いて、怒[いか]りのために赤く上気した顔の先生が入ってきた。♠●〈顔を上気させる〉うれしさに顔をポッと上気させて、女の子たちはあこがれのスターにサインを求めた。 **じょうき【常軌】**○ふつうの行い。[文例]〈常軌を逸する〉わたしの行動は、常軌を逸していたと深く反省している。♠◆〈常軌を失う〉一生懸命になり過ぎて、常軌を失ってしまうのがぼくの悪い癖[くせ]だ。 **じょうぎ【定規・定木】**○線を引いたり、物の長さを測ったりする道具。判断の基準。[文例]〈定規を使う〉定規とコンパスを使って、二等辺三角形を書いてみよう。♠<定規をあてる〉ものごとを判断する時には、だれでも自分なりの定規をあててみるものだ。♠●へしゃくし定規〉あいつのように、何もかも杓子[しゃく]定規にやられちゃ、窮屈[きゆうくつ]でしょうがないよ。 **じょうきげん【上機嫌】**○たいへん機嫌がよいこと。[文例]ドラゴンズが勝つと、お父さんは上機嫌になります。♠●鼻歌なんか歌って、上機嫌だねえ、何かいいことでもあったのかい。 **しょうきゃく【焼却】**○焼き捨てること。[文例]〈ごみの焼却〉有毒ガスが出る場合があるので、ごみの焼却には注意が必要だ。♠●〈焼却する〉過去に別れを告げようと、古い日記や手紙を焼却した。♠●〈焼却炉〉燃えるごみは焼却炉へ入れ、燃えないごみは所定の場所へ置いてください。 **じょうきゃく【乗客】**○乗り物に乗る客。乗り物に乗っている客。[文例]道が渋滞[じゅうたい]してバスが少しも進まないので、乗客はいらいらしていた。♠●飛行機がぐらりとゆれて、乗客は一瞬真っ青になった。 **じょうきゅう【上級】**○等級・階級や学年などが上であること。[文例]〈学校の上級>彼は、たしか小学校時代ぼくたちの二、三年上級だった。♠●へ上級の学校>当時は上級の学校へ進む者は少なく、義務教育が終わればすぐ働きに出るのが普通であった。♠●〈上級生〉小学生のとき、見るからに強そうな上級生がいて、その人をみんな怖[こわ]がっていた。 **しょうきゅうし【小休止】**○少しの間休むこと。短い休憩。[文例]〈小休止をする〉少し疲れたね、この辺りで小休止をしよう。♠●〈小休止する〉やっと頂上に着くと、小休止する暇[ひま]もなく、下りる準備にとりかかった。 **しょうきょ【消去】**○消し去ること。[文例]〈消去する〉書類のちょうどその部分が修正液で消去された跡[あと]が残っていた。♠●〈消去する>条件に合わないものから消去していって、残ったものだけ審査の対象にしよう。 <500> **しょうぎょう【商業】**○商品の売買によって利益を得る業。[文例]〈商業を営む〉家を継いで商業を営んでいます。♠●〈商業が栄える>商業が栄えて豊かになった町人たちが、江戸時代の文化の担い手となりました。♠●へ商業の中心地>県の商業の中心地として、この市は発展してきた。♠●〈商業都市>大阪は、江戸時代から「天下の台所」と言われ、伝統的な商業都市です。 **じょうきょう【状況・情況】**○その時々、その場その場の様子・ありさま。[文例]〈現場の状況〉〈状況を伝える〉それでは林アナウンサーから、現場の状況を詳しく伝えてもらいましょう。♠●〈全体の状況>彼女の説明だけでは、全体の状況をすっかり把握[はあく]することはできなかった。♠へ状況が変わる〉今回の選挙は投票日が雨だったので、投票率が下がり、前回の選挙とはかなり状況が変わってきています。♠〈状況から判断する〉現在の状況から判断して、今月中に工事を完了させるのは不可能だ。♠●〈深刻な状況>教育の深刻な状況を打開するため、政府は教育制度の改革にのり出した。♠●〈状況を見る〉結論を出すのは、もう少し状況を見てからにしよう。♠●〈状況判断>優れた隊員であるほど、非常事態が起こった時の状況判断が的確です。 **しょうきょくてき【消極的】**○進んで物事に取り組むことをしないさま。→積極的[文例]〈消極的な性格〉少年ははにかみやで消極的な性格のために、友達もほとんどいなかった。♠へ消極的な意味〉あえて反対しないというのは、消極的な意味での賛成ということでしょう。 **しょうきん【賞金】**○ほうびの金銭。[文例]〈賞金を懸ける〉当時ニューヨーク=パリ間の飛行には、二万五千ドルの賞金が懸けられた。♠〈賞金を贈る>優勝者には、トロフィーと賞金百万円が贈られた。♠〈賞金目当て>競技会には賞金目当ての選手も参加するようになった。 **じょうげ【上下】**○上と下。上がり下がり。[文例]〈上下に揺れる>乱気流に入ったのか、飛行機は激しく上下に揺れた。♠◆〈背広の上下>夏のボーナスで背広の上下を買う予定です。♠〈本の上下〉この物語はとても長いので、上下二冊に分かれているんだ。♠●〈地位の上下〉貧富とか地位の上下とかは、人間の価値をはかる基準になりません。♠〈上下の別〉不況の中で我が社は、上下の別なく、心を合わせてがんばっている。♠へ上下する〉高瀬舟[たかせぶね]は京都の高瀬川を上下する小舟である。(森鷗外[もりおうがい]「高瀬舟」冒頭)♠◆〈上下運動〉ピストンは、激しい速度で上下運動を繰り返していた。 **しょうけい(憧憬)**♪どうけい **じょうけい【情景】**○人の心が感じ取った光景・ありさま。[文例]〈ほほえましい情景〉テレビには、毛づくろいをしあう日本ザルのほほえましい情景が写し出されている。♠〈情景が目に浮かぶ〉久しぶりに読む両親からの便りに、懐[なつ]かしい故郷の情景が目に浮かんできました。♠●〈情景を描く〉その絵には春の海辺に遊ぶ子供たちの情景が描かれている。♠へ美しい情景>雲が切れて北アルプスが姿を現し、目の前に広がったその美しい情景に、登山者たちは感嘆の声をあげた。♠●く情景にみとれる〉ぼくは砂浜[すなはま]に車を止めて、朝日を浴びて刻々と変わっていく情景にみとれていた。 **じょうけい【場景】**○その場の光景。場面のありさま。[文例]〈場景を描く>挿絵[さしぇ]には、暗い照明のともる部屋の場景が描かれていた。 **しょうげき【衝撃】**○急に激しく加えられる力。激しく心をゆさぶること。[文例]〈衝撃を加える〉このなべは、ちょっとやそっとの衝撃を加えただけでは、へこんだりしません。♠●〈軽い衝撃>電車が急停車したので、後ろから背中をとんと突かれたような、軽い衝撃を感じた。♠●〈衝撃を与える〉犬砲や鉄砲のたまは、弾薬[だんやく]に衝撃を与えることによって、発火し爆発[ばくはつ]する。♠●〈衝撃を与える>若い大統領が狙撃[そげさ]されたというニュースは、全世界の人々に衝撃を与えた。♠へ衝撃を受ける>山道についていた足跡[あしあと]が熊[くま]のものだと、下山してから聞かされ、衝撃を受けた。♠<衝撃が大きい>親友が自動車事故で亡くなったことを知ったときの衝撃は大きかった。♠◆<衝撃音>突然[とつぜん]、ドスンという鈍い衝撃音がしたと思ったら、弟が二段ベッドの上から落ちていた。 **しょうげん【証言】**○事実を証明すること。また、その言葉。[文例]〈目撃者[もくげき]の証言〉警官は目撃者の証言をもとに、犯人の割り出しを急いだ。♠〈証言する〉わたしは、彼の無実を証言した。 **しょうこ【証拠】**○事実を証明するためのよりどころ。[文例]〈証拠が見つかる〉雪男がいる証拠が見つかったという見出しと、大きな足跡[あしあと]の写真が今日の新聞に出ていた。♠●〈証拠がある。ない〉おれが犯人だという証拠があるのか、あるなら見せてくれよ。♠●へ証拠となる〉契約書[けいやく]や領収書[りょうしゅう]のように、あとあとの証拠となるものは、保管しておく必要があります。♠●へ証拠とする>唐招提寺[とうしようだいじ]は、ギリシャ神殿[しんでん]の柱に見られるエンタシスを伝える日本唯一の建築物であることから、古代文化が遠く日本に及んだことを証拠とするものといえよう。 <501> **しょうこ【証拠】** の流れをくむものとして、東西文化交流の一つの証拠とされていた。♠〈動かぬ証拠〉動かぬ証拠をつきつけられて、男は犯行を自供し始めた。♠〈確かな証拠〉彼は、確かな証拠に基づいて、無罪を主張しているのです。♠授業中にあくびをするなんて、先生の話を聞いていない証拠です。♠〈論より証拠〉見ろ! 論より証拠、ここにちゃんとぼくの名前が書いてあるだろう。♠〈証拠写真〉恐竜[きようりゆう]が住んでいるという証拠写真を撮ろうと、人々はひきもきらず、ネス湖に押し寄せます。♠〈証拠物件〉あの男が犯人だということを証明する証拠物件が見つかった。 **しょうご【正午】** ○昼の十二時。[文例]〈正午になる〉正午になると子供たちが帰ってくるから、それまでにお昼の支度[したく]をしなくては。♠ラジオから正午を知らせる時報が流れてきた。 **しょうこう【小康】** ○病状が安定した状態にあること。事態がしばらく収まっていること。[文例]〈小康を得る〉幸いなことに、母の病気は小康を得て、ぼくは修学旅行に行くことができた。♠〈小康を保つ〉思わぬ来客によってこの夫婦の間はしばらく小康を保つこととなったのである。♠〈小康状態〉今日は小康状態らしく、祖母は大きく目を開いて、わたしのほうを見て微笑した。 **しょうごう【照合】** ○照らし合わせること。対照して見ること。[文例]〈照合する〉警察官は、免許証の写真と書類の写真を照合して、本人にまちがいないことを確認した。♠〈照合する〉帳簿[ちようぼ]と伝票を照合した結果、不審な点が見つかった。 **しょうごう【称号】** ○(名誉や資格などを表す)呼び名。[文例]〈称号を得る〉教授は、その論文によってドクターの称号を得た。♠〈王の称号〉『ファラオ”というのは、古代工ジプトの王の称号です。♠かつての教科書では、「煙の都」というのは大阪をたたえる称号であった。 **じょうこう【条項】** ○法律や規則などの条文の一つ一つ。[文例]〈会則の条項〉会則に新たに条項を加えたい、あるいは削りたいという意見があれば申し出てください。♠では、校則のどんな点が現実に合わないか、一つ一つの条項を検討していきましょう。 **しょうごん【荘厳】** ↓そうごん **しょうさん【賞賛・称賛】** ○ほめたたえること。[文例]〈称賛を浴びる〉彼女は三年連続してピアノコンクールに入賞し、周囲から称賛を浴びた。♠〈称賛に値する〉きみたちの勇気ある行動は、称賛に値する。♠〈称賛の的〉九回の裏に逆転ホームランを打った新人は、翌日の新聞紙上でも、称賛の的だった。♠〈称賛を受ける〉日本の着物は、美しく、すぐれた民族衣装として称賛を受けている。♠〈称賛する〉外国の技術者から、日本の造船技術は、大変すばらしいと称賛されています。 **しょうし【笑止】** ○ばかばかしいこと。笑うべきこと。[文例]〈笑止の限り〉自分の娘に向かってわびる父親の姿は、はた目には笑止の限りであったろうが、わたしはまことに真剣であった。♠〈笑止の沙汰〉家老ともあろうものが、不埒[ふらち]なふるまい、笑止の沙汰である。♠〈笑止にも〉併[しか]しこれは何事をも鋭く看破する末造[すえぞう]の目が、笑止にも愛する女の精神状態を錯[あやま]り認めているのである。(森鷗外[もりおうがい]「雁[がん]」) ♠〈笑止千万〉何の功績もないあの男が昇進するなど、笑止千万な話だ。 **しょうじ【障子】** ○和室の境などに立てる建具。明かり障子。[文例]〈障子が開く〉外から声をかけると、ガタリと障子が開いて、男の人が顔を出した。♠〈障子をたてる〉立て切った障子の硝子[ガラス]を通して白い雨の糸が細長く光る。(夏目漱石「虞美人草[ぐびじんそう]」)♠〈障子に映る〉怪しげな人影が障子にぼんやりと映った。♠壁に耳あり障子に目あり「壁に耳あり障子に目あり」と言うが、本当に秘密というのはもれやすいものだ。♠うつくしや障子の穴の天の川(小林一茶[こばやしいつさ]) **じょうじ【常時】** ○ふだん。平生。常に。いつも。[文例]サハラ砂漠の砂が舞い上がって、常時中央アメリカに降り注いでいるという。♠いつだれが侵入するかも知れないので、常時見張りを付けておかなくてはなりません。 **しょうさい【詳細】** ○くわしく細かなこと。[文例]〈詳細な調査〉この島に関する詳細な調査が行われることは、関係者を喜ばせた。♠〈詳細に調べる〉隊員らが洞穴[ほらあな]の内部を詳細に調べてみると、そこには人間が住んだ痕跡[こんせき]があった。♠〈事件の詳細〉この事件の詳細がわかり次第、お伝えします。♠〈詳細を極める〉記録は細部に至るまで行き届き、詳細を極めていた。♠〈詳細にわたる〉報告書は、簡潔でしかも詳細にわたっており、申し分のないものであった。 **しょうじき【正直】** ○まじめで、うそやいつわりのないこと。[文例]〈正直な人〉彼は、うそをつくことを知らない正直な人でした。♠〈正直に話す〉学校に行ったら、先生に昨日の出来事を正直に話すんですよ。♠〈正直なところ〉前評判が高い映画だったが、正直なところ、わたしにはよいと思えなかった。♠〈機械は正直〉機械は正直だから、体重計の針は、体重の増えた分だけ正確に動いていく。♠〈正直の頭[こうべ]に神宿る〉「正直の頭[こうべ]に神宿る」と言うとおり、正直な商い[あきな]いをしたおかげで、村一番のお金持ちになれた。♠〈三度目の正直〉過去二回の実験は失敗に終わったが、三度目の正直で今度こそ成功させたい。♠〈正直言って〉正直言って、あなたのしていることはまちがっています。♠〈ばか正直〉母は、お人よしでばか正直なところがあり、人に勧められれば、いやと言えず何でも引き受けてしまう。♠〈正直者〉彼は、のろまで気がきかないが、まれに見る正直者だ。 **じょうしき【常識】** ○一般の人が共通にもっている見識。[文例]〈常識がある・ない〉あの人は常識のある人だから、人の迷惑[めいわく]になるようなことはしない。♠〈常識にかなう〉あの時彼がとった行動は常識にはかなっているのだから、責めてはかわいそうだ。♠〈常識を疑う〉ろくにあいさつもできないのでは、常識を疑われてもしかたありません。♠〈常識を外れる〉きみの考えは決して間違ってはいないが、少々常識を外れていますね。♠〈常識で考える〉人が集まる場所でたばこをすっていいかどうかなんて、常識で考えればすぐ <502> にわかることでしょう。〈常識に従う〉わたしたちはもう十五歳なのだから、世の中の常識に従った行動をとらなければなりません。♠〈常識に欠ける〉彼は少し常識に欠けているので、いっしょに歩く時など恥ずかしい思いをする。♠〈常識を働かせる〉もう少し常識を働かせれば、あんな失敗をしなくてすんだのに。♠〈常識にとらわれる〉芸術の創作では、常識にとらわれない発想をする事が大切です。♠〈常識的〉兄は常識的な人間で、悪い事など絶対にしないが、その分おもしろみに欠けている。 **しょうしつ【消失】** ○消えてなくなること。消えうせること。[文例]〈感情が消失する〉「神をおそれる」という感情は、今や人々の心から消失したようだ。♠〈意味が消失する〉もともとの意味が消失し、全く別の意味に変化した言葉もあります。 **しょうしつ【焼失】** ○焼けてなくなること。[文例]〈焼失をまぬかれる〉強風にあおられての大火事であったが、重要文化財の寺などは焼失をまぬかれた。♠〈焼失する〉一夜の空襲[くうしゅう]でわたしの家は完全に焼失した。 **じょうじつ【情実】** ○私情がからむこと。人情にとらわれること。実際の事情。[文例]〈情実がある・ない〉運動競技の世界は、勝つか負けるかだけであって、比較的情実のない世界であろう。♠〈情実がからむ〉会社などの人事には、常に情実がからんでいるものだ。♠〈情実を交える〉取り引きは、情実を交えずに公正に行われるべきだ。 **しょうしみん【小市民】** ○一般庶民。中産階級。[文例]われわれ小市民には、プールつきの家など夢のまた夢だ。♠〈小市民的〉小市民的と言われるが、自分の生活を守り、他人の生活を尊重する生き方の大切さを理解できますか。 **じょうしゅ【情趣】** ○おもむき。おもしろみ。あじわい。[文例]〈情趣に乏しい〉情趣に乏しい町なかの川などと違って、このふるさとの川のなんと美しいことよ。♠〈夕暮れの情趣〉作者は、静かな夕暮れの情趣をこの詩に詠んでいます。 **じょうじゅ【成就】** ○なしとげること。実現すること。[文例]〈仕事が成就する〉仕事が円満に成就したときの安らかな得意と満足は格別である。♠〈目的を成就する〉目的を成就するまで、決してあきらめません。♠〈大願成就〉若者は、ひたすら大願成就を祈り続けた。 **しょうしゅう【召集】** ○召し集めること。呼び集めること。[文例]〈会議を召集する〉大日本帝国憲法の草案を作るのに、明治天皇が直接会議を召集した。♠〈戦争に召集される〉戦争のとき、息子は体が不自由だったために召集されず、無事でした。♠〈召集令状〉召集令状を待つ日々の中で、青年は恐れと不安にあらがいながら、何かを探し求めていた。 **じょうしゅう【常習】** ○いつもやっていて癖になること。いつもの(よくない)習慣。[文例]〈常習になる〉一度いたずらで吸ったタバコがいつのまにか常習になり、つらい思いをしています。♠〈常習する〉睡眠薬を常習することは、できるだけ避けたほうがよい。♠〈常習犯〉朝はいつもぎりぎりの時間まで寝ていて、遅刻の常習犯だった。 **しょうじゅん【照準】** ○ねらいを定めること。[文例]〈照準を合わせる〉艦砲[かんぽう]は、すでに敵の陣地[じんち]に照準を合わせてあった。♠〈照準を定める〉敵のレフトウイングに照準を定め、一気にゴールまで突き進め。 **しょうしょ【証書】** ○ある事柄を証明する文書。[文例]〈証書を交わす〉勤務先の近くに借家を見つけ、月八万円の家賃で家主と契約の証書を交わした。♠〈卒業証書〉卒業論文もパスして、無事に卒業証書を手にしました。 **しょうじょ【少女】** ○成人前の女の子。年少の女の子。[文例]「大草原の小さな家」は、アメリカ開拓の歴史の中で成長していった少女ローラとその家族の物語です。♠〈かわいい少女〉木陰[こかげ]のベンチに座って本を読んでいるのは、かわいい少女でした。♠〈少年少女〉物語には、ソ連の農村に生きる少年少女の姿が生き生きと描か[えが]れている。♠〈少女時代〉少女時代の彼女は、よく笑う明るい子でした。♠〈少女趣味〉白馬に乗った王子様が迎えに来るなんて、あなたも少女趣味ね。♠〈少女期〉多感な少女期には、だれしも夢のようなことを考えるものです。 **じょうしょ【情緒】** ♪じょうちょ **しょうしょう【少少】** ○数量・程度がわずかなこと。少し。[文例]こんどのことでは、わたしも少々参った。♠〈ほんの少々〉この体験で、ぼくもほんの少々おとなになった気がする。♠〈少々のこと〉彼のことだから、少々のことでは引き下がらないだろう。 **しょうしょう(蕭蕭)** ○もの寂しいさま。[文例]〈蕭々と降る〉雨が蕭々と降る晩秋のある日であった。♠〈蕭々たる風〉寂れた町に蕭々たる風が木の葉を舞い上げていた。♠〈蕭々として〉心ふさがる思いでたどる野の道は、蕭々として鳥の声すらわびしげに聞こえた。 **しょうじょう【症状】** ○病気やけがの状態。[文例]〈症状が軽い〉検査の結果、症状が軽いということでほっとしました。♠〈脱水症状〉〈症状を起こす〉患者は、ひどい下痢で脱水症状を起こしていた。♠〈自覚症状〉〈症状が現れる〉自覚症状が現れた時は、すでに手おくれという病気もあります。♠〈中毒症状〉〈症状が進む〉麻薬などの中毒症状が進むと、幻覚の世界をさまようようになる。 **しょうじょう【賞状】** ○ほめたたえる言葉を記して与える書状。[文例]〈賞状を授与する〉競技終了後、三位までの選手に賞状とメダルが授与されました。♠〈賞状を贈る〉釣り大会で優勝した時に贈られた賞状を大事に額に入れて飾っている。 **しょうじょう【清浄】** 』せいじょう **じょうしょう【上昇】** ○上方へのぼること。高くあがること。→下降[文例]〈上昇と下降〉季節によって店の売り上げは、上昇と下降を繰り返していた。♠〈物価が上昇する〉こんなに物価が上昇しては、生活が苦しくなるばかりです。♠〈気温が上昇する〉今日の日中は、気温が上昇して五月中旬並みの陽気になるでしょう。♠〈上昇気流〉グライダーは、上昇 <503> 気流に乗って高く舞い上がった。 **じょうじょう【上上】** ○この上なくよいこと。非常によいこと。[文例]〈上々の出来映え〉初めて作ったプリンにしては、上々の出来映えだな。♠〈生育が上々〉新しくメロンの栽培を試みているが、生育は上々である。 **じょうじょう【情状】** ○実際の事情。実情。[文例]〈情状を酌む[しゃくりよう]〉裁判官としては、事件当時の被告の情状を酌んだうえでの判決だった。♠〈情状酌量〉人を殺したうえで盗み[ぬすみ]を働いたのだから、情状酌量の余地はない。 **しょう・じる【生じる】** ○生まれる。生む。生える。生やす。起こる。起こす。[文例]〈問題が生じる〉大都市には、住宅難や交通渋滞[じゅうたい]など多くの問題が生じています。♠〈事態が生じる〉どうして、このような事態が生じたのか、きちんと説明してください。♠〈不都合が生じる〉明日の集まりに出席できないというが、何か不都合でも生じたのか。♠〈矛盾[むじゅん]が生じる〉きみは、自分の言葉に矛盾が生じていることに気がつかないのか。♠〈不安が生じる〉帰りの遅い子に、事故に遭ったのだろうかと不安が生じた。♠〈悩みが生じる〉立派な作文を書こうなどと考えていると、書くべきことがないという悩みが生じてくる。♠〈変化が生じる〉黙秘を続けていた男も、次々と証拠を突きつけられるうちに様子に変化が生じてきた。♠〈違いが生じる〉同じ環境で同じように育った兄弟なのに、どうして性格に違いが生じるのだろう。♠〈影響が生じる〉転校で子供たちの学力に影響が生じることもあります。♠〈必要が生じる〉お金の必要が生じたので、土地を売ることにした。♠〈かびを生じる〉押し入れの中は湿気が多いので、かびを生じることがある。♠〈結果を生じる〉何も考えずにやったことが、思わぬ結果を生じた。♠〈混乱を生じる〉混乱を生じる恐れがありますので、一列に並んでください。 **じょう・じる【乗じる】** ○うまく利用する。つけ入る。つけ込む。[文例]〈乱れに乗じる〉相手の乱れに乗じて大量点を取った。♠〈すきに乗じる〉泥棒[どろぼう]は、店員のすきに乗じてまんまと宝石を盗み出した。♠〈夜陰[やいん]に乗じる〉賊は、夜陰に乗じて警察の包囲網[ほういもう]を突破[とつぱ]したらしい。 **しょうしん【小心】** ○気が小さいこと。臆病[おくびょう]。[文例]〈小心な人〉大声でどなったりする人には、一見怖[こわ]そうに見えて、案外、小心な人が多いものです。♠〈小心翼々[よくよく]〉物のない時代に育ったわたしは、物を捨てるという行為に対して小心翼々とした心理が働く。♠〈小心者〉小心者のあの男に、そんな大それたことができるわけがない。 **しょうしん【傷心】** ○心を傷めること。傷ついた心。[文例]〈傷心をいやす〉この美しい海辺の町へ、わたしは傷心をいやしに来たのです。♠〈傷心を慰める[なぐさ]〉父を亡くし、母にも去られた傷心を叔母[おば]は優しく慰めてくれました。♠〈傷心を抱く[いだ]〉目的を果たせず、傷心を抱いて、彼は遠い祖国へ帰っていった。 **しょうしん【昇進】** ○地位が上がること。[文例]〈大臣に昇進する〉平清盛[たいらのきよもり]は太政[だじよう]大臣にまで昇進し、一族の者は多く公卿[くぎよう]・殿上人[てんじょうびと]となった。♠〈課長に昇進する〉おめでとう、課長に昇進したそうだね。 **しょうじん【小人】** ○子供。器量の小さい人。徳のない人。[文例]動物園の入り口に、大人二百円、小人百円という料金表が出ていた。♠〈小人閑居[かんきょ]して不善をなす〉何を毎日ぶらぶらしてるんだい? 小人閑居して不善をなすっていうぞ。 **しょうじん【精進】** ○仏道の修行に専念すること。一心に努力すること。肉食を避けること。[文例]〈精進する〉もっと勉強して、精進しないことには、立派な仕事をする人にはなれない。♠〈研究に精進する〉いろいろなことに気移りしていたが、数学の研究に精進しようと決めたとたん、気持ちが落ち着いた。♠〈俳諧[はいかい]に精進する〉芭蕉[ばしょう]は、江戸[えど]の深川[ふかがわ]に居を定めてから、俳諧に精進し、蕉風[そうさ]の俳諧をうちたてた。♠〈寺で精進する〉あの寺の住職は、京都の厳しい寺で精進した徳のあつい人です。♠〈精進料理〉お葬式[そうしき]のあとで、肉や魚をいっさい使わない精進料理をいただきます。 **しょうすい(憔悴)** ○やつれてげっそりすること。[文例]〈憔悴する〉彼は長い闘病生活で、会ってもわからないほどに憔悴していた。 **しょうすう【少数】** ○数が少ないこと。[文例]この国は、ごく **じょうじん【常人】** ○ふつうの人。通常の人。[文例]〈常人を超える〉きみの精神力の強さには感心しています。常人を超えていますね。♠〈常人の及ぶところ〉氏の映画にかける情熱は、常人の及ぶところではない。 **しょうしんしょうめい【正真正銘】** ○本当であること。本物であること。[文例]ほら見ろ、これは正真正銘久美子ちゃんからもらった手紙だぞ。♠〈正真正銘の話〉これからお話しいたしますのは、現実にわたしが体験した正真正銘の話です。 **じょうず【上手】** ○物事をするのが巧みなこと・人。おせじがうまいこと。[文例]〈絵が上手〉油絵は初めてだなんて本当かい? なんて上手なんだろう。♠〈ピアノが上手〉スポーツは得意ではないが、ピアノなら、わたしがクラスでいちばん上手だ。♠〈上手に使う〉象はまるで手のように鼻を上手に使って、えさを口に運びます。♠〈上手にやる〉仲間の中にも、彼があれだけ上手にやったのには何か特別の秘密があるんだろうと言う者がいます。♠〈鼓[つづみ]の上手〉町人の中から鼓の上手を集め、中でも特にぬきんでた者には賞を与えた。♠〈好きこそ物の上手なれ〉いやいややっていたのでは、なかなか上達しないよ、好きこそ物の上手なれって言うだろ。♠〈上手の手から水が漏る〉まさか彼女が失敗するとは、上手の手から水が漏るとはこのことだね。♠〈お上手を言う〉旅の商人は口がうまく、奥方にお上手を言って、すっかり信用させてしまった。♠〈お上手な方〉これだけほめられたら、あなたの頼み[たの]を断るわけにはいかないわ、本当にお上手な方ね。♠〈話し上手・聞き上手〉話し上手な人が聞き上手であることは、会話がお互い[たが]の気持ちをやりとりするものであることを考えればよく分かる。♠坊主[ぼうず]がびょうぶに上手に坊主の絵をかいた。(早口ことば) <504> く少数の富者と大多数の貧者とから成り、貧富の差はひじように大きい。♠〈少数者〉わたしたちは、多数意見をうのみにするのではなく、少数者の意見にも耳を傾けることを怠ってはなりません。♠〈少数意見〉今日では、開発より環境を守るべきだという考え方は、もはや少数意見ではなくなりました。♠〈少数精鋭[せいえい]〉うちのチームは少数精鋭をモットーとしている。 **しょう・する【称する】** ○名づけて呼ぶ。名乗る。いつわって言う。ほめる。[文例]〈銀座と称する〉全国いたるところに、「銀座通り」「~銀座」と称する盛り場[さかば]がある。♠〈小京都と称される町〉日本のあちこちに、小京都と称される美しい町があります。♠〈名人と称する〉サブは、木登りの名人と称しているが、登ったところを見たものはだれもいない。♠〈出張と称する〉兄は出張と称して出かけたが、どうも会社を休んで旅行をしているらしい。♠〈病気と称する〉Aは、病気と称して、街で遊んでいる所を、生活指導の先生に見つかったらしい。♠〈並び称せられる〉清少納言[せいしようなどん]は、紫式部[むらさきしきぶ]と並び称せられる平安時代の代表的女流文学者です。 **しょうせい【小生】** ○男性が自分をへりくだって言う語。[文例]小生は、この地で児童の健康増進事業にたずさわる者であります。♠小生という古めかしい言葉を聞くと、わたしはいつも父の手紙を思い出します。 **しょうせい【招請】** ○頼んで来てもらうこと。招き呼ぶこと。[文例]〈招請を受ける〉氏は、アメリカの大学から招請を受けて、遺伝子の研究のために渡米した。♠〈招請する〉今回の来日公演は、日本政府が国際文化交流のために招請し、実現したものです。 **じょうせい【情勢・状勢】** ○物事のなりゆき。→体制[文例]〈試合の情勢〉両投手の好投で、試合は予断を許さない情勢になっている。♠〈世界の情勢〉世界の情勢に目を向けることが、国際人としての心得[こころえ]第一条ですよ。♠〈情勢を見守る〉しばらく戦いの情勢を見守っていた武将は、ついに突撃[とつげき]の命令を下した。♠〈情勢が悪化する〉みんなの努力にもかかわらず情勢は日に日に悪化していった。♠〈情勢の中〉反対派の住民が座り込みを行うといった情勢の中で、高層ビル建設の工事は開始されました。♠〈周囲の情勢〉あまり気が進まなかったのだが、周囲の情勢に巻きこまれて、結局は委員を引き受けるはめになった。♠〈政治情勢〉わたしは政治情勢にうといので、今度の選挙がどうなるか予測もつきません。 **じょうせき【定石】** ○囲碁で局面に応じた決まった打ち方。物事を行う時の決まったやり方。[文例]〈碁の定石〉碁を始めたばかりの人の中には、定石を覚えればそれだけで強くなると思い込んでいる人がいる。♠ノーアウト、ランナー一塁なら、バントで送るのが定石だ。♠〈定石にない〉あの監督は八方破れで、定石にない作戦をとるから相手が困る。 **しょうせつ【小説】** ○人間の生きる姿を中心に描いた現代文学の一形態。[文例]〈小説を書く〉『走れメロス』は、ヨーロッパ古代の独裁王と英雄的な青年たちに関する伝説をもとに書いた小説です。♠〈小説を著す〉彼は、自分の体験をもとに小説を著した。♠〈小説を読む〉『レ・ミゼラブル』という小説を読んで、とても感動しました。♠〈小説に描く〉小説に描かれた人間の心理の奥底を知り、その内面をさぐってみよう。♠〈事実は小説より奇なり〉こんな不思議なことが現実に起こるなんて、まさに、「事実は小説よりも奇なり」だなあ。♠〈小説家〉わたしは、小説家になってベストセラーを書くんだ。♠〈自伝的小説〉この小説は、第二次世界大戦中に少年時代を送った作家の自伝的小説です。♠〈冒険小説〉『宝島』は、スリルに満ちた冒険小説です。♠〈恋愛小説〉わたしは、自分がヒロインになったつもりで、恋愛小説を読みます。 **じょうぜつ(饒舌)** ○口数が多いこと。よくしゃべること。[文例]〈饒舌をふるう〉彼は、酒が入ると多弁になるタイプで、さっきからさかんに饒舌をふるっている。♠〈饒舌な主張〉情報の氾濫[はんらん]の中で、我々は至る所で饒舌な自己主張を聞かされ続ける。♠〈饒舌に語る〉物語を通して発せられる言葉は、若い読者に饒舌に語りかけ、想像の世界を広げてくれる。♠〈饒舌家〉あの饒舌家が相手じゃ、黙って聞いてるしかないな。 **しょうぜん(悄然)** ○しょんぼりしているさま。元気のないさま。[文例]〈悄然とする〉何があったのか、あのおしゃべり女が悄然としている。♠〈孤影悄然〉雪の降り積もる川原に人影が見える。釣り人であろうか、孤影悄然として寂[さび]しい。 **しょうそう【少壮】** ○年が若く、意気さかんなこと。[文例]〈少壮の学者〉そのころ、彼は、ようやく業績が学界に認められてきた少壮の言語学者だった。♠〈少壮気鋭〉氏は、将来の財界を担うであろう少壮気鋭の実業家である。 **しょうそう【尚早】** ○時期が早すぎること。[文例]〈時期尚早〉将来性のある男だが、係長昇進は時期尚早という意見がБольшを占めた。 **しょうそう【焦燥】**(焦躁)○あせり、いらだつこと。[文例]〈焦燥がうずまく〉日々はむなしく流れ、わたしの心の底には不満と焦燥がうずまいていた。♠〈焦燥にかられる〉仕事が思うようにいかないと、わたしは焦燥にかられた。♠〈焦燥感〉かれは、濁流が足元まで迫ってくるような焦燥感をおぼえていた。 **しょうぞう【肖像】** ○人の姿や顔かたちを絵・写真・彫刻などに写したもの。[文例]〈肖像を描く〉町から来た絵かきがお屋敷のだんな様の肖像を描いた。♠〈肖像を刻む〉ペルシアの貨幣[かへい]には、その時代の王の肖像が刻まれていた。♠〈肖像をかける〉壁にかけられた肖像の騎士は、羽の生えた天馬に乗っていた。♠〈肖像権〉写真を無断で本に載せられた人が肖像権の侵害[しんがい]だと訴えた。 **じょうそう【上層】** ○上の層。組織などの上部。[文例]〈大気の上層〉大気の上層を強い風が吹いている。♠〈ビルの上層〉高いビルの上層からは遠くの山々が望めた。♠〈上層部〉会社の大方針については上層部の人間しか知らされていない。 **じょうそう【情操】** ○心の働きによって起こる高等で複雑な <505> 感情。[文例]〈豊かな情操〉〈情操を養う〉文学や芸術に親しみ、豊かな情操を養うことも大切です。♠〈情操教育〉本校では、個性を尊重した授業を行い、音楽や美術などを通して情操教育にも力を入れている。 **じょうぞう【醸造】** ○原料を発酵[はつこう]させて、酒・みそ・しょうゆ・酢などを造ること。[文例]〈みその醸造〉手前どもは、江戸時代からみその醸造を家業としております。♠〈醸造する〉酒やしょうゆを醸造する職人のかしらのことを「杜氏[とうじ]」といいます。♠〈醸造酒〉日本酒は米を発酵させて作った、わが国の代表的な醸造酒です。 **しょうそく【消息】** ○たより。知らせ。人の居所・生活・安否などについての情報。ある限られた社会についての情報。[文例]〈消息を絶つ〉山岳部員九名が北アルプスに出かけたまま消息を絶って、今日で三日たちました。♠〈幼なじみの消息〉四十年ぶりに故郷を訪ねたが、見るもの聞くものすべてが変わり果て、幼なじみの人々の消息も知れなかった。♠〈消息が知れる〉九年ぶりに父親の消息が知れ、兄弟三人でうれし泣きに泣いた。♠〈消息を伝える〉音信のとだえていた兄から消息を伝える便りが届いた。♠〈消息がわかる〉息子が家出してから三年たつが、いまだに消息がわからない。♠〈消息がとだえる〉卒業すると、大の仲良しだった友達ともだんだん消息がとだえがちになる。♠〈消息に通じる〉彼は、芸能界の消息に通じていて、ときどきスターの裏話をしてくれる。♠〈消息筋〉消息筋からの情報によれば、今年中にA国大統領が訪日[ほうにち]するそうです。 **しょうぞく【装束】** ○衣装。装い。[文例]〈装束をつける〉祭りの日には、平安朝時代の装束をつけた人々の行列が市中を練り歩きます。♠〈神主の装束〉〈装束をまとう〉その時、神主の装束をまとった男たちが舞台の中央に進む。♠〈黒装束〉黒装束の盗人[わさびと]は、やがて闇[やみ]に姿をくらましていった。 **しょうたい【正体】** ○本当の姿。正気。[文例]〈お化けの正体〉〈正体をつきとめる〉お化けの正体をつきとめてやろうと、お化け屋敷に乗り込んだ。♠〈正体を暴く[あば]〉今に見ていろ、きっとやつの正体を暴いてやるぞ。♠〈正体をとらえる〉アマチュア天文家がついに不思議な光の正体をとらえることに成功した。♠〈正体を現す〉作者不明のベストセラーとして、話題になった小説の作者が、今ごろになって正体を現した。♠〈正体なく眠る〉よほど疲れたのだろう、帰りの電車の中で、子供たちは、正体なく眠っていた。♠〈正体を失う〉お酒を飲みすぎて、自分がどこにいるのかわからないほどに、正体を失う人がいる。♠〈正体不明〉正体不明の物体が、近づいているというニュースに、宇宙ステーションは騒然[そうぜん]となった。 **しょうたい【招待】** ○招いてもてなすこと。[文例]〈招待を受ける〉ミュンヘンで生活している間に、わたしはいろいろな人から夕食の招待を受けました。♠〈招待する〉この週末には、友達を家に招待して、にぎやかにパーティーを開くつもりです。♠〈招待状〉旧友から、結婚式の披露宴[ひろうえん]の招待状が届いた。 **じょうたい【状態】** ○物事のその時、その場でのありさま・様子。[文例]〈完全な状態〉千葉県の建設現場から、飛鳥[あすか]時代のものと思われる遺跡[いせき]が、かなり完全な状態で発見されました。♠〈危険な状態〉三時間にわたる大手術が成功して、父はやっと危険な状態を脱した。♠〈最悪の状態〉雪が激し[はげし]くなると同時に風も強くなり、登山には最悪の状態になってきた。♠〈氷の状態〉北極点到達[とうたつ]は氷の状態が悪いため、延期することになった。♠〈寝たきりの状態〉おばあさんは腰[こし]を患っ[わずら]てから、もう一年以上寝たきりの状態が続いています。♠〈物質の状態〉温度が高くなるにつれ、物質の状態も少しずつ変化していった。♠〈体の状態〉〈心理状態〉成長期の少年少女は、体の状態も、心理状態も不安定です。♠〈健康状態〉おかげさまで、このところ健康状態は上々で、楽しく暮らしております。 **しょうだく【承諾】** ○依頼や申し入れを聞き入れること。[文例]〈承諾を得る〉犬を飼わせてほしいと何度も頼んで、やっと父の承諾を得ることができた。♠〈承諾する〉会長になってくれるようお願いに行ったら、快く承諾してくれました。♠〈事後承諾〉お父さんには事後承諾になるけれど、ぼくは自分の進路をもう決めたのです。 **じょうたつ【上達】** ○腕まえが上がること。下の者の意思が上部に通じること。[文例]〈おけいこ事の上達〉女の子たちは、おけいこ事の上達を祈っ[いの]て、近くの神社にお参りに行きました。♠〈上達の道が開ける〉いくら素質があったとしても、練習をしなければ上達の道は開けません。♠〈上達が早い〉母が有名なピアニストだけあって、娘[むすめ]もほかの子に比べて上達が早い。♠〈上達する〉どんなスポーツにしろ、上達するかしないかは、本人の努力が大きくものを言います。♠〈腕が上達する〉もう少し運転の腕が上達したら、みんなでドライブに行こうよ。♠〈日本語が上達する〉三年前アメリカからやってきたジャックは、日本語がすっかり上達して、今ではけんかをするのも日本語だ。 **じょうだん【冗談】** ○ふざけて言う話。ふざけてすること。[文例]〈冗談を言う〉いつもは無口な彼も、お酒を飲むと陽気になり、冗談を言うようになります。♠〈冗談を飛ばす〉ばかな冗談ばかり飛ばしていて、恋人[こいびと]にふられた男もいるぞ。♠〈冗談を真に受ける〉きみの言った冗談を真に受けて、大恥[おおはじ]をかいてしまったよ。♠〈冗談が過ぎる〉いきなり水をかけるなんて、冗談が過ぎるんじゃないかい。♠〈冗談が通じない〉彼はきまじめすぎて冗談が全然通じないので、つきあっていて疲れます。♠〈冗談にも程がある〉真冬の道に水をまくなんて、すべってけがでもしたらどうするんだ、冗談にも程があるよ。♠〈冗談とも本気ともつかない〉「あなたがいなくなればいいのに。」と、彼女は冗談とも本気ともつかない顔でわたしを見た。♠〈冗談半分〉一人で寝られるかいと冗談半分にからかったら、弟は怒った[おこ]のか部屋に入ってしまった。♠〈冗談じゃない〉ぼくが悪いんじゃないかって? 冗談じゃないよ、これでも精いっぱいやったんだぜ。 **しょうち【承知】** ○聞いて知っていること。聞いて引き受け <506> ること。聞き入れること。[文例]〈承知のうえで〉締め切りまで一日しかない仕事を、承知のうえで引き受けた。♠〈承知のとおり〉みなさまご承知のとおり、このわたしには、お金がない。♠〈承知する〉来月までに必ず返事をください。はい承知しました。♠〈承知しない〉親方がいない間に、好き勝手なことをすると承知しないぞ。♠〈名前を承知する〉お会いしたことはございませんが、お名前だけは承知いたしておりました。♠〈百も承知〉ここでよい成績をあげなければレギュラー落ちすることは、言われなくても百も承知だ。♠〈無理を承知〉むちゃはわかっています。無理を承知でお願いしているのです。 **しょうちゅう【掌中】** ○手のひらの中。意のままになる範囲。[文例]〈掌中に収める〉この谷一帯を掌中に収めた野盗[やとう]の頭[とう]目は、さらに野望をつのらせていた。♠〈掌中の玉〉夫婦は、この娘を掌中の玉としていつくしみ育てた。 **じょうちょ【情緒】** ○物事にふれて起こるさまざまな心の動き。また、それを引き起こすもの。複雑な感情の動き。じょうしょ。[文例]〈情緒がある〉朝もやに煙る[けむ]静かな山の夜明けは、何とも言えない情緒がある。♠〈情緒豊かな〉わたしの故郷は、瀬戸内海[せとないかい]の小島にある、情緒豊かな港町です。♠〈作品に漂う[ただよ]情緒〉彼の作品全体に漂う情緒は、他の作者にはない独特なものである。♠〈情緒たっぷり〉情緒たっぷりに降る春雨[はるさめ]は、土を潤し[うるお]て草木の生命力をかき立て、花のつぼみをほころばせる。♠〈異国情緒〉〈情緒あふれる〉室内いっぱいに飾られた工芸品は、どれも異国情緒あふれる、すてきなものばかりです。♠〈下町情緒〉どんどん近代化していく山の手と違って、この辺りにはまだ下町情緒が残っています。♠〈情緒不安定〉彼はこのごろ、情緒不安定で、やたらと怒り[おこ]っぽい。 **しょうちょう【象徴】** ○ある観念を具体的な物で表すこと。また、そのようにして表されたもの。[文例]〈日本の象徴〉桜[さくら]といえば日本、日本といえば桜と言われるように、桜の花は日本の象徴とされている。♠〈平和の象徴〉ハトは昔[むかし]から平和の象徴とされている。♠〈象徴する〉映画は、二人の主人公の未来を象徴するかのように、明るい夕焼けで終わった。♠〈象徴的〉この小説は、人間のおろかしさを象徴的に描き出した作品です。 **しょうちょう【消長】** ○盛んになることと衰えること。[文例]〈活動の消長〉火山活動の消長、噴火の発生や停止などについての的確な情報が求められています。♠〈消長がある〉長い歴史の中で、消長はあったけれども、短歌は文学形式の一つとして存在し続けた。 **じょうちょう【冗長】** ○だらだらと長いさま。[文例]〈話が冗長〉あれもこれもと内容を欲張る[よくば]と、かえって話が平板で冗長になってしまいます。♠〈文章が冗長〉文章を書くときは、いたずらに冗長にならないように、簡潔にまとめるようにしよう。 **じょうでき【上出来】** ○出来ばえがよいさま。[文例]上出来上出来、こんなにうまくいくとは思わなかった。♠〈上出来なスピーチ〉あのスピーチはきみとしては上出来だよ。あれで座が盛りあがったんだから。 **しょうてん【焦点】** ○レンズなどを通過して屈折した光線が一点に集まるところ。関心や注意の集中するところ。基本になる点。[文例]〈レンズの焦点〉〈焦点を合わせる〉上手に焦点を合わせないとピントのぼけた写真になります。♠〈話題の焦点〉女の子たちの話題の焦点は、食べることとファッションにあるらしい。♠〈感動の焦点〉〈焦点が定まる〉何の変哲[へんてつ]もないこの一語によって、一句の感動の焦点が定まっていく。♠〈焦点をしぼる〉焦点をしぼって話し合いを進めたほうが、意見が出やすいのではないでしょうか。♠〈焦点を当てる〉石川さんの作文は、いっしょに遊園地へ行った時の妹に焦点を当てて書かれています。♠〈焦点がはっきりする〉取材する時には、聞きたい話の焦点をはっきりさせておきましょう。♠〈焦点があまい〉きみの話は焦点があまいから、全体がわかりにくい。 **しょうてん【商店】** ○商品を売る店。[文例]駅の前に商店などが固まっていて、町らしい形を整えていました。♠〈商店街〉桜通り商店街の福引きセールで、自転車が当たったんだ、一等なんだよ。 **しょうてん【昇天】** ○天にのぼること。天国へ行くこと。[文例]〈キリストの昇天〉この日、教会ではキリストの昇天を祝うミサが行われていた。♠〈昇天する〉神を賛美しながら、トムは天使に迎えられて昇天した。♠〈旭日昇天[きよくじつ]の勢い〉小規模な会社であったが、旭日昇天の勢いで躍進[やくしん]を続けていた。 **しょうど【焦土】** ○焼けこげた大地。[文例]戦火による焦土にも春が訪れ[おとず]、はこべの芽が萌え[も]出した。♠〈焦土と化する〉美しかった街並みを焦土と化して、ようやく戦争は終わった。 **じょうと【譲渡】** ○ゆずりわたすこと。[文例]〈権利の譲渡〉本会では、会員としての権利の譲渡はできません。♠〈譲渡する〉子供のいない老夫婦は、財産を他人に譲渡するより、恵まれない人々のために寄付しようと考えた。 **じょうど【浄土】** ○仏の住む清らかな理想の世界。極楽浄土。[文例]〈極楽浄土〉法然[ほうねん]は、ひたすら念仏を唱えれば、だれでも極楽浄土に往生[おうじよう]することができると説い[と]た。♠「穢土[えど]を厭い[いと]浄土を欣ぶ[よろこ]の心切なれば、などか往生を遂げざらん」(恵心僧都[えしんそうず])彼は恵心僧都と共に手を合わせたいような気持がした。(志賀直哉[しがなおや]「暗夜行路[あんやこうろ]」) **しょうとう【消灯】**(消燈)○明かりを消すこと。[文例]〈消灯する〉消灯して一時間くらいすると、やっと修学旅行の生徒たちの部屋が静かになった。♠〈消灯時間〉病院の消灯時間は早く、わたしはベッドの上でいつまでも眠れないでいた。 **しょうどう【衝動】** ○心を突き動かすような感情の動き。突然で本能的な欲求。[文例]〈衝動を覚える〉水が透き通ってきれいなので、泳ぎたいという衝動を覚え、川に入った。♠〈衝動に駆られる〉地中深くえぐれている火口をじっと見ていると、飛び込んでいきたいような不思議な衝動に駆られ <507> た。♠〈衝動を感じる〉汽車と競走したいという、わけのわからぬ衝動を感じ、気がついたら、汽車を必死で追いかけていた。♠〈衝動を抑える[おさ]〉わがままな子をぶってやろうという衝動を抑えるのに苦労した。♠〈衝動買い〉衝動買いは、あとになってからしまったと思うことが多い。♠〈衝動的〉けんかの仲裁[ちゆうさい]に入ったが、なかなか収まらないので、衝動的に二人を突き飛ばした。 **じょうとう【上等】** ○等級が高いこと。品質や出来具合がよいさま。[文例]〈上等の出来〉おみごと、上等の出来ですね、いやあ感心しました。♠〈上等な品〉こちらは、上等な品でもの、お買いになって損はありませんよ。♠足の遅いおまえが校内マラソンで、二十位に入れるなんて上等だよ。 **じょうとう(常套)** ○きまりきったやり方であること。[文例]〈常套的〉身辺の雑事から書き起こすのが、この著者の常套的なやり方だった。♠〈常套手段〉試合の前に相手チームの戦力を分析し、弱点を突くのがうちの監督の常套手段だった。 **じょうどう【情動】** ○外面に現れるような激しい心の動き。[文例]〈激しい情動〉激しい情動をしずめるために、人はさまざまなしいぐさをします。♠〈情動の表現〉怒りや恐怖などの情動の表現においても、個人差があります。 **しょうとく【生得】** ♪せいとく **しょうどく【消毒】** ○病原菌を殺すこと。殺菌。[文例]〈消毒する〉傷口からばい菌が入るといけないから、きちんと消毒しておきなさい。♠〈消毒液〉医者は、消毒液に手をひたしてから診察[しんさつ]を始めた。♠〈消毒剤〉病院には消毒剤とか薬品とかの入り混じった独特のにおいがあります。♠〈日光消毒〉まな板は、時々日に当てて日光消毒したほうがいいですね。♠〈熱湯消毒〉看護婦さんは、注射器を熱湯消毒しました。 **しょうとつ【衝突】** ○ぶつかること。突き当たること。対立して激しく争うこと。[文例]〈衝突を防ぐ〉霧の海を航行する船は、ほかの船との衝突を防ぐために、汽笛を鳴らしつづける。♠〈激しい衝突〉アイスホッケーの装備[そうび]は、選手同士の激しい衝突にびくともしないようにできている。♠〈車が衝突する〉高速道路で、数台の車が衝突したが、幸いにも大きな事故にはならなかった。♠〈人と人が衝突する〉この夫婦は、ささいなことで毎日のように衝突している。♠〈意見の衝突〉最近は、意見の衝突を避けるため、父と顔を合わせないようにしている。♠〈正面衝突〉路地の曲がり角で、走ってきた子供どうしが、出会い頭[がしら]に正面衝突した。♠〈軍事的衝突〉このままの状態が続くと、両国間の軍事的衝突は、避けられないだろう。 **しょうにん【承認】** ○認めること。聞き入れること。[文例]〈承認を得る〉高校生がアルバイトをするためには、学校の承認を得る必要がある。♠〈承認を求める〉根気[こんき]よく市の承認を求めつづけた結果、市有地の使用を許してもらえた。♠〈承認を経る〉国民の過半数の承認を経て、初めて憲法の改正が可能となる。♠〈承認する〉学校の新しい規則が生徒会で承認されましたので、来月から実施[じつし]します。 **しょうにん【証人】**(證人)○事実を証明する人。証言をする人。[文例]〈証人をたてる〉彼は、証人をたてて無実を主張した。♠〈証人になる〉ぼくがやったんじゃないってことは、お兄ちゃんが証人になってくれるよ。♠〈証人尋問[じんもん]〉被告側の証人尋問が始められた。 **しょうにん【商人】** ○商売を業とする人。[文例]近世になって、富を蓄え[たくわ]た商人たちがしだいに力を持つようになっていった。♠〈死の商人〉戦乱の地で武器を売りつけ、また世界から戦火を絶やさぬよう画策[かくさく]する死の商人がいる。♠〈商人町〉この一帯は昔から商人町として栄えたところで、町名にその名残[なごり]があります。 **しょうにん【上人】** ○徳のある高僧。[文例]寺の講堂に集まった善男善女は、熱心にお上人様の言葉に耳を傾け[かたむ]ていた。♠〈親鸞[しんらん]上人〉親鸞上人は、「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」と説き、仏の慈悲の深さを教えました。 **じょうにん【常人】** ↓じょうじん **しょうね【性根】** ○心の持ち方。心がまえ。根性。[文例]〈性根が治る〉そうやって甘やかしてばかりいては、いつまでたってもこいつの性根は治らない。♠〈性根が据わる[す]〉まだ若いが、自分の意見もしっかりと持っているし、なかなか性根の据わった人物だ。♠〈性根を据える〉今度の仕事には性根を据えてとりかかります。 **じょうねつ【情熱】** ○物事に取り組む時の強く、熱した感情。[文例]〈情熱がわく〉与えられた仕事に意義が見いだせないと、情熱はわいてきません。♠〈情熱に燃える〉少年は、学問への情熱に燃えて、故郷を後にしたのだった。♠〈情熱を燃やす〉何かに熱中し、情熱を燃やしながら生きていきたいと思う。♠〈情熱を傾ける〉彼女は、何を犠牲にしても、演劇に情熱を傾けてきたのです。♠〈情熱を注ぐ〉新しい思想の展開に情熱を注ぐ、一群の詩人たちがいた。♠〈情熱をこめる〉若者たちが激しい情熱をこめて革命の未来を語った時期が、戦後の日本にもあったのです。♠〈情熱の火〉若いきみたちの心に情熱の火を燃やせ。♠〈情熱的〉彼は、理想と信念を持って情熱的に教育にとり組んでいます。♠〈情熱家〉映画は、地位も名誉も捨てて恋に生きた情熱家の一生を描いている。 **しょうねん【少年】** ○成人前の男子。年少の男の子。[文例]ジムは、勇敢で冒険好きな少年です。♠母親の言いつけで、エーミール少年はおばあさんの住む町まで汽車で行きます。♠〈少年の日〉少年の日の思い出が走馬灯[そうまとう]のように次々と浮かんできた。♠〈少年時代〉おまえたちを見ていると、お父さんの少年時代を思い出すよ。♠〈少年少女〉物語には、ソ連の農村に生きる少年少女の姿が生き生きと描かれている。♠〈少年期〉わたしは、少年期を祖母とともに伊豆で過ごしました。♠〈少年向け〉今日の新聞に少年向けの図書の案内が載っている。♠〈少年老い易く学成り難し〉「少年老い易く学成り難し」、まさに、この言葉どおりです。♠〈少年よ大志を抱け〉「少年よ、大志を抱け」――これはクラーク博士の有名な言葉です。 <508> **じょうねん【情念】** ○心の奥底から抑えがたくわき起こる思い。[文例]〈暗い情念〉長い間、わたしはこの女を憎み[にく]続けてきたが、今その暗い情念からやっと解放された。♠〈情念を秘める〉〈情念があふれる〉長い間胸に秘めてきた情念が一気にあふれ出たように、女の声は激しくふるえた。 **しょうはい【勝敗】** ○勝利と敗北。勝ち負け。[文例]〈試合の勝敗〉実力の差がほとんどないチーム同士の試合の勝敗を予測するのは難しい。♠〈勝敗が決まる〉ちょっとしたミスによって勝敗が決まるような微妙[ぴみよう]なゲームもある。♠〈勝敗を決する〉確かに一本は取られたが、まだまだ勝敗は決していないぞ! ♠〈勝敗を争う〉本大会も、この両者が決勝で勝敗を争うことになろう。♠〈勝敗がつく〉どちらとも勝敗がつかないうちに、試合終了のゴングが鳴った。♠〈勝敗にこだわる〉ルールを無視して、勝敗だけにこだわっていては、スポーツとは言えない。 **しょうばい【商売】** ○品物を売って利益を得ること。あきない。職業。[文例]〈商売をする・商売する〉おじは、大阪で商売をしております。♠〈商売が上手・下手〉あんたは損ばかりして、ほんとに商売が下手なんだから。♠〈人に会うのが商売〉新聞記者というのはね、人に会うのが商売なんです。♠〈商売になる〉こんな人通りの少ない所で物を売っても、商売にならない。♠〈商売繁盛[はんじよう]〉猛暑[もうしよ]で、クーラーが売れに売れて、電気屋は商売繁盛、ほくほく顔です。♠〈商売上がったり〉こんなに不景気では、お客の財布[さいふ]のひもがかたく、商売上がったりですよ。♠〈商売柄〉服飾関係の仕事をしている友人は、商売柄、流行には敏感[びんかん]だ。♠〈商売敵[がたき]〉その通りは同じ店がいくつも並んでいて、いわば、商売敵が軒[のき]をつらねているようなものだ。♠〈先生商売〉休みが多くていいですねって言われますが、これで先生商売も大変なんですよ。 **しょうばつ【賞罰】** ○ほめることと罰を与えること。[文例]〈賞罰を受ける〉これまでに、特にこれといった賞罰を受けたことはありません。♠〈厳正な賞罰〉人を使ううえで必要なことの一つに、厳正な賞罰があげられます。♠履歴書[りれさしよ]に「賞罰なし」と書き込んだ時、わたしは自分の平凡な生き方をそこに見たように思った。 **じょうはつ【蒸発】** ○液体が表面から気化すること。人が行方をくらますこと。[文例]〈水分が蒸発する〉天気のいい日にかげろうが立つのは、地表の水分が蒸発するからです。♠〈アルコールが蒸発する〉アルコールで体をふくとすっとしますが、それはアルコールが蒸発するとき、体の熱を奪っていくからです。♠〈人が蒸発する〉この村から出稼ぎ[かせ]に出て、そのまま蒸発してしまった男は、十年間で五人にもなります。 **しょうひ【消費】** ○使って無くすること。使って減らすこと。[文例]〈電気・ガスの消費〉電気や石油、ガスなどの消費をできるだけ少なくしようという省エネ運動がひところ盛んに行われた。♠〈消費する〉国内で消費する農産物の多くは外国から輸入されています。♠〈消費者〉食品の安全性に対する消費者の関心は年々高まっています。♠〈消費量〉夏場は、冷房を一日中つけるため、どうしても電気の消費量が多くなります。 **しょうび(焦眉)** ○(火がまゆを焦がすばかりに)危難が差し迫っていること。[文例]〈焦眉の急〉一帯の農民にとって、迫り来る台風からいかに作物を守るかが焦眉の急であった。 **じょうび【常備】** ○常時備えておくこと。いつも用意してあること。[文例]〈常備する〉これは災害時に備えて常備してある飲料水です。♠〈常備薬〉うちでは、鉢植え[はちう]のアロエを常備薬の一つとしていつも置いています。 **しょうひん【商品】** ○売り買いする品物。売るために作られた品物。[文例]〈店の商品〉店の棚[たな]には、商品が手に取りやすいように並べられている。♠〈商品としての価値〉少しでも傷のある宝石は、商品としての価値が落ちます。♠〈目玉商品〉今日の目玉商品は、産地直送のスイカだよ。 **しょうひん【賞品】** ○褒美[ほうび]として与えられる品物。[文例]〈賞品をもらう〉子供のころ、絵のコンクールで入賞して、賞品に絵の具セットをもらったことがあった。♠〈賞品が出る〉賞品が出るというので、やせっぽちの弟も勇んで相撲大会に出場した。 **じょうひん【上品】** ○態度などにいやみがなく感じのよいさま。品質が上等なこと。[文例]〈上品な人〉和服を着た上品な女の人に道をたずねられた。♠〈上品な装い〉恵子さんは、いつも上品な装いをしているけれど、だれに洋服を見立ててもらうのかしら。♠〈上品な味〉おばさまの作ったお吸い物は、さっぱりしていてとても上品な味でした。 **しょうぶ【勝負】** ○勝ち負け。勝ち負けを競うこと。[文例]〈勝負をする・勝負する〉どちらが力持ちか、ひとつ腕[うで]ずもうで勝負をしてみようじゃないか。♠〈勝負がつく〉横綱[よこつな]同士ががっぷり四つに組んで、なかなか勝負がつかない。♠〈勝負になる・ならない〉相手が大人では、いくらかけっこの名人でも、勝負になりません。♠〈いい勝負〉今日の横綱と大関の取組[とりくみ]、力が入って、なかなかいい勝負でしたね。♠〈勝負なし・あり〉ここ一番というときに、時間切れで、勝負なしに終わった。♠〈勝負の世界〉いつの世にも、勝負の世界は厳しいものだ。♠〈一か月が勝負〉受験を間近にひかえてここ一か月が勝負だ。♠〈勝負師〉この会社の社長は、いちかばちかの思い切ったことをする人で「財界の勝負師」と言われている。♠〈勝負ごと〉勝負ごとの種類は数えきれないが、中でも囲碁などはとびきりおもしろい。♠〈出たとこ勝負〉準備もせずに出たとこ勝負というのでは、いい成績は上げられない。 **じょうぶ【丈夫】** ○壮健で病気になりにくいさま。しっかりしていて壊れにくいさま。[文例]〈体が丈夫〉祖父は日ごろ、体が丈夫なうちに富士山に登ってみたいと言っています。♠〈丈夫に暮らす〉祖母は今年で八十三歳になりますが、病気もせず丈夫に暮らしております。♠〈丈夫で何より〉貧しい暮らしですが、家族全員、丈夫で何よりです。♠〈丈夫な生地〉この作業衣は、激しい労働に耐えられるよう、 <509> 丈夫な生地でできている。♠〈丈夫で長持ちする〉新製品は従来の物に比べて、丈夫で長持ちするのが大きな特徴だ。 **しょうふく【承服・承伏】** ○聞き入れて従うこと。[文例]〈承服する〉今のあなたのご意見には承服しかねる。♠〈承服する〉強引に承服させるかたちになったので、家族のみんなにはすまないと思っている。 **じょうぶつ【成仏】** ○死んで仏になること。死ぬこと。[文例]〈成仏する〉恨み続けながら死んで行った人々の魂[たましい]は成仏できずに、やみをさまよっているのだろうか。♠〈成仏する〉犯人がつかまって、殺された被害者もやっと成仏してくれるでしょう。 **しょうぶん【性分】** ○生まれつきの性質・性格。たち。[文例]〈怒りやすい性分〉年を取って、父の怒りやすい性分はいよいよひどくなってきた。♠〈気の弱い性分〉生まれつき気の弱い性分で、ちょっとのことでも気になって眠れなくなる。♠〈生まれつきの性分〉「おばあちゃんは、お人よしだね。」と、母が言うと、祖母は「これも生まれつきの性分だから。」と答える。♠〈性分に合う〉のんびりした田舎暮[いなかぐ]らしが、わたしの性分に合っているのかもしれません。♠〈性分として〉わたしの性分として、役人の横暴[おうぼう]を黙っ[だま]て見過ごすことはできなかった。 **しょうへき【障壁】** ○空間を仕切る壁。行き来・進行・伝達などの妨げ。[文例]〈障壁を取り払う〉部屋と部屋の間の障壁を取り払って、広い事務室に改造しました。♠〈理解の障壁〉言語を異にするということは、民族間の理解の大きな障壁となっています。♠〈障壁画〉桃山[ももやま]時代には雄大な城郭[じようかく]や社寺が造られ、その内部を飾る豪華な障壁画が発達した。 **しょうべん【小便】** ○尿。[文例]〈小便をもよおす〉〈小便に立つ〉男は小便をもよおしたらしく、立って小屋の外へ出て行った。♠〈小便を垂れる〉人の家の裏木戸へ向かって小便を垂れないように願いたい。♠〈小便をする〉〈寝小便〉男の子は、今日も寝小便をして、母親にひどくしかられた。♠〈小便臭い〉いつまでも小便臭いことを言ってるんじゃないよ、と娘は店のおかみから言われていた。 **じょうほ【譲歩】** ○(人に道を譲る[ゆず]意から)自分の意思・主張をひっこめて、他に従うこと。[文例]〈譲歩する〉お互いが譲歩してようやく争いはおさまった。♠〈譲歩を迫る〉店長に譲歩を迫られたが、悪いのは客のほうだと、その店員は一歩も譲らなかった。♠〈譲歩を求める〉おまえが正しいのはわかるが、向こうはお屋敷の坊ちゃんだからと、親たちは少年に譲歩を求めた。 **しょうぼう【消防】** ○火事を消したり、防いだりすること。消防士。消防署。[文例]〈消防車〉消防車が来た時はもう家は焼け落ちていた。♠〈消防署〉近くの家の二階から煙が出ているのを発見し、急いで消防署に通報した。♠〈消防士〉消防士たちは手際よく消火活動を進め、火はまもなく消えた。 **じょうほう【情報】** ○出来事の状況・内容や、物事の事情についての知らせ。判断や意志決定などに役立つ資料・知識。[文例]〈情報を得る〉新聞社は一般市民から新しい情報を得、独自の調査を続けてきた。♠〈情報を集める〉博士[はかせ]はUFOに関する多くの情報を集め、一冊の本にまとめました。♠〈情報が入る〉ストライキ関係のニュースは、新たな情報が入り次第お伝えします。♠〈極秘情報〉〈情報を探る〉逮捕[たいほ]された男は、わが国の極秘情報を探りにきたスパイであることが判明した。♠〈情報を伝える〉テレビ・ラジオ・新聞などは、情報を伝える機関として、なくてはならないものです。♠〈情報を提供する〉計画の内容を話すと、彼は快くいまいろな情報を提供してくれました。♠〈的確な情報〉案内所に電話すれば、旅行に関する的確な情報を教えてくれます。♠〈情報が漏れる〉どうして敵に情報が漏れたのか、さっぱりわかりません。♠〈情報を手に入れる〉旅行から帰ってきた彼女から、思わぬ情報を手に入れました。♠〈情報を流す〉米が不足するらしいという情報が流されると、人々はそれっとばかり買い出しに走った。♠〈情報を交換する[こうかん]〉ありが何匹も集まってはまた散っていくさまは、いかにも食べ物のある場所についての情報を交換しているようだ。♠〈情報化社会〉日本は、工業社会から情報化社会へ向かっていた。 **しようまっせつ【枝葉末節】** ○物事の中心から外れた、主要でない細かな事柄。[文例]〈枝葉末節にとらわれる〉あなたのように枝葉末節にとらわれていると、ものごとの根本を見失ってしまう。♠〈枝葉末節にこだわる〉枝葉末節にこだわって、肝心[かんじん]なことが抜けてしまっては何にもならない。♠〈枝葉末節におよぶ〉議論は枝葉末節におよび、大事な問題は忘れられてしまった。♠〈枝葉末節な話〉枝葉末節な話と思われるかもしれませんが、大切なことですから触れておきます。 **じょうまん【冗漫】** ○だらだらと、とりとめのないさま。[文例]〈冗漫な文章〉冗漫な文章を避け、簡潔で生き生きとした表現を心がけよう。♠〈話が冗漫〉あの人の話は冗漫で、しかもこっちの都合を考えずに話しかけてくるから困ります。 **しょうみ【正味】** ○中身。中身の重さ。実質的な数量。「[文例]容器の分を除けば、正味は百グラムぐらいのものでしょう。♠待ち時間や乗り換えの時間は別にしても、正味二時間はかかると思う。 **しょうめい【証明】** ○証拠だてて明らかにすること。[文例]〈証明する〉あなたがその場にいなかったことは、わたしが確信をもって証明します。♠〈身分を証明する〉二十数年前まで、身分を証明するものとして、米穀通帳[べいこくつうちょう]が通用していました。♠〈潔白を証明する〉容疑者の少年には、身の潔白[けつぱく]を証明するものが何もなかった。♠〈証明書〉この薬をお客さまにお売りするためには、医者の証明書が必要です。 **しょうめい【照明】** ○人工の光で明るくすること。光線を当てること。[文例]〈照明がある〉大広間は、すてきなシャンデリアの明るい照明がありました。♠〈照明が暗い〉客間の照明が暗くなったので、電球を取りかえましょう。♠〈照明をつける・消す〉照明をつけたり消したり、強くしたり弱めたりして効果を上げるのだから、舞台照明はたいへんな仕 <510> 事です。 **しょうめつ【消滅】** ○消えて無くなること。消して無くすること。[文例]〈生成から消滅〉本には、星の生成から消滅までがわかりやすく図解されていました。♠〈方言が消滅する〉日本の各地に趣のある方言が残っていますが、これらも時代とともに消滅しつつあります。♠〈伝統が消滅する〉古い伝統が消滅していくのは寂[さび]しいことだ。 **しょうめん【正面】** ○物の表側。真向かい。まともに向かうこと。[文例]〈校舎の正面〉ぼくらの通う学校の校舎の正面に、背に荷物をしょった少年の立像がある。♠〈正面の席〉遅れて教室に入ると、先生の正面の席しか空いていなかった。♠〈正面を向く〉みなさん、ちゃんと正面を向いて、校長先生のお話をよく聞きましょう。♠〈正面へまわる〉裏から正面へまわると、とても大きな屋敷であることがわかった。♠〈正面からかかる〉「ようし、正面からかかってこい。」と言って、兄さんは身構えた。♠〈正面から攻撃する〉敵の正面から攻撃したのでは、勝ち目はない。♠〈正面きって言う〉「お母さん、いつもありがとう。」と正面きって言うのは、いくら母の日でも照れくさいな。 **しょうもう【消耗】** ○使い減らすこと。使い果たすこと。[文例]〈文房具の消耗〉最近、文房具の消耗が早いけれど、無駄使いしているのではないでしょうね。♠〈エネルギーの消耗〉歩道橋の登り降りは、お年寄りにとってはたいへんなエネルギーの消耗です。♠〈体力を消耗する〉一週間の労働で消耗した体力を回復するのだと言って、お父さんは日曜になると家でゴロゴロしている。♠〈心身を消耗する〉取り引き先を一日中接待したので、心身ともに消耗した。♠〈消耗品〉鉛筆やノートなどの消耗品は、会社で支給されます。 **しょうもん【証文】** ○証拠となる文書。[文例]〈証文をとる〉借金の返済を間違いなくするためには、やはり証文をとっておく必要があります。♠〈証文の出し遅れ〉今ごろ証拠のメモを持ち出してきたって、証文の出し遅れというものだ。 **じょうやく【条約】** ○国家間の約束。また、その文書。[文例]〈条約を結ぶ〉昭和二十六年サンフランシスコ講和条約を結び、日本は主権を回復した。♠〈条約を締結[ていけつ]する〉一八五八年、日本は、アメリカなど五か国と条約を締結した。♠〈条約を批准[ひじゅん]する〉外国との条約は、国会の承認を経て、批准される。 **しょうよう【賞揚・称揚】** ○ほめたたえること。[文例]〈称揚する〉虚子[きよし]は、高野素十[すじゆう]の作品を高く評価して、これを「客観写生の極致[きよくち]」として称揚しました。♠〈称揚する〉個人よりも集団が重んじられ、集団のために個人を犠牲[ぎせい]にすることが美徳として称揚された時代があった。 **じょうよう【常用】** ○日常用いること。続けて用いること。[文例]〈常用する〉この薬はよく効くが、常用すると副作用がある。♠〈常用する〉これは祖母が生前に常用していた湯のみ茶わんです。♠〈常用漢字〉昭和五十六年に、当用漢字に代わって、一九四五字の漢字が常用漢字として定められた。 **じょうよく【情欲】**(情慾)○肉体的な欲望。性欲。色欲。[文例]〈情欲をそそる〉白く美しい女の肌であった。不思議にも情欲をそそることのない美しい体であった。♠〈情欲を燃やす〉彼は道徳家である。然[しか]しその妻に対しては人一倍烈[はげ]しい情慾を燃やすのである。(志賀直哉[しがなおや]「濁った頭」) **しょうらい【将来】** ○これから先。未来。もたらすこと。[文例]〈自分の将来〉今日の討論会では、自分の将来について語っていただきましょう。♠〈将来の夢〉わたしの将来の夢は、宇宙飛行士になることです。♠〈近い・遠い将来〉近い将来に、大きな地震があるかもしれないので、日ごろから対策を考えねばなりません。♠〈将来のある若者〉彼ら将来のある若者が、どうして、あんなに遊びほうけていられるのだろう。♠〈将来に残る仕事〉人間は努力しだいで、将来に残るような仕事をすることができるはずだ。♠〈将来が楽しみ〉この子は、よくできた子ですので、将来がとても楽しみです。♠〈将来を期待する〉彼は、ピアニストとして、将来を期待されています。♠〈将来する〉努力は、必ずや、成功を将来するでありましょう。♠〈将来性〉大学を卒業したら、小さくてもいいから将来性のある会社に就職したいと思う。 **しょうり【勝利】** ○勝負に勝つこと。→敗北[文例]〈勝利を得る〉ぼくたちのチームは、厳しい練習に耐えて勝利を得ることができた。♠〈勝利を収める〉強敵を相手に苦しい戦いの末ようやく勝利を収めた。♠〈勝利をあげる〉県大会で我が校のバレーチームが勝利をあげたのは、創立以来だ。♠〈勝利をつかむ〉リレーでは、けっきょくよし子さんたちのチームが勝利をつかみました。♠〈勝利に酔う〉兵士たちは勝利に酔う間もなく次の戦場へと向かった。♠〈勝利する〉戦争は、勝利した国も損害を受けるものです。♠〈勝利の女神〉激しい戦闘の末、遂に勝利の女神が味方にほほえんだ。 **じょうり【条理】** ○物事のすじみち。道理。[文例]〈条理が立つ〉随分[ずいぶん]時間をかけて考えてきたのだろう、彼の話はよく条理が立っていた。♠〈条理にかなう〉疲れたら休む、というのは、なるほど条理にかなっている。♠〈条理に反する〉他人の世話になっていながら、おれは好き勝手に生きる、というのでは条理に反することになろう。♠〈条理が整う〉不束[ふつつか]な仮名文字で書いてはあるが、条理が善く整っていて、大人でもこれだけの短文に、これだけの事柄を書くのは(……)(森鷗外[もりおうがい]「最期の一句」) **じょうり【情理】** ○人情と道理。[文例]〈情理を尽くす〉お互いに血の通った人間同士だもの、情理を尽くして説けばわかってもらえるだろう。 **じょうりく【上陸】** ○陸に上がること。陸上を襲うこと。渡来すること。「[文例]〈岸に上陸する〉激しい流れに押し流されて、ぼくたちは目的地よりかなり川下の岸に上陸した。♠〈日本に上陸する〉鉄砲[てつぽう]を持ったポルトガル人が初めて日本に上陸したのは、一五四三年のことです。♠〈台風が上陸する〉台風十号は、十九日未明に紀伊半島に上陸しました。♠〈敵前に上陸する〉特殊[とくしゅ]部隊三十名を乗せたタグボートは、 <511> あらしの海をついて敵前に上陸した。♠〈流行が上陸する〉ヨーロッパやアメリカの流行は、ほとんど間をおかず日本に上陸します。 **しょうりゃく【省略】** ○はぷくこと。略すること。[文例]〈言葉の省略〉話し言葉には、省略が多く、当事者同士にしかわからない場合もある。♠〈省略する〉全部言うと長くなるので、細かいことは省略して簡単に話します。 **じょうりゅう【上流】** ○流れの上部・上方。川上。社会階層の最上位。[文例]〈川の上流〉この地方は、雨季になると、川の上流からよく肥えた土が運ばれてくる。♠〈上流深く〉十日分の食料を持ち、男は金鉱を求めて、一人で川の上流深く入って行った。♠〈上流にさかのぼる〉この川をどんどん上流にさかのぼっていくと、原住民の小さな部落に行きあたる。♠〈上流の家庭〉イギリスの上流の家庭の子弟は、パブリックスクールに学ぶのがならわしだ。♠〈上流階級〉戦後しばらくの間、ゴルフやテニスは上流階級の遊びだった。 **しょうりょう【少量】** ○分量が少ないこと。→多量・大量[文例]〈少量の塩〉なべの湯がわいてきたら、ふたをとって少量のお塩を入れてください。 **しょうりょう【商量】** ○考えに入れて推し量ること。[文例]〈商量する〉相手の真意を商量しかねたわたしは、ただ口をつぐむばかりだった。 **しょうりょう【渉猟】** ○求めるものを得るために歩き回ること。多くの書物を読みあさること。[文例]〈山野を渉猟する〉獲物[えもの]を求めて一日中山野を渉猟しても、ウサギ一匹とれない日もあった。♠〈史料を渉猟する〉ある時代の史料を完全に渉猟しつくしたとしても、そこからただちに過去を再現できるとはかぎらない。 **しょうれい【奨励】** ○すすめ励ますこと。[文例]〈奨励する〉学校では、子供たちの健康のためにスポーツを奨励している。♠〈奨励金〉園芸を広めるため該当[がいとう]する農家に奨励金を出すことになった。 **じょうれん【常連・定連】** ○いつも出入りする客。いつも連れ立っている連中。[文例]〈店の常連〉わたしはあの居酒屋の常連で、週に三回は顔を出しています。♠〈常連の客〉常連の客は店にとっては大変ありがたく、大切にしている。♠〈常連の執筆者〉わたしは、この雑誌の常連の執筆者の一人です。 **しょうわ【唱和】** ○合わせて唱えること。合わせて歌うこと。[文例]皇子[おうじ]の歌と女性の歌は、皇子の問いかけに女性が答えるという、唱和の形を取っています。♠〈唱和する〉キャプテンの声に合わせて部の目標を唱和する選手たちの表情は、自信に満ちていた。 **しょうわる【性悪】** ○性格・根性が悪いさま。[文例]〈性悪な人間〉彼は、べつに性悪な人間ではないのだが、無愛想だから誤解されやすいのだ。♠〈性悪なおばあさん〉性悪なおばあさんが育てたひょうたんからは、へびや虫けらがゾロゾロ出て来たとさ。 **ショー** ○見せ物。展示会。興行。[文例]〈ショーを見る〉ニューヨークでは、芝居やショーを見て楽しみました。♠〈ファッションショー〉季節はまだ冬ですが、早くも水着のファッションショーが開かれました。♠〈ロードショー〉スカラ座で明日からこの映画のロードショーが始まる。 **ショート** ○短いさま。短絡すること。野球の遊撃手。[文例]〈髪がショート〉あんなに長いみごとな髪を、どうしてまたショートにしたの。♠〈野球のショート〉ショートのエラーでまた一点追加された。♠〈ショートする〉回線がショートしてヒューズがとんだらしく、家中の電気が消えた。 **じょがい【除外】** ○取り除くこと。[文例]〈除外する〉同じ班なのに、わけもなく一人だけを除外して話を進めるのはよくありません。♠〈除外する〉これから係の人を決めますが、既に別の係になっている人は除外します。 **しょかん【書簡】**(書翰)○手紙。書状。[文例]〈書簡を送る〉王は、隣の国の王に書簡を送り、自分の意志を伝えた。♠〈書簡を収める〉全集には、作家の作品のほかに、家族や友人にあてた書簡も収められていた。♠〈書簡体〉手紙をやりとりする形式で書かれた書簡体の小説があります。 **しょかん【所感】** ○心に感じたこと。感想。[文例]〈年頭の所感〉祖父は、元旦の朝、家族全員に年頭の所感を語らせるのを習わしとしていた。♠〈所感を書き留める〉日記には、その日の主な出来事やそれに関する所感などを書き留めています。♠〈所感を述べる〉この文章は、筆者の住む町で話題になった事件の所感を述べたものです。 **しょき【初期】** ○初めの時期。[文例]〈明治の初期〉明治の初期、西洋の詩の影響によって新しい形式の詩が作られるようになった。♠〈病気の初期〉病気も初期のうちなら治りやすい。♠〈初期の作品〉「羅生門[らしようもん]」「鼻」「芋粥[いもがゆ]」などは、彼の初期の代表作である。 **しょき【所期】** ○前から心に決めること。心に期すること。[文例]〈所期の目的〉遠回りでも本道を行くほうが、近道をするより早く所期の目的を達することができるのではなかろうか。♠〈所期の目標〉計画的に勉強したおかげで、結果は所期の目標を上回るものだった。 **しょき【暑気】** ○夏の暑さ。[文例]〈八月の暑気〉それでも夕方になると、八月の暑気は弱まっていった。♠〈暑気あたり〉連日の猛暑[もうしよ]で、暑気あたりでもしたのか、体がだるかった。♠〈暑気払い〉今日は暑気払いに、みんなでビアガーデンへ繰り出そう。 **しょき【書記】** ○書き記すこと。記録を取る役目の人。[文例]今年の生徒会役員選挙で書記に立候補することになった。♠〈書記局〉わたしは、ある企業の労働組合の書記局に勤務していた。 **じょきょ【除去】** ○取り除くこと。取り去ること。[文例]〈虫の除去〉畑の草取りや、野菜についた虫の除去は、大変に手間のかかる作業です。♠〈除去する〉修飾語の位置を変えたり、読点を打つなどして、意味のあいまいさを除去するようにしたい。 **しょく【職】** ○職務。職業。[文例]〈職に就く〉職に就くことのできない人たちに対して、失業保険が支給される。♠〈職を <512> 求める〉勤め先を失った兄は、職を求めている。♠〈職を得る〉啄木[たくぼく]は、小樽[おたる]の新聞社に職を得ましたが、それも長く続かなかった。♠〈職を失う〉勤めていた会社の倒産で、わたしは職を失いました。♠〈職を継ぐ〉ぼくは、将来、父の職を継いで大工になるつもりです。♠〈職を与える〉彼には故郷の大学の理事長の職が与えられ、中央政界から遠ざけられた。♠〈校長の職〉〈職にある〉わたしの伯父[おじ]は、小学校の校長の職にあります。♠〈手に職を付ける〉若いうちに手に職を付けておかないと、社会に出て苦労する。 **しょく【食】** ○食べること。食事。食物。[文例]〈食が進む〉心に悩みなどがあると、食が進みません。♠〈食が細い〉小さいころから食が細く、やせっぽちで無理のきかない子でした。♠〈食に就く〉定まった職業を持ちませんので、三度の食に就くのがやっとというありさまです。♠〈食を断つ〉捕虜[ほりよ]になった敵の大将は、食を断って一切の物を口にしなかった。 **しょく【私欲】**(私慾)○自分の利益だけを求める心。[文例]〈私欲にかられる〉私欲にかられて、もっと売り上げの多い場所をと思ったのが、間違いのもとだった。♠〈私欲の塊[かたまり]〉人間は、もともと私欲の塊と言うこともできる。♠〈私利私欲〉彼女には、もともと私利私欲というものがなかった。 **しょくいん【職員】** ○官公庁や学校などで職務についている人。[文例]〈役場の職員〉わたしは、役場の臨時の職員として勤めることになりました。♠〈職員室〉さっき、職員室へ行ったらさ、和田先生休みだってさ。 **しょぐう【処遇】** ○人の取り扱い。待遇の仕方。[文例]〈社員の処遇〉会議では、海外研修期間の延長を申し出ている社員の処遇について話し合われた。♠〈従業員の処遇〉熱心に組合活動をしてきた従業員に対する企業側の処遇は冷ややかだった。 **しょくぎょう【職業】** ○生計のために従事する仕事。[文例]〈職業に就く〉訓練所で身につけた技術を生かせる職業に就けたらいいな、と思う。♠〈職業を選ぶ〉自分を生かす職業を選ぶためには、まず世の中にどんな職業があるのか調べてみるとよい。♠〈職業を変える〉いろいろと職業を変えてきましたが、ようやく今の仕事に落ち着き、張り切っています。♠〈職業をさがす〉自分に適した職業をさがすのはやさしいことではありません。♠〈職業病〉新しい仕事がうまれる度に、それにまつわる職業病が問題になります。 **しょくし【食指】** ○人さし指。食いけ。やってみようと思う気持ち。[文例]〈食指が動く〉パーティーと聞いて食指が動きましたが、やってくるのは外国の人ばかりというのであきらめました。 **しょくじ【食事】** ○規則的に食物をとること。また、その食物。[文例]〈三度の食事〉〈食事をとる〉きちんと三度の食事をとらないと、体をこわしますよ。♠〈食事を作る〉キャンプでは、ぼくたちみんなで食事を作ったんだ。♠〈食事を出す〉山小屋の主人が食事を出してくれた。♠〈食事ができる〉さびれた食堂だったが、とにかく何か食事ができるだろうと思い、中へ入った。♠〈食事をする〉父が早く帰ってきたので、久し振りにみんなそろって食事をしました。♠〈食事にする〉そろそろ食事にしますよ。みんな手を洗ってテーブルにつきなさい。♠〈食事する〉たまには外で食事するのも気分が変わっていいわね。♠〈食事の支度〉お母さんが風邪で寝ているので、姉さんとぼくとで食事の支度をした。 **しょくしゅ【触手】** ○下等な動物の口の周辺にあって、食物をとらえたり触覚の働きをする突起。求めるものを手に入れようとする働き。[文例]〈イソギンチャクの触手〉イソギンチャクは、花びらのような触手を広げて獲物[えもの]がくるのを待っている。♠〈触手を伸ばす〉記者たちは、記事になりそうな情報を求めて敏感[びんかん]な触手を伸ばす。 **しょくしょう【食傷】** ○食べあきること。あきてしまうこと。食あたり。[文例]〈食傷する〉ホテルのレストランの料理に食傷していたぼくたち日本人は、街にたった一軒という日本料理屋へ出かけた。♠〈食傷気味〉山の中の生活はのんびりしてよいが、朝から鳥たちのさえずりに食傷気味ではある。 **しょくぜん(食膳)** ○食事をのせる台。また、その食事や料理。[文例]〈食膳にのぼる〉近くの川で釣り上げたばかりのイワナが、宿の食膳にのぼった。♠〈食膳につく〉子供たちが就職すると、家族そろって食膳につくということが少なくなった。♠〈食膳をにぎわす〉久し振りの母の手料理が食膳をにぎわして、田舎に帰ったという実感がわいてきた。 **しょくたく【食卓】** ○食事に使うテーブル。また、そこに並んだ食事や料理。[文例]〈食卓をにぎわす〉子供の誕生[たんじょうび]には、母親の作ったケーキやごちそうが食卓をにぎわします。♠〈食卓にのぼる〉秋になると、裏山でとれたきのこが食卓にのぼり、食欲をそそります。♠〈食卓に並ぶ〉父と兄の釣ってきた魚が、今夜の食卓に並びました。♠〈食卓につく〉彼の家を訪れてみると、家族そろって食卓についていた。♠〈食卓を囲む〉父が忙し[いそが]く家族そろって夕食の食卓を囲むことはめったにありません。♠〈食卓のまわり〉女性客ばかりの食卓のまわりには、はなやいだ雰囲気[ふんいき]が漂っ[ただよ]ています。 **しょくどう【食堂】** ○食事をする部屋。食事を出す店や施設。[文例]わが家の食堂の壁のカレンダーには、家族の予定が書きこまれている。♠駅前の食堂で軽く食事をして、それから電車に乗った。♠〈大衆食堂〉一流レストランの料理より、大衆食堂のトンカツ定食のほうがおれの口に合う。♠〈食堂車〉わたしが乗った「白山3号」には、食堂車は連結されていなかった。 **しょくにん【職人】** ○手先の技術を用いる仕事を職業とする人。熟練した技術をもって仕事に打ち込む人。[文例]〈焼き物の職人〉祖父も父も、町に昔から伝わる焼き物の職人です。♠〈職人芸〉せんべいを焼く手際がよく、ああいうのを職人芸というのだろうと思った。♠〈職人かたぎ〉おじいちゃんは、職人かたぎで、丁寧に[ていねい]納得のいくまで時間をかけて材料を選びます。 **しょくば【職場】** ○職務に従事する場所。仕事をする場。 <513> [文例]〈職場で働く〉同じ職場で働く者同士協力しましょう。♠〈職場が違う〉同じ会社に勤めていても、くみ子は総務部、やす子は営業部と職場は違います。♠〈職場を去る〉父ももうすぐ六十歳、定年で職場を去る日が近づきました。♠〈職場結婚〉遠藤さんは、同期で入社した女性と職場結婚しました。 **しょくはつ【触発】** ○物に触れて爆発したり、発射したりすること。刺激を与えて行動を誘い起こすこと。[文例]〈触発する〉読書によって、わたしたちの中で何かが触発され、何かが新しく生まれる。♠〈触発する〉尊敬する先輩が一流校に合格したことに触発されて、ぼくは真剣に勉強に取り組み始めた。 **しょくひん【食品】** ○食べ物。食料品。[文例]みそは、大豆を主な原料にした、たんぱく質を多く含む、消化のよい食品です。♠〈食品売り場〉デパートの食品売り場には、いろんなお惣菜[そうざい]が置いてあります。♠〈インスタント食品〉時間に追われる人の多い現代は、インスタント食品の需要がどんどん伸びていく。♠〈冷凍食品〉冷凍食品は、下ごしらえの手間が省けて便利です。 **しょくぶつ【植物】** ○草木や菌類などの総称。[文例]〈植物を植える〉少しでも空間があると、人は花にしろ、木にしろ、植物を植えることを思います。♠〈植物が枯れる〉すさまじいかんばつによって植物はすべて枯れてしまった。♠〈植物の生態〉砂漠に生育する植物の生態を明らかにするために調査が行われた。♠〈植物採集〉夏休みの自由研究で植物採集をした。♠〈植物人間〉脳の傷害で意識・運動能力を失い、植物人間となった人の生と死には考えさせられるものがある。 **しょくぼう【嘱望】**(属望)○望みをかけること。期待すること。[文例]〈将来を嘱望する〉能力もあり、積極性もある彼は、会社を背負って立つ人材として将来を嘱望される青年である。 **しょくみん【植民・殖民】** ○国内の人々を国外に移住させて開墾・開発させること。また、その人々。[文例]〈植民都市〉古代都市カルタゴは、フェニキア人がアフリカ北部に建設した植民都市である。♠〈植民地〉かつて日本は周辺のアジア諸国を占領[せんりよう]または植民地にして、その国の人々に日本語を強制したことがあった。 **しょくむ【職務】** ○仕事や任務。役目。[文例]〈職務を果たす〉新入社員のわたしは、与えられた職務を果たすのがやっとです。♠〈職務を遂行[すいこう]する〉それぞれが受け持っている職務をきちんと遂行しなければ、会社は機能しないだろう。♠〈職務を怠る[おこた]〉職務を怠ってパチンコをしていたとは、公務員にあるまじき行為です。♠〈職務命令〉「これは職務命令だ、従ってもらうよ。」と、部長はきっぱりとした口調で言った。♠〈職務怠慢[たいまん]〉仕事中に居眠り[いねむ]ばかりしていると、職務怠慢で首になるぞ。♠〈職務質問〉警察官は、夜遅く住宅街をうろうろしている挙動不審[ふしん]の男を職務質問した。 **しょくもつ【食物】** ○食べ物。[文例]〈食物を取る〉わたしたちは、ご飯・パン・魚・肉・野菜など、いろいろな食物を取って生きています。♠〈食物を得る〉彼らは、狩猟[しゅりよう]によって食物のほとんどを得ていた。♠〈食物を味わう〉どんな食物もよく味わって食べたいものである。♠〈食物にする〉巣から落ちたツバメのひなを育てようにも、何を食物にすればいいのかわからなかった。♠〈食物連鎖〉すべての生物が食物連鎖によって、命を与え、与えられながら生きています。 **しょくよう【食用】** ○食物とすること。食物となること。[文例]〈食用にする〉じゅんさいはすいれん科の多年生水草で、若芽を食用にする。♠〈食用になる〉菊[きく]の花は見て楽しむだけでなく、食用になるものもある。 **しょくよく【食欲】**(食慾)○物を食べたいと思う気持ち。くいけ。[文例]〈食欲がある・ない〉いつもはよく食べる子が食欲がないなんて、どこか悪いのかしら。♠〈食欲が出る〉涼しくなったら、わたし食欲が出てきたわ。♠〈食欲がわく〉料理の本を見ていたら、食欲がわいてきた。♠〈食欲が旺盛[おうせい]〉うちの子供たちは食欲が旺盛で、一人で二人前くらいぺろりとたいらげるの。♠〈食欲をそそる〉家へ帰ると、台所のほうから食欲をそそるいいにおいがしてきた。♠〈食欲不振〉今、風邪[かぜ]をひいているせいか、食欲不振なんだ。 **しょくりょう【食料】** ○食べ物。食物。食事代。[文例]〈食料や衣料〉戦争中は、食料や衣料は配給されたのです。♠〈豊富な食料〉〈食料に恵まれる〉日本の子供たちは、豊富な食料に恵まれているせいか、食べ物を粗末にする傾向がある。♠〈食料をしいれる〉どれ、スーパーへ行って、食料をしいれてくるか。 **しょくりょう【食糧】** ○人の命をささえる食物。特に米・麦などの主食。[文例]〈食糧の補給〉外国船が、燃料・水・食糧の補給のために寄港した。♠〈食糧が底をつく〉戦時中は、米も麦も食糧が底をついて、草の根を食べて生き延びました。♠〈食糧事情〉人口の急増と重なる不作で、この国の食糧事情は深刻です。 **しょけい【処刑】** ○刑に処すること。刑、特に死刑を執行すること。[文例]〈処刑を受ける〉一揆[いつき]に加わった者たちは、そのつど過酷な処刑を受けた。♠〈処刑する〉刑場には、処刑された遺体が横たわっていた。 **しょ・げる(悄気る)** ○元気をなくす。しょんぼりする。[文例]一度くらいの失敗で、そんなにしょげるなよ。♠大事な書類を落としてしまい、さすがに強気の男もすっかりしょげて、泣きっ面をかいていた。 **しょけん【所見】** ○見たり観察したりした内容。また、それについての意見。[文例]〈医師の所見〉担当の医師の所見では、彼女の病気は精神的なストレスによるものだそうだ。♠〈所見を述べる〉実際に面接した親子五組について、両氏はそれぞれ専門の立場から所見を述べた。 **じょげん【助言】** ○意見を述べたり、忠告したりして助けること。また、その言葉。[文例]〈助言を受ける〉進路を決めるに際しては、先生の助言を受けながら親とよく話し合いました。♠〈助言を得る〉本人が積極的に生きていないかぎり、周囲から正しい助言は得られません。♠〈助言する〉仕事や対人間係などについて助言してくれるよき先輩がいる <514> ことは、本当に幸せだと思います。 **じょこう【徐行】** ○速度を落として走行すること。[文例]〈徐行する〉バイクに乗った若者が、坂道を徐行せずにすごいスピードで下りて来る。♠〈徐行運転〉駅が近づき、列車は徐行運転をし始めた。 **しょこく【諸国】** ○多くの国々。方々の土地。[文例]〈諸国を旅する〉西行[さいぎよう]は、諸国を旅して多くの秀歌を詠ん[よ]だ。♠〈欧米諸国〉時々日本と外国の比較が行われるが、その外国とはほとんどが欧米諸国なのである。 **しょさ【所作】** ○ふるまい。動作。身ぶり。[文例]〈おおげさな所作〉〈所作をする〉名優といわれる役者は、喜怒哀楽を表現するのにあまりおおげさな所作はしないものです。♠〈不自然な所作〉本当に目にどみが入ったにしろ、くるっと背を向けるのはいかにも不自然な所作だった。♠〈所作をまねる〉兄が指を鳴らす所作をまねて、鳴りもしない指をはじいている幼い子。♠〈所作を演じる〉ところがお延[のぶ]でなくって、清子[きよこ]によって同じ所作が演ぜられたとなると結果は全然別になった。(夏目漱石「明暗」) **しょさい【書斎】** ○読書や書き物などをする部屋。[文例]日曜日の午後、父はいつも書斎で本を読んでいる。♠〈書斎の人〉しょせんは書斎の人であるから、自分の考えを行動に移すことはなかった。 **しょざい【所在】** ○物事のありか。人の居どころ。すること。しわざ。[文例]〈責任の所在〉今回の事故では、責任の所在をめぐってあれこれともめて、対応が遅れてしまったようだ。♠〈所在が不明〉その人物については、現在のところ所在が不明である。♠〈所在がわかる〉生前書き続けたと思われる日記の所在が家族にさえわからなかった。♠〈所在ない〉受付の男は、所在なさそうにタバコをくゆらしていた。♠〈県庁所在地〉宮城県の県庁所在地は、仙台市です。 **じょさい【如才】** ○手落ち。手抜かり。[文例]〈如才がない〉教え子は、少年のころの面影[おもかげ]をとどめてはいたが、如才のない銀行マンに成人していた。♠〈如才なく立ち回る〉愛想のいいおかみが大勢の客を相手に如才なく立ち回るので、店は評判がよかった。 **しょさん【所産】** ○産み出されたもの。生産したもの。作り出されたもの。[文例]〈精神の所産〉文化は、人間の精神の所産である。♠〈偶然[ぐうぜん]の所産〉この秩序だった自然界のもろもろの物が、単なる偶然の所産といえるだろうか。 **しょし【初志】** ○最初に立てた志。[文例]〈初志を貫く[かんてつ]〉目ざすことの中身が何であれ、初志を貫くのは容易なことではありません。♠〈初志を貫徹する〉初志を貫徹し、検事[けんじ]として社会の悪と闘っている。 **しょじ【所持】** ○身につけていること。持っていること。[文例]〈所持する〉わが国では、一般の人々が拳銃などを所持することは許されていません。♠〈所持品〉古墳からは、天皇や豪族[どうぞく]たちの所持品やその他貴重な遺品が発見された。♠〈所持金〉二、三万円程度の所持金で家出して来る少女たちがいる。 **じょし【女子】** ○女の子。女。女性。[文例]〈女子と男子〉女子は皆帰って、当番の男子だけが教室の掃除をしていた。♠〈女子従業員〉工場では、白いユニホームを着た女子従業員が、ずらりと並んで作業をしていた。 **じょじゅつ【叙述】** ○心に思うことなどを文章に述べ表すこと。また、述べ表したもの。[文例]〈叙述のしかた〉この日記の文体、叙述のしかたなどについて、表現上の特色を挙げ、その効果を考えてみよう。♠〈叙述する〉構想がまとまったら、それにもとづいて内容を叙述していきます。 **しょじょ【処女】** ○男と性的な交わりのない女性。人間がまだ踏みいっていないこと。初めてであること。[文例]〈処女峰・処女地〉処女峰、処女地の処女は、まだ人が足を踏み入れていないという意味です。♠〈処女作〉発表は十年ほど後になりましたが、志賀直哉[しがなおや]の処女作は『或る朝』です。 **じょじょう【叙情】**(抒情)○感情を詩文などに述べ表すこと。また、そのようにして表現された感情。[文例]〈青春の抒情〉この詩には、明晰で知的な青春の抒情がある。♠〈抒情的〉この作家は、長編よりも抒情的な短編に佳作[かさく]が多い。♠〈抒情詩〉日本の詩歌の中心は、壮大な叙事詩ではなく細やかな抒情詩にあります。 **じょじょに【徐々に】** ○ゆっくりと。だんだんに。[文例]〈思い出は徐々に美化されてゆく〉遠い過去の幻想の中で、思い出は徐々に美化されてゆく。♠寒い風が吹き、雪の降る日があったが、植物の根は徐々に充実した力を内に蓄え[たくわ]て、春を待つ。 **しょしん【初心】** ○物事を初めて思い立った時の気持ち。まだ始めたばかりで熟練していないこと。世慣れていないこと。[文例]〈初心に返る〉この失敗を機に、初心に返っ(帰っ)て出直したいと思います。♠〈初心を貫く〉どんな障害に行き当たろうと、初心を貫くつもりです。♠〈初心忘る[わす]べからず〉「初心忘るべからず」、若き日の決意を最後までつらぬき通しなさい。♠〈初心者〉模倣に終始するのはいけませんが、初心者はまず模倣から入っていきます。 **しょしん【所信】** ○心に信じ、考えていること。[文例]〈所信を表明する〉首相は、年頭にあたって、テレビを通じて国民の前に所信を表明した。 **しょ・する【処する】** ○その場に身を置く。適切な態度をとる。処置する。刑罰を与える。[文例]〈身を処する〉役人として身を処するにあたって、彼は不正な金品の受理を厳しくいましめた。♠〈世に処する〉戦乱の世に処する術として、情勢の的確な判断が要求される。♠〈逆境に処する〉逆境に処してこそ、人間として高く生きることの意味がわかってこよう。♠〈刑に処する〉後にキリストと呼ばれるイエスは、ゴルゴタの丘ではりつけの刑に処せられた。♠〈厳罰に処する〉このようなふらちな職員は厳罰に処するよう市側に要望いたします。 **じょ・する【叙する】** ○文章に述べる。位階・勲等などを授ける。[文例]佐藤春夫の『田園の憂鬱[ゆううつ]』『都会の憂鬱』は、世紀末的な倦怠[けんたい]を、散文詩のような美しい筆で叙した名作である。♠〈勲等に叙する〉祖父は、長い間へき地での医療活動に <515> 力を尽くし、このたびその功績が認められ勲三等に叙せられました。 **しょせい【書生】** ○学生。他人の家で手伝いをしながら勉強させてもらう人。[文例]少年は高等小学校を卒業後、左手の手術をしてくれた先生の家の書生になった。♠〈書生論〉きみの言い分は、理屈[りくつ]ばかりで現実をわきまえない書生論にすぎない。 **しょせい【処世】** ○世間を生きること。世渡り。[文例]〈処世の訓戒[くんかい]〉格言は、短い文句で人生の真実や処世の訓戒を述べたもので、金言、警句などとも呼ばれる。♠〈処世術〉日本の社会では、べらべらおしゃべりをするというのは、処世術からみて、おおむね損なことだ。♠〈処世訓〉主人は、損して得とれ、と、商人としての処世訓をたれた。 **じょせい【女性】** ○女。婦人。[文例]この村の人口が女性のほうが多いのは、若い男性が都会へ働きに出てしまうからだろう。♠〈女性的〉京都は、周りを女性的ななだらかな山々に囲まれた静かな古都です。♠元始、女性は実に太陽であった。真正の人であった。(平塚らいてう) **しょせき【書籍】** ○本。図書。書物。[文例]〈書籍の購入〉書籍の購入を希望される先生は、事務室にお届けください。♠〈書籍を読む〉今までに読んだ書籍の中で特に感銘[かんめい]を受けたものについて話し合ってみよう。 **しょせん(所詮)** ○結局。つまるところ。[文例]いくら進歩したとはいっても、しょせん機械は機械にすぎない。♠目ざす高校に入れるかどうかはしょせん自らの努力しだいだ。♠しょせん野球などはゲームなのだからお互い[たが]に楽しく見ればよい。♠人間は、しょせんは死ぬ運命にあるのだから、悔いのない人生を送りたいものだ。♠ああいう生活態度では、人の信頼[しんらい]をえるのは、しょせん無理だ。 **しょぞう【所蔵】** ○しまっておくこと。しまっておく物。[文例]〈所蔵する〉王家が所蔵する数々の美術品が公開されています。♠〈美術館所蔵〉ソ連の有名な美術館所蔵の名画が日本で一般公開されました。 **しょぞく【所属】** ○加わっていること。属していること。[文例]〈所属する〉ぼくは、高校時代、放送部に所属していた。♠〈無所属〉市長は、どの政党にも所属していない無所属の政治家です。 **しょぞん【所存】** ○心に思うこと。心に思う内容。考え。[文例]わたしたちは、住民の生活を無視した開発計画に今後も抗議を続けていく所存であります。♠この件に関しどのようにお考えか、御所存をお聞かせ願いたい。 **しょたい【所帯】**(世帯)○一家を構えて独立の生計を営むこと。また、そのように営まれる生活の単位。身代[しんだい]。財産。世帯。[文例]〈所帯をもつ〉去年結婚した兄は、独立して新たに所帯を持ちました。♠〈所帯をたたむ〉主人に死なれた老妻は、所帯をたたんで息子夫婦のもとへ身を寄せた。♠〈所帯持ち〉久しく会ってないけど、木田ももう結婚して所帯持ちになったらしい。♠〈所帯じみる〉子供も二人でき、彼女もだいぶ所帯じみてきた。♠〈所帯道具〉結婚したてのころは、茶わんとふとんくらいしかなかったのに、いつのまにか所帯道具が増えたわね。 **しょち【処置】** ○とりはからうこと。始末すること。手当てをすること。[文例]〈傷の処置〉看護婦は、次々に運びこまれる負傷兵の傷の処置に追われていた。♠〈手術という処置〉この病気を治すためには、手術という思い切った処置が必要です。♠〈処置を採る〉子供たちの過ち[あやま]に対して、先生は正しい処置を採らなければなりません。♠〈寛大な[かんだい]処置〉問題を起こした生徒たちに対して、学校側は寛大な処置で臨む[のぞ]ことに決めた。♠〈すばやい処置〉第一発見者のすばやい処置で、大火事にならずにすみました。♠〈処置を施す[ほどこ]〉出来るだけの処置は施しましたので、あとは本人の体力がつくのを待つだけです。♠〈処置する〉これは家庭内の問題ですから、お父さんお母さんが処置してください。♠〈応急処置〉日射病で倒れ[たお]た生徒に応急処置をして、病院へ連れていった。 **じょちょう【助長】** ○助け育てること。ある事に力を貸すこと。[文例]〈助長する〉学校教育の普及やマスコミの発達が、共通語の普及を助長している主な要因と考えられる。♠〈助長する〉過保護は、子供の自立心を育てないだけでなく、依存心[いぞんしん]を助長することにもなります。 **しょっき【食器】** ○食物を盛る器。食事に使う器具。[文例]古代人の遺跡[いせき]からは、食器として使ったと思われる土器が出土します。♠〈食器を洗う〉食事の後、食器を洗うのは、わたしと妹の仕事です。 **ショック** ○衝撃。強い打撃。[文例]床に落としたショックで、時計が動かなくなった。♠〈ショックを与える〉あののんき者に少しショックを与えて、あわてさせてやろう。♠〈激しいショック〉〈ショックを受ける〉飢え[う]てやせおとろえた子供たちの写真を見て、激しいショックを受けた。♠〈精神的なショック〉〈ショックに耐える〉過保護に育てられた人は、強い精神的なショックに耐えられないともいう。 **しょっちゅう** ○常に。絶えず。始終。[文例]隣の犬はとてもかわいい犬で、うちにもしょっちゅう遊びに来る。♠彼とは昔からのつき合いで、しょっちゅう飲みに行ったりしているよ。 **しょっぱ・い** ○塩からい。けちだ。しかめっつらをしている。[文例]あのころの弁当にはよく、しょっぱい塩じゃけが入っていた。♠田舎のおばあちゃんが作る料理の味は、お母さんのより少ししょっぱい。 **しょてい【所定】** ○定められていること。[文例]〈所定の位置〉船は所定の位置に停止し、調査が開始された。♠〈所定の期日〉レポートは所定の期日までに必ず提出すること。♠〈所定の手続き〉医療費の給付を希望する方は、所定の手続きを取ってください。 **しょとう【初等】** ○等級の最初。最も低い等級。[文例]〈初等教育〉小学校で行われる教育を初等教育といいます。♠〈初等科〉その年、わたしは、母の母校であるミッションスクールの初等科に入学しました。 **しょとく【所得】** ○一定期間に取得する賃金・利子・地代などの <516> の財貨。収入。[文例]〈所得が多い〉所得の多い人は、多くの税金を払わなくてはなりません。♠〈所得が増える〉今年は、去年よりも野菜の値が上がったので、農家の所得が増えました。♠〈所得税〉サラリーマンは、毎月の給料から所得税が天引き[てんび]される。 **じょのくち【序の口】** ○相撲の番付[ぱんづけ]で一番下の位。ものごとの最初の段階。[文例]このくらいはまだまだ序の口、これからの登りが大変なんだ。♠番付でいえばまだ序の口でふんどしかつぎだが、横綱を夢見てがんばっている。 **しょばつ【処罰】** ○刑罰を科すること。罰を与えること。[文例]〈処罰を受ける〉法を犯した人はだれでも、それ相当の処罰を受けなくてはなりません。♠〈処罰する〉絶対的な権力をもつ王は、自分に背く[そむ]者は皆、容赦[ようしゃ]なく処罰した。 **しょぶん【処分】** ○とりはからうこと。始末すること。罰すること。[文例]〈処分を受ける〉学校の規則に反した生徒は、処分を受けることになる。♠〈処分が軽い・重い〉あやまってルールに違反[いはん]した選手に対する処分は、軽すぎても重すぎてもいけない。♠〈厳重に処分する〉規則に違反した者は、厳重に処分するから、そのつもりで。♠〈ごみを処分する〉集められたごみは、焼却場に運ばれ処分される。♠〈雑誌を処分する〉いつかは読もうと思ってためていた古雑誌を、母は散らかるからといって処分してしまった。♠〈家を処分する〉父親の転勤のため、最近建てたばかりの家を急に処分することになった。 **しょほ【初歩】** ○学問や技芸などの習い始め。[文例]〈英会話の初歩〉わが英会話スクールでは、外国人教師が初歩から丁寧に指導します。♠〈初歩の初歩〉フルートを始めましたが、まだ初歩の初歩で簡単な曲も吹けません。♠〈初歩的〉方程式などを解く時でも、簡単な四則計算をまちがえたり、初歩的なミスをする者が多い。 **しょほう【処方】** ○物事を処置する方法。薬剤の調合の方法を指示すること。[文例]〈処方する〉薬を処方しておきましたから、これを一日二回飲んでください、と医者は言った。♠〈処方箋[せん]〉薬局では、薬剤師が医師の書いた処方箋をもとに薬を調合します。 **しょみん【庶民】** ○一般の人々。大衆。[文例]〈一般庶民〉デパートの宝石展には、一般庶民には手の届かない、高価なものばかりが展示されていた。♠〈江戸[えど]期の庶民〉江戸期の庶民の間に流行した文学に、川柳[せんりゆう]や狂歌[きようか]があります。♠〈名もない庶民〉この小説は、貧しさに耐えて生きる名もない庶民の哀歓[あいかん]を、せつせつとつづっている。♠〈庶民の芸能〉落語は、庶民の芸能として、江戸時代から人々に親しまれてきた。♠〈庶民の生活感情〉あいつぐ運賃の値上げは、庶民の生活感情をまったく無視したものだ。♠〈庶民的な町〉東京の浅草[あさくさ]は、庶民的な町として親しまれています。♠〈庶民的な人〉彼女は、裕福[ゆうふく]な家庭で育ったにもかかわらず、たいへんきさくで庶民的な人です。 **しょめい【署名】** ○自筆で名前を記すこと。自筆で書き記された名前。サイン。[文例]〈署名が入る〉ワープロで打たれた手紙の最後に自筆の署名が入っていた。♠〈署名が集まる〉町に下水道をひく運動が広がり、たくさんの署名が集まりました。♠〈署名する〉書類に署名し捺印[なついん]して、所定の手続きを済ませました。 **じょめい【除名】** ○団体・組織の名簿から名前を取り除き、脱退させること。[文例]〈除名する〉ぼくが劇団を除名されたのは、けいこをよく休むという理由からではなかった。♠〈除名処分〉今度の事件の責任者として、彼は組織から除名処分を受けることになった。 **じょめい【助命】** ○(死刑囚などの)命を助けること。[文例]〈助命を願う〉自分の命に替えてもと助命を願い出た妻の声も届かず、無実の夫は打ち首となった。♠〈助命嘆願〉大勢の人の助命嘆願もむなしく、彼は死刑囚として獄中[ごくちゆう]で死んでいった。 **しょめん【書面】** ○手紙・文書に書かれた内容。文面。手紙や文書。[文例]これが林さんからの手紙ですが、この書面によると、彼女はそうとう困っているようです。♠今は予定がはっきりしませんので、出欠の返事は後日書面でいたします。 **しょもう【所望】** ○望むこと。ほしがること。ほしがるもの。[文例]〈所望の品〉送別会の記念品は本人の所望の品をということで、それとなく聞いてみることになった。♠〈たっての所望〉きみのたっての所望というので、母が張り切って作ったちらしずしだ。♠〈所望する〉「暑いなかを歩いてきて、すっかりのどが渇い[かわ]てしまいました。お茶を一杯所望します。」 **しょもつ【書物】** ○本。書籍。[文例]〈優れた書物〉優れた書物は、人生経験の限られた狭い枠[せよ わく]を限りなくおし広げてくれます。♠〈書物との対話〉読書は、わたしたちと書物との対話と言ってもいいでしょう。♠〈書物との出会い〉時には一冊の書物との出会いが、大きな心の支えとなることもある。 **しょゆう【所有】** ○自分のものとして持つこと。[文例]〈所有となる〉それらの美術品は、有名な王立博物館の所有となっている。♠〈所有する〉あの人は、この辺り一帯の山林を所有する大地主です。♠〈所有地〉川沿いにある空き地は市の所有地で、近く整備して公園にする予定らしい。♠〈所有権〉土地の所有権をめぐって争いが起こった。 **しょよう【所用】** ○用事。用いること。[文例]〈所用で出かける〉父は所用で近くへ出かけましたが、間もなく戻りますのでお待ちください。♠〈所用がある〉札幌の町へは、半月ほど前に所用があって行ったばかりです。 **しょよう【所要】** ○必要とすること。[文例]〈所要時間〉身上書には、通勤のための交通手段と所要時間も忘れずに記入してください。 **しょり【処理】** ○取りさばくこと。始末すること。[文例]〈事件の処理〉ロンドン警視庁は、その事件の処理をシャーロック・ホームズに一任した。♠〈処理をほどこす〉日曜大工で苦心したいすも、あとはニスの処理をほどこせば完成する。♠〈物質の処理〉地球を住みよくするためには、汚染物質の <517> 処理という問題も解決しなければならない。♠〈家事を処理する〉山ほどたまっている家事を、速やかに処理していく母には、いつも感心させられる。♠〈実務を処理する〉江戸時代、町奉行[まちぶぎよう]配下の役人で、実務を処理した人を町役人という。♠〈処理法〉彼は、薬品の処理法を誤って、大やけどを負った。♠〈未処理〉会社を二日も休んだので、未処理の仕事がたまってしまった。 **じょりゅう【女流】** ○女性。婦人。[文例]〈女流歌人〉明治の代表的な女流歌人といえば、やはり与謝野晶子[よさのあきこ]であろう。♠〈女流文学〉文学界における女性の活躍はめざましく、女流文学を対象とする新人賞や文学賞も創設された。 **じょりょく【助力】** ○力を貸すこと。手助けすること。[文例]〈助力する〉〈助力する〉おまえが独立して事業をしたいというなら、わたしも父親としてできるだけの助力はしよう。♠〈助力をいただく〉歌集の出版に際しては、多大な御助力をいただき、ありがとうございます。 **しょるい【書類】** ○文書や書付の類。[文例]書類に必要な事項を記入し、期日までに提出してください。♠〈書類を作る〉明日の会議に必要な書類を作るため残業した。♠〈書類に目を通す〉部長は、女子社員の手渡した書類に目を通しながら、メモ帳に何か書きこんでいる。♠〈重要書類〉重要書類は、紛失しないように厳重に保管してある。 **じょれつ【序列】** ○一定の基準に従って並べられた順序。順位。[文例]〈序列がある〉集団や組織の中には序列があって、それによって力関係が決まることが多い。♠〈序列をつける〉どれも大切な仕事ですから、序列をつけるということはできません。♠〈年功序列〉日本の企業の特色だった年功序列が崩れ、実力中心の人材登用が始まりつつある。 **しら【白】** ○白いさま。素材のままであるさま。知らないふりをすること。[文例]〈しらを切る〉いつまでしらを切るつもりだい? 証拠はあがってるんだから、いさぎよく白状したらどうなんだ。 **じらい(爾来)** ○それ以来。その後。[文例]横山家は、明治時代にこの地に移り住み、爾来[じらい]酒問屋を続けていた。 **しら・ける【白ける】** ○白っぽくなる。色がさめる。興がさめる。座が気まずくなる。[文例]〈白けて見える〉彼の感情は物、総[すべ]てに白々しくなった。恰度[ちようど]、脳に貧血を起こした人の眼にそう見えるように、それは白らけてしか見えなかった。(志賀直哉[しがなおや]「暗夜行路[あんやこうろ]」) ♠〈座が白ける〉その女性の一方的な話し方は、他の者に言葉をはさむ余地を与えず、たちまち座は白けてしまった。♠〈白けた状態〉二人の人間が対話していて、ふっとことばがとだえ、白けた沈黙状態になることがあるものです。 **しらじらし・い【白白しい】** ○白っぽい。そらぞらしい。とぽけている。あじけない。見えすいて興ざめだ。[文例]〈白々しく響く〉今ごろになっての男の言いわけは、わたしの耳には白々しく響いた。♠〈白々しい態度〉現場をおさえられたにもかかわらず、男は白々しい態度で犯行を否定した。♠〈白々しい気持ち〉わたしは、一つの作品を仕上げた満足感とともに、目標を見失った白々しい気持ちも味わっていた。 **じら・す(焦らす)** ○じれったがらせる。じりじりさせる。いらいらさせる。[文例]いい知らせってどんなこと? そんなにじらさないで早く教えてよ。♠もし余り早く行き着いたら、一通り夜店でも素見[ひやか]して、慾の皮で硬く張った小林の予期を、もう少し焦らしてやろうとまで思案した。(夏目漱石「明暗」) **しらずしらず【知らず知らず】** ○知らないうちに。無意識に。[文例]〈知らず知らずのうち〉わたしたちは文学を読み味わいながら、知らず知らずのうちに、人間や社会について経験を広げているのです。♠〈知らず知らず〜する〉友達の話を聞くうちに、自分の身の上と重ね合わせて、わたしは知らず知らず涙を流していました。 **しらせ【知らせ】** ○知らせること。また、その内容。通知。報告。前兆。[文例]〈知らせを受ける〉締め切りの翌月、わたしは、新聞社から受賞の知らせを受けた。♠〈知らせを聞く〉「母危篤[きとく]」の知らせを聞くと、彼はすぐに帰り支度[じたく]を始めた。♠〈知らせが伝わる〉王子が生まれたという知らせは、その日のうちにたちまち国中に伝わった。♠〈知らせが届く〉彼が全国大会で優勝したという知らせが、たった今、学校に届いたところだ。♠〈知らせが入る〉〈うれしい知らせ〉父と兄の乗った船が明日港に着くといううれしい知らせが入ったので、今夜は眠れ[ねむ]そうにもない。♠〈知らせがある〉何かいい知らせでもあったのだろうか、姉は飛び上がって喜んでいる。♠〈虫の知らせ〉思えば、父の死んだ日は、悪いことが起こりそうな虫の知らせがあった。 **しら・せる【知らせる】** ○知るようにする。伝えたり、教えたりする。[文例]〈正午を知らせる〉ラジオから、正午を知らせる時報が流れてきました。♠〈戦死を知らせる〉夫の戦死を知らせる通知が届いても、信じられず、ずっと帰りを待ち続けた人もいます。♠〈虫が知らせる〉虫が知らせたのか、いつもは駅までバスに乗るのに、あの事故の日に限って歩いていったのです。 **しらふ(素面)** ○酒に酔っていない状態。[文例]〈しらふで居る〉酒を飲むと一気にしゃべりまくる男だったが、しらふで居る時は借りてきた猫のようにおとなしかった。 **しらべ【調べ】** ○調べること。調査。音の調子を整えること。音楽や詩歌の調子。[文例]〈調べがつく〉しらを切ってもむだだ、ちゃんと調べはついているんだ。♠〈詩歌の調べ〉島崎藤村[しまざきとうそん]は伝統的な詩歌の調べに新しい生命を吹き込むことで、新しい時代を歌った。♠〈琴の調べ〉門の前に立つと、奥からあの人が弾く琴の調べが聞こえてきた。♠〈春の調べ〉三月になって解け始めた雪の滴[しずく]の音が、まるで春の調べのように聞こえた。 **しら・べる【調べる】** ○調査・研究・捜索・検査などをして明らかにする。音の調子を整える。演奏する。[文例]〈地層を調べる〉湖の底の地層を調べてみると、カラマツ、ブナなどの花粉の化石があった。♠〈意味を調べる〉わからない言葉があったので、辞書でその意味を調べた。♠〈記録を調べる〉このあいだの地震の大きさは観測史上何番目くらいだ <518> ろうかと、記録を調べてみた。♠〈事件を調べる〉事件を調べるために、警官は通りかかった男に声をかけた。♠〈かばんを調べる〉バスに乗ろうとしたら定期券がないので、かばんの中を調べてみた。♠〈メーターを調べる〉燃料があとどれくらい残っているか、念のためメーターを調べておいた。♠〈金を調べる〉預金通帳から下ろした金を、窓口で調べてから、財布[さいふ]の中に入れた。♠〈帳簿[ちようぼ]を調べる〉数か月に一度、監査役[かんさやく]が会社の帳簿を調べることになっている。 **しらみつぶし(虱潰し)** ○一つ一つくまなく当たって処理すること。[文例]〈しらみつぶしに当たる〉警察は、現場一帯の飲食店をしらみつぶしに当たって聞き込みを続けていった。 **しら・む【白む】** ○白くなる。空がほんのり明るくなる。[文例]〈空が白む〉東の空が白むにつれて、鳥の鳴き声がおこり、早い山の朝が明け始めた。♠そこには空き縁の破片を植えた煉瓦塀[れんがべい]の外に何もなかった。しかしそれは薄い苔[こけ]をまだらにぼんやりと白らませていた。(芥川龍之介[あくたがわりゅうのすけ]「或阿呆[あるあほう]の一生」) **しり(尻)** ○腰の後ろ側の下部。また、衣服でそれが当たる部分。臀部[でんぶ]。器物の底面。後ろ。末尾。物事の結末。[文例]〈しりを上げる〉黒いクモは葉の先端[せんたん]まで上がると、しりを上げて糸を出し始めた。♠〈しりが大きい〉急におしりが大きくなって、ジーパンをはくときに苦労します。♠〈しりを向ける〉仏壇[ぶつだん]におしりを向けて新聞を読んでいたら、祖母におしりをぶたれた。♠〈しりをたたく〉いたずらをした子供を横抱きにした母親は、しりをぴしゃぴしゃたたいていた。♠〈しりをたたく〉売り上げを伸ばすようにと、毎日、朝礼で、社長からしりをたたかれている。♠〈しりに敷く〉父は母のしりに敷かれて、まったく頭が上がらない。♠〈しりをぬぐう〉人のいい父は、いつも他人の不始末のしりをぬぐってやっていた。♠〈しりを持ち込む〉困ってるからってしりを持ち込まれても、ぼくだって困るよ。♠〈しりにつく〉どこから来たのか、小さな男の子がみんなのしりについてきた。♠〈しりが重い〉しりの重い姉は、仕事を言いつけられてもすぐには立ち上がらない。♠〈しりが軽い〉毎晩遊び歩いて、ほんとにしりの軽い女だ。♠〈しりが長い〉しりの長い客がくると、昔の人は、早く帰るようにと、ほうきを逆さまに立てるおまじないをしたそうだ。♠〈しりに帆をかける〉急に大男が怒って[おこ]追いかけて来たので、相棒[あいぼう]と二人、しりに帆をかけて逃げ出した。♠〈しりに火がつく〉試験の日が近づき、いよいよしりに火がついた感じだ。♠〈しりをからげる〉急に雨が降り出したので、着物をぬらさないようにしりをからげて走り出した。♠〈頭隠してしり隠さず〉上手に隠れたつもりだろうが、こっちからまる見えだよ、これがほんとの頭隠してしり隠さずだね。♠〈ズボンのしり〉斜面[しやめん]を滑り[すべ]下りたら、ズボンのしりに穴があいてしまった。♠〈とっくりのしり〉かんがついたら、とっくりのしりをふいてから、お盆[ぼん]にのせなさい。 **しりあい【知り合い】** ○知り合っていること。また、そういう人。知人。[文例]〈古い知り合い〉彼とは古い知り合いだが、あんなに力を落とした様子は初めて見た。♠〈知り合いの家〉明日は、知り合いの家に用事があって出かけます。 **しりあがり【しり上がり】**(尻上がり)○後ろの方が上がっていること。後になるほどよくなること。鉄棒のさかあがり。[文例]〈尻上がりをする〉木の枝にとびつくと、短いスカートの少女はぐるっと尻上がりをして見せた。♠〈尻上がりの話し方〉受話器を取ると、幸子のなつかしい尻上がりの話し方が聞こえてきた。♠〈尻上がりに伸びる〉うちの会社も、夏を越してから尻上がりに売り上げが伸びてきた。 **シリーズ** ○形式・内容などが一続きのもの。[文例]〈シリーズで刊行する〉この企画は、若い歌人たちの作品をシリーズで刊行しようというものです。♠〈日本シリーズ〉日本シリーズも終わって、野球ファンにはしばらくさびしい時が続くことになる。 **しりうま【しり馬】**(尻馬)○人が乗った馬の後ろ。よく考えずに人の言動に従うこと。[文例]〈尻馬に乗る〉あいつの尻馬に乗ったぼくが悪いんだけど、あんな所で先生に見つかるとは思わなかったもの。♠〈人の尻馬に乗る〉あの子はすぐ人の尻馬に乗るところがあるので、それだけが心配なんです。 **じりき【自力】** ○自分自身の力。[文例]助けを呼ぼうにも人影がなく、なんとか自力で岸まで泳ぎついた男はそこで気を失った。♠わたしは自力でこの会社を興し、ここまでに育ててきた。 **しりごみ【しり込み】**(尻込み)○あとずさりすること。ためらうこと。[文例]〈しり込みをする〉あの子にチョコレートを渡そうとしたが、もじもじとしり込みをして受け取ってくれなかった。♠〈しり込みを始める〉青年がけんかに強いことがわかると、男たちはじりじりとしり込みを始めた。♠〈しり込みする〉しり込みする友達をけしかけて、先生の引き出しにカエルを入れておいた。♠〈しり込みする〉全員一致[いつち]でクラス委員に選ばれたのに、彼はぐずぐずとしり込みしている。 **しりしよく【私利私欲】** ○自分だけの利益を考え、その欲望を満たそうとすること。[文例]〈私利私欲にかられる〉私利私欲にかられて、従業員の生活をかえりみなかった社長は、とうとう退陣せざるを得なくなった。♠〈私利私欲に走る〉国民の代表者や公務員が私利私欲に走っては困ります。 **しりぞ・く【退く】** ○後ろへ下がる。後もどりする。ある地位から降りる。身を引く。[文例]〈わきへ退く〉大型トラックが向こうからやってきたので、道路のわきへ退いて、通過するのを待った。♠〈御前[ごぜん]を退く〉侍[さむらい]たちは、畳[たたみ]に手をついて深々と頭を下げてから、殿の御前を退いた。♠〈打者が退く〉前の打者は、四つもファウルやチップを重ねたあとで、平凡なファースト・フライに退いた。♠〈軍勢が退く〉平清盛[たいらのきよもり]の死後、平家[へいけ]の軍勢は源義仲[みなもとのよしなか]に追われて、いったん九州へ退いた。♠〈職を退く〉父は、来年早々には、今の職を退くことになっている。♠〈現役を退く〉体力の衰え[おとろ]を感じ、惜しまれながらも、現役を退いた選手がいる。♠〈第一線から <519> 退く〉一時代を築いた名選手も、今では第一線から退いて後進の指導にあたっている。♠〈一歩退く〉正しいと思っていることも、一歩退いてよく考えてみると、的はずれだったりすることもある。♠〈王位を退く〉現国王は、政情の安定をはかるために、王位を退く決心をした。 **しりぞ・ける【退ける】**(斥ける)○後ろへ下がらせる。遠ざける。追い払う。拒絶する。ある地位から去らせる。[文例]〈挑戦者を退ける〉彼は挑戦者を次々に退けて、名人位を守っている。♠〈部外者を退ける〉会議室では部外者を退けて、慎重な話し合いが行われている。♠〈言葉を退ける〉まちがっているとは思ったが、上司の言葉を退ける力はぼくにはなかった。♠〈地位から退ける〉失敗の責任をとって部長の地位から退けられた。 **じりつ【自立】** ○自分一人の力でやっていくこと。ひとりだち。[文例]〈経済的な自立〉学校を出ましたので、これからは経済的な自立の道を歩まなければなりません。♠〈自立する〉精神的に自立するためには、しっかりしたものの見方や考え方を養っていく必要があります。♠〈自立心〉親が何から何までしてやると、自立心の欠けた子供になってしまいます。 **じりつ【自律】** ○自分の力で自分を抑制し、自分の考えで行動すること。[文例]〈自律する〉たとえ集団の中にあっても、自己を見失うことなく自律した行動をとる必要がある。♠〈自律性〉かつて、女性は、男のいいなりで自律性を持たない存在と考えられていた。 **しりぬぐい(尻拭い)** ○しりをふくこと。他人の失敗の後始末をすること。[文例]〈借金のしりぬぐい〉のんべえの兄が借りまくった店の借金のしりぬぐいで、弟たちは大変苦労をしたそうだ。♠〈しりぬぐいをする〉できの悪い息子をもつと、そのしりぬぐいをするだけで親は年をとってしまう。 **しりめ【しり目】**(尻目・後目)○顔を向けずに目だけ後方を見やること。「[文例]〈〜を尻目に〉つとむは年上の選手たちを尻目に、ゴールへ向かって独走した。♠〈尻目にかける〉旦那[だんな]は、親の小言を尻目にかけては遊びほうけていた。♠〈尻目にうかがう〉男はその女性の方を尻目にうかがっていたが、そのうちさりげない風で近づいていった。 **しりめつれつ【支離滅裂】** ○ばらばらで筋道が通らないこと。[文例]〈支離滅裂になる〉あれほど練習をしたのに、指名を受けたとたんにあがってスピーチは支離滅裂になってしまった。♠〈支離滅裂な話〉相も変わらず支離滅裂な話で、さっぱり要領を得ない。 **しりゅう【支流】** ○本流に流れこむ川。本流から分かれた川。本流から分かれた系譜。[文例]十勝岳[とかちだけ]に源を発し、富良野[ふらの]盆地を通って滝川市で合流する空知川[そらちがわ]は、石狩川[いしかりがわ]の支流である。 **じりゅう【時流】** ○その時代の社会の風潮や流行。[文例]〈時流に乗る〉あの社長の経営方針はまちがっているわけではないが、時流に乗れなかったのだろう。♠〈時流にこびる〉この本は、教育の現場で、時流や権威にこびず、優れた業績をあげている先生たちを描いている。♠〈時流を越える〉自然主義全盛期にあって、時流を越えた高踏的[こうとうてき]な立場から、個人主義に徹し[てつ]たのは鷗外[おうがい]・漱石[そうせき]である。 **しりょ【思慮】** ○考えをめぐらすこと。また、その考え。[文例]〈思慮がある・ない〉思慮のない言葉は、他人を傷つけることが多い。♠〈思慮が浅い〉大きなことばかり言っていても、思慮の浅い彼は、クラスのみんなから疎ま[うと]れている。♠〈思慮を働かせる〉混乱状態のクラスをまとめるために、クラス委員は、懸命に思慮を働かせていた。♠〈思慮を欠く〉発作的に、思慮を欠くふるまいをしてしまって、反省している。♠〈思慮深い〉あの人は思慮深い人だ。♠〈思慮分別〉十五歳にもなったら、もう子供じゃないんだから、思慮分別のない行動は慎み[つつし]なさい。 **しりょう【資料】** ○物事を判断したり、研究したりするための材料。[文例]〈計画立案の資料〉旅行の計画をたてるために、パンフレットや案内書などの資料を参考にしました。♠〈反省の資料〉部活動の記録をつけて、毎週行うミーティングで反省の資料にする。♠〈資料を集める〉わたしたちは手分けして資料を集めると、それをもとに、県の産業分布図を作りました。♠〈資料を調べる〉市の移り変わりを調べるため、図書館で資料を調べました。♠〈資料を読む〉〈資料を分析[ぶんせさ]する〉まず、資料をよく読んで、分析するところから始めましょう。♠〈資料を提供する〉卒業論文を書くために、教授から資料を提供してもらった。♠〈資料を展示する〉野口英世[ひでよ]の生家の隣には資料館があり、彼の業績をしのばせるたくさんの資料が展示してあります。 **しりょく【死力】** ○死にものぐるいで出す力。必死の力。[文例]〈死力を尽くす〉最後の死力を尽くして、メロスは走った。(太宰治[だざいおさむ]「走れメロス」)♠〈死力を尽くす〉代助[だいすけ]は死力を尽くして、旋風[つむじかぜ]の中から逃れ出ようと争った。(夏目漱石「それから」) **しりょく【視力】** ○目で物を見る力。[文例]〈視力を奪う[うば]〉炎のような太陽に視力を奪われ、周囲はただただ波のようにキラキラするばかりだった。♠〈視力を失う〉子供のころ交通事故にあって、視力を失ったのです。♠〈視力が落ちる〉目はよいほうだったが、受験のころから急に視力が落ちてしまった。♠〈視力が衰える[おとろ]〉年とともに視力は衰えていきます。♠〈視力を備える〉自分は完全な視力を備えているつもりだったが、色弱[しきじやく]と診断された。 **しる【汁】** ○物の中に含まれている液。吸い物。みそしる。利益。[文例]〈レモンの汁〉〈汁を絞る[しぼ]〉レモンの汁を絞って、はちみつを入れて飲むと、体にいいようだ。♠〈草の汁〉昔の人は、草の汁や鉱物の粉を使って、布をいろいろな色に染めていた。♠〈汁を吸う〉まだ歯の生えていない赤ちゃんが、皮をむいたみかんの汁を吸っている。♠〈汁に浸す[ひたす]〉父は、薬味[やくみ]を入れたたっぷりの汁に浸したうどんを、つるつるとすすった。♠〈汁がしみ込む〉大根の煮物に汁がしみ込んで、つやつやとしてうまそうだ。♠〈うまい汁を吸う〉あの男は、安い賃金で人を働かせ、金をもうけてはうまい汁を吸っている。♠〈汁を飲む〉お父さんは朝食はごはんなので、 <520> **しる** **し** 毎朝みそ汁を飲む。 **し・る**【知る】○わかる。理解する。認識する。覚えている。経験する。体得する。面識をもつ。[文例]〈恩を知る〉親不孝だったわたしも、子供を持って、初めて親の恩を知った。♠〈恥を知る〉彼は、まるで恥というものを知らない人だ。♠〈苦労を知る〉苦労を知らない人には、貧しかったころの昔話をしても、わかってもらえないだろう。♠へルールを知る〉ぼくたちの中に、野球のルールを知らないやつがいるなんて、信じられないことだ。♠〈広く知られる〉富士山[ふじさん]は、日本を代表する山として、広く海外にも知られている。♠へ知らない人〉道を歩いていたら、知らない人に学校はどこかと尋ねられた。♠へ知らない土地〉地図を見て、知らない土地のことをあれこれと想像するのは楽しいことだ。♠へ知らぬ間〉こたつで本を読んでいて、知らぬ間に眠ってしまったらしい。♠〈知ったことじゃない〉きみがだれと付き合おうと、ぼくの知ったことじゃない。♠へ知る人ぞ知る〉きたない格好[かっこう]をしているけど、彼は、知る人ぞ知る、大財閥[だいざいばつ]の御曹司[おんぞうし]だよ。♠へ〜の知るところ〉兄がないしょで大学をやめていたことが、とうとう父の知るところとなった。♠へ推[お]して知るべし〉クラスでトップのA君が五十点なんだから、ほかは推して知るべしだね。♠〈知らぬが仏[ほとけ]〉知らぬが仏とばかり、お姉さんの大事にしている香水[こうすい]をちょっと拝借した。♠〈痛さを知る〉わが身をつねって人の痛さを知れ。♠〈一を聞いて十を知る〉あの人は頭のいい人だ。一を聞いて十を知るで、わたしの言いたい事をすぐわかってくれた。 **しるべ**【知る辺】(標・導)○知り合い。導くもの。手引きするもの。[文例]〈知る辺を頼る〉知る辺を頼って一人で上京した時の心細さを、わたしは忘れられない。♠へ〜をしるべに〉只[ただ]声をしるべに木を上って行って、先方[せんぽう]が夢中になって鳴いて居[お]る所をうんと捕[つかま]えるばかりだ。(夏目漱石「吾輩[わがはい]は猫である」)♠へ道しるべ〉山を歩いていたら途中の道しるべにかわいい花が飾[かざ]られてあるのを見つけた。 **しれい**【指令】○指図。命令。[文例]〈軍の指令〉戦争中は軍の指令というのが至上命令であった。♠〈指令を受ける〉上官からの指令を受けて、数名の兵が偵察[ていさつ]に出た。♠へ指令が出る〉隊員が基地の外へ出るときは、その行動には十分注意せよという指令が出ていた。 **しれい**【司令】○軍隊などを指揮すること。また、その人。[文例]〈司令部〉軍の司令部がこの町におかれていた。♠〈司令官〉基地の司令官アーノルド大佐は、その夜極秘で基地を飛び立った。 **じれい**【事例】○例となる事柄。前例となる事実。実例。[文例]〈悲劇的な事例〉パニックが引き起こす悲劇的な事例は、過去の歴史をさかのぼってもいくらでも見いだすことができる。♠へ事例を取り上げる〉ここで取り上げた事例は、現代の高校生の平均的生活を表すほんの一例に過ぎません。 **しるし**【印】○他と区別するための符号・記号。形となって表れたもの。前兆。証拠。[文例]〈印をつける〉文章を読むとき、大事なところに印をつけていく読み方もある。♠へ会員の印〉このクラブに出入りする人たちは皆[みな]、会員である印に、胸にバッジをつけていた。♠へ勝利の印〉日に焼けた黒い腕が競技会で優勝した勝利の印であるかのようだった。♠〈お礼の印〉老婦人は、落とした本を届けてくれたお礼の印にと言って、おいしいお茶をごちそうしてくれた。♠へ豊作[ほうさく]の印〉昔から、雪は豊作の印であると言われている。♠〈印ばかりの物〉これは、ほんの印ばかりの物ですが、どうぞお納めください。 **しる・す**【記す】○しるしを付ける。書き付ける。記録する。記憶する。[文例]〈日記に記す〉テストで初めて百点取ったことを、しっかりと日記に記しておいた。♠へ地名を記す〉一枚の古い地図に記された地名をたよりに、宝物を探した。♠〈歴史に名を記す〉偉大な業績を残した彼の名は、永久に歴史の上に記されることだろう。♠〈思い出を心に記す〉この学校で巡りあった友人たちとのよき思い出を、しっかりと心に記して卒業していこう。♠へ足跡[そくせき]を記す〉芭蕉[ばしょう]の記した足跡を訪[たず]ねて、東北地方を旅してきた。 **じれい**【辞令】○職務に任じたり、罷免[ひめん]したりする旨を書いた文書。改まって言う応対の言葉。[文例]〈辞令が出る〉会社から辞令が出て、すぐ転任というのであわただしい日が続いた。♠〈辞令を受ける〉夫は、辞令を受けてあたふたとニューヨークへ飛び立って行った。♠<外交辞令〉外交辞令という言葉もあるから、日本を訪問した外国人の賛辞は額面通りに受け止めないほうがよい。 **しれつ**(熾烈)○燃え上がらんばかりに勢いの激しいさま。[文例]〈熾烈な戦い〉熾烈な戦いのあとに残ったのは、累々たる兵士の死体であった。♠へ熾烈な感情〉熾烈な感情の高まりに耐えながら、わたしはじっとその男の無責任な言葉を聞いていた。 **じれった・い**(焦れったい)○思い通りにならなくてもどかしい。はがゆい。[文例]〈じれったいやつ〉なにをもたもたしてるんだ。じれったいやつだな。♠ヘじれったい男〉わたしの前に立って、ただ下を向いているだけなんですもの、ほんとにじれったい男。 **し・れる**【知れる】○知られる。わかる。知ることができる。[文例]太陽の沈み具合から夕方だということは知れたが、正確な時間はわからなかった。♠へたかが知れたもの〉わたしの内職の収入など、たかが知れたものです。♠〈知れたもの〉敵の力など知れたもの、恐れるに足らぬ。♠へ言わずと知れた〉この難局を乗り切るのに協力が必要なのは、言わずと知れたことだった。♠へ気が知れない〉こんな山奥の温泉に一人でやってくるなんて、お客さんの気が知れないね。♠〈人知れず〉他人には気がつかないような小さな欠点に、本人が人知れず悩むということがある。♠へ〜かもしれない〉この意見は、諸君には理解してもらえないかもしれない。 **じ・れる**(焦れる)○思い通りにならなくて、いらいらする。もどかしく感じる。[文例]家事が思うように進まなくてじれている時に限って、セールスマンなどがチャイムを鳴らす。 <521> **しろ・い【白い】** ○白色をしている。空白である。潔白である。[文例]〈白い雲〉白い綿のような雲が青い空をぽっかりぽっかり流れていく。♠〈色が白い〉ほっそりして色の白い少女が窓辺に座っていた。♠〈白い目で見る〉カンニングがばれて、ぼくは、クラスのみんなから白い目で見られている。♠〈白い歯を見せる〉合格発表を見た帰りの大山君が、白い歯を見せながらぼくの家に寄った。♠〈白いもの〉久しぶりに会ったおじさんの頭には、ずいぶんたくさんの白いものが混じっていた。♠〈白いものが降る〉急に冷え込むと思ったら、空から白いものが降ってきた。♠〈白いところ〉用紙の白いところへ、感想や意見を書いておいてください。 **しろうと【素人】** ○専門でない人。経験の少ない人。それを職業としていない人。[文例]お父さん、電子レンジの修理は素人には無理ですよ。♠〈ずぶの素人〉俳句に関してはずぶの素人ですので、よろしく御指導ください。♠〈素人臭い〉素人臭い演技が観客に受けることがあります。♠〈素人目〉そんな芸じゃ素人目はごまかせても、プロにゃ通用しない。♠〈素人離れ〉素人離れした腕前の持ち主だ。 **しろくろ【白黒】** ○白と黒。正と不正。無罪と有罪。是と非。[文例]〈白黒映画〉昨日見た映画は、随分昔の白黒映画でした。♠〈目を白黒させる〉つまみぐいを母に見つかったぽくは、お菓子をのどにつまらせて、目を白黒させた。♠〈白黒をつける〉きみとぼくとどちらが正しいか、白黒をつけようじゃないか。 **しろもの【代物】** ○品物。売り物。物。代金。人・物を低く評価していう語。[文例]〈たいした代物〉このトラックというのがたいした代物で、何しろ一度でエンジンがかかったことがないんだから。♠〈とんだ代物〉もらってきたストーブがとんだ代物で、一度も使わないうちに壊れてしまった。 **しわ(皺)** ○皮膚や紙・布などの表面にできた細いすじ目。[文例]〈眉間[みけん]のしわ〉王の顔は蒼白で、眉間のしわは刻みこまれたように深かった。♠〈しわを寄せる〉少年は、顔にしわを寄せてじっと痛みをこらえていた。♠〈しわが寄る〉おじいちゃんが笑うと、目や鼻のところに深いしわが寄る。♠〈しわが畳まれる〉老人の顔には、たくさんのしわが畳まれていた。♠〈しわができる〉お姉ちゃん、笑いすぎるとしわができるってよ。♠〈しわになる〉着替えを、しわにならないように旅行かばんにつめこみました。♠〈しわを伸ばす〉アイロンをかけて、くしゃくしゃになったスカートのしわを伸ばした。♠〈しわくちゃ〉生まれたばかりの赤ん坊の顔は、真っ赤でしわくちゃで、まるでさるのようです。 **しわけ【仕分け】** ○区分けすること。ふるい分けること。[文例]〈仕分けする〉今日入荷した品物を伝票と照らし合わせ、今夜中に仕分けしておかなければ明日の特売にまにあわなくなる。 **しわざ【仕業】** ○したこと。した行為。所業。[文例]〈弟の仕業〉ぼくの教科書が見当たらないのは、弟の仕業にちがいない。♠〈神様の仕業〉こんな大雨は、きっと人間に腹を立てた神様の仕業だ。♠〈てんぐの仕業〉昔は、災難にあうと、てんぐの仕業だと言ったりした。♠〈サルの仕業〉畑を荒らしたのがたとえサルの仕業だとしても、それだけで殺すことはないよ。 **しわよせ【しわ寄せ】**(皺寄せ)○よくない結果が他に及ぶこと。失敗や悪い結果を他に押しつけること。[文例]〈しわ寄せが来る〉夏休み中たっぷり遊んだのはいいが、そのしわ寄せが来て九月は勉強に追われています。♠〈政策失敗のしわ寄せ〉経済政策失敗のしわ寄せが低所得者層に向けられることがないようにしなければならない。 **しん【心】**(芯)○物の中心(特に、堅い部分)。心の底。心根[こころね]。[文例]〈りんごのしん〉ナイフでりんごの皮をむき、しんを取った。♠〈ろうそくのしん〉ろうそくのしんに火がついて、ぼくの影がゆれた。♠〈鉛筆のしん〉妹は小刀を持つと、器用な手つきで鉛筆のしんをといだ。♠〈ご飯のしん〉火かげんが悪かったせいか、今朝[けさ]のご飯はしんがあった。♠〈体のしんまで冷える〉雪の道を歩いてきたら、体のしんまで冷えて、何も感じないくらいだった。♠〈しんが強い〉彼は、気が弱そうにみえるが、しんは強い人だ。♠〈しんがしっかりする〉彼女はしんがしっかりしているので、つらいことがあっても、泣き言は言わない。♠〈しんから〉一日中歩き回って、もうしんからくたびれてしまった。♠〈しんから思う〉あなたはすてきな人ですね。ほんと、ぽく、しんからそう思ってます。 **しん【信】** ○信じること。信頼。信用。[文例]〈信を置く〉リーダーとしての彼は深く信頼され、その行動に信を置かない者はなかった。 **しん【真】** ○真実。まこと。[文例]〈真の姿〉経験を積めば、ものごとの真の姿が見えてくるでしょう。♠〈真の勇気〉不要な闘いをさけることこそ、真の勇気ではないか。♠〈真に迫る〉子役の演技は真に迫って、場内は水を打ったように静まり返った。♠〈真を説く〉彼の講義は真を説くの講義にあらず、真を体せる人の講義なり。舌の講義にあらず、心の講義なり。(夏目漱石「吾輩[わがはい]は猫である」) ♠〈真に〉真に旅を味わいえる人は、真に自由な人である。 **じん【陣】** ○戦いのために兵が配置されている所。合戦。現場で任務についた人々の集団。[文例]〈陣を張る〉武田[たけだ]の軍勢は、川の右岸に陣を張った。♠〈陣を取る〉腰を卸[おろ]した三人は突き当りの右側に、窓を控えて陣を取る。(夏目漱石「虞美人草[ぐびじんそう]」) ♠〈背水の陣〉〈陣を敷く〉敗走する味方は背水[はいすい]の陣を敷いて、最後の戦いを挑んだ。♠〈報道陣〉教授のスキャンダルが発覚すると、多数の報道陣が大学へおしかけた。 **しんあい【親愛】** ○人を愛し、親しみを感じること。また、その感情。[文例]〈親愛の情〉女性に対して、男性が誤解を生じることなく親愛の情を表すことはなかなか難しい。♠〈親愛なる〜〉「親愛なるお兄さま、ニューヨークでの学生生活はいかがですか?」 ♠〈親愛する〉私は私の親愛するあなたの兄さんのためにこの手紙を書きます。(夏目漱石「行人」) <522> **じんあい【仁愛】** ○あわれみ、いつくしむこと。また、その気持ち。広く人を愛すること。[文例]〈仁愛の心〉祖父は、孫のわたしたちがまだ幼いころから、仁愛の心をもって人に接するようにと教えた。 **じんあい(塵埃)** ○ちり・ほこり。俗世間のよごれ。「[文例]〈都会の塵埃〉彼は都会の塵埃の中で働きながら、将来への希望を燃やし続けた。♠〈俗世の塵埃〉俗世の塵埃から遠ざかって山中に暮らすことを考えたこともある。 **しんい【真意】** ○本当の意味。本当の気持ち。[文例]そう言うきみの真意がどの辺にあるのか、ぼくには理解できなかった。♠〈真意を測る〉恋人の行動の真意を測りかねて、いたずらに悩んだこともありました。♠〈真意をくみとる〉若かったわたしは、先生の言葉の真意をくみとることができなかった。 **じんい【人為】** ○人の力ですること。人手が加わること。人間のしわざ。[文例]〈人為的〉都会の自然はおおむね人為的なものであって、ありのままの自然ではない。♠凡[すべ]ての人為のものの無常の中で、最も大きい未来を有しているものの一つは、矢張[やはり]科学であろう。(森鷗外[もりおうがい]「妄想[もうそう]」) **じんいん【人員】** ○集団を構成する人々。また、その数。[文例]〈人員の確保〉撮影に必要な人員の確保もプロデユーサーの仕事です。♠〈人員整理〉不況になると、どの工場でも人員整理が行われた。♠〈募集人員〉人気の高い職種なので、募集人員五名のところへ十倍もの応募者があった。 **しんえい【新鋭】** ○新しく現れて勢いの鋭いこと。また、そういう人。[文例]〈新鋭の作家〉今年も、将来を期待される新鋭の作家が何人かデビューしました。♠〈新鋭と古豪〉試合運びのうまい古豪に立ち向かう新鋭には、気迫にあふれる闘いぶりが期待されます。 **じんえい【陣営】** ○軍隊が集結している所。対立する勢力のそれぞれの側。党派などの集まり。[文例]〈味方の陣営〉敵の攻撃に備えて、味方の陣営には緊張がみなぎっている。♠〈革新陣営〉この選挙でも、革新陣営は保守勢力に押されて旗色[はたいろ]が悪いようです。 **しんえん【深遠】** ○奥深くて測り知れないさま。[文例]〈深遠な思想〉この哲学者の深遠な思想は、当時は全く理解されなかった。♠〈深遠な理論〉このような深遠な理論は、一般の読者に理解できるはずもなかった。 **しんえん(深淵)** ○深いふち。奥底。[文例]〈深淵が横たわる〉わたしたち二人の間には越えがたい深淵が横たわっていた。♠〈深淵に臨む〉わたしは底知れない深淵に臨むような気持ちで、その悪魔の書を開いた。♠〈深淵をのぞきこむ〉苦悩に沈む人の心の深淵をのぞきこむようにして、その苦しみを理解しようとした。 **しんか【進化】** ○生物が変化し発展すること。進歩すること。→退化[文例]〈進化をとげる〉地球上の生物たちは、何千万年、何億年という長い時間をかけて進化をとげてきました。♠〈進化の過程〉人類は、その進化の過程で、ことばを作り出してきました。♠〈進化する〉ヒトはサルと共通の祖先から進化したのですから、今のサルがそのうちヒトになるということはありません。♠〈進化論〉生物は神によって創造されたのではなく原始形態からしだいに変化発達してきたという考え方が進化論です。 **しんか【深化】** ○深くなること。深まること。[文例]〈洗練と深化〉短歌や俳句は、日本の風土の中で洗練と深化を受けて育った、世界に類のない短い詩型の文学である。♠〈深化する〉他人の生き方から学び、また芸術作品などに接することによって、わたしたちの人生観は深化してゆく。 **しんか【真価】** ○本当の価値。[文例]〈人間の真価〉〈真価があらわれる〉危機に臨んでこそ、その人間の真価があらわれるものです。♠〈真価を発揮する〉指導者としての力を備えたきみだから、このような時こそ真価を発揮してくれるだろう。♠〈真価を問う〉自分の作品が世に出れば、その真価が問われることになる。 **じんか【人家】** ○人の住む家。[文例]〈人家がある・ない〉この山のすそ野は、湿地と沼がまばらに散らばっているだけで、 <523> 一軒の人家もない。♠〈人家が密集する〉東京や横浜[よこはま]など人家の密集した所では、地震のときに大火災が発生するおそれがある。♠〈人家らしいもの〉丘の北側は見渡す[みわた]限りの雪原で、人家らしいものは一つも見えなかった。♠〈人家に出没[しゆつぽつ]する〉ゴキブリには約四千種ありますが、人家に出没するのは、ごく一部の種類に限られています。♠〈人家がとだえる〉ひよどりがことに多くその姿を現すのは、人家のとだえた渓谷だった。 **しんがい【心外】** ○予期していないさま。意外。思いのほか。[文例]十年来の友人のあなたから、そんな冷たい仕打ちを受けるなんて心外だ。♠〈心外な気〉石本は一寸[ちよつと]いやな顔をした。そしてその事は隠さず打明けねばならぬという事をくどくどと云い出した。謙作[けんさく]は心外な気がした。(志賀直哉[しがなおや]「暗夜行路[あんやこうろ]」) **しんがい【侵害】** ○権利を侵すこと。侵して害すること。[文例]〈プライバシーの侵害〉いくらお母さんでも、こっそりわたしの日記を読むのはプライバシーの侵害だわ。♠〈人権の侵害〉たとえ使用者と使用人の間であっても、人権の侵害があってはならない。♠〈侵害する〉私有財産を侵害することは許されません。 **じんかいせんじゅつ【人海戦術】** ○人数で圧倒しようとする戦術。人数にものを言わせて物事に対処すること。[文例]〈人海戦術をとる〉市への陳情[ちんじよう]は、人海戦術をとって町内全員で押しかけることになった。♠〈人海戦術で行く〉機械のなかった昔の田植えは、人海戦術で行くしか方法がなかった。 **しんがお【新顔】** ○新しく加わった人。新入り。[文例]〈クラブの新顔〉〈新顔が加わる〉四月になると新顔が加わって、クラブ内にも活気が出てきた。♠〈店の新顔〉〈新顔が入る〉うちの店にも新顔のかわいい子が入りましたよ、一度見に来てください。 **しんがく【進学】** ○上級の学校へ進むこと。[文例]〈大学への進学〉彼は、家が貧しかったので、大学への進学をあきらめたそうです。♠〈進学する〉わたしは、この春、高校へ進学します。♠〈進学準備〉今の子供たちは、テストや進学準備に追われ、勉強ばかりで遊ぶひまはあるのだろうか。 **じんかく【人格】** ○一人の人間としての品格。人柄。[文例]〈人格をそなえる〉市長は、すぐれた人格をそなえた人物だった。♠〈人格を形成する〉学校はただ勉強を教える場ではなく、人格を形成する場でもあるのです。♠〈人格を疑う〉あんないいかげんなやつと一緒[いつしよ]にいると、きみまで人格を疑われてしまうよ。♠〈人格を認める〉新しい委員長には、誠実な人格が認められて、川田さんが就任しました。♠〈人格がつくられる〉三歳から四歳くらいまでの間に、基本的な人格がつくられるのではないでしょうか。♠〈人格の形成〉スポーツは体力だけではなく、人格の形成にもおおいに有効です。♠〈人格の陶冶[とうや]〉教育の目標の一つに生徒の人格の陶冶があります。♠〈人格者〉高校野球の監督[かんとく]は、すぐれた技術の指導者であると同時に、人格者でなければつとまりません。♠〈二重人格者〉彼女は裏表のはげしい二重人格者でした。 **しんがた【新型】** ○型が新しいこと。新しい型。[文例]〈新型の機械〉どうも、新型の機械は苦手でと、祖母は洗濯機を使おうとしなかった。♠〈新型の車両〉七十年代になると、冷房装置の付いた新型の車両が増えていった。 **しんから【心から】** ○心の底から。本心から。[文例]わたしはもう一歩も歩けない、心からくたびれた。♠あなたに何もしてあげられないことを、わたしは心から残念に思っているのです。♠彼女は、あの時のことを思い出したのか、心からいまいましそうな口調で言った。 **しんがり(殿)** ○最後尾。一番後ろ。退却する時に軍列の最後尾で敵を防ぐこと。[文例]〈列のしんがり〉黄色のハチマキの列のしんがりにいるのが、うちの息子だ。♠〈成績がしんがり〉どうだ、今学期の成績は。またしんがりじゃないだろうな。♠〈さきがけとしんがり〉槍[やり]の名人といわれた新兵衛[しんべえ]は、常にさきがけ、しんがりの功名を重ねていた。 **しんかん(震撼)** ○おののき、ふるえること。[文例]〈人々を震撼させる〉この異常で残虐[ざんぎやく]な事件は、当時の世界中の人々を震撼させた。♠〈天下を震撼させる〉デマをもって天下を震撼させるがごときはきわめて卑劣[ひれつ]である。 **しんかん【森閑・深閑】** ○静まり返っているさま。[文例]〈森閑とする〉学校から帰ると、家人の姿はなく、家の中は森閑としていた。♠〈森閑とした道〉人影もない森閑とした道を一時間も歩くと、目ざす湖に出る。 **しんがん【心眼】** ○物事の本質を見とおす力。心の目。[文例]〈心眼に映る〉徳を積んだ僧の心眼には、その男の言葉の奥に潜む[ひそ]苦悩がありありと映っていた。♠〈心眼に浮かぶ〉まだつぼみだったが、画家の心眼には鮮やかに花の色が浮かんでいた。♠〈心眼を開く〉静かに目を閉じ、心眼を開いて見よ。 **しんき【新規】** ○新たに行うこと。新しい規則。[文例]〈新規の契約〉保険の外交と言っても、新規の契約者を獲得[かくとく]するのは大変です。♠〈新規まき直し〉店の内装を新しくして、新規まき直しをはかる。 **しんき【新奇】** ○新しく、他と変わっていること。[文例]〈新奇をてらう〉新奇をてらった作品だが、果たしていつまで読者の心に残るだろうか。♠〈新奇を追う〉彼のやり方は新奇を追うばかりで、極めて実りが少ない。♠〈新奇なところ〉新奇なところなど何もない写生の句だが、味わいは格別に深い。 **しんぎ【信義】** ○約束を守り、義務を果たすこと。[文例]〈信義を重んじる〉信義を重んじない人間は信頼されない。♠〈信義に厚い〉信義に厚いきみのことだ、必ず約束を果たしてくれると信じていた。♠日本国民は、恒久の平和を念願し、(……)平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。(日本国憲法前文) **しんぎ【審議】** ○会議にかけて、よく検討すること。[文例]〈審議する〉町民の賛成、反対相半ばする工場誘致[ゆうち]問題につ <524> いては、現在町議会で審議している最中です。 **しんぎ【真偽】** ○まことと偽り。正しいか誤りか。[文例]〈真偽を確かめる〉きみは真偽を確かめようともせずに、そんなうわさを信じたというのか。♠〈真偽の程〉彼の言葉の真偽の程はわからないが、頭から無視することはできないだろう。 **しんきいってん【心機一転】** ○それまでの気持ちがすっかり変わること。[文例]〈心機一転する〉予選で負けてしょげていた息子も、心機一転し、来年に向けてがんばり始めました。♠〈心機一転のきっかけ〉あの時きみが言ってくれた一言が、ぼくの心機一転のきっかけになった。 **しんきじく【新機軸】** ○新しい方法。新しい工夫。新しい活動の中心。[文例]〈新機軸を出す・打ち出す〉この辞典は、意味よりも用法を重視して新機軸を出している。♠〈新機軸を発する〉俳諧[はいかい]の世界に新機軸を発したのは松尾芭蕉[まつおばしよう]であった。♠〈新機軸を盛り込む〉今回のショーは、展示物のレイアウトや装飾などに新機軸が盛り込まれている。♠〈新機軸を開く〉師匠から独立した彼は、新機軸を開いて一派をなした。 **しんきゅう【新旧】** ○新しいものと古いもの。[文例]〈新旧入り交じる〉恩師の退官記念パーティーは、新旧の卒業生が入り交じって、とてもにぎやかだった。♠〈新旧交替〉そろそろ新旧交替の時期だろうから、今年でこの役は辞退したいと思う。♠〈新旧両勢力〉どんな組織にも、多かれ少なかれ、新旧両勢力の対立ということはあるだろう。 **しんきゅう【進級】** ○等級・学年などが上に進むこと。[文例]〈進級を待つ〉宿題もなく、ただ進級を待つだけの春休みだから、思いきり遊ぶことができました。♠〈進級が危ない〉田村くんは、欠席が多いので進級が危ないらしい。♠〈進級する〉四月になり、わたしたちは三年生に進級した。 **しんきょ【新居】** ○新しい住居。[文例]〈新居を構える〉この度結婚し、当地に新居を構えることになりました。♠〈新居を訪ねる〉休日に散歩に出たついでに、友人の新居を訪ねようと思いついた。 **しんきょう【心境】** ○心の状態。気持ち。[文例]〈心境を語る〉引退する選手は、記者の質問に答えて、現在の心境を語った。♠〈心境を述べる〉作者は、あとがきで、自伝を書くにいたった心境を述べている。♠〈心境の変化〉どういう心境の変化なのか、このごろの弟はいつ見ても机にかじりついている。♠〈心境が変わる〉ぼくが生活を改めたのは、他人のアドバイスのせいではなく、ただ心境が変わったからだ。♠〈複雑な心境〉二人の女性に同時に誘わ[さそ]れるなんて、ぽくは複雑な心境だった。♠〈落ち着いた心境〉ショックからも立ち直り、ようやく落ち着いた心境を取り戻[もど]しました。 **しんきょう【進境】** ○進歩して到達した境地。進歩の程度。[文例]〈進境が著しい〉トレーニングの成果が現れて、選手たちの進境が著しい。♠〈進境を見せる〉しばらく聞かないうちに、娘のピアノは一段の進境を見せている。 **しんきょう【信教】** ○宗教を信仰すること。[文例]〈信教の自由〉信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。(日本国憲法第二十条) **しんきんかん【親近感】** ○身近なものとして親しむ気持ち。身近な感じ。[文例]〈親近感を抱く・もつ〉初めて言葉を交わした時から、彼には親近感を抱いていたのです。♠〈親近感を覚える〉わたしとよく似た主人公のおいたちに、わたしは親近感を覚えた。 **しんく【真紅・深紅】** ○濃い紅色。真っ赤。[文例]〈真紅のバラ〉庭に足を踏み入れると同時に、真紅のバラが目に飛び込んできた。♠〈真紅に燃える〉山の頂は夕日を受けて、しばし真紅に燃えた。 **しんく【辛苦】** ○つらく苦しいこと。[文例]〈辛苦をなめる〉三年間、人には言えぬ辛苦をなめながら、この栄光の日を夢見てきたのです。♠〈辛苦をする〉露西亜[ロシア]と戦争が始まって若い人達は大変な辛苦をして御国[おくに]の為[ため]に働いて居るのに(……)(夏目漱石「吾輩[わがはい]は猫である」) ♠〈粒々辛苦[りゆうりゆう]〉当時の貧しい百姓たちには、粒々辛苦という言葉がまさにぴったりでした。♠〈艱難辛苦[かんなん]〉若いころから艱難辛苦して、今日を築かれたそうです。 **しんくう【真空】** ○空気などが全く存在しない空間。空っぽであること。[文例]〈真空の状態〉食品を真空の状態でパックすれば、長い時間鮮度を保つことができる。♠〈頭が真空〉いつも考えているのは、ファッションと男の子のことだから、それを除くとわたしの頭は真空になる。 **ジンクス** ○きまってよくない結果をまねくこと。[文例]〈ジンクスがある〉うちのチームには、競技場へ行く電車で座っていくと負けるというジンクスがある。♠〈ジンクスを破る〉新人王をとった翌年は不調というジンクスはすでに破られている。 **シングル** ○一つ。単一。一人用。独身。対をなさないこと。[文例]〈シングルのコート〉シングルのコートがほしいのです。♠〈ウイスキーのシングル〉ママ、ウイスキー。シングルでね。♠〈シングルベッド〉体格のよい男の人は、シングルベッドでは少し窮屈[きゆうくつ]かもしれません。 **しんけい【神経】** ○刺激を中枢[ちゅうすう]に伝え、中枢からの命令を末端に伝える器官。物事を感じ取る心の働き。[文例]〈神経の中枢〉ふつう、昆虫[こんちゆう]の手足を動かす神経の中枢は、胸の部分に三つ並んでいる。♠〈神経を抜く〉虫歯がひどくなると、歯の神経を抜いて治療[ちりよう]する。♠〈神経が細かい〉彼女はよく気のどどく、神経の細かい人だ。♠〈神経が細い〉ああ神経が細くては、人間関係の複雑な現代社会ではとてもやっていけないよ。♠〈神経が太い〉きびしい競争社会を生き抜いてきただけあって、あいつはなかなか神経の太い男だ。♠〈神経が過敏〉神経の過敏な人は、わずかな物音にも気持ちが落ち着きません。♠〈神経が鈍い〉ぼくは運動神経は鈍いが、それでも体育の時間が一番いいや。♠〈神経が鋭い[するど]〉彼女は、持ち前の鋭い神経で、男の本心をさぐりあてていた。♠〈神経が高ぶる〉わたしは寝しなにお茶を飲むと、神経が高ぶって眠れなくなる。♠〈神経をいら立たせる〉さまざま <525> **しんこう** **し** な騒音が、知らず知らずに人々の神経をいら立たせている。♠〈神経を使う〉そんなに神経を使い過ぎると、体がもたないでしょう。♠〈神経をすり減らす〉彼は部下の人間関係に神経をすり減らしている。♠く神経を集中する〉獲物[えもの]を目の前にして、ハンターは引き金に神経を集中させた。♠〈神経に障[さわ]る〉彼女の話しかたやしぐさは、どこかわざとらしくいやみで神経に障る。♠きみの病気は、まったくの神経さ。♠<運動神経〉運動神経の発達した子供は、どんな運動にも上達が早い。 **しんけいしつ**【神経質】○ささいなことにも感じやすく、いらいらしたり、気に病んだりする性質。[文例]〈神経質な人〉祖母は神経質な人ですから、とても気をつかいます。♠〈神経質な字〉細野さんは、その性格通りいかにも神経質な字を書きます。♠〈神経質になる〉一部の人たちの心を傷つけることがないよう報道関係者はよほど神経質になってほしいものである。 **しんげき**【進撃】○前進して攻撃すること。勝ち進むこと。[文例]〈破竹[はちく]の進撃〉〈進撃を続ける〉チームは、準決勝まで破竹の進撃を続けた。♠〈進撃する〉敵の部隊は、勢いに乗じて味方の前面に進撃してきた。 **しんけつ**【心血】○全身全霊。全精神。[文例]〈心血を注ぐ〉五年の歳月をかけ、心血を注いで描きあげたのがこの大作です。 **しんけん**【真剣】○本物の刀剣。本気であるさま。[文例]〈真剣を用いる〉この立ち合いは、木刀ではなく、真剣を用いた勝負だった。♠あと一点で逆転という時、ぼくたちは、なんとか勝ちたいと真剣だった。♠〈真剣な顔〉「頼みがあるんだけど。」と言って、友達が真剣な顔をしてやってきた。♠〈真剣な表情〉合格者の発表を待つ受験生たちは、だんだん真剣な表情になってきた。♠へ真剣に取り組む〉世界中の科学者たちが、石油に代わる新しいエネルギーの開発に真剣に取り組んでいる。♠〈真剣に勉強する〉遊んでばかりいないで、たまには真剣に勉強しなさい。♠〈真剣になる〉試験の日が近づくと、のんきな彼もようやく真剣になった。♠〈真剣み〉きみの話し方には真剣みがないから、人に信用されないんだよ。♠〈真剣勝負〉今度の試験は二学期の成績にもひびくというので、生徒はみな真剣勝負だった。 **しんげん**【進言】○目上の者に対して意見を言うこと。[文例]〈家臣の進言〉〈進言をいれる〉家臣の進言をいれて、王は領民の税を軽減するよう命じた。♠へ進言する〉総理、こここそ引退の花道です、と側近は進言した。 **しんげん**【森厳】○厳しくおごそかなさま。[文例]〈森厳な空気〉隅々[すみずみ]まで清められた境内[けいだい]に、早朝の森厳な空気がみなぎっている。♠へ森厳な雰囲気〉聖堂は森厳な雰囲気[ふんいき]に包まれており、見学者の我々も背筋を伸ばして進んだ。 **じんけん**【人権】○一人の人間としての権利。[文例]〈人権を侵[おか]す〉人間として生まれながらにもっている生存・自由・平等などの権利、すなわち人権は、けっして侵されるべきではない。♠へ人権を尊重する〉わたしたちは、お互いの人権を尊重しなくてはなりません。♠〈基本的人権〉基本的人権は、人間としてだれでももっているもので、日本国憲法で保障されている。♠〈人権蹂躙[じゅうりん]〉何よ、女だからってのけものにするなんて、人権蹂躙よ。 **じんご**【人語】○人間のことば。話し声。[文例]〈人語を聞く〉自分たちの声以外は、人語を聞くこともまれな山中の小道でした。♠へ人語を解する〉調教師の命令に従って動くライオンたちは、まるで人語を解するもののようであった。 **じんご**【人後】○他人の後ろ。[文例]〈人後に落ちる〉年は取っても、おじいさんの大工の腕は人後に落ちるものではなかった。♠へ人後に落ちる〉持って生まれた才能に加えて、彼ほどの努力をすればその道で人後に落ちるはずはない。 **しんこう**【信仰】○宗教を信じること。信心すること。[文例]〈信仰が厚い〉彼の家は、代々信仰の厚いクリスチャンです。♠〈信仰の道〉兄は学校を卒業したら、信仰の道に入り、牧師になるという。♠〈信仰を持つ〉信仰を持っている彼は、どんなに苦しいときでも、神様が守っていてくれるからと言って、明るい顔をしている。♠◇信仰を捨てる〉キリスト教禁止令のあった江戸時代、信仰を捨てることのできない人たちは、隠れキリシタンとなった。♠〈信仰する〉わたしたちには、どんな宗教でも信仰することができるという「信教の自由」がある。♠〈信仰心〉信仰心の厚い祖母は、毎日、ありがたい、ありがたい、と言って仏様に感謝している。 **しんこう**【進行】○乗り物などが進んで行くこと。物事が進んで行くこと。[文例]〈ゲームの進行〉観客は、息をのんでゲームの進行を見守っています。♠へ時間の進行〉この文章では、出来事が時間の進行に従って描写されている。♠へ病気の進行〉現代の医学でも、この病気の進行をくいとめることはできない。♠〈進行する〉活発な意見がどんどん出て、学芸会の出し物を決める話し合いは進行しました。♠〈議事進行〉討論が議題からはずれたところで、「議事進行!」という声が上がった。 **しんこう**【侵攻】○他国の領土に攻め込むこと。[文例]〈敵の侵攻〉〈侵攻に備える〉敵の侵攻に備えて、国中があわただしく戦闘体制に入っていった。♠へ侵攻する〉ヨーロッパ各地に戦火を広げるドイツ軍は、一九四○年に入ると、矛先[ほこさき]をオランダに向けて侵攻した。 **しんこう**【新興】○新たにおこること。[文例]〈新興の力〉国内では、新興の力がそれまでの体制をゆるがすようになった。♠〈新興勢力〉作品には、古代から中世へ移る時代の新興勢力である武士階級の姿が生き生きと描かれていた。♠〈新興宗教〉新興宗教への入信をしつこく誘われて、迷惑するという話を聞きます。 **しんこう**【親交】○親しい交わり。[文例]〈親交を深める〉本日は、いつもは顔を合わす機会の少ない支部の皆さんとも、親交を深めていただきたいと思います。♠〈親交を結ぶ〉わたしが林君と親交を結ぶきっかけになったのは、もう十年も前の大学祭の時だった。 **しんこう**【振興】○盛んにすること。盛んになること。[文例]〈産業の振興〉産業の振興は望ましいが、自然が失われるのにはこまる。 <526> Okay, I will start by identifying the task and then proceed with the OCR and formatting of the provided 25-page PDF as requested. は残念です。♠へ町の振興[しんこう]>青年たちは、町の振興に力を注いだ。♠へ振興する「鉄冷え」が現実となった鉄の町室蘭では、市をあげて観光事業を振興することになった。 **しんごう【信号】** ○光や音などによる一定の符号を用いて意思を伝達する手段。また、その符号。特に交通信号。[文例]信号が青になったら、手を上げて渡[わた]りましょう。♠へ信号で知らせる〉大通りでは、人や車に「進め、止まれ、注意」の意味を信号で知らせていた。♠へ信号を無視[むし]する〉信号を無視して、通りを渡っては危ないよ。♠へ信号を出す>身振り手振りで信号を出して、近くの席にいる友達と会話をした。♠〈信号を発[はっ]する>火災を起こした船がSOSの信号を発した。♠〈信号を送る>旗[はた]を振[ふ]って、船から船へ信号を送っていた。 **じんこう【人工】** ○人間の手を加えること。人間の力で作ること。[文例]〈人工の湖〉この川の上流には、流れをせき止めて作った人工の湖がある。♠へ人工の臓器[ぞうき]>医学の進歩には目を見張るものがあるが、特に人工の臓器の開発には驚[おどろ]かされます。♠へ人工の美>夜の大都会を彩[いろど]るネオンの輝[かがや]きは、人間の作りあげた人工の美ということができる。♠〈自然と人工>自然と人工のものとを調和させることが現代文明の課題である。♠〈人工的〉人工的に雨を降らせて、砂漠[さぱく]を緑地化することができないかしら。♠〈人工呼吸>救助隊員によって必死の人工呼吸が行われた。 **じんこう【人口】** ○一定の地域に居住する人の数。人の口。人々の言葉。[文例]〈世界の人口>現在の世界の人口は、約四十五億人です。♠〈人口の集中〉都市に人口の集中が進み、一方では地方の過疎化が問題になってきた。♠へ人口が密集[みっしゅう]する〉こう人口が密集してくると、どこか山の奥へでも逃げだしたくなるね。♠へ人口が増大[ぞうだい]する〉地球上の人口は増大する傾向にある。♠〈人口が少ない>若者たちが都会へ出ていくので、この町の人口は少なくなる一方だ。♠人人口の大きさ〉〈使用人口〉言語を、使う人口の大きさの点からみると、日本語は六番めの使用人口をもっています。♠人口密度>狭い国土にたくさんの人が住む日本は、人口密度の高い国です。♠へ人口に膾炙[かいしゃ]する「怖[こわ]くへば鐘が鳴るなり法隆寺」は、正岡子規の句の中でも、最も人口に膾炙したものであろう。 **しんこく【深刻】** ○心に深く刻みこまれるさま。重大で軽々しく扱えないさま。[文例]〈深刻な問題〉アフリカでは、かんばつによる食糧[しょくりよう]不足が深刻な問題となっている。♠〈深刻な影響[えいきょう]>工場廃水[はいすい]などによる海の汚染[おせん]が、漁業に深刻な影響を及[およ]ぼしている。♠〈深刻な顔>深刻な顔をしたって始まらないよ。せめて顔だけでも明るくいこうよ。♠深刻になる〉リハーサルで失敗したくらいで、そんなに深刻になるなよ。♠く悩[なや]みが深刻〉彼女の悩みがそれほど深刻なものになっているとは、思いもしなかった。♠〈深刻に考える〉彼女は、物事をなんでも深刻に考えるたちである。 **しんこく【申告】** ○(官庁などに)申し立てること。申し出ること。[文例]〈所得の申告〉三月十五日までに、税務署に所得の申告をしなければならない。♠〈申告する>空港の税関では、係員に持ち物の内容を申告する必要があります。 **しんさ【審査】** ○くわしく調べて、適否・是非などを決めること。[文例]〈作品の審査>応募作品の審査の結果が発表になった。♠へ審査する〉コンクールに出品された絵を審査して、入選作品を決定する。 **じんさい【人災】** ○人間の過失や不注意で起こった災難。[文例]十分な防火設備がなかったということで、このホテル火災は明らかに人災と言えます。♠もとより天災である火山の噴火も、避難命令の不徹底が被害を大きくしたというのなら、人災と言えなくもない。 **じんざい【人材】** ○役に立つ人物。才能のある人物。[文例]〈人材が輩出[はいしゅつ]する〉教授の門下から学界に多くの人材が輩出している。♠へ人材を集める〉今、我が社では、若い人材を集めることに力をそそいでいます。♠へ人材不足〉この課は人材不足だから、来年度は人をまわしてもらおう。 **しんさつ【診察】** ○医者が患者の体の状態を調べること。[文例]〈診察を受ける〉体の調子がよくないと思ったら、医者の診察を受けたほうがよいでしょう。♠へ診察する>医者は、患者の脈[みゃく]をとったり、血圧を測ったりして診察します。♠≪診察室>赤ちゃんは、診察室に入ったとたん泣き出した。 **しんさん【辛酸】** ○苦しくつらいこと。にがい経験。[文例]〈世の辛酸><辛酸をなめる〉つぶさになめてきた世の辛酸が、老人の顔に刻まれたしわのひとつひとつにしみこんでいる。♠人辛酸をなめつくす〉その人の笑顔には、若くして辛酸をなめつくした人の影は、みじんも見られなかった。 **しんざん【新参】** ○新たに加わること・人。新たに仕えること・人。[文例]〈新参と古参〉上下関係のうるさい世界だったから、新参の者[もの]は古参に対して細かく気をつかわねばならなかった。♠新参者〉まだ新参者のぼくには、会社の内部事情など知る由もなかった。 **しんし【紳士】** ○品格の備わった男性。[文例]車からは、身なりのきちんとした一人の紳士が降りてきた。♠〈紳士服〉デバートの紳士服売り場を見て歩いた。♠〈紳士協定〉この件は、お互いを信頼しあった紳士協定ということで、契約書などは交わされなかった。 **しんし(真摯)** ○誠実でひたむきなさま。[文例]〈真摯な態度>担任の真摯な態度が、まとまりのなかったクラスを変えていった。♠へ真摯な人柄[ひとがら]>高橋君はその真摯な人柄で、お客様に絶対の信頼を得ています。 **しんじ【神事】** ○神を祭ること。祭典。[文例]この神社では、今も正月の神事などでは村人たちが能舞[のうまい]を奉納[ほうのう]するという。 **じんじ【人事】** ○人間に関する事柄。人間社会の出来事。組織内の成員に関する事柄。意識。[文例]〈人事を尽くして天命を待つ〉やれるだけのことはやりましたから、今は人事を尽くして天命を待つ心境です。♠〈会社の人事〉業績を左右するものですから、会社の人事はきわめて重要です。♠へ人事異動>春の人事異動で九州に転勤することになりました。♠〈人事不省>人事不省になるまで酒を飲むなんて、危険[きけん]こ <527> の上もありません。 **しんしき【新式】** ○新しい方式。新しいしかけ。[文例]』〈新式の機械>職人かたぎの定吉[さだきち]は、新式の機械を使った菓子作りを決して受け入れようとはしなかった。♠〈新式の道具>新式の道具をそろえた春子の台所は、いかにも新婚にふさわしかった。 **しんじつ【真実】** ○本当のこと。まこと。全く。[文例]〈真実を語る〉父親は、息子に真実を語るべきかどうか、迷っていた。♠〈真実を曲げる〉自分に都合が悪いからといって、真実を曲げることはできない。♠へ真実を追求する〉真実を追求した人々の伝記を読むと、深い感動を覚える。♠へ真実を描[えが]くこれは海に生きた男たちの真実を描いた作品です。♠〈真実に生きる〉「真実に生きる」、これがきみのモットーですか?♠〈真実の姿〉不良だと言われている少年が、汗[あせ]して働いているのを見て、彼の真実の姿はこれだと思った。♠<真実の心〉アンネの書いた日記を読むと、彼女の偽[いつわ]りのない真実の心がよくわかる。♠へ虚偽[きょぎ]と真実>虚偽と真実を見分ける目を持っていたい。♠へ真実一路〉明治[めいじ]生まれのわたしの祖父は、真実一路の人生だったと、人々からたたえられた。♠〈真実み〉あなたのその話は、どうも真実みに乏[とぼ]しいように思われる。♠彼のふるまいには、真実、困りはてている。 **しんじゃ【信者】** ○特定の宗教を信仰している人。特定の人物やその思想の信奉者。[文例]〈キリスト教の信者〉彼女はキリスト教の熱心な信者で、日曜日の礼拝は欠かしたことがない。♠〈吉本隆明の信者〉自立とか、幻想とか、きみは吉本隆明氏の信者ですか。 **じんじゃ【神社】** ○神を祭るやしろ。[文例]水天宮[すいてんぐう]は、水をつかさどる神を祭った神社です。♠村の神社の境内[けいだい]は、子供たちのよい遊び場所でした。 **しんしゃく(斟酌)** ○事情をくんで手加減すること。適宜に処置すること。遠慮すること。[文例]<斟酌を加える〉相手がまだ子供であるという点に斟酌を加えたうえで、ゆるい処置がとられた。♠へ斟酌がいる〉働く気もない従業員に何の斟酌がいるものか、首だ。♠<斟酌する〉父親が病気であることなど斟酌せずに、厳しい取り立てが行われた。 **しんしゅ【進取】** ○進んで物事に取り組むこと。[文例]<進取の気象[きしょう]>わが社は進取の気象に富[と]む人材なら、新入社員にも活躍の場を与えています。♠へ進取の精神〉若いきみたちは、旧習にとらわれず、進取の精神をもって事に当たってほしい。 **しんじゅ【真珠】** ○アコヤガイなどの体内にできる、美しい丸い球。[文例]〈真珠のネックレス〉すてきな真珠のネックレスですね。とてもお似合いですよ。♠〈豚[ぶた]に真珠>勉強嫌いのあの子に本など、「猫に小判」「豚に真珠」というところでしょう。♠〈東洋の真珠>香港[ホンコン]は、東洋の真珠ともいわれる美しい街です。 **じんしゅ【人種】** ○人間を身体的形質から分けた種別。人を職業などを基準に分けた一定の類型。[文例]アメリカは、さまざまな人種から成る多民族国家です。♠へ気の長い人種〉きみのように気の長い人種とは、つき合いきれないよ。 **しんじゅう【心中】** ○恋人どうし・親子・家族などが一緒に死ぬこと。運命を共にすること。[文例]〈男女の心中>男女の心中に題材をとった芝居はきわめて多い。♠へ仕事と心中する〉日曜日も休まずに働いて体を悪くするなんて、仕事と心中する気なんですか。♠〈心中だて>家族を捨てて蒸発[じょうはつ]した男への心中だてなど、やめたほうがいい。♠〈無理心中〉病身の母が残された子の行く先を思い、道連れにして無理心中するという悲惨[ひさん]な事件もある。♠へ一家心中〉店が倒産した時は、一家心中を思わないでもなかった。 **しんしゅく【伸縮】** ○伸びたり縮んだりすること。伸ばしたり縮めたりすること。[文例]〈髪の伸縮〉髪の毛のわずかな伸縮の度合いによって、空気中の湿度の多少を知ることができる。♠へ伸縮自在>風呂敷[ふうしき]は伸縮自在で、広げるとどんな形の物でも包めるし、小さくたたんでしまうこともできる。♠〈伸縮性〉材質が伸縮性にすぐれているので、動きの激[はげ]しいスキーウェアとしては最適です。 **しんしゅつ【進出】** ○進み出ること。乗り出すこと。[文例]〈スーパーが進出する〉駅前に大型スーパーが進出することになり、地元の商店は頭を痛めている。♠〈海外へ進出する>海外へ進出する日本の企業が増えている。♠へ準決勝に進出する〉我が校の野球部が県大会の準決勝に進出した。 **しんしゅつきぼつ【神出鬼没】** ○鬼神のように自由自在に出没し、その所在がつかめないこと。[文例]行動半径の広い人でまさに神出鬼没、どこに現れるか予測がつかなかった。 **しんじゅん【浸潤】** ○しみこむこと。しみわたること。[文例]〈浸潤する>日露戦争の後、自然主義が浪漫主義[ろうまんしゅぎ]主流の歌壇にも浸潤してきた。♠〈浸潤する〉古来からの良き伝統が文明の毒によって、あっというまに浸潤されてしまったのである。 **しんしょう【心証】** ○心に受ける印象。心の中での認識。[文例]〈心証を害する〉せっかく誘ってくれた方の心証を害することのないように、ていねいにお断りしました。♠心証を損[そこ]ねる>自分には力があるんだ、という鼻もちならない態度が親方の心証を損ねたらしい。♠ヘ心証を得る>取り調べの役人は、この男はうそをついていないという心証を得ていた。 **しんしょう【心象】** ○心の中に思い浮かぶ像。イメージ。[文例]なつかしい故郷の心象は、駅前に立ったとたんガラガラと音を立てて崩れ去った。♠へ心象風景〉この詩に描かれた廃墟の町が、少年時代に戦争を体験した作者の心象風景であろう。 **しんしょう【身上】** ○財産。身代。[文例]〈身上をつぶす>男は、とうとう酒と女で身上をつぶしたという。♠人身上をこしらえる〉だって随分[ずいぶん]いろいろな事をして、一代のうちに身上を拵[こしら]えた人だと云うのですから、(……)(森鷗外[もりおうがい]「雁[がん]」)♠〈身上持ち〉妻は、古着を上手にリフォームして着る身上持ちのいい女です。 <528> なみだ **しんじょう【心情】** ○心の中の思い。気持ち。[文例]〈考えや心情〉この主人公の考えや心情は、同世代のわたしにはよくわかる。♠へ人の心情〉会話を取り入れた文章は、人物の心情や様子をいきいきと表現するのに適している。♠命へ心情を察[さっ]する〉交通事故で家族を亡くした友達の心情を察すると、涙が出て止まらなかった。♠へ心情を理解する〉彼ら若者は、なぜオートバイを暴走させるのか、まず、その心情を理解しなければならない。♠へ心情を込める〉この手紙には、子供を案じる母の心情が込められていた。♠〈心情的〉彼の意見は、理屈[りくつ]の上ではまちがっているが、心情的には同感できる。 **しんじょう【真情】** ○本当の気持ち。まごころ。実情。[文例]〈真情があふれる>漱石[そうせき]の手紙は、いつも真情があふれ、気持ちのいいものであった、といわれる。♠←へ真情を吐露[とろ]する〉涙ながらに真情を吐露する彼女の言葉に、会場はしんとして声もなかった。♠〈世間の真情〉〈真情に触れる〉旅に出ることによって芭蕉[ばしょう]は、世間の真情に触れていった。 **しんじょう【身上】** ○身の上。とりえ。存在価値。[文例]〈身上を知る>旅から旅を渡り歩いたという男の身上を知る者はだれもいない。♠〈身上調査>身上調査はプライバシーにかかわることなので、慎重に行わなければならない。♠うちの女房[にようぼう]は、明るくて健康なのが身上だ。 **しんじょう【信条】** ○信者のための教えを要約したもの。堅く信じて守っている事柄。[文例]〈信条とする〉わたしは、自分の自由を守り、他人の自由を侵[おか]さないことを信条としています。♠人生活信条>みんなで助け合って明るく、というのがわが家の生活信条です。 **じんじょう【尋常】** ○普通であるさま。十人なみであるさま。取り乱さないさま。[文例]〈尋常の状態>目はつりあがり、手はぶるぶる震えている。この女は尋常の精神状態ではないらしい。♠へ尋常な関係>肩をいからせた女の後ろからとぼとぼと男がついて行く。これは尋常な関係の男女ではないぞ。♠へ尋常極まる>実際に本人の話を聞いてみると、うわさと違って極めて当然な、尋常極まる話だった。♠へ尋常一般〉代助[だいすけ]は心持ち赤い顔をしたが、すぐ尋常一般の極めて平凡な調子になった。(夏目漱石「それから」)♠ヤアヤア親のかたき、ここで会ったが百年目、いざ尋常に勝負せよ! **しんしょうぼうだい【針小棒大】** ○(針[はり]ほどの小さなことを棒[ぼう]ほどに)誇張して言うこと。[文例]<針小棒大に言う〉世間の口というものは、おおむね針小棒大に無責任なことを言いふらすものです。 **しんしょく【寝食】** ○寝ることと食べること。日常生活。[文例]〈寝食を忘れる〉ほとんど寝食を忘れて研究に没頭する毎日が続いた。♠へ寝食を共にする二人は、大学生活の四年間、寝食を共にして勉学に励[はげ]んだ仲だった。 **しんしょく【浸食】** (浸蝕)○水がしみこんで物を損[そこな]うこと。雨水や流水が土地や岩石を崩[くず]していくこと。[文例]浸食する〉川に浸食されて、河岸の台地が次第に削[けず]り取られていく。♠〈浸食作用>長期間にわたる水の浸食作用によって岩石に穴がうがたれる。 **しんしょく【侵食】** (侵蝕)○侵し、損なっていくこと。少しずつ侵し、食い込むこと。[文例]〈時の侵食〉年とともにわたしたちは衰[おとろ]えていく。この衰え、いわば時の侵食をわたしたちは免[まぬか]れることはできない。♠へ侵食する〉今日、氾濫[はんらん]する情報はわたしたち現代人の心を侵食していく。 **しん・じる【信じる】** ○本当だと思う。信用する。信頼する。信仰する。[文例]〈固く信じる〉ぼくは、宇宙人がこの地球にやってきていることを、固く信じている。♠〈人を信じる〉きみは、いつでも、ぼくを信じていてくれたね。♠宗教を信じる〉おじいさんとおばあさんは、なんだか、新しい宗教を信じているようだ。♠へ話を信じる〉伝説とは、その土地に古くから言い伝えられ、人々に信じられてきた話のことをいう。♠ヘ信じて疑[うたが]わない〉小さい弟は、この世に神様がいることを信じて疑わない。 **しんしん【深深】** ○夜がふけていくさま。ひっそりと静まっているさま。身に深くしみるさま。[文例]山里の秋の夜はしんしんと更けてゆく。♠しんしんと雪降る夜の静けさには、言いようのない安らぎがある。♠外の冷気がしんしんと室内に忍び込む。♠死に近き母に添寝[そひね]のしんしんと遠田[とおだ]のかはづ天に聞ゆる(斎藤茂吉) **しんしん【心身・身心】** ○心と体。精神と肉体。[文例]〈心身の成長[せいちょう]>一生のうちで、中学生ごろがいちばん心身の成長が著[いちじる]しい時期だ。♠〈心身ともに〉ぐっすり眠ったおかげで、今朝は心身ともにそう快だ。♠へ心身の健康〉若いからといってむちゃをせず、心身の健康には十分注意してください。♠<心身の疲れ〉久しぶりにのんびり温泉につかり、心身の疲れをとった。♠〈心身を鍛[きた]える〉さあ、みんな、外に出てスポーツで心身を鍛えよう。♠〈心身を打ち込む〉彼は新しい仕事に心身を打ち込んでいるように思えた。♠人心身にむち打つ〉様々な苦難にあい、くじけそうな心身にむち打って、ようやく目的地に着いた。 **しんしん【新進】** ○新しく現れ出ること。また、その人。[文例]〈新進の演出家〉氏は、今年新人賞を受賞した新進の演出家です。♠へ新進気鋭〉この時代はまた、新進気鋭の批評家が多く登場した時でもあった。♠〈新進作家〉新感覚派のあとを受けて現代文学を推進させたのは、このグループに集まった新進作家であった。 **しんじん【新人】** ○新たに加わった人。新しく出現した人。[文例]〈部の新人〉では、全員に今年入部した新人を紹介する。♠〈詩の新人〉戦後詩の世界で注目されたのは、鮎川信夫[あゆかわのぶお]を理論的な中心とする「荒地[あれち]」派の新人たちである。♠〈無名の新人〉文学賞がブームとなって、無名の新人の輩出[はいしゅつ]が相次いだ。 **じんしん【人心】** ○人々の心。社会一般の精神的状況。民心。[文例]〈人心を惑[まど]わす〉社会情勢が切迫[せっぱく]すると、デマや誤[あやま]った情報が人心を惑わしやすい。♠〈人心を乱す〉民衆の上に立つ者は、不用意な発言によって人心を乱すことがあってはならない。♠人心をつかむ〉ヒトラーは、大衆集会における巧[たく]みな演説で人心をつかんでいった。♠へ人心を失う〉 <529> 国王は、伯爵夫人との恋におぼれて政治を忘れ、人心を失っていった。♠人人心が離[はな]れる〉熱狂的な国民の支持で選ばれた大統領だったが、決断力の無さは致命的であり、次第に人心は離れていった。♠へ人心を一新する〉小作地の解放は、領民の人心を一新する上で大きな働きをした。♠へ人心の腐敗[ふはい]>拝金思想が極限にまで達した今日、人心の腐敗が見えない所で進行しているにちがいない。 **じんしん【人身】** ○人の体。[文例]〈人身事故>交通事故も、適正な速度で走っていれば人身事故に至らないですむ。♠〈人身攻撃>会議の場で、個人の私的行為に対する人身攻擊は避けるべきだ。 **しんすい【進水】** ○新しく建造された船を水上に浮かべること。[文例]〈進水する〉この造船所は、大型のタンカーを数多く進水させてきた。♠〈進水式〉各地のドックで行われる華やかな進水式は、かつての造船日本の象徴であった。 **しんすい【浸水】** ○水につかること。水が入り込むこと。[文例]〈浸水する〉貨物船との衝突[しようとつ]によって、カーフェリーは右舷[うげん]から浸水した。♠〈床上[ゆかうえ]浸水〉一時間に三十ミリという豪雨で、浅川流域は床上浸水の家屋六百戸を記録した。 **しんすい【心酔】** ○心を奪われて、うっとりすること。[文例]〈西洋文明への心酔〉日本の近代化を推進した要因の一つに、西洋の近代文明への心酔があった。♠〈心酔する〉高村光太郎は、ロダンの彫刻に心酔していた。 **じんずうりき【神通力】** ♪じんつうりき **しんせい【神聖】** ○神々しく清らかで、犯しがたいさま。[文例]〈神聖な場所〉教会や寺院は、信者にとっては、神聖な場所である。♠〈神聖な儀式〉神父が赤ちゃんに洗礼[せんれい]を授[さず]けるという神聖な儀式が、厳[おごそ]かに行われていた。♠へ神聖な気持ち>賛美歌を聴いていると、なぜかしら神聖な気持ちになってくる。♠〈神聖視>生きている人間が、神として神聖視されることもある。 **しんせい【申請】** ○(役所などに許可・認可などを)願い出ること。[文例]<申請を出す〉市の施設の使用を希望する人は、申請を出してください。♠<申請する〉七十歳を過ぎたお年寄りは、市の福祉[ふくし]課に老人パスの交付を申請しましょう。♠〈申請書>東京都は、国鉄に対し用地払い下げの申請書を提出した。 **じんせい【人生】** ○人の一生。生涯。[文例]〈人生を送る〉自分の信念に従い、思うままの人生を送りたい。♠へ人生を左右する〉良い本との出会いは、人との出会いにも似て、人生を左右することさえある。♠〈第二の人生>会社を定年退職した彼は、旅行評論家としての第二の人生を踏み出した。♠〈人生の門出[かどで]>今日は風もなく穏[おだ]やかで、きみたちの人生の門出を祝うのにふさわしい日になった。♠へ人生に厚みがある〉何十年も生きてきた人は、その人なりの苦労を経験してきただけに、人生にも厚みがあります。♠へ人生の大先輩>高木教授はただ勉学の師というだけでなく、人生の大先輩として尊敬しています。♠へ人生わずか五十年>日本人には、昔は「人生わずか五十年」という考え方がありました。♠〈人生意気に感ず〉彼は、「人生意気に感ず」というタイプだから、この困難な仕事もきっと引き受けてくれるよ。♠〈芸術は長く人生は短い「芸術は長く、人生は短い」と言って、優れた芸術は時代をこえて生き続ける。 **しんせき(親戚)** ○親類。身うち。[文例]〈遠い親戚〉信子[のぶこ]は、わたしの遠い親戚に当たる。♠へ親戚の者〉大の男が一人家に閉じこもっているものだから、心配して近くの親戚の者が見に来たりする。♠<親戚関係>父親同士がいとこだというから、ぼくたち二人は親戚関係にあるわけだ。 **じんせき【人跡】** ○人の通った跡。[文例]〈人跡まれ〉我々が目ざすのは、人跡まれなシベリアの湿原[しつげん]であった。♠へ人跡未踏[みとう]>人跡未踏の荒野に立つと、人類が営々として築き上げた文明だの、文化だの、知恵だのがむなしく感じられた。♠〈人跡絶無>自分がかつて北海道の深林で時雨[しぐれ]にあったことがある、これはまた人跡絶無の大森林であるからその趣[おもむき]は更に深いが(……)(国木田独歩「武蔵野[むさしの]」) **しんせつ【親切】** ○思いやりがあって優しいこと。人情にあついさま。[文例]〈人の親切>外国に行ってうれしかったのは、その国の人々の親切だった。♠<親切な人>財布を落として困っていたら、親切な人が拾って届けてくれた。♠親切に教える〉知らない人に道をたずねられたら、親切に教えてあげましょう。♠<親切にする〉困っている人やお年寄りには、親切にしたいものだ。♠へ親切になる〉ぼくにはまるで無関心だった彼女が、急に親切になったのには、何か訳[わけ]があるらしい。♠親切があだ〉よかれと思ってやった親切があだとなり、逆に恨[うら]まれてしまった。♠<親-切に甘[あま]える〉いつもあなたの親切に甘えてばかりで、申しわけありません。♠<親切にあずかる〉入院中は、いろいろとご親切にあずかり、感謝しております。♠<親切ごかし>親切ごかしの甘い言葉には気をつけなさい。 **しんせつ【新設】** ○新たに設けること。[文例]〈学校の新設〉大都市の近郊は、人口の急増で学校の新設が続いている。♠<新設する>橋は戦争中に爆撃[ばくげさ]されてから取り壊され、少し離れた所に鉄筋のものが新設された。(開高健[かいこうたけし]「裸の王様」) **しんせん【新鮮】** ○取れたてで生きがいいさま。新しくすがすがしいさま。[文例]〈新鮮な野菜・果物[くだもの]>体のためには、新鮮な野菜や果物をたくさん食べることだ。♠〈新鮮な空気〉山のふもとの村は、食べ物もおいしいが、新鮮な空気が何よりすばらしい。♠〈新鮮な気持ち〉新学年になって、新鮮な気持ちで、新しい教科書を開いた。♠〈新鮮な思い出〉初めて外国旅行をしたのはもう五年も前のことだが、今でも新鮮な思い出として心に残っている。♠〈新鮮な目〉小学生の少女の新鮮な目がとらえた情景が、この詩にはよく表れている。♠へ新鮮な感覚〉みずみずしい新鮮な感覚をもった新人が映画界にデビューした。♠〈新鮮み〉彼の今度の作品は、今までのものと変わらず、新鮮みがない。 **しんぜん【親善】** ○親しく付き合うこと。[文例]〈親善を深める〉オーストラリアの姉妹都市から派遣された高校生たちは、日本の家庭にホームステイして親善を深めました。 <530> ●<親善訪問>今秋には、皇太子のアジア親善訪問が行われます。♠〈国際親善>世界の平和を推進するためにも、国際親善の重要性は無視できません。 **じんせん【人選】** ○ふさわしい人物を選ぶこと。[文例]<会員の人選>特別な目的をもつ会ですから、会員の人選は厳しく行うつもりです。♠〈人選する〉チームの新しい監督については、関係者が協議の上で人選する予定だ。 **しんぜんび【真善美】** ○真実と善と美。[文例]真であり、善であり、美であるもの、この真善美こそわたしたちの生活に最高の価値をもつのです。♠へ真善美の追求〉人間の精神活動の中で、哲学や宗教や芸術の根本は真善美の追求にあるといえましょう。 **しんそう【真相】** ○事件や物事の本当の事情・内容。真実の姿・ありさま。[文例]〈事件の真相〉〈真相を追求する〉新聞記者たちは、事件の真相を追求しようと必死になっていた。♠〈真相を知る〉事の真相を知ったら、彼はどんなに嘆[なげ]くことだろう。♠へ真相を語る〉今まで明らかにできなかった事件の真相を思い切って語る人の顔は、とてもつらそうだった。♠へ真相をつかむ〉はっきりとした真相をつかむまでは、まだ発表することはできません。♠〈真相をつく〉なるほど、あなたの推理は、事件の真相をついているように思えますね。 **しんそう【深層】** ○深い層。深く隠れたところ。→表層[文例]〈心の深層〉わたしたちの心の深層には、言葉で表せない世界、他人に伝達できない世界、そして本人にすら知られない世界が存在しているのです。♠◇深層心理>満たされない欲望が、わたしの深層心理に黒々ととうねっているようであった。 **しんぞう【心臓】** ○血液の循環をつかさどる器官。物事の中心部。ずうずうしいさま。[文例]〈心臓が脈[みゃく]打つ〉小鳥を手のひらに抱きあげると、やわらかい羽の中で、小さな心臓が脈打っていた。♠〈心臓が止まる〉オートバイが突然[とつぜん]飛び出してきたので、心臓が止まるほどびっくりした。♠へ心臓がどきどきする〉合格発表の掲示板の前に立つと、さすがに心臓がどきどきしていた。♠〈心臓の鼓動[こどう]>胸に耳を当てると、心臓の鼓動が聞こえるだろう。♠〈岩のような心臓〉アレキサンダー大王は、岩のような心臓と英知をもって、アジア大陸を次々に征服[せいふく]していった。♠〈心臓が強い〉あの投手は心臓が強いから、観衆にやじられても、動じることはないだろう。♠へ心臓が弱い〉ぼくは心臓が弱いので、自分から女の子に話しかけることができない。♠〈心臓に毛が生える〉あいつのずうずうしさといったら、きっと心臓に毛が生えてるんだ。♠へ心臓な男>彼も相当心臓な男だから、そのくらいのことはやりかねない。♠会社の心臓〉この工場は、会社のいわば心臓にあたり、作業を停滞[ていたい]させることは許されない。♠〈心臓破[やぶ]り〉ここからは心臓破りと呼ばれる急な坂がえんえん二キロも続く。 **しんぞく【親族】** ○血筋や婚姻によってつながる人々。[文例]<親族間親子兄弟も含めて親族間の金の貸借[たいしゃく]は、清算されないことが多い。♠<親族会議〉一家のあるじの死によって、残された財産の分配を決めるために親族会議がもたれた。 **じんそく【迅速】** ○すみやかであるさま。[文例]〈報道が迅速〉テレビにしても新聞にしても、報道は公正かつ迅速でなくてはならない。♠〈迅速に行う〉悪天候にもかかわらず、建設作業は迅速に行われました。♠〈迅速な処置>室内にはガスが充満[じゅうまん]していましたが、作業員の迅速な処置のおかげで、大事には至りませんでした。♠〈迅速に届ける〉この会社のモットーは、注文された品を迅速に届けることです。♠〈出前迅速〉駅前のそば屋の看板には、「出前迅速、安くてうまい」と書いてある。 **しんそこ【心底・真底】** ○心のおくそこ。本心。いちばん底。[文例]〈心底から〉その時、わたしは心底からこの男を憎[にく]いと思った。♠あたしゃ、心底あんたに愛想[あいそ]が尽[つ]きたよ。 **しんそつ【真率】** ○まじめで正直なさま。[文例]〈真率な態度〉ひたむきに働く青年の真率な態度は好感がもてた。 **しんたい【進退】** ◎進むことと退くこと。たちいふるまい。身のふり方。[文例]〈進退きわまる〉前後を敵にはさまれ、わが軍は進退ここにきわまった。♠へ進退にかかわる〉仕事の上で、進退にかかわるような大きな失敗をした。♠へ進退うかがい〉チームの不振の責任を感じた監督は、球団に進退うかがいを出した。 **しんたい【身体】** ○人間の体。肉体。[文例]青春期に入った若者は、目覚め始めた自我と伸びていく身体を扱いかねてとまどっているように見える。♠へ強健な身体〉入隊してきた男たちは、強健な身体を備えた者ばかりだった。 **しんだい【身代】** ○その人の財産。身上。[文例]〈身代を築[きず]く>裸一貫[はだかいつかん]で上京して、今の身代を築き上げるには、口では言えない苦労があったろう。♠身代を失[うしな]う二代目が評判の遊び人で、先代が築いた身代を失うのに時間はかからなかった。♠へ身代を持ち崩[くず]す〉これがため心ある町人・百姓は、その子の学問に出精するを見て、やがて身代を持ち崩すならんとて親心に心配する者あり。(福沢諭吉「学問のすすめ」) **しんだい【寝台】** ○寝るための台。ベッド。[文例]わたしが病室に入ると、彼女は寝台に身を起こして、窓の外の空を眺[なが]めていた。♠〈寝台車〉時間に余裕[よゆう]があれば、寝台車でゆっくり横になって行く旅もいいものだ。 **じんたい【人体】** ○人の体。[文例]作物の中に残留する人体に有害な化学成分が、わたしたちの健康に重大な脅威をひき起こす。♠へ人体実験>収容所内では、捕虜[はりよ]を使って新しい薬品を開発するための人体実験が行われていた。 **じんだい【甚大】** ○程度がはなはだしく大きいさま。[文例]〈甚大な損害>約束の期日に商品が納品されなかったため、店は甚大な損害をこうむることとなった。♠へ影響が甚大〉今年の天候不順が野菜栽培に与えた影響は甚大である。♠〈被害が甚大>生鮮食料品の輸送が遅れたとあっては、被害は甚大だ。 **しんだん【診断】** ○医者が診察して判断すること。調べて、欠 <531> 陥の有無や程度を判断すること。[文例]へ診断を受ける〉素人[しろうと]の判断は危険ですから、医師の診断を受けたほうがよいでしょう。♠<診断を下す>医者は、彼の顔を見るなり、たちどころに診断を下した。♠へ診断する〉病気を的確に診断するために、多くの検査が必要なのです。 **じんち【人知】** (人智)○人間の知恵。[文例]〈人知や人力〉わたしたちの祖先は、人知や人力の及ばないものに対しておそれと畏敬[いけい]の念を抱いてきた。♠〈人知を超える〉神のみこころを測ってはならない、神は人知を超えていらっしゃる。♠〈人知を尽くす〉大砲[たいほう]、地雷[じらい]、毒瓦斯[どくガス]、飛行機、飛行船、そういうあらゆる人智をつくした武器で攻め寄せられる。(志賀直哉[しがなおや]「暗夜行路[あんやこうろ]」) **じんち【陣地】** ○陣を構えた場所。[文例]<陣地を築く〉我々の部隊は、前線に近い丘に陣地を築くことにした。♠へ陣地を構える〉味方の小隊がこの谷の向こうに陣地を構えているはずだった。 **じんちく【人畜】** ○人や家畜。[文例]これだけ大量の農薬が将来にわたって使用され続けるとすれば、人畜に与える害は計り知れない。♠〈人畜無害〉人畜無害とありますが、殺虫剤の使用には注意が必要です。 **しんちゅう【心中】** ○心の中。[文例]乱暴で粗野[そや]な男であったが、神は彼の心中にも宿っていた。♠〈心中ひそかに〉あの人はきっと戻ってくる、と心中ひそかに女は思っていた。♠〈心中穏[おだ]やかでない〉レギュラーの座を奪[うば]われたぼくは、平静を装[よそお]ってはいたが、心中穏やかでなかった。 **しんちゅう【進駐】** ○進軍してきて、そこにとどまること。[文例]<進駐する>昭和二十年、敗戦の日本に進駐した連合軍は、まず日本の非軍事化にとりかかった。 **しんちょう【慎重】** ○よく考え、注意深く物事を行うさま。[文例]〈慎重な人〉何事にも慎重な兄は、じっくり考えてからでないと行動しない。♠へ慎重な性格〉彼は慎重な性格だから、仕事のミスがほとんどない。♠〈慎重な発言〉この生徒はいつも、じっくりと考えて、慎重な発言をする子だ。♠〈慎重に考える〉結婚は一生の問題だから、慎重に考えて決めなさい。♠へ慎重に行動する〉今は、焦[あせ]らずに、じっくり慎重に行動すべきだ。♠〈慎重に構える〉事は急を要するので、慎重に構えてばかりいられない。♠へ慎重を要する>骨董品[こつとうひん]の取り扱いは慎重を要するので、神経が疲れる。 **しんちょう【身長】** ○背の高さ。身の丈。[文例]〈身長が伸びる>子供には、身長の伸びる時期と体重の増える時期があるように思う。♠へ身長が高い〉一メートル六十というから、かなり身長の高い小学生だった。♠◇身長がある〉きみみたいに身長のある人は、入り口のかもいに頭をぶつけませんか。 **しんちょう【伸張】** ○伸び広がること。伸ばし広げること。[文例]<権利の伸張〉自由民権運動は、人民の自由と権利の伸張を掲[かか]げ、国会の開設などを求めた運動である。♠へ伸張する>軍事力によって国力を伸張しようとする誤った考え方が根強く残っている。 **しんちょう【新調】** ○新たにこしらえること。[文例]〈新調する〉お父さんの背広、だいぶくたびれてきたから新調したら。♠〈新調の服〉三四郎は午飯[ひるめし]を済ましてすぐ西片町[にしかたまち]へ来た。新調の制服を着て、光った靴を穿[は]いている。(夏目漱石「三四郎」)♠<新調の座布団>座敷の真中[まんなか]に、(……)新調の座布団が敷いてある。(夏目漱石「虞美人草[ぐびじんそう]」) **しんちんたいしゃ【新陳代謝】** ○新しいものが古いものにとってかわること。生物が必要な物を取り入れ、不要な物を体外に出すこと。[文例]〈新陳代謝を高める〉わたしたちの体の諸器官の新陳代謝を高めるのにも適度な運動は効果的です。♠へ新陳代謝をはかる〉わが社も若手を幹部にばってきすることによって、新陳代謝をはかる必要がある。 **しんつう【心痛】** ○心を痛めること。[文例]夫や恋人や息子を戦場へ送り出した後、残った女たちの心痛はなみたいていではなかった。♠へ心痛する〉他人だと冷淡なくせに、これが身内や親友となると、わたしたちはその苦しみに同情し心痛する。 **じんつう【陣痛】** ○出産の時の痛み。新しいものを生む前の苦労。[文例]〈陣痛が始まる〉出産予定日の前夜から、母体にはすでに陣痛が始まっていた。♠〈民主化への陣痛>国内に頻発[ひんぱつ]する混乱は、この国の民主化への陣痛とも言えよう。 **じんつうりき【神通力】** ○物事を自由自在に操る不思議な力。じんずうりき。[文例]〈天狗[てんぐ]の神通力〉突然道のどまんなかに降ってわいた大岩を前に、吾作[ごさく]どんは、「よし、天狗さまの神通力でどかしてもらおう。」と思いたった。 **しんてい【進呈】** ○人に物を差し上げること。[文例]<進呈する〉そんなに気に入ったのなら、この絵はきみに進呈しよう。 **しんてん【進展】** ○進歩発展すること。進行し展開すること。[文例]〈進展を見る〉話し合いは、何の進展も見られず、次回に持ちこされた。♠〈文化の進展〉この地方の文化の進展に寄与した人が県から表彰された。♠〈進展する〉犯人の乗り捨てた車が発見され、捜査は進展した。 **しんど【進度】** ○進行や進歩の度合い。[文例]〈発達の進度〉科学には非常に多くの部門があり、その発達の進度も一様ではありません。♠〈進度が速い〉今度の数学の先生は進度が速いので、ついていくのが大変です。 **しんど【震度】** ○地震の揺れの度合いを表した数値。[文例]震度5という記録が残っているところからも、その地震がたいへん大きなものだったことがわかります。 **しんど・い** 骨が折れる。つらい。疲れて苦しい。[文例]〈体がしんどい〉このところ、残業続きだもんで、体がしんどくて。♠へしんどい仕事〉ああ、やっと終わった。それにしても、しんどい仕事だったな。 **しんとう【心頭】** ○心。胸先。念頭。[文例]〈心頭に浮かぶ〉この時長十郎の心頭には老母と妻の事が浮かんだ。(森鷗外[もりおうがい]「阿部一族」)♠<怒り心頭に発する〉怒[いか]り心頭に発したわたしは、座をけって立ち上がった。♠〈心頭を滅却[めつさやく]すれば火もまた涼[すず]し〉なんのこれしきの暑さ、心頭を滅却すれば火もまた涼し。 <532> しみとおること。ゆきわたること。 **しんとう【浸透】** (滲透) ○しみとおること。ゆきわたること。[文例]〈雨が浸透する〉大地に降りそそぐ雨は地下に浸透し、地下水となったり、樹木に水分を与えたりする。♠〈政策が浸透する〉新しい政策が世間に浸透するには、時間がかかります。♠へ共通語が浸透する〉テレビやラジオなどの普及によって、共通語が全国に浸透し、方言が消えつつあります。 **しんどう【振動】** ○振れ動くこと。物体が一定の周期で揺れ動くこと。[文例]〈振り子の振動〉時計の振り子の振動をじっと見つめていたら、いつのまにか眠[ねむ]くなってしまった。♠ヘエンジンの振動〉〈振動する〉スイッチを切ると、振動していたエンジンが止まった。 **しんどう【震動】** ○震え動くこと。[文例]〈電車の震動〉スピードが上がると、電車の震動が急に激[はげ]しくなった。♠へ工事の震動〉ビルの工事で、騒音[そうおん]や震動がひどいので、近所の人が苦情を言いに行った。♠へ大地が震動する〉大地が震動するのが体で感じられるほど大きな地震[じしん]だった。 **じんどう【人道】** ○人が通行する道。人間として行うべき道。[文例]〈人道を歩く〉彼は夜店のない側[がわ]の人道を京橋の方へ歩いて行った。(志賀直哉「暗夜行路」)♠〈人道主義〉人間性を肯定し、個性を尊重する人道主義に立つ先生は、高い理想をもつ教育者だった。 **じんどうてき【人道的】** ○人の道にかなっているさま。すべての人間を一個の人格として尊重し、その幸福を願う態度。[文例]法律的には許されることでも、人道的に許されないことはいくらでもあります。♠へ人道的な立場〉人道的な立場から、死刑[しけい]に反対する人もいる。♠へ人道的な生き方>身近な人と仲良くすること、それが人道的な生き方の第一歩なのです。♠人道的な見地〉人道的な見地から言えば、敵といえども同じ人間である。 **じんとく【人徳】** ○その人に備わっている徳。[文例]〈人徳がある〉大酒飲みではあったが人徳のある医者で、貧しい町人からは診療代[しんりようだい]をとらなかった。♠へ人徳を慕[した]う〉師の人徳を慕って、全国から門弟が集まった。♠病気と聞いて、こんなに多くの見舞い客や見舞いの手紙が来るなんて、やっぱり人徳だね。 **じんどる【陣取る】** ○陣を構える。場所を占める。[文例]正面に陣取る>我々応援団は、二階席の正面に陣取って声援をおくった。♠〈中央に陣取る「鼻が頭の中央に陣取って乙[おつ]に構えて居るなあ」(夏目漱石「吾輩[わがはい]は猫である」) **しんにゅう【進入】** ○進み入ること。[文例]〈滑走路[かつそうろ]に進入する>着陸態勢に入った飛行機が、空港の滑走路に進入してきた。♠へ列車が進入する>屋根に北国の雪をのせた列車が、終着駅上野[うえの]のホームに進入してきた。 **しんにゅう【侵入】** ○領分を侵して入り込むこと。[文例]〈敵の侵入〉押し寄せる敵の侵入を防ぐため、国境は兵隊で固められていた。♠〈泥棒[どろぼう]が侵入する〉学校に侵入した泥棒が警察に捕[つか]まった。♠不法に侵入する〉他人の家に不法に侵入することは、犯罪行為[こうい]だ。♠へ庭に侵入する〉美しい桜[さくら]の枝が隣からうちの庭に侵入してくるなんて、もちろん、大歓迎ですよ。 **しんにゅう【新入】** ○新たに入ること。[文例]〈新入社員>本年度は、営業一課に三人の新入社員が配属された。♠へ新入生>五時間目と六時間目は新入生の歓迎会を行いますので、講堂に集まってください。 **しんにん【信任】** ○信用して任せること。[文例]〈信任を得る>青年はたちまち職員の信任を得て、研究所で助手のような仕事をするようになった。♠へ信任する>衆議院で信任されなかった内閣[ないかく]は、衆議院を解散するか総辞職しなければなりません。 **しんにん【新任】** ○新しく任務につくこと。[文例]〈新任の先生>朝会で、校長先生から新任の先生が紹介された。♠〈新任の課長>栄転した先任の課長と新任の課長の事務の引き継ぎが行われた。 **しんねん【信念】** ○ある事柄を固く信じる心。[文例]何事も、「やればできる」というのが、ぼくの信念です。♠へ信念をもつ〉わたしはいつも、自分は正しい、という信念をもって行動してきた。♠〈信念を貫[つらぬ]く〉最後まで自分の信念を貫き、研究に一生をささげたいと思っている。♠<信念に従う〉身の危険も忘れてけが人を助けたのは、医者としての信念に従ったまでのことだ。♠〈信念に燃える〉参加した科学者たちは、実験は必ず成功させるという信念に燃えていた。♠<信念を変える>皆の説得にもかかわらず、彼は、自分の信念を変えようとはしなかった。♠信念がぐらつく正義は必ず勝つという信念がぐらつくことも、時にはあるさ。♠〈信念を捨てる〉信念を捨てた人は、かじを失った船のようなものだ。♠〈固い信念〉〈信念に生きる〉これは、固い信念に生きた偉大[いだい]な人物の物語である。 **しんねん【新年】** ○新しい年。[文例]〈新年を迎える〉年末には大掃除をして、気分も新たに新年を迎えます。♠〈新年になる〉昔は、誕生日に年をとるのではなく新年になると一歳加えて年齢を数えました。 **しんぱい【心配】** ○気にかかること。心にかけること。気を配ること。思いわずらうこと。[文例]天気が心配>雨が降らなければいいなと、わたしは一週間も前からその日の天気が心配だった。♠〈将来が心配〉そんなに引っ込み思案では、将来のことが心配だ。♠〈安否[あんぴ]が心配〉祖父母の住む田舎[いなか]で大きな地震があったので、二人の安否が心配だ。♠〈心配になる〉ポチがなんとなく元気がないので、みんな心配になってきた。♠〈金の心配〉〈心配がいらない〉今度の旅行は、父もいっしょだから、お金の心配はいらないようだ。♠へ心配をかける〉いろいろご心配をかけて申しわけありませんでした。♠心配がある・ない>祖母の病気はひとまず落ち着いたようだが、まったく心配がなくなったわけではない。♠心配のあまり〉娘[むすめ]の帰りがつまり遅いので、母親は心配のあまり、あちこちの友達に電話をかけ始めた。♠〈心配の種〉わたしたちの心配の種はただひとつ、おまえだ。♠〈心配する>飼育係が心配したとおり、そのサルは野生に返ることはできなかった。 <533> **しんぱん【審判】** ○物事の是非・適否・優劣などを判定すること。競技で勝敗を判定する人。[文例]〈神の審判><審判を下す〉あんなにあくどいことをする人間には、いつか神の審判が下されるだろう。♠〈審判を受ける>衆議院が解散され、国民の審判を受けることになった。♠<審判の判定>監督が、判定がおかしいと審判に食ってかかっている。 **しんばん【侵犯】** ○領域・領分や権利をおかすこと。[文例]〈領海を侵犯する〉隣国の艦船[かんせん]が領海を侵犯する事件が頻発[ひんぱつ]している。♠へ領域を侵犯する〉わたしたちは、個人として自らの責任によって行動し、互いの自由の領域を侵犯しないようにしたいものだ。 **しんび【審美】** ○美醜[びしゅう]を見分けること。[文例]〈審美的>哲学に興味をもつ人は論理的・倫理[りんり]的な関心が強く、芸術を愛好する人は審美的な関心が高いと思います。♠〈審美眼人間一人一人の審美眼に差異があり、ある人にとって美しいものも、他の人にとってはさほどでないことがある。 **しんぴ【神秘】** ○人知をこえた不可思議な事柄。[文例]〈宇宙の神秘〉〈神秘を感じる〉望遠鏡で見た土星の輪に、ぼくは宇宙の神秘を感じた。♠〈神秘を解く〉この世界の神秘を解くのは、科学の力以外にはないと思う。♠〈神秘を探[さぐ]る〉まだ知られていない世界の神秘を探ろうというのが、探検家の心だ。♠〈神秘のベール〉その宗教家の前半生は、神秘のベールに包まれていた。♠〈神秘が潜[ひそ]む〉大宇宙には、今の年間の知恵でははかり知れない大きな神秘が潜んでいる。♠〈神秘の宝庫[ほうこ]〉深い海の底は、まるで神秘の宝庫のようだった。♠〈神秘的〉花が開く瞬間[しゅんかん]の姿をフィルムで見ると、神秘的な美しさを感じる。 **じんぴん【人品】** ○その人に備わった品位。風采[ふうさい]。[文例]軍は、武家の育ちではあったが、それでも人品はどこやら典雅であった。♠人人品骨柄[がら]>現れたのは、五十前後の人品骨柄卑[いや]しからぬ立派な紳士だった。 **しんぷう【新風】** ○新しいやり方・様式・風潮。[文例]〈新風を吹き込む>短歌の革新を図った正岡子規は、歌壇に新風を吹き込んだ。♠〈新風を巻き起こす〉この弟子の出現は、マンネリに陥[おちい]っていた一派の間に新風を巻き起こした。 **しんぷく【振幅】** ○振り子などの揺れの幅。動揺の程度。[文例]〈ふりこの振幅〉揺れているふりこの揺れの中心からその端までの長さが振幅です。♠へ心の振幅〉〈振幅が大きい〉わたしの心の振幅は大きく、夢と現実の間を揺れ続けた。 **しんぶつ【神仏】** ○神や仏。[文例]〈神仏に参詣[さんけい]する〉「講」とは、もと神仏に参詣するために組織された団体をいいます。♠<神仏の加護[かご]>主君の病は、神仏の加護に良薬の効験も加わってめでたく全快となった。♠〈神仏にすがる〉あしたには紅顔[こうがん]ありて夕べには白骨となる、露[つゆ]の世のならいですから、ひたすら神仏にすがって生きてまいりました。 **じんぶつ【人物】** ○人。人柄。能力のある人。人格者。[文例]〈歴史上の人物〉わたしは、歴史上の人物の伝記を読むのが大好きです。♠〈非凡な人物>彼は、非凡な人物ではあるが、変わり者であるために他人から理解されない。♠へなかなかの人物>彼は一見おとなしいが、創造力にすぐれ、行動力や判断力にも富[と]むなかなかの人物だ。♠〈人物や人柄〉きみの人物や人柄については、担任のわたしが保証します。♠〈人物像〉わたしは、本を読みながら、主人公の人物像を頭に描いてみた。♠へ登場人物〉登場人物の気持ちを考えながら物語を読み進めた。 **シンプル** ○単純なさま。飾りけのないさま。[文例]〈シンプルなデザイン>若い人が身につけるのなら、シンプルなデザインのものがいいですね。♠ヘシンプルなスタイル>道具や機械はあくまでも生活の手段として位置づけ、それにふりまわされないシンプルなライフスタイルを作りたい。 **しんぶん【新聞】** ○社会の出来事を中心に報道する定期刊行物。[文例]〈新聞に出る〉わたしの学校のバトン部が県大会で優勝したことが新聞に出ていた。♠〈新聞に載[の]る〉きみの会社のことが今朝の新聞に載っていたよ。♠〈新聞が書く〉町長が業者の接待を受けたことを新聞が書き立て、町中が大騒ぎになった。♠〈新聞をとる〉新聞をとれ、とれって、質の悪い勧誘[かんゆう]が多くて評判が悪い。♠へ新聞が来る〉新聞が来てるかどうか見てきてちょうだい。♠〈新聞にくるむ〉散々食い散らした水蜜桃[すいみつとう]の核子[たね]やら皮やらを、一纏[ひとまと]めに新聞に包んで、窓の外へ抛[な]げ出した。(夏目漱石「三四郎」) **しんぺん【身辺】** ○身の回り。[文例]〈大統領の身辺〉大統領の身辺には常に護衛の人がついている。♠〈身辺の世話>寝たきりのお年寄りの身辺の世話をしてくれる人を探している。♠〈身辺を気づかう〉ぼくの身辺を気づかってくれる人は、彼女以外にはいなかった。♠へ身辺を整理する>死期[しご]の近いことを悟[さと]った祖母は、だれにもないしょで、身辺を整理していたらしい。♠〈身辺が危険〉わたしの身辺が危険だから注意するようにと、彼がそっと告げてくれた。♠〈身辺が騒[さわ]がしい〉芥川[あくたがわ]賞を受賞して以来、彼の身辺は急に騒がしくなった。 **しんぽ【進歩】** ○物事が望ましい方向へ進むこと。→退歩[文例]〈進歩が早い・遅い〉同じ事をするのでも、前向きに取り組んだほうが進歩は早い。♠へ進歩が止まる〉このところ伸び悩んでいるのだろうか、うちの子のピアノも、進歩が止まってしまった。♠へめざましい進歩〉〈進歩を遂[と]げる二十世紀に入り、交通や通信はめざましい進歩を遂げた。♠へ進歩がない〉新しいことに興味を示さない人間なんて進歩がないね。♠〈著[いちじる]しい進歩〉〈進歩を見せる〉日本の工業は、この分野において著しい進歩を見せた。♠〈科学の進歩>科学の進歩が必ずしも人間全体の幸福につながるとはいえない、と言う人がいる。♠〈進歩する〉技術が進歩すると、それについていけなくて、時代から取り残される人が出てくる。♠〈進歩的な考え〉祖母は、年のわりには、進歩的な考えをもっている人だ。 **しんぼう【辛抱】** ○がまんすること。苦難・苦悩に耐えること。[文例]頂上はすぐそこに見えているのだから、足の痛いのももうちょっとの辛抱だ。♠ヘ辛抱が足りない〉一時間の正座もできないなんて、辛抱が足りないよ。♠へ辛抱が要[い] <534> る〉彼の歌を最後まで聞くには、相当の辛抱が要るね。♠して生きていくんだよ。♠へ辛抱強い〉彼は、苦労してきたので、しぜんに辛抱強い性格になったと言っている。♠「人間辛抱だ。」と言って、親方は弟子を励[はげ]ました。 **しんぼう【信望】** ○他人から受ける信頼や尊敬。[文例]〈信望があつい>仲間の一人一人の意見に耳を傾け、まとめあげるのがうまいので、大山はリーダーとして信望があつかった。 **しんぼう【心棒】** ○回転する物の中心となる軸。[文例]へこまの心棒>どんぐりに小さな穴を開けたら、適当な長さのつまさようじを差し込んで、こまの心棒にします。♠〈心棒にする〉わたしたち夫婦の生活は、この子を心棒にしてゆっくりと回り始めました。 **しんぽう【信奉】** ○信じ尊ぶこと。[文例]〈信奉する〉進化論は、今や大多数の人から信奉されている。♠へ信奉者〉彼は自由主義の信奉者だったから、国家主義や全体主義思想には強い抵抗を示した。 **じんぼう【人望】** ○人々から寄せられる信頼や尊敬。[文例]〈人望がある〉彼女は、明るく責任感が強いことから、同級生に人望がある。♠〈人望を集める>朝倉建設の元社長は、町長として町の人々の人望を集めている。♠〈人望が高まる〉地道に努力を続けた結果、次第に人望が高まってきたのです。♠へ人望を得る〉あの先生は、厳しい半面、親身になって面倒をみてくれるので、生徒の人望を得ています。 **しんぼうえんりょ【深謀遠慮】** ○先々のことまで深く考えて計画すること。[文例]会長の発言は、我々には測り知れない深謀遠慮があってのことだろう。 **しんぼく(親睦)** ○親しみ、仲よくすること。[文例]〈親睦をはかる〉入学式の後、先生方と父兄の親睦をはかるパーティーが行われます。♠へ親睦を深める〉わたしたちの村では、村民の親睦を一層深める目的でバーベキュー大会をやっています。♠へ親睦会>卒業生を集めた親睦会が盛大に催[もよお]されました。 **シンボル** ○象徴。記号。符号。[文例]〈自然のシンボル>緑深い森と青く澄んだ湖は、北の自然のシンボルといえます。♠〈青春のシンボル>青春のシンボルとはいっても、ニキビはうっとうしいなあ。♠最後の一人は広場の真中[まんなか]に青と赤の旗を神聖な象徴(シンボル)の如[ごと]く振り分ける分別盛りの中年者であった。(夏目漱石「彼岸過迄[ひがんすぎまで]」) **しんみ【新味】** ○新しい味わい。新しみ。[文例]〈新味がある・ない〉世[よ]をすねた男の身辺をつづった小説ですから、これといって新味はありません。♠へ新味を出す〉これまで何度も上演された劇だが、時代を現代に移すことによって新味を出している。 **しんみ【親身】** ○肉親。近親。親密・親切であるさま。[文例]<親身の親〉(……)兄が、家中[うちじゅう]から変人扱いにされるのみならず、親身の親からさえも、日に日に離れて行く(……)(夏目漱石「行人[こうじん]」)♠<親身な世話〉どこのだれとも知れぬ通りすがりの女の親身な世話によって、紋次郎は元気をとりもどしていった。 **しんみつ【親密】** ○交わりが深いさま。非常に親しい関係にあるさま。[文例]<親密の度〉クラス会での再会を機に、この二人は親密の度を増していく。♠<親密な関係>恋人という親密な関係にあったのに、今振り返ってみると、相手のことを何も知っていないのに驚く。♠<親密感>草の上に身を投げ、秋の空を行く鳥の影を追っているだけで、季節への親密感は増していく。 **しんみょう【神妙】** ○かしこまっているさま。不可思議な現象。[文例]〈神妙な顔〉いたずらを注意すると、子供たちはうなだれ、神妙な顔をして帰っていった。♠〈神妙に構える>道草を食って配達から帰ってきた店員は、神妙に構えて主人の小言を聞いた。 **じんみん【人民】** ○国家を構成している人々。国民。一般の人々。[文例]〈人民中国>毛沢東[もうたくとう]は中国革命の偉大な指導者であり、人民中国の象徴でした。♠ヘスペイン人民〉ファシストであるフランコ将軍に対するスペイン人民の抵抗が続いた。 **じんめい【人命】** ○人の命。[文例]〈人命救助〉川でおぼれかけた幼児を助けた青年が、人命救助で表彰[ひようしよう]された。♠人人命尊重>ハイジャックなどの人質事件では、人命尊重の立場から犯人の要求を一時的にのむことがある。 **じんもん【尋問】** (訊問)○問いただすこと。[文例]〈尋問を受ける>警備船に捕[と]らえられたわたしたちは、領海を侵したことについて尋問を受けた。♠ヘ尋問する>挙動不審の男を警官が尋問したところ、空き巣の犯行を自供した。♠へ誘導尋問>ぼくたちの誘導尋問にひっかかったサブは、自分たちの作戦を全部しゃべってしまった。 **しんや【深夜】** ○夜ふけ。真夜中。[文例]〈深夜に及ぶ〉午後二時に仕事は始まり、夕方休憩をとっただけで、深夜にまで及んだ。♠<深夜営業>深夜営業の飲酒店からもれる騒音が住民の安眠を妨[さまた]げることがあります。♠〈深夜放送>受験生や運転手など、深夜放送のファンは多い。 **しんゆう【親友】** ○非常に親しい友達。[文例]<親友の間柄[あいだがら]>親友の間柄なのだから、遠慮せずに何でも相談してくれ。♠<無二[むに]の親友二人は無二の親友で、お互いに強い信頼で結ばれている。 **しんよう【信用】** ○信じること。信頼すること。他人からの信頼。[文例]〈信用をなくす〉いつもいい加減なことばかり言ってると、そのうち、信用をなくしてしまうぞ。♠〈信用を失う〉口先だけで、いい加減な行動ばかりしている人間は、世間の信用を失うことになる。♠ヘ信用を落とす〉信用を落としたくなかったら、一つ一つの仕事を、手抜きせずにていねいにやることだ。♠へ信用ががた落[お]ち〉食中毒を出した店の信用は、がた落ちになった。♠〈信用がある・ない〉よい品物を買うつもりなら、信用のある店へ行くべきだ。♠<信用を得る〉一度落とした信用を再び得るのは、なみたいていのことではない。♠〈信用にかかわる>銀行員がお客の金に手をつけるなどということは、銀行の信用にかかわる大問題だ。♠信用で貸す〉銀行が父に信用で貸してくれる金額は、どれくらいだろうか。♠へ話を信用する〉ぼくは、UFOを見たという人の話を信用する。♠へ人に信用される〉仕事熱心でまじめな彼は、すっかり、社長に信用されている。♠〈人から信用される〉いつもうそをついていたので、その少年の言葉はだれからも信用されなかった。 <535> **しんらい【信頼】** ○信じて頼りにすること。信じて任せること。[文例]〈信頼にこたえる〉ピッチャーは、チームの信頼にこたえ、見事に九イニングを投げきった。♠へ信頼を失う・得る〉彼は、約束[やくそく]を守らなかったので、みんなの信頼を失った。♠へ信頼に報[むく]いる〉自分にこの責任ある仕事を任せてくれた上司の信頼に報いようと、必死でがんばった。♠へ信頼を裏切[うらぎ]る〉なにも口出ししないで見守ってくれる両親の信頼を裏切るようなことはできない。♠〈信頼をおく>監督[かんとく]は四番バッターに絶対の信頼をおいていた。♠へ信頼のおける人>進学の悩みなら、親とか先生とか、信頼のおける人に相談しなさい。♠〈信頼を寄せる〉限りない信頼を寄せて応援[おうえん]してくれる仲間のためにも、この仕事は、ぜひ成功させたい。♠へ信頼する〉この病気を治すには、医者を信頼して、すべてを任せることが大切だ。♠ヘ信頼するに足る〉あの人が本当に信頼するに足る人かどうか、しばらく様子を見てみよう。 **しんらい【新来】** ○新しく来ること。また、そのもの。[文例]〈新来の客〉受付で自分の名と用向きを述べると、新来の客はほっと大きく息をついた。♠〈新来の先生〉何等[なんら]の源因[げんいん]もないのに新来の先生を愚弄[ぐろう]する様な軽薄[けいはく]な生徒を寛仮[かんか]しては学校の威信[いしん]に関[かか]わる事と思います。(夏目漱石「坊っちゃん」) **しんらつ(辛辣)** ○手きびしいさま。[文例]〈辛らつな批評〉この作品に対する辛らつな批評が新聞に載っていた。♠<辛らつな皮肉>彼は、辛らつな皮肉を言うことで有名だ。♠<辛らつな言葉〉家族の辛らつな言葉に傷ついた経験がありませんか。♠へ辛らつな人〉辛らつな人と評判のあの人も、根はやさしいというが……。♠この絵には一文[いちもん]の価値もないとは、また辛らつだねえ。 **しんらばんしょう【森羅万象】** ○宇宙に存在する一切のもの。[文例]汎神論[はんしんろん]は、この宇宙の森羅万象に神が宿るとする考え方である。♠森羅万象の一々に名がつけられているわけではないので、ふさわしい名がみつからない時は、他の言葉によって説明しなければなりません。 **しんり【真理】** ○本当の道理。理にかなって正しいこと。客観的な妥当性をもつ知識内容。[文例]民主主義は多数決が原則だが、多数の人の考えがいつでも真理だと決めることはできない。♠へ疑いのない真理〉AイコールBであり、BイコールCならば、AイコールCであることは、疑いのない真理だ。♠へ真理を愛する〉どんなときでも、真理を愛する心だけは失いたくない。♠〈真理を含む〉古くからのことわざの中には、多くの真理が含まれている。♠へ真理を追い求める〉真理を追い求めようとする人ならば、自己の意見を謙虚[けんきよ]に反省することができる。♠へ一面の真理>彼の言うことにも、一面の真理があると思う。♠へ絶対の真理〉人間の能力には限度があるので、どんな人でも、絶対の真理をとらえたと断言することはできない。 **しんり【心理】** ○人間の心の動き。心の状態。[文例]〈人間の心理〉〈心理の奥底[おくそこ]>この作品に描[えが]かれた人間の心理の奥底を知り、その内面を探[さぐ]ってみよう。♠〈心理の動き〉人間の心理の動きは微妙[びみよう]である。♠〈微妙な心理>中学生の微妙な心理のひだを鮮[あざ]やかに描いた作品である。♠〈心理を読む>対戦相手の心理を読むのがうまい彼は、機先を制する手段に出ることが多い。♠〈複雑な心理>映画は、結婚[けつこん]問題に揺れ動く若い女性の、複雑な心理をよくとらえている。♠心理状態>彼はそのとき、自分が何をしているのかまったくわからないほど、異常な心理状態にあった。♠へ心理描写[びようしゃ]〉この作家は、人物の心理描写に優[すぐ]れている。♠へ心理学>兄は、大学で心理学を勉強している。 **しんりゃく【侵略】** (侵掠)○他国に攻め入って領土を奪い取ること。[文例]〈侵略を受ける>敵の侵略を受けないよう、国境の守りが固められた。♠へ侵略に来る>映画は、宇宙人が地球を侵略に来るというストーリーでした。♠へ侵略する>日本は、島国であるからか、異民族に侵略された経験が歴史上少ない。 **しんりょう【診療】** ○患者を診療し、治療すること。[文例]〈診療する>火曜日は、県立病院のY先生が診療します。♠<診療室〉トントンとノックして診療室に入ると、先生は、「どうですか?」と話しかけた。 **しんりょく【新緑】** ○若葉の緑。[文例]〈新緑を広げる〉冬はことごとく落葉していたならの木が、春滴[したた]るばかりに新緑を広げる。♠へ新緑がまぶしい〉全山に新緑がまぶしく、心が洗われる思いであった。 **じんりょく【尽力】** ○力を尽くすこと。[文例]この運動は、参加者の尽力があってこそ成功したのです。♠へ尽力する〉わが市に大学を誘致[ゆうち]する計画に対しては、代議士のわたしも大いに尽力するつもりだ。 **しんるい【親類】** ○血すじや婚姻[こんいん]でつながっている人々。親戚。[文例]<母方の親類〉お夏という娘は、母方の親類でわたしにはまたいとこにあたるということだった。♠へ遠くの親類より近くの他人〉近所付き合いを大切にしなさい。遠くの親類より近くの他人、といって、いざという時は世話になるのだから。♠<親類縁者[えんじゃ]>本家の祖父が死に、遺産の分配をめぐって親類縁者が集まった。 **じんるい【人類】** ○生物としてのヒト。ヒト全体。[文例]〈人類が現れる>地球上に人類が現れたのは、地球の歴史の中では、つい最近のことです。♠〈動物と人類〉動物と人類の大きな違[ちが]いは、直立歩行をすること、そして道具や言語を使うことなどです。♠〈人類の願い>戦争のない平和な世界は、 <536> 人類の共通の願いだ。♠〈人類の夢[ゆめ]>月に降り立つという長い間の人類の夢がかなったのは、一九六九年のことです。♠<人類の進歩>科学の発達が殺人兵器を産みだしたことを思うと、人類の進歩が果たして真実なのかと考えこんでしまう。 **しんろ【進路】** ○進んで行く道。行く手。[文例]〈台風の進路〉台風八号の進路に当たっている四国地方では、今夜半から明朝[みょうちょう]にかけて豪雨[ごうう]に見舞[みま]われます。♠〈進路を取る〉ケープタウンを出航したクイーン・エリザベスⅡ世号は、そのまま北北西に進路を取った。♠へ進路を決める>先生や両親とよく相談して、今後の進路を決めたいと思います。♠へ進路を阻[はば]む>希望にあふれるきみたちの進路を阻むものがあるとすれば、それはきみたち自身の怠け心だ。♠〈進路を遮[さえぎ]る〉探検隊は、しばしば氷の山に進路を遮られ、立ち往生[おうじよう]しなければならなかった。♠へ進路を妨[さまた]げる〉目的に向かって猛烈[もうれつ]な勢いで進んでいるぼくの進路を妨げるものは、何もないように思われた。♠へ進路を切り開く〉だれのものでもない自分自身の人生だから、自分の進路は、自分で切り開いていかなくてはならない。 **しんろ【針路】** ○羅針盤[らしんばん]の針が示す方向。船・飛行機の進む方向。目ざす方向。[文例]〈針路を誤る>漁船が針路を誤って外国の領海に入ると大変です。♠へ針路を外す>輸送機が針路を外さないために細心の注意がはらわれた。♠針路の北〉折からの風波のため、船は針路の三十度北と南の間を揺れ動いた。 **しんろう【心労】** ○精神的な疲れ。あれこれと気をつかうこと。[文例]〈心労の余り〉打ち続く不幸に心労の余り、母は床[とこ]について起き上がれなかった。♠へ心労が重なる〉その当時信子は、重なる心労に見る影もなくやつれはてていた。♠〈心労をする>私は兄さんに就いて過度の心労をされる御[おっ]年寄に対して実際御気の毒に思っています。(夏目漱石「行人」) **しんわ【神話】** ○神々にまつわる物語。過去において信じられ、すでに信じられなくなった事柄。深い根拠なしに信じられている事柄。[文例]〈民族の神話>民族には、民族の創世に関する独自の神話があるようです。♠〈現代の神話〉コンピューターが社会を動かす事態は、現代の神話として後に語られるかもしれない。♠へ革命の神話〉すべての権威と権力を否定し、絶対自由を求める無政府主義の高い理想は、今や革命の神話となって残るだけなのか。 **す** **す【巣】** ○動物のすみか。すまい。家庭。悪者などの根拠地。[文例]〈はちの巣>庭の片隅[かたすみ]にはちの巣を見つけた。♠へくもの巣>昨日、父といっしょに納屋[なや]にかかっていたくもの巣を払った。♠へ小鳥の巣>気をつけて見ると、枝[えだ]の上の方に小鳥の巣が一つのっかっている。♠へ巣をかける〉あの鳥はきっと屋根のすぐ下に巣をかけているにちがいない。♠〈巣を作る>近ごろ騒々[そうぞう]しいと思っていたら、ねずみが天井に巣を作っていた。♠へ巣に帰る〉群[む]れをなして飛んでいた小鳥たちもどうやらそれぞれの巣に帰ったらしい。♠巣を離[はな]れる〉ひな鳥が巣を離れて力強く飛び上がった。♠へ愛の巣〉〈巣を構える二人は結婚[けつこん]して、これまでの住まいからそう遠くない所に愛の巣を構えた。♠〈不良の巣〉あのゲームセンターは、不良の巣になっているので、子供たちはあまり行きたがらない。 **す【酢】** (醋・酸)○酸味をつけるための調味料。[文例]〈酢につける〉ピクルスは、野菜を調味料を混ぜた酢につけた洋風のつけものです。♠〈酢でしめる〉サバを三枚におろして、酢でしめます。 **ず【図】** ○物の形を写したもの、絵・図画・図表・地図など。物事のありさま。頭で考えたこと。思うつぼ。勢い。調子。[文例]<図を見る〉下の図をよく見て、次の問題に答えなさい。♠<図に書く〉おまわりさんは駅までの道順を、図に書いて説明してくれました。♠図に示す〉ここ何年間かの交通事故の件数は、図に示されている通り、年々増加しています。♠へ見られた図でない〉いい年をしたおじさんが、上から下まで流行のものを着てるなんて、とても見られた図じゃない。♠<図に当たる>若者を対象にした企画が図に当たって、会場は超満員でした。♠へ図に乗る〉ちょっとほめたら図に乗って大声で歌いだすんだから、ばかみたい。 **ず【頭】** ○あたま。[文例]〈頭が高い「頭が高い」は「腰が低い」の反対で、高慢、横柄[おうへい]であることをいいます。 **すあし【素足】** ○靴下などをはいていない足。はき物をはいていない足。』はだし[文例]〈素足に靴[くつ]を履[は]く〉その少年は、素足に運動靴を履いていた。♠〈素足にげた〉この寒空[さむぞら]に、少女は素足にげたといういでたちであった。♠へ素足で歩く〉久しぶりに砂浜[すなはま]を素足で歩いてみたら、さらさらした砂がとても気持ちよかった。♠素足で上がる「お上がり。」と言うと、彼は素足で縁側[えんがわ]に上がってきた。 **ずあん【図案】** ○色や形の組み合わせ・配置の案。また、それを表した図。デザイン。[文例]〈標識の図案>道路標識は、一目で理解できるような図案が望ましい。♠ヘポスターの図案>なかなか評判の良かった文化祭のポスターは、だれの図案によるものですか。 **すい【粋】** ○まじりけがないこと・もの。最もすぐれていること・もの。あかぬけているさま。いき。[文例]〈文化の粋>京都の名園桂離宮[かつらりきゆう]には、当時の土木建築技術と日本文化の粋が集結している。♠〈科学の粋>現代の科学技術の粋を集めたという高層ビルが建設されていた。 **す・い【酸い】** ○酸味がある。すっぱい。[文例]〈酸いも甘いも〉彼は世の中の酸いも甘いもかみ分けてきた人だけに、わたしの立場をよく理解してくれた。 **ずい【髄】** ○骨の中心部のやわらかい組織。植物の茎の中心部。物事の中心となる部分。[文例]〈骨の髄〉三十年も人に使われてきますと、使用人根性[こんじょう]が骨の髄まで染みこんできます。♠へよしの髄から天井のぞく〉よしの髄から天井の <537> ぞくという言葉は、見識が狭いことのたとえです。 **すいあ・げる【吸い上げる】** ○吸って上へ上げる。他人の得た利益を取り上げる。[文例]〈土砂を吸い上げる>井戸の底にたまった土砂をポンプで吸い上げる工事が始まった。♠〈水を吸い上げる〉植物の葉は、光のエネルギーの力を借りて、空気中の炭酸ガスと根から吸い上げた水とで炭水化物を合成します。♠<利益を吸い上げる〉利益の大半を場所代として吸い上げられてしまい、手元にはいくらも残らなかった。 **すいい【推移】** ○移り変わること。変遷[へんせん]すること。[文例]〈時代の推移〉暗くなるまで遊び回ったという父は、毎日習い事に通うぼくらを見て、時代の推移を感じるという。♠季節の推移〉庭の緑がいつのまにか茶色に変わり、ハラハラと落ちる木の葉に、季節の推移が感じられた。♠〈心の推移〉この小説の主人公の心の推移を、主人公の言動からとらえてみよう。♠服装が推移する>祖母の古いアルバムを順に見ていくと、女性の服装[ふくそう]の推移していくさまがよくわかる。♠〈好調に推移する〉この表を見ると、日本の工業製品の輸出が好調に推移していくのがひと目でわかる。 **すいい【水位】** ○基準面から測った水面の高さ。[文例]〈湖の水位〉〈水位が上がる〉春になると雪解けの水で、湖の水位はどんどん上がっていく。♠〈ダムの水位〉〈水位が下がる〉水不足でダムの水位が下がり続け、一部では底が見える始末です。 **ずいい【随意】** ○思うままであるさま。[文例]参加は強制ではありませんので、みなさんが随意に決めてください。♠わたしたちの体の筋肉には随意に動かすことができるものとそうでないものがある。♠あなたがやると言うならわたしは止めませんよ、どうぞご随意に。 **すいいき【水域】** ○水面上の一定の範囲。[文例]〈北太平洋水域>北太平洋水域から日本の漁船は締め出されつつあった。♠<危険な水域>海図には船の航行に危険な水域が示されていた。 **ずいいち【随一】** ○多くの中で第一であること。[文例]《随一の傑作[けつさく]〉平家物語は数多い軍記物語の中でも、随一の傑作と言えるでしょう。♠ヘクラプ随一〉クラブ随一の俊足[しゅんそく]は小島さんです。♠〈当代随一〉この落語家の芸は名人の域に達しており、当代随一の呼び声が高い。 **すいえい【水泳】** ○泳ぐこと。泳ぎ。[文例]毎日プールに通って水泳の練習をしたおかげで、百メートルは軽く泳げるようになった。♠ぼくは夏の短い北海道の出身で、水泳はあまり得意ではありません。♠〈水泳パンツ〉弟は体が大きくなって、水泳パンツがきつそうです。 **すいか【水火】** ○水と火。水難と火難。ひどい苦しみ。仲が悪いこと。[文例]〈水火も辞さない〉恩ある御主人[ごしゅじん]のためなら、わたしは水火も辞さぬ覚悟[かくご]でおります。♠へ水火をいとわない〉愛する者たちのためなら、水火をいとわない。♠〈水火の責め苦>捕らえられた大将は、敵陣で水火の責め苦にあっていた。♠〈水火の仲〉両雄並び立たず、二人は水火の仲でいさかいが絶えなかった。 **すいか(誰何)** ○声をかけて、だれであるかを問いただすこと。[文例]〈誰何を受ける〉隊の司令部へ向かう途中、何人かの歩哨の誰何を受けた。♠へ誰何する〉銃を構えた兵が誰何すると、その男は隊長に会いたいと言う。 **すいがい【水害】** ○洪水などによる災害。[文例]〈水害を受ける〉水害を受けた田畑では、作物がめちゃくちゃになって倒れていました。♠〈水害に遭[あ]う〉〈水害を防ぐ〉毎年のように水害に遭っていた人々は、川に堤防を築き、水害を防ごうとした。♠〈水害にみまわれる〉毎年、大雨の季節になると、この地方は水害にみまわれます。♠〈水害をもたらす〉大雨が川の近くの村々に水害をもたらした。 **すいがん【酔眼】** ○酒に酔ってぼんやりした目。[文例]わたしの酔眼には、妻がとんでもない美人[びじん]に映っていた。♠へ酔眼を向ける〉酒臭[くさ]い息を吐きかけられ、輝きのない酔眼を向けられては、あいさつのしようもない。♠へ醉眼もうろう〉醉眼もうろうとして相手がだれであるのかわからないほどだった。 **すいきょ【推挙】** ○人を取りたてるように薦めること。[文例]〈推挙を受ける〉町会長の推挙を受けて、父が盆踊り大会の実行委員長になりました。♠〈会長に推挙する〉責任感が強く級友の信頼も厚い高木さんを会長に推挙します。♠〈横綱に推挙する〉連続優勝した大関は、横綱に推挙されました。 **すいきょう【酔狂・酔興・粋狂・粋興】** ○酒に酔って狂ったようになること。もの好きなさま。[文例]<酔興な男「あんな所[どころ]へ寺を建てたって、人泣かせだ、不便で仕方がありゃしない。全体昔[むか]しの男は酔興だよ。ねえ甲野さん」(夏目漱石「真美人草[ぐびじんそう]」)♠<酔狂で~する〉何も酔狂でこんな仕事をやってるんじゃない、もうかるからやってるんだ。♠〈伊達[だて]や酔狂>ぼくたちは成算があってこの店を始めたので、伊達や酔狂とはちがうんだ。 **すいげん【水源】** ○水が流れ出るみなもと。[文例]〈水道の水源>市の西部にある湖が、市の水道の水源になっている。♠〈水源を発する>太平洋に流れこむ天龍川[てんりゅうがわ]は、諏訪湖[すわこ]にその水源を発しています。♠へ水源を探る〉一行は長江[ちょうこう]の水源を探る旅に出た。♠へ水源がかれる〉森林を伐採することによって、水源が涸[か]れる危険は大いにあります。 **すいこう【遂行】** ○なしとげること。[文例]〈任務の遂行〉今度の任務の遂行には、困難なことが多いと思うが、がんばってほしい。♠へ義務を遂行する〉自分に課せられた義務を遂行するまではと、歯をくいしばってがんばった。♠へ仕事を遂行する〉難しい仕事だったが、全員の協力により、遂行することができた。 **すいこう(推敲)** ○詩や文章の字句を何度も練り直すこと。[文例]〈文章を推敵する〉文章は、いったん書いたあと、言葉遣いがまちがっていないか、表現が適切か、よく推敲しなさい。♠へ推敲を重ねる〉この作家は、満足のいく文章ができるまでは、何回も推敲を重ねるという。♠へ推敲を加える〉 <538> この作文は、自分で納得[なつとく]がいくまで、推敲を加えてから提出したいと思う。♠〈推敲のあと>彼の文章には、ずいぶんと推敲のあとがうかがえる。 **ずいこう【随行】** ○供[とも]としてつき従うこと。また、その人。[文例]王女の東洋訪問に、公爵[こうしゃく]夫妻が随行を命じられた。♠〈随行する〉父は、会社の社長に随行して、現在ヨーロッパを回っています。 **すいこ・む【吸い込む】** ○吸って中に入れる。引き入れる。[文例]〈息を吸い込む>勉強に疲れたら、外に出て、手を大きく広げて、深く息を吸い込むと、頭がすっきりするよ。♠〈水を吸い込む>庭に水をまいたら、乾[かわ]いた地面は、たちまち水を吸い込んでしまった。♠く眠[ねむ]りに吸い込まれる〉難しい本を広げると、すぐに眠りに吸い込まれてしまう。♠へ心が吸い込まれる〉あざやかな新緑に目も心も吸い込まれるようだった。♠へ体が吸い込まれる〉湖の澄[す]んだ青さに、思わず体が吸い込まれそうになった。 **すいさつ【推察】** ○推しはかって考えること。[文例]〈推察が当たる〉相手が待ち合わせの場所をまちがえているのではないかというぼくの推察はやはり当たっていた。♠へ推察がつく〉きみの本心がどうであるかについては、おおよその推察がつく。♠へ推察する〉彼女の顔つきから話の内容をほぼ推察することができた。 **すいさん【水産】** ○水中から産すること。また、その物。[文例]〈水産業>海の汚染が進み、瀬戸内海の水産業はふるわなくなった。♠へ水産物>交通の発達によって、山あいのこの村でもたやすく水産物を手に入れることができるようになった。 **すいさん【推参】** ○参上すること。さしでがましいさま。[文例]〈推参する>先生が御病気と聞いて、とるものもとりあえず推参しました。♠へ推参なやつこれは推参な奴[やつ]だ、人の運動の妨[さきたげ]をする、ことにどこの烏[からす]だか籍[せき]もない分在[ぶんざい]で、人の塀[へい]へとまるという法があるもんか(……) (夏目漱石「吾輩[わがはい]は猫である」) **すいし【水死】** ○水におぼれて死ぬこと。[文例]夏休みになると、各地の海や川から生徒たちの水死の報が伝えられるのは、なんともいたましいことだ。♠〈水死する〉どんな泳ぎの達者な人でも、この急流に落ちたら水死するにちがいない。♠〈水死者〉今年は夏が短かったせいか、水の事故が少なく水死者の数も去年よりずいぶん減った。 **すいじ【炊事】** ○食物の煮たきをすること。[文例]〈炊事・洗濯〉近ごろは、炊事・洗濯・掃除に協力する男性も多いようです。♠〈炊事の支度〉キャンプの時、炊事の支度をするのに、川の水を汲[く]んだり、山へ薪[たきぎ]を取りに行ったりした。♠へ炊事する〉台所で炊事しているお母さんに、学校であったことを報告しました。♠〈炊事場〉朝、目が覚めると、炊事場の方からトントンという包丁の音が聞こえてきた。 **ずいじ【随時】** ○時に応じて。いつでも。[文例]手続きさえすれば、この体育館は随時使用することができます。♠申し込みは、電話で随時受け付けています。♠へ入会随時>案内書に入会随時とあるから、この料理教室には、いつでも入ることができる。 **すいじゃく【衰弱】** ○衰え弱ること。[文例]〈体の衰弱><衰弱を防ぐ〉山小屋に閉じこめられたわたしは、吹雪[ふぶき]がおさまるまで体の衰弱を防ぐことを心がけた。♠へ衰弱が激[はげ]しい〉病人は衰弱が激しく、手術を受けるだけの体力がなかった。♠〈衰弱する〉何日もの間食べる物もなく、体は衰弱しきっていた。♠へ神経衰弱〉そんなにいらいらが続くと、神経衰弱になるよ。 **すいじゅん【水準】** ○高低を調べる基準となる水平。標準的な程度。レベル。[文例]〈生活の水準〉〈水準が高い>父や母の若かったころに比べると、わたしたちの生活の水準はずいぶん高くなったという。♠へ技術の水準〉当時の科学技術の水準では、ここまでが精いっぱいだったようだ。♠〈研究の水準〉〈水準を高める〉この学者グループは、古代史研究の水準を高めたと言われる。♠〈水準に達する>発展途上国は、先進国の技術水準に達しようとがんばっている。♠水準を上げる。下げる〉今の肉の消費量を、戦争前の水準に下げることは、とても難しいことだ。♠〈水準を上回る〉わが国の医学は、世界の水準を上回っているという。♠◇学力水準〉わたしたちのクラスの学力水準は、学年で一番だという。 **ずいしょ【随所・随処】** ○いたる所。あちこち。[文例]<随所に見られる〉この作品には、作者独自の工夫が全編を通じて随所に見られる。♠へ随所に現れる〉ひかえ目な口調ではあったが、なみなみならぬ自信が随所に現れていた。♠<随所に出る>映画の中に現代文明を皮肉る場面が随所に出てきて、それがまたとてもおもしろかった。 **すいしょう【推賞・推称】** ○ほめること。[文例]〈推賞を集める>審査員の推賞を集めた作品が予想通り金賞を受賞した。♠<推賞する〉このレストランのエビ料理は最高だと、食通の中島さんが推賞していました。 **すいしょう【推奨】** ○ほめてすすめること。[文例]〈品物を推奨する〉この品は値段のわりに質が良く店の人も推奨しています。♠く方法を推奨する〉わたしが実行した、時間もお金もかからない方法を推奨します。 **すいじょう【水上】** ○水の上。水面。水のほとり。[文例]〈水上交通>江戸時代には、水上交通が発達し、日本各地の産物が船で江戸や大阪に運ばれるようになった。♠〈水上競技〉彼は、競泳でも飛び込みでも水上競技ならなんでもこなします。 **すいしん【推進】** ○おし進めること。[文例]〈推進を図る〉勉強もいいが、もっと子供たちの運動能力の推進を図るべきではないでしょうか。♠〈推進する〉世界中の多くの民間団体が野生動物保護の運動を推進している。♠〈推進力〉彼らの若さと情熱が大きな推進力となって、この仕事を成功に導いた。 **すいせい(彗星)** ○太陽系の小さな天体で、楕円[だえん]・放物線などの軌道をとるもの。ほうきぼし。[文例]太陽系の小さな天体である彗星は、太陽に近づいたとき尾を引くのが見られ、 <539> ほうき星とも呼ばれる。♠へ彗星のごとく〉ゴルフ界に去年彗星のごとくデビューしたこの新人は、いくつものトーナメントで優勝しました。♠ヘハレー彗星>約七十六年に一度地球に接近するハレー彗星が今度やってくるのは二十一世紀の後半です。 **すいせいむし【酔生夢死】** ○何もせずに一生を送ること。[文例]酔生夢死は、一生を酔うがごとく夢見るがごとくなすこともなく生きることをいうが、本当にそれが可能ならそう生きてみたいと思う。 **すいせん【推薦】** ○人にすすめること。[文例]〈学校の推薦>息子は、高校の推薦で私立の大学に入学することが決まりました。♠へ推薦を受ける〉わたしは、クラスの人の推薦を受けて、生徒会長に立候補することにした。♠<推薦する〉パソコンを買うのなら、ぼくは絶対この機種を推薦するね。 **すいぜん(垂涎)** ○よだれを垂らすこと。非常に欲しがること。[文例]〈垂涎の的[まと]>この切手は国内には十数枚しかなく、マニアにとっては垂涎の的です。♠へ垂涎する〉あの帯は昔の呉絽[ごろ]だとか、あの小袖[こそで]は黄八丈[きはちじよう]だとか、出て来る人形の着物にばかり眼をつけて、さっきからしきりに垂涎している。(谷崎潤一郎「蓼食う虫[たでくうむし]」) **ずいそう【随想】** ○折にふれて心に思うこと。また、それを書きとめた文章。[文例]〈随想をまとめる〉この本は、折にふれて浮かんだ随想をまとめたものです。♠へ随想・随筆〉文学のジャンルには、詩、小説、戯曲、評論、随想・随筆、記録・報告、伝記、日記・紀行などがあります。♠〈随想風〉身辺の雑事を随想風にまとめ、一冊の本とした。 **すいそく【推測】** ○推しはかること。推量。[文例]これはぼくの推測だが、彼は、生徒会長に立候補するんじゃないかな。♠へ推測にすぎない〉今日の午後は授業がなくなるとうのは、きみたち生徒のかってな推測にすぎない。♠へ推測が当たる・外れる〉明日は晴れるだろうという山小屋のおじさんの推測は見事に当たった。♠<推測の域を出ない〉まだ推測の域を出ないのだが、近々、大きな政治の変化があると思う。♠へ推測する〉この化石は、大きさから考えて、鳥類のものと推測される。♠きみの推測どおり、やはり彼らはこの計画に反対だと言う。 **すいたい【衰退】** ○衰えていくこと。[文例]〈衰退に向かう〉<繁栄[はんえい]と衰退〉いったん種族を繁栄させたカブトムシだったが、再び衰退に向かった。♠へ衰退の一途[いっと]をたどる〉さしもの栄華[えいが]を誇[ほこ]った平家[へいけ]も、清盛[きよもり]の死後は、衰退の一途をたどることになる。♠〈産業が衰退する〉戦前に比べると、日本の産業全般のなかで、繊維産業は衰退しているという。 **すいちゅう【水中】** ○水の中。[文例]〈水中の生物>水中の生物に興味を持つぼくは、よく水族館を訪れます。♠〈水中に沈[しず]む〉ポチャンと音を立てて、百円玉は水中に沈んだ。♠〈水中に潜[もぐ]る〉おじさんは水中に潜ると、大きなウニをとって上がってきた。♠〈水中に眠る>第二次世界大戦で撃沈[げきちん]された戦艦は、今も水中深く眠っています。 **すいちょく【垂直】** ○直角に交わること。地平面・水平面に対して直角の方向。→水平[文例]<垂直に交わる〉まっすぐ行くと、この道は、バス通りと垂直に交わります。♠〈垂直に切り立つ〉ジャングルを抜けると、垂直に切り立ったがけに行く手をはばまれた。♠へ垂直に上昇[じようしよう]する〉ヘリコプターは、離陸[りりく]するときに、垂直に上昇することができる。♠へ垂直に立てる〉クレーンが持ち上げた長い鉄骨を、基礎[きそ]のコンクリート上に垂直に立てようとしていた。♠〈垂直な線〉天に向かってそびえる超高層[ちょうこうそう]ビルの垂直な線を見上げていたら、目が回ってきた。 **すいつ・く【吸い付く】** ○吸うために付く。ぴったりくっつく。[文例]〈タコが吸い付く〉タコが吸い付いてなかなかはなれない。♠へほこりが吸い付く〉下敷きをこすると静電気がおこり、近くのほこりがみんな吸い付いてしまった。♠〈磁石に吸い付く〉三歳の弟には、磁石に鉄くぎが吸い付くのがおもしろいらしい。♠〈画面に吸い付く〉好きな歌手が出演するとあって、妹はテレビの画面に吸い付くようにして見ている。 **すいつ・ける【吸い付ける】** ○吸って引き付ける。ぴったりと引き付ける。タバコを火に近づけ、吸って火をつける。吸い慣れる。[文例]〈鉄を吸い付ける〉この磁石は強力で、十センチくらい離れた鉄も吸い付けることができる。♠ヘタバコを吸い付ける〉火鉢の火でタバコを吸い付け、うまそうにくゆらしている。 **スイッチ** ○電流を流したり切ったりする装置。[文例]ヘスイッチを入れる〉このネコのおもちゃは、スイッチを入れると、鳴き声を出して歩きます。♠ヘスイッチを切る〉今日の仕事はこれでおしまいだから、機械のスイッチを切ってくれ。♠ヘスイッチをひねる〉暗がりでスイッチを探してひねると、ぱっと部屋じゅうが明るくなりました。♠ヘスイッチがきかない〉スイッチがきかなくなったので、電球をひねって電気を消した。♠ヘスイッチを押す〉足でテレビのスイッチを押してつけるなんて、行儀が悪いね。♠ヘタイムスイッチ>帰ってきたらご飯がたけているように、タイムスイッチを入れておこう。 **すいてい【推定】** ○推測して決めること。[文例]〈推定によると>警察の推定によると、洪水[こうずい]による死者の数は、五十人以上になるという。♠へ推定する〉犯行に使われた凶器は、鋭利[えいり]な刃物[はもの]であると推定された。♠へ原因を推定する〉焼[や]け跡[あと]を調べると、火災の発生時間や原因を推定できるらしい。 **すいてき【水滴】** ○水のしずく。すずりに差す水を入れる容器。[文例]〈水滴がつく>冬、部屋を暖めると、窓ガラスに水滴がつきます。♠〈水滴がしたたる〉辺りにわき水でもあるらしく、岩から水滴がしたたっている。 **すいでん【水田】** ○水を浅く張った稲作の耕地。たんぼ。みずた。[文例]イモや麦などは畑から、米は水田からとれます。♠〈水田が広がる〉わたしの故郷は、青々とした水田の広がる自然の美しい所です。♠へ水田を潤[うるお]す〉この川は、村じゅうの水田を潤すとても重要な川です。♠〈水田耕作>日本人は二千年も前から水田耕作を行い、イネを育ててきました。 **すいとう【出納】** ○金銭・物品の出し入れ。[文例]〈現金の出 <540> 納〉工場の現金の出納については、会計の田中さんが仕切っています。♠へ現金出納帳>現金出納帳を見れば、家計が赤字であることがわかる。 **すいどう【水道】** ○飲料などに用いる水を供給する設備。上水道。上水道・下水道の総称。船の通る道。水流・潮流の通る道。海峡。[文例]〈水道の水〉日本では水道の水をじかに飲んでも平気ですが、飲めない国もあります。♠へ水道の蛇口[じゃぐち]>ジョギングから帰った兄は、水道の蛇口を勢いよくひねって、水をがぶがぶ飲んだ。♠へ水道を引くこんな山奥だが、水道も電気も電話も引いてあるから、生活には困らない。♠〈水道工事>本日、午後一時から五時まで、水道工事のため断水します。♠〈浦賀水道〉三浦半島と房総半島に挟[はさ]まれた浦賀水道は東京湾の入り口にあたります。 **すいと・る【吸い取る】** ○吸い出して取る。吸い込んで取る。他人の利益を取り上げる。[文例]〈汗を吸い取る>衣服には、体温を保ったり汗を吸い取ったりするほか、けがを防ぐ役目もあります。♠へごみを吸い取る〉掃除機のごみを吸い取る力が弱くなったのは、中のごみがいっぱいになったからだ。♠へ精気[せいき]を吸い取る〉妖怪[ようかい]にすっかり精気を吸い取られた男はふらふらになって戻ってきた。♠へもうけを吸い取る〉せっかくのもうけをほとんど税として吸い取られてしまった。 **すいび【衰微】** ○衰えて勢いが弱くなること。[文例]〈町の衰微>鉄道が廃止されてからというもの、この町の衰微ははなはだしい。♠国が衰微する〉九世紀になると内乱の続いた唐の国は、しだいに衰微していった。♠へ産業が衰微する〉石油がエネルギーの中心になるにつれ、石炭産業は衰微していった。 **ずいひつ【随筆】** ○体験や感想などを思いつくままに書いた文章。[文例]この随筆には、作者の失敗談がおもしろおかしく書かれている。♠へ随筆を読む>随筆を読むと、作者のその時々の考えがわかっておもしろい。♠〈随筆文学〉もとより『徒然草[つれづれぐさ]』は、随筆文学の最高峰の一つである。 **すいふ【水夫】** ○船乗り。雑役をする船員。[文例]少年が船から落ちると、水夫たちは海に飛びこみ、無事救命ボートにかかえあげた。♠漂流[ひようりゆう]しているところを助けられた万次郎は、元気を取りもどすと、進んで水夫の仕事を手伝った。 **すいぶん【水分】** ○物の中に含まれている水。みずけ。[文例]〈水分の補給〉〈水分をとる〉昔[むかし]は、むしろ水分をとってはいけないと言われたが、炎天下のスポーツには水分の補給が大切になる。♠へ水分を含む〉〈水分が抜ける〉わらはまだ水分を含んでいるので、一日中日に干して水分が抜けるのを待ちます。♠へ水分を吸収する〉最近のおむつは、赤ちゃんのおしっこ三回分もの水分を吸収できるそうです。♠へ水分を出す〉人間は寝ている間に、起きているときの二倍も水分を出しています。♠〈水分を送る〉草や木は、根から吸い上げた水分を葉のすみずみまで送りこみます。 **ずいぶん【随分】** ○かなり。相当。はなはだしいさま。ひどいさま。[文例]こんな山奥[やまおく]ですが、水道と電気が引かれて、毎日の生活も随分楽になった。♠竹とんぼやけん玉は、随分昔からあったおもちゃらしい。♠彼女の話だと、今度のことで先生は随分と腹を立てていたそうだ。♠一生懸命[けんめい]手伝っているのに、かえって邪魔[じゃま]だなんて、随分だなあ。♠へ随分な言い方>自分のことは棚[たな]に上げて人をのろま呼ばわりするとは、随分な言い方じゃないかい。 **すいへい【水平】** ○平らで傾いていないこと。重力の方向と直角の方向。→垂直[文例]〈水平の方向〉ボールをなるべく遠くへ届かせるには、水平の方向より、四十五度上に向けて投げるとよい。♠〈水平と垂直〉〈地面と水平>ほとんどの動物の胴体[どうたい]が地面と水平なのに、なぜ、人間の胴体は垂直なんだろう。♠へ水平に持つ〉お盆で物を運ぶときには、水平に持つようにしないと上のものがこぼれますよ。♠〈水平にならす〉父は、木枠の中に流し入れた生コンクリートを、水平にならしていた。♠〈水平に張る〉大工さんは、くいとくいの間に糸を水平に張り渡した。♠〈水平線>海岸から水平線のはるかかなたまで、ずっと氷の海が続いていた。♠へ水平飛行>高度三千メートルまで上昇した飛行機は、そこで水平飛行に移った。 **すいほう【水泡】** ○水の泡。はかないこと。[文例]〈水泡に帰する〉たった一つのミスで、それまでの長い努力が水泡に帰するということがある。 **すいぼつ【水没】** ○水中に沈むこと。[文例]〈村が水没する〉ダムができれば村全体が水没してしまうとあって、村民は建設に大反対だった。♠へ島が水没する〉このあたりの海底には、二世紀に地震で水没した島が眠っているらしい。 **すいま【睡魔】** ○人を眠りに引き込む魔物。ねむけ。[文例]〈睡魔に襲われる〉前夜の寝不足がたたって午後になると睡魔に襲われ、目を開けていることさえ困難になった。♠人睡魔との闘い>毎晩深夜までテレビを見ているので、日中は睡魔との闘いです。 **すいみゃく【水脈】** ○地下水の流れる道すじ。船の通う道。[文例]〈水脈が走る〉この一帯の地下には水脈が走っているらしく、ちょっと掘れば水を得ることができる。♠〈水脈にぶつかる〉どんなに深く掘り起こしても、水脈にぶつからなければ水はわき出てきません。♠へ水脈を探る〉原住民がこの荒れ地で生活していけるのは、彼等が水脈を探り当てる技術を持っているからだ。 **すいみん【睡眠】** ○眠ること。眠り。[文例]〈睡眠をとる〉わたしは、美容と健康のため、八時間は睡眠をとるようにしています。♠へ睡眠が足りる>昨夜の睡眠が足りないせいか、あくびばかりしている。♠<睡眠不足>徹夜[てつや]で勉強したのはいいが、睡眠不足で試験の時に眠くて困った。 **すいめん【水面】** ○水の表面。[文例]〈水面に浮かべる〉はらわたはらと散る桜の花びらを水面に浮かべて、川はゆっくり流れる。♠〈水面に下りる〉カモメは、ときおり水面に舞い下りては魚を食べています。♠〈水面を漂[ただよ]う〉笹[ささ]の舟が水面を漂う。♠〈水面が盛り上がる〉静かだった水面が急に盛り上がったかと思うと、不気味な怪獣がその姿を現した。 **すいよ・せる【吸い寄せる】** ○吸って引き寄せる。手元に引き <541> 寄せる。[文例]〈油を吸い寄せる>水面に広がった油を強力なポンプで吸い寄せる作業が続けられている。♠へ臭[にお]いに吸い寄せられる>死肉の臭いにハイエナやハゲタカが吸い寄せられる。♠へ魅力に吸い寄せられる>学生時代に映画の魅力に吸い寄せられ、そのままこの世界で働くようになりました。♠へ吸い寄せられるよう〉まるで吸い寄せられるように、彼女はその男にふらふらと近づいていった。 **すいろ【水路】** ○水を送る道。船の通る道。競泳のコース。[文例]〈水路を引く>遠く離れた湖から水路を引いて、荒れ地を水田に変えた。♠〈水路を開く〉アメリカの五大湖と大西洋を結ぶセントローレンス水路が開かれた。♠へ水路が変わる〉この湖から海に通じる水路は、季節によっては少しずつ変わります。 **すいろん【推論】** ○事実に基づいて論をおし進め、結論を出すこと。推理すること。[文例]〈推論を重ねる>科学者たちはいろいろなデータに基づいて推論を重ね、宇宙の神秘を解き明かそうとしています。♠へ推論を下す>博士は研究の末、日本人の支配階級は大陸から馬に乗ってやってきたのではないかという推論を下しました。♠〈推論する〉今までの実験結果から、次はどうなるか推論してみましょう。 **すう【数】** ○かず。いつくかの。[文例]〈正の数〉〈負の数>1のような数を正の数、「のような数を負の数といいます。♠<性・数・格>欧米の言語では、名詞や形容詞は、性や数や格によって変化することがあります。♠へ数メートル〉ぼくは、ゴールまであとわずか数メートルというところでダウンしてしまった。♠ヘページ数>本の定価とページ数は必ずしも比例しません。 **す・う【吸う】** ○気体・液体を鼻や口から体内に入れる。吸収する。引き付ける。[文例]〈息を吸う〉自分が息を吐いたり吸ったりすることに気をとめる人はいない。♠へ空気を吸う〉大きく両手を広げて、朝の新鮮[しんせん]な空気を胸いっぱいに吸った。♠ヘ汁[しる]を吸う〉みかんの皮をむいて口の中に入れてやると、祖母は、おいしそうに汁を吸った。♠へみつを吸う〉たくさんのみつばちが花畑でみつを吸っていました。♠へ血[ち]を吸う〉一匹[ぴき]の蚊[か]が豚[ぶた]のおしりにとまって、血を吸っていた。♠〈乳を吸う〉あの子ぐま、お母さんのお乳を吸っているよ。♠〈水を吸う〉こぼれた水の上にぞうきんをかぶせると、水はすぐにぞうきんが吸ってしまう。♠へごみを吸う〉この掃除機[そうじき]は詰まったのでしょうか、ごみを吸わなくなった。♠へたばこを吸う〉わたしの父は、困ったものでたばこを吸いすぎます。♠く甘[あま]い汁を吸う「あいつだけがいつも甘い汁を吸っている。」と、まわりの者は不満顔である。♠〈生き血を吸う〉男は、人の生き血を吸うような悪徳な商人だった。 **すうき【数奇】** ○不運。不遇。[文例]〈数奇な一生>貧しい百姓の娘だったから町に売られてきたのさ、と老婆[ろうば]はその数奇な一生を振り返るように語り始めた。♠へ数奇な運命>彼女は名家の出でありながら数奇な運命にもて遊ばれ、異国の地で一人さびしく死んだという。 **すうこう【崇高】** ○けだかく、とうといさま。[文例]〈崇高な理想>どの政党も、綱領[こうりよう]には崇高な理想をかかげている。♠<崇高な精神〉この政治家は、福祉社会の実現のために働く崇高な精神の持ち主だった。♠〈崇高な芸術〉文学は崇高な芸術の一分野であって、それ自体で独立した価値があるのだ。 **すうじ【数字】** ○数を表す文字。また、文字に表された数。数量。[文例]〈数字で表す〉毎月の降水量を数字で表し、さらにグラフにすると、一目で雨の多い月がわかります。♠へ数字を並べる>具体的に数字を並べて説明されると、そんなものかしらとつい思い込んでしまう。♠へ数字が物語る>地震の被害がいかに大きかったかは、死者二千人という数字が物語っている。♠〈数字に強い。弱い〉ぼくは、数字に弱くて、面積だの人口だのがどうしても覚えられない。♠く細かい数字>細かい数字は忘れましたが、この市の人口はおよそ五万人です。 **すうじく【枢軸】** ○中心となる大事な部分。中枢。[文例]〈政治・経済の枢軸〉ニューヨークやワシントンは、世界の政治・経済の枢軸といえる。♠〈枢軸をなす〉長いこと鉄鋼業は国の枢軸をなす産業であった。 **ずうずうし・い(図図しい)** ○あつかましい。[文例]〈ずうずうしい男>母はふだんからおじのことを、あんなずうずうしい男はいないと言っている。♠くずうずうしい事>無理に泊めてもらっているんだから、うまいものを食わせろなんてずうずうしい事は言わないよ。♠くずうずうしいにも程[ほど]がある〉あれだけ迷惑[めいわく]をかけといて、そのうえ金を貸してくれなんて、ずうずうしいにも程があるよ。♠へずうずうしくも〉男はずうずうしくも有名なA氏の名を名乗って平然としていました。 <542> **すうせい(趨勢)** ○なりゆき。傾向。動向。[文例]〈世界の超勢>世界の趨勢に従って、日本でもだいぶ前から原子力発電が行われている。♠〈時代の趨勢>時代の趨勢というものでしょう、古いものがどんどん姿を消してゆきます。 **ずうたい(図体)** ○(大きな)からだ。体格。[文例]〈大きなずうたいをする〉まったく大きなずうたいをしているくせに肝っ玉が小さいんだから。♠へずうたいが大きい〉あの男はずうたいばかり大きくて、まるで使いものにならない。♠〈大きなずうたいのわりに〉ちょっとした髪の乱れを気にするなど、大きなずうたいのわりに神経質なところがある。♠くずうたいに似合わない〉ずうたいに似合わない彼のすばやい動きに、ぼくらは驚きの目を見張った。 **すうだん【数段】** ○階段のいくつかの段。程度に大きな差があるさま。はるかに。[文例]〈数段上る>荷物のあまりの重さに、駅の階段を数段上ったところで一休みです。♠へ数段上>試合は引き分けだったが、実力はきみのほうが数段上だ。♠へ数段まさる〉特選の絵よりぼくの絵のほうが数段まさっていると思う。 **すうち【数値】** ○計算や測定によって得られる数。数式の中の文字に値する数。[文例]〈数値が上がる〉原子力発電所の事故で、大気中に含まれる放射能の数値がはね上がりました。♠へ数値を示す〉降水確率として示される数値は、コンピュータによってはじき出されたものだ。♠へ数値を得る〉何回も実験して得られた数値だから信用できる。♠へ数値を求める〉不快指数と呼ばれるあの数値は、いったいどんな式から求められるのだろう。♠〈数値にする>数値にすると取るに足らぬ程度ですが、確かに地震計には異常が見られます。 **スーパー** ○超えていること。とびぬけて優れていること。「スーパーマーケット」 「スーパーインボーズ」などの略。[文例]〈スーパーウーマン〉エリはスポーツ万能、学業優秀、語学たんのうというスーパーウーマンだった。♠ヘスーバーマーケット〉駅前に大きなスーバーができて、買い物もだいぶ楽になりました。♠ヘスーパーインポーズ〉テレビの洋画は吹き替えが多いが、映画館ではスーパーで日本語が写し出されるのが普通だ。 **すうはい【崇拝】** ○あがめ敬うこと。[文例]〈崇拝する〉かつての三冠王[さんかんおう]は、引退した今でも、多くの野球少年たちから崇拝されている。♠へ英雄を崇拝する〉将軍は、国を救った英雄として、人々から崇拝されていた。♠〈偶像[ぐうぞう]崇拝>木・石・土・金属などで作った像を崇拝することを、偶像崇拝という。 **すうりょう【数量】** ○数と量。分量。[文例]〈荷物の数量〉〈数量を調べる>旅行に出発する前に、引率者がみんなの荷物の数量を調べました。♠〈数量を示す〉個・枚・本などは数量を、番・位などは順序を示す接尾語です。♠へ数量が減る・増える>箱の中身を見ると、製品の数量が減っていることに気がついた。♠へ数量を数える〉たなの商品の数量を数えてください。 **すえ【末】** ○はし。末端。末節。末期。末っ子。末世。結果。あげく。将来。行く末。子孫。[文例]〈月の末三月も末になれば、早い所では桜[さくら]の花がほころび始めます。♠〈末の娘[むすめ]>わが家では、来春、末の娘が高校を受験します。♠〈世も末〉ばあさんや、こんないやなことが来年も続くようだったら、世も末だなあ。♠へ思い悩んだ末〉いく日も思い悩んだ末、ぼくは友達に断りの返事を書いた。♠議論の末〉あれこれ議論の末、今度の体育大会には、クラス全員が参加することに決まった。♠〈苦心の末>苦心の末に、ようやく、実験は成功した。♠〈延長戦の末〉ぼくらの野球チームは、決勝で延長戦の末惜しくも敗れてしまった。♠く末が心配〉こんなに勉強がきらいでは、末が心配で思いやられる。♠へ末の見込み>中学生のうちから怠[なま]け癖[ぐせ]がついたんじゃ、末の見込みはないな。♠末永く〉今後も、末永くおつきあいくださいませ。♠<末恐[おそろ]ろしい>子供のころは腕白[わんぱく]で、末恐ろしいと両親を心配させたっけ。 **すえおき【据え置き】** ○据え置くこと。↓すえおく[文例]〈定価が据え置き>物価が上昇するなかで、この商品の定価は三年間も据え置きのままです。♠〈計画が据え置き>予想したほど景気がよくならないので、工場拡張の計画は据え置きとなった。 **すえおく【据え置く】** ○設置する。そのままにしておく。預金などを引き出さずにおく。[文例]〈運賃を据え置く〉タクシー運賃はもう三年も据え置かれていて、そろそろ値上げの話が出そうです。♠ヘ計画を据え置く〉地価の高騰[こうとう]が原因で、公園建設が据え置かれたままだ。♠へ預金を据え置く〉先日満期になった定期預金ですが、使うあてもないので据え置いています。 **すえつ・ける【据え付ける】** ○取り付ける。設置する。[文例]〈機械を据え付ける〉工場は最新の機械を据え付け、フル回転で操業しています。♠〈鏡を据え付ける〉車庫の入り口の両側に大きな鏡を据え付けてから、車の出し入れがずいぶん楽になりました。♠ヘカメラを据え付ける〉銀行やスーパーマーケットでは、盗難などの犯罪防止のために防犯カメラを据え付けている。 **すえひろがり【末広がり】** ○先端の方が広がっている形。次第に栄えていくこと。扇子[せんす]。[文例]〈末広がりに広がる研究を続けていくうちに読まねばならない書物が増え、博士の読書量は末広がりに広がっていきました。♠へ末広がりに開ける〉贈[おく]られた扇子には、その形のように家運が末広がりに開けていくようにという願いがこめられていた。♠〈末広がりの格好>漢字の「八」は末広がりの縁起[えんぎ]のいい格好なので、お店の屋号などにもよく使われる。 **す・える【据える】** ○動かないように置く。席や地位につかせる。落ち着かせる。[文例]〈ぜんを据える>宴会場には、おぜんが据えられ、おいしそうな料理が並んでいた。♠へ火鉢を据える>朝になると、母は、茶の間に据えられている火鉢におこした炭を入れ、やかんをかけた。♠へ機械を据える父の工場に、新しい機械が据えられ、試運転が始まった。♠〈上座[かみざ]に据える〉新郎新婦[しんろうしんぶ]を上座に据えると、パーティーが始まった。♠議長に据える〉彼を議長に据えて、会議は始まった。♠へ腰[こし]を据える〉三年生になったら、腰を据えて勉強するつもりだ。♠〈性根[しょうね]を据える〉いつまでも遊んでばかりいないで、これからは性根を据えて働きなさい。♠へおきゅうを据える>授業中に漫画[まんが]を読んでいるのが見つかって、先生におきゅうを据えられた。♠へ度胸[どきょう]を据える不良にからまれている女の子を助けてやろうと、ぼくは、度胸を据えて近づいていった。♠く腹に据えかねる〉あいつのずうずうしい態度は、まったく腹に据えかねるよ。♠〈目を据える〉目を据えてよく見てごらん、幽霊[ゆうれい]でもなんでもありゃしない、ただの枯れ木だよ。 <543> **す・える(饐える)** ○腐ってすっぱくなる。[文例]〈すえたにおい>牛乳をコップにあけて鼻に近づけてみたが、すえたにおいがしてとても飲めそうになかった。 **ずかい【図解】** ○図で説明すること。また、説明のための図。[文例]〈図解がある〉一つでも図解があれば、くどくど説明の言葉をつらねなくてもわかったのに。♠へ図解が入る〉組み立ての説明書には、わかりやすい図解が入っていた。♠〈図解する〉この部分の構造は図解して説明しましょう。 **すがお【素顔】** ○化粧[けしよう]をしていない顔。ありのままの姿・状態。酒に酔っていない時の顔。[文例]〈素顔が美しい〉大田さんは、お化粧をしないままの素顔がとても美しい人だ。♠<写真と素顔>あの人は、やはり、写真より素顔のほうがいい。♠〈素顔が出る〉日記の中に、この作家の素顔が出ていると思った。♠◇日本の素顔>日本を理解してもらうために、日本の素顔を世界の人々にもっと紹介[しようかい]すべきだ。 **すかさず【透かさず】** ○時間をおかず。すぐに。[文例]ポチは、わたしを見つけると、すかさず飛びついてきて、顔をペロペロとなめた。♠絶好球をすかさずとらえれば、きみのスイングだったら、必ずホームランになると思うよ。♠「その売り場は五階です。」と、受付の女性は客の質問にすかさず答えた。♠生徒会長に立候補したぼくが演説会で絶句[ぜつこう]すると、会場からすかさずやじが飛んできた。♠味方の軍勢は、城の北側の守りが弱いと知ると、すかさずそこに攻め込んだ。 **すかし【透かし】** ○すきまを作ること。また、その部分。透かすと浮き出る模様や文字。[文例]〈透かしが入る〉ニセ札が作られることを防ぐために、お札には透かしが入っています。♠へ透かし模様〉和室の障子には、光に当たると浮き出る透かし模様がついていた。♠へ肩すかし〉ひとつ文句を言ってやろうと思って出かけたのに留守で、肩すかしを食った。 **すか・す【透かす】** (空かす)○すきまを作る。すきまを通して見る。光源に向け、かざして見る。からにする。音のしない屁[へ]をする。きどる。[文例]〈間を透かす〉木の間を透かして見ると、奥の方で赤鬼[あかおに]たちが、酒盛りをしていた。♠〈光に透かす〉洞[どう]くつに入ってきた人の顔を、外の明るい光に透かして見ると、死んだと思っていた船長だった。♠へ明かりに透かす〉お酒の入った茶色のびんを明かりに透かして、残りの量を見た。♠へ透かして見る〉コップを透かして見ると、中の水が濁[にご]っているのがわかった。♠へ腹をすかす〉腹をすかした野良猫[らねこ]が、ポリバケツの中の残飯[ざんぱん]をあさっていた。♠〈おならをすかす〉父さんは、音の出ないようにおならをすかすが、いつもにおいでばれてしまう。♠へすかしたかっこかう〉あれ、サブのやつ、すかしたかっこうで歩いてくるぞ。 **すかす(賺す)** ○きげんを取る。なだめる。だます。[文例]〈おどしたりすかしたり〉おどしたりすかしたりして、やっと言うことを聞かせる。♠へなだめすかす〉ぐずる子をなだめすかして、なんとかここまで歩いてきた。 **すがすがしい(清清しい)** ○さわやかで気持ちがよい。[文例]〈すがすがしい朝〉とてもすがすがしい山の朝です。♠へすがすがしい空気〉湖のほとりの小屋は、周りをすがすがしい空気に包まれています。♠〈すがすがしい風すがすがしい高原の風をうけながら、この絵はがきを書いております。♠へすがすがしい気持ち〉思いがけず駅員から、「おはようございます。」と声をかけられて、すがすがしい気持ちで会社に向かった。♠へすがすがしい表情>悩み事が解決したらしく、今日の姉さんはすがすがしい表情になっていた。♠〈すがすがしい声「ありがとう。」と言って歩み去[さ]った少年のすがすがしい声を、今でも覚えている。 **すがた【姿】** ○体つき。みなり。それと分かる形・影。かっこう。ありさま。おもむき。[文例]〈姿がいい〉彼女は顔立ちがいいいうえにとても姿がいい。♠く姿を映[うつ]す〉わたしは鏡に自分の姿を映してみた。♠へ姿をする〉大男と小男、この対照的な姿をした二人が出会う場面から物語は始まった。♠〈女の姿>雪女は、大雪の夜、真っ白な着物を着た女の姿をして現れる雪の精だといわれている。♠〈姿を現す〉じいさんが、沼[ぬま]に姿を現すと、大きな音とともに、ガンの大群が飛び立ちました。♠へ姿を消す〉ふと辺りを見回すと、部屋の中にいた人々は、どこかに姿を消していた。♠へ姿をくらます〉いったいどこに姿をくらましたのか、彼らの行方[ゆくえ]はさっぱりわからなかった。♠へ姿を見る>警官の姿を見て、どろぼうはあわを食って逃げていった。♠へ姿がない〉カバンをまちがえたことに気づいて、すぐに引き返したが、すでに男の姿はそこになかった。♠〈生[なま]の姿〉人間はいつどんなところで生の姿が現れるか分からない。♠〈成長する姿〉この作品は、主人公が感情豊かな少年に成長する姿を描いたものです。♠へ変わり果てた姿>元気よく出陣した兵士が、変わり果てた姿で帰ってきた。♠〈元の姿に戻[もど]る>壊[こわ]された自然が元の姿に戻るのに、少なくとも百年はかかるだろう。♠〈姿が浮かぶ>教会の塔[とう]が夕映[ゆうば]えの中に、がっしりした姿を浮かび上がらせている。♠〈土地の姿>地図は、実際の土地の姿を紙の上に写したものである。♠〈基本の姿>俳句は、五・七・五の合計十七音が基本の姿です。♠〈後ろ姿二人 <544> は、目に涙をいっぱいためて、去っていく友人の後ろ姿を見送っていた。♠へ姿形[すがたかたち]>ヒキガエルは姿形が醜[みにく]いだけでなく、人間に不幸をもたらす動物だという俗説が古くからあった。♠<武者[むしゃ]姿>彼の武者姿は、戦場において水ぎわだった華やかさを示していた。♠ヘズボン姿>ズボン姿で足を開いて立ったところは、まるで製図用のコンパスそっくりだった。 **すがりつく【すがり付く】** (縋り付く) ○頼りとして取りつく。しがみつく。[文例]〈柱にすがりつく〉悔[くや]しさのあまり、わたしは柱にすがりついて泣きました。♠く体にすがりつく>男は、体にすがりつく子供たちを振り払うと、ものすごい形相[ぎょうそう]で駆け去った。♠へ思い出にすがりつく〉昔の思い出にすがりついて生きている彼女がかわいそうだった。♠〈すがりつくような気持ち〉だんごを盗んでつかまった子は、すがりつくような気持ちで役人の前に立った。 **すが・る(縋る)** ○つかまる。寄りかかる。頼る。助けを求める。[文例]へ肩にすがる〉階段で転んで足を痛めたので、友人の肩にすがって家まで帰った。♠〈つえにすがる>手術後、初めてつえにすがって歩き、足ならしをした。♠へ体にすがる〉目の前で愛犬を失った少年は、その体にすがって泣いた。♠〈神にすがる〉自分は何の努力もしないで、神様にすがっても、助けてもらえないよ。♠〈他人にすがる>困難にぶつかると、すぐ他人にすがるような者は成功しない。♠〈情けにすがる>老婆[ろうば]は病気がちで働けず、今では人の情けにすがって生きていました。♠へそでにすがる〉涙をこらえていた娘[むすめ]も、ついに親切な主人のそでにすがって泣きだした。♠へすがるような目〉難しい問題を当てられたジローは、すがるような目でみんなに助けを求めた。♠へすがる人〉上京したばかりのぼくには、何かあっても、すがる人がいない。♠へすがりつく〉激[はげ]しい流れに押し流されつつも、なんとか対岸の木の幹にすがりつくことができた。 **すき【好き】** ○好むこと。気に入ること。物好きなこと。のまま。勝手。[文例]〈人が好き〉きみ、そんなに彼女のことが好きだったのか。♠〈好きなだけ>宿題もみな済ませたし、明日の日曜日は好きなだけ遊べるぞ。♠く好きな方〉頂上にたどり着くと、ぼくらは、てんでに好きな方へ向いて、「ヤッホー」と叫[さけ]んだ。♠〈好きでする〉命令されたことではなく、自分の好きでやっていることなら、いくら疲[つか]れても、苦にはならない。♠〈好きな時〉好きな時にいつでも遊びにいらっしゃい。♠〈好きなようにする>勉強部屋の壁[かべ]の色は、自分の好きなようにしていいと、父や母が言った。♠〈好きにする〉もう、好きにしなさい。後で困っても知らないから。♠〈好き嫌い〉わたしは、肉でも野菜でも、好き嫌いはなく、何でも食べられる。♠〈好き勝手〉他人の迷惑[めいわく]など考えずに、好き勝手なことばかりしている彼には、もう、忠告する友人もいなかった。♠〈好きこそものの上手なれ「好きこそものの上手なれ」というくらいで、兄はコンテストに入賞するほど写真の腕を上げた。♠下手の横好き>無器用なぼくは、どんなことをやっても、下手の横好きだとからかわれてばかりいる。 **すき【透き】** (隙)○すきま。ひま。油断。[文例]〈すきがある・ない〉バスはすでに満席で、ぼくが腰[こし]をかけるすきはまったくなかった。♠へ仕事のすき〉祖父は、畑仕事のすきをみては、幼いころの遊びの話をしてくれた。♠へすきを見る>男は、店員のすきを見ると、パンを盗んで逃げた。♠くすきができる〉しばらくバシバシと打ち合っていたが、そのうちぼくにすきができたらしく、相手の竹刀が面に当たった。♠〈すきをうかがう〉〈すきを見せる〉なんとか打ち込もうとすきをうかがったが、相手はなかなかそのすきを見せなかった。♠へすきを見つける〉相手チームのすきを見つけると、すかさずロングシュートを決めた。♠〈すきをねらう〉空でタカが獲物[えもの]のすきをねらっている。♠へすきがある。ない〉すりに財布をすられたのは、ぼくにすきがあったからだろうか。♠へ心のすき〉お人よしで、のんびりしている心のすきにつけ込まれ、他人に金をだまし取られてしまった人がいる。♠へひるんだすきに>最初の一撃[いちげき]で、けんかの相手がひるんだすきに、さっさと逃げ出した。♠〈油断もすきもない〉ちょっと目を放すとすぐいたずらを始めるんだから、油断もすきもないわねえ。 **すきこの・む【好き好む】** ○特に好む。[文例]ぼくだって、好き好んでこの年まで独身を通したわけではないんだよ。♠何も好き好んでこんな仕事を引き受けなくてもよかったのに。 **すぎさ・る【過ぎ去る】** ○過ぎてしまう。通り過ぎる。[文例]〈夏休みが過ぎ去る〉楽しい夏休みも、またたくまに過ぎ去ってしまう。♠へ時代が過ぎ去る〉自分の国のことだけ考えていればよかった時代はもう過ぎ去った。♠〈過ぎ去った昔>老夫婦は過ぎ去った昔を懐[なつ]かしんで、古いレコードにじっと耳を傾けた。 **すきずき【好き好き】** ○人それぞれに好みがあること。[文例]〈人の好き好き〉センスうんぬんといっても、着る物には人の好き好きがあるからね。♠〈蓼[たで]食う虫も好き好き〉蓼食う虫も好き好きとは言うけど、きみもまたずいぶん変わった女にほれたもんだね。 **すきとお・す【透き通す】** ○中が透いて見えるようにする。[文例]〈洋服を透き通す〉強い夏の日ざしがワンピースを透き通して、みちこさんのすらっとした体の線を浮き上がらせた。♠へ皮膚を透き通す〉病気でやせ細ったわたしは、皮膚を透き通して血管が浮き出るしまつだ。 **すきとお・る【透き通る】** ○中がすけて見える。透明である。澄んでいる。[文例]〈水が透き通る〉谷川の水は、都会の汚れた川の水とはまるで違い、きれいに透き通っていた。♠〈透き通る空〉台風一過の東京には、真っ青に透き通る空が広がっていた。♠〈透き通った声>少女の透き通った声がアルプスの山々に響きます。♠く透き通るように白い〉娘の肌の色は、透き通るように白かった。 **すぎな・い【過ぎない】** ○単に…だ。…以上・以外ではない。[文例]〈うわさに過ぎない>高山先生が結婚して学校をやめるらしいというのは、単なるうわさに過ぎなかった。♠一 <545> 例に過ぎない〉絶滅[ぜつめつ]の危機にある動物は世界に何種類もあり、パンダはその一例に過ぎない。♠〈風邪[かぜ]に過ぎない〉高熱が続いたので心配したが、医者の診断[しんだん]はただの風邪に過ぎないということだった。♠〈錯覚[さっかく]に過ぎない〉幽霊[ゆうれい]なんか出るわけないだろ、きみの錯覚に過ぎないよ。 **すきま【透き間】** (隙間) ○すいている部分。空虚な部分。あいた時間。油断した時間。[文例]〈すきまだらけ〉すきまだらけの小屋には、冷たい北風が吹き込んできた。♠〈岩のすきま〉高山植物が岩のちょっとしたすきまの土に根をおろして、小さな花を咲かせていた。♠合のすきま〉板戸のすきまから、外の月の光が暗い室内にすじのように入っていた。♠〈すきまがある〉電車の座席に少しでもすきまがあると、割り込んで腰[こし]をかける人がいる。♠〈心のすきま〉無気力になっていたぼくの心のすきまを、彼女が埋めてくれた。♠〈目を離[はな]したすきま〉母親がちょっと目を離したすきまに、小さな子が表通りへ駆け出して行った。♠へすきまなく〉警察がすきまなく張りめぐらした非常線を破って、犯人はまんまと姿をくらました。♠くすきま風〉風の強い冬の夜は、すきま風の冷たさで目を覚ますこともある。 **すぎる【過ぎる】** ○通過する。経過する。ある時が終わる。度をこえる。あまり立派でつりあわない。まさる。[文例]〈京都を過ぎる〉気がつくと、列車は京都を過ぎて大阪にさしかかっていた。♠へ時刻を過ぎる〉すでに時計は三時を回り、待ち合わせの時刻をとうに過ぎていた。♠へ時が過ぎる〉試合終了まであと三分、時は刻々と過ぎていきます。♠今日が過ぎる〉どうしようかと迷っているうちに、日がいたずらに過ぎていった。♠へ冬が過ぎる〉厳しかった冬も過ぎて、ようやく春の気配が漂[ただよ]ってきました。♠へあらしが過ぎる〉一行はあらしが過ぎるのを待って、無事下山した。♠へ盛りを過ぎる〉八月も半ばになると、夏も盛りを過ぎて、海辺を訪[おとず]れる人の数もだんだん少なくなってくる。♠ヘ二十歳[はたち]を過ぎる〉娘[むすめ]は、見たところ、二十歳を少し過ぎたばかりでまだ幼[おさな]さを残していた。♠〈過ぎたこと〉過ぎたことにいつまでもこだわっていてはいけないよ。♠へ〈度が過ぎる>親切も度が過ぎると、時としておせっかいになります。♠ヘ口が過ぎる〉何ですか、親に向かって。少し口が過ぎますよ。♠へいたずらが過ぎる〉ちょっといたずらが過ぎるんじゃないの。けがでもしたら大変よ。♠〈過ぎた品物〉入学祝いにいただいた時計は、とても上等で、中学生のわたしには過ぎた品物のように思えた。♠へ~にすぎない〉今お話ししたことは、ほんの一例にすぎません。同じようなことはほかにもたくさんあります。♠<読みすぎる「本を読みすぎて目が痛くなった。」と言いながら、弟は部屋から出てきた。♠へ大きすぎる〉兄のお下がりの制服は大きすぎて、えりの辺りがだぶだぶしていた。♠〈過ぎたるは及ばざるがごとし〉「過ぎたるは及[およ]ばざるがごとし」と言うように、何事もほどほどがいいですね。 **す・く【透く】** (空く)○すきまができる。透き通る。中の物が少なくなる。まばらになる。つかえがとれて、すっきりする。ひまになる。[文例]戸が透く戸が少しでも透いていると、すきま風が入るから、しっかり閉めなさい。♠へ間が透く>秋になって、木の葉が落ちると、木の間が透いてくる。♠<歯の間が透く>姉は、歯と歯の間が透いていることをとても気にしていて、あまり大きな口を開けない。♠へ透いて見える>底まで透いて見えるようなきれいな川は、都会ではめったにお目にかかれない。♠へ腹がすく〉朝食を食べてこなかったので、おなかがすいて、お昼が待ち遠しい。♠へ電車がすく〉季節はずれのせいか、海へ向かう電車はすいていた。♠〈道がすく>思ったより道がすいていたので、車は、約束の時間よりだいぶ早く着いた。♠〈胸のすく思い〉応援[おうえん]していた野球チームが九回裏で逆転したので、胸のすく思いを味わった。♠へ手がすく〉手のすいた人が手伝ってくれたので、教室の掃除[そうじ]が予定より早く終わった。 **す・く(梳く)** ○髪をくしでとかす。くしけずる。[文例]〈髪をすく〉姉は鏡台の前に座り、自慢の髪を丹念[たんねん]にすいています。♠〈毛をすく〉踊り子は道にしゃがみながら、桃色の櫛[くし]で犬のむく毛を梳いてやっていた。(川端康成[かわばたやすなり]「踊り子」) **す・く(漉く)** ○薄く平らにのばして紙や海苔[のり]などを作る。[文例]〈紙をすく〉木材を溶かして薄くのばし、紙をすく機械がずらりと並んでいた。♠へのりをすく〉海で採ってきた海苔をすだれの上に広げてすく作業が行われている。 **すく【好く】** ○好む。好きになる。愛情をもつ。心が引かれる。[文例]〈人に好かれる〉気立てがやさしくてよく働く娘だったので、村じゅうの人に好かれていた。♠人人を好く〉実を言うと、あたしはあの男を好いていたのさ。♠〈好かない男〉あいつは何かと言うと人のあげ足をとって、ほんとうに好かない男だな。♠へ好いた者同士〉好いた者同士が結婚できれば、それがいちばんめでたいことだ。 **すぐ(直ぐ)** ○ただちに。じき。ごく近く。すなお。[文例]話したいことがあるので、すぐ来てくれ。♠暴[あば]れ川なので、橋を架けてもすぐ流され、また架け直すといういたちごっこが続いた。♠へすぐにも〉パスポートが取れしだい、すぐにもアメリカへ出発します。♠〈もうすぐ〉もうすぐ夏休みだから、今のうちに計画を立てておこう。♠へすぐには〉慣用句の中には、その中の単語の意味からは、全体の意味をすぐには説明できないものもあります。♠へすぐの所〉家からすぐの所に、わたしの行きつけの床屋[とこや]さんがある。♠へすぐわき>歩道を自転車で来た小学生が自分のすぐわきを追いぬいていった。♠へすぐ鼻の先〉郵便局は駅のすぐ鼻の先にある。 **すくい【救い】** ○救うこと。助け。慰め。安らぎ。[文例]〈救いを求める〉火災を起こした船が、SOSの信号を出して、救いを求めていた。♠〈救いの手〉恵まれない人たちに救いの手を差しのべよう。♠へ救いになる〉苦しい生活であったが、幼い子供たちの元気な笑い声が大きな救いになっていた。♠へ救いのない世の中〉自分さえよければそれでよいという人が増えて、まったく救いのない世の中になったものだ。♠怠け者だが、人のよいのがあの男の救いだ。 **すく・う【救う】** ○力を貸して苦痛・困難・危険・堕落[だらく]などから逃れさせる。助ける。[文例]〈命を救う〉彼は、海でおぼれそうになった人の命を救ったので、今度、表彰[ひょうしょう]される。♠〈村を救う〉銅山の採鉱を停止すること、それ以外に村々を救う道はない。♠へ飢えから救う〉かんばつによる不作で、食べ物がなくて困っているアフリカの人々を、飢えから救ってあげよう。♠へ危機を救う〉彼の危機を救ったのは、彼自身の勇気であった。♠く苦を救う>救世観音[くせかんのん]は、世の中の苦を救うとして尊[とうと]ばれている観世音菩薩[かんぜおんぼさつ]である。♠〈信仰[しんこう]に救われる〉生きることに疲れて自暴自棄[じぼうじき]になっていたその人は、信仰によって救われたという。♠へ救われる〉一瞬[いつしゅん]気まずくなったその場の雰囲気が明るい彼の冗談[じようだん]で救われた。♠へ救われない〉毎日、まじめに働いているのに、給料がこの程度じゃあ、まったく救われないなあ。 <546> **すく・う(掬う)** ○くみとる。上へ取り出す。下から上へ持ち上げる。[文例]〈水をすくう〉きれいな山のわき水を両手ですくって、ひと口、ふた口と飲んだ。♠〈さじですくう〉びんのジャムをさじですくって、パンにつけて食べた。♠ヘバケツですくう〉庭の池のゴミをバケツですくって捨てた。♠〈魚をすくう〉魚をすくおうとしたら、網[あみ]に穴があいていて、逃げられてしまった。♠〈足をすくう〉いたずらっ子に、不意に足をすくわれて、ぼくは転んでしまった。♠へ足をすくう〉他人の足をすくって出世しようとする人は、けっこう多いものだ。♠〈土をすくう〉たんぽの土を、シャベルであぜにすくい上げた。 **すく・う【巣くう】** ○巣をつくる。たまり場にする。場所を占める。[文例]〈鳥が巣くう〉深い森の奥にカラスが巣くっていた。♠へ盛り場に巣くう〉夜の盛り場に巣くっている暴力団を一掃[いつそう]しようと、町の人々は努力していた。♠へ心に巣くう〉もうどうなってもいいという投げやりな気持ちが、そのときのぼくの心に巣くっていた。 **すくな・い【少ない】** ○少ししかない。わずかである。[文例]〈量が少ない〉お母さんが分けてくれたお菓子を、わたしと弟は、多いだの少ないだのと言って文句をつけた。♠へ数が少ない>水田の害虫を除くために農薬がまかれ、ホタルの数はどんどん少なくなってきた。♠へ人の往来が少ない〉この町は、日が暮れるととたんに人の往来が少なくなる。♠へ雨が少ない〉今年は、雨が少ない年だった。♠<耕地が少ない〉山間部では、耕地が少なくて、農業だけでは生活が苦しかった。♠〈心配が少ない〉ここまで差をつければ、追いつかれる心配は少ないだろう。♠へ変化が少ない〉四季のある日本と違って、この国は気候の変化が少ない。♠〈被害[ひがい]が少ない〉洪水[こうずい]による被害を少なくするために、堤防[ていぼう]を築いて村を守ろうとした。♠へ収入が少ない〉彼は、少ないながら定まった収入を得ることができて、喜んでいる。♠ヘ口数が少ない〉口数の少ない、どちらかというと話し下手な人だった。♠〈言葉少なく〉それまで、言葉少なく考え込んでいた男は、顔を上げるなり話し始めた。♠〈少なくとも〉この歌がはやったのは、少なくとも五年以上前だ。♠〈少なからず>遊んでばかりいる彼が百点を取ったと聞いて、ぼくは少なからずショックを受けた。♠〈少なくない>漢字には、音[おん]が二つあるものが少なくない。 **すく・む(竦む)** ○緊張して体が動かない。ちぢこまる。[文例]〈足がすくむ〉高いがけから下を見下ろしたら、足がすくんでしまった。♠へ体がすくむ〉大きなクマににらまれて、キツネは体がすくんで動けなくなった。♠へ身がすくむ>雲をつくような大男が向かってくると、一瞬[いつししゅん]、身がすくんだ。♠へすくみ上がる〉いつも静かな父さんが、たまに怒[おこ]ると、すくみ上がってしまうほどこわい。♠〈立ちすくむ〉大きな犬が通りにいたので、少女は思わず立ちすくんでしまった。 **すく・める(竦める)** ○すくませる。縮める。小さくする。[文例]肩をすくめる〉しかられた子は肩をすくめ、くるっと振り返るとぺろっと舌を出しました。♠〈首をすくめる〉カメはびっくりしたのか甲羅[こうら]の中に首をすくめてしまった。♠へ体をすくめる〉名前を呼ばれた子熊さんは、恥ずかしがって大きな体をすくめ、真っ赤になってしまった。♠〈抱きすくめる>無事なわが子の姿を見つけると、母親はしっかりと両手で抱きすくめました。♠〈射[い]すくめる〉山男の眼光に射すくめられたぼくたちは動けなくなった。 **すぐ・る(選る)** ○選び出す。よりぬく。[文例]〈精鋭[せいえい]をすぐる〉大事な試合だけに、調子のいい精鋭をすぐって先発メンバーとしました。♠へえりすぐる〉家にあったみかんの中から特においしそうなやつをえりすぐって持ってきた。♠〈よりすぐる〉会員の中から信頼の厚い人たちをよりすぐって、委員に任命することになった。 **すぐれて【優れて】** (勝れて)○きわだって。特別に。[文例]社会の高度な情報化現象というのは、すぐれて今日的な問題である。♠利にまどふは、すぐれて愚かなる人なり。(「徒然草[つれづれそう]」) **すぐ・れる【優れる】** (勝れる)○ひいでる。まさる。よい状態である。[文例]<英語が優れる〉彼はどの学科もよくできるが、特に英語が優れている。♠へすべての点で優れるこの製品は丈夫[じょうぶ]で汚れず、その他すべての点で優れています。♠〈人並み優れる〉ピアニストとして、彼の才能は人並み優れたものであった。♠へ運動神経が優れる〉彼は、運動神経が優れていて、百メートルと走り幅跳びの県大会の記録を持っている。♠へ優れた芸術>優れた芸術は、時代や国を越えて、人々に愛される何かを持っています。♠へ優れた業績>鷗外[おうがい]は、数多くの作品を発表し、漱石[そうせき]とともに優れた業績を残した。♠優れた腕[うで]>二十年間病院に勤めるおばは、看護婦として優れた腕を持っている。♠へ気分がすぐれない>弟は、風邪[かぜ]で気分がすぐれないと言って、朝から寝ていた。♠へ顔色がすぐれない〉彼は、近ごろ顔色がすぐれないので、体の具合でも悪いのではないかと気がかりだ。♠人健康がすぐれない>母は、この二か月、健康がすぐれず、寝たり起きたりの生活をしている。 **ずけい【図形】** ○図の形。線・点・面からなる形。[文例]〈図形を描く〉コンピュータは文字だけでなく、さまざまな図形を描くことができる。♠〈平面図形・立体図形〉円や正方形や <547> 三角形は平面図形、球や立方体や角柱は立体図形です。 **スケール** ○目盛り。物差し。長さを測る器具。規模。大きさ。[文例]〈雄大なスケール>日本アルプスが雄大なスケールでそびえている。♠空前のスケール〉万博は、世界中の国が参加し、空前のスケールで開かれている。♠ヘスケールが大きい〉彼は、目先の利益にとらわれず、いつも十年二十年先のことを考えるスケールの大きい実業家です。♠ヘスケールが違う〉さすがはアメリカ、一面に広がるとうもろこし畑の広さも日本とはスケールが違う。 **スケジュール** ○予定・予定表。日程・日程表。[文例]〈スケジュールを組む>夏休みのスケジュールを組んでみたが、これじゃあ、勉強ばかりで遊ぶひまがないよ。♠ヘスケジュールをこなす〉大学生の兄は、勉強とアルバイトをスケジュールどおりにうまくこなしている。♠ヘスケジュールを立てる〉スケジュールを立てる時、まず第一に実行可能かどうかを考えよう。♠へ旅行のスケジュール〉〉いくらあちこち見物したいからって、そんな欲張った旅行のスケジュールは無理だよ。♠ヘスケジュールに入れる〉ぼくたちの学校では、農村合宿をスケジュールに入れたユニークな修学旅行を計画している。 **スケッチ** ○写生。写生画。写生文。小曲。[文例]〈スケッチをかく〉丘[おか]から見るわが町のスケッチを二、三枚かいておこう。♠ヘスケッチする〉修学旅行でスケッチした絵や写真を、大切な記念としてアルバムにはった。♠へ作文にスケッチする〉教室の窓から見えるものや、聞こえてくる音の様子を作文にスケッチしよう。♠ヘスケッチを見る〉テレビの外国語番組は、まず短いスケッチを見てから、その日の勉強が始まります。♠ヘスケッチブック〉彼のスケッチブックには、火山[かざん]の噴火[ふんか]の様子がたんねんに描[えが]かれている。 **すげな・い(素気無い)** ○そっけない。つれない。[文例]くすげない返事〉もっと喜んでくれると思ったのに、彼女のすげない返事にぼくはがっかりしてしまった。♠へすげなく言う〉「きみはくびだ、あしたから来なくていいよ。」と、店長はぼくの顔も見ずにすげなく言った。♠〈すげなく断る〉お金を借りるつもりだったが、言い終わらないうちにすげなく断られてしまった。 **す・ける【透ける】** ○物を通して向こうのものが見える。[文例]〈中が透ける〉庭の中が垣根[かきね]から透けて見えるので、だれかいればすぐにわかります。♠〈肌が透ける〉薄いシャツなので肌が透けています。♠へ跡が透ける>筆圧の強い彼の字は、消しゴムで消しても透けて見える。 **す・げる(箝げる)** ○はめ込む。差し込む。穴に通して取り付ける。[文例]〈鼻緒[はなお]をすげる〉切れた下駄の鼻緒を、おじさんはハンカチを裂[さ]いてすげてくれました。♠へ人形の首をすげる>目や鼻や口を描き終えた人形の首を胴体[どうたい]にすげるのは母の仕事です。♠〈首をすげ替える〉新製品の売り上げが悪かったことを理由に、会社は宣伝部長の首をすげ替える決定をした。 **すごい(凄い)** ○ぞっとするほど恐ろしい。びっくりするほどすばらしい。程度がはなはだしい。[文例]〈すごい風〉ビューッとすごい風が吹いて、洗濯物[せんたくもの]を飛ばしてしまった。♠〈すごい顔>今日で四日連続遅刻[ちこく]してしまったので、先生はすごい顔で怒[おこ]った。♠へすごい声>夜になると、おりの中のライオンは、すごいうなり声をあげた。♠へすごい腕前[うでまえ]>あいつは、ガラス細工にかけてはすごい腕前を持っている。♠〈すごい評判〉すごい評判だという映画を家族そろって見に行った。♠へすごい速さ〉大きなイルカがすごい速さで、ぐんぐんと岸辺へ近づいてきた。♠〈すごい星>山小屋から出てみると、外は無数に輝[かがや]くすごい星だった。♠へすごく険しい〉すごく険しい山道を歩いて、ぐったりして山小屋にたどりついた。♠ソフトボール大会で優勝したんだって?すごいな! **すこし【少し】** ○わずかに。ちょっと。[文例]〈少し大きい〉この靴、少し大きいようだけど、歩いていて脱[ぬ]げてしまわないかな。♠へ少し休む〉疲れたので、少し横になって休んだ。♠〈少ししかない〉小遣[こづか]いの残りは、もう少ししかなかった。♠<少しずつ>生まれた日から、人間は少しずつ成長を続けていく。♠へもう少し>彼の言葉に、もう少しで怒り出すところだったが、やっとのことで踏みとどまった。♠へほんの少し>ほんの少しの望みを頼りに、今までがんばってきた。♠へ少しばかり〉十分ほど走ると、道は少しばかり上り坂になった。♠へ少しは〉わがままばかり言ってないで、少しは他人の気持ちも考えなくてはいけないよ。♠少しだけ〉おいしそうなお菓子だね、と言ったら、弟は少しだけ分けてくれた。♠少しでも>虫歯だと思ったら、歯医者さんに行くのは少しでも早いほうがいいよ。♠〈少しも~ない〉試合に勝って興奮[こうふん]していたせいか、少しも寒さを感じなかった。♠へ少しして〉それから少しして、彼が顔を見せた。 **すご・す【過ごす】** ○時間を経過させる。暮らす。度をこす。…するままにしておく。[文例]へ一時を過ごす〉ボートをしまってから、日が暮れるまでの一時を二人は楽しく過ごしました。♠へ一晩を過ごす〉ぼくは、生まれて初めて、雪に閉ざされた列車の中で一晩を過ごしました。♠〈夏休みを過ごす〉家族で旅行に出かけたり、海水浴に行ったりして、楽しい夏休みを過ごした。♠〈六年間過ごす〉あの丘の中腹にあるのが、わたしたちが六年間過ごした小学校だ。♠へ冬を過ごす〉日本の冬はこたつやストーブなしでは過ごされない。♠〈度を過ごす〉何事も度を過ごすと害になるので、気をつけよう。♠〈見過ごす〉よく点検したはずなのに、小さなミスを見過ごしていた。♠〈寝過ごす〉目覚まし時計が鳴らず、寝過ごしてしまった。♠へやり過ごす〉込んでいたので、電車を一台やり過ごして次のに乗った。 **すこぶる(頗る)** ○おおいに。たいへん。[文例]このお店のアイスクリームは、子供たちの間にすこぶる人気がある。♠ぼくのおじいさんは、八十歳を過ぎても病気一つせずすこぶる元気だ。♠〈すこぶる付き〉なんてったってすこぶる付きの美人だから、周りの者がほうっとかない。 **すごみ(凄み)** すごい様子。すごさ。おどし文句。[文例]〈すごみを感じる>監督の訓示はいつになく厳しいもので、すご <548> みを感じるほどだった。♠へすごみがある〉男はその筋の者かと思うほど、すごみのある顔をしていた。♠くすごみをきかせる〉陰[かげ]の実力者Mが鋭い目つきですごみをきかせると、会場は静まり返った。 **すご・む(凄む)** ○すごみのある態度をとる。おどす。[文例]強盗[ごうとう]は包丁[ほうちよう]をちらつかせて、金を出せとすごんだ。♠へすごんで見せる〉人相の悪い男がちょっとすごんで見せると、子供たちはふるえ上がってしまった。 **すこやか【健やか】** ○健康なさま。健全なさま。[文例]〈健やかに育つ>元気な子供は二人とも、すくすくと健やかに育ちました。♠く健やかな成長>子供の健やかな成長を願うように、五月の空に、こいのぼりがはためいていた。♠く健やかな寝息[ねいき]>さっきまで泣いていた赤ん坊が、すやすやと健やかな寝息をたてている。♠く健やかな心と体〉子供は、遊びを通して自然のいぶきとじかにふれ、健やかな心と体をはぐくむ。♠く健やかな精神〉決して楽しいことばかりではない社会に出ても、健やかな精神でいてほしいと思います。♠〈心健やか〉この子たちが心健やかな子供に育ってくれればよいと思っている。 **すさび(遊び)** ○思うままにするなぐさみごと。[文例]<筆のすさび三十年間筆のすさびに書き記した日記を読み返してみました。♠へ老いのすさび〉独り暮らしの老いのすさびにこけしなどを作っています。♠ヘ折々のすさび〉晴れた夜の空の星を見る。これは翁[おきな]が自然科学の記憶を呼び返す、折々のすさびである。(森鷗外[もりおうがい]「妄想[もうそう]」)♠<手すさび〉わたしの絵などほんの手すさびで、とてもお見せできるようなものではありません。 **すさ・ぶ** ♪すさ・む **すさまじ・い(凄まじい)** ○ものすごい。恐ろしいほどだ。あまりにもひどい。[文例]〈すさまじい形相[ぎようそう]>山うばは、二人をつかまえようと、すさまじい形相で追いかけてきた。♠〈すさまじい音〉いなびかりがしたと思ったら、ゴロゴロとすさまじい音がとどろいた。♠へすさまじい勢い〉地響[じひび]きとともにすさまじい勢いで、山の土砂[どしゃ]が流れ落ちてきた。♠〈すさまじい速さ〉すぐわきをすさまじい速さで、スポーツカーが駆け抜けていった。♠へすさまじく大きい〉アメリカの航空母艦[ほかん]は、ぼくが今までに見た船とは比べものにならないくらい、すさまじく大きかった。♠〈すさまじい点数>この間のテストでは、人には言えないようなすさまじい点数を取ってしまった。 **すさ・む(荒む)** ○激しくなる。荒れる。気持ち・性格がとげとげしくなる。すさぶ。[文例]〈すさんだ生活>妻と別れてから、彼は投げやりなすさんだ生活を送っていた。♠へ心がすさむ〉自信をもっていた仕事に失敗したぼくはやけになり、心はすさむいっぽうだった。 **ずさん(杜撰)** ○誤りが多いさま。いいかげんで手落ちが多いさま。(中国で杜黙[ともく]の作品に規則外れが多かったことから。)[文例]〈ずさんな計画〉きみが立てたずさんな計画では、成功はおぼつかないだろう。♠〈ずさんな工事>土木業者のずさんな工事に市民の非難が集まった。♠くずさんなやり方〉そんなずさんなやり方で、住民の信頼[しんらい]が得られると思っているのだろうか。♠へずさんな編集〉この本は、あちこちに誤字があって、あまりのずさんな編集ぶりにあきれてしまった。 **すじ【筋】** ○筋肉の繊維。筋肉。繊維。血管。細長いもの。しま。血統。物語などの大まかな組み立て。道理。手順。素質。関係のある方面。[文例]〈足の筋〉まちがった方法で走り続けていると、やがては足の筋を痛めることになります。♠へ筋をちがえる〉どうも筋をちがえたらしい。朝起きてからずっと首が痛い。♠へ青い筋を立てる〉道に出た枝[えだ]から柿[かき]をちょいと失敬したら、おやじが額に青い筋を立てて追いかけてきた。♠へ筋の多い肉〉何だか固くて、やけに筋の多い肉だなあ。♠〈野菜の筋〉筋のある野菜は、便秘[ぼうレ]を予防する働きを持っています。♠〈筋が入る〉一高の学生らしく、黒い学生服にマントを羽織り、頭には白い筋の入った帽子をかぶっている。♠へ藤原[ふじわら]氏の筋〉落ちぶれてはいるが、元をたどれば藤原氏の筋を引く名門の出である。♠<話の筋〉物語を読むとき、つい話の筋を追うことに熱中して、かんじんなことを見落とすことがあります。♠へ筋を通す〉その問題だったら相手に筋を通してあるので、何も心配はいりません。♠〈筋が通る〉働かないでお金だけ欲しいとは、ひどく筋の通らない話だね。♠へ〈筋が違う〉経営の失敗から生じた赤字を解消するために、運賃を値上げするというのは、筋が違うと思います。♠筋がいい〉まだ始めたばかりのテニスだが、なかなか筋がいいとコーチに褒められたわ。♠信頼できる筋〉信頼できる筋が明らかにしたところによると、A国大統領が本日未明死去しました。♠へその筋〉客とのトラブルに十分注意をはらうようにと、その筋からの通達があったばかりなのに……。♠<願いの筋〉本日は、あなた様にお願いの筋があって参りました。♠〈川筋〉町外れを流れる川筋に料亭[りょうてい]が並んでいて、三味線[しゃみせん]の音が聞こえてきます。♠〈ひとすじ〉歌ひとすじに生きた歌手のほおに、涙[なみだ]が光っています。 **ずし【図示】** ○図で示すこと。[文例]〈図示する〉首相の血縁関係を図示したのが下の図です。♠<図示する〉人口の変化を図示したものがあれば、山村の過疎の進行がもっとはっきりすると思います。 **すじがき【筋書き】** ○物事のあらまし、小説・劇などのあらすじを書いたもの。もくろみ。[文例]〈芝居の筋書き〉芝居はこれでもかこれでもかと主人公を痛めつけ、最後にあっと言わせる筋書きになっていた。♠へ筋書きにない>思わぬじゃまが入ったため筋書きにないことが起こって、さんざんなデートだった。♠筋書きどおり〉ここまでは筋書きどおりに話が進み、ぼくたちは心の中でニンマリとしていました。 **すじがね【筋金】** ○補強用に中に入れる細長い金属。主義・主張を支えるしっかりした精神。[文例]〈筋金が入る〉彼は、信念に従って行動する筋金の入った人間だ。♠へ筋金入り〉きみって根性のある筋金入りの男だね。 <549> **ずしき【図式】** ○図で表す方式。また、その図。物事の組み立て・つながり。[文例]〈図式で示す〉需要と供給の関係をわかりやすく示したのが次の図式です。♠へ図式が成り立つ〉法人税を減税すれば、そこで浮いた金が政治献金として政治家に回るという図式が成り立つ。♠〈図式になる〉彼がこの製品を熱心にすすめるのは、売り上げの一部が彼の懐[ふところ]に入るという図式になっているからさ。♠<図式的〉派閥[はばつ]をなくせば政治がよくなるというのは、ちょっと単純で図式的すぎる考えだ。♠く図式化〉両者の関係をわかりやすく図式化してみよう。 **すじちがい【筋違い】** ○無理な動きで筋を痛めること。道理から外れていること。見当違い。[文例]〈筋違いを起こす〉寝相が悪いと、首の筋違いを起こします。♠へとんだ筋違い〉失敗をぽくのせいにするのは、とんだ筋違いだよ。♠〈筋違いな話〉そんな筋違いな話をされても迷惑[めいわく]です。 **すしづめ【すし詰め】** (鮨詰め)○すきまなく詰まっていること。[文例]〈教室がすし詰め〉かつて都市部の学校は生徒数の急増で、教室はすし詰めの状態だった。♠へ電車がすし詰め〉ストの影響を受けて電車は満員すし詰め、身動き一つできませんでした。 **すじみち【筋道】** ○順序。手順。道理。[文例]〈筋道を立てる〉聞く人によくわかるように、筋道を立てて話す練習をしましょう。♠へ筋道が通る〉金だけ取っておいて品物を渡さないというのでは、筋道が通らないよ。♠へ筋道を整える>意見を発表するときには、筋道を整えてから始めないと、相手を納得させることはできない。♠へ筋道をたどる〉文章の筋道をたどりながら読むことは、作文の力をつけることにも役立つ。♠へ筋道を追う〉話があちこち飛んでよくわからないから、筋道を追って、きちんと説明してくれませんか。♠〈筋道を踏む〉向こうは気難しい人だから、きちんと筋道を踏んでお願いしなさい。♠〈物事の筋道>事前に許可を得てから実行する、それが物事の筋道というものだ。 **すじょう【素性・素姓・素生】** (種姓)○血筋。生まれ育ち。身元。由緒。由来。[文例]〈素性が知れない>素性の知れない者をこの家に入れるわけにはいかない。♠へ素性を明かす〉知り合って半年もたったころ、彼はようやく自分の素性を明かした。♠へ素性が確か〉壺[つぼ]を手に取ると、客は、「素性は確かなんだろうね。」と主人に念を押した。♠〈氏素性[うじすじょう]>店の使用人は氏素性のはっきりしたのがいい、と主人は思っていた。 **ずじょう【頭上】** ○頭の上。[文例]〈頭上を見上げる〉ゴーという音に頭上を見上げると、ジェット機が飛んでいた。♠〈頭上に注意する〉ビルの建築現場を通るときは、頭上に注意しよう。♠頭上に輝[かがや]く>優勝の栄冠は、どの選手の頭上に輝くでしょうか。 **すす(煤)** ○煙と一緒に出る黒い粉。また、それがほこりと一緒になって付いた物。[文例]〈すすがつく〉暖炉[だんろ]の内側にはべったりとすすがついていた。♠へすすがたまる〉大掃除の時には煙突[えんとつ]にたまったすすをかき出します。♠へすすが出る〉古い石炭ストーブから出るすすで、天井[てんじよう]は真っ黒になっていた。♠くすすを払う〉仏様のすすを払うと、見ちがえるほどの輝きを取り戻しました。 **すず【鈴】** ○振って鳴らす球状の鳴り物。[文例]タマの首には、真っ赤なリボンとかわいらしい鈴がついている。♠へ鈴の音〉山の方から、メエメエという羊の鳴き声と、カランコロンという鈴の音が聞こえてくる。♠〈鈴が鳴る〉釣りざおの先には鈴がついていて、あたりがあるとチリンチリンと鳴るしかけになっていた。♠へ鈴を転がすよう「お早うございます。」と、少女は鈴を転がすような声をかけてくれた。♠〈猫の首に鈴をつける〉ワンマン社長をいさめるためによい意見がいくつか出たが、さて、だれが猫の首に鈴をつけに行くかという段になると、みんな下を向いてしまった。 **すすき(薄・芒)** ○イネ科の多年草。秋に黄褐色の穂を出す。尾花[おばな]。[文例]今夜は中秋の名月、おだんごとすすきを供[そな]えてお月見をしましょう。♠へすすきの穂〉秋の花々が散り終わって枯れたあと、川原には白いすすきの穂が揺れていた。♠をりとりてはらりとおもきすすきかな(飯田蛇笏[いいだだこつ]) **すす・ぐ(漱ぐ・雪ぐ・濯ぐ)** ○うがいをする。汚れや洗剤を流し落とす。除き去る。[文例]〈口をすすぐ〉手を洗って口をすすいでから、おやつにしなさい。♠〈洗濯物をすすぐ>洗剤が残らないように、洗濯物を水でよくすすぎます。♠汚名[おめい]をすすぐ〉裏切り者の汚名をすすぐためには、密告者を見つけなければならない。♠〈恥をすすぐ〉父が受けた恥をすすぐため、新之介[しんのすけ]は自らの手で事の真相を確かめることにした。 **すす・ける(煤ける)** ○すすが付いて黒ずむ。文例]〈天井がすすける〉いろりから出る煙で天井はすすけて真っ黒になっている。♠くすすけたランプ〉天井からちっぽけですすけたつりランプがぶら下がっていた。♠〈すすけた顔>炭焼き小屋からおじさんがすすけた顔を出しました。♠くすすけた風景>工場地帯は、すすけた風景が広がっているばかりです。 **すずし・い【涼しい】** ○気温が低く気持ちがよい。目や声が澄んでいて美しい。さわやかだ。平気だ。[文例]〈夏でも涼しい〉この高原は、標高[ひようこう]が高いので、夏でも涼しい。♠ヘ涼しい風〉涼しい風が開け放した窓からそよそよと吹いてくる。♠<涼しい気候〉マガモは、北海道のような涼しい気候の所でなければ夏を越さないと考えられていました。♠ヘ涼しい音〉さらさらと涼しい音をたてて、今日もまた川は流れている。♠〈涼しい感じ>青は、冷たく涼しい感じのする色で、見る人の心に落ち着きを与える。♠〈涼しい目もと>彼女は、二重[ふたえ]まぶたで涼しい目もとをしています。♠へ涼しい顔>ぼくが貸した本を汚したのに、あいつは涼しい顔をしている。 **すす・む【進む】** ○前に出る。先へ行く。目ざす方へ行く。上の段階に行く。進歩する。進行する。はかどる。時計が実際より先の時を示す。悪化する。乗り気になる。[文例]〈先に進む>五十センチも積もった雪に足をとられ、ちっとも先に進まなかった。♠へ前に進む〉教室の窓ガラスを割ったものは、 <550> 先生の前に進みなさい。♠へ進むべき道>病気の父をやさしく看病してくれる看護婦さんを見て、自分の進むべき道はこれだと思った。♠〈道に進む〉きみは、これからどういう道に進んでいきたいのかね。♠へ中学に進む〉中学に進むと勉強も一段と難しくなった。♠へ研究が進む〉ガンの特効薬の研究も、一歩一歩進んでいる。♠へ時計が進む〉この時計は、一日に五分も進んでしまう。♠〈世の中が進む〉世の中が進んで、暮らしよくなったのはいいけれど、ぜいたくに慣れてしまうのがこわい。♠へ科学が進む〉進んだ科学の力によって、今まで知られていなかった宇宙の様子もしだいに分かってきた。♠く改良が進む>寒い地方に適した稲[いね]の改良が進み、北海道でも米がとれるようになった。♠へ開発が進む〉明治[めいじ]以後、国をあげて、国土の開発が進んだ。♠へ破壊[はかい]が進む〉人間による自然の破壊が進み、最近では動物たちの数が急に減ってきているという。♠へ仕事が進む〉予定よりも仕事が進んでいるので、完成も間近いだろう。♠へ地位が進む>会社での地位が進むにつれて、部下も増えたが、責任はいっそう重くなった。♠へ食が進む>暑い日が続くので、ぐったりして、食が進まない。♠へ病気が進む〉入院中の母の病気は相当進んでいると父から聞かされた。♠へ気が進まない>映画に誘[さそ]われたが、気が進まないので断ることにした。♠へ進んで~する〉彼は、自分から進んでつらい仕事をやろうとする。♠〈進んだ考え〉彼女は、当時の女性としては進んだ考えの持ち主だった。♠へ勝ち進む〉ぼくらのチームは、とうとう準決勝まで勝ち進んだ。 **すず・む【涼む】** ○涼しい風に当たる。[文例]〈縁側で涼む>父は風呂から上がると、ビールを片手に縁側に出て涼んでいます。♠〈木陰[こかげ]で涼む>暑くてたまらないよ、少し木陰で涼まないかい。 **すすめ【勧め】** (奨め)○すすめること。推奨。勧誘。[文例]〈先生の勧め〉中学の先生の勧めでこの高校を選びました。♠<入会の勧め〉〈勧めを断る〉あのサークルに入る気はないんだ、なんとか入会の勧めを断る方法はないものかな。♠〈勧めを受ける〉ぼくは知り合いの熱心な勧めを受けて、その会社に入ることに決めました。 **すずめ(雀)** ○スズメ科の野鳥。事情に通じた人。おしゃべり。[文例]電線にスズメが並んで、楽しそうにさえずっている。♠ヘスズメの巣のよう〉彼は、いつも寝起きのままのスズメの巣のようにもじゃもじゃの頭をしていた。♠雀の涙>子供の遊び場をつくるのに、市からは雀の涙ほどの補助金しか出ない。♠〈雀百まで踊り忘れず「雀百まで踊り忘れず」といって、子供のころ身につけたことは大人になっても忘れません。♠〈着たきり雀>舌切り雀のおじいさんは貧乏で、それこそ着たきり雀じゃった。♠〈楽屋雀[がくやずずめ]>一座の看板役者の色恋[いろこい]ぎたを、口さがない楽屋雀が見のがすはずがない。♠我[われ]と来て遊べや親のない雀(小林一茶) **すすめる【進める・勧める・薦める】** ○前進させる。進行させる。地位・段階を上にあげる。程度を高める。差し出して誘う。勧誘する。推薦する。時計に実際より先の時を表示させる。[文例]〈仕事を進める〉これらの調査をもとにした仕事は、実際には三人の委員の手によって進められました。♠〈事を進める>問題が解決しないまま、事は進められていった。♠へ準備を進める〉この大会のために、関係者は一年がかりで準備を進めてきました。♠へ運動を進める>現在、世界中の国々で、アフリカの危機を救おうという運動が進められています。♠へ授業を進める〉先生は、時々冗談[じようだん]を言って生徒を笑わせながら、愉快[ゆかい]に授業を進めていきました。♠〈研究を進める〉キュリー夫人は夫の死後もさらに研究を進め、多くの業績を残した。♠〈調査を進める〉わたしたちのグループは、主に、働く主婦を対象に調査を進めています。♠〈話を進める〉わたしの意志に関係なく、お見合いの話はどんどん進められていった。♠〈学習を進める>漢字の練習は、国語の学習を進めるうえで、欠くことのできない重要なものです。♠〈論を進める〉ここでは、単に文学論にとどまらず、作者の人生観にまで論が進められている。♠へ馬を進める〉渡[わた]れそうな浅瀬[あさせ]を探し、隊長自[みずか]ら、先頭に立って馬を進めた。♠へ兵を進める〉味方の一隊は兵を敵の後方に進め、はさみうちにする作戦を取った。♠〈時計を進める〉明日の朝、寝坊をしないように、時計の針を三十分進めておこう。♠へお茶を勧める>母は客に麦茶を勧めながら、世間話を始めた。♠席を勧める〉若い男性はさっと立ち上がると、老人に自分の席を勧めた。♠へ酒を勧める「まあ、一杯。」と酒を勧められ、ついその気になって飲みすぎてしまった。♠へ入会を勧める〉体操を始めるようになったきっかけは、クラブへの入会を勧められたからです。♠へ〜するように勧める〉体力がないと言ったら、医者から運動するように勧められた。♠本を薦める〉わたしは中学生のきみたちに読んでほしい本として、『次郎物語[じろうものがたり]』を薦めたい。♠委員長に薦める〉彼を次期の委員長に薦めるには、それなりの理由があります。 **すすりあ・げる【すすり上げる】** (啜り上げる)○鼻水を息と一緒に吸い上げる。また、そのようにして泣く。[文例]<鼻汁[はなじる]をすすりあげる〉みんな鼻汁をズルズルすすりあげながら、寒い夜の熱いラーメンを食べている。♠へはなをすすりあげる〉卒業式の間じゅう、女生徒のはなをすすりあげる声があちこちから聞こえました。♠犬がほえたのにびっくりした女の子は、お母さんにしがみついてすすりあげています。 **すすりなく【すすり泣く】** (啜り泣く)○すすり上げて泣く。[文例]最後に「蛍[ひかし]の光」が流れると、卒業生の間からすすり泣く声がもれてきた。♠よっぽどきつくしかられたのか、妹はベッドに顔をうずめてすすり泣いている。 **すす・る(啜る)** ○液状の物を口に吸い込む。鼻水を息と一緒に吸い込む。[文例]〈かゆをすする〉昔は、ふかしたいもを食い、かゆをすすりながら、朝早くから働いたものだ。♠〈お茶をすする〉祖父は、祖母の入れたお茶を、おいしそうにすすった。♠へ一口すする>薬湯[やくとう]を一口すすった彼は、あまりの苦さに顔をしかめた。♠へ鼻をすする〉寒い校庭に、生徒たちは、鼻をすすりながら立っていた。♠へすすり泣く〉 <551> **ずつう** す えりくじ[襟首]お[押] **すすりな・く**【啜り泣く】○声を殺して泣く。しゃくりあげて泣く。[文例]〈すすり泣く声〉生存者はいないようだと伝えると、家族の間からすすり泣く声が聞こえた。♠〈すすり上げる〉泣き虫の妹は、ちょっとしかられただけで、すぐにすすり上げて泣き始める。 **すそ**(裾)○衣服の下の部分。物の下の方の部分。山のふもと。川しも。襟首に近い髪の毛。[文例]〈着物のすそ〉風が強いので、着物のすそを押さえるようにして歩いた。♠〈スカートのすそ〉少女は、スカートのすそを持ち上げて、バレリーナのようなポーズをして笑った。♠〈カーテンのすそ〉レースのカーテンのすそが風に揺れていた。♠〈ズボンのすそ〉♠〈すそを引きずる〉借り物のズボンのすそは長すぎて、引きずるようだった。♠〈すそをたくし上げる〉冷たい夏の小川を、ズボンのすそをたくし上げて渡った[渡った]。♠〈山のすそ〉山のすそを回って行くと、突然[とつぜん]、美しいお花畑が目の前に広がった。♠〈髪のすそ〉少女は、母親に、髪[かみ]のすそをはさみで切りそろえてもらっていた。 **すその**【すそ野】(裾野)○山のふもとに広がる野。[文例]〈山のすそ野〉富士山のすそ野の静岡県側では、お茶やみかんの栽培が行われている。♠〈なだらかなすそ野〉阿蘇山[あそさん]のなだらかなすそ野は、はるばるとした草原となっている。♠〈すそ野が広がる〉山の南側に広がる大きなすそ野はハンググライダーの格好の練習場だ。♠〈すそ野が広がる〉この二十年間に日本のサッカー人口は急増し、プロリーグを頂点にそのすそ野は幼稚園児にまで広がっています。 **スター**○星。人気のある俳優・歌手・スポーツ選手など。花形。[文例]〈六大学のスター〉六大学のスターだった長嶋茂雄[ながしましげ]選手は、昭和三十三年から十七年間、巨人軍でプレーをしました。♠〈往年[おうねん]のスター〉その人が往年のスターで、銀幕を飾ったことを知る人も少なくなりました。♠〈スターの座〉この歌のヒットで彼女はスターの座に着いたのです。♠〈スターにのしあがる〉主演映画の成功でスターにのしあがった青年を、ファンの女子高校生が取り囲んでいる。 **スタート**○出発。開始。[文例]〈マラソンのスタート〉明日行われる校内マラソンは、午前十時にスタートの予定です。♠〈人生のスタート〉お店も開店したし、今日はわたしにとって新たな人生のスタートの日だ。♠〈スタートを切る〉打ち上げ花火を合図に、二十四そうのヨットはいっせいにスタートを切りました。♠〈スタートがよい・悪い〉短距離競走はスタートがポイントで、スタートが悪ければ、それで負けです。♠〈スタートする〉人気ロックグループのコンサートツアーは、七月に沖縄からスタートし、各地を回ります。 **スタイル**○体形。姿。かっこう。型。文体。[文例]〈スタイルがいい〉すらりとしてスタイルのいいお嬢[じょう]さんだこと。♠〈流行のスタイル〉彼女は最新流行のスタイルで登校してきた。♠〈文章のスタイル〉作家の文章にも、人によって様々な様式があり、それを文体とかスタイルとかいいます。♠〈ヘアスタイル〉中学生ともなると、男子も女子も、ヘアスタイルにも気を使うようになる。 **す・たる**【廃る】○すたれる。だめになる。[文例]〈町がすたる〉炭鉱の閉山で町はすたり、まるで活気が見られません。♠〈風習がすたる〉この村には、都会ではすたった風習がまだ残っています。♠〈流行がすたる〉流行がすたると、だれも見向きもしません。♠〈男がすたる〉これだけみんなに期待されて、いいところを見せなけりゃ男がすたるぞ。 **すだれ**(簾)○日よけや仕切りなどのために垂らす、竹やアシなどを編んだ物。[文例]〈すだれを上げる〉「雨はまだ降っているかな。」と、おじいさんはすだれを上げて庭を見た。♠〈すだれを下ろす〉外から見られるのがいやなら、すだれを下ろしたらどうですか。 **すた・れる**【廃れる】○衰える。はやらなくなる。使われなくなる。[文例]〈町が廃れる〉昔[むかし]は宿場町として栄えたこの町も、今ではすっかり廃れてしまった。♠〈商売が廃れる〉使い捨ての世の中になると、傘直しなどの商売も廃れていった。♠〈遊びが廃れる〉子供たちの間で一時はやっていたその遊びも、最近では廃れているらしい。♠〈流行が廃れる〉ついこの間はやったばかりの流行語もすぐに廃れてしまう。♠〈風習が廃れる〉節分に豆をまく風習も、今ではだんだん廃れてきているようだ。♠〈敬語が廃れる〉現代の社会で、敬語は廃れるどころか、使い過ぎが耳ざわりなほどだ。 **すだ・つ**【巣立つ】○巣から飛び立つ。学校・親元を離れ、社会に出る。[文例]〈ひなが巣立つ〉早いもので、この間まで親鳥にえさを運んでもらっていたひなも、今日巣立っていきました。♠〈生徒が巣立つ〉三年生は、三年間の中学校生活に別れを告げ、まもなく巣立っていく。♠〈学窓[がくそう]を巣立つ〉わたしたちの大学でも、四千名の卒業生が、今日、学窓を巣立っていく。♠〈親もとを巣立つ〉今年も、多くの若者たちが親もとを巣立って、遠くの町へはばたいて行った。 **スタッフ**○担当者。部員。職員。企業の生産ライン・販売ライン以外の部門。[文例]〈研究所のスタッフ〉〈スタッフを有する〉この研究所は、世界中から集まった優秀なスタッフを有している。♠〈映画のスタッフ〉撮影[さつえい]はすべて終わり、出演者とスタッフで記念写真を撮りました。♠〈スタッフがそろう〉新しい計画の実現をめざして、スタッフが全員そろって会議を行っている。 **ずつう**【頭痛】○頭が痛むこと。頭の痛み。悩み。[文例]〈頭痛がする〉父は朝から頭痛がすると言って、二階でふせっています。♠〈頭痛が治まる〉いやな頭痛がやっと治まった。♠〈頭痛の種〉ぼくの成績は、母の頭痛の種です。 <552> **すっかり** **す** る。 **すっかり**○残らず。すべて。ことごとく。[文例]くすっかり〜になる〉わたしたちが家に帰るころには、空はすっかり暗くなっていた。♠くすっかりなくなる〉ポケットに入れておいたものがすっかりなくなっていた。♠くすっかり忘れる〉父と待ち合わせをしていたのに、友達と話し込んですっかり忘れてしまった。♠くすっかり変わる〉あのころからみると、駅の周辺はすっかり変わってしまった。♠くすっかり治る〉あのお医者さんのおかげで病気がすっかり治ったという人は何人もいます。♠へすっかりごぶさたする〉このところ忙[いそが]しいので、恩師のところへもすっかりごぶさたしている。 **すっきり**○さっぱりとして気持ちがよいさま。[文例]〈気分がすっきりする〉たっぷり眠ったので、今朝はとてもすっきりした気分だ。♠へ頭がすっきりする〉友達に打ち明けると、もやもやしていた頭の中がすっきりしました。♠へ文章がすっきりする〉無駄な言葉を削[けず]ると、文章はすっきりします。 **ずっこ・ける**○ずり落ちる。転ぶ。脱落する。あきれはてる。[文例]ぼくが骨折したのは、大きな荷物を持って階段でずっこけたからです。♠全勝の横綱、大関のうち二人が十日目でずっこけた。♠まゆみのまのぬけた返事に、みんなはずっこけて大笑いしました。 **すったもんだ**(擦った揉んだ)○さんざんもめること。[文例]〈すったもんだの挙句[あげく]〉すったもんだの挙句に、やっと意見がまとまった。♠へすったもんだの騒ぎ〉たまたまその場にいあわせたことで、すったもんだの騒ぎに巻き込まれてしまった。♠くすったもんだが起こる〉後ですったもんだが起こらないように、細かいことまで決めておきましょう。♠へすったもんだする〉つまらないことでこれ以上すったもんだするのはたくさんだ。 **すっと・ぶ**【すっ飛ぶ】○勢いよく飛ぶ。大急ぎで行く。[文例]へすっ飛んで帰る〉今日は大切な用事があるので、授業が終わるとすっ飛んで帰りました。♠へすっ飛んで行く〉事件発生の連絡が入ると、刑事は現場へすっ飛んで行った。♠〈疲れがすっ飛ぶ〉彼のやさしい言葉で疲れがすっ飛ぶように感じました。 **すっとんきょう**(素っ頓狂)○調子はずれでとぼけているさま。[文例]〈すっとんきょうな声〉予想しなかった結果に、中村さんは「エーッ」とすっとんきょうな声をあげた。♠くすっとんきょうな返事〉どんなことを頭にうかべていたのだろうか、この生徒は……。わたしの質問にすっとんきょうな返事が返ってきた。 **すで**【素手】○手に何も持っていないこと。武器を持たないで闘うこと。手袋などをはめないむき出しの手。[文例]素手で雪をいじって遊んでいたら、手がこごえてしまった。♠<素手で立ち向かう〉男は素手でイノシシに立ち向かっていった。 **すておく**【捨て置く】○ほうっておく。見のがす。[文例]〈懸案を捨て置く〉これは前から懸案になっていたにもかかわらず、ずっと捨て置かれていた。♠へ無礼を捨て置く〉無礼者! 子供とはいえ捨て置かぬぞ。 **すっぱ・い**【酸っぱい】○酸味がある。酸い。[文例]〈みかんが酸っぱい〉このみかん、まだ青いせいか酸っぱいね。♠〈酸っぱい味〉ぼくは、薄[うす]切りのレモンをかじった時のあの酸っぱい味がとても好きだ。♠へ口が酸っぱくなるほど〉弟が出かけるとき、母は、「危ない所へ行っちゃだめよ。」と、口が酸っぱくなるほど注意する。♠へ甘[あま]酸っぱい〉ビニールハウスの中は、イチゴの甘酸っぱい香りがたちこめていました。 **すっぱぬ・く**【すっぱ抜く】○秘密をあばく。[文例]〈秘密をすっぱぬく〉友達に秘密をすっぱぬかれ、ぼくは動揺[どうよう]した。♠〈真相をすっぱぬく〉週刊誌が汚職[おしょく]事件の真相をすっぱぬいた。 **すっぽか・す**○ほうっておく。ほうり出す。約束を破る。[文例]〈人をすっぽかす〉駅で待つぼくをすっぽかして、あいつはいったいどこで何をしているんだろう。♠へ約束をすっぽかす〉何があっても、今日の田中さんとの約束はすっぽかすわけにはいかない。♠へ仕事をすっぽかす〉大事な試合となると、仕事をすっぽかしても見に行く。 **すっぽり**○全体をおおうさま。全体がはまったり、抜けたりするさま。[文例]〈すっぽりとかぶる〉ゆうべは寒かったので、頭からすっぽりと布団[ふとん]をかぶって寝た。♠くすっぽり覆[おお]う〉頭上の空は青いのに、川向こうの東京は薄[うす]茶色のスモッグにすっぽり覆われていた。♠くすっぽり隠[かく]す〉岩かげに、ボートが一そうすっぽり隠せるぐらいのくぼみがある。♠〈すっぽりとはまる〉後ろ向きに歩いていた弟は、庭に掘ってあった穴にすっぽりとはまってしまった。♠くすっぽり抜ける〉乱暴に引っ張ったら、お人形の手がすっぽり抜けてしまった。 **すてき**【素敵・素的】○非常にすばらしいさま。[文例]〈すてきなセーター〉誕生日[たんじょうび]に、ガールフレンドから、すてきな手編みのセーターをプレゼントされた。♠くすてきな気分〉バラ園に入ると、花のいいにおいに包まれて、すてきな気分になった。♠浜辺[はまべ]を散歩していたら、偶然[ぐうぜん]、すてきに大きな貝に出っくわした。♠未来に向かって、一歩一歩前進する、それだけで、生きることはすてきだと思う。♠家族そろって旅行に出かけるなんて、すてきなことね。♠今度の劇の主役をやれるなんて、すてき! **すてさ・る**【捨て去る】○捨ててしまう。[文例]〈偏見[へんけん]を捨て去る〉先入観や偏見を捨て去ることによって、初めてほかの人々の本当の姿がわかってくる。♠◇思い出を捨て去る〉彼女との思い出はとうの昔に捨て去ったつもりだったのに……。♠〈過去を捨て去る〉わたしは、過去はすべて捨て去って遠い航海に出ようと思った。 **すてぜりふ**【捨てぜりふ】(捨て科白・捨て台詞)○立ち去る時に返事を求めずに言う乱暴な言葉。役者がその場で言う台本にないせりふ。[文例]〈捨てぜりふを残す〉「覚えていろよ。」と捨てぜりふを残して、男たちは足早に去っていった。♠へ捨てぜりふを吐く〉「このままですむと思うな。」と、男は捨てぜりふを吐いた。 <553> **すな** **す** **ステップ**○踏み段。階段。足場。踏み出す足。足運び。段階。[文例]へバスのステップ〉ステップに足をかけたとたんバスが動き出し、もう少しでけがをするところだった。♠へステップを踏む〉少女は王子に手をとられると、軽やかなステップを踏んで踊り出しました。♠へステップを踏む〉勉強は、先をあせらず一つ一つステップを踏んで、確実に身につけていくことが大切です。♠◇平和へのステップ〉今回の合意が平和への重要なステップになるものと期待されます。♠〈ホップ・ステップ・ジャンプ〉三段跳[さんだんと]びは、ホップ・ステップ・ジャンプの三つの跳躍[ちょうやく]で距離を競います。 **すでに**【既に】○とっくに。もう。以前に。[文例]駅に行ってみると、既に全員が集まっていた。♠目が覚めると日は既に高く昇[のぼ]っていて、村人たちは野に出て仕事を始めていた。♠大会の予定は、既に通知したとおりです。♠彼が王位についてから、既に二十年以上たっている。 **すてばち**【捨て鉢】○自暴自棄の気分になるさま。やけくそ。[文例]〈捨て鉢な気持ち〉思っていたことがうまくいかず、捨て鉢な気持ちになっていた。♠へ捨て鉢になる〉どんな逆境でも捨て鉢になるな。最後まであきらめてはいけないよ。 **すてみ**【捨て身】○命を捨てるほどの覚悟で、物事を行うこと。[文例]〈捨て身でぶつかる〉絶対勝てそうにもない強敵だったが、捨て身でぶつかっていった。♠へ捨て身で当たる〉がんこだが話のわかる先生なので、捨て身で当たれば、きっとわかってもらえると思う。♠へ捨て身になる〉捨て身になってがんばれば、不可能に思えたことも可能になることが多い。 **す・てる**【捨てる】○不用の物として保有するのをやめる。ほうり投げる。放棄する。見はなす。見かぎる。乗り物から降りる。ほうっておく。[文例]〈紙くずを捨てる〉紙くずをポイポイ道に捨ててはいけません。♠へ故郷を捨てる〉いつの世にも都会にあこがれて、故郷を捨てる若者がいる。♠〈家・土地を捨てる〉過疎化が進むと、それまでがんばっていた人たちも、家や土地を捨てて、町へ出ていった。♠へ権利を捨てる〉彼は、家代々[いえよよ]の財産に関するいっさいの権利を捨てるという。♠へ地位・名誉を捨てる〉地位や名誉を捨て、アジアの未開地の医療に尽くした若い医学者がいた。♠〈世を捨てる〉その老人は、世を捨てて、山里でひとりで暮らしていた。♠〈子を捨てる〉かわいいわが子を捨てる母親がいるなんて、信じられない話だ。♠へ命を捨てる〉軽装備で冬山に出かけるなんて、命を捨てに行くようなものだ。♠へ車を乗り捨てる〉犯人はここでタクシーを乗り捨てたらしい。♠〈恋人[こいびと]を捨てる〉彼は、恋人に捨てられたと言って泣いていたが、慰[なぐさ]めようがなかった。♠へ考えを捨てる〉自分は遊んでばかりいて、人に手伝ってもらおうなんて考えは捨てなさい。♠へ希望を捨てる〉どんなに苦しいときでも、彼女は、生きることへの希望を捨てたことはなかった。♠へ捨てておく〉彼は、うまいもうけ話を聞いて、捨てておくような男ではない。♠へ捨てておけない〉母は、困っている人がいると、捨てておけない性分[しょうぶん]だ。♠へ捨てたものでもない〉「背広姿でバッチリ決めれば、おれもまんざら捨てたものでもないだろう。」と、兄は気取って見せた。♠へ捨てる神あれば拾う神あり〉「捨てる神あれば拾う神あり」というように、そのうちいいこともあるよ。♠へ身を捨ててこそ浮かぶ瀬[せ]もあれ〉自分を犠牲[ぎせい]にする気で事にあたれば、必ずうまくいくよ、「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」と言うだろう。 **すどおり**【素通り】○寄らずに通り過ぎること。注意を払わないこと。[文例]〈素通りする〉甘い物に目がないわたしは、ケーキ屋さんの前を素通りすることができません。♠てっきりレコード屋さんに行くのかと思ったら、小川さんは店を素通りして公園の方へ歩いていった。♠詩人は、ぼくたちが毎日の生活の中で素通りしてしまいそうなちょっとしたことにも驚きの目を注ぎます。 **ストップ**○止まること。止めること。[文例]へストップの合図〉道路工事の人が赤旗を振って、車にストップの合図をした。♠へストップがかかる〉いかだで川を下ろうという計画に、危険ではないかとPTAからストップがかかった。♠〈ストップをかける〉連戦連勝のチャンピオンにストップをかけるのはどの選手だろうか。♠へストップする〉先ほどの地震で、ただ今新幹線は全線でストップしています。 **ストレート**○まっすぐ。率直。続けざま。生のまま。[文例]〈ストレートな道〉森を通り抜けると、あとはずっとストレートな道が続いていた。♠へストレートな発言〉みんなが日ごろから思っていることを、彼がストレートな発言で代弁した。♠ヘストレート入学〉ちっとも勉強していなかった彼が、ストレートで大学に入るとは信じられない。♠ヘストレートのフォアボール〉一番打者がストレートのフォアボールで塁に出た。♠ヘストレートボール〉投手は、思い切って真ん中にストレートボールを投げた。♠ヘストレート勝ち〉練習試合では一セットも落とさず、ストレート勝ちしました。♠ヘストレートパンチ〉パンチを繰り出そうと身構えたとき、相手の右のストレートがとんできた。♠ヘウイスキーのストレート〉ウイスキーをストレートで飲むなんて、お酒が強いのですね。 **ストーブ**○室内用の暖房器具。[文例]〈ストーブの火〉火災の原因は、ストーブの火がカーテンに燃え移ったことらしい。♠ヘストーブをたく〉昨日は寒かったので、この冬初めてストープをたきました。♠ヘストーブをつける〉山頂付近にはまだ雪が残っていて、七月だというのに山小屋ではストーブをつけていた。♠ヘストーブを消す〉部屋が暖まりすぎたから、ストーブを消してください。 **ストレス**○肉体的・精神的な刺激に対する体内の反応。強さのアクセント。[文例]〈ストレスがたまる〉入社して三か月、慣れない仕事にストレスがたまります。♠ヘストレスのあらわれ〉入園早々の園児が家へ帰ると極端に母親に甘えるのは、集団生活によるストレスのあらわれです。♠ヘストレスの解消〉日ごろ感じるイライラやストレスの解消には、やっぱりスポーツがいちばんだ。 **すな**【砂】○非常に細かい石の粒。[文例]〈白い砂〉「石庭[せきてい]」で有名な竜安寺[りょうあんじ]の庭には、白い砂が一面に敷き詰められている。 <554> **すなお** **す** ♠〈砂を蹴[け]る〉「ヨーイ、ドン!」で、みんな砂を蹴って波打ち際まで走った。♠へ砂にうずもれる〉砂にうずもれていた美しい貝が、波に洗われて一つ二つ顔を出している。♠〈砂をまいたよう〉夜空には、まるで銀の砂をまいたように、無数の星が美しくまたたいています。♠〈砂をかむよう〉大都会の片隅で友達もなく、砂をかむようにあじけない毎日を送っていた。♠へ砂遊び〉浜辺[はまべ]では、小さな子供たちが砂遊びをしていた。♠〈砂ぼこり〉バスは乗客を乗せると、黄色い砂ぼこりを上げて走り出した。♠〈砂あらし〉砂漠[さばく]では時折、激[はげ]しい砂あらしが起こることがあります。 **すなお**【素直】○おとなしくて逆らわないさま。自然であるさま。癖のないさま。[文例]〈素直な子〉ゆり子は、正直で素直な子です。♠〈素直な性格〉彼は、素直で朗[ほが]らかな性格の持ち主だ。♠へ明るく素直〉これは、明るく素直な主人公がいろいろな事件を引き起こしながら成長していく物語です。♠〈素直な心〉度重[たびかさ]なる不幸にもめげず、少年はその素直な心を失わなかった。♠へ素直な気持ち〉お互[たが]い素直な気持ちで話しあえば、きっとわかりあえるよ。♠〈素直な目〉この物語は、戦争を、子供の素直な目でとらえて描[えが]いたものである。♠へ素直にうなずく〉留守番を頼[たの]んだら、弟は珍[めずら]しく素直にうなずいて、引き受けてくれた。♠へ素直に喜ぶ〉ぼくの留学がきまったことを伝えると、彼は素直に喜んでくれた。♠〈素直に響[ひび]く〉この文章を読むと、作者の喜びや悲しみが、素直に読む者の心に響いてくる。♠〈素直な字〉彼女は、癖[くせ]のない素直な字を書く。 **すなわち**(即ち・則ち)○言いかえれば。とりもなおさず。まさしく。その時は必ず。[文例]漢字は隣[となり]の国、すなわち中国から伝えられたものです。♠多数決で決まったからといって、それがすなわち正しいとは限らない。♠絶対君主制をとる国では、国家とはすなわち君主である。 **ずぬ・ける**【図抜ける・頭抜ける】○並はずれている。ずばぬける。[文例]〈成績がずぬける〉彼女の成績はこの学校ではずぬけています。♠〈ずぬけた体格〉青木君は、一メートル八十五センチ、九十キロという中学生としてはずぬけた体格の持ち主です。♠大男の多いバスケット界でも、あの選手はずぬけて背が高い。 **すね**(臑・脛)○ひざから足首までの部分。[文例]おぜんの角にすねをぶつけ、痛さのあまりうずくまってしまった。♠〈すねに傷を持つ〉男はすねに傷を持つ身、好きな女にも気持ちを打ち明けることができなかった。♠へ親のすねをかじる〉いつまでも親のすねをかじっていないで、ちゃんとした仕事についたらどうなんだい。♠〈親のすね今をさかりとかじるなり〉(川柳) **す・ねる**(拗ねる)○素直でなく、ひねくれた態度をとる。[文例]彼は、気に入らないことがあると、すぐにぷいとすねてしまう。♠さっきから呼んでも返事もしないで、何をすねてるんだ?♠〈子供がすねる〉小さな子供がすねるのならかわいいけど、大の大人じゃおかしいよ。♠〈世をすねる〉一度結婚[けっこん]に失敗して以来、彼は、世をすねてまじめに働こうとしなかった。 **ずのう**【頭脳】○脳。脳の働き。知的な能力、また知的な能力の高い人。組織の知的な活動の中心。[文例]〈優れた頭脳〉この広い宇宙に、人間よりはるかに優れた頭脳を持つ生物がいたとしても不思議はない。♠〈優秀な頭脳〉与えられた問題の中には、教授の優秀な頭脳をしても、どうしても解けないものがいくつかあった。♠へ頭脳を使う〉機械と同じで、頭脳も使わなければさびついてしまいます。♠〈若い頭脳〉この大学の研究室には、日本の優れた若い頭脳が集まっている。♠へ会社の頭脳〉この研究所は、わが社の頭脳といってもいい。♠〈頭脳的〉彼は、ピンチを頭脳的なプレーで切りぬけ、チームを優勝に導いた。♠〈頭脳労働〉彼は、どちらかというと、頭脳労働に向いている。♠〈頭脳明晰[めいせき]〉彼女は「コンピューター」とあだ名されるくらい計算が速く、頭脳明晰です。 **すばしこ・い**○動作がきびきびして、すばやい。[文例]〈身のこなしがすばしこい〉あの子は小柄で身のこなしがすばしこい。♠へすばしこい動物〉ねずみはとてもすばしこい動物だ。♠へすばしこい動き〉相手のフォワードのすばしこい動きに味方はすっかりまどわされてしまった。 **ずばぬ・ける**【ずば抜ける】○群を抜いている。とびぬける。ずぬける。[文例]〈成績がずばぬける〉どの教科もよくできる生徒だが、特に歴史の成績はずばぬけている。♠へずばぬけた才能〉大田さんは、そのずばぬけた運動神経を生かして、体育学部に進もうと思っていました。♠へずばぬけてうまい〉彼はしょっちゅうスキーに行っているが、ずばぬけてうまいというわけではない。 **すばや・い**【素早い】○動作などが非常に速い。すばしこい。[文例]さるは、すばやくえさをくわえて、岩山の上へよじ登ってしまいました。♠へすばやい動き〉チータは、すばやい動きで獲物を追う。♠〈すばやい動作〉引き止めるまもなく、男は、すばやい動作で人込[ひとご]みの中に消えていった。♠〈すばやく身をかわす〉チャンピオンは、パンチがくると、すばやく身をかわすのだった。♠えっ、もう宿題全部片づけたのか。すばやいなあ。 **すばらし・い**【素晴らしい】○非常にすぐれている。程度がはなはだしい。[文例]わたしはときどき、「生きるということはすばらしいなあ。」と思う。♠〈眺[なが]めがすばらしい〉山の頂上からの眺めはすばらしく、それまでの疲れも吹き飛んでしまいました。♠〈すばらしい天気〉このぶんだと明日はきっとすばらしい天気になるでしょう。♠くすばらしい出来映[ば]え〉美術の時間にかいた絵がすばらしい出来映えだと褒[ほ]められて、とてもうれしかった。♠へすばらしい出会い〉彼は、友人たちとのすばらしい出会いを熱っぽく語ってくれました。♠〈すばらしくよい〉ピッチャーの調子がすばらしくよくて、相手チームのバッターを次々となぎ倒[たお]していった。♠へすばらしく速い〉フランスで乗った電車は、すばらしく速い電車で、びっくりしてしまった。 **スピーチ**○人前でする話。演説。[文例]〈スピーチをする〉よいスピーチをしたり聞いたりすることは、楽しいことだ。 <555> **ずぼし** **す** ♠〈人前でのスピーチ〉人前でのスピーチは苦手ですから、かんべんしてください。♠ヘテーブルスピーチ〉友人の結婚披露宴[ひろうえん]で、突然[とつぜん]テーブルスピーチをたのまれてあわてた。 **スピード**○速さ。速度。速力。[文例]〈スピードを出す〉路面が凍[こお]っているから、あまりスピードを出すと危ないよ。♠〈スピードを上げる〉四コーナーを回って直線にかかると、選手たちはぐんぐんスピードを上げた。♠へスピードを落とす〉雨が降ってきたようだから、もう少しスピードを落とそう。♠ヘスピードを増す〉自動車のスピードを増せば増すほど、前方の視界が狭くなり、危険も増します。♠へスピードを緩[ゆる]める〉海岸沿いの景色のいい場所に出たので、車はぐっとスピードを緩めました。♠ヘスピードがある〉最近は子供の遊びも、スピードのある動きのはげしいものが好まれるようだ。♠ヘスピードアップ〉新幹線からリニアモーターカーへと、鉄道は、ますますスピードアップします。♠へスピード感〉ぼくの新しい自転車は、軽快でスピード感にあふれて、かっこいいんだ。♠ヘフルスピード〉バイクをフルスピードで飛ばして駅へ急いだが、列車に間に合わなかった。 **ずぶ**○まったく。まるっきり。[文例]〈ずぶの素人[しろうと]〉ぼくの専門は化学で、物理に関してはあなた方と同じく、ずぶの素人です。♠ところがそこへ又[また]ずぶ京伝[きょうでん]の二番煎じと来ちゃ、呆[あき]れ返って腹も立ちやせん。(芥川龍之介[あくたがわりゅうのすけ]「戯作三昧[げさくざんまい]」) **ずぶと・い**【図太い】○神経が太い。ずうずうしい。[文例]〈ずぶといやつ〉これだけ証拠がそろっているのに、まだ白状しないなんて本当にずぶといやつだな。♠へずぶとい神経〉彼は少しの失敗などまるで気にしない、ずぶとい神経の持ち主だ。♠へずぶとく居座[いすわ]る〉人相の悪い男がずぶとく店に居座り、警察を呼ぶと言っても平気な顔です。 **ずぶぬれ**(ずぶ濡れ)○全身がぬれること。びしょぬれ。[文例]学校の帰り道に夕立に会い、全身ずぶぬれです。♠公園で水遊びをしたコウスケ君はずぶぬれになって、それでもにこにこしながら帰ってきました。 **すべ**(術)○手段。方法。[文例]〈生きるすべ〉男はわずかな土地で作物を作り、町の人々に売ることを生きるすべとしていた。♠へなすすべがない〉患者の病状はすでに末期的で、医者もなすすべがなかった。♠へすべを知らない〉筆を持っ術を知らない叔父は恐ろしく口の達者な人であった。(夏目漱石「明暗」) **すべからく**(須く)○当然(…するべきである)。[文例]学はすべからく静なるべし。きみたちはうるさすぎるんだなあ。 **すべて**(全て・総て・凡て)○全部。どれもこれも。ことごとく。[文例]母うさぎは、よくきく鼻でまわりのできごとをすべてかぎ取っていた。♠すさまじい洪水[こうずい]が沿岸の村々を襲[おそ]い、作物はすべてだめになってしまった。♠彼は運のいい男で、やることなすことすべて成功した。♠計画は残念ながら失敗したが、その責任がすべて彼にあるとは言えない。♠日本語は、そのでき方から分類すると、ほとんどすべてが和語・漢語・外来語のどれかになる。 **すべりこ・む**【滑り込む】○滑るようにして入る。何とか間に合う。何とか入り込む。[文例]〈ホームに滑り込む〉列車は、三十分遅れでホームに滑り込んだ。♠〈塁[るい]に滑り込む〉ランナーはタッチをくぐりぬけ、二塁に滑り込んだ。♠へ教室に滑り込む〉始業のベルが鳴っているところを、ぎりぎりで教室に滑り込みました。♠〈会社に滑り込む〉父は、ぼくを何とか自分の会社に滑り込ませたいらしい。 **すべりだし**【滑り出し】○すべり始め。物事の始め。出だし。[文例]〈試合の滑り出し〉試合の滑り出しはよかったが、後半追いつかれ、一点差で惜しくも敗れた。♠〈商売の滑り出し〉開店と同時にお客さんがつめかけ、なかなか滑り出しは好調です。♠へ順調な滑り出し〉一回は三者凡退[ぼんたい]と順調な滑り出しを見せた先発投手が二回につかまった。 **すべりどめ**【滑り止め】○滑るのを防ぐためのもの。万一を考えて、確実に入れるところを受験すること。また、その学校。[文例]鉄棒を握[にぎ]る体操選手の手は、滑り止めの粉でまっ白になっている。♠階段に滑り止めのためのゴムがはってある。♠〈試験の滑り止め〉滑り止めの学校には合格したが、第一志望はだめだった。 **すべ・る**【滑る】○なめらかに動く。滑走する。表面がつるつるしている。踏んだ足をとられる。つかみそこねる。思わず口に出す。落第する。[文例]〈戸が滑る〉敷居[しきい]にろうを塗ったら、戸がよく滑るようになった。♠〈滑るように進む〉海の向こうを、白い船が滑るように進んで行くのが見える。♠〈スキーで滑る〉スキー場は人影[ひとかげ]もまばらだったので、雪の上を思いきり滑った。♠ヘスケートを滑る〉残念ながら、この湖は、スケートを滑るほどの厚さに凍[こお]ったことはいっぺんもない。♠へ道が滑る〉凍った道は、つるつる滑る。♠〈足を滑らせる〉父と釣りに行ったとき、ぼくは足を滑らせて、岩角でくるぶしを切った。♠へ手が滑る〉台所仕事をして いた母は、手が滑って、皿[さら]を割ってしまった。♠ヘ口が滑る〉十分気をつけていたのに、つい口が滑って秘密をもらしてしまった。♠へ筆が滑る〉思いつくままに書いているうちに、筆が滑って失礼なことを書いてしまい、反省している。♠<試験に滑る〉入学試験に滑らないように、しっかりがんばろう。♠へ滑り込む〉朝寝坊[あさねぼう]をして遅刻[ちこく]しそうになり、始業のベルとともに教室に滑り込んだ。 **スポーツ**○戸外の運動。運動競技。[文例]スポーツは、ルールに従ってゲームをするところに、きびしさとおもしろさがあります。♠ヘスポーツをする〉ちょっと太ってきたみたいだから、わたしも少しスポーツをしようかしら?♠ヘスポーツで汗[あせ]を流す〉スポーツで汗を流したあとの、冷たい水のうまいことと言ったら!♠ヘスポーツを楽しむ〉この町にも体育館ができ、市民がスポーツを楽しんでいます。♠〈スポーツマン〉スポーツマンというから、社会生活のルールも守る人だと思ったのに。 **ずぼし**【図星】○(的の中心の黒い点から)目あての所。急所。そのものずばりの点。[文例]どうせ宿題を忘れたのだろうという先生の言葉は図星だったらしく、石川さんは照れくさそうに頭をかいています。♠〈図星を突く〉思っていたことを図星に突かれて、どきりとした。 <556> スポットライト との図星[ずぼし]を突[つ]かれ、わたしはあわててしまった。♠へ図星[ずぼし]をさす〉彼[かれ]に会[あ]いたいのね、と図星[ずぼし]をさされて、ひとみは顔[かお]を赤[あか]らめた。♠へ図星[ずぼし]に当[あ]たる〉このたくらみは、みごと図星[ずぼし]に当[あ]たったのです。 **スポットライト** ○舞台[ぶたい]のある部分[ぶぶん]だけを照[て]らす光線[こうせん]。注目[ちゅうもく]。注視[ちゅうし]。[文例]ヘスポットライトが当[あ]たる>舞台[ぶたい]は暗転[あんてん]し、主役[しゅやく]だけにスポットライトが当[あ]たります。♠ヘスポットライトを浴[あ]びる〉難病[なんびょう]の克服[こくふく]に効果[こうか]があるのではないかと、博士[はかせ]の研究[けんきゅう]は今[いま]スポットライトを浴[あ]びている。 **すぼ・める(窄める)** ○先[さき]を細[ほそ]くする。縮[ちぢ]める。[文例]〈傘[かさ]をすぼめる〉雨[あめ]がやんだので、さしていた傘[かさ]をすぼめた。♠〈体[からだ]をすぼめる>男[おとこ]は、狭[せま]い路地[ろじ]を体[からだ]をすぼめるようにして歩[ある]いた。♠く肩[かた]をすぼめる〉妹[いもうと]は、母[はは]にしかられて、外国人[がいこくじん]のように肩[かた]をすぼめてみせた。♠へ口[くち]をすぼめる〉わたしは、口[くち]をすぼめ、息[いき]を吹[ふ]きかけてローソクを消[け]した。 **ずぼら** ○無責任[むせきにん]でぶしょうなさま。[文例]〈ずぼらな男[おとこ]〉大切[たいせつ]な約束[やくそく]を平気[へいき]ですっぽかしてしまうなんてずぼらな男[おとこ]ですね。♠へずぼらな性格[せいかく]〉兄[あに]のずぼらな性格[せいかく]は生[う]まれつきで、弟[おとうと]のきちょうめんさとは好対照[こうたいしょう]だ。♠へずぼらな生活[せいかつ]〉大学[だいがく]を卒業[そつぎょう]したのに定職[ていしょく]も持[も]たず、ずぼらな生活[せいかつ]を送[おく]っているのかい。♠へずぼらを決[き]めこむ〉彼女[かのじょ]が講義[こうぎ]に出[で]てこないのは、ずぼらを決[き]めこんでいるからに違[ちが]いない。 **スマート** ○すらりとしてスタイルがよいさま。あか抜[ぬ]けているさま。[文例]ヘスマートな体型[たいけい]>学生[がくせい]のころあんなにスマートな体型[たいけい]だったのに、今[いま]ではとても太[ふと]ってしまった。♠ヘスマートな着[き]こなし〉さすが都会[とかい]の人[ひと]だけあって、スマートな着[き]こなしだね。♠ヘスマートにふるまう〉嫌味[いやみ]なくスマートにふるまえば、人[ひと]から嫌[きら]われません。 **すまい【住まい】** ○住[す]むこと。住[す]む家[いえ]。住所[じゅうしょ]。[文例]〉〈丸太小屋[まるたごや]の住[す]まい〉わたしたちの住[す]まいはこの丸太小屋[まるたごや]です。♠虫[むし]の住[す]まい〉地面[じめん]のこの小[ちい]さな穴[あな]が、セミの幼虫[ようちゅう]が長[なが]い間[あいだ]住[す]みついてきた住[す]まいなのです。♠◆<職場[しょくば]と住[す]まい〉父[ちち]にとってはこの写真館[しゃしんかん]は職場[しょくば]であり、同時[どうじ]に住[す]まいでもあります。♠〈住[す]まいを移[うつ]す〉妹[いもうと]が生[う]まれて家[いえ]が手[て]ぜまになったので、都心[としん]から郊外[こうがい]に住[す]まいを移[うつ]すことにした。♠へ住[す]まいを構[かま]える〉彼[かれ]はごみごみした都心[としん]をきらって、緑[みどり]あふれる郊外[こうがい]に住[す]まいを構[かま]えた。♠〈住[す]まいづくり〉部屋[へや]が五[いつ]つに庭[にわ]つきなら、ぼくたちの住[す]まいづくりのプランを十分[じゅうぶん]生[い]かせるね。♠〈住[す]まい選[えら]び〉価格[かかく]、日当[ひあた]たり、環境[かんきょう]、交通機関[こうつうきかん]、便利[べんり]さなどが住[す]まい選[えら]びの条件[じょうけん]です。 **すま・う【住まう】** ○住[す]む。[文例])〈土地[とち]に住[す]まう〉この土地[とち]に住[す]まう者[もの]たちの間[あいだ]に奇妙[きみょう]な習慣[しゅうかん]があった。♠く部屋[へや]に住[す]まう〉此部屋[このへや]は近頃[ちかごろ]まで印度[インド]学生[がくせい]が二人[ふたり]住[す]まって、籐[とう]の長椅子[ながいす]の上[うえ]にごろごろしていたのである。(森[もり]鷗外[おうがい]「青年[せいねん]」)♠どちらにお住[す]まいですか。 **すましこ・む【澄まし込む】** ○つんとすましている。[文例]フラミンゴは鳥[とり]のくせに、いつもすましこんでいる感[かん]じがします。♠ふだんは落[お]ち着[つ]きのない妹[いもうと]が、今日[きょう]ばかりは着物[きもの]を着[き]てすましこんでいる。♠授業参観[じゅぎょうさんかん]の日[ひ]は、いい子[こ]に見[み]られようとすましこんでいました。 **すま・す【済ます】** ○終[お]わらせる。やりとげる。解決[かいけつ]する。間[ま]に合[あ]わせる。すませる。[文例]〈宿題[しゅくだい]を済[す]ます〉妹[いもうと]は、宿題[しゅくだい]を済[す]ました後[あと]、ふとんへもぐり込[こ]みました。♠〈昼[ひる]を済[す]ます〉お昼[ひる]を済[す]ましてから、出[で]かけることにします。♠へ支払[しはら]いを済[す]ます〉じゃ、お母[かあ]さんは、レジへ行[い]って買[か]い物[もの]の支払[しはら]いを済[す]ましてくるわ。♠〈金[かね]で済[す]ます〉いろいろ話[はな]し合[あ]った結果[けっか]、今回[こんかい]の事件[じけん]の補償[ほしょう]を金[かね]で済[す]ますことにした。♠へそばで済[す]ます〉今日[きょう]のお昼[ひる]は簡単[かんたん]におそばかラーメンで済[す]まそう。♠〈ただで済[す]ます〉こんないたずらをしては、ただでは済[す]まされないぞ。♠へなり済[す]ます〉妹[いもうと]は、ままごとでママになり済[す]まして赤[あか]ちゃんの世話[せわ]をしていた。 **すま・す【澄ます】** ○清[きよ]らかにする。透明[とうめい]にする。注意[ちゅうい]を集中[しゅうちゅう]する。気[き]どる。[文例]〈水[みず]を澄[す]ます>濁[にご]った池[いけ]の水[みず]を澄[す]ますために、水[みず]を入[い]れかえました。♠へ心[こころ]を澄[す]ます〉心[こころ]を澄[す]ましてごらん。風[かぜ]の音[おと]、木々[きぎ]のざわめき、鳥[とり]のさえずり、すべてが美[うつく]しい音楽[おんがく]に聞[き]こえるよ。♠く耳[みみ]を澄[す]ます>野[の]の道[みち]で耳[みみ]を澄[す]ますと、小川[おがわ]のせせらぎが聞[き]こえてきた。♠へつんと澄[す]ます〉冗談[じょうだん]を言[い]ってみんなで笑[わら]っているのに、彼女[かのじょ]一人[ひとり]つんと澄[す]ましています。♠人澄[す]ました顔[かお]>澄[す]ました顔[かお]で写真[しゃしん]に写[うつ]っている姉[あね]を見[み]たら、日[ひ]ごろの行動[こうどう]を知[し]っているだけにおかしくなった。 **すまない【済まない】** ○もうしわけない。[文例]へすまない気持[きも]ち〉ぽくの不注意[ふちゅうい]で今度[こんど]の事故[じこ]が起[お]こり、本当[ほんとう]にすまない気持[きも]ちでいっぱいです。♠くすまないこと〉いろいろ迷惑[めいわく]をかけてしまって、あなたにはすまないことをしたと思[おも]っています。♠へすまないけれど〉すまないけれど百円[ひゃくえん]貸[か]してくれないか。 **すみ【隅】** ○囲[かこ]まれた空間[くうかん]・区域[くいき]のかど。すみっこ。[文例]<庭[にわ]の隅[すみ]〉ふろをわかすために、庭[にわ]の隅[すみ]にたきぎが積[つ]んである。♠<部屋[へや]の隅[すみ]>彼[かれ]は南向[みなみむ]きの縁側[えんがわ]に面[めん]した部屋[へや]の隅[すみ]で、小[ちい]さい机[つくえ]に向[む]かっていた。♠頭[あたま]の隅[すみ]>弟[おとうと]が泣[な]くのを聞[き]きながら、いつもと少[すこ]し違[ちが]うなと、頭[あたま]の隅[すみ]でぼんやりと考[かんが]えていた。♠へ隅[すみ]から隅[すみ]まで>次[つぎ]の日[ひ]、ようやく火[ひ]の消[き]えた広島[ひろしま]の町[まち]は、隅[すみ]から隅[すみ]まで焼[や]け野原[のはら]でした。♠へ隅[すみ]に置[お]けない彼[かれ]は無口[むくち]だが、意外[いがい]と隅[すみ]に置[お]けないやつで、いつのまにかガールフレンドを作[つく]っていたんだ。♠へ重箱[じゅうばこ]の隅[すみ]をつつく〉彼[かれ]は細[こま]かいことまで問題[もんだい]にするので、友達[ともだち]から「重箱[じゅうばこ]の隅[すみ]をつつくようだ」と言[い]われる。♠〈隅[すみ]っこ〉ぼくは恐[おそ]る恐[おそ]るいちばん隅[すみ]っこの席[せき]に腰[こし]をおろした。♠<隅々[すみずみ]〉彼[かれ]が受賞[じゅしょう]したというニュースは、この町[まち]の隅々[すみずみ]まで行[い]き渡[わた]っている。 **すみ【炭】** ○木[き]が燃[も]えたあとに黒[くろ]く残[のこ]るもの。木炭[もくたん]。[文例]・ばちも使[つか]われなくなり、最近[さいきん]は炭[すみ]がなかなか手[て]に入[はい]らない。♠<炭[すみ]になる〉キャンプファイヤーのまきはすっかり燃[も]えて、まっ黒[くろ]な炭[すみ]になっていた。♠〈炭[すみ]をおこす〉昔[むかし]は、七輪[しちりん]に炭[すみ]をおこし、サンマを焼[や]きました。♠〈炭[すみ]を焼[や]く〉山[やま]に住[す]むおじいさんの仕事[しごと]は、炭[すみ]を焼[や]くことです。♠朝晴[あきばれ]やぱちぱち炭[すみ]のきげんかな(小林[こばやし]一茶[いっさ]) ♠学問[がくもん]のさびしさに堪[た]え炭[すみ]をつぐ(山口[やまぐち]誓子[せいし]) **すみ【墨】** ○油煙[ゆえん]を固[かた]めて作[つく]った書画[しょが]の用具[ようぐ]。また、それを硯[すずり] <557> **スムーズ** **す** する黒い汁。黒っぽい汁。すす。[文例]〈墨をする〉墨をする時に心を落ち着けることが上手な字を書くコツです。♠〈墨をつける〉お正月の羽根つきでは、負けた方の顔に墨をつけます。♠へ墨を吐く〉身に危険を感じると、タコやイカは墨を吐いて敵の目をくらます。♠〈なべの墨〉お手伝いのまさどんが、なべの底の墨をこそぎ落としている。 **すみか**【住みか】(住み処・住家・栖)○住む所。住まい。[文例]〈動物のすみか〉都会では、空気は汚[よご]れ、野原はなぐなり、動物のすみかはどんどん奪われていく。♠〈人の住みか〉その家は荒れ果てていて、とても人の住みかとは思えないほどだ。♠へ悪魔[あくま]の住みか〉うっそうとした林に囲まれたあの気味の悪い家は、まるで悪魔の住みかのようだ。 **すみこみ**【住み込み】○雇い主の家に住んで働くこと。[文例]〈住み込みで勤める〉上京したわたしは、小さな洋裁店に住み込みで勤めることになった。♠〈住み込みのお手伝いさん〉店がだんだん忙しくなってきたので、住み込みのお手伝いさんを雇[やと]うことにした。 **すみずみ**【隅隅】○すべての隅。あらゆる所。[文例]〈家の隅々〉大切なお客様がいらっしゃるので、家の隅々まで掃除をしました。♠〈画面の隅々〉この映画には、戦争に反対する監督の考えが画面の隅々にまで現れていました。♠〈隅々まで届く〉生徒の数が多すぎると、先生の目は隅々までは届きません。 **すみつ・く**【住み着く・住み付く】○住まい・住みかを定める。定住する。[文例]〈土地に住み着く〉この土地に住み着いて十五年になりますが、こんな大雪は初めてです。♠へ流域[りゅういき]に住み着く〉川は、その流域に住み着いた人々に豊かな恵みをもたらした。♠へタヌキが住み着く〉お寺の裏山にはタヌキが住み着いていて、夜になるとそのかわいらしい姿が見られます。 **すみふる・す**【住み古す】○長い間住む。[文例]〈住み古した家〉住み古した炭坑[たんこう]の家を後にして、わたしたちは札幌に移り住むことになりました。♠〈世の中に住み古す〉けれども僕[ぼく]位[ぐらい]世の中に住み古るした年配の人間なら、あの記事を見て、すぐ事実だと思い込む人ばかりもないから(……)(夏目漱石「三四郎」) **すみやか**【速やか】○速いさま。手間取らないさま。[文例]〈速やかな決断〉事態は緊迫[きんぱく]しています。隊長の速やかな決断をお願いします。♠へ速やかな処置〉看護婦の速やかな処置で、けが人は一命をとりとめた。♠へ速やかに行動する〉避難[ひなん]訓練のときは、先生の指示に従って速やかに行動しましょう。♠〈可及[かきゅう]的速やか〉本件に関して、市としては可及的(=できるだけ)速やかに対処するつもりです。 **すみわた・る**【澄み渡る】○どこまでも澄む。[文例]〈空が澄み渡る〉台風一過の空は、高く広く澄み渡っていた。♠へ山が澄み渡る〉日本アルプスの澄み渡った姿を一望することができる。♠〈風が澄み渡る〉五月の澄み渡った風がほおに心地よい。♠へ気持ちが澄み渡る〉いったん心を決めると、わたしの気持ちは落ち着き、不思議なほどに澄み渡ってきた。 **す・む**【住む】(棲む)○居住する。生活する。生息する。[文例]〈〜に住む〉わたしのいちばん上の姉は松本[まつもと]に住んでいます。♠〈田舎・都会に住む〉わたしのように田舎に住んでいると、あんなごみごみした都会に住む人の気が知れません。♠〈住む家〉火事で焼け出され、彼にはもう住む家さえなかった。♠へ生物がすむ〉ネス湖に、ネッシーと呼ばれる不思議な生物がすんでいるのではないかといわれています。♠〈すむ場所〉ツバメのように、毎年きまった季節にすむ場所を変える鳥を渡り鳥といいます。♠〈住む世界〉お嬢さん育ちのきみとぼくでは住む世界が違う[ちが]よ。♠〈住めば都〉「住めば都」とはよく言ったもので、寒い所はいやだと言っていた兄も、今では北海道で楽しくやっているようだ。♠へ住み慣れる〉住み慣れた古い家に別れをつげ、異郷の地へ移らねばならない。♠へ住みつく〉流域に住みついた人々に対して、川は豊かな恵[めぐ]みをもたらしてきた。 **す・む**【済む】○終わる。かたがつく。解決する。用が足りる。言い訳がたつ。[文例]〈祭りが済む〉七夕[たなばた]祭りが済むと、人々は、短冊[たんざく]のついた竹を川に流します。♠◇宿題が済む〉もう宿題済んだの?テレビを見るなら済ませてからにしなさい。♠へ仕事が済む〉母から言いつけられた仕事は全部済んだ。♠へ戦争が済む〉戦争が済むまで二人とも生きていられたら、その時には結婚[けっこん]しよう。♠〈支払[しはら]いが済む〉おじに借りたお金の残りを返したので、これで支払いは全部済んだ。♠へ気が済む〉父さんは何も言わないから、おまえの気が済むようにしなさい。♠へ済んだ事〉済んでしまった事は、くよくよしないで忘れよう。♠〈金で済む〉父は、「今度のことは金で済む問題じゃない。」と怒[おこ]っていた。♠へ〜円で済む〉送る方法を工夫すれば、郵送料は九百円で済むと思う。♠へ〜せずに済む〉戦争のとき多くの家が焼けたが、ぼくの家は幸運にも焼かれずに済んだ。♠へ〜して済む〉こんな所に落書きして、謝[あやま]って済むと思っているのか!♠へただでは済まない〉「そんなことをするとただでは済まないぞ。」と脅[おど]かされた。♠へすまない気持ち〉息子が友達にけがをさせたなんて、相手のご両親に対してすまない気持ちでいっぱいです。♠へすみません〉約束[やくそく]の時間に遅[おく]れて、すみません。 **す・む**【澄む】○清らかになる。透きとおる。はっきり見える。音色・色彩がさえる。心がすがすがしくなる。清音に発音される。[文例]〈空が澄む〉空は青く澄んで、雲一つなかった。♠〈水が澄む〉あんなに濁[にご]っていた川の水も、今ではもう、魚が見えるくらいに澄んでいます。♠へ心が澄む〉静かな秋の夜には心もおのずから澄む。♠へ澄んだ声〉よく澄んだきれいな声もあれば、濁[にご]ったがらがら声もある。♠へ澄んだ鐘[かね]の音〉田舎道を歩いていると、遠くから澄んだ鐘の音が聞こえてきました。♠く澄んだ音〉「ズ」は濁音[だくおん]であるが、「ス」は澄んだ音である。♠〈澄み渡る〉澄み渡った大空にひばりが舞い上がっていった。 **スムーズ**○なめらかなさま。円滑なさま。[文例]〈スムーズに流れる〉昨日は大渋滞[たいじゅうたい]だった高速道路も、今日はスムーズに流れています。 <558> **ずめん** **す** ♠へスムーズに動く〉オイルはガソリンと違って燃料ではないが、車をスムーズに動かすために欠かせない。♠へスムーズな展開〉何といっても、会議はスムーズな展開が望ましい。 **ずめん**【図面】○設計図。見取り図。[文例]〈家の図面〉建て増しする家の図面ができあがった。♠〈図面を引く〉さすがに一流の設計者が図面を引いただけあって、付近では際だってしゃれた店だった。♠へ図面を広げる〉現場監督は、作業員たちに図面を広げて説明した。 **すもう**【相撲】(角力)○土俵上で力と技を競う格闘技。すもう取り。[文例]〈相撲を取る〉お兄ちゃんと相撲を取って、ぼくが勝ったんだ。♠〈相撲にならない〉二人には力の差がありすぎて、きっと相撲にならないだろう。♠へ相撲に勝って勝負に負ける〉相撲に勝って勝負に負ける、ということがあるから、ものごとは最後の詰めが大切なんだ。♠へ人のふんどしで相撲を取る〉きみに借りたお金でやったパチンコでもうけたということは、人のふんどしで相撲を取ったのかな。♠〈独り相撲〉仲間を説得したけれど、だれにも相手にされず、結局ぼくの独り相撲に終わった。 **スライド**○ずらすこと。滑らせること。他の変動に対応して変化させること。幻燈機。また、そのフイルムを滑らせる装置。また、そのフイルム。スライドガラス。[文例]へスライドを映す〉スライドを映しますから、窓を閉めて暗幕をおろしてください。♠へスライドする〉この学校の授業料は、物価の上昇にあわせてスライドしていくシステムになっている。 **ずらか・る**○逃げる。高飛びする。[文例]あいつめ、会社の金に手をつけてずらかった。♠昨日、小林は掃除当番をサボッてずらかった。 **ずら・す**○元の位置から滑らせて動かす。重なりを避けて、日程・予定を少し変える。[文例]〈机をずらす〉じゅうたんに跡[あと]が残っているから、きっと机をずらしたのだろう。♠〈出発をずらす〉台風接近の情報が入ったので、出発を一日ずらすことにした。♠〈予定をずらす〉思ったより会議の時間が長びいたので、予定をずらさなければならない。 **すらすら**○物事が順調に運ぶさま。[文例]〈すらすら読む〉あの子はまだ小学校にも行っていないのに、難しい本をすらすら読む。♠へすらすらとわかる〉勉強のかいあって、英語がすらすらとわかるようになった。♠くすらすらと解く〉計算まちがいさえしなければ、あとはすらすらと解ける問題です。♠へすらすらと書く〉こんな立派な文章がすらすら書けるとは、なかなかの才能の持ち主だ。♠へすらすらと運ぶ〉実際自分でやってみると、事はそう簡単にすらすらとは運ばなかった。 **スランプ**○一時的な不振・不調。[文例]〈スランプに陥[おちい]る〉秋になると、この選手はスランプに陥ってしまった。♠ヘスランプが続く〉これ以上スランプが続くようなら、レギュラーからはずさなければならないだろう。♠ヘスランプを脱する〉スランプを脱するには気分転換も必要でしょう。 **すりか・える**【すり替える】(掬り替える)○そっと取り替える。[文例]〈にせものとすりかえる〉万一のために、ケースの中の本物の真珠[しんじゅ]をにせものとすりかえておいた。♠へ絵をすりかえる〉今朝来てみると、何者かによって展覧会の絵がすりかえられていた。♠へ問題をすりかえる〉キャプテンは、部員が不満を言うと、都合のいいように問題をすりかえる。 **すりき・れる**【擦り切れる】(摩り切れる・摺り切れる)○こすれて破れる。すれて切れる。[文例]〈そでがすりきれる〉男の服はボロボロで、上着のそでなどはすりきれていた。♠〈ズボンがすりきれる〉ズボンのおしりがすりきれて、パンツが見えているよ。♠ヘレコードがすりきれる〉ビートルズが大好きで、レコードがすりきれるほど何度も聞いたものです。 **すりこ・む**【擦り込む・刷り込む】(摩り込む・摺り込む)○すって混ぜる。こすってしみこませる。刷って入れる。[文例]〈ごまをすり込む〉すりばちの中で、ごまをみそにすりこんでください。♠〈薬を擦り込む〉チューブから薬をしぼり出し、すりむいたひざに擦り込みました。♠へ名刺[めいし]に刷り込む〉渡された名刺には、相手の会社名と役職が刷り込まれてあった。 **すりつける**【擦り付ける】(摩り付ける・摺り付ける)○くっつけてこする。こすりつける。[文例]〈地面にすりつける〉靴の底についたガムを地面にすりつけて取りました。♠〈鼻をすりつける〉茶色い犬が鼻をすりつけるようにして電柱のにおいをかいでいる。♠へ顔をすりつける〉教室で落としたコンタクトレンズを、床[ゆか]に顔をすりつけて探しました。 **すりぬ・ける**【擦り抜ける】(摺り抜ける)○狭い所を通り抜ける。ごまかして逃れる。[文例]〈人込みをすりぬける〉少年は、すばしっこく人込みの中をすりぬけていった。♠〈手をすりぬける〉どじょうは、するっと手をすりぬけました。♠〈非常線をすりぬける〉いったいどうやって、犯人は厳しい非常線をすりぬけ、国外に逃亡[とうぼう]したのだろう。♠へ法の目をすりぬける〉法の目をすりぬけて脱税をくり返していた男が逮捕された。 **すりへら・す**【擦り減らす】(磨り減らす・摩り減らす)○こすって減らす。消耗させる。[文例]〈靴をすり減らす〉静かなアパートを探そうと、靴をすり減らして歩きまわった。♠〈心身をすり減らす〉会社を経営している父は、毎日仕事に追われて心身をすり減らしていた。♠〈神経をすり減らす〉文化祭を成功させようとあれこれ気を使い、すっかり神経をすり減らしてしまった。 **すりへ・る**【擦り減る】(磨り減る・摩り減る)○こすられて減る。消耗する。[文例]〈下駄[げた]がすり減る〉もう何年もはいてすり減った下駄をカラコロいわせて、兄が帰ってきた。♠〈石碑[せきひ]がすり減る〉長い年月の間に石碑の表面はすり減り、字は判読が難しくなっている。♠〈神経がすり減る〉細かい数字を読み取るのですから、神経のすり減るような仕事です。 **すりむ・く**【擦りむく】(擦り剥く)○こすって皮がむける。[文例]〈ひざをすりむく〉転んですりむいたひざに大きなばんそうこうをはりました。 <559> **する** **す** ♠へ額[ひたい]をすりむく〉電信柱にぶつかったといって、息子は額をすりむき、大声で泣きながら帰ってきました。 **すりよ・せる**【擦り寄せる】○すれるくらいに近寄せる。[文例]〈体をすりよせる〉子ねこは人なつっこく体をすりよせてきました。♠へほおをすりよせる〉母親は赤ちゃんにほおをすりよせ、やさしく抱きしめている。♠へ肩をすりよせる〉二人は肩をすりよせるようにして歩いているぞ。 **すりよ・る**【擦り寄る】○すれるくらいに近寄る。にじり寄る。[文例]音もなくすりよってきた男は、いきなり、「今何時ですか。」と聞いた。♠犬は警戒心[けいかいしん]を解[と]いて、だんだんぽくたちにすりよってきました。 **スリル**○はらはらどきどきする感じ。[文例]〈スリルがある〉マラソンで、選手たちが抜きつ抜かれつする様子は、スリルがあります。♠ヘスリルを味わう〉野原の小川をとびこえて、ちょっとしたスリルを味わってみた。♠ヘスリルを求める〉探検家は、ヒマラヤや南極へと地球をまたにかけて、スリルを求め続ける。♠ヘスリルとサスペンス〉〈スリルに富む〉スリルとサスペンスに富んだ物語を、手に汗[あせ]をにぎりながら一夜で読み上げた。♠ヘスリル満点〉遊園地のジェットコースターはスリル満点だ。 **する**(為る)○行う。従事する。(役職などを)務める。あるものにならせる。ある状態にならせる。身につける。見なす。仮定する。感じられる。ある状態になる。値段が付く。時がたつ。[文例]〈何かをする〉雨の日は、何もすることがなくて退屈[たいくつ]してしまう。♠へいたずらをする〉〈どうかしている〉中学生にもなって、あんないたずらをするなんて、どうかしているよ。♠へ病気をする〉ぼくは、健康なのがとりえで、病気らしい病気をしたことがありません。♠ヘミスをする〉〈〜としたことが〉わたしとしたことが、とんだミスをしてしまった。♠へする事なす事〉最近の彼は、する事なす事みんないまいちうまくいかないようだ。♠へ役をする〉今度の学園祭では、A君がハムレットの役をすることになっている。♠へ医者をする〉おじはこの町で医者をしています。♠〈医者にする〉わたしは子供を医者にするつもりだ。♠へ仲間にする〉彼のようなわがままな人間を仲間にするのは反対だ。♠〈相手にする〉あんな人、もう相手にするのはやめなさいよ。♠〈相手をする〉がんこじいさんの相手をするのもつかれるよ。♠〈笑いものにする〉あの人は、人を笑いものにして、喜んでいる。♠へ幸福にする〉ぼくはきみを幸福にする自信がある。♠〈無にする〉せっかくのご好意を無にする結果になり、申しわけございません。♠へ意見を異にする〉彼とは、この問題では意見を異にしている。♠〈問題にする〉世の中では、本人がどういう人かよりも、親とか家とかを問題にすることがある。♠へ本をまくらにする〉勉強に追われているはずの弟は、本をまくらにして、大の字になって寝ている。♠〈ネクタイをする〉今日は、シャツに合わせてこのネクタイをしていくといいわよ。♠へご飯にする〉もっぱら朝食は、ご飯にしています。♠〈食事にする〉そろそろ仕事を切り上げて、食事にしませんか。♠へ手にする〉生まれてこのかた、ピストルを手にするのは、今が初めてです。♠〈口にする〉その一言を口にしたら、二人の仲はおしまいになるだろう。♠<耳にする〉このあたりまで登ってくれば、コマドリの鳴き声を耳にすることができる。♠〈目にする〉あの少年は、最近この近くでよく目にします。♠〈目をする〉ぼくを見ると、彼女はおびえたような目をするんだもの、いやになっちまうよ。♠へ青い目をする〉明治時代、金髪[きんぱつ]で青い目をした外人を初めて見た人たちは、さぞ驚[おどろ]いたことだろう。♠へ高い鼻をする〉あの人、ほら、あの高い鼻をした人、あれは洋子のお兄さんよ。♠へむっとする〉さすがのぼくも、彼の無神経な態度にはむっとする。♠へじっとする〉ちょっとじっとしてらっしゃい。背中についている糸くずをとってあげるから。♠〈生き生きとする〉彼女はいつも、生き生きとして、ひとみを輝かせている。♠へあいさつとする〉これをもちまして、わたくしのあいさつとさせていただきます。♠へ気にする〉〈くよくよする〉結果を気にして、くよくよするより、できるだけの事をやったら、あとは天命を待て。♠へ気がする〉街で見かけた女の人が、行方[ゆくえ]知れずのおばに似ていたような気がした。♠〈寒[さむ]気がする〉昼すぎから、ぞくぞくと寒気がすると思ったら、夜になって熱が出た。♠へ胸騒ぎがする〉なんだか胸騒ぎがするので、急いで家路[いえじ]についた。♠〈音・いなびかりがする〉初め、ピカッといなびかりがして、次にゴロゴロドーンと大きな音がした。♠くにおいがする〉夕げ時の町を歩いていると、どこかで魚を焼いているいいにおいがしてきた。♠〈味がする〉このアイスクリーム、おもしろい味がするよ。ちょっと食べてみて。♠へ十万円する〉彼から十万円もする時計を、プレゼントされた。♠へしばらくする〉しばらくすれば、悲しみもおさまるだろうから、いまはそっとしておこう。♠ヘ五分もすれば〉五分もすれば戻りますので、しばらくお待ちください。♠へ〜しようとする〉夫妻は、チンパンジーにことばを教えようとした。♠へ〜はする〉自分の将来を考えはしますが、どうしても目の前の雑事に気をとられてしまうのです。♠へ〜として〉彼の作品としては、あまりできの良いものとは言えない。♠〈〜とすれば〉駅まで歩いて行くとすれば、何分ぐらいかかりますか。♠へ〜にしても〉この大風では、たとえ鉄道が動いたにしても、連絡船[れんらくせん]は運航しないだろう。♠へ〜にしろ、〜にしろ〉この子は、チーズにしろ、ヨーグルトにしろ、乳製品にはすべてアレルギー反応を示します。♠へ〜にせよ、〜にせよ〉行くにせよ、残るにせよ、覚悟して決められい。♠〈ありもしない〉おまえはどうして、ありもしない物を見ることができるんだ!♠へお〜する〉品物は、必ずお届けしますので、しばらくお待ちください。 **する**【擦る・刷る】(摩る・磨る・拘る・摺る・擂る)○こする。細かくする。すりつぶす。使い果たす。他人の財布を抜き取る。印刷する。[文例]〈ガラスを擦る〉つめでガラスを強く擦ると、キーといういやな音がします。♠ヘマッチを擦る〉彼はマッチを擦ってたばこに火をつけました。♠へ墨をすりつぶす。 <560> **ずるい** **す** る〉書き初めがうまく書けますようにと祈りつつ、墨をすりました。♠〈ごまをする〉夕食に必要なのだろう、母はすりばちでごまをすっている。♠〈ごまをする〉彼は、早く出世したいために、いつも上役にごまをすっている。♠へ財産をする〉かけごとに熱中して、すっかり財産をすってしまうという話は最近は聞かなくなりました。♠〈お金をする〉人込みでは、お金をすられたりしないよう、注意が必要です。♠〈年賀状を刷る〉今年は、版画を作って年賀状を刷りました。♠<擦りむく〉彼はどこかで転んだとみえて、ひざ小僧を擦りむいていた。♠へ擦り切れる〉とても着やすいワイシャツで、長年愛用してきたが、最近えりとそで口が擦り切れてきた。♠へすりつける〉子ぐまは、母ぐまに体をすりつけクンクン鳴いた。♠くすり抜ける〉ぼくたちは、お祭りの人込みの中をすり抜けて、やっと駅にたどり着いた。♠へすり減る〉うちのまな板も、すり減って真ん中がへこんで使いにくい。♠へすり込む〉母は、水仕事で荒れた手にクリームをすり込んでいた。 **ずる・い**(狡い)○悪がしこい。こうかつだ。[文例]〈ずるい人〉自分の責任を他人に押しつけるような、そんなずるい人じゃないだろう、きみは?♠〈ずるい手〉ずるい手を使ってまで勝とうとは思わない。♠へずるい事〉ぼくにないしょでずるい事をしようとしたから、罰[ばち]が当たったのさ。♠へずるいやり方〉この店は、ずるいやり方でここまで大きくなってきたという評判だ。 **すると**○そうすると。それでは。それならば。[文例]どんどん進んで行った。すると、向こうに何か光るものがある。♠もしもし、と声をかけてみました。すると、振り返った男の顔はノッペラボーだったのです。♠するときみは、働くのがいやになったというんだね。 **するど・い**【鋭い】○先がとがっている。鋭利だ。刺激・勢いが強い。きびしい。感覚・頭脳の働きが速くてすぐれている。[文例]〈鋭いきば〉トラやライオンなどの肉食動物は、とがったつめと鋭いきばを持っています。♠へ鋭い刃物〉切れたザイルを調べてみると、鋭いナイフのような刃物で切ったあとがあった。♠〈鋭くとがる〉男が身をかわすと、鋭くとがったやりの先がキラリと光った。♠<鋭い痛み〉立ち上がろうとした瞬間[しゅんかん]、全身に鋭い痛みが走った。♠へ鋭い音〉キーッと鋭い音を立てて、一台の自動車がぼくのすぐわきに止まった。♠へ目つきが鋭い〉朝から目つきの鋭い男が家の周りをうろついている。♠へ勘[かん]が鋭い〉母は勘が鋭いので、ぼくが隠[かく]しごとをしていてもすぐ見ぬいてしまう。♠〈物の見方が鋭い〉彼は物の見方が鋭く、その洞察力[どうさつりょく]には教えられることが多い。♠へ鋭い感覚〉この文章には、著者の詩人としての鋭い感覚と優しい心がにじみ出ている。♠<鋭い才気〉何気ない会話のはしばしに、彼女の鋭い才気がうかがわれた。♠へ鋭く鳴く〉人間が近づくと、見張りのツルは鋭く鳴いて、仲間に危険を知らせます。♠〈鋭くとらえる〉人の心に響[ひび]く詩を作るには、ものごとを鋭くとらえる感覚が必要になってきます。♠へ鋭く風刺[ふうし]する〉彼の描[えが]く漫画[まんが]は、ユーモアを含みながらも、現代の世相を鋭く風刺したものが多い。♠〈鋭くつく〉ぼくの悪いところを、友達に鋭くつかれて、一言[いちごん]もなかった。♠へ鋭く指摘する〉著者はこの本の中で、現在の学校教育の誤りを鋭く指摘[してき]している。♠へ鋭いメスを入れる〉水俣病[みなまたびょう]が発生するや、マスコミはこぞってその実態を報道し、公害問題に鋭いメスを入れた。 **すれすれ**【擦れ擦れ】○すれ合うほど近いさま。限度にきわめて近いさま。ぎりぎり。[文例]〈すれすれに飛ぶ〉ツバメが家の屋根をすれすれに飛ぶ。♠へ平均点すれすれ〉理科が苦手で、ぼくの点数は、いつも平均点すれすれだ。♠へ時間すれすれ〉山本は朝ねぼうをして、集合時間すれすれになってやっと来たんだ。♠〈発車すれすれ〉駅まで走り、ホームの階段を駆け上がって、発車すれすれでまにあった。♠へ違反[いはん]すれすれ〉どうしても急がなければならなかったので、スピード違反すれすれの速さで、車を飛ばした。♠くすれすれのところ〉台風のときには、川の水位が堤防[ていぼう]のすれすれのところまで上がり、流域[りゅういき]の人々は肝を冷やした。 **すれちがい**【擦れ違い】○すれ違うこと。[文例]〈すれ違いになる〉お母さんに会わなかった?じゃあ途中ですれ違いになったんだわ。♠へ意見がすれ違い〉二人の意見はすれ違いでかみ合わなかった。♠へすれ違いざま〉いたずら者のたかし君に、すれ違いざまにおしりをたたかれた。 **すれちがう**【擦れ違う】○互いに近くを反対方向に通り過ぎる。行き違う。食い違う。[文例]〈廊下[ろうか]ですれちがう〉昼休み、廊下で先生とすれちがったが、あの事については何もおっしゃらなかった。♠〈人々とすれちがう〉あいつは人々とすれちがってもあいさつさえしないようなやつだ。♠〈人々とすれちがう〉あの人とはいつもすれちがってばかりで、どうしても会えない。♠〈列車がすれちがう〉上り列車と下り列車は、同時刻、いつもこの場所ですれちがう。♠〈話がすれちがう〉会議は、話がすれちがって、結論は次回に持ちこされた。 **す・れる**【擦れる】(摩れる)○こすれる。世間でもまれて悪がしこくなる。[文例]〈股[また]がすれる〉お相撲さんは、歩くときに股がすれて歩きづらいそうです。♠く性格がすれる〉とてもすなおな子だったのに、大きくなって性格がすれてしまった。♠へ世の中にすれる〉「そりゃ、余り君が人が好[よ]過ぎるからじゃ。もう少し世の中に擦れんと損だぞ」(夏目漱石「虞美人草[ぐびじんそう]」) **ず・れる**○元の位置から滑り動く。正しい位置からそれる。予定より遅れる。基準・標準から外れる。[文例]〈線がずれる〉左右の線がずれているようですから、定木[じょうぎ]を当ててみなさい。♠へ方向がずれる〉渡り鳥は、何を目標にして飛ぶのでしょう?方向がずれることはないのですか。♠へ期限がずれる〉期限は今月いっぱいですよ。来月にずれるのは困ります。♠〈感覚がずれる〉お父さんは、感覚がずれていて、古くさいことを平気で言うから困るわ。 **スローガン**○主義・主張を示した標語。うたい文句。合い言葉。[文例]〈万博[ばんぱく]のスローガン〉「人類の進歩と調和」が一九七〇年に開催された日本万国博のスローガンだった。 <561> **すんなり** **す** ♠〈スローガンを作る〉戦時中、日本人はアメリカ・イギリスに対して「鬼畜米英[きちくべいえい]」というスローガンを作り出した。♠ヘスローガンにかかげる〉大通りでは「反戦平和」をスローガンにかかげたデモ行進が行われている。♠ヘスローガンとする〉八十年代になって「かけがえのない地球」をスローガンとする運動が盛[さか]んになりました。 **すわり**【座り・据わり】(坐り)○すわること。すわり具合。安定。[文例]へ置き物の据わり〉〈据わりがよい・悪い〉この置き物は据わりが悪く、ちょっとした揺れですぐ倒れる。♠〈首のすわり〉生後まもない赤ちゃんは首のすわりがしっかりしていないので、注意して抱いてください。♠へ座り具合〉なかなか座り具合のいいソファーですね。♠へ座り心地〉お父さんのひざがタマには一番座り心地がいいみたいね。♠〈犬のおすわり〉うちの犬は、おすわりはできるけれどほかに芸は何もできません。 **すわりこ・む**【座り込む】(坐り込む)○座って動かないでいる。[文例]〈縁側[えんがわ]に座り込む〉母は縁側に座り込んで、近所のおばさんと話をしたまま動きません。♠へその場に座り込む〉わたしは、もう精も根も尽き果ててその場に座り込んでしまった。♠へ労働者が座り込む〉従業員は、待遇[たいぐう]の改善を求めて、もう三日も工場内に座り込んでいる。 **すわ・る**【座る・据わる】(坐る)○ひざを折り曲げて腰をおろす。席につく。地位につく。位置を占める。固定・安定する。動きが止まる。[文例]〈いすに座る〉待合室に入ると、先客が二人、いすに並[なら]んで座っていた。♠〈席に座る〉皆さん、どうぞ席に座ってください。♠へ〜に向かって座る〉学校から帰るとすぐ飛び出していく弟が、今日は珍しく机に向かって座っている。♠へ〜の前に座る〉時間がないので、急いで顔を洗って鏡の前に座った。♠へあとがまに座る〉社長が退陣[たいじん]したら、あとがまに座ろうとねらっている人間が、少なくとも三人はいる。♠〈首が据わる〉首の据わらない赤んぼうを抱くときには、手で首を支えるようにしてください。♠〈目が据わる〉初めは冗談[じょうだん]かなと思いましたが、彼の目が据わっているので本気だと思いました。♠へ腹が据わる〉先生の話を聞いて決心がつき、ぼくもやっと腹が据わりました。♠〈度胸[どきょう]が据わる〉舞台[ぶたい]の上に立つと、かえって度胸が据わって落ち着くということもあります。♠〈肝っ玉[きもったま]が据わる〉大抵[たいてい]のことには驚かない様子を、肝っ玉が据わっていると言います。♠へ座り込む〉父の無事な姿を見ると、気のゆるんだ母はその場にへなへなと座り込んでしまった。 **すん**【寸】○昔の長さの単位の一つ。長さ。寸法。[文例]寸は尺の十分の一の長さの単位で、一寸は約三・〇三センチメートルです。♠へ寸がつまる〉この子はずいぶん背が伸びて、去年の洋服は寸がつまってどれも着られません。♠へ寸が足りない〉どぶに板を渡そうと思ったが、残念ながらちょっと寸が足りなかった。 **すんげき**【寸劇】○短い劇。[文例]たった三分の寸劇だったが、二人の役者は十分にお客さんをひきつけて退場しました。♠へ寸劇を演じる〉この俳優の演じる寸劇は、人の心の一面をよく表していて、なかなか見せます。 **すんごう**(寸毫)○ほんのわずか。[文例]〈寸ごうも思わない〉十年来の部下に裏切られることなど、寸ごうも思ったことはなかった。♠へ寸ごうも疑わない〉監督[かんとく]が辞任することなど寸ごうも疑わず、部員たちは熱心に練習を続けている。 **すんし**【寸志】○わずかの志。心ばかりの贈り物。[文例]「ほんの気持ちですから受け取ってください。」と言って母親が差し出した袋[ふくろ]には、寸志と書いてあった。♠〈寸志の礼〉「寸志のお礼がいたしたいのですが。」「いや。わたしは群生[ぐんじょう]を福利し、驕慢[きょうまん]を折伏[しゃくぶく]するために、乞食[こつじき]はいたしますが、療治[りようじ]代は戴きませぬ。」(森鷗外[もりおうがい]「寒山拾得[かんざんじっとく]」) **すんしゃく**【寸借】○少しの間借りること。[文例]〈寸借する〉新入社員の息子が給料日まで三万円ほど寸借したいと言ってきた。♠へ寸借詐欺〉すぐ返すから、といって見知らぬ人からお金を借り逃げする寸借詐欺を働く者がいる。 **すんぜん**【寸前】○直前。目の前。[文例]〈寸前に迫る〉一年がかりで準備を進めてきた大会が寸前に迫ってきた。♠〈着く寸前〉わたしの着く寸前に病床[びょうしょう]の母は息をひきとったという。♠へ閉まる寸前〉ホームの階段を息を切らして駆け上がり、電車のドアの閉まる寸前、飛び乗った。♠ヘゴール寸前〉最初はトップを走っていたが、ゴール寸前で抜かれて、惜しくも優勝を逸した。♠へ出発寸前〉念入りに点検したつもりだったのに、出発寸前に忘れ物をしたことに気がついた。♠へ絶滅[ぜつめつ]寸前〉昔は日本にたくさんいたトキも、自然破壊が進んだ結果、絶滅寸前である。 **すんだん**【寸断】○ずたずたに切ること。[文例]〈道路を寸断する〉台風による土砂崩れで県道が寸断され、村は完全に孤立してしまった。♠〈鉄道を寸断する〉過激派のゲリラ活動で首都圏の鉄道はあちこちで寸断された。♠ヘ行動圏[こうどうけん]を寸断する〉観光道路の完成で生息するカモシカの行動圏が寸断され、絶滅の危機に瀕[ひん]している。 **すんてつ**【寸鉄】○短い刃物。短いが人の心を刺す言葉。[文例]〈身に寸鉄も帯びず〉停戦を申し込みに行くのだからと、大将は身に寸鉄も帯びず敵陣に乗りこんでいった。♠〈寸鉄人を刺す〉「寸鉄人を刺す」のたとえのように、短い言葉が人の心に強い効果を与えることがあります。 **すんでのところ**【すんでの所】(既の所)○きわどいところ。もう少しのところ。すんでのこと。[文例]気がつくと廊下は火の海で、ぼくはすんでのところで窓から脱出した。♠あとちょっとのところまで追いつめたのに、すんでのところで取り逃がしてしまった。 **すんなり**○すらりとしてしなやかなさま。物事がスムーズに運ぶさま。[文例]〈すんなりした体つき〉まゆみさんは、背が高くすんなりした体つきの人です。♠へすんなり伸びる〉彼は背が高く、すんなり伸びた足がすてきです。♠へすんなり話し合いがつく〉今日の会議はもめるのではないかと心配していたが、すんなり話し合いがついて安心した。♠〈すんなり通る〉この議案ならすんなり通ると思っていたのに、大勢の反対者が出た。♠へすんなりと受け入れる〉われわれの要求があんなにすんなりと受け入れられるとは思っていなかった。 <562> **すんぶん** **せ** **せ** **せ【背】○背中。後ろ。背後。背面。身長・背丈(=せい)。[文例]〈馬の背〉少年は、ひらりと馬の背に飛び乗ると、そのまま風のように走り去った。♠〈背に負う〉行商の女たちは、重そうなかごを背に負い、家々を一軒一軒訪ね歩くのである。♠〈背をもたせる〉廊下の柱に背をもたせかけながら、ぼんやり暮れる夕日をながめていた。♠〈背を丸める〉冷たい師走[しわす]の風の中を、人々は寒そうに背を丸めて通りすぎて行く。♠へ背の開いたドレス〉ファッション・ショーでは、背の大きく開いたイブニングドレスが人目を引きました。♠〈背を伸ばす〉何ですか若い人が、もっと背をしゃんと伸ばしなさい。♠〈背を向ける〉「それじゃあ。」と言うと、男はくるりと背を向け、ふり向きもしないで行ってしまった。♠〈背にする〉記念写真を撮りますから、皆さん、お城を背にして二列に並んでください。♠へ背が同じ〉弟はぼくより三つ年下ですが、ほとんどぼくと同じぐらいの背です。♠へ背が高い・低い〉ふり向くと、三十歳ぐらいの、眼鏡をかけた背の高い男の人が立っていた。♠へ背が伸びる〉中学に入ったら急に背が伸びて、いつのまにか父を追い越してしまった。♠〈背が立つ〉プールの深さは二メートルもあり、大人の人でも背が立たない。♠〈背に腹はかえられない〉この家だけは手放したくなかったけど、背に腹はかえられないからね。♠〈本の背〉表紙には何も書いてなかったが、本の背を見ると『リルケ詩集』とあった。 **せ**【瀬】○川の流れの浅い所。浅瀬。流れの急な所。早瀬。立場。機会。[文例]〈瀬の音〉さらさらと涼しい瀬の音をたてて、今日もまた川は流れている。♠へ瀬をのぼる〉〈瀬をくだる〉水の香[か]のきよきこの夜[よ]瀬をのぼり瀬をくだる稚[わか]き鮎[あゆ]をしおもふ(木俣修[きまたおさむ])♠〈立つ瀬がない〉好意でしたことをそんなに責められたら、ぼくは立つ瀬がないじゃないか。♠〈浮かぶ瀬〉「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」というから、覚悟をかためてかかればうまくいくかもしれない。♠〈逢[あ]う瀬・おうせ〉過去の女に抱かれたる過去の夢は、現実と二重の関[せき]を隔[へだ]てて逢う瀬はない。(夏目漱石「虞美人草[ぐびじんそう]」) **せい**【精】○精力。元気。物に宿る魂。精霊。細かく詳しいこと。[文例]〈精を出す〉兄は、大学受験が目前なので、早起きして勉強に精を出している。♠へ精が出る〉おお、こんな早くから畑仕事とは、精が出るのう。♠〈精も根もつきる〉こんな険しい山、もう精も根もつきて、一歩も歩けないよ。♠〈精をつける〉クラブの合宿に備えて、栄養をとって精をつけておかなくちゃ。♠〈精いっぱい〉中間テストの成績はあまりかんばしくなかったので、期末テストは精いっぱいがんばろう。♠〈花・水の精〉童話の世界では、動物たちが言葉を話し、花や水の精が現れ、太陽や山も人間と同じように生きている。 **せい**【生】○生きること。生命。人生。生活。[文例]〈生と死の間〉車にはねられた青年は、幾日か生と死の間をさまよった。♠〈生を受ける〉人としてこの世に生を受けたからには、存分に生きてみたい。♠〈生を終える〉老母は草深いこの村で、ひっそりとその生を終えた。♠〈生あるもの〉生あるものは必ず滅[めっ]する。 **せい**【性】○性質。性格。男女・雌雄の別。セックス。[文例]〈人の性〉人間の性は善であるという考え方と、悪であるという考え方があります。♠〈性の区別〉男性・女性という性の区別によって差別せず、お互いに協力していくことが大切です。♠〈性に目覚める〉性に目覚める年ごろのきみたちにとって、異性が気になるのはごく自然なことだ。 **せい**【姓】○家の名称。名字。氏。[文例]〈姓が変わる〉姉は結婚して、姓が変わりました。♠へ姓を名乗[なの]る〉わたしは一人娘の所に婿[むこ]に来たので、妻の姓を名乗っています。 **せい**【聖】○清くて尊いさま。神聖。神聖な感じを与える人。聖人。[文例]〈聖なる丘〉部族にとって、神の住みたもうこの丘は聖なる丘である。♠〈聖なるあこがれ〉愛とは、未知なるものに対する聖なるあこがれである。♠〈聖ヨハネ〉聖ヨハネは、キリストの十二使徒の一人である。 **せい**(所為)○ある(よくない)ことを引き起こすもと。…による結果。[文例]〈気のせい〉何か悩みごとでもあるのだろうか、気のせいか、あの人は少しやせたようだ。♠〈年齢のせい〉もの忘れがひどくなったのは、年齢のせいだろうか。♠〈人のせい〉失敗を人のせいにするなんて、よくありませんね。♠へ〜のせいにする〉テストの出来が悪かったのを、体調のせいにするのですか。♠〈疲れているせいか〉思い通りに体が動かない。 **せいあつ**【制圧】○力でおさえつけること。[文例]〈制圧する〉独裁政権打倒に立ち上がった労働者・学生は、出動した軍隊に制圧された。♠へガンの制圧〉ガンの制圧が叫[さけ]ばれて久しいが、いまだ有効な手段は発見されていない。 **せいい**【誠意】○まごころ。誠心。[文例]〈誠意をもつ〉きみが誠意をもって忠告すれば、彼の乱暴も少しは治まるだろう。 <563> **せいかく** **せ** ♠<誠意が通じる〉先生の誠意が通じたのか、少年は少しずつ話をするようになった。♠へ誠意がこもる〉彼女が一針一針編んでくれたこのセーターは、誠意のこもった贈り物です。♠く誠意がある・ない〉事故を起こした運転手の誠意のない態度に、被害者[ひがいしゃ]の家族は怒[いか]りを抑[おさ]えられなかった。♠〈誠意を疑う〉彼は事故でわたしをけがさせたにもかかわらず、お見舞いにもこないなんて誠意を疑うよ。♠へ誠意を示す〉この問題の解決は容易ではないが、こちらが誠意を示して事にあたれば、相手もきっとわかってくれると思う。♠〈誠心誠意〉十年間、村の病人を誠心誠意みてきたので、彼のことを悪くいう人間は一人もいない。 **せいいき**【聖域】○神聖で侵してはならない場所・区域。[文例]力士にとって土俵は聖域である。♠〈聖域を侵す〉たとえ親であっても自分の部屋に無断で入られることは、聖域を侵されるようですごくいやだった。 **せいいく**【生育・成育】○生まれ育つこと。成長すること。生み育てること。[文例]〈生育に適する〉この土地は、やわらかく有機物に富み、植物の生育に適している。♠へ生育が早い〉日当たりのよい場所に生えている草は、生育が早い。♠〈子供の成育〉子供が順調に成育していく姿を見ることがうれしくない親はいない。♠〈生育する〉クロマツは、マツ科の木で、海岸地方に多く生育している。 **せいいっぱい**【精一杯】○力いっぱい。力の限り。[文例]人間として生まれたからには、かけがえのない人生を精一杯生きたい。♠母の収入で親子四人が暮らしているのだから、食べていくだけで精一杯だった。♠へ精一杯の働き〉きみはよくやった。精一杯の働きをしてくれた。 **せいいん**【成員】○組織などを構成している人。構成員。メンバー。[文例]〈共同体の成員〉利害を同じくする共同体の成員の間には連帯感が生まれやすい。♠〈集団の成員〉この集団の成員の年齢は、かなり高いほうに傾いている。 **せいうん**【青雲】○高い空。高い地位や高い官職。出世。[文例]〈青雲の志〉青雲の志に燃え、多くの青年が法律や政治の学問に取り組んでいた。♠へ青雲の志〉幕末から維新にかけて、青雲の志を立てた若者たちが日本各地から中央に集まってきた。 **せいえい**【精鋭】○すぐれた能力をもっていること。えりぬきのすぐれた人。強い兵士。[文例]〈精鋭を集める〉わが校野球部は、地元の中学校から精鋭を集め、甲子園出場を目ざしています。♠へ精鋭チーム〉このプロジェクトチームは、各界の若手専門家から成る精鋭チームである。 **せいえん**【声援】○声を出して応援すること。[文例]〈声援にこたえる〉全校生徒の声援にこたえて、わが校野球部は見事に優勝した。♠〈声援を送る〉バレーボール大会では、遠来のチームに声援を送った。♠へ声援を受ける〉小学校の運動会では、一年坊主[ぼうず]の弟が両親の声援を受けてがんばった。♠〈声援する〉最後まで追いつ追われつの接戦だったので、声をからして声援した。 **せいおう**【西欧】○西ヨーロッパ。西洋。[文例]明治以来、日本は西欧の科学技術を学び取ってきた。♠〈西欧諸国〉外来語というのは、主に西欧諸国から日本に入ってきた単語で、文化の輸入にともなって伝えられた。♠〈西欧文明〉批判もないわけではないが、現代に生きるわたしたちの中で西欧文明の恩恵をこうむっていない人は少ないだろう。 **せいおん**【静穏】○静かで穏やかなさま。[文例]〈静穏な空気〉若者でにぎわう海辺に静穏な空気が戻るのは、旧盆[きゅうぼん]過ぎのことだ。♠へ静穏なたたずまい〉林間のロッジの静穏なたたずまいは、都会の喧噪[けんそう]に疲れた心をいやすには格好だった。 **せいか**【成果】○努力して得られたよい結果。[文例]〈仕事の成果〉わたしがやった仕事の成果を見てください。♠へ観測の成果〉彼の工夫をこらした火山観測の成果は、世界中の火山学者たちから褒[ほ]めたたえられた。♠〈成果があがる〉沈没[ちんぼつ]船の行方[ゆくえ]を捜[さが]したが、いっこうに成果があがらなかった。♠〈成果をあげる〉この治療法[ちりょうほう]は、ガンに対してある程度成果をあげています。♠〈成果を収める〉川をきれいにしようと集まった子供たちのおかげで、予想以上の成果を収めました。♠へ成果を得る〉今度の遺跡[いせき]発掘[はっくつ]調査では、多くの成果を得ることができました。♠へ成果を生かす〉この車のエンジンには、彼の優れた研究の成果が生かされています。 **せいか**【生家】○生まれた家。実家。[文例]野口英世[のぐちひでよ]の生家の隣には資料館があり、彼の業績をしのばせる多くの資料が展示されている。♠母の生家には白壁の大きな蔵があります。 **せいか**【声価】○評判。名声。[文例]〈声価が高まる〉ニューヨーク公演の成功によって、指揮者としての彼の声価は一層高まった。♠ヘ声価が定まる〉卒業生が各界で活躍するようになって、この学校の声価が次第に定まっていった。 **せいか**【精華】○本質をなす最もすぐれた部分。[文例]〈日本精神の精華〉武士道こそ日本精神の精華である、とする硬派の意見があります。 **せいかい**【正解】○正しい答え。正しい解釈・判断。[文例]〈正解を出す〉この問題は難しくて、正解を出したのはクラスでも数人しかいませんでした。♠あやしい空模様だからと、外出をとりやめたのが正解で、雷[かみなり]まで鳴り出した。 **せいかい**【盛会】○盛大な会合。[文例]恩師を囲んでのクラス会は、遠くから駆けつける者もいて、大変な盛会であった。♠今回のチャリティーバザーは盛会のうちに幕となりました。 **せいかく**【正確】○正しくて確かなこと。確実であるさま。[文例]〈正確を期する〉非常にきちょうめんな人物で、なに事にも正確を期することを旨[むね]とした。♠〈時計が正確〉少年は、時計が正確かどうか母に確かめてから家を出た。♠〈正確に計る〉うちのにわとりの鳴く間隔は、正確に計ったわけではないが、だいたい七秒くらいだ。♠へ正確に伝わる〉文章を書くときは、その内容が読み手に正確に伝わるように書かなくてはなりません。♠〈正確にとらえる〉内容をしっかりつかむためには、文章の筋道に従って事柄[ことがら]を正確にとらえる必要がある。♠〈正確な時刻〉時計がだいぶ進んでるようだ。 <564> **せいかく** **せ** 正確な時刻を知りたいな。♠へ正確な知識〉正確な知識に基づいた判断のできる人はいませんか。♠〈正確な英語〉姉が正確な英語で外国人に道を教えるのを見て、ぼくはびっくりした。♠〈正確さ〉日本の国鉄の時間の正確さは、世界的に有名であった。 **せいかく**【性格】○その人の考え方・感じ方・行動の傾向。そのものに特有な傾向。[文例]〈すなおな。朗[ほが]らかな性格〉川田君はすなおで朗らかな性格です。♠へ性格が明るい〉性格が明るく、想像力の豊かな少年は、すぐに周囲の人々にとけこんでいった。♠〈性格の違い〉二人の性格の違[ちが]いが、絶交という形になって現れたのです。♠く性格が合う〉あの二人がうまくいかなかった理由は、「性格が合わない」ということだそうです。♠〈性格を変える〉現代詩は、昭和二十年の敗戦をはさんで前後それぞれの時代で、その性格を大きく変えている。♠〈性格の一面〉いかにもきまじめそうな彼だが、物にこだわらないという性格の一面もある。♠〈大会の性格〉この大会はアマチュア的性格が濃い。♠へ民族的性格〉どの国民に限らず、自分たちの民族的性格や特徴[とくちょう]は案外知らないものだ。 **せいかん**(精悍)○動作などが鋭く勇ましいさま。[文例]リング上のチャンピオンは、見るからに精悍だった。♠へ精悍な顔立ち〉山道ですれちがった少年の精悍な顔立ちが印象に残る。♠へ精悍な動作〉ハチは、精悍な動作で大きなクモに立ち向かっていった。 **せいかん**【静観】○静かに見守ること。[文例]〈静観する〉株価の変動が激しいときは、素人[しろうと]は静観して手を出さないほうがよいでしょう。♠〈静観する〉争いの理由がはっきりするまでは、事態を静観することにした。 **せいかん**【生還】○生きて帰ること。野球で、走者が本塁に戻って得点すること。[文例]〈生還する〉荒れ模様の冬山から生還することができたのは、地元の救助隊のおかげだ。♠〈ランナーが生還する〉四球で塁に出たランナーが、盗塁とエラーで三塁にすすみ、犠打[ぎだ]で生還した。 **せいがん**【請願】○請い願うこと。官庁・議会などに願い出ること。[文例]〈請願する〉何人も、損害の救済、公務員の罷免[ひめん]、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し(……)(日本国憲法第十六条) **せいき**【世紀】○西暦で百年を一単位とする時代区分。時代。年代。[文例]〈世紀の大発見〉たしかにすばらしい発見だが、世紀の大発見というのはおおげさです。♠〈世紀の祭典〉東京オリンピックは、世紀の祭典と言われたほど、日本にとって大きな出来事でした。♠へ小説の世紀〉偉大な作家が数多く出現した十九世紀は小説の世紀であった。 **せいき**【生気】○生き生きとした感じ。活気。[文例]〈生気がない〉徹夜[てつや]続きの署長は、生気のない目で窓の外をぼんやり見つめていた。♠へ生気がよみがえる〉朗報がもたらされるや、落胆[らくたん]していた人々の顔に生気がよみがえった。♠へ生気 をとりもどす〉ようやく雪の消える初夏を迎えると、高山の植物は、生気 をとりもどす。♠へ生気にあふれる〉三年ぶりに帰国したミドリは、明るく生気にあふれていた。 **せいき**【精気】○万物のもとになる力。霊気。精神と気力。[文例]〈精気にふれる〉深山の精気にふれると、全身に生きる力がみなぎってくる。♠へ精気が立ちのぼる〉雨上がりの大地から自然の精気が立ちのぼる。 **せいき**【生起】○発生すること。現象などが起こること。[文例]〈生起する〉この国は、多民族・多言語国家であるから生起する多くの問題を抱えている。♠へ生起する〉日常生活の中で、何かしら出来事にぶつかると、わたしたちの心にある感情が生起します。 **せいき**【正規】○正式の規則。規則にかなった正しい方法。[文例]〈正規の手続き〉公営住宅の入居者の中には、正規の手続きを踏まずに入居している人も多いといいます。♠〈正規のコース〉この資格は、大学の正規のコースを終えた人なら、だれでも取得できます。 **せいぎ**【正義】○道理にかなって正しいこと。正しい意義。[文例]〈正義を貫く〉彼は、周りの人の反対にもかかわらず、正義を貫こうと努力した。 **せいかつ**【生活】○生きていて活動すること。くらし。[文例]〈くもの生活〉夏休みに、くもの生活を細かく観察して研究ノートにまとめた。♠<陸の生活〉大昔[おおむかし]、海から陸に上がった魚の祖先は、長い間に少しずつ陸の生活に合った体 に変わっていった。♠〈田舎[いなか]の生活〉〈生活になじむ〉いろいろな失敗を繰り返しながら、ぼくは急速に田舎の生活になじんでいった。♠〈人々の生活〉ことわざは、だれが言い出したともなく口から口へと伝わり、人々の生活の中に生き続けてきた。♠へふだんの生活〉きみの場合は、ふだんの生活をきちんとする必要があるね。♠〈生活の知恵[ちえ]〉冬に備えて、漬物[つけもの]を漬けるというのは、雪国の人の生活の知恵でもあります。♠へのんきな生活〉〈生活を送る〉久しぶりに彼の下宿を訪ねてみると、相変わらずののんきな生活を送っていた。♠〈平和な生活〉〈生活を営む〉一家はそれまで、オランダの片田舎で平和な生活を営んでいた。♠<単調な生活〉役所勤めの兄は、単調な生活にあきあきしていた。♠〈生活の場〉海が汚染[おせん]され、魚が取れなくなれば、漁師はたちまちのうちに生活の場を失うことになる。♠へ生活が楽〉今では収入も増えて、生活も前よりは楽になりました。♠〈食生活が苦しい〉子供が多く、うちの生活もずいぶん苦しかったらしい。♠<生活が立つ〉親としては、子供たちの生活が立つように考えてやらなければなりません。♠〈生活にゆきづまる〉故郷の生活にゆきづまった青年は、家を捨てて上京した。♠〈生活に根ざす〉農民の生活に根ざした素朴[そぼく]な作品を収めた歌集です。♠へ生活を楽しむ〉勉強もいいが、たまには気晴らしをして生活を楽しむことだよ。♠〈日常生活〉この本は、何気なく過ごしている日常生活の中に、さまざまな驚きや発見があることを教えてくれる。♠〈学校生活〉中学校生活の第一歩を踏み出したあなたの胸は、希望や期待にふくらんでいますか。♠〈生活習慣〉結婚[けっこん]すると、急に長い間の生活習慣が変わった。♠〈生活する〉わたしたちは、日本で生まれ、日本人として生活している。 <565> **せいげん** **せ** へ正義の味方〉自分は正義の味方だと言っているが、以前の彼を考えると、にわかには信じがたい。♠へ正義が勝つ〉正義は必ず勝つというが、負けてばかりいるような気がすることもある。♠へ正義を唱える〉単純で見識のない者たちが唱える正義は、熱血的であればあるだけ危険である。♠〈正義感〉身に覚えのない疑いをかけられた友達を守るために、仲間の正義感は燃え上がった。♠<正義漢[かん]>若くて正義漢の彼は、暴君から人民を解放しようと企[くわだ]てた。 **せいきまつ**【世紀末】○懐疑的で退廃的な風潮に満ちた時代。[文例]〈世紀末の気分〉この派の芸術家たちの間では、退廃的な世紀末の気分が支配的であった。♠〈世紀末的〉上流社会を世紀末的な倦怠[けんたい]が包んでいた。 **せいきゅう**【性急】○あわてて物事を行おうとするさま。せっかち。[文例]〈性急に〜する〉そんなに性急に事を進めず、じっくりとみんなの意見を聞いてからにしなさい。♠<性急な人〉年の若いだけ、凡[すべ]てに性急な小六[ころく]は、兄に頼めば今日[きょう]明日[あす]にも方が付くものと、思い込んでいたのに(……)(夏目漱石「門」) **せいきゅう**【請求】○当然の権利として要求すること。[文例]〈代金の請求〉〈請求をする〉納品した品物の代金の請求をするのは月末です。♠へ請求する〉後ろからぶつかってきたバイクのおじさんに、自転車の修理代を請求しました。♠<請求する〉支払いを延ばしていたら、先方から請求してきた。♠〈請求書〉納入した品物のリストと請求書です。代金は期日までに支払ってください。 **せいきょ**【逝去】○亡くなること。[文例]お父上様の御逝去を心からお悔やみもうし上げます。♠〈逝去する〉先生が逝去されたことを知り、深い悲しみに沈んでいます。 **せいぎょ**【制御】(制禦・制馭)○意のままに抑えつけ操ること。機械・装置を随意に作動させること。[文例]〈感情の制御>大人なら、自分の感情の制御ができなければならない。♠<制御する〉この工場の機械は、すべてコンピュータが制御しています。 **せいきょう**【盛況】○活気があって盛んな様子。[文例]〈満員の盛況〉代議士の「励ます会」は、どこも大入り満員の盛況で、秘書の人たちはてんてこまいです。♠へ押すな押すなの大盛況〉お中元のシーズンで、デパートは押すな押すなの大盛況です。 **せいぎょう**【生業】○生活のためにする職業。なりわい。[文例]〈生業とする〉わが家は、代々から薬屋を生業としてきた。♠〈生業を持つ〉二十五を過ぎたというのに、長男はまだ生業を持たず親を頼ってぶらぶらしていた。 **せいきょく**【政局】○政治・政界の動き。[文例]総選挙の結果が今後の政局にどんな影響を与えるか注目されるところである。 **せいきん**【精勤】○休まず、まじめにつとめること。[文例]〈精勤する〉入社以来仕事に精勤することができたのは、家族の協力があったからです。♠へ精勤をする〉此男程[このほど]精勤をするものは無く、万事に気が附[つ]いて、手ぬかりがないから、ろうと云ってもりようが無い。(森鷗外[もりおうがい]「阿部一族」)♠〈精勤賞〉成績は悪かったが休まず通ったので、小学校を卒業するとき精勤賞をもらった。 **せいけん**【政見】○政治を行う上での考え・意見。[文例]〈候補者の政見〉立候補者の政見は、おおむね陳腐[ちんぷ]だが、無名の人の中には大変大胆なものがある。♠〈政見放送〉選挙期間中にやる政見放送の視聴率はあまり高くないらしい。 **せいけん**【政権】○政治を動かす権力。[文例]〈政権を握る〉社会民主党が政権を握ると、次々に民主化の政策が発表された。♠〈政権の座〉一九三○年代になると、ドイツではヒトラーを党首とするナチスが政権の座についた。♠へ労働者政権〉期待されて登場した労働者政権だったが、経済政策でつまずいたようだ。 **せいげん**【制限】○限界を定めること。また、その限界。[文例]〈制限がある・ない〉人数に制限がありますので、早めに申し込んでください。♠〈制限を設ける〉航空会社では、機内持ち込みの荷物に制限を設けている。♠へ制限をつける〉入学試験の作文では、題材が示され、字数に制限がつけられたりすることが多い。 <566> **せいご** **せ** ♠〈制限がきつい・緩[ゆる]い〉子供のうちはきついが、大人になるにつれて、行動の制限は緩くなってきます。♠〈自由を制限する〉おにごっこで、二人手をつないだおには、行動の自由が制限される。♠く力を制限する〉大きい子の力を制限しないと、小さい子はかないっこない。♠ヘスピードを制限する〉事故を防ぐために、車のスピードは制限されている。♠〈制限字数〉文章を制限字数内におさめるのに苦心した。♠〈輸入制限〉輸入制限をしているので、この品物はなかなか手に入らない。♠へ入場制限〉事故で電車の運転が中止され、ホームに人があふれたので、改札口で入場制限をしている。 **せいご**【生後】○生まれてから後。[文例]〈生後まもなく〉生後まもなく母を失ったわたしは、祖母のもとに引き取られて育った。♠へ生後一か月〉生後一か月もたつと、赤ちゃんの目は光の動きをキャッチするようになります。 **せいご**【正誤】○正しいことと誤っていること。誤りを正すこと。[文例]〈正誤を申し込む〉新聞の記事は校長とも相談して、正誤を申し込む手続[てつづき]にして置いたから、心配しなくてもいい。(夏目漱石「坊っちゃん」)♠〈正誤表〉新しく作った同窓会名簿には、誤りが多かったため、正誤表を付けることになった。 **せいこう**【精巧】○細かい部分まで巧みにできているさま。[文例]〈精巧なカメラ〉プロが使うカメラはとても精巧だ。♠<精巧なコンピューター〉どんなに精巧なコンピューターの話す言葉でも、人間の言葉とはやはり違[ちが]う。♠へ精巧な仕組み〉科学博覧会で人間そっくりの精巧な仕組みのロボットを見てびっくりした。♠〈精巧をきわめる〉古い宮殿[きゅうでん]の内部に描[えが]かれた壁画[へきが]は精巧をきわめた美しいものであった。 **せいこう**【成功】○目的を達成すること。期待通りの結果になること。立身出世。[文例]〈成功を収める〉タイトルで読者を引きつけようという作者の工夫は、見事な成功を収めた。♠へ成功を勝ち取る〉彼は、困難に一人で立ち向かい、計画を進めて成功を勝ち取った。♠へ成功に導く〉たくさんの学者の研究の積み上げが象形[しょうけい]文字の解読を成功に導いた。♠〈成功をもたらす〉技術者たちが心を一つにしてエンジンの改良につとめたことが、この事業に成功をもたらした。♠〈成功を祈[いの]る〉冒険[ぼうけん]旅行への出発の日が目前に迫ったね。きみの成功を祈るよ。♠へ成功がおぼつかない〉こんな調子では、計画の成功はおぼつかない。♠へ成功の秘けつ〉各界の第一人者にその成功の秘けつをインタビューした。♠〈失敗は成功のもと〉「失敗は成功のもと」と言うじゃないか、これにめげずに、がんばれ!♠〈成功する〉アメリカのアポロ十一号は、一九六九年七月、月着陸に成功した。♠<事業に成功する>事業に成功して、今では、彼は社長だよ。 **せいこう**【性向】○性質の上での傾向。気質。[文例]〈性向をもつ〉人との関係がギクシャクすることを過度におそれるためか、男は人からの依頼をきっぱり断れないという性向をもっていた。♠〈性向がある〉きみには、人間ぎらいの性向がありはしないか? **せいごう**【整合】○一致すること。矛盾なく整っていること。[文例]〈整合する〉「売れた本はたった三十冊しか売れなかった。」では、主述が整合しない。♠〈整合性〉今のきみの意見は、これまでのきみの行動と整合性がないと思う。 **せいこううどく**【晴耕雨読】○晴れた日は田を耕し、雨の日は読書すること。自由気ままな暮らし。[文例]〈晴耕雨読の日々〉すでにわたしは隠居[いんきょ]の身ですから、文字通り晴耕雨読の日々を送っています。 **せいこうほう**【正攻法】○正々堂々と真正面から攻める方法。[文例]〈正攻法をとる〉試合では小細工をろうせず正攻法をとりたまえ。♠〈正攻法で闘う〉こそくな手段で勝つより、正攻法で闘って負けるほうが後味[あとあじ]はよいだろう。 **せいこく**(正鵠)○的の中心の黒い点。物事のねらい目。要点。急所。[文例]〈正鵠を射る〉彼の批評は、正鵠を射ていた。♠へ正鵠を得る〉たとえ正鵠を得た考え方でも、方法が正しくなければ問題です。♠へ正鵠を失う〉ぼんやりしているようでも見識のある人だから、その判断が正鵠を失うことはなかった。 **せいこん**【精根】○精神力。気力。根気。[文例]〈精根を使い果たす〉この仕事に取り組んで十か月になるが、もう精根を使い果たしてしまった。♠へ精根がつきる〉お母さんは、あんたたちの世話だけでもう精根がつきてしまったわ。♠〈精根をふりしぼる〉初めて出場したフルマラソンを精根をふりしぼって走りぬいた。 **せいこん**【精魂】○たましい。精神。[文例]〈精魂を込める〉一生に一度と思って精魂を込めて大作を描きあげました。♠<精魂込める〉父が朝から晩まで精魂込めて焼き上げた壺[つぼ]が賞をもらうことになった。♠へ精魂がこもる〉さすがに、この刀には名人の精魂がこもっている。♠へ精魂を傾ける〉新しい理論を打ちたてようと、わたしは精魂を傾けて研究に取り組んだ。 **せいざ**【正座】○足をくずさずにきちんと座ること。[文例]〈正座をする〉日本に来て間もないカナダ人ですから、まだ正座をするのはむりでしょう。♠へ正座する〉チビッコ剣士たちは、師範[しはん]の前にきちんと正座し、あいさつをしてから練習に入る。 **せいざ**【星座】○恒星の群れを見かけの形によって分け、名づけたもの。[文例]天の川に重なって鳥が翼[つばさ]を広げて飛んでゆくような星座が白鳥座です。♠〈夏の星座〉山小屋の外に出てみると、澄みきった夜空に夏のあらゆる星座が出ていた。♠〈雪解[ゆきど]くる音絶え星座あがりけり〉(前田普羅[ふら]) **せいさい**【精細】○細かい部分まで非常に詳しいさま。[文例]〈精細な描写〉まるで実物そっくりの精細な描写が見るものの目をひく。♠〈精細な変化〉(……)なるほど写生をすると今まで気のつかなかった物の形[かた]や、色の精細な変化などがよく分る様[よう]だ。(夏目漱石「吾輩[わがはい]は猫である」) **せいさい**【生彩・精彩】○ひときわ鮮やかな色調。はつらつとして元気な気配。活気。[文例]〈生彩を欠く〉病気がちということで、彼は近ごろ生彩を欠いているようだ。♠へ精彩を放つ〉きみの絵は、展示された作品の中でひときわ精彩を放っていたよ。 <567> **せいじ** **せ** ♠へ精彩がない〉彼女の舞台には往年[おうねん]の精彩はない。 **せいさい**【制裁】○こらしめること。また、そのための刑罰。[文例]〈制裁を加える〉罪を犯した男に人々は制裁を加えた。♠〈制裁を受ける〉練習をずる休みしたので、みんなから制裁を受けて、うさぎとびをやらされた。 **せいざい**【製材】○原木を木材にすること。[文例]〈製材する〉〈製材所〉この山で切り出した木は、トラックで町の製材所に運ばれて製材されます。 **せいさく**【製作】○物や製品などを作ること。[文例]〈機械の製作〉これは父の製作になる自動草刈[くさか]り機です。♠へ部品を製作する〉父は自動車会社でエンジンの部品を製作する業務についている。 **せいさく**【制作】○作品などを作ること。[文例]〈本を制作する〉この本は、作者が幼いわが子へ願いと夢[ゆめ]を込めて、プレゼントするために制作した絵本です。♠へ絵の制作〉兄は今展覧会に出す油絵の制作に余念がない。 **せいさく**【政策】○政治上の方針や手段。[文例]〈国の政策〉〈政策の立案〉国の政策の立案には、各省庁の役人が参加します。♠〈農業政策〉〈政策を打ち出す〉政府は今後の新しい農業政策を打ち出した。 **せいさつよだつ**【生殺与奪】○生かすか殺すか、与えるか奪うか。他人の運命を思いのままにすること。[文例]〈生殺与奪の権〉封建社会においては、領民の生殺与奪の権は領主の手に握られていた。 **せいさん**【生産】○自然の物に手を加え、生活に必要な物を作ること。[文例]〈生産が増える〉精錬所[せいれんじよ]のえんとつは天に向かって煙[けむり]を吐[は]き、銅の生産は増え続けた。♠へ生産を控[ひか]える〉消費者の好みがかわって、売れ行きが落ちているのでこの商品の生産を少し控えよう。♠〈生産を始める〉今日の会議で、航空機の生産を始めることが決まった。♠〈生産を支える〉わが国の工業製品の生産を支える原料は、その大半を外国からの輸入にたよっている。♠〈米を生産する〉相次ぐ天候の不順で米を生産する農家は苦境に追いこまれていた。♠〈生産量〉今年の岡山のモモの生産量は例年の半分ほどしかなかった。♠〈生産的〉他人の揚げ足とりはやめてもう少し生産的な議論をしよう。 **せいさん**【成算】○成功する見込み。成功させるためのもくろみ。[文例]〈成算がある〉この件についてはぼくに成算があるから、任せてくれたまえ。♠〈成算をもつ〉彼がこんな困難な事業を引き受けたということは、きっと成算をもっているからに違いない。 **せいさん**【精算】○細かく計算すること。金額の過不足を正しくすること。[文例]〈運賃を精算する〉途中までしか切符を買っていなかったので、下車駅で運賃を精算しました。♠〈経費を精算する〉林さん、先日の出張の経費を精算して経理課まで提出してください。 **せいさん**【清算】○貸し借りのかたをつけること。過去の関係に始末をつけること。[文例]〈借金を清算する〉長いこと働きずくめの毎日だったけれど、これでやっと借金を清算することができた。♠〈過去を清算する〉わたしは、この事件をきっかけに過去を清算して、新しい人生を歩み始めた。 **せいさん**(凄惨・悽慘)○目をおおうほどむごたらしいさま。非常にむごいさま。[文例]〈凄惨な事件〉心神に異常をきたした男が、車内に火を放つという凄惨な事件が起こった。♠〈凄惨をきわめる〉原爆投下後の凄惨をきわめた広島の光景は、文学作品に様々な形で描かれている。 **せいざん**【青山】○青々と草木が茂っている山。死んで骨を埋める土地。[文例]〈青山白雲〉初夏ともなると、青山白雲が人々の旅心をそそります。♠へ人間至る所青山あり〉「人間至る所青山あり」と、若者は将来の夢に燃えて故郷の地を後にした。 **せいし**【生死】○生と死。生きるか死ぬか。生き死に。[文例]〈生死をかける〉若武者[わかむしゃ]は、生死をかけた初めての合戦[かっせん]を前に、体の震えを抑えきれなかった。♠〈生死を分ける〉ぼくたちが脱出[だっしゅつ]した直後に爆発[ばくはつ]がおこったので、わずか五秒の一差が生死を分けた。♠へ生死を共にする〉ぽくはもとよりきみと生死を共にする覚悟[かくご]だ。♠へ生死にかかわる〉明日までに輸血用の血液を用意しないと、病人の生死にかかわる。♠〈生死の問題〉治水工事が成功するかどうかは、農民にとって生死の問題だった。♠へ生死の境[さかい]〉ぼくは小さいころ大病をして生死の境をさまよったことがあるそうだ。♠へ生死不明〉兄は外国旅行に出かけたきり連絡[れんらく]がなく、生死不明のまま三年たった。 **せいし**【静止】○止まっていて動かないこと。[文例]〈静止する〉チョウは目の前の石にとまると、羽根を畳んでずいぶん長い間静止していた。♠〈静止状態〉鉄棒の選手は、静止状態から大きく回転して着地した。 **せいし**【制止】○人の言動を抑え止めること。[文例]〈制止を振り切る〉消防士の制止を振り切って、父親は我が子の残された炎の中にとび込んだ。♠〈制止する〉上映中におしゃべりをしていたら、「シーッ」と制止する声がした。 **せいし**【正視】○正面からまともに見ること。[文例]〈正視を避ける〉後ろめたいことでもあるのか、彼は相手の正視を避けるように、落ち着きなく視線を動かした。♠へ正視に耐える〉けがれを知らぬ幼き者の正視にわたしは耐えることができなかった。♠〈正視する〉二年も入院してやせ衰[おとろ]えた彼を、わたしは正視するにしのびなかった。 **せいじ**【政治】○国を治めること。国家を統治するための働き。[文例]〈政治を行う〉国民の生活がよくなるような政治を行ってほしい。♠〈政治に携[たずさ]わる〉伯父[おじ]は、市会議員として市の政治に携わっています。♠〈政治が荒廃[こうはい]する〉この国の政治は荒廃していて、役人にわいろを渡すのがあたりまえになっている。♠〈政治が行き届く〉市民の立場で政治の行き届かない点を明らかにし、その解決策を要求する。♠〈政治的〉彼は政治的なかけひきが上手だから、交渉ごとには打ってつけです。♠〈政治力〉こういうことはきみに頼めば、政治力があるからうまくまとめてくれるだろうと思ってね。 <568> **せいしき** **せ** ♠〈政治家〉各国の政治家が集まり、世界に共通する問題について話し合った。 **せいしき**【正式】○定められた正しい方法。[文例]〈正式の服装〉束帯[そくたい]は、平安時代の正式の服装である。♠へ正式な認可〉正式な認可を得て、料理学校を開設した。♠へ正式に申し込む〉市の施設の使用を希望する人は、書類をそろえて正式に申し込んでください。 **せいしつ**【性質】○生まれつきの気質。そのものに備わった特徴。[文例]〈性質がいい〉性質のいい子はだれからも好かれる。♠へ性質が荒[あら]い〉うちの猫[ねこ]は性質が荒いので、油断しているとすぐひっかかれるよ。♠へ激[はげ]しい性質〉兄と弟、二人とも負けず嫌いな激しい性質で、常々[つねづね]互いに相手をしのごうとせり合っていた。♠へ性質が違う〉昔[むかし]ある所に、仲のどらが違[ちが]う三人の若者がいて、それぞれ性質が違っていました。♠〈独特な性質〉木綿[もめん]が今も多くの人々に親しまれているのは、天然の材料のもつ独特な性質のためであろう。♠へ性質の違い〉単語は文法上の性質の違いによって、自立語と付属語とに分類される。♠へささの葉の性質〉ささ舟は、ささの葉の細長い形や縦にさけやすい性質をうまく生かしている。 **せいしゅく**【静粛】○静かにして慎んでいること。[文例]ざわめきが広がると、議長は「静粛に願います。」と声を張り上げた。♠へ静粛を保つ〉式典では、時に私語の聞こえることもあったが、おおむね静粛は保たれた。 **せいじつ**【誠実】○偽りがなく心がこもっているさま。[文例]〈誠実な人柄[ひとがら]〉彼はまじめで誠実な人柄なので、みんなから好かれています。♠へ誠実に生きる〉この本は、誠実にたくましく生きていく主人公の心の記録である。♠へ誠実に働く〉父は、誠実に働き通してきた労働者です。♠へ誠実を欠く〉約束[やくそく]を平気で破ったり、彼の誠実を欠く態度には、ほとほとあいそがつきた。♠へ誠実さ〉友情のためには自分の不利益も気にしない行動に、彼の誠実さが分かる。 **せいしゃ**【生者】○生きている人間。→死者[文例]〈死者と生者〉万葉集の「挽歌[ばんか]」は、生者から死者への訴[うつた]えであり、亡き人への哀惜[あいせき]・鎮魂[ちんこん]の調べであった。 **せいじゃ**【正邪】○正しいことと不正なこと。善悪。[文例]〈正邪を見きわめる〉現実の生活では、テレビの時代劇とちがって善玉・悪玉の区別はつきにくく、善悪の判断に迷うことがあって正邪を見きわめるのは難しい。♠〈正邪曲直〉真に正邪曲直を見定めるには、それなりの見識を必要とします。 **せいじゃ**【聖者】○聖人。偉大な信仰者。[文例]信仰と奉仕に生きる彼のひとみには聖者の光があった。♠アフリカの奥地で原住民のために医療に尽くしたシュバイツァーを「原始林の聖者」と人々は呼ぶ。 **せいじゃく**【静寂】○静かでひっそりとしているさま。[文例]〈静寂に包まれる〉森に囲まれたこの村は、夜になると静寂に包まれます。♠〈静寂を破る〉静寂を破ってドラムが響きわたると、何色ものスポットライトがステージを照らし出した。♠へ静寂が流れる〉父の帰りを待ちわびる部屋の中には、重苦しい静寂が流れた。♠〈静寂な空気〉境内は人の姿もなく、静寂な秋の空気の中に本堂があった。 **ぜいじゃく**(脆弱)○もろくて弱いさま。[文例]〈脆弱な体質〉彼の脆弱な体質は子供のころと少しも変わらず、無理はききません。♠へ脆弱な地層〉この崖[がけ]は脆弱な地層から成っていて、雨が降るたびに土砂崩[どしゃくず]れを起こす。 **せいじゅく**【成熟】○十分に熟すること。十分に発育すること。適当な時機になること。[文例]〈成熟が早い〉最近の少女たちは、昔に比べて体も大きいし、成熟も早い。♠〈成熟する〉秋のたんぼには、成熟した稲[いね]が穂[ほ]をたれている。♠〈成熟した大人〉彼には、若い男にはない成熟した大人の魅力[みりょく]がある。 **せいしゅん**【青春】○若くて元気のある年代。[文例]〈青春をかける〉彼は、青春のすべてをかけて、ラグビーに打ち込みました。♠へ青春を謳歌[おうか]する〉今しかできない事をいろいろやって、青春を謳歌しています。♠〈青春の日々〉学生時代を過ごした町に来ると、懐[なつ]かしく青春の日々が思い出される。♠へ暗い青春〉〈青春を送る〉おじいちゃんがおまえぐらいの時は、戦争中で、暗い青春を送ったのだよ。♠へ青春時代〉夢と希望にあふれる青春時代には、理想と現実のギャップに苦しむこともある。♠〈傍観を良心として生きし日々青春と呼ぶときもなかりき〉(近藤芳美[よしみ]) **せいじゅん**【清純】○清らかでけがれがないさま。[文例]〈心が清純〉大人とちがって、子供の心は清純だとよく言われます。♠へ清純な乙女[おとめ]〉三十年前の彼女は、まだ十六歳の清純な乙女であった。♠◇清純な感じ〉話題の映画のヒロインを演じる少女は、清純な感じのスターです。♠〈清純派〉清純派として売り出した彼女も、今では押しも押されもせぬ演技派女優である。 **せいしょ**【清書】○下書きを丁寧に書き直すこと。また、書き直したもの。[文例]〈原稿の清書〉原稿の清書が終わると、わたしは表紙をつけてとじました。♠〈清書する〉幾度も練習したあとでていねいに清書しました。 **せいしょ**【聖書】○キリスト教の聖典。バイブル。[文例]〈聖書の言葉〉信仰の厚い彼女は、いつも聖書の言葉を行動の規範としている。♠〈聖書を読む〉わたしは夕食後、少しずつ聖書を読むのを日課としていた。♠ヘ旧約聖書〉この映画は、旧約聖書にある「カインとアベル」の物語をもとにして作られたものです。 **せいじょう**【正常】○普通の整った状態であること。→異常[文例]〈正常に戻る〉事故で乱れていた電車のダイヤが正常に戻った。♠〈正常に動く〉車のエンジンは正常に動いている。♠〈正常な生活〉光合成[こうごうせい]が行われなければ植物は正常な生活を送ることができません。♠へ正常な状態〉ふだんの正常な状態での体温を平温(平熱)といい、知っておくと健康管理に役立ちます。 **せいじょう**【清浄】○清らかで汚れていないさま。[文例]〈清浄な空気〉森の朝の清浄な空気を、ぼくは胸いっぱいに吸った。♠〈清浄無垢〉貧しかったが、正直ものの両親に育てられた娘は、清浄無垢な心を持っていた。 **せいじょう**【政情】○政治の状態。政界の様子。[文例]へアジアの政情〉〈政情に通じる〉彼はアジア問題の専門家なので、アジア諸国の政情に通じています。 <569> **せいせい** **せ** ♠〈政情不安〉世界には、いつクーデターが起こるかわからないような政情不安な国もあります。 **せいじょう**【性情】○性質と心情。生まれつきの性質。[文例]〈温和な性情〉彼の温和な性情からくるあたりのやわらかさは、いつも周囲の人々に好感を与えた。♠〈性情をもつ〉目的を同じくするとはいえ、各人[かくよう]が各様の性情をもって集まった組織だから争いがないわけではない。 **せいじょう**【性状】○性質と状態。性質と行い。[文例]〈事物の性状〉形容詞は、人などの感情や感覚、事物の性状などを言い表す単語です。♠へ変わった性状〉日ごろからいっぷう変わった性状をもった少年だった。 **せいしょうねん**【青少年】○青年と少年。若者。[文例]各国の青少年がお互いの国をよく知るため、交換留学生の制度が推進されています。♠この町では、青少年に健全な娯楽を提供することを目的で、さまざまな催[もよお]しが行われています。 **せいしょく**【生殖】○種の保存のために生物が自分と同じ個体をつくり出す働き。[文例]〈アメーバの生殖〉アメーバの生殖は特殊[とくしゅ]で、体の分裂[ぶんれつ]によって増える。♠〈無性生殖〉シダは無性生殖の植物で、胞子[ほうし]で繁殖[はんしょく]します。♠〈生殖器〉この神社には、生殖器をかたどった神体が祭ってあり、子孫繁栄の御利益[ごりやく]があるという。 **せいしょく**【聖職】○神聖な職業。キリスト教の僧職。[文例]〈カトリック教の聖職〉司祭は、カトリック教会の聖職です。♠<聖職に就く〉きみは尊敬する先生と同じように、教師という聖職に就くのですか。♠〈聖職者〉教会の聖職者には、もちろん資格が必要です。 **せいしん**【精神】○心。心の働き。物質を超えた存在。物事根本的な意味。→物質[文例]〈肉体と精神〉肉体が過度に疲労すれば精神もともにやられる。♠〈健全な精神〉「健康な体には健全な精神が宿る」というから、まずこのひ弱な体を鍛えよう。♠へ精神の自立〉精神の自立を図るためには、常にしっかりしたものの見方や考え方を養っていくことが必要である。♠へ批判的な精神〉批判的な精神をもつことは、「正しく考える」ための不可欠の前提です。♠へ赤十字の精神〉赤十字の精神は、国際平和と人類の幸福のために活動することです。♠〈建学の精神〉長い歴史をもつこの学校では、今も建学の精神を生かした教育が行われています。♠〈精神一到[いっとう]〉〈精神を集中する〉「精神一到何事か成らざらん」とは、一つのことに精神を集中すればいかなる難事も成就[じょうじゅ]するという意味だ。♠〈精神力〉彼女は勇気と精神力であらゆる苦しみに耐えました。♠へ精神生活〉言葉のおかげで、人間は思考を深め、精神生活を豊かなものとした。♠〈精神状態〉病気が長びくと、病人の精神状態は不安におちいる。♠〈肩を落し去りゆく選手を見守りぬわが精神の遠景として〉(島田修二) **せいしん**【成心】○先入観。下心。→虚心[文例]〈成心にとらわれる〉きみのように成心にとらわれた見方をしていたのでは、人の長所は見えてこない。♠へ成心がある〉作者に対して成心があるようでは、正しい批評とはいえない。♠へ成心をもつ〉わたしは、きみたちのグループにこれっぽっちの成心ももっていない。 **せいしん**【清新】○新しく、すがすがしいさま。[文例]〈清新な作風〉清新で気品に富む作風がこの詩人の持ち味です。♠〈清新な気風〉この学校には若く熱心な先生が多く、清新な気風がみなぎっています。 **せいじん**【成人】○一人前の人間。大人。大人になること。[文例]〈成人に達する〉今は成人に達すると、だれにでも選挙権が与えられます。♠〈成人する〉子供たちも成人してそれぞれ独立しましたので、また夫婦二人だけの生活です。♠〈成人式〉わたしは、今年成人式を迎えます。♠へ成人病〉現代は飽食[ほうしょく]の時代と言われ、子供にまで成人病が現れているという。♠へ成人教育〉いったん社会に出た人たちを対象にした成人教育の必要性が叫[さけ]ばれている。 **せいじん**【聖人】○知識・徳がすぐれていて、世の人に尊敬される人。[文例]〈偉大な聖人〉釈迦[しゃか]やキリストや孔子[こうし]は、最も偉大な聖人として仰[あお]がれています。♠<聖人君子〉まったく、あなたの聖人君子ぶりには頭が下がるよ。♠「少し変[へん]ってるな。それで竹さんが腹を立てなければ、余っ程[よっぽど]の聖人か、変態だな。一種の変態としか考えられない」(志賀直哉「暗夜行路[あんやこうろ]」) **せいしんせいい**【誠心誠意】○偽りのない心。真心をもって。[文例]〈誠心誠意尽くす〉誠心誠意人に尽くせば、真心は必ず通じるものです。♠へ誠心誠意〜する〉誠心誠意仕事をする人間ですから、彼のことなら信頼していてください。 **せいすい**【盛衰】○盛んになることと衰えること。[文例]〈一族の盛衰〉『平家物語』は、平家一族の盛衰を美しい文章で描いた鎌倉時代の作品です。♠◇栄枯盛衰[えいこせいすい]〉城跡[しろあと]に立つと、つわ者どもの栄枯盛衰の歴史がしのばれる。 **せいずい**【精髄】○物事の最も本質的な部分。最もすぐれた部分。[文例]〈文化の精髄〉仏教美術は、平安文化の精髄ともいえるもので、きわめて高い評価を受けています。 **せい・する**【制する】○おさえる。おさえ止める。支配する。定める。[文例]〈仲間を制する〉いきりたつ仲間を制して、なんとか話し合いで解決することができました。♠く怒りを制する〉いきなり「おまえが悪い」ときめつけられて、怒りを制することができなかった。♠〈機先を制する〉ぼくは、相手の機先を制してもろ差しにもっていったので、楽に勝てた。♠〈勝ちを制する〉かねてからの作戦どおりに試合が運んで、勝ちを制することができた。♠〈過半数を制する〉今度の衆議院の選挙では、与党[よとう]は過半数を制することができた。♠へ死命を制する〉この海峡は、わが国の死命を制すると言われるほど重要な海路である。♠へ先んずれば人を制す〉「先んずれば人を制す」というから、他人よりも先にやり始めればそれだけ有利になる。♠へ柔よく剛を制する〉柔[じゅう]よく剛を制するこそ柔道の本領である。 **せいせい**【生成】○事物が生まれ出ること。事物を生じさせること。[文例]〈火山の生成〉〈生成の過程〉ぼくは有珠山[うすざん]の生成の過程について、詳しく調べてみました。 <570> **せいせい** **せ** ♠へ生成する〉古代中国では宇宙を生成する要素を木・火・土・金・水とし、これを五行といった。 **せいせい**【精製】○念入りに作ること。不純物を除いて純粋なものを作ること。[文例]〈精製する〉これは、当店で精製した極上[ごくじよう]の和菓子です。♠〈精製する〉原油を精製すると、ガソリンなどきわめて有用な製品が生まれます。 **せいせい**【清清】○すっきりするさま。すがすがしいさま。晴れ晴れ。[文例]〈せいせいする〉河原で大声を出したら、気がせいせいした。♠〈せいせいする〉これできみに借りを返すことができてせいせいするね。♠〈清々と晴れる〉空は清々と晴れて、山並みがくっきりとその全容を現していた。 **せいぜい**【精精】○できる限り。たかだか。[文例]若い時は二度ない、せいぜい遊んでおくことだ。♠数日かせいぜい一週間ぐらいなら、昔のようにのんきな生活を送ってもいいなあ。♠ふつうのノートなら高くてもせいぜい二百円です。♠ぼくの財産といっては、せいぜい本と机ぐらいしかなかった。♠どんなにがんばっても、今のぼくには四十人中八番ぐらいがせいぜいだ。 **せいせいどうどう**【正正堂堂】○態度や手段などが正しく立派なさま。軍隊が整った陣容で力強く進むさま。[文例]〈正々堂々と戦う〉正々堂々と戦えば、かりに敗れたとしても悔[く]いはないでしょう。♠〈正々堂々とする〉正々堂々とした態度は、敵ながら実に立派だった。 **せいせき**【成績】○事業や仕事などの結果。学業・試験のできばえ。[文例]〈成績が良い・悪い〉ものを覚える力の実験は、六時間より八時間寝た後のほうが成績が良かった。♠〈営業の成績〉今月は営業の成績が良くて、先月の倍の売り上げになった。♠〈優秀な成績〉兄は、国家試験に優秀な成績で合格した。♠〈成績を残す〉この学校に在学中、彼女はほとんど無欠席で通し良い成績を残した。♠へ成績をとる〉二学期になったら、もっとりっぱな成績をとろうと決心した。♠〈成績が上がる・下がる〉うちの店の売り上げ成績は、どんどん上がっています。♠へ成績を収める〉先日行われた高校入試の模擬テストで、ぼくは予想以上の成績を収めることができた。 **せいせん**【生鮮】○食品がなまで新鮮なこと。[文例]〈生鮮食料品〉マーケットの生鮮食料品コーナーは、夕方の買物客でいっぱいだった。 **せいせん**【精選】○よりすぐること。よいものを選ぶこと。[文例]〈精選する〉この栗最中[くりもなか]は、精選された素材をふんだんに用い、心をこめて調製してございます。 **せいぜん**【整然】○きちんと整っているさま。[文例]〈整然と並ぶ〉園児たちに整然と並べというほうがむりです。♠〈整然とする〉机の上がいつも整然としているのは気持ちがいいものです。♠〈理路整然〉彼の意見は問題の核心[かくしん]をつき、しかも理路整然としていた。 **せいぜん**【生前】○生きていた時。亡くなる前。[文例]この万年筆は、祖父が生前愛用していたものです。♠父は先日亡くなりました。生前の御厚誼[ごこうぎ]に心から感謝申し上げます。 **せいそ**(清楚)○飾りけがなく、清らかなさま。[文例]〈清楚な装[よそお]い〉少女の清楚な装いに、わたしは好感をもちました。♠〈清楚な感じ〉あの清楚な感じの女性が新任の先生です。 **せいそう**【正装】○正式の服装をすること。また、その服装。[文例]〈和服の正装〉和服の正装の時は、男子も白足袋[しろたび]をはきます。♠〈正装する〉式典には参加者全員が正装して参列しました。 **せいそう**【盛装】○華やかに着飾ること。また、その服装。[文例]〈盛装する〉姉は、初めてのパーティーなので、盛装してうれしそうに出かけていった。♠〈盛装の淑女[しゅくじょ]〉イギリスのダービーは社交の舞台の一つであり、盛装の淑女たちが華麗[かれい]さを競[きそ]います。 **せいそう**【清掃】○掃除してきれいにすること。[文例]〈駅の清掃〉〈清掃をする〉ぼくの学校では、日曜日の朝クラス交替で駅の清掃をしています。♠く清掃する〉夏休みの前日は、みんな特に念入りに教室を清掃しました。 **せいそう**【星霜】○歳月。年月。[文例]〈百年の星霜〉〈星霜を経る〉かつてのにしん御殿[ごてん]も、百年の星霜を経てすっかり荒れ果ててしまった。♠〈星霜を費やす〉「自然は宝石を作るに幾年の星霜を費やしたか。又この宝石が採掘[さいくつ]の運に遭[あ]うまでに、幾年の星霜を静かに輝やいていたか」(夏目漱石「三四郎」)♠<幾星霜[いくせいそう]>故郷を出て幾星霜、しみじみとなつかしい山河を思う。 **せいぞう**【製造】○製品をつくること。[文例]〈兵器の製造〉平和を願う人々は、核兵器の製造や実験をやめるよう、機会あるごとに訴えてきました。♠へ製造する〉この町には、食器を製造する工場がいくつかあります。♠〈製造年月日〉食品は、製造年月日を確かめて買うようにしています。 **せいそく**【生息】(棲息)○生きること。生活すること。生物がすんでいること。[文例]〈生息する〉この山中には、約二千匹の野生のニホンザルが生息している。♠〈生息する〉ネアンデルタール人は、旧石器時代に生息した人類です。♠へ生息地〉この動物は食性が特異で、生息地も限定されている。 **せいぞろい**【勢ぞろい】(勢揃い)○多くの人が一か所に集まること。[文例]〈勢ぞろいする〉団地の中の小さな遊園地に、チビッコ野球選手のめんめんが勢ぞろいした。 **せいぞん**【生存】○生命を維持すること。生きていること。依存。[文例]〈生存を脅[おびや]かす〉人類の生存を脅かすような兵器の開発が、世界各地で行われている。♠へ生存を確認する〉沈[しず]んだ船からゴムボートで逃れた人々の生存が確認された。♠〈生存につながる〉山で遭難[そうなん]したときには、ただじっとしていることがしばしば生存につながるということを、彼は知っていた。♠〈生存を託す〉生物は、自然の世界にその生存のすべてを託している。♠〈人類が生存する〉日本列島には何万年もの昔から人類が生存し、石器を道具としていた。♠〈生存者〉飛行機事故で、乗客は絶望と思われていたが、奇跡的に生存者がいることがわかった。♠へ生存競争〉生存競争の激[はげ]しいこの芸能界で頭角[とうかく]を現すには、よほどの才能がなければならない。 <571> が、あれでけっこう食べ物にはぜいたくをしています。♠いえがら[家柄]もいい人と結婚したいだなんて、それはぜいたくが過ぎるよ。♠[文例]〈ぜいたく品〉今ではどこの家にもありますが、二十年くらい前までは、テレビもぜいたく品の一つでした。 **せいたい【生態】** ○生活している状態。ありのままの姿。[文例]〈鳥の生態〉野鳥の生態を観察するパードウォッチングがわが国でも流行し始めている。♠へ虫[こんちゆう]の生態[こんちゆう]〉『昆虫記』は、ファーブルが四十年間にわたって観察した昆虫の生態の記録をまとめた本である。♠〈生態を調査する〉島に生息している動物や、繁茂[はんも]している植物についても、その生態を調査した。♠〈男の子の生態〉男の子というものがどういうものか、お兄さんに話を聞いて男の子の生態を研究しよう。♠〈生態系〉昨今の開発ブームで、豊かだった自然は壊され、島の生態系は大きく変化した。♠〈生態調査〉これは、森林のサルの生態調査の記録である。 **せいたい【生体】** ○生きている体。生きているもの。[文例]〈生体実験〉ナチの収容所における生体実験と似たようなことが旧陸軍でも行われたらしい。 **せいだい【盛大】** ○大規模でさかんなさま。[文例]〈盛大な会〉わたしたち新入部員のために盛大な歓迎会[かんげいかい]が開かれた。♠<盛大な拍手[はくしゅ]>サーカスのブランコ乗りは、観衆から盛大な拍手をもらった。♠〈盛大に行う〉市制三十周年を祝う行事が盛大に行われている。 **せいだく【清濁】** ○澄んでいることと濁っていること。善と悪。清音と濁音。[文例]〈清濁併せ呑む〉人の心の中には善良な部分もあれば、そうでない部分もありますが、良くないからといって一方的に退けるのではなく、清濁併せ呑む心の広さがほしいものです。♠〈清濁両様〉「容態」のように、「ようたい・ようだい」と清濁両様の読みの認められている語があります。 **ぜいたく(贅沢)** ○身の程をわきまえないおごり。必要以上に金品を使うさま。[文例]今のきみの実力からして、これ以上の成績を望むのはぜいたくだよ。♠へぜいたくな生活〉長い間の都会暮らしで、ぜいたくな生活がすっかり身についてしまった。♠〈ぜいたくを言う〉ハンサムなきみが、もっと鼻が高くなりたいなんて、そんなぜいたくを言うもんじゃないよ。♠へぜいたくをする〉彼女は身なりは質素ですが、あれでけっこう食べ物にはぜいたくをしています。 **せいだ・す【精出す】** ○一生懸命に励む。[文例]〈仕事に精出す〉この地方は農家が多く、みんな朝早くから畑に出て仕事に精出しています。♠〈勉強に精出す〉遊んでばかりいないで、もっと勉強に精出しなさい。 **せいたん【生誕】** ○生まれること。誕生。[文例]〈キリストの生誕〉十二月二十五日のクリスマスは、キリストの生誕を記念する日です。♠へ生誕百年〉一九八五年は、詩人北原白秋[きたはらはくしゅう]の生誕百年目にあたり、彼にちなむさまざまな催し[もよお]が行われた。 **せいち【聖地】** ○信仰上の神聖な土地。[文例]〈キリスト教の聖地〉エルサレムはキリスト教の聖地であるとともに、ユダヤ教・イスラム教の聖地でもある。♠〈聖地メッカ〉イスラム教最大の聖地メッカには、世界中から巡礼者[じゅんれいしゃ]が訪れます。 **せいち【整地】** ○土地を平らにならすこと。[文例]〈畑の整地〉春先になると、作物の種をまく前に畑の整地にとりかかります。♠へ整地する〉湿地[しっち]だったところが整地されたと思ったら、みるみる家が建っていった。 **せいち(精緻)** ○綿密で詳しいさま。[文例]〈精緻をきわめる〉飾り道具の精緻をきわめた細工に、つい見とれてしまいました。♠く精緻な描写[びようしゃ]〉作家の筆による精緻な描写で、状況が鮮[あざ]やかに目に浮かびます。 **せいちょう【生長・成長】** ○育つこと。伸び育つこと。物事が進展すること。[文例]〈植物の生長〉理科好きの弟は、種まき、発芽、開花など植物の生長を観察し、記録している。♠〈子供の成長〉〈成長が早い〉子供は成長が早く、一年もたって会うと見まちがえるほどだ。♠へ心の成長〉〈成長を助ける〉よい本をたくさん読むことは、あなたがたの心の成長を助けることになるでしょう。♠〈経済の成長〉戦後の日本経済の成長は、世界中の国から驚異の目で見られている。♠〈成長の跡[あと]〉二十歳[はたち]でこの会社に入ったが、三十歳の今仕事ぶりに大きな成長の跡が見えます。♠〈成長の過程〉自分のこれまでの成長の過程をふりかえってみよう。♠へたくましく成長する〉少年はいろいろな困難にぶつかりながらも、たくましく成長していく。♠〈若者に成長する〉いたずら坊主だった少年も、立派な若者に成長した。♠〈成長株〉一見したところあまりパッとしないあの男だが、将来の成長株だと聞いてびっくりした。 **せいちょう【清澄】** ○清く澄んでいるさま。[文例]〈心が清澄〉悟り[さと]の境地に達した彼の心は清澄で、何ごとにも乱されることがなかった。♠〈清澄な空気〉初冬の朝の清澄な空気を震わせて、森の道を一台の馬車が走り去った。♠◇清澄な楽の音>境内[けいかい]に足を踏み込むと、本殿の方から清澄な楽の音[がくね]が聞こえてきた。 **せいつう【精通】** ○細かいことまでよく知っていること。[文例]〈精通する〉博士は東洋医学に精通していた。♠〈精通する〉商社マンの彼は、外交官などよりずっと中南米の情勢に精通していた。 **せいてい【制定】** ○法律などをつくり定めること。[文例]〈法律を制定する〉どの国でも、さまざまな法律を制定することによって社会秩序[ちつじよ]が保たれてきた。♠へ憲法を制定する〉ドイツの憲法を参考にした明治憲法[めいじけんぽう]が制定され、日本は近代国家の仲間入りをした。♠へ国旗を制定する〉この国では、国家の独立と同時に国旗を制定した。 **せいてき【性的】** ○性・性欲に関するさま。[文例]〈性的な魅力〉マリリン・モンローは、その性的な魅力で、世界中の男性のあこがれの的[まと]だった。♠へ性的な関心〉性的な関心は、思春期の到来とともに高まります。 **せいてん【晴天】** ○晴れた空。よい天気。[文例]〈晴天が続く〉昨年の夏は長期間晴天が続き、所によっては水不足が起こった。♠へ晴天に恵まれる〉運動会の日はすばらしい晴天 <572> に恵まれ、ぼくたちは思う存分に競い合った。 **せいてん【青天】** ○晴れ渡った青空。[文例]〈青天の霹靂[へきれき]〉父親の突然の病気は、幸せだった一家にとって、まさに青天の霹靂だった。♠へ青天白日〉真犯人が捕まって、容疑者はようやく青天白日の身となった。 **せいと【生徒】** ○学校などで教育を受けている人。[文例]この学校の生徒は、たいへん礼儀正しい。♠先生は、担任するクラスの生徒の顔と名前を一週間で覚えました。♠遠足の小学生徒有頂天に大手ふりふり往来[つう]とほる(木下利玄) **せいど【制度】** ○社会や集団内で定められた仕組みやきまり。[文例]〈制度を作る〉新しい決まりや制度を作るときには、一人でも多くの人の賛成が必要です。♠へ制度を設ける〉社員に住宅購入[こうにゆう]のための資金を貸し出す制度を設ける会社が多い。♠へ〈社会の制度〉国境の町の人々は、フランスの言葉や社会の制度を支持し、フランス国民として生活していた。♠へ教育制度〉〈制度を改める〉教育制度を改めてはどうかという意見もある。♠〈封建制度[ほうけん]〉日本で封建制度が確立されたのは、鎌倉[かまくら]時代以降のこととされる。♠〈身分制度〉江戸[えど]時代には、「士農工商[しのうこうしよう]」という身分制度があって、一生その身分に縛[しば]られていた。 **せいど【精度】** ○精密さの度合い。[文例]〈精度が高い〉スイス製の時計は、精度が高いと定評があった。♠へ精度がよい〉このカメラのレンズは精度がよい。♠〈検査の精度〉病院では検査の精度を高めるために、新しい医療機器の導入が行われている。 **せいとう【正当】** ○正しく、道理にかなっているさま。→不当[文例]〈正当な理由〉思いあたるような正当な理由もなく、採用を取り消された。♠〈正当な手段〉正当な手段を講じてだめなら、最後には非常手段に訴[うつた]えるまでだ。♠へ正当に評価する〉あんなに力強い絵が落選だなんて、審査[しんさ]員が正当に評価しなかったからにちがいありません。♠へ意見が正当〉湖をこれ以上汚してはならないという住民の意見が正当だったから、この運動が成功した。♠〈正当化する〉母にしかられると、口の達者な弟は父に訴えて自分のとった態度を正当化する。♠〈正当性〉マゼランが世界一周に成功したことにより、地球は丸いという考えの正当性が証明された。 **せいとう【正統】** ○正しい系統・血筋。一般に正しいとされるやり方を受け継いでいること。[文例]〈歌舞伎[かぶき]の正統〉〈正統を継[つ]ぐ〉歌舞伎の正統を継ぐ彼は、さらに後継者[こうけいしゃ]の育成にも力を入れていた。♠〈正統の史書〉「稗史[はいし]」とは正統の史書に対して、民間の物語・伝説・作り物の類を言う。♠〈正統派〉あいつは正統派の食[つう]通だから、おれたちが行くような店へはついてこないさ。 **せいとう【政党】** ○政治的に同じ主義主張をもつ者が、その政策実現のために結成した団体。[文例]〈特定の政党〉自由な新聞の立場は、特定の政党や固定したイデオロギーとは無縁[むえん]である。♠へ政党を支持する〉ぼくの両親は、それぞれ支持する政党が違うようだ。♠〈革新政党〉革新政党を名乗る党が中高年の党員ばかりでは問題です。 **せいどう【正道】** ○正しい道。正しい手段。[文例]〈正道を歩む〉彼は策を弄[ろう]して人を陥[おとしい]れるような行為を嫌い、常に正道を歩む男だった。♠〈正道を行く〉この場合、邪道[じやどう]を避けて正道を行くべきだと思います。 **せいとく【生得】** ○生まれつき。しょうとく。[文例]〈生得の才能〉死んだ父が絵かきでしたから、この子が造型力にすぐれているのは生得の才能かもしれません。 **せいどく【精読】** ○細かい点まで丁寧に読むこと。熟読。[文例]〈多読と精読〉彼は多読と精読を両立させている、猛烈[もうれつ]な読書家だ。♠〈精読する〉これと思う良書を選んで精読することから得るものは多い。 **せいとん(整頓)** ○きちんと片づけること。[文例]〈整頓する〉いつも机の中を整頓しておくと、勉強の能率もぐんと上がりますよ。♠へ整理整頓〉仕事場は常に整理整頓を心がけています。 **ぜいにく(贅肉)** ○余分な肉や脂肪。余分なもの。むだ。[文例]〈贅肉がつく〉十代のうちから贅肉がつくようでは困るよ、運動をしなさい。♠へ贅肉を落とす〉不況時は、企業も合理化によって贅肉を落とすのに懸命です。 **せいねん【青年】** ○二十歳前後の男女。若者。[文例]この村の青年たちは、月に一回集まって、村の将来について話し合いをしています。♠〈青年団〉秋になると、村の青年団が中心となって、祭りの準備が始まります。♠〈青年期〉青年期は、心身ともに子供から大人への移行期だといえます。♠〈青年時代〉青年時代に体験したことをもとに、一冊の本を著[あらわ]した。♠〈文学青年〉かつては、わたしもいっぱしの文学青年で、短歌などを作ったものです。 **せいねん【成年】** ○一人前とみなされる年齢。成人に達する年齢。[文例]〈成年に達する〉成人の日は、満二十歳を迎え成年に達した若者たちを祝福する日です。♠〈成年期〉昔は成年期に達すると、少年から一人前の大人の仲間に入るけじめの儀式がとり行われた。♠〈未成年〉未成年の者が喫煙・飲酒することは、法律で禁止されています。 **せいねん【盛年】** ○元気で活気のある年ごろ。壮年。[文例]〈盛年重ねて来[きた]らず〉「盛年重ねて来らず」を教訓にして、二度と来ない若い時を有意義に過ごしてほしい。♠〈盛年を過ぎる〉若いころはがむしゃらだったが、盛年を過ぎ、老いを迎える年齢となって、周囲を見渡す余裕[よゆう]ができてきた。 **せいのう【性能】** ○道具・機械などの性質や能力。[文例]性能がいい・悪い〉古いカメラを、性能のいい最新式のカメラに買いかえた。♠く性能が高い・低い〉二十一世紀には、より性能の高いロボットが作られ、人間の代わりに多くのことをやってのけるだろう。♠へ性能を備える〉新しい性能を備えた機械が開発されて、ますます便利になっていく。♠へ機械の性能〉工場が機械を買い入れるとき、その性能とともに安全性を重んじる。♠〈性能が下がる〉人間は年とともに体の機能が衰[おとろ]えるが、機械も同じで年数がたつと性能がだんだん下がっていく。♠〈性能を発揮する〉木は、日本の風土の中に置かれてこそ伸びたり縮んだりというその性能を最もよく発揮する。♠へ性能が優[すぐ]れる〉木材は強さ・保温性・遮 <573> 音性といった性能については、優れているとは言えない。 **せいは【制覇】** ○他をおさえて権力を握ること。優勝すること。[文例]〈制覇する〉ナポレオンはヨーロッパ全土を制覇し、さらにロシア遠征を企[くわだ]てて失敗した。♠〈全国制覇〉選手たちの目標は、甲子園で勝ち全国制覇を遂[と]げることだった。♠<世界制覇〉ここが世界制覇を果たした自動車王国の本拠地です。 **せいばい【成敗】** ○裁くこと。罰すること。打ち首にすること。政治を行うこと。[文例]〈成敗する〉ここは、昔、罪人が成敗された刑場跡だ。♠くけんか両成敗〉けんか両成敗だ。二人とも廊下に立っておれ。 **せいばつ【征伐】** ○悪人や反逆者などを退治すること。[文例]〈征伐する〉鬼を征伐しに、勇敢[ゆうかん]に鬼が島へ向かう「桃太郎[ももたろう]」の話が子供たちは大好きである。♠〈長州征伐〉この当時、幕府の長州征伐によって長州藩は半滅亡[はんめつぼう]の危機にあった。 **せいはんたい【正反対】** ○全く反対であること。[文例]〈正反対の行動〉好きなのに嫌[きら]いと言ったり、思っていることとまるで正反対の行動をとってしまうことがあります。♠〈正反対の立場〉石油消費国の日本と生産国のアラブ諸国とは正反対の立場にあった。♠へ性格が正反対〉兄と弟とは、その性格が正反対であった。 **せいひ【成否】** ○成功と失敗。成功するかどうか。[文例]〈成否をにぎる〉この工事の成否をにぎるのは土台を固める作業だった。♠へ計画の成否〉〈成否にかかわる〉きみが加わってくれるかどうかは、計画の成否にかかわることなのです。 **せいび【整備】** ○準備し、整えておくこと。[文例]〈土地の整備〉<整備が進む>荒れ地の整備が進み、もうすぐ市営のグラウンドができます。♠へ整備をする〉長距離を走る場合は、自動車の整備を万全にしておく必要があります。♠〈整備する〉交通量の多い道路を整備して、渋滞緩和[じゅうたいかんわ]をはかる。 **せいひつ(静謐)** ○静かで穏やかなさま。[文例]〈静ひつな世界〉そこには、地上の天国ともいうべき清らかで静ひつな世界があった。♠〈静ひつな気分〉けんそうな世間から離れ、一人御堂[みどう]で祈りながら静ひつな気分にひたった。♠〈静ひつな世界>作者は、この詩で静ひつな中にも緊張感のある知的な世界を構成している。 **せいひん【製品】** ○製造した品物。[文例]〈製品を造る〉原料から製品を造って利用している。♠ヘプラスチック製品〉プラスチック製品の廃品[はいひん]処理も大きな問題となっているそうです。♠<新製品>新製品は消費者の評判もよく、売れ行きも好調だ。 **せいひん【清貧】** ○心が清らかで、貧しい暮らしに安んじること。[文例]修道者たちは、粗末な衣を身にまとい、清貧のうちに神に仕えた。♠〈清貧に甘んじる〉物質の豊かさを知った人々は、もはや以前のように清貧に甘んじてはいられなくなった。 **せいふ【政府】** ○国の統治機関。[文例]〈政府をつくる〉彼らは、幕府を倒し、天皇を中心とした新しい政府をつくろうとした。♠へ政府のおかかえ〉明治期は、外国人が政府のおかかえとして、欧米の技術を日本に導入するために働きました。♠〈政府の役人〉この地域一帯を開発する計画があるらしく、政府の役人が視察に来ている。 **せいふく【征服】** ○力で打ち倒し支配下におくこと。困難なことをやり遂げること。[文例]〈国を征服する〉ギリシアを征服したアレキサンダー大王は、さらに東方に進出し、ギリシア文化は各地に広がった。♠へ地球を征服する〉人類が滅亡[めつぼう]し、ゴキブリやネズミが地球上を征服するときが来るかもしれない。♠へ〈自然を征服する〉人間は自然を征服することに情熱をかけてきたが、災害はあとをたたない。♠へ山の征服〉イギリスの登山隊は、一九五三年に初めてエベレストの征服という快挙を成し遂げた。♠〈征服を企[くわだ]てる〉ナポレオン一世はロシア征服を企てたが、失敗に終わった。 **せいふく【制服】** ○決められた服装。ユニホーム。[文例]〈制服を着る〉その高校生は、きちんと制服を着て制帽[せいぼう]をかぶっていた。♠〈制服に身をかためる〉制服に身をかためた軍人が現れ、ロシア語で話しかけてきた。♠く制服を着用する〉勤務中は、決められた制服を着用すること。 **せいぶつ【生物】** ○生き物。[文例]理科の時間に海へ行って海辺に住む生物を観察した。♠〈生物の繁栄[はんえい]〉自然は、特定の生物の繁栄だけを許すような仕組みにはできていません。♠〈生物学〉彼は大学で生物学を専門に学んでいます。♠<生物界>生物界では、日夜、厳しい生存競争が繰りひろげられています。 **せいぶつ【静物】** ○動かないもの。絵画の題材となる器物・花・果物など。また、その絵。[文例]〈卓上の静物〉開け放たれた窓から光が入り込んで、卓上の静物を静かに照らす。♠<静物画>部屋の壁には、セザンヌの静物画がかかっていた。♠静物のこころは怒り[いか]/そのうはべは哀[かな]しむ/この器物[うつはもの]の白き瞳[ひとみ]にうつる/窓ぎはのみどりはつめたし。(萩原朔太郎[はぎわらさくたろう]「静物」) **せいぶん【成分】** ○ある物を作るもとになっている元素や物質。主語・述語など文を構成する各部分。[文例]〈水の成分〉水の成分は酸素[さんそ]と水素[すいそ]である。♠〈成分が増える〉海が汚れてプランクトンのえさになる窒素[ちつそ]やリンなどの成分が増えると赤潮[あかしお]が発生する。♠〈文の成分〉主部・述部など文を組み立てている意味のまとまりの各部分を文の成分といいます。♠〈主成分〉この鉱石をよく調べてみたら、鉄が主成分であることがわかった。 **せいへき【性癖】** ○かたよった性質。くせ。[文例]〈性癖をもつ〉彼は、広くにぎやかな大通りより、狭[せま]くさびれた裏通りを好む性癖をもっていた。♠〈妙な性癖〉祖父は妙な性癖の持ち主で、風が吹くと勇んで外へ飛び出して行った。 **せいぼ【歳暮】** ○年の暮れ。年末に贈る品物。[文例]〈歳暮の慌[あわ]ただしさ〉商店街は、歳暮の慌ただしさでごった返していた。♠へお歳暮を贈[おく]る〉暮れのごあいさつにと、お世話になった方々にお歳暮を贈ります。 **せいみつ【精密】** ○細かい点まで行き届いて詳しく、正確なさま。[文例]〈精密にできる〉父の時計はとても精密にでき <574> ている。♠へ正確で精密〉現代の地図は、昔の地図に比べればはるかに正確で精密だ。♠〈精密な研究〉人々の幸せを願う科学者たちは、精密な研究と努力の積み重ねで、大きな障害を一歩ずつ乗り越えていった。♠へ精密な模型〉精密な模型を使った実験は、多くの貴重なデータをもたらした。♠〈精密検査〉先日の胃の検査で疑わしい点があったので、精密検査をすることになった。♠へ精密機械〉スイスは時計などの精密機械の生産国として有名である。 **せいみょう【精妙】** ○細かいところまで行き届いて巧みなさま。[文例]〈精妙な組み立て〉生物界全体あるいは自然界全体が、生物の体と同じくらい非常に精妙な組み立てになっている。♠へ機械が精妙〉機械はいよいよ精妙になり、機械に対して人間はいよいよ盲目的[もうもくてき]になりつつある。♠へ精妙さ〉こんな小さな昆虫の生命が持つ精妙さに驚かずにはいられない。 **せいめい【生命】** ○命。寿命。物事を推し進める原動力。物事の最も大切な部分。[文例]〈貴い生命〉人間の生命は何物にも代えることのできない貴いものである。♠〈生命の貴さ〉難病と闘[たたか]い精いっぱい生きようとする人の姿に、あらためて生命の貴さを感じさせられました。♠〈生命を守る「動物の変装[へんそう]」つまり擬態は、それぞれの動物が生命を守り、種族を滅[ほろ]ぼさないようにするための、自然の仕組みです。♠〈生命を保つ〉植物は、日光・空気・水・栄養分によって生命を保ち、生長を続ける。♠〈生命を養う〉生活が豊かになるにつれて、人の生命を養うための食物と、楽しみを深める食物とに分かれてきた。♠〈生命を救う〉医師は、人の生命を救うためにいろいろと手を尽くします。♠へ生命を支える〉水と植物、この二つは、人間の生命を支えるために欠くことのできない資源である。♠へ生命を吹き込む〉作者の人間に対する深い理解が、登場人物に生き生きとした生命を吹き込んでいる。♠〈生命を奪[うば]う〉今回の列車事故では一瞬[いつしゅん]にして多くの生命が奪われました。♠へ生命を終える〉人は、ほかの生物と同じように、自然の中に生まれ、その中で生活し、やがてその中で生命を終えていく。♠〈生命を脅[おびや]かす〉過去には繁栄[はんえい]のシンボルだった工場の煙[けむり]が、生物の生命を脅かすようになった。♠〈生命を失う〉先日の爆発事故で生命を失った人の中にわたしの友人がいた。♠へ生命の火〉老人は、わずかに残された生命の火をかきたてるようにして作品に取り組んだ。♠〈生命の誕生[たんじよう]〉看護婦をしている姉は、新しい生命の誕生に立ち会う機会も多い。♠〈生命の不思議〉種族を残すためのさまざまな努力を見ていると、生き物の生命の不思議を感じることがある。♠〈新聞の生命〉新聞の生命は正確な報道にある。♠へ生命力〉踏まれても、なおたくましく生きる雑草の生命力に感動した。 **せいめい【姓名】** ○名字と名前。氏名。[文例]〈姓名を名乗る〉初対面の人には、まず自分の姓名を名乗りなさい。♠〈差出人の姓名〉ある日、一通の手紙が舞い込んだが、差出人の姓名に心当たりがない。♠〈姓名判断〉姓名判断をしてもらって、「温子[あつこ]」と名づけました。 **せいめい【声明】** ○自分の立場・意見などを広く発表すること。また、その意見や文書。[文例]〈政府の声明〉〈声明を出す〉この事件に対して、政府は初めて公式の声明を出した。♠<共同声明>軍縮問題を話し合っていた米ソの代表は、会議後次のような共同声明を発表した。 **せいやく【制約】** ○制限や条件をつけること。また、その制限・条件。[文例]〈制約を越える〉〈時間と空間の制約〉読書は、時間と空間の制約を越えて、わたしの世界を広げてくれる。♠へ制約がある・ない〉昔は軍事機密としての制約があり、要塞[ようさい]地帯の地図などは買えなかった。♠へ制約を受ける〉文化祭で洗剤[せんざい]について研究発表したが、時間の制約を受けて、なかなか思うように調べられなかった。♠へ厳しい制約〉今度できたサッカークラブは、入会するのに厳しい制約があって、なかなか入れないらしい。♠〈制約する〉妻や家族に制約されないので、単身赴任の一人暮らしもいいものだ。 **せいやく【誓約】** ○誓って約束すること。[文例]〈誓約する〉若い二人は、神の前に生涯[しようがい]人生を共にすることを誓約しました。♠<誓約書>誓約書を取り交[か]わした以上は、これを守らなくてはいけません。 **せいよう【西洋】** ○ヨーロッパとアメリカ。欧米。[文例]〈西洋の文化〉鎖国[さこく]のため、西洋諸国との交渉はとだえていたが、オランダを通じて西洋の文化は少しずつ移入されていた。♠〈西洋の思想〉個人主義は西洋の思想で、個人主義では自己を犠牲にすることは出来ない。(森鷗外[もりおうがい]「青年」)♠〈西洋人〉三四郎は生れてから今日に至るまで西洋人と云うものを五六人しか見た事がない。(夏目漱石[なつめそうせき]「三四郎」)♠〈西洋館〉この古い西洋館には、昔、オランダ人が住んでいた。 **せいよう【静養】** ○心身を安静にして病気や疲れをいやすこと。[文例]働きづめで体をこわした彼には、空気のいい所で一か月ほどの静養が必要です。♠へ静養をとる〉父は一週間ほど静養をとりに温泉に行っております。♠〈静養する〉医者から、退院後も自宅でしばらく静養するようにと言われた。 **せいよく【性欲】** (性慾)○性的な欲望。[文例]〈性欲が起こる〉先生だって二十代の健康な男だから、性欲の起こることもあるさ。♠く性欲を満足させる〉性慾を満足させる同じような行[おこない]で、姦淫[かんいん]になる場合と、ならぬ場合と其処[そこ]にはどれ程の堺[さかい]があるのだ?(志賀直哉[しがなおや]「濁[にご]った頭」)♠<性欲を抑[おさ]える〉世間の人は性欲の虎[とら]を放し飼[がい]にして、どうかすると、其[そ]の背に騎[の]って、滅亡[めつぼう]の谷に墜[お]ちる。自分は性欲の虎を馴[な]らして抑えている。(森鷗外[もりおうがい]「ヰタ・セクスアリス」) **せいらい【生来】** ○生まれつき。生まれてからずっと。しょうらい。[文例]〈生来の意志薄弱[はくじゃく]〉わたしは生来の意志薄弱で、どんなことでも毎日続けることができません。♠〈生来の能力〉動物たちは自分にそなわった生来の能力によって生きている。♠彼女は生来快活で、どちらかというと享楽[ようらく]的な娘だった。 **せいり【整理】** ○きちんと整えること。無駄をなくすこと。 <575> [文例]〈衣類の整理〉知人に頼まれて、施設におくる衣類の整理を手伝いに行きました。♠〈引き出しを整理する〉引き出しを整理して、いらない物を捨てなさい。♠く考えを整理する〉この投書を読んで、いろいろ考えさせられたので、自分の考えを整理し、文章にまとめようと思った。♠へ資料を整理する〉研究のために集めた資料を整理しているところです。♠へ順に整理する〉時代の順序がはっきりしないので、書かれてあることがらを年代順に整理した。♠へ箇条書[かじよう]きに整理する〉話の要点を分かりやすく箇条書きに整理する。♠へ人員を整理する〉工場がうまくいかず、人員を整理して、人件費を減らすことになった。♠〈整理整とん〉あなたの部屋はちらかしっぱなしだから、整理整とんと書いて、壁[かべ]に張っておきなさい。 **せいり【生理】** ○生物の体のさまざまな現象。月経。[文例]〈人体の生理〉〈生理と心理〉人体の生理については解明が進んでいますが、心理の面ではわからないことがたくさんあります。♠〈生理が始まる〉なんとなくおなかの下あたりが痛いと思っていると、生理が始まっていました。♠〈生理現象〉体によくない物が体内に入ったとき、嘔吐[おうと]や下痢という生理現象で体外へ排出[はいしゆつ]する。♠〈生理的〉彼は、高い車を乗り回していられる境遇の青年たちに一種生理的な憎悪[ぞうお]を感じるらしかった。 **せいりつ【成立】** ○成り立つこと。出来あがること。[文例]〈幕府の成立〉鎌倉[かまくら]幕府の成立は十二世紀の終わりごろである。♠〈取り引きが成立する〉相手が信用してくれたので、ようやくその取り引きは成立した。♠へ条約が成立する〉百年も戦い続けた二国間に不戦条約が成立した。♠〈和解が成立する〉話し合いの結果、被害者[ひがいしゃ]と加害者[かがいしゃ]の間に和解が成立した。♠〈和平が成立する〉この二つの部族間に和平が成立したのは、百年以上も後のことであった。♠へ歌集が成立する〉「万葉集[まんようしゆう]」は、奈良[なら]時代に成立したわが国に現存する最古の歌集である。♠へ予算が成立する〉国会で、来年度の予算が成立した。♠ヘアリバイが成立する〉事件が起きたとき、どこにいたか言えないのでは、アリバイは成立しない。 **せいりゃく【政略】** ○政治上のはかりごとや駆け引き。[文例]〈政略を用いる〉政略を用いていかに国王をだまし、失脚させるか、大臣は頭を悩ましていた。♠〈政略結婚〉道長は自分の娘を政略結婚させ、藤原氏の権力を確固たるものとした。 **せいりゅう【清流】** ○清い水の流れ。[文例]〈山の清流〉ハイカーたちは山の清流に足を浸[ひた]して、子供のようにはしゃいでいる。♠へせんせんたる清流〉せんせんたる清流の音を聞きながら、旅人は、心洗われるすがすがしさを感じていた。♠〈清流に泳[えが]ぐ〉谷川では、清流に泳ぐイワナ釣りを楽しむ人の姿が見られる。 **せいりょう【清涼】** ○清らかで涼しいさま。さわやかですがすがしいさま。[文例]〈清涼な秋気〉そちらは残暑が厳しいでしょうが、高原はすでに清涼な秋気に満ちております。♠〈清涼感〉キャンディーをなめると、ペパーミントの清涼感が口いっぱいに広がりました。♠〈清涼剤〉いやなことが多い昨今[さつこん]、この明るい話は一服の清涼剤となった。♠へ清涼飲料水〉清涼飲料水の飲みすぎにも注意したいものです。 **せいりょく【精力】** ○心身の活動の源となる力。[文例]〈精力の限り〉漁師[りようし]たちは、日々の糧[かて]のために精力のあらん限りを用い尽くさねばならなかった。♠へ精力がみなぎる〉恋をしていると精力が身うちにみなぎり、叫び歌い、走りたくなってくるのだ。♠へ精力的〉彼は、精力的に多忙なスケジュールをこなしていた。 **せいりょく【勢力】** ○他をおさえ支配する力。[文例]〈勢力がある〉あのグループは仕事もできるし、人の面倒[めんどう]もよく見るので、社内でなかなか勢力がある。♠へ勢力が伸びる〉地道な活動の結果、わが党の勢力は少しずつ伸びている。♠〈勢力を盛り返す〉平家[へいけ]は、翌年、ようやく勢力を盛り返して、一の谷[いちたに]に陣を構えた。♠〈集団の勢力〉ここまで大きくなると、あの集団の勢力もばかにできない。♠へ勢力が衰[おとろ]える〉さしもの台風も海上へ出ると勢力が衰えた。♠へ勢力を持つ〉政治や経済のうえで、支配的な勢力を持っている人たちだけが、この建物に出入りすることができた。♠へ新興勢力〉この本では、中世へ移る時代の動きと新興勢力である武士階級の姿が生き生きと描かれている。♠へ勢力争い〉党内の勢力争いに明け暮れて、この政党は国民の支持を失った。 **せいれい【精霊】** ○すべての物に宿る霊。死者の霊。[文例]〈精霊が宿る〉古代の人々は、自然のあらるゆ事物に精霊が宿っていると信じていた。♠<精霊がいる〉岩手を中心に東北地方には、家の中に「座敷[ざしさ]わらし」という子供の姿をした精霊がいるという伝えがある。 **せいれい【精励】** ○励むこと。[文例]〈仕事に精励する〉この三十余年間、仕事ひとすじに精励してきたつもりです。♠〈勉学に精励する〉学生は、経済的な困難と闘いながら、日々勉学に精励した。 **せいれつ【整列】** ○列を作ってきちんと並ぶこと。[文例]「整列!」の号令で、運動場いっぱいの生徒があっという間にきれいな列を作った。♠へ整列する〉生徒たちは整列して、式典の始まりを待っている。 **せいれつ(清冽)** ○清く澄んで冷たいさま。[文例]〈清冽な水〉渓谷は、せんせんと清冽な水が音立てて流れている。♠〈清冽な流れ〉わき出た水は清冽な流れとなって、谷間を勢いよく流れていく。 **せいれん【精錬・精練】** ○鉱石から取り出した金属の純度を高めること。動植物の繊維からまざり物を除き去ること。よく訓練してきたえること。[文例]〈金属を精錬する〉鉱石に含まれる不純物を除去し、さらに精錬して上質の金属ができあがる。♠へ植物を精練する〉この地方では、こうぞやみつまたなどの植物を昔ながらの方法で精練し、和紙を作っている。♠へ文章を精錬する〉彼の人柄は、年月とともに純化され、それとともに文章も精錬されていった。♠へ精錬されたチーム〉指導者のきめこまかい心配りで、実に精錬されたチームができました。 **せいれんけっぱく【清廉潔白】** ○清く正しいさま。[文例] <576> 〈清廉潔白な人〉彼は、私利私欲というものがない清廉潔白な人です。♠わたしは、何ひとつ心にやましいことはしていない。清廉潔白だ。♠政治にたずさわる者は、清廉潔白であるべきです。 **せいろん【正論】** ○正しい意見・議論。[文例]確かにきみの言うのは正論ですが、この場合は特殊なケースなので、必ずしもあてはまらないようです。♠〈正論を吐[は]く〉自分はいつも正論を吐いているつもりなのに、耳を貸す人がいないのはなぜだろう? **セーフ** ○野球で打者・走者が塁に生きること。テニスなどで打ったボールが規定の線内に入ること。間に合うこと。→アウト[文例]〈アウトとセーフ〉庭球などで、打球が決められた線内に入ればセーフ、線外に出ればアウトです。♠〈滑[すべ]り込みセーフ〉滑り込みセーフ、やっとまにあったよ。 **せお・う【背負う】** ○背にのせる。身に受ける。引き受ける。しょう。[文例]〈荷物を背負う〉男は、後ろに大きな荷物を背負っていた。♠へ子供を背負う〉学校から帰ると、小さな妹を背負い、忙[いそが]しい母に代わって子守[こもり]をしたものです。♠へ背中に背負う〉背中に背負ったリュックを投げ出すと、思う存分手足を伸ばした。♠へ肩[かた]に背負う〉一時間もたつと、肩に背負った銃が体にくい込み、岩のように重く感じられた。♠〈重荷を背負う〉「人生は、重荷を背負って遠い道を行くようなものだ」という言葉がある。♠ヘ苦しみを背負う〉人はだれでも、それぞれの苦しみを背負いながら生きているのです。♠へ一家を背負う〉少年は、貧しい一家を背負って、学校に通うかたわら店番として働き始めた。♠へ期待を一身に背負う〉弟は、両親の期待を一身に背負って成長した。♠〈借金を背負う〉事業に失敗したため、父は、多額の借金を背負い込むはめになってしまった。♠〈貧困を背負う〉貧しいこの国では、国民のほとんどが貧困を背負いながら生きている。♠へ日本を背負う〉二十一世紀の日本を背負っていくのは、きみたちだ。♠〈背負って立つ〉彼は、きっと、将来のプロ野球界を背負って立つ大物になるだろう。 **せかい【世界】** ○地球上のすべての国。宇宙。世の中。人間の社会。同じ種類のものが集まって作る生活の場。ある特定の範囲。[文例]〈この世界に生まれる〉人間は、この世界に生れてきた瞬間[しゅんかん]、オギャーとたくましい産声[うぶごえ]をあげる。♠〈世界に類がない〉ユーカラは、今の世に、文字以前の叙事詩[じょじし]の姿をそのまま伝えるものとして、世界に類のないものです。♠〈世界に誇[ほこ]る〉今では日本の自動車生産技術は、世界に誇る優秀なものだ。♠〈世界に知られる〉彼は、世界にその名を知られた数学者です。♠〈世界に冠[かん]たる〉かつて大英帝国[ていこく]の繁栄[はんえい]は、世界に並ぶものがなく、世界に冠たるものであった。♠へどこの世界にいる〉遊ぶ金をくれと言われて、はいそうですかと出す親がどこの世界にいる。♠〈住む世界が違う〉お坊ちゃん育ちのきみとぼくとでは、住む世界が違うよ。♠へ新しい世界が開ける〉一つの成功をきっかけに、目の前にぱあっと新しい世界が開けたような気がした。♠〈外の世界〉母は生まれてこのかた、村から一歩も出たことがなく、全くと言っていいほど外の世界を知りません。♠〈自分の世界〉母が死んで以来、弟は、ますます自分の世界に閉じこもりがちであった。♠〈別の世界〉立派になった息子[むすこ]は、老いた母の目には別の世界の人のように見えた。♠〈動物の世界〉生存競争の激しい動物の世界では、生きるということは、すなわち闘い[たたかい]を意味します。♠へ大人・子供の世界〉大人の世界だけでなく、子供の世界にも流行というものがある。♠〈死の世界〉これまでこの星には、地球と同じように生物がいると思われていたが、実際には死の世界であった。♠〈月の世界〉『竹取物語』は、竹の中から生まれた美しいかぐや姫が月の世界へ戻っていくという幻想的[げんそう]な物語です。♠〈未知の世界〉過去のなぞを解明し、未知の世界に挑[いど]むことは、人類の知的精神のめざましい発露[はつろ]である。♠〈空想の世界〉アニメーション映画は、子供たちを楽しい空想の世界に遊ばせてくれます。♠へ本の中の世界〉本の中には、日常生活では見聞[けんぶん]することのできない新しい世界があります。♠へ物語の世界〉名もない男が一国の主になるというような出世話は、何も物語の世界だけに限らない。♠〈文学の世界〉彼は、役人になるよりも、むしろ文学の世界で身を立てたいと望んでいた。♠〈勝負の世界〉男も女もない、勝負の世界は厳しいものだ。♠〈世界一〉やっぱり、ママは世界一だ。 **せか・す(急かす)** ○急がせる。せかせる。[文例]まだ時間はあるんだから、そうせかすなよ。♠〈原稿をせかされる〉締め切り近くになると、いつも出版社の人から原稿をせかされる。 **せが・む** ○無理に頼む。ねだる。[文例]わがままに育ったその子は、何でも欲しがっては買ってほしいとせがむ。♠いくらせがんでも、だめなものはだめだ。♠へ子供にせがまれる〉子供にせがまれて、ナイター見物に出かけた。 **せがれ(倅・枠・悴)** ○自分の息子を謙遜していう語。他人の息子を卑しめていう語。[文例]わたしのせがれはシンヤというんですが、こいつがわたしの小さいころそっくりで………………。♠菜園の西側が山城屋[やましろや]と云う質屋の続きで、この質屋に勘太郎[かんたろう]という十三四の倅[せがれ]が居た。(夏目漱石「坊っちゃん」) **せき【席】** ○座る場所。座席。人が集まって何かをする場。[文例]〈席に座[すわ]る〉前の席に背の高い人が座ったので、映画が見づらかった。♠〈席を取る〉湖に面したレストランに入り、わたしたちは見晴らしのよい席を取った。♠へ席に着く〉始業のベルが鳴って、騒[さわ]いでいた生徒たちは席に着いた。♠へ席を立つ〉「しばらく席を立ちますのでよろしくね。」と言って食堂車に行ったまま、隣[となり]の人はまだ戻[もど]らない。♠〈席を外す〉先生と二人だけで話したいので、きみは席を外していてくれ。♠〈席を移す〉あの子たちは隣どうしよくけんかをするので、もう少し席を遠くに移しましょう。♠〈席へ戻る〉休憩[きゆうけい]時間は終わりましたので、席へ戻ってください。♠へ席を譲[ゆず]る〉お年寄りや体の不自由な人には、必ず席を譲るようにしよう。♠へ席をける〉話し合いの最中、自分の意見が通らないので、彼は席をけって会議室から出て <577> いった。♠へ席が空く〉この歌手はあまり人気がないのか、コンサートの席がパラパラと空いているのが目立った。♠〈席を勧める〉母は遠慮[えんりょ]しているわたしの友人に、腰[こし]かけるようにと席を勧めた。♠〈席を改める〉この部屋は寒すぎるので、席を改めて会議を続けましょう。♠へ席を設ける〉近々、高校時代の友達が集まる席を設けましょうよ。♠〈席の暖まる暇[ひま]がない〉あまり忙しくて休む暇のないことを「席の暖まる暇がない」と言う。♠へ宴会[えんかい]の席〉民謡[みんよう]は宴会の席で歌われただけでなく、もともと生活や労働の中で歌われていたものです。 **せき【籍】** ○戸籍。学校や団体などの一員としての資格。[文例]〈籍がある〉わたしは東京の大学に入っていますが、親が北海道に住んでいて、籍はそこにあります。♠へ籍をぬく・入れる〉〈籍に入る〉結婚[けっこん]するとたいていどちらか一方が籍をぬいて、他方の籍に入る。♠〈籍を置く〉ボーイソプラノの弟は、合唱団に籍を置くことになった。♠へ籍を置く〉あの大学は、二万人もの学生が籍を置いているマンモス大学だ。 **せき(堰)** ○水流の調節などのために流れの中に作ったしきり。[文例]〈せきを築く〉川には、たんぽに水を引くためのコンクリートのせきが築いてあった。♠くせきを切ったよう〉それまでこらえていた少年が、わたしの言葉をきっかけにまるでせきを切ったように泣き出した。 **せき(咳)** ○のどが刺激された時などに反射的に強く息を吐き出すこと。[文例]〈せきが出る〉この季節になるとぜんそくの発作がおこり、夜中に激しくせきが出る。♠くせきをする〉紳士[しんし]は、手を口に当ててせきをしながら話し出した。♠〈せきをせく〉ごほんごほんと咳をせく。(夏目漱石「虞美人草[ぐびじんそう]」)♠咳の子のなぞなぞ遊びきりもなや(中村汀女[ていじよ]) **せきさい【積載】** ○荷物などを積み込むこと。[文例]〈積載する〉森林から伐採[ばっさい]した木は、貨車に積載し運び出されます。♠〈積載能力〉トラックの中には、十トン以上の積載能力を持つ大型のものもあります。♠〈積載量〉トラックなどには、最大積載量何トンと表示がしてあり、これを超えてはいけないことになっている。 **せきじつ【昔日】** ○むかし。往年。[文例]〈昔日の面影[おもかげ]〉三十年ぶりに訪れた町はすっかり変ぼうし、昔日の面影はありません。♠へ昔日のごとく〉二十歳[はたち]になったみさは、もはや昔日のごとく無口な少女ではなかった。 **せきしゅ【赤手】** ○手に何も持たないこと。素手。徒手。[文例]〈赤手空拳[くうけん]〉財力も学歴も何もないわたしは、裸一貫[はだかいつかん]、赤手空拳で現在の地位を築いてきた。 **せきしょ【関所】** ○昔、街道の国境や要所で通行人を調べたり、通行税をとったりした所。通りにくい所。関門。[文例]〈関所を置く「白河の関」は、古代、東山道[とうさんどう]の陸奥[むつ]国への関門として置かれた関所で、今の福島県白河市付近にあった。♠〈関所を設ける〉江戸幕府は、全国の各所に関所を設け、「入り鉄砲[でつぽう]に出女[でおんな]」を特に厳しく取り締まった。♠へ関所を越える〉一次試験にパスし、まずは第一の関所を越えたというところか。♠へ関所破り〉当時、関所破りはもとより重罪であった。 **せきしん【赤心】** ○まごころ。[文例]〈赤心をもつ〉師は、どんな人間にも赤心をもって対する人であった。♠〈赤心をこめる〉一つ一つの作品に、陶芸師[とうげいし]である父の赤心がこめられている。♠へ赤心を推[お]して人の腹中に置く〉「赤心を推して人の腹中に置く」というのは、真心をもって他人に接し、少しの隔[へだ]てもおかないという意味です。 **せきた・てる【せき立てる】** (急き立てる)○急がせる。うながす。せかす。[文例]〈人をせき立てる〉学校に行く時間なのにぐずぐずしている弟を、ぼくは早く早くとせき立てた。♠〈馬をせき立てる〉男は、ひざの深さより先へ進もうとせぬ馬を、しきりにせき立てていた。♠〈心がせき立てられる〉夏祭りのざわめきに心がせき立てられ、家中で出かけることになった。 **せきたん【石炭】** ○大昔の植物が地中で熱や圧力の作用によって炭化したもの。[文例]昔は、エネルギー源として、石炭が使われることが多かった。♠〈石炭をくべる〉〈石炭ストーブ〉小学校のころ教室には、石炭ストーブがあって、当番の生徒が石炭をくべたのです。♠◇石炭を掘る〉父は、北海道にある炭鉱で石炭を掘っていた。 **せきと・める【せき止める】** (塞き止める・堰き止める)○さえぎる。ふさぎ止める。[文例]〈川をせき止める〉子供たちが小川をせき止め、魚取りをして遊んでいた。♠へ流れをせき止める〉この流れをせき止めて、用水池を作ろうという計画が進められています。♠〈会話をせき止める〉会話が急にせき止められて、しばらく沈黙が続いた。 **せきにん【責任】** ○果たさなければならない務め。[文例]〈当番の責任〉みんなが帰ったあと、教室がきれいになっているかどうか見てまわるのは、当番の責任だ。♠へ親の責任〉子供が非行に走るのは、果たして親の責任だけだと言えるだろうか。♠へ責任がある・ない〉飼[か]い犬が人に危害を加えた場合、飼い主[ぬし]に責任がある。♠へ責任が重い〉この手術が成功するかどうか、手術を前にして、医者として責任が重い。♠〈責任をもつ〉妹が自分で責任をもって世話をするという約束[やくそく]で小鳥を飼うことにした。♠〈責任を取る〉事故を起こした先生は、責任を取るために学校をやめると言い出した。♠へ責任を果たす〉船長としての責任を果たすため、乗客全員の救出を確認して、最後にボートに乗った。♠へ責任を負[お]う〉兄弟五人のうち、長兄は、あとの四人に家の経済的責任を負わせて家を出ていった。♠〈責任を逃[のが]れる〉きみたちは責任を逃れるつもりなのか。♠〈責任感〉わたしの友人は責任感が強く、頼[たの]んだことは何でも忘れずにしてくれる。♠へ責任者〉アポロ宇宙計画の責任者である科学者たちに、飛行士たちとともに拍手[はくしゅ]を送りたい。♠〈全責任〉会社の社運をかけた事業計画の全責任を、彼は一身に引き受けた。 **せきねん【積年】** ○長い年月。[文例]〈積年の願い〉この児童公園は、町長さんの積年の願いだったのです。♠へ積年の夢〉わたしはついに積年の夢を果たした。♠へ積年の恨み〉 <578> 悪代官に苦しめられてきた農民たちは、積年の恨[うら]みを晴らそうと一団となって押し寄せた。 **せきのやま【関の山】** ○精いっぱいやった限度。せいぜい。[文例]力のないチームだから、いくらがんばっても一回戦に勝つのが関の山だろう。♠この天候では、今日は山小屋にたどりつくのが関の山だ。♠彼の英語じゃ「アイ、ドント、ドント・・・・・・」ぐらいが関の山、道を教えるなんてできっこない。 **せきばく(寂寞)** ○もの寂しいさま。心が満たされず寂しいさま。[文例]〈寂寞とする〉もし、この世に芸術が存在しなかったら、わたしたちの生活はどんなに寂寞としていただろう。♠〈寂寞とした風景〉冬枯れの寂寞とした風景が眼前に広がっていた。♠〈寂寞たる思い〉夏が去って人気[ひとけ]のない浜辺に立つと、わたしは寂寞たる思いにとらわれた。 **せきひん【赤貧】** ○非常に貧しいこと。極貧。[文例]〈赤貧洗[あら]うがごとし〉当時のわたしは、貧乏[ごくひん]の極にあり、まさに赤貧洗うがごとしの状態に陥[おちい]っていた。 **せきべつ【惜別】** ○別れを惜しむこと。[文例]〈惜別の情〉旅立つ友に、わたしは惜別の情を禁じることができなかった。♠<惜別の念>卒業をひかえて、それぞれの道に進む級友への惜別の念が日増しに強くなってきた。 **せきむ【責務】** ○責任と義務。責任のある務め。[文例]〈責務を果たす〉自分に与えられた責務を果たすため全力を投入した。♠二度と戦争を起こさないことは、わたしたちの責務です。 **せきめん【赤面】** ○恥ずかしさで顔が赤くなること。また、その顔。[文例]〈赤面の至り〉こんな初歩的なまちがいをするなんて、赤面の至りだ。♠〈赤面する〉ぼくは人前に出ると赤面して、言いたいことがうまく言葉にならなくなってしまいます。 **せきゆ【石油】** ○大昔の動植物が地圧や地熱によって変化してできたとされる油状の液体。[文例]石油は、現在、もっとも重要なエネルギー源として利用されている。♠石油の埋蔵[まい]量には限りがあるので、このままどんどん使っていったら、いつかはなくなる時がくるだろう。♠日本で生産する石油はほんのわずかなので、石油産出国に輸出を止められたら、パニックになるでしょう。 **せきらら【赤裸裸】** ○ありのままにさらけ出すさま。まるはだか。[文例]〈赤裸々な告白〉彼の赤裸々な告白に、わたしは驚きを禁じ得なかった。♠〈赤裸々に書く〉この本は、激動期に生きた一人の女性の生涯[しょうがい]を赤裸々に書きつづったものである。 **せきりょう(寂寥)** ○ものさびしいこと。[文例]〈寂寥の感〉鉛色[なまりいろ]の空の下に横たわるわびしい村を目にして、寂寥の感が胸にこみあげてきました。♠へ寂寥とする〉わたしは寂寥とした気持ちにおしひしがれながら、冬枯れの野をあてもなくさまよった。♠〈寂寥感〉大勢の友達の中にいて、ふと訳のない寂寥感に襲[おそ]われることはありませんか。 **せ・く(急く)** ○あせる。急ぐ。(息などが)激しくなる。せきたてる。[文例]〈気がせく〉早く仕事を終えようと気がせくばかりで、さっぱりはかどりません。♠〈せいては事をしそんじる〉あわてるな、せいては事をしそんじる。♠或時[あるとき]の彼女は無暗[むやみ]に急[あせ]いて事を纏[まと]めようと焦慮[あせ]った。(夏目漱石「明暗[めいあん]」) **せけん【世間】** ○人の生活や交際の範囲。世の中。世の中の人々。[文例]〈世間の口がうるさい〉世間の口はうるさく、ちょっと変わった服装をしただけですぐうわさの種になる。♠〈世間の笑い者〉いい年をしたじいさんが、とわたしは、世間の笑い者になっていた。♠へ世間一般〉アルファベットは、今は世間一般に広く用いられている。♠〈世間が広い〉祖父は世間が広く、経験豊かな人物だった。♠へ渡[わた]る世間に鬼[おに]はない〉「渡る世間に鬼はない」と言うが、今まで会った人の中に意地悪な人は一人もいなかった。♠へ世間に知れ渡る〉主人のお嬢様[おくさま]と奉公人[ほうこうにん]の若者の仲が世間に知れ渡った。♠〈世間さま〉子供のいたずらだからといって人のものを盗むなんてことは、世間さまが許さないよ。♠へ世間知らず〉彼女はお嬢さん育ちのまま結婚したので、世間知らずな奥さんとうわさされている。♠◇世間話〉近所のおばさんたちが集まると、世間話に花が咲きます。♠人世間並み〉ぜいたくはできなくても、せめて世間並みの暮らしができるくらいの収入がほしい。 **せけんてい【世間体】** ○世間に対する体面や体裁。[文例]〈世間体を気にする〉世間体を気にしていては、おおらかな主活はできません。♠へ世間体が悪い〉姉がアパートを借りて自立したいと言うと、母は世間体が悪いと嘆[なげ]いた。♠〈世間体がある〉たしかに世間体というものはあるが、あなたは少し考えすぎのようだ。 **せこ【世故】** ○世の中の習慣・ならわし。世間の事情。[文例]〈世故にたける〉彼は世故にたけて、世渡りのうまい男だった。♠へ世故に慣れる〉裕福[ゆうふく]な家に育ったせいで、あなたは世故に慣れていないのですよ。♠〈世故に暗い〉世故に暗いわたしには、今度の仕事は重荷であった。 **せじ【世辞】** ○相手を意図的に喜ばせる言葉。おせじ。[文例]〈お世辞を言う〉人にものを頼むときは、お世辞の一つぐらい言ってもいいと思うの。♠へお世辞がうまい〉おじ[叔父]さんはお世辞がうまいから、信用できないわ。 **せし・める** ○だまし取る。奪い取る。[文例]〈物をせしめる〉しめしめ、まんまとあぶらあげをせしめてやったぞ、とキツネはよだれを垂らした。♠へお金をせしめる〉向こうから離婚を言い出したんだから、しこたま慰謝料[いしやりよう]をせしめてやったわ。 **せしゅう【世襲】** ○代々受け継いでいくこと。[文例]〈世襲の権利〉封建時代の武士は世襲の権利として、主君から家禄[かろく]を与えられていた。♠へ世襲する〉貴族の称号は、先祖代々世襲された。♠へ世襲制度〉華道[かどう]や茶道[さどう]の家元は、世襲制度によって代々受け継がれていく。 **せじょう【世上】** ○世間。世の中。[文例]〈世上をにぎわす〉」 <579> これが、当時世上をにぎわした心中事件である。♠へ世上にとりざたされる〉その事件には黒幕がいるのではないかと世上にとりざたされた。♠〈世上へもれる〉(・・・・・・)大殿様[おおとのさま]が車をお焼きになった事は、誰[だれ]の口からともなく世上へ洩[も]れましたが(・・・・・・)(芥川龍之介[あくたがわりゆうのすけ]「地獄変[じごくへん]」) **せじょう【世情】** ○世の中の事情。世態。世間の人の人情・感情。[文例]〈世情にうとい〉研究室に閉じこもっているというから、世情にはまるでうとい人のようだ。♠〈世情に通じる〉こんなうわさも知らなかったのかい、世情には通じているはずのきみがね・・・・・・。 **せすじ【背筋】** ○背骨にそった筋。衣服の背骨のところの縫い目。[文例]〈背筋が痛む〉ふだんやりつけない畑仕事を手伝ったので、背筋の辺りが痛む。♠へ背筋を伸ばす〉習字のときは、机に向かって背筋をまっすぐ伸ばし、姿勢を正しましょう。♠〈背筋が凍[こお]る〉核[かく]シェルターの外には、人を寄せつけない、背筋が凍るような、荒涼[こうりよう]とした光景が広がっていた。♠〈背筋が寒くなる〉世界中に環境破壊[かんきようはかい]が広がっているが、地球の未来を考えると、背筋の寒くなる思いがする。♠〈背筋がぞくぞくする〉小泉八雲[こいずみやくも]の『怪談[かいだん]』はどれも背筋がぞくぞくするような怖い話ばかりだ。 **ゼスチャー** ♪ジェスチャー **ぜせい【是正】** ○直して正しくすること。[文例]〈定数の是正〉人口が増え続ける県では、人口に比べて国会議員の数が少ないので、定数の是正を求める声が強い。♠〈不平等の是正〉行政の不平等の是正を望む声が各地でおこっている。♠<不均衡を是正する〉国としては、歳入[さいにゆう]と歳出[さいしゅつ]の不均衡を是正する必要がある。 **せせこまし・い** ○せま苦しい。こせこせしてゆとりがない。[文例]しかし隣近所[となりきんじよ]には、いずれも借家[しやくや]らしい新築が、せせこましく軒[のき]を並べていた。(芥川龍之介[あくたがわりゆうのすけ]「秋」)♠ヘせせこましい世間>男は、せせこましい世間にみきりをつけ、独[ひと]り山里に庵[いおり]を結んだ。♠へせせこましい生き方〉こんなせせこましい生き方しかできないんだもの、大物にはなれないなあ。 **ぜぜひひ【是是非非】** ○よいことはよい、悪いことは悪いとすること。公平なこと。[文例]彼は私利私欲にとらわれず、是々非々をきちんと実行できる人間です。♠〈是々非々主義〉良いことは良い、悪いことは悪いとする是々非々主義の立場を取りたいと思う。 **せせらぎ** ○小川や浅瀬の水の流れ。また、その流れる音。[文例]〈小さなせせらぎ〉もう少し登っていくと小さなせせらぎがあるはずだから、そこで休憩[きゆうけい]しよう。♠〈小川のせせらぎ〉都会に住むようになって、小川のせせらぎの音を久しく聞いたことがない。♠〈水のせせらぎ〉辺りは静まり返ってよく耳を澄[す]ますと、近くを流れる水のせせらぎが聞こえてくる。♠へせせらぎの水〉旅人は、冷たいせせらぎの水に足をひたしたり顔を洗ったりして、しばらく休んだものだ。♠へせせらぎの音〉山あいの旅館では、せせらぎの音と鳥のさえずりが目覚ましであった。 **せせらわら・う【せせら笑う】** ○ばかにして笑う。あざ笑う。[文例]〈鼻でせせら笑う〉その少年は、ぼくの失敗を鼻でせせら笑った。♠濁流は、メロスの叫びをせせら笑う如[ごと]く、ますます激しく躍[おど]り狂[くる]う。(太宰治[だざいおさむ]「走れメロス」)♠山々は、まるで人間の愚[おろ]かさをせせら笑うように雲の上にそびえていた。 **せそう【世相】** ○世の中のありさま。[文例]〈暗い世相〉この小説は、昭和十年代の暗い世相を背景にしています。♠へ世相を反映する〉事件は、当時の世相を反映していた。♠へ世相を映す〉流行は、よくその時代の世相を映している。 **せぞく【世俗】** ○世間の人。俗世間。世の中のならわし。[文例]〈世俗にこだわる〉〈世俗にこびる〉彼は、世俗にこだわり、世俗にこびることを嫌[きら]って、独自の世界を築きそこに閉じこもっていた。♠〈世俗の権威〉社会体制が変われば、それまで確かだと思われていた世俗の権威は崩[くず]れていきます。♠〈世俗的〉世俗的には成功した公演だが、芸術的な価値は低い。 **せたい【世代】** ○親・子・孫・・・のそれぞれの代。同じ年齢層。また、それに属する人々。(発達の)段階。[文例]わたしたちは、物の豊富な時代に生まれ、何の不自由もなく育ってきた世代です。♠〈次の世代〉伝統文化を次の世代に伝えるのは、現代に生きるわれわれの責任です。♠〈若い世代〉わたしは、これからの日本を背負って立つ若い世代に望みをかけている。♠〈世代をこえる〉土地に根づく文化は、親から子供へ、大人から若者へ、世代をこえて伝えられていく。♠〈世代が異なる〉昔[むかし]は、世代の異なる人間が同じ家族として一緒に生活するのは当たり前のことだった。♠〈世代を繰り返す〉ゴキブリのように休眠しない昆虫[こんちゆう]は、条件さえよければ、一年じゅう世代を繰り返して増える。♠〈同世代〉彼とわたしは昭和ひとけた生まれで、言わば同世代の人間だ。 **せちがら・い【世知辛い】** (世智辛い)○暮らしにくい。損得にとらわれて薄情だ。[文例]〈せちがらい世の中〉このせちがらい世の中で、彼のような思いやりのある人間に出会えてよかった。♠へせちがらい時代〉今日[こんにち]のようなせちがらい時代にあっては、隣人愛は育ちにくいのかもしれません。 **せつ【説】** ○意見。主張。学説。[文例]〈説を立てる〉耶馬台国[やまたいこく]は九州にあったという説を立てる学者も多い。♠へ説が分かれる〉自殺か他殺か、警察内部でも説が二つに分かれた。♠〈説が正しい〉畑の真ん中を発掘[はつくつ]した結果、古墳[こふん]であるという説の正しいことが証明された。♠科学者の多くは、UFOが地球に来ているという説には否定的だ。♠へいろいろな説〉新しく開発された薬の効果については、いろいろな説がある。♠へお説の通り〉今の人たちは恵[めぐ]まれてすぎているということですが、まったくお説の通りです。♠ヘ一説には〉一説には、義経[よしつね]は大陸に渡[わた]り、モンゴル帝国のチンギス=ハンになったという。 **せつ【節】** ○時。おり。信念を貫こうとする態度。文章の一区切り。文の中で主語・述語のある一まとまり。[文例]近くへおいでのおり[節]は、ぜひお立ち寄りください。♠へこの節〉この <580> 節は、消費者も賢くなっていい加減な商売はできないねえ。♠〈節を守る〉男は節を守って、主君を替えることをしなかった。♠へ節をまげる〉病気の妻のこと、子供の学費のことを考えれば、わたしは節をまげざるをえなかった。♠〈節を折る〉恋する女と添[そ]いとげるためならと、彼は節を折って仕事を探しに出かけた。♠〈章・節〉きみの知りたいことが、この本の第一章第二節に詳しく書いてあるよ。 **せつえい【設営】** ○施設などを設けること。[文例]〈キャンプの設営〉八合目にたどり着くと、登山隊の隊員たちはまずキャンプの設営に取りかかった。♠へ設営する〉島に到着した一行は、観測基地を設営するのに適当な場所をさがした。 **ぜつえん【絶縁】** ○縁を切ること。電流・熱を通さないこと。[文例]〈家との絶縁〉娘は父親の反対を押し切って結婚したため、家との絶縁を言い渡された。♠へ絶縁する〉この老人は、人里離れた山奥で現実世界と絶縁して生きてきたという。♠<絶縁体>電線は、ゴムや布などの絶縁体でおおいます。 **ぜっかい【絶海】** ○陸地から遠く離れた海上。[文例]〈絶海の孤島[ことう]〉エンジンの故障で漂流[ひようりゅう]してから五日目、船は絶海の孤島に打ち上げられた。 **せっかく【折角】** ○わざわざするさま。骨を折ってするさま。[文例]台風が来て、せっかく実[みの]った稲に被害が出てしまった。♠せっかく来てくれたのに留守をしてもうしわけなかった。♠人せっかくの苦心〉ああ、やっと出来あがったと思ったのに、せっかくの苦心も水のあわになってしまった。♠ヘせっかくの好意〉せっかくのご好意ですから、遠慮[えんりよ]なくちょうだいいたします。♠へせっかくの休み〉せっかくの休みだというのに、雨に降られてどこにも遊びに行けなかった。♠くせっかくの腕前〉こんな山奥[やまおく]にいたんじゃ、せっかくの腕前も宝の持ちぐされだよ。♠くせっかくですから〉彼は「せっかくですからいただきます。」と言って、おいしそうなリンゴに手を伸ばした。 **せっかち** ○気が短く落ち着きのないさま。また、そういう人。[文例]〈せっかちな人間〉彼はせっかちな人間で、じっくり待つということがない。♠そんなにせっかちに走り回らないで、少し落ち着いたらどうだい。♠あのせっかちめ、また財布を忘れて飛び出していったぞ。 **せっかん(折檻)** ○(檻[おり]が折れるまでしがみついて主君をしか[諫]めたという中国の故事から)厳しくしかること。激しく体罰を加えること。[文例]〈折檻をする〉ふだんはやさしい父親だったが、子がうそをついたときだけは厳しく折檻をした。♠〈折檻する〉母親は、ききわけのない子を折檻した。 **せっきょう【説教】** ○宗教上の教えを説くこと。教えいましめること。[文例]〈説教を聞く〉村の人たちは、和尚[おしよう]さんの説教を神妙[しんみよう]に聞いていた。♠〈説教する〉あの子の無責任ぶりは目に余る、少し説教してやろう。♠勉強、勉強ってお説教はもうたくさんです。 **ぜっきょう【絶叫】** ○大声で叫ぶこと。また、その叫び声。[文例]〈女の絶叫〉その時わたしの耳には、女の絶叫とともに、ガラスの割れる音が聞こえました。♠〈絶叫に近い声〉試合の間じゅう、応援[おうえん]団員はほとんど絶叫に近い声で、応援歌を歌い続けた。♠〈絶叫する〉明日は投票日、立候補者はマイクを手に自分の名前を絶叫していた。 **せっきょくてき【積極的】** ○自分から進んで物事に取り組むさま。[文例]〈積極的と消極的〉〈積極的な性格〉弟の消極的な性格も、サッカーをやっているうちに積極的になっていった。♠へ積極的な人〉何事にも積極的な彼は、クラス委員を自ら買って出た。♠へ積極的な行動〉ボランティアの積極的な行動で、募金[ぼきん]は予想以上に集まった。♠へ積極的に行う〉学習は、自分から積極的に行うことによって興味が増し、能率もあがっていく。♠へ積極的に利用する〉こういう機会を積極的に利用して、みなさんとの親ぼくを深めていきたいと思います。♠へ積極的に発言する〉会議では、自分の意見を積極的に発言しよう。♠へ結婚[けつこん]に積極的〉結婚には、彼より彼女のほうが積極的だったらしいね。 **せっきん【接近】** ○近づくこと。隔たりがなくなること。[文例]〈台風が接近する〉大型で強い台風が四国に接近しつつあります。♠〈国同士が接近する〉以前は冷たい関係にあった両国が、最近急に接近し始めた。♠へ力が接近する〉二人の実力は接近しているので、この試合は白熱したおもしろいものになるでしょう。 **せっく【節句・節供】** ○昔の暦で季節の折り目とされる日。[文例]〈桃の節句〉桃の節句には、ひな人形を飾ってひな祭りをします。♠〈端午[たんご]の節句〉端午の節句にはこいのぼりを立て、鎧兜[よろいかぶと]を飾って祝った。♠へ怠け者の節句働き〉怠け者の節句働きっていうんだぞ。忙しいときにはぼんやりしていて、ひまになると出てきてバタバタしだすのは。 **ぜっく【絶句】** ○言葉に詰まること。漢詩の形式の一つ。[文例]〈絶句する〉舞台に上がったとたん緊張してせりふを忘れ、しばらく絶句した。♠〈絶句する〉彼女のあまりのいい加減さに、わたしはあきれかえって絶句してしまった。 **せっけい【設計】** ○物をつくる時、その構造などを考えること。また、それを図などによって示すこと。計画を立てること。[文例]〈ビルの設計〉このビルの設計は、わたしどもの会社が行いました。♠〈設計する〉我が家は、父が設計しました。♠〈生活の設計〉生活の設計がしっかりしていないと、老後が心配です。♠〈設計図〉新築する家の設計図には、ちゃんとわたしの部屋もありました。 **ぜっけい【絶景】** ○この上なくすばらしい景色。[文例]なんとすばらしい光景だろう、まさに絶景だね。♠へ絶景に見とれる〉わたしは時のたつのも忘れて、眼下に広がる絶景に見とれていた。♠〈天下の絶景〉――御前[おまえ]がそう頬杖[ほおづえ]を突いて針箱へ靠[もた]れている所は天下の絶景だよ。妹ながら天晴[あつぱれ]な姿勢だハハハハ。(夏目漱石[なつめそうせき]「虞美人草[ぐびじんそう]」) **せっけん(席捲・席巻)** ○激しい勢いで支配していくこと。[文例]〈ヨーロッパを席捲する〉古代の都市国家ローマはヨーロッパ全土を席捲し、一大帝国を築いた。♠へ市場を席捲する〉このころ、日本の製品はアジアはもとより全世界の市場を席捲しつつあった。 <581> **せつげん【節減】** ○節約して減らすこと。[文例]〈経費を節減する〉店の売り上げが落ちているので、経費を節減することにしました。 **せっこう【斥候】** ○敵の情勢や地形などをさぐること。また、それを行う兵士。[文例]隊長は敵軍の動静を探[さぐ]らせるため、二人の兵士を斥候に差し向けた。♠偵察[ていさつ]からもどってきた斥候は、丘の向こうに敵が集結していると告げた。 **ぜっこう【絶交】** ○交際を絶つこと。[文例]ぼくの言うことが聞けないなら勝手にするがいいさ、おまえとはもう絶交だ。♠<絶交の状態>両家は、ささいないきちがいから、もう何年も絶交の状態が続いている。♠へ絶交する〉親友とつまらないけんかがもとで絶交したことを、今では後悔[こうかい]している。♠〈絶交状〉あんまり腹が立ったものだから、昨日彼に絶交状をたたきつけてやった。 **ぜっこう【絶好】** ○この上なく好都合であること。[文例]〈絶好の日和[ひより]〉今日は雲一つない絶好の運動会日和です。♠〈絶好のチャンス〉二年間奨学金[しようがくさん]つきで留学できるという絶好のチャンスを前に、兄は病[やま]に倒[たお]れた。♠<絶好の時>長年の計画を実行するには、今が絶好の時ではないだろうか。♠<絶好の場所>野鳥を観察するのに絶好の場所を見つけたんだ、いっしょに行かないかい。♠へ〜するに絶好〉部屋も広いし庭もあるし、一家四人で住むには、この家は絶好です。 **せっさたくま(切磋琢磨)** ○学問や人格などをみがくこと。互いに戒めあって努力すること。[文例]〈切磋琢磨する〉1人は、切磋琢磨してようやく今日の評価を得た。 **ぜっさん【絶賛】** (絶讚)○この上なくほめること。これ以上ないほどの賞賛。[文例]〈絶賛を博する〉歌舞伎[かぶき]のニューヨーク公演は絶賛を博し、その後の海外進出の大きな基盤[きばん]とした。♠へ絶賛する〉このミュージカル映画は、公開当時世界中で絶賛されたものです。 **せつじつ【切実】** ○身に迫って感じるさま。[文例]〈切実に感じる〉最近、英会話を習うことの必要性を切実に感じます。♠へ切実に待ち望む〉被災[ひさい]地の人々は、救援[きゆうえん]物資が届くのを切実に待ち望んでいる。♠へ切実な願い〉この地球上から戦争をなくすことは、すべての人の切実な願いです。♠〈切実な問題〉都会に住む子たちにとって、遊び場が少ないことは切実な問題です。♠〈切実な悩み[なやみ]〉親にも打ち明けられないような切実な悩みを聞いて、相談に乗ってやるのが親友というものだ。 **せっしやくわん(切歯扼腕)** ○(歯をくいしばり腕を握りしめて)非常にくやしがること。[文例]〈切歯扼腕する〉弱い百姓・町人は、武士のむちゃなやり方にもただ切歯扼腕するしかなかった。 **せっしゅ【接種】** ○病気の治療や予防などの目的で体内に病原菌や毒素を入れること。[文例]〈接種する〉動物に病原菌を接種し、ワクチンを作る。♠へ予防接種〉海外に行く場合、コレラなど伝染病の予防接種が必要なことがある。 **せっしゅ【摂取】** ○外部からとり入れること。仏が慈悲の光の中に人々を救いとること。[文例]〈栄養の摂取〉バランスのとれた栄養の摂取は、成長期の幼児において特に重要です。♠〈摂取する〉明治以降、日本は積極的に西洋文明を摂取してきた。 **せっしゅう【接収】** ○強制的に取り上げること。[文例]〈財産を接収する〉革命後国家はただちに私有財産を接収し、その国有化を図った。♠へ施設・土地を接収する〉この施設と土地は、戦後占領[せんりよう]軍に接収され、今年ようやく返還が決定した。 **せつじょ【切除】** ○切り取って除くこと。[文例]〈切除する〉胃かいようで入院した父は、胃の一部を切除することになった。♠へ切除する〉彼は、青年時代結核[けつかく]に冒[おか]されて、片肺を切除した。 **せっしょう【殺生】** ○生き物を殺すこと。むごいさま。「文例]〈無益な殺生〉無益な殺生は避けるようにしています。♠〈殺生する〉お坊さまは殺生することを嫌[きら]い、はえや蚊[か]さえ殺さなかった。♠みんなで旅行に行くのに、ぼくだけ留守[るす]番だなんて殺生だよ。 **せっしょう【折衝】** ○利害の対立する相手と交渉すること。[文例]〈折衝にあたる〉貿易問題で自国が不利にならないように、外務省が相手国との折衝にあたっている。♠へ折衝を重ねる〉政府間で折衝を重ねた末に、日本企業の進出が認められた。♠へ折衝する〉会社側と折衝した結果、組合の要求が受け入れられた。 **ぜっしょう【絶唱】** ○非常にすぐれた詩歌。[文例]〈近代詩の絶唱〉宮沢賢治の「永訣[えいけつ]の朝」は、作者の妹の死を悼[いた]む作品で、近代詩の絶唱といってよいでしょう。♠◇古今[ここん]の絶唱〉この詩歌集には、古今の絶唱が収められています。 **せっしょく【接触】** ○触れ合うこと。交渉をもつこと。[文例]〈車と接触する〉注意して運転していたのに、ぼくの車はタクシーと接触してしまった。♠〈敵軍と接触する〉味方の軍は、すでに敵軍と接触しており、銃の音がちこちから聞こえてきた。♠〈中国と接触する〉日本は、遣隋使[けんずいし]、遣唐使[けんとうし]など、長い間にわたって中国と接触してきた。♠へ病人との接触〉医者は、病人との接触を制限し、安静を保つように指示した。♠〈自然との接触〉人間は、自然との接触を通じて、人生の本当の意味を体得するものらしい。♠へ接触を保つ・断つ〉長い間には、いろいろなことがあったが、彼とはずっと接触を保ってきた。♠〈接触が悪い〉こたつが熱くならないのは、コードの接触が悪いからでしょう。 **せつじょく【雪辱】** ○以前に受けた恥をそそぐこと。[文例]〈雪辱を果たす〉前回の大会で苦杯[くはい]を飲まされた相手に勝って、雪辱を果たすことができた。♠◇雪辱を遂[と]げる〉この悔[くや]しさを胸にしまって、雪辱を遂げる日を待とう。♠〈雪辱を期する〉ぼくたちは、雪辱を期して毎日練習を続けた。♠〈雪辱する〉第二戦は、全日本チームが雪辱した。 **せっすい【節水】** ○水を節約すること。[文例]〈節水に努める〉水は決して無限ではないので、わたしたちはふだんから節水に努める必要があります。♠〈節水する〉八月に入ってからも雨はほとんど降らず、市では節水するよう呼びかけ <582> ている。 **せっ・する【接する】** ○触れる。つながる。応対する。出合う。線・面が互いに一点だけを共有する。触れさせる。くっつける。[文例]〈ひざを接する〉部屋が狭[せま]いので、お互[たが]いにひざを接するほど詰めて座った。♠へ山に接する〉山に接した空の部分がしだいに白[しら]んできて、やがて朝日が見えてきた。♠〈客に接する〉あそこのスーパーの店員は、客に接する態度が丁寧[ていねい]で評判がいい。♠ヘテレビに接する〉わたしたちは、毎日テレビに接して情報を得る生活を送っている。♠〈名作に接する〉漫画[まんが]ばかりでなく、たまには優れた文学作品に接するのもよいものですよ。♠へ言葉に接する〉心のこもった言葉に接すると、話し手の温かな心配りを感じます。♠<文化に接する〉世界の国々との交流が盛んになり、さまざまな文化に接する機会が多くなってきた。 **ぜっ・する【絶する】** ○かけ離れている。超えている。断つ。[文例]〈想像を絶する〉この広い宇宙には、想像を絶する生物がすんでいるかもしれない。♠ヘ言語に絶する〉放浪の芸人たちは、言語に絶する苦難の中でその芸を磨[みが]いていった。♠〈古今[ここん]に絶する〉原爆は古今に絶する凄惨[せいさん]な爪跡[つめあと]を残した。 **せっせい【摂生】** ○健康に注意し、体に悪いことを慎むこと。[文例]〈摂生を心がける〉夏休み中は、つい生活が不規則になりがちですから、摂生を心がけなさい。♠へ摂生する〉退院したら、摂生して体力をつけることに専念します。 **せっせい【節制】** ○慎むこと。ひかえること。[文例]〈節制する〉父も、最近はタバコを節制して、健康に気をつけるようになりました。♠〈節制する〉飲食を節制して、規則正しい生活を送るように。 **ぜっせい【絶世】** ○世に比べるものがないほど優れていること。[文例]〈絶世の美女〉クレオパトラ・楊貴妃[ようきひ]・小野小町[おののこまち]などは、昔から絶世の美女とされている。♠<絶世の詩人>当時は絶世の詩人といわれ、この詩人の作品は多くの人に愛唱された。 **せつせつ【切切】** ○心がこもっているさま。深く身にしみて感じるさま。[文例]〈切々と訴[うつた]える〉自分の体験をまじえながら戦争の悲惨さを切々と訴える老人の話に、生徒はじっと耳を傾けた。♠〈切々と胸に迫る〉少女の身の上話は、切々と胸に迫って涙を誘[さそ]った。 **せっせん【接戦】** ○接近してする戦い。実力の接近した戦い。[文例]〈接戦の末〉決勝戦は接戦の末、小差で勝利を収めた。♠〈接戦にもちこむ〉なんとかねばって接戦にもちこみたいものだ。♠へ接戦を演じる〉絶好調の両者は、勝敗の予測のつかない接戦を演じていた。 **ぜっせん【舌戦】** ○言い争い。口論。[文例]〈舌戦を繰り広げる〉双方が互いに自論を譲らず、長時間にわたって舌戦を繰り広げた。 **せっそう【節操】** ○信念をかたく守ろうとする気持ち・態度。みさお。[文例]〈節操がない〉自分の言葉には責任をもちなさい、さもないと節操のないやつだと思われます。♠〈節操を守る〉自分の命を犠牲にして、この武士は節操を守ったのである。♠〈節操を試す〉「姉さんの節操を試[ため]すなんて、――そんな事は廃[よ]した方が好[い]いでしょう」(夏目漱石「行人[こうじん]」) **せっそく【拙速】** ○出来はまずいが仕上がりは速いこと。[文例]〈拙速を避ける〉速ければ出来上がりはどうでもよいというわけにはいかない。拙速は避けて、丁寧な仕事をしないさい。 **せぞく【接続】** ○つなぐこと。つながること。[文例]〈線を接続する〉プラスとマイナスの電極を結ぶこの銅線を接続すれば、モーターが回り始める。♠へ列車が接続する〉この「ひかり号」は、京都駅で三時三〇分発の出雲[いずも]行きに接続しています。♠へ接続が悪い〉この系統は、バスの接続が悪く、住民の不満が出ている。♠へ接続の言葉〉文章には、前後のつながりをはっきりさせるため、多くの接続の言葉が使われる。 **せったい【接待】** ○もてなすこと。もてなし。[文例]〈客の接待〉父の職業がら家は来客が多かったが、母はその接待もよく果たしていた。♠〈接待にあずかる〉心のこもった接待にあずかったことに感謝しています。♠〈接待する〉大事なお客を接待するというのは気をつかうものだ。 **ぜったい【絶対】** ○それだけで存在し、他と比較されることのないこと。何の制約・条件もない存在であること・もの。どうしても。必ず。[文例]留学生試験に受かったら、アメリカへ行かしてくれるんだね、絶対だよ、約束[やくそく]したよ。♠彼が盗み[ぬすみ]を働くなんて、そんなことは絶対ない。♠へ絶対に〜する〉約束の時間までには絶対に行くから、心配しないでくれよ。♠〈絶対の自信〉彼女の勝負に対する絶対の自信は、激しい練習から生まれたものだ。♠へ権力が絶対〉この村の村長の権力は絶対で、だれも彼にさからう者はありません。♠<絶対的有利>試合前は、日本チームの絶対的有利が伝えられていましたが、結果は惨敗[ざんばい]でした。♠〈絶対安静〉医師の診断[しんだん]では、父は過労のため、三日間の絶対安静が必要とのことでした。 **ぜつだい【絶大】** ○きわめて大きいさま。[文例]〈絶大な力〉封建時代の領主は、臣下や領民に対して絶大な力をもってきました。♠く絶大なる支援〉田中一郎、田中一郎に絶大なる御支援をお願いいたします。♠へ功績が絶大〉彼が科学の分野に残した功績は絶大なものです。 **ぜったいぜつめい【絶体絶命】** ○逃れる方法がないほど困難な立場。[文例]〈絶体絶命のピンチ〉将軍の邸宅[ていたく]に敵側から送られた金を運んだと証言する者が現れて、将軍は絶体絶命のピンチに立たされた。 **せつだん【切断】** ○切り離すこと。断ち切ること。[文例]〈切断する〉事故でかつぎこまれた男の足は切断するしかなかった。♠へ切断する〉賊[ぞく]は電話線を切断して、屋敷[やしき]にしのび込んだらしい。 **せっち【設置】** ○設備・装置や機関などを設けること。「文例]〈スプリンクラーの設置〉大きなホテルには火災の発生に備えて、スプリンクラーの設置が義務づけられている。♠〈施 <583> 設を設置する〉この村にも、児童館が設置されることになり、子供たちは大喜びだった。♠く基礎を設置する〉橋の基礎を設置する工事は、明日には完了[かんりよう]するだろう。♠へ会を設置する〉政府は、さっそく諮問委員会[しもんいいんかい]を設置した。♠へ本部を設置する〉地震[じしん]による被害[ひがい]が大きかったので、急きょ対策本部を設置した。 **せっちゃく【接着】** ○くっつけること。くっつくこと。[文例]〈接着する〉この小さな部品を本体に接着すれば、プラモデルは完成です。♠〈接着剤[ざい]〉〈接着力〉この接着剤は、接着力が強く、皮でも金属でもすぐくっついてしまう。 **せっちゅう【折衷・折中】** ○それぞれの良いところをとって、うまく調和させること。[文例]〈折衷する〉意見が二つに分かれたので、さらに検討し、両案を折衷して結論を出すことにした。♠<折衷案>両方のよいところを合わせた折衷案が可決されました。♠〈折衷主義〉あちこちの都合のよいところを継ぎ合わせる折衷主義では、独自性は失われてしまう。♠<和洋折衷>わたしたちの周囲には、和風と洋風をとり合わせた和洋折衷が至る所に見られます。 **ぜっちょう【絶頂】** ○頂点。頂上。[例]〉〈得意の絶頂〉日本リーグ制覇[せいは]の五年間は、わたしたちは得意の絶頂にあった。♠<絶頂をきわめる>企業のトップの座についた男は、絶頂をきわめた者のみが知る満足と不安の中にあった。♠〈絶頂に達する〉彼の世にあって王家の繁栄は絶頂に達し、その栄華は代々に語り伝えられた。 **せってい【設定】** ○物事を設け定めること。[文例]〈状況の設定〉直下型の地震という状況の設定のもとに、避難訓練を行います。♠へ主人公の設定〉小説では、主人公の設定の仕方にいろいろな工夫がこらされている。♠へ規則を設定する〉新しく作った会の規則を設定するに当たって会員の意見を聞いてみた。♠へ議題を設定する〉時間のむだにならないように、会議の前にはあらかじめ議題を設定しておこう。♠〈賞を設定する〉国民栄誉賞[こくみんえいよしよう]は、世界に日本人の名を高めた人をたたえて設定された賞です。 **せってん【接点】** ○接する点。一致するところ。[文例]〈理想と現実の接点〉理想と現実の隔[へだ]たりを嘆[なげ]くより、両者の接点を見つめることによって道が開けてくる。♠へ人と情況[じようきよう]との接点〉芸術は、芸術家とその時代の情況との接点から生み出される。♠へ接点を見いだす〉あれだけものの考え方が異なれば、二人の間に接点を見いだすことは不可能でしょう。 **せつど【節度】** ○適切な程度。行いのけじめ。[文例]〈節度を守る〉ひかえめなみゆきは何事につけても節度を守り、決して度を越すということがない。♠へ節度をわきまえる〉自由奔放[ほんぽう]にふるまっているようでも、節度をわきまえた人ですよ、小田さんは。♠〈節度がある〉節度のある人ですから、いつ会っても気持ちがいい。♠へ節度がない〉あいつを呼ぶのはやめようよ。飲み出すと節度がないからな。 **セット** ○ひとそろい。ゲーム・勝負の一回。装置。組み合わせること。仕掛けること。据えること。整髪。[文例]〈セットになる〉はさみ、つめ切り、歯ブラシなどがセットになっていて、旅行に便利な商品があります。♠〈応接セット〉客間に新しい応接セットを入れました。♠へ舞台をセットする〉一幕めと二幕めは場面ががらりとかわるので、背景をセットし直さなくてはならない。♠へ髪をセットする〉和服を着るときは、それに合わせて髪をセットします。♠へ時計をセットする〉あしたは早く出るから、目覚し時計を七時にセットしておこう。 **せっとう【窃盗】** ○こっそり盗むこと。盗み。泥棒。[文例]〈窃盗をはたらく〉まんまと店の従業員になりすまし、窃盗をはたらいていた男がつかまりました。♠へ窃盗罪〉老人は、窃盗罪でこの刑務所に入所してきた。 **せっとく【説得】** ○よく言い聞かせて納得させること。[文例]〈説得に当たる〉警察官は、人質[ひとじち]をとってたてこもった犯人の説得に当たった。♠へ説得に乗り出す〉会社側は、工場の進出に反対する人々の説得に乗り出した。♠〈説得を続ける〉父は、わたしが冬山に登るのを思いとどまるようにと、連日、説得を続けた。♠〈説得する〉論理が通っていなければ、相手に自分の主張を理解させ、相手を説得することはできません。♠〈説得力〉わかりやすい資料は書きたい内容を豊かなものにするし、説得力を増すのにも役立ちます。 **せつな(刹那)** ○きわめて短い時間。瞬間。[文例]この幸福が、せつなにかき消える夢であったりしませんように。♠その刹那の光明が消えるとき、己[おれ]は心の中で、「なに、未亡人[みぼうじん]だ」と叫んだ。(森鷗外[もりおうがい]「青年」)♠シカの大きな瞳[ひとみ]に悲しみのかげりを見たそのせつな、猟師[りようし]は銃[じゅう]を捨てずにはいられなかった。♠へ刹那的〉将来に目標を失ったわたしは、当時刹那的な生活におちこんでいた。♠〈刹那主義〉ただその時その時を楽しく過ごせばよいという刹那主義は長続きしないでしょう。 **せつな・い【切ない】** ○胸がしめつけられるようにつらい。「文例]〈せつない胸のうち〉娘は、若者に対するせつない胸のうちをだれにも打ち明けなかった。♠〈せつない思い〉どんなせつない思いで、その母親は子をてばなしたのだろう。♠へせつなく胸をしめつける〉食べ物を求める子供の声がせつなく胸をしめつける。♠へせつなげ〉捨て犬がせつなげにクンクン泣いて、通る人のあとについてくる。♠ヘせつなさ〉かわいがっていた小鳥が死んだときは、せつなさで胸がいっぱいになった。 **せつに【切に】** ○心から。ひたすらに。[文例]〈切に望む〉彼は、フランス留学を切に望んでいた。♠〈切に願う〉世界中の子供たちの明るい未来を切に願わずにはいられない。♠〈切に思う〉卒業して別れてゆく友人たちの幸せを切に思った。♠へ切に祈[いの]る〉諸君の成功を切に祈ります。♠へ切に訴[うつた]える〉わたしは被爆者[ひばくしゃ]の一人として、この世から戦争をなくすことを切に訴えるものです。 **せっぱく【切迫】** ○差し迫っていること。重大な事態になること。呼吸が速くなること。「文例]〈時間が切迫する〉列車の出発時間が切迫しているのに、相棒が駅に現れず慌[あわ]ててしまった。♠へ事情が切迫する〉こうまで事情が切迫しては、のんびり構えていられない。責任者のわたしが行こう。 <584> ●〈呼吸が切迫する〉けが人は十数箇所[かしょ]も傷を負っており、呼吸まで切迫している。♠へ切迫した表情〉相手の切迫した表情を見ると、断るわけにはいかなかった。 **せっぱつま・る【切羽詰まる】** ○追い詰められる。抜き差しならなくなる。[文例]〈せっぱつまった気持ち〉夜中に泣きそうな声で電話をしてくるとは、よほどせっぱつまった気持ちになっていたのだろう。♠へせっぱつまった状況〉ものぐさなぼくは、何事も、せっぱつまった状況になるまでほったらかしておくことが多い。♠へせっぱつまった立場〉逆境の中で人は追いつめられ、せっぱつまった立場に置かれる。 **せっぱん【折半】** ○半分ずつに分けること。[文例]〈折半にする〉うまくいったら収益は折半にするという約束で、友人と事業を始めた。♠〈折半する〉弁償にかかったお金は、ガラスを割った二人が折半することになった。 **せつび【設備】** ○必要なものを備え付けること。また、備え付けたもの。[文例]〈設備が良い・悪い〉貧乏[びんぼう]旅行だったので、設備のよいホテルに泊まったことがなかった。♠へ設備がそろう〉さすがに一流のコンサートホールだけあって、すべての設備がそろっている。♠へ設備が整う〉若き学者にとって、設備の整った研究室と、研究にかける時間さえあれば何も不足はなかった。♠へ設備を作る〉廃水[はいすい]を川に流している工場に、処理をする設備を作るように住民が訴[うつた]えた。♠〈設備を備える〉ここは近代的な設備を備えた病院と評判です。♠へ設備がある〉彼女の家は大きなお屋敷[やしき]で、すべての部屋に冷暖房[れいだんぼう]の設備があるそうです。 **せっぷく【切腹】** ○自分で腹を切って死ぬこと。[文例]〈切腹をする〉武士が切腹をするとき、その首をうつ役目がある。♠へ切腹する〉家臣らは主君の跡を追い、次々と切腹して果てた。♠へ切腹もの〉この重要書類を無くしたら、それこそ切腹ものだな。 **せっぷん(接吻)** ○口づけ。キス。[文例]〈接吻を許す〉「ああ、いやな女だ」もうつくづくそう思いました。が、矢張り其[そ]の夜私は接吻を許したのです。(志賀直哉[しがなおや]「濁[にご]った頭」)♠<接吻する>若い男は、恋人か妻であろう女性を抱擁[ほうよう]し、接吻していた。♠ヘユダの接吻〉ユダはやって来るとすぐに、イエスに近寄り、「先生」と言って接吻した。(マルコによる福音書) **ぜっぺき【絶壁】** ○切り立った険しいがけ。[文例]〈絶壁から落ちる〉こんな絶壁から下へ落ちたら、ひとたまりもない。♠へ絶壁を登る〉垂直にそびえる絶壁を、一本の命綱[いのちづな]をたよりによじ登っていった。♠へ断崖絶壁[だんがい]〉まるで断崖絶壁に立たされた者のように、わたしたちは進退きわまっていた。 **せっぽう【説法】** ○仏の教えを説き聞かせること。意見すること。説教。[文例]〈説法を聞く〉わたしは、師の説法を聞きながら、ただ感動するばかりであった。♠〈説法する〉親爺[おやじ]から説法されるたびに下を向くから、しまいには背中がまるくなってしまう。♠〈釈迦[しゃか]に説法〉相手はわたしなどよりその道に明るく、わたしの助言などまさに「釈迦に説法」であった。♠へ百日の説法屁[へ]一つ〉あんなに苦労したのに、百日の説法屁一つで、全部だめになってしまった。 **せつぼう【切望】** ○強く願うこと。[文例]〈切望する〉あなたが幸福に生きていくことを切望しています。♠へ切望する〉長い戦いに人々は疲れ、ただ早く戦争の終わる日が来てほしいと切望していた。 **ぜつぼう【絶望】** ○望みがなくなること。[文例]〈前途は絶望〉頼[たの]みにしていた味方にまで裏切られるようでは、前途[ぜんと]は絶望だ。♠〈深い絶望〉〈絶望に襲[おそ]われる〉市の中心部の爆撃[ばくげき]から十日たっても、家族の消息はつかめず、わたしは深い絶望に襲われた。♠〈絶望する〉今日の彼女のそっけない態度にわたしはすっかり絶望してしまいました。♠〈絶望の底〉三日目になっても吹雪はおさまらず、わたしは絶望の底に沈むような気がしました。♠〈絶望のふち〉旧友のA氏が自殺したと聞いて、わたしは絶望のふちに投げ込まれた。♠<絶望的>悪天候のため捜査は難航し、三人の乗組員の生存はほとんど絶望的になった。 **ぜつみょう【絶妙】** ○この上なくすぐれて巧みなこと。[文例]〈絶妙のタイミング〉課長に誘われて困っていた所へ、絶妙のタイミングであなたが現れたの。♠へ絶妙の間〉ベテラン女優の競演は、絶妙の間の取り方で何とも言えない味を出していた。♠〈絶妙な演技〉銀盤[ぎんばん]の女王と呼ばれる選手の華やかで絶妙な演技に、観衆は酔いしれた。♠自然界では、あらゆる生物が絶妙に調和を保ちながら生きている。 **ぜつむ【絶無】** ○全く無いこと。皆無。[文例]これまでの資料をすみからすみまで探しても、このような例は絶無です。♠こういうケースは絶無というのではないが、非常にまれである。 **せつめい【説明】** ○よく分かるように詳しく述べること。説き明かすこと。[文例]〈説明をする〉この図だけでは、作り方がよくわからないと思いますので、さらに説明をします。♠<説明がつく>生物の中で、なぜ人間だけに言葉があるのか説明がつきません。♠〈説明を求める〉誘拐[ゆうかい]事件について記者団が詳しい説明を求めたが、警察は多くを語らなかった。♠〈説明を聞く〉風邪[かぜ]と思っていたので、詳しい病状の説明を聞かなかった。♠へ説明する〉地球上にどうして異常気象が発生するのか、詳しく説明してください。♠へ説明不足〉説明不足がたたって集合場所がまちまちになり、全員そろったのは十時すぎだった。♠く説明的〉詩は、あまり説明的すぎると表現がかたくなって、自由な感じが出ません。 **ぜつめい【絶命】** ○命が絶えること。死ぬこと。[文例]へ絶命する〉深手を負った侍[さむらい]は、ほどなく絶命した。♠<絶体絶命>スパイ小説の醍醐味[だいごみ]の一つは、主人公が絶体絶命のピンチをどう切り抜けるかです。 **ぜつめつ【絶滅】** ○絶え滅びること。絶やし滅ぼすこと。[文例]〈絶滅の危機〉佐渡[さど]のトキは、絶滅の危機に瀕[ひん]してい <585> た。♠へ種が絶滅する〉これまで地球上に栄えた多くの動物の種が、極度の繁栄ののち突如[とつじょ]として絶滅し去った。♠安[ソーグ]や 曹達[そう]や/電気や 鋼鉄の原で/ノヂギクの一むらがちぢれあがり/絶滅する(小野十三郎「葦[あし]の地方」部分) **せつもん【設問】** ○問題・問いを作って出すこと。また、その問題・問い。[文例]〈設問に答える〉次の設問に答えなさい。♠<設問形式>漫画の中に設問形式を採り入れ、子供たちが楽しみながら力をつけられるように工夫しました。 **せつやく【節約】** ○むだを省いて切り詰めること。倹約。[文例]〈時間の節約〉あなたが手伝ってくれたおかげで、早く仕事が片づいて時間の節約になったわ。♠〈労力の節約〉必要な人数をしっかり計算して仕事にかかったほうが労力の節約になる。♠〈資源の節約〉水、食料、電気など、一人一人が無駄な使い方をしなければ、資源の節約になる。♠へお金を節約する〉まとめて送れば郵送料が安くなり、お金を節約することができる。♠〈水を節約する〉今年は水不足が予想されるので、今のうちから水を節約して使うようにしましょう。 **せつゆ【説諭】** ○教えさとすこと。[文例]〈説諭を受ける〉今回は初めての補導なので説諭を受けただけで帰された。♠〈説諭する〉悪い仲間に入って二か月ぐらいして、生活指導の先生に呼ばれて懇々[こんこん]と説諭された。 **せつり【摂理】** ○万物を治め、導く神の意志。自然の法則や理法。[文例]〈自然の摂理〉〈摂理にかなう〉部族の人々の生活は、自然の摂理にかなって、まことに驚くべきものがある。♠〈神の摂理〉信者たちは神の声に耳を傾け、神の摂理に従って暮らしていた。 **せつりつ【設立】** ○施設・機関などを作ること。「文例]〈郷土館の設立〉あの方が館長さんで、この郷土館の設立にあたってたいへん苦労なさったそうです。♠<施設の設立>住民の反対でなかなか設立の許可がおりなかった施設が、まもなく完成する。♠へ学校を設立する〉大隈重信は、いまの早稲田大学の前身である東京専門学校を設立した。♠〈研究所を設立する〉ロックフェラー研究所はアメリカの大富豪[だいふごう]ロックフェラーが設立した学術研究所です。♠へ会社を設立する〉東京丸の内に本社のある父の会社は、設立されてから百年近くになる。 **せつれつ【拙劣】** ○へたなさま。つたないさま。劣っているさま。→巧妙[文例]〈拙劣な字・文章〉その拙劣な字といい文章といい、大学生が書いたものとはとても思えない。♠<拙劣な方法〉オオカミを退治するのに、村人は追いつめて棒でたたき殺すというはなはだ拙劣で無能な方法しか思いつかなかった。 **せとぎわ【瀬戸際】** ○物事の重大な分かれ目。追いつめられて危ないところ。[文例]〈瀬戸際になる〉いつだってきみは、瀬戸際にならなければ本気を出さないんだ。♠へ命の瀬戸際〉かういふ命の瀬戸ぎはに/智恵子[ちえこ]はもとの智恵子となり/生涯の愛を一瞬にかたむけた。(高村光太郎「レモン哀歌」部分)●〈存亡の瀬戸際〉〈瀬戸際に立つ〉民族の危急存亡の瀬戸際に立ち、言語までも抹殺[まつさつ]されようとするとき、人々は必死の抵抗[ていこう]を示した。 **せなか【背中】** ○胴体の後ろ側、胸・腹の反対側。物の後ろの方。背後。[文例]〈背中に積む〉ラクダの背中には、町の市場で売る品物が山のように積まれていた。♠〈背中に乗せる〉小馬は、一日じゅう子供たちを背中に乗せて歩きまわったので、へとへとになった。♠へ背中に背負う〉おじいさんは山へしば刈りに行き、背中に山ほどたきぎを背負って帰ってきた。♠〈背中を丸める〉祖母は、座布団[ざぶとん]に座[すわ]ったまま、背中を丸めてコックリコックリいねむりを始めた。♠へ背中を流す〉銭湯[せんとう]では、お互[たが]いに背中を流し合っている光景を目にします。♠〈背中をさする〉バスに酔って、苦しそうにしているおばあさんの背中をさすってあげた。♠〈背中を向ける〉彼女はぼくにくるりと背中を向けると、そのまま立ち去った。♠へ背中で聞く〉父は相変わらず仕事の手を動かしながら、母の泣き言を背中で聞いていた。♠へ~を背中にする〉男は、校舎を背中にして、校庭をなつかしそうに眺めていた。♠<背中合わせ〉向かい合った座席がなかったので、しかたなく背中合わせに座った。♠〈背中一面〉雨の中をひた走りに走ったので、背中一面に泥[どろ]をはね上げてしまった。 **ぜにん【是認】** ○よいと認めること。→否認[文例]〈是認する〉小さなことでも、社会生活のルールに触れるような行為を是認することはできません。♠人是認する>子供のわがままを是認することが本人のためにならないことはもちろんですね。 **せのび【背伸び】** ○背を伸ばすこと。つま先で立って背を高くすること。実力以上のことをしようとすること。[文例]〈背伸びをする〉太った猫[ねこ]は気持ちよさそうに背伸びをして、のそのそと歩いていった。♠へ背伸びする〉小学生が、網棚[あみだな]の荷物を背伸びして取ろうとしていた。♠〈背伸びする〉展覧会は大変な込みようで、背伸びしても作品がよく見えなかった。♠へ背伸びする〉きみの実力で一流校を受けようなんて、背伸びをしすぎてるんじゃないか。♠〈背伸びする〉子供のくせに背伸びして、大人のまねなんかするから **せばま・る【狭まる】** ○狭くなる。[文例]〈範囲が狭まる〉捜査を続けていくにつれて、容疑者の範囲も狭まってきた。♠〈間隔[かんかく]が狭まる〉周囲に人家が増えると、隣家との間隔も狭まり、周りに気をつかうことも多くなる。 **せば・める【狭める】** ○狭くする。[文例]〈範囲を狭める〉第二次審査では、さらに候補者の範囲が狭められます。♠へ行動を狭める〉時と場所を限定してしまうと、主人公の行動が狭められてしまう。♠〈自由を狭める〉人々の言論の自由は、日に日に狭められつつあった。 **ぜひ【是非】** ○よいことと悪いこと。よしあしを判断すること。どうしても。[文例]〈工場誘致[ゆうち]の是非〉会場には付近の住民が集まり、工場誘致の是非について話し合いました。♠へ是非を論じる〉テレビの座談会で、男女別学の是非を論じていた。♠社会人になる前にぜひ一度、海外旅行をしたいと思っています。♠へぜひとも〉去年は三位でしたが、今 <586> 年はぜひとも優勝したいと思っている。♠●へぜひもない〉あれだけかたくなに反対されたのでは、ぜひもない、あきらめました。♠●へぜひない〉予算の関係で、わたしたちの計画はぜひなく縮小されました。 **せひょう【世評】** ○世間の評判。[文例]〈世評を気にかける〉公[おおやけ]の立場にあったため、常に世評を気にかけながら行動をとってきた気がする。♠●〈世評に高い〉彼は有名な音楽家だが、世評に高い随筆家でもある。 **せび・る** 金銭をくれるように頼む。無心する。ねだる。[文例]〈金をせびる〉道楽息子がまた金をせびりにきた。 **せぶみ【瀬踏み】** ○ちょっと試してみること。流れの深さをちょっと測ってみること。[文例]〈瀬踏みをする〉値札[ねふだ]を見て女はちょっと瀬踏みをしたが、決心すると店員を呼んだ。♠◆<瀬踏みする>売りも買いも少なかったのは、投資家が今後の株価の動向を瀬踏みしているからだろう。 **せぼね【背骨】** ○背中の中心にある骨。脊柱[せきちゆう]。[文例]〈背骨を立てる〉首と背骨をまっすぐに立てた特有の歩き方は、いかにも軍人らしい。♠●〈背骨が曲がる>背中を丸めた姿勢ばかりとっていると、背骨が曲がってしまうよ。 **せま・い【狭い】** ○面積や幅が小さい。範囲が小さく限定されている。ゆとりがない。[文例]〈狭い部屋〉わたしの下宿は、狭い部屋だったが、日当たりがよく、学校に近いのがなによりだった。♠へ狭い路地裏〉下町は狭い路地が入り組んでいて、どこからともなく生活のにおいがしてくる。♠●へ幅が狭い〉レールの幅が狭く、小型の機関車・車両を使う鉄道のことを軽便[けいべん]鉄道といった。♠狭い地域>昔は、人々の暮らしは狭い地域に限られていたが、今は交通網[こうつうもう]の発達で楽に遠方まで行けるようになった。♠●〈国土が狭い〉日本は国土が狭く、耕せる土地が少ないので、だんだん畑など様々な工夫を凝[こ]らしてきた。♠●〈視野[しや]が狭い〉外国にはよく出かけているようだが、あの人は国際人としては視野が狭い。♠◆<範囲[はんい]が狭い>彼は勉強の虫で、話題の範囲が狭いので、話していてもおもしろくない。♠〈世間が狭い〉こんなところでお会いするなんて、世間は広いようで狭いものですなあ。♠狭い了見[りようけん]〉いいか、もう二度と、死ぬなぞという狭い了見を起こすんじゃないぞ。♠●へ狭い意味〉辞典を調べると、一つの単語が狭い意味だけではなく、いろいろな意味で用いられることに気づく。♠●〈人間が狭い〉決まった環境の中ばかりで暮らしていると、人間が狭くなってしまう。♠◆ヘ心が狭い>自分のことばかり考えるような心の狭い人間になるな。♠●〈狭き門〉この大学は、受験生にとっては狭き門らしい。♠●肩身[かたみ]が狭い〉パーティーに出席したら、皆[みな]フォーマルな装いをしていて、肩身が狭かった。 **せまくるし・い【狭苦しい】** ○狭くてきゅうくつだ。[文例]〈狭苦しい道>子供のころは広く感じられたのに、今見ると狭苦しい道が土ぼこりを立てているだけだった。♠へ部屋が狭苦しい〉ピアノが入ったので、団地の狭い部屋がますます狭苦しくなった。 **せま・る【迫る】** ○せばまる。近寄る。近づく。胸がしめつけられる。せっぱつまる。強要する。[文例]〈敵が迫る〉敵は各地で味方の軍を破ると、首都に迫った。♠●〈空が迫る〉北国の冬は、空が低く迫り、重苦しく感じられる。♠●〈土砂が迫る〉山から崩れ落ちた土砂が村に迫ってきた。♠●〈後ろに迫る>別荘[べつそう]は切り立ったがけの上に建っており、すぐ後ろには山が迫っている。♠●〈夕やみが迫る〉辺りに夕やみが迫るころになると、子供たちは家路[いえじ]につく。♠●〈間近に迫る〉船の出港が間近に迫ったある日、わたしは、おみやげを買いに町に出た。♠<試験が迫る〉〈目の前に迫る〉入学試験が目の前に迫ってくると、ふだんはのんきなぼくも落ち着かなかった。♠◆<死期[しご]が迫る>男は自分の死期が迫っているのを知り、それとなく友人たちに別れを告げた。♠◆〈新記録に迫る〉A選手の出したタイムは、日本新記録に迫る好タイムです。♠〈危険が迫る〉どんな危険が迫ろうとも、決してこの場所を離れるでないぞ。♠●〈真[しん]に迫る〉真に迫った演技は、観客に深い感動を与えた。♠●〈胸に迫る〉そぼくな語り口が聞く者の胸に迫ってくる。♠●〈本質に迫る〉〈鋭[するど]く迫る〉この本は、人間の死を取り上げ、生の本質に鋭く迫っている。♠●へ入部を迫る〉上級生が新入生のぼくたちに運動部への入部を迫ってうるさい。♠◆◇必要に迫られる〉彼は腰[こし]が重い人で、必要に迫られなければ行動を起こそうとしない。 **せみ(岬)** ○セミ科の昆虫。夏の日盛りにさかんに鳴く。物を釣り上げるために用いる滑車。[文例]〈せみ取り>子供のころ、夏になるとよくせみ取りに行ったぜのだ。♠◆人せみ時雨[しぐれ]>夏休みの間、降るように聞こえたせみ時雨も今はやんで、いつか秋の気配に包まれていた。♠◆閑[しず]かさや岩にしみ入るせみの声(松尾[まつお]芭蕉[ばしよう]) **せめ【責め】** ○責めること。とがめること。責任。[文例]〈責めを負う〉みんながやったいたずらだけれど、一番の年長というので、ぼく一人が責めを負った。♠〈賞[せき]めを引く〉(………………)放[ほう]って置くと、支店長にまで多少のの頃[わずら]いが及んで来そうだったから、其所[そこ]で自分が責を引いて辞職を申し出た。(夏目[なつめ]漱石[そうせき]「それから」)♠●〈責めを分かつ〉(・・・・・・)平岡もこの結果に対して明[あきら]かに賞を分かたなければならないと思ったからである。(夏目漱石「それから」)♠●〈責めを帰[き]する〉上司の意をくんでやったことだから、部下一人に責めを帰するのはかわいそうだ。 **せめぎあ・う【せめぎ合う】** ○互いに争う。互いに退けようとする。[文例]馬上の騎士は声をあげて切り結び、馬体を接してせめぎ合う。♠●友人同士がつまらないことでせめぎ合うのはもうやめよう。 **せめく【責め苦】** ○責められて苦しむこと。[文例]〈責め苦に耐[た]える〉人を死なせてしまった男は、良心の責め苦に耐えながら、罪を償[つぐな]おうと努力した。♠●へ責め苦を負う〉罪なき生き物を苦しめた人間は、やがて地獄の責め苦を負うことになる。♠●へ責め苦を受ける〉なぜ、わたしだけがこんないわれのない責め苦を受けなければならないのでしょうか。 **せめて** ○十分ではないが、少なくとも。最低でも。[文例]病気で外に出られない妹のために、せめてにおいだけでもと、野の花を摘[つ]んできた。♠●わたし自身は出品できなかった <587> が、せめて話題の作品を見たいものだと、展示会場に足を運んだ。♠助けてくださってありがとうございました。せめてお名前だけでもお教えください。♠●〈せめてもの償[つぐな]い〉大切な本をなくしたせめてもの償いに、これを受け取ってください。 **せ・める【責める】** ○非難する。とがめる。苦しめる。強く催促する。せがむ。馬を乗り慣らす。[文例]』〈人を責める〉盗[ぬす]みはよくないけれど、空腹のあまりなのだからそんなに責めたらかわいそうだよ。♠◆不心得を責める>老人は、若者たちの傍若無人[ぼうじやくばじん]な振る舞いに腹を立て、その不心得を責めた。♠◆<拷問[ごうもん]で責める〉どんなひどい拷問で責められても、男は口を割らなかった。♠●〈借金取りに責められる〉借金取りに責められるので、一日じゅう隠[かく]れて歩いてるよ。♠●へ子に責められる〉高価なおもちゃだったが子供に責められて、とうとう買ってしまった。♠●〈責めさいなむ>男は、しっとに責めさいなまれていた。♠●〈責めたてる〉みんなは、ぼくの失敗を責めたてた。 **せ・める【攻める】** ○攻撃する。敵をうつ。[文例]〈城を攻める〉一六一四年、徳川[とくがわ]家康[いえやす]は、ついに大坂城[おおさかじよう]を攻めた。♠〈相手を攻める〉対抗[たいこう]試合では、相手を終始攻めて、優勢のうちに試合を進めることができた。♠へ攻め寄せる〉一一八五年、義経[よしつね]は、あらしをついて海を渡[わた]り、屋島[やしま]に攻め寄せた。♠◆<攻め込む〉今が敵のゴールに攻め込むチャンスだ、それ!♠へ攻めたてる〉老いてますます向学心に燃えている人を見ると、自分もがんばらねばと攻めたてられる思いがする。 **せり【競り】** ○競ること。競り売り。競売。「[文例]〈競りをする〉一台の古ピアノをめぐって購入希望者が集まり、競りをすることになった。♠く競りにかける〉水揚[みずあ]げされた魚は市場[いちば]で競りにかけられ、次々に売りさばかれる。♠●へ競りに出す>古道具を競りに出しても、二束三文[にそくさんもん]の値しかつかなかった。♠●〈競り市〉競り市では、二歳のサラブレッドに次々に値がつけられていった。 **せりあがる【せり上がる】** ○下から徐々に上がる。[文例])<舞台にせり上がる〉美しい衣装[いしよう]をつけた女優が舞台にせり上がってくる。♠〈海がせり上がる>葉が落ちた林を抜けると、突然目の前に海がせり上がっていた。♠●〈風景がせり上がる>汽車が近づくと、町の姿は原野の端[はし]からせり上がってくる。 **せりふ(台詞・科白)** ○劇中で登場人物が言う言葉。言いぐさ。文句。きまり文句。[文例]〈せりふとト書き〉戯曲[ぎきよく]は、登場人物のせりふと、人物の動作や時や場所などを示すト書きとからなっている。♠●へ胸のすくようなせりふ〉実に胸のすくようなせりふを残して、男は立ち去った。♠●へ得意のせりふ〉これが同情をひく時に使う、きみのお得意のせりふなのかい。♠●へ捨てぜりふ〉「覚えてろ!」と捨てぜりふを残して、よた者どもは逃げていった。 **せ・る【競る】** ○争う。競う。競り売りで争う。[文例]最後の直線で二頭の馬がはげしく競る。♠むちが鳴った。♠●へ競り合う二人とも負けず嫌いな性格で、常々互いに相手をしのごうと競り合っていた。♠●へ競り落とす〉その絵は、日本人の画商が競り落とした。 **ゼロ** ○数の0。零。何もないこと。無価値。[文例]〈中身がゼロ〉この文章は、言葉たくみに飾っているが、中身はゼロで得るものがない。♠●〈ゼロからの出発〉敗北の傷のいえたわたしたしは再出発した。もちろんゼロからの出発だった。 **せろん【世論】** ○一般大衆の意見。輿論[よろん]。[文例]〈世論の動向〉増税は、今後の世論の動向を見て決められるという。♠●へ世論を動かす〉この運動が広がれば、世論を動かす力となるだろう。♠●〈世論調査>都市住民が住宅問題をどのように考えているかを知るため、世論調査を行った。 **せわ【世話】** ○めんどうをみること。手数がかかってわずらわしいこと。世間の話。世間のうわさ。[文例]〈世話をする〉子犬は、親身[しんみ]になって世話をしてくれる少年によくなついた。♠●〈世話を焼く〉わたしが東京の大学に帰る日、母は朝早く起きて、いろいろ世話を焼いた。♠●〈世話が焼ける〉ハンカチ一つ洗えないなんて、世話の焼ける子だねえ。♠〈世話になる>卒業式の日には、お世話になった先生に生徒全員で花束[はなたば]を贈[おく]った。♠●〈食事の世話〉〈世話を頼む〉下宿のおばさんに、大学生活四年間の食事の世話を頼んだ。♠へ世話をかける>先生にいろいろと世話をかけたけど、今度やっと就職先が決まった。♠◆へいらぬお世話〉もう子供じゃないんだから、ほっといてくれ。いらぬお世話だ。♠●〈大きなお世話〉鼻が高かろうが、低かろうが、大きなお世話だ。♠へ世話はない>自分から誘[さそ]っておいて、けろっと忘れているんだから、まったく世話はないよ。♠●へお世話さま〉お世話さま、わざわざ連絡[れんらく]してくれて。♠◆〈世話する〉ピアノを習いたいんですが、どなたかよい先生をお世話してくださいませんか。 **せわし・い(忙しい)** ○いそがしい。あわただしい。[文例]小さい子供が三人もいると、毎日とてもせわしい。♠◆せわしく働いてばかりいたので、家族のことを考える余裕もなかった。♠●年末は何かとせわしくて落ち着かない。 **せわしな・い(忙しない)** ○せわしい。[文例]〈せわしない世の中>毎日いろんな事件が次々と起こり、全くせわしない世の中だ。♠●へせわしない人〉せわしない人ね。もう少し落ち着いていられないの。♠〈せわしなく過ぎる〉毎日毎日、せわしなく時間が過ぎていきます。 **せん【線】** ○直線・曲線・点線などの図形。細長い筋状または棒状の物。方針。手がかり。基準。人柄から感じられる力強さの程度。線路。路線。航路。[文例]〈太い線〉〈線を引く〉その紙に斜[なな]めに一本、太い線を引いてください。♠●〈線で結ぶ〉桜前線[さくらぜんせん]というのは、桜の開花期の進行を地図上に線で結んで表したものである。♠●へ線で囲む〉大切な単語は、周りを赤い線で囲んだりして、早く覚えるようにしましょう。♠●〈線をつける>漢字の送り仮名の部分に線をつけてみなさい。♠●〈線に沿[そ]う〉インド洋とアラビア海とを分ける線に沿って、針路を南西へ取った。♠●〈線に沿う〉今までは、経済優先の線に沿って世の中が動いてきたが、そろそろ考え直す時が来たようだ。♠●へ体の線〉スタイルに自信のあるあの人 <588> りの差がある。♠〈善悪の判断〉善悪の判断には見識が必要なのであって、多数の人が言うから善いのだとは決められない。♠へ善悪をわきまえる〉子供はもとより、善悪をわきまえない大人がなんと多いことか。 **せんい【繊維】** ○生物体の組織に含まれる細い糸状の物質。織物・布の原料となる糸。[文例]〈生糸という繊維〉生糸というのは、「風合[ふうあ]い」の点を考えると、非常に優[すぐ]れた繊維である。♠へ木の皮の繊維「白たえ」という布は、こうぞの木の皮の繊維で織る。♠〈繊維が多い〉便通をよくするためには、ごぼうのような繊維の多い食べ物を食べるとよいですよ。♠〈強い繊維〉近年、強い繊維が化学的に作られるよう・になり、衣料品の素材も一変した。 **せんい【戦意】** ○戦おうとする意気込み。[文例]〈戦意を高める〉戦中、多くの文学者は国民の戦意を高める任務を負わされた。♠〈戦意を失う〉戦いが長びき、身も心も疲れ果てた兵士たちは戦意を失っていた。♠〈戦意高揚〉戦争中は、戦意高揚のためにたくさんの軍歌が作られた。♠へ戦意喪失[そうしつ]〉ゴングと同時に食[く]ったカウンターパンチは、挑戦者の戦意喪失に拍車[はくしや]をかけた。 **ぜんい【善意】** ○他人を思いやる心。好意的な意味。[文例]〈善意の手〉絵かきのサムは、いつも善意の温かい手に守られて作品を書き続けることができた。♠〈善意の人〉生涯[しようがい]を通じて、父は善意の人であり、おめでたい人であった。♠〈善意に満ちる〉彼女の優しいまなざしは善意に満ちていた。♠へ善意に解釈する〉人を疑うことを知らない青年だったから、他人の行為は常に善意に解釈した。 **ぜんいき【全域】** ○ある地域の全体。ある分野の全体。[文例]〈生活の全域〉〈全域に渡る〉いまや、コンピューターは、わたしたちの生活の全域に行き渡りつつある。♠〈関東全域〉昨夜から雨が降り続き、関東全域に大雨注意報が出されています。 **せんいつ【専一】** ○一つのことだけに力を注ぐこと。第一とすること。[文例]〈専一に〜する〉乏しい才能でありながら、それを専一に磨いて大成した人物はいくらでもいます。♠<養生専一〉今は養生専一、ただ病気を治すことだけを考えなさい。 **せんえい【先鋭】** (尖鋭)○先が鋭くとがっているさま。急進的なさま。[文例]〈先鋭な思想〉いつの時代でも、若者の心をとらえるのは先鋭な思想です。♠〈先鋭化する〉ある問題に対して真剣に取り組めば取り組むほど、考え方が先鋭化しがちであるので、注意が必要だ。♠〈先鋭分子〉中には、極端に急進的な考え方をする先鋭分子もおり、党内での争いも激しかった。 **ぜんえい【前衛】** ○前線で戦う部隊。球技などで前を守る人。政治・芸術などの分野で先端的な活動をする人。アバンギャルド。[文例]〈前衛と後衛〉バレーボールは、前衛と後衛に分かれ、前衛の選手が主に攻撃にあたる。♠へ前衛的〉氏は、前衛的、実験的な作品を発表、特異な作家として注目されている。♠〈前衛芸術〉パリに出た彼は、そこでシュールレアリスムなどの前衛芸術に触れ、多くを吸収した。 **せんえつ(僭越)** ○身のほど知らずで出過ぎるさま。[文例]〈僭越な行為〉無関係な他人の行動に指示を与えるなんて、僭越な行為です。♠〈僭越な言い方〉私ごとき若輩[じゃくはい]が僭越な言い方かも知れませんが、この責任は私にとらせてください。♠へ僭越ながら〉僭越ながら、一言述べさせていただきます。 **せんか【戦火】** ○戦争で起こる火災。戦争。[文例]〈戦火を交[まじ]える〉両国が戦火を交えることがあれば、南部の穀倉[こくそう]地帯は壊滅[かいめつ]的な打撃を受けるだろう。♠へ戦火を広げる〉ヨーロッパ各地に戦火を広げるドイツ軍は、今度はオランダに侵攻[しんこう]を開始する。♠へ戦火にみまわれる〉美しかった町は戦火にみまわれ、がれきと化した。♠〈戦火を免[まぬか]れる〉重要な文化財は、幸いにも戦火を免れたのである。♠〈戦火の焦土[しょうど]〉春が来て、戦火の焦土にも、はこべの芽が萌[も]え出したのである。 **せんか【戦果】** ○戦闘の成果。[文例]〈戦果をあげる〉軍は、戦 <589> 果をあげるために最新の兵器を輸入した。♠ほう、大きなコイが三匹ですか、なかなかの戦果ですね。 **せんか【戦禍】** ○戦争による被害。[文例]〈戦禍を受ける〉国外にいた日本人は戦禍を受け、命からがら国内へ引き揚げてきました。♠<戦禍をこうむる〉東京の中でも、この辺りは特に空襲[くうしゆう]でこうむった戦禍が著[いちじる]しかった。♠へ戦禍を免[まぬか]れる〉この建物は、奇跡的に戦禍を免れ、今も当時の姿をとどめている。♠〈戦禍が及ぶ〉内乱によって戦禍は全国に及んだ。 **ぜんか【前科】** ○以前に受けた刑罰。以前に犯した過失。[文例]〈前科がある〉男は、前科があることを恋人に打ち明けた。♠へ前科がある〉今年から禁煙すると言ったんだが、何しろ前科があるからだれも信用してくれない。♠へ前科~犯>前科三犯[ぼん]のお尋[たず]ね者が、この町に潜[ひそ]んでいるらしい。♠<前科者〉一度犯した過ちで前科者のレッテルがはられ、それから苦しい毎日が続いた。 **せんかい【旋回】** ○円を描くように回ること。飛行機が進路を変えること。[文例]〈旋回する〉飛行機は島の上空を旋回し、やがて砂浜に着陸したのです。♠へ旋回する〉校舎の上空を、トンビが悠々[ゆうゆう]と旋回している。 **ぜんかい【前回】** ○前の回。[文例]前回に比べ、今回は出席率が低いようだ。♠前回三点を取って同点にこぎつけたチームの意気は、ますますあがった。 **ぜんかい【全開】** ○全部開くこと。[文例]〈全開にする〉コックを全開にすると火が強すぎるから、少ししぼったほうがいい。♠〈全開する〉この仕事はきみの専門分野なんだから、エンジンを全開してがんばってくれたまえ。 **ぜんかい【全快】** ○病気などがすっかり治ること。[文例]〈病気の全快〉その晩は久しぶりに家族そろって食卓を囲み、父の病気の全快を祝った。♠へ全快する〉病気が一日も早く全快することを祈っています。♠〈全快祝い〉心のこもった全快祝いを、ありがとうございました。 **ぜんかい【全壊】** (全潰)○完全に壊れること。[文例]〈全壊する〉強い台風の直撃によって、全壊あるいは半壊する家屋が出た。♠〈全壊を免[まぬか]れる〉爆撃[ばくげき]を受けて建物の一部はこわれたが、運よく全壊は免れている。 **せんかく【先覚】** ○人より先にものの道理を悟ること・人。学識上の先輩。[文例]〈先覚に学ぶ〉わたしは、先覚に学びつつ独自の道を切り開いていきたいのです。♠〈先覚者〉揺れ動く時代の中で、幾人かの先覚者たちは、来るべき次の世を予言していた。 **せんがく【浅学】** ○学問が浅いこと。学問の浅い人。[文例]〈浅学にして〉私は浅学にしていまだ学問の道をきわめられません。♠〈浅学非才〉浅学非才の身で、このような発表の場を得られたことを、大変うれしく思っています。 **せんぎ(詮議)** ○人が集まって相談し、物事を明らかにすること。捜査すること。取り調べること。[文例]〈詮議が起こる〉今回だけ特別の処置をとると、どうして今回だけ、という詮議が起こる。♠〈詮議する〉いつまでも詮議していることはあるまい、結論は一つだ。♠へ詮議立て〉人にはそれぞれ都合があるんだから、余計な詮議立てはするものではない。 **せんきゃくばんらい【千客万来】** ○次々に客がおしかけること。せんかくばんらい。[文例]場所がよいこともあって、店は開店早々千客万来、順調なすべり出しです。 **せんきょ【選挙】** ○多数の人の中から代表者などを選び出すこと。議員などを投票で選ぶこと。[文例]〈選挙をする〉ホームルームの議長を選ぶには、クラス全員で選挙をするのがいい。♠へ正しい選挙〉〈選挙を行う〉今年こそ、正しい選挙が行われるようにと、市民運動が盛りあがった。♠へ選挙の票>彼は、選挙の票を稼[かせ]ぐために、地元の利益を優先した。♠〈選挙に敗れる〉健闘[けんとう]したが、惜[お]しくも十票差で選挙に敗れた。♠〈選挙に落ちる〉衆議院議員を二十年務めた彼が選挙に落ちるとは、だれも予想しなかったことだ。 **せんきょ【占拠】** ○占領してたてこもること。「文例]〈施設の占拠〉〈不法な占拠〉従業員による施設の不法な占拠に、工場側は警官の導入を考えていた。♠〈占拠する〉学生が学内を占拠し、バリケードを築くなど学生運動の盛[さか]んな時期があった。♠〈不法占拠〉過激派によって空港周辺が不法占拠され、機動隊が出動したらしい。 **せんきょう【戦況】** ○戦闘・戦争や試合の状況。戦局。[文例]〈戦況が動く〉川を挟[はさ]んだ両軍の戦いは一進一退で、戦況は動かなかった。♠〈戦況を見守る〉ここで動くのはまずい。もう少し戦況を見守ることにしよう。 **せんぎょう【専業】** ○専門の職業。専らそれに従事すること。[文例]〈専業にする〉仕事をもつ婦人が増え、家事を専業にする人は減りつつあります。♠へ専業農家〉ぼくの家は両親と兄が農業に従事していて、東京では数少ない専業農家です。 **せんきょく【戦局】** ○戦争・戦闘や試合の局面。戦況。[文例]この年になるとドイツ軍の戦力の衰[おとろ]えが目立ち、戦局は連合国に有利に展開し始めた。♠戦いは一進一退が続き、戦局は予断を許さなかった。 **せんきん【千金】** ○千両。多額の金銭。大きな価値。[文例]〈千金の価値〉千金の価値ある名画も、その値打ちのわからない者にはただの古ぼけた図画にすぎない。♠ヘ一刻千金〉一刻千金、時のたつのが惜しまれてなりません。 **せんく【先駆】** ○さきがけ。他に先立って物事を行うこと。[文例]〈先駆をなす〉逍遙[しようよう]の『小説神髄[しんずい]』と『当世書生気質[とうせいしよせいかたぎ]』とは、わが国の近代小説の先駆をなした。♠〈先駆的〉そのころ、百貨店の先駆的な形と思われる勧工場[かんこうば]というのがあった。♠へ先駆者〉村を捨てた人たちは、北海道開拓[かいたく]の先駆者として、現在の新十津川[とつかわ]町に入植した。 **せんくち【先口】** ○順番が先であること。先に申し込んだもの。[文例]〈先口がある〉残念だが先口があるので、きみとは行けない。♠へ先口がある〉彼女をドライブに誘[さそ]ったら、先口があるからと断られてしまった。 **せんけつ【先決】** ○先に解決すること。先に解決すべきこと。[文例]橋を造ることより、家を失った人に応急住宅を建て <590> るのが先決だ。♠へ先決問題〉明日のことより、今日どう生きるかが先決問題だった。 **せんけつ【鮮血】** ○体から出たばかりの血。なまなましい血。[文例]〈鮮血がほとばしる〉プルータスがのろわれた剣を引き抜いたとき、シーザーの鮮血がさっとほとばしった。♠〈鮮血が流れる〉オートバイの男の傷口から鮮血が流れていた。 **せんげつ【先月】** ○今月の前の月。[文例]先月の家賃[えき]を滞納[たいのう]していたので、今月分と一緒に払います。♠先月のことですが、街で思いがけない人に会ったのです。 **せんげん【宣言】** ○公に表明すること。[文例]〈宣言する〉禁煙を宣置した父は、口がさみしいのかあめ玉をしゃぶっている。♠へ開会宣言〉生徒会長によって体育祭の開会宣言が行われた。 **ぜんげん【前言】** ○前に言った言葉。前人の言葉。[例]〈前言を取り消す〉わたしが誤解しておりましたので、前言を取り消します。♠へ前言をひるがえす〉前言をひるがえすようで悪いが、援助についてはもう少し考えさせてくれ。 **せんけんのめい【先見の明】** ○先のことを見抜く力。[文例]〈先見の明〉十年前にすでに今日を予測していたというから、先見の明のある人だったんだね。♠〈先見の明〉先見の明をもった市長だったから、市の将来の発展は文化事業にありと見抜いていた。 **せんこ【千古】** ○大昔。永遠。[文例]〈千古の昔〉千古の昔より、人間は美しきものにあこがれてきた。♠〈千古変わりない〉行って帰らぬ時の流れの中にあって、千古変わりなき自然の姿は心の慰めである。♠〈千古不易〉恋は千古不易の人間感情である。 **せんご【戦後】** ○戦争の後。特に第二次世界大戦後。[文例]戦後の日本経済の成長には目をみはるものがあります。♠〈戦後の混乱〉第二次世界大戦の戦後の混乱の中で、少女はたくましく生きぬきました。♠〈戦後派〉戦前の古い習慣や文化に反発した若い世代を戦後派といいました。♠へ戦後生まれ〉戦中に青春時代を過ごした親たちと、戦後生まれの若者とでは感覚が違った。 **ぜんご【前後】** ○前と後ろ。先と後。物事の脈絡。順序が逆になること。引き続くこと。およその数で表す範囲。[文例]〈前後の入り口〉試験場の前後の入り口には、それぞれ三人の係員が立って受験票をチェックしていた。♠へ前後を見回す〉だれかに呼ばれたような気がして前後を見回しましたが、だれもいませんでした。♠く前後を確認する〉父は注意深く前後を確認すると、アクセルを踏み込みハンドルを切りました。♠へ話が前後する〉話は前後しますが、作り方はこれくらいにして、材料について説明したいと思います。♠〈前後の見境[みさかい]〉気にいった洋服がたくさんあったので、前後の見境もなく買い込んでしまった。♠へ前後を忘れる〉あまりのショックに前後を忘れて、しばらくぼう然と立ちつくしていた。♠へ前後のつながり〉前後のつながりのないことを言いだした彼に、みんな頭がどうかしたのではないかとびっくりしました。♠〈前後不覚〉昨夜はお酒を飲みすぎて前後不覚となり、どうやって家まで帰ったのか覚えていません。♠〈前後する〉女性ドライバーが増えたのと前後して、かわいらしいスクーターが次々と売り出されました。♠〈相前後する〉別なルートを登った二人でしたが、おとといのお昼前、相前後して頂上に着きました。♠〈百メートル前後〉とびうおが一回に飛ぶ距離は、大体百メートル前後です。 **せんこう【先行】** ○先に行くこと。先に行われること。『文例]〈先行する〉作品の鑑賞に入るまえに、作者に関する知識を先行させることは正しいことではない。♠〈先行の研究〉この論文を書くにあたっては、先行の研究文献[ぶんけん]が大変参考になりました。♠へ先行部隊〉本隊より一足[ひとく]先に、先行部隊を送った。 **せんこう【選考】** ○よく調べて選ぶこと。[文例]〈選考を重ねる〉一次・二次………………と選考を重ねて、最も優秀な人が選び出される。♠〈選考する〉応募作品はどれも素晴らしく、入賞作品を選考するのは大変難しかった。♠〈選考委員〉新しい文学賞の設立にあたって、まず選考委員が決定された。 **せんこう【専攻】** ○専門に研究すること。[文例]〈専攻する〉兄は、大学で美術史を専攻している。♠へ~学専攻〉昆虫学専攻の博士らしく、子供のころから大の虫好きだったそうです。♠<専攻科>本科で二年間学び、さらに勉強を深めるため専攻科へ進んだ。 **せんこう【潜行】** ○隠れてひそかに活動すること。水中をもぐって行くこと。[文例]〈地下に潜行する〉一段と強化された取り締まりに対して、反政府集団の活動家たちは地下に潜行した。 **せんこう【線香】** ○香料を練って細い棒状に固めた物。「文例]〈線香をあげる〉どうぞ仏様にお線香をあげてください。♠〈線香をたく〉仏壇に向かって座り、線香をたいて手を合わせた。♠〈線香をくゆらす〉彼は、冷たい火鉢[ひばち]の中に細い線香をくゆらしていた。♠〈線香を立てる〉灰の中に立てた線香はもう燃えつきて白くなっている。♠へ線香花火〉線香花火のようにはかない青春だったな、と老人はさみしく笑ってみせた。 **せんこう(閃光)** ○瞬間的にきらめく光。[例]〈閃光が走る〉ぱっと閃光が走ったかと思うと、ほどなくゴロゴロと鳴り出した。♠く閃光を発する〉遠くで高射砲[こうしやほう]が発する閃光が戦場の闇[やみ]を引き裂[さ]く。 **ぜんこう【善行】** ○善い行い。[文例]〈善行を積む〉生前に善行を積めば死後は極楽[ごくらく]へ、悪行[あくぎよう]を重ねれば地獄へ行くと言われます。♠へ善行を行う〉見えない所で小さな善行を行っている人はたくさんいます。♠へ善行を施[ほどこ]す〉生き物や花や木を大切にするのも、善行を施すことですよ。 **せんこく【宣告】** ○告げること。言いわたすこと。[文例]〈宣告を下す〉裁判官は、被告に対して死刑[しけい]の宣告を下した。♠〈死の宣告〉父にとって教師の仕事は命であり、それを取り上げられることは、死の宣告に等しかった。♠へ開戦を宣告する〉敵国はいよいよ開戦を宣告してきた。♠ヘガンを宣告 <591> する〉ガンを宣告され、死期の迫ったことを知った男は、信仰の世界に入っていった。 **せんこく【先刻】** ○さっき。先ほど。すでに。[文例]お宅さまは、先刻、食堂でお会いしたお方ですね。♠心配しなくても、そんなことは先刻承知だよ。♠先刻の、あの悪魔の囁[ささや]きは、あれは夢だ。(太宰治[だざいおさむ]「走れメロス」) **ぜんこく【全国】** ○国全体。国じゅう。[文例]〈日本全国〉〈全国を回る〉かつて富山の薬売りは、日本全国を回ったそうです。♠〈全国各地〉職を退いてからは、全国各地を旅行し、各地に伝わる民話などを聞き歩いた。♠〈全国的〉明日は、全国的によく晴れたさわやかな天気となるでしょう。 **ぜんごさく【善後策】** ○うまく後始末をするための方策。[文例]〈善後策を講じる〉職員の使い込みが発覚した農協では、理事たちが集まって善後策を講じた。♠へ善後策を立てる〉起こってしまったことを悔[く]やんでも仕方がない。それより今後に備えて善後策を立てることにしよう。 **せんさい【繊細】** ○ほっそりしてか弱いさま。細かく鋭いさま。デリケート。「文例]〈繊細な少年〉病弱な弟は、繊細で感じやすい少年だった。♠〈繊細な神経〉彼の繊細な神経には、おれのがさつさがどうにも耐えられなかったらしい。♠〈繊細な感覚〉詩人は、繊細な感覚で現実をとらえ、作品にしていきます。♠<繊細で優美>『古今集[こさんしゅう]』は『万葉集[まんようしゆう]』に比べ、繊細で優美な歌風の作品が多い。♠へ繊細な指〉彼女が繊細な指でかなでるショパンに、うっとりと聞きほれた。 **せんさい【戦災】** ○戦争による災害。[例]戦災で家を焼かれたために、父の故郷[こきよう]へ疎開[そかい]することになった。♠戦災は、人々にぬぐい得ない傷跡[きずあと]を残した。♠父もあの大戦で両親を失った戦災孤児[こじ]の一人だった。 **せんざい【潜在】** ○表面には現れないが内部に存在すること。[文例]〈潜在する〉はっきり意識されなくとも、この感情はわたしたちの心の中に潜在していたのかも知れない。♠<潜在的>その場はなんとか収拾したが、事件再発に対する潜在的な不安はぬぐいされない。♠〈潜在意識〉幼いころの体験が、その人の潜在意識を形成する原因となっていると思われる。♠へ潜在能力〉彼は、大きな潜在能力をもった少年のようだ。 **せんざい【千載】** ○千年。長い年月。[文例]〈千載の後[のち]〉わずかの作品しか残さない歌人ではあったが、この珠玉[しゅぎよく]の一作をもって、千載の後までも名を残すことになった。♠〈千載一遇[いちぐう]〉これは千載一遇の好機、この貴重なチャンスを決して逃[のが]してはならぬ。 **せんさく(詮索)** ○細かいことまでさぐり求めること。↓穿鑿[文例]〈あれこれ詮索する〉あの事件はもう過ぎたことなので、あれこれ詮索するのはやめましょう。♠へ詮索するような目〉久しぶりに教壇[きようだん]にもどったわたしを、生徒たちは詮索するような目でみつめた。♠へ人のことを詮索する〉他人のことをむやみに詮索していると、嫌[きら]われますよ。♠〈詮索好き〉あのおばさんは苦手だよ、なにしろ、詮索好きなんだから。 **せんさく(穿鑿)** ○穴を掘ること。細かいことまでさぐること。根ほり葉ほり聞き出そうとすること。♪詮索[文例]〈穿鑿する〉他人の私生活に関することをむやみに穿鑿するのはあまり上品とはいえませんね。 **せんきばんべつ【千差万別】** ○多くのものがさまざまに違っていること。[文例]〈人によって千差万別〉指紋[しもん]というのは、人によって千差万別で、一人として同じ人はいないという。♠〈生き方・考え方が千差万別〉世界には、様々な国や文化があり、人々の生き方や考え方も千差万別です。♠ヘ千差万別の感じ方〉同じ映画を見ても、人によって千差万別の感じ方をするものだ。 **ぜんざん【全山】** ○すべての山。山全体。[文例]全山紅葉[こうよう]して真っ赤に燃える季節となりました。♠林は全く黄葉[こうよう]し、蔦紅葉[つたもみじ]は、真紅に染[そま]り、(・・・・・・)日光直射する時は露[つゆ]を帯びた葉毎[ごと]に幾千万の真珠[しんじゆ]碧玉[へきどよく]を連[つら]ねて全山燃[も]るかと思われた。(国木田独歩「空知川[そらちがわ]の岸辺[きしべ]」) **せんし【戦死】** ○戦場で戦って死ぬこと。[文例]〈戦死を遂[と]げる〉友は、特攻隊員[とつこうたいいん]として名誉の戦死を遂げたという。♠〈戦死する〉戦争が起こり、若い人たちは召集されてその多くが戦死した。♠〈戦死者〉村外れの神社には、戦死者がまつられていた。 **せんし【戦士】** ○戦場で戦う兵士。第一線で活動している人。「文例]〈勇ましい戦士〉公園には馬にまたがった勇ましい戦士の像が立っている。♠ヘ独立運動の戦士〉彼は独立運動の戦士として人々の先頭にたち、独立を勝ち取るために闘った。 **ぜんじ【漸次】** ○だんだん。しだいに。[例]病気は、漸次快方に向かっている。♠若いころは情熱的な作品を書いたが、年とるにつれて漸次落ち着いた渋[しぶ]みのある作風に変わっていった。 **せんじつ【先日】** ○この間。せんだって。[文例]先日は、大変おせわになりました。♠先日京都に所用があって久しぶりに新幹線に乗った。 **せんじつ・める【せんじ詰める】** (煎じ詰める)○結論が出るまでよく考える。成分が出尽くすまで煎じる。[文例]難しい問題も、せんじつめて考えればおのずから答えが得られるものだ。♠表現の工夫とは、せんじつめれば言葉の選び方にあるといってよい。 **ぜんしゃ【前者】** ○二つのもののうち初めに挙げたほう。[文例]〈前者・後者〉趣味と教養の異なる所は、一般に前者がその世界だけに閉じられているのに対し、後者は次々と他に波及していく点にもある。♠町の生徒は郡部の生徒に理由のない優越感を覚え、後者は前者に理由のないひけ目を感じていた。 **せんしゅ【選手】** ○選ばれて競技会や試合に出場する人。[文例]〈野球の選手〉彼は小さいころからの夢がかなって、野球の選手になりました。♠ヘオリンピック選手〉オリンピック選手に選ばれるためには、並はずれた才能と努力が必要なんだろうな。♠肩を落[おと]し去りゆく選手を見守りぬわが精神の遠景として(島田修二) <592> **せんしゅう【先週】** ○前の週。[文例]先週の土曜日は、隣の町に住む伯母の家に遊びに行きました。♠先週の目標が達成できたかを反省したうえで、今週の目標をたてましょう。 **せんしゅつ【選出】** ○選び出すこと。「文例]〈代表の選出〉代表の選出の方法には、選挙や推薦、指名などがあります。♠<選出する>皆さんの中から議長と書記を選出してください。 **せんじゅつ【戦術】** ○戦いに勝つための一つ一つの手段。方法。目的をとげるための計画。♪戦略[文例]〈戦術を練る〉強敵を相手にいかに戦うか、連日、戦術を練った。♠へ戦略と戦術〉〈戦術を立てる〉会社の販売戦略に従って、セールスマン一人一人が戦術を立てることにしよう。♠〈戦術ダウン〉組合員のかけ声は勇ましいが、執行部がしりごみしているから、戦術ダウンは避けられまい。♠〈人海戦術〉こうなったら人海戦術だ、全員でおしかけよう。 **せん・じる(煎じる)** ○よく煮つめて成分を出す。[文例]〈薬を煎じる〉病弱だった母は、体が丈夫になるという漢方薬を煎じて飲んでいた。♠へつめのあかを煎じる〉感心なお子さんね、うちの子にあなたのつめのあかでも煎じて飲ませたいわ。 **せんしん【先進】** ○他より進んでいること。[文例]〈先進の技術〉先進の技術を誇[ほこ]る日本の自動車産業は、一層競争力を高めていた。♠へ先進国〉発展途上国であるこの国は、今、先進国の援助を受けながら近代化を推進している。♠へ先進性〉ドイツは、その科学技術の先進性によって世界の優位に立った。 **せんしん【専心】** ○一つのことに心を集中すること。[文例]〈専心する〉仕事一筋だった父が母の病気を機にがらりと生活を変え、看護に専心した。♠〈一意専心〉彼は職人としての生命をかけて、一意専心、制作に取り組んだ。 **ぜんしょ【善処】** ○最善の処置をとること。[文例]〈善処する〉その件は、市民のみなさんのご意見をうかがったうえで、市としても善処したいと思います。 **せんじょう【戦場】** ○戦いが行われる場所。[文例]〈戦場に赴[おもむ]く〉数多くの若者たちが国のためにといって、戦場に赴いたのだ。♠〈戦場と化する〉国境[くにざかい]地帯に紛争が起こり、のどかな村は一転して戦場と化した。♠このビルの三階がわたしの仕事場であり、戦場なのです。 **せんじょう【洗浄】** (洗滌)○洗ってきれいにすること。[文例]〈胃の洗浄〉毒物を飲み込んでしまったような場合は、まず吐[は]かせて胃の洗浄をします。♠〈洗浄する〉試験管やビーカーなどは、使用後、水や洗剤液でよく洗浄し、元の場所に戻しておくこと。 **せんじょう【扇情】** (煽情)○ある感情や欲情をあおりたてること。[文例]〈扇情的〉寝室にはピンクのカーテンがかかっていて、何とも扇情的であった。♠◇扇情的〉週刊誌とはいえ、あまりに扇情的だというので、この記事はボツになった。 **せんじん【先人】** ○昔の人。前代の人。祖先。亡父。[文例]〈先人の知恵〉わたしたちの今日の生活は、先人たちの知恵と努力の積み重ねの上に成り立っています。♠〈先人の声〉書籍から先人の声を聞き、人生の意味を学ぶこともできる。♠〈先人が築く〉先人の築いた伝統や文化遺産を大切に受け継いでいきたい。 **せんじん【先陣】** ○一番のり。本陣の前に置かれた陣。『文例]〈先陣を争う〉宇治川の合戦で、佐々木高綱[ささきたかつな]は名馬いけずきで梶原景季[かじわらかげすえ]と先陣を争い、名をあげた。♠〈先陣争い〉新素材の開発をめぐって、メーカーは先陣争いを繰りひろげていた。 **せんじん【戦陣】** ○戦いのために設けた陣営。戦場。[文例]〈戦陣を張る〉両国の武将が国境に戦陣を張り、戦[いくさ]が始まった。♠へ戦陣を敷く〉丘を駆け下った軍勢は、川原に戦陣を敷いた。♠へ戦陣に赴く〉万歳の声に送られて、出征兵士たちは戦陣に赴いた。 **ぜんしん【全身】** ○からだ全体。[例]〈全身泥[どろ]まみれ〉弟はどこかで転んだらしく、全身泥まみれになって帰ってきました。♠<全身の力〉ぼくたち三人が全身の力をこめて押しても、岩はびくともしません。♠〈全身にのしかかる〉金メダルの期待が全身に重くのしかかり、ふだんの力が発揮できなかった。♠〈全身の運動〉水泳は全身の運動になるので、たくさんのスポーツ選手が練習に取り入れています。♠<全身を耳にする〉一言も聞きもらすまいと、記者たちはそれこそ全身を耳にしてメモをとっていた。♠〈全身打撲[だぱく]〉三階から落ちた作業員は奇跡的に一命はとりとめたものの、全身打撲で重体です。♠〈全身全霊〉人類の進歩と発展を願い、キュリー夫人はラジウムの研究に全身全霊をささげました。 **ぜんしん【前身】** ○以前の身分や職業。組織・機関などのもとになった昔の形。前世の身の上。[文例]お栄[えい]さんはお才[さい]さんの前身について余り云[い]いたがらないが、察するか[ら]矢張り身体で商売をした人らしい。(志賀直哉[しがなおや]「暗夜行路[あんやこうろ]」)♠民間雑誌は福沢の経営する所の日刊新聞で、今の時事新報の前身である。(森鷗外[もりおうがい]「澀江抽斎[しぶえちゆうさい]」)♠札幌農学校は、現在の北海道大学の前身です。 **ぜんしん【前進】** ○前へ進むこと。進展すること。[文例]〈一直線に前進する〉ボールを奪[うば]ったら、ゴールめがけて一直線に前進しろ。♠へ車が前進する〉道を歩いていたら、急に横から車が前進してきて、あやうくひかれそうになった。♠〈前進と後退〉時に新しい障害が起こり、われわれの計画は前進と後退をくりかえしている。♠へ一歩前進する〉実験は失敗しましたが、数多くのデータも得られ、その研究は一歩前進したと言えるでしょう。 **ぜんしん【漸進】** ○徐々に進むこと。→急進[例]〈漸進する〉しっかり大地を踏みしめて漸進するやり方が、わたしの性には合っています。♠〈漸進的〉この国の経済は、漸進的に復興している。♠〈漸進主義〉漸進主義をもって、あせらずゆっくりと目的達成に努力したい。 **ぜんじんみとう【前人未到】** ○今までだれも到達していないこと。[文例]〈前人未到の原生林〉一行は、前人未到の原 **ぜんれい** <593> せんそう 生林[せいりん]を探検[たんけん]するため出発[しゅっぱつ]した。♠の〈前人未到[ぜんじんみとう]の記録[きろく]〉男[おとこ]は、前人未到[ぜんじんみとう]の記録[きろく]に挑戦[ちょうせん]しようとしていた。♠へ前人未到[ぜんじんみとう]の領域[りょういき]>常[つね]に前人未到[ぜんじんみとう]の領域[りょういき]を切[き]り開[ひら]いてゆく意気込[いきご]みを持[も]ちなさい。 **センス** ○物事[ものごと]の微妙[びみょう]なところを感[かん]じ取[と]る力[ちから]。感覚[かんかく]。判断力[はんだんりょく]。[文例]〈センスがある・ない〉絵[え]のセンスがあるとおだてられ、つい学校祭[がっこうさい]のポスターをかくはめになった。♠へセンスがよい・悪[わる]い〉彼女[かのじょ]の服[ふく]やアクセサリーは高価[こうか]なのに、もうひとつセンスがよくないね。♠〈画家[がか]としてのセンス〉この作品[さくひん]は、作者[さくしゃ]の詩人[しじん]としての才能[さいのう]のうえに、画家[がか]としてのセンスも感[かん]じさせます。♠ヘセンスをみがく・高[たか]める>彼女[かのじょ]は、ウィーンに留学[りゅうがく]して音楽[おんがく]のセンスをみがき、高[たか]めて、楽壇[がくだん]にデビューした。♠〈センスを疑[うたが]う〉真[ま]っ赤[か]なシャツに紫[むらさき]のズボンなんて、彼[かれ]のセンスを疑[うたが]うね。 **せんすい【潜水】** ○水中[すいちゅう]にもぐること。[文例]〈潜水[せんすい]する〉この湖[みずうみ]に命綱[いのちづな]もつけずに潜水[せんすい]したら、二度[にど]と戻[もど]っては来[こ]られないだろう。♠へ潜水夫[せんすいふ]>事故[じこ]の起[お]こった海域[かいいき]では、潜水夫[せんすいふ]が海中[かいちゅう]の捜索[そうさく]を行[おこな]っていた。♠へ潜水艇[せんすいてい]>最新型[さいしんがた]の潜水艇[せんすいてい]に乗[の]り込[こ]み、深海[しんかい]の調査[ちょうさ]に挑[いど]んだ。 **せん・する【宣する】** ○宣言[せんげん]する。宣告[せんこく]する。[文例]〈開会[かいかい]を宣[せん]する〉ここに第二十回[だいにじっかい]全国大学軟式野球選手権大会[ぜんこくだいがくなんしきやきゅうせんしゅけんたいかい]の開会[かいかい]を宜[せん]します。♠〈戦[たたか]いを宣[せん]する〉ついに一方[いっぽう]が戦[たたか]いを宣[せん]して、激戦[げきせん]の火[ひ]ぶたが切[き]られた。 **せんせい【先生】** ○教師[きょうし]・医師[いし]・師匠[ししょう]などに対[たい]する敬称[けいしょう]。学問[がくもん]・芸術[げいじゅつ]にすぐれた人[ひと]。人[ひと]をからかって言[い]う言葉[ことば]。[文例]<担任[たんにん]の先生[せんせい]>家庭訪問[かていほうもん]で担任[たんにん]の先生[せんせい]が家[いえ]に来[き]ました。♠<病院[びょういん]の先生[せんせい]〉あの病院[びょういん]の先生[せんせい]は無愛想[ぶあいそう]だが、腕[うで]がいいという評判[ひょうばん]です。♠へ先生[せんせい]をする〉姉[あね]は、小学校[しょうがっこう]の先生[せんせい]をしていて、子供[こども]たちにしたわれています。♠〈先生[せんせい]につく〉小[ちい]さいころから先生[せんせい]についてピアノのけいこをしています。♠仕事[しごと]が終[お]わったら一杯[いっぱい]おごるぞ、といったら、先生[せんせい]はりきるわ、はりきるわ。 **せんせい【宣誓】** ○誓[ちか]いの言葉[ことば]を述[の]べること。([文例]〈宣誓[せんせい]する〉新郎新婦[しんろうしんぷ]は、生涯[しょうがい]共[とも]に歩[あゆ]む決意[けつい]を神[かみ]の前[まえ]に宣誓[せんせい]し、署名[しょめい]をした。♠選手宣誓[せんしゅせんせい]>力強[ちからづよ]い選手宣誓[せんしゅせんせい]の声[こえ]が開会式場[かいかいしきじょう]に響[ひび]き渡[わた]った。 **せんせい【専制】** ○支配者[しはいしゃ]が権力[けんりょく]を独占[どくせん]し、独断[どくだん]で物事[ものごと]を行[おこな]うこと。[文例]〈専制君主[せんせいくんしゅ]>長[なが]い間[あいだ]、専制君主[せんせいくんしゅ]の圧政[あっせい]に民衆[みんしゅう]は苦[くる]しめられてきた。♠へ専制政治[せんせいせいじ]〉国王[こくおう]による専制政治[せんせいせいじ]を打破[だは]し、共和制[きょうわせい]が打[う]ちたてられた。 **ぜんせい【全盛】** ○最[もっと]も盛[さか]んであること。[文例]〈全盛[ぜんせい]を誇[ほこ]る>藤原氏[ふじわらし]が全盛[ぜんせい]を誇[ほこ]ったのは、今[いま]から千年[せんねん]ほど前[まえ]の平安時代[へいあんじだい]のことです。♠〈全盛[ぜんせい]をきわめる〉国王[こくおう]となって全盛[ぜんせい]をきわめたのもつかのま、翌年[よくねん]には革命[かくめい]が起[お]こり、その地位[ちい]を追[お]われてしまった。♠へ〈全盛[ぜんせい]を過[す]ぎる>栄華[えいが]を誇[ほこ]ったその帝国[ていこく]も、九世紀[きゅうせいき]には全盛[ぜんせい]を過[す]ぎ、各地[かくち]で内乱[ないらん]が起[お]こりました。♠〈全盛期[ぜんせいき]〉この選手[せんしゅ]は全盛期[ぜんせいき]には、一試合[いっしあい]に三本[さんぼん]もホームランを打[う]ったことがあるのです。♠へ全盛時代[ぜんせいじだい]〉ああ、あのころがわたしの全盛時代[ぜんせいじだい]だったのね。 **せんせん【宣戦】** ○戦争[せんそう]の開始[かいし]を通告[つうこく]すること。[文例]〈宣戦[せんせん]を布告[ふこく]する〉一九四一年[せんきゅうひゃくよんじゅういちねん]、日本[にほん]は英米[えいべい]に宣戦[せんせん]を布告[ふこく]し、太平洋戦争[たいへいようせんそう]に突入[とつにゅう]した。♠〈宣戦布告[せんせんふこく]〉明治三十七年二月[めいじさんじゅうしちねんにがつ]、日本[にほん]とロシアとの間[あいだ]に宣戦布告[せんせんふこく]がかわされ、日露戦争[にちろせんそう]が始[はじ]まった。 **せんせん【戦線】** ○戦闘[せんとう]が行[おこな]われている所[ところ]。闘争[とうそう]の場[ば]。[文例]この時期[じき]になると、ヨーロッパのすべての戦線[せんせん]で連合国側[れんごうこくがわ]が攻勢[こうせい]に転[てん]じた。♠〈統一戦線[とういつせんせん]〉軍事政権[ぐんじせいけん]を打倒[だとう]するため、民主勢力[みんしゅせいりょく]と左派[さは]が統一戦線[とういつせんせん]を組[く]む動[うご]きがある。♠〈共同戦線[きょうどうせんせん]>兄弟[きょうだい]三人[さんにん]が共同戦線[きょうどうせんせん]を張[は]って、小遣[こづか]いの値上[ねあ]げを要求[ようきゅう]した。 **せんぜん【戦前】** ○戦争[せんそう]の前[まえ]。特[とく]に第二次世界大戦前[だいにじせかいたいせんまえ]。[文例]戦前[せんぜん]の小[しょう]・中学校[ちゅうがっこう]では、今[いま]の「道徳[どうとく]」に当[あ]たる「修身[しゅうしん]」という教科[きょうか]があった。♠戦前[せんぜん]の大日本帝国憲法[だいにっぽんていこくけんぽう]と現行[げんこう]の日本国憲法[にほんこくけんぽう]の内容[ないよう]を比較[ひかく]してみよう。♠日本人[にほんじん]の食生活[しょくせいかつ]は、戦前[せんぜん]と比較[ひかく]すると非常[ひじょう]に向上[こうじょう]している。 **ぜんせん【全線】** ○電車[でんしゃ]・バスなどの路線全体[ろせんぜんたい]。戦線全体[せんせんぜんたい]。[文例]列車[れっしゃ]は、雪[ゆき]のため全線[ぜんせん]で不通[ふつう]になっている。 **ぜんせん【前線】** ○戦場[せんじょう]で直接[ちょくせつ]敵[てき]と接[せっ]する所[ところ]。性質[せいしつ]の異[こと]なる二[ふた]つの気団[きだん]の境界面[きょうかいめん]が地表[ちひょう]などと交[まじ]わる所[ところ]。[文例]〈前線[ぜんせん]の兵士[へいし]>前線[ぜんせん]に送[おく]られた兵士[へいし]たちは、勇敢[ゆうかん]に戦[たたか]って死[し]んでいった。♠へ梅雨前線[ばいうぜんせん]>日本[にほん]の上空[じょうくう]に梅雨前線[ばいうぜんせん]が停滞[ていたい]している。♠へ最前線[さいぜんせん]〉彼[かれ]らは、業界[ぎょうかい]の最前線[さいぜんせん]で活躍[かつやく]する企業戦士[きぎょうせんし]たちである。 **ぜんせん【善戦】** ○力[ちから]いっぱい立派[りっぱ]に戦[たたか]うこと。[文例]〈善戦[ぜんせん]空[むな]しく>兵[へい]たちは、善戦[ぜんせん]空[むな]しく全員[ぜんいん]討[う]ち死[じ]にした。♠へ善戦[ぜんせん]する>強敵[きょうてき]を相手[あいて]に善戦[ぜんせん]したのだから悔[く]いはない。♠<善戦健闘[ぜんせんけんとう]>きみたちの善戦健闘[ぜんせんけんとう]はながくたたえられるだろう。 **ぜんぜん【全然】** ○全[まった]く。ちっとも。[文例]全然[ぜんぜん]勉強[べんきょう]していなかったので、テストの結果[けっか]はひどいものでした。♠何度[なんど]やってみても全然[ぜんぜん]だめなんだ。♠「うまくいった?」「全然[ぜんぜん]。」 **せんせんきょうきょう【戦戦恐恐】** (戦戦兢兢[せんせんきょうきょう])○恐[おそ]れてびくびくするさま。[文例]不良[ふりょう]息子[むすこ]をもつと、いつ学校[がっこう]から呼[よ]び出[だ]しがあるかと戦々恐々[せんせんきょうきょう]です。♠〈戦々恐々[せんせんきょうきょう]とする〉借金[しゃっきん]などするものじゃないとつくづく思[おも]いました。取[と]り立[た]てにおびえて戦々恐々[せんせんきょうきょう]とする毎日[まいにち]です。 **せんぞ【先祖】** ○家系[かけい]の第一代[だいいちだい]の人[ひと]。初代[しょだい]から先代[せんだい]までの人々[ひとびと]。祖先[そせん]。→子孫[しそん][文例] <遠[とお]い先祖[せんぞ]>遠[とお]い先祖[せんぞ]からわたしたちに語[かた]り継[つ]がれた話[はなし]をもとに本[ほん]を著[あらわ]した。♠へ先祖[せんぞ]の地[ち]〉長年[ながねん]他国[たこく]を流[なが]れ歩[ある]いていた男[おとこ]は、先祖[せんぞ]の地[ち]で死[し]にたいと、生[う]まれ故郷[こきょう]へ帰[かえ]る途中[とちゅう]であった。♠〈先祖[せんぞ]の墓[はか]>年老[としお]いた母[はは]は、先祖[せんぞ]の墓[はか]を守[まも]るのだと言[い]って、田舎[いなか]を動[うご]こうとしません。♠へ先祖代々[せんぞだいだい]>事業[じぎょう]に失敗[しっぱい]したわたしは、先祖代々[せんぞだいだい]の家屋敷[かやしき]を売[う]り払[はら]った。♠〈先祖伝来[せんぞでんらい]〉うちには、先祖伝来[せんぞでんらい]の家宝[かほう]の掛[か]け軸[じく]があります。♠〈先祖返[せんぞがえ]り〉わたしたちの文化[ぶんか]や風俗[ふうぞく]には、急激[きゅうげき]に変化[へんか]するとその反動[はんどう]でまた昔[むかし]に戻[もど]る、いわゆる先祖返[せんぞがえ]りの現象[げんしょう]が見[み]られます。 **せんそう【戦争】** ○国家間[こっかかん]の武力[ぶりょく]による争[あらそ]い。激[はげ]しい競争[きょうそう]。非常事態[ひじょうじたい]。[文例]〈戦争[せんそう]を放棄[ほうき]する〉日本国憲法[にほんこくけんぽう]は、戦争[せんそう]を永[えい] <594> せんぞく 久[きゅう]に放棄[ほうき]することをうたっている。♠〈悲惨[ひさん]な戦争[せんそう]〉〈戦争[せんそう]をする〉悲惨[ひさん]な戦争[せんそう]を体験[たいけん]してきた祖父[そふ]は、二度[にど]と戦争[せんそう]をしてはいけないといつも言[い]う。♠〈戦争[せんそう]する〉世[よ]の中[なか]に、戦争[せんそう]するのが好[す]きでたまらないという人[ひと]はいるのだろうか?♠〈戦争[せんそう]が起[お]こる>戦争[せんそう]が起[お]こると、町[まち]の男[おとこ]の人[ひと]はみんな召集[しょうしゅう]された。♠へ戦争[せんそう]が始[はじ]まる・終[お]わる>戦争[せんそう]が終[お]わった時[とき]、日本[にほん]のおもな都市[とし]は、ほとんどが焼[や]け野原[のはら]となっていた。♠〈戦争[せんそう]がある。ない〉どうして世[よ]の中[なか]には戦争[せんそう]があるのだろう、戦争[せんそう]のない平和[へいわ]な世界[せかい]になればいいのに。♠〈戦争[せんそう]が勃発[ぼっぱつ]する>戦争[せんそう]が勃発[ぼっぱつ]した原因[げんいん]は、国民[こくみん]には知[し]らされなかった。♠〈戦争[せんそう]に行[い]く〉あまり丈夫[じょうぶ]でないお父[とう]さんも、戦争[せんそう]に行[い]かなければならなかった。♠へ戦争[せんそう]に突入[とつにゅう]する〉和平交渉[わへいこうしょう]が決裂[けつれつ]し、暗[くら]く長[なが]い戦争[せんそう]に突入[とつにゅう]した。♠へ戦争[せんそう]に勝[か]つ・負[ま]ける〉戦争[せんそう]に勝[か]っても、負[ま]けても多[おお]くの犠牲[ぎせい]を払[はら]うことには変[か]わりありません。♠〈交通戦争[こうつうせんそう]〉運転者[うんてんしゃ]や歩行者[ほこうしゃ]が死[し]んだり傷[きず]ついたり、まさに交通戦争[こうつうせんそう]です。♠〈受験戦争[じゅけんせんそう]〉受験戦争[じゅけんせんそう]は、年々[ねんねん]エスカレートしている。 **せんぞく【専属】** ○一[ひと]つの会社[かいしゃ]・団体[だんたい]にだけ所属[しょぞく]すること。[文例]〈専属[せんぞく]の歌手[かしゅ]〉レコード会社[がいしゃ]の専属[せんぞく]の歌手[かしゅ]として芸能界[げいのうかい]にデビューした。♠〈専属[せんぞく]する〉ゆくゆくは、専属[せんぞく]しているプロダクションを抜[ぬ]けて、独立[どくりつ]したいと思[おも]っている。♠〈専属契約[せんぞくけいやく]〉スポンサーとの専属契約[せんぞくけいやく]がやっと切[き]れて、自由[じゆう]な活動[かつどう]ができるようになりました。 **センター** ○中央[ちゅうおう]。中心地[ちゅうしんち]。中央機関[ちゅうおうきかん]。総合施設[そうごうしせつ]。中堅手[ちゅうけんしゅ]。中央[ちゅうおう]の位置[いち]にいる選手[せんしゅ]。[文例]〈医療[いりょう]センター>町[まち]に医療[いりょう]センターができてから、大変[たいへん]便利[べんり]になりました。♠ヘサービスセンター〉お買[か]い上[あ]げの商品[しょうひん]に対[たい]する御意見[ごいけん]を、当社[とうしゃ]のサービスセンターまでお寄[よ]せください。♠ヘセンターフライ〉せっかくのチャンスに、センターにフライを打[う]ち上[あ]げてしまった。 **せんだい【先代】** ○一代前[いちだいまえ]の人[ひと]。前代[ぜんだい]の主人[しゅじん]。前[まえ]の時代[じだい]。[文例]〈店[みせ]の先代[せんだい]>甲州屋[こうしゅうや]さんとうちの店[みせ]は、先代[せんだい]のころから取[と]り引[ひ]きがありました。♠〈役者[やくしゃ]の先代[せんだい]〉二代目[にだいめ]を襲名[しゅうめい]しましたからは、先代[せんだい]の芸域[げいいき]に少[すこ]しでも近[ちか]づくよう精進[しょうじん]いたします。 **ぜんたい【全体】** ○個々[ここ]のものや部分部分[ぶぶんぶぶん]を一[ひと]つにまとめあげたもの。すべて。いったい。まったく。[文例]〈全体[ぜんたい]の構造[こうぞう]>機械[きかい]の部分的[ぶぶんてき]な仕組[しく]みはわかりましたが、全体[ぜんたい]の構造[こうぞう]はよくわかりませんでした。♠〈全体[ぜんたい]を見渡[みわた]す〉演壇[えんだん]に立[た]った彼女[かのじょ]は、会場[かいじょう]の全体[ぜんたい]をゆっくり見渡[みわた]してから、話[はなし]を始[はじ]めました。♠ヘクラス全体[ぜんたい]〉今度[こんど]の学芸会[がくげいかい]で、わたしたちはクラス全体[ぜんたい]で、ミュージカルをやることにしました。♠〈村全体[むらぜんたい]〉事件[じけん]が起[お]こる日[ひ]の朝[あさ]は、村全体[むらぜんたい]が眠[ねむ]ったように静[しず]かでした。♠<一体全体[いったいぜんたい]>約束[やくそく]の時間[じかん]はもうとっくに過[す]ぎているのに、一体全体[いったいぜんたい]あいつは何[なに]をしているんだ。♠ぽくはさっきから気[き]になっているのだが、あの男[おとこ]はぜんたい何者[なにもの]なんですか。 **ぜんだいみもん【前代未聞】** ○今[いま]までに聞[き]いたことがないような珍[めずら]しいこと。[文例]子供[こども]が食[た]べている物[もの]を取[と]り上[あ]げちまう親[おや]なんざ前代未聞[ぜんだいみもん]だね。♠山門[さんもん]のなか[なか]に遊郭[ゆうかく]があるなんて、前代未聞[ぜんだいみもん]の現象[げんしょう]だ。(夏目[なつめ]漱石[そうせき]「坊[ぼっ]っちゃん」) **せんたく【選択】** ○選[えら]び取[と]ること。[文例] <選択[せんたく]をする〉読書案内[どくしょあんない]は、よりよい本[ほん]の選択[せんたく]をするための資料[しりょう]として活用[かつよう]してください。♠へ材料[ざいりょう]の選択[せんたく]〉新鮮[しんせん]なものを使[つか]うよう、材料[ざいりょう]の選択[せんたく]には気[き]を配[くば]ってください。♠〈重大[じゅうだい]な選択[せんたく]〉結婚[けっこん]か仕事[しごと]か、彼女[かのじょ]は今[いま]、人生[じんせい]の重大[じゅうだい]な選択[せんたく]を迫[せま]られていた。♠へ選択[せんたく]に迷[まよ]う〉おいしそうなケーキがズラッと並[なら]んでいて、どれにしようか選択[せんたく]に迷[まよ]うほどだ。♠◇選択[せんたく]を誤[あやま]る>長[なが]い人生[じんせい]の間[あいだ]には選択[せんたく]を誤[あやま]ることもあるでしょう。しかし、人生[じんせい]はやり直[なお]しがききます。♠〈選択[せんたく]の余地[よち]〉じっくり考[かんが]えて決[き]めてください、まだまだ選択[せんたく]の余地[よち]がありますよ。♠〈選択[せんたく]に任[まか]す〉どう考[かんが]え、どう行動[こうどう]するかは、きみたちの選択[せんたく]に任[まか]されている。♠へ選択[せんたく]する〉今年[ことし]の文化祭[ぶんかさい]のテーマは、生徒[せいと]たちが自主的[じしゅてき]に選択[せんたく]したものだ。♠〈選択科目[せんたくかもく]〉高校[こうこう]では芸術[げいじゅつ]は選択科目[せんたくかもく]なので、美術[びじゅつ]・音楽[おんがく]・書道[しょどう]の中[なか]から一[ひと]つ選[えら]べばよかった。 **せんたく【洗濯】** ○洗[あら]って汚[よご]れを落[お]とすこと。[文例]〈洗濯[せんたく]をする>梅雨[つゆ]どきは、洗濯[せんたく]をしてもなかなか乾[かわ]かないので困[こま]ります。♠洗濯[せんたく]する〉ふだん帰[かえ]りが遅[おそ]いので、一週間[いっしゅうかん]に一度[いちど]、日曜日[にちようび]に洗濯[せんたく]することにしている。♠<洗濯[せんたく]に出[だ]す〉ワイシャツは、全部[ぜんぶ]クリーニング店[てん]に洗濯[せんたく]に出[だ]している。♠〈命[いのち]の洗濯[せんたく]〉こんなにすばらしい景色[けしき]の中[なか]で、一日[いちにち]過[す]ごすことができて、本当[ほんとう]に命[いのち]の洗濯[せんたく]ができました。♠人鬼[おに]の居[い]ぬ間[ま]に洗濯[せんたく]>店長[てんちょう]が外出中[がいしゅつちゅう]だから、鬼[おに]の居[い]ぬ間[ま]に洗濯[せんたく]で、少[すこ]し羽[はね]をのばそう。♠洗濯物[せんたくもの]>子供[こども]たちが泥[どろ]だらけで帰[かえ]ってくるので、洗濯物[せんたくもの]は毎日[まいにち]出[で]ます。♠〈洗濯機[せんたくき]>洗濯機[せんたくき]ができて、昔[むかし]に比[くら]べたらずいぶん楽[らく]になりました。 **せんだつ【先達】** ○自分[じぶん]より先[さき]にその道[みち]の奥義[おうぎ]に達[たっ]した人[ひと]。先駆者[せんくしゃ]。先[さき]に立[た]って案内[あんない]する人[ひと]。[文例]〈先達[せんだつ]に学[まな]ぶ〉学問[がくもん]の浅[あさ]いわたしは、先達[せんだつ]に学[まな]んで研究方法[けんきゅうほうほう]をかためました。♠〈先達[せんだつ]の業績[ぎょうせき]〉長[なが]い伝統[でんとう]を誇[ほこ]る分野[ぶんや]では、先達[せんだつ]の業績[ぎょうせき]をこえるのは、なみたいていのことではありません。 **せんたん【先端】** (尖端[せんたん])○物[もの]のとがっている先[さき]。物[もの]のはし。先頭[せんとう]。[文例]〈葉[は]の先端[せんたん]>空気[くうき]はひんやりと冷[つめ]たく、草[くさ]の葉[は]の先端[せんたん]に、夜露[よつゆ]がきらりと光[ひか]っていた。♠◇岬[みさき]の先端[せんたん]〉岬[みさき]の先端[せんたん]に立[た]つと、海[うみ]の向[む]こうに、石油[せきゆ]コンビナートが横[よこ]たわっているのが見[み]えます。♠へ流行[りゅうこう]の先端[せんたん]をいく〉彼女[かのじょ]の服装[ふくそう]はいつも流行[りゅうこう]の先端[せんたん]をいっている。♠〈時代[じだい]の先端[せんたん]〉このロボットには、時代[じだい]の先端[せんたん]をいく技術[ぎじゅつ]が搭載[とうさい]されています。♠へ先端的[せんたんてき]>現代[げんだい]の先端的な科学技術[かがくぎじゅつ]の進歩[しんぽ]は、目[め]ざましいものがある。 **せんちゃく【先着】** ○先[さき]に着[つ]くこと。[文例]開店当日[かいてんとうじつ]は、先着[せんちゃく]二百名様[にひゃくめいさま]に粗品[そしな]を進呈[しんてい]いたします。♠へ先着[せんちゃく]する〉ライバルの選手[せんしゅ]よりは先着[せんちゃく]したものの、優勝[ゆうしょう]はできなかった。 **ぜんちょう【前兆】** ○前[まえ]ぶれ。先[さき]ぶれ。きざし。「[文例]〈あらしの前兆[ぜんちょう]>空[そら]が暗[くら]くなり風[かぜ]も出[で]てきたので、これはきっとあらしの前兆[ぜんちょう]だなと思[おも]いました。♠<豊作[ほうさく]の前兆[ぜんちょう]〉この村[むら]には古[ふる]くから、白[しろ]いヘビが姿[すがた]を現[あらわ]すのは豊作[ほうさく]の前兆[ぜんちょう]だという言[い]い伝[つた]えがある。♠〈前兆[ぜんちょう]がない〉今回[こんかい]の噴火[ふんか]は何[なん]の前兆[ぜんちょう]もなく、付近[ふきん]の住民[じゅうみん]も大[おお]きな被害[ひがい]を受[う]けました。♠へ地震[じしん]の前兆人間[にんげん]より敏感[びんかん]な動物[どうぶつ]たちの中[なか]には、地震[じしん]の前兆[ぜんちょう]を感[かん]じるものもいます。 <595> せんにん ものもいます。 **せんて【先手】** ○先[さき]にしかけて優位[ゆうい]に立[た]つこと。囲碁[いご]・将棋[しょうぎ]で先[さき]に打[う]つこと。また、その人[ひと]。[文例]〈碁[ご]の先手[せんて]>囲碁[いご]では、先手[せんて]が黒[くろ]、後手[ごて]が白[しろ]の石[いし]を持[も]ちます。♠〈先手[せんて]を取[と]る〉いいか、ホイッスルが鳴[な]ると同時[どうじ]に先手[せんて]を取[と]って一気[いっき]に攻[せ]めまくるんだぞ。♠へ先手[せんて]を打[う]つ〉どうせかないっこないだろうが、とりあえず先手[せんて]を打[う]って攻[せ]めてみよう。♠〈先手争[せんてあらそ]い〉先手争[せんてあらそ]いは、ボールが味方[みかた]に出[で]て味方[みかた]の攻撃[こうげき]が始[はじ]まった。♠<先手必勝[せんてひっしょう]>先手必勝[せんてひっしょう]、ピストルが鳴[な]る前[まえ]に飛[と]び出[だ]すくらいの意気込[いきご]みでやりなさい。 **せんてい【選定】** ○選[えら]んで決[き]めること。[文例]〈機種[きしゅ]の選定[せんてい]〉店[みせ]にワープロを一台入[いちだいい]れたいんだが、機種[きしゅ]の選定[せんてい]を若[わか]いきみたちでやってくれないか。♠◇選定[せんてい]する〉児童館[じどうかん]の読書[どくしょ]コーナーでは、子供[こども]のための図書[としょ]を選定[せんてい]して購入[こうにゅう]しています。 **ぜんてい【前提】** ○物事[ものごと]が成立[せいりつ]するための基本的[きほんてき]な条件[じょうけん]。結論[けつろん]を導[みちび]き出[だ]すもとになる既知[きち]または仮定[かてい]の命題[めいだい]。[文例]〈前提[ぜんてい]とする〉二人[ふたり]は、結婚[けっこん]を前提[ぜんてい]としたつきあいをしていた。♠〈前提[ぜんてい]がある〉〈前提[ぜんてい]と結論[けつろん]〉全員[ぜんいん]の協力[きょうりょく]が得[え]られると・いう前提[ぜんてい]があれば、結論[けつろん]はすぐに出[で]るでしょう。 **せんてん【先天】** ○生[う]まれながらに備[そな]わっていること。→後天[こうてん][文例]<先天性[せんてんせい]>赤[あか]ちゃんの病気[びょうき]は先天性[せんてんせい]のものだったが、大[おお]きくなって手術[しゅじゅつ]をすれば治[なお]るということだった。♠<先天的[せんてんてき]>片[かた]づけるとか整理[せいり]するとかいう才能[さいのう]が、きみには先天的[せんてんてき]に欠[か]けているんじゃないのか。 **せんでん【宣伝】** ○多[おお]くの人[ひと]に述[の]べ伝[つた]えて広[ひろ]めること。大[おお]げさに言[い]い触[ふ]らすこと。[文例]〈店[みせ]の宣伝[せんでん]〉店[みせ]の宣伝[せんでん]に使[つか]うため、チラシやポスターを作[つく]りました。♠〈宣伝[せんでん]する〉このチョコレートは、テレビで宣伝[せんでん]していた新製品[しんせいひん]だよ。♠宣伝[せんでん]する>自分[じぶん]の手柄[てがら]を宣伝[せんでん]して回[まわ]るなんて、ちょっといやみだな。 **せんど【先途】** ○行[ゆ]き着[つ]く先[さき]。勝敗[しょうはい]の決[き]まる大事[だいじ]な時[とき]。[文例]〈ここを先途[せんど]と>敵[てき]の失策[しっさく]に、味方[みかた]はここを先途[せんど]と攻[せ]めまくった。♠へ先途[せんど]を見届[みとど]ける>男[おとこ]と女[おんな]が此所[ここ]で分[わか]れるとすれば、無論[むろん](・・・・・・) 女[おんな]の先途[せんど]だけを見届[みとど]けたかった。(夏目[なつめ]漱石[そうせき]「彼岸過迄[ひがんすぎまで]」) **せんど【鮮度】** ○新鮮[しんせん]さの度合[どあい]。[文例]〈食品[しょくひん]の鮮度[せんど]>生鮮食料品[せいせんしょくひょうひん]は、もとより鮮度[せんど]が命[いのち]です。♠〈鮮度[せんど]が落[お]ちる〉トウモロコシはもぎたてが一番[いちばん]で、時間[じかん]がたつにつれて鮮度[せんど]が落[お]ちます。♠へ鮮度[せんど]が高[たか]い>海辺[うみべ]に住[す]んでおりますので、比較的[ひかくてき]鮮度[せんど]の高[たか]いお魚[さかな]が食[た]べられます。 **ぜんと【前途】** ○行[ゆ]く手[て]。行[ゆ]く先[さき]。行[ゆ]く末[すえ]。将来[しょうらい]。[文例]〈前途[ぜんと]をさえぎる三人の男に前途[ぜんと]をさえぎられ、車[くるま]は道[みち]のまん中[なか]で立[た]ち往生[おうじょう]していた。♠〈前途[ぜんと]に不安[ふあん]がある・ない〉いくら彼[かれ]が有能[ゆうのう]だからといって、前途[ぜんと]にまったく不安[ふあん]がないわけではないだろう。♠〈前途[ぜんと]ある〉前途[ぜんと]ある若者[わかもの]なら、もっと将来[しょうらい]に目[め]を向[む]けて行動[こうどう]すべきだ。♠〈前途[ぜんと]が思[おも]いやられる〉このくらいのことで学校[がっこう]がいやになるようでは、前途[ぜんと]が思[おも]いやられるよ。♠〈前途[ぜんと]を悲観[ひかん]する〉前途[ぜんと]を悲観[ひかん]して自[みずか]ら命[いのち]を絶[た]つ若者[わかもの]もいる。♠〈前途有望[ぜんとゆうぼう]〉今年[ことし]も野球部[やきゅうぶ]には、前途有望[ぜんとゆうぼう]な新人[しんじん]がたくさんはいてきた。♠〈前途多難[ぜんとたなん]>確[たしか]に障害[しょうがい]を一[ひと]つ乗[の]り越[こ]えたわけだが、まだまだ前途多難[ぜんとたなん]だ。 **ぜんど【全土】** ○国土全体[こくどぜんたい]。[文例]〈日本[にほん]の全土[ぜんど]〉その年[とし]になると、日本[にほん]の全土[ぜんど]が敵機[てきき]の襲撃[しゅうげき]を受[う]けるようになった。♠〈~全土[ぜんど]〉この習慣[しゅうかん]は、韓国[かんこく]全土[ぜんど]に広[ひろ]く存在[そんざい]しているそうです。 **せんとう【先頭】** ○順序[じゅんじょ]の一番[いちばん]始[はじ]め。先端[せんたん]。トップ。[文例]〈旗[はた]を先頭[せんとう]に〉それぞれ[それぞれ]の国[くに]の旗[はた]を先頭[せんとう]に、選手団[せんしゅだん]が入場[にゅうじょう]してきました。♠へ先頭[せんとう]を切[き]る〉運動会[うんどうかい]のリレーでは、わたしのクラスが先頭[せんとう]を切[き]ってゴールインした。♠〈先頭[せんとう]に立[た]つ〉三年生[さんねんせい]は、下級生[かきゅうせい]たちの先頭[せんとう]に立[た]って防災訓練[ぼうさいくんれん]をした。♠<先頭[せんとう]に立[た]つ〉マハトマ=ガンジーは、質素[しっそ]な衣服[いふく]にサンダルばきで、貧[まず]しい民衆[みんしゅう]の先頭[せんとう]に立[た]った。♠〈先頭[せんとう]に並[なら]ぶ〉今[いま]のところ、三十点[さんじってん]の同点[どうてん]でA君[くん]とぼくが先頭[せんとう]に並[なら]んでいる。 **せんとう【戦闘】** ○戦[たたか]うこと。戦[たたか]い。[文例])〈戦闘[せんとう]を続[つづ]ける〉勝[か]ち目[め]もないのに、一体[いったい]いつまで戦闘[せんとう]を続[つづ]けるつもりなのか。♠へ戦闘[せんとう]を繰[く]りひろげる〉国境[こっきょう]付近[ふきん]では両国[りょうこく]の警備隊[けいびたい]が激[はげ]しい戦闘[せんとう]を繰[く]りひろげていた。♠〈戦闘的[せんとうてき]〉きわめて戦闘的[せんとうてき]な論客[ろんきゃく]ですから、彼[かれ]を相手[あいて]にすると骨[ほね]が折[お]れます。 **せんどう【船頭】** ○船[ふね]をこぐ人[ひと]。和船[わせん]の船長[せんちょう]。[文例]<船頭多[せんどうおお]くして船山[ふねやま]に上[のぼ]る〉命令[めいれい]を出[だ]す人[ひと]は一人[ひとり]がいい、「船頭多[せんどうおお]くして船山[ふねやま]に上[のぼ]る」といって混乱[こんらん]が生[しょう]じるから。♠二人の船頭[せんどう]はそれ切[き]り黙[だま]って舟[ふね]を出[だ]した。佐渡[さど]の二郎[じろう]は北[きた]へ漕[こ]ぐ。宮崎[みやざき]の三郎[さぶろう]は南[みなみ]へ漕[こ]ぐ。(森[もり]鷗外[おうがい]「山椒大夫[さんしょうだゆう]」) **せんどう【先導】** ○先[さき]に立[た]って他[た]を導[みちび]くこと。[文例]<先導[せんどう]する〉外国[がいこく]の要人[ようじん]の車[くるま]をパトカーが先導[せんどう]していった。 **せんどう【扇動】** (煽動[せんどう])○あおり立[た]てること。[文例]扇動[せんどう]する〉しかし、あの山嵐[やまあらし]が生徒[せいと]を煽動[せんどう]するなんていたずらをしそうもないがな。(夏目[なつめ]漱石[そうせき]「坊[ぼっ]っちゃん」)♠◇扇動者[せんどうしゃ]〉民衆[みんしゅう]の中[なか]に扇動者[せんどうしゃ]がいて、民衆[みんしゅう]の不満[ふまん]をあおり立[た]てていた。 **ぜんなんぜんにょ【善男善女】** ○信仰深[しんこうぶか]い人々[ひとびと]。[文例]氏神様[うじがみさま]の祭礼[さいれい]には、一帯[いったい]の村々[むらむら]から善男善女[ぜんなんぜんにょ]が集[あつま]りました。♠男[おとこ]が女[おんな]を得[え]て成仏[じょうぶつ]する通[とお]りに、女[おんな]も男[おとこ]を得[え]て成仏[じょうぶつ]する。しかしそれは結婚前[けっこんまえ]の善男善女[ぜんなんぜんにょ]に限[かぎ]られた真理[しんり]である。(夏目[なつめ]漱石[そうせき]「明暗[めいあん]」) **せんにゅう【潜入】** ○ひそかに入[はい]り込[こ]むこと。[文例]<潜入[せんにゅう]する〉世界各国のスパイが潜入[せんにゅう]して、日本[にほん]の情報[じょうほう]や日本[にほん]で得[え]られる他国[たこく]の情報[じょうほう]を集[あつ]めているといいます。 **せんにゅうかん【先入観】** ○前[まえ]もって得[え]られた知識[ちしき]で作[つく]りあげた、自由[じゆう]な思考[しこう]の妨[さまた]げとなる固定観念[こていかんねん]。[文例]〈先入観[せんにゅうかん]にとらわれる〉きみのように先入観[せんにゅうかん]にとらわれていては、正[ただ]しい判断[はんだん]はできないでしょう。♠へ<先入観[せんにゅうかん]をもつ〉わたしたちが、一度[いちど]先入観[せんにゅうかん]をもつと、それから逃[のが]れるのは大変[たいへん]むずかしい。 **せんにん【選任】** ○選[えら]び任[にん]じること。「[文例])〈委員[いいん]の選任[せんにん]>委員[いいん]の選任[せんにん]は、メンバー全員[ぜんいん]の投票[とうひょう]によって行[おこな]われます。♠〈選任[せんにん]する〉会議[かいぎ]は、議長[ぎちょう]を選任[せんにん]しただけで閉会[へいかい]となった。 **せんにん【専任】** ○専[もっぱ]らその任[にん]を担当[たんとう]すること。また、その人[ひと]。[文例]〈専任[せんにん]の講師[こうし]>当進学教室[とうしんがくきょうしつ]では、専任[せんにん]の講師[こうし]が責任[せきにん]をもって指導[しどう]いたします。♠〈専任[せんにん]の委員[いいん]>市[し]は、青少年[せいしょうねん] <596> **ぜんぱい【全廃】** ○全部[ぜんぶ]廃止[はいし]すること。[文例]〈制度[せいど]の全廃[ぜんぱい]>地価[ちか]の暴騰[ぼうとう]がきっかけで、土地[とち]私有[しゆう]制度の全廃を叫[さけ]ぶ声[こえ]まで出[で]ている。♠〈全廃する〉経済[けいざい]の自由化[じゆうか]が進[すす]んで、食糧[しょくりょう]の配給[はいきゅう]制[せい]も全廃された。 **せんぱく【浅薄】** ○考[かんが]えが浅[あさ]くうすっぺらなさま。あさはか。[文例]〈浅薄[せんぱく]な人間[にんげん]〉人前[ひとまえ]に出[だ]すのが恥[は]ずかしいような浅薄な人間を我々[われわれ]の代表[だいひょう]にするわけにはいかない。♠〈浅薄[せんぱく]な知識[ちしき]>きみのように浅薄な知識をふりまわしては、あきれられるだけですよ。 **せんばつ【選抜】** ○選[えら]び抜[ぬ]くこと。[文例] <選抜[せんばつ]に漏[も]れる〉正[せい]選手[せんしゅ]の選抜に漏れたぼくたちは、当日[とうじつ]は応援[おうえん]にまわった。♠〈選抜する〉泳[およ]ぎのうまい生徒[せいと]が何人[なんにん]か選抜され、地区[ちく]の水泳[すいえい]記録[きろく]会[かい]に出場[しゅつじょう]しました。♠〈選抜[せんばつ]チーム〉アジア大会[たいかい]に出場するための選抜チームが結成[けっせい]されました。♠〈選抜[せんばつ]試験[しけん]>選抜試験に合格[ごうかく]した者[もの]だけが、この学校[がっこう]への入学[にゅうがく]を許可[きょか]されます。 **せんぱつ【先発】** ○先[さき]に出発[しゅっぱつ]すること。野球[やきゅう]で投手[とうしゅ]として初回[しょかい]から投[な]げること。また、その投手。[文例]〈先発する〉登山[とざん]ルートの調査[ちょうさ]のため、わたしは先発することになっていた。♠〈先発[せんぱつ]投手[とうしゅ]〉一回戦[いっかいせん]の先発はエースの高野[たかの]、ライトの小川[おがわ]は救援[きゅうえん]があるかもしれないから、そのつもりでいるように。 **せんばん【先般】** ○先[さき]ごろ。この間[あいだ]。[文例]先般[せんばん]お知[し]らせいたしました通[とお]り、今夕[こんせき]七時[しちじ]から役員[やくいん]会[かい]を開催[かいさい]いたしますので御[ご]出席[しゅっせき]ください。 **ぜんはん【前半】** ○前[まえ]の半分[はんぶん]。ぜんぱん。[文例]〈試合[しあい]の前半〉試合の前半は、味方[みかた]が一方的[いっぽうてき]に攻[せ]めまくった。♠〈今月[こんげつ]の前半〉今月の前半は、はっきりしない天候[てんこう]が続[つづ]きました。♠〈前半[ぜんはん]戦[せん]>前半戦はなんとかしのいで、後半[こうはん]に反撃[はんげき]しよう。 **ぜんぱん【全般】** ○全体[ぜんたい]にわたるさま。[文例]〈中学生[ちゅうがくせい]全般〉責任感[せきにんかん]がなく自主的[じしゅてき]に行動[こうどう]しないということは、中学生全般について言[い]えることです。♠〈科学[かがく]全般〉〈全般にわたる〉この研究所[けんきゅうじょ]の研究員[けんきゅういん]には、科学全般にわたる高度[こうど]な知識[ちしき]が要求[ようきゅう]される。♠〈動物[どうぶつ]全般〉おりが狭[せま]いせいか、運動[うんどう]不足[ぶそく]で肥満[ひまん]の傾向[けいこう]が動物園[どうぶつえん]の動物全般に見[み]られる。♠〈全般[ぜんぱん]的[てき]>先[さき]の日[ひ]の競技[きょうぎ]会[かい]は、気温[きおん]が高[たか]く風[かぜ]も強[つよ]かったため、全般的に記録[きろく]は低調[ていちょう]だった。 **ぜんぶ【全部】** ○個々[ここ]のものをとりまとめた全体[ぜんたい]。セットの書物[しょもつ]のすべてそろったもの。[文例]得手[えて]、不得手[ふえて]があるから、全部の科目[かもく]でよい成績[せいせき]をとるのは無理[むり]だよ。♠お母[かあ]さんに言[い]いつかったことが、全部終[お]わってから遊[あそ]びます。♠運[はこ]ぶ荷物[にもつ]はこれで全部ですか。♠〈全部[ぜんぶ]が全部〉一流[いちりゅう]校[こう]だといって、生徒[せいと]の全部が全部優秀[ゆうしゅう]とはかぎりません。 **せんぷう【旋風】** ○つむじ風[かぜ]。突発的[とっぱつてき]に周囲[しゅうい]に大[おお]きな影響[えいきょう]を与[あた]えるようなこと。[文例]〈旋風[せんぷう]が起[お]こる〉山[やま]から木枯[こが]らしが吹[ふ]き下[お]ろすと、村[むら]外[はず]れの辻[つじ]に旋風が起こるのだった。♠〈旋風[せんぷう]を巻[ま]き起[お]こす〉この女優[じょゆう]の登場[とうじょう]は、当時[とうじ]の映画[えいが]界[かい]に旋風を巻き起こした。♠〈一大[いちだい]旋風〉急激[きゅうげき]な円高[えんだか]は、一大旋風となって輸出[ゆしゅつ]業界[ぎょうかい]に吹[ふ]き荒[あ]れていた。 **せんぷく【潜伏】** ○ひそむこと。病気[びょうき]に感染[かんせん]していても症状[しょうじょう]が出[で]ないこと。[文例] <潜伏[せんぷく]する〉犯人[はんにん]は、愛人[あいじん]のアパートに潜伏していたらしい。♠〈潜伏[せんぷく]期間[きかん]>病気によって異[こと]なるが、感染から発病[はつびょう]までに一定[いってい]の潜伏期間があります。 **ぜんぷく【全幅】** ○あるかぎり。ありったけ。[文例]〈全幅[ぜんぷく]の信頼[しんらい]〉人[ひと]はいいが口[くち]の軽[かる]い男[おとこ]なので、全幅の信頼をおくことはできない。♠〈心[こころ]の全幅〉〈全幅を占[し]める〉成功[せいこう]への期待[きたい]がわたしの心の全幅を占めていた。 **せんべい(煎餅)** ○米[こめ]や小麦[こむぎ]の粉[こな]を薄[うす]くのばして焼[や]いた菓子[かし]。[文例]〈せんべいを焼[や]く>店先[みせさき]でおばあさんが一人[ひとり]、せんべいを焼いている。♠〈せんべい布団[ぶとん]〉貧[まず]しかったので、冬[ふゆ]は親子[おやこ]三人[さんにん]せんべい布団にくるまって寝[ね]た。 **せんべつ【選別】** ○より分[わ]けること。[文例]〈種[たね]の選別〉〈選別[せんべつ]をする〉種をまく前[まえ]に、不良[ふりょう]な種が交[ま]じっていないかどうか選別をします。♠〈選別する〉収穫[しゅうかく]したリンゴは、人[ひと]の手[て]によって選別されて箱詰[はこづ]めにされます。 **せんべつ(餞別)** ○遠[とお]くへ行[い]く人[ひと]に別[わか]れを惜[お]しんで金品[きんぴん]を贈[おく]ること。また、その金品。はなむけ。[文例]〈餞別[せんべつ]をおくる〉引[ひ]っ越[こ]していく友達[ともだち]に何[なに]か餞別をおくろうと思[おも]う。♠〈餞 問題を検討[けんとう]する委員会[いいんかい]を設置[せっち]し、専任の委員を任命[にんめい]した。 **せんにん【仙人】** ○山中[さんちゅう]で修行[しゅぎょう]し不老[ふろう]不死[ふし]の術[じゅつ]や神通力[じんつうりき]を身[み]につけ、かすみを食[た]べるといわれる空想[くうそう]上[じょう]の人[ひと]。無欲[むよく]で世間[せけん]離[ばな]れしている人。[文例]この山中には仙人が住[す]み、かすみを食べて生きていると伝[つた]えられていました。♠こんなさみしい場所[ばしょ]にテレビもなしで暮[く]らすなんて、きみはまるで仙人だね。 **ぜんにん【善人】** ○善良[ぜんりょう]な人[ひと]。お人[ひと]よし。[文例]〈根[ね]っから[から]の善人〉あいつは根っからの善人で、人[ひと]を疑[うたが]うということを知らないんだ。♠悪[わる]いことばっかりしているのに、自分[じぶん]を善人だと信[しん]じている始末[しまつ]の悪[わる]いやつもいる。 **せんねん【専念】** ○没頭[ぼっとう]すること。一[ひと]つの事[こと]に心[こころ]を打[う]ち込[こ]むこと。[文例]〈勉学[べんがく]に専念する〉ぼくは、これからしばらくの間[あいだ]、学生[がくせい]の本分[ほんぶん]である勉学に専念するつもりです。♠〈療養[りょうよう]に専念する>兄[あに]は、思[おも]い切[き]って療養に専念するために転地[てんち]した。♠〈家業[かぎょう]に専念する〉父[ちち]が家業に専念したおかげで、店[みせ]はどんどん発展[はってん]していった。♠〈専念に〜する〉過[あやま]ちを悔[く]いた男[おとこ]は、以後[いご]出家[しゅっけ]して専念に精進[しょうじん]を重[かさ]ねた。 **せんのう【洗脳】** ○その人[ひと]の主義[しゅぎ]主張[しゅちょう]を根本[こんぽん]から改造[かいぞう]すること。[文例]〈洗脳[せんのう]する>無理[むり]に引[ひ]っ張[ぱ]っていかれた集会[しゅうかい]だったが、まわりの人[ひと]に洗脳されてすっかり本気[ほんき]で活動[かつどう]するようになった。 **せんばい【専売】** ○独占[どくせん]的[てき]に売[う]ること。その人[ひと]だけがすること。[文例]〈専売[せんばい]特許[とっきょ]〉あの芸[げい]は部長[ぶちょう]の専売特許だから、今度[こんど]の宴会[えんかい]でもきっとやるぞ。♠〈一手[いって]専売〉この地方[ちほう]に産出[さんしゅつ]する生糸[きいと]は、上州[じょうしゅう]屋[や]の一手専売になっていた。 **せんぱい【先輩】** ○年齢[ねんれい]・経験[けいけん]・地位[ちい]などが自分[じぶん]より上[うえ]の人[ひと]。同[おな]じ学校[がっこう]・会社[かいしゃ]などに自分より先[さき]に入[はい]った人。[文例]〈先輩[せんぱい]をたてる〉意見[いけん]の食[く]い違[ちが]いがあったが、先輩をたてることにした。♠ピアノにかけては姉[あね]よりわたしが先輩よ。♠〈先輩[せんぱい]風[ふう]>彼[かれ]はすぐに先輩風を吹[ふ]かすから、けむたがられている。 <597> ぜんよう 別[せんべつ]をもらう〉海外旅行[かいがいりょこう]へ出[で]かけるといって、おじいさんから餞別[せんべつ]をもらってきたわ。 **せんべん(先鞭)** ○他[た]より先[さき]に着手[ちゃくしゅ]すること。[文例]<先鞭[せんべん]をつける〉この地域[ちいき]の開発[かいはつ]に先鞭[せんべん]をつつけたのは、満州[まんしゅう]からの引揚者[ひきあげしゃ]たちです。 **せんぺんいちりつ【千編一律】** (千篇一律[せんぺんいちりつ])○どれもが同[おな]じ調子[ちょうし]で変化[へんか]に乏[とぼ]しいこと。[文例] 生徒[せいと]たちが書[か]いた作文[さくぶん]は千編一律[せんぺんいちりつ]で、独創的[どくそうてき]なものは見[み]あたらなかった。 **せんぺんばんか【千変万化】** ○さまざまに変化[へんか]すること。[文例]〈千変万化[せんぺんばんか]する〉丘[おか]の上[うえ]から、春[はる]の光[ひかり]を受[う]けて千変万化[せんぺんばんか]する入[い]り江[え]の姿[すがた]を眺[なが]めていました。 **せんぼう(羨望)** ○うらやましがること。[文例]〈羨望[せんぼう]の的[まと]〉少女[しょうじょ]の美貌[びぼう]は、周囲[しゅうい]のみんなの羨望[せんぼう]の的[まと]だった。♠へ羨望[せんぼう]のまなざし〉町[まち]から来[き]たという身[み]なりのよい転校生[てんこうせい]に、ぼくたちは羨望[せんぼう]のまなざしを向[む]けた。♠〈羨望[せんぼう]をもつ〉アフリカへ旅立[たびだ]つ青年[せいねん]を、見送[みおく]りに来[き]た仲間[なかま]たちは羨望[せんぼう]をもって送[おく]り出[だ]した。♠く羨望[せんぼう]する〉かおりの自由奔放[じゆうほんぽう]な行動[こうどう]は、友人[ゆうじん]たちの羨望[せんぼう]するところとなっていた。 **せんぽう【先方】** ○進[すす]んで行[い]く方[ほう]。相手[あいて]の人[ひと]。→当方[とうほう][文例]この度[たび]の息子[むすこ]の縁談[えんだん]は、先方[せんぽう]から断[ことわ]ってきた。♠我[わ]が家[や]の事情[じじょう]は、先方[せんぽう]でも承知[しょうち]のうえのことらしい。♠当方[とうほう]の都合[つごう]を先方[せんぽう]に伝[つた]えていただきたい。 **せんぼう(先鋒)** ○部隊[ぶたい]・隊列[たいれつ]の先頭[せんとう]。先頭[せんとう]に立[た]って活躍[かつやく]する人[ひと]。[文例]〈隊列[たいれつ]の先鋒[せんぽう]〉何かあったのか、隊列[たいれつ]の先鋒[せんぽう]が騒[さわ]がしい。♠へ運動[うんどう]の先鋒[せんぽう]>彼[かれ]は、国粋主義運動[こくすいしゅぎうんどう]の先鋒[せんぽう]となっていた。♠〈急先鋒[きゅうせんぽう]>当時[とうじ]の無政府思想[むせいふしそう]の急先鋒[きゅうせんぽう]はバクーニンである。 **せんぼう【戦法】** ○戦闘[せんとう]の方法[ほうほう]。試合[しあい]の戦[たたか]い方[かた]。[文例]〈戦法[せんぽう]をとる〉敵[てき]の背後[はいご]をつく戦法[せんぽう]をとることにした。♠<奇襲戦法[きしゅうせんぽう]〉〈戦法[せんぽう]に出[で]る>装備[そうび]に劣[おと]るわが軍[ぐん]は、奇襲戦法[きしゅうせんぽう]に出[で]た。 **ぜんぼう(全貌)** ○全体[ぜんたい]の様子[ようす]。全容[ぜんよう]。[文例]〈全貌[ぜんぼう]を知[し]る〉新[あたら]しく開発[かいはつ]された兵器[へいき]の全貌[ぜんぼう]は、まだよく知[し]られていない。♠<事件[じけん]の全貌[ぜんぼう]>村人[むらびと]たちが事件[じけん]の全貌[ぜんぼう]を知[し]ったのは、犯行[はんこう]があってから三日目[みっかめ]のことでした。♠〈全貌[ぜんぼう]が明[あき]らかになる〉内部[ないぶ]にテレビカメラが持[も]ち込[こ]まれ、初[はじ]めて収容所[しゅうようじょ]の全貌[ぜんぼう]が明[あき]らかになった。♠〈被害[ひがい]の全貌[ぜんぼう]>地震[じしん]による被害[ひがい]の全貌[ぜんぼう]を示[しめ]す資料[しりょう]がここにあります。 **ぜんぽう【前方】** ○前[まえ]の方[ほう]。→後方[こうほう][文例]〈道[みち]の前方[ぜんぽう]〉切[き]り通[とお]しを抜[ぬ]けると、道[みち]の前方[ぜんぽう]に青々[あおあお]とした水田[すいでん]が開[ひら]けている。 **せんめい【鮮明】** ○鮮[あざ]やかではっきりしているさま。[文例]〈印刷[いんさつ]が鮮明[せんめい]〉この書類[しょるい]は、印刷[いんさつ]が鮮明[せんめい]なので、とても読[よ]みやすい。♠へ鮮明[せんめい]に写[うつ]す〉万里[ばんり]の長城[ちょうじょう]が宇宙中継[うちゅうちゅうけい]によって、テレビ画面[がめん]に鮮明[せんめい]に写[うつ]し出[だ]された。♠〈鮮明[せんめい]に伝[つた]える〉きみの詩[し]は、一[ひと]つ一[ひと]つの印象[いんしょう]を簡潔鮮明[かんけつせんめい]に伝[つた]えて効果的[こうかてき]である。♠<鮮明[せんめい]な色彩[しきさい]>夕暮[ゆうぐ]れの光[ひかり]は、物[もの]の鮮明[せんめい]な色彩[しきさい]を和[やわ]らげ、人[ひと]の心[こころ]を優[やさ]しくする。♠〈鮮明[せんめい]な記憶[きおく]〉あの事故[じこ]のことは、十年[じゅうねん]たった今[いま]でも鮮明[せんめい]な記憶[きおく]となって残[のこ]っている。♠〈旗幟鮮明[きしせんめい]>党[とう]の創立[そうりつ]にあたって、旗幟鮮明[きしせんめい]にその主張[しゅちょう]を掲[かか]げる。 **せんめつ(殲滅)** ○皆殺[みなごろ]しにすること。全滅[ぜんめつ]させること。[文例]〈殲滅[せんめつ]する>革命党[かくめいとう]を名乗[なの]る二[ふた]つの党派[とうは]が、お互[たが]いを殲滅[せんめつ]するまで闘[たたか]うぞと呼号[こごう]していた。 **ぜんめつ【全滅】** ○全部[ぜんぶ]滅[ほろ]びること、また滅[ほろ]ぼすこと。すべてがだめになること。[文例]〈ホタルが全滅[ぜんめつ]する>急激[きゅうげき]な都市化[としか]の影響[えいきょう]で、この小川[おがわ]のホタルはほとんど全滅[ぜんめつ]してしまった。♠へ軍[ぐん]が全滅[ぜんめつ]する>戦争末期[せんそうまっき]、この島[しま]で日本軍[にほんぐん]が全滅[ぜんめつ]したという。♠へ部隊[ぶたい]の全滅[ぜんめつ]>司令官[しれいかん]は部隊[ぶたい]の全滅[ぜんめつ]を恐[おそ]れて、川[かわ]の上流[じょうりゅう]二十[にじっ]キロの所[ところ]に本部[ほんぶ]を移[うつ]しました。♠〈全滅[ぜんめつ]に近[ちか]い被害[ひがい]>昨日[きのう]上陸[じょうりく]した台風[たいふう]は、村[むら]の果樹園[かじゅえん]に全滅[ぜんめつ]に近[ちか]い被害[ひがい]を与[あた]えた。♠友達[ともだち]と合[あ]わせて六十枚[ろくじゅうまい]も買[か]った宝[たから]くじは、残念[ざんねん]ながら全滅[ぜんめつ]だった。 **ぜんめん【全面】** ○すべての面[めん]。すべての方面[ほうめん]。[文例])〈箱[はこ]の全面[ぜんめん]>少年[しょうねん]がポケットから取[と]り出[だ]した箱[はこ]には、全面[ぜんめん]に青[あお]い塗料[とりょう]が塗[ぬ]られていた。♠〈道路[どうろ]の全面[ぜんめん]〉トラックが横転[おうてん]して、積[つ]んでいた卵[たまご]が道路[どうろ]の全面[ぜんめん]に飛[と]び散[ち]った。♠〈新聞[しんぶん]の全面[ぜんめん]>今朝[けさ]の新聞[しんぶん]は、全面[ぜんめん]、オリンピックのニュースで埋[う]まっていた。♠〈全面的[ぜんめんてき]〉逮捕[たいほ]された男[おとこ]は観念[かんねん]したのか、昨夜[ゆうべ]の犯行[はんこう]を全面的[ぜんめんてき]に認[みと]めました。♠〈全面戦争[ぜんめんせんそう]>両国[りょうこく]の関係[かんけい]は悪[わる]くなる一方[いっぽう]で、このままでは全面戦争[ぜんめんせんそう]に突入[とつにゅう]する恐[おそ]れがある。 **せんもん【専門】** ○一[ひと]つの学問[がくもん]・職業[しょくぎょう]などに専念[せんねん]して深[ふか]く研究[けんきゅう]・従事[じゅうじ]すること。また、その学問[がくもん]や職業[しょくぎょう]。一[ひと]つのことだけを専[もっぱ]ら行[おこな]うこと。[文例]〈専門[せんもん]の仕事[しごと]>新聞記者[しんぶんきしゃ]の父[ちち]は、文章[ぶんしょう]を書[か]くことを専門[せんもん]の仕事[しごと]にしていた。♠〈大学[だいがく]の専門[せんもん]〉〈専門[せんもん]にする〉兄[あに]は大学[だいがく]で法律[ほうりつ]を専門[せんもん]にしています。♠≪専門[せんもん]の歌人[かじん]>専門[せんもん]の歌人[かじん]でなくても、感動[かんどう]する心[こころ]をもち、ことばの流れ[ながれ]を大切[たいせつ]にすれば、短歌[たんか]は作[つく]れる。♠<専門[せんもん]の分野[ぶんや]>それぞれ専門[せんもん]の分野[ぶんや]で活躍[かつやく]している人[ひと]たちが集[あつ]まって、資源問題[しげんもんだい]に関[かん]して討議[とうぎ]した。♠〈専門外[せんもんがい]〉コンピューター関係[かんけい]のことは、わたし[わたし]の専門外[せんもんがい]なので、確[たし]かなことはわからない。♠〈専門家[せんもんか]>地震対策[じしんたいさく]をどうしたらよいか、専門家[せんもんか]を呼[よ]んで話[はなし]を聞[き]いた。 **せんゆう【専有】** ○自分一人[じぶんひとり]で所有[しょゆう]すること。個人所有[こじんしょゆう]。→共有[きょうゆう][文例]〈個人[こじん]の専有[せんゆう]〉〈専有[せんゆう]する〉図書室[としょしつ]の本[ほん]は、個人[こじん]の専有[せんゆう]する物[もの]ではありませんから、大切[たいせつ]に扱[あつか]ってください。♠<専有物[せんゆうぶつ]〉〈専有[せんゆう]と共有[きょうゆう]〉この施設[しせつ]は、個人[こじん]の専有物[せんゆうぶつ]であって、住民[じゅうみん]の共有物[きょうゆうぶつ]ではありません。 **せんゆう【占有】** ○攻[せ]め取[と]ったり買[か]ったりして、自分[じぶん]の所有[しょゆう]とすること。全体[ぜんたい]を所有[しょゆう]すること。[文例]〈占有[せんゆう]する〉富[とみ]の大半[たいはん]は少数[しょうすう]の貴族[きぞく]が占有[せんゆう]していて、わずかな残[のこ]りを庶民[しょみん]が分[わ]かち合[あ]っていた。♠〈市場占有率[しじょうせんゆうりつ]〉この商品[しょうひん]については、業界[ぎょうかい]トップのA社[しゃ]の市場占有率[しじょうせんゆうりつ]が八十[はちじゅう]パーセントに達[たっ]し、独占状態[どくせんじょうたい]にあった。 **せんよう【専用】** ○特定[とくてい]の人[ひと]だけが使[つか]うこと(→共用[きょうよう])。決[き]まった時[とき]・目的[もくてき]だけに使[つか]うこと。それだけを使[つか]うこと。[文例]〈個人[こじん]の専用[せんよう]〈専用[せんよう]と共用[きょうよう]〉ふつうは、どの家[いえ]でも風呂[ふろ]は個人[こじん]の専用[せんよう]ではなく、家族[かぞく]の共用[きょうよう]です。♠〈専用[せんよう]する〉この車[くるま]は、長官[ちょうかん]が専用[せんよう]している公用車[こうようしゃ]です。♠〈夜間専用[やかんせんよう]>銀行[ぎんこう]の夜間金庫[やかんきんこ]は夜間専用[やかんせんよう]です。♠〈専用電話[せんようでんわ]〉これは社長[しゃちょう]の専用電話[せんようでんわ]で、秘書[ひしょ]など数名[すうめい]しか番号[ばんごう]を教[おし]えられていません。 **ぜんよう【全容】** ○全体[ぜんたい]の姿[すがた]。全貌[ぜんぼう]。[文例]〈建物[たてもの]の全容[ぜんよう]〉〈全 <598> せんらん 容[よう]を現[あらわ]す>投光器[とうこうき]のライトが当[あ]てられると、やみの中[なか]にその建物[たてもの]が全容[ぜんよう]を現[あらわ]した。♠へ事件[じけん]の全容[ぜんよう]〉その後[ご]の調査[ちょうさ]や新資料[しんしりょう]の発見[はっけん]によって、この事件[じけん]の全容[ぜんよう]を知[し]ることができるようになった。 **せんらん【戦乱】** ○戦争[せんそう]で世[よ]の中[なか]が乱[みだ]れること。戦争[せんそう]。[文例]〈戦乱[せんらん]のちまた〉この争[あらそ]いが引[ひ]き金[がね]となって、京都[きょうと]の町[まち]は戦乱[せんらん]のちまたと化[か]した。♠〈戦乱事変[せんらんじへん]〉歴史上[れきしじょう]の戦乱事変[せんらんじへん]を詳[くわ]しく解説[かいせつ]した本[ほん]を探[さが]しています。 **せんり【千里】** ○非常[ひじょう]に遠[とお]く離[はな]れていること。一里[いちり](「里[り]」は昔[むかし]の距離[きょり]を表[あらわ]す単位[たんい])の千倍[せんばい]。[文例]〈千里[せんり]も一里[いちり]「惚[ほ]れて通[かよ]えば千里[せんり]も一里[いちり]」で、好[す]きな人[ひと]に会[あ]うためならと、その夜[よる]の新幹線[しんかんせん]に乗[の]った。♠〈千里[せんり]の道[みち]も一歩[いっぽ]から〉とりあえずできるところから手[て]をつけよう。「千里[せんり]の道[みち]も一歩[いっぽ]から始[はじ]まる」っていうじゃないか。♠〈千里[せんり]の馬[うま]〉これぞ千里[せんり]の馬[うま]だ、武将[ぶしょう]なら惜[お]しまず金[かね]を積[つ]むであろう名馬[めいば]だ。♠へ悪事千里[あくじせんり]を走[はし]る〉うわさはすでに聞[き]いていますよ。悪事千里[あくじせんり]を走[はし]るで、悪[わる]だくみはすぐ伝[つた]わります。♠〈千里眼[せんりがん]〉もうごぞんじでしたか、いやあ、先生[せんせい]の千里眼[せんりがan]にはおそれいりました。♠一望千里[いちぼうせんり]>眼下[がんか]に一望千里[いちぼうせんり]の大草原[だいそうげん]が広[ひろ]がっていた。 **せんりつ(戦慄)** ○恐怖[きょうふ]で体[からだ]がふるえること。[文例]〈冷[つめ]たい戦慄[せんりつ]〉〈戦慄[せんりつ]が走[はし]る〉扉[とびら]の外[そと]の光景[こうけい]に、わたし[わたし]の体[からだ]を冷[つめ]たい戦慄[せんりつ]が走[はし]ったのを覚[おぼ]えている。♠へ戦慄[せんりつ]する〉テレビの画面[がめん]に写[うつ]る戦場[せんじょう]のありさまは、わたしたちを戦慄[せんりつ]させた。 **せんりつ【旋律】** ○メロディー。ふし。[文例]〈たえなる旋律[せんりつ]〉いつも通[とお]るお屋敷[やしき]から、今夜[こんや]もピアノのたえなる旋律[せんりつ]が流[なが]れてきた。♠しかもその人波[ひとなみ]は(・・・・・・)花々[はなばな]しい独逸[ドイツ]管弦楽[かんげんがく]の旋律[せんりつ]に煽[あお]られて、暫[しばら]くも目[め]まぐるしい動揺[どうよう]を止[や]めなかった。(芥川[あくたがわ]龍之介[りゅうのすけ]「舞踏会[ぶとうかい]」) **せんりゃく【戦略】** ○戦争[せんそう]・闘争[とうそう]・競争[きょうそう]や政治運動[せいじうんどう]などを行[おこな]う上[うえ]での全体的[ぜんたいてき]、長期的[ちょうきてき]な計画[けいかく]。♪戦術[せんじゅつ][文例]〈戦略[せんりゃく]を練[ね]る〉天下取[てんかと]りを目[め]ざして全国[ぜんこく]の有力[ゆうりょく]な武将[ぶしょう]が戦略[せんりゃく]を練[ね]っていた。♠〈戦略[せんりゃく]を立[た]てる〉一流[いちりゅう]といわれる企業[きぎょう]ならどこでも、企業戦争[きぎょうせんそう]を勝[か]ち抜[ぬ]くための戦略[せんりゃく]を立[た]てているでしょう。♠〈戦略[せんりゃく]と戦術[せんじゅつ]>競争[きょうそう]に勝[か]つために大方針[だいほうしん]を立[た]てて戦略[せんりゃく]としよう。次[つぎ]に個々[ここ]の状況[じょうきょう]に応[おう]じた戦術[せんじゅつ]を決[き]めよう。 **せんりゅう【川柳】** ○五・七・五[ごしちご]からなる短詩[たんし]で、世相[せそう]を風刺[ふうし]し、こっけいに表現[ひょうげん]したもの。[文例] 〈川柳[せんりゅう]を作[つく]る〉父[ちち]は、現代[げんだい]の世相[せそう]を皮肉[ひにく]ったつもりの川柳[せんりゅう]を作[つく]っては一人[ひとり]悦[えつ]に入[い]っている。♠ヘ川柳[せんりゅう]に詠[よ]む〉女性[じょせい]のおしゃべりをおもしろおかしく川柳[せんりゅう]に詠[よ]んでみた。♠〈川柳[せんりゅう]を味[あじ]わう〉一句[いっく]一句[いっく]川柳[せんりゅう]を味[あじ]わうと、おもしろさがよくわかります。 **せんりょ【千慮】** ○さまざまに深[ふか]く考[かんが]えること。[文例]〈千慮[せんりょ]の一失[いっしつ]〉ホー、きみのように慎重[しんちょう]で細心[さいしん]な人[ひと]がぬかったか、まさに千慮[せんりょ]の一失[いっしつ]だね。 **せんりょう【占領】** ○ある場所[ばしょ]を自分[じぶん]のものにすること。武力[ぶりょく]で他国[たこく]の領土[りょうど]を支配下[しはいか]におくこと。[文例]〈占領[せんりょう]する〉スイスは、十八世紀[じゅうはちせいき]の終[お]わりにナポレオン軍[ぐん]に占領[せんりょう]され、全土[ぜんど]がフランスの保護国[ほごこく]となった。♠へ部屋[へや]を占領[せんりょう]する〉すごいなあ、きみはこんなに広[ひろ]い部屋[へや]を一人[ひとり]で占領[せんりょう]しているのかい。♠へ座席[ざせき]を占領[せんりょう]する〉わたしは急[きゅう]に気分[きぶん]が悪[わる]くなり、座席[ざせき]を二人分[ふたりぶん]占領[せんりょう]して、ぐったり横[よこ]になった。♠〈占領下[せんりょうか]〉父[ちち]は占領下[せんりょうか]の日本[にほん]で青年期[せいねんき]をおくった。 **ぜんりょう【善良】** ○まじめで正[ただ]しいさま。[文例]〈善良[ぜんりょう]な人々[ひとびと]>町[まち]の善良[ぜんりょう]な人々[ひとびと]から大金[たいきん]をだまし取[と]った男[おとこ]が捕[つか]まった。♠<善良[ぜんりょう]な市民[しみん]〉近[ちか]ごろは、善良[ぜんりょう]な市民[しみん]が腰[こし]を抜[ぬ]かすような事件[じけん]が多[おお]い。♠若者[わかもの]は、働[はたら]き者[もの]で曲[ま]がったことがきらいで、それはそれはあきれるぐらい善良[ぜんりょう]であった。 **せんりょく【戦力】** ○戦争[せんそう]を行[おこな]う力[ちから]。競争[きょうそう]する力[ちから]や物事[ものごと]を行[おこな]う力[ちから]。また、そのにない手[て]。[文例]前項[ぜんこう]の目的[もくてき]を達[たっ]するため、陸海空軍[りくかいくうぐん]その他[た]の戦力[せんりょく]は、これを保持[ほじ]しない。国[くに]の交戦権[こうせんけん]は、これを認[みと]めない。(日本国憲法第九条[にほんこくけんぽうだいきゅうじょう]) ♠〈戦力[せんりょく]の増強[ぞうきょう]〉国境[こっきょう]に兵[へい]を投入[とうにゅう]し、戦力[せんりょく]の増強[ぞうきょう]をはかる。♠〈戦力[せんりょく]アップ>三割[さんわり]バッターが入[はい]ったのだから、このトレードは戦力[せんりょく]アップに効果[こうか]があった。 **ぜんりょく【全力】** ○すべての力[ちから]。ありったけの力[ちから]。[文例]〈全力[ぜんりょく]を尽[つ]くす〉どんなスポーツでも、全力[ぜんりょく]を尽[つ]くす選手[せんしゅ]たちの姿[すがた]は、見[み]る人[ひと]の胸[むね]を熱[あつ]くする。♠〈全力[ぜんりょく]を傾[かたむ]ける〉博士[はかせ]を初[はじ]めとした研究[けんきゅう]グループは、病原菌[びょうげんきん]の正体[しょうたい]の解明[かいめい]に全力[ぜんりょく]を傾[かたむ]けています。♠〈全力[ぜんりょく]を出[だ]す〉最後[さいご]まであきらめずに全力[ぜんりょく]を出[だ]すのがスポーツマンシップです。♠〈全力[ぜんりょく]をあげる〉警察[けいさつ]は目撃者[もくげきしゃ]の証言[しょうげん]をもとに犯人[はんにん]の割[わ]り出[だ]しに全力[ぜんりょく]をあげている。♠へ全力[ぜんりょく]を注[そそ]ぐ〉期限[きげん]はあと一週間[いっしゅうかん]、全力[ぜんりょく]を注[そそ]がないとこの仕事[しごと]は終[お]わりません。♠へ全力[ぜんりょく]を集中[しゅうちゅう]する〉三人[さんにん]が全力[ぜんりょく]を集中[しゅうちゅう]しても、道路[どうろ]に横[よこ]たわる杉[すぎ]の木[き]はびくともしなかった。♠へ全力[ぜんりょく]で走[はし]る〉ぼくが全力[ぜんりょく]で走[はし]っても、駅[えき]まではどうしたって五分以上[ごふんいじょう]かかります。♠へ全力投球[ぜんりょくとうきゅう]>経験[けいけん]の少[すく]ないわたしに、こんな大役[たいやく]がつとまるかどうかわかりませんが、全力投球[ぜんりょくとうきゅう]でがんばります。 **せんれい【先例】** ○以前[いぜん]からのしきたり。今後[こんご]の基準[きじゅん]になる例[れい]。[文例]】〈先例[せんれい]に従[したが]う〉格式[かくしき]のある旧家[きゅうか]であるから、行事[ぎょうじ]はすべて先例[せんれい]に従[したが]ってとり行[おこな]われた。♠<先例[せんれい]に照[て]らす〉今『回[かい]の処置[しょち]も、先例[せんれい]に照[て]らして行[おこな]われた。♠先例[せんれい]をひらく〉きみのこの業績[ぎょうせき]は、後[あと]に続[つづ]く者[もの]たちに先例[せんれい]をひらく役目[やくめ]を果[は]たしたといえる。♠〈先例[せんれい]を破[やぶ]る〉閉鎖的[へいさてき]な組織[そしき]の中[なか]にあっては、先例[せんれい]を破[やぶ]るのは大問題[だいもんだい]である。 **せんれい【洗礼】** ○キリスト教[きょう]の信者[しんじゃ]となる儀式[ぎしき]。ある思想[しそう]の全面的[ぜんめんてき]な影響[えいきょう]を受[う]けること。つらい体験[たいけん]。[文例]<洗礼[せんれい]を受[う]ける〉そのころ、イエスはガリラヤのナザレから来[き]て、ヨルダン川[がわ]でヨハネから洗礼[せんれい]を受[う]けられた。(マルコによる福音書[ふくいんしょ])♠ヘマルキシズムの洗礼[せんれい]〉当時[とうじ]、マルキシズムの洗礼[せんれい]を受[う]けた若者[わかもの]たちは、次々[つぎつぎ]に非合法[ひごうほう]に身[み]をそめていった。♠〈びんたの洗礼[せんれい]>収容所[しゅうようじょ]に入[い]れられたわたしは、早速[さっそく]警備兵[けいびへい]のびんたの洗礼[せんれい]を受[う]けた。 **ぜんれい【前例】** ○これまでに行[おこな]われた例[れい]。先例[せんれい]。[文例]】<前例[ぜんれい]がない〉今回[こんかい]の問題[もんだい]は、前例[ぜんれい]がないことなので、処理[しょり]に苦慮[くりょ]しています。♠〈前例[ぜんれい]を見[み]ない〉わたしも仕事[しごと]がらさまざま[さまざまな]な苦情[くじょう]を扱[あつか]ってきたが、こういった苦情[くじょう]はまれで前例[ぜんれい]を見[み]ない。 **せんれつ【鮮烈】** ○鮮[あざ]やかで強烈[きょうれつ]なさま。[文例]〈鮮烈[せんれつ]な印 <599> ぞう 象[しょう]>若者[わかもの]たちは、われわれに鮮烈[せんれつ]な印象[いんしょう]を残[のこ]して立[た]ち去[さ]った。♠<鮮烈[せんれつ]な色彩[しきさい]〉この時代[じだい]の着物[きもの]や陶器[とうき]などの鮮烈[せんれつ]な色彩[しきさい]には圧倒[あっとう]される。♠鮮烈[せんれつ]なデビュー>久々[ひさびさ]の大型新人[おおがたしんじん]ということで、彼女[かのじょ]のデビューは鮮烈[せんれつ]だった。♠へ鮮烈[せんれつ]に覚[おぼ]えている>当時[とうじ]中学二年生[ちゅうがくにねんせい]だったわたしは、終戦[しゅうせん]の日[ひ]のことを、今[いま]でも鮮烈[せんれつ]に覚[おぼ]えている。 **せんれつ【戦列】** ○戦争[せんそう]に参加[さんか]する隊列[たいれつ]。闘争[とうそう]のために組[く]まれた組織[そしき]。[文例]〈戦列[せんれつ]に加[くわ]わる〉有望[ゆうぼう]な新人[しんじん]が戦列[せんれつ]に加[くわ]わったので、今年[ことし]のチームは強[つよ]いぞ。♠へ戦列[せんれつ]に復帰[ふっき]する>休暇[きゅうか]で隊[たい]を離[はな]れていた軍曹[ぐんそう]がまもなく戦列[せんれつ]に復帰[ふっき]する。♠〈戦列[せんれつ]を乱[みだ]す〉一度[いちど]採択[さいたく]された闘争方針[とうそうほうしん]に不満[ふまん]をとなえて、組合[くみあい]の戦列[せんれつ]を乱[みだ]す者[もの]が現[あらわ]れた。 **せんれん【洗練】** ○みがきのかかった、あかぬけたものにすること。上品[じょうひん]で高尚[こうしょう]なものにすること。[文例]〈洗練[せんれん]された文体[ぶんたい]〉この作家[さっか]の洗練[せんれん]された文体[ぶんたい]には、いつも感心[かんしん]させられる。♠く洗練[せんれん]された表現[ひょうげん]〉俳句[はいく]は、わずか十七音[じゅうしちおん]のうちに、簡潔[かんけつ]でしかも洗練[せんれん]された表現[ひょうげん]を用[もち]いることを要求[ようきゅう]される。♠〈洗練[せんれん]された着[き]こなし〉さすがパリだ。どことなく洗練[せんれん]された着[き]こなしが目[め]につく。♠く洗練[せんれん]された感覚[かんかく]〉彼[かれ]の部屋[へや]のインテリアは、彼[かれ]の洗練[せんれん]された感覚[かんかく]で統一[とういつ]されている。 **せんろ【線路】** ○電車[でんしゃ]・汽車[きしゃ]などが通[とお]る軌道[きどう]。レール。[文例]〈線路[せんろ]が走[はし]る〉この交差点[こうさてん]で南北[なんぼく]に走[はし]る線路[せんろ]が交差[こうさ]し、路面電車[ろめんでんしゃ]が客[きゃく]を乗[の]せて通[とお]り過[す]ぎる。♠〈線路[せんろ]が伸[の]びる〉大草原[だいそうげん]の果[は]てまで線路[せんろ]が伸[の]びている。♠〈線路[せんろ]を敷[し]く〉近[ちか]くの貨物駅[かもつえき]から港[みなと]まで線路[せんろ]が敷[し]かれていた。♠煽[あお]るように車台[しゃだい]が動[うご]いたり、土工[どこう]の袢天[はんてん]がひらついたり、細[ほそ]い線路[せんろ]がしなったりー(………………)(芥川[あくたがわ]龍之介[りゅうのすけ]「トロッコ」) **そ【祖】** ○先祖[せんぞ]。元祖[がんそ]。始祖[しそ]。創始者[そうししゃ]。物事[ものごと]のはじめ。「[文例]<医学[いがく]の祖[そ]>江戸末期[えどまっき]に「解体新書[かいたいしんしょ]」を著[あらわ]した杉田玄白[すぎたげんぱく]は、日本近代医学[にほんきんだいいがく]の祖[そ]と言[い]えます。♠〈音楽[おんがく]の祖[そ]〉バッハはバロック音楽[おんがく]の頂点[ちょうてん]に立[た]ち、近代音楽[きんだいおんがく]の祖[そ]となった。♠へ物語[ものがたり]の祖[そ]〉日本[にほん]の物語[ものがたり]の祖[そ]は、かぐや姫[ひめ]を主人公[しゅじんこう]とした竹取物語[たけとりものがたり]です。 **そあく【粗悪】** ○粗末[そまつ]で質[しつ]が悪[わる]いさま。[文例]〈粗悪[そあく]な品[しな]>粗悪[そあく]な品[しな]を売[う]りさばいたことで、店[みせ]はすっかり信用[しんよう]を失[うしな]ってしまった。♠〈粗悪品[そあくひん]〉一流[いちりゅう]メーカーの電気製品[でんきせいひん]とそっくりな粗悪品[そあくひん]が大量[たいりょう]に出[で]まわっているらしい。 **そう【層】** ○平面的[へいめんてき]なものが重[かさ]なって厚[あつ]みをもった状態[じょうたい]。また、その重[かさ]なりのそれぞれ。階層[かいそう]。地層[ちそう]。[文例]〈砂[すな]・泥[どろ]の層[そう]〉〈層[そう]が重[かさ]なる〉湖[みずうみ]の底[そこ]には、砂[すな]の層[そう]や泥[どろ]の層[そう]が重[かさ]なり合[あ]っていた。♠〈大気[たいき]の層[そう]〉この星[ほし]は、薄[うす]い大気[たいき]の層[そう]にとりまかれているらしい。♠〈層[そう]を成[な]す〉畑[はたけ]から掘[ほ]り出[だ]されたごぼうが、物置[ものおき]の前[まえ]の庭[にわ]にいくえにも層[そう]を成[な]して積[つ]み上[あ]げられた。♠〈層[そう]が厚[あつ]い〉〈選手[せんしゅ]の層[そう]〉ぼくたちのチームは選手[せんしゅ]の層[そう]が厚[あつ]いので、一人[ひとり]や二人[ふたり]の故障者[こしょうしゃ]が出[で]てもビクともしない。♠〈三層[さんそう]の塔[とう]>寺[てら]の境内[けいだい]には三層[さんそう]の塔[とう]がそびえ立[た]っていた。♠〈年齢層[ねんれいそう]>彼女[かのじょ]の歌[うた]は、幅広[はばひろ]い年齢層[ねんれいそう]に支持[しじ]されている。 **そう【相】** ○顔[かお]つき。様相[ようそう]。将来[しょうらい]の運勢[うんせい]のあらわれている人相[にんそう]・手相[てそう]・家相[かそう]など。[文例]〈大慈大悲[だいじだいひ]の相[そう]〉千手観音[せんじゅかんのん]は六組音[ろくくみおん]の一[ひと]つで、千本[せんぼん]の手[て]を持[も]ちそれぞれの手[て]に目[め]があり、大慈大悲[だいじだいひ]の相[そう]を表[あらわ]している。♠〈長者[ちょうじゃ]の相[そう]〉主人[しゅじん]は、見[み]るからに穏[おだ]やかな、物腰[ものごし]の柔[やわ]らかい人[ひと]で、長者[ちょうじゃ]の相[そう]を備[そな]えていた。♠〈顔[かお]の相[そう]>男[おとこ]の苦労[くろう]は大変[たいへん]なもので、すっかり顔[かお]の相[そう]が変[か]わってしまうほどだった。♠〈火難[かなん]の相[そう]〉易者[えきしゃ]に見[み]せると、 難[かなん]の相[そう]〉易者[えきしゃ]に見[み]せると、火[ひ] 難[なん]の相[そう]がある、火[ひ]に気[き]をつけなさい、と言[い]われた。 **そう【僧】** ○僧侶[そうりょ]。法師[ほうし]。坊主[ぼうず]。[文例]とんち話[ばなし]で知[し]られる」休[いっきゅう]さんは、室町時代[むろまちじだい]の臨済宗[りんざいしゅう]の僧[そう]です。♠年老[としお]いた僧[そう]が念仏[ねんぶつ]を唱[とな]え始[はじ]めると、信者[しんじゃ]たちもこれに続[つづ]きました。♠ある僧[そう]の月[つき]を待[ま]たずに帰[かえ]りけり(正岡[まさおか]子規[しき]) **そ・う【沿う・添う】** ○線状[せんじょう]・帯状[おびじょう]のものから離[はな]れないように行[い]く。並行[へいこう]して続[つづ]く。つき従[したが]う。夫婦[ふうふ]になる。期待[きたい]・目的[もくてき]・きまりなどに合[あ]う。[文例]〈流[なが]れに沿[そ]う〉彼[かれ]の家[いえ]は、大川[おおかわ]の流れ[ながれ]に沿[そ]った道筋[みちすじ]にあった。♠ヘ川[かわ]に沿[そ]う〉モスクワは、ボルガ川[がわ]の分流[ぶんりゅう]に沿[そ]う古[ふる]い都[みやこ]である。♠〈森[もり]に沿[そ]う旅人[たびびと]は、森[もり]一に沿[そ]って続[つづ]く小道[こみち]を元気[げんき]よく歩[ある]いていった。♠◇海岸線[かいがんせん]に沿[そ]う〉丘[おか]から見下[みお]ろすと、湾曲[わんきょく]した海岸線[かいがんせん]に沿[そ]って、小[ちい]さな市街[しがい]が広[ひろ]がっていた。♠<道[みち]に沿[そ]う〉この道[みち]に沿[そ]って行[い]けば、いつかはたどり着[つ]けるだろうと、どんどん歩[ある]いた。♠〈通[とお]りに沿[そ]う〉駅前[えきまえ]から門前[もんぜん]までは、通[とお]りに沿[そ]って両側[りょうがわ]に商店[しょうてん]が立[た]ち並[なら]んでいる。♠ヘルートに沿[そ]う〉正[ただ]しいルートに沿[そ]って登[のぼ]れば、冬山[ふゆやま]でもない限[かぎ]り遭難[そうなん]することはめったにありません。♠文脈[ぶんみゃく]に沿[そ]う〉作者[さくしゃ]がここで何[なに]を言[い]いたかったのか、文脈[ぶんみゃく]に沿[そ]って考[かんが]えてみよう。♠◇国策[こくさく]に沿[そ]う〉戦争[せんそう]が激[はげ]しくなるにつれ、新聞[しんぶん]に対[たい]する統制[とうせい]は厳[きび]しくなり、国策[こくさく]に沿[そ]った記事[きじ]しか発表[はっぴょう]できなくなった。♠へ〜の線[せん]に沿[そ]う〉産業界[さんぎょうかい]をはじめ、社会全体[しゃかいぜんたい]が近代化[きんだいか]の線[せん]に沿[そ]って動[うご]き出[だ]していた。♠<陰[かげ]が添[そ]う〉光[ひかり]には必[かなら]ず陰[かげ]が添[そ]うように、物事[ものごと]には明[あか]るい部分[ぶぶん]と、暗[くら]い陰[かげ]の部分[ぶぶん]があります。♠へ人[ひと]に添[そ]う「人[ひと]には添[そ]うてみよ、馬[うま]には乗[の]ってみよ」とは、何事[なにごと]も遠[とお]くから眺[なが]めただけでは良[よ]さはわからないというたとえです。♠<希望[きぼう]に添[そ]う〉料金[りょうきん]の面[めん]については、できるだけご希望[きぼう]に添[そ]うよう努力[どりょく]いたします。♠〈期待[きたい]に添[そ]う〉わたしを応援[おうえん]してくださった皆様方[みなさまがた]の期待[きたい]に添[そ]うためにも、力[ちから]いっぱいがんばります。♠へ連[つ]れ添[そ]う>長年[ながねん]連[つ]れ添[そ]った女房[にょうぼう]に死[し]なれて、心[こころ]に大[おお]きな穴[あな]が空[あ]いたように寂[さび]しい。♠へ寄[よ]り添[そ]う〉公園[こうえん]のあちこちには、仲良[なかよ]く寄[よ]り添[そ]う恋人[こいびと]たちの姿[すがた]が見[み]られた。 **ぞう【象】** ○陸上最大[りくじょうさいだい]の哺乳動物[ほにゅうどうぶつ]。長[なが]い鼻[はな]と一対[いっつい]の尻[しり]が特徴[とくちょう]。[文例] 長[なが]い鼻[はな]をもつ象[ぞう]は、陸上[りくじょう]で最[もっと]も大[おお]きな動物[どうぶつ]です。♠象[ぞう]の背中[せなか]に乗[の]って、サーカスの少年[しょうねん]はいろいろな芸[げい]をして見[み]せました。♠群盲[ぐんもう]の象[ぞう]をなでるよう、とことわざにもあるが、ものごとの全体[ぜんたい]をとらえるのは、なかなか難[むずか]しいことなのです。 **ぞう【像】** ○神仏[しんぶつ]・人[ひと]・動物[どうぶつ]などの姿[すがた]かたちをまねて作[つく]った彫刻[ちょうこく]や絵[え]。光[ひかり]が反射[はんしゃ]・屈折[くっせつ]して描[えが]き出[だ]した形[かたち]。[文例]〈キリストの像[ぞう]>祭壇[さいだん]の奥[おく]には、十字架[じゅうじか]にかけられたキリストの像[ぞう]がありました。♠へ観音様[かんのんさま]の像[ぞう]〉お寺[てら]の本堂[ほんどう]の壁[かべ]には観音様[かんのんさま]の <600> そうあん 像[ぞう]が描[えが]かれていた。♠〈像[ぞう]が映[うつ]る〉鏡[かがみ]がうっすらくもっていて、映[うつ]った像[ぞう]がぼやけて見[み]えます。♠〈像[ぞう]を結[むす]ぶ〉レンズを通[とお]して結[むす]ぶ像[ぞう]は、距離[きょり]によって大[おお]きくなったり逆[さか]さになったりする。 **そうあん【創案】** ○新[あら]しく考[かんが]え出[だ]すこと。また、その考[かんが]え。[文例]この連続[れんぞく]ドラマの今夜[こんや]の放映分[ほうえいぶん]の筋[すじ]は、主演女優[しゅえんじょゆう]の創案[そうあん]によるものだそうです。♠〈創案[そうあん]する〉日本独特[にほんどくとく]の文字[もじ]である平仮名[ひらがな]や片仮名[かたかな]が創案[そうあん]されたのは平安時代[へいあんじだい]のことです。 **そうあん【草案】** ○文章[ぶんしょう]の最初[さいしょ]の下書[したが]き。規約[きやく]・法律[ほうりつ]などの原案[げんあん]の下書[したが]き。[文例] <規約[きやく]の草案[そうあん]〉〈草案[そうあん]がまとまる〉やっと新[あたら]しい規約[きやく]の草案[そうあん]がまとまり、すぐに委員会[いいんかい]に提出[ていしゅつ]された。♠〈草案[そうあん]を練[ね]る〉この地区[ちく]で商店会[しょうてんかい]を作[つく]ることになり、発起人[ほっきにん]たちが会則[かいそく]の草案[そうあん]を練[ね]っています。♠〈草案[そうあん]を作[つく]る>憲法[けんぽう]の制定[せいてい]を前[まえ]に新政府[しんせいふ]は草案[そうあん]を作[つく]り上[あ]げた。 **そうい【相違】** ○異[こと]なっていること。違[ちが]いや差[さ]があること。また、その違[ちが]い。[文例] 〈学力[がくりょく]の相違[そうい]>学力[がくりょく]の相違[そうい]に応[おう]じてクラスを編成[へんせい]するというやり方[かた]には、賛否両論[さんぴりょうろん]あった。♠へ大[おお]きな相違[そうい]>見[み]た目[め]ではわからないが、その二[ふた]つの物質[ぶっしつ]には、大[おお]きな相違[そうい]がある。♠へ意見[いけん]の相違[そうい]〉その件[けん]に関[かん]して、彼[かれ]とぼくには意見[いけん]の相違[そうい]があった。♠〈考[かんが]え方[かた]の相違[そうい]〉〈相違[そうい]が生[しょう]じる>母[はは]との間[あいだ]に考[かんが]え方[かた]の相違[そうい]が生[しょう]じたのはいったいなぜなのだろうか。♠〈事実[じじつ]と相違[そうい]する〉事件[じけん]に関[かん]する新聞[しんぶん]や雑誌[ざっし]の記事[きじ]には、事実[じじつ]と相違[そうい]しているところがいくつかあった。♠へ案[あん]に相違[そうい]する〉彼[かれ]のことだからきっと遅[おく]れてくるだろうと思[おも]ったのに、案[あん]に相違[そうい]して、先[さき]に来[き]て待[ま]っていた。♠〈相違[そうい]ない>彼[かれ]ならこの仕事[しごと]を成功[せいこう]させるに相違[そうい]ない。 **そうい【創意】** ○新[あたら]しい思[おも]いつき。独創的[どくそうてき]な考[かんが]え。[文例]〈創意[そうい]をこらす>若手[わかて]デザイナーの作品[さくひん]には、大胆[だいたん]で新鮮[しんせん]な創意[そうい]がこらされていた。♠〈創意[そうい]に富[と]む>子供[こども]たちの作品[さくひん]は、一[ひと]つ一[ひと]つ創意[そうい]に富[と]んだ楽[たの]しいものばかりでした。♠創意工夫[そういくふう]〉創意工夫[そういくふう]して作[つく]り上[あ]げた年賀状[ねんがじょう]は相手[あいて]に喜[よろこ]ばれます。 **そうい【総意】** ○全員[ぜんいん]の意見[いけん]・意思[いし]。[文例]】〈クラスの総意[そうい]〉クラスの総意[そうい]で決[き]まったのだから、従[したが]うのが当然[とうぜん]だ。♠<国民[こくみん]の総意[そうい]〉〈総意[そうい]に基[もと]づく〉天皇[てんのう]は、日本国[にっぽんこく]の象徴[しょうちょう]であり日本国民統合[にほんこくみんとうごう]の象徴[しょうちょう]であって、この地位[ちい]は、主権[しゅけん]の存[そん]する日本国民[にほんこくみん]の総意[そうい]に基[もと]く。(日本国憲法第一条[にほんこくけんぽうだいいちじょう]) **そうい(創痍)** ○刃物[はもの]による傷[きず]。痛手[いたで]。手[て]ひどい損害[そんがい]。[文例]〈満身創痍[まんしんそうい]>動物[どうぶつ]たちは、自分[じぶん]のなわばりを守[まも]るために満身創痍[まんしんそうい]になって戦[たたか]います。 **ぞうえい【造営】** ○寺院[じいん]・宮殿[きゅうでん]などを造[つく]ること。[文例]〈神社[じんじゃ]の造営[ぞうえい]〉大工[だいく]の中[なか]でも、特[とく]に寺[てら]や神社[じんじゃ]の造営[ぞうえい]にあたる職人[しょくにん]のことを宮大工[みやだいく]という。♠〈造営[ぞうえい]する〉唐[とう]の長安[ちょうあん]にならって平城京[へいじょうきょう]が造営[ぞうえい]されたのは七一〇年[なないちまるねん]のことです。 **ぞうお【憎悪】** ○憎[にく]み嫌[きら]うこと。憎[にく]しみ。「[文例]〈憎悪[ぞうお]を感[かん]じる>深夜[しんや]オートバイで暴走[ぼうそう]する若者[わかもの]たちに、憎悪[ぞうお]を感[かん]じる住民[じゅうみん]が多[おお]い。♠へ憎悪[ぞうお]の感情[かんじょう]〉ごうまんな上司[じょうし]に対[たい]する憎悪[ぞうお]の感情[かんじょう]を抑[おさ]えて、わたしは仕事[しごと]を続[つづ]けました。♠へ憎悪[ぞうお]に満[み]ちた表情[ひょうじょう]〉被害者[ひがいしゃ]の憎悪[ぞうお]に満[み]ちた表情[ひょうじょう]がテレビの画面[がめん]に映[うつ]し出[だ]された。♠へ憎悪[ぞうお]する>卑劣[ひれつ]な男[おとこ]を憎悪[ぞうお]しながらも、心[こころ]のどこかで男[おとこ]にひかれている自分[じぶん]を感[かん]じていた。 **そうおう【相応】** ○ふさわしいこと。つりあっていること。応分[おうぶん]であること。[文例]〈相応[そうおう]の努力[どりょく]〉力[ちから]は足[た]りませんが、この社会[しゃかい]の一員[いちいん]として相応[そうおう]の努力[どりょく]をしたいと思[おも]います。♠〈相応[そうおう]する〉働[はたら]きに相応[そうおう]した報酬[ほうしゅう]が得[え]られなくて、不満[ふまん]をもっている人[ひと]も多[おお]いでしょう。♠へそれ相応[そうおう]>子供[こども]でも家族[かぞく]の一員[いちいん]ですから、それ相応[そうおう]に役割[やくわり]を果[は]たします。♠〈年相応[としそうおう]〉年相応[としそうおう]のかっこうをしろと、いつもおじいさんにおこられるのよ。♠〈身分相応[みぶんそうおう]〉ぜいたくは望[のぞ]みません。身分相応[みぶんそうおう]の暮[く]らしができればいいと思[おも]っています。・ **そうおん【騒音】** ○騒[さわ]がしい音[おと]。[文例]〈都会[とかい]の騒音[そうおん]><騒音[そうおん]を逃[のが]れる〉都会[とかい]の騒音[そうおん]を逃[のが]れて、ぼくたちは高原[こうげん]の夏[なつ]を満喫[まんきつ]しました。♠へ騒音[そうおん]を防[ふせ]ぐ〉高速道路[こうそくどうろ]の両側[りょうがわ]に走行車[そうこうしゃ]の騒音[そうおん]を防[ふせ]ぐ壁[かべ]が作[つく]られた。♠へ騒音[そうおん]がひどい>隣[となり]の工場[こうじょう]からの騒音[そうおん]がひどく、とても勉強[べんきょう]にならない。 **ぞうか【増加】** ○数量[すうりょう]・程度[ていど]などが殖[ふ]えること。また、殖[ふ]やすこと。→減少[げんしょう][文例]) 〈増加[ぞうか]が著[いちじる]しい〉近年[きんねん]はアメリカ西海岸[にしかいがん]への旅行者[りょこうしゃ]の増加[ぞうか]が著[いちじる]しい。♠〈人口[じんこう]の増加[ぞうか]〉公共施設[こうきょうしせつ]の建設[けんせつ]は、爆発的[ばくはつてき]な人口[じんこう]の増加[ぞうか]にとても追[お]いつかなかった。♠〈増加[ぞうか]の傾向[けいこう]>交通事故[こうつうじこ]は、ますます増加[ぞうか]の傾向[けいこう]にあるそうです。♠へ増加[ぞうか]の一途[いっと]をたどる〉世界[せかい]の人口[じんこう]は増加[ぞうか]の一途[いっと]をたどり、二十一世紀[にじゅういっせいき]には、地球[ちきゅう]は食糧危機[しょくりょうきき]にみまわれる心配[しんぱい]がある。♠へ危険[きけん]が増加[ぞうか]する>水源[すいげん]における森林[しんりん]の伐採[ばっさい]で、流域[りゅういき]では洪水[こうずい]の危険性[きけんせい]が増加[ぞうか]していた。♠人人員[じんいん]を増加[ぞうか]する〉大統領[だいとうりょう]の来日[らいにち]を明日[あす]に控[ひか]え、警視庁[けいしちょう]は人員[じんいん]を増加[ぞうか]して空港[くうこう]の警備[けいび]にあたっています。 **ぞうか【造化】** ○天地万物[てんちばんぶつ]を造[つく]った神[かみ]。造物主[ぞうぶつしゅ]。また、天地万物[てんちばんぶつ]。宇宙[うちゅう]。自然[しぜん]。([文例]〈造化[ぞうか]の神[かみ]〉造化[ぞうか]の神[かみ]があったとして、どんな意図[いと]で天地万物[てんちばんぶつ]を創造[そうぞう]したのであろう。 たのであろう。♠人造化[ぞうか]の妙[みょう]>庭[にわ]の石[いし]にうがたれた穴[あな]にも造化[ぞうか]の妙[みょう]は感[かん]じられるものです。 **そうかい(爽快)** ○さわやかで快[こころよ]いさま。『[文例]】〈爽快[そうかい]な気分[きぶん]〉ぐっすり眠[ねむ]って、すっきり目覚[めざ]めた朝[あさ]は、爽快[そうかい]な気分[きぶん]になる。♠<気分爽快[きぶんそうかい]走[はし]って汗[あせ]を流[なが]したあとは、気分爽快[きぶんそうかい]だ。♠<爽快[そうかい]さ>潮風[しおかぜ]をうけて海辺[うみべ]を走[はし]る爽快[そうかい]さは何[なん]とも言[い]えない。 **そうかつ【総括】** ○全体[ぜんたい]をひとまとめにすること。全体[ぜんたい]のしめくくりをすること。[文例]〈総括[そうかつ]を行[おこな]う。する〉夏休[なつやす]み最後[さいご]の今日[きょう]は、これまでの子供会活動[こどもかいかつどう]の総括[そうかつ]を行[おこな]います。♠〈総括[そうかつ]する〉今[いま]までに出[で]た皆[みな]さんの意見[いけん]を総括[そうかつ]すると、次[つぎ]のようになります。♠〈総括的[そうかつてき]〉では、最後[さいご]に議案[ぎあん]の内容全体[ないようぜんたい]に関[かん]する総括的[そうかつてき]な質問[しつもん]を受[う]けます。 **そうかん【創刊】** ○新[あらた]しく刊行[かんこう]すること。発刊[はっかん]。→廃刊[はいかん][文例]〈新聞[しんぶん]の創刊[そうかん]>学園新聞[がくえんしんぶん]の創刊[そうかん]に向[む]けて、新聞部一同[しんぶんぶいちどう]はりきっています。♠〈創刊[そうかん]の運[はこ]び〉以前[いぜん]から要望[ようぼう]の強[つよ]かったタウン誌[し]が商店会[しょうてんかい]の企画[きかく]で実現[じつげん]することとなり、十月[じゅうがつ]に創刊[そうかん]の運[はこ]びとなった。♠へ創刊[そうかん]する〉市[し]では近[ちか]く広報誌[こうほうし]を創刊[そうかん]し、今後[こんご]定期的[ていきてき]に刊行[かんこう]する予定[よてい]です。 **そうかん【相関】** ○互[たが]いにかかわり合[あ]うこと。[文例]〈相関[そうかん] <601> する〉教育の荒廃[こうはい]と青少年の犯罪件数とが相関していることは明らかです。♠〈相関関係>気候と農作物の出来[でき]の間には著[いちじる]しい相関関係がある。 **そうかん【壮観】** ○堂々としたすばらしい眺め。[文例]大空に舞う航空機のショーは、実に壮観だった。♠日本海を一望する山頂からの壮観は忘れることができません。♠一カ月も溜[たま]って居るフケは遠慮なく、頸筋[くびすじ]やら、寐巻[ねまさ]の襟[えり]へ飛んでくる。非常な壮観である。(夏目漱石「吾輩は猫である」) **そうき【早期】** ○早い時期。物事のあまり進行していない時期。[文例]〈早期に防ぐ>子供の非行は早期に防ぐように、学校も家庭も努力するべきだ。♠〈早期発見〉〈早期治療>おそろしい病気だったが、幸いにも早期発見、早期治療で完治することができた。 **そうき【想起】** ○思い起こすこと。[文例]〈想起する〉この一言がわたしにあの忌[いま]わしい事件を想起させた。♠〈想起する〉いつか世の中が戦争に向かいそうになったら、わたしは戦争で父親をなくし、その顔を知らずに育ったことをお前は想起してほしい。 **そうぎ【葬儀】** ○死者をとむらう儀式。葬式。[文例]〈葬儀を行う〉先日亡くなった前の校長先生の葬儀がしめやかに行われました。♠〈葬儀場〉参列者の焼香も終わり、遺体は納棺されて葬儀場から火葬場へと向かいました。 **そうきゅう【早急】** ♪さっきゅう **そうきょ【壮挙】** ○勇ましく立派なくわだて・行為。[文例]連続試合出場の世界記録を達成した選手の壮挙に惜しみない拍手を送ります。♠〈壮挙をなしとげる〉リンドバーグが飛行機による初の大西洋横断の壮挙をなしとげたのは一九二七年のことです。♠〈壮挙に出る〉日本選手権を制した選手は、翌年海外進出の壮挙に出た。 **そうぎょう【創業】** ○新しく事業をおこすこと。[文例]〈創業の地>現在は東京に本店のあるこのデパートも、もとをただせば京都が創業の地です。♠〈創業する〉古い宿場町であるこの町には、江戸時代に創業された店もあります。♠〈創業~年>明治時代から続くという和菓子屋が、来年めでたく創業百周年を迎えるそうだ。♠へ創業は易[やす]く守成[しゅせい]は難[かた]し>他から引き継いだものを守り発展させることの難しさは、「創業は易く守成は難し」の言葉からもうかがわれる。 **そうぎょう【操業】** ○設備を稼動させて生産を行うこと。[文例]〈操業する〉この工場は夏の間は操業していますが、冬は機械も止まってひっそりとしています。♠へ操業に出る>港が凍結する期間、漁船は操業に出られない。♠〈操業を短縮する〉不景気のため、工場は操業を短縮することになった。♠へ自転車操業>止まったら倒れる自転車操業では、将来の展望も何もあったものじゃない。 **ぞうきょう【増強】** ○機能を高め、力を強化すること。[文例]〈体力の増強〉ぼくは縄跳[なわと]びをしたりマラソンをしたりして、体力の増強に努めている。♠へ輸送力の増強〉名神高速道路や東名高速道路が完成して、日本列島の太平洋側の輸送力の増強が進んだ。♠へ増強する〉各国の首脳が集まるサミットの期間中は、警備の人員が増強された。 **ぞうきん(雑巾)** ○屋内や足の汚れなどをふく布[きれ]。[文例]外から帰ってくると、息子の足は雑巾が真っ黒になるほどのよごれようです。♠〈雑巾をしぼる〉きつくしぼった雑巾で、よごれた床[ゆか]をごしごしふきます。♠へ雑巾をかける〉練習が終わってから体育館の床に雑巾をかけるのは一年生部員の仕事です。 **そうぐう【遭遇】** ○たまたまあうこと。でくわすこと。[文例]〈人に遭遇する〉知らない町を歩いていて思わぬ人物に遭遇したりして驚[おどろ]くことがある。♠へ出来事に遭遇する〉わたしたち人間は一生の間にいろいろな出来事に遭遇する。♠〈事態に遭遇する〉さまざまな事態に遭遇しても、正しい判断をくだし的確な行動を取ることができればいい。♠〈事件に遭遇する〉彼はヨーロッパ旅行中に、歴史に残るような事件に遭遇して足[あし]どめを食った。♠〈困難に遭遇する〉どんな困難に遭遇しても、乗り越えるだけの強い精神力を養っておきなさい。♠へ~との遭遇〉アメリカのSF映画「未知との遭遇」は、将来本当に人間が遭遇するかもしれない世界を描いたものだ。 **そうくずれ【総崩れ】** ○全体が崩れてしまうこと。全員が敗北すること。[文例]〈総崩れとなる〉城内から火の手があがったとたん敵は総崩れとなり、城を捨てて敗走した。♠〈総崩れを起こす〉最初の演技の失敗が原因で、日本選手団は総崩れを起こした。♠〈総崩れを防ぐ〉味方の総崩れを防ごうと、大将は馬上で叱咤[しった]激励した。 **そうくつ(巣窟)** ○悪者の一味が隠れ住む場所。[文例]〈悪人の巣窟>昔この辺りの山は、悪人どもの巣窟となっていたという。♠ヘマラリアの巣窟〉じめじめした熱帯の湿原は、蚊[か]が媒介[ばいかい]する恐ろしいマラリアの巣窟だ。 **ぞうげ(象牙)** ○ゾウのきば。[文例]〈象牙の塔>学問は真理の追究を第一とし、実用になるならないは二の次ですから、象牙の塔にこもる学者を批判するのは当[あ]たりません。 **そうけい【早計】** ○軽率で、はやまった考え・判断。[文例]内容をぬきにして、仕事は早くできればいいという考えは早計だと思う。♠へ早計に過[す]ぎる〉この程度で計画をあきらめるのは、早計に過ぎるよ。♠〈早計に失[しっ]する>深く考えなかったぽくの結論はいささか早計に失したようだ。 **そうげい【送迎】** ○送り迎え。[文例]空港のロビーは旅行者と送迎の人々でごった返しています。♠〈送迎する〉駅と旅館の間は、マイクロバスでお客様を送迎いたします。 **ぞうけい【造形・造型】** ○形・型をつくること。形あるものをつくり上げること。[文例]〈造形する〉作者が言葉を用[もち]いて造形した主人公の像は、作者自身の姿だったかもしれません。♠<造形芸術>絵画・彫刻・建築など、素材に形を与え視覚に訴[うつた]える芸術を造形芸術という。 **ぞうけい(造詣)** ○学問・芸術などに対する深い理解と広い知識。[文例]〈造詣がある〉さすがに美術に造詣のある人だけあって、批評の言葉は的[まと]を射[い]て鋭い。♠〈造詣が深い>平安朝文学に造詣の深い彼女に日記文学について講義してもらった。 <602> **そうけん【壮健】** ○丈夫で健やかなさま。[文例]祖父はもう七十を越えているが、朝のジョギングを欠かさないほど壮健だ。♠両親は福島県の片田舎で、今も壮健に暮らしています。♠お久しぶりですね、御壮健でなによりです。 **そうけん【創建】** ○初めて建てること。[文例]〈創建する>法隆寺[ほうりゅうじ]は今から千三百年ほど前に創建された、世界最古の木造建築物です。 **そうけん【双肩】** ○両方の肩。責任を負うこと。[文例]〈双肩にかかる>二十一世紀の世界はきみたち若者の双肩にかかっています。♠〈双肩にになう〉全国民の期待をその双肩にになって、彼はオリンピックに出場した。♠へかかって〜の双肩にある〉会社の将来はかかって諸君の双肩にある。 **そうげん【草原】** ○草の生えた広い野原。[文例]アフリカの広い草原には、さまざまな種類の動物たちが生活している。♠九州の阿蘇山[あそさん]のふもとには、草千里と呼ばれるなだらかな草原が広がっている。 **ぞうげん【増減】** ○増加と減少。[文例]〈人口の増減>町の人口の増減をグラフにしてみました。♠〈増減がある・ない〉この学校の生徒数は千三百五十八名、去年と比べて大きな増減がなかった。♠<増減する〉川の水量は、降水量によって増減します。 **そうこ【倉庫】** ○物をしまっておく建物。[文例]〈倉庫にしまう〉収穫したみかんはしばらく倉庫の中にしまっておいて、甘みが出るのを待ちます。♠へ倉庫に眠る〉もう使わなくなった機械が、倉庫の中でほこりをかぶって眠っています。♠<倉庫が立ち並ぶ>港の近くには、貨物を保管しておくための倉庫が立ち並んでいる。 **そうご【相互】** ○互いに働きかけ、影響しあうこと。お互い。かわるがわる。交互。[文例]〈相互に依存する〉地球上のすべての生物は相互に依存しながら生活を営[いとな]んでいる。♠〈相互に助け合う〉夫婦が相互に助け合いながら子供を育てるのは当[あ]たり前です。♠〈相互の関係〉文章の組み立てを理解するためには、段落相互の関係をつかむ必要がある。♠〈相互の理解〉最近は、国と国相互の理解を深めようと文化交流が盛んになってきた。♠〈相互の利益>両国相互の利益のために、この条約は締結[ていけつ]されたのである。♠〈相互の親睦>会員相互の親睦を図るため、月に一回パーティーを開く予定です。♠へ相互乗[の]り入[い]れ〉この駅ではJRと私鉄が相互乗り入れをしている。♠〈相互作用>双子[ふたご]の兄弟は一人の成績が上がると一方も上がり、相互作用というのか互いに影響し合うことがあるらしい。 **そうこう【走行】** ○(車両が)走ること。[文例]〈車の走行〉もとより車の走行に危険はつきものですから、慎重[しんちょう]な運転が望まれます。♠へ走行する〉車で道路を走行する際は、シートベルトの着用が義務づけられています。♠〈走行距離>夏休みに家族でドライブをしたが、走行距離は八百キロメートルにおよんだ。 **そうこう【壮行】** ○出発する人を励まし、元気づけること。[文例]〈壮行の言葉>探検隊の出発にあたって、各方面から壮行の言葉が送られた。♠〈壮行会>遠征する大田さんのために、一つパアッと壮行会を開こうじゃないか。 **そうこう【草稿】** ○下書き。原稿。[文例]〈作品の草稿>手書きでまとめた作品の草稿をもとに、作家はワープロに向かって修正を始めた。♠ヘスピーチの草稿〉明日の結婚式のスピーチの草稿がやっとできたぞ。 **そうこう【奏功・奏効】** ○成功をおさめること。効果が得られること。[文例]〈奏功する〉一死二、三塁からのスクイズ作戦が奏功し、味方はさよなら勝ちをおさめた。♠へ奏功する>親は一切[いっさい]手を出さないでじっと待つという方法が奏功して、うちの子も大分片付けが上手になりました。 **そうごう【総合】**(綜合)○個々ばらばらのものを一つにまとめること。→分析[文例]〈総合する〉十人の審査員[しんさいん]が個別に点数をつけ、それを総合して入賞者を決定する。♠へ意見を総合する>車内の人たちの意見を総合すると、どうもこの脱線[だっせん]事故の原因は運転手の不注意にあるらしい。♠へ分析と総合>個々別々の物を総合する能力のある人、まとまった物を細かく分析する能力のある人、人それぞれです。♠<総合優勝>個人でメダルをとった人は少なかったが、男子は総合優勝した。♠〈総合大学〉この大学は、五つの専門学校が統合されて総合大学となったものです。♠〈総合的〉人の能力は、学力だけでなく、さまざまな力や、人との協調性、人柄[ひとがら]まで含めて総合的に考えるべきです。 **そうごう【相好】** ○(仏のさまざまな表情の意から)顔つき。表情。[文例]〈相好を崩[くず]す〉ふだん厳しい祖父も、孫が姿を見せると、相好を崩して喜びます。♠〈相好を変える〉優勝が確実になると、冷静な監督も一瞬[いっしゅん]相好を変えた。 **そうこく【相克】**(相剋)○互いに相手に勝とうとして争うこと。[文例]〈精神と肉体の相克〉思春期には、精神と肉体の相克に悩むこともあります。♠〈相克する〉自分の心の中で愛と憎[にく]しみが相克し、その苦しみをどうすることもできなかった。 **そうごん【荘厳】** ○重々しく威厳のあるさま。しょうごん。[文例]〈荘厳な雰囲気>教会にオルガンの音が鳴り響き、荘厳な雰囲気[ふんいき]に包[つつ]まれた。♠〈荘厳な美しさ〉何千年もの風雨に耐えてきた神殿には、見る者を圧倒する荘厳な美しさがあった。 **ぞうごん【雑言】** ○口ぎたなくののしっていう言葉。あっこう。[文例]〈雑言を浴びせる>「裏切り者、恥[はじ]を知れ」などと、次々に雑言が浴びせられた。♠<悪口雑言>白州[しらす]に引[ひ]き出[だ]された悪人は、訴[うつた]え出た町人に向かって悪口雑言、反省の色など少しも見えない。♠へ罵詈[ばり]雑言〉ミスを犯したわたしに対して、仲間たちは罵詈雑言の限りを尽くした。 **そうさ【操作】** ○取り扱って動かすこと。あやつること。意図的に処理すること。[文例]〈ワープロの操作〉新しいワープロの操作にはすぐ慣れました。♠へ機械を操作する〉いくら立派な機械でも、操作する側の人間にミスがあれば、何にもならない。♠へ遺伝子を操作する>動物の遺伝子を操作して生産を高めるという研究が進められている。♠へ世論を操作する〉世論を操作して、ある方向にもっていこうとする危険な動きには、注意しなくてはならない。♠〈帳簿[ちょうだ]を操作する>会社の帳簿を操作して大金[たいきん]を横領[おうりよう]していた男がつかまった。 <603> **そうさ【捜査】** ○捜して調べること。犯人を捜し、事件を調べること。[文例]〈警察の捜査>警察の捜査の手は事件の黒幕[くろまく]にまでのび、真相の究明は時間の問題となった。♠へ捜査が難航する>目撃者がいないうえに物的な証拠もなく、捜査は難航している。♠〈捜査を打ち切る〉犯人の手がかりもつかめないまま、事件発生から五年後捜査は打ち切られた。♠〈捜査する〉本署の刑事が来て捜査した結果、賊[ぞく]は二人ということだった。♠<捜査線上〉その後、捜査線上に一人の有名政治家が浮かび出た。 **ぞうさ【造作・雑作】** ○手間。面倒。骨折[ほねお]り。もてなし。[文例]〈造作をかける〉なるほど、主人が日ごろから造作をかけたというだけあって、なかなか立派な庭だった。♠へ造作もない〉そんな願いなら、何の造作もないことだ。♠〈造作ない〉工具がそろっていれば、自転車のパンクの修理など造作ないことだった。♠〈無造作〉ドライバーが無造作に投げ捨てたたばこの火から、山火事が発生することもある。 **そうさい【相殺】** ○差[さ]し引[ひ]きして帳消しにすること。[文例]こちらにも手落ちはあったし、相手も過失を認めたので、損害は相殺ということになった。♠〈相殺する〉これまでの実績も、この失敗ですべて相殺されてしまった。 **そうさい【総裁】** ○組織・機関をとりまとめる人。[文例]〈政党の総裁〉大正三年に政友会総裁となった原敬[はらたかし]は、大正七年に日本で初の本格的な政党内閣を組織しました。♠〈中央銀行の総裁〉中央銀行の総裁の発言は、国内だけでなく世界経済にまで影響を与えます。 **そうさく【創作】** ○新しいものを作ること。独自に作品を作ること。小説を作ること。作り話。[文例]〈物語の創作>物語の創作をめざして、原稿用紙を前にして座[すわ]った。♠へ作者の創作〉この話は、昔話[むかしばなし]をもとにしているもので、すべてが作者の創作というわけではない。♠〈評論と創作>評論もまた、創作と同じように、文学に大きな位置を占めてきた。♠〈創作に従事する〉彼は、三年前に新聞社をやめて、現在はもっぱら創作に従事している。♠〈創作が多い>彼の言っていることには創作が多いから、そのつもりで聞いていたほうがいい。♠へ創作する〉今度、彼女が創作しつづけた童話が、五巻の本にまとめられる。♠〈創作活動〉その作家は、学生時代から今まで五十年もの長い間、創作活動を行ってきた。♠<創作欲〉創作欲がわかないときは、どうあがいても何も書けない。 **そうさく【捜索】** ○捜し求めること。犯罪捜査のために、家・人などを強制的に調べること。[文例]〈行方不明者の捜索>雪崩[なだれ]による行方不明者の捜索は明[あ]け方[がた]から開始された。♠〈捜索を受ける〉捜索を受けた暴力団員の部屋からピストルが発見された。♠〈捜索する〉犯行現場の周辺をくまなく捜索したが、証拠となるようなものは見つからなかった。 **ぞうさく【造作】** ○家を建てること。建物の内部のつくりや取り付けの家具類。顔だち。目鼻だち。[文例]〈家の造作〉伯父[おじ]の家は、内部の造作にずいぶん金をかけている。♠へ造作に凝[こ]る>床の間や障子などの造作に凝った部屋には、持ち主の繊細[せんさい]な性格がよくあらわれている。♠へ顔の造作〉わたしの顔は目鼻など、ひとつひとつの造作が大きくて目立つそうです。♠へ造作する>子供たちも大きくなって部屋がほしいと言うし、二階でも造作するか。 **そうし【創始】** ○物事を初めて起こすこと。[文例]〈創始者〉わたしの叔父[おじ]は、この製薬会社の創始者の一人です。♠〈創始する>蘭学[らんがく]を創始した学者の一人に、『解体新書』の杉田玄白[すぎたげんぱく]があげられます。 **そうじ【掃除】** ○掃[は]いたり払[はら]ったりして汚[よご]れを取[と]り除[のぞ]くこと。[文例]〈庭の掃除〉庭の掃除がすんだらお茶にしましょう。♠〈掃除をする〉給食の後[あと]に、みんなで教室の掃除をします。♠〈掃除する〉自分の部屋は自分で掃除しなさい。♠〈掃除機>母が掃除機をかけているので、テレビの音が聞こえない。♠〈大掃除〉さて、大掃除も終わったし、これで気持ちよく正月が迎えられる。 **そうじ【相似】** ○互いに似ていること。一方を拡大または縮小すると完全に重なる二つの図形の関係。[文例]〈図形の相似>三角形の相似条件は、二つの角が等しいこと、三辺の比が等しいこと、二辺の比とその間の角が等しいことの三つです。♠へ環境の相似〉年齢は異なる二人だったが、生活環境の相似からくる親近感はあった。 **そうしき【葬式】** ○死者をとむらう儀式。葬儀。とむらい。[文例]〈葬式を行う〉突然の事故で亡くなったAさんの葬式がしめやかに行われた。♠〈葬式を出す〉父親の葬式を出した少女は、二人の兄が戦場から帰るまで、歯をくいしばって生きていくのだった。 **そうしそうあい【相思相愛】** ○互いに愛し合うこと。[文例]〈相思相愛の仲〉相思相愛の仲でも、時には気まずくなったり、相手を疑ったりすることがあります。 **そうしつ【喪失】** ○失うこと。無くすること。[文例]〈自信を喪失する〉勝[か]てると思っていた試合で、無惨[むざん]な負[ま]け方[かた]をしてから、すっかり自信を喪失してしまった。♠へ戦意を喪失する〉戦争が長びいて、両軍の兵士とも戦意を喪失しているようだ。♠へ権利を喪失する〉期限までに申し出ないと、せっかくの権利を喪失することになる。♠〈記憶喪失>精神的なショックで、記憶喪失になってしまった人がいる。 **そうじて【総じて】** ○全体として。全般的に。概して。[文例]あの店は総じて魚料理がおいしいといううわさです。♠この国は総じて、明[あか]るく情熱的な性格の人が多いという。♠この展覧会について総じて言えることは、ていねいに描かれた作品が多いということです。♠日本の駅の案内放送に対して、外国の駅は、総じて申[もう]し訳[わけ]程度のアナウンスしかありません。 **そうしゃ【走者】** ○走る人。競走の選手。ランナー。[文例]〈マラソンの走者〉マラソン大会の走者に、沿道[えんどう]の市民から温かい声援が送られた。♠ヘリレーの走者〉第二走者から第三走者へのバトンパスに失敗し、リレーに勝つことはできない。 <604> **そうじゅう【操縦】** ○機械を操って動かすこと。飛行機を運転すること。思うままに操ること。[文例]〈飛行機の操縦〉飛行機の操縦には、冷静でちみつな神経が必要とされる。♠<宇宙船を操縦する〉宇宙飛行士になって宇宙船を操縦するには、厳[きび]しい訓練に耐えなくてはならない。♠へ夫を操縦する〉彼女は、夫の言うなりになっているように見せて、実はうまく夫を操縦している。♠へ意のままに操縦する〉他人を自分の意のままに操縦しようとしても、それは無理じゃないかな。♠へ操縦席>飛行機の操縦席には複雑な計器がたくさんあった。 **そうじゅく【早熟】** ○成熟するのが早いこと。→晩熟[文例]〈早熟な少女>肉体的にも精神的にも早熟な少女だったから、十五歳と聞くとたいていの大人は驚いた。♠へ早熟する〉金井[かない]は落着[おちつ]いた少年で、これからぐんぐん伸[の]びる人だと思うが、埴生[はにゅう]は早熟した才子で、鋭敏過ぎて、前途が覚束[おぼつか]ない。(森鷗外[もりおうがい]「キタ・セクスアリス」) **そうしゅつ【創出】** ○新しく作り出すこと。[文例]〈創出する〉詩人は、日常を超えた詩的な世界を作品を通して創出します。♠〈創出する〉博士が創出した仮説は学界の関心を呼んだ。 **そうしゅん【早春】** ○春の初め。[文例]〈早春の光>早春の日の光に川面[かわも]がきらきら輝[かがや]いているが、風はまだ冷たい。♠〈早春の風〉大きな芽をつけたネコヤナギが、早春の風にゆらゆらと揺れている。♠◇早春のかおり〉春風が街に早春のかおりを運んできました。 **そうしょう【総称】** ○ひっくるめて呼ぶこと。全体の呼び名。[文例]〈島々の総称〉ポリネシアは、ほぼ一八〇度の子午線[しごせん]以東の太平洋に点在する島々の総称です。♠へ総称する>満州語・蒙古[もうこ]語・トルコ語など多くの共通点を持った言葉を総称してアルタイ語という。 **そうしょう【宗匠】** ○和歌・俳諧[はいかい]・茶道などの師匠。[文例]〈茶道の宗匠>千利休[せんのりきゅう]は、茶道を大成した宗匠として有名です。♠へ俳諧の宗匠>芭蕉[ばしょう]の弟子[でし]の其角[きかく]は、江戸の俳諧の宗匠であった。 **そうじょう【相乗】** ○数をかけあわせること。効果が重なること。[文例]〈相乗作用〉追[お]い風[かぜ]と下[くだ]り坂[ざか]の相乗作用で自転車はおもしろいように前進します。♠へ〈相乗効果〉この二つの薬を併用[へいよう]すると、相乗効果が期待できる。 **そうしょく【草食】** ○草や葉などを主食とすること。[文例]〈草食性〉サイはあのいかつい体には似合わず、草食性の動物だ。♠〈草食動物〉草食動物は、外敵から身を守るため群れを作ることが多い。♠〈草食獣〉ライオンやチーターは、草原にすむシマウマやヌーなどの草食獣を襲[おそ]う肉食獣です。 **そうしょく【装飾】** ○装い飾り立てること。また、その装い。[文例]〈装飾を施す〉花やリボンで装飾を施[ほどこ]すと、なんの変哲[へんてつ]もない麦わら帽子がとても素敵な帽子になりました。♠〈装飾する〉クリスマスパーティーに備えて、室内をきれいに装飾します。♠〈装飾品〉彼女は、ネックレスやブローチ、リボンなどの装飾品をたくさん持っています。♠〈室内装飾>見慣れた部屋でも、室内装飾に気を配ると、見ちがえるようになります。 **ぞうしょく【増殖】** ○ふえて多くなること。ふやして多くすること。[文例]〈細胞の増殖〉イボやウオノメなどは細胞の異常な増殖によって生じます。♠〈個体の増殖>生物界では、一定の範囲における個体の急激な増殖は、その種の滅亡[めつぼう]につながる。♠へ増殖する〉繁殖[はんしょく]力の強い外来種が増殖すると、従来の生態系が損[そこ]なわれます。 **そうしん【送信】** ○通信や信号を送ること。→受信[文例]〈送信する〉サルに小型発信器を背負[せお]わせて、送信される電波をとらえ、森のサルの行動を追ってみました。♠へ送信がとだえる>現地の探検隊から送信がとだえて三日、本部には次第に焦[あせ]りの色が見えてきた。 **そうしん【喪心・喪神】** ○気[き]が抜[ぬ]けること。気持[きも]ちの張[は]りを失[うしな]うこと。気を失うこと。失神。[文例]〈喪心する〉会社の命運をかけたプロジェクトに失敗した幹部は喪心して日々を送っていた。♠<喪心する〉こんな事を云[い]いながら、要は力で無理に直子を横たえて了[しま]った。直子は驚きから、一寸[ちよつと]喪心しかけた。(志賀直哉「暗夜行路」) **ぞうしん【増進】** ○増し、進めること。増加し進歩すること。♪減退[文例]〈食欲の増進>料理に香辛料[こうしんりよう]を上手に使うと、食欲の増進につながります。♠人健康の増進>適度の運動をして健康の増進をはかりましょう。♠〈増進する>単純な作業が長時間続くような場合、好きな音楽を聞きながらやると能率が増進するそうだ。♠◇体力増進〉ぼくは小さい時から体が弱かったので、体力増進のために水泳を始めた。 **そう・する【奏する】** ○演奏する。かなでる。成果をもたらす。天皇に申し上げる。[文例]〈国歌を奏する>楽隊が国歌を奏する間、観客は起立して国旗を見上げます。♠へ効[こう]を奏する>医者の薬も効を奏することなく、患者の容体[ようだい]は悪くなる一方だった。♠へ功[こう]を奏する〉ピンチヒッターの起用が功を奏し、先取点をあげた。 **ぞう・する【蔵する】** ○しまっておく。おさめる。たくわえる。[文例]〈資料を蔵する〉ここは、学問上きわめて重要な資料を数多く蔵する寺として知られる。♠〈原油を蔵する〉ペルシア湾岸の国々は、地下に莫大[ばくだい]な原油を蔵しています。 **そうせい【早世】** ○若くして死ぬこと。早死に。若死に。[文例]〈早世する〉今日は、二十歳の若さで早世した弟の命日に当[あ]たります。♠〈早世を惜しむ〉参列した人々は、すばらしい才能を持った作家の早世を心から惜[お]しみました。 **そうぜい【総勢】** ○軍勢の全部。一団の全員。[文例]〈総勢~人>町が企画した京都の旅の参加者は総勢五十人だった。♠〈総勢を率いる〉大将は味方の総勢を率[ひき]いて、決死の覚悟[かくご]で敵陣[てきじん]に突っこんでいった。 **ぞうせい【造成】** ○(自然に手を加えて)新たにつくり上げること。[文例]〈グラウンドの造成〉広い川原にグラウンドの造成が急ピッチで進められている。♠へ造成する〉この私鉄沿線では、電鉄会社が続々と宅地を造成しています。 <605> **そうせつ【創設】** ○新たに設けること。[文例]〈研究所の創設〉この研究所は明治三十年の創設ですから、約百年の歴史があります。♠〈創設する〉新人作家に贈られる芥川賞[あくたがわしよう]は、戦前の文壇の大御所[おおごしょ]、菊池寛[きくちひろし]が創設しました。♠〈創設する「学問ノススメ』を著[あらわ]した福沢諭吉[ふくざわゆきち]は、慶応義塾大学[けいおうぎじゅく]を創設した。 **そうぜつ【壮絶】** ○勇ましく激しいさま。勇壮ですさまじいさま。[文例]〈壮絶な死>前線で地雷[じらい]に触れて壮絶な死を遂げたロバート・キャパは、報道写真家として偉大[いだい]な仕事を残している。♠へ壮絶な冬〉北越[ほくえつ]と呼ばれる豪雪地帯の冬は、想像を絶するほど厳しく壮絶である。♠へ壮絶な戦い〉アラモの戦いは、壮絶な戦いとしてアメリカの開拓[かいたく]史上に名をどとめている。♠〈壮絶な響き>佐渡[さど]の鬼太鼓[おにだいこ]は、身が引[ひ]き締[しま]まるような壮絶な響[ひび]きである。 **ぞうせつ【増設】** ○施設・設備を増やすこと。[文例]〈図書館の増設>図書館の増設を望む声が住民の間に高まっていた。♠<電話の増設>従業員を増やしたので、電話局に電話の増設を申し込んだ。♠へ増設する〉入学者の増加にともない、一年生を一クラス増設することが決まった。 **そうぜん【騒然】** ○非常に騒がしいさま。[文例]〈騒然とする〉メーンエベントが近づくと、観客の歓声が大きくなり、会場は騒然としてきた。♠へ騒然となる〉落雷[らくらい]とともに映画館は真っ暗になり、女の子たちの悲鳴で館内は騒然となった。♠〈物情騒然〉わたしは、革命直後の物情騒然たるその国の首都を訪れた。 **そうぜん(蒼然)** ○黒ずんで青いさま。日が暮れてうす暗いさま。古びて色あせたさま。[文例]〈蒼然たる顔>蒼然たる顔つきから思うに、よほど思いつめることがあるにちがいなかった。♠へ蒼然とした暮色[ぼしょく]〉蒼然とした暮色の中に湖は姿を消していった。♠〈古色[こしょく]蒼然〉こけむした庭園は、古色蒼然として、全く人の気配もなかった。 **そうそう【早早】** ○急いでするさま。そうなってまもなく。[文例]〈早々に退散する〉どうも相手の機嫌[きげん]が悪そうなので、早々に退散した。♠〈新年早々>新年早々こんな失敗をしでかして、今年も先が思いやられるなあ。♠へ〜するや否や>会社から帰る早々、また出かける用事ができるなんてうんざりです。 **そうぞう【想像】** ○頭に思い描くこと。心に思い浮かべること。[文例]〈想像にすぎない〉月に行くなんてことは、五十年前までは、ただの想像にすぎなかったことだ。♠へ想像を絶[ぜっ]する>南極点を目指して出発した彼らには、想像を絶するような困難が待ち受けていた。♠〈想像をたくましくする〉大昔の人たちは、夜空に広がる星を見て、想像をたくましくしたにちがいない。♠〈想像を超える〉宇宙は無限だなどといわれても、有限の世界に住んでいる人間には想像を超えたことだ。♠く想像を働かせる〉この詩を読んで、作者が何に感動したのか、想像を働かせてみよう。♠く想像ができない〉彼女の心は、凡人[ぼんじん]のぼくには想像もできないほど、繊細で、複雑で、傷つきやすいものだった。♠〈想像による〉一日に千里も走るというきりんは、昔の中国の人の想像によって生まれた動物だといわれている。♠く想像がつく〉その花は、想像もつかないほど美しい花だという。♠く想像に任[まか]せる>ぼくたち二人の関係?――想像に任せます。♠へ想像どおり〉父のふるさとは、ぼくの想像どおり、静かで落ち着いた海辺の町だった。♠く想像する〉想像するところ、彼もぼくと同じで、勉強は苦手なようだ。♠〈想像上〉その絵には、想像上の動物が描[えが]かれていた。♠〈想像力〉想像力の豊かな人なら、地図を眺[なが]めながら、自分で一編の物語を編[あ]み出すことができるだろう。 **そうぞう【創造】** ○新しくつくり出すこと。→模做[文例]〈新しいものを創造する〉人間は、古くからあるものを受けついでいく一方で、常に新しいものを創造していく。♠へ文化を創造する〉人類は、ことばをもつことによって文化を創造し、その文化を後世に伝えてきた。♠〈美を創造する〉芸術家の使命は美を創造することにある。♠〈神の創造〉ダーウィンの進化論は、動物や植物が神の創造によるものと信じていた人々に、大きなショックを与えた。♠〈天地創造>『旧約聖書』には、神による天地創造の経緯[けいい]が、雄大[ゆうだい]なスケールで書かれている。♠〈創造的な意見>自主的な判断や、創造的な意見を育てていきたいものだ。 **そうぞうし・い【騒騒しい】** ○さわがしい。不安で落ち着かない。[文例]〈騒々しい音〉日曜日だというのに、子供たちが朝からドタンバタンと騒々しい音をたてて寝ていられない。♠<騒々しい男〉大変だ、大変だって、いつも騒々しい男だね、おまえってやつは。♠へ教室が騒々しい〉教室内が騒々しいと思ったら、大助[だいすけ]がふざけてガラスを割ってしまったらしいのです。♠へ世の中が騒々しい〉わたしが生まれたのは昭和十五年、世の中が騒々しくなり始めたころだった。 **そうぞく【相続】** ○(人の死後その財産を)受け継ぐこと。[文例]〈遺産の相続〉亡くなった大富豪[だいふごう]には、遺産の相続にあずかるような親族はだれもいなかった。♠へ相続する〉父の遺言通り、屋敷[やしき]は兄が、その他の地所は次男のわたしが相続しました。 **そうたい【総体】** ○物事の全体。すべて。全体に。[文例]〈人類の営みの総体〉人類の歴史的な営みの総体が文明というものでしょう。♠〈総体に〉中間テストの平均点は六十三点で、このクラスとしては総体によくできたほうだ。♠〈総体的〉若干[じゃっかん]の例外はあるが、総体的に見てうちの従業員はよく働く。 **そうだい【壮大】** ○勢いがあって立派なさま。[文例]〈壮大なスケール>画面には、オーストラリアの美しい自然が壮大なスケールで映[うつ]し出されていた。♠ヘ壮大な高層建築〉東京の新宿駅の西側には、壮大な高層建築がいくつも立ち並んでいる。 <606> **ぞうだい**【増大】○増えて大きくなること。増やして大きくすること。[文例]〈生産の増大〉銅の生産の増大とともに緑の山は失われていった。♠へ増大する>夏になるとクーラーを使う家庭が多くなり、電力の消費量は増大します。♠へ増大する〉戦後、石炭にかわって石油の需要が増大した。 **そうたいてき**【相対的】○物事が他との関係や比較によって規定されるさま。[文例]〈相対的な見方〉他のものとよく比較したうえで考えるのが相対的なものの見方です。♠ものごとは相対的なもので、一メートルのひもは、十センチ必要な人には長すぎて、二メートル必要な人には短すぎる。♠<絶対的。相対的>神は絶対的、人間は相対的な存在と言われます。♠〈相対的に見る〉給料が上がってもそれ以上に物価が上昇しているので、相対的に見ると生活は苦しくなっている。♠〈相対的に決まる>野菜や魚の入荷量は天候などに左右されやすく、それによって価格も相対的に決まることが多い。 **そうだん**【相談】○問題を解決するために意見を述べてもらうこと。意見を述べ合って話し合うこと。[文例]〈相談をする>卒業後の進路について、両親に相談をしてみるつもりです。♠◆へ相談を受ける〉友人から仕事のことで相談を受けた。♠●〈相談に乗る〉お金のこと以外なら、何でも相談に乗りますよ。♠●〈相談に応じる〉父の工務店は、家のことなら新築、増改築、たな板一枚でも、何でも相談に応じます。♠●〈相談に行く〉キャプテンに選ばれたが、どうも自信がないので先輩のところに相談に行った。♠●へ相談がまとまる〉町内の盆踊り大会についての相談がようやくまとまった。♠●〈相談のうえ>旅行に参加するかどうかは、家族と相談のうえで返事をします。♠●へ何の相談もなく〉そんな大事なことをぼくに何の相談もなく勝手に決められては困るなあ。♠●〈ものは相談〉ものは相談だが、その自転車、ぼくに譲ってもらえないかな。♠●へできない相談>それはどうあっても、できない相談だ。♠●〈財布[さいふ]と相談する〉買うかどうかは、まず財布の中身と相談してからでないと・・・・・・。♠◆<相談相手>悩み[なや]事や困った事があると、彼がいつもよい相談相手になってくれた。♠●〈身の上相談〉新聞の身の上相談に多くの悩みが寄せられている。 **ぞうてい**【贈呈】○人に物を贈ること。[文例]〈花束の贈呈>新郎新婦から両親に花束の贈呈が行われました。♠へ贈呈するご来場の方には、もれなく記念品を贈呈いたします。 **そうてん**【争点】○争いの中心となっている点。[文例]〈論議の争点〉感情的にならず、もう一度論議の争点を整理してみよう。♠◆人争点となる〉消費税の導入が国会の争点となっていた。 **そうてん**(装填)○中にこめて装置すること。[文例]】<弾丸[だんがん]を装填する〉銃にはすでに弾丸が装填されていた。♠◆ヘフィルムの装填〉最近のカメラは、わずらわしかったフィルムの巻き戻しや装填がずいぶん簡単になった。 **そうち**【装置】○機械や設備などを取り付けること。また、その設備やしかけ。([文例]〈特別な装置〉〈装置を作る〉夜でも撮影[さつえい]できるような特別な装置を作って、夜行性の動物の生態をフィルムに収めた。♠●へ装置が付く>基地には、敵が十キロメートル以内に近づくと、自動的にミサイルが発射される装置が付いていた。♠●へ装置がある〉ガス漏れを予防する装置があれば安心だ。♠●〈立派な装置〉いくら立派な装置でも、それを動かす人間がミスをすれば、何にもならないことになる。♠●へ安全装置〉〈装置が働く万一事故があっても、安全装置が働くようになっている。♠●〈舞台[ぶたい]装置>兄は劇団で、舞台装置の勉強をしている。 **そうちょう**【荘重】○おごそかなさま。おもおもしいさま。[文例]〈荘重な音楽〉会堂に荘重な音楽が鳴り響く中、礼拝が続いた。♠●へ荘重な雰囲気〉荘重な宮廷[きゆうてい]の雰囲気の中で儀式は進められた。 **ぞうちょう**【増長】○だんだんひどくなること。つけあがって高慢になること。[文例]〈増長する〉少しぐらい勉強ができるからといって、増長してはいけない。♠●へ増長する〉注意する大人がいないので、その子はますます増長してわがまま放題にふるまった。 **そうで**【総出】○全員が出ること。又例〈村人が総出>村人は総出で秋祭りの準備に忙しい。♠◆ヘ一家総出>先週の日曜日は、一家総出で庭の草取りをしました。 **そうてい**【想定】○仮に考え定めること。[文例]〈想定のもとに〉調理室から出火したという想定のもとに、避難訓練を行います。♠●く想定する〉この玩具[がんぐ]は小さい子の使用を想定して、どんな場合にも安全なように設計されています。 **そうと**【壮途】○勇ましい門出。[文例]〈仕途につく〉探検隊がサハラ砂漠縦断の壮途についたのは、ちょうど一か月前のことでした。♠●〈壮途を祝す〉本場のゴルフツアーに参加する彼女の壮途を祝して、盛大なパーティーが開かれた。 **そうとう**【相当】○かなっていること。ふさわしいこと。はなはだしいこと。かなり。ずいぶん。[文例]〈相当する〉この宝石は七万ドル、日本円にして約一千万円に相当した。♠へ収入に相当した生活〉収入に相当した暮らしをしていれば、借金などしなくてもすんだだろうに。♠●へ~くらいが相当〉きみの現在の実力からすれば、初級者コースくらいがちょうど相当だろう。♠●へそれ相当〉入院中はあれだけお世話になったのだから、それ相当のお礼はしなさいよ。♠●〈相当のマニア〉相当の虫マニアでも、ゴキブリだけは好きになれないという人が多い。♠●〈相当なもの〉部長を向こうに回してけんかして、一歩も譲らないなんて、きみも相当なものだね。♠◆<相当にひどい〉予想はしていたが、被害は相当にひどいものだった。♠相当~する〉ぼくも今まで相当我慢[がまん]してきたけど、ついに堪忍袋[かんにんぶくろ]の緒[お]が切れた。 **そうとう**【掃討】(掃蕩)○討ち払うこと。[文例]】〈敵兵の掃討〉たてこもる敵兵の掃討をはかるために城に火が放たれた。♠●〈掃討する>山岳ゲリラを掃討するために、政府軍は山中深く攻め込んだ。♠●<掃討作戦>農作物を食い荒らす野ネズミの掃討作戦が開始されました。 <607> **そうぼう**(相貌)○顔つき。顔のありさま。様相。[文例]<穏[おだ]やかな相貌>老人は穏やかな相貌に似合わず、強い忍耐心の持ち主だった。♠◆<荒武者[あらむしゃ]の相貌〉〈相貌をもつ〉すれちがう者が道を譲[ゆず]るような、荒武者の相貌をもった男だった。♠◆〈相貌が変わる〉いかなる苦労があったのだろう、相貌がすっかり変わっていた。 **そうどう**【騒動】○人々が騒ぎ立てること。騒がしい事件。[文例]<騒動が持ち上がる・収まる〉一人のわがままで持ち上がった騒動も、みんなのとりなしでどうやら収まりました。♠●へ騒動を起こす〉いたずら息子がまた何か騒動を起こしたらしい。♠<騒動になる〉ライオンがおりから逃げ出し、町じゅうたいへんな騒動になった。♠●へひと騒動>朝出かける前は、やれ、あれがない、これを出せと、いつもひと騒動だ。♠◆邸内[ていない]に這入[はい]る尤[もつと]も簡便な方法は四つ目垣を越えるにある。四つ目垣のうちで騒動すれば主人が怒り出さなければならん。(夏目漱石「吾輩[わがはい]は猫である」) **ぞうとう**【贈答】○贈り物をしたり、お返しをしたりすること。[文例]日本には、古くからお中元・お歳暮[せいぼ]といった贈答の習慣があります。♠●へ贈答する〉平安時代、貴族は互いに歌を贈答しあって親交を深めたという。♠●〈贈答品〉一般に贈答品を選ぶ基準としては実用的であることがあげられます。 **そうどういん**【総動員】○全員(またはすべて)をかり出すこと。[文例]〈総動員であたる〉外国からの大切なお客様の警備には、警察官が総動員であたっています。♠●〈総動員する〉わたしは、自分の貧弱な知識を総動員して、卒業論文の執筆[しつぴつ]にとりかかった。 **そうなめ**【総なめ】(総嘗め)○勢いが全体に及ぶこと。全部を負かすこと。「[文例]〈総なめにする>荒れ狂う竜巻は、一帯の村を総なめにした。♠●〈総なめにあう〉敵の大将の活躍で、味方は総なめにあった。 **そうなん**【遭難】○災難にあうこと。[文例]〈山の遭難〉今年のゴールデンウイークは天候がくずれ、山の遭難が相次いだ。♠●船が遭難する〉この辺りは魔の海域と呼ばれる所で、今までにたくさんの船が遭難している。♠●へ遭難現場〉遭難現場に到着[とうちやく]した遺族たちは、海上に花束[はなたば]を投げて手を合わせていた。♠◆◇遭難事故>飛行機の遭難事故は、生存者が少ないことが多く、痛ましい限りだ。 **そうにゅう**【挿入】○さし入れること。さし加えること。はさみ込むこと。[文例]」〈文字の挿入><挿入と削除>ワープロは、文中の文字の挿入や削除がとても簡単です。♠●へ条項を挿入する>仮契約書[かりけいやくしよ]に新たな条項を挿入して、正式な契約書を作りました。♠ヘ図・グラフを挿入する〉きみのレポートは図やグラフが挿入されていて、たいへんわかりやすかった。 **そうねん**【想念】○心に思うこと。心に浮かぶ考え。[文例]〈想念が浮かぶ〉日々の生活で心に浮かぶ想念を自由な形式で書きつづってみた。♠◆人想念の世界〉その身は牢[ろう]につながれても、囚人は想念の世界に遊ぶことができた。 **そうは**【走破】○走りとおすこと。[文例]〈走破する〉順位は悪かったが、わたしは四十二・一九五キロを走破した満足感でいっぱいだった。♠●〈走破する〉仲間とチームを組み、長年の夢だった車で砂漠を走破するレースに挑みます。 **そうば**【相場】○市場で取り引きされる商品の価格。価格変動の大きい商品の売買契約による投機的な取引。世間一般の評価。通念。[文例]〈米の相場〉〈相場が上がる・下がる〉お米の相場が下がって、農家の人たちは深刻な状況におかれていた。♠●へ相場に手を出す〉悪いことは言わないから、相場に手を出すのはおよしなさい。♠●〈相場が決まる〉夏は暑いものと相場が決まっているんだから、そんなに暑い暑いと言わないで。♠●へ通り相場〉この毛皮だったら、このくらいの値段が通り相場だろう。 **そうはく**(蒼白)○血の気がなく青ざめているさま。[文例]〈顔が蒼白〉その王の顔は蒼白で、眉間[みけん]の皺[しわ]は刻み込まれたように深かった。(太宰治「走れメロス」)♠●〈蒼白な顔つき>蒼白な顔つきで飛びこんできた男は、大声で医者を呼びました。♠へ顔面蒼白〉試験に臨んだわたしは緊張[きんちょう]のあまり顔面蒼白となっていたらしい。 **ぞうはつ**【増発】○列車などの運行回数を増やすこと。紙幣の発行を増やすこと。[文例]〈列車・バスを増発する〉年末。年始は利用客が増えるので、JRも私鉄も列車やバスを増発します。♠●〈紙幣[しへい]の増発>無計画な紙幣の増発は、インフレをひき起こします。 **そうばん**【早晩】○遅かれ早かれ。[文例]この問題については検討が重ねられているので、早晩結論が出るでしょう。♠◆あんないい加減な経営では、あの店も早晚行きづまってしまうだろう。 **そうび**【装備】○備品・用具・武器などを備えつけること。また、その備品など。[文例]〈探検の装備>探検隊の一行は、装備の点検に余念がなかった。♠装備をする>冬山登山には、十分な装備をする必要がある。♠◆へ装備する>船には、万一の時のために救命具や救命ボートなどが装備されています。♠◆<完全装備>各国首脳の到着する空港を、完全装備の機動隊が警戒[けいかい]に当たっている。 **ぞうふく**【増幅】○電流の振幅を大きくすること。(不安・疑惑などの)内容を広げたり、程度を強めたりすること。[文例]〈音声を増幅する〉アンプにはトランジスタやICが使われていて、音声を増幅してスピーカーに伝える。♠ヘうわさを増幅する〉うわさは、人の口から伝わる過程で何倍にも増幅されていきます。 **そうべつ**【送別】○出発する人を送ること。[文例]〈送別の辞>転校していく友に、クラスのひとりひとりが送別の辞を送った。♠◆<送別会〉結婚して会社をやめる山口さんのために、同僚が送別会を開いた。 **そうほう**【双方】○両方。[文例]国境付近で激しい戦闘があり、双方にかなりの死傷者が出たらしい。♠◆原因はつまらないものだったが、双方とも譲[ゆず]らず、話はますますこじれていった。♠●へ労使双方〉労使双方の意見にはまだかなりの隔たりがあります。 <608> **そえん**【疎遠】○うとんじて遠ざけるさま。よそよそしいさま。[文例]〈仲が疎遠〉日に一回の電話がやがて週に一回、半月に一回になり、二人の仲は疎遠になっていった。♠へ疎遠な間柄[あいだがら]>周囲に気づかれずに目くばせをしたあたり、どうやら二人は疎遠な間柄ではない。 **そかい**【疎開】○集中しているものを分散させること。都市住民を地方へ避難させること。[文例]〈疎開する〉父は空襲が激しくなり始めた昭和二十年の春に、東京から故郷の福島県へ疎開したのだそうです。 **そうほんさん**【総本山】○一宗一派の長である本山を統轄[とうかつ]する寺。全体を統轄するところ。[文例]〈華厳宗[けごんしゅう]の総本山〉東大寺は、華厳宗の総本山です。♠●ヘアマチュアスポーツの総本山>日本体育協会は、日本のアマチュアスポーツの総本山といえます。 **そうまとう**【走馬灯】(走馬燈)○回転させると、いろいろな影絵が現れるしかけの灯籠[とうろう]。回り灯籠。[文例]〈走馬灯が回る〉きみはゆっくり回る走馬灯の影絵を、うっとりとした表情で見つめていたね。♠◆へ走馬灯のよう〉あのころの出来事が走馬灯のように脳裏[のうり]に浮かんでは消えた。♠●走馬燈しづかに待てばめぐりけり (大野林火[りんか]) **そうみ**【総身】○体ぜんたい。全身。そうしん。[文例]〈総身が震える〉わたしが初めてこの絵を見たとき、総身が震えるような感動を覚えた。♠●〈総身に覚える〉子供が車道に飛び出してきた瞬間[しゅんかん]、はっとするような危険を総身に覚えた。♠〈大男総身に知恵がまわりかね「大男総身に知恵がまわりかね」とは、ぼくのようなうどの大木を言うのかな。 **そうめい**(聡明・聰明)○理解が早く、賢いさま。[文例]<聰明な子供〉きみは、小さいころから気のきく聰明な子供でしたよ。♠●<聰明な女性>彼女は、大学を首席で卒業したことなどおくびにも出さない聰明な女性だ。 **そうらん**【騒乱】○世の中が騒がしく、秩序が乱れること。[文例]〈騒乱の世〉騒乱の世に生まれた織田信長[おだのぶなが]は次第に力をつけていった。♠●〈騒乱を起こす〉国政に不満をもった民衆があちこちで騒乱を起こし、全土に戒厳令[かいげんれい]が敷かれた。♠◆<騒乱が絶える〉政情不安なこの国では騒乱が絶えません。♠◆<騒乱状態>学生のデモから、市内は一時騒乱状態となった。 **ぞうり**【草履】○底は平らで、はなおのついた履物。[文例]和服には草履、洋服には靴と、はき物が決まっています。♠●〈草履をはく〉最近は、草履をはく人がほとんどいなくなりました。♠◆夏河を越すうれしさよ手に草履(与謝蕪村[よさぶそん]) **そうりつ**【創立】○新しく設立すること。[文例]〈創立~周年〉この秋わたしたちの学校は創立五十五周年をむかえます。♠●〈創立する〉正岡子規[まさおかしさ]は、俳句を革新するかたわら根岸短歌会を創立し、短歌の革新にも力を尽くした。 **そうりょ**(僧侶)○僧。お坊さん。[文例]良寛[りようかん]さんは心の清らかな、子供好きの僧侶でした。♠●十二世紀前半に書かれた「今昔[こんじゃく]物語集」には、貴族ばかりでなく僧侶・武士・盗賊[とうぞく]など民衆も広く登場します。 **そうりょう**【総領】(惣領)○家の跡を継ぐ者。[文例]総領が農業を継いだので、次男以下は町に出て働くことにした。♠●〈総領の甚六[じんろく]〉総領の甚六という言葉通り、あの家の長男は実におっとりしているね。♠へ総領娘〉おまえはこの家の総領娘なのだから、いいおむこさんをもらって家を継がなければいけないよ。 **そうりょく**【総力】○あらゆる方面の力。すべての力。[文例]〈総力の結集>昭和三十九年に開かれた東京オリンピックは、ある意味で戦後日本の総力の結集であった。♠●へ総力をあげる〉この神殿は、当時の支配者がその威信[いしん]を誇[ほこ]るために総力をあげて作ったものです。♠●〈総力戦>両校の戦いは、選手・監督の力はもちろん、応援団まで含めた総力戦となった。 **そうれい**【壮麗】○立派で美しいさま。[文例]〈壮麗な宮殿〉壮麗なベルサイユ宮殿は、今でもわたしの印象に残っています。♠●ヘ壮麗な夕焼け〉日本アルプスの山々を紅[くれない]に染めたあの壮麗な夕焼けを忘れることができない。 **そうれつ**【壮烈】○勇ましく激しいさま。[文例]〈壮烈な攻撃>川をはさんでにらみあって三日め、イギリス軍はドイツ軍に対して壮烈な攻撃をしかけました。♠●〈壮烈な最期>壇[だん]ノ浦[うら]の合戦で、平家の武将たちは、あるいは壮烈なあるいは哀れな最期を遂げた。♠●〈壮烈な打ち合い〉チャンピオンも挑戦者もパンチ力があり、壮烈な打ち合いとなることは必至です。 **そうわ**【総和】○全部を合わせること。総計。合計。[文例])<売り上げの総和〉各店の売り上げの総和から、順調な伸びがうかがわれます。♠●〈総和を求める〉次の統計から去年一年間の販売台数の総和を求めよ。 **そうわ**【挿話】○本筋から離れてさし込まれた短い話。[文例]自伝的要素の濃いこの小説には、東京に引っ越した直後の作家と家族の挿話も見えて興味深い。♠◆この挿話のように、彼の温かい人柄を語る話は多い。 **ぞうわい**【贈賄】○わいろを贈ること。→収賄[しゅうわい][文例]<贈賄と収賄>不正な取り引きが行われないように、わいろを送ったり受け取ったりする贈賄・収賄の罪には厳しい罰が定められている。♠へ贈賄の疑い〉贈賄の疑いで取り調べを受けていた業者は、五回にわたって現金二千万円を渡していたことを認めた。 **そ・える**【添える】○支えとして横に当てる。付け加える。[文例]〈支えを添える〉台風が近づいているので、庭木に何か支えになる棒を添えて縛[しば]っておこう。♠◆へ手紙に添える〉旅先でお世話になった人に、お礼の手紙に添えて名物のお菓子を送った。♠へ身ぶりを添える〉ことばだけでは足りないと思ったのか、彼女は身ぶりを添えて説明し始めた。♠◆〈手を添える〉何気なく襟あしに手を添える彼女のしぐさが、とても女らしかった。♠●〈野菜を添える〉ハンバーグに添えてある野菜も食べなさいよ。♠◆ヘ彩り[いろど]を添える〉彼女のすばらしい歌声が、パーティーに彩りを添えた。♠へ花を添える〉最後の種目でも彼女は最高得点をあげ、優勝に花を添えた。 <609> **そく・する**【則する】○基準として従う。基づく。のっとる。[文例]〈法律に則する〉日本人が外国で罪を犯[おか]した場合、その国の法律に則して裁[さば]かれる。 **そがい**【阻害】(阻碍)○はばむこと。妨げること。[文例]<進行の阻害〉進行の阻害を恐れたため、裁判は非公開となった。♠●へ発展の阻害〉明治以降、社会の発展の阻害になるような迷信や因習は次々と取り除かれていった。♠へ阻害する〉厳しい身分制度であるカースト制は、長くインドの近代化を阻害してきた。 **そがい**【疎外】○のけものにすること。[文例]〈疎外する>新しい住民を疎外することなく、町づくりに協力しあっています。♠●〈人間疎外>機械文明から情報化社会へと、人間疎外はますます進行しています。♠●へ疎外感〉クラブ活動が盛んな学校なので、活動していない生徒は疎外感を感じるほどでした。 **そぎねと・す**【そぎ落とす】(殺ぎ落とす・削ぎ落とす)○削って落とす。切り落とす。[文例]〈枝をそぎ落とす〉木こりたちにはまだ、切り倒した木の枝をそぎ落とす仕事が残っていた。♠●へ肉をそぎ落とす〉手早く肉をそぎ落とされた骨は、スープを取るために煮立[にた]ったなべにほうりこまれた。 **そ・ぐ**(殺ぐ・削ぐ)○削り取る。うすく切り落とす。弱める。減らす。[文例]〈竹をそぐ〉職人は小刀一本で器用[きよう]に竹をそいで、つまようじを作りあげていきます。♠●へ興をそぐ見たい映画の筋を聞いてしまうと興がそがれます。♠〈気勢をそぐ〉決勝戦は雨で一日延期となり、選手たちは気勢をそがれた。 **ぞく**【俗】○(出家していない)普通の人。世間一般。世間のならわし。ありふれたさま。上品でないさま。[文例]〈俗に>太陽が照っているときに降る雨を、俗にきつねの嫁入[よめい]りなどと言います。♠●〈俗に言う〉俗に言うアカマンマはイヌタデのことです。♠●へ俗な男〉桜[さくら]が咲きはじめるとそわそわするだなんて、あいつもけっこう俗な男だね。♠●へ俗っぽい女主人」という言葉に対して、「おかみさん」のように俗っぽい感じの言葉を俗語という。 **ぞく**【賊】○盗みを働く者。謀反[むほん]人。[文例]〈賊の侵入〉どの家庭にも、賊の侵入を防ぐ備えはあります。♠●へ賊が押し入る>警察の調べで、賊は裏口から押し入ったことがわかった。♠●へ賊を捕らえる〉山のとりでにたてこもった賊を捕らえるために、役人が派遣された。 **ぞくあく**【俗悪】○低級で下品なさま。[文例]〈俗悪な番組〉下品で好ましくない、俗悪なテレビ番組もあるようです。♠◆〈俗悪な音楽〉ロックや歌謡曲が俗悪な音楽だという考え方には賛成できない。 **そくい**【即位】○王位・帝位・皇位につくこと。又例〈即位する〉七九四年に平安京遷都[せんと]を行った桓武[かんむ]天皇が第五十代の天皇として即位したのは、七八一年のことです。♠●へ即位する〉フランス革命で活躍したナポレオンは、エジプト遠征後にクーデターを起こし、皇帝として即位した。 **そくいん**(惻隠)○哀れむこと。同情すること。[文例]<惻隠の心不幸な人たちに惻隠の心を持つのは人として当然なことです。♠●へ惻隠の情〉旅先で会った不幸な母子に惻隠の情やみがたく、わたしは家へ連れ帰ることにした。 **そくおう**【即応】○ぴったりあてはまること。情勢の変化に速やかに応じること。[文例]〈情勢に即応する〉情勢に即応した政策を次々に打ち出すことによって、大統領は国民の支持を得ていった。♠●〈時代に即応する〉ビジネスマンには時代に即応する感覚が必要とされます。 **そくさい**【息災】○健康で無事なこと。仏の力で災難をなくすること。[文例]〈息災に暮らす>老父はここ数年間これといった病気もせず、息災に暮らしております。♠●へ息災延命〉寺社では右大臣の息災延命を祈って、加持祈禱[かじきとう]が行われていた。♠●〈無病息災〉おかげさまで一家四人、病気もせず無病息災で暮らしています。 **そくざに**【即座に】○その場でただちに。[文例]あまり難しい質問だったので、即座に答えることができなかった。♠こんなにいい話を即座に断ってくるなんて、彼の気持ちがわからない。♠●映画を見に行こうという彼の誘[さそ]いに、ぼくは即座に乗った。♠●英会話の勉強会を開きたいということを話すと、彼らは即座に同意してくれた。 **そくし**【即死】○その場ですぐに死ぬこと。例〈即死する>車はコンクリートのフェンスに激突し、運転手は全身を強く打って即死しました。♠◆〈即死する〉ガス爆発で作業員三人が即死し、五人が病院に運ばれました。 **そくじ**【即時】○その時すぐ。すぐさま。[文例]〕不祥事[ふしようじ]を起こした従業員は、即時に解雇[かいこ]された。♠◆便利屋を営んでおります。電話をいただけば即時参上いたします。♠◆即時通話>海底ケーブルが敷設[ふせつ]されて、海をへだてた国とも即時通話が可能になりました。 **ぞくじ**【俗事】○世間的でわずらわしい用事。[文例]〈俗事にかまける〉師走は、ついつい俗事にかまけて、静かにものを考える時間が持てません。♠●へ俗事に追われる〉雑多な俗事に追われる毎日ですが、たまには音楽会へでも出かけたいものです。♠〈俗事から逃[のが]れる〉正月はわずらわしい俗事から逃れて、山の温泉場で過ごすつもりです。 **ぞくしゅつ**【続出】○次から次へと現れること。たてつづけに起こること。[文例])〈負傷者が続出する〉激しいぶつかり合いで、双方[そうほう]に負傷者が続出した。♠●〈事故が続出する>見通しがよいから運転手が油断するのか、この付近では事故が続出している。♠●〈被害が続出する〉生活排水が原因と思われる赤潮の被害が続出しています。 **そくしん**【促進】○物事の進行を速めるようにうながすこと。[文例]〈促進を図[はか]る〉市は観光事業の促進を図るよう、市長に申し入れた。♠●〈生長を促進する〉植物の生長を促進する物質の研究が進んでいる。♠へ分泌[ぶんぴつ]を促進する〉おいしそうな食べ物は、見ただけで、だ液の分泌を促進するようだ。♠●へ運動を促進する>野生動物保護運動を促進しよう。 **ぞくじん**【俗人】○世間一般の人。世俗的な人。[文例]あの名画は売ればいくらだろうなんて、俗人の考えることは現実的でいけないな。♠◆すぐれた音楽家や画家には、俗人にはない繊細[せんさい]な感覚が備わっているように思える。 <610> **そくてい**【測定】○測って数値で表すこと。[文例]〈体力の測定〉〈測定をする〉来週の月曜日に体力の測定をします。♠●〈タイムの測定〉タイムの測定に誤りがあってはいけないので、係員は真剣[しんけん]な表情だった。♠●〈高度を測定する>飛行機の高度を測定する装置が故障すると、大変なことになる。 **ぞく・する**【即する】○ぴったりつく。適応する。[文例]〈文章に即する>主人公の考えや気持ちがどのように変化していったかを、文章に即して考えてみよう。♠●へ現実に即する〉彼の言っていることは、理屈[りくつ]ではわかるが、現実に即していないような気がする。♠●へ事実に即する〉調査の結果、これまでの定説は事実に即していないことが判明した。♠〈資料に即する〉レポートにまとめたことが正確であるかどうか、資料に即してもう一度検討しよう。♠●〈経験に即する〉この小説は、作者の身近な経験に即して書かれたものだという。♠●〈時代に即する〉現代人には、時代に即した生き方が要求される。♠●〈自分に即したやり方〉人にはそれぞれ個人差がありますから、自分に即したやり方でやってください。 **ぞく・する**【属する】○加わっている。含まれている。所属する。従属する。[文例]〈サッカー部に属する〉兄もぼくも、学校ではサッカー部に属しています。♠●〈合唱団に属する〉姉の属している合唱団は、来月コンサートを開く予定です。♠◆ヘフランスに属する〉アルザス・ロレーヌ地方は現在はフランスに属し、今の西ドイツとの国境の近くにあります。♠●〈政党に属する〉かつては市民党を名乗っていた市長も、現在は保守党に属している。♠●ヘバラ科に属する〉とげはありませんが、サクラもバラ科に属する植物です。 **そくせい**【促成】○成長・成育をうながすこと。[文例]〈促成する〉五月だというのに、八百屋の店先にはビニールハウスで促成されたスイカが並んでいる。♠◆〈促成栽培〉温暖な気候を利用して、この地方では野菜の促成栽培が行われている。♠●〈促成飼育>夏休みの都会の子供たちの需要を見込んで、業者は春先に温度を上げてカブトムシを促成飼育して出荷します。 **そくせい**【速成】○急いで達成すること。速やかに仕上げる、また仕上がること。[文例]〈基礎を速成する〉この講座は、わずかの一か月で英会話の基礎を速成できるよう工夫されています。♠●く選手を速成する〉四番バッターを速成する方法などないから、他球団とのトレードも考えなければなるまい。 **ぞくせい**【属性】○そのものに備わっている性質。固有の性質。特性。[文例]物にそなわっている性質を、その物の属性といい、銅が熱や電気を伝えやすいというのもそれに当たります。♠●日本人は、竹の属性を利用して、さまざまな道具を作ってきました。 **そくせき**【即席】○その場でただちにすること。その場のまにあわせ。[文例]国語の授業で、みんなで即席に川柳[せんりゅう]を作ってみようということになった。♠●へ即席のおしゃべり〉出演者のしたくができるまで、司会者は即席のおしゃべりで観客を笑わせていた。♠●〈即席ラーメン〉作るのは簡単かもしれないけれど、一日三食即席ラーメンでは栄養が不足してしまう。 **そくせき**【足跡】○足あと。歩いた跡。行動や活動の跡。業績。[文例]〈足跡を残す〉ジェンナーは天然痘[てんねんとう]の予防と撲滅[ぼくめつ]に、大きな足跡を残した。♠●へ足跡をたどる石川啄木[いしかわたくぽく]の足跡をたどって、釧路[くしろ]、函館[はこだて]まで旅をしました。♠●へ足跡をたずねる〉レオナルド・ダ・ビンチの足跡をたずねてみると、広い分野に大きな業績を残したことがわかる。 **ぞくせけん**【俗世間】○一般の人が住む世の中。俗世。又例わたしたちが日常の生活を送る俗世間では、なんといってもお金は大切です。♠●名家のお嬢様である彼女は、わずらわしい俗世間のことなど何も知りません。♠●〈俗世間を捨てる〉その侍は、三十歳で俗世間を捨て出家した。♠●〈俗世間を離れる〉やかましくせちがらい俗世間を離れ、山奥の小屋にたった一人で住んでいます。 **ぞくせつ**【俗説】○世間に伝えられる、学問的根拠のない説。[文例]お茶に茶柱が立つと縁起がよいという俗説があります。♠●ヒキガエルは人間に不幸をもたらす縁起の悪い動物だ、という俗説が古くからありました。♠◆俗説によると、蒙古[もうこ]のチンギスハンは、ひそかに日本を逃れた源義経[みなもとのよしつね]だという。 **ぞくぞく**【続続】○次から次へ。引き続いて。[文例]この地層からは、アンモナイトなど中世代のものと思われる化石が続々と出土しています。♠◆水害地には、日本中から救援物資が続々と集まってきた。♠◆パンダを一目見ようと見物人が続々とつめかけました。 **そくたつ**【速達】○速く届けること。速く届くこと。速達郵便。[文例]普通郵便なら三日かかりますが、速達なら明日中には届くでしょう。♠◆この書類はすぐに提出したいんだ、すまないけど速達で出してきてくれないか。 **そくだん**【速断】○速やかに判断すること。早まった判断を下すこと。[文例]〈速断を避ける>集団食中毒の原因について、医師は詳しい調査結果が出るまで速断を避けたいといっている。♠へ速断する〉覚えのある手口に、犯人はあの男だなと、刑事は速断しました。 **そくだん**【即断】○その場でただちに決断すること。[文例])〈即断を要する>事態は緊迫しているので、どう処置するか即断を要します。♠●〈即断を下す〉事情が分かったら、その時点で即断を下すということで、今回は結論を出さなかった。♠●〈即断する〉お話は理解しましたが、当方にも事情がありまして即断することができません。♠●〈即断即決〉外遊から帰った市長は、留守中にたまった案件を次々に即断即決していった。 **ぞくっぽ・い**【俗っぽい】○世間にありふれている。低級である。例月を見てだんごを思い浮かべるなんて、これはまたずいぶん俗っぽいね。♠●へ俗っぽい観光地〉閑静[かんせい]な避暑[ひしょ]地であった軽井沢[かるいざわ]も、昨今は俗っぽい観光地になりました。♠●へ俗っぽい趣味〉ゴルフもすっかり普及して、今ではすっかり俗っぽい趣味の一つになりました。 <611> **そぐわな・い**ふさわしくない。つりあわない。[文例]〈生徒としてそぐわない〉この学校は制服はありませんが、生徒としてそぐわない格好だと先生から注意を受けます。♠●〈場所にそぐわない〉観光タワーの建設にあたっては、古都にそぐわないという反対意見もありました。♠●へ季節にそぐわない〉まだ四月だというのにスイカだなんて、季節にそぐわないなあ。 **そくど**【速度】○物体の進む速さ。物事の進行の速さ。スピード。[文例]そのマラソンランナーは、四十二・一九五キロを、百メートル約二十秒の速度で走り続けた。♠●へ速度を上げる〉後ろを走っていた車が急に速度を上げて、ぼくの車を追い抜いていった。♠●〈速度を出す>事故を起こした車は、かなりの速度を出していたようだ。♠●〈速度を増す〉高速道路に入った車は、徐々[じよじよ]に速度を増していった。♠●へ速度を保つ〉離陸[りりく]した飛行機はまもなく自動操縦[そうじゆう]に切り換えられ、一定の速度を保って飛行を続けた。♠●へ速度を落とす>住宅街では子供の飛び出しが多いので、速度を落として運転しましょう。♠●へ速度を減[げん]じる〉徐々[じよじよ]に速度を減じた機は、滑走路[かつそうろ]に車輪を着けて無事に着陸した。♠●〈仕事の速度〉仕事が予想以上の速度で進んでいるので、完成は予定よりも早まるだろう。♠〈制限速度〉わたしはいつも、制限速度を守って、安全運転をしている。 **そくとう**【即答】○即座に答えること。[文例]〈即答を避[さ]ける>記者の鋭い質問に、首相は即答を避け、検討します、と逃げた。♠●へ即答を求める〉昨夜の外泊について即答を求められたわたしは、前もって作り上げていたうそを並べ立てた。♠◆〈即答する〉街でいきなりマイクをつきつけて、即答しろといったって無理だ。 **そくばい**【即売】○その場で品物を売り渡すこと。[文例]<製品の即売〉〈即売をする〉工場見学者のために、加工品の即売をしています。♠●〈即売する>農園で取れたばかりのぶどうが、国道沿いの店で即売されている。♠◆人即売会>デパートで、新進工芸家たちの作品の展示即売会が開かれています。 **そくばく**【束縛】○自由な行動に制限を加えること。[文例]〈束縛を受ける>彼は、他人から束縛を受けることを嫌[きら]い、自由な生き方を望んでいた。♠●へ自由を束縛する〉作者は、自由を束縛されることを嫌[きら]って、山奥で仙人[やまおくせんにん]のような暮らしをしていた。♠●へ行動を束縛する〉だれだって、自分の行動を束縛されるのは嫌[いや]だろう。♠●へ時間に束縛される〉忙[いそが]しい現代人は、時間に束縛されて生きていると言っても過言[がどん]ではない。 **ぞくはつ**【続発】○連続して発生すること。[文例]〈事件の続発〉〈続発を防ぐ〉現金強奪[ごうだつ]事件の続発を防ぐために、金融機関は警備員の数を増やすなどしています。♠●〈続発する〉最近、市内で子供がハチに刺[さ]される事件が続発している。♠◆<続発する>夏休み最初の日曜日、各地の海水浴場では水の事故が続発しました。 **ぞくぶつ**【俗物】○世間的な名誉や利益にとらわれている人。[文例]金や名誉を第一に考える俗物には、この絵のすばらしさなどとうていわからないだろう。♠●へ俗物にすぎない〉あの人は立派な人だと思っていましたが、紳士[しんし]気取りのただの俗物にすぎませんでした。♠●〈俗物になりさがる〉若いころは正義感あふれる青年だったが、年をとり地位を得て単なる俗物になりさがったか。 **ぞくねん**【俗念】○名誉や金銭を得ようとする世俗的な考え。[文例]〈俗念をもつ〉どんな人でも、有名になりたい、お金もうけをしたいなどという俗念を少しはもっています。♠●〈俗念がある〉心の中に俗念のあるうちは、とても悟[さと]りなど開けない。♠●へ俗念を去る〉俗念を去って、筆をとり、真っ白い半紙に向かいます。 **そくぶつてき**【即物的】○対象に即して認識し、判断するさま。[文例]〈即物的な歌風〉この歌人は、現実にある景物を瞬間のうちにとらえた即物的な歌風が特徴です。♠●へ即物的にとらえる〉対象を即物的にとらえた彼の写真は、見る者に不思議な衝撃[しょうげき]を与えます。 **そくほう**【速報】○速やかに知らせること。また、その知らせ。[文例]〈速報する〉番組を中断して、台風による現地の被害状況を速報します。♠◆へ開票速報〉〈速報が入る>東京の新聞社には、各地から選挙の開票速報が続々と入った。♠◆〈ニュース速報><速報が流れる>テレビドラマの画面に遭難事故を知らせるニュース速報が流れた。 **ぞくほう**【続報】○続けて知らせること。また、その知らせ。[文例]〈続報を伝える〉先ほどの爆発事故の続報をお伝えします。♠へ続報が入る>午後十時現在、台風のその後の被害に関する続報は入っていません。 **そくめん**【側面】○物の横の面。物の左右の面。わきの方。全体の一面。[文例])〈円柱の側面〉この展開図を見ればわかるように、円柱の側面は長方形を丸めたものなのです。♠敵の側面>別の部隊が敵の側面[こうげさ]に回って、攻撃を開始した。♠◆〈日常生活の側面〉この本は、公害問題を、患者[かんじゃ]の日常生活の側面から追及したものである。♠◆◇側面から支える〉事業に失敗したわたしたち一家を、今日まで、彼はずっと側面から支えてくれた。♠◆〈別の側面〉人間は、他人には見せない別の側面をもっているものだ。 **そくりょう**【測量】○土地の位置・地形・面積などを測ること。[文例]<道路の測量〉〈測量をする〉この辺りの道幅[みちはば]を広げることになったので、今、道路の測量をしています。♠●〈測量する〉ピラミッドを造った時代の人々は、すでに正確に土地を測量する技術をもっていました。 **そくりょう**【速了】○早合点すること。早のみこみすること。[文例])〈速了する〉せっかちなわたしは、相手の話を最後まで聞かずに速了して、またおかしなことを始めていたらしい。 <612> そげき ぐわない気[き]がするなあ。♠〈現状[げんじょう]にそぐわない〉確[たしか]に注目[ちゅうもく]すべき提案[ていあん]だが、費用[ひよう]がかかりすぎて現状[げんじょう]にそぐわない。 **そげき(狙撃)** ○ねらい撃[う]ちすること。[文例]〈狙撃[そげき]を受[う]ける>伊藤博文[いとうひろぶみ]は、明治四十二年[めいじよんじゅうにねん]に満州[まんしゅう]で現地人[げんちじん]の狙撃[そげき]を受[う]け死亡[しぼう]した。♠◇狙撃[そげき]する>警察[けいさつ]の調[しら]べによると、犯人[はんにん]はビルの屋上[おくじょう]からライフルで狙撃[そげき]しようとしたらしい。 **そ・げる(殺げる・削げる)** ○削[けず]り取[と]られる。削[けず]られたように落[お]ちくぼむ。[文例]〈鼻[はな]がそげる〉囚人[しゅうじん]の中[なか]にはひどい拷問[ごうもん]を受[う]けた者[もの]もいました。目[め]のつぶれた者[もの]、鼻[はな]のそげた者[もの]、片手[かたて]のない者[もの]………………。♠〈肉[にく]がそげる〉失恋[しつれん]のショックでしょうか、彼[かれ]はほおの肉[にく]がそげて元気[げんき]がありません。♠へ山肌[やまはだ]がそげる〉土砂崩[どしゃくず]れのあった所[ところ]では、山肌[やまはだ]がそげたままになっていた。 **そこ(其処・其所)** ○その場所[ばしょ]。そのところ。その場面[ばめん]。その点[てん]。そのこと。[文例]「今[いま]、駅[えき]に着[つ]いたところです。」「迎[むか]えに行[い]きますからそこで待[ま]っていてください。」♠出[で]かけようとしたら、そこへ電話[でんわ]がかかってきた。♠そう、そこそこ、そこなんだよ、ぼくの言[い]いたいのは。 **そこ【底】** ○物[もの]の一番下[いちばんした]の面[めん]。底面[ていめん]。深[ふか]く落[お]ち込[こ]んだ所[ところ]。奥深[おくぶか]い所[ところ]。物事[ものごと]の行[ゆ]き着[つ]くところ。力[ちから]の限界[げんかい]。一番奥[いちばんおく]にある本当[ほんとう]のもの。(価格[かかく]の)最[もっと]も下[さ]がったところ。[文例]〈瓶[びん]の底[そこ]>瓶[びん]の底[そこ]には、もう一滴[いってき]の酒[さけ]も残[のこ]っていなかった。♠へ海[うみ]の底[そこ]>海[うみ]の底[そこ]には、岸[きし]から投[な]げ捨[す]てられた空[あ]きかんが、ヘドロに混[ま]じってたくさん沈[しず]んでいた。♠〈地[ち]の底[そこ]〉どこからともなく聞[き]こえてくるその声[こえ]は、地[ち]の底[そこ]からのうめき声[ごえ]のように思[おも]えた。♠〈靴[くつ]の底[そこ]〉きみの運動靴[うんどうぐつ]の底[そこ]はずいぶん厚[あつ]いんだね。♠<船[ふね]の底[そこ]〉エンジンの爆発[ばくはつ]で船[ふね]の底[そこ]に穴[あな]があき、そこから海水[かいすい]が流[なが]れ込[こ]んできた。♠〈底[そこ]が抜[ぬ]ける〉本[ほん]を詰[つ]め込[こ]んだダンボール箱[ばこ]を持[も]ち上[あ]げたら、重[おも]みで底[そこ]が抜[ぬ]けてしまった。♠〈底[そこ]をつく>生存者[せいぞんしゃ]たちは食糧[しょくりょう]が底[そこ]をついてからは、草[くさ]の葉[は]や根[ね]をかじって生[い]きのびてきた。♠〈財布[さいふ]の底[そこ]をはたく>姉[あね]は、気[き]に入[い]った服[ふく]を見[み]つけると、財布[さいふ]の底[そこ]をはたいても買[か]ってしまう。♠へ心[こころ]の底[そこ]〉今[いま]まで心[こころ]の底[そこ]にしまっておいた秘密[ひみつ]を、とうとう彼女[かのじょ]に打[う]ち明[あ]けてしまった。♠く胸[むね]の底[そこ]>彼[かれ]のきつい言葉[ことば]が、ぼくの胸[むね]の底[そこ]まで刺[さ]すように響[ひび]いた。♠へ腹[はら]の底[そこ]からすべてがぼくの思[おも]いどおりだと思[おも]うと、腹[はら]の底[そこ]から笑[わら]いがこみ上[あ]げてきた。♠へ耳[みみ]の底[そこ]〉十年近[じゅうねんちか]くもたつというのに、いまだに死[し]んだ子[こ]の泣[な]き声[ごえ]が耳[みみ]の底[そこ]に残[のこ]っているのです。♠〈記憶[きおく]の底[そこ]〉忘[わす]れていたはずの悲[かな]しい出来事[できごと]が記憶[きおく]の底[そこ]からよみがえってきた。♠〈底[そこ]が浅[あさ]い〉きみの考[かんが]えは、経験不足[けいけんぶそく]のせいか、底[そこ]が浅[あさ]い。♠へ底[そこ]がない〉人間[にんげん]の欲望[よくぼう]は深[ふか]くて底[そこ]がないものだという。♠へ底[そこ]が割[わ]れる〉今[いま]のいい加減[かげん]な発言[はつげん]で、彼[かれ]の本質[ほんしつ]はそんなものかと、底[そこ]が割[わ]れた感[かん]じだ。♠〈底知[そこし]れない〉彼女[かのじょ]はめったに試合[しあい]に出場[しゅつじょう]しない人[ひと]だが、その実力[じつりょく]は底知[そこし]れないものがある。 **そご(齟齬)** ○かみ合[あ]わないこと。くいちがうこと。[文例]〈齟齬[そご]がある〉複数[ふくすう]の目撃者[もくげきしゃ]の証言[しょうげん]にはいくつかの点[てん]で齟齬[そご]があり、詳[くわ]しい状況[じょうきょう]は不明[ふめい]のままだ。♠へ齟齬[そご]を生[しょう]じる〉政党[せいとう]の方針[ほうしん]と自分[じぶん]の考[かんが]えの間[あいだ]に齟齬[そご]を生[しょう]じた代議士[だいぎし]は、ついに離党[りとう]する決意[けつい]をした。♠〈齟齬[そご]をきたすゞお互[たが]いの性格[せいかく]に齟齬[そご]を来[き]たしたというが、その溝[みぞ]を埋[う]める努力[どりょく]をしたのですか。 **そこい【底意】** ○心[こころ]の底[そこ]にある考[かんが]え。下心[したごころ]。[文例]〈底意[そこい]がある〉けちで有名[ゆうめい]な男[おとこ]が百万円[ひゃくまんえん]もポンと寄付[きふ]するには、なにか底意[そこい]があるのではないだろうか。♠〈底意[そこい]をはかる〉援助[えんじょ]を申[もう]し出[で]た見[み]ず知[し]らずの人[ひと]の底意[そこい]をはかりかね、快[こころよ]く受[う]け入[い]れるわけにはいかなかった。 **そこいじ【底意地】** ○心[こころ]の底[そこ]にもつ意地[いじ]・根性[こんじょう]。[文例]〈底意地[そこいじ]が悪[わる]い>失敗[しっぱい]するのがわかっているのに注意[ちゅうい]もせずに黙[だま]って見[み]ているなんて、きみも底意地[そこいじ]の悪[わる]い人[ひと]だね。 **そこく【祖国】** ○祖先[そせん]以来[いらい]の国[くに]。生[う]まれた国[くに]。母国[ぼこく]。故国[ここく]。[文例]〈懐[なつ]かしい祖国[そこく]〉三人[さんにん]は船長[せんちょう]や乗組員[のりくみいん]に別[わか]れのあいさつをすると、懐[なつ]かしい祖国[そこく]をめざして出発[しゅっぱつ]した。♠<祖国[そこく]の独立[どくりつ]〉この銅像[どうぞう]は、祖国[そこく]の独立[どくりつ]のために戦[たたか]った勇士[ゆうし]たちを記念[きねん]して建[た]てられたものである。♠<祖国[そこく]を捨[す]てる〉彼[かれ]が祖国[そこく]を捨[す]ててこの地[ち]にやってきたのは、今[いま]から十年[じゅうねん]も前[まえ]のことだ。♠〈祖国[そこく]を思[おも]う〉冬[ふゆ]がきて雪[ゆき]が降[ふ]り始[はじ]めると、彼[かれ]の祖国[そこく]を思[おも]う気持[きも]ちはますますつのった。♠〈祖国[そこく]を離[はな]れる〉祖国[そこく]を離[はな]れて五年[ごねん]になるが、いつか必[かなら]ず残[のこ]してきた家族[かぞく]のもとに帰[かえ]るつもりだ。♠〈祖国[そこく]を守[まも]る〉そのときのぼくは、祖国[そこく]を守[まも]るためだったら命[いのち]など惜[お]しくないという気持[きも]ちになっていた。♠◇祖国[そこく]の土[つち]>侵略者[しんりゃくしゃ]に祖国[そこく]を追[お]われた原住民[げんじゅうみん]たちは、その後[ご]数百年[すうひゃくねん]、祖国[そこく]の土[つち]を踏[ふ]むことはできなかった。♠<祖国[そこく]へ帰[かえ]る〉二十年[にじゅうねん]ぶりに祖国[そこく]へ帰[かえ]ることになった人々[ひとびと]は、うれしさで夜[よる]も眠[ねむ]れなかった。♠〈祖国[そこく]を失[うしな]う〉戦争[せんそう]によって祖国[そこく]を失[うしな]った人々[ひとびと]の悲[かな]しみには、計[はか]り知[し]れないものがある。 **そこぢから【底力】** ○いざという時[とき]に発揮[はっき]する力[ちから]。[文例]〈底力[そこぢから]がある〉あまり勉強[べんきょう]する暇[ひま]もなかったはずなのにテストでは一番[いちばん]だなんて、底力[そこぢから]のある人[ひと]です。♠〈底力[そこぢから]が出[で]る〉命[いのち]にかかわるようなせっぱつまった時[とき]には、弱[よわ]そうに見[み]える人[ひと]でも底力[そこぢから]が出[で]るものらしい。♠へ底力[そこぢから]を見[み]せつける不調[ふちょう]と言[い]われていたチャンピオンだったが、挑戦者[ちょうせんしゃ]を退[しりぞ]けて・底力[そこぢから]を見[み]せつけた。 **そこう【素行】** ○ふだんの行[おこな]い。[文例]〈日[ひ]ごろの素行[そこう]〉彼[かれ]は成績[せいせき]はいいが、日[ひ]ごろの素行[そこう]に問題[もんだい]がある。♠へ素行[そこう]が悪[わる]い〉少[すこ]しぐらい頭[あたま]がよくても、素行[そこう]が悪[わる]いと人[ひと]から信用[しんよう]されない。♠〈素行調査[そこうちょうさ]>探偵[たんてい]が素行調査[そこうちょうさ]を行[おこな]った結果[けっか]、彼女[かのじょ]にやま[はやま]しい点[てん]はまったくなかった。 **そこう(溯行・遡行)** ○流[なが]れをさかのぼること。〔[文例])<溯行[そこう]する>流[なが]れに溯行[そこう]すること三か月[さんかげつ]、ついにわれわれは源流[げんりゅう]の湖[みずうみ]に到着[とうちゃく]した。♠<遡行[そこう]する>土手[どて]に立[た]って、わたしは川[かわ]を遡行[そこう]する小舟[こぶね]を見[み]ていた。 **そこつ(粗忽)** ○そそっかしいさま。軽率[けいそつ]なあやまち。[文例]〈そこつな性格[せいかく]>母[はは]は落[お]ち着[つ]いた話[はな]し方[かた]に似合[にあ]わず、案外[あんがい]そこつな性格[せいかく]です。♠ヘそこつ者[もの]〉家来[けらい]のくせに主人[しゅじん]の馬[うま]に乗[の]ってさっさと行[い]ってしまうとは、なんというそこつ者[もの]だ。 **そこで** ○そんなわけで。それで。ところで。[文例]「くれな「い」と「べに」の違[ちが]いがわかりません。そこで、辞書[じしょ]をひいて <613> **そし**【阻止】(沮止)○妨げてやめさせること。はばむこと。〔[文例])〈運動の阻止>自由な市民の発想から始まった運動の阻止を企[くわだ]てる動きが一部にあるらしい。♠●〈阻止する>集会の会場に向かう反対派は実力で阻止され、入場できなかった。 **そして**○そうして。それから。そのうえ。[文例]父も母も兄も、そして小さい妹までが畑に出て働いた。♠◆先生はにこっと笑いました。そして、黒板に何か書き始めました。♠◆自分の地方の方言を集めよう。そして、分かったことをまとめよう。 **そしゃく**(咀嚼)○よくかみくだくこと。意味をよく考え、理解すること。[文例])〈食物を咀嚼する>草食動物の歯は食物を咀嚼しやすいように、平たく大きくなっています。♠●へ言葉を咀嚼する〉(………………)「覚悟」という彼の言葉を、頭のなかで何遍[なんべん]も咀嚼しているうちに、私の得意はだんだん色を失なって(………………)(夏目漱石「こころ」) **そじ**【素地】○もとになるもの。物事の土台。下地。[文例]〈素地がある〉もともと踊りの素地のあった彼女は、他の人よりも上達が早かった。♠●〈素地ができる〉小さいころから平衡感覚が発達して素地ができていたのか、少女はすぐに玉乗りもできるようになった。 **そしき**【組織】○人・物を組み合わせて作った秩序あるまとまり。また、それを作ること。生物体で、一定の生理作用をする細胞の集合体。[文例]〈会社の組織〉この会社がどういう組織になっているか、これから説明します。♠◆へ体の組織>人間の体の組織は実によくできていて感心する。♠●<組織を作る>青年たちの組織を作って、村のために働こうと思う。♠●へ隊を組織する〉台風で道路が分断され、山奥[やまおく]に孤立[こりつ]した人々を助けるために、救援隊が組織された。♠へ運動を組織する〉彼は、非暴力・不服従運動を組織して権力者と闘[たたか]った。♠へ組織立つ>特に組織立ってやっているわけではなく、何人かの有志が集まって活動をしている程度です。♠●<組織的〉ふるさとの美しい自然を守るために、青年たちは組織的に活動し始めた。 **そしつ**【素質】○生まれつき備わった性質や能力。[文例]〈素質がある〉体じゅうからあふれる表現力からして、きみには俳優としての素質があると思う。♠●へ素質を持つ>その音楽学校では、優れた素質を持った子供たちをえりすぐり、特別な教育を施[ほどこ]していた。♠●へ素質を伸ばす〉この子の絵の素質をなんとか伸ばしてやりたいものだ。♠●へ素質にめぐまれる〉めぐまれた素質と不断の練習の成果で、一流への階段を上っていった。 **そざい**【素材】○もとになる材料。又例〈小説の素材〉〈素材とする〉詩人の生いたちを素材とした伝記風の小説を書いています。♠●へ料理の素材〉〈素材を生かす〉この料理は、素材を生かして薄く味つけするのがこつです。♠●へ選手の素材〉〈素材がいい〉お宅のチームは選手の素材がいいから、監督さんもやりがいがありますな。 **そざつ**【粗雑】○大ざっぱで、いい加減なさま。[文例]〈仕事が粗雑>彼の仕事は粗雑で、とてもプロとしては通用しない。♠●〈粗雑な計画>農民が夢を託[たく]した事業も粗雑な計画のために失敗に終わった。♠●〈粗雑な頭〉ぼくみたいな粗雑な頭では、この問題は解けないや。♠●へ粗雑さ〉彼の絵は、子供らしい素直さと粗雑さが妙に調和した独特の味がある。 **そこはかととな・い**○何となく感じられるさま。[文例]〈そこはかとない香り〉町角にはそこはかとない花の香りがあった。♠●へそこはかとなく感じる〉ヒグラシの鳴き声は、そこはかとなく秋を感じさせる。 **そこびえ**【底冷え】○体のしんまで冷えること。また、その寒さ。[文例]〈底冷えがする>信州では十一月も末になると、底冷えのする日が続きます。♠●へ底冷えする〉白いものでも落ちてきそうなひどく底冷えする宵[よい]だった。 **そこびかり**【底光り】○奥底から光ること。奥底に価値を秘めること。[文例]〈底光りする〉旧家の柱は長年磨きこまれて、黒く底光りしていた。♠●へ底光りがする〉底光りのするような重厚な人柄[ひとがら]だから、周囲の人々の信頼は厚い。 **そこなし**【底無し】○底がないこと。限度がないこと。[文例]〈底無しの沼[ぬま]>深い森の奥[おく]には底無しの沼があり、村人はだれも近づかなかった。♠●〈底無しに食う>野球部全員、底無しに食うので、合宿のときの食費はものすごいものになる。♠◆<底無しののんべえ>酒好きのおじは、親せきのみんなから底無しののんべえといわれている。 **そこぬけ**【底抜け】○底が抜けて、無いこと。限度をこえていること。しまりがないこと。[文例]〈底抜けのお人よし〉だまされてもだまされても、まだその人を信じているきみは、底抜けのお人よしだ。♠●〈底抜けのばか〉ぼくは底抜けのばかだと言われても、じっと我慢[がまん]し続けた。♠●へ底抜けに騒[さわ]ぐ〉ひいきのチームが優勝して、応援[おうえん]していた人たちは底抜けに騒いでいた。♠●へ底抜けに明るい>彼は冗談[じょうだん]好きな、底抜けに明るい青年だった。 **そこ・ねる**【損ねる】○↓そこなう『[文例]〈健康を損ねる>健康を損ねたわたしは、二週間ほど会社を休むことにしました。♠●へ機嫌を損ねる〉母の機嫌を損ねると、こづかいがもらえなくなってしまう。 <614> **そそ・ぐ**(雪ぐ・濯ぐ)んすす・ぐ **そしょう**【訴訟】○裁判所に訴え、裁判を請求すること。[文例]〈訴訟を起こす〉地域住民は、暴力団の立ち退きを要求する訴訟を起こした。♠●へ訴訟を取り下げる〉原告と被告との和解が成立し、訴訟は取り下げられることになりました。♠●へ訴訟に勝つくわたしにはやましいところがないのだから、この訴訟に勝つことはまちがいない。 **そじょう**(俎上・俎上)○まないたの上。[文例]〈俎上の魚[うお]〉・取り調べに対し、犯人はもはや俎上の魚と観念し、素直に事実を話し始めた。♠◆<俎上にのせる>座談会では、教育問題が俎上にのせられ、熱心に意見が交わされた。 **そじょう**(遡上・遡上)○流れをさかのぼること。[文例]<湖上する>毎年秋になると、サケは生まれ故郷の川を遡上し、産卵してその一生を終えます。 **そしょく**【粗食】○粗末な食物をとること。粗末な食事。[文例]戦争中は一汁一菜[いちじゅういつさい]の粗食は当たり前、時には一日一食のこともあったんだよ。♠●へ粗食に耐える>馬は、寒さに強く、粗食に耐える動物です。♠●〈粗衣粗食〉やっかいになった寺では粗衣粗食に甘んじて、読書に明け暮れる日々だった。 **そしらぬ**【素知らぬ】○知っているのに知らないふりの。[文例]〈そしらぬふり〉どうしたんだろう。山口君。道で会ってもそしらぬふりだ。♠●〈そしらぬ顔>途方にくれたわたしの横を、人はそしらぬ顔で通り過ぎる。♠●〈そしらぬふう〉車内でのこの出来事に、わたしはそしらぬ風を装った。 **そしり**(謗り・誹り・譏り)○悪口。非難。[文例]〈ねたみやそしり〉一人だけ成功を収めるうち、周囲のねたみやそしりが高まっていった。♠へそしりを免[まぬが]れる〉約束を破ってしまったのだから、不正直のそしりは免れないだろう。♠へそしりを受ける〉裏切り者のそしりを受けたわたしは、ひたすら汚名をそそぐ機会を待った。 **そしる**(誇る・誹る・譲る)○人のことを悪く言う。非難する。けなす。[文例])〈人をそしる〉事情を理解もせずに、周囲といっしょになって人をそしるようなことはしたくない。♠●人格の高い人ですから、良く言う人はいてもそしる人はだれもいません。♠責任はわたしにあります、そしられても当然です。 **そせい**【組成】○幾つかの要素や成分で組み立てること。また、その組み立て。[文例]調査隊が持ち帰った岩石や土壌を分析した結果、その組成が明らかになった。 **そせい**(蘇生)○生き返ること。よみがえること。[文例]〈蘇生する>救助隊員の必死の人工呼吸にもかかわらず、赤ん坊はついに蘇生しなかった。♠●へ産業の蘇生>斜陽化[しやようか]の進む日本の石炭産業の蘇生の道は、今のところ見つかっていない。 **そぜい**【租税】○税金。又例家計の支出は、消費支出と預貯金と租税とに大別することができます。♠●へ租税を課[か]する〉農民は前年に続く不作の上に重い租税を課せられ、苦しい生活を強いられていた。♠●へ租税を納める〉国や地方公共団体に納められた租税は、福祉[ふくし]や公共事業といった形で国民に還元される。 **そせん**【祖先】○一家・一族のもと。始祖。初代以後先代までの人々。先祖。又例〈人類の祖先〉人類の祖先が初めて地上に姿を現してから、まだ三百万年しかたっていない。♠〈祖先をたどる〉ヒトの祖先をずっとたどっていくと、魚類[ぎよるい]にたどりつく。♠◆◇祖先から受け継ぐ〉祖先から受け継がれてきた伝統は、わたしたちの手で子孫に伝えなければなりません。♠●へ祖先を祭[まつ]る〉祖母は、祖先をお祭りすることはとても大切なことだと言っている。 **そそう**【粗相】○不注意であやまちを犯すこと。また、そのあやまち。大小便をもらすこと。又例〈粗相がない〉大切なお客様がお見えになるのですから、粗相のないようにお願いしますよ。♠●へ粗相をする〉息子は二歳になりましたが、まだ粗相をする心配があるのでおむつをはずせません。 **そそう**【阻喪】(沮喪)○くじけて元気がなくなること。気落ちすること。[文例]<阻喪する〉打ち続く営業不振で、従業員の士気はすっかり阻喪してしまった。♠へ意気阻喪>予想もしなかった予選での敗退に、意気阻喪した選手たちの間には声もなかった。 **そそぎこ・む**【注ぎ込む】○注ぎ入れる。つぎ込む。流れ込む。「[文例]〈水を注ぎ込む〉ホースを使ってプールに水を注ぎ込んでいます。♠海に注ぎ込む>長野県の諏訪湖に源を発する天竜川[てんりゅうがわ]は、静岡県で太平洋に注ぎ込んでいる。♠〈全力を注ぎ込むこの論文は彼が大学の四年間、全力を注ぎ込んだ研究の成果だそうです。♠●〈心血[しんけつ]を注ぎ込む>彫刻家が心血を注ぎ込んだ作品だけあって、見る者を圧倒する迫力があります。 **そそ・ぐ**【注ぐ】(灌ぐ)○降りかかる。流れ込む。水などをかける。流し入れる。集中させる。[文例]〈水を注ぐ〉面倒[めんどう]でも、鉢植えの花には、毎日必ず水を注いでやりましょう。♠●〈川が海に注ぐ>黒部川は日本アルプスに源を発し、北に流れて富山湾[とやまわん]に注ぐ。♠●〈愛情を注ぐ〉昔の人は、自分たちが日常用いる道具に深い愛情を注いだようです。♠●人目を注ぐ〉この詩を読むと、小さいものに対して、作者がどんなに優しい目を注いでいるかがわかります。♠●〈目を注ぐ〉ここ数年、世界中の目が政情不穏[ふおん]な中近東に注がれている。♠〈力を注ぐ〉この方は、長年にわたり、青少年のスポーツ振興[しんこう]のために力を注いでこられました。♠〈全力を注ぐ〉一日も早く工事が完成するよう、関係者一同全力を注いでおります。♠●〈注意を注ぐ〉ぼくは、恋人[こいびと]の口から次に出て来るはずの言葉に全身の注意を注いで、待ちかまえていた。♠へ心血を注ぐ〉作者はこの十年間、ライフワークともいうべきこの大作に心血を注いできました。♠●〈火に油を注ぐ〉理由も言わず、ただ頭ごなしにどなりつけたのでは、かえって火に油を注ぐようなことになりかねない。♠●〈朱[しゅ]を注ぐ〉部長は、満面に朱を注いでどなり立てた。♠●〈降りそそぐ〉降りそそぐ太陽の下、若者たちの肉体が躍動する。♠◆鶏頭[けいとう]の黒きにそそぐ時雨[しぐれ]かな(正岡子規[まさおかしき]) <615> けしよう そそくさあわただしく何かをするさま。[文例]〈そそくさと出かける〉娘は、入念にお化粧したあとそそくさと出かけて行きました。♠〈そそくさと帰る〉時間があまりなかったのか、おばさんはあいさつもそこそこにそそくさと帰っていった。♠〈そそくさと立ち去る〉駅前では街頭演説が行われていたが、そそくさと立ち去る人が多かった。 **そそっかし・い** ○落ち着きがなく不注意である。[文例]よその人の靴をまちがえてはいてくるなんて、お母さんは本当にそそっかしいな。♠彼はもの静かな話し方で落ち着いてみえますが、あれでけっこうそそっかしいところもあります。 **そそのか・す【唆す】** ○よくないことをするように人をしむける。[文例]〈人を唆す〉人を唆して犯罪を行わせた人もまた罪に問われる。♠〈いたずらを唆す〉小さい子供にいたずらを唆すなんて、よくないことだ。♠〈人に唆される〉彼がそんな悪いことをするなんて、とても信じられない。きっとだれかに唆されたに違いない。 **そそりた・つ【そそり立つ】** ○そびえたつ。高くそびえる。[文例]〈高くそそり立つ〉これから目ざす山は、あの山なみの中でひときわ高くそそり立っている山だ。♠〈がけがそそり立つ〉彼はロープ一本で体を支え、そそり立つがけを一歩一歩よじ登って行った。♠〈垂直にそそり立つ〉ぼくたちの行く手をさえぎるかのように、大きな岩が垂直にそそり立っていた。♠〈ビルがそそり立つ〉六十階建ての超高層[ちようこうそう]ビルは、まるで空に向かってそそり立っているかのように見えた。 **そそ・る** ○人の気をひく。もよおさせる。[文例]〈食欲をそそる〉母の料理は、彩り[いろど]もよくきれいに盛りつけてあり、とても食欲をそそる。♠〈興味をそそる〉読む人の興味をそそり、感動を与えるような文章を書くことはたやすいことではない。♠〈涙をそそる〉死というものが理解できない幼い子が遺影に向かって笑いかけているのが、参列者の涙をそそった。♠〈好奇心[こうきしん]をそそる〉新聞の広告に好奇心[こうきしん]をそそられて、この本を買ってみたが、思ったほどおもしろくはなかった。♠〈心をそそる〉彼女は人の心をそそるような思わせぶりな行動をする人だ。♠〈夢[ゆめ]をそそる〉地図をながめていると、未知の土地への夢[ゆめ]をそそられる。 **そぞろ(漫ろ)** ○何ということなくそうするさま。そわそわするさま。[文例]〈そぞろなつかしい〉毎年稲[いね]の穂[ほ]が実るころになると、そぞろ故郷がなつかしくなる。♠〈そぞろ歩く〉この辺りの海岸を二人でそぞろ歩いたことがあったね。♠〈心もそぞろ〉明日から修学旅行だと思うと、心もそぞろで落ちつかない。♠〈気もそぞろ〉今夜のコンサートのことで気もそぞろで、何を言われても耳にはいりません。 **そだい【粗大】** ○大きくて始末に困るさま。[文例]〈粗大ごみ[み]〉机やいすなどという粗大ごみを出す時は、清掃事務所に連絡しなければならない。♠着物の色どりとか着こなしとかの外には、どうした、こう云ったという、粗大な事実の記憶ばかりが残っているのである。(森鷗外[もりおうがい]「青年」) **そだち【育ち】** ○育つこと。成長。生育。育ち方。育った人。[文例]〈育ちが違う〉日当たりのいい場所に植えた苗と、日陰に植えた苗では、育ちが違ってきます。♠〈育ちが早い〉人間が一人前になるまでに二十年近くかかることを考えれば、野生動物はなんと育ちの早いことか。♠〈育ちの良さ〉娘は身なりこそ貧しかったが、その立ち居ふるまいには育ちの良さがうかがわれた。♠〈氏[うじ]より育ち〉氏[うじ]より育ちといって、人は血筋より環境に左右されることが多いようです。♠〈育ち盛り〉息子が三人育ち盛りで、食事の世話も大変です。♠〈田舎育ち〉のんびりした性格の田舎育ちの子ですが、磨けば光る有望な少年です。 **そだ・つ【育つ】** ○成長する。一人前になる。発展する。[文例]〈すくすく育つ〉肥料[ひりよう]などろくにやっていないのに、ベランダの鉢植えはすくすく育っている。♠〈母乳で育つ〉「この子は母乳で育ったから丈夫[じようぶ]なんです。」と、母は口癖[くちぐせ]のように自慢する。♠〈ぜいたくに育つ〉「今の子供たちはぜいたくに育ったので我慢[がまん]ということを知らない。」と、お父さんが小さいころも言われたよ。♠〈親はなくとも子は育つ〉「親はなくとも子は育つ」と言うが、両親のいないのはさみしいな。♠〈寝る子は育つ〉赤ん坊のとき寝てばかりいたから、「寝る子は育つ」でこんなにでかくなったのかしら?♠〈音楽家が育つ〉この学校からは、多くの音楽家が育っていった。♠〈考えが育つ〉明治以後、民衆の中に少しずつではあるが平等という考えが育ってきた。 **そだ・てる【育てる】** ○成長させる。一人前にする。大きくする。発展させる。[文例]〈子供を育てる〉カンガルーは、自分のおなかにある大きな袋[ふくろ]の中で子供を育てます。♠〈ひなを育てる〉春になるとやって来るツバメは、毎年わが家の軒先に巣をつくり、ひなを育てる。♠〈苗を育てる〉失われた森を回復するためには、新しく苗を育て、何十年もかけて木を大きくしなければなりません。♠〈林を育てる〉豪雪[ごうせつ]地帯では、雪の被害[ひがい]を防ぐために線路のわきに防雪林を育てている。♠〈弟子を育てる〉彼は後に郷里に帰り、そこで塾[じゅく]を開いて多くの弟子を育てました。♠〈夢を育てる〉人形劇は子供たちの夢を育てる楽しい仕事でした。♠〈確かな目を育てる〉身近な自然や社会を見つめることによって、ものを見る確かな目を育てていこう。♠〈見方・考え方を育てる〉読後感想文を書くことは、本の読み方を深め、ものの見方や考え方を育ててくれます。♠〈心を育てる〉美しいものを美しいと素直に感動する心を育てたい。♠〈わが子同様に育てる〉おじはぼくたち兄弟を引き取ると、わが子同様に育ててくれた。♠〈手塩[てしお]にかけて育てる〉手塩[てしお]にかけて育てたかわいい娘[むすめ]を、嫁にやるかと思うと……。♠〈大切に育てる〉少年は、迷い込んできた小鳥を籠[かご]の中に入れて大切に育てた。♠〈わがままに育てる〉ひとりっ子でわがままに育てられているせいか、食べ物の好き嫌いが激[はげ]しかった。♠〈のびのびと育てる〉できれば子供たちは、自然の中でのびのびと育てたいと思います。♠〈母乳で育てる〉赤ちゃんのためには、やはり母乳で育てるのがいちばんです。 **そち【措置】** ○適切に取り計らうこと。また、その取り計ら <616> い。[文例]〈適切な措置をとる〉現地では、まだ何の調査も行われていないようです。適切な措置をとるよう関係機関に働きかけたいと考えております。♠〈特別の措置〉今回の決定は、会社の経営悪化を乗り切るための特別の措置と考えるべきです。♠〈医療の措置〉救急車で運ばれた病人は、すぐさま医療の措置が施されたので、一命をとりとめた。♠〈措置がまずい〉その失敗の原因は、初動段階の措置がまずかったことにある。 **そつう【疎通】(疏通)** ○滞ることなく通じること。考えなどが相手に通じること。[文例]〈便[べん]の疎通〉下剤[げざい]をかけてもらったら、便[べん]の疎通がよくなった。♠〈療治[りようじ]は疎通を旨とす〉このことは、もともと「療治[りようじ]は疎通を旨とす」という漢方の根本理念から出ている。(津田左右吉「文学に現はれたる我が国民思想の研究」) **ぞっか【俗化】** ○上品でなくなって、世間なみになること。[文例]〈俗化する〉この雑誌も最近は俗化してきて、興味本位の記事ばかり掲載している。♠〈俗化をまぬがれる〉彼は、自分の作品が俗化することを嫌って、作品の発表の場を厳しく選んだ。 **そっきょう【即興】** ○その場で感興[かんぎよう]のわくままに詩歌や曲を作ること。また、その作品。[文例]〈即興で演奏する〉彼女は、どんな曲でも即興でみごとにピアノ演奏してしまう、天才的な音楽家だ。♠〈即興詩〉彼は、結婚を祝して即興詩を披露し、新郎新婦を感激させた。 **そつぎょう【卒業】** ○学業の全課程を終えること。その段階から進歩して、次の段階に移ること。[文例]〈卒業する〉中学を卒業したら、ぼくは上級学校へは進まず、大工になろうと考えている。♠〈小学校を卒業する〉この春、ぼくの姉は小学校を卒業する。♠〈卒業式〉卒業式に歌う卒業の歌をみんなで練習した。♠〈卒業生〉彼の父親は、ぼくの父と同じ大学の卒業生で、同じ先生のゼミにいたそうだ。 **そっきん【側近】** ○主君や主人のそば近くに仕えること。また、その人。[文例]〈大統領の側近〉大統領の側近は、みな大統領の信頼の厚い人々で固められている。♠〈側近に仕える〉姉は、王女様の側近に仕えることになった。 **そっくり** ○残らず全部。そのまま。よく似ていること。ほうふつとさせること。[文例]〈財産をそっくり寄付する〉祖父は、一生かかってためた財産をそっくり市に寄付して、市民から感謝された。♠〈そっくりまねる〉彼は、先輩の論文をそっくりまねて自分の論文として提出したそうだ。♠〈そっくり返す〉きみがぼくに言った悪口をそっくりきみに返してやろう。♠〈母親そっくり〉あの娘[むすめ]さんは、顔も性格も母親そっくりだね。♠〈昔とそっくり〉久しぶりに故郷を訪[おとず]れてみたが、川の流れも山のたたずまいも昔とそっくりだった。♠〈由緒[ゆいしよ]ありげな家構へや、それに趣味の好い広い庭は、明治[めいじ]の代のままだと云っても可いくらい、昔とそっくりそのままなのであった。(谷崎潤一郎「春琴抄」) **そっくりかえ・る【そっくり返る】** ○胸を張って後ろへ体を反らす。[文例]〈いすにそっくり返る〉男は大きないすにそっくり返って、葉巻をくゆらせている。♠〈風呂[ふろ]から上がってそっくり返る〉風呂[ふろ]から上がって、胸をそっくり返らせている時がいちばん気持ちがいい。 **そっけつ【即決】** ○その場ですぐに決めること。[文例]〈即決で答える〉この問題に即決で答えられたら、相当な勉強家だ。♠〈即決で採用が決まる〉彼女の態度は、てきぱきとしていて感じが良く、即決で採用が決まった。 **そっけな・い【素っ気ない】** ○思いやりや愛情がなく、相手に対して冷たい感じである。ぶっきらぼうだ。[文例]〈そっけなく断る〉彼の頼みをそっけなく断ったことが、今になって悔やまれる。♠〈そっけない返事〉あいさつをしても、彼はそっけない返事をするだけで、横を向いてしまった。♠〈そっけない態度〉彼女は、彼にそっけない態度をとられて、泣き出してしまった。 **ぞっこう【続行】** ○引き続き行うこと。[文例]〈試合を続行する〉大粒[おおつぶ]の雨が降り出したが、試合はそのまま続行された。♠〈審議を続行する〉その問題は、微妙[びみよう]な点を含んでいるので、明日、審議を続行することになった。 **そっこく【即刻】** ○すぐ。ただちに。[文例]〈即刻退去する〉借家人に即刻退去を命ずるなんて、あまりにも人情がないじゃないか。♠〈即刻やめる〉そんな危険な遊びは、即刻やめなさい。 **そっせん【率先】** ○人の先に立って事を行うこと。[文例]〈率先して掃除をする〉みんながいやがる仕事でも、彼女はいつも率先して掃除をする。♠〈率先して行う〉彼は、だれよりも率先してその仕事を行った。 **そつぜん【卒然・率然】** ○だしぬけ。突然。[文例]〈卒然として〉背後から卒然として肩をたたかれ、びっくりして振り向くと、そこに立っていたのは、十年ぶりに会う友人だった。 **そっちょく【率直】** ○思っているままに素直に言い、ふるまうさま。[文例]〈率直な人柄[ひとがら]〉今度新しく入った女子社員は、明るく率直な人柄[ひとがら]なので、だれからも好かれている。♠〈率直な答え〉この新聞の人生相談の回答者は、いつも率直な答えを示すので参考になることが多い。♠〈率直に言う〉率直に言って、きみのそのやり方はまちがっていると思う。♠〈率直に書く〉この用紙に、賛成反対それぞれの理由を率直に書いて、提出してください。♠〈率直に話し合う〉陰口[かげぐち]ばかりたたかないで、不満があるのなら二人で率直に話し合えばいいじゃないか。 <617> **そっとう【卒倒】** ○突然意識をなくして倒れること。[文例]〈卒倒する〉かんかん照りの校庭で、体育の授業中友達が卒倒して保健室に運ばれた。♠〈卒倒する〉ぼくのテストをお母さんに見せたらショックで卒倒しちゃうかなあ。 **そっぽ(外方)** ○よその方。そっぽう。[文例]〈そっぽを向く〉あの店員は、何に腹を立てているのか、何度呼んでもそっぽを向いたまま返事もしない。♠〈そっぽを向く〉頼みの綱のおじさんにそっぽを向かれては、この計画は最初から練り直すしかない。 **そで(袖)** ○衣服の腕の部分。和服のたもと。門などの両わき。机のわきの引き出し。舞台の左右の端の、客から隠れた所。[文例]〈そでをまくる〉先生はワイシャツのそでをまくると、ザリガニ取りの仲間に加わった。♠〈そでを通す〉母のタンスの中には、今まで一度もそでを通したことのない着物が何枚もある。♠〈そでを引く〉「ほら、あの人よ。」と言いながら、妹はわたしのそでをそっと引いた。♠〈そでにすがる〉もうこうなったら、意地を張るのはやめて、彼のそでにすがるしかない。♠〈そでにする〉あんなに世話になった娘[むすめ]をいまさらそでにするっていうのかい。ひどいじゃないか。♠〈そでの下〉中には役人に目をかけてもらおうとして、そでの下(=わいろ)を使う商人もいるという話だ。♠〈無いそでは振れない〉なんとかしてやりたいのはやまやまなんだけど、無いそでは振れないのでねえ……。♠〈そですりあう(触れあう)も多生[たしよう]の縁[えん]〉そですりあうも多生[たしよう]の縁[えん]といいます。道中はよろしくお願いしますよ。♠〈机のそで〉父の書斎[しよさい]には、両側にそでのついた大きな机がある。♠〈舞台[ぶたい]のそで〉彼女の晴れ姿を、父親は舞台[ぶたい]のそでからじっと見つめていた。 **そと【外】** ○囲いや仕切りを越えて出た周囲の広い場所。家・建物の外部。屋外。家以外の場所。自分の属する集団・社会以外の場所。表面。無縁な場所。ほか。[文例]〈外で遊ぶ〉夕食の時間が近づくと、外で遊んでいた子供たちもそれぞれ家に戻って行った。♠〈窓の外〉少女はほおづえをついて、暮れてゆく窓の外を眺めていた。♠〈外の空気〉勉強に疲れて頭がぼんやりしてきたら、外の空気を吸うといいよ。♠〈外へ出る〉風邪[かぜ]をひいているときは、外へ出ないほうがいい。♠〈外で済ませる〉夕食は外で済ませてきたからいらないよ。♠〈外から帰る〉外から帰ってきたら、まず手を洗いなさい。♠〈外と中〉外を赤く、中を白く塗って、工作の箱がようやく完成した。♠〈外に表す〉彼は、感情を外に表さないタイプの人だ。♠〈外から見る〉他人のすることを外から見ると、なぜあんなことをするのか不思議に思うことがある。♠〈外に漏れる〉彼らは、その秘密が外に漏れることをひどく恐れていた。♠〈外の世界〉人間は、成長するに従って、心がだんだんと外の世界に広がっていく。♠〈外づら〉兄はやさしくていい人なのに、なぜか外づらが悪いので、損をしている。♠〈鬼[おに]は外、福は内〉節分の日には、「鬼[おに]は外、福は内」と言う声が、あちこちの家から聞こえてくる。 **そとがわ【外側】** ○外に面する側。表側。外面。[文例]〈窓の外側〉窓ふきをしたら、内側はたいしてよごれていないのに、外側はぞうきんが真っ黒になった。♠〈事件の外側〉この事件には、外側からはうかがい知れない複雑な事情があるようだ。♠〈外側から見る〉問題の解決にあたっては、ものごとを外側から見る客観的な姿勢も必要です。 **そとまわり【外回り】** ○外側の周囲。外側の路線・経路。外部の取引先などを回ること。[文例]〈コースの外回り〉競走で前の走者を抜くときは外回りを走るのが原則です。♠〈環状線の外回り〉環状六号線でトラック三台の事故があり、外回りは不通、内回りは一車線通行になっています。♠〈家の外回り〉わたしは家の中をきれいにするので、あなたは家の外回りを頼みます。♠〈外回りの仕事〉営業マンのわたしは外回りの仕事が多いので、一年に何足も靴をはきつぶします。 **そとみ【外見】** ○外から見た様子。外見[がいけん]。[文例]人間の善し悪しは、外見[がいけん]だけでわかるものではありません。♠〈外見[がいけん]がいい〉あの店は外見[がいけん]はいいが、経営状態はよくないそうです。♠〈外見[がいけん]が変わる〉三年ぶりに会った彼は、外見[がいけん]はすっかり都会風に変わっていましたが、ちょっぴりなまりが残っていました。 **そなえ【備え】** ○備えること。用意。設備。防備。[文例]〈備えが万全〉敵の侵入[しんにゅう]に対して、味方の備えは万全だ。♠〈備えができる〉台風が近づいてきたぞ、風雨や停電に対する備えはできているか。♠〈備えあれば憂[うれ]いなし〉「備えあれば憂[うれ]いなし」で、日ごろの準備があれば、いざという時にあわてずに済む。 **そな・える【備える】(具える)** ○準備する。用意する。そろえ調える。持っている。[文例]〈台風に備える〉近づく台風に備えて、懐中電灯[かいちゆうでんとう]やラジオを用意しておいた。♠〈試験に備える〉来春の入学試験に備えて、兄は、夜遅くまで勉強している。♠〈万一に備える〉失敗することはまずないと思うが、万一の事態に備えて、次の手を打っておこう。♠〈能力を備える〉こうもりは目がよく見えない代わりに、超音波[ちょうおんば]で障害物をよける能力を備えている。♠〈形式を備える〉一定の形式を備えていない書類は受けつけられませんので、ご注意ください。♠〈テレビを備える〉この旅館は、各室にテレビと冷蔵庫を備えている。♠〈用具を備える〉体育館に備えてある用具は、大切に扱い[あつか]いましょう。 **そな・える【供える】** ○神仏や貴人の前に差し上げる。[文例]〈花・水を供える〉祖母は毎朝、仏前[ぶつぜん]に花と水を供えて、手を合わせている。♠〈神様に供える〉村の秋祭りには、豊作を感謝して、その年に取れた米や野菜を神様に供えて祝う。 **そなわ・る【備わる】(具わる)** ○そろえ調えられている。身についている。[文例]〈設備が備わる〉市のスポーツセンターには、テニスコート、プールなどいろいろな設備が備わっています。♠〈優しさが備わる〉彼女には、容姿の美しさに加えて、性格の優しさが備わっている。♠〈力が備わる〉自分に備わっているだけの力では、あの相手と戦っても勝てそう <618> そねみ うにない。♠へ条件[じょうけん]が備[そな]わる〉彼女[かのじょ]には、デザイナーとしてのすべての条件[じょうけん]が備[そな]わっている。 **そねみ(嫉み・猜み)** ○そねむこと。ねたみ。[文例]〈そねみを持[も]つ彼女[かのじょ]がわたしにつらくあたるのは、何[なに]かのそねみを持[も]っているからなのか。♠へそねみを受[う]ける〉とても誠実[せいじつ]な人[ひと]ですから、他人[たにん]からそねみを受[う]けるようなことは考[かんが]えられません。 **そね・む(嫉む・漪む)** ○ねたむ。うらやみ憎[にく]む。[文例]〈人[ひと]をそねむ>仲間[なかま]たちは、恵[めぐ]まれた環境[かんきょう]にある彼[かれ]をうらやみそねんだ。♠〈才能[さいのう]をそねむ〉絵心[えごころ]のまるでないわたしは、絵[え]の上手[じょうず]な者[もの]を見[み]ると、時[とき]にはその才能[さいのう]をそねむことがある。♠〈幸[しあわ]せをそねむ〉何[なん]の努力[どりょく]もしないで他人[たにん]の幸[しあわ]せをそねむようでは、心[こころ]の貧[まず]しい人[ひと]と言[い]われてもしかたがないでしょう。 **その(其の)** ○話[はな]し手[て]と聞[き]き手[て]双方[そうほう]が既[すで]に知[し]っている事柄[ことがら]を指[さ]す語[ご]。すぐ前[まえ]に言[い]った事物[じぶつ]を指[さ]す語[ご]。[文例]すみませんが、その辞書[じしょ]をちょっと貸[か]してください。♠子供[こども]のころ海水浴[かいすいよく]に行[い]って、その時[とき]おぼれそうになってから、怖[こわ]くて水[みず]に入[はい]れません。♠あの、その、じゃなくて、言[い]いたいことがあるならはっきり言[い]いなさい。♠〈そのくせ>子供[こども]には悪[わる]い習慣[しゅうかん]は直[なお]せといっといて、そのくせ自分[じぶん]がタバコをやめられない。♠へその手[て]に乗[の]る〉うまいことを言[い]って、二度[にど]とその手[て]に乗[の]るものか。 **その【園】** (苑)○花[はな]・果樹[かじゅ]・野菜[やさい]などを植[う]えるための仕切[しき]られた土地[とち]。庭園[ていえん]。他[た]から仕切[しき]られた場所[ばしょ]。♠へばらの園[その]庭[にわ]のばらの花[はな]が実[じつ]にきれいですな、まさにばらの園[その]だ。♠の園[その]〉花咲[はなさ]き、鳥歌[とりうた]うこの平和[へいわ]な島[しま]は、まるで夢[ゆめ]の園[その]です。♠〈女[おんな]の園[その]>女子大[じょしだい]は男子学生[だんしがくせい]の入学[にゅうがく]を認[みと]めない女[おんな]の園[その]です。♠<学[まな]びの園[その]〉わたしはこの学[まな]びの園[その]に、小中高[しょうちゅうこう]と十二年間[じゅうにねんかん]通[かよ]いました。 **そば(側・傍)** ○近[ちか]い所[ところ]。わき。かたわら。時間的[じかんてき]に隔[へだ]たりがないこと。・・・のすぐ後[あと]。♠〈池[いけ]のそば〉ノンちゃんは池[いけ]のそばの大[おお]きな木[き]に登[のぼ]り、枝[えだ]が折[お]れて池[いけ]に落[お]ちてしまいました。♠へそばへ寄[よ]る〉うちの猫[ねこ]は、わたしが帰[かえ]ると、待[ま]ち構[かま]えたようにそばへすり寄[よ]ってくる。♠へそばへ近[ちか]づく>腕白小僧[わんぱくこぞう]どもがお化[ば]け屋敷[やしき]を探検[たんけん]しようと出[で]かけたが、そばへ近[ちか]づくと足取[あしど]りが鈍[にぶ]くなった。♠へそばに居合[いあ]わせる〉たまたまそばに居合[いあ]わせたので、事件[じけん]の証人[しょうにん]になることになった。♠〈そばを離[はな]れる>彼[かれ]は十二歳[じゅうにさい]の時[とき]父母[ふぼ]のそばを離[はな]れ、育[そだ]ての親[おや]である今[いま]の父母[ふぼ]のもとに養子[ようし]に来[き]た。♠へそばから口[くち]を出[だ]す〉友達[ともだち]どうしの口論[こうろん]にそばから口[くち]を出[だ]して、かえって二人[ふたり]から集中攻撃[しゅうちゅうこうげき]を浴[あ]びた。♠へ〜したそばから〉そこに石[いし]ころがあるから気[き]をつけてと言[い]われたそばから転[ころ]んでしまった。 **そばだ・てる(欹てる)** ○一方[いっぽう]の端[はし]を高[たか]く立[た]てる。傾[かたむ]ける。注意[ちゅうい]を一方[いっぽう]に集中[しゅうちゅう]させる。[文例]〈耳[みみ]をそばだてる耳[みみ]をそばだてると、壁[かべ]を通[とお]して隣室[りんしつ]の声[こえ]が聞[き]こえてきた。♠ヘ肩[かた]をそば立[だ]てる〉やがて去来[きょらい]が又[また]憲法[けんぽう]小紋[こもん]の肩[かた]をそば立[だ]てて、おずおず席[せき]に復[ふく]すると、羽根楊子[はねようじ]はその跡[あと]にいた丈艸[じょうそう]の手[て]へわたされた。(芥川[あくたがわ]龍之介[りゅうのすけ]「枯野抄[かれのしょう]」) ♠〈目[め]をそばだてる〉この辺[あた]りでは珍[めずら]しく崩[くず]れた感[かん]じの女[おんな]に、周囲[しゅうい]の者[もの]は目[め]をそばだてた。 **そばづえ(側杖・傍杖)** ○そばにいて自分[じぶん]に関係[かんけい]のないことに巻[ま]き込[こ]まれて受[う]ける災難[さいなん]。まきぞえ。[文例]〈事故[じこ]のそばづえ〉トラックが荷崩[にくず]れを起[お]こし、そのそばづえで進[すす]めなくなってしまった。♠〈そばづえを食[く]う〉止[と]めに入[はい]ったときに、そのけんかのそばづえを食[く]ってぼくまで一発[いっぱつ]なぐられた。 **そび・える(聳える)** ○高[たか]く立[た]つ。そそり立[た]つ。[文例]〈木[き]が夢そびえる〉屋久島[やくしま]では樹齢[じゅれい]二千年[にせんねん]ともいわれる杉[すぎ]の大木[たいぼく]が、天[てん]をつく勢[いきお]いでそびえている。♠〈山[やま]がそびえる〉行[ゆ]く手前方[てぜんぽう]にそびえるのがわたしたちの目指[めざ]す山[やま]だ。♠へ入道雲[にゅうどうぐも]がそびえる>夏[なつ]の真[ま]っ青[さお]な空[そら]に、白[しろ]くもくもくとした入道雲[にゅうどうぐも]がそびえている。♠〈塔[とう]がそびえる〉ヨーロッパの各都市[かくとし]には、教会[きょうかい]の尖塔[せんとう]が空高[そらだか]くそびえている。♠ヘビルがそびえる〉〈空[そら]にそびえる〉天気[てんき]のよい日[ひ]には、ここから高層[こうそう]ビル群[ぐん]が空[そら]にそびえているのが見[み]える。 **そびやか・す(聳やかす)** ○高[たか]くする。そびえるようにする。[文例]〈肩[かた]をそびやかす〉相撲取[すもうと]りのような大男[おおおとこ]が肩[かた]をそびやかし、通行人[つうこうにん]をけちらすように歩[ある]いて来[く]る。♠くまゆをそびやかす〉父[ちち]が片方[かたほう]のまゆをそびやかすのは、大声[おおごえ]でどなる直前[ちょくぜん]のそぶりであった。 **そび・れる** ○(他[ほか]の動詞[どうし]に付[つ]いて)その機会[きかい]を失[うしな]う。しそこなう。[文例]〈言[い]いそびれる〉自分[じぶん]が悪[わる]いとは思[おも]っていたけれども、なんとなく「ごめんなさい」を言[い]いそびれてしまった。♠<寝[ね]そびれる>先[さき]に寝[ね]た弟[おとうと]のいびきがすごくて寝[ね]そびれてしまい、今日[きょう]は寝不足[ねぶそく]だ。♠ヘやりそびれる〉周[まわ]りの人[ひと]に遠慮[えんりょ]してやりそびれたことが多[おお]い。♠ヘ行[い]きそびれる〉同窓会[どうそうかい]のような集[あつ]まりは一度[いちど]行[い]きそびれると気[き]がひけて、ついつい出席[しゅっせき]せずじまいになってしまう。 **そふ【祖父】** ○父母[ふぼ]の父親[ちちおや]。おじいさん。「[文例]うちは、祖父[そふ]・祖母[そぼ]・父[ちち]・母[はは]・兄[あに]、そしてわたし[わたし]の六人家族[ろくにんかぞく]です。♠母方[ははかた]の祖父[そふ]は、わたしが生[う]まれる前[まえ]に亡[な]くなったので顔[かお]を知[し]りません。 **ソフト** ○やわらかいさま。優[やさ]しいさま。[文例]〈人[ひと]あたりがソフト〉人[ひと]あたりのとてもソフトな、優[やさ]しい感[かん]じの人[ひと]です。♠〈ソフトなムード〉司会者[しかいしゃ]のソフトなムードが女性[じょせい]の視聴者[しちょうしゃ]には受[う]けたようだ。 **そぶり【素振り】** ○表情[ひょうじょう]や動作[どうさ]。態度[たいど]。[文例]〈素振[そぶ]りをする〉〈よそよそしい素振[そぶ]り〉大[だい]の親友[しんゆう]だったのに、けんかをして以来[いらい]、道[みち]で会[あ]ってもよそよそしい素振[そぶ]りをするようになった。♠へ素振[そぶ]りを見[み]せる〉映画[えいが]にさそうと、少女[しょうじょ]はうれしそうな素振[そぶ]りを見[み]せた。♠へ素振[そぶ]りに見[み]せる〉母[はは]は素振[そぶ]りにも見[み]せなかったが、その時[とき]具合[ぐあい]が悪[わる]いのを我慢[がまん]していたらしい。♠〈素振[そぶ]りが優[やさ]しい>弟[おとうと]の素振[そぶ]りがいつもと違[ちが]って、やに優[やさ]しかったので、何[なに]かやったなと思[おも]った。♠〈神妙[しんみょう]な素振[そぶ]り〉新郎新婦[しんろうしんぷ]は神妙[しんみょう]な素振[そぶ]りで三三九度[さんさんくど]の杯[さかずき]を交[か]わしました。♠へ落[お]ち着[つ]いた素振[そぶ]り〉本当[ほんとう]はがたがた震[ふる]えていたのだが、落[お]ち着[つ]いた素振[そぶ]りで壇上[だんじょう]に立[た]った。♠へ素振[そぶ]りが怪[あや]しい>人形[にんぎょう]の素振[そぶ]りがいつもと違[ちが]う。 <619> 隣[となり]の家[いえ]の前[まえ]を素振[そぶ]りの怪[あや]しい男[おとこ]が行[い]ったり来[き]たりしている。 **そぼ**【祖母】 ○父母[ふぼ]の母親[ははおや]。おばあさん。[文例]うちは、祖父[そふ]・祖母[そぼ]・父[ちち]・母[はは]・兄[あに]、そしてわたしの六[ろく]人[にん]家族[かぞく]です。♠●母[はは]が勤[つと]めに出[で]ている間[あいだ]、祖母[そぼ]がわたしたちの身[み]の回[まわ]りの世話[せわ]をしてくれます。 **そぼう**【粗暴】 ○性質[せいしつ]や動作[どうさ]が乱暴[らんぼう]なさま。[文例]〈性格[せいかく]が粗暴[そぼう]〉弟[おとうと]は性格[せいかく]が粗暴[そぼう]ですから、よく物[もの]を壊[こわ]したり近所[きんじょ]の子[こ]をいじめたりします。♠●〈粗暴[そぼう]なふるまい〉そのような粗暴[そぼう]なふるまいはきみらしくないね。 **そぼく**【素朴】 ○飾[かざ]りけがなく自然[しぜん]なさま。素直[すなお]でいつわりのないさま。単純[たんじゅん]なさま。[文例]〈素朴[そぼく]な性格[せいかく]〉彼女[かのじょ]は、人[ひと]を疑[うたが]うことを知[し]らない素朴[そぼく]な性格[せいかく]の持[も]ち主[ぬし]です。♠●へ素朴[そぼく]な人情[にんじょう]〉田舎[いなか]の素朴[そぼく]な人情[にんじょう]が、この地方[ちほう]にはまだ残[のこ]っています。♠●〈素朴[そぼく]な舟[ふね]〉昔[むかし]の渡[わた]し舟[ぶね]はろで進[すす]む素朴[そぼく]で単純[たんじゅん]な舟[ふね]であった。♠●く素朴[そぼく]な遊[あそ]び〉おはじきやビー玉[だま]のような、昔[むかし]の素朴[そぼく]な遊[あそ]びがだんだん消[き]えていく。♠●〈素朴[そぼく]な疑問[ぎもん]〉難[むずか]しい学問[がくもん]も、わたしたちの身近[みぢか]にある素朴[そぼく]な疑問[ぎもん]から始[はじ]まった。♠●〈素朴[そぼく]に考[かんが]える〉自分[じぶん]一人[ひとり]で生[い]きられるかと素朴[そぼく]に考[かんが]えれば、人間[にんげん]は他人[たにん]とのつながりの中[なか]で生[い]きていることが分[わ]かる。♠〈素朴[そぼく]さ〉この絵[え]の筆[ふで]づかいの素朴[そぼく]さはアフリカの岩[いわ]などに描[えが]かれた壁画[へきが]にそっくりだ。 **そまつ**【粗末】 ○質[しつ]が悪[わる]く雑[ざつ]なさま。上等[じょうとう]でないさま。いい加減[かげん]に扱[あつか]うさま。[文例]〈粗末[そまつ]な身[み]なり〉粗末[そまつ]な身[み]なりをしているからといって、外見[がいけん]だけで人[ひと]を判断[はんだん]してはいけない。♠◆<粗末[そまつ]にする>食[た]べ物[もの]を粗末[そまつ]にすると罰[ばち]があたる、と祖母[そぼ]からよくしかられた覚[おぼ]えがあります。♠●〈粗末[そまつ]にする〉一円[いちえん]のお金[かね]でも粗末[そまつ]にしてはいけない。♠粗末[そまつ]に扱[あつか]う〉まだ役[やく]に立[た]つ自転車[じてんしゃ]なのに、古[ふる]くなったからといって、粗末[そまつ]に扱[あつか]うなんていけないよ。♠●〈粗末[そまつ]なもの〉ほんの心[こころ]ばかりの粗末[そまつ]なものですが、どうぞ……。♠●へお粗末[そまつ]な話[はなし]〉家[いえ]に着[つ]くまで、財布[さいふ]を落[お]としたことに気[き]づかなかったなんて、まったくお粗末[そまつ]な話[はなし]です。 **そま・る**【染まる】 ○しみ込[こ]んだり、付[つ]いたりしてその色[いろ]に変[か]わる。感化[かんか]される。[文例]〈黄[き]に染[そ]まる〉大[おお]きなミカンの皮[かわ]をむくと、指先[ゆびさき]が黄[き]に染[そ]まりいい香[かお]りがする。◆ヘ夕日[ゆうひ]に染[そ]まる〉裏庭[うらにわ]から、夕日[ゆうひ]に染[そ]まった富士山[ふじさん]が遠[とお]くに見[み]えた。♠〈血[ち]に染[そ]まる〉ぼくは血[ち]に染[そ]まった足[あし]を引[ひ]きずりながら歩[ある]いた。♠●へ朱[しゅ]に染[そ]まる〉戦場[せんじょう]となった川原[かわら]には、数多[かずおお]くの侍[さむらい]たちが朱[しゅ]に染[そ]まって倒[たお]れていた。♠●〈悪[あく]に染[そ]まる〉よくない友人[ゆうじん]の影響[えいきょう]を受[う]けて、弟[おとうと]が悪[あく]に染[そ]まるのではないかと、彼[かれ]は心配[しんぱい]した。♠●〈主義[しゅぎ]に染[そ]まる〉王[おう]は、領土[りょうど]が民主[みんしゅ]主義[しゅぎ]に染[そ]まることをたいへん恐[おそ]れていた。 **そむ・く**【背く】 ○背[せ]を向[む]ける。そっぽを向[む]く。逆[さか]らう。反抗[はんこう]する。裏切[うらぎ]る。違反[いはん]する。反[はん]する。[文例]〈命令[めいれい]に背[そむ]く〉軍隊[ぐんたい]は規律[きりつ]が厳[きび]しく、どんなことでも命令[めいれい]に背[そむ]くことは許[ゆる]されない。♠●〈親[おや]に背[そむ]く〉親[おや]に背[そむ]いて勝手[かって]に家[いえ]を出[で]たのだから、簡単[かんたん]には戻[もど]れない。♠●〈お上[かみ]に背[そむ]く〉太郎[たろう]の父[ちち]は、お上[かみ]に背[そむ]いて戦[たたか]った者[もの]の一人[ひとり]として捕[とら]えられた。♠●へ意志[いし]に背[そむ]く〉親友[しんゆう]を裏切[うらぎ]るようなことは、ぼくの意志[いし]に背[そむ]くことだから絶対[ぜったい]にできない。♠●へ信頼[しんらい]に背[そむ]く〉彼女[かのじょ]が行[い]けばもう安心[あんしん]、わたしたちの信頼[しんらい]に背[そむ]くようなことはないでしょう。♠〈法[ほう]に背[そむ]く〉法[ほう]に背[そむ]かなければ何[なに]をしてもいいというのは、情[なさ]けない風潮[ふうちょう]だ。♠●へ名[な]に背[そむ]く〉選手[せんしゅ]たちは、代表[だいひょう]の名[な]に背[そむ]かぬ立派[りっぱ]な成績[せいせき]を残[のこ]した。♠●〈世[よ]に・世[よ]を背[そむ]く〉老人[ろうじん]は、世[よ]に背[そむ]いた出家[しゅっけ]の身[み]であった。 **そむ・ける**【背ける】 ○よそに向[む]ける。正面[しょうめん]からそらす。[文例]〈顔[かお]を背[そむ]ける〉妹[いもうと]は顔[かお]を背[そむ]けて壁[かべ]のほうを向[む]き、かすかにため息[いき]をついた。♠●へ目[め]を背[そむ]ける〉写真[しゃしん]はあまりにも残酷[ざんこく]なものだったので、目[め]を背[そむ]ける人[ひと]も多[おお]かった。 **そめぬ・く**【染め抜く】 ○模様[もよう]の部分[ぶぶん]に地色[じいろ]を残[のこ]して、他[ほか]の部分[ぶぶん]を染[そ]める。[文例]日[ひ]の丸[まる]は、白地[しろじ]に赤[あか]く丸[まる]を染[そ]め抜[ぬ]けばできあがる、世界[せかい]でも最[もっと]も単純[たんじゅん]なデザインの国旗[こっき]です。◆紫[むらさき]や黄[き]を染[そ]め抜[ぬ]いて、ちょうは誇[ほこ]らしげに羽[はね]を動[うご]かしていました。♠●夕映[ゆうば]えが山肌[やまはだ]を真[ま]っ赤[か]に染[そ]め抜[ぬ]く瞬間[しゅんかん]が、この高原[こうげん]のいちばん美[うつく]しい時間[じかん]です。 **そ・める**【染める】 ○色[いろ]をしみ込[こ]ませる。その色[いろ]にする。別[べつ]の色[いろ]に変[か]える。(ほおを)赤[あか]くする。かき始[はじ]める。とりかかる。印象[いんしょう]づける。[文例]〈布[ぬの]を染[そ]める〉昔[むかし]は、草[くさ]の汁[しる]などの天然[てんねん]染料[せんりょう]を用[もち]いて布[ぬの]を染[そ]めていましたが、今[いま]ではほとんどが合成[ごうせい]染料[せんりょう]です。♠歯[は]を染[そ]める〉江戸[えど]時代[じだい]の女性[じょせい]には、おはぐろと言[い]って、嫁[とつ]ぐと歯[は]を黒[くろ]く染[そ]める習慣[しゅうかん]がありました。♠へ髪[かみ]を染[そ]める〉最近[さいきん]とみに白髪[しらが]の目立[めだ]ち始[はじ]めた祖母[そぼ]は、髪[かみ]を染[そ]めています。◆血[ち]で染[そ]める〉事故[じこ]現場[げんば]から助[たす]けだされた人[ひと]は、ワイシャツを血[ち]で染[そ]めてぐったりしていた。◆ヘ夕日[ゆうひ]が染[そ]める〉夕日[ゆうひ]が周囲[しゅうい]の山々[やまやま]を赤[あか]く染[そ]めるころ、夜[よる]のやみが足元[あしもと]から音[おと]もなく忍[しの]びよってくる。♠●へほおを染[そ]める〉結婚[けっこん]式[しき]の朝[あさ]、姉[あね]はうれしさにほおを染[そ]めていた。♠へ手[て]を染[そ]める〉新[あたら]しい事業[じぎょう]に手[て]を染[そ]めるようになって以来[いらい]、父[ちち]は失敗[しっぱい]続[つづ]きであった。♠へ筆[ふで]を染[そ]める〉ここ一年[いちねん]、彼[かれ]は詩[し]だけでなく小説[しょうせつ]にも筆[ふで]を染[そ]めている。♠へ胸[むね]を染[そ]める〉夜会[やかい]に集[あつ]まった人々[ひとびと]の華[はな]やかな彩[いろど]りが秋子[あきこ]の胸[むね]を染[そ]めた。◆〈染[そ]め抜[ぬ]く〉帰[かえ]りぎわ、店[みせ]の主人[しゅじん]から、お土産[みやげ]に店[みせ]の名[な]を染[そ]め抜[ぬ]いた手[て]ぬぐいを一本[いっぽん]もらった。 **そもそも**(抑) ○最初[さいしょ]。初[はじ]め。元来[がんらい]。いったい。[文例]そもそも、彼[かれ]はどういう人物[じんぶつ]なのですか。♠●人[ひと]の話[はなし]を最後[さいご]まで聞[き]かないことが、そもそも早[はや]とちりの原因[げんいん]なのです。♠●へそもそも[の]始[はじ]まり〉歌舞伎[かぶき]のそもそもの始[はじ]まりは、遠[とお]く室町[ひろまち]時代[じだい]にまでさかのぼると言[い]われる。♠●へそもそもが〉犬[いぬ]が人間[にんげん]社会[しゃかい]において働[はたら]き者[もの]であるのに対[たい]し、猫[ねこ]はそれほどでもなく、そもそもが怠[なま]け者[もの]のようである。 **そや**【粗野】 ○あらっぽく、洗練[せんれん]されていないさま。[文例]〈粗野[そや]な感[かん]じ〉「する」というところを「やる」というと粗野[そや]な感[かん]じのすることがあります。♠●〈粗野[そや]な言葉[ことば]〉友達[ともだち]同士[どうし]ならまだしも、目上[めうえ]の人[ひと]に粗野[そや]な言葉[ことば]を使[つか]うのはいけません。◆<粗野[そや]な人[ひと]〉田舎[いなか]から出[で]てきたころは粗野[そや]な人[ひと]だと思[おも]ったが、近[ちか]ごろはずいぶん洗練[せんれん]されてきました。 **そよう**【素養】 ○身[み]についた教養[きょうよう]。学問[がくもん]や技芸[ぎげい]の下地[したじ]。[文例]〈音楽[おんがく]の素養[そよう]〉父親[ちちおや]が演奏[えんそう]家[か]ですから、この子[こ]は音楽[おんがく]の素養[そよう] <620> **そよかぜ** **そ** **そよかぜ**【そよ風】(微風) ○そよそよと吹く風。微風。[文例]〈そよ風が吹く〉そよ風が吹いて、とても気持[きも]ちのよい五月[ごがつ]です。♠〈そよ風が渡る〉さわやかなそよ風が渡[わた]り、高原[こうげん]はすっかり秋[あき]の気配[けはい]です。 **そよぎ**(戦ぎ) ○そよぐこと。♪そよぐ[文例]〈風のそよぎ〉夕方[ゆうがた]になって、この秋[あき]初めての涼[すず]しい風のそよぎを感[かん]じました。♠〈葉[は]のそよぎ>葉[は]のそよぎが大[おお]きくなったかと思[おも]うと、大[おお]きなカエルがぬっと姿[すがた]を見[み]せた。 **そよ・ぐ**(戦ぐ) ○風[かぜ]にそよそよと音[おと]を立[た]てる。風[かぜ]に揺[ゆ]れる。風[かぜ]がそよそよと吹[ふ]く。[文例]〈風にそよぐ〉川原[かわら]には、風[かぜ]にそよぐ草[くさ]がさびしそうに揺[ゆ]れていた。♠く髪[かみ]がそよぐ〉通り[とおり]に出[で]ると、暖かい[あたたかい]南[みなみ]の風[かぜ]がさっと吹[ふ]いてきて、少女[しょうじょ]の髪[かみ]をそよがせました。♠〈葉[は]をそよがせる〉季節[きせつ]はずれのあらしも去[さ]って、鳥[とり]は歌[うた]い、草花[くさばな]は葉[は]をそよがせ始[はじ]めた。♠へ風[かぜ]がそよぐ〉そよそよとそよぐ南[みなみ]の風[かぜ]に乗[の]って、北[きた]の村[むら]にも夏[なつ]がやってきた。 **そら**【空】 ○天[てん]。空中[くうちゅう]。天候[てんこう]。すがるもののない状態[じょうたい]。頼[たよ]りない気持[きも]ち。ぼんやりと気[き]の抜[ぬ]けた状態[じょうたい]。自分[じぶん]の記憶[きおく]以外[いがい]に頼[たよ]らないこと。いつわり。うそ。何[なん]となく感[かん]じとれるもの。[文例]〈青[あお]い空[そら]〉一夜[いちや]明[あ]けて翌朝[よくあさ]は、抜[ぬ]けるような青[あお]い空[そら]だった。♠<紺碧[こんぺき]の空[そら]>眼下[がんか]には、紺碧[こんぺき]の空[そら]と海[うみ]がどこまでも広[ひろ]がっています。♠〈空[そら]が晴[は]れる〉少[すこ]し待[ま]っているうちに、雨[あめ]はやみ空[そら]も晴[は]れてきました。♠〈空[そら]が曇[くも]る>空[そら]がにわかにかき曇[くも]り、夕立[ゆうだち]が降[ふ]ってきた。♠〈空[そら]が澄[す]む〉台風[たいふう]が通[とお]り過[す]ぎたあとの空[そら]は青[あお]く澄[す]んで、はるか遠[とお]く富士山[ふじさん]がくっきり見[み]えました。♠空[そら]が高[たか]い>秋[あき]は空気[くうき]が澄[す]んできれいなので、空[そら]が高[たか]く見[み]えます。♠〈空[そら]がかすむ〉サクラの咲[さ]く今[いま]ごろの季節[きせつ]は、「花曇[はなぐも]り」といって、空[そら]がかすんでぼんやり見[み]えることが多[おお]い。♠〈空[そら]を覆[おお]う〉第一[だいいち]試合[しあい]が済[す]んだころ、雲[くも]が空[そら]を覆[おお]い、ぽつりぽつり雨[あめ]が降[ふ]り出[だ]してきた。♠〈空[そら]を渡[わた]る風[かぜ]〉八月[はちがつ]も半[なか]ばを過[す]ぎると、空[そら]を渡[わた]る風[かぜ]にも、はや秋[あき]の気配[けはい]が感[かん]じられます。♠〈空[そら]を流[なが]れる雲[くも]>草[くさ]の上[うえ]に寝転[ねころ]んで、日[ひ]がな一日[いちにち]、空[そら]を流[なが]れる雲[くも]を眺[なが]めていた。♠〈空[そら]を仰[あお]ぐ〉よく晴[は]れた夜[よる]、空[そら]を仰[あお]ぐと、美[うつく]しい星[ほし]が見[み]えます。♠〈空[そら]を飛[と]ぶ>鳥[とり]のように自由[じゆう]に空[そら]を飛[と]びたいというのは、人類[じんるい]の長[なが]い間[あいだ]の夢[ゆめ]でした。♠〈空[そら]に舞[ま]う〉空[そら]に舞[ま]う鳥[とり]のように、わたしも自由[じゆう]に大空[おおぞら]を飛[と]んでみたい。♠〈空[そら]に立[た]ち上[のぼ]る〉だれかがたき火[び]でもしているのだろうか、煙[けむり]が一[ひと]すじ、ゆらゆらと空[そら]に立[た]ち上[のぼ]っている。♠〈空高[そらだか]く>少年[しょうねん]の手[て]から解[と]き放[はな]たれた風船[ふうせん]は、風[かぜ]に乗[の]って空高[そらだか]く舞[ま]い上[あ]がっていきました。♠〈東[ひがし]の空[そら]が白[しら]みかける〉東[ひがし]の空[そら]が白[しら]みかけるころ、ようよう眠[ねむ]りの床[とこ]に就[つ]くことができた。♠へ~の空[そら]の下[した]〉この広[ひろ]い空[そら]の下[した]のどこかに彼[かれ]がいると思[おも]うと、自然[しぜん]に勇気[ゆうき]がわいてきた。♠〈空[そら]の上[うえ]から〉タケシは、死[し]んだお母[かあ]さんがいつも空[そら]の上[うえ]から見[み]ているような気[き]がして、少[すこ]しもさびしくなかった。♠へ空[そら]のかなた>空[そら]のかなたに、ポツンと黒[くろ]く、飛行機[ひこうき]の影[かげ]のようなものが見[み]えた。♠〈秋[あき]の空[そら]〉昔[むかし]から「女[おんな](男[おとこ])心[ごころ]と秋[あき]の空[そら]」と言[い]うように、秋[あき]の空[そら]は変[か]わりやすいもののたとえに使[つか]われています。♠〈旅[たび]の空[そら]>ご結婚[けっこん]おめでとう。遠[とお]い旅[たび]の空[そら]からお二人[ふたり]の幸[しあわ]せをお祈[いの]りいたします。♠へ空[そら]の旅[たび]〉「どうぞごゆっくり空[そら]の旅[たび]をお楽[たの]しみください。」と、スチュワーデスのアナウンスが入[はい]った。♠〈生[い]きた空[そら]がない>野中[のなか]の一軒家[いっけんや]に一人[ひとり]残[のこ]されたのでございますから、心細[こころぼそ]くて生[い]きた空[そら]はありません。♠へうわの空[そら]〉彼[かれ]は何か[なにか]心配事[しんぱいごと]があるらしく、ぼくの話[はなし]をうわの空[そら]で聞[き]いていた。♠へ空[そら]で覚[おぼ]える〉ぼくは、その歌[うた]の歌詞[かし]を一番[いちばん]から五番[ごばん]まで空[そら]で覚[おぼ]えていた。♠へ空[そら]を使[つか]う〉この馬[うま]は、レースでいったん先頭[せんとう]に立[た]つと、空[そら]を使[つか]って本気[ほんき]で走[はし]らなくなるくせがある。♠〈空模様[そらもよう]>汽車[きしゃ]が京都[きょうと]に近[ちか]づくにつれて、だんだん空模様[そらもよう]が怪[あや]しくなってきた。♠〈そら耳[みみ]〉今[いま]だれかに呼[よ]ばれたような気[き]がしたけど、そら耳[みみ]かしら。♠〈他人[たにん]のそら似[に]〉他人[たにん]のそら似[に]ということもあるから、まったくの別人[べつじん]かも知[し]れないよ。♠へそら恐[おそ]ろしい〉これがわずか十歳[じゅっさい]の子[こ]が書[か]いた作文[さくぶん]かと思[おも]うと、そら恐[おそ]ろしい気[き]がした。♠〈そらとぼける〉一体[いったい]何[なに]があったのかと問[と]いただしたが、彼[かれ]はそらとぼけて教[おし]えてくれなかった。 **白鳥[しらとり]はかなしからずや空[そら]の青[あお]海[うみ]のあをにも染[そ]まずただよふ(若山[わかやま]牧水[ぼくすい])** **そら・す**【反らす】 ○弓[ゆみ]なりに曲[ま]げる。そらせる。[文例]〈胸[むね]を反[そ]らす〉庭[にわ]に出[で]ると胸[むね]を反[そ]らして、大[おお]きく朝[あさ]の空気[くうき]を吸[す]い込[こ]んだ。 **そら・す**(逸らす) ○わきにそれるようにする。ねらいを外[はず]す。捕[と]らえそこなう。はぐらかす。関心[かんしん]を移[うつ]す。[文例]〈目[め]をそらす〉少女[しょうじょ]の視線[しせん]を感[かん]じると、少年[しょうねん]はあわてて目[め]をそらした。♠〈的[まと]をそらす〉的[まと]をそらさずに、うまく矢[や]を射[い]ることができただろうか。♠へ話[はなし]をそらす〉こっちが真剣[しんけん]になって聞[き]いてあげているのに、急[きゅう]に話[はなし]をそらさないでよ。♠注意[ちゅうい]をそらす〉彼[かれ]はその時[とき]、急[きゅう]に大声[おおごえ]を出[だ]してわれわれの注意[ちゅうい]をそらそうとした。♠〈気[き]をそらす〉一生懸命[いっしょうけんめい]話[はな]しているのだから、気[き]をそらすようなチャチャを入[い]れるのはよしなさい。♠〈客[きゃく]をそらす〉彼女[かのじょ]は応対[おうたい]のしかたが上手[じょうず]で、客[きゃく]をそらさない呼吸[こきゅう]はみごとなものです。 **そらぞらし・い**【空空しい】 ○知[し]らないふりをしている。そらとぼけている。みえすいている。[文例]姉[あね]は自分[じぶん]のうそがばれそうになると、お茶[ちゃ]でも入[い]れようかとそらぞらしく言[い]って席[せき]を立[た]った。♠へそらぞらしいお世辞[せじ]〉宝石店[ほうせきてん]をのぞくと、店員[てんいん]が客[きゃく]を相手[あいて]に盛[さか]んにそらぞらしいお世辞[せじ]を並[なら]べていた。♠へそらぞらしいうそ〉ぼくのためを思[おも]って殴[なぐ]っただと、よくもそんなそらぞらしいうそがつけたものだ。 **そらみみ**【空耳】 ○実際[じっさい]にない音[おと]。声[こえ]が聞[き]こえたように感[かん]じること。聞[き]こえないふりをすること。[文例]玄関[げんかん]の戸[と]が開[あ]いたような音[おと]がしたが、空耳[そらみみ]だったか。♠こんな所[ところ]で人[ひと]の声[こえ]が聞[き]こえるわけないだろう、空耳[そらみみ]だよ。♠〈空耳[そらみみ]に聞[き]く〉わたしは、セールスマンの言葉[ことば]を空耳[そらみみ]に聞[き]き流[なが]していた。♠〈空耳[そらみみ]を使[つか]う〉相手[あいて]は空耳[そらみみ]を使[つか]って、こっちの話[はなし]なんか全然[ぜんぜん]聞[き]いてくれない。 <621> **そろえる** **そ** **そらん・じる**(諳んじる) ○そらで覚[おぼ]える。暗記[あんき]する。[文例]〈歌詞[かし]をそらんじる〉好[す]きな歌[うた]の歌詞[かし]なら、だれでもすらすらとそらんじることができる。♠〈駅名[えきめい]をそらんじる〉たった四歳[よんさい]で、山手線[やまてせん]一周[いっしゅう]の駅名[えきめい]をそらんじている坊[ぼう]やがいたりすると驚[おどろ]きます。♠〈法律[ほうりつ]をそらんじる〉六法全書[ろっぽうぜんしょ]をそらんじるくらい勉強[べんきょう]しなければ、司法試験[しほうしけん]には通[とお]りません。 **そり**(橋) ○雪上[せつじょう]を滑[すべ]らせる乗[の]り物[もの]。[文例]氷[こおり]の上[うえ]で生活[せいかつ]するエスキモーにとって、そりは毎日[まいにち]の暮[く]らしに欠[か]かせない必需品[ひつじゅひん]です。♠へそりに乗[の]る〉子供[こども]たちはサンタクロースがそりに乗[の]ってやって来[く]ると信[しん]じこんでいます。♠へそりをひく〉探検家[たんけんか]の植村[うえむら]氏[し]は、犬[いぬ]のひくそりで北極点[ほっきょくてん]に向[む]かっていた。 **そり**【反り】 ○反[そ]ること。反[そ]り具合[ぐあい]。相性[あいしょう]。[文例]〈刀[かたな]の反[そ]り〉専門家[せんもんか]の間[あいだ]では、この日本刀[にほんとう]の反[そ]りは他[ほか]に類[るい]を見[み]ないと評判[ひょうばん]です。♠〈体[からだ]の反[そ]り〉走[はし]り幅跳[はばと]びの記録[きろく]を伸[の]ばすには、空中[くうちゅう]での体[からだ]の反[そ]りも重要[じゅうよう]なポイントの一[ひと]つになります。♠〈反[そ]りを戻[もど]す〉竹[たけ]ざおの反[そ]りは火[ひ]であぶって戻[もど]します。♠〈反[そ]りが合[あ]わない>性格[せいかく]が違[ちが]うせいか、あの人[ひと]とはどうも反[そ]りが合[あ]わない。 **そりかえ・る**【反り返る】 ○反[そ]って大[おお]きく曲[ま]がる。得意[とくい]になって体[からだ]を大[おお]きく反[そ]らす。そっくり返[かえ]る。[文例]〈表紙[ひょうし]が反り返[そりかえ]る〉毎日[まいにち]使[つか]っているうちに、辞典[じてん]の表紙[ひょうし]が反り返[そりかえ]ってきました。♠へいすに反り返[そりかえ]る〉恰幅[かっぷく]のいい紳士[しんし]がひじつきの大[おお]きないすに反り返[そりかえ]って、葉巻[はまき]をふかしています。♠へ反り返[そりかえ]って歩[ある]く〉あの男[おとこ]は自分[じぶん]がえらいと思[おも]っているらしく、反り返[そりかえ]って歩[ある]いてるよ。 **そりゃく**【粗略・疎略】 ○いい加減[かげん]に扱[あつか]うさま。ないがしろにするさま。おろそか。[文例]<粗略[そりゃく]な扱[あつか]い〉ダンボール箱[ばこ]には、粗略[そりゃく]な扱[あつか]いを受[う]けないように、「割[わ]れ物[もの]注意[ちゅうい]」と書[か]いてあった。♠へ粗略[そりゃく]に扱[あつか]う〉お客様[きゃくさま]を粗略[そりゃく]に扱[あつか]わないというのが、店員[てんいん]の心[こころ]がけの第[だい]」であるはずだ。♠へ粗略[そりゃく]にする〉市役所[しやくしょ]の職員[しょくいん]は、市民[しみん]を粗略[そりゃく]にすることがあってはならない。 **そ・る**【反る】 ○弓[ゆみ]なりに曲[ま]がる。[文例]<板[いた]が反[そ]る〉立[た]てかけておいた板[いた]が日[ひ]に当[あ]たって、反[そ]ってしまった。♠人体[じんたい]が反[そ]る〉ぽくの体[からだ]はかたいのか、もうこれ以上[いじょう]反[そ]りません。♠〈のるかそるか〉伸[の]るか反[そ]るか、ここはひとつ賭[か]けてみよう。 **そ・る**(削る) ○ひげや髪[かみ]、毛[け]を剃刀[かみそり]などで切[き]り落[お]とす。[文例]〈ひげをそる〉お父[とう]さんは、毎朝[まいあさ]ひげをそって会社[かいしゃ]へ行[い]きます。♠へ顔[かお]をそる>床屋[とこや]へ行[い]くと、散髪[さんぱつ]だけでなく顔[かお]もそってもらいます。♠へ髪[かみ]をそる〉世[よ]の無常[むじょう]を感[かん]じた女[おんな]は髪[かみ]をそり、尼[あま]になったという。 **それから** ○その次[つぎ]に。そして。そしてまた。それに加[くわ]えて。それから[文例]ああ、忙[いそが]しい。銀行[ぎんこう]へ行[い]って預金[よきん]を下[お]ろして、それから郵便局[ゆうびんきょく]へ行[い]かなければならない。♠ビールとつまみと、それから紙[かみ]コップを買[か]ってきてくれ。♠自分[じぶん]の考[かんが]えをはっきり述[の]べるのは大切[たいせつ]なことです。それから、他人[たにん]の意見[いけん]をよく聞[き]くようにしなさい。 **それで** ○それだから。そして。そこで。[文例]どうしてそうなるのかわかりません。それで、もう一度[いちど]考[かんが]えてみることにしました。♠小川[おがわ]君[くん]に会[あ]ったんだって? それで、元気[げんき]だった? ♠きみの言[い]うことはわかったよ。それで、ぼくにどうしろと言[い]うのだい。 **それとも** ○または。あるいは。[文例]これは隕石[いんせき]の跡[あと]なのだろうか、それとも火口[かこう]なのだろうか。♠街[まち]をぶらぶらしてみる? それとも、映画館[えいがかん]にでも入[はい]るかい。 **それに** ○そのうえ。さらに。[文例]それじゃ教[おし]えてやるから、教科書[きょうかしょ]とノートと、それに辞書[じしょ]をもっておいで。♠きみってフライを取[と]るのがうまいね。それに、肩[かた]もいい。♠風[かぜ]が強[つよ]くなった。それに、雨[あめ]も降[ふ]りだした。 **そ・れる**(逸れる) ○目標[もくひょう]や本筋[ほんすじ]から外[はず]れる。[文例]〈手[て]がそれる〉くぎを打[う]つとき思[おも]わず手[て]がそれて、自分[じぶん]の指[ゆび]をたたいてしまうことがある。♠〈的[まと]をそれる〉的[まと]を目[め]がけて弓[ゆみ]を引[ひ]いたが、矢[や]はそれて岩[いわ]に当[あ]たってしまった。♠へ横町[よこちょう]へそれる〉大川[おおかわ]君[くん]は、ぼくを避[さ]けるように横町[よこちょう]へそれてしまった。♠<話[はなし]がそれる>長[なが]い文章[ぶんしょう]を書[か]くときは、話[はなし]が主題[しゅだい]からそれないように注意[ちゅうい]しましょう。♠へわき道[みち]にそれる〉あの年[とし]ごろの子[こ]は、やる事[こと]がわき道[みち]にそれやすくて困[こま]る。 **そろ・う**(揃う) ○同[おな]じになる。よく合[あ]う。きちんと並[なら]ぶ。一[ひと]か所[しょ]に集[あつ]まる。物事[ものごと]がととのう。[文例]〈二人[ふたり]がそろう〉毎朝[まいあさ]、二人[ふたり]はそろって家[いえ]を出[で]ると、大学[だいがく]の実験室[じっけんしつ]で暗[くら]くなるまで研究[けんきゅう]に熱中[ねっちゅう]した。♠へ粒[つぶ]がそろう〉母[はは]は大きな[おおきな]粒[つぶ]のそろったはまぐりを買[か]ってきて、バターいためにするのだと言[い]う。♠〈人手[ひとで]がそろう>五人[ごにん]の作業員[さぎょういん]が見[み]つかったので、これで仕事[しごと]をする人手[ひとで]はそろった。♠へ条件[じょうけん]がそろう〉赤潮[あかしお]は自然[しぜん]の条件[じょうけん]がどんなにそろったところで、それだけでは発生[はっせい]しないのです。♠へ顔[かお]ぶれがそろう〉昨日[きのう]のパーティーはすばらしかったね。あれだけの顔[かお]ぶれがそろうなんてめったにないことだよ。♠〈足並[あしな]みがそろう〉皆[みな]がそれぞれ[それぞれ]の考[かんが]えを譲[ゆず]らなければ、なかなか仕事[しごと]の足並[あしな]みがそろわない。♠調子[ちょうし]がそろう〉全員[ぜんいん]の調子[ちょうし]がそろうようになるまでには、十分[じゅうぶん]な練習[れんしゅう]が必要[ひつよう]です。♠〈品[しな]がそろう〉当店[とうてん]は、文房具[ぶんぼうぐ]なら何[なん]でもそろっております。♠〈三拍子[さんびょうし]そろう〉攻[こう]・守[しゅ]・走[そう]、三拍子[さんびょうし]そろった将来[しょうらい]のホープとして、この新人[しんじん]は入団[にゅうだん]してきた。 **そろ・える**(揃える) ○同[おな]じにする。合[あ]わせる。きちんと並[なら]べる。一[ひと]か所[しょ]に集[あつ]める。物事[ものごと]をととのえる。[文例]〈物[もの]をそろえる〉彼[かれ]は何百枚[なんびゃくまい]もの紙[かみ]をそろえて、鮮[あざ]やかな手[て]つきでいっぺんに切[き]り落[お]とした。♠へ履物[はきもの]をそろえる〉玄関[げんかん]の靴[くつ]はそろえておきなさい。♠〈長[なが]さをそろえる〉前髪[まえがみ]の長[なが]さをもっとそろえて切[き]ってください。♠へ手[て]をそろえる〉妹[いもうと]はきちんと正座[せいざ]して、行儀[ぎょうぎ]よくひざの上[うえ]に両手[りょうて]をそろえて置[お]いた。♠〈口[くち]をそろえる〉女[おんな]の子[こ]たちは口[くち]をそろえてぼくがいたずらしたと先生[せんせい]に訴[うった]えた。♠〈声[こえ]をそろえる〉青年[せいねん]の姿[すがた]を見[み]つけると、少女[しょうじょ]たちは二階[にかい]の窓[まど]から声[こえ]をそろえて呼[よ]びました。♠〈顔[かお]をそろえる>学会[がっかい]には、哺乳動物[ほにゅうどうぶつ]、とくに霊長類[れいちょうるい]の権威者[けんいしゃ]たちが顔[かお]をそろえた。♠〈道具[どうぐ]をそろえる〉野球部[やきゅうぶ]の合宿[がっしゅく]までに、スパイクとユニホームをそろえなければならない。♠〈商品[しょうひん]をそろえる〉新[あたら]しいコーナーには、外国製[がいこくせい]のバッグをはじめ商品[しょうひん]が豊富[ほうふ]にそろえられていた。♠耳[みみ]をそろえる〉びた一文[いちもん]足[た]りなくてもだめだ。貸[か]した金[かね]は耳[みみ]をそろえて返[かえ]してもらおう。 <622> **そろばん** **そ** **そろばん**(算盤・十露盤) ○多[おお]くの玉[たま]を棒[ぼう]に刺[さ]し並[なら]べた計算[けいさん]道具[どうぐ]。損得[そんとく]の計算[けいさん]。[文例]〈そろばんをはじく〉帳場[ちょうば]では、番頭[ばんとう]さんが朝[あさ]から台帳[だいちょう]と首[くび]っ引[ぴ]きでそろばんをはじいている。♠へそろばんをおく〉伝票[でんぴょう]に目[め]を通[とお]すと、主人[しゅじん]はそろばんをおいて、その結果[けっか]に「おや」と首[くび]をひねった。♠へそろばんを入[い]れる〉きみ、ちょっとそろばんを入[い]れてくれないか、といって、主人[しゅじん]は伝票[でんぴょう]の数字[すうじ]を読[よ]み上[あ]げた。♠へそろばんに合[あ]う〉計算高[けいさんだか]い商人[しょうにん]だったから、そろばんに合[あ]わない商売[しょうばい]は絶対[ぜったい]にしなかった。♠へそろばんずく〉世[よ]の中[なか]のためになる仕事[しごと]は、そろばんずくではできません。 **そわそわ** ○落[お]ち着[つ]かないさま。[文例]旅行[りょこう]を明日[あした]にひかえて、そわそわと落[お]ち着[つ]かない。♠妻[つま]の出産[しゅっさん]を前[まえ]にして、わたしはただそわそわうろうろするだけです。♠へそわそわする〉わたしがそわそわしているのは、もうすぐあこがれの先輩[せんぱい]が通[とお]るからよ。 **そん**【損】 ○利益[りえき]を失[うしな]うこと。また、不利益[ふりえき]。労力[ろうりょく]のわりに効果[こうか]が少[すく]ないこと。[文例]〈損[そん]をする〉彼女[かのじょ]は心[こころ]のやさしい人[ひと]なのに、無口[むくち]なのでずいぶんと損[そん]をしているようだ。♠へ損[そん]がない>洗剤[せんざい]などの日用品[にちようひん]は、安[やす]いときにたくさん買[か]っておいても損[そん]はない。♠〈損[そん]な仕事[しごと]〉今度[こんど]の仕事[しごと]は、苦労[くろう]の多[おお]いわりに報酬[ほうしゅう]の少[すく]ない損[そん]な仕事[しごと]だと思[おも]う。♠へ損[そん]な買[か]い物[もの]〉これだけの品物[しなもの]でこの値段[ねだん]なら、損[そん]な買[か]い物[もの]ではないでしょう。♠へ損[そん]になる〉彼[かれ]は決[けっ]して、自分[じぶん]の損[そん]になるようなことはしない人[ひと]だ。♠〈損[そん]して得[とく]とれ〉損[そん]して得[とく]とれといって、商売[しょうばい]は目先[めさき]のもうけばかり考[かんが]えず、長期的[ちょうきてき]な見方[みかた]をしなければならない。 **そんえき**【損益】 ○損失[そんしつ]と利益[りえき]。[文例]仕入[しい]れた商品[しょうひん]は何[なん]とか売[う]り尽[つ]くしたが、原価[げんか]に近[ちか]いたたき売[う]りだったので損益[そんえき]なしというところだ。♠商売[しょうばい]に損益[そんえき]計算[けいさん]、つまり損得[そんとく]勘定[かんじょう]は欠[か]かせません。 **そんかい**【損壊】 ○破壊[はかい]され、損[そこ]なわれること。破壊[はかい]し、損[そこな]うこと。[文例]〈道路[どうろ]の損壊[そんかい]〉〈損壊[そんかい]が激[はげ]しい>戦車[せんしゃ]が通過[つうか]すると、道路[どうろ]の損壊[そんかい]は激[はげ]しくなる。♠〈家屋[かおく]が損壊[そんかい]する>川原[かわら]には、先日[せんじつ]の洪水[こうずい]で損壊[そんかい]した家屋[かおく]が無残[むざん]な姿[すがた]をさらしていた。♠へ壁画[へきが]が損壊[そんかい]する〉一九[いちきゅう]四九[よんきゅう]年[ねん]、法隆寺[ほうりゅうじ]きが」の壁画[へきが]は失火[しっか]のため一部[いちぶ]が損壊[そんかい]した。 **そんがい**【損害】 ○物[もの]を傷[きず]つけ、だめにすること。また、だめになること。利益[りえき]を失[うしな]うこと。損失[そんしつ]。[文例]〈台風[たいふう]による損害[そんがい]>先週末[せんしゅうまつ]、この町[まち]を襲[おそ]った台風[たいふう]による損害[そんがい]は、八千万円[はっせんまんえん]にも及[およ]ぶそうだ。♠へ損害[そんがい]を受[う]ける〉車[くるま]の事故[じこ]のため、荷物[にもつ]が予定[よてい]の時刻[じこく]に届[とど]かず、店[みせ]は約二百万円[にひゃくまんえん]の損害[そんがい]を受[う]けた。♠〈損害[そんがい]を与[あた]える〉アメリカ軍[ぐん]の奇襲[きしゅう]攻撃[こうげき]は見事[みごと]に成功[せいこう]し、敵[てき]に壊滅的[かいめつてき]な損害[そんがい]を与[あた]えた。♠へ損害[そんがい]を埋[う]め合[あ]わす〉わが国[くに]の保障[ほしょう]制度[せいど]は、残念[ざんねん]ながら、個人[こじん]の受[う]けた損害[そんがい]を十分[じゅうぶん]に埋[う]め合[あ]わすまでには至[いた]っていません。♠〈損害[そんがい]を食[く]い止[と]める>害虫[がいちゅう]の発生源[はっせいげん]であるこの山[やま]を焼[や]くことは、損害[そんがい]を最小限度[さいしょうげんど]に食[く]い止[と]めるためにどうしても必要[ひつよう]だ。 **ぞんがい**【存外】 ○思[おも]いのほか。案外[あんがい]。[文例]彼[かれ]のお父[とう]さんが有名[ゆうめい]な画家[がか]だという事実[じじつ]は、存外[ぞんがい]知[し]られていない。♠オリンピックの金[きん]メダリストである彼女[かのじょ]の練習[れんしゅう]方法[ほうほう]は、存外[ぞんがい]平凡[へいぼん]であった。♠へ存外[ぞんがい]な謝礼[しゃれい]〉拾[ひろ]った物[もの]をただ届[とど]けただけなのに、存外[ぞんがい]な謝礼[しゃれい]をもらって、かえって恐縮[きょうしゅく]してしまった。 **そんけい**【尊敬】 ○人[ひと]を尊[とうと]び、敬[うやま]うこと。[文例]〈尊敬[そんけい]に値[あたい]する>彼女[かのじょ]は人格[じんかく]、品行[ひんこう]ともに優[すぐ]れ、尊敬[そんけい]に値[あたい]する人物[じんぶつ]です。♠〈尊敬[そんけい]を受[う]ける〉村[むら]では最[もっと]も見識[けんしき]のある人[ひと]として、老人[ろうじん]は尊敬[そんけい]を受[う]けていた。♠へ尊敬[そんけい]の念[ねん]〉子供[こども]のころは反抗[はんこう]ばかりしていたが、今[いま]では父[ちち]に尊敬[そんけい]の念[ねん]を抱[いだ]いている。♠へ尊敬[そんけい]を集[あつ]める>杉田[すぎた]玄白[げんぱく]は蘭学[らんがく]創始[そうし]の第一人者[だいいちにんしゃ]として、人々[ひとびと]の尊敬[そんけい]を一身[いっしん]に集[あつ]めた。♠へ人[ひと]を尊敬[そんけい]する〉地位[ちい]が高[たか]いとか、財産[ざいさん]を持[も]っているとかは人[ひと]を尊敬[そんけい]する尺度[しゃくど]にはならない。♠〈尊敬[そんけい]できる人物[じんぶつ]>知識[ちしき]のある人[ひと]は大勢[おおぜい]いるけれど、尊敬[そんけい]できる人物[じんぶつ]というのは、そうざらにはいません。♠へ尊敬[そんけい]する先生[せんせい]〉日[ひ]ごろ尊敬[そんけい]していた教授[きょうじゅ]が病気[びょうき]で亡[な]くなったと聞[き]いて、兄[あに]はがっくりしていました。 **そんしつ**【損失】 ○損[そん]をすること。また、こうむった損害[そんがい]。[文例]〈損失[そんしつ]を与[あた]える〉山下[やました]氏[し]は取[と]り引[ひ]きの失敗[しっぱい]から、会社[かいしゃ]に対[たい]して一千万円[いっせんまんえん]もの損失[そんしつ]を与[あた]えてしまった。♠へ大[おお]きな損失[そんしつ]>彼[かれ]のような部員[ぶいん]を失[うしな]うことは、部[ぶ]にとって大[おお]きな損失[そんしつ]である。♠へばく大[だい]な損失[そんしつ]〉二年[にねん]続[つづ]きの天候[てんこう]不順[ふじゅん]による農作[のうさく]物[ぶつ]の不作[ふさく]は、この地方[ちほう]の農家[のうか]にばく大[だい]な損失[そんしつ]を与[あた]えた。 **そんげん**【尊厳】 ○尊[とうと]くおごそかで、侵[おか]しがたいこと。[文例]〈生命[せいめい]の尊厳[そんげん]>無計画[むけいかく]な自然[しぜん]開発[かいはつ]はそこに生息[せいそく]する野生[やせい]動物[どうぶつ]の生命[せいめい]の尊厳[そんげん]を侵[おか]すことになろう。♠へ人間[にんげん]の尊厳[そんげん]〉同[おな]じ人間[にんげん]の自由[じゆう]を力[ちから]ずくでうばうことは、人間[にんげん]の尊厳[そんげん]をそこなう暴挙[ぼうきょ]と言[い]えます。♠〈法[ほう]の尊厳[そんげん]〉法[ほう]の尊厳[そんげん]を保[たも]つためには、法[ほう]にたずさわる者[もの]がその身[み]を律[りっ]する必要[ひつよう]がある。 **そんざい**【存在】 ○人[ひと]や生物[せいぶつ]、事物[じぶつ]・物事[ものごと]などがあること。また、現[げん]にそこにあるもの。[文例]】〈存在[そんざい]する〉何千年も[なんぜんねんも]前[まえ]、世界[せかい]各地[かくち]にかなり高度[こうど]な文明[ぶんめい]をもった民族[みんぞく]が存在[そんざい]していた。♠ヘ言葉[ことば]が存在[そんざい]する〉わたしたちの住[す]む世界[せかい]に、もしも言葉[ことば]が存在[そんざい]しなかったらどうなるのだろう。♠へ嫌[きら]われる存在[そんざい]〉ミミズは人[ひと]に嫌[きら]われることが多[おお]い存在[そんざい]だが、実[じつ]はたいへん役[やく]に立[た]つ動物[どうぶつ]です。♠かけがえのない存在[そんざい]〉剣道[けんどう]とは何か[なにか]を教[おし]えてくれたコーチは、ぼくにとってかけがえのない存在[そんざい]です。♠へ目立[めだ]つ存在[そんざい]〉彼女[かのじょ]は、仲間[なかま]の中[なか]ではひときわ目立[めだ]つ存在[そんざい]だった。♠へ存在[そんざい]を脅[おびや]かす〉議会[ぎかい]の勢力[せいりょく]はしだいに強[つよ]くなり、やがて国王[こくおう]の存在[そんざい]を脅[おびや]かすようになった。♠〈存在感[そんざいかん]>若[わか]いが、なかなか存在感[そんざいかん]のある役者[やくしゃ]として、彼[かれ]は注目[ちゅうもく]されている。 **ぞんざい** ○投[な]げやりであらっぽいさま。[文例]〈ぞんざいな言葉遣[ことばづか]い〉そのぞんざいな言葉遣[ことばづか]いを改[あらた]めたまえ。♠へぞんざいな態度[たいど]〉応接間[おうせつま]に通[とお]された男[おとこ]はソファーに腰[こし]を下[お]ろすと、ぞんざいな態度[たいど]でたばこを吸[す]い始[はじ]めた。♠へぞんざいな口[くち]のきき方[かた]〉目上[めうえ]の人[ひと]にぞんざいな口[くち]のきき方[かた]をすると、生意気[なまいき]に思[おも]われる。♠〈ぞんざいに扱[あつか]う〉日[ひ]ごろおとなしい人[ひと]だって、あれだけぞんざいに扱[あつか]われれば怒[おこ]るにきまっているよ。♠へぞんざいに書[か]く〉このメモはぞんざいに書[か]かれているが、案外[あんがい]要点[ようてん]はしっかり押[おさ]さえてある。 <623> しの馬を、一目たりとも目にしたいものだ。♠市長の説明にもかかわらず、依然としていくつかの問題が存する。♠数多くのお寺や名園など、京都には古都のおもかげの存する場所がきわめて多い。 **そんぞく【存続】** ○存在しつづけること。無くさずに残しておくこと。[文例]〈会の存続〉入会者は減っていますが、それでもまだ会の存続を望む声は多い。♠〈部の存続〉部員が九名を切ったとあっては、野球部の存続もあやうくなった。♠〈存続する〉この国ではいまだに身分制度が存続している。 **そんだい【尊大】** ○偉[えら]そうにいばっているさま。[文例]〈尊大な態度〉いつでも、偉[えら]そうで尊大な態度をとっていると、嫌[きら]われるよ。♠〈尊大な気持ち〉自分だけが正しいという尊大な気持ちに陥[おちい]らないように。♠〈尊大に振舞う〉王子も父君と同じように家臣に対して尊大に振舞[ふるま]っていた。♠〈尊大に構える〉人を指導する立場にいたとしても、尊大に構えるばかりでは、ついてくる人がいなくなる。♠〈尊大さ〉人を見くだすような彼女の尊大さにはがまんならない。♠〈尊大ぶる〉壇上[だんじよう]に立ち、尊大ぶって演説する様子は、ふだんの彼からは想像もできない。 **そんちょう【尊重】** ○尊いものとして重んじること。[文例]〈人命の尊重〉人質の人命の尊重を第一にして、警察は強行手段にうったえることはしなかった。♠〈人権の尊重〉日本国憲法には、基本的人権の尊重がうたわれている。♠〈尊重する〉お互いに相手を尊重しなければ、人間関係はうまくいかないでしょう。 **そんねん【存念】** ○心に思うこと。念頭を離れない思い。[文例]〈存念がある・ない〉聖者の心の中には、人々のために尽くそうという以外に何の存念もなかった。♠〈存念が残る〉日本人の間には、休むのは悪いことだ、働かなくてはならないという存念が残っている。 **ぞんぶん【存分】** ○思いのたけ。思うまま。[文例]〈存分に楽しむ〉海浜[かいひん]公園で、秋の穏[おだ]やかな一日を存分に楽しみました。♠〈存分に練習する〉この前とちがって今度は存分に練習してきたので、ちょっとは自信もあります。♠〈存分にする〉そんなに山に行きたいなら存分になさい、わたしはもう知らないわ。♠〈思う存分〉明日は仕事も休みなので、思う存分テニスを楽しむつもりです。♠〈思う存分の働き〉彼女の手助けもあって、今日の仕事では思う存分の働きができました。 **そんぼう【存亡】** ○存在と滅亡。存続するか滅亡するか。[文例]〈民族の存亡〉長い目で見れば、文化の豊かさの度合いというものも民族の存亡にかかわる重要な要素と言えるでしょう。♠〈国の存亡〉明朝は敵陣に討って出るが、この戦[いくさ]で国の存亡が決まるであろう。♠〈存亡をかける〉このプロジェクトは会社の存亡をかけたものであり、失敗は許されない。♠〈危急存亡〉現代もまた、人類にとって危急存亡のときと言えるでしょう。 **ぞんめい【存命】** ○生きていること。生きながらえること。[文例]〈存命する〉わたくしはもう六十歳を過ぎましたが、ありがたいことに父母共に存命しております。♠家が火事で焼けたのは、父が存命中のことでした。♠戦争で別れ別れになって消息はわからないが、もし存命であれば妹は今年で四十六歳になる。 **そんとく【損得】** ○損と得。損失と利益。[文例]姉の喫茶店は、半分趣味でやっているので、損得はあまり気にしていないようだ。♠〈損得を離れる〉ボランティアは、損得を離れて他人や社会に奉仕します。♠〈損得抜き〉友達とは損得抜きでつき合わないと、本当の親友にはなれない。 **そんらく【村落】** ○人家の集まる所。むら。むらざと。[文例]農耕の開始にともなって人々は定住するようになり、小規模な村落が形成され始めた。♠この川の流域には村落が点在している。♠こんな山深い地にも村落があるとは驚きであった。 **そんりつ【存立】** ○成り立ち、存在しつづけること。[文例]〈存立する〉現代社会がよりよい形で存立していくには、国 <624> 際協調といった考え方が必要になるでしょう。♠〈国家の存立〉それは、国家の存立の基盤をゆるがすような、重要な意味をもっていた。 た **た【田】** ○たんぽ。[文例]〈田を作る〉我が家では、兄と姉が会社勤めをし、両親と祖母が田を作っています。♠〈田を打つ〉雪が解けると、あちこちで田を打つ農民の姿が見られるようになる。♠〈荒れた田〉休耕すると、水田は雑草で覆われ、たちまち荒れた田に変わってしまう。♠〈田の草取り〉一本一本雑草を抜いていくのだから、田の草取りはたいへんな仕事だった。♠〈詩を作るより田を作れ〉詩を作るより田を作れ、という農夫の父に隠れて、少年の文学修業は続いた。♠〈田植え〉村では、六月に入るといっせいに田植えが始まります。♠生きかはり死にかはりして打つ田かな(村上鬼城[むらかみきじよう]) **た【他】** ○ほかの物事。ほかの人。[文例]〈他の人〉自分の意見を主張するだけでなく、他の人の意見も聞きましょう。♠〈その他〉カメラや財布、その他の貴重品はみな先生に預けなさい。♠〈他と区別する〉自分の持ち物を他と区別するために、名前を書いておきます。♠〈他と異なる〉発見された植物には、他と異なる特徴がいくつかあった。♠〈他に対する〉きみには、他に対する思いやりが少し欠けているようだね。♠〈他に類を見ない〉万葉集は現存するもののうちでは我が国最古の歌集で、作家や地域の範囲の広さにおいて他に類を見ない。 **た【多】** ○多いこと。(功績などの)大きいこと。[文例]〈労を多とする〉あなたに感謝状を差しあげるのは、会員のわたしたちがあなたの労を多としているからです。 **たあいな・い【他愛ない】** =たわいな・い **ダークホース** ○実力未知数で予想外の活躍が期待される馬。隠れた有力人物。[文例]今年のダービーの優勝馬は、力が未知数であまり人気のないダークホースだった。♠この試合の優勝候補の筆頭は上田君、次は小川君で、ダークホースは試合になると練習以上の力を出す大山君かな。 **ターゲット** ○標的。まと。ねらい。[文例]円形のターゲットは細かく区切られていて、矢の刺[さ]さった場所によって点数が違います。♠〈ターゲットになる〉十九世紀、アジアの国々は、植民地政策にのりだした欧米列強の格好のターゲットとなった。♠〈ターゲットをしぼる〉就職をこの秋に控[ひか]えたわたしは、三社くらいにターゲットをしぼって対策を考えるつもりです。 **たい【対】** ○つい。反対。対等。対戦相手。比率。[文例]〈対巨人戦〉対巨人三連戦を阪神は二勝一敗で乗りきった。♠〈~対~〉一商対北海の試合は、三対三の同点のまま延長戦にもちこまれた。♠〈~対~の割合〉セメントと砂を一対十五の割合で混合する。♠〈対で~する〉大勢でわめきあっていても結論は出ないというので、双方[そうほう]の代表者が対で話し合うことになった。 **たい【体】** ○からだ。形。実体。組織体。仏像や遺体などを数える語。[文例]〈体をかわす〉強いファウルボールが向かってきたので、すばやく体をかわしてよけた。♠〈体を預ける〉両まわしを取った横綱は、そのまま体を預けて相手を寄り切った。♠〈体を成す〉ほそぼそと始めた事業だったが、しだいに業務も拡大し、従業員も増え、会社としての体を成してきた。♠〈名は体を表す〉「名は体を表す」とは、名はそのままだその中身や実体を示すということです。♠〈肥満体〉肥満体の父は、少しでもスマートになるためにと、毎朝家の周りを走っています。♠〈自治体〉都道府県、市区町村などを地方自治体といいます。 **たい(鯛)** ○祝いごとの席に供される赤色の魚。[文例]このあたりの海では、いか・かつお・たいなどの魚がとれます。♠〈尾頭付[おかしらつ]きのたい〉お正月に、尾頭付[おかしらつ]きのたいの塩焼きを食べた。♠〈腐[くさ]ってもたい〉「腐[くさ]ってもたい」とは、優れた価値のあるものは、だめになったようでも、なお値打ちを保つことのたとえです。♠〈えびでたいをつる〉母の日にエプロンをプレゼントしたら、なんと、母が自転車を買ってくれた。まさに「えびでたいをつる」というところだ。 **たい【他意】** ○ほかの考え。心に隠している考え。[文例]〈他意がない〉先生にきみのことを話したのは心配したからで、他意はないよ。♠善悪、理非、軽重、結果を度外に置いて事物を考え得るならば、浅井君は他意なき善人である。(夏目漱石「虞美人草[ぐびじんそう]」) **だい【台】** ○物を載せたり、人が乗ったりするもの。台地。機械などを数える語。端数を切り捨てておよその範囲を表す語。[文例]〈台の上〉父の湯飲みは、お盆に伏せて台の上に置いてあった。♠〈台にのぼる〉先生は、朝礼の台にのぼって、全校生徒がいっせいに行進するのを指導した。♠〈台になる〉棚の物を取るから、何か台になるものをもってきなさい。♠〈プラチナの台〉婦人は、プラチナの台にダイヤをはめこんだ高価な指輪をしていた。♠〈踏み台〉彼はいくつものつらい経験を踏み台にして、今の地位を手に入れたのです。♠〈高台〉わたしの学校は、駅から歩いて十分ほどの高台にあります。♠〈五台〉彼女は飽きっぽい性格で、これまでにもう五台も車を乗り換えている。♠〈五万円台〉アメリカ製のギターが、五万円台で買えるなんて、ぼくにはとても信じられない。 **だい【題】** ○題目。題名。[文例]〈歌の題〉あなたの口ずさんでいる歌は、何という題ですか。♠〈題をつける〉卒業文集にどんな題をつけるか、みんなで話し合いました。♠〈題にする〉春の風物を題にして、俳句でもひねってみるか。♠〈~と題する〉博士[はかせ]はカナダの自然と題する論文を、学会に発表した。 **だい【代】** ○当主としての期間。代金。およその範囲を表す語。[文例]〈祖父の代〉このつぼは、祖父の代からわが家の家宝です。♠〈孫子[ぱん]の代〉浦島太郎、かぐや姫、一寸法師などの昔話は、孫子[ぱん]の代まで語り継がれていくだろう。♠〈代が <625> かわる〉あれほど繁盛していた店も、代がかわるとたちまちかたむいてしまった。♠「ごちそうになった。だんごのお代はいかほどかな。」 **だい【大】** ○大きいこと。大きいもの。はなはだしいさま。[文例]〈声を大にする〉政治についてはすっかりあきらめておりますから、声を大にして言いたいことなどないのです。♠〈大は小を兼ねる〉いくら大は小を兼ねるといっても、こればかりの荷物にそのかばんでは大きすぎます。♠〈大なり小なり〉現代文明に対して様々な批判があるが、わたしたちは、大なり小なり、その恩恵[おんけい]を受けていることを忘れがちだ。♠〈大の虫を生かして小の虫を殺せ〉望ましくはないが、大の虫を生かして小の虫を殺せで、少数者を犠牲にする場合もありえる。♠〈大なる欠点〉西洋人のやり方は積極的と云って近頃[ちかごろ]大分流行[はや]るが、あれは大なる欠点を持って居るよ。(夏目漱石「吾輩[わがはい]は猫である」)♠〈大の仲良し〉わたしと幸子[さちこ]ちゃんとは大の仲良しで、いつも一緒に遊んでいました。♠〈大の男〉大の男が泣いたりしちゃみっともないじゃないか。♠〈大の字〉男が大の字にひっくり返って、昼寝をしている。♠〈等身大〉レコード屋の店頭に人気歌手の等身大のポスターがはってある。 **たいあたり【体当たり】** ○自分の体をぶつけていくこと。捨て身で物事に当たること。[文例]〈体当たりをする〉大きなすもう取りに体当たりをしたって、逆にはね返されるにきまってるよ。♠〈体当たりする〉戦争に行った叔父[おじ]は、小さな戦闘機[せんとうさ]に乗ったまま、敵の戦艦[せんかん]に体当たりしていったという。♠〈体当たりの演技〉デビューしたての彼女は、この映画で体当たりの演技を見せ、一躍[いちやく]スターになった。 **タイアップ** ○協同して行うこと。提携。[文例]〈技術的なタイアップ〉この国の自動車業界は日本企業との技術的なタイアップにより、飛躍的な発展をとげた。♠〈タイアップする〉国内の化粧品[けしようひん]会社が外国有名ブランドとタイアップして、秋のキャンペーンを始めた。 **たいあん【大安】** ○陰陽道[おんみようどう]で何事をするにもよいとされる日。→仏滅[ぶつめつ][文例]〈陰陽道[おんみようどう]で、万事に吉[きち]とする日を大安、その反対の日を仏滅[ぶつめつ]といい、今も気にする人が多い。♠〈大安吉日[きちじつ]〉昨日の日曜日は大安吉日[きちじつ]とあって、どこの結婚式場も大変な混雑だったらしい。 **たいい【大意】** ○文章や話などの大体の意味。あらまし。おおすじ。[文例]〈大意をまとめる〉次の文章を読んで、その大意を原稿用紙一枚程度にまとめなさい。♠〈大意をつかむ〉朝礼での校長先生の話は難しくなかったので、協力することが大切だという大意は一、二年生でもつかむことができた。 **たいい【退位】** ○王位・帝位などを退くこと。→即位[文例]〈退位する〉天智天皇は、大化改新の後、斉明天皇[さいめいてんのう]の死後、六六八年に即位し六七一年に退位しました。 **たいいく【体育】** ○体をきたえ育てること。また、そのための学科。[文例]〈知育・徳育・体育〉知識を深める知育、人格を高める徳育、そして体育は、教育の主要な目標とされている。♠〈体育の時間〉今日の体育の時間は、ハードルの練習をしました。♠〈体育の日〉十月十日の体育の日には、毎年町内の運動会が行われます。♠〈体育館〉月曜日の朝は、体育館で全校朝会が行われます。♠〈体育祭〉午後は、全校生徒で体育祭の練習をしました。 **だいいち【第一】** ○一番であること。いちばん大切なこと。まず。何よりも。[文例]〈第一に〉研究テーマが決まると、ぼくは第一に資料を集めることにした。♠〈第一の理由〉感想文を書くためにこの本を選んだ第一の理由は、薄くて読みやすそうだったからです。♠外で遊べといったって、第一、遊べるような場所がないのです。♠〈第一印象〉第一印象というのは当たることもあるけれど、それだけで人を決めつけてはいけない。♠〈家庭第一〉以前の父は、仕事ばかりしていましたが、母が病気になってからは、家庭第一の生活になりました。 **だいいっせん【第一線】** ○戦場の最前線。その分野で最も重要な活動の行われるところ。[文例]〈第一線に向かう〉第一線に向かう精鋭部隊の士気は高かった。♠〈第一線を退く〉八十を過ぎると、氏は政界の第一線を退いた。♠〈第一線に立つ〉祖国の民主化のためにわたしは第一線に立った。 **たいいん【退院】** ○入院患者が病院を出て家へ帰ること。[文例]〈退院する〉先月退院したばかりなのに、また病気が重くなって再入院してしまった。 **たいえい(退嬰)** ○物事に前向きに取り組む意欲に欠けること。[文例]〈退嬰の風[ふう]〉没落を続ける貴族の家だったから、家内には退嬰の風[ふう]が支配的であった。♠〈退嬰的〉世紀末のベルリンは、退廃的でかつ退嬰的な街だった。♠〈退嬰主義〉これは(……)法律を修めながら役人にも会社員にもなる気のない、至って退嬰主義の男であった。(夏目漱石「彼岸過迄[ひがんすぎまで]」) **たいえき【体液】** ○血液・リンパ液など動物の体内を満たす液体。[文例]動物の体内を満たしている液体を体液といい、体全体に養分や酸素を運ぶ働きなどをします。♠傷口から体液がにじみ出し、包帯は黄色く変色してしまった。 **たいえき【退役】** ○軍人が兵役を退くこと。[文例]〈退役する〉トムじいさんが海軍を退役したとき、その位は中佐だったそうだ。♠〈退役軍人〉退役軍人のサンチェスは書斎[しよさい]に勲章[くんしよう]を飾り、独立のために戦ったころを懐[なつ]かしがっていた。 **たいおう【対応】** ○互いに向き合うこと。相手に応じて事を行うこと。かかわり合うこと。[文例]〈対応する辺〉対応する二組の辺が互[たが]いに平行な四角形を平行四辺形といいます。♠〈多様な関心に対応する〉現代の若者の多様な関心に対応できるような商品を開発していきたい。♠〈対応をとる〉人と人とのかかわり合いで、あなたはどのような対応をとっていくつもりですか。♠〈書き出しと結びの対応〉文を作るときに大切なことの一つに、書き出しと結びの対応がちゃんとしていることが挙げられます。♠〈対応関係〉他動詞と自動詞には、「集まる」と「集める」のように形のうえで対応関係のあるものが多い。♠〈対応策[さく]〉自然を破壊[はかい]し、公害を生み出した人間は、今後、これに対する賢明[けんめい]な対応策[さく]を <626> たいおん **たいおん【体温】** ○動物の体の温度。[文例]〈体温を保つ〉寒いときには衣服によって寒さを防ぎ、体温を保ちます。♠〈体温を計る〉体がだるく寒けがするので体温を計ったら、三十八度二分[にぶ]もあった。♠〈体温が上がる〉人間は暑いときには汗をかくことで、体温の上がるのを防ぎます。♠〈体温調節〉変温動物は、体温調節の機能をもたないので、外界の温度に応じて体温が変わる。 **たいか【大家】** ○大きな家。立派な家柄の家。その分野で特にすぐれた人物。[文例]〈村一番の大家〉庄屋[しょうや]さんのうちがこの村一番の大家だ。♠〈大家の令息[ごれいそく]〉彼は、金持ちで格式も高い大家の御令息なのです。♠〈文壇[ぶんだん]の大家〉この夏休みは、漱石[そうせき]や鷗外[おうがい]など文壇の大家と言われた人の作品をじっくりと読むつもりです。♠〈音楽の大家〉近世音楽の大家バッハは、きわめて多くの作品を残しその業績は大きく、大バッハとも呼ばれます。♠〈画壇[がだん]の大家〉美術館には、古典、近代、現代の画壇の大家による作品が数多く展示されていた。 **たいか【大火】** ○大火事。大火災。[文例]数年前大火があり、この町の半分近くの家が焼けてしまったのです。♠江戸時代の明暦[めいれき]の大火で焼死した人は、十万人以上と言われています。 **たいか【大過】** ○大きな過失。目立った失敗。[文例]〈大過なく〉先生、お久しぶりです。わたくしは大過なくすごしております。♠〈大過なく〉これといった業績はありませんが、幸いに大過なく職務を遂行[すいこう]することができました。 **たいか【退化】** ○進歩が止まって、後もどりすること。進化の過程で生物器官の機能や規模が減退すること。[文例]〈進化と退化〉生物の器官は、環境によって進化したり退化したりします。♠〈退化する〉深海魚は真っ暗な海の底にいるため、目が退化している。 **たいが【大河】** ○大きな河。[文例]アマゾン川は世界有数の大河である。♠〈大河の流域〉古代文明の発祥地[はっしょうち]は、黄河[こうが]やナイル川のような大河の流域であった。♠〈ゆうゆうたる大河〉丘からは、ゆうゆうたる大河の姿がながめられた。♠〈大河小説〉この作品は、親子三代にわたる波乱の生活を描いた大河小説である。♠〈大河ドラマ〉NHKの大河ドラマを、母は毎週日曜日の夜、楽しみにして見ています。 **だいか【代価】** ○品物の代金。あることのために払う犠牲。[文例]〈土地の代価〉小作人は、やせた土地の代価として三年分の収入にあたる金額を納めなければならなかった。♠〈独立の代価〉インドネシアの人々は尊い人命を代価に、一九四五年にオランダから独立をかちとりました。♠〈代価を払う〉いかなる代価を払っても、この計画は実現させたい。 **たいかい【大会】** ○組織・団体の全体的な会合。多くの人々の集まる会。[文例]〈組合の大会〉組合の大会で、新しいスローガンと今後の活動方針を決定した。♠〈テニスの大会〉今度のテニスの大会に出場することが決まった。♠〈夏の大会〉我が校の野球部も夏の大会に出場したのだが、一回戦で敗退してしまった。 **たいかい【大海】** ○広く大きな海。大洋。[文例]救命ボートは大海のまっただ中を、木の葉のように漂っていた。♠湖から流れ出すこの川は、ジャングルや湿原を横切って大海に注ぎこむ。♠〈井の中のかわず大海を知らず〉井の中のかわず大海を知らず、もっと広く目を向けて勉強したまえ。 **たいがい【大概】** ○おおよそ。あらまし。ほどほど。たいてい。[文例]〈大概の人〉大概の人は、ぼくの意見に賛成してくれた。♠〈大概のこと〉その話なら、人に聞いて大概のことは知っているよ。♠〈大概にしろ〉ふざけるのも大概にしろ。♠休みの日は大概家にいるので、遊びに来てください。 **たいがい【対外】** ○外部・外国に対すること。[文例]〈対外的〉社内の内輪もめは対外的な信用にかかわる。♠〈対外関係〉ペリーの来航によって幕府が開国を決定してから、日本の対外関係は大きく変化しました。♠〈対外政策〉二つの大国アメリカ合衆国とソビエト連邦共和国の対外政策は、世界の情勢に決定的な影響を与える。♠〈対外試合〉今年の春に創設されたサッカー部が、初めての対外試合をすることに決まりました。 **たいかく【体格】** ○体つき。[文例]〈立派な体格〉大村君は、とても小学生とは思えない、立派な体格をしています。♠〈がっしりした体格〉柔道をやっているせいか、普通の人よりもがっしりした体格をしている。♠〈体格がいい〉あのひときわ体格のいい生徒が、我が校の相撲部の主将です。 **だいがく【大学】** ○学校教育の最高学府。[文例]〈大学に入る〉大学に入るための勉強は必死でするが、入ってからはほとんどしない人が多いらしい。♠〈大学に進む〉山本さんは、家庭の事情で大学に進むのをあきらめました。♠〈大学へ行く〉一体、あなたは大学へ行って何を勉強したいのですか。♠〈大学を出る〉兄は、大学を出ると、地元で高校の教員になった。 **たいがん【対岸】** ○向こう岸。[文例]〈対岸に渡る〉川に橋のなかった時代、人々は、泳いだり、馬に乗ったりして対岸まで渡った。♠〈対岸に上陸する〉流れの速い川を、馬は一直線に渡って、対岸に上陸した。♠〈対岸の火事〉他人[ひと]の身に何が起ころうと、彼は対岸の火事を見るように全く無頓着だ。 **たいがん【大願】** ○仏がすべての生き物を救おうとする願い。大きな願い。[文例]〈大願がある〉わたしの心の中には、オリンピックに出場したいという大願がありました。♠〈大願がかなう〉息子の大願がかなうまで、わたしも甘いものを断つわ。♠〈大願を起こす〉青年僧は、衆生済度[しゅじょうさいど]の大願を起こした。♠〈大願成就[じょうじゅ]〉大願成就し、母はさっそく神社にお礼参りに出かけた。 **たいき【大気】** ○地球をとりまく空気。[文例]〈地球の大気〉地球の大気の主成分は酸素と窒素[ちっそ]で、その中に多くの水蒸気を含んでいる。♠〈大気の汚染〉各地で大気や水の汚染が大きな問題となっています。 **たいき【大器】** ○並外れてすぐれた才能・器量[きりょう]を備えた人。[文例]この新人は、十年に一人の大器と高い評価を受けている。 <627> たいくつ ♠〈未完の大器〉未完の大器と言われて久しいこの力士も、故障が多く期待を裏切っている。♠〈大器晩成〉年とともに頭角を現してきたきみは、まさに大器晩成の典型だ。 **たいき【待機】** ○機会が来るのを待つこと。[文例]〈待機する〉この先に危険なところがないか調べてくるので、きみたちはここで待機していなさい。♠〈自宅待機〉何かあったらすぐ連絡[れんらく]しますから、自宅待機していてください。♠〈待機命令〉部隊長から待機命令が伝えられたまま、三日間が過ぎた。♠〈待機策〉ここは待機策をとって、じっくり相手の出方を見よう。 **たいぎ【大義】** ○人間として最高の道義。国家や君主に尽くすべき道。[文例]〈大義を持つ〉勤皇という大義を持つ官軍は破竹[はちく]の進撃を続けていた。♠〈大義を説く〉民衆に平和の大義を説くことによって、この政治家は軍部の反感を買っていた。♠〈大義に殉[じゅん]じる〉武士は大義に殉じるものであり、その名を汚[けが]されることを最大の恥[はじ]とした。♠〈大義名分〉国のために戦うという大義名分がなければ、どうして人はこんなに簡単に人を殺せようか。 **たいぎ【大儀】** ○重大な儀式。骨が折れそうで面倒に思うさま。苦労するさま。[文例]遠足から帰ったわたしは、座っているのさえ大儀なほど疲れていました。♠せっかくの休日に外出するのは大儀だと言って、一日家でごろごろしている父です。♠最近足腰の弱くなったおばあちゃんは、階段を上り下りするのも大儀そうに見えます。 **だいきぼ【大規模】** ○規模が大きいさま。[文例]〈大規模なダム〉この川の上流に大規模なダムを作ることが先日の議会で決定された。♠〈大規模な作業〉大規模な建設作業が急ピッチで進められている。♠〈大規模な地震〉東海地方を大規模な地震が襲[おそ]うという想定で、国や県の幹部、学者たちの対策会議がもたれた。♠〈大規模に破壊[はかい]する〉無計画な森林の開発は、自然のしくみを大規模に破壊することになりかねない。♠〈大規模に行う〉中学校の文化祭をこれ以上大規模に行うのは、意味のあることとは思えない。 **たいきゃく【退却】** ○敗れて退くこと。その場から引き返すこと。[文例]〈退却を始める〉敵に陣地[じんち]を打ち破られた味方の軍は、ついに力つきて退却を始めた。♠〈退却の時期〉山での遭難[そうなん]を避けるためには、天候の変化などを十分に考慮[こうりょ]し、退却の時期を失わないことだ。♠〈退却する〉いつのまにか周囲を敵に囲まれ、味方の軍は、退却する道を完全に絶たれてしまっていた。 **たいきゅう【耐久】** ○長くもちこたえること。[文例]〈耐久力〉耐久力をつけなければ、鉄人競技と言われるトライアスロンを戦い抜くことはできない。♠〈耐久性〉さびず傷つかず耐久性の高いステンレスは、台所の流し台にはうってつけの素材です。♠〈耐久年数〉電気製品の耐久年数は大体決まっていて、それを越すと故障する回数が多くなります。 **たいきょ【大挙】** ○多くの人が一斉に行動すること。[文例]〈大挙来襲[らいしゅう]する〉敵機が大挙来襲して、市中は大混乱となった。♠〈大挙してやってくる〉先生に最後のあいさつをしようと、卒業する生徒たちが大挙して職員室にやってきた。♠〈大挙して上京[じょうきょう]する〉米価引き上げ要求を直接政府に訴[うった]えるため、農民の代表らが大挙して上京した。♠〈大挙して押しかける〉厳しい年貢[ねんぐ]の取りたてに苦しめられてきた農民たちは、大挙して領主のところへ押しかけた。 **たいきょ【退去】** ○その場を退き去ること。[文例]〈退去を命じる〉工場建設用地に座り込んでいた人たちは、警察によって退去を命じられた。♠この川原は増水のため危険になりましたから、ただちに退去してください。♠〈国外退去〉スパイ行為をしていたとして、某国[ぼうこく]大使館員が国外退去を命じられた。 **たいきょく【大局】** ○囲碁で盤面全体の勝負の形勢。物事の全体的ななりゆき。[文例]〈大局を見失う〉目先の戦果にとらわれて、大局を見失うな。♠〈大局を見る〉変動の激しい株式市場で利益をあげるには、常に大局を見る眼力[がんりき]が必要だ。 **たいきょく【対極】** ○対立する二つの極。[文例]〈対極をなす〉アメリカとソビエトは、その社会的・政治的形態において対極をなしていた。♠〈対極に位置する〉「呉越同舟[ごえつどうしゅう]」とは、仲が悪く対極に位置する二者が同じ場に居ることのたとえです。♠〈対極の立場〉空港建設計画が具体化して、村人たちの間には親子ですらが対極の立場に立つ悲劇が起こった。 **だいきん【代金】** ○商品の対価として支払う金銭。[文例]〈品物の代金〉納入した品物の代金を請求します。♠〈代金を払う〉貧乏絵かきのわたしは、絵の具や紙やカンバスの代金を払うお金に困っていました。♠〈代金を受け取る〉店員は、代金を受け取ると金額を確かめた。♠〈代金を取る〉分けていただいた植木の代金を取ってくださらないから、何かほかのものでお礼しましょう。 **たいく(体軀)** ○身体。体。体つき。[文例]〈胴長[どうなが]の体軀〉胴長で短足の体軀が特徴の日本人には、やはり和服が似合います。♠〈堂々たる体軀〉身長一メートル九十、体重百十キロという堂々たる体軀の選手がマットに上がった。♠〈しなやかな体軀〉女もしなやかなる体軀を伸せるだけ伸して、高い巌[いわお]の上に一指も動かさずに立っている。(夏目漱石「草枕[くさまくら]」) **だいく【大工】** ○家屋を建てたり、建具・家具などを作る職人。[文例]〈大工の棟梁[とうりょう]〉去年から取りかかった家が完成して、大工の棟梁もほっとした様子です。♠〈日曜大工〉手先の器用な父は、日曜大工で本棚[ほんだな]やテーブルなどをすぐに作ってしまいます。 **たいぐう【待遇】** ○人をもてなすこと。従業員に対する地位・給与などの扱い。[文例]〈待遇がよい〉昨日、田中さんの家に遊びに行ったんだけど、ケーキやら果物やらと待遇がよかった。♠〈待遇の改善〉労働者たちは、労働時間の短縮や待遇の改善を要求している。♠〈待遇する〉ぜひ我が社に入ってください。おいでくだされば課長として待遇します。 **たいくつ【退屈】** ○暇をもてあますこと。てもちぶさたであきあきするさま。変化に乏しくおもしろみに欠けるさま。 <628> たいぐん [文例]〈退屈する〉いいところに来てくれたね、退屈していたんだよ。♠〈退屈をまぎらす〉雨の日曜日、弟とトランプなどのゲームをして退屈をまぎらしました。♠〈退屈でやりきれない〉いくら病気でも、何日もベッドの上に横たわっているだけでは、退屈でやりきれない。♠〈退屈な一日〉今日は何もすることがなくて、実に退屈な一日だった。♠〈退屈な仕事〉客の来ない店の店番というのは、退屈な仕事だな。♠〈退屈な人間〉これといった趣味もないぼくは、みんなに退屈な人間だと言われる。♠〈退屈しのぎ〉おばあさんは、退屈しのぎに俳句を習い始めました。 **たいぐん【大軍】** ○兵の数の多い軍勢。[文例]〈大軍がおしよせる〉鎌倉時代、元という国の大軍が二度にわたって北九州におしよせてきました。♠〈大軍を送る〉農民たちは城にたてこもり、幕府が送った十万以上の大軍にはげしく抵抗しました。♠〈大軍を率いる〉織田信長[おだのぶなが]は、一五六八年に足利義昭[あしかがよしあき]を奉[ほう]じ、大軍を率いて上洛[じょうらく]した。 **たいぐん【大群】** ○大きな群れ。[文例]〈ガンの大群〉今年もまたこの沼にガンの大群がやってきました。♠〈バッタの大群〉バッタの大群が畑をおそい、作物が食いあらされた。 **たいけ【大家】** ○大きな家。立派な家柄の家。たいか。[文例]〈大家の若だんな〉男は、いかにも大家の若だんなという感じだった。♠〈大家の出〉彼は大家の出で、何不自由ない学生生活を送った。 **たいけい【体系】** ○相互に関係する個々のものを一定の秩序で統一した全体。[文例]〈体系を確立する〉ハンガリーの作曲家コダーイは、バルトークとともに、国民音楽と音楽教育の体系を確立した。♠〈指示語の体系〉「そこ」「ここ」など、おもな指示語をまとめると、コソアドと呼ばれる一つの体系が見られます。♠〈ことばの体系〉若い人の間では、今までのことばの体系をはみ出した、さまざまな新語が作られ、話されているようです。♠〈体系だてる〉柳田国男[やなぎたくにお]氏は、古くから庶民[しょみん]の間に伝わる民間伝承を深く研究し、それを日本民俗学として体系だてた。♠〈体系的〉その外国人が書いたこの本は、日本社会の慣習について、基本的な事がらを体系的にまとめてあります。 **たいけい【体型】** ○体格によって分けた型。[文例]〈胴長[どうなが]の体型〉日本人は西洋人に比べて、胴長の体型をしている。♠〈やせた・太った体型〉やせた体型の人には神経質な人が多く、太った体型の人にはのんびりとした人が多いともいいます。♠〈体型が変わる〉小学校の高学年あたりから、女子は体型が変わって丸味を帯びてきます。♠〈体型に合う〉どんなに流行の服を着ていても、自分の体型に合っていなければ少しも似合わない。 **たいけつ【対決】** ○双方が相対して決着をつけること。[文例]〈両横綱[よこづな]の対決〉両横綱の対決がある日、国技館は観客の熱気にあふれていた。♠〈対決を避[さ]ける〉ここは話し合いを続けて、両軍の対決を避けなければならない。♠〈対決する〉それほど言うなら、みんなの立ち合いのもとに対決して、どちらが正しいかはっきりさせようじゃないか。♠〈悪と対決する〉青年は、少しも妥協[だきよう]せず、あくまでも悪と対決していこうとする強い姿勢を見せた。 **たいけん【体験】** ○身をもって経験すること。また、その経験。[文例]〈恐ろしい体験〉山で嵐[あらし]にあうなんて、あんな恐ろしい体験はもう二度としたくない。♠〈貴重な体験〉外国で生活した四年間は、わたしにとってとても貴重な体験でした。♠〈戦争の体験〉祖母から悲惨[ひさん]な戦争の体験を聞き、平和のありがたさが身にしみた。♠〈体験に根ざす〉父の話は、体験に根ざしているだけに心にせまってくる。♠〈体験する〉♠〈体験の幅[はば]〉直接に体験できることには限りがあるが、読書によって、体験の幅を広げることができる。♠〈体験談〉父はぼくに若いころの体験談を語ってくれた。♠〈体験記〉戦中・戦後の混乱の中を生きた一少女の体験記を読み、永遠の平和を祈[いの]らずにはいられなかった。 **たいげん【体現】** ○具体的な形に表すこと。[文例]〈優しさの体現〉加代のふっくらした肉体に、わたしは女性の優しさの体現を見ていたのだった。♠〈体現する〉この建築家の住まいは、彼の建築に対する理念をすべて体現したものだという。 **たいげんそうご【大言壮語】** ○実力以上に大きなことを言うこと。また、その言葉。[文例]〈大言壮語を吐く〉山には自信があるんだと大言壮語を吐いたわたしが、真っ先にダウンしてしまった。♠〈大言壮語をする〉大言壮語ばかりしていると、人からうそつきだと思われますよ。♠〈大言壮語する〉大言壮語していたわりには、彼の成績はあまりよくなかったようだ。 **たいこ【太鼓】** ○筒の両面に張った皮をたたいて鳴らす打楽器。[文例]〈太鼓をたたく〉村の鎮守[ちんじゅ]様のお祭りなので、太鼓をたたく音や笛の音がにぎやかに聞こえてきます。♠〈太鼓を打つ〉八月に入ると、町内の若者たちが毎日のように太鼓を打って、盆踊りに備えます。♠〈鉦[かね]や太鼓でさがす〉一人娘のためにと、親たちが鉦や太鼓でさがした三国一の花婿[はなむこ]だ。♠〈法華[ほっけ]の太鼓〉だんだんよくなる法華の太鼓で、いい打球が飛び出したぞ。♠〈太鼓腹〉石原は、太鼓腹を突き出してビールを飲んでいた。♠〈太鼓判〉人物についてはわたしが太鼓判をおしますので、安心してください。 **たいこ【太古】** ○遠い昔。大昔。[文例]太古には、現在とはずいぶんちがった生物たちが存在していたでしょう。♠〈太古の眠り〉発掘[はいくつ]されて太古の眠りからさめた王様のミイラは、いったいどんな気持ちだったでしょう。 **たいご(隊伍)** ○並び、まとまった隊。隊列。[文例]〈隊伍を組む〉昼休みの大通りを、町の鼓笛隊[こてきたい]が隊伍を組んで行進していく。♠〈隊伍を整える〉足踏みをして隊伍を整えていた生徒たちは、先生の合図で入場してきた。♠〈隊伍を乱す〉急な坂道になると、一人遅れ二人遅れと若い兵たちは隊伍を乱していった。 **たいこう【対抗】** ○相対して張り合うこと。[文例]〈人に対抗する〉ぼくも足は速いほうだが、大会で記録を出したこともあるという彼には、とても対抗できない。♠〈クラス対抗〉クラス対抗のソフトボールの試合に備えて、各クラスの選手とも猛練習中です。 <629> たいさん ♠〈紅白対抗〉紅白対抗のリレーを最後に、熱気と興奮[こうふん]でもりあがった大運動会も幕を閉じた。♠〈対抗意識〉一つ違[ちが]いの兄が有名校に合格したので、ぼくも対抗意識を燃やしています。♠〈対抗馬〉前議員のA氏と対抗馬の新人B氏がせり合っています。 **たいこう【対向】** ○向き合うこと。互いに向かい合って進むこと。[文例]〈対向する〉カーブのきつい所にはミラーが設置され、対向する車が確認できるようになっている。♠〈対向車線〉無理な追い越しをかけて車が対向車線に出るのは大変危険です。 **たいこう【大綱】** ○基本となる重要な点。おおもと。[文例]〈政策の大綱〉立候補者は有権者に自らの政策の大綱を示して、支持を訴[うった]えています。♠〈条約の大綱〉両国外相の協議で新しい条約の大綱が決まりました。 **たいこう【代行】** ○代理で行うこと。[文例]〈役割の代行〉学長が入院中は、長谷川教授に代行をお願いします。♠〈代行する〉お酒を飲んだ人の運転を代行する会社が登場した。 **たいこく【大国】** ○大きな国。力の強い国。[文例]中華人民共和国は世界一の人口と、世界第三位の面積を有する大国です。♠大戦後、アメリカは世界を動かす大国に発展しました。♠〈経済大国〉貧しかった日本も、今では経済大国と呼ばれるほどになりました。♠〈大国主義〉大国主義的な干渉は慎[つつし]まなければなりません。 **だいこくばしら【大黒柱】** ○家屋の中心に立てる太い柱。中心となって全体を支える人物。[文例]〈一家の大黒柱〉父のいないわたしの家では、兄が一家の大黒柱となって生活を支えています。♠〈チームの大黒柱〉エースで四番打者の村田君は、まさにぼくたちのチームの大黒柱だ。 **だいごみ(醍醐味)** ○仏の最上の教え。物事の真の味わい。[文例]〈野球の醍醐味〉ホームベース上のクロスプレーは、見る者を熱くさせる野球の醍醐味の一つだ。♠〈読書の醍醐味〉主人公の身になって一喜一憂することができるのも読書の醍醐味です。♠〈釣りの醍醐味〉♠〈醍醐味を味わう〉今日は大物が三枚も上がり、久しぶりに釣りの醍醐味を味わいました。 **だいこん【大根】** ○白く長大な根をもつ野菜。大根役者。[文例]〈大根をおろす〉「サンマが焼けるまでに大根をおろしておいてよ。」と、妻が言う。♠〈大根役者[やくしゃ]〉昔は大根役者と言われたこともあったが、今では名脇役[わきやく]として重宝[ちょうほう]がられています。♠〈大根足〉ちょっと太いけれど、大根足というほどじゃないわ。♠大根(だいこ)引き大根で道を教へけり(小林一茶[いっさ])♠流れ行く大根の葉の早さかな(高浜虚子[たかはまきよし]) **たいさ【大差】** ○大きな差異。大きな隔たり。[文例]〈大差で勝つ〉試合は十対一の大差で勝ちました。♠〈大差がない〉きみとぼくの身長は二、三ミリのちがいで大差はない。♠〈大差をつける〉先頭の走者は、二位以下に三分以上の大差をつけてゴールインしました。 **たいざ【対座】** (対坐)○向き合って座ること。[文例]〈書斎で対座する〉父は書斎[しょさい]で客と対座し、もう三十分近く何やら話し込んでいる。 **だいざ【台座】** ○物を載せる台。仏像を安置する台。[文例]〈台座に座る〉仏さまは台座の上に座り、両手の指を円く組み合わせていらっしゃった。♠〈台座に乗る〉台座に乗った彫像は、今にも一回転して手の円盤を投げ放とうとしていた。 **たいざい【滞在】** ○ある場所にある期間とどまること。[文例]〈ソウルに滞在する〉ソウルには、仕事の関係で一か月ほど滞在したことがある。♠〈ホテルに滞在する〉そのお客さまは、一週間前からこのホテルに滞在なさっておられます。♠〈当地での滞在〉当地での滞在の目的は、この地にしか生息しない動物を調査することです。♠〈滞在中〉アメリカ滞在中、多くの人と友達になり、今も手紙を交換[こうかん]しています。 **だいざい【題材】** ○題目・主題となる材料。[文例]〈作文や詩の題材〉作文や詩の題材は、毎日の生活の中にもたくさんあります。♠〈題材とする〉この作品は、三人の兄弟の性格の違いを題材としています。♠〈題材を見つける〉気にいった題材を見つけることができたので、作文は一気に書き上がった。♠〈題材をしぼる〉俳句は十七音という短いものですから、題材をしぼらないと、焦点[しょうてん]がぼけてしまいます。♠〈題材を求める〉新しい境地を開くために、作品の題材を中国に求めて、彼女は旅立った。♠〈題材を選ぶ〉卒業文集に載せるのにふさわしい題材を選んで、原稿[げんこう]を書き始めた。 **たいさく【対策】** ○物事に応じてとる方策。対応策。[文例]〈対策を立てる〉計画が失敗した場合の対策も、今から立てておく必要がある。♠〈対策が立つ〉その問題については、マスコミも大きく取り上げているが、政府の対策はまだ立っていないらしい。♠〈対策を怠[おこた]る〉火事や地震など非常時にあわてないためには、ふだんから対策を怠らないことです。♠〈対策を練る〉会社の経営者たちが集まり、不景気への対策を練った。♠〈対策をとる〉汚染[おせん]をくい止め、湖を生き返らせるために、どのような対策をとるべきか。♠〈対策を迫[せま]る〉近くに大型のスーパーができたので、商店では、今後の対策を迫られている。♠〈対策を考える〉来年は入試なので、そろそろ本格的に受験対策を考えなくては。 **たいさく【大作】** ○大がかりな作品。[文例]上映中の映画は、制作に三年もかかったという大作だ。♠〈大作がそろう〉展覧会には世界各国の有名な芸術家の大作がそろい、人気を集めています。♠〈未完の大作〉夏目漱石[なつめそうせき]の『明暗[めいあん]』は、人間のエゴイズムをえぐり出そうとした、日本で初の本格的心理小説とも言える未完の大作です。 **たいさつ【大冊】** ○ぶ厚い本。[文例]子供向けの小説と聞いていたので、まさか四百ページを超す大冊だとは思わなかった。♠写真を大きく載せたいという作者の希望もあって、その本はA4判という普通の本の二倍もある判型の大冊です。 **たいさん【退散】** ○ちりぢりに去ること。逃げ去ること。引きあげること。[文例]〈ならず者が退散する〉保安官が姿を見せると、ならず者どもはほうほうのていで退散した。♠〈吸血鬼が退散する〉十字架をかざすと、吸血鬼は退散すると信じられていた。 <630> たいさん ♠〈邪魔者[じゃまもの]が退散する〉あとは二人っきりにしてあげよう、邪魔者はさっさと退散したほうがよさそうだ。 **たいざん【大山】** ○大きな山。[文例]〈大山鳴動[めいどう]してねずみ一匹〉大がかりな捜査の末に逮捕[たいほ]できたのは下っぱ一人、大山鳴動してねずみ一匹とはまさにこのことだ。♠〈大山も蟻穴[ありあな]より崩[くず]る〉油断してはならぬ、大山も蟻穴より崩るというによってな。 **だいさんしゃ【第三者】** ○当事者以外の者。[文例]こういう問題は、当事者だけでなく公平な立場の第三者に意見を聞くほうがいい。♠これはぼくたち二人のことなんだ、第三者は黙っていてくれないか。 **たいし【大志】** ○大きな志。[文例]〈大志をもつ〉姉は、高校を卒業したら、東京に出て劇団に入り、いずれは女優になるという大志をもっています。♠〈大志を抱く〉少年よ、大志を抱け。 **たいじ【退治】** ○害をおよぼすものを討ち滅ぼすこと。平定。[文例]〈退治する〉桃太郎は悪い鬼を退治するために、鬼が島へむかいました。♠〈退治する〉ゴヘイどんは素手で山に登り、山賊[さんぞく]を退治してしまったのだから、本当にたいしたもんだ。♠〈虫退治〉木に虫がついたので、殺虫剤をまいて虫退治をしました。 **たいじ(対峙)** ○向き合って立つこと。対立すること。[文例]〈軍勢が対峙する〉両国の軍勢は川をはさんで対峙し、ずっとにらみ合いを続けている。♠〈山が対峙する〉対峙する山の間をひとすじの渓流[けいりゅう]が流れていた。 **だいじ【大事】** ○重大な事。大きな事業。大切なさま。[文例]〈大事な所〉大事な所には、赤いボールペンで線を引いておきなさい。♠〈大事にする〉何よりも自分を大事にしなさい。そしてみんなが自分自身を大事に思っていることを知りなさい。♠〈大事に扱[あつか]う〉この病気は、大事に扱わないと、後で大事[おおごと]になるぞ。♠〈お大事に〉まくら元に果物[くだもの]を置いておきますからね、無理をしてはいけませんよ、お大事に。♠〈大事をとる〉たいしたけがではなかったのですが、試験前だったので、大事をとって学校を休ませました。♠〈大事に至らずに済む〉今度の事故も、もっと大人たちが注意していれば、大事に至らずに済んだかもしれません。♠〈大事の前の小事〉このくらいの犠牲は、大事の前の小事として目をつぶってください。♠〈大事を成す〉人間大事を成すには、細心さと大胆さ[だいたん]がなければならない。 **たいした【大した】** ○はなはだしい。非常な。(打ち消しの形で)それほど。[文例]〈たいした腕[うで]〉さすがに名人といわれるだけあって、たいした腕だ。♠〈たいしたもの〉五年連続優勝とはたいしたものだ。♠〈たいした働き者〉彼も昔は、たいした働き者だったが……。♠〈たいしたことはない〉自分一人ぐらいたいしたことはないと思って、みんながごみを捨てたとしたら、大変なことになるでしょう。♠〈たいした問題でない〉考えてみると、これはたいした問題ではない。 **たいしつ【体質】** ○その人の体の性質。組織などがもつ性質。[文例]よく食べるけれど、少しも太らないのは、たぶん体質なのでしょう。♠〈体質を改善する〉体の弱い父は、体質を改善するために、食餌療法[しょくじりようほう]を始めました。♠〈疲れやすい体質〉こんな重労働は、生まれつき疲れやすい体質のわたしには無理だったのだ。♠〈体質が変わる〉小学生のころは痩せていたわたしですが、体質が変わったのか、最近は太るいっぽうです。♠〈体質に合う〉“木”という素材は、日本人の体質に合っているのだろう。♠〈組織の体質〉組織などに深くしみこんでいる性質についても、「党の体質・企業の体質」のように言います。♠〈アレルギー体質〉わたしはアレルギー体質で、小さいころはひどいぜんそくに悩[なや]まされました。♠〈体質的〉父がお酒を飲まないのは、体質的にうけつけないからだそうです。 **たいして【大して】** ○それほど。[文例]雪は降るには降ったが、まだ、たいして積もっていない。♠母の言葉など、たいして気にも止めていなかったから、かさは持ってこなかったんだ。♠たいして勉強もしなかったが学年で十番だった。♠転んだ時は、たいして痛くなかったのに、夜になったら、ずきずき痛んできた。♠どんな勉強の仕方をしているかって? きみとたいして変わりはないさ。♠テレビを見たって、たいしておもしろくはないし……、ああ退屈だなあ。♠けがもあの程度なら、たいして心配はないだろう。 **たいしゃ【代謝】** ○生物が生命活動のもとになるものをとり入れ、不要になったものを体外に出すこと。[文例]〈代謝機能〉子供は、老人に比べて代謝機能が活発です。♠〈体の新陳代謝[しんちんたいしゃ]〉あかが出たり、皮がむけたり、汗[あせ]をかいたりするのは、みな体内で新陳代謝が繰り返されているからです。♠〈組織の新陳代謝〉新人の加入は、集団や組織の新陳代謝を高めます。 **たいしゃく【貸借】** ○貸すことと借りること。貸し借り。[文例]〈金銭の貸借〉金銭の貸借がもとで、大きなトラブルの起こることがある。♠〈貸借関係〉これで、きみとぼくの間には貸借関係がなくなったわけだ。 **だいしゃりん【大車輪】** ○鉄棒競技で大きく回転する演技。馬力をかけてがんばること。[文例]〈鉄棒の大車輪〉ウォーミングアップが終わると、彼は鉄棒に跳びつき、いきなり大車輪を始めた。♠〈大車輪の活躍〉彼女は、一人で全得点をあげる大車輪の活躍でチームを優勝に導いた。♠締め切りまであと三日、大車輪で卒業論文と取り組んでいます。 **たいじゅ【大樹】** ○大きな樹木。大木。[文例]森の中央に、樹齢[じゅれい]五百年はこすと思われる大樹がある。♠〈寄らば大樹の陰[かげ]〉寄らば大樹の陰のたとえもあることだし、頼りになる人にこの身を任せます。 **たいしゅう【大衆】** ○多くの人々。一般の人。[文例]マスコミは、大衆に大きな影響を与えます。♠〈大衆食堂〉大衆食堂の庶民的な味もよいものです。♠〈一般大衆〉映画は、われわれ一般大衆を楽しませてくれる娯楽[ごらく]の一つです。 **たいしゅう【体臭】** ○体から発散するにおい。その人・その物を感じさせる特徴。 <631> だいじょうぶ [文例]〈体臭が強い〉一般的に肉食の人の方が体臭が強いといいます。♠〈作者の体臭〉♠〈体臭がにじむ〉この作品は、個性的な作者の体臭がにじみ出るような文体をもっている。 **たいじゅう【体重】** ○体の重量。[文例]〈体重が増える〉娘は最近体重が増えたといって、とても気にしています。♠〈体重を量る〉新学期になると体重を量り、健康記録カードに記入します。♠〈体重をかける〉小屋は思ったより頑丈[がんじょう]で、大男二人が体重をかけて押してもびくともしなかった。♠〈体重を落とす〉試合までの一週間で、このボクサーはあと十キロも体重を落とさなければならなかった。 **たいしゅつ【退出】** ○引き下がること。そこから出ること。[文例]〈退出する〉私が社長室を退出しましたのは、丁度五時でした。♠〈退出時間〉図書室の入室カードには、退出時間も書き込むようになっていた。♠〈退出者〉十一時まで試験を続けますが、時間前の退出者は、廊下で静粛[せいしゅく]に待つように。 **たいしょ【対処】** ○事態に応じた処置を行うこと。[文例]〈対処のしかた〉いっこうに遅刻[ちこく]者が減らないのは、学校側の対処のしかたがあまいからではないかと思う。♠〈対処の方法〉ちょっとした問題も、対処の方法を誤[あやま]ると、とんでもないことになったりする。♠〈すばやい対処〉火事を見つけ、すぐ一一九番したその少年のすばやい対処のおかげで、大事に至らずに済みました。♠〈時代に対処する〉情報化の時代にどう対処したらよいか、話し合ってみよう。♠〈前向きに対処する〉困難な問題にも、逃げ腰にならず、前向きに対処していく姿勢が大切です。 **たいしょ【大書】** ○大きく書くこと。[文例]〈大書する〉色紙には、その選手の大好きな「闘魂[とうこん]」という二文字が大書されていた。♠〈大書する〉代官屋敷の壁には、悪政に対する批判が黒々と大書されていた。 **たいしょう【対象】** ○認識・行為などの目標となるもの。[文例]〈対象にする〉この辞書は、中学生を対象にしたものなので、とても分かりやすい。♠〈対象をしぼる〉きみは趣味が広すぎるので、少し対象をしぼったほうがいいと思う。♠〈対象をとらえる〉文章に書くことで、物事や自分の考えを見つめ直し、さらに深く対象をとらえることができる。♠〈調査の対象〉今回の調査の対象は四~六歳の幼児です。♠〈研究の対象〉夏休みの研究の対象は民芸なので、あちこちに出かけては、さまざまな民芸品を見て回った。♠〈興味の対象〉発掘[はっくつ]中の遺跡から、はたしてどんな物が出てくるかが、今、関係者たちの興味の対象です。 **たいしょう【対照】** ○他とつき合わせて比べること。際立った差異があること。[文例]〈原文と対照する〉原文と口語訳を対照しながら、古典を読み進めてみました。♠〈二つを対照する〉同じ人物について書かれた二冊の伝記を、対照して読んでみるのもおもしろい。♠〈比較対照する〉物事は、他の類似の物事と比較対照してみることによって、その特徴[とくちょう]をはっきりととらえることができる。♠〈対照をなす〉ピンクのリボンが黒い髪[かみ]と対照をなして、とても映[は]えます。♠〈対照的〉兄はおとなしいしっかり者、弟は活発で甘[あま]えん坊と、二人の性格は対照的です。 **たいしょう【対称】** ○互いに対応し、つり合っていること。文法で二人称。[文例]〈左右対称〉左右対称なものは、均衡[きんこう]がとれていて、安定した感じがします。♠〈対称に配置する〉そのホテルは、玄関をはさんでバルコニーを対称に配置した古い建物だった。♠人称代名詞のうち、「あなた」「きみ」など、相手をさしていうものを、第二人称、または対称といいます。 **たいしょう【大勝】** ○大差で勝つこと。大勝利。[文例]〈大勝を収める〉前回の総選挙で、与党は、記録的な大勝を収めました。♠〈大勝する〉技術、スピード、パワー、いずれの点でも勝[まさ]る我がチームが相手を寄せつけず、大勝した。 **たいしょう【大将】** ○全軍を指揮する人。集団のかしら。[文例]おれはお前たちの大将なんだから、何でも言うことを聞け。♠よう、大将、調子はどうだい? ♠〈お山の大将〉世間知らずのバカめ、お山の大将おれ一人って顔をしているよ。♠〈がき大将〉わんぱくでがき大将だったけんちゃんも、立派な若者に成長していました。 **たいじょう【退場】** ○その場を退くこと。[文例]〈退場を命じる〉審判に暴言を吐[は]いた監督は、即刻[そっこく]退場を命じられた。♠〈退場する〉式が終わり、みんなの拍手に送られて卒業生が退場していった。♠〈選手退場〉選手退場が終わると、広い競技場はひっそりと寂[さび]しくなります。 **だいしょう【大小】** ○大きいこと(もの)と、小さいこと(もの)。大きいか小さいか。[文例]〈数の大小〉次の分数の大小を、通分して確かめましょう。♠〈事の大小〉空港の監視システムは、事の大小にかかわらず情報をキャッチし、記録し続けます。♠〈刀の大小〉侍[さむらい]は大小を腰に差し、旅の用意を整えた。♠〈大小さまざま〉島国の日本では、海岸の至る所に大小さまざまな漁村や漁港が見られます。 **だいしょう【代償】** ○与えた損害のつぐない。苦労や骨折りに対する報い。あることのために必要な犠牲。[文例]〈代償として〉ダムの建設で土地を失った人々は、その代償としてわずかなお金を受け取った。♠〈代償が大きい〉確かに発電所の建設は必要かもしれないが、子孫に残すべき美しい自然を考えると代償が大きすぎる。♠〈代償を払う〉自らの欲望を束[つか]の間満足させるだけのために、きみが払わなければならなかった代償のいかに大きいことか。♠〈平和の代償〉平和の代償として、あの戦争の死者はいかにも多すぎた。♠〈青春の代償〉わたしが犠牲にした青春の代償を、あなたはお金で支払おうと言うのですか。 **だいじょうぶ【大丈夫】** ○あぶなげないさま。確かなさま。安心してせい[い]られるさま。[文例]そんなに心配しなくたって大丈夫、夕方までに雨はあがるさ。♠ここまで来ればもう大丈夫、だれも追いかけては来ないだろう。♠新しいのを買わなくたって、この靴はまだ大丈夫です。♠東京は初めてだそうですが、一人で大丈夫ですか、一緒についていってあげましょうか? ♠この建物なら、どんな大地震[だいじしん]が起こっても大丈夫です。 <632> たいしょく **たいしょく【大食】** ○たくさん食べること。おおぐい。[文例]大食は、健康によくない。♠〈大食な人〉小さい体に似合わず大食な子で、茶わんで五杯くらいは平気で食べてしまう。♠〈大食漢〉ネズミは、一日に体重の半分にあたる量を食べるという大食漢だ。♠〈無芸大食〉無芸大食のぼくは、歌もだめ踊りもだめで、宴席[えんせき]ではいつも困ってしまう。 **たいしょく【退職】** ○職を退くこと。[文例]〈退職する〉二十五年間勤めた会社を、父は今年の八月いっぱいで退職しました。♠〈定年退職〉この三月に定年退職したわたしは、毎朝近くの公園のゲートボールに参加するようになった。♠〈退職金〉退職金がおりたら、夫婦で外国旅行をしようと思っています。 **たいしょこうしょ【大所高所】** ○大きな視野。全体を見渡す立場。[文例]〈大所高所から見る〉幕末の動乱期にあって、坂本龍馬[さかもとりょうま]は百年先のことまで考え、日本を大所高所から見ていたといいます。♠〈大所高所に立つ〉目先の利益にとらわれず、大所高所に立って見る姿勢がなければりっぱな実業家とはいえない。 **たいじん【対人】** ○他人に対すること。[文例]〈対人的〉自分の心の中をじっとのぞき込んでいるような少女だったから、対人的な関心は薄いほうだった。♠〈対人関係〉夏休み後転校してきたぼくは、初めのうちクラスの中での対人関係がうまくいかなかった。 **たいじん【退陣】** ○陣営を後方に下げること。戦陣から退くこと。中心的な人物が身を引くこと。[文例]〈首相の退陣〉首相の退陣を要求する野党が不信任案を提出した。♠〈退陣する〉営業不振の責任をとって、社長は今年度限りで退陣することになった。 **たいじん【大人】** ○大人物。徳の高い人。体の大きな人。おとな。[文例]〈大人の風格〉山本さんは、細かいことにこだわらず、全体をまとめる力もあり、大人の風格をそなえた人です。 **だいじん【大臣】** ○各省の長。国務大臣。[文例]戦後、彼は、外務・大蔵などの大臣を歴任した。♠おまえたちの中に、将来大臣にでもなって、日本の国をよくしようと思うやつはいないか。 **たい・する【対する】** ○向き合う。向かって立つ。立ち向かう。相手をする。向ける。対象とする。対応する。[文例]〈交番と対する〉うちは、道をはさんで交番と対しているので、何かと心強い。♠〈敵に対する〉わたしたちのチームは、強敵に対してよく戦いました。♠〈客に対する〉お客様に対する言動には、失礼のないようにくれぐれも注意しなさい。♠〈人に対する〉母から、大人に対する言葉づかいにもう少し気をつけるように注意された。♠〈手紙に対する返事〉先月わたしが出した手紙に対する返事が、今日届きました。♠〈質問に対して答える〉先生は、生徒たちの質問に対して、一つ一つていねいに答えてくれる。♠〈〜に対する考え〉その問題に対するあなたの考えを聞かせてください。♠〈〜に対する認識〉小説を読んで、社会や人間に対する認識を深めよう。♠〈〜に対する語〉「東洋」に対する語は「西洋」、「緯度[いど]」に対する語は「経度[けいど]」です。♠〈〜に対して〉「きもの」はふつう、洋服に対して、和服を指して言う。♠〈〜に対して〉仮名は、音を示すだけであるのに対して、漢字は、意味も表しています。 **たい・する【体する】** ○心にとめて守る。[文例]〈教えを体する〉若者は、師の教えを体して毎日厳しい修行を続けていた。♠〈意を体する〉隊長の意を体して、隊員たちは次のキャンプに向かった。 **たいせい【体勢】** ○体の構え。[文例]片足をとられたあの体勢から相手を倒[たお]すのは難しい。♠〈体勢を整える〉不意を襲[おそ]われたハヤブサは、さっと体勢を整えると、タカに立ち向かっていった。♠〈体勢をくずす・立て直す〉演技の途中、平均台で体勢をくずしてよろめいたが、すぐに立て直したのはさすがだ。 **たいせい【体制】** ○全体の組み立てや仕組みのあり方。権力を握り社会を支配する勢力。[文例]〈社会の体制〉いつの時代も若者は、社会を支配している体制には批判的なものです。♠〈体制側〉学長は、体制側の人間として、政治活動をする学生から批判されていた。♠〈幕藩[ばくはん]体制〉成長する商人の経済力は、幕藩体制を揺るがすまでになっていた。♠〈資本主義体制〉資本主義体制をとる主要な国の首相が集まり、サミットを開きます。♠〈独裁体制〉この国では、軍による独裁体制の改革を求める運動が起こっていた。 **たいせい【態勢】** ○ある事態に備える構え。[文例]〈態勢を組む〉来月のクラス対抗のバレーボール大会に備えて、わがクラスも態勢を組まなければならない。♠〈着陸の態勢〉飛行機は着陸の態勢に入った。♠〈態勢が整う〉外国から来るお客様の受け入れ態勢がどうやら整って、母は一[ひと]安心して います。♠〈〜できる態勢〉消防や警察は、いつでも現場にかけつけられる態勢で準備している。♠〈態勢づくり〉火山についての情報や予報が人々に十分理解され、活用されるような態勢づくりも重要である。 **たいせい【大勢】** ○全体的な形勢。おおすじのなりゆき。[文例]〈試合の大勢〉♠〈大勢が決まる〉六回表で八対一、試合の大勢はほぼ決まった。♠〈選挙の大勢〉♠〈大勢が判明する〉即日開票の結果、こんどの選挙の大勢が判明しました。♠〈大勢が変わる〉時代は移り変わっても、世の中の大勢はそう大きく変わるものではない。♠〈大勢に従う〉わたしは、若者に、世の大勢に従って生きるより、自分が納得できる独自の生き方を求めたい。 **たいせい【大成】** ○立派に完成すること。まとめ上げること。[文例]〈学者として大成する〉彼は困難の中でも学問を続け、立派に学者として大成した。♠〈画家として大成する〉学校時代はさほど目立たなかった彼だが、優れた絵の才能が認められ、画家として大成した。♠〈俳句を大成する〉松尾芭蕉[まつおばしょう]は、独自の俳風を確立し、発句[ほっく](のちの俳句)を大成した。♠〈大成者〉彼は、近代医学の大成者として知られている。 <633> だいたん **たいせき【体積】** ○立体が占める空間の大きさ。物体のかさ。[文例]〈体積を計る〉卵や石など形が一定していない物の体積は、水中に沈めた時に上がった水面の高さから計ることができます。♠〈体積が大きい〉テニスボールとサッカーボールでは、サッカーボールの方が体積が大きい。 **たいせき(堆積)** ○物が積み重なること。積み重なったもの。[文例]〈土砂[どしゃ]がたい積する〉川の水に流されてきた土砂がたい積して、河口付近に中州[なかす]ができている。♠〈たい積した地層〉長い時代を経て湖底にたい積した地層が幾重[いくえ]にも積み重なっていた。♠〈ヘドロがたい積する〉有明海[ありあけかい]の潟[かた]は、ヘドロ状のものがたい積したものです。 **たいせつ【大切】** ○価値のあるさま。重要であるさま。丁寧なさま。[文例]〈大切な人〉彼女は、わたしにとって最も大切な人でした。♠〈大切な用事〉今日は大切な用事があるから遊べないんだ。♠〈大切な働き〉皮膚[ひふ]は、わたしたちの体を守るのに大切な働きをしています。♠〈大切にする〉物の豊富な現代、物を大切にする心が失われてきています。♠〈大切に育てる〉体の弱かったわたしを、両親は大切に育ててくれました。♠〈大切に扱う〉こわれやすいものなので、大切に扱ってくださいね。 **たいせん【対戦】** ○敵味方に分かれて戦うこと。[文例]〈対戦する〉運悪く、わが校は一回戦で春の優勝校と対戦することになった。♠〈対戦相手〉二回戦の対戦相手は、一回戦が終わった後の抽選会[ちゅうせんかい]で決まります。♠〈対戦成績〉優勝を争う両力士のこれまでの対戦成績は、横綱の十勝八敗です。 **たいぜん【泰然】** ○どっしりとして揺るぎないさま。[文例]〈泰然たる態度〉目的のためには、つまらないことは泰然たる態度をもって無視しなさい。♠〈泰然として〉建礼門は内裏の真南にあたり、泰然としてその威厳[いげん]ある位置を占めている。♠〈泰然自若[じじゃく]〉せわしない現代社会の中でも、自分を見失わず泰然自若としていたいものだ。 **たいそう【大層】** ○程度がはなはだしいさま。おおげさ。はなはだ。[文例]大豆は、畑の肉とも言われ、健康な体を作るために、たいそう役に立つ食物です。♠ひのきはたいそう堅い木なので、建築材として重用されている。♠〈たいそうに言う〉たいそうに言うから、骨でも折ったかと思ったら、ほんのかすり傷じゃないの。♠〈たいそうな暑さ〉この夏は、たいそうな暑さでしたが、みなさん、お元気でしたか。♠〈たいそうな評判〉姫[ひめ]の美しさといったら、それはそれはたいそうな評判でした。 **たいそう【体操】** ○体の各部を一定の規則で動かす運動。器械体操・徒手体操などの競技。[文例]〈体操をする〉美容のためにと毎晩体操をしているけれど、効果はあるのかな。♠〈体操の選手〉体操の選手は、よくあんな細い平均台の上で演技ができるなあ。♠〈準備体操〉水に入る前に準備体操を十分にしておかないと、足がつったりして危険です。♠〈ラジオ体操〉夏休みのラジオ体操には、ぜひ参加してください。 **だいそれた【大それた】** ○とんでもない。常軌を逸した。[文例]〈大それた考え〉参加するだけで満足でしたから、優勝してやろうなどという大それた考えは少しもありませんでした。♠〈大それた罪〉おとなしいあの人が、なぜ放火などという大それた罪を犯したのだろう。♠〈大それたこと〉金に目がくらんだわたしは、人の道からはずれた大それたことをしでかしてしまったのです。 **たいだ【怠惰】** ○怠けていてだらしないさま。[文例]〈怠惰が芽生える〉目標も持たず、毎日を漠然[ばくぜん]と過ごしていると、心に怠惰が芽生えてくる。♠〈怠惰を戒[いまし]める〉きみの怠惰を戒めるのは、すばらしい才能が埋もれてしまうのを惜しむからだ。♠〈怠惰な生活〉彼は、毎日だらだらと怠惰な生活を送っていた。 **だいたい【大体】** ○ほとんど全部。大部分。およそ。そもそも。[文例]家から駅まではだいたい四キロ、歩いていくと一時間近くかかります。♠きみのおかげで仕事はだいたい片[かた]づいたよ、どうもありがとう。♠〈だいたいのところ〉兄が高熱を出した理由は、だいたいのところはわかっています。♠〈だいたいの話〉きみの説明でだいたいの話はわかりましたが、それにしても不思議なことがあるものですね。♠だいたい、言い出したのはおまえなんだから、しっかり責任をとらなくちゃならんよ。♠〈だいたいにおいて〉今度の実験がうまくいかなかったのも、だいたいにおいて最初にたてた仮説がおかしかったのだ。 **だいだい【代代】** ○何代も続くこと。歴代。[文例]江戸時代は、徳川家康[とくがわいえやす]の子孫が代々将軍になり、国を支配しました。♠応接間に飾られている刀剣は、代々伝えられたわが家の家宝です。♠京都御所は七九四年から約千百年間、代々の天皇が朝務を執[と]り行った場所です。♠〈先祖代々〉沼には主[ぬし]がいるという話が、先祖代々語り継がれている。 **だいだいてき【大大的】** ○大がかりなさま。大規模。[文例]〈大々的な開発〉戦後の大々的な開発で、武蔵野[むさしの]の様子はすっかり変わってしまいました。♠〈大々的な宣伝〉会社は、テレビやラジオで新製品の大々的な宣伝を行いました。♠〈大々的に報じる〉今朝の新聞には、行方不明の幼児が無事保護されたことが大々的に報じられていた。 **たいだん【対談】** ○向かい合って話をすること。また、その話。[文例]〈対談を行う〉大物作家の対談が行われている部屋のまわりを、談話をとろうとする記者が取り囲んでいる。♠〈対談する〉二人の評論家が現在の世界経済について対談している。 **だいたん【大胆】** ○度胸があって、物事を恐れないさま。[文例]〈やることが大胆〉日本縦断[じゅうだん]自転車の旅とは、きみもやることが大胆だね。♠〈大胆なデザイン〉大胆なデザインの水着に、女の子たちは目を奪[うば]われていた。♠〈大胆な性格〉何にでも挑戦[ちょうせん]する大胆な性格はすばらしいが、細心の準備を欠かすな。♠〈大胆な発言〉スターの大胆な発言に、場内は騒然[そうぜん]となりました。♠〈大胆にも〉果たし合いの当日、若者は、大胆にも一人で姿を現した。♠〈大胆さ〉会社の倒産を救ったのは、M氏の持ち前の大胆さだと言ってもいいだろう。♠〈大胆不敵〉挑戦者の大胆不敵な態度に、チャンピオンは完全にのまれてしまった。 <634> だいだんえん **だいだんえん【大団円】** ○物語・芝居などで、めでたく終了する場面。[文例]〈大団円となる〉長い物語も、主人公の幸せな結婚で大団円となった。♠〈大団円を迎える〉映画は、事故に巻き込まれた人々がそれぞれの生活へ戻ってゆくところで大団円を迎えた。 **たいち【対置】** ○向き合う位置に置くこと。[文例]〈対置する〉グラウンドの東側と西側に、入場門と退場門が対置されている。♠〈対置する〉芸術家は既成の概念[がいねん]に反逆し、あるいは対置する形で自分自身の個性を表現しようとする。 **だいち【大地】** ○広く大きな土地。天に対して地。[文例]〈緑の大地〉おりに閉じ込められた動物はなんだかかわいそうで、緑の大地に返してやりたくなった。♠〈大地の恵み〉今年も大地の恵みを豊かに受けて、山にはくりやくるみがどっさりと実りました。♠〈未開の大地〉♠〈大地に立つ〉彼がこの未開の大地に初めて立ったのは、今からもう三十年も前のことです。♠〈アフリカの大地〉♠〈大地をける〉フィルムには、アフリカの大地を力強くけって走るチーターの姿がおさめられている。♠〈母なる大地〉人間も動物も、やがて静かにその一生を終え、母なる大地へ帰っていく。♠〈大地に根をおろす〉五年前は子供の背丈[たけ]ほどだったしらかばの木は、今ではすっかり大地に根をおろし、二階の屋根を越しそうだ。♠〈大地に根をおろす〉東京から引っ越してきて以来、母は農婦として大地に根をおろし、自然と共に生きている。♠〈大地にしがみつく〉役人に税金を搾[しぼ]り取られながらも、農民は大地にしがみついて生活せざるを得なかった。♠〈大地の息吹[いぶき]〉いっせいに芽を吹いた新緑に、大地の息吹を感じました。 **だいち【台地】** ○台状に高くなった土地。[文例]〈なだらかな台地〉関東平野の西部には、海抜二十メートル前後のなだらかな台地がある。♠〈台地が広がる〉阿蘇山[あそさん]の南西に大矢野原と呼ばれる台地が広がっている。 **たいちょう【体調】** ○体の調子。[文例]〈体調がいい〉いよいよ試合は明日だね、体調はいいかな。♠〈体調が思わしくない〉旅行に誘[さそ]われたが、体調が思わしくないので見合わせることにした。♠〈体調を崩す〉この暑さで母は体調を崩し、寝込んでいます。♠〈体調を整える〉体調を整え、万全の態勢で試合にのぞみました。 **たいちょう【退潮】** ○潮が引くこと。勢いが衰えること。[文例]〈景気の退潮〉原油価格の高騰[こうとう]などによって、景気の退潮が心配されていた。♠〈退潮へ向かう〉さしもの自然主義文学も、大正時代には次第に退潮へ向かった。 **たいてい【大抵】** ○大部分。大体。およそ。ほどほど。なみなみ。[文例]暖房[だんぼう]器具には、たいてい、赤やオレンジ色などの暖色系の色が使用されている。♠〈たいていは〉戦時中、近所の若い人たちは兵隊として駆り出され、たいていは死んでしまったという。♠〈たいていの人〉モンシロチョウが群れをなして海を渡[わた]ることなど、たいていの人は思いも寄らないでしょう。♠〈たいていの場合〉段落は、たいていの場合、いくつかの文が集まってできています。♠〈たいていのこと〉おじいさんを怒[おこ]らせたら、たいていのことでは済まされないぞ。♠〈たいていにする〉ふざけるのもたいていにしろ! ♠〈なみたいてい〉大家族の家へお嫁[よめ]に来た母の苦労は、なみたいていのものではなかったようです。 **たいてき【大敵】** ○手ごわい敵。強敵。[文例]ヘビはカエルにとっては、こわい大敵である。♠イネにとって、イナゴやウンカなどの害虫は大敵である。♠雷[かみなり]は、空高くそびえる杉の大敵の一つです。♠〈油断大敵〉かつての石油ショックは、われわれ日本人に油断大敵ということを教えてくれた。 **たいと【泰斗】** ○人から仰がれる、その道の大家・権威。泰山北斗[たいざんほくと]。[文例]〈物理学の泰斗〉その学者は、内外の研究者の尊敬を集める物理学の泰斗だ。♠〈日本画の泰斗〉日本画の泰斗として彼の発言は、画壇に大きな影響力を持っています。 **たいど【態度】** ○言動の仕方。挙動。身がまえ。心がまえ。[文例]〈あいまいな態度〉♠〈態度をとる・決める〉あいまいな態度をとっていないで、男らしく、きっぱりと態度を決めたらどう!♠〈厳しい態度〉熱心に研究を続ける博士の姿からは、学問に対する厳しい態度がうかがわれます。♠〈遠慮[えんりょ]のない態度〉気心がよく知れている人とは、お互いに遠慮のない態度で話し合える。♠〈堂々たる態度〉相手の堂々たる態度に、悪漢[あっかん]どもはたじたじとなって逃げ去った。♠〈反抗的な態度〉♠〈態度を示す〉親に反抗的な態度を示すようになるのも、成長の一過程といえる。♠〈態度で示す〉心の中で思っているだけでは、相手に意思は通じないから、それを態度で示さなくちゃ。♠〈態度が悪い〉大人に向かってあんな口のきき方をするなんて、態度が悪いなあ。♠〈態度が大きい〉♠〈態度を慎[つつし]む〉目上の人に対して態度が大きすぎるから、もっと慎みなさい。♠〈生活態度〉社会人になる日も近いので、夜ふかしの朝寝坊[あさねぼう]だった今までの生活態度を改めようと思います。 **たいとう【対等】** ○優劣・上下の差のないさま。同等・平等であるさま。[文例]〈対等につき合う〉身分制度のしかれていた時代、町人や農民は、武士と対等につき合うことは許されなかった。♠〈対等に並ぶ〉「衣食住・真善美・天地人」などの熟語では、三つの漢字が対等に並んでいます。♠〈対等な立場〉戦後、日本国憲法ができるまで、女性は、男性と対等な立場を認められていなかった。♠〈対等の口をきく〉近ごろ弟は、ぼくと対等の口をきいて、ちょっと生意気だ。♠〈対等の関係〉雇[やと]う者と雇われる者の間は、対等の関係にあって、互[たが]いに助け合うことが望ましい。 **たいとう【台頭】** (擡頭)○頭をもたげること。勢力をのばしてくること。[文例]〈労働者の台頭〉一九二五年に普通選挙法を制定した政府は、労働者の台頭を抑[おさ]える目的で、同時に治安維持法も制定しました。♠〈台頭する〉有力な新人が台頭して、プロ野球界に新風が巻き起こった。 **たいどう【帯同】** ○引き連れること。同行。[文例]〈帯同する〉総裁は、幹事長を帯同して党本部に姿を見せた。 **たいどう【胎動】** ○母胎で胎児が動くこと。ある動きが表面に現れようとすること。 <635> だいひょう [文例]〈独立への胎動〉そのころ、長く植民地支配が続いたアジア・アフリカの各地で独立への胎動が始まっていた。♠〈時代の胎動〉この事件のほかにも、新しい時代の胎動を感じさせる動きはいくつかありました。 **だいどう【大道】** ○広く大きな道。路上。根本的な道理や道義。[文例]〈天下の大道〉天下の大道に物を並べて交通の邪魔[じゃま]をすることはなりません。♠〈大道を行く〉小細工などせず、大道を行く心意気で進めば、人生の道もおのずと開けよう。♠〈政治の大道〉平和と繁栄の追求こそ政治の大道である。♠〈大道商人〉一年に一度の祭りとあって、方々から大道商人が集まった。 **だいどう【大同】** ○大筋で同じであること。大体に違いがないこと。同じ大きな目的をもつ者が一つにまとまること。[文例]〈大同小異〉わいわいがやがや言っているが、よく聞けば意見は大同小異で、似たようなことをいっているにすぎなかった。♠〈大同に就[つ]く〉原則で意見が一致した両党は、小異を捨てて大同に就く考えで共闘を組んだ。♠〈大同団結〉薩長[さっちょう]両藩[りょうはん]の大同団結がなり、討幕[とうばく]運動は一段と激しくなった。 **だいとうりょう【大統領】** ○共和国の元首。役者などをほめて呼ぶ語。[文例]ジョージ・ワシントンはアメリカ合衆国の初代大統領です。♠二枚目が舞台に姿を見せると、客席から「待ってました、大統領!」の声がかかった。 **たいとく【体得】** ○身をもって覚えること。完全に身につけること。[文例]〈泳ぎを体得する〉この夏休み、毎日プールに通い続け、なんとかクロールを体得した。♠〈こつを体得する〉自転車は、一度バランスを取るこつを体得すれば、たとえ二十年ぶりでも乗り方を忘れるということはない。 **だいどころ【台所】** ○炊事場。厨房[ちゅうぼう]。家計。財政。[文例]夜十一時を過ぎたというのに、まだ台所には明かりがついていた。♠〈台所を済ませる〉しばらくすると、台所を済ませたお母さんが部屋にはいってきました。♠〈台所を預[あず]かる〉台所を預かる主婦としては、やりくりがたいへんです。♠〈台所が苦しい〉子供が四人、祖父と祖母もいっしょですから、うちの台所は苦しいのです。♠〈天下の台所〉江戸時代、大阪は天下の台所と呼ばれ、日本の経済の中心でした。 **タイトル** ○題名。表題。称号。選手権。[文例]〈ドラマのタイトル〉最近のテレビドラマは、タイトルが長くなる傾向があるようです。♠〈タイトルをつける〉卒業文集は、あと、目次をつけて厚紙でとじ、タイトルをつければ完成です。♠〈タイトルを奪[うば]う・防衛する〉挑戦者[ちょうせんしゃ]がタイトルを奪うか、チャンピオンがタイトルを防衛するか、今夜のボクシングはおもしろいぞ。♠〈タイトルを失う〉初防衛戦に敗れて、チャンピオンはあっさりタイトルを失った。 **だいなし【台無し】** ○すっかりだめになるさま。めちゃくちゃ。文例〈花が台無し〉やっと桜[さくら]が満開になったと思ったのに、今日の風では台無しだ。♠〈絵が台無し〉人物はうまくかけているけど、バックの色で台無しだよ。♠〈作物が台無し〉刈[か]り入れ間近だった稲[いね]が、台風の影響で、台無しになってしまった。♠〈努力が台無し〉きみの無神経な一言で、今までのぼくたちの努力が台無しにされてしまったよ。♠〈計画が台無し〉思わぬ邪魔がはいって、わたしたちの計画は台無しになった。♠〈台無しにする〉酒におぼれて、自分の人生を台無しにする人もいる。 **たいにん【大任】** ○重大な任務。重い務め。大役。[文例]〈大任を果たす〉両親は無事結婚式の媒酌人[ばいしゃくにん]の大任を果たし、ほっとした様子です。♠〈大任を帯びる〉外務大臣は条約締結[ていけつ]の大任を帯びて、特別機で飛び立った。 **たいは【大破】** ○めちゃめちゃに壊れること。[文例]〈大破する〉車はコンクリートの壁に激突して大破し、運転手は首の骨を折って即死した。 **たいはい【退廃】** (頽廃)○衰え、荒れ果てること。不健康、不健全な気風にそまること。[文例]〈退廃した生活〉事業に失敗して以来、彼は酒におぼれるようになり、退廃した生活を続けている。♠〈退廃した風潮〉現代は、生活が便利で豊かになった一方、道徳やモラルが低下し、退廃した風潮が社会にまんえんしているという。♠フランスの詩人ボードレールは退廃の中に美を見いだし、芸術上の一つの傾向[けいこう]を生んだ。♠〈退廃的〉あの俳優のもつ退廃的なムードが、かえって個性として受けているようです。 **たいはん【大半】** ○半分以上。大部分。過半。[文例]〈クラスの大半〉クラスの大半の者がインフルエンザにかかったので、学級閉鎖[へいさ]になった。♠〈町の大半〉激しい空襲[くうしゅう]で、町の大半が焼け野原と化してしまった。♠〈一日の大半〉生まれたばかりの赤ちゃんは、一日の大半を眠り続けています。♠〈〜の大半〉幽霊[ゆうれい]を見たと言う人の大半は、錯覚[さっかく]しているにすぎない。♠〈大半〜する〉火事で、父の勤める工場が大半焼けてしまった。 **たいひ【対比】** ○比べ合わせること。[文例]〈動と静の対比〉この詩では、動と静の対比が効果的に使われている。♠〈赤と黒の対比〉となり合った二人の、真っ赤な洋服と黒い喪服[もふく]の対比がとても強烈[きょうれつ]だ。♠〈対比する〉だいだい色と水色を対比すると、暖かい感じの色と、寒い感じのあることがよく分かります。♠〈対比的〉あることを表現しようとするとき、他と比較しながら対比的に表現するのは効果的な方法です。 **たいひ【退避】** ○退いて難を避けること。わきへよけて待つこと。[文例]警報が出されると、住民は軍の誘導によって山岳地帯へ退避を開始した。♠〈退避する〉敵機来襲[らいしゅう]、全員退避せよ。 **だいひょう【代表】** ○全体の代わりになること。全体に代わってその意思などを表すもの。集団の中からすぐれているとして選ばれたもの。 <636> タイプ [文例]〈国の代表〉右から三番目に座っているひげを生やした人が、フランスの代表です。♠〈代表の座〉今日の試合の三着までが、オリンピックの代表の座を手にします。♠〈代表に選ぶ〉B組は金子さんと林さんを、クラスの代表に選びました。♠〈代表を送る〉ちょうど修学旅行と日程が重なるので、今年は大会に代表を送ることができません。♠〈代表する〉桜[さくら]は日本を代表する花として、広く海外にも知られています。♠〈代表的〉「こころ」「三四郎[さんしろう]」「それから」などは、夏目漱石[そうせき]の代表的な作品です。♠最近は視聴者[しちょうしゃ]参加番組に人気があるが、この番組などはその代表だ。 **タイプ** ○型。典型。類型。タイプライター。[文例]〈ぽっちゃりしたタイプ〉ぼくは、ほっそりした女性より、ぽっちゃりしたタイプのほうが好きだ。♠〈芸術家のタイプ〉わたしの学校の美術の先生は、先生というより芸術家のタイプです。♠〈古いタイプ〉彼女は、古いタイプの女性で、しんぼう強くひかえめです。♠〈優等生タイプ〉ぼくたち悪ガキは、彼女のような優等生タイプは冷やかしたくなるんだ。♠〈タイプがちがう〉人にはいろいろなタイプがあり、きみたちはタイプがちがっていて息が合わない。♠〈タイプで打つ〉この書類を、今日中にタイプで打ってくれたまえ。♠〈タイプする〉先ほどの書類は、ただ今タイプしているところです。 **だいぶ【大分】** ○相当。かなり。ずいぶん。だいぶん。[文例]父が子供のころは、遊び方もぼくたちとはだいぶ違っていたようだ。♠それは、もうだいぶ前の話でしょう。♠学校を卒業したのは七年前だから、もうだいぶになるなあ。 **たいふう【台風】** ○夏から秋にかけて南洋上で発生して東アジアを襲う暴風雨。[文例]台風は北上を続け、各地に被害をもたらす。♠〈台風の通り道〉この辺りは台風の通り道になっていて、年に何回も大きな被害を受けます。♠〈台風の目〉彼の行く所、決まって騒[さわ]ぎが起こる。まったくあいつは台風の目みたいなやつだ。♠〈台風一過〉台風一過で、翌日はぬけるような青空が広がった。♠遠くたしかに台風のきている竹藪[たけやぶ]の竹の葉(荻原井泉水[おぎわらせいせんすい]) **だいぶぶん【大部分】** ○全体のほとんどの部分。あらかた。[文例]鉄鉱石や石油は、国内で生産されるのはごくわずかで、大部分は輸入に頼っています。♠魚はたくさんの卵を産むが、大部分は大きくならないうちに何かのえさになってしまう。♠駅前のビルの新築工事は大部分終わり、現在壁面[へきめん]の塗装[とそう]が行われている。♠わたしは父の仕事の関係で、この十年間の大部分を外国で暮らしました。 **たいへい【太平・泰平】** ○世間が平和で安らかに治まっているさま。なんの心配もないさま。[文例]〈太平の世〉元禄[げんろく]の太平の世に、赤穂浪士[あこうろうし]の討ち入りは世間をあっと言わせた大事件でした。♠〈泰平の眠り〉泰平の眠りを覚ますじょうきせんたった四はいで夜も寝られず(江戸の狂歌)♠〈天下が太平〉帰って見ると天下は太平なもので、主人は湯上がりの顔をテラテラ光らして晩餐[ばんさん]を食って居る。(夏目漱石「吾輩[わがはい]は猫である」)♠〈天下太平〉大好きなプロ野球に夢中になっていられるのも、天下太平であればこそだ。 **たいべつ【大別】** ○おおまかに分類すること。[文例]〈大別する〉世界の気候は、熱帯・乾燥帯・温帯・冷帯・寒帯の五つに大別することができる。♠〈大別する〉日本語の単語は、活用のある単語と活用のない単語に大別されます。 **たいへん【大変】** ○一大事。重大なさま。非常に苦労するさま。非常に。[文例]〈大変な騒[さわ]ぎ〉腕白[わんぱく]ざかりの子供たちが遊びに来るたび、まったく大変な騒ぎです。♠〈大変な事件〉きみにとっては何でもなくても、これはぼくにとっては大変な事件なんだ。♠〈暮らしが大変〉うちの暮らしだって大変なんだから、お小遣[こづか]いを上げるのは無理だよ。♠「大変だ、おじいちゃんが倒れた、早く医者を呼べ!」♠どこからかたいへん美しい音楽が聞こえてきます。♠人ちがいをして、たいへん失礼いたしました。 **だいべん【代弁】** ○本人に代わって意見を述べること。[文例]〈代弁する〉この新聞の論説は、労働者の声を代弁したものと言えます。♠〈代弁者〉労働者のくせに、きみは会社側の代弁者なのか。 **たいほ【退歩】** ○以前より悪い状態になること。[文例]〈退歩する〉文明が進み、世の中が便利になった反面、人間の能力のある部分が退歩している。 **たいほ【逮捕】** ○警察が犯人や容疑者を捕らえること。[文例]〈逮捕する〉現場付近をうろうろしていた男が、警察官に放火の容疑で逮捕されました。♠〈逮捕状〉踏み込んだ刑事は容疑者に逮捕状をつきつけ、警察に連行した。♠〈犯人逮捕〉連続強盗[ごうとう]事件の犯人逮捕に多くの捜査員が投入された。 **たいほう【大砲】** ○大きな弾丸[たま]を発射する火器。球技でチームの攻撃の中心選手。[文例]ドーンという大砲の音に、兵士が一人、目をまわして倒れた。♠岩の上から飛び込んだ少年の体は、まるで大砲の弾のように海へ落ちていった。♠丘の要塞[ようさい]には、大砲が一門空をにらんでいた。♠バレーボールのエースアタッカー、野球のホームランバッターなどは大砲にたとえられます。 **たいぼう【待望】** ○待ち望むこと。楽しみに待つこと。[文例]〈待望の品〉十三歳の誕生日[たんじょうび]に、やっと待望のスキー用具を買ってもらった。♠〈待望の赤ちゃん〉結婚[けっこん]五年目に待望の赤ちゃんを授[さず]かった姉夫婦は、とびあがって喜んでいます。♠〈待望の新人〉彼は、大きな可能性を持つ待望の新人として、プロ野球界に迎えられた。♠〈待望の正月〉いよいよ待望のお正月、さあて、お年玉はいくらもらえるかな。♠〈待望の雨〉日照[ひで]りが続き、農作物が枯[か]れ始めたころ、待望の雨が降った。♠〈待望する〉子供たちと先生がみんなで待望していたプールが、いよいよ出来あがった。 **たいぼう【耐乏】** ○物資の不足や貧乏に耐えること。[文例]〈耐乏を強いる〉政府の援助はわずかで、キャンプの難民は耐乏を強いられていた。♠〈耐乏生活〉不景気で店の売り上げが落ち、家族五人が耐乏生活を送っている。 **たいぼう【大望】** ↓たいもう <637> だいやく **たいぼく【大木】** ○大きな樹木。[文例]〈杉の大木〉お宮の周囲には、古い古い杉の大木が何本も立っています。♠〈うどの木〉ずうたいが大きいばかりで何の役にも立たないなら、うどの木です。 **だいほん【台本】** ○劇などの脚本。物事の進行計画。筋書き。[文例]〈劇の台本〉劇に出る人が集まって、台本の読み合わせをしました。♠〈台本を見る〉今日からは台本を見ないでけいこをしましょう。♠〈台本通り〉会議の席では台本通りに議論を進めて、ぼくたちの意見を通してしまおう。 **たいまい【大枚】** ○金銭の額が多いこと。[文例]〈大枚をはたく〉パーティー用にと、大枚をはたいて新しいドレスをあつらえました。♠〈大枚をつぎこむ〉あの店の子に大枚をつぎこんだが、そのかいもなかったよ。♠〈大枚〜万円〉このカメラを買うために、わたしは大枚十万円を投じたのです。 **たいまつ(松明)** ○松の枝などに火をともした照明具。[文例]〈たいまつをつける〉丸木舟は船首にたいまつをつけて、真っ暗な川を下って行きます。♠〈たいまつをともす〉とりでの四[よ]すみ[に大きなたいまつをともして、兵士たちは敵の夜襲[やしゅう]に備えていた。♠〈たいまつをかざす〉探検隊はたいまつをかざして、一歩ずつ注意深く前進した。 **たいまん【怠慢】** ○務めを怠ること。何もせず怠けているさま。[文例]〈職務に怠慢〉彼は職務に怠慢な人で、残っている仕事をそのままにしておいたり、欠勤することも多い。♠〈怠慢な態度〉また、宿題もせずにマンガなんか読んでる――そういう怠慢な態度では、あとで自分が困りますよ。♠〈職務怠慢〉遅刻[ちこく]の多い彼は、ついにある日、上司[じょうし]から職務怠慢だと注意を受けた。 **だいみょう【大名】** ○封建時代、多くの領地を所有していた武士。[文例]江戸時代、大名は多くの家来を抱[かか]え、領土の農民らを治めていた。♠〈大名旅行〉先日の旅行はお金持ちのおじさんがスポンサーだったので、ぜいたく放題の大名旅行でした。 **タイミング** ○ころあい。時機。[文例]〈タイミングよく〉「三日見ぬまの桜[さくら]かな」というが、タイミングよく満開のときに花見をするのは難しい。♠〈タイミングを合わせる〉山本君に電話をかけようとしたら、まるでタイミングを合わせたように、向こうからかかってきた。♠〈タイミングが遅れる〉踏み切りのタイミングが遅れて、一メートル四十五は失敗に終わった。♠〈タイミングをはずす〉「鉄は熱いうちに打て」というだろう、何でもタイミングをはずしちゃだめなんだよ。♠〈タイミングを失う〉友達二人のおしゃべりに入っていくタイミングを失って、とり残された気分になった。♠〈タイミングが狂[くる]う〉振り出すタイミングが狂うと、バットのしんでボールをとらえられない。 **タイム** ○時間。レースの所要時間。ゲームの休止時間。[文例]〈タイムをとる〉タイムをとって、監督は選手に作戦を伝えた。♠〈タイムをかける〉ピンチに立つと、監督はタイムをかけて選手を集めた。♠〈タイムを計る〉今日の体育の時間は、百メートル走のタイムを計りました。♠〈いいタイム〉♠〈タイムを出す〉水泳の記録会で今までにないいいタイムを出しました。♠〈タイムカプセル〉卒業する時、校庭[こうてい]に作文やカセットテープなど思い思いの物を入れたタイムカプセルをうめました。♠〈タイムマシン〉タイムマシンが本当にあったら、過去や未来へ自由に行けていいなあ。 **だいめいし【代名詞】** ○事物・人・場所・方向などを、その名の代わりに指し示す言葉。代表的、典型的なものとして用いる言葉。[文例]「ドンファン」といえば、女たらしの代名詞でしょう。♠ウサギ小屋は、わたしたち日本人の狭い住居を指す代名詞として定着しているようです。♠自立語で活用がなく、人・事物・場所などを指示するのに使う言葉を代名詞という。 **たいめん【体面】** ○世間に対する体裁。面目。[文例]〈体面にかかわる〉学者が子供の質問に答えられないとあっては、体面にもかかわる。♠〈体面を保つ〉いつも母には弱い父なのに、会社の人が来ると、急に亭主関白[ていしゅかんぱく]ぶって体面を保とうとするのです。♠〈体面がある〉別にいいかっこうをするわけではないが、ぼくにも体面というものがある。♠〈体面を繕[つくろ]う〉本当はクビになったのだが、みんなには自分から辞めたと言いふらして体面を繕った。♠〈体面を汚[けが]す〉そんなことをすると、きみの体面を汚すことになる。♠〈体面上〉物知り博士で通っているぼくなので、体面上、簡単に知らないとも言えない。 **たいめん【対面】** ○互いに向き合うこと。顔を合わせること。[文例]〈人と対面する〉文通を続けている友達と、初めて対面した。♠〈親子の対面〉二十年ぶりの親子の対面の様子を見て、思わずもらい泣きしてしまった。♠〈初対面〉ぼくは、初対面の人とでもすぐに打ちとけて、仲良くなれるほうだ。♠〈対面交通〉車道と歩道の区別のない、いわゆる対面交通の道路で、子供が向こうからきた車にひかれる事故があった。 **たいもう【大望】** ○大きな望み。たいぼう。[文例]〈大望を抱[いだ]く〉王にとり入った家来は、やがては大臣の座に着きたいという大望を抱いていた。♠〈大望を果たす〉武田信玄[たけだしんげん]は、天下統一の大望を果たせなかったのです。 **だいもく【題目】** ○表題。主題。口先だけの立派な言葉。[文例]「今日だけお友達」という題目の、友情論の本を読んでみました。♠〈論文の題目〉教授に相談して卒業論文の題目を決めました。♠〈題目を唱[とな]える〉おばあさんがさっきから仏壇の前で、お題目を唱えています。♠〈題目を唱える〉「自立」をお題目のように唱えながら、わたしは相変わらず働こうとしなかった。 **たいやく【大役】** ○重要な役目や役柄。[文例]〈大役を果たす〉病気で降[お]りた主役の森さんに代わって、わたしはなんとか大役を果たしました。♠〈大役を任せる〉新人の彼女に旅行の幹事という大役を任せるわけにはいかない。♠〈大役をおおせつかる〉本日は、司会という大役をおおせつかり、大変緊張いたしております。 **だいやく【代役】** ○もとの人に代わってその役をすること。また、その人。[文例]〈代役をたてる〉役者が一人練習中にけがをし、劇団は急いで代役をたてることにした。 <638> たいよ ♠〈代役を務める〉入院した座長の代役をだれが務めればいいのか。 **たいよ【貸与】** ○貸し与えること。[文例]〈貸与を受ける〉経済的に苦しい学生が、国や県などから奨学金[しょうがくきん]の貸与を受ける制度があります。♠〈貸与する〉仕事の時に着る制服は、会社が貸与します。 **たいよう【太陽】** ○太陽系の中心をなす恒星。物事の中心となるもの。人に希望を与えるもの。[文例]〈太陽が上る・沈[しず]む〉ここでは、朝、山から太陽が上り、夕方、海に沈むのです。♠〈太陽があたる〉その部屋は、一日じゅう太陽があたらないので、暗く寒々としていた。♠〈太陽が輝[かがや]く〉太陽がまぶしく輝き始めるころ、港では、活気に満ちた人々の掛け声が上がります。♠〈太陽に照らされる〉朝の湖は、太陽に照らされて、きらきら輝いている。♠〈太陽の光線〉高山では気温は低くても、太陽の光線が強いため、よく日に焼ける。♠〈太陽の熱〉最近、太陽の熱を利用して暖房[だんぼう]や給湯[きゅうとう]を行う設備をとりつける家が多くなったようです。♠〈太陽の恵み〉地球上のすべての生物は、太陽の恵みによって生きているといえます。♠〈仲間たちの太陽〉素直[すなお]で快活なこの少女は、働く仲間たちの太陽であった。 **たいよう【大要】** ○要点。要旨。あらまし。[文例]〈話の大要〉先方から使者が送られてきたが、その話の大要は以下に述べる通りである。♠〈計画の大要〉詳[くわ]しい説明は後にして、まず計画の大要をお話しください。 **たいよう【耐用】** ○使用に耐えること。[文例]〈耐用年数〉船底や船腹のペンキを何度も塗り替えるのは、そうすることによって耐用年数が長くなるからです。 **だいよう【代用】** ○代わりとして用いること。[文例]〈〜の代用に〉この料理には、高価な牛肉の代用に、豚肉[ぶたにく]を使うことができる。♠〈代用にする〉父はぶ厚い英語の辞書をまくらの代用にして、昼寝[ひるね]をします。♠〈代用とする〉足りなかった部品の代用として、道具箱[ばこ]にあった小さなネジを使いました。♠〈代用がきく〉大事に扱ってくれよ、この万年筆はぼくにとって代用のきかない大切なものなんだから。♠〈代用する〉定規[じょうぎ]がなかったので、筆箱[ふでばこ]を代用してノートに線を引いた。♠〈代用品〉今、それと同じ品をきらしておりますので、代用品でがまんしてください。 **たいら【平ら】** ○凹凸・起伏・傾斜がないさま。ひらたいさま。姿勢を崩して座るさま。[文例]〈道が平ら〉道がでこぼこしていて平らでないので、バスがガタゴト揺れる。♠〈平らな岩〉平らな岩の上に腰[こし]をおろして、お弁当を広げている人がいます。♠〈平らな土地〉斜面をどんどん登っていくと、上の方に平らな土地が広がっていました。♠〈平らな道〉人生は平らでまっすぐな道ばかりではないが、苦しみの多い道もしっかり歩んでほしい。♠〈平らにならす〉競技会の前日、走りやすいようにグラウンドを平らにならした。♠〈平らに治まる〉人々はみな、戦争が終わり、世が平らに治まる日を待ち望んだ。♠〈お平らに〉まあまあ、かしこまらずに、足をくずしてどうぞお平らに。 **たいら・げる【平らげる】** ○平らにする。討ち鎮める。残らず食べる。[文例]〈国を平らげる〉豊臣秀吉は、諸国を平らげて天下統一を達成した。♠〈賊[ぞく]を平らげる〉彼は、剣[けん]をふるい、盗賊[とうぞく]どもを一人残らず平らげた。♠〈えさを平らげる〉カイコはたいへんな食欲で、かたっぱしから、桑[くわ]の葉を平らげていく。♠〈ご飯を平らげる〉おすもうさんは、山盛[やまもり]三杯のどんぶり飯を軽く平らげてしまった。♠〈料理を平らげる〉おなかがぺこぺこだったので、二人分の料理を一人でぺろりと平らげてしまった。 **だいり【代理】** ○人に代わって、事を処理すること。また、その人。[文例]〈代理として〉父は病気で療養[りようよう]中ですので、わたくしが代理として参りました。♠〈代理を務める〉委員長が欠席している間は、彼がその代理を務めることになっている。♠〈代理をする〉母の代理をするのがわたしでは、ちょっと荷が重いのではないでしょうか。♠〈代理を立てる〉選挙の投票に代理を立てることは、一般[いっぱん]に認められていません。♠〈代理の者〉今、担当の職員が留守ですので、代理の者を差し向けますから、ご承知ください。 **たいりく【大陸】** ○地球上の広大な陸地。[文例]地球上には六つの大陸があるが、一番大きいのは、ユーラシア大陸である。♠漢字や仏教は、大昔、大陸から日本に伝えられたものです。♠〈大陸的な性格〉ものにこだわらず、おおらかな、大陸的な性格の持ち主でした。 **たいりつ【対立】** ○反対の立場に立って張り合い、争うこと。[文例]〈対立が生じる〉使う人と使われる人との間には、とかく対立が生じやすい。♠〈家族・周囲との対立〉家族や周囲との対立の中で、わたしは孤軍奮闘[こぐんふんとう]してわが道を開いていった。♠〈平家[へいけ]と源氏[げんじ]の対立〉平家と源氏の対立は、歴史上きわめて有名である。♠〈生活と芸術の対立〉青年は、漁師として生きながら、絶えず絵画への情熱を抱き続け、生活と芸術との対立の中で苦しむのだった。♠〈国と国が対立する〉両国は、国の主義が違うため、激[はげ]しく対立している。♠〈意見が対立する〉部長は、部員たちの対立する意見を上手にまとめていった。 **たいりゃく【大略】** ○あらまし。おおよそ。[文例]〈計画の大略〉詳[くわ]しくは報告書にまとめるとして、ここでは計画の大略を説明いたします。♠〈事件の大略〉事件の大略は知っていたが、犯人が捕[つか]まったかどうかまでの記憶はない。♠先日、の会議で議論されたことは、大略以下の通りである。 **たいりゅう【対流】** ○気体や液体の熱せられた部分が上昇して、そこに上の冷たい部分が入り込んで起こる循環運動。また、その現象による熱の伝わり方。[文例]〈対流が起こる〉空気の一部分が熱せられて温度が上がると、対流が起こり、しだいに全体が暖まっていく。♠〈マントル対流〉地球の内部のマントル対流が地震や火山活動に影響を与えると考えられます。 **たいりゅう【滞留】** ○とどこおり、つかえること。長期間滞在すること。[文例]〈品物の滞留〉集配センターの人員を増やしてから、工場から送られてくる品物の滞留が緩和[かんわ]され、販売店への配送がスムーズになった。♠〈滞留する〉港湾[こうわん]労働者のストライキで、港には何十隻もの貨物船が滞留し、荷役を待っている。 <639> たえる 者[もの]のストライキで、港[みなと]の倉庫[そうこ]にはもう二か月以上[にかげついじょう]も輸入[ゆにゅう]された小麦[こむぎ]が滞留[たいりゅう]している。 **たいりょう【大量】** ○数量[すうりょう]が多[おお]いこと。↓多量[たりょう][文例] 海水浴客[かいすいよくきゃく]の帰[かえ]った後[あと]の砂浜[すなはま]には、ゴミが大量[たいりょう]に散[ち]らばっていた。♠農家[のうか]は手間[てま]を少[すく]なくして生産[せいさん]を高[たか]めるために、化学肥料[かがくひりょう]を大量[たいりょう]に使[つか]うようになった。♠へ大量生産[たいりょうせいさん]>工場[こうじょう]では機械[きかい]を使[つか]って、同[おな]じ製品[せいひん]を大量生産[たいりょうせいさん]しています。 **たいりょく【体力】** ○身体[からだ]の強[つよ]さ。病気[びょうき]に対[たい]する抵抗力[ていこうりょく]。〔[文例]〈体力[たいりょく]の限界[げんかい]〉名[な]プレーヤーとして鳴[な]らした彼[かれ]も、体力[たいりょく]の限界[げんかい]を理由[りゆう]に引退[いんたい]することになった。♠へ体力[たいりょく]がある〉若[わか]いうちは体力[たいりょく]があるから、一晩[ひとばん]ぐらいの徹夜[てつや]はさほどこたえない。♠く体力[たいりょく]が強[つよ]い〉K[けい]はその勢[いきお]いで小石川[こいしかわ]まで歩[ある]いて帰[かえ]ろうと云[い]うのです。体力[たいりょく]から云[い]えばK[けい]よりも私[わたくし]の方[ほう]が強[つよ]いのですから、私[わたくし]はすぐ応[おう]じました。(夏目[なつめ]漱石[そうせき]「こころ」)♠<体力[たいりょく]がおちる〉四十五歳[よんじゅうごさい]になった父[ちち]は、近[ちか]ごろ体力[たいりょく]がおちたと言[い]って嘆[なげ]いています。♠へ体力[たいりょく]をつける〉来週[らいしゅう]からは厳[きび]しい合宿[がっしゅく]だ。今[いま]からたくさん食[た]べてうんと体力[たいりょく]をつけておこう。♠〈体力測定[たいりょくそくてい]〉今週[こんしゅう]の体育[たいいく]の時間[じかん]は、体力測定[たいりょくそくてい]を行[おこな]います。 **たいろ【退路】** ○退却[たいきゃく]する道[みち]。[文例] <退路[たいろ]を断[た]つ〉いつのまにか後[うしろ]にまわっていた敵[てき]に退路[たいろ]を断[た]たれて、全滅[ぜんめつ]を覚悟[かくご]で突[つ]き進[すす]むしかなかった。 **だいろっかん【第六感】** ○勘[かん]や直感[ちょっかん]などで、将来[しょうらい]の物事[ものごと]を判断[はんだん]する心[こころ]の働[はたら]き。[文例]』これはあくまでもぼくの第六感[だいろっかん]だが、どうもあいつはうそをついているような気[き]がする。♠<第六感[だいろっかん]がはたらく〉なぜ危険[きけん]が予測[よそく]できたかと聞[き]かれても困[こま]ります。第六感[だいろっかん]がはたらいただけなのですから。 **たいわ【対話】** ○向[む]き合[あ]って話[はなし]をすること。また、その話[はなし]。[文例]〈対話[たいわ]をかわす〉親[おや]も子[こ]も忙[いそが]しい昨今[さっこん]親子[おやこ]で対話[たいわ]をかわす時間[じかん]をもつことは、特[とく]に大切[たいせつ]なことです。♠へ市民[しみん]との対話[たいわ]>市長[しちょう]は、市民[しみん]との対話[たいわ]の場[ば]を持[も]ち、より多[おお]くの意見[いけん]を市政[しせい]に反映[はんえい]させていきたいと語[かた]った。♠へ書物[しょもつ]との対話[たいわ]〉読書[どくしょ]は書物[しょもつ]との対話[たいわ]であり、また、作者[さくしゃ]との対話[たいわ]でもある。♠〈人[ひと]と対話[たいわ]する〉多[おお]くの人々[ひとびと]と対話[たいわ]し、さまざまな考[かんが]え方[かた]を知[し]ることによって、自分[じぶん]の人生[じんせい]がより豊[ゆた]かなものになっていく。♠〈自然[しぜん]と対話[たいわ]する〉昔[むかし]の人々[ひとびと]は、自然[しぜん]と対話[たいわ]しながら、自然[しぜん]とともに生[い]きてきた。♠へ星[ほし]と対話[たいわ]する〉人々[ひとびと]は、長[なが]い夜[よる]を星[ほし]と対話[たいわ]しながら、数々[かずかず]の伝説[でんせつ]を作[つく]っていったのだろう。 **ダウン** ○下降[かこう]すること。倒[たお]れること。→アップ[文例]〈ダウンする〉冷夏[れいか]でビールの消費量[しょうひりょう]が[おお]きくダウンしたという。♠ヘダウンする〉いつも元気[げんき]な立山君[たてやまくん]が、風邪[かぜ]をひいてダウンしてしまった。♠ヘダウンを奪[うば]う〉強烈[きょうれつ]な右[みぎ]フックでダウンを奪[うば]った。♠ヘノックダウン〉チャンピオンは、挑戦者[ちょうせんしゃ]を簡単[かんたん]にノックダウンした。♠ヘコストダウン>企業[きぎょう]は合理化[ごうりか]などによって製品[せいひん]のコストダウンを図[はか]っています。 **たえ(妙)** ○言葉[ことば]では表[あらわ]しえないほど優[すぐ]れているさま。[文例]〈たえなる琴[こと]の音[ね]〉お嬢様[じょうさま]の部屋[へや]から、たえなる琴[こと]の音[ね]が聞[き]こえてくる。♠へたえなる調[しら]べ〉集[あつ]まった聴衆[ちょうしゅう]は、オーケストラの奏[かな]でるたえなる調[しら]べに聞[き]きほれた。 **たえい・る【絶え入る】** ○息[いき]が絶[た]えっ ○息[いき]が絶[た]える。「[文例]〈絶[た]え入[い]りそうな声[こえ]>父[ちち]は今[いま]にも絶[た]え入[い]りそうな声[こえ]で二言三言[ふたことみこと]しゃべると、再[ふたた]び目[め]をつぶってしまった。 **たえがた・い【堪え難い・耐え難い】** ○がまんできない。こらえられない。[文例]〈耐[た]えがたい苦痛[くつう]〉あの若者[わかもの]たちは今[いま]、きみなどが知[し]らぬ耐[た]えがたい苦痛[くつう]を味[あじ]わっているのだ。♠〈堪[た]えがたい侮辱[ぶじょく]〉プライドの高[たか]い男[おとこ]だけに、他人[たにん]の前[まえ]で、ペコペコ頭[あたま]を下[さ]げることは堪[た]えがたい侮辱[ぶじょく]だった。♠桑[くわ]の香[か]の青[あお]くただよふ朝明[あさあけ]に堪[た]へがたければ母呼[ははよび]にけり(斎藤[さいとう]茂吉[もきち]) **たえしの・ぶ【堪え忍ぶ・耐え忍ぶ】** ○じっとがまんする。[文例]〈寒[さむ]さを堪[た]え忍[しの]ぶ〉梅[うめ]の木[き]も桃[もも]の木[き]も、暖[あたた]かい春[はる]を待[ま]って厳[きび]しい冬[ふゆ]の寒[さむ]さを堪[た]え忍[しの]んでいます。♠〈悲[かな]しみを堪[た]え忍[しの]ぶ〉悲[かな]しみを堪[た]え忍[しの]んで涙[なみだ]をこらえている未亡人[みぼうじん]の気持[きも]ちが痛[いた]いほどよくわかった。 **たえず【絶えず】** ○絶[た]え間[ま]なく。常[つね]に。〔[文例]】静[しず]かな村[むら]の昼下[ひるさ]がり、コトコトコットンと水車[すいしゃ]の回[まわ]る音[おと]が絶[た]えず聞[き]こえてきます。♠生[う]まれたばかりの赤[あか]んぼうは、ミルクを飲[の]んでいる時以外[ときいがい]は、絶[た]えず眠[ねむ]っているようだ。♠風[かぜ]の方向[ほうこう]というのは、短[みじか]い時間[じかん]の中[なか]でも絶[た]えず変[か]わっている。♠青年[せいねん]は漁師[りょうし]として生[い]きながら、絶[た]えず絵画[かいが]への情熱[じょうねつ]を抱[いだ]き続[つづ]けた。 **たえだえ【絶え絶え】** ○いまにも絶[た]えそうなさま。とぎれとぎれ。[文例]〈息[いき]も絶[た]え絶[た]え〉撃[う]たれた男[おとこ]は息[いき]も絶[た]え絶[た]えに、犯人[はんにん]の名[な]を告[つ]げようとしていた。 **たえて【絶えて】** ○とだえて。その後[ご]まったく。[文例]都会[とかい]の水辺[みずべ]では、ホタルの姿[すがた]を絶[た]えて見[み]かけなくなった。♠彼女[かのじょ]の方[ほう]から電話[でんわ]がかかってくることなぞ、別[わか]れて以来[いらい]絶[た]えてなかったことだ。 **たえま【絶え間】** ○とだえている間[あいだ]。切[き]れ間[ま]。[文例]〈人通[ひとどお]りの絶[た]え間[ま]〉遊[あそ]び場[ば]のない子供[こども]たちが、人通[ひとどお]りの絶[た]え間[ま]をぬってキャッチボールをしている。♠へ絶[た]え間[ま]ない〉昨夜[ゆうべ]から絶[た]え間[ま]なく降[ふ]り続[つづ]いた雨[あめ]がようやくやみ、青空[あおぞら]が見[み]え始[はじ]めた。 **た・える【耐える・堪える】** ○がまんする。こらえる。もちこたえる。(・・・に)値[あたい]する。[文例] 〈力[ちから]に耐[た]える〉激[はげ]しい勢[いきお]いで流[なが]れる水[みず]の力[ちから]に耐[た]えるだけの堤防[ていぼう]を作[つく]るのは、容易[ようい]なことではありません。♠<気候[きこう]に耐[た]える>寒[さむ]い地方[ちほう]にすむ動物[どうぶつ]たちは、みな寒冷[かんれい]な気候[きこう]に耐[た]える厚[あつ]い毛[け]や皮下脂肪[ひかしぼう]でおおわれています。♠へ風雪[ふうせつ]に耐[た]える三十年[さんじゅうねん]もの間[あいだ]、風雪[ふうせつ]に耐[た]えたこの住[す]まいも、すっかりがたがきてしまった。♠〈暑[あつ]さに耐[た]える〉このむしむしする暑[あつ]さには、どうにも耐[た]えかねる。♠〈環境[かんきょう]に耐[た]える〉さまざまな植物[しょくぶつ]が砂浜[すなはま]の厳[きび]しい環境[かんきょう]に耐[た]えて生育[せいいく]している。♠〈星霜[せいそう]に耐[た]えるこの建物[たてもの]は、木造[もくぞう]でありながら、なんと千三百年の星霜[せいそう]に耐[た]えたのです。♠<困難[こんなん]に耐[た]える〉この小説[しょうせつ]の主人公[しゅじんこう]のように、どんな困難[こんなん]にも耐[た]えていく、強[つよ]い人間[にんげん]になりたい。♠〈生活[せいかつ]に耐[た]える〉この童話[どうわ]の作者[さくしゃ]は、貧[まず]しい生活[せいかつ]に耐[た]えながら、常[つね]に農民[のうみん]や日本[にほん]の農業[のうぎょう]の将来[しょうらい]を考[かんが]え続[つづ]けた人[ひと]です。♠へ圧政[あっせい]に耐[た]える>農民[のうみん]たちは、長[なが]い間[あいだ]の領主[りょうしゅ]の圧政[あっせい]に耐[た]えかねて、ついに戦[たたか]いの旗[はた]をあげたのだった。♠へ労働[ろうどう]に耐[た]える〉奴隷[どれい]のトムは、あちらに <640> **たえる**【耐える・堪える】○持ちこたえる。我慢する。価値がある。許す。[文例]〈厳しい労働に耐える〉その男は、あちこち売られこちらに買われして、厳しい労働に耐え、誠実に働き続けた。♠〈苦痛に耐える〉わたしは、満身の気力を奮い起こして手術の苦痛に耐えた。♠〈試練に耐える〉少年は、不幸な境遇[きょうぐう]にもめげず、いくたの試練に耐えて、たくましく成長していった。♠〈不安・孤独[こどく]に耐える〉青年は、風や雨と闘いながら、不安、孤独にも耐え、ついにヨットで太平洋横断を果たした。♠〈ショックに耐える〉この床材[ゆかざい]は、どんなに強いショックにも耐えることができる新製品です。♠〈堪えがたい侮辱[ぶじょく]〉尊敬している父親が自分の前でペコペコ頭を下げることは、息子[むすこ]にとって堪えがたい侮辱だった。♠〈感に堪えない〉初優勝は感に堪えなかったのだろう、選手たちの目からは涙[なみだ]があふれていた。♠〈読むに堪えない〉中には読むに堪えないものもあるので、良い本を選ぶことが大事です。♠◇〈聞くに堪えない〉大の大人のこぼすぐちは、聞くに堪えません。♠〈鑑賞に堪える〉素人[しろうと]楽団だというので期待していなかったが、その演奏は十分鑑賞に堪えるものでした。 **た・える**【絶える】○なくなる。消える。断たれる。切れる。[文例]〈連絡が絶える〉冬になると、雪深い山の村は、道もとざされて、隣の町との連絡も絶えてしまいます。♠〈人通りが絶える〉昼間はにぎやかな学生街も、夜になり、人通りが絶えると、ひっそりと静まり返ります。♠〈跡が絶える〉人家の跡絶えた渓谷[けいこく]には、ひよどりの姿が見られた。♠〈笑い声が絶えない〉わたしたちのクラスは、みんな仲が良く、いつも明るい笑い声が絶えません。♠〈心配が絶えない〉子供が成長するまで、体のこと、勉強のこと、将来のことと、親の心配は絶えません。♠〈生傷[なまきず]が絶えない〉この子は、全く腕白[わんぱく]坊主で、体じゅう生傷が絶えません。♠〈つき合いが絶える〉彼とは、引っ越して以来、すっかりつき合いが絶えてしまっている。♠〈消息が絶える〉祖父は、南方の島に出征して、そのまま消息が絶えてしまったそうです。♠〈息が絶える〉難病と闘い続けた少女も、力尽きて、今朝がた、ついに息が絶えてしまいました。♠〈仕送りが絶える〉父が大病して、家からの仕送りが絶えてしまった。♠〈家が絶える〉昔は、家が絶えることを心配して、結婚しても子のできない妻を離縁[りえん]することがあった。♠〈血筋が絶える〉子宝にめぐまれないので、先祖代々栄えたこの家の血筋も、これで絶えてしまう。♠〈絶えて久しい〉その言葉は、わたしがこの土地を離れる以前に聞いて以来、絶えて久しく耳にしなかった懐かしい方言でした。♠〈絶えず〉あの山は、絶えず噴煙[ふんえん]を上げ続ける活火山です。 **たお・す**【倒す】○立っているものを横にする。ころばす。打ち止める。打ち負かす。打ち滅ぼす。借金や代金を払わないままにする。[文例]〈木を倒す〉村人たちは、谷川のそばの大木を倒して橋をかけた。♠〈体を倒す〉追いかけてきた男は、飛びこむように地べたに体を倒して、賊[ぞく]の後ろ足をつかまえた。♠〈敵を倒す〉敵を倒すまで、われわれは、決してここを引き下がるまい。♠〈チャンピオンを倒す〉無名の新人が世界チャンピオンを倒すとは、だれも予想だにしなかった。♠〈横綱[よこづな]を倒す〉横綱を倒したお相撲[すもう]さんは、「まぐれです。」と言ってけんそんした。♠〈おおかみを倒す〉おおかみに襲[おそ]われた百姓[ひゃくしょう]は、手ぬぐいをこぶしに巻いておおかみの口の中深く差しこんで倒したそうだ。♠〈政府を倒す〉弱い立場の者たちをかえりみない政府を倒せと、ついに民衆は立ち上がった。♠〈幕府を倒す〉徳川慶喜[とくがわよしのぶ]が将軍のとき、約二六〇年続いた江戸[えど]幕府は倒された。 **たお・れる**【倒れる】○立っていたものが横になる。ころぶ。打ち負かされる。床につく。命を失う。くつがえる。つぶれる。滅びる。[文例]〈塀が倒れる〉強い地震で塀が倒れ、その下じきとなって命を失った人もいた。♠〈あおむけに倒れる〉顔にパンチをくらった選手は、バタッとあおむけに倒れたまま、しばらく動かなかった。♠〈三振に倒れる〉ああ、四番バッターも三振に倒れたか。♠〈病に倒れる〉母はもともと弱い体に無理がたたって、とうとう病に倒れてしまった。♠〈過労で倒れる〉毎日毎日、夜遅くまで残業していた細谷さんは、とうとう過労で倒れてしまいました。♠〈凶弾[きょうだん]に倒れる〉大統領は、町をパレードするさなかに、凶弾に倒れたのだった。♠〈計画が倒れる〉あまり欲張った計画をたてると、中途[ちゅうと]で倒れてしまうから、無理のない計画にしなさい。♠〈幕府が倒れる〉江戸幕府が倒れ、ここに鎌倉幕府以来七百年続いた武家政治は終わりをつげた。♠〈王制が倒れる〉今から二百年ほど前、フランスでは、市民革命が起こり、長い間続いた王制が倒れた。♠◇〈内閣が倒れる〉犬養毅[いぬかいつよし]は首相となった翌年、五・一五事件で暗殺され、内閣が倒れた。♠〈企業が倒れる〉ここ数年不況が続き、中小の企業が倒れるのが目立ちます。 **たか**【高】○数量。金額。値うち。程度。[文例]〈売り上げの高〉店を閉めたあと、父は、その日の売り上げの高を帳簿につけておきます。♠〈高が知れる〉数は多いたって、あいつらの力じゃ、高が知れているよ。♠〈高をくくる〉こんな簡単な問題ぐらいと、高をくくって勉強をなまけているうちに、だんだん分からなくなってきてしまった。 **たか**(鷹) ○肉食の猛禽[もうきん]の一種。[文例]〈鵜[う]の目鷹[たか]の目〉ロンドンの街には、鵜の目鷹の目でもうけ口をねらう商人たちが集まっていた。♠〈とんびが鷹を生む〉とんびが鷹を生むということわざ通り、わたしたち夫婦にはできすぎた子でした。♠〈能ある鷹は爪[つめ]を隠[かく]す〉能ある鷹は爪を隠す、才能はひけらかさないのがよい。♠鷹のつらきびしく老[お]いて哀[あわ]れなり(村上鬼城[むらかみきじょう]) **たが**(箍)○おけ・たるのわき板を止める輪。[文例]〈たががはずれる〉漬け物だるのたががはずれて、一枚の丸い板と八枚の長方形の板になってしまった。♠〈たがが緩[ゆる]む〉大会が終わってたがが緩んでしまったのか、このところ部員は練習に身が入らないようだ。♠〈たがをしめる〉最近つまらないミスが多い。たがをしめてかからないと大きな失敗をするぞ。 **だが**○でも。しかし。けれども。[文例]しだいに暗くなってきた。だが、仕事は終わらなかった。♠全力を尽くした。だが、やっぱり勝てなかった。♠目標を達成できなかった。だ <641> れる〉大統領は、町をパレードするさなかに、凶弾[きようだん]に倒れたのだった。♠〈計画が倒れる〉あまり欲張った計画をたてると、中途で倒れてしまうから、無理のない計画にしなさい。♠〈幕府が倒れる〉江戸[えど]幕府が倒れ、ここに鎌倉[かまくら]幕府以来七百年続いた武家政治は終わりをつげた。♠〈王制が倒れる〉今から二百年ほど前、フランスでは、市民革命が起こり、長い間続いた王制が倒れた。♠〈内閣が倒れる〉犬養毅[いぬかいつよし]は首相となった翌年、五・一五事件で暗殺され、内閣が倒れた。♠〈企業が倒れる〉ここ数年不況が続き、中小の企業が倒れるのが目立ちます。 **たか【高】** ○数量。金額。値うち。程度。[文例]〈売り上げの高〉店を閉めたあと、父は、その日の売り上げの高を帳簿につけておきます。♠〈高が知れる〉数は多いたって、あいつらの力じゃ、高が知れているよ。♠〈高をくくる〉こんな簡単な問題ぐらいと、高をくくって勉強をなまけているうちに、だんだん分からなくなってきてしまった。 **たか(鷹)** ○肉食の猛禽[もうきん]の一種。[文例]〈鵜[う]の目鷹[たか]の目〉ロンドンの街には、鵜[う]の目鷹[たか]の目でもうけ口をねらう商人たちが集まっていた。♠〈とんびが鷹[たか]を生む〉とんびが鷹[たか]を生むということわざ通り、わたしたち夫婦にはできすぎた子でした。♠〈能ある鷹[たか]は爪[つめ]を隠す〉能ある鷹[たか]は爪[つめ]を隠す、才能はひけらかさないのがよい。♠鷹[たか]のつらきびしく老いて哀れなり(村上鬼城[むらかみきじよう]) **たが(箍)** ○おけ・たるのわき板を止める輪。[文例]〈たががはずれる〉漬け物だるのたががはずれて、一枚の丸い板と八枚の長方形の板になってしまった。♠〈たがが緩[ゆる]む〉大会が終わってたがが緩[ゆる]んでしまったのか、このところ部員は練習に身が入らないようだ。♠〈たがをしめる〉最近つまらないミスが多い。たがをしめてかからないと大きな失敗をするぞ。 **だが** ○でも。しかし。けれども。[文例]しだいに暗くなってきた。だが、仕事は終わらなかった。♠全力を尽くした。だが、やっぱり勝てなかった。♠目標を達成できなかった。だが、必ずしも失敗だったわけではない。 **たかい【他界】** ○人間界以外の世界。死ぬこと。[文例]〈他界する〉せっかく訪[たず]ねていただきましたが、祖父は昨年他界いたしました。 **たか・い【高い】** ○下から上の端までの隔たりが大きい。位置が上である。身分・地位や等級などが上である。優れている。はなはだしい。激しい。音声の振幅が大きい。数値や金額が大きい。[文例]〈高い木〉雷[かみなり]が激[はげ]しく鳴り、高い杉の木に落ちた。♠〈波が高い〉波の高い海岸では、遊泳が禁止されています。♠〈背が高い〉ぼくはクラスでいちばん背が高い。♠〈高い所〉赤ちゃんは何でも口に入れてしまうので、危ない物はみな高い所に置いています。♠〈日が高い〉十里[じゆうり]の道だったが全力で走り通したから、村に着いた時もまだ日は高かった。♠〈高い値段〉全く同じ商品なのに、高い値段のついているほうがよく売れることがある。♠〈気温が高い〉今年は春から夏にかけて気温が高かったので、稲[いね]がよく育ちました。♠〈高い熱〉今、とても高い熱の出るインフルエンザが流行しているらしいので、気をつけよう。♠〈死亡率が高い〉医学の進んでいなかった昔[むかし]は、乳幼児の死亡率が非常に高かった。♠〈高い評価〉コンクールに出品した妹の作文が高い評価を受けたそうです。♠〈程度が高い〉辞書や参考書などは、あまり程度の高い難しいものより、自分に合った分かりやすいものを選ぶことです。♠〈高い文明〉古代、この地方に高い文明を持った王朝が栄えた。♠〈高い教養〉この作品の内容は豊かで、作者の高い教養がうかがわれる。♠〈価値が高い〉漫画[まんが]もおもしろいが、これからは価値の高い文学作品に挑戦[ちょうせん]するつもりです。♠〈身分が高い〉昔[むかし]は、身分制度があって、身分の高い人と低い人とがはっきりと区別されていました。♠〈格調が高い〉芭蕉[ばしよう]の「奥の細道」は、格調高い文体で記され、日本の紀行文学の中でも最も優れた作品とされている。♠〈香りが高い〉母の墓前には、香り高いゆりの花が供えられてあった。♠〈気位[きぐらい]が高い〉彼女は、美人で頭もいいが、気位[きぐらい]が高いので、あまりみんなから好かれない。♠〈理想が高い〉わたしは、身の程[ぶんざい]知らずで理想が高いために、なかなか結婚[けつこん]できないでいる。♠〈鼻が高い〉逆転のシュートを放ったぼくは、みんなからほめられ、鼻が高かった。♠〈頭が高い〉町人の分際で頭が高い、ひかえい、ひかえい!♠〈声が高い〉わたしは声が高いので、コーラスではソプラノを受けもっています。♠〈高く叫[さけ]ぶ〉頂上へたどり着いたぼくたちは、「ヤッホー、ヤッホー!」と、声を高く叫[さけ]んだ。♠〈目が高い〉さすがは年長者だけあって、祖父は、人を見る目が高い。♠〈枕[まくら]を高くする〉事件も解決し、これでやっと枕[まくら]を高くして眠[ね]れます。♠〈お高くとまる〉あの人の、お高くとまった感じが、どうも好きになれません。♠〈年齢[ねんれい]が高い〉この町では、七十以上の年齢[ねんれい]の高い人が集まって、「長寿会[ちようじゆ]」を組織しています。♠〈高く買う〉彼の能力は、社長に高く買われているので、昇進[しょうしん]は間違いなしだろう。 **たがい【互い】** ○双方。それぞれ。[文例]〈互いの心〉議論を通じて、互いの考えを深めていくために討論するのです。♠〈互いに〉二人は、共同研究を進めて行くうちに、互いに心が通じ合っていくのを感じた。♠〈お互いさま〉困った時は、お互いさまですよ。♠〈互い違い〉では、白い帽子と赤い帽子をかぶった人が互い違いになるように並んでみましょう。 **たがいに【互いに】** ○双方ともに。両者それぞれに。[文例]無事につり橋をわたり終えたわたしたちは、ほっとして互いに顔を見合せた。♠世界の国々の文化は、互いに交流して、人々の心と生活を豊かにしてきた。♠ぼくは友達と、互いに欠点を補い合い、助け合っていきたい。♠〈お互いに〉お互いに悪口は言いっこなしにしようよ。 **たが・う(違う)** ○そむく。はずれる。相違する。ちがう。[文例]〈予想にたがわず〉映画はぼくの予想にたがわず、みごとなできで深い感動を与えてくれました。♠〈寸分たがわぬ〉この模型は、実物と寸分たがわぬ大きさでできているそうです。 **たかが【高が】** ○たかだか。せいぜい。[文例]〈たかが子供〉そんなにむきになるなよ。相手はたかが子供じゃないか。♠〈たかが中学生〉たかが中学生ぐらいの未熟者が生意気を言うものではない。♠〈たかが高校〉たかが高校の一つや二つ落ちたからって、そんなに悲観することはないさ。♠〈たかが一枚〉姉さんは、たかがチョコレートの一枚ぐらいといって食べてしまうから、太るんだよ。♠〈たかが百円〉たかが百円ぐらい落としたって、とは言っても、もうお小遣[こづか]いはないのだから、困ったなあ。♠〈たかが風邪〉たかが風邪ぐらいと軽くみるのは禁物です。 **たかく【多角】** ○角が多いこと。多方面にわたること。[文例]〈多角形〉三つ以上の直線で囲まれた図形のことを多角形といい、三角形・四角形…とある。♠〈多角的〉客観的な判断を下すためには、ものごとに対する多角的な見方が必要になります。♠〈多角経営〉戦後、日本の農家は園芸や酪農[らくのう]なども取り入れ、多角経営に乗り出しました。 **たがく【多額】** ○金額が多いこと。[文例]〈多額の資金〉新しい事業を始めるには、多額の資金が必要だった。♠〈多額の借金〉男は多額の借金をかかえこんで苦労していた。 **たかだか【高高】** ○ひときわ高いさま。高く見こんでも。せいぜい。[文例]〈高々とそびえる〉村境に、一本の大杉[おおすぎ]が高々とそびえている。♠〈高々と挙げる〉チャンピオンを倒[たお]した挑戦者[ちょうせん]は、リング上で高々と手を挙げた。♠〈高々と掲げる〉試合が終了[しゅうりよう]すると、優勝したチームの校旗が会場に高々と掲げられた。♠〈たかだか五百円〉たかだか五百円の品ですが、心のこもったものなので、きっと喜んでもらえると思います。♠〈たかだか十数名〉勤めているお母さん方が <642> 多いので、クラスの父母会の出席者は、たかだか十数名だそうです。♠〈たかだか八十年〉この作品は、古いとは言っても、たかだか八十年ぐらい前のものです。 **たかとび【高飛び・高跳び】** ○高く跳ぶこと。走り高跳びの競技。遠い所へ逃げること。[文例]カンガルーの高跳びの記録は、三メートル十五センチだそうです。♠〈走り高跳び〉陸上競技の走り高跳びで一メートル四十五センチ跳びました。♠〈高飛びする〉犯人は、外国へ高飛びしてしまったらしい。 **たかな・る【高鳴る】** ○大きな音を出して鳴る。胸がどきどきする。[文例]〈心臓が高鳴る〉自分の出番が近づくにつれて、心臓が高鳴るのを感じました。♠〈胸が高鳴る〉合格者掲示板の前まで来たわたしは不安で胸が高鳴り、どうしても自分の目で見ることができなかった。 **たかね【高値】** ○値段が高いこと。[文例]〈高値を呼ぶ〉その画家の版画は高値を呼びました。♠〈高値をつける〉ニューヨーク市場の影響を受けて、東京の円相場はこれまでで最高の高値をつけた。 **たかね【高根】(高嶺)** ○高い山。高い峰。[文例]里は秋の草花が咲き乱れているが、アルプスの高嶺にはもう雪が白く積もっている。♠〈高嶺の花〉二万円もするおもちゃは、こうすけにとっては高嶺の花だった。♠高嶺星蚕飼[ぼしこがひ]の村は寝[ね]しづまり(水原秋桜子[しゅうおうし]) **たかのぞみ【高望み】** ○自分の能力・力量をこえた望み。また、それを望むこと。[文例]〈高望みする〉きみの結婚が遅れているのは、お金持ちがいいとか、ハンサムな人でなきゃとか、高望みするからだ。 **たかびしゃ【高飛車】** ○(将棋の戦法から)威圧的な態度をとるさま。[文例]〈高飛車な態度〉市役所の職員の高飛車な態度に、ぼくは思わず「税金…」と言いそうになりました。♠〈高飛車に出る〉相手の車は、「そっちが悪い。」と高飛車に出た。 **たかぶり【高ぶり】(昂り)** ○高ぶること。[文例]〈感情の高ぶり〉話し合いがもつれるにつれ、感情の高ぶりが顔にあらわれてきた。♠〈気持ちの高ぶり〉小刻みに震える彼女の手に、気持ちの高ぶりを感じ取ることができます。♠〈神経の高ぶり〉神経の高ぶりによって血圧の上昇や脈拍[みやくはく]の増加が起こる。 **たかぶ・る【高ぶる】(昂る)** ○高まる。興奮する。偉[えら]そうにする。[文例]〈感情が高ぶる〉感情が高ぶってくると、もう、自分でも何を言っているのか分からなくなってしまう。♠〈神経が高ぶる〉寝[ね]る前にこわいドラマを見たので、神経が高ぶって、なかなか眠[ねむ]れない。♠〈心が高ぶる〉大きなショックで、少女はかなり心が高ぶっている様子だ。♠〈高ぶった態度〉彼は確かに頭はいいが、高ぶった態度が鼻につく。♠〈おごり高ぶる〉自分たちの力をおごり高ぶっていた平家も、春の夜の夢のようにはかなく滅び[ほろ]去った。 **たかまり【高まり】** ○高まること。高まったところ。[文例]〈皮膚の高まり〉指紋を作っている皮膚の細かい高まりの部分には、たくさんの神経が分布している。♠〈感情の高まり〉感情の高まりを抑[おさ]えきれずに、映画を見ながら泣き出してしまいました。♠〈運動の高まり〉住民運動の高まりをみて、県は対策を立てる約束をしました。 **たかま・る【高まる】** ○高くなる。程度が激しくなる。強まる。[文例]〈音が高まる〉激[はげ]しい雨が降り続き、しだいに川音が高まる気配に、洪水[こうずい]にならぬかと心配だった。♠〈波が高まる〉風が強くなり、波も高まってきたので、漁をやめ、急いで浜に引き返してきた。♠〈濃度が高まる〉海中の窒素[ちつそ]やりんの濃度が高まり、赤潮[あかしお]がひんぱつし、たくさんの魚が死んだ。♠〈声が高まる〉長い間不便を忍んでいた住民の間から、バスを増発してほしいという声が高まった。♠〈気持ちが高まる〉相手のひきょうなやり方に、怒[いか]りの気持ちが激[はげ]しく高まって、思わずなぐりかかっていった。♠〈感動が高まる〉ドラマを見ているうちに、感動が高まって、涙[なみだ]が出てきた。♠〈不安が高まる〉辺りが暗くなると、不安はますます高まって、何かしていないと胸がつぶれそうでした。♠〈人気が高まる〉俳優としてだけでなく、歌手としても彼の人気は高まるばかりだ。♠〈秋気高まる〉秋気いよいよ高まるころ、故郷の友から手紙が届いた。♠〈声望が高まる〉彼はすぐれた学者として、しだいにその声望が高まっていった。♠〈気 <643> 運が高まる〉自然を大切にしようという気運が高まってきています。♠〈関心が高まる〉残留農薬が人体に害を及ぼすということで、食品の安全性への関心が高まってきています。♠〈名声が高まる〉細菌の研究に業績をあげた彼の学者としての名声は、高まるいっぽうでした。♠〈士気が高まる〉強敵を相手にするたびに、チームの士気がますます高まるのを感じます。♠〈水準が高まる〉高度成長に伴って、日本人の生活水準が驚[おどろ]くほど高まったいっぽう、さまざまなひずみも生じた。 **たかみ【高み】** ○高い所。高くなった所。[文例]〈空の高み〉晴れ渡った空のはるかな高みに、飛行機の影が一つ見える。♠〈高みに立つ〉とりでの高みに立ち、城が燃えているのを見た侍[さむらい]は愕然[がくぜん]とした。♠〈高みの見物〉クラスをまとめようとする気があれば、仲間同士のけんかを高みの見物はできないはずです。 **たか・める【高める】** ○高くする。程度を激しくする。強める。[文例]〈声を高める〉呼ばれて聞こえないふりをしていると、母は声を高めて、またぼくを呼んだ。♠〈力を高める〉楽しみながら、漢字の力を高める方法として、漢字のしりとりがある。♠〈教養を高める〉母は、教養を高めるためにと、カルチャーセンターに通っていますが、さてどうでしょう。♠〈効果を高める〉上手にノートをとることによって、学習の効果を高めることができる。♠〈関心を高める〉日本の古典や中国の故事に親しんで、古典への関心を高めよう。♠〈名声を高める〉犬ぞりによる北極探検は、彼の名声をいちだんと高めた。♠〈生活を高める〉人間は、自分の生活を高めるために、多くの動物や自然を犠牲にしているといえる。♠〈人格・道徳を高める〉中国古代の思想家孔子[こうし]は、人格や道徳を高めることによって世を治めることを理想とした。♠〈人を高める〉尊敬語は、人を高めていう言い方、謙譲語[けんじようご]はへりくだっていう言い方です。 **たがや・す【耕す】** ○土を掘り返して柔らかくする。[文例]〈荒れ地を耕す〉荒れ地を耕して畑にかえるのは、なかなかたいへんな仕事です。♠〈田を耕す〉先祖代々、耕し、守ってきた田が雑草で覆[おお]われ、荒れはててしまった。♠〈土を耕す〉土を深く耕してひっくり返すと、草や葉がうめられ、土の中で腐[くさ]ってよい肥料[ひりよう]になる。♠〈心を耕す〉読書は心を耕すものとして、教養人の資格の一つとして重視されてきた。 **たから【宝】** ○きわめて価値の高い物。財宝。お金。かけがえのないもの。[文例]〈家の宝〉父は、家の宝だと言って、ぼくたちの前で大事そうに家系図を広げてみせた。♠〈国の宝〉りっぱな芸能や技術を身につけた人を、国の宝になぞらえて「人間国宝」と呼びます。♠〈かけがえのない宝〉昔[むかし]から子宝というように、子供はどの親にとっても、かけがえのない宝です。♠〈宝の持ちぐされ〉せっかく優[すぐ]れた才能を持ちながら、それを発揮しないのは、宝の持ちぐされというものです。♠〈宝の山〉せっかくチャンスを得ながら、みすみす逃してしまうとは、宝の山に入りながら手をむなしくして帰ることだ。♠〈お宝〉お金は、なくては生きていけない大切なものなので、お宝といわれます。 **たからか【高らか】** ○高々と威勢のよいさま。[文例]〈声高らか〉声高らかに選手宣誓が行われて、いよいよ競技が開始されます。♠〈つち音も高らか〉若い刀工は、天下一の刀を打ってみせようと、つち音も高らかに、精進[しようじん]を重ねるのだった。♠〈高らかな音〉起床ラッパの高らかな音が鳴り響くと、兵士たちはとび起きる。♠〈高らかに鳴る〉サーカスのテントの中に、ドラムが高らかに鳴って、ピエロが登場しました。♠〈高らかに笑う〉敵が逃げていく姿を見て、侍[さむらい]は高らかに笑った。♠〈高らかに歌う〉優勝したチームの選手たちは、勝利の歌を高らかに歌った。 **たからもの【宝物】** ○宝。財宝。かけがえのないもの。[文例]土蔵の中には、先祖代々伝わる宝物が眠っているということだ。♠このオオムラサキの標本は、ぼくの宝物です。♠子供たちは、何にも勝るわたしの宝物です。 **たか・る(集る)** ○群がる。寄り集まる。金をまきあげる。人におごらせる。[文例]〈ハエがたかる〉料理にハエがたからないようにふきんをかけておいた。♠〈ほこりがたかる〉畑の道を歩いてきたから、ズボンに白くほこりがたかっている。♠〈客がたかる〉安くておいしいと評判のパン屋の店先には、いつもたくさんのお客がたかっている。♠〈人にたかる〉あいつはいつもぼくにたかってばかりいて、自分でお金を出したことなんて一度もない。♠〈寄ってたかって〉子供たちが寄ってたかっていじめていたかめを助けた浦島太郎[うらしまたろう]は、そのかめに竜宮城[りゅうぐうじよう]へ連れていってもらった。 **たかん【多感】** ○感じやすいさま。[文例]〈多感な少女〉進学や就職に悩む多感な少女たちがこのドラマの主人公です。♠〈多感な青年時代〉おじさんにも、仲間たちと泣き笑いを共にした多感な青年時代があったのです。 **たき【滝】** ○がけをなだれ落ちる流れ。[文例]〈滝に打たれる〉僧たちは、念仏を唱えながら冷たい滝に打たれ、修行を続けています。♠〈滝のような汗〉土俵に上がった力士の体に滝のような汗が流れていた。♠滝落ちて群青[ぐんじよう]世界とどろけり(水原秋桜子[しゅうおうし]) **たき【多岐】** ○多方面に分かれているさま。[文例]〈多岐に分かれる〉ひとくちに医学といっても、外科・内科・精神科など、その分野は多岐に分かれている。♠〈多岐にわたる〉講演は一つのテーマにしぼったものではなく、その内容は多岐にわたっていました。♠〈多岐亡羊〉とるべき方法がいくつもあり、多岐亡羊として方針が決まらない。 **だき(唾棄)** ○つばを吐き捨てること。いみ嫌うこと。[文例]〈唾棄する〉腹黒い領主は唾棄すべき卑劣さをもって、王女をかどわかそうとしていた。 **だきあわせ【抱き合わせ】** ○抱き合うようにすること。売れない品をよく売れる品と組み合わせて売ること。[文例]〈抱き合わせで売る〉売れ残った商品と人気の高い商品を抱き合わせで売る商法には問題がある。 **たきぎ【薪】** ○(「焚き木」から)燃料にする木。まき。[文例]〈薪にする〉丸太を一本一本斧[おの]で立ち割り、薪にします。♠〈薪を拾う〉おじいさんは燃料にする薪を拾いに、裏の山に出かけました。♠〈薪をくべる〉風呂[ふろ]が少しぬるいんだ、もっと薪をくべてくれないか。♠〈薪を燃やす〉石で組んだ炉の下で薪を燃やし、その上に鉄板を置いてバーベキューを始めた。 **だきこ・む【抱き込む】** ○かかえこむようにして抱く。味方に引き入れる。[文例]母ザルは子ザルをおなかの下にしっかりと抱き込んで守っています。♠一味は、銀行の守衛を抱き込もうとして、誘いをかけてきた。 **たきだし【炊き出し】(焚き出し)** ○非常時に飯をたいて人々に出すこと。[文例]〈炊き出しをする〉火事で焼け出された人たちのために、村では炊き出しを行い、温かいご飯を提供しました。 **たきつ・ける【たき付ける】(焚き付ける)** ○燃やし始める。そそのかす。[文例]〈風呂をたきつける〉風呂をたきつけてから二十分ぐらいで、ちょうどいい湯加減になりました。♠〈火をたきつける〉昔はガス台などありませんでしたから、かまどに火をたきつけるまでが一苦労でした。♠〈人をたきつける〉弟をたきつけて、戸棚[とだな]の奥に入っているケーキを持って来させた。 **たきび【たき火】(焚き火)** ○戸外でたく火。かがり火。[文例]〈たき火をする〉枯れ枝を集めてたき火をしました。♠〈たき火にあたる〉海からあがった海女[あま]たちは、たき火にあたって体を暖めていた。♠〈たき火をたく〉落ち葉を集めたき火をたいて、さつまいもをほうりこんだら焼けるのを待ちます。 **だきょう【妥協】** ○折[お]れ合って話をまとめること。[文例]〈妥協する〉父は頑固[がんこ]な人で、めったに人と妥協することはありません。♠〈妥協を許さない〉きちょうめんなぼくの上司は、仕事に関してはいいかげんな妥協を許さない。♠〈妥 <644> 協の余地〉会社側が提示した金額に妥協の余地なしとして、組合はストライキに突入[とつにゆう]した。♠〈妥協的〉かりにもクラスの代表が、何も反論せずにあんな妥協的な態度をとるなんて。 **たぎ・る(激る)** ○わき上がる。わき立つ。煮え立つ。波立つ。[文例]〈湯がたぎる〉おばあさんの家では、茶の間の火鉢[ひばち]に、いつも鉄瓶[てつぴん]の湯がしゅんしゅんたぎっています。♠〈血がたぎる〉彼は、冒険[ぼうけん]好きの血がたぎるのか、アフリカの奥地[おくち]へ出かけるという。♠〈情熱をたぎらせる〉父は若いころ、演劇に情熱をたぎらせ、演出家になるつもりだったそうだ。♠〈たぎり落ちる〉急流がたきとなってたぎり落ち、たきつぼには、水けむりが上がっている。♠〈燃えたぎる〉わたしの心の奥[おく]では、不正を働く者に対する怒[いか]りが燃えたぎっていた。 **たく【炊く】(焚く)** ○火を燃やす。ご飯を作る。ふろをわかす。香をくゆらせる。[文例]〈火をたく〉キャンプ場につくと、枯れ枝[えだ]を拾ってきて火をたき、みんなで食事の支度[したく]をした。♠〈かがり火をたく〉まだ電灯などなかった昔[むかし]は、かがり火をたいて明かりにした。♠〈風呂[ふろ]をたく〉昔[むかし]は、料理を煮炊きするにも、風呂[ふろ]をたくにも、何でもまきを使ったものだ。♠〈ストーブをたく〉寒い、寒い、ストーブをじゃんじゃんたいてくれ。♠〈香[こう]をたく〉お香[こう]をたくと、部屋じゅうにとてもよい香[かおり]がたちこめた。♠〈ご飯を炊く〉お母さんは帰りが遅くなるから、ご飯を炊いておいてちょうだいね。♠〈かゆを炊く〉ぼくが風邪をひいたとき、母はよく卵の入ったおかゆを炊いてくれた。 **だ・く【抱く】** ○両腕で胸にかかえこむ。いだく。[文例]〈赤ん坊を抱く〉叔母の抱いている赤ん坊は、わたしたちのいとこにあたります。♠〈懐[ふところ]に抱く〉子供は母親の懐[ふところ]に抱かれているときが、きっといちばん幸せなのだろう。♠〈卵を抱く〉鳥の中には、オスだけが卵を抱くという習性をもつものもあるそうだ。♠〈肩を抱く〉寒さに震[ふる]える女の子の肩を抱いてあげると、安心したのかやがて眠り始めた。♠〈爆弾[ぶくだん]を抱く〉太平洋戦争末期、爆弾[ぶくだん]を抱いたまま敵の船に突撃[とつげき]するという、特別攻撃隊[こうげきたい]が組織された。♠〈抱きしめる〉戦地から帰ったジョンは、スーザンを力の限り抱きしめ、生きて会えたことを喜び合った。 **たぐい(類)** ○同じ種類のもの。同類。並ぶ者。[文例]〈カエデのたぐい〉カエデのたぐいの種子は、羽がついていて、風で飛ばされて仲間を増やします。♠〈文学作品のたぐい〉彼は科学者だが、文学作品のたぐいにも深い理解をもっている。♠〈たぐいがない〉宮本武蔵は、たぐいのない剣の達人であった。♠〈たぐいまれ〉彼女は、たぐいまれな美しさがわざわいしてか、ほかの女性にねたまれることも多い。 **たくえつ【卓越】** ○他よりもぬきんでること。[文例]〈卓越した力〉彼は、運動にかけては、卓越した力を持っていて、だれ一人かなう者はいません。♠〈卓越した才能〉少女は、バイオリンを弾くことに、卓越した才能を見せ、天才少女と騒[さわ]がれました。♠〈卓越した創造力〉人間は、他の動物とは比較にならないほど卓越した創造力を与えられています。♠〈卓越した人物〉博士は、研究に優[すぐ]れた業績を残したばかりでなく、人格においても卓越した人物であった。 **たくさん【沢山】** ○数量の多いさま。十分であるさま。[文例]珍[めずら]しく雪がたくさん降ったので、子供たちと犬は大喜びです。♠日本語には、漢字二字を組み合わせて作った熟語が非常にたくさんあります。♠夏休みも終わりに近づいたのに、まだ宿題がたくさん残っている。♠人と人が殺し合う戦争なんて、もうたくさんだ。 **たくしあ・げる【たくし上げる】** ○まくり上げる。[文例]〈そでをたくしあげる〉従業員たちはワイシャツのそでをたくしあげ、忙しそうに働いています。♠〈シャツをたくしあげる〉聴診器[ちょうしんき]を手にした医師は、患者にシャツをたくしあげて背中を向けるよう指示しました。 **タクシー** ○乗客を運ぶ営業用の乗用車。[文例]〈タクシーを止める〉バスがなかなか来ないので、通りかかったタクシーを止めて乗った。♠〈タクシーに乗る〉その国の通貨がなければ、どこの国でもまずタクシーには乗れないでしょう。♠〈タクシーをつかまえる〉この通りは車が通らないから、あっちへ行って流しのタクシーをつかまえよう。♠〈タクシーを拾う〉文化祭の準備で帰りがおそくなったので、家までタクシーを拾って帰った。 **たく・する【託する】** ○あずける。まかせる。ことづける。口実にする。[文例]〈綱[つな]に命を託する〉山男たちは、一本の綱[つな]に命を託して、険しい岩山を登っていった。♠〈舟に身を託す〉今日も、男たちは、厳しい北風の吹く中を、小さな小舟に身を託して出漁していった。♠〈土産を託する〉わたしと弟は、母から託されたお土産を持って、田舎[いなか]のおばあさんのところへ行きました。♠〈伝言を託する〉急用で行けなくなってしまったので、友達に伝言を託した。♠〈筆に託する〉直接口では言いにくかったので、筆に託して手紙で伝えました。♠〈心を物に託する〉バレンタインデーに、わたしの心をチョコレートに託して、あの人におくりました。♠〈願いを託する〉わたしの「優子[ゆうこ]」という名前には、優しい子になってほしいという両親の願いが託されているのだそうです。♠〈心情を歌に託する〉彼は、豊かな感性で、おりおりの心情を歌に託した。 **たくせん【託宣】** ○神のお告げ。目上からの指図。命令。[文例]〈神の託宣〉祭壇を降りた王は、神の託宣であるといって戦争の開始を命じました。♠〈おやじの御託宣[ごたくせん]〉今日一日家でおとなしくしていろというおやじの御託宣[ごたくせん]だから、外出するわけにはいかないんだ。♠〈託宣[ごたくせん]が下る〉社長の御託宣[ごたくせん]が下ったわけだから、みんなはそれに従ってがんばってくれたまえ。 **たくはつ(托鉢)** ○僧や尼がお経を唱えながら家々を回り、持った鉢に金銭や米などのほどこしを受けること。[文例]〈托鉢の僧〉玄関先[げんかんさき]でお経を唱える托鉢の僧に、農夫は今日収穫したばかりのかぼちゃを与えた。♠〈托鉢する〉若い僧は村々を托鉢して回った。 **たくばつ【卓抜】** ○他よりぬきんでていること。一 <645> **だげき** **た** **たくえつ**【卓越】 ○他[ほか]よりぬきんでて優[すぐ]れていること。[文例]〈卓越[たくえつ]した指導力[しどうりょく]〉あの監督[かんとく]の卓越[たくえつ]した指導力[しどうりょく]で、チームは生[う]まれ変[か]わった。♠へ卓越[たくえつ]した技量[ぎりょう]〉この刀工[とうこう]は、その右[みぎ]に出[で]るもののいない、卓越[たくえつ]した技量[ぎりょう]の持[も]ち主[ぬし]であった。 **たくまし・い**(逞しい) ○体[からだ]つきががっしりしている。生命力[せいめいりょく]に満[み]ちている。思[おも]う存分[ぞんぶん]である。[文例]〈筋骨[きんこつ]たくましい〉この筋骨[きんこつ]たくましい若者[わかもの]が、あの小[ちい]さくて泣[な]き虫[むし]だったケンちゃんとは思[おも]えません。♠へくたくましい産声[うぶごえ]>人間[にんげん]はみんな、この世[よ]に生[う]まれてきた瞬間[しゅんかん]、オギャーとたくましい産声[うぶごえ]をあげます。♠へたくましい生活力[せいかつりょく]〉おじは、持[も]ち前[まえ]のたくましい生活力[せいかつりょく]で、若[わか]くして地位[ちい]と財産[ざいさん]を築[きず]き上[あ]げました。♠へたくましく成長[せいちょう]する〉中学生[ちゅうがくせい]のきみたちは、今[いま]、体[からだ]も心[こころ]もたくましく成長[せいちょう]する時期[じき]です。♠へたくましく生[い]きる〉兄弟[きょうだい]は、恵[めぐ]まれない環境[かんきょう]の中[なか]でも雑草[ざっそう]のようにたくましく生[い]きていった。♠くたくましく伸[の]びる〉踏[ふ]まれても踏[ふ]まれても、なおたくましく伸[の]びていく雑草[ざっそう]の生命力[せいめいりょく]は、驚[おどろ]くばかりです。♠〈想像[そうぞう]をたくましくする〉友達[ともだち]とわたしは想像[そうぞう]をたくましくして、先生[せんせい]といっしょにいた女性[じょせい]を婚約者[こんやくしゃ]と決[き]めつけてしまった。 **たくみ**【巧み】(工・匠) ○大工[だいく]などの職人[しょくにん]。技巧[ぎこう]。意匠[いしょう]。手[て]ぎわがよいさま。上手[じょうず]。[文例]〈巧[たく]みを競[きそ]う〉コンクールでは、職人[しょくにん]たちがそれぞれ工夫[くふう]をこらして、腕[うで]の巧[たく]みを競[きそ]い合[あ]った。♠〈巧[たく]みな文章[ぶんしょう]>巧[たく]みな文章[ぶんしょう]に引[ひ]きこまれて、長[なが]い小説[しょうせつ]を一気[いっき]に読[よ]み切[き]ってしまった。♠へ巧[たく]みな話術[わじゅつ]〉セールスマンの巧[たく]みな話術[わじゅつ]にのせられて、いりもしない物[もの]を買[か]ってしまった。♠へ巧[たく]みな比喩[ひゆ]〉ことわざには、「やなぎに風[かぜ]」「さるも木[き]から落[お]ちる」のような、巧[たく]みな比喩[ひゆ]を用[もち]いたものが多[おお]い。♠〈巧[たく]みにすりぬける〉すりは、人[ひと]ごみの中[なか]を巧[たく]みにすりぬけて、姿[すがた]をくらました。 **たく・む**(巧む・工む) ○技巧[ぎこう]をこらす。たくらむ。[文例]巧[たく]まざる自然[しぜん]〉人工的[じんこうてき]な美[うつく]しさよりも巧[たく]まざる自然[しぜん]に心[こころ]をひかれます。♠へ巧[たく]まぬ純粋[じゅんすい]さ〉その言葉[ことば]から、わたしは少年[しょうねん]の巧[たく]まぬ純粋[じゅんすい]さを感[かん]じ取[と]ることができる。♠それが又[また]どうして華山[かざん]の贋物[にせもの]を売[う]り込[こ]もうと巧[たく]んだのかと聞[き]くと、坂井[さかい]は笑[わら]ってこう説明[せつめい]した。(夏目[なつめ]漱石[そうせき]「門[もん]」) **たくらみ**(企み) ○たくらむこと。はかりごと。悪事[あくじ]のくわだて。[文例]〈たくらみを見抜[みぬ]く〉わたしは相手[あいて]のたくらみを見抜[みぬ]いて、だまされたふりをしていたのだった。 **たくら・む**(企む) ○(よくないことを)計画[けいかく]する。くわだてる。はかる。[文例]へいたずらをたくらむ〉ぼうずどもが集[あつ]まって、なにやらひそひそないしょ話[ばなし]、何[なに]か悪[わる]いいたずらをたくらんでいるようだぞ。♠へ悪事[あくじ]をたくらむ〉世[よ]の中[なか]には、自分[じぶん]の利[り]のために人[ひと]をだまそうとするような、悪事[あくじ]をたくらむ人間[にんげん]もいる。♠へ陰謀[いんぼう]をたくらむ〉ユダは、イエスを役人[やくにん]の手[て]に渡[わた]そうという陰謀[いんぼう]をたくらんでいた。♠<謀反[むほん]をたくらむ>君主[くんしゅ]に不満[ふまん]を抱[いだ]く家来[けらい]たちは、ひそかに謀反[むほん]をたくらんでいた。 **たぐ・る**【手繰る】 ○手[て]で繰[く]り寄[よ]せる。もとの方[ほう]へたどる。[文例]〈ザイルを手繰[たぐ]る>落石[らくせき]におびえ、雷鳴[らいめい]におののきながらザイルを手繰[たぐ]り、頂上[ちょうじょう]へよじ登[のぼ]った。♠へ糸[いと]を手繰[たぐ]る〉歴史家[れきしか]の仕事[しごと]は、糸[いと]を手繰[たぐ]るように、資料[しりょう]を読[よ]みといて、生活[せいかつ]と文化[ぶんか]を探[さぐ]ることだ。♠命[いのち]へ記憶[きおく]を手繰[たぐ]る〉どこかで見[み]た子[こ]だと、記憶[きおく]を手繰[たぐ]ると、以前[いぜん]、近所[きんじょ]に住[す]んでいた子[こ]だった。♠〈手繰[たぐ]り寄[よ]せる〉難[むずか]しい問題[もんだい]が、ちょっとしたきっかけから、手繰[たぐ]り寄[よ]せるように次々[つぎつぎ]と解決[かいけつ]することもある。 **たくわえ**【蓄え】(貯え) ○たくわえること。たくわえたもの。[文例]〈蓄[たくわ]えがある・ない〉牧場[ぼくじょう]のサイロには、飼料[しりょう]の蓄[たくわ]えが充分[じゅうぶん]にあります。♠〈老後[ろうご]の蓄[たくわ]え〉わたしたち夫婦[ふうふ]には子供[こども]がありませんが、老後[ろうご]の蓄[たくわ]えがあるので少[すこ]しは安心[あんしん]です。♠〈知識[ちしき]の蓄[たくわ]え〉この二十年間[にじゅうねんかん]の知識[ちしき]の蓄[たくわ]えを新[あたら]しい会社[かいしゃ]で役立[やくだ]てたいと思[おも]います。 **たくわ・える**【蓄える】(貯える) ○後[あと]で使[つか]うためにためておく。(ひげを)生[は]やしておく。[文例]〈金[かね]を蓄[たくわ]える〉老後[ろうご]の生活[せいかつ]のために、母[はは]は、少[すこ]しずつお金[かね]を蓄[たくわ]えているようです。♠〈水[みず]を蓄[たくわ]える〉ダムに蓄[たくわ]えられた水[みず]は、発電[はつでん]や農地[のうち]のかんがい、上水道[じょうすいどう]などに利用[りよう]される。♠へ物[もの]を蓄[たくわ]える〉今[いま]は、お店[みせ]でいつでも買[か]えるので、昔[むかし]のように家[いえ]に食料[しょくりょう]や物[もの]を蓄[たくわ]えておかなくてもよくなりました。♠く力[ちから]を蓄[たくわ]える>保元[ほうげん]・平治[へいじ]の二[ふたつ]の内乱[ないらん]を通[つう]じて、平家[へいけ]は、力[ちから]を蓄[たくわ]えてきた。♠知識[ちしき]を蓄[たくわ]える〉本[ほん]の好[す]きなA[えい]君[くん]は、幅広[はばひろ]くさまざまな知識[ちしき]を蓄[たくわ]えているようです。♠〈ひげを蓄[たくわ]える〉鼻[はな]の下[した]にひげを蓄[たくわ]えたりして、偉[えら]くなったもんだね。 **たけ**【竹】 ○中[なか]が空洞[くうどう]で、木化[もっか]した茎[くき]をもつイネ科[か]の植物[しょくぶつ]。芽[め]はタケノコ。[文例])〈竹[たけ]を割[わ]ったよう〉彼[かれ]はさっぱりしていて、竹[たけ]を割[わ]ったような気性[きしょう]といわれます。♠木[き]に竹[たけ]を接[つ]ぐ〉お延[のぶ]がどうしようかと迷[まよ]っているうちに、お秀[ひで]はまるで木[き]に竹[たけ]を接[つ]いだように、突然[とつぜん]話題[わだい]を変化[へんか]した。(夏目[なつめ]漱石[そうせき]「明暗[めいあん]」) ♠光[ひか]る地面[じめん]に竹[たけ]が生[は]え、/青竹[あおだけ]が生[は]え、/地下[ちか]には竹[たけ]の根[ね]が生[は]え、/根[ね]がしだいにほそらみ、/根[ね]の先[さき]より繊毛[せんもう]が生[は]え、(萩原[はぎわら]朔太郎[さくたろう]「竹[たけ]」部分[ぶぶん]) **たけ**【丈】 ○立[た]っている物[もの]の高[たか]さ。身長[しんちょう]。衣服[いふく]の縦[たて]の長[なが]さ。すべて。全部[ぜんぶ]。[文例]〈丈[たけ]が高[たか]い・低[ひく]い>空[あ]き地[ち]は、丈[たけ]の高[たか]い草[くさ]がぼうぼうと生[は]えて、荒[あ]れ放題[ほうだい]です。♠〈丈[たけ]が長[なが]い・短[みじか]い〉スカートの丈[たけ]が、長[なが]くなったり、うんと短[みじか]くなったり、流行[はや]っておかしなものだな。♠〈丈[たけ]をつめる〉お姉[ねえ]さんのお下[さ]がりのスカートは、少[すこ]し長[なが]すぎたので、丈[たけ]をつめてはいています。♠へ心[こころ]の丈[たけ]を尽[つ]くす〉ポチが病気[びょうき]で弱[よわ]ったとき、ぼくは、死[し]なないでと願[ねが]いながら、心[こころ]の丈[たけ]を尽[つ]くして世話[せわ]をしました。♠〈思[おも]いの丈[たけ]を述[の]べる〉これは、ある作家[さっか]が恋人[こいびと]へ思[おも]いの丈[たけ]を述[の]べた手紙[てがみ]です。♠〈身[み]の丈[たけ]〉あの川[かわ]には、昔[むかし]から、身[み]の丈[たけ]が幼児[ようじ]ぐらいのかっぱがいるという伝説[でんせつ]が残[のこ]っています。♠〈背丈[せたけ]〉この一年[いちねん]で、背丈[せたけ]がぐんと伸[の]びたので、去年[きょねん]の服[ふく]がみんな着[き]られなくなった。 **だげき**【打撃】 ○強[つよ]く打[う]つこと。大[おお]きな痛手[いたで]や損害[そんがい]を与[あた]えること。また、その痛手[いたで]や損害[そんがい]。野球[やきゅう]で打者[だしゃ]が投手[とうしゅ]の球[たま]を打[う]つこと。[文例]〈棒[ぼう]による打撃[だげき]>死因[しいん]は、頭部[とうぶ]へのこん棒[ぼう]のような物[もの]による打撃[だげき]と考[かんが]えられた。♠へ野球[やきゅう]の打撃[だげき]>投手力[とうしゅりょく]は五分五分[ごぶごぶ]だが、打撃[だげき]においては相手[あいて]チームの方[ほう]が勝[まさ]っている。♠〈大[おお]きな打撃[だげき]〉取[と]り引[ひ]きで損[そん]をしたことよりも、信用[しんよう]をなくしたことの方[ほう]が店[みせ]には大[おお]きな打撃[だげき]だった。♠〈打撃[だげき]を受[う]ける〉季節[きせつ]はずれの台風[たいふう]で、収穫[しゅうかく]を前[まえ]にしたふもとの農家[のうか]は、大[だい]打撃[だげき]を受[う]けました。♠〈打撃[だげき]を与[あた]える>味方[みかた]の奇襲[きしゅう]作戦[さくせん]は、敵軍[てきぐん]に大[おお]きな打撃[だげき]を与[あた]え、戦況[せんきょう]を有利[ゆうり]にした。♠〈致命的[ちめいてき]な打撃[だげき]〉〈打撃[だげき]を被[こうむ]る>漁師[りょうし]が船[ふね]を失[うしな]うことは、致命的[ちめいてき]な打撃[だげき]を被[こうむ]ることを意味[いみ]する。 <646> **たけだけしい** **た** **たけだけし・い**(猛猛しい) ○勇[いさ]ましく強[つよ]そうである。ずうずうしい。[文例]おりの中[なか]では、ライオンがたけだけしくほえ狂[くる]っている。♠おだやかな春[はる]の海[うみ]より、たけだけしく荒[あ]れ狂[くる]う冬[ふゆ]の海[うみ]の方[ほう]が好[す]きだ。♠へぬすっとたけだけしい>盗[ぬす]みに入[はい]った家[いえ]の酒[さけ]を飲[の]んで酔[よ]っぱらうなんて、ぬすっとたけだけしいとはこのことだ。 **だけつ**【妥結】 ○互[たが]いに譲[ゆず]り合[あ]って、交渉[こうしょう]がまとまること。[文例]〈交渉[こうしょう]が妥結[だけつ]する〉難航[なんこう]していた交渉[こうしょう]は、双方[そうほう]の歩[あゆ]み寄[よ]りでついに妥結[だけつ]しました。♠く話[はな]し合[あ]いが妥結[だけつ]する〉労働[ろうどう]時間[じかん]も給与[きゅうよ]も労使[ろうし]双方[そうほう]の主張[しゅちょう]の中間[ちゅうかん]を取[と]ることで、話[はな]し合[あ]いは妥結[だけつ]した。 **たけなわ**(酎・関) ○最盛期[さいせいき]であること。まっさかり。[文例]〈春[はる]たけなわ>桜[さくら]の花[はな]が咲[さ]き乱[みだ]れ、今[いま]まさに春[はる]たけなわの時節[じせつ]です。♠へ秋[あき]がたけなわ〉山[やま]の紅葉[もみじ]で美[うつく]しく染[そ]まり、秋[あき]もたけなわになってきたこのごろです。♠ヘシーズンがたけなわ〉ナイターのシーズンがたけなわの今[いま]、父[ちち]も兄[あに]も、テレビに釘[くぎ]づけなのです。♠〈宴[えん]たけなわ〉お酒[さけ]もほどよくまわって、歌[うた]に踊[おど]りにと宴[えん]たけなわとなりました。 **たけ・る**(猛る・哮る) ○荒[あ]れ狂[くる]う。ほえる。[文例]〈雷鳴[らいめい]がたける〉まばゆいばかりの稲妻[いなずま]とたける雷鳴[らいめい]の中[なか]を、子供[こども]たちは一目散[いちもくさん]に家[いえ]に走[はし]っていきます。♠ヘ心[こころ]がたける〉男[おとこ]はたける心[こころ]を静[しず]めようとじっと目[め]を閉[と]じた。♠へ波[なみ]がたける〉たける荒波[あらなみ]に一隻[いっせき]の小船[こぶね]が木[こ]の葉[は]のようにもまれていた。 **た・ける**(長ける・聞ける) ○すぐれる。長[ちょう]じる。盛[さか]りとなる。[文例]〈弁舌[べんぜつ]にたける〉弁舌[べんぜつ]にたけるアントニーは、次第[しだい]に聴衆[ちょうしゅう]の心[こころ]をとらえていった。♠〈世故[せこ]にたける〉世故[せこ]にたけた女[おんな]だから、うまく世渡[よわた]りしていくだろう。♠ヘ才[さい]たける〉ひきしまった顔[かお]に光[ひか]る目[め]、若者[わかもの]は見[み]るからに才[さい]たけた印象[いんしょう]を与[あた]えた。♠へ更[ふ]ける〉更[ふ]けて家人[かじん]の寝[ね]しずまるころ、再[ふたた]び彼[かれ]は書斎[しょさい]の机[つくえ]に向[む]かうのだった。♠へ年[とし]たける〉年[とし]たけて、ようやく新之助[しんのすけ]にも出仕[しゅっし]の機会[きかい]が訪[おとず]れた。♠へ春[はる]たける〉春[はる]たけて、野[の]は一面[いちめん]のタンポポにおおわれた。 **たげん**【多元】 ○物事[ものごと]の根源[こんげん]となる要素[ようそ]が多[おお]くあること。[文例]〈多元的[たげんてき]〉ものごとは、一元的[いちげんてき]にとらえるのではなく、さまざまな角度[かくど]から見[み]て多元的[たげんてき]に考[かんが]えなければなりません。♠〈多元放送[たげんほうそう]>今夜[こんや]のナイター中継[ちゅうけい]は、東京[とうきょう]ドームから巨人[きょじん]=広島[ひろしま]、西武[せいぶ]球場[きゅうじょう]から西武[せいぶ] =近鉄[きんてつ]と多元放送[たげんほうそう]で行[おこな]われます。 **たげん**【他言】 ♪たごん **たこ**(風) ○竹[たけ]の骨組[ほねぐ]みに紙[かみ]を張[は]って空[そら]に揚[あ]げる玩具[がんぐ]。[文例]〈たこを揚[あ]げる〉こんな風[かぜ]のない日[ひ]にたこを揚[あ]げようとしてもうまくいかないよ。♠へ糸[いと]の切[き]れたたこ〉うちの子[こ]をおつかいに出[だ]すと、糸[いと]の切[き]れたたこのようにいつまでたっても帰[かえ]ってこない。♠凧[だこ]抱[いだ]いたなりですやすや寝[ね]たりけり(小林[こばやし]一茶[いっさ]) **たこ**(蛸・章魚) ○海[うみ]にすむ八本足[はちほんあし]の軟体動物[なんたいどうぶつ]。[文例]八本足[はちほんあし]の海[うみ]の怪物[かいぶつ]、タコを食[た]べるのは、日本人[にほんじん]とギリシャ人[じん]ぐらいのものだそうです。♠「この、タコ!」とはなんだ、失礼[しつれい]なやつめ。♠〈たこ入道[にゅうどう]〉はげ頭[あたま]のおじいさんが、真[ま]っ赤[か]になってお風呂[ふろ]から出[で]てきた姿[すがた]はまさにたこ入道[にゅうどう]だ。 **たこう**【多幸】 ○幸福[こうふく]が多[おお]いこと。[例]〈多幸[たこう]な人生[じんせい]〉つらいことや悲[かな]しいこともあったが、思[おも]った通[どお]りに生[い]きて多幸[たこう]な人生[じんせい]だった。♠〈多幸[たこう]を祈[いの]る〉結婚式[けっこんしき]には出席[しゅっせき]できませんが、お二人[ふたり]のご多幸[たこう]を心[こころ]からお祈[いの]りいたします。 **だこう**【蛇行】 ○蛇[へび]のようにうねって進[すす]むこと。[文例])〈川[かわ]が蛇行[だこう]する>石狩平野[いしかりへいや]を右[みぎ]に左[ひだり]に蛇行[だこう]しながら流[なが]れる石狩川[いしかりがわ]は、全長[ぜんちょう]約[やく]二百六十二[にひゃくろくじゅうに]キロメートル、石狩湾[いしかりわん]に注[そそ]ぎ込みます。♠へ蛇行運転[だこううんてん]〉道路[どうろ]いっぱいに広[ひろ]がったり、蛇行運転[だこううんてん]をしたり、暴走族[ぼうそうぞく]は大変[たいへん]めいわくだ。 **たこく**【他国】 ○よその国[くに]。よその土地[とち]。[文例]江戸時代[えどじだい]には鎖国令[さこくれい]により他国[たこく]との貿易[ぼうえき]が禁[きん]じられていた。♠この村[むら]の人々[ひとびと]は閉鎖的[へいさてき]で、他国[たこく]からやって来[き]た者[もの]をなかなか受[う]け入[い]れない。♠島国[しまぐに]育[そだ]ちで他国[たこく]と接[せっ]する機会[きかい]の少[すく]なかった日本人[にほんじん]が、戦後[せんご]どんどん海外[かいがい]に進出[しんしゅつ]していくようになった。 **たごん**【他言】 ○他人[たにん]に話[はな]すこと。[文例]〈他言[たごん]をはばかる〉会議[かいぎ]では他言[たごん]をはばかるような話[はなし]も出[で]たらしい。♠他言[たごん]を禁[きん]じる〉部長[ぶちょう]に他言[たごん]を禁[きん]じると言[い]われていたのに、もうしゃべってしまったのかい。♠〈他言[たごん]する〉これは二人[ふたり]だけの秘密[ひみつ]だから、絶対[ぜったい]に他言[たごん]しないでくれよ。♠<他言無用[たごんむよう]〉主人[しゅじん]は話[はな]し終[お]わると、このことはいっさい他言無用[たごんむよう]だぞと念[ねん]を押[お]した。 **たさい**【多彩】 ○いろどりが多[おお]く美[うつく]しいさま。変化[へんか]に富[と]むさま。[文例]〈多彩[たさい]ないろどり〉昼[ひる]、人々[ひとびと]でにぎわう都会[とかい]の町[まち]は、また、夜[よる]には、多彩[たさい]なネオンのいろどりでにぎわいます。♠〈多彩[たさい]な顔[かお]ぶれ〉パーティーに集[あつ]まった人々[ひとびと]は、政治家[せいじか]や作家[さっか]、芸能人[げいのうじん]など、多彩[たさい]な顔[かお]ぶれであった。♠〈多彩[たさい]な催[もよお]し〉市[し]の文化祭[ぶんかさい]では、絵[え]や書道[しょどう]の展示[てんじ]、コーラスや演劇[えんげき]、模擬店[もぎてん]、映画[えいが]など、多彩[たさい]な催[もよお]しがくり広[ひろ]げられました。♠ヘ行事[ぎょうじ]が多彩[たさい]>秋[あき]には、連動会[れんどうかい]や遠足[えんそく]、文化祭[ぶんかさい]などがあり、学校[がっこう]行事[ぎょうじ]も多彩[たさい]です。 **たさい**【多才】 ○幅広[はばひろ]く才能[さいのう]を備[そな]えているさま。「[文例]〈多才[たさい]な人[ひと]〉多才[たさい]な人[ひと]ですから、趣味[しゅみ]も多[おお]く、また各方面[かくほうめん]に顔[かお]も広[ひろ]いということです。♠〈多芸多才[たげいたさい]〉彼[かれ]ほど何[なん]でもできる、多芸多才[たげいたさい]な人[ひと]もめずらしいね。 **ださん**【打算】 ○利害[りがい]・損得[そんとく]を計算[けいさん]すること。[文例]〈打算[ださん]が働[はたら]く>自分[じぶん]の損[そん]にならないようにという打算[ださん]は、その場[ば]に居合[いあ]わせた者[もの]全員[ぜんいん]に働[はたら]いていた。♠〈打算[ださん]に満[み]ちた社会[しゃかい]〉ジョナサン・スイフトは『ガリバー旅行記[りょこうき]』の中[なか]で、打算[ださん]に満[み]ちた当時[とうじ]の英国[えいこく]社会[しゃかい]を風刺[ふうし]している。♠へ打算[ださん]を抜[ぬ]きにする〉今度[こんど]の計画[けいかく]は、村[むら]の将来[しょうらい]を考[かんが]えて、打算[ださん]を抜[ぬ]きにして話[はな]し合[あ]いたいと思[おも]います。♠へ打算的[ださんてき]な考[かんが]え方[かた]〉誠実[せいじつ]な彼[かれ]のことだもの、そんな打算的[ださんてき]な考[かんが]え方[かた]は受[う]けつけないよ。♠人打算的[ださんてき]な性格[せいかく]>打算的[ださんてき]な性格[せいかく]の人[ひと]は、ボランティア活動[かつどう]には向[む]いていません。 <647> **だしぬく** **た** **たさんのいし**【他山の石】 ○他人[たにん]の言動[げんどう]など、自分[じぶん]には直接[ちょくせつ]関係[かんけい]のない出来事[できごと]でも、それが自分[じぶん]を磨[みが]く助[たす]けとなること。「他山[たざん]の石[いし]、もって玉[たま]を攻[おさ]むべし」(詩経[しきょう])から。[文例]他山[たざん]の石[いし]という言葉[ことば]は、他人[たにん]の行動[こうどう]や考[かんが]えが自分[じぶん]を高[たか]めるのに役[やく]に立[た]つことを教[おし]えています。♠〈他山[たざん]の石[いし]とする〉彼[かれ]の失敗[しっぱい]を他山[たざん]の石[いし]として、ぼくたちも同[おな]じ過[あやま]ちを繰[く]り返[かえ]さないようにしたい。 **たし**【足し】 ○不足[ふそく]を補[おぎな]うための役[やく]に立[た]つもの。[文例]〈腹[はら]の足[た]し〉すきっ腹[ぱら]にせんべい二枚[にまい]では、まるで腹[はら]の足[た]しにならなかった。♠へ足[た]しにする〉今日[きょう]はご苦労[くろう]さまでした、これはわずかですが、交通費[こうつうひ]の足[た]しにしてください。♠へ足[た]しになる〉ぽくの小遣[こづか]いでは、お兄[にい]ちゃんの学費[がくひ]の足[た]しにはなりません。 **たじ**【多事】 ○事件[じけん]や事変[じへん]が多[おお]いさま。用事[ようじ]が多[おお]くて忙[いそが]しいさま。[文例]〈多事[たじ]な生活[せいかつ]〉「さよなら」 多事[たじ]な一週間[いっしゅうかん]の病院[びょういん]生活[せいかつ]は、この一語[いちご]で漸[ようや]く幕[まく]になった。(夏目[なつめ]漱石[そうせき]「明暗[めいあん]」) ♠〈多事多難[たじたたん]>交通事故[こうつうじこ]やら病気[びょうき]やらで、今年[ことし]は多事多難[たじたたん]な一年[いちねん]だった。♠へ多事多端[たじたたん]〉一八[いちはち]六八年[ろくはちねん]は、江戸[えど]幕府[ばくふ]が倒[たお]れ王政復古[おうせいふっこ]がなり、日本[にっぽん]にとっては多事多端[たじたたん]な一年[いちねん]であった。♠〈身辺[しんぺん]多事[たじ]〉この夏休[なつやす]みは身辺[しんぺん]多事[たじ]で、研究[けんきゅう]に没頭[ぼっとう]することができなかった。 **だし**【出し】(出汁) ○出[だ]すこと。出[だ]した物[もの]。だし汁[じる]。方便[ほうべん]に利用[りよう]する材料[ざいりょう]。[文例]〈みそ汁[しる]のだし〉みそ汁[しる]のだしには、具[ぐ]によってかつお節[ぶし]・こんぶ・にぼしなどを使[つか]い分[わ]けます。♠〈だしを取[と]る〉このスープはとてもおいしいけれど、いったい何[なに]でだしを取[と]ったのだろう。♠へだしに使[つか]う〉看病[かんびょう]をだしに使[つか]って、彼[かれ]はずっとクラブを休[やす]んでいる。♠へだしにする〉弟[おとうと]をだしにして、ゲームを買[か]ってもらうつもりかい? **たしか**【確か】 ○しっかり定[さだ]まっているさま。信頼[しんらい]できるさま。まちがいないさま。記憶[きおく]によると多分[たぶん]。[文例]〈確[たし]かな人物[じんぶつ]〉あの人[ひと]なら確[たし]かな人物[じんぶつ]ですから、まかせても安心[あんしん]できます。♠へ確[たし]かな証拠[しょうこ]〉確[たし]かな証拠[しょうこ]もないのに、人[ひと]を疑[うたが]うのはやめなさい。♠へ確[たし]かな手[て]ごたえ>周囲[しゅうい]の人々[ひとびと]に協力[きょうりょく]を求[もと]めて、確[たし]かな手[て]ごたえがあったときはうれしいものです。♠<確[たし]かな筋[すじ]>確[たし]かな筋[すじ]からの情報[じょうほう]だが、あの会社[かいしゃ]は倒産[とうさん]寸前[すんぜん]だそうだ。♠へ腕[うで]が確[たし]か〉ぼくの家[いえ]は、三十年[さんじゅうねん]もたっているが、腕[うで]の確[たし]かな大工[だいく]さんが建[た]てたらしく、びくともしません。♠へ気[き]は確[たし]か〉そんなとっぴょうしもないことを言[い]い出[だ]すなんて・・・・・・、気[き]は確[たし]かだろうね。♠へ記憶[きおく]が確[たし]か>祖父[そふ]は、八十歳[はちじゅっさい]を越[こ]えても、驚[おどろ]くほど記憶[きおく]が確[たし]かです。♠確[たし]かに見覚[みおぼ]えのある顔[かお]だが、だれだったか思[おも]い出[だ]せない。♠真夜中[まよなか]に、あやしい靴音[くつおと]を、ぼくは確[たし]かにこの耳[みみ]で聞[き]いたのです。♠この写真[しゃしん]は、たしか、五年前[ごねんまえ]田舎[いなか]へ行[い]ったとき撮[と]ったものだ。 **たしか・める**【確かめる】 ○確[たし]かかどうかをはっきりさせる。確認[かくにん]する。[文例]〈火[ひ]の元[もと]・戸締[とじま]りを確[しか]かめる〉外出[がいしゅつ]するときや寝[ね]る前[まえ]には、火[ひ]の元[もと]と戸締[とじま]りを必[かなら]ず確[しか]かめましょう。♠〈構造[こうぞう]を確[しか]かめる〉ミシンの構造[こうぞう]を確[しか]かめたくて、ばらばらに分解[ぶんかい]したら、組[く]み立[た]てられなくなってしまった。♠へ番地[ばんち]を確[しか]かめる〉一軒[いっけん]一軒[いっけん]番地[ばんち]を確[しか]かめながら、やっと友達[ともだち]の家[いえ]をさがしあてた。♠へ真相[しんそう]を確[しか]かめる〉加害者[かがいしゃ]は死亡[しぼう]し、証拠物件[しょうこぶっけん]も目撃者[もくげきしゃ]もなく、事件[じけん]の真相[しんそう]を確[しか]かめるすべがない。♠へ事実[じじつ]を確[しか]かめる>事実[じじつ]を確[しか]かめもしないで、人[ひと]のうわさをするのはやめよう。 **たしせいせい**(多士済済) ○すぐれた人物[じんぶつ]が多[おお]く集[あつ]まっているさま。[文例]プロジェクトチームのメンバーは多士[たし]済々[せいせい]、この企画[きかく]にかける社長[しゃちょう]の意気込[いきご]みがよくわかる。♠わが校[こう]の卒業生[そつぎょうせい]は多士[たし]済々[せいせい]、各方面[かくほうめん]で大[だい]活躍[かつやく]している。 **たじたじ** ○相手[あいて]に圧倒[あっとう]されてひるむさま。[文例]社員[しゃいん]からは恐[おそ]れられている社長[しゃちょう]も、かわいい孫[まご]のわがままにはたじたじです。♠へたじたじとなる〉生徒[せいと]から次々[つぎつぎ]に難[むずか]しい質問[しつもん]が出[で]て、新任[しんにん]のぼくはたじたじとなっていた。♠へたじたじの体[てい]>子供[こども]たちに豆[まめ]をぶつけられ、赤鬼[あかおに]や青鬼[あおおに]はたじたじの体[てい]で逃[に]げていきました。 **たじつ**【他日】 ○ほかの日[ひ]。いつか。後日[ごじつ]。[文例]今日[きょう]はお忙[いそが]しいようですから、他日[たじつ]またお伺[うかが]いすることに致[いた]しましょう。♠〈他日[たじつ]を期[き]する〉今[こん]大会[たいかい]でいい成績[せいせき]を残[のこ]せなかった選手[せんしゅ]たちは、他日[たじつ]を期[き]してまた厳[きび]しい練習[れんしゅう]に打[う]ち込[こ]んだ。 **たしなみ**(嗜み) ○好[この]み。心得[こころえ]。心[こころ]がけ。つつしみ。[文例]〈茶[さ]道[どう]のたしなみ〉〈たしなみがある〉茶道[さどう]のたしなみのある祖母[そぼ]は、お客[きゃく]があると、自分[じぶん]のたてたお茶[ちゃ]をすすめます。♠〈たしなみに~する〉父[ちち]は、たしなみに、毎晩[まいばん]おちょうし一本[いっぽん]の酒[さけ]を飲[の]みます。♠へ女[おんな]としてのたしなみ〉こぎれいな身[み]なりで、礼儀正[れいぎただ]しくするのは、女[おんな]としてのたしなみですよと、母[はは]に注意[ちゅうい]された。♠へたしなみがない〉あなたに言[い]われて初[はじ]めて、自分[じぶん]がどんなにわがままで思[おも]い上[あ]がった、たしなみのない娘[むすめ]であったか分[わ]かりました。♠へたしなみがよい〉新[あたら]しく来[こ]られた先生[せんせい]は、清楚[せいそ]な身[み]なりで、笑顔[えがお]の明[あか]るい、たしなみのよい先生[せんせい]でした。♠〈身[み]だしなみ〉会社[かいしゃ]に勤[つと]めてから、わたしは、服装[ふくそう]や態度[たいど]、言葉遣[ことばづか]いなど、身[み]だしなみに気[き]を配[くば]るようになった。 **たしな・む**(嗜む) ○好[この]んで親[した]しむ。好[この]んで身[み]につける。つつしむ。[文例]〈酒[さけ]・たばこをたしなむ〉父[ちち]は、酒[さけ]もたばこもたしなむ程度[ていど]ですから、それで健康[けんこう]を害[がい]するということはまずないでしょう。♠〈俳句[はいく]をたしなむ〉趣味[しゅみ]として俳句[はいく]をたしなんでいるわたしは、ときどき新聞[しんぶん]の文芸欄[ぶんげいらん]に投稿[とうこう]します。 **たしな・める** ○注意[ちゅうい]して反省[はんせい]を促[うなが]す。[文例]母[はは]につい乱暴[らんぼう]な言葉[ことば]を口走[くちばし]ってしまったとき、父[ちち]に厳[きび]しくたしなめられた。♠長[なが]くなったぼくの髪[かみ]を見[み]て、先生[せんせい]は、短[みじか]いほうが似合[にあ]うぞと、軽[かる]くたしなめるように言[い]った。♠電車[でんしゃ]の中[なか]でたばこを吸[す]っている人[ひと]を、車掌[しゃしょう]は丁寧[ていねい]な口調[くちょう]でたしなめていた。♠道[みち]にゴミを捨[す]てようとした子供[こども]を、母親[ははおや]はそっとたしなめて、くずかごに捨[す]てさせた。 **だしぬ。く**【出し抜く】 ○相手[あいて]のすきにつけこんだり、だましたりして先[さき]に行動[こうどう]を起[お]こす。[文例])〈敵[てき]を出[だ]し抜[ぬ]く>油断[ゆだん]する敵[てき]を出[だ]し抜[ぬ]いて、味方[みかた]は先制[せんせい]攻撃[こうげき]をしかけた。♠ヘライバルを出[だ]し抜[ぬ]く〉ライバルを出[だ]し抜[ぬ]くようなことはせず、正々堂々[せいせいどうどう]と勝負[しょうぶ]したい。♠〈他[ほか]を出[だ]し抜[ぬ]く〉本紙[ほんし]は他紙[たし]を出[だ]し抜[ぬ]いて、特[とく]ダネを一面[いちめん]に掲載[けいさい]しました。 <648> **だす**【出す】○内から外へ移す。行かせる。送る。動かす。外に現す。生じさせる。人の前に差し出す。…し始める。[文例]〈物を出す〉男は背広の内ポケットから手帳を出し、相手の住所を確かめた。♠〈舌を出す〉しかられて下を向いていた男の子は、先生が後ろを向いたとたん、ぺろっと舌を出して笑いました。♠〈首を出す〉ぽくが声をかけるのとほとんど同時に、妹が二階の窓から首を出した。♠〈コンクールに出す〉彼はここに並んでいる三つのつぼの一つを、今度のコンクールに出すんだと言っていた。♠〈手紙を出す〉昨日渡した手紙は、ちゃんと速達で出しておいてくれたかい。♠〈責任者を出す〉きみでは話がわからないから、責任者を出しなさい。♠〈代表を出す〉各クラスが一人ずつ代表を出し、修学旅行の自由行動について話し合った。♠〈詩集を出す〉M氏がこの詩集を出したときには、詩壇[しだん]にはほとんどとりあげられなかった。♠〈サインを出す〉選手にサインを出すのは、プロ野球の場合、多くが三塁[さんるい]コーチの役目です。♠〈レポートを出す〉理科の実験レポートを、明日の昼休みまでに出さなければならない。♠〈酒を出す〉車で来た人が多かったので、食事にお酒を出すのはやめにしました。♠〈船を出す〉台風の影響で南風が強く吹き荒れ、船を出すことができなかった。♠〈死傷者を出す〉岩手県南部は、津波による死傷者を多数出し、現在自衛隊が救助に当たっています。♠〈芽を出す〉雨上がりの庭の片隅では、弟が植えたアサガオがかわいい芽を出していた。♠〈金を出す〉今度の事業でわたしが出したお金は、全部で一千万円以上にもなります。♠〈元気を出す〉頂上はもうすぐだ、みんなもっと元気を出せよ。♠〈本気を出す〉遊びのつもりなのに、あいつったら、本気を出すんだもの……。♠〈調子を出す〉前半は動きが悪かったが、後半になって調子を出してきた。♠●〈スピードを出す〉車は、高速道路を百キロ近くのスピードを出して走っていた。♠〈宿題を出す〉夏休みに入ったというのに、先生は宿題をどっさり出すんだからたまらない。♠〈手を出す〉チンパンジーはおりのすき間から手を出して、落ちたリンゴを拾おうとしていた。♠〈手を出す〉両方[ふたす]に言い分はあるだろうが、やはり先に手を出したきみが謝[あやま]るべきだね。♠ **だしぬけ**【出し抜け】○突然であるさま。不意。[文例]〈出し抜けの質問〉弟の出し抜けの質問に、ぼくはまごついてしまった。♠〈出し抜けの攻撃[こうげき]〉敵の出し抜けの攻撃に、味方はかなりの被害[ひがい]を被[こうむ]った。♠〈出し抜けに走り出す〉出し抜けに彼が走り出したのには、びっくりしてしまった。♠出し抜けでもうしわけないが、ちょっと千円貸してくれ。 **だしもの**【出し物】(演し物)○興行で上演する作品。演目。[文例]〈学芸会の出し物〉三年二組の学芸会の出し物は、ブレーメンの音楽隊の劇です。♠〈サーカスの出し物〉このサーカスには空中ブランコ・綱渡り・動物の曲芸などの出し物がそろっている。 **たしゃ**【他者】○自分以外の人。別のもの。→自己[文例]〈他者の生活〉自己の利益はもちろん大切だが、他者の生活をおびやかしてはならない。♠〈他者の立場〉他者の立場に立てとはよく言うが、現実にそれができる人は少ない。♠〈他者の存在〉他者の存在を前提として、初めて自分がある。社会とはそういうものだと思う。 **だじゃれ**(駄洒落)○つまらないしゃれ。[文例]〈だじゃれを言う〉そんなつまらないだじゃれを言ったって、小学生も笑わないよ。♠〈だじゃれを飛ばす〉少しお酒の入ったおじさんは、次々にだじゃれを飛ばして周りの人のひんしゅくを買っていた。 **たしゅたよう**【多種多様】○種類が多く、さまざまなものが集まっているさま。[文例]〈多種多様な商品〉スーパーには、雑貨類から家具・寝具類に至るまで多種多様な商品が取りそろえてあります。♠〈多種多様な生活〉世界の各地で人々は多種多様な生活を営んでいます。 **たしょう**【多少】○多いことと少ないこと。いくぶん。少々。[文例]〈多少にかかわらず〉金額の多少にかかわらず、借りたお金はなるべく早く返しなさい。♠〈多少を問わず〉参加者の多少を問わず、会は定刻どおり開かれますので、みなさんお早めにご来場ください。♠〈多少のこと〉多少のことは大目に見ても、度の過ぎたいたずらは許しがたい。♠〈多少の違い〉各地方で多少の違いはあるにせよ、この民話は、日本中いたるところに残っている。♠〈多少なりとも〉多少なりとも関心がある人なら、この事件は覚えているでしょう。♠先日の台風で、ぼくのうちでも多少被害がありました。♠日中は暑いですが、朝晩は多少冷えます。 **たじょう**【多情】○感じやすく、気が多いさま。移り気。[文例]〈多情な女〉恋多き彼女を、町の人たちは多情な女だと思っていた。♠〈多情多感〉わたしは、南国の町で多情多感な娘時代を送りました。 **たじろ・ぐ**○ひるむ。しりごみする。よろめく。[文例]〈質問にたじろぐ〉生徒の難しい質問に一瞬[いっしゅん]たじろいだが、なんとか答えて面目[めんぼく]を保[たも]った。♠〈勢いにたじろぐ〉ひどい言いがかりだと思ったが、相手の勢いにたじろいで言い返せなかった。♠〈反撃[はんげき]にたじろぐ〉後半に入って、味方は相手チームの反撃にたじろぎ、浮き足[うわあし]だった。 **だしん**【打診】○患者の体を軽くたたいて診察すること。事前に相手の意向をさぐること。[文例]〈医師の打診〉検査に先立って、胸部に医師の打診を受けた。♠〈意向を打診する〉話し合いの前に、彼に電話をかけて意向を打診してみた。♠〈気持ちを打診する〉その気があるのかどうか、おばさんはお見合いの前に姉の気持ちを打診しておきたいらしい。 **た・す**【足す】○加える。済ませる。[文例]〈数を足す〉かっこの中の数を先に足してから、割り算をするんだよ。♠〈金を足す〉預かったぶんのお金では足りなかったから、そのぶんわたしのお金を足しておきました。♠〈用を足す〉ちょっと用を足したいからと、おばさんは母に赤ちゃんを預けて出かけたまま、なかなか帰ってきません。♠〈言い足す〉説教してから、母は、あなたのためを思って言うのよと言い足した。 **だ・す**【出す】○内から外へ移す。行かせる。送る。動かす。外に現す。生じさせる。人の前に差し出す。…し始める。[文例] <649> と喜んでいます。♠〈家計が助かる〉家で野菜を作っているので、店で買うこともなく、家計が助かっています。♠きみが手伝ってくれたおかげで、本当に助かったよ。 **たすき(襷)** ○着物のそでをたくし上げるために背中に十文字にかけるひも。一方の肩から斜めにかける布。[文例]〈たすきをかける〉おばあちゃんは、たすきをかけて家中の掃除に精を出します。♠〈たすきを渡す〉駅伝の走者は、バトンのかわりにたすきを次の走者に渡していきます。♠〈帯に短したすきに長し〉「帯に短したすきに長し」でどいつもこいつも、中途半端[ちゆうとはんば]で役に立たない。 **たすけ【助け】** ○助けること。助けてくれる人。[文例]〈助けを呼ぶ〉吹雪[ふぶき]で道を見失い、助けを呼んだが、声は風の音にかき消されてしまった。♠〈助けを求める〉小さなボートで漂流[ひようりゅう]中、沖[おき]に船を見つけ、声を限りに助けを求めた。♠〈助けを借りる〉文章を分かりやすく、読みやすくするために、句読点などいろいろな符号の助けを借りるのです。♠〈助けになる〉友達の適切[てきせつ]な忠告[ちゆうこく]は、わたしにとって大いに助けになります。♠〈命ばかりはお助けを〉有り金全部差し上げますから、命ばかりはお助けを。 **たすけぶね【助け船・助け舟】** ○遭難者を救助する船。窮地を救うための手段。[文例]〈助け船が来る〉この無人島にたどり着いてもう三か月、いつになったら助け船が来るのだろうか。♠〈助け船を出す〉詩の暗唱の途中でつっかえたぼくに、先生が助け船を出してくれた。 **たす・ける【助ける】** ○危険から人を救う。力を貸す。手伝う。[文例]〈生き物を助ける〉ぼくは今日、池に落ちた子猫[こねこ]を助けた。♠〈人を助ける〉火事で逃げ遅れた人々を、消防士たちは、救命具を使って助けました。♠〈母を助ける〉姉とわたしは、働いている母を助けて、よく家事を手伝います。♠〈王を助ける〉昔[むかし]、中国では、「宰相[さいしよう]」が天子や王を助けて政治を行った。♠〈弱きを助ける〉「強きをくじき、弱きを助ける」者こそ、男の中の男ってもんさ。♠〈家計を助ける〉家計を助けるために、母はパートに出はじめた。♠〈消化を助ける〉だ液や胃液などの消化液は、食物の消化を助ける。♠〈生長を助ける〉雨は、植物の生長を助けたり、飲料水になったりする、大切な天の恵みです。♠〈理解を助ける〉この事典は写真が豊富にのっていて、理解を助けてくれます。♠〈芸は身を助ける〉「芸は身を助ける」と言って、何か技芸を身につけておくと、生活に困った時なども、それが役に立つものです。 **たずさ・える【携える】** ○手に持つ。手をとる。連れ立つ。[文例]〈物を携える〉父は愛用のカメラを携えて、三泊四日の旅行に出かけた。♠〈手を携える〉老夫婦は、苦しい時もつらい時も手を携えて今日まで生きてきました。♠〈紹介状を携える〉総合病院の受付にやって来た患者は、かかりつけの医師の紹介状を携えていた。♠〈家族を携える〉東京の大学で教鞭[きようべん]をとることになったペレ博士は、このほど家族を携えて来日した。 **たずさわ・る【携わる】** ○かかわる。従事する。[文例]〈学問に携わる〉学問に携わる人は、いつも科学的なものの見方・考え方で仕事をすることが大切です。♠〈仕事に携わる〉ぼくは車が好きなので、大人になったら、自動車関係の仕事に携わりたい。♠〈家事・育児に携わる〉十年間、家事・育児に携わっていた姉が、看護婦として再就職することになった。♠〈教育に携わる〉長年中学教育に携わっていたおじがいよいよ今年限りで勇退する。♠〈農業に携わる〉この地方では、都会からUターンして農業に携わる若者が増えてきました。 **たず・ねる【訪ねる・尋ねる】(訊ねる)** ○おとずれる。訪問する。探し求める。追求する。質問する。[文例]〈広島を訪ねる〉今年の夏、わたしはまた広島を訪ねることになった。♠〈友達を訪ねる〉友達を会社に訪ねたら、仕事で外出中だった。♠〈風物を訪ねる〉暇[ひま]ができたら、むかしの友人に会ったり、各地の風物を訪ねて旅をしたい。♠〈祖先を訪ねる〉わたしたちヒトの祖先をずっと訪ねていくと、サルの祖先に行き当たります。♠〈春を訪ねる〉丘[おか]のお花畑は、チュー <650> リップが満開で、春を訪ねる人々があとを絶たない。♠〈道を尋ねる〉坂道で、見知らぬおばさんに、大竹商会へ行く道を尋ねられた。♠〈訳[わけ]を尋ねる〉祖父は、テレビを見ながら笑っている兄に、訳[わけ]を尋ねた。♠〈由来を尋ねる〉この辺りをなぜ小石川というのか、古老にその由来を尋ねてみました。♠〈安否[あんび]を尋ねる〉事故現場で、兄の安否[あんび]を尋ねても、知っている者はだれもいなかった。♠〈古きをたずねて新しきを知る〉過ぎ去った歴史が将来へ導く指針になるというたとえが、「古きをたずねて新しきを知る」だ。 **だ・する【堕する】** ○よくない傾向に陥る。落ちる。[文例]〈遊びに堕する〉厳しさのない運動は、わたしには遊びに堕したもの、少なくとも遊びの延長としか思えない。♠〈マンネリに堕する〉高い視聴率を誇ってきたこの番組も、最近マンネリに堕した感がある。 **たぜい【多勢】** ○大勢であること。多人数。[文例]〈多勢に無勢[ぶぜい]〉ぼくたちは必死に抵抗したが、いかんせん多勢に無勢[ぶぜい]で、とうとう取り押さえられてしまった。♠〈多勢をたのむ〉一行は多勢であることをたのみ、山賊[さんぞく]の出る危険のある夜間にあえて出発した。 **だせい【惰性】** ○物体が同一の運動状態を保とうとする性質。これまでの習慣。なれ。[文例]〈惰性で進む〉ペダルをこぐのをやめても、自転車はしばらく惰性で進む。♠〈惰性で続く〉こんな会議を惰性で続けても、創造的な企画は生まれないだろう。♠〈惰性に流される〉単調な繰り返しの毎日の生活は惰性に流されて、わたしは目標を失いかけていた。♠〈惰性的〉惰性的な生活から、新しい発想はうまれないだろう。 **たそがれ(黄昏)** ○(「誰[た]そ彼[かれ]は」から)夕暮れ。夕方。物事の衰退期。[文例]日も暮れかけたたそがれの公園は、子供たちの遊んだ跡[あと]を残したまま、静まり返っている。♠〈そたがれの街〉たそがれの街は、騒[さわ]がしい昼間とはうってかわって、しっとりとしたムードがただよいます。♠〈たそがれの空〉ふと見上げると、たそがれの空に一番星が光っていた。♠〈秋のたそがれ〉秋のたそがれは、もの寂[さび]しく、わたしたちをセンチメンタルな気持ちにさせます。♠〈たそがれどき〉クラブ活動で遅くなり、たそがれどきの薄暗[うすくら]い道を、ぼくは家へと急いだ。♠〈人生のたそがれ〉わたしも人生のたそがれにさしかかったのだろうか、近ごろ、身も心も老いを感じるようになった。 **たそがれる** ○たそがれになる。衰えていく。[文例]〈町がたそがれる〉日没とともに、次第にたそがれてゆく町の大通り……。♠〈人生がたそがれる〉妻と三人の子に囲まれ、わたしの人生は穏[おだ]やかにたそがれていった。 **だそく【蛇足】** ○(蛇の絵に足をかいて、絵をかく競争に負けたという中国の故事から)よけいなもの。[文例]きみの作文は良くできていたけれど、最後の一節は蛇足だから削[けず]ったほうがいい。♠〈蛇足になる〉地元の皆様[みなさま]には蛇足になるかもしれませんが、会場までの道順をご説明します。♠〈蛇足で付け加える〉今度くる先生は若くて美人です。なお、蛇足で付け加えますと、もう結婚[けつこん]しています。 **たた【多多】** ○数が多いさま。[文例]〈多々ある〉選手の諸君にはずいぶん無理を言いましたので、謝らなければならない点が多々あります。♠〈多々ますます弁ず〉どんどん仕事をもってきなさい。「多々ますます弁ず」で、かたっぱしから片づけてやる。 **ただ(唯)** ○たった。わずかに。ひたすら。ただし。[文例]〈ただ~だけ〉教室はしんと静まり返り、聞こえるのは、ただ紙の上を走る鉛筆[えんぴつ]の音だけだ。♠〈ただ一つ〉日本にはもともと文字がなかったので、中国から伝えられた漢字がただ一つの文字でした。♠〈ただ~する〉あいつは少しでも金があると、すぐ酒を飲み、酒がなくなると、ただぼんやりしている困った男だ。♠〈ただ単に〉日本で、ただ単に「花」といえば、桜[さくら]の花をさすのがふつうだった。♠〈ただ~は〉もうこの世に思い残すことはないが、ただ気がかりなのは、体の弱い息子[むすこ]のことだ。♠〈ただの一度〉どんなつらい目にあっても、ただの一度も泣き言を言ったことはない。♠〈ただただ〉あなたには、ただただ感謝もうしあげるばかりです。 **ただ(只)** ○代金がいらないこと。無料。何もないこと。平凡。普通。[文例]あのラーメン屋さんは、開店サービスで、三人で行くと一人分ただなんだって。♠〈ただでくれる〉こんな高価な物をただでくれるなんて、話がうますぎるよ。♠〈ただの酒〉あそこの御隠居[ごいんきよ]のところに、ただの酒があるんだってね、ごちそうになろうや。♠〈ただではすまない〉こんな所に落書きして、先生に見つかったらただではすまされないよ。♠〈ただの人〉あんな秀才だった彼も、「十で神童、十五で才子、二十[はたち]過ぎればただの人」のことわざどおりさ。♠〈ただでさえ〉ただでさえ忙しいところに、そんなつまらない相談をもってくるな。♠〈ただより高いものはない〉そんなうまい話には注意しな。ただより高いものはないっていうぞ。♠〈転んでもただは起きない〉どんな時にもちゃっかり得[とく]をする人だね、転んでもただは起きないとはきみのことだよ。♠〈ただ働き〉小遣[こづか]いをあてにして仕事を手伝ったのに、ばかばかしい、ただ働きだった。 **だだ【駄駄】** ○子供が聞き分けもなく、わがままを言うこと。[文例]〈だだをこねる〉だだをこねる妹を家に置き去りにして、少年は一人で遊びに行った。♠〈だだをこねる〉いくらだだをこねたって、今日は何も買ってあげませんよ。♠〈だだを言う〉疲れ切ったお母さんのスカートを引っ張りながら、弟はだだを言って困らせた。♠〈だだっ子〉この子は、一人っ子のせいか、ずいぶんだだっ子に育ってしまった。 **ただい【多大】** ○非常に多いさま。程度が非常に大きいさま。[文例]〈恩恵[おんけい]が多大〉人間が生きていくうえで、自然から受ける恩恵[おんけい]は限りなく多大である。♠〈多大の損害[そんがい]〉台風で多大の損害[そんがい]を受けた鉄道は、一か月たっても復旧の見通しすら立たない。♠〈多大な寄付〉この度[たび]は、当協会に多大なご寄付を頂[いただ]きまして、厚くお礼を申し上げます。 **ただいま(唯今・只今)** ○たった今。今すぐ。目下。現在。帰宅の時のあいさつの言葉。[文例]父は、ただいま外出しておりますが、間もなく戻りますのでどうぞお上がりください。 <651> ただし た ぼう の闘い〉北極調査隊の隊員たちは、みごとなチームワークで、自然との闘いに打ち勝った。♠「何をしているの、早くこちらへいらっしゃい。」「はい、ただいま参ります。」♠国王夫妻を乗せた飛行機が、ただいま空港に到着しました。♠「ただいま。」「おかえりなさい。手 を洗っておやつにしましょう。」 **たた・える(称える)** ○ほめる。称賛する。[文例]〈健闘[けんとう]をたたえる〉試合が終わると、会場に、選手たちの健闘[けんとう]をたたえる大きな拍手[はくしゅ]がわき起こった。♠〈詩人[しじん]をたたえる〉中国の二大詩人[しじん]、李白[りはく]と杜甫[とほ]は、それぞれ、「詩仙[しせん]」、「詩聖[しせい]」とたたえられる。♠〈勇気[ゆうき]をたたえる〉生徒を救うために命を落とした先生の勇気[ゆうき]をたたえて、石碑[せきひ]が建てられた。♠〈功労[こうろう]をたたえる〉市では、毎年、社会のために尽くした人の功労[こうろう]をたたえて表彰[ひょうしょう]します。♠〈業績[ぎょうせき]をたたえる〉氏の生前の業績[ぎょうせき]をたたえて、記念館が建設されることになった。♠〈美しさをたたえる〉昔から、自然の美しさをたたえた歌は多い。♠〈神をたたえる〉人々は、喜びのときは神をたたえ、苦しみのときは神に祈[いの]った。 **たた・える(湛える)** ○液体でいっぱいにする。満たす。表情にはっきり出す。[文例]〈水をたたえる〉山の湖はまんまんと水をたたえていた。♠〈涙をたたえる〉悲しみをこらえる少女の目は、涙をいっぱいたたえている。♠〈笑みをたたえる〉お母さんの姿を見つけると、女の子は顔いっぱいに笑みをたたえて走り寄った。♠〈満面[まんめん]に笑みをたたえる〉大学の合格発表を見に行った兄が、満面[まんめん]に笑みをたたえて帰ってきました。♠〈静けさをたたえる〉砂漠[さばく]の夕やみに立つピラミッドは神秘的な静けさをたたえていた。 **たたかい【戦い・闘い】** ○たたかうこと。戦争。戦闘。闘争。勝負。[文例]〈戦いに敗れる〉平家[へいけ]はこの戦いで源氏[げんじ]に敗れ滅亡した。♠〈戦いに出る〉村の若者たちのほとんどは、戦いに出て行ったまま帰らなかった。♠く苦しい戦い〉大会では苦しい戦いの連続だったが、なんとか決勝戦までこぎつけた。♠〈生きるための闘い〉人の一生は、生きるための闘いと言えるだろう。♠〈貧しさ・病気との闘い〉詩人[しじん]の青春は、貧しさや病気との闘いの明け暮れであった。♠〈自然との闘い〉 **たたか・う【戦う・闘う】** ○相手と争う。戦争をする。人と優劣を競う。苦難を乗り越えようと努力する。[文例]〈敵と戦う〉一回戦から強敵と戦わねばならないので、みんな緊張ぎみだ。♠〈試合で戦う〉試合は負けたが、力いっぱい戦ったので悔[く]いはない。♠〈自然と闘う〉人間は自然と闘い、労働を通して、火や道具を自分たちのものとしてきた。♠〈困難と闘う〉彼は、多くの困難と闘って、ついに目的を果たすことができた。♠〈病気と闘う〉この書は、病気と闘いながら、美しい詩を残して逝[ゆ]った少女の感動的な記録です。 **たたきあ・げる【たたき上げる】** (叩き上げる)○たたいて作る。きたえあげる。苦労して一人前になる。[文例]〈一からたたき上げる〉コーチは、なまけ癖[ぐせ]のついていたぼくを一からたたき上げてくれた。♠〈土台からたたき上げる〉基礎のできていない生徒は、土台からたたき上げるつもりだ。♠〈職人からたたき上げる〉職人からたたき上げて社長になった人だけに、働く者の気持ちも理解してくれた。 **たたきこ・む【たたき込む】** (叩き込む)○たたいて入れる。ほうり込む。強引に教え込む。しっかり覚え込む。[文例]〈柱をたたきこむ〉工事現場では、長いコンクリートの柱を土の中にたたきこむ作業が行われている。♠〈蔵にたたきこむ〉小さいころよくいたずらをして、この土蔵にたたきこまれたものだ。♠〈頭にたたきこむ〉重要な公式は、しっかり頭の中にたたきこんでおきなさい。 **たたきだい【たたき台】** (叩き台)○物をたたく時の台。検討して結論をうむための原案。[文例]〈たたき台にする〉小委員会の原案をたたき台にして、話し合いが続けられた。 **たたきのめ・す(叩きのめす)** ○徹底的にたたく。足腰が立たないほどやっつける。[文例]〈敵をたたきのめす〉♠〈甘えをたたきのめす〉挑戦者は必ずやチャンピオンをたたきのめし、王座[おうざ]を奪[うば]うと豪語[ごうご]している。 **たたく(叩く)** ○手や棒などで打つ。続けざまに打つ。打って音を立てる。やっつける。非難する。値切る。述べ立てる。[文例]〈頭をたたく〉あまり調子にのり過ぎて、兄にコツンと頭をたたかれた。♠〈肩をたたく〉お母さん、疲れたの?肩をたたいてあげようか。♠〈手をたたく〉ひいきのチームが勝つと、父は手をたたいて喜びます。♠〈戸をたたく〉真夜中、激しく戸をたたく音で目が覚めた。♠〈太鼓[たいこ]をたたく〉村の鎮守様[ちんじゅさま]のお祭りなので、太鼓[たいこ]をたたく音や笛[ふえ]の音[ね]がにぎやかに聞こえてきます。♠〈水をたたく〉大きなこいがパシッと池の水をたたいてはねた。♠〈しりをたたく〉いつまでも、親にしりをたたかれないと勉強できないようではだめじゃないの。♠〈胸をたたく〉兄は、どんと胸をたたいて、数学ならまかせておけと自信満々に言った。♠〈門をたたく〉彼は上京し、有名な画家の門をたたき、弟子にしてくれと頼んだ。♠石橋をたたいて渡る「石橋をたたいて渡る」という言葉は、用心のうえにも用心をすることのたとえです。♠〈雨風にたたかれる〉ゆうべの激しい雨風にたたかれて、庭の花がメチャメチャです。♠〈アジをたたく〉生きのいいアジは、生のままたたいて食べるのがいちばんだ。♠〈敵をたたく〉味方の軍は、敵の後方をたたく作戦をとった。♠〈新聞・テレビでたたかれる〉スキャンダルを起こした政治家は、テレビでさんざんたたかれた。♠〈たたいて買う〉母は、売れ残った品を、半額にまでたたいて買いました。♠〈陰口[かげぐち]をたたく〉人の陰口[かげぐち]をたたくのはよそう。♠〈減らず口をたたく〉妹は、減らず口ばかりたたいて、本当に生意気だ。♠叩かれて昼の蚊を吐く木魚かな(夏目漱石) **ただごと【ただ事】** (徒事・唯事・只事)○なんでもないこと。[文例]〈ただ事でない〉おとなしい村人が大騒[おおさわ]ぎをするからにはただ事でない。♠〈ただ事ではすまない〉大切なレコードを割ってしまったんだ、ただ事ではすまないぞ。 **ただし【但し】** ○そうではあるが。とはいっても。[文例]わたしは野球ができない、ただし、見るのは大好きだ。♠野外コンサートは、明日の正午からです。ただし、雨天の場合は明後日に延期します。♠クイズの応募[おうぼ]は九月三十日しめき <652> り、ただし、当日の消印[けしいん]は有効と認めます。♠へただし書き〉美術館の入り口に「ただし、小学生以下は無料」というただし書きがあった。 **ただしい【正しい】** 道理にかなっている。真実である。整って乱れがない。[文例]〈心が正しい〉明治生まれのおじいちゃんは、曲がったことのきらいな、心の正しい人です。♠〈正しく考える〉〈正しい判断〉正しく考えて、正しい判断を下すことができれば、いつでも適切な行動がとれるんだが。♠〈正しい時間〉ぼくの時計はおくれているようだから、正しい時間を教えてください。♠〈清く正しく美しく〉人が一生を、清く正しく美しく生きぬくのは難しいことです。♠〈規則正しい〉線路の両側に水田がどこまでも規則正しく並んでいる。♠へ由緒[ゆいしyo]正しい〉方言には、共通語にはない由緒[ゆいしょ]正しい古典語が残っていることがある。♠〈礼儀[れいぎ]正しい〉あの男は、勇敢[ゆうかん]なだけでなく、礼儀[れいぎ]正しく、慎[つつし]み深い。♠へ正[せい]しくは〉日銀[にちぎん]は正[せい]しくは日本銀行といいます。 **ただ・す【正す】(糺す・質す)** 正しくする。よしあしをはっきりさせる。質問する。取り調べる。[文例]〈誤りを正す〉次の文中の用語の誤りを正しなさい。♠〈列を正す〉先生の「止まれ」の号令で、かけ足をしていた小学生たちが止まって列を正した。♠〈姿勢を正す〉姿勢を正して本を読まな、と、目を悪くしますよ。♠〈行いを正す〉さんざん人に迷惑[めいわく]をかけたあの男が、人が変わったように行いを正すようになった。♠へ襟[えり]を正す〉子を見て、その親を知ると言われると、親としては襟[えり]を正さないわけにはいかない。♠へ威儀を正す〉礼服に威儀を正した受賞者たちの写真が新聞の一面をかざっている。♠へ居ずまいを正す〉人の見ていない所でも居ずまいを正していられる人が、本当の紳士・淑女[しんししゅくじょ]と言えるでしょう。♠〈元をただす〉昨日の山火事は、元をただせば、ハイカーのたばこの不始末が原因でした。♠へ罪状をただす〉お奉行がじきじきに男の罪状をただすことになった。♠〈真偽[しんぎ]をただす〉関係者に会って、事の真偽[しんぎ]をたださなくてはなるまい。♠へ是非をただす〉このような勝手がまかりとおるなら、自由放任教育の是非をただすべきである。 **たたずまい(佇まい)** 立っている様子。ありさま。[文例]〈落ち着いたたたずまい〉おばの家は、落ち着いたたたずまいの山の手の住宅地にあります。♠〈町のたたずまい〉ここは、まだ昔の城下町[じょうかまち]のたたずまいを残した、静かな情緒[じょうちょ]あふれる町です。♠へ庭のたたずまい〉静寂[せいじゃく]な美しさをただよわせたその庭のたたずまいは、わたしの心をひきつけました。♠〈雲のたたずまい〉雲のたたずまいは絶えず変わり、眺めてあきることがない。 **たたず・む(佇む)** 止まってその場に立つ。[文例]〈門の前にたたずむ〉門の前にたたずんでいるのは、わたしの帰りを心配して待つ母らしい。♠〈海辺にたたずむ〉海辺にたたずんで、しばらく夕日の美しさに見とれていました。♠へやみにたたずむ〉夕やみの中にたたずむ人かげにぎょっとしたが、よく見たら枯れ木だった。 **ただちに【直ちに】** 即座に。今すぐ。[文例]みんなそろったら、直ちに出発します。♠アメリカから帰国後直ちに、ぼくの一家は、田舎[いなか]の祖父の墓にお参りした。♠おじいさんがたおれたとの知らせで、わたしは直ちに病院へかけつけました。♠兵士たちは、命令が伝えられれば、直ちに行動を開始する。 **ただならぬ** 普通でない。[文例]〈ただならぬ声〉愛犬レオのただならぬ鳴き声に、わたしはベッドから飛び起きました。♠へただならぬ仲〉あの様子を見ると、二人がただならぬ仲であることがわかります。♠へただならぬ気配〉職員室のただならぬ気配に、生徒たちも緊張[きんちょう]しています。 **たたみ【畳】** わらの床[とこ]を畳表[たたみおもて]でおおった和室用の敷物。[文例]〈畳を敷く〉年寄りは、畳を敷いた和室のほうが落ち着きます。♠へ畳を干す〉ダニ退治には、日なたに畳を干すのが効果的だ。♠〈畳の上の水練〉理屈はわかっても実際に役に立たなければ、畳の上の水練だ。♠へ女房[にょうぼう]と畳は新しいほうがよい〉「女房[にょうぼう]と畳は新しいほうがよい」というが、長年連れそった古女房もなかなかよいと思います。♠へ畳の上で死ぬ〉この年になったら、できるだけおだやかに畳の上で死にたいと思う。♠瓶にさす藤の花ぶさみじかければたたみの上にとどかざりけり(正岡子規) **たたみか・ける【畳み掛ける】** すぐに続けてしかける。[文例]〈質問をたたみかける〉記者団のたたみかけるような質問に、新人女優は泣き出しそうな表情になった。♠へたたみかける口調〉話は佳境[かきょう]に入ってたたみかける講釈師の口調に、客はどんどんひきこまれていきます。♠へたたみかけるリズム〉曲はゆったりと落ち着いた感じから、たたみかけるような激しいリズムに変わった。♠へたたみかけるよう〉敵のたたみかけるような攻撃に、味方はこらえきれず後退していく。 **たた・む【畳む】** 折り重ねる。折り曲げて小さくする。閉じる。やめる。しまう。やっつける。[文例]〈布団[ふとん]を畳む〉兄は、朝寝坊[あさねぼう]をして、布団[ふとん]も畳まずに急いで飛び出して行った。♠〈洗濯物[せんたくもの]を畳む〉自分の洗濯物[せんたくもの]ぐらい、自分で畳みなさい。♠〈ちゃぶ台を畳む〉この部屋は、昼は茶の間ですが、夜にはちゃぶ台を畳んで寝室[しんしつ]になります。♠へ羽を畳む〉コノハチョウが羽を畳んだ姿は、まったく、枯れ葉にそっくりです。♠〈傘[かさ]を畳む〉もう雨はやんだから、傘[かさ]を畳んだら?♠胸に畳む〉このことは、だれにも知らせないで、わたしの胸に畳んでおくつもりです。♠〈店を畳む〉ふろのない家もだんだん少なくなって客がへったので、近くのおふろ屋さんも店を畳んでしまった。♠〈家を畳む〉主人も亡くなりましたので、この家を畳んで息子夫婦のところへ行くことにしました。♠かまわん、邪魔者[じゃまもの]は畳んでしまえ! **ただよ・う【漂う】** 水中や空中に浮いて揺れ動く。においが流れる。気配がたちこめる。さまよう。[文例]〈波間[なみま]に漂う〉見事に射ぬいた真っ赤な扇[おうぎ]は、夕日に輝く波間[なみま]に漂っていた。♠〈雲が漂う〉ちぎれ雲が風に誘[さそ]われて広い空に漂うように、わたしもあてどなくさまよいたい。♠〈香りが漂う〉校庭のくすの木の香りが、教室の中まで漂ってきました。♠〈雰囲気[ふんいき]が漂う〉どういうわけか、今朝の教室には、暗い雰囲気[ふんいき]が漂っている。 <653> たちおくれる た 囲気が漂[ただよ]っています。♠〈なつかしさが漂[ただよ]う〉卒業後ひさしぶりに集まったクラス会の会場には、なつかしさが漂[ただよ]っています。♠〈沈黙[ちんもく]が漂[ただよ]う〉二人の間に漂[ただよ]う気まずい沈黙[ちんもく]を破って、電話のベルが鳴り出した。♠〈愁[うれ]いが漂[ただよ]う〉彼は、彼女の顔に漂[ただよ]う愁[うれ]いのかげを見のがさなかった。 **たち(質)** ○性質。体質。物事の質。♠〈静かな・にぎやかなたち〉祖父は静かなたち[たち]の人だが、祖母はいたってにぎやかなたち[たち]です。♠〈怒りっぽいたち〉姉は、怒りっぽいたち[たち]なので、わたしはなるべく逆らわないようにしています。♠〈涙もろいたち〉母はにぎやかだが涙もろいたち[たち]で、かわいそうな話などを聞くと、すぐに涙ぐんでしまいます。♠〈たちが悪い〉たちの悪いおできだとこわいから、一度医者にみてもらったほうがいいよ。♠〈たちが悪い〉用もないのに一一〇番するなんて、たちの悪いいたずらだ。 **たたり(祟り)** ○神仏や死者の霊[れい]などがもたらすわざわい。悪い報い。[文例]〈たたりがある〉この池を通ると、昔ここで死んだ女のたたりがあるという、不気味な言い伝えがある。♠〈たたりをする〉悪霊[あくりょう]とは、悪いたたりをする死者の霊をいいます。♠〈後[あと]のたたり〉あんまり人の悪口ばかり言っていると、後[あと]のたたりが怖[こわ]いぞ。♠〈さわらぬ神にたたりなし〉「さわらぬ神にたたりなし」というから、めんどうなことにはかかわらないほうが無難かもしれないよ。♠〈弱り目にたたり目〉道に迷ったところに、この雨じゃ、まったく弱り目にたたり目だ。 **たた・る(祟る)** ○神仏や死者の霊[れい]などがわざわいをもたらす。悪い結果をもたらす。[文例]〈霊[れい]がたたる〉悪いことが重なるのは、霊[れい]がその人にたたるからだなんて、そんな迷信[めいしん]じみた話はよしてくれよ。♠〈過労がたたる〉毎晩遅くまで仕事をしていた父は、とうとう過労がたたって病気になってしまった。♠〈不勉強がたたる〉日ごろの不勉強がたたって、テストの結果はさんざんなものでした。♠〈飲み過ぎがたたる〉兄は、ゆうべの飲み過ぎがたたって、さかんに頭が痛いと言っています。 **ただ・れる(爛れる)** ○皮膚が破れ、肉が崩れる。(よくないことに)おぼれて、心がすさみはてる。[文例]〈皮膚がただれる〉虫にさされたあとをかいたら、皮膚が赤くただれてしまった。♠〈目がただれる〉よごれた手で目にさわると、ただれることがあるから注意しなさい。♠〈傷口[きずぐち]がただれる〉十分な手当てを受けられない傷兵[しょうへい]たちの傷口[きずぐち]はただれて、うじさえわいていた。♠〈心がただれる〉当時、わたしの心は、酒とギャンブルにただれていた。 **たち(質)** ○性質。体質。物事の質。[文例]〈静かな・にぎやかなたち〉 **なたち** ○祖父は静かなたち[たち]の人だが、祖母はいたってにぎやかなたち[たち]です。♠〈怒りっぽいたち〉姉は、怒りっぽいたち[たち]なので、わたしはなるべく逆らわないようにしています。♠〈涙もろいたち〉母はにぎやかだが涙もろいたち[たち]で、かわいそうな話などを聞くと、すぐに涙ぐんでしまいます。♠〈たちが悪い〉たちの悪いおできだとこわいから、一度医者にみてもらったほうがいいよ。♠〈たちが悪い〉用もないのに一一〇番するなんて、たちの悪いいたずらだ。 **たちあ・う【立ち会う・立ち合う】** ○現場に立つ。その場に出る。向き合って勝負を争う。[文例]〈現場に立ち会う〉ぼくがその現場に立ち会ったので、間違いはありません。♠〈投票・開票に立ち会う〉生徒会役員の選挙では、選挙管理委員が投票と開票に立ち会いました。♠〈死に立ち会う〉彼の死に立ち会った家族の話では、眠るような静かな最期[さいご]だったという。♠〈調印に立ち会う〉両国王が調印に立ち会い、条約は無事に締結[ていけつ]された。♠〈両者が立ち合う〉横綱[よこづな]は、優勝をかけ、相手は勝ち越しをかけて立ち合い、激しい取り組みをみせた。 **たちあがる【立ち上がる】** ○腰を上げて立つ。気力を取りもどす。行動を起こす。[文例]〈いすから立ち上がる〉いすから立ち上がると、黒板へ出て問題を解いた。♠〈失意から立ち上がる〉失意のどん底から立ち上がり、来年の受験に向けて勉強を始めた。♠〈労働者が立ち上がる〉軍事政権打倒を合い言葉についに労働者大衆が立ち上がった。 **たちいふるまい【立ち居振る舞い】** ○立ったり座ったりの日常の動作。[文例]〈立ち居振る舞いに現れる〉夫がわたしになにか隠していることは、いつもと違う立ち居振る舞いに現れていた。♠〈立ち居振る舞いがたいへん〉慣れない振袖[ふりそで]姿の姉は、立ち居振る舞いがたいへんそうだ。♠〈上品な立ち居振る舞い〉少女の上品な立ち居振る舞いから、家庭でのしっかりしたしつけがうかがわれた。 **たちい・る【立ち入る】** ○中に入る。入り込む。かかわる。干渉する。[文例]〈庭に立ち入る〉人の家の庭に無断で立ち入られては困る。♠〈お堂に立ち入る〉その聖なるお堂には、何人も立ち入ることは許されていない。♠〈他人の問題に立ち入る〉きみはこの問題には関係がないのだから、立ち入らないでくれたまえ。♠〈思想・生活に立ち入る〉警察が国民の思想や生活面のすみずみまで立ち入るような世の中はごめんだ。♠〈立ち入ったことを聞く〉立ち入ったことを聞くようですが、お宅[たく]は何人家族ですか。 **たちうち【太刀打ち】** ○太刀で打ち合うこと。まともに競い合うこと。[文例]〈太刀打ちする〉あの爆発的な攻撃力に太刀打ちするには、守備力を強化するしかないだろう。♠英語に関しては、この学校で森田さんに太刀打ちできる人はいません。 **たちおうじょう【立ち往生】** ○立ったまま死ぬこと。行き詰まって動きがとれないこと。[文例]〈立ち往生を遂げる〉源義経[みなもとのよしつね]の家来武蔵坊弁慶[むさしぼうべんけい]が体中に敵の矢を受け、立ち往生を遂げた話は有名です。♠〈立ち往生する〉大雪で立ち往生していた列車は、必死の除雪作業で運転を再開した。 **たちおくれ【立ち遅れ・立ち後れ】** ○立ち遅れること。[文例]〈立ち合いの立ち遅れ〉立ち合いの立ち遅れから、大関はいい所なく簡単に土俵を割ってしまった。♠〈対策の立ち遅れ〉公害がひどくなる一方で、政府の対策の立ち遅れを非難する声が高まっていった。♠〈開発の立ち遅れ〉製品開発の立ち遅れが、営業不振の原因となった。 **たちおく・れる【立ち遅れる・立ち後れる】** ○遅れて立ち上がる。事を起こすのが遅れる。進歩が遅れる。[文例]〈スタートで立ち遅れる〉スタートで立ち遅れたのがひびいて、びりから二番目だった。♠〈受験勉強に立ち遅れる〉中三の夏までクラブ活動に熱中したので、受験勉強に立ち遅れてしまったが、これから全力投球だ。♠〈国が立ち遅れる〉江戸時代、日本は鎖国[さこく]政策をとり、諸外国との交流を断っていたため、近代化の面で、西欧[せいおう]諸国に立ち遅れました。♠〈福祉[ふくし]政策が立ち遅れる〉わが国は、経済や文化は発達していますが、それらに比較して、福祉[ふくし]政策は立ち遅れているようで <654> たちぎえ た す。 **たちぎえ【立ち消え】** ○燃え尽きる前に火が消えること。中途でとだえてしまうこと。[文例]〈話が立ち消え〉六月にクラス会を開こうという話はいつのまにか立ち消えになった。♠〈うわさが立ち消え〉うわさは、当事者が引っ越したことでいつか立ち消えとなった。 **たちぎき【立ち聞き】** ○物かげに立って、人の話をぬすみ聞きすること。[文例]〈立ち聞きする〉教室の中の二人の会話を、ぼくは廊下で何となく立ち聞きしてしまった。♠〈立ち聞きをする〉大道の易者[えきしゃ]に若い娘たちがどんな話をしているのか聞きたくて、立ち聞きをすることがあった。 **たちき・る【断ち切る・裁ち切る】** ○布などを裁つ。つながりを断つ。断念する。[文例]〈布地[ぬのじ]を裁ち切る〉型紙に合わせて布地[ぬのじ]を裁ち切ったら、こんどは縫い合わせましょう。♠〈交際を断ち切る〉両家が不和の間柄[あいだがら]だったため、若い二人の交際は、親によって断ち切られてしまったのです。♠〈縁[えん]を断ち切る〉親子の縁[えん]なんて、そう簡単に断ち切ることはできないものだ。♠〈未練を断ち切る〉仕事を得るために、故郷への未練を断ち切って、一家は東京へ出て来たのだった。♠〈思いを断ち切る〉青年は、娘[むすめ]への思いを断ち切って、芸の道に精進[しょうじん]していった。 **たちこ・める【立ち込める】** (立ち籠める)○辺り一面にこもる。[文例]〈霧が立ちこめる〉霧が深く立ちこめていて、辺りがはっきり見えない。♠〈かすみが立ちこめる〉厳しい冬も過ぎ去り、春がすみの立ちこめる季節になりました。♠〈夕やみが立ちこめる〉姉が帰ってきた時は、辺りに夕やみが立ちこめていました。♠〈熱気が立ちこめる〉夕方になると、辺りに立ちこめていた熱気がひいて涼[すず]しくなってきます。♠〈熱気がたちこめる〉決勝戦にふさわしく、競技場にはムンムンとした熱気が立ちこめていた。♠〈香りが立ちこめる〉野原には、クローバーの花や野草の香りが立ちこめていました。♠〈においが立ちこめる〉庭で花火をやったら、火薬のにおいが辺りに立ちこめました。 **たちすくむ【立ちすくむ】** (立ち竦む)○恐怖・驚きなどで立ったまま動けなくなる。[文例]行く手をさえぎる激しい流れにわたしは思わず立ちすくんだ。♠高さは三メートルぐらいしかないのに女の子は恐怖[きょうふ]で立ちすくみ、どうしても降りられない。♠犬にほえられた妹はその場に立ちすくみ、とうとう泣き出してしまった。 **たちつく・す【立ち尽くす】** ○じっと立ち続ける。[文例]あかね色に染まる空の美しさに、わたしは時のたつのも忘れて立ち尽くしていた。♠〈ぼう然と立ち尽くす〉事故のあまりのひどさに人々はぼう然と立ち尽くすばかりであった。 **たちどころに【立ち所に】** ○その場でただちに。たちまち。[文例]ぼくたちが三十分以上考えてもわからなかった問題を、彼はたちどころに解いてしまった。♠二つの村の醜[みにく]い水争いも、まとまった雨が降ればたちどころに解決する。♠魔法使いのおばあさんが呪文[じゅもん]をとなえると、かぼちゃはたちどころに馬車に姿を変えました。 **たちなお・る【立ち直る】** ○倒れずに元に戻る。元の(よい)状態に戻る。[文例]〈失敗から立ち直る〉仕事で失敗して落ちこんでいた彼だが、今日の様子では、どうやらその失敗からも立ち直ったようだ。♠〈ショックから立ち直る〉恋人[こいびと]を失ったショックから立ち直った彼女に、ようやく笑顔がもどってきた。♠〈自力で立ち直る〉あの人は意志の強い人ですから、今度の事件でも、きっと自力で立ち直るに違いありません。♠〈景気が立ち直る〉長引いた不況で沈滞[ちんたい]ぎみだった商店街も、景気が立ち直ってくると、活気が出てきました。♠〈人を立ち直らせる〉人間不信で苦しんでいたわたしを、この本は立ち直らせてくれました。 **たちの・く【立ち退く】** ○その場を立ち去る。住まいを引き払う。[文例]〈アパートを立ち退く〉貧しい文学青年は、何か月分もたまった家賃が払えず、アパートを立ち退かなければならなくなった。♠〈家を立ち退く〉新しく道路を造るというので、この家も来年には立ち退くことになりそうだ。♠〈場所から立ち退く〉駅前の広場で無断で商売をしていた男が、警官にその場所から立ち退くよう命じられていた。 **たちば【立場】** ○立つ場所。その人の置かれた状況や身の上。物の考え方のよりどころ。面目や体裁。[文例]〈班長という立場〉班長という立場上、ぼくには班をまとめていく責任がある。♠〈話し手の立場〉〈立場に立つ〉この文章は、人から聞いた話を、自分が話し手の立場に立って書いています。♠〈立場をとる〉住民の多くは、この開発に賛成の立場をとっていた。♠〈人の立場になる〉そう簡単に言わないで、ぼくの立場になって考えてくれよ。♠〈立場がない〉そこまで暴露[ばくろ]されては、ぼくも立場がないよ。♠〈立場をなくす〉先方にも無理にお願いして、働き口を探してやったのに、今さらいやだなんて、わたしの立場をなくす気かい。♠〈やっかいな立場〉こんなやっかいな立場に追いこまれるんだったら、仲裁役なんて引き受けなければよかった。♠〈不利な立場〉有力な証人[しょうにん]が現れ、容疑者[ようぎしゃ]は不利な立場に立たされた。♠〈自由な立場〉だれもが自由な立場で物を言えるような社会が望ましい。♠〈人の立場〉同一の事実であっても、表現する人の立場や感じ方によって、言葉も違ってきます。♠〈心理学の立場〉著者は、性格というものについて、心理学の立場から述べています。♠〈理想主義的な立場〉これらの文学者は、理想主義的な立場から人間と社会の変革を目ざした。 **たちはだかる【立ちはだかる】** ○立ちふさがる。行く手をさえぎる。[文例]〈人が立ちはだかる〉通り抜けようとすると、男は両手を広げて立ちはだかった。♠〈岩が立ちはだかる〉急ながけを登り切った登山隊の前に、今度は大きな岩が立ちはだかった。♠〈難関が立ちはだかる〉挑戦する若者の前には、これからもたくさんの難関が立ちはだかることでしょう。 **たちまち(忽ち)** ○ただちに。またたくまに。にわかに。[文例]お百姓さんの一くわで、たちまち土の中にいた虫たちが大さわぎだ。♠マムシやハブは、かまれるとたちまち命を失うほどの強い毒を持っている。♠強い風にあおら <655> たつ た れ、町はたちまち火に包まれた。♠うわさはたちまち村じゅうに広まった。♠〈たちまちのうちに〉街頭で寄付を募[つの]ったら、たちまちのうちに、多額のお金が集まった。 **たちむか・う【立ち向かう】** ○面と向かって立つ。手向[たむ]かう。刃向[はむ]かう。堂々と取り組む。[文例]中学生にからかわれると、無鉄砲な弟は、かなうはずもないのに立ち向かっていった。♠〈クマに立ち向かう〉犬たちはクマを見つけると、みないっせいにほえかかり、立ち向かっていった。♠〈現実に立ち向かう〉社会の現実に立ち向かった人々の姿を通して、人間と社会を見つめる目を養[やしな]おう。♠〈困難に立ち向かう〉青年リンドバーグは、多くの困難に立ち向かい、単身最初の無着陸横断飛行をなしとげた。♠〈問題に立ち向かう〉人間らしく生きていくためには、さまざまな問題に立ち向かわねばならない。♠〈敢然[かんぜん]と立ち向かう〉自分の住んでいる社会をよりよくするためには、害悪に対して敢然[かんぜん]と立ち向かう勇気が必要です。 **たちゆ・く【立ち行く】** ○成り立っていく。時が過ぎ行く。[文例]〈人間が立ち行く〉開発でそこに住む野生動物を滅[ほろ]ぼしておいて、人間だけが立ち行くことなどできるのでしょうか。♠〈経営が立ち行く〉こんな不景気ではとても経営が立ち行かない。 **たちよ・る【立ち寄る】** ○近寄る。ついでに寄る。[文例]わたしの家はこの近くです。今度ぜひお立ち寄り下さい。♠〈家に立ち寄る〉北海道旅行の途中で札幌のおじの家に立ち寄りました。♠〈店に立ち寄る〉買い物のついでにオープンしたばかりのしゃれたお店に立ち寄って、食事をしてきました。 **だちん【駄賃】** ○駄馬が荷物を運ぶ運賃。使い走りなどの骨折り賃。[文例]留守番をしてくれてありがとう、この二百円はお駄賃[だちん]だよ。♠〈駄賃[だちん]をやる〉お駄賃[だちん]をあげるから、この手紙をポストへ入れてきておくれ。♠〈行きがけの駄賃[だちん]〉山仕事に出かける男たちは、行きがけの駄賃[だちん]とばかりに道端の柿の実をもいでいった。 **た・つ【立つ・建つ】** (発つ・起つ)○まっすぐ縦になる。突き立つ。建物ができる。離れ去る。出発する。開かれる。位置する。地位・役目につく。上方へのぼる。生じる。広まる。激しくなる。行動を起こす。成り立つ。機能する。[文例]〈人が立つ〉小さな姉と弟は、しっかりと手をつなぎあって立っていました。♠〈霜柱[しもばしら]が立つ〉父が東京から帰ってきたのは、霜柱[しもばしら]の立った十一月の寒い朝のことだ。♠〈茶柱が立つ〉朝、飲んだお茶に茶柱が立っていたから、今日は何かいいことがありそうだ。♠〈席を立つ〉駅に近づいたので、わたしは本をかばんにしまって、ゆっくり席を立ちました。♠〈風が立つ〉風が立ってきたな。早く帰らないとあらしが来るぞ。♠〈波が立つ〉台風が近づいてきたせいか、沖には、いつもより高い波が立っている。♠〈湯気が立つ〉隣のおばさんが、蒸したてのまだ湯気が立っているおまんじゅうをくれた。♠〈煙が立つ〉「火のない所に煙は立たぬ」というから、そのうわさは本当なんだろう。♠〈ほこりが立つ〉人が寝ているそばで掃除しないでよ。ほこりが立ってしようがない。♠〈うわさが立つ〉新しい転校生は、ぼくたちのクラスに入といううわさが立っている。♠〈鳥肌[とりはだ]が立つ〉朝夕めっきり寒くなって、着がえようとはだかになると、鳥肌[とりはだ]が立つほどです。♠〈建物が建つ〉発掘[はつくつ]した品を収めた博物館が建って、生徒の団体が見学に来る。♠〈背が立つ〉大人用のプールは、真ん中が深くなっているから、ぼくではとても背が立たない。♠〈先に立つ〉兄は、先に立って、じゃまになる木の枝をのけ、歩きやすいようにしてくれた。♠〈教壇[きょうだん]に立つ〉姉は、この春、大学を卒業して、母校の中学の教壇[きょうだん]に立っている。♠〈居ても立ってもいられない〉帰りのおそい姉を待つ母は、居ても立ってもいられず、家を出たり入ったりしている。♠〈優位に立つ〉試合が始まってすぐに、田中君のシュートが決まり、ぼくたちのチームは優位に立った。♠〈矢面[やおもて]に立つ〉長女のわたしは、いつも母の小言の矢面[やおもて]に立たされて損だ。♠〈岐路に立つ〉三年生の池田君は、進学か就職かの岐路に立って悩んでいる。♠〈立場に立つ〉自己主張ばかりしないで、相手の立場にも立って考えましょう。♠〈団結して立つ〉首切りに反対した労働者たちは、団結して立ち、ストライキに入った。♠〈〜の側に立つ〉妹とけんかをすると、母は訳も聞かずに妹の側に立って、わたしをしかります。♠〈白羽[しらは]の矢が立つ〉卒業式で答辞を述べる人として高橋君に白羽[しらは]の矢が立ちました。♠〈旅にたつ〉姉は、初めての海外旅行にたつ日が近づくにつれて、落ち着かなくなってきた。♠〈座を立つ〉大切な話し合いの最中だというのに、何を思ったのか佐藤君は、座を立って出て行った。♠〈立つ鳥跡を濁さず〉「立つ鳥跡[あと]を濁[にご]さず」というから、泊めてもらったおばさんの家から帰るとき、きちんと後片付けをした。♠〈市が立つ〉町には年の市[いち]が立って、正月の買いものをする人で大にぎわいでした。♠〈腹が立つ〉雨が降って試合が中止になったので、腹が立ってしょうがない。♠〈役に立つ〉もう使わないから捨てようと思っていたのに、こんなところで役に立つとはね。♠〈歯が立たない〉相手のチームは、みんな背が高いので、どんなにがんばっても歯が立たない。♠〈気が立つ〉子供を産んだばかりの犬は、気が立っていて、近づくと火がついたようにほえる。♠〈人目に立つ〉彼女は美人のうえに、服装のセンスがいいから、どこにいても目に立つね。♠〈めどが立つ〉土砂くずれで列車が不通になったが、開通のめどは全然立っていない。♠〈腕[うで]が立つ〉彼は、とても腕[うで]の立つ植木職人で、そこいらじゅうからひっぱりだこです。♠〈弁・筆が立つ〉彼は、若いころから弁も立てば、筆も立つ人だったが、やっぱり評論家として名をなした。♠〈顔が立つ〉おばさんの顔が立つように、お見合いだけでもしてみようかしら。♠〈生活が立つ〉死んだ父が残してくれた財産[ざいさん]で、わたしたち母子は、なんとか生活が立ちます。♠〈角[かど]が立つ〉ものは言いようで角[かど]が立つから、相手の気持ちも考えて言いなさい。♠〈筋道が立つ〉どうもおまえの話は、筋道が立っていないから分かりにくいね。 **た・つ【絶つ・断つ・裁つ】** (截つ)○切り離す。つながりを切る。さえぎる。尽きさせる。[文例]〈消息を絶つ〉五か月前に <656> たつ た 電話があって以来、消息を絶っていた兄がとつぜん帰って来た。♠〈命を絶つ〉彼は、オートバイで乱暴な運転をし、十九歳の若い命を絶ってしまった。♠〈根を絶つ〉争いごとは、その根を絶たない限り、いずれまた起こるよ。♠〈縁[えん]を絶つ〉お前のような道楽息子とは、今後親子の縁[えん]を絶つから、そう思え。♠〈あとを絶つ〉いくら注意しても、わが家の前に自転車の放置があとを絶たない。♠〈進路。退路を断つ〉敵の大軍に包囲され、わが軍は、進路も退路も絶たれてしまった。♠〈茶を断つ〉母は、兄が志望大学に合格するまで、けっしてお茶を飲まないと、茶を断っている。♠〈酒・たばこを断つ〉お父さんは、お酒とたばこを断つと宣言したけれど、三日ぼうずじゃないかしら。♠〈快刀乱麻[かいとうらんま]を断つ〉名探偵は快刀乱麻[かいとうらんま]を断つように、次々に難事件を解決した。♠〈生地[きじ]を裁つ〉母は、自分で生地[きじ]を裁って、わたしのスカートを作ってくれた。 **た・つ(経つ)** ○過ぎ去る。経過する。[文例]〈時がたつ〉とても楽しいお話で、時のたつのも忘れてしまいました。♠〈年月がたつ〉卒業記念に校庭に植えたいちょうは、長い年月がたったら、立派な大木になるだろう。♠〈三十分たつ〉ホテルを車で出発して三十分ほどたつと、峠[とうげ]の頂上[いただき]に着いた。♠〈数日たつ〉水槽[すいそう]に入れたおたまじゃくしは、数日たつと足が生えてきました。♠〈しばらくたつ〉切符売り場を離[はな]れてしばらくたってから、買ったばかりの切符がないことに気がついた。♠〈いつまでたっても〉買い物に出かけた母がいつまでたっても帰ってこないので、心配になってきた。 **たつい【達意】** ○自分の考えが他人によく通じること。[文例]〈達意の名文〉教授の随筆は、達意の名文であった。♠〈達意の文章〉平易な言葉を用いながら、高度で複雑な内容を明快に表現していれば達意の文章といえます。 **だっかい【奪回】** ○奪い返すこと。奪還。[文例]〈奪回する〉奇襲攻撃が成功して、敵に占領されていた陣地[じんち]を奪回することができた。♠〈奪回する〉新製品が飛ぶように売れ、その会社は営業成績第一位の座を久しぶりに奪回しました。♠〈王座奪回〉♠〈奪回がなる〉昭和六十二年、四年ぶりに読売巨人軍のセリーグの王座奪回がなりました。 **たっかん【達観】** ○全体をよく見通すこと。大局的な立場に立つこと。[文例]〈達観する〉やるだけのことはやったのだから、成功・失敗は二の次だと達観していられればいいのだが……。♠〈達観する〉時代を達観するには、経験や知識から来る判断力だけでなく、鋭い直観力も必要であろう。 **だっかん【奪還】** ○奪い返すこと。奪回。[文例]〈人質の奪還〉警察官の敏速[びんそく]な行動で、無事五人の人質の奪還に成功した。♠〈奪還する〉占領された領土を奪還しようというのが、この戦争の大きな原因の一つです。 **だっきゃく【脱却】** ○ぬけ出ること。[文例]〈脱却する〉年を取れば取るほど、古い考え方から脱却するのが難しくなるようです。♠〈習慣からの脱却〉習慣からの脱却によって、身の回りの事物を新鮮な目で感じとることができます。♠〈日常性からの脱却〉飽き飽きするような日常性からの脱却によって、わたしたちは新しい世界へ歩みを進めることができる。 **たっけん【卓見】** ○すぐれた意見・見識。[文例]専門家が自らの経験を生かした卓見は、なるほどと感心するものだった。♠〈卓見に富む〉一芸にひいでた人の話というものは、まことに卓見に富むものである。 **たっけん【達見】** ○全体を見通した、すぐれた意見。[文例]博士の意見は、人間社会の未来を見通した達見というべきものだった。 **だっこく【脱穀】** ○穀物の実を穂から取ること。もみがらを取り去ること。[文例]〈稲の脱穀〉種まき、田植え、稲刈り、脱穀と、お米ができるまでには手間がかかります。♠〈脱穀する〉刈り取った稲は、よく干した後機械にかけて脱穀します。 **だつごく【脱獄】** ○囚人[しゅうじん]が牢獄から脱走すること。牢破り。[文例]〈脱獄を図る〉脱獄を図った男はすぐに捕らえられた。♠〈脱獄をくわだてる〉囚人[しゅうじん]は看守をそそのかして、脱獄をくわだてていた。♠〈脱獄する〉刑務所から脱獄した男が民家に押し入り、人質をとって立てこもったらしい。 **たっしゃ【達者】** ○丈夫で元気なさま。熟練して上手なさま。[文例]〈体が達者〉達者が自慢のおれの体も、このごろは年のせいか、少しがたがきたようだ。♠〈達者で暮らす〉故郷では、八十歳を過ぎた老母がまだ達者で暮らしている。♠〈腕が達者〉この家は、祖父が腕の達者な大工に建てさせて五十年以上たつが、びくともしない。♠〈口が達者〉口の達者な妹とけんかをすると、ぼくは、必ず言い負かされてしまう。♠〈英語が達者〉彼がわが社でいちばん英語の達者な人だ。♠〈芸達者〉あの男は芸達者だから、忘年会や新年会での余興に、いつもかつぎだされる。 **だっしゅ【奪取】** ○奪い取ること。[文例]〈チャンピオンベルトを奪取する〉厳しいトレーニングに耐えた挑戦者は、ついにチャンピオンベルトを奪取しました。♠〈三振[さんしん]を奪取する〉そのピッチャーは新人ながら八つの三振[さんしん]を奪取し、見事完封勝利を収めました。 **だっしゅつ【脱出】** ○ぬけ出ること。逃れ出ること。[文例]〈箱から脱出する〉両手を縛[しば]られた手品師は、どうやって箱の中から脱出するのか。♠〈国外へ脱出する〉報道陣の質問を避けるようにして、彼は空港から国外へ脱出しました。♠〈アパート住まいから脱出する〉アパート住まいから脱出して、早く広い庭のある家に住みたいというのがわたしの夢です。♠〈脱出を企[くわだ]てる〉五人の人質のうち三人が、犯人の手から脱出を企[くわだ]てた。 **たつじん【達人】** ○人生の真理を深く見通した人。技芸にひいでた人。[文例]〈剣の達人〉宮本武蔵[みやもとむさし]は、戦国から江戸にかけての有名な剣の達人です。♠〈文章の達人〉志賀直哉[しがなおや]は、文章の達人といわれる作家です。♠〈けんだまの達人〉こう見えても、お父さんはけんだまの達人だぞ。 **たっ・する【達する】** ○届く。至る。及ぶ。達成する。告げ知らせる。[文例]〈山頂に達する〉三時間も登ったのに、まだ山頂に達しません。♠〈骨に達する〉台所でうっかりして、指 <657> だつりょくかん た に骨にまで達する傷を負ってしまった。♠〈被害が〜に達する〉この水害で、市の中心部など二百戸以上が流失、負傷者は百人に達した。♠〈限界に達する〉ずいぶんがまんしたつもりですが、それも、もう限界に達しました。♠〈頂点に達する〉息子[むすこ]の反抗に、父の怒[いか]りは頂点に達し、爆発[ばくはつ]寸前だった。♠〈水準に達する〉日本の工業技術は、世界で最高の水準に達しています。♠〈結論に達する〉この件に関しては、明日の会議で最後の結論に達するように図りたい。♠〈目標を達する〉夏休みに毎日プールへ通って、百メートルという目標を達した。 **だっ・する【脱する】** ○ぬけ出る。除き去る。ぬかし落とす。[文例]〈ピンチを脱する〉挑戦者[ちょうせんしゃ]のまずい攻めもあって、チャンピオンはピンチを脱した。♠〈窮地[きゅうち]を脱する〉家族の助けがあったからこそ、わたしは窮地[きゅうち]を脱することができたのです。♠〈最下位を脱する〉六月にはいって三連勝したチームは、ようやく最下位を脱することができた。♠〈支配を脱する〉インドがイギリスの支配を脱して独立したのは、一九四七年のことです。♠〈素人[しろうと]の域を脱する〉この小説は、学生の作品にしてはよく書けているが、やはり素人[しろうと]の域を脱していない。 **たっせ【立つ瀬】** ○立場。[文例]〈立つ瀬がない〉あなたのためを思ってやったのに、余計なお世話と言われたのでは、わたしの立つ瀬がない。 **たっせい【達成】** ○なしとげること。[文例]〈目標の達成〉この目標の達成にはクラス全員の協力が必要です。♠〈スローガンの達成〉労働者たちは、働く者のための国というスローガンの達成を心から願っていた。♠〈達成する〉毎日頑張ったかいあって、ついに一年間無遅刻という記録を達成した。 **だっせん【脱線】** ○車輪がレールから外れること。本筋からそれること。常識を外れた行いをすること。[文例]〈電車が脱線する〉電車が脱線して、多くの負傷者が出ました。♠〈話が脱線する〉きみが余計なことを言うから、話が途中で脱線してしまったじゃないか。 **だっそう【脱走】** ○ぬけ出して逃走すること。[文例]〈脱走を図る〉収容所から五人の囚人[しゅうじん]が脱走を図ったが、失敗に終わった。♠〈脱走する〉戦いに勝ちめもなく食糧も底をついたとあって、兵隊の中には脱走する者もあった。♠〈脱走兵〉納屋に隠れていたのは、脱走兵でした。 **だったい【脱退】** ○組織をやめて去ること。[文例]〈連盟から脱退する〉日本は国際連盟に一九二〇年に加盟し、一九三三年に脱退した。♠〈組合を脱退する〉わたしは執行部[しっこうぶ]の人間と意見が合わず、先月いっぱいで組合を脱退しました。 **タッチ** ○触れること。触れた感じ。手ざわり。[文例]〈タッチの差〉百メートル自由形は、タッチの差で二位だった。♠〈ソフトなタッチ〉新製品の紙おむつは、ソフトなタッチで赤ちゃんのはだを痛めません。♠〈タッチが荒い〉その絵は、荒いタッチで力強く描かれていた。♠〈タッチする〉わたしは、その計画には全くタッチしていません。♠〈タッチアウト〉ヒットで塁[るい]に出たが、ベースを離れたすきにタッチアウトになった。 **だっと(脱兎)** ○逃げるうさぎ。[文例]〈脱兎[だっと]のごとく〉警官の姿を見ると、二人組は脱兎[だっと]のごとく逃げ出した。 **たづな【手綱】** ○馬を操るためにくつわに結んだ綱。[文例]〈手綱を取る〉手綱を取って馬を走らせるのは、実にそう快だ。♠〈手綱をはなす〉手綱をはなすと、白馬は、さわぎ立てるみんなの間を風のようにかけぬけた。♠〈手綱を締める〉自由といっても、好き勝手をしないよう、手綱を締めるきまりや法律があります。♠〈手綱をゆるめる〉おまえは、ちょっと手綱をゆるめると遊びほうけるんだから、しようがない子だ。♠〈手綱さばき〉あんな大きな馬をたくみにあやつる騎手[きしゅ]の手綱さばきには、感心しました。 **だっぴ【脱皮】** ○昆虫や蛇[へび]などが古い表皮を脱ぎ捨てること。今までの状態をぬけ出し、新しい方へ進むこと。[文例]〈幼虫が脱皮する〉セミの幼虫が脱皮したあとのぬけがらが木の枝に残っていました。♠〈〜から脱皮する〉彼女も今ではすっかりアイドル歌手から脱皮して、実力で勝負している。♠〈習慣からの脱皮〉♠〈脱皮をはかる〉ぼくたちは古い習慣からの脱皮をはかったつもりだった。♠〈古い〜を脱皮する〉この本のおかげで、ぼくは古い考え方を脱皮し、新しい自分を見つめることができました。 **たっぴつ【達筆】** ○文字が上手なさま。また、上手に書かれた文字。[文例]〈達筆で書く〉手紙は、わたしなどにはとてもまねのできない達筆で書かれていた。♠〈達筆な人〉毛筆の習慣がなくなって、達筆な人も少なくなりました。 **たっぷり** ○あふれるほど十分なさま。ゆとりがあるさま。[文例]〈たっぷり降る〉久しぶりに雨がたっぷり降ったので、しおれていた庭の木が元気をとりもどした。♠〈たっぷりふくむ〉筆にたっぷりとすみをふくませて、勢いよく大きな字を書いた。♠〈たっぷりニキロ〉駅からぼくの家まで、近道をしないでバス通りを歩くと、たっぷり二キロはある。♠〈余裕たっぷり〉きちんと準備したので、今日のテストには、余裕たっぷりでのぞむことができた。♠〈自信たっぷり〉入試に失敗して、今まで自信たっぷりに思い上がっていたことを反省した。♠〈ユーモアたっぷり〉講師の話は、ユーモアたっぷりで、二時間もの間、聴衆[ちょうしゅう]をあきさせなかった。♠〈栄養たっぷり〉母が作ってくれる栄養たっぷりのおいしいお弁当が毎日楽しみだ。♠〈たっぷりする〉その服はたっぷりしていて、着ていて楽[らく]そうですね。 **だつぼう【脱帽】** ○帽子を脱ぐこと。敬服すること。[文例]〈脱帽する〉神社の鳥居をくぐる前に、老人は脱帽して一礼した。♠〈努力に脱帽〉毎朝五時に起きて、学校に来る前にトレーニングする彼の努力には脱帽です。 **だつらく【脱落】** ○ぬけ落ちること。[文例]〈ページの脱落〉この本は、途中十六ページも脱落のある落丁本[らくちょうぼん]です。♠〈部員の脱落〉厳しすぎる練習に一人二人と部員の脱落が続きました。♠〈脱落する〉世界記録を上回るハイペースに、先頭グループから次々と選手が脱落していった。 **だつりょくかん【脱力感】** ○体から力がぬけるような感じ。 <658> たて た [文例]〈脱力感を感じる〉努力がすべて水の泡[あわ]になったとわかったとき、言いようのない脱力感を感じました。♠〈脱力感に襲[おそ]われる〉疲労がたまっているせいか、時々脱力感に襲[おそ]われることがある。 **たて【縦】** (竪)○平面または立体で上下・前後・南北の方向。また、その長さ。[文例]〈縦と横〉この机は、縦が六十センチ、横が九十センチあります。♠〈縦に書く〉日本語は、昔[むかし]は縦に書いていましたが、今は、横に書くのも一般的になっています。♠〈縦に並ぶ〉背の順に、縦に二列に並びなさい。♠〈縦に切る〉スイカを横に二つに切る人がありますが、縦に切るんですよ。♠〈首を縦に振る〉父にパソコンをねだっているが、なかなか首を縦に振ってくれない。♠〈横の物を縦にもしない〉家にいるときの父は、何でも母にやってもらい、それこそ横の物を縦にもしません。♠〈縦の関係〉師弟[してい]や先輩・後輩、親子の関係は縦、友人や同輩[どうはい]、兄弟は横の関係とされます。 **たて【盾】** (楯)○敵の攻撃を防ぐために持つ板状の防具。防御の手段。[文例]〈矢を盾で防ぐ〉敵の放[はな]つ矢を盾で防ぎながら、敵陣[てきじん]に攻[せ]めこんでいった。♠〈盾を突き通す〉この盾はどんな武器も突き通せないほど堅[かた]く、この矛[ほこ]はどんな盾でも突き通すほど鋭利[えいり]だと、商人は言った。♠〈盾にする〉突然[とつぜん]石が飛んで来たとき、ぼくはカバンを盾にして身を防いだ。♠〈正義を盾に〉ぼくの行為に対して彼女は、冷然と、正義を盾にきびしい非難の言葉を浴びせかけた。♠〈盾に取る〉法律を盾に取って、悪いことをする人間もいる。♠〈盾つく〉親に盾つくとはなにごとだ! **だて(伊達)** ○ことさらに意気込みを示すさま。みえを張るさま。[文例]〈だての薄着〉だての薄着じゃ風邪をひくよ。♠〈だてや酔狂[すいきょう]〉だてや酔狂[すいきょう]で、こんなめんどうなことをしてるんじゃないよ。♠〈だてに着こなす〉彼は、いかにも高級そうなスーツをだてに着こなして現れた。♠〈だてでする〉一口に寒中水泳というけれど、だてじゃできないよ。 **たてか・える【立て替える】** ○他人に代わって一時的に代金を払っておく。[文例]〈代金を立て替える〉お財布を忘れてきちゃった。悪いけれどコーヒー代、ちょっと立て替えて。♠〈料金を立て替える〉八人分の入場料合わせて一万二千円は、ぼくが立て替えておきました。 **たてき・る【立て切る】** (閉て切る)○戸・障子などで閉め切る。[文例]〈障子を立て切る〉障子を立て切った部屋の中では、主人と客の密談が続けられていた。♠〈雨戸を立て切る〉あの家の北側の雨戸は一年中立て切ったままで、開けられたのを見たことがない。 **たてこ・む【立て込む】** ○込み合う。ぎっしりと立ち並ぶ。用事がたくさん重なる。[文例]〈店が立て込む〉休日とあって、理髪店は客で立て込んでいた。♠〈家が立て込む〉狭い裏通りに民家が立て込んで、いかにも下町の風情[ふぜい]である。♠〈スケジュールが立て込む〉このところ立て込んでいて、来月にならなければ暇ができない。 **たてつ・く【盾突く】** (楯突く)○反抗する。さからう。[文例]〈親に盾突く〉一言一言、親の言うことに盾突くものではありません。♠〈先生に盾突く〉授業中居眠[いねむ]りしたり、先生に盾突いたりしていたA君が、最近、だんだんまじめになってきたのです。♠〈兄に盾突く〉弟のくせに、兄に盾突くとは生意気だぞ!♠〈上官に盾突く〉軍隊で上官に盾突いたら、どうなるか知っているのか! **たてつけ【立て付け】** ○戸・障子などのおさまり具合。[文例]〈戸の立て付け〉♠〈立て付けが悪い〉室内に置かれた家具の重さで床[ゆか]全体が沈み、戸の立て付けが悪くなっています。 **たてつづけ【立て続け】** ○連続してするさま。続けざま。[文例]〈立て続けに〜する〉カラオケ好きのおばさんは、マイクを握ると立て続けに演歌を三曲歌いました。♠よほどのどがかわいていたのか、弟は帰ってくると立て続けに三杯も水を飲んだ。♠この道路で立て続けに交通事故が起こった。 **たてなお・す【立て直す・建て直す】** ○改めて立てる。再建する。[文例]〈家を建て直す〉この家もずいぶん古くなってしまったから、来年あたりは建て直さなくてはなるまい。♠〈看板を立て直す〉おだんご屋さんの店先の立て看板が、強い風で倒れてしまったので、立て直してあげました。♠〈体勢を立て直す〉投げ飛ばした相手は、起き上がって体勢を立て直すと、再び頭から突っこんできた。♠〈計画を立て直す〉大幅に予算をオーバーしそうなので、もう一度旅行の計画を立て直すことにした。♠〈会を立て直す〉信頼[しんらい]を失った生徒会を立て直すことのできる人は、きみをおいてほかにはいない。♠〈会社を建て直す〉今の社長は、先代のとき倒産寸前にまでいったこの会社を立派に建て直したのだそうです。♠〈財政を建て直す〉赤字財政を建て直すために、増税やら各種援助金の削減[さくげん]やらが行われた。 **たてまえ【建て前・立て前】** ○建物の棟[むね]上げ。表向きの方針。原則。[文例]〈家の建て前〉新築中の家の骨組みができあがり、今日は建て前で、近くのおばさんたちが手伝いに来ました。♠〈たてまえとする〉民主主義は、多数決をたてまえとする。♠〈たてまえを崩す〉いつもは規則に厳しい校長先生も、今日ばかりはたてまえを崩して、遅くまで学校にいることを許してくれた。♠〈本音とたてまえ〉確かにたてまえはそうでしょうが、ひとつあなたの本音をお聞かせください。 **たてまつ・る【奉る】** ○さしあげる。献上する。高い地位に据[す]える。[文例]〈馬を奉る〉殿様[とのさま]はその馬をたいそう気に入り、譲[ゆず]ってほしいというので、持ち主は断りきれず、その馬を奉ることにした。♠〈花を奉る〉本尊[ほんぞん]に桜の花が奉られ、御堂[みどう]が春らしくはなやいでいる。♠〈貢ぎ物を奉る〉諸国の領主たちは、布や宝石、めずらしい食べ物など、それぞれ自慢の品を王様に貢ぎ物として奉った。♠〈家長として奉る〉なんでも「はいはい」と聞いて、この家の長として奉っておけば、がんこなじいちゃんも機嫌がいいのです。♠〈読み奉る〉「読んでさしあげる」を昔の言い方で表現すると、「読み奉る」となります。♠〈願い奉る〉この件、ご承知くださいますよう、なにとぞよろしく願い奉ります。 **たてもの【建物】** ○建築物。[文例]〈木造の建物〉♠〈建物が立つ〉 <659> たとえ た つ〉大学構内の隅に木造の建物が立っていた。♠〈建物を壊す〉古い建物が壊され、新しいビルが建っていく。 **た・てる【立てる・建てる】** ○まっすぐ縦にする。建物を作る。突きさす。地位・役目につかせる。ふりむけて用いる。戸などを閉める。上方へのぼらせる。生じさせる。広める。激しくする。成り立たせる。新しく作り示す。面目をほどこさせる。湯などをわかす。[文例]〈柱を立てる〉男の子が生まれたので、五月には、庭に高い柱を立てて、大きな鯉[こい]のぼりをあげてやろう。♠〈立て札[ふだ]を立てる〉ぼくたちの格好の遊び場だった空き地に、「立入り禁止」の立て札[ふだ]が立てられていた。♠〈のぼりを立てる〉祭りの日には、村の若い衆が神社のまわりにのぼりを立てます。♠〈小屋を建てる〉目立たない場所に見張り小屋を建てて、ツルの様子を観察し続けました。♠〈戸を立てる〉世間の口に戸は立て(閉て)られない。この話もいずれ町じゅうに知れ渡るだろう。♠〈えりを立てる〉冷たい木枯[こが]らしの吹く中、道行く人々はコートのえりを立て、足早に行き過ぎた。♠〈音を立てる〉静かな教室の中に、ぼくは、音を立てないように入って席に着いた。♠〈声を立てる〉人の失敗を、そんなに声を立てて笑うことはないだろう。♠〈うなりを立てる〉放[はな]たれた矢はうなりを立てて飛んでいった。♠〈湯気を立てる〉お釜[かま]がグツグツいって、湯気を立て始めると、おいしそうなご飯の炊[た]けるにおいがしてくる。♠〈ほこりを立てる〉ほうきを乱暴に扱[あつか]うと、ほこりを立てるばかりで、部屋はきれいになりません。♠〈波紋[はもん]を立てる〉風もないのに、池のスイレンの葉が波紋[はもん]を立てています。♠〈波風を立てる〉つまらないことで、平和な家庭に波風を立てたくはなかったのです。♠〈うわさを立てる〉ありもしない変なうわさを立てられて、大変迷惑[めいわく]したことがあります。♠〈予想を立てる〉出席する人は大体五十人ぐらいだろうと予想を立てて、会場を準備した。♠〈計画を立てる〉家族みんなで、連休の旅行の計画を立てました。♠〈構想を立てる〉文章を書くときは、何について、どのように書くかの構想を立ててから、書き始めます。♠〈志[こころざし]を立てる〉一流の漫画家[まんがか]になろうと志[こころざし]を立てたのは、中学生の時でした。♠〈筋道を立てる〉意見を述べるときには、聞き手によく分かるように、筋道を立てて話すことが大事です。♠〈順序を立てる〉思いついたことを並べたてるのではなく、きちんと順序を立てて、分かるように話してごらんなさい。♠〈暮らしを立てる〉ぼくの村では、ほとんどの家が農業や林業で暮らしを立てています。♠〈役に立てる〉少しばかりの寄付ですが、どうぞ何かの役に立ててください。♠〈聞き耳を立てる〉隣の部屋で、ぼそぼそと話し声がするので、ぼくは思わず聞き耳を立てた。♠〈手柄を立てる〉この銅像の武将は、昔[むかし]、戦[いくさ]で大きな手柄をたてた人だそうです。♠〈見出しを立てる〉この記事には、どんな見出しを立てたらいいかなあ。♠〈代理を立てる〉わたしは、所用で会合に出席できませんので、代理を立ててもかまいませんか。♠〈司会者を立てる〉会をスムーズに進めるために、司会者を立てたいと思うが、だれが適当かな。♠〈顔を立てる〉ここはひとつ、年寄りのわたしの顔を立てて、話を丸く収めてくださいよ。♠〈先輩を立てる〉言い争いになりそうなので、先輩を立ててその場はまるく収めたけれど、ぼくはどうしても納得がいかない。♠〈つめを立てる〉柱の下のほうには、ねこのミケがつめを立てた跡[あと]がいっぱいついています。♠〈腹を立てる〉姉の話を聞き終わらないうちに、父はかんかんに腹を立ててどなりだした。♠〈目くじらを立てる〉そりゃあ、断りなしに姉さんの服を借りたのは悪かったけど、そんなに目くじらを立てて怒[おこ]ることはないでしょう。♠〈目に角[かど]を立てる〉子供のいたずらぐらいで、そんなに目に角[かど]を立てて怒[おこ]ることもないだろう。♠〈神経を立てる〉社会生活のルールも分からない高校生のやることにいちいち神経を立てていたんじゃ、こっちの身がもたない。♠〈義理を立てる〉一体きみは、だれに義理を立てて黙[だま]っているんだい。それでは、事件は解決しないよ。♠〈ふろを立てる〉昔[むかし]は、煮炊きをするにも、ふろを立てるにも、みなまきを用いました。♠〈茶を立てる〉茶道[さどう]の先生をしているおばは、訪問客にはいつもお茶を立ててすすめます。♠〈わめき立てる〉知らぬ町で母にはぐれた子は、ただわめき立てるより仕方がなかった。 **だとう【打倒】** ○打ち倒すこと。[文例]〈打倒巨人〉阪神は打倒[だとう]巨人[きょじん]の秘密兵器として、新人投手を先発させました。♠〈王制を打倒する〉一七八九年に市民が絶対王制を打倒したのを記念して、毎年七月十四日にはパリ祭が行われる。 **だとう【妥当】** ○無理なくあてはまること。適切であるさま。[文例]〈妥当な結論〉話し合いの結果、双方にとって妥当な結論に達した。♠〈妥当な処置〉校則を破った生徒に与えられた罰当番[ばつとうばん]は、妥当な処置といえます。♠〈妥当な線〉きみたちの言うことは分かるが、ここは両親の意見に従うのが妥当な線だろう。♠〈妥当性〉あなたの主張することには妥当性が認められません。 **たとえ(仮令・縦令)** ○仮にそうだとしても。たとい。[文例]〈たとえ〜しても〉たとえ大地震[だいじしん]が来たとしても、この建物なら大丈夫[だいじょうぶ]だろう。♠〈たとえ〜でも〉たとえ過[あやま]ちでも、人の物をこわしたら、持ち主に謝らなくてはいけませんよ。♠〈たとえ〜とも〉精いっぱいやったので、たとえ失敗しようとも、悔[く]いはありません。♠〈たとえ火の中、水の中〉わが子のためなら、たとえ火の中、水の中、どんなことでも、親はするものです。 **たとえ【例え】** (喩え・譬え)○たとえること。たとえるもの。例。[文例]〈巧みなたとえ〉いろはがるたには、巧みなたとえがたくさん見られます。♠〈たとえを使う〉ことわざには、簡潔な言葉で、たとえを実にうまく使っているものが多い。♠〈たとえを引く〉父は、「朱[しゅ]に交われば赤くなる」のたとえを引いて、いい友達を選ぶことの大切さを教えてくれました。♠〈たとえに引く〉父はよく、イソップ物語をたとえに引いて、教訓を垂[た]れたものだった。♠〈たとえに言う〉「かべに耳あり」とたとえに言うように、どこでだれが聞いているかわからないから、用心、用心。♠〈たとえの表現〉「まるでもみじのような手」の「まるで」は、たとえの表現に使われる言葉です。♠〈たとえ話〉師は弟子たちに、よくたとえ話 <660> たとえば た を用いて道を教えさとした。 **たとえば【例えば】** ○例をあげると。たとえると。[文例]ぼくは何でも長続きしません。例えば、計画を立てて始めても、三日ぐらいするとあきてしまいます。♠文語的表現、例えば、「狭[せま]き門」とか「ありし日の面影[おもかげ]」などのような表現はよく耳にします。♠この地方の気象は人が住むのに適していない。例えば、土ぼこりを上げる春の風だ。 **たと・える【例える】** (喩える・譬える)○他のことを引き合いに出して言う。ことよせる。[文例]〈桜を雲にたとえる〉「花[はな]の雲[くも]」というのは、満開の桜[さくら]を雲にたとえて表現したのです。♠〈人生を旅・航海にたとえる〉人生は、よく旅とか航海にたとえられる。♠〈花にたとえる〉「立てばしゃくやく、座ればぼたん、歩く姿は百合[ゆり]の花」という言葉は、美人を花にたとえて言ったものです。♠〈たとえて言えば〉文学作品を読むということは、たとえて言えば、文学という鏡に自分の姿を映してみることである。♠〈たとえようがない〉山頂で拝[おが]んだ初日の出は、たとえようもないほどすばらしかった。 **たどたどしい** ○すらすらといかず、おぼつかない。[文例]〈たどたどしい発音〉外人女性にたどたどしい発音で道を聞かれた。♠〈たどたどしい話し方〉ことばを覚えたての赤ちゃんのたどたどしい話し方もかわいいものだ。♠〈たどたどしい文字〉息子にあてた手紙のたどたどしい文字は、老母が子を思う気持ちにあふれて、人の心を打つ。 **たど・る(辿る)** ○探るようにして進む。順を追って探し求める。過程を経て進む。[文例]〈家路[いえじ]をたどる〉日が暮れて、だれも通らないさびしい家路[いえじ]をひとりたどった。♠〈暗[くら]やみをたどる〉急に停電したので、あわてて暗[くら]やみの中を手さぐりで物置までたどり、懐中電灯[かいちゅうでんとう]をさがした。♠〈筋をたどる〉筋をたどりながら、人物のことばや行動から、主人公の気持ちを読みとりましょう。♠〈足どりをたどる〉警察犬は、においをかぎながら犯人の足どりをたどって、ついに隠れがをつき止めた。♠〈地図をたどる〉楽しかった修学旅行のコースを、地図をたどりながら、なつかしんでいます。♠〈いばらの道をたどる〉明治・大正・昭和と長いいばらの道をたどった祖母の人生は、忍耐[にんたい]の一語につきる。♠〈記憶をたどる〉記憶をたどってみたが、なぜこんな所にいるのか思い出せなかった。♠〈歴史をたどる〉先生は、生物の進化の歴史をたどりながら、やさしく説明してくださった。♠〈経過をたどる〉妹は、手術の後、順調な経過をたどり、いよいよ明日退院です。♠〈一途[いっと]をたどる〉母のけんめいの看護にもかかわらず、父の病状は悪化の一途[いっと]をたどっている。♠〈結末をたどる〉『野菊[のぎく]の墓[はか]』は、明治の農村を舞台に、古い慣習の中で、悲劇的な結末をたどった少年少女の愛の物語です。♠〈運命をたどる〉寂光院[じゃっこういん]は、悲惨[ひさん]な運命をたどった建礼門院[けんれいもんいん]にゆかりのある寺だ。 **たな【棚】** ○物を載せるために板をかけ渡したもの。また、それに形の似た物や土地。[文例]〈棚に載せる〉棚に載せてあるあの箱[はこ]、お兄さんなら届くでしょう、取ってくれる?♠〈棚をつる〉本箱[ほんばこ]に本が入りきれなくなってしまったので、棚をつってもらいました。♠〈ぶどうの棚〉庭のぶどうの棚から、紫色[むらさき]の実がたくさん下がっています。♠〈魚のいる棚〉この辺りの海には、魚のたくさんいる棚があって、昔からいい漁場になっている。♠〈棚に上げる〉自分のことは棚に上げて、人のあらさがしばかりするものではありませんよ。♠〈棚からぼたもち〉棚からぼたもち式に、何か思いがけないいいことが転がりこんでこないものかなあ。 **たなごころ(掌)** ○てのひら。[文例]おばあちゃんは、孫が砂浜で拾ってきた小さな貝がらをたなごころの上でころがして、目を細めています。♠孫悟空[そんごくう]はきんと雲に乗って地の果てまで飛んできたつもりだったが、そこはまだお釈迦[しゃか]様のたなごころの中だったのです。♠〈たなごころを指す〉この町に生まれて七十年という古老だから、町のことならたなごころを指すようなものだった。♠〈たなごころを返す〉戦争が終わると、人々はまるでたなごころを返すように平和と民主を叫[さけ]ぶようになった。 **たなばた【七夕】** ○中国の伝説にもとづく陰暦七月七日の星祭り。[文例]七夕の日には短冊[たんざく]に願い事を書いて、ささ竹に結びつけます。♠七月七日の七夕の夜には、牽牛[けんぎゅう]と織女[しょくじょ]が天の川で出会うという伝説があります。♠七夕や髪ぬれしまま人に逢[あ]ふ(橋本多佳子) **たなびく【棚引く】** ○雲や煙[けむり]などが横に長くなびく。[文例]〈煙[けむり]がたなびく〉火山の噴[ふ]き上げる白い煙[けむり]が青い空にゆっくりとたなびいている。♠〈煙[けむり]をたなびかせる〉蒸気機関車が後ろに煙[けむり]をたなびかせて走る様子を写真にとりました。♠〈雲がたなびく〉明け方、山ぎわが少し明るくなって、紫[むらさき]がかった雲が細くたなびいている様子がなんとも言えずよい。♠〈かすみがたなびく〉遠くの山に白くかすみがたなびいて、日ごと春めくこのごろです。♠〈旗がたなびく〉遠く敵陣をながめやると、風林火山[ふうりんかざん]の旗が風にたなびき、なかなかの威勢[いせい]である。 **たなん【多難】** ○困難や災難が多いさま。[文例]〈多難な航海〉船長は、嵐[あらし]に沈[しず]みそうになったり、食料が不足したり、多難だった航海を思い起こしていた。♠〈多難な年〉去年は、祖父の死、母の病気など、多難な年だった。♠〈多難な生涯[しょうがい]〉彼は、貧しさや病気、社会の様々な悪に直面しながら、多難な生涯[しょうがい]をおくった。♠〈多事多難〉ビルの火災、大地震[じしん]、不景気、世を騒[さわ]がすさまざまな事件と、多事多難な一年であった。♠〈前途多難〉親に反対され、だれからの援助[えんじょ]もなく、前途多難だが、ぼくは自分で働きながら好きな道を歩むつもりです。 **たに【谷】** ○山と山の間の深くくぼんだ所。[文例]〈深い谷〉霧が晴れると、下は深い谷で、曲がりくねった細い道が底からはい上がっているのがよく見える。♠〈谷の奥深く〉いつのまにか、谷の奥深く迷いこんでしまったが、地形が複雑で出口が見つけられない。♠〈谷を越える〉列車は、野を越え、山を越え、谷を越えて、やっと目的地に着いた。♠〈千尋[せんじん]の谷〉昔、関所のあった箱根[はこね]の山は、万丈[ばんじょう]の山、千尋[せんじん]の谷と歌われるように、旅人にとって最も大きな難所であった。♠〈気圧の谷〉上空に気圧の谷が近づき、天気はくずれるでし <661> たのむ た ょう。 **だに(壁蝨)** ○人や動植物につく、ごく小さな寄生虫。嫌われ者。[文例]〈ダニに食われる〉ノミかダニに食われたみたいだよ、背中に赤くはれているところがある。♠〈ダニがたかる〉それは、ダニがたかっているような汚[きたな]い野良犬だった。♠〈町のダニ〉どんな町にも町のダニと呼ばれる連中がいるようだ。 **たにん【他人】** ○何の関係もない人。身内でない人。自分以外の人。[文例]〈身内と他人〉話す言葉も、身内と他人、改まった場合とくだけた場合などで違ってきます。♠〈他人の目〉自分の作文を推敲[すいこう]するときには、他人の目で文章を見ることが大切です。♠〈赤の他人〉えっ、となりに座っていた男性が恋人[こいびと]でしょうって? とんでもない、赤の他人よ。♠〈他人の空似[そらに]〉あの人は、お隣[となり]のお姉さんとよく似ているけれど、ご親戚[しんせき]のかたかしら、それとも他人の空似[そらに]かな?♠〈遠くの親類より近くの他人〉いざって時は、人様の助けが必要なんだ、遠くの親類より近くの他人って言うだろ。♠〈他人まかせ〉何でも、だれかがやってくれるだろうという他人まかせな態度ではいけませんよ。♠〈他人行儀〉まあ、なんだってそんな、他人行儀に呼ぶんだね、昔[むかし]のようにみっちゃんでいいんだよ。 **たぬき(狸)** ○人を化[ば]かすとされるイヌ科の動物。[文例]昔話によく出てくるたぬきやきつねは、ともにイヌ科の動物で、山里に住んでいます。♠〈たぬきが化ける〉古いお堂で人を驚かせていた一つ目小僧は、実はたぬきが化[ば]けていたのでした。♠〈とらぬたぬきの皮算用[かわざんよう]〉アルバイトをする前から、もらったお金の使い道ににんまりするなんて、とらぬたぬきの皮算用[かわざんよう]だね。♠〈あの男はなかなかのたぬきだ〉から、心の中で何を考えているのかわかったものではない。♠〈たぬき寝入り〉おや、たぬき寝入りかい。さあ、仕事だ、起きた起きた。 **たね【種】** (種子)○植物の種子。血筋を伝えるもと。子。原因。材料。手品のしかけ。[文例]〈たんぼぼの種〉たんぽぽの種は、白い綿毛をつけて飛んでいきます。♠〈種をまく〉もう少し暖かくなったら、畑に野菜の種をまこう。♠〈まかぬ種は生えぬ〉何でもいいから、まずやってみることが先決だよ、まかぬ種は生えぬ、と言うからね。♠〈作文の種〉作文ノートを作って、生活の中で作文の種になりそうなものをメモしておくとよい。♠〈話の種〉♠〈種が尽きる〉長い船旅は、初めは楽しかったが、だんだん話の種も尽きてきて退屈してしまった。♠〈手品の種〉♠〈種もしかけもない〉手品を始めるときに、よく「種もしかけもありません。」と言いますね。♠〈種を明かす〉手品や奇術は、種を明かすと、ナアーンダそうだったのかと思うことが多い。♠〈すしの種〉トロは、マグロの身のやや脂[あぶら]の多い部分で、すしの種に使われます。♠〈心配・けんかの種〉子供の将来は、両親にとって心配の種であり、また、口げんかの種でもあった。♠〈悩みの種〉みんなと一緒に旅行ができるのはうれしいのですが、ただ悩みの種は、乗り物に酔[よ]うことです。♠〈種を宿す〉御殿[ごてん]勤めから宿[やど]下がりした娘[むすめ]が、殿[との]の種を宿していることに母親は気づいた。 **たのし・い【楽しい】** ○愉快である。満ち足りて快い。[文例]〈楽しい遠足〉誕生日に、ちょうど楽しい遠足が重なったので、妹は大喜びです。♠〈楽しい時〉久しぶりに学生時代の仲間が集まって、何時間も楽しい時を過ごした。♠〈楽しい旅〉写真をアルバムにはりながら、楽しかった旅をふり返った。♠〈楽しい話〉おとぎ話には、子供の喜びそうな、おもしろく楽しい話がたくさんあります。♠〈楽しくやる〉さあ、ひとつ今夜は楽しくやろうや。♠〈楽しく暮らす〉貧しくてもいい、あなたと二人で、この小さなうちで、静かに楽しく暮らしたい。♠〈心楽しい〉おじいさんは、機嫌の悪いときも、かわいい孫[まご]を見れば、心楽しくなりました。 **たのしみ【楽しみ】** ○楽しむこと。楽しいこと。心待ちにさせるさま。[文例]〈楽しみがある〉気楽なはずの一人暮らしも、お金も友達もなくては何の楽しみもありません。♠〈楽しみが多い〉今年の夏休みは、田舎に行ったり海に行ったり楽しみが多いぞ。♠〈楽しみが増す〉さっちゃんたちもいっしょに行くことになって、日曜日のハイキングはますます楽しみが増しました。♠〈楽しみにする〉おじいさんは、孫[まご]たちに昔の話をするのを楽しみにしています。♠〈将来が楽しみ〉よくできる息子さんだそうで、将来が楽しみですね。 **たのし・む【楽しむ】** ○楽しいことをして満足する。[文例]〈祭りを楽しむ〉この日は、村じゅうで鎮守様[ちんじゅさま]のお祭りを楽しみます。♠〈青春を楽しむ〉姉は、旅行にスキーにと、今思う存分青春を楽しんでいます。♠〈旅を楽しむ〉宿題のない春休みだから、一週間ほどの旅も、存分に楽しむことができます。♠〈心を楽しませる〉絵や音楽など、芸術は人の心を楽しませてくれます。♠〈孤独[こどく]を楽しむ〉おてんばな妹も、そろそろ孤独[こどく]を楽しむ年ごろになったのか、一人もの思いにふけることが多くなった。 **たのみ【頼み】** ○たのむこと。たのむもの。たよること。たより。[文例]〈頼みを聞く〉夏休みに一人で旅をさせてほしいという頼みを、両親は聞いてくれるだろうか。♠〈たっての頼み〉親友のたっての頼みとあれば、引き受けないわけにはいかない。♠〈一生の頼み〉お金は必ず返すから、どうか助けてくれ、一生の頼みだ。♠〈頼みになる〉年を取ってくると、頼みになるわが子のいないさびしさが身にしみる。♠〈頼みにする〉運を頼みにするなんて、われながらおろかだと思いつつ、つい宝くじを買ってしまう。♠〈頼みの綱[つな]〉敵に取り囲まれて一週間、頼みの綱[つな]の援軍も届かない。♠〈頼みがい〉彼は、引き受けたことは必ず最後までちゃんとやってくれる頼みがいのある人だ。 **たの・む【頼む】** ○人にお願いする。たよりにする。あてにする。[文例]〈使いを頼む〉母におばのところまで使いを頼まれたので、悪いけど今日はつき合えないんだ。♠〈世話を頼む〉母は、わたしに妹の世話を頼んで、町へ出かけました。♠〈後[あと]を頼む〉ぼくは急用ができたので、悪いけど後[あと]を頼むよ。♠〈医者を頼む〉昔[むかし]は、いよいよの時にならなければ、医 <662> たのもしい た 者など頼まなかったそうです。♠〈タクシーを頼む〉今、タクシーを頼みましたので、もう少しお待ちください。♠〈大黒柱と頼む〉一家の大黒柱と頼む父親を失った少年は、進学をあきらめるより仕方がなかった。♠〈数を頼む〉数を頼む敵に対し、少数の味方は、ゲリラ戦法で対抗[たいこう]した。 **たのもし・い【頼もしい】** ○たよりになりそうだ。たよりがいがあって心強い。[文例]〈頼もしい父〉あんなに大きな、頼もしいお父さんがいたらよかったなあ。♠〈頼もしい番犬〉押し売りを追い返すとは、なかなか頼もしい番犬だ。♠〈頼もしい味方〉身寄りのないわたしだが、しかし、親友という頼もしい味方がいる。♠〈頼もしく見える〉試合に優勝した兄は、なんだかとてもまぶしくて、別人のように頼もしく見えた。♠〈行く末が頼もしい〉勉強も一番、スポーツも万能だなんて、行く末の頼もしい子だねえ。 **たば【束】** ○ひとまとめにくくったもの。[文例]〈まきの束〉納屋へ行って、まきの束を三つほど持って来ておくれ。♠〈束にする〉もうすぐ廃品[はいひん]回収があるから、古新聞を束にしてまとめておきましょう。♠〈束になってかかる〉束になってかかってこい。いつでも相手になってやる。 **だは【打破】** ○打ち破ること。[文例]〈敵を打破する〉織田信長は天下統一のため、立ちはだかる敵を次々と打破し京に上った。♠〈因習を打破する〉この地方の封建的な因習は、打破しなければならない。♠〈現状打破〉現状打破のためにさまざまな方策が打ち出された。 **タバコ(煙草・莨)** ○ナス科の一年草。また、その葉を干して刻み、火をつけて吸うもの。[文例]〈タバコを吸う〉健康[けんこう]によくないので、タバコを吸いすぎないように気をつけています。♠〈タバコをふかす〉せまい部屋で、他人の迷惑[めいわく]も考えずにタバコをふかす人がいる。♠〈タバコをのむ〉おじいさんは、炉端[ろばた]に座ると、キセルでタバコをのみ始めた。♠〈タバコに火をつける〉「さて、一服するか。」と、父は、タバコに火をつけた。♠〈タバコにする〉「おーい、みんな、ひと休みだ。おりてきて、タバコにしよう。」♠〈くわえタバコ〉くわえタバコで、駅のホームや混雑した場所を歩くのはやめてください。 **たはた【田畑】** (田畠)○田や畑。でんぱた。[文例]〈田畑に出る〉晴れた日は、必ず田畑に出て働きます。♠〈田畑を耕す〉からすきというのは昔田畑を耕すのに用いた道具で、牛や馬に引かせて使いました。♠〈田畑を開く〉国土の狭い日本を象徴[しょうちょう]するように、山の頂上付近まで田畑が開かれている。 **たはつ【多発】** ○多く発生すること。エンジンの数が多いこと。[文例]〈事故の多発〉ここ数年、二輪車による事故の多発にともない、運転者にヘルメットの着用が義務づけられました。♠〈病気が多発する〉暑くなると食べ物が腐[くさ]りやすくなり、各地で食中毒が多発します。♠〈一揆[いっき]が多発する〉江戸末期、重い年貢[ねんぐ]に耐えられなくなった農民の一揆[いっき]が多発した。 **たば・ねる【束ねる】** ○ひとまとめにくくりあげる。統率する。[文例]〈髪を束ねる〉昔[むかし]の人は、髪を束ねて結ぶための細いこよりやひもを、元結[もとゆ]いと呼んだ。♠〈わらを束ねる〉祖父が子供のころは、新しいわらを束ねて、野球のバットのかわりに使ったそうだ。♠〈まきを束ねる〉まきを適当な大きさに束ね、きちんと積み上げました。♠〈一族を束ねる〉八十歳の祖父は、一族を束ねる長老としての威厳[いげん]に満ちていた。 **たび【度】** ○おり。時。そのつど。回数。[文例]〈〜する度〉おやじは俺を見る度に、こいつはどうせろくな者にはならない、と言ったっけ。♠〈この度〉この度は合格おめでとう、よかったね。♠〈その度〉窓から風が吹きこむと長い髪の毛がほおにかかり、その度に彼女は白い手でおさえた。♠〈いく度〉この音楽は、いく度きいても、わたしの心をなごませてくれます。♠〈度重なる〉村の悪童どもの度重なるいたずらに、おしょうさんは、かんかんになった。 **たび【旅】** ○旅行すること。[文例]〈旅に出る〉学生時代は、あてもなく汽車や船の旅に出たものだ。♠〈旅から旅〉彼女は若いころ、旅から旅を渡り歩く貧しい芸人だった。♠〈漂泊[ひょうはく]の旅〉芭蕉[ばしょう]は、漂泊[ひょうはく]の旅の最後に、「旅に病んで夢は枯れ野をかけめぐる」とよんだ。♠〈旅の空〉さぞ楽しんでいると思っていたのに、お金を落とし、旅の空でとほうにくれていたとはね。♠〈旅の恥はかき捨て〉「旅の恥はかき捨て」というが、旅先でも自分の行動に責任をもつべきだ。♠〈旅は道づれ〉旅は道づれ、世は情け。♠〈かわいい子には旅をさせよ〉「かわいい子には旅をさせよ」といって、他人の中でもまれることもいい経験だ。 **だび(荼毘)** ○火葬。[文例]〈だびに付す〉遺体は、火葬場でだびに付されました。♠〈だびにする〉遺骸[いがい]はだびにして手あつく葬[ほうむ]ってやりました。 **たびかさな・る【度重なる】** ○何度も引き続いて起こる。[文例]〈度重なる災難〉度重なる災難に、村人は言葉もなく、ただがっくりと肩を落とすだけであった。♠〈度重なる催促[さいそく]〉大家さんの度重なる催促[さいそく]にもかかわらず、男はいっこうに家賃を払おうとしません。 **たびたび【度度】** ○しばしば。何度も。[文例]母が病気なので、度々学校を休んで、弟妹の世話や家事をしなければならない。♠兄は、将棋をさすと勝つまでやめないので、夜の十二時近くなって帰ることも度々ある。♠小学生のころ、いたずらが激しかったので、先生に注意されることも度々だった。 **タブー** ○触れたり、近づいたり、口にしたりすることを禁じられている事柄。禁忌。[文例]〈タブーになる〉部族にとって、死体に触れることはタブーになっていた。♠〈タブーを犯す〉どの宗教においてもタブーを犯した者は厳しい罰を受けた。♠市長の奥さんは、家で政治の話はタブーなんですよと話していました。 **だぶつく** ○大きすぎてぶかぶかする。しまりがない。あり余る。液体が容器の中で揺れ動く。[文例]〈腹がだぶつく〉中年太りの父のおなかは、だぶついています。♠〈品物がだぶつく〉雨続きで客足がにぶく、倉庫には夏物衣 <663> たまご た 料がだぶついている。 **たぶらか・す(誑かす)** ○だます。あざむく。[文例]〈人をたぶらかす〉村の人たちは、町の人間は田舎者をたぶらかすと警戒していました。♠〈娘をたぶらかす〉世間知らずの家出娘を言葉巧[たく]みにたぶらかす悪い男たちがいる。♠〈敵をたぶらかす〉兵士たちの動きを緩慢[かんまん]にさせたのは、敵をたぶらかすための作戦だった。 **ダブ・る** ○重なる。二重になる。二度繰り返す。[文例]〈日がダブる〉国民の祝日と日曜日がダブったときには、月曜日が休日となる。♠〈景色がダブる〉疲れてくると、まわりの景色がダブって見えることがあります。♠〈品物がダブる〉お祝いに頂いた品物の中には同じ物がダブってしまったのもある。♠〈学年をダブる〉わたしは浪人[ろうにん]はしていませんが、大学二年をダブっているので、四年の今年二十三歳になります。 **ダブル** ○二重。二倍。[文例]〈ダブルのベッド〉ぼくは寝相[ねぞう]が悪くてすぐに落ちるから、一人でダブルのベッドに寝ているんだ。♠〈ダブルの上着〉父は、太っているので、シングルよりもダブルの上着が似合います。♠〈ダブルパンチ〉一万円札を挟[はさ]んでいた定期入れを落とすなんて、ダブルパンチをくらったようなものだ。 **たぶん【多分】** ○多いこと。たくさんあること。たいてい。おそらく。[文例]明日は、多分雨は降らないでしょう。♠多分年齢のせいだろうが、このごろ肩[かた]がひどくこるんだ。♠〈多分にある〉あまり勉強しなかったから、試験に落ちるおそれは多分にある。♠〈多分の寄付〉この度は、多分の寄付をいただきまして、まことにありがとうございます。♠〈ご多分にもれず〉ご多分にもれず、彼が蒸発したのは、多額[たがく]の借金をしていたかららしい。 **たぶん【他聞】** ○他人に聞かれること。[文例]〈他聞をはばかる〉話がそれにふれると、客は他聞をはばかるのか声をひそめた。 **た・べる【食べる】** ○食う。食する。[文例]〈ご飯を食べる〉兄さんは、よっぽどおなかが減っていたのか、ご飯を四杯も食べました。♠〈家族を食べさせる〉父は家族を食べさせるために一生懸命[けんめい]働いています。♠〈一家が食べていく〉こんなに商売がうまくいかないのでは、一家四人がとても食べていけない。 **たほう【他方】** ○もう一方。別の方。[文例]〈一方・他方〉当時の日本は、一方で戦争の準備をしながら、他方では和平の道を模索していた。♠円高は物価の下降をうながしたが、他方で失業の増大を生み出していた。 **たぼう【多忙】** ○非常に忙しいこと。[文例]〈多忙をきわめる〉正月が近くなると、美容院を経営している母は多忙をきわめる。♠〈仕事が多忙〉父は仕事が多忙で、家庭を顧[かえり]みる暇[ひま]がありません。♠〈多忙な身〉おじは弁護士として多忙な身だが、ほとんど毎日、病気の祖父を見舞いにくる。 **だぼく【打撲】** ○強く打ちつけること。[文例]はれがひどいので骨折かとも思いましたが、単なる打撲と聞いてほっとしました。♠〈打撲を受ける〉打撲を受けた箇所[かしょ]は、内出血して紫色になっていた。♠〈打撲傷〉試合中に打撲傷を負った林君は、保健室で手当てを受けている。♠〈全身打撲〉事故を起こした車の運転手は、全身打撲の重傷です。 **たま【玉・球・弾】** (珠)○宝石。美しいもの。価値の高いもの。丸い形をしたもの。ボール。弾丸。[文例]〈涙の玉〉そのとき、少女の目からぼとりと、まん丸い涙の玉がこぼれ落ちたのです。♠〈毛糸の玉〉おばあさんが編んでいる赤い毛糸の玉に、子ねこがじゃれついています。♠〈うどんの玉〉「うどんを一玉、大急ぎで買って来ておくれ。」と、母はお金を渡しながら言った。♠〈火の玉〉人間、いったん請け合ったことは、たとえ天から火の玉が降ってもやりぬくもんだ。♠〈眼鏡の玉〉眼鏡をかけたままおふろに入ったら、玉が湯気でくもって見えなくなった。♠〈玉のような汗[あせ]〉だ一番を終えた力士の体から、玉のような汗[あせ]が流れている。♠〈玉をころがすような声〉ラジオから玉をころがすようなソプラノの歌声が流れてきた。♠〈玉[たま]のこし〉あんな性悪[しょうわる]女が玉[たま]の輿[こし]に乗るなんて、神様は不平等だわ。♠〈玉にきず〉あの人は、頭もいいし、よく気もつくが、短気なのが玉にきずだ。♠〈玉のような赤ちゃん〉姉が玉のような男の赤ちゃんを生み、両親は初孫[ういまご]に夢中[むちゅう]になっている。♠〈掌中[しょうちゅう]の玉〉掌中[しょうちゅう]の玉として育てた一人娘[むすめ]がお嫁[よめ]に行ってから、叔父[おじ]はめっきりふけこんだ。♠〈目の玉が飛びでる〉目の玉が飛びでるほど高いので、まつたけご飯はあきらめたわ。♠〈玉と散る・砕[くだ]ける〉潔[いさぎよ]く死ぬことを玉と散る、玉と砕[くだ]けるなどといい、戦争中さかんに使われた。♠〈玉磨かざれば光なし〉「玉磨かざれば光なし」というが、人も努力しなければ、すぐれた素質があっても大成できない。♠〈電気の球〉電気の球が切れたから、すぐ買ってきてちょうだい。♠〈球が速い〉二回戦であたるチームのピッチャーは、球が速いぞ。♠〈鉄砲[てっぽう]の弾〉兵士は、物かげから敵が撃[う]った鉄砲[てっぽう]の弾に当たって負傷した。♠〈弾をこめる〉くまが出たという知らせに、急いでライフルに弾をこめて外へ出た。♠〈弾が飛び交う〉雨あられと弾の飛び交う中を前進する兵士たちは、次々に傷つきたおれた。 **たま(偶)** ○まれであること。[文例]〈たまに〉お母さんも年だから、たまに、健康診断[しんだん]をしたほうがいいんじゃないの?♠〈たまの〉たまの休みぐらい、ゆっくり寝させてくれないかなあ。♠〈時たま〉あいつなら、時たま、ふらっとやって来るよ。 **たま・げる(魂消る)** ○非常に驚く。びっくりする。[文例]戦死したはずの息子が元気に帰ってきたとき、おじいさんは、こしをぬかすほどたまげました。♠〈たまげた話〉大人が手ぶらで、小さい子供に重い荷物を持たせるなんて、たまげた話だ。♠「あんたが百点とるなんて、たまげたわ!」♠いやあたまげたのたまげないのったら、拾った宝くじが当たったよ。 **たまご【卵・玉子】** ○虫・魚・鳥などの雌[めす]が産む物。特にニワトリの産む物。一人前に育つ前のもの。[文例]〈卵を産む〉カブトガニは、卵を海岸の砂の中に、数百個ずつ分散して産み <664> たまさか た ます。♠〈卵を割る〉母のまねをして、片手で卵をポンと割って、フライパンで目玉焼きを作りました。♠〈卵からかえる〉卵から幼虫がかえり、幼虫がさなぎになります。♠〈卵をだく〉巣箱で、親鳥が卵をだいて温めているから、ひながかえるのが楽しみだ。♠〈今日の玉子は、ワンパック三百円だよ。〉♠〈卵に目鼻〉妹は、色白のかわいい顔をしているので、みんなに卵に目鼻と言われます。♠〈医者の卵〉兄は、父の後を継[つ]ぐために病院で実習している小児科の医者の卵です。♠〈丸い卵も切りようで四角〉丸い卵も切りようで四角、ものも言いようで角[かど]が立つから、言葉づかいに気をつけなさい。 **たまさか(偶か)** ○たまたま。偶然。まれ。[文例]〈たまさか起こる〉二つの火山の爆発はたまさか同じ時に起こったのであって、関連があるわけではない。♠〈たまさか会う〉大田さんとは地下鉄の駅でたまさか会う程度だ。♠〈たまさかの来客〉日ごろ訪[おとず]れる人もない山荘にたまさかの来客があり、昨夜は遅くまであかりがついていた。 **たましい【魂】** ○生物や人の心の働きのもと。死者の霊。精魂。心。意識。[文例]〈死者の魂〉うら盆は、年に一度帰ってくる死者の魂をなぐさめる、古くから伝わる行事です。♠〈祖先の魂〉季節や年が変わるとき、祖先の魂がやってくると昔[むかし]の人は考えていた。♠〈魂のぬけがら〉愛児の突然[とつぜん]の死に、母親は驚[おどろ]きと悲しみで、魂のぬけがらのようになった。♠〈魂がぬける〉コンクールで失敗した若い音楽家は魂のぬけたような毎日を送った。♠〈魂がつきる〉思いがけない負けの判定に、選手は、魂がつきたように、しばらくぼうぜんとしていた。♠〈魂をこめる〉父が魂をこめて作り上げた作品は、人々に認められもてはやされた。♠〈魂を入れかえる〉怠け者だった彼も、嫁[よめ]さんをもらってからは魂を入れかえたのか、一生懸命[けんめい]働いている。♠〈魂を入れる〉まさに魂を入れられたかのように、今にも動きだしそうな馬の絵だね。♠〈三つ子の魂百まで〉「三つ子の魂百まで」と言って、小さい時身についたことは、一生消えないものだ。♠〈一寸[いっすん]の虫にも五分の魂〉「一寸[いっすん]の虫にも五分の魂」で、ぼくにだって意地もメンツもあるんだから、ばかにするな。♠〈仏作って魂入れず〉「仏作って魂入れず」で、おまえのやることは、最後のかんじんのところがぬけているんだ。♠〈負けじ魂〉彼の負けじ魂が試合の流れを変え、味方を勝利に導いたと言える。♠〈たましひのたとへば秋のほたるかな〉(飯田蛇笏)♠〈魂よいづくへ行くや見のこししうら若き日の夢に別れて〉(前田夕暮) **だましだまし(騙し騙し)** ○しきりにだますさま。故障のある物をなんとか使い続けるさま。[文例]注射をこわがって泣きじゃくる子を、お母さんはだましだまし診察室[しんさつしつ]に連れてゆきました。♠使い古した機械ですが、たたいたりゆすったりして、だましだまし使っています。♠二十年近くもだましだまし乗ってきたポンコツ車も、去年の冬とうとう動かなくなってしまった。 **だま・す(騙す)** ○たぶらかす。あざむく。なだめる。きげんを取る。[文例]〈人をだます〉昔話[むかしばなし]の中で、きつね・たぬきは人をだます動物として扱[あつか]われています。♠〈まんまとだまされる〉彼女のいつもと変わらない態度に、ぼくたちはまんまとだまされてしまった。♠〈だましだまし〉この機械もずいぶんガタがきていて、だましだまし使っているんですよ。♠〈だまされたと思って〉体の調子が悪いんだったら、だまされたと思ってこの薬を飲んでごらん。 **たまたま(偶・適)** ○偶然に。まれに。時おり。[文例]遠く離れていて、たまたまふるさとの方言を聞くと、本当になつかしい。♠たまたま新聞の投書欄で、さがしていた恩人の健在がわかった。♠彼女は、近くまで来たと言ってたまたま立ちよることがあるが、すぐに帰ってしまう。♠打った球が、たまたま、校長先生の頭に当たったのです。 **たまのこし【玉のこし】** (玉の輿)○貴人の乗る美しい乗り物。富貴な身分の人との縁組み。[文例]〈玉のこしに乗る〉王子様[おうじさま]の目に止まり、玉のこしに乗った娘[むすめ]の両親は大喜びです。♠〈玉のこしを逃[のが]す〉少しぐらい年をとっているのはがまんしなさい。玉のこしを逃[のが]す手はないわよ。 **たまもの(賜物・賜)** ○いただき物。よい結果。成果。[文例]〈努力のたまもの〉彼の今日の成功は、まったく努力のたまもので、運がよかったからではない。♠〈労働のたまもの〉お百姓[ひゃくしょう]さんの労働のたまものなんだから、ご飯は、残さないで食べなさい。♠〈神様のたまもの〉この子は、神様のたまものと思って、大事に育てるつもりです。♠〈天からのたまもの〉水は、生活に欠かせない大切な天からのたまものだから、一てきもむだにしないようにしよう。 **たまらな・い(堪らない)** ○がまんできない。もちこたえられない。こたえられない。[文例]〈痛くてたまらない〉横っ腹が痛くてたまらないので病院へ行ったら、盲腸炎[もうちょうえん]と分かった。♠〈うれしくてたまらない〉妹は、人形を買ってもらって、うれしくてたまらないのかぴょんぴょんとびはねている。♠〈たまらなくなつかしい〉屋根に雪をのせて駅に入って来る列車を見ると、雪国のふるさとがたまらなくなつかしい。♠「えっ、大型台風が来るの? たまらないなあ。」 **たま・る(溜まる・堪る)** ○多量に集まる。とどこおる。もちこたえる。こらえる。[文例]〈水がたまる〉川の流れからはずれて水がたまった所に、ささぶねを作って浮かべました。♠〈涙がたまる〉少年の目には涙がいっぱいたまって、いまにもこぼれそうです。♠〈ごみがたまる〉台所のごみがたまったので、袋[ふくろ]に入れて、ごみ捨て場に出してちょうだい。♠〈あかがたまる〉風邪をひいて、しばらくふろに入れなかったので、体中にあかがたまって気持ちが悪い。♠〈宿題がたまる〉夏休みも終わりに近いから、そろそろたまった宿題をかたづけるか。♠〈金がたまる〉一年間、我慢[がまん]に我慢[がまん]をかさねて倹約[けんやく]したら、ずいぶんお金がたまりました。♠〈つけがたまる〉つけがたまると後[あと]がたいへんだから、その度[たび]にはらうようにしてくださいよ、お客さん。♠〈怒[いか]りがたまる〉仕事を怠[なま]けて酒ばかり飲んでいる父親に対する怒[いか]りが、少年の腹の底にたまってきた。♠〈疲れがたまる〉顔色が悪いけれど、仕事がいそがしくて疲れがたまっているんじゃない <665> ためす た の?♠〈エネルギーがたまる〉地球内部にたまった熱エネルギーが地殻にひずみをおこすのが、地震の原因らしい。♠〈心配でたまらない〉ふだんの授業を怠けてきたので、明日からの試験が心配でたまりません。♠〈たまらなく〜〉昔[むかし]の友達がたまらなく懐かしくなり、故郷へ向かう汽車に飛び乗っていました。♠〈たまったものでない〉毎日、こう暑くちゃたまったもんじゃない。 **だま・る【黙る】** ○口をきかなくなる。何もしないでいる。[文例]おしゃべりはやめて、みんな黙りなさい。♠〈黙れ〉、おまえには他人のことをとやかく言う資格はないのだ。♠〈黙っていられない〉あまりみんなのやることがひどすぎるので、ぼくも黙っていられなくなりました。♠〈黙っていても〉彼はたくさんの土地を持っていて、黙っていても月何百万円もの収入があります。♠〈黙って使う〉他人の物を黙って使うのは良くないよ。♠〈泣く子も黙る〉その名を聞けば泣く子も黙るほど、武将の勇名は天下にとどろいていた。♠〈黙って座ればぴたりと当たる〉「黙って座ればぴたりと当たる」は、易者[えきしゃ]さんの決まり文句です。 **たまわ・る【賜る】** ○いただく。くださる。[文例]〈褒美[ほうび]を賜る〉殿様[とのさま]からご褒美[ほうび]を賜った。♠〈言葉を賜る〉祖母は、園遊会で天皇陛下から言葉を賜ったのが自慢です。♠〈拝謁[はいえつ]を賜る〉宮殿で国王の拝謁[はいえつ]を賜った大使は、ひどく緊張[きんちょう]した表情でした。 **たみ【民】** ○国家の統治下にある人々。人民。[文例]〈民の暮らし〉当時、一部の貴族たちははなやかな生活を送っていたが、民の暮らしは貧しいものだった。♠〈流浪[るろう]の民〉わたしたちは、家も土地も財産もすべて失った流浪[るろう]の民として大平原をさまよった。♠〈神の民〉そして、わたしはあなたたちをわたしの民とし、わたしはあなたたちの神となる。(旧約聖書・出エジプト記) **だみごえ【だみ声】** (濁声)○なまった声。濁った感じの声。[文例]〈だみ声でどなる〉だみ声でどなっていた酔っ払いは、警官に連れていかれた。♠〈だみ声を上げる〉工事現場でいつもだみ声を張り上げている現場監督の姿が今日は見えない。 **だみん【惰眠】** ○怠けて眠ること。何もしないでいること。[文例]〈惰眠をむさぼる〉その日の朝暖かいふとんの中で、ぼくはぐずぐずと惰眠をむさぼっていました。♠〈惰眠をむさぼる〉政府は、今日の事態が予測されたにもかかわらず、何らの方策も講じることなく惰眠をむさぼっていたのか。♠〈惰眠を破る〉一八五三年の黒船の来航は、まさに泰平の惰眠を破る出来事だった。 **たむ・ける【手向ける】** ○そなえる。ささげる。はなむけをする。[文例]〈墓に手向ける〉お墓にはきれいな花と清酒が一本手向けられていた。♠〈霊[れい]に手向ける〉娘が好きだった歌手のレコードをその霊[れい]に手向けました。 **たむろ・する(屯する)** ○群れ集まる。群がっている。[文例]〈生徒がたむろする〉朝礼が始まる前、生徒たちは校庭にたむろして時間になるのを待っていた。♠〈ファンがたむろする〉コンサートが終わってからも、大勢のファンが会場のまわりにたむろしていた。♠〈不良がたむろする〉盛り場の裏通りには街の不良がたむろしているから、近づかないほうがいい。 **ため(為)** ○利益。得。目的。原因や根拠。その身の上に関すること。[文例]〈ためになる〉明日は、みんなに、今まで読んだ本の中でおもしろかったり、ためになったりした話をしてもらいます。♠〈ためにならない〉いつまでも、言うことを聞かないと、ためにならないぞ。♠〈子供のため〉「かわいい子には旅をさせよ」ということわざのとおり、一人で苦労させるのが子供のためだ。♠〈世のため人のため〉ここにゴミ処理場をつくるのも、世のため、人のためだ。♠〈何のため〉いったい、何のために、こんな難しい勉強をしなければならないのだろう。♠〈念のため〉念のため言っておきますが、明日の社会科見学には、おやつを持って来てはいけません。♠〈ためにする〉彼の話は、自分に都合のいいように、ためにするものが多いから、すぐ信用してはいけない。♠〈〜するため〉弱虫の太郎が病気のおじいさんを助けるために、夜道を一人で走り、お医者さんを呼んできたよ。 **だめ【駄目】** ○囲碁でどちらのものにもならない目。演劇で演出上の注意。むだ。無理。不可能。劣るさま。禁止を表す語。[文例]〈駄目を押す〉校長先生も賛成だと思うが、もう一度、先生から駄目を押しておいてもらおう。♠〈駄目が出る・を出す〉途中で監督から駄目が出て、このシーンは最初からやり直しになりました。♠〈駄目な男〉このくらいの練習で音を上げるとは、いつからそんな駄目な男になったんだ。♠〈駄目になる〉早く病院に行って診てもらったら。このままではきみの体は駄目になってしまうよ。♠〈今日みたいな日に漁に出ても駄目さ、一匹[いっぴき]も釣れないよ。〉♠〈こら、勝手に入っちゃ駄目じゃないか、はやく出ていきなさい。〉 **ためいき【ため息】** (溜め息)○心配・失望などした時に思わず出る、大きな長い息。[文例]〈ため息が出る〉せがれの出来の悪さには、まったくため息が出ます。♠〈出るのはため息ばかり〉毎日いやなことだらけで、出るのはため息ばかりだ。♠〈深いため息〉♠〈ため息をもらす〉彼は、仕事が思うようにいかなかったのか、深いため息をもらすと、ふとんをかぶってねてしまった。♠〈ため息をつく〉猟師[りょうし]は、死んだ母ぐまのそばをはなれない子ぐまを見て、かわいそうなことをしたと、太いため息をついた。♠〈ため息まじり〉となりのおばさんがため息まじりに子供に小言を言っているのが、窓ごしに聞こえる。 **ためし【試し】** (例)○ためすこと。以前あった、同様の事柄。前例。例。[文例]〈試しに使う〉このせんぬきは便利ですから、試しに使ってみてください。♠〈ものは試し〉わたしの言うことを信用しないようだが、ものは試し、食べてごらん、とてもおいしいから。♠〈ためしがない〉あいつは、いつ行っても家にいたためしがない。 **ため・す【試す】** ○実際にやってみる。実演する。[文例]〈実際に試す〉ほんとうに駅から五分で行けるか、実際に試してみよう。♠〈あれこれと試す〉あれこれと試して、ホットケ <666> ためつすがめつ た ーキの焼き方のこつがやっとのみこめました。♠〈限界を試す〉無理だと言われても、ぼくは、体力の限界を試してみたいから、自転車旅行に行くよ。♠〈人を試す〉人を試す悪いくせがなければ、彼は申し分のない男なのだが。 **ためつすがめつ【矯めつすがめつ】** (矯めつ眇めつ)○いろいろな角度から眺めるさま。[文例]〈ためつすがめつ眺める〉彫刻をためつすがめつ眺めていたおじさんが、ほっと大きくため息をついた。♠〈ためつすがめつ見比べる〉ためつすがめつ見比べましたが、どちらが本物かさっぱりわかりません。♠〈ためつすがめつ見る〉骨董屋[こっとうや]はためつ、すがめつ、それを見ていたが、急に冷淡な顔をして小使[こづかい]の前へ押しやると、「五円やったら貰[もら]うとこう」と云[い]った。(志賀直哉「清兵衛と瓢箪[ひょうたん]」) **ためらい** ○ためらうこと。[文例]若い女性のはじらいやためらいは、その人をかわいらしく見せます。♠〈ためらいがある〉ほんのちょっとでもためらいがあれば、女一人で夜道を訪ねてくることはなかったろう。♠〈ためらいを感じる〉先輩よりも先に帰っていいかどうか、ためらいを感じた一年生は校門の所で待っていました。 **ためらう** ○決心がつかずに動きがにぶる。[文例]ぼくがどうしようかと迷い、ためらうときでも、兄は少しもためらわず実行する。♠友達とけんかした後、ぼくが悪いと反省したので、少しためらったが、思い切って謝[あやま]った。♠〈返事をためらう〉「いっしょに行かないか。」の誘[さそ]いに、わたしは返事をためらった。♠〈ためらいがち〉職員室に入ってきた生徒は、ためらいがちに、小さな声で話しはじめた。 **た・める(溜める・貯める)** ○集めていっぱいにする。とどこおらせる。[文例]〈物をためる〉おどろいたことに、犬のコロは、穴[あな]をほって、その中に食べ物をためているのです。♠〈ごみをためる〉部屋にごみをいっぱいためておいたら、だらしないと、母にしかられました。♠〈なみだをためる〉子牛とひき離[はな]された母牛は、目にいっぱいのなみだをためて、悲しげです。♠〈金をためる〉彼は、稼[かせ]いでためた有り金[ありがね]を全部はたいて、新車を買った。♠〈家賃をためる〉アパートの家賃を半年間ためたので、とうとう家主に追い出されるはめになった。♠〈宿題をためる〉夏休みの宿題をためて、死ぬ思いをした人は多いでしょう。♠〈書きためる〉秋の夜長を、小学生のときに書きためた詩や作文を読み返して過ごした。 **た・める【矯める】** ○まっすぐに直す。よい形に曲げる。ねらいをつける。[文例]〈枝を矯める〉盆栽[ぼんさい]の松の枝を針金で矯め、両手を広げた形にします。♠〈角[つの]を矯[た]めて牛を殺す〉小さな欠点を無理に直そうとすると、長所をだめにすることがあるよ、角[つの]を矯[た]めて牛を殺すといってね。♠〈弓を矯める〉猟師[りょうし]が弓を矯[た]めて放[はな]つと、ねらいたがわず矢は獲物[えもの]に命中したようです。 **ためん【多面】** ○多くの平面。いろいろな方面。[文例]〈多面にわたる〉氏の多面にわたる活躍が今回の受賞となったのでしょう。♠〈多面的〉議案の議決は、多面的な検討をへてから行うのが望ましい。 **たも・つ【保つ】** ○ある状態を続ける。もちこたえる。維持する。[文例]〈姿勢を保つ〉彼は、馬のくら[・・]にまたがって、軍人らしい姿勢を保っていた。♠〈調和を保つ〉地球上の生物は、おたがいにつながりをもち、調和を保ちながら生きています。♠〈つりあいを保つ〉魚の腹びれは、体のつりあいを保つのにも役だちます。♠〈面目[めんぼく]を保つ〉最後の種目で一位になったので、陸上部のぼくは、どうにか面目[めんぼく]を保つことができた。♠〈体面を保つ〉古くからの名家[めいか]としての体面を保つには、それなりの苦労もある。♠〈風紀を保つ〉集団には、その風紀を保つために、いろいろなきまりがあるのが普通だ。♠〈記録を保つ〉ハンマー投げの室伏[むろふし]選手は、十年以上日本記録を保っていました。♠〈安定を保つ〉様々な人種がいりみだれるこの街で、社会の安定を保つことは、とても難しいことだ。♠〈生命を保つ〉植物は、日光・空気・水・栄養物によって生命を保っています。♠〈身代[しんだい]を保つ〉生まれつき遊び好きだったその男は、親から受けついだ身代[しんだい]を保つことができなかった。♠〈健康を保つ〉父にとって、早朝マラソンが健康を保つ役割を果たしているようだ。♠〈温度を保つ〉生まれたばかりの赤ちゃんや体の弱いお年寄りの部屋は、なるべく温度を一定に保つようにしよう。♠〈秩序を保つ〉家庭の秩序を保つのだって、全員の協力が必要なんだ。♠〈間隔[かんかく]を保つ〉近づきすぎると危険ですから、前の車とは一定の間隔[かんかく]を保つようにしなさい。♠〈距離を保つ〉周りの人に甘えるところがあるから、あの子とは距離を保ったつき合いをしている。 **たもと(袂)** ○和服のそでの下の袋状の部分。また、単にそで。(橋の)岸に接する部分。[文例]〈着物のたもと〉晴れ着を着た姉さんは、きれいだとほめられて、長いたもとではずかしそうに顔をおおった。♠〈たもとに入れる〉前を歩いていた町人が、さいふを拾って何食わぬ顔でそっとたもとに入れた。♠〈たもとを分かつ〉くちょっとしたゆきちがいから、親友とたもとを分かつことになったのは残念だ。♠〈橋のたもと〉やさしい人に拾われることを願って、犬を人通りの多い橋のたもとに捨てた。 **たや・す【絶やす】** ○絶えさせる。絶つ。きらす。[文例]〈火種を絶やす〉おばあさんは、火ばちの火種を絶やさないように、絶えず炭をつぎたしています。♠〈微笑[びしょう]を絶やす〉おばは優しい女性で、無口だが、いつも微笑[びしょう]を絶やしたことがない。♠〈悪事を絶やす〉大泥棒[おおどろぼう]の石川五右衛門が言ったように、この世から悪事を絶やすことは難しい。♠〈血筋を絶やす〉あの家は、子供が生まれないが、血筋を絶やしたくないと、親せきから養子をもらったそうだ。 **たやすい(容易い)** ○楽にできて簡単だ。易しい。[文例]〈たやすいこと〉水泳部のきみにとって、この川を泳ぎ渡るのはたやすいことだ。♠〈たやすい仕事〉ペンキ塗りはあれでけっこう根気のいる作業で、見た目ほどたやすい仕事ではない。♠〈たやすい御用〉このダンボール箱を二階まで運ぶのかい? いいよ、たやすい御用だ。♠〈たやすく言う〉みんなは簡単にできるとたやすく言うが、高所恐怖症のぼ <667> **だらしない**○しまりがない。節度がない。根性がない。[文例]本やらおもちゃやら使いっぱなしで散らかしておくなんて、だらしないわね。♠親に反対されて結婚をあきらめるなんて、あいつも意外にだらしないな。♠夏の昼下がり、犬がコンクリートの上にだらしなく寝そべっていた。 **たゆた・う**(揺蕩う)○ゆらゆら揺れる。ためらう。たゆとう。[文例]〈小舟がたゆたう〉春の海にたゆたう小舟から釣り糸が垂れています。♠●へ葉がたゆたう〉枝を離れた落ち葉が池の水面にたゆたい、秋の風情を感じます。 **たゆみな・い**(弛みない)○緊張のゆるむことがない。怠けることがない。[文例]〈たゆみない緊張[きんちよう]〉ここはもう祖国だと思うと、たゆみない緊張の糸がぷっつり切れてそのままそこに倒れ込んだ。♠●へたゆみない努力〉たゆみない努力こそ、成功のかぎです。♠●へたゆみなく続く〉ガン撲滅[ぼくめつ]のための研究は今日もたゆみなく続いています。 **たゆ・む**(弛む)○心がゆるむ。怠ける。[文例]へたゆまぬ練習>優勝できたのは、一年間のたゆまぬ練習の結果だ。♠◆〈たゆまぬ努力〉あなたのたゆまぬ努力に心から敬意を表します。♠●へたゆむことなく〉研究は、生涯[しようがい]を通じてたゆむことなく続行された。♠●くうまずたゆまず>商売は、うまずたゆまずこつこつやっていくにかぎる。 **たよう**【多様】○いろいろであるさま。さまざま。[文例]〈多様な文化>日本の文化は、中国をはじめとして、諸国の多様な文化をとり入れてつくられたものです。♠●〈多種多様>正倉院には、織物や鏡、器、楽器など、多種多様な宝物[ほうもつ]が納められています。♠●〈価値観が多様〉人間の価値観は多様だから、自分の考えだけがいつも正しいなんて思っちゃいけない。♠●〈能力が多様〉人間の能力は多様で、だれもが可能性をもっている。♠●へ〈多様性>生徒たちの作品は、なかなか多様性に富んでいて、おもしろいものがあるよ。 **たよう**【多用】○用事が多いこと。多く用いること。[文例]御多用中をたいへん恐縮でございますが、二、三分お時間を頂けないでしょうか。♠●へ多用する>敬語を多用すると、かえって無礼だったり、こっけいだったりすることがあるので注意が必要です。 **たより**【頼り】○たよること。たよるもの。[文例]〈親を頼りにする〉彼は、三十歳というのに、裕福な親を頼りにして、ぶらぶら遊んでくらしている。♠●〈明かりを頼りに〉おじいさんは、ろうそくの明かりを頼りに、倉の中でごそごそと何かをさがしています。♠●〈頼りになる>親友が裏切るなんて、人の心ほど頼りにならないものはない。♠●へ一家の頼り〉一家の頼りであった父親を亡くした少年は、田舎[いなか]の祖父に預けられることになった。♠●へ体力が頼り>頭に自信がないから、ぼくの場合、体力だけが頼りだ。 **たより**【便り】○手紙。知らせ。[文例]〈便りをもらう〉アメリカ留学中の兄から、約束[やくそく]どおりスケッチ入りの便りをもらった。♠●へ便りがとだえる・届く〉しばらく便りがとだえていた息子[むすこ]から、待ちわびていた便りが届いた。♠●へ便りがある。ない〉就職した兄から一回も便りがないのは、無事でいる証拠[しょうこ]だと、母は自分に言い聞かせている。♠●へ便りのないのはいい便り〉さっぱり音[おと]さたがないが、便りのないのはいい便りで、元気にやっているんだろう。♠●へ便りが来る〉〈便りをよこす〉結婚[けつこん]した姉から便りが来るのを楽しみにしているのに、久しくよこさない。♠●へ家族からの便り〉出かせぎに東京へ行った父は、家族からの便りがなによりの楽しみだそうです。♠●〈春の便り〉立春が過ぎ、うめのつぼみもふくらんでくると、一日も早い春の便りが待たれます。♠〈風の便り>昔[むかし]お世話になった先生が病気だと、風の便りに聞いたので心配です。 **たよりな・い**【頼りない】○頼りにならない。あてにならない。頼るものがなく心細い。[文例]〈頼りない男〉しっかり者の彼女があんな頼りない男と結婚するなんて。♠●へ頼りない返事「海水浴に連れて行って。」と父にねだったら、「そうだな。」と頼りない返事だった。♠●へ運転が頼りない>免許取りたてで、姉の運転ははなはだ頼りない。♠へ頼りない心〉息子に去られた親は、頼りない心をどうすることもできなかった。 **たよ・る**【頼る】○たのみにしてすがる。つてを求める。手がかりにする。[文例]】〈知人・親類を頼る>空襲[くうしゅう]がはげしくなると、都会に住む人たちは、知人や親類を頼って、田舎[いなか]へ疎開[う]した。♠へつてを頼る〉彼は、向学心に燃え、わずかのつてを頼って、外国の大学へ留学しました。♠◆へ~を人に頼る〉わたしども夫婦は、老後を子供に頼るつもりはこれっぽっちもありません。♠●〈自然の恵みに頼る〉人間が生きるためには、自然の恵みに頼らなければならないのだから、自然を大切にしよう。♠●〈つえに頼る〉おじいさんは、足が弱っているので、つえに頼らなければ歩けません。♠●へ強いものに頼る〉きみみたいに、強いものに頼っていばる者を、「とらの威を借るきつね」と言うんだよ。♠◆ヘ想像に頼る〉本物の海を見たことがないので、山の子たちは、想像に頼るしかなかった。 **たらい**(盥)たらい○(「手洗い」から)洗濯などに用いた、丸く平たい容器。[文例]かつてはたらいで行水する姿は夏の風物詩のひとつでした。♠●へたらい回し〉休診の病院をたらい回しにされて、手遅れになった病人の話を聞いたことがあります。 **だらく**【堕落】○身をもち崩[くず]すこと。悪の道に陥[おちい]ること。[文例]〈政治の堕落>政治家はその演説の中で、現在の政治の堕落について多くの時間を費やした。♠へ堕落の道〉わたしを堕落の道から救ってくれたのは、先輩[せんぱい]の温かい言葉だった。♠●へ堕落する〉将来を有望視された青年も、酒がもとで堕落し、すっかり身を持ち崩してしまった。♠●へ堕落した学生〉このフィルムは、一人の堕落した学生にスポットをあてたドキュメントです。 **だ・ける**○しまりがなくなる。だらだらする。[文例]〈気持ちがだらける〉だらけた気持ちで練習をすると、思わぬけがをすることがある。♠●〈試合がだらける〉盛り上がりのないだらけた試合に、観客からブーイングが起こりました。 <668> **だ・れる**○だらしなくなる。だらける。例〈気分がだれる〉給料遅配では気分がだれて仕事になりません。♠子供がだれる〉校長先生の長い話に、一年生はすっかりだれて、となりの子とふざけ合っている。♠◆人生活がだれる>彼は会社をやめてから仕事につかず、毎日ごろごろとだれた生活を送っている。 **たわい**(他愛)○思慮分別。正気。とりとめ。手ごたえ。』たわいない[文例]へたわいがない二人は、たわいのない話に花を咲かせ、笑いころげている。♠●へたわいもない〉ふだん用心深い彼女が、ソファーでたわいもなく眠りこけている。♠●へたわいない>優勝候補の一人と思われていた選手が、一回戦でたわいなく敗れ去った。 **たら・す**【垂らす】○垂れるようにする。↓たれる[文例]<釣り糸を垂らす〉手ごたえがあったので、垂らしていた釣り糸を急いで巻き上げたら、大きなたいがかかっていた。♠へ舌を垂らす〉あまりの暑さに、犬がだらりと舌を垂らし、ハアハアあえいでいます。♠●へ髪を垂らす〉長い髪を垂らして、うっとうしいから、ばっさり切ったらどうなの。♠●へよだれを垂らす〉授業中、となりの子がよだれを垂らして、いねむりをしています。♠●へはなを垂らす〉昔[むかし]は、はなを垂らした子が必ずいたのに、最近見かけなくなったのはどうしてでしょう。♠く汗水垂らす〉お父さんは、ぼくたちのために、汗水垂らして一生けんめい働いてくれています。 **たりき**【他力】○他人の力。他人の助け。→自力[文例]〈他力本願〉他人の力をあてにするそんな他力本願では、人生を切り開いていくことができない。 **たりょう**【多量】○量が多いこと。♪大量[文例]〈多量の雨〉今年は、春から夏にかけて多量の雨が降り、草木の生長が著しい。♠へ多量に含む〉この工場から流れ出る排水の中には、有毒な物質が多量に含まれていた。♠●へ多量に産出する>西アジアの国々からは石油が多量に産出されます。 **た・りる**【足りる】○十分にある。間に合う。値打ちがある。[例]〈一人足りない>遠足の帰り道、点呼をとったら、一人足りないので、大さわぎになった。♠●〈金が足りる〉あの男みたいに、毎晩、遊び回っているのでは、いくら金があっても足りないよ。♠●へ眠りが足りる〉今日は、眠りが足りなくて、頭がぼんやりしています。♠人手が足りる〉川をきれいにする運動は、大人だけでは手が足りないので、ぼくたちも協力した。♠◆注意が足りない〉きみは注意が足りないね。危険だから、よく左右を確かめて歩きなさい。♠●へ〜あれば足りる〉ノートと消しゴムを買うのなら、五百円あれば足りるだろう。♠人用が足りる〉おまえを使いにやっても、一度で用が足りたためしがないね。♠へ電話で足りる〉電話で足りる用件だから、わざわざ出向くこともないのに。♠信頼[しんらい]するに足りる〉人の幸せにはいろいろあるが、信頼するに足りる友を得ることもその一つだろう。♠●へ満ち足りる>予定以上に勉強がはかどったので、その夜は、満ち足りた気持ちで床[とこ]に入った。 **たる**(樽)○酒・みそなどを入れるふたのついた円筒形の容器。[文例]〈木のたる〉ひんやりした地下室に、ウイスキーの入った大きな木のたるがいくつもあった。♠●へ漬け物のたる>井戸端[いどばた]には大きな石と白菜の山と、漬け物のたるが置いてある。 **た・る**【足る】♪た・りる **だる・い**(怠い・懈い)○疲れて、体が重い感じだ。[文例]<体がだるい〉体がだるいので、横になっています。♠●へ足がだるい〉一日歩き回ったので、足がだるい。 **だるま**(達磨)○インドの僧で禅宗の開祖。また、それが座禅する姿に似せた人形。又例〈だるまの人形>赤い衣を着て手足がなく、顔に太いひげを生やしただるまの人形は、縁起物です。♠へだるまに目を入れる〉当選の決まった候補者は、万歳を三唱したあとだるまに目を入れました。♠●だるまさんだるまさん、にらめっこしましょ、笑うと負けよ、あつぷつぷ。 **たる・む**(弛む)○張りつめていたものがゆるむ。又例ひもがたるむ〉物干しのひもがたるんでいるので、そっちの端[はし]をひっぱってちょうだい。♠●へ腹がたるむ〉最近父は、中年太りで腹がたるんできたのを気にして、食事を減らしています。♠●へ気持ちがたるむ〉暑さでたるみがちの気持ちを引きしめながら、なんとか夏休みの宿題を片づけた。♠へたるんでるぞ「新学期早々遅刻[ちこく]するなんて、たるんでるぞ。」と、先生にどなられた。♠●へ腹の皮がつっぱれば目の皮がたるむ〉ああ、おなかがいっぱいになったら、眠[ねむ]くなってきた。腹の皮がつっぱれば目の皮がたるむだな。 **だれ**(誰)○知らない人や不特定の人を指す語。例音がしたので庭に出てみたが、だれもいない。♠だれかいたら、ちょっと来てくれないか。♠●こんな所で寝ているのはだれだ。♠●へだれかれ〉だれかれとなくたずねたが、見た者は一人もいない。♠だれひとり〉その後の男の行方を知る者は、だれひとりとしていない。♠だれしも〉我が身がかわいいのはだれしもさ。 **たれながし**【垂れ流し】○大小便を無意識に垂れること。汚水を処理せずに排出すること。[文例]〈排水の垂れ流し>生活排水の垂れ流しも、海や川の水質汚染の大きな原因です。 **た・れる**【垂れる】○だらりと下がる。したたり落ちる。だらりと下げる。したたらせる。大小便などをする。下の者に与え、示す。[文例]〈髪が垂れる>先生は、額[ひたい]に垂れた長髪[ちょうはつ]をときどきかき上げながら、熱心に授業を進められた。♠◆〈雲が垂れる〉外へ出ると、雲が暗く低く垂れていて、いつ降りだすかわからない空模様だ。♠へ旗が垂れる風がないせいで、マストの上の旗が低く垂れている。♠●へしずくが垂れる>夕立にあい、全身からしずくが垂れるほどずぶぬれになって、家にかけこんだ。♠人頭を垂れる〉職員室へ入ったら、山本君が頭を垂れて立っていたが、何をしかられているのだろう。♠〈便を垂れる二歳の弟は、所かまわず大小便を垂れるので、まだおむつを外せません。♠●へ模範[もはん]を垂れる〉お母さん、だらしないってお説教ばかりしないで、台所をきれいにして、模範を垂れてよ。♠●へ恵[めぐ]みを垂れる〉困ったときだけ神だのみをしても、神様は恵みを垂れてくださいませんよ。 <669> たんか た 回戦でたわいなく敗れてしまった。 **たわいな・い(他愛ない)** ○子供じみている。とりとめがない。手ごたえがない。[文例]〈たわいないこと〉小さな子をいじめて泣かせるなんて、たわいないことをするんじゃない。♠〈たわいない話〉付近の子たちとたわいない話をして、毎日を暮らしております。♠〈たわいなく倒れる〉体が大きいのでおそろしかったが、ひとつきすると、相手はたわいなく倒れてしまった。♠〈たわいなく寝入る〉子供たちは、遊びつかれたのか、声がしていたと思ったら、もうたわいなく寝入ってしまった。 **たわ・ける(戯ける)** ○ばかげたことをする。ふざける。[文例]〈たわけたこと〉嫁[よめ]に行った娘[むすめ]がお年玉をほしいだなんて、たわけたことを言うな。 **たわ・む(撓む)** ○力が加わって曲がる。しなう。反[そ]る。[文例]〈枝がたわむ〉どの木にも、枝がたわむほどにミカンがなっています。♠〈竹がたわむ〉雪の重みで竹がたわんでいます。♠〈電線がたわむ〉ハトの群れが止まって、電線は重みでたわんでいます。♠〈板がたわむ〉風呂場のはめ板が湯気でたわんでしまった。 **たわむ・れる【戯れる】** ○遊び興[きょう]じる。おどける。[文例]〈子犬が戯れる〉庭で子犬がさっきから妹のゴムまりと戯れて、あきることがない。♠〈波と戯れる〉夏の終わり、静かになった海岸で、波と戯れ、貝を拾っている母と子を見かけた。♠〈花に戯れる〉赤いけしの花にミツバチが戯れるのどかな午後のことだった。♠〈雪に戯れる〉南国の子たちは、初めて見る雪にわれを忘れて戯れている。 **たわ・める(撓める)** ○力を加えて曲げる。しなわせる。反[そ]らせる。[文例]〈枝をたわめる〉盆栽[ぼんさい]の松の枝をたわめておもしろい形を作ってみた。♠〈竹をたわめる〉まっすぐな竹を四十五度近くもたわめてしまうのだから、雪の重みもばかにならない。♠〈籐[とう]をたわめる〉籐[とう]を火でさっとあぶってたわめ、自分の思い通りの角度に変えていきます。 **たわら【俵】** ○わらを編んで作った円筒形の入れ物。[文例]〈米の俵〉長者[ちょうじゃ]どんの蔵には、米の俵がぎっしりつまっておったそうな。♠〈炭の俵〉炭を使っていた時代には、どの家にも炭の入った俵が置いてあったものです。♠〈俵を担[かつ]ぐ〉男は俵を軽々と担[かつ]ぎ上げた。 **たん【端】** ○物事のはじまり。発端[ほったん]。端緒[たんしょ]。[文例]〈端を発する〉悪ふさげに端を発したけんかが、おおごとになることがあるものです。♠〈端を開く〉この翻訳が、日本におけるロシア文学受容の端を開く役割を果たした。 **たん(痰)** ○気管から出る粘液性の分泌物。[文例]〈たんがからむ〉ぜんそく持ちのおじいさんは、たんがからんでとても苦しそうだ。♠〈たんが切れる〉熱は下がったが、のどに痛みがあり、たんも切れない。♠〈たんを吐[は]く〉路上にぺっぺっとたんを吐[は]く無作法な人間が実に多い。♠〈痰一斗[いっと]糸瓜[へちま]の水も間に合はず〉(正岡子規) **だん【段】** ○階段。階段状の物の一つ一つの面。文章などの一まとまり・段落。技芸の程度に応じた等級。場合。局面。[文例]〈はしごの段〉父は、足元に注意しながら、一歩一歩はしごの段を下りてきた。♠〈石の段〉お宮の石の段を登ると、すぐ右手に大きないちょうの木があった。♠〈上の段〉棚[たな]の上の段にカップがあるから、とってちょうだい。♠〈段になる〉ここ、段になっているから、ひきずらず持ち上げて運んでね。♠〈一の段〉弟は、九九の一の段から九の段まで、一生懸命覚えているところです。♠〈剣道の段〉ぼくは、去年初めて剣道の段をとり、今はもっと上の段を目指して練習しています。♠〈いざ・・・の段になると〉ぼくたちのチームは、実力がないせいか、いざ試合という段になると日ごろの力を出せません。♠〈御無礼[ごぶれい]の段〉御無礼[ごぶれい]の段、ひらにおゆるしを。 **だん【壇】** ○一段高くなった台状の場所。[文例]〈壇に立つ〉立候補者は壇に立ち、聴衆[ちょうしゅう]を前に政見を述べ始めた。♠〈壇に登る〉壇に登ったとたんすっかり上がって、話すことを忘れてしまった。♠〈壇に上がる〉体育の時間は、先生が壇に上がってまず体操をします。 **だん【断】** ○決断。決定。[文例]〈断を下す〉精密検査の結果を見て、院長先生は断を下した。♠〈断が下る〉隊員たちは、作戦決行の断が下るのを今か今かと待っている。 **だん【暖】** ○体を暖める熱。暖かみ。[文例]〈暖をとる〉浜辺のたき火で暖をとりながら、若者たちはサーフィンに興じている。 **だんあつ【弾圧】** ○権力を用いておさえつけること。[文例]〈厳しい弾圧〉江戸[えど]時代前期、幕府によって厳しいキリスト教徒の弾圧が行われた。♠〈弾圧が激しい〉昭和初期、戦争への歩みと共に自由主義者への弾圧は激[はげ]しくなった。♠〈弾圧する〉王が市民を弾圧し続けたことが、革命のきっかけになったのです。 **たんい【単位】** ○長さ・重さ・容量などを計る時の基準となるもの。組み立てや行動の基本となる一まとまり。学習の基準量を示すもの。[文例]〈長さ・重さ・容量の単位〉寸[すん]・尺[しゃく]は長さ、匁[もんめ]・貫[かん]は重さ、合[ごう]・升[しょう]・斗[と]は容量の、それぞれ昔日本で使われた単位です。♠〈貨幣[かへい]の単位〉フランはフランス、ペニヒ・マルクはドイツ、セント・ドルはアメリカの貨幣[かへい]の単位だ。♠〈単位をそろえる〉この問題は、単位がまちまちだから、まず単位をそろえてから計算しましょう。♠〈単位にする〉この計画は、クラスを一つの単位にして推進しよう。♠〈班単位〉修学旅行では、班単位で行動することに決まり、わたしが班長になった。♠〈単位を取る・落とす〉去年はだいぶ単位を落としたので、今年はしっかりがんばらないと、卒業が危ないぞ。 **たんいつ【単一】** ○ただ一つであること。[文例]〈単一の民族〉日本が単一の民族からなる国家であるという表現は正確ではありません。 **たんか【単価】** ○商品の一個の価格。[文例]三十五リットルで四千七百二十五円なら、一リットルの単価は百三十五円ということになる。♠〈商品の単価〉流通の経費を少なくできれば、商品の単価は安くなります。♠〈単価が上がる〉大量生産によらなければ、単価はどうしても上がってしまう。 <670> たんか た **たんか【短歌】** ○五七五七七の三句三十一音を基本の詩型とする和歌。[文例]短歌は、五・七・五・七・七の五句三十一音を基本の形とする詩です。♠〈短歌を詠[よ]む〉おりおりに詠[よ]んだ短歌を集めて、歌集を自費出版しました。♠〈短歌を作る〉何か心に残ることがあると短歌を作り、ノートに書きためています。 **たんか【担架】** ○けが人や病人などを運ぶ道具。[文例]体育祭本部の救急テントには、万一に備えて薬や担架が用意されている。♠〈担架に乗せる〉事故現場から、けが人が担架に乗せられて次々と運び出されていく。♠〈担架で運ぶ〉ラフプレーで頭を打った選手が担架で運ばれていった。 **たんか(啖呵)** ○鋭く歯切れのよい言葉。[文例]魚市場[うおいちば]からは、競[せ]りを行う仲買人の威勢のいいたんかが聞こえてくる。♠〈たんかを切る〉手助けはいらないとたんかを切って、彼は一人で重い荷物を担[にない]で行った。 **だんか(檀家)** ○寺に寄進して、その経営を助ける信者。[文例]〈寺の檀家〉和尚[おしょう]さんは、お寺の檀家に法事があって出かけました。♠寺の祭礼が近づくと、檀家の人たちが集まって準備をします。 **だんかい【段階】** ○物事の進行する過程の一くぎり。等級。[文例]〈段階に分かれる〉わたしの通っているスイミングスクールは、その能力に応じていくつかの段階に分かれている。♠〈段階をつける〉初心者、中級者、熟練者と作業者に段階をつけるのは作業の能率を高めるためです。♠〈段階を設ける〉博士は、この病気について、その症状[しょうじょう]からいくつかの段階を設けた。♠〈段階を追う〉スクリーンにカエルの成長の様子が段階を追って映し出された。♠〈段階を踏む〉いきなり難しい技は無理です。段階を踏んで練習していきましょう。♠〈実験の段階〉この薬はまだ動物実験の段階で、副作用など詳しいことはわかっていません。♠〈〜の段階になる〉スペースシャトルの打ち上げは、あと十秒で発射という段階になって、中止になりました。♠〈〜の段階に達する〉計画にはいくつか問題点もあり、まだ実行に移す段階には達していない。♠〈〜の段階ではない〉アンケートはまだほとんど回収されず、その結果を発表できる段階ではない。♠〈最終段階〉けいこが続いていた劇団の公演は、最終段階になって突然[とつぜん]延期された。 **だんがい(断崖)** ○切り立ったがけ。[文例]断崖の下は海で、荒波が岩に砕[くだ]け散っていた。♠〈断崖に立つ〉断崖に立つと、吹きすさぶ強風に目も開けていられなかった。♠〈断崖絶壁[だんがいぜっぺき]〉前は断崖絶壁[だんがいぜっぺき]、後ろには追っ手が迫[せま]って来る。 **だんがい【弾劾】** ○罪や不正に対して責任を追及すること。[文例]〈弾劾を受ける〉さしもの権力を誇った大統領も、国民の弾劾を受け、政権を放棄した。♠〈弾劾する〉国会は裁判官の言動に問題があるとき、弾劾する権限を持っています。 **たんがん【嘆願】** (歎願)○心から願い頼むこと。[文例]百姓[ひゃくしょう]たちの必死の嘆願にも、代官は聞く耳をもたなかった。♠立ち退きを求める住民の嘆願を、工場側は拒否した。 **だんがん【弾丸】** ○銃で撃つ弾。非常に速いことのたとえ。[文例]兵士のヘルメットには、激しい戦闘を物語るように、いくつもの弾丸の跡があった。♠〈弾丸が飛び交う〉雨あられと弾丸が飛び交う戦場で、記者は必死の取材を続けた。♠〈弾丸ライナー〉火をはくような弾丸ライナーが、野手の間を抜けていった。 **たんき【短気】** ○気が短いこと。[文例]〈短気をおこす〉短気をおこすと、結局は自分が損をする。♠〈短気は損気〉まああせらずにのんびり行こうよ、短気は損気っていうじゃないか。♠〈短気な性格〉きみはその短気な性格を直さないと、友人を失うことになるよ。 **たんき【短期】** ○短い期間。→長期[文例]〈短期の貸し付け〉IMFは、貿易赤字国や発展途上国に短期の貸し付けを行っている。♠〈短期大学〉彼女は、地元の短期大学へ通うことになっていた。♠〈短期決戦〉資金力のあるスーパー相手だから、この商戦は短期決戦で臨みましょう。 **だんぎ【談義】** ○教義や物事の道理を説き聞かせること。説教。退屈な話。[文例]〈談義をする〉ちょっとばかり酒を飲みすぎたのが悪いって、おやじからお談義をされましてね。♠〈談義を聞く〉新任のわたしは、校長室で校長先生から、教育の理念について長いお談義を聞かされた。♠〈下手の長談義〉下手の長談義という言葉そのままに講師の話はだらだらと長く、ちっともおもしろくなかった。 **たんきゅう【探求・探究】** ○探し求めること(探求)。真実を探し、見きわめること(探究)。[文例]〈資料の探求〉兄は学位論文を書くために、資料の探求に明けくれている。♠〈幸福の探求〉人間の一生の目的は、幸福の探求である。♠〈美を探求する〉文学や絵、音楽などにたずさわる芸術家は、美を探求する者といえるだろう。♠〈真理の探究〉かつて学者は、真理の探究をすることだけでよいとされ、研究室にとじこもっていれば立派な人物だと考えられた。♠〈探究する心〉子供のときからあらゆるものに興味をもち、探究する心を育てたい。 **たんげい(端倪)** ○物事の初めと終わり。推し測ること。[文例]〈端倪[たんげい]すべからざる〉無口で風がわりな男だったから、兄弟弟子たちも彼を端倪[たんげい]すべからざる人物として、その行動を注目していた。 **だんけつ【団結】** ○心を一つにしてまとまること。[文例]〈みんなの団結〉ぼくたちのチームに足りなかったのは、試合の経験とみんなの団結でした。♠〈団結を固める〉今度の事件がきっかけとなって、われわれはよりいっそう団結を固めました。♠〈団結を欠く〉中心だった彼がやめてから、ぼくたちのグループは団結を欠くことが多くなり、三か月後には解散してしまった。♠〈団結する〉力の弱い動物でも団結して向かえば、敵から身を守ることができる。♠〈一致[いっち]団結する〉文化祭の成功のために、彼らは一致[いっち]団結して仕事にとりかかった。♠〈団結力〉群れをなす動物の団結力の強さには、われわれも見習うべき点がある。 **たんけん【探検・探険】** ○未知の土地に踏み込んで調査すること。[文例]〈探検に出かける〉われわれ兄弟は、夏休みに、 <671> たんじゅん た ヨットで無人島の探検に出かける予定だ。♠〈探検に赴[おもむ]く〉日本人調査家が探検に赴[おもむ]き、地底の墓からミイラを発掘[はいくつ]した。♠〈探検する〉氏は、子供のころ、世界の国々や、未知の世界を探検する人になりたかったという。 **たんげん【単元】** ○学習内容を主題別に分けた一まとまり。[文例]この単元では、形の似た漢字を勉強します。♠明日から、新しい単元に移りますので、予習しておいてください。 **だんげん【断言】** ○きっぱりと言い切ること。[文例]〈断言ができる〉今日の天候では、実験が成功するか失敗するか、どちらとも断言はできない。♠〈断言をする〉「おまえが悪いんだ。」と断言はされなかったけれど、みんなの目がそう語っていた。♠〈断言を避ける〉チームの不振について断言は避けるが、コーチの人選に原因があるのではないだろうか。♠〈断言をはばかる〉人ひとりの名誉[めいよ]にもかかわることなので、その件については断言がはばかられた。♠〈断言する〉教授は力強い口調で、発見されたのは縄文[じょうもん]時代の遺跡[いせき]であると断言しました。 **たんご【単語】** ○文を構成する最も小さい言語の単位。語。[文例]文を組み立てている一番小さいことばの単位を単語といいます。♠知っている限りの単語を並べたが、うまく自分の感動を言い表せなかった。♠外国語の読解には、文法の理解と単語の習得が基本になります。 **だんこ【断固】** (断乎)○固く決意して物事を行うさま。[文例]〈断固戦う〉委員長はその演説の中で、最後まで断固戦うべきだと主張した。♠〈断固として〉正直者の彼女は、ぼくたちのいたずらの計画にも断固として応じなかった。♠〈断固として〉雨が降ってきましたが、弟はそれでも断固として帰ろうとしません。♠〈断固たる処置〉悪質ないたずらに対して、断固たる処置を取るよう望みます。♠〈断固たる態度〉いつもはもの静かなA君も、今日ばかりは断固たる態度で先生と接していました。 **だんご【団子】** ○粉を丸めて蒸した食べ物。丸くかたまったもの。[文例]おばさんの家で、串にささったお団子を一皿ごちそうになりました。♠〈団子のよう〉毛あしの長い犬は、よく手入れをしてやらないと毛先が団子のようになってしまいます。♠〈花より団子〉やっぱり花より団子ね、お花見はお弁当が楽しみですもの。♠〈団子状態〉残り十試合の時点で五チームが差のない団子状態で、優勝の予想はつきません。♠〈団子っ鼻〉妹は、自分の鼻を団子っ鼻だと思いこんでいるようです。 **だんこう【断行】** ○強い決意で物事を行うこと。[文例]〈改革の断行〉新市長は、住民の前に市政改革の断行を宣言した。♠〈断行する〉労使の話し合いは物別れに終わり、組合は今朝からストライキを断行した。♠〈熟慮断行[じゅくりょだんこう]〉ものごとは熟慮断行[じゅくりょだんこう]、一度決心したら断固やりぬけ。 **だんごう【談合】** ○話し合い。相談。[文例]〈談合を持つ〉お互いの利益を考えて長時間談合を持ったが、結論は出なかった。♠〈談合がある〉土地売却[ばいきゃく]に関して、役所と一部の業者との間に談合があったのではないかと疑いが持たれている。♠〈談合を重ねる〉計画の実現に向けて談合を重ねるうちに、新たな問題が起こってきた。♠〈談合する〉町内会の人たちは、月に一度公民館に集まって、町内の問題について談合します。 **たんさ【探査】** ○探って調べること。[文例]〈資源の探査〉地下資源の探査を開始する前に、まず正確な地図を作ることになった。♠〈海底探査〉最新の科学技術を用いた海底探査の結果、次第に海底の様子が明らかになった。 **だんざ【端座】** (端坐)○姿勢を正して座ること。正座。[文例]〈端座する〉客間に端座した客は広い庭に目をやって、ほっと大きく息をついた。 **だんさ【段差】** ○段になっている所の高低の差。[文例]〈段差がある〉山の斜面を利用した田の段差は、それぞれ三十センチくらいあった。♠〈段差をつける〉車道と歩道には段差をつけて、歩行者の安全を計っている。 **だんざい【断罪】** ○罪を裁くこと。打ち首にすること。[文例]〈断罪する〉悪を断罪するのは法律ですが、法律を作る国会議員が悪事をなすとしたら大問題です。 **たんさいぼう【単細胞】** ○一つの細胞。考え方が単純なこと。また、そのような人。[文例]アメーバやゾウリムシは、体全体が一つの細胞からなる単細胞の生物です。♠おいしいケーキ一つですぐに機嫌が直ってしまうのだから、本当にきみは単細胞だな。 **たんさく【探索】** ○探しまわること。[文例]〈裏切り者の探索〉だれかスパイをしているに違いないと、裏切り者の探索が始まった。♠〈探索する〉研究の資料を探索しに古本屋を回ってみた。 **だんし【男子】** ○男の子。男。[文例]このクラスは、男子のほうが女子よりも一人多い。♠本家は、男子誕生とあって、祖父の喜びはひとかたでなかった。♠男子たる者、いったん志を立てたら簡単にあきらめてはならぬ。♠〈男子一生の仕事〉男子一生の仕事といえるほどの仕事を見いだした人は幸せです。 **だんじて【断じて】** ○断固として。絶対に。[文例]〈断じて行かん〉もう頭に来た、だれが何と言おうと断じて行かんぞ。♠〈断じて〜するつもりはない〉予想とちがって苦戦を強いられているが、わたしは断じて作戦を変えるつもりはない。♠〈断じてやる〉彼は断じてやるぞといきまいているが、ぼくにはやけくそとしか受けとれない。♠〈断じておかしい〉きみの言っていることは筋が通っていない、断じておかしい。 **たんしゅく【短縮】** ○短く縮めること。[文例]〈距離を短縮する〉低学年のマラソンは、距離を短縮して行います。♠〈記録を短縮する〉今大会では、自己の記録を二秒ほど短縮することができた。♠〈短縮授業〉夏休みの直前で短縮授業が行われていた。♠〈操業短縮〉不景気のために工場は操業短縮に追い込まれた。 **たんじゅん【単純】** ○こみいっていないさま。変化に乏しいさま。一面的なさま。→複雑[文例]〈仕事が単純〉今の仕事 <672> たんしょ た が単純でつまらないので、転職を考えている。♠〈考えが単純〉きみの考えはまったく単純で、お話にならないよ。♠〈単純な人間〉彼は、素朴[そぼく]で単純な人間だから、ときどき人にだまされるらしい。♠〈単純に考える〉この算数の問題は、そう難しくないから、単純に考えればいいのだよ。♠人の言うことをすぐ信用するなんて、単純ね。♠〈単純明快〉がんばればいい結果が生まれるし、サボッていればあとで悔やむ、要するに単純明快だ。 **たんしょ【短所】** ○劣っているところ。欠点。→長所[文例]〈短所を反省する〉人のあらさがしはやめて、自分の短所を反省しなさい。♠〈短所を補[おぎな]う〉わたしは短所だらけですが、自分の短所を知って、補[おぎな]おうと努力しているつもりです。♠〈長所と短所〉人はだれでも長所と短所があるものだ。 **たんしょ【端緒・端初】** ○物事の始まり。解決の糸口。たんちょ。[文例]〈端緒となる〉目撃者の証言が端緒となり、事件は二週間後に解決しました。♠〈端緒を開く〉一八五三年のペリーの来航が、十五年後の明治維新の端緒を開いたともいえる。♠〈端緒をつかむ〉ニュートンはリンゴの実が落下するのを見て、万有引力の法則を発見する端緒をつかんだといいます。♠〈端緒につく〉これらの翻訳によって、ラテンアメリカ文学の日本への紹介が端緒についたのである。 **だんじょ【男女】** ○男と女。[文例]この物語は、愛し合う一組の男女が主人公です。♠ぼくたちのクラスは、男女合わせて四十人です。♠三学年の平均身長を、男女に分けて調べてみました。♠このサッカー大会には、男女を問わず参加することができます。 **たんしょう【嘆賞・嘆称】** (歎賞・歎称)○感心してほめること。[文例]〈嘆賞の的〉王女の美しい衣装は、同席した女性たちの嘆賞の的だった。♠〈嘆賞する〉中年を迎えたわたしは、若い娘をただ若いという理由で嘆賞する男どもを苦々[にがにが]しく思っていた。 **たんじょう【誕生】** ○生まれること。新しく出来ること。[文例]〈孫の誕生〉孫の誕生は、この老夫婦に生きる張り合いを与えてくれた。♠〈地球の誕生〉地球の誕生は、四十五億年前と言われる。♠〈赤十字の誕生〉赤十字の誕生は、アンリ=デュナンらが戦争の負傷者を救うために作った委員会にさかのぼる。♠〈生命が誕生する〉地球上に生命が誕生し、それがどう進化し、人類が現れたかは興味をそそる。♠〈政権が誕生する〉ロシア革命が成功し、ソビエト政権が誕生した後も、しばらく反革命軍との戦いは続いた。 **だんしょう【談笑】** ○なごやかに話し合うこと。[文例]〈談笑の場〉店の従業員の談笑の場にと、主人が一室を提供した。♠〈談笑する〉なごやかに談笑していた委員たちは、会議が始まると打って変わって真剣な顔になりました。 **だん・じる【談じる】** ○話し合う。かけ合う。[文例]時に親子は、腹を割って談じうちとけた。♠迷惑を受けているなら、わたしが行って先方へ談じてみましょうか。 **だん・じる【断じる】** ○判断する。断定する。裁く。[文例]これだけの証拠がそろえば、あの男を真犯人と断じることができる。♠人は、わたしを冷たい人間と断じるかもしれない。 **たんしん【単身】** ○一人であること。独り身。一人で。[文例]政府の命令で単身海を渡った彼は、近代医学を身につけて帰国した。♠男は勇気をふるって、単身敵地へ乗り込んで行った。♠〈単身赴任[ふにん]〉最近は家庭の事情から、父親が家族と離れて転勤先へ単身赴任[ふにん]する例が多い。 **たんす(箪笥)** ○衣服・器物を収める、引き出しや戸のついた家具。[文例]母はたんすの前に洋服を並べて、夏物と冬物の入れ替えをしています。♠たんすの引き出しの奥に、妻のへそくりが隠してあるらしい。♠〈たんすの肥[こ]やし〉そんなに洋服を買い込んで、たんすの肥[こ]やしにする気かい? **ダンス** ○踊り。[文例]〈ダンスを踊[おど]る〉キャンプでは、若い男女が火を囲んでダンスを踊[おど]り、とても楽しそうだった。♠〈ダンスをする〉えっ、あなたのお父さんはダンスをするの? ずいぶんしゃれてるのね。♠〈ミツバチのダンス〉ミツバチは、ダンスで仲間とコミュニケーションを行っているらしい。 **だんすい【断水】** ○給水を止めること。給水が止まること。[文例]〈断水する〉明日は午前十時から、工事のために水道が断水するそうです。 **たんせい【端正・端整】** ○きちんと整っているさま。[文例]〈端正な姿〉駅に降りると、真正面に雪をかぶった富士の峰[みね]が、端正な姿でわたしたちを招いた。♠〈ふるまいが端正〉あの女性は、育ちがよいから、たちいふるまいが実に端正だ。♠〈字が端正〉彼の字は、彼の人がらを表して、端正でしかも力強い。♠〈端整な顔〉その青年の端整な横顔は、彼の父親の若いころにそっくりだ。 **たんせい【嘆声】** (歎声)○感心したり嘆いたりしてあげる声。[文例]〈嘆声をもらす〉不合格という息子からの知らせに、両親は小さな嘆声をもらしました。♠〈嘆声を発する〉峠を登り切って眼下に町の灯が見えると、わたしはほっと嘆声を発していた。 **たんせい【丹精】** ○真心をこめること。[文例]〈丹精を凝[こ]らす〉丹精を凝[こ]らした作品だったが、やはり選に入らなかった。♠〈丹精する〉丹精して育てた盆栽[ぼんさい]が枯れてしまった。 **たんせい【丹誠】** ○まことの心。真心。[文例]〈丹誠を込める〉おじいさんが丹誠を込めて育て上げた菊が、大輪の花を咲かせました。 **だんせい【男性】** ○男。男の人。[文例]彼は、とても頼りがいのある男性です。♠男性と女性の間のさまざまなできごとは、昔から文学のテーマとなってきました。♠〈男性的〉高くて険しい男性的な山々が連なっている。 **だんぜつ【断絶】** ○絶えること。断つこと。つながりが切れること。[文例]〈親子の断絶〉親子の断絶は、一家の問題にとどまらず社会全体にも悪影響を及ぼします。♠〈世代の断絶〉村祭りの復興のために、村人全員が世代の断絶をのりこえて協力しあった。♠〈国交の断絶〉中国と日本は、戦後長い間国交の断絶が続いたため、たくさんの悲劇が生まれた。 <673> たんとう た ♠〈断絶する〉一門の者は次々とはやりの病にたおれ、とうとう家は断絶してしまったのです。 **たんぜん【端然】** ○整って乱れのないさま。[文例]〈端然と構える〉見ると、応接室には一人の紳士が端然と構えていた。♠視線は正しく前方に向けられ、肩から下りる腕は楽に、まことに端然たるものであった。 **だんぜん【断然】** ○断固としたさま。段ちがいであるさま。[文例]若い先生の断然たる態度に、父はかえって好感をもったそうです。♠〈雨が降ろうが、やりが降ろうが、ぼくは断然行く!〉♠なんと言っても、フグがうまい、フグが断然だ。♠スタンドはぼくたちのファンばかりだもの、こっちのほうが断然有利だよ。♠当時からわたしたちのサークルは、男性よりも女性のほうが断然多かった。♠〈英語の成績だったら断然彼が一番だ、だれもかなわないよ。〉 **だんそう【断層】** ○地殻変動で地層が断ち切られること。また、それによる地層の食い違い。物事の食い違い。[文例]斜面には地殻の変動による断層が見られる。♠〈世代間の断層〉会社はいろいろな親睦[しんぼく]の催[もよお]しを行って、従業員の世代間の断層をなくそうとしています。 **たんそく【嘆息】** (歎息)○嘆いてため息をつくこと。[文例]〈嘆息をもらす〉チームの敗北が決定した瞬間、監督は深い嘆息をもらし、天を仰[あお]ぎました。♠〈嘆息する〉「困ったものだ」と祖母は其度々[そのたびごと]に嘆息した。(志賀直哉「大津順吉[おおつじゅんきち]」) **だんそんじょひ【男尊女卑】** ○女性より男性を重くみる、古い考え方。[文例]〈男尊女卑の風習〉男が先に風呂に入るとか、先に食事をするとかいった男尊女卑の風習が残っている所がある。♠〈男尊女卑の精神〉男尊女卑の精神は、古い時代の考え方ですたれつつあります。 **だんたい【団体】** ○共通の目的をもった人々の集まり。[文例]〈団体を結成する〉野外活動を通して青少年の育成をはかるという目的のもとに、この団体は結成された。♠〈団体旅行〉旅行会社が企画した団体旅行に参加して、中国へ行ってきました。♠〈団体競技〉個人の役割をしっかり認識することが、団体競技で勝ち進む条件です。♠〈団体割引〉二十名以上で入場なさるときは団体割引になります。 **たんたん【淡淡】** ○あっさりして、こだわらないさま。[文例]〈淡々と語る〉被害者は、「罪をにくんで人をにくまずです。」と、淡々と語った。♠〈淡々とした心境〉死刑囚は、死の恐怖にうちかって、淡々とした心境で処刑の日をむかえた。♠〈淡々たる態度〉優勝した選手たちのおごりたかぶらぬ淡々たる態度が印象的だった。 **だんだん【段段】** ○階段。段。順に。しだいに。[文例]小さな雪のかたまりも、転がるにつれてだんだん大きくなっていきました。♠一つの作業を二時間以上続けると、だんだん飽きてきて、能率が悪くなります。♠〈だんだんと〉オタマジャクシはふ化して四十日くらいで足がそろい、泳ぎ方もだんだんとカエルらしくなっていきます。♠〈だんだんに〉最初は八十人近くいた新入部員も、一学期の終わりごろからだんだんに減っていった。♠〈石段の段々〉お寺の石段の段々の所に、落ち葉がたくさんたまっている。♠〈段々になる〉この先は道が段々になっていますから、足元に気をつけてください。♠〈段々畑〉山の南側の斜面[しゃめん]は、頂上近くまで段々畑が続いている。 **だんちがい【段違い】** ○段になって高低の差があること。格段の差があるさま。[文例]店の入り口は段違いになっていて、転びそうになるお客もいた。♠〈高原で見た星空の美しさは、都会とは段違いだった。〉♠〈段違いの力〉英語にかけて、山本さんは段違いの力を持っています。 **たんちょ【端緒】** ♪たんしょ **たんちょう【単調】** ○物事に変化の乏しいさま。[文例]〈単調な生活〉毎日単調な入院生活をしていると、家の人や友達が来てくれるのが何よりうれしい。♠〈単調に繰り返す〉機械化が進むと、作業は孤独[こどく]で単調に繰り返されるようになる。♠〈リズムが単調〉ラジオから流れる音楽に耳をかたむけるうち、リズムがあんまり単調なのでねむくなってきた。♠〈文章が単調〉作文では、文章が単調にならないように、文末の表現を工夫することも大切です。 **だんちょう【断腸】** ○はらわたがちぎれるほど悲しく、つらいこと。[文例]〈断腸の思い〉二十年も住み慣れた家は人手に渡り、断腸の思いで故郷を離れました。 **だんてい【断定】** ○きっぱりと判断を下すこと。また、その判断。[文例]〈断定する〉現場に残された靴跡[くつあと]から、その家の長男を犯人と断定した。♠〈断定的〉きみがそう断定的に言う根拠はどこにあるのか話してください。 **たんてき【端的】** ○簡潔で明確なさま。てっとり早いさま。[文例]〈端的に言えば〉端的に言えば、この作品は駄作だ。♠〈端的にうったえる〉わたしたちが強く感動したことを、簡潔で端的にうったえる表現形式として詩があります。♠〈端的な表現〉彼の評論は、端的な表現をとっているので、だれにでも分かりやすく、おもしろい。 **たんでき(耽溺)** ○何かにおぼれて、他をかえりみなくなること。[文例]〈耽溺する〉男は、少女の官能的な美しさに耽溺[たんでき]しのめり込んでいった。♠〈耽溺する〉感覚的な快楽に耽溺[たんでき]し、理性を失ってゆく男を主人公とした作品は実に多い。 **たんとう【担当】** ○仕事などを受け持つこと。また、その人。[文例]〈担当が決まる〉ポチの散歩はお兄ちゃんの担当と決まったんだから、毎朝きちんとやってよね。♠〈担当の者〉ただ今、担当の者が留守にしておりますので、わたしが代わ <674> たんとうちょくにゅう た ってお話をうかがいます。♠〈仕事の担当〉風邪をこじらせて自宅療養[りょうよう]することになった小林さんは、今度の仕事の担当からはずします。♠〈担当する〉二学期から、山中さんが図書係を担当することになった。 **たんとうちょくにゅう【単刀直入】** ○前置きなしに、ずばりと核心に切りこむさま。[文例]〈単刀直入に切り出す〉兄は、「犯人はおまえじゃないのか。」と、単刀直入に切り出した。♠〈単刀直入な質問〉報道陣[ほうどうじん]の単刀直入な質問に、さすがの大臣もたじたじの様子だった。♠〈話が単刀直入〉彼の話は、いつも単刀直入で、歯切れがよくて気持ちがよい。 **たんどく【単独】** ○ただ一つ、またはただ一人であること。[文例]〈単独の犯行〉この事件は、最初、逮捕された犯人の単独の犯行と考えられていたが、あとで共犯がいることが分かった。♠〈単独で行動する〉登山には危険がともなうので、初心者が単独で行動するのはやめましょう。♠〈単独に使う〉「手」が「たづな」の「た」になるように、単独に使うときと複合語の場合とで、読み方が変わることがある。♠〈単独で存続する〉どんな生物も、単独で存続することは困難である。 **だんどり【段取り】** ○物事を行う際に手順を決めること。また、その手順。[文例]〈段取りがつく〉さて、会場の段取りがつきましたので、お客さまを案内してください。♠〈段取りができる〉段取りはできているから、きみはただここに居てくれればいいんだ。♠〈段取りが整う〉段取りは整っていますから、あとはお客さんが来るのを待つばかりです。♠〈段取りを決める〉荷物を詰める人、運び出す人と段取りを決めておくと、引っ越しは能率的だ。♠〈段取りになる〉パーティーは主賓[しゅひん]のあいさつの後、みんなで乾杯するという段取りになっている。 **だんな(旦那・檀那)** ○寺に寄進する信者。商家の主人。一家の主人。夫。客や目上の男を指していう語。[文例]〈店の旦那〉お店のだんなが奉公人をお供に連れて、得意先に出かけていきます。♠〈お宅のだんな〉あら奥さま、お宅のだんなさまはどちらにお勤めですか。♠〈だんな、いい盆栽[ぼんさい]がありますよ、お一ついかがですか。〉 **たんなる【単なる】** ○ただの。それだけの。[文例]〈単なる友達〉彼は恋人[こいびと]じゃないわ、単なる友達よ。♠〈単なるうわさ〉アメリカへ留学しているはずの友人が東京でぶらぶらしていたというのは、単なるうわさだろうか。♠〈単なるいたずら〉人の命にかかわることだから、子供の単なるいたずらではすみませんよ。♠〈単なる空想〉大陸が長い間に移動するという「大陸漂移説[ひょういせつ]」は、単なる空想にすぎないと考えられていた。 **たんに【単に】** ○ただ。ただひとつ。[文例]これは、単に社長の希望であって、命令ではありません。♠かつての日本では、ただ単に「花」といえば、桜[さくら]の花をさすことが多かった。♠しゃくとりむしは、身を守るために、単に色ばかりでなく、形まで周りの枝に似ている。♠このことは、単に一個人の問題ではなく、全体にかかわることだから、みんなでよく考えよう。 **たんにん【担任】** ○任務を受け持つこと。学級を受け持つこと。また、その先生。[文例]〈クラスの担任〉ぼくたちのクラスの担任の先生は、めったに宿題を出しません。♠〈担任する〉わたしが今年度、みなさんのクラスを担任することになった内山です。 **たんねん【丹念】** ○心をこめてするさま。念入り。[文例]〈仕立てが丹念〉この洋服屋さんは、安くて仕立てが丹念という評判だ。♠〈丹念なししゅう〉おばさんが、丹念なししゅうをした手編みのセーターを、卒業祝いに送ってくれました。♠〈丹念に書く〉夏休みの体験を何か一つ思い出し、そのときの行動や気持ちを、丹念に書いてみよう。♠〈丹念に調べる〉この調査は、彼が丹念に調べた結果なので、信頼できる。 **だんねん【断念】** ○あきらめること。[文例]〈進学を断念する〉その少年は家が貧しかったために進学を断念し、近くの工場へ就職した。♠〈登頂を断念する〉頂上まであとわずかの所まで行きながら、隊長は隊員の体力を考えて、登頂を断念しました。♠〈留学を断念する〉お父さんの病気が思わしくないのなら、残念ながらきみの外国留学も断念せざるをえないな。 **たんのう(堪能)** ○熟達しているさま。満足すること。十分に味わうこと。[文例]〈語学に堪能〉彼女は、てっきり日本人と思っていたら、日本語に堪能な中国人だった。♠〈書道に堪能〉祖母は、和裁・茶道・華道のほか、書道にも堪能だ。♠〈料理に堪能する〉母が腕[うで]によりをかけた料理に、友達もみな堪能したようです。♠〈音楽を堪能する〉今夜は、久しぶりにコンサートに出かけ、よい音楽を堪能してきました。 **たんぱく【淡泊】** ○あっさりして、しつこくないさま。さっぱりしてこだわらないさま。[文例]〈味が淡泊〉一般[いっぱん]に関東より関西のほうが、食べ物の味は淡泊だと言う。♠〈淡泊な性格〉あの少女の物にこだわらない淡泊な性格は、みんなに好かれるでしょう。♠〈金銭に淡泊〉彼は金銭に淡泊だから、いつも気前よくおごってくれる。 **たんぱつ【単発】** ○エンジンが一基であること。一発ずつこと。後が続かず一回で終わること。[文例]〈エンジンが単発〉島と島を結ぶ飛行機のエンジンは単発だった。♠〈企画が単発〉大好評だった企画を単発で終わらせるのはもったいない、第二弾を考えよう。 **だんぱん【談判】** ○話し合い、交渉すること。かけ合い。[文例]〈談判する〉ぼくたち兄弟は、おこづかいを上げてくれるように母に談判することにした。♠〈こわ談判〉たちの悪いいたずらは許せないので、わたしは子供の親に対してこわ談判に及んだ。♠〈じか談判〉電話ではらちがあかないので、相手に会ってじか談判することにした。♠〈ひざづめ談判〉狭い一室にこもって、両者のひざづめ談判が続いています。 **たんび(耽美)** ○美しいものにひかれ、それにおぼれること。[文例]〈耽美的〉知性のきらめきの陰に耽美的な傾向のうかがえる作品である。♠〈耽美主義〉伯爵[はくしゃく]は、耽美主義者であり、美に最高の価値をおいていた。 <675> たんれん た 形相[ぎょうそう]でのたうちまわった。♠〈断末魔の苦しみ〉病人は断末魔の苦しみを味わっていた。♠〈断末魔の叫び〉追いつめられた男は、断末魔の叫びを残して谷底へ転落して行った。 **たんまり** ○しこたま。どっさり。[文例]〈たんまりもうかる〉今夜は焼きいもがよく売れた、たんまりもうかったぞ。♠〈たんまりしかられる〉約束を破ると、父にたんまりしかられるよ。♠〈たんまりためこむ〉店主は、客に少しも値引きしないで、たんまりためこんでいる。 **だんまり(黙り)** ○口をきかないこと。歌舞伎の暗中でさぐり合う演技。[文例]相手のだんまりにしびれを切らし、こちらから話の口火を切りました。♠〈だんまりを決めこむ〉男はだんまりを決めこみ、警官の質問にも一言も答えなかった。♠〈だんまり戦術〉お母さんのだんまり戦術にぼくたちはおおよわりです。 **だんめん【断面】** ○物の切り口の面。物事をある局面から見たありさま。[文例]〈あめの断面〉金太郎あめは、どこを切っても断面がかわいい金太郎の顔になる。♠〈切り株の断面〉切り株の断面には、何重もの年輪が表れていた。♠〈社会の断面〉閉山で山を去っていく家族の姿に、ぼくは社会の断面を見るような気がした。♠〈生活の一断面〉ドラマは、何げない家族の会話から都会生活の一断面を表現しようとしている。 **だんやく【弾薬】** ○弾丸と火薬。[文例]その兵士は、前線に弾薬を補給する任務についていた。♠〈弾薬庫〉敵の弾薬庫を爆破する作戦が進められていた。 **たんらく【短絡】** ○電気回路がショートすること。必要な過程をとばして性急に結論を出すこと。[文例]〈短絡する〉長い時間机に向かえば成果があがるというのは、短絡した考えだ。♠〈短絡的〉事件の起こった時現場にいた人が犯人であると、短絡的に考えてはいけない。 **だんらく【段落】** ○長い文章の中の内容上の一区切り。物事の区切り。区切りをつけること。[文例]〈段落に分ける〉文章を書くとき、段落に分けて考えを展開していくと、読む人にわかりやすい。♠〈段落をつける〉これまでの生活に段落をつけて、新しく出直そうと思う。♠〈一段落する〉今手がけている仕事が一段落したら、しばらく休暇をとって骨休めするつもりです。 **だんらん(団欒)** ○集まってなごやかに談笑すること。[文例]暖かいいろりを囲んでのだんらんが、長い冬のいちばんの楽しみだった。♠〈一家だんらん〉夕食後の一家だんらんのひととき、祖父は昔話を始める。 **たんりょく【胆力】** ○度胸。きもったま。[文例]大試合になればなるほど、相手を圧倒する胆力が必要となる。♠〈胆力をつける〉人前でものおじしない胆力をつけようと、彼はカラオケ道場に通い始めました。♠〈胆力を養う〉強い精神力と胆力を養うことがこの合宿の目標です。 **だんりょく【弾力】** ○弾性をもつ物体が外力をはね返そうとする力。状況に応じて自由に反応する能力。[文例]〈弾力がない〉このゴムは古くなっていて、もうほとんど弾力がない。♠〈弾力をもたせる〉最近の運動靴は、底に弾力をもたせてあり、履[は]きやすくなっています。♠〈弾力に富む〉年をとると、若い時に比べて弾力に富んだ考え方ができなくなるともいう。♠〈弾力を持たせる〉規則が厳しすぎると、嫌[いや]気がさすから、適用には少し弾力をもたせるようにしよう。♠〈弾力性〉S氏の提案した弾力性のある政策は、高く評価されている。 **たんれい【端麗】** ○整って美しいさま。[文例]〈端麗な姿〉本堂に安置された仏像は、おだやかでやさしく、端麗な姿をしている。♠〈容姿端麗〉彼女は頭が良く、容姿端麗で、だれもがその魅力にひきつけられる。 **たんれん【鍛練・鍛鍊】** ○心身をきたえること。技をみがくこと。[文例]〈鍛練を積む〉もっともっと鍛練を積まないと、正選手になるのは無理だね。♠〈鍛練を重ねる〉日ごろから鍛練を重ねていれば、年を取っても足が弱らないといわれます。♠〈心身の鍛練〉おまえがすぐへたばるのは、心身の鍛練が不足のせいだ。♠〈鍛練をおこたる〉詩人や小説家などは、常に文章の鍛練をおこたらないものです。♠〈鍛練する〉体を鍛練するために、早朝のジョギングを始めて、もう三年になります。 <676> **だんろんふうはつ【談論風発】** ○活発に話し、論じ合うこと。[文例]会合は談論風発、いろいろな意見が出されました。 **だんわ【談話】** ○話すこと。話。ある問題について語る意見。[文例]地方政界の汚職事件に対する首相の談話が新聞に出ていた。♠今回の市議会選挙の結果について、市長の談話がとれた。 **ち【血】** ○動物の体内を流れる血液。人としての感情。熱情。激情。努力。心の働き。持って生まれた性質や能力。血すじ。[文例]〈血が出る〉ぶつかったときには気がつかなかったが、家に帰ったら足から血が出ていた。♠〈血がにじむ〉部屋に入ってきた兄の額には、うっすらと血がにじんでいた。♠〈血を吐く〉元気だった父が突然血を吐いたのは、去年の春のことです。♠〈血にまみれる〉病院に運びこまれたとき、兵士の体は泥[どろ]と血にまみれていた。♠〈血に飢える〉血に飢えた殺人鬼[さつじんき]のような形相[ぎょうそう]が、スクリーンいっぱいに大写しになった。♠〈血が流れる・血を流す〉かつてここで大きな戦いがあり、多くの人たちの血が流れたのです。♠〈血が流れる〉彼の話し方を見て、やっぱり芸人だったお父さんの血が流れているんだなと思いました。♠〈血のにじむような〉山下選手が日本代表になるまでにも、血のにじむような努力が必要だったのです。♠〈血の出るような〉空手部は十二月の試合にそなえて、毎日血の出るような練習を続けている。♠〈血と汗の結晶[けっしょう]〉開拓[かいたく]された田畑は、移住者たちの血と汗の結晶[けっしょう]です。♠〈血の気がひく〉裁判長が判決文を読み上げていくうちに、彼女の顔から血の気がひいていくのがわかった。♠〈血の気が多い〉若いころは血の気が多く、けんかばかりしていた。♠〈血を見る〉乱暴な一二人の争いが血を見ずにすんだのは幸運だった。♠〈血で血を洗う〉残された財宝をめぐって、五人の兄弟は血で血を洗う惨劇[さんげき]をくり返した。♠〈血の雨が降る〉刀や銃を持った村人たちが目をつりあげて走っていく。これはきっと血の雨が降るぞ。♠〈血も涙[なみだ]もない〉相手の気持ちや立場をまるで考えない、彼はそんな血も涙もない男です。♠〈血の涙を流す〉代官のむごい仕打ちに、百姓[ひゃくしょう]たちは血の涙を流してきた。♠〈血がたぎる〉彼は、冒険[ぼうけん]好きの血がたぎるのか、アフリカの奥地[おくち]へ出かけるという。♠〈頭に血がのぼる〉弟はちょっとしたことで、すぐ頭に血がのぼってしまう性格です。♠〈血をわかす〉ここが、若人[わこうど]の血をわかしてきた甲子園[こうしえん]です。♠〈血の巡りが悪い〉これだけ皮肉を言ってもわからないとは、きみも血の巡りの悪い人だな。♠〈血を引く〉両親の血を引いて、この子は音楽に関してはすばらしい才能を持っています。♠〈血を分ける〉もう両親はとっくの昔[むかし]に死にましたが、故郷には血を分けた弟がいます。♠〈血がつながる〉名字は同じだが、二人は血がつながっているわけではないそうだ。♠〈血は争えない〉さすが名選手の息子[むすこ]、血は争えないものだね。♠〈血は水より濃い〉「血は水より濃い」といって、親子や兄弟など血を分けた者同士のつながりは強いものだ。 **ち【地】** ○土地。大地。地域。場所。→天文[文例]〈この地〉役所を退職した父がこの地に住みついたのは、もう二十年も前のことです。♠〈オーストラリアの地〉日本人で最初にオーストラリアの地を踏んだのはだれかしら。♠〈地の果て〉荒野[こうや]には一本の木さえなく、まさに地の果てといった光景だった。♠〈安住の地〉戦争で祖国を失った難民たちは、安住の地を求めて、長い旅を続けました。♠〈思い出の地〉神戸は、二人にとっては、最初のデートをした思い出の地です。♠〈不毛の地〉根釧原野[こんせんげんや]は開拓[かいたく]以来、農作業に適さない不毛の地として知られてきた。♠〈出生の地〉岩手県渋民村[しぶたみむら]は、石川啄木[いしかわたくぼく]の出生の地として有名だ。♠〈足が地につかない〉決勝戦[けっしょうせん]ということで緊張[きんちょう]しているのか、わたしは足が地につかなかった。♠〈地をはう〉前進守備の三塁手[さんるいしゅ]の左を、地をはうような打球が抜けていった。♠〈地に落ちる〉わいろを受けとったことが明るみに出てから、この政治家の名声も地に落ちた。♠〈地をはらう〉隣人愛の思想など、今や地をはらうがごとくうせてしまった。♠〈地の利を得る〉地下鉄の駅に近いという地の利を得て、兄の店はどんどん繁盛[はんじょう]していった。♠〈天と地〉一見似たような二枚のお皿[さら]には、実は天と地ほどに値段の差がある。♠〈天にも地にも〉親にとって子は、天にも地にもかけがえのない大切な存在です。♠〈一頭地を抜く〉なみいる弟子たちの中で、彼の実力が一頭地を抜いていた。♠〈一敗地にまみれる〉相手との実力の差はあまりに大きく、一敗地にまみれる結果となった。 **ちあん【治安】** ○世の中の治まり具合。[文例]〈社会の治安〉♠〈治安を維持する〉独立後まもない国ですから、社会の治安を維持するために国民のすべてが努力しています。♠〈治安が乱れる〉治安の乱れた国を旅行する外国人旅行者には、不安がつきまといます。 **ちい【地位】** ○くらい。身分。役割の上での位置。[文例]〈地位を築く〉氏はわずか十年間で現在の地位と財産を築きました。♠〈高い地位〉研修会に出席した男たちは、だれもが今よりも高い地位に上ることを望んでいた。♠〈重要な地位〉♠〈地位に就く〉入社して八年、彼も今では会社の重要な地位に就いている。♠〈地位を占める〉十一世紀前半は、藤原氏[ふじわらし]が重要な地位の大半を占めていた。♠〈地位がある〉地位があるからといって、いばっているやつは嫌いだ。♠〈地位にふさわしい〉あの部長は、その地位にふさわしい責任を果たした。♠〈地位に立つ〉彼ぐらいの地位に立てば、まわりがうるさいからめったな事はできない。♠〈地位の向上〉働く者の地位の向上をめざして、ストライキが行われたこともあった。♠〈社会的な地位〉社会的な地位と人間の価値は、必ずしも比例しない。♠〈指導的な地位〉人柄[ひとがら]といい、能力といい、指導的な地位が似合いの人だ。 **ちいき【地域】** ○一定の範囲の土地。その人の住む地方。[文例]〈地域の発展〉Kさんは、地域の発展に尽くしたことによって、市から表彰されました。 <677> **ちいき【地域】** (前のページより続く) ♠〈特定の地域〉この製品はまだ特定の地域でしか発売されていない。♠〈地域の代表〉地域の代表を選ぶわけですから、投票は慎重[しんちょう]に行わなければなりません。♠〈地域による〉ひとくちにお雑煮といっても、地域によってずいぶん違いがある。♠〈地域一帯〉疫病はあっという間に、その地域一帯に広まった。♠〈地域社会〉きみたちももう中学生なんだから、地域社会の一員としての自覚が必要だよ。 **ちいく【知育】** ○知的な能力を育てること。→体育・徳育[文例]〈知育・徳育・体育〉道徳心を養う徳育、運動能力を育てる体育、知的能力を高める知育は教育の三本柱です。♠〈知育偏重〉知育偏重[へんちょう]の受験教育は、かたよった人間を育てる心配がある。 **ちいさい【小さい】** ○形・量・程度・規模・年齢などがわずかである。[文例]〈小さい花〉庭の片隅[かたすみ]で、タンポポが一本、小さい花を咲かせている。♠〈背が小さい〉弟は小学校五年生にしては、背が小さいほうです。♠〈数が小さい〉数が小さければ、暗算は速く正確にできます。♠〈小さいころ〉ぼくは小さいころ、パイロットになりたいと思っていました。♠〈小さいこと〉兄は小さいことにこだわらない、さっぱりした性格の持ち主です。♠〈小さくなる〉パーティーにいらっしゃったのは有名な方ばかりで、わたしは隅[すみ]の方で小さくなっていました。♠〈音が小さい〉兄さんが勉強しているのだから、もう少しテレビの音を小さくしなさい。♠〈影響が小さい〉最近の食品添加物[てんかぶつ]は、以前のものに比べて人体に与える影響は小さいという。♠〈人気が小さい〉妹は気が小さくて、友達にもなかなか思っていることを伝えられないようです。♠〈肝っ玉が小さい〉ちょっと驚[おどろ]かしたくらいで、そんな悲鳴をあげるなんて、意外に肝っ玉が小さいんだね。♠〈人物が小さい〉二人を比べると、田中さんのほうが頭はよいが、人物は小さいような気がする。 **ちいさな【小さな】** ○小さいさま。[文例]〈小さな子〉小さな子のいる家は、朝から晩までにぎやかです。♠〈小さな実〉南天[なんてん]の木が赤い小さな実をつけている。♠〈小さな声〉彼女は、ささやくような小さな声で話します。♠〈小さな胸〉不幸な子供たちの話を聞くとき、少女の小さな胸は痛むのだった。♠〈小さな努力〉毎日の小さな努力の積み重ねが大きな成果をうみだすことがあります。♠〈小さなこと〉いつまでもそんな小さなことにくよくよしてはいけない。 **チーム** ○まとまって一つの仕事をする団体。味方として競技する組。[文例]〈チームを作る〉町内のおじさんたちが集まって、草野球のチームを作った。♠〈チームを組む〉騎馬戦は、四人がチームを組み、上に乗った者の帽子[ぼうし]かはちまきを取られると負けです。♠〈チームの和〉団体競技では、みんなの心が一つになる「チームの和」が必要です。♠〈チームワーク〉学校新聞の編集を受け持った人たちは、とてもチームワークがよかった。♠〈チームプレー〉敵ながらあっぱれなチームプレーで、足なみの乱れた味方は完敗だった。 **ちえ【知恵】** (智慧)○物事を考え、うまく処理する頭の働き。真理をとらえ悟りを開く力。[文例]〈生活の知恵〉お風呂[ふろ]の残り湯[ゆ]で洗濯[せんたく]することも、現代人の生活の知恵と言えるでしょう。♠〈知恵がある・ない〉毎年同じ出し物をするのも知恵がないから、今年は少し目先を変えてみようと思うんだ。♠〈知恵を貸す〉困った様子の弟に、ちょっと知恵を貸してやりました。♠〈知恵を働かす〉もう少し知恵を働かしてごらん、そんな問題はすぐに解けるだろう。♠〈無い知恵をしぼる〉二人が無い知恵をしぼってあみ出した作戦も、相手には通用しなかった。♠〈知恵をつける〉だれだい、こんな小さな子に悪い知恵をつけたのは。♠〈知恵がつく〉赤ちゃんの時は何も考えていないようですが、一、二年の間にどんどん知恵がついていきます。♠〈知恵をさずける〉四苦八苦[しくはっく]しているぼくたちに、先生がいい知恵をさずけてくれた。♠〈知恵を拝借する・借りる〉電気のことですから、専門のあなたにちょっとお知恵を拝借したいのですが。♠〈知恵がまわる〉問題を解くのに、人数をx人とするのはわかったが、机の数をy個とすることまでは知恵がまわらなかった。♠〈知恵を貸す〉大家[おおや]さん、ちょっと知恵貸してくんなと、大工の熊[くま]がやってきた。♠〈知恵を出す〉みんなで知恵を出し合えば、何かうまい考えがうかぶだろう。♠〈三人寄れば文殊の知恵〉三人寄れば文殊[もんじゅ]の知恵だ。一人で考えるより友達に相談してみよう。 **チェーン** ○鎖。(サービス業・商店などの)系列。[文例]〈自転車のチェーン〉坂道で自転車のチェーンがはずれ、直すのに苦労しました。♠〈タイヤチェーン〉雪道の安全走行には、タイヤチェーンが必要です。♠〈チェーン店〉わたしは、県下に十一のチェーン店をもつ外食産業の経営者です。 **チェック** ○小切手。格子じま。検査。照合。印をつけること。阻止すること。[文例]〈チェックする〉文章を書いたら、誤字・脱字・仮名づかい、送り仮名や句読点のつけ方などをチェックしよう。♠〈チェックを受ける〉ハイジャックを防ぐために荷物の検査のほか、客はボディーチェックを受けます。♠〈チェックポイント〉そのうち慣れてチェックポイントがわかると、仕事がうんと正確になるよ。♠〈チェックのスカート〉白と黒のチェックのスカートをはいているのが、わたしの母です。♠〈トラベラーズチェック〉外国旅行中、旅券とトラベラーズチェックをなくすと非常にやっかいなことになる。♠〈ギフトチェック〉中学の入学祝いに、祖父母から一万円のギフトチェックをもらった。 **ちか【地下】** ○地面の下。あの世。非合法の世界。[文例]〈地下に埋まる・埋もれる〉専門家によれば、発見された仏像は七百年以上も地下に埋まっていたことになる。♠〈地下に眠る〉娘[むすめ]は、今日の喜びをまっさきに地下に眠[ねむ]る両親に報告しました。♠〈地下に潜る〉革命に失敗したのちも、男は地下に潜[もぐ]って反政府運動を続けた。♠〈地下~メートル〉野うさぎの巣は、地下三メートルの深さに達していた。♠〈地下~階〉新築のビルは、地上十八階、地下三階建てです。♠〈地下室〉青年は三日も、暖房のない地下室に拘禁[こうきん]されていた。♠〈地下資源〉地下資源に乏[とぼ]しい日本は、その大半を海外からの輸入に頼[たよ]っています。 <678> **ちかい【地階】** ○地下の階。[文例]このホテルの一階はフロントとロピー、地階は名店街になっている。 **ちかい【誓い】** ○誓うこと。↓ちかう[文例]〈誓いを立てる〉被災現場[ひさいげんば]に慰霊塔[いれいとう]を建て、二度と悲しい事故を起こすまいと誓いを立てた。♠〈固い誓い〉♠〈誓いを交わす〉二人は、固い誓いを交わした仲だった。♠〈平和の誓い〉八月十五日の終戦記念日が巡[めぐ]ってくると、人々は平和の誓いを新たにします。 **ちかい【近い】** ○距離・時間の隔[へだ]たりが小さい。離れていない。かかわり・つながりが深い。似かよって感じられる。近視である。[文例]〈家が近い〉うちのクラスで、家が一番学校に近いのはぼくです。♠〈昼近く〉たまっていた洗濯物[せんたくもの]を干し終わったのは、昼近くだった。♠〈近い将来〉父は近い将来、仙台に転勤することが決まっています。♠〈近いうち〉今日はごちそうさまでした。また近いうちにお邪魔[じゃま]させていただきます。♠〈近く~する〉母は、近く、おでこのこぶを取るために入院します。♠〈~の日が近い〉集まった報道陣[ほうどうじん]の数が、彼らの結婚の日が近いことを示している。♠〈七十人近い〉開店十分前には、七十人近い人たちが並んでいた。♠〈六十近い〉彼はもう六十近いけれど、毎朝欠かさずジョギングするそうです。♠〈人間に近い〉そのしぐさからも、チンパンジーは人間に最も近い動物だと言えるでしょう。♠〈近い間柄〉名前と顔が一致する程度で、彼とはそんなに近い間柄[あいだがら]ではない。♠〈近い親類〉今、話していたおばさんは、おじいさんの妹だから、うちとは近い親類にあたる人なのよ。♠〈正解に近い〉二番目の男性の答えはほとんど正解に近いものだった。♠〈目が近い〉目が悪くて近くのものしか見えないことを、目が近いとも言います。♠〈トイレが近い〉寒くなると、夜トイレが近くなって困ります。♠〈不可能に近い〉これだけの仕事を一人で片づけるなど、ほとんど不可能に近いことだよ。 **ちがい【違い】** ○違うこと。異なり。差。相違。[文例]〈身分の違い〉♠〈違いがある〉江戸[えど]時代までは、士農工商という身分の違いがありました。♠〈意味の違い〉探険と書いても探検と書いても、大きな意味の違いはない。♠〈国・言葉の違い〉オリンピックに参加する若者たちは、国や言葉の違いはあっても、スポーツを愛することに変わりはない。♠〈違いが出る〉♠〈世代の違い〉親と子で考え方に違いが出るのは、つまるところ世代の違いによると考えていいだろう。♠〈違いが分かる〉こうして二つ並[なら]べてみると、違いがよく分かりますね。♠〈違いが現れる〉細胞分裂[さいぼうぶんれつ]を始めて二時間後、二つの個体に違いが現れました。♠〈四つ違い〉姉とぼくとは四つ違いです。 **ちかう【誓う】** ○固く約束する。固く決意する。[文例]さあ、二度とあんないたずらはしないと、みんなの前で誓うのだ。♠〈固く誓う〉何事にも協力していこうと固く誓った仲間に、みごとに裏切られた。♠〈神に誓う〉この国では法廷[ほうてい]で証言を行う人は、まず真実を語ることを神に誓います。♠〈神にかけて誓う〉わたしが犯人でないことを、神にかけて誓ってもいい。♠〈心に誓う〉去年の試合で負けたとき、山本選手は来年こそはと心に誓ったそうです。♠〈愛を誓う〉神の前に愛を誓って結婚した二人が、ああも簡単に別れてしまうものだろうか。♠〈忠誠を誓う〉王の側近の家来は、みな固く忠誠を誓った者ばかりだ。♠〈将来を誓う〉姉には将来を誓った恋人[こいびと]がいます。 **ちがう【違う】** ○異なる。相違する。まちがっている。正常でなくなる。交差する。すれちがう。[文例]〈前と違う〉最近の彼女は前と違って、何でもよく話すようになった。♠〈いつもと違う〉教室に入ったとたん、いつもと雰囲気[ふんいき]の違うことに気がついた。♠〈今と違う〉父が生まれた当時は今と違って、村に鉄道も走っていなかったそうだ。♠〈約束と違う〉あれだけ働いて一日四千円とは、最初の約束[やくそく]と違っているよ。♠〈様子が違う〉この町の駅前の様子も、二年前にくらべるとずいぶん違ってしまった。♠〈国が違う〉二人は話す言葉は同じですが、生まれた国は違います。♠〈意味が違う〉「て・に・を・は」の使い方一つで、文章の意味が違ってしまうことがあります。♠〈答えが違う〉昨日[きのう]のテストは自信があったのに、後で調べたら、二箇所[にかしょ]ほど答えが違っていた。♠〈感じが違う〉ちょっと髪形[かみがた]を変えるだけで、ずいぶん感じが違ってしまうものだ。♠〈やり方が違う〉何度計算しなおしてもむだだよ、やり方が違っているのだから。♠〈話が違う〉雨天でもやるって言っていたのに、急に中止するなんて、話が違うじゃないか。♠〈道が違う〉この間とは通る道が違うので、今どのあたりを走っているのか見当がつかない。♠〈気が違う〉母親は二人の娘[むすめ]を失ったショックで、気が違ったようになってしまった。♠〈人が違う〉明るかった彼は、戦争から戻[もど]ると、まるで人が違ったように暗い性格になっていた。♠〈さすがに~は違う〉さすがに名人[めいじん]は違うな。この彫刻[ちょうこく]の鳥は今にも飛び立ちそうだ。♠〈~場合と違う〉冗談[じょうだん]を言っている場合と違うぞ、まじめにやれ。♠〈何かあったのと違うか〉彼女は、遅刻[ちこく]したうえに、泣きはらした顔で教室に入ってきた。何かあったのと違うかな。♠〈飛び違う〉通りをツバメが飛び違う。♠〈食い違う〉娘と入れ違うように妻が帰宅した。 **ちがえる【違える】** ○違うようにする。変える。まちがえる。正常でなくする。[文例]〈高さを違える〉庭の木と木の間に高さを違えた二本のひもを渡した。♠〈場所を違える〉連絡が正確でなかったため、当日集合場所を違える者が続出した。♠〈筋を違える〉寝ている間に首の筋を違えたらしく、痛くてたまらない。 **ちかく【知覚】** ○感覚器官によってとらえ、識別する働き。[文例]〈知覚のはたらき〉わたしたちは、外界に存在する事物を知覚のはたらきによって感じ取ります。♠〈知覚を失う〉すでに知覚を失っていたのだろうか、けが人はもう痛みをうったえなかった。♠〈知覚する〉光や色を知覚するのは、目のはたらきです。 **ちかごろ【近ごろ】** (近頃)○このごろ。最近。[文例]〈近ごろの若い者〉近ごろの若い者は……という言葉をよく耳にします。♠〈近ごろの様子〉母からの手紙には、近ごろの故郷の様子がこと細かに書かれていた。 <679> **ちかごろ【近ごろ】** (前のページより続く) ♠〈近ごろ~する〉ここが兄たちが近ごろよく集まる喫茶店です。♠〈近ごろにない〉先生が結婚[けっこん]するというのは、ぼくたちにとって近ごろにない明るいニュースです。♠〈近ごろ顔を見せない〉どうしたんだろう、金田さんが近ごろあまり顔を見せないね。♠〈近ごろは〉近ごろはこの辺りもぶっそうになって、日が暮れるとあまり人影[ひとかげ]も見当たりません。♠〈近ごろでは〉交通の便が良くなり、近ごろではぼくの田舎[いなか]にも日帰りで行けるようになりました。 **ちかしい【近しい】** ○親しい。[文例]〈近しい間柄〉わたしには、悩みを打ち明けられるような近しい間柄[あいだがら]の人はいなかった。♠〈近しい存在〉日本人の血が自分の体に流れていることを知ったベルタにとって、日本という国は近しい存在になっていた。 **ちかぢか【近々】** ○近いうちに。近くで。[文例]この妹[いもうと]は、村のある律儀[りちぎ]な一牧人[いちぼくじん]を、近々、花婿[はなむこ]として迎えることになっていた。(太宰治[だざいおさむ]「走れメロス」)♠〈近々と見る〉わたしは少女の顔を近々と見て、その美しさの秘密を知ったと思った。 **ちかづく【近付く】** ○近くに寄る。接近する。交際する。似てくる。[文例]〈敵が近づく〉攻撃力[こうげきりょく]を持たない草食動物は、その鋭敏[えいびん]な感覚で、敵が近づくのをすばやく察知する。♠〈背後から近づく〉刑事は背後から近づいてきた男に、突然[とつぜん]話しかけられました。♠〈台風が近づく〉台風が近づくにつれ、雨だけでなく風も強くなってきた。♠〈終わりに近づく〉叔父が田舎から上京してきたのは、夏も終わりに近づいた八月二十八日のことだった。♠〈試験が近づく〉試験が近づいたせいか、彼女はかなり緊張していた。♠〈誕生日が近づく〉誕生日[たんじょうび]が近づくと、弟は母に新しい自転車がほしいとねだり始めた。♠〈人に近づく〉彼女が財産をめあてに、社長に近づいたのは明白だ。♠〈数値が近づく〉実験を繰り返せば繰り返すほど、われわれの予想に数値は近づいていった。 **ちかづける【近付ける】** ○近くに寄せる。親しくさせる。[文例]〈顔を近づける〉白い小さな花の花びらを数えようと、そばに顔を近づけてみた。♠〈人を近づける〉不良だからというので、わたしの親はその少年を家に近づけなかった。 **ちかみち【近道】** ○早く行ける道。早く目標へ到達する方法。[文例]〈駅への近道〉次の角を右に曲がったほうが、駅へは近道だ。♠〈近道を通る〉今日はちょっと寝坊[ねぼう]したので、近道を通って学校に行きました。♠〈近道をする〉ここからなら、近道をすれば二十分くらいで家まで帰れる。♠〈近道になる〉実はこの通りは、細いけれど空港への近道になっているんですよ。♠〈上達への近道〉コーチの指導に従って練習を続けることが上達への近道だ。♠〈成功への近道〉成功への近道なんかありません、ただ努力するだけです。♠〈一番の近道〉わからないことがあったらあの人に聞いてごらん、それが一番の近道だと思うよ。 **ちかよる【近寄る】** ○近くに寄る。接近する。近づく。[文例]〈獲物に近寄る〉ヒョウは音も立てずに、獲物[えもの]に近寄っていった。♠〈危険に近寄る〉好奇心[こうきしん]の強い子供のころは、どうしても危険に近寄ることが多い。♠〈君子危うきに近寄らず〉君子[くんし]危うきに近寄らずで、危険なことはさけたほうがいい。♠〈予想に近寄る〉実験を重ねていくうちに、データはわれわれの予想に近寄った値[あたい]を示していった。♠〈近寄り難い〉教授は量子力学の権威[けんい]で、ぼくらにはとても近寄り難い存在です。 **ちから【力】** ○物を動かしたり、支えたりする筋肉の働き。物体を動かす原動力。体力。腕力。能力。努力。気力。効力。暴力。頼りにするもの。[文例]〈力が強い・弱い〉あの兄弟は、弟のほうが力が強い。♠〈力がある・ない〉子供のくせに、なかなか力があるな。♠〈力が出る〉このエンジンは、四千五百回転で最大の力が出ます。♠〈力が大きい〉食塩水のほうがただの水より物を浮かす力が大きい。♠〈力を出す〉大試合になると、予想以上の力を出す選手がいます。♠〈力を利用する〉合気道[あいきどう]は、相手の力を利用して技をかけるところが大きな特徴[とくちょう]だ。♠〈最後の力〉♠〈力をふりしぼる〉登山隊は最後の力をふりしぼって、ようやくベースキャンプまで戻ってきた。♠〈力がある・ない〉彼女にはとても、この問題を処理する力はありません。♠〈力を伸ばす〉ひたむきに努力した成果だろう、彼も相当力を伸ばしてきたぞ。♠〈力がつく・力をつける〉家での勉強のたまものかな、だいぶ漢字の力がついてきたね。♠〈力を入れる〉本校は、生徒の自由な発想を大事にする教育に力を入れています。♠〈力を合わせる〉三人で力を合わせれば、なんとかこの車を動かせるかもしれない。♠〈力の限り〉力の限り戦って敗れたのだから、みんな悔いはないだろう。♠〈力を持つ〉聞くところによると、T氏は財界で相当な力を持っているそうだ。♠〈力をゆるめる〉いいか、相手は強いから決して力をゆるめるなよ。♠〈力をこめる〉「自由な生活……」、先生は自由の語に力をこめておっしゃった。♠〈力を落とす〉息子[むすこ]を戦争に取られたおばあさんは、力を落としてめっきりふけこんでいった。♠〈力が働く〉体温が上がると、それを下げようとする力が働いて汗[あせ]が出のです。♠〈力を尽くす〉村のことは、村人自身の手で決めようと、みんなは力を尽くしました。♠〈力にあふれる〉どうです、この力にあふれる若者たちは。♠〈力が尽きる〉健闘した挑戦者[ちょうせんしゃ]も、後半に入るとついに力が尽きてしまった。♠〈英語の力〉♠〈話す力〉小島さんの英語の力、特に話す力はクラスで一番だ。♠〈薬の力〉軽い風邪なら、薬の力に頼[たよ]らずに、栄養のある物を食べてよく眠[ねむ]ればじきに治りますよ。♠〈力になる〉この企画[きかく]を立てる際に、あなたにはずいぶん力になってもらった。♠〈力を借りる・貸す〉人の力を借りることを考えていたのでは、良い仕事などできません。♠〈力と頼む〉ほかに友達のいない彼女は、あなたのことを力と頼んでいるのです。♠〈力にする〉力にしてきた長男の死に、老いた母親は、ぼうぜんとなすことなく日を送した。 <680> **ちから【力】** (前のページより続く) ♠〈力が落ちる〉これだけ手がかりがあるのに犯人を捕[つか]まえることができないとは、警察の力も落ちたものだ。♠〈力を落とす〉自信を持って受験した大学が不合格だったので、息子はすっかり力を落としてしまいました。♠〈力の政治〉♠〈民衆の力〉軍隊をバックにした力の政治は、自由を望む民衆の力によって倒[たお]されました。 **ちからずく【力ずく】** (力尽く)○力に訴えて事を運ぶこと。[文例]男の目には、力ずくでも言うことを聞かせるぞという凶暴[きょうぼう]な光が宿っていた。 **ちからぞえ【力添え】** ○力を貸すこと。手助けすること。[文例]〈力添えをいただく〉わたしの就職につきましては先生のお力添えをいただき、ありがたく思っております。♠〈力添えする〉教え子の将来にかかわることなら、できる限り力添えするのは当然のことです。 **ちからつきる【力尽きる】** ○力を出し尽くす。[文例]敗走する平家は、壇ノ浦[だんのうら]で源氏に最後の決戦をいどんだが、ついに力尽き、一門は海のもくずと消えていった。 **ちからづよい【力強い】** ○力がこもっている。たよりにできて安心だ。[文例]〈力強い言葉〉方言は、素朴[そぼく]で力強い言葉だ。♠〈力強い感じ〉漢語は、和語に比べてひきしまった力強い感じを与えます。♠〈力強く歌う〉この詩には、働く者たちの感情が力強く歌われている。♠きみのような人がいてくれれば、たいへん力強い。 **ちからまかせ【力任せ】** ○ありったけの力を出してするざま。[文例]〈力任せに振り回す〉少女は竹刀を構えると、力任せに振り回してみた。♠〈力任せに殴る〉六尺豊かな大男がげんこつを振り上げて、力任せに殴[なぐ]るのだからたまらない。 **ちき【知己】** ○自分を知ってくれる友。知り合い。知人。[文例]〈知己になる〉わたしがこの男と知己になったのはこの店だったが、その後もここでよく顔を合わせた。♠〈知己を持つ〉田舎の学校の教師であったから、わたしはこの業界に知己を持たなかった。♠〈知己を得る〉趣味の俳句の会に入ってからは、そこで多くの同好の知己を得た。 **ちき【稚気】** ○おさなさ。こどもっぽさ。[文例]〈稚気あふれる〉老人の稚気あふれる行為は、周囲の人々の間に好ましい笑いの波を広げていった。 **ちきゅう【地球】** ○わたしたちが住んでいる惑星。[文例]〈地球が回る〉わたしたちの住む地球は、太陽のまわりを約三六五日かけてまわっている。♠〈地球上〉人類が滅びた後、ゴキブリが地球上を征服するのではないでしょうか。♠〈地球人〉この映画では、地球人と宇宙人の和解のシーンが見どころです。♠〈地球儀〉進学祝いに父から地球儀を買ってもらいました。 **ちぎり【契り】** ○夫婦になる約束。男女の交わり。前世の因縁。[文例]〈夫婦の契り〉♠〈契りを結ぶ〉夫婦の契りを結ぶとまもなく、若者は娘ひとりを残して戦場へとたっていった。♠〈契りを交わす〉固い契りを交わした二人だったが、親たちがその仲を引き裂いた。 **ちぎる【千切る】** ○細かく引き裂く。もぎ取る。[文例]〈細かくちぎる〉集めたパンを細かくちぎって、小鳥たちに与えました。♠〈花びらをちぎる〉花びらを一枚ちぎって、本に挟[はさ]んでおくことにした。♠〈紙をちぎる〉試合の応援[おうえん]に使うために、紙をちぎって紙吹雪[かみふぶき]を作っている。♠〈肉をちぎる〉男はナイフも使わずに手で肉をちぎり、夢中でほおばりました。♠〈ちぎって捨てる〉父はメモを一目見ると、ちぎって捨ててしまった。♠〈ノートをちぎる〉何も持ってこなかったぼくに、彼女はノートを一枚ちぎって渡してくれた。♠〈引きちぎる〉部屋に張ってあったポスターを、一郎は無造作[むぞうさ]に引きちぎった。♠〈ほめちぎる〉どの批評家も、主演した男優の渋[しぶ]い演技をほめちぎっている。 **ちぎる【契る】** ○夫婦の約束をかわす。男女の交わりをする。[文例]〈将来を契る〉娘が思いこがれ、将来を契ったのが、隣町の旅館の息子だった。 **ちぎれる【千切れる】** ○細かく裂ける。もぎ取られる。[文例]〈雲がちぎれる〉青い空にちぎれた雲が浮かんでいる。♠〈旗がちぎれる〉強い風に、屋上に飾られた万国旗がちぎれて飛んだ。♠〈ボタンがちぎれる〉会場の入り口で押しかけた客ともみ合っているうちに、制服のボタンがちぎれてしまった。 **ちく【地区】** ○一定の目的で区分された土地。一定の地域。[文例]小田さんは、この地区の民生委員をしていました。♠〈文教地区〉この丘の周辺は、幼稚園から大学までが集まる文教地区です。 **ちくいち【逐一】** ○順を追って一つ一つ。いちいち。もらさず。[文例]長女の東京での行動と生活は、親戚[しんせき]の者が逐一知らせてくれた。 **ちぐう【知遇】** ○知り合って厚くもてなされること。[文例]〈知遇を得る〉才能のある絵かきだったから、行く先々で趣味のある商人などの知遇を得て、制作に没頭することができた。 **ちくじ【逐次】** ○順次。次々に。[文例]今後発生する環境問題については、住民の知恵も借りて逐次解決していく方針です。 **ちくしょう【畜生】** ○(人に飼われる)けものや動物。ののしっていう語。[文例]〈畜生にも劣る〉こんな卑劣[ひれつ]なことをするなんて、畜生にも劣るやつだ。♠あの定吉[さだきち]の畜生、集金に出かけたまま暗くなっても帰って来ない。♠畜生、まただましやがったな! **ちくせき【蓄積】** ○積みたくわえること。たくわえたもの。たまること。[文例]〈海底に蓄積する〉海底に蓄積された不純物の厚さは、三メートルにもなっていた。♠〈疲労が蓄積する〉体内に蓄積した疲労[ひろう]が風邪をひきおこすきっかけとなったようだ。♠〈富を蓄積する〉たった二年間で、彼があれだけの富を蓄積したなんて、とても信じられない。♠〈知識を蓄積する〉四年間の外国生活で蓄積された知識が今の仕事でずいぶん役に立っている。♠〈問題が蓄積する〉住宅難・騒音[そうおん]・大気汚染[おせん]など、大都市東京に蓄積している問題はたくさんあります。♠〈資本の蓄積〉長年の資本の蓄積がなければ、会社は倒産していただろう。 <681> **ちくでん【逐電】** ○(稲妻を追って急ぐの意から)逃げ出すこと。行方をくらますこと。[文例]〈逐電する〉その流れ者の職人はしばらくの間まじめに働いていたが、親方から給料を前借りしたまま、飲み屋の女を連れて逐電した。 **ちぐはぐ** ○そろわないさま。くいちがうさま。[文例]〈ちぐはぐな格好〉お客さんが来ている所に、二人はちぐはぐな格好で現れた。♠〈行動がちぐはぐ〉コンビを組んでから日が浅いのか、二人の行動はちぐはぐです。♠〈言うことがちぐはぐ〉二人の言っていることはちぐはぐで、同じ現場にいあわせた人どうしとは思えなかった。♠〈大きさがちぐはぐ〉紙の箱[はこ]を組み立ててみると、箱とふたの大きさがちぐはぐで、うまくはまらなかった。♠〈ちぐはぐに履く〉あわてていたものだから、サンダルをちぐはぐに履[は]いてきてしまったよ。 **ちくばのとも【竹馬の友】** ○幼い時からの友達。[文例]メロスには竹馬の友があった。(……)その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。(太宰治[だざいおさむ]「走れメロス」) **ちけい【地形】** ○土地の形状。[文例]〈平たんな地形〉山脈の東側は、起伏の少ない平たんな地形になっている。♠〈複雑な地形〉日本は国土は狭い[せま]が、平野あり三千メートルを超す山ありの、複雑な地形をしています。♠〈地形がいりくむ〉岩手県の三陸海岸は地形のいりくんだリアス式海岸になっている。♠〈地形を利用する〉監視塔[かんしとう]は、山腹の急な地形をうまく利用して建てられていた。♠〈地形を調査する〉ダムを建設する前に、専門家たちが付近の地形を丹念[たんねん]に調査しました。♠〈地形図〉地形図では、土地の高低は等高線で表すのが普通だ。 **ちこく【遅刻】** ○定まった時刻に遅れること。[文例]急がないと遅刻だ、走ろう。♠〈遅刻する〉約束の時間に三十分も遅刻して行ったら、もう待ち合わせの場所にはだれもいなかった。♠〈遅刻の常習犯〉彼は遅刻の常習犯で、毎朝のように学校に駆け込みます。 **ちしお【血潮】** (血汐)○流れ出る血。体をめぐる血。熱情。[文例]〈血潮がほとばしる〉自刃[じじん]した軍人の首からほとばしった血潮がふすまを赤く染めていた。♠〈血潮がたぎる〉若者たちの胸にたぎる血潮は、この国の独立運動のエネルギーとなった。♠〈熱い血汐〉やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君(与謝野晶子[よさのあきこ]) **ちしき【知識】** ○覚え知ったことの内容。知恵と見識。知徳のすぐれた僧。[文例]〈知識がある・ない〉この本は数学の知識がない人でも、おもしろく読めるだろう。♠〈~に関する知識〉田中君の電気に関する知識は専門家なみだ。♠〈正しい知識〉♠〈知識を身につける〉免許[めんきょ]を取るには、まず車に関する正しい知識を身につけなければなりません。♠〈深い知識〉この研究所の研究員になるには、科学全般[ぜんぱん]にわたる深い知識が必要だ。♠〈知識を吸収する〉子供は大人の話を聞いたり、行為[こうい]を見たりして、どんどん知識を吸収していく。♠〈知識をひけらかす〉彼女はすぐに知識をひけらかすので、みんなにあまり好かれていなかった。♠〈知識を与える〉博士の講義は、ぼくたちに新しい知識を与えてくれた。♠〈予備知識〉見学の前に、それについての予備知識をしこんでおこう。 **ちしつ【地質】** ○地層や岩石の性質・状態。[文例]〈地質を調べる〉富士山の地質を調べてみると、数万年もの昔から噴火を繰り返してきたことがわかります。♠〈地質調査〉地下資源をさぐるための地質調査が行われている。♠〈地質学〉兄は、大学の理学部で地質学を専攻している。 **ちしつ【知悉】** ○知り尽くすこと。[文例]〈知悉する〉青年時代、長く代議士の秘書を務めたというその男は、政界財界の裏側を知悉していた。 **ちじょう【地上】** ○地面。大地の上。この世。→地下・天上[文例]〈地上に出る〉セミの幼虫は地上に出るまでの何年間か、何を食べて生きているのだろう。♠〈地上を見下ろす〉優雅[ゆうが]に舞っているように見えるはやぶさも、地上を見下ろし獲物[えもの]をねらっているのです。♠〈地上を飛び立つ〉地上を飛び立った旅客機は、やがて北の空に消えていきました。♠〈地上に降りる〉神が天から地上に降りて来るという神話は、世界各地にある。♠〈地上に姿を現す〉人類が地上に姿を現してから、まだ三百万年しかたっていない。♠〈地上の楽園〉王はこの土地に地上の楽園を築きあげようとしました。♠〈地上と地下〉新しく建てられたビルは、地上七階地下二階です。♠〈地上~メートル〉この展望台の高さは地上百五十メートルあります。 **ちじょく【恥辱】** ○はずかしめ。恥。[文例]〈恥辱を受ける〉裏切り者の恥辱を受けて、おめおめと引き下がるわけにはいかない。♠〈恥辱に堪える〉いわれない周囲のさげすみの目による恥辱に堪[た]えなければならなかった。 **ちじん【知人】** ○知り合い。[文例]〈友人・知人〉結婚式には、お世話になった人や友人・知人の多くを招待するつもりです。♠〈知人に会う〉通りでばったり知人に会った母は、長い間立ち話をしていた。♠〈知人を訪ねる〉青森に出かけた折、昔の知人を訪ねました。 **ちず【地図】** ○土地の状況を平面に書き表した図。[文例]〈地図を広げる〉ぼくたちは、地図を広げて、夏休みの旅行について話し合った。♠〈地図を書く〉学校から自分の家までの地図をわかりやすく書いて提出しなさい。♠〈地図に頼る〉地図を頼りに、目的地を探しあてた。 **ちすい【治水】** ○水害を防ぎ、河川の利用をはかること。[文例]〈治水工事〉台風の季節が来る前に、堤防[ていぼう]を築いたり橋げたを高くしたり、治水工事を終わらせなければならない。♠〈治山治水〉河川[かせん]の整備や水質の浄化[じょうか]、植林や国土緑化などの治山治水事業は、国土の将来を考える上できわめて重要なことです。 **ちすじ【血筋】** ○血のつながり。血統。[文例]〈華族の血筋〉うわさによると、彼女は旧華族[かぞく]の血筋だそうです。♠〈血筋を引く〉父親の血筋を引いてか、子供たちもそろって科学者になった。♠〈血筋が良い・悪い〉F氏は血筋は良いかも知れないが、人間的にはあまり優れた人物ではない。 <682> **ちすじ【血筋】** (前のページより続く) ♠〈血筋は争えない〉高校生であれだけの技[わざ]を持っているとは、やはり血筋は争えないものだ。♠〈血筋につながる〉調査の結果、この老人の血筋につながる者は、一人も生存していないことがわかった。 **ちせい【知性】** ○高度に抽象的なレベルで物事を考え、判断する能力。[文例]〈知性に欠ける〉こう言ってはなんだが、彼の話し方は知性に欠けている。♠〈知性のかけら〉良家の一人娘だというのに、その態度には知性のかけらも見られなかった。♠〈知性にあふれる〉山村さんの知性にあふれる話にひきつけられて、集まった人も少なくありません。♠〈知性豊か〉紹介[しょうかい]された男性は、表情といい態度といい、見るからに知性豊かな感じの人でした。♠〈知性が邪魔をする〉ちょっときざだけれど、彼みたいなばか騒[さわ]ぎは、知性が邪魔[じゃま]をしてどうしてもできない。♠〈知性に訴える〉委員長の演説は、知性に訴[うった]えるというより、むしろ感情に訴える調子だった。♠〈知性的〉同じ人物なのに、ちょっと洋服を変えただけで、こうも知性的に見えるものかね。 **ちせい【地勢】** ○地形など土地の全体的なありさま。[文例]〈地勢を見る〉彼は辺りの地勢を見るために、小高い山に登りました。♠前には太平洋が広がり、背後に山が迫る地勢から人々の暮らしを想像するのは難しくなかった。 **ちせい【治世】** ○世の中を治めること。よく治まった世の中。[文例]〈天皇の治世〉「君が代」は、天皇の治世が千年も何千年も栄えることを祝った歌です。 **ちせつ【稚拙】** ○子供じみて、つたないさま。[文例]〈稚拙な文章〉稚拙な文章であったが、手紙には母親の真情があふれていた。♠〈稚拙に過ぎる〉いかに活字離れの進む現代の大学生の文章といえども、これでは稚拙に過ぎる。 **ちそう(馳走)** →ごちそう **ちたい【地帯】** ○他から区別される、ある範囲の場所や地域。[文例]〈安全地帯〉ダンプカーは安全地帯に乗りあげて、ようやく止まりました。♠〈危険地帯〉第三者が危険地帯に入ると、ブザーが鳴るようになっています。♠〈工業地帯〉県の北西部は、工業地帯となっている。♠〈森林地帯〉ここからは果てしなく森林地帯が続く。♠〈中立地帯〉勢いづいた敵軍は、中立地帯にまで侵入[しんにゅう]してきた。♠〈太平洋ベルト地帯〉日本の人口の半数以上が太平洋ベルト地帯で生活している。 **ちち【乳】** ○母の乳房から分泌する液体。乳房。[文例]〈乳を飲む〉まだ目もあかない子ねこが無心に乳を飲んでいる。♠〈乳をほしがる〉背中の赤ん坊が乳をほしがって泣き出した。♠〈乳を与える〉子ざるに乳を与えている間も、母ざるは周囲に警戒[けいかい]の目を向けていた。♠〈乳をしぼる〉飲んでごらん、今しぼったばかりのヤギの乳だよ。♠〈乳が出る〉病弱だった母は乳があまり出なくて、ぼくを育てるのに苦労したそうです。♠〈乳が止まる〉体は健康でも、精神的なショックで牛の乳が止まってしまうことがある。♠〈乳臭い〉玄関[げんかん]に立っていたのは、みんなの予想に反して、まだ乳臭[ちくさ]い少年だった。 **ちち【父】** ○男親。開祖。創始者。[文例]〈父と子〉父と子が仲良く公園でキャッチボールをしている。♠〈父と母〉わが家は、父と母と、弟とわたしの四人家族ですが、近くに祖父と祖母が住んでいます。♠〈三人の子の父〉彼は若くして三人の子の父となった。♠〈実の父〉血のつながった実[じつ]の父であるわたしにとって、その子がにくいはずはなかった。♠〈数学の父〉かくて、現代数学の父と言われる数学者は息をひきとったのであった。 **ちち【遅遅】** ○物事がとどこおって進展しないさま。[文例]〈遅々として〉悪天候が続き、工事は遅々として進まなかった。♠〈遅々としてはかどらない〉会社の仕事に追われて、父の研究は遅々としてはかどらない。♠〈遅々たるもの〉熱心な練習のわりには、進歩は遅々たるものだった。 **ちぢこまる【縮こまる】** ○小さく縮まる。[文例]寒いからって部屋で縮こまってないで、外で遊んでらっしゃい。♠拾ってきた子ねこは、ずいぶんいじめられたらしく、おびえて縮[ちぢ]こまっています。 **ちぢに【千千に】** ○数が多いさま。細かくさまざまに。[文例]〈千々に乱れる〉遠く離れて住む年老いた両親を思うと、千々に心が乱れます。 **ちぢまる【縮まる】** ○ちぢむ。[文例]〈セーターが縮まる〉ウールのセーターを自分で洗ったら、縮まってしまいました。♠〈距離が縮まる〉後半の追い上げで、徐々[じょじょ]に先頭との距離が縮まってきたようです。♠〈差が縮まる〉挑戦者とチャンピオンの力の差は、近ごろはずっと縮まったようだ。♠〈寿命が縮まる〉車の前にいきなり子供が飛び出したときは、寿命[じゅみょう]が縮まるほどびっくりした。♠〈身の縮まる思い〉ぼくたちは、身の縮まる思いで校長先生のお説教を聞いていました。 **ちぢみあがる【縮み上がる】** ○恐怖で体がちぢむ。[文例]相手のけんまくに、ぼくは縮み上がって隅[すみ]でふるえていた。♠谷川に渡された丸木橋を前に、わたしは縮み上がって足が前へ出なかった。 **ちぢむ【縮む】** ○長さ・大きさ・面積・体積などが小さくなる。短くなる。[文例]〈生地が縮む〉この生地なら、家で洗っても縮む心配がない。♠〈伸びたり縮んだり〉カメレオンの舌が伸びたり縮んだりするのは、いったいどんな仕組みになっているのだろう。♠〈背が縮む〉ぼくが大きくなったせいか、三年ぶりに会ったおばあさんは、背が縮んだような気がした。♠〈差が縮む〉第二走者の力走で、先頭との差は百メートルに縮んだ。♠〈寿命が縮む〉オートバイが突っ込んできたときには、寿命が縮むほど恐[おそ]ろしかった。♠〈身の縮む思い〉電車の中で歌いだす子に、母親のわたしは恥ずかしくて身の縮む思いがした。 **ちぢめる【縮める】** ○小さくする。短くする。[文例]〈丈を縮める〉姉からもらったスカートなら、丈[たけ]を縮めなくても着ることができる。♠〈寸法を縮める〉大工さんは、かんなで削って寸法を縮めればいいと説明した。♠〈首を縮める〉ものすごいスピードでボールが飛んできたので、ぼくは思わず首を縮めてよけた。 <683> **ちぢめる【縮める】** (前のページより続く) ♠〈伸ばしたり縮めたり〉しゃくとり虫は体を伸ばしたり縮めたりして前進していきます。♠〈文章を縮める〉無駄なところを削って縮めると、文章がしまってきます。♠〈差を縮める〉一位チームとの差を縮めていくためには、どうしても今日の試合には負けられない。♠〈休暇を縮める〉東京で事件があったので、父は休暇を縮めて帰京した。♠〈寿命を縮める〉不規則な生活が博士の寿命を縮めたと言ってもいいだろう。 **ちちゅう【地中】** ○地面の下。大地の中。[文例]植物は、地中の養分を吸い上げて生長していきます。♠〈地中に埋まる〉こはくは、大昔に樹脂[じゅし]が地中に埋まって化石になったものである。♠〈地中に眠る〉王家の財宝が何千年もの間地中の奥深くに眠っていたのです。 **ちぢれる【縮れる】** ○しわが寄って縮む。うねったり巻き上がったりする。[文例]〈縮れた髪〉縮れた髪の外国人女性がたどたどしい日本語で話しかけてきた。♠〈葉が縮れる〉秋も終わりになると、木の葉はちりちりに縮れたようになってしまう。 **ちっきょ【蟄居】** ○家に閉じこもること。[文例]〈蟄居する〉この事件をきっかけに、一家の主人は屋敷[やしき]に蟄居し、読書と写経[しゃきょう]に日を暮らす年月が続いた。 **ちつじょ【秩序】** ○物事の正しい順序。社会生活のうえで守るべき筋道。[文例]〈秩序がある・ない〉彼が活躍[かつやく]し始めたのは、終戦直後の秩序のない時代です。♠〈秩序を乱す・が乱れる〉集団生活では秩序を乱すような行動は慎[つつし]まなければならない。♠〈社会秩序〉♠〈秩序を確立する〉明治維新[いしん]になったからといって、すぐに新しい社会秩序が確立されたわけではありません。♠〈秩序を保つ〉厳しい軍事体制の下で、国の秩序はかろうじて保たれているにすぎない。♠〈秩序を失う〉群れのリーダーが決まらないので、秩序を失ったサルたちがボスの座をめぐって争いを続けている。 **ちっそく【窒息】** ○息がつまること。活動を阻害されること。[文例]〈窒息する〉そんなに重たい布団[ふとん]をかけたのでは、赤ちゃんが窒息してしまう。♠〈窒息する〉独裁政権の下で自由な発言や表現は抑えつけられ、言論は窒息しそうな状態にあった。 **ちっぽけ** ○小さいさま。[文例]〈ちっぽけな庭〉ぼくの家のちっぽけな庭では、キャッチボールなどとてもできないよ。♠〈ちっぽけな店〉わたしがやっているのは駅前のちっぽけな店だが、けっこう繁盛[はんじょう]している。♠〈ちっぽけな花〉父の大切にしていた鉢植えが、赤いちっぽけな花を咲かせました。♠〈ちっぽけな夢〉どんなちっぽけな夢でも、かなったときはうれしいものです。♠〈ちっぽけな幸せ〉彼はこの土地で、生まれて初めて、ちっぽけではあったが確かな幸せを手にした。 **ちてい【地底】** ○地下の深い所。地の底。[文例]この丘の数十メートル下の地底にトンネルが掘られている。♠井戸の底に下りると、震える空気の反響が地底のうめきのように感じられた。 **ちてき【知的】** ○知性的。頭がよいさま。[文例]〈知的な女性〉田中さんの妹は、髪[かみ]の長い、目のぱっちりとした知的な女性です。♠〈知的な仕事〉あなたは、知的な仕事には向いているようだ。♠〈知的な生活〉調査が進んでいくうちに、古代人は予想以上に知的な生活をしていたことがわかりました。♠〈知的な雰囲気〉室内に流れるクラシック音楽がよりいっそう知的な雰囲気[ふんいき]をかもし出している。♠〈知的に見える〉ちょっと髪形[かみがた]を変えただけなのに、今日の彼女はとても知的に見える。♠〈知的にふるまう〉たくさんの知識人が集まったので、ぼくまでがいつもより知的にふるまおうとした。♠〈知的好奇心〉勉強好きで、知的好奇心の旺盛[おうせい]な少年でした。 **ちてん【地点】** ○地上の、ある所。[文例]隊員からの連絡は、C地点でとだえています。♠〈~地点に居合わせる〉たまたま交通事故の起こった地点に居合わせたものだから、こんなに時間がかかってしまったのだよ。♠〈~地点に達する〉彼らが二千メートル地点に達したのは、三日後のことです。♠〈~地点に向かう〉犯行の行われた地点に向かって、パトカーは直行した。♠〈~地点を通過する〉列車がA地点を通過するのは、三分後の予定です。♠〈折り返し地点〉日本選手は折り返し地点を過ぎたところで、先頭集団から脱落[だつらく]してしまった。♠〈上陸地点〉あの小さな入り江が、われわれが予定している上陸地点だ。 **ちどりあし【千鳥足】** ○チドリが歩くようなよろよろした足つき。[文例]宴会はよほど楽しかったのだろう、みやげを下げ、父は鼻歌を歌いながら千鳥足で帰ってきた。 **ちなまぐさい【血なまぐさい】** (血腥い)○血のにおいがしている。争いや残酷な行為が行われている。[文例]〈血なまぐさい事件〉当時は、要人[ようじん]の暗殺や争乱など血なまぐさい事件が頻発[ひんぱつ]した。 **ちなみに(因に)** ○ついでに言えば。[文例]いちばん右にいるのが原くん、ちなみに彼は学級委員です。♠この小説の作者はサリンジャー、ちなみに彼はアメリカ人だ。♠父はガードマンで、ちなみに身長は一メートル八十、体重は九十キロです。 **ちなむ(因む)** ○つながりによる。縁をもつ。[文例]〈~周年にちなむ〉学校創立六十周年にちなんで、式典が催[もよお]された。♠〈主人公にちなむ〉このお店の名は、アメリカの小説の主人公にちなんでつけられたそうです。♠〈郷土にちなむ〉相撲[すもう]取りのしこ名には、その力士の郷土にちなんだものが多い。♠〈えとにちなむ〉店先には、えとにちなんでかわいいとらのポスターがはられていた。♠〈伝説にちなむ〉この地方に古くから伝わる伝説にちなんで、毎年六月にお祭りが行われる。 **ちのう【知能】** ○知的な能力。頭のよさ。[文例]〈知能を持つ〉人間以外の動物にも、道具を使える程度の知能を持つものがある。♠〈知能が高い・低い〉イルカやシャチは、かなり知能が高い動物であることが知られています。♠〈優れた知能〉銀河系宇宙に、人間より優れた知能を持つ生物が存在する可能性は大きい。♠〈知能の発達〉人間の知能の発達が最も著[いちじる]しいのは、五歳から十歳くらいまでではないだろうか。 <684> **ちのう【知能】** (前のページより続く) ♠〈知能の程度〉何を子供っぽいことをやっているんだ、知能の程度を疑われるよ。♠〈知能犯〉顔見知りの犯行に見せかけるとは、かなりの知能犯だな。♠〈知能指数〉知能指数が高いからといって、それだけでは何の意味もない。 **ちのけ【血の気】** ○血の通っているありさま。元気。血気。[文例]〈血の気が引く〉恐怖の余り、顔から血の気が引いていく。♠〈血の気がうせる〉屋上の手すりを越えて遊ぶわが子を見て、母親の顔から血の気がうせた。♠〈血の気がない〉青ざめた顔には、死人のように血の気がない。♠〈血の気が多い〉血の気の多い海の男たちの祭りとあっては、けんかが始まらないほうがめずらしいくらいだった。 **ちのり【地の利】** ○土地の位置や形勢。占めている土地の有利なこと。[文例]〈地の利を得る〉盆地[ぼんち]の南端の高台に陣[じん]を構えた武田の軍勢は、地の利を得て、戦いを有利に展開していた。♠〈地の利を占める〉わが軍には人の和がある。しかも地の利をも占めている。 **ちはい【遅配】** ○配るのが遅れること。[文例]〈郵便物の遅配〉冬場は雪に閉じ込められる山国ですから、新聞や郵便物の遅配も仕方ありません。♠〈遅配する〉円高でおもちゃ工場の経営が思わしくなく、工員たちの給料も遅配されるようになった。 **ちばしる【血走る】** ○(眼球が)充血する。[文例]〈目が血走る〉男の目は情欲[じょうよく]に満ちて血走り、怪しくみだらな光を放っていた。 **ちばなれ【乳離れ】** ○乳児が離乳すること。子供が自立すること。[文例]〈乳離れが早い・遅い〉今と比べて、昔の赤ちゃんはずっと乳離れが遅かったと祖母がいう。♠〈乳離れする〉成人したというのに、まだ乳離れしない青年たちもいます。 **ちびっこ【ちびっ子】** ○小さい子供。[文例]プールは真っ黒に日焼けしたちびっこたちでいっぱいです。♠神社のお祭りには、チビッコのど自慢があるよ。 **ちひょう【地表】** ○大地の表面。地面。[文例]〈地表を覆う〉冬になると、地表を雪と氷が覆[おお]う。♠〈地表を流れる〉森の木を切り過ぎたために土壌[どじょう]が固くなり、雨水はしみ込まずに地表を流れるようになった。 **ちぶ【恥部】** ○見られるのが恥ずかしい部分。陰部。[文例]〈恥部をさらけ出す〉己[おのれ]の恥部を人前にさらけ出すことは、並大抵[なみたいてい]の神経の持ち主にはできません。 **ちぶさ【乳房】** ○胸の、母乳を出すふくらんだ器官。[文例]夏は実際肉慾[にくよく]の強い女でした。自分の乳房をジーッと握らせなければ承知しないと云う女です。(志賀直哉[しがなおや]「濁[にご]った頭」) **ちへい【地平】** ○大地の平らな広がり。[文例]〈地平の果て〉砂漠[さばく]の真ん中を一本の道が地平の果てまで続いていた。♠〈地平に上る〉はるかかなたの地平に朝日が上る。♠〈地平線〉青々と波打つ麦の緑が地平線まで続く。 **ちへど【血へど】** (血反吐)○胃から吐く血。[文例]〈血へどを吐く〉血へどを吐くような苦しい稽古[けいこ]に耐えてきた。 **ちほ【地歩】** ○地位。立場。[文例]〈地歩を築く〉小さな店から身をおこし、次第に実業界に地歩を築いていった。♠〈地歩を固める〉今回のプロジェクトの成功によって、部長は社内での地歩を固めた。♠〈地歩を占める〉才能に恵まれた詩人であった北原白秋は、大正期の詩壇に地歩を占めていた。♠〈地歩を確立する〉松尾芭蕉[まつおばしょう]は、三十代半ばには談林俳諧[だんりんはいかい]の宗匠[そうしょう]としての地歩を確立していた。 **ちほう【地方】** ○国内を区分した地域。中央から離れた地域。[文例]十二月二十九日におもちをつかないのは、この地方独特の風習です。♠〈地方を旅する〉父は仕事の関係上、地方を旅することが多い。♠〈地方から出てくる〉地方から出てきたわたしには、東京での生活は毎日が新しい発見でした。♠〈地方に住む〉地方に住んでいた兄が七年ぶりに上京してきた。♠〈地方の大学〉彼女が地方の大学を卒業していたなんて、ちっとも知らなかった。♠〈地方の出〉アクセントからすると、どうやらあの人は地方の出らしいね。♠〈地方の人〉東京の騒々[そうぞう]しさは、地方の人にはなかなか理解してもらえないかもしれません。♠〈東京地方〉台風十三号が、東京地方を直撃する恐れが出てきた。♠〈地方自治体〉地方自治体の大半は、赤字財政に悩まされている。 **ちまた(巷)** ○町の通り。町なか。場所。[文例]今度の事件について、ちまたではいろいろなうわさが飛んでいる。♠〈ちまたの話題〉この秋のちまたの話題は、有名なスターどうしの結婚話だった。♠〈ちまたの人気者〉彼は、「おはようおじさん」とよばれるちまたの人気者です。♠〈ちまたの声〉十月に発売された新製品の評判を調べるため、ちまたの声を拾ってみることにした。♠〈ちまたにあふれる〉新政府に対する不満の声がちまたにあふれている。♠〈紅灯のちまた〉男は、色香[いろか]を求めて夜な夜な紅灯のちまたに足を運んでいた。♠〈戦乱のちまた〉昨日まで平和だった村が、一夜にして戦乱のちまたと化した。 **ちまつり【血祭り】** ○出陣の際に敵方の者を殺して、士気を高めること。手始めに相手の一人を倒すこと。[文例]〈血祭りにあげる〉予選でライバル校を血祭りにあげたわがチームは、意気揚々[いきようよう]と甲子園へ乗り込んだ。 **ちまなこ【血眼】** ○血走った目。必死で奔走すること。[文例]〈血眼になる〉護送[ごそう]中に逃亡した容疑者を、警察は血眼になって捜索[そうさく]していた。 **ちまみれ【血まみれ】** (血塗れ)○血にまみれること。血だらけ。血みどろ。[文例]〈血まみれになる〉刑事は、血まみれになって逃げる男を追いかけた。♠〈血まみれの手〉獲物[えもの]をさばいた猟師[りょうし]は、井戸ばたで血まみれの手を洗った。 **ちまよう【血迷う】** ○逆上する。正気を失う。[文例]〈何を血迷ったのか〉せっかく作りあげたガラス細工を、何を血迷ったのか、職人は床[ゆか]にたたきつけてしまった。♠〈怒りに血迷う〉激しい怒りに血迷った王様は、次々と囚人[しゅうじん]を処刑していった。♠いきなり猟銃[りょうじゅう]を持って飛び出して行くなんて、血迷ったとしか考えられない。 **ちみ【地味】** ○土地の質。[文例]〈地味が肥える〉この地方は、地味が肥[こ]えているので、作物がよく育ちます。 <685> **ちみ【地味】** (前のページより続く) ♠〈地味がやせる〉畑は、同じ作物を毎年作り続けると、だんだん地味がやせてくる。 **ちみち【血道】** ○血がめぐる道。血管。[文例]〈血道をあげる〉かけごとや道楽に血道をあげて、家や財産を失うということが昔はよくあった。 **ちみつ(緻密)** ○きめの細かいさま。細かくて手落ちのないさま。[文例]〈緻密な頭脳〉博士は、ぼくたちとは比べものにならない緻密な頭脳の持ち主です。♠〈緻密な計画〉登山、特に冬山の登山には、緻密な計画が必要だ。♠〈緻密な観察〉もっと緻密な観察をしていれば、細かな変化にも気づいたはずだよ。♠〈緻密に推理する〉どんなに緻密に推理しても、犯人の足どりを追うことができない。♠〈緻密さ〉発想はいいのだが、きみの研究には緻密さが欠けているよ。 **ちみどろ【血みどろ】** ○血だらけ。血まみれ。悪戦苦闘するさま。[文例]〈血みどろの戦い〉リング上では双方が出血し、文字通り血みどろの戦いが続いていた。 **ちみもうりょう(魑魅魍魎)** ○多くの化け物。さまざまな妖怪変化[ようかいへんげ]。[文例]〈魑魅魍魎がばっこする〉人間が足を踏み入れたことのないその森の奥は、魑魅魍魎のばっこする魔境[まきょう]であると信じられていた。 **ちめいてき【致命的】** ○命とりになるほど重大なさま。[文例]体重が軽いことは、力士としては致命的と言える。♠〈致命的な打撃〉先日の爆撃[ばくげき]で、飛行場は致命的な打撃[だげき]を受けた。♠〈致命的な失敗〉完成までもう一息のところで、ぼくは致命的な失敗を犯してしまった。♠〈致命的な痛手〉小麦価格の暴落で、商社は致命的な痛手をこうむった。♠〈致命的欠陥〉新発売のスポーツカーに、致命的欠陥[けっかん]のあることがわかった。 **ちゃ【茶】** ○ツバキ科の植物。葉や芽を飲料にする。茶の湯。気楽な集まり。ばかにすること。茶色。♪お茶[文例]〈お茶を入れる〉おいしいお茶を入れてさしあげましょう。♠〈お茶をつぐ〉旅館に着いて部屋に入ると、おかみさんがぼくたちにお茶をついでくれた。♠〈お茶を立てる〉茶道[さどう]の心得のあるおばは、訪問客にはいつもお茶を立ててすすめます。♠〈お茶を飲む〉うちの母は、お茶を飲みながら近所の人とおしゃべりするのが大好きです。♠〈お茶にする〉ひと休みして、お茶にしましょう。♠〈お茶に呼ぶ〉おいしいお菓子があるから、隣のおじいさんをお茶に呼びましょう。♠〈お茶を習う〉姉は花嫁修業だといって、お花とお茶を習いに行っています。♠〈お茶の子さいさい〉こんな問題、お茶の子さいさいだよ。♠〈お茶を濁す〉話の核心[かくしん]に触れようというところで、冗談[じょうだん]を言ったりして、適当にお茶を濁[にご]す人がいる。♠〈茶のスーツ〉彼女の着ている茶のスーツ、素敵ね。 **チャーミング** ○魅力のあるさま。[文例]〈チャーミングな女性〉ピンポーンとチャイムが鳴って出てみると、玄関に笑顔のチャーミングな女性が立っていた。 **ちゃかす【茶化す】** ○ひやかす。からかう。[文例]本人は一生懸命努力しているのですから、少しぐらいこっけいだからといって、ちゃかしてはいけません。 **ちゃくい【着衣】** ○着ている衣服。衣服を着ること。[文例]〈着衣の乱れ〉被害者は、着衣の乱れから、かなり抵抗したらしく思われた。 **ちゃくがん【着眼】** ○目をつけること。着目。[文例]〈着眼する〉研究員は温度の変化による伸縮性[しんしゅくせい]に着眼して、実験をくり返しました。♠〈着眼が正しい〉結果から判断すれば、あなたの着眼は正しかったことになります。♠〈着眼のしかた〉どんな作品に対しても、その批評家は変わった着眼のしかたをする。♠〈着眼点〉この問題の着眼点は、子供の人数をxとおくところにあります。 **ちゃくじつ【着実】** ○たしかで手堅いさま。[文例]〈着実な性格〉文章の間違いをさがす校正の仕事は、あなたのような着実な性格の人に向いています。♠〈着実な研究〉博士は、何年間もの着実な研究に裏付けられた理論をもっている。♠〈着実な営業〉開店してしばらくの間は、その店も着実な営業をしていました。♠〈着実に得点する〉後半にはいってからも、味方チームは着実に得点を重ねました。♠〈着実に前進する〉われわれは頂上をめざして、着実に前進を続けていった。 **ちゃくしゅ【着手】** ○手をつけること。とりかかること。[文例]〈事業に着手する〉会社側は、来年中には新しい事業に着手したい意向を示しました。♠〈計画に着手する〉都が都心の緑化計画に着手したのは、もう五年以上も前のことです。♠〈工事に着手する〉先日ここを通りかかったときは、工事に着手してから間もなかった。♠〈着手が遅れる〉付近の住民の反対で、建設作業の着手が大幅に遅れました。 **ちゃくせき【着席】** ○席につくこと。[文例]〈着席する〉一気にまくしたてると、ほっと息をついて、男は着席した。♠〈着席する〉会場に入った人たちは、指示された通りのテーブルに着席した。 **ちゃくそう【着想】** ○頭に浮かんだ考え。思いつき。アイデア。[文例]この劇団のだしものは、ほとんど彼の着想によるものだそうです。♠〈着想を温める〉彼女は作品を発表するまで、十年もの間、頭の中でこの着想を温めていたのです。♠〈着想が浮かぶ〉この計画の着想が浮かんだのは、忘れもしないおととしの三月三日のことです。♠〈着想がよい〉着想はよかったのだが、その事業には金銭的に無理があった。♠〈着想が優れる〉小学校五年生にしては、この着想はたいへん優[すぐ]れていた。 **ちゃくち【着地】** ○地面に着くこと。地上におり立つこと。[文例]〈体操の着地〉体操の演技では、難度の高い技をこなしても、最後の着地に失敗すると高い得点が出ません。♠〈着地する〉走り幅跳びでは、体を二つに折るようにしてできるだけ遠くに着地します。 **ちゃくちゃく【着々】** ○物事が確実に進行するさま。[文例]〈着々~する〉相手チームのエラーにも助けられて、味方は着々加点していった。♠〈着々進む〉七月の終わりごろから、祭りの準備は着々進められている。♠〈着々と近づく〉激[はげ]しいデッドヒートを展開しながら、二人は着々とゴールに近づいていった。 <686> **ちゃくにん【着任】** ○新しい任務・任地につくこと。[文例]新しい警察署長の着任そうそう、町じゅうがひっくりかえるような事件が起こった。♠〈着任する〉この春、本校に着任した先生方の紹介が今朝の集会でありました。 **ちゃくふく【着服】** ○こっそり自分の懐[ふところ]におさめること。[文例]〈公金の着服〉公務員の中には、公金の着服がもとで罪に問われ、辞職する人もいます。♠〈着服する〉授業料のつもりで送金したのに、息子のやつ、全額着服していたらしい。 **ちゃくもく【着目】** ○目をつけること。着眼。[文例]〈着目する〉事件の結果だけでなく、原因にも着目するべきだ。♠〈事実に着目する〉わたしはこの事実に着目して、さらに研究を続けたのです。♠〈着目が良い〉着目は良かったのだが、分析[ぶんせき]が不十分でどうもそのレポートには説得力が足りなかった。 **ちゃくよう【着用】** ○身につけること。[文例]〈制服の着用〉警官などのように、制服の着用が義務づけられている仕事もあります。♠〈着用する〉車を運転するときは、シートベルトを着用しなければなりません。 **ちゃくりく【着陸】** ○陸上におりること。[文例]〈着陸する〉空港で、飛行機が離陸したり着陸したりするのを、弟と二人でながめていた。♠〈胴体着陸〉車輪の故障などのため、飛行機が胴体[どうたい]着陸することがある。 **ちゃち** ○小さくて安っぽいさま。貧弱。[文例]〈ちゃちな構え〉後をつけて行くと、男はちゃちな構えの家に入っていった。♠〈ちゃちな考え〉そんなちゃちな考えでは彼に太刀打ちできないよ。 **ちゃちゃ【茶々】** ○ひやかし。じゃま。[文例]〈茶々を入れる〉真剣に話しているのだから、茶々を入れて話の腰を折らないでください。 **ちゃっかり** ○ぬけめのないさま。[文例]お母さんから預[あず]かったお金で、妹はちゃっかりおやつまで買ってきた。♠ぼくたちが座[すわ]ろうとしていた場所には、林さんたちがちゃっかり座っていた。♠島田さんはC組なのに、B組の記念撮影[さつえい]にもちゃっかり顔を出している。♠網棚[あみだな]に置いてあった漫画を、弟はちゃっかり持ってきました。♠〈ちゃっかりしている〉確かにあの人は、お金に関してちゃっかりしたところがある。♠〈ちゃっかり屋〉気の弱そうな顔をしていて、村山さんはあれでけっこうちゃっかり屋です。 **ちゃっこう【着工】** ○工事にとりかかること。[文例]〈工事の着工〉周辺住民の反対で建設工事の着工が遅れる見通しである。♠〈着工する〉二十年前に着工された海底トンネルがようやく完成した。 **ちゃばん【茶番】** ○(「茶番狂言」から)本心の見えすいたふるまい。[文例]〈とんだ茶番〉自分たちが仕組んだことなのに、初めて聞いて驚いたそぶりとは、いやはやまったくとんだ茶番だな。♠〈茶番劇〉相も変わらず国会では、与野党[やとう]なれあいの茶番劇が演じられている。 **ちやほや** ○盛んにおだてて機嫌をとるさま。[文例]〈ちやほや甘やかす〉一人っ子だからといって、ちやほや甘やかすのはよくありませんよ。♠〈ちやほやする〉わたしはまわりじゅうからちやほやされて、いい気になっていたのです。 **ちゃめ【茶目】** ○罪のないいたずらをするさま。[文例]〈お茶目な子〉大人たちがまじめくさった顔で座っている中で、突然お茶目な子が歌を歌い出した。♠〈茶目っけ〉川村さんは茶目っけたっぷりで、いつもまわりを笑わせています。 **ちゃらんぽらん** ○いい加減なさま。無責任なさま。[文例]〈ちゃらんぽらんなこと〉いつもちゃらんぽらんなことばかり言っていると、信用を無くしますよ。♠〈ちゃらんぽらんな態度〉きみのちゃらんぽらんな態度には、みんなが迷惑[めいわく]しています。 **チャレンジ** ○挑戦すること。[文例]〈チャレンジする〉わたしは、今度ローラースケートにチャレンジしようと思っている。♠〈チャレンジ精神〉何事にもチャレンジ精神をもって向かうことが大切です。 **チャンス** ○好機。機会。[文例]〈チャンスをつかむ〉コンテストを勝ちぬいた少女は、スターへのチャンスをつかんだといえましょう。♠〈チャンスをにがす〉せっかくのチャンスをにがさないで、思いきって海外旅行に行きなさいよ。♠〈絶好のチャンス〉♠〈チャンスを逸する〉九回の裏、二死満塁[まんるい]、逆転の絶好のチャンスを走塁[そうるい]のミスで逸[いっ]した。♠〈チャンスを生かす〉ぼくたちのチームは、少ないチャンスを生かして得点を重ねた。♠〈チャンスを与える〉おじが資金の援助[えんじょ]をして、姉に洋品店を出すチャンスを与えてくれた。♠〈チャンスがある・ない〉せっかく金沢[かなざわ]へ行ったのに、ペンフレンドに会うチャンスがなくて残念だった。♠〈チャンスをねらう〉木陰[こかげ]で、長い間シャッターをおすチャンスをねらった。♠〈チャンスを待つ〉きみはまだ十七歳だから、あせらずにチャンスを待って、また挑戦[ちょうせん]したまえ。 **ちゃんと** ○きちんと。たしかに。まちがいなく。[文例]隠したってだめだよ、昨日どこに行っていたのかちゃんと知っているんだから。♠お疲れさまでした。食事の用意はちゃんとできています。♠今日の座談会のテーマは、ちゃんと決まっている。♠遊びに行く前に、ちゃんと部屋をかたづけていきなさい。♠〈ちゃんとする〉見かけはちゃんとしていても、けっこういいかげんな人もいる。♠〈ちゃんとした仕事〉悪い仲間と手を切った兄は、今はちゃんとした仕事についている。♠〈ちゃんとやる〉彼は無口ですが、やるべきことはちゃんとやる男です。 **チャンネル** ○放送局に割り当てられた電波の周波数。テレビ受像機の選局用のつまみ。[文例]〈チャンネルを合わせる〉チャンネルを合わせると、夜空に白球が舞い上がる画像が映し出された。♠〈チャンネル権〉我が家では、チャンネル権はおじいちゃんにあります。♠〈チャンネル争い〉夕方の時間帯は、兄弟の間でチャンネル争いが始まることもあります。 **チャンピオン** ○選手権保持者。[文例]〈チャンピオンの座〉タイトルを奪取し新しくチャンピオンの座[ざ]に着いたのは、十八歳の若者だった。 <687> **ちゆ【治癒】** ○病気やけがが治ること。[文例]〈けがの治癒〉けがの治癒もまたずに、少佐は再び戦場へおもむいた。♠〈治癒する〉病気が治癒するまで、お酒はとめられているのです。 **ちゅう【宙】** ○空中。そら。[文例]〈宙に浮く〉窓をあけると、大きな飛行船が宙に浮いていた。♠〈宙に浮く〉あの計画は予算の関係で宙に浮いたままだが、来年中にはなんとかしたい。♠〈宙に舞う〉優勝が決まった次の瞬間[しゅんかん]には胴上げ[どうあ]が始まり、監督[かんとく]の体が二度、三度と宙に舞った。♠〈宙におどる〉釣りの小説を読んで、大きな魚が宙におどる光景を思い浮かべた。♠〈宙返り〉中村君はびんしょうで、廊下[ろうか]でも校庭でも平気で宙返りをしてしまう。 **ちゅうい【注意】** ○気をつけること。用心すること。用心を促すこと。[文例]〈注意をする〉あの子はきかん坊で、何度注意をしてもなかなか言うことを聞かない。♠〈注意を与える〉試合前の張りつめた空気の中で、コーチが選手たちに注意を与えている。♠〈注意を守る〉お母さんの注意を守っていれば、あんな失敗はしなかったのにねえ。♠〈細心の注意〉♠〈注意をはらう〉車の運転には常に細心の注意をはらわなければなりません。♠〈注意を聞く〉先生の注意をよく聞いて、勝手な行動は絶対にとってはいけません。♠〈注意を向ける〉アメリカの大統領選挙には、いつでも全世界の注意が向けられる。♠〈注意をひく〉巣の中のひなを守るために、母鳥はわざとキツネの前に飛び出して、相手の注意を自分にひきつけた。♠〈注意をそらす〉彼はその時、急に大声を出してわれわれの注意をそらそうとした。♠〈注意が足りない〉きみがけがばかりするのは、要するに注意が足りないからだ。♠〈注意を怠る〉登山をするときには、それがどんなに低い山でも注意を怠[おこた]ってはいけません。♠〈注意を促す〉軽率[けいそつ]な行動のないよう、生徒諸君の注意を促[うなが]しておきます。♠〈注意を受ける〉赤信号で渡[わた]ろうとして、小学生から注意を受けた。♠〈注意する〉街では、前後左右はもとより、足元や頭上にも注意しなさい。♠〈注意深い〉あやしい物音に、わたしは足を止めて注意深く辺りを見回した。♠〈要注意〉梅雨時[つゆどき]は、ものが腐[くさ]りやすいから要注意です。 **ちゅうおう【中央】** ○まんなか。中心。首都。政府官庁。[文例]〈売り場の中央〉あの店では、その時その時の人気商品が売り場の中央を占めています。♠〈中央に位置する〉大雪山は、北海道のほぼ中央に位置する標高約二千三百メートルの山である。♠〈地方と中央〉中央の役人には、しょせん地方の過疎地[かそち]の悩みなんてわかりはしないよと、その老人は言った。♠〈中央を突破する〉ノーサイドの間際[まぎわ]に、味方のバックスが相手のディフェンスの中央を突破して、逆転のトライに成功した。♠〈中央寄り〉付近の住民の要請[ようせい]により、この国道ではトラックなどの大型車は道路の中央寄りを走るように定められている。♠〈中央集権〉天皇中心の中央集権政治は、大化の改新によって確立されたと言ってもよい。 **ちゅうかい【仲介】** ○なかだちすること。[文例]叔父の仲介で、地元のデパートへ就職が決まりました。♠〈仲介をする・仲介する〉不動産屋は、土地や建物の売買の仲介をするのが仕事です。♠〈仲介に立つ〉相談役の老人が仲介に立つと、もめごとはすぐにおさまった。 **ちゅうがえり【宙返り】** ○空中で体を回転させること。[文例]〈宙返りを打つ〉トランポリンの上で宙返りを打ってみせました。♠〈宙返りする〉サーカスの少女は空中で二、三度宙返りしたかと思うと、反対側のブランコに飛び移った。 **ちゅうかく【中核】** ○物事の中心。[文例]〈社会の中核〉♠〈中核をなす〉四十代、五十代は働き盛り、社会の中核をなしています。♠〈思想の中核〉人はすべて平等であるという考えが、この教育者の思想の中核にあった。♠〈中核にすえる〉現在開発中の製品が、今後の我が社の販売戦略の中核にすえられることになるだろう。 **ちゅうかん【中間】** ○まんなか。あいだ。中途。[文例]わたしたちの住む町は、東京と名古屋のちょうど中間にある。♠〈中間にあたる〉ぼくの家と学校のちょうど中間にあたる場所に、彼女の家がある。♠〈春と夏の中間〉春と夏の中間に、うっとうしい梅雨[つゆ]がある。♠〈中間をとる〉異なる二つの意見の中間をとったが、結局双方[そうほう]の反発をうけてしまった。♠〈中間の立場〉わたしは、あの人たちのちょうど中間の立場だから、どちらの意見も支持することはできない。♠〈中間報告〉これまでの検討の経過を中間報告の形にまとめてみた。 **ちゅうき【注記】** (註記)○本文に注釈をつけること。本文に書き補った注釈。[文例]〈注記する〉作品の末尾[まつび]に、「昭和六十三年八月志賀高原にて」と注記されていた。 **ちゅうぎ【忠義】** ○主人や主君に真心を尽くして仕えること。[文例]〈忠義な犬〉忠犬ハチ公は、主人にたいそうよく仕えた忠義な犬でした。♠〈忠義な家来〉主君のもとにはせ参じたのは、死をもいとわぬ忠義な家来ばかりだった。♠〈忠義を尽くす〉神社には、国家に忠義を尽くして死んだ兵士たちがまつられていた。 **ちゅうきん【忠勤】** ○主人や主君に真心を尽くして勤めること。[文例]〈忠勤を励む〉もし主君の理解があったなら、一族はこれに感謝し忠勤を励[はげ]んだであろう。 **ちゅうくう【中空】** ○空中。宙。がらんどう。[文例]見上げると、中空をグライダーが優雅に舞う。♠〈中空にさまよう〉自信を無くした選手の視線は、力なく中空にさまよっていた。 **ちゅうけい【中継】** ○中間で受け継ぐこと。なかつぎ。[文例]〈中継する〉外野の深い所から、内野手が中継したボールがキャッチャーに返ってきた。♠〈中継点〉この港は、東西文化の中継点として昔から栄えてきました。♠〈テレビ中継〉野球好きの松本係長は、ナイターのテレビ中継があるときは、まっすぐ家に帰ります。♠〈生中継〉ボストンマラソンの生中継を真夜中に放送するそうだね。 <688> **ちゅうけん【中堅】** ○大将を守る軍。野球のセンター。活動の中心となる人。[文例]〈チームの中堅〉五年前に華々[はなばな]しくデビューしたこの選手も、今ではチームの中堅として、若手を引っ張っている。♠〈中堅社員〉彼は入社して十年、我が社の有能な中堅社員です。 **ちゅうこ【中古】** ○古代の三区分の一つ(上古・中古・近古)。ちゅうぶる。[文例]おじさんの車はピカピカで、とても中古とは思えません。♠そのカメラは高性能で人気があり、新品だと二十万円、中古でも五万円以上する。♠枕草子[まくらのそうし]や源氏物語[げんじものがたり]は、中古の代表的な文学作品です。 **ちゅうこく【忠告】** ○真心をこめて相手をいさめること。また、その言葉。[文例]〈忠告をする〉医者はタバコをやめるよう、患者に忠告しました。♠〈忠告を受ける〉両親の忠告を受けて、北海道一周自転車旅行を延期した。♠〈忠告を聞く〉きみは一度こうと決めたら、他人の忠告など聞くような男ではないね。♠〈忠告を守る〉経験豊富な先輩[せんぱい]の忠告を守ること、これがレギュラーへの近道です。♠〈忠告に従う〉先生の忠告に従って、兄は理科系に進むことにしたそうです。♠〈忠告を与える〉親友が与えてくれる忠告は、すなおに聞くことができた。♠〈忠告を無視する〉ぼくの忠告を無視したあいつのことなど、もう知ったことか。♠〈忠告にそむく〉先生や友人の忠告にそむくことになるが、ぼくは上京してタレントへの道を歩みたい。♠〈忠告する〉誠意をもって忠告しても、彼女は自分の行動を改めようとはしなかった。 **ちゅうごし【中腰】** ○腰を半分かがめた(または半分上げた)姿勢。[文例]〈中腰の体勢〉審判の笛が鳴り、選手たちは中腰のレシーブ体勢をとりました。♠〈中腰になる〉一列目の人はしゃがんでください。二列目の人は中腰になってください。では写します。 **ちゅうざ【中座】** ○途中で席をはずすこと。[文例]〈中座する〉ほかに約束がありますので、三時になりましたら中座させていただきます。♠〈中座する〉会議を中座した課長は、新しい資料を持って十分後に戻ってきた。 **ちゅうさい【仲裁】** ○間に入って仲直りさせること。[文例]〈けんかの仲裁〉♠〈仲裁に入る〉見るに見かねて、父が二人のけんかの仲裁に入ったのです。♠〈仲裁の労を取る〉太っ腹[ふとっぱら]な彼は、快く仲裁の労を取ってくれた。♠〈仲裁する〉だれかあのけんかを仲裁する男はいないか。 **ちゅうざい【駐在】** ○任地にとどまること。駐在所。また、そこの警官。[文例]〈駐在する〉テレビ局や新聞社の特派員は、世界各国の主要都市に駐在する。♠〈村の駐在さん〉毎日午前十時ごろと午後三時ごろ、村の駐在さんは自転車でこの道を巡回します。 **ちゅうし【中止】** ○途中でやめること。実行する前にやめること。[文例]雨が降ってきたぞ。今日の練習は中止だ。♠〈中止になる〉校内マラソン大会が雨で中止になることをぼくは願っていた。♠〈中止する〉公園を作る計画を市が中止した理由を説明してください。 **ちゅうし【注視】** ○じっと見つめること。また、その視線。[文例]〈注視する〉一瞬[いっしゅん]の動きですから、画面を注視していないと見逃[みのが]してしまう。♠〈熱い注視〉若い歌手は、ファンの少女たちの熱い注視の中で新曲を歌い始めた。 **ちゅうじく【中軸】** ○中心を貫く軸。中心になる部分や人。[文例]〈農業の中軸〉津軽[つがる]平野の農業の中軸となるのは、りんごの栽培だった。♠〈中軸打者〉中軸打者の不振[ふしん]で、チームは最下位を低迷していた。 **ちゅうじつ【忠実】** ○真心があって正直なさま。少しの違いもないさま。[文例]〈職務に忠実〉父は職務に忠実で、入社以来無遅刻[むちこく]無欠勤[むけっきん]だそうです。♠〈忠実な部下〉社長は今忠実な部下三人ととともに、北海道に出張しています。♠〈飼い主に忠実〉犬が飼い主に忠実であることは、だれもが認めるところだ。♠〈原文に忠実〉あなたの訳した文よりも、わたしの訳した文のほうが原文に忠実だ。♠〈史実に忠実〉歴史に題材を求めているとはいえ、これは創作なので、史実に忠実でない部分もあります。♠〈忠実に守る〉武将は主君の命令を忠実に守り、敵の攻撃をもちこたえました。♠〈忠実に伝える〉テレビ・新聞などマスコミは、事実を忠実に伝える責任がある。 **ちゅうしゃ【注射】** ○針を刺して、その先から薬液などを体内に入れること。[文例]〈注射を打つ〉ビタミン剤の注射を打っておきますが、くれぐれも無理をしないでください。♠〈注射をする〉注射をしますので腕を出してください。♠〈注射する〉体調がすぐれないので医者へ行ったところ、太い栄養剤を注射された。♠〈予防注射〉外国へ行く時は、行く国によってコレラや黄熱病[おうねつびょう]の予防注射をしなくてはなりません。 **ちゅうしゃ【駐車】** ○車を止めて置くこと。[文例]〈駐車する〉道に駐車するときは、他の車や人の通行の迷惑[めいわく]にならないように注意します。♠〈駐車違反〉狭い道路に大きな車が止めてあったが、駐車違反じゃないのかな。♠〈駐車場〉あのレストランには大きな駐車場があり、車でやって来る家族連れも多い。 **ちゅうしゃく【注釈】** (註釈)○本文中の用語などに対して説明をほどこすこと。また、その説明。[文例]〈注釈をつける〉本文中の難解な用語や表現には注釈がつけられています。♠〈注釈を加える〉博士の話には専門的な言葉がたくさん出てきたので、少しわたしが注釈を加えましょう。♠〈注釈を頼る〉夏休みには、注釈を頼りにこのドイツの童話を原文で読むつもりです。 **ちゅうしゅつ【抽出】** ○抜き出すこと。[文例]〈抽出する〉このキャンディーには、レモンから抽出したエキスが凝縮[ぎょうしゅく]してあります。♠〈抽出する〉名簿から無作為に抽出した五十人の人に、アンケートを出してみました。 **ちゅうしょう【中傷】** ○ありもしないことを言って他人の名誉を傷つけること。[文例]〈中傷する〉彼女のことは好きではないが、根拠のないでたらめを言って、中傷するようなことはしたくない。♠〈中傷を受ける〉友人から身に覚えのない中傷を受け、ぼくは大きなショックを受けた。 <689> **ちゅうしょう【抽象】** ○具体的、個別的なものから共通する一般的性質を引き出すこと。→具体・具象[文例]〈抽象する〉ツバキ、ウメ、サクラという具体的なものから、「花」という概念を抽象することができます。♠〈抽象的〉先生のおっしゃることは抽象的で、ぼくにはぴんとこなかった。♠〈抽象画〉デパートの六階では、抽象画の展覧会が開かれている。 **ちゅうしん【中心】** ○まんなかの点。中央。最も重要な働きをする位置。また、その位置にあるもの。[文例]〈円の中心〉円の中心から同じ距離にある点の集まりを、円周といいます。♠〈町の中心〉♠〈中心から外れる〉ぼくたちの通っている学校は、町の中心から外れた所にある。♠〈中心をそれる〉こうして横から見ると、柱が中心をそれているのがよくわかるでしょう。♠〈話題の中心〉この一週間、ぼくたちの話題の中心は、なんといっても先生の婚約[こんやく]発表でした。♠〈文化の中心〉江戸時代になると、文化の中心は町人たちに移っていった。♠〈中心にする〉一人っ子を中心にして親子三人、貧乏だが幸せにくらしている。♠〈中心となる〉遺伝子の研究は、博士が中心となって行われた。♠〈中心選手〉中心選手が三人も引退してしまった今シーズンは、良い成績を残せなかった。♠〈自己中心〉彼女はあまりに自己中心で、みんなに好かれていない。 **ちゅうしん【衷心】** ○心の底。真心。本心。[文例]お父様の急死に際し、衷心よりお悔やみ申し上げます。♠実験の成功はきみたちの協力のおかげだ、衷心から感謝する。♠〈衷心からの願い〉彼女の祈りには、息子の病気が早く治るようにという衷心からの願いがこめられていた。 **ちゅうしん【注進】** ○事件の内容を急いで目上の人に報告すること。[文例]〈注進を受ける〉狩りの最中に一大事が起こったとの注進を受けた領主は、急いで城に引き返した。♠〈注進する〉川で泳いだことを注進した仲間がいたらしく、ぼくはこっぴどく親からしかられた。 **ちゅうすう【中枢】** ○物事の最も重要な部分。[文例]〈神経の中枢〉ふつう、昆虫の手足を動かす神経の中枢は、胸の部分に三つ並んでいる。♠〈社会の中枢〉鎌倉時代以後明治維新まで、貴族にかわって武士階級が社会の中枢となりました。 **ちゅうせい【中性】** ○中間的な性質。[文例]ドイツ語の名詞は、男性・女性・中性の区別が非常にやっかいだ。♠〈中性的〉この女優には、女性を感じさせない、中性的な美しさがある。 **ちゅうせい【忠誠】** ○忠義を尽くすこと。[文例]〈忠誠を誓う〉兵士たちは国家に忠誠を誓って、次々と戦地に赴[おもむ]いた。♠人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。王は、民の忠誠をさえ疑って居られる。(太宰治[だざいおさむ]「走れメロス」) **ちゅうぜつ【中絶】** ○途中でやめること。中途でやむこと。[文例]〈中絶する〉今後も参加者が増えないようだと、この計画は中絶することになろう。♠〈妊娠の中絶〉カトリック教徒の多いその国は、妊娠[にんしん]の人工的な中絶を法律で禁じている。 **ちゅうせん【抽選】** (抽籤)○くじを引くこと。[文例]〈抽選に当たる〉商店会のハワイ旅行の抽選に当たるとは思ってもみませんでした。♠〈抽選する〉クラス対抗野球の対戦相手は、抽選して決められた。 **ちゅうたい【中退】** ○中途退学。[文例]〈中退する〉彼はせっかく入学した大学を、二年生のときに中退してしまった。♠〈中退する〉高校を一年で中退した彼女は、洋裁の専門学校に通い始めた。 **ちゅうだん【中断】** ○途中でとぎれること。途中でたち切ること。[文例]〈中断する〉会議は、夕刻になったので、一時中断して七時から再開することにした。♠〈中断する〉野球中継が中断され、臨時ニュースが放送された。 **ちゅうちょ(躊躇)** ○決心がつかず、ぐずぐずすること。ためらい。[文例]〈ちゅうちょする〉わたしがちゅうちょしている間に、兄がマイクを取って歌い始めた。♠〈ちゅうちょする〉やっとめぐってきたチャンスじゃないか、ちゅうちょしている場合ではないぞ。♠〈ちゅうちょせず〉川幅は三メートル近くありましたが、男はちゅうちょせず、跳[と]び越えていきました。♠〈ちゅうちょなく〉職員室に入った委員長は、事の一部始終をちゅうちょなく報告しました。♠〈何のちゅうちょもなく〉敵を追いつめた兵士は、何のちゅうちょもなく銃の引き金を引いた。♠〈ちゅうちょを許さない〉問題は次々と読み上げられるので、解答者は一刻のちゅうちょも許されない。 **ちゅうてん【中天】** ○天の中心。なかぞら。[文例]〈中天に昇る〉朝五時に出発したが、峠[とうげ]に着いたときには太陽は中天に昇[のぼ]っていた。♠〈中天に懸かる〉春の月がおぼろに中天に懸[か]かっていた。 **ちゅうと【中途】** ○なかほど。途中。[文例]〈中途で退学する〉家庭の事情で、兄は学校を中途で退学し、町の工場に働きに出た。♠〈中途で引き返す〉雲行[くもゆ]きが怪[あや]しくなってきたので、ぼくらは中途で引き返しました。♠〈中途で投げ出す〉仕事を中途で投げ出してしまうのはきみの良くない癖[くせ]ですね。♠〈中途で打ち切る〉視聴率[しちょうりつ]の低かったその番組は、中途で放送を打ち切られることになったそうだ。♠〈中途半端〉きみの中途半端[ちゅうとはんぱ]な態度には、みんないらいらしているんだよ。 **ちゅうどう【中道】** ○一方に偏らないこと。物事の中途。[文例]〈中道を歩む〉この政党は、右にも左にも寄らず中道を歩んでいます。♠〈中道を行く〉中道を行くとは信念にもとづいてそうするので、二股[ふたまた]をかけることではない。♠〈中道で倒れる〉中道で倒[たお]れた博士の遺志をついで、二人の弟子が研究を完成させた。 **ちゅうどく【中毒】** ○毒にあたること。[文例]〈中毒を起こす〉梅雨どきや夏場は中毒を起こしやすいので、なま物には気をつけましょう。♠〈中毒する〉昔の人は、うなぎと梅干し、すいかと天ぷらを同時に食べると中毒すると言ったものです。♠〈アルコール中毒〉アルコール中毒を治すには、家族の協力が必要です。 <690> **ちゅうとはんぱ【中途半端】** ○物事がやりかけであること。どっちつかずで徹底しないさま。[文例]ものごとは中途半端ではいけません。最後までやりぬきなさい。♠〈中途半端な態度〉彼女の中途半端な態度に、周[まわ]りのみんなはだんだんいらいらしてきた。 **ちゅうとん【駐屯】** ○軍隊が長くとどまること。[文例]〈駐屯する〉彼は特攻隊員として、終戦まで奄美大島[あまみおおしま]に駐屯していた。♠〈駐屯地〉丘の上から見下ろすと軍の駐屯地が広がっていた。 **ちゅうにゅう【注入】** ○そそぎ入れること。[文例]〈注入する〉ボンベのガスを注入していくと、ライターがどんどん冷えていくのが分かる。♠〈文化の注入〉明治政府は近代化を進めるために、西洋文化の注入に努めた。 **ちゅうねん【中年】** ○青年と老年の間の年代。[文例]〈中年の婦人〉四十歳ぐらいの中年の婦人がわたしの向かいに座った。♠〈中年になる〉若いころはスポーツマンタイプだった父も、中年になってだいぶおなかが出てきた。♠中年や独話おどろく冬の坂(西東三鬼[さいとうさんき]) **ちゅうふく【中腹】** ○山のふもとと頂上の中間。[文例]〈山の中腹〉その年、富士山の中腹で、激しい噴火が始まった。♠山の中腹に小さな小屋があるだけで、頂上には何もありませんでした。 **ちゅうぶらりん【宙ぶらりん・中ぶらりん】** ○空中にぶら下がったさま。どっちつかず。[文例]〈宙ぶらりんにぶらさがる〉毛虫は木の枝から細い糸を出し、宙ぶらりんにぶらさがっている。♠〈宙ぶらりんの状態〉そのころぼくは、大学に進むか就職するか決まっておらず、宙ぶらりんの状態だった。♠〈問題が宙ぶらりん〉会議はついに結論が出ず、問題は宙ぶらりんのまま来週に持ちこしになった。 **ちゅうぼう【厨房】** ○調理場。台所。[文例]厨房の方から、いもを煮るにおいがしてきた。♠男子厨房に入らず、と昔はいったが、実際には料理好きの男性は多いらしい。 **ちゅうみつ(稠密)** ○ぎっしりと集まること。込み合うさま。ちょうみつ。[文例]〈人口が稠密〉日本はもとより、アジアには人口の稠密な国が多い。♠〈稠密する〉人口密度の高い日本の中でも、東京や大阪には特に人口が稠密している。♠〈稠密する〉山頂から眺めると、広々とした大草原の中に、泉の周りにだけ建物が稠密していた。 **ちゅうや【昼夜】** ○昼と夜。昼も夜も。[文例]〈昼夜にわたる〉大使館前では、昼夜にわたって、ものものしい警備が続けられている。♠〈昼夜を問わず〉この件に関しては、みなさんからの情報を昼夜を問わずお待ちしています。♠〈昼夜を分かたず〉従業員が昼夜を分かたずがんばった成果が現れ、工場の業績はみるみる上がっていった。♠〈昼夜励む〉第一志望の大学めざして昼夜勉強に励[はげ]む兄の姿には、鬼気[きき]迫るものがあった。♠〈一昼夜かける〉明日の会議で発表するための原稿[げんこう]を、一昼夜かけて作りあげた。♠〈昼夜交替〉この工場では二十五人の作業員が昼夜交替[こうたい]で休みなく働いています。♠〈昼夜兼行〉開通日が近くなれば、工事は昼夜兼行で行われることになるでしょう。 **ちゅうもく【注目】** ○注意して見守ること。[文例]〈注目の的〉文化祭のコンサートで歌って以来、彼女は全校生の注目の的になっている。♠〈注目を集める〉初の女性知事候補ということで、彼女は県民の注目を集めている。♠〈注目を引く〉彼女の派手[はで]な衣装[いしょう]は、パーティーに集まった人の注目を引きました。♠〈注目を浴びる〉わたしが新進作家として注目を浴びてから、もう十年がたった。♠〈注目に値する〉根拠[こんきょ]の確かなきみの意見は、注目に値[あたい]する。♠〈注目する〉もう少しあの子の行動に注目していれば、寂しさも分かってあげられたと思います。♠〈注目すべき発言〉大臣の記者会見の中には、注目すべき発言がいくつかありました。 **ちゅうもん【注文】** (註文)○欲しい品物を要求すること。条件をつけて要求すること。[文例]〈注文を取る・請ける〉「どんなご注文でも請けます。」と、父はいま店の注文を取りに出かけています。♠〈注文が増える・減る〉今年の夏は暑かったので、去年に比べてクーラーの注文もだいぶ増えたようだ。♠〈注文が来る〉新聞に広告を出したら、昨日だけで二十も注文が来たよ。♠〈注文がある〉昨日田中さんのお嬢さんから、英語の問題集の注文がありました。♠〈無理な注文〉三日以内にレポートを提出しろだなんて、それは無理な注文だ。♠〈注文をつける〉もっと丁寧[ていねい]な仕事をしろと注文をつけたら、彼はいやな顔をしていた。♠〈注文が多い〉こんな安い手間賃で、あれこれ注文が多いのではたまったものではない。♠〈注文する〉今日はわたしのおごりですから、何でも好きなものを注文してください。 **ちゅうよう【中庸】** ○一方に偏らないこと。[文例]〈中庸を得る〉彼の考えは、独断や偏見を克服し中庸を得ているように思う。♠〈中庸を守る〉彼女はすべての意見に耳を傾け、一方にかたよることのない、常に中庸を守る人です。 **ちゅうりつ(中立)** ○どちらにも付かず、中正の立場をとること。[文例]〈中立を守る〉友達どうしの争いで、中立を守るのは難しい。♠〈中立の態度〉争っているどちらにも加担[かた]せず、中立の態度をとり続けた。♠〈中立の立場〉対立する両者のどちらにもつかず、中立の立場に立って発言した。♠〈中立的〉野球の中継をするアナウンサーや解説者は、中立的な発言をするよう努力しているらしい。♠〈中立国〉スイスは中立国であり、第二次世界大戦の時にも参戦せず中立を守りました。 **ちゅうりゅう【駐留】** ○軍隊がとどまること。[文例]〈駐留する〉第二次大戦後、日本にはしばらくの間連合国の軍隊が駐留していた。♠〈駐留する〉アフガニスタンに駐留していたソ連軍は撤退[てったい]を始めた。 **ちゅうりゅう【中流】** ○流れの上流と下流の中間辺り。生活程度が中くらいの階層。[文例]〈川の中流〉川の中流では川幅[かわはば]が広くなり、水の流れはだんだんゆるやかになってきます。♠〈中流の家庭〉この住宅街は中流の家庭が多く、静かで落ちついた雰囲気[ふんいき]を作っています。 **ちゅうわ【中和】** ○異なるものが溶け合って中間的な性質のものになること。偏らず穏やかなこと。[文例]〈中和する〉のんびり屋の主人と結婚したので、せっかちなわたしの性格が中和されたようだ。 <691> **ちょうあい(寵愛)** ○愛し、かわいがること。[文例]〈寵愛を受ける〉王女は、王の寵愛を一身に受けて美しい姫に成長した。♠〈寵愛する〉伯爵[はくしゃく]夫人を寵愛するあまり、王は国政をかえりみなくなっていった。 **ちょうい【弔意】** ○人の死をいたむ気持ち。[文例]〈弔意を表す〉祖父の告別式には、弔意を表す黒い花輪がたくさん届きました。 **ちょうえき【懲役】** ○罪人に対して罰として刑務所で労役をさせること。[文例]〈懲役に処する〉強盗[ごうとう]殺人の犯人は、裁判で二十年間の懲役に処せられた。♠〈懲役に服する〉この刑務所内で、現在百名の囚人が懲役に服している。 **ちょうえつ【超越】** ○こえること。高い境地へ抜け出ること。[文例]〈時代を超越する〉音楽でも文学でもよいものは、時代を超越して人々に愛される。♠〈利害を超越する〉自分の利害を超越して、社会のために働くことにした。♠〈金銭を超越する〉おばあさまは金銭を超越した方だから、わたしたちの苦労を理解なさらないだろう。 **ちょうか【超過】** ○一定の限度をこえること。[文例]〈輸入の超過〉今年度の上半期[かみはんき]の輸入の超過は、八百万ドルであることが報告された。♠〈重量が超過する〉あなたの手荷物は規定の重量を超過している。♠〈大幅に超過する〉大会にかかった費用は、当初の見積もりを大幅[おおはば]に超過してしまった。♠〈時間を超過する〉予定の時間を二時間近く超過しても、会議は終わらなかった。♠〈超過料金〉たった二分ほどオーバーしただけなのに、しっかり超過料金を取られた。 **ちょうかい【懲戒】** ○こらしめ、いましめること。[文例]〈懲戒処分〉無断欠勤の多い職員を市は懲戒処分とし、減給した。♠〈懲戒免職〉組合のお金を横領した男は、先月いっぱいで懲戒免職[めんしょく]となった。 **ちょうき【長期】** ○長い期間。→短期[文例]〈長期の欠席〉病気療養のための長期の欠席で、学校の授業に大きくおくれてしまった。♠〈長期に及ぶ〉八年間の長期に及ぶ調査の結果が発表されました。♠〈長期にわたる〉わたしは、病気のため、長期にわたり学校を休んだ。♠〈長期的〉長期的な展望のもとに都市の整備をしていく計画であると、大臣は語った。♠〈長期戦〉思わぬ長期戦にもつれこみ、両軍とも疲労の色が濃い。 **ちょうきょう【調教】** ○動物に芸などをしこむこと。[文例]〈馬の調教〉馬術大会を一週間後にひかえ、選手は自分の体調を整えると同時に、馬の調教にも余念がない。♠〈調教する〉クマやライオンなどの猛獣[もうじゅう]を、自分の思い通りに動かせるまでに調教するには、大変な時間と忍耐力が必要です。 **ちょうけし【帳消し】** ○貸し借りが解消されること。差し引いて何も残らないこと。[文例]〈帳消しにする〉この仕事をしてくれたら、今までの借金は帳消しにしてやるよ。♠〈帳消しになる〉今日の失敗で、この間あげた殊勲[しゅくん]もすっかり帳消しになってしまった。 **ちょうこう【兆候・徴候】** ○物事の起こる前ぶれ。きざし。前兆。[文例]〈噴火の兆候〉火山が噴火[ふんか]の兆候を見せはじめたので、ふもとの住民は避難[ひなん]の準備をしている。♠〈地震の兆候〉動物が騒[さわ]ぎだすのは、地震の兆候であると言う人もいる。♠〈兆候が現れる〉大きな病気は、たいてい発病の前に兆候が現れます。♠〈兆候が見える〉今年は不作の兆候が見えるというので、野菜類の値上がりが心配だ。♠〈兆候がある〉発作の前に兆候があるので、そうしたらこの薬を飲ませなさい。 **ちょうこう【聴講】** ○講義を聴くこと。[文例]〈聴講する〉この先生の講義を聴講する学生の中には、よその大学の学生や社会人もいます。♠〈聴講生〉有名教授の講義とあって、学外の人々も多数聴講生として出席しています。 **ちょうごう【調合】** ○薬剤などをまぜ合わせること。[文例]〈調合する〉薬剤師はお医者さんの書いた処方せんに合わせて、薬を調合します。 **ちょうこうぜつ【長広舌】** ○長々としゃべること。また、その話。[文例]三十分を超える来賓[らいひん]の長広舌に、会場のわたしたちはうんざりした。♠〈長広舌をふるう〉宴会[えんかい]などの席で、社長は長広舌をふるいますが、社員はだれも聞いていません。 **ちょうこく【彫刻】** ○木材・石材などに彫り刻むこと。また、彫り刻まれた絵・模様など。[文例]〈彫刻する〉何か月もかけて、石を彫刻して大きな像を作りました。♠〈彫刻をする〉木の小箱には、鳥や花など手のこんだ彫刻がされていました。♠美術館には、すばらしい絵画や彫刻の数々が展示されていた。 **ちょうこく【超克】** ○のりこえること。うちかつこと。[文例]〈超克する〉明治以降の日本は数々の困難を超克し、世界の先進国の仲間入りを成しとげたのである。 <692> **ちょうさ【調査】** ○調べること。[文例]〈調査を行う・する〉新しく発見された遺跡では、現在先生たちが調査を行っている。♠〈調査が進む〉資料や情報が思ったように集まらず、調査がなかなか進まない。♠〈調査を進める〉わたしはその事件について独自の調査を進めることにした。♠〈調査に基づく〉先発隊の調査に基づいて、今後の体制を考えるつもりです。♠〈調査が行き届く〉事前の行き届いた調査のおかげで、計画はなんの支障もなく実行に移された。♠〈調査する〉調査した結果、彼の発言には疑わしい部分がいくつもあることがわかった。♠〈調査報告〉その件については、調査報告がまだ来ていないので詳[くわ]しいことはわかりません。 **ちょうさんぼし【朝三暮四】** ○(中国の故事から)目先の違いに気をとられて、結果は同じであることに気づかないこと。[文例]一日百円のこづかいと一週間七百円のこづかいが同じであることに気がつかないようでは、朝三暮四の猿[さる]と同じだ。 **ちょうし【調子】** ○音の高低の具合。声の感じ。物事の進み具合・つりあい・勢い。物事の具合。[文例]〈調子が外れる〉一生懸命歌っているが、調子が外れていることに気づいていないらしい。♠〈調子が高い・低い〉調子が高すぎて歌えないのなら、一オクターブ下げてもいいですよ。♠〈独特の調子〉狂言[きょうげん]や歌舞伎[かぶき]のせりふには、ぼくたちにはまねのできない独特の調子がある。♠〈調子を合わせる〉先生のピアノに調子を合わせて子供たちが歌う。♠〈調子をとる〉彼は足で調子をとりながら、ギターを弾[ひ]いている。♠〈強い調子〉監督[かんとく]は敵のラフプレーに対して、強い調子で抗議[こうぎ]した。♠〈激しい調子〉明日の朝刊では、どの新聞も激しい調子で政府を非難することだろう。♠〈腹の調子〉♠〈調子がおかしい〉昨日から、どうも腹の調子がおかしいんだ。♠〈調子が良い・悪い〉エンジンの調子が悪いので、車は今整備工場に出してある。♠〈調子がわかる〉作業を始めて十分もすると、だいたい調子がわかってスムーズにできるようになる。♠〈調子が出る〉疲れがたまっていたのか、今日はあまり調子が出なかった。♠〈調子を落とす〉絶好調だった山本選手も、ここにきてバッティングの調子を落としている。♠〈調子を取り戻す〉先月まで不調に泣いていた田原選手ですが、今月になってようやく調子を取り戻したようです。♠〈この調子でいく〉この調子でいけば、お昼前には湖まで行けそうだ。♠〈調子が狂う〉のんびり屋の彼に合わせていると、こっちの調子が狂[くる]っちゃうよ。♠〈調子に乗る〉たまたま一度うまくいったくらいで、調子に乗るんじゃない。♠〈言葉の調子〉父からの手紙は言葉の調子がとても強くて、読んでいるわたしはしかられたような気分になった。♠〈浮かれた調子〉その日、ぼくは浮かれた調子で、口笛を吹きながら街を歩いていた。 **ちょうじ(寵児)** ○愛され、かわいがられている子。世間でもてはやされる人。[文例]〈自然の寵児〉幼いころ、山奥の村で過ごした森君は、のびのびと育った自然の寵児です。♠〈時代の寵児〉衝撃的[しょうげきてき]な作品で文壇に登場したこの作家は、時代の寵児となっていった。 **ちょうしゅう【聴衆】** ○聴くために集まった人々。[文例]すばらしい演奏は、コンサート会場に集まった聴衆をすっかり魅了[みりょう]しました。♠超満員の聴衆を前に、博士はゆっくりと講演を始めた。 **ちょうしゅう【徴収】** ○会費・手数料などを取り立てること。[文例]〈税金の徴収〉税務署の仕事は、もとより税金の徴収です。♠〈徴収する〉パーティー会場の入り口では、係の人が会費を徴収している。 **ちょうしょ【長所】** ○すぐれたところ。美点。→短所[文例]〈人の長所〉常にベストを尽くすところが彼のいちばんの長所です。♠〈長所と短所〉人にはみな長所と短所があるからこそ、つきあっていておもしろいのだ。♠〈長所がある〉従来のものに比べて、新製品には熱に強いという長所がある。♠〈長所を生かす〉兄は、自分の長所を生かした仕事に就きたいと考えているようだ。♠〈長所を取り入れる〉この百間に欧米[おうべい]の長所を取り入れ、日本は現在の経済大国としての地位を築いた。♠〈長所をみならう〉先輩[せんぱい]や同僚[どうりょう]の長所をみならい、自分のものにしていくことが、上達への近道です。♠〈長所を伸ばす〉一人一人の子供がもつ長所――それが何であれ、子供の長所を伸ばしてやるのがわたしの務めだと思っています。 **ちょうしょう(嘲笑)** ○あざけり笑うこと。[文例]〈嘲笑を浴びる〉係員の説明を聞かずとんちんかんな質問をした男は、会場の人々の嘲笑を浴びた。♠〈嘲笑を買う〉気の弱いわたしは誤った答えを言って嘲笑を買うのをおそれ、手をあげることができなかった。♠〈嘲笑を招く〉そそっかしい二人が並んで立つだけで人々の嘲笑を招く心配がある。♠〈嘲笑する〉哀れな親子は、嘲笑する人々の冷たい視線を受けてうなだれた。 **ちょうじょう【頂上】** ○山頂。頂点。[文例]「おーい、もうすぐ頂上だぞー。」先頭のほうから声があがった。♠〈頂上をきわめる〉女性だけの登山隊が、エベレストの頂上をきわめました。♠〈頂上に達する〉先発隊は、すでに頂上に達していた。 **ちょうじり(帳尻)** ○帳簿の最後の記載箇所。収支の決算。[文例]〈帳じりが合う〉店の帳簿の帳じりが合わないらしく、父はさっきから電卓をたたいている。♠〈帳じりを合わせる〉前半戦が二勝五敗だったので心配しましたが、後半は六勝二敗と帳じりを合わせ、なんとかその力士は勝ち越しました。 **ちょうじる【長じる】** ○成長する。すぐれる。年長である。[文例]〈長じるに及んで〉三郎の負けず嫌いは、長じるに及んでますます強くなった。♠〈絵に長じる〉漫画家になった彼は、小さいころから絵に長じていました。 **ちょうじん【超人】** ○並の人間を超えた能力の持ち主。[文例]百メートル競走で世界新記録を出した選手のすばらしい肉体は、まさに超人の感があった。 <693> **ちょうじん【超人】** (前のページより続く) ♠〈超人的〉町を守るために立ち上がった若者たちの超人的な働きによって、町は戦火をまぬがれた。 **ちょうせい【調整】** ○正しくととのえること。[文例]〈調整を行う・する〉混乱を防ぐため、入り口では係員が入場者の調整を行っている。♠〈調整を図る〉類似した計画を出した二社の調整を図るため、通産省がのりだした。♠〈意見の調整〉♠〈調整にのりだす〉見るに見かねた先輩[せんぱい]が、二人の意見の調整にのりだした。♠〈エンジンの調整〉♠〈調整にあたる〉今回エンジンの調整にあたったのは、山口氏をチーフとする六人の人たちです。♠〈投手の調整〉♠〈調整が遅れる〉この投手は退院したばかりということもあって、調整が遅れている。 **ちょうせつ【調節】** ○よい状態にととのえること。[文例]〈体温の調節〉♠〈調節をする〉ほにゅう類と違ってヘビやトカゲは、自分で体温の調節をすることができません。♠〈音量の調節〉♠〈調節がきく〉ラジオが故障して、音量の調節がきかなくなってしまった。♠〈高さを調節する〉この机は、使う人の座高に合わせて、高さを調節することができる。♠〈明るさを調節する〉場面に応じて、舞台[ぶたい]の明るさを調節するのが照明係の仕事です。♠〈自動調節〉この装置[そうち]にはコンピューターが内蔵されていて、温度や水分はすべて自動調節になっている。 **ちょうぜつ【超絶】** ○かけ離れていること。ぬきんでていること。[文例]〈超絶する〉人々は、自然に宿る神は、人類を超絶した存在であると信じていた。♠〈超絶した技巧〉その作品には、画家の晩年の超絶した技巧がこらされていた。 **ちょうせん【挑戦】** ○戦いをいどむこと。困難に立ち向かうこと。チャレンジ。[文例]〈挑戦を受ける〉この道場では、他の流派の者の挑戦を受けることは、固く禁じられていた。♠〈挑戦に応じる〉チャンピオンになった以上、どんな人の挑戦にも応じる義務がある。♠〈新たな挑戦〉マッキンリーを征服[せいふく]した男は、エベレストに向けて、新たな挑戦を開始した。♠〈未知への挑戦〉彼らの探検への情熱は、まさしく未知への挑戦ともいうべきものだ。♠〈挑戦する〉最初にぼくに挑戦してきたのは、色の黒い、小柄な若者だった。♠〈記録に挑戦する〉今まで何人もの男たちが彼の持つ世界記録に挑戦してきました。♠〈挑戦者〉次の挑戦者は、来月初めには決定されるでしょう。♠〈挑戦状〉捜査[そうさ]を開始した大阪[おおさか]府警に、再び犯人からの挑戦状が送られてきた。 **ちょうぜん【超然】** ○周囲からかけ離れ、悠々[ゆうゆう]としているさま。[文例]〈超然とする〉漱石[そうせき]や鷗外[おうがい]は、当時流行していた自然主義から超然として独自の立場をとっていた。♠〈超然たる態度〉周囲のから騒ぎに動じることなく、先生は超然たる態度に終始した。 **ちょうそく【長足】** ○進歩が速いこと。[文例]〈長足の進歩〉二十世紀に入って、科学技術は長足の進歩をとげました。♠〈長足の進歩〉新しいコーチの指導で、チームの選手たちには長足の進歩が見られた。 **ちょうだ【長蛇】** ○長いヘビ。長く大きな物事。[文例]〈長蛇の列〉お店のまわりには、新発売の製品を求める人で長蛇の列ができていた。♠〈長蛇を逸する〉敵の大将をあと一歩のところまで追いつめながら逃[のが]してしまうとは、まさに長蛇を逸[いっ]するの感がある。 **ちょうだい(頂戴)** ○いただくこと。「もらうこと」「食べること」の謙譲語。ください。[文例]〈ちょうだいする〉先日は子供がけっこうな物をちょうだいしまして、どうもありがとうございます。♠〈ちょうだいする〉放課後の掃除をサボって帰ったら、翌日先生からお目玉をちょうだいした。♠〈ちょうだいする〉もう十分にちょうだいしましたので、おなかがいっぱいです。♠〈お涙ちょうだい〉評判の高い映画[えいが]なので見に行ったが、ただのお涙ちょうだいだったよ。♠〈~をちょうだい〉母さん、本を買いに行くからお金をちょうだい。♠〈~してちょうだい〉お父さん、ちょっと来てちょうだい。 **ちょうたつ【調達】** ○とりそろえること。とりそろえて渡すこと。ちょうだつ。[文例]〈調達する〉戦争が長びくにつれ、物資を調達するのもままならなくなった。♠〈資金調達〉店を開くにあたり、知人の間を走り回ってなんとか資金調達を終えた。 **ちょうたん【長短】** ○長いのと短いの。長所と短所。[文例]長短さまざまなくぎを使って、箱を作りました。♠〈長短がある〉人の性格には長短があって、浅い付き合いでは良い人、悪い人とは決められません。 **ちょうちょうはっし【丁丁発止・丁丁発矢】** ○刀などを打ち合う音。激しくやり合うこと。[文例]丁々発止とやいばを交わしたが、容易に勝負はつかない。♠〈丁々発止のやりとり〉若い漫才師[まんざいし]の丁々発止のやりとりに、観客はおなかをかかえて大笑いです。 **ちょうちん(提灯・提燈)** ○竹の骨に紙を張った筒の中にろうそくをともす照明具。[文例]ご主人の斜め前を、奉公人[ほうこうにん]はちょうちんで足元を照らしながら歩いていきました。♠夕方六時ごろになると、飲み屋の店先の大きな赤いちょうちんに灯がはいります。♠〈ちょうちんに釣り鐘〉二台の車は形はよく似ているが、性能はちょうちんに釣り鐘、月とすっぽんほどの違いがある。♠〈鼻からちょうちん〉あれ、いねむりしている太郎の鼻からちょうちんが出ているよ。 **ちょうつがい(蝶番)** ○開き戸などを止める金具。関節。[文例]〈戸のちょうつがい〉木戸のちょうつがいはだいぶ古くなって、開け閉めするたびにギイギイいやな音がする。♠〈あごのちょうつがい〉♠〈ちょうつがいが外れる〉そんなに大きな口を開けて笑うと、あごのちょうつがいが外れてしまうぞ。 **ちょうてん【頂点】** ○辺と辺が交わる点。いただき。ピーク。絶頂。[文例]〈多角形の頂点〉多角形のすべての頂点に接している円を、その図形の外接円という。♠〈頂点を結ぶ〉星形の五つの頂点を直線で結べば、五角形ができあがります。♠〈栄華の頂点〉♠〈頂点にある〉十一世紀初頭、藤原氏[ふじわらし]一族は栄華の頂点にあった。♠〈頂点に立つ〉今度の大会を制すれば、彼は名実[めいじつ]とも、ゴルフ界の頂点に立つことになるだろう。 <694> **ちょうてん【頂点】** (前のページより続く) ♠〈頂点に達する〉後半二十四分、日本チームが同点に追いつき、観客の興奮は頂点に達した。♠〈頂点とする〉将棋界では、名人をその頂点として、大勢のプロの棋士たちがひしめきあっている。 **ちょうど【丁度】** ○ぴったりであるさま。[文例]〈~時ちょうど〉今日の朝は、七時ちょうどに目が覚めた。♠〈ちょうど~時〉今日の朝は、ちょうど七時に目が覚めた。♠〈ちょうどよい〉母が編んでくれた手ぶくろは、ちょうどよい大きさだった。♠〈ちょうどよい〉ちょうどよい。きみが来てくれたのなら、この仕事はきみに頼むことにしよう。♠〈ちょうど反対〉さそり座とオリオン座はたがいにちょうど反対の位置にあるので、一方が見えるときもう一方は見えません。♠〈ちょうど~のよう〉月の暗い部分は、ちょうどうさぎがもちをついているように見えます。♠〈ちょうどにする〉代金は三千百円ですが、なじみのお客様なのでちょうどにしておきます。♠〈ちょうど重なる〉地震の発生した時刻がちょうど干潮[かんちょう]と重なったので、津波[つなみ]による被害[ひがい]はほとんどなかった。♠〈ちょうど同じ〉きみが考えていることとちょうど同じことをぼくも考えていたよ。 **ちょうど【調度】** ○身の回りで使う道具類。[文例]〈家具調度〉♠〈調度がそろう〉所帯[しょたい]をかまえた当初は、生活に最低必要な家具調度がそろっただけだった。♠〈調度品〉新居に少しずつ調度品が増えていった。 **ちょうはつ【挑発】** (挑撥)○相手をそそのかすこと。[文例]〈挑発に乗る〉相手が何を言っても、君さえ挑発に乗らなければけんかにならなかったのに。♠〈挑発をかわす〉冷静な彼は酔っ払いの挑発をかわすと、さっさと帰ってしまいました。♠〈挑発を受ける〉犯人から新たな挑発を受けて、捜査陣[そうさじん]は動揺の色を隠せない様子です。♠〈挑発する〉みんなの話をまとめると、どうやら小川君が最初に大山君を挑発したらしい。♠〈欲望を挑発する〉ショーウインドーには、人々の欲望を挑発するかのように、次々と新しい商品が飾[かざ]られる。♠〈挑発的〉彼の挑発的な態度に、ぼくは思わずむっとしました。 **ちょうはつ【徴発】** ○駆り集めること。強制して取り上げること。[文例]〈徴発する〉進軍する軍隊は先々で、馬や食糧を徴発していった。 **ちょうばつ【懲罰】** ○懲らしめるために罰を与えること。また、その罰。[文例]〈懲罰を受ける〉わたしは学業劣等・品行不良でたびたび懲罰を受け、卒業証書も容易にもらえなかった。♠〈懲罰する〉規則に違反した者は、懲罰されることになる。 **ちょうふく【重複】** ○同じものが重なること。[文例]〈内容の重複〉この作文には、何か所か、内容の重複がみられました。♠〈重複を避ける〉一度電話をかけた人をチェックしておけば、重複は避けることができる。♠〈名前が重複する〉名簿[めいぼ]を調べ直してみると、Aさんの名前が重複していた。♠〈話が重複する〉大急ぎでまとめたので、話が重複するかもしれません。 **ちょうへい【徴兵】** ○国民を兵役につかせること。[文例]〈徴兵する〉太平洋戦争末期になると、学生までも徴兵され、前線に送られるようになった。♠〈徴兵にとられる〉農家は働き手を徴兵にとられ、農地は荒れ放題となっていった。 **ちょうぼ【帳簿】** ○金銭や物品の出し入れなどを記入した帳面。[文例]〈帳簿につける〉父は店を閉めたあと、いつもその日の売り上げを計算し、帳簿につけます。♠〈帳簿を締める〉帳簿を締めたときの金額と金庫の現金が合わないとはおかしい。♠〈帳簿の整理〉年度末になると、会計係の田中さんは帳簿の整理に大忙[おおいそが]しだ。 **ちょうほう【重宝】** ○便利で役に立つこと。役に立てること。[文例]〈重宝なもの〉それはまだ父が二十代で、コンピューターなどという重宝なものがなかった時代でした。♠〈重宝な道具〉技術の発達とともに、次々と重宝な道具が考え出されていきます。♠〈重宝な人〉兄は器用なので、キャンプなどでは重宝な人として歓迎[かんげい]される。♠〈重宝する〉あなたからいただいたおなべのセットは、本当に重宝しています。♠〈重宝がる〉何にでもよく気がまわる彼女は、学校ではもちろん、バイト先でも重宝がられている。 **ちょうぼう【眺望】** ○眺め。見晴らし。[文例]〈眺望が開ける〉峠を越えると眺望が開け、真っ青な海が目に飛びこんできました。♠〈眺望がきく〉眺望のきくテラスが我が家の自慢です。 **ちょうほんにん【張本人】** ○事件のもとになった人。[文例]〈事件の張本人〉捜査を続けていくうちに、被害者の叔父に当たる男が、事件の張本人であることがわかった。♠〈けんかの張本人〉おまわりさんが駆けつけた時はやじ馬ばかりで、けんかの張本人の姿はなかった。 **ちょうみつ** →ちゅうみつ **ちょうめん【帳面】** ○ものを書きとめるために紙をつづったもの。[文例]〈帳面につける〉おこづかいを、いつ何にいくら使ったのか、ちゃんと帳面につけておきなさい。♠〈帳面づら〉番頭さんは、倉庫の中の品物と帳面づらの数字が合うかどうか調べてみようと思った。 **ちょうやく【跳躍】** ○飛び跳ねること。[文例]〈跳躍をする〉二十メートルほど助走して、バーをめがけて跳躍をした。♠〈跳躍する〉次は、全身の力を抜いて、その場で軽く跳躍しましょう。 **ちょうよう【長幼】** ○年長(者)と年少(者)。[文例]〈長幼の序〉おじいさんはいつも、最近の人は長幼の序[じょ]ということを知らなすぎると嘆[なげ]いている。♠〈長幼序あり〉戦前の日本には、「長幼序あり」で年長の者を重んじる習慣があった。 **ちょうらく(凋落)** ○しぼんで落ちること。衰えること。落ちぶれること。[文例]〈凋落の一途〉昭和三十年代以降、日本の石炭産業は石油などに押されて、凋落の一途[いっと]をたどっていく。♠〈凋落する〉九世紀になるとあちこちで内乱が起こり、さしもの唐[とう]も凋落し始める。 **ちょうり【調理】** ○料理すること。物事をととのえること。[文例]野菜に含まれている栄養を損なわないような、調理のしかたを工夫してみよう。 <695> **ちょうり【調理】** (前のページより続く) ♠〈調理する〉フグの内臓には猛毒[もうどく]があり、普通の人にはとても調理できません。 **ちょうりゅう【潮流】** ○潮の流れ。時勢の流れ。[文例]この海峡[かいきょう]は狭いので、潮流をしっかり見定めて航行する必要がある。♠〈時代の潮流〉♠〈潮流に乗る〉新製品は時代の潮流に乗って、全国的に着実に売り上げを伸ばしていった。 **ちょうりょう(跳梁)** ○はね回ること。はびこり、のさばること。[文例]〈ならず者の跳梁〉ならず者の跳梁をこれ以上許すわけにはいかないと、ついに村人たちが立ち上がった。♠〈跳梁する〉子供たちは、夜になると不気味な魔物[まもの]が跳梁すると信じこんでいました。 **ちょうれいぼかい【朝令暮改】** ○朝出した命令が夕方には改められること。命令や指図がひんぱんに変わって定まらないこと。[文例]中央政府から次々に新しい命令が下り、また簡単に命令が変更される朝令暮改の状態に、国じゅうが大混乱となっていた。 **ちょうろう【長老】** ○指導的な位置にいる老人。徳のある老僧。[文例]〈村の長老〉老人は豊かな経験とその人柄[ひとがら]で、人々から村の長老として敬[うやま]われていた。♠〈政界の長老〉元首相でもある政界の長老は、今もなお陰[かげ]の実力者として君臨[くんりん]しています。 **ちょうろう(嘲弄)** ○あざけったり、からかったりすること。[文例]〈嘲弄を受ける〉十字架につけられたイエスは、人々の嘲弄を受けた。♠〈嘲弄を買う〉居眠りをして落馬した侍[さむらい]は、仲間の嘲弄を買った。♠〈嘲弄する〉気位の高い武士は、己[おのれ]の行為を他から嘲弄されることを恥[はじ]とした。 **ちょうわ【調和】** ○ほどよく整って、つりあいがとれること。[文例]〈調和を保つ〉地球上の生物は調和を保って生きているのだから、害虫だからといってみだりに殺してはいけない。♠〈調和がとれる〉このグループの調和がとれた美しいハーモニーは、今も多くの人に愛されている。♠〈調和をくずす〉赤い電気スタンドが部屋全体の調和をくずしている。♠〈調和を欠く〉個々の作品は良いのだが、展覧会全体として見ると調和を欠いている。♠〈調和する〉このイラストは、背景と人物がうまく調和している。 **ちょきん【貯金】** ○金銭をたくわえること。郵便局・銀行などに金銭を預けること。また、その金銭。[文例]〈貯金をする〉ぼくは、来年北海道旅行をしようと思って、貯金をしているんだ。♠〈貯金する〉いただいたお年玉は、無駄遣いせず貯金しておきなさい。♠〈貯金をおろす〉生活費が足りなくて、毎月少しずつ貯金をおろしています。 **ちょくえい【直営】** ○直接に経営すること。[文例]〈直営の工場〉牧場でしぼった牛乳を、直営の工場でパック詰めにしたり、チーズなどに加工したりしている。♠〈直営農場〉この食品会社では、新鮮な原料を手に入れるため、直営農場をもっているという。 **ちょくげき【直撃】** ○直接に打撃や砲撃を加えること。真正面に襲来すること。[文例]〈直撃を受ける〉昭和二十年三月、東京の下町地区は米軍爆撃機[ばくげきき]の直撃を受け、壊滅[かいめつ]状態となった。♠〈台風の直撃〉九州地方は、台風二十号の直撃により大きな被害を受けた。♠〈直撃する〉打球は外野のフェンスを直撃し、満塁[まんるい]の走者は一気にホームインした。♠〈直撃する〉消費税の導入は、老人家庭の家計を直撃した。 **ちょくご【直後】** ○すぐあと。すぐ後ろ。→直前[文例]〈その直後〉地震[じしん]が始まったのは、兄が部屋に入ってきたその直後だった。♠〈~した直後〉意識を失ってしまったので、車とぶつかった直後のことはまったく覚えていません。♠〈スタート直後〉スタート直後に、三人の選手がもつれあって転倒した。♠〈閉店直後〉警察の調べでは、犯人は閉店直後に侵入[しんにゅう]したとのことだった。♠〈終戦直後〉その小説は終戦直後の人々の生活を題材にしている。♠〈離陸直後〉操縦士[そうじゅうし]は、離陸[りりく]直後からエンジンの異常に気がついていたそうです。♠〈直前直後〉長い休みの直前直後の生活指導には、特に注意しています。 **ちょくし【直視】** ○まっすぐに見つめること。ありのままを見つめること。[文例]〈直視に耐える〉映画は残酷[ざんこく]で、直視に耐えられない場面が何か所もあった。♠〈光景を直視する〉現場の血なまぐさい光景は、とても直視できるものではなかった。♠〈現実を直視する〉彼はその記事を書くとき、私情[しじょう]を交[まじ]えず、ただ現実を直視することだけを考えていたそうです。♠〈事態を直視する〉事態を直視すれば、きみもそんな冗談[じょうだん]など言っていられなくなるよ。 **ちょくしゃ【直射】** ○じかに日がさすこと。まっすぐに射撃すること。[文例]〈日光の直射〉ご婦人方は、日光の直射を避けるために、日傘[ひがさ]を差していました。♠〈直射を受ける〉強い西日の直射を受け、白いカーテンは赤茶色に変色していた。 **ちょくじょう【直情】** ○心に思ったままの飾らない気持ち。[文例]〈直情径行〉彼は、心に思ったことを何はばからず行動に移す直情径行[ちょくじょうけいこう]型の人間だ。♠〈直情的〉一本気で直情的な性格の男だったから、陰[かげ]に回ってこそこそ他人の悪口を言うようなことはなかった。 **ちょくしん【直進】** ○まっすぐに進むこと。[文例]〈直進する〉大型トラックが、ものすごいスピードで直進してきた。♠〈直進する〉目標に向かって直進しよう。 **ちょくせつ【直接】** ○中間に何も介さないこと。じか。[文例]シーズン後半の優勝に直接関係のない試合には、観客もあまり集まらない。♠〈直接~する〉時間がないときには、家にもどらずに直接塾[じゅく]に行くこともあります。♠〈直接かけ合う〉代理人では話にならないので、本人に直接かけ合うことにしたよ。♠〈直接には〉太陽光線の中には、紫外線[しがいせん]や赤外線のように、直接には目に見えないものもある。♠〈直接の影響〉昨日からの大雪で、何本もの列車が運休しましたが、彼らに直接の影響はなかったようだ。♠〈直接と間接〉直接の原因は他にあるが、知ってて止めなかったぼくにも、間接の責任はある。♠〈直接的〉直接的なものの言い方は人を傷つけることがあるから、時にはやんわりほのめかす程度がよいこともある。 **ちょくせつ(直截)** ○ずばりと表現するさま。ずばりと決めるさま。 <696> **ちょくせつ(直截)** (前のページより続く) [文例]〈直截に言う〉相手の反省すべき点は直截に言うことも、親友としては大事なことだろう。♠〈直截に描く〉この画家は自分の受けた感動を、技巧を使わず、直截に描き出そうとしている。♠〈直截な表現〉歯にきぬを着せない直截な表現が、わたしの心を引き裂いていった。 **ちょくせん【直線】** ○まっすぐな線。[文例]〈直線を引く〉定規を使うときれいな直線が引けます。♠〈直線を描く〉飛行機が真っ青な空に白い直線を描きながら飛んで行く。♠〈直線コース〉だらだらとした坂を下りきると、あとはゴールまで直線コースだ。 **ちょくぜん【直前】** ○すぐ前。[文例]〈直前を走る〉わたしたちの直前を走っている車が急ブレーキを踏んだので、追突[ついとつ]しそうになった。♠〈死の直前〉父が死の直前に言い残した言葉を、今でもはっきりと覚えています。♠〈スタート直前〉観客席にいるぼくたちにも、スタート直前の選手の緊張感が伝わってきた。♠〈出発の直前〉出発の直前になってあわてないように、今から準備をしておきなさいよ。♠〈終了直前〉試合終了直前に、味方は同点に追いつきました。♠〈直前直後〉車の直前直後の横断には、十分な注意が必要です。 **ちょくぞく【直属】** ○直接その下に属すること。[文例]〈直属の部下〉部長には、自分の指示によって動く直属の部下がいた。♠〈直属の機関〉公正取引委員会は、独占禁止法の目的を達成するための、総理府直属の行政機関です。 **ちょくつう【直通】** ○目的地や相手に直接通じること。[文例]この電車は名古屋まで直通ですから、途中乗り換える必要はありません。♠〈直通電話〉会社には代表電話が一本あるだけで、わたしへの直通電話をかけることはできません。♠〈ダイヤル直通〉最近は、国際電話もダイヤル直通でかけられるようになりました。 **ちょくめん【直面】** ○面と向かって位置すること。直接に対すること。[文例]〈難問に直面する〉難問に直面した少年は、机に向かったまま、身動き一つしなかった。♠〈事態に直面する〉飛行機の遅れが原因で、わたしたちは思わぬ事態に直面しました。♠〈困難に直面する〉困難に直面した時にこそ、人間の真の力がはっきりする。♠〈惨事に直面する〉惨事[さんじ]に直面した人でなければ、その恐怖[きょうふ]はとうてい想像できないだろう。♠〈飢えに直面する〉テレビの画面は、飢えに直面しているアフリカの人たちを克明[こくめい]に映し出している。♠〈恐怖に直面する〉恐怖に直面した女王の髪[かみ]は、一夜にして真っ白になったと伝えられている。♠〈直面する問題〉食料をどうやって手に入れるかが、われわれが今直面している問題だ。 **ちょくりつ【直立】** ○まっすぐに立つこと。[文例]〈直立する〉人間がほかの動物と非常に違う点の一つは、直立して二足歩行することです。♠〈直立する〉校舎の屋上には、ポールが青空に直立している。♠〈直立不動〉校長先生の長い話を直立不動の姿勢で聞くのは、骨が折れました。 **ちょさく【著作】** ○本を書き著すこと。また、その本。[文例]青年時代を中国で過ごした博士には、その風土に関する著作が多い。♠〈著作をなす〉第一線を引退した後、彼は実業家としての経験を生かして多くの著作をなした。♠〈著作権〉著者の死後五十年経過すると著作権は消滅します。 **ちょしゃ【著者】** ○書物を書いた人。[文例]著者は、この文章を通して何を訴えようとしているのだろう。♠本の題名はわかりませんが、著者ならわかります。 **ちょじゅつ【著述】** ○著作物を書き著すこと。また、その著作物。[文例]父は著述を仕事とし、いろいろな雑誌に頼まれて原稿を書いています。♠〈著述を行う〉万葉集[まんようしゅう]に関しては、多くの学者によって研究や著述が行われている。♠〈著述する〉古くからこのテーマで多くの人が著述してきました。 **ちょしょ【著書】** ○書き著した本。[文例]理科の田中先生には、水辺の生物に関する著書があります。♠作家の家を訪ねて、話を聞いたり、著書にサインをしてもらったりしました。 **ちょぞう【貯蔵】** ○物をたくわえること。[文例]〈貯蔵する〉地下の倉庫には、災害に備えて、食糧が貯蔵されています。♠〈貯蔵庫〉農協には、生産者から集められた農作物をたくわえる大きな貯蔵庫があった。 **ちょちく【貯蓄】** ○金銭をたくわえること。[文例]〈貯蓄する〉何か目的をもって貯蓄することは、けちではなくとても立派なことです。♠〈貯蓄にはげむ〉彼は若い時から一生懸命働き、せっせと貯蓄に励んだ。 **ちょっか【直下】** ○まっすぐ下。真下。[文例]〈直下を見下ろす〉ヘリコプターの窓から直下を見下ろすと、家がけし粒のように見えた。♠〈直下に広がる〉丘の直下に広がる平地では、古くから花の栽培[さいばい]を行っている。♠〈赤道直下〉船長の説明だと、この船は現在、赤道直下を航行中とのことだ。♠〈直下型地震〉直下型地震[じしん]は予測がたてにくく大きな被害をもたらすことが多い。♠〈急転直下〉新たな目撃者の出現により、事件は急転直下解決した。 **ちょっかい** ○ネコがじゃれて前足で物をかき寄せること。横あいから口を出したり、手出ししたりすること。[文例]〈ちょっかいをかける〉猫が捕[と]らえたねずみにちょっかいをかけているよ。♠〈ちょっかいを出す〉きみには関係のないことじゃないか、無責任なちょっかいを出すのはよしてくれ。♠〈ちょっかいを出す〉本気でないのなら、ちょっかいを出すのはおやめなさい、彼がかわいそうです。 **ちょっかく【直角】** ○二本の直線が交わって作る九〇度の角。[文例]〈直角になる〉二枚の板を直角になるように打ちつけた。♠〈直角に交わる〉直角に交わる二つの直線は、互いに垂直であるといいます。 **ちょっかつ【直轄】** ○直接に管理・支配すること。[文例]〈国の直轄〉その工場は国の直轄で、生産量から販売ルートまで、細かく取り決められていた。♠〈直轄する〉銀座の地名は、江戸幕府が直轄した銀貨鋳造[ちゅうぞう]発行所の名前が、そのまま残ったものだ。 **ちょっかん【直感】** ○勘や感覚ですばやく感じ分けること。[文例]〈直感が当たる〉あの男が犯人ではないかという、ぼくの直感は当たっていた。 <697> **ちょっかん【直感】** (前のページより続く) ♠〈直感で答える〉正解はどれでしょう、ズバリ直感で答えてください。♠〈直感に頼る〉シュートを放つタイミングは、どの選手もほとんど直感に頼[たよ]っている。♠〈直感で分かる〉背の高い、コートを着た人が彼女のお父さんであることは、直感で分かりました。♠〈直感が働く〉今日のテストではわりと直感が働いて、良い成績をとれた自信がある。♠〈直感に従う〉あれこれ考えてもしかたのないときは、直感に従って行動するという方法もある。♠〈直感する〉弟の顔を見たとたん、この子は何も知らないのだと直感しました。 **ちょっかん【直観】** ○論理的な思考によらずにただちに物事の本質をとらえること。[文例]〈直観でとらえる〉論理的に推理しなくても、直観で真実をとらえられる場合もある。♠〈直観的〉調査結果を分析するまでもなく、群衆の行動の様式が直観的に把握[はあく]できた。 **ちょっけい【直系】** ○系統が直接的につながっていること。→傍系[文例]〈直系の子孫〉この家の当主は、松平家の直系の子孫であった。♠〈直系の会社〉旧M財閥[ざいばつ]の中でも、直系の会社として、わが社はグループの指導的な位置にある。 **ちょっけい【直径】** ○円の中心を通って円周に至る線分。また、その長さ。[文例]〈円の直径〉中央に炉[ろ]らしいもののある、直径十メートルほどの円形の住居跡[あと]が姿を現した。♠〈球の直径〉測ってみると、ボールの直径は八センチメートルあった。 **ちょっけつ【直結】** ○直接に結びつくこと。直接に結びつけること。[文例]〈直結する〉農産物の輸入自由化は、われわれ農民の生活に直結する大問題だ。♠〈直結する〉官僚[かんりょう]出身の知事は、中央の政界に直結する太いパイプを持っていた。 **ちょっこう【直行】** ○目的地へまっすぐ行くこと。思った通りにずばずばやること。[文例]〈直行する〉住民からの通報を受けて、パトカーは現場に直行した。♠〈直行の汽車〉鎌倉へ行こうと思い立った日、僕は彼女のために一個の鞄[かばん]を携[たずさ]えて直行の汽車に乗った。(夏目漱石「彼岸過迄[ひがんすぎまで]」)♠〈直言直行〉思った通りにずばずばものを言い、迷わず行動する、直言直行がわたしのモットーだ。 **ちょっと(一寸)** ○少し。少々。わずか。容易には。[文例]通行の邪魔[じゃま]になるから、もうちょっとはじに自転車を寄せておきなさい。♠〈ちょっとの事〉おばさんはちょっとの事にも大騒[おおさわ]ぎする人で、一緒にいると疲れてしまいます。♠〈ちょっとの間〉主人が戻[もど]ってくるまで、ちょっとの間ここでお待ちください。♠〈ちょっとした〉敷石のちょっとしたすきまにも、雑草が根をおろしている。♠〈ちょっとした財産〉新しく始めた事業が成功し、M氏はこの一年でちょっとした財産を築いた。♠〈ちょっと待て〉駅前で人相の悪い男に、ちょっと待てと呼び止められた。♠ちょっと、あなたは、ここは立ち入り禁止ですよ。♠兄がいつ帰ってくるのか、ちょっと見当がつかない。♠〈ちょっとやそっと〉八点という点差は、ちょっとやそっとで逆転できるものではありません。 **ちょとつもうしん(猪突猛進)** ○がむしゃらに直進すること。[文例]〈猪突猛進する〉相手のタックルをかわしながら、選手はゴールラインめざして猪突猛進していった。♠〈猪突猛進の毎日〉営業成績をあげるために猪突猛進の毎日で、自分をふりかえってみる余裕[よゆう]などなかった。 **ちょめい【著名】** ○有名。[文例]〈著名な作家〉先日ホテルのロビーで、著名な作家に出会った。♠〈著名な作品〉彼はアメリカ滞在[たいざい]中に、著名な作品をいくつも残している。♠〈著名の士〉各界の著名の士を集めて、討論会が開かれることになった。 **ちょりつ(佇立)** ○立ち止まること。たたずむこと。[文例]〈佇立する〉上官が戻って来て命令を伝えるまで、兵士たちはその場に佇立してただ待つほかはなかった。 **ちょろい** ○たやすい。扱いやすい。[文例]〈ちょろい相手〉一回戦で対戦したのは、主力選手を出さなくても勝てるような、ちょろい相手だった。♠〈ちょろい問題〉今日の試験は、だれでも満点が取れるのではないかと思えるほどちょろい問題ばかりだった。 **ちょろまかす** ○ごまかす。人の目をごまかして盗む。[文例]〈物をちょろまかす〉お兄ちゃんたら、わたしのケーキをちょろまかして知らん顔をしている。♠〈お金をちょろまかす〉お店の混雑に紛れて、客は代金をちょろまかしていった。 **ちょんぎる【ちょん切る】** ○断ち切る。切り落とす。[文例]〈つぼみをちょん切る〉花を一輪だけ美しく咲かせるために、おじさんは他のつぼみをちょん切ってしまった。♠〈舌をちょん切る〉二度とうそをついてはいけないぞ、今度うそをついたらその舌をちょん切ってやるからな。 **ちらかす【散らかす】** ○物を乱雑に散り広げる。散らす。[文例]〈ごみを散らかす〉海や山でごみを散らかし、美しい自然を汚[よご]す人々がいるのはとても残念だ。♠〈部屋を散らかす〉また部屋じゅう散らかして……、しようのない子だね。 **ちらかる【散らかる】** ○物が乱雑に散り広がる。[文例]〈物が散らかる〉強い風で新聞紙やビニール袋などが道路に散らかっている。♠〈部屋が散らかる〉お客さんがいらっしゃるので、母は散らかった部屋をかたづけ始めました。 **ちらし【散らし】** ○散らすこと。広告宣伝用の紙きれ。ちらしずし。[文例]〈チラシを配る〉駅前で、来週の日曜日に開店するスーパーマーケットのチラシを配っていた。♠〈ちらしずし〉おすし屋さんに、にぎりを五人前とちらしを三人前頼んでください。 **ちらす【散らす】** ○散るようにする。[文例]〈花を散らす〉今日の風は、桜[さくら]の花を散らしてしまう、にくたらしい風だ。♠〈模様を散らす〉絵の背景に散らした赤い模様がその絵をよりいっそうひきたてている。♠〈火花を散らす〉戦国時代の末期、この県境で両軍は火花を散らして戦ったそうです。♠〈気を散らす〉妹はまだ小学校二年生だもの、ちょっとのことで気を散らすのもしようがないよ。 <698> **ちらす【散らす】** (前のページより続く) ♠〈盲腸を散らす〉病院に行って、盲腸[もうちょう]を散らす注射をしてもらった。♠〈まき散らす〉だれだい、こんな所にごみをまき散らしたのは?♠〈言い散らす〉部屋に入ると、彼は、みんなに聞こえるように先輩[せんぱい]の悪口を言い散らした。 **ちらちら** ○細かいものがひるがえるさま。かすかに光るさま。見えたり隠れたりするさま。[文例]〈ちらちらと降る〉また、雪がちらちらと降り始めた。♠〈ちらちら光る〉遠くで何かがちらちら光っているよ。♠〈ちらちらする〉目の前でお札をちらちらさせる。♠〈ちらちらする〉彼の言葉の裏には、やましい心がちらちらしていた。♠〈ちらちらと見る〉ぼくは、彼女の方をちらちらと見ていた。 **ちらつく** ○ちらちらと降る。ちらちらと光る。見えたり隠れたりする。[文例]〈雪がちらつく〉いつのまにか外では小雪がちらついていた。♠〈明かりがちらつく〉十二時をまわったころ、わたしたちは山のふもとにちらつく明かりを見つけた。♠〈光がちらつく〉ネオンの光がちらついて、隣の看板の文字がよく見えない。♠〈頭の中にちらつく〉ベッドにはいっても、彼女の姿が頭の中にちらついて、なかなか眠[ね]れなかった。♠〈目の前にちらつく〉お金に困っていた男は、目の前にちらついた現金に、自分を見失ってしまった。 **ちらばる【散らばる】** ○散り広がる。散り散りになる。[文例]〈紙が散らばる〉机の上の原稿[げんこう]用紙が強い風で部屋じゅうに散らばってしまった。♠〈全体に散らばる〉痛みを感じる痛点は体全体に散らばっている。♠〈おもちゃが散らばる〉弟の部屋はたくさんのおもちゃが散らばっていて、足の踏み場もない。♠〈島が散らばる〉瀬戸内海[せとないかい]には大小たくさんの島々が散らばっている。♠〈四方八方に散らばる〉卵[たまご]から飛び出したクモの子たちは、四方八方に散らばっていった。♠〈各地に散らばる〉この銀行の支店は、全国各地に散らばっています。 **ちらほら** ○あちらこちらに少しずつあるさま。[文例]〈雪がちらほら〉六時過ぎに先生の家を失礼すると、外では雪がちらほら降り始めていた。♠〈花がちらほら〉寒さも峠を越し、庭の梅もちらほら咲き始めました。♠〈灯がちらほら〉遠くに人家の灯がちらほらと見えたとき、やっと助かったという思いがした。♠〈ちらほらする〉彼女はもう二十五歳、結婚のうわさもちらほらするようになりました。 **ちり【地理】** ○その土地の自然や社会の様子。土地の様子。[文例]〈地理の授業〉月曜日の三時間目は地理の授業です。♠〈アメリカの地理〉兄がアメリカの地理と歴史に興味をもったのは、中学三年のときだそうです。♠〈日本の地理〉わたしたちは日本の地理を学習することで、より深く日本を知ることができる。♠〈地理に詳しい〉♠〈付近の地理〉彼女がこの付近の地理に詳しいとは意外だったね。♠〈地理に明るい・暗い〉犯行の様子から見て、どうやら犯人は現場の地理に明るい者らしい。♠〈地理にうとい〉最近越してきたばかりで付近の地理にうとく、郵便局[ゆうびんきょく]がどこにあるのかもわからない。 **ちり(塵)** ○ほこりやごみ。[文例]〈ちりがたまる〉旅行から帰ると、部屋には、小さなほこりやちりがたまっていた。♠〈ちりを払う〉障子[しょうじ]の桟[さん]やたんすの上のちりを払い、床[ゆか]をきれいに掃[は]いた。♠〈ちりが積もる〉ちりも積もれば山となる。♠〈ちりほど〉あんなに大損をしたあとでは、この程度のもうけはちりほどの値打ちもない。♠主なる神は、土(アダマ)の塵で人(アダム)を形づくり、その鼻に命の息を吹き入れられた。(旧約聖書「創世記」) **ちりぢり【散り散り】** ○あちらこちらに散らばるさま。[文例]〈散り散りになる〉大火事で家が焼け、散り散りになっていた子供たちも、年が明けると学校に顔を見せるようになった。♠〈散り散りばらばら〉戦争で仲間たちは散り散りばらばらになり、どこでどう生きているのかわかりません。 **ちりばめる(鏤める)** ○散らしてはめこむ。[文例]〈ダイヤモンドをちりばめる〉女王の王冠[おうかん]には、二十個以上ものダイヤモンドがちりばめてある。♠〈宝石をちりばめる〉まっ暗なステージがまるで宝石をちりばめたように輝[かがや]き出しました。♠〈貝殻をちりばめる〉ふたの内側に貝殻[かいがら]をちりばめた小箱は、妹のお気に入りの品です。♠〈言葉をちりばめる〉その詩集の全編に、詩人の美しい自然をたたえる言葉がちりばめられている。 **ちりょう【治療】** ○病気やけがをなおすこと。[文例]〈歯の治療〉この前歯の治療にはずいぶん費用がかかった。♠〈治療を受ける〉母はもう三年以上も、総合病院で神経痛の治療を受けています。♠〈治療を施す〉運ばれてきた患者[かんじゃ]は即死[そくし]の状態で、医師は何の治療を施[ほどこ]すこともできなかった。♠〈治療に専念する〉あの選手はこの夏の間、ずっと右ひざの治療に専念してきたのだそうです。♠〈治療する〉その時は、わたしの足を治療してくれたのが青木さんのお父さんだとは知らなかった。 **ちる【散る】** ○ばらばらに離れる。乱れ落ちる。別れ別れになる。まわりに広がる。にじむ。集中しないでいる。死ぬ。[文例]〈花が散る〉今日の風で、桜[さくら]の花もすっかり散ってしまったに違いない。♠〈木の葉が散る〉わたしはなんということなしに、庭のポプラの葉が散っていくのを眺めていた。♠〈しぶきが散る〉岩に当たって砕けた波のしぶきが散った瞬間[しゅんかん]、にじが見えたような気がしました。♠〈火花が散る〉ライターを擦ると、暗やみに火花が散った。♠〈人が散る〉けんかをとりまいていた人たちも、パトカーのサイレンが聞こえると、さっと散ってしまった。♠〈方々に散る〉二年ぶりのクラス会だったので、方々[ちが]に散っていた友達もたくさん集まってきた。♠〈墨が散る〉こっちの半紙のほうが墨の散るのが少ないような気がするね。♠〈気が散る〉今ごろ弟は甲子園で試合をしているのだと思うと、気が散って仕事が手につかなかった。♠〈戦場に散る〉この前の戦争でも、若い青年たちが遠い戦場に散っていったのです。 **ちんあつ【鎮圧】** ○騒ぎをおさえ、鎮めること。[文例]〈鎮圧に向かう〉武装した機動隊が、空港建設に反対するデモ隊の鎮圧に向かった。♠〈鎮圧する〉とりでに立てこもっていた反乱軍を、ようやく政府軍が鎮圧しました。 <699> **ちんうつ(沈鬱)** ○心が沈んで晴れ晴れとしないさま。[文例]〈沈鬱な表情〉患者の容態が思わしくなく、駆けつけた家族は沈鬱な表情であった。♠〈沈鬱な気分〉痛ましい事故のニュースを聞いて、沈鬱な気分になった。♠私の心は沈鬱でした。鉛を呑んだように重苦しくなる事が時々ありました。(夏目漱石「こころ」) **ちんか【沈下】** ○沈んで下がること。[文例]〈沈下する〉地下水のくみ上げにより、都市部の地盤[じばん]が沈下し始めたという。 **ちんき【珍奇】** ○珍しく、変わっているさま。[文例]〈珍奇な動物〉アメリカの市民たちは、髷[まげ]を結い、帯刀[たいとう]した侍[さむらい]の行列を、珍奇な動物を見るような目で興味深くながめた。 **ちんぎん【賃金・賃銀】** ○労働に対する報酬。[文例]〈賃金を支払う〉働きに応じた賃金を支払うことは、雇[やと]い主として当然のことです。♠〈安い・低い賃金〉昔の女工たちは、安い賃金で働かされていたのです。♠〈賃金の格差〉組合は、労働者の賃金の格差をなくすよう会社側に要求した。 **ちんこう【沈降】** ○沈み下がること。[文例]〈地盤の沈降〉リアス式海岸は、地盤の沈降によって形成されました。 **ちんこん【鎮魂】** ○霊魂を体内に鎮めること。死者の霊を鎮めること。[文例]戦争で亡くなった人たちの鎮魂のため、終戦記念日にはさまざまな行事が各地で催[もよお]されます。♠〈鎮魂する〉先祖のお墓参りは、死んだ人を鎮魂するのが目的です。 **ちんざ【鎮座】** ○神霊が鎮まり、いすわること。どっかりとすわること。[文例]〈鎮座まします〉出雲国[いずものくに]の出雲大社には、大国主命[おおくにぬしのみこと]が鎮座まします。♠〈鎮座する〉おじさんの顔の真ん中に大きな鼻がでんと鎮座していました。 **ちんじ【珍事】** (椿事)○珍しい出来事。[文例]〈珍事が起こる〉芝居の途中で、役者のかつらがとれてしまうという珍事が起こった。♠〈春の珍事〉万年最下位のチームが八連勝もするなんて、これはまさに春の珍事だ。 **ちんしもっこう【沈思黙考】** ○心を沈め、黙って考えること。[文例]〈沈思黙考する〉薄暗いお堂の中はひんやりと涼しく、俗事[ぞくじ]を離れて沈思黙考するには良い場所だった。 **ちんしゃ【陳謝】** ○謝罪の言葉を述べること。[文例]〈陳謝する〉私どもの会社のバスが起こした事故につきまして、この場をお借りして陳謝いたします。 **ちんじゅつ【陳述】** ○意見や考えを述べること。[文例]「記述」は書き記すことを、「陳述」は意見や考えを主に口頭で述べることをいいます。♠〈陳述する〉取り調べに対して、容疑者は事件のあった時間のアリバイを陳述しはじめた。 **ちんじょう【陳情】** ○実情を述べて訴えること。[文例]〈陳情に出かける〉農民は、代官屋敷[やしき]に年貢[ねんぐ]を減らしてもらうよう陳情に出かけました。♠〈陳情を受ける〉区役所は、川の悪臭がひどいという住民の陳情を受け、調査に乗り出した。♠〈陳情する〉新しい橋の建設を地元出身の大臣に陳情することになった。 **ちんせい【沈静】** ○落ち着いて静かになること。[文例]〈沈静する〉やじ馬でうるさかった街角も、やがて一人帰り二人帰り、騒ぎは沈静していった。♠〈沈静に入る〉木の葉落ち尽くせば、数十里の方域にわたる林が一時に裸体[はだか]になって、蒼[あお]ずんだ冬の空が高くこの上に垂れ、武蔵野[むさしの]一面が一種の沈静に入る。(国木田独歩[くにきだどっぽ]『武蔵野』) **ちんせい【鎮静】** ○しずまること。しずめること。[文例]〈感情の鎮静〉高ぶった感情の鎮静をはかるため、わたしはじっと目を閉じてみた。♠〈鎮静する〉この薬には、熱を下げると同時に痛みを鎮静する効能がある。 **ちんせん【沈潜】** ○深く沈むこと。深く没入すること。[文例]〈思索への沈潜〉老僧は、思索への沈潜によって独自の境地を開いていった。♠〈沈潜する〉彼女は一人自分の世界に沈潜し、周囲の様子に注意をはらわなかった。 **ちんたい【沈滞】** ○勢いを失って低迷すること。[文例]〈沈滞した空気〉経営が思わしくなく、社内には沈滞した空気が流れている。♠〈経済が沈滞する〉当時この国は内乱が激しく、経済は沈滞していた。 **ちんちゃく【沈着】** ○落ち着いているさま。[文例]〈沈着な行動〉係員の冷静で沈着な行動が多くの人命を救った。♠〈沈着な態度〉日ごろ沈着な態度の委員長がその日はいつになくそわそわしていた。♠〈沈着な判断〉審判[しんばん]はどんな場合でも、公平で沈着な判断を下さねばならない。♠〈沈着にふるまう〉いざという時こそ、あわてず沈着にふるまう必要がある。♠〈沈着をよそおう〉パーティーの間じゅう、彼女はみんなに気づかれまいと、沈着をよそおっていた。 **ちんちょう【珍重】** ○珍しく思って大切にすること。[文例]〈珍重する〉中国では、この植物を調味料として珍重しているそうです。♠日本では何でもないガラスのコップが、この村では、たいへん珍重されました。♠日本で最も珍重されている動物に、パンダとコアラをあげることができる。 **ちんつう【沈痛】** ○悲しみに沈んで心を痛めるさま。[文例]〈沈痛な面持ち〉次々と読み上げられる死亡者の名を、人々は沈痛な面持ちで聞いた。 **ちんでん【沈殿】** (沈澱)○沈んで下にたまること。[文例]〈沈殿する〉ビーカーの底に、何か白いものが沈殿している。♠〈沈殿する〉川底に沈殿するヘドロから、ガスが発生しているようだ。 **ちんにゅう(闖入)** ○突然に無断で入り込むこと。[文例]〈闖入する〉お屋敷の庭に闖入した男は、使用人に取り押さえられた。♠〈闖入者〉森に住む生物にとって、人間は歓迎できない闖入者といえるでしょう。 **ちんぷ【陳腐】** ○ありふれてつまらないさま。[文例]〈陳腐な文章〉年賀状は型通りの陳腐な文章で、少しもおもしろみがなかった。♠〈陳腐な表現〉文才のない悲しさ、この感動を文章にしようとしても、どうしても陳腐な表現になってしまう。♠〈陳腐な光景〉最初はあんなにすばらしく思えた風景も、三日後には陳腐な光景になりさがっていた。 **ちんぼつ【沈没】** ○水中に沈むこと。酔いつぶれること。[文例]〈沈没する〉あらしにあった漁船が座礁[ざしょう]し、沈没しそうだ。♠〈沈没する〉昨夜は泥酔[でいすい]して、介抱[かいほう]役の友人の家で沈没してしまった。 <700> **ちんみ【珍味】** ○珍しくておいしい食べ物。[文例]聞きなれない名の魚だったので、おそるおそる食べてみたが、なかなかの珍味であった。♠〈山海の珍味〉旅館ではのんびり湯につかり、山海の珍味を味わい、心ゆくまで旅を楽しみました。 **ちんみょう【珍妙】** ○普通と変わってこっけいなさま。[文例]〈珍妙な顔〉目を墨でくまどった珍妙な顔の男が現れた。♠〈珍妙なかっこう〉ボートの中で立ち上がろうとした彼女の珍妙なかっこうに、ぼくたちは大笑いした。 **ちんもく【沈黙】** ○おし黙ること。活動を止めていること。[文例]〈沈黙を守る〉役人の厳しい拷問[ごうもん]にも、男は沈黙を守り続けた。♠〈沈黙を破る〉けたたましい犬の鳴き声が真夜中の沈黙を破ったのです。♠〈沈黙の世界〉海底はまったく物音のしない沈黙の世界だった。♠〈重苦しい沈黙〉会議が始まって三十分たったが、重苦しい沈黙が続き、だれも自分から発言しようとしません。♠〈沈黙は金、雄弁は銀〉少し黙っていなさい、沈黙は金、雄弁[ゆうべん]は銀て言うじゃないか。♠〈沈黙する〉秋山さんの言葉は、相手を沈黙させるのに十分な力を持っていた。♠〈打線が沈黙する〉相手チームのエースの好投に、味方打線は七回まで沈黙を続けた。 **ちんれつ【陳列】** ○人に見せるために物を並べること。[文例]〈陳列する〉ショーウインドーには、高級時計や貴金属が陳列されている。♠〈陳列棚〉郷土館の陳列棚には、近くの古墳[こふん]から掘り出された土器などが並べられた。 **つい** ○ほんのちょっと。うっかり。[文例]〈つい先日〉偶然[ぐうぜん]だね、ぼくも本橋さんにはつい先日会ったばかりです。♠〈ついこの間〉彼が病院に入院したのは、ついこの間のことだ。♠〈ついさっき〉兄はついさっき会社から帰ってきたばかりだな。♠〈ついそこまで〉雨が降り出した時にはついそこまで来ていたので、ほとんどぬれなかった。♠〈つい近くに〉中学校のつい近くに、しゃれたレストランがオープンした。♠〈つい~忘れる〉あれこれと話しこんでいて、つい時間がたつのを忘れてしまった。♠〈つい大声を出す〉まわりにたくさん知らない人がいたのに、つい大声を出して笑ってしまった。 **つい【対】** ○二つで一組になっていること。[文例]〈対の茶わん〉父と母は、もう十年以上も対の茶わんを使っています。♠〈対のセーター〉芝生[しばふ]の上では、若い男女が対のセーターを着てバドミントンをしている。♠〈対になる〉兄弟とか高低とかいった熟語は、上下の漢字の意味が対になっています。♠〈二つで一対〉このガラス細工は、二つで一対になっている。♠〈何対もの〉ムカデやゲジゲジなどは、体の両側に何対もの足があります。 **ついえる(潰える・弊える)** ○崩れる。敗れる。破れる。[文例]〈軍勢がついえる〉敵の猛攻[もうこう]に味方の軍勢はひとたまりもなくついえた。♠〈夢がついえる〉最終予選で中国チームに敗れ、日本サッカーのオリンピック出場の夢はついえた。♠〈計画がついえる〉資金の調達がうまくいかないことから計画はついえた。 **ついおく【追憶】** ○思い出してしのぶこと。[文例]〈追憶にふける〉故郷の山々を眺めながら、遠い少年時代の追憶にふけっていた。♠〈追憶する〉老人ははなやかだった日々を追憶するように、遠くに目をやった。 **ついか【追加】** ○後から付け加えること。[文例]〈メンバーの追加〉原則としてメンバーの変更や追加は、認めないことになっています。♠〈人数の追加〉人数がまだ増えそうだったから、旅館の主人に追加をお願いしておいた。♠〈追加がある〉昨日の夜までに、もう七冊注文の追加があった。♠〈追加する〉料理がそろうと、客は酒を追加しました。♠〈追加する〉夜十時を過ぎると、この代金のほかに深夜料金として二千円が追加されます。 **ついかい【追懐】** ○思い出して懐かしむこと。[文例]〈追懐する〉青春時代を追懐すると、冷や汗の出るような恥ずかしい思い出の一つや二つはだれにでもあるであろう。 **ついき【追記】** ○付け加えて記すこと。また、その文章。[文例]〈追記する〉大事なことを一つ書き落としたので、手紙の最後に追記しました。 **ついきゅう【追求・追究・追窮】** ○追い求めること。求めて明らかにすること。[文例]〈幸福を追求する〉ぼくたちはみな、自分の幸福を追求する権利をもっている。♠〈理想を追求する〉彼はどんな困難な状態にあっても、理想を追求する姿勢を崩さなかった。♠〈美しさを追求する〉パーティーの衣装などは美しさを追求するあまり、実用的でないものも多い。♠〈スピードを追求する〉スピードを追求していくと、風の抵抗[ていこう]を少なくするために、レーシングカーはみんなあんな形になります。♠〈利潤の追求〉どの企業も自社の利潤の追求に、全力をあげている。♠〈なぞを追究する〉宇宙のなぞを追究していくことが、人類の未来を開くことにもつながっていく。♠〈真理を追究する〉真理を追究するこの哲学者[てつがくしゃ]にも、たくさんのおもしろいエピソードが残っている。♠〈原因を追窮する〉生徒間のいじめの原因を追窮すると、そこに生徒の心理的抑圧[よくあつ]の存在するのが分かる。 **ついきゅう【追及】** ○追いつくこと。さぐって追いつめること。[文例]〈厳しい追及〉♠〈追及を行う〉刑事は黙秘[もくひ]を続ける犯人に対して、厳しい追及を行いました。♠〈厳しく追及する〉現場にいた男たちは、捜査官[そうさかん]からその時の行動を厳しく追及された。♠〈責任を追及する〉公害を出した会社の責任を追及する。♠〈欠席の理由を追及する〉担任の先生に、昨日欠席した理由を追及された。♠〈行方を追及する〉事件の大きな手がかりになるものと見て、警察は野球帽をかぶった男の行方[ゆくえ]を追及している。 **ついく【対句】** ○形式や意味の上で対応する一組の句。また、その表現技巧。[文例]〈対句をなす〉「目には目を、歯には歯を」という聖書の言葉は、対句をなしています。♠〈対句表現〉この詩は、巧みな対句表現が随所に使われている。 <701> いはん **ついやす** 現「父母[ちちはは]の恩[おん]は山[やま]よりも高[たか]く、海[うみ]よりも深[ふか]い」ということわざも対句[ついく]表現[ひょうげん]です。♠わたる追跡[ついせき]調査[ちょうさ]の結果[けっか]が発表[はっぴょう]されることと思[おも]います。 **ついげき【追撃】** ○追[お]いかけて攻撃[こうげき]すること。[文例]〈追撃[ついげき]をかわす〉敵[てき]の潜水艦[せんすいかん]の追撃[ついげき]をかわし、空母[くうぼ]はなんとか母港[ぼこう]に逃[に]げこんだようだ。♠〈追撃[ついげき]を受[う]ける〉後半[こうはん]は、ドラゴンズの追撃[ついげき]を受[う]け、一時[いちじ]は同点[どうてん]にまで追[お]い込[こ]まれた。♠へ追撃[ついげき]する〉アントニーは大軍[たいぐん]を率[ひき]い、ブルータス・キャシアスの軍[ぐん]を追撃[ついげき]する。 **ついじゅう【追従】** ○後[あと]に従[したが]うこと。他[ほか]の言動[げんどう]につき従[したが]うこと。[文例]〈権力[けんりょく]への追従[ついじゅう]〉時[とき]の権力[けんりょく]への追従[ついじゅう]によって、この商人[しょうにん]は莫大[ばくだい]な富[とみ]を築[きず]きあげた。♠へ追従[ついじゅう]する〉人[ひと]の言動[げんどう]に追従[ついじゅう]するのでなく、自分[じぶん]の意志[いし]で行動[こうどう]することが大切[たいせつ]だ。 **ついしょう【追従】** ○へつらうこと。こびること。[文例]へお追従[ついしょう]を言[い]う〉自分[じぶん]の印象[いんしょう]をよくしようと思[おも]って、お追従[ついしょう]を言[い]うのはやめなさい。♠〈追従[ついしょう]する〉上役[うわやく]に追従[ついしょう]するのが上手[じょうず]なやつと、彼[かれ]は同僚[どうりょう]から冷[つめ]たい目[め]で見[み]られていた。♠へ追従[ついしょう]笑[わら]い>おやおや下品[げひん]な追従[ついしょう]笑[わら]いを浮[う]かべてやって来[く]る男[おとこ]がいるよ。 **ついずい【追随】** ○後[あと]からついて行[い]くこと。まねをすること。[文例]〈他[ほか]の追随[ついずい]を許[ゆる]さない〉彼[かれ]は初[はじ]めから十点[てん]満点[まんてん]をマークし、他[ほか]の選手[せんしゅ]の追随[ついずい]を許[ゆる]さなかった。♠〈他[ほか]の追随[ついずい]を許[ゆる]さない>M氏[し]の独創[どくそう]性[せい]はずばぬけていて、他[ほか]の追随[ついずい]を許[ゆる]さない。♠〈追随[ついずい]する〉わが市[し]が打[う]ち出[だ]した新[あたら]しい制度[せいど]に追随[ついずい]する自治体[じちたい]も多[おお]い。 **ついせき【追跡】** ○あとを追[お]いかけること。[文例]〈犯人[はんにん]の追跡[ついせき]>犯人[はんにん]の追跡[ついせき]を続[つづ]けていた警官[けいかん]は、後頭部[こうとうぶ]をいきなり殴[なぐ]られた。♠〈獲物[えもの]の追跡[ついせき]>雨[あめ]があがるのと同時[どうじ]に、ぼくたちは獲物[えもの]の追跡[ついせき]を開始[かいし]した。♠へ追跡[ついせき]を受[う]ける〉もちろんその時[とき]彼女[かのじょ]は、憲兵[けんぺい]から追跡[ついせき]を受[う]けていることなど知[し]りもしなかった。♠〈追跡[ついせき]する〉計画[けいかく]のどの段階[だんかい]に失敗[しっぱい]の原因[げんいん]があったのか、一[ひと]つ一[ひと]つ追跡[ついせき]して探[さが]し出[だ]してみよう。♠〈追跡[ついせき]中[ちゅう]〉スピード違反[いはん]のオートバイを追跡[ついせき]中[ちゅう]のパトカーがトラックと接触[せっしょく]事故[じこ]を起[お]こした。♠〈追跡[ついせき]調査[ちょうさ]>明日[あした]の会議[かいぎ]で、一年間[いちねんかん]に**ついぞ** ○いまだかつて。[文例]へついぞ〜ない〉犯人[はんにん]が女[おんな]だったとは、言[い]われるまでついぞ考[かんが]えもしなかった。♠へついぞ〜ない〉きみが東京[とうきょう]で働[はたら]いているなんて、ついぞ知[し]らなかったよ。♠へついぞ〜したことがない〉こんな大[おお]きなヤシの実[み]は、今[いま]までついぞ見[み]たことがない。♠へついぞ~したことがない〉中村[なかむら]君[くん]は正直[しょうじき]な男[おとこ]で、ついぞうそなどついたことがない。 **ついそう【追想】** ○思[おも]い出[だ]すこと。[文例]〈追想[ついそう]する〉校庭[こうてい]のブランコに座[すわ]り、小学校[しょうがっこう]時代[じだい]のことを懐[なつ]かしく追想[ついそう]し、しばし時[とき]のたつのを忘[わす]れていた。 **ついたいけん【追体験】** ○他者[たしゃ]の体験[たいけん]を自分[じぶん]の体験[たいけん]としてとらえること。[文例]〈追体験[ついたいけん]する>読書[どくしょ]によって、わたしたちは作者[さくしゃ]の考[かんが]えや体験[たいけん]を追体験[ついたいけん]することができます。 **ついで(序で)** ○他[ほか]の事[こと]といっしょにする機会[きかい]。[文例]〈仕事[しごと]のついで>京都[きょうと]での仕事[しごと]のついでに、おばさんの家[いえ]に寄[よ]ることにした。♠へ話[はなし]のついで〉あまり興味[きょうみ]はなかったけれど、話[はなし]のついでに郷土[きょうど]館[かん]にも入[はい]ってみました。♠〈事[こと]のついで〉事[こと]のついでということもありますので、隣村[となりむら]にも回[まわ]ってみようと思[おも]います。♠へついで[つい]の折[おり]〉ぼくの家[いえ]はすぐこの近[ちか]くです、ついで[つい]の折[おり]にぜひお寄[よ]りください。♠へついで[つい]がある〉出張[しゅっちょう]中[ちゅう]に、ついで[つい]があれば名古屋[なごや]城[じょう]を見[み]てきたいと思[おも]っています。♠へついで[つい]ながら〉ついで[つい]ながら申[もう]し上[あ]げると、当時[とうじ]父[ちち]は肺[はい]を患[わずら]っていました。♠へついで[つい]に〉駅[えき]まで行[い]くのなら、ついで[つい]にたばこを買[か]ってきてくれないか。 **ついとう【追討】** ○攻[せ]めかけて討[う]ち取[と]ること。[文例]〈追討[ついとう]する〉代官[だいかん]は、賊[ぞく]を追討[ついとう]するために役人[やくにん]を差[さ]し向[む]けた。♠〈平家[へいけ]追討[ついとう]〉源[みなもとの]頼朝[よりとも]は、弟[おとうと]範頼[のりより]と義経[よしつね]を平家[へいけ]追討[ついとう]に向[む]かわせた。 **ついとう【追悼】** ○死者[ししゃ]をいたむこと。[文例]〈追悼[ついとう]の気持[きも]ち〉お墓[はか]に酒[さけ]をかける彼[かれ]の姿[すがた]には、山[やま]で死[し]んだ友人[ゆうじん]への追悼[ついとう]の気持[きも]ちがにじんでいます。♠〈追悼[ついとう]する〉通夜[つや]には故人[こじん]を追悼[ついとう]する人[ひと]たちが集[あつ]まり、それぞれに思[おも]い出[で]を語[かた]っていた。 **ついとつ【追突】** ○後[うしろ]から衝突[しょうとつ]すること。[文例]〈追突[ついとつ]する〉構内[こうない]に進入[しんにゅう]してきた列車[れっしゃ]が停車[ていしゃ]中[ちゅう]の列車[れっしゃ]に追突[ついとつ]するという事故[じこ]が起[お]こった。♠〈追突[ついとつ]事故[じこ]>長[なが]い下[くだ]り坂[ざか]が続[つづ]くこの付近[ふきん]は追突[ついとつ]事故[じこ]が多[おお]いらしく、「スピード落[お]とせ」の標識[ひょうしき]が目[め]につきます。 **ついに(遂に)** ○やっと。とうとう。結局[けっきょく]。[文例]高校[こうこう]時代[じだい]からの夢[ゆめ]だった海外[かいがい]旅行[りょこう]が、ついに実現[じつげん]することになった。♠目[め]の前[まえ]で何[なん]度[ど]もくり返[かえ]してもらったが、その手品[てじな]のたねはついに分[わ]からなかった。♠忙[いそが]しかったせいもあって、旅行[りょこう]中[ちゅう]はついに一度[いちど]も彼[かれ]と話[はなし]をしなかった。♠内容[ないよう]は覚[おぼ]えているのに、映画[えいが]のタイトルがついに思[おも]い出[だ]せなかった。 **ついば・む(啄む)** ○くちばしでつついて食[た]べる。[文例]〈木[き]の実[み]をついばむ〉庭[にわ]には珍[めずら]しくホオジロがやってきて、木[き]の実[み]をついばんでいる。♠虫[むし]をついばむ〉小屋[こや]から出[で]てきた鶏[にわとり]が庭[にわ]の虫[むし]をついばんでいます。♠〈地面[じめん]をついばむ〉境内[けいだい]にはハトどもが集[あつ]まって、やたら地面[じめん]などをついばんでいる。 **ついぼ【追慕】** ○思[おも]い出[だ]して慕[した]うこと。[文例]〈追慕[ついぼ]の情[じょう]〉遠[とお]く離[はな]れてから、恋人[こいびと]への追慕[ついぼ]の情[じょう]は募[つの]るばかりだ。♠〈追慕[ついぼ]する〉お盆[ぼん]のように、祖先[そせん]を追慕[ついぼ]する行事[ぎょうじ]は日本[にっぽん]の各地[かくち]に広[ひろ]く見[み]られる。 **ついほう【追放】** ○追[お]い払[はら]うこと。[文例]〈追放[ついほう]を図[はか]る>悪政[あくせい]に苦[くる]しめられた市民[しみん]は、革命[かくめい]に成功[せいこう]した後[あと]、まず国王[こくおう]の追放[ついほう]を図[はか]った。♠へ追放[ついほう]の身[み]〉故国[ここく]を追放[ついほう]の身[み]となったその男[おとこ]は、死[し]ぬまで放浪[ほうろう]の旅[たび]を続[つづ]けました。♠◇国外[こくがい]へ追放[ついほう]する〉政府[せいふ]の批判[ひはん]を続[つづ]けた男[おとこ]は、とうとう国外[こくがい]へ追放[ついほう]されてしまった。♠へ公職[こうしょく]から追放[ついほう]する〉彼[かれ]は戦後[せんご]まもなく、公職[こうしょく]から追放[ついほう]された。♠へ悪書[あくしょ]を追放[ついほう]する>悪書[あくしょ]を追放[ついほう]しようという運動[うんどう]が婦人[ふじん]団体[だんたい]を中心[ちゅうしん]にあちこちで起[お]こる。♠〈永久[えいきゅう]追放[ついほう]〉野球[やきゅう]とばくに関係[かんけい]した何[なん]人[にん]かの選手[せんしゅ]が野球[やきゅう]界[かい]から永久[えいきゅう]追放[ついほう]の処分[しょぶん]を受[う]けた。 **ついや・す【費やす】** ○使[つか]って減[へ]らす。消費[しょうひ]する。[文例]<金[かね]を費[つい]やす〉この建物[たてもの]の建設[けんせつ]には、当時[とうじ]のお金[かね]でも二百[にひゃく]万円[まんえん]を <702> **ついらく【墜落】** ○高い所から落ちること。[文例]〈墜落する〉岩場から墜落した登山家の捜索が行われていた。♠〈墜落事故〉飛行機の墜落事故は跡を絶ちません。 **つう【通】** ○事情に通じてくわしいこと。また、その人。[文例]〈通を気どる〉通を気どって、そばをかまずに飲みこんでみました。♠〈通ぶる〉しょうゆがどうの、わさびのつけ方がこうのと通ぶって、あんな男とすしを食うのはこりごりだ。♠〈落語通〉落語通のおじさんは、どの落語家が何の話をしているのかすぐわかるそうです。 **つうか【通過】** ○通り過ぎること。合格すること。[文例]〈バスが通過する〉大型バスが一台、目の前を通過していった。♠〈トンネルを通過する〉トンネルを通過すれば、駅はもうすぐそこです。♠〈台風が通過する〉台風が通過した翌朝は、雲一つない青空が広がりました。♠〈駅を通過する〉この急行列車は、次の駅は通過します。♠〈試験を通過する〉当日体調が悪かったので心配だったが、弟は筆記試験を無事通過した。♠〈検査を通過する〉工場から運び出される製品は、どれも厳しい検査を通過したものばかりです。♠〈法案が通過する〉騒音[そうおん]を取り締まる法案は、満場一致で議会を通過しました。 **つうか【通貨】** ○通用する貨幣。[文例]日本の通貨は円、アメリカの通貨はドルである。♠〈国際通貨〉国ごとに通貨が違うので、貿易にはドルかポンドの国際通貨が使われる。 **つうかい【痛快】** ○非常に愉快なさま。[文例]あのいばった男の頭をぽかぽかたたいたら、きっと痛快だろうね。♠〈痛快な試合〉九回裏ツーアウトからのサヨナラ勝ち、本当に痛快な試合だった。♠〈痛快な男〉見ればわかるだろう、あいつはごらんのとおりの痛快な男だ。♠〈痛快な発言〉何も言えなかったぼくの気持ちを代弁[だいべん]するかのように、彼は痛快な発言をしてくれた。♠〈痛快に暴れる〉これまでのモヤモヤをふきとばしておつりがくるほど、主人公は痛快に暴れまくった。♠日ごろの恨み[うらみ]を一気にはらしてやった、ああ痛快、痛快。 **つうがく【通学】** ○学校に通うこと。[文例]〈通学する〉毎日、自転車で通学しています。♠〈通学路〉この道は小学生の通学路で、朝は車は通れません。♠〈電車通学〉中田君は、隣の町から電車通学をしている。 **つうかん【痛感】** ○心に強く感じること。[文例]〈痛感する〉若いころにもっと勉強しておけばよかったと、今になって痛感します。♠〈恐ろしさを痛感する〉偶然[ぐうぜん]のことから核[かく]のボタンが押されたという映画を見て、核戦争の恐ろしさを痛感した。♠〈大変さを痛感する〉母の旅行中に家事のまねごとをしてみたけれど、一日でその大変さを痛感したわ。♠〈認識[にんしき]不足を痛感する〉実際に現地を視察してみて、わたしは公害問題に対する認識不足を痛感しました。♠〈重要性を痛感する〉社長はだれよりも独創的[どくそうてき]な発想の重要性を痛感している。♠〈体力の衰え[おとろえ]を痛感する〉もうきみたちにはついていけないな、ぼくは自分の体力の衰えを痛感したよ。 **つうき【通気】** ○空気が通じること。[文例]〈通気孔〉地中に掘られたもぐらのトンネルには、地上から空気をとりこむ通気孔があった。♠〈通気性〉夏は汗をかくので、洋服の素材も通気性にすぐれているものが多い。 **つうぎょう【通暁】** ○徹夜すること。詳しく知りぬくこと。[文例]〈情勢に通暁する〉国際情勢に通暁していなければ、現代を生きるビジネスマンとはいえないでしょう。 **つうきん【通勤】** ○勤め先に通うこと。[文例]〈通勤する〉姉は隣町の会社まで、自転車で通勤しています。♠〈通勤の足〉山手線で事故があり、朝の通勤の足に影響[えいきょう]が出た。♠〈通勤電車〉朝の通勤電車は非常に込み合います。♠〈通勤ラッシュ〉通勤ラッシュの激しいこの駅では、乗客に時差出勤を呼びかけています。 **つうく【痛苦】** ○ひどい苦しみ。苦痛。[文例]〈労働の痛苦〉祭りの晩は、日ごろの労働の痛苦を忘れようとして、村の男も女も狂ったように飲み踊った。♠〈生活の痛苦〉老人の顔に刻まれたしわの深さは、生活の痛苦の深さであったろう。 **つうげき【痛撃】** ○激しく攻撃すること。強い打撃。[文例]〈痛撃を受ける〉敵チームの痛撃を受け、味方の守備体制は崩れ[くずれ]ていった。♠〈痛撃を与える〉作戦の成功によって敵側に痛撃を与え、わが軍は圧倒的な優位にたった。 **つうこう【通行】** ○通ること。往来すること。広く行われること。[文例]〈車の通行〉この道路は、工事のため四時から七時まで車の通行はできません。♠〈道路の通行〉大統領が来日する今度の日曜日は、都内の主要道路の通行が禁止されたり制限されたりします。♠〈通行が止まる〉事故の影響で、二十号線はほとんど通行が止まった状態になっている。♠〈通行の妨げ[さまたげ]〉通行の妨げになる車は、レッカー車によって次々と撤去[てっきょ]されていった。♠〈左側通行〉この国も日本と同じように、車は左側通行です。♠〈通行止め〉先日の台風で街路樹[がいろじゅ]が何本も倒れ[たおれ]、県道は通行止めになっている。 **つうこく【通告】** ○告げ知らせること。[文例]〈通告を受ける〉正式な通告は受けていないが、たぶん、わたしたちの住む市営住宅は取り壊しになるだろう。♠〈通告を出す〉不法な営業は控える[ひかえ]よう業者に通告を出したが、いっこうに改まる様子がない。♠〈通告する〉速やかに立ち退かないと全員を逮捕[たいほ]すると、警察は座りこみを続ける住民に通告しました。 **つうこん【痛恨】** ○非常に残念に思うこと。[文例]〈痛恨の極み〉将来有望な青年を事故で失うとは、痛恨の極みです。 <703> **つうちょう** **つうこん【痛恨】** 激しく残念がること。ひどくうらむこと。[文例] <痛恨のエラー>一点差でむかえた最終回の守りで痛恨のエラーが出た。♠<痛恨に耐えない>わたしのあさはかな言動がひきおこした一大事を思うと、痛恨に耐えません。♠<痛恨事>信頼する部下に裏切られたことは、わたしには痛恨事だったのだ。 **つうさん【通算】** ○通して計算すること。[文例] <通算する>島には、二月から六月までに通算して百二十回もの地震があった。♠◇通算~回>チームは今シーズン八勝一敗の好成績で、通算四回目の優勝を果たしました。♠<通算成績>横綱と大関の対戦は過去二十一回あり、通算成績は横綱の十三勝八敗です。 **つうしょう【通称】** ○通り名。[文例]』彼の名前は山岡新八、通称山ちゃんである。♠<通称を~という>弟は、通称をひょうたん池という小さな池に遊びに行った。♠へ〜の通称で通る>その人の本名は知りませんが、この辺りでは源[げん]さんの通称で通っています。♠<通称~と呼ばれる>兄の欲しがっているオートバイは、通称ナナハンと呼ばれるやつです。 **つうじょう【通常】** ○普通。[文例] <通常の倍の値段>夏野菜は最近入荷が少ないこともあって、市場でも通常の倍の値段で取り引きされました。♠<通常の状態>通常の状態なら三十分で行ける道が、今日は込んでいて一時間もかかった。♠<通常どおり>明日は第三月曜日ですが、当店は通常どおりに営業いたします。♠<通常は>この会社の入社試験は、通常は二回に分けて行われる。♠この町の公立の学校は通常八時半に始まる。♠<通常国会>通常国会は毎年十二月から、百五十日間開かれ、翌年度の予算を中心に話し合いが行われる。 **つう・じる【通じる】** ○つながる。通る。通う。伝わる。精通する。内通する。密通する。通す。通わせる。行き渡らせる。仲だちとする。[文例] <道が通じる>この道は近くの駅まで通じています。♠へ鉄道が通じる>来年四月には、わたしたちの町まで鉄道が通じることになりました。♠へすべての道はローマに通じる>すべての道はローマに通じるという格言は、古代ローマ帝国[ていこく]の繁栄をよく表している。♠へ電話が通じる>夜遅[おそ]く、兄の所へ電話をかけたが通じなかった。♠<言葉が通じる>その地域では英語がまったく通じなくて、博士はたいへん苦労なさったそうです。♠く話が通じる>あのときの表情からすると、彼には話が通じなかったらしい。♠<意味が通じる>このままでは意味が通じないので、もっとわかりやすいように書き直してください。♠へ気持ちが通じる>何も話さなかったが、愛し合う二人の気持ちは通じていた。へ冗談が通じる>きまじめなあのおじさんには、冗談はいっさい通じません。♠へ敵と通じる>どうやら味方の中に、敵と通じてスパイしている者がいるらしいな。♠<事情に通じる>F氏はアメリカ合衆国の経済事情に通じている。♠へ人を通じて>インタビューの申し込みは、マネージャーを通じてお願いします。♠<生涯[しょうがい]を通じて>彼を思うわたしの今の気持ちは、生涯を通じて変わることはありません。♠へ窮すれば通ず>窮すれば通ず、真剣に考え抜けばきっとよい方法が見つかるものだ。 **つうしん【通信】** ○意思を伝達すること。信号を送ること。電信・電話・郵便などで連絡すること。[文例] <通信の手法>「のろし」は、昔、日本でも通信の手法の一つとして用いられました。♠へ交通や通信>交通や通信が発達している現在は、地球上でのできごとがすぐにわかります。♠へ通信を送る>打ち上げた衛星から通信が送られてきた。♠へ通信がとだえる>SOSから数分後、船からの通信はとだえた。♠<通信網>世界の至る所に通信網が張りめぐらされ、ニュースは一瞬[いっしゅん]のうちに極東の日本に伝わります。♠へ通信教育>姉は、働きながら保母の資格をとるために、大学の通信教育を受けています。♠<通信販売>買い物に要する時間という点から見て通信販売は便利ですが、実際、商品を手にとれないのは不安です。 **つうせつ【痛切】** ○身にしみて強く感じるさま。[文例] <痛切な感じ>本当はとても困っているのだろうけれど、彼の様子からはそれほど痛切な感じを受けなかった。♠へ痛切に感じる病気で入院したときに、健康のありがたさを痛切に感じました。痛切な思い>同じ年ごろの子を持つ親として、この事件の被害者の痛切な思いがよくわかります。 **つうせつ【通説】** ○確かな根拠はないが、一般に広まっている説。[文例] <通説になる>世間の通説になっているものも、学問の発達によって否定される場合があります。へ通説をくつがえす>ガリレオの唱えた地動説は、当時の世界の通説をくつがえすものだった。 **つうそく【通則】** ○広く適用される規則・原則。[文例])<古来の通則>男子は狩猟[しゆりよう]に従事し、女子は家事と農耕にあたるのが、部族の古来の通則である。♠<自然の通則>(……………)親の取り極めた通りの妻を迎えて、安全な結果を得るのが自然の通則と心得たからである。(夏目漱石「それから」) **つうぞく【通俗】** ○世間一般にわかりやすいさま。大衆向きであるさま。[文例] <通俗な考え>ぼくの考えは、だれもが考えるような通俗なものかもしれない。<通俗な映画>前評判は高かったが、いかにも大衆受けしそうな通俗な映画だった。♠<通俗的>通俗的でおもしろく、手軽に読める小説が一般には受けるらしい。 **つうたつ【通達】** ○上から下へ知らせること。その道に通じること。[文例] <通達が出る>役所から通達が出て、分校は廃止されることになった。♠<通達を受ける>公団から工事中止の通達を受け、作業員はやがて引きあげていきました。♠<通達する>文部省は、新しい制度の完全実施を都道府県の教育委員会に通達した。 **つうち【通知】** ○告げ知らせること。[文例] <通知を受ける>学校からの通知を受けて、初めて息子の学校での行いを知りました。♠へ通知がある>希望していた会社から採用の通知があり、たいへん喜んでいます。♠<通知する>審査の結果は、郵便で通知しますから、一週間くらいお待ちください。 **つうちょう【通帳】** ○(預貯金・配給などの)月日・数量・金額などを記す帳面。通い帳。[文例] <通帳につける>酒屋さん <704> からの買[か]い物[もの]は、いつも通帳[つうちょう]につけてもらい、代金[だいきん]はまとめて払[はら]います。♠へ預金[よきん]通帳[つうちょう]〉キャッシュカードの普及[ふきゅう]で、預金[よきん]通帳[つうちょう]を持[も]ち歩[ある]く人[ひと]はだいぶ少[すく]なくなりました。 **つうどく【通読】** ○ざっと通[とお]して読[よ]むこと。通[とお]し読[よ]み。[文例]〈通読[つうどく]と精読[せいどく]〉本[ほん]を読[よ]むのにもざっと通読[つうどく]する読[よ]み方[かた]、じっくりと精読[せいどく]する読[よ]み方[かた]がある。♠へ通読[つうどく]する〉一度[いちど]通読[つうどく]して話[はなし]の筋[すじ]がわかったら、今度[こんど]はじっくりと味[あじ]わって読[よ]んでみよう。 **つうねん【通念】** ○一般[いっぱん]の人々[ひとびと]に共通[きょうつう]している考[かんが]え。[文例]〈従来[じゅうらい]の通念[つうねん]〉♠〈通念[つうねん]に従[したが]う〉困[こま]っている者[もの]があれば皆[みな]で助[たす]けるというのが従来[じゅうらい]の通念[つうねん]であり、村人[むらびと]はそれに従[したが]って生活[せいかつ]してきた。♠へ通念[つうねん]に反[はん]する〉通念[つうねん]に反[はん]するふるまいは、たとえ大臣[だいじん]といえども許[ゆる]されません。♠〈社会[しゃかい]通念[つうねん]〉♠〈通念[つうねん]が変[か]わる〉時代[じだい]の変化[へんか]とともに、社会[しゃかい]通念[つうねん]も変[か]わってきた。 **つうへい【通弊】** ○全体[ぜんたい]に共通[きょうつう]して見[み]られる弊害[へいがい]。[文例]〈国民[こくみん]の通弊[つうへい]>視野[しや]の狭[せま]さは、この島国[しまぐに]の国民[こくみん]の通弊[つうへい]の第一[だいいち]に数[かぞ]えられた。♠へ役人[やくにん]の通弊[つうへい]>役人[やくにん]の通弊[つうへい]としてあげられるのは、下[した]の者[もの]にはいばる、上[うえ]にはへつらうということだ。 **つうほう【通報】** ○情報[じょうほう]を伝[つた]え知[し]らせること。[文例]〈通報[つうほう]を受[う]ける〉通報[つうほう]を受[う]けて駆[か]けつけた警察官[けいさつかん]は、大暴[おおあば]れしていた酔[よ]っぱらいを取[と]り押[お]さえた。♠へ通報[つうほう]が遅[おく]れる>消防署[しょうぼうしょ]への通報[つうほう]が遅[おく]れたために、大[だい]惨事[さんじ]になってしまった。♠へ通報[つうほう]する〉生徒[せいと]たちの悪質[あくしつ]ないたずらに業[ごう]をにやしたわたしは、学校[がっこう]に通報[つうほう]することにした。 **つうやく【通訳】** ○双方[そうほう]の言葉[ことば]を翻訳[ほんやく]して意思[いし]を通[つう]じさせること。また、その役目[やくめ]の人[ひと]。[文例]記者[きしゃ]団[だん]を前[まえ]に、大臣[だいじん]は通訳[つうやく]なしでフランス語[ご]でスピーチをしました。♠へ通訳[つうやく]する〉スミスさんにはぼくが通訳[つうやく]してやろう。♠◆◇同時[どうじ]通訳[つうやく]〉国際[こくさい]的[てき]な会議[かいぎ]の場[ば]では、話[はな]し手[て]の言葉[ことば]はヘッドホーンを通[とお]して同時[どうじ]通訳[つうやく]が行[おこな]われるのが普通[ふつう]です。 **つうよう【通用】** ○広[ひろ]く用[もち]いられること。広[ひろ]く認[みと]められること。いつも出入[でい]りすること。[文例]〈貨幣[かへい]が通用[つうよう]する〉二十[にじゅう]一世紀[いっせいき]になれば、世界中[せかいじゅう]どこでも通用[つうよう]する貨幣[かへい]が作[つく]られるかもしれない。♠〈言葉[ことば]が通用[つうよう]する〉英語[えいご]は世界[せかい]各国[かっこく]で通用[つうよう]する国際[こくさい]語[ご]です。♠〈世間[せけん]で通用[つうよう]する〉あなたのように自分[じぶん]勝手[かって]でわがままでは、世間[せけん]では通用[つうよう]しないよ。♠◆ヘやり方[かた]が通用[つうよう]する〉慎重[しんちょう]なあの人[ひと]には、そんな子供[こども]じみたやり方[かた]は通用[つうよう]しないだろう。♠〈通用[つうよう]期間[きかん]〉このチケットの通用[つうよう]期間[きかん]は、発売[はつばい]日[び]から一週間[いっしゅうかん]です。♠◆へ通用[つうよう]門[もん]〉登下校[とうげこう]の際[さい]、生徒[せいと]たちは通用[つうよう]門[もん]を使用[しよう]しています。 **つうよう(痛痒)** ○痛[いた]みとかゆみ。苦痛[くつう]。[文例])〈痛痒[つうよう]を感[かん]じない〉根[ね]も葉[は]もないうわさでわたしにはまったく無関係[むかんけい]だから、何[なん]の痛痒[つうよう]も感[かん]じない。♠へ痛痒[つうよう]を与[あた]える〉精一杯[せいいっぱい]の皮肉[ひにく]のつもりだったが、鈍感[どんかん]な男[おとこ]だったから、なんらの痛痒[つうよう]も与[あた]えられなかったらしい。 **つうれい【通例】** ○広[ひろ]く一般[いっぱん]に行[おこな]われている事例[じれい]。ならわし。[文例]〈通例[つうれい]を破[やぶ]る〉社会[しゃかい]の変革[へんかく]期[き]にはそれまでの通例[つうれい]が次々[つぎつぎ]と破[やぶ]られ、新[あたら]しいやり方[かた]が生[う]まれます。♠〈通例[つうれい]に従[したが]う〉知事[ちじ]は、その日[ひ]の朝[あさ]も通例[つうれい]に従[したが]って、公用[こうよう]車[しゃ]で県庁[けんちょう]へ向[む]かっていた。♠その日[ひ]のお延[のぶ]は朝[あさ]から通例[つうれい]のお延[のぶ]であった。彼女[かのじょ]は不断[ふだん]のように起[お]きて、不断[ふだん]のように動[うご]いた。(夏目[なつめ]漱石[そうせき]「明暗[めいあん]」) **つうれつ【痛烈】** ○激[はげ]しく強[つよ]いさま。[文例]〈痛烈[つうれつ]な打球[だきゅう]>三塁手[さんるいしゅ]の真正面[ましょうめん]を痛烈[つうれつ]な打球[だきゅう]が襲[おそ]った。♠◆〈痛烈[つうれつ]な言葉[ことば]>彼[かれ]がわたしに投[な]げつけた痛烈[つうれつ]な言葉[ことば]が、今[いま]でも心[こころ]に残[のこ]っている。♠〈痛烈[つうれつ]な皮肉[ひにく]〉ガリバー旅行[りょこう]記[き]には、当時[とうじ]のイギリス政府[せいふ]への痛烈[つうれつ]な皮肉[ひにく]がこめられている。♠〈痛烈[つうれつ]な反対[はんたい]〉父[ちち]の持[も]ち出[だ]した都心[としん]への引[ひ]っ越[こ]しの話[はなし]は、家族[かぞく]の痛烈[つうれつ]な反対[はんたい]を受[う]けた。♠〈痛烈[つうれつ]に批判[ひはん]する〉市長[しちょう]の打[う]ち出[だ]した施策[しさく]を、市民[しみん]の多[おお]くは痛烈[つうれつ]に批判[ひはん]した。 **つうわ【通話】** ○電話[でんわ]で話[はな]をすること。[文例]〈通話[つうわ]する〉最近[さいきん]は新[あたら]しい電話[でんわ]が次々[つぎつぎ]と開発[かいはつ]され、車[くるま]の中[なか]や電車[でんしゃ]の中[なか]からでも通話[つうわ]できるよう觛なった。♠◆〈通話[つうわ]料金[りょうきん]>昼間[ひるま]よりも夜間[やかん]のほうが通話[つうわ]料金[りょうきん]が安[やす]くなります。 **つえ(杖)** ○歩行[ほこう]の助[たす]けとする棒[ぼう]。頼[たよ]りにするもの。[文例]〈つえをつく〉けがをしたとは聞[き]いていたけど、まさかつえをつくほどとは思[おも]わなかった。♠◆ヘつえをたずさえる>足腰[あしこし]がだいぶ弱[よわ]くなったおじいさんは、外出[がいしゅつ]の時[とき]には必[かなら]ずつえをたずさえていきます。♠◆ヘつえに頼[たよ]る〉ぼくたちだって年[とし]を取[と]れば、つえに頼[たよ]るようになるのだろう。♠へ魔法[まほう]のつえ>男[おとこ]が魔法[まほう]のつえを一振[ひとふ]りすると、みんな動[うご]けなくなってしまった。♠◆ヘつえとなる〉このセンターでは、目[め]の不自由[ふじゆう]な人々[ひとびと]のつえとなる盲導[もうどう]犬[けん]を訓練[くんれん]しています。♠へ転[ころ]ばぬ先[さき]のつえ>用心[ようじん]するにこしたことはないよ、転[ころ]ばぬ先[さき]のつえというからね。♠へつえとも柱[はしら]とも頼[たの]む〉父親[ちちおや]が死[し]んでから、家族[かぞく]は彼[かれ]のことをつえとも柱[はしら]とも頼[たの]むようになった。 **つかい【使い・遣い】** ○つかうこと。言[い]いつけられて用[よう]を足[た]しに行[い]くこと。また、その人[ひと]。[文例]』〈神[かみ]の使[つか]い〉村[むら]では、白[しろ]い蛇[へび]は神[かみ]の使[つか]いであるとして大事[だいじ]に扱[あつか]われた。♠へ使[つか]いに行[い]く>主人[しゅじん]に頼[たの]まれて町[まち]まで使[つか]いに行[い]ったきり、奉公[ほうこう]人[にん]の定吉[さだきち]は帰[かえ]ってきません。♠〈使[つか]いを送[おく]る〉邪馬台国[やまたいこく]の女王[じょおう]卑弥[ひみ]呼[こ]は中国[ちゅうごく]に使[つか]いを送[おく]り、王[おう]の称号[しょうごう]や金印[きんいん]を授[さず]けられた。♠へ使[つか]いをやる>庄屋[しょうや]どんに使[つか]いをやって、裏[うら]の畑[はたけ]から出[で]てきたものが何[なん]だか見[み]てもらおう。♠〈無駄遣[むだづか]い〉お金[かね]はたいせつなものだから、無駄遣[むだづか]いをしてはいけないよ。 **つがい(番い)** ○一対[いっつい]になったもの。雌雄[しゆう]一対[いっつい]。関節[かんせつ]。[文例]〈つがいの小鳥[ことり]〉つがいのジュウシマツを飼[か]っています。♠〈つがいになる>去年[さく]の秋[あき]飛[と]び立[た]っていった若鳥[わかどり]は、今年[ことし]はつがいになって帰[かえ]ってきた。 **つかいこ・む【使い込む】** ○使[つか]い慣[な]らす。他人[たにん]や公[おおやけ]の金[かね]を私用[しよう]に使[つか]う。[文例]〈道具[どうぐ]を使[つか]い込[こ]む〉大工[だいく]には、自分[じぶん]が長年[ながねん]使[つか]い込[こ]んだ道具[どうぐ]がいちばん使[つか]いやすいのさ。♠〈金[かね]を使[つか]い込[こ]む>会社[かいしゃ]の金[かね]を使[つか]い込[こ]んで、懲戒[ちょうかい]免職[めんしょく]というケースがあります。 **つかいすて【使い捨て】** ○当座[とうざ]の用[よう]が済[す]めば捨[す]てること。また、そのように作[つく]られたもの。[文例]〈使[つか]い捨[す]ての製品[せいひん]>百 <705> 円[えん]ライクーや紙[かみ]おむつなど、いろいろな使[つか]い捨[す]ての製品[せいひん]が生[う]まれました。♠〈物[もの]の使[つか]い捨[す]て>節約[せつやく]が叫[さけ]ばれてから、物[もの]の使[つか]い捨[す]てはやめようという運動[うんどう]もおこりました。♠へ従業[じゅうぎょう]員[いん]の使[つか]い捨[す]て>従業[じゅうぎょう]員[いん]を使[つか]い捨[す]てにするようなやり方[かた]では、この会社[かいしゃ]も先[さき]に見込[みこ]みはないでしょう。 **つかいはしり【使い走り】** ○用[よう]を言[い]いつかって走[はし]り回[まわ]ること。また、その人[ひと]。[文例]〈使[つか]い走[ばし]りをする〉あなたのためなら、庭[にわ]の掃除[そうじ]でも使[つか]い走[ばし]りでもなんでもしますよ。♠アルバイトを始[はじ]めて二か月[にかげつ]、仕事[しごと]はまだお茶[ちゃ]くみや使[つか]い走[ばし]りなどばかりです。 **つかいみち【使い道】** ○使[つか]う方法[ほうほう]。用途[ようと]。[文例]生活[せいかつ]費[ひ]を食費[しょくひ]・住居[じゅうきょ]費[ひ]などの使[つか]い道[みち]で分[わ]けて、家計簿[かけいぼ]をつけています。♠〈使[つか]い道[みち]がある・ない〉このきれいな空[あ]き箱[ばこ]、何[なに]かいい使[つか]い道[みち]はないかしら。♠〈使[つか]い道[みち]が広[ひろ]い>燃料[ねんりょう]にしたり化学[かがく]繊維[せんい]を作[つく]ったり、石油[せきゆ]は最も[もっと]も使[つか]い道[みち]の広[ひろ]い地下[ちか]資源[しげん]の一[ひと]つです。♠◆<使[つか]い道[みち]に困[こま]る〉おこづかいにしなさいと大金[たいきん]をもらっても、使[つか]い道[みち]に困[こま]ってしまいます。 **つかいもの【使い物・遣い物】** ○使[つか]って役[やく]に立[た]つもの。おくりもの。[文例]〈使[つか]い物[もの]になる〉ぼさっとしているようでけっこう気[き]のきく所[ところ]もあり、あの男[おとこ]は使[つか]い物[もの]になりそうだな。♠〈使[つか]い物[もの]にならない〉幼児[ようじ]用[よう]の机[つくえ]では、中学生[ちゅうがくせい]には使[つか]い物[もの]にならないでしょう。♠〈遣[や]い物[もの]にする〉このコーヒーカップは遣[や]い物[もの]にしますので、箱[はこ]に入[い]れて赤[あか]いリボンをかけてください。 **つか・う【使う・遣う】** ○用[もち]いる。使用[しよう]する。消費[しょうひ]する。働[はたら]かせる。利用[りよう]する。あやつる。[文例]〈はしを使[つか]う〉ジョンは日本[にっぽん]に来[き]て一年[いちねん]というわりには、はしを上手[じょうず]に使[つか]います。♠〈手[て]・道具[どうぐ]を使[つか]う〉人間[にんげん]は、手[て]を使[つか]って道具[どうぐ]を作[つく]り、この道具[どうぐ]を使[つか]って仕事[しごと]をしてきました。♠〈金[かね]を使[つか]う〉今度[こんど]の事業[じぎょう]には、市[し]も、ずいぶんお金[かね]を使[つか]ったと聞[き]いている。♠へ人[ひと]を使[つか]う〉父[ちち]は若[わか]い人[ひと]をたくさん使[つか]って、車[くるま]の部品[ぶひん]を作[つく]る工場[こうじょう]を経営[けいえい]している。♠◆へ言葉[ことば]を使[つか]う〉現地[げんち]に到着[とうちゃく]するまで、住民[じゅうみん]がどんな言葉[ことば]を使[つか]っているのか想像[そうぞう]もできなかった。♠へ時間[じかん]を使[つか]う〉時間[じかん]をもっと有効[ゆうこう]に使[つか]えば、勉強[べんきょう]の能率[のうりつ]も上[あ]がるはずだよ。♠〈手品[てじな]を使[つか]う〉コップの水[みず]を一滴[いってき]もこぼさないで硬貨[こうか]を抜[ぬ]き取[と]るなんて、いったいどんな手品[てじな]を使[つか]ったのだろう。♠へ気[き]を遣[つか]う〉あの人[ひと]はぼくの友人[ゆうじん]だから、そんなに気[き]を遣[つか]わなくていいよ。♠〈神経[しんけい]を遣[つか]う〉コンピュータやワープロの操作[そうさ]は、神経[しんけい]を遣[つか]う仕事[しごと]です。♠く頭[あたま]を使[つか]う〉たとえ小学生[しょうがくせい]でも、ちょっと頭[あたま]を使[つか]えばこの問題[もんだい]は解[と]けると思[おも]うけどな。♠へ居留守[いるす]を使[つか]う〉悪[わる]いとは思[おも]ったけれど、だれにも会[あ]いたくなかったので、居留守[いるす]を使[つか]ってしまった。♠〈仮病[けびょう]を使[つか]う〉おまえが仮病[けびょう]を使[つか]って学校[がっこう]を休[やす]んだことは、先生[せんせい]にはばれてるぞ。♠〈弁当[べんとう]を使[つか]う〉すいませんが、縁側[えんがわ]で弁当[べんとう]を使[つか]わせてください。 **つかえ(支え・悶え・痞)** ○支[ささ]えること。支障[ししょう]。わだかまり。[文例]〈道路[どうろ]のつかえ>交差点[こうさてん]を立体[りったい]交差[こうさ]にしてから、道路[どうろ]のつかえが解消[かいしょう]した。♠へつかえが出[で]る〉彼[かれ]がこれ以上[いじょう]休[やす]むようだと、仕事[しごと]につかえが出[で]てくる。♠〈胸[むね]のつかえくつかえがおりる〉娘[むすめ]が無事[ぶじ]高校[こうこう]に受[う]かって、胸[むね]のつかえがおりた思[おも]いです。 **つか・える【仕える】** ○その人[ひと]のために働[はたら]く。任官[にんかん]する。奉職[ほうしょく]する。[文例]〈殿様[とのさま]に仕[つか]える〉仙台[せんだい]藩[はん]の殿様[とのさま]に仕[つか]える武士[ぶし]がうちの先祖[せんぞ]だそうです。♠へ屋敷[やしき]に仕[つか]える〉わたくしがこのお屋敷[やしき]に仕[つか]えてからもう十年[じゅうねん]以上[いじょう]にもなります。♠へ宮中[きゅうちゅう]に仕[つか]える>清少納言[せいしょうなごん]の書[か]いた枕草子[まくらのそうし]には、彼女[かのじょ]が宮中[きゅうちゅう]に仕[つか]えていたころの話[はなし]がたくさん出[で]てきます。♠へしゅうとに仕[つか]える>長女[ちょうじょ]は嫁[とつ]ぎ先[さき]のしゅうとに仕[つか]えて、家事[かじ]一切[いっさい]をきりもりしてきました。♠〈仏[ほとけ]に仕[つか]える〉お坊[ぼう]さんは仏[ほとけ]に仕[つか]える身[み]、無意味[むいみ]な殺生[せっしょう]などしません。♠〈神[かみ]に仕[つか]える〉人間[にんげん]はみな神[かみ]に仕[つか]えるべきなのだと、牧師[ぼくし]さんは心[こころ]をこめて説[と]きました。 **つか・える(支える)** ○通路[つうろ]などがふさがる。詰[つ]まって先[さき]へ進[すす]まなくなる。[文例]〈物[もの]がつかえる〉戸袋[とぶくろ]に何[なに]かつかえていて、雨戸[あまど]がうまく開[あ]かないよ。♠へ喉[のど]につかえる〉あわてたので、ごはんがのどにつかえてしまった。♠へ頭[あたま]がつかえる〉天井[てんじょう]に頭[あたま]がつかえそうな大男[おおおとこ]だった。♠へ車[くるま]がつかえる>信号[しんごう]が変[か]わったのに、車[くるま]がつかえていて全然[ぜんぜん]進[すす]まない。♠◆<上[うえ]がつかえる〉下[した]の娘[むすめ]は二十三[にじゅうさん]になりますが、上[うえ]に長女[ちょうじょ]がつかえているので、まだ嫁[よめ]に行[い]けません。♠ヘ言葉[ことば]がつかえる〉あまりの興奮[こうふん]に言葉[ことば]がつかえて、気持[きも]ちを十分[じゅうぶん]に伝[つた]えることができなかった。♠へ仕事[しごと]がつかえる〉高橋[たかはし]君[くん]が風邪[かぜ]で休[やす]んでいるので、彼[かれ]の担当[たんとう]の仕事[しごと]がつかえて困[こま]っています。♠へ胸[むね]につかえる〉先生[せんせい]の言葉[ことば]で、ぼくは胸[むね]につかえていたものがすっきりするのを感[かん]じた。 **つかさど・る(司る・掌る)** ○任務[にんむ]として担当[たんとう]する。管理[かんり]する。監督[かんとく]する。[文例]〈政治[せいじ]をつかさどる>内閣[ないかく]総理[そうり]大臣[だいじん]は、国[くに]の政治[せいじ]をつかさどる最高[さいこう]責任[せきにん]者[しゃ]です。♠へ循環[じゅんかん]をつかさどる〉心臓[しんぞう]は体内[たいない]の血液[けつえき]の循環[じゅんかん]をつかさどる、人体[じんたい]で最も[もっと]も大切[たいせつ]な器官[きかん]の一[ひと]つです。♠へ愛[あい]をつかさどる〉ヴィーナスは、ローマ神話[しんわ]で愛[あい]と美[び]と豊[ゆた]かさをつかさどる女神[めがみ]とされる。 **つかぬこと【付かぬ事】** ○だしぬけなこと。[文例]つかぬことをお伺[うかが]いしますが、お生[う]まれはどちらですか。♠◆つかぬことから事件[じけん]の解決[かいけつ]につながるヒントが見[み]つかったのです。♠●隣家[りんか]では未[いま]だ琴[こと]を弾[ひ]いている。「あの琴[こと]は生田[いくた]流[りゅう]かな」と甲野[こうの]さんは、付[つ]かぬ事[こと]を聞[き]く。(夏目[なつめ]漱石[そうせき]「虞美人草[ぐびじんそう]」) **つか・ねる(束ねる)** ○たばねる。くくる。組[く]む。[文例]〈古新聞[ふるしんぶん]をつかねる〉たまった古新聞[ふるしんぶん]はつかねて、物置[ものおき]に入[い]れておく。♠〈手[て]をつかねる〉山[やま]と積[つ]まれた荷物[にもつ]を見[み]ながら、ぼくたちは手[て]をつかねてぼんやりしていた。 **つかのま(束の間)** ○わずかの間[ま]。[文例]〈つかのまに〉思[おも]いもしなかった大敗[たいはい]で、優勝[ゆうしょう]の望[のぞ]みもつかのまに消[き]え去[さ]った。♠へつかのまも〉東京[とうきょう]に引[ひ]っ越[こ]してからも、あなたのことは、つかのまも忘[わす]れたことがない。♠へ〜したのもつかのま〉ようやく風[かぜ]が収[おさ]まったと思[おも]ったのもつかのま、今度[こんど]は冷[つめ]たい雨[あめ]が降[ふ]り始[はじ]めた。♠へつかのまの出来事[できごと]〉休暇[きゅうか]もあっというまに終[おわ]り、楽[たの]しい海辺[うみべ]での生活[せいかつ]もつかのまの出来事[できごと]のように思[おも]える。♠へつかのまを惜[お]しむ〉家[いえ]にいる間[あいだ]、父[ちち]はつかのまも惜[お]しんで子供[こども]たちと遊[あそ]ぶようにしていました。 <706> **つかま・える【捕まえる】(掴まえる)** ○放[はな]すまいとしてつかむ。とらえる。引[ひ]き止[と]める。[文例]〈ロープを捕[つか]まえる〉救助[きゅうじょ]のヘリコプターが下[お]ろしたロープを、男[おとこ]はしっかりと捕[つか]まえた。♠へ獲物[えもの]を捕[つか]まえる〉ライオンは、ヒョウなどと違[ちが]って仲間[なかま]どうし助[たす]け合[あ]って獲物[えもの]を捕[つか]まえる。♠く犯人[はんにん]を捕[つか]まえる〉警官[けいかん]は格闘[かくとう]の末[すえ]、犯人[はんにん]を捕[つか]まえました。♠へ胸[むな]ぐらを捕[つか]まえる>男[おとこ]は相手[あいて]の胸[むな]ぐらを捕[つか]まえると、いきなり投[な]げ飛[と]ばした。♠ヘタクシーを捕[つか]まえる〉この時間[じかん]、下[くだ]り方向[ほうこう]へのタクシーを捕[つか]まえるのは難[むずか]しい。♠〈人[ひと]を捕[つか]まえる〉男[おとこ]は、だれということなく、道[みち]行[ゆ]く人[ひと]を捕[つか]まえては勧誘[かんゆう]を行[おこな]っていた。♠<親[おや]をつかまえて〉こらっ、父親[ちちおや]をつかまえて「おい」とは何[なん]ごとだ、バカタレ! **つかまつ・る(仕る)** ○「する」の謙譲[けんじょう]語[ご]。自分[じぶん]の行為[こうい]をへり下[くだ]っていう語[ご]。[文例]〈舞[まい]をつかまつる〉お見苦[みぐる]しいこととは存[ぞん]じますが、わたくしがひと差[さ]し舞[まい]をつかまつりましょう。♠へ承知[しょうち]つかまつる〉承知[しょうち]つかまつりました。ただ今[いま]お見[み]せいたします。♠〈失礼[しつれい]つかまつる「それではこれで失礼[しつれい]つかまつる」と、侍[さむらい]は腰[こし]を上[あ]げた。 **つかま・る【捕まる】(掴まる)** ○とらえられる。引[ひ]き止[と]められる。とりすがる。とりつく。[文例]〈おにに捕[つか]まる〉それではゲームを始[はじ]めます。おにに捕[つか]まった人[ひと]はその場[ば]に座[すわ]ってください。♠へ犯人[はんにん]が捕[つか]まる〉事件[じけん]が発生[はっせい]して今日[きょう]で一週間[いっしゅうかん]になりますが、まだ犯人[はんにん]は捕[つか]まっていません。♠へ警察[けいさつ]に捕[つか]まる〉会社[かいしゃ]の金庫[きんこ]から重要[じゅうよう]書類[しょるい]を盗[ぬす]み出[だ]した男[おとこ]が警察[けいさつ]に捕[つか]まったそうです。♠〈違反[いはん]で捕[つか]まる>先頭[せんとう]を走[はし]っていた赤[あか]いスポーツカーは、スピード違反[いはん]で捕[つか]まってしまった。♠へおばさんにつかまる〉お店[みせ]を出[で]ようとしたとき、近所[きんじょ]の話[はなし]好[ず]きのおばさんにつかまってしまった。♠へつり皮[かわ]につかまる〉電車[でんしゃ]が走[はし]り出[だ]したとき、たしかわたしはつり皮[かわ]につかまっていたような気[き]がします。♠へしっかりつかまる〉子[こ]ざるは母[はは]猿[ざる]の背中[せなか]にしっかりつかまっている。 **つかみあい【つかみ合い】(摑み合い)** ○つかみ合[あ]うこと。取[と]っ組[く]み合[あ]い。[文例]へつかみ合[あ]いのけんか〉テレビのチャンネル争[あらそ]いから、兄弟[きょうだい]はつかみ合[あ]いのけんかを始[はじ]めた。♠へつかみ合[あ]いになる〉二人[ふたり]は口論[こうろん]の末[すえ]つかみ合[あ]いになった。♠〈つかみ合[あ]いをする〉気[き]の強[つよ]い女[おんな]だったから、店[みせ]の客[きゃく]とつかみ合[あ]いをすることもあったらしい。 **つかみどころ【つかみ所】(掴み所)** ○つかむところ。とらえどころ。要点[ようてん]。[文例]へつかみ所[どころ]がない〉きみは、論旨[ろんし]不明[ふめい]で、つかみ所[どころ]のない話[はなし]ばかりしている。♠へつかみ所[どころ]がない〉一体[いったい]全体[ぜんたい]何[なに]を考[かんが]えているのか、彼女[かのじょ]はまったくつかみ所[どころ]のない人[ひと]です。 **つか・む(掴む)** ○手[て]で握[にぎ]り持[も]つ。手[て]に入[い]れる。とらえる。理解[りかい]する。[文例]〈物[もの]をつかむ>足[あし]を滑[すべ]らせたぼくは、とっさに木[き]の枝[えだ]をつかみました。♠〈腕[うで]をつかむ〉通[とお]りを歩[ある]いていたら、見知[みし]らぬ男[おとこ]がぼくの腕[うで]をつかんだ。♠へ雲[くも]をつかむような話[はなし]〉その子[こ]の話[はなし]は雲[くも]をつかむようで、何[なん]のことやら具体[ぐたい]的[てき]にはわからなかった。♠へおぼれる者[もの]はわらをもつかむ〉おぼれる者[もの]はわらをもつかむと言[い]いますが、受験生[じゅけんせい]の兄[あに]は合格[ごうかく]はちまきというのを買[か]ってきました。♠ヘチャンスをつかむ〉相手[あいて]ピッチャーが突然[とつぜん]調子[ちょうし]を崩[くず]し、味方[みかた]は逆転[ぎゃくてん]のチャンスをつかんだ。♠〈内容[ないよう]をつかむ〉道路[どうろ]を走[はし]るオートバイの音[おと]が気[き]になって、彼女[かのじょ]の話[はなし]の内容[ないよう]をつかむことができなかった。♠へ手がかりをつかむ〉目撃[もくげき]者[しゃ]の新[あたら]しい証言[しょうげん]から、警察[けいさつ]は何[なに]か手がかりをつかんだようです。♠〈弱点[じゃくてん]をつかむ〉相手[あいて]の弱点[じゃくてん]をつかむことが、味方[みかた]を勝利[しょうり]に導[みちび]く一番[いちばん]の近道[ちかみち]だ。♠へ真相[しんそう]をつかむ〉店[みせ]の主人[しゅじん]の話[はなし]を聞[き]いて、メグレ警部[けいぶ]は事件[じけん]の真相[しんそう]をつかんだような気[き]がした。♠◆ヘ証拠[しょうこ]をつかむ〉新聞[しんぶん]記者[きしゃ]は重要[じゅうよう]な証拠[しょうこ]をつかんだらしく、興奮[こうふん]して帰[かえ]ってきた。♠へ要領[ようりょう]をつかむ〉難[むずか]しそうに見[み]えるけん玉[だま]も、要領[ようりょう]さえつかめば簡単[かんたん]だ。♠◆ヘこつをつかむ〉こつさえつかめば、一輪車[いちりんしゃ]もそれほど難[むずか]しくありません。 **つか・る【漬かる】(浸かる)** ○液体[えきたい]の中[なか]に入[はい]る。つけ物[もの]が熟成[じゅくせい]する。[文例]〈水[みず]につかる〉この機械[きかい]は、一度[いちど]水[みず]につかったら、修理[しゅうり]するのに何日[なんにち]もかかります。♠〈水[みず]につかる>先日[せんじつ]の台風[たいふう]で、この辺[あた]りの住宅[じゅうたく]は床上[ゆかうえ]まで水[みず]につかってしまった。♠〈川[かわ]につかる〉あゆ釣[づ]りをする人[ひと]たちの中[なか]には、良[よ]いポイントにさおを出[だ]すために、腰[こし]まで川[かわ]につかっている人[ひと]もいます。♠へ風呂[ふろ]につかる〉母[はは]は、もう三十分[さんじゅっぷん]もお風呂[ふろ]につかったまま、鼻歌[はなうた]を歌[うた]っています。♠へぬるま湯[ゆ]につかる〉のんびりした生活[せいかつ]を送[おく]っていると、ぬるま湯[ゆ]につかったみたいで、なかなか抜[ぬ]け出[だ]すことができない。♠へどっぷりつかる〉彼[かれ]は今[いま]の居心地[いごこち]のいい環境[かんきょう]にどっぷりとつかって、それで良[よ]しとしている。♠へ漬物[つけもの]が漬[つ]かる〉このきゅうりの漬物[つけもの]はまだよく漬[つ]かっていないね。 **つかれ【疲れ】** ○疲[つか]れること。疲労[ひろう]。[文例]』〈旅[たび]の疲[つか]れ〉長[なが]い旅[たび]の疲[つか]れからでしょう、弟[おとうと]は熱[ねつ]を出[だ]してしまった。♠へ快[こころよ]い疲[つか]れ〉仕事[しごと]をやり遂[と]げたぼくの体[からだ]には、快[こころよ]い疲[つか]れだけが残[のこ]った。♠へ疲[つか]れがぬける〉マッサージをしてもらうと、体[からだ]の疲[つか]れがぬけていくような気[き]がした。♠へ疲[つか]れが取[と]れる>昨日[きのう]一日[いちにち]ゆっくり休[やす]んだことで、疲[つか]れもずいぶん取[と]れました。♠〈疲[つか]れを忘[わす]れる>先生[せんせい]の話[はなし]のおもしろさに、ぼくらは疲[つか]れも忘[わす]れて聞[き]き入[い]ってしまった。♠へ疲[つか]れをいやす〉見[み]た感[かん]じでは、老人[ろうじん]はベンチに座[すわ]って、疲[つか]れをいやしているらしかった。♠へ疲[つか]れを覚[おぼ]える・感[かん]じる〉生徒[せいと]たちが無事[ぶじ]現地[げんち]に着[つ]いたと聞[き]くと、安心[あんしん]した校長[こうちょう]先生[せんせい]はちょっとした疲[つか]れを覚[おぼ]えたのでした。♠へ疲[つか]れが残[のこ]る〉先週[せんしゅう]の大会[たいかい]の疲[つか]れが残[のこ]っているのか、どうも今日[きょう]の彼[かれ]はいつもより体[からだ]が重[おも]そうだ。♠へ疲[つか]れがたまる〉体[からだ]に疲[つか]れがたまると、仕事[しごと]の能率[のうりつ]が悪[わる]くなる。♠◆<疲[つか]れが出[で]る>夏休[なつやす]み中[ちゅう]遊[あそ]び回[まわ]っていた疲[つか]れが、秋風[あきかぜ]の吹[ふ]くころになって出[で]てきたらしい。 **つか・れる【疲れる】** ○力[ちから]を使[つか]い果[は]たして元気[げんき]がなくなる。くたびれる。[文例]〈体[からだ]が疲[つか]れる>若[わか]い時[とき]と違[ちが]って、ちょっと運動[うんどう]しただけでも体[からだ]が疲[つか]れるようになった。♠へ目[め]が疲[つか]れる〉姉[あね]は、新[あたら]しい仕事[しごと]は目[め]が疲[つか]れるとこぼしていた。♠〈気[き]・神経[しんけい]が疲[つか]れる〉知[し]らない人[ひと]と乗[の]り物[もの]で向[む]かいあって座[すわ]ると、気[き]が疲[つか]れるね。♠へくたくたに疲[つか]れる〉今日[きょう]のお客[きゃく]はうるさい人[ひと]ばかりで、仕事[しごと]が終[おわ]るとわたしはくたくたに疲[つか]れていました。♠へどっと疲[つか]れる〉運[はこ]び出[だ]す荷物[にもつ]の量[りょう]を見[み] <707> **つきおとす** て、仕事の前なのに、ぼくたちはどっと疲れた。♠<生活に疲れる>奥[おく]さんが入院したため、小さな子の世話で、先生はこのところ生活に疲れたみたいな顔をしている。♠へ疲れきる>家に帰ってきた父は、疲れきった顔をしていました。った顔をしていました。♠<疲れ果てる>ゴールしたその選手は疲れ果てていて、自分で起きあがることができなかった。 **つき【月】** ○地球の衛星。一年を十二に分けた期間。一か月。妊娠期間。[文例]』<月の光>部屋の中にも、わずかに月の光がもれていました。♠へ月が満ちる・欠ける>月の満ち欠けを調べるのなら、太陽暦[たいようれき]よりも太陰暦[たいいんれき]のほうが便利です。♠<月が出る><月が傾[かたむ]く>夕方東の空に出た月は、明け方には西の空に傾いていた。♠<大の月><小の月>一年のうち、大の月は七回、小の月は五回です。今月が変わる>今月は忙[いそが]しいので、月が変わってからお伺[うかが]いしたいと思います。♠<月が満ちる>月が満ち、娘は元気な男の子を産みました。♠<月に一回>父は仕事の関係で、月に一回は九州に出向いていく。●今月とすっぽん二人は同級生だが、努力という点では月とすっぽんほどの違[ちが]いがある。♠<月にむら雲花に風>「月にむら雲花に風」は、世の中は思うとおりにならないことをいっています。 **つき【付き】** ○つくこと。つき具合。幸運。かっこう。様子。[文例] <火のつき>ガスが残り少ないのか、ライターの火のつきが悪い。♠へつきがある。ない>十本もシュートを放って一本も入らないなんて、つきがなかったのかな。♠へつきがまわる>新しく始めた事業も成功するし結婚も決まるし、どうやらつきがまわってきたぞ。♠<つきが落ちる>監督はつきが落ちるからと言って、一回戦からずっとひげをそっていない。♠へつきが変わる>後半戦はつきが変わって、味方が攻勢に転じた。♠<腰付き>あんな腰付きじゃ、バットに球は当たりゃしないよ。 **つぎ【次】** ○順序・序列がすぐ後に続くこと。宿場。[文例] 次の交差点>小学校は、次の交差点を左に曲がった右側にあります。♠<次の日>マラソン大会の次の日は、学校は休みに「校は休みになった。♠へ次から次>雪はひらひらひらひら、次から次へと降ってきました。♠東海道の宿駅は品川から大津[おおつ]までの五十三次である。 **つきあい【付き合い】** ○付き合うこと。[文例] <付き合いがある・ない>その人とは付き合いがないばかりか、名前すらしらないのです。♠へ付き合いが良い・悪い>さすがの彼も、結婚前[けつこんまえ]に比べると付き合いが悪くなった。♠へ付き合いが広い・狭い>付き合いの広いあの人らしく、パーティーにはたくさんの有名人が集まりました。♠へ付き合いを始める>わたしが彼と付き合いを始めたのは、たしか三年くらい前のことだ。♠へ気軽な付き合い><付き合いをする>あなたももう少し陽気になれば、みんなと気軽な付き合いをすることができるのにね。♠へお付き合い>あまり気がすすまなかったが、お付き合いで出かけることにした。へ男の付き合い>酒を飲むのも男の付き合いだから、少し大目に見てくれと、父は言う。 **つきあ・う【付き合う】** ○交際する。一緒に行動する。[文例] <人と付き合う>良い友人と付き合うことは、その人にとって、大きな財産となる。♠<仲間と付き合う>ぼくの付き合っている仲間に、そんな悪いことをするやつはいません。♠<長年付き合う>木村氏とは長年付き合ってきましたが、テニスをしているとは全然知りませんでした。♠へ異性と付き合う>大学生の姉は、三歳年上の男性と付き合っています。♠へちょっと付き合う>話があるんだ、ちょっとそこまで付き合ってくれないか。♠へ夕食を付き合う>会社の帰りに、彼に夕食を付き合うことになった。 **つきあげ【突き上げ】** ○突き上げること。[文例] <激しい突き上げ>住民の激しい突き上げに、知事は道路工事の着工を見合わせることにした。♠く突き上げを受ける>経営不振を理由に、社長は重役から突き上げを受け退陣することになった。♠へ突き上げを食う>部長が自分の意見を百八十度変えたのは、部下から突き上げを食ったからに違いない。 **つきあ・げる【突き上げる】** ○下から突く。下位の者が上位の者に圧力をかけて実行を迫る。[文例] <大地を突き上げる>午前十時三十分、大地を突き上げるような激しい揺れが島全体を襲[おそ]いました。♠へ胸を突き上げる>映画を見終わった瞬間、すばらしい感動が胸を突き上げ、涙が止まらなくなった。♠<会社を突き上げる>会社側は組合に突き上げられ、ついに週休二日を認めることになった。 **つきあたり【突き当たり】** ○道などが塀や壁に行き当たる所。行き止まり。[文例] <突き当たりの部屋>廊下をまっすぐに行った突き当たりの部屋が教授の研究室です。♠◇道路の突き当たり>そのお宅は、この道路の突き当たりにあります。へ突き当たりになるこの先は突き当たりになっていて、通り抜けられませんよ。 **つきあたる【突き当たる】** ○ぶつかる。衝突する。進路をさえぎられる。行き詰まる。[文例] <人に突き当たる>向こうから突き当たってきて、謝りもしないで行ってしまうなんて、とんでもないやつだ。♠ヘ川に突き当たる>道をどんどん南に下って行くと、大きな川に突き当たりました。壁に突き当たる>仕事の面で壁に突き当たり、最近は少しノイローゼ気味だ。♠<難問に突き当たる三ページ目に入って、どうしても解けない難問に突き当たった。 **つきあわ・せる【突き合わせる】** ○突き合うようにする。接するように向き合わせる。並べて照合する。[文例] <ひざを突き合わせる>母と祖母は、さっきからひざを突き合わせてひそひそ話をしています。♠へ顔を突き合わせる>通勤ラッシュの電車の中で、見知らぬ人と顔を突き合わせるようにして毎日通っています。♠へ鼻を突き合わせる>どうしたんだろう、あの二人は? 鼻と鼻を突き合わせるようにして言い合っている。♠<角[つの]突き合わせる>角突き合わせていがみ合ってばかりいるなら、いっそ別れたらどうなんだい。♠<帳簿[ちようぼ]と品物を突き合わせる>帳簿と商品を突き合わせて在庫を確認する。♠へ原文を翻訳と突き合わせる>原文を翻訳と突き合わせながら、「老人と海」を読んでいます。 **つきおと・す【突き落とす】** ○突いて落とす。相撲で突き落と <708> し[ど]の技[わざ]で倒[たお]す。[文例]〈線路[せんろ]に突[つ]き落[お]とす〉ラッシュアワーのホームで、後[うしろ]から線路[せんろ]に突[つ]き落[お]とされそうになったことがあります。♠〈相撲[すもう]で突[つ]き落[お]とす〉土俵際[どひょうぎわ]で相手[あいて]の力士[りきし]を突[つ]き落[お]とし、なんとか勝[か]ち星[ぼし]を拾[ひろ]った。♠へ奈落[ならく]の底[そこ]に突[つ]き落[お]とす〉恋人[こいびと]の死[し]によって、わたしは一瞬[いっしゅん]にして奈落[ならく]の底[そこ]に突[つ]き落[お]とされた。 **つきかえ・す【突き返す】** ○突[つ]いた相手[あいて]を突[つ]いて仕返[しかえ]しする。突[つ]いて元[もと]へ戻[もど]す。受[う]け取[と]らずに返[かえ]す。[文例]〈胸[むね]を突[つ]き返[かえ]す〉相手[あいて]の肩[かた]をたたいたら、思[おも]い切[き]り胸[むね]を突[つ]き返[かえ]された。♠〈書類[しょるい]を突[つ]き返[かえ]す〉こんなにまちがいだらけでは困[こま]ると、部長[ぶちょう]は部下[ぶか]に書類[しょるい]を突[つ]き返[かえ]しました。♠〈お金[かね]を突[つ]き返[かえ]す〉お情[なさ]けはたくさんだと、彼[かれ]はその男[おとこ]にお金[かね]を突[つ]き返[かえ]しました。 **つきかげ【月影】** ○月[つき]の光[ひかり]。[文例]〈月影[つきかげ]がもれる〉木[こ]の間[ま]からもしれる月影[つきかげ]を仰[あお]ぎつつ、夜道[よみち]を散策[さんさく]します。♠〈月影[つきかげ]さやか月影[つきかげ]さやかに北国[きたぐに]の秋[あき]は更[ふ]けてゆく。 **つぎこ・む【つぎ込む】(注ぎ込む)** ○そそぎ入[い]れる。資金[しきん]・労力[ろうりょく]を投入[とうにゅう]する。[文例]〈全力[ぜんりょく]をつぎ込[こ]む〉彼[かれ]としても全力[ぜんりょく]をつぎ込[こ]んで敗[やぶ]れたのだから、悔[く]いはないだろう。♠へ金[かね]をつぎ込[こ]む>男[おとこ]は持[も]っていた金[かね]をすべてつぎ込[こ]んでいたので、会社[かいしゃ]が倒産[とうさん]したあとは一文[いちもん]無[な]しになってしまった。♠へ全[ぜん]財産[ざいさん]をつぎ込[こ]む〉父[ちち]は全[ぜん]財産[ざいさん]をつぎ込[こ]んで、この工場[こうじょう]を作[つく]り上[あ]げた。♠へ有[あ]り金[がね]をつぎ込[こ]む〉男[おとこ]は有[あ]り金[がね]を株[かぶ]につぎ込[こ]み、大[おお]もうけをしたそうです。 **つきささ・る【突き刺さる】** ○突[つ]き立[た]つ。心[こころ]を傷[きず]つけられる。[文例]〈矢[や]が突[つ]き刺[さ]さる〉倒[たお]れた男[おとこ]の背中[せなか]には、矢[や]が突[つ]き刺[さ]さっていました。♠〈言葉[ことば]が突[つ]き刺[さ]さる〉友人[ゆうじん]の言葉[ことば]が胸[むね]に突[つ]き刺[さ]さり、それがぼくの考[かんが]え方[かた]を変[か]えるきっかけにもなった。 **つきさ・す【突き刺す】** ○突[つ]き立[た]てる。強[つよ]く刺激[しげき]する。心[こころ]に傷[きず]を負[お]わせる。[文例]〈ナイフで突[つ]き刺[さ]す〉リンゴをナイフで突[つ]き刺[さ]した。♠へ針[はり]を突[つ]き刺[さ]す>消毒[しょうどく]した針[はり]を突[つ]き刺[さ]して、足[あし]の裏[うら]のマメをつぶす。♠へ肌[はだ]を突[つ]き刺[さ]す風[かぜ]〉肌[はだ]を突[つ]き刺[さ]すような冷[つめ]たい風[かぜ]に、思[おも]わずコートのえりを立[た]てました。♠〈胸[むね]を突[つ]き刺[さ]す>彼女[かのじょ]の冷[つめ]たい言葉[ことば]がぼくの胸[むね]を突[つ]き刺[さ]した。 **つきすす・む【突き進む】** ○突[つ]きながら進[すす]む。勢[いきお]いよく進[すす]む。[文例]〈ゴールへ突[つ]き進[すす]む〉パスを受[う]けたぼくは、相手[あいて]ゴールへ突[つ]き進[すす]んだ。♠〈森[もり]を突[つ]き進[すす]む>木[き]の枝[えだ]をかきわけかきわけ森[もり]の中[なか]を突[つ]き進[すす]むと、急[きゅう]に目[め]の前[まえ]が開[ひら]けました。♠へ道[みち]を突[つ]き進[すす]む>昭和[しょうわ]初期[しょき]、日本[にっぽん]は軍国[ぐんこく]主義[しゅぎ]への道[みち]をまっしぐらに突[つ]き進[すす]んでいった。 **つきそい【付き添い】** ○付[つ]き添[そ]うこと。付[つ]き添[そ]う人[ひと]。[文例]〈患者[かんじゃ]の付[つ]き添[そ]い〉この病院[びょういん]は完全[かんぜん]看護[かんご]なので、付[つ]き添[そ]いは必要[ひつよう]ありません。♠へ付[つ]き添[そ]いをつける〉おばあちゃんは東京[とうきょう]が初[はじ]めてのはずだから、付[つ]き添[そ]いをつけたほうがいいかな。♠へ付[つ]き添[そ]いをする〉受験生[じゅけんせい]の妹[いもうと]の付[つ]き添[そ]いをして、久し振[ひさしぶ]りに母校[ぼこう]を訪[おとず]れました。 **つきそ・う【付き添う】** ○そばに付[つ]いて世話[せわ]をする。[文例]〈子供[こども]に付[つ]き添[そ]う〉息子[むすこ]に付[つ]き添[そ]って、小学校[しょうがっこう]の卒業式[そつぎょうしき]に出[で]かけました。♠へ病人[びょうにん]に付[つ]き添[そ]う〉体[からだ]の調子[ちょうし]が悪[わる]いのは父[ちち]です。わたしはただ付[つ]き添[そ]ってきただけでどこも悪[わる]くありません。 **つきだ・す【突き出す】** ○突[つ]いて外[そと]へ出[だ]す。勢[いきお]いよく前[まえ]へ出[だ]す。警察[けいさつ]などへ引[ひ]き渡[わた]す。突[つ]き出[で]る。[例]〈外[そと]へ突[つ]き出[だ]す〉酔[よ]っ払[ぱら]った客[きゃく]を店[みせ]の主人[しゅじん]は外[そと]へ突[つ]き出[だ]した。♠へくちびるを突[つ]き出[だ]す〉少年[しょうねん]は、くちびるを突[つ]き出[だ]して不満[ふまん]そうな表情[ひょうじょう]をした。♠へ顔[かお]を突[つ]き出[だ]す>二階[にかい]の窓[まど]から顔[かお]を突[つ]き出[だ]して、遊[あそ]びに行[い]こうとする兄[あに]を呼[よ]び止[と]めた。♠〈指[ゆび]を突[つ]き出[だ]す>突き出[だ]した指[ゆび]をくるくる回[まわ]して、さおの先[さき]に止[と]まったトンボをとる。♠〈交番[こうばん]に突[つ]き出[だ]す〉店[みせ]に忍[しの]び込[こ]んだこそどろをつかまえて、交番[こうばん]に突[つ]き出[だ]した。♠へ証拠[しょうこ]を突[つ]き出[だ]す〉動[うご]かぬ証拠[しょうこ]を目の前[め]に突[つ]き出[だ]され、犯人[はんにん]はしどろもどろになった。♠〈海[うみ]に突[つ]き出[だ]す〉わたしは、海[うみ]に突[つ]き出[だ]した半島[はんとう]の小[ちい]さな町[まち]で生[う]まれたのです。♠へくぎが突[つ]き出[だ]す>壁[かべ]から突[つ]き出[だ]していたくぎにスカートのすそをひっかけて、破[やぶ]ってしまった。 **つきつ・ける【突き付ける】** ○乱暴[らんぼう]に前[まえ]に差[さ]し出[だ]す。[文例]〈カエルを突[つ]き付[つ]ける〉つかまえたカエルを突[つ]き付[つ]けたら、さっちゃんは泣[な]き出[だ]してしまった。♠ヘピストルを突[つ]き付[つ]ける>強盗[ごうとう]は店内[てんない]にいた人[ひと]たちにピストルを突[つ]き付[つ]け、金[かね]を出[だ]せとおどした。♠〈逮捕状[たいほじょう]を突[つ]き付[つ]ける〉犯人[はんにん]の鼻[はな]の先[さき]に逮捕状[たいほじょう]を突[つ]き付[つ]け、刑事[けいじ]は警察[けいさつ]に連行[れんこう]して行[おこな]った。♠へ要求[ようきゅう]を突[つ]き付[つ]ける〉労働[ろうどう]者[しゃ]は、会社[かいしゃ]側[がわ]に待遇[たいぐう]改善[かいぜん]の要求[ようきゅう]を突[つ]き付[つ]けた。 **つきつ・める【突き詰める】** ○とことん考[かんが]えて追究[ついきゅう]する。いちずに思[おも]い込[こ]む。[文例]〈考[かんが]えを突[つ]き詰[つ]める〉きみの考[かんが]えを突[つ]き詰[つ]めていくと、世[よ]の中[なか]を動[うご]かすのは一握[ひとにぎ]りの優[すぐ]れた人間[にんげん]ということになる。♠◆へ問題[もんだい]を突[つ]き詰[つ]める〉問題[もんだい]をいろいろな角度[かくど]から突[つ]き詰[つ]めていくと、人[ひと]はなぜ生[い]きるのかという疑問[ぎもん]に至[いた]り着[つ]く。♠〈突[つ]き詰[つ]めた話[はな]し合[あ]い〉この問題[もんだい]をどう解決[かいけつ]するか、先生[せんせい]たちの間[あいだ]では突[つ]き詰[つ]めた話[はな]し合[あ]いがもたれている。♠へ突[つ]き詰[つ]めて考[かんが]える〉劇[げき]がうまくいかなかったのはきみ一人[ひとり]の責任[せきにん]じゃないのだから、そんなに突[つ]き詰[つ]めて考[かんが]えるな。 **つきと・める【突き止める】** ○探[さが]し当[あ]てる。見[み]きわめる。究明[きゅうめい]する。[例]〈居所[いどころ]を突[つ]き止[と]める〉刑事[けいじ]はとうとう犯人[はんにん]の居所[いどころ]を突[つ]き止[と]めた。♠〈ありかを突[つ]き止[と]める>観察[かんさつ]を始[はじ]めて三日[みっか]目[め]、ぼくたちはとうとう巣[す]のありかを突[つ]き止[と]めました。♠〈原因[げんいん]を突[つ]き止[と]める〉六か月[ろっかげつ]の調査[ちょうさ]によって、事故[じこ]の原因[げんいん]を突[つ]き止[と]めることができた。♠へ真相[しんそう]を突[つ]き止[と]める〉あの男[おとこ]の性格[せいかく]から、真相[しんそう]を突[つ]き止[と]めるまではあきらめないだろう。♠〈正体[しょうたい]を突[つ]き止[と]める〉厳[きび]しい追及[ついきゅう]が続[つづ]けられたが、女[おんな]の正体[しょうたい]を突[つ]き止[と]めることはできなかった。♠へ真実[しんじつ]を突[つ]き止[と]める〉関係[かんけい]者[しゃ]は真実[しんじつ]を突[つ]き止[と]めるため、何[なん]度[ど]も調査[ちょうさ]をくり返[かえ]した。 **つきなみ【月並み】** ○毎月[まいつき]定期[ていき]的[てき]に行[おこな]うこと。ありふれて新味[しんみ]に欠[か]けるさま。[文例]〈月並[つきな]みな言葉[ことば]〉今[いま]の気持[きも]ちを表[あらわ]すのに、月並[つきな]みな言葉[ことば]しか浮[う]かんでこないのが残念[ざんねん]です。♠◆〈月並[つきな]みな文句[もんく]〉あいさつにたった役員[やくいん]は、月並[つきな]みな文句[もんく]を <709> **つく** 並べ、祝辞とした。♠<月並みなこと>演劇のことは良くわからないので、感想を聞かれても月並みなことしか言えなかった。♠<月並みなお世辞>彼の機嫌[きげん]をそこねないように、月並みなお世辞を言って引きあげてきたよ。♠絵が月並み>こう言っては何だが、この絵は月並みだ。月並みに聞こえる>月並みに聞こえるかもしれないが、わたしは今感動で胸がいっぱいです。 **つぎはぎ【継ぎはぎ】** (継ぎ接ぎ)○つぎを当てたり、はぎ合わせたりすること。他人のものを寄せ集めて文章を作ること。[文例] へつぎはぎがある>つぎはぎのあるズボンをはいている人を見かけなくなった。♠へつぎはぎをする少年の上着には二、三か所つぎはぎがしてあった。♠<論文をつぎはぎする>彼女のレポートをざっと読んで、すぐにあちこちの論文をつぎはぎしたものだとわかった。 **つきまとう【付きまとう】** (付き纏う)○離れずにそばにいる。まつわりつく。[文例] <男がつきまとう>しつこくつきまとう男に困り果てて、とうとう交番に駆けこみました。♠<不安がつきまとう>航海には、いつも不安がつきまとう。♠<印象がつきまとう>おとなしく目立たないぼくには、どこことなく暗い印象がつきまとうらしい。 **つきもの【付き物】** (憑き物)○あるものと共にあって、切り離しては考えられないもの。人間にのり移った物の霊。[文例] お誕生日のパーティーにケーキは付き物です。♠昔から、お墓に幽霊[ゆうれい]は付き物だから、きみが見たというのは本当かもしれないね。♠地震に火事は付き物だから、グラッときたらまず火を消すことだ。♠へ憑き物が落ちる>いざこざが解決すると、彼は憑き物が落ちたようにすがすがしい表情にもどった。 **つきはな・す【突き放す】** ○突いて離れさせる。甘やかさず冷静に他人事として扱う。[文例] とりすがる子供たちをじゃけんに突き放して、役人は父親をひったてていった。♠下人は、老婆[ろうば]をつき放すと、いきなり、太刀の鞘[さや]を払って、白い鋼[はがね]の色をその眼[め]の前へつきつけた。(芥川龍之介[あくたがわりゆうのすけ]「羅生門[らしようもん]」) ♠<突き放した見方>彼は自分の親友のことでも、突き放した見方をする冷たい人よ。 **つきひ【月日】** ○月と太陽。暦の月と日。歳月。[文例] <月日を変える>文面はそのままでかまわないから、月日だけ変えて印刷してください。♠ヘ三年の月日><月日が流れる>兄が東京へ転勤してから、もう三年の月日が流れた。♠<月日がたつ>月日がたつにつれて、母親の悲しみもしだいに薄らいでいった。♠<月日を送る>あのころのぼくは何をするということもなく、ただ月日を無駄に送っていた。♠<月日を過ごす>大学を卒業してから二年間の月日を、彼女は留学生として外国で過ごしました。♠<月日を数える>卒業の日まで残った月日を数えてみても、もういくらもない。♠<月日は百代の過客>『奥[おく]の細道』は、「月日は百代の過客にして」という有名な書き出しで始まります。 **つきやぶ・る【突き破る】** ○突いて、または突き当たって破る。[文例] <塀[へい]を突き破る>暴走したトラックは、道路沿いの塀を突き破ってようやく止まった。♠<囲みを突き破る>敵の囲みを突き破って、伝令は駆け去った。♠へ壁を突き破る>この厚い壁を突き破ることができなければ、一流選手にはなれないぞ。 **つきよ【月夜】** ○月の照る夜。[文例] <月夜の晩>月夜の晩、村じゅうの若者は踊りあかした。♠<月夜に提灯>「月夜に提灯[ちようちん]」、用のないことのたとえだよ。♠<月夜に釜[かま]を抜かれる>月夜に釜を抜かれるのことわざもあることだし、油断は禁物です。翌[あす]は又どこの月夜か里神楽[さとかぐら](小林一茶) **つ・きる【尽きる】** ○終わりになる。すっかり無くなる。それですべて言い尽くす。[文例] <道が尽きる>林から続く道は、湖に出る所で尽きていた。♠<資金が尽きる>予想外の出費が続いて、用意していた資金も尽きてしまった。♠く弾[たま]が尽きる>味方の軍はすでに弾も尽き、敗色[はいしよく]濃厚となった。♠<話が尽きる>三年ぶりということもあって、二人の話は尽きることがなかった。へ運が尽きる>破竹[はちく]の勢いだったわが軍の運も、どうやらここで尽きてしまったようだ。♠<力[ちから]が尽きる>ゴールまであと三百メートルというところで、選手は力が尽き、うずくまってしまった。♠へ精[せい]も根[こん]も尽きる>銀行の融資が得られなかった父は、精も根も尽きたという顔で帰ってきた。♠く愛想[あいそ]が尽きる>あの怠け者にもほとほと愛想が尽きた。♠万策[ばんさく]尽きる>妥協案[だきようあん]も受け入れられず、会社側は万策尽きたといった様子でした。へ名残[なごり]が尽きない>いつまでも名残は尽きないが、そろそろわれわれは出発しなければならない。♠ヘ一語に尽きる>彼女の性格は明朗の一語に尽きる。♠へ~に尽きる>香港[ほんこん]、この町の魅力は夜景に尽きる。 **つく【付く・着く・就く】** (憑く)○合わさる。付着する。くっつく。跡が残る。加わる。備わる。添えられる。与えられる。そばにいる。従う。味方する。のり移る。運がある。感覚器官に強く感じられる。定まる。落着する。ある値に相当する。燃える。ともる。作動する。達する。届く。位置・地位を占める。[文例] <しみが付く>雨の日に外を歩くと、はねがあがってズボンにしみが付くから嫌いです。♠<肉が付く>少し太ったんじゃないかい、腰[こし]のあたりに肉が付いたような気がするよ。♠へおまけが付く>新発売のウイスキーを買うと、すてきなグラスが一つ付いてきます。♠<おひれが付く>先生が結婚して学校をやめるなんて、いつのまに話におひれが付いたのかしら、男の人と街を歩いていただけなのに。♠<賞品が付く>町内の運動会には、商店街の協力もあって、いろいろな賞品が付くことになりました。♠<名前が付く>動物園にいる二十匹のサルには、一匹ずつおもしろい名前が付いている。♠へ力[ちから]が付く>家での勉強のたまものかな、だいぶ漢字の力が付いてきたね。〈身に付く〉一日や二日勉強したくらいでは、新しい知識は身に付かない。♠へ条件が付く>入場は無料ですが、十三歳[さい]未満の子供という条件が付いています。♠へ護衛が付く>空港に到着[とうちゃく]した大統領には、ものものしい護衛が付いていた。♠へ利子が付く>銀行にお金を預けておけば、一定の割合で利子が付いていきます。♠<知恵[ちえ]がつく>年を取るごとに、子供は知恵がついてくる。 <710> **つく** ◆へ値が付く>死んだ画家が気にいっていた作品だけあって、その絵には非常に高い値が付いたそうです。♠<高くつく<>中古で買ったステレオは修理にお金がかかって、結局かなり高くついてしまった。♠く手に付かない>入学試験の結果が気になって、朝から何も手に付かない。♠へ板に付く>この道に入ってもう五年、彼の和服姿もかなり板に付いてきました。♠へついている>昨日はついていたな、有名なテレビタレントに会うことができたんだもの。♠べきつねがつく>きつねでもついたのか、田吾作[たごさく]は、それ以来、不思議なふるまいをするようになったと。♠<味方に付く>きみが味方に付いてくれれば百人力だ。♠へ気が付く>机の上の本がなくなっていることに、最初に気が付いたのはわたしでした。♠<目に付く>春休みだけあって、公園内は子供連れの姿が目に付きます。♠<鼻に付く>あの子は、自慢気[じまんげ]な態度が鼻に付いて、どうしても好きになれない。♠へ火がつく>何が気にいらなかったのか、女の子は火がついたように泣き出しました。へ明かりがつく三階のいちばん奥[おく]の部屋だけが、明かりがついていません。♠へ決心がつく>コーチの一言で、ようやくぼくにも決心がつきました。♠へ勝負がつく>最後までやらなくても、もう勝負はついているよ。ぼくの勝ちさ。♠<決着がつく>四番バッターのサヨナラホームランで、長かった試合にもやっと決着がつきました。♠<けりがつく>十年にも及[およ]ぶ両家のいさかいにも、どうやらけりがつくことになったらしい。片がつく>あの問題は、片がついたから、もう心配いらないぞ。♠へ見当がつく>あの女が何者なのか、まったく見当がつきません。♠へ目鼻がつく商売は、始めのうちはてんてこまいでしたが、ここへきてようやく目鼻がついて落ち着きました。♠く想像がつく>そこは、想像もつかないほどすばらしい楽園のような所だそうです。♠<察しがつく少し前からきみの様子がおかしいので、何かあるなと察しはついていたんだ。♠へ~につき>来週の水曜日は、定休日につき、休ませていただきます。♠へついていく>角を曲がると車はスピードをあげ、自転車ではとてもついていくことができなかった。へ付かず離れず二人は、結婚するでもなし、別れるでもなしの付かず離れずの微妙[ぴみよう]な関係を保っています。♠<宿に着く>宿に着いたら部屋に荷物を置[お]いて、もう一度ロビーに集まってください。♠へ荷物が着く>おばさんが九州から送った荷物が着いたのは、その日の夜のことでした。♠天井[てんじよう]に手が着く>弟も大きくなって、ジャンプすれば天井に手が着くようになった。♠<席に着く>チャイムがなっても、おとなしく席に着く生徒は一人もいません。困ったものです。♠<位置に着く>選手たちは、スタートの位置に着いて、今か今かと出発の合図を待っている。♠へ床[とこ]に就く>父が昨夜床に就いたのは、たしか十一時すぎだったと思います。♠<位[くらい]に就く>徳川家康[とくがわいえやす]が征夷大将軍[せいいたいしようぐん]の位に就いたのは、一六〇三年のことです。♠<職[しょく]に就く>職に就くことのできない人たちに対して、失業保険が支給される。♠へ帰途[きと]に就く>大阪で仕事を終えて、夜遅[おそ]く帰途に就きました。♠へやすきに就く>彼の生き方は、困難な道はなるたけ避[さ]けて、やすきに就いているように見える。 **つく【突く】** (衝く・撞く・搗く・吐く)○先の鋭い物で刺す。細長い物で打つ。強く打ち当てる。押し当てて支えにする。攻撃する。刺激する。物ともしないで越える。口から出す。[文例] <棒で突く>ぼくたちは真っ赤に実ったかきの実を、棒で突いて落としました。♠へつえを突く>ぼくは、スキーで足の骨を折って、つえを突いて通学しています。♠へもちをつく>庭からは、子供たちが集まってもちをつく音が聞こえてくる。♠へ鐘[かね]をつく>一日に二回この鐘をつくのも、お坊さんの仕事の一つです。♠へまりをつく三人の真ん中でまりをついている女の子がぼくの妹です。♠<判[はん]をつく>受け取りのしるしとして、ここに判こをついてください。♠<ひじを突く>兄は机の上にひじを突き、頭をかかえて、じっと考えこんでいた。♠<両手をつく>部屋に入ってきたいとこは、両親に両手をついてあいさつをしました。♠人雲をつく>驚いて振り返ると、そこには雲をつくような大男が立っていたのです。♠<弱点を突く>劣勢[れつせい]が予想されたチャンピオンでしたが、相手の弱点を突いてみごとに優勝しました。♠<虚[きよ]を突く>もみあいの中、彼が放った左足のシュートは、キーパーの虚を突いた形になった。♠<急所を突く>急所を突いた質問に、返す言葉がなくただうつむくばかりだった。♠<鼻をつく>ツンと鼻をつくような、変なにおいがするけれど、においの元は何かしら。♠<風雨をつく>行方不明者の捜索は、風雨をついて行われました。♠ヘうそをつく>弟はうそをついても顔に表れてしまうので、すぐにわかります。♠へ悪態[あくたい]をつく>柄[がら]の悪い男は、事務所でさんざん悪態をついて帰っていった。♠へため息をつく>グラスの酒を飲み干すと、男は深いため息をつきました。<底をつく>野宿を始めてから五日目、とうとうわれわれの食糧[しぶくりょう]も底をつきました。 **つぐ【次ぐ】** ○後に続く。すぐ下に位する。[文例] <東京に次ぐ>大阪は、東京に次ぐ大都会です。♠<社長に次ぐ>彼は、この会社では社長に次ぐ地位にいます。♠へ~に次いで起こる>名古屋での犯行に次いで、同一人物による事件が東京で起こった。♠先頭のアメリカ選手に次いで、イギリスの選手がスタンドに姿を現した。♠一位の記録は一メートル八十センチ、彼の記録はこれに次ぐものだった。♠ぼくが好きなのはサッカー、次いでバスケットボールです。 **つ・ぐ【継ぐ・接ぐ】** ○引き受けて後を続ける。切れ目なく連ねる。ほころびを繕う。後に付け足す。つなぎ合わせる。[文例] <王位を継ぐ>王の死後、だれが王位を継ぐかで、兄弟の間に醜[みにく]い争いが始まった。♠<跡[あと]を継ぐ>おまえがいなくなってしまったら、いったいだれがこの店の跡を継ぐんだい。♠<家を継ぐ>いくら長男とはいえ、おまえのような怠[なま]け者にこの家を継がせるわけにはいかない。♠へ遺志を継ぐ>死んだ父親の志を継いで、彼もまた芸の世界に入っていった。へほころびを継ぐ>ぼくが学校に行っている間に、姉がズボンのほころびを継いでおいてくれました。夜を日に継ぐ三月の開通に間に合うよう、工事は夜を印に継 <711> いで進[すす]められた。♠〈炭[すみ]を継[つ]ぐ〉火鉢[ひばち]に炭[すみ]を継[つ]ぎながら、おばあさんは昔話[むかしばなし]を続[つづ]けた。♠へ骨[ほね]を接[つ]ぐ〉ぼくが骨折[こっせつ]したときには、近[ちか]くの整骨[せいこつ]院[いん]で骨[ほね]を接[つ]いでもらった。♠〈木[き]を接[つ]ぐ〉父[ちち]は物置[ものおき]から棒[ぼう]を探[さが]し出[だ]し、それを支[ささ]えにして若木[わかぎ]を接[つ]ぎ、固定[こてい]しました。♠〈木[き]に竹[たけ]を接[つ]ぐ〉前後[ぜんご]に一貫[いっかん]性[せい]のないちぐはぐなことをいうことわざに、「木[き]に竹[たけ]を接[つ]ぐ」がある。 **つ・ぐ(注ぐ)** ○そそぎ入[い]れる。[文例]〈お茶[ちゃ]をつぐ〉旅館[りょかん]に着[つ]いて部屋[へや]に入[はい]ると、おかみさんがぼくたちにお茶[ちゃ]をついでくれた。♠◆◇酒[さけ]をつぐ〉集[あつ]まった親類[しんるい]の人[ひと]たちに、姉[あね]は慣[な]れぬ手[て]つきで酒[さけ]をついでいた。♠◆ヘグラスにつぐ〉手品[てじな]師[し]は観客[かんきゃく]にもよくわかるように、赤[あか]い液体[えきたい]をグラスにつぎました。♠◆くつぎ足[た]す〉粘[ねば]り気[け]が足[た]りないわと独[ひと]り言[ごと]を言[い]いながら、母[はは]は器[うつわ]に水[みず]をつぎ足[た]した。♠〈つぎ込[こ]む〉氏[し]は新[あたら]しい事業[じぎょう]に全[ぜん]財産[ざいさん]をつぎ込[こ]んでいるといううわさだ。 **つくえ【机】** ○本[ほん]を読[よ]んだり、字[じ]を書[か]いたりする時[とき]に使[つか]う台[だい]。[文例]〈机[つくえ]に向[む]かう〉姉[あね]は、さっきから机[つくえ]に向[む]かって、真剣[しんけん]に手紙[てがみ]を書[か]いている。♠〈机[つくえ]を並[なら]べる〉ぼくと彼[かれ]は、小学生[しょうがくせい]のとき机[つくえ]を並[なら]べて勉強[べんきょう]しました。♠●何[なに]もかも受身[うけみ]なりしと思[おも]うとき机[つくえ]のまへに立[た]ちあがりたり(柴生田[しぼうた]稔[みのる]) **つく・す【尽くす】** ○全部[ぜんぶ]を使[つか]い切[き]る。人[ひと]のために精一杯[せいいっぱい]働[はたら]く。ことごとく・・・する。[文例]〈できる限[かぎ]りを尽[つ]くす>医者[いしゃ]はできる限[かぎ]りのことは尽[つ]くしたが、患者[かんじゃ]の命[いのち]をとりとめることはできなかった。♠へ全力[ぜんりょく]を尽[つ]くす〉敗[やぶ]れたとはいえ、全力[ぜんりょく]を尽[つ]くしたのなら悔[く]いはないだろう。♠〈手[て]・手段[しゅだん]を尽[つ]くす〉ぼくを味方[みかた]にひきいれようと、弟[おとうと]はあらゆる手[て]を尽[つ]くした。♠◆ヘぜいを尽[つ]くす〉土地[とち]の富豪[ふごう]らしくその屋敷[やしき]には贅[ぜい]を尽[つ]くした。♠へ会社[かいしゃ]のために尽[つ]くす〉お言葉[ことば]を返[かえ]すようですが、わたくしはこれまで会社[かいしゃ]のためにあれこれと尽[つ]くしてきたつもりです。♠〈主人[しゅじん]に尽[つ]くす〉今[いま]まで主人[しゅじん]に尽[つ]くしてきましたが、もうこれ以上[いじょう]我慢[がまん]ができません。♠〈世[よ]の中[なか]に尽[つ]くす〉一生[いっしょう]を世[よ]の中[なか]のために尽[つ]くすなんて、えらいことだ。♠〈食[た]べ尽[つく]す〉三人[さんにん]の男[おとこ]は冷蔵庫[れいぞうこ]にあった食料[しょくりょう]を、あっという間[ま]に食[た]べ尽[つく]してしまった。 **つくづく(熟)** ○細[こま]かい点[てん]まで念入[ねんい]りにするさま。身[み]にしみて感[かん]じるさま。[文例]〈つくづくと見入[みい]る〉父[ちち]はさっきから目[め]の前[まえ]にある茶色[ちゃいろ]のつぼに、つくづくと見入[みい]っている。♠〈つくづく眺[なが]める〉そう言[い]えばあなたに言[い]われるまで、この絵[え]をつくづく眺[なが]めたことはなかった。♠◆ヘつくづく感[かん]じる〉この夏[なつ]病気[びょうき]で入院[にゅういん]して、健康[けんこう]のありがたさをつくづく感[かん]じました。♠へつくづく思[おも]う〉友達[ともだち]の作品[さくひん]を見[み]て、自分[じぶん]の絵[え]の才能[さいのう]のなさをつくづく思[おも]い知[し]らされた。♠へつくづく考[かんが]える〉あなたのが言[い]ったことを、昨日[きのう]一日[いちにち]つくづく考[かんが]えたが、どうしても納得[なっとく]できなかった。♠へつくづくいやになる〉よほどショックだったのか、彼女[かのじょ]はもう試合[しあい]に出[で]るのがつくづくいやになったともらしている。 **つぐない【償い】** ○償[つぐな]うこと。』つぐなう[文例]〈償[つぐな]いをする〉近所[きんじょ]のみなさんに迷惑[めいわく]をかけたのですから、十分[じゅうぶん]な償[つぐな]いをさせていただきます。♠へ償[つぐな]いとして〉花[はな]に水[みず]をやるのを忘[わす]れて枯[か]らしてしまった償[つぐな]いとして、それからは率先[そっせん]して係[かかり]の仕事[しごと]をすることにした。♠く被害[ひがい]の償[つぐな]い〉公害[こうがい]を起[お]こした企業[きぎょう]は、付近[ふきん]の住民[じゅうみん]に与[あた]えた被害[ひがい]の償[つぐな]いをしました。♠〈事故[じこ]の償[つぐな]い〉不注意[ふちゅうい]で起[お]こした交通[こうつう]事故[じこ]の償[つぐな]いは、運転[うんてん]者[しゃ]がするのは当然[とうぜん]だ。♠へ罪[つみ]の償[つぐな]い〉なんとか自分[じぶん]の犯[おか]した罪[つみ]の償[つぐな]いをしたいものだ。 **つぐな・う【償う】** ○犯[おか]した罪[つみ]や相手[あいて]に与[あた]えた損失[そんしつ]の埋[う]め合[あ]わせをする。[文例]〈損失[そんしつ]を償[つぐな]う〉きみは、あのとき、今回[こんかい]の損失[そんしつ]をすべて償[つぐな]ってくれるって約束[やくそく]したじゃないか。♠〈費用[ひよう]を償[つぐな]う〉どうもご迷惑[めいわく]をおかけしました。かかった費用[ひよう]はこちらで償[つぐな]わせていただきます。♠〈過[あやま]ちを償[つぐな]う〉家[いえ]に帰[かえ]ってもどうすれば過[あやま]ちを償[つぐな]うことができるかと、そればかりを考[かんが]えていた。♠〈罪[つみ]を償[つぐな]う〉その男[おとこ]は、犯[おか]した罪[つみ]を償[つぐな]おうと思[おも]い、ある寺[てら]を訪[おとず]れました。♠へ死[し]をもって償[つぐな]う〉彼[かれ]は今回[こんかい]の事故[じこ]の責任[せきにん]を、死[し]をもって償[つぐな]おうとした。 **つぐ・む(噤む)** ○(口[くち]を)かたく閉[と]じる。[文例]〈口[くち]をつぐむ〉父[ちち]に何[なに]を聞[き]かれても、妹[いもうと]は口[くち]をつぐんだまま一言[ひとこと]もしゃべらなかった。♠〈口[くち]をつぐむ>子供[こども]たちはガラスを割[わ]ったのがだれかという話[はなし]になると、みんな口[くち]をつぐんで下[した]を向[む]いてしまった。♠◆ヘ口[くち]をつぐむ>犯人[はんにん]は捜査[そうさ]官[かん]の質問[しつもん]にも、口[くち]をつぐみそっぽを向[む]いている。 **つくり【作り・造り】** ○つくること。つくる人[ひと]。つくり具合[ぐあい]。できばえ。化粧[けしょう]。刺身[さしみ]。[文例]〈箱[はこ]の作[つく]り〉箱[はこ]の作[つく]りは貧弱[ひんじゃく]でも、中身[なかみ]はよほどの名器[めいき]に違[ちが]いない。♠〈上着[うわぎ]の作[つく]り〉おじさまの着[き]ていらっしゃる上着[うわぎ]の作[つく]り、ちょっとしゃれていてとてもすてきよ。♠〈家[いえ]の造[づく]り〉この家[いえ]の造[づく]りはとても頑丈[がんじょう]だから、地震[じしん]がきてもびくともしない。♠〈庭[にわ]の造[づく]り〉寺[てら]の庭[にわ]の造[づく]りがあまりにみごとなので、しばらく見入[みい]っていた。♠〈素人[しろうと]の作[つく]り〉庭[にわ]の鳥小屋[とりごや]は素人[しろうと]の作[つく]りなので、ところどころゆがんでいる。♠くれんが造[づく]り〉れんが造[づく]りの庁舎[ちょうしゃ]が北[きた]の町[まち]の青[あお]い空[そら]に美[うつく]しく映[は]える。♠〈若[わか]づく[り]〉うちの母[はは]は若[わか]づく[り]なので、わたしと姉妹[しまい]に見[み]られることがあります。♠〈作[つく]り声[ごえ]>セールスの女[おんな]の人[ひと]が、「かわいいおじょうさんですこと。」と作[つく]り声[ごえ]で言[い]いました。♠◆<作[つく]り笑[わら]い〉ショーケースをのぞいていると、店員[てんいん]さんが作[つく]り笑[わら]いしながら寄[よ]って来[き]た。 **つくりごと【作り事】** ○実際[じっさい]にはないのにあるように作[つく]り立[た]てた事柄[ことがら]。こしらえ事[ごと]。[文例]』彼[かれ]がUFOを見[み]たというのは、まったくの作[つく]り事[ごと]だった。♠◆彼女[かのじょ]の話[はなし]は作[つく]り事[ごと]とは思[おも]えないほど、よくつじつまがあっていた。♠へ作[つく]り事[ごと]の世界[せかい]〉小説[しょうせつ]の世界[せかい]は、言[い]ってみれば、小説[しょうせつ]家[か]が頭[あたま]の中[なか]で考[かんが]え出[だ]した作[つく]り事[ごと]の世界[せかい]です。 **つくりばなし【作り話】** ○実際[じっさい]にあるようにこしらえた話[はなし]。[文例]そんなこと信[しん]じるのかい? 彼[かれ]の作[つく]り話[ばなし]に決[き]まっているじゃないか。♠◆記録[きろく]映画[えいが]は、作[つく]り話[ばなし]ではないだけに、見[み]る者[もの]に迫[せま]る真実[しんじつ]味[み]をもっています。 **つく・る【作る・造る】** ○こしらえる。仕立[した]てる。育[そだ]て上[あ]げる。生[う]み出[だ]す。成[な]す。装[よそお]う。『[文例]』〈食事[しょくじ]を作[つく]る〉わたしの家[いえ]では、一番[いちばん]上[うえ]の姉[ねえ]さんが毎日[まいにち]の夕食[ゆうしょく]を作[つく]ります。♠へ物置[ものおき]を作[つく]る>先週[せんしゅう]の日曜日[にちようび]、父[ちち]は裏庭[うらにわ]に小[ちい]さな物置[ものおき]を作[つく]った。♠へ物語[ものがたり]を作[つく]る>先生[せんせい]が話[はな]してくれた物語[ものがたり]を作[つく]った人[ひと]は、日本人[にっぽんじん]で <712> **つくろう** はない。♠<文字を作る>平安[へいあん]時代の人々は、それまで使っていた漢字をもとにしてかな文字を作りました。ヘダムを作る><巣を作る>ピーバーは木[えだ]の枝を集めてダムを作り、そこに巣を作る。♠<骨組みを作る>文化祭のステージとなる舞台[ぶたい]の骨組みを作るだけでも、三日以上はかかるだろう。♠<型を作る>自作版画の年賀状を出したいのなら、最初に型を作らなければだめだよ。♠へ詩を作る>彼はあの武骨な体にも似合わず、美しい詩を作る。♠<家庭を作る>兄は去年結婚[けつこん]して、この近所に新しい家庭を作って生活している。♠<子供を作る>姉夫婦は共働[ともばたら]きなので、しばらくは子供を作らないとのことです。♠<畑を作る>男たちは林を切り開いて、自分たちの畑を作っていきました。♠<笑顔を作る>彼女が無理に笑顔を作ろうとしていることが、ぼくには痛いほどよくわかった。♠へ顔を作る>インタビューを受けながら、役者さんは鏡に向かって大急ぎで顔を作っていった。♠<口実を作る>田中君はあれこれと口実を作って、当番の仕事をしないで帰ってしまった。♠へ列を作る>昨日から入場券を求める人たちが列を作って並んでいる。♠<会社を作る>父は独立して新しい会社を横浜に作った。♠へ敵を作る>きみは、今の一言でたくさんの敵を作ったと思わなければいけないよ。♠へしなを作る>男たちの方にちょっと首をかしげて、女はしなを作ってみせた。♠<記録を作る>彼が作った走り幅跳[はばと]びの地区記録は、半年後に破られた。♠へ金をつくる>子供の病気でまとまったものが必要になった男は、金を作るために方々頭を下げて回った。暇[ひま]を作る>父は、暇を作っては釣りに出かけます。♠へ時[とき]をつくる>毎朝一番に鳴いて時をつくるのは、わが家のおんどりです。♠<酒を造る>この地方は醸造[じようぞう]業が盛[さか]んで、酒を造る蔵元[くらもと]がたくさんあります。♠<庭を造る>さすが評判の庭師だけあって、見事なものを造ったものだ。 **つくろう【繕う】** ○修理する。修繕する。整える。ごまかす。[文例] へほころびを繕う>ユニフォームのほころびを縫[ぬ]うのは、マネージャーの仕事です。♠<靴下を繕う>最近は、穴の開いた靴下[くつした]を繕ってはくようなことは、あまりしなくなった。♠へ身なりを繕う>待ち合わせの時間が迫っていたので、母は大急ぎで身なりを繕い、でかけました。♠<世間体[せけんてい]を繕う>よた者の息子をかかえて、両親は世間体を繕うのに苦労しました。♠へ声を繕う>店にお客さんが来ると、母は声を繕って出ていきます。♠<場を繕う>いきなりうわさの本人が入ってきたものだから、その場を繕うのに大変でした。 **つけ【付け】** ○つけること。書き付け。勘定書[かんじよう]き。帳面買い。後払い、またその代金。[文例] <付けで買う>現金の持ち合わせはなかったが、知り合いのお店だったので付けで買ってきた。へ付けがきく>この店は付けがきくから、好きなだけ食べてかまわないよ。♠へ付けにする>悪いけれど今日の勘定は付けにしておいてもらえないか。♠へ付けを払う>給料が入ったから、今日は今までの付けを全部払います。 **つけあがる【付け上がる】** ○いい気になって勝手にふるまう。増長する。[文例] おだてればつけあがるし、おこればすねるし、あの子にはまったく手を焼いています。こちらが下手[したて]に出ればつけあがって、あんまりいい気になるなよ。 **つけい・る【付け入る】** ○すきや弱点をうまく利用する。つけ込む。[又例] 相手は、こちらが人がいいのにつけいって、大金をだまし取ろうとしていた。♠<弱点につけいる>相手の弱点につけいって、話を有利に運ぼうなどと考えてはいけない。♠<油断につけいる>わずかな油断につけいられないよう、空き巣ねらいなどには注意しましょう。♠へつけいるすき>試合開始から終了まで、まったく相手につけいるすきを与えず完勝した。 **つげぐち【告げ口】** ○こっそりと他人に告げ知らせること。密告。[文例] <告げ口をする>けんかに負けたからって先生に告げ口をするなんて、男らしくないぞ。♠へ告げ口する>この中に、我々の計画を反対派に告げ口した裏切り者がいるらしい。 **つけこ・む【付け込む】** ○すきや弱点をつく。つけいる。帳簿に書き入れる。[文例]]お酒を飲むと気が大きくなるのに付け込んで、おじさんからおこづかいをせしめてやった。♠<弱みに付け込む>人の弱みに付け込んで無理難題を押しつけるとは、なんていやな男なんだ。 **つけた・す【付け足す】** ○付け加える。補足する。[文例] <糸を付け足す>編み物の毛糸が足りなくなったので、少し色の違う糸を付け足すことにしました。♠へ言葉を付け足す>プリントの最後に、雨が降ったら中止ということを付け足しておいてください。♠へ説明を付け足す>納得のいかない人がかなりいるようですから、もう少し説明を付け足しましょう。♠へ付け足し>どうせぼくは、きみたち二人の付け足しにすぎないんだろう? **つけねら・う【付けねらう】** (付け狙う)○あとをつけて機をうかがう。[文例] <獲物をつけねらう>草食動物の子供は、肉食動物からつけねらわれることが多い。♠人命をつけねらう>国王の命をつけねらう者がいるらしい。 **つけめ【付け目】** ○目をつけるところ。つけこむところ。ねらい目。[文例] <付け目がよい>若い女性を対象にするという商売の付け目がよく店は発展していった。♠金が付け目>男が彼女に近づいたのは、お金が付け目だったのです。♠<付け目となる>社長の人のよさが従業員の付け目となり、次々と無理な要求が突きつけられた。 **つけやきば【付け焼き刃】** ○刃だけに鋼[はがね]をつけたなまくらな刀。にわか仕込みでよく身についていないこと。[文例] 儀礼作法ったって、あの子のは付け焼き刃だから、すぐメッキははげるさ。♠へ付け焼き刃の学問>大学へ通っただけの付け焼き刃の学問で人生の何たるかがわかるものか。 **つける【付ける・着ける・就ける】** (附ける・点ける)○合わせる。付着する。くっつける。触れる。跡を残す。着る。帯びる。加える。備える。添える。与える。ついて行く。そばに置く。注意する。定める。位置・地位に置く。書き込む。値を決める。後払いにする。燃やす。ともす。作動させる。至らせる。届かせる。[文例] <インクを付ける>うっかりして、セーターにイ <713> ンクを付[つ]けてしまった。♠ヘボタンを付[つ]ける>学生[がくせい]服[ふく]のボタンがとれてしまったので、付[つ]けてくれないか。♠へ手[て]を付[つ]ける〉人[ひと]の物[もの]に手[て]を付[つ]けることは、絶対[ぜったい]に許[ゆる]さないぞ。♠へ大地[だいち]に足[あし]を付[つ]ける〉きみのように落[お]ち着[つ]きのないのはいかん。大地[だいち]にしっかり足[あし]を付[つ]けた生[い]き方[かた]をおぼえなさい。♠◆ヘロを付[つ]ける〉口[くち]を付[つ]けたものは、最後[さいご]まで残[のこ]さずに食[た]べなさい。♠〈味[あじ]を付[つ]ける>子供[こども]にも食[た]べやすいように、ちょっと砂糖[さとう]で味[あじ]を付[つ]けてあります。♠〈おまけを付[つ]ける〉ワインを買[か]ってくれた人[ひと]には、おまけにグラスを付[つ]けます。♠へ薬[くすり]を付[つ]ける〉昔[むかし]から、ばかに付[つ]ける薬[くすり]はないと言[い]います。♠へ傷[きず]を付[つ]ける〉大切[たいせつ]な器[うつわ]ですから、傷[きず]など付[つ]けないようにしてください。♠く跡[あと]を付[つ]ける〉だれだ、廊下[ろうか]に泥[どろ]だらけの足跡[あしあと]を付[つ]けたのは。♠へ跡[あと]を付[つ]ける〉この足跡[あしあと]を付[つ]けていけば、きっと獲物[えもの]の巣[す]にたどりつくに違[ちが]いない。♠へ見張[みは]りを付[つ]ける〉行動[こうどう]に不審[ふしん]な点[てん]がある者[もの]には、見張[みは]りを付[つ]けておくことにしよう。♠〈火[ひ]を付[つ]ける〉兄[にい]さんはガスに火[ひ]を付[つ]けたままで、部屋[へや]を出[で]ていってしまいました。♠へ明[あ]かりを付[つ]ける〉だいぶ暗[くら]くなってきたので、明[あ]かりを付[つ]けましょうか。♠〈テレビを付[つ]ける〉家[いえ]に帰[かえ]ると、何[なに]をさておいても、まずテレビを付[つ]ける。♠〈身[み]に付[つ]ける〉新[あたら]しい知識[ちしき]をどんどん身[み]に付[つ]けていきたいと思[おも]う。♠〈身[み]に着[つ]ける〉彼女[かのじょ]のプレゼントはなんだと思[おも]う。ヒントは身[み]に着[つ]ける物[もの]だよ。♠〈岸[きし]に着[つ]ける〉こんなに波[なみ]が高[たか]くては、船[ふね]を岸[きし]に着[つ]けることができない。♠〈手[て]に職[しょく]を付[つ]ける>若[わか]いうちに手[て]に職[しょく]を付[つ]けておかないと、社会[しゃかい]に出[で]て苦労[くろう]する。♠へ職[しょく]に就[つ]ける〉怠[なま]け者[もの]の息子[むすこ]を職[しょく]に就[つ]けようと、親[おや]たちはそうとう苦労[くろう]したようです。♠◆ヘノートに付[つ]ける〉兄[あに]は、今年[ことし]になってから起[お]こった地震[じしん]の記録[きろく]を、一[ひと]つ残[のこ]らずノートに付[つ]けています。♠〈日記[にっき]を付[つ]ける〉お父[とう]さん、一月[いちがつ]も半[なか]ばだけど、まだ日記[にっき]付[つ]けてるの?♠〈点数[てんすう]を付[つ]ける〉お父[とう]さんに点数[てんすう]を付[つ]けると、七十五点[ななじゅうごてん]ってところかな。♠〈値段[ねだん]を付[つ]ける〉老人[ろうじん]は、その絵[え]に十万[じゅうまん]円[えん]という値段[ねだん]を付[つ]けて売[う]りに出[だ]したそうです。♠へ支払[しはら]いを付[つ]ける〉この代金[だいきん]は、会社[かいしゃ]の方[ほう]につけておいてください。♠〈目[め]を付[つ]ける〉弟[おとうと]はぼくの持[も]っているプラモデルに、早[はや]くから目[め]を付[つ]けているようだった。♠へ気[き]を付[つ]ける>床[ゆか]にガラスの破片[はへん]がちらばっていますから気[き]を付[つ]けてくださいね。♠〈精[せい]を付[つ]ける〉合宿[がっしゅく]も近[ちか]いことだし、みんなでうなぎでも食[た]べて精[せい]を付[つ]けるとしようか。♠へ知恵[ちえ]を付[つ]ける〉だれだい、こんな小[ちい]さな子[こ]に悪[わる]い知恵[ちえ]を付[つ]けたのは。♠へ文句[もんく]を付[つ]ける〉高[たか]いだの、型[かた]が古[ふる]いだのと客[きゃく]はいろいろ文句[もんく]を付[つ]けてきた。♠〈力[ちから]を付[つ]ける〉新入[しんにゅう]部員[ぶいん]も、半年[はんとし]もたつとだいぶ力[ちから]を付[つ]けてきたようだ。♠へ勝負[しょうぶ]を付[つ]ける〉どちらが速[はや]いと口[くち]で言[い]い合[あ]っていてもらちがあかないから、ひとつ勝負[しょうぶ]を付[つ]けよう。♠く話[はなし]を付[つ]ける〉「今日[きょう]こそはっきり話[はなし]を付[つ]けてくるぞ」と言[い]って、父[ちち]は取[と]り引[ひ]き先[さき]へ出[で]かけて行[い]った。♠へ片[かた]を付[つ]ける〉片[かた]を付[つ]けなければならない問題[もんだい]がたまってしまった。♠〈目星[めぼし]を付[つ]ける〉この間[あいだ]、いろんなお店[みせ]をまわって、今日[きょう]買[か]うワンピースの目星[めぼし]を付[つ]けておいたの。♠へ~につけ~につけ〉寒[さむ]いにつけ、暑[あつ]いにつけ、外[そと]で仕事[しごと]をする人[ひと]たちは大変[たいへん]です。♠へそれにつけても〉それにつけても、金[かね]がほしいなあ。♠へどなりつける〉自分[じぶん]のことは自分[じぶん]でやれと、息子[むすこ]をどなりつけてやったんだ。 **つ・ける【漬ける】(浸ける)** ○液体[えきたい]の中[なか]に入[い]れる。野菜[やさい]をみそ・塩[しお]などの中[なか]に入[い]れて熟成[じゅくせい]させる。[又例]〈水[みず]につける〉取[と]ってきたスイカは、井戸[いど]の水[みず]につけて冷[ひ]やしておきましょう。♠く液[えき]につける〉解剖[かいぼう]して取[と]り除[のぞ]いた内臓[ないぞう]は、ホルマリン液[えき]につけておきなさい。♠へ白菜[はくさい]を漬[つ]ける〉母[はは]は今[いま]台所[だいどころ]で、白菜[はくさい]を漬[つ]ける用意[ようい]をしております。♠〈塩[しお]で漬[つ]ける>梅[うめ]の実[み]を塩[しお]で漬[つ]け、しその葉[は]を入[い]れておけば梅干[うめぼ]しができあがる。♠へぬかみそを漬[つ]ける〉最近[さいきん]ぬかみそを漬[つ]ける家庭[かてい]は少[すく]なくなってきました。 **つ・げる【告げる】** ○言[い]い聞[き]かせる。知[し]らせる。[文例]〈別[わか]れを告[つ]げる>長年[ながねん]住[す]みなれた町[まち]に別[わか]れを告[つ]げ、われわれは船[ふね]に乗[の]り込[こ]んだ。♠へ名前[なまえ]を告[つ]げる〉男[おとこ]はこの小箱[こばこ]を手渡[てわた]すと、名前[なまえ]も告[つ]げずに立[た]ち去[さ]った。♠へ来客[らいきゃく]を告[つ]げる〉書斎[しょさい]で仕事[しごと]をしている父[ちち]に、母[はは]が来客[らいきゃく]を告[つ]げました。♠〈真実[しんじつ]を告[つ]げる>彼女[かのじょ]がショックを受[う]けることはわかっていましたが、ぼくは本人[ほんにん]のために真実[しんじつ]を告[つ]げたのです。♠〈時[とき]を告[つ]げる〉時計[とけい]が十二時[じゅうにじ]を告[つ]げると、辺[あた]りが元[もと]のやみにもどった。♠へ暁[あかつき]を告[つ]げる>深[ふか]い霧[きり]の中[なか]、暁[あかつき]を告[つ]げる山寺[やまでら]の鐘[かね]の音[おと]が聞[き]こえてくる。♠〈到来[とうらい]を告[つ]げる〉高原[こうげん]には冬[ふゆ]の到来[とうらい]を告[つ]げる冷[つめ]たい北風[きたかぜ]が吹[ふ]き始[はじ]めている。♠〈風雲[ふううん]急[きゅう]を告[つ]げる〉国境[こっきょう]には両軍[りょうぐん]が集結[しゅうけつ]し、一触[いっしょく]即発[そくはつ]の風雲[ふううん]急[きゅう]を告[つ]げる状勢[じょうせい]となった。 **つごう【都合】** ○物事[ものごと]のかねあいや全体[ぜんたい]のなりゆき。やりくりすること。合計[ごうけい]。[文例]〈家[いえ]の都合[つごう]〉残念[ざんねん]ですが、明日[あした]は家[いえ]の都合[つごう]で欠席[けっせき]させていただきます。♠〈都合[つごう]が良[よ]い・悪[わる]い〉火曜日[かようび]は都合[つごう]が悪[わる]いんだ、ほかの日[ひ]にしてくれないかい。♠〈金[かね]の都合[つごう]〉♠〈都合[つごう]がつく〉叔父[おじ]は家[いえ]を新築[しんちく]したものの、金[かね]の都合[つごう]がつかなくて困[こま]っていた。♠〈都合[つごう]を聞[き]く〉予定[よてい]通[どお]りでいいのかどうか、先生[せんせい]のご都合[つごう]を聞[き]いておいたほうがいね。♠〈都合[つごう]のいいことを言[い]う〉お金[かね]だけじゃなく車[くるま]も貸[か]してくれだなんて、自分[じぶん]に都合[つごう]のいいことばかり言[い]うな。♠〈都合[つごう]を考[かんが]える〉相手[あいて]の都合[つごう]を考[かんが]えて、ぼくはいつもより三十分[さんじゅっぷん]早[はや]く家[いえ]を出[で]た。♠〈都合[つごう]する〉きみの大学[だいがく]への入学金[にゅうがくきん]は、おじさんが都合[つごう]してくれるに違[ちが]いない。♠へ都合[つごう]五万[ごまん]円[えん]>屋根[やね]の修理[しゅうり]には、ペンキ代[だい]やら何[なに]やらで都合[つごう]五万[ごまん]円[えん]もかかりました。 **つじつま(辻褄)** ○物事[ものごと]のすじみち。道理[どうり]。[文例]へつじつまが合[あ]う〉よく聞[き]いてみると、弟[おとうと]の言[い]うことはつじつまが合[あ]っていないことに気[き]がついた。♠◆ヘつじつまを合[あ]わせる〉きみが休[やす]んだことがわからないように、ちゃんと彼[かれ]とつじつまを合[あ]わせておいたからね。♠へ話[はなし]のつじつま〉そのとき雨[あめ]が降[ふ]っていたなんて、それでは話[はなし]のつじつまが合[あ]っていないじゃないか。 **つた・う【伝う】** ○ある物[もの]に沿[そ]って移動[いどう]する。[文例]〈ロープを伝[つた]う〉非常[ひじょう]の時[とき]には、備[そな]え付[つ]けのロープを伝[つた]って避難[ひなん]するように指示[しじ]されている。♠〈石垣[いしがき]を伝[つた]う〉浜[はま]に行[い]くのなら、この石垣[いしがき]を伝[つた]っていくのがいちばん近道[ちかみち]ですよ。♠へひもを伝[つた]う>洗濯[せんたく]物[もの]を干[ほ]したひもを伝[つた]って、しずくがポタポタ落[お] <714> **つたえきく** ちている。♠へ涙がほおを伝う>気がつくと、涙がほおを伝っていた。♠へ手すりを伝う>明かりがないので、手すりを伝わなければ、階段を上れない。♠へ屋根を伝う>どうやら犯人は屋根を伝って逃走[とうそう]したらしい。♠<尾根[おね]を伝う>登山隊十一人は、吹雪[ふぶき]の中、尾根を伝って進んでいったのです。 **つたえき・く【伝え聞く】** ○他人を通じて聞く。うわさに聞く。[文例] 伝え聞くところによると、先生は八月にアメリカへ出かけるそうだ。♠ルイスさんは身長一メートル九十、体重百十キロ、伝え聞いていた通りの大男でした。♠今日秋田さんが遅刻することは、丸山さんから伝え聞いている。 **つた・える【伝える】** ○一方から他方へ移す。受け取ったものを他へ渡す。後世に残す。言い知らせる。伝言する。[文例] <熱を伝える>熱をよく伝える金属として、鉄や銅があげられる。♠<用件を伝える>あいにくお母さまがいらっしゃらなかったので、用件だけを伝えて来ました。♠へ伝言を伝える>電話をいただきたいと、伝言をお伝えください。♠へ情報を伝える>情報を伝えるマスメディアには、テレビ、ラジオ、新聞などがある。♠へ技術・知識を伝える>子供たちは毎日の生活の中で、技術や知識を親から伝えられているのです。♠<今に伝える>このお祭りは、当時の農民の生活をよく今に伝えています。♠<風情[ふぜい]を伝える>東京の下町には、江戸[えど]の風情を伝えるものがあちこちに残っている。へよろしく伝える>わたしは、これで失礼しますが、奥様[おくさま]によろしくお伝えください。 **つたな・い(拙い)** ○巧みでない。劣っている。運が悪い。[文例] へつたない絵>子供たちのつたない絵の中にも、心に残るものがたくさんありました。♠へつたない文>つたない文でつづられた妹の手紙に、故郷の春を思い出していた。♠へつたない字>壁に残っている落書きのつたない字は、いとこのやっちゃんが書いたものです。♠へ武運[ぶうん]つたなく>戦いは味方の勝利に終わったものの、中隊長は武運つたなく戦死した。 **つたわ・る【伝わる】** ○ある物に沿って移る。一方から他方へ移り届く。伝えられる。広められる。もたらされる。[文例] <雨水がといを伝わる>屋根に積もった雪は、春になってとけ出すと、といを伝わって池に流れこむ仕組みになっている。♠へ枝を伝わる>子ザルはわたしが用意したえさを見つけると、木の枝を伝わって下りてきた。♠<相手に伝わる>ぼくの言いたかったことは、どうやら相手には伝わらなかったようだ。♠へ名が後世に伝わる>小説家としてのその男の名は、後世に伝わっていきました。♠<祖先から伝わる>現代の生活習慣のほとんどが祖先から伝わってきたものです。♠へうわさが伝わる><耳に伝わる>犯人は内部にいるらしいといううわさがぼくの耳にも伝わってきた。♠へ気持ちが伝わる>この手紙を読んでいると、彼の気持ちが伝わってきます。へ心に伝わる>言葉は通じなかったが、メアリーの真剣な気持ちは、ぼくの心にも伝わってきた。♠ヘニュースが伝わる>大統領暗殺のニュースは、その日のうちに全世界に伝わりました。♠<光・音が伝わる>光が音よりも速く伝わることは、みんな知っていると思います。♠へ熱が伝わる>金属の中にも、熱が伝わりやすいものと、伝わりにくいものがあります。♠<仏教が伝わる>日本に仏教が伝わったのは、六世紀の中ごろのことです。 **つち【土】** ○土壌。土地。大地。相撲で黒星。[又例] <土の色>都会で生活している子供たちは、土の色なんて知らないのかもしれません。♠<土がやせる・肥[こ]える>こんなやせた土では、どんな作物だって育ちはしないよ。♠<土に親しむ>土に親しむことの少ない子供たちを、先生はいも畑に連れていきました。ヘ土に帰る>男は六十五年の波乱に富んだ生涯を終え、土に帰っていった。へ日本の土を踏む>ずっとアメリカで生活していましたから、日本の土を踏むのは八年ぶりです。♠ヘ土一升[いつしよう]金一升[いつしよう]>都会の土地の値段が高いことを表す言葉に、土一升金一升があります。♠へ横綱[よこづな]に土がつく>大相撲[おおずもう]の結果です。全勝の横綱に土がつきました。 **つち(槌・鎚)** ○物をたたいたり、打ち込んだりする道具。ハンマー。[文例] <槌の音>作業場には、石仏を刻む槌の音が響き渡る。♠へつち音>戦争後の廃墟[はいきよ]に建設のつち音が響いていた。〈金づち〉壁に金づちでくぎを打ち込みました。♠<木づちンダルマ落としは、積み上げた積み木を木づちで下からはじき飛ばしていく遊びです。<打ち出の小づち>鬼をやっつけた一寸法師は、どんな願いでもかなう打ち出の小づちを手に入れた。 **つちか・う【培う】** ○土をかけて草木を育てる。養い育てる。[文例] <愛社精神を培う>新入社員の愛社精神を培う目的で、研修旅行が行われました。♠<愛国心を培う>隣の国の脅威を説くことで、若者の愛国心を培おうと、国王は考えた。♠へ向学心を培う>日々の学校生活の中で、生徒たちの向学心が培われていくといいですね。♠へ姿勢を培う>何事にも謙虚な彼女の姿勢は、幼いころの生活で培われたものです。へ心の中に培う>発表された小説の構想は、十年以上も作者の心の中に培われていたそうです。♠へ体力を培う>父の仕事を手伝うことによって、彼の体力は自然に培われていった。 **つつ【筒】** ○円筒形の物。銃や大砲の銃身・砲身。また、銃砲。[文例] <竹の筒>竹の筒をくり抜いて水筒[すいとう]として使う。♠<筒にする>画用紙を丸めて筒にして、望遠鏡のようにのぞいてみます。 **つつがな・い(恙ない)** ○病気やけががなく無事である。事故や障害がない。[例] <つつがなく暮らす>母はもう八十を越えましたが、病気一つせずつつがなく暮らしています。♠へつつがなく帰郷する>四年間の大学生活を終え、彼女はつつがなく帰郷した。♠へ空路つつがなく>おかげさまで空路つつがなく、予定の時刻に帰国することができました。♠へつつがなく進む>心配された反対派の妨害[ぼうがい]もなく、工事はつつがなく進んでいる。♠へつつがなく進行する>パーティーはつつがなく進行し、七時過ぎにはみなさんお帰になりました。 **つづき【続き】** ○続くこと。後に続く部分。続き具合。[文例] <715> **つつしむ** <歌詞の続き>小さいころよく歌った歌なのに、歌詞の続きがどうしても思い出せない。♠<話の続き>おばあさんの昔話の続きを聞きたくて、子供たちは毎日のように集まってきます。♠へ文の続き><続きが悪い>接続詞が「しかし」だと、この場合、二つの文の続きが悪い。♠く続きがある>彼の海外旅行での失敗談には、まだまだ続きがあるんだよ。♠<陸続き>あそこは島のように見えますが、実は陸続きになっているのです。♠<日照り続き>八月に入ってから日照り続きで、池の水も干上がってしまった。♠く切れ続き「、」や「。」は、語や文の切れ続きをはっきりさせるために用います。 **つつ・く(突つく)** ○軽く(何度も)突く。突くようにして食べる。そそのかす。とがめる。[文例] <棒でつつく>棒ではちの巣をつついたりしたら、死ぬ目にあいます。♠へ背中をつつく>背中をつつかれた気がして振り返ったが、だれもいない。♠へなべをつつく>家族みんなでなべをつつくのは、冬の夜の楽しみの一つです。♠へ尻[しり]をつつく>体育委員の尻をつついてグローブとバットを借りに行かせた。ヘミスをつつく>課長から小さなミスをしつこくつつかれて、わたしはむっとした。 **つづく【続く】** ○切れずにつながる。連続する。次々に起こる。後に従う。次ぐ。[文例] <畑が続く>道路の左側は、どこまでもとうもろこし畑が続いている。♠へ道が続く>この県道は港まで続いています。♠<雨の日が続く>十月に入って、雨の日が何日も続いている。♠<日照りが続く>これ以上日照りが続くと、農作物に影響[えいきよう]が出てきます。♠へ時代が続く>幕府が禁教政策を敷いてから、キリスト教徒にとって暗黒の時代は二百年以上も続いた。♠<戦争が続く>大陸での戦争は四年間も続きました。♠<絶え間なく続く>雨の日も風の日も、工事は絶え間なく続いていた。♠へ事件が続く>このところ、子供を誘拐[ゆうかい]する事件が続いて、親たちを不安にさせている。♠<後に続く>六年生の後に続いて、小さな花を持ったかわいい一年生が入場してきました。へ前から続く>問題は前ページから続いているので注意しなさい。♠へ意味が続くここに接続詞を入れないと、文章の意味が続かないよ。♠<首位に続く>二ゲーム差で中日が首位の広島に続く。♠へ金が続かない>去年の今ごろ始めたゴルフも、彼は金が続かないと言ってやめてしまった。 **つづけざま【続け様】** ○すぐ続いて起こるさま。[文例] <続けざまに聞こえる>山の方から銃声[じゅうせい]が続けざまに聞こえた。♠く続けざまに出る>続けざまに七回もくしゃみが出たので、みんな腹を抱[かか]えて大笑いです。♠へ続けざまに起こる>怪奇[かいき]現象がこの一か月間に続けざまに起こり、住民はみなおびえきっている。 **つづ・ける【続ける】** ○とぎれさせずに行う。続くようにする。つなげる。[文例] <旅を続ける>家族のことが気がかりでしたが、ぼくたちはそれから三週間旅を続けました。♠<議論を続ける>学者たちは地震予知の問題に関して、議論を続けている。♠<生長を続ける>その植物はほんのわずかな栄養分だけで、生長を続けることができる。♠<商売を続ける>こんな不景気では、この先商売を続けることはできない。♠<連勝を続ける>七月ごろわれわれのチームは好調で、連勝を続けていた。♠へ仕事を続ける>父は七十歳[さい]近くまで弁護士の仕事を続けていました。へ欠かさず続ける>兄は朝のジョギングを、もう三年の間欠かさず続けている。♠<前に続ける>ぼくは前の人の話に続けて、その後のストーリーを展開させた。♠<字を続ける>きみみたいに字を続けて書くと、読みにくくてしようがない。♠へ部屋を続ける>この仕切りを取り払って二つの部屋を続けたら、仕事もしやすいだろうな。♠へ~し続ける>山の中をまる一日歩き続けたが、だれにも出会わなかった。 **つっけんどん(突慳貪)** ○とげとげしく不親切なさま。[文例] へつっけんどんな返事>快く承知してくれると思っていたのに、予想外につっけんどんな返事が帰ってきた。♠<つっけんどんな態度>機嫌[きげん]が悪いのでしょう、話しかけてもつっけんどんな態度でむっとしています。♠へつっけんどんに扱う>店の主人が客をつっけんどんに扱うので、だいぶ売れ行きが落ちたらしい。 **つっこ・む【突っ込む】** ○突き入れる。押し込む。鋭く追及する。突入する。深く立ち入る。文例<手を突っ込む>ぼくが話しているあいだじゅう、男の子はポケットに手を突っ込んだままだった。♠く引き出しに突っ込む>散らかっている物を引き出しに突っ込んだだけじゃ、かたづけたことにならないよ。♠へ首を突っ込む>この話はあなたに関係ないんだから、首を突っ込まないでください。♠不正を突っ込まれる>市長は三年前の不正を記者団から突っ込まれ、明らかに動揺[どうよう]していた。♠<敵陣に突っ込む>三人の勇者は敵陣に突っ込み、壮烈[そうれつ]な戦死を遂[と]げた。へ一歩突っ込む>わたしの論文を読んだ教授は、もう一歩突っ込んで考えてほしかったとおっしゃった。へ突っ込んだ話>短い時間だったが、先生と二人きりだったので、突っ込んだ話をすることができた。 **つつしみ【慎み】** ○つつしむこと。つつましさ。[文例] <慎みがない>人前で大きな口をあけてばか笑いするなんて、なんと慎みのない女だろう。♠へ慎みを持つ>目上の人には、もう少し慎みを持ちなさい。♠<慎みを忘れる>慎みを忘れた娘たちの行動に、周囲は顔をしかめています。♠へ慎み深い>日本人は、慎み深いことを美徳としてきました。 **つつし・む 【慎む・謹む】** ○注意を払う。控えめにする。かしこまる。[文例] <言葉を慎む>なんていう口をきくんだ、少し言葉を慎みなさい。♠へ言動[げんどう]を慎む>軽率なふるまいの多いぼくは、先生から言動を慎むよう注意されました。♠へ暴飲暴食を慎む>お父さんはもう若くはないのだから、暴飲暴食を慎まないと、体を悪くするよ。♠<酒を慎む>この間の失敗でこりたのか、兄は最近酒を慎んでいる様子です。♠へ謹んで~する>謹んで新年のおよろこびを申し上げます。♠<謹んでおわびするご迷惑[めいわく]をかけたことを、謹んでおわびいたします。♠へ謹んで受ける>氏は助役という要職を、謹んでお受けすると市長に返答しました。 <716> **つつぬけ** く祝う>親類に不幸があった去年、家ではつつましく正月を祝いました。 **つつぬけ【筒抜け】** ○(筒の中を物が通り抜けるように)秘密がすべてもれること。話が頭の中を素通りすること。[文例] <声が筒抜け>壁が薄いので、小さな声で話さないと隣に筒抜けです。♠へ情報が筒抜け>この中にスパイがいるらしい、こちらの情報が相手に筒抜けだぞ。 **つっぱし・る【突っ走る】** ○全力で走る。突き走る。[文例] <車が突っ走る>目的地に向けて、トラックは突っ走って行く。♠く道を突っ走る>昭和十年代、戦争への道を突っ走った軍部の勢いを、日本の政治家はだれも止めることができなかった。そんなに突っ走らないで、他人の意見にも耳を傾[かたむ]けてごらん。 **つっぱ・ねる(突っ撥ねる)** ○突き飛ばす。はねつける。拒絶する。[文例] <要求をつっぱねる>会社側は、組合の賃上げ要求をつっぱねた。♠へ申し入れをつっぱねる>相手の不当な申し入れを断固としてつっぱねる。 **つっぱ・る【突っ張る】** ○棒などを物に押し当てて支える。力を入れてふんばる。意地を張る。手のひらで勢いよく突く。筋肉・皮膚などが張り詰める。[文例] <足を突っ張る>犬は両足を突っ張り、どんなに引いても動こうとしなかった。♠<顔が突っ張る>パックした後は、顔が突っ張るような感じがします。♠へ腹が突っ張る>腹の皮が突っ張れば、目の皮がたるむ。欲の皮が突っ張る>いつも金、金って、本当に欲の皮の突っ張った男だ。♠軍配[ぐんばい]が返ると、一気に突っ張って出た。♠どんなに意見しても、彼は、自分が正しいと突っ張って聞きません。 **つつまし・い(慎しい)** ○ひかえめである。質素だ。[文例] <つつましい感じ>ロビーに現れたのは、ぼくの予想に反して、つつましい感じのお嬢さんでした。へひっそりとつつましい>いろいろな花の中でも、わたしはひっそりとつつましく咲く草花が好きです。♠へつつましい生活>あの有名な女優がこんなつつましい生活をしているとは思わなかった。♠へつつましく暮らす>引退した校長先生は、京都の方で奥様[おくさま]とつつましく暮らしているそうです。♠へつつましく祝う>親類に不幸があった去年、家ではつつましく正月を祝いました。 **つつみ【包み】** ○包むこと。包んだもの。[文例] <小さな包み>ロッカーの上に、小さな茶色の包みが置[お]いてある。へ包みを開ける>弟は家に帰るまで我慢[がまん]できずに、途中で包みを開けてしまった。♠<包みを開く>他人の包みを勝手に開くとは、なんて失礼な男なんだ。♠<包みをほどく>紙の包みをほどくと、緑のパネルが出てきました。♠<包みを抱[かか]える>駅の方から大きな包みを抱えてやってくるのは、クラスの行田さんです。♠<包みにする>すみませんが、一つ一つ別の包みにしてください。 **つつ・む【包む】** ○外側をくるむ。金銭をくるんで差し出す。辺りを覆う。覆い隠す。心の中に秘める。[文例] <風呂敷[ふろしき]に・で包む>おばさんが風呂敷に包んで持ってきたのは、姉の着物でした。♠へ毛布で体を包む>守衛さんは、体を毛布で包んで仮眠していました。へ衣服に身を包む>研究室から出てきた兄は、白い作業衣に身を包んでいた。♠へお金を包む>おじの家の新築祝いにお金を包んだ。♠へ霧[きり]に包まれる>港の一帯は濃い霧に包まれ、ほとんど何も見えません。♠<炎[ほのお]に包まれる>消防車が到着[とうちゃく]したときには、建物は炎に包まれていた。♠<神秘・なぞに包まれる>このピラミッドは、今も神秘となぞに包まれています。♠<悲しみに包まれる>土砂崩れで多くの犠牲[ぎせい]者を出した村は、深い悲しみに包まれていた。へ包み隠[かく]さず>きみがやったことはもうわかっているんだ、包み隠さず白状しなさい。 **つづり(綴り)** ○つづること。つづったもの。外国語の単語の書き方。[文例] <用紙のつづり>彼は書きためた作文だと言って、原稿用紙のつづりを出してきた。♠へ単語のつづり>わからない単語のつづりは辞典で調べて、しっかり覚えましょう。 **つづ・る(綴る)** ○紙をとじ合わせる。言葉を連ねて文章を作る。アルファベットを並べて単語を書く。[文例] <思い出を作文につづる>修学旅行の思い出をつづった島田さんの作文が文集に載っている。へ文章につづる>父は日ごろ思っていたことを文章につづり、新聞に投稿[とうこう]した。英語でつづる>その単語は英語でどうつづるか知っているかい。♠<ローマ字でつづる>きみの名前をローマ字でつづってごらん。♠へ物語をつづる>彼女の人生は、血と汗でつづった一つの物語だと言ってもいいだろう。♠<糸でつづる>その書類は、ホッチキスでなく糸でつづってまとめるよう指示されている。へ書きつづる>山小屋に置かれたノートには、登山者たちの思いがあれこれと書きつづってあった。 **つど【都度】** ○物事をするたび。その時はいつでも。[文例] <その都度>質問がありましたら、その都度答えますので、遠慮なく手を挙げてください。♠へ食事の都度>わたしは食事の都度、歯をみがくようにしている。♠へ〜する都度>朝庭に水をまく都度、木々の新芽がふくらんでいくような気がする。 **つどい【集い】** ○集まり。[文例] <若人の集い>オリンピックは四年に一度催される、若人の集いです。♠<音楽の集い>コンサートホールでは、クラシック音楽の集いが開かれている。 **つど・う【集う】** 集まる。[文例] <選手が集う>オリンピックは四年に一度、世界の名選手が集うスポーツの祭典です。♠<卒業生が集う>会場には約百人の卒業生が集い、お互いに旧交を暖めていた。♠<場に集う>同じ目的をもって、この場に集う若者たちの表情には、はっきりと決意を読みとることができる。 **つとに(風に)** ○早くから。以前から。[文例] 博士は、世界の医学界でつとに有名な方です。♠明子はつとにフランス語と舞踏[ぶとう]との教育を受けていた。(芥川[あくたがわり] 龍之介[りゆうのかり]「舞踏会」) **つとま・る【勤まる】** ○つとめることができる。[文例] <仕事が勤まる>なまけ者のきみには、時間に厳しいこの仕事は勤まらないだろう。♠へ役が勤まる>台本どおりにしゃべればいいのだから、司会の役はこのタレントで十分勤まる。 **つとめ【務め・勤め】** ○任務。職務。責務。勤務。日課。僧の修 <717> 行[ぎょう]。勤行[ごんぎょう]。[例]〈務[つと]めを果[は]たす〉高山[たかやま]さんは委員[いいん]としての務[つと]めを立派[りっぱ]に果[は]たしました。♠◆く務[つと]めを終[お]える〉父[ちち]は海外[かいがい]特派員[とくはいん]の務[つと]めを終[お]え、昨夜[ゆうべ]遅[おそ]く成田[なりた]に到着[とうちゃく]した。♠へ国民[こくみん]の務[つと]め〉納税[のうぜい]は、国民[こくみん]としての務[つと]めです。♠へ勤[つと]めを休[やす]む〉どうしたんだろう、あのまじめな男[おとこ]が三日[みっか]も続[つづ]けて勤[つと]めを休[やす]んでいる。♠◆く勤[つと]めに出[で]る>高校[こうこう]を卒業[そつぎょう]した姉[あね]は近[ちか]くのスーパーに勤[つと]めに出[で]ています。♠へ朝[あさ]のお勤[つと]め>毎朝[まいあさ]六時[ろくじ]になると、近[ちか]くのお寺[てら]から、朝[あさ]のお勤[つと]めの声[こえ]が聞[き]こえてくる。 **つとめて【努めて】(勉めて)** ○努力[どりょく]して。できるだけ。[文例]みんなが興奮[こうふん]している中[なか]で、彼女[かのじょ]は努[つと]めて冷静[れいせい]を保[たも]とうとしていた。♠◆敵[てき]に怪[あや]しまれぬよう、情報[じょうほう]部員[ぶいん]は努[つと]めて平静[へいせい]を装[よそお]っていた。♠内心[ないしん]はおかしくてたまらなかったが、弟[おとうと]には努[つと]めてまじめな顔[かお]で答[こた]えました。♠先生[せんせい]は自分[じぶん]の生徒[せいと]たちに対[たい]して、努[つと]めて平等[びょうどう]に接[せっ]してきたつもりです。 **つと・める【努める・務める・勤める】** ○努力[どりょく]する。任務[にんむ]を果[は]たす。勤務[きんむ]する。仏[ほとけ]につかえる。[文例]〈発展[はってん]に努[つと]める〉上田[うえだ]さんはもう十年[じゅうねん]以上[いじょう]も、会[かい]の発展[はってん]に努[つと]めてきました。♠〈開発[かいはつ]に努[つと]める〉その夜[よる]は、駅前[えきまえ]の再開発[さいかいはつ]に努[つと]めた人[ひと]たちの慰労[いろう]会[かい]が設[もう]けられた。♠〈泣[な]くまいと努[つと]める〉みんなの手前[てまえ]、泣[な]くまいと努[つと]めたが、あふれる涙[なみだ]をどうすることもできなかった。♠へ係[かかり]を務[つと]める〉進行[しんこう]係[がかり]を務[つと]めたのは、三田[みた]君[くん]のお兄[にい]さんです。♠へ司会[しかい]を務[つと]める〉結婚式[けっこんしき]の司会[しかい]を務[つと]めるのは初[はじ]めてだったので、昨夜[ゆうべ]は緊張[きんちょう]してなかなか眠[ねむ]れなかった。♠〈代役[だいやく]を務[つと]める〉けがで退場[たいじょう]した正選手[せいせんしゅ]に代[か]わって、補欠[ほけつ]の彼[かれ]がみごとに代役[だいやく]を務[つと]めました。♠〈銀行[ぎんこう]に勤[つと]める〉大学[だいがく]を卒業[そつぎょう]した姉[あね]は、銀行[ぎんこう]に勤[つと]めている。♠〈店[みせ]に勤[つと]める〉兄[あに]同様[どうよう]、弟[おとうと]も東京[とうきょう]の本店[ほんてん]に勤[つと]めています。 **つな【綱】** ○繊維[せんい]などをより合[あ]わせた太[ふと]く長[なが]い縄[なわ]。頼[たよ]りとするもの。相撲[すもう]の横綱[よこづな]が土俵入[どひょうい]りの時[とき]に付[つ]ける物[もの]。また、横綱[よこづな]の位[くらい]。[文例]<綱[つな]を巻[ま]く>巻[ま]いてあった綱[つな]に足[あし]をからませて、子犬[こいぬ]は身動[みうご]きできなくなってしまった。♠へ綱[つな]を張[は]る〉事故[じこ]現場[げんば]には綱[つな]が張[は]ってあって、関係[かんけい]者[しゃ]以外[いがい]は入[はい]れなかった。♠〈綱[つな]をたぐる>男[おとこ]は垂[た]れさがっていた太[ふと]い綱[つな]をたぐって、どんどんどんどん上[うえ]っていきました。♠◆<綱[つな]を渡[わた]る〉一本[いっぽん]の綱[つな]を渡[わた]る芸[げい]は、ブランコ乗[の]りとともにサーカスの花[はな]です。♠へ綱[つな]を締[し]める〉相撲[すもう]用語[ようご]で綱[つな]を締[し]めるというのは、横綱[よこづな]になることです。♠へ頼[たの]みの綱[つな]>頼[たの]みの綱[つな]の山田[やまだ]選手[せんしゅ]が風邪[かぜ]で欠場[けつじょう]し、ぼくたちのチームは二回戦[にかいせん]で敗退[はいたい]した。♠へ命[いのち]の綱[つな]〉シートベルトは、ドライバーにとって命[いのち]の綱[つな]とも言[い]える。♠〈綱引[つなひ]き〉最近[さいきん]、綱引[つなひ]きがまた人気[にんき]をもりかえしてきました。 **つながり(繋がり)** ○関係[かんけい]。かかわり。[文例]〈深[ふか]いつながり〉♠へつながりを持[も]つ〉この神社[じんじゃ]で行[おこな]われる行事[ぎょうじ]のほとんどが、村[むら]の農作業[のうさぎょう]と深[ふか]いつながりを持[も]っている。♠へ仲間[なかま]とのつながり〉♠へつながりを断[た]つ〉意志[いし]の弱[よわ]い彼[かれ]は、悪[わる]い仲間[なかま]とのつながりを、どうしても断[た]つことができなかった。♠へつながりがある・ない〉家[いえ]が近[ちか]いというほかに、ぼくは彼[かれ]と何[なん]のつながりもありません。♠へ事件[じけん]のつながり〉どんなに詳[くわ]しく調[しら]べても、二[ふた]つの事件[じけん]につながりを見[み]つけることはできない。♠へ心[こころ]のつながり〉言葉[ことば]は通[つう]じなかったが、二人[ふたり]の間[あいだ]には心[こころ]のつながりができ始[はじ]めていた。♠へ血[ち]のつながり〉ぼくたちは姓[せい]は同[おな]じですが、血[ち]のつながりは全[まった]くありません。 **つながる(繋がる)** ○結[むす]びつく。連続[れんぞく]する。接続[せつぞく]する。関係[かんけい]がある。[文例]へ道[みち]がつながる〉この道[みち]は町[まち]の中心[ちゅうしん]部[ぶ]を通[とお]って、国道[こくどう]につながっている。♠へ海[うみ]につながる〉浜名湖[はまなこ]は、その南端[なんたん]が太平洋[たいへいよう]につながっています。♠へ車[くるま]がつながる〉駅前[えきまえ]から車[くるま]がつながっていて、ここに来[く]るのに三十分[さんじゅっぷん]もかかったよ。♠へ人[ひと]がつながる〉幼稚園[ようちえん]の先生[せんせい]を先頭[せんとう]に、子供[こども]たちが二[に]、三十人[さんじゅうにん]つながって歩[ある]いてきた。♠へ電話[でんわ]がつながる〉何[なん]度[ど]かけても話[はな]し中[ちゅう]だったが、やっと電話[でんわ]がつながった。♠へ意味[いみ]がつながる〉次[つぎ]のカッコの中[なか]にどんな言葉[ことば]を入[い]れると、意味[いみ]がつながりますか。♠へ首[くび]がつながる〉課長[かちょう]のとりなしがなければ、今[いま]ごろ係長[かかりちょう]の首[くび]はつながっていなかっただろう。♠へ血[ち]がつながる〉知[し]らなかったのかい、彼女[かのじょ]とぼくはいとこ同士[どうし]で血[ち]がつながっているんだよ。♠へ事件[じけん]につながる>警部[けいぶ]がにらんだとおり、やはりあの男[おとこ]は事件[じけん]につながっていた。 **つなぎ(繋ぎ)** ○つなぐこと。つなぐもの。[文例]へつなぎの服[ふく]〉オートバイのライダーたちは、上[うえ]と下[した]のつながったつなぎの服[ふく]を着[き]ていた。♠〈そばのつなぎ〉そば粉[こ]はねばりが少[すく]ないので、つなぎにうどん粉[こ]を使[つか]います。♠◆ヘ話[はなし]のつなぎ〉司会[しかい]者[しゃ]は次[つぎ]の出席[しゅっせき]者[しゃ]の準備[じゅんび]ができるまで、話[はなし]のつなぎに何[なに]かしゃべり始[はじ]めた。 **つなぎと・める【つなぎ止める】(繋ぎ止める)** ○切[き]れたり離[はな]れたりしないように、しっかり止[と]める。[文例]〈緊張[きんちょう]の糸[いと]をつなぎ止[と]める〉切[き]れそうになった緊張[きんちょう]の糸[いと]を必死[ひっし]でつなぎ止[と]めた。♠へ人[ひと]をつなぎ止[と]める〉ぼくがここで彼[かれ]をつなぎ止[と]めておくから、きみは裏口[うらぐち]からさっさと逃[に]げちまいなよ。♠〈心[こころ]をつなぎ止[と]める〉恋人[こいびと]の心[こころ]をつなぎ止[と]める方法[ほうほう]が何[なに]かないものだろうか。 **つな・ぐ(繋ぐ)** ○結[むす]び止[と]める。結[むす]び付[つ]ける。接続[せつぞく]する。保[たも]たせる。[文例]〈鎖[くさり]につなぐ〉いつもは放[はな]し飼[が]いのタローも、今日[きょう]はお客様[きゃくさま]がいらっしゃるので鎖[くさり]につながれている。♠〈手[て]をつなぐ>赤[あか]い洋服[ようふく]の女[おんな]の子[こ]が二人[ふたり]、向[む]こうから手[て]をつないで歩[ある]いてくる。♠〈船[ふね]をつなぐ〉台風[たいふう]が来[く]る前[まえ]に、岸[きし]につないである船[ふね]をおかまであげてしまおう。♠へ獄[ごく]につなぐ>男[おとこ]は無実[むじつ]の罪[つみ]で七年[しちねん]も獄[ごく]につながれていたのです。♠〈電話[でんわ]をつなぐ〉この電話[でんわ]を内線[ないせん]の八番[はちばん]につないでください。♠へ記憶[きおく]をつなぐ>老人[ろうじん]のかすかな記憶[きおく]をつないでいくと、事件[じけん]の概要[がいよう]がわかってきます。♠へ命[いのち]をつなぐ〉捜索[そうさく]隊[たい]に発見[はっけん]されるまでの間[あいだ]、少女[しょうじょ]はチョコレート一枚[いちまい]で命[いのち]をつないでいたのだ。♠〈望[のぞ]みをつなぐ〉日本[にっぽん]は強敵[きょうてき]中国[ちゅうごく]チームを破[やぶ]り、最終[さいしゅう]戦[せん]に望[のぞ]みをつなぎました。 **つな・げる(繋げる)** ○結[むす]び合[あ]わせる。ひと続[つづ]きにする。つなぐ。[文例]〈さおをつなげる〉この釣[つ]りざおをつなげると三メートル以上[いじょう]になります。♠〈糸[いと]をつなげる〉赤[あか]い糸[いと]が足[た]りなくなったので、別[べつ]の糸[いと]をつなげて縫[ぬ]いました。♠へ輪[わ]をつなげる>自然[しぜん]保護[ほご]運動[うんどう]の輪[わ]をつなげて、この川[かわ]にサケを呼[よ]び戻[もど]そう。♠へ言葉[ことば]をつなげる〉感[かん]きわまって、言葉[ことば]をつなげ <718> **つなみ** することができません。♠へ文をつなげる>文と文をつなげるのに、接続詞が必要なことがある。 **つなみ【津波】** (津浪・海嘯)○海底の地震が原因で押し寄せる大きな波。[文例] <津波に襲[おそ]われる>地震の影響でこの沿岸一帯は津波に襲われる危険がある。♠へ津波が押し寄せる>岸に押し寄せた津波は、海辺の村を一飲[ひと]みにしてしまった。♠<津波のよう>貿易の自由化によって、海外からさまざまな製品や農産物が津波のように入ってきた。 **つなわたり【綱渡り】** ○細い綱の上を渡ること。危険を冒して行動すること。[文例] 空中ブランコや綱渡りは、サーカスでは根強い人気のある出し物です。♠へ綱渡りの勝利>勝つには勝ったが、再三再四のピンチでまったく綱渡りの勝利だった。♠へ危ない綱渡り><綱渡りをする>これ以上危ない綱渡りをするわけにはいかないので、営業方針を変えよう。 **つね【常】** ○いつも変わらないこと。いつもそうであること。ならわし。ふだん。平素。普通。[文例] <常とする>父は毎朝軽いジョギングと体操[たいそう]をすることを常としている。へ世の常>形あるものが滅[ほろ]びてゆくのは世の常だと、師は口ぐせのように言った。〈人の常>幸福な人生を願うのは人の常だが、実際に自分を幸福だと思える人は少ない。♠へ常である>幼いころ、ことあるごとに兄とけんかをしたが、負けて泣かされるのが常であった。へ常ならぬ>平家物語は、人の世の無常、すなわち常ならぬありさまを、悲しくも鮮やかにうたいあげています。♠<常日[つねひ]ごろ>丈夫[じょうぶ]な体になりたいと思ったら、常日ごろ、食事や運動に気をつけなければいけないよ。♠<常に>交通機関には、必要に応じて動くものと、常に動き続けているものがある。 **つねづね【常常】** ふだん。平生[へいぜい]。いつも。[文例] 他人へのいたわりを、常々心がけたいものです。♠今度の作文には、常々思っていることを書いてみよう。♠あなたが高橋さんですか。おうわさは常々伺[うかが]っていますよ。 **つね・る(抓る)** ○指先やつめで強くつまむ。また、つまんでねじる。[文例]]<手をつねる>お母さんはいたずらっ子の手をつねって、もう二度とやっちゃだめよとしかりました。♠へほっぺたをつねる>おじさんは高いびきで、少しぐらいほっぺたをつねっても目を覚ます様子がない。♠へわが身をつねって人の痛さを知れ>わが身をつねって人の痛さを知れというように、他人の立場に立って考えることも必要です。 **つの【角】** ○動物の頭部にある突き出たもの。突き出たもの。突起。[文例] <動物の角>動物の角は、皮膚が変化して固まったものだという。命へかたつむりの角>かたつむりの角は、目や触角[しょつかく]の役割を果たしています。♠<角を生やす>ネッシーを目撃[もくげき]したと言う人のなかには、頭に角を生やしていたと言う者もいる。♠<角で突く>闘牛[とうぎゅう]は華麗[かれい]だが、角で突かれる危険[おそ]を考えると恐ろしい。♠<角をつき合わす>彼らはとても仲が悪く、何かあるたびに角をつき合わせる。♠<角を出す>こんな事を知ったら、母はきっとまた角を出すにちがいない。命へ角をためて牛を殺す>角をためて牛を殺すのたとえもあるように、小さな欠点を直すためにその子をだめにしてしまうことがある。♠へ角隠[かくし]し>日本式の嫁[よめ]の頭にまわす白い飾[かざ]りの布を角隠しという。 **つの・る【募る】** ○一層激しくなる。募集する。[例] <寒さが募る>日がめっきりと短くなり、日ごとに寒さが募るようになると、冬も本番だと思う。♠へ思いが募る>勉強も手につかず、日を追うごとに彼女への思いは募るばかりだった。♠<不安が募る>冷静をよそおっていたものの、心では募る不安をおさえるのがせいいっぱいだった。♠へ焦[あせ]りが募る>残り時間もわずかとなり、選手たちの焦りは募ってきた。♠<希望者を募る>学校では、夏休みにキャンプをすることになり、まず希望者を募ることにした。♠へ寄付を募る>被災地に送る寄付を募る声が、あちこちの町角であがった。♠ヘアイディアを募る>文化祭の出し物についてクラスにアイディアを募った。 **つば(唾)** ○唾液[だえき]。つばき。[文例] へつばがたまる>梅干[うめぼ]しのすっぱさを想像したら、口の中につばがたまった。♠へつばを吐[は]く>道にやたらとつばを吐くのは良くないどころか、恥ずかしいことだよ。♠へつばをとばす>彼はつばをとばしながら、大声で一気にまくしたてた。♠く手につばをする>男は手につばをしてからハンマーを振るい始めた。♠ヘつばを飲みこむ>話の予想外な展開に、ぼくは思わずゴクッとつばを飲みこんだ。へつばをつける>指につばをつけてページをめくるのは、見ていて汚らしい感じがします。♠へつばをつける>掘り出し物があったので、店の人にだれにも売らないようにとつばをつけておいた。♠天につばする>天につばする行為をすれば、その報いは当然自分に帰ってくる。♠<まゆにつばをつける><まゆつば>あの人の話は、まゆにつばをつけて聞いたほうがいいような、いわゆるまゆつばものだから気をつけなさいよ。 **つばさ【翼】** ○鳥類の羽。飛行機の主翼と尾翼。[文例]]<鳥の翼>この鳥は茂[しげ]みの中で生活しやすいよう、翼が退化してしまっている。〈飛行機の翼>どの飛行機の翼にも、国や所属する会社のマークが入っていた。♠<翼を広げる>コンドルは翼を広げると三メートル以上もある大型の鳥で、中南米の岩場に住んでいる。♠<翼を休める>この湖は、北から渡ってきた鳥たちが翼を休めるのにはかっこうの場所です。♠<翼を傷める>小屋の中には翼を傷めて飛べなくなった白鳥が飼[か]われていた。♠へ想像の翼>自由に想像の翼を広げ、心に浮かぶイメージを詩に書いてみよう。 **つぶ(粒)** ○丸くて小さいもの。また、それを数える語。寄り集まったものの中の一つ一つ。また、その一つ一つの質。[文例] <砂の粒>テーブルの上には茶色っぽい砂の粒がこぼれていた。涙[なみだ]の粒>さすがに勝ち気な姉の目にも、涙の粒がきらりと光っている。♠へ粒が大きい・小さい>この川で取れるしじみは、粒は小さいが味がいいので、けっこう高い値段で取り引きされます。♠く粒がそろう>買ってきたみかんは、そう大きくはないが、粒がそろっていてなかなかおいしかった。♠<粒がそろう>今年は選手の粒がそろってい <719> **つべこべ** るので、相当よい成績が期待できそうだ。♠へ<大粒の雨>駅に行く途中で大粒の雨が降ってきました。♠<薬の粒>この薬は漢方です。食間[しよつかん]に三粒ずつ飲んでください。♠へ粒ぞろい>今年の新人は粒ぞろいでレベルが高い。♠ヘ粒より>この高校には、県下の中学から粒よりの秀才たちが入学してくる。 **つぶさに(具に)** ○細かに詳しく。もれなく。[文例] <つぶさに調べる>調査団は、事故の原因を二か月にわたってつぶさに調べました。♠へつぶさに語る>彼はいすに座ると、昨日の不思議な話をつぶさに語ってくれた。♠ヘつぶさに説明する>アナウンサーが現場からの報告をもとに、状況[じようきよう]をつぶさに説明しています。われわれがつぶさに辛酸[しんさん]をなめつくしたことは、神もご存じであろう。 **つぶし(潰し)** ○つぶすこと。つぶしたもの。別の用途にあてること。[文例] <つぶしが利く>ぼくは文学部なので就職先も限られていて、つぶしが利かないんだ。♠へ暇[ひま]つぶし>友達が来るまでの暇つぶしに、わたしはノートに漫画をかき始めた。♠<時間つぶし>午後は時間つぶしに映画館へ入った。へごくつぶし>この大飯食[おおめしぐ]らいのごくつぶしめ、ちっとは働いたらどうだ! **つぶ・す(潰す)** ○力を加えて形を崩す。ぺちゃんこにする。変形して他の用途にあてる。食べるために家畜を殺す。働きを失わせる。だめにする。空きを埋める。時間を費やす。誤りを直す。[文例]]<蚊[か]をつぶす>テーブルの上の蚊をつぶしたら、すでに血を吸っていた。♠へ鐘をつぶす>戦争中は有名な寺の鐘までもつぶして、武器を作ったのです。♠へ物置をつぶす>裏の物置をつぶして、ぼくの勉強部屋を作ることになった。♠へ鶏[にわとり]をつぶす>庭で飼っていた鶏をつぶして、ごちそうを作ってくれた。へ会社をつぶす>新事業に失敗し、氏はとうとう自分の会社をつぶしてしまった。へ声をつぶす>夢中で応援[なちゅうおうえん]していたものだから、声をつぶしてしまいました。♠ヘチャンスをつぶす>オーディションに遅刻[ちこく]してしまい、せっかくのチャンスをつぶしてしまった。へ顔をつぶす>仕事に失敗し、わたしを推薦[すいせん]してくれた知人の顔をつぶしてしまった。♠へ肝をつぶす>死んだと思っていたおじいさんが帰ってきたものだから、みんなは肝をつぶした。♠へ時間をつぶす>待ち合わせにまだ間があったので、喫茶店で時間をつぶした。♠へ暇[ひま]をつぶす>することもないし、本でも読んで暇をつぶすかな。♠<ミスをつぶす>随分まちがいの多い原稿だが、始めから読み直して一つ一つつぶしていこう。 **つぶやき(呟き)** ○つぶやくこと。つぶやく言葉・声。[又例] <かすかなつぶやき>隣[となり]に座っていた老人のかすかなつぶやきが、わたしに大きなヒントを与えたのです。♠へつぶやきがもれる>市民の口からは王様に対する不満のつぶやきがもれていました。♠<大地のつぶやき>洞[どう]くつの奥[おく]深くから伝わってくる震動[しんどう]は、私には大地のつぶやきのように感じられた。 **つぶやく(呟く)** ○小声でひとり言を言う。[又例] <小さくつぶやく>ぼくが悪いんじゃないやいと、弟は小さくつぶやきました。♠へぶつぶつつぶやく>ぶつぶつつぶやいていないで、言いたいことがあるのならはっきり言いなさい。♠<ぼそぼそつぶやく二階に行って姉の部屋をのぞくと、姉は写真に向かってぼそぼそつぶやいていた。へ心の中でつぶやく>心の中では反対をつぶやいていても、面と向かって口に出す勇気がなかった。♠ヘ口の中でつぶやく>楽屋では緊張[きんちょう]した顔つきの役者が、長いせりふを口の中でつぶやいていた。心でつぶやく>口には出せなかったが、早く帰ってくればいいのにと、心でつぶやいていた。♠へつぶやくように言う>これで終わりだなと、男はつぶやくように言いました。 **つぶ・る(瞑る)** ○目を閉じる。つむる。[文例] <目をつぶる>ぼくは目をつぶって、あのときの兄の姿を思い出そうとした。へ目をつぶる>ベッドに入って無理に目をつぶっても、興奮してなかなか寝つけませんでした。♠人失敗に目をつぶる>度重なるぼくの失敗にも、父は黙って目をつぶっていてくれました。♠へわがままに目をつぶる>今になって、あの人がわたしのわがままにも目をつぶっていたことがわかったのです。♠へ悪事に目をつぶる>日ごろおとなしい村長さんも、彼らの悪事には目をつぶっているわけにはいかなかった。 **つぶ・れる(潰れる)** ○力が加わって形が崩れる。ぺちゃんこになる。働きが失われる。だめになる。空きが埋まる。時間が費やされる。[文例] <ケーキがつぶれる>箱[はこ]をまっすぐにしておかないと、中のケーキがつぶれてしまうよ。♠へ家がつぶれる>積雪の多い北陸地方では、屋根に積もった雪の重みで家がつぶれることもあります。<まめがつぶれる>まめがつぶれたところにはばんそうこうを巻きますから、試合には影響[えいきよう]ありません。♠へ目がつぶれる>虫めがねなんかで太陽を見たら、目がつぶれてしまいます。♠へ胸がつぶれる>我が子が警察[けいさつ]に、と聞いて、胸のつぶれる思いがしました。♠へ肝がつぶれる>暗い部屋でいきなり手をつかまれて、肝がつぶれるほどびっくりした。♠<面目[めんぼく]がつぶれる>自慢[じまん]していたわりには一回も勝つことができず、彼女はすっかり面目がつぶれてしまった。♠<会社がつぶれる>不景気のあおりを受けて、父の会社も今年の三月につぶれてしまいました。♠へ酔ってつぶれる>わたしが来る前にもかなり飲んでいたのでしょう、兄はしばらくすると酔ってつぶれてしまった。♠<暇がつぶれる>こんな小さな部屋でも、隅々[すみずみ]までかたづけるとなると、けっこう暇がつぶれるものだ。♠ヘ一日がつぶれる>昨日は朝からお客さんがいらっしゃって、丸一日がつぶれてしまいました。 **つべこべ** あれこれとうるさく言うさま。[文例] へつべこべ言う>今まで何もしなかったくせに、きみにつべこべ言う権利はないよ。♠<つべこべ言う>あの人につべこべ言われたからって、ぼくは考えを変える気はない。♠ヘつべこべ口出しする>うるさいぞ、他人のことにつべこべ口出しする <720> **つぼ** な。♠へつべこべ言わずに>いいからつべこべ言わずについてこいよ、損はさせないから。♠へつべこべぬかす>あいつがまだつべこべぬかすようだったら、ただじゃおかないぞ。 **つぼ(壺)** ○口が狭く胴のふくらんだ容器。また、それに形の似た物。深くくぼんだ所。奥まった所。急所。要点。目あて。[文例] 床[とこ]の間に置かれているつぼは、江戸[え]時代のもので、数百万円の値打ちがあるそうです。♠へつぼを焼く>若者は老人から、つぼを焼くのに適当な温度と時間を教わった。♠<体のつぼ>人間の体には何か所もつぼと呼ばれる急所があります。♠へつぼを心得る>あの人は人を扱うつぼを心得ていて、やることなすことそつがない。♠へつぼにはまる>この選手はまだ荒削[あらけず]りだが、つぼにはまればホームランを打つ力は持っている。♠<思うつぼ>敵が東から攻めてきたら、それこそわれわれの思うつぼだ。♠へ滝[たき]つぼ>この滝つぼの底深くには、黄金[おうごん]財宝が沈[しず]んでいるという伝説があります。 **つぼみ(蕾)** ○草木の花になる前のもの。大成したり成人したりする前の人。[文例] <ネコヤナギのつぼみ>ぼくたちの班はネコヤナギのつぼみを観察することにした。♠へつぼみがつく>父が大事にしている梅[うめ]の木の枝[えだ]には、小さなつぼみがいくつもついている。♠へつぼみがふくらむ>川の水がぬるみ春めいてくると、桜[さくら]のつぼみも次第にふくらんできます。♠へつぼみが開[ひら]く>今年の冬は厳しかったせいか、桃[もも]の花のつぼみが開くのが遅[おそ]い。♠へつぼみが出る>枝にかかった雪を取り払ってみると、驚[おどろ]いたことにもう小さなつぼみが出始めていた。♠へつぼみがほころぶ>春の暖かい光を浴びて、庭木のつぼみもほころび始めました。♠へつぼみのまま>彼女は才能を持ちながら、花開くことなくつぼみのままで枯らしてしまった。 **つま【妻】** ○夫婦のうちの女の方。刺身に添える野菜や海藻。[図例] <妻の座>結婚して妻の座についたら、すっかり落ち着いて奥様らしくなりました。♠<妻にする>先生は、自分の教え子を妻にしたそうです。♠<妻をめとる>妻をめとる年齢になりましたので、相手を探しております。♠人妻を迎える>王子は、心の優しいお姫さまを妻として迎えました。♠友がみなわれよりえらく見ゆる日よ/花を買ひ来て/妻としたしむ(石川啄木[たくぼく]) ♠<さしみのつま>さしみのつまにするから、大根を細く切ってちょうだい。 **つまさき【つま先】** (爪先)○足の指の先。[文例] へつま先でける>少年は、靴のつま先でコンコンと床[ゆか]をけっていた。♠<つま先で立つ>よくあの細い平均台の上につま先で立っていられるものだ。♠へ頭のてっぺんからつま先まで>頭のてっぺんからつま先まで、すきのない男だった。♠へつま先立ち>つま先立ちして、教室の中をのぞいているおばさんがいるぞ。 **つまさ・れる** 心を動かされる。情に引かされる。[文例] <身につまされる>彼の身の上話は身につまされて、とてもひとごととは思えない。♠へけなげさにつまされる>おさな子のけなげさにつまされて思わず腕に抱きしめていた。♠<情につまされる>親子の情につまされ、もらい泣きをする観客も多かった。 **つまし・い(倹しい・約しい)** ○質素である。[文例] へつましい生活>老夫婦はよく働き、ぜいたく一つせずつましい生活を送っています。♠へつましく生きる>農村でつましく生きるわたしたちには、秋の収穫[しゅうかく]が最大の喜びでした。♠へつましく暮らす>一家三人、都会の片隅[かたすみ]でつましく暮らしております。 **つまずき(躓き)** ○つまずくこと。♪つまずく例ヘスタートのつまずき>スタートのつまずきで優勝をのがしてしまった。♠へ事業のつまずき>円高による輸出の伸び悩みが、彼の事業のつまずきの原因だった。 **つまずく(躓く)** ○足先を物に打ち当ててよろける。障害に当たって失敗する。挫折[ざせつ]する。[文例] <物につまずく>足元の小さな箱[はこ]につまずいて、男はテーブルの角に腰[こし]をぶつけた。♠へつまずいて転ぶ>まだ三歳だというのに、その子はつまずいて転んでも、決して泣き声をあげません。♠へ問題につまずく三問目までは簡単に解けたのですが、四問目の図形の問題でつまずいてしまいました。♠く事業につまずく>父が事業につまずき、あの家を売りに出したのはもう五年も前のことだ。♠<人生につまずく>彼女は結婚[けつこん]の失敗がもとで人生につまずき、今では昔の面影[おもかげ]は少しも残っていません。 **つまはじき(爪弾き)** ○つめではじき飛ばすこと。のけものにすること。排斥[はいむさ]すること。[文例] <つまはじきする>村人たちはなぜかその一家をつまはじきして、お祭りのときさえ呼ばなかった。♠へつまはじきにあう>手のつけられない乱暴者のおれは、町の人のつまはじきにあっていた。へつまはじきにする>M君はふだんからうそばかりついているので、みんなからつまはじきにされていました。 **つまびらか(詳らか・番らか)** ○くわしく明らかなさま。細かくはっきりしているさま。[文例] <つまびらかにする>事件の原因をつまびらかにし、もう二度と起こらないようにするつもりです。♠ヘつまびらかに調査する三日間にわたってつまびらかに調査しましたが、機体に異常は認められなかった。人生死がつまびらかでない>事件から一か月たった今も、彼の生死はつまびらかでない。 **つまみ(摘み・撮み・抓み)** ○つまむこと。つまむもの。[文例] <ふたのつまみ>なべのふたのつまみがとれている。♠ヘラジオのつまみ>ラジオのつまみをまわして、音量を調節してください。♠へ酒のつまみ>おまんじゅうやおだんごのような甘い物は、酒のつまみにはなりません。♠<ひとつまみ>ちょっと味がうすいようだね、お塩をひとつまみ加えたほうがいいだろう。♠<鼻つまみ>ゴンタは意地悪の乱暴者だったから、村の子供たちの間では鼻つまみになっていた。 **つまみぐい【つまみ食い】** (摘み食い・撮み食い)○指先でつまんで食べること。盗み食いすること。ちょっとだけ楽しむこと。公の金品に手をつけること。[文例] <つまみ食いする>お母さんがいない間にクッキーをつまみ食いしました。♠へつまみ食いする>この映画のおもしろい所だけを、ちょ <721> **つむ** っとダイジェスト版のビデオでつまみ食いしてみましょう。♠へ公金のつまみ食い>役人による公金のつまみ食いはよくある話です。 **つまみだ・す【つまみ出す】** (摘み出す・撮み出す)○つまんで外へ出す。外へ追い出す。[文例] <外につまみ出す>部屋に上がってきたのらネコをつまみ出しました。へ酔っ払いをつまみ出す>酔っ払ってほかのお客さんにからんでいた客が、店の人につまみ出された。 **つま・む(摘む)** ○指ではさんで持つ。手で取って食べる。化かす。要点を取り出す。[文例] <物をつまむ>捜査員[そうさいん]は散らばっているガラスの破片をつまんで手のひらにのせ、調べ始めました。♠へ指でつまむ>部屋に迷い込んできた小さな虫を指でつまんで、窓から逃がしてやった。♠へ鼻をつまむ>室内は薬品のにおいがすごく、ぼくたちは思わず鼻をつまみました。くせんべいをつまむ>おいしいおせんべいですよ、どうぞ遠慮[えんりよ]なくつまんでください。♠へきつねにつままれる>不思議なこともあるものだね、まるできつねにつままれたような話だ。♠へかいつまむ>みんなにもよくわかるように、要点をかいつまんで話しなさい。 **つまらな・い** ○おもしろみがない。価値がない。くだらない。[文例] <映画がつまらない>水曜日に見てきた姉が、あの映画はつまらないって言っていたよ。♠<つまらない品>これはほんのつまらない品ですが、どうぞお受け取りください。♠へつまらないこと二人のけんかの原因は本当につまらないことだったのです。♠へつまらなく思う>きみたちのような若い人たちが人生をつまらなく思うとは、とても信じられない。♠へつまらなそうな顔>窓の近くに座[すわ]った彼女は、いつになくつまらなそうな顔をしていた。 **つまり【詰まり】** ○詰まること。行き着くところ。結局。[文例] あのとき店内にいた人物、つまり黒川君が事件のかぎを握っていると思う。♠この時期、つまり戦後何年間かの彼の足どりはまったくつかめていません。♠ぼくがかわりに説明しましょう。妹の言いたいことはつまりこうなんですよ。♠へつまりは>彼はみんなのためを考えているように言うが、つまりは自分の利益しか考えていないのだ。♠<とどのつまり>一人でだいじょうぶと言っていたが、とどのつまりはみんなの助けを借りることになった。 **つま・る【詰まる】** ○中が満たされる。いっぱいになる。ふさがって通じなくなる。ゆとりがなくなる。縮まる。ぎりぎりになる。[文例] へ~に〜がつまる>死んだネズミを解剖[かいぼう]してみると、胃袋[いぶくろ]の中には消化しきれない食物がいっぱいにつまっていました。♠<観客がつまる>ぼくたちが球場に着いたときには観客がぎっしりつまっていて、座る所などどこにもありませんでした。♠<札束[さつたば]がつまる>ちらっと見たら、彼の財布には札束がいっぱいつまっていたよ。♠へ鼻がつまる>妹の鼻がつまっているのは、風邪[かぜ]のせいでしょう。♠ヘトイレがつまる>この階のトイレはつまっていて使えませんので、一階のを使用してください。♠<予定がつまる>今月は予定がつまっていて、とても海に行く時間などありません。♠へ胸がつまる>あまりの感動に胸がつまって、言葉にならないという経験があります。♠へ息がつまる>しかめっ面をした人たちの間に入って、ぼくは何も話すこともなく、息がつまりそうだった。<言葉につまる>遅刻の原因を厳しく追及[ついきゆう]されて、ぼくは言葉につまってしまった。♠へ暮らしにつまる>近況をたずねたら、「失業中の身ゆえ暮らしにつまる」という表現がかえってきた。ヘブラウスがつまる>一回しか着ていないブラウスなのに、洗濯[せんたく]したらつまって着られなくなったわ。♠へ丈[たけ]がつまる>一年でこんなに洋服の丈がつまるなんて、子供の成長は速いわね。〈期日がつまる〉完成の期限まで日がつまってくると、工事は昼夜兼行[ちゆうやけんこう]で行われた。へつまらない>映画は、有名なスターがたくさん出演しているわりには、つまらなかった。へつまるところ>つまるところ、給料を上げてくれと言うんだろう? **つみ【罪】** ○法・おきて・道徳などにそむく行為。また、その責任やそれに対する罰。思いやりがないさま。[文例] <罪を犯す>あのおとなしい弟が罪を犯したと聞いたとき、わたしはとても信じられなかった。♠へ人に罪を着せる>少年は仲間に罪を着せて、まったく知らん顔をしていた。<罪を重ねる>今後、同じ罪を重ねることのないよう深く反省したまえ。♠<罪に問う>法律を破れば、だれだって罪に問われます。♠<罪をただす>このように被害者[ひがいしや]が出た以上、責任者の罪をただすべきです。♠へ罪がある・ない>動物をいじめるのはよせ、彼らに何の罪があるというのだ。♠◇罪がない>子供というのは無邪気[むじやさ]で、まったく罪がないね。罪が重い・軽い>犯罪の中でも、誘拐[ゆうかい]は特に罪が重いのです。♠<罪が深い>人の心をもてあそぶなんて、罪の深い行為だぞ。♠へ罪なこと>小さい子を相手に、できもしない約束[やくそく]をするとは、きみも罪なことをしたものだ。♠<罪滅[つみほろ]ぼし>約束を破った罪滅ぼしに、明日は一日きみの言うことを聞くよ。♠<罪作り>腹をすかした子供たちの前に食べ物の包みを置くなんて罪作りはやめてください。 **つみかさね【積み重ね】** ○重ねて積むこと。地道に繰り返して行うこと。[文例] <本の積み重ね>本の積み重ねは、ある程度をこえると危険です。♠へ経験の積み重ね>経験の積み重ねのあるベテランは、さすがに試合のかけひきにたけています。♠へ努力の積み重ね>長年の努力の積み重ねが今日の成功をもたらしてくれた。 **つみと・る【摘み取る】** ○つまんで取る。取り除く。除去する。[文例] <葉を摘み取る>しその葉を摘み取ると、指先ににおいが移りました。♠へつぼみを摘み取る>大輪の菊の花を咲かせるためには、大きなつぼみを一つだけ残して、あとは摘み取ります。♠<努力の芽を摘み取る>心ない言葉によって努力の芽を摘み取ることがないよう、教師は心がけています。♠へ才能を摘み取る>子供を枠[わく]にはめてばかりいると、その秘められた才能を摘み取ることになります。 **つ・む【積む】** ○重ねて置く。重ねて載せる。(荷物などを)載 <722> **つむ** せる。度重ねる。[文例]]<物を積む>倉庫には天井[てんじょう]まで、米俵がびっしりと積んであった。♠<山のように積む>果樹園には真っ赤なリンゴが山のように積んでありました。♠へ荷を積む>ぼくが着いたとき、父はちょうど馬に荷を積んでいるところだった。♠<船に積む>船に積まれた荷物は、まず税関で検査を受けます。♠<経験を積む>Nさんは五年間もアメリカで経験を積んで、昨日日本に帰ってきました。♠<修行を積む>立派なお坊さんになるために、彼はこれから先何年も厳しい修行を積まなければならない。♠へ練習を積む>レギュラーになりたいのなら、もっと練習を積まないとだめだよ。♠<金を積む>職人かたぎの大工だから、いくらお金を積んでも、気に入らない仕事は引き受けない。 **つ・む【摘む】** ○つまんで取る。刈り取る。[文例] <花を摘む>野原では三人の女の子が無心に花を摘んでいます。茶を摘む>毎年八十八夜のころに茶を摘みますが、今年は寒さが厳しく、二週間くらい遅[おく]れそうだ。♠<葉を摘む>かいこのえさにするのでしょう、男の子がかごいっぱいに桑[くわ]の葉を摘んできた。♠へふき・せりを摘む>昨日はおばあさんと一緒に、ふきやせりを摘みに行きました。♠<毛を摘む>あなたは一年に何回羊の毛を摘むか知っていますか。♠へ創造力の芽を摘む>自由な遊びを禁止すると、子供の創造力の芽を摘むことになる。♠へ悪の芽を摘む>生徒が非行に走る前に悪の芽を摘んでしまおうと、先生方はやっきになっています。 **つむ・ぐ【紡ぐ】** ○(糸にするために)繊維を引き出してよりをかける。[文例] <糸を紡ぐ>かいこのまゆから生糸を紡ぎます。♠へ紡ぎ出す>おばあさんは、綿から糸を紡ぎ出していた。 **つむじ(旋毛)** ○毛髪がうずまき状に生えているところ。つむじ風。[文例]]ぼくも弟も、父と同じように頭につむじが二つあります。♠へつむじが曲がる>彼には少しつむじの曲がったところがあるが、悪いやつではない。♠へつむじを曲げる>お母さんにおもちゃを買ってもらえなかったことで、妹はつむじを曲げて口をききません。 **つむ・る** つぶ・る **つめ(爪)** ○手足の指の先に生える物。引っ掛けて止めたり、何かをはじく物。[文例] <つめを切る>試合前に必ずつめを切っておくように、先生から指示がありました。へつめに・をかける>ライオンは鋭[するど]いつめにかけて、一撃[いちげさ]で獲物[えもの]を倒した。♠へつめをたてる>ネコは飼い主や優[やさ]しくしてくれる人に、つめをたてるようなことはしません。♠へつめをとぐ>試合に敗れた彼は、ひそかにつめをとぎ、相手にせつじよくする機会を待った。♠へ琴[こと]のつめ>その箱[はこ]の中には、お姉さんの弾く琴のつめが入っている。♠<機械のつめ>組み立てロボットのつめの部分が故障したらしく、製品に少し傷[きず]がついている。♠へつめのあかほどもない>残忍[ざんにん]なあの男の心には、良心などつめのあかほどもないのだ。♠へつめのあかをせんじて飲む>まったくおまえは勉強しないんだから。隣[となり]のお兄さんのつめのあかでもせんじて飲むといいんだ。♠へつめに火をともす>老夫婦はつめに火をともすように、ひっそりと質素に暮らしていました。♠へ能あるたかはつめを隠[かく]す>「能あるたかはつめを隠す」ということわざは、才能のある人はそれを見せびらかさないことを意味している。 **つめあと【つめ跡】** (爪跡・爪痕)○つめを立てた跡。大きな災害の惨状。[又例] <つめあとが残る>男の背中には、クマに襲[おそ]われたときのむごたらしいつめあとが残っていた。♠<つめあとがつく>ぎゅっと握りしめられて、ぼくの手の甲にはくっきりとつめあとがつきました。♠<台風のつめあと>町には、先月の台風のつめあとがあちこちに残っています。♠へ戦争のつめあと>国中に無残なつめあとを残して、長い戦争がようやく終わった。 **つめか・ける【詰め掛ける】** ○大勢が集まる。押し寄せる。[文例] <会場に詰め掛ける>デパートの開店と同時に、バーゲン会場にはたくさんの主婦が詰め掛けました。♠ヘファンが詰め掛ける>成田空港には、人気スターの来日を待ちわびた若い女性ファンが大勢詰め掛けています。 **つめこ・む【詰め込む】** ○いっぱいに入れる。押し込む。[文例] <荷物を詰め込む>明日からの旅行に必要な荷物をバッグに詰め込んだ。♠<乗客を詰め込む>通勤電車には、乗客がすし詰めに詰め込まれているのにだれも文句を言わない。♠<知識を詰め込む>M君は、大学の四年間で、考古学に関する基礎知識をすっかり詰め込みました。♠へ情報を詰め込む>この一台のコンピュータに詰め込むことのできる情報量がどのくらいだか知っていますか。♠へごちそうを詰め込む>明日の大会を前に、ぼくは母の作ったごちそうを、おなかいっぱい詰め込んだ。 **つめた・い【冷たい】** ○温度が低い。人情味に欠けるさま。冷淡だ。[文例] <冷たい風>まだ九月に入ったばかりだというのに、山頂には冷たい風が吹いていた。へ冷たい物>まあおかけなさい、何か冷たい物でもお出ししましょう。♠<冷たくなる>わたしが病院に駆けつけた時には、父はすでに冷たくなっていました。♠<冷たい人>あんなに謝っているのに許さないなんて、あなたも冷たい人だ。♠<冷たい態度>昨日までとはうって変[かわ]った冷たい態度に、わたしはなす術[すべ]がありません。♠<冷たい目で見る>みんながぼくのことを冷たい目で見るのは、きっとぼくを犯人だと思っているからに違[ちが]いない。♠<冷たい戦争>両国間では、今も冷たい戦争が続いています。 **つめばら【詰め腹】** ○強いられて切腹すること。強制されて辞職すること。[文例] <詰め腹を切る>売り上げが伸びないのは店の責任だということで、店長が詰め腹を切らされた。 **つめよ・る【詰め寄る】** ○そばに寄る。激しく迫る。[文例] 相手はじりっじりっと詰め寄って、打ち込む間合いをはかっている。♠野党議員は動揺[どうょう]する大臣に、早く答えなさい、と激しく詰め寄りました。 **つ・める【詰める】** ○いっぱいに押し込む。ふさぐ。絶え間なく続ける。ぎりぎりまで進める。行き詰まらせる。縮める。倹約する。任務・仕事のためにそこに居つづける。[文例] <箱 <723> **つよい** に物を詰める>あなたはそのダンボール箱に、二十個ずつ製品を詰めていってください。♠へ奥へ詰める>すみませんが、もう少し奥へ詰めていただけませんか。♠へ息を詰める>たけし君はアゲハの幼虫が脱皮[だつび]するのを、息を詰めてじっと見つめていた。♠<根を詰める>いくら締め切りが近いからって、そんなに根を詰めては体に毒ですよ。♠へ将棋[しょうぎ]で詰める>チェスも将棋同様、相手の王を詰めたほうが勝ちになる。♠へ問題を詰めるこの問題については、次の会議でもう少し詰めないと社長にお見せできないと思う。へそでを詰める>わたしの洋服は、そでさえ詰めれば小学生の妹にも着ることができる。♠へ差を詰める>トラックを十周したあたりで、二位以下の選手が差を詰めてきた。♠<食費を詰める>今月は少し食費を詰めないと、家計が赤字になりそうだ。♠へ暮らしを詰める>外食をやめるなどして暮らしを詰めたので、家計はやっと黒字になりました。へ人が詰める>緊急事態に備えて、警備室には常に何人かの係員が詰めることになっている。♠く思い詰める>あの子は思い詰めると、ほかの事は忘れて、ただそれだけになってしまう。♠<追い詰める>苦労のかいあって、やっと獲物[えもの]を追い詰めたぞ。 **つもり【積もり】** ○考え。意図。仮にそうなったとしたらという気持ち。見積り。[文例]]<〜するつもり>明日の夜から友達と三人でスキーに行くつもりです。♠<冗談[じょうだん]のつもり>冗談のつもりで言ったことが、たいへんな問題になってしまった。♠へどういうつもり>大事な会議を無断で欠席するとは、あなたはいったいどういうつもりですか。♠へつもりがある・ない>誤解しないでください、わたしにはあなたを非難するつもりはまったくありません。♠へ大船に乗ったつもり>まあ大船に乗ったつもりで、万事あの人にまかしておきなさいよ。♠<何様[なにさま]のつもり>みんな一生懸命[けんめい]なのに、一人だけぶらぶらしていて、いったい何様のつもりだい。♠へ死んだつもり>今からでも死んだつもりになってやれば、なんとか追いつけるんじゃないかい。♠へそのつもり>きみには来年キャプテンになってもらうから、そのつもりでいてくれ。 **つも・る【積もる】** ○積み重なる。たくさんたまる。見積もる。[文例] <雪が積もる>三時ごろに降り出した雪は、明け方までに五センチも積もりました。♠<ほこりが積もる二週間も家を空けていたので、テーブルにはほこりが積もっていた。♠不満が積もる>口には出さないが、部長のやり方にはみんなそうとう不満が積もっているようだ。へ恨[うら]みが積もる>長年にわたって積もりに積もった恨みを、とうとうはらす日が来たのです。♠へちりも積もれば山となる>ちりも積もれば山となると言いますが、みんなから集めたお金は三万円以上にもなりました。♠<積もり積もって>彼があちこちから借りたお金は、積もり積もって七万円にもなった。♠へ積もる話>四年ぶりに会った彼女たちは、ホテルのロビーで積もる話に花を咲かせていた。 **つや(艶)** ○表面のなめらかな光沢。若々しい張り。味わい。つや。色気。[文例] へつやを出す>おじいさんはいつも最後の仕上げに布で表面をこすって、竹細工につやを出す。♠へつやが出る>皮製品は使いこんでいくうちに、何とも言えないつやが出てきます。♠へつやがある。ない>体の調子がおかしいと、若い人でも皮膚につやがなくなってしまう。♠へつやを消す>最近はわざとつやを消した皮のジャンパーが、若者の間ではやっています。♠へ声につやがある>とうに六十は越えているのに、彼女の声にはつやがあるね。♠へつやっぽい>あまりつやっぽいうわさを聞かないが、仕事ひとすじなのかい? **つやけし【つや消し】** (艶消し)○つやを消すこと。色気や味わいなどを無くすさま。やぽ。[文例] へつや消しな話>女性と会う前に税務署に寄って税金の相談をしなければならないなんて、なんともつや消しな話だ。 **つややか(艶やか)** ○光沢[こうたく]があるさま。[文例] <つややかに光る>たわわに実ったみかんは、まぶしい初冬の日ざしを浴びてつややかに光っている。♠へつややかな髪>さらさらのつややかな黒髪が彼女の自慢です。♠ヘつややかな肌>健康な女性だったから、五十代とは思えないつややかな肌をしていた。 **つゆ【露】** ○大気中の水蒸気が冷えて物の表面に付いたもの。はかないこと。わずかなこと。[文例] <露にぬれる>一夜明けると、高原の草花は露にぬれ、みずみずしさを取り戻していた。♠へ露が降[お]りる>山いもの葉には、降りた露が集まって、太陽に光っていた。♠へ露と消える>王女は二十歳の若さで断頭台の露と消えた。♠へ露の命><露のようにはかない>露のようにはかない命のことを、昔[むかし]の人たちは露の命と表現しました。♠<露の世>露の世は露の世ながらさりながら(小林一茶) ♠へつゆほども>今までお世話になったのですから、あなたのことはつゆほども恨みに思っていません。♠へつゆ知らず>母親が病気であることなどつゆ知らず、彼はアメリカへと旅立って行った。 **つゆ(汁・液)** ○液。しる。[文例] <レモンのつゆ>レモンのつゆをしぼって、ジュースを作りましょう。♠へわかめのおつゆ>今日の朝食は、ごはんとわかめのおつゆとアジの干物です。♠へそばのつゆ>おそばは、このつゆにつけて召し上がってください。 **つゆ【梅雨】** ○初夏と盛夏の中間の雨期。また、その時期に降る雨。ばいう。[文例] <梅雨がない>北海道の夏は梅雨もなく、からっと晴れてさわやかです。♠<梅雨に入る>うっとうしく雨の降り続く梅雨に入りました。♠<梅雨が明ける>昨日の雷[かみなり]で梅雨も明け、今日から本格的な夏の到来です。♠<梅雨の晴れ間>久しぶりに太陽が顔を見せた梅雨の晴れ間の日曜日、ぼくたちは海に出かけました。 **つよい【強い】** ○力がある。丈夫だ。堅固だ。屈しない。すぐれている。激しい。厳しい。はなはだしい。[文例] <強い選手>来日したアメリカチームには、今までになく強い選手がそろっている。♠<力が強い>厳しい自然の中では、生きる力の強い動物しか生き残ってゆけない。♠<強い光>十月とは思えない強い太陽の光が窓から差しこんでいた。へ強 <724> **つよがり** い雨>東京地方は、一日中強い雨が降り続きました。♠へにおいが強い>香水[こうすい]は、つけすぎると、においが強くて気分が悪くなります。♠<強い口調>先生はいつになく強い口調で、友情の大切さを語っていた。へ強い関心>そのニホンザルは実験の結果、赤い積み木に強い関心を示すことがわかった。♠へ気が強い>弟は小さいころから気が強く、泣かされて帰ってくることなどめったにありませんでした。♠<責任感が強い>彼女がみんなから信頼[しんらい]されているのは、頭が良いからではなく、責任感が強いからです。♠へ押しが強い>彼女は、とっても押しが強くて、いつも自分の意見を通してしまうんだ。♠<寒さに強い>あの人は北海道出身ですもの、寒さに強いのも当然です。♠へ逆境に強い>逆境に強い人ですから、どんな困難にあっても決してくじけません。♠<酒が・酒に強い>父は酒が強く、どんなに飲んでもみだれるということがありません。♠へ強い抵抗[ていこう]>地元住民の強い抵抗にあって、計画は中止せざるをえなかった。 **つよがり【強がり】** ○強そうなふりをすること。[文例] 「まかせておけ。」という彼の言葉が強がりであることは、その顔色からわかります。♠へ強がりを言う>幽霊[ゆうれい]なんか怖[こわ]くないよと強がりを言ったものの、実はお墓は苦手なんだ。 **つよが・る【強がる】** ○強そうにみせかける。[例] 「なんだい、あんなやつ。」と、さぶちゃんは強がってみせた。♠強がってはいるけれど、やはり都会の一人暮らしは寂しかった。 **つよき【強気】** ○気が強いさま。積極的なさま。強硬なさま。→弱気。[例] <強気な性格>妹はおとなしそうに見えますが、あれでけっこう強気な性格の持ち主です。♠へ強気な発言>責任者の強気な発言に、場内は騒然[そうぜん]となった。強気に出る>よっぽど自信があるのか、彼はいつになく強気に出ている。♠へ強気になる>みんなが賛成してくれたので、ぼくはますます強気になりました。 **つよま・る【強まる】** ○強くなる。[文例] <風が強まる>風はしだいに強まって、顔も上げられないほどの暴風となった。♠<運動が強まる>住民の間には、公害をなくそうという運動が強まってきている。♠へ傾向が強まる>若者が社会の風俗や流行などをリードするという傾向は一層強まってきた。♠へ弾圧[だんあつ]が強まる>この時期になると、自由思想に対する政府の弾圧が強まっていった。 **つよみ【強み】** ○強さ。強い点。長所。[文例] <人の強み>英語ができるのが岩田さんの強みだ。♠<強みがある>彼にはお金を貸してあるという強みがあるので、少々の無理も聞いてもらえる。 **つよ・める【強める】** ○強くする。[例] <火を強める>これ以上火を強めたら、フライパンの中の肉がこげてしまいます。♠<力を強める>大名たちは、産業をさかんにし、力を強めることに努めた。♠<語気を強める>先生は語気を強め、助け合いの大切さを力説しました。♠<表現を強める>この文は、文頭に「ただ単に」という言葉を入れると、表現を強めることができます。 **つら【面】** ○顔。物の表面。[大例] へでかい面>なんだ、新入部員のくせにでかい面をして! ♠へ面の皮>みんなに迷惑[めいわく]をかけていながら、平気でいるとは面の皮の厚いやつだ。♠<どの面[つら]下げて>自分の力で生きていくと言って家を出たんだ。今さらどの面下げて戻れるっていうんだ。♠へかえるの面に水>まったくきみは、何を言っても、かえるの面に水だなあ。♠へしかめっ面>まちがいを指摘されると、彼はしかめっ面をして黙りこんだ。♠<横っ面>いつまでもばかなことを言ってると、横っ面を張りとばすぞ。 **つらあて【面当て】** ○快く思わない人にわざとする意地悪な言動。あてこすり。[文例] あの男がいつもうちの前を新車で通るのは、ぼくに対する面当てだろうか。♠ろくに働かない夫への面当てに、奥さんは求人雑誌を買ってきた。 **つら・い(辛い)** ○苦しい。耐えがたい。無情だ。困難だ。[文例] <つらい目にあう>兄は慣れない三年間の都会生活で、ずいぶんつらい目にあったと話していた。♠く起きるのがつらい>こう寒くなると、朝早く起きるのがつらいね。♠<つらい修行[しゅぎよう]>その人は立派なお坊[ぼう]さんになるために、つらい修行に耐えてきたのです。♠へ旅がつらい>交通が整備されていなかった当時は、この地方への旅はとてもつらいものだったのです。♠へつらい立場>どちらの味方[みかた]をすることもできないぼくのつらい立場も分かってください。♠<つらく当たる>何が気にくわないのか、Hさんはことあるごとに彼につらく当たりました。♠<住みづらい>まったく住みづらい世の中だねえ。 **つらがまえ【面構え】** ○顔つき。つらつき。[文例] へいい面構え>手柄をたてた若武者は、見るからに強そうないい面構えをしていた。♠不敵な面構え>まわりをぐるっと取り囲まれても、不敵な面構えの男は少しも動じない。♠へふてぶてしい面構え>陰[かげ]の実力者と言われるだけあって一癖[ひとくせ]ありそうなふてぶてしい面構えだった。 **つらだましい【面魂】** ○強い気性が顔に表れること。また、その顔。[文例] <面魂をする>他流試合に集まった男たちは、どれも武芸者らしい面魂をしていた。♠<不敵な面魂>少々のことではものに動じない不敵な面魂の男だった。 **つらつき【面付き】** ○顔つき。つらがまえ。[文例] 反抗的な面付き>収容された囚人たちは、反抗的な面付きをしていた。♠へ面付きが変わる>人をだしぬくことばかり考えて世渡りをしてきた男だから、面付きも以前とはすっかり変わっていた。 **つらつら(熟・熟熟)** ○思いめぐらすさま。つくづく。よくよく。[文例] へつらつら考える>相手の気持ちをつらつら考えてみれば、ひどい仕打ちをしたものだと反省された。へつらつら思う>つらつら思うに、練習不足が敗因の第一だった。 **つらな・る【連なる】** (列なる)○並び続く。連続する。列席する。仲間に加わる。[文例] <山が連なる>山頂からは、南北に連なる中央アルプスを一望に見渡[みわた]すことができる。♠人島が連なる>この半島から南の海上には多くの島々が連なっている。♠へ車が連なる>駅の周辺は会場へ向かう車が連なり、たいへん混雑していた。♠へ星が連なる>北の空にはひ <725> **つる** しゃくの形に七つの星が連なり、北斗七星を形成しています。♠<式に連なる>兄だけでなく、ぼくも、新郎[しんろう]の友人として結婚式[けつこんし8]に連なった。♠<末席に連なる>会議の末席に連なっていた若い男が発言を求めました。 **つらぬ・く【貫く】** ○突き通す。突き抜ける。やり抜く。押し通す。[文例] <太ももを貫く>ピストルの弾[たま]は、犯人の太ももを貫いていた。♠<山腹を貫く>しばらくすると、列車は山腹を貫いて造られたトンネルに入った。♠ヘ川が町を貫く>その川は町の中央を貫いて流れている。♠<痛みが貫く>ジョギングを始めてまもなく、鋭[するど]い痛みが右足を貫いた。♠<正義を貫く>彼は弾圧[だんあつ]にも負けず、最後まで正義を貫きました。♠へ初志を貫く>父が事業に成功したのは、最後まで初志を貫いたからではないだろうか。♠<主張を貫く>高木さんは周囲の説得にあっても、自分の主張を貫き通しました。 **つら・ねる【連ねる】** (列ねる)○列を作る。つないで続ける。並べる。並べ従える。[文例] <軒[のき]を連ねる>神社の参道の両側には、屋台が軒を連ねて並んでいます。♠<車を連ねる>今度の休みには、ぼくたちは車を連ねて山中湖にドライブに行くつもりです。♠<供[とも]を連ねる>参勤交代の年にあたった大名は、大勢の供を連ねてにぎやかに江戸[えど]へ向かった。♠<言葉を連ねる>先生は多くの言葉を連ねて、子供たちの自由な心の大切さを説いた。♠へ名を連ねる>父も会の発起人の一人として、名簿[めいぼ]に名を連ねている。 **つらよごし 【面汚し】** ○仲間などの名誉を傷つけること。また、そうする人。[文例] <一家の面汚し>毎日ろくな仕事もせず遊んでばかりの長男は、本当に一家の面汚しだった。♠<日本人の面汚し>戦争中は、愛国心を持たない者は日本人の面汚しだとみんなからけなされたという。 **つられる【釣られる】** ○だまされて誘い込まれる。引き込まれる。[文例] <言葉につられる>セールスマンのうまい言葉につられて、いらない物を買ってしまったわ。人話につられる>隣のおばさんの話につられて、つい長居[ながい]をしてしまった。 **つり【釣り】** ○つること。魚つり。つり銭。[文例] <釣りをする>防波堤[ぼうはてい]の先端には、釣りをしている子供たちの姿が見えます。♠へ釣りに出かける>朝早くから、近くの湖に釣りに出かけた。へおつり>お客さんは品物を受け取り、店員から渡されたおつりを確かめて店を出ていった。 **つりあい【釣り合い】** ○つりあうこと。均衡。調和。バランス。[文例] 釣り合いを考えて、きみはもう少し右寄りに座[すわ]ってください。♠へ体の釣り合い><釣り合いをとる>あのサルは長いしっぽで体の釣り合いをとっているらしい。へ釣り合いを保つ>軽業師[かるわざし]は手にした棒でうまく釣り合いを保ちながら、ロープの上を渡っていった。♠<左右の釣り合い><釣り合いが悪い>このおもちゃは左右の釣り合いが悪く、手を離すとすぐに右に傾[かたむ]いてしまう。♠へ釣り合いがとれる>あなたの部屋のじゅうたんとカーテンは、よく釣り合いがとれていますね。♠<自然界の釣り合い>人間が開発を進めたことで、自然界の釣り合いは著[いちじる]しくそこなわれた。♠<力の釣り合い>米ソ両国の力の釣り合いが失われたら、世界情勢は大きく変わっていくだろう。 **つりあ・う【釣り合う】** ○均衡がとれる。調和する。[文例] <体に釣り合う>着物の柄[がら]は、彼女の細身[ほそみ]の体によく釣り合っていた。へ身分が釣り合う>身分が釣り合わないからといって、愛し合う二人が結婚できない時代もあったのです。♠へ釣り合わぬは不縁[ふえん]のもと「釣り合わぬは不縁のもと」と言うが、財産や身分の差など乗り越えられると若い二人は信じていた。 **つりあが・る【釣り上がる】** (吊り上がる)○つられて上がる。ひきつって上がる。[文例] <物がつり上がる>クレーンのワイヤーに巻きついて、荷物だけでなく下の鉄板までつり上がってきた。へ目がつり上がる>わたしの話が終わらないうちに母の目はつり上がり、けわしい表情に変わった。 **つりあ・げる【釣り上げる】** (吊り上げる)○つって上げる。魚を釣って捕らえる。ひきつらせて上向きにする。価格を意図的に高騰させる。[文例] <魚を釣り上げる>釣り上げたタイはなかなかの大物でした。食物をつり上げる>見る見るうちにクレーンは重い荷物をつり上げていく。〈目をつり上げる>またやったな。お母さんが目をつり上げて怒っていたぞ。♠へ物価をつり上げる>先月の物価をつり上げる原因となったのは、野菜の値段の急上昇です。 **つりがね【釣り鐘】** ○寺の鐘つき堂につるした大きな鐘。[文例] このお寺の釣り鐘は、直径が二メートル近くもあるたいへん立派なものです。へちょうちんに釣り鐘「ちょうちんに釣り鐘」は、「月とすっぽん」と同じ意味で、釣り合わないことのたとえです。 **つりこ・む【釣り込む】** ○引き入れる。誘い込む。[文例] <話につり込まれる>教室にいた人たちは、みんな石川君のおもしろい話につり込まれていきました。へ歌につり込まれる>テレビのコマーシャルソングは、ついつり込まれて、無意識に口ずさんだりします。♠ヘペースにつり込まれる>剣道の試合では、相手のペースにつり込まれないようにしなければなりません。 **つる(鶴)** ○大形で首、足の長いツル科の鳥。[文例] 今年もまたシベリアから何羽ものツルが飛来し、本格的な冬を迎えました。♠へはきだめに鶴>きみたちのグループにあんな美人が一人、まさにはきだめに鶴だね。♠<鶴の一声>社長の鶴の一声で海外への進出が決まった。●<鶴は千年>昔から鶴は千年亀[かめ]は万年といって、鶴や亀は縁起のいい動物として親しまれてきました。 **つる(蔓)** ○物にからんだり地をはったりする、植物の茎。眼鏡の耳にかける部分。手がかり。[文例] <アサガオのつる>アサガオのつるがベランダのさくに巻きついています。♠<眼鏡のつる>わたしは、彼の話を聞きながら、眼鏡のレンズとつるをハンカチでふいた。 **つ・る【釣る】** (吊る・攣る)○引っかけて落ちないように支える。引っかけて捕らえる。おびき寄せる。だます。首つりをする。ひきつける。けいれんする。[文例] <カーテンをつる>姉 <726> つるぎ て は自分の部屋の窓に、ピンクのカーテンをつりました。 **つる**〈首をつる〉創作にいきづまった作家は、自宅で首をつって自殺した。♠●へ棚をつる>整理に困るから、今日こそ棚をつってくださいな。♠●〈蚊帳[かや]をつる〉わたしの田舎[いなか]では、夏の夜には蚊帳をつって寝ます。♠●〈魚を釣る〉ふだんは静かなこの川も、シーズンになると魚を釣る人でにぎやかになる。♠●〈お菓子をえさに釣る〉お菓子をえさに子供を釣るなんて、おまえも悪い大人だな。♠●へ甘い言葉に釣られる〉甘い言葉に釣られて、娘[むすめ]は男にお金を渡してしまった。♠へえびでたいを釣る〉少しの元手で大きな利益を上げることを、えびでたいを釣ると言う。♠●へつられて〜する〉赤信号なのに歩きだした前の人につられて、車道へとびだしてしまった。♠◆<足がつる>選手は今のプレーで右足がつったのか、うずくまってしまった。 **つるぎ**【剣】○刀身の両側に刃のついた刃物。剣。[文例]剣は、主に両側に刃がついたものをいう。♠●〈青銅の剣〉弥生[やよい]時代のものと思われる青銅の剣が遺跡から発見された。♠●〈剣をかざす〉大王は腰の剣を頭上にかざし、民衆にその威勢[いせい]を示した。♠●へもろ刃の剣〉文明はもろ刃の剣で、生活を豊かにする一方でわたしたちの心から潤い[うるおい]を奪っていく。 **つるしあ・げる**【つるし上げる】(吊し上げる)○引っかけてつり上げる。大勢で責め立てる。[文例]〈人をつるし上げる〉村人たちは捕[つか]まえた盗っ人[ぬすっと]を縛[しば]って、木の枝につるし上げた。♠へ人をつるし上げる〉乗客たちは、なぜ列車が二時間も遅れているのかと駅長をつるし上げた。 **つる・す**(吊るす)○引っかけてぶら下げる。つり下げる。[文例]〈時計をつるす〉柱にくぎを打って、時計をつるした。♠◆<かきをつるす>農家の軒下[のきした]にはいくつかのしぶがきがつるしてあった。♠●<車内につるす〉ホームにある広告より車内につるしてある広告のほうが効果が大きいという。♠〈ハンガーにつるす>脱いだ洋服はハンガーにつるしておいてね。♠●天井からつるす〉弟の作った飛行機のプラモデルが天井からつるしてある。 **つるべ**(釣瓶)○縄やさおに付けて井戸水をくみ上げるおけ。[文例]〈井戸のつるべ>深さが十メートルもある井戸は、つるべを巻き上げるだけでも一苦労です。♠◆〈秋の日はつるべ落とし>秋の日はつるべ落としで、太陽は西の山にどんどん沈んでいく。♠●へつるべ打ち〉敵の強力打線につるべ打ちされて惨敗[ざんぱい]する。♠●朝顔に釣瓶とられて貰[もら]ひ水(千代女[ちよじよ]) **つれ**【連れ】○連れていること。連れている人。[文例]〈連れの女[おんな]〉「もうすぐだよ。」と連れの女の方を振り返りながら、男は言った。♠●へ連れができる〉行き先が同じだとわかり、わたしたちは互いに連れができたと喜び合いました。♠〈お連れさま〉いらっしゃいませ、お連れさまが先ほどからお待ちになっていらっしゃいます。♠●へ家族連れ>夏休みに入り、遊園地やプールは家族連れでごったがえしている。 **つれそ・う**【連れ添う】○夫婦になる。夫婦でいる。[文例]〈夫婦が連れ添う〉父と母が連れ添って四年目に、わたしが生まれた。♠●く夫に連れ添う〉一度でも肌身を汚したとなれば、夫との仲も折り合うまい。そんな夫に連れ添っているより、自分の妻になる気はないか?(芥川龍之介[あくたがわりゆうのすけ]「藪[やぶ]の中」) **つれだ・つ**【連れ立つ】○いっしょに出かける。又例母は、近所のおばさんたちと連れ立って、芝居見物に出かけました。♠◆今度の日曜日、仲間が連れ立ってハイキングに出かけることに相談がまとまった。 **つれな・い**○薄情だ。冷淡だ。そっけない。[文例]へつれない返事>どんなに頼んでも、つれない返事が返ってくるばかりです。♠●へつれない仕打ち〉主人[しゅうじん]のつれない仕打ちに、使用人のわたしはくやしい思いをこらえられなかった。♠へつれないこと〉ずっと一緒[いつしよ]にやってきた仲じゃないか。そんなつれないことを言わないでくれ。♠●へつれなく言う〉「先に帰ってな。」とつれなく言い捨てると、父はのれんをくぐって店に入って行った。 **つ・れる**【連れる】○ともなう。従える。[文例]〈犬を連れる〉昨日の夕方、田中君が犬を連れて散歩しているのを見かけた。♠へ弟を連れる〉父は朝早くに弟を連れて動物園に出かけました。♠へ供[とも]を連れる〉あそこをお供を連れて行くのは、武蔵屋[むさしや]のだんな様だ。♠●へ供に連れる>殿様[とのさま]は、何人かの侍[さむらい]をお供に連れただけで、この村にやってきた。♠へ暗くなるにつれて〉辺りが暗くなるにつれて、北風はいっそう強くなった。♠〈年がたつにつれて〉年がたつにつれて、娘を失った悲しみもしだいに薄[うす]らいできた。♠◆へ歌は世につれ世は歌につれ〉「歌は世につれ、世は歌につれ」といって、その時代の世相を反映した歌がはやるものです。 **つんざ・く**(劈く)○突き裂く。引き裂く。突き破る。[文例]〈耳をつんざく〉耳をつんざくような雷鳴[らいめい]に、思わずしゃがみ込む人もいた。♠●〈大気をつんざく〉凍える大気をつんざく爆発音[ばくはつおん]がした後のことは、何も覚えていない。♠へ眠りをつんざく〉一発の銃声[じゅうせい]が村人の平和な眠りをつんざいた。 て **て**【手】○人の体の肩から先。手首から先。人と人のつながり。所有。細工。くふう。方法。手段。方策。仕事。仕事をする人。手間。手数。労力。力や能力。腕まえ。かかわり。物のつかむ部分。「手」のように突き出た物。勢いよく上がるもの。方向。種類。[文例]〈手で押さえる>風が強いので、時々手でスカートを押さえなければなりません。♠●〈手に手に〉いたずら坊主[ぼうず]どもは、手に手に小石を持って、枝の上のカラスにぶっつけていました。♠〈手に取る〉洋服を買うときは、目で見るだけでなく、手に取って手ざわりを確かめるとよい。♠●〈手に取るよう〉土俵のすぐ下で観戦していたので、関取の表情が手に取るようにわかった。♠●〈手をかざす>太陽がまぶしいので、額に手をかざして、ビルの屋上を見上げている。♠●へ手をつく〉玄関[げんかん]へ出てきた女性は、彼の前でていねいに手をついてあいさつをした。♠●〈手を合わせる>包帯を巻き換えてやるだけのことであったが、負傷者たちには、感謝の気持ちからわたしに手を合わせる者さえいた。 <727> て ♠●へ手を引く〉白い日傘がちかちか揺れて、子供の手を引いた女の人が葉桜の間を遠くなった。(いぬいとみこ「川とノリオ」)♠◆<手を引く>男は、この事件から手を引けと、おどすように言った。♠●へ手をつなぐ>昼下がりの公園では、子供たちが手をつなぎ、輪を作って遊んでいる。♠●〈手をつなぐ〉人類の平和の実現を目指して、世界の人々と手をつなごう。♠●〈手を結ぶ>近隣[きんりん]諸国が手を結んで、我が帝国に攻め入って来た。♠●へ手を取り合う〉兄弟三人が手を取り合った姿は、親にとってこのうえなくたのもしいものであった。♠人手に手を取る>親に結婚を反対され、恋人と手に手を取って駆け落ちをするという話も聞きます。♠●へ手を携[たずさ]える〉人々が手を携えて、ほんとうの幸福を求めて生きるための考え方が、この本の中に示されている。♠●へ手をさしのべる〉困っている人を見かけたら、援助[えんじょ]の手をさしのべましょう。♠〈手を加える〉よく書けている作文ですが、先生がもう少し手を加えて、直してみましょう。♠●へ手を入れる〉文章に手を入れるというのは、表現のまずいところなどを直すことです。♠●く手に入れる〉一生かかっても使い切れないほどの大金を手に入れました。♠●〈手が届く〉おばあさんは、そろそろ八十に手の届く年になりました。♠●〈手が届かない〉わたしの大好きだった友達が手の届かない遠い所へ行ってしまった。♠●へ手を休める〉お母さん、ちょっと手を休めて、庭の小鳥たちを見てごらん。♠●へ手を抜く〉練習で手を抜こうとする部員は一人もいない。♠●へ手を広げる〉ここのところ順調にきているので、少し商売の手を広げようかと思っているところです。♠●〈手が放[はな]せない〉今、どうしても手が放せない用事をしていますので、少し待ってください。♠人手がはなれる>子供たちはみな大きくなったので、やっと母親の手がはなれました。♠●〈手が早い>武田[たけだ]君は、口より手が早いから怒[おこ]るとこわいよ。♠●〈手をつける〉けっして、人の物に手をつけてはいけませんよ。♠●へ手がつけられない〉この牛は、ふだんはおとなしいのですが、一度暴れだしたら、もう手がつけられません。♠●手につかない>病気の父のことが気になって、学校に行っても勉強が手につきません。♠●〈手を尽くす〉八方手を尽くして捜索[そうさく]したが、行方不明者は発見されなかった。♠●〈手を焼く〉この犬は、少しも言うことを聞かないので、飼い主[かいぬし]のわたしも、ほとほと手を焼いています。♠●〈手に負えない〉この仕事は難しくて、きみの手には負えないから、おじさんにまかしておきなさい。♠〈手に余る〉こんな難しい仕事は、わたしの手に余ります。♠●〈手にかける〉武士は、主君[しゅくん]に対する忠義のためには、わが子をその手にかけて殺すことさえあったそうだ。♠●へ手を打つ〉わたしたちの考えに反対する人が出ないように、前もって、手を打っておいたほうがよい。♠●へ打つ手〉ああやってもだめ、こうやってもだめで、もう打つ手がない。♠へ奥の手を出す〉そんな困った時には、奥の手を出すんだよ。♠〈手の内を読む>打つ手、打つ手のことごとくが破られるのは、相手に手の内を読まれているからにちがいない。♠へ手がかかる〉いつも泣いてばかり、手のかかる赤ん坊だった。♠●〈手が込[こ]む〉中学生にしては、手の込んだ作品ですね。♠●〈手も足も出ない〉敵の大将が中央にがんばっているから、こちらは手も足も出ない。♠●へ手取り足取り〉親切なコーチが、手取り足取り指導してくれました。♠●〈手もなく〉向かっていくはしから、みんな手もなく土俵に投げとばされてしまった。♠へ手をつかねる〉武士の横暴[おうぼう]には目に余るものがあったが、農民たちは、どうすることもできず、手をつかねていた。♠●へ手をこまねく>現在のインフレに対して、政府もただ手をこまねいていたわけではない。♠●へ手に乗る〉うまいこと言って、二度とその手に乗るものか。♠へその手は桑名[くわな]の焼きはまぐり〉「その手は桑名の焼きはまぐり」、二度とだまされないよ。♠●〈手にする〉本を読むことがめんどくさいという人も、この際、思いきって一冊の本を手にしてみよう。♠●へ手を替え品[しな]を替え〉一度も笑ったことのない姫[ひめ]を、家臣[かしん]たちは手を替え品を替え笑わせようとしました。♠●へ手を下[くだ]す〉実際に手を下した主犯は、現在車で逃走中です。♠●〈手をあげる>母親に向かって手をあげるとは何事だ、このばか息子めが!♠●へ後ろに手が回る>悪いことばかりやっていると、しまいには、後ろに手が回ることになるぞ。♠●〈手が回る〉ついにこの隠れ家にも警察の手が回ったようだ。♠●へ手が回らない〉あんまり忙[いそが]しいので、細かいことまで手が回らない。♠●〈手を回す〉この仕事の認可を取るのに、業者が裏から手を回したらしい。♠◆〈手を出す〉このけんかで、先に手を出したのはどっちだ。♠●へ手を出す〉ギャンブルに手を出したのが失敗のもとだった。♠◆ヘ手を染[そ]める〉わたしが文学に手を染めたのは、大学に入ってからだった。♠●く手を汚[よご]す〉社長が現場の第一線に立って自ら手を汚すなどというのは、今まではなかったことだ。♠●へ手に汗[あせ]を握る〉優勝をかけて、手に汗を握るような熱戦が展開された。♠●〈手が上がる〉練習をしたかいがあって、むすめのピアノも、だいぶ手が上がってきました。♠●〈弘法大師[こうぼうだいし]の手をまねる〉弘法大師の手をまねて習字の練習をする。♠●へ手に[て]な[に]る〉『土佐日記』は男性の手になるもので、後の文学に大きな影響[えいきよう]を与えた。♠●〈手を経[へ]る〉万葉集は、大伴家持[おおとものやかもら]などの手を経て現在の形にまとめられたものであろうといわれる。♠●〈開発の手が伸[の]びる〉都会では開発の手が伸びていない場所を探すのが難しい。♠●人手が足りない>注文を全部引き受けるためには、今の従業員の数では手が足りません。♠●〈手を借りる〉落ちた穴[あな]は意外に深く、友達の手を借りてやっとはいあがることができました。♠●〈手を貸す〉坂道で故障した車を押しあげるのに、下校中の生徒が手を貸してやった。♠●へ猫[ねこ]の手も借りたい〉もう猫の手も借りたいほどいそがしい。♠●へ手があく〉そっちの手があいたら、ここへ来てお料理を手伝ってちょうだい。♠●〈手が切れるほど>南アルプスに源を発したその川には、手の切れるほど、澄[す]んで冷たい水が流れていました。♠●へ手を切る〉あんなに友達がいのないやつとは、もう完全に手を切ったよ。♠●へ人の手〉この川の土手は、人の手で改修されたこともなく、絶えず氾濫[はんらん]する。♠●〈保護の手〉絶滅[ぜつめつ]の危機にさらされているイリオモテヤマネコに、国際協力による保護の手がのべられた。 <728> で ♠◆<暴君の手〉町を暴君の手から救うのだ。♠●ヘトランプ・カードの手〉「今度は、手がいいぞ。」と、配られたカードを見てほくそ笑んだ。♠●へなべの手〉熱いと持てないので、手のついたなべがほしいな。♠●〈火の手〉街の西から上がった火の手は、折からの強風にあおられて、たちまち燃え広がっていった。♠◆へ朝顔の手〉朝顔の手にするのに適当な棒きれをさがしています。♠●〈行く手〉まもなく、われわれの行く手に、めざすお城が見えてきます。♠●ヘこの手の事件〉この手の事件が最近特に多くなってきている。 **で**【出】○出ること。供給。支出。出身。[文例]〈水の出〉ポンプで水をくみ上げていますが、夏場はどうしても水の出が悪くなります。♠●へガスの出〉団地の夕飯時は利用が集中するせいか、ガスの出がよくないように感じます。♠●へ出が多い〉三月は、何やかやと出の多い月で、家計のやりくりがたいへんです。♠●へ出を待つ>舞台のそででは、出演者が緊張[きんちよう]した面持[おもも]ちで出を待ちます。♠●〈農村の出〉当時の軍隊は、農村の出の兵士が多かったという。♠◆〈日の出〉探検隊の一行は、日の出とともにキャンプを出発した。♠●〈大学出〉最近は大学生の数も多いから、ただ大学出といっても、すぐ採用というわけにはいかない。 **てあい**【手合い】○連中。やつら。種類。手合わせ。[文例]こういう手合いは自分の利害がからむ時は騒ぎ出すが、自分に関係がないとなると知らん顔だ。 **であい**【出会い・出合い】○であうこと。♪であう[文例]〈人との出会い〉思いがけない人との出会いが、旅の楽しみの一つだと言ってもいいでしょう。♠◆本との出会い〉一冊の本との出会いが、その人の人生を大きく変えることがありま す。♠●〈出会いと別れ〉人生には、出会いがあり、そして必ず別れがあるのさ。♠◆<出会い頭[がしら]>廊下[ろうか]の角[かど]で、出会い頭に女の子とぶつかってしまった。 **であ・う**【出会う・出合う】○出て来てあう。行きあう。行き当たる。遭遇する。[文例]〈人に出会う〉わたしがこの国に来て気がついたのは、自転車に乗った若者によく出会うことだった。♠へ人と出会う〉ぼくが親友のAと出会ったのは、小学校の五年の時だ。♠●へ事件に出会う〉ぼくは今度の旅行で無気味な事件に出会い、今、その体験記をまとめている。♠◆<漢字に出会う〉文章を読んでいて知らない漢字に出会っても、前後の関係で意味がわかることがある。♠◆へ問題に出会う〉毎日の生活の中で、わたしたちはすぐには解決できない、さまざまな問題に出会います。♠●〈真実に出会う〉主人公は貧乏[びんぼう]に苦しみながらも、人間としての真実に出会います。♠●へばったり出会う〉学校の帰り、買い物をする母と、駅前でばったり出会った。 **てあか**【手あか】(手垢)○手についた汚れ。物についた手の汚れ。[文例]〈手あかがつく〉兄からもらった辞書には、兄がよく使った証拠[しようこ]に手あかがついていた。♠●へ手あかで黒ずむ〉白い毛糸は、手あかで黒ずみやすいので、編む前によく手を洗いなさい。♠●〈手あかでよごれる〉電気のスイッチ部分は、意外に手あかでよごれるものだ。♠●ヘ手あかにまみれる〉駅員は、古びて手あかにまみれたノートを出して、何か書きこんでいた。 **てあし**【手足】○手と足。指図通りに動く部下。[文例]〈手足のつめ〉ぼくは毎週一回、手足のつめを切ります。♠●手足をのばす〉仕事部屋の窓を開け、手足をのばして大きく一つ深呼吸をした。♠◆◇手足を動かす〉ひっくり返ったカメは、ばたばたと手足を動かしています。♠●へ手足となる〉わたしは社長の手足となって、会社のために働いてきた。 **であし**【出足】○人出の量や状態。出だしの勢いや速さ。売れ行きの速さ。相撲の立ち合いの勢い。又例〈立ち合いの出足>立ち合いの鋭[するど]い出足で、大関が横綱を破り今場所の優勝を決めました。♠●〈車の出足〉〈出足がよい〉この車は、出足がよいというので評判です。♠●へ出席者の出足〉〈出足が悪い〉出席者の出足が悪く、会議は予定より遅れて始まった。 **てあたりしだい**【手当たり次第】○手に触れるものは何でも。かたっぱしから。[文例]]かんしゃくを起こした母は、手当たり次第に物を投げ始めた。♠◆父の書棚[しょだな]の本を手当たり次第に読みあさっている。♠◆同じクラスの子の家に手当たり次第に電話をかけて、弟の居所[いどころ]をつきとめた。 **てあつ・い**【手厚い】○心がこもって丁寧だ。ねんごろだ。[文例]〈手厚い看護〉母の手厚い看護で、父の体は少しずつ回復していった。♠◆〈手厚い保護〉絶滅[ぜつめつ]の危機にあったパンダは、中国政府の手厚い保護を受けてその数を増やしてきた。♠●へ手厚くもてなす〉外国からの客を手厚くもてなした。♠〈手厚く葬[ほうむ]る〉村の発展に尽くした村長の亡骸[なきがら]は、村人たちの手で手厚く葬られた。 **てあて**【手当て・手当】○病気やけがの処置。前もって備えること。報酬その他の目的で支給される金品。[文例]〈手当てをする〉けがをした時は、簡単な手当てをして、すぐ医者に診せること。♠人手当てする〉傷は早く手当てすれば、あとが残ることは少ない。♠●〈資金の手当て〉店を開くと聞いたが、資金の手当てはできているのかい。♠●〈手当を払う〉この店は、ほかの店より多く手当を払っているせいか、働く人の態度がよい。♠●手当をもらう〉一か月間休まなければ、その分皆勤手当がもらえるということだ。♠●〈手当がつく〉会社では、決められた時間以上働くと、残業手当がつきます。♠●〈手当が出る〉年末には特別に手当が出るので、家族を連れてスキーに行こう。 **てあら**【手荒】○乱暴なさま。荒々しいさま。[文例]〈手荒なこと〉相手はまだ子供だから、手荒なことをしてはいけない。♠●〈手荒なまね〉いくら警官でも、手荒なまねは許されませんよ。♠いまね〉敵とはいえ相手は女だ。手荒いまねはするな。♠〈手荒く扱う〉そんなに手荒く扱ったのでは売り物にならなくなります。 **てあら・い**【手荒い】○乱暴である。荒々しい。[例]〈手荒である・く**【出歩く】○外を歩き回る。外出する。又例教授は休みの日などには、古い資料を求めて出歩くことが多いそうです。♠◆治安の悪いこの国では、夜一人で出歩くのは <729> ていきょう て たいへん危険だ。♠●一家であちこち出歩くことが多いので、戸締[とじ]まりには十分気をつけています。 **てあわせ**【手合わせ】○勝負すること。契約すること。[例]〈手合わせをする〉午後に隣のおじいさんと碁の手合わせをするのが、うちのおじいちゃんの日課です。♠●「一手、お手合わせ願いたい。」と、若い侍[さむらい]は竹刀を構えた。 **てい**【体】○態度。様子。体裁。[文例]〈ほうほうの体〉うそがばれて、ぼくはほうほうの体でその場を逃げ出した。♠〈恐縮[きようしゆく]の体〉遅れて会議場に入ってきた議員は、恐縮の体で議席についた。♠●へ満足の体〉息子たちが手をついて、「おはようございます。」と言うと、父親は満足の体であいさつを返した。♠●くなにげない体〉なにげない体を装[よそお]って、彼女に声をかけた。♠へ体のいい〉総務課長なんて、体のいい雑用係[ぞうようがかり]だ、と父は言った。♠◆へ体よく〉叔母に借金を申し込んだが、体よく断られてしまった。 **ていあん**【提案】○案を提出すること。また、その案。[文例]〈提案がある・ない〉合唱コンクールの曲を何にするかについて、だれか提案はありませんか。♠●〈建設的な提案〉〈提案を盛[も]り込[こ]む〉報告書には、新しい考え方や打開策など、建設的な提案を盛り込んでおいた。♠●へ提案に応じる>生徒の提案に応じて、先生たちは職員会議を開いた。♠へ提案する〉二学期の座席の並[なら]び順は、ぼくの提案したくじびきに決定した。♠◆<提案理由>議長は、発言者に、提案理由を述べるように求めた。 **ていいん**【定員】○定められた人数。[文例]〈定員を割る〉子供の数が減ったためか、今年の入会者数は定員を割った。♠●〈定員を超[こ]える〉予想に反して、定員を超える応募があった。♠●定員に達[たつ]する〉この講座は定員に達しましたので、募集を締め切ります。♠●〈定員オーバー>最後の一人がエレベーターに乗ったところで、定員オーバーを知らせるブザーが鳴った。 **ていか**【低下】○程度が低くなること。悪化すること。[例]〈気温の低下〉北海道や東北地方の夏の気温の低下は、イネやマメの不作につながっている。♠●〈視力の低下〉暗い所での読書は、視力の低下につながるので、気をつけよう。♠〈思考力の低下〉テレビを見る時間が長いと、思考力の低下につながるのでは、と心配する人が出てきた。♠◆く力が低下する〉疲れているときは、どんな人でも、ものを覚える力が低下します。♠〈学力が低下する〉勉強しないでいると、しだいに学力が低下するので、毎日の努力が大切だ。♠人能率が低下する>長時間働きつづけると、能率が低下しますから、休み時間をとるようにしてください。 **ていか**【定価】○売り手・製造元によって定められた売値。[文例]<商品の定価〉〈定価をつける〉この商品の定価は、仕入れ値の二割のもうけを見こんでつけてあるそうです。♠商品は定価で買いますが、中には交渉するとまけてくれる所もあるそうです。 **ていかい**【低回】(低徊)○考えにふけりながら、行ったり来たりすること。[文例]〈低回する〉わたしの考えは、何度も同じ道を低回したあげく、ついに一つの結論に達した。♠彼は其所[そこ]で留[と]まった。そうして低回した。けれどもそれより先へは一歩も進まなかった。(夏目漱石[なつめそうせき]「明暗[めいあん]」) **ていかん**(諦観)○本質を見抜くこと。悟り、あきらめること。[文例]〈人生を諦観する〉人生を諦観できるほど、わたしはまだ経験を積んだわけではなかった。♠●へ諦観的〉人間の力など限られたものでなにほどの事業も成しえないと、わたしは諦観的な態度をとっていた。 **ていき**【提起】○持ち出すこと。差し出すこと。[文例]<問題提起>ホームルームでは、先生から、清掃[せいそう]の仕方について問題提起があった。♠●へ問題を提起する〉この本は、生徒の自主性について、具体的に問題を提起している。♠●へ疑問を提起する>生徒会で制服について疑問を提起したところ、さまざまな反応があった。 **ていき**【定期】○一定の期間。一定の時期。定期乗車券・定期預金などの略。[文例]〈定期に〜する〉ぼくが月ぎめで定期に購入[こうにゆう]している雑誌は、二種類です。♠●〈定期に開く>母校の同窓会は、五年前から十月一日と決まり、それ以後、定期に開かれている。♠◆〈定期預金〉毎月の給料は生活費で消えてしまうので、ボーナスだけは定期預金にしたいと思う。♠◆〈定期的>移動図書館が定期的に巡回[じゅんかい]してくるようになったので、楽しみが増えました。♠●へ定期券>新学期が始まると、駅の窓口には、定期券を購入する生徒で行列ができる。♠●〈定期入れ>赤い定期入れから小さく折り畳んだ新聞広告が出てきた。♠◆〈定期船〉新聞は、定期船でこの島へ運ばれてくる。♠●へ定期便>定期便のトラックは、日中の混雑をさけ、真夜中に走る場合が多いそうだ。 **ていぎ**【定義】○物事の内容や言葉の意味を厳密に定めること。また、それを述べたもの。[例]〈ことばの定義〉辞書には、ことばの定義がのっている。♠●〈定義を下[くだ]す〉詩は、人間の思想や感情を、ことばを用いてリズムのある形式で表現したものと、定義を下すことができよう。♠●〈定義による〉定義によれば、魚類とは、セキツイ動物門・魚綱に属する動物の総称である。♠●〈定義する〉数学の試験に、三角形を定義する問題が出たが、クラス全員が正解だった。♠へ定義する〉「対義語」というのは普通[ふつう]、意味の反対の語と定義される。 **ていきあつ**【低気圧】○大気中で周囲より気圧の低い領域。機嫌が悪いこと。[文例]〈低気圧が近づく〉低気圧が近づいているため、天気はしだいに西から下り坂になる見込みです。♠●ぽくのテストの点数が悪かったせいで、母は低気圧だ。 **ていきゅう**【低級】○等級が低いこと。程度が低く俗悪なさま。[文例]〈低級な話〉きみみたいに低級な話ばかりしていると嫌[きら]われますよ。♠●〈低級な番組〉低級な番組に対する批判の声があがった。♠●〈低級な趣味〉ゴルフやテニスが高級な趣味で、マージャンやパチンコが低級な趣味だとは決めつけられない。 **ていきょう**【提供】○役に立てるために差し出すこと。[例]〈番組の提供〉この番組は、県の広報室の提供でお送りしました。 <730> ていけい て ♠土地の提供>難航していた老人ホームの移転問題は、資産家から土地の提供があったためやっと解決した。♠●へ情報を提供する〉当店は、お客様に役立つような情報を提供していきたいと考えております。♠●〈資料を提供する〉大学生の兄は、卒業論文を書くために、教授から資料を提供してもらった。♠●へ資源を提供する〉川は、常に、人間が生きていくために欠かすことのできない水資源を提供してきた。 **ていい**【提言】○意見を提出すること。また、その意見。[文例]〈提言をいれる〉社長は工場長の提言をいれ、新製品の開発をとりやめた。♠◆へ提言する〉大臣は、首相に対して減税を提言した。 **ていげん**【低減】○数量・率・価値などが低くなること。また、低くすること。[文例]〈価格の低減〉どの企業も、自社製品の価格の低減のために最大の努力をしている。♠●〈価値が低減する>自動車や電車の普及で、昭和に入って馬車の利用価値は低減した。 **ていこう**【抵抗】○外から加わる力をはねのけようとすること。手向かうこと。逆らうこと。逆らいたくなる気持ち。反発。力の作用に対して反対方向に働く力。[文例]〈抵抗する〉もうにげられないぞ、抵抗してもむだだから、おとなしく出てこい。♠へ人に抵抗する〉自分より力の強い者に抵抗しても、負けるに決まっている。♠●へ抵抗が強い>先生の都合で、体育の時間を数学にかえるのでは、生徒の抵抗が強いだろう。♠●へ激[はげ]しい抵抗〉大型スーパーの進出計画は、地元商店街の激しい抵抗にあって難航している。♠●へ空気の抵抗〉向かい風と、追い風とでは、空気の抵抗が大きくちがいます。♠●へ抵抗を感じる〉知らない人々の中に一人で入っていくのは、抵抗を感じます。♠●へ抵抗がある・ない〉ぼくは引っこみ思案なので、テレビカメラの前に出るのには抵抗があります。♠●へ電気の抵抗〉電圧と電流の値[あたい]がわかれば、計算によって抵抗を求めることができます。♠●〈抵抗力〉薄着[うすぎ]や外遊びを心がけ、病気に対する抵抗力を養おう。 **ていこく**【帝国】○皇帝・天皇の統治する国。[文例]〈帝国を築く〉フビライは、中央アジアに元[げん]という帝国を築き上げた。♠●へ帝国が滅[ほろ]びる〉大西洋を渡って来たスペイン人の侵入によって、インカ帝国は滅びた。♠●〈帝国主義>帝国主義の軍隊が周辺の小国を侵略していった。 **ていさい**【体裁】○外見。見かけ。形式。見せかけ。体面。おせじ。[文例]〈体裁を整える〉作文にさし絵を入れたり、写真をそえたりして、文集の体裁を整える。♠●へ体裁がいい〉入学式や卒業式に出席する母親たちは、みんな体裁のいい服を着てきます。♠●へ体裁が悪い〉大きな声で子供をしかるのは体裁が悪いとみえて、その母親は小声で注意していた。♠●〈体裁を気にする〉おしゃれな姉は、体裁を気にして、流行おくれの服は決して着なかった。♠●へ体裁よく>母は自慢[じまん]の手料理を体裁よく器[うつわ]に盛りつけた。♠●〈体裁ぶる〉体裁ぶって高級車を乗り回してみたが、ガソリン代が高くつくのに驚[おどろ]いてしまう。♠◆〈お体裁を言う〉一本気な祖父は、お体裁を言うのも、言われるのも大嫌[だいきら]いだった。 **ていさつ**【偵察】○様子をさぐること。[文例]〈敵陣[てきじん]の偵察>♠〈偵察に出かける>敵陣の偵察に出かけた三人の兵士は、とうとう戻って来なかった。♠●へ偵察に来る〉決勝戦の対戦相手がわたしたちの練習を偵察に来ています。♠●へ偵察する〉隣国の情勢を偵察していたスパイから報告が入った。 **ていし**【停止】○活動や進行などが止まること。また、止めること。[文例]〈停止になる>雨で水がにごったので、ブールの使用が停止になった。♠●〈停止する〉円ばんは、まるで無重力の物体のように、地上三メートルほどの位置で停止していた。♠●へ行動を停止する〉援軍[えんぐん]が到着するまで、味方の軍は行動を停止した。♠◆〈出場停止>部員に事件を起こした者が出たため、今年の大会は出場停止の処分を受けた。♠<営業停止>食中毒を出して営業停止にならないよう、当店は気を配っています。 **ていじ**【提示・呈示】○差し出して示すこと。[文例]〈証明書の呈示>高校生でも大人っぽい息子は、映画館に入るときなど、身分証明証の呈示を求められることがあるという。♠〈問題の提示〉会議では、出席者から新しい問題の提示が行われた。♠●〈提示する〉将来の町づくりという点で、一つ新しい問題点を提示したい。♠●へ証拠[しょうこ]を提示する〉裁判官は検事に、新たな証拠を提示するよう求めた。 **ていしせい**【低姿勢】○低い姿勢。へりくだった態度。→高姿勢。文例]<低姿勢になる〉相手が客となれば、わたしは商売人ですから自然と低姿勢になります。♠●へ低姿勢でのぞむ〉非は当方にあるので、ひたすら低姿勢で交渉にのぞんだ。 **ていしゅ**【亭主】○主人。あるじ。夫。[文例]〈うちの亭主〉うちの亭主は駅前で電気屋をやってるの。♠●へ亭主を尻[しり]に敷く〉結婚して三年、完全に亭主を尻に敷いてやったわ。♠〈亭主関白〉うちは亭主関白に見えて実はかかあ天下で、父は母に頭が上がりません。♠●へ髪結[かみゆ]いの亭主〉わたしは髪結いの亭主で、 <731> ていたらく て 女房が店に出て働く間家事全般をやっております。 **ていじゅう**【定住】○定まった土地に住むこと。[文例]<定住する〉彼は十年間暮らした名古屋の家を引きはらい、郷里に定住する決心をした。♠●〈定住生活〉弥生[やよい]時代になって農耕が始まると、人々は定住生活をするようになった。♠●へ定住者>都会の盛り場は流れ者が多く、定住者は少なかった。 **ていしゅく**【貞淑】○身持ちがよく、しとやかなさま。[文例]〈貞淑な妻〉とてもつつましやかで、人を思いやる心の深いてあなたは、貞淑な妻になるでしょう。 **ていしゅつ**【提出】○差し出すこと。[文例]〈原稿を提出する〉文集の原稿は、月曜日までに編集委員へ提出してください。♠●〈書類を提出する〉転入して来た人は、役所に必要書類を提出しなければなりません。♠●〈答案を提出する〉終わりのベルが鳴ったら、先生の手もとに答案を提出してください。♠◆<提出期限〉作文の提出期限が明日なので、書いたものを見直し清書した。♠◆<提出日〉今日が技術の宿題の提出日だったことをうっかり忘れていて、家に取りに行ってきた。 **ていしょう**【提唱】○意見を示して人々に呼びかけること。禅宗で教義を説き聞かせること。[文例]国際連盟は、アメリカの大統領ウィルソンの提唱によって一九二〇年に設立された。♠●へ提唱する〉中国の孫文[そんぶん]が提唱した三民主義は、中国国民党の指導原理となった。♠◆〈提唱する〉地動説を提唱したガリレオは、当時の教会からひどい迫害[はくがい]を受けました。 **ていしょく**【定職】○定まった職業。[文例]〈定職がある・ない〉フリーのアルバイターといえば聞こえはいいが、ぼくには定職がないのだ。♠●〈定職を得る〉今では彼も結婚し、定職を得て、幸せな毎日を送っています。♠●〈定職につく〉東京に出て来てしばらくは、定職にもつかずぶらぶらしていた。♠●〈定職を持つ>定職を持たないと、奥さんと子供を食わしていけないだろう。 **ていしょく**【抵触】(牴触・紙触)○法律や規則などに触れること。[文例]<抵触する〉この建築物は、市の市街化規制条例に抵触するおそれがある。♠●<抵触する〉諸君の行動は、夜間外出を規制した戒厳令[かいげんれい]に抵触するものであるから強く警告する。 **ていすい**【泥酔】○正体がなくなるほど酔っぱらうこと。[文例]〈泥酔する>昨夜は泥酔して仲間に担[かつ]がれて帰ってきたそうだが、わたしは何も覚えていない。 **ていすう**【定数】○定まった数量や人数。一定の値をとる数。定まった運命。[文例]〈定数に満たない〉出席者が定数に満たないため、会議は流れた。♠●へ議員の定数〉国会でも地方自治体の議会でも、議員の定数は決まっている。 **ディスカッション**○討論。討議。[文例]〈ディスカッションをする〉教育に関心をもつ人たちが集まり、現在の日本の教育についてディスカッションをすることになった。 **てい・する**【呈する】○現す。示す。差し出す。差し上げる。[文例]〈活況[かつきよう]を呈する〉敗戦から立ち直り、経済界もやっと活況を呈するようになってきた。♠●へ〈光景を呈する>飛行機の墜落[ついらく]現場は、世にもむざんな光景を呈していた。♠へ外観を呈する〉山崩[やまくず]れの現場は、空から見ると、鋭[するど]いつめでひっかかれたような外観を呈している。♠●へ様相を呈する〉遺産の相続争いは、当主の死後、ますます泥沼[どろぬま]の様相を呈してきた。♠●へ賛辞を呈する〉このたびの彼の行動には、周囲でも賛辞を呈する者が多かった。 **ていせい**【訂正】○誤りを正しく直すこと。[文例]〈誤りを訂正する〉作文を書いて見直したら、ずいぶん誤りがあったので、すべて訂正してから提出した。♠●〈訂正を加える〉返却された作文は、漢字の誤りや表現の不適切な部分に訂正を加えてあった。♠●〈訂正箇所[かしよ]〉試験の前に、先生から問題の訂正箇所が指摘[してき]されました。 **ていせつ**【定説】○正しいと広く認められている説。「[文例]〈学界の定説>地球上の大陸はもとは一つだったというのが、今や学界の定説となっている。♠●〈定説がない〉この病気の原因については、まだ定説がない。♠へ定説をくつがえす〉この発見は、これまでの定説をくつがえすものだった。 **ていせつ**【貞節】○みさおを堅く守ること。[文例]〈貞節な妻>わたしは、夫にそむくことなどない貞節な妻のつもりでございます。♠●へ貞節を尽くす〉かつては、嫁として貞節を尽くし、夫や家族のために尽くせと教えられた。 **ていせん**【停戦】○戦闘を停止すること。[文例]〈停戦する〉交戦中の両国がクリスマスから新年までの一週間、停戦することになった。♠●〈停戦協定〉ローマ法王の呼びかけで二国間に停戦協定が結ばれた。 **ていそう**【貞操】○正しいみさお。純潔。[文例]〈貞操を守る〉おみのは身持ちのよい女だったから、亭主の留守中もしっかり貞操を守った。♠●へ貞操を破る〉貞節を第一に教えられたので、貞操を破ることなど思いもよらなかった。♠◆貞操観念>貞操観念などという言葉があって、女性をしばっていたのです。 **ていぞく**【低俗】○低級で下品なさま。[文例]〈低俗な番組〉こんな低俗な番組何とかならないのかしら、と母が言った。♠●〈低俗な人間〉上品なものごしはしていても低俗な人間というものは、実はいるものなのです。 **ていたい**【停滞】○止まって動かないこと。とどこおること。[文例]〈前線[ぜんせん]の停滞>梅雨[ばいう]前線の停滞によって、ぐずついた天気がしばらく続くでしょう。♠●〈景気の停滞〉今年に入っても景気の停滞が続いている。♠●へ停滞する>組織から脱退する者があとを絶たず、運動は停滞してしまった。 **ていた・い**【手痛い】○打撃などが厳しい。手ひどい。[文例]〈手痛い損害>先日の台風で、農作物は手痛い損害をこうむりました。♠●へ手痛い打撃>敵の背後からの攻撃で味方は手痛い打撃を受けた。♠●〈手痛い失策〉九回裏一死満塁[まんるい]から内野手の手痛い失策が出た。♠●へ手痛い批評〉この作家の最新作は、批評家の手痛い批評を浴びた。 **ていたらく**【体たらく】(為体)○ありさま。ざま。[文例]一年とたたないのに店をたたんで帰ってくるとは、何というていたらくだ。 <732> ていちゃく て ♠このていたらく、とてもおやじに会わせる顔がないよ。 **ていちゃく**【定着】○しっかり定まって動かないこと。定住すること。現像したフィルム・印画紙の感光性を除くこと。[文例]〈土地に定着する〉わが家は、先祖代々この地に定着している。♠◆く習慣が定着する〉三度の食事の後の歯みがきの習慣がやっと定着してきた。♠●〈外来語が定着する〉日本語の中には、「タバコ・ガラス」のように、日本語として定着した外来語が多い。♠●へ頭の中に定着する〉書くことによって、自分の考えが頭の中に定着していく。♠●〈考えが定着する〉戦争は悪である、という考えが人々の間に定着するまでには、多くの人々の犠牲[ぎせい]があった。 **ていちょう**【低調】○調子が出ないさま。不活発なさま。充実していないさま。[文例]〈出足が低調〉せっかくの文化祭だったが、雨にたたられて出足は低調だった。♠●へ売れ行きが低調〉今年は不景気のせいか、売れ行きが低調です。♠●へ会議が低調>意見を述べる人も質問する人も少なく、昨日の会議は非常に低調でした。♠◆<低調な競技会〉日本記録が一つ出たものの、全体としては低調な競技会だった。 **ていちょう**【丁重】(鄭重)○ていねいで、よく行き届いているさま。[文例]丁重なあいさつ>卒業式で、友人の両親から丁重なあいさつを受け、言葉につまってしまった。♠宁重なもてなし>旅先のペンフレンドの家では、丁重なもてなしを受け感激[かんげき]した。♠●〈扱いが丁重>漆器[しつき]はひびをいらせたらおしまいなので、扱い[あつか]いはことのほか丁重になる。 **ていど**【程度】○物事のほど。どあい。[文例] <程度がちがう〉小学生と中学生じゃ、勉強の程度がちがうよ。♠●へ程度が高い・低い>練習問題は、なるべく易[やさ]しそうなものを選んで、程度の高い難しいものは避[さ]けたほうがよい。♠●人程度をこえる〉仲間うちとはいえ、程度をこえた悪ふざけは友達を失うもとだ。♠●へ程度の差こそあれ〉近所の人々は程度の差こそあれ、みんなこの工場の騒音[そうおん]の被害者[ひがいしゃ]です。♠●〈人の程度〉会話の内容を聞いただけで、その人の程度がわかってしまう。♠〈ある程度〉〈程度問題〉小さい子だから、騒ぎまわるのもある程度はがまんするが、それも程度問題だ。♠◆ヘ申し訳程度>列車が遅れても、外国の駅では申し訳程度のアナウンスしかないそうだ。♠●へ少し超える程度>山登りといっても、歩くのは二時間を少し超える程度だ。 **ていとう**【抵当】○借金のかた。担保[たんぽ]。[文例]〈抵当に入れる〉住んでいるマンションを抵当に入れて、銀行から事業のための資金を借りた。♠●〈抵当にする〉農民の中には、土地を抵当にして高利貸しから金を借りている者もあった。 **ていねい**【丁寧】(叮嚀)○親切で礼儀正しいさま。念が入って細かいさま。[文例] 〈丁寧なあいさつ>先日上京したという友人の母親から、丁寧なあいさつを受けた。♠●丁寧な人〉おばは、礼儀正しく丁寧な人と評判だ。♠◆丁寧に書く〉手紙は、字が下手でも心をこめて丁寧に書きなさい。♠●수寧に扱う〉この荷物は壊[こわ]れ物ですから、丁寧に取り扱ってください。♠●へ懇切[こんせつ]丁寧>器具の使用法をたずねたら、店員は懇切丁寧に説明してくれた。 **ていねん**【定年・停年】○退職することを定めた年齢。[文例]〈定年になる>定年になって会社をやめた父は、毎日釣りを楽しんでいます。♠◆〈定年退職〉この三月で、わたしは三十五年勤めた会社を定年退職した。♠●〈定年制>多くの企業が定年制を設けて、一定の年齢に達した人を退職させている。 **ていはく**【停泊】(碇泊)○船舶がいかりを下ろして泊まること。[文例]〈停泊する〉世界一周の観光客を乗せた豪華[ごうか]客船が横浜港に停泊しています。 **ていひょう**【定評】○広く認められ、定まった評判・評価。[文例]〈定評がある〉この辞典の用例には定評があります。♠◆<定評となる〉この分野では、彼の実力はいまや定評となっている。 **ていへん**【底辺】○三角形で頂点に対する辺。台形で平行な二辺。平行四辺形で高さと直角な辺。社会の最も低い階層。[文例]〈三角形の底辺〉三角形の面積は、底辺と高さがわかれば求められる。♠●〈社会の底辺〉この詩は、社会の底辺に生きる民衆の心を代弁したものと言えよう。♠◆〈底辺を支える>労働者階級がこの国の底辺を支えていた。♠<底辺の生活〉貧農の子に生まれた少年は、底辺の生活にあきたらず、立身出世を夢みて上京した。 **ていぼう**【堤防】○川岸や海岸などで高く盛って固めた土手。堤。[文例]〈堤防を築く〉村人たちは大水から村を守るために、川に堤防を築きました。♠◆<堤防が切れる〉大雨で川の水かさが増し、あちこちで堤防が切れた。♠●へ堤防の決壊[けつかい]>堤防の決壊で、町の半数近くの家が浸水[しんすい]した。 **ていほん**【定本】○異なるテキストを比較して定めた、標準となる本。[文例]発表後何度も手を加えられた作品だが、作家は今回の全集収録のテキストをもって、この作品の定本とすると記している。 **ていほん**【底本】○翻訳や校訂、刊行などの元になった本。[文例]古典の現代語訳の刊行にあたって、最も信頼がおけると定評のあるテキストを底本としました。 **ていめい**【低迷】○低い所を漂うこと。悪い状態を脱出できずに迷うこと。[文例] <低迷を脱する〉作家は、この作品によって長い低迷を脱した。♠●〈低迷を破る〉画壇の低迷を破るような大型新人の出現が期待されていた。♠●〈低迷する〉わが校サッカー部は今シーズンも一勝七敗、相変わらず下位に低迷している。♠●〈低迷状態>景気の回復が思わしくなく、市場は依然として低迷状態が続いている。♠へ暗雲[あんうん]低迷>暗雲低迷のこの状況をなんとか打破できないものだろうか。 **ていよく**【体よく】○体裁よく。表面をとりつくろって。[文例]映画に誘ったら、バイトがあるからって体よく断られちゃったの。♠●めんどうな話になりそうだったから、口実を作って体よく別れてきた。 **ていり**【定理】○公理や定義によって導き出せる理論的命題。[文例]科学は、多くの定理や法則を見いだしてきた。♠◆三平方の定理を使えば、直角三角形の二辺の長さから他の一辺の長さを求められる。 <733> でかい て **でいり**【出入り】○出たり入ったりすること。ひんぱんに訪れること。収支。仕入れと販売。超過と不足。もめごとやけんか。[文例]〈人の出入り〉うちは町内会の連絡所になっているので、人の出入りが多い。♠●へ物の出入り〉このごろ商品の出入りが激しいようだから、伝票はしっかり管理しなさい。♠◆人数の出入り〉少しぐらい字数に出入りがあってもよいが、六百字程度に意見をまとめなさい。♠●へやくざの出入り〉近所でやくざの出入りがあり、住民は怖[こわ]がって外に出ません。♠●〈出入りの業者〉出入りの業者が、毎日学校へ給食の材料を運んでくる。♠●〈出入りする〉卒業後もわたしは、教授の研究室に自由に出入りすることを許された。♠へ出入り口〉出入り口が一つだけの建物なんて、火事や地震のとき危ないなあ。 **ていりゅう**【底流】○底の方の流れ。物事の表面に現れない内部の動き。[文例]〈文化の底流〉この島の人たちの生活や文化の底流を探っていくと、南アジアの稲作文化に行きあたります。♠●へ文明の底流>西洋文明の底流には、キリスト教の思想があります。 **ていれ**【手入れ】○手を入れること。修理や世話。直し。警官が現場に踏み込むこと。[文例]〈靴の手入れ>外から帰ると、履[は]いた靴の手入れをします。♠●〈手入れがよい〉手入れがよいのか、彼の自転車はいつも新品にみえます。♠へ手入れが行き届く〉おじいちゃんの家の庭は手入れが行き届いていて、植木もきちんと刈り込まれている。♠●へ手入れする〉ふだんから手入れしておかないと、いざという時役に立たないものがある。♠●へ警察の手入れ>昨日の警察の手入れで、暴力団員が多数検挙された。 **てうす**【手薄】○少ないさま。乏しいさま。人手が足りないさま。[文例]〈在庫が手薄>製品の売れ行きがよく、在庫もだいぶ手薄になってしまいました。♠●へ警備が手薄>賊は警備がいちばん手薄だった西門から侵入[しんにゅう]したらしい。♠懐中[かいちゆう]が手薄〉その中例月の通り、青山へ金を貰[もら]いに行くべき日が来た。代助の懐中は甚[はなは]だ手薄になった。(夏目漱石「それから」) **てうち**【手打ち・手討ち】○手を打つこと。取引・契約・和解が成立すること。手で打って作ること。武士が家来や町人を切り殺して処罰すること。手先しか使わずに打つこと。[文例]〈手打ちのそば〉そばやうどんは、機械でなく、手打ちの方がおいしいようです。♠●へ手打ちをする〉話し合いがまとまり、出席者全員で手打ちをし、会は終了しました。♠へ手打ちになる〉難航していた交渉も、工場側が慰謝料[いしやりよう]を支払うことで手打ちになった。♠●へお手討ち〉侍[さむらい]に無礼をはたらいた町人は、その場でお手討ちとなった。♠●へ手打ち式二社間で取引契約が成立し手打ち式が行われた。 **データ**○結論を導き出すための材料・資料。又例〈データを集める〉わたしは、ニホンオオカミに関するデータを集めてみようと思った。♠●ヘデータを取る〉真実を得るためには、実験を通してデータを取る必要があった。♠●ヘデータを収集する。分析[ぶんせき]する〉データを収集するのも大変だが、それを分析するのはもっと大変だ。♠●ヘデータが不足する〉この鳥の生態については、データが不足しているので、まだ結論は出せない。♠●へ手持ちのデータ>敵国の戦力を分析しようと、専門家が手持ちのデータを持ちよった。 **テープ**○ひもまたはおび状のもの。録音・録画用の磁気帯。競走の決勝点に張るひも。[文側]ヘテープにとる〉放送部の生徒たちが文化祭の様子をビデオテープにとっています。♠◆ヘテープに吹きこむ〉家族みんなでテープに吹きこんだ声の便りを、田舎[いなか]の祖母に送って喜ばれた。♠●ヘテープを回す〉では、全員そろったので、録音してきたテープを回します。♠●ヘテープが飛ぶ〉人気歌手がステージに立つと、女の子の黄色い声とともに、四方からテープが飛びかう。♠●ヘテープを切る〉一着でテープを切ったのは、やっぱり隣[となり]のクラスのSさんだった。 **テーブル**○食卓。卓。表。[文例)〈テーブルに着く〉食事の支度ができたからみんなテーブルに着いてちょうだい。♠〈会議のテーブル>長い間冷戦状態だった両党の党首が、会議のテーブルに着くことになった。♠◆ヘテーブルクロスレストランに入ると、しみ一つない真っ白なテーブルクロスが目に入りました。♠◆ヘテーブルスピーチ〉パーティーの席でテーブルスピーチを頼まれたが、何を話したらいいんだろう。♠◆ヘテーブルマナー>テーブルマナーを知っておくことは大切ですが、あまりこだわらずに楽しく食事ができればいいと思います。 **テーマ**○主題。主旋律。[例]〈物語のテーマ〉『フランダースの犬』という物語は、犬と人間との温かい心の交流がテーマになっている。♠〈テーマにする〉今日のホームルームは、自転車の安全な乗り方をテーマにします。♠●へ特集のテーマ〉〈テーマを決める〉クラスの文集の編集委員が集まって、次の特集のテーマを決めました。♠◆ヘテーマソング>姉さんが台所で、テレビドラマのテーマソングを歌っています。 **ておくれ**【手遅れ・手後れ】○時機を逃して役に立たなくなること。[文例]〈手遅れになる〉この病気は、早く医者にかからないと、手遅れになります。♠●大きな事故が起[おこ]ってからやっと対策を立てるというのでは、手遅れというものだ。♠●今夜中に届ける約束[やくそく]になっているのに道路が不通とは困ったな、明日ではもう手遅れだ。 **ておち**【手落ち】○おちど。手ぬかり。[例]〈手落ちがある〉彼女はずいぶん怒っているようだが、こちらに手落ちがあったのなら、謝[あやま]ろう。♠●〈手落ちがない〉会場係を言いつかったわたしは、手落ちがないよういっそう神経を張りつめたのであった。♠●〈手落ちを認める〉素直に謝ればいいものを、いこじになった彼は、がんとして自分の手落ちを認めなかった。♠●へ警備の手落ち>警備の手落ちから、その店はどろぼうに入られてしまった。♠●へ家の者の手落ち〉家の者の手落ちで車の手配がまにあわず、予定の式には出席できなかった。 **でかい**○大きい。[文例]へでかい家〉彼は三百坪もあるでかい家に、たった一人で住んでいるそうです。♠●へでかい顔>きみ一人の力でうまくいったわけではないんだ、あまりでかい顔をするな。 <734> てがかり て ♠●へでかい態度〉廊下で会っても会釈[えしゃく]一つしない、あのでかい態度の新人はいったいだれだ。♠〈でかい夢>自転車で日本一周をするでかい夢を実現させようと、アルバイトに精を出しています。 **てがかり**【手掛かり・手懸かり】○手を掛ける所・物。最初のよりどころ。糸口。きっかけ。[文例]〈手掛かりを作る>岩登りなどの際、手掛かりを作るために岩のすきまに打ちこむくぎをハーケンという。♠●〈手掛かりにする〉登山者が一本のロープだけを手掛かりにして、岩山を登っていきました。♠●〈手掛かりにする〉みつばちは太陽を手掛かりにして、巣のある方向を知る力を持っています。♠●く手掛かりになる〉作者について書かれた文章は、その作者の作品を読み取るための手掛かりになります。♠●く手掛かりを与える〉このミステリーでは、主人公の父親の性格がなぞを解く手掛かりを与えてくれる。♠●〈手掛かりをつかむ〉現場から犯人の遺留品が見つかり、重要な手掛かりをつかむことができた。♠◆◇手掛かりが見つかる〉これだけ考えても、この問題を解く手掛かりは見つからない。 **てが・ける**【手掛ける・手懸ける】○自分の手で扱う。[例]〈仕事を手がける〉今手がけている仕事が終わったら、しばらく休暇をとろうと思っています。♠◆ヘ工事を手がける〉来年八月完成の予定で手がけた工事だったが、予定より遅れそうだ。♠へ盆栽[ぼんさい]を手がける〉父が長年手がけてきた盆栽が、品評会でみごとに入選しました。♠●へ作品を手がける〉画家が今手がけている作品は、美しい彼の妻をモデルにしたものだ。 **でか・ける**【出掛ける】○出て行く。おもむく。外出する。出ようとする。出始める。[文例]〈学校へ出掛ける〉父が起きたときは、姉はもう大学へ出掛けていた。♠●〈外に出掛ける〉わたしが外に出掛けている間に、だれかお客さんがやってきたようです。♠●へ釣りに出掛ける〉弟は朝早くから釣りに出掛け、帰ってきたのは夕方五時過ぎだった。♠へ散歩に出掛ける〉めっきり春らしくなった陽気に誘われて、家族そろって散歩に出掛けました。♠●〈見舞いに出掛ける〉小学校時代の先生が入院したと聞いて、姉はさっそくお見舞いに出掛けた。♠●〈出掛けている〉今、父は出掛けていますので、もう一度お電話していただけませんか。♠●へ一度出かけた答え〉あれ、一度口から出かけた答えを忘れてしまったよ。♠◆〈玄関を出かける〉ちょうど玄関を出かけたところへ電話が鳴った。 **てかげん**【手加減】○手に取った感じではかること。ほどよく調節すること。手ごろ。[文例]〈手加減が難しい>自動車のドアも、どの程度の力を加えたらうまくしまるか、その手加げんが難しい。♠●〈手加減がわからない〉教師になってから十年とはいえ、女子校は初めてなので手加減がわからない。♠●〈手加減を覚える〉志望して入ったこの道ではあるが、ろくろの手加減を覚えるまでが容易ではない。♠●〈手加減を加える〉相手は小さい子なのだから、少しは手加減を加えてやりなさい。♠●へ手加減を心得[こころえ]る>母は長い間保母をしてきただけあって、子供をしかるにも、手加減を心得ている。♠〈手加減する〉小さな子が三人いるわが家では、カレーはいつもからさを手加減してある。 **てかず**【手数】♪てすう **てがた**【手形】○手のひらに墨などを塗って押したもの。証拠の文書。関所の通行証。約束手形などの有価証券。[文例]ぼくは、人気力士の大きな手形とサインの入った色紙を持っている。♠●昔は関所を越えるのに、通行許可証である手形が必要だった。♠●〈約束手形〉代金の支払いのために、店は約束手形を振り出しました。 **てがた・い**【手堅い】○堅実で危なげがない。堅調だ。[文例]〈手堅い経営>信用を第一とする手堅い経営で店は大きくなってきました。♠●〈手堅いプレー>派手さはない選手だが、手堅いプレーで専門家の評価は高い。♠●〈手堅くこなす〉きちょうめんな人だったので、一つ一つの仕事を手堅くこなしていった。 **てがみ**【手紙】○伝えたいことを書いて送る文書。書状。書簡。[文例]〈手紙を書く〉手紙を書くときには、相手の気持ちを考えながら、心をこめて書きましょう。♠へ手紙を出す〉わたしの義務は、故郷[こきよう]の父に月に一度の手紙を出すことだけであった。♠◆<手紙が来る>田舎[いなか]の祖母から、夏休みになったら遊びにおいでという手紙が来た。♠●〈手紙が届く〉留学を希望していた大学から、待ちに待った手紙が届いた。♠●〈手紙をもらう・やる〉アメリカの友人から手紙をもらった。♠◆へ手紙を寄せる〉事故で体が不自由になった少年に、多くの人々から励ましの手紙が寄せられました。♠●へ置き手紙>家に帰ると母の姿はなく、テーブルの上におやつと置き手紙があった。 **てがら**【手柄】○立派な働き。功績。[文例]〈手柄を立てる〉公園の中には、その戦争で手柄を立てた将軍の銅像が立っています。♠●へ手柄にする〉彼は、成功したのを自分一人の手柄にして上官に報告した。♠◆ヘ手柄を独[ひと]り占[じ]めする〉この兵士は、いつも手柄を独り占めしようとするので、みんなからきらわれていた。♠●〈手柄顔>弟は、財布を拾って交番に届けたことを、手柄顔に報告している。♠●〈手柄話〉泳ぎが達者な父には、おぼれかかった子供を助けたという手柄話もある。♠●〈大手柄〉一回戦で負けると思ったのに準決勝まで行けたんだから、大手柄だよ。 **てがる**【手軽】○手数がかからないさま。簡便。[文例]〈手軽に作る〉版画は、同じ絵を、手軽に何枚でも作ることができます。♠●〈手軽に買える〉日本の地図は諸外国の半分の値段で、しかも街頭の書店で手軽に買える。♠●〈手軽にやる〉運動が得意な彼は、鉄棒でもマットでも手軽にやってのける。♠●〈手軽な料理>手軽な料理をいくつか覚えておくと、不意のお客様でもあわてずにすみます。♠●〈手軽な食事>朝は、トースト、牛乳、卵など、手軽な食事ですませる。♠●へ手軽で便利>持ち運びに手軽で便利なものの筆頭は、ふろしきである。 **てき**【敵】○戦いの相手。かたき。害になるもの。[例]身を守る弱い動物たちはさまざまな方法で敵から自分の身を守ります。 <735> できごと て ♠●く敵の目をごまかす〉クコやイカは、襲[おそ]われると、黒いすみをはき出して、敵の目をくらましてからにげます。♠●く敵の攻撃[こうげき]>畑のくぼんだところに身をひそめ、敵の攻撃をなんとか防いだ。♠<敵味方の区別>戦場で傷を負った兵士たちは、敵味方の区別なく手当てを受けた。♠◆<敵との出会い〉川をはさんだ場所での敵との出会いから、両軍の撃ちあいが始まりました。♠●<敵に襲われる>動物は、敵に襲われると、さまざまな方法で身を守りながら生きていきます。♠◆く敵を作る>争いを避けるためには、みんなと仲よくし、敵を作らなければいいのだ。♠●へ敵に回す〉彼は、ふだん優しい男に見えるが、敵に回すと怖[こわ]い相手だと思う。♠◆く敵に後ろを見せる〉敵に後ろを見せるとはひきょうだぞ。♠◆<敵の意表をつく〉敵の意表をつく作戦が成功し、予選を勝ち進んだ。♠●へ向かうところ敵なし〉わがチームは、向かうところ敵なしの勢いで、決勝に進出したのである。♠◆〈敵に向かう〉平和をみだす敵には、自分たちの手でしりぞけるという強い決意をもって向かう。♠●へ敵は本能寺にあり〉「敵は本能寺にあり」とは、目の前の敵以外に、別のところに本当の敵がいることをいう。♠●〈敵を知る〉敵を知り己[おのれ]を知らば、百戦して危[あや]うからず。♠●ヘぜいたくは敵〉ぜいたくは敵だ、質素な生活を心がけなさい。♠●へ敵ながらあっぱれなやつ〉「敵ながらあっぱれなやつだ。」と、武将は敵の若侍[わかざむらい]の働きをほめたたえた。 **でき**【出来】○できること。仕上がること。でき具合。収穫。成績。取引。売買。[文例]〈作物の出来〉〈出来がよい〉今年は作物の出来がよいと、農家の人たちは喜んでいる。♠●へ生徒の出来〉〈出来が悪い〉ぼくたちのように出来の悪い生徒を受け持った先生、ごくろうさま。♠◆〈立派な出来〉作品のあまりに立派な出来に、みんな驚きました。♠●〈出来不出来>彼の演奏は、出来不出来の差が激しい。♠◆〈上出来〉体の重いわたしには、懸垂[けんすい]が三回できたら上出来です。 **できあい**(溺愛)○前後のわきまえもなく、かわいがること。[文例]〈溺愛する>両親に溺愛され過保護に育った彼女は、とてもわがままな性格になってしまった。 **できあい**【出来合い】○既に出来あがっていること。また、そこのもの。男女がひそかに愛し合うこと。[文例]〈出来合いの服〉あわてて買い込んだ出来合いの服だから、体にぴったりというわけにはいかなかった。♠●へ出来合いの思想〉流行の思想をなまかじりにしてわけのわからないことを言っているが、出来合いの思想はあくまでも借り物だから本人の身にはつかない。 **てきい**【敵意】○敵対し、にくむ心。[文例]〈敵意を感じる〉ぼくの困るようなことばかり言う人に対して、ぼくは敵意を感じるようになっていた。♠●へ敵意をもつ〉人々は、すぐれた個性には羨望[せんぼう]と敵意をもつようだ。♠●〈敵意を抱[いだ]く〉この事件以来、彼はわたしにひそかな敵意を抱くようになったらしい。♠●へ敵意を含む〉彼のとげのある言葉は、敵意を含んだものだった。♠●へ敵意のあらわれ〉ネコが背中を丸め毛を逆立てるのは、敵意のあらわれです。 **てきおう**【適応】○周囲の状況によく合うこと。環境に合わせて自分を変えること。[文例]〈コンピューターへの適応〉年をとってくると、コンピューターなどへの適応にとまどうことが多い。♠●適応が早い〉初めての環境[かんきよう]にほうりこまれたとき、若い人ほど適応が早いといえよう。♠●〈生活に適応する>勇[いさ]んで上京した彼だったが、都会の生活に適応することはできなかった。♠●〈適応力〉遊びというのは環境に対する適応力を養う一種のトレーニングである。♠●へ適応性>利己的な少女で、周囲に対する適応性を欠いていた。 **てきがいしん**(敵愾心)○敵に対していだく憤[いきどお]りの気持ち。敵対心。[文例]]<敵愾心を燃やす〉不法に領土を奪[うば]われた祖国は、隣国に対して激[はげ]しく敵愾心を燃やしていた。♠●へ敵愾心をあおる〉興奮した彼等には、今は何を言っても敵愾心をあおるだけだろう。 **てきかく**【的確・適確】○的を射て正確なさま。てっかく。[文例)〈的確に表す〉言葉ではなかなか的確には表しにくいことを、映像は見事に表し、伝える力を持っている。♠人的確に伝える>自分の言いたいことを相手に的確に伝えるには、それだけの準備が必要だ。♠〈的確な判断>車を運転するためには、細かい注意力と的確な判断力が必要です。 **てきかく**【適格】○資格や性格が適当であること。てっかく。[文例]他人に対する思いやりを持てない人は、看護婦という仕事には適格ではない。♠彼らは、いくつものテストを受け、飛行士として適格かどうかを試された。♠◆生徒会の会長には、責任感が強く実行力のある人が適格だと思います。 **てきぎ**【適宜】○適切なさま。個々によしと判断してするさま。[文例]〈適宜な処置>事は重大である。早急に適宜な処置を要する。♠●へ適宜~する〉談話では、その場にあった話題を適宜選ぶことが大切です。♠●〈適宜~する〉相手関係や場によって、敬語を適宜使い分けられるようになりたいものです。 **てきごう**【適合】○あてはまること。適すること。[文例]<環境に適合する>砂漠[さびく]に住む生物は、厳しい環境に適合する能力を持っています。♠●〈条件に適合する〉幹部社員の条件に適合した人はいなかった。 **できごころ**【出来心】○ふっと浮かんだよくない考え。[文例]気まぐれやその場の出来心で行動するばかりでは、わたしたちは経験から学ぶことができない。♠●ほんの出来心でございます。今度だけはお許しください。 **できごと**【出来事】○起こったこと。事件。事故。又例〈世界の出来事>報道機関が発達した今日では、世界の出来事をいながらにして知ることができる。♠●〈出来事がある〉仕事で出張していたもので、そんな出来事があったとはちっとも知らなかった。♠●〈出来事が起こる〉勝利を目前にして、信じられない出来事が起こった。♠◆へ予期せぬ出来事>発電所が爆破[ばくは]されるという予期せぬ出来事に、町は騒然[そうぜん]となりました。♠●へ一瞬[いつしゆん]の出来事〉歩道にトラックが突[つ]っ込んできたのは、一瞬の出来事だった。♠●〈出来事に遭[あ]う〉毎日の生活の中で、 <736> てきざいてきしょ て ぼくたちはさまざまな出来事に遭っている。 **てきざいてきしょ**【適材適所】○人材をその能力が十分に発揮できるような仕事につけること。[文例]人の性格や考え方、才能などはまちまちですから、どうしても適材適所が重要になります。♠●企業では社員の能力を判定し、適材適所に人員を配置している。 **てきし**【敵視】○敵として見ること。敵意をもって人を見ること。[文例]〈周囲の敵視〉わたしは、きっとわかってもらえると信じて、周囲の敵視に耐えてきたのです。♠●へ敵視する>反対者だからといって初めから敵視せず、まず腹を割って話し合ってみることだ。 **てきしゅつ**【摘出】(剔出)○つまんで取り出すこと。取り除くこと。[文例]〈患部の摘出〉手術をして患部の摘出に成功すれば、程なく社会復帰が可能になるだろう。♠●へ摘出する〉兵士の肩にうまった弾丸は、手術によって摘出するほかに方法がなかった。 **テキスト**○教科書。教材。作品・著述の本文。原本。[文例]<英語のテキスト>英語のテキストを忘れてきたので、隣の友達に見せてもらった。♠◆ヘテキストにあたる〉解説書ではよくわからない部分もあるので、直接テキストにあたってみることにした。♠●〈作品のテキスト〉作者が何度も手を加えた作品では、どのテキストを採用するかも重要なことです。 **てき・する**【適する】○よく合う。当てはまる。。適合する。又例〈生育に適する〉日本は、年間雨量がかなり多く、杉[すぎ]の生育には適しています。♠●へ住むのに適する〉木星や土星などは、寒すぎて、生物が住むのには、適していないようです。♠◆<気候・風土に適する〉落花生は、千葉県の気候風土に適した作物です。♠寒い地方に適する〉そのころは、寒い地方に適したいねの改良が進んでいませんでした。♠●へ委員に適する〉人をまとめていくのがへたな彼は、学級委員に適さない。♠●へ表現が適する〉どんな表現が自分の心の動きを表すのに最も適しているかを考えてみるとよい。 **てきせい**【適正】○理にかなって正当であるさま。[文例]〈適正な価格>商品は、需要と供給によっておのずと適正な価格に落ち着いてゆく。♠●〈適正な手段〉適正な手段によらない宝くじの販売は禁止されている。♠●へ適正な評価>わたしたちの仕事が常に社会から適正な評価を受けるとはかぎらない。 **てきせい**【適性】○性格・性質に適していること。ある仕事に適した性質。[文例]〈適性がある・ない>職業を選ぶときは、自分に適性があるかどうか、慎重[しんちよう]に判断しなくてはなりません。♠●へ適性に欠ける〉すぐにかっとなる人は、運転手としての適性に欠ける。♠●へ適性を見る〉合宿生活を通して、監督はだれをキャプテンにするのがよいか、その適性を見ていた。♠●へ適性検査>将来の進路を決めるにあたって、適性検査を受けてみるのも一つの方法です。 **てきせつ**【適切】○ぴったりあてはまるさま。[文例]〈適切な本>目的に応じて適切な本を選んで読むようにするとよい。♠●へ適切な手当て〉やけどをしたとき、養護[ようご]の先生が適切な手当てをしてくれたので、傷跡[きずあと]が残らずにすんだ。♠〈適切なことば〉適切な接続詞を使うと文章がひきしまり、意味もとりやすくなります。♠●〈適切な助言[じょげん]〉あなたの適切な助言のおかげで、難しい問題を解決することができました。♠●〈適切に使う〉ふだんから敬語を適切に使うよう心がけよう。♠●へ適切に判断する〉集団の中では、他人との関係を適切に判断して、自分のとるべき行動を考える必要がある。 **てきたい**【敵対】○敵として対立すること。又例〈敵対する〉スポーツマン同士は、決して敵対するものでなく、本来信頼で結ばれていなければならない。♠●〈敵対心〉彼とぼくとは良きライバルであって、敵対心などかけらも持っていません。♠●へ敵対関係>両国は敵対関係にあり、いつ衝突が起こっても不思議ではなかった。♠●〈敵対行動〉今まで中立を守っていた隣国の大名が、とりでを築いたり街道を封鎖[ふうさ]したり、敵対行動をとり始めた。 **てきちゅう**【的中・適中】○的に当たること。命中すること。予想などが当たること。[文例]〈予想が的中する〉予想が的中し、お父さんはだいぶ株でもうけたらしい。♠◆◇予報が的中する〉運動会の当日は天気予報が的中し、雲一つない秋晴れだった。♠予感が的中する〉事故でもあったのではないかという、ぼくの悪い予感が的中してしまった。 **てきど**【適度】○ほどよいさま。ちょうどよい程度。[文例]〈適度の降雨〉当地は、暑からず寒からず、しかも年間を通して適度の降雨があります。♠●へ適度な運動〉適度な運動は体のためによいが、過[すぎ]ると弊害[へいがい]をもたらすので、気をつけたほうがよい。♠へ適度な汗〉一時間夢中になってゲートボールをやると、適度な汗をかくことができ気持ちがいい。♠〈適度なしめりけ〉適度なしめりけは、植物の生育にとって欠かせない条件となっている。♠●へ適度な距離〉中学生にとって、この半島一周のマラソンコースは、適度な距離といえる。♠●〈適度にあしらう〉真っ白なあわ雪かんに、さくらんぼを適度にあしらったところ、子供たちに好評だった。 **てきとう**【適当】○ぴったりあてはまること。ふさわしいさま。いい加減なさま。[文例]〈適当な大きさ〉すき焼きの材料を適当な大きさに切って、大皿[おおざら]にきれいにならべてみた。♠●〈適当する〉立候補した生徒の中から、適当する人を選び、生徒会長に決めた。♠●〈適当に使う〉ニコニコ、のろのろなどの様子を表す言葉を適当に使うと、文章が生き生きとしてくる。♠●〈適当にあしらう〉四歳[さい]のめいは、いつも「どうして?」とうるさいので、適当にあしらうようにしている。♠〈適当にやる〉クリスマス・パーティーなんかわたしには関係ないから、適当にやってよ。 **てきにん**【適任】○その任務にかなっていること。[例]今度の登山のリーダーには、経験のある高山君が適任だろう。♠◆生徒会の会長に、最も適任だと思う人を推薦[すいせん]してください。 **できばえ**【出来栄え・出来映え】○出来あがり具合(がよいこと)。[文例]〈見事な出来ばえ〉今日のコンサートの彼女は、見事な出来ばえだった。 <737> てくだ て ♠●へ出来ばえがよい〉いくつかの彼の作品の中でも、この静物画の出来ばえがいちばんいい。♠●〈出来ばえを見る>先生に絵の出来ばえを見てもらおうと、勢いよく職員室のドアを開けた。♠●〈上々の出来ばえ〉印刷所から届けられたポスターは、上々の出来ばえだった。♠◆<申し分のない出来ばえ〉三日間しか練習できなかったことを考えれば、彼女の演技は申し分のない出来ばえといえる。 **てきはつ**【摘発】○悪事をあばくこと。[文例]へ汚職[おしよく]の摘発>♠〈摘発を受ける>警察による汚職の摘発を受けて、町長以下七名の議員が辞職した。♠◆不正行為の摘発〉有権者の要請によって、警察は不正行為の摘発に乗り出した。♠●〈摘発する>脱税を摘発された商店主[ぬし]は、追徴金[ついちようさん]の支払いを命じられた。 **てきひ**【適否】○適当かそうでないかということ。「[文例]監督としての彼の適否は、この三年間のチームの急成長を見れば明らかでしょう。♠この場で急いで結論を出すことの適否について、もう少し会員の意見を聞いてみたい。 **てきびし・い**【手厳しい】○やり方が非常にきびしい。[文例]〈手厳しい批評〉返ってきた作文には、先生から手厳しいが心のこもった批評が書きそえられていた。♠●へ手厳しい教え>弟子たちは、師の手厳しい教えによって、めきめき力をつけていった。♠◆〈手厳しく反論する〉相手は子供だと油断したのが大まちがい、手厳しく反論されてしまった。♠●へ手厳しくしつける〉猟犬[りょうけん]は、小さなうちから手厳しくしつけ、飼い主に忠実になるよう訓練する。 **てきめん**(覿面)○目の前。まのあたり。結果・効果がただちに現れるさま。[文例]〈効果てきめん>通るたびにほえた犬も、やさしく声をかけてやったら効果てきめん、次からほえなくなった。♠◆天罰[てんばっ]てきめん〉テストだというのにプラモデルに夢中[むちゅう]だった弟は、天罰てきめん、ひどい結果だった。♠◆くてきめんに効く〉麻酔を打たれるとてきめんに効いてきて、二分もしないうちに意識がなくなった。♠アルコールに弱い母は、ビールを一口飲んだだけで、てきめん真っ赤になる。 **てきよう**【適用】○あてはめて用いること。[文例)〈適用を受ける〉ものごとには例外があり、常に原則の適用を受けるというわけではありません。♠●へ適用する〉死刑の代わりに終身禁固を適用すべきだと主張する人々がいる。 **てきよう**【摘要】○要点を抜き出すこと。また、その抜き書き。[文例]百枚をこえる要望書には、八百字程度の摘要が付されてあった。♠●〈摘要欄〉特に気をつけてほしい点は、右側の摘要欄にご記入ください。 **で・きる**【出来る】○生じる。成る。実る。生まれる。作られる。仕上がる。男女が結び付く。能力がある。可能である。人格がすぐれている。[文例]〈作物ができる〉おお、今年も裏の畑に立派なカボチャができたぞ。♠●へ米ができる〉北海道の東部では、土壌[どじょう]と気候の関係で、米はほとんどできません。♠〈子供ができる〉結婚[けつこん]して五年目、兄夫婦にもようやく子供ができた。♠ヘニキビができる〉若いうちはニキビができるのも当たり前、そんなに気にすることはないよ。♠ヘビルができる〉知らない間に、駅の裏にビルができていました。♠〈水たまりができる〉昨夜の大雨で、道路のあちこちに大きな水たまりができている。♠●く用事ができるごめんなさい。ちょっと用事ができちゃって、約束[おく]の時間に行けそうもないの。♠●へ用意ができる〉食堂に夕食の用意ができましたので、どうぞお集まりください。♠●へ製品が~でできる〉ぼくたちが小学生のころの筆箱は、ほとんどがプラスチックでできていた。♠●へ組織ができる〉会社の中にきちんとした組織ができてからは、随分[ずいぶん]働きやすくなった。♠へ関係ができる〉あやしいぞ、さてはあの二人できてるな。♠ヘテストができる〉一生懸命[けんめい]勉強したのに、今日のテストは全然できなかった。♠●へ語学ができる〉彼女は、長い間フランスに住んでいましたから、フランス語ができて当然です。♠●〈勉強ができる〉杉田[すぎた]さんは、よく勉強ができて、成績はいつもクラスで一番です。♠●〈良くできた人>植村さんの息子は、若いに似合わず良くできた人だと、近所でも評判です。♠◆相手のすきのない構えを見て、彼は「できるな」と思いました。♠◆へ~することができる〉トビウオは胸びれが発達していて、百メートルくらいなら水上を飛ぶことができる。♠◆〈~できる〉一月三万円では、とても生活できない。♠●へできない相談>何の担保[たんば]もなしに百万貸してくれって言ったって、それはできない相談だよ。♠●へできる限り〉医者としてできる限りのことはしましたが、すでに手遅[ておく]れだったので す。♠●へできれば〉申し訳ありませんが、できれば三時までに書類を会社の方に提出してください。 **てきれい**【適齢】○物事に適した年齢。条件や規定に合う年齢。[文例]〈適齢期〉わたしは二十五歳、周囲は適齢期だというけれど、結婚のことなど考えていません。 **てぎわ**【手際】○物事を処理するやり方。また、その腕前・技量。[文例]〈手際がいい・悪い〉さすが、年季のはいった板前さんだけあって、やることなすこと手際がいい。♠◆ヘ手際のよさ>包丁さばきもあざやかで、その手際のよさに感心してしまった。♠●〈手際よく進める〉与えられた仕事を、その娘は手際よく進めていった。♠〈手際よくまとめる〉この小説は世相を観察し、こっけいみをねらって、手際よくまとめた短編です。♠◆不手際〉係員の不手際により、会の進行が一時間も遅れてしまった。 **てぐすねひ・く**【手ぐすね引く】○すっかり用意して待ちかまえる。[文例]猟師[りようし]は身を隠し、獲物[えんの]が現れるのを手ぐすね引いて待った。♠●昨日の碁のかたきを取ろうと、相手が来るのを手ぐすね引いて待っています。 **てくせ**【手癖】○手の癖。盗み癖。[文例]〈手癖が悪い>他人の物を断りなしに使ったり、あげくのはてに持ち帰ったり、まったく手癖の悪い男だった。 **てくだ**【手管】○人をだまし迷わす手ぎわ。『[文例]】〈手管を用いる〉ほれた女をなびかせようと、男はありったけの手管を用いた。♠●〈手練[てれん]手管>手練手管という言葉もある。反対する者たちを丸め込む方法もあろうというものだ。 <738> **てぐち** **てぐち【手口】** ○やり方。やりくち。[文例] <犯行の手口>この手口から見て、犯人は一人ではないようだ。♠へ巧妙な手口>この巧妙な手口からして、素人の犯行とは思えない。♠<手口をまねる>手配中の空き巣ねらいの手口をまねてはいるが、犯人は別にいるらしい。 **でぐち【出口】** ○外へ出るための口。[文例]]<建物の出口>火災を知らせるベルが鳴ると、人々は我先にと建物の出口へ走った。♠ヘトンネルの出口>闇[やみ]の奥に、ぽつりと小さくトンネルの出口が見えてきた。♠<非常用の出口>旅館やホテルに着くとすぐに、非常用の出口をさがすことにしている。 **テクニック** ○技術。技巧。技法。手法。[文例] ヘテクニックがある。ない>彼はパワーはあるが、テクニックがないので優勝はむりだろう。♠ヘテクニックを持つ>一流の料理人は、素人にはまねのできないテクニックを持っています。♠<テクニックを用いる>挑戦者は、あらゆるテクニックを用いてチャンピオンに挑んだ。 **でくわ・す【出くわす】** ○偶然に出あう。ばったり会う。[又例] <人に出くわす>公園に行く途中で、小学校の時の友達に出くわした。♠<現場に出くわす>自動車事故の現場に出くわしてしまい、遠回りをしたので遅刻[ちこく]した。♠へ単語に出くわす>知らない単語に出くわすたびに辞書を引いていたら、一日で五ページしか進めなかった。♠◇場所に出くわす>どこで道をまちがえたのか、わたしは見慣れない場所に出くわした。♠問題に出くわす>順調に行っていた作業も、やっかいな問題に出くわし、立ち往生してしまった。 **てこ(艇・梃子)** ○一方の端に力を加え、もう一方の端で重い物をこじ上げて動かす、棒と支点を合わせた道具。[文例] <てこにする>てこにしていた棒が折れるほど重い石だった。♠へてこでも動かない>頑固じじいで一度言いだしたら、てこでも動かないから困ってしまう。 **てごころ【手心】** ○便宜。手かげん。[例] <手心を加える>わいろを受け取って、特定の業者に手心を加えるなんて許されるはずがありません。 **てこず・る(手古摺る・梃子摺る)** ○扱いに困る。もてあます。手を焼く。[文例] <相手にてこずる>相手が子供だとあまく見ていたが、意外にてこずった。♠へ仕事にてこずる>たやすい仕事だと思って気楽に出かけたが、実際はずいぶんてこずった。 **てごたえ【手答え】** (手応え)○手で何かをした時にその手に伝わる感じ。物事の反応・反響。[文例] <手答えがある>持ってみると意外と重く、ずっしりと手答えがあった。♠へ手答えがない>ヤッと打ち込んだが、相手はひらりと身をかわして、手答えがない。♠<手答えを受ける>そっと手で触ってみると、何かつるつるした手答えを受けた。♠<ホームランの手答え>ホームランを打ったときの手答えは、なんともいえない。♠へ確かな手答え>小さな子たちを指導していて、確かな手答えがあった場合、その喜びは大きい。 **でこぼこ(凸凹)** ○表面にある高低や起伏。平らでないこと。全体が平均していないこと。おうとつ。[文例] <表面のでこぼこ>箱ができあがったら、サンドペーパーをかけて表面のでこぼこを平らにしましょう。♠ヘでこぼこな頭>そんなでこぼこな頭じゃ、床屋[とこや]が苦労するだろって? 大きなお世話だ! ♠へでこぼこする>石ころの多いでこぼこした坂道を、エッチラオッチラ登って行きました。 **てごろ【手ごろ】** (手頃)○手でつかみ持つのにほどよい大きさであるさま。ちょうど適しているさま。[文例] <手ごろな本>半日ぐらいで読める手ごろな本って、ないかしら。♠<手ごろな仕事>小学校一年生の弟には、玄関の掃除[そうじ]あたりが手ごろな仕事だ。♠<手ごろな値段>手ごろな値段の中古車があったら、買いたいんだが。♠<厚さが手ごろ>押し花の重しにするには、このぐらいの厚さの本が手ごろだ。♠<手ごろなスポーツ>だれにでもできる手ごろなスポーツとしては、まず、バドミントンがあげられる。 **てごわ・い【手ごわい】** (手強い)○相手として手に余るほど強い。[文例] <手ごわい敵>猟師[りようし]は、手ごわい敵であるくまを、向こう岸に発見した。♠く手ごわい相手>一回戦は、何度も優勝している手ごわい相手と対戦することになった。♠<手ごわい人物>相手は一筋縄[ひとすじなわ]では行かない手ごわい人物だから、用心してかかったほうがいい。 **デザイン** ○図案。設計。意匠。[文例])<ポスターのデザイン>このポスターのデザインは、ぼくが考えたものです。♠服のデザイン>洋服のデザインの仕事をしている人だけあって、さすがにセンスがいい。♠<奇抜なデザイン>ずいぶん奇抜なデザインのエプロンをしているね、きみが作ったのかな。 **てさき 【手先】** ○手の先。指先の動き。手下。[文例] <手先の動き>名人の手先の動きは、しなやかで、器用で、慎重である。♠<手先を見つめる>竹とんぼが出来上がるのを楽しみに、竹をけずっている祖父の手先を見つめていた。人手先の技術>細工師は、アクセサリーなどの細かい工芸品を手先の技術で作り上げる。♠<手先が器用>手先の器用なおじいさんは、竹や木で、戸棚[とだな]やかご、げたなども自分でこしらえた。♠<手先に使う>家出をした少年たちを手先に使って、盗[ぬす]みをしていた大人がつかまった。♠へ手先となる>彼は、相手チームの手先となって、ぼくらの練習方法をスパイしていたようだ。 **でさき【出先】** ○外出している先。出先機関(中央機関の支部)の略。[文例] 忘れ物を思い出したからと、出先から父が電話をかけてきた。♠すると奥さんらしい人が代って出て来た。美[うつく]しい奥さんであった。私はその人から鄭寧[ていねい]に先生の出先を教えられた。(夏目漱石「こころ」) **てさぐり【手探り】** ○見えない所を手でさぐること。確信をもてずにあれこれさがし求めること。[文例] <手探りで進む>街灯[がいとう]のない暗い田舎[いなか]道を文字どおり手探りで進んでいった。♠へ手探りで求める>破壊[はかい]された自然を元に戻[もど]す方法を、村人たちは手探りで求めていった。♠◇手探りの状態>新しく始めた事業は、まだ手探りの状態で、しばらく様子を見ないと何とも言えない。♠<手探りしながら進む>ほらあなの中を、手探りしながら進んで行くと、不意に物音がし <739> **てせい** た。 **てさわり【手触り】** ○手で触った時の感じ。[文例] <手触りがする>少年は、その人の手が少しかたいが温かい、母の手触りがするのを感じていた。♠<本物の手触り>このコートには、本物の毛皮の重厚な手触りがあった。♠く手触りがいい>毛皮のコートは、とても手触りがいい。♠◇手触りが粗[あら]い>同じように見える着物でも、絹に比べると、化学せんいは手触りが粗い。♠へ手触りを感じる>送られてきたセーターに、若者は、恋人[こいじ]のやさしい手触りを感じていた。へなめらかな手触り>サテンは絹織物の一種で、光沢[こうたく]があり、なめらかな手触りに特色がある。♠く柔[やわ]らかな手触り>絹のスカーフがなぜ好きかというと、柔らかな手触りが何ともいえないからだ。 **でし【弟子】** ○先生について学問や技芸などを習う人。門弟。[文例] <弟子になる>彼は中学を卒業すると、大工の弟子になりました。♠<弟子にする>先生の考え方に共鳴したわたしは、弟子にしていただきました。♠<弟子をとる>彼は優れた技術を持っているのですが、弟子をとろうとしません。♠<弟子を育てる>親方は、たいへん厳しく弟子を育てた。♠<弟子入り>学校で一番体格の立派だった二瓶[にへい]君が、中学を卒業して相撲[すもう]部屋に弟子入りすることになった。 **てしお【手塩】** ○各自の食膳[しよくぜん]においた塩。自分で世話をすること。[文例] <手塩にかける>チューリップも、人間が手塩にかけてやらなければ、きれいな花を咲かせない。手塩にかけて育てる>小さいころから手塩にかけて育てた娘[むすめ]が、今日、無事成人式を迎えた。 **てした【手下】** ○配下の人。部下。子分。「[文例] <手下を連れる>監督は手下を三十人も連れて、トラックで工事現場に乗りこんできた。♠手下を従える>手下を従えた親分が肩で風を切って行く。♠<手下を使う>大勢の手下を使ってスリを働いていた男が逮捕[たい]された。 **てじな【手品】** ○巧みな手さばきで客の目を見誤らせる芸。人の目をあざむく手段。[文例] <手品の種>先生が手品の種を明かすと、みんな「ナーンダ」という顔をした。♠手品をする>彼はトランプを使った手品が上手で、ときどきやってみせてくれる。♠へ手品を使う>あれだけの仕事を一晩でやってしまうなんて、いったいどんな手品を使ったんだい。 **でしゃば・る【出しゃばる】** ○しなくてよい手出しや口出しをする。[文例] 目立ちたがり屋の母は、どんなことにも出しゃばる困り者です。♠<出しゃばったこと>息子がたいへん出しゃばったことを言ったそうで、失礼しました。へ出しゃばったまね>自分が食べた分は自分で払うから、出しゃばったまねはしないでくれ。 **てじゅん【手順】** ○物事を進める順序。段取り。[文例] <手順をふむ>部屋の掃除[そうじ]は、はたきをかけ、ほうきで掃き、ぞうきんでふくという手順をふむとよい。♠<手順がよい・悪い>仕事の手順が悪いと、能率が上がりません。♠へ手順よく>司会者が手順よく進めたので、パーティーは順調に進行した。♠へ手順に従う>工場見学のときの作文を、まとめておいたメモの手順に従って書きなさい。♠<手順を整える>共同作品を作るときは、きちんと手順を整えてから、いっせいに作業に取りかかるとよい。♠へ手順が狂[くる]う>途中[とちゆう]で電話があったので、勉強の手順がすっかり狂ってしまいました。♠<手順どおり>しめ、しめ、打ち合わせておいた手順どおりに敵の後ろに回ったぞ。 **てすう【手数】** ○手間。労。てかず。[又例] <手数がかかる>母に言わせると、兄弟の中ではわたしがいちばん病弱で、育てるのに手数がかかったそうだ。♠へ手数をかける>この大雪の中を、どうもお手数をおかけしました。〈手数を省く〉いいかげんな作品は、一目見ただけで、手数を省いてあるのがわかる。♠へ手数が省ける>かつては、人手に頼[たよ]った米作りだが、今は機械化が進み、手数が省けるようになった。♠<お手数ですが>お忙[いそが]しいところをお手数ですが、よろしくお願いいたします。♠<手数料>書店や取次店の手数料も本の定価の中に含まれている。 **てずから【手ずから】** ○自分の手を下して。[文例])新築中のこの家は、主人が手ずから設計したのだそうだ。♠公園の開園式典のあと、知事が手ずから桜の苗[なえ]を植えました。 **です・ぎる【出過ぎる】** ○適当な程度をこえて出る。でしゃばる。[文例] 右から二番目のきみ、少し出過ぎているから線まで下がりなさい。♠オオカミの役は少し出過ぎるから、出番をけずろう。♠<出過ぎたまね>新人が出過ぎたまねをすると、とかく批判の的になる。 **てすさび【手すさび】** (手遊び)○手にもって遊ぶこと・もの。手遊び。手なぐさみ。[文例]]おばあさんは、手すさびに編み物を始めたらしい。♠おじいさんの作った人形は、とても年寄りの手すさびとは思えないできばえです。●縫い物は根気のいる仕事で、手すさびでできるものではありません。・ **テスト** ○検査。試験。実験。[文例] <テストをする>では、本番前にテストをします、出演者は集まってください。♠へ性能をテストする>兄さんの仕事は、主に新車の性能をテストすることです。♠ヘテストに出る>テストに出て書けなかった漢字を、今になって思い出した。♠ヘテストを行う。受ける>明日は、高校入試の模擬テストが行われるので、友達みんなで受けに行きます。♠ヘテストに備える>中間テストが終わるとすぐ、期末テストに備えて勉強しなくちゃね。 **てすり【手すり】** (手摺り)○階段・通路などに手をかけて体を支えられるように渡した横木。[例] <階段の手すり>くたくたに疲れていたので、階段の手すりに寄りかかって立った。♠へ手すりを乗りこえる>追いつめられた犯人は、屋上の手すりを乗りこえようとした。♠へ手すりにつかまる>発車します、お立ちの方はつり皮や手すりにおつかまりください。 **てせい【手製】** ○自分の手で作ること。また、作ったもの。[文例] <手製のケーキ>お店のものより母の手製のケーキのほうがずっとおいしい。♠ヘ手製のこま>さて、ぼくの手製のこまはよく回るかな? へ手製のポシェット>友達の誕生日に、わたしは手製のポシェットをプレゼントした。 <740> てぜま て **てぜま**【手狭】○使用するには狭いさま。[文例] 事務室はとても手狭で、これ以上物を入れるわけにはいかない。♠子供たちが大きくなって、この家もだいぶ手狭になってしまった。 **てだし**【手出し】○手を出すこと。しかけること。世話を焼くこと。[文例]〈手出しする〉サルの群れでは、赤んぼうに手を出してはいけないことになっていて、手出しすると母ザルに攻撃される。♠●〈手出しをする〉口論になって、先に手出しをしたのはぼくです、ごめんなさい。♠●へ余計な手出し>子供が一人で何かをやりとげようとしているとき、親は余計な手出しをひかえたほうがいい。 **てだすけ**【手助け】○手伝うこと。[文例]〈仕事の手助け〉この仕事は一人ではとても無理だ、何人か手助けが必要だよ。♠●<親の手助け〉わたしは、小さいときから親の手助けをして、田畑に出たり山仕事をしたりして働いていた。♠●へ手助けする〉リヤカーを引っ張るおじいさんを手助けして、後ろから押してやりました。 **てだて**【手立て】○手段。方法。[文例]〈引き止める手立て〉もう、あんたを引き止める手立てはなくなってしまった。♠〈手立てがない>現代の医学をもってしても、この病気を治す手立てがないとは……。♠●〈手立てを講じる〉これ以上火が燃え広がらないように、早急[さつきゆう]に手立てを講じる必要がある。♠●〈手立てを考える〉どうしたら交通事故を防止できるか、みんなで手立てを考えてみよう。♠●へ手立てをとる〉目的を達成するためには、どんな手立てをとればよいのだろうか。 **てだま**【手玉】○小さな布袋に豆などを詰めた遊び道具。自由に操ること。[文例]おはじきやお手玉は、昔から女の子たちの家庭内の遊びだった。♠●へお手玉を取る〉おばあちゃんは今でもお手玉を取るのが上手です。♠●〈手玉に取る〉その女は、次々と男を手玉に取って金をだまし取る詐欺師[さぎし]だったのです。 **でたらめ**(出鱈目) ○筋の通らないこと。いい加減なさま。「[文例]〈でたらめを言う〉相手は専門家ですから、でたらめを言ったって、すぐばれてしまいます。♠●へでたらめの返答>急[いそ]いでいたもので、ろくに話も聞かず、でたらめの返答をしてしまった。♠●〈でたらめな生活>男はこれといった仕事もせず、その日暮らしのでたらめな生活をしていた。♠◆〈でたらめな女〉言うこととやることがまるで違う、まったくでたらめな女だ。♠●〈でたらめに歌う二階で、弟がマンガの主題歌をでたらめに歌っているのが聞こえる。♠へでたらめにやる>○×式の問題は、でたらめにやってもいくつかは当たることがある。 **てぢか**【手近】○手の届く近い所。身近にあるさま。[文例]〈手近にある〉忙しいときには、昼食は手近にある材料で間に合わせることが多い。♠●〈手近に置く〉台風の夜には、懐中電灯[ちゆうでんとう]やトランジスターラジオを手近に置いておくとよい。♠●〈手近なもの〉山奥[やまおく]で生活してみると、手近なもので間に合わせるという生活の知恵[ちえ]が身についてくる。♠人手近な問題〉日常の手近な問題だって、作文の題材にはなるものだ。♠●〈手近な例>先生は、文化祭や体育祭などの手近な例をあげ、協力することの大切さを話した。 **てちがい**【手違い】○手順や手続きをまちがえること。手落ち。[文例]〈役所の手違い〉役所のまったくの手違いで、父の名前が選挙人名簿[めいぼ]から漏[も]れてしまった。♠●へ係員の手違い〉係員の手違いから、予定の新幹線には乗れず、次のになってしまった。♠●へ小さな手違い〉小さな手違いから、全体の計画がすっかり狂[くる]ってしまった。♠●〈手違いが生じる〉出先で手違いが生じたらしく、約束[やくそく]の時間になっても、メンバーの一人が姿を現さない。♠●〈手違いがある〉今日お届けするつもりでしたが、手違いがありまして、明日になってしまいました。♠●へ手違いが起こる〉大勢の子供を引率して行くのですから、途中[とちゆう]で手違いが起こらないよう気をつけてください。 **てちょう**【手帳】(手帖) ○メモ用の小型の帳面。[文例]<手帳に書きこむ>記者は話を聞きながら、要点を手帳に書きこんだ。♠◆◇手帳につける>散歩の道々珍しい草花があると、父に聞いて名前を手帳につけた。 **てつ**【鉄】○硬くて、広い用途に用いられる金属。非常に堅固な物事のたとえ。[文例]〈鉄のおり〉二頭のゾウが鉄のおりにもたれ、鼻を長くのばしてばんざいの芸当をしている。♠◆<鉄は熱いうちに打て〉「鉄は熱いうちに打て」というように、教育は、若いときほど効果が上がる。♠へ鉄のように固い〉少年の鉄のように固い決意は、周囲の人々の反対にあっても変わらなかった。♠◆へ鉄の意志〉彼の鉄の意志がこの事業を成功させたと言っても過言[かごん]ではないだろう。♠へ鉄のカーテン〉その国は鉄のカーテンに閉ざされていて、何が起こっているやらさっぱり情報が入って来ない。♠鉄を載[の]せし駕籠[かご]と曳[ひ]きなまなまと立つ夕べ心疲れて運河[うんが]に出でぬ(近藤芳美[こんどうよしみ]) **てつ**(轍)○車輪の跡。わだち。先例。[文例]】〈轍を踏む〉のんびりしすぎて兄たちの轍を踏むことのないように、わたしは準備をおこたらなかった。 **てっかい**【撤回】○一度出したものを取り下げること。[文例] <処分の撤回>組合側は、処分の撤回を求めて交渉を続けていく方針です。♠●〈撤回する〉わたしの勘違[かんちが]いでしたので、前言を撤回します。♠●〈白紙撤回>学生たちの強い反発で、大学は授業料値上げを白紙撤回することになった。 **てっかく**【的確】→てきかく **てっかく**【適格】↓てきかく **てつがく**【哲学】○人間や世界、その他すべての物事のあり方の原理を思索[しさく]によって探究する学問。物事に対する根本的な見方。[文例]〈哲学がある〉彼には、人生に対する彼なりの哲学があるらしい。♠◆労働は経済活動の中に位置づけられるにすぎないが、遊びは創造であり文化であるというのがわたしの哲学です。♠◆<哲学的〉詩人の資質をもった青年だったから、哲学的な思索によってよりも、直観によってものごとの本質へ近づいていった。 **てつかず**【手付かず】○手が付けられていないこと。[文例]〈手付かずのまま〉なんとなくなまけていて、買った三冊の問題集はまだ手付かずのままです。 <741> てつづき て ♠●へ手付かずの状態>今月は家計に余裕[よゆう]があり、給料はそっくり手付かずの状態で銀行に預金してある。♠●〈手付かずで残る〉体調でも悪いのか、ほとんどの料理が手付かずで残っていた。 **てつき**【手付き】○手で扱う時のその手のしぐさ。カルタなどで違う札を取ること。[文例]〈慣れた手つき〉いかにも慣れた手つきだが、実はゴルフクラブを握[にぎ]るのは初めてだという。♠●くあぶなっかしい手つき〉妹がぞうきんをぬう宿題に取り組んでいるが、あぶなっかしい手つきで、見ていられない。♠●〈あざやかな手つき〉父はもと板前[いたまえ]だけあって、野菜の飾り切りもあざやかな手つきでやってのける。♠●へ堂[どう]に入った手つき)兄も口炊[すい]生活が三年になり、じゃがいもをむかせても、常に入った手つきとなった。♠へかるたのお手付き〕〉あら、またなの、あなたのお手付きはこれで五回目ですよ。 **てっきょ**【撤去】○取り去ること。取り払うこと。[文例]<障害物の撤去>路上の障害物の撤去が終わらないと、車は通行できません♠へ撤去する〉町の美観を損[そこ]ねる看板を町内会の人たちが撤去しています。 **てっきり**○事実でないことを、きっとそうだと思い込むさま。[文例]へてっきり〜と思う〉玄関[げんかん]にあった果物[くだもの]は、てっきりあなたがくださったものとばかり思っていました。♠南極基地に置き去りにされた犬たちは、てっきり死んだものと思っていたが、二頭も生きていた。♠てっきり彼女と思って声をかけたら人違[ひとちが]いで、赤面してしまった。♠◆いつも成績が上位の彼女のことですから、てっきり受かったものとばかり思っていましたが……。 **てづくり**【手作り】○自分の手で作ること。また、そのもの。[文例]<祖父の手作り〉父の田舎[いなか]の家にある物は、戸棚も、かごやざる、げたまで、みんな祖父の手作りだ。♠●へ手作りの服〉わたしも妹も、母の手作りの洋服をいつも着ていました。♠●〈手作りの味〉この本だなは、形は不細工[ぶさいく]だけど、丈夫[じょうぶ]そうで手作りの味がなかなかいい。♠◆●〈手作りの良さ〉この漆器[しつき]には、手作りの良さが手触りを通して感じられる。 **てつごうし**【鉄格子】○檻[おり]などにはめた鉄製の格子。[文例] <鉄格子をはめる〉収容所[しゅうようじよ]の建物の窓には、どれも頑丈[がんじよう]な鉄格子がはめられています。♠●へ鉄格子を破る〉囚人[しゅうじん]は、鉄格子を破って脱走[だつそう]したらしい。 **てっさ**【鉄鎖】○鉄のくさり。厳しい束縛。[例]〈鉄鎖につなぐ〉囚人は、重い鉄球のついた鉄鎖でつながれていた。♠◆夏の河赤き鉄鎖のはし浸[ひた]る(山口誓子[せいし]) **てっしゅう**【撤収】○取りかたづけること。取り去って引きあげること。[文例]〈部隊が撤収する〉戦況が思わしくなく、部隊は後方へ撤収することになった。♠●ヘキャンプを撤収する>探検隊は、食糧が底をついたためついにキャンプを撤収することに決定した。 **てっ・する**【徹する】○つらぬく。通す。しみ通る。徹底する。[文例]〈夜を徹する>友人から一冊の医学書を借り受け、夜を徹して読み通した。♠●〈金もうけに徹する>若いころから金もうけに徹したおかげで、一代で財を成した。♠●へ主義に徹する〉あまりにもうけ主義に徹しすぎたので、周囲の人としっくりいかなくなってしまった。♠●へ職業に徹する〉家業を引き継ぐ以上、商人に徹する覚悟です。♠●へ骨身に徹する寒さ〉今夜は骨身に徹する寒さで、夜働く人にはさぞつらいことだろう。♠●〈恨み骨髄[こつずい]に徹する〉人前ではじをかかされたのだから、恨み骨髄に徹する思いだ。♠●〈眼光紙背[がんこうしはい]に徹する〉彼の読解力の深さといったら、まさに、眼光紙背に徹するといったところだ。 **てっそく**【鉄則】○変えることのできない規則。必ず守らなければならないおきて。[文例]善いことをしたらほめ、悪ければしかる、これが子供をしつける時の鉄則。♠ルールを守ることがゲームの楽しさを最大限に味わうための鉄則です。 **てったい**【撤退】○引き払って退却すること。(例交渉がまとまると、飛行場を占拠[せんきよ]していた反乱軍はすみやかに撤退を開始しました。♠●へ陣地[じんち]を撤退する>敵の攻撃に圧倒[あつとう]されて、味方は陣地を撤退することになった。♠◆へ市場から撤退する〉業績不振を理由に、この企業は今年の三月いっぱいで日本市場から撤退しました。 **てつだい**【手伝い】○手伝うこと。手伝う人。[文例]】〈引っ越しの手伝い〉せっかく引っ越しの手伝いに来たのに、もう片づけは終わったのか。♠●〈手伝いをする〉炭焼きの手伝いをする男は、炭焼きがまのそばで寝起きしていました。♠へお手伝いさん>彼は大きな屋敷[やしき]に、身の回りの世話をしてくれるお手伝いさんと二人で暮らしていた。 **てつだ・う**【手伝う】○手を貸す。手助けする。他の原因がさらに加わる。[文例]〈宿題を手伝う〉ぼくは時々、分からないところを教えてやったりして、妹の宿題を手伝う。♠◆◇掃除を手伝う〉三か月間父の車の洗車を手伝って、待望のラジカセを買ってもらった。♠●へ仕事を手伝う〉少女は、しっかり者で、店の仕事をよく手伝う。♠●〈手伝って〜する二、三人が手伝って無理にひっぱったら、たこの糸はぷっつり切れてしまった。♠へ色の白さが手伝う〉弟は、優しい顔立ちのうえに色の白さも手伝って、よく女の子にまちがわれる。♠●〈心配事が手伝う〉母は、もともと体が弱いうえに、心配事が重なったことも手伝って、寝込んでしまった。 **でっちあ・げる**【でっち上げる】(捏ち上げる)○根拠のないものをこしらえあげる。[文例]<話をでっち上げる〉なんとかごまかそうと、根も葉もないほら話をでっち上げた。♠〈報告書をでっち上げる〉係官は現場の視察にも行かずに、でたらめの報告書をでっち上げた。♠●〈犯人にでっち上げる>無実の人間が犯人にでっち上げられることがある。 **てつづき**【手続き】○物事をするのに必要な方法や順序。[文例]〈入学の手続き>志望校に合格した兄は、すぐさま入学の手続きを済ませた。♠●へ手続きをする〉この会に入りたい人は、まず最初に手続きをしてください。♠●〈手続きをふむ>会員制のクラブは、細かい手続きをふまないと入会できないものが多い。♠●〈手続きをとる〉待望のスキー教室の案内が届いたので、さっそく参加の手続きをとった。♠●へ手続きがめんどう〉市営グラウンドの使用許可を受けるには、役所に何回も足を運ばなければならず、 <742> てってい て 手続きがめんどうだ。 **てってい**【徹底】○十分に行き届くこと。中途半端でなく一貫していること。[文例]〈命令が徹底する〉上の命令が下に徹底していなければ、規律ある行動はとれないだろう。♠〈方針を徹底させる〉村の今後を決める大事な会議だから、もう一度方針を徹底させておこう。♠●〈分担を徹底させる〉事故が起きてからでは遅[おそ]いので、ふだんから役割分担を徹底させておく必要がある。♠●へ平和主義に徹底する〉日本国憲法は、平和主義に徹底した憲法です。♠●へ徹底した仕事〉徹底した仕事をすると評判の大工さんだけあって、細かな点まで配慮[はいりよ]がゆき届いている。♠●〈徹底した自由主義者>徹底した自由主義者である彼は、他からの束縛[そくぱく]は断じて排除[はいじよ]しようとする。♠●〈徹底的〉原因を徹底的に調査した結果、いろいろなことがわかった。 **てつどう**【鉄道】○汽車・電車など鉄の線路上を走る輸送機関。[文例]〈鉄道を敷く〉今世紀に入ると、この広大な原野に鉄道が敷かれてゆく。♠●〈鉄道の官舎〉(……………)鉄道の官舎らしいバラックが山裾[やますそ]に寒々と散らばっているだけで、雪の色はそこまで行かぬうちに闇に呑まれていた。(川端康成[かわばたやすなり]「雪国[ゆきぐに]」)♠<鉄道線路〉国境に近い村まで来ると、難民の列が鉄道線路に沿ってえんえんと続いていた。 **てっとうてつび**【徹頭徹尾】○初めから終わりまで。終始一貫して。[例]ファッシズムや軍国主義には徹頭徹尾反対する立場をつらぬきたい。♠◆徹頭徹尾金の亡者[もうじゃ]であった男ですから、人の心だの愛だの言っても通じません。 **てっとりばや・い**【手っ取り早い】○手間がかからず早い。[文例]インスタント食品は、手っ取り早く食べたいときには便利だが、味の点では不満が残る。♠◆忙[いそが]しかったので、昼食は手っ取り早く店屋物[てんやもの]ですませてしまった。♠◆時間が残り少なくなりましたので、意見のある方は手っ取り早くお願いします。♠●手紙より電話のほうが手っ取り早いかもしれないが、手紙には読み返す楽しみがある。 **てっぱい**【撤廃】○取り除いて廃止すること。[文例]<規制の撤廃>治安の回復したこの国では、夜間外出の規制の撤廃が検討されていた。♠●へ治外法権の撤廃>関税自主権の回復と治外法権の撤廃は、明治政府の大きな目標でした。♠へ撤廃する〉少数民族に対する差別を撤廃する動きが起こっている。 **てっぺん**(天辺)○いただき。頂上。[文例]へ頭のてっぺん〉カッパの頭のてっぺんには、いつも水をたくわえたお皿があるという。♠●へ山のてっぺん〉山のてっぺんに着いたら、さあ、そこで弁当だ。♠●〈木のてっぺん>追いつめられた子ぐまは、木のてっぺんまで登りつめた。♠●へ頭のてっぺんからつま先まで〉頭のてっぺんからつま先まで、じろじろ見られるのは、気持ちのいいものではない。 **てっぽう**【鉄砲】○火薬を詰めて弾丸を発射する武器。小銃。相撲の突き。フグ。鉄砲巻き(かんぴょう入りの細いのり巻き)。[文例]〈鉄砲をかつぐ〉狩猟[しゆりよう]が解禁になると、犬を連れたハンターたちが鉄砲をかついで山に入る。♠●へ鉄砲をぶっ放す>男が鉄砲をぶっ放すと、湖の水鳥はいっせいに飛び立った。♠下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる〉下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるとばかりに、わたしは今年の春、八つの大学の入学試験を受けました。♠●〈矢でも鉄砲でももってこい〉どこのよっぱらいだろう、矢でも鉄砲でももってこいとわめいている。♠◆へ鉄砲玉>うちの定吉[さだきち]ときたら鉄砲玉で、店の使いに出たら暗くなるまで帰ってこない。 **てづまり**【手詰まり】○方法・手段がなくなって行き詰まること。[文例]〈手詰まりの状態>交渉は双方の言い分が対立して進展せず、手詰まりの状態にあった。♠●へ手詰まりに陥[おちい]る〉名案もなく手詰まりに陥った会議を打開するため、議長は休憩を宣言した。 **てつめんぴ**【鉄面皮】○面の皮が厚いこと。恥知らずで厚かましいさま。[文例] なんという恥知らずな……。きみのような鉄面皮は見たことがない。♠●へ鉄面皮をもつ〉ぼくは、きみのような鉄面皮はもち合わせていない。♠●へ鉄面皮な男>他に例を見ない鉄面皮な男だった。 **てつや**【徹夜】○一晩中寝ないでいること。夜を徹すること。夜明し。[文例]<徹夜で〜する〉わたしが高熱を出したとき、母は徹夜で看病してくれました。♠●〈徹夜する〉徹夜してがんばったかいあって、テストでびっくりするほどいい点がとれた。♠へ徹夜明け〉徹夜明けの父は、はれぼったい目をしていた。 **てづる**【手づる】(手蔓)○頼りにできるつて。[文例]へよい手づる〉就職の時にはよい手づるがないかと、コネを探したものです。♠手づるをたどる〉どういう手づるをたどったのか、男は大臣と会う約束をとりつけた。♠●〈手づるを求める〉都[みやこ]には、仕官のための手づるを求める人々が集まっていた。 **てどり**【手取り】○税金などを引かれた、実際に受け取る金額。[文例]<額面と手取り〉額面は多そうに見えても、税金やら保険料やらを差し引かれて手取りはいくらにもならなかった。 **てなおし**【手直し】○手を加えて直すこと。[文例]〈手直しをする〉師匠[ししよう]から舞の手直しをしてもらった。♠●へ手直しを加える〉作文は、提出前にもう一度読み返し、気に入らない部分に手直しを加えるとよい。♠●〈手直しする〉この計画は、冬山に対する備えがあますぎるから、手直しする必要がある。 **でなおす**【出直す】○いったん引き返して、また来る。元に戻ってやり直す。[文例]訪ねた友達が留守だったので、また出直して来ることにした。♠●へ一から出直す〉一度や二度の失敗でくじけてなるものか、一から出直してがんばるぞ。 **てなず・ける**【手なずける】(手懐ける)○言うことを聞くようになつかせる。[例]〈子供を手なずける〉うちの弟を手なずけて、わたしのことをいろいろ聞き出してるのはきみね?♠犬を手なずける〉あの犬はうまく手なずけてあるから、ぼくにはほえないんだ。 **てなみ**【手並み】○腕まえ。[文例]「貴殿の手並みを拝見したい。」と、 <743> てばなし て 一人の侍が訪[たず]ねてきた。♠●〈お手並み拝見〉たいへんおじょうずだそうですね。では、お手並み拝見とまいりましょうか。 **てならい**【手習い】○習字。けいこ。修業。[文例]〈手習いの塾[じゅく]>子供のころ手習いの塾に通っていたが、字はさっぱりうまくならなかった。♠◆〈六十の手習い>若い人たちに交[まじ]じってフランス語の勉強を始めました。文字どおり六十の手習いです。 **てな・れる**【手慣れる】(手馴れる)○使い慣れる。慣れて巧みになる。[文例]〈手慣れた包丁さばき〉さすがにプロの板前だけあって、手慣れた包丁さばきだ。♠●へ手慣れた手つき〉求めた土産物は、店員の手慣れた手つきで包装された。 **てぬかり**【手抜かり】○不注意による失敗。手落ち。[文例)]かばんに書類を入れ忘れたのは、まったくぼくの手抜かりだった。♠●へ手抜かりがある〉計画に手抜かりがあったことに、まだだれも気がついていない。♠●〈手抜かりがない〉大切なお客さまです。手抜かりのないよう十分注意してください。 **てぬき**【手抜き】○必要な手間や手続きをひそかに省くこと。[文例]〈手抜きをする〉今夜の夕食は、ちょっと手抜きをして出前をとろうかしら。♠●〈手抜きがある〉堤防が決壊したのは、工事に手抜きがあったからだ。♠●へ手抜きする〉すてきなレースのテーブルクロスだと思ったが、よく見ると、あちこち手抜きしてある。♠●へ手抜き工事〉総合庁舎が手抜き工事だったことは、新聞記者の手により明らかにされた。 **てぬぐい**【手ぬぐい】(手拭い)○手や顔などをぬぐう木綿の布。[文例]手ぬぐいでほおかむりをしたお百姓さんが田の草取りをしている。♠●へ手ぬぐいを提[さ]げる〉腰に手ぬぐいを提げたりして、昔の生徒のようだね。♠●へ手ぬぐいを絞[しぼ]る〉少年は川の水にひたした手ぬぐいを絞って、わたしの足の傷をふいてくれた。 **てぬる・い**【手ぬるい】(手緩い)○厳しさに欠けている。てきぱきしていない。[文例]〈手ぬるいやり方〉そんな手ぬるいやり方では、相手は言うことを聞かないぞ。♠●へ手ぬるい処罰>罰金[ばつきん]などという手ぬるい処罰では、犯人はちっとも反省しないだろう。♠●へ指導が手ぬるい〉きみの生徒指導は手ぬるいのではないか。 **てのうち**【手の内】○手のひら。腕まえ。勢力の及ぶ範囲。腹にある考え。[文例)]〈手の内を見せる〉表情や言葉のはしばしから相手の考えを読み取ろうとしたが、敵もさるもの、なかなか手の内を見せない。♠●へ手の内を見すかす〉相手チームはこちらの手の内を見すかしたかのように、作戦の裏をかいてくる。♠へ手の内を読む>きみの手の内は読めているよ。数を頼んで自分の考えをごり押ししようというのだろう。 **てのうら**【手の裏】○手のひら。たなごころ。[文例]〈手の裏を返す〉みんなが反対すると、林君は手の裏を返すように、それまでの意見をひるがえして反対を唱えた。 **てのひら**【手の平】(掌)○手首から先の内側の面。てのうら。たなごころ。[文例)]「おやつだよ。」と言って、おばあちゃんが手のひらにあめ玉を三つ乗せてくれた。♠わき水を手のひらに受け、ゴクゴクと飲んだ。♠●へ手のひらを返すよう〉父が死んだら、今までぺこぺこしていた人が手のひらを返すようにいばりだした。 **では**○それでは。それならば。[文例]みんな集まりましたか。では、授業を始めます。♠●どうも、このやり方はまずいようです。では、ほかにどんなやり方があるでしょうか。♠川や海が汚れてきたといいます。では、いったい汚したのはだれなのでしょう。 **てはい**【手配】○物事を行うための準備をすること。手くばり。犯人逮捕の手はず。[文例]〈宿の手配>旅先では知人が宿の手配などをしてくれ、快適に過ごすことができました。♠◆<切符の手配〉あした、名古屋へ行かなければならないのだが、新幹線の切符の手配を頼むよ。♠●〈手配が整う〉式場の手配が整い、あとは飾り付けをするばかりです。♠●へ手配する>支度[したく]ができたらすぐに出かけられるように、車を手配しておいてくれないか。♠◆〈指名手配>先日起こった銀行強盗の犯人が全国に指名手配された。 **ではいり**【出入り】(出這入り)○出ることと入ること。でいり。[文例]〈玄関の出入り〉病人がおりますので、大きな音をたてぬよう玄関の出入りにも注意しております。♠へ出入りする〉職員用の通用口から生徒は出入りしないでください。 **てはじめ**【手始め】○物事に取りかかる最初。[文例]へまず手始め〉まず手始めが、まきとかまどの用意で、ごはんたきはそのあとだ。♠●〈手始めに〉今日は、手始めにラケットの持ち方から説明しましょう。♠●〈手始めとして〉手編みをひと通りマスターしたいなら、手始めとしてガーター編みに取り組んでみなさい。♠◆へ入門の手始め〉古典入門の手始めには、この作品あたりが最適だ。 **てはず**【手はず】(手筈)○前もって決めておく手順や段取り。[文例]〈手はずをととのえる〉公園に五時に集まる手はずをととのえると、ぼくはいったん家へ帰った。♠●へ手はずになる〉一行は二組に分かれて出発し、現地で落ち合う手はずになっていた。 **でばな**【出鼻】(出端)○岬など地形の突き出した所。出かけようとした途端。何かをしようとした途端。ではな。[文例]〈岬の出ばな〉岬の出ばなに灯台が、まるで童話に出てくるような趣[おもむき]で立っていた。♠●へ出ばなをたたく〉出かけようとすると、出ばなをたたくように雨が降り始めた。♠●へ出ばなをくじく〉出ばなをくじかれるといけないから、邪魔[じや]が入るまえに出発しよう。♠●〈出ばなを折る〉授業を始めようとするところで遅刻者が入ってくると、出ばなを折られてしまう。 **てばなし**【手放し】○手を放すこと。ほうっておくこと。感情をあらわにするさま。条件をつけずにするさま。[文例]〈自転車の手放し>自転車の手放しには、ある程度スピードが出ていなければなりません。♠●く手放しで喜ぶ〉わたしが試験に合格したことを、 <744> てばなす て 先生は手放しで喜んでくれた。♠へ手放しでほめる〉優勝したチームを、解説者は手放しでほめていた。 **てばな・す**【手放す】○手に持ったものを放す。所有物を人に売ったり与えたりする。中断する。[文例]〈絵を手放す〉貧しい絵かきは、気に入っている絵でも、暮らしのためには手放さないわけにはいきません。♠●へ刀を手放す〉家を売るようなことになっても、家宝の刀だけは決して手放してはならない。♠●へ家を手放す>借金に追われ、とうとう家を手放すことになった。♠●へ子供を手放す>高校を卒業したと言っても、この子はまだ子供ですから、手放すのは心配です。 **てばや・い**【手早い】○物事をするのがすばやい。[文例]〈手早く支度[したく]をする>手早く身支度をした姉は、妹に包みを持たせて家を出た。♠●〈手早く片づける〉お客さんが来たので、母は手早く部屋の中を片づけ、お茶の用意をしました。♠〈手早く済ませる〉天気がいいから、宿題を手早く済ませて、遊びに行こう。♠●〈手早く読み取る>内容を手早く読み取るためには、集中力が必要です。♠●へ仕事が手早い〉わたしの母は、食事の支度や掃除[そうじ]など家の仕事が手早い。 **ではら・う**【出払う】○残らずにすっかり出る。残らず出て、だれもいなくなる。[文例]営業所へ行くと、係員はみな現場へ出払った後で、受付の人が一人座っているだけであった。 **でばん**【出番】○出る番。出る幕。活躍する場。[文例]〈出番が来る>演奏会が始まって二時間、やっとぼくの出番が来た。♠◆〈出番が迫る>学芸会でいよいよわたしの出番が迫ると、胸がどきどきしてきました。♠●へ出番がない〉市民運動会は大人が主で、子供の出番があまりないのでつまらない。♠●〈出番を待つ>寄席の楽屋から出番を待つ芸人の声が聞こえてきます。♠●へ出番を作る〉町内の行事に年寄りの出番も作ってください。 **てびき**【手引き】○手を引いて導くこと。案内。手ほどき。指導。[文例]〈手引きをする〉犯人のやり口からみて、どうやら内部の者が手引きをしたと考えられる。♠〈手引きする〉知人に手引きしてもらい、市内の名所を見て回りました。♠●〈初心者の手引き〉この教則本は、ピアノを始める人の手引きとなります。♠●へ学習の手引き〉学習を進めるための手がかりとして、教科書には単元ごとに学習の手引きが設けられている。 **てびろ・い**【手広い】○人との交渉や商売などの範囲が広い。[文例]〈手広く商売をする〉彼女の父親はこの地方で手広く商売をやっていた。♠●〈手広く扱う[あつか]〉最近の店は、食料品から雑貨・化粧品[けしようひん]に至るまで、手広く扱っているところが多い。 **てぶくろ**【手袋】○防寒・保護・装飾などのために手にはめる袋。[文例]〈手袋をする〉彼女に編んでもらった手袋をしていると、心まで温かくなります。♠●へ手袋をはめる〉今朝[けさ]は久しぶりに雪なので、オーバーを着て、長ぐつをはき、手袋もはめて登校した。♠●〈手袋をぬぐ〉手袋をぬいでいたら、うっかりして水たまりに落としてしまいました。♠●へ手袋を取る〉家に帰ってきたら手袋は取りなさい、と母にいつも言われる。♠●へ手袋を外す〉雪遊びをしてぬれた手袋を手から外し、ストーブのそばでかわかしました。♠●へ手袋を編む>残り毛糸がいっぱいあったので、いろいろな色を使って、かわいらしい手袋を編んでみました。 **てぶら**【手ぶら】○手に何も持たないさま。[文例]〈手ぶらで帰る〉朝から釣りに出かけていた父は、今日は全然だめだったと手ぶらで帰ってきた。♠◆◇手ぶらで行く〉お世話になったお礼に行くのだから、手ぶらで行くわけには行かない。 **てほどき**【手ほどき】(手解き)○初心者に学問や技芸などを指導すること。[文例]」〈手ほどきがある〉あなたの手ほどきがあったからこそ、わたしのテニスもこんなに上達したのです。♠◆ヘ手ほどきを受ける〉外国人コーチの手ほどきを受けてから、この選手の記録はどんどんのびていった。♠恋の手ほどき〉内気なぼくは、仲間からいろいろと恋の手ほどきをしてもらっている。♠●〈手ほどきする〉コンピュータ関係の仕事をしている座間さんから、ワープロの使い方を手ほどきしてもらった。 **てひど・い**【手ひどい】(手酷い)○非常にきびしい。手きびしい。[文例]〈手ひどい痛手〉この大風によって、農家は手ひどい痛手を負ったのです。♠●へ手ひどい批評〉評論家からは手ひどい批評を受けた作品だが、多くの読者を得ていった。♠〈手ひどい非難〉クラス全員から手ひどい非難のことばを浴びせられたわたしは、力なく席に戻った。 **デビュー**○初舞台。初登場。[文例]〈デビューを飾る〉華々[はなばな]しいデビューを飾った新人は、スターへの階段を一直線に上っていった。♠●ヘデビューする〉平明な口語で歌われた作品をもって、彼女は歌壇にデビューした。♠◆ヘデビュー戦〉デビュー戦を劇的なノックアウトで勝利した時は、将来はチャンピオンまちがいなしともてはやされた。 **てほん**【手本】○模範となる書画がかいてある、練習のための本。見習うべのもの。模範。「[文例]〈習字の手本>押し入れの奥から、習字の手本が何冊も出てきた。♠●へ手本を書く〉少年は、和尚[おしよう]さんに「いろは」の手本を書いてもらい、独りで練習しました。♠ヘ手本にする〉子供は、親を手本にして成長すると言われます。♠●〈手本になる〉姉のわたしは、妹の手本になるようにがんばりたいと思ってはいるのですが………………。♠手本を示す〉バイオリンを習うとき、難しいところは、先生がお手本を示してくれます。 **てま**【手間】○仕事をするのに要する労力や時間。手数。[文例]〈手間がかかる〉ミシンだとすぐに縫えても、手で縫うと、ぞうきん一枚でもけっこう手間がかかる。♠手間が要[い]る〉この冬は、雪が少なく、除雪の手間が要らなくてとても助かる。♠●へ手間が省[はぶ]ける〉あの先生がきみの知り合いなら、紹介[しようかい]する手間が省けましたね。♠●へ手間ひまかける〉母が手間ひまかけてじっくり煮こんだシチューの味は、友達の間でも好評だ。♠●へ手間を取らせる〉お手間は取らせませんので、少し話を聞かせてください。♠●〈手間取る>番地をたどりながら家を探すのは、案外手間取るものです。♠◆手間賃>植木屋さんに植木の手入れをしてもらって、 <745> てもなく て 手間賃を払いました。♠◆二度手間〉まとめて言ってくれればいいのに、別々に注文するなんて、まったく二度手間だ。 **デマ**○意図的に人々をまどわせたり、扇動[せんどう]したりする虚偽の宣伝。謀略的な情報。[文例]ヘデマを飛ばす〉選挙戦では、相手候補を落すためにデマを飛ばすこともしばしばです。♠●ヘデマが流れる〉世の中が不安な時は、たちの悪いデマが流れることも多く、パニックをひきおこすもととなる。 **てまえ**【手前】○自分の前。こちら。体裁。腕前。茶道の所作・作法。自分。わたし。おまえ。[文例]〈手前に見える>船上から海をながめていると、手前に小さな島が見えてきました。♠◆<横断歩道の手前〉駅に急ぐ人たちが、横断歩道の手前で、信号が青になるのを待っています。♠◆〈先と手前〉その町は、箱根[はこね]の先ですか手前ですか。♠●へ〜の手前〉おけいこ事は続けると、自分から言った手前、とちゅうでやめるわけにはいきません。♠●へお手前〉お茶会で、お手前を披露[ひろう]することになった。♠●へ手前ども〉その製品につきましては、残念ながら手前どもでは扱[あつか]っておりません。♠●〈手前勝手>自分の都合しか考えないあなたの手前勝手な言い分には、納得できません。♠●く手前みそ>彼女は、手前みそをならべて自慢ばかりする。 **てまめ**【手まめ】○骨惜しみしないさま。手先が器用なさま。[文例]〈手まめ足まめ〉わたしの長生きの秘[ひ]けつは、手まめ足まめに体を動かすことだ。♠●〈手まめに働く〉一日中休みなく手まめに働く奉公人の定七に、ご主人はほうびを与えました。♠●〈手まめな人〉彼は、料理も裁縫[さいぼう]も掃除も洗濯も、なんでもざっとやってしまうたいへん手まめな人です。 **てまわし**【手回し】○手で回すこと。用意。手配。又例手回しの道具〉この鉛筆削[けず]りは電動ですか?わたしは手回しのを使っています。♠●〈手回しがいい>手回しがいいね、もう全員に連絡したのかい。♠●〈手回しよく〉今度のことは、外部にもれないように手回しよくやってくれたまえ。♠◆<早手回し>早手回しすぎるかもしれませんが、生徒の家に連絡しておきました。 **でまわ・る**【出回る】○商品が大量に市場[しじよう]に出る。世間に数多く流通する。[文例]〈市場に出回る>市場に出回るマツタケの中には、日本産以外のものもかなりあるそうだ。♠●へ果物が出回る〉サクランボが出回り始めるのは、東京では五月の末か、六月になってからです。♠へ類似品[るいじひん]が出回る〉フランス製高級バッグの類似品が出回っていますので、ご注意ください。♠●へ商品が出回る〉かつてデパートに、エリマキトカゲをモデルにした商品が大量に出回ったことがある。 **でまかせ**【出任せ】○出るにまかせること。口から出るままにでたらめを言うこと。[文例]〈出任せの解答〉いくら考えてもわからず、つい出任せの解答を書いてしまった。♠人口から出任せ〉幼い妹は、意味もわからず口から出任せに大きな声で歌を歌っている。♠●へ出任せを言う〉いつも出任せばかり言っていたので、とうとうだれからも相手にされなくなった。 **てまね**【手まね】(手真似)○手でまねて物事を表現すること。手ぶり。[文例]〈手まねをする〉ホームの向こう側で、林さんが手まねをしながら何か叫んでいる。♠●へ手まね足まね>初めての海外旅行は、手まね足まねで何とか用が足りたようです。 **でむ・く**【出向く】○出かけて行く。[文例]〈現地に出向く〉本の内容に疑問をもった教授は、わざわざ現地に出向いて調べました。♠◆ヘこちらから出向く〉お忙しいようでしたら、こちらから出向きますので、ご都合をお知らせください。♠先方へ出向く〉電話ではらちがあかないので、わたしが先方へ出向いて、直接話を聞いてきましょう。♠●へ得意先に出向く>店長は午後から店のお得意先に出向いております。 **でも**○それはそうだが。しかし。[文例]本当のことを言うべきだった。でも、それができなかった。♠ずいぶん苦労しましたよ。でも、今は幸せです。♠●あなたの気持ちはとてもありがたいんです。でも……。 **てもち**【手持ち】○手に持つこと。所有・所持すること。また、そのもの。[文例]〈手持ちのカード〉トランプのババ抜きは、いちばん最初に手持ちのカードがなくなった人が勝ちです。♠●へ手持ちの品〉店内を改装するので、店主は手持ちの商品を売り尽くそうと考えていた。♠●〈手持ちがない〉給料日前であまり手持ちがないんだ、悪いけど貸してもらえないか。♠●へ手持ちぶさた〉耕介は、手持ちぶさたそうに道ばたの小石をけっていた。 **てもと**【手元】(手許)○手近。身近。手。手のつけね。手さばき。手持ちの金。箸[はし]。[文例]〈手元にある〉美しい物は、いつも手元にあるというだけで心がなごんできます。♠手元に置く〉わたしはよく物をどこへ置いたか忘れるので、大事なものはいつも手元に置いておくようにしています。♠〈手元に届ける〉彼女の遺品は、田舎[いなか]で仕送りを続けた父親の手元に届けられた。♠●〈手元に渡る〉あれこれ差し引かれたため、彼女の手元に現金はほとんど渡りませんでした。♠●〈手元がくるう〉手元がくるい、キャッチボールの球がさくの外へとびだしてしまった。♠●へ手元が危ない〉中学生の力では無理だったのか、ハンマーを持つ手元が危なかった。 **てもなく**【手も無く】○ぞうさもなく。たやすく。なんなく。[例]文例<手もなくひねる〉十分なトレーニングを積んで試合に臨んだが、 <746> てら て チャンピオンに手もなくひねられてしまった。♠●〈手もなくやりこめる〉口やかましい母は、無口な父をいつも手もなくやりこめてしまう。 **てら**【寺】○仏教の寺院。[文例]鎌倉には、古い寺や神社が多い。♠◆<寺に葬[ほうむ]る〉岸にあがった死人は、無縁仏[むえんぼとけ]としてその町の寺に葬られた。♠●〈寺に参る〉うちのおばあちゃんは信心[しんこう]深く、毎日近くの寺に参っています。 **てら・う**(衒う)○見せかける。見せびらかす。[文例]<奇[き]をてらう〉今回の絵画展は、目立つようにと奇をてらった作品の応募[おうぼ]が多かった。♠●〈博識をてらう〉博識をてらえば人から尊敬されると思っているようだけど、軽べつされるのがおちだ。♠●へてらったところ〉控[ひか]え目で、てらったところのない人だから、みんなに好かれる。 **てらしあわ・せる**【照らし合わせる】○二つ以上のものをつき合わせて比較する。照合する。[文例]図書係は本を受け取るとき、本とカードをよく照らし合わせます。♠●問題が全部できたら、正解と照らし合わせて、合っているか確かめましょう。♠●男の顔と写真をよく照らし合わせて、本人であることを確認した。 **てらしだ・す**【照らし出す】○光をあてて姿を浮き出させる。[例]歌手の姿がスポットライトに照らし出された。♠◆灯台の明かりがまっ暗な夜の海を照らし出す。♠◆朝の太陽が大地を照らし出すと、鳥たちはいっせいにさえずり始めた。♠◆く心に照らす>どうしてあんなことを言ってしまったのかと、夜、床の中で自分の心に照らして考えこんだ。♠◆く法に照らす〉今度のことは、法に照らしてみるまでもない。 **てり**○輝き。つや。光沢。日の光。[文例]〈よい照り〉よい照りのこの真珠[しんじゆ]は、高価なものだろう。♠●へ照りが出る〉みがけば、みるみる照りが出てきます。♠●〈照りが違う〉父の育てた野菜は、みずみずしくて照りが違う。 **てりかえ・す**【照り返す】○光を反射する。[文例]〈月が照り返す〉黒い雲の切れ間から、月が鋭く山を照り返した。♠●へ照り返す〉川は日の光を照り返しながら、いっときも休まず流れ続ける。 **てりかえし**【照り返し】○光の反射。反照。[文例]〈照り返しを防ぐ>直射日光や地面からの照り返しを防ぐために、縁側にすだれをかけました。♠◆く照り返しを受ける〉気温は三十度ですが、照り返しを受けてグラウンドは四十度近くになっているようです。♠●へ照り返しが強い〉白い石畳[いしだたみ]の坂道は日差しの照り返しが強く、目を開けていられないほどだった。 **デリケート**○繊細なさま。微妙なさま。[文例]〈デリケートな年ごろ〉きみたちぐらいの年代は、傷つきやすくデリケートな年ごろなのです。♠●ヘデリケートな神経〉彼女はちょっとしたことにも傷つく、デリケートな神経の持ち主だ。♠◆〈デリケートな表現>日本語で雨を表すには、「春雨[はるさめ]・五月雨[さみだれ]・秋雨[あきさめ]・時雨[しぐれ]・氷雨[ひさめ]」など、実にデリケートな表現があります。♠●ヘデリケートな問題〉信仰とか宗教とかは人によってそれぞれで、実にデリケートな問題だから、軽々しく扱[あつか]ってはいけない。 **てりは・える**【照り映える】○光を受けて、物が引き立って見える。[文例]庭のもみじが秋の日に照り映え、とても美しい。♠◆雨上がりの森の緑が初夏の太陽に照り映え、目にしみるような鮮やかさです。♠◆春の暖かい日差しに、花嫁衣裳が美しく照り映えます。 **てら・す**【照らす】○光をあてる。比べ合わせる。[文例]〈太陽が照らす>美しい草原を、真っ赤な太陽が照らしています。♠●〈光が照らす〉夕暮れになると、灯台の光が静かな海を照らし始めます。♠●へ炎[ほのお]に照らされる〉火を使い始めると、夜は暗かったヒトのすみかも、「炎に照らされて、明るくなりました。♠●〈文章に照らす〉辞典で調べた言葉がどの意味に当たるかを、文章に照らして考えてみましょう。♠法律に照らす〉この問題だったら、法律に照らすまでもなく、われわれが正しいに決まっている。♠●へ良心に照らす〉神の前で、良心に照らして包み隠さず申しあげます。 **て・る**【照る】○光を出す。明るく光る。[例]〈日が照る>黒い雲が切れて、まぶしい日が一すじ、かっと照った。♠今月が照る〉真夜中[やはん]に外に出てみると、月がこうこうと照っていた。♠●へ照る日曇る日〉照る日、曇る日、雨、雪の日も、少年は一日も休まず、新聞配達を続けた。♠●へ降っても照っても〉降っても照っても、男は一日も休まず畑に出ておった。♠〈照り返す〉川は日の光を照り返しながら、いっときも休まず流れ続ける。♠●へ照り映える〉全山[ぜんざん]の紅葉[こうよう]が美しく照り映えている。 **でる**【出る】○外へ行く。外にはみ出す。出かける。行き着く。先へ進む。立ち去る。売れる。現れる。姿を現す。その場に臨む。乗り出す。相手になる。持ち出される。卒業する。発表される。生じる。起こる。産出される。与えられる。[文例]〈外に出る〉わたしたちの学校では、昼休みには校舎の外に出て運動をすることになっている。♠人家を出る〉明日の朝は六時には家を出なければいけないのだから、今夜は早く寝よう。♠◆〈家を出る〉父親と折り合いの悪かった娘[むすめ]は、ついに家を出る決心をしたのだった。♠〈列車が出る〉きみの乗る急行列車は何時に何番線から出るのかおしえておいてください。♠◆〈月が出る〉うす暗くなって東の空を見ると、ちょうど山の上に月が出たところだった。♠ヘゴキブリが出る〉家の台所には、毎年夏になるとゴキブリがたくさん出るので困ります。♠●へ芽が出る〉庭に植えたサフランの球根は、今月になってやっと芽が出た。♠◆人風が出る〉台風の接近にともない、高知でも夜半[やはん]になってかなり強い風が出てきた。♠●<涙[なみだ]が出る>卒業式には泣くまいと思っていたのに、校歌を歌いだしたらとうとう涙が出てきた。♠●へぼろが出る〉どんなにとり繕[つくろ]っても、いずれぼろが出てしまうのだから、最初から本当の自分を見せたほうがいい。♠●〈実力が出る〉試験の時ふだんの実力が出れば、きっと合格できるよ。♠へ新聞に出る〉昨日の夕刊に、ランドサット衛星から撮影[さつえい]した地球の写真がカラーで出ていた。♠●〈店に〜が出る〉五月だというのに、果物屋の店先にはもうサクランボが出ていた。♠●<駅に出る〉ここからいちばん近い駅に出るには、どの道を行ったらいいでしょうか。♠●へおやつが出ると彼女の家に遊びに行ったら、おやつにサンドイッチとジュースが出た。♠◆〈食事が出る〉今のバイトは、食事が出るから割はいいと思う。♠◆ヘスピードが出る〉この自動車はこのクラスではもっとも速く、二百四十キロ近いスピードが出る。♠◆ヘテストに出る>去年の期末テストにどんな問題が出たのかを、クラブの先輩[せんばい]に聞いてみよう。♠●〈大会に出る>鈴木[すずき]君は、明日の弁論大会に学校の代表として出るということだ。♠講義に出る〉ときどきずる休みをして、 <747> てん て 大学の講義に出ないことがある。♠●〈選挙に出る〉今度の町長選に現職のA氏が出るかどうかで、町じゅうがそのうわさでもちきりだ。♠●へ人前に出る〉わたしは恥ずかしがり屋なので、人前に出て話をするなんてできません。♠◆へ電話に出る>手がはなせないから電話に出てちょうだい。♠●〈大学を出る>彼は二年前の三月に大学を出て、今は東京にある広告会社に勤めている。♠◆<本が出る〉あなたが書いた本は、いつごろ出る予定になっているのですか。♠●〈出る幕〉きみがそんなにうまくやってくれたのなら、もうぼくの出る幕はないよ。♠◆下手[したて]に出る〉わたしが下手に出ていると、彼は次第に強い態度になってきた。♠●へ強い態度に出る〉気が弱くて強い態度に出られないから、いつも相手に押し切られる。♠●〈宿題が出る>山のように宿題が出たから、土日[どにち]は遊んでいられないや。♠〈商品が出る>当店では、贈り物としてはこの手の商品がよく出ています。♠●〈命令が出る〉「一か月で最低五件以上の契約[けいやく]をとること。」という命令が社長から出た。♠●へ答えが出る〉いろんな方法で解いてみて、ようやく答えが出た。♠<結論が出る〉みんなで朝から話し合っているのですが、なかなか結論が出ません。♠◆死人が出る>両村の争いがこのまま続けば、いずれ死人が出ることになるぞ。♠●〈火が出る>村外[むらはじ]れの一軒家[いつけんの]から火が出て、家はまる焼けだという。♠●〈熱が出る〉ゆうべ熱が出たので、薬を飲んで早く寝ました。♠◆<船が出る〉おおい、船が出るぞお。♠◆へ足が出る>親子四人で遊園地に行ったが、乗り物代が高くなっていて、結局足が出た。♠●へ余りが出る〉今回のパーティーで出た会費の余りは、次回の経費にまわします。♠●〈裏目に出る〉ぼくたちの作戦が裏目に出て、思わぬ大敗[たいはい]を喫[きつ]してしまった。♠◆〈世に出る〉きみたちも、いずれは学校を卒業して世に出ることになる。♠●〈旅に出る〉一週間ほど休暇をもらって、旅に出てみようと思っています。♠◆ヘ元気が出る〉もうすぐ頂上だと思ったら、元気が出てきた。♠●〈精が出る〉よお、田吾作[たごさく]どん、朝っぱらから精が出るのう。♠●〈右に出る〉球の速さにかけては、彼の右に出る者はいない。♠●〈顔に出る〉きみは、何かいやなことがあると顔に出るからすぐにわかる。♠●へ四十を出る〉よしみちゃんのお母さんは、とても若く見えて、四十を出てるなんて思えません。♠●へ~の域を出ない〉あなたのピアノはとても上手[じょうず]だけれども、やはり素人[しろうと]の域を出ていません。♠●へ買って出る〉いやな役だが、だれもいないとなれば、ぼくが買って出るしかなかろう。♠へ出るくいは打たれる〉出るくいは打たれる。あんまりでしゃばらないほうがいい。 **てれかくし**【照れ隠し】○恥ずかしさなどを隠すためにごまかすこと。また、そのしぐさ。[文例]駅のホームですべった男は、照れ隠しににやっと笑った。♠●へ照れ隠しをする〉照れ隠しをしている場合ではないよ、早く後始末をしなさい。 **てれくさ・い**【照れ臭い】○注目を浴びて、きまりが悪い。[文例]たいした事ではないのに、みんなの前で褒められて照れ臭かった。♠●自分の気持ちを正面きって述べることは難しいし、照れ臭くもある。♠●へ照れ臭い感じ〉新しい洋服を着るのはうれしいが、同時に照れ臭い感じもする。 **て・れる**【照れる】○恥ずかしがって、はにかむ。[例]文例]そんなに褒[ほ]められると、照れちゃうなあ。♠●はずかしがり屋の男の子は、みんなに拍手されてさかんに照れていました。 **てれんてくだ**【手練手管】○人をだます手段。策謀。[文例]〈手練手管を用いる〉政治の世界にかけひきはつきものですから、自分の意見を通すために互いに手練手管を用います。 **てわけ**【手分け】○物事を分担して行うこと。[文例]〈手分けをする〉多くの仕事も、みんなで手分けをすれば、わけなくできます。♠●へ手分けする〉これだけの仕事を一人でやるのはたいへんなので、みんなで手分けすることにした。♠人手分けして〜する〉いなくなった子犬を、家族全員でほうぼう手分けして探し回った。♠●〈手分けして〜する〉展覧会に向けて、今、共同作品を、クラス全員で手分けして作っている。 **てん**【天】○空。神。天国。上部。初め。最初。[文例]天を仰[あお]ぐ〉敗者は天を仰いで悔[くや]し泣きに泣きだした。♠◆天にも届く〉山には、大きな大きな、天にも届く杉の木があった。♠今天にも昇る気持ち〉表彰台の最上段に上ったわたしは、天にも昇る気持ちだった。♠●〈天をつく勢い〉大木が天をつく勢いでそびえている。♠●〈天を引きさくよう〉急に、いなずまがひらめき、天をも引きさくような雷鳴がとどろいた。♠◆今天と地〉神々はゼウスの神殿[しんでん]で、天と地のあらゆるできごとについて話し合った。♠●〈天と地ほどの〉同じ政党に所属する政治家だったが、その人格には天と地ほどのひらきがあった。♠●〈天に見放される〉助けが来た。ああ、わたしはまだ天に見放されていなかった。♠●〈天の恵[めぐ]み〉この雨は天の恵みです。♠●〈天の使い〉心が清らかで優しいあの人は、まるで天の使いのようです。♠●〈運を天に任せる〉力のかぎりをつくしたら、あとは運を天に任せるしかない。♠●へ天は二物を与えず〉天は二物を与えず、美人の彼女に才能は備わっていなかった。♠天は自[みずか]ら助[たす]くるものを助く〉天は自ら助くるものを助くと言って、努力なしで成功しようとするほうがまちがっている。♠●〈天につばする〉天につばすれば、結局自分の上に降りかかるものだ。♠〈怒髪[どはつ]天をつく〉裏切り者を前に、大将は怒髪天をつく勢いで立ち上がった。♠へ天は人の上に人を造[つく]らず>福沢諭吉[ふくざわゆきち]の有名な言葉に、「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」がある。♠天高く馬肥ゆる秋〉 <748> てん て 天高く馬肥ゆる秋とはいうものの、なぜかこうに食欲がわいてこない。 **てん**【点】○物の表面の小さなもの。目でとらえられる最も小さなもの。漢字・文字につけるしるし。漢字の字画で線より短いもの。読点。評価を表すしるし。評点。得点。箇所。地点。[文例]〈黒い点〉そのクモは灰色で全体が三角形に近く、腹に黒い点が二つならんでいた。♠●へ点になる〉ジャンボジェット機は、だんだん小さくなり、やがて点になって消えていった。♠●へ点のよう〉飛行機が離陸[りりく]してしばらくすると、今までいた島が点のように見えた。♠◆ヘテンとマル>彼の作文はなかなかよく書けていたが、三か所テンとマルのおかしいところがあった。♠●へ点を打つ〉文章によっては、点を打つ場所によって意味が変わってしまう場合がある。♠◆<点と画>漢字はすべて、点と画から組み立てられている。♠●〈点が良い・悪い〉今度のテストでいちばん点が悪かったのは、国語でした。♠●〈点をつける〉あなたの性格に点をつけてくださいと言われて、考えこんでしまった。♠●へ点が甘い・辛[から]い〉どの学校にも、点の甘い先生と辛い先生がいるそうです。♠<点を入れる〉試合終了五秒前でやっと点を入れることができた。♠●へ点を取る〉相手ゴールは守りが堅[かた]いから、今日の試合は点を取るのはたやすくないぞ。♠へ点をかせぐ〉弟は母の肩をたたいたりして、点をかせぐのに一生懸命だ。♠●へ〜と違う点〉人間がほかの動物と非常に違う点は、体のわりに脳が大きく、頭がよいということです。♠〈~の良い点〉一人で旅をすることの良い点は、自分の好きな時に、好きな場所に行けることだ。♠◆ヘこの点〉この点から考えても、インディアンの絵文字は発達したものであったと言える。♠以上の点〉以上の点を考慮[こうりよ]に入れ、皆さんで結論を出してください。♠●今年の展覧会には、千点を上回る作品の応募[おうぼ]がありました。 **てんい**【転移】○他へ移動すること。他へ移すこと。[文例]〈転移する〉ガン細胞は末期になると、各所に転移し、全身をむしばむようになる。 **てんいむほう**【天衣無縫】○飾りけがなく、ありのままであること。詩文で技巧のあとがなく完全なこと。[文例]天衣無縫の生き方〉ありのままの自分をさらけ出して、天衣無縫の生き方ができればよいと思う。♠●〈天衣無縫の人〉名誉にこだわらず、現世の利益に一切こだわらず、自らの意のおもむくまま自由に生きた天衣無縫の人であった。 **でんえん**【田園】○田や畑や野原。[文例]都会に住んでいると、のどかな田園の暮らしにあこがれます。♠●〈田園風景〉都心を出発して一時間もすると、窓の外には田園風景が広がるようになった。♠●〈田園地帯>国道の両側は、どこまでも緑の続く田園地帯だった。♠◆ヘ田園詩人>彼は大自然の中にその題材を求める、田園詩人です。 **てんか**【天下】○天の下。地上。世界。全国。国全体。権力。実権。てんが。[文例]〈天下を取る>戦国時代の武将たちは、天下を取ることを夢見て戦った。♠●〈天下を統一する>豊臣秀吉[とよとみひでよし]は、諸国を平定し、天下を統一しました。♠●〈信長[のぶなが]の天下>今から四百年ほど昔、信長の天下の時代に、少年四人が長崎[ながささ]の港から船出した。♠●雪が降れば、北国生まれのぼくの天下だ。♠●〈天下晴れて〉結婚式[けつこんしき]をあげた二人は、天下晴れていっしょに暮らせる身となりました。♠●〈天下一品〉これほどのすばらしい味はまたとない。まさに天下一品だ。♠へかかあ天下〉わが家は「かかあ天下」で、父より母のほうがいばっています。♠◆天下分け目〉関ヶ原[せきがはら]の戦いは、天下分け目の戦いと言われる。 **てんか**【転化】○他に変化すること。[文例]〈意味が転化する〉長い年月の間、もともとの意味から別の意味へと転化した言葉もある。 **てんか**【転嫁】○責任などを他人になすりつけること。[文例]〈責任を転嫁する〉自分の失敗の責任を他に転嫁してはいけない。♠●へ責任転嫁〉自ら犯した罪を社会のせいにするとしたら、それは責任転嫁であろう。 **てんか**【点火】○火をともすこと。火をつけること。[文例]〈ガスの点火〉ガスの点火・消火は、必ず目で確認してください。♠◆〈点火する〉風で火が消えないように気をつけながら、ろうそくに点火した。 **てんか**【添加】○つけ加えること。[文例]〈添加する〉有害な物質が食品に添加されているとしたらゆゆしい問題です。 **てんが**【典雅】○整って上品であるさま。[文例]〈典雅な調べ〉結婚式の間じゅう、式場には和楽の典雅な調べが流れていた。♠◆人典雅な文体〉作品には典雅な文体で王朝貴族の生活が描かれていた。 **てんかい**【展開】○繰り広げること。延べ広がること。進展すること、進展させること。[文例]〈文章の展開〉作文を書くときには、文章の展開の仕方に気をつけよう。♠へ新しい展開〉明治になって西洋文化が入ってくると、文学が新しい展開を見せてくる。♠●へ景色が展開する〉車窓には、次々に新しい景色が展開するので、あきることがありません。♠話を展開させる>先生は、身近な話題をとりあげ、そこから教訓的なことへと話を展開させていきました。♠●へ物語を展開する〉作者は、主人公の側に立って、物語を展開している。♠●〈戦いを展開する〉わが軍は、相手を包囲するように戦いを展開しています。♠●へ有利に展開する〉敵側に反則退場があったので、試合はこちらに有利に展開した。 **てんかい**【転回】○回転すること。方向が変わること。方向を変えること。[文例]〈転回する〉事態は百八十度転回して、こちらが有利になった。♠ヘコペルニクス的転回〉〈転回をとげる〉これを機に彼はコペルニクス的転回をとげて、平和主義者になったのである。 **てんがい**【天涯】○空の果て。異郷。「[文例]〈天涯孤独〉男は、親兄弟、身寄り頼りを一切もたぬ天涯孤独の身であった。♠◆<天涯の孤児>生まれる前に父と兄を失い、今また母を失って、少年は天涯の孤児となった。 **でんかのほうとう**【伝家の宝刀】○代々その家に伝わる名刀。大事な時以外は秘めて用いない、きわめて威力ある手段。[文例]〈伝家の宝刀を抜く〉内閣が衆議院を解散するのはよくよくのことで、まさに伝家の宝刀を抜くことである。 <749> てんこ て **てんから**【天から】○初めから。頭から。[文例]きみの言うことなど、ぼくはてんから信用していない。♠彼のことなどてんから相手にしていないので、何を言われようとまったく気になりません。 **てんかん**【転換】○別のもの・状態に変えること。また、変わること。[文例]」〈気分の転換〉勉強につかれたとき、気分の転換を図[はか]るには、スポーツがいちばんです。♠●へ方向を転換するこのおもちゃには、何か物にぶつかると、方向を転換させる仕組みがついている。♠◆く方針を転換する>家庭学習の方針を、今までの復習中心から予習中心へと転換することにした。♠◆く頭を転換する〉自分中心の考え方から、広い視野[しや]に立った物の見方、考え方ができるように、頭を転換させたほうがよい。♠●〈方向転換〉迫[せま]ってきたクマは、その時何を思ったのか、突然[とつぜん]、方向転換した。♠〈配置転換>家具の配置転換だけでも、部屋の雰囲気[ふんいき]はだいぶ変わってくる。 **てんき**【天気】○空もよう。晴天。機嫌。[文例]〈天気がいい・悪い〉天気もいいし風もないから、ひとつ自転車で遠出してみよう。♠●〈よい天気〉雲一つないよい天気だ。♠●〈天気がくずれる>来週から天気がくずれるそうだ。♠●〈天気にな る〉明日は運動会なので、雨が降るか、天気になるか、気にかかる。♠●〈天気が続く〉この季節は、比較的天気が続くことが多い。♠●〈お天気屋〉あの人は、すぐに気分が変わるお天気屋だ。♠天気予報〉天気予報によれば、午後からこの雨も上がるそうだ。 **てんき**【転機】○他の状態に移り変わるきっかけ。[文例]<転機が訪[おとず]れる〉やがて幼い兄弟にも、宿命的ともいうべき転機が訪れた。♠へ人生の転機〉人生の転機は、いつやって来るかわからない。♠●へ~を転機として〉中学入学を転機として、わたしの勉強に対する意気ごみは変わっていった。 **てんき**【転記】○書きうつすこと。[文例]〈転記する〉伝票の数字を台帳に転記するだけでも、かなりの時間がかかります。 **てんき**【電気】○光や熱や動力のもとになるエネルギーの一つの形態。電灯。[例]〈電気が通じる〉この山小屋には電気が通じていません。♠へ電気が流れる〉このさくには電気が流れていて、牛が近づかないようになっています。♠●へ電気を使う〉わたしたちはいつでも、スイッチひとつで電気を使うことができる。♠◆へ電気を起こす〉日本でも、明治になると流水の力を利用して電気を起こす水力発電が行われるようになった。♠●〈電気をつける>暗くなってきたので、部屋の電気をつけた。♠●〈電気を消す〉電気はこまめに消して、節電するよう心がけましょう。♠●へ電気を切る〉電気代をずっと払わずにいたら、とうとう電気を切られてしまった。♠◆◇電気に打たれる〉ぼくは、この発見をしたとき、電気に打たれたようなショックを受けました。♠●へ電気じかけ〉電気じかけのおもちゃの猿[さる]が、首を振りながらシンバルをたたいている。 **てんきょ**【転居】○住居をかえること。引っ越し。又例〈転居を重ねる〉彼は引っ越し好きで、同じ盛岡[もりおか]市内で五回も転居を重ねた。♠●へ転居する〉このたび下記の住所に転居しましたのでお知らせいたします。♠<転居通知>高校時代の友人から、結婚して新居を構[かま]えたという転居通知が舞い込ん だ。 **てんぎょう**【転業】○職業や商売をかえること。又例風呂[ふろ]のある家庭が多くなって、風呂屋さんの転業があいついでいます。♠●へ転業する〉サラリーマンのおじさんがカレー屋に転業した。 **てんきん**【転勤】○勤務地がかわること。[文例]〈転勤になる〉父は、四月から仙台に転勤になりました。♠へ転勤を命じる〉この度、ニューヨーク支店へ転勤を命じられました。♠◆<転勤する>兄は今年の六月に、大阪支店から名古屋支店に転勤して働いています。 **てんぐ**(天狗)○神通力を持ち自由に空を飛ぶ、鼻が異常に高い想像上の怪物。鼻高々に自慢する人。[文例]村人たちは、行方不明になった子は天狗にさらわれたのだと思っていた。♠●〈天狗になる〉少しぐらいほめられたからって、すぐに天狗になるようではだめだ。♠◆〈釣り天狗>港の防波堤は、休みになると、たくさんの釣り天狗でにぎわいます。 **てんくう**【天空】○空。大空。[例]雪におおわれた頂上が、青く澄み渡る天空に向かって誇らしげにそびえ立っていた。♠◆宇宙の天体のすべてが休みなくこの天空を運行している。 **てんけい**【典型】○模範となる形式。代表的な型。商へいい子の典型>勉強もクラブ活動もよくやり、先生の言う事をよく聞くあの子は、いい子の典型です。♠●〈心配性の典型>いつも先のことばかり考えてはらはらしている母は、心配性の典型だ。♠●へ文化の典型>長い伝統をもつ九州の石の文化の典型がここにある。♠●へ大統領制の典型〉世界の国には大統領制をとる国があるが、アメリカ合衆国などはその典型だ。♠◆<典型的〉娘[むすめ]は、典型的な秋田美人[あさたびじん]の顔立ちをしている。♠◆<典型的〉明日は、西高東低の典型的な冬型の気圧配置になるそうだ。 **てんけい**【点景・添景】○絵画や写真で、趣を添えるために風景の中に配置する人物や動物など。[文例]草をはむ馬たちの点景が、湖を描いたその絵を引き立てている。♠●青春の思い出の点景には、もはや会うすべのない多くの人々が見えかくれしている。 **でんげき**【電撃】○電流が体内に流れた時に受ける衝撃。稲妻のようにすさまじい勢いの攻撃。[文例]〈電撃的二人の電撃的な結婚は、まわりの人々を大いに驚かせた。♠へ電撃作戦>連合軍は、上陸後一気に首都を制圧する電撃作戦に出た。 **てんけん**【点検】○チェックポイントを一つずつ検査すること。[文例]〈火の元の点検〉就寝の前には、火の元や戸締まりの点検を忘れないようにしましょう。♠●<服装の点検〉では、服装の点検をしますから、一列に並びなさい。♠●へ点検する〉車は、定期的にエンジンやブレーキを始め、車体を点検するように定められている。 **てんこ**【点呼】○一人一人名を呼んで確認すること。[文例]六時の起床から朝の点呼まではわずか十五分、 <750> てんこう て みんな大ぁわてで着がえや洗顔をすませます。♠●〈点呼を取る>先生は、点呼を取ると、出発の合図をした。♠●〈点呼を受ける>点呼を受けたら、急いで校舎に入りなさい。 **てんこう**【天候】○天気の状態。空もよう。→天気・気候受例〈天候がよい・悪い>旅行をしても、天候が悪いと楽しさが半減するような気がします。♠●へ天候が不順〉天候が不順で、今年の米の出来はよくない。♠●〈天候にめぐまれる〉今年の運動会も天候にめぐまれ、無事に終わりました。♠●〈天候の変化〉山は天候の変化がはげしいので、注意が必要です。♠●〈天候の回復〉天候の回復を待って下山することにした。 **てんこう**【転向】○立場や主義などをかえること。[例]〈転向する>男は、戦後の混乱期に会社員からヤミ屋に転向してひともうけしたという。♠●へ転向する〉共産主義者の中には、警察の弾圧に耐えられず自分の思想を捨てて転向する人もいた。 **でんこう**【電光】○いなずま。いなびかり。電灯の光。又例〈電光が走る〉スイッチを入れると、プラス極とマイナス極との間に青白い電光が走りました。♠●〈電光掲示板>演技を終わった選手の得点は、電光掲示板に表示される。♠◆◇電光石火[せつか]〉侍[さむらい]は電光石火の早業で、五人の男を切り捨てた。 **てんごく**【天国】○神の住む天の国。安楽な境地。楽園。[文例]〈天国と地獄[じごくゆ]>うそをつくと地獄行きだというけど、うそを一度もつかないで天国に行ける人っているのかなあ?♠◆〈天国のよう〉今になって考えると、あの当時は天国のような生活でした。♠●〈天国にいるよう〉こうして温泉につかって、何もしないで一日が過ぎていくと、天国にいるような気分だ。♠動物の天国〉この島は人間の手がはいっていないので、野生動物の天国となっている。♠●へ天国に召[め]される>長い間病床[びようしよう]にあった祖父は、今朝早くに、天国に召されました。♠●へ歩行者天国>この大通りも、日曜日には歩行者天国となり、大勢の人でうまってしまう。 **でんごん**【伝言】○人を介して先方に用件を伝えること。また、その言葉。ことづけ。ことづて。[文例]〈伝言を伝える〉風邪で休むという友達の伝言を、先生に伝えました。♠へ伝言を残す>急用ができたらしく、彼女は、後のことはよろしくお願いしますという伝言を残して帰った。♠◆へ伝言を頼む〉ぽくはもう帰らなければならないんだ。彼に六時に来るように伝言を頼むよ。♠●〈伝言する〉明日の父母会が中止になったことを、忘れずに伝言してください。♠●へ伝言板〉駅の伝言板には、当事者以外には意味のわからない記載もあります。 **てんさい**【天才】○生まれつきの、飛び抜けてすぐれた才能。また、その持ち主。[文例]アインシュタイン、モーツァルトなど、特にすぐれた才能の持ち主は天才といわれる。♠へ泳ぎの天才〉水かきのあるビーバーは、泳ぎの天才だ。♠遊びの天才〉棒きれでも、石ころでも、何でも遊び道具にしてしまう。まったく子供は遊びの天才だ。♠●へ語学の天才〉あの人は語学の天才で、五か国語を操[あやつ]るそうだ。♠天才詩人>彼は早熟な天才詩人で、日本の近代詩にも大きな影響を与えた。♠●〈天才的〉レオナルド=ダ=ビンチは、イタリアルネサンス期の天才的芸術家である。 **てんさい**【天災】○自然現象がもたらす災害。又例地震や噴火などの天災は、今の科学ではまだ正確に予知することはできません。♠●へ天災と人災>明らかに予想された災害に備えなかったとすれば、これは天災というより人災というべきだ。♠●へ天災に見舞われる〉今年は日照[ひで]りや洪水[こうずい]という天災に見舞われ、村人たちは疲れきっていた。♠●〈天災は忘れたころにやってくる〉天災は忘れたころにやってくるという言葉を肝[きも]に銘[めい]じ、日ごろの備えをおこたらぬようにしたい。 **てんざい**【点在】○あちこちにぽつんぽつんとあること。散在。[文例]〈人家が点在する〉川に沿って、かなり奥まで人家が点在している。♠●〈島が点在する〉入り江に点在する大小とりどりの島は、形もさまざまである。♠●へ村が点在する〉この衛星写真でも、平野の周辺部に村々の点在するのがわかる。 **てんさく**【添削】○詩歌や文章、答案などを削ったり補ったりして直すこと。「[文例]<作品の添削〉〈添削を受ける〉俳句の会に入って、先生から添削を受けています。♠●へ添削する〉答案を作成して送ると、添削され、講評がついて返ってくる。 **てんし**【天使】○天の使い。エンゼル。やさしく心の清らかな人。[文例]壁に、背中に翼[つばさ]のはえたかわいい天使の絵が飾られている。♠天使のよう〉天使のような赤ちゃんの寝顔は、お母さんにとって何にもまさる宝物です。♠◆◇白衣[はくい]の天使〉彼女は、白衣の天使になることを目指して、高校を卒業すると看護学校に入学しました。 **てんじ**【展示】○並べて一般の人に見せること。[文例]〈作品の展示>学芸会では、生徒作品の展示も行われます。♠●へ展示する>資料館には、その土地の古い時代の農具や衣服などが展示されていた。♠<展示品〉わたしたちは、博物館で展示品を一つ一つ丁寧[ていねい]に見て回りました。♠●〈展示即売会>近くのデパートで、振りそでの展示即売会が開かれています。 **でんしゃ**【電車】○電気の力で線路の上を走る乗り物。[例]〈電車が走る〉この町にも電車が走るようになった。♠◆<電車が出る>ホームに駆け上がると、ちょうど電車が出たところだった。♠◆山の手線の電車に跳飛ばされて怪我[けが]をした、其後養生[そのあとようじよう]に、一人で但馬[たじさ]の城崎[きのさき]温泉へ出掛けた。(志賀直哉[しがなおや]「城の崎にて」) **てんじゅ**【天寿】○天から与えられた命の長さ。寿命。[例]〈天寿をまっとうする〉祖父は八十歳の天寿をまっとうして逝[ゆ]った。 **でんじゅ**【伝授】○学問や技芸の秘伝・奥義を教え授けること。[例]〈伝授する釣りの名人に、ヘラブナ釣りのこつを伝授してもらった。♠●へ伝授する〉師範[しはん]に伝授してもらった技を、やっと自分のものにすることができました。 **てんじょう**【天上】○空の上。天にあるという世界。天界。 <751> **てんそう** [文例] 天上[てんじよう]を仰ぐ>天上を仰げば、さえわたる夜空にシリウスが冷たく輝く。♠<天上へ上る>一本のひもがするすると伸び、天上へと上っていった。 **てんじょう【天井】** ○部屋の上部の板を張った所。物事の最も高いところ。[文例] あおむけになって天井を見ているうち、いろいろな空想が浮かんできた。♠<値段が天井>上がり続けた土地の値段も、このあたりが天井だろう。<天井知らず>この国では、今、物の値段が上がり続け、天井知らずとなっている。 **でんしょう【伝承】** ○前代から受け継ぎ、後代に伝えていくこと。また、その事柄。[文例] 彼の小説は、この地方に古くから伝わる伝承を基[もと]にして書かれました。♠天候に関する伝承は、農業や漁業を営む人の間では、かたく信じられている。♠<伝承する>古くから伝承されてきた事柄[ことがら]を、現代科学の目で見つめ直すのもおもしろいことです。 **てんしょく【天職】** ○天から与えられた職務・職業。[又例] <天職とする>わたしは、今の仕事を天職として三十年間精勤してまいりました。♠<天職を尽くす>天職を尽す為[ため]には、尽し得るだけの条件が入る。(夏目漱石「虞美人草[ぐびじんそう]」) **てん・じる【転じる】** ○移す。変える。移り変わる。[文例] 自を転じる>西側には海を見渡[みわた]せるし、東側に目を転じれば、松林[まつばやし]の続いているのが見えます。♠<話題を転じる>都合が悪くなると、彼は、ほかの事へと話題を転じてしまった。♠<攻勢に転じる>前半は押され気味だったわがチームも、後半は攻勢に転じた。♠へ災[わざわ]いを転じて福となす「災いを転じて福となす」のことわざもあることだし、この失敗の経験を次の機会に生かそう。 **てん・じる【点じる】** ○火をともす。明かりをつける。しずくをたらす。評点をつける。茶をたてる。[文例] <火を点じる>女が一人庭に入ってきて、灯籠[とうろう]に火を点じていった。♠へ電灯を点じる>先きに立って這入[はい]って、電燈を点じてくれたしづえと一しょに、己[おれ]は洋室にいた(・・・・・・) (森鷗外「青年」)♠<失を点じる>色が白い。目がぱっちりしていて、唇は朱[くちびるしゅ]を点じたようである。体はしなやかである。(森鷗外「ヰタ・セクスアリス」) **てんしん【転進】** ○進路をかえること。[文例] <転進をはかる>自分の将来を考え、世の中の動きを見て、さまざまな分野で転進をはかる人々がいる。♠へ転進する>南のルートを目ざした探検隊は、雪崩[なだれ]の危険を察知したため、転進して西のルートを行くことにした。 **てんしん【転身】** ○身をかわすこと。生活のしかたなどを変えること。[文例] <転身をとげる>プロ野球界のスターだった小林選手は、ニュースキャスターに転身をとげた。♠へ転身をはかる>サラリーマンをやめ、食べ物屋に転身をはかった。♠へ転身する>学生時代は理想主義者だったぼくも、社会人になって現実主義者に転身した。 **てんしんらんまん(天真爛漫)** ○飾りけや気取りがなくて純真さにあふれるさま。[文例] 天真爛漫な人>おばは、子供のように無邪気[むじやき]で憎めない、天真爛漫な人です。♠天真爛漫にふるまう>天真爛漫にふるまう子供たちを見ていると、ほのぼのとした気分になった。 **てんすう【点数】** ○得点や評点の値。商品などのの数量。[文例] <試験の点数><点数が上がる>試験の点数が上がるといいな。♠へ商品の点数><点数がそろう>専門店は、商品の点数がそろっているので気に入った物が選べます。♠へ点数をかせぐ>お手伝いをしてお母さんの点数をかせいでおいて、あとでおねだりしよう。 **てんせい 【天性・天成】** ○生まれつきの性質。[文例] <天性の才能>音楽や美術の才能は、天性のものであることが多い。♠<天性の美ぼう>彼女は天性の美ぼうで、多くの男性の心を引きつけた。♠<天性備わる>その選手の筋力とばねは、天性備わったものだ。♠<第二の天性>習慣は第二の天性といわれ、生まれつきの性格とともにわたしたちの生活に大きな影響を与えます。 **てんせい【転成】** ○性質の違う別のものになること。[文例] <転成する>「光」や「網」などといった名詞は、「光る」「編む」といった動詞が転成したものだ。 **でんせつ【伝説】** ○古くから言い伝えられた話。[例] <古くから伝わる伝説>父や母が小さいころには、その地方に古くから伝わる伝説を、よく聞かせてもらったそうです。♠<伝説が残る>聖徳太子[しようとくたいし]に関する伝説は、奈良[なら]県を中心にあちこちに残っている。♠へ伝説に基づく>七夕[たなばた]祭りは、一年に一度彦星[ひこぼし]と織姫[おりひめ]が天[あま]の川で会うという伝説に基づいた行事だ。♠へ~にまつわる伝説>雪女にまつわる伝説は、日本だけでなく、世界各地に数多く残っている。♠へ伝説になる>木下君が旅館の二階の窓から落ちて、けが一つしなかったという話は、仲間うちでは伝説になっている。♠へ伝説上の人物>ギャング映画でおなじみのアル・カポネは、決して伝説上の人物ではありません。♠へ伝説的な英雄>伝説的な英雄[えいゆう]シーザーについては、まだ知られていない部分がたくさんあります。 **てんせん【転戦】** ○場所を転じて戦うこと。[文例] <転戦する>大リーグのチームが来日して、日本各地を転戦した。♠<転戦する>部隊は中国からインドシナへと転戦した。 **てんぜん(恬然)** ○物事に動じないでいるさま。平然。[文例] 太っ腹な社長ですから、少々の損失などにはてんぜんとしてこだわりません。♠もっともだと思われる批判に対してもてんぜんとして反省する様子もない。 **でんせん【伝染】** ○病気がうつること。物事がうつり広まること。[例] <伝染する>昔、この村では悪い病気が伝染し、多くの人が亡くなったという。♠へ伝染する>あやとり遊びがクラス中の女子に伝染し、みんなが夢中で興じています。♠<伝染病>はしかは、ビールスという病原体がひきおこす伝染病です。 **てんそう【転送】** ○送られてきた物をそのまま他の所へ送ること。[又例] へ転送する>前に住んでいたアパートに配達された手紙が、新居に転送されてきた。♠へ転送する>北海道から送られてきた小包[こんぼう]みを、梱包し直して大阪のおばのところへ転送した。 <752> **てんぞく** **てんぞく【転属】** ○所属が変わること。また、変えること。[文例] <転属になる>本土の病院から新しい医師と看護婦が転属になって、この島にやって来た。 **てんたい【天体】** ○星など宇宙に存在する物体。[文例] 別の天体にも、知能の進んだ高等生物がすんでいるかもしれない。♠天体の運動>地球はもちろん太陽や月や星など、天体の運動には一定の法則があります。♠<天体の観測>月の出ていない晴れ渡った夜は、天体の観測にはもってこいです。♠天体望遠鏡>ハレーすい星を見るために、天体望遠鏡が欲しかった。 **でんたつ【伝達】** ○意思や命令、情報などを他に伝えること。[文例] <伝達する>明日の体育祭が中止になったことを、今夜中にクラス全員に伝達しなければならない。♠へ正しく伝達する>父の残した遺言[ゆいごん]は、兄弟たちには正しく伝達されなかった。へ意思を伝達する>言葉は、自分の考えや意思を他人に伝達するための道具です。♠<速[すみ]やかに伝達する>一刻を争うから、この情報は市民に速やかに伝達するように。♠へ伝達事項[じこう]>伝達事項がありますから、授業が終わっても帰らないでください。♠<伝達手段>今の世の中でいちばん手軽な伝達手段は、電話ではないでしょうか。 **てんち【天地】** ○天と地。世界。上と下。[文例] 水は清く、花は咲き、野は緑に、天地は色彩[しきさい]に満ちている。♠<広々とした天地>空も海もすべて青一色の、広々とした天地の中に、真っ白い鳥が漂[ただよ]っている。♠<天地をこがす>登山者の火の不始末から、山は天地をもこがす火に包まれてしまった。♠<新しい天地>国を失った人々は、外国に新しい天地を求めて旅立っていった。♠<自由の天地>その昔[むかし]この広い北海道は、わたしたち先祖の自由の天地でありました。●天地の開き>同じ百点でも、努力の成果とまぐれとでは、天地の開きがあります。♠<天地無用>箱[はこ]や荷物に「天地無用」と書いてある場合は、上下を逆にしてはいけません。♠へ天地神明[しんめい]に誓[ちか]う>天地神明に誓って、うそは申しておりません。 **てんち【転地】** ○他の土地へ移り住むこと。[文例] <転地する>病弱だったハンスは、南仏の海辺の村へ転地することになった。♠へ転地療養>しばらくの間転地療養で、伊豆の方へ出かけます。 **てんで** ○まるっきり。全然。[文例] 自分が正しいと思いこんでこちらの言うことを聞こうともせず、てんで話にならなかった。♠将棋[しよう]三段の和田君には、たいがいの人は飛車角[ひしやか]落ちでもてんで相手になりません。♠ぼくは小学校のとき二年間書道教室に通いましたが、この字を見てもわかる通りてんでものになりませんでした。 **てんてき 【天敵】** ○自然界で、ある動物にとって害・敵となる他の動物。いつも負かされる相手。[文例] 草食動物にとって、彼らをねらう肉食動物は天敵である。♠庭のバラについたアブラムシを、天敵のテントウムシが食べてくれる。♠ヒキガエルは、さまざまな害虫に対するまたとない天敵だ。♠お人よしのわたしにも、天敵と目[もく]する人物はいますよ。 **てんてん【点点】** ○あちこちに散らばっているさま。しずくが滴り落ちるさま。[又例] <点々の模様>しろつめ草の野に、たんぽぽが点々の模様に咲いていた。♠へ点々と見える>わたり鳥の姿がかなたの空に、黒く点々と見えてきた。♠<点々と続く>事故現場から男が倒れていた所まで、血の跡[あと]が点々と続いていた。♠へ点々と落ちる>軒先[のきさき]のつららが解けはじめ、しずくが点々と落ちている。♠へ点々をつける「か」に点々をつけると、「が」になる。 **てんてん【転転】** ○転がっていくさま。あちこちと移っていくさま。[文例] <転々ところがる>ボールが坂道を転々とろがっていった。♠<転々とする>父の転勤により、わたしたちは日本中を転々としました。 **てんとう【転倒】** (顚倒)○転んで倒れること。逆さまになること。あわてうろたえること。[文例] <転倒する>ふろ場ですべって転倒して、ひざを打ってしまった。♠へ気が転倒する>火が出た時、わたしは気が転倒して、どうしていいかわからなくなりました。♠<本末転倒>生きるためにお金は必要だが、金のために生きるというのでは本末転倒だ。ヘ主客[しゆかく]転倒二人の関係はここで主客転倒して、わたしが相手の言い分を聞く側に回った。 **てんとう【店頭】** ○店先。[文例] <店頭に出る>この品は店頭に出ているものが最後で、在庫はありません。♠店頭に並ぶ>魚屋さんの店頭に、生きのいい魚がずらりと並べられている。へ店頭に立つ>スーパーマーケットの開店の日には、店長がみずから店頭に立って呼びこみをしていました。 **てんとう【点灯】** (点燈)○明かりをつけること。明かりがつくこと。[文例] <点灯する>午前三時を過ぎても、工場内には電気が点灯していた。♠く点灯する>ペナントレースも大詰め、今日ジャイアンツが勝ってタイガースが負けると、マジックナンバーが点灯します。 **でんとう【伝統】** ○古くから長い間に積み上げられ、受け継がれてきた事柄。[文例] <伝統ある>兄の卒業した高校は、来年で創立百周年を迎える、伝統ある県立高校です。♠へ伝統を重んじる>古来の伝統を重んじることは、この国の人々の大きな特徴[とくちよう]です。♠へ伝統を受け継ぐ>全国大会に二回優勝という伝統を受け継いで、今年のチームももちろん優勝をねらいます。♠<古い伝統>テニスは、ポピュラーで古い伝統を持つスポーツです。♠へ伝統を守る>先輩[せんぱい]が引退したあと、サッカー部の伝統を守るのは、きみたち二年生の役目だ。♠<伝統を誇る>四十年の伝統を誇るこのコンサートホールも、今日限りで取り壊[こわ]されてしまいます。♠へ伝統の一戦>巨人阪神[さよじんはんしん]伝統の一戦は、六時二十分に開始予定です。♠<伝統的>わが校は、野球部が伝統的に強く、地区予選では負けたことがない。♠へ伝統的な行事>節分やひなまつりなど、日本には伝統的な行事がいくらも残っている。 **でんどう【伝道】** ○宗教の教えを説き広めること。[文例] <キリスト教の伝道>フランシスコ=ザビエルは、キリスト教伝道のために、一五四九年に日本にやってきました。へ伝道する>その宣教師は信者を増やそうと、各地を伝道してまわっています。♠へ伝道師>熱心な伝道師の説教で、信者に <753> **でんどう**[伝導]○熱や電気が物体中を伝わり移ること。[文例]〈熱の伝導〉ろうをたらした金属の棒を熱すると、熱した所に近いろうから順に溶け、熱の伝導の様子がわかる。♠〈伝導する〉豆電球が点灯するかどうかによって、ビーカーの中の水溶液が電気を伝導するかしないかが判定できます。 **でんどう**[電動]○電気の力で動くこと。[文例]〈〜へ電動の人形〉乾電池を使用するこの電動の人形は、スイッチを入れるといろいろな言葉をしゃべります。♠〈電動式〉入学祝いに電動式の鉛筆削[えんぴつけず]りを頂きました。♠〈電動工具〉最近は、日曜大工にもさまざまな電動工具が用いられているようです。 **でんどう**[殿堂]○神を祭ってある建物。大きく立派な建物。その分野を象徴するような施設。[文例]〈白亜[はくあ]の殿堂〉丘にそびえる白亜の殿堂こそ、この地を支配する一族の館[やかた]であった。♠〈美の殿堂〉ニューヨークのメトロポリタン美術館は、内外の優れた美術品を集めた美の殿堂です。♠〈学問の殿堂〉オックスフォード・ケンブリッジの両大学は、イギリスを代表する学問の殿堂だ。 **てんにん**[転任]○任務や任地が変わること。[文例]〈転任になる〉父は、この四月秋田県の営林署に転任になった。♠〈転任する〉朝礼の時に、今度わたしたちの学校に転任してきた先生方の紹介がありました。 **てんねん**[天然]○人間の手が加わらないで自然のままであること。生まれつき。[文例]〈天然の美〉この壮大[そうだい]な光景、天然の美のすばらしさに、われわれはただ目を見張るばかりであった。♠〈天然の真珠[しんじゅ]〉この指輪には、養殖[ようしょく]したものではない天然の真珠が入っています。♠〈人工と天然〉当地の染めは、人工ではなく天然の染料[せんりょう]を使っております。♠〈天然の縮れっ毛〉この縮れっ毛は、天然のもので、パーマをかけたわけではないのです。♠〈天然自然〉天然自然に逆らい、木を切り倒[たお]し続けた結果が、今回の大水害となったのである。♠〈天然記念物〉カブトガニは、天然記念物に指定されています。♠〈天然資源〉周知のごとく、日本は天然資源に乏[とぼ]しい国である。 **てんば**[天馬]→てんま **でんぱ**[電波]○主として通信に利用する電磁波。また、それを利用した通信・放送。[文例]〈電波を送る〉サルにつけた発信器から送られる電波で、サルの行動をとらえることにした。♠〈〜へ電波をとらえる〉電波をとらえるために、アンテナをとりつけます。♠〈〜へ電波を出す〉どこかで妨害[ぼうがい]電波を出しているらしく、通信をキャッチすることができない。♠〈〜へ電波にのせる〉テレビの衛星放送は、世界中の最新のニュースを電波にのせて全国の家庭に送りとどけます。 **でんぱ**(伝播)○伝わり広まること。[文例]〈文化の伝播〉東大寺の正倉院の御物[ぎょぶつ]を見ると、ギリシアやローマの文化の伝播が日本にまで及んだことがわかります。♠〈情報の伝播〉マスメディアは、情報や流行の伝播に大きな役割を果たしている。♠〈〜へ伝播する〉弥生[やよい]時代になって、農耕技術は西日本から東日本へと伝播していきました。 **てんばつ**[天罰]○天が下した罰。悪事に対する当然の報い。[文例]あの悪党が家の下敷[したじ]きになって死んだのは、天罰だったのかもしれない。♠〈天罰が下[くだ]る〉悪いことばかりしていると天罰が下るぞ。♠〈天罰てきめん〉お医者さんの言うことを聞かなかったら天罰てきめん、その晩からまた高い熱が出た。 **てんび**[天日]○太陽の光と熱。[文例]〈天日にあてる〉ぺしゃんこだったふとんが、ちょっと天日にあてただけでこんなにふっくらとなりました。♠〈天日に干す〉海岸では、女たちが開いた魚を天日に干していた。♠〈天日で乾かす〉刈りとった稲は天日で乾かします。 **てんびき**[天引き]○渡す前にあらかじめ一定額を差し引くこと。[文例]〈天引きにする〉あなたに貸した五百円は、今月分のお小遣いから天引きにするわよ。♠〈天引きする〉所得税は、給与から天引きされます。 **てんびょう**[点描]○点によって形を描く絵画の技法。ある部分を簡単に描写すること。[文例]〈点描する〉小説の中には、作者が実際に住む海辺の町の四季が点描されていた。 **でんぴょう**[伝票]○金銭や物品の出入りなどを記した紙きれ。[文例]〈伝票の整理〉納品書・請求書などの伝票の整理が、会社でのわたしの主な仕事です。♠〈〜へ伝票を切る〉金庫のお金の出し入れには、係の者が必ず伝票を切って部長の判をもらいます。 **てんびん**(天秤)○てこの一端に物を、他の一端に分銅[ふんどう]を載せて重量をはかる計量器。両方に荷物をつけて担ぐ棒。[文例]〈天びんに載せる〉天びんの右の皿にニグラムのおもりを載せたが、まだ左に傾[かたむ]いたままだ。♠〈天びんにかける〉どちらの男性と結婚するのが得か天びんにかけた末、今の主人を選びました。♠〈天びん棒〉天びん棒をかついで金魚を売り歩くおじさんの姿を見かけなくなりました。♠〈両天びん〉どちらへころんでも損をしないように、両天びんをかけておこう。 **てんぷ**[添付]○付け添えること。[文例]〈添付する〉提出書類には上半身の写真を添付してください。 **てんぷ**[天賦]○天から与えられたもの。生まれつき備わっているもの。[文例]〈天賦の才〉彼は幼いころから絵に対する天賦の才を発揮し、すぐれた作品を現在に残している。♠〈天賦の素質〉役者として、天賦の素質を持ち合わせた女性でした。♠〈〜へ天賦の情愛〉親と子の天賦の情愛の深さに、わたしたちははっとし感動させられる。 **てんぷく**[転覆](顛覆)○ひっくり返ること。くつがえること。ひっくり返すこと。くつがえすこと。[文例]〈転覆する〉乗組員は、転覆した船にしがみつき、互いに名を呼びかわして励ましあった。♠〈脱線転覆〉列車の脱線転覆の現場では、復旧作業が急ピッチで続けられた。♠〈お家転覆〉悪家老がお家転覆をたくらんでいたことが露見[ろけん]し、殿様[とのさま]は切腹を言い渡しました。♠〈政府転覆〉政府転覆を企[くわだ]てているという疑いから、厳しい弾圧を受けた共産主義者がたくさんいた。 <754> **でんぶん**[伝聞]○人から伝え聞くこと。人づてに聞くこと。[文例]「サブちゃんが転校するそうだ。」の「そうだ」は、伝聞の意味を表す助動詞です。♠〈〜へ伝聞する〉確かな筋から伝聞するところによると、クーデターを企[くわだ]てる動きがあるらしい。 **てんぺんちい**[天変地異]○自然界の異変。[文例]〈天変地異が起こる〉この時期は、はやり病[やまい]とともに、地震や噴火などの天変地異がたてつづけに起こった。 **テンポ**○物事の進行の速さ。楽曲の進行速度。[文例]〈テンポが合う・に合わせる〉脚[あし]の長い友達のテンポに合わせて歩くのはくたびれる。♠〈テンポが遅い〉あの仕立屋[したてや]は、ていねいで上手なんだが、仕事のテンポが遅いんだ。♠〈テンポが速い〉この地方の郷土芸能の舞は、侍[さむらい]姿で舞うテンポの速い勇壮なものです。♠〈テンポがずれる〉お母さんが着る服は、いつも流行よりワンテンポずれている。♠〈〜へ曲のテンポ〉スローテンポの曲に乗って、ダンス競技がはなやかに繰り広げられています。 **てんぼう**[展望]○広く見渡すこと。また、その眺め。見晴らし。広く観察したり予測したりすること。[文例]〈展望がきく〉あの丘は展望がききますので、当市はおろか、盆地[ぼんち]全体が見わたせます。♠〈展望がひらける〉道を登り切ると、突然展望がひらけ、わたしの目に太平洋がとびこんできた。♠〈将来の展望〉将来の展望と一言に言われても、わたしには明確なかたちのものはありません。♠〈展望する〉今後の日本経済を展望するに、特に悲観的な材料はありません、と大臣は語った。 **てんま**[天馬]○天上界にすむという馬。名馬。翼をもって空をかける想像上の馬。ペガサス。てんば。[文例]あの星座は、翼をもって大空を自由に飛ぶ天馬ペガサスの名をとって、ペガサス座というんだよ。♠数々の大レースを制したサラブレッド、トウショウボーイ号は、天馬の異名ををとった名馬です。♠〈天馬空[くう]を行く〉今年に入って負け知らずの二〇連勝のこの選手は、まさに天馬空を行く勢いです。 **てんまつ**(顛末)○物事の始まりから終わりまで。一部始終。[文例]〈話のてんまつ〉その話のてんまつはよく知りません。♠〈〜へ事件のてんまつ〉父がみんなとはぐれて大騒ぎをしたという事件のてんまつを聞いて、ぼくは腹をかかえて笑ってしまった。♠〈〜へ事のてんまつ〉事のてんまつを詳しく話してくれないか。 **てんめい**[天命]○天の命令。天が与えた使命。定められた運命。定められた命。[文例]〈天命を受ける〉領土を統一し君臨[くんりん]せよとの天命を受けたとして、王は隣国へ兵を進めていった。♠〈天命を待つ〉やるだけのことはやったので、今は人事を尽くして天命を待つ心境です。♠〈天命に任せる〉できる限りの備えをしたのであれば、後は天命に任せるのがよい。♠〈天命を知る〉老境に入って、初めて人は己[おのれ]を知り、天命を知るといわれます。♠〈天命とあきらめる〉人間の力を超える自然の災[わざわ]いを、部族の者たちは天命とあきらめた。 **てんめつ**[点滅]○明かりがついたり消えたりすること。また、つけたり消したりすること。[文例]〈ライトが点滅する〉向こう岸に着いたら、ライトを点滅させて合図してくれ。♠〈〜へライトを点滅する〉岸に着いたので、指示どおり合図のライトを点滅した。♠〈〜へ信号が点滅する〉この信号は、夜間は黄色が点滅するようになっている。♠〈〜へ明かりが点滅する〉山から下りてきた身には、点滅する街の明かりが懐[なつ]かしく感じられる。 **てんめん**(纏綿)○まつわりつくこと。複雑にいりくむこと。情が深く、細やかなさま。[文例]〈〜へてんめんする情愛〉いがみ合いながらも親子の間にてんめんする情愛は、周囲の目にも明らかだった。♠〈〜へてんめんする感情〉二人の間にてんめんする感情は、二人を引きつけながらも結び合わせることをしなかった。♠〈情緒[じょうしょ]てんめん〉ヨーロッパの近代精神を身につけた彼の目には、日本の古都の情緒てんめんたる春の風情がめずらしいものに映っていた。 **てんもん**[天文]○天体に起こる現象。[文例]二百年以上続いた鎖国[さこく]の終了と同時に、天文・地理・医学・化学など西洋の知識がどっと入りこんできた。♠〈天文台〉天文台の大きな望遠鏡で見たら、どんなにたくさんの星が見えることだろう。♠〈天文学的〉エジプトのピラミッドを建設するのにかかった費用を計算して今のお金に直すと、天文学的な数字になります。 **てんやもの**[店屋物]○飲食店から取り寄せる食べ物。[文例]お店が忙しい夫婦の夕食は、そばやすしなど店屋物であることが多かった。♠今日は朝から大掃除だったので、お昼ごはんは店屋物ですませました。 **てんやわんや**○大勢の人で混乱するさま。[文例]〈てんやわんやの大騒ぎ〉家族が多いので、出勤と登校が重なる朝は家じゅうがてんやわんやの大騒ぎになります。 **てんよう**[転用]○別の用途に使うこと。[文例]〈転用する〉車を売ったので、ガレージを物置小屋に転用しました。♠〈転用する〉都市近郊の市町村では、農地を宅地に転用する農家が目立つ。 **でんらい**[伝来]○その地に伝わって来ること。その時まで伝えられてきこと。[文例]〈仏教の伝来〉仏教の伝来から約二百年たって、日本では仏教色豊かな天平文化が花開いた。♠〈伝来する〉わが国にキリスト教が伝来したのは、一五四九年のことである。♠〈先祖伝来〉わが家の蔵の中には、先祖伝来のがらくたが収められています。 **てんらく**[転落](顚落)○転げ落ちること。急激に落ちぶれること。堕落すること。[文例]〈転落する〉カモシカは岩場で足を滑らせ、深い谷底に転落した。♠〈〜へ転落する〉チームは今月に入って八連敗、最下位に転落してしまった。♠〈〜へ転落の一途〉いったん悪の道に入ると、あとは転落の一途をたどって行った。 **てんらん**[展覧]○並べ広げて人に見せること。[文例]〈展覧する〉会場には、すばらしい芸術作品が所狭[せま]しと展覧されていた。♠〈展覧会〉わたしは毎年秋に、県の美術館で開かれる展覧会を見に行きます。 <755> **でんれい**[伝令]○命令を伝えること。また、その役目の人。[文例]〈伝令を送る〉無死満塁[まんるい]のピンチでマウンドに集まる内野陣へ、監督[かんとく]は伝令を送った。♠〈伝令が走る〉各部隊へ伝令が走り、国境を越えて前進が開始された。♠〈〜へ伝令を出す〉司令部から前線へ伝令を出して、命令を伝える。♠〈〜へ伝令が飛ぶ〉隊長の命を受けて、とりでへ伝令が飛ぶ。 **でんわ**[電話]○音声を電気信号に変えて遠くに送り、相手と通話する装置。また、それによって通話をすること。[文例]〈電話をかける〉いくら親しい友達だからと言って、夜の十一時過ぎに電話をかけるのは失礼だ。♠〈〜へ電話を入れる〉まだ時間がかかるようでしたら、ちょっと家に電話を入れさせてください。♠〈〜へ電話をする〉ちょっと家に電話をしてくると言って出て行ったきり、彼女はなかなか帰ってこない。♠〈電話を引く〉この村に電話が引かれたのは、戦後になってからだ。♠〈〜へ電話に出る〉電話に出たのはいちばん下の息子さんらしく、わたしだと言うことがよくわからないようだった。♠〈電話を切る〉受話器を取っても相手が何も言わないので、すぐに電話を切ってしまった。♠〈〜へ電話が遠い〉もしもし、電話が遠いんですけど、もっと大きな声でしゃべってください。♠〈〜へ電話を借りる〉大家さんに電話を借りて、試験の結果を家に報告しなければならない。♠〈電話で呼び出す〉兄が電話で呼び出されて家を出たのは、十一時前だったと思う。♠〈〜へ電話がある〉留守中にだれかからお誘いの電話がありましたか。♠〈〜へ電話がない〉姉はこのごろ、恋人[こいびと]から電話がないらしく、何となくさびしそうだ。♠〈電話が切れる〉北海道旅行中の兄からの電話は、ろくに話さないうちに切れてしまった。♠〈電話が来る〉合格していたら電話が来るはずになっているが、来ないところを見るとだめだったのかな。 **と** **と**【戸】○建物や部屋などの出入り口に取り付け、開閉する建具。[文例]〈戸を押す・引く〉力いっぱい押しても引いても、戸はびくともしません。♠〈戸をたたく〉雪の夜だというのに、だれかがしきりに表の戸をたたくのです。♠〈戸を開ける〉玄関[げんかん]の戸を開けると、おじさんが大きな荷物を持って立っていました。♠〈戸を閉める〉戸を開けっ放しにしないで、きちんと閉めていきなさい。♠〈戸が開く〉こんな重たい戸が、ひとりでに開くなんてことがあるかしら。♠〈人の口に戸はたてられない〉秘密は守ると約束[かか]してくれたのに……、人の口に戸はたてられないって本当だな。 **と**【徒】○仲間。やから。[文例]〈浮浪の徒〉森本のような浮浪の徒と一所[いっしょ]に見られちゃ、少し体面[たいめん]に係[かか]わる。(夏目漱石「彼岸過迄[ひがんすぎまで]」)♠〈不信の徒〉私は不信の徒ではない。ああ、できる事なら(……)愛と信実[しんじっ]の血液だけで動いているこの心臓をお見せしてやりたい。(太宰治「走れメロス」)♠〈哲学の徒〉彼は、忠実なる哲学の徒として、学生時代をおくった。 **と**【途】○道。道筋。[文例]〈帰国の途〉〈途につく〉登山隊は無事エベレスト登頂をなしとげ、帰国の途につきました。♠〈遠征の途〉主君織田信長[おだのぶなが]が非業[ひごう]の死を遂[と]げたことを、秀吉[ひでよし]は遠征の途で知った。 **ど**【度】○物事のほど合い。程度。回数。角度・経緯度・温度などの単位。[文例]〈度をこす〉父は毎晩お酒を飲みますが、度をこして酔っ払うことはありません。♠〈度が過ぎる〉何事も度が過ぎるといけないよ、ほどほどにね。♠〈〜へ度を失う〉額[ひたい]から血が流れているのを見て、わたしは度を失い、ただおろおろするばかりだった。♠〈〜へ度を増す〉会う回数が増えるにつれて、二人は親密の度を増していった。♠〈〜へ度が強い〉きみの眼鏡は度が強いね。♠〈度が進む〉姿勢が悪いせいだろうか、最近ぼくの近眼は度が進んだようだ。 **どあい**[度合い]○物事のほど。程度。ほどあい。[文例]〈加熱の度合い〉〈度合いが難しい〉この料理は加熱の度合いが難しいので、注意してくださいね。♠〈緊張の度合い〉入学試験が近くなって、ぼくの緊張の度合いはどんどん高まっていった。♠〈〜へ度合いがわからない〉相手が小学生だと、どのくらい力を出せばよいか、その度合いがわからない。♠〈悲しみの度合い〉〈度合いが大きい〉五歳[ごさい]で母が死んだ時よりも、成人して父をなくした時のほうが、むしろ悲しみの度合いは大きかった。♠〈難易の度合い〉試験の平均点は、難易の度合いによって上下します。 **とある**○或る。さる。[文例]〈とある町〉旅の途中、とある港町で中学時代の友人と出会いました。♠〈〜へとある日〉とある春の日、家の庭に迷いこんできた子犬は、それ以来わが家の一員となった。 **とい**(樋)○屋根の雨水を集めて地上に下ろしたり、水や湯を離れた所に送る筒状・溝状のしかけ。[文例]〈〜へといを伝う〉屋根の雪が暖かい春の日ざしに解け始め、といを伝って流れていく。♠〈〜へといが詰まる〉落ち葉で屋根のといが詰まり、雨水がポタポタと軒先[のきさき]から落ちている。 **とい**[問い]○問うこと。質問。[文例]〈問いを発する〉子供の発した素朴[そぼく]な問いに、わたしはうまく答えることができませんでした。♠〈〜へ問いに答える〉「次の問いに答えなさい。」という設問文の下に難しそうな問題がたくさん並んでいた。♠〈〜へ問いを避ける〉「人はなぜ生きるか。」という問いを、わたしは避けて通ることができなかった。 **といあわせ**[問い合わせ]○問い合わせること。照会。[文例]〈問い合わせの手紙〉グラウンド使用の件で、役場に問い合わせの手紙を出したのだが、まだ返事が来ません。♠〈電話での問い合わせ〉電話での問い合わせは、九時から五時までの間にお願いします。♠〈〜へ問い合わせを受ける〉一人一人の問い合わせを受けていたのでは時間がかかりすぎるので、説明会を開くことにした。♠〈〜へ問い合わせが殺到する〉株価が大暴落し、証券会社には株主からの問い合わせが殺到した。 <756> **といあわ・せる**[問い合わせる]○たずねてはっきりさせる。照会する。[文例]〈先方に問い合わせる〉ご主人が在宅かどうか、先方に問い合わせてみました。♠〈局に問い合わせる〉何度ダイヤルしても通じないので、電話局に問い合わせてみましょう。♠〈〜へ発売元に問い合わせる〉新製品の在庫がどのくらいあるのか、発売元に問い合わせてみた。 **といかえ・す**[問い返す]○聞き直す。質問した人に逆に聞き返す。[文例]あまりに意外な答えだったので、わたしは思わず、もう一度問い返してみた。♠彼はわたしの質問には答えず、反対に、きみならどうするかと問い返してきた。 **といき**[吐息]○ためいき。[文例]〈吐息をつく〉悩みごとがあるのか、少女は今夜も吐息ばかりついている。♠〈〜へ深い吐息〉〈吐息がもれる〉父の部屋からは、ときどき父の深い吐息がもれてくる。♠〈吐息をもらす〉里子は窓の外をぼんやり眺めながら、深い吐息をもらした。♠〈青息吐息〉不景気で町工場の経営は青息吐息、倒産寸前だった。 **といただ・す**[問いただす](問い質す)○たずねて明らかにする。厳しく問い詰める。[文例]説明には不明な点があったので、係の人に問いただした。♠真犯人はだれだと教師に問いただされ、生徒はとうとう泣き出してしまった。♠〈真意を問いただす〉なぜ彼女がクラブをやめたいと言い出したのか、真意を問いただしてみようと思う。 **といつ・める**[問い詰める]○徹底的に問う。厳しく問う。[文例]捕まえたスパイを問い詰めたが、なかなか口を割らない。♠なんでいたずらばかりするのか問い詰めても、あの子にはちっとも反省する様子がない。 **とう**【党】○政治的な主義を同じくする人々の組織。目的を一にする人々の集団。[文例]あなたが支持している政党は、どの党ですか。♠〈〜へ党に入る〉彼がこの党に入って十年、ついに悲願の衆議院当選を果たした。♠〈〜へ党に所属する〉〈党を組織する〉今まで所属していた党をぬけて、新しい党を組織した。 **とう**【塔】○寺院で供養のために建てる高層の建物。高く突き立つ建造物。[文例]〈教会の塔〉教会の塔から打ち鳴らされる鐘の音が、野に広がっていく。♠〈五重の塔〉金堂[こんどう]・五重の塔・中門など、法隆寺[ほうりゅうじ]は現存する世界最古の木造建築物であると言われています。♠〈象牙の塔〉学者たちが象牙の塔にこもって研究を続けている。♠〈塔を建てる〉山頂に塔を建てたので、山奥の村でもテレビの電波が受信できるようになった。♠ゆく秋の大和の国の薬師寺の塔の上なる一ひらの雲(佐佐木信綱) **と・う**【問う】○たずねる。質問する。追及する。問題とする。[文例]〈〜を問う問題〉予想どおり、三角形の角度を問う問題が出た。♠〈〜へ安否を問う〉航空会社には、事故を知った乗客の家族から、肉親の安否を問う電話が殺到[さっとう]した。♠〈〜へ責任を問う〉新聞は事件を大きくとりあげて、会社の責任を問うた。♠〈〜へ命〉〈罪に問われる〉誘拐[ゆうかい]事件の犯人は、重い罪に問われます。♠〈〜へ命〉〈真価を問う〉彼の実力がどの程度なのか、今度の試合で真価が問われるだろう。♠〈〜へ民意に問う〉憲法改正は重大問題だから、民意に問う必要があり、最終的には国民投票で決める。♠〈年齢[ねんれい]・性別・経験を問わず〉新聞広告でやっと「年齢・性別・経験を問わず」という求人を見つけ、面接に出かけた。♠〈〜へ問うに落ちずに語るに落ちる〉問うに落ちずに語るに落ちるで、尋問[しつそう]中は慎重だったが、世間話を始めると、ポロッと真相をしゃべってしまった。 **どう**【動】○動くこと。動き。[文例]〈静と動〉この写真では、道端[みちばた]のお地蔵様と疾走する車が、静と動の対照を見せています。♠〈静から動へ〉この俳句は、静から動へ変化するバッタの姿をみごとにとらえている。♠〈静中の動〉静中に動あり。静かな秋の草原[そうげん]にも、よく観察すれば冬への備えを急ぐものたちがある。 **どう**【胴】○上体から頭部と手を除いた部分。また、そこを覆う物・武具。また、剣道でそこを打つこと。物の中央部の太い部分。[文例]〈胴が長い〉日本人は、欧米人に比べて、脚が短く胴が長いといわれます。♠〈〜へ胴から離れる〉役人が刀を振り下ろすと、悪人の首は胴から離れた。♠〈〜へ剣道の胴〉面と胴をつけると、ぼくもいっぱしの少年剣士です。 **どう**【堂】○客をもてなしたり儀式を行う建物。神仏をまつる建物。深く身について本格的な段階。[文例]お坊さんたちが声をそろえてゆっくり唱えるお経が、お堂の内いっぱいに響いている。♠〈堂に入る〉さすが政治家だけあって、演説も堂に入ったものだ。 **とうあん**[答案]○出された問題に対する答え。また、それが書かれた紙。[文例]〈試験の答案〉〈答案を書く〉試験の答案は、ていねいに読みやすい字で書きなさい。♠〈答案を見直す〉全部できたと思っても、もう一度答案を見直すとまちがいが見つかるものだ。♠〈〜へ答案を返す〉昨日のテストの答案を返しますから、まちがえたところはもう一度やり直しておきなさい。 **どうい**[同意]○同じ意味。同じ意見。同じ意見であることを表明すること。[文例]〈同意を得る〉周辺の住民の同意を得て、その地に公園が造られることになった。♠〈〜へ同意を求める〉わたしは自分の計画を話して、父に同意を求めた。♠〈同意を表す〉彼は、わたしの意見に目で同意を表した。♠〈同意する〉神父は、聖歌隊を作るという町の人々の計画に喜んで同意した。♠「怠[なま]ける」と「働かない」は、必ずしも同意ではない。 **とういそくみょう**[当意即妙]○その場に応じて機転をきかせること。[文例]〈当意即妙の受けこたえ〉丁稚[でっち]のまさどんは、当意即妙の受けこたえで番頭さんの信用を得てきました。♠〈当意即妙に答える〉将軍様の無理難題にも、一休[いっきゅう]さんは当意即妙に答えてまわりの人たちを驚かせました。 **とういつ**[統一]○一つにまとめあげること。一つのまとまり。[文例]〈統一がとれる〉今年のチームは、去年のように目立った選手はいないが、よく統一がとれている。♠〈統一を図る〉地方によってちがう灯油の値段の統一を図るのは、難しいことらしい。♠〈統一を欠[かた]い〉彼女の作品は、どこが悪いというのではないが、全体的な統一を欠いている。♠〈統一のある〉修学旅行では、きちんとした統一のある行動をとるように。 <757> **どうがん** をとり、勝手なことをしないように。♠へ統一する>あとでそろえるのは大変だから、用紙を同じ大きさに統一しておこう。国を統一する>今から約四百年前に、日本の国を統一したのは徳川家康[こくかわいえやす]です。♠◇天下統一>織田信長[おだのぶなが]は、天下統一を目前にして、家臣のむほんによって倒[たお]された。♠<統一性>ふつう国家は、民族・言語・宗教のいずれかの点で統一性をもっています。 **どういつ【同一】** ○同じであること。等しいこと。[文例] <同一に見る>いくら兄弟だからといって、できのいい兄と同一に見られてはかなわない。♠へ同一な体験>この少年と同一な体験をした人は、大人の中にもいた。♠<同一の結果>やり方が同じだからといって、同一の結果が得られるとはかぎりません。♠へ同一の目的>わたしは、あなたとまったく同一の目的をもっています。♠へ同一人物>そのひげの老人と水戸黄門[ひとこうもん]は、実は同一人物だったのです。♠<同一犯人>殺人の手口・逃走[とうそう]の方法から見て、二つの事件は同一犯人のしわざだと思われる。♠<同一視>わたしは、彼を彼の仲間と同一視していた。 **どういん【動員】** ○軍隊を戦時編制にすること。戦時に国内の資源・施設などを国家の管理下に移すこと。目的を遂行するために人や物資を集め動かすこと。[文例] <警官の動員>外国の皇太子の来日に備えて、一万人もの警官の動員が決まった。♠<動員する>全米ツアーで二百万人の観客を動員したスーパースターが来日した。♠<学徒動員>戦争中は学徒動員といって、学生や生徒も工場などで働かされました。♠<総動員>収穫[しゅうかく]の時は、子供から老人まで村じゅうの者が総動員されます。 **とうえい 【投影】** ○影を映すこと。また、映った影。反映。[文例] <精神の投影>作品の主人公の行動に作者の反骨精神の投影を見ることができます。♠へ投影する>正倉院の御物[さよぶつ]には、当時の日本だけでなく、中国・ローマ・ギリシアの文化が投影されています。 **とうか【投下】** ○投げ下ろすこと。落とすこと。投入すること。[文例] <爆弾の投下>爆撃機[ぱくげきき]からの爆弾の投下によって、町は火の海となった。♠<資本の投下>地域経済を活性化させるため、大規模な資本の投下が望まれている。へ投下する>大雨による土砂崩[くず]れで孤立[こりつ]した村に、ヘリコプターから食料や医療品が投下された。 **とうか 【灯火】** (燈火)○明かり。ともしび。[又例] <灯火親しむの候>灯火親しむの候といわれ、昔から秋の夜長は読書に適するとされる。♠へ灯火管制>戦争の時には、敵の攻撃目標になりやすいので、夜間は灯火管制が敷かれました。 **とうか【灯下】** (燈下)○明かりの下。[文例] 暑くなく寒くなく、灯下に書をひもとくにはもってこいの季節となった。♠野を焼いて帰れば燈下母やさし(高浜虚子[たかはまきよし]) **どうか【同化】** ○一体となってとけこむこと。生物が外部から摂取した物質を体内で有効な成分に変えること。知識を取り入れて自分のものとすること。[文例] <同化する>引っ越して来た当初はなじめなかった彼も、しだいに村人に同化していった。♠<同化作用>植物が行う光合成は同化作用の一つです。 **とうかい 【倒壊】** (倒潰) ○倒れて壊れること。[文例] <家屋の倒壊>台風の直撃[ちよくげき]で家屋の倒壊が続出した。♠へ倒壊する>マグニチュード7の地震によって、建物のほとんどが倒壊した。♠へ幕府倒壊>江戸幕府倒壊の原因の一つに、ペリーの来航をあげることができます。 **とうかい (韜晦)** ○自分の地位や才能などを隠すこと。姿をくらますこと。[文例] <韜晦する>自分を韜晦する度合いの強い男だったから、その隠された才能を見抜ける人は少なかった。♠<自己韜晦>太宰治[だざいおさむ]は、自己韜晦の強い作家でした。 **とうかく【頭角】** ○頭の先端。目立った才能・能力。[文例] <頭角を現す>入社して三年、彼は有能な社員として頭角を現してきた。 **どうかく【同格】** ○資格や格式などが同じであること。[文例] たくさんの生徒や先生の中心だから、校長先生は会社で言えば社長と同格だ。♠◇同格に扱う>全力を尽くして試合が終われば、勝者も敗者もスポーツマンとして同格に扱われるべきだ。 **どうかせん【導火線】** ○口火をつける線。事件が起こるきっかけ。[文例] 導火線に点火すると、火はスルスルと走って火薬を爆発させた。♠<導火線を伝う>火は導火線を伝っていき、ほどなく大爆発を起こした。♠<導火線となる>この事件が導火線となって、世界中をまきこむ戦争へと発展していったのです。 **とうかつ【統括・統轄】** ○一つにまとめること。一つにまとめて取り締まること。[文例] <統括する>題名は、文章に表された内容の全体を統括するものです。♠<統括する>日本語文では、述語が文全体を統括する役割をになう。♠ヘ統轄する>日本のアマチュアスポーツ界を統轄するのが日本体育協会です。 **どうかつ(恫喝)** ○おどしつけること。[文例] <恫喝を続ける>王は周辺の弱小国に対し、強力な軍隊の力で恫喝を続けていた。♠へ恫喝する>浪人[ろうにん]たちはおとなしい町人を恫喝して、金銭をまき上げていた。 **とうかん(投函)** ○郵便物をポストに入れること。[文例] <投函する>書き終えた年賀状は、まとめて投函します。♠<投函する>旅先からの絵はがきを東京の友人あてに投函しました。 **とうかん【等閑】** ○なおざりにすること。いい加減に扱うこと。[又例] <等閑に付する>責任者が、この問題を等閑に付することは断じて許されない。♠<等閑視>まあ大したことはなかろうと、我々はこの事件を等閑視した。 **どうかん【同感】** ○自分も同じように感じること。[文例] 乙の件については、わたしはあなたの意見に同感だ。♠へ同感する>忘れ物をするのは自分の責任だという上村さんの発言に、同感しました。 **どうがん【童顔】** ○子供の顔。子供っぽい顔。「[文例] わたしは童顔なので、年より若く見られます。♠<童顔が残る>彼 <758> **とうき** に初めて会ったのは、まだ童顔の残る高校生のころだった。 **とうき【冬期・冬季】** ○冬の期間。冬の季節。[文例] 積雪の多い冬期の三か月間、この道路は閉鎖[へいさ]され車は通行できない。♠シーズンオフの冬期の練習は、基礎体力作りが中心になります。♠<冬期休業>工場は、十二月二十八日から冬期休業に入ります。 **とうき【投棄】** ○投げ捨てること。[文例] <廃棄物の投棄>放射性廃棄物の投棄には危険がつきものです。♠へ投棄する>海の汚染を防ぐために、廃油を海中に投棄することは禁止されています。♠不法投棄>建設現場から出る残土の不法投棄には目に余るものがあった。 **とうき【投機】** ○価格の変動を予想し、大きな利益をねらって行う取引。[文例] <株への投機>株への投機は大きな利益を得ることもある反面、損害を被[こうむ]る危険性も高い。♠投機の対象>最近は土地や美術品までもが、金もうけのための投機の対象となっている。 **とうぎ【討議】** ○意見を出し合って検討すること。[文例] 討議を重ねる>委員会は何度も討議を重ねた末、一つの結論に達した。♠く討議にかける>学芸会でやる劇は、クラス全員の討議にかけて決めよう。♠<討議する>今日の学級会では、校内美化について討議します。 **どうき【動悸)** ○平常より激しい心臓の鼓動。[文例] 心臓の弱いわたしは、動悸・息切れ・めまいなどといった症状に悩まされている。〈動悸がする〉わたしの番が近づくと、動悸がして冷や汗が流れてきた。♠<動悸が激しい>スタートが間近に迫り、一段と動悸が激しくなった。♠<動悸が打つ>動悸は相変わらず落ち付いてたしかに打っていた。(夏目漱石「それから」)〈心臓の動悸〉〈動悸がやむ〉あまりの興奮にしばらくは心臓の動悸がやまなかった。♠へ胸の動悸><動悸が鎮[しず]まる>胸の動悸がいくぶん鎮まると、わたしはゆっくり話し始めた。 **どうき【同期】** ○同じ時期。入学などが同じ年度。[文例] <昨年の同期>冷夏の今年は、昨年の同期に比べて野菜の値段が高い。♠へ同期の作品>紫式部[むらさきしきぶ]の『源氏物語[げんじものがたり]』と、清少納言[せいしようなごん]の『枕草子[まくらのそうし]』は、ともに十一世紀初頭に書かれたほとんど同期の作品です。♠<学校の同期>わたしの母と山村さんのお父さんは、高校時代同期だったそうです。 **どうぎ【道義】** ○人として行うべき道。[文例] <道義を重んじる>道義を重んじる師の生き方を、弟子であるわれわれは手本とした。♠へ道義に反する>人をだましたりおとしいれたりするのは、道義に反する行為です。♠<道義にもとる>相手の弱みにつけいるやり方は道義にもとる。♠<道義的>守れないとわかっていて約束をするとは、道義的に許されない。 **どうぎ【同義】** ○同じ意味。[例] 学歴社会においては、学力とは人間の能力や人間性と同義であったが、もちろんこれはまちがっている。♠<同義語>「あす」「あした」「みょうにち」は同義語といえます。 **とうきゅう【等級】** ○上下・優劣などを示す段階。ランク。位。[文例] <等級をつける>品評会では、審査員たちが一つ一つ等級をつけていった。♠<等級に分ける>この製品は、質によって五つの等級に分けられている。 **どうきょ【同居】** ○同じ住居に住むこと。[例] <同居する>田中さんの家は、三世代七人が同居する大家族です。♠ヘ同居人>うちは息子二人のほかに、同居人のおいがいます。 **どうきょう【同郷】** ○故郷が同じであること。[文例] 彼女は長野県出身、明治時代の詩人島崎藤村[しまざきとうそん]と同郷です。♠◇同郷のよしみ>あの人とは、同郷のよしみでつきあっています。 **どうぎょう【同業】** ○職業・業種が同じであること。また、その人。[文例] 創業百五十年という老舗[しにせ]の和菓子屋を、同業で知らない人はいません。〈同業者〉月に一回港に船が入る日には、舶来品[はくらいひん]を扱う同業者が続々と集まった。 **とうきょく【当局】** ○その任務を担当すること。また、その機関。[文例] <警察当局>今回の事件に関して、警察当局はどのように考えているのだろう。♠<学校当局>いじめが問題になっているが、学校当局もただ手をこまねいているというわけではない。♠<取り締まり当局>取り締まり当局のやり方が手ぬるいという声が市民の間にあがっている。 **どうぐ【道具】** ○人間の生活に役立てる用具・器具類。物事の手段。「[文例] <道具がそろう>釣り好きの高木君の部屋には、釣りの道具ならたいていのものはそろっている。へ道具を使う>旧石器時代の人類は、石で作った道具を使って生活していました。♠<道具に凝[こ]る>ゴルフ好きの父は道具にも凝って、毎日、丹念[たんねん]に磨[みが]いている。♠へ身を立てる道具>教育があまり普及[ふさゆう]していなかったころは、今にもまして学問は身を立てる道具だったのです。食宣伝の道具><道具に使う>ふだんおとなしい彼も、彼女の宣伝の道具に使われたとわかってぶぜんとしていた。へ嫁入[よめい]り道具>結婚[けつこん]を間近に控[ひか]えた姉のもとに、今日もまた嫁入り道具が届けられた。♠<七つ道具>包丁は、毎日の生活に欠かすことのできない、台所の七つ道具の一つです。 **どうくつ (洞窟)** ○ほらあな。[文例] 洞くつの中は適度な湿度と温度が保たれ、ヘビやトカゲなどハチュウ類の格好のすみかとなっている。 **とうげ【峠】** ○山道を登りつめて下りにかかる所。物事の勢いの最も強い時期。[文例] <峠を越える>昔、山奥の村人たちにとって、峠を越えた向こうは、きっと別天地だっただろう。♠へ峠にかかる>一行が峠にかかるころ、いいあんばい <759> **とうこう**[投稿]○新聞・雑誌などに読者から原稿を送ること。また、その原稿。[文例]〈投稿する〉詩の雑誌には、毎月多くの読者からたくさんの作品が投稿されてきます。♠〈投稿欄〉新聞の俳句の投稿欄にわたしの作品が入選しました。 **とうこう**[投降]○降参すること。[文例]〈投降する〉砦[とりで]に立てこもっていた兵士たちも、三日間の激しい戦闘に疲れ、ついに投降した。 **とうごう**[統合]○まとめ合わせること。[文例]〈統合する〉生徒数が減少したため、二つの村の中学校が統合されることになった。♠へ整理統合〉合理化を図るため、多くの部・課が整理統合されることになった。 **どうこう**[動向]○動いていく方向。情勢の動き。なりゆき。[文例]〈容疑者の動向〉〈動向をうかがう〉刑事は二週間にわたって容疑者の動向をうかがったが、不審なところは何一つ出てこなかった。♠〈世の中の動向〉新聞を読んでいるだけでは、世の中の動向はわかりません。自分で分析しなければなりません。♠〈動向を探る〉試合開始後しばらくは両チームとも相手の動向を探るために、積極的には攻めなかった。♠へ動向をつかむ〉実業家出身の政治家だけあって、さすがに的確に経済界の動向をつかんでいます。 **どうこう**[同行]○一緒に行くこと。道連れ。[文例]〈妻子を同行する〉今度の旅行は取材が目的なので、妻子を同行するわけにはいきません。♠へ警察へ同行する〉刑事は警察手帳を見せ、警察まで同行願いたいとわたしに迫[せま]った。♠へ同行者〉相手は日光へ行くというので、宇都宮のわたしには同行者ができたわけだ。 **どうこう**[同好]○趣味や好みが同じであること。[文例]〈同好の入〉釣り糸を垂れているのはみな同好の人だから、初対面でもすぐに親しくなります。♠〈同好の士〉俳句を趣味とする同好の士が集まり、句会を催[もよお]すことになりました。♠へ同好会〉テニス好きの仲間が八人集まって、同好会を作りました。 **とうざ** に雨もあがっていた。♠〈峠[とうげ]を登[のぼ]る〉急な峠を登りきってほっとしたとき、雷[かみなり]が鳴りだした。♠へ峠を下[くだ]る〉峠の茶屋で熱いお茶を飲み、元気が出たので、一気に峠を下った。♠〈峠を越[こ]す〉ゆうべからのあらしも、お昼すぎには峠を越し、薄日がさしてきた。♠〈病気が峠〉病人[びょうにん]を診察[しんさつ]した医師は、病気は今晩が峠だと、家族の者たちに告げた。 **どうけ**[道化]○おどけたしぐさ。また、それをする人。[文例]〈道化を演じる〉人前では道化を演じ、みんなを楽しませている彼にも、実は深い悩みがあるのです。♠へ道化師〉サーカス小屋では、おかしな格好をした道化師が観客を笑わせていた。 **とうけい**[統計]○ある事柄を調査して、その結果を数値で表すこと。また、その数値。[文例]〈統計をとる〉ぼくたち図書係は、毎月、学年別に本の貸し出しの統計をとっています。♠〈統計でみる〉一年中でどの月の降水量が最も多いかを統計でみてみましょう。♠〈統計的〉今後、児童の数が減少傾向をたどるということが統計的に考えられる。 **どうけい**[憧憬]○あこがれること。しょうけい。[文例]〈西欧への憧憬〉〈憧憬をいだく〉明治になると、西欧への憧憬をいだいた青年たちが留学して行った。♠〈美への憧憬〉仏像の美への憧憬が作者の筆からにじみ出るようだ。♠へ憧憬する〉ゴーガンは、タヒチを憧憬してフランスを去ろうとしていた。 **とうけつ**[凍結]○凍りつくこと。物事の進行や権利の行使、資産の移動などを停止すること。[文例]〈道路の凍結〉道路の凍結が起これば、通行は不可能となるだろう。♠〈資産の凍結〉会社は、不正が明るみに出た社長の資産の凍結をはかろうとした。♠へ海が凍結する〉海が凍結する十二月から二月まで、港は冬眠に入ります。♠く計画を凍結する〉住民の反対にあって、県の開発計画は一時凍結されました。 **とうこう**[登校]○学校へ行くこと。[文例]〈登校する〉朝の通学路は、登校する小学生たちでにぎやかです。♠〈集団登校〉交通事故の防止のために、この地区の児童は地域ごとに集団登校をします。 **どうこう**[瞳孔]○光が眼球に入る入り口。ひとみ。[文例]光の明るさによって、眼球の瞳孔は拡大したり縮小したりする。♠へ瞳孔が開く〉病院に担ぎ込まれた患者は瞳孔が開いていて意識がなく、危険な状態です。 **どうこういきょく**[同工異曲]○手法は同じだが趣は異なること。見かけは違うようで内容は同じなこと。[文例]歌集中の他の作品はこの歌と同工異曲で、特に関心をひかなかった。 **とうごく**[投獄]○牢獄[ろうごく]に入れること。[文例]〈投獄する〉政治犯として投獄されていた人たちは、民主化と同時にみな解放されました。 **どうこく**[慟哭]○嘆き悲しんで、大声をあげて泣くこと。[文例]〈どうこくする〉遺体にすがりつきどうこくする遺族の姿は、痛ましい限りだった。♠へどうこくの声〉取調室から犯人のどうこくの声が聞こえた。 **とうこん**[当今]○近ごろ。昨今。現今。[文例]〈当今の事情〉敗戦直後の日本の経済事情と、当今の経済事情には、天と地ほどの違いがある。♠〈当今の学生〉昔に比べて当今の学生はまったく勉強をしないと、老教授は嘆[なげ]いた。♠当今は鮨[すし]も上[あが]りましたからね。小僧[こぞう]さんには中々[なかなか]食べきれませんよ。(志賀直哉[しがなおや]「小僧の神様」) **とうさ**[踏査]○現地に出かけて調べること。[文例]〈踏査する〉往復で何時間くらいかかるか、遠足の予定コースを先日実際に踏査してみました。♠〈実地踏査〉二年間にわたる実地踏査が終了し、島に生息する野生動物の実態が明らかになった。 **とうざ**[当座]○その場。しばらくの間。さしあたり。当座預金。[文例]〈当座のまにあわせ〉ガラス屋さんが来るまで、当座のまにあわせに、割れたガラス窓には板を張った。♠〈当座の生活〉これだけのお金があれば、当座の生活はやっていける。♠へその当座〉姉はねだってエレクトーンを買ってもらったくせに、その当座ひいただけであとはほったらかしだった。 <760> **とうざ**[当座]○その場。しばらくの間。さしあたり。当座預金。[文例]〈当座のまにあわせ〉ガラス屋さんが来るまで、当座のまにあわせに、割れたガラス窓には板を張った。♠〈当座の生活〉これだけのお金があれば、当座の生活はやっていける。♠〈〜へその当座〉姉はねだってエレクトーンを買ってもらったくせに、その当座ひいただけであとはほったらかしたままだ。♠〈〜へ〜した当座〉上京した当座は右も左もわからず、とほうにくれたものです。♠〈当座のがれ〉そんな当座のがれのうそをついたって、すぐばれるのに。♠〈〜へ当座しのぎ〉当座しのぎの素人療法[しろうとりょうほう]をやっていたが、腹の痛みはひどくなるばかりだ。 **どうさ**[動作]○体の動き。身のこなし。[文例]〈動作で示す〉その国の言葉のわからない彼女は、感謝の気持ちを動作で示しました。♠〈動作がすばやい・鈍[にぶ]い〉ぼくは頭はよく回転するが、動作は鈍い。♠〈動作が敏しょう〉ふだんのそのそしているヒキガエルも、えさをつかまえるときの動作は、信じられないほど敏しょうだ。♠〈〜へ動作が緩慢[かんまん]〉コアラは動作が緩慢なので、外敵の少ない土地でしか生き残れなかったのです。♠〈〜へ動作に無駄[むだ]がない〉名人と言われる人の動作には、全く無駄がなかった。♠〈〜へきびきびした動作〉若者のきびきびした動作は、いつ見ても気持ちがよい。 **とうさい**[搭載]○積み込むこと。設備・装置を備え付けること。[文例]〈兵器の搭載〉入港した原子力潜水艦には、核兵器の搭載の疑いが持たれている。♠〈〜へ搭載する〉新型エンジンを搭載したこのスポーツカーは、若者たちの人気の的です。 **とうざい**[東西]○東と西。東洋と西洋。東部と西部。(文例)〈東西に走る〉東西に走る道路ができて、この島は交通の便がよくなった。♠〈東西に分ける〉平安京には、中央に都を東西に分ける大きな道がありました。♠〈東西に貫く〉原生林を東西に貫く観光道路の建設計画には、自然破壊につながるという反対がある。♠〈東西を結ぶ〉この島は東西を結ぶ道が一本もなく、海岸を回って行かなければなりません。♠〈東西の文明〉シルクロードを通して東西の文明が行き交い、融け合っていったのだろう。♠〈洋の東西〉洋の東西を問わず、愛し合う男女の情愛に変わりはないのです。♠〈東西南北〉磁石[じしゃく]があると、東西南北の方向を知ることができます。♠〈古今東西〉古今東西を通じ、エジソンほど数多くの偉大な発明をした人はいない。 **とうさく**[倒錯]○逆になること。正常な状態と反対になること。[文例]〈倒錯する〉欲望がノーマルな形で満足させられず抑圧[よくあつ]されると、人は倒錯した心理状態に追い込まれていく。♠〈倒錯的〉戦争の極限的な状況の中で、将兵は倒錯的な快楽にのめりこんでいった。♠〈性的倒錯〉性的倒錯の典型とされる同性愛は、アメリカなどでは市民権[しみんけん]を獲[かく]得[とく]しつつあるという。 **とうさく**[盗作]○他人の作品を自分の作品として使うこと。[文例]文体も内容もほとんど同じ、きみの作品は有名作家からの盗作だ。♠彼にそんないい詩が書けるわけがない、きっと盗作に違いないよ。 **どうさつ**[洞察]○見通すこと。見抜くこと。とうさつ。[文例]〈鋭い洞察〉探偵[たんてい]は鋭い洞察で事件の流れを推理し、解明しました。♠〈洞察を深める〉文学作品に接することによって、人間と社会への洞察を深めることができる。♠〈〜へ洞察する〉幕末の英雄坂本龍馬[さかもとりょうま]は、その言動から、日本の将来をしっかりと洞察していたことがわかる。♠〈洞察力〉国の将来を見通すすぐれた洞察力がなければ、一流の政治家とはいえません。 **とうさん**[倒産]○経営に失敗して企業が成り立たなくなること。[文例]〈会社の倒産〉当時は、オイルショックで会社の倒産が続出していた。♠〈倒産する〉勤めていた会社が不景気で倒産し、わたしは現在失業中です。 **とうし**[投資]○資本をつぎ込むこと。将来の利益のために金銭を用いること。[文例]〈投資する〉わたしは会社の設立に当たって、多額の資金を投資しました。♠〈〜へ投資する〉月謝なんかいりませんよ、わたしはあなたの才能に投資しているのですから。♠〈設備投資〉景気が回復しつつあることは、企業の設備投資が増えていることでもわかる。 **とうし**[闘士]○闘う人。戦士。主義主張のために闘う人。[文例]今では穏健[おんけん]なあの老人も、若いころは組合運動の闘士として飛びまわったそうです。♠平塚らいてうや市川房枝[いちかわふさえ]は、婦人の人権拡張のために戦った闘士でした。 **とうし**[闘志]○闘争に対する激しい意気込み。[文例]〈闘志がわく〉友人たちの励ましで、再び闘志がわいてきました。♠〈〜へ闘志をかきたてる〉今年こそはインターハイへと、選手たちは闘志をかきたてていた。♠〈〜へ闘志を燃やす〉チャンピオンに対して、挑戦者は激[はげ]しい闘志を燃やしていた。♠〈〜へ闘志あふれる〉選手たちの闘志あふれるプレーが観客を楽しませた。♠〈闘志の固まり〉練習嫌いの彼も、試合になると、まるで闘志の固まりのように張り切ります。♠春風や闘志いだきて丘に立つ(高浜虚子[たかはまきょし]) **とうし**[透視]○透き通して見ること。[文例]〈透視する〉鋼鉄でできた箱の中に何が入っているのか、超能力者は透視してみせた。♠〈透視撮影[さつえい]〉風邪がなかなか治らないので、X線による胸部の透視撮影を受けました。 **とうし**[凍死]○凍えて死ぬこと。凍え死に。[文例]〈凍死する〉猛烈[もうれつ]な寒波に襲[おそ]われ、野生動物の中にも凍死するものが出ました。 **とうじ**[当時]○その時。そのころ。[文例]〈当時のまま〉奈良や京都には、建立[こんりゅう]当時のままの姿を残している寺院が少なくありません。♠〈当時の新聞〉その事件のことを、当時の新聞は、次のように報道しています。♠〈当時を回想[かいそう]する〉戦争中中学生だった祖父は、当時を回想して、「おなかがすいてつらかった。」と言う。♠〈当時としては〉十万円というお金は、当時としては大変なものでした。♠〈〜へその当時〉この説話には、その当時のいろいろな階層の人々の姿が生き生きと描[えが]かれている。 **とうじ**[冬至]○一年中で太陽が最も南に寄る時。[文例]冬至には、かぼちゃを食べたり、ゆずの風呂[ふろ]に入ったりする習慣があります。♠〈冬至冬なか冬はじめ〉日は一年で一番短くとも、冬至冬なか冬はじめといって寒さはこれからです。 **とうじ**[湯治]○温泉に入って治療すること。[文例]〈湯治に行く〉おばあさんは神経痛を治すために、温泉へ湯治に行っています。♠〈湯治客〉この温泉は体によいというので、一年じゅう湯治客がたえません。♠〈〜へ湯治場〉全国有数の湯治場である草津温泉は、若者にはスキー場として人気がある。 <761> **どうし**[動詞]○品詞の一つ。自立語で活用があり、動作・作用・存在・状態を表す。「文例」「歩く」「思う」「降る」のように、動作や作用などを表す言葉を動詞といいます。♠「愛する・飲食する」「パスする・ダブる」のように漢語や外来語を動詞化することは、今後も増えていくでしょう。 **どうし**[同志]○同じ志をもつ人。仲間。[文例]〈同志を集める〉祖国の独立のため、若者たちは同志を集めた。♠〈〜へ同志を募[つの]る〉同志を募って、演劇クラブを作りました。 **どうし**[同士]○同類である人や物事。[文例]〈好きな同士〉お祭りには、好きな同士で出かけます。♠〈〜へ似た者同士〉お父さんとお母さんは似た者同士で、そそっかしいね。♠〈〜へ子供同士〉子供同士でどこかへ行くときは、必ず家の人に行き先を告げるようにしましょう。♠〈恋人同士〉音楽が流れると、恋人同士でダンスを始めました。♠〈同士討ち〉混迷[こんめい]する戦場では、同士討ちもめずらしくなかった。 **どうじ**[同時]○時を同じくすること。(「同時に」で)時を移さずに。それとともに。[文例]〈〜と同時に〉地震が起こると同時に、ほうぼうで火災が発生した。♠ぼくの見る限りでは、二人がゴールしたのはほとんど同時だった。♠〈同時に〉これらの二つの星座が同時に見えることは絶対にない。♠〈同時に〉登山はそう快なスポーツだが、同時に危険も伴[ともな]っている。 **とうじしゃ**[当事者]○その事に直接関係する人。[文例]〈事件の当事者〉事件が起こってから三十年がたち、当事者のほとんどが他界[たかい]してしまった。♠〈〜へ当事者と第三者〉この問題は当事者が話し合って解決するべきで、第三者は口を挟[はさ]まないほうがよい。 **どうじだい**[同時代]○同じ時代。同じ時代の人々。[文例]ガリレオの唱えた地動説は、同時代の人々にはまったく理解されなかった。♠天才とは、わずかに我々と一歩を隔[へだ]てたもののことである。同時代は常に、この一歩の千里であることを理解しない。(芥川龍之介「侏儒[しゅじゅ]の言葉」) **とうじつ**[当日]○その事のある日。その日。[文例]〈運動会の当日〉二日間雨が降り続いたが、運動会の当日はすばらしい好天に恵まれた。♠〈〜へキャンプの当日〉キャンプの当日になって、急に中村君が行けないと言い出した。♠〈当日限り〉入場券は発売日当日限り有効です。 **どうじつ**[同日]○同じ日。その日。同じ条件で扱うこと。[文例]〈同月同日〉わたしたち二人は、同年同月同日に生まれた。♠発表会は九月十日で、くしくも同日は彼女の誕生日でもあった。♠〈同日の談・論ではない〉この国の民主化の進行は目覚ましいが、西欧先進諸国とはいまだ同日の談(論)ではない。♠〈同日に論じる〉両者の力の差は大きく、とても同日に論じることはできない。 **とうしゅ**[当主]○その家の現在の主[あるじ]。[文例]〈酒屋の当主〉彼は二百年の伝統をもつ、造り酒屋の当主です。♠名君の誉[ほま]れ高かった先代の血筋を引いて、当主もすぐれた人格を持ち合わせている。 **どうしゅ**[同種]○種類が同じであること。[文例]〈同種の植物〉見た目は全く異なるが、この二つの植物は同種であるという。♠〈〜へ同種の便り〉紹介したお手紙のほかにも、同種の励ましのお便りが多数寄せられました。 **とうしゅう**[踏襲](踏襲)○受け継いで、それに従うこと。[文例]〈慣習の踏襲〉古いしきたりや慣習の踏襲は、文化に厚みを増すはたらきをする利点もある。♠〈政策の踏襲〉首相は、今後も従来の政策の踏襲を行うと述べた。♠〈〜へ踏襲する〉古典芸能では、その芸が忠実に踏襲されている。 **とうしゅく**[投宿]○宿をとること。宿泊すること。[文例]〈投宿する〉旅の一行は、村はずれの旅館に投宿することにした。♠〈〜へ投宿する〉九州には中学時代の親友がいますので、彼の家に投宿するつもりです。 **とうしょ**[当初]○そのことの初め。最初。[文例]〈当初から〉計画の当初からいろいろ問題があるのは知っていたんだが、やはりむりだったかな。♠〈当初の予定〉悪天候のため、当初の予定を大きく変更しなければならなくなった。♠〈〜へ〜した当初〉ぼくの一家がここに引っこしてきた当初は、付近にはあまり家がなかった。♠〈入学当初〉入学当初とちがって、このごろは新しい友達もできて、中学生活が楽しい。 **とうしょ**[投書]○意見や苦情を書いて、関係者や新聞・雑誌に送ること。また、その手紙や原稿。[文例]〈投書する〉ゴミ置き場の管理についての苦情を書いて、市役所に投書した。♠〈投書箱〉徳川吉宗[とくがわよしむね]の時代に、民衆の意見を聞くため目安箱といわれる投書箱が設置された。♠〈投書欄〉新聞の投書欄に、わたしの意見が載[の]りました。 **とうじょう**[登場]○舞台に現れること。場面に現れること。世に出ること。[文例]〈登場を待つ〉最新科学の分野では、人間なみの知能をもったロボットの登場が待たれている。♠〈小説に登場する〉この小説には、三人のアメリカ人が登場します。♠〈〜へ人類が登場する〉人類が登場したのは、地球の長い歴史の中でみれば、つい最近のことだ。♠〈〜へ舞台[ぶたい]に登場する〉わたしは、歴史の舞台に登場しない一般民衆の生活に興味があります。♠〈〜へ文壇[ぶんだん]に登場する〉彼は、異色の作品で文壇に登場して大いに注目された。♠〈登場人物〉読書は、登場人物の生き方をとおして、人生の視野[しや]を広げてくれます。 **とうじょう**[搭乗]○飛行機や艦船に乗り込むこと。[文例]〈搭乗する〉ハイジャックされた旅客機には、さいわい日本人は搭乗していなかった。♠〈〜へ搭乗手続き〉出発は八時ですが、搭乗手続きに時間がかかりますので、七時に空港で待ち合わせましょう。 **どうじょう**[同情]○人の気持ちを思いやり、いたわること。かわいそうに思うこと。[文例]〈同情する〉姉は友達の悩みに心から同情し、親身[しんみ]になって相談に乗っていた。♠〈〜へ同情を寄せる〉母は災害にあった村の人々に同情を寄せ、衣類や食料を送りました。♠〈同情が先に立つ〉わたしは彼の不幸な身の上を知っているから、どうしても同情が先に立って、公平な判断をくだすことができない。♠〈同情に値[あたい]する〉きみがあんな目にあったのも、もとはと言えば自分が悪いのだから、同情に値しないよ。 <762> **どうじょう**[同情]○人の気持ちを思いやり、いたわること。かわいそうに思うこと。[文例]〈同情する〉姉は友達の悩みに心から同情し、親身[しんみ]になって相談に乗っていた。♠〈〜へ同情を寄せる〉母は災害にあった村の人々に同情を寄せ、衣類や食料を送りました。♠〈同情が先に立つ〉わたしは彼の不幸な身の上を知っているから、どうしても同情が先に立って、公平な判断をくだすことができない。♠〈同情に値[あたい]する〉きみがあんな目にあったのも、もとはと言えば自分が悪いのだから、同情に値しないよ。♠〈〜へ同情が集まる〉結局裁判では有罪になったが、人々の同情が犯人の青年に集まった。♠〈同情の念〉母の話を聞いて、父親というものに対する同情の念がわいてきた。♠〈同情をひく〉あからさまに人々の同情をひこうとする言動は、好きではない。♠〈〜へ同情を求める〉他人に同情を求めたって何になるんだ。自分がみじめになるだけだぞ。 **どうじょう**[道場]○仏道や武芸などを修行する場所。[文例]〈剣道の道場〉剣道の道場へ通う息子は、冬でも素足に下駄[げた]で出かけます。♠〈道場にこもる〉若いお坊さんたちが道場にこもって、仏道の修行に励[はげ]んでいます。♠〈〜へ道場破り〉「たのもう!」と大声をかけて、道場破りの剣士が現れた。 **どう・じる**[動じる]○動揺する。気持ちがゆらぐ。[文例]〈物に動じない〉小さいころから物に動じない少年で、将来は大物とうわさされていた。♠相手の女もしたたか者で、いくらおどしても動じるそぶりも見せない。 **どうしん**[童心]○子供の心。子供のように純真な心。[文例]〈童心を傷つける〉子供と果たせない約束を交わすことは、童心を傷つけることになる。♠〈童心にかえる〉秋の一日、ぼくたちは童心にかえって、運動会を楽しんだ。 **どうじん**[同人]○同じ志や趣味をもつ人。同じ人物。どうにん。[文例]〈雑誌の同人〉鮎川信夫[あゆかわのぶお]は、雑誌「荒地[あれち]」の同人で戦後詩のリーダーの一人でした。♠〈同人雑誌〉文学愛好家やプロを目ざす人たちが刊行する同人雑誌があります。♠〈同人誌〉父は、高校時代に、短歌を志[こころざ]す仲間と同人誌を発行したことがあるそうです。 **とうすい**[陶酔]○うっとりと酔いしれること。[文例]〈美への陶酔〉わたしたちの日常生活は、美への陶酔によって高められ清められていきます。♠〈〜へ陶酔する〉オーケストラのすばらしい演奏に、観客はすっかり陶酔した様子です。♠〈自己陶酔〉〈陶酔にひたる〉思春期において自己陶酔にひたることはよくある現象です。 **どうせ**○どうしたところで。いずれにしろ。[文例]どうせやらなければならないのなら、早いとこ片づけてしまおう。♠実力がないんだもの、どうせ失敗するに決まっているさ。♠そんなに勉強しなくたって、どうせ学者になるわけじゃなし、と祖母は言った。♠どうせわたしは、のろまなカメよ、オリンピック選手なんて無理よ。 **とうせい**[当世]○現代の世の中。また、そのやり方・流行。[文例]日本でも、当世では朝昼晩三食とも洋食ですませる家があるといいます。♠〈当世流〉これが当世流というのであろうか、女性たちがわれもわれもと外へ出て働きたがる。♠〈当世風〉国道沿いに当世風なレストランなどがたち始めた昭和四十年代のことだった。 **とうせい**[統制]○一つにまとめ治めること。権力を用いて制限すること。[文例]〈統制がとれる〉児童たちの披露[ひろう]したダンスは、全員の統制がとれて、立派なものでした。♠〈統制が厳しい〉戦時中や戦争直後は食料品の統制が厳しかったそうです。♠〈統制する〉戦時中は、言論が統制されていて、国家批判など口にしてはいけなかったのです。♠〈〜へ思想統制〉支配者は、自らの権力を守る目的で、国民の思想統制を強化した。 **どうせい**[同性]○性が同じであること。[文例]彼女は、異性より同性に人気があります。♠女の子はおしゃれをすると、男性の反応はもちろん、同性の目も気になるそうです。 **どうせい**[動静]○物事の動きや人の行動などの様子。動と静。[文例]〈敵の動静〉〈動静を探る〉敵の動静を探るために多くのスパイを潜入させた。♠〈動静をうかがう〉しばらくこちらの動静をうかがっていた相手がいよいよ動き出したらしい。 **どうせい**[同棲]○(特に結婚前の男女が)一緒に住むこと。[文例]〈同棲する〉このアパートの一室に若い学生の男女が同棲していた。 **どうせき**[同席]○同じ席。同じ席にいあわせること。[文例]披露宴[ひろうえん]でわたしと彼は、共に新郎の友人ということで同席だった。♠〈〜へ同席する〉彼女とは今までパーティーで何回か同席したことがあります。 **とうせつ**[当節]○この節。このごろ。当今。[文例]当節の若い者は、まったく何を考えているのかわからない。♠当節流行の洋服を、彼女はみごとに着こなしています。♠軽薄[けいはく]の風潮が強い当節、彼のような重厚な青年は珍しくなりました。 **とうせん**[当選]○選挙や審査で選ばれること。[文例]〈当選を果たす〉熱心な選挙運動が効[こう]を奏[そう]し、彼はみごと当選を果たした。♠〈〜へ当選する〉社内の短歌のコンクールで当選しました。♠〈当選確実〉この候補者は各地で票をのばし、当選確実になりました。 <763> **とうせん**[当選]○選挙や審査で選ばれること。[文例]〈当選を果たす〉熱心な選挙運動が効[こう]を奏[そう]し、彼はみごと当選を果たした。♠〈〜へ当選する〉社内の短歌のコンクールで当選しました。♠〈当選確実〉この候補者は各地で票をのばし、当選確実になりました。 **どうそう**[同窓]○同じ学校で、または同じ先生について学ぶこと。また、その人。[文例]この高校で同窓だった人たちが集まって、パーティーを開きます。♠彼とは大学が同窓だが、当時はもっと太っていたような気がする。♠〈〜へ同窓会〉久しぶりの同窓会に出席して、なつかしい人に会えた。♠〈同窓生〉二人は、同じ学校で席を並べた同窓生です。 **とうぞく**[盗賊]○どろぼう。ぬすっと。[文例]山中のどうくつには、盗賊が隠したという宝物が眠っていた。♠長者[ちょうじゃ]の蔵は盗賊に襲われ、お金は全部奪われてしまった。 **とうぜん**[当然]○そうなるのがあたりまえであるさま。[文例]中学生なんだから、そのくらいのことはできて当然だ。♠あんなことをしたんだから、みんなからきらわれるのは当然と言えば当然さ。♠〈当然のこと〉シルバーシートでなくても、お年寄りや体の弱い人に席をゆずるのは当然のことです。♠〈当然の結果〉工業の飛躍的な発達は、当然の結果として、各種の公害問題をひき起こした。♠〈当然ながら〉日本のように人口密度の高い土地では、当然ながら地価は安くならない。♠彼が残した財産は、当然妻である彼女のものになると思われていた。 **とうぜん**[陶然]○うっとりとするさま。[文例]〈陶然とする〉盃[さかずき]の酒を飲み干すと、陶然として心身が大きく広がっていった。♠〈〜へ陶然たる心持ち〉大きな湯船につかっていると、陶然たる心持ちになる。 **どうぜん**[同然]○同じであるさま。[文例]〈〜も同然〉九回の表を終わって六対一なら、勝ったも同然だ。♠〈〜へ無いも同然〉隊員十五人に対して残っているパンは三個、食糧は無いも同然だった。♠〈着いたも同然〉ここまで来れば目的地まではあと少し、もう着いたも同然だ。♠〈紙くず同然〉兄は本棚にあった何十冊もの本を、紙くず同然の値段で売り払ってしまった。♠〈親同然〉みなし子のわたしにとって、先生は親同然の存在だった。 **とうそう**[闘争]○闘うこと。争うこと。[文例]〈闘争をする〉人類は、大昔から自然と闘争をしてきた。♠〈闘争本能〉猟犬[りょうけん]は闘争本能をむき出しにして、クマに立ち向かっていった。♠〈法廷闘争〉住民側は、法廷闘争に訴える方針を決めた。♠〈〜へ賃金闘争〉組合は、賃金闘争の手段としてストライキを行います。 **とうそう**[逃走]○逃げること。逃亡。[文例]〈逃走する〉犯人は、車で関西方面に逃走したものと思われます。♠〈〜へ逃走経路〉山の中からオートバイが発見され、スパイの逃走経路がはっきりした。 **とうそつ**[統率]○集団をまとめ、率いること。[文例]〈群れを統率する〉動物の群れには、群れを統率するリーダーがいます。♠〈〜へ軍を統率する〉司令官には全軍を統率する力がなく、部隊は敗走を続けていた。♠〈〜へ統率力〉チームのリーダーには統率力が必要です。 **とうた**(淘汰)○不適当なものを取り除くこと。環境に適応するものが残り、適応できないものが滅びること。[文例]〈淘汰を受ける〉消費者の賢明な判断による淘汰を受けて、悪質な業者が減っていけばよい。♠〈淘汰する〉動物でも植物でも、周囲の環境に適さないものはしだいに淘汰されていきます。♠〈〜へ自然淘汰〉生物は、自然淘汰によって、繁栄する種族と滅亡する種族に分かれる。 **とうだい**[当代]○今の時代。現代。その時代。現在の主人・君主。[文例]〈当代随一[ずいいち]〉ペレ、ベッケンバウアーが引退したあと、彼は当代随一の選手といってよい。♠〈当代きって〉当代きっての人気者は、いつも大勢のファンが取り巻いていた。 **とうだい**[灯台](燈台)○航行中の船に光を送って行路を示す設備。[文例]岬の灯台が夜の海を照らしています。♠船乗りたちは、灯台の光を頼りに暗い夜の海を進みました。♠〈灯台下[もと]暗し〉身近だとかえって見えないことがあるよ、灯台下暗しといってね。 **どうたい**[同体]○一つの体であること。相撲で同時に倒れること。[文例]行司の軍配は東方[ひがしかた]の力士に上がったが、両者ともほとんど同体で土俵を割ったように見えた。♠〈一心同体〉喜びも悲しみも一心同体で分かちあってきた二人でした。♠〈雌雄[しゆう]同体〉ナメクジやミミズは雌雄同体ですから、一つ一つの個体に、雄・雌の区別はありません。 **どうたい**[胴体]○人や動物の胴。物の中央の太い部分。[文例]〈動物の胴体〉ほとんどの動物の胴体は地面と水平なのに、人間の胴体は垂直です。♠〈首・胴体・手足〉このおもちゃは、ボタンを押すと首と胴体と手足がバラバラになるしかけになっています。♠〈胴体着陸〉車輪の故障によって飛行機は胴体着陸した。 **どうたい**[動態]○動いたり変化したりする様子。[文例]〈人口の動態〉コンピュータの画面は、その地域の十年間の人口の動態を映し出しています。 **とうたつ**[到達]○至り着くこと。[文例]〈目的地への到達〉探検隊は、悪天候にはばまれて、目的地への到達が大幅[おおはば]におくれた。♠〈〜へ結論に到達する〉彼女はそのことで二晩考えた末、ようやく一つの結論に到達しました。♠〈〜へ水準に到達する〉最近よく勉強したので、苦手な数学も中学三年生としての水準に到達した。♠〈到達目標〉災害地救援[きゅうえん]のための募金は、到達目標の百万円にあと一息です。♠〈到達点〉ヒマラヤの高峰で遭難[こうほうそうなん]した登山家の最終の到達点は、頂上のわずか手前だった。 **とうち**[当地]○この土地。この地方。[文例]当地は冬でも暖かく、めったに雪は降りません。♠当地青森県名産のりんごは、全国各地に出荷されます。 **とうち**[統治]○支配し、治めること。[文例]〈統治する〉イギリスやスペインは、かつて多くの植民地を統治していた。♠〈統治下〉今から約千七百年前、邪馬台国[やまたいこく]は女王卑弥呼[ひみこ]の統治下にあった。♠〈統治者〉日本国憲法では、天皇は国の統治者ではなく、象徴であるとしています。 **とうち**[倒置]○反対の位置に置くこと。[文例]〈倒置する〉表現上の効果をねらって、言葉の順序を倒置することがあります。♠〈倒置法〉修辞法の一つ倒置法は、きわめてありふれた技法です。 <764> **とうちゃく**[到着]○目的地に着くこと。[文例]〈到着する〉探検隊から、無事目的地に到着したとの知らせが入った。♠〈到着予定〉飛行機は、到着予定の時刻を過ぎても姿を現さなかった。♠〈〜へ到着時刻〉姉たちの乗る新幹線の到着時刻にまにあうように東京駅へ向かった。 **どうちゃく**(撞着)○つじつまが合わないこと。矛盾すること。[文例]〈撞着がない〉仏の教えに従えば、異教の人々と協力し合う住職の心に何の撞着もないはずであった。♠〈撞着する〉自分の理想と撞着するような職業に就くことは避けるべきです。♠〈自家撞着〉自らがなまけ者のくせに他人に対して努力を説くから、きみの話はすぐに自家撞着におちいる。 **どうちゅう**[道中]○旅の途中。[文例]道中おなかがすいたときのために、おばあさんはわたしにおにぎりを持たせてくれました。♠「道中ご無事で。」と、宿の主人は丁寧[ていねい]に客を見送った。 **とうちょう**[登頂]○山の頂上に登ること。とちょう。「文例」〈エベレストの登頂〉彼女は、女性として初めてエベレストの登頂に成功した。♠〈登頂する〉ヒマラヤには、まだ人間が登頂していない山が残っていた。 **どうちょう**[同調]○調子を合わせること。他人の意見に合わせること。目的の周波数に合うように調整すること。[文例]〈同調する〉きみが考えを根本的に変えない限り、その方針に同調するつもりはない。♠〈同調者〉彼の意見には同調者が多かった。 **とうちょく**[当直]○日直や宿直などの当番。[文例]父は今夜工場の当直ですから、家には帰りません。♠泥棒[どろぼう]が塀[へい]を乗り越[こ]えて侵入[しんにゅう]するところを、当直の職員が見つけました。 **とうてい**[到底]○どうしても。とても。[文例]体の大きさがこんなにちがうんだもの、彼にはとうていかなわないよ。♠今から歩いて行ったのでは、とうてい間に合わない。♠彼女が犯人だったなんて、とうてい信じられないわ。♠三分以内に駅まで来いと言われても、とうていできません。 **どうてい**[道程]○道のり。路程。過程。[文例]〈長い道程〉教師としてのわたしの長い道程を振り返って、思い浮かぶ感慨を書きつらねてみました。♠〈遠い道程〉僕を一人立ちにさせた広大な父よ/僕から目を離さないで守る事をせよ/常に父の気魄[きはく]を僕に充[み]たせよ/この遠い道程のため(高村光太郎「道程」部分) **とうてつ**[透徹]○透き通ること。すみずみまで行きわたって明晰[めいせき]なこと。[文例]〈透徹した洞察力[どうさつりょく]〉行間に透徹した作者の洞察力のうかがわれるエッセイである。♠〈〜へ透徹した知性〉知識だけでは世界を見とおすことはできない。それには透徹した知性が必要である。 **どうてん**[動転](動顚)○うろたえること。驚きあわてること。[文例]〈動転する〉先取点を取られ動転したぼくたちは、凡[ぼん]ミスを繰り返していた。♠〈〜へ気が動転する〉急な話に気が動転して、洗濯物を取り込むのをすっかり忘れていた。 **とうと・い**[尊い・貴い]○貴重である。身分が高い。尊敬に値する。[文例]〈貴い命〉親からもらった貴い命をむだに捨てるなんてことはしちゃいけない。♠〈〜へ貴い体験〉小学五年のとき、神戸から青森の祖母の家へ一人旅をしたのは、貴い体験だった。♠〈〜へ貴い人〉身分が高く貴い人のことを貴人といいます。♠〈〜へ尊い教え〉仏教は、千四百年ほど前に、尊い教えとして大陸から伝わりました。♠〈尊い恩〉「あおげば尊し、わが師の恩……」と、歌っているうちに、泣きだす生徒もいた。♠〈山高きがゆえに貴からず〉「山高きがゆえに貴からず」で、地位が高くても尊敬できない人がいる。 **とうとう**[到頭]○ついに。結局。[文例]夕方まで待っても、とうとう彼はやって来なかった。♠言い合いをしているうちに、とうとう母は泣き出してしまった。♠授業中におなかが痛くなって、とうとうがまんしきれずに、保健室へ行った。♠今年はもうだいじょうぶと思っていたのに、とうとう台風がおいでなすったよ。 **とうとう**(滔滔)○水が盛んに流れるさま。盛んにわき起こるさま。絶えまなく続くさま。[文例]〈とうとうたる大河〉いくつもの流れが合わさって一本のとうとうたる大河となり、太平洋に注ぐ。♠〈とうとうと流れる〉とうとうと流れるこの川が、流域の平野に豊かな恵みを与えています。♠〈とうとうと述べる〉指名された山本さんは、自分の意見をとうとうと述べた。 **どうとう**[同等]○同じ等級・程度であること。[文例]〈同等に評価する〉最近は、男子と女子を同等に評価する企業が増えたという。♠〈〜へ同等に扱う〉素人[しろうと]のわたしの作品がプロの作品と同等に扱[あつか]われたのは、とてもうれしいことでした。♠〈同等の学力〉高卒あるいはそれと同等の学力を持っていれば、応募資格があります。♠〈同等の立場〉もう何年もの間、Z氏とわたしとは同等の立場でつきあってまいりました。 **どうどう**[堂堂]○大きく立派なさま。臆[おう]するところのないさま。[文例]その選手は初の海外遠征で、堂々三位に入賞した。♠〈堂々たる〉馬場君は身長一メートル八十、体重九十キロ、堂々たる体格をしています。♠〈〜へ堂々たる〉彼女は意地悪な質問に、悪びれず、堂々たる態度で答えた。♠〈堂々と〉彼は最年少ながらも最後まで堂々と戦い、観客の大きな拍手[はくしゅ]を受けた。♠〈〜へ堂々とする〉N氏はこの町一番の実力者だけに、家の門構えも実に堂々としている。♠〈堂々の行進〉テレビには、赤いスーツを着た日本選手団の、堂々の行進が映し出されていた。♠〈正々堂々〉正々堂々と戦って、それで負けたのだから悔[くや]いはないさ。 **どうどう**[同道]○一緒に行くこと。同行。[文例]〈〜へ同道する〉今度の日曜日はお花見ですか。お邪魔[じゃま]でなければわたしも同道させてください。 **どうどうめぐり**[堂堂巡り]○祈願のために寺の堂の周りを回ること。同じことの繰り返しで物事が進展しないこと。議会で議員が一人ずつ出て投票すること。[文例]〈堂々巡り〉議論は、お金の問題になると堂々巡りするばかりで、先へ進まなかった。 <765> **どうとく**[道徳]○社会生活上、人として守るべき道。[文例]〈封建的な道徳〉若者たちは封建的な道徳に反発し、自由を求めた。♠〈道徳的〉道徳的に考えると、彼女の行動は間違っていると思う。♠〈道徳教育〉学校での道徳教育は必要だという声と、国家の言う道徳教育には問題があるという声があった。♠〈〜へ公衆道徳〉〈道徳を守る〉一人一人が公衆道徳を守れば、少しは住みよい社会になるでしょう。 **とうとつ**[唐突]○出し抜けで思いがけないさま。「文例」〈唐突な出現〉彼の出現は唐突だったが、消え去るのもまた早かった。♠〈〜へ唐突な申し出〉今日限り辞[や]めたいという使用人の唐突な申し出は、雇い主[やといぬし]を困らせた。♠〈〜へ唐突に〜する〉そんなこと、唐突に聞かれても、即答[そくとう]できるわけがないだろう。 **とうに**(疾うに)○とっくに。ずっと前に。[文例]二郎なら、もうとうに出かけていきましたよ。♠ずいぶんむかしのことなので、名前はとうに忘れてしまった。♠彼がうそをついていることなんか、先生はとうにわかっていたにちがいない。♠待ち合わせの時間がとうに過ぎてしまったのに、どうして彼女は来ないんだろう。 **とうにゅう**[投入]○投げ入れること。そそぎ込むこと。つぎ込むこと。[文例]〈投入する〉ジュースに毒薬を投入した男が捕[つか]まった。♠〈投手を投入する〉八回の裏にリリーフ投手を投入したことが敗因となった。♠〈〜へ軍を投入する〉次の日ドイツ軍は、三万の大軍を投入して、攻勢[こうせい]に出た。♠〈〜へ資金を投入する〉彼はばく大な資金を投入して、自然保護団体の設立に努めました。♠〈〜へ全力を投入する〉いよいよ高校入試が近づいたから、勉強に全力を投入しなくちゃ。 **どうにゅう**[導入]○導き入れること。持ち込むこと。学習や授業の始めで生徒を引き込んだり、全体の方向づけを行う段階。[文例]〈技術の導入〉先日の会議で、アメリカで開発された新しい技術の導入が決定した。♠〈機械の導入〉この地方は、一戸当たりの耕地面積が少ないため、トラクターなど農業機械の導入が遅れている。♠〈〜へコンピューターを導入する〉ここ四、五年の間に、コンピューターを導入した会社の数は、何倍にもなりました。♠〈理論を導入する〉この実験は、A博士[はかせ]の理論をそのまま導入したものとして、学界の注目を浴[あ]びている。♠〈〜へ導入部〉教授は、講義の導入部で今日のテーマを説明しました。 **とうと・ぶ**[尊ぶ・貴ぶ]○尊敬する。尊重する。たっとぶ。[文例]〈人を尊ぶ〉祖先や目上の人を尊ぶ気持ちを忘れないようにしましょう。♠〈神・仏を尊ぶ〉村人たちは信仰があつく、神や仏を尊んでおった。♠〈名を尊ぶ〉かつて日本の軍人は、名を尊び、捕虜[ほりょ]になるのを恥と教えこまれた。♠〈意見を尊ぶ〉何でも多数決でおしきるのではなく、少数意見をも尊び耳をかたむけたい。♠〈平和を尊ぶ〉平和を尊び、戦争に反対する人々の輪が世界中に広がっています。 **とうにん**[当人]○その人。当の人。本人。[文例]こんな汚[きたな]い字では、書いた当人も読めないだろう。♠夏休みに一人で田舎へ行くというので、周囲は心配顔だが、当人はいたって平気な顔をしている。♠お母さんがどんなにがんばっても、当人がやる気にならなければ成績は上がりませんよ。 **とうねん**[当年]○今年。本年。その年。そのころ。[文例]〈当年とって〉大正生まれの祖父は、当年とって七十五歳になります。♠すると当年の明子――今のH老夫人は、菊の花を見る度に思い出す話があると言って、(……)(芥川龍之介「舞踏会[ぶとうかい]」) **どうねん**[同年]○同じ年。同じ年齢。その年。[文例]わたしといとこのみよちゃんは同年なので、話が合います。♠一九四五年八月、広島と長崎に原爆が投下され、同年同月日本は降伏[こうふく]した。♠おじさんは、父と同年生まれとは思えないほど若々しい。 **とうは**[党派]○仲間。党。党の中の分派。[文例]〈党派を作る〉同志が集まって新しい党派を作り、運動を開始した。♠〈党派を超える〉平和な社会を作るためには、党派を超えて力を合わせる必要があります。♠〈党派に属する〉その代議士は、どの党派にも属さぬ無所属の議員だった。 **とうは**[踏破]○全行程を歩き通すこと。[文例]〈踏破する〉犬ぞりで北極を踏破するのが、冒険家の若いときからの夢でした。 **とうはつ**[頭髪]○頭の毛。髪の毛。[文例]〈頭髪を刈る〉男子の頭髪はまゆ、えり、耳にかからず、後部は刈[あ]り上げるように決められていた。♠頭髪を清潔にし、生徒らしい自然な髪型[かみがた]を心がけましょう。♠〈〜へ頭髪が薄[うす]い〉父も五十の声を奥[おく]いてから、頭髪もだいぶ薄くなった。 **とうばつ**[討伐]○討ち倒すこと。征伐。[文例]〈ゲリラの討伐〉ゲリラの討伐に向かった政府軍は、苦戦を強いられていた。♠〈〜へ討伐する〉反乱軍を討伐するために、多数の兵が送られていった。 **とうばん**[当番]○交替で行う仕事の番に当たること。また、その人。[文例]〈当番に当たる〉今年は、我が家が町内の世話役の当番に当たっています。♠〈〜へ当番をする〉クラス全員が交替で掃除当番をすることになっている。 **どうはん**[同伴]○連れ立って行くこと。一緒に連れて行くこと。一緒について行くこと。[文例]〈夫人を同伴する〉受賞記念パーティーに、教授は夫人を同伴して出席しました。♠〈主人に同伴する〉わたしは主人に同伴して、そのパーティーに出席した。♠〈家族同伴〉先生は、今年の夏休み、家族同伴でハワイに行ってきたそうです。 **とうひ**[当否]○適当か不適当か。適否。正否。当たり外れ。[文例]〈行為の当否〉彼の行為の当否はさておき、その努力は評価していいだろう。♠〈事の当否〉さて僅[わず]かに二三日を隔[へだ]てて弥一右衛門[やいちえもん]は立派に切腹したが、事の当否は措[お]いて、一旦受けた侮辱[ぶじょく]は容易に消え難く、(……) (森鷗外「阿部一族[いちぞく]」) <766> **とうひ**[逃避]○避け逃れること。現実の困難から目をそむけ逃れること。[文例]〈逃避する〉つらい現実から逃避するために、酒におぼれる人たちもいます。♠〈〜へ仕事へ逃避する〉一族のわずらわしい遺産相続問題を妻に押しやって、わたしは仕事へ逃避していた。♠〈逃避的〉恋に破れ、逃避的な気持ちになったわたしは、独り旅に出た。♠〈逃避行〉警察の捜査網[そうさもう]をかいくぐって、犯人の逃避行は半年におよんだ。 **とうひょう**[投票]○票を入れること。[文例]〈投票をする〉提出された方針案に賛成か反対かの投票をすることになりました。♠〈〜へ投票する〉日本ダービーが近づきましたが、わたしはどの馬に投票するか迷っています。 **とうびょう**[闘病]○病気と闘うこと。[文例]正岡子規[まさおかしき]の著した「病牀六尺[びょうしょうろくしゃく]」は、彼の闘病の記録でもあります。♠〈闘病生活〉ガンに冒[おか]された父は、一年の闘病生活ののち亡くなりました。 **とうふ**[豆腐]○大豆のしぼり汁ににがりを加えて固まらせた食品。[文例]朝は豆腐のみそ汁がいいね。♠〈〜へ豆腐にかすがい〉きみは、豆腐にかすがいで、何を言っても全然反応がないね。♠〈〜へ豆腐の角[かど]〉おまえみたいなドジは、豆腐の角に頭をぶつけて死んでしまえ。 **どうふう**[同封]○一緒に入れて封をすること。[文例]〈同封する〉彼女から届いた手紙には、旅先で撮ったという写真が三枚同封されていた。♠〈同封する〉返信用の封筒と切手が手紙に同封されていた。 **どうぶつ**[動物]○魚・虫・獣・人などの総称。人以外の鳥獣虫魚。けもの。[文例]〈動物と植物〉微生物[びせいぶつ]をひとまずおけば、生物は動物と植物とに分類できます。♠〈〜へ人間と動物〉人間と違って、動物は決して飼い主を裏切らないから、安心してしていられる。♠〈動物の世界〉われわれには残酷[ざんこく]に見える弱肉強食の法則も、動物の世界では種族のバランスを守る役割を果たしているのです。♠〈野生の動物〉アフリカ大陸には、キリンやライオンをはじめ、たくさんの野生の動物がすんでいる。♠〈〜へ動物を飼う〉このマンションでは、小鳥以外の動物は飼ってはいけないことになっている。♠〈動物実験〉この薬はまだ開発されたばかりで、動物実験の段階だ。 **とうぼう**[逃亡]○逃げて身を隠すこと。[文例]〈逃亡を企[くわだ]てる〉反政府軍は、ジャングルの奥深くへ逃亡を企てた。♠〈逃亡する〉殺人犯が追っ手をのがれて逃亡した。♠〈〜へ逃亡生活〉政治犯として国を追われたわたしの逃亡生活は、すでに十年になろうとしていた。 **どうほう**[同胞]○兄弟姉妹。祖国を同じくする人々。はらから。どうぼう。「文例」われらは祖国を同じくする同胞だ。異国の地で仲良くやっていこうではないか。♠わたしたち日本人には、アメリカやブラジルなどで活躍する海外の同胞も多い。 **とうほんせいそう**[東奔西走]○あちこちと忙しく走り回ること。[文例]〈東奔西走の毎日〉資金繰りに東奔西走の毎日を送っていた社長さんは、やっとお金を借りるめどがついたとほっとしています。♠〈東奔西走する〉研究発表の日まであと五日、わたしたちは資料集めに東奔西走しています。 **どうぶるい**[胴震い]○体が震えること。身震い。[文例]〈胴震いがする〉外へ一歩出たとたん、あまりの寒さに胴震いがした。♠〈〜へ胴震いがおさまる〉交番にかけこんだ少女は、しばらくは胴震いがおさまらなかった。♠〈〜へ胴震いする〉一つブルッと胴震いすると、犬の体から水しぶきが飛び散った。 **とうぶん**[当分]○しばらくの間。[文例]グラウンドに水が残っている間は、当分練習が中止になるだろう。♠〈当分は〉父がたくさん魚を釣ってきたので、当分はおかずに不自由しません。♠〈〜へ当分の間〉入院する必要はないけれど、当分の間通院しなければだめだね。♠〈〜へここ当分〉天気予報では、ここ当分雨が続くというし、洗濯[せんたく]物がたまって困るわ。 **とうぶん**[等分]○等しく分けること。等しい分量・割合。[文例]〈等分に分ける〉おやつは、いつも兄弟で等分に分けます。♠〈〜へ等分する〉円周を六つに等分して、正六角形をかきましょう。♠〈〜へ三等分〉店の利益は、開店の時にお金を出し合った三人で三等分することになっている。 **とうべん**[答弁]○質問に対して答えること。また、その弁舌。[文例]〈答弁に立つ〉議員の質問に対し、市長が答弁に立ちました。♠〈答弁を求める〉事件の渦中[かちゅう]にあった市長に答弁を求めた。♠〈答弁する〉首相が汗をふきながら答弁しているところがテレビに映し出された。 **とうへんぼく**[唐変木]○気のきかない人やわからず屋をののしっていう語。[文例]何を訳のわからないことを言っているんだ、この唐変木め! ♠ぼやぼやしないでさっさとかたづけるんだ、この唐変木! **とうほう**[当方]○自分の方。こちら。→先方[文例]鎌倉[かまくら]にお越しの節は、当方にもぜひお立ち寄りください。♠この件に関しては、当方には何の責任もありません。♠当方の手違[てちが]いで、大変ご迷惑[めいわく]をおかけしました。 **どうみゃく**[動脈]○血液を心臓から体の各部に送る血管。主要な交通輸送路。[文例]〈日本の動脈〉自動車交通の発達した現在では、幹線道路は日本の動脈となっている。♠〈動脈硬化〉人材の開発をおこたった組織は、いずれは動脈硬化を起こす危険がある。♠〈大動脈〉東名・名神高速道路は、関西と東京を結ぶ大動脈だ。 **とうみょう**[灯明](燈明)○神仏の前にともす明かり。みあかし。[文例]〈灯明が揺れる〉真っ暗な部屋の中で、神棚[かみだな]の灯明があやしく揺れている。♠〈〜へ灯明をあげる〉毎日仏壇にお灯明をあげ、お経を唱えるのがおばあさんの日課です。 **とうみん**[冬眠]○動物が活動を停止して冬を越すこと。[文例]〈冬眠に入る〉秋の終わり、クマは冬眠に入る前に食いだめをし、体内に脂肪を蓄[たくわ]えます。♠〈冬眠から覚める〉春になり、冬眠から覚めたモグラが地上に顔を出した。♠〈冬眠する〉カエルやヘビは、冬になると土の中で冬眠する。 **とうめい**[透明]○透きとおって見えるさま。澄んでいるさま。[文例]〈透明なガラス〉透明なガラスの器[うつわ]に氷をのせたそうめんがもられ、食欲をそそります。 <767> **とうめい**[透明]○透きとおって見えるさま。澄んでいるさま。[文例]〈透明なガラス〉透明なガラスの器[うつわ]に氷をのせたそうめんがもられ、食欲[しょくよく]をそそります。♠〈透明な空・海〉常夏[とこなつ]の南の島では、空も海も鮮[あざ]やかに青く透明だ。♠〈無色透明〉このコップの無色透明な液体が水か酒か、飲まないで見分けられるかい? ♠〈透明な音〉冬の澄んだ空に、カランカランという下駄の透明な音が響く。♠〈透明度〉風が砂を吹き上げない季節のモンゴル高原の空気の透明度は、恐らく世界一だろう。♠〈透明人間〉きみは、もし透明人間になれたら、何をしてみたい? **どうめい**[同盟]○約束して仲間になること。また、その関係。[文例]〈同盟を結ぶ〉一九〇二年、日本はロシアに対抗してイギリスと同盟を結びました。♠〈同盟する〉二つの国は同盟して、信長[のぶなが]の軍勢の前に立ちはだかった。♠〈〜へ同盟国〉アメリカ、イギリス、フランス、西ドイツなどは、北大西洋条約機構の同盟国です。 **とうめん**[当面]○ある事態や困難などにつき当たること。さしあたり。[文例]〈当面の目標〉当面の目標は、五十メートル泳げるようになることだ。♠〈難局に当面する〉難局に当面した政府に、解決策は見当たらなかった。♠〈〜へ当面する問題〉やることはいっぱいあるが、まず当面する問題から解決していこう。 **どうも**○どうしても。なんだか。いかにも。全く。本当に。[文例]今日は疲れているせいか、どうもせりふが覚えられないと、役者はこぼしていた。♠この様子だと、どうも明日の天気は悪そうだね。♠何の証拠[しょうこ]もないけれど、あのひげをたくわえた男がどうも怪[あや]しい。♠どうもすみません、道路が込んでいたもので、遅[おそ]くなったんですよ。♠借りていた本はここに置くよ、長い間どうもありがとう。♠きみが忘れた上着、もってきてやったぞ。――どうも。 **どうもう**(獰猛)○性格が荒々しく、乱暴なさま。[文例]〈〜へどうもうな動物〉動物園ではいつも寝ているが、ライオンはどうもうな動物だ。♠〈どうもうな顔つき〉男はどうもうな顔つきをしていたが、実際はきわめて友好的であった。 **とうもく**[頭目]○集団のかしら。親分。首領。[文例]〈忍者の頭目〉服部半蔵[はっとりはんぞう]は、徳川方の忍者の頭目として有名です。♠〈盗賊の頭目〉雲霧仁左衛門[くもきりにざえもん]は、江戸時代の盗賊の頭目でした。 **どうもく**(瞠目)○目をみはること。[文例]〈瞠目の的〉戦後の日本経済の成長は、世界中の瞠目の的でした。♠〈〜へ瞠目する〉この研究所は近年瞠目すべき業績を上げ、各界から注目を浴びている。 **とうや**(陶冶)○人格をみがき、きたえること。[文例]〈人格の陶冶〉親の愛情は、子の人格の陶冶に決定的な影響を与える。♠〈陶冶する〉学校は、子供たちが自らの人間性を陶冶する場にならなければ無意味である。 **とうよ**[投与]○患者の体に薬剤を与え入れること。[文例]〈抗生物質の投与〉入院後は全治の見込みもなく、ただ抗生物質の投与が続いた。♠〈〜へ薬を投与する〉患者に薬を投与すると、熱も下がり呼吸もだいぶ楽になっていった。 **とうよう**[東洋]○トルコより東の地方。アジア。[文例]〈東洋の文化〉東洋の文化を理解し、その価値を認める欧米人は多い。♠〈東洋の思想〉アラビア、インド、中国、日本……と、東洋の思想もさまざまです。♠〈東洋的〉いかにも東洋的で上品なインドの女性と知り合いました。 **とうよう**[登用・登庸]○人材をとりあげて高い地位につかせること。[文例]〈人材の登用〉国王は見込みのある人材の登用を行って、よい政治を心がけた。♠〈登用する〉組織を活性化するために、有望な新人を登用することになった。 **とうよう**[盗用]○盗んで使うこと。他人のものを無断で使うこと。[文例]〈〜へデザインの盗用〉競争の激しい宣伝業界では、デザインの盗用が問題になることが多い。♠〈〜へ盗用する〉流行作家がつい他人の文章を盗用することがあるらしい。 **どうよう**[同様]○同じ様子であること。同じさま。[文例]〈〜と同様に〉次の問題も前の問題と同様に、xに5を代入すればいいのです。♠〈同様な意見〉三番目に演説した人も、最初の人と同様な意見を述べました。♠〈同様の手口〉警察は今回の犯行が山口県で起こった事件と同様の手口であったことから、同一犯人によるものと断定した。♠〈新品同様〉大事に扱[あつか]っているせいか、買ってから一年もたつのに、このナイフは新品同様の輝[かがや]きをもっている。♠〈兄弟同様〉年が近いこともあって、いとことぼくは兄弟同様に育てられた。 **どうよう**[童謡]○子供のうたう歌。子供のための歌。わらべうた。[文例]〈童謡を歌う〉童謡を歌うと、子供のころの思い出が心によみがえります。♠〈〜へ童謡を口ずさむ〉女は酒に酔うと、子供のころによく歌ったという童謡を口ずさんだ。 **どうよう**[動揺]○揺れ動くこと。不安で落ち着かないこと。「文例」〈車体の動揺〉タイヤに改良を加え[くわ]たことで、車体の動揺は、従来よりずっと少なくなった。♠〈心の動揺〉意外なできごとに、わたしは心の動揺を隠しきれなかった。♠〈動揺をおさえる〉もっと詳しく説明しなければ、人々の動揺をおさえられないだろう。♠〈動揺を引き起こす〉大臣の不用意な発言は、政界に大きな動揺を引き起こした。♠〈〜へ動揺を誘う〉投手が投球動作に入ると、打者はバントの構えをして相手の動揺を誘[さそ]った。♠〈動揺する〉こんなことで動揺してはいけないと思いながら、わたしの頭は混乱していた。 **とうらい**[到来]○やって来ること。贈り物が届くこと。[文例]〈春の到来〉庭のマンサクの花が咲き始めて、待ちかねた春の到来を告げてくれます。♠〈チャンスの到来〉あらしがおさまり、待機中の登山隊にとっては、またとないチャンスの到来だ。♠〈〜へ黒船の到来〉黒船の到来は、太平の眠りをむさぼる日本中を驚[おどろ]かせた。♠〈到来する〉シベリアから海を渡って、また白鳥たちの到来する季節となった。 **どうらく**[道楽]○趣味として楽しむこと。娯楽・享楽にふけること。趣味や娯楽。[文例]釣りは、おじいさんのたった一つの道楽なのでした。♠〈道楽をする〉年をとってから泣くことになるよ、若い時に道楽ばかりしていると。♠〈〜へ道楽が過ぎる〉若だんなは道楽が過ぎて、とうとう親から勘当[かんどう]されてしまった。♠〈〜へ道楽者〉それ芝居だ旅行だと、あの道楽者にも困ったものだ。 <768> **どうらく**[道楽]○趣味として楽しむこと。娯楽・享楽にふけること。趣味や娯楽。[文例]釣りは、おじいさんのたった一つの道楽なのでした。♠〈道楽をする〉年をとってから泣くことになるよ、若い時に道楽ばかりしていると。♠〈〜へ道楽が過ぎる〉若だんなは道楽が過ぎて、とうとう親から勘当[かんどう]されてしまった。♠〈〜へ道楽者〉それ芝居だ旅行だと、あの道楽者にも困ったものだ。♠〈食い道楽〉〈着道楽〉大阪は食い道楽、京都は着道楽と、昔からよく言います。 **どうり**[道理]○物事の筋道。理屈に合っていること。[文例]〈道理に合う〉道理に合わないことを言って、人を困らせないでください。♠〈〜へ道理にかなう〉あなたのおっしゃることは、道理にかなっています。♠〈〜へものの道理〉〈道理をわきまえる〉あなたのお父さんは、ものの道理をわきまえた立派な方ですね。♠〈道理がない〉そんなひどい事が許される道理がない。♠〈無理が通れば道理がひっこむ〉「無理が通れば道理がひっこむ」では、世の中、力や金ばかりで動くようになる。♠〈〜へどうりで〉「なるほど、どうりで変だと思ったんだ。」と、田中君は笑いながら言った。 **とうりゅう**(逗留)○旅先に宿泊し、とどまること。[文例]〈逗留が長びく〉川に橋がかかっていなかったころは、増水で渡し船が出ず、旅人の逗留が長びくこともよくあった。♠〈逗留する〉旅人は特に目的のある旅でもないらしく、この旅館にすでに半月も逗留している。 **とうりゅうもん**[登竜門](登龍門)○(鯉[こい]がそこを登ると竜になるという中国の故事から)出世のための関門。[文例]〈文壇への登竜門〉芥川賞[あくたがわしょう]は、文壇への登竜門として有名です。♠〈新人の登竜門〉この音楽祭は、新人歌手の登竜門となっている。 **とうりょう**[頭領]○かしら。首領。頭目。[文例]〈群れの頭領〉あのがんは沼地に集まる群れの頭領らしく、油断のないなかなか利口なやつだ。♠〈〜へ平家の頭領〉平家の頭領平清盛[たいらのきよもり]は、平治[へいじ]の乱で源氏と激突[げきとつ]した。 **とうりょう**[棟梁]○(家の棟[むね]と梁[はり]から)集団を支える者。(大工の)親方。[文例]〈大工の棟梁〉大工の棟梁の話だと、最近はよい材木が手に入りにくいという。 **どうりょう**[同僚]○同じ職場で働く仲間。[文例]〈会社の同僚〉昨夜、わたしは会社の同僚を家へ連れてきました。♠〈同僚の先生〉今夜は、同僚の先生と一杯飲みます。 **どうりょく**[動力]○機械を動かす力。原動力。[文例]〈動力を用いる〉動力を用いて、船を動かすようになったのは最近です。♠〈〜へ動力が伝わる〉もう少し動力が伝わる率をよくすれば、この機械の仕事量も増すだろう。♠〈動力源〉発電の動力源となるのは、火力や水力など、そして最近では原子力です。 **どうるい**[同類]○同じ種類。同じ仲間。[文例]トラ・ヒョウ・ライオンは、みなネコ科の同類です。♠王様は政治犯も殺人犯も窃盗犯[せっとうはん]も同類であるとして、一つの牢[ろう]にほうりこみました。 **どうれつ**[同列]○同じ列。同じ序列・地位・程度など。[文例]前から三列目の左端が父、同列の右から二番目が叔母です。♠〈同列に論じる〉二人の子は年齢が違うのですから、その出来を同列に論じるわけにはいきません。♠〈〜へ同列に置く〉同じ点数とは言え、努力家の彼女となまけ者のきみを同列に置くことはできない。 **どうろ**[道路]○人や車両が通行する道。[文例]〈道路を走る〉付近の住民は昼間はもちろん、夜になっても道路を走るトラックの騒音[そうおん]に悩まされている。♠〈道路が続く〉荒涼[こうりょう]とした砂漠[さばく]の中を、地平線のかなたまで一本の道路が続いている。♠〈〜へ道路に沿う〉道路に沿ってきれいな柳[やなぎ]が植えてあることから、柳通り[やなぎどおり]と呼ばれている。♠〈道路をはさむ〉小学生らしい男の子が二人、道路をはさんでキャッチボールしている。♠〈〜へ道路をふさぐ〉大雨で土砂崩れ[どしゃくず]が起き、何本もの木が道路をふさいでいて、車両の通行は不可能です。♠〈道路が通じる〉観光道路が通じてから、この地方への観光客は三倍近くになりました。♠〈〜へ幹線道路〉シルクロードは、古代中国とヨーロッパを結ぶ幹線道路だった。 **とうろく**[登録]○正式の帳簿に記載すること。[文例]〈登録する〉わたしは健康な体を人のために役立てたいと思い、今日、アイバンクに登録してきました。♠〈住民登録〉引っ越してきた次の日、市役所へ行って住民登録をすませた。 **とうろん**[討論]○議論をたたかわせること。ディスカッション。[文例]〈討論をする〉討論をすると、自分の考えがより深まったり、新しい観点が出てきたりします。♠〈討論に入る〉各クラスの代表の報告のあと、議題の討論に入った。♠〈討論が進む〉みんな、あまり自分の意見を出さないので、討論が進まなくなりました。♠〈討論する〉ホームルームの時間に小グループに分かれ、平和について討論することになりました。 **とうろう**(灯籠・燈籠)○灯火を入れておく、竹や木、石、金属製の照明器具。[文例]庭に置かれた灯籠に灯がともり、ほのぼのとした春の宵[よい]です。♠〈〜へ灯籠流し〉この川では、毎年お盆の終わりに灯籠流しの行事が行われる。 **どうわ**[童話]○子供のためのお話。[図例]〈童話を読む〉昨日は一日暇[ひま]だったので、午後からは妹に童話を読んでやった。♠〈〜へ童話の世界〉鳥が話をしたり、人が空を飛んだりするのは、童話の世界でのことです。♠〈〜へ童話を書く〉子供が好きで、子供の気持ちがわからなければ、いい童話は書けないと思う。 **とうわく**[当惑]○どうしたらよいか迷うこと。[文例]〈当惑の色〉PTAの役員に推[お]された母は、当惑の色をかくせません。♠〈当惑する〉せっかく勉強に身が入っているときに、友達が遊びにくると当惑する。♠〈〜へ当惑顔〉セールスマンは、客の当惑顔を無視してしつこく商品を売りこんできた。♠〈当惑気味〉町会長に選出された父は、会社の仕事が忙しいのに……と当惑気味だ。 **とおあさ**[遠浅]○岸から遠くまで浅いこと。[文例]家の近くの海は遠浅なので、水遊びをするのによい。♠遠浅の海岸は海水浴にはいいが、船の出入りする港には向かない。 **とお・い**[遠い]○距離が離れている。時間の隔たりが大きい。 <769> **とお・い**[遠い]○距離が離れている。時間の隔たりが大きい。程度の差が大きい。関係が薄い。親しくない。感覚や意識がはっきりしない。ぼんやりしている。[文例]〈遠い所〉遠い所をわざわざおこしくださって、ありがとうございます。♠〈遠い道〉人の一生は重荷を背負って遠い道を行くようなものだ。♠〈遠い先〉人類が火星や金星に行けるのも、それほど遠い先のことではない。♠〈遠い昔〉この村が交通の要地として栄えたのは、ずっと遠い昔のことです。♠〈〜へ完成に遠い〉その作品は、まだ完成には遠いと言っていいでしょう。♠〈〜へ遠く及ばない〉がんばってはいるが、その力はレギュラーには遠く及ばない。♠〈遠い存在〉そんなことから和男は、わたしにとってすっかり遠い存在になってしまった。♠〈遠い親類〉幼い兄弟は、遠い親類をたよって、たった二人だけで四国へ向かいました。♠〈〜へ足が遠くなる〉冬の間は、その池に鳥たちが姿を見せないので、わたしたちの足も遠くなります。♠〈〜へ電話が遠い〉電話が遠くてよく聞きとれないんですが、もっと大きな声でお願いします。♠〈〜へ耳が遠い〉八十を過ぎた祖母は、まだたっしゃだが、耳は遠くなった。♠〈〜へ縁[えん]が遠い〉海外旅行なんて、金も暇[ひま]もないぼくには縁の遠い話さ。♠〈〜へ気が遠くなる〉彼の研究は、気の遠くなるような長い時間と根気のいるものだった。♠〈〜へ遠くて近きは男女の仲〉「遠くて近きは男女の仲」とは言うものの、彼はいつのまに彼女と知り合ったんだろう。♠〈〜へ遠くの親類より近くの他人〉いざという時には、遠くの親類より近くの他人の助けがいる。 **とおえん**[遠縁]○遠い血縁。遠い親類。[文例]〈遠縁の親戚〉田中さんとは親戚だが遠縁なので、ほとんどつきあいはありません。♠〈〜へ遠縁にあたる〉この村の山本村長は、母方の遠縁にあたります。♠〈〜へ遠縁を頼る〉戦争で両親を失った彼女は、長野に住む母の遠縁を頼って疎開[そかい]していった。 **とおざか・る**[遠ざかる]○遠く離れて行く。疎遠になる。[文例]〈港を遠ざかる〉船が港を遠ざかるにつれて、桟橋[さんばし]で見送る人の顔が見えなくなった。♠〈足音が遠ざかる〉母かと思った足音が、うちの前を通り過ぎてだんだん遠ざかった。♠〈〜へ視野から遠ざかる〉飛行機は、離陸[りりく]するとみるみる視野から遠ざかってしまった。♠〈〜へ友と遠ざかる〉あいつ、悪友としばらく遠ざかっていたのに、またつき合い始めたようだな。♠〈〜へ学問から遠ざかる〉サラリーマンになって学問から遠ざかっていた兄が、大学へ戻[もど]ると言いだした。 **とおざ・ける**[遠ざける]○遠くへ離れさせる。疎遠にする。[文例]〈人を遠ざける〉消防士は、やじうまを火事場から遠ざけるのに一苦労した。♠〈敵を遠ざける〉スカンクはきついにおいのおならで敵を遠ざけ、身を守ろうとします。♠〈敬して遠ざける〉正直だが口うるさい老人だったので、近所の人々は敬して遠ざけていた。 **とおし**[通し]○通すこと。初めから終わりまで続いていること。料理の前に出す簡単な食物。[文例]〈通しで働く〉彼は開店の十時から閉店の八時まで、その日は休まず通しで働いていた。♠〈〜へ通しの切符〉仙台まで通しの切符を買いましたが、東京で途中下車するつもりです。♠〈通し番号〉二十枚の宝くじには通し番号が打たれていた。 **とお・す**[通す](徹す・透す)○突き貫く。通じさせる。通過させる。通行させる。行き着かせる。最後まで続ける。経由する。[文例]〈針に糸を通す〉老眼のおばあさんにとって、針に糸を通すのは、とても大変な仕事のようです。♠〈そでを通す〉買ってから、まだ一度もそでを通していない着物がたくさんあります。♠〈光を通す〉このガラスは特殊[とくしゅ]な加工をほどこしているので、光を通しません。♠〈道を通す〉A市からB市に国道を通す作業は、来年三月に完成する予定です。♠〈車を通す〉警官は免許証[めんきょしょう]を確かめながら、一台一台、車を通した。♠〈部屋へ客を通す〉その部屋は父の仕事場だったので、客を通すことはめったになかった。♠〈窓を通す〉この部屋からは、南側の大きな窓を通して、はるかに海を見ることができる。♠〈法案を通す〉この法案を通すかどうかが、今度の国会の焦点[しょうてん]です。♠〈熱湯を通す〉少し時間がたっているから、一度、熱湯を通してから食べたほうがいいよ。♠〈新聞に目を通す〉父は、毎朝出勤前にコーヒーを飲みながら、新聞にざっと目を通します。♠〈筋を通す〉そんなに感情的にならないで、筋を通して話してください。♠〈無理を通す〉自分勝手で、無理を通そうとする彼には、どうしても好感がもてない。♠〈意地を通す〉自分の意地を通すのもけっこうだが、全体で決まったことは守ってくださいよ。♠〈我を通す〉悪いのは自分ではないから謝る必要はないと、弟は最後まで我を通した。♠〈年間を通して〉ぼくは、年間を通して読む本を決め、計画表に書き込んでいます。♠〈無欠席で通す〉幸子[さちこ]は中学三年間、無遅刻[ちこく]・無欠席で通し、成績もよかった。♠〈独身を通す〉わたしたちは、将来結婚するか、独身を通すかという話で議論を始めました。♠〈先生を通す〉入学試験の結果は、先生を通して、ぼくたちみんなに伝えられた。♠〈〜をとおして〉この商品は、テレビをとおして宣伝しているからか、よく売れるんですよ。 **トータル**○合計。総計。全体的。[文例]〈トータルする〉三日間の入場者数は、トータルすると十万人を超えます。♠〈〜へトータルな見方〉細かい部分に目を配ることもだいじですが、全体を見とおすトータルな見方も必要です。 **とおで**[遠出]○遠くへ出かけること。[文例]〈遠出をする〉先週の日曜日は、久しぶりに家族と車で遠出をしました。♠〈遠出する〉一週間も親元を離れて遠出するのは今回が初めてです。 **とおの・く**[遠のく](遠退く)○遠ざかる。疎遠になる。間遠になる。[文例]〈音が遠のく〉草陰[くさかげ]にじっとしていると、足音はやがて遠のいていった。♠〈危険が遠のく〉係の人は白い旗をふって、危険が遠のいたことを合図した。♠〈実現が遠のく〉村の人たちの反対で、子供たちの夢[ゆめ]の実現は、また一歩遠のいてしまった。♠〈間が遠のく〉あの事件がきっかけで、親友との間がすっかり遠のいてしまった。♠〈練習から遠のく〉しばらくピアノの練習から遠のいていたので、指が思うように動かなくなった。♠〈足が遠のく〉夢中[むちゅう]になって遊んだ公園だったが、いつごろからか足が遠のいてしまった。 <770> **とおのり**[遠乗り]○馬や車で遠くへ出かけること。[文例]〈遠乗りに出る〉伯爵[はくしゃく]夫人は、愛馬にまたがり遠乗りに出たまま帰ってこなかった。♠〈オートバイの遠乗り〉〈遠乗りをする〉働く若い仲間とオートバイの遠乗りをするのがぼくのいちばんの楽しみです。 **とおぼえ**[遠ぼえ](遠吠え)○オオカミやイヌが遠くで長く声を引いてほえること。[文例]〈遠ぼえをする〉うちの犬は救急車のサイレンが聞こえると、それに合わせるように遠ぼえをする。♠〈〜へ負け犬の遠ぼえ〉勝負に負けたくせに、何を今さら負け犬の遠ぼえをするんだ。 **とおまき**[遠巻き]○少し離れて取り巻くこと。[文例]〈遠巻きにする〉炎上するトラックを、集まったやじうまたちは遠巻きにして見ていた。♠〈遠巻きに眺める〉子供たちは山の中で見つけた不思議な物体を遠巻きに眺めるだけで、決して近づこうとはしなかった。 **とおまわし**[遠回し]○それとなく間接的に言うこと。[文例]〈遠回しな言い方〉あの男は鈍感[どんかん]だから、遠回しな言い方をしてもわからないよ。♠先生は冗談[じようだん]を混ぜながら、ぼくの欠点を遠回しに指摘[してき]しました。 **とおまわり**[遠回り]○回り道をすること。てまがかかること。[文例]夜は、遠回りでも明るい道を選んで帰ります。♠〈遠回りをする〉遠回りをしてきたので、だいぶ遅れてしまった。♠〈〜へ遠回りする〉とてもいい月夜だから遠回りして帰ろう。 **とおめ**[遠目]○遠くから見ること。遠視。少し遠いこと。[文例]〈遠目にわかる〉きみの歩き方は特徴があるから、遠目にもそれとわかる。♠〈夜目遠目笠の内〉夜目遠目笠の内といって、よく見えなければどんな女性も美しい。♠〈遠めに外れる〉三球目はアウトコース遠めに外れて、ニストライクワンボール。 **とおり**[通り]○通ること。通る状態。人の通る道。往来。世間に通用すること。受け。伝わる具合。同じであること。方法などの種類の数。[文例]〈広い通り〉広い通りが駅前から四方に延びている。♠〈通りに出る〉この路地を抜けると、大きな通りに出ます。♠〈通りに面する〉ぼくの家は通りに面しているから分かりやすいよ。♠〈通りで遊ぶ〉昔は通りで遊んだものですが、今は交通量が多いので危険です。♠〈風の通り〉この部屋は風の通りが悪くて、夏は暑くてかないません。♠〈〜へ声の通り〉彼の声は通りがいいので、小さな声で話してもちゃんと聞こえます。♠〈〜へ通りがいい〉ぼくは、学校では、本名よりあだ名の方が通りがいいんだ。♠〈元のとおり〉壊[こわ]したおもちゃを直そうとしたのですが、元のとおりにはなりませんでした。♠〈言うとおり〉きみの言うとおりにやったのに、今さらそれがまちがいだなんてひどいよ。♠〈通り道〉駅への通り道にあるポストに葉書を落として行ってください。♠〈裏通り〉大都市も、一歩裏通りへ入ると、人々の生活のにおいがしてまるで別の街のようです。♠〈人通り〉うちの近所は夜の十時を過ぎると、急に人通りがたえてさびしくなります。♠〈二とおり〉この問題の解き方には、二とおりの方法があります。 **とおりいっぺん**[通り一遍]○ひと通り形式が整っているだけで、深く立ち入らないさま。通りがかりに立ち寄ること。[文例]〈通り一遍の説明〉事故に関して会社側は通り一遍の説明をするばかりで、詳しいことは何一つわからなかった。♠〈〜へ通り一遍のあいさつ〉二人は通り一遍のあいさつをしただけで、その後全然口をききませんでした。♠〈〜へ通り一遍の解釈〉通り一遍の解釈では、この文章の深い味わいを読みとることはできないでしょう。 **とおりすがり**[通りすがり]○通りがかり。通りがけ。[文例]〈通りすがりの人〉道に迷って通りすがりの人に駅を教えてもらいました。♠〈〜へ通りすがりの店〉通りすがりの店ののれんを分けて、顔を赤くした夫が出てきた。 **とおりま**[通り魔]○通りすがりの人に危害を加える魔物・人。[文例]〈通り魔が出没[しゅつぽつ]する〉通り魔が出没するというので、日が暮れるとこの道はだれも通りません。 **とお・る**[通る](徹る・透る)○貫く。突き抜ける。端から端まで届く。通過する。通行する。響きわたる。行きわたる。知れわたる。伝達される。通用する。認められる。[文例]〈道を通る〉道がせまくなっているので、左側を通ってください。♠〈道が通る〉山奥のこの村にも、やっと道が通り、バスが通うようになった。♠〈糸が通る〉針の穴に糸が通らなくて、いらいらしてきた。♠〈風が通る〉ぼくの部屋は、南と北に窓があるので、風が通ってすずしい。♠〈鼻が通る〉つまっていた鼻がやっと通ったぞ。♠〈〜へのどを通る〉おまえが入院中、お母さんは心配で、食べ物がほとんどのどを通らなかったよ。♠〈〜へ声が通る〉役者にとって大切なのは、遠くまで聞こえるよく通る声です。♠〈〜へ火が通る〉この魚は、まだ火が中まで通っていません。♠〈〜へ試験に通る〉明日の二次試験に通れば、彼の合格は内定します。♠〈〜へ検査に通る〉当社の製品がやっとめんどうな検査に通りました。♠〈〜へ予選を通る〉なんとか予選を通ったので、これから決勝だ。♠〈〜へ議会を通る〉中学校を新設する法案が市議会を通って、いよいよ建設が始まるらしい。♠〈意見が通る〉今度の計画に関しては、わたしの意見が通ったので満足しています。♠〈弁解が通る〉そんないいかげんな弁解は通らないよ。♠〈変人で通る〉田中さんは、学校一の変人で通っています。♠〈名が通る〉電車で二時間ほど行くと、この辺では名の通った海水浴場があります。♠〈注文が通る〉四番テーブルのお客さんの注文は通っていますか。♠〈意味が通る〉一般に、短い文より長い文のほうが意味が通りにくくなる傾向があります。♠〈筋が通る〉きみの言っていることは筋が通っていないから、ぼくは反対だね。♠〈鼻筋が通る〉彼の妹は、鼻筋の通った美人です。♠〈世の中が通る〉困ったらだれか助けてくれるだろうなんて、あまい考えで、世の中が通ると思うのかね。♠〈無理が通れば道理が引っこむ〉社長が言うのなら、「無理が通れば道理が引っこむ」で、従うより仕方がないさ。 **トーン**○音の調子。口調。色の調子。[文例]〈声のトーン〉〈トーンが高い〉話が自分の専門分野になると、博士[はかせ]の声のトーンが高くなった。♠〈トーンが下がる〉脱退者が相次ぎ、次第に反対運動のトーンも下がっていった。 <771> **トーン**○音の調子。口調。色の調子。[文例]〈声のトーン〉〈トーンが高い〉話が自分の専門分野になると、博士[はかせ]の声のトーンが高くなった。♠〈トーンが下がる〉脱退者が相次ぎ、次第に反対運動のトーンも下がっていった。♠〈〜へ色のトーン〉白と黒を基調とした単調なトーンの洋服が流行している。 **とが**(科・咎)○あやまち。過失。罪。欠点。[文例]店の金に手をつけた奉公人[ほうこうにん]は、そのとがで店を追い出されました。♠〈とががある・ない〉お秀[ひで]に咎はありません。始めから由雄[よしお]さんが悪いに極[きま]ってるんだもの。(夏目漱石「明暗」)♠〈罪とが〉お役人たちは、罪とがのない農民までしょっぴいて行った。 **とかい**[都会]○にぎやかな町。都市。[文例]〈都会の生活〉若い人たちは、都会の生活にあこがれているようです。♠〈〜へ都会へ出る〉村で暮らせなくなった一家は都会へ出て来たが、都会の暮らしも楽ではなかった。♠〈都会のにおい〉国道に出て二十キロも行けば、都会のにおいのする店が見られます。♠〈都会生まれ・育ち〉都会生まれで都会育ちのわたしがりんごの木を見たのは、これが初めてです。♠〈都会人〉ラジオやテレビを通じて、地方の祭りや民謡[みんよう]が都会人にもなじみ深くなりました。♠〈大都会〉東京は日本一の大都会で、政治・経済・文化の中心地です。 **どがいし**[度外視]○考えの外に置くこと。考慮しないこと。[文例]〈損得を度外視する〉損得を度外視しても、子供たちが喜んでくれるのなら、この仕事はやりとげたいのです。♠〈勝敗を度外視する〉とても勝てる相手ではないので、勝敗は度外視して、胸を借りるつもりで試合に臨みました。 **とかく**(兎角)○あれやこれや。ややもすれば。いずれにしても。[文例]〈とかくする〉荷物を網棚[あみだな]に乗せたり座席を決めたり、とかくするうちにバスは満員になった。♠〈〜へとかくのうわさ〉多額の借金があるとか、奥さんとけんかが絶えないとか、彼にはとかくのうわさがある。♠冬はとかく体を動かすのが面倒[めんどう]になり、家の中でごろごろすることが多くなる。♠山路[やまみち]を登りながら、こう考えた。智に働けば角[かど]が立つ。情に棹[さお]させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。(夏目漱石「草枕[くさまくら]」) **とか・す**[解かす・溶かす](梳かす)○液状にする。髪をブラシ・くしですく。[文例]〈雪を解かす〉道路にかたまっている雪を、お湯をかけて解かした。♠〈銅・鉄を溶かす〉今から千五百年も前に、銅や鉄を火で溶かして、くらしに必要な道具をこしらえていた。♠〈水に溶かす〉食塩を水に溶かして、ビーカーの中に入れた。♠〈〜へ髪をとかす〉父のくしを借りて水にぬらし、鏡の前で寝癖[ねぐせ]のついた髪[かみ]をとかした。 **どか・す**(退かす)○よそへ移す。どかせる。[文例]〈自転車をどかす〉道路が狭いので、あの自転車をどかさないと車が通れない。♠〈〜へ家をどかす〉道路の拡張工事に伴[ともな]い、こちら側の家はすべてどかされることになった。 **とが・める**(咎める)○非難する。責める。問いただす。悪化させる。[文例]〈先生にとがめられる〉校門のところでぶらぶらしていたら、そこの学校の先生にとがめられた。♠〈不注意をとがめる〉誤ってコップを倒[たお]し、お客の衣服を汚[よご]したウエートレスが、不注意をとがめられていました。♠〈〜へ良心がとがめる〉人をだしぬくようなことをするのは良心がとがめる。♠〈〜へ気がとがめる〉生徒をあまりきつくしかってしまったので、気がとがめて一日中落ち着かなかった。 **とがら・す**(尖らす)○先端を鋭くする。鋭敏にする。とげとげしくする。とがらせる。[文例]〈物をとがらす〉自転車のスポークをやすりでとがらして棒の先にくくりつけ、川の魚を突いたりして遊んだ。♠〈〜へ鉛筆をとがらす〉鉛筆[えんぴつ]をもっととがらして書いてごらん。♠〈〜へ口をとがらす〉「わたしが悪いんじゃないのに。」と、妹は口をとがらして言った。♠〈神経をとがらす〉かすかな音も聞き逃すまいと、神経をとがらしていた。♠〈目をとがらす〉机に座[すわ]ってマンガを読んでいたら、うしろに目をとがらした母が立っていた。♠〈〜へ声をとがらす〉「何度言ったら分かるんだ!」と、父はいつになく声をとがらしてどなった。 **とが・る**(尖る)○先端が鋭くなる。鋭敏になる。とげとげしくなる。[文例]〈先がとがる〉キツツキは、先のとかたくちばしで木に穴をあけます。♠〈とがった鼻〉鼻のとがった、白い犬がさっきからキャンキャンほえている。♠〈〜へとがった石〉老人は、とがった石を拾って、地面に何かかき始めた。♠〈神経がとがる〉本番前で神経がとがっていたらしく、ちょっとした物音も気になった。♠〈目がとがる〉勉強しないでずっとテレビを見ていたら、だんだん母の目がとがってきた。 **とき**[時]○時間。時刻。時期。時節。折。よい機会。時代。時勢。その時。その時話題の。[文例]〈時の流れ〉長い時の流れのうちに、昔の日本語がだんだん変わって、今の言葉になりました。♠〈時は金[かね]なり〉「時は金なり」ということわざは、時間が大切なものであることを教えている。♠〈時がたつ〉久しぶりに会った幼友達と、時のたつのも忘れて思い出話に花をさかせました。♠〈時を告げる〉時を告げる鐘の音が夕暮れの山里に響き渡[わた]る。♠〈時を移さず〉公演が終わると、大道具の人たちは時を移さず、次の公演の準備を始めた。♠〈別れの時〉やがて辺りがうす暗くなり、二人は別れの時が近づいたことを感じた。♠〈若葉の時〉五月から六月にかけて、いわゆる若葉の時がわたしのいちばん好きな季節です。♠〈時を過ごす〉その日は大勢のお客さんを招待して、にぎやかな楽しい時を過ごしました。♠〈都合のいい時〉土曜日の午後か日曜日の午前中か、どちらか都合のいい時を選んでおいてください。♠〈時をみる〉今は感情が高ぶっているからそとしておこうよ、時をみてぼくが話をつけるから。♠〈時による〉ふだんは活発なわたしが時によって内気になるのは、どうしてかしら。♠〈時を待つ〉今は活動の時を待って、力をたくわえているのです。♠〈時をかせぐ〉親鳥は、ねこの頭上をバタバタ飛び回り、ひな鳥がにげる時をかせごうと必死だ。♠〈〜へ時ならぬ時〉〈時をつくる〉にわとりが時ならぬ時に、時をつくって、家の者をおどろかせた。♠〈時の帝[みかど]〉時の帝は、美しいかぐや姫[ひめ]をぜひ宮中にむかえたいと、度々お召しになりました。♠〈時の人〉平凡なサラリーマンの彼が事件にまきこまれて、いちやく時の人になった。♠〈時の運〉勝負は時の運だから、努力が実を結ぶとはかぎらないさ。♠〈時を得る〉機をうかがっていたが、今こそ時を得たりとばかりに事業の拡大に乗り出した。 <772> **どき**【怒気】○怒りの気持ち。怒りの様子。[文例]〈怒気を帯びる〉言葉はていねいだが、自分の思い通りにならないという怒気を帯びていた。♠〈怒気を含む〉何が彼を怒らせたのか、表情は怒気を含んでけわしい。 **ときあか・す**【解き明かす】○明らかにする。解明する。[文例]〈真相を解き明かす〉事件の真相は、完全には解き明かされていない。♠〈秘密を解き明かす〉ファーブルは、細かい観察でいろいろな虫たちの秘密を解き明かしていった。♠〈なぞを解き明かす〉新しい鉄剣[てっけん]の発見で、不明になっている四世紀ごろの日本の歴史のなぞが解き明かされるかもしれません。 **ときおり**【時折】○時々。時たま。おりおり。[文例]海の方から、ときおり強い風が吹いてくる。♠彼はたしか、田中さんの所にときおりやってくる男だ。♠転校してしばらくは、ときおり手紙がきたが、今はまったく音さたがない。♠ときおり思い出したように、雲のたれこめた灰色の空から、小雪が舞い落ちます。 **とぎすま・す**【研ぎ澄ます】 (磨ぎ澄ます)○よく研ぎあげる。鋭敏にする。[文例]〈刀を研ぎ澄ます〉研ぎ澄まされた日本刀の刃がきらりと光った。♠〈神経を研ぎ澄ます〉研究員たちは、神経を研ぎ澄まして顕微鏡[けんびきょう]をのぞきこんでいた。♠〈研ぎ澄まされた文章〉芥川龍之介[あくたがわりゅうのすけ]はその研ぎ澄まされた文章で、多くのファンを魅了[みりよう]した。♠〈研ぎ澄まされた感覚〉新進画家の作品からは、研ぎ澄まされた鋭[するど]い感覚がうかがわれます。 **ときたま**【時たま】○時々。時おり。たまに。[文例]〈ほんのときたま〉彼女だってまちがえることもありますが、それもほんのときたまです。♠公園を走る高校生の姿を、ときたま見かけることがあります。♠この地方にも、ときたま雪の降ることがあります。♠野球狂のぼくも、最近は受験勉強にいそがしく、ときたまテレビをのぞく程度だ。 **どぎつ・い**○不快になるほど程度が激しい。強烈でいやらしい。[文例]〈色がどぎつい〉南の国のちょうは、形も大きく、色のどぎついものが多いようだ。♠〈どぎつい化粧[けしよう]〉どぎつい化粧をした女たちが夜の街にたむろしていた。♠〈どぎつい言葉〉面と向かってどぎつい言葉を浴びせられれば、だれだってむっとする。 **どきどき**○心臓の動悸[どうき]が速くなるさま。[文例]〈どきどき鳴る〉あなたの前に出ると、わたしの心臓がどきどき鳴るのです。♠〈どきどきする〉スタートの時間が近づくと、ぼくはどきどきして落ち着かなくなった。 **ときに**【時に】○時あたかも。時々。ところで。[文例]時に一六〇〇年、関ケ原[せきがはら]で天下分け目の戦いがくり広げられた。♠父はふつう八時ころ帰ってきますが、時に十時過ぎになることもあります。♠それは本当によかったですね。時にあちらの件はどうなっていますか。 **ときはな・す**【解き放す】↓ときはな・つ **ときはな・つ**【解き放つ】○束縛を解いて自由にする。解放する。ときはなす。[文例]〈動物を解き放つ〉檻[おり]から解き放たれたシカは、一目散[いちもくさん]に生まれ故郷の草原に帰っていった。♠〈人を解き放つ〉疑いの晴れた男は留置場から解き放たれ、自由の身になりました。♠〈奴隷[どれい]を解き放つ〉トムの身に同情した主人は、奴隷を解き放つように命じました。 **ときふ・せる**【説き伏せる】○説明して自分の考えに賛成させる。説得する。[文例]お父さんをなんとか説き伏せて、新しい自転車を買ってもらいました。♠心配する両親を説き伏せて、姉は仲間とキャンプに出かけた。 **ときほぐ・す**【解きほぐす】○ほどく。ほぐす。やわらかくする。[文例]〈糸を解きほぐす〉もつれた釣り糸を解きほぐそうとしているうちに、なんだかいらいらしてきた。♠〈筋肉を解きほぐす〉使い過ぎで固くなった筋肉を解きほぐすには、マッサージが効果的です。♠〈緊張を解きほぐす〉出番を前に、大きく深呼吸をして緊張を解きほぐそうとした。 **どぎまぎ**○あがって、うろたえるさま。[文例]〈どぎまぎする〉彼女は大勢の人の前に出ても、あがったりどぎまぎしたりしない、しっかりした人です。♠〈どぎまぎする〉美人の看護婦さんに脈をとられ、どぎまぎしてしまった。 **ときめき**○胸がどきどきすること。[文例]〈心のときめき〉中学校二年生の春、初めてコンサートに行ったときの心のときめきを今でも思い出す。♠〈胸のときめき〉彼女と廊下ですれちがうだけで、故[ゆえ]知れぬ胸のときめきを覚えたものです。 **ときめく**○胸がどきどきする。[文例]〈心がときめく〉ときめく心をおさえながら、高校の合格発表を見に行きました。♠〈心ときめく〉あこがれの高校に入れて、今日はいよいよ喜びに心ときめく入学式です。♠〈胸がときめく〉明日[あした]の誕生日[たんじょうび]には、どんなプレゼントがもらえるか、今から期待に胸がときめく。 **ドキュメンタリー** ○記録もの。記録映画。[文例]この番組は、一年間アラスカの自然の中で取材をしたドキュメンタリーです。♠〈ドキュメンタリー映画〉オリンピックの名場面を集めたドキュメンタリー映画を見て、ぼくはまた感動 **とき**【時】○時間の移り変わり。時刻。季節。機会。場合。ころあい。[文例]〈時がたつ〉いなかに引っ込んでから、十年という時がたった。♠〈時を待つ〉新しい事業の開始にふさわしい時を待っている。♠〈時を稼ぐ〉相手の戦力を分析する時を稼ぐために、停戦を申し入れた。♠〈時を告げる〉わが家の柱時計は、のんびりと正午の時を告げた。♠〈時を計る〉百メートル走のタイムを計るのを手伝った。♠〈時を移さず〉事件が起こると、彼は時を移さず現場に駆けつけた。♠〈時を重ねる〉あの若い夫婦も、時を重ねるにつれて、しっくりしたいい夫婦になるだろう。♠〈時を過ごす〉この島で、ぼくは何もすることがないまま時を過ごす。♠〈時を忘れる〉夢中になって話しているうちに、すっかり時を忘れてしまった。♠〈時に及んで〉遅刻しそうになったが、時に及んでバスが来たので助かった。♠〈時が時〉彼に悪いことが起こるという時が時に、きみまでが病気になるなんて。♠〈時ならぬ〉時ならぬ大雪のため、交通はマヒ状態だ。♠〈時を失う〉この地方では、時を失うと種のまきどきがなくなってしまう。♠〈時ならぬ〉時ならぬ長雨で、せっかく実ったリンゴがみんなだめになってしまう。♠〈時を得る〉事業に失敗して落ち込んでいた彼は、好景気に恵まれて、ここぞ時を得たりとばかりに事業の拡大に乗り出した。♠〈時を得顔〉あの男は、自分の身内が社長になったとたん、時を得顔にいばりだした。♠〈時の氏神[うじがみ]〉大きな荷物をかかえて困っているところに車で通りかかった友達は、時の氏神といえます。♠〈時移り星かわり〉古くは港として栄えたこの地も、時移り星かわり、今は過疎の漁村にすぎません。♠〈時には〉時には、今のわたしとまったく別な人間に変身してみたいな。♠〈時も時〉お父さんが入院したという時も時に、おまえまでが事故に遭うなんて。♠〈〜するとき〉ねずみは、あと足だけで立とうとするとき、しっぽをまっすぐのばして、体のつりあいをとる。 <773> **どきょう**[度胸]○物事に動じない気力。きもっ玉。[文例]〈度胸がある・ない〉オートバイ競技は見ていてスカッとするが、ぼくにはやってみるだけの度胸がない。♠〈〜へ度胸を据える〉負けてもともとと、兄は度胸を据えて試合場に向かっていった。♠〈〜へ度胸が据わる〉さすがベテラン、無死満塁[まんるい]のピンチにもかかわらず、度胸の据わったピッチングをする。♠〈度胸をつける〉応援団長は新入団員に度胸をつけさせるため、商店街を大声で歌って歩くように命じた。♠〈〜へ度胸を決める〉わたしは度胸を決めて、薄暗い森の中へずんずん入って行った。♠〈〜へ度胸が満点〉彼女は試合経験は少ないが、ここ一番にかける度胸は満点です。♠〈度胸のよさ〉キャプテンの長所をたずねると、選手たちはみんな、度胸のよさをあげていました。♠〈いい度胸〉先生の目の前で、漫画[まんが]を読むなんて、いい度胸だね。♠〈男は度胸〉男は度胸、女は愛嬌[あいきよう]と、昔は言ったものさ。♠〈度胸だめし〉今夜の度胸だめしでいちばんこわかったのは、白い布がふんわり空を飛んでいったときだ。 **とぎれとぎれ**(途切れ途切れ・跡切れ跡切れ)○とぎれながら続くさま。[文例]〈とぎれとぎれに聞こえる〉電波の状態が悪いのか、ラジオの音はとぎれとぎれに聞こえてくるばかりです。♠〈〜へとぎれとぎれになる〉忙しかったり引っ越しをしたりで、何度かとぎれとぎれになりましたが、森田さんとの文通は今も続いています。♠〈〜へとぎれとぎれ話す〉彼女は今までの苦労話を、涙を流しながらとぎれとぎれ話してくれました。 **とぎ・れる**(途切れる・跡切れる)○途中で切れる。とだえる。[文例]〈列がとぎれる〉行列は、約二百メートルもとぎれることなく続いていた。♠〈流れがとぎれる〉やっと車の流れがとぎれたので、急いで向こう側に渡[わた]った。♠〈〜へ人家がとぎれる〉人家のとぎれた丘の陰に、荒れ果てた墓地があった。♠〈話がとぎれる〉始業のベルが鳴ったので、わたしたちの話はそこでとぎれました。♠〈〜へ言葉がとぎれる〉彼女は何か言おうとしたが、悲しみのあまり言葉がとぎれた。♠〈便[たよ]りがとぎれる〉東京で働いている兄の便りが二年前からとぎれているので、父も母も心配している。♠〈〜へ眠り[ねむ]がとぎれる〉明け方近くに、ふっと眠りがとぎれて、そのまま朝まで床[とこ]の中であれこれと考えていた。 **とく**[得]○利益、もうけ。また、利益を得ること。有利なさま。[文例]あまり使わないものだったら、買うより借りたほうが得だ。♠〈〜へ得な性分〉悪口を言っても気にされないなんて、本当に得な性分だね。♠〈〜へ得になる〉人のあらさがしをしたって、一文[いちもん]の得にもならない。♠〈〜へ損して得とれ〉「損して得とれ」のことわざどおり、この店は、よい品を安く売って繁盛[はんじよう]している。♠〈得をする〉他人を利用して得をしようだなんて、醜[みにく]いことはよせ。♠〈〜へ得する〉今度の事件で得したのは、まっ先に逃げ帰ったサブちゃんだろう。 **とく**[徳]○すぐれた人格。恩恵。もうけ。得。[文例]〈徳がある〉徳のある人のまわりには、自然と人が集まるものです。♠〈徳が高い〉昔、中国に、三蔵法師[さんぞうほうし]という徳の高いお坊さんがおりました。♠〈徳をしたう〉良寛[りようかん]様のいおりには、弟子や村人ばかりか、子供や動物までがその徳をしたって集まったといいます。♠〈〜へ徳を養う〉徳を養うために、僧は一生懸命修行に励[はげ]みました。♠〈〜へ徳を施[ほどこ]す〉信心深く、心の優しいおばあさんは、仏様から徳を施され、幸せに暮したそうな。♠〈早起きは三文の徳〉早起きは三文の徳といって、昔の人は朝早くから働いたものです。 **と・く**[解く・溶く]○ほどく。ほぐす。ばらばらにする。取り除く。解除する。やめさせる。しずめる。解明する。明らかにする。液の中によくまぜ入れる。とかす。[文例]〈ひもを解く〉かたく結びすぎたせいか、どうしても、靴[くつ]のひもを解くことができません。♠〈包みを解く〉小包が届いたので、急いで包みを解いたら、おじいさんがついたおもちが出てきた。♠〈〜へ帯を解く〉着なれない着物で一日じゅう苦しかったでしょう、さあ、帯を解いてあげましょう。♠〈〜へ囲みを解く〉囲みを解いて、中の羊を野原に放した。♠〈〜へなぞを解く〉さまざまな宇宙のなぞを解くために、科学者が観測と研究を続けています。♠〈疑問を解く〉「人間はなぜ生きるのか」という疑問を解くのは、たいへん難しい。♠〈秘密を解く〉人間世界のさまざまな秘密を解くかぎは、考えを深めることによって、自分の力で発見することだ。♠〈誤解を解く〉彼女の誤解を解くことができないまま、その後、彼女に会う機会がありません。♠〈禁止を解く〉治安がよくなったので、政府は、夜間の外出禁止令を解くことにした。♠〈〜へ任を解く〉わいろをもらっていたことがわかって、市の職員がその任を解かれた。♠〈警戒[けいかい]を解く〉犯人逮捕の知らせで、いっせいに警戒が解かれました。♠〈緊張を解く〉勉強ばかりしていないで、たまには散歩でもして、緊張を解いたほうがいいよ。♠〈〜へ薬を溶く〉〈湯で溶く〉この薬は粉になっていますが、ぬるま湯で溶いて飲んでください。 **と・く**[説く]○言い聞かせてさとす。説明する。[文例]〈教えを説く〉有名なお坊さんが説いた教えをまとめた本が出版された。♠〈〜へ説を説く〉地動説を初めて説いたのは、コペルニクスという人だそうです。♠〈〜へ道理を説く〉子供に対して物事の道理を説いて、よくわからせました。♠〈〜へ道を説く〉学問を教えるのは難しいことではありませんが、人の道を説くとなるとそうはいきません。♠〈〜へ説いて聞かせる〉村人たちにその商品の価値を説いて聞かせたが、分かってもらえなかった。 **と・ぐ**[研ぐ](磨ぐ)○磨いてつやを出す。擦ってとがらせる。こすって洗う。[文例]〈ナイフを研ぐ〉ナイフをといしで研いでみたが、意外にうまくいった。♠〈〜へはさみを研ぐ〉切れなくなったはさみは、といしで研がなくても、銀紙を切ればまた使えるようになるよ。♠〈〜へつめを研ぐ〉ネコがつめを研ぐので、柱の下の方はひっかききずだらけです。♠〈米を研ぐ〉台所から、シャッ、シャッとお米を研ぐ音が聞こえてきます。♠〈牙[きば]を研ぐ〉彼は、命令に従うような態度の裏で、われわれに対して牙を研いでいたのだった。 **どく**[毒]○人体に害を及ぼすもの。毒薬。人の心を傷つけるもの。 <774> **とくい**[得意]○満足していること。誇ること。巧みなこと。ひいきにしてくれる客。[文例]〈得意になる〉プラモデルがうまくできたので、弟は得意になって見せびらかしている。♠〈得意のポーズ〉体を横にして、首だけ右に向けるのが、彼女の得意のポーズです。♠〈得意の絶頂〉彼の得意の絶頂は、四十歳の若さで、大臣になった時だろう。♠〈得意の鼻〉弟は、五重丸のついた絵を見せて、「うまいだろ。」と得意の鼻をぴくぴくさせた。♠〈得意満面〉妹は、きれいな着物を着て、得意満面で七五三のお参りに出かけた。♠へ算数が得意〉ぼくは小学校のころは、算数が得意だった。♠へ得意とする〉カレーライスは、姉さんが得意とする料理の一つだ。♠〈得意中の得意〉暗算は得意中の得意だから、買い物の計算はわたしがしてあげるわ。♠へお得意さん〉増田先生は、うちのお店のお得意さんです。♠へ得意先〉彼が店を開いて三年、それなりに得意先もできて、生活も安定したようだ。♠〈得意回り〉久しぶりにおじが訪ねてきたのに、父は得意回りに出かけて留守でした。 **とくい**[特異]○他とはなはだしく異なるさま。[文例]〈特異な才能〉軽業や曲芸なども特異な才能と言ってよいだろう。♠〈特異な作風〉彼は高名な画家だが、その作風は特異で、ぼくにはどこがよいのかさっぱり分からない。♠く特異体質〉妹は、アレルギー性の特異体質らしく、よくじんましんができる。♠〈特異性〉日本語の特異性の一つは、漢字・平仮名・片仮名・ローマ字など、いくつか表記の方法を併せもつことだ。 **とくいく**[徳育]○道徳心を養い、人格を高めること。→体育・知育[文例]徳育とは、人が生きるうえで大切な心を育てることを言います。♠へ知育・徳育・体育〉知育・徳育・体育は、教育の三本柱です。 **どくえん**[独演]○ひとりで演じること。また、その演技。自分ひとりがしゃべりまくること。[文例]劇の後半三十分は、主演女優の独演が続いた。♠〈独演会〉町内の集まりは、いつも町会長の独演会になってしまう。 **どくが**[毒牙]○毒液を出すきば。あくらつな手段。[文例]〈毒牙にかかる〉詐欺師の毒牙にかかって、田畑を失った農民たちも多かった。♠へ毒牙にかける〉男は金にものを言わせて、次々に若い女性をその毒牙にかけていった。 **どくがく**[篤学]○学問に熱心なこと。[文例]薪[たきぎ]を担[にな]いながら本を読む二宮尊徳[にのみやそんとく]の姿は、彼が勤勉・篤学の象徴であることを示しています。♠へ篤学の士〉江戸時代末期、各地の蘭学塾[らんがくじゅく]には多くの篤学の士が集まりました。 **どくがく**[独学]○先生につかずに独りで学ぶこと。[文例]フランスへ行きたい一心で、独学でフランス語を習得しました。♠〈独学する〉兄は学校へも行かず、独学して建築士の資格を取った。 **とくぎ**[特技]○特にすぐれた技能。[文例]その長い舌の先で鼻の頭をなめるのが彼女の特技だ。♠く特技を生かす〉編み物の特技を生かして、バザーに出すための作品を作っています。♠へ特技を持つ〉手品という特技を持つ春山さんは、忘年会などの宴会[えんかい]には欠かせない人です。 **とくぎ**[徳義]○道徳上守らなければならないこと。[文例]〈徳義を守る〉社会生活を営んでいくには、人としての徳義は守りたいものです。♠へ徳義を解する〉きみはどう思っているか知らぬが、わたしは徳義を解する人間だ。♠ヘ徳義を重んじる〉徳義を重んじる人だったから、信頼を裏切られることをもっとも嫌った。 **どくき**[毒気]♪どっけ **どくけ**[毒気]♪どっけ **どくご**[独語]○ひとり言を言うこと。また、ひとり言。ドイツ語。[文例]〈独語する〉少年が去ってから、老人は、「彼の言う通りかもしれない。」と独語した。♠彼は英語・仏語・独語に加えて、スペイン語もできるそうです。 **どくご**[読後]○読んだ後。[文例]〈読後の印象〉漱石[そうせき]の『坊っちゃん』の読後の印象はどうでしたか。♠へ読後の感想〉シュバイツアーの伝記を読んで、読後の感想をみんなで話し合いました。♠へ読後感〉その作家の最新作は、読後感のさわやかな青春小説です。 **どくさい**[独裁]○物事を独りで決めること。権力を独占すること。[文例]〈独裁を行う〉第二次世界大戦に敗れるまで、ドイツではヒトラーの独裁が行われていました。♠へ独裁者〉現在でも、軍人などの独裁者による政治が行われている国があります。 **とくさく**[得策]○得になるやり方。[文例]あくまでも友好に話を進めるべきであり、相手を怒らせるようなことは得策ではない。♠先生は宿題のことを忘れているようだから、気がつくまでこちらは黙っているほうが得策だ。 もの。また、傷つけること。[文例]〈毒をもつ〉動物の中には、敵を攻撃[こうげき]したり、敵から身を守るために、毒をもっているものがたくさんいます。♠へ毒が回る〉早く傷口を手当てしないと、体に毒が回って死んでしまいますよ。♠へ毒を盛る〉武将は食べ物に毒が盛られていることを警戒[けいかい]して、料理にはしをつけなかった。♠へ毒をあおる〉焼け落ちる城に、もはやこれまでと奥方[おくがた]と姫君[ひめぎみ]は、毒をあおって果てた。♠〈毒を仰ぐ〉古代ギリシアの哲学者ソクラテスは、毒を仰いで死んだという。♠へ毒のある言い方〉この子は、子供のくせに、ときどき皮肉っぽい毒のある言い方をします。♠へ体に毒〉いくら暑いからって、そんなに冷たい物をガブガブ飲んでは、体に毒だよ。♠へ毒にも薬にもならない〉彼は特に役に立たないが、いてもじゃまにはならない、いわゆる毒にも薬にもならない人間です。♠〈目の毒〉こんな高価なドレスは、若い女の子には目の毒かもしれません。♠へ毒をもって毒を制する〉悪人を押さえるのに他の悪人をもってするような例を、毒をもって毒を制すると言います。♠へ毒を食[く]らわば皿[さら]まで〉「毒を食らわば皿まで」だ、こうなったら、とことん悪事を働いてやる。♠〈毒する〉健全な青少年を毒する、と非難される図書があります。 **どく**[退く] ○よそへ移る。その場をあける。のく。[文例]重い荷物を持った人が通ります、ちょっとどいてください。♠道の真ん中で出くわした二人は、どちらもいっこうにどく気配を見せない。 **どくい**[得意] <775> **どくみ**[毒見] **どくさつ**[毒殺]○毒薬を用いて殺すこと。[文例]〈毒殺を企[くわだ]てる〉毒殺を企てる者がいるということで、将軍の食事は厳重に毒見された。♠〈毒殺する〉その後の警察の調べで、被害者は青酸カリによって毒殺されたことがわかった。 **とくさん**[特産]○特にその地方で生産・産出すること。また、その産物。[文例]静岡県の特産は、まずなんと言ってもお茶とみかんでしょう。♠く特産物〉旅行のおみやげには、やはりその土地の特産物が喜ばれます。♠く特産品〉広場では青森のりんごや山梨[やまなし]のぶどうなど、各地の特産品が売られていた。 **とくし**[篤志]○親切な志。[文例]この図書館は、教育に関心を持つ、ある実業家の篤志によって建てられたのだそうだ。♠く篤志家〉近くに住む篤志家が、学校に三台のピアノを寄付してくれた。 **どくじ**[独自]○そのものにだけあって他と異なること。[文例]〈独自に開発する〉この機械は、わが社が独自に開発したシステムを内蔵している。♠〈独自に調査する〉国が発表した数字と、市民のグループが独自に調査した数字とは、ずいぶん違っていた。♠〈独自の見解〉記者会見の席上、科学者は独自の見解を発表し、世間の注目を浴[あ]びました。♠〈独自の立場〉彼は今日までどの団体にも属さず、独自の立場で平和を訴[うった]え続けてきた。♠〈独自性〉いつも他人の意見の受け売りばかりで、彼には独自性が感じられない。 **とくしつ**[特質]○特有の性質。[文例]〈文化の特質〉世界の人々が互いの文化の特質を理解し、尊敬しあうことが平和につながる。♠く特質を生かす〉テレビ・新聞・ラジオなどは、それぞれの特質を生かした報道をするべきです。 **とくじつ**[篤実]○情にあつく誠実なこと。[文例]〈篤実な性格〉山中さんは人から好かれ信頼される、たいへん篤実な性格です。♠へ篤実な性格〉父は、自らの分[ぶん]をわきまえ、責任を忠実に果たす篤実な性格の男だった。♠へ温厚篤実〉彼とは二十年来の長いつきあいになりますが、物腰[ものごし]の柔らかい、温厚篤実な人です。 **どくしゃ**[読者]○新聞・雑誌・本を読む人。作品を読む側の人(→作者)。[文例]〈読者を持つ〉この物語は長い間読みつがれ、多くの読者を持っています。♠〈読者にゆだねる〉作者の解釈や意見の入らない写実的な文章は、どう受け取るかは読者にゆだねられています。♠へ読者に訴[うった]える〉筆者は、この文章を通して何を読者に訴えようとしているのでしょうか。 **とくしゅ**[特殊]○普通とは異なっているさま。→一般・普通[文例]〈特殊な仕掛け〉わなには、見たこともない特殊な仕掛けがついていた。♠〈特殊な性質〉ウランは、他の元素とちがった特殊な性質をもっている。♠〈特殊な教育〉あの学校は、普通とは異なる特殊な教育を行っているらしい。♠〈特殊事情〉島国という特殊事情からか、従来の日本の外国語教育は、実用性に欠けていた。♠〈特殊性〉この薬はその特殊性のため、一般の薬局ではあつかっていないようです。 **とくしゅう**[特集](特輯)○新聞・雑誌や放送で、特定の問題を中心に編集したり報道したりすること。また、その記事・番組。[文例]〈特集を組む〉来月号は、児童生徒の健康についての特集を組もう。♠〈特集記事〉科学雑誌で海に関する特集記事を読み、おおいに興味をそそられました。♠へ特集号〉学習雑誌の四月号は、新学期ということもあって特集号となります。 **どくしゅう**[独習]○独りで習い覚えること。[文例]増田君はだれにも教わらず、独習でギターの弾[ひ]き方を覚えたそうです。♠〈独習する〉三十歳の時からドイツ語を独習して、五年たつとゲーテが読めるようになった。 **どくしょ**[読書]○本を読むこと。[文例]〈趣味は読書〉彼女は、趣味は読書だという、ごくおとなしい女の子です。♠〈読書に親しむ〉テレビのせいばかりではないでしょうが、子供たちの読書に親しむ時間は少なくなりました。♠く読書にいそしむ〉静かな秋の夜は、読書にいそしむのにぴったりのときです。♠へ〈読書を重ねる〉読書を重ねるうちに、本の読み方も深まるし、自分の好[この]みの分野もはっきりしてきます。♠〈読書の範囲[はんい]〉大人になってくると、好みもはっきりしてきて、読書の範囲もぐっとせばまってくる。♠へ読書する〉兄は寝る前に、自分の部屋で読書する習慣をもっている。♠へ読書百遍[ひゃっぺん]義おのずから通ず〉「読書百遍義おのずから通ず」の格言通り、最初わからない文章も何度も読むうちに意味がわかってくる。♠へ読書家〉彼は仲間うちでは、かなりの読書家として知られている。 **とくしょく**[特色]○他にはないすぐれた点。[文例]〈日本語の特色〉敬語は、日本語の特色の一つです。♠く特色がある・ない〉彼はしゃべり方に特色があります。♠く特色を生かす〉彼女は、手先が器用という特色を生かした仕事についています。♠へ特色をもつ〉方言と共通語は、それぞれの役割と特色とをもっています。♠へ特色が出る〉同じものを写生しても、人によってそれぞれ特色が出ておもしろいものだね。♠く特色づける〉この学校を特色づけているのは、寮制と情操[じょうそう]教育です。 **とくしん**[得心]○納得すること。[文例]〈得心がいく〉子供のころ、なぜ団地で動物を飼ってはいけないのか、どうしても得心がいかなかった。♠へ得心する〉先生の詳しい説明で、不満を訴[うった]えていた生徒たちもどうやら得心した様子です。 **どくしん**[独身]○結婚していない人。ひとりもの。自分ひとり。[文例]〈独身で通す〉博士は研究に忙しかったこともあって、一生を独身で通しました。♠〈独身者〉求人広告には、「年齢を問わず、但[ただ]し独身者に限る」とあった。♠〈独身寮〉松本に就職したわたしは、会社の独身寮に入った。♠へ独身貴族〉結婚前の働く男女は、自由になるお金が多いので独身貴族などといわれます。 **とく・する**[得する]』とく **どく・する**[毒する]』どく **とくせい**[特製]○特別に作ること。特別に作ったもの。[文例]〈特製のケーキ〉お母さん特製のケーキに、子供たちは大喜びです。 <776> **とくせい**[特製] **とくせい**[特性]○他にはない特有の性質。[文例]〈特性を持つ〉新しく開発されたこの繊維は、摩擦[まさつ]に強く、しわになりにくいという特性を持つ。♠へ特性を備える〉スパイクタイヤは、雪道でも楽に走行できるという特性を備えていた。♠く特性を生かす〉ダイヤモンドは、鉱物中で最も硬いという特性を生かして、工業用の研磨材[けんまざい]として用いられる。♠〈特性がない〉特に取り立てるほどの特性のない、きわめて平凡で目立たない男だった。 **とくせい**[徳性]○道徳的な心の働き。道徳心。[文例]〈徳性を養う〉学校の道徳の授業は、子供たちの徳性を養うことを目的としています。♠へ徳性が備わる〉若いころからめずらしく徳性の備わった男で、人の非難を受けることなどなかった。♠へ徳性が高い〉聖職者にとっては、徳性の高いことが第一条件になる。 **とくせつ**[特設]○特別に設けること。[文例]〈特設の会場〉説明会は、駐車場にプレハブで作った特設の会場で開かれた。♠く特設する〉開会式の行われるメインスタジアムには、たくさんの観客が入場できるように二階席が特設された。♠く特設売り場〉バーゲンセールは、日ごろ倉庫として使っている場所を特設売り場にして行います。 **どくぜつ**[毒舌]○しんらつな言葉や手きびしい皮肉を言うこと。また、その言葉。[文例]〈毒舌をふるう〉きみは得意になって毒舌をふるっているが、周りから嫌われていることに少しも気づいていない。♠く毒舌家〉毒舌家で知られている人だが、根は気の小さい、はずかしがり屋なのだ。 **どくせん**[独占]○独り占めすること。[文例]〈上位を独占する〉競技会では、地元中学出身の三人が上位を独占しました。♠へ貿易を独占する〉江戸時代、幕府の鎖国[さこく]政策によって、日本との貿易を独占していたのはオランダ人だった。♠〈人気を独占する〉今映っているのが、若い女の子の人気を独占しているロックグループです。♠〈権利を独占する〉長い間この鉱山の権利は、彼の経営する会社が独占してきた。♠へ話題を独占する〉先週の文化祭での彼女の活躍[かつやく]が、クラスの話題を独占していました。♠〈市場の独占〉対立メーカーの倒産[とうさん]によって、A社に市場の独占を許す形となった。♠〈独占欲〉この子は独占欲が強くて、わたしがよその赤ちゃんを抱[だ]くとおこるんですよ。 **どくぜん**[独善]○自分独りが正しいと思うこと。独りよがり。[文例]〈独善的〉常に自分だけが正しいという彼の独善的な態度が、周囲の反感を買っていた。 **どくせんじょう**[独壇場] ○その人だけが思うままに活躍する場。ひとり舞台。独壇場[どくだんじょう]。[文例]歌舞伎で山伏姿[やまぶしすがた]の弁慶が勧進帳[かんじんちょう]を読む場面は、まさに独せん場です。♠先日のサッカーの試合は全得点をあげる活躍で、山本君の独せん場の感があった。 **どくそう**[独走]○独りで走ること。二位以下を大差で引き離して走ること。自分勝手に行動すること。[文例]〈独走する〉先日のマラソン大会は、中山選手が二位以下を大きく引き離し独走した。♠〈独走する〉今年のペナントレースは、投手力・打力ともに充実した巨人が独走するだろう。♠へ独走態勢〉第二走者でトップに躍[おど]り出たアメリカチームは、独走態勢に入った。 **どくそう**[独創]○独自の新しい考えでものを作り出すこと。→模倣[文例]〈独創を加える〉現代にまで受け継がれた技術に作り手の独創を加えることによって、伝統は新しくなっていく。♠へ独創力〉芸術家には、独創力と造形力が必要とされる。♠〈独創的〉彼の考え方は、それまでのものと違って、非常に独創的なものだった。♠〈独創性〉全体の統一に若干[じゃっかん]の問題はあるが、この新人の独創性は高く評価されていいだろう。 **とくそく**[督促]○催促すること。[文例]〈税金の督促〉税務署から、税金の督促の通知が届いた。♠へ督促する〉大家が家賃の支払いを督促してきた。 **どくだん**[独断]○自分一人の考えで判断すること。また、その判断。[文例]今度のことはわたしの独断なので、責任はわたしがとります。♠〈独断や偏見〉きみのように独断や偏見にとらわれた考え方では、人を納得させられない。♠へ独断専行〉社長は何を行うにも独断専行、社員の言うことに耳を貸さなかった。 **どくだんじょう**[独壇場]♪どくせんじょう **とくちょう**[特長]○特にすぐれた点。[文例]〈強いのが特長〉木綿は、他の繊維に比べて、水に強いのが特長です。♠〈特長がある〉新しいカメラには、今までのカメラにはない三つの特長がある。 **とくちょう**[特徴]○他と異なって特に目立つ点。[文例]〈特徴がない〉どちらかと言えば、山田さんは、平[ひら]べったい特徴のない顔をしている。♠く特徴をとらえる〉弟のかいたお父さんの似顔絵は、特徴をよくとらえてなかなか上手だ。♠く特徴を備える〉日本産の野生の動物は、胴長[どうなが]で四肢[しし]が短いという共通の特徴を備えているようだ。♠へ特徴を生かす〉詩は、表現の特徴を生かして朗読[ろうどく]しよう。♠へ特徴をもつ〉その古代王国では、歴代の王の冠[かんむり]の形がそれぞれ異なった特徴をもっていたらしい。 **どくづく**[毒突く]○口ぎたなくののしる。[文例]自分の言い分が通らないとわかると、客はがらっと態度を変え、店の主人に毒づき始めた。♠留置場にほうりこまれた酔っぱらいは、「バカヤロー」だの「死んじまえ」だのと警官に毒づいた。 **とくてい**[特定]○特別に定めること。特別に定められていること。[文例]〈特定の性質〉おのおのの元素は、それぞれ特定の性質をもっている。♠へ特定の人・物〉特定の人・物などの名前を指し示す名詞を固有名詞といいます。♠く特定する〉先生は、今度の他校訪問を行う人を、クラスの中から特定しました。♠〈範囲を特定する〉特定された範囲[はんい]と期間内なら運賃が割引になる周遊券を買って、旅行をした。♠〈不特定〉一定の区域の中なら、不特定の人とも交信することができます。 <777> **とげ** とができる。 **とくてん**[得点]○点を得ること。また、得た点。[文例]く得点を重ねる〉チームは、順調に得点を重ねて勝利を収めた。♠く得点を上げる〉試合終了のホイッスルと同時に、ぼくたちは得点を上げたつばさ君を中心に抱き合って喜びました。♠〈得点する〉このゲームは、先に十点得点したほうが勝ちとなります。 **とくてん**[特典]○特別に与えられた恩典。[文例]〈特典がある〉クラブの会員には、さまざまな特典があります。♠〈特典を与える〉成績の優秀な生徒には、授業料免除[めんじょ]の特典が与えられる。♠〈特典を受ける〉わたしは航空会社の従業員家族の特典を受け、格安で海外旅行に行ってきました。 **とくとく**[得得]○得意なさま。[文例]〈得々と話す〉昨日の磯釣[いそづ]りの成果を、父はうれしそうに得々と話しています。♠〈得々と語る〉若いころの自慢話[じまんばなし]を得々と語るおじいさんの目は、生き生きとかがやきます。 **どくとく**[独特・独得]○他にはなく特別なこと。[文例]〈独特な形〉短歌と俳句は、日本にしかない独特な形の詩です。♠く独特な味〉彼女の作品には、他の人にはまねすることのできない、独特な味がある。♠へ独特な言い回し〉歌舞伎や能狂言の独特な言い回しは、ぼくたち中学生にはちょっとわかりにくいところがある。♠〈独特のしゃべり方〉久しぶりに会う彼でしたが、独特のしゃべり方は全然変わっていませんでした。♠〈独特の雰囲気[ふんいき]〉この喫茶店[きっさてん]は、独特の雰囲気をもっていて、学生たちに人気がある。♠〈土地独特〉ぼくたちが日ごろ使っている言葉の中には、この土地独特のものがいくつもある。 **どくどくし・い**[毒毒しい]○毒を含んでいそうだ。悪意を含んでいる。どぎつい。[文例]〈毒々しい色〉きのこは毒々しい色をしていて、とても食べられそうになかった。♠〈毒々しい言葉〉少しの好意も感じられない毒々しい言葉が女の口からとびだした。 **とくに**[特に]○とりわけ。ことさらに。特別に。[文例]食べ物をあつかっているので、衛生には特に気をつけています。♠今日は、特に暑いような気がするよ。♠特にこちらから出向くこともないだろう。 **どくは**[読破]○最後まで読み通すこと。[文例]〈読破する〉夏休みに、『シートン動物記』を全巻読破した。 **どくはく**[独白]○劇で相手なしでせりふを言うこと。また、そのせりふ。モノローグ。ひとり言。[文例]演劇は、たった一人の登場人物の独白だけで構成されていて、照明をおとした舞台で進行していった。 **とくひつ**[特筆]○特に取り立てて書いたり、述べたりすること。[文例]〈特筆に値する〉一人で三得点をあげた彼の活躍は、特筆に値するものです。♠へ特筆する〉今日は、これといって特筆するような事件はありませんでした。♠へ特筆すべき〉東大寺南大門の金剛力士[こんごうりきし]像は、活気ある鎌倉[かまくら]文化の中でも特筆すべき作品だ。♠〈特筆大書〉この時の生徒たちの活躍は、特筆大書しなければならないでしょう。 **とくべつ**[特別]○普通とは異なること。[文例]〈特別な日〉今日はいつもとちがって、校長先生が授業をする特別な日です。♠へ特別に~する〉本当は秘密なんだけど、きみだけには特別に教えてあげよう。♠へ特別のはからい〉先生の特別のはからいで、体の弱いぼくも移動教室に参加できることになった。♠へ特別暑い〉風が全然ないから、今日は特別暑く感じるね。♠特急は特別急行、特訓は特別訓練をつづめた略語です。 **とくめい**[匿名]○名前を隠すこと。本名を隠すための別の名。[文例]寄付をくださった方は匿名ですので、みなさんに紹介するわけにはいきません。♠〈匿名の手紙〉新聞社に、事件の真相を伝える匿名の手紙が届きました。 **とくゆう**[特有]○特別に備わっていること。[文例]〈特有のにおい〉その液体は、特有のにおいがするので、だれにでも見わけられる。♠〈特有な癖[くせ]〉人はだれでも、それぞれに特有な癖というものをもっている。♠へ彼特有〉彼特有のやわらかい体を生かした技は、まねする者がいません。♠ヘ日本特有〉戦後、日本特有の動物が何種類も絶滅[ぜつめつ]してしまいました。 **とくよう**[徳用・得用]○使用して得なこと。[文例]こちらの品のほうが値段のわりに物がいいので、お徳用ですよ。♠スーパーマーケットで、広告に出ていた徳用の洗剤を三箱も買ってきました。 **どくりつ**[独立]○他に頼らずに一本立ちすること。他国の支配を受けずに自らが主権を行使すること。[文例]〈国が独立する〉アメリカ合衆国がイギリスから独立したのは、一七七六年のことだ。♠く親から独立する〉大学を卒業した兄は、親から独立して、近くのアパートに一人で住んでいる。♠〈独立の精神〉学校生活によって学業の充実[じゅうじつ]はもちろん、独立の精神も養われるのです。♠〈独立独歩〉父は周囲の目にとらわれず、独立独歩、今の財産と地位を築いた。♠へ独立心〉親が過保護だと、独立心の足りない子供ができる。 **どくりょく**[独力]○自分ひとりの力。[文例]わたしはだれの手も借りず、独力でこの研究を完成させたのです。♠宿題は、独力でやらないと意味がありません。 **とくれい**[特例]○特別な例。特に設けた例外。[文例]昼休みの中庭集会には、試合の近い選手は特例として出なくてもかまわないことになっていた。♠〈特例を設ける〉同情すべき点はあるが、今回だけ特例を設けるわけにはいかない。♠〈特例を認める〉一度特例を認めるとそれ以降も認めざるを得ないので、注意が必要です。 **とぐろ**[塒・蜷局]○蛇が体をうず巻き状に巻くこと。たむろすること。[文例]〈とぐろを巻く〉大きな石をどけると、冬眠中のアオダイショウがとぐろを巻いていた。♠へとぐろを巻く〉雨が降って仕事がなくなり、男たちはプレハブ小屋の中で朝からとぐろを巻いている。♠へとぐろを巻く〉裏通りには不良がとぐろを巻いているから、近寄らないほうがいい。 **とげ**[刺・棘]○先のとがった針状の突起物。意地悪く人の心を傷つけるもの。[文例]〈バラのとげ〉バラの花を切る時は、とげに注意してね。 <778> **とけい**[時計] は、とげに注意してね。♠へとげが生える〉敵が近づくと、ハリネズミの体はまるでとげの生えたまりのようになった。♠へとげが刺さる〉痛いと思ったら、いつのまにか右足に鋭[するど]いとげが刺さっていた。♠へとげを抜く〉指に刺さったとげがなかなか取れないので、お医者さんに行って抜いてもらった。♠へとげのある言葉〉彼のとげのある言葉に、わたしの心は深く傷ついた。♠へきれいな花にはとげがある〉「きれいな花にはとげがある。」というから、彼女には近づかないほうがきみのためだよ。 **とげとげし・い**[刺刺しい]○悪意や敵意を含んでいる。[文例]〈とげとげしい声〉「千代! 千代!」こういうとげとげしい声が様子聡[ようすそう]の直[す]ぐ下からして来る。(志賀直哉[しがなおや]「大津順吉」)♠へとげとげしい口ぶり〉彼女のとげとげしい口ぶりからすると、どうやらぼくに腹を立てているらしい。♠〈とげとげしい態度〉彼は、まるで、ぼくの責任だと言わんばかりのとげとげしい態度で向かってきた。 **と・ける**[解ける・溶ける](融ける)○熱のために液状になる。液体中に均一に混じる。ほどける。解消する。解決する。解除する。[文例]〈雪・氷が解ける〉山の雪が解け、谷の氷も解けて、春の川は水かさを増しています。♠へ砂糖が溶ける〉コーヒーカップの底に、砂糖が溶けないで残っている。♠〈水に溶ける〉この物質は水に溶ける性質をもっています。♠へひもが解ける〉靴[くつ]のひもが解けてるよ、早く結んでしまいな。♠へ怒り[いか]が解ける〉母がいっしょに謝[あやま]ってくれて、ようやく父の怒りが解けました。♠へ疑いが解ける〉ぼくの弁解を聞いて、友達は疑いの解けた様子で、「信じるよ。」と言った。♠〈魔法[まほう]が解ける〉その秘密をだれかが知ったら、すぐに魔法が解けてしまうのです。♠へなぞが解ける〉先生の話を聞いて、ようやくぼくにもなぞが解けました。♠へ問題が解ける〉二十分もかかって、やっと最初の問題が解けました。♠〈禁止が解ける〉この国の政治が安定して、夜間の外出禁止が解けるのはいつだろう。 **とけこ・む**[溶け込む](融け込む)○溶けて完全に混じる。周囲に同化する。[文例]〈液体に溶け込む〉このビーカーの水には、五グラムのナトリウムが溶け込んでいます。♠へ空に溶け込む〉水平線のかなたで海が夕焼け空に溶け込んでいる。♠◇周囲に溶け込む〉転校してから一か月がたち、青木君も今ではすっかりクラスに溶け込んでいる。♠へ環境に溶け込む〉周囲の環境にすみやかに溶け込むことのできる動物の方が生命力は強いようだ。 **どげざ**[土下座]○地面にひざをついて礼をすること。[文例]〈土下座する〉大名の行列に出会った通行人は、土下座して行列が行き過ぎるまで待ちました。♠〈土下座する〉申しわけないことをしたと、床に土下座して謝りました。 **と・げる**[遂げる]○達成する。達する。果たす。なしとげる。[文例]〈進化を遂げる〉地球上のあらゆる生物の中で、最も進化を遂げたのは人類である。♠〈発展を遂げる〉ここ二十年の間に、日本はめざましい発展を遂げました。♠へ成長を遂げる〉働くことを通して、人間としての考えを深め、成長を遂げることができる。♠へ任務を遂げる〉彼は二週間にわたる現地での任務を遂げ、昨日帰ってきた。♠〈目的を遂げる〉志望校合格という目的を遂げた兄は、さすがにうれしそうだ。♠へ優勝を遂げる〉ついにわが校野球チームは、二年連続優勝を遂げた。♠へ思いを遂げる〉外国に行って勉強したいという長年の思いを遂げる時がついに来た。♠へ最期[さいご]を遂げる〉その作曲家は、数多くのすぐれた作品を残しながら、孤独[こどく]であわれな最期を遂げた。 **ど・ける**[退ける]○よそへ移してその場をあける。のける。[文例]〈物をどける〉テーブルの上の物をどけてくれ、テレビがよく見えないよ。♠〈土砂[どしゃ]をどける〉道路をふさいでいる土砂をどけるだけでも三日かかるそうです。♠へ車をどける〉荷物の出し入れをしますので、そこの車をどけてください。 **とこ**[床]○一段高くなった台。ねどこ。畳のわらのしん。苗[なえ]を発芽させる場所。川の底。床の間。[文例]〈床を敷く〉なかなか夫が帰ってこないので、先に床を敷いて寝ました。♠〈床に入る〉疲れていたせいか、床に入るとすぐ眠ってしまった。♠へ床をとる〉熱があるようだから、早目に床をとって休んだほうがいいよ。♠へ床に就[つ]く〉ぼくは床に就いてからも、明日のことが気になって、なかなか眠れなかった。♠〈床に就く〉それ以来、少女は床に就いて、学校を休んでいた。♠〈床にふす〉おばあさんは、風邪がもとで床にふして、一か月後に帰らぬ人となりました。♠へ療養[りようよう]の床〉先生は、病気療養の床の中で、教え子たちに愛情こめた手紙を書きつづった。♠へ病[やまい]の床〉大臣は病の床にありながら、政治のことばかり考えていた。 **どこ**[何処・何所]○どの場所。いずこ。[文例]お母さん、わたしの手袋[てぶくろ]どこへいったか知らない?♠歩き疲れたから、どこかでひと休みしましょう。♠あの人は優しいようでいて、どこか冷たい感じのする人です。♠そんなのは、どこにでもある話じゃないか。♠ヘどこ吹く風〉うちのどら息子は、親の説教などどこ吹く風と遊びほうけている。 **とこう**[渡航]○海外へ渡ること。[文例]〈海外への渡航〉江戸時代、幕府は日本人の海外への渡航を禁止していた。 <779> **どこ** 〈渡航する〉少女は、絵の勉強のためにイタリアへ渡航するという。♠へ渡航手続き〉来月アメリカに行くそうですが、もう渡航手続きは済ませたのですか。 **どごう**[怒号]○怒ってどなること。どなり声。[文例]く怒号を浴びる〉観客の怒号を背に浴びて、エラーをした選手はベンチにひっこんだ。♠〈怒号がうずまく〉野党議員の怒号がうずまく中、与党は審議を打ち切ろうとした。♠〈怒号が飛び交う〉祭りもクライマックス、神社の境内にはみこしをかついだ男たちの怒号が飛び交う。 **どことなく**○どことは示せないが、なんとなく。[文例]・本気で怒っても、この男にはどことなくこっけいなところがある。♠冬もようやく終わり、川原[かわら]の景色もどことなく暖かみを帯びてきました。♠兄の姿は、いつもと違って、どことなく寂[さび]しそうに見えました。♠クラスの高田君と山口君は、顔つきもしゃべり方も、どことなく似ているような気がします。 **とことん**○最後のところ。ぎりぎりのところ。[文例]自分の力でどれだけのことができるか、今回はとことん試してみようと思う。♠明日は休みだから、今夜はとことんきみにつきあうよ。 **ところ**[所](処)○場所。土地。地方。家。住所。部分。ある点。箇所。場合。範囲。状態。事態。[文例]〈便利な所〉駅から徒歩三分の便利な所に、手ごろなアパートが見つかったよ。♠く所によって〉田舎[いなか]では、所によって、おひなさまを川に流す風習の残っていることがあります。♠ヘケンちゃんの所〉今日はみんなで川へ釣りに行って、そのあとケンちゃんの所によって遊びました。♠〈所と名前〉写真ができたら送りますので、お所とお名前を教えてください。♠く所番地〉あの人の所番地を書いたメモ帳が見当たらなくて、年賀状が書けない。♠く所かまわず〉所かまわずごみを散らかさないで、ちゃんとくずかごに捨てたらどうなの!♠〈所嫌わず〉文鳥[ぶんちょう]を放し飼いにしたら、所嫌わずふんをするので困っています。♠〈所狭[ところせま]し〉宿題の絵をかいているとかで、弟の部屋には絵の道具が所狭しと並べられている。♠へく所変われば品変わる〉千葉から鹿児島[かごしま]へ引っこしたら、「所変われば品変わる」で、とまどうことばかりだ。♠〈所を得る〉あの男は、今度の職場で所を得たらしく、人が変わったような働きぶりだ。♠く所をかえる〉いつのまにか攻守[こうしゅ]所をかえ、敵の反撃[はんげき]に味方はじりじりと後退し始めた。♠へ至る所〉来日した英国の皇太子夫妻は、至る所で国民の歓迎を受けました。♠〈知るところ〉わたしの知るところでは、そういう事実はないようだ。♠へ本当のところ〉本当のところ、あのおせっかいなおばさんには少々迷惑[めいわく]をしているのです。♠へおもしろいところ〉テレビがおもしろいところだったのに、へんな電話がかかってくるんだもんな……。♠〈このところ〉ぼくはこのところ、成績がのびないんで落ちこんでいるんだ。♠〈今のところ〉今のところ、病状は安定していますが、いつ悪化しないとも限りません。♠へ忙しいところ〉お忙しいところをわざわざおいでくださってありがとう。♠へ〜するところ〉経験から受けた感動を、むだのない言葉で表現するところに詩の特質がある。♠へ〜するところ〉きみがひとこと言ってくれたんで助かったよ、もう少しで忘れるところだったからね。 **ところが**[所が]○それなのに。けれども。[文例]きっとだめだろうと思っていた。ところが、一週間後に合格通知が届いた。♠日本人のひとみは黒いものと思っていました。ところが、彼女のは違っていたのです。♠みんな集まったので出発することにした。ところが、まだ一人来ていない人がいたのだ。 **ところで**[所で]○それはそうと。さて。[文例]あいさつというのは大事なことです。ところで、きみはどんな時に人にあいさつをしますか。♠新学期が始まって新しい友達もできた。ところで、転校していった川野さんはどうしているだろう。♠わたしはそう思うんだ。ところで、おばあさんはどう思う? **どさくさ**○ごった返している状態。混雑や混乱。ごたごた。[文例]〈騒ぎのどさくさ〉騒ぎのどさくさに、だれかが店の品物を持っていったらしい。♠へ引っ越しのどさくさ〉気に入りの花瓶だったが、引っ越しのどさくさでどこかへいってしまった。♠へどさくさに紛れる〉犯人は、火事のどさくさに紛れて逃走したらしい。 **とざ・す**[閉ざす]○戸などを閉める。門・出入り口や通路をふさぐ。閉じ込める。閉鎖する。[文例]〈戸口を閉ざす〉山から熊[くま]が下りてきたらしいというので、村人たちはかたく戸口を閉ざした。♠〈道を閉ざす〉がけくずれで、村へ下りる道が閉ざされてしまった。♠◇雪・氷に閉ざされる〉この町は、冬になると深い雪に閉ざされ、海も厚い氷に閉ざされて、白一色の世界になる。♠へ霧に閉ざされる〉夏には、一メートル先も見えない濃霧[のうむ]に閉ざされることもあった。♠〈国を閉ざす〉江戸[えど]時代、幕府は二百年余りの間国を閉ざし、海外との往来を禁じた。♠ヘ門を閉ざす〉長い間女性には閉ざされていたその会社の門が開かれることになった。♠〈心を閉ざす〉それ以来、娘[むすめ]はすっかり心を閉ざし、だれにも会おうとはしなくなったのです。♠ヘ口を閉ざす〉警察の厳しい尋問[じんもん]にも、男は口を閉ざしたまま何も語ろうとしない。♠〈閉ざされた生活〉隠[かく]れがの閉ざされた生活の中で、少女は童話や日記を書き続けた。 **とさつ**[屠殺]○家畜や動物を殺すこと。[文例]〈屠殺する〉毛皮をとるために動物を屠殺するのはかわいそうだ。♠〈屠殺場〉悲しげな目をした牛が屠殺場に引かれていく。 **とざん**[登山]○山に登ること。[文例]〈登山をする〉父は登山をするのが好きで、休みのたびに山へ出かけます。♠へ登山する〉明日は白根山へ登山する予定になっている。♠へ登山家〉大きくなったら、エベレストへ登頂するような一流の登山家になりたい。 **とし**[年](歳)○時間の単位としての一年。歲月。年齢。[文例]〈雷[かみなり]が鳴る年〉その村には、雷が鳴る年は、水不足になるという言い伝えがあります。♠〈年の始め〉わたしたちの学校では、年の始めの行事として、一月十日にマラソン大会を行います。 <780> とし を行います。♠〈年が明ける〉十月から寝込んでいた弟も、年が明けるとだいぶ回復しました。♠〈年を越す〉貧乏[びんぼう]続きで、これまで一度も、大晦日[おおみそか]に金を持って年を越したことがない。♠〈年が改まる〉年が改まってまもなく、兄は東京へ出て行った。♠〈年が変わる〉年が変わったのだから、心機一転、今年こそがんばるぞ。♠〈明くる年〉父が死んだ明くる年、兄は高校、ぼくは中学に進学した。♠〈行く年来る年〉おおみそかには、除夜の鐘を聞きながら行く年来る年に思いをはせる。♠〈年の瀬[せ]〉年の瀬がおしせまると、お正月を迎える準備のためか、世の中があわただしく感じられる。♠〈年がたつ〉村から姿を消した彼女のことは、年がたつにつれて忘れ去られた。♠〈年を経る〉年を経て集まった同級生たちはずいぶんと変わっており、すぐにはだれがだれだか分からなかった。♠〈年を追う〉歴史書には、年を追って事件を記述したものや、多くの人の伝記を書きならべたものがある。♠〈年を取る〉一般[いっぱん]に機械的な記憶[きおく]は、十一、二歳ころが最も得意で、年を取るにつれておとろえる。♠〈年を重ねる〉無駄に年を重ねてきたわけではありません。老人の言うことにも耳を貸しなさい。♠〈年をくう〉下宿のおばさんは若く見えるけど、意外に年をくっているんだ。♠〈年のわりに〉わたしは年のわりに小さかったので、よく下級生にまちがえられた。♠〈この年になるまで〉しっぽが一メートルもある犬なんて、この年になるまで見たことも聞いたこともない。♠〈年には勝てない〉おじいちゃん、忘れっぽくなったね、やっぱり年には勝てないのかな。♠〈年が年〉年が年だからむりをするなって? 年は年でも、まだ若い者には負けないさ。♠〈年がゆかない〉いちばん年のゆかない妹をのぞいて、家族五人が流感にかかりました。♠〈年のころ〉そうだな、あれは、年のころなら十八、九の色の白い娘[むすめ]じゃった。♠〈かめの甲より年の功[こう]〉おじいさんは何でもよく知っているね、やっぱり「かめの甲より年の功」だなあ。♠〈いい年〉いい年をしたおじさんが、若い娘のしりを追いかけるなんて、なんですか。♠そんなことを考えるようでは、田中さん、あんたも年だね。 **とし【都市】** ○大きな町。都会。[文例]日本の代表的な都市というと、東京や大阪があげられます。♠昔、ここは、全国から集まる産物を売り買いする人でにぎわう繁華な都市だったのです。♠〈大都市〉大都市やその周辺では、人口が集中して緑地が減っている。♠〈工業都市〉豊田市は、自動車工業を中心とした工業都市です。 **どじ** ○まぬけな失敗。へま。へまをするさま。[文例]〈どじな犯人〉犯行現場に名前入りの手帳を落としていくとは、なんてどじな犯人なのだろう。♠〈どじをしでかす〉あわて者の彼女が、また何かどじをしでかしたらしいぞ。♠〈どじを踏む〉きみがどじを踏んだばかりに、計画がぶちこわしになってしまった。 **としかさ【年かさ】** (年嵩)○年上。年長。年寄り。[文例]野球の審判をしていたのは、子供たちの中でもいちばん年かさの少年だった。♠集まった人たちの中でいちばん年かさのご隠居[いんきょ]が、乾杯の音頭[おんど]をとりました。 **どしがた・い【度し難い】** ○救いようがない。言い聞かせようがない。[文例]こんなあたりまえのことが理解できないとは、まったく度し難いやつだ。♠何の反省もなく同じ失敗を繰り返すなんて、本当に度し難い。 **とじこ・める【閉じ込める】** ○押し込んで、出られないようにする。[文例]〈雪に閉じ込められる〉冬じゅう雪に閉じ込められる人々にとって、春の訪れ[おとずれ]は心からうれしかった。♠〈洞穴[ほらあな]に閉じ込められる〉村へ帰る途中[とちゅう]なだれにあい、ぼくたちは洞穴に閉じ込められてしまった。♠〈瓶に閉じ込める〉ハチを瓶の中に閉じ込めて、長時間観察した。♠〈車内に閉じ込める〉大雪で列車が立ち往生[おうじょう]し、乗客は二時間も車内に閉じ込められたままだ。♠〈小屋に閉じ込める〉いたずらをした男の子は、おしおきとして、かぎをかけた小屋に閉じ込められた。♠〈殻[から]に閉じ込める〉思春期には、素直[すなお]であろうとすればするほど、かえって自分を固い殻に閉じ込めたりするものです。 **とじこもる【閉じこもる】** (閉じ籠る) ○中にいて外に出ない。[文例]〈家に閉じこもる〉家に閉じこもってばかりいないで、たまには外の空気を吸ったらどうだい。♠〈部屋に閉じこもる〉母にきつくしかられた弟は、夕食の時間になっても、部屋に閉じこもって出て来ない。♠〈殻[から]に閉じこもる〉ぼくは小さいころ、友達にうちとけず、自分の殻に閉じこもっていた。 **としごろ【年ごろ】** (年頃)○およその年齢。年のころ。結婚適齢期。長い年月。[文例]年ごろ四十前後の見知らぬ男が、ぼくの家の前をうろうろしている。♠〈遊びたい年ごろ〉妹は小学三年生、まだまだ遊びたい年ごろです。♠〈同じ年ごろ〉公園では、同じ年ごろの男の子が五人、カンけりをして遊んでいます。♠〈年ごろの娘〉金田さんには、年ごろの娘が一人います。♠〈年ごろになる〉あの色の黒い子も年ごろになると、見ちがえるようにきれいになった。 **としつき【年月】** ○年と月。ねんげつ。歳月。月日。年来。[文例]〈年月がたつ〉兄がこの家を出てから、五年の年月がたった。♠〈年月を重ねる〉彼はその研究に長い年月を重ね、とうとう成功しました。♠〈年月が過ぎる〉十年の年月が過ぎ、学校の様子もずいぶん変わってしまった。♠〈年月を要する〉そのトンネルの完成には、ばくだいな費用や労働力と多くの年月を要したそうだ。♠〈年月にわたる〉村の旧家の倉から、長い年月にわたって記録された貴重な古文書[こもんじょ]が発見された。♠〈年月を送る〉かつて彼ら夫婦は、この岬[みさき]の灯台で、灯台守として二十年の年月を送った。♠〈年月をへる〉年月をへて、喜びも悲しみもなつかしい思い出になりました。♠〈年月の流れ〉故郷の町が見わたせる山に登って、あれから十五年の年月の流れを考えた。 **としは【年端】** ○年齢の程度。年齢。[文例]〈年端のいかない〉年端のいかない子供のしたことですから、大目に見てやってください。♠〈年端もいかない〉老人は年端もいかない子供たちを相手に、むきになって怒っていた。 **としま【年増】** ○娘[むすめ]ざかりを過ぎた年齢の女性。[文例]〈としまの魅力〉若い娘にはない、としまの魅力が彼女にはある。 <781> **としまり**[戸締まり]○戸などを閉め、かぎをかけること。[文例]〈戸締まりをする〉泥棒[どろぼう]が侵入[しんにゅう]した家は、どうやら戸締まりをしていなかったらしい。♠へ戸締まりが厳重〉宝石を展示してある部屋の戸締まりは、さすがに厳重だった。♠へ戸締まりを忘れる〉出かけるときは、戸締まりを忘れないようにしましょう。 **どしゃ**[土砂]○土と砂。[文例]川の水に運ばれてきた土砂が底にたまり、州ができている。♠大雨で土砂が流され、山は岩肌[いわはだ]が露出[ろしゅつ]していた。♠〈土砂崩[くず]れ〉折からの豪雨で裏山が土砂崩れを起こした。 **としゅ**[徒手]○何も持たない手。素手。から手。[文例]〈徒手空拳[くうけん]〉徒手空拳でアメリカに渡った彼は、一流の企業家になって帰ってきた。 **としょ**[図書]○本。書籍。[文例]〈図書の貸し出し〉わたしの学校では、図書の貸し出しは昼休みと放課後の二回です。♠〈児童向け図書〉近ごろは、児童向けの図書がたくさん出ているので、どれがよいのか迷ってしまいます。♠へ図書館〉町には立派な図書館があり、子供から老人まで広く利用されています。♠〈図書委員〉図書委員の呼びかけで、クラス全員が家から本を持ち寄り、学級文庫を作りました。♠〈参考図書〉自由研究の課題が決まったら、参考図書や資料を集めましょう。 **とじょう**[途上]○道の上。途中。進行の中途段階。[文例]く帰宅の途上〉今日帰宅の途上で、中学時代の友人に偶然[ぐうぜん]出会った。♠へ青春の途上〉青春の途上にあるあなたたち若者は、失敗を恐[おそ]れてはならない。♠〈発展の途上〉日本は、アジアやアフリカの発展の途上にある国々へ、さまざまな援助を行っています。 **どじょう**[土壌]○土。作物を育てる土地。物事を生じる基盤。[文例]この辺りの土壌は、マメやイモを作るのに適しているという。♠〈土壌が肥[こ]える〉この川の流域は土壌が肥えているので、穀倉地帯となっている。♠〈肥沃[ひよく]な土壌〉チグリス・ユーフラテス川流域の肥沃な土壌には、四大文明の一つメソポタミア文明が栄えた。♠ヘ犯罪の土壌〉貧困と差別の社会では、常に犯罪の土壌が開かれているといってよい。 **としより**[年寄り]○老人。相撲部屋の親方。老中。家老。町年寄。[文例]〈年寄りの冷や水〉ばあさんや、体を動かすのはいいけれど、年寄りの冷や水なんて言われないようにな。♠〈年寄りの世迷言[よまいごと]〉年寄りの世迷言と言わず、ひとつこの老人の話を聞いてやってください。♠〈年寄り扱い〉まだまだ第一線で働いているんだ、あまり年寄り扱いしないでくれ。 **と・じる**[閉じる](綴じる)○閉める。閉まる。終わる。終える。重ねてつづり合わせる。縫い合わせる。まとめ合わせる。[文例]〈ふたを閉じる〉中のものがこぼれないように、瓶[びん]のふたをしっかり閉じておいてください。♠〈羽を閉じる〉近づくと、ちょうは閉じていた羽を広げ、ひらひらと飛んで行きました。♠へ目を閉じる〉目を閉じると、なつかしい子供のころの思い出がよみがえってくる。♠〈花びらを閉じる〉この花は、夕方になると花びらを閉じてしまいます。♠へ門を閉じる〉取材に行ったが、門はかたく閉じられ、いくら呼んでも応答はなかった。♠ヘ門が閉じる〉午後五時に学校の正門が閉じる。♠〈本を閉じる〉では、教科書を閉じて、その詩を暗唱してみましょう。♠ヘ口を閉じる〉話題が昔[むかし]の思い出話になると、彼は急に口を閉じてしまった。♠〈生涯[しょうがい]を閉じる〉非凡[ひぼん]な才能を持った若い画家は、みなに惜[お]しまれながら、二十七歳の短い生涯を閉じた。♠〈幕を閉じる〉三日間の競技大会も、恵まれた晴天のうちに幕を閉じることが出来た。♠へ店を閉じる〉長びく不景気で、店を閉じる人も少なくありません。♠〈作文をとじる〉今まで書いた作文は、みんな重ねてファイルにとじてあります。♠〈用紙をとじる〉用紙はまとめてホチキスでとじておきなさい。♠へ糸でとじる〉袋状にした布に綿をつめたら、口をしっかり糸でとじておきましょう。♠〈卵でとじる〉うなぎはかば焼きもいいけど、煮て卵でとじて食べるのもおいしいよ。 **と・する**[賭する]○賭ける。大事なものを賭けて物事に打ち込む。とす。[文例]〈身命[しんめい]をとする〉国の繁栄のために身命をとする覚悟であると、新任の大臣が述べた。♠◇社運をとする〉会社が社運をとして開発した製品は、若者の間に爆発的人気を呼んだ。♠〈国運をとする〉一九八八年のソウルオリンピックは、韓国[かんこく]が国運をとしたイベントだった。 **どせい**[怒声]○どなり声。[文例]〈怒声が上がる〉法案の可決が宣言された瞬間[しゅんかん]、議場内に反対派の怒声が上がった。♠く怒声が飛ぶ〉魚河岸[うおがし]では男たちが忙しそうに走り回り、まごまごしているとすぐ怒声が飛んでくる。♠へ怒声を浴びせる〉抵抗する農民たちに役人は怒声を浴びせ、年貢[ねんぐ]をもぎ取っていった。 **とぜつ**[途絶](杜絶)○とだえること。とぎれること。絶やすこと。[文例]〈交通が途絶する〉道路は土砂崩れでふさがっており、村との交通は途絶していた。♠へ連絡が途絶する〉探検隊からの連絡は途絶したままで、その行方はまったくわからなかった。 **とそう**[塗装]○塗料を塗ること。[文例]〈壁の塗装〉〈塗装をする〉このマンションは今壁の塗装をしているので、シンナーのにおいがする。♠〈塗装する〉トタン板はペンキで塗装することで、さびにくくなります。 **どぞう**[土蔵] ○土壁のくら。[文例]〈土蔵に閉じこめる〉昔は小さい子が悪いことをすると、土蔵に閉じこめられたりした。♠〈土蔵を破る〉盗賊[とうぞく]は嵐[あらし]の夜に長者の土蔵を破り、中の物をごっそり持ち出した。 **どそく**[土足]○はきものを履いたままの足。泥のついた足。[文例]土足のまま校舎に入ってはいけません。♠〈土足で上がる〉畳[たたみ]の部屋に土足で上がり込むなんて、失礼なやつらだ。♠〈土足で踏みにじる〉人の心を土足で踏みにじるようなことをしてはいけない。♠〈土足厳禁〉お寺の本堂は土足厳禁で、上がり口には来客用の下駄箱[げたばこ]が置かれている。 <782> **どだい**[土台]○建造物全体を支える基底や、その上の材。物事の基礎。もともと。そもそも。[文例]〈土台がしっかりする〉どんな立派な建物も、土台がしっかりしていないとすぐに倒れてしまう。♠〈土台を作る〉土台を作っている段階では、どんな家ができあがるのか想像できません。♠〈土台を作る〉叔父[おじ]は、商売の土台を作るのに懸命です。♠〈土台とする〉作者の細かい観察を土台として、昆虫の生態が生き生きと描かれている。♠〈土台になる〉この物語は、作者の子供のころの体験が土台になっている。♠〈土台を築く〉多くの本を読んだり、人の話を聞いたり、経験したりして、考え方の土台は築かれていきます。♠へどだい無理〉ちっとも勉強していないのに大学へ進学しようなんて、どだい無理な話だ。 **とだ・える**[途絶える・跡絶える]○途中で絶える。とぎれる。[文例]〈行き来がとだえる〉彼が引っ越してからは、しぜんに行き来もとだえてしまった。♠へ貿易がとだえる〉長い間とだえていたその国との貿易がようやく再開された。♠〈交通がとだえる〉復旧作業が完了し、とだえていた交通も復旧した。♠へ声がとだえる〉鳴き声のする方に近づくと、とたんに声はとだえてしまった。♠へ話がとだえる〉友達どうしでおしゃべりしていても、ふっと話がとだえることがあります。♠へ便りがとだえる〉毎月届いていた姉からの便りがとだえているので、心配です。♠〈人家がとだえる〉人家のとだえたこの渓谷[けいこく]には、たくさんの野鳥が姿を見せます。♠へ跡[あと]がとだえる〉代々続いて来たこの家も、子供に恵[めぐ]まれず、跡がとだえようとしている。 **とたん**[途端]○ちょうどその瞬間。[文例]へ〜したとたん〉家を出ようとしたとたん、電話がかかってきた。♠へそのとたん〉二、三歩歩きだそうとして、そのとたん、めまいを感じ、思わずうずくまった。♠へとたんに〉学校を卒業して会社に入ると、とたんに勉強をしなくなる人が多い。 **とたんのくるしみ**[塗炭の苦しみ]○(泥にまみれ火に焼かれるような)非常な苦しみ。[文例]〈塗炭の苦しみをなめる〉終戦当時大陸にいたわたしは、ソ連軍の捕虜[ほりょ]となり、塗炭の苦しみをなめた。♠へ塗炭の苦しみに耐える〉重い年貢[ねんぐ]と度重なる天災にみまわれ、農民たちは塗炭の苦しみに耐えなければならなかった。 **どたんじょう**[土壇場]○昔の首切りの刑場。せっぱつまった最後の段階。[文例]〈土壇場に立つ〉生きるか死ぬかの土壇場に立たされると、人は思わぬ力を出せるものです。♠ヘ土壇場に追いこむ〉五年連続赤字となったこの会社の経営は、今土壇場に追いこまれている。♠〈土壇場になる〉さあ出発という土壇場になって、妹が行きたくないとだだをこね出した。 **とち**[土地]○土。土壌。地味。大地。地面。地所。地元。領土。[文例]〈土地が肥える〉ここは土地が肥えていて、野菜作りに適しています。♠〈土地がやせる〉雨が少なく、土地がやせているのでは、とても畑にはなりません。♠へ不毛の土地〉開拓者[かいたくしゃ]たちは、その不毛の土地を必死で耕し、作物を育てました。♠〈土地の売買〉家や土地の売買は、慣れない者にとって手続きのうえで、ちょっとめんどうです。♠へ住み慣れた土地〉過疎[かそ]化が進むにつれ、住み慣れた土地を捨てて町へ移る人が多くなりました。♠〈土地を遊ばせる〉大都会では、ねこの額[ひたい]のような土地も高価で、遊ばせてはおけません。♠〈土地の人〉お城にはどう行ったらいいのか、土地の人に聞いてみました。♠〈土地による〉土地によって呼び方のちがうものは、いくらでもあります。♠〈土地っ子〉あいつは土地っ子だから、この辺りのことなら何でもくわしいよ。 **どちゃく**[土着]○その土地に住み着いていること。[文例]〈土着の種族〉ヨーロッパから白人が移住してくる前から、この島には土着の種族がいた。♠ヘ土着する〉この川の流域に土着していた人々は、高い文化をもっていた。♠へ土着民〉南アメリカには、土着民が築いた遺跡が各所に見られる。 **とちゅう**[途中]○目的地までの間。物事の最後に至る前。中途。[文例]〈旅行の途中〉今度の旅行の途中で、旅行かばんを買い換えた。♠〈通勤の途中〉わたしは今朝、通勤の途中の電車に傘を置き忘れました。♠〈行く途中〉学校に行く途中で、山口さんに会いました。♠へ途中まで〉わたしも出かけますから、途中までいっしょに行きましょう。♠へ途中をとばす〉あまり長い文章なので、途中をとばして読んだら、内容がよく分からなかった。♠〈途中下車〉この切符は途中下車すると、そこから先は無効になってしまいます。 **とちょう**[登頂]↓とうちょう **とち・る**○芝居でせりふやしぐさをまちがえる。やりそこねる。[文例]〈せりふをとちる〉舞台でせりふをとちったわたしは、観客の爆笑[ばくしょう]を浴びた。♠へ問題をとちる〉簡単な問題だったのに、あせってとちってしまった。 **とつおいつ**○あれこれ迷うさま。[文例]〈とつおいつする〉行こうか行くまいかとつおいつするうちに、約束の時間を過ぎてしまった。♠はて、どうしたものかと、とつおいつ思案するうちに日はむなしく過ぎていった。 **どっかい**[読解]○文章を読んで内容を理解すること。[文例]〈詩の読解〉比喩などの技巧を知ることも、詩の読解には欠かせない。♠〈読解を深める〉文章の読解を深めるには、感想文を書くのもよい方法です。♠へ読解する〉国語では、文章を読解する力が何より大切です。♠へ読解力〉夏休みにたくさんの作品を読んだことで、だいぶ読解力がついたように思う。 **とっかえひっかえ**[取っ換え引っ換え]○次々に換えていくさま。[文例]へとっかえひっかえする〉洋服だんすの洋服をとっかえひっかえしては、今日着て行くものを選んだ。♠へとっかえひっかえ試す〉最も使いやすい機種はどれか、とっかえひっかえ試してみました。 **とっかかり**[取っ掛かり]○とりかかること。最初の手がかり。とっつき。[文例]〈取っ掛かりにする〉あの木に登るときは、右側の枝を取っ掛かりにすればいいよ。♠く取っ掛かりができる〉東京のスーパー経営者と知り合いになったので、産地直送販売の取っ掛かりができました。 <783> **とっかん**[突貫]○突撃すること。突進すること。一気にやりとげること。[文例]〈突貫する〉総攻撃の指令が下ると、兵士はいっせいに敵陣に突貫した。♠く昼夜突貫〉完成予定日まであと二週間、建設工事は昼夜突貫で行われている。♠〈突貫工事〉突貫工事というと威勢がいいが、付近の住民は大迷惑です。 **とっき**[特記]○特に記すこと。[文例]〈特記する〉百メートル九秒八三の世界新記録の誕生は、スポーツ界の特記すべきニュースでした。♠〈特記事項〉特記事項があれば、下の空欄[くうらん]に書きこんでください。 **とっき**[突起]○突き出ること。突き出たもの。[文例]〈突起がある〉この靴の底にはいくつもの突起があって、滑[すべ]り止めの役目を果たしている。♠へ突起する〉ニキビだろうか、鼻の頭のところがぽつんと突起している。 **どっき**[毒気]♪どっけ **とっきゅう**[特急]○「特別急行」の略。特に急ぐこと。[文例]〈特急に乗る〉特急に乗れば、新宿に正午までに着くことができます。♠〈特急列車〉三番線ホームに特急列車が入ります。白線の内側まで下がってお待ちください。♠く特急で仕上げる〉おい、すまないが、この仕事を特急で仕上げてくれ。 **とっきょ**[特許]○特別に権利を与えること。発明や考案に対して与えられる権利。[文例]〈特許を持つ〉あのおばさんは発明が趣味で、特許を五つも持っているんですって。♠〈特許を取る〉いいアイデアが浮かんだら特許を取って、お金をもうけようかな。♠〈専売特許〉ものまねは彼女の専売特許だけあって、本物そっくりだ。 **とつ・ぐ**[嫁ぐ]○女性が結婚する。[文例]〈娘が嫁ぐ〉三人姉妹のうち上の二人はもう嫁ぎましたが、末の娘[むすめ]はまだ親元にいます。♠へ〜に嫁ぐ〉お見合いがうまくいき、彼女は遠縁[とおえん]の青年に嫁ぐことになった。 **とっくに**[疾っくに]○ずっと前に。とうに。[文例]約束[やくそく]の時間はとっくに過ぎているのに、友達はまだ姿を見せない。♠会議が終わった時は、もうとっくに日が暮れていた。♠その話ならもうとっくに知っているよ。♠何さがしてるの? ケーキならとっくに食べちゃったわよ。♠会場に行って見ると、催[もよお]しはとっくに終わって、後片づけをやっているところだった。♠六時ごろ目を覚ますと、母はもうとっくに起きて、遠足用のお弁当を作っていた。 **どっこい**○重い物を持ち上げる時や、相手の言葉・動作をさえぎる時に発する言葉。力や程度が均衡しているさま。[文例]おっと、どっこい、危ないところだった。♠「どっこい放[はな]さぬ。持ちもの全部置いて行け。」(太宰治[だざいおさむ]「走れメロス」)♠へどっこいどっこい〉両力士の力はどっこいどっこいだから、なかなか勝負がつかない。♠へどっこいしょ〉どっこいしょ、さて、仕事にもどるか。 **とっくん**[特訓]○特別にする訓練。[文例]わたしたちのクラスでは特訓の結果、全員が竹馬に乗れるようになりました。♠〈特訓を受ける〉姉の特訓を受けた結果、苦手の数学のテストで満点を取ることができた。♠〈特訓する〉なに、泳げない? よし、おじさんが特訓してやろう。 **どっけ**[毒気]○有毒な気体。悪意。わるぎ。どっき。どくけ。[文例]〈毒気を抜かれる〉相手のあまりのけんまくに、こちらはすっかり毒気を抜かれてぽかんとしてしまった。♠〈毒気にあてられる〉遊び人のきみの毒気にあてられたのか、働く気がなくなってしまった。♠へ毒気を含む〉編集者の毒気を含んだ手厳しい批評を受けて、作品を持ちこんだ青年はしゅんとなってしまった。 **とつげき**[突撃]○激しい勢いで敵に向かって攻撃すること。[文例]〈突撃を開始する〉城を取り囲んだ敵は突撃を開始したが、固い守りでお城はびくともしない。♠へ突撃を繰り返す〉何度も突撃を繰り返したが、相手チームの鉄壁[てっぺき]の守りを崩すことはできなかった。♠へ突撃する〉命令を受けた兵士たちは、敵陣[てきじん]に突撃していった。 **とっけん**[特権]○特別に与えられた権利。[文例]〈特権がある〉町の有力者の息子である彼は、自分には先生さえも従わせる特権があるのだと信じていた。♠く特権を与える〉会員になると、さまざまな特権が与えられますよ。♠へ特権をもつ〉山の村には遊園地も映画館もないけれど、ぼくたちは、大自然の中で遊べるというすばらしい特権をもっている。♠く特権意識〉彼女は決して悪い人ではないが、名門の家の娘なので特権意識が強くて、それがどうも鼻につく。♠く特権を有する〉〈特権階級〉中世の貴族や僧侶[ぞくそうりょ]のように、社会的に特権を有する階級を、特権階級と呼ぶ。 **とっさ**[咄嗟] ○瞬間。瞬時。[文例]へとっさに〉しかられると思い、とっさに思いついたうそを言ってしまったのです。♠へとっさのこと〉なにしろとっさのことだったので、飛び出した子犬をよけることができなかった。♠へとっさの間〉そんな高い所にしまっておいたんでは、とっさの間に合わないよ。♠へとっさの判断〉最善の方法だったとは言えないが、とっさの判断にしては上出来だよ。♠へとっさの機転〉思いがけない出来事にも、とっさの機転をきかせて、うまく切り抜けてきた。 **とっしゅつ**[突出]○突き破って出ること。突き出ること。[文例]〈突出する〉配管にミスがあれば、ガスが突出する危険がある。♠へ防衛費の突出〉日本の防衛費の突出は、国内やアジア諸国で不安視されていた。 **とつじょ**[突如]○だしぬけに起こるさま。突然。[文例]突如、ものすごい音がして、ガス爆発[ばくはつ]がおき、ビルの内部はめちゃめちゃになった。♠へ突如として〉突如として目の前で起こった出来事に、まるで夢を見ているような気がした。 **どっしり**○重量のあるさま。ずっしり。重々しく落ち着いたさま。[文例]〈どっしり重い〉先生からどっしり重い本を渡され、教室まで運ぶように言われました。♠へどっしりと構える〉小兵[こひょう]力士の奇襲[きしゅう]戦法にも、どっしりと構えた横綱は少しもあわてませんでした。♠へどっしりする〉名監督と言われる人は、どんなピンチにもどっしりした態度で決して表情を変えません。 **とっしん**[突進]○突き進むこと。[文例]ヘゴールに突進する〉スタートの号砲と同時に、選手たちはゴールめがけて突進した。 <784> **とつぜん**[突然]○物事が不意に起こるさま。[文例]弟が突然笑い出したので、みんなはびっくりしました。♠へ突然の質問〉先生の突然の質問にも、彼女はすらすら答えた。♠〈突然な出来事〉あまり突然な出来事に、どうしていいかわからなかった。♠へ突然に終わる〉一億五千万年も続いたキョウリュウの時代が、突然に終わってしまったのは不思議だ。♠く訪問が突然〉彼女の訪問はいつも突然だから、こっちもあわてる。♠〈突然変異〉あの娘[むすめ]は両親とは似ても似つかぬ美人だね、突然変異としかいいようがないよ。 **とったん**[突端]○突き出た端。先端。[文例]〈岬の突端〉岬の突端には白い灯台が立っていた。♠へ堤防[ていぼう]の突端〉海に突き出た長い堤防の突端に、釣りをする四人の子供の姿が見える。 **とっち・める**○厳しくしかる。やりこめる。[文例]あいつはいったいどこをほっつき歩いているんだ。帰ってきたらとっちめてやる。 **とっつき**[取っ付き]○いちばん手前。最初。手はじめ。第一印象。とりつき。[文例]〈取っ付きの部屋〉階段を上がってすぐ左側の取っ付きがぼくの部屋です。♠〈夏の取っ付き〉私が三度目に帰国したのは、それから又一年経[た]った夏の取付きでした。(夏目漱石[そうせき]「こころ」)♠く取っ付きが悪い〉彼は無口ですから、取っ付きの悪い人という印象を与えやすいようです。 **とって**[取っ手](把手)○道具・器物の握るところ。[文例]〈なべの取っ手〉ごしごしと洗っていたら、なべの取っ手がとれてしまった。♠ヘドアの取っ手〉無理に開けようとしたので、ドアの取っ手がこわれてしまった。 **とっておき**[取って置き]○いざという時のために大切に取って置くこと。また、そのもの。とっとき。[文例]〈取って置きの青草>子を産んだ母牛に、ぼくは取って置きのおいしい青草をやった。♠〈取って置きの酒〉久しぶりに会った旧友に、わたしは取って置きの酒をふるまった。♠へ取って置きの話〉なんだこんな所にいたのか、きみの喜びそうな取って置きの話があるんだ。 **とってかえ・す**[取って返す]○引き返す。[文例]駅の近くまで来たとき学校に忘れ物をしたことに気がつき、取って返しました。♠再び机の前に取って返したお延[のぶ]は、その上[じょうさし]に乗せてある状差[じょうさし]の中から、津田宛[あて]で来た手紙を抜き取って、一々調べ出した。(夏目漱石「明暗」) **とってかわ・る**[取って代わる]○入れかわる。交代する。[文例]〈レギュラーに取って代わる〉なまけているレギュラーに取って代わって補欠の選手が正位置についた。♠へ人類に取って代わる〉他の生物が人類に取って代わって、この地球に君臨する日が来るだろう。 **とってつ・ける**[取って付ける]○形だけの不自然な言動をする。[文例]へとってつけたよう〉工場長のことを従業員があまりよく思っていないことは、彼らのとってつけたような態度でわかります。♠へとってつけたよう〉その場限りのとってつけたようなお世辞は、気持ちのいいものではない。 **とっとき**♪とっておき **とつとつ**[訥訥・吶吶]○口ごもりながら話すさま。[文例]物静かな老人は、自分のこれまでの人生をとつとつと語り始めました。♠へとつとつとした語り口〉青年のとつとつとした語り口には真実味が感じられた。 **とつにゅう**[突入]○突っ込むこと。突き進むこと。[文例]〈敵陣[てきじん]に突入する〉若武者は真っ先に敵陣に突入し、大きな手柄[てがら]を立てました。♠〈ストに突入する〉労使の交渉は決裂[けつれつ]し、工場は今日から四十八時間ストに突入した。♠〈戦国時代へ突入する〉一四六七年の応仁の乱[おうにんのらん]をきっかけに、世の中は戦国時代へと突入していった。 **とっぱ**[突破]○突き破ること。乗り越えること。ある数値をこえること。[文例]〈濁流[だくりゅう]を突破する〉若者は、ごうごうと流れる濁流を、ありったけの力をふりしぼって突破した。♠く敵陣を突破する〉味方の軍は、真正面から敵の陣営[じんえいこう]を攻撃し、これを突破した。♠へ難関を突破する〉このコースの難関である登り坂を突破できれば、ゴールまであと一息です。♠ヘ三十度を突破する〉この連休は、夏を思わせる暑さで、気温は三十度を突破した。♠ヘ一億を突破する〉日本の人口が一億を突破して久しい。♠へ突破口〉彼の供述は、事件解決の突破口となった。 **とっぱつ**[突発]○突然に起こること。[文例]〈事件が突発する〉パーティーの最中に殺人事件が突発するという場面から、この推理小説は始まります。♠◇戦争が突発する〉この事件がもとで、数日後に戦争が突発したのです。♠へ突発的〉店長は気まぐれで、突発的に用を言いつけるので、店員は少々困っている。♠へ突発的な事故〉まさかとたかをくくっている場合にも、突発的な事故はあるものです。♠へ突発事故〉消防士や救急隊員は、突発事故に備えて二十四時間待機しています。 **とっぴ**[突飛]○あっと驚くようなさま。非常に変わったさま。[文例]へとっぴなこと〉子供は、大人が考えもしないようなとっぴなことを思いついては、それを実行したりする。♠へとっぴな服装[ふくそう]〉彼は、仮装行列のようなとっぴな服装をして現れた。♠へとっぴな格好〉サーカスでは、あのとっぴな格好をしたピエロが大の人気者です。♠へとっぴな発想〉テレビのコマーシャルには、とっぴな発想で人々に印象づけようとしたものがよくあります。♠へとっぴな行動〉小学校の時、授業中に出て行ったり、かけっこでは反対方向に走ってみたり、とっぴな行動をする少年がいた。 **とっぴょうし**[突拍子]○(「突拍子もない」で)調子外れだ。とてつもない。[文例]〈突拍子もない〉コアラの姿が見えたとたん、男の子は突拍子もない声をあげた。♠へ突拍子もない〉決闘で決着をつけようと彼は突拍子もないことを言い出した。 **トップ**○頂上。最上部。最上位。首位。先頭。首脳。[文例]〈トップを奪う〉七月に入ると、快進撃を続けるドラゴンズがトップを奪った。 <785> **ととう**[徒党] ップを奪った。♠ヘトップを切る〉校内マラソン大会では、ぼくがトップを切ってゴールインした。♠ヘトップに出る〉三位でバトンを受け取った後、二人抜いてトップに出た。♠〈トップクラス〉彼は、何をやらせてもトップクラスの腕を持っている。♠ヘトップバッター〉さあ、だれがトップバッターだい。だれでもいいからかかっておいで。♠ヘトップグループ〉やることはきちんとやっていたから、成績はいつもトップグループだった。 **とつべん**[訥弁]○たどたどしい話し方。[文例]ひっこみ思案でとつ弁のわたしは、自分の思っていることの半分も言えなかった。♠小さい時からとつ弁で、しかも田舎なまりが抜けないので、どうしてもひっこみじあんになってしまう。 **どて**[土手]○堤防。つつみ。[文例]〈土手を築く〉水害を避けるために高い土手を築くことは難事業だった。♠ヘ土手が崩[くず]れる〉川の水がこれ以上勢いを増せば、土手が崩れる心配がある。♠〈土手に登る〉土手に登ってみると、川原ではすすきの穂が風にゆれていた。♠土堤を外れ枯野[かれの]の犬となりゆけり(山口誓子[せいし]) **とてつもな・い**[途轍もない]○並外れている。とほうもない。[文例]へとてつもない力〉火事などの非常のとき、人は奮起して、とてつもない力を発揮することがある。♠へとてつもない広さ〉旅人にとって、その砂漠の広さは、ただとてつもないとしか言えませんでした。♠へとてつもなく大きい〉大仏を初めて見る人は、とてつもなく大きなものに感じるにちがいない。♠へとてつもないほど〉頭の上でおじいさんが、とてつもないほど大きなくしゃみをしました。 **とても**○どうしても。とうてい。非常に。[文例]へとても~ない〉こんな大きな石は、とても一人では運べないよ。♠へとてもじゃない〉わがままなあいつの言うことなんか、とてもじゃないけど聞く気になれないね。♠へとてもとても〉生活が楽になっただろうって? とてもとても、いくら働いても追っつかないよ。♠へとてものこと〉樹海[じゅかい]で迷ったら、とてものことでは抜け出せない。♠豊かな自然がそのまま残っているその島は、とてもすばらしい所です。 **ととう**[徒党]○よくないことをたくらむ仲間。[文例]〈徒党を組む〉六兵衛[ろくべえ]おじさんは、悪い仲間と徒党を組んで遊びまわっている息子のことをひどく心配していました。 **どとう**[怒濤]○荒れ狂う波。激しい大波。[文例]〈逆巻く怒濤>小舟は、逆巻く怒濤に木の葉のようにもまれた。♠へ怒濤の寄り〉大関の怒濤の寄りに、横綱、ついに土俵を割りました。♠〈怒濤のよう〉不満を爆発させた農民が怒濤のように城に押し寄せた。 **とど・く**[届く]○達する。到達する。到着する。行き渡る。[文例]〈光が届く〉深海は太陽の光の届かない暗黒の世界です。♠〈天に届く〉神社の境内には、天にも届くような杉[すぎ]の木が立っている。♠〈便りが届く〉三月になると、南の方からはちらほら花の便りも届き始める。♠〈小包が届く〉ある日、差出し人の名のない小包がぼくの家に届いた。♠へ知らせが届く〉その夜、太郎が戦死したとの知らせが届いた。♠〈手が届く〉ほしいなと思うセーターがあったが、とても手の届かない値がついていた。♠へ目が届く〉小さい子は、危険な場所など分からないので、親の目の届く範囲におかなければなりません。♠〈注意が届く〉わたしの注意が届かなかったため、大変ご迷惑[めいわく]をおかけして、申し訳ありませんでした。♠〈神経が届く〉さすがに女性だけあって、神経が細かいところまで届いている。♠へ心に届く〉口先だけの言葉では、聞く人の心にまでは届かない。♠へ祈りが届く〉娘[むすめ]の祈りが天に届いたのか、母親の病気は日に日によくなっていった。♠へ思いが届く〉ようやくわたしの思いが相手に届いて、この秋お嫁[よめ]にゆくことになりました。♠く親切が相手に届く〉あなたは親切でやったことなのに、相手にはそれが届かなかったようですね。♠へかゆいところに手が届く〉旅館では、かゆいところに手が届くような接待ぶりであった。 **とどけ**[届け]○届けること。届ける物。届け出る書類。[文例]〈欠席の届け〉〈届けを出す〉欠席の届けは、早めに出してください。♠〈届けがある〉神田さんから病気のため欠席するという届けがありました。♠〈付け届け〉お世話になった人に対する盆暮れの付け届けは、日本の習慣になっています。♠〈出生届[たんじょうとどけ]〉赤ちゃんが生まれると、出生届を役所に出します。 **とど・ける**[届ける]○送り着かせる。届けの書類を出す。[文例]〈荷物を届ける〉預かっていた荷物をお隣[となり]に届けた。♠く贈り物を届ける〉誕生のお祝いにと、デパートから贈り物を届けさせた。♠〈郵便を届ける〉雪の中、郵便を届けてくれた配達のおじさんに、母は温かい甘酒[あまざけ]をごちそうしていた。♠へ知らせを届ける〉この知らせは、彼の友達によって、家族のもとに届けられた。♠へ役所に届ける〉赤ちゃんが生まれ、名前も決まったので、さっそく役所に行って出生を届けた。♠〈交番に届ける〉道で財布[さいふ]を拾ったので交番に届けた。♠へ警察に届ける〉あやしい男を見つけたら、すぐに警察に届けてください。 **とどこおり**[滞り]○とどこおること。[文例]〈家賃の滞り〉父親が病気だということで、その一家の家賃の滞りが多くなった。♠へ滞りが出る〉要職にある人が三日も続けて会社を休むと、仕事に滞りが出てきます。♠く滞りなく〉式は、滞りなく終わりました。 **とどこお・る**[滞る]○つかえて進まなくなる。はかどらずに止まる。支払いがたまる。[文例]〈交通が滞る〉事故で交通が滞り、道路は長い車の列で大混雑だ。♠〈流れが滞る〉投げ捨てられるごみで川の流れが滞り、悪臭[あくしゅう]を放っている。♠〈仕事が滞る〉休暇をとったために滞っていた仕事を、夜中までかかって片づけた。♠〈事務が滞る〉人員不足で事務が滞りがちになるのを、アルバイトを雇[やと]って解消した。♠〈家賃が滞る〉彼の書いた小説はいっこうに認められず、家賃は半年間も滞ったままだった。♠〈税金が滞る〉役所から、税金が滞っているので速[すみ]やかに納めるようにとの通知がきた。 **ととの・う**[整う・調う]○整然となる。きちんとそろう。用意ができる。成立する。[文例]〈整った顔だち〉彼女は、母親ゆずりの整った顔だちをしている。 <786> **ととのえる【整える・調える】** 整理して乱れをなくす。きちんとそろえる。用意する。成立させる。[文例]〈服装を整える〉お客様がいらっしゃるので、ぼくたちは、服装を整えて待っていました。♠へ体勢を整える〉わが軍は体勢を整え、敵のまっただ中に突撃[とつげき]して行った。♠〈調子を整える〉林間学校が始まる前に、体の調子を整えておきましょう。♠〈体裁[ていさい]を整える〉みんなの作文のほかに、絵や写真も集めて、文集の体裁[ていさい]を整えました。♠へ全集を調える〉父の部屋には、その作家の全集がすべて調えられている。♠へ材料を調える〉十人分の夕食の材料を調えるのに、二時間もかかった。♠〈交渉を調える〉相手国との交渉を調えると、ただちに製品の輸出を開始した。 **とどのつまり** 結局。あげくのはて。(「とど」はボラが最も成長した時の呼び名。)[文例]あれこれ試してみたが、とどのつまり最初の方法がいちばん能率のいいことがわかった。♠たいして実力の違いはないのだから、とどのつまりはいちばん練習した者が優勝するのだよ。♠ぐずぐず言っているけれど、とどのつまり何が言いたいんだい? **とどま・る(止まる・留まる)** 移動せずにその場所・位置にいる。滞在する。ある範囲の中にある。[文例]〈家にとどまる〉両親の安否が心配で、気が気でなかったが、家にとどまって連絡[れんらく]を待った。♠へパリにとどまる〉二、三日パリにとどまって、それからローマへ行く予定です。♠へ〜とどまることなく〉時は永遠にとどまることなく進む。♠〈平凡[へいぼん]な記録にとどまる〉好記録が期待されていたが、スタートが遅れ、結果は平凡[へいぼん]なものにとどまった。♠へ〜とどまるところを知らない〉レコードの売り上げはすでに一千万枚を超え、彼女の人気はとどまるところを知らない。♠〈有限にとどまる〉人間の命には限りがあり、その営みは有限にとどまらざるをえない。♠へ〜だけにとどまらず〉これはクラスだけの問題にとどまらず、学校全体の問題だ。 **とどめ(止め・留め)** とどめること。決着をつけること。最後に息の根を止めて完全に殺すこと。[文例]〈とどめを刺す〉猟師は、倒れた獲物にとどめを刺した。♠へとどめを刺す〉花は、やはり桜にとどめを刺す。♠へとどめの一撃〉八回の満塁[まんるい]ホームランがとどめの一撃となり、味方は息の根を止められました。 **とど・める(止める・留める)** 動いていたものを止める。あとに残す。ある範囲内におさめる。[文例]〈足をとどめる〉その景色のすばらしさに、わたしはしばし足をとどめ、見入っていた。♠へ昔の姿をとどめる〉田畑は住宅地と変わったが、山の方はまだ昔の姿をとどめている。♠へ名残[なごり]をとどめる〉この行事は、昔の生活の名残[なごり]をとどめるものとして注目されている。♠へ名をとどめる〉彼は、大作曲家として、歴史上にその名をとどめている。♠へ記録にとどめる〉調査や実験の結果を、わたしは克明[こくめい]に記録にとどめた。♠へ心にとどめる〉亡くなる前の父の言葉をしっかりと心にとどめて生きてゆきたい。♠へ〜だけにとどめる〉今日は問題点をあげるだけにとどめて、次回に話を深めるとしよう。♠へ〜以内にとどめる〉みんなまだ学生の身分なので、会費は一人三千円以内にとどめたい。 **とどろく(轟く)** 鳴り響く。知れ渡る。[文例]〈雷鳴がとどろく〉ピカッと稲光[いなびかり]がしたと思うと、天を引き裂くような雷鳴がとどろいた。♠〈号砲がとどろく〉スタートを告げる号砲がとどろき、選手たちは一斉[いっせい]に走り出した。♠〈爆音[ばくおん]がとどろく〉山の方で、トンネル工事のダイナマイトの爆音[ばくおん]がとどろいた。♠〈歓声[かんせい]がとどろく〉人々のわあっという歓声[かんせい]が、広場一帯にとどろいた。♠〈天下にとどろく〉この戦いでの勝利をきっかけに、彼の勇名は天下にとどろいた。♠〈名声がとどろく〉彼女は女性初のノーベル賞受賞者として、今もその名声は世界にとどろいている。♠〈胸がとどろく〉長年の夢がかなえられようとしている今、わたしはとどろく胸をおさえることができない。 **とな・える【唱える】(称える)** 声に出して言う。大声で言う。主張する。名づけて呼ぶ。[文例]〈題目を唱える〉隣の部屋から、おばあさんがお題目を唱える声が聞こえてくる。♠〈念仏を唱える〉男は念仏を唱えると、ぞうりをぬいで川へ身を投げた。♠〈呪文[じゅもん]を唱える〉魔女は呪文[じゅもん]を唱えながら、竹ぼうきに乗って空にまいあがりました。♠〈万歳[ばんざい]を唱える〉祝賀会の最後に、市長の音頭[おんど]で、万歳[ばんざい]を三回唱えた。♠〈説を唱える〉ガリレオが地動説を唱えたとき、人々はだれも信じませんでした。♠〈異議を唱える〉古いマンションの建てかえは、異議を唱える住人がいるのではかどりません。♠〈無罪を唱える〉彼は無罪を唱えて二十年、やっと無実の罪を晴らしました。♠〈傑作ととなえる〉佐野は傑作ととなえて、下手くそな詩をぼくの前に読み上げた。 **となり【隣】** 並んで接している場所や家。[文例]〈隣の家〉おじの家の隣の家に、有名な女流作家が住んでいる。♠〈隣に座る〉「おそくなってごめん。」と言いながら、山本君はぼくの隣に座った。♠へ隣の花は赤い〉何でも人のものはよく見えるものさ、隣の花は赤いとか隣の芝生[しばふ]は青いとかいってね。♠へお隣さん〉田舎[いなか]のおばあさんから送ってきたりんごを、お隣さんにもあげましょうよ。♠〈隣近所〉「隣は何をする人ぞ」にならないように、隣近所との付き合いも大切にしましょう。♠〈隣町〉わたしたちのテニス部は、隣町の中学と交歓[こうかん]試合を行いました。♠〈隣座敷〉隣座敷では、母が <787> **とびかう**[飛び交う] 親類のおばと、何やら楽しげに話しています。♠へ向こう三軒両隣〉向こう三軒両隣がさそいあわせて、にぎやかにお花見へとくりだしました。 **となりあ・う**[隣り合う]○隣り合わせになる。[文例]〈隣り合った村〉わたしと山本さんは、福島県の北部の隣り合った村の出身です。♠〈隣り合う国〉日本は島国ですから、隣り合う国との間に国境線というものはありません。♠へ隣り合って座る〉バスの中で隣り合って座った人は、ロマンスグレーの初老の紳士[しんし]でした。 **となりあわせ**[隣り合わせ]○隣どうしであること。[文例]〈席が隣り合わせ〉二人の交際のきっかけは、中学時代に席が隣り合わせになったことだそうです。♠へ隣り合わせに座る〉きみたち二人は、向かい合わせか隣り合わせに座ってもらうよ。♠〈隣り合わせに並ぶ〉動物園のキリンのおりとシマウマのおりは、隣り合わせに並んでいた。 **どな・る**[怒鳴る]○大声を出す。呼ぶ。大声で怒る。[文例]〈大声でどなる〉校舎の窓から大声でどなったが、田中君には聞こえなかったらしい。♠く怒鳴るように話す〉工場のすさまじい騒音[そうおん]の中で、男たちはまるでどなるようにして話している。♠へ人にどなられる〉駐車場[ちゅうしゃじよう]で遊んでいた子供たちは、管理人さんにどなられたとたん、一目散に逃げ出した。♠へどなり散らす〉学校で何かいやなことでもあったのか、弟は部屋にはいっても、一人でどなり散らしていた。♠へどなりつける〉この男はちょっとした失敗も許[ゆる]さずに、すぐどなりつけるので、部下からは恐[おそ]れられています。♠〈どなり込む〉夜遅[おそ]くまでギターを弾いていたら、隣の家の人がうるさいとどなり込んできた。 **とにかく**[兎に角]○何にしても。・・・はさておいて。ともかく。[文例]間に合うかどうかはわからないが、とにかく駅まで行ってみよう。♠詳しいことは分かりませんが、とにかく大変なことが起こったことだけはまちがいありません。♠とにかく、あらゆる点で、彼は模範[もはん]少年だったよ。♠結果はとにかく、一生懸命[いっしょうけんめい]努力することが大切です。 **とばく**[賭博]○かけごと。ばくち。ギャンブル。[文例]アメリカのラスベガスは、賭博の町として有名です。♠へ賭博をする〉花札[はなふだ]賭博をしていた男たちが、警察に逮捕[たいほ]された。 **とば・す**[飛ばす]○飛行させる。はね上げる。はね散らす。走らせる。追いやる。打ち放つ。言い放つ。広める。途中を抜かす。勢いよく行う。[文例]〈飛行機を飛ばす〉小さいころ、ぼくも紙飛行機を飛ばして遊んだっけ。♠〈種を飛ばす〉たんぽぽの種は、風に飛ばされてあちこちに散らばっていく。♠〈泥[どろ]を飛ばす〉雨上がりの道を、バイクが泥を飛ばしながら走っていった。♠へつばを飛ばす〉生徒会長の林君と副会長の本田君が、つばを飛ばして口論しています。♠〈口角泡[こうかくあわ]を飛ばす〉あの二人は、二時間も前から口角泡を飛ばす議論を続けている。♠◆ヘヒットを飛ばす〉このテレビドラマは大ヒットを飛ばし、日本じゅうの視聴者[しちょうしゃ]の心を奪[うば]った。♠〈車を飛ばす〉ここから駅までは、車で飛ばせば五分もかからないよ。♠〈地方に飛ばす〉本社でいざこざを起こした翌年、地方の支店に飛ばされてしまった。♠へ皮肉をとばす〉まじめに話してるのに、皮肉をとばさないでちょうだい。♠ヘデマをとばす〉ぼくはそんなことはやっていませんよ、だれかデマをとばしたのでしょう。♠へとばして読む〉推理小説の結末が知りたくて、中をとばして、終わりのほうを読んでしまうことがよくあります。♠〈問題をとばす〉試験では、分からない問題はとばして分かるものからやっていかないと、時間がなくなってしまう。♠〈笑いとばす〉うわさなど気にすることはないよ、何を言われても笑いとばせばいい。 **とばっちり**○水しぶき。まきぞえ。そばづえ。とばしり。[文例]へとばっちりをくう〉よせ、よせ、変に口出ししたら、余計なとばっちりをくうだけだよ。♠へとばっちりを受ける〉お隣の夫婦げんかを止めに入ったら、とんだとばっちりを受けて、額[ひたい]を数針もぬうはめになった。♠へとばっちりがかかる〉兄が有名大学に入れなかったとばっちりがぼくにかかって、母は今から、塾[じゅく]だ家庭教師だと大変だ。♠へとばっちりをかける〉ぼくが謝[あやま]れば済むことだったのに、何の関係もないきみにまでとばっちりをかけてしまってすまなかったね。 **とばり**[帳・帷] ○垂れ幕。視野をさえぎるもの。[文例]「この帳の風なきに動くそうな」と室の入口まで歩[ほ]を移してことさらに厚き幕を揺り動かして見る。(夏目漱石「薤露行[かいろこう]」)♠〈夜のとばり〉〉とばりが下りる〉気がつくと、街には夜のとばりが下りていた。 **とび**[鳶]○ワシタカ科の鳥。とんび。とび職。とび口。[文例]大空高く、ピーヒョロロと、とびが輪を描いて飛んでいる。♠へとびの職人>建築現場の足場をとびの職人たちがひょいひょいと渡り歩く。♠へとびに油揚げ[あぶらあげ]をさらわれる〉せっかくの手柄[てがら]を人に横取りされた。とびに油揚げをさらわれるとはこのことだ。♠へとびがたかを生む〉出来のよい息子だったので、とびがたかを生んだとからかう者もいた。 **とびある・く**[飛び歩く]○忙しく歩き回る。駆け回る。[文例]〈得意先を飛び歩く〉営業の仕事をしている彼は、朝から晩まで得意先を飛び歩いている。♠〈各地を飛び歩く〉フリーのカメラマンの彼は、一年中カメラを片手に各地を飛び歩いています。♠〈金策に飛び歩く〉会社が不景気で、社長は朝からあちこちの銀行を金策に飛び歩いている。 **とびいし**[飛び石]○伝い歩くために置かれた石。とびとびに間が抜けていること。[文例]〈飛び石を渡す〉池の中にある小さな島まで飛び石が渡され、歩いていけるようになっている。♠へ飛び石伝い〉屋敷の庭を飛び石伝いに裏へ回ってみた。♠へ飛び石連休〉今月は二十三日、二十五日と飛び石連休になっています。 **とびいり**[飛び入り]○急に加わること。また、その人。他のものが入りまじること。[文例]〈客の飛び入り〉阿波踊[あわおど]りを踊る人たちの中には、観光客の飛び入りも混じっていた。♠く飛び入り歓迎〉町内のカラオケ大会は飛び入り歓迎、どなたでも気軽に参加できます。 **とびか・う**[飛び交う]○入りまじって飛ぶ。飛び違う。文例〈蛍[ほたる]が飛び交う〉水辺の草むらに蛍の飛び交うのが見えました。 <788> **とびきり**[飛び切り] 文例〈蛍[ほたる]が飛び交う〉水辺の草むらに蛍の飛び交うのが見えました。♠へ弾丸[だんがん]が飛び交う〉弾丸が飛び交う戦場を兵士たちは休むことなく前進を続けた。♠ヘ言葉が飛び交う〉世界中から選手が集まっているだけあって、選手村ではさまざまな国の言葉が飛び交います。 **とびきり**[飛び切り]○飛び上がって切りつけること。群を抜いていること。[文例]へとびきり大きい〉背の高い選手たちにまじっても、彼の姿はとびきり大きく見える。♠へとびきり上等〉ぜいたくな彼女の持ち物は、とびきり上等な品物ばかりです。♠へとびきりうまい〉母のこしらえるシチューはとびきりうまい。♠へとびきりの美人〉森君のお姉さんを知っているだろう、色白で目の大きいとびきりの美人だよ。♠へとびきりの品〉このつぼは、父の数多いコレクションの中でも、とびきりの品だそうです。♠へとびきりの料理〉おばさんの家におよばれして、とびきりの手料理をごちそうになった。 **とびこ・む**[飛び込む]○飛んで入る。勢いよく入る。駆け込む。身を投じる。[文例]〈プールに飛び込む〉スタートの合図と同時に、子供たちはいっせいにプールに飛び込んだ。♠く部屋に飛び込む〉玄関でけたたましい音がしたかと思うと、弟が部屋に飛び込んできた。♠へ電車に飛び込む〉病気を苦にしてホームから電車に飛び込んだらしい。♠へ芸能界に飛び込む〉その女優が芸能界に飛び込んだのは、十六歳、高校一年生のときでした。♠◆●〈目に飛び込む〉角を曲がると、はでな外装の電器店がぼくの目に飛び込んできた。 **とびだ・す**[飛び出す]○飛んで出る。勢いよく出る。走り出す。抜け出す。飛び出る。[文例]〈グラウンドに飛び出す〉授業が終わると、子供たちはいっせいにグラウンドに飛び出して行った。♠へ村を飛び出す〉二十歳のときに村を飛び出した男が、十年ぶりに故郷に帰ってきた。♠へ子供が飛び出す〉裏通りはいつ子供が飛び出して来るかわからないので、運転には注意が必要です。♠◇目の玉が飛び出す〉店頭に飾られたダイヤモンドは、それこそ目の玉が飛び出すほど高価なものだった。 **とびた・つ**[飛び立つ]○飛んで立ち去る。舞い上がる。[文例]〈鳥が飛び立つ〉物音に驚いて、水鳥たちは水辺を飛び立ちました。♠へ大空へ飛び立つ〉醜[みにく]い姿の毛虫も、やがてチョウとなって美しい羽で大空へ飛び立っていく。♠〈社会へ飛び立つ〉三月、学校を卒業した若者たちが社会へ飛び立って行く。 **とびつく**[飛び付く]○飛び上がって取り付く。とびかかる。進んで手を出す。[文例]〈木に飛び付く〉スタートの合図と同時に、男の子は木に飛び付いて登り始めた。♠へ人に飛び付く〉シロは、ぼくが帰ると、ワンワンほえながら飛び付いてきます。♠へとびついて買う〉とびきり安かったので、とびついて買ったが、一回洗ったらだめになってしまった。♠へ話にとびつく〉ちょっともうかる話をすれば、欲張りな彼のことだ、すぐにもとびついてくるよ。♠〈流行にとびつく〉若い人って、どうしてすぐに流行にとびつくんだろうな。♠へ好条件にとびつく〉その会社の条件が良かったのでとびついたのだが、どうも仕事に興味がわかず、一年でやめてしまった。 **とび・でる**[飛び出る]♪とびだ・す **とびとび**[飛び飛び]○ところどころ間が抜けているさま。[文例]〈飛び飛びになる〉毎日練習したいのですが、仕事の都合でどうしても飛び飛びになってしまいます。♠へ飛び飛びに置く〉小川の向こう岸まで平らな石が飛び飛びに置かれている。♠へ飛び飛びに読む〉あなたのように飛び飛びに読んだのでは、論旨がとらえられないでしょう。 **とびぬ・ける**[飛び抜ける]○ずばぬける。群を抜く。[文例]優秀な作品の並ぶ中でも、その絵は飛び抜けて人々の目を引いた。♠へ飛び抜けてすぐれる〉三人兄弟の中で、一番下の弟は運動神経が飛び抜けてすぐれていた。♠へ飛び抜けてうまい〉各地ののど自慢[じまん]が集まった中でも、この少女の歌は飛び抜けてうまかった。 **とびひ**[飛び火]○火の粉が飛んでよそに燃え移ること。また、その火。物事が波及すること。皮膚病の一つ。[文例]〈飛び火する〉町外れに発生した火事は、折からの風にあおられて飛び火し、市街地からも火の手があがった。♠へ戦闘が飛び火する〉国境付近で始まった戦闘はまたたく間に各地に飛び火し、全面戦争へと突入[とつにゅう]していった。♠へ事件が飛び火する〉単なる詐欺事件と思っていたが、意外なところに飛び火し、大規模な汚職事件に発展していった。 **とびまわ・る**[飛び回る]○あちこち飛ぶ。はね回る。駆け回る。忙しく歩き回る。[文例]〈鳥が飛び回る〉ジュウシマツを部屋の中に放し、その飛び回る様子を長いこと観察していた。♠へ虫が飛び回る〉ハチが一匹、クローバーの周りをぶんぶん飛び回っています。♠へ飛行機が飛び回る〉上空では、何十機もの敵の飛行機が飛び回っていた。♠へ元気に飛び回る〉外は寒いが、子供たちは元気に飛び回っている。♠〈忙しく飛び回る〉記者たちは、事件を追って毎日忙[いそが]しく飛び回っている。♠へ金策に飛び回る〉急にお金が入り用になって、親類や友人の家を金策に飛び回った。 **どひょう**[土俵]○土を詰めた俵。相撲の勝負で取り組む所。対決の場。[文例]〈土俵に上がる〉横綱が土俵に上がると、客席から大きな声援が飛んだ。♠◇同じ土俵に上がる〉陰でこそこそ言ってないで、同じ土俵に上がって堂々と論争しようではないか。♠〈土俵を割る〉体重二百キロを超す力士の寄りに、横綱はついに土俵を割ってしまった。 **とびら**[扉]○開き戸。本の書名・著者名などを記したページ。雑誌の本文に入る前の第一ページ。[文例]〈扉が開く〉倉庫のがんじょうな鉄の扉は、力いっぱい押さないと開きません。♠へ扉を破る〉突然覆面[とつぜんふくめん]をした男が、扉を破って部屋に飛びこんで来た。♠へ扉を開ける・閉める〉閉めておいた門の扉を、風が開けていった。♠〈扉を閉ざす〉地下には、長い間扉が閉ざされたまま、だれも出入りしていない部屋があった。♠へ本の扉〉この本の扉には、作者自筆によるサインが入っています。♠〈扉を開く〉百人一首は、古典の扉を開くという役割を果たしてきた。♠へ〜への扉〉原子力発電は、新たなエネルギーへの扉を開いたとはいえ、その安全性には大きな問題が残ります。 <789> **とまどい**[戸惑い・途惑い] 電は、新たなエネルギーへの扉を開いたとはいえ、その安全性には大きな問題が残ります。 **と・ぶ**[飛ぶ・跳ぶ]○空中に浮かんで進む。はね上がる。はね散る。はずんで物を越える。飛行機に乗って行く。急いで行く。打ち放たれる。言い放たれる。広まる。途中が抜ける。切られる。[文例]〈鳥が飛ぶ〉〈空を飛ぶ〉渡り鳥が群れをなして南の空を飛んでいった。♠へ物が飛ぶ〉強風にあおられて、新聞紙やダンボールなど、いろんなものが飛んできます。♠く飛行機が飛ぶ〉爆弾[ばくだん]をかかえた敵の飛行機が上空を飛んでいた。♠く矢が飛ぶ〉突然、庭に一本の矢が飛んで来た。♠〈川を跳ぶ〉ぼくらの仲間で、今までこの小川を跳んだのは森田君しかいない。♠ヘバーを跳ぶ〉三度目の挑戦[ちょうせん]で、ぼくは一メートル五十五のバーを跳びこえることができた。♠くうさぎが跳ぶ〉小さなうさぎがぴょんと跳んだ。♠〈跳んだりはねたり〉念願の自転車を買ってもらった弟は、大喜びで、その周りを跳んだりはねたりした。♠〈上から跳ぶ〉木の上から跳んで尻[しり]もちをついた。♠へ飛んで行く〉学校から帰ると、弟は、バットとグローブを持って広場へ飛んで行った。♠〈飛んで帰る〉「見たいテレビがあるんだ。」と言って、学校が終わると、遠藤[えんどう]君は飛んで帰った。♠〈夢が飛ぶ〉いろいろなものが発掘[はつくつ]されるたびに、みんなの夢は、はるか太古の昔へと飛んでいった。♠へ心が〜へ飛ぶ〉帰省の列車に乗りこむと、わたしの心はすでに故郷へ飛んでいた。♠へ声がとぶ〉疲れの色を見せてきた選手たちに、コーチの厳しい声がとんだ。♠へやじがとぶ〉さかんにやじがとんだらしいが、壇[だん]の上のぼくは緊張していたので聞こえなかった。♠〈伝令が飛ぶ〉バッターボックスに入った選手に、監督[かんとく]の指示を受けた伝令が飛びました。♠へげんこつがとぶ〉妹を泣かせたぼくの頭に、父の大きなげんこつがとんできた。♠ヘデマがとぶ〉大地震が起こるというデマがとび、一時はパニック状態になった。♠へ飛ぶように売れる〉彼女の書いた本は飛ぶように売れ、全国の書店から追加注文が殺到[さっとう]した。♠く現地へ飛ぶ〉取材先から帰って来たばかりの記者は、新しい事件を知らされ、直[ただ]ちに現地に飛んだ。♠へ番号がとぶ〉番号順にカードを整理していたら、3から8までとんでいることがわかった。♠ヘページがとぶ〉この本はページがとんでるから、とりかえてください。♠く話がとぶ〉きみの話は途中であっちこっちにとぶから、わかりにくいなあ。♠〈首が飛ぶ〉いいかげんな仕事ばかりしていると、いまに首が飛ぶぞ。♠ヘヒューズがとぶ〉ヒューズがとんで、家じゅうの電気が消えてしまった。♠へ飛んで火に入る夏の虫〉「飛んで火に入る夏の虫」というが、なにも、進んで身を滅[ほろ]ぼすようなことをしなくてもいいじゃないか。♠へ飛ぶ鳥を落とす〉鼻水をたらしていた小僧[こぞう]が、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの大臣とはな。 **どぶ**[溝・泥溝]○雨水や排水の流れるみぞ。[文例]両側のどぶも、道路の舗装[ほそう]に伴ってふたをされることになった。♠〈どぶがつまる〉土砂でどぶがつまり、雨水が道路にあふれ出している。♠〈どぶをさらう〉どぶをさらわなければ、においがひどくてたまらない。♠〈金をどぶに捨てる〉あんな男に金を貸すなんて、金をどぶに捨てるようなものだ。 **とほ**[徒歩]○乗り物に乗らず歩いて行くこと。[文例]〈徒歩で~分〉ぼくの家から徒歩で約二十分の所に、グラウンドがある。♠へ徒歩になる〉途中[とちゅう]まではバスで行けますが、橋をわたった所からは、徒歩になります。♠〈徒歩で行く〉バスが出たばかりだし、三つめの停留所だから、徒歩で行こうよ。♠〈徒歩旅行〉日本一周の徒歩旅行をしてみたいけれど、何日くらいかかるのだろう。 **とほう**[途方]○方向。手段。道理。[文例]〈途方に暮れる〉お金をなくして途方に暮れていたところに、親切な人が通りかかりました。♠く途方もない〉たいした絵だとは思わないが、その絵につけられた値段は途方もなかった。♠へ途方もなく大きい〉途方もなく大きな砂漠の中に、ちっぽけな町が一つありました。♠へ途方もない大酒飲み〉太郎は途方もない大酒飲みで、一升の酒もペロッと飲んでしまいます。 **どぼく**[土木]○河川・道路・橋などの工事。[文例]〈土木の技術>中国からは漢字や仏教のほかに、道路や港を作る土木の技術も伝わった。♠〈土木技師〉ぼくのおじさんは、道路や橋などを造る土木技師です。♠へ土木工事〉冬の間、村の男たちは東京方面の土木工事に出稼[でかせ]ぎに行く。 **とぼ・ける**[恍ける・惚ける]○知らないふりをする。しらばくれる。わざとこっけいにふるまう。文例おまえが犯人じゃないだと。とぼけるな、目撃者[もくげきしゃ]が三人もいるんだぞ。♠〈とぼけた演技〉コメディアンは、まの抜けたとぼけた演技で観客を笑わせていた。♠へとぼけた顔〉飼育係[しいくがかり]のおじさんにおこられたときの子猿[こざる]のとぼけた顔が、なんともかわいらしかった。 **とぼし・い**[乏しい]○不足している。足りない。貧しい。[文例]〈乏しい生活〉母一人、子一人の乏しい生活だったが、平和で落ちついた毎日だった。♠ヘ乏しい金〉母は、乏しいお金の中からぼくにその本を買ってくれたのでした。♠〈食料が乏しい〉漂流[ひょうりゅう]したまま、船内の食料も乏しくなると、人々の間にもあせりの色が濃くなってきた。♠へ乏しい語学力〉乏しい語学力ながら、身ぶり手ぶりをまじえて、なんとかその外国人に説明することができた。♠へ記録が乏しい〉彼に関する記録は乏しく、いったいどんな人物であったのか、ほとんど分かっていない。♠〈知識が乏しい〉天体に関する知識が乏しいので、夜空を見上げても、星座や星の名前などちっとも分からない。♠〈才能に乏しい〉ぼくは音楽の才能に乏しいようで、歌を歌っても一本調子で飾にならないのだ。♠〈人材に乏しい〉うちの会社は、大きな仕事をまかせられるような人材に乏しい。♠く芸術性に乏しい〉大衆にうけるような作品をと思って書くと、どうしても芸術性に乏しくなってくる。 **とぼ・す**[点す・灯す・燈す]』とも・す **↓とも・る**[点る・灯る・燈る] **とまどい**[戸惑い・途惑い]○とまどうこと。まごつくこと。[文例]〈とまどいを覚える〉初めて一輪車に乗るときはとまどいを覚えたが、今はおもしろくてしかたがない。♠へとまどいを感じる〉いつも和服の彼女が洋服を着て現れたので、わたしはちょっととまどいを感じました。 <790> **とまどう**[戸惑う] **とまど・う**[戸惑う・途惑う]○どうしたらよいか分からずに迷う。[文例]転校してきた直後は友達もなく、方言も分からなくてずいぶんとまどいました。♠〈雰囲気[ふんいき]にとまどう〉いつもと違[ちが]った雰囲気にとまどいながら、ぼくはみんなの様子をうかがっていた。♠へ適応にとまどう〉見知らぬ外国での生活が始まると、大人は適応にとまどうことが多かったが、子供のほうはすぐに慣れました。♠〈迷信[めいしん]にとまどう〉都会で育ったわたしは、島に来たばかりのころ、島民の生活と迷信にとまどったこともあった。♠へ返事にとまどう〉思いがけない誘[さそ]いを受けたわたしは、返事にとまどってしまいました。♠〈とまどいがち〉試合の予想が当たらなかったので、解説者の説明もとまどいがちです。 **とまりこ・む**[泊まり込む]○泊まる。ずっと泊まる。[文例]〈会社に泊まり込む〉明日は私鉄がストライキを行うらしいので、会社に泊まり込むつもりでいます。♠〈家に泊まり込む〉グループ研究をしあげるため、ぼくたちは友達の家に泊まり込むことになった。 **とま・る**[止まる・留まる・泊まる](停まる) ○動かなくなる。進まなくなる。通じなくなる。やむ。とぎれる。鳥・虫が物につかまって休む。とどまり残る。固定される。宿泊する。停泊する。[文例]〈血が止まる〉切った指を強く押さえておくと、血はじきに止まります。♠〈汽車が止まる〉寂[さび]しい山の駅に汽車が止まると、二、三人の乗客が降りていった。♠〈交通が止まる〉大雪のため、すべての交通が止まってしまった。♠へ水道・電気・電話が止まる〉災害時は、水道や電気、電話なども止まってしまうことがある。♠へしゃっくりが止まる〉ヒック、さっきから、しゃっくりが出て、ヒック、止まらないんだよ。♠へ笑いが止まらない〉思い出しただけでも、もうおかしくておかしくて笑いが止まらなくなってしまう。♠へ息の根が止まる〉幸い事故には至らなかったが、いきなり子供がとび出して来た時には、息の根も止まるほどびっくりした。♠〈鳥が止まる〉電線に止まっていたすずめたちが、いっせいに飛び立った。♠へとんぼが止まる〉とんぼが飛んできて、ぼくの肩[かた]に止まった。♠へ高く止まる〉ずいぶん高く止まってツンツンしたお嬢さんだな。♠〈ボタンが留まる〉左手ではうまくボタンが留まらないものだな。♠〈耳に留まる〉わたしが家を出て一人暮らしを始めるときに父が言った言葉が、今も耳に留まっている。♠へ物に目が留まる〉遠くの丘を見ると、木の枝にしばりつけられた白い旗に目が留まった。♠へ物が目に留まる〉部屋に入ると、壁の静物画がぼくの目に留まった。♠〈心に留まる〉少女の無邪気[むじゃき]な笑顔が、いつまでもわたしの心に留まっています。♠へ船が港に泊まる〉港に豪華船[ごうかせん]が泊まっているらしいので、見物に行きましょうよ。♠〈ホテル・旅館に泊まる〉ホテルもいいが、やっぱり旅館に泊まるほうが落ち着くなあ。 **とみ**[富]○財産。財貨。資源。[文例]〈大名の力と富〉戦国時代の終わりごろには、大名の持つ力と富は、朝廷[ちょうてい]をはるかにしのいでいた。♠〈富を得る〉西部の町に新しい金鉱が発見されると、富を得ようと、人々が殺到[さっとう]した。♠へ巨万[きょまん]の富を築く〉二十年前アメリカに渡[わた]ったおじは、巨万の富を築いて昨年帰国した。♠〈富をもたらす〉海底に眠る大油田がその国に今日[こんにち]の富をもたらしたといってよい。♠へ富を成す〉彼の豊かな才能を考えれば、現在の富を成したのも決して不思議ではない。 **とみに**[頓に]○急に。にわかに。[文例]お隣[となり]のお姉さん、最近とみに美しくなってきたけれど、恋人[こいびと]でも出来たのかしら?♠このごろ、とみに目が悪くなってきたようだ。やっぱり年には勝てないな。♠患者はとみにやせ衰[おとろ]え、病気が進行しているのが目に見えて分かった。♠地区大会で自信をつけた山本君は、練習にも前以上に意欲を見せ、とみに力をつけてきたようだ。♠昔[むかし]は田畑の多かったこの辺りも、近ごろは大都市のベッドタウンとして、家屋がとみに増加した。 **と・む**[富む]○豊富にある。豊かに持つ。金持ちである。[文例]〈富む人〉この国では、富む人と貧しい人との差が非常に大きい。♠へ資源に富む〉オーストラリアは、鉄鉱・石炭・鉛[なまり]などの地下資源に富んだ国である。♠へ経験に富む〉登山をするときは、経験に富んだ熟練者をリーダーにするのが望ましい。♠へ思慮・分別に富む〉こういうこみ入ったことは、思慮と分別に富む年配の人の助けを借りたほうがよい。♠へ変化に富む〉日本は、四季がはっきりし、変化に富んだ美しい自然に恵まれている。♠へ起伏に富む〉校内マラソンでは、起伏に富んだなかなか難しいコースを走ります。♠く才能に富む〉清少納言[せいしょうなごん]は、歌才に富み、文章に優れ、和漢の学問に通じた才女として、紫式部[むらさきしきぶ]と並[なら]び称[しょう]されている。♠く風情[ふぜい]に富む〉口語体より文語体の文章のほうが、意味は分かりにくいが風情に富んでいる。♠ヘ示唆[しさ]に富む〉この意見は、日本の将来を考えるうえで、大変示唆に富むものである。♠〈波乱に富む〉彼女の一生は、実に波乱に富んだものだった。 **とむら・う**[弔う]○死者の霊を慰める。冥福[めいふく]を祈って供養する。[文例]〈仏[ほとけ]を弔う〉京都、仇[あだ]野[しの]の念仏寺には、弔ってくれる者のない無縁仏[むえんぼとけ]が葬[ほうむ]られ、供養が行われている。♠へ死者を弔う〉生前、信頼[しんらい]のあつかったおじの葬儀の際は、たくさんの人たちがかけつけて弔ってくれました。♠へ霊を弔う〉お彼岸[ひがん]には、祖先の霊を弔うために、親族が集まってお墓参りをしています。♠〈後[あと]を弔う〉仏教では、死者の冥福を祈って、死後四十九日目や年忌[ねんき]などに法事を行い、後を弔います。 **とめど**[止めど](止め処・留め処)○止めるところ。際限。きり。[文例]〈とめどがない〉もう一回、もう一回という小さい子のおねだりは、いつまでもとめどがない。♠へとめどもない〉感動的なラストシーンに、とめどもなく涙がこぼれました。♠へとめどない〉おしゃべりなおばさんは、とめどなく愚痴[ぐち]をこぼし続けた。 <791> **ともす**[点す] く愚痴[ぐち]をこぼし続けた。 **と・める**[止める・留める・泊める](停める)○動かなくする。進まなくする。通じなくする。やめさせる。とぎれさせる。固定する。残しとどめる。宿泊させる。停泊させる。[文例]〈車を止める〉あらっ、あそこを歩いてる人、山本さんじゃないかしら? ちょっと車を止めてちょうだい。♠へ通行を止める〉表通りは人々で混雑するので、車の通行を止めて、祭りの行事が行われます。♠〈足を止める〉道ばたに咲く草花に足を止めることがある。♠〈手を止める〉電話が鳴ったので、編み物の手を止めて受話器をとった。♠へ息の根を止める〉ようし、こんどというこんどこそ、敵をつかまえて、息の根を止めてやる。♠〈せきを止める〉せきを止めるために薬を飲んだのですが、思うようによくなりません。♠へ血を止める〉傷の少し上の部分をハンカチできつく縛[しば]って血を止めた。♠く痛みを止める〉虫歯が痛みだしたので、薬局で痛みを止める薬を買って飲んだ。♠へ文末を体言で止める〉文末を体言で止める表し方は、簡潔[かんけつ]な味わいが出たり、感動的な気持ちが表されたりします。♠くけんかを止める〉大変、大山君と小川君がけんかしてるの、だれか止めて!♠ヘピンで留める〉採集した昆虫[こんちゅう]をピンで留めて、標本を作った。♠〈ボタンを留める〉シャツや上着のボタンはきちんと留めておきましょう。♠〈心を留める〉作文の題材は、ふだんから生活に心を留めていれば、たくさん見つかります。♠へ心に留める〉戦争という悲惨[ひさん]な出来事をしっかり心に留め、二度と戦争のない平和な世の中を実現させたい。♠へ目を留める〉新聞を見ていて、ある中学生の投書に目を留めた。♠く気に留める〉そんなちょっとしたことを気に留めて、いつまでもくよくよしていることはないよ。♠〈一晩泊める〉夏休みに海へ行った時は、旅館がいっぱいで、知り合いの家に一晩泊めてもらいました。 **とも**[友]○友達。友人。仲間。[文例]〈良き友〉〈友に恵まれる〉生活は貧しかったが、やさしい両親と良き友に恵まれ、幸せな日々を送った。♠〈友を訪ねる〉学生時代に仲の良かった友を、十年ぶりに訪ねてみようと思います。♠〈友を選ぶ〉人の影響[えいきよう]を受けやすい中学生のころは、良き友を選ぶことは、特に大切なことです。♠へ竹馬[ちくば]の友〉「竹馬の友」とは、いっしょに竹馬で遊んだような幼友達[おさななじみ]のことです。♠〈類は友を呼ぶ〉「類は友を呼ぶ」って言うけれど、兄さんのお友達って、本当にみんなおもしろい人たちばっかりね。♠〈心の友〉少女は、日記帳を心の友にして、うれしい時、悲しい時、その心を日記につづった。♠へ書物を友とする〉山里の暮らしは、車や人のざわめきもなく、庭に来る小鳥と書物を友とする静かな生活だ。 **とも**[供]○付き従う人。おとも。[文例]〈供を連れる〉おや、お供を連れてあそこを行くのは武蔵屋[むさしや]のお嬢[じょう]さまだ。♠〈供にする〉おじいさまは、孫をお供にして、おでかけ中です。♠〈供に加える〉殿[との]、わたくしめも供にお加えくだされ。 **とも**[共]○一緒であること。みんながそうであること。ひっくるめること。同時であること。[文例] 〈共に過ごす〉わが家族は、夕食後しばらく、テレビの前で共に過ごすことが多い。♠へ共にする〉彼とは、大学の寮[りょう]で起居を共にした仲です。♠へ共に天をいだかず〉両者[りょうしゃ]は共に天をいだかずで、さながら天敵の関係にあった。♠へ~共に〉容疑者は黙秘を続けているため、氏名・年齢共に不明だ。♠〈共倒れ〉このまま水争いが続けば、両地区の百姓が共倒れになってしまう。♠〈共働き〉まだ子供がいないので共働きですが、留守中のことはお隣さんにお願いしてあります。♠ヘ二人とも〉うちの子は、二人とも釣りが好きで、毎日のように近くの川へ出かけています。♠〈送料とも〉土産品の代金は送料とも八千円になります。♠へ~とともに〉彼のことばがうれしいとともに、少し不安でもあった。♠へ~するとともに〉秋が深まるとともに、遠くの山の姿がいっそうきわだってゆく。 **ともあれ**○どうあろうとも。とにかく。とまれ。[文例]〈なにはともあれ〉なにはともあれ、本人に会って話を聞いてみよう。♠目標を変更しなければならないかもしれないが、ともあれ、今やっていることだけはけりをつけてしまおう。♠よし、意見はまとまった。ともあれ、これを全員に知らせよう。 **ともかく**[兎も角]○何にしても。・・・はさておき。とにかく。[文例]ものすごい音がしたぞ。なんだかわからないがともかく行ってみよう。♠あいつはともかくなまけ者なんだよ。♠顔はともかく、声が気にいらないわ。♠さて、冗談[じょうだん]はともかくとして、本題に入りましょう。 **ともぐい**[共食い]○同類の動物が互いに食い合うこと。同類の者が争って共に損をすること。[文例]〈共食いをする〉エサが足りなくなると、虫の中には共食いをするものがいます。♠へ共食いになる〉駅前の三つのスーパーマーケットは、共食いになっているらしい。 **ともしび**[ともし火](灯火・燈火)○ともした火。明かり。[文例]〈ともし火がともる〉地下室には、小さなともし火が一つ、ほの暗くともっているだけだった。♠遠くに見えるともし火をめあてに、旅人は道を急いだ。♠へともし火を引き寄せる〉毎晩深夜までともし火を引き寄せて、読書にふけったころもあった。♠〈心のともし火〉優[やさ]しかった母の言葉の一つ一つが、わたしの心のともし火となって生き続けている。♠へ風前のともし火〉敵に隠[かく]れがが見つかってしまえば、すべては終わりで、まさに風前[ふうぜん]のともし火のようなわたしたちでした。 **とも・す**[点す・灯す・燈す)○灯火をつける。とぼす。[文例]〈火をともす〉暗くなってきたので、山小屋のランプに火をともした。♠〈灯をともす〉一冊の本が暗く沈んでいたわたしの心に、一筋の希望の灯をともしてくれた。♠へ明かりをともす〉家が雪に埋もれてしまうので、真冬は日中も部屋に明かりをともしていなくてはなりません。♠へろうそくをともす〉夜、停電になったので、用意しておいたろうそくをともして、部屋を明るくした。♠へ油をともす〉電灯などなかった昔は、油をともして明かりをとりました。♠へつめに火をともす〉「つめに火をともす」は、ろうそくや油の代わりに自分のつめに火をともすことで、ひどく倹約[けんやく]することのたとえです。 <792> **ともだおれ**[共倒れ] です。 **ともだおれ**[共倒れ]○両方が成り立たなくなること。[文例]〈共倒れとなる〉過当なサービス競争を続けていた二店が共倒れとなった。♠〈共倒れを防ぐ〉営業不振の系列会社を倒産させて、共倒れを防ぐ方法がとられた。♠〈共倒れする〉票の奪[うば]い合いから、保守系の現職が二人共倒れしました。 **ともだち**[友達]○友。友人。仲間。[文例]〈友達になる〉ぼくたちは、ひょんなことから友達になって、それ以来親しく行き来しています。♠く友達ができる〉わたしはひっこみ思案なので、なかなか友達ができません。♠へ友達にする〉彼女はわがままだから、友達にすると苦労するよ。♠へ幼友達〉父の都合で転校することになり、幼友達に別れを告げなければなりません。♠〈茶飲み友達〉年をとると、茶飲み友達がほしくなってね。 **ともども**[共共]○一緒。もろとも。[文例] 〈共々に〉年に一度の村祭り、老いも若きも共々に豊作を喜び合う。♠へ夫婦共々〉わたしたちは夫婦共々、熱狂的なラグビーファンです。♠く親子共々〉あの先生には親子共々、たいへんお世話になりました。 **ともな・う**[伴う]○連れて行く。従える。つき従う。つき従って起こる。[文例]〈家来を伴う〉王様は家来を伴って、森へ狩[か]りに出かけました。♠へ危険が・を伴う〉危険の伴う仕事は、報酬[ほうしゅう]が多くなるのは当然のことです。♠〈苦痛を伴う〉手術は苦痛を伴うが、生きるために耐えねばならない。♠〈雷[かみなり]を伴う〉急に空が暗くなり、雷を伴ったはげしい雨が降ってきた。♠へ行動が伴う〉彼はなかなかいいことを言うが、行動が伴わないので、人から信用されない。♠へ心が伴う〉心の伴わない奉仕活動は無意味です。♠〈実感を伴う〉実際に経験した人の話は、実感を伴っているので迫力[はくりょく]があります。♠へ成長に伴う〉体の成長に伴って、精神的な面も育っていき、考え方や行動も変わっていく。♠く発達に伴う〉交通の発達に伴って、人力車や蒸気機関車などは、次々にその姿を消していった。 **ともに**[共に]↓とも **とも・る**[点る・灯る・燈る] ○灯火がつく。とぼる。[文例]〈明かりがともる〉野良仕事を終えて帰るころには、辺りも薄暗[うすぐ]くなり、家々にも明かりがともりはじめる。♠へろうそくがともる〉屋根裏の彼の部屋には、ろうそくがほの暗くともっていた。♠へ灯[ひ]がともる〉夕暮[ゆうぐ]れの町に灯がともるころ、夜学生の兄は、仕事を終え、大学へ向かうのです。♠へ胸にともる灯〉わたしを力づけてくれたその本は、今もわたしの胸にともる灯となっている。 **とやかく**[兎や角] ○あれこれ。なんのかの。[文例]へとやかく言う〉他人にとやかく言われる筋合いはない、自分で稼[かせ]いだ金で遊んでいるんだから。♠へとやかく言う〉うまいかまずいか、とやかく言う前にまず食べてごらんなさい。 **どや・す**○なぐる。どなりつける。[文例]〈頭をどやす〉ぐずぐず言う弟にかつを入れようと、頭を一つどやしてやった。♠〈頭ごなしにどやす〉きみのように頭ごなしにどやしたのでは、生徒はみなやる気をなくしてしまう。 **どよめき**○どよめくこと。また、その声や響き。[文例]〈場内のどよめき〉競技場の外を通る人にも、場内のどよめきが聞こえてきた。♠へどよめきが起こる〉役者が舞台[ぶたい]に現れると、その異様な姿に観客からどよめきが起こった。♠へどよめきが収まる〉先生の衝撃[しょうげき]的な告白に、教室のどよめきはなかなか収まらなかった。 **どよめ・く** ○鳴り響く。声や音を出して騒ぐ。[文例]へどよめく歓声〉試合場からは、どよめく歓声が風に運ばれてくる。♠へ会場がどよめく〉彼女が舞台に立ったとたん、その異様な姿に会場はどよめいた。♠へどっとどよめく〉大漁[たいりょう]の知らせに浜[はま]はどっとどよめき、にわかに活気を取りもどした。♠へ声をどよめかせる〉優勝が決まった瞬間[しゅんかん]、応援団[おうえんだん]は互[たが]いに喜びの声をどよめかせてお互いに抱き合った。 **とら**[虎] ○ネコ科の猛獣。タイガー。[文例]百獣[ひゃくじゅう]の王ライオンも、黄色い地に黒いしまのあるトラも、両方ともネコ科の動物です。♠へとらになる〉酔っ払ってとらになっては、周囲の人に迷惑をかけたものです。♠へとらの威を借るきつね〉あの子は、とらの威を借るきつねで、父親が見ていないとからきし意気地がない。♠へとらの尾を踏む〉そんなとらの尾を踏むような危険なことはやめておきましょう。♠〈苛政[かせい]は虎よりも猛[たけ]し〉苛政は虎よりも猛しといいますから、善い政治を期待したいものです。♠へ前門[ぜんもん]の虎後門[こうもん]の狼[おおかみ]〉前門の虎後門の狼か、一難去ってまた一難というわけだ。♠へ虎は死して…〉虎は死して皮を残し、人は死して名を残す。♠へとらの子〉とらの子の貯金を無くしたおばあさんは、まるで気が抜けてしまった。 **とらい**[渡来]○海を渡って来ること。[文例]〈仏教の渡来〉仏教の渡来は六世紀のことです。♠へ渡来する〉七世紀から八世紀に渡来した大陸の帰化人は、日本の文化に大きな影響を与えました。♠〈南蛮[なんばん]渡来〉博物館には安土桃山[あづちももやま]時代の南蛮渡来の品々が展示されていた。 **ドライ**○乾燥しているさま。物事を割り切って現実的に処理するさま。[文例] 〈ドライな性格〉現代っ子は、みんなきみのようにドライな性格をしているのかしら。♠ヘドライフラワー〉いただいたバラの花束を風通しのよい所に下げてドライフラワーを作りました。♠ヘドライクリーニング〉このブラウスは、ドライクリーニングでなければだめね。 **ドライブ**○車を運転して遠出すること。打球を急回転させること。[文例]〈ドライブに行く〉天気がよいからと言って、兄はドライブに行きました。♠ヘドライブに出かける〉父が免許[めんきょ]を取ったので、家族そろってドライブに出かけます。♠ヘドライブする〉だれか誘[さそ]って、ドライブしたい気分だな。♠ヘドライブがかかる〉ドライブのかかった打球がレフト線ぎりぎりを抜いていった。 **とら・える**[捕らえる](捉える)○つかまえる。取り押さえる。受け止める。感じ取る。理解する。[文例]〈獲物[えもの]を捕らえる〉トラはその鋭[するど]いつめで獲物を捕らえるや、すばやく引き倒し噛[か]みついた。 <793> **とりあつかう**[取り扱う] 倒し噛みついた。♠へちょうを捕らえる〉あるとき、ぼくは、このへんでは珍[めずら]しい、青いこむらさきちょうを捕らえた。♠〈犯人を捕らえる〉事件直後に、犯人は捕らえられた。♠〈襟首[えりくび]を捕らえる〉「犯人はおまえだろう!」と、男はわたしの襟首を捕らえて放さなかった。♠ヘボールを捕らえる〉バットのしんでボールを捕らえれば、五十メートルは軽く飛ぶ。♠〈電波をとらえる〉電波をとらえるために、アンテナをとりつけます。♠〈情景・心情をとらえる〉詩を読んで、情景や作者の心情をとらえよう。♠く特徴をとらえる〉この絵は、友達の顔の特徴をよくとらえてかかれているね。♠〈客観的にとらえる〉自分を成長させてゆくためには、自己を客観的にとらえることが大事です。♠〈機会をとらえる〉予習・復習ではもちろんのこと、いろいろな機会をとらえて、辞書を上手に利用するよう心がけよう。♠へ様子をとらえる〉フィルムには、海辺で遊ぶ子供たちの様子が、うまく とらえられていた。♠〈心をとらえる〉やっと母にめぐり合えたとき、大きな喜びがわたしの心をとらえた。 **トラブル**○障害。故障。事故。いざこざ。騒ぎ。[文例]〈トラブルがある〉時間に正確な彼が姿を見せないなんて、何かトラブルがあったに違いない。♠ヘトラブルを起こす〉自己主張の強い人ですから、周囲の人と衝突[しょうとつ]しトラブルを起こすことも多かった。♠ヘトラブルに巻き込まれる〉父は親類の遺産相続のトラブルに巻き込まれ、このところ浮かない顔をしている。♠ヘエンジントラブル〉大型トラックがエンジントラブルで立ち往生し、国道は大混雑です。 **ドラマ**○演劇。劇的な出来事。[文例]〈ドラマの主役〉評判のドラマの主役に無名の新人が選ばれたそうだ。♠ヘドラマを演じる〉人生では、それぞれの人が主役となってドラマを演じていると言える。♠〈ホームドラマ〉日本のホームドラマは、食事のシーンがやたらと多いのだそうだ。 **とらわ・れる**[捕らわれる](囚われる)○捕らえられる。思考の自由を奪われる。[文例]〈敵に捕らわれる〉味方の兵が敵に捕らわれたという報告が入った。♠〈外見にとらわれる〉人の心を見抜くには、その人の外見にとらわれらないようにすることだ。♠へ先入観にとらわれる〉わたしたちは、こうだと思いこんでいると、その先入観にとらわれて、正しい判断ができなくなるものです。♠〈悲しみにとらわれる〉だれも自分を理解してくれる人はいないと思うと、強い悲しみにとらわれて涙[なみだ]がこぼれた。♠〈思いにとらわれる〉お嫁[よめ]に行く姉を見送るとき、父はぼんやりとして、なにか思いにとらわれているようだった。♠へ疑問にとらわれる〉人は何のために生きるのだろうという疑問にとらわれたまま、ぼくはなかなか答えを見いだせないでいる。♠〈目先の事にとらわれる〉目先の事にばかりとらわれていては、将来の見通しは立たない。♠〈恐怖[きょうふ]にとらわれる〉わたしは恐怖にとらわれ、声を上げることさえできなかった。 **とり**[鳥]○鳥類の総称。ニワトリのこと。[文例]〈鳥が飛ぶ〉大きな鳥が翼[つばさ]を広げ、ゆうゆうと空を飛んでいく。♠へ鳥が渡[わた]る〉冬になると、ガンやカモなどの鳥が日本に渡ってきます。♠〈鳥を飼う〉わたしは今、サクラブンチョウという鳥を飼っています。♠へとりの肉〉ビーフは牛、ポークは豚[ぶた]、チキンはとりの肉のことです。♠へ鳥も通わぬ〉当時その島は、鳥も通わぬ絶海[ぜっかい]の孤島[ことう]として、人々から恐[おそ]れられていた。♠へ足元から鳥がたつ〉ああ驚いた、「足元から鳥が立つ」とはこのことだ。♠〈かごの鳥〉親から勉強勉強と言われて、外に出て思いっきり遊べない子なんて、まるで「かごの鳥」ね。♠へたつ鳥あとをにごさず〉「たつ鳥あとをにごさず」と言うから、最後くらいきれいに後始末して、次の人に引きつごうよ。♠へ飛ぶ鳥を落とす勢い〉上り調子の新大関[おおぜき]は、今や敵なしで、飛ぶ鳥を落とす勢いだ。 **とりあ・う**[取り合う]○奪い合う。互いに取る。相手にする。[文例]〈物を取り合う〉公園の砂場では男の子が二人、スコップを取り合ってけんかを始めました。♠〈手を取り合う〉優勝の知らせを聞いた瞬間[しゅんかん]、ぼくたちは手を取り合って喜んだ。♠何度も何度も頭を下げてお願いしたが、係員はまるで取り合ってくれなかった。 **とりあえず**[取りあえず](取り敢えず)○ひとまず。さしあたり。[文例]問題をやり残しましたが、とりあえず今日の授業はここまでにしましょう。♠ごはんができるまで、とりあえずこのせんべいでがまんしてください。♠あまり時間がないんだ、とりあえず用件だけ言うよ。 **とりあ・げる**[取り上げる]○持ち上げる。奪い取る。出産に手を貸す。聞き入れる。問題として扱う。[文例]〈手に取り上げる〉机の上の本を手に取り上げ、パラパラとめくってみた。♠へおもちゃを取り上げる〉こら、いつまでも聞き分けのないことを言っていると、おもちゃを取り上げるぞ。♠〈財産を取り上げる〉人のいい老夫婦は、うまいこと言いくるめられ、財産を取り上げられた。♠く権利を取り上げる〉だれにも、わたしたちがこの土地で生きる権利を取り上げることはできない。♠へ赤ん坊を取り上げる〉昔は、家で産婆[さんば]さんに赤ん坊を取り上げてもらったものです。♠へ訴えを取り上げる〉ガードレール設置の訴えは、なかなか市に取り上げられません。♠◇問題を取り上げる〉今日の話し合いのテーマとして、ごみ処理問題を取り上げてみましょう。 **とりあつかい**[取り扱い]○取り扱うこと。処理。処置。待遇。[文例]〈物の取り扱い〉この箱は、取り扱いに注意してください。♠へ取り扱いに困る〉こんな小さな部屋にりっぱなオーディオセットが入り、取り扱いに困っています。♠へ取り扱いを受ける〉彼女は、職場で不公平な取り扱いを受けた と訴え出た。 **とりあつか・う**[取り扱う]○取りさばく。扱う。処理する。待遇する。[文例]〈乱暴に取り扱う〉刃物[はもの]は、乱暴に取り扱うと危険です。♠へ業務を取り扱う〉郵便局では、郵便や小包のほかにも、貯金、為替[かわせ]、保険などの業務を取り扱っています。♠へ事件を取り扱う〉今、重大な事件を取り扱っているので、ほかまで手が回らない。♠へ大人として取り扱う〉叔父[おじ]さんが、わたしを大人として取り扱ってくれたことがとてもうれしかった。♠〈木の端[はし]のように取り扱う〉みそっかすのぼくは、兄さんたちに木の端のように取り扱われていた。 <794> **とりあわせ【取り合わせ】** ○組み合わせ。配合。[文例]〈花の取り合わせ〉花瓶に差した菜の花と、桃の花の取り合わせがとても春らしかった。♠〈色の取り合わせ〉少女のスカートとブラウスは色の取り合わせがよく、とてもかわいらしかった。♠〈妙[みょう]な取り合わせ〉店に現れたのは、筋肉質の大男と七十過ぎの老婆[ろうば]という、妙な取り合わせだった。 **とりい・る【取り入る】** ○気に入ってもらうためにへつらう。[文例]〈上役にとりいる〉日ごろから上役にとりいっていれば、少しは出世できるでしょうか。♠〈先生にとりいる〉先生にとりいっても、試験の点はよくなりませんよ。 **とりいれ【取り入れ】** (穫り入れ)○取り入れること。収穫。[文例]〈洗濯物の取り入れ〉あら、たいへん、洗濯物の取り入れを忘れていたわ。♠〈作物[さくもつ]の穫り入れ〉村では、毎年穫り入れが終わると、豊作を感謝して盛大に秋祭りが行われる。 **とりい・れる【取り入れる】** (穫り入れる)○取って中に入れる。受け入れる。収穫する。[文例]〈養分を取り入れる〉植物は、根から水や養分を取り入れて、体じゅうにいきわたらせている。♠〈洗濯物を取り入れる〉雨が降ってきたわ、急いで洗濯物を取り入れなけりゃ。♠〈文化を取り入れる〉日本は、古い時代から外国の文化を取り入れてきました。♠〈稲を穫り入れる〉九月も半ばとなり、そろそろ稲を穫り入れる時期です。 **とりえ【取り柄】** ○取り上げて役に立つ点。すぐれたところ。長所。[文例]〈取り柄がある・ない〉わたしから明るさを取ったら、もうなんにも取り柄がなくなってしまうでしょう。♠〈取り柄を持つ〉どんな人でも、何かしら取り柄を持っているものです。♠〈健康が取り柄〉ぼくは健康だけが取り柄の人間です。♠〈まじめが取り柄〉兄はユーモアには欠けるが、まじめなのが取り柄です。♠〈正直が取り柄〉正直が取り柄のあの人がうそをつくなんて、信じられないな。 **とりおさ・える【取り押さえる】** ○つかまえて押さえつける。つかまえる。[文例]〈牛を取り押さえる〉彼は、荒れ狂う牛を素手で取り押さえたという力持ちです。♠〈泥棒[どろぼう]を取り押さえる〉アパートの住人の協力で泥棒を取り押さえ、交番に突き出しました。♠〈現場を取り押さえる〉張り込みを続けた刑事は、ついに麻薬密売の現場を取り押さえた。 **とりかえし【取り返し】** ○取り返すこと。元の状態にもどすこと。[文例]〈取り返しがつく〉前半は五点差以内でついていけば、後半に強いチームですから取り返しがつくと思います。♠〈取り返しがつかない〉不注意で展示物に傷をつけるという、取り返しのつかないミスをしてしまった。 **とりかえ・す【取り返す】** ○取りもどす。元の状態にもどす。[文例]〈物を取り返す〉サルがぼくのかぶっている帽子を取ったので、あわてて取り返した。♠〈遅れを取り返す〉病気で学校を休んでいた間の遅れを取り返そうと、今、がんばっています。♠〈点を取り返す〉初回に六点を取られたが、二回にホームランなどで四点を取り返した。 **とりか・える【取り替える・取り換える】** ○他のものに換える。交換する。[文例]〈水を取りかえる〉三日に一回は、金魚鉢の水を取りかえることにしています。♠〈物と物を取りかえる〉ジャックは、牛と幾粒かの豆とを取りかえました。♠〈洋服を取りかえる〉たまには気分を変えるために、姉と洋服を取りかえて着ることがあります。 **とりかか・る【取り掛かる】** ○着手する。開始する。[文例]〈工事に取りかかる〉工事に取りかかったのが去年の十月なのに、まだ完成しない。♠〈仕事に取りかかる〉工場の人たちは朝のあいさつをして、それぞれの仕事に取りかかります。♠〈勉強に取りかかる〉受験生たちは食後の休憩[きゅうけい]も取らずに、勉強に取りかかった。 **とりかこ・む【取り囲む】** ○まわりを囲む。[文例]〈犬を取り囲む〉いたずら小僧たちが迷子[まいご]の子犬を取り囲んで、なにやら騒いでいるぞ。♠〈とりでを取り囲む〉砦[とりで]を取り囲んだ兵たちは、攻撃の命令がくだるのを今か今かと待っていた。♠〈ストーブを取り囲む〉雪合戦をして帰ってきた男の子たちは、ストーブを取り囲んで凍えた手を暖めた。 **とりかわ・す【取り交わす】** ○やりとりする。交換する。[文例]〈手紙を取り交わす〉引っ越していった友達と、今でも手紙を取り交わしています。♠〈約束を取り交わす〉つきあい始めて三年、二人は結婚の約束を取り交わしていた。♠〈条約を取り交わす〉日本は、現在、アメリカ合衆国と日米安全保障条約を取り交わしている。 **とりきめ【取り決め】** ○きまり。決定。約束。[文例]〈取り決めをする〉漁師たちは、取り決めをして、魚を捕る時期や場所を制限していた。♠〈取り決めができる〉発掘した金塊[きんかい]をどのように分配するかは、男たちの間で細かい取り決めができていた。♠〈取り決めを守る〉お互いの利益を考えて作ったのだから、取り決めは守ってもらいたい。♠〈公害防止の取り決め〉市側と工場の間で、公害防止の取り決めが行われた。 **とりき・める【取り決める】** ○相談して決める。約束する。[文例]〈分担を取り決める〉行動に移る前に、互いの分担を取り決めておこう。♠〈条約を取り決める〉外国との間に取り決められた条約は、国会で承認されなければ効力を持ちません。♠〈日時を取り決める〉練習試合の日時を取り決めるのもマネージャーのわたしの仕事です。 **とりく・む【取り組む】** ○組み合う。相撲をとる。たずさわる。従事する。[文例]〈研究に取り組む〉わたしがこの研究に取り組むきっかけとなったのは、ほんのささいな疑問なのです。♠〈仕事に取り組む〉真剣に仕事に取り組む彼の姿は、とてもたのもしく見えた。♠〈学問に取り組む〉彼女は、むさぼるような勢いで学問に取り組み、知識を吸収していった。♠〈本に取り組む〉夏休みは、全十二巻という本に取り組むつもりです。♠〈力士が取り組む〉行司[ぎょうじ]の合図で、両力士が取り組みます。 **とりけし【取り消し】** ○取り消すこと。解除。解約。撤回。[文例]〈予約の取り消し〉旅行が中止になったので、ホテルに予約の取り消しの電話を入れました。♠〈注文の取り消し〉すでに注文した商品の取り消しはできません。 <795> **とりたてる** し>新製品[しんせいひん]に欠陥[けっかん]のあることがわかり、会社[かいしゃ]には注文[ちゅうもん]の取[と]り消[け]しが殺到[さっとう]した。♠●〈発言[はつげん]の取[と]り消[け]し〉野党[やとう]議員[ぎいん]は大臣[だいじん]の発言[はつげん]に不適切[ふてきせつ]な言葉[ことば]があったと、取[と]り消[け]しを求[もと]めています。◆<免許[めんきょ]取[と]り消[け]し〉酔[よ]っ払[ぱら]い運転[うんてん]で事故[じこ]など起[お]こしたら、一発[いっぱつ]で免許[めんきょ]取[と]り消[け]しになってしまう。 **とりけ・す**【取り消す】 ○取[と]りやめる。解消[かいしょう]する。解除[かいじょ]する。撤回[てっかい]する。[文例]〈注文[ちゅうもん]を取[と]り消[け]す〉すみませんが、さっきの注文[ちゅうもん]は取[と]り消[け]させてください。♠●へ契約[けいやく]を取[と]り消[け]す〉一度[いちど]契約[けいやく]したら、やむをえぬ理由[りゆう]がない限[かぎ]り取[と]り消[け]すことは出来[でき]ませんよ。♠へ予約[よやく]を取[と]り消[け]す〉旅行[りょこう]が中止[ちゅうし]になったから、ホテルに電話[でんわ]をして、予約[よやく]を取[と]り消[け]さなくては。♠●へ免許[めんきょ]を取[と]り消[け]す〉飲酒[いんしゅ]運転[うんてん]をすると、免許[めんきょ]を取[と]り消[け]されてしまいます。♠●へ発言[はつげん]を取[と]り消[け]す〉たいへん失礼[しつれい]しました、さきほどの発言[はつげん]は取[と]り消[け]します。 **とりこ**(虜・擒) ○生[い]け捕[ど]りにした敵[てき]。捕虜[ほりょ]。何[なに]かに夢中[むちゅう]になって逃[のが]れられない人[ひと]。[文例]ゲームのとりこ〉〈とりこになる〉コンピュータゲームのとりこになって、視力[しりょく]を弱[よわ]くする小中学生[しょうちゅうがくせい]もいるらしい。♠●〈恋[こい]のとりこ〉彼女[かのじょ]の美[うつく]しさにひかれて、恋[こい]のとりことなった若[わか]い男[おとこ]は数知[かずし]れない。♠●へとりこにする〉少女[しょうじょ]は、たちまち老人[ろうじん]をとりこにしてしまった。 **とりこしぐろう**【取り越し苦労】 ○将来[しょうらい]のことをあれこれと思[おも]い悩[なや]むこと。杞憂[きゆう]。[文例]〈取[と]り越[こ]し苦労[ぐろう]をする〉来年[らいねん]のことなど、今[いま]から取[と]り越[こ]し苦労[ぐろう]をしてもしかたがないだろう。♠●〈年寄[としよ]りの取[と]り越[こ]し苦労[ぐろう]〉ばあさんや、くよくよと年寄[としよ]りの取[と]り越[こ]し苦労[ぐろう]はやめなさい。 **とりこ・む**【取り込む】 ○取[と]って中[なか]に入[い]れる。取[と]って自分[じぶん]のものとする。他人[たにん]に取[と]り入[い]って丸[まる]め込[こ]む。ごたごたする。[文例]〈洗濯[せんたく]物[もの]を取[と]り込[こ]む〉急[きゅう]に雨[あめ]が降[ふ]り出[だ]し、おおあわてで洗濯[せんたく]物[もの]を取[と]り込[こ]んだ。♠●〈味方[みかた]に取[と]り込[こ]む〉実力[じつりょく]ナンバーワンの彼[かれ]を味方[みかた]に取[と]り込[こ]めば、鬼[おに]に金棒[かなぼう]だ。♠今日[きょう]はちょっと取[と]り込[こ]んでおりますので、後日[ごじつ]改[あらた]めておいでください。 **とりこわ・す**【取り壊す】 ○壊[こわ]す。解体[かいたい]する。[文例]〈小屋[こや]を<22> **と** **とりたてる** しらべに、男はついに自白した。♠〈取調べをする〉役人は取調べをするため、男たちを番所に連行した。♠へ取調べを受ける〉男は、盗みの疑いで警察の取調べを受けた。 **とりしら・べる**【取り調べる】 ○調査する。尋問する。[文例]〈容疑者を取り調べる〉刑事は、厳しく容疑者を取り調べた。◆◇犯人を取り調べる〉犯人を取り調べているうちに、事件に関する意外な事実が判明した。 **とりざた**【取りざた】(取り沙汰) ○世間でうわさをすること。また、そのうわさ。[文例]〈世間の取りざた〉わが道を行くという信念の人ですから、世間の取りざたなどまったく気にしない。♠へ取りざたする〉村では目立つ少女だったから、何やかやと取りざたされることが多かった。 **とりしき・る**【取り仕切る】 ○とりさばく。きりもりする。管理する。[文例]〈店をとりしきる〉主人が亡くなってから、おかみさんがこのお店をとりしきっています。♠●〈部下をとりしきる〉たとえ二人でも、部下をとりしきるにはそれだけの力量が必要です。♠●〈盛り場をとりしきる〉あの男が、この辺り一帯の盛り場をとりしきるやくざの親分だ。 **とりしまり**【取り締まり・取締】 ○取り締まること。また、その役目。[文例]〈交通の取り締まり〉歳末になると、各地で交通の取り締まりが行われる。♠●へ警察の取り締まり〉〈取り締まりが厳しい〉暴力団の抗争があってから、警察の取り締まりはとても厳しくなった。♠●へ取締役〉父は、印刷会社の取締役をしています。 **とりしま・る**【取り締まる】 ○管理する。監督する。[文例]〈違反を取り締まる〉警察では、事故が起こらないように、交通違反を厳しく取り締まっている。♠●へ犯罪を取り締まる〉交番のおまわりさんは、昼夜、町内をパトロールし、犯罪などを取り締まっています。♠●〈生徒を取り締まる〉困った問題が起こらないように、生徒たちを取り締まるのも、教師の大きな役目です。♠●へ暴力を取り締まる〉様々な形の暴力を取り締まるためにどのような方法をとったらよいだろう。 **とりしらべ**【取り調べ】 ○取り調べること。尋問。[文例]〈警察の取り調べ〉警察の取り調べにも、容疑者はひと言も口をきこうとしない。♠●へ厳しい取り調べ〉捜査官の厳しい取り<795> うだ。 **とりす・てる**【取り捨てる】 ○取って捨てる。見捨てる。[文例]〈弱い者を取り捨てる〉アメリカでは、弱い者は取り捨てられる厳しい競争社会だそうです。♠●へ古い物をとりすてる〉あの店は、古い物をとりすてて、新しい物ばかりを売っている。 **とりすま・す**【取り澄ます】 ○すましたふりをする。[文例]久しぶりに会ったというのに、彼女は取り澄ましてあいさつもしません。♠●へ取り澄ました顔〉日ごろおしゃべりな姉も、今日ばかりは美しい晴れ着を着て、取り澄ました顔をしている。 **とりそろ・える**【取りそろえる】 ○全部そろえる。[文例]〈品物を取りそろえる〉この店は、様々な種類の品物を取りそろえている。 **とりたて**【取り立て】 ○とれたばかり。引き立て。徴収。[文例]〈家賃の取り立て〉大家さんは、家賃の取り立てでアパートを一部屋ずつ回っています。♠●〈借金の取り立て〉期日が過ぎたので借金の取り立てに行ったところ、相手の部屋はもぬけのからだった。♠●へ重役の取り立て〉小林君は、重役の取り立てで昇進したらしいよ。♠●へとりたての果物〉食卓にはとりたての果物や野菜がどっさり盛られている。 **とりた・てる**【取り立てる】 ○徴収する。引き立てる。抜擢する。特にとりあげる。[文例]〈年貢を取り立てる〉代官は、情け容赦なく農民から年貢を取り立てていった。♠へ借金を取り立てる〉借金を取り立てるというのは、実に気の重い仕事です。♠●へ大臣に取り立てる〉王は才覚ある家臣を大臣に取り立て、政治に参加させることにした。♠●〈取り立てて〉昨日は一日中家でごろごろしていましたので、取り立ててこれといった話はありません。 <796> **とりちが・える【取り違える】** ○まちがえて別の物を取る。まちがえて理解する。[文例]〈物と物を取り違える〉おばあちゃんは、今までセロリとレタスを取り違えていたそうです。♠〈男と女を取り違える〉「真澄[ますみ]」という名の男性だったから、相手が女性と取り違える可能性はあったわけだ。♠〈意味を取り違える〉読点を打たないと、意味を取り違える心配のある文もあります。 **とりつ・く【取り付く】**(取り憑く) ○とりすがる。着手する。悪い霊などがのりうつる。[文例]〈仕事にとりつく〉その夜は、夕食後来客があって、仕事にとりついたのは八時過ぎだった。♠〈きつねがとりつく〉きつねがとりついたにちがいない、吾作[ごさく]どんの様子がおかしい。♠〈とりつかれたよう〉博士はここ数週間、寝食[しんしよく]を忘れ、ものにとりつかれたように研究に熱中していた。♠〈とりつく島がない〉機嫌の悪いときの彼女ときたら、ぶすっとしてまったくとりつく島がない。 **とりつ・ぐ【取り次ぐ】** ○受けたものを他に渡す。間に入って話を他に伝える。商品売買の中継ぎをする。[文例]〈主人に取り次ぐ〉ご主人に、青森の小林が来たと取り次いでください。♠〈電話を取り次ぐ〉電話をしたのがぼくだとわかると、おばさんはすぐにゆうちゃんに取り次いでくれました。♠〈品物を取り次ぐ〉出版社が作った本を町の本屋さんに取り次ぐ問屋があります。 **とりつくろ・う【取り繕う】** ○手入れをする。修復する。隠し整える。体裁を飾る。[文例]〈破損を取り繕う〉台風で屋根がわらが飛んだのだが、村の男たちがやってきて、とりあえずトタン板で取り繕ってくれた。♠〈構えを取り繕う〉構えだけは取り繕っていますが、実は家計は火の車です。♠〈体裁を取り繕う〉廊下で転んだ校長先生は体裁を取り繕うように、立ち上がってエヘンと一つせきばらいをした。♠〈その場を取り繕う〉あまりおもしろくないしゃれをとばしたりして、ぼくはその場を取り繕うのに苦労した。♠〈失敗を取り繕う〉わたしは自分の失敗を取り繕おうと、日曜日も出 **とりで(砦)** ○敵の攻撃に備えて築いた出城。要塞。同じ考えをもって闘う人たちの本拠。[文例]〈とりでを築く〉武田方[たけだがた]は戦闘に備えて、川のほとりにとりでを築き始めた。♠〈とりでを守る〉とりでを守る北軍に南軍が襲[おそ]いかかった。♠〈とりでに立てこもる〉とりでに立てこもる反乱軍を一掃するため政府軍が出動した。♠〈自由のとりで〉ファシズムに抵抗する詩人・文学者が結集したこのグループは、いわば自由のとりでであった。 **とりとめ【取り止め・取り留め】** ○押さえ止めること。まとまり。しまり。際限。「[文例]〈とりとめがない〉少女たちはたわいない話に興じて、とりとめがない。♠〈とりとめがない〉会議は、とりとめもなく続いていた。 **とりと・める【取り止める・取り留める】** ○押さえ止める。命を失わずに助かる。[文例]〈命をとりとめる〉どうやら命はとりとめましたが、一年以上も入院しなければならなかった。♠〈一命をとりとめる〉トラックと衝突[しようとつ]したタクシーの運転手は、奇跡的[きせき]に一命をとりとめた。 **とりどり【取り取り】** ○思い思い。それぞれ。さまざま。[文例]へとりどりの服装>待ち合わせの場所に、みんなはとりどりの服装で集まってきました。♠〈色とりどり〉花壇[かだん]には、花が色とりどりに咲き乱れていた。 **とりな・す【取り成す・執り成す】** ○とりつくろう。とりまとめる。とりもつ。なだめる。[文例]母がいろいろととりなしてくれたおかげで、父に怒[おこ]られずに済んだ。♠〈座をとりなす〉一瞬[いっしゅん]座が白けたが、きみがうまくとりなしてくれたので助かったよ。♠〈けんかをとりなす〉がき大将のタッちゃんは、子供たちのけんかをとりなすのがうまかった。♠〈仲をとりなす〉二人の仲をとりなそうとしたが、やはりだめだった。 **とりはから・う【取り計らう】** ○とりおさめる。うまく処理する。[文例]東京は初めてのわたしがまごつかないように、叔父がいろいろと取り計らってくれた。♠所用[しよう]で会議 には出席できませんが、よろしく取り計らってください。♠その件に関しては、どこからも不満が出ないようしかるべく取り計らっておきました。 **とりはだ【鳥肌】**(鳥膚) ○毛が逆立ったり、表面がざらざらした肌。[文例]〈鳥肌が立つ〉わたしは、鳥肌が立つほどヘビがきらいです。♠〈鳥肌を立てる〉プールから上がってきた選手たちは、寒さで唇[くちびる]が紫色になり、鳥肌を立てていた。 **とりひき【取り引き・取引】** ○売買。商行為。互いの利益のために約束して行う行為。[文例]〈商品の取り引き〉市場にとりたての野菜が並ぶと、さっそく取り引きが始められた。♠〈損な取り引き〉これだけの品物がこの値段だ、決して損な取り引きではないよ。♠〈政治的な取り引き〉今度の事件に関しては、裏に政治的な取り引きがあるそうだ。♠〈取り引きが成立する〉相手が信用してくれたので、その取り引きは成立した。♠〈取り引きする〉わが社では、来年から外国商社と取り引きすることになった。♠〈取引先〉今夜は取引先の人たちを接待しなければなりません。 **とりま・く【取り巻く】** ○取り囲む。つきまとってへつらう。[文例]〈島を取り巻く〉小さな島と、それを取り巻く青い海を舞台[ぶたい]に、物語が展開されていきます。♠〈周囲を取り巻く〉日本は、美しい風景に周囲を取り巻かれ、自然に恵まれた国です。♠〈記者に取り巻かれる〉外に出たとたん、大勢の報道記者に取り巻かれた。♠〈人を取り巻く〉彼女自身は嫌いじゃないけれど、彼女を取り巻く人たちがどうも好きになれないんだよ。♠〈大勢に取り巻かれる〉裕福[ゆうふく]な時は大勢に取り巻かれていたが、貧乏[びんぼう]になったとたん、みんな去[さ]っていってしまった。♠〈人を取り巻く環境[かんきよう]〉主人公の生き方について、彼を取り巻く環境と関連させて考えてみなさい。♠〈自分を取り巻く社会〉文学に親しむことによって、自分を取り巻く社会や人生を見つめる目を育てよう。 <797> とる と んものだから一層せまくるしい。♠<取り乱した姿>寝起きの取り乱した姿をあなた様にお見せするわけにはまいりません。♠夫の事故を聞いて、わたしはすっかり取り乱してしまった。 **きげん** **けいやく** **「とりむす・ぶ【取り結ぶ】** ○結ぶ。とりもつ。機嫌[きげん]をとる。[文例]<契約[けいやく]を取り結ぶ>交渉が成立し、昨日契約を取り結びました。♠<仲を取り結ぶ>二人の仲を取り結んだのは、趣味の登山だった。♠<機嫌を取り結ぶ>世話好きの叔母[おば]は、かんしゃく持ちの祖母の機嫌を上手に取り結んだ。 **とりも・つ【取り持つ】** ○手に持つ。仲立ちをする。もてなす。とりまとめる。[文例]<仲をとりもつ>二人の仲をとりもったのは、共通の友人であるわたしです。♠<客をとりもつ>遠来のおばをとりもつもうと、家族全員が食卓についた。 **とりもなおさず【取りも直さず】** ○そのまま。すなわち。[文例]自由に生きるということは、とりもなおさず、責任を持って生きていくことにほかならない。♠物価が上がるとうことは、とりもなおさず、わたしたちの生活がおびやかされることだ。♠科学が進むということは、とりもなおさず生活が便利になることだが、反面、問題がないわけでもない。 **とりやめ【取りやめ】** (取り止め)○取りやめること。中止。[文例]<旅行が取りやめ>スケジュールの都合がつかないというのなら、今度の旅行は取りやめだ。♠<取りやめになる>予定されていた球技大会は、雨のために取りやめになった。 **とりや・める【取りやめる】** (取り止める)○中止する。[文例]<旅行を取りやめる>健康が思わしくないため、予定していた旅行は取りやめることにした。♠<計画を取りやめる>諸般の事情から計画を取りやめる決定がなされた。♠<練習を取りやめる>気温が低いので、屋外での練習を取りやめます。 **どりょう【度量】** ○心の広さ。長さと容量。物指[ものさし]と升[ます]。[文例]<度量がある>彼には、人の忠告に素直に耳を傾[かたむ]けるだけの度量がある。♠<度量が狭[せま]い>あれしきのうわさにくよくよするなんて、度量の狭い男だなあ。♠<度量の広さ>わたしも、あなたの度量の広さを見習いたいと思う。 **どりょく【努力】** ○熱心に努めること。精一杯打ち込むこと。[文例]<努力をする>土曜日までに間に合わせようと、できる限りの努力はしたのだが、結局完成しなかった。♠<努力が報[むく]われる>近年にない低温のため、稲[いね]の品種改良の努力は報われなかった。♠<努力が認められる>人類の平和に尽くした博士[はかせ]の努力が認められた。♠<努力を惜しむ>兄は世界一周旅行という目的を達成するためには、どんな努力も惜しまないと言っている。♠<努力のかい>みんなの努力のかいもなく、実験は失敗に終わった。♠<努力が実を結ぶ>長年の努力が実を結んで、彼女はみごと司法試験に合格しました。♠<努力のたまもの>チームが予選を通過できたのも、たゆまない努力のたまものです。♠<努力を怠[おこた]る>どんなに才能があっても、努力を怠れば、成績は向上しません。♠<努力する>努力せよ、努力せよとうるさく言われるが、こんなこと、努力に値[あたい]するのだろうか?♠<努力家>見た目からは想像もつかないでしょうが、弟はものすごい努力家なんですよ。 **とりわけ【取り分け】** ○ことに。特に。なかでも。[文例]ぼくたちが今とりわけ興味を持っているのは、流行のパソコンだ。♠わたしの好物は甘[あま]いもの、とりわけいちごのショートケーキです。♠三日間のお祭りのうちでも、今日はとりわけ盛大[せいだい]ににぎわう日です。♠今度の大会では、各競技の中でもとりわけ陸上競技に、わが校選手の活躍[かつやく]が期待されている。♠日本人は、とりわけ季節の移り変わりを鋭敏[えいびん]に感じ取ってきました。♠人と人との触れ合い、とりわけ男性と女性との愛情のテーマは、昔[むかし]から多く詩歌に歌われてきた。 **と・る【取る・採る・捕る・執る・撮る】** (盗る・獲る・摂る)○手に持つ。つかむ。つかまえる。とらえる。採取する。収穫する。とり除く。とり集める。自分のものにする。採用する。盗む。扱う。受ける。身に受ける。とり寄せる。形にする。とり出す。費やす。行う。理解する。解釈する。とりはからう。とりあげる。つかさどる。写す。[文例]<物を取る>人間は、腕を伸ばして、手で物を取ったり、向こうへやったりすることができる。♠<獲物[えもの]を捕[と]る>親ぎつねは、捕ってきた獲物を、腹[はら]をすかせた子ぎつねたちに与えた。♠<魚[さかな]を捕る>大昔の人々は、狩りをしたり、魚を捕ったり、木の実を食べたりして生活した。♠<草を取る><虫を取る>畑の草を取ったり、野菜についた虫を取ったりするのは、大変手間のかかる作業です。♠<きのこを採る>あした、家族で山へきのこを採りに行くんだ。♠<金を取る>自分で働いて取ったお金だもの、何の気づかいもなく自由に使えるわ。♠<疲れを取る>お風呂で汗[あせ]を流し、一日の疲れを取ろう。♠<人の物を取る>わたしたちはみな、幼[おさな]いときから、人の物を取ってはいけないと教えられてきた。♠<メモを取る>伝言を正確に伝えるために、メモを取っておくとよい。♠<記録を取る>火山の活動の様子を毎日熱心に観察して、くわしい記録を取り続けた。♠<席を取る>ぼくが先に行って席を取っておくから、あとからゆっくりおいでよ。♠<資格を取る>国家試験に合格しないと、医師や看護婦の資格を取ることはできません。♠<賞を取る>兄は絵が好きで、大きな展覧会に出品して賞を取ったこともある。♠<元を取る>けっこう材料費がかかっているから、一個千円以上で売らないと元が取れない。♠<相撲[すもう]を取る>久しぶりに弟と相撲を取ったら、負かされてしまった。♠<手を取る>この困難をのりきるために、みんなで手を取りあって協力しましょう。♠<手に取る>お気に入りの品がございましたら、どうぞ手に取ってごらんください。♠<休暇を取る>姉は三日間の休暇を取ってスキーに行きました。♠<食事をとる>少し早めの昼食をとってから出かけましょう。♠<栄養をとる>栄養をとって、ゆっくりやすんでいないと、いつまでも病気が治らないよ。♠<年をとる>おばあさんは七十歳[さい]を過ぎていますが、気持ちが若いので、とてもそんなに年をとっているとは思えません。 <798> どれい と **うわやく** **わやく** **きげん** **かんかく** **まちが** ◆<調子をとる>つり橋は揺れるので、両手で調子をとるようにしながら渡[わた]った。♠<音頭をとる>高山さんが音頭をとってみんなに呼びかけて、ソフトボール部が結成されました。♠<かじを取る>船のかじを取るのを間違えると大変なことになるが、国も進む方向を誤[あやま]ると、国民が苦しい思いをする。♠<釣り合いをとる>手は、歩いたり走ったりするとき、体の釣り合いをとる働きもしているのです。♠<間をとる>みんなの前で話すときは、適当な間をとって、落ち着いて話すようにします。♠<間隔[かんかく]をとる>両手を広げても隣の人とぶつからないくらいの間隔をとりましょう。♠<機嫌[きげん]をとる>いつも上役[うわやく]の機嫌をとることばかり考えているいやな社員もいる。♠<姿勢をとる>「用意」の合図でスタートの姿勢をとった。♠<あげ足を取る>きみは、すぐに人のあげ足を取るから話しにくい。♠<例にとる>人間と自然との関係を、海を例にとって考えてみよう。♠<〜の意味に取る>ぽくの言葉をそんな悪い意味に取られちゃ困るよ。♠<〜を盾[たて]にとる>法を盾にとって、弱い人を苦しめるような人間もいる。♠<態度をとる>自然に対して、われわれ人間がどんな態度をとるべきかをみんなで話し合った。♠<立場をとる>江戸[えど]末期、幕府と協調していこうという立場をとる保守派と、幕府を倒[たお]そうとする倒幕[とうばく]派とが対立していた。♠<形式をとる>俳句は、五・七・五という形式をとった日本独特の短詩です。♠<方法をとる><行動をとる>社会生活のルールを破る人に対し、わたしたちはどんな方法をとり、どんな行動をとるべきか考えよう。♠<指揮をとる>お母さんが指揮をとって、家族総出[そうじ]で年末の大掃除を行いました。♠<手間をとる>女の人は、出かける前、化粧[けしよう]をしたり身を飾[かざ]ったりして、支度[したく]に手間をとるようです。♠<先手を取る>先手を取って有利な試合運びをするのはよい作戦だ。♠<遅れをとる>入院で勉強に遅れを取った分は、退院してから頑張って取り戻[もど]そう。♠<手玉に取る>警察は、犯人グループに手玉に取られてなるものかと、必死で捜査[そうさ]にあたっている。♠<場所を取る>このイスは折りたためるので、収納に場所を取りません。♠<時間を取る>大切なお話があるのですが、後で少し時間を取っていただけませんか。♠<注文を取る>レストランに入ると、白い服のウエイターがさっそく注文を取りに来た。♠<帽子を取る>室内では帽子を取りなさい。♠<税金を取る>親の遺産などを相続すると、たくさんの税金を取られるそうです。♠<新聞を取る>引っ越してきたばかりなので、まだ新聞を取っていません。♠<責任を取る>自分でやったことには、最後まで自分で責任を取らなければなりません。♠<跡[あと]を取る>父は、長男のぼくに、この家の跡を取らせるつもりでいる。♠<連絡[れんらく]をとる>留守なのか、いくら電話をしても、連絡がとれなかった。♠<言質[げんち]をとる>健全で規則正しい生活をしますという言質をとって、娘[むすめ]の一人暮らしを許したのです。♠<社員を採る>会社が事業を拡張したので、今年度は新入社員を大量に採った。♠<血を採る>検査のため血を探りますから、腕を出してください。♠<決を採る>意見も出つくしたようですから、決を採って、クラス全体の意見としましょう。♠<事務を執[と]る>母はおじの会社で事務を執っています。♠<筆を執る>彼女は、長い闘病生活の体験を書き残しておこうと筆を執った。♠<政権を執る>鎌倉[かまくら]時代から江戸時代までの約七百年間は、武士が政権を執った。♠<写真を撮る>レントゲン写真を撮ったが、異常はなかった。♠<ビデオに撮る>兄は、趣味で、子供たちの遊びをビデオに撮って楽しんでいる。♠<気をとられる>何かに気をとられていたのだろう、いくら呼んでも友達は気がつかない様子だった。♠<あっけにとられる>二人のけんかはあまり突然[とつぜん]だったので、ぼくはあっけにとられてしばらく止めに入ることもできなかった。♠<引けをとる>彼の作品は、専門家にも引けをとらないほどの出来ばえだ。♠<とってつけたよう>相手は謝[あやま]ったのだが、いかにもとってつけたような謝り方だった。♠<手に取るように>テレビを見ていれば、現場の様子は、ことごとく手に取るように分かります。♠<とって代わる>家計簿[かけいば]をつけるのにも、今では、電卓がソロバンにとって代わった。♠<取るに足りない>そんな取るに足りないようなささいなことを、気にかける必要はないよ。♠<捕[と]らぬたぬきの皮算用[かわざんよう]>いくらもらえるかわからないお年玉の使い道を今から決めておくなんて、捕らぬ狸の皮算用ね。 **どれい【奴隷】** ○昔、所有者の自由意志によって扱われ、売買された労働者。何かに心を奪われ、そこから離れられない人。[文例]<奴隷に売る>これは、アメリカに奴隷として売られた黒人の一族の物語である。♠<金の奴隷>お金はなくては困りますが、金の奴隷にはなりたくありませんね。♠<習慣の奴隷>人間は習慣の奴隷ですから、生活を改めるのは容易ではありません。♠<奴隷解放>アメリカの大統領リンカーンは、奴隷解放を実現した人として有名です。♠<奴隷制度>長い間続けられてきた奴隷制度を打ち破るのは容易なことではなかった。 **トレーニング** ○訓練。練習。[文例]<トレーニングに励[はげ]む>チャンピオンは次のタイトルマッチに備えて、もうトレーニングに励んでいる。♠<トレーニングを積む>盛り上がった筋肉は、この選手が厳しいトレーニングを積んだことを示していた。♠<足腰[あしこし]のトレーニング>力士は、足腰のトレーニングを欠かしません。♠<頭のトレーニング><トレーニングをする>テストを開始する前に、まず簡単な頭のトレーニングをしてみましょう。 **と・れる【取れる・採れる・捕れる・撮れる】** (穫れる)○離れ落ちる。とり除かれる。得られる。保たれる。解釈される。捕獲される。収穫される。写真が写る。[文例]<ボタンが取れる>お母さん、制服のボタンが取れそうなの、つけ直してちょうだい。♠<疲れが取れる>家に帰ってゆっくりふろに入ったら、ようやく疲れが取れました。♠<痛みが取れる>医者へ行って注射を打ってもらったら、痛みが取れた。♠<角[かど]が取れる>あのがんこおやじも、最近は角が取れてすっかり円満になったらしい。♠<連絡が取れる>きみとはなかなか連絡が取れないので、どうしているのかなと思っていたんだ。♠<資格が取れる>一生懸命勉強して、やっと会計士の資格が取れました。♠<調和が取れる>このグループは、調和の取れた美しいハーモニーで今も多くの人に愛されている。♠<バランスが取れる>成長期には、特に、偏[かたよ]りのないバランスの取れた食生活が大切だ。♠<皮肉に取れる>ほめられすぎると、かえってそれが皮肉に取れることがあるものです。♠<魚が捕れる>昔は、この辺の海でも魚がたくさん捕れたものです。♠<くりが採れる>今年は例年になく、くりがたくさん採れたそうです。♠<写真が撮れる>へえ、この写真、ずいぶん美人に撮れてるね。 **とろ【吐露】** ○隠さずに述べること。[文例]<真実を吐露する>日記には、わたしの真実が吐露されているはずです。♠<本当の心を吐露する>勝気な人なので、いつも強がりを言っていたが、親友のわたしには本当の心を吐露し、涙[なみだ]を流すこともあった。♠<真情を吐露する>母親にあてた手紙の中には、彼の真情が吐露されていた。 **どろ【泥】** ○水分を含んだ柔らかい土。恥。罪。泥棒。[文例]<海底の泥>タイやマグロなどと違って、ヒラメやカレイは、海底の泥の中でじっとしています。♠<泥を落とす>お客様方、入り口のマットで履物[はきもの]の泥を落としてからお入りください。♠<泥にまみれる>ラグビー部員は、雨が降っても風が吹いても、夜遅くまで汗[あせ]と泥にまみれて練習を続けます。♠<泥をはねる>女の子が三人、トラックに泥をはねかけられて、ブーブー文句を言っていた。♠<顔に泥を塗る>兄ちゃん、全校生徒の前でしかられて、弟の顔に泥を塗ったな!♠<泥を吐く>もう調べはついているんだぞ、いいかげんに泥を吐いたらどうなんだ。♠<泥をかぶる>この事件は、ぼくが身代わりになって、一人泥をかぶった形でおさめた。♠<泥のように酔う>その夜、男は泥のように酔って寝た。♠<泥んこ>友達と遊びに行った弟は、ようやく六時過ぎに泥んこになって帰ってきた。♠<泥だらけ>いったいどうしたのよ、せっかくの洋服が泥だらけじゃないの。♠<泥仕合>これといった解決策もなく、与野党[やとう]の対立は泥仕合いの様相を呈しています。♠<こそ泥>時々、こそ泥が出没して、畑のメロンを盗んでいく。 **とろう【徒労】** ○むだな苦労・骨折り。[文例]なかなか言葉を覚えないインコに、ぼくは徒労であることを感じながら、何度も同じ言葉を繰り返してみた。♠ぽくたちが今までやってきたことは、結局徒労だったのだろうか。♠<徒労に終わる>一生懸命[けんめい]努力したことが報[むく]われず、徒労に終わるほど無念なことはない。♠<徒労に帰する>あらゆる試みをしたが、それらはことごとく徒労に帰した。 **とろ・ける(蕩ける)** ○溶けて柔らかくなる。気がゆるんで、しまりがなくなる。[文例]<心がとろける>気むずかしかった父の心も、孫の誕生ですっかりとろけてしまった。♠<とろけるよう>とろけるような甘い言葉に、娘はうっとり目をつぶった。 **どろなわ【泥縄】** ○事が起こってから、あわてて対策を立てること。[文例]<泥縄式>どろぼうを捕らえてから縄をなうような、そんな泥縄式の対策を立てたって根本的な解決にはならない。 **どろぬま【泥沼】** ○底に泥のたまった沼。なかなか抜け出せない悪い状態。[文例]<泥沼のよう>降り続いた雨で、グラウンドはまるで泥沼のようになっていた。♠<泥沼にはまる>円高で輸出が不振となり、町工場は赤字の累積[るいせき]という泥沼にはまりこんでいた。♠<泥沼から抜け出す>攻守[こうしゅ]の歯車がかみ合い、チームは二週間ぶりに連敗の泥沼から抜け出した。 <799> **とろ【吐露】** ○隠さずに述べること。[文例]〈真実を吐露する〉日記には、わたしの真実が吐露されているはずです。♠〈本当の心を吐露する〉勝気な人なので、いつも強がりを言っていたが、親友のわたしには本当の心を吐露し、涙[なみだ]を流すこともあった。♠〈真情を吐露する〉母親にあてた手紙の中には、彼の真情が吐露されていた。 **どろ【泥】** ○水分を含んだ柔らかい土。恥。罪。泥棒。[文例]〈海底の泥〉タイやマグロなどと違って、ヒラメやカレイは、海底の泥の中でじっとしています。♠〈泥を落とす〉お客様方、入り口のマットで履物[はきもの]の泥を落としてからお入りください。♠〈泥にまみれる〉ラグビー部員は、雨が降っても風が吹いても、夜遅くまで汗[あせ]と泥にまみれて練習を続けます。♠〈泥をはねる〉女の子が三人、トラックに泥をはねかけられて、ブーブー文句を言っていた。♠〈顔に泥を塗る〉兄ちゃん、全校生徒の前でしかられて、弟の顔に泥を塗ったな!♠〈泥を吐く〉もう調べはついているんだぞ、いいかげんに泥を吐いたらどうなんだ。♠〈泥をかぶる〉この事件は、ぼくが身代わりになって、一人泥をかぶった形でおさめた。♠〈泥のように酔う〉その夜、男は泥のように酔って寝た。♠〈泥んこ〉友達と遊びに行った弟は、ようやく六時過ぎに泥んこになって帰ってきた。♠〈泥だらけ〉いったいどうしたのよ、せっかくの洋服が泥だらけじゃないの。♠〈泥仕合[じあい]〉これといった解決策もなく、与野党[やとう]の対立は泥仕合いの様相を呈しています。♠〈こそ泥〉時々、こそ泥が出没して、畑のメロンを盗んでいく。 **とろう【徒労】** ○むだな苦労・骨折り。[文例]なかなか言葉を覚えないインコに、ぼくは徒労であることを感じながら、何度も同じ言葉を繰り返してみた。♠ぼくたちが今までやってきたことは、結局徒労だったのだろうか。♠〈徒労に終わる〉一生懸命[いっしょうけんめい]努力したことが報われ[むくわれ]ず、徒労に終わるほど無念なことはない。♠〈徒労に帰する〉あらゆる試みをしたが、それらはことごとく徒労に帰した。 **とろ・ける【蕩ける】** ○溶けて柔らかくなる。気がゆるんで、しまりがなくなる。[文例]〈心がとろける〉気むずかしかった父の心も、孫の誕生ですっかりとろけてしまった。♠〈とろけるよう〉とろけるような甘い言葉に、娘はうっとり目をつぶった。 **どろなわ【泥縄】** ○事が起こってから、あわてて対策を立てること。[文例]〈泥縄式〉どろぼうを捕らえてから縄をなうような、そんな泥縄式の対策を立てたって根本的な解決にはならない。 **どろぬま【泥沼】** ○底に泥のたまった沼。なかなか抜け出せない悪い状態。[文例]〈泥沼のよう〉降り続いた雨で、グラウンドはまるで泥沼のようになっていた。♠〈泥沼にはまる〉円高で輸出が不振となり、町工場は赤字の累積[るいせき]という泥沼にはまりこんでいた。♠〈泥沼から抜け出す〉攻守[こうしゅ]の歯車がかみ合い、チームは二週間ぶりに連敗の泥沼から抜け出した。 **どろぼう【泥棒・泥坊】** (どろぼう【泥棒・泥坊】○人の物を盗む人。人の物を盗むこと。[文例]〈泥棒が入る〉泥棒に入られたが、幸い大した被害はありませんでした。♠〈泥棒に入る〉泥棒に入った家が空き家とは、まぬけなやつだ。♠〈泥棒する〉他人の物を泥棒するのはいけないことだ。♠〈泥棒に追い銭[せん]〉お金をだましとられたと知らずに、食事まで出すなんて、泥棒に追い銭とはこのことか。♠〈泥棒を見て縄をなう〉きみのように何かが起こってから対策を考えるようなことを、「泥棒を見て縄をなう」と言うんだよ。♠〈泥棒にも三分の理〉「泥棒にも三分の理」といって、どんなに筋の通らないことにも理屈をつけようと思えばつけられる。♠〈うそつきは泥棒の始まり〉うそつきは泥棒の始まりといってね、理由のないうそはついてはいけないよ。♠〈人を見たら泥棒と思え〉子供に、人を見たら泥棒と思えと教えなければならないのは残念なことだ。 **どんかん【鈍感】** ○感覚が鈍いさま。感じ方が鈍いさま。[文例]〈鈍感な部分〉おしりは人体の中で、いちばん神経の少ない鈍感な部分の一つです。♠みんなが笑っているのがわからないのかい、きみって鈍感だね。♠〈鈍感な男〉あれだけ皮肉を言っても全然気がつかないなんて、あいつは本当に鈍感な男だなあ。♠〈鈍感になる〉何にでも気がきく男だったのに、彼も最近は年のせいか鈍感になった。♠〈鈍感すぎる〉彼女の、思いを込めた視線に気づかないなんて、いくら何でも鈍感すぎる。 **とんきょう【頓狂】** ○だしぬけで調子外れなさま。[文例]〈とんきょうな声〉きみがとんきょうな声を上げたのは、このカエルが原因だったのかい。 **どんぐり【団栗】** ○カシやシイなどの木の実の総称。[文例]団栗の落ちて沈むや山の池(正岡子規)♠〈どんぐり眼[まなこ]〉彼女の思わぬ言葉に、彼はただでさえ大きいどんぐり眼をいっそう大きくした。♠〈どんぐりの背比べ〉補欠選手はみなどんぐりの背比べで、レギュラーになれそうな者はいなかった。 **とんざ【頓挫】** ○途中で急にくじけること。[文例]〈頓挫を来す〉計画は綿密に練られたから、多少の失敗があっても頓挫を来すことはない。♠〈頓挫する〉順調に進んでいた工事も、資金不足で頓挫し、一か月以上も中断されています。♠〈一頓挫〉大工さんが仕事を始めようとしたところで家主からクレームがつき、借家の改装は一頓挫を来した。 **とんちゃく** とんじゃく(頓着) **どんじゅう【鈍重】** ○動作や反応が鈍いさま。[文例]〈動きが鈍重〉うちのねこはだいぶ太って、最近は動きが鈍重になった。♠〈鈍重な印象〉動作がゆっくりしているので、人からは鈍重な印象を持たれやすい。 <800> とんそう **とんちゃく(頓着)** ○気にかけてこだわること。とんじゃく。[文例]<頓着する>先生は体裁や外見にはまったく頓着しない人で、いつも同じ服を着ていた。 **とんちんかん(頓珍漢)** ○つじつまの合わないこと。まがぬけていること。また、そういう人。[文例]<とんちんかんなこと>寝ぼけまなこで、なにとんちんかんなことを言ってるの。♠<とんちんかんな答え>こちらの質問に対してとんちんかんな答えが返ってきた。♠<話がとんちんかん>言葉の通じない二人がやり合うのだから、話がとんちんかんになるのはしかたない。 **どんつう【鈍痛】** ○鈍く、重苦しい痛み。[文例]<鈍痛がする>立っていると何でもありませんが、背中をかがめると鈍痛がするのです。♠<鈍痛を感じる>疲れたときに、腰に鈍痛を感じることがある。♠<鈍痛を覚える>朝起きたときに頭に鈍痛を覚えたが、いつのまにか治ったようです。 **どんづまり【どん詰まり】** ○道が行き止まりになった所。物事の行き詰まり。[文例]<道のどんづまり>我が家は、この細い道のどんづまりにあります。♠<どんづまりに来る>交渉はどんづまりに来て暗礁[あんしよう]に乗り上げ、決裂[けつれっ]してしまった。♠<経営がどんづまり>不景気で店の経営がどんづまりとなり、にっちもさっちもいかなくなった。 **とんでもな・い** ○取り返しがつかない。とほうもない。めっそうもない。とんでもないこと>ほんのいたずらのつもりだったのに、とんでもないことになってしまった。♠<とんでもない結果>進んだ科学も、人類の幸福のために使わないと、とんでもない結果になる。♠<とんでもない目にあう>彼が酒[さけ]ぐせが悪いとは知らなかった、まったくとんでもない目にあったよ。♠<とんでもない話>ぼくが彼女に気があるなんてとんでもない話で、あの人とは会ったこともないんだよ。♠<とんでもないやつ>人をだますとは、とんでもないやつだ! **とんと** ○全く。いっこうに。少しも。[文例]どうして彼女が泣き出してしまったのか、ぼくにはとんとわけがわからな♠四角いスイカなんて、この年になるまでとんと見たことも聞いたこともない。♠何年か前に、キツネが庭先に現れたことがあるけれど、それから先はとんと姿を見せない。♠そんな所にいたのか、とんと気がつかなかったよ。♠どこに置き忘れたのか、とんと見当が田かないんだよ。♠ああ、締め切り日は今日だったっけ、とんと忘れてた。 **とんび(鳶)** ♪とび **どんぶり(丼)** ○どんぶり鉢。また、それに盛った料理。腹掛けにつけた袋状の物入れ。[文例]荒くれ男たちは、どんぶりでお酒をがぶがぶ飲んでいた。♠今日のお昼は、そば屋さんで親子どんぶりを食べた。♠<どんぶり勘定[かんじよう]>店の経理はまったくのどんぶり勘定で、正式な帳簿などもなかった。 **とんぼ(蜻蛉・蜻蜓)** ○胴が細長く二対の羽をもつ昆虫。とんぼ返り。[文例]夏も終わりに近づき、コオロギが鳴いたり、とんぼが飛ぶようになりました。♠小春日や石を嚙[か]み居る赤蜻蛉(村上鬼城[むらかみきじよう])♠<とんぼを切る>身の軽い島田君は、舞台の上でくるりととんぼを切って見せた。 **とんま(頓馬)** ○まぬけなさま。まぬけな人。[文例]<とんまな男>大切な書類を置いて来るとは、なんてとんまな男なんだ。♠<とんまなこと>いつもどじばかり踏んでいるたかしが、また何かとんまなことをしでかしたらしい。 **とんや【問屋】** ○生産者から仕入れた商品を小売店に卸[おろ]す業者。[文例]<問屋から仕入れる>この品は、問屋から大量にまとめて仕入れたので、こんなに安く売れるのです。♠<材木[ざいもく]問屋><問屋を営[いとな]む>彼女の実家は、深川[ふかがわ]で代々材木問屋を営んでいます。♠<そうは問屋がおろさない>なんでも自分の思い通りになるなんて、そうは問屋がおろさないさ。 **どんよく(貪欲)** ○非常に欲が深いこと。強欲[ごうよく]なさま。[文例]<どん欲な魚>アマゾン川にすむピラニアは、非常にどん欲な魚として有名です。♠<どん欲な人間>金がすべてさなんて言っていると、みんなからはどん欲な人間だと思われてしまいます。♠<権力に対してどん欲>政治家とは、権力に対してどん欲な人のことですか?♠<どん欲に打ち込む>レギュラーになりたかったら、彼のようにもっとどん欲に練習に打ち込まないとだめだよ。♠<どん欲さ>あれだけの財産を築くことができたのは、彼のどん欲さによるところが大きい。 **どんらん(貪婪)** ○非常に欲が深いこと。欲深にむさぼるさま。[文例]<どんらんな好奇心>彼は、新しいもの珍しいものを見逃さない、どんらんな好奇心をもった男です。♠<どんらんな知識欲>どんらんな知識欲をもった少年だったから、次から次へと専門書を読破していった。 <801> **どんよく【貪欲】** ○非常に欲が深いこと。[文例]〈貪欲な人〉貪欲な人とは、食欲や物欲などに対して貪欲な人のことですか?♠〈貪欲に打ち込む〉レギュラーになりたかったら、彼のようにもっと貪欲に練習に打ち込まないとだめだよ。♠〈貪欲さ〉あれだけの財産を築くことができたのは、彼の貪欲さによるところが大きい。 **どんらん【貪婪】** ○非常に欲が深いこと。欲深にむさぼるさま。[文例]〈どんらんな好奇心〉彼は、新しいもの珍しいものを見逃さない、どんらんな好奇心をもった男です。♠〈どんらんな知識欲〉どんらんな知識欲をもった少年だったから、次から次へと専門書を読破していった。 **な【名】** ○名称。名前。名義。名声。名目。口実。[文例]〈草・鳥・虫の名〉岬[みさき]に生えている草の名や、鳥や虫の名をおじさんは指さして教えてくれた。♠〈名を〜という〉昔[むかし]、この村に、名を太郎という親孝行な若者が住んでおった。♠〈名をつける〉さて、できあがった橋に何と名をつけたものか?♠〈名をなのる〉電話がかかってきたら、名をなのるのが常識だが、いたずら電話がこう多いと考えてしまう。♠〈名を呼ぶ〉名を呼ばれたような気がしてふりかえったが、後ろは木の葉が風に鳴るばかり。♠〈名は体を表す〉「名は体を表す」とは言うものの、長身の小山君や、太った細川さんもいます。♠〈名が通る〉ぼくたちの体育の先生は、日本じゅうに名の通ったマラソンの選手です。♠〈名がある〉速い球だなあと思ったのもどうりで、高校球界では名のあるピッチャーだそうです。♠〈名もない・名をあげる〉今は貧しくて名もない役者の卵ですが、いつか一流の俳優として名をあげてみせます。♠〈名を汚[けが]す〉学校の代表となったからには、母校の名を汚さないよう、一生懸命[いっしょうけんめい]がんばってきます。♠〈名を残す〉生きている時は知られていなくても、死後認められ、後世に名を残した人もいます。♠〈名を残す〉虎は死して皮を残し、人は死して名を残す。♠〈名を挙げる〉彼は、長い間うもれた作家だったが、芥川賞[あくたがわしよう]を得て名を挙げた。♠〈名がすたる〉こんな悪い点数では、「理科の林くん」の名がすたる。♠〈名をかたる〉最近、消防署の名をかたって、消火器を売り歩く人がいるので注意してください。♠〈名にちなむ〉川柳[せんりゅう]は、江戸時代に、『誹風柳多留[はいふうやなぎだる]』を編んだ、柄井川柳[からいせんりゆう]の名にちなんでいる。♠〈名に恥じない〉引退した横綱[よこづな]は名力士の名に恥じない強さだった。♠〈〜の名で通る〉相手は、山ゴリラの名で通った、学校一の乱暴者です。♠〈〜の名で〉体育祭が近づいたので、校長の名で案内状を出しました。♠〈名ばかり〉海洋牧場とは名ばかりで、イルカが二、三匹[ぴき]遊んでいるだけじゃないか。♠〈名にそむく〉名人の名にそむかぬ腕の持ち主だった。♠〈姓[せい]と名〉姓は山本、名は吾作[ごさく]。♠〈名と実〉「名を捨てて実を取る」だ。ぼくは、名声よりも実質的な利益のほうを選ぶよ。♠〈又[また]の名〉市立一中の林一平、又の名を「小さな巨人」という。 **な・い【無い・亡い】** ○存在しない。持っていない。生きていない。打ち消しを表す語。[文例]〈暇[ひま]がない〉商売が順調で、ゆっくり休んでいる暇がないくらいです。♠〈元気がない〉弟はひどく元気がなかった。♠〈目がない〉先生は甘い物も好きであったが、お酒には目がないほうだった。♠〈無いそでではふれない〉お金を工面してあげたいけど、無いそでではふれないしねえ。♠〈無くて七癖[ななくせ]〉無くて七癖、人はだれもいくつか癖を持っているものです。♠〈無きにしもあらず〉そんな危険は無きにしもあらず、用心したほうがいいよ。♠〈ない物はない〉だめだと言ったら、だめ! ない物はないの。♠〈ない物はない〉このスーパーはなんでもそろっていて、ない物はないくらいだ。♠〈ない知恵をしぼる〉さて、どうしたものか、ぼくらはない知恵をしぼってみた。♠〈ないものねだり〉彼の鼻がもう少し高かったらなんて、あなた、それはないものねだりよ。♠〈ないよりまし〉こんなオンボロ自転車でもないよりはまし、乗って行こう。♠〈めったにない〉このねずみの置き物は、左甚五郎[ひだりじんごろう]が彫った、めったにない代物[しろもの]です。♠〈言うまでもない〉言うまでもなく、ぼくはもてるほうです。♠〈それはない〉今さらそれはないですよ、じょうだんでしょう。♠〈〜したことがない〉岬をまわると、見たこともないようなきれいな景色が広がっていた。♠〈聞いたことがない〉こんなひどい話、今までに聞いたこともなかった。♠〈楽しくない〉市民運動会は、大人が中心なので、中学生にはあまり楽しくない。♠〈今は亡い〉小さいころやさしくしてくれたおばあさんも、今は亡い。♠〈世に亡い〉すでにこの世には亡い友の一人一人を思い出しています。♠〈亡き母〉亡き母や海見る度に見る度に(小林一茶[こばやしいつさ]) **ナイーブ** ○純真なさま。素朴なさま。[文例]〈ナイーブな心〉森の中でのびのび育った少年は、すなおでナイーブな心の持ち主だった。♠〈ナイーブな感受性〉高度に情報化した現代に生きるわたしたちは、自然でナイーブな感受性を失いたくないものである。 **ないおう【内奥】** ○内部の奥深いところ。[文例]〈心の内奥〉一体、人は何を考え、どう感じて毎日を暮らしているのだろうか。自分の心の内奥をのぞきこむことができたらよいのに。 **ないがい【内外】** ○内と外。国内と国外。およその数量を表す語。[文例]〈会場の内外〉国際会議にそなえて、会場の内外は厳しくチェックされた。♠〈国の内外〉大統領の発言は、国の内外の注目を集めた。♠〈内外の情勢〉では、この事件に関して内外の情勢に詳しい[くわしい]井上特派員に解説してもらいましょう。♠〈五百円内外の品物〉クリスマス会ではプレゼントの交換をするので、五百円内外の品物を用意した。 **ないがしろ【蔑ろ】** ○軽々しく扱うさま。[文例]〈ないがしろにする〉ことわざの中には多くの真理が含まれているから、ないがしろにできません。♠〈親をないがしろにする〉親をないがしろにすると、後悔[こうかい]することになるぞ。♠〈付き合いをないがしろにする〉中学生のきみたちは、友達との付き合いや遊びをないがしろにしてはいけません。 <802> **ないこう【内向】** ○自分の内部にばかり関心が向かうこと。自分の殻に閉じこもること。[文例]〈内向する〉だれ一人知る人のいない都会生活の中で、わたしの気持ちは内向していった。♠〈内向的〉少年は、内向的な性格で、友達の輪から離れ一人で本を読んでいることが多かった。♠〈内向性〉ステージではあんなに愉快にふるまっているのに、私生活ではむしろ内向性の役者だった。 **ないざい【内在】** ○内部に存在すること。[文例]〈内在する〉組織に内在する問題を根本的に解決しなければ、この会の発展は難しいだろう。 **ないし【乃至】** ○…から…まで。または。[文例]〈二千ないし三千〉当局の推定では、この台風による被災者[ひさいしや]は二千ないし三千人に達する見込みです。♠〈数日ないし数週間〉これまでは、前ぶれの地震から噴火[ふんか]が発生するまでに、数日ないし数週間かかっていた。♠〈北海道ないし九州〉修学旅行は、北海道ないし(は)九州で、希望者の多いほうに決定します。♠〈鉛筆[えんぴつ]ないしペン〉鉛筆ないしペンなど、筆記用具はすべてこちらで用意したものを使用してください。 **ないじつ【内実】** ○内部の実情。実際のところ。[文例]〈内実を知る〉クラブ運営の内実を知れば、会員たちはきっと驚いたろう。♠〈内実は〉だから僕は表向[おもてむき]母の意志にさからって、内実は母の希望通りにしてやるのさ。(夏目漱石「虞美人草[ぐびじんそう]」)♠〈その内実〉社長は、景気のいいようなことを言っているが、その内実かなり苦しいらしい。 **ないしょ【内所・内緒】** (内証)○秘密。内密。[文例]まだないしょだからここだけの話ですが、あの人いよいよ結婚[けつこん]するそうです。♠〈ないしょの話〉ちょっとないしょの話がありますので、別の部屋に行きましょう。♠〈ないしょにする〉学校にはないしょにしておいてやるけど、こんな事はもうしてはいけませんよ。♠〈ないしょで〜する〉彼にないしょで、ほかの人とデートしてみたのよ。♠〈ないしょ話〉人前でないしょ話などするものではありません。 **ないじょう【内情】** ○内部の事情。[文例]〈内情にくわしい〉どうしてあのおばさんは、あんなにわが家の内情にくわしいのだろう。♠〈内情を探る〉ライバル社の内情を探るため、スパイを潜入[せんにゆう]させることもあるらしい。♠〈内情に通じる〉彼は特派員として長くソ連に滞在していたため、ソ連の内情に通じている。 **ないしょく【内職】** ○副業。家計の足しにする仕事。授業中にほかの勉強をすること。[文例]浪人が内職に傘張り仕事をする姿が、時代劇にはよく出てきた。♠〈内職をする〉お母さんは、家計のたしにと、編み物の内職をしています。♠〈内職をする〉こら、数学の時間にほかの教科の内職をするやつはだれだ。 **ないしん【内心】** ○心の中。[文例]〈内心の喜び〉古道具屋で すばらしいつぼを見つけたわたしは、内心の喜びをかくしきれなかった。♠〈内心の憂さ〉娘[むすめ]を亡くしてから、男は、酒を飲んで内心の憂さを晴らすようになった。♠〈内心ほっとする〉試合が雨で流れたのを残念がって見せたが、練習不足だったから、内心ほっとしたよ。♠〈内心おだやかでない〉みんなを笑顔で見送ったものの、わたしだけ留守番とは、内心おだやかでなかった。♠〈内心気がかり〉少年は、今にも事件のことを言われはしないかと、内心気がかりで落ち着きませんでした。♠〈内心思う〉しゃべりながら、内心この人が犯人かもしれないと思うのであった。 **ないせい【内省】** ○自分を省みること。反省。[文例]〈内省する〉博士は、一日中書斎にこもって静かに自分を内省し、世の動きを観察した。♠〈内省的〉彼の歌風は、初めは叙景[じよけい]的なものであったが、次第に内省的、思索[しさく]的な方向へ向かっていった。 **ないせん【内戦】** ○国内の戦争。内乱。[文例]〈内戦が起こる〉一八六一年に、アメリカの北部と南部の間に起こった内戦を南北戦争という。♠〈内戦状態〉大統領の独裁に反対する労働者・学生と政府軍の衝突で、首都は内戦状態に陥っ[おちい]た。 **ないそう【内装】** ○内部の装飾や設備。[文例]〈店の内装〉店の内装を替えるため、明日から三日間休業いたします。♠〈内装工事〉ビルは九分通りできあがって、現在は内装工事が行われている。 **ないぞう【内蔵】** ○内部に含み持つこと。[文例]〈内蔵する〉このカメラはストロボを内蔵しているので、夜間の撮影[さつえい]にも便利だ。 **ないぞう【内臓】** ○腹や胸の内部にある臓器。[文例]魚屋のおじさんは、手際よく魚の内臓をとり、身を切り分けてくれた。♠〈内臓が弱い〉内臓の弱い人でしたから、よくおなかをこわして仕事を休んでいました。 **ないてい【内定】** ○内々に決定すること。また、その決定。[文例]〈内定の段階〉採用はまだ内定の段階ですが、おって正式に通知がいくと思います。♠〈内定する〉彼は、早々と一流企業に就職が内定した。 **ないない【内内】** ○うちわ。内密。ひそかに。[文例]〈内々に行う〉調査はだれにもわからないように、内々に行われた。♠〈内々の約束〉話し合いがすんなりまとまったところを見ると、二人の間には内々の約束ができていたようだ。♠口ではどうってことないと言っているけれど、内々ひどく心配していたんだ。 **ないはつ【内発】** ○内部から発すること。[文例]〈内発的〉日本の社会の近代化は、西洋文明の圧力によるものであり、内発的なものだとはいいがたい。 **ないぶ【内部】** ○内側。うちわ。組織の中。[文例]〈建物の内部〉一見、何の不思議もない建物に見えるが、内部は忍者屋敷になっていた。♠〈内部と外部〉外部からは全然気がつかなかったが、内部は、すっかり変色していた。♠〈内部の人間〉本日は、内部の者だけの集まりですので、外部の方はごえんりょください。♠〈内部の事情〉警察は、内部の事情にくわしい者の犯行とにらんでいるようだ。♠〈意識の内部〉人間の意識の内部には、恐れ[おそれ]・不安などの感情がわだかま-っている。♠〈内部工作〉極秘[ごくひ]で内部工作を進めてきた話を、新聞にすっぱぬかれてしまった。 <803> **ないぶん【内聞・内分】** ○内密にすること(内聞・内分)。内々に聞くこと(内聞)。[文例]〈内聞に願う〉この話は他人には知られたくありませんので、内聞に願います。♠〈内聞に済ます〉社内のもめごとを新聞記者がかぎつけ、内聞に済ますことができなくなった。♠〈内聞に達する〉使用人どうしの小さなもめごとが、主人の内聞に達するところとなった。 **ないほう【内包】** ○内部に含んでいること。一つの概念に含まれるすべての属性。[文例]〈内包する〉一見平和そうに見えるこの国も、実に様々な問題を内包している。 **ないまぜ【綯い交ぜ】** ○糸などをまぜてより合わせること。まぜ合わせること。[文例]〈ないまぜにする〉何もかもないまぜにして考えたのでは混乱するばかりだから、問題を整理してみたらどうだい。♠〈ないまぜになる〉訪れた町は、古い物と新しい物が、西洋と東洋がないまぜになったような町でした。 **ないみつ【内密】** ○表[おもて]ざたにしないさま。ないしょ。[文例]〈内密に教える〉出場が決まったことを、先生はキャプテンのぼくに内密に教えてくれた。♠〈内密に処理する〉家庭内で事件が発生しても、公[おおやけ]にせず、内密に処理することが多い。♠〈内密に調査する〉この事件については、学校が内密に調査しています。 **ないめん【内面】** ○内側の面。内部。心の中。精神。心理。[文例]〈内面の苦悩〉これは、若者の内面の苦悩を描いた作品です。♠〈内面を見つめる〉じっくり自分の内面を見つめ、ものごとを考える時間を持つことは大切なことだ。♠〈内面的〉外見だけにとらわれず、人間の内面的なよさも理解するようにしたい。 **ないゆうがいかん【内憂外患】** ○内外の心配事。[文例]初代総理大臣伊藤博文[いとうひろぶみ]は、変革期の日本に起こった内憂外患を次々と処理していきました。♠〈内憂外患こもごも至る〉病気やら災害やらと内憂外患こもごも至るで、すこぶる難儀な一年でした。 **ないよう【内容】** ○中に含まれているもの・事柄。また、その意味。中身。実質。→形式[文例]〈実験の内容〉今日行った理科の実験の内容を、数枚のカードにまとめてみた。♠〈本の内容〉前書きには、その本の内容が大まかに述べられていることが多い。♠〈内容をつめる〉クラスとしての大まかな案が決まったので、これから具体的に内容をつめていこう。♠〈内容を固める〉班の自由研究は、一週間かけて話し合って、取り組む内容を固めた。♠〈内容がある・ない〉あの人は、外見ばかり飾っ[かざっ]ているが、さっぱり内容がない。♠〈内容が深い〉この詩は、平易なことばで書かれているが、実に内容が深い。♠〈内容が濃い〉この本は薄い[うすい]けれど、内容のほうは濃いぞ。 **ないらん【内乱】** ○国内の戦争。内戦。[文例]保元・平治の二つの内乱を通じて、平氏は力を蓄え[たくわえ]、源氏をおさえて実権を握った。♠〈内乱が起こる〉独立まもないその国で内乱が起こり、国民生活は窮乏[きゅうぼう]していた。 **ないりく【内陸】** ○陸地で海から遠く離れている所。[文例]モンゴルは、中国とソ連にはさまれ、海から遠く離れた内陸にある国です。♠〈内陸部〉今夜半から、関東地方は雨になり、内陸部では雪に変わる所もあるでしょう。 **な・う【綯う】** ○より合わせて一本にする。[文例]〈縄[なわ]をなう〉冬の間雪に閉ざされるこの村では、縄をなったり、わらじを作ったりするのが農家にとって重要な仕事となっていた。 **なうて【名うて】** ○名高いこと。評判をとること。[文例]〈名うての剣豪[けんごう]〉千葉周作[ちばしゅうさく]と言えば、幕末の江戸で知らぬ者はいない、名うての剣豪でした。♠〈名うての女たらし〉やめなよ、あの男は名うての女たらしだよ。 **なえ【苗】** ○芽を出したばかりの稲などの植物。[文例]〈苗を植える〉おいしい実のなる桃の苗を裏庭に植えました。♠〈苗を育てる〉記念にもらった桜の苗をたいせつに育てています。 **な・える【萎える】** ○力がなくなる。衰える。しおれる。[文例]〈足がなえる〉ショックで足がなえたのだろうか、歩けなくなってしまった。♠〈気力がなえる〉試合前の相手チームのすごい練習を見ただけで、戦う気力がなえていくのだった。♠〈気持ちがなえる〉いくら言ってもわかってもらえないのかと、弱々しくなえた気持ちになっていった。♠〈勇気がなえる〉木の下に立って待ちつくす間に、今日こそ打ち明けようと思う勇気がしだいになえていくのだった。 **なお【尚・猶】** ○それでも。まだ。いっそう。また。[文例]踏まれても、踏まれても、それでもなおたくましく生きようとする雑草のように強くなりたい。♠市がなお対策をおこたるようであれば、市民はだまっていないでしょう。♠〈今なお〉気をつけてみると、「古語」が今なお、わたしたちの身の回りでも使われているのがわかります。♠〈なおのこと〉曇っ[くもっ]ていてもかまいませんが、晴れなら、なおのこと都合がよいのです。♠〈昼なお暗い〉一歩山へ入ると、昼なお暗い森林が広がっています。♠明日は八時集合です。なお、雨の場合は中止とします。 **なおさら【尚更】** ○いっそう。なおのこと。[文例]大人でさえ苦しかったのだから、子供となるとなおさらであった。♠返事はすぐでもなかなか書けないのに、日をおくとなおさら書きづらくなる。♠ふだんでも美しかったが、花嫁姿の彼女はなおさら美しかった。♠ただでさえ勉強はきらいなのに、強制されると、なおさらやる気をなくしてしまう。 **なおざり【等閑】** ○おろそか。いいかげん。[文例]〈なおざりにする〉それまでなおざりにされてきた農業の分野が脚光をあび、さかんに研究されるようになった。♠〈なおざりになる〉日本では長い間、台所を明るく使いやすくという考えがなおざりになっていました。 **なお・す【直す・治す】** ○正しくする。よい状態にする。元にもどす。修理する。改める。換える。正式の地位につける。治療する。[文例]〈乱れ[みだれ]を直す〉突然[とつぜん]の来客で、衣服の乱れを直す暇[ひま]などなかった。♠〈間違い[まちがい]を直す〉書き上げた作文は、よく読み返して、字の間違いなどを直すように。♠〈悪習・癖[くせ]を直す〉いったんついた悪い習慣や、癖を直すのは容易なことではない。♠〈機嫌を直す〉泣きじゃくっていた妹も、ケーキを見せられると、とたんに機嫌を直した。 <804> **なおる【直る・治る】** ○正しくなる。よくなる。元の状態になる。改まる。正式の地位につく。正しく座る。治癒する。[文例]〈癖[くせ]が直る〉弟のつめをかむ癖も、だんだん直ってきました。♠〈悪い習慣が直る〉うちの父は、いつまでたっても、貧乏ゆすりの悪い習慣が直りません。♠〈水もれが直る〉だれが直したのか、洗面所の蛇口[じゃぐち]の水もれが直っていました。♠〈パンクが直る〉朝、自転車屋さんにあずけたら、もう帰りにはパンクが直っていた。♠〈故障[こしよう]が直る〉父の車は、相当なポンコツのせいか、故障がなかなか直りません。♠〈誤りが直る〉あれほど念をおしたのに、刷りあがった招待状を見たら、誤字が直っていなかった。♠〈機嫌[きげん]が直る〉すねていた妹の機嫌も直って、そろって夕ごはんになりました。♠〈傷が治る〉春になると、白鳥は、胸の傷も治り、シベリアの空めざして飛び立っていった。♠〈風邪[かぜ]が治る〉風邪も治ったので、明日からまた畑に出て働きます。♠〈病気が治る〉子供の病気も治ったので、一家そろって遊園地に行くつもりです。♠〈近眼が治る〉遠くの物を見つめたり、星を眺めたりすれば、近眼が治るという話を聞きました。♠「気をつけ、礼。」「直れ。」 **なおれ【名折れ】** ○不名誉。不面目。[文例]〈一族の名折れ〉武士は、一族の名折れになってはならぬと、町人に比べて厳しい教育を受けていました。♠〈江戸っ子の名折れ〉こんな者を相手に喧嘩[けんか]をしたって江戸っ子の名折れだから、車屋を つれて来てさっさと出て来た。(夏目漱石「坊っちゃん」) **なか【中】** ○内側。内部。ある範囲内。中間。最中。[文例]〈家の中〉うらうらと日が照って、戸外のほうが、家の中よりもずっと暖かそうです。♠〈林の中〉からまつの美しさと静寂[せいじゃく]に息をのみ、林の中にたたずみつくしていた。♠〈プールの中〉ぼくは、着ているものを脱ぐと、プールの中へ飛びこんだ。♠〈暗がりの中〉暗がりの中で弟の呼ぶ声がする。♠〈村の中〉ぼくの家は、この村の中でも一番ぐらいに貧乏[びんぼう]です。♠〈五人の中〉グループの仲間五人の中で、いちばん背が高いのはぼくだ。♠〈客の中〉店の客たちの中には、学者やジャーナリストが少なくなかった。♠〈心の中〉ぼくが家を出ることは、おやじもおふくろも心の中で悟っているのだ。♠〈忙しい[いそがしい]中〉先日は、お忙しい中を、わたしたちのためにおいでくださいましてありがとうございます。♠〈寒さの中〉厳しい寒さの中を、二千里の果てから、別れて二十年にもなる故郷へわたしは帰った。♠〈月の中〉今月は、月の初めに運動会、終わりに合唱コンクールがあるから、中しかひまはない。♠〈男の中の男〉彼は、男の中の男だ。♠〈中をのぞく〉ときどき立ち止まって、壊れ[こわれた]竹垣[たけがき]のすきまから中をのぞいてみた。♠〈中に立つ〉こじれそうな話を、なんとか中に立って収めた。♠〈中を取る〉こづかいを五千円要求したのに、母の返事は三千円で、結局中を取って四千円に決定した。♠〈中の妹〉ぼくの家では、去年父が亡くなり、中の妹はおばさんのところで預かってもらうことになった。 **なか【仲】** ○間柄。[文例]〈二人の仲〉みんなは心配するけど、二人の仲は前よりずっとうまくいっているようです。♠〈兄弟の仲〉父と北海道のおじさんとは兄弟の仲なのに、ふだんの付き合いはなんにもない。♠〈苦楽を共にする仲〉このカバは、入園以来、十七年余りもぼくと苦楽を共にしてきた仲である。♠〈仲が良い・悪い〉アルバムをめくっていたら、小学校時代に仲の良かった友達の写真が見つかった。♠〈仲をさく〉せっかく二人がうまくいってるというのに、わざわざ仲をさくようなことを言うものではない。♠〈仲をとりもつ〉二人の仲をとりもって、なんとか仲直りさせることができた。♠〈犬猿[けんえん]の仲〉あの二人は、いわゆる犬猿の仲というやつで、会ってもあいさつもしない。♠〈夫婦仲〉うちの両親は夫婦仲が大変よいのだそうです。 **ながい【長い・永い】** ○距離や時間などの隔[へだ]たりが大きい。[文例]〈長い鼻〉小さな小さなはちがぞうの長い鼻をぷちっと刺しました。♠〈脚が長い〉脚が長くてかっこうがいいのはいいが、気の短いのは直せと言われます。♠〈丈[たけ]が長い〉姉のお下がり[さがり]のスカートは、丈が少し長いけど、すそをつめてはけばいいわ。♠〈首を長くする〉一か月ぶりに出張先から帰る父を、みんなは首を長くして待ちました。♠〈長い文〉一般[いつぱん]に、長い文は意味が通りにくい。♠〈長い歴史〉人類は、長い歴史の中で、知恵を働かせて文明を創造してきた。♠〈長い年月〉長い年月がたったが、都会に出ていった息子は、それっきり帰ってこなかった。♠〈日が長い〉三月になると、ひところと比べてずいぶん日が長くなったなと思います。♠〈長い旅〉ガンたちは長い旅でつかれた羽を、水辺で休めていました。♠〈長い道のり〉キャンプ場までの長い道のりを、弟は文句ひとつ言わず、よくがんばり通した。♠〈話が長い〉朝会での校長先生のお話は、いつも長くて少し困っています。♠〈息が長い〉今度の研究は、短くとも十年はかかる息の長いものになるだろう。♠〈気が長い〉ぼくは短気ですが、兄は反対で、気が長くてのんびりしていると言われます。♠〈長い目で見る〉わたしたちはまだ学生ですから、これからの先のことも考えて長い目で見てください。♠〈話せば長くなる〉くわしく話すと長くなりますので、できるだけ簡単に説明します。♠〈長い物には巻かれろ〉「長い物には巻かれろ」ということわざは、強い相手にはさからうなという意味です。♠〈永く付き合う〉あなたとは、これから将来にわたって永く付き合っていきたいと思っています。♠〈末永く〉人類が末永く栄えていくためには、手当たりしだいに自然を破壊[はかい]するようではいけません。 <805> **ながいき【長生き】** ○長く生きること。[文例]〈長生きをする〉うちは長生きをする家系らしく、祖父の兄弟は八十歳をこえてもみんな健在です。♠〈長生きする〉おじいちゃん、もっともっと長生きしてね。 **ながさ【長さ】** ○長いこと。また、その程度。[文例]あなたには、それくらいの長さのスカートがちょうどいいみたいね。♠〈橋の長さ〉この橋の長さは、百メートルあります。♠〈昼と夜の長さ〉春分と秋分は、昼と夜の長さがほぼ同じになります。 **ながし【流し】** ○流すこと。洗い流す場所。客を求めて町を歩くこと。また、その人。[文例]〈灯ろう流し〉ぼくの田舎では、お盆[ぼん]に灯ろう流しをする。♠〈台所の流し〉一人暮らしの兄の下宿は散らかし放題で、流しには食器が山と積まれていた。♠〈流しのギター弾き〉酒場では、流しのギター弾きがしんみりと歌っていた。 **ながしこ・む【流し込む】** ○流すようにして入れる。[文例]〈型に流し込む〉木で作った型の中にせっこうを流し込み、固まるのを待ちます。♠〈スープを流し込む〉お母さまは、何事も無かったように、またひらりと一さじ、スウプをお口に流し込み、すましてお顔を横に向け(・・・・・・)(太宰治[だざいおさむ]「斜陽[しやよう]」) **ながしめ【流し目】** ○顔を動かさずに目だけ横に動かして見ること。また、その目つき。色目。[文例]〈流し目をくれる〉まわりの人間は、新参者[しんざんもの]にじろじろと流し目をくれるだけで、だれ一人話しかけようとはしなかった。♠〈流し目を送る〉通りすがりの女に流し目を送る、遊び人風の男がいた。♠〈流し目を使う〉ひとの亭主[ていしゅ]に流し目を使うなんて、一体どこの女だい、承知しないからね。 **なが・す【流す】** ○流れさせる。流れに運ばせる。したたらせる。洗い流す。広く行き渡らせる。客を求めて歩く。質[しち]の所有権を無効にする。中止する。流産させる。島流しにする。[文例]〈水に流される〉生まれたばかりのさけの稚魚[ちぎよ]たちは、力が弱いので、水に流されながら川を下ります。♠〈橋が流される〉この川は暴れ[あばれ]川で、橋を架け[かけ]てもすぐ流され、また架け直すといういたちごっこが続いた。♠〈汗[あせ]を流す〉剣道[けんどう]でかいた汗をシャワーで流すのは気持ちがいいぜ。♠〈涙を流す〉決勝で敗れたチームは、涙を流しながら、来年こそはと誓うのだった。♠〈島に流される〉罪人[つみびと]のわたしが流されて来るまで、この島のことを何も知らなかった。♠〈背中を流す〉久しぶりに父といっしょにおふろへ入ったので、背中を流してあげた。♠〈曲を流す〉いつも行くスーパーは、今はやりの曲を店内に流しています。♠〈水に流す〉今までのけんかは、きれいさっぱり水に流して、もう仲直りをしなさい。♠〈デマを流す〉ぼくが彼女に気があるなんて、いいかげんなデマを流したのはだれだ!♠〈情報を流す〉さっきから、ラジオがしきりに台風情報を流している。♠〈道を流す〉毎日この川べりの道を流していくちり紙交換[こうかん]は、声や節まわしからすると、五人以上いそうだ。♠〈質草[しちくさ]を流す〉期限までにお金が用意できなかったので、質屋にあずけた毛皮のコートを流してしまった。♠〈会を流す〉プロ野球の開幕とかちあったのではどうせ集まらないから、あさっての会議は流してしまおう。 **なか・せる【泣かせる】** ○泣くようにさせる。嘆かせる。涙が出るほどの感動を与える。[文例]〈親を泣かせる〉今までは親を泣かせるようなことばかりしてきたけれど、今度こそ心を入れかえて、まじめに働くことにしたよ。♠〈女を泣かせる〉おい、ぼうず、女を泣かせるような男になっちゃいかんぞ。♠〈泣かせる話〉小さいころに親と死に別れ、姉妹が力を合わせて生きてきたとは、泣かせる話だ。 **なかたがい【仲たがい】** (仲違い)○仲が悪くなること。[文例]父と兄の仲たがいが原因で、家の中が暗くなってしまいました。♠〈仲たがいする〉何が原因で彼女と仲たがいしているの? **なかだち【仲立ち】** (媒)○仲をとりもつこと。仲介。[文例]川村さんの仲立ちで、姉の結婚話がまとまりました。♠〈仲立ちをする〉町の顔役[かおやく]に仲立ちをしてもらって、うまく交渉をまとめた。♠〈仲立ちする〉だれかが仲立ちしてやらなければ、あの二人はいつまでたっても友達になれないよ。 **ながたらし・い【長たらしい】** ○うんざりするほど長い。[文例]〈長たらしい話〉校長先生の長たらしい話に、ぼくたちはちょっとうんざりしていました。♠〈長たらしい念仏〉ひまな寺の住職がやって来て、長たらしい念仏を唱えていった。 **なかだるみ【中だるみ】** (中弛み)○途中で気持ちがゆるむこと。途中で一時停滞すること。[文例]〈中だるみの時期〉新入生のときの新鮮な気持ちは色あせ、受験までにはまだ間があり、二年生は中だるみの時期でもある。♠〈中だるみの状態〉急騰した株価も一段落、市場は今中だるみの状態です。♠〈中だるみする〉夏休みの最初の三日は計画通りがんばったが、後は中だるみしちゃって……これじゃ今までと同じだね。 **ながちょうば【長丁場】** ○距離の長い区間。時間が長くかかる物事。[文例]〈長丁場を過ぎる〉だらだらとした登り坂の長丁場を過ぎると、もうすぐ隣町だ。♠〈長丁場を乗り切る〉この長丁場を乗り切るまでは、息を抜けないぞ。♠〈長丁場になる〉交渉は、順調に進んだとしても、一年以上の長丁場になることは覚悟しておかなければならないだろう。 **ながつづき【長続き】** ○長く続くこと。[文例]〈長続きする〉ぼくは、昔からあきっぽい性格で、何をしても長続きしたことがない。♠〈長続きする〉やろうと決意したことを長続きさせるには、強い精神力が必要だ。 **なかなおり【仲直り】** ○元通りに仲がよくなること。[文例]〈仲直りをする〉けんかした友達と仲直りをするきっかけがつかめず困っています。♠〈仲直りする〉仲のよい兄弟は、たまにけんかすることがあってもいつのまにか仲直りしてしまいます。 **なかなか** ○簡単には。かなり。ずいぶん。[文例]自分の気持ちを相手に伝えたいと思っても、口ではなかなかうまく言えないものです。♠修学旅行の前の夜はうれしくて、なかなか眠れなかった。 <806> **ながなが【長長】** ○体を伸ばしているさま。時間がかかるさま。[文例]〈長々と寝そべる〉学校から帰ると、いつもベッドに長々と寝そべり、ポケーッとしている。♠〈長々と伸びる〉パンチをくらった挑戦者[ちょうせんしゃ]は、マットに長々と伸びてしまった。♠〈長々としゃべる〉毎日会っている友達でも、電話となるとまた話がはずみ、長々としゃべってしまう。♠〈長々世話になる〉長々お世話になりまして、ありがとうございました。 **ながねん【長年・永年】** ○長い年月。[文例]〈長年の習慣〉父は、長年の習慣で、会社を定年退職した今でも朝六時には起きます。♠〈長年にわたる〉長年にわたる孤島[ことう]の生活は、彼の容ぼうをすっかりかえてしまった。♠長年あこがれていたスペインに、この夏行って来ました。 **なかば【半ば】** ○中旬。途中。中ほど。半分。[文例]〈月の半ば〉雪国では、十一月も半ばになると、どんよりと曇っ[くもっ]た、はだ寒い日が続きます。♠〈半ば過ぎ〉堤防の半ば過ぎでは、水位は前より五十センチも高くなった。♠〈宴[えん]半ば〉急に気分が悪くなったので、宴半ばで失礼してきました。♠〈半ば以上〉行方[ゆくえ]知れずの息子の帰りを待つ母の髪は、もう半ば以上白かった。♠〈半ば〜する〉彼は半ばからかうような、半ば疑うような顔をした。♠〈半ば無意識〉受話器を取ると、半ば無意識のうちに少女の家の電話番号を回していた。 **ながび・く【長引く】** ○時間が長くなる。長くかかる。[文例]〈戦争が長引く〉戦争が長引くほど多くの人が死ぬことになる。♠〈会議が長引く〉会議が長引いたので、家に帰ったのが十二時を過ぎてしまった。♠〈入院が長引く〉手術後の経過が悪く、入院が長引きそうだ。♠〈滞在[たいざい]が長引く〉台風の影響[えいきよう]で船が欠航したため、滞在が二、三日長引くかもしれません。♠〈話が長引く〉先客との話が長引きそうなので、また出直すことにする。 **なかま【仲間】** ○一緒に何かをする人。同じ種類。[文例]〈大切な仲間〉友達は、これからの三年間の中学校生活を、いっしょに過ごしていく大切な仲間だ。♠〈ゴキブリの仲間〉ゴキブリの仲間は熱帯地方に発達したもので、約四千種が知られています。♠〈働く仲間〉昨日、働く仲間の集い[つどい]が行われた。♠〈仲間に入る・加わる〉今日から、この二人が新しく仲間に加わることになったから、仲よくしてやってくれ。♠〈仲間入り〉この島では、中学生になると、青年団の仲間入りをすることができます。♠〈仲間外れ〉女の子にもてるぼくを、みんなが仲間外れにするのは、どういうわけだろう。♠〈仲間割れ〉今まで仲良くやってきたのに、なんでここで仲間割れしなければならないのだ。 **なかみ【中身・中味】** ○中に入っているもの。内容。刀身。[文例]〈小包[こづつみ]の中身〉おじさんから届いた小包だけど、中身は何だろう。♠〈卵の中身〉同じ卵でも、生卵とゆで卵とでは、中身の様子が全然ちがいます。♠〈出来事の中身〉だれに責任があるにしろ、起きてしまった出来事の中身には変わりがありません。♠〈話の中身〉あなたの話の中身はよくわかりました。♠〈人間の中身〉人間の中身を見ぬくのは、簡単なことではない。♠〈中身が濃い〉たいへん中身の濃いお話をどうもありがとうございました。 **ながめ【眺め】** ○景色。光景。[文例]〈岬[みさき]の眺め〉明るい春の岬の眺めは、疲れたわたしの心を和[なご]らげてくれる。♠〈大河の眺め〉彼の目に入るものは、ただ地の果てまで続く大河の眺めである。♠〈なんとも言えぬ眺め〉夜空に、満開のしだれ桜[ざくら]がボーッとうかびあがり、なんとも言えぬ眺めだった。♠〈眺めがいい〉あとひと山越えると眺めのいい場所に出ますから、そこで昼食にしましょう。♠〈山頂からの眺め〉山頂からの眺めはすばらしく、ことに富士山[ふじさん]の雄姿[ゆうし]がよかった。 **なが・める【眺める】** ○遠くを見る。見渡す。観察する。[文例]〈人を眺める〉おりから出たライオンは、あわてる人々を眺めながら、ゆうゆうと歩いてくる。♠〈沖を眺める〉老人[ろうじん]は、嵐[あらし]が去るのを待って、一日、沖を眺めていた。♠〈頂上から眺める〉町の北側にある丘[おか]の頂上から眺めると、隣の町がよく見える。♠〈星を眺める〉少年のころ、物干し台に上がって満天の星を眺めるのが好きだった。♠〈つくづく眺める〉ふだん何気なく見ているりんごも、つくづく眺めてみると、美しい色合いに驚か[おどろか]される。♠〈ぼんやり眺める〉公園のベンチにすわって、子供たちが遊ぶのを半日ぼんやり眺めていた。♠〈世の中を眺める〉周りの世の中を眺め、人々がどんなことをしているかがわかったら、自分自身を振り返ってみるとよい。 **ながもち【長持ち・長持】** ○長く使えること。衣類などを入れる長方形の箱。[文例]〈長持ちする〉靴は、毎日同じものをはくより、二足を交互にはくほうが長持ちします。♠おばあさんは、倉の奥から、ひな人形の入った長持を出してきた。 **ながや【長屋】** ○一棟の建物を仕切り、何世帯も住めるようにした住居。[文例]裏の長屋のおばさんは世話好きで、一人者のわたしによくお総菜[そうざい]を持って来てくれた。♠親戚の軍人が田舎から上京して、近くの長屋を借りて一人暮らしを始めた。 **なかやすみ【中休み】** ○途中で休むこと。また、その休み。[文例]〈勉強の中休み〉勉強の中休みに母の入れてくれるコーヒーが楽しみでした。♠〈梅雨[つゆ]の中休み〉梅雨の中休みで青空が広がると、家々の窓にはいっせいにふとんが掛けられます。♠〈中休みする〉ちょうど仕事の区切りがついたので、中休みしているところです。 **なかよし【仲良し】** (仲好し)○仲がよいこと。仲のよい人。[文例]わたしはいつもクラスで一番仲良しの村田さんと一緒[いっしょ]に帰ります。♠〈仲良しになる〉せっかく仲良しになった友達と別れなければならないなんて、悲しいことです。♠〈仲よしこよし〉お馬の親子は仲よしこよし、いつでもいっしょにポックリポックリ歩く。(文部省唱歌) <807> **ながら・える【長らえる・永らえる】** (存える)○長く生き続ける。[文例]〈命をながらえる〉いたずらに命をながらえるよりも、潔く[いさぎよく]戦って死ぬのを武士は本望とした。♠〈生きながらえる〉妻や子を事故で亡くした男は、この世に生きながらえる希望を失ったのです。 **なかれ【勿れ・莫れ】** ○禁止を表す語。[文例]汝[なんじ]の隣人[りんじん]を愛せよ、されど垣根[かきね]を取り除くなかれ。(西洋のことわざ)♠〈事なかれ〉自分の在任中だけは事なかれと、署長は願っていました。 **ながれ【流れ】** ○流れること。流れる水。水流。川。人・車の通行。続き方。時の経過。血筋。系統。中止。所有権が無効になること。けじめがつかずに続くこと。[文例]〈流れが速い・ゆるい〉水の流れが速いところを好む魚と、流れのゆるいところを好む魚とがいる。♠〈流れが急だ・激しい[はげしい]〉川は、上流にさかのぼっていくと、だんだん流れが急になり、激しくなる。♠〈小さな流れ〉たんぽのそばの小さな流れで、めだかをすくいました。♠〈流れに沿う〉今日は、多摩川[たまがわ]の流れに沿って、三時間ほど歩いてみました。♠〈流れが悪い〉何がつまったのか、下水の流れが悪くて困っています。♠〈車の流れ〉この辺は観光地なので、週末には車の流れが悪くなります。♠〈人の流れ〉境内[けいだい]へつづく参道を、初もうでに行く人の流れに身をまかせながら歩いていく。♠〈文章の流れ〉文章の流れにすなおに従っていけば、内容はだいたい分かってくる。♠〈詩の流れ〉昭和初期の詩の世界には、大きく三つの流れがあった。♠〈時の流れ〉長い時の流れのうちに、昔の日本語がだんだん変わって、今の言葉になったのです。♠〈時勢の流れ〉〈流れに逆らう〉彼は、時勢の流れに逆らってでも、自分の信念をつらぬこうと努力した。♠〈流れに乗る〉高速道路に入ると、うまく車の流れに乗って車を走らせた。♠〈流れをくむ〉彼の家は源氏[げんじ]の流れをくむ名門らしい。♠〈流れ作業〉夕食の片付けも、洗う人、ふく人、しまう人と、流れ作業でやればすぐに終わるのに。♠〈お流れになる〉楽しみにしていたハイキングが、台風のためにお流れになってしまった。 **なが・れる【流れる】** ○水が低い方へ移る。流れに運ばれる。したたる。移動する。通じる。通行する。ただよう。それる。放浪する。広まる。経過する。伝わる。無効になる。中止になる。ある傾向に陥る。[文例]〈川が流れる〉谷川がゴーゴーとしぶきを上げて流れている。♠〈ごみが流れる〉川にはごみがたくさん流れていた。♠〈汗が流れる〉重い荷物をかついだ少年の額[ひたい]には、みるみる汗が流れだした。♠〈涙が流れる〉母の目から涙が流れているのに気づいた。♠〈星が流れる〉塾[じゅく]からの帰り道、星が流れるのを見た。♠〈車が流れる〉午後になって、やっと高速道路は車が流れだした。♠〈電流が流れる〉流れている電流が止まったら、工事を始めよう。♠〈霧が流れる〉森の方から流れてきた霧が小屋をすっぽり包んでしまった。♠〈音が流れる〉のんびりした鐘の音が村外れの教会から流れてくる。♠〈歌が流れる〉野原を、子供たちの歌が流れていきます。♠〈うわさが流れる〉京の近くに、すばらしい陶工がいるらしいといううわさが流れた。♠〈血が流れる〉父親は、自分の息子の体に、生まれながら、画家の血が流れているのを知っていた。♠〈月日が流れる〉この町に移り住んでから、いつのまにか、五十年以上の月日が流れました。♠〈古典に流れる古人[こじん]の心〉古典を読み、そこに流れている古人の心に触れ[ふれ]よう。♠〈文化が流れる〉七世紀から八世紀にかけて遣唐使[けんとうし]が派遣[はけん]され、中国文化がとうとうと流れ込んできた。♠〈質草[しちくさ]が流れる〉明日までにお金を質屋に持っていかないと、カメラが流れてしまう。♠〈会議が流れる〉出席者が少なかったため、今日の会議は流れてしまった。♠〈華美[かび]に流れる〉華美に流れた生活を経験してしまうと、質素[しつそ]なくらしができにくくなる。♠〈流れ歩く〉長い間他国を流れ歩いていたが、せめて先祖の地で死にたいと、生まれ故郷に帰ってきた。 **なかんずく【就中】** ○とりわけ。中でも特に。[文例]少年の芸術的な才能、なかんずく音楽の才能は、この祖父から受け継いだものだった。 **なぎ【凪・和】** ○風がやんで波が静かになること。[文例]〈なぎになる〉海がなぎになるのを待って、漁師たちは船を出した。♠〈夕なぎ・朝なぎ〉夕なぎの浜辺を一人散歩しました。 **なきおとし【泣き落とし】** ○泣いて自分の頼みを承知させること。[文例]〈泣き落としにかかる〉どんなに頼んでも願いが聞き入れられないと思った娘は、泣き落としにかかった。♠〈泣き落としの手〉泣き落としの手を使っても、そんなわがままは許しませんよ。 **なきがら【亡骸】** ○死んだ人の体。遺体。[文例]〈なきがらを葬る[ほうむる]〉叔父のなきがらは、故郷の菩提寺[ぼだいじ]に葬られました。♠〈なきがらにすがる〉娘は、恋人のなきがらにすがりついて泣いた。 **なきごと【泣き言】** ○泣きながら言う言葉。嘆いて言う言葉。ぐち。[文例]〈泣き言を言う〉男のくせに泣き雷を言うなんて、めめしいやつだ。♠〈泣き言をならべる〉どんなに泣き言をならべたところで、使いつくしたお金は、もう返りはしない。♠〈泣き言が出る〉予想外の敗戦で気が弱くなっているせいか、つい泣き言が口をついて出てしまった。♠〈泣き言を聞く〉親の泣き言を聞くのも、なかなか骨の折れるものだ。 **なぎさ【渚・汀】** ○波打ちぎわ。[文例]子供たちがなぎさで波と追いかけっこしている。♠夕暮れのなぎさにたたずんで、海を眺めている少女がいました。 **なきさけ・ぶ【泣き叫ぶ】** ○大きな声で泣く。泣きながら叫ぶ。[文例]親と引きさかれた娘は、狂ったように泣き叫んだ。♠迷子[まいご]になった子供が泣き叫びながら、親を捜し[さがし]歩いている。 **なきじゃく・る【泣きじゃくる】** ○しゃくりあげるように泣く。[文例]とぼとぼたどる道すがら、心細くなった弟が泣きじゃくるので、ぼくはとほうにくれてしまった。♠父にしかられた妹は、泣きじゃくりながらあやまっています。 **なぎたお・す【なぎ倒す】** (薙ぎ倒す)○横に払うようにして倒す。次々に切り倒す。 <808> なきたてる **なきふ・す【泣き伏す】** ○うつ伏して泣く。[文例]息子の悲報を聞いた母親は、わっと泣き伏した。 **なきべそ【泣きべそ】** ○泣き顔になること。[文例]<泣きべそをかく>わたしが遊びに行こうとすると、弟がいつも泣きべそをかくので、しかたなくいっしょに連れていきます。 **なきむし【泣き虫】** ○ちょっとしたことですぐに泣く人。[文例]ぼくは小さいころ泣き虫だったが、今では近所で一番のわんぱく者だ。♠妹はすぐに泣くので、「泣き虫毛虫、はさんで捨てろ」と、友達にはやされます。 **なきわめ・く【泣きわめく】** (泣き喚く)○泣き叫ぶ。[文例]ぼくは、くやしくてくやしくて泣きわめきたい気持ちをぐっとがまんした。 **なく【鳴く・泣く】** (啼く)○動物が声や音を出す。感情の高ぶりや苦痛などで声を出し、涙を流す。ひどい目にあう。苦しむ。無理なことを引き受ける。[文例]<牛が鳴く>牛がモーと鳴きながら、車を引いて通っていく。♠<鳥が鳴く>学校の屋根の上で、はとが低い声でクークー鳴いていました。♠<虫が鳴く>鈴虫[すずむし]はリンリンリンと鳴き、松虫はチンチロリンと鳴くのです。♠<きじも鳴かずば撃[う]たれまい>きじも鳴かずば撃たれまい、ここはひとつおとなしくしていよう。♠<閑古鳥[かんこどり]が鳴く>開店早々は、客もなく文字通り閑古鳥が鳴くありさまだった。♠<鳴かず飛ばず>それ以来テレビ局から出演依頼はなく、鳴かず飛ばずの三年が過ぎた。♠<声をあげて泣く>彼との別れがつらくて、わたしは声をあげて泣いた。♠<赤ちゃんが泣く>家の中から、赤ちゃんの泣く声が聞こえる。♠<練習で泣く>試合まであと一週間、さあ、練習で泣いて、試合で笑おう。♠<泣いても笑っても>泣いても笑っても、入試まであと一月だ。♠<看板が泣く>そんな腐[くさ]った大根を売っているようじゃ、八百屋の看板が泣くよ。♠<泣いてもらう>ここはひとつ君に泣いてもらって、九州に行ってほしいのだが、どうだろうか。♠<悪天候に泣く>頂上を目前にして帰ってきたんだ、まったく悪天候には泣かされたよ。♠<泣く子と地頭[じとう]には勝てぬ>泣く子と地頭には勝てぬといって、農民は圧制に堪[た]えてきました。♠<泣きわめく>戦闘機[せんとうさ]がすさまじい響[ひび]きをたてて頭上を過ぎると、女の泣きわめく声が聞こえた。 **な・ぐ(凪ぐ)** ○風がやんで波が穏やかになる。[文例]<海がなぐ>昨日まであんなに荒れていた海も、今日はうそのようにないでいる。♠<鏡のようになぐ>鏡のようにないだ海を、船は、希望に満ちて航海していた。♠<風がなぐ>夕方になって風がないでくると、海辺は子供の遊び場になります。 **なぐさみ【慰み】** ○気晴らし。もてあそぶこと。もてあそぶもの。[文例]<一時の慰み>一時の慰みに酒を飲み歩いたが、一向に気は晴れなかった。♠<慰みにする>おばあさんは、針仕事を慰みにしていて、よく人形などを作っています。♠<慰みもの>人の気持ちをもてあそび、慰みものにするようなことは慎[つつし]みなさい。 **なぐさめ【慰め】** ○慰めること。慰めるためのもの。[文例]今のきみには、どんな慰めも役に立たないでしょう。♠<慰めを与える>彼女の優しい歌声は、病人たちに慰めを与えることでしょう。♠<慰めの言葉>慰めの言葉のつもりが、よけい彼を落ち込ませてしまった。 **なぐさ・める【慰める】** ○気を晴らし、心を和[なご]ませてやる。なだめる。いたわる。[文例]<人を慰める>木から落ちたサブちゃんを、みんな総がかりで抱き起こし、慰めてやった。♠<心を慰める>花には人の心を慰める力がある。♠<気持ちを慰める>今朝になっても気は晴れないし、この気持ちを慰めてくれる人もいない。♠<目を慰める>この画集は、わたしの疲れた目を慰めてくれます。♠<寂[さび]しさを慰める>人間は、寂しさを慰めるために、さまざまな娯楽を作り出した。 **なく・す【無くす・亡くす】** (失くす)○失う。無くする。死なせる。[文例]<物をなくす>人から借りた物をなくしたとは、たいへんなことだぞ。♠<借金をなくす>子供が大きくなるまでにはなんとか借金だけはなくしておきたかった。♠<事故をなくす>交通事故をなくすには、運転者が安全運転を心がけるとともに、歩行者もルールを守ることだ。♠<力をなくす>ハチは、ただの一刺しで、相手の全身の力をなくしてしまわなければならない。♠<元気をなくす>いたずらざかりの子も、体調をくずすと元気をなくすので、すぐにわかります。♠<子を亡くす>女はこの地で男の子を一人亡くしたという。♠<親を亡くす>父を亡くした少年は、兄と二人で母を助けながら生きていく。 **なくなく【泣く泣く】** ○泣きながら。泣き泣き。[文例]家の事情で泣く泣く故郷をあとにし、見知らぬ土地に移り住みました。♠相手のためを思い、泣く泣く別れてきたのだが、幸せにくくらしているだろうか。♠どうしてもまとまったお金が必要になり、泣く泣く愛蔵品を手放した。♠給食の時間に、きらいだったピーマンを泣く泣く食べさせられた記憶があります。 **なくなる【無くなる・亡くなる】** ○無い状態になる。紛失する。死ぬ。[文例]<物がなくなる>旅先から自宅あてに出した荷物が、一か月たっても着かないとは、なくなったのだろうか。♠<列車がなくなる>お父さんが学生のころは青森行きの普通列車が何本もあったんだけど、今は一本もなくなった。♠<電車がなくなる>話がはずみ、気がついた時には、もう帰る電車がなくなっていた。♠<水分がなくなる>水分がなくなったみかんは、まずくて食べられたものではない。♠<戦争がなくなる>この世界からは、今もなお戦争という恐[おそ]ろしい出来事がなくなっていません。♠<人が亡くなる>青年は、ここに友達と泳ぎに来て、波にのまれて亡くなったのです。 **なくもがな【無くもがな】** ○無いほうがよい。あらずもがな。[文例]あの特徴的なアナウンスはなくもがなだが、車で回って来るちり紙交換は便利である。♠電車の車内放送はなくもがなである。 **なぐりがき【殴り書き】** ○乱暴に書くこと。乱暴に書いたもの。[文例]<殴り書きする>時間がなかったので、チラシ広告の裏に伝言を殴り書きして家を出た。 **なぐ・る【殴る】** (撲る)○ぶつ。たたく。[文例]<げんこつで殴る>言うことを聞かなかったので、父からげんこつで殴られてしまった。♠<棒で殴る>彼は、大勢の子供に棒で殴られて、のびてしまった。♠<横っ面[よこつら]を殴る>たるんでるぞと、先輩[せんぱい]に横っ面を殴られた。♠<殴るけるの乱暴>殴る、けるの乱暴を受けた男は、警察にうったえて出た。♠<殴り飛ばす>彼女は、理由もきかず大声でどなりながら、ぼくを殴り飛ばした。♠<書き殴る>彼の書き殴ったメモ帳は、判読するのにひと苦労する。 <809> **なくす** ハチは、ただの一刺しで、相手の全身の力をなくしてしまわなければならない。♠〈元気をなくす〉いたずらざかりの子も、体調をくずすと元気をなくすので、すぐにわかります。♠へ子を亡[な]くす〉女はこの地で男の子を一人亡[な]くしたという。♠〈親を亡[な]くす〉父を亡[な]くした少年は、兄と二人で母を助けながら生きていく。 **なくなく【泣く泣く】** 泣きながら。泣き泣き。[文例]家の事情で泣く泣く故郷をあとにし、見知らぬ土地に移り住みました。♠相手のためを思い、泣く泣く別れてきたのだが、幸せにくらしているだろうか。♠どうしてもまとまったお金が必要になり、泣く泣く愛蔵品を手放した。♠給食の時間に、きらいだったピーマンを泣く泣く食べさせられた記憶があります。 **なくなる【無くなる・亡くなる】** 無い状態になる。紛失する。死ぬ。[文例]〈物がなくなる〉旅先から自宅あてに出した荷物が、一か月たっても着かないとは、なくなったのだろうか。♠〈列車がなくなる〉お父さんが学生のころは青森行きの普通列車が何本もあったんだけど、今は一本もなくなった。♠へ電車がなくなる〉話がはずみ、気がついた時には、もう帰る電車がなくなっていた。♠〈水分がなくなる〉水分がなくなったみかんは、まずくて食べられたものではない。♠〈戦争がなくなる〉この世界からは、今もなお戦争というおそ恐ろしい出来事がなくなっていません。♠〈人が亡くなる〉青年は、ここに友達と泳ぎに来て、波にのまれて亡くなったのです。 **なくもがな【無くもがな】** 無いほうがよい。あらずもがな。[文例]あの特徴的なアナウンスはなくもがなだが、車で回って来るちり紙交換は便利である。♠電車の車内放送はなくもがなである。 **なぐりがき【殴り書き】** 乱暴に書くこと。乱暴に書いたもの。[文例]〈殴り書きする〉時間がなかったので、チラシ広告の裏に伝言を殴り書きして家を出た。 **なぐ・る【殴る】(撲る)** ぶつ。たたく。[文例]〈げんこつで殴る〉言うことを聞かなかったので、父からげんこつで殴られてしまった。♠〈棒で殴る〉彼は、大勢の子供に棒で殴られて、のびてしまった。♠へ横っ面[よこっつら]を殴る〉たるんでるぞと、先輩[せんぱい]に横っ面[よこっつら]を殴られた。♠へ殴るけるの乱暴〉殴る、けるの乱暴を受けた男は、警察にうったえて出た。♠へ殴り飛ばす〉彼女は、理由もきかず大声でどなりながら、ぼくを殴り飛ばした。♠へ書き殴る〉彼の書き殴ったメモ帳は、判読するのにひと苦労する。 **なげう・つ(擲つ・抛つ)** 投げつける。投げ出す。放棄する。[文例]〈命をなげうつ〉自分の命をなげうってまで子ぐまを助けようとする母ぐまの姿に、深く心を打たれた。♠へ仕事をなげうつ〉大事な仕事をなげうってわたしの手伝いに来てくれるとはありがたいことだ。♠〈私財をなげうつ〉彼は、私財をなげうち、子供たちの安全な遊び場を作ろうとするのであった。♠へ〜の座をなげうつ〉おじは、病院長の座をなげうち、過疎地[かそち]の医者として生きる道を選んだ。♠金亀子[こがねむし]擲[なげう]つ闇[やみ]の深さかな(高浜虚子) **なげかける【投げ掛ける】** 投げて掛ける。体をもたせかける。提示する。その方へ向ける。[文例]〈身を投げかける〉少女は、その身を青年の腕の中に投げかけた。♠へ疑問を投げかける〉彼はこの投書で、世の中の常識に対して率直な疑問を投げかけました。♠へまなざしを投げかける〉修道女は、小さな子供たちに優しいまなざしを投げかけた。 **なげかわし・い【嘆かわしい】(歎かわしい)** 嘆かずにいられない。情けない。[文例]最近の若者の公共心の低下は嘆かわしいばかりである、などというわたしも、実は若いころ同じことをいわれたものだ。 **なげき【嘆き】(歎き)** 嘆くこと。♪なげく[文例]〈嘆きに沈む〉ランメイは、勉学の途中で中国に帰らなければならなくなったので、嘆きに沈んでいるのです。♠〈嘆きの余り〉母は父を失った嘆きの余り、床[とこ]に就[つ]いてしまいました。 **なげ・く【嘆く】(歎く)** 悲しみや不満などを口にする。深く悲しむ。憤慨する。[文例]〈死を嘆く〉いくら泣いたとて嘆いたとて、死んだ人はもうもどってきはしない。♠〈不足を嘆く〉自分の能力の不足を嘆く前に、もっと努力するべきだ。♠へ生活苦を嘆く〉当時は、生活苦を嘆く人々の声が高かった。♠〈不正・腐敗[ふはい]を嘆く〉政治の不正・腐敗[ふはい]を嘆く声が世に満ちた。♠へ嘆き悲しむ〉母親は、幼いわが子を残してこの世を去ることを嘆き悲しんだ。♠〈悲しみ嘆く〉戦争で家族が別れ別れになったことを悲しみ嘆いては、毎日をくらす母であった。 **なげす・てる【投げ捨てる】(投げ棄てる)** ほうり投げる。ほうり出す。[文例]〈ごみを投げ捨てる〉ごみや空きかんをやたら投げ捨ててはいけません。♠へ地位・名誉を投げ捨てる〉男は、地位も名誉も投げ捨てて若い女のとりこになっていった。 **なげだ・す【投げ出す】** 投げるようにして出す。投げるようにして置く。途中であきらめる。差し出す。[文例]へかばんを投げ出す〉りょうたは学校から帰ると、ランドセルを玄関に投げ出して遊びに行きます。♠へ足を投げ出す〉子ぐまは、赤ちゃんのように、両足を投げ出してすわっていました。♠へ車から投げ出される〉衝突のショックで、運転手は道ばたの草っ原に投げ出された。♠へ〈会社を投げ出す〉社長は、傾きかけた会社を投げ出して、どこかへ身をくらませてしまった。♠へ試合を投げ出す〉点差が大きくなったためか、選手たちは試合を投げ出してしまった。♠へ命を投げ出す〉わたしは、愛する人たちのためなら、命を投げ出しても惜しいとは思いません。 **なけなし** ほとんど無いこと。[文例]〈なけなしの金〉なけなしの金をはたいて、彼女へ誕生日のプレゼントを買いました。♠へなけなしの知恵〉なけなしの知恵をしぼって考えたけれど、どうもうまい手は思い浮かばなかった。 **なげやり【投げやり】(投げ遣り)** やりかけのまま投げ出すさま。無責任でいい加減なさま。[文例]〈投げやりな態度〉きみのその投げやりな態度を改めないと進歩は見こめないぞ。♠へなげやりな返事〉この仕事ではやる気がおきないの <810> **な・げる【投げる】** ○物を手で飛ばす。ほうる。かかえて倒す。提示する。その方へ向ける。あきらめる。投身する。[文例]〈物を投げる〉人間の手は、物をつかんだり、投げたり、打ったりすることができます。♠〈石を投げる〉こらっ、こんな人通りの多い所で石を投げるやつがあるか。♠〈ボールを投げる〉ピッチャーがボールを投げるや、打者はバントの構えをとった。♠〈相手を投げる〉相撲[すもう]では、相手を投げて倒したり、土俵[どひよう]の外に押しだしたりすれば、勝ちになります。♠〈話題を投げる〉今年は、犯罪の低年齢化[ていねんれいか]が大きな話題を投げました。♠〈波紋[はもん]を投げる〉自転車通学を禁止するという学校側の決定は、生徒や父母の間に波紋を投げかけた。♠〈冷たい視線を投げる〉道ばたにたたずむ親子に冷たい視線を投げて、人々は通りすぎていった。♠〈さじを投げる〉どの医者も、この難病にはさじを投げた。♠〈勝負を投げる〉いくら相手が強いといったって、初めから勝負を投げてしまうとは……。♠〈試験を投げる〉アルバイトが忙しく[いそが]て準備ができなかったからと、彼は前期の試験を投げてしまった。♠〈身を投げる〉ここは、身を投げる人の多いことで有名な海岸です。 **なご・む【和む】** ○なごやかになる。やわらぐ。[文例]〈気持ちが和む〉この絵を見るたびに、子供を温かく見守る作者の心が感じられ、気持ちが和んできます。♠〈心が和む〉どんなにつかれていても、子供たちの寝顔[ねがお]を見ると、心が和みます。♠〈雰囲気[ふんいき]が和む〉少女が来てから、荒くれ[あら]くれ男どもの周りの雰囲気が和んできた。♠〈表情が和む〉全員無事と聞くや、集まっていた人々の表情がいっせいに和み、空気が一変した。 **なごやか【和やか】** ○おだやかなさま。[文例]〈和やかな表情〉久しぶりに会った彼には、以前の和やかな表情がなくなっていて、生活の変化が感じられた。♠〈和やかな家庭〉その少年を見れば、和やかな家庭に育ったことが一目でわかります。♠〈和やかにする〉時と場所をわきまえた巧みな「しゃれ」は、人の心を和やかにする。♠〈和やかに談笑する〉敵どうしではあったが、二人は終始和やかに談笑した。 **なごり【名残】** ○物事が過ぎ去った後に残るもの。過ぎたことを思い出させる様子や気配。別れを惜しむ気持ち。[文例]〈冬の名残〉春とはいえ、山の色や、川の流れには、冬の名残が感じられる。♠〈名残が残る〉庭の片すみには、ゆうべの強風の名残が木の葉のうずとして残っている。♠〈名残をとどめる〉オリンピックの聖火は、この行事が神を中心とした祭りであったという名残をとどめています。♠〈名残がある〉彼女の家は城下町の名残のある土地にあって、そこに彼女は両親と住んでいた。♠〈名残がつきない〉友の乗る列車が出るまであと五分というのに名残がつきなかった。♠〈名残を惜しむ〉大学を卒業してそれぞれの国へ帰る二人は、つきぬ名残を惜しんで杯[さかずき]をかわすのであった。♠〈この世の名残〉城が落ちるのも、はや間近、この世の名残に一曲舞おうぞ。♠〈名残のそで〉「名残のそでをふり切る」とは、心残りな気持ちをたとえて言った表現である。♠〈名残惜しい〉気に入っていたペンダントだけど、あの子にあげるのなら、名残惜しい気はしない。 **なさけ【情け】** ○人を思いやる心。同情。厚意。男女間の愛情。[文例]〈人の情け〉困っているときに助けてもらうと、人の情けがしみじみ身にしみます。♠〈武士の情け〉武士の情けだ、この事は、絶対にほかの人には言わないでくれ。♠〈情けをかける〉困っている人を見かけたら、情けをかけてやりなさいよ。♠〈情けにすがる〉他人の情けにすがってばかりいないで、自分でしっかり生きていくことを考えなさい。♠〈情けは人のためならず〉情けは人のためならずとはよく言うが、人を助ければ、いつかよい報い[むくい]が返ってきますよ。♠〈情け知らず〉恩をあだで返すような、そんな情け知らずの人とは思わなかった。 **なさけな・い【情けない】** ○思いやりがない。嘆かわしい。ふがいない。みじめだ。[文例]〈情けない姿〉マンホールに落ちた犬は、ぬれねずみの情けない姿で出てきました。♠〈情けない身なり〉旅先で盗難[とうなん]にあった父は、情けない身なりで帰ってきました。♠〈我ながら情けない〉こんなだめな息子に育てたとは、われながら情けない。♠〈情けない成績〉中間テストは、予想もつかない情けない成績で、がっかりしてしまった。♠〈情けない世の中〉人と人とが助け合えないなんて、なんと情けない世の中になったものだ。 **なさけぶか・い【情け深い】** ○哀れみ深い。おもいやりがある。[文例]〈情け深い人〉情け深いお百姓は、わなにかかったツルを助けて、傷の手当てをしてやりました。 **なざし【名指し】** ○特定の人の名前を指し示すこと。指名。[文例]〈名指しで呼ぶ〉ほかの店員じゃだめなんだ。お客さんがきみを名指しで呼んでいるんだ。♠〈名指しで非難する〉ホームルームの時間に、山下さんを名指しで非難したのはまずかったな。 **なし【梨】** ○バラ科の果樹。実は大きく、水分を多く含む。[文例]この梨は、甘くて水気が多くておいしいね。♠〈なしのつぶて〉彼の留学先へいくら便りを出しても、なしのつぶてでなんの音沙汰[おとさた]もなかった。 **なしと・げる【成し遂げる】** (為し遂げる)○やりとげる。達成する。[文例]〈仕事を成し遂げる〉染め手も、織り手も、彼とともにその仕事を成し遂げたのである。♠〈学問を成し遂げる〉年をとるのは早く、学問を成し遂げるのは難しい。♠〈大事を成し遂げる〉この大事を成し遂げてからでなくては、死んでも死に切れません。♠〈偉業を成し遂げる〉彼は、世紀の偉業といわれたこの河の治水事業を成し遂げた人物です。♠〈志[こころざし]を成し遂げる〉大切なことは、志を抱き[いだき]、それを成し遂げる忍耐[にんたい]をもつことである。 **なじみ【馴染み】** ○なじむこと。なれ親しんだもの・人。[文例]〈なじみが薄い[うすい]〉古典の文章は、文語文で書かれているので、現代のわたしたちにはなじみが薄い。♠〈なじみの旅館〉いつも泊まるなじみの旅館は、海岸の高台にあり、眺めがすばらしい。 <811> **なじる【詰る】** ○非難する。責める。問い詰める。[文例]「きみは長い間、ぼくをだましていたんだ。」と、彼はわたしをなじった。♠私はまだ話さないと答えました。すると何故[なぜ]話さないのかと、奥さんが私を詰るのです。(夏目漱石「こころ」) **なす【茄子・茄】** ○ナス科の一年草。実は暗赤色、卵形で食用。なすび。[文例]なすのつけ物が色よくつかっていて、食欲をそそります。♠〈なすのつるにきゅうりはならぬ〉かえるの子はかえる、なすのつるにきゅうりはならぬ。ぼくたち二人の子だから、あまり過大な期待はかけられないね。♠〈ぼけなす〉何をもたもたしてるんだ、このぽけなす。 **な・す【成す】** (為す)○する。行う。しとげる。作り上げる。形づくる。産む。[文例]〈何かをなす〉三年間、一日も欠かさず日記をつけた人は、将来何かをなす人であるということばがある。♠〈大事をなす〉おそらくこの子は、将来大事をなすほどの人物になるであろう。♠〈悪・善をなす〉悪をなす者は罰を受け、善をなす者は褒められる。♠〈害をなす〉ポルノグラフィーは、青少年に害をなすとして、規制する国もある。♠〈なすすべがない〉街をなめつくす炎[ほのお]に、人々はただなすすべもなくおびえるばかりだった。♠〈財を成す〉若いころからせっせと働き、倹約[けんやく]を続けたおじは、死ぬまでにかなりの財を成した。♠〈名を成す〉芸術家として名を成すには、もって生まれた天分と、たゆまぬ努力が必要だ。♠〈子を成す〉子まで成した仲だというのに、何も別れ話を持ちだすこともなかろう。♠〈体を成す〉会長と書記がぬけたのでは、会としての体を成さない。♠〈群れを成す〉ヒトも群れを成して生きる動物といえる。♠〈骨組みを成す〉文の骨組みを成すのが主語と述語と、修飾語です。♠〈意味を成す〉そんなことをしても、ちっとも意味を成さないよ。♠〈災い[わざわい]を転じて福と成す〉人間は失敗から学ぶことによって、災いを転じて福と成すことができるのだ。♠〈門前市を成す〉当時、街道沿いのこの店は門前市を成す繁盛[はんじよう]ぶりであったという。♠〈恐れ[おそれ]を成す〉父のすごいけんまくに、兄弟たちは恐れを成して引き下がった。 **なす・る【擦る】** ○こすりつける。罪や責任などを他人にかぶせる。[文例]〈手でなする〉手で壁をなすったら、手についていた泥が付いてしまった。♠〈人に罪をなする〉あいつは罪を人になすって、自分は何もしなかったような顔をしている。 **なず・む【泥む・滞む】** ○なかなか進まない。こだわる。[文例]〈暮れなずむ〉暮れなずむ空を眺めながら、ぼくは明日からの知らぬ街での生活のことを考えていた。 **なすりあい【擦り合い】** ○互いに責任や罪をおしつけること。[文例]〈責任のなすり合い〉仲間うちで責任のなすり合いをするのはみっともない。 **なすりつける【擦り付ける】** ○こすりつける。罪や責任などを他人にかぶせる。[文例]〈汚れをなすりつける〉こら、汚れた手をテーブルクロスになすりつける人がありますか。♠〈責任をなすりつける〉自分の責任を人になすりつけるとは、ひどい男だ。♠〈罪をなすりつける〉人に罪をなすりつけるのは一番いけないことだよ。 **なぜ【何故】** ○どうして。どういうわけで。なにゆえに。[文例]いっしょに行こうよ。行かないの? なぜ!♠〈なぜか〉質問に対して、彼はなぜか答えなかった。♠〈なぜなら〉きみが行きなさい。なぜならそれはきみの仕事だからだ。♠〈なぜでも〉なぜでもいいから、早くやれ。 **なぜなら【何故なら】** ○なぜかというと。そのわけは。[文例]ぼくは、意を決して立ち上がった。なぜなら、もう黙っていてはいけないと思ったからだ。♠列車の中でわたしの心は沈んでいた。なぜなら、今度の帰郷は楽しいものではなかったから。♠ふだんから計画を立てて生活するのは大切なことです。なぜなら、生活にリズムが生まれるからです。 **なぞ【謎】** ○なぞなぞ。遠回しにそれとなく言うこと。不思議なこと。[文例]〈なぞに包まれる〉長く続いた恐竜の時代がとつぜん終わってしまったことは、多くのなぞに包まれています。♠〈なぞを解く〉過去のなぞを解き、未知の世界に挑むことは、人類の知的精神活動のあらわれだ。♠〈なぞの人物〉事件を探っ[さぐっ]ていくうちに、なぞの人物の存在が浮かび上がってきた。♠〈なぞをかける〉「今日は暑いですね。」となぞをかけたら、アイスクリームを出してくれた。♠〈なぞを出す〉よく出るなぞに、「いるときにいらなくて、いらないときにいるものナンダ?」がある。♠〈なぞめく〉その時、女はなぞめいたほほえみを投げてきた。 **なぞなぞ【謎謎】** ○言葉の中に意味を隠して当てさせる遊び。[文例]〈なぞなぞをする〉子供たちがなぞなぞをして遊んでいます。♠〈なぞなぞ遊び〉咳[せき]の子のなぞなぞ遊びきりもなや(中村汀女[なかむらていじよ]) **なぞらえる** ○似たものとして引き比べる。なずらえる。[文例]〈人生を旅になぞらえる〉人生を旅になぞらえた文章は多い。 <812> **なぞる** ○書いてあるものの上をたどる。[文例]〈手本をなぞる〉お習字の練習は、筆に墨をつけずに、まずお手本をなぞることから始めます。♠〈鉛筆をなぞる〉鉛筆で記号をアルファベット順になぞっていくと、昼寝をするスヌーピーの姿が現れた。 **なた【鉈】** ○まき割りなどに使う、短く厚く幅の広い刃物。[文例]裏庭ではおじいさんが、なたでまきを割っています。♠〈大なたを振るう〉会社の経営を立て直すためには、役員人事に大なたを振るう必要がありそうだ。 **なだい【名代】** ○名高いこと。代理。名代。[文例]〈名代の店〉このまんじゅう屋は、昔からの名代の店です。♠〈名代な橋〉あすこに龍閑橋[りゆうかんばし]てえ橋がありましょう。え? そいつも知らねえかね。龍閑橋ゃ、名代な橋だがね。(夏目漱石「草枕」) **なだか・い【名高い】** ○有名である。[文例]青木ヶ原樹海は、野鳥の宝庫として名高い。♠これが急流で名高い最上川だよ。♠〈世に名高い〉当時の中国に、世に名高い詩人として李白[りはく]と杜甫[とほ]がいた。 **なだたる【名立たる】** ○有名な。評判の。[文例]〈天下に名立たる〉ここは、天下に名立たる名勝として知られた渓谷[けいこく]です。♠〈名立たる面々[めんめん]〉会合には、市の名立たる面々が顔をそろえました。 **なだめすか・す【宥め賺す】** ○機嫌をとってなだめる。[文例]歯医者に行くのをいやがる子をなだめすかして、やっと家を出た。 **なだ・める【宥める】** ○気持ちをやわらげる。機嫌をとる。[文例]〈子供をなだめる〉転んで泣いている子を、若いお母さんが一生懸命[いっしょうけんめい]なだめていました。♠〈友をなだめる〉今日こそは仕返しをするのだといきまく友を、なだめるのがたいへんだった。♠〈なだめすかす〉きゅうくつな着物なんか いや、と言う妹をなだめすかし、やっと七五三の写真を とりました。♠〈なだめてもすかしても〉この子はいったん怒り[おこり]出すと、なだめてもすかしてもききません。 **なだらか** ○ゆるやか。穏やか。なめらか。[文例]〈なだらかな丘[おか]〉当地は、なだらかな丘や水田が広がっていて、とても静かなよい所です。♠〈なだらかな斜面[しゃめん]〉子供のころ、雪が降るたびに、裏山のなだらかな斜面で、そり滑り[すべり]をしたものだ。♠〈なだらかに波打つ〉なだらかに波打つ阿蘇の火口原を、わたしたちを乗せたバスが走っていく。♠〈なだらかな口調〉おばのなだらかな口調を聞いていると、心がなごんでくる。 **なだれ【雪崩】** (傾れ)○斜面に積もっていた雪が急に崩れ落ちること。どっと押し寄せること。[文例]〈雪崩にあう〉冬山登山に出かけた一行は、途中雪崩にあって遭難[そうなん]した模様です。♠〈雪崩が起こる〉春先は、雪崩が起こりやすいので、くれぐれも注意が必要です。♠〈雪崩を打つ〉かなり大きな地震だったので、映画館の中にいた観客は雪崩を打って出口へ殺到[さつとう]した。 **なだれお・ちる【雪崩落ちる】** (傾れ落ちる)○雪崩のように崩れ落ちる。[文例]本を一冊とったら、棚[たな]の本が全部なだれおちて店の床に広がった。 **なだれこ・む【雪崩込む】** (傾れ込む)○たくさんの人が一度にどっと入ってくる。[文例]〈敵がなだれ込む〉敵の軍隊がいっせいになだれ込んできて、村はあっという間に占領されてしまったのだ。 **なつ【夏】** ○四季の一つ。一年中で最も暑い季節。[文例]〈夏が近づく〉日陰にドクダミの花が咲くと、今年も夏が近づいているなと感じます。♠〈夏が来る〉海の好きなわたしは、夏が来るととてもうれしい。♠〈夏が訪れる〉青空に浮かぶ入道雲は、夏が訪れたことを告げていた。♠〈夏が終わる〉海へ行ったり、山へ行ったりしているうちに今年の夏も終わってしまった。♠〈夏が過ぎる〉暑かった夏も過ぎ、涼しい風が吹き始めました。♠〈夏が去る〉〈夏を惜しむ〉去って行く夏を惜しむように、ぼくたちはこの夏最後のプールへ出かけた。♠〈夏の盛り〉夏の盛りに、一家で沖縄へ行って泳いできた。♠〈暑い夏〉暑い夏の夜には、よく家族そろって冷たいすいかを食べたものです。♠〈飛んで火に入る夏の虫〉飛んで火に入る夏の虫のように、自ら災い[わざわい]の中に身を投じることはない。♠プラタナス夜もみどりなる夏は来ぬ(石田波郷[いしだはきょう]) **なつかし・い【懐かしい】** ○昔のことが恋しく慕わしい。心がひかれて慕わしい。[文例]〈懐かしく思う〉母は、亡くなった父の植えた杉の木を、一本一本、懐かしく思いながらなでていくのだった。♠〈懐かしく思い出す〉彼には、あの島の素朴[そぼく]な人情が再び懐かしく思い出された。♠〈懐かしいにおい〉子供のころ、よく母とさやえんどうをつんだが、その青くさいにおいが今も懐かしい。♠〈懐かしい友達〉田舎[いなか]には、夏休みのたびに楽しく遊んでもらった懐かしい友達がいる。♠〈懐かしい言葉〉生まれ育った地方の方言は、その歴史と生活の味わいがしみこんだ、懐かしい言葉です。♠〈懐かしい祖国〉中国人であるとなりのおじさんは、今年の春に懐かしい祖国を訪れ[おとずれ]た。♠〈海が懐かしい〉漁村で育って山村に嫁いだわたしは、海が懐かしくてなりません。 **なつかし・む【懐かしむ】** ○懐かしく思う。懐かしがる。[文例]〈ふるさとを懐かしむ〉娘は、遠く離れた土地でふるさとを懐かしんでは涙を流していました。♠私の耳は貝の殻[から]海の響[ひびき]をなつかしむ(ジャン=コクトー) **なつ・く【懐く】** ○なれて親しむ。なじむ。[文例]〈動物が人に懐く〉山からつかまえてきた子だぬきは、わたしがいくら世話をしても、なかなか懐かなかった。♠〈子供が懐く〉勤めの都合で、父母は遠い地に離れ住んでいるが、少年はおばあさんにとても懐いている。♠〈先生に懐く〉片道八キロの道を自転車で通う先生に、生徒たちはとても懐いた。♠〈人懐く子〉紙芝居[かみしばい]を見せてやったりすると、すぐに懐く子とそうでない子がいた。 <813> **なづ・ける【名付ける】** ○名をつける。[文例]ジャンは、拾ってきた子犬にメドールと名付けて、飼うことにしました。♠内陸アジアの東西交通路を絹の道と名付けたのは、ドイツの地理学者リヒトホーフェンである。 **なっとく【納得】** ○理解して承知すること。得心[とくしん]。[文例]〈納得がいく〉説明を聞いた老人は、納得がいったようにうなずいた。♠〈納得を得る〉具体的な例を挙げて説明することは、聞き手の納得を得るうえで大切だ。♠〈納得する〉自分の意見をみんなに納得してもらうためには、話し方の工夫が必要です。♠〈納得できる〉自分が納得できないことは、決してやらないことにしている。♠〈納得ずく〉日曜日にも練習があるのを納得ずくで入部しても、一か月もすると文句を言う部員が出てくる。 **なつば【夏場】** ○夏の間。夏季。[文例]この静かな湖も、夏場は観光客でにぎわいます。♠〈夏場に入る〉学年始めは好調だったが、夏場に入って成績が下がってきた。♠〈夏場を過ぎる〉夏場を過ぎると、減っていた体重が元にもどりました。 **なつやすみ【夏休み】** ○夏の休暇。[文例]〈夏休みが来る〉子供たちは、夏休みが来ることを心待ちにしている。♠〈夏休みを使う〉長い夏休みを有効に使って、ぼくはいろんな経験をしました。♠黒板にわが文字のこす夏休み(福永耕二)♠夏休み果ててそのまま/かへり来ぬ/若き英語の教師も ありき(石川啄木[いしかわたくぼく]) **なでおろ・す【なで下ろす】** (撫で下ろす) ○上から下へなでる。ほっとする。[文例]〈胸をなで下ろす〉新婚の妻は夫の無事を聞き、胸をなで下ろした。 **なでぎり【なで切り】** (撫で切り・撫で斬り)○なでるように切ること。次々に切り倒すこと。[文例]〈なで切りにする〉賊[ぞく]は門番たちをなで切りにして、城の中にかけこんだ。♠〈なで切りにする〉論争の巧みな少年だったから、相手が大人であっても得意の理屈でなで切りにしていった。 **なでつ・ける【なで付ける】** (撫で付ける)○なでるように押さえつける。なでるようにして整える。[文例]〈髪をなで付ける〉母はきれいに髪をなで付け、よそ行きのからこうをして出かけて行った。 **なでまわ・す【なで回す】** (撫で回す)○何度も、またはあちこちをなでる。[文例]〈腹をなで回す〉「ちょっと太ったかな。」と、父はおなかをなで回した。♠〈なで回すよう〉謙作は黙って、直子の顔を、眼で撫で回すように只[ただ]視[み]ている。(志賀直哉[しがなおや]「暗夜行路[あんやこうろ]」) **な・でる【撫でる】** ○手のひらで軽くさする。軽く触れる。[文例]〈ほっぺたをなでる〉赤ちゃんのほっぺたは、なでるとやわらかくてすべすべしていた。♠〈頭をなでる〉ぼくは、庭の中に迷いこんできた子犬の頭をなでてやりました。♠〈髪[かみ]をなでる〉起きたら髪ぐらいなでればいいのに、そんなボサボサ頭で。♠〈体をなでる〉少年は汗[あせ]まみれになった馬の体をなでながら、弟に言うように話しかけました。♠〈胸をなでおろす〉検査の結果、病気でないことがはっきりしたので、ほっと胸をなでおろした。 **ななめ【斜め】** ○傾いているさま。ゆがんでいるさま。[文例]〈斜めに傾く〉ハヤブサの羽に強く打たれたガンの体は、斜めに傾いて落ちていく。♠〈斜めに差す〉部屋の中には、月の光が斜めに差している。♠〈斜めに横切る〉道を斜めに横切ることは、時間がかかるので危険です。♠〈斜めに見る〉きみは世の中を斜めに見る、少しいじけたところがあるね。♠〈斜めに構える〉そんなに斜めに構えていないで、リラックスしてぼくの話を聞いてください。♠〈斜め後ろ〉きみの斜め後ろにいる人、どこかで見たことがあるような気がするな。♠〈ごきげん斜め〉日曜日なのに朝早く起こされてごきげん斜めの弟は、ぷりぷりしながら朝食の席についた。 **なに【何】** ○不特定の物事を指す語。驚き・否定・問い返しなどの語。[文例]〈何をする〉雨の日ってたいくつだなあ、何をして遊ぼうか。♠〈何が嫌いといって〉何が嫌いだといって、うそをつくほど嫌いなことはない。♠〈何がなんだか〉ぼくは、見も知らぬ少女が差し出す包みを、何がなんだかわからないまま受け取っていた。♠〈何もかも〉彼女は、今までのことは何もかも忘れて、新しくやり直すことにした。♠〈何やかや〉早く寝ようと思ったのに、何やかやしているうちに十一時になってしまった。♠〈何はなくとも〉何はなくとも、三度のごはんにおしんこは欲しいものです。♠〈何はさておき〉外から帰ってきたら、何はさておき、まずは手を洗いなさい。♠〈何はともあれ〉娘さんの縁談が決まったというのか? 何はともあれ、めでたいことじゃ。♠〈何がなんでも〉今日の試合は、何がなんでも勝ちたいな。♠〈何くれとなく〉優しい姉さんは、何くれとなくぼくの面倒[めんどう]をみてくれます。♠〈何より〉わたしにとって何よりつらいのは、大好きな小林さんに冷たくされることです。♠〈何一つ〉先生の話は難しすぎて、ぼくは何一つ理解できなかった。♠〈何不自由なく〉親の援助で何不自由なく暮らしている人を見ると、苦学生のわたしはうらやましく思います。♠〈何食わぬ顔〉男は、盗ん[ぬすん]だ金を隠すと、何食わぬ顔で被害者を装っ[よそおっ]ていた。♠なに、今のは聞き捨てならぬ言葉だぞ。 **なにがし【某・何某】** ○名前や数量がわからない場合や、わざとぼかす時に使う語。[文例]田村なにがしという男が、確かその場にいたはずです。♠〈なにがしかの金〉こんな古びたかんざしでも、売ればなにがしかの金にはなるだろう。 **なにくれと【何くれと】** ○いろいろと。あれこれと。[文例]おばさんは、おれが行く度[たび]に、何くれともてなしてくれた。♠クラス会の幹事には、何くれとめんどうみのいい彼が最適だと思います。♠何くれと雑用があったものですから、伺う[うかがう]のが遅くなってしまいました。♠おばあちゃんは、何くれとぼくの世話をやきたがるけど、迷惑[めいわく]な時もある。♠〈何くれとなく〉先生は、卒業してからも、何くれとなくぼくにアドバイスしてくれた。 **なにげな・い【何気ない】** ○何という考えもない。さりげない。[文例]〈何気ないふう〉わたしはわざと何気ないふうで声をかけた。♠〈何気ないしぐさ〉その少女の何気ないしぐさに、ぼくは心をひかれていった。♠〈何気ない様子〉腹の中はにえくりかえっているはずなのに、彼は何気ない様子で学校に出てきた。 <814> **なにしろ【何しろ】** ○何にしても。とにかく。[文例]うなぎをつかもうとしても、何しろ、ぬるぬるしているので、素手ではつかめません。♠生徒たちの上達はすごいものです。何しろ、先生が優秀[ゆうしゅう]ですからね。♠戦争が終わっておじさんもぼくらも東京へもどったが、何しろあわただしい時代だった。♠何しろ、地上数十メートルの鉄塔[てつとう]のてっぺんに登るのですから、背筋[せすじ]がぞくぞくしてきます。♠一生懸命[いっしょうけんめい]に説明しましたが、何しろ、パソコンについては何も知らない人たちばかりなので大変です。♠この映画は、何しろおもしろかった。 **なにぶん【何分】** ○どうか。なんといっても。なんらか。[文例]先生、子供をなにぶんよろしくお願いします。♠なにぶん外は大雪なものですから、出かけることもできません。♠なにぶん年寄りなものですから、仕事もなかなかはかどらなくて。♠山奥[やまおく]から通学しているものですから、遅刻については、なにぶんのご配慮[はいりょ]を願います。 **なにやら【何やら】** ○何だか。何かしら。[文例]南北に細長く、何やら変てこな形をした列島だが、これが日本だ。♠眠っ[ねむっ]たかなと思っていると、彼女が何やら布団[ふとん]の中でひとりごとを言った。♠テーブルに一枚の紙があり、そこには、細かい字で何やら書いてあった。♠今、うちの前を通った人、何やら様子がおかしいと思いませんか。♠しばらくすると、家の後ろで、何やらごろごろどしんと大きな音がした。♠目をつむったまま、何やら考え込んでいる。 **なにより【何より】** ○ほかのどんな物事より。いちばん。[文例]体[からだ]のしんまで冷えきったわたしには、一杯の温かいミルクが何よりうれしかった。♠人間、じみちに働くのが何よりだ。 **なの・る【名乗る】** ○自分の名前・身分などを言う。自分の名前とする。[文例]〈名を名乗る〉自己紹介[じこしょうかい]するときは、姓[せい]だけでなく、名もはっきりと名乗ってください。♠〈姓を名乗る〉一人娘[ひとりむすめ]と結婚[けつこん]したため、妻の姓を名乗っています。♠〈自分から名乗る〉電話をかけたときには、まず自分から名乗るようにしましょう。♠〈名乗って来る〉車内の落とし物は、持ち主が名乗ってこないことが多いので、たまる一方です。♠〈〜と名乗る〉父の教え子だと名乗る人が、応接間に かしこまっていました。♠〈名乗り出る〉警察は、ひき逃げした犯人が自分から名乗り出るのを待っていた。 **なびか・す【靡かす】** ○なびくようにする。なびかせる。[文例]〈旗をなびかす〉ぼくたちサッカーチームの夢は、全国一になり、学校に優勝旗をなびかすことだ。♠〈髪をなびかす〉春風が窓辺にたたずむ彼女の長い髪をなびかしていく。♠〈人の心をなびかす〉民衆の心を自分の方になびかさないと、この戦いは不利になる。 **なびく【靡く】** ○横に倒れるように動く。伏すようになる。従う。服従する。好意をもつ。[文例]〈風になびく〉道の両側には、刈り入れ前の稲[いね]が風になびいている。♠〈髪[かみ]がなびく〉風に吹かれて、少女の長い髪がふうわりとなびいている。♠〈旗がなびく〉明日は雨だな、吹く風に旗が北の方へなびいている。♠〈草木がなびく〉「佐渡[さど]へ佐渡へと草木もなびく」は、佐渡おけさの有名な出だしの文句です。♠〈権力になびく〉人が金と権力になびくのは、いつの世も同じです。♠〈心がなびく〉つきあううちに、彼女の心はしだいに彼になびいていった。 **なぶ・る【嬲る】** ○もて遊ぶ。いじめる。[文例]庭の隅[すみ]で、猫がつかまえたねずみをなぶって遊んでいた。♠〈髪をなぶる〉なまぬるい春風が、女の髪をなぶるようにして過ぎていった。 **なま【生】** ○とったままで熱を加えたり加工したりしていないこと。とりたてで新しいこと。自然のままであること。レコードや録音・録画でないこと。生意気。不十分。いい加減。なんとなく。[文例]〈生の肉〉人間は、山火事で焼け死んだ獣[けもの]の肉が生の肉よりこうばしく、おいしいことを知った。♠〈生の野菜〉新鮮[しんせん]な野菜は、生のままばりばり食べてもおいしい。♠〈生の木〉この木は切ったばかりで生だから、なかなか燃えません。♠〈生の声〉政治にたずさわる人たちは、できるだけ街に出て、わたしたちの生の声を聞いてほしい。♠〈生の演奏〉レコードを聴くのと、生の演奏を聴くのとでは、大きなちがいがある。♠〈生を言う〉子供のくせに生を言うから、お兄ちゃんにおこられるのよ。♠〈生やさしい〉日本刀を作るのは生やさしいことではない。♠〈生返事〉呼んでも、テレビに夢中[むちゅう]の妹は、生返事をしただけだ。 **なまいき【生意気】** ○未熟なのに偉そうな態度をとること。[文例]〈生意気なやつ〉あいつって、何でも知ったかぶりして生意気なやつだと思う。 <815> **なまぐさ・い【生臭い】** (腥い)○生の魚や肉、血などのいやなにおいがする。俗気がある。物欲・愛欲などがからんで生々しい。[文例]〈生臭い魚〉わたしは生臭い魚は苦手です。♠〈生臭い風〉なにか不気味で生臭い風が吹く春の夜だった。♠〈生臭い話〉男と女がどうの、釜の切れ目がどうのなんて生臭い話、子供の前ではよしてちょうだい。♠〈血なまぐさい〉終戦直後の街は一種の無政府状態で、血なまぐさい事件も多かったという。 **なまくら【鈍ら】** ○切れ味が悪いさま。切れない刃物。怠けてだらしないさま。怠け者。[文例]〈なまくらな包丁〉切れ味の悪いなまくらな包丁を研いでもらいました。♠〈なまくらな男〉何をやらせても、なまけることしか考えないなまくらな男だった。 **なま・ける【怠ける】** ○骨惜しみする。おこたる。サボる。[文例]〈仕事を怠ける〉掃除[そうじ]はグループの共同責任だから、一人が仕事を怠ければ、みんなに影響[えいきよう]する。♠あまり根をつめてやるのは体に毒で、適当に休憩[きゅうけい]を取るのは怠ける部類に入らないよ。♠この若者は、どこにも働きに行かず、怠けて寝てばかりいる。♠彼は、たくみに口実を作っては怠けたがるという性格ですよ。 **なまじ【憖】** ○中途はんぱに。うっかり。なまじっか。なまじい。[文例]なまじ甘い言葉をかけてやるから、ああしてつけあがるんだ。♠いっそ貧乏なほうが家の中はうまく治まっていたのに、なまじ遺産なぞ転げ込むものだから……。 **なまなか【生半】** ○中途はんぱ。なまはんか。[文例]〈なまなかな勉強〉なまなかな勉強の仕方では、あの学校へは入れないだろう。♠〈なまなかの努力〉なまなかの努力では、一流の役者にはなれまい。 **なまなまし・い【生生しい】** ○新しく強烈なさま。目に浮かぶように印象が強烈なさま。[文例]〈血のあとが生々しい〉事故現場には、今も血のあとが生々しく残っている。♠〈生々しいつめ跡[あと]〉一夜明けると、台風の生々しいつめ跡が至る所に見られた。♠〈生々しい描写[びようしや]〉戦場の生々しい描写は、読む者を恐怖[きょうふ]の底におとしいれる。♠〈生々しい体験〉作者は生々しい体験を通して、平和の尊さ[たか]を強くうったえている。♠〈記憶が生々しい〉むごたらしい災害が刻みつけた記憶は、いつまでも母の頭の中に生々しく生きているようだ。♠〈生々しく思い出す〉弟と遊んでいて帰り道がわからなくなった幼い日のことを、生々しく思い出す。 **なまぬる・い【生ぬるい】** (生温い)○なまあたたかい。手ぬるい。[文例]〈生ぬるい風〉たった一人のさみしい晩に、どこからともなく生ぬるい風が吹いてきた。♠〈ビールが生ぬるい〉このビールは生ぬるくて、とても飲めた状態ではない。♠〈生ぬるいやり方〉そんな生ぬるいやり方ではだめだ、もっと厳しくとりしまらなければ。♠〈生ぬるいこと〉そんな生ぬるいことを言ってるから、みんなになめられてしまうんだよ。♠〈生ぬるい処置〉飲酒運転は、生ぬるい処置ではなかなかあとを絶たない。 **なまはんか【生半可】** ○中途はんぱ。不十分。なまなか。[文例]〈生半可な気持ち〉大切な仕事なのだから、生半可な気持ちでやられては困ります。♠〈生半可な知識〉生半可な知識で論争したって負けるに決まっている。向こうは専門家なんだから。 **なまへんじ【生返事】** ○いい加減で、気のない返事。[文例]〈生返事をする〉テレビゲームに夢中になっている子に用事を言いつけても、生返事をするだけでゲームの手を止めようともしない。 **なまみ【生身】** ○生きている体。生き身。[文例]〈生身の体〉生身の体に、こんな過酷[かこく]な労働が耐えられるはずがない。♠〈生身の人間〉いくら立派な人でも、生身の人間である以上、食べなければ腹はすくし、打たれれば痛いに決まっている。 **なまめかし・い【艶めかしい】** ○あでやかで美しい。色っぽい。[文例]普段[ふだん]のジーパン姿から一転、和服を上手に着こなしている彼女が変になまめかしかった。♠おやま(女形)があでやかに舞う姿は、女性が演じる以上になまめかしい。♠女性のなまめかしい表情は、多くの男性の心をとりこにする。 **なまめ・く【艶めく】** ○あでやかで美しく見える。色っぽく見える。[文例]風呂上がりのきみって、肌もピンク色に上気して、いつもよりなまめいて見えるね。♠殺風景な部屋も、女の客が来ただけでなぜかなまめいて感じられる。 **なまやさし・い【生易しい】** ○たやすい。[文例]〈生易しいこと〉簡単なことでも、毎日続けるのは生易しいことではありません。♠〈生易しい仕事〉これは、きみが考えているほど生易しい仕事じゃないよ。 <816> **なまり【鉛】** ○金属元素の一つ。青白色で重く、やわらかく溶けやすい。[文例]〈鉛の弾〉よた者のジョーは、腹に鉛の弾を食らって死んでいった。♠〈鉛を飲んだよう〉私の心は沈鬱[ちんうつ]でした。鉛を呑んだように重苦しくなる事が時々ありました。(夏目漱石「こころ」)♠〈鉛色〉苫[とま]のすき間から外をうかがうと、鉛色の空の下、わびしい村々が、いささかの活気もなく、あちこちに横たわっていた。(魯迅[ろじん]「故郷」) **なまり【訛】** ○ある地方に独特な発音やアクセント。標準的でない崩れた発音。[文例]〈土地のなまり〉急行から鈍行[どんこう]に乗りかえると、人の話し声の中に、その土地のなまりがまじってくる。♠〈なまりがある・ない〉アメリカは広い国なので、同じ英語にもその土地その土地でなまりがあります。♠〈なまりがぬけない〉父は、東京に出てから三十年以上たつのに、なまりがぬけません。♠〈なまりが強い〉昨日来た転入生はなまりが強くて、早口だとわからないことがある。♠〈お国なまり〉店の主人が秋田なので客も秋田の人が多く、お国なまりが聞けてうれしい。♠ふるさとの訛なつかし/停車場の人ごみの中に/そを聴きにゆく(石川啄木[いしかわたくぼく]) **なま・る【鈍る】** ○刃物が切れなくなる。鈍くなる。腕前[うでまえ]が落ちる。[文例]〈刀がなまる〉手入れが悪いと、天下の名刀もなまってくる。♠〈包丁がなまる〉この包丁は、二、三日とがないでいると、すぐなまる。♠〈体がなまる〉机に向かって試験勉強ばかりしていたせいか、体がなまってきたようだ。♠〈腕がなまる〉一か月も練習を休んだので、腕がなまり、シュートがあまり決まらない。 **なみ【波】** (浪)○水面が上下に揺れながら伝わる現象。振動が次々に伝わる現象。次々に押し寄せるもの。物事の揺れ動き・起伏や変動。皮膚のしわ。[文例]〈波が高い・低い〉台風が近づいたために波が高く、遊泳禁止になった。♠〈波が荒い[あら]い〉この辺りは外海[そとうみ]なので、波が荒い。♠〈大きな波〉〈波がおしよせる〉台風の前後には、突然[とつぜん]大きな波がおしよせることがあるので、注意が必要だ。♠〈波が寄せる・返す〉砂浜[すなはま]では、少女たちが寄せる波に追われ、返す波を追って遊んでいます。♠〈波が立つ〉強風のために、いつも静かな湖面にも白い波が立っている。♠〈波が砕ける〉波が岩に当たっては砕け散っている。♠〈波に漂う[ただよう]〉人間の一生は、波に漂う木の葉のように不安なものだ。♠〈波に乗る〉サーフィンは、うまく波に乗るのがポイントだ。♠〈波を分ける〉漁船が波を分けて進んでいく。♠〈さかまく波〉断がいの下にはさかまく波がおしよせていて、思わず足がすくんでしまった。♠〈景気の波〉〈波に乗る〉商売がうまく景気の波に乗り、おじは一代で財を築いてしまった。♠〈調子の波〉うちのチームは、好調と不調の波が大きいので、指導するのも楽ではない。♠〈時代の波〉三代続いたその店も、時代の波に押されて、今年いっぱいで店じまいすることになった。♠〈人の波〉朝晩のラッシュ時は、このホームから連絡橋まで、人の波でうまってしまう。♠〈いらかの波〉高台に登ると、どこまでも続くいらかの波が、都の繁栄[はんえい]を思わせた。♠〈波打つ〉両の手を顔に当て、肩を小さく波打たせながら、少女は泣いていた。♠みづうみの氷は解けてなほ寒し三日月の影波にうつろふ(島木赤彦[しまきあかひこ]) **なみ【並・並み】** ○中くらい。普通の程度。並び。[文例]〈並の成績〉一番になりなさいとは言わないけど、せめて、並の成績は取れるようにがんばりなさい。♠〈並のくらし〉うちは金持ちでもないし、貧乏でもない、まあ並のくらしができる程度です。♠〈並の人〉彼は、並の人ではないことを思わせるりっぱな態度と、よどみのないもの言いをした。♠〈世間並み〉あまりお金はかけられませんが、せめて、世間並みの支度[したく]はしてやりたいと思っています。♠〈月並み〉月並みな言い方かもしれませんが、今の気持ちは、うれしいの一言につきます。♠〈家並み〉夜になると対岸の家並みに電灯がともり、人こいしさがつのります。♠〈軒並み〉このかいわいは軒並みどろぼうに入られたそうなので、気をつけなくては。 **なみたいてい【並大抵】** ○普通。ありふれていること。[文例]〈並大抵でない〉女手ひとつで四人の子を育てあげたのですから、並大抵の苦労ではありません。 **なみう・つ【波打つ】** ○波が立つ。波のようにうねる。[文例]〈波打っている〉おだやかそうな海も、沖に目を移せば、白い波頭[なみがしら]を立てて波打っている。♠〈稲穂[いなほ]が波打つ〉たんぽの上をわたる風に、豊かに実った稲穂が黄金色[こがねいろ]に波打っている。♠〈肩を波打たせる〉女は、両手を顔に当て、肩を小さく波打たせながら泣いていた。♠〈心臓が波打つ〉どっくんどっくんと波打つ心臓の音を、彼女にさとられはしまいかと心配でした。 **なみかぜ【波風】** ○波と風。もめごと。つらい目。[文例]〈波風があらい〉海にこぎ出すと、波風はあらく、ボートは木の葉のように揺れた。♠〈波風を立てる〉平和な家庭にも、時として小さな波風を立てるようなもめごとがあるものです。♠〈波風が絶えない〉周囲に波風が絶えず、母は心労から寝込んでしまいました。♠〈世間の波風〉〈波風にもまれる〉少年は、世間の波風にもまれながら、一人前の男に成長していった。 **なみだ【涙】** ○刺激や感動によって流れ出て、眼球をうるおす液。悲しみ。つらさ。くやしさ。感動。思いやり。同情。[文例]〈涙が流れる〉〈涙のつぶ〉傷口[きずぐち]に消毒薬をつけた瞬間[しゅんかん]、しみて涙のつぶがぽたんと流れ落ちました。♠〈涙がこぼれる〉それ以上聞くと、涙がこぼれそうに思えたので、急いで席を立ちました。♠〈涙が光る〉長い話を聞き終えたおじいさんの目には、涙がきらりと光っていました。♠〈涙が出る〉みんなの親切は、涙が出るほどうれしかったけれど、それにあまえてはいられなかった。♠〈涙をこらえる〉〈涙がこみあげる〉その話を聞きながら、わたしは、こみ上げてくる涙を、けんめいにこらえました。♠〈涙を浮かべる〉彼女は、目にいっぱいの涙を浮かべていた。♠〈涙に暮れる〉愛するわが子を失った両親は、涙に暮れる毎日を送りました。♠〈涙をのむ〉愛する人でしたが事情が許さず、涙をのんで別れてきました。♠〈涙にむせぶ〉あの人と別れてから、娘にとっては涙にむせぶ日が続きます。♠〈涙をしぼる〉いくら涙をしぼっても、もう遅い。 <817> る〉物語[ものがたり]の主人公[しゅじんこう]の不幸[ふこう]な生[お]い立[だ]ちが少女[しょうじょ]たちの涙[なみだ]をしぼります。♠〈涙[なみだ]なくして〉主人公[しゅじんこう]とその両親[りょうしん]の深[ふか]い愛[あい]の物語[ものがたり]は、涙[なみだ]なくしては読[よ]めません。♠へ血[ち]も涙[なみだ]もない〉あの男[おとこ]は、血[ち]も涙[なみだ]もない残忍[ざんにん]な性格[せいかく]だ。♠へ血[ち]の涙[なみだ]〉チャンピオンになるまでは、苦[くる]しい練習[れんしゅう]に耐[た]えて血[ち]の涙[なみだ]を流[なが]したこともある。♠<涙[なみだ]ぐむ>涙[なみだ]ぐんだ目[め]には、悲[かな]しみとあきらめの色[いろ]が浮[う]かんでいる。♠へ涙[なみだ]する〉その子[こ]のあわれさに涙[なみだ]した者[もの]も多[おお]かった。 **なみたいてい**【並大抵】○世間[せけん]並[な]み。ふつう。ひととおり。[文例]〈並大抵[なみたいてい]の苦労[くろう]〉女手[おんなで]一[ひと]つで子供[こども]たちを育[そだ]てるのは、並大抵[なみたいてい]の苦労[くろう]ではなかっただろう。♠〈並大抵[なみたいてい]の人[ひと]〉こんな寂[さび]しい山奥[やまおく]にこもって修行[しゅぎょう]するなんて、並大抵[なみたいてい]の人[ひと]にはできないだろう。♠〈並大抵[なみたいてい]でない>死[し]んだと思[おも]っていた兄[あに]が生[い]きて帰[かえ]ってきたのですから、うれしさは並大抵[なみたいてい]ではありませんでした。 **なみだぐまし・い**【涙ぐましい】○涙[なみだ]が出[で]そうになるほどだ。ほろりとさせる感[かん]じだ。[文例]〈涙ぐましい努力[どりょく]>涙[なみだ]ぐましい努力[どりょく]の結果[けっか]、彼[かれ]は今日[こんにち]の栄冠[えいかん]を勝[か]ち得[え]たのです。♠〈涙ぐましい思[おも]い〉(・・・・・・)その優[やさ]しくこまかい、おいたわりには、他人[たにん]の私[わたくし]どもでさえ、涙[なみだ]ぐましい思[おも]いが致[いた]しました程[ほど]でございます。(太宰治[だざいおさむ]「右大臣実朝[うだいじんさねとも]」) **なみだぐ・む**【涙ぐむ】○目[め]に涙[なみだ]を浮[う]かべる。[文例]恋人[こいびと]の優[やさ]しい慰[なぐさ]めの言葉[ことば]に、娘[むすめ]は涙[なみだ]ぐんでいるようでした。 **なみなみならぬ**【並並ならぬ】○普通[ふつう]ではない。ひととおりでない。[文例]〈並々[なみなみ]ならぬ努力[どりょく]〉彼[かれ]が今日[こんにち]の成功[せいこう]をおさめた陰[かげ]には、並々[なみなみ]ならぬ努力[どりょく]があったのです。♠へ並々[なみなみ]ならぬもの〉男[おとこ]の決意[けつい]には並々[なみなみ]ならぬものがあった。 **なみはず・れる**【並外れる】○けたはずれである。「[文例]並外[なみはず]れた才能[さいのう]>彼女[かのじょ]は、音楽家[おんがくか]としての並外[なみはず]れた才能[さいのう]を持[も]っている。♠へ並外[なみはず]れて高[たか]い〉店頭[てんとう]に顔[かお]を見[み]せたサクランボは、ほかのお果物[くだもの]に比[くら]べて並外[なみはず]れて高[たか]かった。 **なめ・す**(鞣す) ○動物[どうぶつ]の皮[かわ]を、毛[け]や脂[あぶら]を取[と]り除[のぞ]いて柔[やわ]らかくする。[文例]〈皮[かわ]をなめす〉わにの皮[かわ]をなめして作[つく]った高級[こうきゅう]なハンドバッグを、いつか妻[つま]にプレゼントしたいと思[おも]っていた。 **なめらか**【滑らか】○すべすべしているさま。すらすらと進なめらか行するさま。[文例]〈滑らかな体〉かげろうが成虫[せいちゅう]になると、形[かたち]のよい滑[なめ]らかな体[からだ]になる。♠へ滑らかな肌[はだ]〉少女[しょうじょ]の滑[なめ]らかな肌[はだ]を白[しろ]い布[ぬの]がおおっていた。♠く滑らかな手触[てざわ]り〉人形[にんぎょう]のすべすべと滑[なめ]らかな手触[てざわ]りが快[こころよ]かった。♠へ滑らかな織物[おりもの]〉ベルベットはビロードともいい、毛[け]の立[た]った柔[やわ]らかで滑[なめ]らかな織物[おりもの]を指[さ]している。♠へ滑らかな道[みち]〉いくえにも力[ちから]ーブした滑[なめ]らかな舗装[ほそう]道路[どうろ]を、車[くるま]は軽快[けいかい]に下[くだ]っていきます。♠〈口調[くちょう]が滑らか〉このバスガイドさんは、新人[しんじん]なのに、説明[せつめい]の口調[くちょう]が滑[なめ]らかで安心[あんしん]して聞[き]いていられる。♠へ滑らかに進[すす]む>住宅[じゅうたく]の移転[いてん]交渉[こうしょう]が滑[なめ]らかに進[すす]んだので、春[はる]には工事[こうじ]に取りかかれる。 **な・める**(嘗める・舐める)○舌[した]の先[さき]でなでるようにする。味[あじ]わう。経験[けいけん]する。ばかにする。炎[ほのお]が燃[も]え広[ひろ]がる。[文例]〈クリームをなめる〉妹[いもうと]は、口[くち]のまわりについたクリームをおいしそうになめると、にこっとわらった。♠へぺろぺろなめる〉子犬[こいぬ]を抱[だ]き上[あ]げると、小[ちい]さなしっぽをふり、わたしのほっぺたをぺろぺろとなめました。♠〈傷口[きずぐち]をなめる〉母[はは]ぎつねは、子[こ]ぎつねの傷口[きずぐち]をなめてやった。♠〈塩[しお]をなめる〉塩[しお]をなめたとき、東日本[ひがしにほん]では「ショッパイ」、西日本[にしにほん]では「カライ」と言[い]う人[ひと]が多[おお]い。♠へ苦[くる]しみをなめる〉戦後[せんご]の物[もの]の無[な]い時代[じだい]に育[そだ]ったから、お母[かあ]さんたちもずいぶん苦[くる]しみをなめてるのよ。♠へ辛酸[しんさん]をなめる〉世[よ]の辛酸[しんさん]をなめてきた老人[ろうじん]の額[ひたい]には、深[ふか]いしわが刻[きざ]みこまれていた。♠へ人[ひと]をなめる〉どんなに優[やさ]しくておとなしい人[ひと]でも、あまく見[み]てばかにしたり、なめたりしてはいけない。♠へ炎[ほのお]が街[まち]をなめる〉おりからの強[つよ]風[かぜ]にあおられ、炎[ほのお]は街[まち]をなめつくしてしまった。 **なやまし・い**【悩ましい】○苦[くる]しくつらい。刺激的[しげきてき]で心[こころ]を乱[みだ]すさま。[文例]〈悩ましい気持[きも]ち〉あのころぼくは、近所[きんじょ]の娘[むすめ]に片思[かたおも]いして、悩[なや]ましい気持[きも]ちで毎日[まいにち]を送[おく]っていた。♠へ悩ましい姿態[したい]>隣[となり]の部屋[へや]の女性[じょせい]のことを考[かんが]えると、悩[なや]ましい姿態[したい]が目[め]にちらついてなかなか眠[ねむ]れなかった。 **なやま・す**【悩ます】○悩[なや]ましくする。苦[くる]しめる。悩[なや]ませる。[文例]〈吹雪[ふぶき]に悩まされる下山[げざん]途中[とちゅう]で道[みち]に迷[まよ]った一行[いっこう]は、はげしい吹雪[ふぶき]に悩[なや]まされた。♠<悪臭[あくしゅう]に悩まされる〉この辺[あた]り一帯[いったい]は、付近[ふきん]の工場[こうじょう]の悪臭[あくしゅう]に一年[いちねん]じゅう悩[なや]まされています。♠へ心[こころ]を悩ます〉ここ一[いち]か月[げつ]ほどの問[あいだ]に次々[つぎつぎ]と心配[しんぱい]事[ごと]が重[かさ]なって、青年[せいねん]は心[こころ]を悩[なや]ましている。♠頭[あたま]を悩ます>会社[かいしゃ]も不景気[ふけいき]の風[かぜ]をまともに受[う]け、頭[あたま]を悩[なや]ます事態[じたい]に直面[ちょくめん]してしまった。♠へ男[おとこ]を悩ます〉きみのように勉強[べんきょう]ひとすじだった男[おとこ]を悩[なや]ますとは、一体[いったい]どんな女性[じょせい]なんだい。 **なやみ**【悩み】○悩[なや]むこと。思[おも]いわずらうこと。[文例]〈悩みがある・ない〉勉強[べんきょう]のよくできる兄[あに]にも、逆上[さかあ]がりができないという悩[なや]みがあった。♠◇最大[さいだい]の悩み〉わが校[こう]の最大[さいだい]の悩[なや]みは、生徒[せいと]の人数[にんずう]のわりには運動場[うんどうじょう]がせまいことである。♠〈悩みの種[たね]〉わたしが勉強[べんきょう]しないことが母[はは]の悩[なや]みの種[たね]らしい。♠へ悩みを打[う]ち明[あ]ける>学校[がっこう]から帰[かえ]るとちゅうで、友達[ともだち]から進路[しんろ]についての悩[なや]みを打[う]ち明[あ]けられた。♠へ悩みが生[う]まれる・生[しょう]じる〉人[ひと]が理想[りそう]に向[む]かって努力[どりょく]をすると、そこには必[かなら]ず悩[なや]みが生[う]まれてくる。 **なや・む**【悩む】○思[おも]いわずらう。苦[くる]しむ。順調[じゅんちょう]に進[すす]まない。[文例]〈生活[せいかつ]に悩む〉村人[むらびと]たちは、いくら働[はたら]いてもよくならない貧[まず]しい生活[せいかつ]に悩[なや]んでいた。♠〈赤字[あかじ]に悩む〉物価高[ぶっかだか]で、赤字[あかじ]に悩[なや]まない月[つき]はなかった。♠へ人生[じんせい]・恋[こい]に悩む〉人生[じんせい]に悩[なや]み、恋[こい]に悩[なや]むのも若[わか]いうちのことだから、おおいに悩[なや]むといい。♠〈あれかこれか悩む〉大人[おとこ]になると、あれかこれか、どちらにしようかと悩[なや]むことが多[おお]くなってくる。♠へ神経痛[しんけいつう]に悩む>田舎[いなか]のおじいさんは、寒[さむ]くなるといつも、神経痛[しんけいつう]に悩[なや]んでいます。♠〈伸[の]び悩む〉成績[せいせき]が、ここにきて伸[の]び悩[なや]んでいる。 **なよなよ**○柔[やわ]らかくて弱々[よわよわ]しいさま。[文例]〈なよなよと揺[ゆ]れる〉外[そと]を見[み]ると、月見草[つきみそう]が夜明[よあ]けの野[の]になよなよと揺[ゆ]れている。♠へなよなよする〉男[おとこ]でしょ。なよなよしていないでシャキッとしたらどう。 <818> **ならい【習い】** ○習慣[しゅうかん]。ならわし。常[つね]。[文例]〈習[なら]い性[せい]となる〉「習[なら]い性[せい]となる」というのは、長年[ながねん]の習慣[しゅうかん]が生[う]まれつきの性格[せいかく]のようになることをいいます。♠〈旧家[きゅうか]の習[なら]い〉この地方[ちほう]の旧家[きゅうか]の習[なら]いで、男[おとこ]の子[こ]は町[まち]の中学校[ちゅうがっこう]へ通[かよ]った。♠〈世[よ]の習[なら]い〉いい時[とき]もあれば、悪[わる]い時[とき]もあるのが世[よ]の習[なら]い、力[ちから]を落[お]とさずがんばりましょう。 **なら・う【習う・倣う】** ○教[おそ]わる。けいこする。まねる。[文例]〈字[じ]を習[なら]う〉今[いま]までに習[なら]った漢字[かんじ]の中[なか]で、うろ覚[おぼ]えのものは何回[なんかい]か書[か]いて覚[おぼ]えてしまいなさい。♠〈日本語[にほんご]を習[なら]う〉外国人[がいこくじん]が日本語[にほんご]を習[なら]うときの難[むずか]しさの一[ひと]つに、文字[もじ]の種類[しゅるい]の多[おお]い点[てん]が挙[あ]げられる。♠〈書道[しょどう]・ピアノ・そろばんを習[なら]う〉わたしは書道[しょどう]を習[なら]っていますが、ほかにピアノやそろばんを習[なら]っている人[ひと]もいます。♠〈先生[せんせい]に習[なら]う〉我流[がりゅう]で覚[おぼ]えるより、基礎[きそ]は先生[せんせい]に習[なら]ったほうがよいようだ。♠〈習[なら]うより慣[な]れよ〉「習[なら]うより慣[なれ]よ」と言[い]って、体[からだ]で覚[おぼ]えるほうが早[はや]く身[み]につくことがある。♠〈中国[ちゅうごく]に倣[なら]う〉わが国[くに]でも、古[ふる]くから中国[ちゅうごく]に倣[なら]って漢詩[かんし]を作[つく]り、また日本[にほん]流[りゅう]の読[よ]み方[かた]で吟詠[ぎんえい]してきた。♠〈読[よ]み方[かた]に倣[なら]う〉初[はじ]めて漢字[かんじ]を知[し]った日本人[にほんじん]は、まず中国語[ちゅうごくご]の読[よ]み方[かた]に倣[なら]って漢字[かんじ]を読[よ]んでいった。♠〈例[れい]に倣[なら]う〉次[つぎ]の言葉[ことば]を、例[れい]に倣[なら]って言[い]いかえてみましょう。♠ひそみに倣[なら]う〉学識[がくしき]ある先輩[せんぱい]のひそみに倣[なら]い、わたしも一層[いっそう]研鑽[けんさん]を積[つ]む所存[しょぞん]です。 **ならく(奈落)** ○地獄[じごく]。どん底[そこ]。どんづまり。劇場[げきじょう]の舞台[ぶたい]の下[した]の地下室[ちかしつ]。[文例]〈奈落[ならく]へ突[つ]き落[お]とす〉すべてを失[うしな]ったわたしは、奈落[ならく]へ突[つ]き落[お]とされたような気持[きも]ちでした。♠奈落[ならく]の底[そこ]〉この奈落[ならく]の底[そこ]のような収容[しゅうよう]所[じょ]から出[で]られるのは、二十[にじゅう]年[ねん]も先[さき]の話[はなし]だった。 **なら・す【鳴らす】** ○音[おと]を出[だ]す。評判[ひょうばん]をとる。言[い]いたてる。[文例]〈楽器[がっき]を鳴[な]らす〉妹[いもうと]が木琴[もっきん]を鳴[な]らさなくなってから、もう何年[なんねん]たつだろうか。♠〈のどを鳴[な]らす〉好[す]きな人[ひと]のひざの上[うえ]で、子猫[こねこ]がごろごろとのどを鳴[な]らしている。♠〈警笛[けいてき]を鳴[な]らす>警笛[けいてき]鳴[な]らせの標示板[ひょうじばん]は、直線[ちょくせん]路[ろ]の多[おお]いこの辺[あた]りではあまり見[み]かけません。♠〈拡声機[かくせいき]を鳴[な]らす〉拡声機[かくせいき]の音量[おんりょう]を最大[さいだい]にして、長[なが]いあいだ鳴[な]らしつづける宣伝[せんでん]カーがいる。♠〈舌[した]を鳴[な]らす〉彼[かれ]はぼくを見[み]ると、低[ひく]くちえっと舌[した]を鳴[な]らした。♠〈空砲[くうほう]を鳴[な]らす〉正午[しょうご]を知[し]らせるために鳴[な]らす空砲[くうほう]を、むかしは「ドン」といった。♠〈ピッチャーとして鳴[な]らす〉コーチは、高校[こうこう]時代[じだい]ピッチャーとして相当[そうとう]に鳴[な]らした人物[じんぶつ]だ。♠〈非[ひ]を鳴[な]らす〉そんなふうに一方的[いっぽうてき]に相手[あいて]の非[ひ]を鳴[な]らさないで、自分[じぶん]のことも反省[はんせい]してみるといい。♠不平[ふへい]を鳴[な]らす〉嫁[とつ]いだ姉[あね]は会[あ]うたびに不平[ふへい]を鳴[な]らすので、もううんざりしてくる。 **なら・す【慣らす】** (馴らす)○慣[な]れさせる。なじませる。手[て]なずける。[文例]〈足[あし]を慣[な]らす〉市民[しみん]マラソンに出[で]るつもりなので、半年前[はんとしまえ]から足[あし]を慣[な]らす意味[いみ]で付近[ふきん]を走[はし]っています。♠〈足[あし]に慣[な]らす>旅行[りょこう]用[よう]に新[あたら]しい靴[くつ]を買[か]ったのなら、何度[なんど]かはいて足[あし]に慣[な]らしておいたほうがいい。♠〈水[みず]に慣[な]らす〉小[ちい]さいうちから水[みず]に慣[な]らしておけば、水[みず]をこわがらずに泳[およ]げるようになるだろう。♠〈手[て]に慣[な]らす〉手[て]に慣[な]らした道具[どうぐ]は使[つか]いやすくて、ないと仕事[しごと]が思[おも]うようにできない。♠〈動物[どうぶつ]をならす〉野生[やせい]の動物[どうぶつ]をならしてペットにするのは、動物[どうぶつ]がかわいそうな気[き]がします。 **なら・す(均す)** ○平[たい]らにする。平均[へいきん]する。[文例]〈土[つち]をならす〉近[ちか]づいた種[たね]まきに備[そな]えて、今日[きょう]は畑[はたけ]の土[つち]をならすことにしよう。♠〈テニスコートをならす〉先日[せんじつ]の台風[たいふう]で荒[あ]れてしまったテニスコートを、ローラーできれいにならした。♠〈でこぼこをならす〉仕上[しあ]げにサンドペーパーででこぼこをならし、ニスをぬれば本立[ほんだ]てのできあがりだ。♠〈家計[かけい]をならす〉今月[こんげつ]は黒字[くろじ]でも、先月[せんげつ]、先々月[せんせんげつ]が赤字[あかじ]だったから、この半年[はんとし]をならせば収支[しゅうし]トントンだ。♠月[つき]にならす〉ガソリン代[だい]といっても、月[つき]にならすと二万円[にまんえん]にもなるのでばかにできません。 **ならび【並び】** ○並[なら]ぶこと。列[れつ]。並[なら]び方[かた]。同[おな]じ側[がわ]。比較[ひかく]するもの。[文例]〈歯[は]の並[なら]び〉歯[は]の並[なら]びが悪[わる]いので、歯医者[はいしゃ]さんで矯正[きょうせい]することにしました。♠〈通[とお]りの並[なら]び〉この通[とお]りの並[なら]びに大[おお]きなスーパーマーケットがあります。♠〈並[なら]びもない>彼[かれ]は、天下[てんか]に並[なら]びもない剣[けん]の達人[たつじん]であった。 **なら・ぶ【並ぶ】** ○となり合[あ]う。列[れつ]になる。つらなる。程度[ていど]が同[おな]じになる。[文例]〈品物[しなもの]が並[なら]ぶ〉お正月[しょうがつ]が近[ちか]づくと、魚屋[さかなや]さんの店先[みせさき]に、さけや数[かず]の子[こ]ががたくさん並[なら]びます。♠〈客[きゃく]が並[なら]ぶ〉開店[かいてん]前[まえ]だというのにデパートの入[い]り口[ぐち]には、もうお客[きゃく]さんが並[なら]んでいる。♠〈順[じゅん]に並[なら]ぶ〉辞書[じしょ]の見出[みだ]し語[ご]は、ふつう何[なん]らかの基準[きじゅん]で順[じゅん]に並[なら]んでいる。♠人並[ひとな]ぶ者[もの]がない〉少年[しょうねん]は、よく努力[どりょく]する生徒[せいと]で、勉強[べんきょう]にかけては彼[かれ]に並[なら]ぶ者[もの]がありません。♠〈~と並[なら]んで〉『枕草子[まくらのそうし]』は、『源氏物語[げんじものがたり]』と並[なら]んで平安[へいあん]女流[じょりゅう]文学[ぶんがく]の代表作[だいひょうさく]となっている。♠〈並[なら]び称[しょう]される〉山部赤人[やまべのあかひと]は、奈良[なら]時代[じだい]の歌人[かじん]で、自然[しぜん]の歌[うた]に優[すぐ]れ、柿本人麻呂[かきのもとのひとまろ]と並[なら]び称[しょう]された。 **ならべた・てる【並べ立てる】** ○次々[つぎつぎ]と並[なら]べるようにして言[い]う。[文例]不満[ふまん]を並[なら]べ立[た]てる〉生徒[せいと]は、自分[じぶん]が学校[がっこう]に対[たい]して抱[いだ]いている不満[ふまん]を並[なら]べ立[た]てた。♠〈うそ八百[はっぴゃく]を並[なら]べ立[た]てる〉うそ八百[はっぴゃく]を並[なら]べ立[た]ててごまかそうったって、そうはいかないぞ。 **なら・べる【並べる】** ○となり合[あ]わせる。列[れつ]にそろえる。つらねる。置[お]きひろげる。次々[つぎつぎ]と言[い]いたてる。比[くら]べる。[文例]〈本[ほん]を並[なら]べる>学級[がっきゅう]文庫[ぶんこ]の本[ほん]を本棚[ほんだな]にジャンル別[べつ]に並[なら]べてみた。♠<順[じゅん]に並[なら]べる>漢和[かんわ]辞典[じてん]では、漢字[かんじ]が部首[ぶしゅ]別[べつ]に分類[ぶんるい]され、画数[かくすう]順[じゅん]に並[なら]べられている。♠〈机[つくえ]を並[なら]べる〉中学[ちゅうがく]で父[ちち]といっしょに机[つくえ]を並[なら]べた仲[なか]だという人[ひと]が、ひょっこり訪[たず]ねてきた。♠〈品物[しなもの]を並[なら]べる>男[おとこ]たちは道[みち]ばたに台[だい]を置[お]くと、その上[うえ]に品物[しなもの]を並[なら]べ始[はじ]めた。♠〈肩[かた]を並[なら]べる〉少年[しょうねん]は、ぼくが追[お]いついて彼[かれ]に肩[かた]を並[なら]べるのを待[ま]って、話[はな]しかけてきた。♠肩[かた]を並[なら]べる>練習[れんしゅう]のかいがあって、今[いま]やぼくは、父[ちち]と肩[かた]を並[なら]べるほどに、テニスの腕[うで]を上[あ]げました。♠〈ぐちを並[なら]べる〉あの人[ひと]にも困[こま]ったものだ、会[あ]うたびにぐちばかり並[なら]べている。♠〈いやみを並[なら]べる〉何[なに]が気[き]に入[い]らなかったのか、先[さき]ほどから奥[おく]さんはいやみを並[なら]べている。♠〈文句[もんく]を並[なら]べる〉こらっ、文句[もんく]ばかり並[なら]べてないで、さっさと仕事[しごと]をかたづけろ。♠〈枕[まくら]を並[なら]べる>兄[あに]が東京[とうきょう]の大学[だいがく]に出発[しゅっぱつ]するので、その夜[よる]は、 <819> 兄弟[きょうだい]枕[まくら]を並[なら]べて寝[ね]ることにした。♠〈枕[まくら]を並[なら]べて討[う]ち死[じ]にする〉敵[てき]の大軍[たいぐん]の猛攻[もうこう]に、一族[いちぞく]は枕[まくら]を並[なら]べて討[う]ち死[じ]にした。♠<並[なら]べて見[み]る>太郎[たろう]と次郎[じろう]を並[なら]べて見[み]ると、同[おな]じ双子[ふたご]の兄弟[きょうだい]でも少[すこ]しちがいがある。 **ならわし【習わし】** (慣わし)○しきたり。慣習[かんしゅう]。風習[ふうしゅう]。[文例]〈一日[いちにち]に三回[さんかい]食事[しょくじ]をするという習[なら]わしは、いつごろから始[はじ]まったのでしょうか。♠〈昔[むかし]からの習[なら]わし>昔[むかし]からの習[なら]わしの中[なか]には、そのころの人々[ひとびと]の知恵[ちえ]や工夫[くふう]が生[い]きているものがたくさんある。♠豆[まめ]まきの習[なら]わし〉節分[せつぶん]には、昔[むかし]から豆[まめ]まきをする習[なら]わしがある。♠〈土地[とち]の習[なら]わし〉〈習[なら]わしに従[したが]う〉土地[とち]によって習慣[しゅうかん]がちがうので、その土地[とち]土地[とち]の習[なら]わしに従[したが]う必要[ひつよう]があります。♠〈習[なら]わしになる〉俳句[はいく]では、一句[いっく]の中[なか]に「季語[きご]」といって、季節[きせつ]を表[あらわ]す言葉[ことば]を入[い]れるのが習[なら]わしになっている。 **なり(形)** ○体[からだ]つき。身[み]なり。かっこう。形[かたち]。[文例]〈なりが大[おお]きい〉なりばかり大[おお]きくて、からっきし意気地[いくじ]のないやつだな。♠〈しゃれたなり〉おや、しゃれたなりで、どこへお出[で]かけだい。 **なり【鳴り】** ○鳴[な]ること。騒[さわ]がしい物音[ものおと]。活動[かつどう]。[文例]〈トランペットの鳴[な]り〉どうも、今日[きょう]はトランペットの鳴[な]りが悪[わる]いぞ。♠〈鳴[な]りを静[しず]める〉騒[さわ]がしかった子供[こども]たちも、いつのまにか鳴[な]りを静[しず]めて先生[せんせい]の話[はなし]に聞[き]き入[い]っていた。♠〈鳴[な]りを潜[ひそ]める〉去年[きょねん]大活躍[だいかつやく]した彼[かれ]も、今年[ことし]はひざの故障[こしょう]で全[まった]く鳴[な]りを潜[ひそ]めています。 **なりあがり【成り上がり】** ○身分[みぶん]の低[ひく]い人[ひと]が努力[どりょく]して高[たか]い地位[ちい]につくこと。また、その人[ひと]。[文例]〈成[な]り上[あ]がり者[もの]〉あの成[な]り上[あ]がり者[もの]が、身分[みぶん]や地位[ちい]がほしくてお公家[くげ]の娘[むすめ]を嫁[よめ]にもらうそうだ。 **なりかわ・る【成り代わる】** ○代[か]わりをする。代[かわ]る。[文例]〈本人[ほんにん]に成[な]り代[か]わる〉本人[ほんにん]に成[な]り代[か]わりまして、御出席[ごしゅっせき]の皆様[みなさま]にお礼[れい]申[もう]し上[あ]げます。 **なりきん【成り金】** ○将棋[しょうぎ]で「金[きん]」になったこま。急[きゅう]に金持[かねも]ちになった人[ひと]。[文例]終戦[しゅうせん]後[ご]のどさくさでうまいこともうけて、成[な]り金[きん]になった人[ひと]がいた。 **なりさが・る【成り下がる】** ○おちぶれる。身[み]を落[お]とす。[文例]かつての威厳[いげん]は失[うしな]われて、男[おとこ]はただのじいさんに成[な]り下[さ]がっていた。 **なりすま・す【成り済ます】** ○すっかりなってしまう。まんまと化[ば]ける。[文例]セールスマンに成[な]り済[す]ました男[おとこ]が、家々[いえいえ]を訪問[ほうもん]するふりをして空[あ]き巣[す]を働[はたら]いていたそうだ。♠男[おとこ]は、記者[きしゃ]に成[な]り済[す]まして、まんまと現場[げんば]に入[はい]ることができた。 **なりたち【成り立ち】** ○成[な]り立[た]つこと。また、その過程[かてい]。構成[こうせい]。[文例]〈漢字[かんじ]の成[な]り立[た]ち〉漢字[かんじ]の成[な]り立[た]ちは、象形[しょうけい]・指事[しじ]・会意[かいい]・形声[けいせい]の四種類[よんしゅるい]に分[わ]けて考[かんが]えられます。♠〈文[ぶん]の成[な]り立[た]ち〉文[ぶん]の成[な]り立[た]ちを見[み]ると、大[おお]きく主部[しゅぶ](主語[しゅご]を含[ふく]む部分[ぶぶん])と、述部[じゅつぶ](述語[じゅつご]を含[ふく]む部分[ぶぶん])に分[わ]けられます。♠〈近代[きんだい]日本[にっぽん]の成[な]り立[た]ち〉近代[きんだい]日本[にっぽん]の成[な]り立[た]ちは、明治維新[めいじいしん]に始[はじ]まると考[かんが]えられている。 **なりた・つ【成り立つ】** ○出来[でき]あがる。成立[せいりつ]する。[文例]〈生活[せいかつ]が成[な]り立[た]つ〉わたしたちの今日[こんにち]の生活[せいかつ]は、先人[せんじん]たちの知恵[ちえ]と努力[どりょく]の積[つ]み重[かさ]ねの上[うえ]に成[な]り立[た]っています。♠〈作品[さくひん]が成[な]り立[た]つ〉この作品[さくひん]は、戦争[せんそう]中[ちゅう]と戦争[せんそう]後[ご]の二[ふた]つの場面[ばめん]から成[な]り立[た]っている。♠〈スポーツが成[な]り立[た]つ>勝敗[しょうはい]だけにこだわり、ルールを尊重[そんちょう]しないでいたのでは、スポーツは成[な]り立[た]ちません。♠〈経営[けいえい]が成[な]り立[た]つ〉開業[かいぎょう]以来[いらい]三年[さんねん]、やっと経営[けいえい]が成[な]り立[た]つようになり、ほっとしたところです。♠〈~で成[な]り立[た]つ〉短歌[たんか]は、ふつう、五[ご]・七[しち]・五[ご]・七[しち]・七[しち]の五句[ごく]、三十一[さんじゅういち]音[おん]で成[な]り立[た]っている。♠〈~から成[な]り立[た]つ>現在[げんざい]のアメリカ合衆国[がっしゅうこく]は、五十一[ごじゅういち]の州[しゅう]・特別[とくべつ]区[く]から成[な]り立[た]っている。 **なりひび・く【鳴り響く】** ○響[ひび]きわたる。知[し]れわたる。[文例]〈鐘[かね]が鳴[な]り響[ひび]く〉澄[す]みわたった秋[あき]の空[そら]に、ファンファーレが鳴[な]り響[ひび]きます。♠〈名声[めいせい]が鳴[な]り響[ひび]く>彼[かれ]の名声[めいせい]は、日本[にっぽん]国内[こくない]だけでなく広[ひろ]く世界中[せかいじゅう]に鳴[な]り響[ひび]いている。 **なりふり(形振り)** ○身[み]なりやふるまい。かっこう。体裁[ていさい]。[文例]〈なりふり構[かま]わず>子供[こども]たちを養[やしな]うために、母[はは]は男[おとこ]たちに混[ま]じってなりふり構[かま]わず働[はたら]いている。 **なりゆき【成り行き】** ○物事[ものごと]の移[うつ]り変[か]わり。また、その過程[かてい]や結果[けっか]。[文例]〈今後[こんご]の成[な]り行[ゆ]き〉工場[こうじょう]側[がわ]と住民[じゅうみん]の話し合[あ]いの結果[けっか]がどう出[で]るか、今後[こんご]の成[な]り行[ゆ]きが注目[ちゅうもく]されます。♠自然[しぜん]の成[な]り行[ゆ]き〉あの二人[ふたり]が別[わか]れたのは、自然[しぜん]の成[な]り行[ゆ]きと言[い]えば言[い]えたろう。♠〈争[あらそ]いの成[な]り行[ゆ]き〉〈成[な]り行[ゆ]きを見守[みまも]る〉周囲[しゅうい]の人々[ひとびと]はどちらにも加担[かたん]せず、争[あらそ]いの成[な]り行[ゆ]きを見守[みまも]っている。♠〈成[な]り行[ゆ]きにまかせる〉この場[ば]は手[て]の下[くだ]しようがないから、成[な]り行[ゆ]きにまかせることにしよう。 **なりわい(生業)** せいぎょう○生活[せいかつ]していくための仕事[しごと]。家業[かぎょう]。生業[せいぎょう]。農[のう]作[さく]。[文例]〈なりわいとする〉この家[いえ]は昔[むかし]から造[つく]り酒屋[ざかや]をなりわいとしてきたが、ついに店[みせ]を継[つ]ぐ者[もの]がなくなってしまった。♠〈なりわいを求[もと]める〉土地[とち]を失[うしな]った農民[のうみん]は、なりわいを求[もと]めて都市[とし]へ流[なが]れて行[おこな]った。♠〈なりわいを営[いとな]む〉まだこの川[かわ]がきれいだったころには、川[かわ]で野菜[やさい]を洗[あら]ったり、米[こめ]をといだりというなりわいが営[いとな]まれていたのです。 **な・る【成る】** (為る・生る)○実[み]る。出来[でき]あがる。成[な]り立[た]つ。成長[せいちょう]する。経過[けいか]する。達[たっ]する。変化[へんか]する。役[やく]・任[にん]・地位[ちい]などにつく。結果[けっか]としてそうなる。完成[かんせい]する。成就[じょうじゅ]する。役[やく]に立[た]つ。働[はたら]きがある。(打[う]ち消[け]し・反語[はんご]の形[かたち]で)許[ゆる]される。「お…になる」で尊敬[そんけい]を表[あらわ]す。[文例]〈実[み]がなる〉秋[あき]には、庭先[にわさき]のかきの木[き]にたくさんの実[み]がなります。♠〈金[かね]のなる木[き]〉うちには、金[かね]のなる木[き]なんかないんだから、むだ遣[づか]いはじないでちょうだいね。♠〈大[おお]きくなる〉あなたは、大[おお]きくなったら、何[なに]になるつもりですか。♠〈女[おんな]となる〉少女[しょうじょ]も大人[おとな]の女[おんな]となり、もう一人前[いちにんまえ]に扱[あつか]われるようになりました。♠〈主役[しゅやく]になる>学芸会[がくげいかい]では、ぼくは魚[さかな]とか通行人[つうこうにん]の役[やく]ばかりで、主役[しゅやく]になんかなったことがない。♠〈三年[さんねん]になる〉父[ちち]が死[し]んでから、明日[あした]でちょうど三年[さんねん]になります。♠〈春[はる]になる〉この辺[あた]りも、春[はる]になると新緑[しんりょく]がきれいです。♠薬[くすり]・毒[どく]になる〉お酒[さけ]は薬[くすり]になるといっても、量[りょう]を過[す]ぎれば毒[どく]にもなるから、ほどほどにしなさい。♠〈金[かね]になる〉やめた、やめた、こんな金[かね]にもならない仕事[しごと]なんか!♠〈工事[こうじ]がなる〉この春[はる]にトンネル工事[こうじ]が **な** <820> なれば、通学[つうがく]時間[じかん]が大[おお]はばに短縮[たんしゅく]されます。♠〈事業[じぎょう]がなる〉今度[こんど]の事業[じぎょう]は、なるもならぬも、責任者[せきにんしゃ]であるあなたの腕[うで]力[ちから]しだいだ。♠〈優勝[ゆうしょう]がなる〉残念[ざんねん]ながら、高田[たかだ]高校[こうこう]野球[やきゅう]部[ぶ]の連続[れんぞく]優勝[ゆうしょう]はなりませんでした。♠〈手[て]になる〉これは女性[じょせい]の手[て]になるもので、その後[ご]の文学[ぶんがく]に大[おお]きな影響[えいきょう]を与[あた]えた。♠〈ためになる〉世[よ]の中[なか]のためになるような立派[りっぱ]な人[ひと]になるのが少年[しょうねん]の夢[ゆめ]だった。♠〈使[つか]い物[もの]になる〉こんなに刃[は]がボロボロじゃ、このカミソリはもう使[つか]い物[もの]にならないな。♠今[いま]となっては〉今[いま]となっては、もうどうすることもできないよ。♠〈~からなる〉ぼくたちのグループは、小学校[しょうがっこう]以来[いらい]の仲間[なかま]で、男[おとこ]四人[よにん]、女[おんな]二人[ふたり]からなっている。♠〈~からなる〉これは約[やく]三百[さんびゃく]編[ぺん]の文章[ぶんしょう]からなり、十[じっ]世紀[せいき]末[まつ]から十一[じゅういち]世紀[せいき]の初[はじ]めにかけて書[か]かれたものらしい。♠〈なるものか〉あんなやつに、かってなまねばかりさせておいてなるものか!♠〈~しなければならない〉明日[あした]は遠足[えんそく]だから、早[はや]く寝[ね]て疲[つか]れを取[と]っておかなければならない。♠〈~してはならない〉授業[じゅぎょう]中[ちゅう]は、勝手[かって]な行動[こうどう]をしてはならない。♠〈お~になる〉だんな様[さま]がお帰[かえ]りになると聞[き]きまして、うれしくてたまりませんでした。♠精神一到何事か成らざらん[せいしんいっとうなにごとかざらん]>「精神一到何事か成らざらん[せいしんいっとうなにごとかざらん]」の心意気[こころいき]でがんばれ。♠〈少年老い易く学成り難し[しょうねんおいやすくがくなりがたし]〉「少年老い易く学成り難し[しょうねんおいやすくがくなりがたし]」という言葉[ことば]を胸[むね]に刻[きざ]みこみ、一日[いちにち]一日[いちにち]を大切[たいせつ]に生[い]きてきた。 **な・る【鳴る】** ○音[おと]がする。知[し]れわたる。[文例]〈ブザーが鳴[な]る>玄関[げんかん]のブザーが鳴[な]っても、すぐにはドアを開[あ]けないようにしています。♠〈笛[ふえ]が鳴[な]る〉ささの笛[ふえ]は、吹[ふ]き口[ぐち]のつぶし方[かた]や息[いき]の強弱[きょうじゃく]によって、鳴[な]ったり鳴[な]らなかったりする。♠〈かみなりが鳴[な]る〉山[やま]の方[ほう]から、かみなりが鳴[な]るのが聞[き]こえてきた。♠〈木[こ]の葉[は]が鳴[な]る〉木[こ]の葉[は]のサラサラ鳴[な]る音[おと]が聞[き]こえて、あとは、しんと静[しず]まりかえっている。♠〈鐘[かね]が鳴[な]る〉夕方[ゆうがた]の五時[ごじ]になると、お寺[てら]の鐘[かね]が鳴[な]って、子供[こども]たちに帰[かえ]る時間[じかん]を知[し]らせます。♠〈腕[うで]が鳴[な]る〉次[つぎ]は待[ま]ちに待[ま]った騎馬[きば]戦[せん]だ、腕[うで]が鳴[な]るな。♠〈~をもって鳴[な]る〉温厚[おんこう]をもって鳴[な]るおじが、大声[おおごえ]でどなり出[だ]したのにはおどろいた。♠天下[てんか]に鳴[な]る〉名声[めいせい]が天下[てんか]に鳴[な]り、どんな土地[とち]に行[い]っても、彼[かれ]の名前[なまえ]を知[し]らない人[ひと]はない。 **なるべく** ○できるだけ。なるたけ。[文例]この本[ほん]を読[よ]んだ感想[かんそう]をなるべく短[みじか]い文章[ぶんしょう]で書[か]き表[あらわ]してごらんなさい。♠分[わ]からない言葉[ことば]は、なるべく自分[じぶん]で国語[こくご]辞典[じてん]を引[ひ]いて、調[しら]べるようにしたほうが力[ちから]がつく。♠人[ひと]から手紙[てがみ]をもらったら、なるべく早[はや]く返事[へんじ]を書[か]いたほうがいい。♠少年[しょうねん]は、なるべく暗[くら]い路地[ろじ]を選[えら]んで、歩[ある]いていった。♠なるべく易[やさ]しく、おもしろそうなものを選[えら]んで、読書[どくしょ]に親[した]しむようにした。 **なるほど(成程)** ○いかにも。やはり。まことに。[文例]分[わ]かりきったことのようでありながら、改[あらた]めて指摘[してき]されて、なるほどと思[おも]うことは多[おお]い。♠おじさんが物知[ものし]りだとうわさに聞[き]いてはいたが、なるほどいろんなことをよく知[し]っている。♠村長[そんちょう]さんのおっしゃる水道[すいどう]工事[こうじ]は、なるほど大事[だいじ]な仕事[しごと]ですから、早速[さっそく]やりましょう。♠なるほど思[おも]った通[とお]り、きみはぼくの期待[きたい]にみごとにこたえてくれたね。♠「壊[こわ]れたからって捨[す]てないで、直[なお]して使[つか]えばいいんだよ。」「なるほど。」 **なれあい【慣れ合い】** (馴れ合い)○なれ合[あ]うこと。↓なれあう[文例]理事長[りじちょう]と校長[こうちょう]のなれ合[あ]いをなんとかしなければ、学園[がくえん]がいつか私物[しぶつ]化[か]されてしまう。♠〈与野党[よやとう]のなれ合[あ]い〉与野党[よやとう]のなれ合[あ]いの国会[こっかい]運営[うんえい]が続[つづ]いている。 **なれあ・う【慣れ合う】** (馴れ合う)○互[たが]いに親[した]しみ合[あ]う。ぐるになる。[文例]こうして、二人[ふたり]は一[ひと]つ屋根[やね]の下[した]でなれ合[あ]って暮[く]らしていた。♠役人[やくにん]と業者[ぎょうしゃ]がなれ合[あ]っていたのでは、不正[ふせい]が起[お]こるのは目[め]に見[み]えている。 **なれなれし・い(馴れ馴れしい)** ○うちとけすぎて、ぶしつけである。[文例]くなれなれしい人[ひと]〉親[した]しくもないのに人[ひと]の名前[なまえ]をちゃん付[づ]けで呼[よ]ぶなんて、なれなれしい人[ひと]ね。♠〈なれなれしい態度[たいど]〉あんまりなれなれしい態度[たいど]で話[はな]されると、ばかにされているような気[き]になるよ。♠〈なれなれしく話[はな]しかける〉目上[めうえ]の人[ひと]になれなれしく話[はな]しかけるのは考[かんが]えものです。 **なれのはて【成れの果て】** ○おちぶれた結果[けっか]。[文例]娘[むすめ]のころの母[はは]はミス町内会[ちょうないかい]だったというが、さしずめ今[いま]はそのなれの果[は]てというところかな。♠あの怠[なま]け者[もの]のなれの果[は]て、それがこのわたしです。 **な・れる【慣れる】** ○何度[なんど]も経験[けいけん]して普通[ふつう]のことになる。熟練[じゅくれん]する。なじむ。なつく。[文例]〈場所[ばしょ]に慣[な]れる〉みつばちは、よく慣[な]れた場所[ばしょ]では、何[なに]かの目印[めじるし]がとらえられれば、早[はや]く巣箱[すばこ]に帰[かえ]って来[こ]られる。♠〈早起[はやお]きに慣[な]れる>二学期[にがっき]が始[はじ]まって十日[とおか]、やっと早起[はやお]きに慣[な]れてきた。♠〈ぜいたくに慣[な]れる〉世[よ]の中[なか]が進[すす]み、暮[く]らしよくなるのはいいが、ぜいたくに慣[な]れてしまうのはよくない。♠〈目[め]が慣[な]れる〉だんだん目[め]が暗[くら]やみに慣[な]れてくると、辺[あた]りの様子[ようす]がぼんやり見[み]えてきた。♠<靴[くつ]に慣[な]れる〉だんだん足[あし]が靴[くつ]に慣[な]れてきたので、もう痛[いた]くなくなった。♠旅[たび]に慣[な]れる〉旅[たび]に慣[な]れない人[ひと]ほど、ちょっとした旅行[りょこう]にも、大[おお]きな荷物[にもつ]を持[も]ってでかけていく。♠〈習[なら]うより慣[な]れよ〉「習[なら]うより慣[なれ]よ」と言[い]って、頭[あたま]で考[かんが]えるより、体[からだ]で覚[おぼ]えるほうが早[はや]く身[み]につくことがある。♠慣[な]れた手[て]つき〉いかにも慣[な]れた手[て]つきだが、実[じつ]は映写機[えいしゃき]に触[さわ]るのは初[はじ]めてだという。♠〈水[みず]に慣[な]れる〉ぼくも水[みず]に慣[な]れるまでは、泳[およ]ぐのを怖[こわ]がった覚[おぼ]えがあります。♠〈人[ひと]になれる〉このタヌキは、よく人[ひと]になれているので、庭先[にわさき]までえさを食[た]べに来[き]ます。♠〈見慣[みなお]れる〉ふだん見慣[みなお]れたものも、いざ絵[え]にかいてみようとすると、なかなかうまくかけないものだ。 **なわ【縄】** ○わらなどをよって作[つく]った細長[ほそなが]いひも。犯人[はんにん]を捕[とら]らえて縛[しば]ること。[文例]〈縄[なわ]を張[は]る〉コンクリートをぬったばかりの玄関[げんかん]に人[ひと]が入[はい]らないように、縄[なわ]を張[は]りました。♠〈縄[なわ]で縛[しば]る〉〈お縄[なわ]にする〉昔[むかし]は罪[つみ]を犯[おか]すと縄[なわ]で縛[しば]られたので、犯人[はんにん]を捕[つか]まえることを「お縄[なわ]にする」ともいった。♠〈縄[なわ]で結[むす]ぶ〉村人[むらびと]たちは、木[き]を切[き]って縄[なわ]で結[むす]んでさくを作[つく]り、穴[あな]のまわりを囲[かこ]った。♠〈泥棒[どろぼう]を見[み]て縄[なわ]をなう「泥棒[どろぼう]を見[み]て縄[なわ]をなう」は、事[こと]が起[お]こってからあわてるのを戒[いまし]めたことわざです。♠〈縄[なわ]にかかる〉わたしはごらんの通[とお]りの正直者[しょうじきもの]、お縄[なわ]にかかるような悪[わる]いことはしておりません。♠泥縄[どろなわ]式[しき]〉何事[なにごと]にもふだんの心構[こころがま]えが大切[たいせつ]で、「泥縄[どろなわ]式[しき]」ではいけない。 **な** <821> ◆<縄跳[なわと]び>冬[ふゆ]になると、女[おんな]の子[こ]たちはいつもここで縄跳[なわと]びをして遊[あそ]んでいる。 **なわばり【縄張り】** ○縄[なわ]を張[は]ること。また、その場所[ばしょ]。勢力[せいりょく]範囲[はんい]。テリトリー。[文例]〈縄張[なわば]りを荒[あ]らす〉この原[はら]っぱはぼくたちの縄張[なわば]りだから、荒[あ]らしたやつは許[ゆる]さない。♠縄張[なわば]りをもつ〉自然界[しぜんかい]の生物[せいぶつ]は、生[い]きるためにそれぞれ縄張[なわば]りをもっている。♠〈縄張[なわば]り争[あらそ]い>動物[どうぶつ]界[かい]にも、人間[にんげん]の世界[せかい]にも縄張[なわば]り争[あらそ]いはつきものです。 **なん【難】** ○難[むずか]しいこと。災難[さいなん]。困難[こんなん]。欠点[けってん]。[文例]〈易[やす]から難[なん]〉この問題集[もんだいしゅう]は易[やす]から難[なん]への流[なが]れがスムーズで、非常[ひじょう]に学習[がくしゅう]しやすい。♠<難[なん]に遭[あ]う〉船[ふね]は不幸[ふこう]にも航海[こうかい]中[ちゅう]に風波[ふうは]の難[なん]に遭[あ]った。♠<難[なん]を逃[のが]れる>関所[せきしょ]で弁慶[べんけい]が白紙[はくし]の巻[ま]き物[もの]を勧進帳[かんじんちょう]と偽[いつわ]って読[よ]み上[あ]げ、難[なん]を逃[のが]れたという話[はなし]がある。♠〈難[なん]を言[い]う〉今度[こんど]の家[いえ]は広[ひろ]くていいけど、難[なん]を言[い]えば学校[がっこう]まで遠[とお]い。♠〈難[なん]がある〉この計画[けいかく]は、一時間[いちじかん]四[よん]キロとして五時間[ごじかん]も歩[ある]き続[つづ]けるところに難[なん]がある。♠〈難[なん]なく〉相手[あいて]はシード校[こう]だったが、チームの調子[ちょうし]が上[あ]がっていたので難[なん]なく勝[か]つことができた。 **なんか【南下】** ○南[みなみ]の方[ほう]へ進[すす]むこと。[文例]〈南下[なんか]する〉シベリアから強[つよ]い寒気団[かんきだん]が南下[なんか]して、冷[ひ]えこみはいっそう厳[きび]しくなるでしょう。♠〈南下[なんか]する〉分水嶺[ぶんすいれい]を離[はな]れた流[なが]れの片一方[かたいっぽう]は北上[ほくじょう]し、一方[いっぽう]は南下[なんか]して太平洋[たいへいよう]へと向[む]かう。 **なんかい【難解】** ○難[むずか]しいこと。分[わ]かりにくいさま。[文例]〈難解[なんかい]な問題[もんだい]〉三日[みっか]かかって難解[なんかい]な問題[もんだい]がやっと解[と]けた。♠〈難解[なんかい]な論文[ろんぶん]〉この論文[ろんぶん]は難解[なんかい]で、一読[いちどく]しただけでは論旨[ろんし]がとれません。 **なんかん【難関】** ○通[とお]り抜[ぬ]けるのが難[むずか]しい所[ところ]。乗[の]り越[こ]えるのが困難[こんなん]な事態[じたい]。[文例]〈最大[さいだい]の難関[なんかん]〉この地[ち]は、乱氷帯[らんぴょうたい]がおおっていて、北極点[ほっきょくてん]へ至[いた]る最大[さいだい]の難関[なんかん]になっている。♠〈難関[なんかん]を突破[とっぱ]する〉高校生[こうこうせい]の兄[あに]は、全国一[ぜんこくいち]という難関[なんかん]を突破[とっぱ]し、希望[きぼう]する大学[だいがく]に合格[ごうかく]できた。♠〈難関[なんかん]にいどむ〉司法[しほう]試験[しけん]という難関[なんかん]にいどんだ姉[あね]は、猛勉強[もうべんきょう]のかいあってか、見事[みごと]合格[ごうかく]できました。♠〈難関[なんかん]をくぐる〉法学部[ほうがくぶ]に受[う]かっても、司法[しほう]試験[しけん]という難関[なんかん]をくぐるのは、容易[ようい]ではない。 **なんぎ【難儀】** ○苦労[くろう]すること。困難[こんなん]なこと。面倒[めんどう]。[文例]〈下[お]りるのが難儀[なんぎ]>山[やま]というものは、本当[ほんとう]は、登[のぼ]るよりも下[お]りるほうがずっと難儀[なんぎ]なのです。♠〈座[すわ]るのが難儀[なんぎ]>足[あし]の骨折[こっせつ]も、立[た]ったり座[すわ]ったりするのがちょっと難儀[なんぎ]でございますが、あとはちゃんと治[なお]りました。♠<難儀[なんぎ]な作業[さぎょう]〉ペンキぬりといっても、炎天下[えんてんか]でトタン屋根[やね]をぬるのだから、難儀[なんぎ]な作業[さぎょう]である。♠〈難儀[なんぎ]をする〉どんなに落[お]ちぶれて難儀[なんぎ]をしても、悪[わる]いことだけは決[けっ]してするのではないぞ。♠〈難儀[なんぎ]をかける>旅先[たびさき]で階段[かいだん]からころげ落[お]ち、同行者[どうこうしゃ]に難儀[なんぎ]をかけてしまった。♠〈難儀[なんぎ]する〉台風[たいふう]の後始末[あとしまつ]で、今日[きょう]一日[いちにち]難儀[なんぎ]したけれど、今夜[こんや]からどうやら家[いえ]で寝[ね]られそうだ。♠〈難儀[なんぎ]する〉冬[ふゆ]になると門[もん]から玄関[げんかん]までがぬかるんで、いつも歩[ある]くのに難儀[なんぎ]する。 **なんぎょうくぎょう【難行苦行】** ○非常[ひじょう]につらく苦[くる]しい修行[しゅぎょう]。ひどく苦労[くろう]すること。[文例]<難行苦行[なんぎょうくぎょう]の末[すえ]〉おしゃか様[さま]は難行苦行[なんぎょうくぎょう]の末[すえ]、ぼだい樹[じゅ]の下[した]で悟[さと]りを開[ひら]いたと伝[つた]えられています。♠〈難行苦行[なんぎょうくぎょう]する〉一行[いっこう]は、難行苦行[なんぎょうくぎょう]してエルサレムに着[つ]いた。 **なんきょく【難局】** ○困難[こんなん]な局面[きょくめん]。難[むずか]しい事態[じたい]。[文例]<難局[なんきょく]を打開[だかい]する〉全員[ぜんいん]が一丸[いちがん]となって当[あ]たらなければ、この難局[なんきょく]を打開[だかい]できないだろう。♠〈難局[なんきょく]に当[あ]たる〉国際[こくさい]情勢[じょうせい]に通[つう]じた人材[じんざい]を外務[がいむ]大臣[だいじん]にすえて、難局[なんきょく]に当[あ]たるべきだ。♠<難局[なんきょく]を乗[の]り越[こ]える〉幕末[ばくまつ]の日本人[にほんじん]は、どのようにして難局[なんきょく]を乗[の]り越[こ]えていったのでしょう。 **なんくせ【難癖】** ○欠点[けってん]。いいがかり。[文例]〈難癖[なんくせ]をつける〉あれこれと商品[しょうひん]に難癖[なんくせ]をつけて、値引[ねび]いてもらおうという腹[はら]だな、この客[きゃく]は。♠そりゃあ政治家[せいじか]になると、どんなにしていたって、難癖[なんくせ]を附[つ]けられるさ。(森鷗外[もりおうがい]「雁[がん]」) **なんこう【難航】** ○航海[こうかい]・航行[こうこう]が困難[こんなん]なこと。物事[ものごと]がスムーズに進[すす]まないこと。[文例] <難航[なんこう]を極[きわ]める〉思[おも]わぬところから水[みず]が出[で]て、トンネル工事[こうじ]は難航[なんこう]を極[きわ]めた。♠〈難航[なんこう]する>会議[かいぎ]は難航[なんこう]して、なかなか結論[けつろん]に達[たっ]しなかった。 **なんこうふらく【難攻不落】** ○攻撃[こうげき]するのが難[むずか]しく攻[せ]め落[お]としにくいこと。[文例] <難攻不落[なんこうふらく]の要塞[ようさい]〉この山城[やまじろ]は、難攻不落[なんこうふらく]の要塞[ようさい]として世[よ]に聞[き]こえていた。♠いくら口説[くど]いても、あの子[こ]は難攻不落[なんこうふらく]で、ちっともその気[き]になってくれない。 **なんざん【難産】** ○胎児[たいじ]がなかなか出[で]ず、苦[くる]しい出産[しゅっさん]。物事[ものごと]が簡単[かんたん]に成立[せいりつ]しないこと。[文例]〈難産[なんざん]する〉女[おんな]がほうきをまたげば難産[なんざん]するなど、昔[むかし]はお産[さん]にまつわる迷信[めいしん]が多[おお]かった。♠<難産[なんざん]の末[すえ]>派閥[はばつ]争[あらそ]いが原因[げんいん]で、難産[なんざん]の末[すえ]、やっと新[しん]内閣[ないかく]が誕生[たんじょう]した。 **なんじ(汝・爾)** ○おまえ。[文例]なんじらごときに侮[あなど]られてなるものか。♠弱[よわ]き者[もの]よ、汝[なんじ]の名[な]は女[おんな]なり。(シェークスピア) **なんじゃく【軟弱】** ○やわらかく弱[よわ]いさま。厳[きび]しさに欠[か]けるさま。→強硬[きょうこう][文例] 〈軟弱[なんじゃく]な地盤[じばん]〉もともと地盤[じばん]が軟弱[なんじゃく]なものだから、少[すこ]し雨[あめ]が降[ふ]るとすぐに土砂崩[どしゃくず]れが起[お]きるのです。♠<軟弱[なんじゃく]な性格[せいかく]>軟弱[なんじゃく]な性格[せいかく]をきたえるため、剣道[けんどう]の道場[どうじょう]に通[かよ]うことにしました。♠〈軟弱[なんじゃく]な態度[たいど]〉そんな軟弱[なんじゃく]な態度[たいど]だから、相手[あいて]につけこまれるんだ。 **なんじゅう【難渋】** ○物事[ものごと]が順調[じゅんちょう]に進[すす]まないこと。難儀[なんぎ]。[文例] <難渋[なんじゅう]を極[きわ]める〉大雨[おおあめ]で道[みち]が流失[りゅうしつ]し、探検隊[たんけんたい]の行程[こうてい]は難渋[なんじゅう]を極[きわ]めた。♠〈難渋[なんじゅう]する〉交渉[こうしょう]は難渋[なんじゅう]し、結局[けっきょく]全員[ぜんいん]の納得[なっとく]のいく結論[けつろん]は得[え]られなかった。 **なんしょ【難所】** ○通行[つうこう]するのに困難[こんなん]な所[ところ]。[文例]<難所[なんしょ]にかかる〉がけっぷちの道[みち]を走[はし]っていたバスが難所[なんしょ]にさしかかると、乗客[じょうきゃく]はみんな身[み]をかたくした。♠〈難所[なんしょ]を越[こ]える〉登山隊[とざんたい]は、いくつもの難所[なんしょ]を越[こ]えて頂上[ちょうじょう]にせまっていった。 **なんしょく【難色】** ○不承知[ふしょうち]の様子[ようす]。[文例]〈難色[なんしょく]を示[しめ]す>夏休[なつやす]みに一人旅[ひとりたび]をしたいという姉[あね]の計画[けいかく]に、父[ちち]は難色[なんしょく]を示[しめ]した。♠(……)相手[あいて]に返[かえ]す腹[はら]のない以上[いじょう](……)結果[けっか]はつまり遣[や]る事[こと]になったのである。勿論[もちろん]其所[そこ]へ行[い]き着[つ]くまでにはお延[のぶ]にも多少[たしょう]の難色[なんしょく]があった。(夏目漱石[なつめそうせき]「明暗[めいあん]」) **なんせん【難船】** ○難破[なんぱ]すること。難破船[なんぱせん]。[文例]〈難船[なんせん]する <822> る>船乗[ふなな]りのロビンソン=クルーソーは、航海[こうかい]中[ちゅう]あらしのために難船[なんせん]し、無人島[むじんとう]に流[なが]れ着[つ]いた。♠あらしが過[す]ぎた後[あと]浜辺[はまべ]に出[で]てみると、沖合[おきあ]いに難船[なんせん]が無残[むざん]な姿[すがた]をさらしていた。 **ナンセンス** ○無意味[むいみ]なこと。ばかげているさま。[文例]〈ナンセンスな話[はなし]>子供[こども]向[む]けのナンセンスなお話[はなし]だといってしまえばそれまでだが、本当[ほんとう]は何か[なにか]深[ふか]い意味[いみ]が隠[かく]されているのかもしれない。♠きみの意見[いけん]はナンセンスだよ。 **なんだい【難題】** ○難[むずか]しい課題[かだい]・問題[もんだい]。無理[むり]な要求[ようきゅう]。[文例]〈難題[なんだい]を出[だ]す〉今日[きょう]の試験[しけん]では、思[おも]いがけない難題[なんだい]が出[だ]された。♠<難題[なんだい]にいどむ〉五人[ごにん]の求婚者[きゅうこんしゃ]は、かぐや姫[ひめ]との結婚[けっこん]をあきらめきれず、知恵[ちえ]や富[とみ]の力[ちから]で難題[なんだい]にいどんだ。♠〈難題[なんだい]に取[と]り組[く]む〉地震[じしん]予知[よち]というのはなかなかの難題[なんだい]で、専門家[せんもんか]が取[と]り組[く]んで久[ひさ]しいが、まだ見通[みとお]しは立[た]っていないらしい。♠<難題[なんだい]をかかえる〉幹部[かんぶ]の汚職[おしょく]という難題[なんだい]をかかえ、市長[しちょう]は対策[たいさく]に苦慮[くりよ]した。♠〈無理難題[むりなんだい]〉〈難題[なんだい]をふっかける〉店頭[てんとう]で無理難題[むりなんだい]をふっかけている男[おとこ]は、最初[さいしょ]から金[かね]めあてのようだ。♠〈難題[なんだい]をもちこむ〉次々[つぎつぎ]と難題[なんだい]をもちこまれ、係員[かかりいん]は頭[あたま]をかかえてしまった。 **なんだか【何だか】** ○なんとなく。なぜかしら。何[なに]なのか。[文例]あの人[ひと]とは、なんだか会[あ]ったことがあるような気[き]がする。♠大[おお]きな男[おとこ]たちにまじって、少年[しょうねん]はなんだかかわいそうなほど小[ちい]さく見[み]えました。♠新式[しんしき]だとか言[い]っても、なんだか、今[いま]までのロボットと大差[たいさ]ないようだな。♠今度[こんど]は、なんだかうまくいきそうな気[き]がします。♠もう年[とし]の暮[く]れが近[ちか]いので、すれちがう人[ひと]たちも、なんだか気[き]ぜわしそうに見[み]えます。♠〈何[なに]がなんだか〉今日[きょう]はあまりにも忙[いそが]しすぎて、何[なに]がなんだかわからないうちに一日[いちにち]が終[お]わってしまった。 **なんでも【何でも】** ○どんなものでも。どうしても。よくわからないが。[文例]靴[くつ]なんか何[なん]でもかまわないから、早[はや]く出[で]かけないと、バスの時間[じかん]に間[ま]に合[あ]わないよ。♠何[なに]が何[なん]でも〉今日[きょう]の試合[しあい]には、何[なに]が何[なん]でも勝[か]ちたい。♠〈いくら何[なん]でも〉お客[きゃく]を待[ま]たせておいて長電話[ながでんわ]するとは、いくら何[なん]でも失礼[しつれい]でしょう。♠何[なん]でもかでも〉何[なん]でもかでも人[ひと]に頼[たの]らず、少[すこ]しは自分[じぶん]で始末[しまつ]しなさい。♠〈何[なん]でもない〉きみにとっては、何[なん]でもないことかもしれないが、ぼくには大変[たいへん]なことなんだ。♠なんでも、彼[かれ]は京都[きょうと]に住[す]んでいるそうだ。♠〈何[なん]でも屋[や]〉ぼくは何[なん]でも屋[や]ですから、いろいろなことに手[て]を出[だ]しますが、ある程度[ていど]以上[いじょう]には進歩[しんぽ]しません。 **なんてん【難点】** ○欠点[けってん]。悪[わる]いところ。難[むずか]しいところ。[文例]〈難点[なんてん]がある〉この車[くるま]は、座席[ざせき]が狭[せま]いという難点[なんてん]はあるが、ぼくは気[き]に入[い]っている。 **なんとか【何とか】** ○どうにか。何か[なにか]。何々[なになに]。[文例]わたしたちは、二頭[にとう]のゾウをなんとか助[たす]けてやりたいと、あれこれ考[かんが]えました。♠〈なんとか~しそうだ〉遠足[えんそく]に着[き]て行[い]きたいこのシャツも、明日[あした]までにはなんとかかわきそうだ。♠〈なんとかして〉なんとかして、あのかわいそうな子供[こども]たちを助[たす]けてやりたいものだ。♠〈なんとか言[い]う〉先方[さきかた]はこの事[こと]についてなんとか言[い]っていましたでしょうか。♠〈なんとか会社[がいしゃ]〉兄[あに]はなんとか会社[がいしゃ]の九州[きゅうしゅう]の支店[してん]に用事[ようじ]があって、今日中[きょうじゅう]に行[い]かなければならない。♠〈なんとかかんとか〉お前[まえ]たちは、なんとかかんとか、文句[もんく]を言[い]うだけで、実際[じっさい]には何[なに]もやらないじゃないか。 **なんなく【難なく】** ○簡単[かんたん]に。たやすく。[文例]ぼくが一時[いちじ]間[かん]かけても解[と]けなかったパズルを、ひろし君[くん]は難[なん]なくやってのけた。♠相手[あいて]はシード校[こう]だったが、チームの調子[ちょうし]が上[あ]がっていたので難[なん]なく勝[か]つことができた。 **なんば【難破】** ○あらしなどで船[ふね]が壊[こわ]れたり沈没[ちんぼつ]したりすること。[文例]<難破[なんぱ]する〉暴風[ぼうふう]で難破[なんぱ]した船[ふね]は、小[ちい]さな無人島[むじんとう]に打[う]ち上[あ]げられた。♠<難破船[なんぱせん]>難破船[なんぱせん]とともに沈[しず]んだ宝物[たからもの]は、そのまま海[うみ]の底[そこ]で眠[ねむ]っています。 **なんば【軟派】** ○穏健[おんけん]な意見[いけん]をもつ党派[とうは]。恋愛[れんあい]をテーマにした文学[ぶんがく]やそれを好[この]む人[ひと]。軟弱[なんじゃく]で遊興[ゆうきょう]にふける若者[わかもの]。→硬派[こうは][文例]〈軟派[なんぱ]の学生[がくせい]〉きみのような軟派[なんぱ]の学生[がくせい]には、建設[けんせつ]現場[げんば]のアルバイトなどむりだろう。 **ナンバー** ○数字[すうじ]。番号[ばんごう]。曲目[きょくもく]。雑誌[ざっし]の号数[ごうすう]。[例]〈ナンバーを打[う]つ〉原稿[げんこう]用紙[ようし]は最初[さいしょ]からナンバーを打[う]って、右[みぎ]はじを閉[と]じておきなさい。♠<車[くるま]のナンバー>車[くるま]のナンバーを覚[おぼ]えていた人[ひと]がいたので、犯人[はんにん]はすぐにつかまりました。♠〈なつかしいナンバー>ふと立[た]ち寄[よ]った店[みせ]には、一九五[いちきゅうご]○年代[ねんだい]のなつかしいナンバーが流[なが]れていた。♠〈ナンバーワン〉何[なん]と言[い]っても、きみがクラスでは人気[にんき]ナンバーワンだね。♠〈バックナンバー>図書館[としょかん]には、読[よ]みたい雑誌[ざっし]のバックナンバーがそろっているだろう。 **なんびょう【難病】** ○治[なお]りにくい病気[びょうき]。[文例]少女[しょうじょ]は原因[げんいん]のわからない難病[なんびょう]に冒[おか]され、とうとう亡[な]くなってしまいました。♠どの医者[いしゃ]も、この難病[なんびょう]にはさじを投[な]げた。 **なんぶつ【難物】** ○取[と]り扱[あつか]いにくいものや人[ひと]。[文例]難物[なんぶつ]の父[ちち]をどう説得[せっとく]するかが問題[もんだい]です。♠水玉[みずたま]模様[もよう]はかなりの難物[なんぶつ]で上手[じょうず]に着[き]ないと、とても野暮[やぼ]ったくなってしまいます。 **なんみん【難民】** ○天災[てんさい]や戦災[せんさい]などで生活[せいかつ]に困[こま]っている民族[みんぞく]・国民[こくみん]。[文例]彼[かれ]は、戦争[せんそう]による難民[なんみん]の救済[きゅうさい]に力[ちから]の限[かぎ]りを尽[つ]くした。♠アフリカで飢[う]えに苦[くる]しむ難民[なんみん]を救[すく]うため、さまざまな援助[えんじょ]が行[おこな]われています。 **なんもん【難問】** ○難[むずか]しい問題[もんだい]。解決[かいけつ]の難[むずか]しい事柄[ことがら]。[文例]〈難問[なんもん]と取[と]り組[く]む〉一時間[いちじかん]も難問[なんもん]と取[と]り組[く]んでいるが、まだらちが明[あ]かない。♠〈難問[なんもん]をかかえる〉わたしは、難問[なんもん]をかかえて困[こま]り果[は]てていた。♠〈難問[なんもん]が山積[さんせき]する〉山積[さんせき]した難問[なんもん]をたった一人[ひとり]で処理[しょり]するのは、とうてい無理[むり]だと思[おも]われた。 **なんら【何ら】** (何等)○何[なに]も。少[すこ]しも。全[まった]く。[文例]なんら人手[ひとで]を煩[わずら]わすことなく、ぼくらはその仕事[しごと]をなしとげることができた。♠大事件[だいじけん]といっても、遠[とお]いところの出来事[できごと]であり、現在[げんざい]の自分[じぶん]の生活[せいかつ]にはなんら影響[えいきょう]がありません。♠諸君[しょくん]は、なんら心配[しんぱい]することはないから、あまり騒[さわ]がないように。♠いくら調[しら]べても、なんら疑[うたが]わしいところは出[で]てこなかった。♠前[まえ]から危険[きけん]が叫[さけ]ばれていたのに、事故[じこ]が起[お]こるまで、なんら打[う]つ手[て]を持[も]たなかったとは。 <823> **に【二】** ○数字[すうじ]の2。ふたつ。二番目[にばんめ]。同一[どういつ]でないこと。[文例]〈一[いち]も二[に]もなく〉彼[かれ]に相談[そうだん]をもちかけると、一[いち]も二[に]もなく、承知[しょうち]したという答[こた]えが返[かえ]ってきた。♠一[いち]にも二[に]にも>外国語[がいこくご]の学習[がくしゅう]は一[いち]にも二[に]にも忍耐[にんたい]だ、と言[い]った人[ひと]がいる。♠〈一姫[いちひめ]二太郎[にたろう]〉一姫二太郎[いちひめにたろう]といって、一人[ひとり]目[め]は女[おんな]の子[こ]のほうが育[そだ]てやすいそうだ。♠〈二[に]の次[つぎ]〉サッカー部[ぶ]に入[はい]ったぼくは、すっかり夢中[むちゅう]になり、勉強[べんきょう]は二[に]の次[つぎ]になってしまった。♠二[に]の舞[まい]〉この前[まえ]の失敗[しっぱい]の二[に]の舞[まい]を演[えん]じないよう、心[こころ]してかかりなさい。♠二[に]の足[あし]>家[いえ]の増築[ぞうちく]にはお金[かね]がかかりすぎるので、父[ちち]は二[に]の足[あし]をふんでいる。♠二[に]の句[く]〉平然[へいぜん]とうそをつく少年[しょうねん]に、あきれて二[に]の句[く]がつげなかった。 **に【荷】** ○荷物[にもつ]。負担[ふたん]。責任[せきにん]。[文例]〈荷[に]を下[お]ろす〉港[みなと]で、大[おお]きな船[ふね]からクレーンで荷[に]を下[お]ろしているところを見[み]たことがある。♠〈荷[に]をつける〉ロバの背[せ]に荷[に]を付[つ]けて、旅人[たびびと]はのんびりと歩[ある]いていった。♠〈荷[に]を送[おく]る〉姉[あね]がお嫁[よめ]に行[い]くので、今日[きょう]はたんすやら冷蔵庫[れいぞうこ]やらの荷[に]を嫁ぎ先[とつぎさき]に送[おく]りました。♠〈荷[に]を負[お]う〉船[ふね]に向[む]かって、重[おも]い荷[に]を負[お]った人々[ひとびと]の列[れつ]が長[なが]く続[つづ]いている。♠荷[に]が重[おも]い>荷[に]が重[おも]すぎるのではと不安[ふあん]もあったが、とにかくやってみようと、クラブの部長[ぶちょう]を引[ひ]き受[う]けた。♠〈荷[に]が勝[か]つ>生徒会[せいとかい]長[ちょう]の役[やく]は、ぼくなんかには荷[に]が勝[か]ちすぎてとても無理[むり]です。♠〈肩[かた]の荷[に]が下[お]りる〉息子[むすこ]も一人前[いちにんまえ]になったし、娘[むすめ]も嫁[とつ]に行[い]ったし、ようやく肩[かた]の荷[に]が下[お]りました。 **にあい【似合い】** ○似合[にあ]っていること。つり合[あ]っていること。[文例]〈似合[にあ]いの夫婦[ふうふ]〉兄[にい]さんと恋人[こいびと]の京子[きょうこ]さん、お似合[にあ]いの夫婦[ふうふ]になりそうね。♠〈似合[にあ]いの仕事[しごと]>部長[ぶちょう]は、この程度[ていど]がぼくに似合[にあ]いの仕事[しごと]だと思[おも]っているのさ。 **にあ・う【似合う】** ○つり合[あ]う。調和[ちょうわ]する。ぴったりする。[文例]太宰治[だざいおさむ]は、「富士[ふじ]には月見草[つきみそう]がよく似合[にあ]う。」と書[か]いた。♠〈セーターに似合[にあ]う〉セーターを買[か]ってもらったけれど、それに似合[にあ]うスカートがない。♠〈和服[わふく]が似合[にあ]う〉和服[わふく]の似合[にあ]う女[おんな]の人[ひと]って、すてきだな。♠〈似合[にあ]う服装[ふくそう]〉「馬子[まご]にも衣装[いしょう]」っていうけど、よく似合[にあ]う服装[ふくそう]をすると、どんな人[ひと]でも引[ひ]き立[た]つから不思議[ふしぎ]だ。♠〈年[とし]に似合[にあ]わず〉あのおばさんは、年[とし]に似合[にあ]わずはでな格好[かっこう]をしている。♠きみって、中学生[ちゅうがくせい]に似合[にあ]わず、ずいぶん物知[ものし]りなんだねえ。 **にあわし・い【似合わしい】** ○ふさわしい。似[に]つかわしい。[文例]その部屋[へや]は、彼女[かのじょ]に似合[にあ]わしく、質素[しっそ]ではあるがこざっぱりと片付[かたづ]いていた。♠〈似合[にあ]わしからぬ〉どうしたんだい。いつも強気[つよき]のきみには似合[にあ]わしからぬ弱気[よわき]な発言[はつげん]じゃないか。 **にえきらな・い【煮え切らない】** ○態度[たいど]が決[き]まらず、ぐずぐずしている。[文例]〈煮[に]え切[き]らない返事[へんじ]〉彼[かれ]がぐずぐずと煮[に]え切[き]らない返事[へんじ]をするので、短気[たんき]のわたしはかっとなってしまった。♠〈煮[に]え切[き]らない態度[たいど]〉そんな煮[に]え切[き]らない態度[たいど]では相手[あいて]の方[ほう]に迷惑[めいわく]ですよ。 **にえくりかえ・る【煮え繰り返る】** ○沸騰[ふっとう]する。非常[ひじょう]に腹[はら]が立[た]つ。煮[に]え返[かえ]る。[文例]〈湯[ゆ]が煮[に]え繰[く]り返[かえ]る〉こんろの上[うえ]では、湯[ゆ]が煮[に]え繰[く]り返[かえ]っていた。♠〈はらわたが煮[に]え繰[く]り返[かえ]る>仲間[なかま]に裏切[うらぎ]られたと知[し]ったときは、はらわたが煮[に]え繰[く]り返[かえ]る思[おも]いだった。 **にえたぎ・る【煮えたぎる】** (煮え滾る)○沸騰[ふっとう]する。[文例]〈湯[ゆ]が煮[に]えたぎる〉ぐらぐらと煮[に]えたぎった湯[ゆ]の中[なか]に、材料[ざいりょう]を一気[いっき]に入[い]れてかきまわします。♠〈やかんが煮[に]えたぎる〉ストーブの上[うえ]で煮[に]えたぎるやかんの音[おと]を聞[き]きながら、わたしは本[ほん]を読[よ]んでいました。 **にえゆ【煮え湯】** ○沸[わ]き立[た]っている湯[ゆ]。熱湯[ねっとう]。[文例]〈煮[に]え湯[ゆ]をかぶる〉ストーブの上[うえ]のやかんが倒[たお]れ、あやうく煮[に]え湯[ゆ]をかぶるところだった。♠〈煮[に]え湯[ゆ]を飲[の]まされる〉相手[あいて]を信用[しんよう]して力[ちから]を貸[か]してやったのに、あとで煮[に]え湯[ゆ]を飲[の]まされるはめになった。 **に・える【煮える】** ○水[みず]などを加[くわ]えて加熱[かねつ]した物[もの]に火[ひ]が通[とお]り、食[た]べられるようになる。湯[ゆ]が沸[わ]く。[文例]〈物[もの]が煮[に]える〉材料[ざいりょう]が煮[に]えてきたら、お砂糖[さとう]としょうゆで味[あじ]を付[つ]けます。♠〈柔[やわ]らかく煮[に]える〉もうそろそろ豆[まめ]が柔[やわ]らかく煮[に]えたころだろう。♠〈なべが煮[に]える〉台所[だいどころ]でおなべがぐらぐら煮[に]えている。♠〈煮[に]えた湯[ゆ]>やかんの煮[に]えた湯[ゆ]には、特[とく]に注意[ちゅうい]なさい。♠<煮[に]え返[かえ]る〉みなにばかにされるたび、ぼくはくやしさで腹[はら]わたが煮[に]え返[かえ]るようだった。 **におい(匂い・臭い)** ○かおり。香気[こうき]。臭気[しゅうき]。雰囲気[ふんいき]。刀[かたな]の刃[は]にほんのり浮[う]き出[で]る模様[もよう]。ぼかし。照[て]り映[は]えること。[文例]〈花[はな]のにおい〉〈においをかぐ〉その花[はな]のにおいをかいでみると、甘[あま]い、とてもよいかおりがしました。♠〈山[やま]のにおい〉〈においを運[はこ]ぶ>色[いろ]づいた山[やま]のにおいを、秋風[あきかぜ]が運[はこ]んでくる。♠〈においが流[なが]れる〉台所[だいどころ]から、カレーのにおいが流[なが]れてくる。♠〈太陽[たいよう]のにおい〉〈においがする〉日[ひ]に干[ほ]してふかふかになった布団[ふとん]は、太陽[たいよう]のにおいがして気持[きも]ちがいい。♠〈汗[あせ]くさいにおいがする〉兄[あに]は、汗[あせ]くさいにおいをぷんぷんさせて山登[やまのぼ]りから帰[かえ]って来[き]た。♠〈においが立[た]つ〉鉄[てつ]を載[の]る匂[にお]ひなまなまと立[た]つ夕[ゆう]べ心疲[こころつか]れて運河[うんが]に出[い]でぬ(近藤芳美[こんどうよしみ])♠〈においが立[た]ちこめる〉山[やま]に囲[かこ]まれた小[ちい]さな温泉郷[おんせんきょう]に着[つ]くと、辺[あた]り一帯[いったい]に硫黄[いおう]のにおいが立[た]ちこめていた。♠〈においがただよう〉干[ほ]し草[くさ]のにおいのただよう小屋[こや]の中[なか]で、一夜[いちや]を過[す]ごした。♠〈においがしみつく〉医者[いしゃ]である父[ちち]の体[からだ]には、消毒薬[しょうどくやく]のにおいがしみついている。♠〈においに包[つつ]まれる〉花[はな]のにおいに包[つつ]まれて、うっとりとした気分[きぶん]になりました。♠〈においがこもる〉病人[びょうにん]の布団[ふとん]には、熱[ねつ]臭[くさ]いにおいがこもっていた。♠〈においが消[き]える〉お客[きゃく]さんが来[く]るというのに、魚[さかな]を焼[や]いたにおいがなかなか消[き]えない。♠〈においが強[つよ]い〉バーボンウイスキーは、においが強[つよ]いのであまり好[す]きではない。♠〈生活[せいかつ]のにおい〉この歌人[かじん]の作品[さくひん]は、生活[せいかつ]のにおいの感[かん]じられるものが多[おお]い。♠<犯罪[はんざい]のにおいとこの事件[じけん]には、どうも犯罪[はんざい]のにおいがする。 **におう【仁王・二王】** ○仏法[ぶっぽう]の守護神[しゅごしん]として寺[てら]の門[もん]の両[りょう]わきに置[お]く一対[いっつい]の金剛力士[こんごうりきし]。[文例]その寺[てら]の門[もん]の左右[さゆう]には、大[おお]きな仁王[におう]さまがこわい顔[かお]をして立[た]っています。♠仁王立[におうだ] **に** <824> ち〉遅刻[ちこく]をして学校[がっこう]にかけこむと、先生[せんせい]が玄関[げんかん]に仁王立[におうだ]ちになっていた。 **にお・う(匂う・臭う)** ○においがする。かおりがする。それらしい感[かん]じがする。美[うつく]しく照[て]り映[は]える。[文例]〈果物[くだもの]がにおう〉とりたてのみかんって、こんなににおうものなんですね、わたしはレモンかと思[おも]いましたよ。♠〈花[はな]がにおう〉どこかの家[いえ]の庭[にわ]から白[しろ]いくちなしの花[はな]がにおってきた。♠〈若葉[わかば]がにおう>青葉[あおば]若葉[わかば]のにおう五月[ごがつ]、この月[つき]は、一年[いちねん]じゅうでもっともさわやかな時期[じき]です。♠〈煙[けむり]がにおう〉工場[こうじょう]の煙突[えんとつ]からはき出[だ]される煙[けむり]がひどくにおう。♠〈ガスがにおう〉ん、におうぞ、どこかガスがもれているんじゃないのか。♠〈におうばかりの美[うつく]しさ〉夫人[ふじん]のにおうばかりの美[うつく]しさに、しばらく目[め]を奪[うば]われていた。♠どうもにおうぞ、さっきのいたずらはきみのしわざだな。 **におわ・す(匂わす・臭わす)** ○においをさせる。ほのめかす。におわせる。[文例]〈香水[こうすい]をにおわす>香水[こうすい]のいいかおりをにおわした女[おんな]の人[ひと]とすれちがいました。♠〈退陣[たいじん]をにおわす〉記者会見[きしゃかいけん]で、首脳陣[しゅのうじん]が退陣[たいじん]をにおわす発言[はつげん]をした。 **にが・い【苦い】** ○顔[かお]をしかめるような不快[ふかい]な味[あじ]だ。不快[ふかい]だ。つらい。[文例]<苦[にが]い味[あじ]>食[た]べてみたら、まだ熟[じゅく]していなかったのか、苦[にが]い味[あじ]がした。♠〈苦[にが]いお茶[ちゃ]〉ちょっといれ過[す]ぎて、お茶[ちゃ]が苦[にが]くなってしまいました。♠〈苦[にが]いコーヒー>父[ちち]は、砂糖[さとう]の入[はい]らない苦[にが]いコーヒーを好[この]みます。♠〈苦[にが]い薬[くすり]>おばあちゃんが作[つく]ってくれる煎[せん]じ薬[ぐすり]は、苦[にが]くてとても飲[の]めない。♠〈良薬[りょうやく]は口[くち]に苦[にが]し〉「良薬[りょうやく]は口[くち]に苦[にが]し」とは、人[ひと]の忠告[ちゅうこく]は聞[き]きづらいが、身[み]のためになるということのたとえです。♠〈苦[にが]い顔[かお]〉あたいたちが汚[きたな]い言葉[ことば]を使[つか]うたんび、あいつは苦[にが]い顔[かお]をして目[め]をそむけるんだ。♠〈苦[にが]い思[おも]い〉いつもびりだったぼくは、運動会[うんどうかい]のたびに苦[にが]い思[おも]いをかみしめてきた。♠〈苦[にが]い経験[けいけん]>楽[たの]しい思[おも]いや苦[にが]い経験[けいけん]をしながら、少[すこ]しずつ大人[おとな]になっていきます。♠〈ほろ苦[にが]い〉中学[ちゅうがく]時代[じだい]といえば、淡[あわ]い初恋[はつこい]の、懐[なつ]かしくもほろ苦[にが]い思[おも]い出[で]がある。 **にがおえ【似顔絵】** ○その人[ひと]の顔[かお]に似[に]せてかいた絵[え]。[文例]〈似顔絵[にがおえ]をかく>授業[じゅぎょう]中[ちゅう]退屈[たいくつ]だったので、ノートの端[はし]に先生[せんせい]の似顔絵[にがおえ]をかいてみた。♠〈似顔絵[にがおえ]をかく〉街角[まちかど]の絵[え]かきさんに、似顔絵[にがおえ]をかいてもらいました。 **にが・す【逃がす】** ○逃[に]げさせる。放[はな]す。のがす。[文例]〈生[い]き物[もの]を逃[にが]す〉せっかくつかまえたチョウだが、かわいそうになって逃[にが]してやった。♠〈犯人[はんにん]を逃[にが]す〉逃[にが]すな!あいつが犯人[はんにん]だ。♠〈機会[きかい]を逃[にが]す〉この機会[きかい]を逃[にが]すと、次[つぎ]まで三年[さんねん]も待[ま]たなくてはならなくなる。♠〈チャンスを逃[にが]す〉チャンスはめったにめぐってくるものではないから、決[けっ]して逃[にが]してはいけないよ。♠〈逃[にが]した魚[さかな]は大[おお]きい〉「逃[にが]した魚[さかな]は大[おお]きい」というように、手[て]に入[い]れかけところで失[うしな]ったものは、いちだんと惜[お]しいものだ。 **にがて【苦手】** ○扱[あつか]いにくい相手[あいて]。扱[あつか]いにくいもの。不得手[ふえて]。[文例]〈数学[すうがく]が苦手[にがて]〉わたしは国語[こくご]や音楽[おんがく]は得意[とくい]ですが、数学[すうがく]はどうも苦手[にがて]です。♠〈熱[あつ]い物[もの]が苦手[にがて]〉わたしはねこじたで、熱[あつ]い食[た]べ物[もの]や飲[の]み物[もの]は苦手[にがて]なんです。♠〈写真[しゃしん]が苦手[にがて]〉はずかしがり屋[や]の弟[おとうと]は、写真[しゃしん]が苦手[にがて]で、みんなで撮[と]るときでもどこかへかくれてしまう。♠〈人[ひと]が苦手[にがて]〉ぼくはどうも、真面目[まじめ]過[す]ぎる人[ひと]は苦手[にがて]でね。♠〈苦手[にがて]とする〉スポーツは何[なん]でもござれの彼[かれ]だが、体[からだ]が小[ちい]さいので、相撲[すもう]を苦手[にがて]としている。♠〈苦手[にがて]意識[いしき]〉どんな科目[かもく]にも苦手[にがて]意識[いしき]をもつのは、大変[たいへん]損[そん]なことだと思[おも]う。 **にがにがし・い【苦苦しい】** ○非常[ひじょう]に不愉快[ふゆかい]である。[文例]〈苦々[にがにが]しい思[おも]い>自分[じぶん]の力[ちから]が正当[せいとう]に評価[ひょうか]されず、苦々[にがにが]しい思[おも]いを味[あじ]わっています。♠〈苦々[にがにが]しく受[う]け止[と]める〉姉[あね]に関[かん]するうわさを、当[あ]たっているだけに否定[ひてい]もできず、ただ苦々[にがにが]しく受[う]けとめていた。 **にがみ【苦み】** ○苦[にが]い味[あじ]。顔[かお]つきが渋[しぶ]く、ひきしまっていること。[文例]〈苦[にが]みがある〉一般[いっぱん]に煎[せん]じ薬[ぐすり]には苦[にが]みがあることが多[おお]く、子供[こども]はなかなか飲[の]みたがりません。♠〈苦[にが]みがきく〉カウンターの中[なか]の青年[せいねん]は、若[わか]いに似合[にあ]わず苦[にが]みのきいた、渋[しぶ]い男[おとこ]だった。♠〈苦[にが]み走[ばし]る〉ほう、苦[にが]み走[ばし]ったいい男[おとこ]だね。 **にがむし【苦虫】** ○かむと苦[にが]い虫[むし]。[文例]〈苦虫[にがむし]をかみつぶす〉気[き]むずかしくてがんこなおじさんは、いつも苦虫[にがむし]をかみつぶしたように、ぶぜんとした表情[ひょうじょう]をしています。 **にかよ・う【似通う】** ○互[たが]いによく似[に]ている。[文例]〈意味[いみ]が似通[にかよ]う>熟語[じゅくご]には、「温暖[おんだん]・寒冷[かんれい]・河川[かせん]・海洋[かいよう]」などのように似通[にかよ]った意味[いみ]の文字[もじ]が重[かさ]なっているものがあります。♠読[よ]みが似通[にかよ]う>ごろ合[あ]わせは、読[よ]みの似通[にかよ]った別[べつ]の語[ご]を当[あ]てて、しゃれを楽[たの]しんだものです。♠形[かたち]・性質[せいしつ]が似通[にかよ]う〉同[おな]じ種類[しゅるい]に属[ぞく]するものは、形[かたち]や性質[せいしつ]などが似通[にかよ]っています。♠〈性格[せいかく]が似通[にかよ]う「類[るい]は友[とも]を呼[よ]ぶ」というが、ぼくの友達[ともだち]はみな、どこか性格[せいかく]に似通[にかよ]ったところがある。♠好[この]み・考[かんが]え方[かた]が似通[にかよ]う〉兄[あに]とぼくとは、兄弟[きょうだい]とはいえ、性格[せいかく]も反対[はんたい]で、好[この]みや考[かんが]え方[かた]もまるで似通[にかよ]ったところがない。 **にがりき・る【苦り切る】** ○非常[ひじょう]に不愉快[ふゆかい]そうな表情[ひょうじょう]・態度[たいど]をする。[文例]〈苦[にが]り切[き]った表情[ひょうじょう]>反対[はんたい]意見[いけん]が多数[たすう]を占[し]めたので、提案者[ていあんしゃ]は苦[にが]り切[き]った表情[ひょうじょう]をしている。♠苦[にが]り切[き]った顔[かお]>昨日[きのう]と同[おな]じミスで試合[しあい]に負[ま]けただけに、監督[かんとく]は苦[にが]り切[き]った顔[かお]で何[なに]も話[はな]さなかった。 **にがわらい【苦笑い】** ○不愉快[ふゆかい]な気持[きも]ちをおさえて無理[むり]に笑[わら]うこと。また、その笑[わら]い。くしょう。[文例]〈苦笑[にがわら]いを浮[う]かべる〉子[こ]どもに痛[いた]いところをつかれた父親[ちちおや]は、苦笑[にがわら]いを浮[う]かべただけで何[なに]も言[い]えなかった。♠〈苦笑[にがわら]いをする〉先生[せんせい]の癖[くせ]をまねていると、その先生[せんせい]が後[うし]ろで苦笑[にがわら]いをして立[た]っていた。♠〈苦笑[にがわら]いする〉どなりつけてやりたいところだったが、人前[ひとまえ]なので苦笑[にがわら]いして立[た]ち去[さ]った。 **にぎやか(賑やか)** ○人[ひと]が多[おお]く活発[かっぱつ]なさま。騒[さわ]がしいさま。陽気[ようき]なさま。[例]〈にぎやかな町[まち]〉汽車[きしゃ]が長[なが]い山脈[さんみゃく]を越[こ]えると、やがて眼下[がんか]ににぎやかな町[まち]が見[み]えてきた。♠家[いえ]がにぎやか>夏休[なつやす]みに入[はい]り、親類[しんるい]の子供[こども]たちがやって来[く]ると、家[いえ]はたちまちにぎやかになる。♠にぎやかに鳴[な]く〉夜[よる]になると、まわりのたんぼで、カエルたちがにぎやかに鳴[な]き出[だ]します。♠〈にぎやかに聞[き]こえる〉近[ちか]くの広場[ひろば]から、盆踊[ぼんおど]りの歌声[うたごえ]がにぎやかに聞[き]こえて来[き]ます。♠〈にぎやかな声[こえ]>静[しず]かな **こ** <825> 車内[しゃない]に、女学生[じょがくせい]たちのにぎやかな声[こえ]がわきあがった。♠〈にぎやかな人[ひと]〉おじさんは無口[むくち]な人[ひと]ですが、おばさんはとても陽気[ようき]でにぎやかな人[ひと]です。 **にぎり【握り】** ○握[にぎ]ること。握[にぎ]る部分[ぶぶん]。にぎり飯[めし]。にぎりずし。[文例]ヘラケットの握[にぎ]り〉ラケットの握[にぎ]りが弱[よわ]いと、ボールが当[あ]たった瞬間[しゅんかん]ラケットがぶれて正確[せいかく]な球[たま]を返[かえ]せません。♠〈おにぎり>遠足[えんそく]の朝[あさ]、お母[かあ]さんは中[なか]に梅干[うめぼ]しやたらこの入[はい]ったおにぎりを作[つく]ってくれました。♠〈すしのにぎり〉すし屋[や]に入[はい]ると、おじさんは慣[な]れた口調[くちょう]でにぎりを頼[たの]んだ。 **にぎりし・める【握り締める】** (握り緊める)○強[つよ]く握[にぎ]る。しっかり握[にぎ]って離[はな]さない。[文例]〈手[て]を握[にぎ]り締[し]める〉戦場[せんじょう]へ向[む]かう若[わか]い父[ちち]は、妻[つま]と幼子[おさなご]の手[て]を握[にぎ]り締[し]めて離[はな]そうとしなかった。♠〈手[て]の中[なか]に握[にぎ]り締[し]める〉妹[いもうと]は、拾[ひろ]ったきれいな貝殻[かいがら]を宝物[たからもの]のように手[て]の中[なか]に握[にぎ]り締[し]めて帰[かえ]って来[き]た。♠〈こぶしを握[にぎ]り締[し]める〉むしょうに腹[はら]が立[た]ったぼくは、なぐりかかりそうになったが、こぶしを握[にぎ]り締[し]めてぐっと我慢[がまん]した。 **にぎりつぶ・す【握りつぶす】** (握り潰す)○力[ちから]を入[い]れて握[にぎ]ってつぶす。そのまま放置[ほうち]してうやむやにする。[文例]〈卵[たまご]を握[にぎ]りつぶす〉わたしは力加減[ちからかげん]がわからず、手[て]の中[なか]の卵[たまご]を握[にぎ]りつぶしてしまった。♠〈要求[ようきゅう]を握[にぎ]りつぶす〉部長[ぶちょう]は、我々[われわれ]の要求[ようきゅう]を会議[かいぎ]にもかけず、そのまま握[にぎ]りつぶしてしまった。 **にぎ・る【握る】** ○手[て]の指[ゆび]全部[ぜんぶ]を内側[うちがわ]に折[お]り曲[ま]げる。物[もの]をつかむ。自分[じぶん]のものにする。(人[ひと]の心[こころ]・弱点[じゃくてん]などを)つかむ。にぎり飯[めし]・にぎりずしを作[つく]る。[文例]〈物[もの]を握[にぎ]る〉指先[ゆびさき]にある指紋[しもん]は、物[もの]を握[にぎ]るときに大変[たいへん]役立[やくだ]っているのです。♠ヘハンドルを握[にぎ]る>自転車[じてんしゃ]はいつも乗[の]っているが、まだ自動車[じどうしゃ]のハンドルは握[にぎ]ったことがない。♠ヘロープを握[にぎ]る〉今[いま]からロープを下[お]ろすから、それをしっかり握[にぎ]って登[のぼ]ってくるんだ。♠〈手[て]を握[にぎ]る〉またいつか、必[かなら]ず会[あ]おうと、手[て]を握[にぎ]り合[あ]って別[わか]れた。♠<絵筆[えふで]を握[にぎ]る〉四十[よんじゅう]年[ねん]も絵筆[えふで]を握[にぎ]ってきたが、まだまだ芸術[げいじゅつ]の道[みち]は遠[とお]い。♠〈すしを握[にぎ]る〉おすし屋[や]のおじさんは、実[じつ]に巧[たく]みな手[て]さばきですしを握[にぎ]ります。♠〈こぶしを握[にぎ]る>彼[かれ]はくやしそうにくちびるをかみしめ、こぶしを握[にぎ]っていた。♠〈手[て]に汗[あせ]を握[にぎ]る〉サーカスの綱渡[つなわ]りや空中[くうちゅう]ブランコは、いつ見[み]ても、手[て]に汗[あせ]を握[にぎ]るスリルがある。♠〈実権[じっけん]を握[にぎ]る>母[はは]は、父[ちち]を上手[じょうず]にひき立[た]てながら、しっかりとわが家[や]の実権[じっけん]を握[にぎ]っているようだ。♠〈かぎを握[にぎ]る>この問題[もんだい]を解決[かいけつ]するかぎを握[にぎ]るのは、特定[とくてい]の選[えら]ばれた人[ひと]ではなく、国民[こくみん]一人[ひとり]一人[ひとり]です。♠〈弱[よわ]みを握[にぎ]る〉人[ひと]の弱[よわ]みを握[にぎ]って無理難題[むりなんだい]を押[お]しつけるなんてひきょうじゃないか。♠〈一[ひと]にぎり〉ほんの一[ひと]にぎりの人間[にんげん]がその町[まち]を牛耳[ぎゅうじ]っていた。 **にぎわい(賑わい)** ○にぎわうこと。↓にぎわう[文例]〈にぎわいを見[み]せる〉暮[く]れの市場[いちば]は、正月[しょうがつ]用品[ようひん]の買[か]い出[だ]しの人々[ひとびと]でたいへんなにぎわいを見[み]せている。♠〈枯[か]れ木[き]も山[やま]のにぎわい〉最近[さいきん]頭[あたま]の薄[うす]くなってきたわたしは、枯[か]れ木[き]も山[やま]のにぎわいと、白髪[しらが]も大切[たいせつ]にしています。 **にぎわ・う(賑わう)** ○人出[ひとで]が多[おお]くにぎやかになる。繁栄[はんえい]する。[文例]〈客[きゃく]でにぎわう〉シーズンになると、山[やま]のゲレンデは多[おお]くのスキー客[きゃく]でにぎわう。♠〈人[ひと]でにぎわう〉毎月[まいつき]の縁日[えんにち]には、お宮[みや]はお参[まい]りの人[ひと]でにぎわいます。♠〈祭[まつ]りでぎわう〉このお祭[まつ]りの日[ひ]は、村[むら]が一年[いちねん]じゅうでいちばんにぎわう日[ひ]だ。♠〈山[やま]がにぎわう〉春[はる]は桜[さくら]、秋[あき]には紅葉[もみじ]で、山[やま]はにぎわう。♠〈港[みなと]がにぎわう〉港[みなと]は、大漁[たいりょう]の漁船[ぎょせん]が一日[いちにち]じゅう活発[かっぱつ]に出入[でい]りしてにぎわっていた。♠〈店[みせ]がにぎわう〉あの店[みせ]は安[やす]いと評判[ひょうばん]で、いつも朝[あさ]からにぎわっています。♠市場[いちば]がにぎわう〉年[とし]の暮[く]れで、市場[いちば]は大変[たいへん]ににぎわっています。 **にぎわ・す(賑わす)** ○にぎやかにする。盛[さか]んにする。にぎわわす。[文例]〈商店街[しょうてんがい]をにぎわす〉歳末[さいまつ]大売[おおウ]り出[だ]しで多[おお]くの人[ひと]が商店街[しょうてんがい]をにぎわしている。♠〈食膳[しょくぜん]をにぎわす〉海辺[うみべ]の宿[やど]だけあって、海[うみ]の幸[さち]が食膳[しょくぜん]をにぎわしていた。♠〈新聞[しんぶん]をにぎわす〉花[はな]のたよりが都下[とか]の新聞[しんぶん]を賑[にぎ]し始[はじ]めた一週間[いっしゅうかん]の後[のち]になっても、Hさんからは何[なん]の沙汰[さた]もなかった。(夏目漱石[なつめそうせき]「行人[こうじん]」) **にく【肉】** ○動物[どうぶつ]の体[からだ]の骨組[ほねぐ]みを包[つつ]む柔[やわ]らかい部分[ぶぶん]。筋肉[きんにく]。また、食用[しょくよう]にするその部分[ぶぶん]。果実[かじつ]などの柔[やわ]らかい部分[ぶぶん]。肉体[にくたい]。物[もの]の厚[あつ]い部分[ぶぶん]。骨組[ほねぐ]みに付加[ふか]するもの。厚[あつ]み。印肉[いんにく]。[文例]〈魚[さかな]や肉[にく]>魚[さかな]や肉[にく]を遠方[えんぽう]に運[はこ]ぶ時[とき]は、冷凍車[れいとうしゃ]を使[つか]います。♠〈肉[にく]を食[た]べる〉トラは、鋭[するど]い歯[は]とつめで獲物[えもの]の肉[にく]をちぎって食[た]べる。♠〈肉[にく]のやわらかいメロン〉よく熟[じゅく]して、肉[にく]のやわらかくなったメロンの味[あじ]は格別[かくべつ]です。♠〈肉[にく]がしまる〉スポーツで鍛[きた]えたその体[からだ]は、しっかりと肉[にく]がしまっていた。♠〈肉[にく]が落[お]ちる〉長[なが]い入院[にゅういん]生活[せいかつ]で、体[からだ]じゅうの肉[にく]がすっかり落[お]ちてしまった。♠〈血[ち]わき肉[にく]躍[おど]る〉今日[きょう]の映画[えいが]は、久[ひさ]しぶりの血[ち]わき肉[にく]躍[おど]る冒険[ぼうけん]物語[ものがたり]で、見[み]ごたえがあった。♠〈肉[にく]の厚[あつ]い肩[かた]〉力士[りきし]の肉[にく]の厚[あつ]い肩[かた]にふれてみたら、とても固[かた]かった。♠肉[にく]の太[ふと]い字[じ]>彼[かれ]は、肉[にく]の太[ふと]い、なかなかしっかりした字[じ]を書[か]きます。♠〈肉[にく]を付[つ]ける〉書[か]こうとすることの骨組[ほねぐ]みが出[で]来[き]たら、今度[こんど]はそれに肉[にく]を付[つ]けて、より豊[ゆた]かな文章[ぶんしょう]を完成[かんせい]させます。♠〈はんこと肉[にく]〉すみませんが、はんこと、それから肉[にく]も貸[か]してください。 **にくい【憎い】** ○気[き]にくわなくてしゃくにさわる感[かん]じだ。感心[かんしん]だ。みごとだ。[文例]〈人[ひと]が憎[にく]い〉わたしはなぜかその時[とき]、たまらなくその少女[しょうじょ]が憎[にく]かった。♠〈憎[にく]いやつ〉このタヌキだな、毎晩[まいばん]わしの畑[はたけ]を荒[あ]らしにやってくる憎[にく]いやつは。♠〈憎[にく]い戦争[せんそう]〉わたしは、あの憎[にく]い戦争[せんそう]で、父[ちち]と兄[あに]を失[うしな]いました。♠〈憎[にく]いことを言[い]う〉それはいい、きみ、なかなか憎[にく]いことを言[い]うねえ。♠〈憎[にく]からず思[おも]う〉彼女[かのじょ]はきみのことを憎[にく]からず思[おも]っているようだから、きっとうまくいくよ。♠〈心憎[こころにく]い〉亡[な]くなったおかみさんは、心憎[こころにく]いまでによく出来[でき]たお方[かた]だったねえ。 **にくかん【肉感】** ↓にっかん **にくがん【肉眼】** ○眼鏡[めがね]・望遠鏡[ぼうえんきょう]などを使[つか]わないそのままの目[め]。また、その時[とき]の視力[しりょく]。[文例]〈肉眼[にくがん]で見[み]える〉肉眼[にくがん]で見[み]える星[ほし]は、宇宙[うちゅう]に存在[そんざい]する星[ほし]のうちのごく一部[いちぶ]です。♠〈肉眼[にくがん]でとらえる〉顕微鏡[けんびきょう]を使[つか]えば、肉眼[にくがん]でとらえることのできない非常[ひじょう]に小[ちい]さなものも見[み]ることができる。 **にくしみ【憎しみ】** ○憎[にく]いと思[おも]う気持[きも]ち。[文例]〈憎[にく]しみの **に** <826> 念>少年は、弟だけをかわいがるおばあさんに対し、憎しみ[にくしみ]の念[ねん]を抱[いだ]いた。♠[文例]〈憎しみの目〉無実[むじつ]の罪[つみ]を着せられ、長い年月[ねんげつ]、周囲[しゅうい]の憎しみの目に苦しめられて生きてきたのだった。♠〈憎しみが消える〉一生懸命[いっしょうけんめい]謝[あやま]る男を前[まえ]にして、しだいに彼[かれ]に対[たい]する憎しみが消えていくのを感[かん]じていた。♠〈憎しみを受ける〉人[ひと]を憎むのもいやだが、人から憎しみを受けるのもつらい。♠〈〜に対する憎しみ〉わたしは、犯人[はんにん]に対する憎しみで胸[むね]がはりさけそうだった。♠〈戦争[せんそう]への憎しみ〉作者[さくしゃ]は、この作品[さくひん]で戦争への憎しみを説[と]き、平和[へいわ]な自然[しぜん]と人間[にんげん]への愛[あい]を歌[うた]い上[あ]げている。♠〈民族間[みんぞくかん]の憎しみ〉〈憎しみを生む〉習慣[しゅうかん]の違[ちが]い、宗教[しゅうきょう]の違[ちが]いなどが、民族間の対立[たいりつ]、憎しみを生んでいるようです。♠〈愛と憎しみ〉その人への愛が強ければ強いほど、いったん憎いと思[おも]い出[だ]すと、憎しみも強くなるようです。 **にくしょく【肉食】** ○人間が動物の肉を食物とすること。動物が他の動物を食物とすること。 [文例]肉食を禁止[きんし]する宗教[しゅうきょう]も多[おお]い。♠〈肉食動物〉草食動物[そうしょくどうぶつ]は、ライオンなどの肉食動物のえじきになります。 **にくしん【肉親】** ○親子[おやこ]・兄弟[きょうだい]など近[ちか]い血縁関係[けつえんかんけい]の人。 [文例]今年[ことし]も中国[ちゅうごく]から、幼[おさな]い時[とき]に別[わか]れた肉親をさがすため、多くの人が来日[らいにち]しました。♠〈肉親の情[じょう]〉肉親の情にほだされて、罪を犯[おか]した息子[むすこ]をかくまってしまいました。♠〈肉親の縁[えん]〉彼女[かのじょ]は小[ちい]さなころに両親[りょうしん]をなくし、兄弟とも生[い]き別[わか]れになった、肉親の縁の薄[うす]い人だった。 **にくせい【肉声】** ○機械[きかい]を通[とお]さないなまの声[こえ]。 [文例]最近[さいきん]のテープレコーダーは性能[せいのう]がよく、肉声に近[ちか]い音質[おんしつ]で再生[さいせい]できます。♠電話[でんわ]では何度[なんど]か話[はな]したことがあるが、直接[ちょくせつ]会[あ]って、肉声を聞[き]いたのは初[はじ]めてです。 **にくたい【肉体】** ○人間[にんげん]の体[からだ]。身体[しんたい]。 [文例]〈精神[せいしん]と肉体〉疲労[ひろう]が重[かさ]なると、精神も肉体もだんだんにまいってくる。♠〈肉体をむしばむ〉過酷[かこく]な労働[ろうどう]が彼[かれ]の肉体をむしばんでいった。♠〈健康[けんこう]な肉体〉スポーツは健康な肉体と精神を作[つく]りあげるためにあるのです。♠〈肉体美[にくたいび]〉古[ふる]くから、彫刻[ちょうこく]や絵[え]などで、肉体美をたたえた芸術作品[げいじゅつさくひん]は多い。♠〈肉体労働[にくたいろうどう]〉父は、長[なが]い間[あいだ]肉体労働をしてきたので、体[からだ]がとてもがっしりしています。 **にくたらし・い【憎たらしい】** ○ひどく憎[にく]らしい。 [文例]〈憎たらしいやつ〉知[し]っていながら知[し]らないそぶりとは、憎たらしいやつめ。♠〈憎たらしい顔[かお]〉家[いえ]に帰[かえ]ってからも、さっきけんかした憎たらしい彼[かれ]の顔が浮[う]かんできて眠[ねむ]れなかった。 **にくづき【肉付き】** ○体[からだ]の肉[にく]のつき方[かた]。太[ふと]り具合[ぐあい]。 [文例]〈肉付きがいい〉ふと気[き]がつくと、ふっくらと肉付きのいい女[おんな]が優[やさ]しそうな顔でほほえんでいる。 **にくづけ【肉付け】** ○肉[にく]を付[つ]けること。内容[ないよう]に厚[あつ]みを加[くわ]えること。 [文例]〈肉付けする〉頭[ず]がい骨[こつ]に肉付[にくづ]けして復元[ふくげん]したという古代人[こだいじん]の顔[かお]を博物館[はくぶつかん]で見[み]ました。♠〈肉付けする〉筋[すじ]はできているから、あとは人物[じんぶつ]の性格[せいかく]に肉付けして物語[ものがたり]を書[か]き上[あ]げます。 **にくにくし・い【憎憎しい】** ○かわいげがなく憎[にく]い。 [文例]〈憎憎しい態度[たいど]〉男[おとこ]は、憎憎しい態度で捨[す]てぜりふを残[のこ]し去[さ]っていった。 **にくはく【肉薄・肉迫】** ○身[み]をもって迫[せま]ること。間近[まぢか]に迫ること。詰[つ]め寄[よ]ること。 [文例]〈肉薄する〉そこを何[なん]とか、ひとつと、相手[あいて]は肉薄してきた。♠〈肉薄する〉一時[いちじ]は、相手チームに一点差[いってんさ]にまで肉薄された。 **にく・む【憎む】** ○憎[にく]く思[おも]う。嫌[きら]う。 [文例]〈人[ひと]を憎む〉新[あたら]しいおきさきは、白雪姫[しらゆきひめ]を憎み、殺[ころ]そうと考[かんが]えました。♠不正[ふせい]を憎む〉不正を憎む心[こころ]を失[うしな]ってはならない。♠〈憎む気持[きも]ち〉何[なん]でも自分[じぶん]よりよくできる兄[あに]に対[たい]して、憎む気持ちを持[も]ったこともあった。♠〈憎むべき〉戦争[せんそう]は憎むべき悪[あく]です。♠〈罪[つみ]を憎んで人[ひと]を憎まず〉「罪を憎んで人を憎まず」とは、犯[おか]した罪は憎むべきだが、罪を犯したその人は許[ゆる]してやるようにということです。♠〈憎み合[あ]う〉けんかをして憎み合っているより、お互[たが]いに許し合って仲直[なかなお]りしたほうがいい。 **にくらし・い【憎らしい】** ○憎[にく]く感[かん]じられる。憎いほど好[この]ましい。 [文例]ときには生意気[なまいき]で憎らしいと思うこともあるけれど、やっぱりかわいい妹[いもうと]だ。♠〈憎らしい害虫[がいちゅう]〉米[こめ]を主食[しゅしょく]にしている日本人[にほんじん]にとって、イネを食[く]い荒[あ]らすウンカやヨコバイは、憎らしい害虫だ。♠〈憎らしい人[ひと]〉わざわざ聞[き]こえよがしに人[ひと]の悪口[わるくち]を言[い]うなんて、なんて憎らしい人たちだろう。♠〈憎らしいほどよい〉亡[な]くなったここのご主人[しゅじん]は、本当[ほんとう]に憎らしいほどによく出来[でき]たお方[かた]だったねえ。♠〈憎らしいほどの美人[びじん]〉呉服屋[ごふくや]の娘[むすめ]さん、本当に、憎らしいほどの美人だねえ。♠憎らしいが、相手[あいて]チームの攻撃力[こうげきりょく]にはかなわない。 **にげ【逃げ】** ○逃[に]げること。 [文例]〈逃げの一手[いって]〉味方[みかた]は三人[さんにん]敵[てき]は十人[じゅうにん]、ここは逃げの一手だ。♠〈逃げの体勢[たいせい]〉四[よん]コーナーを先頭[せんとう]で回[まわ]った馬[うま]は、早[はや]くも逃げの体勢に入[はい]った。♠〈逃げを打つ〉「さあ掃除[そうじ]をしよう。」と、班長[はんちょう]の田中君[たなかくん]は逃げを打とうとしていたぼくたちにくぎをさしました。♠〈食[く]い逃げ〉どうもごちそうさま、食い逃げするようですが、これで失礼[しつれい]します。 **にげこうじょう【逃げ口上】** ○言[い]いのがれ。 [文例]〈逃げ口上を言[い]う〉都合[つごう]が悪[わる]いからと逃げ口上を言って、とにかくその場[ば]だけは逃げてきました。 **にげごし【逃げ腰】** ○逃[に]げようとする腰[こし]つきや態度[たいど]。 [文例]キリンにえさをやろうとしていますが、怖[こわ]くて手[て]だけのばして逃げ腰です。♠〈逃げ腰になる〉ぼくたち三人が取[と]り囲[かこ]むと、気[き]の弱[よわ]い彼[かれ]は逃げ腰になった。 **にげの・びる【逃げ延びる】** ○逃[に]げて安全[あんぜん]な所[ところ]へ行[い]く。 [文例]敗残兵[はいざんへい]たちは、命[いのち]からがら逃げ延びた。♠お前[まえ]はこれから思[おも]い切[き]って、此[こ]の土地[とち]を逃げ延びて、どうぞ都[みやこ]へ登[のぼ]っておくれ。(森鴎外[もりおうがい]「山椒大夫[さんしょうだゆう]」) **にげまど・う【逃げ惑う】** ○逃[に]げ場[ば]を求[もと]めてうろうろする。 [文例]人々[ひとびと]が戦火[せんか]の中[なか]を逃げ惑う様[さま]は、地獄絵[じごくえ]のようで脳裏[のうり]に焼[や]き付[つ]いて離[はな]れません。 **にげみち【逃げ道】** ○逃[に]げて行[い]く道[みち]。逃げる手段[しゅだん]。 [文例]〈逃げ道を失[うしな]う〉追[お]いつめられたねずみは、逃げ道を失うと、猫[ねこ] <827> にとびかかっていった。♠〈逃げ道をふさぐ〉勝[か]てるぞと思っていたのに、いつの間[ま]にか王将[おうしょう]の逃げ道がふさがれていた。♠〈逃げ道を作る〉火事[かじ]などの緊急事態[きんきゅうじたい]に備[そな]えて、建物[たてもの]には逃げ道を作っておく必要がある。♠〈逃げ道を断[た]つ〉犯人[はんにん]は、もう逃げ道を断たれて、袋[ふくろ]のねずみです。♠〈うまい逃げ道〉この責任[せきにん]を負[お]わずに済[す]む、うまい逃げ道はないものかな。 **に・げる【逃げる】** ○つかまらないようにのがれる。つかまえられた所[ところ]からのがれる。責任[せきにん]などからのがれる。追[お]い越[こ]されずに先頭[せんとう]を走[はし]る。 [文例]しっぽを捕[つか]まえると、トカゲはそれを切[き]り捨[す]てて、逃げてしまいます。♠〈犯人が逃げる〉犯人たちは、盗[ぬす]んだ車[くるま]で逃げているもようです。♠お金[かね]を貸[か]してくれないかと話[はなし]を持[も]ちかけてみたが、相手[あいて]にうまく逃げられてしまった。♠〈苦[くる]しみから逃げる〉苦しい時[とき]も、それから逃げようとせずに乗[の]り越[こ]えていこう。♠〈その場を逃げる〉学校[がっこう]の帰[かえ]り、友達[ともだち]に誘[さそ]われたが、急用[きゅうよう]があるからとごまかしてその場を逃げて来た。♠〈命からがら逃げる〉山道[やまみち]でイノシシにあい、荷物[にもつ]をほうり出[だ]して命からがら逃げて来た。♠〈我先[われさき]に逃げる〉どんな時でもお供[とも]しますと言ったはずの家来[けらい]たちは、大男[おおおとこ]の姿[すがた]を見[み]るや、みな我先に逃げ出した。♠〈逃げるが勝ち〉「逃げるが勝[か]ち」というように、逃げて相手に勝ちを譲[ゆず]ったほうが得[とく]な場合[ばあい]もある。 **にご・す【濁す】** ○濁[にご]らせる。うやむやにする。 [文例]〈水[みず]を濁す〉あまりえさを与[あた]え過[す]ぎて、水槽[すいそう]の水を濁すと、金魚[きんぎょ]が病気[びょうき]になってしまうよ。♠〈川[かわ]を濁す〉澄[す]んでいた川をどぶのように濁してしまったのは、川にゴミを捨[す]てたり、生活排水[せいかつはいすい]を流[なが]したりしたわたしたちです。♠〈心[こころ]を濁す〉どんな時にも心を濁さず、純粋[じゅんすい]な気持[きも]ちを持[も]ち続[つづ]けたこの少女[しょうじょ]は、とてもすばらしいと思[おも]う。♠〈言葉[ことば]を濁す〉どうしてなのと理由[りゆう]を聞[き]くと、相手は言葉を濁して、はっきりと答[こた]えてくれない。♠〈お茶[ちゃ]を濁す〉話[はなし]の核心[かくしん]に触[ふ]れようというところで、冗談[じょうだん]を言ったりして、適当[てきとう]にお茶を濁す人がいる。♠〈立[た]つ鳥[とり]あとを濁さず〉「立つ鳥あとを濁さず」の言葉に学[まな]んで、卒業前[そつぎょうまえ]に教室[きょうしつ]をうんときれいにしていこう。 **にごり【濁り】** ○濁[にご]っていること。濁ったもの。汚[よご]れ。濁点[だくてん]。煩悩[ぼんのう]。 [文例]〈水[みず]の濁り〉水の濁りをとるために、何度[なんど]も何度も濾過[ろか]します。♠〈濁りがない〉赤[あか]ちゃんはみんな、濁りのないきれいな目[め]をしています。 **にご・る【濁る】** ○透明[とうめい]でなくなる。汚[きたな]れる。鮮明[せんめい]でなくなる。濁音[だくおん]になる。 [文例]〈水[みず]が濁る〉水道[すいどう]の水が白[しろ]く濁っているが、どうしたのかな。♠〈海[うみ]が濁る〉工場地帯[こうじょうちたい]の海は、どんよりと濁っていた。♠〈濁った声[こえ]〉彼女[かのじょ]の澄[す]んだきれいな声に比[くら]べ、このぼくは、なんて濁ったがらがら声だろう。♠〈音[おと]が濁る〉二[ふた]つの言葉[ことば]を組[く]み合[あ]わせたとき、「鼻血[はなぢ]」「名高[なだか]い」のように、下[した]の言葉のはじめの音が濁ることがある。♠心[こころ]が濁る〉どんな時[とき]にも心を濁らせず、純粋[じゅんすい]な気持[きも]ちを持[も]ち続[つづ]けたい。♠〈濁った世[よ]の中[なか]〉濁った世の中と嘆[なげ]いてばかりいないで、明[あか]るい心で生[い]きていきましょう。 **にし【西】** ○日[ひ]の沈[しず]む方角[ほうがく]。西風[にしかぜ]。 [文例]〈西へ向[む]かう〉旅人[たびびと]は宿[やど]を出[で]ると、再[ふたた]び西へ向かって歩[ある]き出[だ]した。♠〈西に傾[かたむ]く〉すでに、日は西に傾きかけていたので、わたしたちは来[き]た道[みち]を引[ひ]き返[かえ]した。♠〈西も東もわからない〉初[はじ]めて来た町[まち]ですから、西も東もわかりません。♠〈西と言[い]えば東[ひがし]〉本当にへそまがりなやつだ、西と言えば東なんだから。♠〈犬[いぬ]が西向[にしむ]きゃ尾[お]は東〉犬が西向きゃ尾は東、あたりまえのことさ。 **にじ(虹)** ○日光[にっこう]が空気中[くうきちゅう]の水滴[すいてき]に当[あ]たって屈折[くっせつ]・反射[はんしゃ]してできる弓形[ゆみなり]の美[うつく]しい七色[なないろ]の帯[おび]。 [文例]〈虹が出[で]る〉虹が出てるよ、ほら、あそこ!♠〈虹がかかる〉雨上[あめあ]がりの空[そら]に、くっきりと大[おお]きなたいこ橋[ばし]のような虹がかかった。♠〈虹ができる〉こうして霧[きり]を吹[ふ]くと、ほら、ちっちゃな虹ができるでしょう。♠〈虹が消[き]える〉空を見ると、さっき出ていた虹は、いつのまにか消えていた。♠〈七色の虹〉プリズムに太陽[たいよう]の光[ひかり]を当[あ]てると、光が分解[ぶんかい]され、七色[なないろ]の虹となって現[あらわ]れる。♠〈虹の橋[はし]〉長[なが]い戦[たたか]いが終[お]わって、平和[へいわ]がもどると、それを象徴[しょうちょう]するかのように、大空[おおぞら]に虹の橋がかかった。 **にしき(錦)** ○金糸銀糸[きんしぎんし]などの色糸[いろいと]で美[うつく]しい模様[もよう]を織[お]り出[だ]した絹織物[きぬおりもの]。美しくりっぱなもの。 [文例]〈錦[にしき]の御旗[みはた]〉会長[かいちょう]からオーケーを取[と]った専務[せんむ]は、錦の御旗をふりかざして計画[けいかく]を進[すす]めていった。♠〈故郷[こきょう]に錦を飾[かざ]る〉故郷に錦を飾るまでは、二度[にど]と戻[もど]らないつもりで生[う]まれた土地[とち]を後[あと]にした。 **にじみ・でる(滲み出る)** ○中[なか]からしみ出[で]る。 [文例]〈汗[あせ]がにじみ出る〉じっと立[た]っているだけで、顔[かお]から胸[むね]にかけて汗がにじみ出てきました。♠〈においがにじみ出る〉日焼[ひや]けした裸[はだか]の体[からだ]から、海[うみ]の男[おとこ]のにおいがにじみ出ている。♠〈人柄[ひとがら]がにじみ出る〉いきとどいた細[こま]かな気配[きくば]りに、彼[かれ]の人柄がにじみ出ている。 **にじ・む(滲む)** ○しみて広[ひろ]がる。水分[すいぶん]がうっすらと出[で]てくる。輪郭[りんかく]がぼやける。 [文例]〈血[ち]がにじむ〉男[おとこ]の子[こ]が泣[な]きながら起[お]き上[あ]がると、そのひざには血が赤[あか]くにじんでいた。♠〈血のにじむような苦労[くろう]〉母[はは]は、貧[まず]しい生活[せいかつ]の中[なか]で血のにじむような苦労をして、わたしたちを育[そだ]ててくれたのです。♠〈汗がにじむ〉歩[ある]いて十五分[じゅうごふん]ほどの駅[えき]まで急[いそ]ぎ足[あし]で行[おこな]ったら、体[からだ]に汗がにじんでた。♠〈色[いろ]がにじむ〉絵[え]の具[ぐ]がかわかないうちに次[つぎ]の色を塗[ぬ]ったので、色がにじんでしまった。♠〈墨[すみ]がにじむ〉今年[ことし]の年賀状[ねんがじょう]には、墨をにじませた絵をかいてみた。♠〈インクがにじむ〉この紙[かみ]はインクがにじみやすいので、鉛筆[えんぴつ]で書[か]いたほうがいい。 **にしゃたくいつ【二者択一】** ○二[ふた]つのうちの一[ひと]つを選[えら]ぶこと。 [文例]〈二者択一を迫[せま]る〉父親[ちちおや]は、家業[かぎょう]を継[つ]ぐか家[いえ]を出[で]るかの二者択一を息子[むすこ]に迫った。 **にじゅう【二重】** ○二[ふた]つ重[かさ]なること。ふたえ。重複[ちょうふく]。 [文例]〈二重に包[つつ]む〉祖母[そぼ]から送[おく]られてきた小包[こづつみ]は、丁寧[ていねい]に二重に包んでありました。♠〈二重に見[み]える〉目[め]が疲[つか]れると、物[もの]が <828> かすんだり二重[にじゅう]に見[み]えたりすることがあります。♠〈二重に請求[せいきゅう]する〉クリーニング屋[や]さんがまちがって二重にかんじょうを請求してきた。♠〈二重の祝[いわ]い〉姉[あね]の結婚[けっこん]、兄[あに]の就職[しゅうしょく]と、この春[はる]は二重のお祝[いわ]いごとがありました。 **にじりよ・る【にじり寄る】**(躪り寄る・躙り寄る) ○座[すわ]ったまますり寄[よ]る。 [文例]「ちょっとお耳[みみ]を。」と、女[おんな]はわたしの方[ほう]へにじり寄って何事[なにごと]かささやきました。 **にせ【偽】**(贋) ○(「似[に]せ」の意[い]から)本物[ほんもの]に似[に]せてそっくりに作[つく]ること。本物に似せて作ったもの。 [文例]〈偽[にせ]の宝石[ほうせき]〉色[いろ]も輝[かがや]きも本物そっくりで、とても偽の宝石とは思[おも]えない。♠〈偽の証文[しょうもん]〉その金貸[かねか]しは、偽の証文をこしらえて、借[か]りた人[ひと]たちから約束[やくそく]よりはるかに多[おお]い利息[りそく]をまき上[あ]げていた。♠〈偽物[にせもの]〉昔[むかし]の名匠[めいしょう]の作[さく]と信[しん]じて購入[こうにゅう]した刀[かたな]は、鑑定[かんてい]の結果[けっか]、偽物であることがわかった。♠〈偽者[にせもの]〉そいつは偽者だ、このわたしこそ正真正銘[しょうしんしょうめい]の王子[おうじ]だ。♠〈偽札[にせさつ]〉発見[はっけん]された偽札は実[じつ]に巧妙[こうみょう]に作られてあった。 **にせもの【偽物・偽者】**(贋物・贋者) ○本物[ほんもの]そっくりに作[つく]ったもの。偽[いつわ]って本人[ほんにん]になりすましている人[ひと]。 [文例]〈偽物をつかまされる〉慎重[しんちょう]に選[えら]んだはずなのに、偽物をつかまされた。♠〈偽物とすりかえる〉輸送中[ゆそうちゅう]に、名画[めいが]は何者[なにもの]かの手[て]によって偽物とすりかえられたらしい。♠テレビのプロデューサーだなんて言[い]ってたけれど、とんだ偽者だった。 **に・せる【似せる】** ○似[に]るようにする。まねる。 [文例]〈本物[ほんもの]に似せる〉本物に似せて作[つく]った模造品[もぞうひん]ですが、ちょっと見[み]には気[き]づきません。♠〈人間[にんげん]に似せる〉このロボットは、人間に似せて造[つく]られています。♠〈かには甲羅[こうら]に似せて穴[あな]を掘[ほ]る〉かには甲羅に似せて穴を掘る、鳥[とり]は翼[つばさ]に従[したが]って巣[す]を作[つく]る。人も自分[じぶん]の力[ちから]に応[おう]じて生活[せいかつ]していく。 **にそくさんもん【二束三文】** ○非常[ひじょう]に安[やす]い値段[ねだん]。 [文例]〈二束三文の値打[ねう]ち〉このつぼは偽物[にせもの]ですから、二束三文の値打ちしかありません。♠〈二束三文で売[う]る〉店[みせ]の主人[しゅじん]は、何年[なんねん]も倉庫[そうこ]に眠[ねむ]っていた商品[しょうひん]を二束三文で売ってしまった。 **にそくのわらじ【二足のわらじ】**(二足の草鞋) ○(両立[りょうりつ]しがたい)二[ふた]つの職業[しょくぎょう]・立場[たちば]をもつこと。 [文例]〈二足のわらじを履[は]く〉石田氏[いしだうじ]は、医師[いし]と作家[さっか]の二足のわらじを履いて活躍[かつやく]しています。 **にた・つ【煮立つ】** ○煮[に]えて沸[わ]き立[た]つ。にえたつ。 [文例]〈湯[ゆ]が煮立つ〉ストーブにかけたやかんの湯がぐらぐらと煮立っています。 **にたもの【似た者】** ○性格[せいかく]や趣味[しゅみ]がよく似[に]ている人[ひと]。 [文例]〈似た者夫婦[ふうふ]〉似た者夫婦というけれど、うちの両親[りょうしん]はそろってそこつ者[もの]です。♠〈似た者同士[どうし]〉わたしたちは似た者同士、よく気[き]が合[あ]います。 **にたりよったり【似たり寄ったり】** ○それほど違[ちが]いがないこと。 [文例]結局[けっきょく]、みんなが持[も]ちよったアイデアは似たり寄ったりで新鮮[しんせん]みがなかった。 **にちげん【日限】** ○指定[してい]した期日[きじつ]。期限[きげん]。 [文例]〈三日間[みっかかん]の日限〉ただ、私[わたし]に情[なさ]けをかけたいつもりなら、処刑[しょけい]までに三日間の日限を与[あた]えて下[くだ]さい。(太宰治[だざいおさむ]「走[はし]れメロス」)♠〈日限が迫[せま]る〉約束[やくそく]の日限が迫っているというのに、頼[たの]まれた仕事[しごと]は終[お]わりそうにない。♠〈日限を切[き]る〉一[いち]か月[げつ]という日限を切ってお借[か]りするというわけにはまいりませんか。 **にちじ【日時】** ○日[ひ]と時刻[じこく]。 [文例]〈約束[やくそく]の日時〉約束の日時を忘[わす]れないでくださいね。♠〈日時と場所[ばしょ]〉クラス会[かい]の日時と場所が決[き]まったら知[し]らせます。♠〈日時がかかる〉簡単[かんたん]に請[う]け負[お]った仕事だが、始[はじ]めてみると意外[いがい]に難[むずか]しく、日時がかかることがわかった。 **にちじょう【日常】** ○特別[とくべつ]に変[か]わったことのない毎日[まいにち]。ひごろ。ふだん。 [文例]〈日常の生活[せいかつ]〉日常の生活の中にも、気をつけていると、時々[ときどき]はっとするような発見[はっけん]があるものです。♠〈日常の経験[けいけん]〉「夕焼[ゆうや]けにかまをとげ」とか「風邪[かぜ]は万病[まんびょう]のもと」などのように、人々[ひとびと]の日常の経験から生[う]まれたことわざは多[おお]い。♠〈日常心[こころ]がける〉礼儀[れいぎ]を守[まも]ることやあいさつをすることは、わたしたちが日常心がけなければならないことです。♠〈日常使[つか]う〉この詩[し]は、今[いま]のわたしたちが日常ほとんど使わない文語体[ぶんごたい]で書[か]かれています。♠〈日常的[にちじょうてき]〉江戸[えど]時代[じだい]に、「パン」「タバコ」「アルコール」など、日常的なものが、外来語[がいらいご]として入[はい]ってきた。♠〈日常生活[にちじょうせいかつ]〉日常生活というのは、単調[たんちょう]でつまらなく感[かん]じるものだが、本人[ほんにん]の工夫次第[くふうしだい]で楽[たの]しく充実[じゅうじつ]したものにできるのです。♠〈日常茶飯事[にちじょうさはんじ]〉今日[こんにち]の日本[にほん]では、おそろしい交通事故[こうつうじこ]も日常茶飯事となってしまった。 **にちぼつ【日没】** ○太陽[たいよう]が沈[しず]むこと。日[ひ]の入[い]り。 [文例]日没までに帰[かえ]るつもりだったのに、引[ひ]きとめられて、ついついおそくなってしまった。♠海岸[かいがん]の日没はすばらしく、わたしは夕[ゆう]やみの中[なか]にじっと立[た]ちつくしていました。 **にちや【日夜】** ○昼[ひる]と夜[よる]。昼も夜も。昼夜[ちゅうや]。 [文例]多[おお]くの日本人技術者[にほんじんぎじゅつしゃ]が、この国[くに]の開発[かいはつ]のために日夜活躍[かつやく]しています。♠父[ちち]の病気[びょうき]がなかなか回復[かいふく]しないので、日夜思[おも]いわずらっています。 **にっか【日課】** ○毎日[まいにち]決[き]まってする仕事[しごと]。 [文例]毎朝[まいあさ]、仏壇[ぶつだん]にお水[みず]をあげ、お経[きょう]を読[よ]むのが、おばあちゃんの日課です。♠〈日課になる〉朝[あさ]のジョギングがぼくの日課になっています。♠〈日課とする〉祖父[そふ]はいつも三時[さんじ]ごろ公園[こうえん]を散歩[さんぽ]するのを日課としていた。♠〈日課の散歩〉その日[ひ]も、わたしは愛犬[あいけん]を引[ひ]いて、日課の散歩に出[で]かけました。♠〈毎日[まいにち]の日課〉毎日の日課の中[なか]に読書[どくしょ]の時間[じかん]をとることを勧[すす]めたい。♠〈日課表[にっかひょう]〉夏休[なつやす]みをむだのない、規律[きりつ]あるものにするために、日課表を作[つく]った。 **につかわし・い【似つかわしい】** ○ふさわしい。 [文例]〈正月[しょうがつ]に似つかわしい〉子供[こども]たちが凧[たこ]あげや羽根[はね]つきなどして遊[あそ]んでいる様子[ようす]は、やはりお正月に似つかわしい。♠〈似つかわしい服装[ふくそう]〉何[なに]かの会[かい]に出席[しゅっせき]する時[とき]には、その場所[ばしょ]に似つかわしい服装を心[こころ]がける必要[ひつよう]があります。♠〈似つかわしい格好[かっこう]〉年齢[ねんれい]に似つかわしい格好というのは、やはりあると思[おも]います。♠〈似つかわしい行[おこな]い〉中学生[ちゅうがくせい]に似つかわしくないような行いは避[さ]けたい。♠〈子供に似つかわしい〉こんな高[たか]い文房具[ぶんぼうぐ]は、子供には似つかわしくない持[も]ち物[もの]だね。 **にっかん【肉感】** ○肉体[にくたい]の感覚[かんかく]。性的[せいてき]な感覚。にくかん。 <829> [文例]〈肉感的[にくかんてき]〉その女[おんな]が夏[なつ]の宵[よい]など涼[すず]しげなかっこうで姿[すがた]を見[み]せると、かなり肉感的であった。 **にっき【日記】** ○毎日[まいにち]の出来事[できごと]やその感想[かんそう]などを記[しる]すこと。また、その記録[きろく]。 [文例]〈日記をつけ〉るわたしは、小学生[しょうがくせい]の時[とき]から日記をつけています。♠〈日記につける〉毎日[まいにち]の生活[せいかつ]で心[こころ]にとまったことを日記につけるのが習慣[しゅうかん]になりました。♠〈日記を書[か]く〉中学生[ちゅうがくせい]になった今日[きょう]から日記を書こうと、角[かど]の文房具屋[ぶんぼうぐや]で日記帳[にっきちょう]を買[か]った。♠〈日記に書く〉わたしは、その日[ひ]の出来事だけでなく、思[おも]ったことをなんでも日記に書いています。♠〈日記を読[よ]む〉伝記[でんき]や日記などを読むと、考[かんが]えもしなかったような、その人物[じんぶつ]の姿を知[し]ることができる。 **につく【似付く】** ○よく似[に]る。ふさわしい。 [文例]〈似ても似付かぬ〉少女[しょうじょ]は「しずか」という名前[なまえ]だったが、その名とは似ても似付かぬおてんば娘[むすめ]であった。 **にっこう【日光】** ○日[ひ]の光[ひかり]。 [文例]〈日光が差[さ]す〉日光が強[つよ]く差[さ]し、目[め]にまぶしい。♠〈日光が照[て]らす〉雨[あめ]もあがり、やがて日光が草原[そうげん]を照らしだした。♠〈日光が強い・弱い〉夏[なつ]は日光が強いので、よく日[ひ]に焼[や]けます。♠〈日光に当[あ]てる〉布団[ふとん]を日光に当てると、軽[かる]くふわふわになるばかりでなく、消毒[しょうどく]にもなる。♠〈日光をさえぎる〉まぶしいので、手[て]のひらをかざして日光をさえぎった。♠〈日光を浴[あ]びる〉寒[さむ]い冬[ふゆ]でも、晴[は]れた日は赤[あか]ちゃんを外[そと]に出[だ]し、日光を十分[じゅうぶん]に浴びさせると、丈夫[じょうぶ]な子[こ]に育[そだ]ちます。♠〈さんさんと降[ふ]る日光〉さんさんと降る日光の下[した]で、スポーツに汗[あせ]を流[なが]すのは、とても快[こころよ]いものです。♠〈日光にさらす〉フィルムを入[い]れ替[か]える時[とき]、誤[あやま]って日光にさらしたりしないように。 **にっさん【日参】** ○毎日[まいにち]、お参[まい]りすること。目的[もくてき]を達[たっ]するため毎日通[まいにちかよ]うこと。 [文例]〈日参する〉おばあさんは、雨[あめ]の日[ひ]にも風[かぜ]の日もお地蔵[じぞう]さまに日参し、戦争[せんそう]に行[い]った息子[むすこ]の無事[ぶじ]を祈[いの]っていました。♠〈日参する〉あちこちの不動産屋[ふどうさんや]が、畑[はたけ]を売[う]れといって日参する始末[しまつ]だった。 **にっし【日誌】** ○毎日[まいにち]の記録[きろく]。 [文例]〈日誌を付ける〉日直[にっちょく]の日は、黒板[こくばん]を消[け]したり、日誌を付けたりと、いろいろな仕事[しごと]があります。♠〈日誌に付ける〉ぼくは動物園[どうぶつえん]の飼育係[しいくがかり]をしていますが、世話[せわ]する動物たちの様子[ようす]を日誌に付けています。 **にっしゃ【日射】** ○日[ひ]ざし。 [文例]わたしたちは、真夏[まなつ]の強い日射を避[さ]け、ずっと木陰[こかげ]にいました。♠〈日射病[にっしゃびょう]〉この強い日ざしの中[なか]、帽子[ぼうし]もかぶらず歩[ある]き回[まわ]っていたら、日射病になってしまうよ。 **にっしょう【日照】** ○太陽[たいよう]が照[て]ること。 [文例]〈日照時間[にっしょうじかん]〉この地方[ちほう]は日照時間が長いので、野菜[やさい]のハウス栽培[さいばい]に適[てき]しています。♠〈日照権[にっしょうけん]〉高層[こうそう]ビルの建設計画[けんせつけいかく]には、付近[ふきん]の住民[じゅうみん]が日照権を主張[しゅちょう]して反対[はんたい]しています。 **にっしんげっぽ【日進月歩】** ○日[ひ]に日[ひ]に進歩[しんぽ]すること。 [文例]〈日進月歩の発展[はってん]〉第二次大戦後[だいにじたいせんご]のこの国[くに]の復興[ふっこう]はめざましく、工業[こうぎょう]を中心[ちゅうしん]に産業[さんぎょう]は日進月歩の発展をとげている。 **にっちもさっちも(二進も三進も)** ○ゆきづまって動[うご]きがとれないさま。 [文例]〈にっちもさっちもいかない〉店[みせ]の経営[けいえい]は、借金[しゃっきん]だらけでにっちもさっちもいかなくなってしまった。 **にっちゅう【日中】** ○昼間[ひるま]。正午[しょうご]。 [文例]雪[ゆき]の季節[きせつ]になると、家々[いえいえ]は雪に埋[う]もれ、日中から部屋[へや]に灯[ひ]をともさなくてはならなくなる。♠フクロウは、日中は森林[しんりん]の木[き]のこずえなどで眠[ねむ]り、夜[よる]になると活動[かつどう]する。♠干[ほ]した布団[ふとん]は、日中、日が高[たか]いうちに取[と]りこまないと、しめってしまうことがあります。♠〈日中の気温[きおん]〉日中の気温はかなり高くなるが、朝晩[あさばん]は冷[ひ]えこみます。♠〈日中の天気[てんき]〉日中の天気はおだやかだったが、夜になって雪が降[ふ]り出[だ]した。 **にってい【日程】** ○一日[いちにち]の予定[よてい]。毎日[まいにち]の予定。 [文例]〈日程がつまる〉今週[こんしゅう]は日程がつまっていて、とても出[で]かけられそうにありません。♠〈日程を終[お]える〉研修[けんしゅう]の日程を終え、新入社員[しんにゅうしゃいん]は各部署[かくぶしょ]に配属[はいぞく]されました。♠〈日程にのぼる〉どんな場所[ばしょ]の見学[けんがく]が修学旅行[しゅうがくりょこう]の日程にのぼっているのだろう。 **にっとう【日当】** ○一日[いちにち]の手当[てあて]。 [文例]〈日当が安[やす]い〉今時[いまどき]、こんなに日当が安くてはアルバイトは見[み]つからないだろう。♠〈日当を払[はら]う〉日当を払うから、一日畑[いちにちはたけ]の草取[くさとり]りを手伝[てつだ]ってくれないか。 **にっぽん【日本】** ↓にほん **につま・る【煮詰まる】** ○煮[に]えて水分[すいぶん]がなくなる。よく検討[けんとう]し、結論[けつろん]が出[だ]せる状態[じょうたい]になる。 [文例]〈汁[しる]が煮詰まる〉煮物[にもん]の汁が煮詰まってしまったので、水[みず]を少[すこ]し加[くわ]えました。♠〈ジャムが煮詰まる〉ジャムがとろりとおいしそうに煮詰まってきました。♠〈話[はなし]が煮詰まる〉長[なが]い議論[ぎろん]のすえ、話もようやく煮詰まって、問題解決[もんだいかいけつ]の方向[ほうこう]が見[み]えてきた。♠〈考[かんが]えが煮詰まる〉考えが煮詰まっていないので、まだお返事[へんじ]はできません。♠〈計画[けいかく]が煮詰まる〉もっと計画が煮詰まった段階[だんかい]でないと、発表[はっぴょう]はできない。 **につ・める【煮詰める】** ○水分[すいぶん]がなくなるまで煮[に]る。十分[じゅうぶん]に検討[けんとう]する。 [文例]このお料理[りょうり]のポイントは、水気[みずけ]がなくなるまでゆっくりと煮詰めることです。♠〈話[はなし]を煮詰める〉キャンプの日程[にってい]は決[き]まったので、向[む]こうで何[なに]をするか具体的に話を煮詰めましょう。 **にないて【担い手】** ○荷物[にもつ]を担[にな]ぐ人[ひと]。中心[ちゅうしん]となって推進[すいしん]する人。 [文例]〈物資輸送[ぶっしゆそう]の担い手〉昭和四十年代[しょうわよんじゅうねんだい]になると、物資輸送の担い手として、トラックが貨車[かしゃ]にとって代[か]わるようになる。♠〈時代[じだい]の担い手〉この事件[じけん]を契機[けいき]にして、若[わか]い学生[がくせい]・労働者[ろうどうしゃ]が時代の担い手として歴史[れきし]の舞台[ぶたい]に登場[とうじょう]して来る。 **にな・う【担う】** ○かつぐ。引[ひ]き受[う]ける。受[う]け持[も]つ。 [文例]〈肩[かた]に荷[に]を担う〉宿[やど]に着[つ]き、肩に担った荷を下[お]ろして一息[ひといき]ついた。♠〈十字架[じゅうじか]を担う〉イエスは、処刑[しょけい]のため、石[いし]の多[おお]い道[みち]を十字架を担って歩[ある]かねばならなかった。♠〈役割[やくわり]を担う〉次[つぎ]の部分[ぶぶん]は、文[ぶん]を組[く]み立[た]てるうえでどのような役割を担っているか考[かんが]えよう。♠〈意味[いみ]・音[おん]を担う〉「江[こう]・河[か]・洋[よう]」のような漢字[かんじ]では、さんずいが意味を担う部分で、「工[こう]」「可[か]」「羊[よう]」が音を担う部分です。♠〈期待[きたい]を担う〉先生[せんせい]や友達[ともだち]、さらには <830> 町[まち]の人々[ひとびと]の期待[きたい]を担[にな]って、わがチームは全国大会[ぜんこくたいかい]にこまを進[すす]めた。♠〈任務[にんむ]を担う〉父[ちち]は、会社[かいしゃ]の重要[じゅうよう]な任務を担って、明日[あす]からしばらく、アメリカに出張[しゅっちょう]するそうです。♠〈栄誉[えいよ]を担う〉この調子[ちょうし]でいったら、完全試合[かんぜんじあい]で、ピッチャーとして最大[さいだい]の栄誉を担うことになる。♠〈次代[じだい]を担う〉戦争[せんそう]の体験[たいけん]を、次代を担う青少年[せいしょうねん]たちに語[かた]りつぎ、平和[へいわ]な社会[しゃかい]を実現[じつげん]させたい。 **ににんさんきゃく【二人三脚】** ○二人[ふたり]で内側[うちがわ]の足[あし]を結[むす]んで一緒[いっしょ]に走[はし]る競技[きょうぎ]。二人で協力[きょうりょく]して物事[ものごと]を行[おこな]うこと。 [文例]運動会[うんどうかい]の二人三脚で足並[あしな]みをそろえるためには、「いち、に、いち、に」とかけ声[ごえ]をかけるのがよい。♠これからの人生[じんせい]は、夫婦仲良[ふうふなむつま]く二人三脚で歩[ある]みます。 **にのあし【二の足】** ○第二歩[だいにほ]。二歩[にほ]め。 [文例]〈二の足を踏[ふ]む〉家[いえ]を建[た]て直[なお]す計画[けいかく]はお金[かね]がかかりすぎるので、父は二の足を踏んでいる。 **にのく【二の句】** ↓に【二】 **にのつぎ【二の次】** ↓に【二】 **にのまい【二の舞】** ↓に【二】 **にばんせんじ【二番せんじ】**(二番煎じ) ○一度煎[いちどせん]じたものをもう一度煎じること。また、そのもの。前[まえ]の繰[く]り返[かえ]しで新味[しんみ]のないこと。 [文例]きみのシャレはいつもタケシ君[くん]の二番せんじだよ、だれも二度[にど]は笑[わら]わないよ。 **ニヒル** ○虛無的[きょむてき]なさま。 [文例]〈ニヒルな笑[え]み〉皮肉屋[ひにくや]の彼[かれ]は、仲間[なかま]の冗談[じょうだん]にもかすかにニヒルな笑みを浮[う]かべただけだった。♠〈ニヒルな青年[せいねん]〉ニヒルな青年だと聞[き]いていたが、会[あ]ってみると意外[いがい]に快活[かいかつ]な人[ひと]だった。 **にぶ・い【鈍い】** ○切[き]れ味[あじ]が悪[わる]い。動作[どうさ]・反応[はんのう]などがのろい。はっきりしない。さえない。 [文例]〈切れ味が鈍い〉このナイフもだいぶ切れ味が鈍くなってきたから、研[と]いでおこう。♠〈感覚[かんかく]が鈍い〉寒[さむ]さと眠気[ねむけ]とで感覚が鈍くなっていたので、すぐそばで呼[よ]んでいる救援隊[きゅうえんたい]の声[こえ]に気[き]づかなかった。♠〈動作が鈍い〉太[ふと]った体[からだ]に短[みじか]い足[あし]のあのカバは、動作は鈍いが泳[およ]ぎはうまい。♠〈反応が鈍い〉弟[おとうと]は、感[かん]じ方[かた]が遅[おそ]いというか、反応が鈍いというか、いつ呼んでもすぐに返事[へんじ]が返[かえ]ってきたためしがない。♠〈勘[かん]が鈍い〉ここまで言[い]ってもまだ分[わ]からないのかい、勘が鈍いねえ、あんたも。♠〈鈍い光[ひかり]〉鈍い光の差[さ]しこむもやの中[なか]で、一輪[いちりん]の花[はな]がしずくにぬれて咲[さ]いていた。♠〈鈍い音[おと]〉ドスンと鈍い音がしたので、表[おもて]に出[で]てみると、自転車[じてんしゃ]がへいにぶつかったのだった。♠〈色[いろ]が鈍い〉目[め]のさめるような赤[あか]い色をしていたバラの花が、今日[きょう]は、少[すこ]し色が濃[こ]く鈍くなったようだ。♠〈鈍く光[ひか]る〉陸橋[りっきょう]の下[した]には、青[あお]や赤の信号機[しんごうき]だけが鈍く光っていて、辺[あた]りは静[しず]まり返[かえ]っていた。 **にぶ・る【鈍る】** ○鈍[にぶ]くなる。 [文例]〈切[き]れ味[あじ]が鈍る〉包丁[ほうちょう]の切れ味が鈍ってきたので、研[と]いでもらった。♠〈スピードが鈍る〉疲[つか]れてきたのか、先頭[せんとう]の選手[せんしゅ]のスピードが鈍ってきたようだ。♠〈腕[うで]が鈍る〉子供相手[こどもあいて]に負[ま]かされるようでは、わしの将棋[しょうぎ]の腕も鈍ったものだ。♠〈決心[けっしん]が鈍る〉あと[あと]に残[のこ]る母[はは]のことを考[かんが]えると、上京[じょうきょう]する決心が鈍った。♠〈頭[あたま]が鈍る〉最近[さいきん]、物忘[ものわす]れがひどくなってね、やはり年[とし]のせいで頭が鈍ったかな。♠〈出足[であし]が鈍る〉雨[あめ]で客[きゃく]の出足が鈍り、せっかくの催[もよお]しもさみしかったそうだ。 **にぶん【二分】** ○二[ふた]つに分[わ]けること。 [文例]〈二分する〉大きな川[かわ]がわたしたちの町[まち]を二分するように流[なが]れています。♠〈二分する〉だれをキャプテンにするかで、部[ぶ]を二分する騒[さわ]ぎになった。 **にべもな・い** ○そっけない。 [文例]〈にべもない返事[へんじ]〉いくら頭[あたま]を下[さ]げて頼[たの]んでも、いつもにべもない返事が帰[かえ]ってくるばかりだった。♠〈にべもなく断[ことわ]る〉いくら誘[さそ]っても、誘う度[たび]ににべもなく断られてしまう。 **にほん【日本】** ○ニッポンのこと。 [文例]桜[さくら]は日本を代表[だいひょう]する花[はな]として、広[ひろ]く海外[かいがい]にも知[し]られています。♠〈日本の風土[ふうど]〉四季[しき]の違[ちが]いがはっきりしていることは、日本の風土の特色[とくしょく]の一[ひと]つだ。♠〈日本の文化[ぶんか]〉よく、西洋[せいよう]の文化は「石[いし]の文化」であり、日本の文化は「木[き]の文化」であると言[い]われる。♠〈日本の夜明[よあ]け〉明治維新[めいじいしん]は、近代[きんだい]日本の夜明けとも言[い]える。♠〈日本風[にほんふう]〉日本が大好[だいす]きなイギリス人[じん]のトーマスさんは、庭[にわ]を日本風の庭園[ていえん]にしています。♠〈日本列島[にほんれっとう]〉三月[さんがつ]から五月[ごがつ]にかけて、桜前線[さくらぜんせん]が南[みなみ]から北[きた]へ日本列島を縦断[じゅうだん]します。♠〈日本酒[にほんしゅ]〉父[ちち]は、ウイスキーやビールよりも日本酒のほうが好[す]きです。 **にほんご【日本語】** ○日本人[にほんじん]が日常[にちじょう]使用[しよう]する言語[げんご]。 [文例]〈日本語を話[はな]す〉日本に来[き]て三年目[さんねんめ]のフランツは、とても上手[じょうず]に日本語を話します。♠〈日本語で書[か]く〉イギリス人のペンフレンドは、日本語を勉強中[べんきょうちゅう]で、日本語で手紙[てがみ]を書[か]いてよこします。♠〈日本語が通[つう]じる〉外国[がいこく]では、まず日本語は通じないでしょう。♠〈日本語を使[つか]う〉日本語を使うと同[おな]じように、英語[えいご]で話[はな]せるようになりたいな。 **にほんてき【日本的】** ○日本[にほん]らしいさま。日本特有[にほんとくゆう]のさま。 [文例]〈日本的な顔立[かおだ]ち〉アメリカ人[じん]にしてはずいぶん日本的な顔立ちをしていると思[おも]ったら、彼女[かのじょ]のお母[かあ]さんは日本人なのだそうです。♠〈日本的な昔話[むかしばなし]〉「笠地蔵[かさじぞう]」のような日本的な昔話の中[なか]にも、どの国[くに]の人[ひと]にでも通[つう]じる性格[せいかく]を見[み]いだすことができる。♠〈日本的なもの〉外国から伝[つた]わった文化[ぶんか]は、しだいに日本的なものに変化[へんか]し、土着[どちゃく]していった。♠〈日本的な素材[そざい]〉石[いし]に比[くら]べて、木[き]というのは、とても日本的な素材です。♠〈日本的発想[にほんてきはっそう]〉水[みず]は容易[ようい]に手[て]に入[はい]るという考[かんが]え方[かた]は、日本的発想だそうだ。 **にほんばれ【日本晴れ】** ○雲[くも]一[ひと]つなく晴[は]れ渡[わた]った天気[てんき]。 [文例]目[め]が覚[さ]めてカーテンを開[あ]けると、運動会[うんどうかい]には絶好[ぜっこう]の日本晴れでした。♠わたしにかかっていた疑[うたが]いもようやく晴れ、心[こころ]は日本晴れのようにはれやかです。 **にまいじた【二枚舌】** ○矛盾[むじゅん]したことを言[い]うこと。うそをつくこと。 [文例]〈二枚舌を使[つか]う〉青年[せいねん]は巧[たく]みに二枚舌を使って、社交界[しゃこうかい]を泳[およ]ぎ渡[わた]っていった。 **にまいめ【二枚目】** ○歌舞伎[かぶき]や映画[えいが]の美男役[びだんやく]の役者[やくしゃ]。美男子[びだんし]。 [文例]青年[せいねん]は、目[め]もとが涼[すず]しく鼻筋[はなすじ]の通[とお]ったなかなかの二枚目でした。♠〈二枚目を気取[きど]る〉お兄[にい]ちゃんは、性格[せいかく]がひょうきんだから、二枚目を気取っても似合[にあ]わないわよ。 <831> **にもつ【荷物】** ○持[も]ち運[はこ]ぶためにまとめた品物[しなもの]。負担[ふたん]になるもの。 [文例]〈荷物を運ぶ〉引[ひ]っ越[こ]しの荷物は、運送屋[うんそうや]に頼[たの]んで運んでもらった。♠〈荷物を積[つ]む〉兄[あに]は、食料[しょくりょう]や着[き]がえの入[はい]った荷物を荷台[にだい]に積んで、自転車旅行[じてんしゃりょこう]に出[で]かけた。♠〈荷物を担[かつ]ぐ〉朝早[あさはや]く、とても大[おお]きな荷物を担いだおばさんたちが電車[でんしゃ]に乗[の]りこんできた。♠〈荷物を送[おく]る〉宅配便[たくはいびん]で田舎[いなか]から荷物が送られてきた。♠〈荷物をまとめる〉明日[あした]の朝[あさ]出発[しゅっぱつ]するから、自分[じぶん]の荷物をまとめておきなさい。♠〈荷物になる〉荷物になって大変[たいへん]かも知[し]れないけど、これ、お土産[みやげ]に持っていってちょうだい。♠〈お荷物[にもつ]になる〉子供[こども]のわたしが大人[おとな]についていけばお荷物になるばかりだと思い、いっしょに行[い]くのをとどまった。 **にや・ける** ○男[おとこ]が弱々[よわよわ]しく色[いろ]っぽい様子[ようす]をする。しまりなくにやにやする。 [文例]何[なに]をにやけているんだい、彼女[かのじょ]からプレゼントでももらったのかい。♠〈にやけた男〉お父[とう]さんは、ふにゃふにゃしたにやけた男は大嫌[だいきら]いだ。 **にや・す【煮やす】** ○よく煮[に]る。怒[いか]りの気持[きも]ちなどを激[はげ]しくする。 [文例]〈業[ごう]を煮やす〉怠[なま]けてばかりいる店員[てんいん]に業を煮やした店長[てんちょう]は、その店員を首[くび]にすることにした。 **にやっかい【荷厄介】** ○じゃまになること。もてあますさま。 [文例]〈荷厄介になる〉疲[つか]れはてたぼくたちには、用具[ようぐ]の入ったバッグが荷厄介になってきた。♠〈荷厄介にする〉働きにも出[で]ずに家[いえ]でぶらぶらしている夫[おっと]を、妻[つま]は荷厄介にしていた。♠〈荷厄介な存在[そんざい]〉エネルギーの転換[てんかん]によって、この国[くに]の石炭産業[せきたんさんぎょう]は荷厄介な存在になっていった。 **ニュアンス** ○微妙[びみょう]な意味[いみ]あい。微妙な味[あじ]わい。 [文例]〈ニュアンスが違[ちが]う〉同[おな]じ意味の言葉[ことば]でも、「風呂上[ふろあ]がり」と「入浴後[にゅうよくご]」とではニュアンスが違います。♠〈ニュアンスに富[と]む〉古文[こぶん]に慣[な]れた人[ひと]でなければ、古典作品[こてんさくひん]のニュアンスに富んだ表現[ひょうげん]は理解[りかい]できないかもしれません。♠〈微妙なニュアンス〉説明者[せつめいしゃ]の話[はなし]には微妙なニュアンスがあって、言葉通[ことばどお]りに受[う]け取[と]れないものがあった。 **にゅういん【入院】** ○治療[ちりょう]を受[う]けるために病院[びょういん]に入[はい]ること。 [文例]〈入院が長[なが]びく〉二週間[にしゅうかん]の予定[よてい]だったのに、入院が長びいて一[いち]か月[げつ]たっても退院[たいいん]できません。♠〈入院する〉母[はは]が急病[きゅうびょう]で入院したので、退院するまで、家[いえ]のことは父[ちち]とわたしでしなければなりません。 **にゅうか【入荷】** ○商品[しょうひん]が市場[いちば]や店[みせ]に入[はい]ること。 [文例]〈市場の入荷〉今年[ことし]は天候[てんこう]にめぐまれて、みかんがよくとれ、市場の入荷もふえている。♠〈入荷する〉このおもちゃは人気[にんき]が高[たか]く、子供[こども]たちは予約[よやく]して入荷するのを待[ま]っています。 **にゅうかい【入会】** ○会[かい]に入[はい]ること。 [文例]〈入会を勧[すす]める〉新体操[しんたいそう]のクラブへ入会を勧められています。♠〈入会する〉この会に入会すると、いろいろなサービスが受[う]けられるそうです。 **にゅうがく【入学】** ○学校[がっこう]に入[はい]ること。 [文例]〈入学する〉高校[こうこう]に入学してから卒業[そつぎょう]するまでの三年間[さんねんかん]は、ほんとうにあっというまでした。♠〈入学の手続[てつづ]き〉合格発表[ごうかくはっぴょう]で自分[じぶん]の名前[なまえ]を確[たし]かめた後[あと]、すぐに入学の手続きをしました。♠〈入学式[にゅうがくしき]〉だれでも、大[おお]きな期待[きたい]と多少[たしょう]の不安[ふあん]を胸[むね]に入学式にのぞむことでしょう。♠〈入学試験[にゅうがくしき]〉姉[あね]は、大学[だいがく]の入学試験のために毎晩遅[まいばんおそ]くまで勉強[べんきょう]していた。♠〈入学祝[にゅうがくいわ]い〉入学祝いにと叔父[おじ]さんから辞典[じてん]をもらいました。 **にゅうこう【入港】** ○船[ふね]が港[みなと]に入[はい]ること。 [文例]〈船の入港〉原子力潜水艦[げんしりょくせんすいかん]の入港に反対[はんたい]して市民団体[しみんだんたい]が抗議行動[こうぎこうどう]を行っていた。♠〈入港する〉この船は、明日[あす]、横浜港[よこはまこう]へ入港する予定[よてい]です。 **にゅうし【入試】** ○入学試験[にゅうがくしき]。 [文例]〈入試を受[う]ける〉難[むずか]しい大学の入試を受けて、めでたく合格[ごうかく]した。♠〈入試をひかえる〉入試を目前[もくぜん]にひかえ、受験生[じゅけんせい]は一生懸命[いっしょうけんめい]がんばっています。♠〈入試に備[そな]える〉来春[らいしゅん]の入試に備えて勉強[べんきょう]している。♠〈入試の傾向[けいこう]と対策[たいさく]〉受験する大学のここ数年[すうねん]の入試の傾向をつかんで対策をたてる。♠〈入試制度[にゅうしせいど]〉大学の入試制度を改善[かいぜん]しようという意見[いけん]がある。 **にゅうじ【乳児】** ○生後[せいご]一年[いちねん]くらいまでの子供[こども]。ちのみご。 [文例]この保育所[ほいくしょ]では、生[う]まれて一年以内[いちねんいない]の乳児も何人[なんにん]かあずかっています。♠〈乳児期[にゅうじき]〉乳児期の赤ちゃんにまめに話[はな]しかけてやることは、言語[げんご]の習得[しゅうとく]の助[たす]けとなります。 **にゅうしゃ【入社】** ○社員[しゃいん]として会社[かいしゃ]に入[はい]ること。 [文例]佐藤[さとう]さんは、一流[いちりゅう]の商社[しょうしゃ]に入社が内定[ないてい]している。♠〈入社する〉兄[あに]は、今春[こんしゅん]大学を卒業[そつぎょう]して、新聞社[しんぶんしゃ]に入社しました。 **にゅうじゃく【柔弱】** ○精神[せいしん]や体[からだ]が弱々[よわよわ]しいさま。 [文例]〈柔弱な男[おとこ]〉あのおとなしく柔弱な男のどこに、そんな力[ちから]があったのだろう。♠〈柔弱な若者[わかもの]〉村[むら]の男たちは、都会育[とかいそだ]ちの柔弱な若者をばかにしていた。 **にゅうしゅ【入手】** ○手[て]に入[い]れること。 [文例]〈物[もの]の入手〉昔[むかし]は、地図[ちず]は軍事機密[ぐんじきみつ]としての制限[せいげん]があり、要塞地帯[ようさいちたい]などは入手が不可能[ふかのう]だった。♠〈入手する〉ライバルの情報[じょうほう]をいち早[はや]く入手することが勝利[しょうり]につながる。 **にゅうしょう【入賞】** ○賞[しょう]をもらうこと。 [文例]〈入賞する〉競技会[きょうぎかい]の百[ひゃく]メートル競走[きょうそう]で、ぼくは三位[さんい]に入賞しました。♠〈入賞する〉展覧会[てんらんかい]で入賞する腕前[うでまえ]だから、きみの絵[え]もたいしたものだ。 **にゅうじょう【入場】** ○会場[かいじょう]に入[はい]ること。 [文例]〈入場を断[ことわ]る〉試写会[ししゃかい]に遅[おく]れて行[い]ったぼくたちは、会場への入場を断られた。♠〈入場する〉選手団[せんしゅだん]が入場してくると、観客席[かんきゃくせき]から拍手[はくしゅ]がわき起[お]こった。♠〈入場券[にゅうじょうけん]〉前売[まえう]りの入場券は、当日売[とうじつう]りよりも割引[わりびき]になるのがふつうです。 **にゅうしょく【入植】** ○植民地[しょくみんち]や開拓地[かいたくち]に移[うつ]り住[す]むこと。 [文例]〈入植する〉未開[みかい]の土地[とち]に入植した人々[ひとびと]は、山野[さんや]を切[き]り開[ひら]き田畑[たはた]をつくっていきました。♠〈入植者[にゅうしょくしゃ]〉明治[めいじ]になって北海道[ほっかいどう]に渡[わた]った入植者の苦労[くろう]はなみたいていではなかった。 **ニュース** ○新[あたら]しい出来事[できごと]。また、その知[し]らせ。新聞[しんぶん]・テレビなどの報道[ほうどう]。 [文例]〈ニュースを伝[つた]える〉六時[ろくじ]のニュースで、中部地方[ちゅうぶちほう]に大地震[おおじしん]があったと伝えていた。♠〈ニュースを聞[き]く〉よごれていた隅田川[すみだがわ]に、魚[さかな]が帰[かえ]ってきたといううれしいニュースが聞かれる。♠〈ニュースが入[はい]る〉テレビを見[み]ていると、飛行機[ひこうき]が墜落[ついらく]したというニュースが入った。♠〈ニ <832> ュースになる〉担任[たんにん]の先生[せんせい]が結婚[けっこん]するというのが、もっかクラスのニュースになっている。♠〈いいニュース〉うれしそうな顔[かお]をしているところを見[み]ると、何[なに]かいいニュースなんだろうね。♠〈ビッグニュース〉えっ、全国大会[ぜんこくたいかい]への出場[しゅつじょう]が決[き]まったって? それはビッグニュースだ。 **にゅうせん【入選】** ○審査[しんさ]に合格[ごうかく]すること。選[せん]に入[はい]ること。 [文例]〈入選する〉ぼくの絵[え]が展覧会[てんらんかい]で入選したぞ。画家[がか]になろうかな。♠〈入選作[にゅうせんさく]〉さすがにコンクールの入選作だけあってなかなかの出来[でき]ばえです。 **にゅうだん【入団】** ○ある団体[だんたい]に入[はい]ること。 [文例]〈入団する〉わたしは歌[うた]うことが好[す]きなので、市[し]の少年少女合唱団[しょうねんしょうじょがっしょうだん]に入団しました。♠〈入団する〉今年[ことし]入団した新人選手[しんじんせんしゅ]の中[なか]には、将来[しょうらい]のプロ野球[やきゅう]を背負[せお]う力[ちから]を秘[ひ]めた者[もの]もいる。 **にゅうねん【入念】** ○細[こま]かい点[てん]まで注意[ちゅうい]するさま。念入[ねんい]り。 [文例]〈入念な準備[じゅんび]〉王女[おうじょ]を迎[むか]えることになったホテルでは、手落[てお]ちがあっては大変[たいへん]と、入念な準備をしています。♠〈入念に調[しら]べる〉入念に調べた結果[けっか]、針[はり]がやっと通[とお]るほどの小[ちい]さな穴[あな]が見[み]つかった。 **にゅうもん【入門】** ○門[もん]の中[なか]に入[はい]ること。弟子入[でしい]りすること。初心者用[しょしんしゃよう]の手引[てび]き書[しょ]。 [文例]〈入門する〉有名[ゆうめい]な音楽家[おんがくか]のもとに入門し、手[て]ほどきを受[う]けた。♠〈入門の手引[てび]き〉英会話[えいかいわ]の講習会[こうしゅうかい]で、初心者[しょしんしゃ]のための入門の手引きが配[くば]られました。♠〈入門書[にゅうもんしょ]〉この本[ほん]は、初[はじ]めて短歌[たんか]に接[せっ]する人たちのために書[か]かれた入門書です。 **にゅうよう【入用】** ○必要[ひつよう]。必要なお金[かね]。いりよう。 [文例]〈お金が入用〉お金が入用になった時[とき]は、いつでもお貸[か]ししますよ。♠〈入用の品[しな]〉買[か]い物[もの]に行[い]く時[とき]は、入用の品を書いたメモを持[も]って行きます。 **にゅうよく【入浴】** ○ふろに入[はい]ること。 [文例]今日[きょう]は、インフルエンザの予防注射[よぼうちゅうしゃ]をしたので、入浴や激[はげ]しい運動[うんどう]は避[さ]けるように。♠〈入浴する〉入浴して旅[たび]の疲[つか]れを落[お]としてから食事[しょくじ]にしよう。 **にゅうりょく【入力】** ○コンピュータに情報[じょうほう]を入[い]れること。機械[きかい]などに供給[きょうきゅう]するエネルギーの量[りょう]。インプット。→出力[しゅつりょく] [文例]〈入力する〉このコンピュータには、百科事典[ひゃっかじてん]何十冊分[なんじゅっさつぶん]もの情報が入力されている。♠〈入力・出力〉入力されたデータの中[なか]から、使[つか]う人[ひと]の必要[ひつよう]に応[おう]じて使いやすいように並[なら]べ替[か]えられた情報が出力される。 **にゅうわ【柔和】** ○おだやかでやさしいさま。 [文例]〈柔和な表情[ひょうじょう]〉彼[かれ]は、いつも口[くち]もとに笑[え]みを絶[た]やさない柔和な表情をしています。♠〈柔和な目[め]〉野生動物[やせいどうぶつ]の中[なか]でも、象[ぞう]や馬[うま]は柔和な目をしている。♠〈柔和な話[はな]し方[かた]〉老人[ろうじん]の柔和な話し方で、とげとげしかった雰囲気[ふんいき]が和[なご]んできた。 **にょう【尿】** ○小便[しょうべん]。おしっこ。 [文例]検査[けんさ]をしますので、このコップに半分[はんぶん]くらい尿をとってきてください。 **にょうぼう【女房】** ○妻[つま]。宮廷[きゅうてい]の女官[にょかん]。貴族[きぞく]の侍女[じじょ]。 [文例]〈女房をもつ〉女房をもつと気軽[きがる]に遊[あそ]べなくなりそうだから、当分[とうぶん]は独身[どくしん]でいるよ。♠〈女房をもらう〉わたしは二年前[にねんまえ]女房をもらいましたが、まだ子供[こども]はいません。♠〈女房のしりに敷[し]かれる〉あいつ、結婚[けっこん]そうそう女房のしりに敷かれているってうわさだぜ。♠〈女房と畳[たたみ]は新[あたら]しいほうがいい〉女房と畳は新しいほうがいいというが、長年連[ながねんつ]れそった古女房[ふるにょうぼう]もなかなかいいものです。 **にょじつ【如実】** ○ありのままであるさま。真実[しんじつ]。真理[しんり]。 [文例]〈如実にものがたる〉窓[まど]ガラスが吹[ふ]きとび黒[くろ]こげになった現場[げんば]は、事故[じこ]のひどさを如実にものがたっていた。♠〈如実に現[あらわ]れる〉努力[どりょく]を怠[おこた]れば、いずれ結果[けっか]に如実に現れる。♠〈如実に示[しめ]す〉この薬品[やくひん]の危険性[きけんせい]は、実験[じっけん]データが如実に示している。 **にらみ(睨み)** ○にらむこと。他[た]を威圧[いあつ]する力[ちから]。 [文例]〈にらみがきく〉ぼくは下級生[かきゅうせい]に対[たい]してにらみがきくので、みんなを集[あつ]めて注意[ちゅうい]しておきます。♠〈にらみをきかす〉敵国[てきこく]の軍艦[ぐんかん]が沖合[おきあ]いに姿[すがた]をみせ、にらみをきかせていた。 **にらみあい【にらみ合い】**(睨み合い) ○にらみ合[あ]うこと。 [文例]二人[ふたり]は、利害関係[りがいかんけい]のこじれから、にらみ合いを続[つづ]けている。 **にらみあ・う【にらみ合う】**(睨み合う) ○互[たが]いににらむ。対立[たいりつ]する。 [文例]まるで目[め]をそらしたほうが負[ま]けだとばかりに、二人[ふたり]はにらみ合っていた。♠ぼくたちは、あのグループと遊[あそ]び場[ば]の縄張[なわば]り争[あらそ]いでにらみ合っているんだ。 **にら・む(睨む)** ○怖[こわ]い目[め]つきで見[み]る。監視[かんし]する。目をつける。見当[けんとう]をつける。 [文例]〈人[ひと]をにらむ〉母熊[ははぐま]は、岩[いわ]の上[うえ]からぐっとわたしたちをにらんでいた。♠〈時計[とけい]をにらむ〉遅[おく]れそうなので、時計をにらみながらバスを待[ま]っていた。♠〈地図[ちず]をにらむ〉分[わ]かりにくい山道[やまみち]を、ぼくたちは地図をにらんで進[すす]んで行った。♠〈先生[せんせい]ににらまれる〉授業中[じゅぎょうちゅう]いたずらばかりしているから、きっと先生ににらまれているだろうな。♠〈課長[かちょう]ににらまれる〉あの課長ににらまれたら最後[さいご]、首[くび]にもなりかねないぞ。♠〈相手[あいて]の出方[でかた]をにらむ〉相手の出方をにらみながら、今後[こんご]のわれわれの行動[こうどう]を決[き]めていこう。♠〈〜であるとにらむ〉こんどの事件[じけん]の犯人[はんにん]は、事情[じじょう]をよく知[し]っている関係者[かんけいしゃ]のなかにいると、警察[けいさつ]ではにらんでいる。 **にる【似る】** ○同[おな]じように見[み]える。そっくりである。 [文例]〈形[かたち]が似る〉漢字[かんじ]は、読[よ]みの同[おな]じものや字形[じけい]のよく似たものがあるので、しっかりと覚[おぼ]えよう。♠〈動[うご]き方[かた]が似る〉あやつり人形[にんぎょう]の動かし方を工夫[くふう]すると、人間[にんげん]と非常[ひじょう]によく似た動き方をします。♠〈色[いろ]が似る〉動物[どうぶつ]たちの中[なか]には、体[からだ]の色がまわりとよく似ているものがある。♠〈意味[いみ]が似る〉意味が似ているか、ほとんど同じである単語[たんご]のグループを類義語[るいぎご]といいます。♠〈サルに似る〉百万年も前[ひゃくまんねんまえ]の人類[じんるい]は、人間というよりサルに似ていた。♠〈親[おや]に似る〉この子[こ]は、親のわたしに似てあわて者[もの]で・・・・・・。♠〈顔[かお]に似[に]ず〉やさしそうな顔に似ず、性格[せいかく]にきついところのある女[おんな]だった。♠〈似たような経験[けいけん]〉いつだったか、ぼくも今[いま]のきみと似たような経験をしたことがある。♠〈似たり寄[よ]ったり〉お店[みせ]にあったセーターはどれも似たり寄ったりで、特[とく]に気[き]に入[い]ったのはなかった。♠〈似ても似[に]つかない〉妹[いもうと]は「しずか」という名前[なまえ]だが、その名前とは似ても似つかぬおてんば娘[むすめ]だ。♠〈似もつかない〉その姿[すがた]は、わたしの記憶[きおく]にあるおじさんとは似もつ <833> かなかった。♠〈似て非[ひ]なる〉一見[いっけん]似ているが、実[じつ]は全然違[ぜんぜんちが]うというのが「似て非なる」という表現[ひょうげん]です。♠〈下手[へた]の考[かんが]え休[やす]むに似たり〉いつまで考[かんが]えていてもらちが明[あ]かないから、行動[こうどう]に移[うつ]るぞ。下手の考え休むに似たりだ。♠〈似た者夫婦[ふうふ]〉うちの両親[りょうしん]は似た者夫婦で、そこつ者[もの]で困[こま]ったもんだ。 **にる【煮る】** ○食物[しょくもつ]に水[みず]などを加[くわ]え、熱[ねつ]してやわらかくする。 [文例]〈魚[さかな]を煮る〉ぼくは、魚は焼[や]くより煮たほうが好[す]きです。♠〈柔[やわ]らかく煮る〉祖父母[そふぼ]は歯[は]が弱[よわ]いので、野菜[やさい]でも肉[にく]でも柔らかく煮て食[た]べます。♠〈煮ても焼いても食[く]えない〉その子[こ]がまた、煮ても焼いても食えぬ生意気[なまいき]なやつで、まわりの大人[おとな]たちももてあましぎみだった。 **にわ【庭】** ○屋敷内[やしきない]の空[あ]き地[ち]。庭園[ていえん]。物事[ものごと]を行[おこな]う場[ば]。家庭[かてい]。 [文例]〈家[いえ]の庭〉父[ちち]は、うちの小[ちい]さな庭いっぱいに、木[き]や花[はな]を植[う]えて楽[たの]しんでいます。♠〈農家[のうか]の庭〉農家の庭では、とったばかりの大根[だいこん]を一本一本[いっぽんいっぽん]きれいに洗[あら]っていた。♠〈庭の隅[すみ]〉庭の隅にかわいいタンポポの花が咲[さ]いている。♠〈庭に入[はい]る〉どこかの猫[ねこ]が庭に入りこんできた。♠〈庭を造[つく]る〉新[あたら]しく家を建[た]て、自然[しぜん]の風景[ふうけい]を取[と]りこんだ美[うつく]しい庭を造った。♠〈学[まな]びの庭〉〈裁[さば]きの庭〉学校[がっこう]を「学びの庭」、法廷[ほうてい]を「裁きの庭」というように、何[なに]かを行[おこな]う場所[ばしょ]のことを「庭」と言うこともある。 **にわか(俄か)** ○だしぬけ。突然[とつぜん]。すぐさま。急[いそ]いですること。 [文例]子供[こども]たちが帰[かえ]ってしまうと、公園[こうえん]はにわかに寂[さび]しくなった。♠病人[びょうにん]の容態[ようだい]がにわかに悪化[あっか]したので、急いで家族[かぞく]を呼[よ]んだ。♠にわかに空[そら]がかき曇[くも]り、雷[かみなり]が鳴[な]りだした。♠〈にわか勉強[べんきょう]〉ぼくの勉強は、いつもテスト前[まえ]のにわか勉強なので、テストが終[お]わると全部[ぜんぶ]忘[わす]れてしまう。♠〈にわか雨[あめ]〉にわか雨にあって、しばらく軒下[のきした]で雨宿[あまやど]りをした。♠〈にわか仕込[じこ]み〉代役[だいやく]の彼女[かのじょ]も、にわか仕込みの演技[えんぎ]にしてはなかなかの出来[でき]ばえだ。 **にわとり【鶏】** ○(「庭鳥[にわとり]」の意[い])キジ科[か]の鳥[とり]。卵用[らんよう]・肉用[にくよう]・観賞用[かんしょうよう]などに飼育[しいく]される。 [文例]〈鶏を飼[か]う〉うちで飼っている鶏は、毎日一個[まいにちいっこ]ずつ卵[たまご]を産[う]みます。♠〈鶏を絞[し]める〉村[むら]では、来客[らいきゃく]があると、鶏を絞めて客を歓迎[かんげい]するならわしだった。♠〈鶏が時[とき]をつくる〉朝早[あさはや]く、鶏が時をつくる声[こえ]で目[め]を覚[さ]ました。 **にん【任】** ○役目[やくめ]。任務[にんむ]。任期[にんき]。任地[にんち]。 [文例]〈任に当[あ]たる〉母[はは]は今年[ことし]、PTA役員[やくいん]の任に当たっていて、毎日[まいにち]なにかと忙[いそが]しそうです。♠〈任を終[お]える〉二年間[にねんかん]の外国勤務[がいこくきんむ]の任を無事[ぶじ]終えて、明日[あす]はいよいよ帰国[きこく]します。♠〈任が満[み]ちる〉地方長官[ちほうちょうかん]の職[しょく]にあった男爵[だんしゃく]は、その任が満ちて、再[ふたた]びローマへ戻[もど]ったのである。♠〈任に赴[おもむ]く〉北[きた]の岬[みさき]の灯台勤務[とうだいきんむ]を命[めい]じられた父は、一人[ひとり]でその任に赴くことになった。♠〈任に耐[た]える〉会長[かいちょう]だなんて、わたしはとてもその任には耐えられません。♠〈任を解[と]く〉大[おお]きな失敗[しっぱい]を犯[おか]したため、彼[かれ]は部長[ぶちょう]の任を解かれた。 **にんい【任意】** ○思[おも]いのままにすること。 [文例]〈任意に選[えら]ぶ〉円周上[えんしゅうじょう]の一点[いってん]を任意に選び、円[えん]に接[せっ]するように直線[ちょくせん]を引[ひ]きます。♠〈任意に参加[さんか]する〉夏休[なつやす]みのラジオ体操[たいそう]は強制[きょうせい]しませんから、みなさん任意に参加してください。♠〈任意の取[と]り調[しら]べ〉政治家[せいじか]が汚職[おしょく]の疑[うたが]いで、任意の取り調べを受[う]けた。 **にんか【認可】** ○認[みと]めて許可[きょか]すること。 [文例]〈認可がおりる〉私鉄[してつ]やタクシー、バスの運賃[うんちん]は、運輸大臣[うんゆだいじん]の認可がおりなければ変更[へんこう]できません。♠〈認可を与[あた]える〉申請中[しんせいちゅう]のわが社[しゃ]の新薬[しんやく]に対[たい]して厚生省[こうせいしょう]から認可が与えられた。♠〈認可する〉県[けん]は、当地[とうち]での火力発電所[かりょくはつでんしょ]の建設[けんせつ]を認可した。 **にんき【人気】** ○世間[せけん]の評判[ひょうばん]。その土地[とち]の人々[ひとびと]の気風[きふう](じんき)。 [文例]〈人気がある・ない〉地区対抗[ちくたいこう]リレーは、市民運動会[しみんうんどうかい]でいちばん人気のある種目[しゅもく]です。♠〈人気の的[まと]〉動物園[どうぶつえん]では、やっぱりサルが子供[こども]たちの人気の的です。♠〈人気を呼[よ]ぶ〉この科学雑誌[かがくざっし]は、小中学生[しょうちゅうがくせい]の間[あいだ]で人気を呼んでいます。♠〈人気が出[で]る〉この俳優[はいゆう]も、長[なが]い下積[したづ]み生活[せいかつ]が報[むく]われて、やっと人気が出てきた。♠〈人気をさらう〉虫[むし]の中[なか]でも、立派[りっぱ]な角[つの]を生[は]やしたカブトムシは、子供たちの人気をさらっている。♠〈人気が衰[おとろ]える〉昔[むかし]ながらのふろしきの人気は、いっこうに衰えません。♠〈人気を集[あつ]める〉一時[いちじ]は、若[わか]い人[ひと]の人気を一身[いっしん]に集めた歌手[かしゅ]だったが、今[いま]ではすっかり忘[わす]れられてしまった。♠〈人気を取[と]る〉みんなの人気を取ることばかり考[かんが]えていたら、逆[ぎゃく]にみんなから嫌[きら]われてしまいます。♠〈人気者[にんきもの]〉彼[かれ]は、クラスの人気者で、みんなから好[す]かれている。 **にんき【任期】** ○任務[にんむ]の期間[きかん]。 [文例]〈任期を務[つと]める〉選挙[せんきょ]によって選[えら]ばれた衆議院議員[しゅうぎいんぎいん]は四年[よねん]、参議院議員[さんぎいんぎいん]は六年[ろくねん]の任期を務めます。♠〈任期を果[は]たす〉母[はは]は、PTA会長[かいちょう]の任期を無事[ぶじ]果たしました。♠〈任期が満[み]ちる〉国司[こくし]がなつかしい都[みやこ]へ帰[かえ]ると、都はすっかり変[か]わっていました。 **にんぎょう【人形】** ○人[ひと](や動物[どうぶつ]など)の姿[すがた]に似[に]せて作[つく]ったおもちゃ。意志[いし]をもたず、人[ひと]の言[い]いなりになる人。 [文例]〈人形を作る〉お母[かあ]さんが端切[はぎ]れでかわいい人形を作ってくれました。♠〈人形を操[あやつ]る〉文楽[ぶんらく]の人形つかいが、自由[じゆう]に人形を操るようになるまでには、長[なが]く厳[きび]しい修練[しゅうれん]が必要[ひつよう]だそうだ。♠〈人形のよう〉まあ、かわいい、お人形さんのような赤ちゃんね。♠〈人形劇[にんぎょうげき]〉劇団[げきだん]の人たちがバスでやって来[き]て、「赤[あか]ずきんちゃん」の人形劇を見[み]せてくれました。♠〈操[あやつ]り人形〉信徒[しんと]たちは、まるで操り人形のように教祖[きょうそ]の言[い]いなりになっていた。♠ひる寝[ね]せし児[こ]の枕辺[まくらべ]に/人形を買[か]ひ来[き]てかざり、/ひとり楽[たの]しむ。(石川啄木[いしかわたくぼく]) **にんげん【人間】** ○ヒト。人類[じんるい]。人物[じんぶつ]。人柄[ひとがら]。人間界[にんげんかい]。世間[せけん]。 [文例]〈動物[どうぶつ]と人間〉動物とちがって、人間は言葉[ことば]を使[つか]って生活[せいかつ]しています。♠〈人間に近[ちか]い〉チンパンジーは人間に最[もっと]も近い動物で、道具[どうぐ]が使えます。♠〈人間の世界[せかい]〉今[いま]もなお、人間の世界からは戦争[せんそう]という恐[おそ]ろしい出来事[できごと]がなくなっていない。♠〈人間らしい暮[く]らし〉人間は、手[て]で道具や機械[きかい]を作[つく]り、手でそれらを使って、人間らしい暮らしを作り上[あ]げてきた。♠〈生身[なまみ]の人間〉いくら立派[りっぱ]な人でも、生身の人間である以上[いじょう]、食[た]べなければ腹[はら]はすくし、打[う]たれれば痛[いた]いに決[き]まっている。♠〈一人前[いちにんまえ]の人間〉自分[じぶん]の力[ちから]で生[い]きていくこと <834> は、一人前[いちにんまえ]の人間[にんげん]ならだれでもやっていることだ。♠〈自分という人間〉ぼくはある時期[じき]、自分という人間がいやでたまらなかった。♠〈人間が出来[でき]ている〉あの人[ひと]は苦労[くろう]をしただけあって、人間が出来ていて、周[まわ]りからの信頼[しんらい]も厚[あつ]い。♠〈ずるがしこい人間〉あの男[おとこ]は、ずるがしこい人間だから、気[き]をつけたほうがいい。♠〈人間味[にんげんみ]〉おじいさんもおばあさんも、貧[まず]しいが人間味にあふれた善良[ぜんりょう]な人たちだった。♠〈人間的[にんげんてき]〉少女[しょうじょ]は、持[も]ち前[まえ]の明[あか]るさと純粋[じゅんすい]さとで人々[ひとびと]の信頼を得[え]て、人間的に成長[せいちょう]していった。♠〈人間関係[にんげんかんけい]〉きみたちにもわかるだろうが、人間関係というのはまことに難[むずか]しいものなのだ。♠〈人間模様[にんげんもよう]〉ドラマは、下町[したまち]の人々が織[お]りなす人間模様を描[えが]いた佳作[かさく]である。♠〈人間業[にんげんわざ]〉みごと、みごと、とても人間業とは思[おも]えない。♠〈人間至[いた]る所青山[せいざん]あり〉人間至る所青山あり、広[ひろ]い世界[せかい]に活躍[かつやく]の場[ば]を求[もと]めるのがよかろう。♠〈人間万事塞翁[にんげんばんじさいおう]が馬[うま]〉人生[じんせい]は、何[なに]が幸福[こうふく]で何が不幸[ふこう]のもとになるか分からないというたとえが、「人間万事塞翁が馬」です。 **にんしき【認識】** ○物事[ものごと]を理解[りかい]し、正[ただ]しく判断[はんだん]すること。また、その心[こころ]の働[はたら]きとそこから得[え]られた知識[ちしき]。 [文例]〈しっかりした認識〉〈認識を持[も]つ〉日本語[にほんご]についてしっかりした認識を持つことは、わたしたち日本人[にほんじん]にとって大事[だいじ]なことです。♠〈認識を改[あらた]める〉女[おんな]の子[こ]は男[おとこ]の子[こ]より優[やさ]しくておとなしいと思[おも]っていたが、認識を改めなくてはならないようだなあ。♠〈認識を新[あら]たにする〉自分[じぶん]が考[かんが]えていることを文章[ぶんしょう]にまとめる作業[さぎょう]を通[とお]して、考えがさらに深[ふか]まり、認識を新にしていく。♠〈認識が深まる〉本[ほん]で読[よ]んだことを、実際[じっさい]にこの目[め]で確[たし]かめると、いっそう認識が深まります。♠〈認識がある・ない〉自分[じぶん]のやったことがどれほど重大[じゅうだい]なことなのかという認識が、少年[しょうねん]には少[すこ]しもないようだった。♠〈認識が欠[か]ける〉彼[かれ]には、社会人[しゃかいじん]としての認識が欠けている。♠〈認識する〉自分が学生[がくせい]であることをよく認識して行動[こうどう]しよう。♠〈認識不足[にんしきぶそく]〉彼があれほどの力[ちから]を持っていたとは・・・・・・、まったくぼくの認識不足だった。 **にんじゅう【忍従】** ○たえ忍[しの]ぶこと。がまんして従[したが]うこと。 [文例]〈忍従の生活[せいかつ]〉百姓[ひゃくしょう]たちは、重[おも]い年貢[ねんぐ]に苦[くる]しめられながら逆[さか]らうことも出来[でき]ず、長[なが]い間[あいだ]、忍従の生活を強[し]いられた。♠〈忍従の日[ひ]〉小作人[こさくにん]たちは、領主[りょうしゅ]に言[い]われるままに忍従の日を重[かさ]ねていたが、ついに立[た]ち上[あ]がった。♠〈忍従を強いる〉王[おう]の絶対[ぜったい]の権力[けんりょく]の下[もと]に、悪政[あくせい]に忍従を強いられてきた人々[ひとびと]の不満[ふまん]がついに爆発[ばくはつ]した。♠〈忍従する〉不幸[ふこう]な境遇[きょうぐう]にじっと忍従して一生[いっしょう]を閉[と]じた。 **にんしょう【人称】** ○文章[ぶんしょう]や談話[だんわ]で、話[はな]し手[て]・聞[き]き手[て]・その他[ほか]のものを区別[くべつ]して示[しめ]す方法[ほうほう]。 [文例]日本語[にほんご]と異[こと]なり、人称によって動詞[どうし]が変化[へんか]する言語[げんご]もある。 **にんじょう【人情】** ○思[おも]いやりや情[なさ]け。人間[にんげん]としての心[こころ]。 [文例]なるべく楽[らく]をしたいと思[おも]うのが人情だが、人生[じんせい]そんなに楽ばかりとは限[かぎ]らないよ。♠〈こまやかな人情〉旅先[たびさき]では、美[うつく]しい自然[しぜん]やこまやかな人情に接[せっ]することができた。♠〈人情が薄[うす]い〉人情の薄い都会[とかい]で暮[く]らしてみると、ふるさとのあたたかさがしみじみと懐[なつ]かしい。♠〈人情がある・ない〉あれほど頭[あたま]を下[さ]げて頼[たの]んでいるのに、びた一文[いちもん]貸[か]してやらないなんて、人情がなさすぎる。♠〈あたたかい人情〉下町[したまち]の人たちのあたたかい人情にひかれます。♠〈人情は紙[かみ]より薄[うす]い〉「人情は紙より薄い」などと言[い]われるが、まんざらそうでもなさそうだ。♠〈義理[ぎり]と人情〉日本では昔[むかし]から、義理と人情を主題[しゅだい]にした小説[しょうせつ]や芝居[しばい]がたくさんあります。♠〈人情の機微[きび]〉この小説は、都会の片隅[かたすみ]でつましく生[い]きる人々[ひとびと]の人情の機微がよく描[えが]けている。♠〈人情味[にんじょうみ]〉苦労[くろう]した人[ひと]には、人情味や思[おも]いやりのある人が多[おお]いようです。 **にん・じる【任じる】** ○ある役目[やくめ]につかせる。任務[にんむ]として引[ひ]き受[う]ける。 [文例]〈将軍[しょうぐん]に任じる〉源頼朝[みなもとのよりとも]は一一九二年[いちいちきゅうにねん]、朝廷[ちょうてい]から征夷大将軍[せいいたいしょうぐん]に任じられました。♠〈自[みずか]ら任じる〉自らエースをもって任じる彼[かれ]は、苦戦[くせん]の時[とき]ほど底力[そこぢから]を発揮[はっき]してチームを支[ささ]えている。 **にんしん【妊娠】**(妊娠) ○体内[たいない]に子[こ]を宿[やど]すこと。 [文例]〈妊娠する〉今日[きょう]、病院[びょういん]で診[み]てもらって、妊娠していることがはっきりしました。♠〈妊娠中絶[にんしんちゅうぜつ]〉未婚女性[みこんじょせい]の妊娠中絶の増加[ぞうか]が問題[もんだい]となっていた。 **にんそう【人相】** ○顔[かお]つき。顔つきから読[よ]み取[と]れるその人[ひと]の性格[せいかく]や運命[うんめい]。 [文例]〈人相が悪[わる]い〉人相の悪い男[おとこ]が後[あと]をつけてくるので、怖[こわ]くなって警察[けいさつ]に駆[か]けこみました。♠〈人相を見[み]る〉兄[にい]さんがにわか仕込[じこ]みの知識[ちしき]で人相を見てくれたけれど、当[あ]たりっこないわね。 **にんそく【人足】** ○力仕事[ちからしごと]をする労働者[ろうどうしゃ]。人夫[にんぷ]。 [文例]〈人足を出す〉各村[かくそん]から人足を出して、共同[きょうどう]で大[おお]きなため池[いけ]をつくることになった。♠〈人足をする〉わしは、昔[むかし]、佐渡[さど]の金山[きんざん]で人足をしていたんじゃ。 **にんたい【忍耐】** ○耐[た]えること。がまんすること。 [文例]〈忍耐が要[い]る〉用具[ようぐ]や資料[しりょう]が不十分[ふじゅうぶん]な悪条件[あくじょうけん]の下[もと]での研究[けんきゅう]は、苦[くる]しい、忍耐の要る仕事だった。♠〈意志[いし]と忍耐〉苦境[くきょう]に立[た]たされても、強[つよ]い意志と忍耐で切[き]り開[ひら]いて、たくましく生[い]きていきたい。♠〈忍耐する〉つまらないことでかっかすると、ろくなことはない、もっと忍耐することを覚[おぼ]えなさい。♠〈忍耐心[にんたいしん]〉苦境に立たされても、それに耐えられる忍耐心を養[やしな]うことも大切[たいせつ]です。♠〈忍耐強[にんたいづよ]い〉苦しい時[とき]もへこたれない忍耐強い人[ひと]になれるかしら。 **にんち【任地】** ○任務[にんむ]を行[おこな]うべき土地[とち]。 [文例]〈任地に赴[おもむ]く〉父[ちち]は、電源開発[でんげんかいはつ]の仕事[しごと]のため山奥[やまおく]の任地に赴いた。♠〈任地を離[はな]れる〉任務を終[お]えて、長年[ながねん]過[す]ごした任地を離れることになった。 **にんてい【認定】** ○資格[しかく]などについて審査[しんさ]し決定[けってい]すること。 [文例]〈認定を受[う]ける〉この施設[しせつ]に入[はい]るには、市[し]の認定を受ける必要があります。♠〈認定する〉県[けん]の採用試験[さいようしけん]を受[う]けた姉[あね]に、今日[きょう]、採用を認定する旨[むね]の通知[つうち]が届[とど]いた。♠〈認定証[にんていしょう]〉書道[しょどう]を習[なら]っている母[はは]が、ついに師範[しはん]の認定証を手[て]にしました。 **にんぴにん【人非人】** ○人間[にんげん]らしい心[こころ]のない者[もの]。ひとでなし。 [文例]捕[と]らえられた殺人犯[さつじんはん]に、集[あつ]まった人たちから「人でなし、人非人。」の罵声[ばせい]が浴[あ]びせられた。 <835> **にんぷ【人夫】** ○労務者[ろうむしゃ]。人足[にんそく]。 [文例]堤防工事[ていぼうこうじ]が始[はじ]まると、村人[むらびと]たちは男[おとこ]も女[おんな]も人夫としてかり出[だ]された。♠〈人夫をする〉父[ちち]は、冬場[ふゆば]は道路工事[どうろこうじ]の人夫をしていた。 **にんぷ【妊婦】**(妊婦) ○妊娠[にんしん]している女性[じょせい]。 [文例]妊婦は体[からだ]を大切[たいせつ]にしなくてはなりませんが、適度[てきど]な運動[うんどう]も必要[ひつよう]です。 **にんまり** 満足[まんぞく]げに笑[え]みを浮[う]かべるさま。 [文例]しめしめ、宝[たから]の山[やま]はおれ一人[ひとり]のものになるぞと、男[おとこ]はにんまりと笑った。♠〈にんまりする〉相手[あいて]の失敗[しっぱい]にわたしは思[おも]わずにんまりした。 **にんむ【任務】** ○役目[やくめ]。務[つと]め。 [文例]〈任務につく〉彼[かれ]は、兵士[へいし]たちが休息[きゅうそく]する間[あいだ]、見張[みは]りをするという重要[じゅうよう]な任務についていた。♠〈任務を遂[と]げる〉その時銃[ときじゅう]の引[ひ]き金[がね]を引[ひ]きさえすれば、彼[かれ]の兵士としての任務は遂げられたはずだった。♠〈任務を果[は]たす〉林[はやし]さんは、この一年[いちねん]クラブの部長[ぶちょう]としての任務をよく果たしてくれた。♠〈任務を帯[お]びる〉父[ちち]は、重要な任務を帯びて、一週間[いっしゅうかん]アメリカに出張[しゅっちょう]するそうです。♠〈任務を担[にな]う〉隊長[たいちょう]は、隊員一人一人[たいいんひとりひとり]を守[まも]り、導[みちび]き、まとめていくという任務を担っている。♠〈任務を命[めい]じる〉兵士は、敵[てき]の様子[ようす]をさぐるという重大[じゅうだい]な任務を命じられた。♠〈任務を遂行[すいこう]する〉彼[かれ]は、任務を遂行するために、命[いのち]をも投[な]げ出したのだった。 **にんめい【任命】** ○職務[しょくむ]・役目[やくめ]などを命[めい]じること。 [文例]〈任命する〉総理大臣[そうりだいじん]は、天皇[てんのう]が任命することになっています。♠〈任命する〉ラジウム研究所[けんきゅうじょ]が設立[せつりつ]され、キュリー夫人[ふじん]は所長[しょちょう]に任命された。 **にんよう【任用】** ○人[ひと]を職務[しょくむ]につけて用[もち]いること。 [文例]〈任用する〉この国[くに]では、役人[やくにん]を任用するにあたっては、才能[さいのう]や手腕[しゅわん]だけでなく徳性[とくせい]にも重[おも]きを置[お]いていた。 ## ぬ **ぬ・う【縫う】** ○針[はり]と糸[いと]で布[ぬの]をつなぎ合[あ]わせる。ししゅうをする。傷口[きずぐち]などをとじ合[あ]わせる。物[もの]の間[あいだ]をすり抜[ぬ]ける。矢[や]などが貫[つらぬ]く。 [文例]〈布を縫う〉カーテンなどの大[おお]きな布も、ミシンで縫えば簡単[かんたん]です。♠〈模様[もよう]を縫う〉母[はは]は、テーブルセンターにと言[い]って、バラの花[はな]の模様を縫っています。♠〈糸で縫う〉帽子[ぼうし]の裏[うら]には、赤[あか]い糸で持[も]ち主[ぬし]の名前[なまえ]が縫ってありました。♠〈ぞうきんを縫う〉小学校[しょうがっこう]の初[はじ]めての家庭科[かていか]の時間[じかん]には、ぞうきんを縫ったことを覚[おぼ]えている。♠〈傷口を縫う〉弟[おとうと]は頭[あたま]にけがをして、傷口を七針[ななはり]も縫いました。♠〈間を縫う〉大統領[だいとうりょう]の車[くるま]は、道路[どうろ]にあふれ出[で]た民衆[みんしゅう]の間を縫うように進[すす]んだ。♠〈人込[ひとご]みを縫う〉祭[まつ]りの人込みの中[なか]を縫って行[い]くのは、ほんとうに疲[つか]れる。♠〈合間[あいま]を縫う〉その日[ひ]は、忙[いそが]しい仕事の合間を縫って、東京駅[とうきょうえき]へ母を迎えに行きました。 **ぬか(糠)** ○米[こめ]などを精白[せいはく]する時[とき]に出[で]る果皮[かひ]などの粉[こな]。細[こま]かいこと。はかないことのたとえ。 [文例]〈ぬかにくぎ〉こちらが一生懸命忠告[いっしょうけんめいちゅうこく]するが、ぬかにくぎ、彼[かれ]は耳[みみ]を貸[か]そうともしない。♠〈ぬか漬[づ]け〉ぬか漬けを作[つく]ろうと思[おも]い、ぬかに塩[しお]とビールをまぜてぬか床[どこ]を作りました。♠〈ぬか雨[あめ]〉しとしととぬか雨の降[ふ]る中[なか]を、わたしは傘[かさ]もささずに歩[ある]いていた。 **ぬか・す【抜かす】** ○抜[ぬ]けた状態[じょうたい]にする。もらす。はずす。抜く。言[い]う。ほざく。 [文例]〈大切[たいせつ]なところを抜かす〉感想文[かんそうぶん]を提出[ていしゅつ]したのはいいけれど、大切なところを抜かしてしまった。♠〈メンバーから抜かす〉明日[あした]の試合[しあい]では、練習[れんしゅう]を休[やす]んでばかりいた人[ひと]はメンバーから抜かします。♠〈腰[こし]を抜かす〉大地震[おおじしん]のとき、おばあさんは驚[おどろ]きのあまり腰を抜かしてしまったそうだ。♠〈前[まえ]の走者[そうしゃ]を抜かす〉今日[きょう]のリレーでは四人[よにん]も抜かしてトップでテープを切[き]った。♠〈うつつを抜かす〉学生[がくせい]の分際[ぶんざい]で、マージャンにうつつを抜かすとは何事[なにごと]だ。♠〈何[なに]を抜かす〉老人[ろうじん]は、からかう子供[こども]たちに向[む]かって、「何を抜かす、このわんぱく坊主[ぼうず]めが!」と大声[おおごえ]でどなった。 **ぬかず・く(額ずく)** ○額[ひたい]を地[ち]につけて拝[おが]む。 [文例]〈神[かみ]にぬかずく〉神の前[まえ]にぬかずき、罪[つみ]を告白[こくはく]して許[ゆる]しをこいなさい。 **ぬかみそ(糠味噌)** ○ぬかに塩[しお]をまぜたもの。 [文例]〈ぬかみそが腐[くさ]る〉ぬかみそが腐るような下手[へた]な歌[うた]はやめてよ。♠〈ぬかみそ臭[くさ]い〉若[わか]い娘[むすめ]はいいねえ、うちの女房[にょうぼう]なんかぬかみそ臭くて。 **ぬかよろこび【ぬか喜び】**(糠喜び) ○喜[よろこ]んでいたのに当[あ]てがはずれること。 [文例]〈ぬか喜び〉家族旅行[かぞくりょこう]を楽[たの]しみにしていたのに、お父[とう]さんの出張[しゅっちょう]でぬか喜びだったわね。♠〈ぬか喜びに終[お]わる〉全国大会出場[ぜんこくたいかいしゅつじょう]の夢[ゆめ]が実現[じつげん]するかと思[おも]われたが、試合終了間際[しあいしゅうりょうまぎわ]に逆転[ぎゃくтен]され、関係者[かんけいしゃ]の喜びもぬか喜びに終わった。 **ぬかり【抜かり】** ○手落[てお]ち。失敗[しっぱい]。 [文例]〈ぬかりはない〉準備[じゅんび]にぬかりはありません。いつ出発[しゅっぱつ]してもいいようになっています。♠〈ぬかりなく〉工事[こうじ]はぬかりなく進[すす]められている。♠〈手ぬかり〉大切[たいせつ]なお客[きゃく]さまを接待[せったい]するのに手ぬかりがあってはならない。 **ぬか・る【抜かる】** ○しくじる。失敗[しっぱい]する。 [文例]手[て]はずは整[ととの]っているだろうな。ぬかるなよ。 **ぬかる・む(泥濘む)** ○ぬかる。 [文例]〈グラウンドがぬかるむ〉雨上[あめあ]がりのグラウンドはぬかるんで、練習試合[れんしゅうじあい]ができるかどうか心配[しんぱい]だった。 **ぬかるみ(泥濘)** ○ぬかっている所[ところ]。 [文例]〈ぬかるみになる〉雪解[ゆきど]けで、野[の]の道[みち]はすっかりぬかるみになっていた。♠〈ぬかるみにはまる〉わたしたち二人[ふたり]の関係[かんけい]は、まるでぬかるみにはまったように抜[ぬ]き差[さ]しならなかった。 **ぬかる・む(泥濘る)** ○雨[あめ]などで道[みち]がどろどろになる。 [文例]〈道がぬかる〉昨夜[ゆうべ]の雨のせいで、まだ道はぬかっていた。 **ぬき【抜き】** ○抜[ぬ]くこと。栓[せん]ぬき。 [文例]〈抜[ぬ]きにする〉前置[まえお]きは抜きにして、早速本題[さっそくほんだい]に入[はい]ることにします。♠〈あいさつ抜[ぬ]き〉急[いそ]ぎますので、あいさつ抜きで用件[ようけん]だけ言[い]います。♠〈しみ抜[ぬ]き〉スカートにつけたコーヒーのしみは、いくらしみ抜きをしてもきれいにとれなかった。 **ぬきうち【抜き打ち】** ○刀[かたな]を抜[ぬ]くと同時[どうじ]に切[き]りかかること。予告[よこく]しないで突然[とつぜん]行[おこな]うこと。 [文例]〈抜き打ちに切[き]る〉相手[あいて] <836> はこらちに構[かま]えるすきを与[あた]えず、抜[ぬ]き打[う]ちに切[き]りつけてきた。♠〈抜[ぬ]き打[う]ちテスト〉先生[せんせい]が抜[ぬ]き打[う]ちテストを言[い]いだしたので、教室中[きょうしつじゅう]は大騒[おおさわ]ぎです。 **ぬきがき【抜き書き】** ○抜[ぬ]き出[だ]して書[か]くこと。また、そうして書いたもの。 [文例]〈抜[ぬ]き書[が]きする〉重要[じゅうよう]だと思[おも]われる部分[ぶぶん]を、ノートに抜[ぬ]き書[が]きしておきましょう。 **ぬぎす・てる【脱ぎ捨てる】** ○脱[ぬ]いでほうっておく。捨[す]て去[さ]る。 [文例]〈靴[くつ]を脱[ぬ]ぎ捨[す]てる〉ブカブカの靴を脱ぎ捨てると、はだしで走[はし]り出[だ]した。♠〈服[ふく]を脱[ぬ]ぎ捨[す]てる〉かっとなった少年[しょうねん]は、上着[うわぎ]を脱ぎ捨てると上級生[じょうきゅうせい]にとびかかっていった。♠〈古[ふる]い考[かんが]えを脱[ぬ]ぎ捨[す]てる〉時代[じだい]が変[か]わっていっても、父[ちち]は自分[じぶん]の古い考えを脱ぎ捨てることはできなかった。 **ぬきだ・す【抜き出す】** ○引[ひ]き抜[ぬ]いて出[だ]す。選[えら]び出[だ]す。 [文例]〈箱[はこ]から抜[ぬ]き出[だ]す〉彼[かれ]は箱の中からタバコを一本[いっぽん]抜き出すと、火[ひ]をつけた。♠〈言葉[ことば]を抜[ぬ]き出[だ]す〉この詩[し]の中[なか]で、少女[しょうじょ]の気持[きも]ちが表[あらわ]れていると思[おも]う言葉を抜き出しなさい。 **ぬきと・る【抜き取る】** ○引[ひ]き抜[ぬ]いて取[と]る。選[えら]んで取[と]る。盗[ぬす]み取[と]る。 [文例]〈現金[げんきん]を抜[ぬ]き取[と]る〉現金だけを抜き取って財布[さいふ]を戻[もど]して置[お]くとは、手口[てぐち]の巧妙[こうみょう]なスリだな。♠〈サンプルを抜[ぬ]き取[と]る〉いくつかサンプルを抜き取って、商品[しょうひん]に欠陥[けっかん]がないか調[しら]べてみましょう。♠〈魂[たましい]を抜[ぬ]き取[と]る〉愛[あい]する子供[こども]を失[うしな]った母親[ははおや]は、まるで魂を抜き取られたようになってしまった。 **ぬきん・でる【抜きんでる】**(抽んでる・擢んでる) ○きわだってすぐれている。ひいでる。 [文例]〈ぬきんでた能力[のうりょく]〉A君[くん]は、クラスではぬきんでた運動能力[うんどうのうりょく]の持[も]ち主[ぬし]です。♠〈他[ほか]からぬきんでる〉スポーツ選手[せんしゅ]として他からぬきんでるためには、血[ち]のにじむようなトレーニングを欠[か]かしてはならない。♠〈衆[しゅう]にぬきんでる〉「学問[がくもん]のすすめ」を著[あらわ]した福沢諭吉[ふくざわゆきち]は、すでに学生[がくせい]のころから衆にぬきんでていたという。 **ぬ・く【抜く】**(貫く・抽く) ○引[ひ]いて取[と]り出[だ]す。除[のぞ]く。省略[しょうりゃく]する。追[お]い越[こ]す。盗[ぬす]み取[と]る。突[つ]き通[とお]す。最後[さいご]まで・・・する。 [文例]〈刀[かたな]を抜[ぬ]く〉おじさんは、床[とこ]の間[ま]に飾[かざ]られた名刀[めいとう]を、さやから抜いてみせてくれた。♠〈歯[は]を抜[ぬ]く〉歯医者[はいしゃ]に行[い]って、虫歯[むしば]を抜いてもらった。♠〈とげを抜[ぬ]く〉ネコの足[あし]に刺[さ]さったとげを、とげ抜[ぬ]きで抜いてやった。♠〈舌[した]を抜[ぬ]く〉おばあちゃんは、「うそをつくと、えんまさまに舌を抜かれるよ。」と、いつも言[い]う。♠〈栓[せん]を抜[ぬ]く〉会場[かいじょう]のあちこちで、ボーイがビールの栓を抜き始[はじ]めた。♠〈渋[しぶ]を抜[ぬ]く〉渋柿[しぶがき]の渋を抜くには、皮[かわ]をむいてつるし、これをしばらく干[ほ]す方法[ほうほう]が一般的[いっぱんてき]だ。♠〈しみを抜[ぬ]く〉クリーニング屋[や]で、ズボンのしみを上手[じょうず]に抜いてもらった。♠〈どぎもを抜[ぬ]く〉彼女[かのじょ]はときどき、どぎもを抜くような派手[はで]な服装[ふくそう]をして来[く]る。♠〈毒気[どっけ]を抜[ぬ]く〉いきなり藤田君[ふじたきみ]のほっぺたをつねったら、毒気を抜かれた顔[かお]できょとんとしていたわ。♠〈タイヤの空気[くうき]を抜[ぬ]く〉車[くるま]をちょっと止[と]めておいたら、タイヤの空気を抜かれてしまった。♠〈ふろの水[みず]を抜[ぬ]く〉一番最後[いちばんさいご]におふろに入[はい]った人[ひと]は、水を抜いておいてね。♠〈朝食[ちょうしょく]を抜[ぬ]く〉朝食を抜く人がいるが、健康上[けんこうじょう]いいことではない。♠〈手[て]を抜[ぬ]く〉手を抜いた料理[りょうり]は、見[み]た目[め]はよくても、味[あじ]がどこかもの足[た]りない。♠〈力[ちから]を抜[ぬ]く〉途中[とちゅう]で油断[ゆだん]して力を抜いたら、ビリになってしまった。♠〈気[き]を抜[ぬ]く〉あなたは、仕事[しごと]に気を抜いているから、こんなにミスが多[おお]いのですよ。♠〈肩[かた]の力[ちから]を抜[ぬ]く〉仕事のあとは、肩の力を抜いて、ゆっくりとくつろぎたいものだ。♠〈籍[せき]を抜[ぬ]く〉結婚[けっこん]すると、たいてい女性[じょせい]のほうが籍を抜いて男性[だんせい]の籍に入[はい]るようだ。♠〈前[まえ]の走者[そうしゃ]を抜[ぬ]く〉もう少しで前の走者を抜くことができたのに、残念[ざんねん]だったな。♠〈三遊間[さんゆうかん]を抜[ぬ]く〉打球[だきゅう]は、あっという間[ま]に三遊間を抜いて、レフトに達[たっ]した。♠〈群[ぐん]を抜[ぬ]く〉彼[かれ]の成績[せいせき]は、クラスの中[なか]でも群を抜いてきわだっている。♠〈やり抜[ぬ]く〉中学生[ちゅうがくせい]になったら、一[ひと]つの事[こと]を最後[さいご]までやり抜く根気[こんき]を持[も]ってもらいたい。♠〈生[い]き抜[ぬ]く〉わたしの両親[りょうしん]は激動[げきどう]の時代[じだい]を生き抜いてきた世代[せだい]だ。 **ぬ・ぐ【脱ぐ】** ○身[み]につけている物[もの]を取[と]りはずす。 [文例]〈靴[くつ]を脱[ぬ]ぐ〉日本では、家[いえ]に入[はい]るとき靴を脱ぐのが習慣[しゅうかん]です。♠〈服[ふく]を脱[ぬ]ぐ〉びしょぬれになったときの服は、体[からだ]にぴったとくっついて、なかなか脱ぐことができない。♠〈皮[かわ]を脱[ぬ]ぐ〉ヘビは着物[きもの]を脱ぐように皮を脱いで、新[あたら]しく生[う]まれ変[か]わる。♠〈帽子[ぼうし]を脱[ぬ]ぐ〉校舎内[こうしゃない]では帽子を脱ぎなさい。♠〈一肌脱[ひとはだぬ]ぐ〉「その件[けん]についてはわたしが一肌脱ぎましょう。」と、町内会長[ちょうないかいちょう]は快[こころよ]く引[ひ]き受[う]けてくれた。♠〈かぶとを脱[ぬ]ぐ〉まいった、まいった。きみの強情[ごうじょう]なのにはかぶとを脱ぐよ。♠〈シャッポを脱[ぬ]ぐ〉いやあ、あの女[おんな]のしたたかなのにはシャッポを脱いだよ。♠〈秘密[ひみつ]のベールを脱[ぬ]ぐ〉歴代[れきだい]の王[おう]の埋葬物[まいそうぶつ]がついに秘密のベールを脱ぐ日がきた。 **ぬぐ・う(拭う)** ふき取[と]る。消[け]しさる。 [文例]〈汗[あせ]をぬぐう〉炎天下[えんてんか]を、人々[ひとびと]は額[ひたい]の汗をぬぐいながら歩[ある]いている。♠〈涙[なみだ]をぬぐう〉姉[あね]の結婚式[けっこんしき]で、父[ちち]はうれしいのか寂[さび]しいのか、そっと涙をぬぐっていた。♠〈口[くち]をぬぐう〉彼[かれ]は、ナプキンで口をぬぐうと、ボーイに皿[さら]を下[さ]げるように命[めい]じた。♠〈口[くち]をぬぐう〉事件後[じけんご]、彼[かれ]らは何[なに]も見[み]なかったかのように、口をぬぐいとおした。♠〈汚点[おてん]をぬぐう〉この行為[こうい]によって、彼[かれ]は人生[じんせい]にぬぐいきれない汚点を残[のこ]したと言[い]われる。♠〈しりをぬぐう〉人[ひと]のいいのはけっこうだが、他人[たにん]の不始末[ふしまつ]のしりをぬぐってばかりじゃつまらんだろう。 **ぬくぬく** あたたかそうなさま。何[なん]の苦労[くろう]もないさま。あつかましいさま。 [文例]〈ぬくぬくと暖[あたた]まる〉こたつにすっぽりと入[はい]り、ぬくぬくと暖まっているうちに眠[ねむ]ってしまった。♠〈ぬくぬくと暮[く]らす〉わたしは、今[いま]まで、親[おや]の庇護[ひご]の下[した]で何の苦労も知[し]らず、ぬくぬくと暮らしていたのです。♠〈ぬくぬくと眠[ねむ]る〉この世[よ]の中[なか]で本当[ほんとう]に悪[わる]いやつは、口[くち]では正義[せいぎ]や法[ほう]をとなえぬくぬくと眠っているだろう。 **ぬくもり(温もり)** ○あたたかさ。 [文例]〈体[からだ]のぬくもり〉赤ちゃんは、お母[かあ]さんの体のぬくもりに安心[あんしん]したのか、腕[うで]の中[なか]ですやすやと眠[ねむ]っている。♠〈ぬくもりが残[のこ]る〉冬[ふゆ]の朝[あさ]は、ふとんに残るぬくもりにさそわれて、もう少[すこ]し寝[ね]ていようかと思[おも]うことがある。♠〈ぬくもりを感[かん]じる〉田舎[いなか]から送[おく]られてきた手袋[てぶくろ]をしていると、母[はは]のぬくもりを感じます。♠〈ぬくもりが伝[つた]わる〉あの少年[しょうねん]と話[はな]していると、優[やさ]しさがぬ <837> くもりとなって伝[つた]わってくる。 **ぬけあな【抜け穴】** ○通[とお]り抜[ぬ]けるための穴[あな]。こっそり逃[に]げ出[だ]すための穴。うまく逃[のが]れるための方法[ほうほう]・手段[しゅだん]。 [文例]〈城[しろ]への抜[ぬ]け穴[あな]〉古井戸[ふるいど]は、お城[しろ]への抜[ぬ]け穴[あな]になっていました。♠〈法[ほう]の抜[ぬ]け穴[あな]〉法[ほう]の抜[ぬ]け穴[あな]を利用[りよう]して、あくどくもうける者[もの]があとを絶[た]ちません。 **ぬけがけ【抜け駆け】** ○こっそり抜[ぬ]け出[だ]して敵[てき]を攻[せ]めること。他[ほか]の人[ひと]を出[だ]し抜[ぬ]くこと。 [文例]〈抜[ぬ]け駆[が]けする〉勘助[かんすけ]は手柄[てがら]をたてようと、抜[ぬ]け駆[が]けして敵陣[てきじん]に攻[せ]め入[い]った。♠〈抜[ぬ]け駆[が]けする〉彼女[かのじょ]は、ぼくたちみんなのマドンナなんだから、一人[ひとり]だけ抜[ぬ]け駆[が]けしようたって、そうはいかないぞ。♠〈抜[ぬ]け駆[が]けの功名[こうみょう]〉みんなが寝[ね]ている間[あいだ]に出[で]かけたおれは、抜[ぬ]け駆[が]けの功名[こうみょう]でうまい朝飯[あさめし]にありついたのさ。 **ぬけがら【抜け殻】**(脱け殻) ○ヘビやセミなどが脱皮[だっぴ]した後[あと]の殻[から]。魂[たましい]を抜[ぬ]き取[と]られてぼんやりした状態[じょうたい]。 [文例]〈セミの抜[ぬ]け殻[がら]〉葉[は]の裏[うら]にセミの抜[ぬ]け殻[がら]を見[み]つけたぼくは、壊[こわ]さないようにそっと取[と]った。♠〈抜[ぬ]け殻[がら]のよう〉子供[こども]を亡[な]くした母親[ははおや]は、悲[かな]しみのあまり抜[ぬ]け殻[がら]のようになってしまった。♠〈魂[たましい]の抜[ぬ]け殻[がら]〉妾[あたし]ゃ本当[ほんとう]に腑抜[ふぬ]けなのよ。ことに近頃[ちかごろ]は魂の抜殻になっちまったんだから。(夏目漱石[なつめそうせき]「行人[こうじん]」) **ぬけだ・す【抜け出す】** ○抜[ぬ]けて出[で]る。そっと逃[に]げ出[だ]す。 [文例]〈教室[きょうしつ]を抜[ぬ]け出[だ]す〉昼休[ひるやす]み、みんなが騒[さわ]いでいる教室をそっと抜[ぬ]け出[だ]して、屋上[おくじょう]へ行[い]った。♠〈家[いえ]を抜[ぬ]け出[だ]す〉母[はは]に気[き]づかれないように家を抜[ぬ]け出[だ]し、みんなが待[ま]っている場所[ばしょ]へ急[いそ]いだ。♠〈会議[かいぎ]から抜[ぬ]け出[だ]す〉会議から抜[ぬ]け出[だ]して、油[あぶら]を売[う]っているところを部長[ぶちょう]に見[み]つかってしまった。♠〈スランプを抜[ぬ]け出[だ]す〉彼[かれ]は、長[なが]いスランプを抜[ぬ]け出[だ]し、見事[みごと]な立[た]ち直[なお]りを見[み]せました。♠〈迷[まよ]いから抜[ぬ]け出[だ]す〉先生[せんせい]の言葉[ことば]で、ぼくは迷[まよ]いから抜[ぬ]け出[だ]すことができました。♠〈貧乏[びんぼう]から抜[ぬ]け出[だ]す〉働[はたら]いても働いても、貧乏から抜[ぬ]け出[だ]せなかったのです。 **ぬけ・でる【抜け出る】** ○抜[ぬ]け出[だ]す。特[とく]にすぐれている。 [文例]〈囲[かこ]みを抜[ぬ]け出[で]る〉馬[うま]は、囲みを抜[ぬ]け出[で]ると、広[ひろ]い草原[そうげん]をたてがみをなびかせながら走[はし]って行[い]った。♠〈抜[ぬ]け出[で]た存在[そんざい]〉彼女[かのじょ]は、指導力[しどうりょく]の点[てん]で同級生[どうきゅうせい]の中[なか]では抜[ぬ]け出[で]た存在です。 **ぬけぬけ** ○恥[は]ずかしげがないさま。あつかましいさま。 [文例]〈ぬけぬけと言[い]う〉妹[いもうと]は気[き]が弱[よわ]いかと思[おも]えば、突然大[とつぜんだい]それたことをぬけぬけと言ったりもする。♠よくもまあぬけぬけと、そんなうそがつけるもんだ。♠自分[じぶん]のことを棚[たな]に上[あ]げて、人[ひと]のことはよくぬけぬけと言[い]うねえ。 **ぬけみち【抜け道】** ○近道[ちかみち]。裏道[うらみち]。言[い]い逃[のが]れの方法[ほうほう]・手段[しゅだん]。 [文例]〈駅[えき]への抜[ぬ]け道[みち]〉この道は駅への抜け道になっているから、大通[おおどお]りが込[こ]んでいるときには便利[べんり]です。♠〈抜[ぬ]け道[みち]が見[み]つかる〉法律[ほうりつ]はよくできていますから、なかなか税金[ぜいきん]を払[はら]わないで済[す]ませる抜け道は見つかりません。 **ぬけめ【抜け目】** ○抜[ぬ]けたところ。手抜[てぬ]かり。油断[ゆだん]。 [文例]〈抜け目がない〉シェークスピアの『ベニスの商人[しょうにん]』には、抜け目のない商人シャイロックが登場[とうじょう]する。♠〈万事[ばんじ]に抜[ぬ]け目[め]がない〉万事に抜け目のない彼[かれ]のことだから、今度[こんど]の事業[じぎょう]もきっと成功[せいこう]するにちがいない。♠〈金[かね]に抜[ぬ]け目[め]がない〉そりゃあわたしは商売人[しょうばいにん]ですから、金に関[かん]して抜け目がないのは当[あ]たり前[まえ]です。♠〈抜[ぬ]け目[め]なく〉敵[てき]のスパイが逃[に]げ出[だ]さないよう、しっかり抜け目なく見張[みは]っていろよ。 **ぬ・ける【抜ける】** ○取[と]れる。穴[あな]があく。落[お]ちる。離[はな]れ出[で]る。なくなる。逃[に]げ出[だ]す。通[とお]り抜[ぬ]ける。やめる。透[す]きとおる。まぬけである。 [文例]〈毛[け]が抜[ぬ]ける〉秋[あき]になると、ふだんより多[おお]く髪[かみ]の毛が抜けるような気[き]がする。♠〈底[そこ]が抜[ぬ]ける〉たくさん物[もの]を入[い]れ過[す]ぎて、ダンボール箱[ばこ]の底が抜けてしまった。♠〈ひざの抜[ぬ]けたズボン〉彼[かれ]は、平気[へいき]でひざの抜けたズボンをはいてくる。♠〈ページが抜[ぬ]ける〉この本[ほん]は、四[よん]ページも抜けていたので、本屋[ほんや]で換[か]えてもらった。♠〈しみが抜[ぬ]ける〉晴[は]れ着[ぎ]につけたしみがなかなか抜けないので困[こま]っています。♠〈空気[くうき]が抜[ぬ]ける〉お祭[まつ]りで買[か]った大[おお]きな赤[あか]い風船[ふうせん]は、二日[ふつか]もすると空気が抜けてしぼんでしまった。♠〈香[かお]りが抜[ぬ]ける〉きちんとふたをしておかなかったので、せっかくの香りが抜けてしまった。♠〈なまりが抜[ぬ]ける〉女優志願[じょゆうしがん]の彼女[かのじょ]は、出身地[しゅっしんち]のなまりが抜けなくて苦労[くろう]している。♠〈疲[つか]れが抜[ぬ]ける〉連休[れんきゅう]のおかげで、たまっていた疲れがようやく抜けた。♠〈風邪[かぜ]が抜[ぬ]ける〉今年[ことし]の風邪は、なかなか抜けませんね。まだせきが出[で]ます。♠〈力[ちから]が抜[ぬ]ける〉「助[たす]かった。」と思[おも]ったとたん、体[からだ]の力が抜けてその場[ば]にしゃがみ込[こ]んでしまった。♠〈気[き]が抜[ぬ]ける〉気の抜けたサイダーなのに、子供たちは喜[よろこ]んで飲[の]んでいる。♠〈気[き]が抜[ぬ]ける〉母[はは]は姉[あね]の結婚式[けっこんしき]が無事[ぶじ]に終[お]わると、すっかり気が抜けたようになってしまった。♠〈間[ま]が抜[ぬ]ける〉あの人[ひと]のやることは、どこか間が抜けています。♠〈腰[こし]が抜[ぬ]ける〉校長先生[こうちょうせんせい]がいきなり飛[と]び出[だ]したものですから、わたくし、驚[おどろ]いて腰が抜けてしまいましたの。♠〈囲[かこ]みを抜[ぬ]ける〉馬[うま]は、囲みを抜けて広[ひろ]い野原[のはら]に走[はし]っていった。♠〈トンネルを抜[ぬ]ける〉このトンネルを抜けると、温泉[おんせん]の街[まち]はもう足元[あしもと]に広[ひろ]がっている。♠〈道[みち]を抜[ぬ]ける〉身[み]の丈[たけ]ほどのすすきの道[みち]を抜[ぬ]けると、目[め]の前[まえ]に海[うみ]がせまっていた。♠〈チームを抜[ぬ]ける〉彼[かれ]が抜[ぬ]けたら、このチームはへたくその集[あつ]まりにすぎなくなる。♠〈会議[かいぎ]を抜[ぬ]ける〉用事[ようじ]があったので、会議を抜[ぬ]け出[だ]しました。♠〈仕事[しごと]を抜[ぬ]ける〉彼[かれ]は仕事[しごと]を抜[ぬ]けて、映画[えいが]を見[み]に行[い]ってしまった。♠〈抜[ぬ]けるような青空[あおぞら]〉台風[たいふう]の翌日[よくじつ]は、抜けるような青空だった。♠〈色[いろ]が抜[ぬ]けるように白[しろ]い〉彼女[かのじょ]は、色が抜けるように白い、すらりとした娘[むすめ]だった。♠〈目[め]から鼻[はな]に抜[ぬ]ける〉頭[あたま]の回転[かいてん]のはやい彼女は、「目から鼻に抜けるよう」という表現[ひょうげん]がぴったりだ。 **ぬ・げる【脱げる】** ○体[からだ]につけていた物[もの]が自然[しぜん]にとれる。 [文例]〈帽子[ぼうし]が脱[ぬ]げる〉強[つよ]い風[かぜ]で帽子が脱げて、転[ころ]がって行きました。♠〈靴[くつ]が脱[ぬ]げる〉サブローのやつ、靴が脱げるのもかまわず逃[に]げていったぞ。 **ぬし【主】** ○あるじ。主人[しゅじん]。夫[おっと]。情夫[じょうふ]。所有者[しょゆうしゃ]。山[やま]・湖沼[こしょう]・森[もり]などにすみ、霊力[れいりょく]をもつとされる動物[どうぶつ]。動作[どうさ]などの主体[しゅたい]。あなた。 [文例]〈沼[ぬま]の主〉昔[むかし]から、この沼には沼の主が住[す]んでいるという言[い]い伝[つた]えがある。♠〈主[ぬし]のような存在[そんざい]〉もう二十年[にじゅうねん]もこ <838> の学校[がっこう]で教[おし]えているA先生[せんせい]は、学校の主[ぬし]のような存在[そんざい]です。♠〈話題[わだい]の主[ぬし]〉みんなでうわさをしている折[おり]も折[おり]、当[とう]の話題の主が現[あらわ]れた。♠〈手紙[てがみ]の主[ぬし]〉差出人不明[さしだしにんふめい]の手紙の主が分かったわ、クラスのA君[くん]よ。♠〈落[お]とし主[ぬし]〉拾[ひろ]ったバッグを交番[こうばん]に届[とど]けたが、落とし主は現れなかったそうだ。♠〈お主[ぬし]〉お主、ただの町人[ちょうにん]ではないな、名[な]を名乗[なの]れ。 **ぬすっと(盗っ人)** ○どろぼう。ぬすびと。 [文例]〈盗[ぬす]っ人[と]が入[はい]る〉寺[てら]に入った盗っ人は、和尚[おしょう]にさとされて改心[かいしん]しました。♠〈盗[ぬす]っ人[と]たけだけしい〉悪事[あくじ]を働[はたら]いておきながら開[ひら]き直[なお]るとは、盗っ人たけだけしいやつだ。♠〈盗[ぬす]っ人[と]に追[お]い銭[せん]〉うちから盗[ぬす]んだものを持ち込[こ]んだ泥棒[どろぼう]に金[かね]を払[はら]うとは、まさに盗っ人に追い銭だね。♠〈盗[ぬす]っ人[と]にも三分[さんぶ]の理[り]〉どんなことにも理屈[りくつ]はつけられるさ、盗っ人にも三分の理といってね。 **ぬすみ【盗み】** ○盗[ぬす]むこと。 [文例]〈盗[ぬす]みに入[はい]る〉一味[いちみ]は、金目[かねめ]の物[もの]がありそうな家[いえ]を選[えら]んで盗みに入った。♠〈盗[ぬす]みをはたらいたかどで捕[と]らえられ、護送車[ごそうしゃ]で送[おく]られる途中[とちゅう]であった。♠〈盗[ぬす]みをする〉わたしは、自分[じぶん]が盗みをしたという事[こと]の重大[じゅうだい]さに気[き]がついた。♠〈盗[ぬす]みを犯[おか]す〉逆[さか]らいがたい空腹[くうふく]を感[かん]じて、少年[しょうねん]は生[う]まれて初[はじ]めて盗みを犯した。 **ぬすみ・みる【盗み見る】** ○こっそり見[み]る。 [文例]〈顔[かお]を盗[ぬす]み見[み]る〉ぼくは、そばに立[た]っている女[おんな]の人[ひと]の顔を盗み見た。 **ぬす・む【盗む】** ○他[ほか]の人[ひと]のものをとる。気[き]づかれないように何[なに]かをする。わずかな時間[じかん]をやりくりする。 [文例]〈物[もの]・金[かね]を盗[ぬす]む〉人込[ひとご]みの中[なか]では、財布[さいふ]や持[も]ち物[もの]を盗まれないよう注意[ちゅうい]してください。♠〈文章[ぶんしょう]を盗[ぬす]む〉人[ひと]の文章[ぶんしょう]を上手[じょうず]に盗[ぬす]んで、自分[じぶん]の文章に利用[りよう]しなさい。♠〈塁[るい]を盗[ぬす]む〉塁[るい]に出[で]た走者[そうしゃ]は、常[つね]に次[つぎ]の塁を盗むことを心がけよ。♠〈人目[ひとめ]を盗[ぬす]む〉授業中[じゅぎょうちゅう]、先生[せんせい]の目[め]を盗[ぬす]んで、漫画[まんが]を読[よ]んでいる人[ひと]もいる。♠〈アイデアを盗[ぬす]む〉新製品[しんせいひん]のアイデアを他社[たしゃ]に盗まれないよう十分[じゅうぶん]に注意[ちゅうい]してくれ。♠〈暇[ひま]を盗[ぬす]む〉このセーターは、忙[いそが]しい母[はは]が暇を盗んではコツコツと編[あ]み上[あ]げてくれたものです。 **ぬの【布】** ○織物[おりもの]。 [文例]赤ちゃんのおむつは、以前[いぜん]は布以外考[ぬのいがいかんが]えられなかったけれど、最近[さいきん]は紙[かみ]のもあるんですね。♠〈布を織[お]る〉娘[むすめ]はだれにも負[ま]けない美[うつく]しい布を織った。♠〈布をさらす〉黄[き]ばみやすい木綿[もめん]などの布は、時々[ときどき]さらすとよい。♠〈布の袋[ふくろ]〉ビニールや皮[かわ]のバッグもいいけれど、布の袋もいいものです。♠〈布を切[き]る〉一度[いちど]はさみを入[い]れたらおしまいだから、布を切る時には十分[じゅうぶん]注意してください。♠布張[ぬのば]りのいすは、座[すわ]りごこちはいいが汚[よご]れやすいのが欠点[けってん]だ。 **ぬま【沼】** ○それほど深[ふか]くなく、底[そこ]にどろがたまっているような池[いけ]。 [文例]昔々[むかしむかし]、村[むら]のはずれの大[おお]きな沼に竜[りゅう]が住[す]んでいたそうじゃ。♠その沼には底がないといわれ、大人[おとな]たちにそこで遊[あそ]んではいけないと言[い]われてきた。♠安寿[あんじゅ]が亡[な]きあとは懇[ねんご]ろに弔[とむら]われ、又入水[じゅすい]した沼の畔[ほとり]には尼寺[あまでら]が立[た]つことになった。(森鷗外[もりおうがい]「山椒大夫[さんしょうだゆう]」) **ぬめぬめ** ぬるぬるしているさま。 [文例]〈ぬめぬめする〉箱[はこ]の中[なか]には何[なに]かぬめぬめしたものが入[はい]っています。♠〈ぬめぬめと光[ひか]る〉台所[だいどころ]の床[ゆか]でナメクジがぬめぬめと光っていた。 **ぬら・す(濡らす)** ○ぬれた状態[じょうたい]にする。 [文例]〈おしめをぬらす〉ねえ、赤[あか]ん坊[ぼう]がおしめをぬらして泣[な]いてるよ。♠〈服[ふく]をぬらす〉うっかり足[あし]を滑[すべ]らせて小川[おがわ]に落[お]ち、ズボンをぬらしてしまった。♠〈タオルをぬらす〉母[はは]はタオルをぬらすと、はれ上[あ]がったおでこを冷[ひ]やしてくれた。♠〈ほおをぬらす〉観客[かんきゃく]は、感動[かんどう]のあまりほおをぬらしていた。♠〈まつげをぬらす〉すきとおったきれいな涙[なみだ]が少女[しょうじょ]のまつげをぬらしていた。 **ぬりこ・める【塗り込める】** ○塗[ぬ]って中[なか]にとじこめる。 [文例]〈ペンキで塗[ぬ]り込[こ]める〉校舎[こうしゃ]の補修工事[ほしゅうこうじ]が終[お]わり、生徒[せいと]たちの壁[かべ]のいたずら書[が]きも白[しろ]いペンキで塗[ぬ]り込[こ]められてしまいました。 **ぬりたく・る【塗りたくる】** ○ごてごてと塗[ぬ]る。 [文例]〈口紅[くちべに]を塗[ぬ]りたくる〉口紅を塗りたくった少女[しょうじょ]のくちびるが妙[みょう]に目[め]に焼[や]きついていた。♠〈絵[え]の具[ぐ]を塗[ぬ]りたくる〉空[そら]の絵をかくんだといって、画用紙[がようし]いっぱいに青色絵[あおいろえ]の具を塗りたくりました。 **ぬりつぶ・す【塗りつぶす】**(塗り潰す) ○下[した]の色[いろ]が見[み]えないように一面[いちめん]に塗[ぬ]る。 [文例]〈白地図[はくちず]を塗[ぬ]りつぶす〉人口密度[じんこうみつど]によって色を変[か]え、白地図を塗りつぶしていった。♠〈絵[え]の具[ぐ]で塗[ぬ]りつぶす〉空[そら]はただ青色絵[あおいろえ]の具[ぐ]でぬりつぶし夏[なつ]はすぐそこ美術[びじゅつ]の時間[じかん](生徒作品[せいとさくひん]) **ぬ・る【塗る】** ○物[もの]の表面[ひょうめん]に液体[えきたい]やどろどろしたものをつける。なすりつける。 [文例]〈バターを塗[ぬ]る〉ぼくは、パンにバターをたっぷり塗って食[た]べるのが好[す]きだ。♠〈壁[かべ]を塗[ぬ]る〉中古[ちゅうこ]の家[いえ]も、壁を白[しろ]く塗るとピカピカの新築[しんちく]の家のように見[み]える。♠〈薬[くすり]を塗[ぬ]る〉ひどいつき指[ゆび]をした時[とき]は、しっぷ薬を塗って冷[ひ]やしたほうがいい。♠〈おしろいを塗[ぬ]る〉舞子[まいこ]さんは顔[かお]や首[くび]にきれいにおしろいを塗って席[せき]に出[で]ます。♠〈油[あぶら]をぬる〉やけどに油などを塗っても、たいした効果[こうか]は期待[きたい]できない。♠〈顔[かお]に泥[どろ]を塗[ぬ]る〉おい、おまえ、よくもおれの顔に泥を塗ってくれたな。 **ぬる・い(温い)** ○少[すこ]しあたたかい。厳[きび]しくない。 [文例]〈ぬるい風呂[ふろ]〉熱[あつ]すぎるのよりはむしろ、ぬるい風呂のほうが体[からだ]のためによい。♠〈茶[ちゃ]がぬるい〉わたしは猫舌[ねこじた]なので、お茶もぬるいほうが好[す]きです。♠〈ビールがぬるい〉このビールはぬるくてまずいからもっと冷[ひ]えたのをくれ。♠〈なまぬるい〉いたずらをした弟[おとうと]のおしりをたたいてから、「この次[つぎ]は、こんななまぬるいことじゃすまないぞ。」と、父[ちち]は言[い]った。♠〈手[て]ぬるい〉市民[しみん]は警察[けいさつ]の手ぬるい捜査[そうさ]に、ますます不信感[ふしんかん]を抱[いだ]くようになった。 **ぬるぬる** ○粘液[ねんえき]でおおわれていて滑[すべ]りやすいさま。 [文例]〈ぬるぬるする〉こけで岩[いわ]がぬるぬるしているから、すべらないように気[き]をつけてね。♠〈ぬるぬるとからむ〉足[あし]を入[い]れると、流[なが]れの藻[も]がぬるぬるとからみついてきた。♠〈ぬるぬるになる〉自転車[じてんしゃ]をみがいていたら、汗[あせ]と油[あぶら]で体[からだ]がぬるぬる <839> **ぬ【音】** ○おと。声。[文例]〈虫の音〉彼女は黙って、時々うちわを動かしながら、庭の虫の音を聴いている。♠〈笛の音〉この岩に潮風が当たると、美しい笛の音をひびかせるといいう言い伝えがある。♠〈鐘の音〉日暮れになって、近くのお寺の鐘の音が聞こえてきました。♠〈ぐうの音も出ない〉いつもあいつには口で負かされるから、一度ぐうの音も出ないほどやっつけてやりたい。♠〈音[ね]を上げる〉楽しいはずのお正月休みも、難しい宿題が出て、すっかり音を上げてしまったよ。 **ね【値】** ○値段。あたい。値打ち。[文例]〈よい値になる〉引っ越しのとき、家具をいくつか処分したが、あまりよい値にならなかった。♠〈高い値〉めすのひよこは、おすより高い値で売れるそうです。♠〈値をよぶ〉名人の刻印のある器[うつわ]は、それだけで高い値をよび、高級品とされたという。♠〈値が張る〉気に入った物はあったけれど、値が張ってとても手が出ませんでした。♠〈値をつける〉世の中には、値がつけられないほど高い物もあるそうです。♠〈値を引く〉このズボンは少し難があるというので、店の人が値を引いてくれた。♠〈値が上がる〉あの切手を売らないで今まで持っていたら、ずいぶん値が上がったのに。♠〈値が安い〉商品には、季節が外れるとひどく値の安くなるものがある。♠〈言い値〉相手の言い値どおりに買わないで、少し値切ればよかったな。 **ね【根】** ○地中にあって植物の体を支え、水や養分を吸収する器官。物の土台。ねもと。はれ物の中心の固い部分。根源。原因。生まれつきの性質。[文例]〈根がつく〉花を植えかえたら、水をたっぷりやらないと、根がつかないよ。♠〈根を張る〉竹は広くしっかり根を張るので、地震のときは、竹やぶににげるとよいといいます。♠〈根を下ろす〉日本の文化は、日本の風土にしっかり根を下ろしながら、独自の発展をとげてきた。♠〈歯の根が合わない〉雪の降る中で、タクシーを待っていたら、寒さで歯の根が合わないほどだった。♠〈舌の根が乾かぬうち〉まだ舌の根が乾かぬうちに、前言を取り消すなんて。♠〈悪の根を断つ〉この世の中から完全に悪の根を断つことは不可能かも知れない。♠〈息の根が止まる〉暗い所で、後ろから急に声をかけられたので、息の根が止まるほどびっくりした。♠〈根が深い〉両国の争いは、人種・宗教のちがいだけではなく、もっと根が深いのです。♠〈草の根を分ける〉草の根を分けても犯人をさがし出せ。♠〈根にもつ〉首にされたことを根にもった男が、元の勤め先に放火してつかまった。♠〈根も葉もない〉「担任の先生がかわる」というのは、根も葉もないうわさにすぎなかった。♠〈根ほり葉ほり〉あの子にも言いたくないことはあるだろうから、根ほり葉ほり聞かないほうがいい。♠〈根を生やす〉おばさんは、座ってしゃべり始めると根を生やしたようになって、腰[こし]をあげようとしません。♠〈根は善良〉少しつきあうと、彼も見かけによらず、根は善良なことが分かるのだが……。♠〈根っから〉魚屋のおじさんは、「こう見えても根っからの江戸っ子さ。」というのが口ぐせだ。♠〈根っこ〉おにごっこをしていた子供が、松[まつ]の根っこにつまずいて転んだ。 **ねあがり【値上がり】** ○値段・料金などが高くなること。[文例]〈土地の値上がり〉土地の値上がりはひどくなる一方で、都市のサラリーマンにとってマイホームは夢のまた夢です。♠〈値上がりする〉この十年間に値上がりしていないものは、お父さんのお小づかいだけです。 **ねあげ【値上げ】** ○値段・料金などを高くすること。[文例]〈値上げする〉いつのまにコーヒー代を値上げしたのかしら。♠〈小遣いの値上げ〉妹と二人でお小遣いの値上げを要求しました。♠〈料金の値上げ〉公共料金の値上げに反対する声が高まっていた。 **ねいき【寝息】** ○眠っている時の呼吸。[文例]〈寝息をたてる〉まだ起きているかなと思って話しかけたら、妹はもう寝息をたてていた。♠〈寝息をうかがう〉両親の寝息をうかがって、そっと家を出た。♠〈安らかな寝息〉隣で眠る赤ちゃんの安らかな寝息を聞きながら、母親も眠りに落ちて行きました。 <840> **ねい・る【寝入る】** ○眠[ねむ]りにつく。ぐっすり眠[ねむ]る。 [文例]遠足[えんそく]で疲[つか]れたのか、夕食[ゆうしょく]を食[た]べて横[よこ]になると、少年[しょうねん]はそのまま寝入ってしまった。♠さっきまで話[はな]し声[ごえ]がしていたが、静[しず]かになったところをみると、二人[ふたり]とも寝入ったらしい。 **ねいろ【音色】** ○音[おと]の感[かん]じ。おんしょく。 [文例]〈バイオリンの音色〉今夜[こんや]は、美[うつく]しいバイオリンの音色にすっかり酔[よ]いました。♠〈音色が柔[やわ]らかい〉ピアノよりオルガンのほうが音色が柔らかいので、わたしは好[す]きです。 **ねうち【値打ち】** ○価値[かち]。 [文例]〈値打[ねう]ちがある・ない〉天然杉[てんねんすぎ]は、材木商[ざいもくしょう]が血眼[ちまなこ]で探[さが]すほど値打ちがあるものです。♠〈値打[ねう]ちが下[さ]がる・上[あ]がる〉時[とき]がたって古[ふる]くなると値打ちが下がる物[もの]と、逆[ぎゃく]に値打ちの上がる物があります。♠〈値打[ねう]ちが出[で]る〉あの時売[ときう]らずに十年[じゅうねん]もがまんしたおかげで、この切手[きって]も値打ちが出てきたぞ。♠〈人[ひと]の値打[ねう]ち〉人の値打ちは、容姿[ようし]や服装[ふくそう]だけで決[き]まるものではない。♠〈値打[ねう]ちを認[みと]める〉当時[とうじ]、その研究[けんきゅう]の値打ちを認めた学者[がくしゃ]は、ほとんどいなかった。♠〈三文[さんもん]の値打[ねう]ちもない〉他人[たにん]にとっては三文の値打ちもないだろうが、死[し]んだ母[はは]の日記[にっき]はぼくの宝物[たからもの]だ。 **ねおき【寝起き】** ○目[め]が覚[さ]めて起[お]きた時[とき]。寝[ね]ることと起[お]きること。生活[せいかつ]すること。住[す]むこと。 [文例]〈寝起[ねお]きが悪[わる]い〉ぼくは寝起きが悪く、毎朝[まいあさ]ベッドの中[なか]でぐずぐずしているので、よく母[はは]にしかられます。♠〈寝起[ねお]きを共[とも]にする〉二人[ふたり]は学生寮[がくせいりょう]の同[おな]じ部屋[へや]で四年間寝起きを共にした仲[なか]だ。♠〈寝起[ねお]きする〉親元[おやもと]を離[はな]れて大学[だいがく]へ通[かよ]ういとこが、うちの二階[にかい]に寝起きしている。 **ねおし【寝押し】** ○衣類[いるい]を布団[ふとん]の下[した]に敷[し]いて折[お]り目[め]をつけ、しわをのばすこと。 [文例]〈寝押[ねお]しする〉スカートを寝押ししたけれど、寝相[ねぞう]が悪[わる]くてよけいしわになってしまったわ。 **ねがい【願い】** ○願[ねが]うこと。願望[がんぼう]。願書[がんしょ]。 [文例]〈願[ねが]いを聞[き]く〉あなたの頼[たの]みを聞くから、その代[か]わりにわたしの願いを聞いてくれませんか。♠〈願[ねが]いがかなう〉平和[へいわ]で、豊[ゆた]かで、幸福[こうふく]な生活[せいかつ]をしたいという人々[ひとびと]の願いがかなえられますように。♠〈願[ねが]いが届[とど]く〉死[し]んだ父親[ちちおや]に会[あ]いたいというあの子[こ]の願いが神[かみ]さまに届くといいんだけど・・・・・・。♠〈願[ねが]いを込[こ]める〉この歌[うた]には、子供[こども]が健[すこ]やかに育[そだ]ってほしいという願いが込められている。♠〈一生[いっしょう]の願[ねが]い〉一生のお願いです、二度[にど]といたしませんから、今度[こんで]だけは見逃[みのが]してください。♠〈休学[きゅうがく]の願[ねが]い〉姉[ねえ]さんは、せっかく入学[にゅうがく]した高校[こうこう]に、病気[びょうき]のため、休学の願いを出[だ]しました。 **ねがいさげ【願い下げ】** ○願[ねが]いを取[と]り下[さ]げること。頼[たの]まれても引[ひ]き受[う]けないこと。 [文例]きみみたいな話[はなし]のわからない石頭[いしあたま]とつき合[あ]うのは、こちらから願い下げだ。♠〈願[ねが]い下[さ]げにする〉済[す]んだ昔[むかし]の話[はなし]をむしかえすのは願い下げにしてもらいたい。 **ねがい・でる【願い出る】** ○願[ねが]いを申[もう]し出[で]る。 [文例]〈上司[じょうし]に願[ねが]い出る〉上司に仕事[しごと]を変[か]えてくれるよう願い出たが、聞[き]き入[い]れられなかった。♠〈奉行所[ぶぎょうしょ]に願[ねが]い出る〉父[ちち]は無実[むじつ]だ、ぜひ真犯人[しんはんにん]を捜[さが]してほしいと、娘[むすめ]が奉行所に願い出た。 **ねが・う【願う】** ○心[こころ]から望[のぞ]む。神仏[しんぶつ]に祈[いの]る。出願[しゅつがん]する。申請[しんせい]する。 [文例]〈平和[へいわ]を願[ねが]う〉心から平和を願う人々[ひとびと]の運動[うんどう]が世界[せかい]じゅうに広[ひろ]まっています。♠〈幸[しあわ]せを願[ねが]う〉わが子[こ]の幸せを願わない親[おや]がいないように、親の幸せを願わない子もいないだろう。♠〈神[かみ]に願[ねが]う〉困[こま]った時[とき]の神だのみと言われそうだが、兄[にい]さんの高校合格[こうこうごうかく]を神に願った。♠〈注意[ちゅうい]を願[ねが]う〉本日午後一時[ほんじつごごいちじ]から四時[よじ]まで、水道工事[すいどうこうじ]のため断水[だんすい]しますから、ご注意願います。♠〈願[ねが]ってもない〉外国[がいこく]で勉強[べんきょう]できるなんて、願ってもないチャンスだ。♠〈願[ねが]ったりかなったり〉わたしが定年退職[ていねんたいしょく]するかわりに、息子[むすこ]を採用[さいよう]していただければ、わが家[や]としては願ったりかなったりなのですが。 **ねがえり【寝返り】** ○寝[ね]ている時[とき]に体[からだ]の向[む]きをかえること。味方[みかた]を裏切[うらぎ]って敵[てき]につくこと。 [文例]〈寝返[ねがえ]りをする〉寝返りをするときに首[くび]をねじったらしく、朝起[あさお]きてからも痛[いた]くてたまりません。♠〈寝返[ねがえ]りを打[う]つ〉わたしは日焼[ひや]けした体のあちこちが痛くて一晩[ひとばん]じゅう、寝返りばかり打っていた。♠〈寝返[ねがえ]りを打[う]つ〉どうやらあいつは敵[てき]に寝返りを打ったらしく、注意[ちゅうい]しろ。 **ねがえ・る【寝返る】** ○寝返[ねがえ]りをする。裏切[うらぎ]る。 [文例]ウーンと言[い]って寝返っただけで、彼[かれ]は目[め]を覚[さ]まさなかった。♠自分[じぶん]の利益[りえき]を第一[だいいち]に考[かんが]え、地主側[じぬしがわ]に寝返る農民[のうみん]も何人[なんにん]かいた。 **ねか・す【寝かす】** ○寝[ね]つかせる。横[よこ]にする。手[て]もとにとどめておく。熟成[じゅくせい]させる。ねかせる。 [文例]〈けが人[にん]を寝[ね]かす〉けが人をその場[ば]に寝かしたまま、大急[おおいそ]ぎで救急車[きゅうきゅうしゃ]を呼[よ]びました。♠〈ベッドに寝[ね]かす〉母親[ははおや]は、騒[さわ]いでいる子供[こども]たちを、やっとベッドに寝かしつけました。♠〈はしごを寝[ね]かす〉使[つか]い終[お]わったら、はしごは、庭[にわ]の隅[すみ]に寝かしておいてくれ。♠〈商品[しょうひん]を寝[ね]かす〉倉庫[そうこ]に商品を寝かしておかないで、在庫一掃[ざいこいっそう]のバーゲンセールをしよう。♠みそは、煮込[にこ]んだ大豆[だいず]にこうじや食塩[しょくえん]をまぜて寝かして作[つく]ります。 **ねがわし・い【願わしい】** ○望[のぞ]ましい。 [文例]進学[しんがく]は、両親[りょうしん]にとってもぼくにとっても願わしいことだったのだ。♠〈願わしい結果[けっか]〉必[かなら]ずしも努力[どりょく]が願わしい結果に結[むす]びつくとは限[かぎ]らないだろう。 **ねがわくは【願わくは】** ○できることなら。ねがわくば。 [文例]神[かみ]よ、願[ねが]わくはわが望[のぞ]みをかなえたまえ。 **ねぎ(葱)** ○ユリ科[か]の多年草[たねんそうで]食用[しょくよう]。 [文例]おそばの薬味[やくみ]にするから、ねぎを細[こま]かくきざんでちょうだい。♠〈かもがねぎをしょってくる〉おや、田吾作[たごさく]どんがくわをかついで来[く]るぞ。かもがねぎをしょってきたようなものだ。手伝[てつだ]わせてやれ。♠少女[しょうじょ]は、ねぎの皮[かわ]をむいたような白[しろ]い裸体[らたい]で立[た]っていた。 **ねぎらい(労い)** ○ねぎらうこと。いたわり。 [文例]〈ねぎらいの言葉[ことば]〉工事[こうじ]は無事終了[ぶじしゅうりょう]し、現場監督[げんばかんとく]は作業員一人一人[さぎょういんひとりひとり]にねぎらいの言葉をかけました。 **ねぎら・う(労う)** ○骨折[ほねお]りに対[たい]していたわる。 [文例]夜[よる]、仕事[しごと]から帰[かえ]ってきた父[ちち]を、母[はは]は、「お帰[かえ]りなさい、ご苦労[くろう]さま。」とねぎらう。♠〈労[ろう]をねぎらう〉会社[かいしゃ]のために長年働[ながねんはたら]いた社員[しゃいん]に対[たい]して、社長[しゃちょう]はその労をねぎらいました。 **ねぎ・る【値切る】** ○値段[ねだん]を安[やす]くさせる。まけさせる。 [文例]〈商品[しょうひん]を値切[ねぎ]る〉少[すこ]し傷[いた]んでいたので値切ったら、八百屋[やおや]の <841> おじさんあっさりまけてくれたわ。 **ねぐせ【寝癖】** ○寝[ね]ている間[あいだ]につく髪[かみ]の癖[くせ]。寝相[ねぞう]。子供[こども]が寝[ね]つく時[とき]の癖[くせ]。寝[ね]てばかりいる癖[くせ]。 [文例]〈寝癖[ねぐせ]が悪[わる]い〉うちの子[こ]は寝癖が悪くて、毛布[もうふ]はあっち、まくらはこっち、おまけに寝ている間に一八〇度回転[いちはちぜろどかいてん]してしまうのです。♠〈寝癖[ねぐせ]が悪[わる]い〉この子[こ]は寝癖が悪く、眠[ねむ]くなるとぐずり出[だ]します。♠〈寝癖[ねぐせ]がつく〉毎朝[まいあさ]、寝癖がついてはねた髪を直[なお]すのが大変[たいへん]です。♠〈寝癖[ねぐせ]がつく〉連休[れんきゅう]が四日[よっか]も続[つづ]くとすっかり寝癖がついて、朝起[あさお]きるのがつらい。 **ねくび【寝首】** ○寝[ね]ている人[ひと]の首[くび]。 [文例]〈寝首[ねくび]をかく〉始[はじ]めから勝負[しょうぶ]を投[な]げたふりをして、油断[ゆだん]させて寝首をかこうたって、そうはいかないぞ。 **ねぐら(塒)** ○鳥[とり]の寝[ね]る場所[ばしょ]。人[ひと]の寝[ね]る場所。 [文例]〈ねぐらに帰[かえ]る〉夕方[ゆうがた]、ねぐらに帰るカラスの群[む]れが空[そら]を飛[と]んでいく。♠〈ねぐらにする〉家[いえ]を持[も]たない浮浪者[ふろうしゃ]たちは、地下街[ちかがい]をねぐらにしていた。♠〈ねぐらを定[さだ]める〉自転車旅行中[じてんしゃりょこうちゅう]のわたしは、その夜[よる]は田舎[いなか]の小[ちい]さな駅舎[えきしゃ]にねぐらを定めた。 **ねぐるし・い【寝苦しい】** ○気持[きも]ちよく眠[ねむ]れない。なかなか寝つけない。 [文例]〈寝苦[ねぐる]しい夜[よる]〉東京[とうきょう]では、熱帯夜[ねったいや]で寝苦しい夜が何日[なんにち]も続[つづ]いています。♠〈寝苦[ねぐる]しい思[おも]い〉時計[とけい]が二時[にじ]をうつ音[おと]をわたしは寝苦しい思いで聞[き]いた。 **ねこ【猫】** ○ネコ科[か]の哺乳動物[ほにゅうどうぶつ]。 [文例]〈猫[ねこ]の子[こ]〉猫の子を捨[す]てるように、簡単[かんたん]に自分[じぶん]の子を捨てるひどい親[おや]がいるものだね。♠〈猫もしゃくしも〉この神[かみ]さまは、ご利益[りやく]があるというので、猫もしゃくしもお参[まい]りに来[き]ます。♠〈猫[ねこ]の目[め]のように変[か]わる〉いい人[ひと]なのだが、気分屋[きぶんや]で、気持[きも]ちが猫の目のように変る。♠〈猫をかぶる〉すぐ化[ば]けの皮[かわ]がはがれるのに、弟[おとうと]ったらお客[きゃく]様[さま]の前[まえ]で、猫をかぶって・・・・・・。♠〈猫に小判[こばん]〉値打[ねう]ちのあるものでも、その人[ひと]にとってなんの役[やく]にもたたなければ、猫に小判です。♠〈猫の額[ひたい]〉土地[とち]の少[すく]ない日本では、猫の額ほどのせまい土地でも畑[はたけ]として耕[たがや]されています。♠〈猫の手も借[か]りたい〉田植[たう]えの時期[じき]は、猫の手も借りたいほどのいそがしさです。♠〈猫にかつおぶし〉「猫にかつおぶし」と言[い]えば、好物[こうぶつ]を前[まえ]におくと油断[ゆだん]できないということのたとえです。♠〈借[か]りてきた猫[ねこ]〉おてんばな妹[いもうと]もよその家[いえ]へ行[い]くと、借りてきた猫のようにおとなしくしているのでおかしい。♠〈きゅうそ猫をかむ〉窮鼠猫をかむで、ねずみだって追[お]いつめられると反撃[はんげき]に出[で]る。♠〈猫の子一匹[いっぴき]いない〉町[まち]はしんと静[しず]まり返[かえ]って、猫の子一匹いない。♠〈猫舌[ねこじた]〉ぼくは猫舌なので、熱[あつ]い食[た]べ物[もの]はにがてです。♠〈猫[ねこ]なで声[ごえ]〉娘[むすめ]が猫なで声を出すときは、何[なに]かねだるときに決まっています。♠〈猫背[ねこぜ]〉いつも姿勢[しせい]をよくしていないと、猫背になりますよ。♠〈猫かわいがり〉ばあちゃんは、孫[まご]を猫かわいがりしてあまやかすから困[こま]るよ。 **ねこ・む【寝込む】** ○ぐっすりと眠[ねむ]る。病気[びょうき]で床[とこ]につく。 [文例]ようやく寝込[ねこ]んだところだったのに、電話[でんわ]のベルで起[お]こされた。♠〈病気[びょうき]で寝込[ねこ]む〉無理[むり]がたたったのか、とうとう風邪[かぜ]で寝込んでしまいました。 **ねころが・る【寝転がる】** ○寝転[ねころ]ぶ。 [文例]ごろごろ寝転がってばかりいないで、少[すこ]しは体[からだ]を動[うご]かしなさい。♠原[はら]っぱに寝転がって大空[おおぞら]を見上[みあ]げていると、ちっぽけな悩[なや]みなどどうでもよく思[おも]えてきた。 **ねころ・ぶ【寝転ぶ】** ○ごろりと横[よこ]になる。 [文例]草原[そうげん]に寝転ぶと、ぷうんと強[つよ]い草[くさ]のにおいがした。♠寝転んで本[ほん]を読[よ]むと目[め]に悪[わる]いよ。♠不来方[こずかた]のお城[しろ]の草[くさ]に寝[ね]ころびて/空[そら]に吸[す]はれし/十五[じゅうご]の心[こころ](石川啄木[いしかわたくぼく]) **ねさげ【値下げ】** ○値段[ねだん]・料金[りょうきん]などを下[さ]げること。 [文例]〈小遣[こづか]いの値下[ねさ]げ〉教育費[きょういくひ]が上[あ]がっているので、お父[とう]さんの小遣いの値下げをお願[ねが]いします。♠〈値下[ねさ]げする〉円高[えんだか]で、輸入品[ゆにゅうひん]を値下げすることになった。 **ねざ・す【根差す】** ○根[ね]を張[は]る。根[ね]づく。基[もと]づく。 [文例]〈生活[せいかつ]に根[ね]ざす〉農民[のうみん]の生活に根ざした素朴[そぼく]な作品[さくひん]が収[おさ]められた歌集[かしゅう]です。♠〈風土[ふうど]に根[ね]ざす〉地方[ちほう]では、その土地[とち]の風土に根ざした文化[ぶんか]が花開[はなひら]いています。♠〈環境[かんきょう]に根[ね]ざす〉彼[かれ]の明[あか]るい性格[せいかく]は、恵[めぐ]まれた家庭環境[かていかんきょう]に根ざしているのだろう。 **ねざめ【寝覚め】** ○目[め]が覚[さ]めること。 [文例]〈寝覚[ねざ]めがさわやか〉昨夜[ゆうべ]は熟睡[じゅくすい]できたので、今朝[けさ]の寝覚めはすっきりさわやかだ。♠〈寝覚[ねざ]めが悪[わる]い〉年寄[としより]りをだましてお金[かね]をまきあげたんじゃ、いつまでも寝覚めが悪[わる]いだろう。♠人[ひと]とともに事[こと]をはかるに/適[てき]せざる、/わが性格[せいかく]を思[おも]ふ寝覚[ねざ]めかな。(石川啄木[いしかわたくぼく]) **ねじ(螺子・捻子・振子)** ○物[もの]を固定[こてい]するのに使[つか]う、らせん状[じょう]の溝[みぞ]のあるくぎ。ぜんまいを巻[ま]く装置[そうち]。 [文例]〈ねじが甘[あま]い〉本箱[ほんばこ]を組[く]み立[た]てたけど、ねじが甘かったようで、本[ほん]を入[い]れたら傾[かたむ]いてしまった。♠〈ねじを回[まわ]す〉ほら、ねじを回すとおもちゃが動[うご]くでしょう。♠〈ねじを締[し]める〉ねじをきつく締めないと、ふたが外[はず]れてしまうよ。♠〈ねじを巻[ま]く〉目覚[めざ]まし時計[どけい]のねじを巻くのを忘[わす]れて、寝過[ねす]ごしてしまった。♠〈ねじを巻[ま]く〉そろそろ作業[さぎょう]も中[なか]だるみするころだな。ここらでひとつみんなのねじを巻いておこう。♠〈ねじが緩[ゆる]む〉おもちゃが動[うご]かないのは、どこかのねじが緩んでいるからかも知れないよ。♠〈ねじが緩[ゆる]む〉きみは最近[さいきん]、忘[わす]れ物は多[おお]いし遅刻[ちこく]はするし、少[すこ]しねじが緩んでいるんじゃないか。 **ねじこ・む【ねじ込む】**(捩じ込む) ○ねじって押[お]し込[こ]む。無理[むり] <842> やり入[い]れる。抗議[こうぎ]する。 [文例]〈ポケットにねじ込[こ]む〉彼[かれ]は、財布[さいふ]の中[なか]から何枚[なんまい]かの紙幣[しへい]を取[と]ると、ポケットにねじ込んだ。♠〈学校[がっこう]にねじ込[こ]む〉子供[こども]の成績[せいせき]が悪[わる]いのは先生[せんせい]の責任[せきにん]だと、学校にねじ込んだ父親[ちちおや]がいます。 **ねじふ・せる【ねじ伏せる】**(捩じ伏せる) ○腕[うで]をねじって倒[たお]す。相手[あいて]の言動[げんどう]などを押[お]さえつける。 [文例]〈床[ゆか]にねじ伏[ふ]せる〉わたしは、泥棒[どろぼう]の腕[うで]をつかむと床にねじ伏せた。♠〈意見[いけん]をねじ伏[ふ]せる〉こっちは正[ただ]しいことを言[い]っているんだ。数[かず]にもの言[い]わせてねじ伏せようったって、そうはいかないぞ。 **ねじま・げる【ねじ曲げる】**(捩じ曲げる) ○ねじって曲[ま]げる。事実[じじつ]などをわざとゆがめる。 [文例]〈針金[はりがね]をねじ曲[ま]げる〉おじさんが針金を上手[じょうず]にねじ曲げて、おもちゃを作[つく]ってくれた。♠〈事実[じじつ]をねじ曲[ま]げる〉読者受[どくしゃう]けをねらって、事実をねじ曲げ、記事[きじ]をねつぞうするなどもってのほかだ。 **ねじ・る(捩る・捻る・拗る)** ○物[もの]の両[りょう]はしを反対[はんたい]の方向[ほうこう]に回[まわ]す。ひねる。 [文例]〈手[て]ぬぐいをねじる〉しぼりの手ぬぐいをねじって頭[あたま]に巻[ま]いたいきなはっぴ姿[すがた]の植木屋[うえきや]さんが、庭[にわ]の手入[てい]れをしています。♠〈紙[かみ]をねじる〉細長[ほそなが]く、やわらかい紙をねじってこよりを作[つく]ります。♠〈軽[かる]く・強[つよ]くねじる〉この木[き]の実[み]は、軽くねじれば、枝[えだ]から取[と]れます。♠〈腕[うで]をねじる〉おまわりさんは、犯人[はんにん]の腕を取って、ねじあげました。 **ねじ・れる(捩れる・捻れる・拗れる)** ○ねじった状態[じょうたい]になる。ひねくれる。 [文例]〈ネクタイがねじれる〉出[で]がけに玄関[げんかん]の鏡[かがみ]を見[み]て、ねじれているネクタイを直[なお]します。♠〈性格[せいかく]がねじれる〉ぼくは、性格がねじれているから、人[ひと]の話[はなし]をすぐ悪[わる]く解釈[かいしゃく]してしまう。 **ねじろ【根城】** ○大将[たいしょう]がいる城[しろ]。仕事[しごと]などをする時[とき]の本拠[ほんきょ]。 [文例]〈根城[ねじろ]にする〉一味[いちみ]は、一流[いちりゅう]ホテルを根城にして、さぎを続[つづ]けていたらしい。 **ねずみ(鼠)** ○ネズミ科[か]の哺乳動物[ほにゅうどうぶつ]。 [文例]〈頭[あたま]の黒[くろ]いねずみ〉どうやら、うちには頭の黒いねずみがいるらしい。ちょいちょいお金[かね]がなくなるんだ。♠〈ただのねずみでない〉あの男[おとこ]には注意[ちゅうい]したほうがいい。ただのねずみじゃないぞ。♠〈大山鳴動[たいざんめいどう]してねずみ一匹[いっぴき]〉大山鳴動してねずみ一匹、騒[さわ]いだわりにはたいしたことはなかったな。♠〈ねずみ色[いろ]〉古[ふる]ぽけて、茶[ちゃ]だかねずみだかわからないような色[いろ]のコートを着[き]た男が立[た]っていた。♠〈ぬれねずみ〉野中[のなか]の道[みち]で雨[あめ]に降[ふ]られ、雨宿[あまやど]りする所[ところ]もなく、ぬれねずみになって帰宅[きたく]しました。 **ねぞう【寝相】** ○寝[ね]ている時[とき]の姿勢[しせい]。 [文例]〈寝相[ねぞう]が悪[わる]い〉ぼくは、寝相が悪く、いつもふとんからはみ出[だ]してしまいます。 **ねそべ・る【寝そべる】** ○楽[らく]なかっこうで腹[はら]ばいになったり、横[よこ]になったりする。 [文例]子供[こども]たちは、寝そべったり、柱[はしら]にもたれたり、思[おも]い思[おも]いのかっこうでおじいさんの話[はなし]を聞[き]いている。♠〈ぐったりと寝そべる〉年老[としお]いた犬[いぬ]は、夏[なつ]の日[ひ]ざしの中[なか]で玄関[げんかん]の敷石[しきいし]にぐったりと寝そべっていた。♠〈長々[ながなが]と寝そべる〉風呂[ふろ]から上[あ]がって長々と寝そべると、一日[いちにち]の疲[つか]れが抜[ぬ]けていくようだ。 **ねた** ○種[たね]。材料[ざいりょう]。証拠[しょうこ]。 [文例]〈すしのねた〉このおすし屋[や]はねたが新鮮[しんせん]で値段[ねだん]も安[やす]く、近所[きんじょ]でも評判[ひょうばん]です。♠〈新聞[しんぶん]のねた〉新聞記者[しんぶんきしゃ]は何[なに]かねたはないかと、今日[きょう]もあちこちを飛[と]び回[まわ]っています。♠〈ねたがあがる〉ねたはあがっているんだ。いい加減[かげん]に白状[はくじょう]したらどうだ。♠〈ねたがわれる〉ねたがわれたとあっちゃ、しらを切[き]ってもしかたがない、白状するよ。 **ねたまし・い(妬ましい・嫉ましい)** ○うらやましくて憎[にく]らしい。 [文例]〈ねたましい気持[きも]ち〉ぼくは、彼[かれ]の成功[せいこう]を祝福[しゅくふく]しながらも、半分[はんぶん]ねたましい気持ちでいました。♠〈ねたましく思[おも]う〉親[おや]の七光[ななひかり]で出世[しゅっせ]するわたしをねたましく思う人がいて当然[とうぜん]だった。 **ねたみ(妬み・嫉み)** ○ねたむこと。↓ねたむ [文例]〈ねたみを受[う]ける〉彼女[かのじょ]の成功[せいこう]は、仲間[なかま]の女優[じょゆう]のねたみを受けるほど目覚[めざ]ましいものだった。 **ねた・む(妬む・嫉む)** ○うらやみ、憎[にく]いと思[おも]う。 [文例]「ねたむ」は、その人[ひと]がいつか失敗[しっぱい]すればいいというような、憎[にく]む気持[きも]ちを含[ふく]んでいます。♠〈成功[せいこう]をねたむ〉「おめでとう。」と言[い]いながら、ぼくは心[こころ]のすみで、友人[ゆうじん]の成功をねたんでいた。♠〈人[ひと]をねたむ〉みんなに好[す]かれるノンちゃんをねたむ人がいます。♠〈他人[たにん]の幸福[こうふく]をねたむ〉他人の幸福をねたんでばかりいたら、自分[じぶん]は幸福になれないよ。 **ねだやし【根絶やし】** ○草木[くさき]を根[ね]から抜[ぬ]き取[と]ること。完全[かんぜん]になくすこと。根絶[こんぜつ]。 [文例]〈雑草[ざっそう]を根絶[ねだ]やしにする〉庭[にわ]の雑草を根絶やしにしようとがんばったが、とても一日[いちにち]で終[お]わる仕事[しごと]ではなかった。♠〈犯罪[はんざい]を根絶[ねだ]やしにする〉不公正[ふこうせい]な社会[しゃかい]の中[なか]で、人[ひと]の心[こころ]に満[み]たされぬ欲望[よくぼう]のある限[かぎ]り、犯罪を根絶やしにすることは不可能[ふかのう]だろう。 **ねだ・る** ○甘[あま]えて無理[むり]に頼[たの]む。せがむ。 [文例]〈小遣[こづか]いをねだる〉道楽息子[どうらくむすこ]は、お金[かね]を使[つか]い果[は]たすと家[いえ]へ帰[かえ]ってきて、親[おや]に小遣いをねだっていく。♠〈えさをねだる〉うちのインコは小[ちい]さな頭[あたま]をふりたててえさをねだるのです。♠〈おやつをねだる〉山[やま]で仕事中[しごとちゅう]の母[はは]におやつをねだると、しょいこにつけたふくろから出[だ]してくれたものです。♠〈おねだりする〉和[かず]ちゃんは、去年[きょねん]買[か]ってもらったのがあるのに、また羽子板[はごいた]をおねだりしています。 **ねだん【値段】** ○商品[しょうひん]の価格[かかく]。 [文例]〈値段[ねだん]が高[たか]い〉全[まった]く同[おな]じ商品なのに、高[たか]い値段のついているほうがよく売[う]れることがある。♠〈値段[ねだん]が安[やす]い〉値段の安[やす]いのにひかれてつい買[か]いそうになった時[とき]、「安物買[やすものがい]いの銭失[ぜにうしな]い」という言葉[ことば]が頭[あたま]に浮[う]かんだ。♠〈値段[ねだん]を下[さ]げる〉今日[きょう]は定休日[ていきゅうび]の前[まえ]なので、野菜[やさい]の値段を下[さ]げてあります。♠〈値段[ねだん]を上[あ]げる〉それ以上値段[いじょうねだん]を上げられると、ぼくのおこづかいでは買[か]えないよ。♠〈値段[ねだん]をつける〉老人[ろうじん]は、その絵[え]に十万円[じゅうまんえん]という値段をつけて売りに出[だ]した。♠〈値段[ねだん]を張[は]り込[こ]む〉うんと値段を張り込むから、どうかそのつぼを譲[ゆず]ってください。 **ねちねち** ○ねばねばしているさま。しつこくてくどいさま。 [文例]〈ねちねちする〉木[き]のやにで指[ゆび]がねちねちして、気持ち悪[わる]い。♠〈ねちねちする〉ねちねちしたいやな男[おとこ]だね、きみは。♠大家[おおや]さんに会[あ]うと、また、ねちねちといやみを言[い]わ <843> れるから、顔[かお]を合[あ]わせないようにしているんだ。 **ねつ【熱】** ○物質[ぶっしつ]の温度[おんど]を変化[へんか]させるエネルギー。平常[へいじょう]より高[たか]い体温[たいおん]。熱中[ねっちゅう]。熱意[ねつい]。 [文例]〈熱[ねつ]が出[で]る・ひく〉ゆうべ熱が出たので、薬[くすり]を飲[の]んで寝[ね]たら、今朝[けさ]になって、熱がひいていた。♠〈熱[ねつ]がある・ない〉少[すこ]し熱があるらしく、体[からだ]がほてってだるい。♠〈熱[ねつ]が上[あ]がる・下[さ]がる〉母親[ははおや]は、あてた手[て]の感[かん]じで、子供[こども]の熱が上がったか下がったかが分[わ]かるそうです。♠〈熱[ねつ]を奪[うば]う〉蒸発[じょうはつ]するとき熱を奪うので、皮膚[ひふ]にアルコールをつけると、そこだけ冷[つめ]たくなるのです。♠〈熱[ねつ]をもつ〉アイロンは、まだ熱をもっているから、持[も]つ時[とき]は注意[ちゅうい]しなさい。♠〈熱[ねつ]にうかされる〉とつぜん、寝[ね]こんだ弟[おとうと]は、熱にうかされてうわごとを言[い]っています。♠〈熱[ねつ]を上[あ]げる〉妹[いもうと]は、最近[さいきん]どうもあの子[こ]に熱を上げているみたいだ。♠〈熱[ねつ]を入[い]れる〉〈熱[ねつ]が冷[さ]める〉弟[おとうと]は、あんなにテレビゲームに熱を入れていたのに、このごろは熱が冷めたのか見向[みむ]きもしない。♠〈熱[ねつ]が入[はい]る〉高校進学[こうこうしんがく]も決[き]まったせいで、三学期[さんがっき]の期末試験[きまつしけん]はどうも熱が入らない。♠〈熱[ねつ]をふく〉まわりの人[ひと]のことや事情[じじょう]を考[かんが]えずに、自分勝手[じぶんかって]な熱をふくのはよくない。♠〈熱[ねつ]を帯[お]びる〉彼[かれ]らの討論[とうろん]は、しだいに熱を帯び、とうとうはげしい議論[ぎろん]になった。♠〈熱[ねつ]がこもる〉授業[じゅぎょう]をする先生[せんせい]の声[こえ]は、静[しず]かだが熱がこもっている。 **ねつあい【熱愛】** ○熱烈[ねつれつ]に愛[あい]すること。熱烈な愛。 [文例]〈熱愛[ねつあい]する〉兄夫婦[あにふうふ]は、遅[おそ]くに授[さず]かったたった一人[ひとり]の息子[むすこ]を熱愛していた。 **ねつい【熱意】** ○熱心[ねっしん]な気持[きも]ち。熱烈[ねつれつ]な意気込[いきご]み。 [文例]〈熱意[ねつい]をもつ〉どんな仕事[しごと]でもおろそかにしないで、熱意をもって取[と]り組[く]もう。♠〈熱意[ねつい]に動[うご]かされる〉息子[むすこ]の熱意に動かされて、両親[りょうしん]も一人旅[ひとりたび]を許[ゆる]すことにした。♠〈熱意[ねつい]に頭[あたま]が下[さ]がる〉非行少年[ひこうしょうねん]を立[た]ち直[なお]らせたあの先生[せんせい]の熱意には、頭が下がる思[おも]いです。♠〈熱意[ねつい]に打[う]たれる〉彼女[かのじょ]は、彼[かれ]の誠実[せいじつ]さと熱意に打たれて結婚[けっこん]を決意[けつい]した。♠〈熱意[ねつい]を見[み]せる〉選手[せんしゅ]がもっと熱意を見せなければ、監督[かんとく]がやる気[き]をなくしてしまう。♠〈熱意[ねつい]ある〉ぼくたちが全国大会[ぜんこくたいかい]に出[で]られるのは、OBや先生[せんせい]、友達[ともだち]の熱意ある応援[おうえん]のおかげです。♠〈熱意[ねつい]に負[ま]ける〉彼[かれ]は、支持者[しじしゃ]たちの熱意に負けて、市長選挙[しちょうせんきょ]に立候補[りっこうほ]する決心[けっしん]をした。 **ねつえん【熱演】** ○熱心[ねっしん]に演[えん]じること。熱[ねつ]のこもった演技[えんぎ]。 [文例]主演女優[しゅえんじょゆう]の熱演に、観客[かんきゃく]から惜[お]しみない拍手[はくしゅ]が送[おく]られた。♠〈熱演[ねつえん]する〉主役[しゅやく]の八歳[はっさい]の少女[しょうじょ]が熱演して、舞台[ぶたい]は大盛況[だいせいきょう]だった。 **ねっき【熱気】** ○熱[あつ]い空気[くうき]。熱い意気込[いきご]み。興奮[こうふん]した雰囲気[ふんいき]。 [文例]〈熱気[ねっき]がこもる〉しめきった部屋[へや]の中[なか]には、むっとするような熱気がこもっている。♠〈熱気[ねっき]が立[た]ちこめる〉夏[なつ]の夕方[ゆうがた]、辺[あた]りに立[た]ちこめた熱気[ねっき]がひき、どこからともなく夜[よる]がしのび寄[よ]る。♠〈熱気[ねっき]を帯[お]びる〉平和[へいわ]を説[と]く先生[せんせい]の言葉[ことば]は、しだいに熱気[ねっき]を帯[お]びてきた。♠〈熱気[ねっき]がみなぎる〉スタッフの間[あいだ]には、どこにもない新[あたら]しいアニメーションを作[つく]ろうとする熱気[ねっき]がみなぎっている。♠〈熱気[ねっき]が伝[つた]わる〉球場[きゅうじょう]をうめた観客[かんきゃく]の熱気[ねっき]がテレビの画面[がめん]からも伝わってくる。 **ねっきょう【熱狂】** ○狂[くる]いそうなど熱中[ねっちゅう]すること。 [文例]〈熱狂[ねっきょう]する〉コンサートは、熱狂した少女[しょうじょ]たちで大騒[おおさわ]ぎとなった。♠〈熱狂的[ねっきょうてき]〉母[はは]は、プロレスの熱狂的なファンです。 **ねつ・く【寝付く】** ○眠[ねむ]りにつく。病気[びょうき]で寝込[ねこ]む。 [文例]おまえが寝[ね]つくまで、母[かあ]さんがそばにいてあげるよ。♠祖母[そぼ]は、転[ころ]んで足[あし]を折[お]ってから、そのまま寝[ね]ついてしまった。 **ねづく【根付く】** ○根[ね]を張[は]って育[そだ]つ。定着[ていちゃく]する。 [文例]〈木[き]が根[ね]づく〉移[うつ]しかえた桜[さくら]の木が無事[ぶじ]に根づいて、みんなを楽[たの]しませてくれました。♠〈民主主義[みんしゅしゅぎ]が根[ね]づく〉戦後四十年[せんごよんじゅうねん]たつと、民主主義は日本[にほん]にもしっかり根づいていった。 **ねっけつ【熱血】** ○熱[あつ]い血[ち]。血がわきかえるような激[はげ]しい精神[せいしん]。 [文例]正[ただ]しいと思[おも]えば、どこまでも突[つ]き進[すす]む熱血の持[も]ち主[ぬし]だった。♠〈熱血漢[ねっけつかん]〉彼[かれ]は、若[わか]いころから悪[あく]や不正[ふせい]を見[み]てだまっていられない熱血漢だった。 **ねつじょう【熱情】** ○燃[も]えるような激[はげ]しい気持[きも]ち。情熱[じょうねつ]。 [文例]〈熱情[ねつじょう]を込[こ]める〉青年[せいねん]は、自分[じぶん]の夢[ゆめ]を熱情を込めて語[かた]った。♠〈熱情[ねつじょう]を注[そそ]ぐ〉博士[はかせ]は、研究[けんきゅう]に熱情を注ぎ、寝食[しんしょく]を忘[わす]れるほどであった。♠〈熱情的[ねつじょうてき]〉火[ひ]の回[まわ]りをとり囲[かこ]んで、ジプシーの男女[だんじょ]が熱情的に踊[おど]り狂[くる]っていた。 **ねっしん【熱心】** ○熱中[ねっちゅう]して物事[ものごと]に取[と]り組[く]むさま。 [文例]〈熱心[ねっしん]な研究[けんきゅう]〉その古代文字[こだいもじ]は、学者[がくしゃ]たちの熱心な研究にもかかわらず、まだ解読[かいどく]されません。♠〈熱心[ねっしん]に教[おし]える〉ファーブルは、生徒[せいと]を熱心に教え、また、暇[ひま]を見[み]つけては自分[じぶん]の勉強[べんきょう]を続[つづ]けた。♠〈熱心[ねっしん]のあまり〉応援[おうえん]に熱心のあまり、身[み]びいきで審判[しんぱん]をやじるのはいけません。♠〈練習熱心[れんしゅうねっしん]〉あんなに練習熱心だったのに、チームは対外試合[たいがいじあい]に負[ま]けてしまった。♠〈熱心[ねっしん]さ〉がんこおやじも息子[むすこ]の熱心さに負[ま]けて、とうとう結婚[けっこん]を許[ゆる]した。 **ねっ・する【熱する】** ○加熱[かねつ]する。熱[あつ]くなる。熱中[ねっちゅう]する。夢中[むちゅう]になる。 [文例]〈金属[きんぞく]を熱[ねっ]する〉鋼[はがね]のかたまりを熱して、圧延機[あつえんき]にかけ、いろいろな形[かたち]の鋼材[こうざい]にします。♠〈気持[きも]ち・心持[こころも]ちが熱[ねっ]する〉二人[ふたり]は急[いそ]いで山[やま]を降[お]りた。足[あし]の運[はこ]びも前[まえ]とは違[ちが]って、姉[あね]の熱した心持が、暗示[あんじ]のように弟[おとうと]に移[うつ]って行ったかと思[おも]われる。(森鷗外[もりおうがい]「山椒大夫[さんしょうだゆう]」)♠〈熱[ねっ]しやすく冷[さ]めやすい〉次々[つぎつぎ]に新[あたら]しい事[こと]に手[て]を出[だ]す彼[かれ]は、熱しやすく冷めやすい男[おとこ]だと言[い]われている。 **ねっせん【熱戦】** ○激[はげ]しい戦[たたか]い・試合[しあい]。 [文例]〈熱戦[ねっせん]を繰[く]りひろげる〉競技場[きょうぎじょう]では、連日[れんじつ]、熱戦が繰りひろげられていた。♠〈熱戦[ねっせん]の火[ひ]ぶたを切[き]る〉開会式[かいかいしき]の後[あと]、各会場[かくかいじょう]で熱戦の火ぶたが切られた。 **ねつぞう(捏造)** ○ないことをあることのように作[つく]り上[あ]げること。でっちあげ。でつぞう。 [文例]〈記事[きじ]をねつぞうする〉読者受[どくしゃう]けをねらって、事実[じじつ]をねじ曲[ま]げ、記事をねつぞうするとは、もってのほかだ。 **ねっちゅう【熱中】** ○ある事[こと]に心[こころ]を注[そそ]ぎ込[こ]むこと。 [文例]〈熱中[ねっちゅう]のあまり〉サッカーに熱中のあまり、勉強[べんきょう]をおろそかにしたので、今学期[こんがっき]の成績[せいせき]はさんざんだ。♠〈研究[けんきゅう]に熱中[ねっちゅう]する〉キュリー夫妻[ふさい]は、毎日[まいにち]、実験室[じっけんしつ]で暗[くら]くなるまで研究に熱中しました。♠〈テレビに熱中[ねっちゅう]する〉テレビに熱中しているふりをしながら、母[はは]と姉[あね]の内緒話[ないしょばなし]を聞[き]いてしまった。 <844> **ねつっぽ・い**【熱っぽい】○熱[ねつ]があるような感[かん]じがする。情熱的[じょうねつてき]である。[文例]〈体[からだ]が熱っぽい〉なんとなく体[からだ]が熱[ねつ]っぽかったので、体温[たいおん]を計[はか]ってみることにした。♠へ熱っぽい口調[くちよう]>戦争[せんそう]を経験[けいけん]した祖父[そふ]は、熱[ねつ]っぽい口調[くちよう]で平和[へいわ]の大切[たいせつ]さを話[はな]します。♠へ熱っぽく答[こた]える〉講演[こうえん]の後[あと]、講師[こうし]は、聴衆[ちょうしゅう]の質問[しつもん]にひとつひとつ熱[ねつ]っぽく答[こた]えていた。 **ねつべん**【熱弁】○熱[ねつ]のこもった弁舌[べんぜつ]。[文例]〈熱弁をふるう〉彼[かれ]は熱弁[ねつべん]をふるって、土[つち]に親[した]しむ生活[せいかつ]の必要[ひつよう]を説[と]いた。 **ねつぼう**【熱望】○心[こころ]から強[つよ]く望[のぞ]むこと。また、その望[のぞ]み。[文例]〈熱望にこたえる〉両親[りょうしん]の熱望[ねつぼう]にこたえて、彼[かれ]は、家業[かぎょう]をつぐ決心[けっしん]をした。♠〈熱望がかなう〉ファンの熱望[ねつぼう]がかなって、引退[いんたい]した人気[にんき]歌手[かしゅ]がカムバックしました。♠へ市民[しみん]からの熱望>市民[しみん]からの熱望[ねつぼう]久[ひさ]しかったスポーツセンターが、いよいよ着工[ちゃっこう]されることになった。♠へ熱望する〉一期一会[いちごいちえ]というけれど、わたしは、また彼女[かのじょ]に会[あ]うことを熱望[ねつぼう]しています。 **ねづよ・い**【根強い】○基礎[きそ]がしっかりしていて、簡単[かんたん]にはぐらつかない。[文例]<根強い人気[にんき]〉この番組[ばんぐみ]は地味[じみ]ですが、根強[ねづよ]い人気[にんき]に支[ささ]えられて三年[さんねん]以上[いじょう]続[つづ]いています。♠へ根強く残[のこ]る〉今[いま]なお古[ふる]い伝統[でんとう]と因習[いんしゅう]が、日本人[にほんじん]の暮[く]らしや心[こころ]の中[なか]に根強[ねづよ]く残[のこ]っています。♠〈偏見[へんけん]が根強い〉ユダヤ人[じん]に対[たい]する偏見[へんけん]が根強[ねづよ]かったため、ナチスによる迫害[はくがい]や多[おお]くの悲劇[ひげき]が生[う]まれたのです。♠へ根強く広[ひろ]がる〉美[うつく]しい海岸[かいがん]を守[まも]るため、工場[こうじょう]建設[けんせつ]反対[はんたい]の運動[うんどう]が住民[じゅうみん]の間[あいだ]に根強[ねづよ]く広[ひろ]がっている。 **ねつれつ**【熱烈】○気持[きも]ちが高[たか]ぶって激[はげ]しいさま。[文例]〈熱烈な恋[れんあい]>彼[かれ]らの恋愛[れんあい]は、親[おや]に反対[はんたい]されればされるほど、熱烈[ねつれつ]なものとなっていった。♠へ熱烈なファン〉弟[おとうと]は、熱烈[ねつれつ]なプロレスファンで、試合[しあい]が始[はじ]まるとテレビの前[まえ]にきぎづけになる。♠へ熱烈な歓迎[かんげい]>中国[ちゅうごく]を訪[おとず]れた親善[しんぜん]使節[しせつ]は、行[い]く先々[さきざき]で熱烈[ねつれつ]な歓迎[かんげい]を受[う]けた。♠へ熱烈をきわめる>甲子園[こうしえん]へ出場[しゅつじょう]する地元[じもと]高校[こうこう]チームに対[たい]する応援[おうえん]は、熱烈[ねつれつ]をきわめた。 **ねどこ**【寝床】○寝[ね]る床[とこ]。寝[ね]る所[ところ]。[文例]〈寝床を作る>子供[こども]たちは、干[ほ]し草[くさ]やわらを集[あつ]めてきて寝床[ねどこ]を作[つく]りました。♠へ寝床[ねどこ]に入[はい]る〉わたしは、寝床[ねどこ]に入[はい]ってからも、明日[あした]の試合[しあい]のことが気[き]がかりでなかなか寝[ね]つけませんでした。♠<寝床にもぐり込[こ]む〉冬[ふゆ]になると、飼[か]い猫[ねこ]がわたしの寝床[ねどこ]にもぐり込[こ]んできた。♠へ寝床にいる〉父[ちち]は、休[やす]みの日[ひ]はお昼[ひる]近[ちか]くまで寝床[ねどこ]にいます。♠〈寝床を出[で]る>朝[あさ]、寝床[ねどこ]を出[で]て台所[だいどころ]へ行[い]くと、母[はは]が食事[しょくじ]の支度[したく]をしていた。♠へ寝床からはい出[だ]す>夜中[やちゅう]に腹[はら]がすいたので、そっと寝床[ねどこ]からはい出[だ]して台所[だいどころ]に行[い]った。 **ねとまり**【寝泊まり】○泊[と]まること。宿泊[しゅくはく]。[文例]〈寝泊まりする>夏休[なつやす]みは東京[とうきょう]のおじの家[いえ]に寝泊[ねとま]りして、夏期[かき]講習[こうしゅう]に通[かよ]う予定[よてい]です。♠〈寝泊まりする〉遅[おそ]くなった時[とき]は、店[みせ]に寝泊[ねとま]りできるように一部屋[ひとへや]設[もう]けてある。 **ねなしぐさ**【根無し草】○浮[う]き草[くさ]。ふらふらして根拠[こんきょ]をもたないこと。また、そういう人[ひと]。[文例]〈根なし草のよう〉旅[たび]から旅[たび]への根[ね]なし草[ぐさ]のような生活[せいかつ]はやめ、この土地[とち]に腰[こし]を据[す]えることに決[き]めました。 **ねばっこ・い**【粘っこい】○粘[ねば]りけがある。しつこい。[文例]〈もちが粘っこい〉つきたてのもちは、とても粘[ねば]っこくておいしかった。♠へ粘っこく食[く]い下[さ]がる〉いくら断[ことわ]っても、あの人[ひと]は粘[ねば]っこく食[く]い下[さ]がってくるから根気負[こんきま]けしてしまう。 **ねばり**【粘り】○ねばること。ねばりけ。粘着力[ねんちゃくりょく]。根気[こんき]。[文例]〈粘りがある・ない〉家[うち]でついたおもちは粘[ねば]りがあって、引[ひ]っ張[ぱ]ると長[なが]くのびます。♠〈粘りを要[よう]する〉和紙[わし]や漆器[しっき]のような伝統[でんとう]工芸品[こうげいひん]の生産[せいさん]には、大変[たいへん]な根気[こんき]と粘[ねば]りを要[よう]するものが多い。♠〈腰[こし]に粘りがある〉この力士[りきし]は、腰[こし]に粘[ねば]りがあって、土俵[どひょう]ぎわに強[つよ]い。♠〈粘り気[け]〉古米[こまい]は、粘[ねば]り気[け]が足[た]りなくてまずいなんて、ぜいたくを言[い]ってはいけません。♠へ粘り強い>相手[あいて]は粘[ねば]り強[づよ]いチームで、徹底的[てっていてき]に食[く]い下[さが]ってきました。 **ねばりづよ・い**【粘り強い】○ねばりけが強[つよ]い。根気強[こんきづよ]い。[文例]〈粘り強い説得[せっとく]>粘[ねば]り強[づよ]い説得[せっとく]のかいがあって、父[ちち]はわたしの留学[りゅうがく]を許[ゆる]してくれました。♠へ粘り強く挑戦[ちょうせん]する〉何度[なんど]失敗[しっぱい]してもあきらめず、粘[ねば]り強[づよ]く挑戦[ちょうせん]し続[つづ]け、ついに成功[せいこう]したという。 **ねば・る**【粘る】○ねばねばして物[もの]にくっつく。根気強[こんきづよ]く続[つづ]ける。[文例]〈粘る糸[いと]〉くもが体[からだ]の管[くだ]から出[だ]す糸[いと]には、粘[ねば]る糸[いと]と粘[ねば]らない糸[いと]とがあります。♠ヘやにが粘る〉松[まつ]のやにが手[て]に粘[ねば]りついて、洗[あら]ってもとれません。♠〈店[みせ]で粘る〉ひまだっだから、喫茶店[きっさてん]でコーヒー一[いっ]ぱいで三[さん]時間[じかん]も粘[ねば]った。♠〈粘りに粘る〉バッターは、粘[ねば]りに粘[ねば]ったが、ついに三振[さんしん]に終[お]わった。♠へ粘りぬく〉試験[しけん]では、途中[とちゅう]であきらめず、最後[さいご]まで粘[ねば]りぬきなさい。 **ねぶか・い**【根深い】○根[ね]が深[ふか]い。原因[げんいん]が深[ふか]いところにあって簡単[かんたん]には解決[かいけつ]できない。[文例]〈根深い確執[かくしつ]〉ちょっとした感情[かんじょう]のもつれが度[たび]かさなり、いつの間[ま]にか根深[ねぶか]い確執[かくしつ]が生[しょう]じていた。♠根深い原因[げんいん]〉二十[にじゅう]年前[ねんまえ]のこの事件[じけん]が、両家[りょうけ]の対立[たいりつ]の根深[ねぶか]い原因[げんいん]となった。 **ねぶみ**【値踏み】○見積[みつ]もって値段[ねだん]をっけること。価値[かち]を計[はか]ること。[文例]〈値踏みをする>競売[きょうばい]に出[だ]された品々[しなじな]を、一[ひと]つ一[ひと]つ値踏[ねぶ]みをしながら見[み]て回[まわ]った。♠〈値踏みする〉たくさんの男性[だんせい]とつき合[あ]って、よく値踏[ねぶ]みしてから結婚[けっこん]の相手[あいて]を決[き]めようと思[おも]う。 **ねぼう**【寝坊】○朝[あさ]遅[おそ]くまで寝[ね]ていること。また、そういう人[ひと]。[文例]〈寝坊をする〉いつも寝坊[ねぼう]をしては、走[はし]って学校[がっこう]へ行[い]きます。♠〈寝坊する〉明日[あした]は遠足[えんそく]だから、寝坊[ねぼう]しないように目覚[めざ]まし時計[どけい]を三[み]つも用意[ようい]しました。 **ねぼ・ける**【寝ぼける】(寝惚ける)○目[め]が覚[さ]めてもぼんやりしている。わけの分からない言動[げんどう]をとる。[文例]〈寝ぼけた顔[かお]>朝早[あさはや]く訪[たず]ねると、起[お]きたばかりらしく先生[せんせい]は寝[ね]ぼけた顔[かお]で現[あらわ]れた。♠寝ぼけたこと〉一体[いったい]、何[なに]をわけのわからない寝[ね]ぼけたことを言[い]っているの? **ねほりはほり**【根掘り葉掘り】○細[こま]かいことまであれこれと問[と]いただすさま。[文例]〈根掘り葉掘り聞く〉結婚[けっこん]する姉[あね]の相手[あいて]のことを、隣[となり]のおばさんから根掘[ねほ]り葉掘[はほ]り聞[き]かれた。 **ねまき**【寝巻き・寝間着】○寝[ね]る時[とき]に着[き]る服[ふく]。[文例]寝巻[ねま]きの <845> ままの格好[かっこう]で下[した]へおりたら、お客[きゃく]様[さま]が見[み]えていて恥[は]ずかしい思[おも]いをしました。♠休[やす]みの日[ひ]、父[ちち]はお昼[ひる]すぎまで寝巻[ねまき]でいて、母[はは]にしかられます。 **ねまわし【根回し】** ○木[き]の根[ね]の一部[いちぶ]を切[き]ってしまうこと。前もって関係者[かんけいしゃ]に説明[せつめい]するなどの手[て]を打[う]っておくこと。 [文例]〈根回[ねまわ]しをする〉会議[かいぎ]の出席者[しゅっせきしゃ]にはちゃんと根回しがしてあるから、わたしの提案[ていあん]に異議[いぎ]を唱[とな]える人[ひと]はいないだろう。♠〈根回[ねまわ]しする〉ものごとを決定[けってい]する時[とき]には、主[おも]だった人たちに根回しすると効果的[こうかてき]です。 **ねむ・い【眠い】** ○眠[ねむ]りたい。ねむたい。 [文例]妹[いもうと]は、眠[ねむ]そうな目[め]をして、「眠くて、眠くてたまらないの。」と言[い]った。♠〈眠[ねむ]い目[め]をこする〉朝早[あさはや]く呼[よ]びに行[い]くと、友達[ともだち]は、眠い目をこすりながら出[で]てきた。♠〈眠[ねむ]い授業[じゅぎょう]〉あんなたいくつで眠い授業は耐[た]えられないわ。 **ねむけ【眠気】** ○眠[ねむ]くてしかたない気分[きぶん]。 [文例]〈眠気[ねむけ]がさす〉暖[あたた]かい縁側[えんがわ]で横[よこ]になっていたら、つい眠気がさして眠ってしまった。♠〈眠気[ねむけ]におそわれる〉勉強[べんきょう]していて眠気におそわれたら、体操[たいそう]でもして少[すこ]し体[からだ]を動[うご]かしてごらん。♠〈眠気[ねむけ]をさそう〉あんな眠気をさそうようなつまらない音楽[おんがく]ははじめてだ。♠〈眠気[ねむけ]をもよおす〉夜[よる]おそくまでテレビを見[み]ていたので、今日[きょう]は授業中[じゅぎょうちゅう]に眠気をもよおして困[こま]った。♠〈眠気[ねむけ]が吹[ふ]きとぶ〉近所[きんじょ]の朝火事[あさかじ]で、眠気もどこかに吹きとんだ。♠〈眠気覚[ねむけざ]まし〉ひとつ、眠気覚ましに外[そと]の冷[つめ]たい空気を吸[す]って来[く]るか。 **ねむた・い【眠たい】** ○眠[ねむ]い。 [文例]あの先生[せんせい]の講義[こうぎ]は退屈[たいくつ]で、眠たくなってしまいます。♠〈眠[ねむ]たい目[め]〉眠たい目をこすりこすり、夜遅[よるおそ]くまでかかって宿題[しゅくだい]を終[お]わらせました。 **ねむり【眠り】** ○眠[ねむ]ること。睡眠[すいみん]。休眠[きゅうみん]。永眠[えいみん]。 [文例]〈眠[ねむ]りの量[りょう]・長[なが]さ・深[ふか]さ〉眠りの量は、眠りの長さと、眠りの深さをかけたもので表[あらわ]します。♠〈眠[ねむ]りに落[お]ちる〉昼[ひる]の仕事[しごと]でつかれていたので、寝床[ねどこ]に入[はい]るとすぐ深[ふか]い眠りに落ちた。♠〈眠[ねむ]りが深[ふか]い・浅[あさ]い〉暑[あつ]い夏[なつ]の夜[よる]は眠りが浅いせいか、朝起[あさお]きるとなんとなく体[からだ]がだるい。♠〈快[こころよ]い眠[ねむ]り〉机[つくえ]に向[む]かっていると、快い眠りにさそう音楽[おんがく]がラジオから流[なが]れてきた。♠〈泰平[たいへい]の眠[ねむ]り〉〈眠[ねむ]りを覚[さ]ます〉幕末[ばくまつ]、外国船[がいこくせん]の来航[らいこう]で、「泰平の眠りを覚ますじょうきせん、たった四[よっ]ぱいで夜[よる]も寝[ね]られず」の騒[さわ]ぎになった。♠〈永遠[えいえん]の眠[ねむ]り〉〈眠[ねむ]りにつく〉苦[くる]しく長[なが]い人生[じんせい]の旅[たび]が終[お]わって、老人[ろうじん]は今[いま]、安[やす]らかな永遠の眠りについた。 **ねむりほう・ける【眠りほうける】**(眠り惚ける・眠り呆ける) ○正体[しょうたい]もなくぐっすり眠[ねむ]る。 [文例]門番[もんばん]は人[ひと]の出入[でい]りに注意[ちゅうい]もせずに、わきの小部屋[こべや]で眠りほうけていた。 **ねむ・る【眠る】** ○心身[しんしん]の活動[かつどう]が一時停止[いちじていし]し、無意識[むいしき]の状態[じょうたい]になる。死[し]ぬ。目[め]をつむる。物事[ものごと]が活用[かつよう]されずにいる。 [文例]〈すやすや眠[ねむ]る〉お母[かあ]さんは、すやすや眠る赤[あか]ちゃんの寝顔[ねがお]に見[み]いっています。♠〈カエルが眠[ねむ]る〉カエルは、冬[ふゆ]の間[あいだ]、土[つち]の中[なか]にもぐって眠り、春[はる]になると目[め]を覚[さ]まします。♠〈眠[ねむ]ったように静[しず]か〉村全体[むらぜんたい]が眠ったように静かな、静かな夜[よる]ふけです。♠〈化石[かせき]が眠[ねむ]る〉ナウマンゾウの化石は、大[おお]むかしの野尻湖[のじりこ]の底[そこ]に積[つ]もった地層[ちそう]の中[なか]に眠っていた。♠〈地底[ちてい]に眠[ねむ]る資源[しげん]〉石油[せきゆ]をはじめ、地底に眠る資源を開発[かいはつ]しつくしたとき、人類[じんるい]の生活[せいかつ]はどうなるのだろう。♠〈眠[ねむ]るように息[いき]をひきとる〉おじいさんは、みんなの顔[かお]をひと通[とお]り見回[みまわ]したのち、眠るように息をひきとった。♠〈墓[はか]に眠[ねむ]る〉わたしたちも、行[い]く行[い]くはご先祖[せんぞ]といっしょに、このお墓に眠ることになるでしょう。♠〈目[め]を眠[ねむ]る〉私[わたし]は一寸[ちょつと]眼[め]をねむって心[こころ]を鎮[しず]めようと試[こころ]みました。(志賀直哉[しがなおや]「范[はん]の犯罪[はんざい]」)♠〈草木[そうもく]も眠[ねむ]る丑三[うしみ]つ時[どき]〉草木も眠る丑三つ時とは、今[いま]でいう午前二時[ごぜんにじ]ごろで、むかしの人[ひと]にとって、不気味[ぶきみ]な時間[じかん]だったようです。 **ねめまわす(睨め回す)** ○にらむようにじろじろと見[み]る。 [文例]客[きゃく]の男[おとこ]は、玄関[げんかん]から入[はい]ると屋敷[やしき]の中[なか]をねめまわすように見[み]ていた。♠何[なに]か気[き]に入[い]らないことをしたらしく、あの新入[しんい]りは番頭[ばんがしら]にねめまわされている。 **ねもと【根元・根本】** ○草木[くさき]の根[ね]の方[ほう]。物[もの]の下[した]の部分[ぶぶん]。物事[ものごと]の根本[こんぽん]。 [文例]〈木[き]の根元[ねもと]〉サファリパークを車[くるま]で行[い]くと、大きな雄[おす]のライオンが退屈[たいくつ]そうに木の根元に座[すわ]っていた。♠〈髪[かみ]の根元[ねもと]〉あれ、白髪[しらが]かな、髪の根元のところが白[しろ]いぞ。 **ねらい(狙い)** ○ねらうこと。目標[もくひょう]。標的[ひょうてき]。 [文例]〈ねらいを定[さだ]める〉じいさんは、野[の]うさぎにねらいを定めて、銃[じゅう]を構[かま]えた。♠〈ねらいをつける〉的[まと]にねらいをつけて、力[ちから]をこめて矢[や]を放[はな]つ。♠〈ねらいをはずす〉矢は、ねらいをはずさず、みごとに獲物[えもの]を射[い]とめた。♠〈ねらいをしぼる〉〈ねらいが当[あ]たる〉この映画[えいが]は、女性客[じょせいきゃく]にねらいをしぼったそうだが、まさにそのねらいは当たったと言[い]える。♠〈ねらいをはっきりさせる〉どんな文集[ぶんしゅう]を作[つく]るのか、そのねらいをはっきりさせるため、みんなで話[はな]し合[あ]った。♠〈作者[さくしゃ]のねらい〉文章[ぶんしょう]の組[く]み立[た]てに注意[ちゅうい]して読[よ]むと、作者のねらいが分[わ]かりやすい。 **ねらいうち【ねらい撃ち】**(狙い撃ち) ○ねらい定[さだ]めて撃[う]つこと。 [文例]〈ねらい撃[う]ちにする〉猟師[りょうし]は、じっとかまえて、鳥[とり]が飛[と]び立[た]つところをねらい撃ちにした。♠〈ねらい撃[う]ちする〉まるでねらい撃ちするように、ぼくの所[ところ]にばかり球[たま]が飛[と]んできた。 **ねらう(狙う)** ○標的[ひょうてき]を目がけて構[かま]える。目的[もくてき]のものを手[て]に入[い]れようとする。機会[きかい]をうかがう。 [文例]〈獲物[えもの]をねらう〉蛇[へび]は、獲物をねらって、するすると木[き]に登[のぼ]って行った。♠〈敵[てき]がねらう〉動物[どうぶつ]たちの保護色[ほごしょく]は、自分[じぶん]をねらう敵の目[め]をくらますのに役立[やくだ]っています。♠〈優勝[ゆうしょう]をねらう〉今度[こんど]のクラス対抗[たいこう]リレーでは、どうしても優勝をねらいたい。♠〈効果[こうか]をねらう〉石川啄木[いしかわたくぼく]は、短歌[たんか]を三行書[さんぎょうが]きにして、詩[し]としての効果もねらっていたのです。♠〈財産[ざいさん]をねらう〉彼[かれ]の財産をねらって、多[おお]くの女[おんな]たちが群[むら]がっていた。♠〈すきをねらう〉近所[きんじょ]へ買[か]い物[もの]に出[で]たわずかのすきをねらって、泥棒[どろぼう]が入った。♠〈チャンスをねらう〉あの人[ひと]をさそうチャンスをねらっているんだけれど、なかなかうまくいかないわ。 **ねりあ・げる【練り上げる】** ○何[なん]度[ど]も練[ね]って作[つく]り上[あ]げる。何[なん]度[ど]も検討[けんとう]してよいものにする。 [文例]〈墨[すみ]を練[ね]り上[あ]げる〉職人[しょくにん]たちは、何時間[なんじかん]もかけて全身真[ぜんしんま]っ黒[くろ]になりながら墨を練り上げる。♠〈構想[こうそう]を練[ね]り上[あ]げる〉何[なん]度[ど]も会合[かいごう]を開[ひら]いて、文化祭[ぶんかさい]の構想を練り上げていった。♠〈計画[けいかく]を練[ね]り上[あ]げる〉ぼく <846> たちが練[ね]り上[あ]げたキャンプの計画[けいかく]を先生[せんせい]に見[み]てもらうことにした。 **ねりある・く【練り歩く】** ○行列[ぎょうれつ]を作[つく]ってゆっくり歩[ある]く。 [文例]〈町[まち]を練[ね]り歩[ある]く〉祭[まつ]りの行列が町の中[なか]を練り歩く。 **ねりなお・す【練り直す】** ○もう一度[いちど]よく練[ね]る。検討[けんとう]し直[なお]す。 [文例]〈計画[けいかく]を練[ね]り直[なお]す〉この計画にはちょっと無理[むり]があるようだから、もう一度練り直しなさい。 **ねる【寝る】** ○横[よこ]たわる。眠[ねむ]る。病気[びょうき]で床[とこ]につく。性交[せいこう]する。活用[かつよう]されずにいる。こうじが熟成[じゅくせい]する。 [文例]〈朝起[あさお]きてから夜寝[よるね]るまで〉ああ、朝起きてから夜寝るまでいつも仕事[しごと]、仕事!♠〈あおむけに寝[ね]る〉弟[おとうと]の部屋[へや]をのぞいたら、ベッドにあおむけに寝て、じっと何[なに]かを考[かんが]えていた。♠〈病気[びょうき]で寝[ね]る〉お母[かあ]さんが病気で寝てしまうようなことがあったら、幼[おさな]い子供[こども]たちはどうなるのでしょう。♠〈髪[かみ]が寝[ね]る〉とさかのように立[た]った髪の毛[け]は、蒸[む]しタオルをあてると寝ます。♠〈寝[ね]ても覚[さ]めても〉このごろは寝ても覚めても、あの人[ひと]のことしか頭[あたま]にないんだ。♠〈まくらを 高[たか]くして寝[ね]る〉堤防[ていぼう]の補強工事[ほきょうこうじ]が完成[かんせい]したので、大雨[おおあめ]の時[とき]でもまくらを高くして寝ることができるよ。♠〈寝[ね]る子[こ]は育[そだ]つ〉「寝る子は育つ」というが、妹[いもうと]は食[た]べて寝てばかりいるから、少[すこ]し太[ふと]りすぎだ。♠〈夜[よる]の目[め]も寝[ね]ずに〉わたしたちは、病気[びょうき]の旅人[たびびと]を夜の目も寝ずに看病[かんびょう]した。♠〈寝[ね]た子[こ]を起[お]こす〉せっかくおさまった問題[もんだい]をむし返[かえ]すなんて、寝た子を起こすようなことをするな。♠〈寝[ね]ている金[かね]〉とうざ必要[ひつよう]のない寝ている金があったら、ちょっと貸[か]してくれ。 **ね・る【練る】**(錬る) ○こねる。柔[やわ]らかくする。粘[ねば]るようにする。きたえる。検討[けんとう]してよいものにする。修養[しゅうよう]を積[つ]む。行列[ぎょうれつ]を作[つく]ってゆっくり歩[ある]く。 [文例]〈土[つち]を練[ね]る〉伝統的[でんとうてき]な日本建築[にほんけんちく]の壁[かべ]は、わらをまぜた土を練ってぬりました。♠〈コンクリートを練[ね]る〉コンクリートは、砂[すな]や砂利[じゃり]にセメントと水[みず]をまぜ、練って作[つく]ります。♠〈あんを練[ね]る〉母[はは]を手伝[てつだ]って、あずきを煮[に]、あんを練って、おはぎをたくさん作った。♠〈計画[けいかく]を練[ね]る〉近[ちか]くの仲間[なかま]が集[あつ]まって、夏休[なつやす]みの子供盆踊[こどもぼんおど]り大会[たいかい]の計画を練った。♠〈構想[こうそう]を練[ね]る〉彼[かれ]は、雑誌[ざっし]の新人賞[しんじんしょう]をねらって、推理小説[すいりしょうせつ]の構想を練っている。♠〈人格[じんかく]を練[ね]る〉苦[くる]しみに耐[た]えることが、きみたちの人格を練るのに役立[やくだ]つ。♠〈文章[ぶんしょう]を練[ね]る〉〈練[ね]りに練[ね]る〉文章を練りに練ったので、この作文[さくぶん]は、われながらよいできだと自信[じしん]がある。♠〈練[ね]り歩[ある]く〉神社[じんじゃ]の秋[あき]のお祭[まつ]りには、おみこしが町内[ちょうない]を練り歩きます。 **ねん【念】** ○よく注意[ちゅうい]すること。心[こころ]の中[なか]の思[おも]い。かねての望[のぞ]み。 [文例]〈念[ねん]を押[お]す〉遊[あそ]びに出[で]ようとすると、母[はは]は必[かなら]ず「宿題[しゅくだい]はすんだの?」と念を押す。♠〈念[ねん]が入[はい]る〉母は、わたしのセーターに念の入った美[うつく]しいししゅうをしてくれました。♠〈念[ねん]を入[い]れる〉念を入れて確[たし]かめることを、駄目[だめ]を押[お]すといいます。♠〈念[ねん]には念[ねん]を入[い]れる〉「念には念を入れよ」というから、もう一度火[いちどひ]の元[もと]を確[たし]かめよう。♠〈念[ねん]のため〉念のためお聞[き]きしますが、ここにわたしの財布[さいふ]が落[お]ちてなかったでしょうね。♠〈不安[ふあん]の念[ねん]〉ふと、待[ま]ち合[あ]わせの場所[ばしょ]をまちがえたのではないかという不安の念にかられた。♠〈憎[にく]しみの念[ねん]を抱[いだ]く〉かつて敵[てき]どうしとして抱いた憎しみの念は、彼[かれ]らからすっかり消[き]え去[さ]っていた。♠〈望郷[ぼうきょう]の念[ねん]がつのる〉島[しま]を追[お]いはらわれた人々[ひとびと]は、望郷の念をつのらせている。 **ねんいり【念入り】** ○丁寧[ていねい]で注意深[ちゅういぶか]いさま。入念[にゅうねん]。 [文例]〈仕事[しごと]が念入[ねんい]り〉あの仕立屋[したてや]は、仕事が念入りだという評判[ひょうばん]です。♠〈念入[ねんい]りな化粧[けしょう]〉姉[あね]さんは、念入りなお化粧をして、デートに出[で]かけました。♠〈念入[ねんい]りに調[しら]べる〉念入りに調べたけれど、故障[こしょう]の箇所[かしょ]は分[わ]からなかった。♠〈念入[ねんい]りに注意[ちゅうい]する〉引[ひ]っ越[こ]しのとき、念入りに注意して運[はこ]んでもらったのに、ピアノにきずがついていた。 **ねんえき【粘液】** ○粘[ねば]りけのある液体[えきたい]。 [文例]〈粘液[ねんえき]を出[だ]す〉カタツムリは、ねばねばした粘液を出して、草[くさ]や葉[は]に吸[す]いつきながら移動[いどう]します。♠〈粘液質[ねんえきしつ]〉玄関[げんかん]に出[で]ると、無口[むくち]で鈍重[どんじゅう]な、粘液質そうな青年[せいねん]がうつむいて立[た]っていた。 **ねんかん【年間】** ○一年[いちねん]の間[あいだ]。 [文例]この遊園地[ゆうえんち]は、年間五百万人[ごひゃくまんにん]もの入場者[にゅうじょうしゃ]があるそうだ。♠〈年間[ねんかん]を通[とお]す〉ぼくは、年間を通[とお]して読[よ]む本[ほん]を決[き]め、計画表[けいかくひょう]に書[か]き込[こ]んでいます。♠〈年間所得[ねんかんしょとく]〉最近[さいきん]は、年間所得が一千万円[いっせんまんえん]を超[こ]すような高額所得者[こうがくしょとくしゃ]も増[ふ]えているらしい。 **ねんがん【念願】** ○心[こころ]に願[ねが]い念[ねん]じること。 [文例]〈念願[ねんがん]がかなう〉日本刀[にほんとう]を鍛[きた]える場面[ばめん]を一度見[いちどみ]たいという念願がかなえられた。♠〈念願[ねんがん]を果[は]たす〉兄[あに]は二度[にど]めの挑戦[ちょうせん]で、やっと念願を果たし、あこがれの大学[だいがく]へ入学[にゅうがく]した。♠〈念願[ねんがん]が通[つう]じる〉三人めは女の子[おんなのこ]が欲[ほ]しいという念願が通じ、かわいい女の子が授[さず]かりました。♠〈念願[ねんがん]の旅行[りょこう]〉両親[りょうしん]は、結婚二十周年記念[けっこんにじっしゅうねんきねん]に、念願のヨーロッパ旅行に出[で]かけました。♠〈念願[ねんがん]する〉山奥[やまおく]の村[むら]の人々[ひとびと]が念願していた道路[どうろ]が、ふもとの町[まち]まで通[かよ]じました。 **ねんき【年季】** ○奉公人[ほうこうにん]を雇[やと]う時[とき]の約束[やくそく]の期間[きかん]。修練[しゅうれん]を積[つ]む期間。 [文例]〈年季[ねんき]を勤[つと]める〉お清[きよ]は、奉公[ほうこう]の年季を勤め上[あ]げ、郷里[きょうり]へ帰[かえ]っていきました。♠〈年季[ねんき]が明[あ]ける〉奉公に出ている姉[あね]も、年季が明ければ家[いえ]にもどってきます。♠〈年季[ねんき]が入[はい]る〉父[ちち]は大工[だいく]のとうりょうで、年季の入ったよい仕事[しごと]をすると評判[ひょうばん]がよかった。♠〈年季[ねんき]がかかる〉この仕事[しごと]を自分[じぶん]のものにするには、ずいぶん年季がかかりました。 **ねんきん【年金】** ○一定[いってい]の期間[きかん]、一定額[いっていがく]のお金[かね]を給付[きゅうふ]する制度[せいど]。また、そのお金。 [文例]〈年金[ねんきん]を受[う]ける〉最近[さいきん]の物価高[ぶっかだか]では、とても年金を受けるだけで生活[せいかつ]できません。♠〈年金[ねんきん]がおりる〉公務員[こうむいん]を退職[たいしょく]した父[ちち]に、今年[ことし]から年金がおりることになった。 **ねんぐ【年貢】** ○毎年[まいとし]のみつぎ物[もの]。租税[そぜい]。小作料[こさくりょう]。 [文例]〈年貢[ねんぐ]を出[だ]す〉米[こめ]も麦[むぎ]もろくにとれなかったのに、殿様[とのさま]は年貢を前よりもっと出せと命[めい]じました。♠〈年貢[ねんぐ]の納[おさ]め時[どき]〉やい、悪党[あくとう]ども、今度[こんど]こそ年貢の納め時だぞ、おとなしく出[で]てこい。♠〈年貢米[ねんぐまい]〉川岸[かわぎし]には、昔大名[むかしだいみょう]が農民[のうみん]から取[と]りたてた年貢米を入[い]れておいた蔵[くら]が立[た]ち並[なら]んでいた。 **ねんげつ【年月】** ○としつき。歳月[さいげつ]。 [文例]〈年月[ねんげつ]をかける〉ファーブルは、「昆虫記[こんちゅうき]」という本[ほん]を、三十年[さんじゅうねん]の年月をかけてまとめた。♠〈年月[ねんげつ]を過[す]ごす〉ぼくは、幼[おさな]いころ五年[ごねん]の年 <847> 月[つき]を過[す]ごした北国[きたぐに]の港町[みなとまち]がなつかしい。♠〈年月[としつき]がたつ〉あの老人[ろうじん]がふらりとこの島[しま]に来[き]て住[す]みついてから、二十年[にじゅうねん]近[ちか]い年月[としつき]がたちました。♠〈年月[としつき]を費[つい]やす〉大[おお]きな貯水池[ちょすいち]は、五年[ごねん]の年月[としつき]を費[つい]やして、やっと完成[かんせい]した。♠◇長[なが]い年月[ねんげつ]にわたる>食品[しょくひん]添加物[てんかぶつ]は、長[なが]い年月[ねんげつ]にわたって、人々[ひとびと]の健康[けんこう]を少[すこ]しずつ害[がい]するらしい。♠〈年月[ねんげつ]を経[へ]る〉年月[ねんげつ]を経[へ]て長[なが]く伝[つた]えられてきたものには、それだけでも価値[かち]があります。♠年月[ねんげつ]を越[こ]える>万葉[まんよう]の人々[ひとびと]の歌[うた]は、千年[せんねん]以上[いじょう]の年月[ねんげつ]を越[こ]えて、読[よ]む人[ひと]の心[こころ]を動[うご]かします。♠〈年月[ねんげつ]の流[なが]れ>古典[こてん]の言葉[ことば]には、長[なが]い年月[ねんげつ]の流[なが]れの中[なか]で意味[いみ]が変[か]わってきたものも多[おお]い。 **ねんこう【年功】** ○長年[ながねん]の修練[しゅうれん]で得[え]た技能[ぎのう]。長年[ながねん]の功労[こうろう]。[文例]〈年功[ねんこう]を積[つ]む〉彼[かれ]は年功[ねんこう]を積[つ]んだ職人[しょくにん]だから、腕[うで]にまちがいはない。♠〈年功序列[ねんこうじょれつ]〉わが社[しゃ]では、年功序列[ねんこうじょれつ]ではなく、能力[のうりょく]と業績[ぎょうせき]に応[おう]じて賃金[ちんぎん]がが決[き]まります。 **ねんごろ【懇ろ】** ○丁寧[ていねい]なさま。親密[しんみつ]なさま。[文例]〈懇[ねんご]ろにもてなす〉わたしたちは、遠来[えんらい]の客[きゃく]を懇[ねんご]ろにもてなした。♠〈懇[ねんご]ろに弔[とむら]う〉旅先[たびさき]で倒[たお]れた死者[ししゃ]の霊[れい]を村人[むらびと]たちは懇[ねんご]ろに弔[とむら]った。♠〈懇[ねんご]ろになる〉若[わか]い二人[ふたり]がいつしか懇[ねんご]ろになっていたことにだれも気[き]づかなかった。 **ねんざ(捻挫)** ○関節[かんせつ]をくじいて痛[いた]めること。[文例]<捻挫[ねんざ]する>階段[かいだん]で転[ころ]んだ拍子[ひょうし]に足首[あしくび]を捻挫[ねんざ]してしまった。 **ねんじゅう【年中】** ○一年[いちねん]の間[あいだ]。いつも。[文例] 社長[しゃちょう]は、年中[ねんじゅう]忙[いそが]しくてお会[あ]いする時間[じかん]がありません。♠〈年中[ねんじゅう]無休[むきゅう]〉うちは年中[ねんじゅう]無休[むきゅう]ですので、お正月[しょうがつ]もお盆[ぼん]も店[みせ]は開[あ]いています。♠<年中[ねんじゅう]行事[ぎょうじ]>母[はは]の日[ひ]に、父[ちち]とわたしたちが夕食[ゆうしょく]を作[つく]り、母[はは]にプレゼントをおくるというのが、わが家[や]の年中[ねんじゅう]行事[ぎょうじ]になりました。 **ねんしゅつ(捻出・拈出)** ○やりくりしてひねり出[だ]すこと。考[かんが]え出[だ]すこと。[文例] 〈捻出[ねんしゅつ]する>母[はは]は、苦[くる]しい家計[かけい]の中[なか]から、ぼくの旅行[りょこう]費用[ひよう]をどうにか捻出[ねんしゅつ]してくれました。 **ねんしょう【年少】** ○年齢[ねんれい]が少[すく]ないこと。[文例]〈年長[ねんちょう]と年少[ねんしょう]>こども会[かい]の遠足[えんそく]は、年長[ねんちょう]の者[もの]が年少[ねんしょう]の子[こ]のめんどうを見[み]ることになった。♠わたしより二[ふた]つ三[みっ]つ年少[ねんしょう]と思[おも]われる少女[しょうじょ]が、てきぱきと家事[かじ]をこなすのを見[み]て驚[おどろ]きました。♠〈年少者[ねんしょうしゃ]>未就学[みしゅうがく]の年少者[ねんしょうしゃ]の入場[にゅうじょう]には付[つ]き添[そ]いが必要[ひつよう]です。 **ねんしょう【燃焼】** ○燃[も]えること。精一杯[せいいっぱい]がんばること。[文例] <燃焼[ねんしょう]する〉ローソクは燃焼[ねんしょう]するとき、煙[けむり]が少[すく]なく、ろうがあまり流[なが]れ出[で]ないものが良質[りょうしつ]です。♠〈青春[せいしゅん]を燃焼[ねんしょう]させる〉ラグビーに青春[せいしゅん]を燃焼[ねんしょう]させる若者[わかもの]に若[わか]い女性[じょせい]の熱[あつ]い目[め]が注[そそ]がれます。♠〈命[いのち]を燃焼[ねんしょう]する〉彼女[かのじょ]は、激[はげ]しい恋[こい]に命[いのち]を燃焼[ねんしょう]しつくしたように、二十歳[はたち]の短[みじか]い一生[いっしょう]を閉[と]じた。♠〈不完全[ふかんぜん]・完全[かんぜん]燃焼[ねんしょう]>老人[ろうじん]の孤独[こどく]な死[し]は、石油[せきゆ]ストーブの不完全[ふかんぜん]燃焼[ねんしょう]による中毒死[ちゅうどくし]だった。 **ねん・じる【念じる】** ○心[こころ]の中[なか]で願[ねが]う。心[こころ]の中[なか]で唱[とな]える。[文例]〈心[こころ]に念[ねん]じる>甲子園[こうしえん]に出場[しゅつじょう]することだけを心[こころ]に念[ねん]じて、練習[れんしゅう]にはげんでいます。♠〈無事[ぶじ]を念[ねん]じる〉戦場[せんじょう]へ行[い]く兵士[へいし]たちの家族[かぞく]は、夫[おっと]や兄弟[きょうだい]、息子[むすこ]の無事[ぶじ]をひたすら念[ねん]じた。♠〈合格[ごうかく]を念[ねん]じる〉高校[こうこう]に合格[ごうかく]するように、神仏[しんぶつ]に念[ねん]じて、試験場[しけんじょう]へ向[む]かいました。♠〈経[きょう]を念[ねん]じる〉彼女[かのじょ]は、幽霊[ゆうれい]が出[で]ると言[い]われる村[むら]の墓場[はかば]を、夜[よる]おそくお経[きょう]を念[ねん]じながら通[とお]りぬけた。 **ねんすう【年数】** ○年[とし]の数[かず]。長[なが]い月日[つきひ]。[文例]〈年数[ねんすう]がかかる〉ダム工事[こうじ]には、かなりの年数[ねんすう]がかかりそうだ。♠〈年数[ねんすう]がたつ〉柱[はしら]は、年数[ねんすう]がたつと美[うつく]しい光沢[こうたく]が出[で]てきた。♠〈年数[ねんすう]を経[へ]る〉世間[せけん]を騒[さわ]がせたその事件[じけん]も、年数[ねんすう]を経[へ]て忘[わす]れられていった。 **ねんだい【年代】** ○時代[じだい]。ある一定[いってい]の年数[ねんすう]。年齢層[ねんれいそう]。世代[せだい]。[文例]〈年代[ねんだい]を経[へ]る>器[うつわ]は、年代[ねんだい]を経[へ]てつやが出[で]てきました。♠〈年代[ねんだい]が下[くだ]る・下[さ]がる〉明治[めいじ]時代[じだい]に作[つく]られた言文一致[げんぶんいっち]体[たい]の文章[ぶんしょう]は、年代[ねんだい]が下[くだ]るとともに定着[ていちゃく]していった。♠〈年代[ねんだい]の順[じゅん]>歴史上[れきしじょう]の事件[じけん]を年代[ねんだい]の順[じゅん]に並[なら]べ直[なお]して年表[ねんぴょう]を作成[さくせい]した。♠〈年代[ねんだい]が違[ちが]う>両親[りょうしん]とは年代[ねんだい]が違[ちが]うので、話[はなし]の合[あ]わないこともある。♠〈年代物[ねんだいもの]〉年代物[ねんだいもの]というブランデーをごちそうになったが、味[あじ]はよくわからなかった。 **ねんちゃく【粘着】** ○ねばりつくこと。[文例]<粘着[ねんちゃく]する〉ガムは、床[ゆか]や壁[かべ]に粘着[ねんちゃく]してはがれないので注意[ちゅうい]してください。♠<粘着力[ねんちゃくりょく]>粘着力[ねんちゃくりょく]の強[つよ]い接着剤[せっちゃくざい]を使[つか]ったから、もうとれることはないだろう。 **ねんちょう【年長】** ○年齢[ねんれい]が上[うえ]であること。[文例]〈年長[ねんちょう]と年少[ねんしょう]>彼[かれ]がこの中[なか]では一番[いちばん]年長[ねんちょう]なので、年少[ねんしょう]のぼくたちはその意見[いけん]に従[したが]うことにしよう。♠〈年長者[ねんちょうしゃ]>さすがは年長者[ねんちょうしゃ]だけあって、人[ひと]を見[み]る目[め]が高[たか]い。 **ねんど【年度】** ○事務[じむ]処理[しょり]上[じょう]、ある月日[つきひ]を初[はじ]めとして決[き]めた一年間[いちねんかん]。[文例]〈年度[ねんど]がかわる〉一年[いちねん]の始[はじ]まりは一月[いちがつ]ですが、予算[よさん]や経理[けいり]上[じょう]では四月[しがつ]で年度[ねんど]がかわるのがふつうだ。♠<年度末[ねんどまつ]>会社[かいしゃ]の経理[けいり]をやっている父[ちち]は、三月[さんがつ]は年度末[ねんどまつ]で忙[いそが]しそうだ。 **ねんとう【年頭】** ○年[とし]の初[はじ]め。[文例]〈年頭[ねんとう]にあたる〉一年[いちねん]の計[けい]は元旦[がんたん]にありというから、年頭[ねんとう]にあたって、ぼくも一年[いちねん]の目標[もくひょう]をもとう。♠〈年頭[ねんとう]のあいさつ〉社長[しゃちょう]は、年頭[ねんとう]のあいさつで自己[じこ]変革[へんかく]ということを話[はな]した。 **ねんとう【念頭】** ○心[こころ]。あたま。[文例]〈念頭[ねんとう]にある。ない〉父[ちち]は、テレビのナイターが始[はじ]まると、ほか[ほか]のことはまるで念頭[ねんとう]にないみたいだ。♠〈念頭[ねんとう]におく〉自分[じぶん]がこの社会[しゃかい]の一員[いちいん]だということを、いつも念頭[ねんとう]におきなさい。♠〈念頭[ねんとう]に浮[う]かぶ〉ぼくは、野球[やきゅう]がおもしろくて、宿題[しゅくだい]のことなんか、念頭[ねんとう]に浮[う]かばなかった。♠〈念頭[ねんとう]を去[さ]る〉二十[にじゅう]年前[ねんまえ]に別[わか]れた子[こ]のことが、いっときも彼女[かのじょ]の念頭[ねんとう]を去[さ]ることがなかった。♠〈念頭[ねんとう]を離[はな]れる>三年生[さんねんせい]になると、遊[あそ]んでいても、いつも受験[じゅけん]のことが念頭[ねんとう]を離[はな]れません。 **ねんない【年内】** ○その年[とし]のうち。[文例]十二月[じゅうにがつ]に温泉宿[おんせんやど]に申[もう]し込[こ]んだら、年内[ねんない]は予約[よやく]でいっぱいだと断[ことわ]られた。♠〈年内[ねんない]無休[むきゅう]〉師走[しわす]になると、近所[きんじょ]の商店[しょうてん]はどこも年内[ねんない]無休[むきゅう]のはり紙[がみ]をする。 **ねんね** 眠[ねむ]ること。赤[あか]ん坊[ぼう]。年[とし]のわりに世間[せけん]知[し]らずで幼稚[ようち]な人[ひと]。[文例]〈ねんねする〉坊[ぼう]や、いい子[こ]だからねんねしなさいね。♠〈世間[せけん]知[し]らずのねんね〉うちの子[こ]は、高校生[こうこうせい]にもなって、世間[せけん]知[し]らずのねんねで困[こま]ってしまいますわ。 **ねんねん【年年】** ○毎年[まいとし]。年[とし]ごとに。[文例]人口[じんこう]の集中[しゅうちゅう]で、大 **ね** <848> 都市[とし]からは年々[ねんねん]、緑[みどり]が失[うしな]われている。♠ベビーブームも終[お]わり、就学[しゅうがく]者[しゃ]の数[かず]は、年々[ねんねん]少[すく]なくなっている。♠〈年々歳々[ねんねんさいさい]〉年々歳々[ねんねんさいさい]花[はな]相似[あい]たり、歳々年々[さいさいねんねん]人[ひと]同[おな]じからず。移[うつ]りゆく人[ひと]の世[よ]に花[はな]ばかりが変[か]わらず美[うつく]しい。 **ねんぱい【年配・年輩】** ○年[とし]のころ。中年[ちゅうねん]。年上[としうえ]。[文例]〈年配[ねんぱい]になる〉大学[だいがく]を出[で]てから二十[にじゅう]年[ねん]、お互[たが]いに子[こ]の進学[しんがく]を考[かんが]える年配[ねんぱい]になってしまったね。♠〈年配[ねんぱい]の人[ひと]〉町[まち]はずれにある屋敷[やしき]には、年配[ねんぱい]の女性[じょせい]が一人[ひとり]で住[す]んでいるそうだ。♠〈四十[よんじゅう]年配[ねんぱい]〉お母[かあ]さん、さっき四十[よんじゅう]年配[ねんぱい]の男[おとこ]の人[ひと]が訪[たず]ねてきたよ。♠〈五[いつ]つ年配[ねんぱい]>彼[かれ]はわたしより若[わか]く見[み]えるが、年[とし]を聞[き]いたら逆[ぎゃく]に五[いつ]つ年配[ねんぱい]だということがわかった。 **ねんぶつ【念仏】** ○南無阿弥陀仏[なむあみだぶつ]と唱[とな]えること。[文例]〈念仏[ねんぶつ]を唱[とな]える〉女[おんな]は念仏[ねんぶつ]を唱[とな]えると、ぞうりを脱[ぬ]いで川[かわ]へ身[み]を沈[しず]めていった。♠〈馬[うま]の耳[みみ]に念仏[ねんぶつ]〉この子[こ]は馬[うま]の耳[みみ]に念仏[ねんぶつ]で、いくら注意[ちゅうい]してもいたずらをやめない。 **ねんまつ【年末】** ○年[とし]の暮[く]れ。歳末[さいまつ]。[文例]<年末[ねんまつ]になる〉どのうちも、年末[ねんまつ]になると正月[しょうがつ]の準備[じゅんび]で忙[いそが]しそうです。♠<年末[ねんまつ]大売[おおウ]り出[だ]し>商店街[しょうてんがい]は、クリスマスセールと年末[ねんまつ]大売[おおウ]り出[だ]しでにぎわっている。 **ねんらい【年来】** ○長年[ながねん]。何年[なんねん]も前[まえ]から。[文例]〈年来[ねんらい]の師[し]〉彼[かれ]はわたし[わたし]の年来[ねんらい]の師[し]で、多[おお]くのことを教[おし]えられた。♠〈年来[ねんらい]の望[のぞ]み〉年来[ねんらい]の望[のぞ]みがかなって、北欧[ほくおう]の旅[たび]に出[で]かけることになった。♠わたしが年来[ねんらい]叫[さけ]びつづけてきたことが実現[じつげん]してまことにうれしい。 **ねんりき【念力】** ○一心[いっしん]に思[おも]い込[こ]んだ精神[せいしん]の力[ちから]。一念[いちねん]こめた力[ちから]。[文例]念力[ねんりき]でスプーンを曲[ま]げるというけれど、そんなものを曲[ま]げて何[なに]になるんだろう?♠〈念力[ねんりき]岩[いわ]をも通[とお]す〉念力[ねんりき]岩[いわ]をも通[とお]すの言葉[ことば]もあるように、一心[いっしん]に打[う]ち込[こ]めば何[なん]ごとかをなせるものだ。♠〈念力[ねんりき]がゆるむ〉念力[ねんりき]のゆるめば死[し]ぬる大暑[たいしょ]かな(村上鬼城[むらかみきじょう]) **ねんりょう【燃料】** ○燃[も]やして熱[ねつ]やエネルギーを得[え]るための材料[ざいりょう]。[文例]<燃料[ねんりょう]にする〉かつては、まきや炭[すみ]、石炭[せきたん]などを燃料[ねんりょう]にして用[もち]いました。♠〈燃料[ねんりょう]を消費[しょうひ]する〉一般[いっぱん]家庭[かてい]では、冬[ふゆ]は夏[なつ]よりも多[おお]くの燃料[ねんりょう]を消費[しょうひ]します。♠〈燃料[ねんりょう]を使[つか]う〉残[のこ]された燃料[ねんりょう]はあとわずかだったので、わたしたちは少[すこ]しずつ大切[たいせつ]に使[つか]いました。♠〈燃料[ねんりょう]を食[く]う〉このストーブは不経済[ふけいざい]ですね、やけに燃料[ねんりょう]を食[く]う。♠<燃料代[ねんりょうだい]>ガスや電気[でんき]などの燃料代[ねんりょうだい]を節約[せつやく]し、むだの少[すく]ない生活[せいかつ]を心[こころ]がけた。 **ねんりん【年輪】** ○木[き]の幹[みき]の横断面[おうだんめん]に見[み]られる同心円[どうしんえん]状[じょう]の輪[わ]。年齢[ねんれい]。年数[ねんすう]。[文例]〈木[き]の年輪[ねんりん]>木[き]の切[き]り株[かぶ]の年輪[ねんりん]を数[かぞ]えることで、その木[き]の樹齢[じゅれい]が分[わ]かります。♠〈年輪[ねんりん]を積[つ]む〉「ローマは一日[いちにち]にして成[な]らず」で、何事[なにごと]も努力[どりょく]を重[かさ]ね、年輪[ねんりん]を積[つ]むことが必要[ひつよう]だ。♠〈年輪[ねんりん]を刻[きざ]む〉年輪[ねんりん]を刻[きざ]んだおじいさんの額[ひたい]のしわは深[ふか]く、髪[かみ]の毛[け]もひげも真[ま]っ白[しろ]です。♠〈年輪[ねんりん]を重[かさ]ねる〉お母[かあ]さんだって、だてに年輪[ねんりん]を重[かさ]ねているだけじゃなく、年[とし]の功[こう]ってものがありますよ。 **ねんれい【年齢】** ○生[う]まれてからの年数[ねんすう]。とし。よわい。[文例]〈年齢[ねんれい]が高[たか]い・低[ひく]い〉眠[ねむ]りは、年齢[ねんれい]の低[ひく]い人[ひと]のほうが長[なが]く、高[たか]い人[ひと]のほうが短[みじか]いのがふつうです。♠〈年齢[ねんれい]をいつわる〉〈年齢[ねんれい]制限[せいげん]>見[み]つけた仕事[しごと]には年齢[ねんれい]制限[せいげん]があるが、年齢[ねんれい]をいつわるわけにもいかないし、困[こま]ったなあ。♠〈年齢[ねんれい]を問[と]わない>入会[にゅうかい]資格[しかく]には、男女[だんじょ]、年齢[ねんれい]を問[と]わずとあった。♠〈年齢[ねんれい]の開[ひら]き>いちばん上[うえ]の兄[あに]とぼくは、兄弟[きょうだい]より親子[おやこ]と言[い]いたいほど、年齢[ねんれい]の開[ひら]きがある。♠◇年齢[ねんれい]のへだたり〉愛[あい]し合[あ]う彼[かれ]ら二人[ふたり]にとって、年齢[ねんれい]のへだたりなど問題外[もんだいがい]であった。♠〈年齢[ねんれい]にふさわしい〉お母[かあ]さん、ヤングのまねはやめて、年齢[ねんれい]にふさわしい格好[かっこう]をしてよ。♠◇年齢[ねんれい]のわりに〉小学[しょうがく]一年生[いちねんせい]のころの日記[にっき]を読[よ]み返[かえ]してみたが、年齢[ねんれい]のわりにしっかりしていたと思[おも]う。♠〈年齢的[ねんれいてき]〉彼[かれ]は、力士[りきし]としての年齢的[ねんれいてき]な限界[げんかい]を感[かん]じ、今[こん]場所[ばしょ]限[かぎ]りで引退[いんたい]する決心[けっしん]だ。♠〈精神[せいしん]年齢[ねんれい]>担任[たんにん]の先生[せんせい]は、四十[よんじっ]歳[さい]ですが、精神[せいしん]年齢[ねんれい]はとても若[わか]いのです。♠<年齢[ねんれい]不問[ふもん]>新聞[しんぶん]に、年齢[ねんれい]不問[ふもん]の求人[きゅうじん]広告[こうこく]が出[で]ていたから、さっそく行[い]ってみよう。♠〈平均[へいきん]年齢[ねんれい]〉おじいさんは、平均[へいきん]年齢[ねんれい]六十[ろくじっ]歳[さい]の登山[とざん]愛好会[あいこうかい]に入[はい]り、月[つき]二回[にかい]の山歩[やまある]きを楽[たの]しんでいます。♠〈年齢[ねんれい]相応[そうおう]〉わたしたち姉妹[しまい]三人[さんにん]は、それぞれ年齢[ねんれい]相応[そうおう]に家事[かじ]を手伝[てつだ]います。 **の【野】** ○自然[しぜん]のままの広[ひろ]い平地[へいち]。野原[のはら]。田畑[たはた]。野生[やせい]の。[文例]山[やま]に初雪[はつゆき]が降[ふ]ると、野[の]にも里[さと]にも冬[ふゆ]の気配[けはい]がしのび寄[よ]る。♠〈あとは野[の]となれ山[やま]となれ〉あとは野[の]となれ山[やま]となれ、という無責任[むせきにん]な人[ひと]が多[おお]いから、立[た]つ鳥[とり]あとを濁[にご]さずなどのことわざが生[い]きてくる。♠〈やはり野[の]に置[お]けれんげ草[そう]〉「やはり野[の]に置[お]けれんげ草[そう]」で、彼[かれ]のような奔放[ほんぽう]な人[ひと]を制約[せいやく]の多[おお]い公職[こうしょく]につけたのは気[き]の毒[どく]だった。♠〈野[の]うさぎ〉あれ、こんな所[ところ]に野[の]うさぎの足跡[あしあと]があるよ。 **のう【能】** ○能力[のうりょく]。おもしろみ。とりえ。能楽[のうがく]。[文例]〈能[のう]がない〉彼[かれ]は絵[え]をかくほかは能[のう]のないような人[ひと]でしたが、その作品[さくひん]はどれも人[ひと]の心[こころ]を打[う]つものでした。♠能[のう]がない〉文化祭[ぶんかさい]にほか[ほか]のクラスと同[おな]じ出[だ]し物[もの]をすなんて、能[のう]のない話[はなし]だ。♠〈~だけが能[のう]でない〉いくら勉強[べんきょう]、勉強[べんきょう]と言[い]ったって、ただ机[つくえ]に向[む]かっているだけが能[のう]ではない。♠能[のう]あるたかはつめをかくす〉「能[のう]あるたかはつめをかくす」のたとえのように、本当[ほんとう]の力[ちから]を持[も]った人[ひと]は、それをやたらに誇示[こじ]しないものです。♠能[のう]は、室町[むろまち]時代[じだい]に世阿弥[ぜあみ]らによって確立[かくりつ]されたと言[い]われています。 **のう【脳】** ○頭脳[ずのう]。脳髄[のうずい]。頭[あたま]の働[はたら]き。[文例]〈脳[のう]の働[はたら]き〉ぼくたちは、生物[せいぶつ]の授業[じゅぎょう]で人間[にんげん]の脳[のう]の働[はたら]きについて学[まな]びました。♠<脳[のう]の損傷[そんしょう]>彼[かれ]は交通[こうつう]事故[じこ]で頭[あたま]を強[つよ]く打[う]ったが、検査[けんさ]の結果[けっか]、脳[のう]に損傷[そんしょう]はないことが分[わ]かった。♠ロボットはコンピューターの指令[しれい]によって動[うご]きますが、このコンピューターは人間[にんげん]で言[い]うと脳[のう]に当[あ]たります。 **のうえん(濃艶)** ○なまめかしく美[うつく]しいさま。[文例]<濃艶[のうえん]な色気[いろけ]〉ふっくらした女[おんな]が肌[はだ]にうすものまとって、濃艶[のうえん]な色気[いろけ]をかもし出[だ]している。♠〈濃艶[のうえん]な空気[くうき]〉女王[じょおう]の寝室[しんしつ]は花[はな]のごとく乱[みだ]れ、濃艶[のうえん]な空気[くうき]にむせかえるばかりである。 **のうか【農家】** ○農業[のうぎょう]で生計[せいけい]をたてている世帯[せたい]。農民[のうみん]の家[いえ]。[文例]みんなが畑仕事[はたしごと]に出[で]たあと、農家[のうか]の庭先[にわさき]ではにわとり <849> が歩[ある]きまわっている。♠たんぼの中[なか]では、農家[のうか]の人[ひと]が家族[かぞく]総出[そうで]で田植[たう]えをしています。 **のうがき【能書き】** ○薬[くすり]の効能[こうのう]書[が]き。自分[じぶん]を宣伝[せんでん]する文句[もんく]。[文例]〈能書[のうが]きを並[なら]べる〉あれこれと能書[のうが]きばかり並[なら]べていないで、実際[じっさい]にやってみせてください。 **のうぎょう【農業】** ○作物[さくもつ]・果樹[かじゅ]の栽培[さいばい]や家畜[かちく]の飼育[しいく]などを行[おこな]う産業[さんぎょう]。[文例]〈農業[のうぎょう]をする>田舎[いなか]では、父[ちち]の両親[りょうしん]が農業[のうぎょう]をしながら暮[く]らしています。♠〈農業[のうぎょう]を営[いとな]む〉この高原[こうげん]では、野菜[やさい]栽培[さいばい]を中心[ちゅうしん]にした農業[のうぎょう]が営[いとな]まれています。♠〈農業[のうぎょう]用水[ようすい]〉台地[だいち]では遠[とお]くの川[かわ]から水[みず]を引[ひ]き、農業[のうぎょう]用水[ようすい]を確保[かくほ]した。 **のうこう【濃厚】** ○味[あじ]や香[かお]りなどが濃[こ]いさま。こってりしているさま。可能性[かのうせい]が高[たか]いさま。[文例]〈濃厚[のうこう]な香[かお]り〉バラ園[えん]の入[い]り口[ぐち]に立[た]つと、咲[さ]き乱[みだ]れたバラの濃厚[のうこう]な香[かお]りがつうんと鼻[はな]をつきました。♠〈牛乳[ぎゅうにゅう]が濃厚[のうこう]〉牧場[ぼくじょう]で飲[の]んだ牛乳[ぎゅうにゅう]は、しぼりたてとあって、さすが濃厚[のうこう]でとてもおいしかった。♠〈疑[うたが]いが濃厚[のうこう]になる〉新[あら]たな証言[しょうげん]により、彼[かれ]が犯人[はんにん]である疑[うたが]いはいよいよ濃厚[のうこう]になってきた。♠〈敗色[はいしょく]が濃厚[のうこう]〉五対三[ごたいさん]のまま試合[しあい]は終盤戦[しゅうばんせん]を迎[むか]え、我[わ]がチームの敗色[はいしょく]は濃厚[のうこう]となってきた。♠〈気配[けはい]が濃厚[のうこう]〉各地[かくち]で暴動[ぼうどう]が相次[あいつ]ぎ、戦争[せんそう]の起[お]こる気配[けはい]が濃厚[のうこう]だ。 **のうこう【農耕】** ○田畑[たはた]を耕[たがや]して農業[のうぎょう]を行[おこな]うこと。[文例]〈農耕[のうこう]をする〉実際[じっさい]に農耕[のうこう]をしてみなければ、農民[のうみん]の苦[くる]しみは分[わ]からないのかもしれない。♠〈農耕[のうこう]民族[みんぞく]〉日本人[にほんじん]はもともと農耕[のうこう]民族[みんぞく]で、欧米人[おうべいじん]は狩猟[しゅりょう]民族[みんぞく]だといわれる。 **のうさつ【悩殺】** ○大[おお]いに悩[なや]ますこと。悩[なや]ましいしぐさで人[ひと]の心[こころ]を乱[みだ]すこと。[文例] <悩殺[のうさつ]する〉よし、今年[ことし]の夏[なつ]はこの水着[みずぎ]で男[おとこ]どもを悩殺[のうさつ]してやるぞ。 **のうしゅく【濃縮】** ○濃度[のうど]を高[たか]くすること。[文例]〈濃縮[のうしゅく]する〉このカプセルの中[なか]には、レモン百個[ひゃっこ]分[ぶん]のビタミンCが濃縮[のうしゅく]されているそうだ。 **のうそん【農村】** ○住民[じゅうみん]の多[おお]くが農業[のうぎょう]に従事[じゅうじ]している村[むら]。[文例]昔[むかし]から、農村[のうそん]の人[ひと]たちは刈[か]り入[い]れが終[お]わると、収穫[しゅうかく]に感謝[かんしゃ]して秋祭[あきまつ]りをしてきた。♠父[ちち]は高校[こうこう]を卒業[そつぎょう]すると、東北[とうほく]の農村[のうそん]から東京[とうきょう]へ職[しょく]を求[もと]めて出[で]て来[き]たそうです。♠物語[ものがたり]は、農村[のうそん]に生[い]きる人々[ひとびと]の苦悩[くのう]や喜[よろこ]びを生[い]き生[い]きと描[えが]いている。 **のうたん【濃淡】** ○濃[こ]いことと薄[うす]いこと。[文例]〈濃淡[のうたん]をつける>空[そら]の色[いろ]はただ青[あお]くぬるんじゃなくて、ちょっと濃淡[のうたん]をつけてごらん。♠〈濃淡[のうたん]の差[さ]〉全山[ぜんざん]の紅葉[こうよう]にも濃淡[のうたん]の差[さ]があって、鮮[あざ]やかさを一段[いちだん]と引[ひ]き立[た]て合[あ]っていた。 **のうてん【脳天】** ○頭[あたま]のてっぺん。[文例]〈脳天[のうてん]をなぐられる〉被害者[ひがいしゃ]は、いきなり脳天[のうてん]をガンとやられ、気[き]を失[うしな]ったという。♠〈脳天[のうてん]から声[こえ]を出[だ]す〉興奮[こうふん]した若[わか]い女[おんな]教師[きょうし]の、脳天[のうてん]から出[だ]すような甲高[かんだか]い声[こえ]が教室[きょうしつ]に響[ひび]きわたった。♠〈脳天[のうてん]からどやしつける〉父[ちち]に脳天[のうてん]からどやしつけられ、身[み]を小[ちい]さくしていました。 **のうどう【能動】** ○自分[じぶん]の方[ほう]から働[はたら]きかけること。→受動[じゅどう][文例]〈能動的[のうどうてき]〉相手[あいて]からの働[はたら]きかけを待[ま]っているだけではなく、こちらから能動的[のうどうてき]に行動[こうどう]を起[お]こすべきです。 **のうなし【能無し】** ○役[やく]に立[た]たないこと。また、そういう人[ひと]。[文例]あんな役立[やくだ]たずの能無[のうな]しをだれが仲間[なかま]に入[い]れたんだい。 **のうにゅう【納入】** ○金品[きんぴん]を納[おさ]め入[い]れること。[文例]〈授業料[じゅぎょうりょう]の納入[のうにゅう]〉前期[ぜんき]分[ぶん]の授業料[じゅぎょうりょう]の納入[のうにゅう]は四月[しがつ]末[まつ]までに済[す]ませてください。♠〈納入[のうにゅう]する〉総会[そうかい]で、納入[のうにゅう]された会費[かいひ]の使[つか]い道[みち]が報告[ほうこく]された。 **のうべん【能弁】** ○弁舌[べんぜつ]の巧[たく]みなさま。[文例]〈能弁[のうべん]な人[ひと]〉今度[こんど]の選挙[せんきょ]では、能弁[のうべん]なあの町長[ちょうちょう]に応援[おうえん]の演説[えんぜつ]をたのもうと思[おも]っている。♠〈能弁家[のうべんか]〉あの人[ひと]はかなりの能弁家[のうべんか]だが、ちょろっと失言[しつげん]することもある。 **のうみそ【脳みそ】** (脳味噌)○脳髄[のうずい]。知恵[ちえ]。脳[のう]の働[はたら]き。[文例]〈脳[のう]みそをしぼる〉何か[なに]かいい方法[ほうほう]はないものかと、ぼくは脳[のう]みそをしぼって考[かんが]えた。♠〈脳[のう]みそが足[た]りない〉こんな考[かんが]えしか浮[う]かばないなんて、ぼくはちょっと脳[のう]みそが足[た]りないんじゃないか。♠〈脳[のう]みそが空[から]っぽ〉わたしって脳[のう]みそが空[から]っぽなのかしら。♠〈脳[のう]みそが詰[つ]まる〉きみの頭[あたま]には、脳[のう]みそがいっぱい詰[つ]まっているんだね。 **のうみつ【濃密】** ○濃[こ]くて、すきまがないくらいに詰[つ]まっているさま。[文例]〈濃密[のうみつ]な味[あじ]〉一[ひと]さじ口[くち]に含[ふく]むと、それは甘[あま]ったるく、濃密[のうみつ]な味[あじ]がした。♠〈色彩[しきさい]の濃密[のうみつ]さ〉七月[しちがつ]になると、木々[きぎ]の葉[は]は一段[いちだん]と色彩[しきさい]の濃密[のうみつ]さを増[ま]していった。 **のうむ【濃霧】** ○濃[こ]い霧[きり]。[文例]<濃霧[のうむ]に閉[と]ざされる〉北海道[ほっかいどう]の東海岸[ひがしかいがん]地方[ちほう]は、夏[なつ]には一[いち]メートル先[さき]も見[み]えない濃霧[のうむ]に閉[と]ざされることがある。♠〈濃霧[のうむ]が発生[はっせい]する>海上[かいじょう]には濃霧[のうむ]が発生[はっせい]していますので、航行[こうこう]中[ちゅう]の船舶[せんぱく]は十分[じゅうぶん]注意[ちゅうい]してください。 **のうり【脳裏】** (脳裡)○頭[あたま]の中[なか]。心[こころ]の中[なか]。[文例]〈脳裏[のうり]をかすめる〉この曲[きょく]を聞[き]いていたら、学生[がくせい]時代[じだい]の恋人[こいびと]の面影[おもかげ]が脳裏[のうり]をかすめた。♠脳裏[のうり]に刻[きざ]む〉わたしは、母[はは]の言葉[ことば]を脳裏[のうり]に刻[きざ]んで家[いえ]を出[で]た。♠〈脳裏[のうり]に焼[や]きつく〉戦場[せんじょう]の悲惨[ひさん]な光景[こうけい]が、今[いま]も脳裏[のうり]に焼[や]きついている。♠<脳裏[のうり]に浮[う]かぶ>苦[くる]しくてだれかに助[たす]けてもらいたいと思[おも]ったとき、友[とも]の顔[かお]が脳裏[のうり]に浮[う]かんだ。♠〈脳裏[のうり]にひらめく〉その時[とき]、「善[ぜん]は急[いそ]げ」ということわざがわたし[わたし]の脳裏[のうり]にひらめいた。 **のうりつ【能率】** ○一定[いってい]時間[じかん]内[ない]にできる仕事[しごと]の量[りょう]。仕事[しごと]のはかどり具合[ぐあい]。[文例]〈学習[がくしゅう]の能率[のうりつ]〉〈能率[のうりつ]が上[あ]がる・下[さ]がる〉図書館[としょかん]のように静[しず]かな所[ところ]で勉強[べんきょう]すると、学習[がくしゅう]の能率[のうりつ]もぐんと上[あ]がります。♠〈能率[のうりつ]がよい・悪[わる]い>勉強[べんきょう]は、時間[じかん]が長[なが]ければ効果[こうか]が上[あ]がるというわけではなく、能率[のうりつ]をよくすることも大切[たいせつ]です。♠〈能率[のうりつ]の向上[こうじょう]〉我[わ]が社[しゃ]では、勤務[きんむ]時間[じかん]を社員[しゃいん]の自由[じゆう]にまかせることによって、能率[のうりつ]の向上[こうじょう]に努[つと]めています。♠〈能率的[のうりつてき]〉どうせなら、一人[ひとり]よりもみんなで手分[てわ]けして探[さが]したほうが能率的[のうりつてき]だよ。 **の** <850> **のうりょう【納涼】** 涼[すず]むこと。涼[りょう]をとること。[文例]じっとしていても暑[あつ]いだけなので、家族全員[かぞくぜんいん]で納涼[のうりょう]を兼[か]ねて花火大会[はなびたいかい]を見に行[い]きました。♠今日[きょう]は夕方[ゆうがた]から、駅前広場[えきまえひろば]で納涼[のうりょう]の盆踊[ぼんおど]りが行[おこな]われる。 **のうりょく【能力】** 物事[ものごと]をなしとげる力[ちから]。[文例]〈能力[のうりょく]を持[も]つ〉勉強[べんきょう]、運動[うんどう]、遊[あそ]び、技術[ぎじゅつ]など、人[ひと]の能力[のうりょく]はさまざまですが、だれでも能力[のうりょく]を持[も]っているのです。♠〈能力[のうりょく]を伸[の]ばす〉生[う]まれつき持[も]っている能力[のうりょく]をいかに伸[の]ばしていくかは、本人[ほんにん]の努力[どりょく]次第[しだい]です。♠〈能力[のうりょく]を使[つか]う〉人[ひと]は、その能力[のうりょく]を、人類[じんるい]の幸福[こうふく]と社会[しゃかい]の発展[はってん]のために使[つか]わなければなりません。♠〈能力[のうりょく]に応[おう]じる〉自分[じぶん]の能力[のうりょく]に応[おう]じて働[はたら]き、必要[ひつよう]に応[おう]じて報酬[ほうしゅう]を受[う]けられる社会[しゃかい]がよいと思[おも]う。♠〈能力[のうりょく]がある・ない〉能力[のうりょく]があり、しかも人望[じんぼう]の厚[あつ]い彼[かれ]は、生徒会[せいとかい]の会長[かいちょう]としてまさに打[う]ってつけです。♠〈能力[のうりょく]を備[そな]える〉鳥[とり]は、人間[にんげん]にはない「飛[と]ぶ」という能力[のうりょく]を備[そな]え、自由[じゆう]に空[そら]をかけめぐっている。♠〈能力[のうりょく]を発揮[はっき]する〉ぼくは将来[しょうらい]、自分[じぶん]の能力[のうりょく]を十分[じゅうぶん]に発揮[はっき]できるような仕事[しごと]に就[つ]きたいと思[おも]っています。♠〈予知[よち]の能力[のうりょく]〉地震予知[じしんよち]の能力[のうりょく]では、人間[にんげん]より優[すぐ]れた動物[どうぶつ]があるらしく、現在[げんざい]その方面[ほうめん]の研究[けんきゅう]も進[すす]められている。 **ノート** 帳面[ちょうめん]。書[か]きとめること。筆記[ひっき]したもの。注釈[ちゅうしゃく]。[文例]〈ノートをとる〉あの先生[せんせい]はものすごいスピードで板書[ばんしょ]するから、ノートをとるのが大変[たいへん]だ。♠〈ノートを作[つく]る〉学習[がくしゅう]の記録[きろく]としてのノートは、後[あと]で利用[りよう]しやすいように工夫[くふう]して作[つく]りましょう。♠〈ノートにつける〉お兄[にい]ちゃん、貸[か]しはノートにつけておくわよ。♠〈ノートにまとめる〉次[つぎ]の事柄[ことがら]に対[たい]して、筆者[ひっしゃ]はどのように考[かんが]えているか、要点[ようてん]をノートにまとめよう。♠〈ノートの整理[せいり]〉わたしは、日[ひ]ごろの雑感[ざっかん]を書[か]きつけたノートの整理[せいり]に休日[きゅうじつ]の半日[はんにち]をついやした。♠〈ノートする〉ここは大切[たいせつ]なところですから、みなさんノートしておきましょう。 **ノーハウ** ある事[こと]を行[おこな]うための技術[ぎじゅつ]に関[かん]する知識[ちしき]や経験[けいけん]。また、その情報[じょうほう]。ノウハウ。[文例]〈ノーハウを所有[しょゆう]する〉当社[とうしゃ]は、水質浄化[すいしつじょうか]をはじめ環境保全[かんきょうほぜん]に関[かん]するノーハウを所有[しょゆう]しています。♠〈ノーハウを提供[ていきょう]する〉外国[がいこく]企業[きぎょう]と提携[ていけい]して、コンピュータ技術[ぎじゅつ]のノーハウを提供[ていきょう]してもらうことになった。♠〈ノーハウを教[おし]える〉アルバイトで雇[やと]われたわたしたちに、社員[しゃいん]の人[ひと]が訪問販売[ほうもんはんばい]のノーハウを教[おし]えてくれた。 **ノーマル** 正常[せいじょう]。普通[ふつう]。[文例]〈ノーマルな要求[ようきゅう]〉あなたの要求[ようきゅう]は、きわめて筋[すじ]の通[とお]ったノーマルなものだと思[おも]います。♠〈考[かんが]え方[かた]がノーマル〉常識[じょうしき]をそなえた人[ひと]でしたから、もの[もの]の考[かんが]え方[かた]もノーマルでわかりやすかった。 **のが・す【逃す】** にがす。失[うしな]う。[文例]〈機会[きかい]を逃[のが]す〉わたしは出発[しゅっぱつ]直前[ちょくぜん]に盲腸炎[もうちょうえん]になり、海外旅行[かいがいりょこう]の絶好[ぜっこう]の機会[きかい]を逃[のが]してしまった。 **のがれ【逃れ】** のがれること。[文例]〈責任[せきにん]逃[のが]れ〉責任[せきにん]逃[のが]れの弁解[べんかい]など聞[き]きたくありません。♠〈言[い]い逃[のが]れ〉相手[あいて]はぺこぺこ頭[あたま]を下[さ]げてあやまっているが、どうも言[い]い逃[のが]れにすぎないようだ。♠〈一時[いちじ]逃[のが]れ〉一時[いちじ]逃[のが]れの手[て]は打[う]ったが、根本的[こんぽんてき]な解決[かいけつ]にはなっていないから、いずれ問題[もんだい]は起[お]こるだろう。 **のが・れる【逃れる】** にげる。まぬかれる。[文例]〈責任[せきにん]を逃[のが]れる〉自分[じぶん]がやったことなのに、後[あと]になって責任[せきにん]を逃[のが]れようとするのはよくない。♠〈敵[てき]の目[め]を逃[のが]れる〉季節[きせつ]によって体[からだ]の色[いろ]を変[か]える動物[どうぶつ]は、周囲[しゅうい]の自然[しぜん]の色[いろ]にとけこむことで、敵[てき]の目[め]を逃[のが]れているのです。♠〈難[なん]を逃[のが]れる〉関所[せきしょ]で弁慶[べんけい]が白紙[はくし]の巻[ま]き物[もの]を勧進帳[かんじんちょう]と偽[いつわ]って読[よ]み上[あ]げ、難[なん]を逃[のが]れた。♠〈危険[きけん]を逃[のが]れる〉ナチスから追[お]われたアンネ・フランクの一家[いっか]は、危険[きけん]を逃[のが]れてオランダに移[うつ]り住[す]んだ。♠〈喧騒[けんそう]を逃[のが]れる〉Aさん夫妻[ふさい]は、都会[とかい]の喧騒[けんそう]を逃[のが]れて、海辺[うみべ]の小[ちい]さな村[むら]で暮[く]らすことに決[き]めたそうだ。 **のき【軒】** 屋根[やね]の下端[したば]の張[は]り出[だ]た部分[ぶぶん]。[文例]〈軒[のき]を連[つら]ねる〉神社[じんじゃ]の参道[さんどう]の両側[りょうがわ]には、屋台[やたい]が軒[のき]を連[つら]ねて並[なら]んでいた。♠〈軒[のき]を並[なら]べる〉駅前[えきまえ]の通[とお]りに土産物屋[みやげものや]が軒[のき]を並[なら]べている。♠〈軒[のき]を争[あらそ]う〉戦後[せんご]、この地域[ちいき]には、軒[のき]を争[あらそ]うようにして家[いえ]が建[た]てられました。 **のきなみ【軒並み】** 家並[いえな]み]。家[いえ]ごとに。どれもこれも。[文例]〈古[ふる]い軒並[のきなみ]〉この町[まち]は小京都[しょうきょうと]と呼[よ]ばれ、古[ふる]い軒並[のきなみ]がたいへん美[うつく]しい。♠〈軒並[のきなみ]〜する〉第二次世界大戦[だいにじせかいたいせん]の空襲[くうしゅう]で、この辺[あた]りは軒並[のきなみ]焼[や]けてしまいました。 **の・く【退く】** どく。離[はな]れる。しりぞく。[文例]そこのけ、そこのけ、おみこしが通[とお]るぞ。♠〈飛[と]びのく〉歩道[ほどう]を走[はし]る自転車[じてんしゃ]に歩行者[ほこうしゃ]があわてて飛[と]びのくということがあります。 **のけぞ・る【のけ反る】** 後[うし]ろにそりかえる。[文例]〈大[おお]きくのけぞる〉しりをむちで打[う]たれた馬[うま]は、前足[まえあし]を上[あ]げて大[おお]きくのけぞると、「ヒヒーン」といななきました。♠物陰[ものかげ]からいきなり飛[と]び出[だ]して来[き]た子供[こども]に、彼[かれ]はのけぞりながら大[おお]げさに驚[おどろ]いてみせた。♠〈体[からだ]をのけぞらせる〉先生[せんせい]は体[からだ]をのけぞらせながら、「わっはっは」と大[おお]きな声[こえ]で笑[わら]った。 **のけもの【のけ者】** (除け者)仲間[なかま]はずれ。[文例]〈のけ者[もの]にする〉一人[ひとり]だけのけ者[もの]にするのはよくありません、みんなで仲良[なかよ]くしなさい。♠〈のけ者[もの]扱[あつか]い〉お祭[まつ]りのかっこうをしていないというので、ぼくだけのけ者[もの]扱[あつか]いだ。 **の・ける【退ける・除ける】** どける。取[と]り除[のぞ]く。なしとげる。あえて行[おこな]う。[文例]〈物[もの]をのける〉お客[きゃく]さんが大勢[おおぜい]来[く]るので、玄関[げんかん]を広[ひろ]くするため、げた箱[ばこ]をのけました。♠〈邪魔物[じゃまもの]をのける〉わたしは、先[さき]に立[た]って道[みち]の邪魔[じゃま]になる木[き]の枝[えだ]などをのけながら歩[ある]いた。♠〈足[あし]をのける〉悪[わる]いけど、きみの投[な]げ出[だ]した足[あし]、邪魔[じゃま]だからのけてくれないか。♠〈払[はら]いのける〉ハチは手[て]で払[はら]いのけても払[はら]いのけても、なおもしつこくまとわりついてきた。♠〈やってのける〉彼[かれ]は、かつてだれもができなかった難[むずか]しい技[わざ]を見事[みごと]にやってのけた。♠〈言[い]ってのける〉たとえ、相手[あいて]がだれでも、悪[わる]いことは悪[わる]いと言[い]ってのける勇気[ゆうき]を持[も]ちたいとは思[おも]うのですが・・・・・・。 **のこ・す【残す】** 残[のこ]らせる。余[あま]らせる。後[あと]にとどめる。もちこたえる。[文例]〈食[た]べ物[もの]を残[のこ]す〉おばの出[だ]してくれたパイはあまりに大[おお]きかったので、食[た]べきれずに残[のこ]してしまいました。♠〈子供[こども]を残[のこ]す〉村[むら]の生活[せいかつ]は貧[まず]しく、両親[りょうしん]は老人[ろうじん]と子供[こども]を残[のこ]して、都会[とかい]に出[で]かせぎに行[い]かなければなりませんてした。♠〈作品[さくひん]を残[のこ]す〉芭蕉[ばしょう]は、諸国[しょこく]を旅[たび]して、多[おお]くの優[すぐ]れた句[く]を残[のこ]した。 <851> や紀行文[きこうぶん]を残[のこ]しました。♠〈業績[ぎょうせき]を残[のこ]す>牧野富太郎[まきのとみたろう]博士[はくし]は、我[わ]が国[くに]の植物学[しょくぶつがく]の創始者[そうししゃ]として優[すぐ]れた業績[ぎょうせき]を残[のこ]している。♠<面影[おもかげ]を残[のこ]す〉娘[むすめ]は成人[せいじん]してすっかり美[うつく]しくなったものの、その口元[くちもと]に幼[おさな]いころの面影[おもかげ]を残[のこ]していました。♠〈メモに残[のこ]す〉わたしは、日記[にっき]とまではいかないが、毎日[まいにち]の出来事[できごと]をメモに残[のこ]しておくことを習慣[しゅうかん]づけている。♠〈用事[ようじ]を残[のこ]す〉ちょっと用事[ようじ]を残[のこ]して来[き]ましたので、先[さき]に失礼[しつれい]させていただきます。♠〈捨[す]てぜりふを残[のこ]す>男[おとこ]は、「今[いま]に見[み]ていろ!」と捨[す]てぜりふを残[のこ]すと、どこかへ去[さ]って行[い]きました。♠<遺産[いさん]を残[のこ]す〉古典[こてん]は、わたしたちの祖先[そせん]がわたしたちに残[のこ]してくれた大[おお]きな遺産[いさん]です。♠〈技[わざ]を残[のこ]す〉一気[いっき]に攻[せ]め込[こ]まれたが、何[なん]とか相手[あいて]の寄[よ]りを残[のこ]して、右[みぎ]へうっちゃった。♠〈二か月[にかげつ]を残[のこ]す>卒業[そつぎょう]まで、あと一[ひと]月[つき]を残[のこ]すのみとなった。 **のこり【残り】** ○残[のこ]ること。残[のこ]ったもの。[文例]〈残[のこ]りの一粒[ひとつぶ]〉少年[しょうねん]はよほど空腹[くうふく]だったとみえ、山盛[やまもり]りのご飯[はん]を残[のこ]りの一粒[ひとつぶ]まできれいに平[たい]らげました。♠〈会費[かいひ]の残[のこ]り〉クラス会[かい]の会費[かいひ]の残[のこ]りは、次回[じかい]に持[も]ち越[こ]したいと思[おも]います。♠〈あとの残[のこ]り〉日本語[にほんご]の単語[たんご]の数[かず]は、現在[げんざい]約[やく]半数[はんすう]が漢語[かんご]、約[やく]一割[いちわり]が外来語[がいらいご]、そしてあとの残[のこ]りは和語[わご]とみられています。♠〈残[のこ]り三日[みっか]〉県大会[けんたいかい]まで残[のこ]り三日[みっか]となり、我[わ]がチームの練習[れんしゅう]もいよいよ熱[ねつ]が入[はい]ってきた。♠〈引[ひ]いた残[のこ]り〉若[わか]い彼[かれ]にとって、給料[きゅうりょう]から家賃[やちん]や仕送[しおく]りを引[ひ]いた残[のこ]りだけで食[た]べていくのは容易[ようい]ではなかった。♠〈残[のこ]り少[すく]ない〉遭難[そうなん]してから三日[みっか]たち、持[も]っていた食糧[しょくりょう]も残[のこ]り少[すく]なくなってきた。 **のこりもの【残り物】** ○残[のこ]ったもの。余[あま]りもの。[文例]<朝食[ちょうしょく]の残[のこ]り物[もの]〉お母[かあ]さんは、いつも朝食[ちょうしょく]の残[のこ]り物[もの]で簡単[かんたん]にお昼[ひる]を済[す]ませます。♠〈残[のこ]り物[もの]には福[ふく]がある〉最後[さいご]にひいたのに、いい物[もの]があたった。残[のこ]り物[もの]には福[ふく]がある、だね。 **のこ・る【残る】** ○後[あと]にとどまる。あまる。無[な]くならずにある。後世[こうせい]に伝[つた]わる。技[わざ]が決[き]まらずに勝負[しょうぶ]が続[つづ]く。[文例]〈雪[ゆき]が残[のこ]る>関東[かんとう]地方[ちほう]では、桜[さくら]だよりも聞[き]かれるころとなりましたが、北国[きたぐに]では、まだまだ雪[ゆき]が残[のこ]っています。♠〈金[かね]が残[のこ]る〉アルバイト料[りょう]から昼食代[ちゅうしょくだい]と交通費[こうつうひ]を差[さ]し引[ひ]いたら、ほんのわずかしか残[のこ]らなかった。♠〈教室[きょうしつ]に残[のこ]る〉下校[げこう]時間[じかん]になっても教室[きょうしつ]に残[のこ]っている生徒[せいと]がいるかどうかを見回[みまわ]るのも、週番[しゅうばん]の仕事[しごと]の一[ひと]つです。♠〈研究室[けんきゅうしつ]に残[のこ]る〉兄[あに]は大学[だいがく]卒業後[そつぎょうご]も研究室[けんきゅうしつ]に残[のこ]り、好[す]きな研究[けんきゅう]を続[つづ]けています。♠〈悔[く]いが残[のこ]る〉今日[きょう]の試合[しあい]は、全力[ぜんりょく]を出[だ]し切[き]れなかったので悔[く]いが残[のこ]る。♠〈心[こころ]に残[のこ]る〉小説[しょうせつ]を読[よ]んで、心[こころ]に強[つよ]く残[のこ]ったことをまとめて感想文[かんそうぶん]を書[か]いてみましょう。♠〈記録[きろく]に残[のこ]る〉こんな大事件[だいじけん]なのに、どういうわけか寺[てら]の記録[きろく]には残[のこ]っていない。♠<現在[げんざい]に残[のこ]る>『万葉集[まんようしゅう]』は現在[げんざい]に残[のこ]る最古[さいこ]の歌集[かしゅう]です。♠<残[のこ]った残[のこ]った〉相撲[すもう]好[ず]きのぼくは、あの太鼓[たいこ]の音[おと]と行司[ぎょうじ]の「残[のこ]った残[のこ]った」の声[こえ]を聞[き]くと、胸[むね]が高鳴[たかな]ります。 **のさば・る** ○一面[いちめん]にはえ広[ひろ]がる。幅[はば]をきかせて勝手[かって]にふるまう。[文例]〈雑草[ざっそう]がのさばる>農民[のうみん]が見捨[みす]てた田畑[たはた]には、雑草[ざっそう]がわがもの顔[がお]でのさばっていた。♠〈世[よ]にのさばる〉悪[わる]いことをした人間[にんげん]が世[よ]にのさばっているんだもの、住[す]みにくい世[よ]の中[なか]だねえ。 **のし(熨斗)** ○進物[しんもつ]につけるもの。のしあわび。火[ひ]のし。[文例]〈のしをつける〉絶交[ぜっこう]だって。けっこうだとも、その言葉[ことば]、のしを付[つ]けてお返[かえ]しするよ。 **のしあが・る【のし上がる】** (伸し上がる)○地位[ちい]が急[きゅう]に上[あ]がる。人[ひと]を押[お]しのけて上[うえ]に立[た]つ。[文例]〈第一線[だいいっせん]にのし上[あ]がる〉彼女[かのじょ]は、チャンスをものにして、第一線[だいいっせん]の女流[じょりゅう]カメラマンにのし上[あ]がった。 **のしある・く【のし歩く】** (伸し歩く) ○わがもの顔[がお]で歩[ある]く。[文例]両国[りょうごく]の町[まち]には、関取[せきとり]からふんどしかつぎまでお相撲[すもう]さんがのし歩[ある]いています。 **のしかか・る【のし掛かる】** (伸し掛かる)○上[うえ]に乗[の]りかかる。おおいかぶさる。[文例]のしかかってきた男[おとこ]をありったけの力[ちから]ではねかえし、わたしは一目散[いちもくさん]に逃[に]げ出[だ]した。♠〈心[こころ]にのしかかる〉彼[かれ]の言葉[ことば]は、重[おも]くわたし[わたし]の心[こころ]にのしかかってきた。 **のじゅく【野宿】** ○夜[よる]、野外[やがい]で寝[ね]ること。[文例]〈野宿[のじゅく]をする〉次[つぎ]の町[まち]までまだずいぶんあるから、今夜[こんや]はこの岩[いわ]かげで野宿[のじゅく]をするとしよう。♠〈野宿[のじゅく]する>野宿[のじゅく]するとしても、お宮[みや]とかもっといい場所[ばしょ]があるだろう。 **の・す(伸す)** ○伸[の]びる。力[ちから]が伸[の]びる。のばす。なぐって倒[たお]す。[文例]挑戦者[ちょうせんしゃ]は実力[じつりょく]をつけ、チャンピオンをおびやかすほどにのしてきました。♠〈粉[こな]をのす〉よく練[ね]ったうどん粉[こ]を台[だい]の上[うえ]に置[お]き、のし棒[ぼう]でのします。♠〈一発[いっぱつ]でのす〉心配[しんぱい]するな、あんなへなちょこ男[おとこ]、おれが一発[いっぱつ]でのしてやる。 **ノスタルジア** ○故郷[こきょう]を思[おも]って懐[なつ]かしむ気持[きも]ち。過去[かこ]を懐[なつ]かしむ気持[きも]ち。郷愁[きょうしゅう]。ノスタルジー。[文例]〈ノスタルジアを感[かん]じる〉都会[とかい]での放浪[ほうろう]生活[せいかつ]三年[さんねん]目[め]の秋[あき]、わたしはふとノスタルジアを感[かん]じ、故郷[こきょう]に帰[かえ]る決心[けっしん]をしました。 **の・せる【乗せる・載せる】** ○上[うえ]に置[お]く。乗[の]り物[もの]に乗[の]らせる。掲載[けいさい]する。調子[ちょうし]を合[あ]わせる。だます。参加[さんか]させる。[文例]〈皿[さら]に載[の]せる>母[はは]は皿[さら]にみずみずしい果物[くだもの]を載[の]せ、お客様[きゃくさま]に出[だ]しました。♠〈手[て]に載[の]せる〉女[おんな]の人[ひと]は、お金[かね]を落[お]として困[こま]っていたわたし[わたし]の手[て]の平[ひら]に、そっと百円[ひゃくえん]玉[だま]を載[の]せてくれました。♠<棚[たな]に載[の]せる〉そんなにたくさん棚[たな]に載[の]せると地震[じしん]の時[とき]に危険[きけん]だよ。♠〈頂[いただき]に雪[ゆき]を載[の]せる〉頂[いただき]に真[ま]っ白[しろ]な雪[ゆき]を載[の]せた富士山[ふじさん]が、晴[は]れ渡[わた]った秋[あき]の空[そら]にくっきりとそびえていました。♠〈乗[の]り物[もの]に乗[の]せる〉父[ちち]を乗[の]せた列車[れっしゃ]は、発車[はっしゃ]ベルとともに静[しず]かにホームをすべり出[だ]しました。♠〈新聞[しんぶん]に載[の]せる〉わたしたちの団地[だんち]新聞[しんぶん]には、住人[じゅうにん]の意見[いけん]を載[の]せる投書欄[とうしょらん]が設[もう]けてあります。♠〈辞典[じてん]に載[の]せる〉総画[そうかく]索引[さくいん]は、その辞典[じてん]に載[の]せてあるすべて[すべて]の漢字[かんじ]を、画数[かくすう]の少[すく]ないものから順[じゅん]に並[なら]べてあります。♠〈調[しら]べに乗[の]せる〉『平家物語[へいけものがたり]』は、びわの調[しら]べに乗[の]せて語[かた]る語[かた]り物[もの]として伝[つた]えられました。♠〈口車[くちぐるま]に乗[の]せる〉中[なか]には、その男[おとこ]の口車[くちぐるま]に乗[の]せられて、全財産[ぜんざいさん]を失[うしな]った人[ひと]もいます。♠〈言葉[ことば]の翼[つばさ]に乗[の]せる>優[すぐ]れた詩[し]や小説[しょうせつ]は、読者[どくしゃ]を言葉[ことば]の翼[つばさ]に乗[の]せて、想像[そうぞう]の天地[てんち]に案内[あんない]します。♠〈話[はなし]に乗[の]せる〉うまいもうけ話[ばなし]だから、ぼくにも一口[ひとくち]乗[の]せてください。 **のぞか・せる(覗かせる)** ○ちょっとだけ見[み]せる。[文例]〈顔[かお] **の** <852> **のぞきこ・む【のぞき込む】(覗き込む)**○首をのばして中を見る。[文例]〈顔をのぞき込む「うそではないのね。」と言って、母はぼくの顔をのぞき込んだ。♠〈中をのぞき込む〉だれもいないのかなと思いながら、玄関から家の中をのぞき込んだ。♠〈下をのぞき込む〉がけっぷちから下をのぞき込むと、足のすくむ思いがしました。♠〈心をのぞき込む〉彼は、わたしの心をのぞき込むかのように、じっとわたしを見つめていた。 **のぞ・く【除く】**○取[と]り去[さ]る。省[はぶ]く。別[べつ]にする。位[くらい]を退[しりぞ]かせる。[文例]〈不安を除く〉災害[さいがい]にあった村の人々は、一刻[いっこく]も早く不安を除いてほしいと願っているにちがいない。♠〈例外を除く〉子供向けのアニメ映画は、いくつかの例外を除くと、夏休みか冬休みに上映されている。♠盲腸[もうちょう]で入院した十日間を除くと、わたしは風邪[かぜ]をひいたこともないくらい健康です。♠飛行機の乗客は、わたしたち親子を除いて、みんな東南アジアやヨーロッパの人々だった。♠この件については、あなたとわたしを除くと、あとはだれも知りません。♠メロスは激怒[げきど]した。必[かなら]ず、かの邪知[じゃち]暴虐[ぼうぎゃく]の王を除かなければならぬと決意した。(太宰治[だざいおさむ]「走[はし]れメロス」) **のぞく(覗く)**○せまい所・穴などを通して見る。高い所から下を見る。少しだけ見る。一部分が見える。[文例]〈谷底をのぞく〉がけの上から谷底をのぞくと、まるで体[からだ]が吸[す]い込[こ]まれるような感[かん]じがする。♠〈巣をのぞく〉朝[あさ]、小鳥の巣をのぞいたら、かわいいひなが三羽[さんわ]かえっていた。♠〈すきまからのぞく〉夜中に物音がするので、おそるおそる戸のすきまからのぞいてみた。♠〈店をのぞく〉帰[かえ]りがけにちょっと古本屋をのぞいて見ませんか。♠〈秘密をのぞく〉よひょうに秘密をのぞかれたつうは、鶴[つる]に戻って大空のかなたに飛び去った。♠〈人物がのぞく〉すっかり干[ひ]上[あ]がった湖底[こてい]からは、たくさんの石がのぞいていた。♠〈ポケットから財布がのぞく〉ふと気[き]がづくと、ズボンのポケットから財布がのぞいている。♠〈顔をのぞかせる〉池の前で手をたたくと、コイは小さな音をたてて水面[すいめん]に顔をのぞかせた。 **のぞましい【望ましい】**○そうあってほしい。好ましい。[文例]〈望ましいこと>科学や工業の発達は望ましいことですが、大切[たいせつ]な自然を破壊[はかい]することを許[ゆる]すわけにはいきません。♠〈望ましいことではない〉小さな子供が一人で行くことは、いけないとは言わないが、望ましいことではない。♠〈望ましい態度>生徒は、決[き]められた時刻より早く教室に入り、授業の準備を整[ととの]えるような態度が望ましい。♠〈望ましくない結果>コンピューター占[うらな]いで彼女との相性[あいしょう]を見てもらったが、あまり望ましくない結果が出た。♠〈望ましからざる人物>源平[げんぺい]の戦[たたか]いで名をあげた源義経[みなもとのよしつね]は、後[のち]に望ましからざる人物として、兄[あに]の頼朝[よりとも]によって殺[ころ]された。 **のぞみ【望み】**○希望。よくなる可能性。その人に寄せる期待。[文例]〈望みを大きく持つ〉望みを大きく持つことはよいことだが、あまり背伸[せの]びをしないように。♠〈望みを持つ・抱く〉彼は、いつかはパリに行って、絵の勉強をしたいという望みを抱[いだ]いていた。♠〈望みがかなう〉町民たちの長年[ながねん]の望みがかなって、りっぱな図書館ができ上がった。♠〈望みを捨てる〉もしも人類が平和への望みを捨ててしまったら、いつか地球は滅[ほろ]びてしまうだろう。♠〈望みをかける〉男は、有り金[ありきん]をはたいてかけた最後[さいご]のレースに望みをかけていた。♠〈生きる望み〉〈望みを失う〉最愛[さいあい]の恋人[こいびと]を事故で失[うしな]い、一時[いちじ]は生きる望みを失いました。♠〈望みがある・ない〉お気[き]の毒[どく]ですが、回復[かいふく]の望みはほとんどありません。♠〈望みなきにあらず〉望みなきにあらず、やれるだけはやってみよう。♠〈一縷[いちる]の望み〉夫の死を信じ切れない妻は、もしかしたらと一縷の望みを抱いていた。♠〈望み薄[うす]〉このありさまでは、成功は望み薄だね。 **のぞ・む【望む】**○願う。希望する。欲しがる。慕う。遠くを眺める。[文例]〈幸福を望む〉地球上に生きている人々は、だれもが幸福を望んでいるはずだ。♠〈思いやりを望む〉運動のよくできるきみに望みたいのは、力[ちから]の弱い者に対する思いやりです。♠〈自ら望む〉彼は自[みずか]ら望んで海外協力隊に加わり、アフリカに行った。♠〈富士山を望む〉わたしが今住んでいる所は、南に富士山を望み、北にぶどう畑の広がる台地です。♠〈人徳を望む>氏[し]は、その人徳を望まれて教育委員に推[お]された。 **のぞ・む【臨む】**○面する。前にする。出合う。出席する。対する。[文例]〈海に臨む〉わたしの生まれた所は、日本海に臨んだ小さな漁村[ぎょそん]です。♠〈湖に臨む〉わたしたちが最初に泊[と]まったのは、湖[みずうみ]に臨む山小屋[やまごや]ふうのホテルだった。♠〈別れに臨む〉みなさん、わたしは今日お別れに臨んで言いたいことが山ほどありますが、胸がつかえて何も言えません。♠〈危機に臨む〉どんなに落[お]ち着[つ]いている人でも、あれほどの危機に臨んだら平静[へいせい]さを失うにちがいない。♠〈死に臨む〉倒[たお]れた兵士は、死に臨んで故国[ここく]に残した妻[つま]と子[こ]への言葉[ことば]をたくした。♠〈式に臨む〉作家は仕事の合間をみて、出身校[しゅっしんこう]の卒業式に臨んだ。♠〈厳罰で臨む>弁護側[べんごがわ]の予想どおり、検察側は被告[ひこく]に対し、厳罰[げんぱつ]で臨んできた。 **のたうちまわ・る【のた打ち回る】**○苦しくてころげ回る。[文例]あまりの激痛[げきつう]に、わたしは腹をおさえてのた打ち回った。 **のたう・つ【のた打つ】**○苦しくて身もだえしながら転げ回る。[文例]毒入りのだんごでも食べたのか、猫が苦しみにのたうっていた。 **のたく・る**○くねくねとはう。乱暴な字を書く。ぬたくる。[文例]〈ヘビがのたくる〉水槽[すいそう]の中には何十匹というヘビがのたっています。♠〈のたくったよう〉ノートにはのたくったような下手くそな字が書きこまれていた。 **のたれじに【野垂れ死に】**○道端などで倒れて死ぬこと。行き倒れ。[文例]〈野垂れ死にする〉たくさんの人が戦火[せんか]の中を逃げまわったすえ、食べるものも飲むものもなく野垂れ死にしたのです。 **のち【後】**○あと。以後。将来。死後。[文例]〈討論の後>長い討論の後、 <853> 議長は、「それでは決を採りましょう。」と言った。♠〈十年の後〉十年の後のある日、消息[しょうそく]を絶[た]っていた友人が、ふと、ぼくの家を訪[おとず]れた。♠〈曇り後晴れ〉今日の天気は、曇り後晴れで、風は北後西の風に変わるでしょう。♠〈〜した後〉わたしたちは、長い時間雪の中を歩いた後、やっと目的の温泉宿にたどり着くことができました。♠〈後の文学>『枕草子[まくらのそうし]』は、『源氏物語[げんじものがたり]』と並[なら]んで平安[へいあん]女流文学の代表作とされ、後[のち]の文学にも大きな影響[えいきょう]を与[あた]えた。♠〈後の世〉二度と繰り返してはいけないという願いから、わたしたちは、戦争の悲劇[ひげき]を後[のち]の世[よ]に伝えていきたいと思うのです。♠〈後の野口英世〉いろりに落ちて手に大やけどをした清作[せいさく]という子供こそ、後[のち]の野口英世[のぐちひでよ]なのです。♠彼は初め、東京で会社勤めをしていたが、後、故郷に帰り家業の商売を継いだ。 **のっけ**○最初。始まり。[文例]〈のっけから〉答案を見るとのっけからわからない問題で、ぼくはやる気がなくなってしまった。♠〈のっけに〉のっけに小言[こごと]をもらったんじゃ、一日がいやな気持ちになってしまう。 **のっと・る【乗っ取る】**○奪[うば]い取[と]って自分のものにする。[文例]〈資産を乗っ取る>男は、金持[かねも]ちの未亡人[みぼうじん]と結婚し、その家の資産を乗っ取ろうとたくらんでいた。♠〈会社を乗っ取る〉大量の株の買い占めから、会社を乗っ取ろうとする陰謀[いんぼう]が発覚した。♠〈飛行機を乗っ取る>飛行機を乗っ取った犯人との交渉は難航していた。 **のっと・る(則る・法る)**○模範[もはん]としてならい従う。[文例]〈伝統にのっとる>宮中[きゅうちゅう]の儀式は、すべて伝統にのっとって行われる。♠〈自然にのっとる〉部族の人々の生活は、自然にのっとって変わることなく続いてきた。♠〈教えにのっとる〉わたしの行動は神の教えにのっとっています。 **のっぴきならな・い(退っ引きならない)**○どうにも逃[のが]れることができない。[文例]〈のっぴきならない立場〉不用意な発言が原因で、大臣はのっぴきならない立場に追い込まれた。 **のっぺらぼう**○目・鼻・口のないお化け。変化がないさま。[文例]暗い夜道で傘[かさ]を差[さ]して立っていたのは、目も鼻も口もないのっぺらぼうのお化けだったのです。♠のっぺらぼうに講義を聴いて、のっぺらぼうに卒業し去る公等(=きみたち)日本の大学生(………………)(夏目漱石[なつめそうせき]「三四郎[さんしろう]」) **のど(喉・咽)**○口の奥から食道・気管に通じるところ。歌う声。急所。[文例]〈のどが渇く>辛[から]いものをそんなに食べると、のどが渇[かわ]きますよ。♠〈のどを鳴らす〉うちの猫は、好きな人のひざに乗るとごろごろとのどを鳴らす。♠〈のどを潤す〉ここらでちょっとひと休みして、渇いたのどを潤[うるお]していこう。♠〈のどまで出る〉腹が立って「バカ」という言葉がのどまで出かかったが、必死で抑[おさ]えた。♠〈のどにつかえる>舞台[ぶたい]に立つと、緊張[きんちょう]のあまり、のどにつかえてせりふが出なくなってしまった。♠〈のどから手が出るほど欲しい〉のどから手が出るほど欲しかったコンサートの切符を、やっと手に入れることができた。♠〈のど自慢〉〈いいのどを聞かせる〉テレビののど自慢[じまん]では、いいのどを聞かせてくれる人が大勢います。 **のどか(長閑)**○のんびり、ゆったりしているさま。うららかなさま。[文例]〈のどかな日〉それは、のどかなある日のことでした。♠〈のどかな春〉のどかな春の一日も、いつの間にか暮れようとしています。♠〈のどかな田園風景>窓の外には、南フランスののどかな田園風景が続いていた。♠〈田舎はのどか〉都会と違[ちが]って、やっぱり田舎[いなか]はのどかでいいねえ。♠〈のどかな海〉丘[おか]の上に寝転[ねころ]んで、のどかな海を眺[なが]めていました。♠〈心がのどか〉合格が決まって卒業式を待つだけというぼくの心は、いつになくのどかです。♠〈のどかに暮れる〉何事もなく、今日も一日のどかに暮れてゆく。♠〈のどかに遊ぶ>草原では花が咲き、鳥が鳴いて、牛や羊たちがのどかに遊んでいる。 **のどもと【のど元】(喉元)**○のどのところ。急所。[文例]この港を占領されれば、わが軍はのど元にあいくちを突きつけられたように動けなくなってしまう。♠〈のどもと過ぎれば熱さを忘れる〉のどもと過[す]ぎれば熱さ[あつさ]を忘[わす]れるといって、苦しいことでもそれが過ぎれば忘れるということはあるものです。 **ののし・る(罵る)**○大声をあげて騒ぐ。大声で悪口をいう。[文例]〈人をののしる〉人前で人をののしるのは、プライドを傷[きずつ]ける行為[こうい]と言えましょう。♠〈主人にののしられる〉使用人[しようにん]であった彼女は、口やかましい主人にののしられないようにといつもびくびくしていた。♠〈うそつきとののしる〉友達にうそつきとののしられた少年は、なぜか誤解[ごかい]を解[と]こうともせず、黙[だま]りこくっていた。♠〈口汚くののしる〉酔[よ]っぱらいに口汚[くちぎたな]くののしられて、ついにかんにんぶくろの緒[お]が切れた。 **のば・す【延ばす・伸ばす】**○長くする。まっすぐにする。大きくする。広げる。力[ちから]をつける。平[たい]らにする。打[う]ち倒[たお]す。薄[うす]める。延期する。遅[おく]らせる。[文例]〈ひげを伸ばす〉久しぶりに会った叔父[おじ]は、ひげを伸ばしていた。♠〈茎・根を伸ばす>植物はふつう地面の上に茎を伸ばし、地面の下に根を伸ばしていきます。♠〈背筋を伸ばす〉若いんだからもっと背筋[せすじ]をピンと伸ばして歩きなさい。♠〈写真を伸ばす〉額[がく]に入れて飾[かざ]るため、十和田湖の写真を大きく伸ばしてもらいました。♠〈しわをのばす〉アイロンをかけて、くしゃくしゃになったスカートのしわを丁寧[ていねい]にのばした。♠〈羽を伸ばす〉試験が終わったら、思いきり羽を伸ばしたい。♠〈力を伸ばす〉今年の大会では、東北勢が去年より力[ちから]を伸ばしているのが目についた。♠〈創造力を伸ばす〉この学校は、生徒の創造力を伸ばすことに力[ちから]を入れているそうだ。♠〈売り上げを伸ばす>夏休みや冬休みが近づくと、デパートは、売り上げを伸ばすためにいろいろな企画を考える。♠〈足を伸ばす〉東京に出たついでに、ちょっと足を伸ばして、日光を見物してきた。♠〈日を延ばす〉今日に予定されていた体育祭は、雨のため、来週に延ばします。♠〈期限を延ばす>宿題の提出期限を延ばしていただけないでしょうか。♠〈返事を延ばす〉つきあってくれって言われたけど、考えさせてと返事を延ばしておいたの。 <854> **のばなし【野放し】**○放し飼いにすること。放任して勝手にさせること。[文例]〈野放しにする〉そんな危険な動物を野放しにしておくなんて、とんでもない。♠〈野放しの状態>禁止の看板はあるものの、駅前に止められた自転車はほとんど野放しの状態になっている。 **のはら【野原】**○広くて平らな、草などのはえている所。[文例]ようやく冬も過[す]ぎて、野原にもどことなくあたたかい春の色が見えるようになった。♠〈焼[や]け野原[のはら]〉平和だった街は、戦争であとかたもなく、一面の焼け野原と化してしまった。 **のび【伸び】**○のびること。手足や背中を大きくのばすこと。[文例]〈身長の伸び〉二十歳[はたち]になって、身長の伸びが止まってしまった。♠〈成績の伸び〉夏休みの勉強は、二学期以降の成績の伸びに大きな影響[えいきょう]を与えます。♠〈球の伸び〉相手の投手は高めの球に伸びがあって、三振[さんしん]に討[う]ち取[と]られる打者が多かった。♠〈のびをする〉机に向かっていた小学生は、疲[つか]れたらしく、いすにもたれてのびをした。 **のびちぢみ【伸び縮み】**○伸びたり縮んだりすること。伸縮。[文例]〈伸び縮みする〉この布地[ぬのじ]は、伸び縮みするので、運動着にはもってこいだ。 **のびなや・む【伸び悩む】**○順調に伸びない。[文例]〈成績が伸び悩む〉そのころ、ぼくの成績は伸び悩んでいた。 **のびのび【延び延び・伸び伸び】**○おさえつけるものがなく、自由なさま。遅れるさま。[文例]〈のびのびする〉南の島の子供たちは、みんな自然児らしくのびのびしていた。♠〈のびのび育てる>子供のうちは、できるだけのびのび育てたいと思います。♠〈のびのび育つ〉彼は明朗[めいろう]活発で、いかにもとのびのび育ったという感じだった。♠〈のびのびと書く〉のびのびと書いた文章は、だれが読んでもすぐにそれとわかる。♠〈のびのびと演技する〉規定では固[かた]くなっていた選手も、フリーではのびのびと演技しました。♠〈延び延びになる〉二週間も延び延びになっていた会議が、明日開かれることに決まった。 **のびやか【伸びやか】**○のびのびしているさま。[文例]〈のびやかな気持ち〉春の野は、人をのびやかな気持ちにします。♠〈のびやかに育つ〉彼女は、家族の愛につつまれて、のびやかに育ちました。 **の・びる【伸びる・延びる】**○長くなる。まっすぐになる。大きくなる。広がる。届く。力[ちから]がつく。平[たい]らになる。ぐったりする。延長する。延期する。弾力[だんりょく]がなくなる。命を保つ。[文例]〈芽が伸びる>寒い庭の片隅[かたすみ]で、じんちょうげの芽がふっくらと伸びている。♠〈背が伸びる>弟は、中学に入って急に背が伸びた。♠〈伸び放題に伸びる〉かんかん照[で]りの国道には、セイタカアワダチソウが伸び放題に伸びている。♠〈髪が伸びる〉久しぶりに会った彼女は、髪[かみ]が肩[かた]まで伸びて、別人のように見えた。♠〈しわがのびる〉お札[さつ]にアイロンをかけると、しわがのびて、新札[しんさつ]のようになります。♠〈マットの上にのびる〉挑戦者[ちょうせんしゃ]はチャンピオンの一撃[いちげき]でマットの上にのびてしまった。♠〈開発の手が伸びる〉南米の密林地帯にも、近ごろは開発の手が伸びているそうだ。♠〈捜査の手が伸びる〉容疑者[ようぎしゃ]の生[う]まれ故郷[こきょう]にまで、警察の捜査[そうさ]の手が伸びていた。♠〈鉄道が延びる〉山陽[さんよう]新幹線は、ついに博多[はかた]まで延びた。♠〈距離が延びる>都市交通の発達などによって、近年通勤の距離が延びる傾向[けいこう]にあります。♠〈クリームが延びる〉このクリームはとてもよく延びるので、値は張りますがお買い得です。♠〈ゴムが延びる〉ソックスのゴムが延びて、ずり落ちてくるんだ。♠〈そばがのびる〉みんなが早く食卓につかないから、そばがのびてしまったわ。♠〈授業が延びる>先生が熱心なせいなのでしょう、この授業はいつも延びるのです。♠〈寿命が延びる〉日本人の寿命[じゅみょう]が延びて、日本は世界でも有数[ゆうすう]の長寿国[ちょうじゅこく]になった。♠〈出発が延びる〉悪天候に妨[さまた]げられて、目的地への出発が延びた。♠〈力が伸びる>彼は新進のピアニストだが、最近ぐんぐん力が伸びている。♠〈成績が伸びる>ふだんの努力のかいあって、成績がだんだん伸びてきたようだ。♠〈売り上げが伸びる〉この商品は、若者[わかもの]の心をつかんで、大幅[おおはば]に売り上げが伸びているそうだ。♠〈落ち延びる〉平家[へいけ]一門は、都[みやこ]を追[お]われて、西へ西へと落ち延びて行った。♠〈生き延びる〉動乱の時代に、家族がそろって生き延びることは、並大抵[なみたいてい]のことではなかった。 **のべ【野辺】**○野原。[文例]〈野辺の花〉暖かい春の日ざしに誘[さそ]われて、野辺の花を摘[つ]みに出かけました。♠〈野辺の送り〉父が死んだ直後はそれほど感じなかったが、野辺の送りを終えてからどっと悲しみが押し寄せてきた。 **のべ【延べ】**○薄く延ばすこと。重複しているものがあっても、それぞれを一と数えて合計すること。[文例]〈延べ人数〉今年の冬、かぜで学校を休んだ人は、延べ百人におよんだ。♠〈延べ日数>完成までにかかった延べ日数は、四十日です。♠〈延べにして三日間〉で延べにして五万人の人が入場したことになる。 **のべつ**○ひっきりなし。絶えず。[文例]〈のべつ働く〉父が亡くなってから、母はわたしたちを育てるため、休む間もなくのべつ働いていた。♠〈のべつぶつぶつ言う〉おばあさんは、それが癖[くせ]なのか、のべつぶつぶつ言っている。♠〈のべつ見せつける>夫婦仲がいいのは結構だけど、のべつ見せつけられているぼくの立場にもなってくれよ。♠〈のべつ〜する〉さっきから見ていると、のべつ食[た]べてばかりいるじゃないか、今に太[ふと]るぞ。♠〈のべつまくなし〉前の座席にいた女性二人は、バスが終点に着くまで、のべつまくなしにしゃべり続けていた。 **の・べる【述べる】**○(意見などを)言い表す。[文例]〈事実を述べる>裁判では、証人[しょうにん]は事実だけを述べなくてはならない。♠〈礼を述べる〉たずねられて道を教えると、老人は丁寧に礼を述べて去った。♠〈祝辞を述べる〉父は、披露宴[ひろうえん]で、いくぶん上がり気味に祝辞を述べた。♠〈考えを述べる〉人前できちんと自分の考えを述べられる人になりたい。♠〈意見を述べる>自分の意見を述べるときは、相手によくわかるように筋道[すじみち]を立てて話すことが大切です。 <855> **の・べる【伸べる・延べる】**○差し出す。広げる。敷く。延期する。[文例]〈手を伸べる〉わたしが途方[とほう]に暮[く]れていたときに、彼が救いの手を伸べてくれたのです。♠〈床を延べる〉ぼくたちが食堂で夕食を食べている間に、女中さんが床[とこ]を延べてくれました。♠〈日程を延べる〉社長は、急用ができたので、会議の日程を延べるようにと指示した。 **のほうず【野放図】**○自由奔放なさま。勝手気ままで歯止めがないさま。[文例]〈野放図なやつ>自分勝手なことばかりして、あんな野放図なやつ見たことがない。♠〈野放図な人間〉山育[やまそだ]ちの彼は、いかにも自然児らしく、野放図な人間であった。♠〈荒けずりで野放図>まだ荒[あら]けずりで野放図だが、彼の絵は本物だよ。♠〈野放図に広がる〉野放図に広がった庭の雑草[ざっそう]が、この家の住人[じゅうにん]が既[すで]にいなくなったことを物語っていました。 **のぼ・せる【上せる】**○高い所へ上げる。とりあげる。食卓に出す。舞台で演じさせる。思い浮かべる。書き記す。[文例]〈話題に上せる>中高年従業者の健康管理についても一度会議の話題に上せて部・課長たちの考えを聞いてみることにした。♠〈食卓に上せる〉春には、裏山のタケノコが食卓に上せられた。♠〈想像に上せる〉わたしはその青年を想像に上せて、ひとりうきうきしていた。 **のぼ・せる(逆上せる)**○頭に血がのぼる。夢中になる。逆上する。思い上がる。[文例]〈湯でのぼせる〉熱い湯に長く入っていたらのぼせてしまった。♠〈男にのぼせる>彼女は最近隣のクラスの男子にのぼせていて、定期入れに写真を入れて持ち歩いている。♠〈のぼせたやつ〉全くのぼせたやつだなあ、うぬぼれるのもいい加減にしろ。 **のぼり【上り・登り・昇り】**○のぼること。地方から中央へ行くこと。上り坂。上り列車。[文例]〈登りにかかる〉汽車は登りにかかったらしく、スピードが少し落ちたようだ。♠〈急な登り〉この急な登りが終われば、後は下るだけだ。♠〈上り坂〉上り坂にさしかかった選手たちは、ややペースを落として苦しそうに走っています。♠〈上り下り〉老人にとっては、歩道橋の上り下りは大変体力を使うものだろう。♠〈上り電車〉まもなく三番ホームに東京行き上り電車が入ります。♠〈山登り〉山登りにむちゅうの兄は、大学が休みになるのを待ちかねるようにして出かける。 **のぼり(幟)**○細長い布をさおに通して立てる旗。[文例]〈のぼりを立てる〉祭りの日には、村の若い衆[わかいしゅう]が神社のまわりにのぼりを立てます。 **のぼりつ・める【上り詰める】**○一番高い所までのぼる。[文例]〈頂点に上り詰める〉厳しいトレーニングの末[すえ]、彼女はついにゴルフ界の頂点に上り詰めた。 **のぼ・る【上る・登る・昇る】**○高い所へ進む。上がる。空に高く現れる。上流へ進む。地方から中央へ行く。高い地位につく。数量がある程度になる。取り上げられる。現れる。[文例]〈山に・山へ登る〉この夏は、家族そろって富士山[ふじさん]に登ろうと計画している。♠〈木に登る〉最近は、木に登って遊ぶ子供たちの姿は、とんと見かけなくなりました。♠〈坂を登る〉あの坂を登ると、彼の家が見えてくるのでした。♠〈はしごを登る〉はしごを登って、屋根の上に上がりました。♠〈台に上る〉うちきな彼は、みんなの前で台に上ると、蚊[か]のなくような声でぼそぼそしゃべり出した。♠〈土俵に上る〉それまではやさしそうだったのに、土俵に上ると鬼[おに]のようなこわい顔になりました。♠〈月・太陽が上る〉月も、太陽と同じように、東から上り西に沈[しず]む。♠◇天にも昇る心地[ここち]〉絵が入選した少年は天にも昇る心地であった。♠〈頭に血が上る〉彼は気が短く、すぐ頭に血が上る性格です。♠〈川を上る〉秋になると、サケは川を上り産卵に向かう。♠〈瀬を上る〉水の香[か]のきよきこの夜[よ]瀬をのぼり瀬をくだる稚[わか]き鮎[あゆ]をしおもふ(木俣修[きまたおさむ])♠〈京へ上る〉昔は京へ上るのに、江戸[えど]日本橋から東海道五十三次を歩き通した。♠〈数百万に上る〉この地球上で飢餓[きが]に苦しんでいる人は、数百万に上ると言われている。♠〈かなりの数に上る〉ニュースでホテルの火災が伝えられたが、犠牲者[ぎせいしゃ]はかなりの数に上るらしい。♠〈話題に上る〉師走[しわす]になると、大みそかのテレビ番組が人々の話題に上る。♠〈人の口に上る〉二人のことが人の口に上るようになって、隠してはいられなくなってきた。♠〈食卓に上る〉父は釣りを趣味にしているが、釣った魚が食卓に上ることはめったにない。 <856> **のむ【飲む】** (呑む)○物をかまずに胃へ送る。吸い込む。酒を飲む。巻き込む。圧倒する。受け入れる。押し殺す。隠し持つ。[文例]〈お茶を飲む〉せっかくいらしたんだから、まあ、お茶でも一杯[いっぱい]飲んでいってください。♠〈薬を飲む〉夜になって熱の出た子に、熱さましの薬を飲ませました。♠〈たばこを飲む〉父は、胃を悪くして入院したのをきっかけに、たばこを飲まなくなった。♠〈一杯飲む〉おおい、仕事が終わったら、一杯飲もうか。♠〈濁流[だくりゆう]にのまれる〉信じられない速さでおしよせる濁流に、逃げ遅れた村人はあっという間にのまれていった。♠〈相手にのまれる〉いくら強そうだからって、相手にのまれるんじゃないぞ。♠〈気をのまれる〉相手のすごいけんまくに気をのまれて、思わず、「すみません。」と謝ってしまった。♠〈息をのむ〉彼女が舞台[ぶたい]に現れると、観客はその美しさに思わず息をのんだ。♠〈要求をのむ〉組合の要求をのんで、経営者は給料を上げることを決定した。♠〈条件をのむ〉家は出ていけ、立ちのき料は出さないなんて、そんな条件はとてものむことはできない。♠〈かたずをのむ〉大男同士のけんかを止めることもできずに、人々はただかたずをのんで見守るばかりだった。♠〈涙[なみだ]をのむ〉貧しさゆえに、生まれ育った土地を、涙をのんで離れなければならない人もいた。♠〈あいくちをのむ〉男はふところにあいくちをのんで、相手を刺す機会をねらっていた。♠〈飲まず食わず〉学生時代のわたしは貧しく、飲まず食わずの生活だった。 **のめりこ・む【のめり込む】** ○前へ倒れる。ある事に心を奪われて抜け出せなくなる。[文例]〈寝床[ねどこ]にのめり込む〉徹夜[てつや]の仕事で疲れていたわたしは、服も着がえずに、寝床にのめり込むように倒れた。♠〈悪の道にのめり込む〉わずかなまちがいが、悪の道にのめり込むきっかけになることもある。♠〈文学にのめり込む〉長い療養[りようよう]生活の中で、いつしか彼は文学にのめり込んでいった。 **のめ・る** ○前へ倒れる。倒れそうになる。[文例]〈前へのめる〉キョロキョロしながら歩いていて、石につまずき前へのめってしまった。 **のりうつ・る【乗り移る】** ○ほかの乗り物に乗りかえる。霊などがとりつく。[文例]〈車両を乗り移る〉新幹線の中で偶然会った友人が、同じ車両に乗り移ってきた。♠〈霊がのりうつる〉若者にのりうつった悪霊[あくりよう]が彼を殺人鬼に変えてしまった。 **のやま【野山】** ○野と山。[文例]〈野山で遊ぶ〉秋の一日、ピクニックに出かけ野山で遊びました。♠〈野山を歩く〉近くの野山を歩いては、四季折々の草花を楽しんでいます。 **のら【野良】** ○野原。田畑。野良犬や野良猫。[文例]〈野良に出る〉農家の人たちは、毎朝早くから野良に出て農作業に追われます。♠〈野良仕事〉老人は、一日の野良仕事を終えると、毎晩コップ一ぱいだけ酒を飲むことにしていた。 **のり【糊】** ○でんぷんやゴムを溶かして粘りけを出したもの。[文例]〈のりをつける〉切り抜いた新聞記事にのりをつけて台紙にはり、スクラップ帳を作ります。♠〈のりがきく〉ぱりっとのりのきいたシャツは、気持ちがいいですね。♠〈のりとはさみ〉きみの文章は、他人の文章を寄せ集めたもので、いわばのりとはさみのでっちあげだ。 **のり【乗り】** ○乗ること。おしろいなどの付き具合。リズムに合わせること。[文例]〈乗りがいい・悪い〉寝不足のせいか、今朝は化粧[けしよう]の乗りが悪いわ。♠〈乗りがいい〉ほう、曲に合わせてステップを踏むとは、なかなか乗りのいい坊やだね。♠〈二人乗り〉こらこら、自転車の二人乗りはいけないよ。 **のりあ・げる【乗り上げる】** ○物や障害物の上に乗る。[文例]〈浅瀬に乗り上げる〉ボートが浅瀬に乗り上げ、動かなくなってしまいました。♠〈暗礁[あんしよう]に乗り上げる〉目撃者[もくげきしゃ]の死亡によって捜査[そうさ]は暗礁に乗り上げた。 **のりい・れる【乗り入れる】** ○乗り物に乗ったまま中に入る。バスや電車が他の路線まで延長される。[文例]〈バイクを乗り入れる〉この道は遊歩道ですので、自転車やバイクを乗り入れることはできません。♠〈地下鉄が乗り入れる〉地下鉄が乗り入れるようになってから、この私鉄の沿線はとても便利になりました。 **のりか・える【乗り換える・乗り替える】** ○別の乗り物にかえる。新しいものにかえる。[文例]〈電車を乗り換える〉日本一のターミナル駅というので、うまく電車を乗り換えることができるか不安でした。♠〈列車に乗り換える〉わたしの田舎へ行くには、松本まで特急で行き、そこで普通列車に乗り換えなければなりません。♠〈相手を乗り換える〉あなた、昨日見たことのない男の人と歩いていたわね、今までの人と乗り換えたの。♠きみはすぐに形勢のいい方に乗り換えるんだから、まったく信念ってものがないのかい。 **のりき【乗り気】** ○進んでやってみようという気持ち。[文例]〈乗り気になる〉ぼくは、友達の話を聞いた上で乗り気になって計画に参加した。♠〈乗り気な返事〉誘いの電話をかけたら、うん、行こうかな、と乗り気な返事が返ってきた。 **のりき・る【乗り切る】** ○乗り越える。切り抜ける。すっかり乗る。[文例]〈荒波[あらなみ]を乗り切る〉彼は自分の腕一本で世間の荒波を乗り切り、事業を広げてきた。♠〈難局を乗り切る〉いかにしてこの難局を乗り切るべきだろうか。♠〈脂[あぶら]が乗り切る〉この絵は、彼の脂が乗り切ったころの作品です。 **のりく・む【乗り組む】** ○乗務員の一人として乗る。[文例]〈船に乗り組む〉まぐろ船に乗り組んだ漁師たちは、元気よく港を離れていった。 **のりこ・える【乗り越える】** ○乗り物に乗って越える。上を越えて行く。切り抜ける。克服する。追い越す。[文例]〈塀を乗り越える〉あのいたずらものめ、よその家の塀を乗り越えてかきをとっていくなんて。♠〈山道を乗り越える〉わたしのへたな運転であの山道を乗り越えられるかと思うと、ハンドルを握る手も震えてきた。♠〈自分を乗り越える〉この物語の主人公のように、自分を乗り越えなければ、偉大なことはできません。 <857> **のりこ・む【乗り込む】**○乗り物に乗る。勢いをつけて入り込む。[文例]〈電車に乗り込む〉通学の生徒たちが電車に乗り込んできて、車内はがぜんにぎやかになりました。♠〈敵地に乗り込む>腕におぼえのある者ばかり十人も集めて、上官は敵の本拠地[ほんきょち]へ乗り込んだ。 **のりす・てる【乗り捨てる】**○乗ってきた物を放置する。乗り物を降りて行く。[文例]〈自転車を乗り捨てる〉公園に真新[まっさら]しい自転車が乗り捨ててあった。♠〈車を乗り捨てる>旅行者は、故障した車を砂漠に乗り捨てて、通りかかったトラックに乗せてもらった。♠〈タクシーを乗り捨てる>私鉄の沿線でタクシーを乗り捨てて、その辺りを歩いてみた。 **のりだ・す【乗り出す】**○乗って出て行く。とりかかる。体を前へ出す。[文例]〈海に乗り出す〉彼は漁の名人で、小さな船で海に乗り出し、積みきれないほどの魚をとってもどってくる。♠〈社会へ乗り出す>卒業生たちは、希望と不安を抱きながら実社会へ乗り出していった。♠〈事業に乗り出す〉わたしは、今までためた資金をもとでに事業に乗り出すことにした。♠〈捜査に乗り出す>警視庁が捜査[そうさ]に乗り出したのだから、事件はすぐに解決するだろう。♠〈調査に乗り出す〉市では、水質汚染[おせん]の本格的な調査に乗り出すことにした。♠〈体を乗り出す〉窓から体を乗り出して、出かけようとしている兄を呼びとめた。♠〈ひざを乗り出す〉彼のおもしろい話に、子供たちはひざを乗り出して聞き入った。♠〈身を乗り出す〉客席の女の人は身を乗り出して、運転手に「急いで。」と言いました。 **のりつ・ぐ【乗り継ぐ】**○乗り物を乗り換えて行く。[文例]〈汽車を乗り継ぐ〉彼は、夏休みを利用して、各駅停車の汽車を乗り継いで北海道を一周したそうです。 **のりつ・ける【乗り付ける】**○乗り物に乗って到着する。乗り慣れる。[文例]〈タクシーで乗り付ける〉わたしたちは急いでいたので、会場までタクシーで乗り付けることにしました。♠〈車で乗り付ける〉やけにいばった男が学校に高級車で乗り付けたらしいぞ。♠ふだん乗りつけないバスに酔ってしまった。 **のりまわ・す【乗り回す】**○乗り物を走らせる。[文例]〈車を乗り回す>気分のすっきりしない日は、一人で車を乗り回す と気が晴れます。♠〈馬を乗り回す〉おてんば娘だったので、一日中野原で馬を乗り回すということがあった。 **の・る【乗る・載る】**○物の上に上がる。物の上に置かれる。乗り物の中に入る。流れに運ばれる。物事が順調に進む。機に乗じる。うまく合う。相手になる。加わる。引っかかる。新聞・雑誌などに記事が出る。よく付く。[文例]〈馬に乗る〉そこには、馬に乗った騎士がやりを構えて風車[ふうしゃ]に挑[いど]む姿が描[えが]かれていた。♠〈台に乗る〉弟が踏み台に乗って、茶だんすの上の菓子箱[かじばこ]をおろそうとしていた。♠〈車に乗る〉いつもは電車の父も、今日は迎えの車に乗って出かけた。♠〈車に載る〉こんなにたくさんの荷物がこの車に載るかなあ。♠〈机の上に載る〉机の上に載っている本を持ってきてちょうだい。♠〈風に乗る〉ヨットは追い風に乗り、波をけたてて走った。♠〈気流に乗る〉夏の日、ギンヤンマが上昇気流に乗って、岬の向こうからやってくる。♠〈軌道に乗る〉事業が軌道[きどう]に乗り、喜んでいた矢先の出来事だった。♠〈波に乗る〉あの選手はいま波に乗っているから、ホームランの本数も増えるだろう。♠〈調子に乗る〉調子に乗ると、思わぬ落とし穴にはまることがあるよ。♠〈乗りに乗る〉我がチームは、一勝した後、乗りに乗ってとうとう決勝戦まで進出しました。♠〈気分が乗る〉気分が乗ると勉強がはかどるけれど、乗らない日ってだめなのよね。♠〈図に乗る〉彼は、ちょっと褒[ほ]められると、図に乗ってすぐ自慢[じまん]をする。♠〈リズムに乗る〉カーニバルでは、街じゅうの人たちみんながリズムに乗って踊り明かす。♠〈気運に乗る〉この政党は、主権[しゅけん]在民[ざいみん]の気運に乗って台頭してきた。♠〈時流に乗る〉彼はうまく時流に乗ることができたから、成功したのだろう。♠〈電波に乗る〉そのニュースは電波に乗って地球の裏側にも伝わった。♠〈相談に乗る〉担任の先生は、親身[しんみ]になってわたしの相談に乗ってくれた。♠〈話に乗る〉町内で野球チームを作る計画を立てているのですが、あなたも話に乗りませんか。♠〈誘いに乗る〉とかく評判[ひょうばん]の悪い彼の誘[さそ]いには、乗らないほうがいいですよ。♠〈その手には乗らない〉彼のずるい手口はわかっているから、「その手には乗らないよ。」と言ってやった。♠〈計略に乗る〉おまえたちのような子供の計略に乗るほど、わたしは間抜[まぬ]けじゃない。♠〈おだてに乗る〉わたし、おだてに乗りやすいたちなんです。そんなにほめないでください。♠〈口車に乗る〉セールスマンの口車[くちぐるま]に乗って、高い品物を買わされてしまった。♠〈一口乗る〉ぜひ一口乗ってほしいと、友達がもうけ話をわたしのところにもってきた。♠〈乗りかかった舟〉乗りかかった舟だ、たとえ結果が悪くても、この仕事は完成させよう。♠〈新聞に載る〉わたしの投書が今日の新聞に載りましたから、ぜひ読んでください。♠〈地図に載る〉彼の故郷は、地図にも載らないほどの小さい村だ。♠〈辞典に載る〉このことばは、どの辞典にも載っていない。♠〈おしろいが乗る〉彼女は肌[はだ]の手入れがいいのか、おしろいがきれいに乗っています。♠〈脂が乗る〉この作品は、彼が一番脂[あぶら]の乗っていたころのものです。 <858> **ノルマ**○割[わ]り当てられた仕事の量。[文例]〈ノルマを課する>営業の田中さんは、一か月に契約十件というノルマを会社から課せられています。♠〈ノルマを果たす〉退社時間は五時になっていますが、残業をしなければノルマを果たすことができません。♠〈ノルマがきつい〉一日のノルマがきつすぎるというのでは、過重[かじゅう]労働ということになる。 **のれん(暖簾)**○店の入り口に店名などを書いて垂らした布。店の信用。仕切りとして部屋の入り口に垂らす布。[文例]〈のれんを掛ける〉台所の入り口には、仕切りと飾[かざ]りをかねてのれんが掛けてあります。♠〈のれんをくぐる〉会社帰りに同僚[どうりょう]となじみの飲み屋ののれんをくぐった。♠〈のれんを下ろす〉古くから続いてきたこの店も、とうとうのれんを下ろすことになりました。♠〈のれんを分ける〉息子[むすこ]の腕[うで]も上がってきたので、のれんを分けて店を持たせることにした。♠〈のれんにかかわる〉そんなきず物を納[おさ]めたんじゃ店ののれんにかかわるよ。♠〈のれんに傷が付く〉のれんに傷[きず]が付かぬよう商品を吟味[ぎんみ]するのが商[あきな]いというものでしょう。♠〈古いのれんの店〉この菓子屋は、江戸時代から続く古いのれんの店です。♠〈のれんに腕押し〉ぬかに釘[くぎ]、かえるの面[つら]に水、何度注意してもきき目がないね、きみたちは。 **のろい(呪い・詛い)**○のろうこと。のろう言葉。[文例]〈のろいをかける〉のろいをかけて人を殺すことができるものだろうか。♠〈のろいの声>死んでいった女ののろいの声が男の耳の中に響[ひび]いていた。 **のろ・い(鈍い)**○速度が遅い。動作や頭の働きがにぶい。[文例]〈スピードがのろい〉雨が降っているせいか、このバス、ずいぶんスピードがのろいね。♠〈走るのがのろい〉わたしは小学校のとき、走るのがのろくて、運動会ではいつも人から何メートルも遅れて走った。♠〈仕事がのろい〉彼は仕事はのろいが、性格はまじめできちょうめんだ。♠◇回転がのろい〉頭の回転は少しのろいが、べんとうを食べるのは速[はや]いわたしです。 **のろ・う(呪う・詛う)**○恨[うら]みに思う人に災[わざわ]いがふりかかるように祈る。強く恨む。[文例]〈世をのろう〉思うようにいかないからといって、世をのろって生きるなどばかげている。♠〈神をのろう〉最愛[さいあい]の娘[むすめ]を失った若い母親は、あまりの悲しみに神をのろった。♠〈人をのろわば穴二つ〉「人をのろわば穴二つ」、人の不幸を望んだりすれば、結局はそれが自分にはね返ってくるのですよ。♠〈悪魔にのろわれる〉眠[ねむ]り姫[ひめ]は、悪魔にのろわれたために、いばらの塔の中で眠り続けなければなりませんでした。♠〈のろわれた運命〉愛する人をしっと心から毒殺した王は、のろわれた運命によって破滅[はめつ]していった。 **のろ・ける(惚気る)**○恋人・妻・夫などのことをうれしそうに他人に話す。[文例]新婚の友人の新居を訪問しましたが、すっかりのろけられてしまった。 **のろし(狼煙・烽火)**○合図のためにあげる煙や火。大勢の人々の行動を引き起こすきっかけとなるもの。[文例]〈のろしを上げる〉敵の動きに変化があったら、のろしを上げて味方に知らせる手はずになっている。♠〈のろしが上がる〉民衆が一丸となり、打倒独裁政権ののろしが上がった。 **のんき(暢気・呑気)**○のんびりしているさま。心配ごとがなくて気楽なさま。[文例]〈のんきな子〉のんきなうちの子とは違い、お宅のお子さんはとてもしっかりしていらっしゃいますねえ。♠〈のんきな性格〉彼女は生まれつきのんきな性格だから、きっと長生[ながい]きするでしょう。♠〈のんきな身分〉社会人と比べたら、やはり学生はのんきな身分にちがいない。♠〈のんきに暮らす〉退職した父は、母といっしょに田舎[いなか]に引[ひ]きこもって、のんきに暮らしている。♠〈のんきに遊ぶ>秋の夕焼けは翌日晴れるから、のんきに遊んでいないで畑仕事の準備をしておきなさい。♠〈のんきに構える〉入学試験を控[ひか]えているので、この冬休みはのんきに構えてはいられない。 **のんびり**○ゆったりしたさま。のどかなさま。[文例]〈のんびり暮らす〉おじいさんとおばあさんは、田舎で小さな畑を耕[たがや]しながらのんびり暮らしています。♠〈のんびり過ごす〉日曜日は、家で本を読んだり、音楽を聞いたりしてのんびり過ごします。♠〈のんびりする〉きみのようにのんびりしていられたらいいな。♠〈のんびりした風景〉窓の向こうには、田舎ののんびりした風景が広がっていた。♠〈のんびり屋〉うちの子はのんびり屋だから、受験まぎわになってどの学校にしようかなんて言っているのよ。 **は【歯】**○動物の口中の、食物をかみ砕く器官。また、道具・器具のそれに似た形に並んだ部分。[文例]〈歯が生える>若い母親は、赤ちゃんの歯が生え始めるのを、いまかいまかと待っている。♠〈歯が抜ける〉その子は、歯が抜け代わる時期で、前歯が一本抜けていた。♠〈歯を磨く〉食後に歯を磨く習慣を、ぜひつけましょう。♠〈歯にしみる〉歯にしみるようなかき氷は、暑いときにはこたえられない。♠〈歯をむき出す〉人の気配がすると、番犬は歯をむき出してうなった。♠〈のこぎりの歯〉〈歯がかける〉のこぎりの歯がところどころ欠けている。♠〈歯を食いしばる〉かけ寄ってみると、彼は歯を食いしばって、傷の痛みに耐えていた。♠〈歯が立たない〉彼もなかなか強いが、まだ世界チャンピオンには歯が立つまい。♠〈歯の浮くような〉あのおばさんはいい人だが、歯の浮くようなお世辞を言うので困る。♠〈歯が抜けたよう〉インフルエンザの流行で欠席者が急に増えて、教室は歯が抜けたように閑散[かんさん]としている。♠〈歯の根が合わない〉交番にかけ込んできた男は、歯の根も合わないほどおびえていた。♠〈歯に衣着せぬ〉あの人の言い方には、歯に衣[きぬ]着[き]せぬ厳しさがあるが、正直な人柄[ひとがら]はみんなから愛されている。♠〈奥歯に物のはさまったよう〉そんな奥歯[おくば]に物がはさまったような言い方はやめて、もっとはっきりと言ってください。 <859> **は【葉】**○草木の枝や茎から出た、呼吸・光合成などを行う器官。葉っぱ。[文例]〈木の葉〉夕日は赤い光を木の葉に投[とう]じ、葉も枝も燃えるばかりに輝[かがや]いている。♠〈草の葉>草の葉におく露[つゆ]を踏みながら、朝の散歩に出かけます。♠〈葉が茂る〉木々は、空いっぱいに青々と葉を茂[しげ]らせている。♠〈葉が散る>黄色く色づいたイチョウの葉が散って、まるで黄金[おうごん]のじゅうたんを敷きつめたようだった。♠〈葉を落とす>街路樹はすっかり葉を落とし、通りを行く人も寒々として見えた。♠〈根も葉もないうわさ〉この根も葉もないうわさがひろまったのには、あなたにも責任がある。♠〈お茶の葉〉お茶の葉は、暗所で保存したほうが風味が長持ちする。 **は【刃】**○刀剣や包丁などの、物を切る薄く鋭利な部分。[文例]〈鋭い刃〉カミソリの鋭[するど]い刃で指を切らないように注意してね。♠〈鈍い刃〉古[ふる]い遺跡[いせき]から、鋭い刃のついた武器が発見された。♠〈刃がこぼれる〉乱暴な使い方をすると、包丁の刃がこぼれてしまう。♠〈刃が欠ける〉こんな刃の欠けた小刀[こがたな]じゃ、鉛筆[えんぴつ]も削[けず]れないよ。♠〈刃を研ぐ〉この包丁切れないから、刃を研いだほうがいいよ。 **は【覇】**○権力の座につくこと。競技で優勝すること。[文例]〈覇を唱える〉応仁[おうにん]の乱以降、各地の力のある大名が覇を唱えて争った約百年間を戦国時代という。♠〈覇を競う〉当時の相撲界では、大鵬[たいほう]・柏戸[かしわど]の両横綱が覇を競っていた。 **ば【場】**○ところ。場所。状況。場合。劇・取引・勝負などの行われる場面。[文例]〈場をふさぐ〉この自転車は場をふさいで困るから、わきへどけてください。♠〈その場その場〉〈場に合う〉その場その場で、場に合った言葉遣いを心がけなさい。♠〈その場限り〉ぼくたちのつき合いもその場限りで、その後は顔を合わせたこともない。♠〈その場しのぎ〉試験前にその場しのぎの勉強をするだけだと、いつまでも本当の実力は身につかない。♠〈その場に居合わせる〉ぼくはたまたまその場に居合わせたからよく知っているが、それはひどい事故だったんだ。♠〈その場に立ち尽くす〉あまりの悲惨[ひさん]な光景に、カメラマンという仕事も忘れ、わたしはその場に立ち尽くした。♠〈話し合いの場〉〈場をもうける〉ぽくが話し合いの場をもうけるから、彼らをもっと冷静になるように説得してくれないか。♠〈出会いの場〉この映画は、恋人[こいびと]どうしの出会いの場からストーリーが始まる。 **バー**○横木。横棒。酒場。[文例]棒高跳[ぼうたかと]びの選手たちの表情は、バーが上げられるにつれて、緊張[きんちょう]の度を増していった。♠その辺のバーで一杯飲んでいこうか。 **ばあい【場合】**○ある物事が起こると仮定した時。その時の事情。[文例]二人の男にプロポーズされた場合、あなたならどうしますか。♠〈時と場合〉もう中学生なのだから、時と場合に応じて言葉遣いを変えなければ、と思う。♠〈場合による〉あんな事をするには理由があったのだろうから、場合によっては許してやってもいい。♠〈場合によって〉「どうも」という言葉を日本人はよく使うが、その意味は場合によって大きく異[こと]なる。♠〈多くの場合〉UFOを目撃[もくげき]したという人は大勢いますが、多くの場合、何かと見まちがえたものです。♠〈いついかなる場合にも〉いつも父は、いついかなる場合にも冷静[れいせい]沈着[ちんちゃく]に行動せよと言う。♠〈場合が場合だけに〉二人の対立は深まる一方なのだが、場合が場合だけに無責任な口出しもできず、ぼくも困っている。 **はあく【把握】**○つかむこと。手に入れること。理解すること。[文例]〈意味の把握〉設問文の意味の把握ができていなければ、正しい答えは導き出せません。♠〈要旨を把握する〉彼の論文は難しすぎて、わたしにはその要旨[ようし]が全く把握できなかった。♠〈問題点を把握する〉まず、問題点を把握し、次にどう対処[たいしょ]するかみんなで考えよう。♠〈状況を把握する〉彼はすばやくその場の状況[じょうきよう]を把握すると、女性に助[たす]け舟[ぶね]を出した。 **ばあたり【場当たり】**○即席でその場の人気を得ること。計画や準備なしに思いつきで事を行うこと。[文例]〈場当たり的〉場当たり的な経営をやっていたのでは、そのうちに店は行きづまってしまうだろう。 **パーティー**○社交的な会合。一行。一団。隊。[文例]〈パーティーを開く〉新入社員の青木さんのために、来週、歓迎パーティーを開くことになった。♠〈パーティーを組む〉わたしは大学の山岳部[さんがくぶ]の仲間五人とパーティーを組み、北アルプスへ出発した。 **ハート**○心臓。胸。心。トランプの四種類の札の一つ。[文例]〈ハートがある〉彼の歌はあまりうまくはないが、ハートがある。♠〈ハートを射止める〉なるほど、その一言が彼女のハートを射止めたんだね。♠〈ハートをつかむ〉きみのハートをつかむ殺し文句はないかとずうっと考えていたんだ。♠〈ハートが高鳴る〉あこがれの先輩に紹介してやろうと言われて、わたしのハートは高鳴[たかな]った。♠〈ハートのエース〉これでハートのエースがあれば、このゲームはぼくの勝ちだったのに。♠〈ハート形〉バレンタインデーに贈[おく]られたハート形のチョコレートの空き箱を、ぼくは大事にしまっておいた。 **ハード**○固いさま。厳しく、つらいさま。[文例]〈ハードなスケジュール>タフな人だね、ハードなスケジュールをこなしながら疲れたふうもみせない。♠〈ハードなトレーニング〉大会に備えて、選手たちは黙々[もくもく]とハードなトレーニングに取り組んだ。♠〈ハードカバー>秀才君は、いつも難しそうなハードカバーの本を小脇[こわき]にかかえていた。 **パート**○部分。役割。受け持ち。パートタイム。パートタイマー。[文例]〈コーラスのパート〉コーラスグループのわたしのパートはソプラノです。♠〈パートで働く>娘が小学校に入った年から、わたしはパートで働くようになりました。 **パートナー**○相手。相棒。協力者。配偶者。[文例]〈パートナーを変える〉彼は二曲続けて彼女と踊ったあと、次の曲ではパートナーを変えて踊った。♠〈仕事のパートナー〉わたしたちが仕事上のパートナーになってもう五年になります。 **パーフェクト**○完全であるさま。[文例]〈パーフェクトな人間〉だれにも一つや二つの欠点はあるよ、パーフェクトな人間なんていやしないさ。♠〈パーフェクトにしあげる〉その仕事はパーフェクトにしあげられ、文句のつけようがなかった。 <860> **ハーモニー**○調和。和声。[文例]〈美しいハーモニー>聴衆[ちょうしゅう]は、合唱団の美しいハーモニーにうっとりとききほれた。 **はい【灰】**○物が燃えた後に残る粉状のもの。[文例]〈灰が降る>桜島[さくらじま]が爆発[ばくはつ]すると、鹿児島[かごしま]の街には灰が降る。♠〈いろりの灰〉拾ってきたくりは、少しだけ皮をむいて、いろりの灰の中にうめておきます。♠〈たばこの灰〉〈灰を払う〉彼は、テーブルに落ちたたばこの灰を手で払った。♠〈かまどの灰〉突然[とつぜん]帰省した兄は、「家のものは、かまどの灰までおれのものだ。」と主張した。♠〈灰になる〉あの山火事で、美しかった緑の樹木も、すべて灰となってしまった。♠〈死んで灰になる〉あの優しかった祖母も、死んで灰となってしまった。♠〈灰色の青春〉明けても暮れても勉強で、彼は灰色の青春を送っていた。♠〈灰色がかる〉どんよりと灰色がかった空から、今にも雨が落ちてきそうだ。 **はい【肺】**○陸上動物の呼吸器官。肺臓。[文例]魚などと違って、わたしたち人間は肺で呼吸します。♠〈肺を病む>祖母は、若いころ、肺を病[や]んで長い間療養[りょうよう]したという。 **ばい【倍】**○二倍。同じ数量を何回か加えること。[文例]〈倍になる〉世界の人口がこのまま増え続けると、今の倍になる日も遠くはない。♠〈倍にする〉きみの金をぼくに預けてくれれば、倍にしてやるよ。♠〈倍の速さ〉ぼくなら、そんな作業、きみの倍の速さでできると思うよ。♠〈倍する〉今後は、旧[きゅう]に倍するお引[ひ]き立[た]てをお願いいたします。 **はいあが・る(這い上がる)**○はって上がる。はいのぼる。[文例]〈岩をはい上がる〉大きなさざえがそろそろと岩をはい上がっていた。♠〈土手をはい上がる〉町の方でドカンという音がしたので、子供たちは何事かといっせいに土手をはい上がりはじめた。♠〈どん底からはい上がる>若者は、どん底の生活からはい上がろうと、昼も夜も働き続けた。 **はいいろ【灰色】**○灰のような色。陰鬱[いんうつ]なさま。断定できないが疑わしいさま。[文例]〈灰色のセーター>彼は地味な灰色のセーターを着ていた。♠〈灰色になる〉火山が爆発[ばくはつ]すると、周囲に火山灰が降るため空が灰色になる。♠〈灰色の青春〉明けても暮れても勉強で、彼は灰色の青春を送っていた。 **はいいん【敗因】**○敗北の原因。[文例]〈試合の敗因>監督に対する選手たちの不満は徐々[じょじょ]に大きくなり、それが試合の敗因となった。 **ばいう【梅雨】(黴雨)**○つゆ時の雨。つゆ時の天候。つゆ。[文例]〈梅雨前線>梅雨前線は沖縄から徐々に北上し、やがて東北地方も長い雨に降りこめられる。 **はいえき【廃液】**○使用した後の液体。[文例]〈工場の廃液〉工場の廃液が各地で公害問題を引き起こしていた。♠〈廃液を流す〉この工場が廃液を流していた川には、魚がすまなくなったという。 **はいえつ【拝謁】**○高貴な人物に会うこと。[文例]〈拝謁する〉コロンブスはスペインの女王に拝謁し、航海の援助を申し入れた。 **ばいえん(煤煙)**○燃料を燃やした時に出るすすと煙。[文例]〈工場の煤煙>美しかった並木が、工場の煤煙でほとんど枯れてしまった。 **はいか【配下】**○支配されていること。手下。[文例]〈配下に入る〉今回の人事異動で、わたしは高山部長の配下に入った。♠〈配下に属する〉与力[よりき]は、江戸時代、奉行[ぶぎょう]などの配下に属し、部下の下級役人を指揮した役人である。 **ばいか【倍加】**○二倍に増える、また増やすこと。[文例]〈倍加する>海外勤務から帰ったおじの話を聞いてから、ぼくの外国に対する興味は倍加した。♠〈倍加する〉ここできみが加わってくれれば、チームの力は倍加する。 **はいかい(徘徊)**○さまよい歩くこと。うろつくこと。[文例]〈徘徊する>夜空の星を見ながら、わが家の玄関をやりすごし、静かな屋敷町[やしきまち]をしばらく徘徊した。 **はいがい【排外】**○外国人や外国の文物を排斥[はいせき]すること。[文例]〈排外的〉この地方は排外的な空気が強く、よそ者を受け入れなかった。♠〈排外思想>江戸時代の鎖国[さこく]政策は、極端な排外思想の表れといえる。 **ばいかい【媒介】**○仲立ち。とりもち。仲介。[文例]〈媒介する〉ペストは、ねずみからのみが媒介して人間に伝染する。♠〈媒介とする>生徒たちの手紙の交換を媒介として、二つの町に友好関係が結ばれていった。 **ハイカラ**○西洋風を気どるさま。流行をとり入れて新しいさま。[文例]〈ハイカラな服〉裕福[ゆうふく]だった祖母の娘時代の写真を見ると、当時としてはハイカラな服を身につけている。♠〈ハイカラな髪型>娘たちが西洋風のハイカラな髪型[かみがた]にしていくのを、世の親たちはひどく嘆[なげ]いたものだった。 **はいかん【廃刊】**○新聞・雑誌の発行をやめること。[文例]時流に合わない雑誌は廃刊になり、次々に新しい雑誌が創刊されている。♠〈廃刊する〉つい先ごろ、この地方の新聞が経営不振のため廃刊された。 **はいかん【拝観】**○寺社の建造物や宝物などを見ること。見ることの意の謙譲語。[文例]〈拝観する〉この寺の本尊を拝観するには、事前に申し込みが必要ということだった。♠〈拝観料>拝観料は、寺社にとって大きな収入源となっています。 **はいき【廃棄】**○不用になったものを捨て去ること。[文例]〈廃棄する〉地球上のすべての兵器が廃棄される日は来ないものだろうか。♠〈廃棄する〉新しい条約が結ばれると、自動的に古い条約は廃棄されることになった。♠〈廃棄物>自然界では、生産と消費と廃棄物の分解・処理とが整然と組織立って行われている。 **はいき【排気】**○中の気体・空気を外へ出すこと。また、はき出される蒸気やガス。[文例]〈排気が悪い〉この工場の機械室は排気が悪く、いつも異臭[いしゅう]が漂[ただよ]っている。♠〈排気する〉このストーブは室外に排気するので、部屋の空気を汚さない。♠〈排気ガス>自動車の排気ガスが、大気汚染[おせん]の最大の原因となるほど、自動車の数が増えてきた。 **はいきゅう【配給】**○割[わ]り当[あ]てて配ること。[文例]〈配給する〉被災地[ひさいち]の人々に、ただちに食糧を配給する手はずが整えられた。♠〈配給制度>戦争中は、食料・衣料などは配給制度で、決められた量しか買えませんでした。 <861> **はいきょ(廃墟)**○街や建造物の崩れ果てた跡。[文例]〈廃墟と化する〉火山の大爆発にみまわれたその町は、一夜のうちに廃墟と化したという。 **ばいきん(黴菌)**○有害な細菌類。[文例]〈黴菌がつく〉手にはたくさん黴菌がついていますから、食事の前には手をよく洗いましょう。♠〈黴菌が繁殖する〉まな板は黴菌が繁殖[はんしょく]しやすいので、たまに日光消毒をしたほうがよい。 **ハイキング**○野山を歩くこと。ハイク。[文例]〈ハイキングをする〉さわやかな秋晴れの日曜日、ハイキングをする人々で山野がにぎわう。♠〈ハイキングコース〉この湿原[しつげん]から向こうの丘までは格好のハイキングコースで、休日には大勢のハイカーがやってくる。 **はいく【俳句】**○五・七・五の十七音から成る日本独特の短詩。[文例]〈俳句を作る・詠む>祖母は、今まで作った俳句を、七十歳の記念に本にしました。♠〈俳句をひねる〉「名月や……」と、祖父が月をながめながら俳句をひねっています。♠〈俳句をたしなむ>毎月、町内の俳句をたしなむ人が集まって、句会が催[もよお]されます。 **はいぐう【配偶】**○添[そ]い合わせること。連[つ]れ合[あ]い。夫または妻。[文例]〈配偶を求める〉只一遍[ただいっぺん]百代[ももよ]子から彼が適当な配偶を求めつつある由[よし]を聞いただけである。(夏目漱石[なつめそうせき]「彼岸過迄[ひがんすぎまで]」)♠〈配偶者〉働きづめだった彼も、会社の運営がうまくいくようになって、配偶者を探しはじめた。 **はいけい【背景】**○舞台の奥に描かれた景色。絵画・写真で主要な題材の背後に描かれた物。物事の周囲や裏にひそむ事情。時代状況。[文例]〈劇の背景〉文化祭で上演する劇の背景を、一生懸命[いっしょうけんめい]みんなでかいた。♠〈写真の背景>旅先では、行った場所がわかるように写真の背景に注意を払うとよい。♠〈青い空を背景にする〉阿蘇[あそ]の中岳[なかだけ]の噴[ふ]き上げる白い煙[けむり]が、青い空を背景にしてゆっくりとたなびいている。♠〈物語の背景〉この物語の背景は、瀬戸内海[せとないかい]に浮かぶ小さな島である。♠〈政治的な背景〉『アンネの日記』は、ユダヤ人迫害[はくがい]という政治的な背景を持つ作品である。 **はいけい【拝啓】**○(「謹[つつし]んで申し上げる」の意)手紙の冒頭語。[文例]拝啓、秋も深まってまいりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。 **はいげき【排撃】**○攻撃して排除すること。排斥[はいせき]すること。[文例]〈排撃を受ける〉勝手なふるまいの多いリーダーは、ついに群[む]れの全員の排撃を受けることになった。♠〈排撃する〉戦争中には欧米[おうべい]の文化や思想は排撃され、自由な研究もままならなかった。 **はいけん【拝見】**○見ること、読むことの意の謙譲語。[文例]「ちょっと拝見。」と言いながら、画商は男の絵を見はじめた。♠〈脈を拝見する〉その医者は、「では脈を拝見しましょう。」と言って、わたしの手を取った。♠〈乗車券を拝見する>発車して間もなく、「乗車券を拝見させていただきます。」と、車掌[しゃしょう]が回ってきた。♠〈手紙を拝見する〉あなたからのお手紙拝見いたしました。 **はいご【背後】**○背中の方。後ろ。物事の隠れた部分。[文例]廊下をひそやかに歩む足音が近づき、背後の障子[しょうじ]が開いた。♠一人の男が、群衆の背後から彼をじっと見つめていた。♠科学史における偉大な発見や発明は、どれもみな、その背後に大きな失敗の歴史をもっている。♠〈背後関係>事件の背後関係を調べるうちに、意外な人物の名前が浮かびあがってきた。 **はいごう【配合】**○取[と]り合わせること。また、その具合。[文例]〈色の配合>彼の絵は、会場でもひときわ鮮[あざ]やかな色の配合で人の目を奪[うば]った。 **はいざん【敗残】**○敗北の後に生き残ること。すっかり落ちぶれること。[文例]〈敗残の身〉敗残の身で恥[はじ]をさらすよりは死を選ぶというのが、おおかたの武士の考えであった。♠〈敗残兵〉敗残兵をかくまった者は罰せられると知りつつ、わたしはその傷ついた兵士を見捨てることができなかった。♠〈敗残者〉事業に失敗し妻に去られた男は、人生の敗残者のようにひっそりと暮らしていた。 **はいし【廃止】**○慣習や制度をとりやめること。[文例]〈廃止する〉国民学校は、昭和十六年に小学校を改称して成立し、昭和二十二年に廃止された。♠〈死刑を廃止する>先進国の中には、非人道的であるという理由で死刑を廃止している国もある。♠〈廃止になる〉これまでの「当用漢字表」が廃止になり、代わって、新たに「常用漢字表」が作成されました。♠〈奴隷制度廃止〉リンカーンは、奴隷[どれい]制度廃止を公約として大統領選挙に立候補した。♠〈虚礼廃止>虚礼[きょれい]廃止が叫[さけ]ばれて久しいが、あまり効果はなかったようだ。 **はいしゃ【敗者】**○敗れた人。敗北者。[文例]〈敗者の悲哀〉国内では負け知らずの彼だったが、国際試合で初めて敗者の悲哀[ひあい]を味わった。♠〈敗者復活戦〉第一試合で敗れたぼくたちは、気をとり直して敗者復活戦に臨[のぞ]んだ。 **はいしゃく【拝借】**○借りることの意の謙譲語。[文例]〈拝借する〉お言葉に甘えて、傘[かさ]を拝借いたします。♠〈拝借する〉この件について、あなたのお知恵を拝借したいのです。 **ばいしゃく【媒酌】(媒妁)**○結婚をとりもつこと。[文例]学生時代の恩師の媒酌によって結婚式をあげました。♠〈媒酌人>教え子の媒酌人をしましたが、よい経験になりました。 **ばいしゅう【買収】**○買い取ること。金品を与えて、言うことを聞かせること。[文例]〈用地の買収>用地の買収が思うようにはかどらず、高速道路建設工事はなかなか着工されない。♠〈買収する〉有権者[ゆうけんしゃ]をお金や品物で買収すれば、選挙違反になります。 **はいしゅつ【排出】**○中の物を外へ押し出すこと。[文例]〈排出する〉消化機能が適切に活動しない場合、食べたり飲んだりしたものを未消化のまま体外に排出することがある。 **はいしゅつ【輩出】**○次々に世に出ること。[文例]〈人材の輩出>緒方洪庵[おがたこうあん]は幕末における最大の科学教育者で、その塾[じゅく]は適塾[てきじゅく]といい、多くの人材の輩出を行った。♠〈輩出する〉高浜虚子[たかはまきょし]の主宰[しゅさい]する「ホトトギス」からは、多くの才能豊かな俳人が輩出した。 <862> **はいじょ【排除】**○取[と]り除[のぞ]くこと。押しのけること。[文例]〈排除する〉機関車の前部には、線路上の障害物を排除するために、排障器[はいしょうき]という運転保安装置が設けられています。♠〈排除する〉多数決で決まったからといって、簡単に少数意見を排除することには疑問が残ります。 **ばいしょう【賠償】**○損害をつぐなうこと。弁償。補償。[文例]〈賠償する〉我が国には、戦争で与えた損害を賠償する義務が課せられた。♠〈賠償金〉日清[にっしん]戦争に勝った日本は、清国[しんこく]に対し賠償金二億両[テール]を要求した。 **はいしょく【配色】**○色彩の配合。また、その色合い。[文例]〈配色がいい〉この絵は構図もいいが、何より配色の良さが目をひきます。♠〈服装の配色〉彼女のセンスのよさは、服装の配色にも表れている。 **はいしょく【敗色】**○敗れそうな気配。[文例]〈敗色が濃い〉後半戦が始まったばかりだというのに、すでに我がチームは敗色が濃[こ]くなった。♠〈敗色濃厚〉戦局は敗色濃厚[のうこう]だったが、軍司令部は決してそれを認めようとしなかった。 **はいしん【背信】**○信頼にそむくこと。裏切ること。[文例]共に事業を起こそうと約束した友人の背信を知って、わたしは激怒[げきど]した。♠〈背信行為〉彼はわたしの背信行為を激しくなじり、なぜ結婚の約束を破ったのかと問いつめた。 **はいすい【配水】**○飲料水などを供給すること。[文例]〈配水の設備>配水の設備が整[ととの]った日本では、ほぼ全国的に水道が通じている。♠〈配水管>北国では、寒さのために水道の配水管が破裂[はれつ]することもあります。 **はいすい【排水】**○不用の水を流し出すこと。水面上の物体が水中に沈んだ体積分の水を押しのけること。[文例]〈排水口>朝の忙しい時に、台所の排水口がつまって水が流れなくなった。♠〈排水溝〉メッキ工場の排水溝[こう]からシアンが検出され、大きな問題となった。♠〈排水量>船の排水量は、その船の重さに等しい。 **はいすい【廃水】**○使用した後の水。[文例]〈工場の廃水>突然発生した奇妙[きみょう]な病気は、工場の廃水に含まれた水銀が原因だということが判明した。♠〈廃水の処理〉すべての工場が廃水の処理にもっと慎重になるべきである。 **はいすいのじん【背水の陣】**○水を背にした戦の陣構え。決死の覚悟で物事に当たること。[文例]〈背水の陣を敷く>社長以下全従業員が会社を建て直すべく背水の陣を敷き、新製品の開発に取り組んでいた。 **はい・する【配する】**○配る。配合する。配置する。配下にする。夫婦にする。流罪[るざい]にする。[文例]〈人を配する>当局は飛行場の要所[ようしょ]要所に警備の者を配し、大統領の非公式訪問に備えた。♠〈池・築山を配する>敷地[しきち]に池や築山[つきやま]を配して、日本庭園を作り上げた。 **はい・する【排する】**○押しのける。取り除く。排列する。押し開く。[文例]〈万難を排する〉わたしは万難を排し、工事の完成に努力するつもりでおります。♠〈装飾を排する>近代の建築はその目的に応じた生活的機能を重視して、余分な装飾[そうしょく]を排する方向に進んでいる。 **はい・する【拝する】**○拝む。敬礼する。ありがたくお受けする。拝見する。[文例]〈姿を拝する>先生の元気なお姿を拝し、たいへんうれしく思います。♠〈尊顔を拝する>貴殿[きでん]の御尊顔[ごそんがん]を拝することは、小生[しょうせい]にとりましてこの上ない名誉[めいよ]でございます。♠〈後塵を拝する〉新入りの後塵[こうじん]を拝するわけにはいかないと、古手[ふるて]の選手たちが一層練習に励[はげ]むようになった。 **はいず・る(這いずる)**○はってずり動く。[文例]転覆[てんぷく]した列車の窓から、傷ついた乗客たちは必死で這いずり出した。♠わたしの声を聞きつけた老人は、不自由な体で這いずるように応対に出てきた。 **はいせき【排斥】**○押しのけること。しりぞけること。[文例]〈排斥する>日本の中国侵略[しんりゃく]に対し、中国では、学生や労働者が中心となり日本を排斥する運動がおこった。 **はいせつ(排泄)**○生物が老廃物を体外に出すこと。[文例]〈排泄する〉動物は食物から栄養を吸収すると、残りのいらなくなったものは体外に排泄する。♠〈排泄物〉海水中の動物の排泄物や死がいからは、窒素[ちっそ]やりんが放出されている。 **はいぜつ【廃絶】**○すたれ絶えること。根絶やしにすること。[文例]〈兵器の廃絶〉世界中の人々が兵器の廃絶を願っている。♠〈廃絶する>江戸時代から続いた家だったが、跡[あと]を継[つ]ぐ者がなくなり廃絶した。 **はいせん【敗戦】**○戦い・試合に敗れること。また、その戦い・試合。[文例]南方の島々には、終戦後も日本の敗戦を知らない兵士たちが長い間ひそんでいた。♠〈敗戦投手>敗戦投手はあまり多くを語りたがらなかった。 **はいせん【配線】**○電線をつなぎ、電気が流れるようにすること。電気器具などの各部分を電線でつなぐこと。[文例]〈配線工事>明日は電話の配線工事があるので、一日家を空けることができない。♠〈たこあし配線〉一つのコンセントにたくさんの電気機具をさしこむたこあし配線は危険です。 **はいそう【配送】**○配達と発送。配り届けること。[文例]〈荷物の配送>当運送店では、日曜日も宅配便の配送を行いま す。♠〈配送する〉定期便で港に届いた荷物は、小型トラックでただちに配送されます。 **はいそう【敗走】**○敗れて逃げること。[文例]〈敗走する〉一の谷に陣[じん]を構[かま]えた平家は、源義経[みなもとのよしつね]の率[ひき]いる平家追討軍の奇襲[きしゅう]に遭[あ]い、敗走して海へ逃れた。 **ばいぞう【倍増】**○二倍に増えること、また増やすこと。倍加。[文例]〈売り上げの倍増〉売り上げの倍増を実現するにはどうしたらいいか、さまざまな案が出された。♠〈倍増する>去年の甲子園[こうしえん]出場の効果が出て、今春は新入生の野球部加入者が倍増した。 **はいぞく【配属】**○それぞれの部署に分けて所属させること。[文例]〈社員の配属〉新入社員は、その適性によって配属が決まります。♠〈配属する〉ロバートは、入隊するとすぐ国境警備隊に配属された。 <863> **はいた【排他】**○仲間以外のものをしりぞけること。排外。[文例]〈排他的>日本人は外国人に対して猜疑心[さいぎしん]が強く、非常に排他的だといわれます。♠〈排他主義〉国粋[こくすい]主義は、「選民思想[せんみんしそう]」に基づき、自国を誇大[こだい]に賛美する排他主義の考え方である。 **はいたい【敗退】**○敗れて退くこと。[文例]〈独裁政権の敗退〉十年続いた内乱は、独裁政権の敗退によって終わりを告げた。♠〈敗退する〉コンディションの悪かったぼくたちのチームは、一回戦であっけなく敗退した。 **ばいたい【媒体】**○仲立ちをするもの。情報などを伝える手段。[文例]〈情報伝達の媒体〉マスコミが情報伝達の媒体として果たす役割は大きいが、弊害[へいがい]のあることも確かである。♠〈病原菌の媒体>蠅[はえ]や蚊[か]は病原菌[びょうげんきん]の媒体となることもあります。 **はいだ・す(這い出す)**○はって出る。はい出る。[文例]〈すきまからはい出す〉石垣[いしがき]のすきまからはい出した草がかれんな花を咲かせている。♠〈寝床からはい出す〉寝床からはい出して窓から外をのぞくと、月が暗い海に上がっていた。♠〈虫がはい出す〉暖かくなると、地中の虫がはい出してきます。 **はいたつ【配達】**○配り届けること。[文例]〈品物の配達〉ちょっと品物の配達に出ている間、店番をしていてくれないか。♠〈配達する〉郵便配達のおじさんは、バイクに乗って、手紙や小包を配達します。 **バイタリティー**○生命力。活力。活動力。生活力。[文例]〈バイタリティーにあふれる〉バイタリティーにあふれるあなたは、周囲のぼくたちまで元気づけてくれる。♠〈バイタリティーがある〉きみにはバイタリティーがあるから、この困難もきっと乗りこえるだろう。 **はいち【配置】**○それぞれの位置に割[わ]り当てて置くこと。また、その位置。[文例]〈机の配置〉〈配置を変える〉たまには机の配置を変えてみるのも、気分転換になります。♠〈配置につく〉係員が配置につくと、会場の門が開けられた。♠〈配置する〉部屋を広く見せるには家具をどう配置すればよいか考えてみた。 **はいちょう【拝聴】**○つつしんで聞くこと。聞くことの意の謙譲語。[文例]〈拝聴する〉この件につきまして、あなたの意見を拝聴いたしたいと思います。 **はいつくば・う(這いつくばう)**○ひれ伏す。平伏する。はいつくばる。[文例]〈床にはいつくばう〉すさまじい爆発音[ばくはつおん]とともに建物がグラリと傾[かたむ]き、彼らは床にはいつくばった。♠〈地にはいつくばう〉わたしは主人の前で地にはいつくばったまま、顔も上げられないでいた。 **はい・でる(這い出る)**○はって出る。[文例]〈車からはい出る>横転した車の中から運転していた人がはい出てきた。♠〈ありのはい出るすきもない〉会場は、人気タレントを一目見ようと押しかけたファンで、ありのはい出るすきもないほどだった。 **はいてん【配点】**○点数を割[わ]りふること。また、その点数。[文例]〈高い配点>試験では、重要度の高い問題に高い配点をするのがふつうです。♠〈配点が低い〉解けた問題はどれも配点が低く、結局あまりいい得点にはならなかった。 **はいでん【拝殿】**○礼拝するための建物。[文例]〈神社の拝殿>神社の拝殿の前には、大きなイチョウの木があった。♠〈拝殿にぬかずく〉女は拝殿にぬかずくと、子の病気回復を一心に祈った。 **ばいてん【売店】**○公共の施設などの中の、物を売る店。[文例]〈駅の売店〉彼は駅の売店でたばこを買い、それに火をつけるとゆっくりと歩きだした。♠〈ホテルの売店〉ホテルの売店には、さまざまなみやげ物が並べられていた。 **はいどく【拝読】**○つつしんで読むこと。読むことの意の謙譲語。[文例]〈拝読する〉先日のお手紙を拝読し、お元気な様子をとてもうれしく思いました。 **はいのぼ・る(這い上る・這い登る)**○はってのぼる。苦労して出世する。[文例]〈つたがはい上る〉れんがの壁につたのつるがはい上っている。♠〈壁をはい上る〉敵は、城壁[じょうへき]をはい上って侵入[しんにゅう]してきた。♠〈〜地位にはい上る〉彼は貧しい生活の中で勉学に励[はげ]み、独力で現在の地位まではい上った。 **ばいばい【売買】**○売[う]り買[か]い。あきない。[文例]〈土地の売買>不動産業者は、土地の売買で巨額の利益を得ていた。♠〈商品の売買>商家で商品の売買を記した元帳を大福帳といった。♠〈売買する〉生糸[きいと]の町だったから、それを売買する業者が多かった。 **はいはん【背反】(背叛・悖反)**○そむくこと。互いに背を向け合うこと。道理にそむくこと。[文例]〈背反する〉わたしたちの夢は、現実の世界と背反してむなしく破れ去るものであろうか。♠〈二律背反〉わたしは、精神と肉体の二律背反[にりつはいはん]に陥[おちい]って身動きがとれないでいた。 **はいひん【廃品】**○不用になった品。廃物。[文例]〈廃品の回収〉この地区では、月に一度、市が廃品の回収を行っています。♠〈廃品の山>空き地の一角は廃品の山で、それが子供たちの格好の遊び場になった。 **はいふ【配布】**○広[ひろ]く配[くば]って行[ゆ]き渡[わた]らせること。[文例]〈公報の配布〉自治体は、公報の配布を行って住民との交流をはかっています。♠〈配布する〉警察は防犯強化のポスターを配布して、犯罪防止に努めている。 **はいふ【配付】**○配り渡すこと。[文例]〈ビラの配付〉駅構内でのビラなどの配付には駅長の許可が必要です。 **はいふ(肺腑)**○肺。心の奥底。[文例]〈肺腑をえぐる〉わたしの目の前で熊[くま]のきばがひらめき、肺腑をえぐるようなほえ声がひびいた。♠〈肺腑を突く〉話し手の言葉の一言一言が聴衆の肺腑を突いた。♠〈肺腑に入る〉もし思い切って(………………)自分の考え通りを、遠慮なく正面から述べたら(………………)もっと平岡を動揺る事が出来た。もっと彼の肺腑に入ることが出来た。(夏目漱石[なつめそうせき]「それから」) **パイプ**○管。管状の喫煙具。[文例]〈パイプをふかす〉老人はアームチェアにくつろいで、ゆったりとパイプをふかしていた。♠〈パイプが詰まる>洗面台の水の流れが悪いのは、パイプが詰まったかららしい。 <864> **はいぶつ【廃物】**○不用になった物。廃品。[文例]廃物ともう一度役立てようというリサイクル運動は、たちまち全国に広まりました。♠〈廃物利用〉新しい物を次々に買い込むばかりではなく廃物利用を考えてみよう。 **バイブル**○聖書。権威があってその分野で必読とされる著作。[文例]〈受験生のバイブル>きみは、受験生のバイブルといわれているこの本をまだ読んでいないのか。 **はいぶん【配分】**○配り分けること。割りふること。[文例]〈利益の配分〉みんなで力を合わせたのだから、利益の配分はみんな同じにするべきです。♠〈配分する>学芸会をむかえるにあたって各学級に仕事が配分され、ぼくたちのクラスはポスター作りをやりました。 **はいぼく【敗北】**○敗れて逃げること。勝負に負けること。→勝利[文例]〈敗北に終わる〉最後まで一生懸命[いっしょうけんめい]戦ったが、敗北に終わった。♠〈敗北を喫する〉日本は、ミッドウェーの海戦において、敗北を喫[きっ]した。♠〈敗北を認める〉弟は負けん気が強くて、終盤[しゅうばん]になっても、なかなか敗北を認めようとしなかった。♠〈敗北する〉第二セットは、惜[お]しくも、十六対十四で日本チームが敗北した。♠〈敗北主義〉そういう敗北主義的な考え方では、ものごとに挑戦[ちょうせん]するという意気はわいてこないだろう。 **ばいめい【売名】**○自分の名を売り広めること。[文例]〈売名行為〉あの男の多額の寄付は、選挙に備えて自分の名を広めるための売名行為にちがいない。 **はいめん【背面】**○後ろ側の面。後ろの方。[文例]〈碑の背面>記念碑の背面には、碑を立てるまでの経緯[けいい]が簡潔[かんけつ]に記されていた。♠〈背面を突く〉我々は二隊に分かれ、一隊は正面から攻め、一隊は背面を突くことにした。♠〈背面跳び〉走り高跳びは、ベリーロールの時代が終わり背面跳びが全盛となっていた。 **はいやく【配役】**○演劇・映画で役を割り当てること。また、その役。[文例]〈劇の配役〉今日は、文化祭でやる劇の配役を決めるので、クラス中おおさわぎだった。♠〈配役がよい〉その舞台は配役がよかったせいもあって、連日満員となった。 **はいゆう【俳優】**○映画・演劇で演技することを職業にする人。役者。[文例]〈俳優の演技〉この舞台で主役の俳優の演技が絶賛[ぜっさん]され、彼はたちまちスターダムにのし上がった。♠〈映画俳優>少年は、映画俳優になることを夢みて上京した。 **ばいよう【培養】**○草木を養い育てること。細菌や生物体の組織などを人工的に増殖すること。物事の基礎を作り育てること。[文例]〈細菌の培養〉この研究室では各種の細菌の培養を行い、病気の予防と治療に役立てようとしています。♠〈培養する>当時にしては珍しい、自由で進歩的な家風が彼女の積極性を培養したのだろう。 **ハイライト**○光線が最も強く当たるところ。最も重要で話題になる出来事や場面・部分。[文例]〈今週のハイライト〉今週のニュースのハイライトは、何といっても小川さんが原宿を歩いていてテレビに映ったことでしょう。 **ばいりつ【倍率】**○顕微鏡や望遠鏡で見た像と実物の大きさの比率。応募者と定員の比率。[文例]〈倍率を上げる〉顕微鏡をのぞいていたわたしは、不思議な物質を発見して倍率を上げた。♠〈倍率が高い〉有名大学は倍率が高いから、受験生も必死です。 **はいりこ・む【入り込む】(這入り込む)**○中に入る。[文例]〈日光が入り込む〉直射日光が室内に入り込んで、畳[たたみ]や障子[しょうじ]などを傷[いた]めつける。♠〈世界に入り込む〉夢の中では、わたしたちは実に楽々と非現実の世界に入り込んでいきます。♠〈生活に入り込む〉テレビで示されるような表現が子供たちの日常生活のなかに入り込んでいる。♠〈心に入り込む〉幼[おさな]いころに聞いた母の言葉が、心の奥深く入り込んで折[おり]にふれて思い出される。 **はいりたて【入り立て】**○入ったばかり。[文例]〈会社に入り立て〉この会社に入り立てのころは、何をどうやったらしいいのか全くわからなかった。♠〈入り立ての部員〉コーチは、入り立ての部員をやさしく指導した。 **はいりょ【配慮】**○あれこれと気を配ること。心づかい。[文例]〈適切な配慮>子供に無駄遣いをさせないという大人の配慮は、適切であった。♠〈行き届いた配慮〉ホテルの行き届いた配慮で、駅まで迎えの車が来ていた。♠〈配慮を払う〉保育園は、働く女性ならだれでも、安心して子供を預けられるように配慮が払われています。♠〈配慮を持つ>休学という生徒たちへの処置は、当然、何らかの配慮を持ってなされたものと思います。♠〈配慮に欠ける〉この広い会場に、腰[こし]かけて休む所がないというのは少々配慮に欠けますね。♠〈〜の配慮による〉先生のご配慮によって、よい家庭教師の口を見つけることができた。♠〈配慮の跡〉この車の設計には、利用する側に立った配慮の跡[あと]がうかがわれる。♠〈配慮する〉作品には注[ちゅう]が付いており、読者の参考となるよう配慮されている。 **はい・る【入る】**○中へ進む。中におさまる。仲間に加わる。所属する。混じり込む。所有になる。届く。通じる。込められる。その時になる。[文例]〈穴に入る〉ブーンと一匹のハチが巣穴に入っていった。♠〈中へ入る>遠慮[えんりょ]なさらず、どうぞ中へお入りください。♠〈カバンに入る〉このカバンなら、三泊四日ぐらいの旅行に必要な衣類は入りそうだ。♠◇風呂に入る〉食事の前に、風呂に入ってさっぱりしたいな。♠〈山に入る>猟師[りょうし]は、犬を連れて山に入った。♠〈学校へ・に入る〉どこの高校へ入ろうか、勉強はあまり好きじゃないし。♠〈仲間に入る〉とてもおもしろそうだったので、彼らの仲間に入ることにした。♠〈泥棒が入る>昨夜[ゆうべ]、学校に泥棒[どろぼう]が入ったそうだよ。♠〈お茶が入る〉みなさん、お茶が入りましたので一服[いっぷく]してください。♠〈お金が入る〉アルバイト料が入ったから、みんなでおいしいものでも食べに行こう。 <865> **はえぬき【生え抜き】** ○その土地に生まれ育ったこと。また、その人。創立以来そこに所属していること。また、その人。[文例]〈生え抜きの江戸っ子〉おいらは、浅草で生まれ育った生え抜きの江戸っ子だい。●へ生え抜きの社員〉あの人は創立以来の生え抜きの社員で、会社のことなら隅から隅まで知っています。 **は・える【生える】** ○草木の芽が出る。伸びて外に出る。[文例]〈草花が生える〉川の土手一面に草花が生え、鳥のさえずる春となった。●〈木が生える〉家の裏には、松[まつ]の木がたくさん生えていて、防風林になっている。●へ歯が生える〉隣の赤ちゃんは生後七か月になるが、やっと前歯が二本、生えはじめた。●へとげが生える〉ハリネズミは敵に会うと、体を丸めて、とげの生えたまりのようになります。●〈角が生える〉シカの雄[おす]は、成長するとりっぱな角が生えてくる。へ羽が生える〉ペガサスとは、羽の生えた天馬[てんま]のことである。●へかびが生える>梅雨のような湿っぽい季節には、かびが生えやすい。●へまかぬ種は生えぬ「まかぬ種は生えぬ」というが、物事には必ず原因があるものだ。 う。●〈手に入る〉前から欲しい欲しいと思っていた本が、やっと手に入った。◆く頭に入る〉こんなにたくさんの単語が明日の試験までに頭に入るかどうか、とても心配だ。●〈目に入る>学校の帰り道、道ばたにうずくまっている子犬が目に入った。耳に入る〉だれがしゃっべったのか、昨日のけんかのことは既に先生の耳に入っていた。●へ耳から入る言葉は耳からだけでなく、目を通しても入ってきます。●へ酒が入る〉ずいぶん酒が入っているらしく、男は真っ赤な顔をしていた。●ヘガスが入る〉東京でもこの辺りはまだ都市ガスが入っておらず、プロパンガスを使っています。●〈原稿[げんこう]が入る〉期日までに、全部の原稿が入らないと発行日に間に合いそうもない。●へ気合いが入る〉これが学校生活最後の試験だと思うと、勉強するにも気合いが入った。●へ魂[たましい]が入る〉うまく書けているが、この字には魂が入っていない。新しい時代に入る〉二十一世紀という新しい時代に入ると、人はどう変わっていくのだろうか。◆ヘストに入る>鉄道会社がストに入ったので、電車通学のわたしたちは、学校に行くことができなくなった。●〈本題に入る〉前置きはこのぐらいにして、そろそろ本題に入ります。 **はいれつ【配列・排列】** ○並べ連ねること。また、並べ方。[文例]〈ことばの配列〉一般に辞典は、ことばの配列をどう決めているのでしょうか。●〈机の配列〉〈配列を変える〉わたしのクラスでは、二か月に一度、机の配列を変えます。〈配列する>体育館にいすを配列して講演会の会場をつくりました。 **は・う(這う)** ○手足や体を地面などに密着させて進む。四つんばいになる。地面や壁面[かべめん]に沿って伸びる。[文例]へはって行く途中で気を失ってしまい、目的地まではって行ったか歩いて行ったか覚えがない。●へ赤んぼうがはう〉うちの赤んぼうもやっとはうようになりましたが、立つのはまだ先のことです。●〈地をはう〉このあたりの高さになると、はい松[まつ]が地をはうように低く茂っているばかりだ。◆ヘツタがはう〉教会の建物は古い洋館で、壁[かべ]一面にツタがはっていた。●〈虫がはう〉ぼんやり見るともなく見ていると、木の床[ゆか]を一匹の虫がはっている。●ヘミミ-ズがはったよう〉彼からの手紙には、ミミズがはったような下手な字で、近々上京するということが書かれていた。◆ヘ土俵にはう〉今に見ていろ、あの横綱[よこづな]をきっと土俵にはわせてやるぞ。●へはい出す〉夜中におなかがすいたので、そっと寝床[ねどこ]からはい出して台所に行った。●へはっても黒豆〉はっても黒豆とはこのことだ、絶対に自分のまちがいを認めようとしない。●へはい出る〉どこかに抜け道はないかと探したが、アリ一匹はい出るすきもなかった。●這へ笑へ二つになるぞけさからは(小林一茶[いっさ]) **はえ(蠅)** ○食品や汚物にたかり、病原菌を媒介する昆虫。[文例]〈はえがたかる〉食卓の料理にはえがたかっている。●〈自分の頭のはえを追う〉人のことをぐずぐず言ってるひまがあるなら、自分の頭のはえを追ったらどうだ。●へはえたたき〉お父さんを怒らせたので、はえたたきでぶたれてしまった。 **は・える【映える・栄える】** ○光に照らされて輝く。鮮やかに引き立って見える。[文例]〈夕日に映える〉汽車の窓から見た島々は、夕日に映えてとても美しかった。◆◇洋服の色に映える〉明るい色のスカーフは、暗い色の洋服に合わせるとよく映える。●く笑顔が映える〉クラスメートの中にいると、あなたの笑顔はいちだんと映えてすばらしい。食和服が映える〉彼女はしとやかで、和服の映える日本的な美人だ。 **はおり【羽織】** ○着物の上に着る、丈の短い衣服。[文例]<羽織を着る>黒紋付[くろもんつき]の羽織を着た兄は、まるで別人のようにおとなびて見えた。◆<羽織袴>祖父は、元日には必ず羽織袴に威儀を正して、神社に参拝します。 **はお・る【羽織る】** ○上にかけて着る。[文例]〈コートをはおる〉どうやら恋人からの電話だったらしく兄はコートをはおる間もおしいように飛び出していった。ヘガウンをはおる〉物音がしたので、わたしはあわててガウンをはおると廊下に出てみた。 **はか【墓】** ○死者を葬る所。[文例]〈墓を掘る〉ペットの小鳥が死んだので、庭にお墓を掘って埋[う]めてやりました。へ墓を建てる〉亡くなった王のために大きな墓が建てられた。●〈墓が立つ〉うちの墓は、お寺の裏山の中腹に立っている。●〈墓にほうむる〉動物園の人たちは、動物が死ぬと手厚く墓にほうむりました。●へ墓に入る〉年をとって気弱になったおばあさんは、「わたしももうすぐお墓に入るんだから。」と言う。●〈先祖代々の墓〉〈墓にもうでる〉お盆には、一家そろって先祖代々の墓にもうでます。●〈墓参り〉月遅れのお盆には田舎へ帰り、父母の墓参りをします。 **はか(果・捗)** ○仕事などの進み具合。[文例]〈はかが行く〉今日の仕事はきみが手伝ってくれたおかげで、ずいぶんとはかが行ったよ。●へはかが行かない〉悪天候が続いて、ちっとも工事のはかが行かない。 <866> **ばか(馬鹿・莫迦)**○愚[おろ]かなこと。愚かな人。理屈に合わないさま。役に立たないさま。常識外れのさま。[文例]〈ばかにする〉血統書[けっとうしょ]付[つ]きの犬の飼[か]い主[ぬし]たちは、シロが雑種[ざっしゅ]であるという理由だけでばかにしていた。♠〈ばかにならない>映画好きの兄は、週に少なくとも四本は見るので、毎月の映画代もばかにならない。♠〈ばかな話〉正直者が損をするなんて、そんなばかな話があるもんか。♠〈ばかな目にあう〉あまりお人よしが過ぎると、かえってばかな目にあうぞ。♠〈ねじがばかになる〉このねじがばかになってしまわないから、新しいのと交換してください。♠〈ばかをみる〉あんな男の言うことを信用して、ばかをみるのはきまってあなたよ。♠〈ばかを言う〉あのころぼくたちは、集まってはばかを言ってふざけていた。♠〈ばかを言う〉ばかも休み休み言え!♠〈ばかの一つ覚え〉ばかの一つ覚えみたいに、いつまでも同じ事を言うな。♠〈ばかに冷える〉どうしたんだろう、四月ももうなかばなのに、今日はばかに冷えるなあ。♠〈ばか当たり〉予想もしなかったばか当たりに、映画館はほくほく顔だ。♠〈ばか正直〉ばか正直に人の言うことを聞くのではなく、自分で判断するようにしよう。 **ばかい【破壊】**○壊[こわ]すこと。壊れること。[文例]〈自然の破壊〉自然の破壊が進むと、動物たちの生息地もまた、急激に減ってしまう。♠〈環境の破壊〉科学技術の発達は望ましいが、その結果、環境の破壊を招[まね]くことは避[さ]けなければならない。♠〈町を破壊する〉この町は戦争で破壊されたが、たくましくよみがえった。♠〈建設と破壊>建設の困難に比べれば、破壊はきわめて容易です。 **はがき【葉書】**○郵便はがき。[文例]〈はがきを出す〉旅先から友達にきれいな絵はがきを出しました。♠〈はがきを書く〉お世話になった方に、お礼のはがきを書きました。♠〈往復はがき>家に帰ると、往復はがきでクラス会の通知が届いていた。 **はかく【破格】**○従来[じゅうらい]のしきたりや先例に外れること。格式を破ること。[文例]〈破格の扱い〉わたしは部長としてこの会社に引[ひ]き抜[ぬ]かれたが、この年では破格の扱いだった。♠〈破格の値〉この品物を破格の値でお売[う]りします。 **ばか・げる(馬鹿げる・莫迦げる)**○愚かに思える。常識外れに見える。[文例]ばかげていると思うかもしれないが、これは本当にあった話なんだ。♠〈ばかげた話〉先方の不注意で起きた事故なのに、謝りにも来ないなんて、そんなばかげた話があるか。♠〈ばかげたこと〉いつまでばかげたことをしゃべっているんだ。はやく仕事にもどりなさい。 **はが・す(剝がす)**○はぎ取る。[文例]〈暦をはがす〉家には大きな日めくりの暦[こよみ]があって、毎朝それを一枚ずつはがすのがぼくの楽[たの]しみでした。♠〈写真をはがす〉入学した時のわたしの写真を自分で持っていたいので、母のアルバムからそっとはがしてきました。♠〈切手をはがす〉古い封筒[ふうとう]から切手をはがすのは、なかなか大変な作業でした。♠〈ポスターをはがす>生徒会の選挙も終わったので、ぼくたちは候補者のポスターをはがすのを手伝った。♠〈つめをはがす〉石につまずいて転んだ拍子[ひょうし]に、足のつめをはがしてしまった。♠〈つめではがす〉ピッタリくっついているセロテープの切り口をつめの先ではがした。 **ばか・す【化かす】**○化けて、人をだます。[文例]〈たぬきが化かす〉山の中でそんな不思議な目に遭[あ]ったのなら、それはきっとたぬきが化かしたんだ。♠〈人を化かす〉神社の森には、人を化かす悪いきつねがいるので、行かないほうがいい。♠〈きつねに化かされる〉きつねに化かされてとんだ恥をかいたじんべえさんは、仕返[しかえ]しをしてやろうと物陰[ものかげ]でじっと待っていた。 **ばかず【場数】**○出場の回数。経験の回数。[文例]〈場数を踏む>子役から始めて場数を踏んでいるだけあって、この役者は舞台度胸がいい。♠〈場数を重ねる〉初めての講演では足が震えましたが、三回四回と場数を重ねるうちに、聴衆[ちょうしゅう]の表情も目に入るようになりました。 **はかせ【博士】**○その道について広い知識をもっている人。物知り。「博士[はくし]」の俗称。[文例]〈末は博士か大臣か〉神童の誉[ほま]れ高い少年は、末は博士か大臣かとほめそやされて成長した。♠〈もの知り博士〉お兄ちゃんはもの知り博士だから、何でも知ってるね。 **はかどる(捗る)**○仕事などが順調に進む。はかがいく。[文例]〈仕事がはかどる>健康を取り戻[もど]してからというもの、近ごろは、仕事も順調にはかどっている。♠〈勉強がはかどる〉妹がうるさくて、少しも勉強がはかどらなかった。♠◇工事がはかどる>雨天続きのため、家のまえの道路工事は、なかなかはかどらない。♠〈交渉がはかどる〉こと貿易[ぼうえき]に関しては、両国とも主張を譲[ゆず]らず、交渉はいっこうにはかどっていない。 **はかな・い(儚い・果敢無い)**○もろくて弱い。頼りにならない。むなしい。[文例]〈はかない望み〉愛する者が死からよみがえるというはかない望みを、わたしは捨てきれなかった。♠〈はかない命〉芸術作品は、制作者のはかない生命[せいめい]を超えて生き続ける。 **はかな・む(儚む・果敢無む)**○はかないと思う。[文例]〈世をはかなむ>息子に先立たれた母親は、世をはかなみ、家に閉[と]じこもって日を送るようになった。♠〈命をはかなむ>露[つゆ]の命をはかなんだ陸奥守[むつのかみ]は、その日のうちに出家[しゅっけ]した。 **はがね【鋼】**○(「刃金[はがね]」の意)鋼鉄。[文例]〈固くて強い鋼>刃物には、固くて強い鋼が使われる。♠〈鋼の刃〉男はいきなり刀を抜くと、白い鋼の刃先[はさき]を老婆[ろうば]の目の前に突きつけた。♠〈鋼を鍛える〉日本刀は、鋼を鍛えに鍛え抜いてやっと出来上がります。♠〈鋼のような肉体〉彼は、鉄のような意志と、鋼のような肉体の持ち主です。♠◇羽と鋼〉羽は軽くて柔らかいことの、鋼は固くて強いことのたとえによく用いられる。 **はかば【墓場】**○墓のある所。墓地。[文例]〈揺りかごから墓場まで>揺りかごから墓場までは社会保障制度の充実を示[しめ]すことばです。♠〈結婚は人生の墓場〉結婚は人生の墓場ということばもあるくらいですから、慎重に考えてしなさい。 <867> **はかばかし・い(果果しい・捗捗しい)** ○進み具合が順調である。期待通りである。思わしい。[文例]〈はかばかしい成果〉いろいろと対策を講じてみたが、どうもはかばかしい成果が上がらない。●へはかばかしい答え>先方に協力を申し入れているのだが、はかばかしい答えが返ってこない。●〈はかばかしく進まない〉受験勉強がはかばかしく進まないのでいらいらしています。 **ばかばかし・い(馬鹿馬鹿しい・莫迦莫迦しい)** ○ばからしい。ばかげている。[文例]へばかばかしい話〉あの時はつい本気にしたが、今から考えるとばかばかしい話だ。●へばかばかしい限り〉制服を着ていないと不良だというのだからばかばかしい限りである。●へばかばかしく見える〉毎日同じことのくりかえしで、一見ばかばかしく見える朝夕のあいさつだが、その効用は大きい。 **はかま(袴)** ○着物の上にはいて腰から下を覆う衣服。草の茎を覆う皮。とっくりを据える器。[文例]〈袴を着ける〉舞台では、紅の袴を着けた巫女[みこ]が静かに舞い始めた。●へつくしのはかま〉つくしのはかまは、茎の部分を大切に守っているのです。●羽織袴〉この日ばかりは大工の熊[くま]さんも、羽織袴でやって来た。 **はがみ【歯がみ】(歯噛み)** ○歯ぎしり。[文例]〈歯がみする〉またもや犯人を取り逃がした警部は、歯がみしてくやしがった。 **はがゆ・い【歯がゆい】(歯痒い)** ○じれったい。もどかしい。[文例]いつも泣かされて帰ってくる弟が、姉のわたしには歯がゆくて仕方がなかった。◆好きなら好きとはっきりしろよ。まったく歯がゆくて見ていられないよ。歯がゆい思い〉わたしは彼の優柔不断[ゆうじゅうふだん]な性格に、いつも歯がゆい思いをしている。 **はからい【計らい】** ○はからうこと。取り扱い。[文例]〈寛大[かんだい]な計らい〉本人も深く反省しておりますので、何とぞ寛大な計らいをお願いします。●へ慎重な計らい〉初めの段階でもっと慎重な計らいがなされていたら、これほどの大事件にはならなかったろうに。 **はから・う【計らう】** ○取り扱う。さばく。処置する。相談する。考え合わせる。[文例]お任せくだされば、先方に不都合のないように計らいます。◆くよきに計らえ〉うちの社長はいつも「よきに計らえ」といった調子で、万事、社員を信頼してまかせます。 **ばからし・い(馬鹿らしい・莫迦らしい)** ○くだらない。無意味だ。ばかばかしい。[文例]へばからしい話〉そんなばからしい話、もう聞きたくないよ。 **はからずも【図らずも・計らずも】** ○思いもよらず。意外にも。[文例]図らずも委員長という大役をおおせつかって、わたしはいささかとまどっているところです。◆二人の意見は図らずも一致して、計画はすぐ実行に移された。 **はかり(秤)** ○重量をはかる器具・器械。[文例]「ひき肉を二百グラムちょうだい。」と言うと、店員は肉を少しとってはかりの上に乗せました。●へはかりが狂う〉あんたの店のはかりは狂ってるんじゃないか。●へはかりにかける〉A社は給料が高いし、B社は将来性があるし・・・と、はかりにかけて就職先を考えています。 **はかりごと(謀)** ○計略。たくらみ。[文例]〈はかりごとをめぐらす〉彼ははかりごとをめぐらして、ライバルを失脚[しっきゃく]させようとした。●へはかりごとに陥[おちい]る〉敵のはかりごとに陥り、ついに城は包囲されてしまった。 **はかりしれな・い【計り知れない・測り知れない】** ○推測できない。見当がつかない。[文例]島崎藤村[しまざきとうそん]の詩が、当時の若い人々に与えた感動の大きさははかりしれない。●へはかりしれない影響〉『論語[ろんご]』は、日本人の考え方の根底にはかりしれない影響を及ぼした。 **はか・る【図る・計る・測る・量る・諮る・謀る】** ○計測する。計量する。測定・測量する。推測する。くわだてる。とりはからう。相談する。あざむく。[文例]〈体温を計る〉体がだるいので体温を計ってみたら、三十八度もあった。◆く時間を計る>起きてから学校へ行くまでの時間を計ってみたら、四十分かかっていました。◆〈距離を測る〉今日の放課後、校内マラソンの距離を測ることになっている。●〈深さを測る〉この池の深さを測るには、相当長い棒がいるぞ。●へ体重を量る〉姉は、入浴のあと体重を量り、少しでも増えているとごはんの量を減らす。●〈容積を量るこのコップの容積を量ってみると、二五○ミリリットルでした。◆ヘころあいを測る〉母は、ころあいを測って客にお茶を出すタイミングが実によい。●へ真意を量る〉彼女のことばの真意を量りかねて、しばらく悩んだこともあった。へ意思の疎通[そつう]を図る〉市長は、もっと市民との意思の疎通を図るべきだ。へ再起を図る〉今度の初場所は、あの力士にとっては再起を図る大事な場所だ。へ自殺を図る〉青年は自殺を図ったが、危うく一命はとりとめた。●へ列車の転覆[てんぷく]を図る〉反乱軍は、列車の転覆を図って、踏切[ふみきり]に爆薬[ばくやく]をしかけたという。人改善を図る〉これほど会社の規模が大きくなると、機構改善を図る必要が生じてくる。●〈便宜[べんぎ]を図る〉彼は出入りの業者に便宜を図り、多額の謝礼をもらっていた。●〈会議に諮る>彼のユニークな意見が採り上げられ、重役会議に諮られることになった。●〈まんまと謀られる〉まんまと敵に謀られたと気付いたときは、後の祭り[あとのまつり]だった。 **はが・れる(剝がれる)** ○はげ落ちる。[文例]〈ポスターが剝がれる>風でポスターが剝がれ、ヒラヒラと舞っていった。●へしっくいが剝がれる>長い間風雨に打たれて壁のしっくいが剝がれてきた。●〈化けの皮がはがれる〉これで化けの皮がはがれたから、弁解することはできなくなりました。 **はがんいっしょう【破顔一笑】** ○にっこり笑うこと。[文例]〈破顔一笑する〉話を聞くと、主人はいかめしい顔をほころばせて破顔一笑した。 **はき【破棄】** ○破り捨てること。取り消すこと。[文例]〈書類を破棄する>秘密書類は慎重に破棄された。●へ約束[やくそく]を破棄する〉わたしは、友人Aとの約束を破棄して、友人Bと組んで仕事をする決心をした。 <868> **はき【覇気】** ○物事に取り組む意欲。覇者になろうとする野心・野望。[文例]〈覇気がある〉きみには覇気があるから、どんな困難も克服[こくふく]していくだろう。●へ覇気が衰[おとろ]える>老いても、彼の覇気は衰えることがなかった。●へ覇気に欠ける〉慎重なのはいいんだが、どうもきみは覇気に欠けるようだ。 **はきけ【吐き気】** ○胃の中のものを吐きたくなる感じ。[文例]〈吐き気がする〉船に乗って三十分もすると、吐き気がしてきた。●く吐き気をもよおす〉事故現場のあまりの無残さに、ぼくは吐き気をもよおした。 **はぎしり【歯ぎしり】(歯軋り)** ○歯をぎりぎりとかみ合わせること。歯がみ。[文例]〈歯ぎしりをする〉きみは歯ぎしりをするので、いっしょに寝ているとうるさくてかなわない。●〈歯ぎしりする〉警部はあと一歩というところでまたもや犯人を取り逃がし、歯ぎしりしてくやしがった。●へごまめの歯ぎしり〉アリはくやしがったが、相手がゾウではごまめの歯ぎしりでどうにもなりませんでした。 **はきす・てる【吐き捨てる】** ○吐いて捨てる。[文例]〈ガムを吐き捨てる〉ガムを道などに吐き捨ててはいけません。●〈吐き捨てるよう〉「ほっといて。」と、女は吐き捨てるように言った。 **はきだ・す【吐き出す】** ○口から吐いて出す。外へ押し出す。すっかりしゃべる。[文例]〈種を吐き出す〉縁側にすわったぼくたちは、スイカの種を庭に向かって吐き出した。へ煙を吐き出す〉伯父は、パイプからふっと煙を吐き出した。〈うっぷんを吐き出す〉店の主人に対して、わたしは心の中のうっぷんを全部吐き出した。●〈従業員を吐き出す>五時になると、工場から従業員が吐き出される。 **はきだめ【掃きだめ】(掃き溜め)** ○ごみ捨て場。ごみため。[文例]〈掃きだめをあさる〉野良犬が掃きだめに首をつっこんで、エサをあさっている。●へ掃きだめに鶴[つる]〉転校してきた少女は、掃きだめに鶴で、村の高校ではずば抜けて美しかった。 **はきちが・える【履き違える】(穿き違える)** ○他人の履物をまちがえて履く。意味をとり違える。[文例]〈靴を履き違える>宴会の帰りには、酔って靴を履き違える人がいるから困ってしまう。●自由とは自分の判断と責任で行動しなければならない厳しい状況をいうのです。きみ、本性[ほんしょう]をはき違えては困るよ。 **はぎと・る【はぎ取る】(剝ぎ取る)** ○はがし取る。[文例]へふとんをはぎ取る「学校に遅れるよ。」と言うやいなや、母はふとんをはぎ取った。●へ皮を剥ぎ取る〉とうもろこしの皮を剥ぎ取ると、粒のそろった実がきちんと整列していた。 **はきもの【履物】** ○靴など足に履く物。[文例]〈履物をはく〉時々、履物をはいたまま子供が座席に立っているのを見かけますが感心しません。●へ履物を脱ぐ〉日本では、家に入るとき履物を脱ぐのが習慣です。●へ履物をつっかける〉「大変だ。すぐ来てくれ。」という父の声に、母は履物をつっかけて飛び出しました。 **ばきゃく【馬脚】** ○馬の足。芝居で馬の足になる人。隠していた本性。[文例]〈馬脚を現す〉転校後二、三日はすましていたユミも、周囲に慣れると、一挙に馬脚を現してみんなを驚かせた。 **はきゅう【波及】** ○影響が伝わり広がること。影響が及ぶこと。[文例]〈波及する〉小さなおしゃべりがまわりに波及して、しまいにはクラス中がざわざわしてしまう。●へ波及する不安は、町じゅうに波及していった。 **はきょく【破局】** ○破滅的な結末。カタストロフィー。[文例]〈破局を迎える〉わたしたちの結婚は五年で破局を迎えた。●〈破局が訪れる〉仲間の意見がだんだんくい違うようになり、ついにグループに破局が訪れた。 **はぎれ【歯切れ】** ○物をかみ切る時の感じ。言葉の調子。表現の明快さ。[文例]<歯切れがいい>先生の講演は歯切れのいい話し方でとても好評だった。へ歯切れがいい〉いつもながら、きみの文章は主旨が明快で歯切れがいいね。歯切れが悪い>議会での質問に答える市長の答弁は歯切れが悪かった。 **はく(箔)** ○金・銀・すずなどの金属を薄く延ばしたもの。外見の飾り。世間が認める価値。[文例]〈箔を押す〉高価な書物の表紙には、箔を押したものが多い。●へ箔をつける〉わたしは勉強は嫌いだったが、箔をつけたいばっかりに大学に行った。へ箔がつく〉東京で修業したと言えばそれだけで箔がつくが、それでは満足できなかった。 **はく【履く】(穿く・佩く)** ○履物や靴下[くつした]を足につける。衣服を下半身につける。太刀[たち]や剣を腰につける。[文例]〈靴を履く〉今日は朝から雨なので、道行く子供たちは長靴[ながぐつ]を履いていた。●ヘげたを履く〉少女は素足にげたを履いていた。●〈わらじを履く〉「旅に出る」という意味で、昔は「わらじを履く」という言い方をすることもありました。靴下をはく〉朝、あまりにも寒かったため、祖母はわたしに靴下を二枚重ねてはくように言った。●へ足袋[たび]をはく〉〈草履[ぞうり]・げたを履く>足袋をはけば、草履かげたを履かないと具合が悪い。◆ヘスカートをはく〉妹は、買ってもらったスカートを早速[さっそく]はいて、鏡の前で何度もポーズを取っていた。●へ太刀をはく〉刀を身に帯びることを「太刀をはく」などと言います。 **はく【掃く】(刷く)** ○ほうきで払いのける。はけなどでさっと塗る。[文例]〈玄関[げんかん]を掃く〉今日は、お客さんが来るので、朝から玄関を掃いて水をまいたり、大変でした。●へほうきで掃く〉〈庭を掃く〉庭をほうきで掃いて、集めた落ち葉でたき火をした。●へはけで掃く〉青く晴れ上がった空に、薄くはけで掃いたような雲が浮かんでいた。◆◇掃いて捨てるほど〉うぬぼれるなよ。きみぐらいの選手なら掃いて捨てるほどいるんだからな。 **はく【吐く】** ○胃や体の中の物を口。鼻から外に出す。中から外へ押し出す。 <869> 口に出して言う。[文例]〈息を吐く寒い朝、人々は白い息を吐きながら職場へと足早に向かった。●〈食べた物を吐く>途中で気分が悪くなり、食べた物をみな吐いてしまった。◆血を吐く〉正岡子規[まさおかしき]は、病床[びょうしょう]で何度も血を吐いたが、それでも創作活動を続けた。◆へ血を吐くような努力>彼は正選手になるため、毎日血を吐くような努力をした。◆へ電車から吐き出される人>朝八時半ごろのターミナル駅は、電車から吐き出される人々であふれている。◆<煙突[えんとつ]が煙[けむり]を吐く>工場の煙突の吐く煙が、町の空を汚しています。◆く気炎[きえん]を吐く〉振るわない日本の水泳陣の中で、中学生の彼女ひとりが気を吐いている。●〈本音[ほんね]を吐く>仲のよい、気心の知れた友人だと、つい気が緩[ゆる]んで本音を吐いてしまう。●〈弱音[よわね]を吐く〉なんだこれくらいの寒さで、弱音を吐くな。●へ暴言を吐く〉彼は会議の席上で暴言を吐き、議長に退場を命じられた。◆ヘ泥[どろ]を吐く〉容疑者に対して、刑事は、「はやく泥を吐け。」と、いらいらした口調で言った。 **は・ぐ(剝ぐ)** ○むき取って離す。脱がせ取る。取り上げる。[文例]〈布団[ふとん]をはぐ〉早く起きなさい、いつまでもぐずぐずしていると、布団をはいでしまいますよ。●ヘビラをはぐ〉役所の人でしょうか、電柱に張ってあったビラをはいで、きれいにして行きました。●〈皮をはぐ〉獣[けもの]を捕らえると、肉は食べ、皮ははいで衣類にした。●〈化けの皮をはぐ〉あの善人ぶった男の化けの皮をはいでやりたい。●〈身ぐるみはぐ〉村人は、村はずれの暗い夜道で追いはぎに遭い、身ぐるみはがれてしまった。●〈薄紙[うすがみ]をはぐように〉彼の病気は薄紙をはぐように日に日によくなっていった。へ官位をはぐ〉役人は、不正行為[こうい]が明るみに出ると、当然のことながら官位をはがれる。 **はくあ【白亜】(白堊)** ○白壁。軟らかい石灰岩。[文例]〈白亜の殿堂〉あの白亜の殿堂が、この度完成した県立美術館です。●〈白亜の館[やかた]>森の道を抜けると、やがて車の行く手に白亜の館が見えてきた。 **はくあい【博愛】** ○広く平等に愛すること。[文例]<博愛精神>ナイチンゲールの博愛精神は、今なお世界中の人々に感動を与えている。●〈博愛主義〉博愛主義という言葉は耳にしますが、それに基づいて行動する人は見かけません。●〈自由な空気をはぐくむ〉この学校は、伝統的に自由な空気をはぐくんできました。◆く情熱をはぐくむ〉ひとすじに芸への情熱をはぐくんできた功績が認められた。 **はくげき【爆撃】** ○爆弾を投下して攻撃すること。[文例]〈爆撃を受ける〉町は爆撃を受けて、主要な建物はほとんど破壊された。爆撃する〉夜明けとともに、敵は基地の町を爆撃した。 **ばくおん【爆音】** ○爆発音。エンジン音。[文例]〈戦闘機の爆音〉このあたりの住民は、夜間の離着陸訓練をする戦闘機の爆音に悩まされています。●へ爆音がとどろく〉ダイナマイトの爆音がとどろくと同時に、大岩は跡形もなく吹き飛んだ。 **はくがい【迫害】** ○害を加えて苦しめること。[文例]〈迫害を受ける〉かつてユダヤ人は、ユダヤ人であるというそれだけの理由で迫害を受けていた。●〈迫害を加える〉弱者に迫害を加えるなどは、人道的とは言えません。●へ迫害する〉キリスト教を国教とした国々では、長い間、異教徒を迫害してきた。 **はくがく【博学】** ○学問に通じ、広く知識を身につけていること。博識。[文例]〈博学な人〉きみのような博学な人にはとんとお目にかかったことがない。●〈博学多才〉博学多才な青年だったから、さまざまな分野で活躍していた。 **はくがんし【白眼視】** ○冷淡に扱うこと。白い目で見ること。[文例]〈白眼視する〉変わり者と町の人が白眼視するのもいっこう構わず、エジソンは発明に没頭[ぼっとう]していた。●〈白眼視に耐える〉犯人の疑いをかけられた彼は、世の中の白眼視にじっと耐え、無実を主張し続けた。 **はぐくむ(育む)** ○ひなを抱いて育てる。養い育てる。保護し発展させる。[文例]〈生物をはぐくむ〉大地と水と太陽の光、これらの自然が生物をはぐくんでいるのです。へ子をはぐくむ〉母の手ひとつではぐくまれた彼は、心の優しい若者に育ちました。●へ心。体をはぐくむ〉日本の子供たちは、遊びを通じて健やかな心と体をはぐくんできました。 **はくい【白衣】** ○白い衣服。白いうわっぱり。びゃくえ。[文例]幼い弟は、医者の白衣を見ただけで泣き出してしまった。◆◇白衣の天使〉野戦病院では、白衣の天使たちが昼夜を分かたず負傷兵の手当てを続けた。 **はくし【白紙】** ○白い紙。何も書かれていない紙。元の状態。先入観や決まった意見をもたない状態。[文例]今年こそ日記をつけようと日記帳を買ったが、一か月たっていまだに白紙のままだ。ヘ白紙にする〉裁判官は、心を白紙にして、少しの先入観もないようにと心を砕く。◆◇白紙に返す〉この問題は、もう一度白紙に返して検討し直す必要がある。●〈白紙に戻す〉きみの提出した計画書には無理が多いから、もう一度白紙に戻してやり直しなさい。◆ヘ白紙で臨[のぞ]む〉我が国の代表団は、今回の交渉に白紙で臨むことにした。●〈白紙撤回[てっかい]>会社の経営が思わしくないというので、組合側は賃上げ要求を白紙撤回することに決定した。◆嵐[あらし] 机上の白紙飛び尽くす(正岡子規) **はくし【博士】** ○専門的学問領域において、博士論文の審査または試験に合格し、第一人者と認定された者に与えられる最高の学位。はかせ。[文例]教授は、犯罪心理の研究で博士の学位を取った。●〈博士課程〉わたしは、この春大学院の博士課程を修了しました。へ医学博士>斎藤茂吉が、歌人であると共に医学博士でもあったことはよく知られています。 **はくしき【博識】** ○広く知識を身につけていること。[文例]〈博識な人>老人は、さながら百科事典のごとく博識な人であった。●先生の博識をもってしても、古文書[こもんじょ]に記された文字は解読できなかった。 **はくしじゃっこう【薄志弱行】** ○意志が弱く、行動力に欠けること。[文例]この青年は育ちもよく、性格も優しいが、やや薄志弱行で意欲に欠けるところがあった。 <870> **はくじつ【白日】** 輝く太陽。真昼。白昼。潔白。[文例]〈白日[はくじつ]の下にさらす〉容疑者の愛人が警察に出頭したことによって、事件の真相は白日の下にさらされることになった。♠〈青天[せいてん]白日[はくじつ]〉無罪を叫び続けて三十余年、わたしはようやく青天白日の身となった。♠●〈白日夢[はくじつむ]〉葵祭[あおいまつり]の行列は王朝の華麗な景観を映し出して、その華やかさはさながら白日夢をみるがごとくであった。 **はくしゃ【拍車】** 靴のかかとに取り付け、馬の腹に当てて速度を上げさせる金具。物事の進行を速めること。[文例]〈拍車[はくしゃ]をつける〉〈拍車[はくしゃ]を当てる〉騎手が馬の腹に拍車を当てると、馬は速度を上げる。♠●へ拍車をかける。加える>映像化社会が若者の活字離れに拍車をかける。♠●へ拍車を入れる〉広々とした草原に出たうれしさに、あきこは拍車を入れて馬を駆[か]った。 **はくじゃく【薄弱】** 弱いさま。確かでないさま。[文例]〈根拠が薄弱[はくじゃく]〉きみの話は根拠が薄弱で、説得力がないなあ。♠〈薄弱にする〉日々の雑事が、彼女の勉学意欲をだんだん薄弱にしていった。♠●〈意志[いし]薄弱[はくじゃく]〉何かを思いたっても、意志薄弱なわたしはやり抜いたためしがない。 **はくしゃせいしょう【白砂青松】** 白い砂浜に松が並ぶ、海岸の風景。[文例]〈白砂[はくしゃ]青松[せいしょう]の景勝地〉天の羽衣[あまのはごろも]の伝説で有名な三保[みほ]の松原は、富士山を望む白砂青松の景勝地です。 **はくしゅ【拍手】** 何度も手を打ち鳴らすこと。[文例]〈割れるような拍手〉ブランコ乗りが宙返りをしながら飛び移ると、いっぱいの観客から割れるような拍手が起こった。♠●〈拍手をもらう〉お客様に盛大な拍手をもらうときが、芸人にとって一番うれしいのです。♠〈拍手で迎える〉それでは、今日のお客様を大きな拍手で迎えましょう。♠〈拍手を送る〉四十二キロを完走した選手たちに温かい拍手が送られた。♠●く拍手をする〉わたしの発表が終わると、クラスのみんなは拍手をしてくれた。♠◆ヘ拍手する〉彼の意見に、ぼくたちは拍手して賛成の意を表した。♠●へ拍手[はくしゅ]喝采[かっさい]〉お母さんたちの劇は、拍手喝采のうちに幕となった。 **ばくしゅう【麦秋】** 麦の実る初夏の季節。陰暦四月のこと。むぎあき。[文例]初夏の日ざしの中で色づいた麦の穂が揺れ、麦秋がやって来たことを告げていた。♠◆寛永十九年四月二十一日は麦秋によくある薄曇[うすぐも]りの日であった。(森鷗外[もりおうがい]「阿部一族」) **はくじょう【薄情】** 人情が薄いさま。冷淡なさま。[文例]〈薄情[はくじょう]なこと〉知らないよなんて、そんな薄情なこと言わないでくれよ。♠〈薄情な人〉ひとが困っているのに声もかけてくれないとは、きみも薄情な人だねえ。 **はくじょう【白状】** 隠していた事実や罪を申し述べること。[文例]〈白状する〉だれだ、先生の弁当を食ったやつは! 正直に白状しろ。♠●〈白状する〉あの人が好きなんでしょう、もう白状したら? **ばくしょう【爆笑】** 大勢の人がどっと笑うこと。[文例]〈爆笑が起こる〉方言丸出しで自己紹介をしたら、たちまち会場に爆笑が起こった。♠●へ爆笑する〉隠し芸大会で女装[じょそう]した先生の姿を見るや、生徒たちは一斉に爆笑した。 **はくしん【迫真】** 真に迫っていること。[文例]〈迫真の演技〉主演女優の迫真の演技に観客の目はくぎ付けになった。♠◆〈迫真性[はくしんせい]〉事実を記録した記録文学の特色は、その迫真性にある。 **はくじん【白人】** 白色人種。[文例]ある日、突然白人たちが攻めてきて、先住民たちは生活の場を追われた。♠◆この国では、今も白人と黒人の間に大きな人種差別があり、それに反対する運動が高まっている。 **ばくしん(驀進)** まっしぐらに進むこと。[文例]〈驀進[ばくしん]する〉追いすがる走者の気配を感じたわたしは、最後の力をふりしぼりゴールめがけて驀進した。 **はく・する【博する】** 広める。得る。収める。[文例]】〈好評を博[はく]する〉漱石[そうせき]は、「吾輩[わがはい]は猫である」を発表して好評を博し、続いて「坊っちゃん」「草枕[くさまくら]」などを書いて確固たる文名を得た。♠●へ人気を博する〉チャップリンは、「モダンタイムス」や「独裁者」などの自作・自演の喜劇映画で人気を博しま した。◆ヘ巨富[きょふ]を博[はく]する〉彼は次々と大発明をして社会に貢献[こうけん]し、また一方ではパテントを取って巨富を博した。 **ばく・する【縛する】** 縛る。束縛する。「[文例]〈人を縛[ばく]する〉封建時代の道徳には、もはや現代人を縛する力はない。♠←〈因習に縛[ばく]せられる〉昔は因習に縛せられて、不幸な道をたどった女性が少なくなかった。 **ばく・する(駁する)** 他人の意見を非難・攻撃する。[文例]〈他説を駁[ばく]する〉教授は、これまで正しいとされてきた説を駁し、その誤りを次々に論証していった。 **はくせい (剝製)** 死んだ鳥獣の肉や内臓を取り除き、綿などを詰めた物。[文例]狩りが好きだった王は、捕らえた獲物を剥製にして城に飾った。♠◆理科の資料室には、昆虫や魚の標本、鳥の剣製、その他いろいろな物が展示されている。 **はくせき(白皙)** 肌の色が白いこと。色白。[文例]中に入ると、白皙[はくせき]の聡明[そうめい]そうな青年が座っていた。 **ばくぜん【漠然】** ぼんやりしてとらえどころのないさま。[文例]〈話が漠然[ばくぜん]としている〉あなたの話は、あまりに漠然としていてよくわかりません。♠〈漠然とした不安〉彼が出かけたあと、わたしは漠然とした不安に襲われて、仕事が手につかなかった。♠●〈漠然と行う〉人に決められたことをただ漠然と行っているだけでは、何の意味もない。♠●へ漠然と思う〉京都に行くと言ったのは、漠然とそうしたいと思っただけで、計画をたてているわけではないんだ。♠●へ漠然と生きる〉将来どんな道に進む事になっても、一生を漠然と生きることだけはしたくない。 **ばくだい(莫大)** 非常に大きいさま。非常に多いさま。[文例]〈莫大[ばくだい]な金〉その会社は、社運をかけた新製品の開発に、莫大な金をかけた。♠●へ莫大な費用>船を一せき建造しますなんて軽く言うが、それには莫大な費用がかかるのを知っているのか。♠●〈莫大な遺産〉わたしは、相続した莫大な遺産を、すべて寄付してしまうことに決めた。♠●〈莫大な量〉新しく発見された油田から出る原油は、莫大な量であろ <871> うと報告されています。 **はくだつ(剝奪)** はぎ取ること。取り上げること。[文例]〈権利を剝奪[はくだつ]する〉幕府の体制を批判した彼は十五年間離れ小島に監禁[かんきん]され、外界と接触[せっしょく]する権利を剝奪される。♠へ自由を剝奪する〉発病から十二年間、彼女はベッドの上で自由を剝奪された青春を過ごした。 **ばくだん【爆弾】** 爆薬を詰めて爆発させる弾丸。危険なもの。[文例]〈爆弾を投下する〉少佐が乗っていた爆撃機[ばくげきき]が爆弾を投下したのは、ちょうどこの辺りだそうだ。♠●へ爆弾が落ちる〉町が空襲[くうしゅう]にあったとき、近くの工場に爆弾が落ちた。♠●へ体に爆弾をかかえる〉心臓の発作に苦しむ父は、まるで体に爆弾を抱[かか]えているようなもので、もう無理はできない。♠●〈爆弾発言〉この議員の爆弾発言は、内閣を総辞職に追い込むなど、政治に多大な影響[えいきょう]を与[あた]えた。 **ばくち(博打・博奕)** とばく。かけごと。大胆で危険な試み。「[文例]〈ばくちを打つくばくちばかり打ってないでまっとうに働いたらどうなんだ。♠●へばくちを打つ〉たしかに危険はあるが、ここはひとつ大ばくちを打つつもりで取り組んでみよう。♠●へばくち打ち>夜になると、古ぼけた酒場にどこからともなくばくち打ちたちが寄ってくる。 **はくちゅう【白昼】** 真昼。日中。白日[はくじつ]。[文例]この国では、白昼でも女性は黒いずきんで顔をおおっている。♠◆白昼堂々と他人の家に押し入るなんて、ふといやつだ。♠●白昼に起こったのに、目撃者[もくげきしゃ]が一人もいないという珍[めずら]しい事件だった。♠●〈白昼夢[はくちゅうむ]〉老人は、さながら白昼夢を見るように昔を思い出していた。 **はくちゅう【伯仲】** (長兄と次兄のように)優劣の差がないこと。[文例]〈伯仲[はくちゅう]する〉米ソの勢力は伯仲し、世界情勢に大きな影響力をもっていた。♠●へ伯仲する〉二人は実力が伯仲して、甲乙つけがたい。 **ぱくつく** ぱくばくと食べる。「[文例]〈えさにぱくつく〉池のこいにえさをほうってやると、何匹も寄ってきてさかんにぱくついた。♠●へケーキをぱくつく〉よし子は大きなケー キをひとりでぱくついていた。 **はくねつ【白熱】** 熱して白い光を放つこと。最高潮に達すること。[文例]〈白熱する〉議論が白熱してくると、夜を徹して語り明かすこともあった。♠◆〈白熱的〉尾崎紅葉[おざきこうよう]は、「伽羅枕[きゃらまくら]」や「多情[たじょう]多恨[たこん]」等を相次いで発表、「金色夜叉[こんじきやしゃ]」に至って白熱的人気を博した。♠●〈白熱電球〉白熱電球の発明によって世界の夜が明るくなっていった。 **ばくは【爆破】** 爆薬や爆弾で破壊すること。[文例]〈爆破する〉川幅[かわはば]を広げるために、橋をダイナマイトで爆破することになった。♠へ爆破事件〉一九三一年九月十八日、柳条溝[りゅうじようこう]の鉄道爆破事件を契機[けいき]として、満洲事変が勃発[ぼつぱつ]した。 **はくはつ 【白髪】** しらが。[文例]三十年ぶりにお会いした恩師は、立派な白髪の老紳士になっておられた。♠●へ白髪三千丈[はくはつさんぜんじょう]>白髪三千丈といえばオーバーだが、心労のあまり頭髪が白く長く伸びてしまった。 **ばくはつ【爆発】** 物質が急激な変化によって体積を増大し、多大のガス・熱・光・音響を伴う破壊作用を生じること。物事が激しい勢いで起こること。[文例]〈爆発が起こる石油コンビナートで、原因不明の爆発が起こった。♠〈火山の爆発〉二十年ぶりという火山の爆発で、付近の町村が受けた被害[ひがい]は大きかった。♠●ヘガスが爆発する〉部屋じゅうに充満[じゅうまん]していたガスが爆発して家がふっとんでしまった。♠●不満が爆発する〉国王の長い圧政が続いた末、ある日とうとう民衆の不満が爆発して暴動が起こった。♠◆怒[いか]りを爆発させる〉度重[たびかさ]なる悪質な挑発[ちょうはつ]に、おとなしい彼もついに怒りを爆発させた。♠●〈爆発的〉テレビアニメのおもちゃは、子供たちに爆発的な人気をよぶことがある。 **はくび(白眉)** (優秀な兄弟の中でも最優秀の長兄のまゆ毛に白い毛があったという中国の故事から)最も優れていること。[文例]】〈白眉[はくび]とする〉フランス象徴派の中で白眉とされるのがマラルメである。♠◆傑作[けっさく]の多いこの画家の中でも、白眉と評判をとるのがこの作品である。 **はくひょう【薄氷】** 薄い氷。うすごおり。[文例]〈薄氷[はくひょう]を踏む思い〉隊員は、薄氷を踏む思いでその危険な探検に臨んだ。 **ばくふ【幕府】** 将軍の陣営・居所。武家政治の政庁。[文例]〈幕府を開く〉源頼朝[みなもとのよりとも]は鎌倉に幕府を開き、武家政権の基礎を確立した。♠●〈幕府が崩壊[ほうかい]する〉慶応[けいおう]三年、江戸幕府十五代将軍徳川慶喜[よしのぶ]が大政を奉還[ほうかん]し、ついに幕府は崩壊した。 **ばくふう【爆風】** 爆発によって起こる強烈な風。[文例]〈爆風が起こる〉目もくらむような閃光、と同時にすさまじい爆風が起こった・・・・・・。それは悪夢のような一瞬[いつしゆん]だった。 **はくぼ【薄暮】** 夕暮れ。たそがれ。[文例]夕闇[ゆうやん]が辺りを覆う前の薄暮の一瞬を、ひぐらしがもの悲しい声で鳴き立てる。♠〈薄暮が迫る〉薄暮の迫ったスタンドに、応援団の声援が続いた。 **はくめい 【薄命】** 不運。短命。[文例]〈薄命を嘆[なげ]く〉都落[みやこお]ちする日の前夜、男は一人酒を飲んで身の薄命を嘆いた。♠◆〈佳人[かじん]薄命〉美しい娘だったが、「佳人薄命」の言葉どおりに、病で若くしてこの世を去ってしまった。 **はくめい【薄明】** 夜明け前や夕暮れ時のうすあかり。[文例]夕べの教会の鐘が鳴り始め、いつしか薄明が家並みの上にかぶさり始まる。♠●知らぬ間に寝入ってしまい、目が覚めたのは明くる日の薄明のころである。 **はくや【白夜】** びゃくや **ばくやく【爆薬】** ダイナマイトなどの火薬。[文例]〈爆薬をしかける〉岩に爆薬をしかけて爆発させ、鉱石を採取する。 **はくらい【舶来】** 外国から渡来すること。外国の製品。[文例]〈舶来の万年筆〉祖父は、時代物の舶来の万年筆を懐かしそうに手に取った。♠●〈舶来の思想〉わたしたちは、自由とか人民の権利とかを西洋伝来のもの、舶来の思想と考えがちです。♠●へ舶来品〉今でこそ輸入品は安価なものが多くなったが、当時、舶来品といえば最高級のイメージだった。 **はぐらかす** 話題を変えて言いまぎらす。はぐれさせる。 <872> [文例]〈はぐらかされた気持ち〉言いだしっぺのA君がいつのまにかいなくなって、なんだかはぐらかされた気持ちになった。♠●へ質問をはぐらかす〉父さんはおまえの質問をはぐらかすつもりはない。ただ、話してもわからんだろうと思うだけだ。♠●く話をはぐらかす〉兄は都合の悪いことを聞かれると、急に話をはぐらかした。 **はくらく(剝落)** はげ落ちること。[文例]〈剝落[はくらく]する〉堂内[とりよう]の仏像は、塗料[はくらく]も剝落しておらず、美しい金色を保っている。♠●〈剝落する〉古い壁画[へきが]はところどころ剝落しているため、修復作業が予定されている。 **はくらん【博覧】** 広く書物を読み見聞すること。広く一般の人が見ること。[文例]〈博覧に供[きょう]する〉王が集めたコレクションの数々が館内に陳列[ちんれつ]され、博覧に供されている。♠●〈博覧強記[はくらんきょうき]〉まさに博覧強記、老人の知識の広さと確かさは驚くばかりであった。♠●〈博覧会〉一八五一年、ロンドンで最初の万国博覧会が開かれました。 **はくりたばい【薄利多売】** 売値を下げ、たくさん売って利益を得ること。[文例]大型スーパーなどでは薄利多売の商法で経営が成り立つが、小売店では難しい。♠◆食料品や日用品などの薄利多売の商品と違[ちが]い、宝石などは売れる数は少なくとも利益は大きい。 **はくりょく【迫力】** 人の心に迫る力。[文例]〈迫力がある〉テレビと違って、球場で見る野球はやはり迫力があります♠〈迫力に欠ける〉この歌手の歌唱力は、いまひとつ迫力に欠ける。♠へ迫力を感じる〉感度の良いステレオは、まるでオーケストラのまえにいるような迫力を感じさせる。 **はぐ・る** はいでめくる。めくり返す。[文例]〈布団をはぐる〉布団をはぐってみると、寝ていたはずの男の姿はなかった。♠◆ヘページをはぐる〉棚[たな]から本を一冊抜き出して、ページをはぐってみた。 **はぐるま【歯車】** へりに歯をつけ、かみ合って動力を伝える車。[文例]〈機械の歯車〉このペダルにかけた力は、いくつもの歯車によって車輪へと伝えられていく。♠●へ歯車がかみ合う〉生産と販売[はんばい]という二つの歯車がかみ合わなくなって、彼の会社はうまくいかなくなってしまった。♠人人生の歯車〉〈歯車が狂[くる]う〉会社が倒産[とうさん]したことで、彼の人生の歯車は狂ってしまった。♠●〈巨大な歯車〉この会社でぼくは巨大な歯車の一つの歯のような存在に過ぎない。 **はぐ・れる** 連れを見失って離れる。機会を失う。しそこなう。[文例]〈親にはぐれる〉子ぎつねは、親にはぐれたのか、村はずれの小屋までついてきました。♠●〈人とはぐれる〉祭りの雑踏[ざっとう]の中で友達とはぐれてしまった。♠●へ群れからはぐれる〉時々、群れからはぐれた山猿[やまざる]が里に迷いこんでくることがあるそうです。♠●へ一行[いつこう]にはぐれる〉景色に見とれてキョロキョロしているうちに、一行にはぐれてしまった。♠●〈仕事にはぐれるこう景気が悪くては仕事にはぐれる人も出てくることだろう。♠●へ食[く]いはぐれる〉朝から仕事に追われて、とうとう昼飯を食いはぐれてしまった。 **ばくろ【暴露】**(曝露) あばき出すこと。あばかれること。風雨にさらされること。[文例]〈暴露する〉過去を暴露するとおどされた男は、口止めにお金をわたしてしまった。♠●へ暴露記事〉週刊誌などの暴露記事は俗悪なものが多いのですが、いつも読者の目をひきます。 **はけ(刷毛・刷子)** 毛をたばねて柄[え]のついた台にはめ込んだ道具。ブラシ。[文例]〈はけで塗る〉障子紙のはり方は、まずのりを溶いて、それを障子の枠[わく]にはけで塗り、下から紙をはっていきます。♠●へはけで掃[は]く〉秋の空にはけで掃いたようなすじ雲が出ている。 **はけぐち【はけ口】**(捌け口) 水を流す口。売れ口。販路。外に放出する所。又[例]〈水のはけ口〉このベランダには、水のはけ口がないので、絶対に水は流さないでください。♠〈商品のはけ口〉この村で生産される工芸品のはけ口は、おもに京阪神[けいはんしん]方面です。♠●へ感情のはけ口〉青少年の非行は抑圧された感情のはけ口であるとも考えられる。♠●〈若さのはけ口〉若者は、ありあまる若さのはけ口をラグビーに求めていった。 **はげし・い【激しい】** 勢いが強い。強烈だ。はなはだしい。[文例]〈激しい吹雪〉激しい吹雪の中、登山隊のパーティーは頂上めざして前進した。♠●〈激しい風〉折からの激しい風にあおられて、ボートはあっというまに転覆[てんぷく]してしまった。♠◆〈激しい気性〉祖父は激しい気性のため、若いころから人との衝突[しょうとつ]が絶えなかった。♠〈激しい動き〉昔[むかし]に比べると、今はスピードのある激しい動きを伴[ともな]ったスポーツが好まれるようになった。♠〈激しい怒[いか]り〉白人が黒人をむち打ち、牛馬のように使う人種差別に、わたしは激しい怒りを覚えた。♠◆〈出入りが激しい〉工場ができると人の出入りが激しくなり、町も昔とは様子が変わってきました。♠●へ変化が激しい〉秋の今ごろは、特に、天候の変化が激しい。 **ばけのかわ【化けの皮】** 表面をおおって中身を隠すもの。[文例]〈化けの皮がはがれる〉上品ぶってもだめね、すぐに化けの皮がはがれてしまったわ。♠●〈化けの皮を現す〉温厚そうに見えた男は、たちまち化けの皮を現した。♠へ化けの皮を脱[ぬ]ぐ〉三十年ぶりのクラス会では、初めは皆おとなしかったが、そのうち化けの皮を脱いで昔にもどって大騒ぎだった。 **はげまし【励まし】** 励ますこと。激励。[文例]〈励ましの言葉〉友人の励ましの言葉は、わたしに勇気と希望を与えてくれた。♠へ励ましの手紙〉難病と闘うKさんのもとに、全国から励ましの手紙が毎日寄せられるという。♠●へ励ましを与える〉逆境の中でも希望を失わず、明るく生きる少女の姿がわたしたちに励ましを与えてくれる。♠●へ励ましを受ける〉家族の励ましを受けて、息子は東京へたっていった。 **はげます【励ます】** 力づける。奮い立たせる。激しくする。[文例]〈病人を励ます〉入院している友人を励ますために見舞[みま]いに行ったら、思ったより元気で安心した。♠〈弟を励ます〉気の弱い弟を励まして、合唱団に入団させることに成功した。♠●へ自らを励ます〉わたしは心の中で「負けるもんか」と叫[さけ]んで、自らを励ました。♠●へ馬を励ます〉伝令[でんれい]は一層馬を励まして、雨の中、味方の陣地[じんち]へと急いだ。♠●へ声を励ま <873> す〉声援といっても、まだ予選だから、声を励ますほどに力も入らない。 **はげみ【励み】** がんばろうとする気持ち。また、その気持ちを起こさせるもと。[文例]〈励みになる〉よいところをほめてやることは、子供にとってたいへん励みになる。♠へ励みが出る〉お客さんの評判がいいので、店員たちにも励みが出たようだ。 **はげ・む【励む】** 精を出す。がんばる。努める。[文例]〈仕事に励む〉せっせと家の仕事に励む娘[むすめ]の顔は、働く者の健やかさと美しさにあふれている。♠●へ練習に励む〉選手たちは、優勝を目ざし、毎日厳しい練習に励んでいます。♠●へ研究に励む〉医学者の兄は、大学で細菌の研究に励んでいる。♠〈学問に励む〉先生はいつも日本の農業、農民の将来を考え、亡くなる直前まで学問に励んでおられました。♠●〈日夜[にちや]励む〉多くの日本人技術者が遠い外国で日夜励んでいます。♠◆〈元気に励む〉東京の生活にもやっと慣れ、毎日元気に励んでおります。 **ばけもの【化け物】** お化け。妖怪[ようかい]。正体不明のもの。底知れぬ力の持ち主。[文例]〈化け物が出る〉なんだか、化け物でも出そうな気味の悪い屋敷[やしき]だなあ・・・・・・。♠●〈化け物みたい〉強いのなんのって、まるで化け物みたいだ。 **は・ける(捌ける)** 流れ出る。売れる。さばける。「[文例]〈水がはける〉植木鉢[うえきばち]には、水がはけるように底に穴が開いている。♠●へ商品がはける〉売れると見込んで大量に仕入れたが、正直言って全部はけるか心配だ。 **は・げる(剣げる・禿げる)** はがれ落ちる。色が落ちる。頭髪が抜け落ちる。[文例]〈ペンキがはげる〉看板のペンキがはげてしまったので、塗り替えてもらった。♠へめっきがはげる〉うわべだけをとりつくろっても、中身が伴わないからすぐにめっきがはげる。♠●〈色がはげる〉六年間使ったランドセルは、形もだいぶくずれて、色もはげている。♠●へ頭がはげる〉父さんもだいぶ頭がはげてきたね。♠●へはげたよう〉木をどんどん伐採[ばっさい]するので、山の中腹ははげたようになっ ている。 **ば・ける【化ける】** 超自然的な力で姿を変える。別人になりすます。[文例]〈化けて出る〉町はずれの古い洋館には、死んだ猫が化けて出るといううわさだった。♠●へきつねが化ける〉きつねが化けて通行人をだますというので、みんな怖がってこの峠[とうげ]に近よらなかった。♠へ警官に化ける〉犯人は、警官に化けてお金をだましとったそうです。 **はけん【派遣】** ある任務を負わせて送り出すこと。[文例]〈使者を派遣する〉漢の皇帝[こうてい]は、優れた馬を求めて、遠く中央アジアにまで使者を派遣したという。♠●へ留学生として派遣する〉阿倍仲麻呂[あべのなかまろ]は、十六歳のとき、唐へ留学生として派遣された。♠〈政府から派遣される〉父は政府から東南アジアに派遣されて、農業技術の指導に当たっている。♠●へ派遣店員〉彼は本店からの派遣店員として、デパートに勤務することになった。 **はけん【覇権】** 征服者・支配者がもつ権力。勝利者の栄誉。[文例]〈覇権[はけん]を争う〉両国間には覇権を争う長い戦争が続いていた。♠●へ覇権を握[にぎ]る〉激戦の末、セリーグのペナントレースでは中日ドラゴンズが覇権を握った。 **はこ【箱】** 中に物を入れる容器。車両。又[例]〈箱に詰める〉信州[しんしゅう]のおばがりんごを箱に詰めて送ってくれた。♠●へ箱を開ける〉その箱を開けてごらん、中にすばらしいものが入っているはずだよ。♠●〈列車の箱〉偶然[ぐうぜん]にも、二人は同じ箱の列車に乗り合わせて、劇的な再会をした。♠●〈箱入り娘[むすめ]〉彼女は評判の箱入り娘で、父親が非常にかわいがっている。 **はこにわ【箱庭】** 箱の中に作った庭園の模型。[文例]庭付きの家を買ったと言っても、小さい箱庭のような庭である。♠●島にはただ二本の樹が生えている。青い松と薄い紅葉が具合よく枝を交[かわ]し合って、箱庭の趣[おもむき]がある。(夏目漱石「三四郎」) **はこび【運び】** 運送。運行。歩み。進行。進行の段階。([文例]〈筆の運び〉書道の先生は、筆の運びをていねいに指導してくれました。♠●へ足の運び〉郷里の母親が病気と聞いて、そ の日の彼は足の運びも重く感じられた。♠◆く話の運び〉彼なら話の運びもうまいから、司会役をまかせてもだいじょうぶだ。♠●へ仕事の運び〉もめごとが起きて仕事の運びが思い通りにいかなくなった。♠へ着工の運びとなる〉念願の市民ホールが、ようやく着工の運びとなった。♠●へお運びをいただく〉雨の中、わざわざお運びをいただいて、申しわけございません。 **はこ・ぶ【運ぶ】** 持って行く。届ける。出向く。進める。進む。[文例]〈荷物を運ぶ〉年末には、デパートの荷物を運ぶアルバイトをした。♠●へ客を運ぶ〉湖畔[こはん]に建つこのホテルには、馬車が客を運んでくるのだった。♠◆ヘえさを運ぶ〉親鳥は、一日中休む間もなく、ひなにえさを運び続けた。♠◆ヘ病院に運ぶ〉父は、突然[とつぜん]会社で倒[たお]れて、すぐに近くの病院に運ばれた。♠●〈香りを運ぶ〉ときおり暖かい風がじんちょうげの香りを運んでくる。♠●〈栄養を運ぶ〉血液は、体全体に栄養を運ぶ重要な役割を果たしている。♠へ足を運ぶ〉母親は息子[むすこ]の無実を信じて、二十年間も裁判所に足を運び続けた。♠◆〈歩を運ぶ〉散歩がてら川の向こう岸にある公園へ歩を運ぶ毎日だった。♠●へ筆が運ぶ〉作家といえども、いつも筆がすらすら運ぶとは限りませんよ。♠●へ事が運ぶ「事はうまく運んでいる」と、使いの者から連絡が届いた。♠〈話が運ぶ〉姉の縁談[えんだん]はとんとん拍子[びようし]に運び、来月にも結納[ゆいのう]ということになった。♠ヘ式が運ぶ〉入学式は満開の桜[さくら]の下で万事順調に運ばれている。 **はさい【破砕】**(破摧) こなごなに砕くこと。また、砕けること。[文例]〈破砕する〉船は、厚い氷を破砕しながら少しずつ先へ進んだ。♠●〈破砕する〉戦いに敗れて、古い理想は破砕し、しかも、それに代わる新しい理想を人々は見いだせなかった。 **はざま(狭間・迫間)** 間がせばまった所。谷間。矢・鉄砲を射る穴。[文例]〈山のはざま〉町から十キロほど入った山のはざまにひなびた温泉がある。 **はさま・る【挟まる】** 間に入る。すきまに入り込む。間に立 <874> つ。[文例]〈間に挟[はさ]まる〉日ごろから意見の合わない父と弟の間に挟まって、ぼくも苦労が絶えないよ。♠●へ歯に挟まる〉お昼に食べた魚の小骨が歯に挟まっているらしい。♠〈奥歯にものが挟まる〉そんな奥歯にものの挟まったような言い方でなく、もっとストレートに言ったらどうだい。 **はさみ(鋏・剪刀・螢・鉗)** 物を挟んで切る道具。切符などに穴をあける道具。ジャンケンのチョキ。カニなどの足で物を挟むところ。[文例]〈はさみで切る〉小包のひもをほどくのが面倒だったので、はさみで切って開けました。♠●へはさみで裁[た]つ〉型紙にあわせて布地をはさみで裁った。♠へはさみを入れる〉橋の竣工式[しゅんこうしき]で、町長さんがテープにはさみを入れた後、みんなで渡[わた]り初めをしました。♠●へはさみを入れる〉改札口では、駅員が次々と切符にはさみを入れていく。♠●ヘじゃんけんのはさみ〉じゃんけんのグーは石、パーは紙、チョキははさみとも言う。♠◆ヘカニのはさみ〉カニをつかまえようとしたら指をはさみではさまれた。 **はさみうち【挟み撃ち】** 両側から挟むようにして攻撃すること。[文例]〈挟み撃ちにする〉よし、わしはこっちから、おまえはあっちから、挟み撃ちにして獲物[えもの]を捕[と]らえよう。♠〈挟み撃ちにあう〉次郎は、さち子とゆき子の挟み撃ちにあって動けなくなってしまった。 **はさ・む【挟む】** 間に差し入れる。間に入れて両側から押さえ付ける。間に置く。聞き込む。口を出す。心にいだく。[文例]〈間に挟む〉とてもきれいな落ち葉だったので、拾って本の間に挟んでおいた。♠◆ヘドアに挟む〉急いで電車に飛び乗ったら、ドアにコートを挟まれてしまった。♠◆人耳[ひとみみ]に挟む〉鉛筆[えんぴつ]を耳に挟むと、おじさんは、今度はノートを一生懸命めくりだした。♠●へはしで挟む〉ご飯の中に石が混じっていたので、はしで挟んで取った。♠●〈道を挟む〉道を挟んで、向かい側には本屋とたばこ屋がある。♠●ヘテーブルを挟む〉彼とわたしはテーブルを挟んで向かい合って座った。♠〈戦争を挟んだ世代〉戦争を挟んだ二つの世代には、ものの考え方に違いがある。♠●〈小耳[こみみ]に挟む〉近所に住むお姉さん がお嫁[よめ]に行くといううわさを小耳に挟んだ。♠◆ヘ口を挟む〉途中[とちゅう]で口を挟まずに、人の話は最後まで聞きなさい。♠◆へ解釈・意見を挟む〉作者は解釈や意見を挟まず、事実だけを客観的に述べている。♠●へ疑いを挟む〉もはや疑いを挟む余地はない、やつが犯人だ。 **はさん【破産】** 全財産を失うこと。[文例]〈破産する〉事業を始めたものの、多額の借金をかかえ、とうとう破産してしまった。 **はし【橋】** 川・谷などの上に渡して道路・線路・水路などにする構築物。[文例]〈橋を架[か]ける〉湖に橋を架ける工事が始まった。♠へ橋を渡[わた]る〉ぼくたち兄弟は、学校へ行くのに、毎日、この橋を渡ったものだ。♠●へ橋を渡す〉彼らを大陸との間に文化の橋を渡した人と言うことができる。♠●へ危ない橋を渡る〉彼は仕事のうえでは、今までずいぶんと危ない橋を渡ってきた。♠●へにじの橋〉雨上がりの空ににじの橋がかかっている。♠●へ愛のかけ橋〉彼女の出した一通の手紙が、一組の男女の愛のかけ橋となった。♠●〈橋渡し〉彼は二つの国の平和のために、橋渡しをした人物です。 **はし【端】** へり。ふち。すみ。きれはし。一部分。はしっこ。はじ。[文例]〈道の端[はし]〉道の端を、とぼとぼと男は歩いていた。♠●〈西の端〉アジア大陸の西の端に、トルコ共和国という国があります。♠●〈目の端〉その時、猟師[りょうし]は目の端に何か動くものをとらえた。♠◆ヘ言葉の端〉母が怒[おこ]っているのがその言葉の端から理解できた。♠●へ端から端まで〉彼は法律にくわしく、六法全書を端から端まで読んでいるようだった。♠〈端から片づける〉頼[たの]まれた仕事を、てぎわよく端から片づけていきました。♠●へ切れ端〉ちぎれたポスターの切れ端を拾い集めてもとの形にしようとした。 **はし(箸)** 食物などを挟み持つ一対の棒。又[例]〈はしを置く〉父は急用を思い出したのか、食事の途中ではしを置いて自分の書斎へ行った。♠●へはしを取る〉みんなが食べ始めたのを見てから、母もようやくはしを取りました。♠●へはしをつける〉はしをつけたものは、残さず食べなさい。♠●へはし の上げ下ろし〉うちのおばあちゃんは、はしの上げ下ろしにまでうるさい人で、ずいぶん厳しくしつけられました。♠〈はしより重いものを持たない〉甲州屋の若だんなはお坊ちゃん育ちで、はしより重いものは持ったことがないそうな。♠◆へはしにも棒にもかからない〉きみは、はしにも棒にもかからないだめなやつだな。♠へはしが転[ころ]んでも笑う〉娘は、はしが転んでもおかしい年ごろらしく、ほんのちょっとしたことにもケラケラとよく笑う。 **はじ【恥】** 恥じること。不名誉。不面目。[文例]〈恥をかく〉人前でちゃんとあいさつぐらいできないと恥をかきますよ。♠●〈恥をさらす〉結婚式[けつこんしき]直前になって破談だなんて、まったくいい恥をさらしましたよ。♠●〈恥をしのぶ〉恥をしのんで言うが、少々金を用立ててはくれまいか。♠●へ恥をそそぐ〉父が受けた恥をそそぐため、自分の手で事の真相を確かめることにした。♠●〈恥の上塗[うわぬ]り〉一度恥をかいといて、また同じ失敗をしでかすなんて、そういうのを恥の上塗りって言うんだぞ。♠●へ恥知らず〉弱い女や子供をいじめるなんて、何て恥知らずなやつだ。♠●へ恥を知る〉きさま、それでも武士か、恥を知れ、恥を。♠一時の恥・一生の恥〉聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥。♠●へ旅の恥はかき捨て「旅の恥はかき捨て」なんてことにならないよう、旅先で浮かれすぎないでください。♠●〈恥も外聞[がいぶん]もない〉切迫[せつばく]状況下[じようきようか]では、人は恥も外聞もなく、本能のままに行動することがある。 **はじ【把持】** 握り持つこと。掌握[しょうあく]。[文例]〈把持[はじ]する〉権力を把持する者は、被支配者に対して、むしろ権力の強圧的な性格を露骨[ろこつ]に出すことを避けようとするものだ。 **はじ(端)** 』はし【端】 **はじい・る【恥じ入る】** 深く恥じる。[文例]相手の気持ちを考えず、自分の都合ばかり考えていたことに気づき、自分の未熟さに深く恥じ入った。♠◆小学生に信号無視を注意された男の人は、恥じ入った様子で頭をかいていた。 **はしか(麻疹)** 幼児が多くかかり、発熱と発疹[ほつしん]をともなう」 <875> 伝染病。[文例]へはしかにかかる〉病気といえば、子供の時はしかにかかったぐらいでいたって健康です。♠●へはしかのようなもの〉恋愛なんて、だれもが一度はかかるはしかのようなものさ。 **はじきだ・す【はじき出す】**(弾き出す) はじいて外に出す。排除する。算出する。[文例]〈豆をはじき出す〉乾かしたさやを打って、中の豆をはじき出す作業を手伝いました。♠●〈集団からはじき出す〉みんなと違った行動をとると集団からはじき出されるのではないか、という不安がわたしたちにはある。♠●〈費用をはじき出す〉交通費や宿泊料、食事代などをざっとはじき出すと、旅行の費用は一人二万円くらいだろう。 **はじく(弾く)** はね返すように打つ。はね返す。(そろばんで)計算する。[文例]〈指ではじく〉ギターのように指ではじいて音を出す楽器を撥弦[はつげん]楽器といいます。♠●〈石をはじく〉庭で鶏[にわとり]がせっせと小石をはじき、えさを探し出しています。♠●〈水をはじく〉雨の日のレインコートは、水をはじいてキラキラ輝[かがや]いている。♠●へそろばんをはじく〉これだけ客 が入っても、元がかかってるから、そろばんをはじくと収支トントンだな。 **はしけ(艀)** 船と桟橋の間を行き来して、貨物や乗客を運ぶ小舟。はしけ舟。[文例]岸壁と本船の間をはしけが人や荷物を乗せてにぎやかに行き来しているのも、港らしい風景である。 **はしげた【橋げた】**(橋桁) 橋の脚部の上に渡して、橋の上部を支える横板。[文例]豪雨[ごうう]で川が氾濫[はんらん]し、どうどうと響きをあげる激流[げきりゆう]が橋げたを洗い、押し流そうとしていた。 **はじ・ける(弾ける)** はねとぶ。勢いよく飛び散る。外の皮が裂ける。はぜる。[文例]へくりがはじける〉いろりの火に入れておいたくりがはじけて、大きな音がした。♠●へさやがはじける〉ほうせんかの種が熟すると、ひとりでにさやがはじけて、中の種子が飛び散る。♠●へ笑い声がはじける〉ピエロが大げさに転ぶと、場内に子供たちの笑い声がはじけた。「 **はしご (梯子)** 物に寄せ懸けたり、つるしたりして高い所に登るための道具。はしご酒。[文例]〈はしごをかける〉雨もりがするというので、はしごをかけて屋根に上ってみた。♠●〈はしごを上る〉下人[げにん]は、やもりのように足音をぬすんで、やっと急な梯子を、いちばん上の段まで這[は]うようにして上りつめた。(芥川龍之介[あくたがわりゆうのすけ]「羅生門[らしようもん]」)♠●〈人を二階にあげてはしごをはずす〉人をそそのかしてその気にさせ、当人は知らん顔だなんて、人を二階にあげてはしごをはずすようなものだ。♠●へはしごをする〉ゆうべ、三、四軒はしごをして、かなり遅くまで飲んだので、今朝は二日酔いだ。♠●へはしご段〉踊[おど]り子が玄関の板敷[いたじき]で踊るのを、わたしは梯子段の中途に腰を下ろして一心に見ていた。(川端康成[かわばたやすなり]「伊豆の踊り子」) **はした(端)** ある数量・単位をこえたり、それに足りなかったりしたわずかな分。はんぱ。[文例]〈はしたを切り捨てる〉近所の肉屋さんでは、いつも十円以下のはしたを切り捨てた値で売ってくれる。♠●へはした金〉今どき、百円ぽっちのはした金じゃ子供の小遣[こづか]いにもなりゃしない。 **はしたな・い** つつしみがない。不作法だ。みっともない。[文例]〈はしたない言葉〉女の子がそんなはしたない言葉遣[づか]いをしてはいけません。♠●へはしたないこと〉おしりでふすまを閉めるなんてはしたないことをすると、せっかくの晴れ着が泣きますよ。 **ばじとうふう【馬耳東風】** 他人の意見を聞き流すこと。馬の耳に念仏。[文例]あの子はいくら説教しても、馬耳東風でいっこうに効き目がない。♠●へ馬耳東風と聞き流す〉父は母の意見を馬耳東風と聞き流し、全くうけつけなかった。 **はしなく【端無く】** 思いがけず。ふと。はからずも。[文例])わたしが日ごろ口にしていた計画が、はしなくも社長の耳に止まってくわしく説明せよということになった。♠◆就職のために戸籍謄本[こせきとうほん]を取り寄せ、はしなくもわたしは自分の出生の秘密を知った。 **はじま・る【始まる】** 新しく起こる。習慣・くせになった言 動が出てくる。(「・・・しても始まらない」で)むだである。〔[文例])〈春が始まる〉暦[こよみ]の上では、節分が二月三日、あるいは四日で、その翌日が立春。つまり春が始まる日です。♠〈新学期が始まる〉新学期が始まるまでに、宿題はちゃんとやっとけよ。♠●へ生が始まる〉木は切り倒された時第一の生を終え、建物に使われた時第二の生が始まる。♠●へつきあいが始まる〉ぼくらのつきあいは、この事件をきっかけに始まった。♠●へ~しても始まらない〉やってしまったことはしかたがない、今さら後悔[こうかい]しても始まらないだろ。「ほらまた始まった。」と、いつもの癖[くせ]をからかわれた。 **はじめ【初め・始め】** 初期。最初。第一。先頭。起こり。始めること。開始。[文例]〈初めのうち〉初めのうちはおもしろかったが、じきにあきてしまった。♠●〈明治の初め〉日本の各地から北海道に移住者が渡ってきたのは、明治の初めです。♠●〈冬の初め〉毎年、冬の初めに、北の方から白鳥が渡ってくる。♠●〈人類の初め〉人類の初めは、今から三五〇万年前にさかのぼるという。♠●〈初めから終わりまで〉初めから終わりまで手を抜かずに、きちんと作業をすること。♠●へ会うは別れの始め〉会うは別れの始めといいます、ここで会ったぼくたちもいずれは別れていくのでしょう。♠●へ〜をはじめ〉川は、飲み水をはじめ、人間の生活に必要な水の供給源なのです。 **はじめて【初めて】** 最初に。新たに。[文例]〈生まれて初めて〉わたしは、生まれて初めて人を愛したのだと思う。♠ぼくは、小学校の臨海学校で初めて海水浴を経験したのです。♠◆自分が親になってみて初めて、両親の愛の深さに気づきました。 **はじ・める【始める】** 開始する。新しく起こす。とりかかる。[文例]】〈仕度[したく]を始める〉日が落ちると、大工さんたちはのみやかんなを片づけて、帰り仕度を始めた。♠●へ勉強を始める〉家へ帰って、すぐ勉強を始める気になんかなりゃしない。♠●へ事業を始める〉紀元前三三四年、アレキサンダー大王はアジア遠征[えんせい]という大事業を始めた。♠●へひとり歩きを <876> 始める〉十八になった彼は親[おや]もとを離[はな]れて、いよいよひとり歩[ある]きを始めた。♠〈居眠[いねむ]りを始める〉暖[あたた]かい日の昼下[ひるさ]がり、うちの猫[ねこ]はいつも縁側[えんがわ]で居眠りを始める。♠へ愚痴[ぐち]を始める〉父[ちち]は酔[よ]いが回[まわ]ってくるといつもの愚痴を始めた。♠へ隗[かい]より始めよ〉人類[じんるい]の平和[へいわ]を唱[とな]えるなら、まず隗より始めよ。隣人[となりびと]を愛[あい]せないものに、平和を説[と]く資格[しかく]はない。 **はしゃ【覇者】**○征服者[せいふくしゃ]。支配者[しはいしゃ]。勝利者[しょうりしゃ]。[文例]〈地球[ちきゅう]の覇者〉人間[にんげん]は文化[ぶんか]の力[ちから]によって、自然界[しぜんかい]をも他[た]の生物界[せいぶつかい]をも征服[せいふく]して、ついに地球上の覇者になったのです。♠へ天下[てんか]の覇者>秀吉[ひでよし]は、ついに全国統一[ぜんこくとういつ]を成[な]し遂[と]げ、天下の覇者となった。 **ばしゃ【馬車】**○馬[うま]に引[ひ]かせる車[くるま]。[文例]〈馬車に乗[の]る〉ふもとの村[むら]から郵便局[ゆうびんきょく]の赤[あか]い馬車に乗せてもらって、町[まち]まで出[で]かけて行[い]く。♠へほろ馬車〉はるかなる広野[こうや]をほろ馬車が駆[か]けて行[ゆ]く。◆◇馬車馬[ばしゃうま]>思[おも]えば今日[こんにち]まで、毎日毎日[まいにちまいにち]馬車馬のように働[はたら]いてきたんだなあ。 **はしゃぎまわ・る【はしゃぎ回る】**○はしゃいで飛[と]び回[まわ]る。[文例]幼稚園[ようちえん]の庭[にわ]では、子供[こども]たちが一日中[いちにちじゅう]はしゃぎ回っている。♠合格[ごうかく]と知[し]った瞬間[しゅんかん]、ぼくはうれしくてその場[ば]をはしゃぎ回っていた。 **はしゃ・ぐ**○うかれ騒[さわ]ぐ。すっかり乾[かわ]く。[文例]〈子供[こども]がはしゃぐ〉隣[となり]の家[いえ]から、キャッキャッとはしゃぐ子供の声[こえ]が聞[き]こえる。♠へはしゃぎたい気分[きぶん]〉無事[ぶじ]高校[こうこう]に合格[ごうかく]したぼくたちは、はしゃぎたい気分で街[まち]へ出[で]かけていった。♠へ浮[う]かれてはしゃぐ〉ディズニーランドへ行[い]くと、一緒[いっしょ]に来[き]た父[ちち]や母[はは]のほうが浮かれてはしゃいでいた。♠へおけがはしゃぐ>長年[ながねん]しまっておいたおけを出してみたら、すっかりはしゃいで使[つか]えなかった。 **ばしょ【場所】**○所[ところ]。場[ば]。位置[いち]。いる所。季節[きせつ]を定[さだ]めた相撲[すもう]の興行[こうぎょう]。また、その興行地[こうぎょうち]。[文例]〈時[とき]や場所に応[おう]じる〉時や場所に応じた服装[ふくそう]をするのは、簡単[かんたん]なようで実[じつ]は難[むずか]しい。♠へ置[お]く場所〉〈場所がない〉置く場所がないからといって、父[ちち]はなかなかピアノを買[か]ってくれない。♠〈場所が悪[わる]い〉ここは場所が悪い。別[べつ]のところをさがそう。♠〈場所を取[と]る>土産[みやげ]にもらった置[お]きものは、机[つくえ]の上[うえ]に置くには場所を取りすぎる。♠〈場所を取る>日曜日[にちようび]に広場[ひろば]を使[つか]うのなら、よほど早起[はやお]きをして場所を取らないといけないよ。♠〈相撲[すもう]の場所>今場所[こんじょう]はけがに泣[な]いた横綱[よこづな]だが、次[つぎ]の場所は期待[きたい]できそうだ。♠〈場所がら〉あの人[ひと]の場所がらをわきまえない態度[たいど]にも困[こま]ったものです。 **ばじょう【馬上】**○馬[うま]の上[うえ]。馬の背[せ]。馬に乗[の]っていること。[文例]〈馬上豊[ばじょうゆた]かに立[た]つ〉武将[ぶしょう]は鎧[よろい]をふんばり馬上豊かに立つと、大声[おおごえ]をあげて名乗[なの]った。♠〈馬上[ばじょう]の人[ひと]>旅[たび]の男[おとこ]は少女[しょうじょ]にほほえみかけると、再[ふたた]び馬上の人となった。 **ばしょがら【場所柄】**○その場所[ばしょ]特有[とくゆう]の様子[ようす]や性質[せいしつ]。[文例]山[やま]の中[なか]とは言[い]っても、観光地[かんこうち]という場所柄、あかぬけた雰囲気[ふんいき]をもった町[まち]だった。♠へ場所柄をわきまえる〉場所柄をわきまえて、無礼[ぶれい]な振[ふ]る舞[ま]いは慎[つつし]むように。 **はしょ・る(端折る)**○着物[きもの]のすそを折[お]って帯[おび]にはさむ。省略[しょうりゃく]する。[文例]〈裾[すそ]をはしょる〉女[おんな]は着物の裾がぬれないようにはしょると、男[おとこ]の背中[せなか]を流[なが]しはじめた。♠へ尻[しり]をはしょる〉こうしちゃいられない、と言[い]うや、男は尻をはしょって駆[か]け出[だ]した。♠へ話[はなし]をはしょる〉時間[じかん]がないから、少[すこ]し話をはしょって言[い]いますよ。 **はしら【柱】**○直立[ちょくりつ]して建物[たてもの]の上部[じょうぶ]を支[ささ]える長[なが]い材[ざい]。高[たか]く直立して上部を支える物[もの]。また、その形状[けいじょう]に似[に]たもの。中心[ちゅうしん]となって全体[ぜんたい]を支えるもの・人[ひと]。神[かみ]・霊[れい]などを数[かぞ]える語[ご]。[文例]〈建物[たてもの]の柱>法隆寺[ほうりゅうじ]の柱はエンタシスといわれる形式[けいしき]のものです。♠へ人柱[ひとばしら]につなぐ>弟[おとうと]のサブはいたずらをしたので、父[ちち]に柱につながれた。♠〈火[ひ]の柱[はしら]〉大[おお]きな爆発音[ばくはつおん]とともに、燃[も]えさかる火が太[ふと]い柱になって、空[そら]につき上[あ]げていった。♠〈柱になる〉その改革案[かいかくあん]では、国鉄[こくてつ]の民営化[みんえいか]が大[おお]きな柱になっていた。♠へ一家[いっか]の柱〉一家の柱である父に死[し]なれ、親子[おやこ]三人[さんにん]途方[とほう]に暮[く]れております。 **はじらい【恥じらい】**○恥[は]ずかしがること。[文例]〈恥じらいの表情[ひょうじょう]〉ふと触[ふ]れた先生[せんせい]の手[て]に、少年[しょうねん]は恥じらいの表情を見せた。♠<恥じらいがない>若[わか]い娘[むすめ]が恥じらいもなく、大口[おおぐち]開[あ]けてあんパンにぱくついている。◆他人[たにん]に対[たい]する思[おも]いやりや恥じらい、心遣[こころづか]いといった感情[かんじょう]は、日本人[にっぽんじん]の最[もっと]も美[うつく]しい特性[とくせい]であろう。 **はじら・う【恥じらう】**○恥[は]ずかしがる。[文例]奥[おく]さん、と呼[よ]ばれて恥じらう新妻[にいづま]の初々[ういうい]しさよ。♠〈花[はな]も恥じらう〉さっちゃんもすっかり娘[むすめ]らしくきれいになったねえ、花も恥じらう年[とし]ごろだね。 **はしり【走り】**○走[はし]ること。走[はし]り方[かた]。進[すす]み具合[ぐあい]。台所[だいどころ]の流[なが]し。魚[さかな]・野菜[やさい]などの初物[はつもの]。物事[ものごと]の現象[げんしょう]の初[はじ]め。[文例]〈豪快[ごうかい]な走[はし]り〉後半[こうはん]は少[すこ]しバテ気味[ぎみ]だったが、福岡[ふくおか]マラソンの中山[なかやま]は豪快な走りを見[み]せてくれた。♠へ筆[ふで]の走[はし]り〉ふだん手紙[てがみ]など書[か]いたことがないものだから、いざとなると筆の走りが悪[わる]い。◆〈走[はし]りのカツオ〉まだ走りのカツオなので、あぶらが乗[の]っているかどうか。◆<梅雨[つゆ]の走[はし]り〉梅雨の走りというのでしょうか、五月[ごがつ]の半[なか]ばにしとしとと雨[あめ]が降[ふ]り続[つづ]いた。 **はしりがき【走り書き】**○急[いそ]いで文字[もじ]を書[か]きつけること。また、書きつけたもの。[文例]〈走[はし]り書[が]きのす〉息子[むすこ]からの手紙は、仕送[しおく]りをたのむという走り書きの簡単極[かんたんきわ]まるものでした。♠へ走[はし]り書[が]きする〉少女[しょうじょ]は、意味不明[いみふめい]の文字を走り書きして、突然[とつぜん]姿[すがた]を消[け]してしまった。 **はしりこ・む【走り込む】**○走[はし]って来[き]て、中[なか]へ入[はい]る。十分[じゅうぶん]に走[はし]って練習[れんしゅう]する。[文例]〈交番[こうばん]に走[はし]り込[こ]む〉一人[ひとり]の男[おとこ]が、「泥棒[どろぼう]だあ!」と息[いき]せききって交番に走り込んで来た。♠やはり走[はし]り込[こ]んでいる選手[せんしゅ]は足腰[あしこし]が強[つよ]いね。 **はしりづかい【走り使い】**○走[はし]り回[まわ]って使[つか]いをすること。また、その人[ひと]。使[つか]い走[ばし]り。[文例]〈走[はし]り使[づか]いの仕事[しごと]〉入社[にゅうしゃ]したものの、走り使いの仕事に追[お]い回[まわ]されるので、いや気[き]がさしてしまった。♠へ走[はし]り使[づか]いをする〉下[した]っぱは、上役[うわやく]の走り使いばかりさせられていやになる。 **はし・る【走る】**○駆[か]ける。速[はや]く進[すす]む。一定方向[いっていほうこう]に延[の]びている。すばやく動[うご]く。感情[かんじょう]・感覚[かんかく]が急[きゅう]に伝[つた]わる。急[いそ]ぐ。逃[に]げる。ひたすらある方向[ほうこう]へ進[すす]む。夢中[むちゅう]になる。[文例]〈人[ひと]が走[はし]る>長距離[ちょうきょり] <877> 離[ちょうきょり]ランナーがひたすらゴールめざして走[はし]る姿[すがた]は、見[み]る者[もの]の胸[むね]を打[う]つ。◆◇馬[うま]が走[はし]る〉大陸[たいりく]の広大[こうだい]な平原地帯[へいげんちたい]では、野生[やせい]の馬の群[む]れが縦横無尽[じゅうおうむじん]に走っている。♠〈列車[れっしゃ]が走る>新幹線[しんかんせん]「ひかり」は、東京[とうきょう]、大阪間[おおさかかん]を三時間[さんじかん]で走る。◆へ道[みち]が南北[なんぼく]に走る〉この島[しま]では、南北に走る自動車道[じどうしゃどう]が建設[けんせつ]されて、島の開発[かいはつ]を助[たす]けている。♠へ鉄道[てつどう]が走る〉開町[かいちょう]三十周年[さんじっしゅうねん]を記念[きねん]して、この町[まち]まで鉄道が走ることになった。♠〈水[みず]が走る〉流[なが]れはこのあたりで速[はや]くなり、なめらかな岩肌[いわはだ]を、水が走っていく。♠へ稲妻[いなずま]が走る〉この序曲[じょきょく]は、稲妻が走り、あらしが吹[ふ]き荒[あ]れる様子[ようす]を表現[ひょうげん]している。♠〈山脈[さんみゃく]が走る〉国土[こくど]の中央[ちゅうおう]を背骨[せぼね]のように山脈が走っている。♠〈亀裂[きれつ]が走る〉大[おお]きな地震[じしん]のあと、壁[かべ]に亀裂が走っているのに気[き]がついた。♠〈背筋[せすじ]に冷[つめ]たいものが走る〉三輪車[さんりんしゃ]に乗[の]った小[ちい]さい子[こ]の事故[じこ]と聞[き]いて、一瞬[いっしゅん]背筋に冷たいものが走った。♠へ痛[いた]みが走る>突然[とつぜん]、胸[むね]に痛みが走り、わたしはその場[ば]にしゃがみこんでしまった。♠へ虫[むし]ずが走る〉あいつのようなにやけた男[おとこ]には、ぼくは虫ずが走るんだ。♠へ使[つか]いに行[ゆ]く>母[はは]に言[い]いつけられて、ぼくは隣町[となりまち]に住[す]む伯父[おじ]の家[いえ]まで使いに走った。♠〈使[つか]いを使[つか]わせる〉いま、使いを走らせましたから、まもなく医者[いしゃ]が来[き]てくれますよ。♠へ鉛筆[えんぴつ]を走らせる〉教室[きょうしつ]は静[しず]まりかえり、答案[とうあん]に向[む]かって鉛筆を走らせる音[おと]だけが聞[き]こえた。♠〈金策[きんさく]に走る〉まじめな息子[むすこ]が親[おや]の不始末[ふしまつ]のために、金策に走るのは気[き]の毒[どく]だ。♠〈恋人[こいびと]のもとへ走る〉あの娘[むすめ]は、親を捨[す]てて恋人のもとへ走ったそうだ。♠〈敵方[てきかた]に走る〉状況[じょうきょう]が味方[みかた]に不利[ふり]とみて、ずるがしこい彼[かれ]は敵方[てきかた]に走った。◆〈感情[かんじょう]に走る〉彼女[かのじょ]はとかく感情に走るので、冷静[れいせい]な判断力[はんだんりょく]を必要[ひつよう]とする仕事[しごと]にはむいていない。♠〈学生運動[がくせいうんどう]に走る>当時[とうじ]は、社会正義[しゃかいせいぎ]に燃[も]えた多[おお]くの青年[せいねん]たちが学生運動に走っていった。♠〈欲[よく]に走る>政治家[せいじか]たちは私利私欲[しりしよく]に走り、みにくい姿[すがた]を国民[こくみん]にさらしていた。♠〈極端[きょくたん]に走る〉きみは、極端に走りすぎるよ。もう少[すこ]し穏[おだ]やかな考[かんが]え方[かた]ができないものかね。◆〈悪事千里[あくじせんり]を走る〉「悪事千里を走る」と言って、うまく立[た]ち回[まわ]っても必[かなら]ず世間[せけん]にうわさは立[た]つものだ。 **は・じる【恥じる】**○恥[は]ずかしく思[おも]う。面目[めんぼく]をけがす。[文例]〈未熟[みじゅく]を恥じる〉欠点[けってん]の多[おお]い自分[じぶん]の至[いた]らなさに気[き]づき大[おお]いにその未熟を恥じた。♠〈罪[つみ]を恥じる〉社会[しゃかい]に対[たい]して罪を恥じ、反省[はんせい]を示[しめ]すことが被告[ひこく]に要求[ようきゅう]された。♠〈世間[せけん]に恥じる〉人[ひと]に何[なん]と言われようと、わたしはそれが世間に恥じない行為[こうい]であると信[しん]じている。♠〈名[な]に恥じる〉引退[いんたい]した横綱[よこづな]は名力士[めいりきし]の名に恥じない強[つよ]さだった。♠〈恥じるところはない〉世間ではどう言っているか知[し]らないが、わたしには何[なん]ら恥じるところはない。 **はしわたし【橋渡し】**○橋[はし]をかけ渡[わた]すこと。仲立[なかだ]ち。仲介[ちゅうかい]。[文例]〈橋渡[はしわた]しをする〉直接[ちょくせつ]彼女[かのじょ]に交際[こうさい]を申[もう]し込[こ]みにくかったら、ぼくが橋渡しをしてやってもいいよ。♠へ取[と]り引[ひ]きの橋渡[はしわた]し〉大学[だいがく]の先輩[せんぱい]があの会社[かいしゃ]にいるので、今度[こんど]の取り引きの橋渡しを頼[たの]めるかどうか聞[き]いてみようと思[おも]う。 **はす(斜)**○斜[なな]め。はすかい。すじかい。[文例]へはすに立[た]てかける〉家[いえ]の軒先[のきさき]には、何本[なんぼん]もの竹[たけ]がはすに立[た]てかけてあった。♠へはすに切[き]る〉板[いた]をナイフではすに切って筋目[すじめ]を入[い]れた。♠へはすに構[かま]える〉彼[かれ]は、いつもすねたようにはすに構えている。♠へはす向[む]かい〉少年[しょうねん]は、いつもはす向かいの店[みせ]にお菓子[かし]を買いに行[い]く。 **はず(筈)**○当然[とうぜん]・道理[どうり]・予定[よてい]を表[あらわ]す語[ご]。矢[や]の端[はし]の、弓[ゆみ]のつるにかける所[ところ]。弓の両端[りょうたん]のつるを結[むす]ぶ所。相撲[すもう]のはず押[お]し。[文例]もう着[つ]いてもいいはずなのに、道[みち]に迷[まよ]ったのかしら。♠ああ、うまくいくはずだったのになあ。♠きみならこんな問題[もんだい]、解[と]けないはずはないよ。 **バス**○乗合自動車[のりあいじどうしゃ]。[文例]〈バスに乗[の]る〉社会科[しゃかいか]の時間[じかん]に、バスに乗って工場見学[こうじょうけんがく]に出[で]かけた。♠ヘバスを降[お]りる〉バスを降りて、二三分[にさんぷん]歩[ある]くとおじさんの家[いえ]に着[つ]く。♠ヘバスに乗[の]り遅[おく]れる>周囲[しゅうい]が就職活動[しゅうしょくかつどう]を始[はじ]めたのを見[み]て、バスに乗り遅れては大変[たいへん]と、わたしも活動を始[はじ]めた。 **パス**○通過[つうか]。合格[ごうかく]。味方[みかた]に球[たま]を渡[わた]すこと。トランプで自分[じぶん]の順番[じゅんばん]を休[やす]むこと。無料入場券[むりょうにゅうじょうけん]。定期券[ていきけん]。[文例]ヘパスが通[とお]る〉味方にパスが通らないようでは、攻撃[こうげき]がうまくつながらない。◆<試験[しけん]にパスする〉店長[てんちょう]の面接試験[めんせつしけん]にパスしないと、アルバイトとして雇[やと]ってもらえないのだそうだ。◆ヘパスする「おい、きみの番[ばん]だぞ。どれでも好[す]きなカードをとれよ。」「ぼく、パスする。」◆ヘパスする〉優勝候補[ゆうしょうこうほ]の選手[せんしゅ]は一[いち]メートル六〇[ろくじゅう]までパスして、六三[ろくさん]から試技[しぎ]を開始[かいし]した。←〈無料入場[むりょうにゅうじょう]のパス〉これは無料入場のパスだから、入[い]り口[ぐち]で係員[かかりいん]に見[み]せるだけでよい。 **ばすえ【場末】**○町[まち]の中心部[ちゅうしんぶ]から外[はず]れた所[ところ]。[文例]場末の古道具屋[ふるどうぐや]で、思[おも]いがけず掘[ほ]り出[だ]し物[もの]を見[み]つけた。◆貧[まず]しい学生時代[がくせいじだい]、友達[ともだち]と場末の映画館[えいがかん]に三本立[さんぼんだ]ての安[やす]い映画[えいが]を見[み]に行[い]くのが楽[たの]しみだった。 **はすかい(斜交い)**○斜[なな]め。はす。[文例]〈はすかいに組[く]む>庭木[にわき]が倒[たお]れないように、棒[ぼう]をはすかいに組んで立[た]て、支[ささ]えにした。♠へはすかいに見[み]る〉大人[おとな]になっても、祖父[そふ]がメガネ越[ご]しにはすかいにこちらを見ると、何[なに]か怒[おこ]られるのではと気[き]になる。 **はずかし・い【恥ずかしい】**○面目[めんぼく]ない。きまりが悪[わる]い。てれくさい。気[き]おくれする。「[文例]周[まわ]りが恥ずかしくなるような歌[うた]はうたうな。♠〈恥ずかしい姿[すがた]〉こんな所[ところ]であなたにお目[め]にかかるとは、恥ずかしい姿をお見[み]せいたしました。♠あの人[ひと]に見[み]つめられると、恥ずかしくてつい顔[かお]を下に向けしまう。♠この子[こ]の行為[こうい]は、大人[おとな]の我々[われわれ]が恥ずかしくなるほど立派[りっぱ]なものであった。♠母親[ははおや]の陰[かげ]に隠[かく]れて、少女[しょうじょ]は恥ずかしそうに笑[わら]っていた。 **はずかしめ【辱め】**○恥辱[ちじょく]。屈辱[くつじょく]。[文例]〈辱[はずかし]めを与[あた]える>校則[こうそく]を破[やぶ]ったからといって、全校生徒[ぜんこうせいと]の前[まえ]で辱めを与[あた]えるようなやり方[かた]は納得[なっとく]しかねる。♠へ辱[はずかし]めを受[う]ける〉公[おおやけ]の場[ば]で辱めを受[う]けた悔[くや]しさが、わたしはどうしても忘[わす]れられなかった。 **はずかし・める【辱める】**○恥[はじ]をかかせる。名誉[めいよ]をけがす。貞操[ていそう]をけがす。[文例]イエスは、十字架[じゅうじか]にかけられる前[まえ]に、茨[いばら]の冠[かんむり]をかぶせられて辱[はずかし]められた。◆「顔[かお]に泥[どろ]を塗[ぬ]る」とは、相手[あいて]をひどく辱めることをいう慣用句[かんようく]である。♠へ家名[かめい]を <878> 辱[はずかし]める〉おまえは、そんなばかなことをして、この家[いえ]の家名[かめい]を辱めるつもりか。♠へ地位[ちい]を辱める〉私[わたくし]ごとき者[もの]では、役員[やくいん]の地位を辱めることになると心配[しんぱい]ですが、精一杯[せいいっぱい]務[つと]めます。 **はず・す【外す】**○掛[か]けてある物[もの]、はまっている物を取[と]り去[さ]る。席[せき]や場[ば]を離[はな]れる。そらす。のがす。[文例]〈ボタンを外[はず]す〉父[ちち]はワイシャツのボタンを外すと、大儀[たいぎ]そうに脱[ぬ]いだ。◆〈眼鏡[めがね]を外す〉強度[きょうど]の近眼[きんがん]なので、眼鏡を外すと何[なに]にも見[み]えなくなってしまいます。◆ヘチェーンを外す〉扉[とびら]の向[む]こう側[がわ]でドアチェーンを外す音[おと]がして、戸[と]がギーッと開[あ]いた。♠〈掛[か]け軸[じく]を外[はず]す〉大事[だいじ]なお客[きゃく]があるので、客間[きゃくま]の掛け軸を外して上等[じょうとう]なものに取りかえました。♠ヘコースを外す〉故意[こい]にコースを外して、相手[あいて]を妨害[ぼうがい]すると失格[しっかく]です。♠〈席[せき]を外す〉会議[かいぎ]の途中[とちゅう]、彼[かれ]は急[きゅう]に腹痛[ふくつう]に襲[おそ]われて席を外した。♠〈メンバーから外す〉欠席[けっせき]が多[おお]いから、彼[かれ]はメンバーから外してしまおう。♠〈仕事[しごと]を外[はず]される〉彼[かれ]は四月[しがつ]からは、今[いま]までの仕事[しごと]を外されることになっていた。♠ヘタイミングを外す〉タイミングを外すと切[き]り出[だ]しにくくなるから、打ち明けるなら今[いま]のうちよ。♠〈機会[きかい]を外す〉この機会を外したら、二度[にど]と話[はな]し合[あ]えるチャンスはないかもしれない。 **はずみ【弾み】**○はずむこと。弾力[だんりょく]。勢[いきお]い。なりゆき。ある動作[どうさ]の余勢[よせい]。[文例]〈ボールの弾[はず]み〉雨[あめ]の日[ひ]と違[ちが]って、今日[きょう]は天気[てんき]がよいからボールの弾みもきっといいだろう。♠へ転[ころ]んだ弾み〉転んだ弾みに財布[さいふ]を落[お]としたらしい。♠へ弾みがつく〉駆[か]け足[あし]で坂道[さかみち]をくだると、弾みがついて止[と]まらなくなることがある。♠へ弾[はず]みがつく〉試験[しけん]が終[お]われば思[おも]う存分[ぞんぶん]遊[あそ]べると思[おも]うと、勉強[べんきょう]にもいっそう弾みがついた。♠人ものの弾み〉だれでも、ものの弾みでうそをついてしまった経験[けいけん]が、一度[いちど]はあると思[おも]います。♠へ話[はなし]の弾み〉自分[じぶん]から言[い]うつもりはなかったが、話の弾みで、つい彼女[かのじょ]のことを彼[かれ]に話[はな]してしまった。♠へ心[こころ]の弾み〉苦労[くろう]して作[つく]った本[ほん]だけに、読者[どくしゃ]の評判[ひょうばん]がよかった時[とき]の喜[よろこ]び、心の弾みは人一倍[ひとちばい]大[おお]きかった。 **はず・む【弾む】**○はね返[かえ]る。勢[いきお]いづく。激[はげ]しくなる。思[おも]い切[き]ってたくさんの金銭[きんせん]を与[あた]える。[文例]〈ゴムまりのように弾[はず]む>選手[せんしゅ]の体[からだ]がゴムまりのように空中[くうちゅう]に弾む。♠へ心[こころ]が弾む〉初[はじ]めての海外旅行[かいがいりょこう]で不安[ふあん]もあったが、わたしの心は大[おお]きく弾んでいた。♠く話[はなし]が弾む>鈴木先生[すずきせんせい]と田中[たなか]さんとは同級生[どうきゅうせい]の間柄[あいだがら]なので、話が弾む。♠〈息[いき]を弾[はず]ませる〉始業[しぎょう]のベルとともに、四人[よにん]ははあはあと息を弾ませながら教室[きょうしつ]に入[はい]ってきた。♠〈弾[はず]んだ声[こえ]>毎朝[まいあさ]、彼[かれ]は元気[げんき]な弾んだ声で「おはよう。」と声[こえ]をかける。♠へ弾むような音[おと]〉朝[あさ]の静寂[せいじゃく]を破[やぶ]り、弾むような馬[うま]のひづめの音[おと]がだんだんと近[ちか]づいてきた。◆ヘチップを弾む>彼[かれ]は、ホテルのボーイに気前[きまえ]よくチップを弾んだ。 **パズル**○頭[あたま]をひねる問題[もんだい]。なぞなぞ。[文例]〈パズルを解[と]く〉懸賞[けんしょう]つきのクロスワードパズルを解いてみたが、意外[いがい]に難[むずか]しかった。♠ヘパズルをする〉この正月[しょうがつ]は、テレビを見[み]たり、子供[こども]とゲームやパズルをしてのんびり過[す]ごした。♠ヘパズルに興[きょう]じる〉外[そと]は雪[ゆき]なので、子供たちは部屋[へや]の中[なか]でパズルに興じている。 **はずれ【外れ】**○外[はず]れること。当[あ]たらないこと。中心[ちゅうしん]から離[はな]れている所[ところ]。[文例]〈町[まち]の外れ〉この町の外れには、だれも近[ちか]寄[よ]らない古[ふる]い洋館[ようかん]があります。♠〈高原[こうげん]の外れ〉この地図[ちず]によると、目的[もくてき]のペンションは高原の外れにあった。♠へ季節外[きせつはず]れ〉彼[かれ]の家[いえ]を訪[たず]ねたのは、散歩[さんぽ]には季節外れの、二月[にがつ]の寒[さむ]い日[ひ]であった。♠へ仲間外[なかまはず]れ〉少[すこ]しおくびょうだというだけで、彼を仲間外れにするのは納得[なっとく]できないね。◆へ当[あ]たり外[はず]れ〉スイカにも当[あ]たり外[はず]れがあるから、できるだけおいしそうなのを選[えら]ばなくてはね。◆へ期待外[きたいはず]れ〉前宣伝[まえせんでん]が派手[はで]なわりには、今年[ことし]のお正月映画[しょうがつえいが]は期待外れだった。◆く見当外[けんとうはず]れ>彼[かれ]は時々[ときどき]見当外れのお世辞[せじ]を言[い]っては、わたしを困惑[こんわく]させた。 **はず・れる【外れる】**○掛[か]けてある物[もの]、はまっている物[もの]が取[と]れる。それる。当[あ]たりにならないで終[お]わる。そむく。[文例]戸[と]が外れる〉そんなに乱暴[らんぼう]にたたかないでください、戸が外れてしまいますよ。♠ヘボタンが外れる〉きみのワンピースのボタンが外れているよ。♠へあごが外れる〉あまり大口[おおぐち]をあけるとあごの骨[ほね]が外[はず]れるよ。◆へねらいが外れる〉ねらいが外れて、この夏[なつ]はクーラーの売[う]れ行[ゆ]きがさっぱりだった。◆<予報[よほう]が外れる〉いつも当[あ]たる天気予報[てんきよほう]だって、たまには外れることもあるよ。♠へ期待[きたい]が外れる〉待[ま]ちに待[ま]ったことだけに、期待が外れた時[とき]のショックは大[おお]きかった。♠へくじに外れる〉わたしを含[ふく]め、クラスの大半[たいはん]がくじに外れてがっかりしていた。◆〈本流[ほんりゅう]から外れる〉彼[かれ]の前衛的[ぜんえいてき]な花[はな]は、伝統的[でんとうてき]な華道[かどう]の本流からは外れていた。♠へ道[みち]に外れる〉人[ひと]の道に外れた行[おこな]いをしてはいけない。◆<規則[きそく]に外れる〉我[わ]が校[こう]では、学校[がっこう]の規則に外れない限[かぎ]り、生徒[せいと]の自主性[じしゅせい]を尊重[そんちょう]しています。♠へ人並[ひとな]み外[はず]れる〉彼[かれ]は、政治家[せいじか]として人並み外れた能力[のうりょく]を持[も]っている。 **はせい【派生】**○元[もと]から分[わ]かれて生[しょう]じること。[文例]〈派生[はせい]する〉ゲルマン系[けい]とは、インドヨーロッパ語族[ごぞく]に属[ぞく]するゲルマン語から派生した諸言語[しょげんご]を話[はな]す民族[みんぞく]の総称[そうしょう]です。♠へ派生[はせい]する>完全[かんぜん]に解決[かいけつ]したつもりでも、気[き]づかないうちにそこから別[べつ]の問題[もんだい]が派生することがある。♠〈派生的[はせいてき]>基本的[きほんてき]な意味[いみ]から分[わ]かれてできた意味を派生的な意味という。♠へ派生語[はせいご]>単純語[たんじゅんご]に接頭語[せっとうご]や接尾語[せつびご]をつけて作[つく]られた合成語[ごうせいご]を派生語と言[い]います。 **ばせい(罵声)**○ののしり声[ごえ]。[文例]<罵声[ばせい]が響[ひび]く〉狭[せま]い飲食街[いんしょくがい]の奥[おく]から、酔[よ]っぱらいの罵声が響いてきた。♠へ罵声[ばせい]を浴[あ]びせる〉群衆[ぐんしゅう]は、倒[たお]れた男[おとこ]に向[む]かって罵声を浴びせかけた。 **はせさん・じる【はせ参じる】(馳せ参じる)**○大急[おおいそ]ぎで参上[さんじょう]する。[文例]御用[ごよう]の際[さい]はいつでもご連絡[れんらく]ください。ただちにはせ参[さん]じます。♠幕府[ばくふ]から召集[しょうしゅう]がかかると、諸国[しょこく]の武士[ぶし]はただちに馬[うま]を走[はし]らせ、鎌倉[かまくら]へとはせ参じた。 **は・せる(馳せる)**○馬[うま]を走[はし]らせる。ある方[ほう]へ向[む]かわせる。行[い]き渡[わた]らせる。走[はし]る。[文例]〈思[おも]いをはせる〉異郷[いきょう]の地[ち]で、わたしは遠[とお]い日本[にっぽん]の家族[かぞく]へ思いをはせていた。♠へ夢[ゆめ]をはせる〉いつかこの村[むら]を出[で]て行[い]くのだと、まだ見[み]ぬ都会[とかい]へ夢をはせていました。♠へ悪名[あくみょう]をはせる〉大[おお]どろぼうとして悪名をはせた石川五右衛門[いしかわごえもん]は、捕[と]らえられ釜[かま]ゆでにされたという。 <879> **は・ぜる(爆ぜる)**○裂[さ]けてはじける。[文例]へいががはぜる〉はぜたいがの中[なか]にくりの中[なか]を見[み]つけた子供[こども]は、大喜[おおよろこ]びをして拾[ひろ]い始[はじ]めた。♠〈実[み]がはぜる〉いろりにくべておいたくりの実がパチンとはぜた。♠へ火[ひ]がはぜる〉枯[か]れ枝[えだ]を集[あつ]め、火をこめると、パチパチとはぜながら火は勢[いきお]いよく燃[も]えた。 **はそく(把捉)**○とらえること。つかまえること。[文例]〈把握[はそく]する>繰[く]り返[かえ]し読[よ]んで、書[か]き手[て]の言[い]わんとする意味[いみ]をしっかり把握[はそく]する。 **はそん【破損】**○こわれて傷[いた]むこと。こわし傷めること。[文例]〈破損[はそん]がひどい〉敗戦後[はいせんご]三年目[さんねんめ]、車両[しゃりょう]は窓[まど]などに破損がひどかったが、それでも、列車内[れっしゃない]は話[はな]し声[ごえ]に満[み]ちていた。◆<破損[はそん]する〉破損した一万円札[いちまんえんさつ]を銀行[ぎんこう]で取[と]りかえてもらいました。◆<破損部分[はそんぶぶん]>古文書[こもんじょ]が発見[はっけん]されたが、文字[もじ]が不明瞭[ふめいりょう]なうえ破損部分も多[おお]く、判読不可能[はんどくふかのう]だ。 **はた【旗】**○国[くに]や団体[だんたい]の象徴[しょうちょう]として、また信号[しんごう]や飾[かざ]りなどとして掲[かか]げたり振[ふ]ったりする布切[ぬのき]れ・紙切[かみき]れ。[文例]〈旗[はた]を立[た]てる〉わたしの家[いえ]では、必[かなら]ず祝日[しゅくじつ]に旗を立[た]てるようにしています。♠へ旗[はた]を掲[かか]げる〉選手団[せんしゅだん]の先頭[せんとう]を旗を掲[かか]げた旗手[きしゅ]が進[すす]みます。♠へ旗[はた]を揚[あ]げる〉頼朝[よりとも]は、源氏[げんじ]の再興[さいこう]をめざして、関東[かんとう]で旗を揚げた。♠〈旗[はた]を振[ふ]る〉旗を振って船[ふね]から船へと信号を送[おく]るところを、きみは見[み]たことがあるか。♠へ旗[はた]が翻[ひるがえ]る〉旗はひらひらと翻って、風[かぜ]の向[む]きを知[し]らせていた。♠〈旗[はた]が上[あ]がる>大会開催中[たいかいかいさいちゅう]はずっと、競技場[きょうぎじょう]のポールに参加国[さんかこく]の旗が上[あ]がっています。♠へ旗[はた]を押[お]し立[た]てる〉村祭[むらまつ]りには旗を押し立てた行列[ぎょうれつ]が村[むら]じゅうを練[ね]り歩[ある]く。♠へ旗[はた]を巻[ま]く〉これ以上[いじょう]文句[もんく]を言[い]うと逆効果[ぎゃくこうか]だから、この辺[へん]で旗を巻いて退散[たいさん]しよう。♠〈自由[じゆう]の旗[はた]の下[した]に〉人々[ひとびと]は軍[ぐん]の横暴[おうぼう]に抗議[こうぎ]して、自由の旗の下に立[た]ち上[あ]がった。◆へひと旗揚[はたあ]げる〉都会[とかい]には、ひと旗揚げるつもりで出[で]てきた人間[にんげん]が大勢[おおぜい]いる。 **はた【端】**○はし。へり。ふち。周囲[しゅうい]。かたわら。[文例]〈井戸[いど]の端[はた]>水道[すいどう]がなかったころは、井戸の端で米[こめ]をといだり洗濯[せんたく]したりで大変[たいへん]だったろうなあ。♠へ道[みち]の端[はた]〉おばあさんはおつかいの帰[かえ]りに、ときどき道の端で立[た]ち話[ばな]しをしている。♠へはたの人[ひと]>野球[やきゅう]の応援[おうえん]もいいけれど、お酒[さけ]を飲[の]んで騒[さわ]いだり空席[くうせき]を独占[どくせん]したりでは、はたの人が迷惑[めいわく]だ。♠へはたの迷惑[めいわく]〉乗[の]り物[もの]の中[なか]で足[あし]を組[く]んだり投[な]げ出[だ]したりするのは、はたの迷惑になるのでやめよう。♠へはたの目[め]〉本人[ほんにん]がおおまじめでやっていることも、はたの目にはこっけいに見[み]えることがあるものだ。♠〈はたから見[み]る>水[みず]にぬれたり手[て]を切[き]ったり、花屋[はなや]さんの仕事[しごと]ははたから見るほど楽[らく]じゃない。 **はた【機】**○布[ぬの]を織[お]る機械[きかい]。[文例]〈機[はた]を織[お]る〉わたしが機を織っているどころを決[けっ]してのぞいて見[み]てはいけませんよ、と女[おんな]は言[い]った。♠へ機織[はたお]り>昼[ひる]は畑仕事[はたけしごと]や行商[ぎょうしょう]、夜[よる]は機織りや縫[ぬ]い物[もの]をして、祖母[そぼ]はお金[かね]を稼[かせ]いだ。 **はだ【肌】(膚)**○皮膚[ひふ]。物[もの]の外皮[がいひ]や表面[ひょうめん]。性質[せいしつ]。気質[きしつ]。[文例]〈肌[はだ]がきれい〉この温泉[おんせん]は、肌がきれいになるというので、女性客[じょせいきゃく]がたいへん多[おお]いそうです。♠へ肌[はだ]が荒[あ]れる〉真冬[まふゆ]の水仕事[みずしごと]は、肌が荒れて困[こま]ります。♠へ肌[はだ]を刺[さ]す寒[さむ]さ>雪[ゆき]は降[ふ]らないが、関東[かんとう]の冬[ふゆ]は、風[かぜ]が冷[つめ]たく肌を刺す寒さである。♠へ肌[はだ]で触[ふ]れる>見知[みし]らぬ土地[とち]で親切[しんせつ]にされ、この国[くに]の人々[ひとびと]の優[やさ]しさに肌で触れた思[おも]いがしました。♠へ肌[はだ]で感[かん]じる〉オーストラリアの旅[たび]では、大自然[だいしぜん]のすばらしさを肌で感じることができました。♠へ肌[はだ]が合[あ]う〉特[とく]にきらいというのではないが、どうも彼[かれ]とは肌が合わない。♠へ木[き]の肌[はだ]〉プラスチックや金属[きんぞく]と違[ちが]って、木の肌にはぬくもりが感[かん]じられます。♠〈一肌脱[ひとはだぬ]ぐ〉彼[かれ]は後輩[こうはい]の就職[しゅうしょく]のために、一肌脱いで、大阪[おおさか]まで行[い]ってきたということだ。♠〈職人肌[しょくにんはだ]>職人肌の父[ちち]は、世間[せけん]にうとく、お金[かね]もうけなどは全然[ぜんぜん]できない人[ひと]でした。 **はだあい【肌合い】(膚合い)**○物[もの]の表面[ひょうめん]から受[う]ける感[かん]じ。人[ひと]や作品[さくひん]などに接[せっ]して受[う]ける全体的[ぜんたいてき]な感[かん]じ。[文例]〈滑[なめ]らかな肌合[はだあ]い>青磁[せいじ]のつぼは、滑らかな肌合いをしていた。♠〈肌合[はだあ]いが合[あ]う〉校風[こうふう]が自分[じぶん]と肌合いが合[あ]うので、この学校[がっこう]を選[えら]びました。♠へ肌合[はだあ]いの違[ちが]い〉初対面[しょたいめん]の時[とき]から肌合いの違いを感[かん]じていたが、やはり意見[いけん]は合[あ]わなかった。 **はたあげ【旗揚げ・旗挙げ】**○兵[へい]を挙[あ]げること。新[あら]たに物事[ものごと]を起[お]こすこと。[文例]〈旗揚[はたあ]げする〉源頼朝[みなもとのよりとも]は、治承四年[じしょうよねん]に伊豆[いず]で旗揚げをした。◆〈旗揚[はたあ]げ公演[こうえん]>芝居好[しばいず]きの面々[めんめん]が一座[いちざ]を結集[けっしゅう]し、旗揚げ公演に熱[ねつ]を燃[も]やしている。 **パターン**○類型[るいけい]。型[かた]。図案[ずあん]。模様[もよう]。[文例]ヘパターンに分[わ]ける>住民[じゅうみん]のさまざまな不満[ふまん]を、その原因[げんいん]に基[もと]づいていくつかのパターンに分けてみよう。◆ヘ行動[こうどう]のパターン〉それぞれが思[おも]いのままに動[うご]いているように見[み]えても、わたしたちには行動のパターンというものがあります。◆ヘワンパターン〉時代劇[じだいげき]というのは、善玉[ぜんだま]のヒーローが悪玉[あくだま]をやっつけるというワンパターンなところがいいんだ。 **はたいろ【旗色】**○戦闘[せんとう]・試合[しあい]・争[あらそ]いなどの形勢[けいせい]。[文例]<旗色[はたいろ]が悪[わる]い>味方[みかた]の軍勢[ぐんぜい]の旗色が悪くなってきたので、この場[ば]は退散[たいさん]することにした。♠へ旗色[はたいろ]が悪[わる]い〉妻[つま]と口論[こうろん]をしていると、そばにいた娘[むすめ]も母親[ははおや]の味方[みかた]をし始[はじ]め、ますます旗色が悪い。 **はだか【裸】**○裸体[らたい]。むきだしの状態[じょうたい]。ありのままの状態。無一物[むいちぶつ]。[文例]〈裸[はだか]になる〉子供[こども]たちは裸になると、我先[われさき]にと湯舟[ゆぶね]に飛[と]び込[こ]んできた。♠へ裸[はだか]のつきあう〉あいつとおれとは何[なん]でも打[う]ち明[あ]けあう仲[なか]で、裸のつきあいをしてきた。♠〈裸[はだか]の木[き]>葉[は]がすっかり落[お]ちて、裸の街路樹[がいろじゅ]はいかにも寒[さむ]そうだった。♠へ裸電球[はだかでんきゅう]〉工事現場[こうじげんば]には人影[ひとかげ]がなく、裸電球だけがぽつんとゆれていました。♠<裸一貫[はだかいっかん]>彼[かれ]は、裸一貫から身[み]を起[お]こして、今[いま]の会社[かいしゃ]の社長[しゃちょう]にまでなった人物[じんぶつ]です。◆〈丸裸[まるはだか]>男[おとこ]は借金[しゃっきん]のかたに身[み]ぐるみ脱[ぬ]がされ、丸裸にされてしまった。 **はだかいっかん【裸一貫】**○自分[じぶん]の体以外[からだいがい]に何[なに]も持[も]たないこと。[文例]早[はや]くから親元[おやもと]を離[はな]れ、苦学[くがく]して裸一貫[はだかいっかん]でこの会社[かいしゃ]を創設[そうせつ]した。♠親[おや]から受[う]け継[つ]いだ会社を手[て]ばなして、これからは裸一貫で出直[でなお]しだ。 **はたく(叩く)**○たたく。たたき落[お]とす。払[はら]いのける。使[つか]い果[は]たす。[文例]〈頭[あたま]をはたく〉口答[くちごた]えして、父[ちち]に頭をはたかれた。♠へほこりをはたく〉物置[ものおき]から出[で]てきた古[ふる]いラジオのほこりをはたき、スイッチを入[い]れてみると、ちゃんと音[おと]が出た。♠〈貯金[ちょきん]をはたく〉これは、姉[あね]が貯金をはたいて買[か]ったステレオです。 <880> ♠〈有[あ]り金[がね]をはたく〉一目見[ひとめみ]て気[き]に入[い]った絵[え]だが、有り金をはたいても手[て]が出[で]ない。 **はだし(裸足・跣)**○足[あし]に何[なに]も履[は]いていないこと。素足[すあし]。(履物[はきもの]を履かずに逃[に]げ出[だ]す意[い]から)顔負[かおま]け。[文例]〈はだしになる〉ぼくたちは、はだしになって川[かわ]に入[はい]り、魚[さかな]を追[お]った。◆子供[こども]たちはみんな、はだしで野原[のはら]を走[はし]り回[まわ]った。♠へ玄人[くろうと]はだし「自己流[じこりゅう]です。」と言[い]っていたが、彼[かれ]のバイオリンの腕[うで]は玄人はだしだよ。 **はたけ【畑】(畠)**○農作物[のうさくぶつ]を栽培[さいばい]する土地[とち]。専門[せもん]とする分野[ぶんや]。母胎[ぼたい]。[文例]<畑[はたけ]を耕[たがや]す〉四月[しがつ]になると、わが家[や]の父[ちち]と母[はは]は、毎日[まいにち]のように朝早[あさはや]く起[お]きて畑を耕す。♠〈畑[はたけ]をおこす〉春[はる]には、畑をおこして種[たね]をまきます。♠へ畑[はたけ]を作[つく]る〉こんなに狭[せま]い土地[とち]だけど、畑を作ってナスやトマトを育[そだ]てることもできるんだよ。♠へ畑[はたけ]を開[ひら]く〉山[やま]あいの村[むら]では、斜面[しゃめん]のわずかな場所[ばしょ]に畑を開いていた。♠へ畑[はたけ]を打[う]つ>早春[そうしゅん]の風景[ふうけい]の中[なか]に畑を打つ農夫[のうふ]の姿[すがた]があった。♠へ畑[はたけ]ちがい〉姉[あね]は大学[だいがく]で古典[こてん]を学[まな]んだが、まるで畑ちがいのコンピュータ会社[がいしゃ]に就職[しゅうしょく]した。♠〈外交畑[がいこうばたけ]>長[なが]い間[あいだ]外交畑で暮[く]らしたおじも、今年[ことし]の夏[なつ]には引退[いんたい]するそうだ。 **はた・ける(開ける)**○衣服[いふく]の合[あ]わせ目[め]が開[ひら]く。また、合わせ目をあけ広[ひろ]げる。[文例]〈前[まえ]がはだける〉教師[きょうし]は、制服[せいふく]の前がはだけている生徒[せいと]に、ボタンをかけるよう注意[ちゅうい]した。♠〈すそがはだける〉女[おんな]は、はだけた着物[きもの]のすそをあわてて合[あ]わせた。♠く胸[むね]をはだける〉母親[ははおや]は胸をはだけ、泣[な]きじゃくる赤[あか]ん坊[ぼう]にお乳[ちち]をふくませました。 **はださむ・い【肌寒い】(膚寒い)**○肌[はだ]に寒[さむ]く感[かん]じる。寒々[さむざむ]しい。[文例]〈肌寒[はださむ]い風[かぜ]〉ちらほら咲[さ]きだした菜[な]の花[はな]が、薄日[うすび]を受[う]けて、肌寒い春風[はるかぜ]の中[なか]にそよいでいた。♠肌寒[はださむ]い思[おも]い・・・その食事[しょくじ]の部屋[へや]は薄暗[うすぐら]く、………………・十幾人[じゅういくにん]の家族[かぞく]が、ただ黙々[もくもく]としてめしを食[く]っている有様[ありさま]には、自分[じぶん]はいつも肌寒い思いをしました。(太宰治[だざいおさむ]「人間失格[にんげんしっかく]」) **はだざわり【肌触り】(膚触り)**○肌[はだ]に触[ふ]れた時[とき]の感[かん]じ。人[ひと]に与[あた]える感[かん]じ。[文例]〈絹[きぬ]の肌触[はだざわ]り〉絹のなめらかな肌触りがそのまま伝[つた]わるように、訪問着[ほうもんぎ]が美[うつく]しく染[そ]めあがってきた。◆◇手[て]の肌触[はだざわ]り〉水仕事[みずしごと]に荒[あ]れた母[はは]の手の肌触りが、ふとなつかしく思[おも]い出[だ]されます。♠〈風[かぜ]の肌触[はだざわ]り〉草原[そうげん]を渡[わた]る風の肌触りが心地[ここち]よかった。◆◇人[ひと]の肌触[はだざわ]り〉彼女[かのじょ]は、肌触りのやさしい、感[かん]じのいい女性[じょせい]だ。 **はたして【果たして】**○結局[けっきょく]。やはり。案[あん]の定[じょう]。ほんとうに。[文例]あの時[とき]のわたしの行動[こうどう]は、はたして正[ただ]しかったのかどうか。♠時間[じかん]ぎりぎりに出[で]かけていったけれど、はたして兄[あに]は試験[しけん]に間[ま]に合[あ]っただろうか。♠いかにももっともらしい話[はなし]をするが、彼[かれ]の言[い]うことははたしてどこまで真実[しんじつ]なのか。♠天気予報[てんきよほう]では雪[ゆき]ということだったが、一夜明[いちやあ]ければはたして一面[いちめん]の雪景色[ゆきげしき]だ。 **はたじるし【旗印】(旗標)**○旗[はた]に付[つ]ける文字[もじ]や図柄[ずがら]。目標[もくひょう]として掲[かか]げたもの。[文例]〈自由[じゆう]を旗印[はたじるし]>自由を旗印に、民衆[みんしゅう]は王家[おうけ]の横暴[おうぼう]に抵抗[ていこう]し続[つづ]けた。♠〈旗印[はたじるし]を掲[かか]げる「明星[みょうじょう]」廃刊後[はいかんご]、啄木[たくぼく]らは耽美主義[たんびしゅぎ]の旗印を掲げ、鷗外[おうがい]を指導者[しどうしゃ]として、「スバル」を発刊[はっかん]した。 **はた・す【果たす】**○やりとげる。遂行[すいこう]する。すっかり・・・してしまう。[文例]〈役割[やくわり]を果[は]たす〉人[ひと]の背骨[せぼね]は、体[からだ]を支[ささ]えるという大[おお]きな役割を果[は]たしている。♠へ志[こころざし]を果[は]たす〉彼[かれ]は長[なが]い間[あいだ]の志を果[は]たし、この六月[ろくがつ]アメリカに留学[りゅうがく]することになった。♠へ念願[ねんがん]を果[は]たす〉母[はは]の故国[ここく]日本[にほん]の土[つち]を踏[ふ]むことができ、やっと念願を果たした気持[きも]ちです。♠へ責任[せきにん]を果[は]たす〉クラスの人[ひと]たちの協力[きょうりょく]がなければ、委員[いいん]としての責任を果たすことは難[むずか]しい。◆〈任務[にんむ]を果[は]たす〉父[ちち]が夜遅[よるおそ]くまで働[はたら]くのは、一家[いっか]のあるじとしての任務を果たすためだそうだ。♠〈使[つか]い果[は]たす>毎日遊[まいにちあそ]び続[つづ]けたので、男[おとこ]はとうとう有[あ]り金[がね]を使[つか]い果[は]たしてしまった。 **ばたつく**○ばたばたしてもがく。じたばたする。[文例]〈羽[はね]をばたつかせる〉屋根[やね]の上[うえ]に止[と]まっていたからすは、二[に]、三度[さんど]羽をばたつかせてから飛[と]び去[さ]った。♠へ手足[てあし]をばたつかせる>突然[とつぜん]、口[くち]を押[お]さえられた彼[かれ]は、苦[くる]しそうに手足をばたつかせた。♠へ体[からだ]をばたつかせる〉釣[つ]りあげられた魚[さかな]は、岩[いわ]の上[うえ]でしばらく体[からだ]をばたつかせていた。♠〈直前[ちょくぜん]にばたつく〉のんびり構[かま]えていて、直前になってばたつくのはきみの悪[わる]い癖[くせ]だ。 **はたと**○物[もの]を打[う]つさま。突然[とつぜん]に。急[きゅう]に。鋭[するど]く。[文例]〈はたとひざを打[う]つ>先生[せんせい]は、わたしの書[か]いた脚本[きゃくほん]に目[め]を通[とお]すと、はたとひざを打ってうなずいた。♠へはと思[おも]いあたる>老婆[ろうば]が口[くち]ずさんでいるその悲[かな]しげな歌[うた]に、男[おとこ]ははたと思[おも]いあたった。♠へはたとやむ〉コットンコットンと回[まわ]り続[つづ]けていた水車[すいしゃ]の音[おと]がはたとやんだ。 **はだみ【肌身】(膚身)**○肌[はだ]。体[からだ]。[文例]〈肌身離[はだみはな]さず〉道中[どうちゅう]なにかと不用心[ぶようじん]だから、お金[かね]だけは肌身離さず持[も]っていなさい。♠〈肌身[はだみ]につける>奉公[ほうこう]に出[で]る時[とき]、母[はは]は、守[まも]り袋[ぶくろ]を渡[わた]して、いつも肌身につけているようにと言[い]った。 **はたみ【はた目】(傍目)**○周囲[しゅうい]の人[ひと]の見る目[め]。他人[たにん]の目[め]。[文例]仲[なか]のよい親子連[おやこづ]れの姿[すがた]は、はた目[め]にもほほえましい。♠はた目[め]には幸[しあわ]せそうに見[み]えた奥[おく]さんだったが、実際[じっさい]はそうではなかったようだ。♠くはた目[め]を気[き]にする〉困[こま]っている人[ひと]がいたのに、はた目を気にして手[て]を差[さ]しのべられなかった自分[じぶん]が恥[は]ずかしい。 **はためいわく【はた迷惑】(傍迷惑)**○周囲[しゅうい]の人[ひと]が迷惑[めいわく]をこうむること。また、その迷惑。[文例]〈はた迷惑[めいわく]をかける〉何[なん]のはた迷惑をかけるわけではなし、もっと自由[じゆう]にやりたいことをやらせてもらってもいいだろう。♠へはた迷惑[めいわく]を考[かんが]える〉はた迷惑も考[かんが]えずに、夜中[よなか]に大[おお]きな音[おと]を立[た]ててオートバイを乗[の]り回[まわ]すことは許[ゆる]しません。♠へはた迷惑[めいわく]な話[はなし]〉ペットを飼[か]うのは自由[じゆう]だが、こちらがフンの始末[しまつ]をさせられるのははた迷惑な話だ。 **はためく**○はたはたと風[かぜ]にひるがえる。[文例]〈旗[はた]がはためく〉球場[きゅうじょう]の空[そら]にはためく校旗[こうき]を見上[みあ]げながら、選手[せんしゅ]たちは感涙[かんるい]にむせんだ。♠〈風[かぜ]にはためく>屋上[おくじょう]の洗濯物[せんたくもの]が一斉[いっせい]に風にはためくさまは、一種[いっしゅ]盛観[せいかん]な眺[なが]めである。 **はたらか・す【働かす】**○働[はたら]かせる。[文例]〈頭[あたま]をはたらかす〉人[ひと]に聞[き]いてばかりいないで、頭をはたらかして自分[じぶん]で考[かんが]え <881> えてごらん。♠く想像力[そうぞうりょく]をはたらかす〉想像力をはたらかして、読[よ]み終[お]えた物語[ものがたり]の続[つづ]きを考[かんが]えてみるのも楽[たの]しいことですね。 **はたらき【働き】**○働[はたら]くこと。生活力[せいかつりょく]。身入[みい]り。功績[こうせき]。作用[さよう]。機能[きのう]。[文例]一家[いっか]は長男[ちょうなん]である彼[かれ]の働きで食[た]べていた。♠〈働[はたら]きがある・ない〉わたしに働きがないもんで、妻[つま]には苦労[くろう]をかけています。♠〈働[はたら]きが少[すく]ない〉今日[きょう]も、親方[おやかた]から働きが少[すく]ないと小言[こごと]を言[い]われた。♠〈働[はたら]きをする〉彼[かれ]は決勝戦[けっしょうせん]でさよならホームランを打[う]ち、抜群[ばつぐん]の働きをした。♠〈働[はたら]きを認[みと]める〉彼[かれ]は、これまでの働きが認[みと]められて課長[かちょう]に昇進[しょうしん]した。◆く頭[あたま]の働[はたら]き〉年[とし]とともに頭の働きが鈍[にぶ]ってきたような気[き]がする。♠へ心[こころ]の働[はたら]き〉わたしたちは、自分[じぶん]の心の働きについては、全[まった]くといっていいほど分[わ]かっていない。♠ヘことばの働[はたら]き〉接続語[せつぞくご]には文[ぶん]と文、語[ご]と語をつなぐ働きがあります。◆<働き者[はたらきもの]>男[おとこ]は正直[しょうじき]で村一番[むらいちばん]の働き者だった。 **はたらきか・ける【働き掛ける】**○積極的[せっきょくてき]にしかける。作用[さよう]を及[およ]ぼす。[文例]〈人[ひと]に働[はたら]きかける〉ひっこみ思案[じあん]にならず、自分[じぶん]から積極的[せっきょくてき]に相手[あいて]に働きかけてゆくことも必要[ひつよう]だ。◆〈内面[ないめん]に働[はたら]きかける〉道徳[どうとく]や宗教[しゅうきょう]は、もっぱら人間[にんげん]の内面に働きかける。 **はたらきづめ【働き詰め】**○働[はたら]き続[つづ]けること。[文例]夏[なつ]の間[あいだ]じゅう働きづめだったわたしは、ここへ来[き]てとうとうダウンしてしまった。◆農繁期[のうはんき]を越[こ]し、やっと働きづめの毎日[まいにち]から解放[かいほう]されてやれやれというところだ。 **はたらきて【働き手】**○働[はたら]く人[ひと]。一家[いっか]の生計[せいけい]を支[ささ]える人。[文例]〈一番[いちばん]の働[はたら]き手[て]〉太郎[たろう]どんは、お店[みせ]のでっちたちの中[なか]でも一番の働き手です。♠へ働[はたら]き手[て]を失[うしな]う〉突然[とつぜん]の事故[じこ]で一家[いっか]の働き手を失[うしな]った家族[かぞく]は、途方[とほう]に暮[く]れるばかりだった。 **はたらきもの【働き者】**○よく働[はたら]く人[ひと]。[文例]セミがうかれて遊[あそ]んでいる間[あいだ]、働き者[はたらきもの]のアリたちはせっせと冬[ふゆ]じたくに励[はげ]んでいました。♠兄[あに]は働き者で、父[ちち]や母[はは]もとても頼[たよ]りにしている。 **はたらく【働く】**○仕事[しごと]をする。労働[ろうどう]する。機能[きのう]する。作用[さよう]する。悪[わる]いことをする。[文例]〈人[ひと]が働[はたら]く〉母[はは]は、毎日忙[まいにちいそが]しそうに店[みせ]で働いています。♠〈額[ひたい]に汗[あせ]して働[はたら]く>額[ひたい]に汗[あせ]して働く姿[すがた]は美[うつく]しいものです。♠〈理性[りせい]が働[はたら]く〉パニック状態[じょうたい]に陥[おちい]ったりすると、人間[にんげん]は理性が働かなくなるものです。♠〈知恵[ちえ]が働[はたら]く>彼[かれ]は恐[おそ]ろしく知恵の働く少年[しょうねん]だった。♠へ勘[かん]が働[はたら]く〉おふくろは勘が働くから、気[き]づかれないように十分[じゅうぶん]注意[ちゅうい]しろよ。♠へ頭[あたま]が働[はたら]く〉頭を働かせてごらん、ほら、こうすれば缶[かん]のふたは開[あ]くようになっているんだよ。♠へ引力[いんりょく]が働[はたら]く〉動[うご]いている地球[ちきゅう]から落[お]ちないのは、地球には引力が働いているからです。♠〈盗[ぬす]みを働[はたら]く>男[おとこ]は盗みを働いたかどで捕[とら]えられ、護送車[ごそうしゃ]で送[おく]られる途中[とちゅう]であった。♠へ悪事[あくじ]を働[はたら]く〉あんなまじめな青年[せいねん]が悪事を働くなんて考[かんが]えられない。 **はたん(破綻)**○物事[ものごと]が立[た]ち行[ゆ]かなくなること。[文例]〈破綻[はたん]をきたす〉計画[けいかく]は実現[じつげん]の方向[ほうこう]に向[む]かっていたが、思[おも]わぬ事態[じたい]が生[しょう]じ、破綻をきたし始[はじ]めた。♠へ破綻[はたん]を生[しょう]じる〉この事件[じけん]が、平和[へいわ]な村人[むらびと]の生活[せいかつ]に破綻を生じさせるきっかけとなった。♠〈破綻[はたん]する〉科学技術[かがくぎじゅつ]の発達[はったつ]こそ人類[じんるい]を幸福[こうふく]に導[みちび]くものと信[しん]じられていたが、今[いま]、この信仰[しんこう]は破綻しつつある。 **はち【鉢】**○上部[じょうぶ]が開[あ]いた底[そこ]の深[ふか]い食器[しょっき]・容器[ようき]。頭蓋骨[ずがいこつ]。頭[あたま]のまわり。[文例]<鉢[はち]に盛[も]る>色[いろ]とりどりのくだものをきれいに木[き]の鉢に盛ってテーブルに出[だ]した。♠〈植木[うえき]の鉢[はち]>鉢に植[う]えた桜草[さくらそう]が増[ふ]えたので、一回[ひとまわ]り大[おお]きな鉢に植[う]えかえました。♠へ鉢[はち]の開[ひら]いた頭[あたま]〉鉢の開[ひら]いた、大[おお]きな頭の子供[こども]が玄関先[げんかんさき]で遊[あそ]んでいた。 **はち(蜂)**○二対[につい]の羽[はね]で飛[と]ぶミツバチなどの昆虫[こんちゅう]。メスは毒針[どくばり]を使[つか]うことがある。[文例]〈はちが刺[さ]す〉はちに刺されるとショック死[し]することもあるというから、注意[ちゅうい]が必要[ひつよう]です。♠<泣[な]き面[つら]にはち〉配達[はいたつ]のとちゅう転[ころ]んで足[あし]は痛[いた]いし、お客[きゃく]にはしかられるし、まったく「泣き面にはち」だ。♠へはちの巣[す]をつついたよう〉昔[むかし]の小判[こばん]が出[で]たというので、小[ちい]さな村[むら]ははちの巣をつついたような騒[さわ]ぎとなった。♠へあぶはち取[と]らず〉欲張[よくば]って、結局[けっきょく]「あぶはち取らず」に終[お]わらぬように注意したまえ。♠へ働きばち〉母[はは]は働きばちのように、こまめに動[うご]き回[まわ]る人[ひと]でした。◆かりかりと蟷螂蜂[とうろうばち]の顔[かお]を食[は]む(山口誓子[やまぐちせいし]) **ばち【罰】**○悪事[あくじ]を働[はたら]く者[もの]に対[たい]する神仏[しんぶつ]のこらしめ。[文例]今度[こんど]の失敗[しっぱい]は、きみの忠告[ちゅうこく]を無視[むし]した罰[ばち]だ。♠へ罰[ばち]が当[あ]たる〉ふだん勝手[かって]なことばかりしているから罰が当たったんだ。♠〈罰当[ばちあ]たり〉おばあちゃんは、ぼくが悪[わる]い事[こと]をするたびに、「この罰当たりめ」と言[い]った。 **はちあわせ【鉢合わせ】**○頭[あたま]を正面[しょうめん]からぶつけ合[あ]うこと。ばったりと出会[であ]うこと。[文例]〈鉢合[はちあ]わせをする〉走[はし]って角[かど]を曲[ま]がったら、向[む]こうから来[く]る人[ひと]と鉢合わせをしそうになった。♠へ鉢合[はちあ]わせする>喫茶店[きっさてん]で、なんとデート中[ちゅう]の姉[あね]と鉢合わせしてしまった。 **ばちがい【場違い】**○場所[ばしょ]が違[ちが]うこと。その場[ば]にふさわしくないこと。本場[ほんば]の産[さん]でないこと。[文例]〈場違[ばちが]いの感[かん]>子供[こども]の参観日[さんかんび]に母親[ははおや]の派手[はで]すぎる装[よそお]いは場違いの感がある。♠〈場違[ばちが]いな発言[はつげん]〉あわて者[もの]のわたしはときどき場違いな発言をして、その場を白[しら]けさせることがある。 **はちき・れる【はち切れる】**○中身[なかみ]がいっぱいになって外側[そとがわ]が破[やぶ]れる。[文例]〈おなかがはち切[き]れる〉もう食[た]べられない、おなかがはち切[き]れそうだ。♠〈心臓[しんぞう]がはち切[き]れる〉いよいよ自分[じぶん]の番[ばん]が来[き]たとき、わたしはどきどきして心臓がはち切れそうだった。♠へはち切[き]れんばかり〉野外[やがい]コンサートの会場[かいじょう]には、はち切れんばかりの若[わか]さがみなぎっていた。 **はちく【破竹】**○(竹[たけ]が割[わ]れる意[い]から)勢[いきお]いが強[つよ]くとどめがたいこと。[文例]〈破竹[はちく]の勢[いきお]い〉敵方[てきかた]の攻撃[こうげき]は破竹の勢いで、防御[ぼうぎょ]の施[ほどこ]しようもないまま、たちまち城[しろ]を占拠[せんきょ]されてしまった。♠へ破竹[はちく]の勢[いきお]い〉わがチームは破竹の勢いで快進撃[かいしんげき]を続[つづ]けていた。 **はちのす【はちの巣】(蜂の巣)**○ハチが集団生活[しゅうだんせいかつ]をする巣[す]。無数[むすう]に穴[あな]の空[あ]いた物[もの]。[文例]〈蜂[はち]の巣[す]になる〉マシンガンの一斉射撃[いっせいしゃげき]の後[あと]、硝煙[しょうえん]の向[む]こうに蜂の巣になった車[くるま]と死体[したい]が横[よこ]たわっていた。♠〈蜂[はち]の巣[す]をつついたよう〉小学生[しょうがくせい]から幼稚園[ようちえん]まで子供[こども]たちが集[あつ]まったので、蜂の巣をつついたような騒[さわ]ぎになった。 <882> **はちまき【鉢巻き】**○頭[あたま]に細長[ほそなが]い布[ぬの]を巻[ま]いて締[し]めること。また、その布。[文例]〈鉢巻[はちま]きをする〉赤[あか]や白[しろ]の鉢巻きをした子供[こども]たちが、かけっこやつな引[ひ]きをする運動会[うんどうかい]の風景[ふうけい]は、昔[むかし]も今[いま]も変[か]わらない。♠へねじり鉢巻[はちま]き〉ねじり鉢巻きをきゅっとしめて、若者[わかもの]たちが威勢[いせい]よくみこしを担[かつ]いでいく。♠〈むこう鉢巻[はちま]き〉どうしたの、むこう鉢巻きでおみこしでもかつぐの? **はちめんろっぴ(八面六臂)**○八[やっ]つの顔[かお]と六本[ろっぽん]の腕[うで]。一人[ひとり]で多方面[たほうめん]に活躍[かつやく]すること。[文例]〈八面六臂[はちめんろっぴ]の働[はたら]き〉彼[かれ]は企画[きかく]から営業[えいぎょう]まで八面六臂の働きで、この会社[かいしゃ]を支[ささ]えてきた。◆〈八面六臂[はちめんろっぴ]の活躍[かつやく]〉今日[きょう]の引[ひ]っ越[こ]しでは、息子[むすこ]がトラックの運転[うんてん]から食料[しょくりょう]の調達[ちょうたつ]まで八面六臂の活躍をしてくれた。 **はちょう【波長】**○波動[はどう]の山[やま]と山、または谷[たに]と谷の距離[きょり]。行動[こうどう]の調子[ちょうし]。相性[あいしょう]。[文例]〈波長[はちょう]が短[みじか]い>短波[たんぱ]は、波長の短い電波[でんぱ]で遠距離[えんきょり]の通信[つうしん]に使[つか]われる。♠へ波長[はちょう]が合[あ]う〉ぼくは、どうも中島君[なかじまくん]と波長が合わないらしく、ケンカばかりしています。 **はつ【初】**○最初[さいしょ]。初[はじ]め。[文例]〈わが国初[くにうぶ]>こうして、大正七年[たいしょうしちねん]にわが国初の政党政府[せいとうせいふ]といわれる原敬[はらたかし]内閣[ないかく]が誕生[たんじょう]した。♠〈お初[はつ]に〉お初にお目[め]にかかります。山本[やまもと]と申[もう]します。♠〈初出場[はつしゅつじょう]〉このチームは、大会初出場[たいかいはつしゅつじょう]にもかかわらず、堂々[どうどう]とした好[こう]プレーを見[み]せてくれました。 **はつ【発】**○出発[しゅっぱつ]。発信[はっしん]。弾丸[だんがん]・打撃[だげき]・エンジンなどを数[かぞ]える語[ご]。[文例]〈六時九分発[ろくじきゅうふんぱつ]〉列車[れっしゃ]は六時九分発なので、発車[はっしゃ]までにまだ時間[じかん]がある。♠〈上野発[うえのぱつ]〉故郷[こきょう]へのお土産[みやげ]をどっさり持[も]って、上野発の夜行列車[やこうれっしゃ]に乗[の]り込[こ]んだ。♠へ一発[いっぱつ]〉なまいきなやつだ、一発くらわしてやれ。 **ばつ【罰】**○こらしめ。しおき。刑罰[けいばつ]。[文例]〈罰[ばつ]を受[う]ける〉ぼくは子供[こども]の時[とき]とてもいたずらで、何[なに]かしてはよく母[はは]から罰を受けた。♠へ罰[ばつ]を与[あた]える〉どのゲームも、反則[はんそく]に対[たい]しては罰を与えるようになっています。♠へ罰[ばつ]を科[か]す〉規則[きそく]を破[やぶ]った者[もの]には、一週間[いっしゅうかん]の外出禁止[がいしゅつきんし]という罰が科された。♠へ罰[ばつ]を免[まぬか]れる〉あんなひどい事[こと]をしておいて、きみだけが罰を免れるようなんて、少[すこ]し虫[むし]がよすぎないかな。♠〈厳[きび]しい罰[ばつ]〉あの子[こ]が悪[わる]いのはよくわかるが、そんな厳しい罰は考[かんが]えものだ。♠<罰[ばつ]として〉こらっ、おまえたち、罰として、一週間便所掃除[いっしゅうかんべんじょそうじ]をやれ。 **ばつ**○その場[ば]の具合[ぐあい]。話[はなし]のつじつま。[文例]へばつが悪[わる]い〉駅前[えきまえ]のヤキトリ屋[や]から出[で]るところを隣[となり]の奥[おく]さんに見[み]つかり、ばつの悪[わる]い思[おも]いをした。♠へばつを合[あ]わせる〉一番下[いちばんした]の妹[いもうと]にはないしょなので、姉[あね]とばつを合わせるのに苦労[くろう]しました。 **ばつ【閥】**○家柄[いえがら]。集団内[しゅうだんない]で団結[だんけつ]して共通[きょうつう]の利益[りえき]を守[まも]ろうとする人々[ひとびと]のつながり。[文例]〈閥[ばつ]を作[つく]る〉A氏[し]は有能[ゆうのう]な実業家[じつぎょうか]であり、一族[いちぞく]は閥を作ってこの地方[ちほう]の経済界[けいざいかい]を支配[しはい]していた。 **はつあん【発案】**○考[かんが]え出[だ]すこと。案[あん]を出[だ]すこと。議案[ぎあん]を出[だ]すこと。[文例]<発案[はつあん]する>用水工事[ようすいこうじ]は、地元[じもと]の農民[のうみん]たち自身[じしん]によって発案された。♠〈発案者[はつあんしゃ]〉この計画[けいかく]の発案者は、アイデアマンの聡[さとる]さんです。 **はついく【発育】**○成長[せいちょう]し発達[はったつ]すること。成育[せいいく]。[文例]<発育[はついく]が遅[おそ]い〉この子[こ]は、あまり食[た]べないので、体[からだ]の発育も他[ほか]の子供[こども]より少[すこ]し遅いようだ。♠へ発育[はついく]がよい〉ほう、三か月[さんかげつ]ですか、発育のよい赤[あか]ちゃんですね。♠へ発育[はついく]する〉動物[どうぶつ]は、胎児[たいじ]から出生[しゅっせい]・成長[せいちょう]する過程[かてい]において、その動物の進化[しんか]の歴史[れきし]を示[しめ]しながら発育する。♠へ発育盛[はついくざか]り〉うちは発育盛りの男[おとこ]の子[こ]が二人[ふたり]いるので、食事[しょくじ]の仕度[したく]がたいへんです。 **はつおん【発音】**○音声[おんせい]を発[はっ]すること。音声の発[はっ]し方[かた]。[文例]〈たどたどしい発音[はつおん]〉幼[おさな]い子供[こども]がたどたどしい発音でしきりに何[なに]か話[はな]している。♠へ発音[はつおん]が悪[わる]い〉ぼくの発音が悪いのから、一生懸命[いっしょうけんめい]話しているのになかなか通[つう]じません。♠へ発音[はつおん]する〉外国語[がいこくご]を、外国人[がいこくじん]のするとおりに発音するのはとても難[むずか]しい。 **はっか【発火】**○火[ひ]を発[はっ]すること。燃[も]え出[だ]すこと。空砲[くうほう]を撃[う]つこと。[文例]〈発火[はっか]する〉マッチは、こすり合[あ]わせた摩擦熱[まさつねつ]によって、棒[ぼう]の先[さき]の火薬[かやく]が発火するというしくみです。♠〈自然発火[しぜんはっか]〉「火[ひ]の玉[たま]」は、りんが空気中[くうきちゅう]で自然発火したものとも言[い]われる。 **はつが【発芽】**○芽[め]を出[だ]すこと。[文例]〈発芽[はつが]を促[うなが]す>春[はる]の雨[あめ]は、土[つち]を潤[うるお]して草木[くさき]の根[ね]の生命力[せいめいりょく]をかき立[た]て、発芽を促す。◆<発芽[はつが]する〉このあいだ、アサガオの種[たね]をまいたら、今日[きょう]はかわいいふたばが発芽していた。 **はっかく【発覚】**○秘密[ひみつ]や悪事[あくじ]が人[ひと]に知[し]られること。[文例]〈悪事[あくじ]が発覚[はっかく]する〉しばらくは、うまく言[い]い逃[のが]れても、悪事は必[かなら]ず発覚するものだ。♠へ事件[じけん]が発覚[はっかく]する〉事件が発覚すれば、彼[かれ]は地位[ちい]も名誉[めいよ]も失[うしな]うことになるだろう。←へ陰謀[いんぼう]が発覚[はっかく]する>幕府打倒[ばくふだとう]の陰謀は、いずれも発覚し、制圧[せいあつ]された。◆<不正[ふせい]が発覚[はっかく]する入試問題[にゅうしもんだい]の漏洩事件[ろうえいじけん]から、二年前[にねんまえ]の不正入学[ふせいにゅうがく]のことが発覚した。 **はっかん【発刊】**○刊行物[かんこうぶつ]を出[だ]すこと。出版[しゅっぱん]すること。[文例]〈出版物[しゅっぱんぶつ]の発刊[はっかん]〉今日[こんにち]、活字離[かつじばな]れが進[すす]んでいるといわれる中でも、数多[かずおお]くの出版物の発刊が行[おこな]われている。♠へ発刊[はっかん]する>雑誌[ざっし]「白樺[しらかば]」が発刊され、自然主義[しぜんしゅぎ]に反対[はんたい]して理想主義[りそうしゅぎ]・人道主義[じんどうしゅぎ]の文学[ぶんがく]を提唱[ていしょう]した。 **はっき【発揮】**○十分[じゅうぶん]に表[あらわ]し示[しめ]すこと。[文例]〈能力[のうりょく]を発揮[はっき]する>大型機械[おおがたきかい]が導入[どうにゅう]され、トラクターが能力を発揮し出してから、農業[のうぎょう]の規模[きぼ]も拡大[かくだい]したのである。♠へ力[ちから]を発揮[はっき]する〉いざという時[とき]いつでも力を発揮できるよう、ふだんから心がけておくことだ。♠へ実力[じつりょく]を発揮[はっき]する〉このコンクールこそ、きみの実力を発揮するいいチャンスだ。♠〈腕白[わんぱく]ぶりを発揮[はっき]する>夏休[なつやす]みに田舎[いなか]に行[い]った時[とき]も、弟[おとうと]はいつもの腕白ぶりを発揮して、皆[みな]をはらはらさせた。♠へ本領[ほんりょう]を発揮[はっき]する〉本大会[ほんたいかい]では、彼[かれ]は本領を遺憾[いかん]なく発揮してチームを優勝[ゆうしょう]に導[みちび]いた。 **はつぎ【発議】**○意見[いけん]を出[だ]すこと。議案[ぎあん]を出[だ]すこと。ほつぎ。[文例]集会[しゅうかい]はそこで打[う]ち切[き]りとなり、世話役[せわやく]の発議[はつぎ]で酒[さけ]がふるまわれることになった。♠へ<発議[はつぎ]する〉この議案[ぎあん]は、こんどの会議[かいぎ]で発議しようと思[おも]う。 **はっきゅう【白球】**○白[しろ]い球[たま]。特[とく]に野球[やきゅう]の白[しろ]いボール。[文例] <883> 地をはう白球は、深く守った遊撃手[ゆうげきしゅ]の正面を突いた。♠◆ヘ白球を追う〉コートの中で白球を追う両者の表情は真剣そのものだ。 **はっきょう【発狂】** 狂[くる]うこと。[文例]〈発狂する〉男に去[さ]られた娘は、その秋発狂したという。♠●〈発狂寸前〉抱[かか]えきれぬ苦悩で夜も眠られず、わたしは発狂寸前の状態にあった。 **はっきり** 明白なさま。明確なさま。順調なさま。すっきりしたさま。[文例]〈はっきりする〉好きなの、それとも嫌[きら]いなの、はっきりしてちょうだい。♠●へはっきりしたこと〉彼は何時に出発するか、はっきりしたことは何も言わなかった。♠◆く天気がはっきりしない〉お天気がはっきりしなくて困るわ。♠●〈病気がはっきりしない〉母の病気は一進一退を続けはっきりしなかった。♠●へはっきり言って〉はっきり言って、彼女はきみにはもったいないよ。♠●〈記憶[きおく]がはっきり残る〉空襲[くうしゅう]で家を焼かれた時の記憶は、いまだにわたしの頭の中にはっきり残っている。♠●へはっきりと知る〉今日[こんにち]でも、シェイクスピアの若いころのことは、はっきりとは知られていない。 **はっきん【発禁】** 発売禁止。[文例]〈発禁になる〉イスラム教批判の書が発禁になって物議[ぶつぎ]をかもした。♠●へ発禁処分〉発禁処分を受けたことで世間で騒がれ、この作家はかえって有名になった。 **ばっきん【罰金】** 罰として金銭を徴収すること。また、その金銭。[文例]〈罰金を払う〉駐車違反をしたため罰金を払うはめになりました。♠●へ罰金を取る〉会の規約を破った人からは罰金を取ることにしよう。♠●〈罰金を出す〉こちらが罰金を出すことで、相手方も許してくれた。 **バック** 背中。背後。背景。後ろだて。後衛。後退。背走。守備陣。背泳。[文例]〈山をバックに〉新緑の山をバックに、ツツジの花が燃えるように咲いている。♠●〈有力なバック〉あの男には、どうやら有力なバックがあって、いろいろ指示を受けているらしい。♠●ヘバックに据[す]える〉新聞社をバックに据えて、空き缶追放運動を推進しようと思う。♠●ヘフォワード とバック〉うちのチームはバックの守りが万全なので、フォワードは攻めに専念できる。♠●ヘバックする〉突然、発進したりバックすることがあるので、車の直前直後の横断はきわめて危険だ。 **バックアップ** 後援すること。[文例]父のバックアップで仕事を始めたが、今では自分の力でやってゆけるようになった。♠●ヘバックアップする〉有名な団体がバックアップしてくれたのに、選挙戦は想像以上に苦しいものとなった。 **はっくつ【発掘】** 地中に埋もれた物を掘り出すこと。隠れた人材・才能・価値などを見つけ出すこと。[文例]〈遺跡[いせき]の発掘〉遺跡の発掘は、その年の春から翌々年の春まで続けられた。♠●へ発掘する〉ミロのヴィーナスは一八二〇年にメロス島で発掘され、パリのルーヴル美術館に飾[かざ]られることになった。♠●へ人材の発掘〉不振の水泳界の再興のため、埋もれた人材の発掘に力を入れることになった。 **バックボーン** 背骨。信条や信念。又[例]ヘバックボーンを形成する〉人の行動の支えとなるバックボーンは、さまざまな経験によって形成されるのだろう。 **ばつぐん【抜群】** 群を抜いていること。ずば抜けていること。[文例]〈抜群に速い〉百メートル競走にはどの学校からも実力のある選手が出場するが、その中でも松本君は抜群に速い。♠●へ抜群の成績〉少年は、抜群の成績で小学校を卒業した。♠●へ抜群の強さ〉本当に実力のあるチームは、ここ一番という時に抜群の強さを見せるものです。♠●へ効果が抜群〉今回行った宣伝の効果は抜群で、商品の売れ行きは目に見えて伸びてきた。 **はっけ(八卦)** 易[えき]の算木[さんぎ]にあらわれる八種類の形。易。うらない。[文例]〈当たるも八卦[はっけ]当たらぬも八卦〉当たるも八卦、当たらぬも八卦というから、占いにはあまりこだわらないほうがいい。 **はっけん【発見】** 知られていない事物・事柄を見つけ出すこと。[文例]〈発見をする〉読書をすることは、楽しいことであり、さらに新しい発見をし心を高めていくことでもあ る。♠◆ヘラジウムの発見〉パリの屋根裏部屋で勉強にはげんでいたマリーは、後に、ラジウムの発見によって女性初のノーベル賞を受けた。♠●〈驚[おどろ]きと発見〉知能の急激に発達する二~三歳の幼児にとっては、毎日が驚きと発見の連続なのです。♠●へ発見する〉十五世紀末から十六世紀にかけて、新大陸はコロンブスによって発見された。 **はつげん【発言】** 意見を述べること。また、その意見。[文例]〈発言する〉ホームルームでは、クラスのみんなが活発に発言することが望ましい。♠◆◇発言を許す〉法廷[ほうてい]では、秩序[ちつじよ]を乱すような発言は許されていない。♠●へ発言を封[ふう]じる〉反対者の発言を封じるなんて、民主主義のルールに反している。♠●へ発言を取り消す〉ごめんなさい、今のわたしの発言は軽率でした。取り消します。♠●〈発言が相次ぐ〉議会では、市長のやり方を批判する発言が相次いだ。♠◆◇発言を求める〉その件について、わたしは挙手して議長に発言を求めた。♠●〈大胆[だいたん]な発言〉なぐられたらなぐりかえせとは、ずいぶん大胆な発言ですね。♠●〈発言権〉討論会などにオブザーバーとして出席した場合、発言権がないのがふつうです。 **はつげん【発現】** 現れ出ること。現し出すこと。[文例]〈利己心の発現〉その言葉には、あきらかに彼女の利己心の発現があった。♠●〈個性の発現〉この絵の色調に画家の強烈な個性の発現を見ることができる。 **ばっこ(跋扈)** のさばること。はびこること。[文例]へばっこする〉悪質な商法がばっこして、お年寄りなど被害者が増えてきた。 **はつこい【初恋】** 初めての恋。[文例]〈初恋の思い出〉初恋の思い出を問われて心に浮かぶ一人の少年の顔は、三十年たっても子供のままでした。♠へ初恋の人〉久し振りに帰ったふるさとで、初恋の人にばったり出会った。 **はっこう【発行】** 新聞・書籍などを印刷して世に広めること。紙幣・証明書・入場券などを出して通用させること。[文例]〈証明書の発行〉夏休み前で大変込んでいますので、証明書の発行には多少時間がかかります。♠●へ発行する〉市 <884> では、毎月一回広報誌を発行しています。 **はっこう【発酵】**(醱酵) 酵素の働きで有機化合物が分解する現象。かもし出されること。[文例]〈発酵する〉岩のくぼみに蓄[たくわ]えた山ぶどうやあけびが、雨水と溶け合って発酵したものを猿酒[さるざけ]という。♠●〈発酵する〉作家の内に自然と発酵された感情が、飾[かざ]らない文体で表されている。 **はっこう【薄幸】**(薄倖) 不幸。不幸せ。[文例]〈薄幸の運命〉生まれてすぐに両親を亡くした少年は、薄幸の運命を背負って生きてゆかねばならなかった。 **はっこつ【白骨】** 風雨にさらされて肉などが落ち、白くなった骨。[文例]〈白骨と化する〉死骸[しがい]は、年月を経て白骨と化していった。♠◆ヘ白骨となる〉朝[あした]には紅顔[こうがん]ありて、夕[が]べには白骨となる、これは世の無常を言ったことばです。♠●へ白骨死体〉工事現場から白骨死体が出てきて大騒ぎになった。 **ばっさい【伐採】** 樹木を切り倒すこと。[文例]〈林の伐採〉原生林の伐採や観光ブームのあおりで、絶滅の危機にさらされている動物も多い。♠●〈伐採する〉宅地造成が進み、丘の樹木は伐採されていった。 **はっさん【発散】** 外へまき散らすこと。外に出て散ること。[文例]〈熱の発散〉皮膚の毛穴は、余分な熱の発散を行う役目を持っています。♠●〈エネルギーを発散する〉会場に詰めかけた少女たちは、若いエネルギーを発散させていた。♠〈不満を発散する〉時には、生徒たちに自由に発言させて日ごろの不満を発散させる必要がある。 **はっしゃ【発車】** 列車・バスなどが出ること。[文例]〈発車 のベル〉発車のベルが鳴りやむと、ドアがしまって、列車は静かに動き始めた。♠◆〈発車時刻〉列車の発車時刻が近づいたというのに、約束した友人はまだ現れない。♠〈発車する〉バスが発車して外を見ると、クロがしっぽを振りながら追いかけてくる。 **はっしゃ【発射】** 弾丸・ロケットなどを撃ち出すこと。[文例]ヘロケットの発射〉有人ロケットの発射が近づき、秒読みが始まった。♠●〈発射する〉はげしく抵抗する賊[ぞく]に対し て、警官はピストルを発射して威嚇[いかく]した。 **はっしょう【発祥】** 物事の起こり。起源。めでたい兆[きざ]しが現れること。[文例]〈仏教の発祥の地〉インドは、世界三大宗教の一つである仏教の発祥の地である。♠●へ文明の発祥地〉古代文明の発祥地は、黄河やナイル川のような大河の流域である。 **はっしん【発信】** 通信・信号を出すこと。→受信[文例]〈発信する〉日付を確認すると、この郵便は四日前に発信されていた。♠へ発信人〉はがきが雨にぬれて発信人の名前が読み取れない。♠●へ発信器〉野生動物に発信器をつけて、その行動半径を調査する。 **はっしん【発進】** 航空機・艦船・自動車などが出発すること。[文例]〈発進する〉まだ少年の面影[おもかげ]を残す特攻[とっこう]隊員は、次々と基地を発進していった。♠●へ発進する〉青信号で車を発進させようとしたとたんに、エンストをおこして立ち往生[たちおうじょう]してしまった。♠●〈急発進〉信号で急発進したバイクに、あわや衝突[しょうとつ]しそうになった。 **ばっすい【抜粋】**(抜萃) 要所を抜き出すこと。また、そうしたもの。[文例]〈小説からの抜粋〉卒業記念の寄せ書きに書いた言葉は、川端康成[かわばたやすなり]の小説からの抜粋です。♠●へ記事の抜粋〉夏休みの課題研究の参考資料に、新聞記事の抜粋を使った。♠●〈名文を抜粋する〉兄は、シェークスピアの戯曲[ぎきよく]から名文を抜粋してはノートに書き留めていた。♠●〈要点を抜粋する〉説明文を読んで難しいと思ったら、要点を抜粋して整理してみるといい。 **はっ・する【発する】** 出る。現れる。起こる。始まる。出発する。出す。起こす。放つ。送る。[文例]〈酔いが発する〉強い酒を一息に飲んだから、酔いはただちに発した。♠〈道が発する〉町外れを発した新道は、北へ向かってまっすぐに延びている。♠●へ成田[なり]を発する〉成田を発したハワイ行きの便は、明朝[みょうちょう]八時にハワイに到着[とうちゃく]いたします。♠●へにおいを発する〉かまどの中では、今焼き上がったばかりのパンが、いいにおいを発していた。♠〈光を発する〉ウラニウム鉱がエッ クス線に似た不思議な光を発していることに気がついた。♠◆〈声を発する〉賊[ぞく]は、奇声[きせい]を発しながら、幌馬車隊[ほろばしゃたい]の一行を襲[おそ]った。♠◆ヘ言葉を発する〉彼は会議の間じゅう、最初から最後まで一言も発しなかった。♠〈源を発する〉阿武隈川[あぶくまがわ]は那須[なす]山塊[さんかい]に源を発し、宮城県[みやざ]南部で海へ注ぎます。♠●へ端[たん]を発する〉ささいなことに端を発した口論が、クラスを真っ二つに分ける大事件になった。♠へ銃弾[じゅうだん]を発する〉その男は、突然[とつぜん]群衆に向かって銃弾を発した後、車に乗って逃走[とうそう]した。 **ハッスル** 奮起すること。[文例]〈ハッスルする〉クラスの女子全員が応援に来るというので、選手はがぜんハッスルしだした。♠ヘハッスルする〉婚約者が訪ねてくる日には、姉はハッスルして朝から掃除を始める。 **ばっ・する【罰する】** 罰を与える。処罰する。[文例]監督は怠慢[たいまん]なプレーをした選手を罰した。♠◆子供のころにたった一度、父に蔵に閉じ込められて罰せられたことがある。 **はっせい【発生】** 生じること。起こること。[文例]〈病気の発生〉その年のヨーロッパにおけるコレラの発生は記録的なもので、多くの人々が命を落とした。♠●〈蚊の発生〉蚊の発生を防ぐため、夏になると町内会の手で下水やため池の清掃[せいそう]が行われる。♠●〈暴動の発生〉江戸[えど]時代の農民による暴動の発生は、天災によっていっそうその数を増した。♠へ事件が発生する〉ひとたび事件が発生すると、パトカーは直ちに現場に直行します。 **はっせい【発声】** 声を出すこと。声の出し方。音頭をとること。[文例]〈発声が悪い〉歌い終わったわたしは、先生から発声が悪いと注意された。♠←へ発声練習〉アナウンサーになるための発声練習が毎日続けられた。♠●では、社長の発声で万歳[ばんざい]を三唱したいと思います。全員、ご起立願います。 **はっそう【発想】** 思いつくこと。思いつき。考え出すこと。考え方。考えを表現すること。[文例]〈豊かな発想〉この詩には、子供らしい、物にとらわれない豊かな発想が感じられます。♠●へ発想の転換[てんかん]〉仕事ばかりが人生ではありません。 <885> たまには発想[はっそう]の転換[てんかん]を図[はか]って、遊[あそ]んでみたら・・・・・・。♠〈日本人的[にっぽんじんてき]な発想[はっそう]>周囲[しゅうい]と同[おな]じことをやっていたいという考[かんが]え方[かた]は、日本人的な発想だと言[い]われる。♠へ発想[はっそう]がよい>発想はよかったが、最後[さいご]までがんばり通[とお]せなかったのが失敗[しっぱい]の原因[げんいん]だね。◆く発想[はっそう]する〉彼[かれ]のドレスのデザインは、和服[わふく]から発想したものが多い。 **はっそく【発足】**♪ほっそく **ばっそく【罰則】**○罰[ばっ]するための規則[きそく]。[文例]〈罰則[ばっそく]を設[もう]ける〉会[かい]の規約[きやく]の中[なか]に、規約を破[やぶ]った者[もの]に対[たい]する罰則が設[もう]けられていた。 **はったつ【発達】**○成長[せいちょう]して高[たか]い段階[だんかい]へ進[すす]むこと。能力[のうりょく]や勢力[せいりょく]が高[たか]まること。[文例]〈体[からだ]の発達[はったつ]〉〈発達[はったつ]が早[はや]い>昔[むかし]に比[くら]べると、今[いま]の子供[こども]たちは、体の発達が早いようです。♠〈急速[きゅうそく]な発達[はったつ]〉〈発達[はったつ]を遂[と]げる>二十世紀[にじっせいき]に入[はい]って、科学技術[かがくぎじゅつ]は急速な発達を遂[と]げた。♠〈交通[こうつう]の発達[はったつ]〉今日[こんにち]では、交通の発達によって、世界中[せかいじゅう]どこにでも簡単[かんたん]に行[い]くことができます。♠〈きゅう覚[かく]が発達[はったつ]する>警察犬[けいさつけん]の活躍[かつやく]などでもわかるように、犬[いぬ]のきゅう覚は非常[ひじょう]に発達している。♠く発達[はったつ]した低気圧[ていきあつ]>南方海上[なんぽうかいじょう]に発達した低気圧があり、時速四十[じそくよんじっ]キロで北東[ほくとう]に進[すす]んでいます。 **はっちゃく【発着】**○出発[しゅっぱつ]と到着[とうちゃく]。[文例]〈バスの発着[はっちゃく]>民宿[みんしゅく]のおばさんはバスの発着のたびに、客[きゃく]の送[おく]り迎[むか]えをした。◆<発着[はっちゃく]する〉当駅[とうえき]は、午前七時[ごぜんしちじ]から八時[はちじ]のラッシュアワーに合計二十五本[ごうけいにじゅうごほん]の電車[でんしゃ]が発着します。 **はっちゅう【発注】**○注文[ちゅうもん]を出[だ]すこと。[文例]〈発注[はっちゅう]する〉在庫品[ざいこひん]を調[しら]べて、問屋[とんや]に発注する品[しな]の数量[すうりょう]を書[か]き出[だ]してください。 **ばってき(抜擢)**○特[とく]に取[と]り立[た]てて用[もち]いること。登用[とうよう]。[文例]〈抜擢[ばってき]する〉統率力[とうそつりょく]と決断力[けつだんりょく]を認[みと]められて、彼[かれ]は五千人[ごせんにん]が働[はたら]く工場[こうじょう]の所長[しょちょう]に抜擢された。 **バッテリー**○蓄電池[ちくでんち]。野球[やきゅう]で投手[とうしゅ]と捕手[ほしゅ]の組[く]み合[あ]わせ。[文例]〈バッテリーがあがる〉海外出張[かいがいしゅっちょう]から帰[かえ]って久し振[ぶり]りに車[くるま]に乗[の]ろうとしたら、バッテリーがあがっていて動[うご]かなかった。♠ヘバッテリーを組[く]む〉この大会[たいかい]で、ぼくはA君[くん]とバッテリーを組[く]み、準決勝[じゅんけっしょう]まで投[な]げ抜[ぬ]いた。 **はってん【発展】**○伸[の]び広[ひろ]がること。展開[てんかい]すること。手広[てびろ]く活動[かつどう]すること。[文例]〈発展[はってん]を遂[と]げる〉日本[にほん]の文化[ぶんか]は、日本の風土[ふうど]にしっかりと根[ね]を下[お]ろしながら、独自[どくじ]の発展を遂げてきた。♠〈町[まち]の発展[はってん]〉氏[し]は、この町の発展のために、ひとかたならぬ尽力[じんりょく]をされた方[かた]です。♠へ発展[はってん]を祈[いの]る>先生[せんせい]の今後[こんご]のご発展をお祈[いの]りして乾杯[かんぱい]をしたいと思[おも]います。♠へ話[はなし]が発展[はってん]する〉初[はじ]めは四[よ]、五人[ごにん]で会[あ]うつもりだったが、話が発展して、クラス会[かい]を開[ひら]くことになった。 **はつでん【発電】**○電気[でんき]を起[お]こすこと。[文例]原子力[げんしりょく]による発電には、その安全性[あんぜんせい]についてさまざまな意見[いけん]がある。♠<発電所[はつでんしょ]〉三月末[さんげつまつ]、湖[みずうみ]は発電所の放水[ほうすい]のために水[みず]が枯[か]れ、湖底[こてい]があらわになった。♠〈自家発電[じかはつでん]〉山奥[やまおく]の村[むら]には、自家発電の装置[そうち]が設置[せっち]された。 **はっと【法度】**○おきて。禁止[きんし]のおきて。禁制[きんせい]。[文例]江戸時代[えどじだい]、ばくちはご法度[はっと]と定[さだ]められていた。♠うちでは小[ちい]さな子[こ]がいるので、居間[いま]でたばこを吸[す]うのはご法度なんだよ。 **はつどう【発動】**○動[うご]き出[だ]すこと。動力[どうりょく]を起[お]こすこと。権力[けんりょく]を行使[こうし]すること。[文例]〈国権[こっけん]の発動[はつどう]〉・・・・・・国権の発動たる戦争[せんそう]と、武力[ぶりょく]による威嚇[いかく]又[また]は武力の行使は、国際紛争[こくさいふんそう]を解決[かいけつ]する手段[しゅだん]としては、永久[えいきゅう]にこれを放棄[ほうき]する。(日本国憲法第九条[にほんこくけんぽうだいきゅうじょう])♠〈発動[はつどう]する〉第二次世界大戦直後[だいにじせかいたいせんちょくご]、政府[せいふ]は米[こめ]の供出[きょうしゅつ]を確保[かくほ]するために、強権[きょうけん]を発動し、農家[のうか]の家宅捜索[かたくそうさく]まで行[おこな]った。♠〈発動機[はつどうき]>老人[ろうじん]は、小[ちい]さな発動機のついた小舟[こぶね]でいつものように漁[りょう]に出[で]た。 **はつねつ【発熱】**○熱[ねつ]を発生[はっせい]すること。体温[たいおん]が高[たか]くなること。[文例]<発熱[はつねつ]する>風邪[かぜ]のためか、昨夜[ゆうべ]から発熱し、今日[きょう]は学校[がっこう]を休[やす]むことにした。 **はっぱ【発破】**○鉱山[こうざん]や工事[こうじ]で岩石[がんせき]を爆破[ばくは]すること。また、それに使[つか]う火薬[かやく]。奮起[ふんき]させること。[文例]〈発破[はっぱ]をかける〉最後[さいご]の発破がかけられて、海底[かいてい]トンネルはついに開通[かいつう]した。♠〈発破[はっぱ]をかける>予選[よせん]の成績[せいせき]が悪[わる]くてしょげていたら、コーチに発破をかけられた。 **はつばい【発売】**○売[う]り出[だ]すこと。[文例]<発売[はつばい]する>安[やす]くて高性能[こうせいのう]な製品[せいひん]が次々[つぎつぎ]に発売されています。◆<発売日[はつばいび]>息子[むすこ]は記念切手[きねんきって]の発売日だというので、郵便局[ゆうびんきょく]へ飛[と]んでいきます。♠〈新発売[しんばつばい]〉新[あたら]しものがり屋[や]ですから、新発売と聞[き]くとすぐ店[みせ]に駆[か]けつけるほうです。 **はっぴ【法被】(半被)**○屋号[やごう]や家紋[かもん]を染[そ]め抜[ぬ]いたはんてん。しるしぼんてん。[文例]へはっぴを着[き]る〉温泉宿[おんせんやど]に着[つ]くと、昔[むかし]ながらにはっぴを着た従業員[じゅうぎょういん]が並[なら]んで出迎[でむか]えてくれた。◆へはっぴ姿[すがた]〉むこう鉢巻[はちま]きにはっぴ姿の若者[わかもの]が、威勢[いせい]よくみこしを担[かつ]ぐ。 **ハッピー**○幸福[こうふく]。しあわせ。[文例]〈ハッピーな気分[きぶん]>当時[とうじ]のぼくは、彼女[かれ]と話[はなし]ができただけでハッピーな気分になれた。♠ヘハッピーエンド〉映画[えいが]やドラマはハッピーエンドがいいな。 **はっぴょう【発表】**○広[ひろ]く人前[ひとまえ]に表[あらわ]すこと。[文例]〈発表[はっぴょう]をする・行[おこな]う>先週[せんしゅう]、夏休[なつやす]みの生徒[せいと]たちの研究発表[けんきゅうはっぴょう]が行[おこな]われた。◆<作品[さくひん]の発表[はっぴょう]>文豪[ぶんごう]の作品の中[なか]にも、発表のあてなく書[か]き続[つづ]けられたものがある。♠〈考[かんが]えを発表[はっぴょう]する〉この文章[ぶんしょう]を読[よ]んで、筆者[ひっしゃ]の意見[いけん]に対[たい]する自分[じぶん]の考えを発表してみよう。♠〈声明[せいめい]を発表[はっぴょう]する〉今回[こんかい]の事件[じけん]を重[おも]く見[み]た大統領[だいとうりょう]は、異例[いれい]の声明を発表した。♠〈小説[しょうせつ]を発表[はっぴょう]する〉彼[かれ]は三年間[さんねんかん]の沈黙[ちんもく]を破[やぶ]って、最近長編小説[さいきんちょうへんしょうせつ]を発表しました。 **はつびょう【発病】**○病気[びょうき]の症状[しょうじょう]が現[あらわ]れること。[文例]<発病[はつびょう]する〉わたしが発病したのは高校生[こうこうせい]の時[とき]で、それから一年間闘病生活[いちねんかんとうびょうせいかつ]が続[つづ]いた。 **はっぷ【発布】**○法律[ほうりつ]などを一般[いっぱん]に告[つ]げ知[し]らせること。[文例]<発布[はっぷ]する>現行[げんこう]の日本国憲法[にほんこくけんぽう]は、昭和二十一年十一月三日[しょうわにじゅういちねんじゅういちがつみっか]に発布された。 **はっぷん【発奮・発憤】**○気力[きりょく]を奮[ふる]い立[た]たせること。奮起[ふんき]。[文例]〈発奮[はっぷん]する>期末[きまつ]テストの点[てん]があまりにひどかったせいか、のんびり屋[や]の息子[むすこ]も発奮して勉強[べんきょう]を始[はじ]めたらしい。 **はっぽう【八方】**○東西南北[とうざいなんぼく]と北東[ほくとう]・南東[なんとう]・南西[なんせい]・北西[ほくせい]の八[やっ]つの <886> 方角[ほうがく]。あらゆる方向[ほうこう]。全方面[ぜんほうめん]。[文例]そんなに八方[はっぽう]から同時[どうじ]に話[はな]しかけられても、一度[いちど]に返事[へんじ]はできないわ。♠へ八方[はっぽう]手[て]を尽[つ]くす〉さて、八方手を尽くしたが、無[な]くなった壺[つぼ]は出[で]てこなかった。◆ヘ八方美人[はっぽうびじん]〉どっちを向[む]いても調子[ちょうし]のいいことを言[い]って、まったくきみは八方美人だね。♠〈八方破[はっぽうやぶ]れ〉あの子[こ]は何[なに]もかも常識[じょうしき]はずれで八方破れだけれど、どこか憎[にく]めないところがある。♠へ八方[はっぽう]ふさがり〉会社[かいしゃ]の経営[けいえい]はおもわしくなく、融資先[ゆうしさき]も見[み]つからず八方ふさがりの状態[じょうたい]だった。♠へ四方八方[しほうはっぽう]〉群[む]れのリーダーともなれば、四方八方に気[き]を配[くば]って群れを守[まも]らなければならない。 **はっぽう【発砲】**○銃砲[じゅうほう]を撃[う]つこと。[文例]〈発砲[はっぽう]する〉獲物[えもの]に照準[しょうじゅん]を合[あ]わせると、一[いち]、二[に]、三[さん]と数[かぞ]えて発砲した。♠へ発砲事件[はっぽうじけん]〉付近[ふきん]で死者[ししゃ]を出[だ]す発砲事件があり、厳[きび]しい警察[けいさつ]の捜査[そうさ]が行[おこな]われている。 **ばっぽんてき【抜本的】**○弊害[へいがい]の根本的[こんぽんてき]な原因[げんいん]を取[と]り去[さ]るさま。[文例]〈抜本的[ばっぽんてき]な対策[たいさく]〉いよいよ深刻[しんこく]になる老人問題[ろうじんもんだい]については、抜本的な対策を講[こう]じなければならない。♠へ抜本的[ばっぽんてき]な改革[かいかく]>農産物[のうさんぶつ]の自由化[じゆうか]で揺[ゆ]れる日本農業[にっぽんのうぎょう]は、抜本的な改革を必要[ひつよう]としている。 **はつみみ【初耳】**○初[はじ]めて聞[き]くこと。[文例]父[ちち]が作家志望[さっかしぼう]の文学青年[ぶんがくせいねん]だったというのは、今日[きょう]が初耳だ。 **はつめい【発明】**○初[はじ]めて考案[こうあん]すること。[文例]〈文字[もじ]を発明[はつめい]する〉わたしたち人類[じんるい]の祖先[そせん]は、遠[とお]い昔[むかし]に文字を発明した。♠〈装置[そうち]を発明[はつめい]する〉体[からだ]の不自由[ふじゆう]な人[ひと]も楽[らく]に入浴[にゅうよく]できるような、新[あたら]しい装置が発明された。♠<発明[はつめい]の才[さい]〉あのおじいさんは発明の才のある人[ひと]で、今[いま]までにも多[おお]くの特許[とっきょ]をとっているんですって。♠へ必要[ひつよう]は発明[はつめい]の母[はは]「必要は発明の母」と言[い]われるように、必要性[ひつようせい]が偉大[いだい]な発明を生[う]み出[だ]す原動力[げんどうりょく]となるのです。♠〈発明家[はつめいか]〉エジソンはアメリカが生[う]んだ偉大な発明家である。 **はつもの【初物】**○その季節[きせつ]に初[はじ]めて収穫[しゅうかく]された物[もの]。その季節に初めて食[た]べる物。まだだれも手[て]をつけていないもの。[文例]〈野菜[やさい]の初物[はつもの]〉祖母[そぼ]は、庭[にわ]でとれた野菜の初物は、必[かなら]ず仏壇[ぶつだん]に供[そな]えます。♠〈初物[はつもの]のスイカ〉まだ高価[こうか]な初物のスイカをもらって、子供[こども]たちは大喜[おおよろこ]びだ。 **はつよう【発揚】**○奮[ふる]い立[た]たせること。[文例]〈国威[こくい]の発揚[はつよう]〉戦時中[せんじちゅう]は、文学[ぶんがく]も芸術[げいじゅつ]も国威の発揚に貢献[こうけん]するものだけがよしとされる。 **はつらつ(潑刺・潑溂)**○明[あか]るく元気[げんき]なさま。[文例]〈はつらつとする〉受付嬢[うけつけじょう]の明[あか]るくはつらつとした応対[おうたい]が、その会社[かいしゃ]の印象[いんしょう]をよくしていた。♠へはつらつたるプレー>夏[なつ]の甲子園[こうしえん]では、全国[ぜんこく]から集[あつ]まった高校生[こうこうせい]がはつらつたるプレーを見[み]せてくれる。♠〈元気[げんき]はつらつ〉四月[しがつ]になると、新入生[しんにゅうせい]の元気はつらつとした姿[すがた]が校内[こうない]にあふれます。 **はつれい【発令】**○命令[めいれい]や警報[けいほう]などを発[はっ]すること。[文例]〈辞令[じれい]の発令[はつれい]〉父[ちち]は、辞令の発令を待[ま]って、三月末[さんげつまつ]には家族[かぞく]より一足早[ひとあしはや]く新任地[しんにんち]へたった。♠へ発令[はつれい]する>空襲警報[くうしゅうけいほう]が発令されるたびに人々[ひとびと]は逃[に]げまどった。 **はつろ【発露】**○心[こころ]に思[おも]うことが表面[ひょうめん]に表[あらわ]れること。[文例]〈愛情[あいじょう]の発露[はつろ]〉当時[とうじ]は反発[はんぱつ]を感[かん]じた父[ちち]の言動[げんどう]も、今[いま]になってみると愛情の発露であったことが理解[りかい]できる。♠〈個性[こせい]の発露[はつろ]〉文章[ぶんしょう]にかかわらず、表現[ひょうげん]というものは個性の発露である。 **はて【果て】**○果[は]てる所[ところ]。一番[いちばん]はしの所。末路[まつろ]。終[お]わり。結果[けっか]。[文例]〈北[きた]の果[は]て〉今[いま]、湖[みずうみ]は、北の果てから、昼[ひる]も夜[よる]も休[やす]みなしにやってきた鳥[とり]たちであふれている。♠〈世界[せかい]の果[は]て〉電波[でんぱ]は、世界の果てからもわたしたちのもとに届[とど]きます。◆〈旅路[たびじ]の果[は]て>長[なが]く苦[くる]しい旅路の果てに、主人公[しゅじんこう]はようやく希望[きぼう]の地[ち]にたどりついた。♠へ地[ち]の果[は]て〉侍[さむらい]は髪[かみ]をふり乱[みだ]し、まるで、地の果てからでも走[はし]ってきたように、荒[あら]い息[いき]をしていた。◆ヘ口論[こうろん]の果[は]て〉激[はげ]しい口論の果てに、とうとう彼[かれ]らは路上[ろじょう]で取[と]っ組[く]み合[あ]いを始[はじ]めた。♠へなれの果[は]て〉母[はは]は元[もと]ミス町内会[ちょうないかい]だったというが、さしずめ今[いま]はそのなれの果てというところかな。♠へあげくの果[は]て〉さんざん歩[ある]き回[まわ]ったがどの店[みせ]も休[やす]みで、あげくの果てに雨[あめ]まで降[ふ]ってきた。♠〈果[は]てがない〉おじいさんの果てのない話[はなし]にも、子供[こども]たちははあきもせず目[め]を輝[かがや]かせて聞[き]きいっていた。 **はで【派手】**○はなやかで目立[めだ]つさま。きわだって人目[ひとめ]をひくさま。おおげさなさま。[文例]〈派手[はで]な色[いろ]・柄[がら]>南国[なんごく]の空[そら]の下[した]では、派手な色や柄の服[ふく]がよく映[は]えます。♠へ派手[はで]な装[よそお]い〉彼女[かのじょ]の派手な装いは、パーティーの客[きゃく]の中[なか]でもひときわ人目[ひとめ]を引[ひ]いた。♠へ派手[はで]な生活[せいかつ]>彼[かれ]は、金[かね]に飽[あ]かして、相変[あいか]わらず派手な生活をしていた。◆<派手[はで]にふるまう〉わたしはその晩[ばん]、精一杯[せいいっぱい]派手にふるまい、心[こころ]の悩[なや]みを気[き]づかれぬように努力[どりょく]しました。◆ヘ派手[はで]なトンネル〉いつもがっちり守[まも]るサードが派手なトンネルをしたので、みんな調子[ちょうし]がくるっちゃった。 **はてしな・い【果てしない】**○限[かぎ]りがない。際限[さいげん]がない。[文例]〈果[は]てしない空[そら]>果てしない大空[おおぞら]を眺[なが]めていると、自分[じぶん]の悩[なや]みがちっぽけなものに思[おも]えてくる。♠〈果[は]てしない大海原[おおうなばら]>甲板[かんばん]に上[あ]がってみたら、果てしない大海原が、太陽[たいよう]の光[ひかり]を受[う]けてキラキラと輝[かがや]いていた。♠〈果[は]てしない平原[へいげん]〉見渡[みわた]す限[かぎ]り果てしない平原から昇[のぼ]る太陽の美[うつく]しさを、どう表現[ひょうげん]したらよいか・・・・・・。♠〈果[は]てしない旅[たび]〉この砂漠[さばく]を渡[わた]っていった人々[ひとびと]には、きっとそれが果てしない旅に思[おも]えたことだろう。♠へ果[は]てしなく広[ひろ]がる〉将来[しょうらい]のことをあれこれ考[かんが]えているうちに、ぼくの夢[ゆめ]はどこまでも果てしなく広がっていった。♠く果[は]てしなく延[の]びる〉線路[せんろ]は砂漠[さばく]の中[なか]を、果てしなく延びていた。 **は・てる【果てる】**○終[お]わる。尽[つ]きる。死[し]ぬ。・・・し終[お]わる。すっかり・・・する。[文例]〈人通[ひとどお]りが果[は]てる〉大晦日[おおみそか]の深夜[しんや]だけは、この道[みち]も人通りが果てることなく続[つづ]く。♠へ会[かい]が果[は]てる〉友人同士[ゆうじんどうし]の忘年会[ぼうねんかい]が果てて、さて二次会[にじかい]はどこにしようかという楽[たの]しい相談[そうだん]に移[うつ]った。♠へ命[いのち]が果[は]てる〉病[やまい]に倒[たお]れても、命果てるまで、彼[かれ]は自分[じぶん]の仕事[しごと]に情熱[じょうねつ]を注[そそ]ぎ続[つづ]けた。◆〈疲[つか]れはてる>連日[れんじつ]の徹夜[てつや]で、疲[つか]れはてている。♠へあきれはてる〉まったく、きみってやつは、あきれはててことばも出[で]ないよ。♠へ変[か]わりはてる〉戦争[せんそう]に行[い]った息子[むすこ]は、変わりはてた姿[すがた]で帰[かえ]ってきた。 <887> **ば・てる**○疲[つか]れる。へたばる。へばる。[文例]二日間[ふつかかん]ほとんど徹夜[てつや]で急[いそ]ぎの仕事[しごと]を片[かた]づけたが、さすがにバテてしまった。♠このところ忙[いそが]しいらしく、彼[かれ]はずいぶんとバテた様子[ようす]だった。 **はてんこう【破天荒】**○前例[ぜんれい]のないこと。前代未聞[ぜんだいみもん]。[文例]〈破天荒[はてんこう]な試[こころ]み>彼[かれ]は、エベレストをスキーで滑[すべ]り降[お]りるという破天荒な試みをくわだてていた。♠〈破天荒[はてんこう]なできごと>革命[かくめい]という破天荒なできごとにすんなり成功[せいこう]したのだから、国民[こくみん]は大喜[おおよろこ]びだった。 **はと(鳩)**○ハト科[か]の鳥[とり]の総称[そうしょう]。平和[へいわ]の象徴[しょうちょう]ともされる。[文例]お寺[てら]の境内[けいだい]では、はとがえさをついばんでいました。♠へはとが豆鉄砲[まめでっぽう]を食[く]ったよう〉どうしたんだい。はとが豆鉄砲を食ったような顔[かお]をして。♠校塔[こうとう]に鳩多[はとおお]き日[ひ]や卒業[そつぎょう]す(中村草田男[なかむらくさたお]) **ばとう(罵倒)**○口[くち]ぎたなくののしること。[文例]〈罵倒[ばとう]する>警官[けいかん]にとがめられた酔[よ]っぱらいは、今度[こんど]は警官を口ぎたなく罵倒し始[はじ]めた。♠〈罵倒[ばとう]する〉彼[かれ]には、気[き]にいらないことがあると、他人[たにん]を平気[へいき]で罵倒する悪[わる]い癖[くせ]がある。 **はとば【波止場】**○船着[ふなつ]き場[ば]。埠頭[ふとう]。[文例]〈波止場[はとば]に着[つ]く〉ある日[ひ]、大[おお]きな南蛮船[なんばんせん]がこの波止場に着き、人々[ひとびと]を驚[おどろ]かせた。◆横浜[よこはま]の埠頭[ふとう](はとば)から/船[ふね]に乗[の]って/異人[いじん]さんに/つれられて/行[い]っちゃった(野口雨情[のぐちうじょう]「赤い靴[あかいくつ]」部分[ぶぶん]) **はどめ【歯止め】**○歯車[はぐるま]や車両[しゃりょう]の回転[かいてん]を止[と]める物[もの]・装置[そうち]。抑制[よくせい]の手段[しゅだん]。[文例]<歯止[はど]めをかける〉人間[にんげん]の欲望[よくぼう]は際限[さいげん]がないもので、どこかで歯止めをかけないと、身[み]を滅[ほろ]ぼすことになろう。 **パトロール**○巡回[じゅんかい]すること。[文例]〈パトロールする〉お巡[まわ]りさんは、毎日町内[まいにちちょうない]をパトロールします。♠ヘパトロール中[ちゅう]>留守[るす]の家[いえ]から不審[ふしん]な男[おとこ]が出[で]てくるのを、パトロール中の警官[けいかん]が見[み]つけた。♠ヘパトロールカー>夜[よる]、無灯火[むとうか]で自転車[じてんしゃ]に乗[の]っていたら、パトロールカーで巡回中[じゅんかいちゅう]の警官に呼[よ]び止[と]められた。 **パトロン**○後援者[こうえんしゃ]。金銭的[きんせんてき]な援助[えんじょ]をしてくれる人[ひと]。[文例]音楽愛好家[おんがくあいこうか]でもあるT氏[し]は、若[わか]き音楽家[おんがくか]たちのパトロンとなって彼[かれ]らを援助[えんじょ]した。♠ヘパトロンがつく〉この店[みせ]のおかみには、政界[せいかい]の大物[おおもの]がパトロンとしてついているらしい。 **バトン**○リレー競走[きょうそう]で受[う]け渡[わた]しする棒[ぼう]。指揮棒[しきぼう]。[文例]ヘバトンを渡[わた]す〉リレーで次[つぎ]の走者[そうしゃ]にバトンを渡すときの要領[ようりょう]が意外[いがい]に難[むずか]しい。♠ヘバトンタッチ〉今月[こんげつ]でいよいよ任期[にんき]が終了[しゅうりょう]し、次期役員[じきやくいん]にバトンタッチされます。◆ヘバトンガール>競技[きょうぎ]の合間[あいま]にグラウンドでバトンガールたちが演技[えんぎ]を披露[ひろう]した。 **はな【鼻】(漢)**○哺乳動物[ほにゅうどうぶつ]の顔[かお]にあって、主[おも]に呼吸[こきゅう]や嗅覚[きゅうかく]をつかさどる器官[きかん]。鼻[はな]みず。鼻[はな]じる。[文例]〈鼻[はな]がいい〉犬[いぬ]は鼻がいいので、道路[どうろ]をかぎまわり、他[ほか]の犬や猫[ねこ]が通[とお]ったことをかぎわけている。♠〈鼻[はな]が利[き]く〉人間[にんげん]に比[くら]べて動物[どうぶつ]は、何十倍[なんじゅうばい]も鼻が利くそうだ。♠へ鼻[はな]が曲[ま]がる〉ニラが腐[くさ]ったにおいは、鼻が曲がるほど強烈[きょうれつ]だ。♠へ鼻[はな]をつまむ>室内[しつない]は薬品[やくひん]のにおいがすごく、ぼくたちは思[おも]わず鼻をつまみました。♠〈鼻[はな]をつき合[あ]わす〉大事[だいじ]な話[はなし]でもあるのだろう、二人[ふたり]はさっきから鼻をつき合[あ]わせるようにして座[すわ]っている。♠へ鼻[はな]を突[つ]く〉何日[なんにち]も放置[ほうち]されていた紙袋[かみぶくろ]からは、鼻を突く悪臭[あくしゅう]が漂[ただよ]いはじめている。♠〈鼻[はな]につく〉彼[かれ]のおもしろい冗談[じょうだん]も、毎日聞[まいにちき]いていると鼻についてくる。♠へ鼻[はな]が高[たか]い〉今[いま]どき珍[めずら]しいほどの親孝行[おやこうこう]な子供[こども]を持[も]って、さぞ彼[かれ]は鼻が高いにちがいない。♠へ鼻[はな]を高くする〉コンクールでぼくの絵[え]が入選[にゅうせん]したので、鼻を高くしてお母[かあ]さんに報告[ほうこく]した。♠へ鼻[はな]にかける〉彼[かれ]は、出身大学[しゅっしんだいがく]をいつも鼻にかけている。♠へ鼻[はな]にかかる>子供[こども]が鼻にかかった甘[あま]え声[ごえ]で、お母さんにおねだりしている。♠へ鼻[はな]を折[お]る〉あの高慢[こうまん]な彼女[かのじょ]の鼻を、一度[いちど]でいいからへし折ってみたい。♠〈鼻[はな]を明[あ]かす〉ぜがひでも優勝[ゆうしょう]して、彼[かれ]の自慢[じまん]の鼻を明かしてやりたい。♠へ鼻[はな]で笑[わら]う〉彼女は、いつもぼくたちのしていることをばかにして、鼻で笑っている。♠へ鼻[はな]であしらう〉彼[かれ]に借金[しゃっきん]を頼[たの]んだが、鼻であしらわれてしまった。♠へ鼻[はな]を鳴[な]らす〉うちの犬[いぬ]は、毎朝[まいあさ]わたしが食器[しょっき]を持[も]って行[い]くと、鼻を鳴らして寄[よ]ってくる。♠へ鼻があぐらをかく〉少[すこ]しぐらい鼻があぐらをかいていても、人柄[ひとがら]が良[よ]ければいいじゃないの。♠へ鼻[はな]がつまる〉風邪[かぜ]で鼻がつまってしまい、夜[よる]は寝苦[ねぐる]しくて困[こま]っている。◆人鼻[ひと]の下[した]が長[なが]い〉彼[かれ]は女性[じょせい]に親切[しんせつ]にされると、すぐ鼻の下を長[なが]くして、好意[こうい]を誤解[ごかい]してしまう。♠〈目[め]と鼻[はな]の先[さき]〉お嫁[よめ]さんの実家[じっか]は、うちから目と鼻の先[さき]にあります。♠〈目[め]から鼻[はな]に抜[ぬ]ける〉あの人[ひと]はとても頭[あたま]の回転[かいてん]がはやく、目から鼻に抜けるようだ。♠〈木[き]で鼻[はな]をくくる〉木で鼻をくくるようなぶっきらぼうな態度[たいど]では、人[ひと]に好[す]かれませんよ。♠へ鼻持[はなも]ちならない>若[わか]いくせに、横柄[おうへい]で人を見下[みくだ]した彼[かれ]の態度[たいど]は、鼻持ちならない。♠へ鼻[はな]つまみ者[もの]〉おいらは、みんなに嫌[きら]われる鼻つまみ者なんだ。♠〈はなをたらす〉近[ちか]ごろはあまり見[み]かけないが、昔[むかし]の子供[こども]はよくはなをたらしていたもんだ。♠へはなをかむ〉〈はなをすする〉はなをすすってばかりいないで、かんだらどうですか。♠へはなもひっかけない〉彼女[かのじょ]は、はなもひっかけないという顔[かお]つきでぼくを無視[むし]している。・涙[なみだ]や鼻[はな]の先[さき]だけ暮[く]れ残[のこ]る(芥川龍之介[あくたがわりゅうのすけ]) **はな(端)**○物[もの]の先端[せんたん]。物事[ものごと]の初[はじ]め。[文例]〈岬[みさき]のはな〉岬のはなに立[た]って広[ひろ]い海[うみ]を見[み]ていると、何[なに]やら気持[きも]ちが広[ひろ]くなるようだ。♠へはなから〉はなからだめと決[き]めつけないで、努力[どりょく]してみてはどうですか。 **はな【花・華】**○種子植物[しゅししょくぶつ]の生殖器官[せいしょくきかん]。がく・花冠[かかん]・めしべ・おしべなどからなる。特[とく]に桜[さくら]の花[はな]。美[うつく]しいもの。華[はな]やかなもの。盛[さか]りの時[とき]。光栄[こうえい]。栄誉[えいよ]。精髄[せいずい]。精華[せいか]。生[い]け花[ばな]。花札[はなふだ]。花代[はなだい]。[文例]〈花[はな]が咲[さ]く>沈丁花[じんちょうげ]の花があちこちの軒先[のきさき]で咲いている。♠〈花[はな]を摘[つ]む>丘[おか]では、幼[おさな]い子供[こども]たちが野[の]の花を摘んで遊[あそ]んでいる。♠へ花[はな]を植[う]える〉〈四季[しき]おりおりの花〉狭[せま]いベランダにも、プランターを置[お]いて、四季おりおりの花を植えてみたい。♠〈花[はな]が散[ち]る>満開[まんかい]の桜の花は、強[つよ]い春[はる]の風[かぜ]に吹[ふ]かれて、はらはらと散っている。♠〈花[はな]がしぼむ二日[ふつか]ほど水[みず]をやるのを忘[わす]れていたら、花はしぼんでしまった。♠く花[はな]を生[い]ける>母[はは]は毎日[まいにち]、昼食[ちゅうしょく]の前[まえ]に、居間[いま]に花を生ける。♠へ花[はな]を供[そな]える〉この八年間[はちねんかん]、彼女[かのじょ]の墓[はか]に、わたしは毎月[まいつき]花を供えてきた。 <888> ●〈花の都〉パリは昔から花の都と言われ、世界中の人々にもてはやされてきた。♠●〈花を添[そ]える〉パーティーには、令嬢たちも出席して花を添えた。♠●へ花を持たせる〉ここは先輩に花を持たせて、勝負をゆずりますよ。♠●〈花と散る〉戦[いくさ]では、若い兵士たちが花と散っていったのです。♠●へ両手に花〉彼は司法試験に受かり、その上婚約[こんやく]も決まって、両手に花だ。♠●く若いうちが花〉若いうちが花だ。やりたいことはどんどんやってみるがいい。♠●へ社交界の花〉あの老婦人も、あれで昔は、社交界の花といわれた美貌[びぼう]の持ち主だったそうだ。♠ヘウィンタースポーツの花〉スキーは、ウィンタースポーツの花として、若者に人気があります。♠●へ話に花が咲く〉小学校の同級生と十年ぶりに再会して、話に花が咲いた。♠●〈花も実もある〉花も実もある、きみたちの青春を大切にしたまえ。♠●〈言わぬが花〉彼女はどんな人かって? 言わぬが花。会うまでのお楽しみ。♠●へ花より団子[だんご]〉花より団子。この辺に腰[こし]をおろして弁当にしよう。♠●へ隣の花は赤い〉何でも人のものはよく見えるものさ、隣の花は赤いといってね。♠●牡丹[ぼたん]花は咲き定まりて静かなり花の占[し]めたる位置のたしかさ(木下利玄[きのしたりげん]) **はないき【鼻息】** 鼻でする息。意気込み。機嫌。[文例]〈鼻息がかかる〉抱[だ]き上げると、子ぐまの熱い鼻息がわたしのほおにかかった。♠へ鼻息が荒[あら]い〉予選を勝ち抜いて県大会に出場するバレー部は、目指すは国体と鼻息が荒い。♠くすごい鼻息〉連戦連勝の大関は、来場所こそ横綱[よこづな]だとすごい鼻息である。♠●へ鼻息をうかがう〉気の弱いぼくには、つい相手の鼻息をうかがってしまうところがある。 **はなうた【鼻歌】**(鼻唄) 鼻にかかった小声でうたう歌。〔[文例]〈鼻歌を歌う〉日曜日、目を覚ますと、父はもう鼻歌などを歌いながら植木の手入れをしている。♠◆人鼻歌を口ずさむ〉おばあさんは揺[ゆ]りいすに腰かけ、鼻歌を口ずさみながら編み物をしています。♠●〈鼻歌まじり〉暮[く]れの忙しい時に鼻歌まじりに漫画なんか読んでいないで、店の手伝いをしなさい。 **はながた【花形】** 花の形。人気があってもてはやされる存在。[文例]型抜き器を使って、花形や星形、ハート形などいろいろなクッキーを作ってみましょう。♠●〈時代の花形〉コンピュータは、今や時代の花形である。♠◆へ輸出の花形〉当時、生糸はわが国の輸出の花形だった。♠●〈花形選手〉まだ若いが彼の実力なら、すぐプロ野球の花形選手として活躍できるだろう。♠●〈花形役者〉歌舞伎[かぶき]の若手の中でも、花形役者として人気を集めているのが彼だ。 **はなぐすり【鼻薬】** 鼻の薬。子供をなだめるために与える菓子類。ちょっとしたわいろ。[文例]〈鼻薬をかがせる〉下っ端役人にちょっと鼻薬をかがせれば、牢[ろう]内の仲間と連絡を取るなど簡単なことだった。♠●へ鼻薬を利[き]かせる〉守衛に鼻薬を利かせてあったから、難なく入り口を通過することができた。 **はなくそ【鼻くそ】**(鼻糞) 鼻みずとちりが交じって固まった物。又[例]〈鼻くそをほじくる〉〈鼻くそをまるめる〉店番の男は、退屈[たいくつ]そうに鼻くそをほじくり、くるっとまるめるとぽいと指ではじいた。♠●〈鼻くそをほじる〉食事中に鼻くそをほじるのはやめてちょうだい!♠◆〈目くそ鼻くそを笑う〉自分のへまを棚[たな]にあげて人の失敗を笑うのは、「目くそ鼻くそを笑う」のたぐいだぞ。 **はなげ【鼻毛】** 鼻の穴に生える毛。腹のうち。弱み。[文例]〈鼻毛を抜[ぬ]く〉お父さん、のんびり鼻毛なんか抜いていないで手伝ってくださいよ。♠●へ鼻毛を読む〉わたしは、年上の女にのぼせあがっている間に、すっかり鼻毛を読まれていたらしい。♠〈鼻毛を数える〉いくら男にもてるからって、客の鼻毛を数えるようなことはおしでないよ。 **はなごえ【鼻声】** 鼻がつまった時の声。鼻にかかった声。[文例]電話の向こうから「風邪[かぜ]をひいて具合が悪くて・・・」という姉の鼻声が返ってきた。♠●へ鼻声を出す〉女が鼻声を出して甘えかかると、男はすっかりでれっとなってしまった。 **はなざかり【花盛り】** 花の盛り。物事の盛んな時。〔[文例]桜はすでに八重を過ぎ、公園はハナミズキの花盛りである。♠◆〈花盛りを迎える〉桜も花盛りを迎え、春たけなわのこのごろです。♠へ受験産業の花盛り〉受験産業花盛りで、今やクラスの半数以上が塾[じゅく]に通っているという。 **はなさき【鼻先】** 鼻の先端。目の前。[文例]象は、その鼻先で上手にエサをつかみ口へ運びます。♠●へすぐ鼻先に〉すぐ鼻先にイギリス海峡があり、彼は幼いころからそこを渡ってみたいと思っていた。♠●〈鼻先に突きつける〉札束[さったば]を鼻先に突きつけられると、男の心は揺[ゆ]らいだ。♠●へ鼻先であしらう〉あの人に交際を申し込んだが、鼻先であしらわれてしまった。♠●へ鼻先で笑う〉彼は、ぼくの絵を見るや鼻先でせせら笑った。 **はなし【話】** 話すこと。また、その内容。談話。物語。わけ。事情。道理。相談。交渉。うわさ。評判。[文例]〈話がはずむ〉同窓会ではなつかしい級友に会って、すっかり話がはずんだ。♠◆〈話に花が咲く〉気の合う仲間とおしゃべりしていると話に花が咲いて、時間のたつのも忘れてしまう。♠◆く話をする〉子供のころ、祖父に『桃太郎[ももたろう]』の話をしてとせがんだものだった。♠●く話を聞く〉話は、明日、ゆっくり聞くから、今夜は静かにお休み。♠〈話がわかる〉うちの祖母は若い人とのつきあいが多いせいか、母よりも話がわかります。♠●へ話にならない〉いくら強打者だからと言っても、子供じゃ話にならないよ。♠●く話に乗る〉みんなで野球チームを作る計画を立ててるんだけど、きみも話に乗らないかな。♠へ話を決め[き]る〉今年三十になる兄は、そろそろ結婚[けつこん]の話を決めたいと言っている。♠へ話がつく〉この工事に関しては、建設会社と住民との間で話がついている。♠〈話が合う〉A君とぼくは四つも年が違[ちが]うのに話が合うのは、趣味[しゅみ]が同じせいかもしれない。♠●へ話をそらす〉こっちが真剣[しんけん]になって聞いてあげているのに、急に話をそらさないでよ。♠●へ話が違う〉みんなで行くというからこうしてやって来たのに、今になってぼく一人で行けなんて話が違う。♠●へ話が通じる〉ぼくの英語では、外国人相手に話が通じないらしい。♠●〈話半分〉彼は大ぶろしきだから、話半分に聞いていたほうがいいよ。 <889> ◆<恥[は]ずかしい話[はなし]〉恥ずかしい話ですが、わたしはまだ一度[いちど]も船[ふね]に乗[の]ったことがありません。◆く早[はや]い話[はなし]〉早い話、きみだって、安[やす]いアルバイト料[りょう]で働[はたら]くより高[たか]いほうがいいと思[おも]うだろう。●へとっておきの話[はなし]〉これはわたしのとっておきの話なんだからしっかりと聞[き]いてちょうだいね。♠へ〜の話[はなし]では〉みんなの話では、彼[かれ]はなかなかのスポーツマンらしい。 **はなしあい【話し合い】**○話[はな]し合[あ]うこと。相談[そうだん]。議論[ぎろん]。交渉[こうしょう]。[文例]〈話[はな]し合[あ]いをする〉お互[たが]いの立場[たちば]を尊重[そんちょう]し、話し合いをしてよりよい考[かんが]えを生[う]み出[だ]す態度[たいど]を養[やしな]おう。♠へ話[はな]し合[あ]いをもつ>市民団体[しみんだんたい]や企業[きぎょう]の代表[だいひょう]が集[あつ]まって、環境汚染[かんきょうおせん]の防止[ぼうし]についての話し合いがもたれた。♠〈話[はな]し合[あ]いに入[はい]る〉父[ちち]が残[のこ]した遺産[いさん]をめぐって、家族[かぞく]の者[もの]たちが話し合いに入った。♠く話[はな]し合[あ]いがつく〉住民側[じゅうみんがわ]との話し合いがつかなければ、工事[こうじ]を開始[かいし]するわけにはいかない。 **はなしがい【放し飼い】**○家畜[かちく]をつないだり囲[かこ]ったりしないで飼[か]うこと。[文例]〈放[はな]し飼[が]いにする〉犬[いぬ]を放し飼いにして、もし人[ひと]にかみつきでもしたらどうするんだ。♠〈放[はな]し飼[が]いにする〉山[やま]のすそ野[の]に放し飼いにされた牛[うし]や馬[うま]が、のんびりと牧草[ぼくそう]をはんでいる。 **はなじろ・む【鼻白む】**○気[き]おくれした顔[かお]をする。興[きょう]ざめな顔をする。[文例]二十歳[はたち]をこえた男性[だんせい]のあまりに幼稚[ようち]な言葉[ことば]に、聴衆[ちょうしゅう]は一様[いちよう]に鼻白[はなじろ]んだ。 **はな・す【話す】**○しゃべる。言[い]う。語[かた]る。話[はなし]をする。相談[そうだん]する。[文例]〈日本語[にほんご]を話[はな]す〉わたしたちはふだん、何気[なにげ]なく日本語を話したり書[か]いたりしています。♠〈訳[わけ]を話[はな]す〉黙[だま]っていてはわからないじゃないか、何[なん]で泣[な]いているのか訳を話しなさい。♠へ腹[はら]を割[わ]って話[はな]す〉人生[じんせい]には腹を割って話すことのできる友人[ゆうじん]が必要[ひつよう]だ。♠へあらましを話[はな]す〉刑事[けいじ]は、かけつけた警部[けいぶ]に事件[じけん]のあらましをかいつまんで話した。♠〈とくとくと話[はな]す〉「アメリカに行[い]くんだって?」と聞[き]かれると、彼[かれ]は、待[ま]ってましたとばかりにとくとくと話[はな]し始[はじ]めた。♠◆<話[はな]すに足[た]る〉大勢[おおぜい]のクラスメートの中[なか]で、彼[かれ]こそはわたしにとって話すに足る相手[あいて]だ。♠く話[はな]せばわかる〉あなたは思[おも]い違[ちが]いをしています、きっと話せばわかります。 **はな・す【放す・離す】**○束縛[そくばく]を解[と]いて自由[じゆう]にさせる。そのままにしておく。つかんでいることをやめる。間隔[かんかく]をおく。関心[かんしん]を移[うつ]す。[文例]〈鳥[とり]を放[はな]す〉少年[しょうねん]たちは、すっかり元気[げんき]になった小鳥[ことり]を再[ふたた]び空[そら]に放してやった。♠〈犬[いぬ]を放[はな]す〉何日[なんにち]もつながれていた子犬[こいぬ]は、野原[のはら]に放してやるとうれしそうに跳[は]ねまわっていた。♠〈手[て]を放[はな]す〉広[ひろ]い場所[ばしょ]に出[で]ると、ぼくはおそるおそる自転車[じてんしゃ]のハンドルから手を放してみた。♠〈ハンドルを放[はな]す>危[あぶ]ないじゃないか、ハンドルを放したりしちゃあ。♠へ手[て]を放[はあな]す〉今[いま]、手を放すことのできない用[よう]があるから、あとでこちらから電話[でんわ]します。♠へ間隔[かんかく]を離[はな]す〉木[き]の苗[なえ]は、ふつう何[なん]メートルかに間隔を離して植[う]えます。♠〈目[め]を離[はな]す>車[くるま]の多[おお]い所[ところ]では小[ちい]さい子供[こども]から目を離さないようにしましょう。♠〈肌身[はだみ]離[はな]さず〉道中[どうちゅう]なにかと不用心[ぶようじん]だから、金[かね]だけは肌身離さず持[も]っていなさい。♠へつかんだら離[はな]さない〉金貸[かねか]し吉兵衛[きちべえ]は、つかんだら離さないという評判[ひょうばん]の欲張[よくば]り者[もの]だ。 **はな・せる【話せる】**○話[はな]すことができる。話[はなし]がわかる。[文例]〈言葉[ことば]を話[はな]せる〉アイヌ語[ご]を完全[かんぜん]に話せるアイヌ民族[みんぞく]は、老人[ろうじん]にさえも少[すく]なくなったという。♠〈片言[かたこと]を話[はな]せる〉この子[こ]はようやく片言が話せるようになりました。♠へ話[はな]せる人[ひと]〉あの人[ひと]に相談[そうだん]するといい、彼[かれ]はなかなか話せる人だよ。 **はなたかだか【鼻高高】**○非常[ひじょう]に得意[とくい]げなさま。[文例]自慢[じまん]の息子[むすこ]が有名校[ゆうめいこう]に合格[ごうかく]したものだから、おばさんは鼻高々[はなたかだか]だ。♠大男[おおおとこ]は、われこそ天下一[てんかいち]の力持[ちからも]ちだと鼻高々に自慢した。 **はなたば【花束】**○花[はな]をひとくくりにした束[たば]。[文例]〈花束[はなたば]にする〉庭[にわ]に咲[さ]いたすずらんを花束にして、友人[ゆうじん]のお見舞[みま]いに持[も]っていきました。♠〈花束[はなたば]を贈[おく]る〉卒業式[そつぎょうしき]の日[ひ]、クラスのみんなで先生[せんせい]に花束を贈った。♠へ花束[はなたば]を捧[ささ]げる〉わたしたちは花束を記念碑[きねんひ]に捧げ、両手[りょうて]を合[あ]わせた。 **はなぢ【鼻血】**○鼻孔[びこう]から出[で]る血[ち]。[文例]〈鼻血[はなぢ]が出[で]る〉〈鼻血[はなぢ]が止[と]まる〉柱[はしら]にぶつかり、鼻血が出[で]て止[と]まらない。♠へ鼻血[はなぢ]を出[だ]す>暑[あつ]さでのぼせて鼻血を出し、保健室[ほけんしつ]でしばらく休[やす]んでいた。♠へ鼻血[はなぢ]を流[なが]す〉負[ま]けた力士[りきし]は、鼻血を流しながら土俵[どひょう]を下[お]りた。 **はな・つ【放つ】**○解[と]き放[はな]つ。自由[じゆう]にさせる。遠[とお]ざける。送[おく]り込[こ]む。発射[はっしゃ]する。発[はっ]する。放火[ほうか]する。[文例]〈魚[さかな]を放[はな]つ〉釣[つ]り好[ず]きの父[ちち]は、釣った魚をいつも川[かわ]に放って自由にしてやっている。♠へ牛[うし]や馬[うま]を放[はな]つ>広[ひろ]い牧場[ぼくじょう]のそこここには、牛や馬が放たれていた。♠へ犬[いぬ]を放[はな]つ〉獲物[えもの]の姿[すがた]を見[み]ると、猟師[りょうし]たちはいっせいに犬を放った。◆ヘスパイを放[はな]つ〉各国[かっこく]の放ったスパイたちが情報[じょうほう]をめぐってしのぎをけずっています。♠<矢[や]を放[はな]つ〉弓道[きゅうどう]は、的[まと]をめがけて矢を放つまでの緊張感[きんちょうかん]が大切[たいせつ]なのだと言[い]う。♠〈光[ひかり]を放[はな]つ〉オリオンがひときわ白[しろ]い光を放つ冬[ふゆ]の星空[ほしぞら]ほど美[うつく]しいものはない。♠へ香[かお]りを放[はな]つ〉藤村[とうそん]の詩[し]は、青春[せいしゅん]の慕情[ぼじょう]と感傷[かんしょう]とがとけあって高[たか]い香りを放っている。♠〈火[ひ]を放[はな]つ〉折[お]からの強風[きょうふう]もたたって、敵[てき]の放った火は、あっという間[ま]に村[むら]じゅうを焼[や]きつくしてしまった。♠へ質問[しつもん]を放[はな]つ〉会議[かいぎ]では、何人[なんにん]かが鋭[するど]い質問を放ったので、熱[ねつ]のこもった議論[ぎろん]が交[か]わされた。♠へ声[こえ]を放[はな]つ>死[し]んだ息子[むすこ]にとりすがると、母親[ははおや]は、悲[かな]しみのあまり声を放って泣[な]いた。♠〈異彩[いさい]を放[はな]つ>個性的[こせいてき]な性格俳優[せいかくはいゆう]の中でも、彼[かれ]はひときわ異彩を放っている。 **はなっぱしら【鼻っ柱】**○鼻[はな]の中心[ちゅうしん]の骨[ほね]。鼻の左右[はなのさゆう]の穴[あな]の間[あいだ]のしきり。負[ま]けん気[き]。はなばしら。はなっぱし。[文例]へ鼻[はな]っ柱[ぱしら]が強[つよ]いダンプの運転手[うんてんしゅ]と言[い]い合[あ]いをするなんて、鼻っ柱の強い娘[むすめ]だ。♠へ鼻[はな]っ柱[ぱしら]をへし折[お]る〉お山[やま]の大将[たいしょう]のあいつの鼻っ柱をへし折ったら、どんなに気持[きも]ちがいいだろう。 **はなつまみ【鼻つまみ】(鼻摘み)**○人[ひと]から嫌[きら]われること。また、そういう人。[文例]あのおばさんはすぐ人[ひと]のうわさを流[なが]すので、近所[きんじょ]の鼻つまみなんだよ。♠人[ひと]の嫌[いや]がることばかりしていると、そのうちに仲間[なかま]の鼻つまみになるぞ。 **はなづら【鼻面】**○鼻先[はなさき]。はなっつら。[文例]〈鼻面[はなづら]を突[つ]っ込[こ]む〉 <890> 子[こ]うさぎたちは、母親[ははおや]の暖[あたた]かな毛[け]の中[なか]に鼻面[はなづら]を突[つ]っ込み、お乳[ちち]を飲[の]んでいる。♠へ鼻面[はなづら]をなでる〉おじさんは、子[こ]を産[う]んだばかりの母馬[ははうま]の鼻面を何[なん]度[ど]もなでてやった。♠へ人[ひと]の鼻面[はなづら]を引[ひ]き回[まわ]す〉彼[かれ]を見[み]ていると、自分[じぶん]の思[おも]うとおりに人の鼻面を引き回しているように思[おも]える。 **はなはだ【甚だ】**○非常[ひじょう]に。おおいに。ひどく。[文例]〈甚[はなは]だ残念[ざんねん]>甚だ残念ですが、あなたの大作[たいさく]は選[せん]からもれました。◆<甚[はなは]だ恐縮[きょうしゅく]ですが>甚だ恐縮ですが、たばこの火[ひ]を貸[か]していただけないでしょうか。♠〈甚[はなは]だけしからん〉自分[じぶん]のほうからぶつかってきて、謝[あやま]りもせずに行[い]ってしまうとは、甚だけしからん。♠へ甚[はなは]だ迷惑[めいわく]〉下宿屋[げしゅくや]の娘[むすめ]のおせっかいはうれしくもあったが、一方[いっぽう]では、甚だ迷惑にも感[かん]じていた。♠〈甚[はなは]だ頼[たよ]りない〉父[ちち]に資金援助[しきんえんじょ]を頼[たの]んだが、返事[へんじ]は、「考[かんが]えておくよ。」という甚だ頼りないものであった。 **はなはだし・い【甚だしい】**○度[ど]をこしてひどい。[文例]〈甚[はなは]だしく不快[ふかい]〉劇場内[げきじょうない]は冷房[れいぼう]もきかずにうだるような暑[あつ]さで、甚だしく不快な思[おも]いをした。♠へ甚[はなは]だしく異[こと]なる〉初[はじ]めて見[み]るこの国[くに]の人々[ひとびと]は、想像[そうぞう]とは甚だしく異なっていた。♠へ時代錯誤[じだいさくご]も甚[はなは]だしい>女性[じょせい]は外[そと]で働[はたら]くのに適[てき]さないなんて、時代錯誤も甚だしい。♠〈誤解[ごかい]も甚[はなは]だしい〉人[ひと]の物[もの]をとっただろうなんて誤解も甚だしい。♠へおかど違[ちが]いも甚[はなは]だしい〉さんざん陰[かげ]で悪口[わるくち]を言[い]っておきながら、わたしにものを使[つか]むなんて、おかど違いも甚だしい。◆◇甚[はなは]だしきに至[いた]っては〉誤字[ごじ]があるのはまだしも、甚だしきに至っては、ひとのものをまる写[うつ]ししたような作文[さくぶん]もある。 **はなばなし・い【花花しい・華華しい】**○はなやかだ。みごとだ。はでだ。[文例]〈華々[はなばな]しい活躍[かつやく]〉ロス五輪[ごりん]のアメリカ勢[ぜい]の華々しい活躍は、世界[せかい]じゅうの人々[ひとびと]を驚[おどろ]かせた。♠へ華々[はなばな]しい最期[さいご]〉ここに平家[へいけ]は、華々しい最期を遂[と]げたのであった。♠〈華々[はなばな]しく戦[たたか]う〉第三戦[だいさんせん]、わがチームは最後[さいご]まで華々しく戦って敗[やぶ]れた。◆◇華々[はなばな]しい反響[はんきょう]〉彼[かれ]の書[か]いた問題作[もんだいさく]は、たちまちのうちにベストセラーとなり、華々しい反響をまき起[お]こした。◆〈華々[はなばな]しい成功[せいこう]〉歌劇団初[かげきだんうぶ]の海外公演[かいがいこうえん]は各地[かくち]で大好評[だいこうひょう]を博[はく]し、華々しい成功を収[おさ]めた。♠〈華々[はなばな]しい復興[ふっこう]>戦後四十年[せんごよんじゅうねん]、日本[にほん]は華々しい復興を遂[と]げたと言[い]える。 **はなび【花火】**○火薬[かやく]に発色剤[はっしょくざい]を混[ま]ぜたものに火[ひ]をつけたり、破裂[はれつ]させたりして、光[ひかり]や色[いろ]を楽[たの]しむ物[もの]。[文例]〈花火[はなび]をする〉夕涼[ゆうすず]みしながら縁側[えんがわ]で花火をするのも、夏[なつ]の風物詩[ふうぶつし]の一[ひと]つです。♠へ花火[はなび]が揚[あ]がる〉暗[くら]い空[そら]に美[うつく]しい花火が揚がると、どよめきのような声[こえ]が一同[いちどう]の口[くち]からもれた。♠へ打[う]ち上[あ]げ花火[はなび]〉なんてったって、打ち上げ花火は威勢[いせい]がよくていいね。 **はなびら【花びら】(花弁・花片)**○花冠[かかん]を作[つく]る一枚一枚[いちまいいちまい]の薄片[はくへん]。花弁[かべん]。[文例]〈花[はな]びらが舞[ま]う〉桜[さくら]の花びらがひらひらと舞[ま]い落[お]ちる。♠雪[ゆき]は、空[そら]から降[ふ]ってくる可憐[かれん]な花びらであった。♠へ花[はな]びらを開[ひら]く〉一輪[いちりん]のつぼみがふっくらと花びらを開いた。 **はなひらく【花開く】**○花[はな]が開[ひら]く。盛[さか]りになる。[文例]〈桜[さくら]が花開[はなひら]く〉桜はようやく花開いたと思[おも]うと、もうひらひらと散[ち]り始[はじ]めている。♠〈文化[ぶんか]が花開[はなひら]く〉この眼鏡橋[めがねばし]は、九州[きゅうしゅう]を舞台[ぶたい]に花開いた日本[にほん]の石[いし]の文化の集大成[しゅうたいせい]といってよいだろう。♠へ女優[じょゆう]として花開[はなひら]く〉彼女[かのじょ]はこの作品[さくひん]をきっかけに、みごとに女優として花開いた。 **はなふぶき【花吹雪】**○桜[さくら]の花[はな]の乱[みだ]れ散[ち]る様子[ようす]。[文例]花吹雪[はなふぶき]が舞[ま]う〉桜の花は満開[まんかい]で、春[はる]の宵[よい]に花吹雪が音[おと]もなく舞っている。 **はなみ【花見】**○桜[さくら]の花[はな]を見物[けんぶつ]すること。[文例]〈花見[はなみ]をする〉桜が満開[まんかい]になっても、戦時下[せんじか]のことで、だれ一人[ひとり]として花見をする人はいなかった。♠〈花見[はなみ]に行[い]く〉桜がちょうど見[み]ごろだから、日曜日[にちようび]にお花見に行こう。♠〈花見時[はなみどき]〉〈花見客[はなみきゃく]〉上野[うえの]の美術館[びじゅつかん]へ行[い]くと、ちょうど花見時で、公園[こうえん]は大勢[おおぜい]の花見客でにぎわっていた。 **はなみず【鼻水】**○鼻[はな]じる。みずっぱな。[文例]〈鼻水[はなみず]を垂[た]らす〉おやおや、寒[さむ]いんだろう、鼻水を垂らして。♠へ鼻水[はなみず]が出[で]る〉春[はる]になると、目[め]がかゆくなったり、くしゃみや鼻水が出て悩[なや]まされる。 **はなみち【花道】**○舞台[ぶたい]を延長[えんちょう]して客席[きゃくせき]に設[もう]けた通路[つうろ]。相撲[すもう]で力士[りきし]が通[とお]る通路。引[ひ]き際[ぎわ]の華[はな]々[ばな]しさ。[文例]〈花道[はなみち]に登場[とうじょう]する>花形役者[はながたやくしゃ]が花道に登場すると、客席から一斉[いっせい]に声[こえ]がかかった。♠へ花道[はなみち]を引[ひ]き上[あ]げる〉花道を引き上げる勝[か]ち力士に割[わ]れんばかりの拍手[はくしゅ]が送[おく]られた。♠〈花道[はなみち]を飾[かざ]る〉この試合[しあい]の優勝[ゆうしょう]で、彼[かれ]は長[なが]い選手生活[せんしゅせいかつ]の花道を飾ることができた。 **はなむけ(餞・贐)**○旅立[たびだ]つ人[ひと]・去[さ]り行[ゆ]く人[ひと]に心[こころ]をこめておくるもの。また、おくること。[文例]〈はなむけをする〉上京[じょうきょう]する前夜[ぜんや]、いつもは無口[むくち]な父[ちち]が歌[うた]を歌[うた]って、わたしへのはなむけをしてくれた。♠へはなむけの言葉[ことば]〉このゲーテの詩[し]の一節[いっせつ]を、旅立つ諸君[しょくん]へのはなむけの言葉として贈[おく]りたい。 **はなむこ【花婿】(花婿)**○新郎[しんろう]。[文例]〈花婿[はなむこ]と花嫁[はなよめ]〉立派[りっぱ]な花婿に優[やさ]しい花嫁、いかにも似合[にあ]いの夫婦[ふうふ]だね。♠へ花婿[はなむこ]を迎[むか]える〉娘[むすめ]は、村一番[むらいちばん]の働[はたら]き者[もの]を花婿として迎えることになっていた。 **はなもちならな・い【鼻持ちならない】**○がまんできないほど臭[くさ]い。がまんできないほど不快[ふかい]だ。[文例]あいつは、やることがわざとらしくて、鼻持[はなも]ちならないきざなやつだ。♠あの子[こ]は、お嬢様[じょうさま]ぶっていて、鼻持ちならないわ。 **はなやか【花やか・華やか】**○美[うつく]しくきらびやかなさま。盛[さか]んで輝[かがや]かしいさま。[文例]〈華[はな]やかな都会[とかい]>若者[わかもの]が華やかな都会にあこがれるのは無理[むり]のないことかもしれない。♠〈華[はな]やかな装[よそお]い>晩さん会[ばんさんかい]では、女王[じょおう]の華やかな装いがひときわ人々[ひとびと]の目[め]をひいた。♠〈華[はな]やかに着飾[きかざ]る>毎年卒業[まいとしそつぎょう]パーティーの時[とき]は、華やかに着飾った女子学生[じょしがくせい]たちでホールは埋[う]めつくされてしまいます。♠く華[はな]やかな存在[そんざい]〉内田[うちだ]さんはいつも華やかな存在で、彼女[かのじょ]がいると教室[きょうしつ]の中[なか]がパッと明[あか]るくなる。♠〈華[はな]やかな生涯[しょうがい]>四十年[よんじゅうねん]を女優[じょゆう]として生[い]きたA女史[じょし]は、昨夜[ゆうべ]、その華やかな生涯の幕[まく]を閉[と]じた。◆く華[はな]やかなりしころ〉これはまだ、武士道華[ぶしどうはな]やかなりしころの物語[ものがたり]です。 **はなや・ぐ【花やぐ・華やぐ】**○はなやかになる。[文例]〈華[はな]やいだ雰囲気[ふんいき]>花[はな]を飾[かざ]ると、殺風景[さっぷうけい]な部屋[へや]が華やいだ雰囲気になった。 <891> ♠へ座[ざ]が華[はな]やぐ>彼女[かのじょ]が現[あらわ]れると、座がいっぺんに華やいだ。 **はなよめ【花嫁】**○新婦[しんぷ]。[文例]〈花嫁[はなよめ]が嫁[とつ]ぐ〉美[うつく]しい花嫁が嫁いで来[き]た日[ひ]は、ちらほらと初雪[はつゆき]が舞[ま]っていました。♠へ花嫁衣装[はなよめいしょう]>花嫁衣装に身[み]を包[つつ]んだ娘[むすめ]の姿[すがた]を見[み]て、父親[ちちおや]の目[め]はうるんだ。♠〈花嫁姿[はなよめすがた]>孫[まご]の花嫁姿を見[み]るまでは元気[げんき]でいたい、というのが祖母[そぼ]の口癖[くちぐせ]でした。 **はなれ【離れ】**○離[はな]れること。離れていること。母屋[おもや]から離れて建[た]ててある座敷[ざしき]。[文例]〈旅館[りょかん]の離[はな]れ〉作家[さっか]は、ある旅館の離れを借[か]りて暮[く]らしていた。♠へ離[はな]れ小島[こじま]〉はるか遠方[えんぽう]に、離れ小島が一[ひと]つぽっかりと浮[う]かんでいるのが見[み]える。◆<離[はな]れ座敷[ざしき]>旅人[たびびと]が一晩泊[ひとばんと]めてほしいと宿[やど]を請[こ]うので、庭[にわ]の離れ座敷に案内[あんない]した。♠〈現実離[げんじつばな]れ〉彼[かれ]の発想[はっそう]はおもしろいが、少々[しょうしょう]現実離れしている。♠〈活字離[かつじばな]れ>若[わか]い年代[ねんだい]を中心[ちゅうしん]に活字離れが進行[しんこう]しているといわれる。 **ばなれ【場慣れ】(場馴れ)**○場数[ばかず]を踏[ふ]んで、場[ば]の雰囲気[ふんいき]に慣[な]れること。[文例]〈場慣[ばな]れする〉きみは、実力[じつりょく]は持[も]っているのだが、場慣れしていないのであがってしまったようだ。 **はなればなれ【離れ離れ】**○別[わか]れ別[わか]れ。ちりぢり。[文例]<離[はな]れ離[ばな]れになる〉卒業[そつぎょう]と同時[どうじ]に、仲[なか]の良[よ]かった友達[ともだち]も皆離れ離れになり、それぞれの日[ひ]を歩[あゆ]んでいます。♠へ離[はな]れ離[ばな]れに暮[く]らす〉事情[じじょう]があって、少女[しょうじょ]の一家[いっか]は家族離[かぞくばな]れ離れに暮らしていた。 **はな・れる【放れる・離れる】**○つないでいたものが解[と]けて動[うご]き出[だ]す。くっついていたものが別々[べつべつ]になる。間[あいだ]があく。遠[とお]ざかる。別[わか]れる。[文例]〈鎖[くさり]を放[はな]れる〉ちょっとしたすきに、犬[いぬ]が鎖を放れて逃[に]げてしまった。♠へ馬[うま]が放[はな]れる〉おおい、だれかあ、馬が綱[つな]から放れたで、おさえてくれねえかあ。♠〈手[て]が放[はな]れる〉ようやく子供[こども]から手が放れたので、趣味[しゅみ]に時間[じかん]を割[さ]くことができるようになった。♠へ地面[じめん]を離[はな]れる〉人間[にんげん]は、鳥[とり]のように地面を離れて、空[そら]を飛[と]ぶことを夢見[ゆめみ]てきた。♠へそばを離[はな]れる〉幼[おさな]い子[こ]は、母親[ははおや]のスカートをしっかり握[にぎ]って、そばを離れようとしない。♠〈岸[きし]を離[はな]れる>荷[に]を積[つ]みおわると、船[ふね]は静[しず]かに岸を離れて行[い]った。♠へ持[も]ち場[ば]を離[はな]れる>工場[こうじょう]では、持ち場を離れるときは、必[かなら]ず現場監督[げんばかんとく]に断[ことわ]るのが決[き]まりになっている。♠へ席[せき]から離[はな]れる>授業中[じゅぎょうちゅう]は、勝手[かって]に自分[じぶん]の席から離れてはいけませんよ。♠〈都心[としん]から離[はな]れる〉たまには都心から離れて、緑[みどり]の野山[のやま]を眺[なが]めるのも、よい保養[ほよう]になる。♠<親元[おやもと]を離[はな]れる〉昔[むかし]は、六[むっ]つ七[なな]つで親元を離れて、奉公[ほうこう]に出[だ]されたという。♠〈職[しょく]を離[はな]れる〉父[ちち]は、今年定年[ことしてんねん]で職を離れる。♠〈俗世[ぞくせ]を離[はな]れる〉急[きゅう]に世間[せけん]がうとましくなり、俗世を離れて生[い]きてみたくなった。♠へ戦列[せんれつ]を離[はな]れる〉足[あし]のけががもとで、今[こん]シーズンは戦列を離れることになった。♠へ頭[あたま]から離[はな]れない〉事故現場[じこげんば]に居[い]合[あ]わせたわたしは、あのときの大景[ひかり]が頭から離れない。♠へ脳裏[のうり]を離[はな]れる〉あの時[とき]の光景[こうけい]は、わたし脳裏[のうり]に焼[や]き付[つ]いて離れません。♠へ損得[そんとく]を離[はな]れる〉地震[じしん]のような非常時[ひじょうじ]には、商店街[しょうてんがい]も損得を離れて、助[たす]け合[あ]いましょう。♠〈人心[じんしん]が離[はな]れる>怠慢[たいまん]な現政府[げんせいふ]から、とっくに人心は離れている。♠〈距離[きょり]が離[はな]れる〉ここでは、一番近[いちばんちか]い隣家[りんか]でも、三[さん]キロも距離が離れている。♠〈年[とし]が離[はな]れる〉妹[いもうと]とは七[なな]つも年が離れているので、話[はなし]が合[あ]いません。♠へ時代[じだい]が離[はな]れる〉中世[ちゅうせい]のヨーロッパと言[い]われても、場所[ばしょ]も時代も離れていて、どうもぴんと来[こ]ない。 **はなれわざ【離れ業】**○大胆[だいたん]で思[おも]い切[き]った、危険[きけん]な芸当[げいとう]やふるまい。[文例]〈離[はな]れ業[わざ]を演[えん]じる〉曲芸師[きょくげいし]は、一輪車[いちりんしゃ]でロープを渡[わた]るという離れ業をみごとに演じてみせた。♠へ危険[きけん]な離[はな]れ業[わざ]>背景[はいけい]とモティーフを同系統[どうけいとう]の色[いろ]で描[えが]き出[だ]すことは、かなり危険な離れ業と言[い]える。 **はにかみ**○恥[は]ずかしがること。また、その表情[ひょうじょう]やそぶり。[文例]〈はにかみの表情[ひょうじょう]〉かわいいお嬢[じょう]さんね、と言[い]われて、女の子[おんなのこ]ははにかみの表情を見[み]せました。♠へはにかみを浮[う]かべる〉少女[しょうじょ]はぽっと赤[あか]らめた顔[かお]にはにかみを浮かべて、わたしたちにお茶[ちゃ]を運[はこ]んでくれた。♠へはにかみ屋[や]〉わたしは、はにかみ屋で消極的[しょうきょくてき]なので、なかなか友達[ともだち]ができなかった。 **はにかむ**○恥[は]ずかしそうなそぶりをする。[文例]「目[め]がきりさめだね。」と言[い]われて、少女[しょうじょ]ははにかんでうついた。◆校長先生[こうちょうせんせい]は男[おとこ]の子[こ]に声[こえ]をかけたが、子供[こども]ははにかんで、父親[ちちおや]の背[せ]にしがみついたままだった。◆何[なに]を言[い]っても、女の子ははにかんで、一言[ひとこと]も口[くち]をきかなかった。 **パニック**○群衆[ぐんしゅう]の混乱状態[こんらんじょうたい]。恐慌[きょうこう]。[文例]〈パニックに陥[おちい]る>株価[かぶか]の暴落[ぼうらく]で、ウォール街[がい]はパニックに陥った。♠ヘパニックを防[ふせ]ぐ〉火災発生時[かさいはっせいじ]の係員[かかりいん]の的確[てきかく]な誘導[ゆうどう]によって、宿泊客[しゅくはくきゃく]のパニックを防ぐことができた。◆ヘパニック状態[じょうたい]〉地震[じしん]による通信網[つうしんもう]の破壊[はかい]は、住民[じゅうみん]をパニック状態に陥[おとしい]れた。 **はね【羽・羽根】(翅)**○鳥[とり]の羽毛[うもう]。鳥・昆虫[こんちゅう]のつばさ。飛行機[ひこうき]のつばさ。器具[きぐ]のつばさ状[じょう]のもの。羽子[はご]。[文例]〈羽[はね]をたたむ>チョウとガは、どういうふうに羽をたたむかで区別[くべつ]します。♠〈羽[はね]を広[ひろ]げる〉くじゃくが羽を広げた姿[すがた]はほんとうに美[うつく]しい。♠〈羽[はね]を休[やす]める〉時[とき]には、カモメがやってきて、船[ふね]のへさきに止[と]まって羽を休めることもあった。◆<鳥[とり]の羽[はね]>昔西洋[むかしせいよう]では、鳥の羽で作[つく]ったペンで字[じ]を書[か]きました。♠へ飛行機[ひこうき]の羽[はね]>窓際[まどぎわ]の席[せき]で飛行機の羽を見[み]ていると、空[そら]を飛[と]んでいることを実感[じっかん]します。♠〈羽[はね]が生[は]える〉お中元[ちゅうげん]セールでは、どこのデパートも羽が生えたような売[う]れ行[ゆ]きだったそうだ。♠〈羽[はね]をのばす>期末[きまつ]テストも終[お]わったことだし、週末[しゅうまつ]にはみんなで思[おも]いきり羽をのばそう。♠へ赤[あか]い羽根[はね]〉十月[じゅうがつ]には、赤い羽根の共同募金[きょうどうぼきん]が行[おこな]われます。♠〈扇風機[せんぷうき]の羽根[はね]>扇風機の羽根に触[ふ]れるのはとても危険[きけん]です。♠へ羽根[はね]をつく>晴[は]れ着姿[ぎすがた]の少女[しょうじょ]たちが羽子板[はごいた]で羽根をついています。 **はね【跳ね】(撥ね)**○はねること。泥水[どろみず]がはねること。また、はねた泥水。一日[いちにち]の興行[こうぎょう]の終了[しゅうりょう]。[文例]〈はねをかける〉雨[あめ]の日[ひ]の狭[せま]い道[みち]では、歩行者[ほこうしゃ]にはねをかけないよう、注意[ちゅうい]して車[くるま]を走[はし]らせます。♠へはねをあげる〉雨[あめ]の日[ひ]に着物[きもの]を着[き]て出[で]かけると、必[かなら]ずはねをあげるので、あとの始末[しまつ]が大変[たいへん]だ。 **ばね(発条)**○ぜんまい。スプリング。飛躍[ひやく]の手段[しゅだん]。弾力[だんりょく]。[文例]へばねがゆるむ〉おもちゃが動[うご]かなくなったよ、きっとばねがゆるんだんだ。♠へばねにする〉よくしなる細[ほそ]い木[き]の枝[えだ]をばねにして、野[の]ねずみをつかまえる仕掛[しか]けを作[つく]った。 <892> ♠〈ばねにする〉このコンクールでの入賞[にゅうしょう]をばねにして、一層[いっそう]の飛躍[ひやく]をはかりたいと思[おも]う。♠へ足腰[あしこし]のばね〉へばねが強[つよ]い>足腰のばねが強[つよ]く、有望[ゆうぼう]な柔道選手[じゅうどうせんしゅ]です。♠へばねじかけ〉びっくり箱[ばこ]は、ばねじかけになっていて、ふたを開[あ]けると中[なか]のものが飛[と]び出[だ]します。 **はねあが・る【跳ね上がる】(撥ね上がる)**○とびあがる。急激[きゅうげき]に大幅[おおはば]にあがる。行[い]き過[す]ぎた行動[こうどう]をとる。[文例]〈泥[どろ]がはね上[あ]がる>道[みち]がぬかるんでいたので、ズボンに泥がはね上[あ]がってしまった。♠へ物価[ぶっか]がはね上[あ]がる〉物価がはね上[あ]がり、庶民[しょみん]の暮[く]らしは苦[くる]しくなる一方[いっぽう]だ。♠へはね上[あ]がった行動[こうどう]〉彼[かれ]は、はね上[あ]がった行動をとってみんなを困[こま]らせている。 **はねかえ・す【跳ね返す】(撥ね返す)**○はねてひっくり返[かえ]す。はじき返[かえ]す。勢[いきお]いよく戻[もど]す。突[つ]き返[かえ]す。[文例]〈水[みず]をはね返[かえ]す〉川[かわ]の浅[あさ]い所[ところ]で、子供[こども]たちが水をはね返し合[あ]って騒[さわ]いでいる。♠へ言葉[ことば]をはね返[かえ]す〉わたしは、「女[おんな]に学問[がくもん]はいらん。」という父親[ちちおや]の言葉をはね返した。♠〈苦悩[くのう]をはね返[かえ]す〉一冊[いっさつ]の本[ほん]との出会[であ]いが苦悩をはね返す力[ちから]を与[あた]えてくれた。 **はねかえり【跳ね返り】(撥ね返り)**○跳[は]ね返[かえ]ること。反動[はんどう]。軽[かる]はずみなこと・人[ひと]。[文例]〈はね返[かえ]りを受[う]ける〉きみはズバリと物[もの]を言[い]うから、強[つよ]いはね返りを受けることにもなるのだ。♠彼[かれ]はふだん無口[むくち]だが、そのはね返りでか、酒[さけ]が入[はい]るととたんにおしゃべりになる。♠へはね返[かえ]り娘[むすめ]〉はね返り娘が、また学校[がっこう]で何[なに]かしでかしたらしい。 **はねかえ・る【跳ね返る】(撥ね返る)**○勢[いきお]いよくはねる。はずんで元[もと]に戻[もど]る。物事[ものごと]の影響[えいきょう]が元に返ってくる。[文例]〈ボールがはね返[かえ]る>壁[かべ]にぶつかったボールがはね返って、ぼくの頭[あたま]に当[あ]たった。♠〈泥水[どろみず]がはね返[かえ]る〉雨[あめ]の日[ひ]は、泥水がはね返るので注意[ちゅうい]しなさい。♠へ音[おと]・声[こえ]がはね返[かえ]る〉オーイ、と呼[よ]んだ声が校舎[こうしゃ]の壁[かべ]にぶつかってはね返ってきた。♠へ人間社会[にんげんしゃかい]にはね返[かえ]る〉生物界[せいぶつかい]の調和[ちょうわ]を無視[むし]して人間中心[にんげんちゅうしん]の生活[せいかつ]を続[つづ]ければ、必[かなら]ずいつか人間社会に弊害[へいがい]となってはね返ってくる。 **はねつ・ける【跳ね付ける】(撥ね付ける)**○はね返[かえ]す。突[つ]き返[かえ]す。拒絶[きょぜつ]する。[文例]〈誘惑[ゆうわく]をはね付[つ]ける〉彼[かれ]は、誘惑をきっぱりとはね付[つ]けて、自分[じぶん]の意志[いし]を通[とお]した。♠〈主張[しゅちょう]をはね付[つ]ける〉相手[あいて]は、こちらの主張を一言[いちごん]の下[もと]にはね付[つ]けた。 **はねとば・す【跳ね飛ばす】(撥ね飛ばす)**○はじき飛[と]ばす。吹[ふ]っ飛[と]ばす。[文例]〈車[くるま]にはね飛[と]ばされる〉左折[させつ]しようとしていたトラックに、バイクがぶつかってはね飛[と]ばされた。♠〈人[ひと]をはね飛[と]ばす〉道行[みちゆ]く人を押[お]しのけ、はね飛[と]ばし、メロスは黒[くろ]い風[かぜ]のように走[はし]った。(太宰治[だざいおさむ]「走[はし]れメロス」)◆〈暗[くら]い気分[きぶん]をはね飛[と]ばす〉その子[こ]の明[あか]るい笑顔[えがお]が、暗く沈[しず]んだ気分をはね飛[と]ばしてくれた。 **はねの・ける【跳ねのける】(撥ねのける)**○はね飛[と]ばしてのける。おしのける。取[と]り除[のぞ]く。[文例]〈布団[ふとん]をはねのける>弟[おとうと]は寝相[ねぞう]が悪[わる]く、夜中[よなか]に何度布団[なんどふとん]を掛[か]けてやっても、すぐにはねのけてしまう。♠〈覆[おお]いをはねのける>深[ふか]い認識[にんしき]に至[いた]るためには、先入観[せんにゅうかん]や偏見[へんけん]というまぶたにかぶさっている覆いをはねのけなければならない。♠〈不良品[ふりょうひん]をはねのける〉ここで、出来上[できあ]がった製品[せいひん]を一つ一つ[ひとつひとつ]点検[てんけん]し、不良品をはねのけます。 **は・ねる【跳ねる】(撥ねる・刎ねる)**○勢[いきお]いよくとび上[あ]がる。とび散[ち]る。はじける。その日[ひ]の興行[こうぎょう]が終[お]わる。先端[せんたん]を勢[いきお]いよく払[はら]い上[あ]げる。切[き]り落[お]とす。はじきとばす。排除[はいじょ]する。かすめ取る。「ン」音[おん]を出[だ]す。[文例]〈魚[さかな]が跳[は]ねる〉ぴしゃという水音[みずおと]とともに、池[いけ]のコイが跳[は]ねた。♠へぴょんぴょん跳[は]ねる〉次[つぎ]にやってきたウサギは、野原[のはら]をピョンピョン跳[は]ねて行[い]ってしまった。♠へ跳[は]んだり跳[は]ねたり〉子供[こども]たちは元気[げんき]に、公園[こうえん]で跳[は]んだり跳[は]ねたりして遊[あそ]んでいた。♠へ水[みず]が跳[は]ねる>プールサイドに近[ちか]づくと、思[おも]いきり飛[と]び込[こ]む人[ひと]で水が跳[は]ねます。♠へ泥[どろ]が跳[は]ねる〉雨[あめ]の日[ひ]には気[き]をつけて歩[ある]かないと、ズボンにいっぱい泥が跳[は]ねますよ。♠〈芝居[しばい]がはねる〉昨日[きのう]は芝居がはねたあと、久しぶりに家族[かぞく]そろってレストランで食事[しょくじ]をした。♠へはねる・とめる〉はねるところはきちんと はね、とめるところはきちんととめた字[じ]というのは読[よ]みやすい。♠へ人[ひと]をはねる〉車[くるま]は文明[ぶんめい]の利器[りき]ではあるが、人をはねたり死[し]なせたりする凶器[きょうき]にもなる。♠へ首[くび]をはねる〉この河原[かわら]で役人[やくにん]が謀反人[むほんにん]の首をはねるのを見物[けんぶつ]した。◆◇要求[ようきゅう]をはねる>制服[せいふく]の廃止[はいし]をという生徒[せいと]たちの要求は、父兄[ふけい]と学校側[がっこうがわ]の反対[はんたい]ではねられた。◆へ試験[しけん]ではねられる>筆記試験[ひっきしけん]はパスしたんだけど、残念[ざんねん]なことに面接[めんせつ]ではねられた。◆〈上前[うわまえ]をはねる〉なんてひどいやつだ、人[ひと]の上前をはねるなんて。 **はは【母】**○女親[おやおや]。物事[ものごと]を産[う]み出[だ]すもと。[文例]〈父[ちち]と母[はは]>それまでは、厳格[げんかく]な父と優[やさ]しい母の愛[あい]にはぐくまれて、何不自由[なにふじゆう]ない生活[せいかつ]を送[おく]っていた。♠〈亡[な]き母[はは]>彼女[かのじょ]は、どこか亡き母の面影[おもかげ]に似[に]ていた。♠〈実[じつ]の母[はは]>幼[おさな]いころ別[わか]れたきりで、実の母の顔[かお]さえ知[し]らなかった。♠へ母[はは]なる大地[だいち]〉多[おお]くの恵[めぐ]みを与[あた]えてくれる大地は、昔[むかし]から母なる大地と呼[よ]ばれてきた。♠〈必要[ひつよう]は発明[はつめい]の母[はは]>「必要は発明の母」という言葉[ことば]は、不便[ふべん]な点[てん]を便利[べんり]にしようと思[おも]い立[た]つことが発明につながるという意味[いみ]です。 **はば【幅】(巾)**○横方向[よこほうこう]の長[なが]さ。二点間[にてんかん]の距離[きょり]。差異[さい]の大きさ。差額[さがく]。余裕[よゆう]。威勢[いせい]。[文例]〈川[かわ]の幅[はば]〉途中[とちゅう]、小[ちい]さな川があり、その幅は約三[やくさん]メートルぐらいだった。♠ヘネクタイの幅[はば]>男性[だんせい]のネクタイも、幅の広[ひろ]いのがはやったり、狭[せま]いのがはやったりします。♠〈長[なが]さ〜幅[はば]〜〉うちのテーブルは、長さ一[ながさいち]メートル八十幅九十[はばきゅうじっ]センチの大きさです。♠へ幅[はば]が広[ひろ]い・狭[せま]い>遮断機[しゃだんき]が下[お]りている踏切[ふみきり]のわきに、一間[いっけん]ほどの幅の狭いホームがある。♠〈幅[はば]がある〉さすが大勢[おおぜい]の人間[にんげん]を引[ひ]っ張[ぱ]っていくリーダーだけに、人間[にんげん]に幅がある。♠へ幅[はば]が出[で]る〉苦労[くろう]しただけあって、きみも考[かんが]え方[かた]に幅が出[で]てきたね。♠〈芸[げい]の幅[はば]を広[ひろ]げる〉清純[せいじゅん]な娘[むすめ]の役[やく]だけでなく、これからは芸の幅を広げていきたいと思[おも]います。♠〈幅[はば]をきかせる〉彼[かれ]は今[いま]では大会社[だいかいしゃ]の社長[しゃちょう]で、実業界[じつぎょうかい]で幅をきかせているそうだ。♠へ幅[はば]をもたせる〉何事[なにごと]にもこれだけってことはない。いろいろ考[かんが]えて、考えに幅をもたせることも必要[ひつよう]だ。♠〈幅跳[はばと]び〉一郎君[いちろうくん]は、幅跳びが得意[とくい]で、いつも選手[せんしゅ]に選[えら]ばれます。 <893> ◆<趣味[しゅみ]が幅広い〉音楽、絵、スポーツと、彼の趣味は幅広い。♠●〈幅広く取り上げる〉万葉集には、天皇から民衆までその歌が幅広く取り上げられています。 **はばか・る(憚る)** おそれつつしむ。遠慮する。幅をきかせる。はびこる。[文例]〈辺りをはばかる〉彼女は辺りをはばかるように、小声でそっと耳打ちをした。♠●へ人前をはばかる〉パリの町角では、人前もはばからず抱き合っている恋人たちの姿をよく見かけます。♠●へ世間体[せけんてい]をはばかる〉世間体をはばかる母は、弟の家出を近所にも内緒[ないしよ]にしていた。♠◆〈他聞[たぶん]をはばかる〉今わたしの言った事は他聞をはばかりますので、ここだけの話にしておいてください。♠●へだれはばかることなく〉二十歳[はたち]になれば自分の責任を前提として、だれはばかることなく自由に行動できる。♠●へ〜してはばからない〉彼は常々、「金は力だ。」と広言してはばからない。♠●〈はばかりながら〉はばかりながら、わたしも、短歌には少しうるさいのよ。♠●〈過[あやま]ちを改めるにはばかることなかれ〉気がついたら、すぐに改めることだ。「過ちを改めるにはばかることなかれ」だからね。♠●へ憎[にく]まれっ子世にはばかる〉あのいやなやつがでかい顔をしてるなんて、憎まれっ子世にはばかるとは、このことだ。 **はば・む【阻む】** さえぎる。妨げる。くい止める。[文例]〈前進を阻む〉探検隊の前には切り立ったがけが立ちはだかり、その前進を阻んだ。♠●〈行く手を阻む〉一行[いつこう]がさみしい山道にさしかかると、突如[とつじよ]怪[あや]しい男どもが現れ、行く手を阻んだ。♠●へ攻撃[こうげき]を阻む〉見通しのよい一面の草原なので、攻撃を阻むものは何もなかった。♠●へ連勝を阻む〉最強を誇るA中の連勝を阻むチームがあるとすれば、それはうちでしょう。♠●〈近代化を阻む〉極端な貧富[ひんぷ]の差と古いしきたりが、この国の近代化を阻んでいる。 **はびこる(蔓る)** 草木が茂って一面に広がる。威勢をふるう。幅をきかす。のさばる。[文例]〈雑草がはびこる〉長い間家を留守にしていたので、庭一面に雑草がはびこってしまった。♠●へ悪い虫がはびこる〉作物を食い荒らす悪い虫がはびこって、畑をすっかりだめにしてしまった。♠●へ悪がはびこる〉悪のはびこる西部の町へ一人の保安官が乗り込んできた。♠●へ迷信がはびこる〉未開のこの土地では、いまだに古い迷信が根強くはびこっています。♠●へ暴走族がはびこる〉静かな住宅街に、近ごろ、暴走族がはびこるようになった。 **はばたく【羽ばたく】**(羽撃く) つばさを上下に動かす。飛躍する。[文例]〈鳥がはばたく〉かごから出してやると、小鳥はほんのちょっとはばたき、ぼくの肩に止まりました。♠●〈大きくはばたく〉タカは、大きくはばたきながら、ゆうゆうと山の方へ飛んでいく。♠●〈自由にはばたく〉地上から離れて、大空を自由に、鳥のようにはばたきたい。♠●〈世界にはばたく〉将来、世界にはばたく外交官を目指し、英会話を習っています。♠●〈社会にはばたく〉今年もまた、多くの若者が学業を終え、社会にはばたいていきます。 **はばつ【派閥】** 集団内にできた、利害を同じくする人々の集まり。[文例]党内にはいくつかの派閥があり、お互いに勢力を拡大しようとしのぎをけずっていた。♠●へ派閥争い〉次期会長の座をめぐって、組織内では激しい派閥争いが展開していた。 **はばひろ・い【幅広い】** 幅が広い。広い範囲にわたっている。[文例]〈幅広いベルト〉ウエストを幅広いベルトできゅっと締めるのが当時の流行だった。♠●へ幅広い支持〉この作家は、若 者からお年寄りまで幅広い支持を受けています。 **ハプニング** 思わぬ出来事。[文例]〈ハプニングがある〉長い旅の間には、いくつかのハプニングがあって、これがいい思い出になった。♠ヘハプニングが起こる〉すべては筋書きどおりに行くはずであったが、途中で思わぬハプニングが起こった。 **はぶり【羽振り】** 鳥の羽のかっこう。世間的な勢力。声望。[文例]〈羽振りがいい〉外車なんか乗り回して、相変わらず羽振りがいいねえ、社長。♠●へ羽振りがきく〉隣[となり]のおじさんはこの界わいで羽振りがきくから、行って頼[たの]んでみよう。♠◆〈羽振りをきかせる〉彼は、財界ではもちろん、政界でも羽振りをきかせる実力者だ。 **はべ・る(侍る)** 身分の高い人に仕える。客のそばで世話をする。[文例]〈美人をはべらせる〉美人を大勢はべらせて、大名気分を味わってみたいものだね。♠●〈酒席にはべる〉芸者とは、酒席にはべって、歌や踊りで客を楽しませる女性をいいます。 **はへん【破片】** かけら。[文例]〈ガラスの破片〉パンクしたタイヤの数か所に鋭[するど]いガラスの破片が突き刺さっていた。♠●〈破片が飛び散る〉うっかり皿を落として、台所じゅうに破片が飛び散った。 **はま【浜】** 砂地の海岸。→磯[そ][文例]〈浜へ下りる〉浜へ下りると日はとっぷり暮れて、海上には漁火[いさりび]がまたたき始めていた。♠●へ浜べ〉お弁当持ちで朝から日の暮れるまで浜べに出て貝を拾った。♠◆〈砂浜〉岩の多いいそを少し行くと、目の前に砂浜が開けてきた。 **はま・る(嵌まる・填まる)** ぴったり差し込まれる。落ち込む。陥る。あてはまる。[文例]〈戸がはまる〉小屋が古くなってゆがんできたのか、戸がよくはまらない。♠●ヘキャップがはまる〉今朝は手がかじかんでしまって、歯磨[みが]きのキャップさえもうまくはまらない。♠●〈池にはまる〉「池にはまると危ない」といって、祖母は子供のぼくを庭に出してくれなかった。♠●へ泥沼[どろぬま]にはまる〉借金地獄[じどく]の泥沼にはまらないうち <894> 何[なん]とか経営[けいえい]を立[た]て直[なお]さなければならない。♠へ役[やく]にはまる〉ハムレットの役にもっともよくはまるのは、日本[にっぽん]では彼[かれ]をおいてない。♠〈型[かた]にはまる〉元来自由人[がんらいじゆうじん]である彼[かれ]は、型にはまった生[い]き方[かた]を嫌[きら]っていた。♠へ思[おも]うつぼにはまる〉たかをくくっていたら、子供相手[こどもあいて]の将棋[しょうぎ]で、相手の思うつぼにはまってしまった。♠〈深[ふか]みにはまる〉かけごとに熱中[ねっちゅう]しすぎると、深みにはまって大変[たいへん]なことになるぞ。♠へあてはまる〉この例[れい]は、わたしたち日本人[にっぽんじん]にはあてはまりません。 **はみだ・す【はみ出す】(食み出す)**○外[そと]へふくれ出[で]る。あふれ出る。はみ出る。[文例]〈綿[わた]がはみ出[だ]す>冬休[ふゆやす]みに泊[と]まった民宿[みんしゅく]は、安[やす]いだけあって、綿のはみ出した布団[ふとん]を使[つか]っていた。♠へ欄外[らんがい]にはみ出[だ]す〉あまり大[おお]きな字[じ]を書[か]くと、欄外にはみ出[だ]してしまいますよ。♠へ道[みち]にはみ出[だ]す〉年末[ねんまつ]のデパートは買[か]い物客[ものきゃく]があふれて、街路[がいろ]にはみ出すしまつだった。♠〈会場[かいじょう]からはみ出[だ]す>先週[せんしゅう]のコンサートは、聴衆[ちょうしゅう]が会場からはみ出すほどの人気[にんき]でした。♠へ枠[わく]をはみ出[だ]す〉彼[かれ]の行動[こうどう]はとっぴすぎて、常識[じょうしき]の枠をはみ出[だ]してしまうことも多[おお]い。 **はみ・でる【はみ出る】(食み出る)**○』はみだす[文例]〈中[なか]からはみ出[で]る〉うちの店[みせ]のたい焼[や]きは、中からはみ出るくらいあんこがたっぷり入[はい]っているよ。♠〈外[そと]にはみ出[で]る〉字[じ]が大[おお]きすぎて欄外[らんがい]にはみ出てしまった。♠〈枠[わく]をはみ出[で]る〉きみのやることは、いちいち常識[じょうしき]の枠をはみ出[で]ているよ。 **は・む(食む)**○かむ。かみつく。食[た]べる。俸給[ほうきゅう]を得[え]る。[文例]〈草[くさ]をはむ>草原[そうげん]では、牛[うし]たちがのんびりと草をはんでいた。♠〈高給[こうきゅう]をはむ〉その日暮[ひぐ]らしのぼくから見[み]れば、一流会社[いちりゅうがいしゃ]で高給をはむ身分[みぶん]はうらやましい限[かぎ]りだ。♠へ禄[ろく]をはむ〉この藩[はん]で禄をはむ武士[ぶし]は五百人前後[ごひゃくにんぜんご]であった。♠へ骨肉相[こつにくあい]はむ>遺産相続[いさんそうぞく]をめぐって、骨肉相はむ争[あらそ]いとなることもあるらしい。 **はむか・う【歯向かう・刃向かう】**○立[た]ち向[む]かう。手向[てむ]かう。反抗[はんこう]する。[文例]〈動物[どうぶつ]がはむかう〉どんなに小[ちい]さな動物でも、追[お]いつめられたところで一転[いってん]して真剣[しんけん]にはむかってくると、非常[ひじょう]にこわい。◆人人[ひとびと]にはむかう〉はむかっていったところで、おじいさんにはかなわない、なにしろ柔道五段[じゅうどうごだん]なんだから。♠へ犯人[はんにん]がはむかう〉警官[けいかん]が取[お]り押[お]さえようとすると、犯人はナイフを持[も]ってはむかってきた。 **はめ【羽目・破目】**○板張[いたば]りの壁[かべ]。節度[せつど]。追[お]い詰[つ]められた事態[じたい]。[文例]〈はめを外[はず]す>夏休[なつやす]みだからといって、あまりはめを外すと、二学期[にがっき]になってから困[こま]りますよ。◆く苦[くる]しいはめに陥[おちい]る>男[おとこ]は、刑事[けいじ]から動[うご]かぬ証拠[しょうこ]を突[つ]きつけられ、苦しいはめに陥[おちい]っていた。♠へ〜のはめになる〉不用意[ふようい]な発言[はつげん]をしたために、ぼくはみんなからやり玉[だま]にあげられるはめになった。♠へ妙[みょう]なはめになる〉友達[ともだち]に代[か]わって、ぼくが彼[かれ]の恋人[こいびと]と映画[えいが]に行[い]くという、妙なはめになった。 **はめこ・む【はめ込む】(嵌め込む・填め込む)**○ぴったりと差[さ]し込[こ]む。おとしいれる。[文例]〈宝石[ほうせき]をはめ込[こ]む〉王子[おうじ]の像[ぞう]には、ルビーやサファイアなどの宝石がはめ込[こ]まれていた。♠〈型[かた]にはめ込[こ]む〉むりやり型にはめ込もうとすれば、子供はかえってはみ出[だ]そうとするものです。♠〈計略[けいりゃく]にはめ込[こ]む〉作戦[さくせん]は見事[みごと]に成功[せいこう]したかに見[み]えたが、まんまと敵[てき]の計略にはめ込[こ]まれていたのだ。 **はめつ【破滅】**○滅[ほろ]びること。身[み]を滅[ほろ]ぼすこと。[文例]〈破滅[はめつ]を招[まね]く〉彼[かれ]はかけごとが好[す]きで、結局[けっきょく]それが身の破滅を招いた。♠〈身[み]の破滅[はめつ]「若[わか]いうちから酒[さけ]ばかり飲[の]むと身の破滅の元[もと]ですよ。」と、母[はは]は口癖[くちぐせ]のように言[い]う。♠〈破滅[はめつ]する〉この場合[ばあい]、人々[ひとびと]の無責任[むせきにん]なうわさが、一人[ひとり]の、前途[ぜんと]ある若者[わかもの]を破滅させたといってもよい。 **は・める(嵌める・填める)**○ぴったりと差[さ]し込[こ]む。ぴったりとかぶせる。おとしいれる。[文例]〈戸[と]をはめる>昨晩[ゆうべ]の強[つよ]い風[かぜ]で外[はず]れた雨戸[あまど]を、父[ちち]にはめてもらった。♠へ手袋[てぶくろ]をはめる〉このぶんだと夕方[ゆうがた]は雪[ゆき]になりそうだから、手袋を忘[わす]れずにはめていきなさい。♠へ指輪[ゆびわ]をはめる〉彼女[かのじょ]は右手[みぎて]に大[おお]きな指輪をはめていた。♠ヘボタンをはめる〉小[ちい]さい子[こ]は、自分[じぶん]でボタンをはめることができないのです。♠へ足[あし]かせをはめる〉奴隷商人[どれいしょうにん]たちは、奴隷[どれい]たちが逃[に]げないように彼[かれ]らに重[おも]い足かせをはめた。♠へ枠[わく]にはめる〉この学校[がっこう]では、子供たちを枠にはめない、自由[じゆう]な教育[きょういく]をしています。◆<計略[けいりゃく]にはめる〉敵[てき]を計略にはめて勝利[しょうり]を得[え]ようと、日夜作戦[にちやさくせん]を練[ね]った。 **ばめん【場面】**○映画[えいが]・劇[げき]や小説[しょうせつ]などの一場景[ひとじょうけい]。シーン。その場[ば]の様子[ようす]。[文例]〈映画[えいが]の場面[ばめん]〉三年[さんねん]も前[まえ]に見[み]た映画なのに、その場面は今[いま]でもはっきりと思[おも]い出[だ]すことができるのです。♠へ場面[ばめん]が変[か]わる〉この小説は筋[すじ]がとても複雑[ふくざつ]で、場面が変わるたびに前[まえ]の方[ほう]を読[よ]み返[かえ]さないと全体[ぜんたい]が理解[りかい]できない。♠へ悲[かな]しい場面[ばめん]〉姉[あね]は涙[なみだ]もろくて、テレビでも映画でも、悲しい場面になるとすぐ涙を流[なが]す。♠へ愉快[ゆかい]な場面[ばめん]に出会[であ]う〉街[まち]を歩[ある]いていて、とても愉快な場面に出会うことがある。 **はもの【刃物】**○刃[は]がついた、物[もの]を切[き]るための道具類[どうぐるい]。[文例]〈刃物[はもの]を研[と]ぐ〉包丁[ほうちょう]などの刃物は、まめに研[と]がないと切[き]れ味[あじ]が悪[わる]くなります。♠〈鋭利[えいり]な刃物[はもの]〉言葉[ことば]は、豊[ゆた]かな人間関係[にんげんかんけい]を生[う]むきっかけともなれば、知[し]らぬ間[ま]に人[ひと]を傷[きず]つける鋭利な刃物ともなる。♠〈気[き]ちがいに刃物[はもの]〉酔[よ]っ払[ぱら]いの目[め]にふれないように包丁はしまっておきなさい、気ちがいに刃物だから。 **はもん【波紋】**○水面[すいめん]に広[ひろ]がる波[なみ]の模様[もよう]。他[ほか]に及[およ]ぼす影響[えいきょう]。[文例]<波紋[はもん]を描[えが]く>水蓮[すいれん]のまるい葉[は]が波紋を描いている、とても趣[おもむき]のある池[いけ]です。♠〈波紋[はもん]が広[ひろ]がる〉水面[すいめん]に石[いし]を投[な]げたら波紋が四方[しほう]に広[ひろ]がった。♠へ波紋[はもん]が生[しょう]じる>魚[さかな]が水中[すいちゅう]に姿[すがた]を消[け]すと、水面に波紋が生じます。♠〈波紋[はもん]をまきおこす〉ガリレオの唱[とな]えた地動説[ちどうせつ]は、中世[ちゅうせい]ヨーロッパの宗教界[しゅうきょうかい]に大[おお]きな波紋をまきおこした。♠<波紋[はもん]を投[な]げかける〉王女[おうじょ]の今度[こんど]の勇気[ゆうき]ある行動[こうどう]は、国民[こくみん]の間[あいだ]に波紋を投げかけた。♠〈波紋[はもん]を呼[よ]ぶ>首相[しゅしょう]が訪米[ほうべい]の際[さい]に発言[はつげん]した内容[ないよう]がマスコミに大[おお]きな波紋を呼[よ]んでいる。 **はもん【破門】**○一門[いちもん]・宗門[しゅうもん]から追放[ついほう]すること。[文例]弟子[でし]は、破門[はもん]も覚悟[かくご]で師[し]の教[おし]えに背[そむ]いたのだ。♠く破門[はもん]する〉カトリックの修道士[しゅうどうし]であったルターは、堕落[だらく]した教会[きょうかい]を批判[ひはん]、宗教改革[しゅうきょうかいかく]を唱[とな]え、破門された。 <895> に・・・ **はや【早】** 早くも。すでに。[文例]故郷[そう]を出て、はや七年の歳月が過ぎた。♠◆あの時赤ん坊だった長男は、はや二十歳[よう]の成人に成長していた。 **はや・い【早い・速い】** 高速度である。動きが鋭い。すみやかだ。時間がかからない。時間がたっていない。時間的に先だ。時機が来ていない。はるか以前である。[文例]へ足が速い〉犬のなかでも猟犬[りょうけん]と呼ばれるものは、とくに足が速く、視力も優れている。♠◆ヘスピードが速い〉ジェットコースターは猛烈にスピードが速いので、目がまわってしまった。♠〈テンポが速い〉テンポの速い太鼓[たいこ]のリズムに合わせて、女たちの動きも激[はげ]しくなった。♠●へ火の回りが速い〉空気の乾燥[かんそう]している冬は、予想以上に火の回りが速い。♠●へ流れが速い〉この川は流れが速く、普通の馬なら押し流されてしまうだろう。♠●へ脈が速い〉ふだんから運動をしない人は、少しの運動でも、すぐに脈が速くなる。♠●〈手が早い〉口より手の早い人は、怒[おこ]らせると危険です。♠●へのみこみが早い〉彼はまだ若いが、仕事ののみこみが早いので、重く用いられている。♠◆〈朝早く〉星好きの少年は、朝早くから夜遅[おそ]くまで、天文台に入りびたっていた。♠◆ヘ一刻も早く〉人々は、マツクイムシを一刻も早く根絶やしにしなければいけないと焦[あせ]った。♠◆ヘ一足早く〉高原の秋は、平地よりも一足早く訪れる。♠●へ〜するが早いか〉新聞記者は、臨時ニュースを聞くが早いか、もう外へ飛び出して行った。♠へ〜するより早く〉「危ない」と母親が言うより早く、その青年が飛び出して行って、子供を抱きかかえた。♠●く〜はまだ早い〉一度や二度、入選を逃したからといって、あきらめるのはまだ早い。♠●〈早く死に別れる〉彼は両親と早く死に別れて、天涯孤独[てんがいこどく]になった。♠●〈早いうち〉早いうちになんとかしないと、手遅れになってしまうぞ。♠〈早くから〉このスコットランド民謡[みんよう]は、わが国では「蛍[ほたる]の光」の訳名で、早くから歌われてきた。♠●〈早くする〉急ぎなさい、早くしないと遅刻[ちこく]しますよ。♠◆〈早くも〉このビッグニュースを早くも聞きつけて、マスコミ関係の車が何台か駆けつけてきた。♠●〈早い話〉早い話 が、この成績では大学は無理だということです。♠◆◇早い者勝ち〉明日からのバーゲンは、早い者勝ちだから、開店前から人が並ぶだろう。♠◆◇遅[おそ]かれ早[はや]かれ〉遅かれ早かれ、あの二人は結婚[けつこん]するだろう。♠●へ手っ取り早い〉手紙を書くより、電話で話したほうが、手っ取り早いですよ。 **はやがてん【早合点】** 早のみこみ。[文例]〈早合点をする〉話を最後まで聞きもせずに、勝手に早合点をしないでくれ。♠◆〈早合点する〉妹と歩いている所を、だれかが恋人どうしだと早合点して、言いふらしたらしい。 **はやくち【早口】** しゃべり方が早いこと。又[例]〈早口で言う〉出発間際、父が列車の窓越しになにごとか早口で言った。♠◆◇早口でまくし立てる〉おしゃべりなおばさんに早口でまくし立てられてはかなわない。♠●〈早口言葉〉「赤まきがみ青まきがみ黄まきがみ」という早口言葉を続けて三回言ってごらん。 **はやさ【早さ・速さ】** はやいこと。また、その程度。[文例]ジェットコースターが斜面をすごい速さで滑[すべ]りおりる。♠●声の調子、速さ、間[ま]のとり方などに注意して、詩を朗読してみよう。♠●〈年月の早さ〉立派に成人した教え子たちを見て、改めて過ぎゆく年月の早さに驚く。 **はやし【林】** 樹木の群生する所。物の寄り集まっている様子。[文例]夏休みは、近くの林でセミをとったり、カブトムシをとったりして遊びました。♠●〈深い林〉この深い林の向こうには一体何があるのだろう。♠●へ暗い林〉葉のよくしげった暗い林の中は、夏でもひんやりしていて気持ちがよかった。♠●〈煙突[えんとつ]の林〉ここは下町の工場地帯で、煙突が林のように立ち並んでいます。 **はやした・てる 【はやし立てる】**(囃し立てる) さかんにはやす。♪囃す[文例]子供というのは残酷[ざんこく]なもので、相手が嫌[いや]がることをわざわざはやし立てていじめたりする。♠●女の子が泣きそうになると、男の子たちはますますおもしろがってはやし立てた。♠●彼のものまねが本物そっくりだというので、周りの者はやんやとはやし立てた。 **はや・す【生やす】** はえさせる。はえたままにする。[文例]〈ひげを生やす〉犯人は、背の高い、ひげを生やした男です。♠●〈芝[しば]を生やす〉隣[となり]のおじさんは、芝をびっしりと生やした庭でいつも寝転[ねころ]んでいる。♠◆ヘ毛を生やす〉だいぶ髪の薄くなった先生は、もとどおりに毛を生やすと、毛生え薬などを使ってがんばっています。♠●〈草を生やす〉昔[むかし]は、田に雑草を生やすのは、百姓[ひゃくしよう]の恥[はじ]とされていた。♠◆く根を生やす〉どんな土地にもしっかりと根を生やす草のようにわたしも強くなりたい。 **はや・す(囃す)** 声や手拍子で歌の調子をとる。声を立てておだてたり、からかったりする。歓声をあげる。[文例]へはやす太鼓[たいこ]〉村祭りでは、やぐらの上ではやす太鼓に合わせて踊りました。♠へ人をはやす〉二階から首を出していたら、そこから飛び降りることはできまいと、同級生からはやされた。♠●へはやし立てる〉暴走族はアベックを取り囲むと、奇声[きせい]を上げてはやし立てた。♠●へもてはやす〉今、若者たちの間では、強烈[きようれつ]なロックのリズムがもてはやされています。 **はやとちり【早とちり】** 早合点してしくじること。[文例]〈早とちりをする〉あわてると早とちりをするから注意しなさい。♠●〈早とちりする〉よく話も聞かずに飛び出して行ったが、大丈夫かねえ、あいつはよく早とちりするから・・・・・・。 **はやのみこみ【早飲み込み】**(早呑み込み) のみこみが早いこと。早合点。[文例]〈早のみ込みをする〉おいおい、こちらの話もよく聞かずに早のみ込みをされては困るよ。♠〈早のみ込みする〉わたしは、予備校の生徒はみな勉強ひとすじと早のみ込みしていた。 **はやま・る【早まる・速まる】** はやくなる。軽率にふるまう。[文例]〈予定が早まる〉工事が思いのほかはかどっているので、この分だと、完成の予定が早まりそうだ。♠●へ早まったこと〉早まったことをすると、あとで取り返しがつかないよ。 **はやみち【早道】** 早く着ける道。急ぎ足で行くこと。早く目 <896> 的を達成する方法。[文例]あれこれ迷っているよりは、知っている人に聞くほうが早道だ。♠●へ出世の早道〉上司にごまをするのが出世の早道だと言う人もいる。 **はやみみ【早耳】** うわさや事件を素早く聞きつけること。また、そういう人。[文例]えっ、もう知ってるの、きみは早耳だねえ。♠◆おばさんは近所でも評判の早耳で、人のうわさで知らないことはなかった。 **はや・める【早める・速める】** はやくする。[文例]へ足を速める〉日が暮れ始めたので、旅人は足を速めた。♠●へ予定を早める〉予定を一日早めて、あさって出発しよう。♠●へ死期を早める〉劇薬で痛みをやわらげることはできるが、それは患者の死期を早めることにつながる。 **はやり(流行)** はやること。流行。時代の風潮。[文例]〈はやりの服装〉たんぼのかかしのようなこの服装が、今のはやりなのだそうだ。♠●へはやりすたり〉ファッションははやりすたりがはげしく、前の年に買ったものがもう着られなくなったりする。 **はや・る(流行る)** 流行する。もてはやされる。繁盛[はんじよう]する。[文例]〈風邪[かぜ]がはやる〉冬のはじめにはやった風邪が学校中に広まって、学級閉鎖になってしまった。♠●〈スポーツがはやる〉今、大学生や若い人たちの間では、テニスがはやっているらしい。♠●へ言葉がはやる〉おもしろおかしい言葉や言い回しは、あっという間にはやったかと思うと、すぐに消えていく。♠〈色がはやる〉この春は淡[あわ]いピンクやブルーなどの明るい色がはやるそうだ。♠●へ店がはやる〉魚や野菜は、はやっている店で買うと、新鮮[しんせん]なものが手に入ります。♠へ医者がはやる〉あの歯医者はいつもはやっているからきっと腕[うで]がいいにちがいない。♠●へ今どきはやらない〉ふられたからって死ぬの生きるのは、今どきはやらないよ。 **はや・る(逸る)** 気がせく。心が急ぐ。勇み立つ。[文例]〈心がはやる〉いよいよ明日はパリだと思うと、ぼくの心ははやるのだった。♠●へ気持ちがはやる〉大きな試合[しあっ]では、気持ち だけが妙にはやって、それが失敗につながることもある。♠●へはやる心を抑[おさ]える〉ぼくは、はやる心を抑えて、プレゼントの包みを開けた。♠〈血気[けつき]にはやる〉大統領を襲[おそ]ったのは、血気にはやる一部の青年将校たちであった。 **はやわざ【早業・早技】** すばやくて巧みなわざ。[文例]〈目にも止まらぬ早業〉武蔵[むさし]は、目にも止まらぬ早業で次々と敵を倒していった。♠●〈電光石火[でんこうせっか]の早業〉職人たちは、電光石火の早業でレンガを積み重ねていく。 **はら【腹】** 動物の体で内臓を収める部分。胃腸。胎内。考え。気持ち。心。気力。度量。物の中央のふくらんだ部分。[文例]〈腹が出る〉父は、このごろ中年太りで腹が出てきた。♠〈魚の腹を割く〉漁師は、慣れた手つきで、釣ったばかりの魚の腹を割いた。♠●へ腹が減る〉朝から何も食べてないんだ、腹が減ってしようがない。♠●へ腹をすかせる〉巣の中では、腹をすかせたひなが口を大きくあけて親鳥を待っている。♠〈腹をこわす・くだす〉今朝から腹をこわして、何も食べていないのです。♠●へ腹にもたれる〉お正月には、つい腹にもたれるほど料理を食べ過ぎてしまう。♠●〈腹を切る〉武士道にあこがれていた彼は、満開の桜の下で腹を切って自殺した。♠◆〈腹の内〉人の顔を見るとにこにこしちゃいるが、腹の内では何を考えているやら。♠●へ腹の底から〉歌唱指導の先生は、いつもコーラスのみんなに、腹の底から声をしぼり出せと言う。♠●へ腹から〉一家にとってはつらい一年で、家族同士で腹から笑ったことなどありません。♠●〈腹を抱[かか]える〉久しぶりに寄席[よせ]へ出かけて、人気者の漫才[まんざい]に、腹を抱えて笑った。♠●へ腹八分[はちぶ]に医者いらず〉「腹八分に医者いらず」と、昔の人は食べ過ぎを戒[いまし]めている。♠●へ背に腹は替えられない〉その日暮らしで背に腹は替えられず、母の形見の指輪まで手放してしまった。♠●へ腹が減[へ]っては戦[いくさ]ができぬ〉決勝戦の前夜は、腹が減っては戦はできぬとばかり、選手全員にステーキがふるまわれた。♠●〈腹を肥[こ]やす〉あの人は、他人に損を押し付けて、自分の腹を肥やすような人ではない。♠〈腹を痛めた子〉母親にとっては、腹を痛めた自分の子でさえ、 ままにならないのが人の世というものだ。♠●〈腹を読む〉名将の彼は、敵の腹を読むことにたけていた。♠へ腹を割って話す〉教育論を論じるよりも、教師と生徒が腹を割って話し合うことが先でしょう。♠◆人腹[はら]に一物[いちもつ]ある〉彼が自分から仲裁を買って出たのは、腹に一物あってのことらしい。♠〈腹が太い〉あの人は、腹が太いので、困った時にすがるとなんとかしてくれる。♠◆◇腹が黒い〉近ごろは、医者の中にも腹の黒い人がいるそうだ。♠◆〈腹を決める〉計画を実行に移すべきか、腹を決めかねています。♠◆く腹を探[さぐ]る〉二人とも、お互[たが]いに腹の探り合いばかりしていないで、はっきりと本音を言ったらどうなの。♠●〈痛くもない腹を探られる〉不用意なことをしゃべると、痛くもない腹を探られていやな思いをするぞ。♠へ腹が据[す]わる〉腹の据わった指導者が一人いれば、内輪もめが起きても、なんとか治[おさ]まるものだ。♠●へ腹を据える〉この勝負は、腹を据えてかからないと、彼の棋士生命を脅[おびや]かすものになるだろう。♠●へ腹に据えかねる〉我慢強い姉が腹に据えかねて怒ったのだから、よほどのことだろう。♠●〈腹が立つ〉母は、腹が立つことがあっても、めったに顔に出しません。♠●〈腹を立てる〉あまりにひどい仕打ちに、わたしは腹を立てていました。♠●へ腹をくくる〉じたばたしても始まらない、腹をくくって結果が出るのを待とう。♠●〈腹におさめる〉今度のことはわたし一人の腹におさめて秘密にしておこう。♠●〈腹の虫が治まらない〉この程度の謝罪文では、とても腹の虫は治まらない。♠●へ指の腹〉指圧は、親指の腹をツボに当てて、強く押します。♠●〈腹も身の内〉腹も身の内よ。そんなにたくさん食べないほうがいいわ。♠●へ〜する腹〉あいつは、うまいことを言って、自分のミスをごまかす腹でいるらしい。 **はら【原】** 広い平地。[文例]〈すすきの原〉秋になると、ここは一面すすきの原になるのです。♠●〈焼け野が原〉朝になってようやく火の消えた町は、すみからすみまで焼け野が原でした。 **ばら(薔薇)** バラ科の落葉低木。とげがあり、美しい花を咲 <897> かせる。[文例]へばらの花〉庭には、色とりどりのばらの花が咲き乱れていた。♠●〈ばら色〉草の上に降りた露が朝日を受けてばら色に輝く。♠●へばらの香[か]〉詩は思想をばらの香のごとく感じさせるもの、というイギリスの詩人のことばがある。♠くれなゐの二尺のびたる薔薇[ばら]の芽の針やはらかに春雨の降る(正岡子規[まさおかしき]) **はらい【払い】** 支払うこと。代金・料金。[例]〈米屋の払い〉〈払いがとどこおる〉失業して一年も立つと、米屋の払いもとどこおりがちになった。♠●へ払いが増える〉今月は遠方の親類へ電話をかけることが多かったので、電話局の払いが増えるだろう。♠●へ着[ちゃく]払い〉旅行先からのお土産は、料金着払いの宅配便で送りました。 **はらいさげ【払い下げ】** 払い下げること。払い下げる物。↓はらいさげる[文例]この土地は国有地だったが、民間に払い下げになった。♠●戦後しばらくは布地も手に入らず、払い下げの軍服などを仕立て直して着ている人が多かった。 **はらいさ・げる【払い下げる】** 国や自治体の所有物を民間に売り渡す。[文例]〈民間に払い下げる〉官営の工場が廃止され、国はその跡地[あとち]を民間に払い下げた。♠●〈市営住宅を払い下げる〉当時住んでいた市営住宅がごく安い価格で払い下げられ、小さいながら家を持つことができた。 **はらいせ【腹いせ】**(腹癒せ) うっぷんを晴らすこと。[文例]〈腹いせに〜する〉試合に負けた腹いせにいやがらせをするなんて、スポーツマンらしくないぞ。♠●〈失恋の腹いせ〉犯人は、失恋の腹いせにいたずら電話を思いついたと自供した。 **はらいの・ける【払いのける】**(払い除ける) 払って取り除く。振り払う。[文例]〈手で払いのける〉手のひらでそっと払いのけても、花びらはまたひらひらと舞い落ちてきた。♠●〈枝を払いのける〉山刀[やまがたな]でつるや枝を払いのけながら、林の奥へ進んで行った。♠●〈恐怖心を払いのける〉おばあさんは必死に恐怖心を払いのけようとして、念仏を唱えだした。 **はら・う【払う】**(祓う) 振ったり、はたいたりして除き去 る。横ざまに振り払う。おはらいをする。追い払う。支払う。売り払う。引き払う。心を向ける。[文例]〈雪を払う〉玄関[げんかん]に入る前に、わたしは体の雪をポンポンと手で払った。♠●へくもの巣を払う〉くもの巣を払いながら、空き家に入ってみた。♠●へすすを払う〉暮れの三十日には、父が天井[てんじよう]のすすを払うことになっている。♠●ヘハエを払う〉夏の午後、魚屋の店先で、おかみさんがせわしげにうるさいハエを払っていた。♠●へ枝を払う〉植木屋さんは、慣れた手つきで余分な小枝を払うと、形よくこれをたわめた。♠●〈足を払う〉相手が出てくるところを、とっさに右の足を払って倒した。♠へ厄[やく]を払う〉今年は、厄年[やくどし]なので、神社で神主[かんぬし]さんに厄を払ってもらいました。♠●〈辺りを払う〉あの人は、世が世なら一国の城主だそうで、さすがに辺りを払う風格がある。♠●へ費用を払う〉飼い犬が通行人の指をかんで、治療代[ちりようだい]を払うはめになった。♠へ入場料を払う〉彼のような街の顔役は「木戸御免[ごめん]」で、入場料を払わなくても入れるのだそうだ。♠●へ注意を払う〉母は細心の注意を払って、客に出したカットグラスを洗っていた。♠●〈考慮[こうりよ]を払う〉人体に影響[えいきよう]を及[およ]ぼす農薬の使用については、万全の考慮が払われて当然だろう。♠●〈敬意を払う〉生活道具に残された先人たちの知恵に、現代人は深い敬意を払うべきだ。♠●〈犠牲を払う〉このトンネルを完成させるために、多大な犠牲を払ったことを忘れてはならない。 **バラエティー** 変化。多様性。歌・踊り・寸劇などからなる一幕の軽演劇。[文例]〈バラエティーに富む〉妻の作るおせち料理は、和・洋・中華とバラエティーに富んでいる。♠●ヘバラエティーがある〉制服が廃止されてから、校内の生徒たちは、バラエティーのある服装をするようになった。 **はらぐろ・い【腹黒い】** よこしまである。悪だくみをする。[文例]〈腹黒い人〉やさしそうだが、根は腹黒く、心の底では何を考えているかわからない男だった。♠●へ腹黒い商人〉腹黒い商人は、にせ物の絵を本物と偽[いつわ]って売りつけようとした。 **はら・す【晴らす】** 晴れさせる。晴れやかにする。すっきりさせる。[文例]〈気分を晴らす〉悩み事があるときは、一人でくよくよ考えずにだれかに聞いてもらって、気分を晴らしたほうがいい。♠●へ恨[うら]みを晴らす〉時代劇には、親の敵[かたき]をとって長年の恨みを晴らすというあだ討ちものがよく見られる。♠●へ疑いを晴らす〉なんの根拠もないといっても、一度かけられた疑いを晴らすのは容易でない。♠●へ憂[う]さを晴らす〉心の憂さを晴らすために酒を飲むということも、大人にはあるのです。 **はら・す(腫らす)** はれ上がらせる。[文例]〈足をはらす〉欠席した友人を見舞うと、化[か]のうした右足をはらして歩けないでいた。♠●へ泣きはらす〉かわいそうに、母親の体にしがみついて、幼[おさな]い子は目を真っ赤に泣きはらしている。 **ばら・す** ばらばらにする。解体する。殺す。あばく。言いふらす。[文例]〈時計をばらす〉時計をばらして組み立て直してみたが、最後にねじが一個余ってしまった。♠●人人質[ひとじち]をばらす〉警察に知らせると人質をばらすぞ、と誘拐[ゆうかい]犯人は言った。♠●へ秘密をばらす〉不良仲間に「おまえの秘密をばらすぞ」とおどされて、仕方なしに言いなりになったらしい。 **はらだたし・い【腹立たしい】** しゃくにさわってたまらない。[文例])〈腹立たしい気持ち〉二時間も寒い所で待ちぼうけでは、腹立たしい気持ちにもなる。♠●ヘ腹立たしいこと〉古い家並みが少なくなっていくことは、老人にとって腹立たしいことだった。 **ばらつき** 散らばること。一様でないこと。「[文例]へばらつきがある・ない〉出来上がった製品は、品質にばらつきがないか、一つ一つ厳重にチェックされます。♠●へばらつきが多い・少ない〉アンケートの結果、「はい」と答えた人は約半数で年齢によるばらつきは少なかった。 **バラック** 粗末な造りの仮小屋。『[文例]】ヘバラックを建てる〉人々は、焼け跡[あと]にバラックを建てて、細々と生活を始めました。♠●ヘバラックに住む〉少年の一家は、八畳[じよう]一間[ひとま]の粗末なバラックに住んでいた。 <898> **はらづもり【腹積もり】** 心の中で決めたこと。心づもり。[文例]〈腹積もりをする〉寄付を集めに回ったが、なかなか腹積もりをしていたようにはお金が集まらなかった。♠〈腹積もりがある〉あのけちな男が人に物をおごるなんて、何か腹積もりがあるにちがいないぞ。♠●へ腹積もりを聞く〉今度の役員の人選について、きみの腹積もりを聞かせてくれたまえ。 **パラドックス** 逆説。[文例]自らを守るためのものが他を殺傷するというパラドックスを、武器や兵器というものはもっているのだ。♠●ヘパラドックスを用いる〉ことわざには、「負けるが勝ち」のように、パラドックスを用いた表現が少なくない。♠この文章は、「不幸は人間を幸福にする。」というパラドックスで始められている。 **はらのむし【腹の虫】** 回虫。感情の動き。[文例]〈腹の虫が鳴く〉今日は朝から食事をする時間もなかったので、とうとう腹の虫が鳴き始めた。♠●〈腹の虫が納まらない〉人前もあってその場は引き下がったが、彼の態度を考えると腹の虫が納まらない。 **はらはら** 葉や花びら、涙などが落ちるさま。心配で、気をもむさま。[文例]やっと咲いたと思った桜が、もうはらはらと散り始めている。♠◆別れを告げると、彼女はわたしの手をとり、はらはらと涙を流した。♠●〈はらはらする〉主人公が逃げる場面では、つかまるのではないかとはらはらしながら読んでいった。 **ばらばら** 物が続けて落ちたり飛んでくるさま・音。乱れ散って出現するさま。まとまりのないさま。[文例]〈ばらばらと木の葉が当たる〉風が強くなって、窓にバラバラと木の葉の当たる音がしている。♠◆おびえた叫び声を聞きつけて、ばらばらと、人が集まって来た。♠●へばらばらな服装〉ばらばらな服装ではまとまりがないので、チームのユニフォームを作ることにした。♠●へばらばらになる〉卒業すれば、クラスの友達もみんなばらばらになってしまう。 「**ばらま・く(ばら撒く・ばら蒔く)** まき散らす。[文例]豆 をばらまく〉全身に小豆でもばらまいたように発疹[はつしん]が出ている。♠へ金をばらまく〉当選した議員は、票を集めるために多額の金をばらまいたといううわさだ。♠●ヘうわさをばらまく〉あらぬうわさをばらまかれて、迷惑[めいわく]をした人も多い。 **はら・む(孕む)** 子を宿す。身ごもる。風でふくらむ。含み持つ。[文例]〈子をはらむ〉かわいそうに、行き倒[だお]れになった女は、子をはらんでいたそうだよ。♠●〈種子をはらむ〉春も終わりになると、種子をはらんだタンポポの白いかさが、野原を風に乗って舞い始めます。♠●〈帆に風をはらむ〉船は順風を帆にはらませて、ぐんぐんと海原[うなばら]を進んでいった。♠〈危険をはらむ〉アウトかセーフかをめぐって両軍の選手がもめだし、あわやなぐり合いという危険をはらんだ状態になった。♠●へ問題をはらむ〉食糧危機のアフリカは、ほかにもいろいろと難しい問題をはらんでいる。 **はらわた(腸)** 内臓。腸。心。性根。ウリの実などの中の柔らかくふわふわした部分。[文例]〈魚のはらわた〉魚の目とはらわたが気持ち悪くて、魚を料理できないの。♠●へはらわたの奥底>経験を積んだ老人には、人のはらわたの奥底が見え透[す]いてならなかった。♠●へはらわたが腐[くさ]ったよう〉あんなはらわたの腐ったやつに、何を言ってもむだだ。♠●へはらわたがちぎれる〉戦乱の世とはいえ、わが子を異国の地に残していく親は、はらわたのちぎれる思いであったろう。♠●へはらわたが煮え繰り返る〉相手のあまりにもひきょうなやり方に、わたしははらわたが煮え繰り返るほどの怒[いか]りを覚えた。 **はらん【波乱】**(波瀾) 激しい変化・起伏。騒ぎやもめごと。[文例]〈波乱を起こす〉大リーグからやってきた大物選手が今季のセリーグに波乱を起こしそうだ。♠●〈波乱を呼ぶ〉昨年はおおかたの予想に反し、新人が大賞をとって美術界に波乱を呼んだ。♠●へ波乱に富む〉『西遊記[さいゆうき]』は、孫悟空[そんごくう]が三蔵[さんぞう]法師のお供をして、魔物[まもの]や妖怪[ようかい]と戦いながら旅をする、波乱に富んだ物語です。♠●〈波乱含[ふく]み〉与党[よとう]議員の選挙違反[いはん]が多数出たから、今度の国会は波乱含みの幕開けとなるに違[ちが] ない。♠〈波乱万丈[ばらんじよう]〉昔からこの県出身の人物には、波乱万丈の生涯を送った人が多い。 **バランス** 平衡。均衡。つり合い。[文例]〈体のバランス〉〈バランスをとる〉細長い台の上では体のバランスをとるのが難しい。♠◆ヘバランスを失[うしな]う〉塀[へい]の上で遊んでいた子供は、バランスを失って下へ落ちた。♠◆〈自然のバランス〉〈バランスを崩[くず]す〉害虫だからといってやたらに殺し続けると、自然のバランスを崩すことになる。♠◆ヘバランスを保[たも]つ〉さまざまな生物が一定のバランスを保って生活している環境を破壊[さようはかい]したのは人間だ。♠◆ヘバランスのとれた食生活〉成長期には特に、偏[かたよ]りのないバランスのとれた食生活が大切だ。 **はり【針】** 細くて固い、先端のとがったもの。敵意。非常に小さいもの。裁縫。[文例]〈針に糸を通す〉祖母は目が悪いので、針に糸を通すときはわたしがかわりにやってあげます。♠●〈針ほど小さい>針ほどに小さいことを棒ほどにオーバーに言うことを針小棒大[しんしようぼうだい]といいます。♠●〈針が刺[さ]さる〉わたしは注射が大嫌いで、いまだに針が自分の腕[うで]に刺さるところを見ることができない。♠●〈針で刺す〉手術後、麻酔が切れてからは、まるで針で刺すように足が痛んだ。♠●へ目盛[めも]りの針〉うちの体重計は、いつも目盛りの針がゆれてなかなか正確に読めない。♠●〈時計の針〉その時ちょうど、居間の時計の針は三時四十分を指していた。♠●〈針が落ちる音〉屋敷の中はシーンと静まり返り、針が落ちる音さえ聞こえそうな夜ふけである。♠●へ針を含んだ言葉〉無口な彼女もときどき、ぼくの胸を刺すような針を含んだ言葉を口にする。♠◆〈針のむしろ〉自分の不注意で子供にけがをさせた保母さんは、両親の前で、針のむしろにすわるような心もちであった。 **はり(梁)** 屋根の重みを支えるために柱の上に横に渡す材木。[文例])天井のはり〉ごろっと横になると、天井の太いはりが目に入った。♠●のど赤き玄鳥[つばくらめ]ふたつ屋梁[はり]にゐて足乳[たらち]ねの母は死にたまふなり(斎藤茂吉[さいとうもきち]) <899> **はり【張り】** 張ること。引っ張る力。引き締まっていること。弾力。はりあい。[文例]〈弦[けん]の張り〉〈張りが強い〉ギターの弦の張りが強すぎて、切れてしまった。♠●へ張りのある肌〉少女たちのつやと張りのある若い肌が、わたしの目の前で躍動していた。♠●へ張りのある声〉受付の女性は、明るく張りのある声でてきぱきと応対してくれた。♠へ張りのある文章〉張りのある文章が読む者をぐいぐい引きつけていく。♠◆く気持ちの張り〉仕事をやめた老人は、気持ちの張りを失っていった。♠●〈生活に張りをもつ〉自分の希望する職業につけたので、生活に張りがもてるようになった。 **ばり(罵詈)** ののしること。ののしる言葉。[文例]〈罵詈を浴びせる〉おきてを破った女に、人々は罵詈を浴びせ、石を投げつけた。♠●へ罵詈する〉チャンスに全く打てない四番打者を、ファンは口をきわめて罵詈した。♠〈罵詈雑言[ぞうごん]〉群衆に罵詈雑言を浴びせられつつ、イエスは重い十字架を引きずって歩いた。 **はりあい【張り合い】** 張り合うこと。心の張り。やりがい。〔[文例]〈意地の張り合い〉二人とも、もう意地の張り合いはよして、仲直りしなさいよ。♠●〈生きる張り合い〉〈張り合いをなくす〉仕事一筋だった父は、退職してからは生きる張り合いをなくしたようだ。♠●へ張り合いがある〉少しは世の中の役に立つ仕事をしていますから、張り合いがあります。♠◆◇張り合いが出る〉みんなで応援に来てくれるというので、張り合いが出てきた。♠●へ張り合いが抜ける〉都合で来られない人が多くては、パーティーの料理を作るにも張り合いが抜けてしまう。 **はりあ・う【張り合う】** 競い合う。[文例]〈人と張り合う〉あの人も理屈っぽいから、相手と張り合って自分の主張を譲[ゆず]らない。♠●へ勝負を張り合う〉勝ち目のない勝負は張り合ってもむだだ、いさぎよく引き下がったほうがいい。♠●〈地位を張り合う〉あの二人は同期に入社して、課長のいすを張り合った時もあったらしい。 **はりがね【針金】** 金属を細く線状に延ばしたもの。[文例] 〈針金を曲げる・伸ばす〉生徒が針金を曲げたり、伸ばしたりして作った工作が飾[かざ]られていた。♠●〈針金で止める〉裏口のドアの鍵[かぎ]が壊れたから、とりあえず針金で止めておこう。♠●〈針金のよう〉その男の子は、まるで針金のような細い腕をしていた。 **はりがみ【張り紙】**(貼り紙) 張りつけておく紙。必要なことを書いて張っておく紙。又[例]〈張り紙を見る〉店先の「店員求ム」の張り紙を見て、雇[やと]ってもらおうと店へ入っていった。♠●へ張り紙をする〉友人を見舞いに行くと、病室のドアには、「面会謝絶」の張り紙がしてあった。♠●へ張り紙を付ける〉や、ペンキ屋のやつ、「ペンキ塗りたて」の張り紙を付け忘れたな。 **ばりき【馬力】** 荷馬車。仕事をする力。仕事量の単位。[文例]〈馬力がある〉三人分の仕事を一人でやってのけるとは、たいした馬力のあるやつだ。♠●〈馬力をかける〉試験も間近に迫ってきたから、そろそろ馬力をかけてがんばろう。 **はりき・る【張り切る】** ぴんと張る。元気があふれる。[文例]最初ははりきって取り組んだのだが、同じ事の繰り返しでだんだんあきてきた。♠●はりきって来たのに、こんなに客が少ないなんてがっかりだな。♠●へ神経が張り切る〉公演の直前は、出演者はみな神経が張り切っていた。♠●へ張り切った音色〉張り切った美しいバイオリンの音色が聞こえてくる。 **はりこ【張り子】** 紙を張り重ねた細工物。はりぼて。又[例]〈張り子の人形〉民芸店に並んだこけしや張り子の人形などが旅情をそそります。♠●〈張り子のトラ〉あいつら、偉そうにいばっているけど、見せかけだけの張り子のトラさ。 **はりこ・む【張り込む】** 張り付ける。気前よく金品を出す。張り番をする。[文例]〈タイルを張り込む〉職人さんが来て、浴室にタイルを張り込んでいった。♠●〈値を張り込む〉ばあさん、うんと値を張り込むから、その反物[たんもの]をわしに譲[ゆず]ってくれないか。♠●へ祝儀[しゅうぎ]を張り込む〉嫁入り道具を届けた男たちに、娘の父親はにこにこしながらご祝儀を張り込んだ。♠◆〈刑事が張り込む〉犯人が建物から出て来たところを、張り込んでいた刑事が捕らえた。 **はりさ・ける【張り裂ける】** 張り詰めて破れる。[文例]〈袋[かみぶくろ]が張り裂ける〉そんなにいっぱい詰め込んだら、紙袋が張り裂けてしまうよ。♠◆へのどが張り裂ける〉決勝戦、応援団はのども張り裂けんばかりに熱のこもった応援を続ける。♠◆〈胸が張り裂ける〉メロスは、胸が張り裂ける思いで、赤く大きい夕日ばかりを見つめていた。(太宰治[だざいおさむ]「走れメロス」) **はりたお・す【張り倒す】** 平手で張って倒す。[文例]〈人を張り倒す〉生意気な小僧[こぞう]め、張り倒してやる。♠●あんな大男に張り倒されてはかなわない、逃げろ! **はりだ・す【張り出す】**(貼り出す) 紙に書いて張る。出っ張る。ふくらみ出る。[文例]〈壁に張り出す〉わたしの絵が教室の後ろの壁に張り出されていた。♠●〈枝が張り出す〉隣家[りんか]の桜の枝が我が庭に張り出して、屋根の上にまでかぶさる勢いである。♠●〈高気圧が張り出す〉シベリアの高気圧が日本海に張り出し、各地で冷え込みが厳しくなっている。 **はりつく【張り付く】**(貼り付く) くっつく。[文例]〈天井に張りつく〉黒い物が見えたので天井を見上げると、なんとヤモリが張りついていた。♠◆ヘ氷[うすごおり]が張りつく〉湖には薄氷が張りつき、辺りは静まり返っていた。♠◆ヘこげが張りつく〉なべの底にこげたご飯が張りついていた。♠●へ寒さが体に張りつく〉(………………)やはり東京でも寒中の夜明けなどには、外の寒さが肩や背中にはりついてくる。(三浦哲郎[みうらてつお]「おふくろの消息」) **はりつ・ける【張り付ける】**(貼り付ける) 広げてくっつける。一定の場所にとめ置く。[文例]〈紙を張りつける〉いつもの店に寄ったら、入り口に「しばらく休業します」という紙が張りつけてあった。♠●へ接着剤で張りつける〉靴の底がはがれてきたが、しばらくは接着剤で張りつけておこう。♠●〈板を張りつける〉テーブルの表面に化粧[けしよう]板が張りつけてある。♠●へ仕事に張りつける〉この仕事には、専任の担当者を一人張りつけておく必要がありそうだ。 <900> **はりつ・める【張り詰める】** いっぱいに張る。一面に張る。緊張する。[文例]】〈氷が張りつめる〉山の雪が解け、谷に張りつめていた氷も解けて、11の水かさは増していた。♠●へ弦[つる]が張りつめる〉張りつめた弦がぷつんと音を立てて切れた。♠●〈張りつめた空気〉初冬の朝のぴんと張りつめた空気が好きです。♠●へ張りつめた心〉母親の顔を見て、張りつめていた心がいっきにゆるんだのだろう、その子は泣き出してしまった。 **はりめぐらす【張り巡らす】** 周囲に張る。あちこちに張る。[文例]〈鉄線を張り巡らす〉ある日突然、この空き地に有刺[ゆうし]鉄線が張り巡らされ、子供たちは遊び場を失ってしまった。♠●へ垣根[かきね]を張り巡らす〉わたしは周囲に見えない垣根を張り巡らし、自分の殻に閉じこもっていた。♠●へ道路を張り巡らす〉のどかだったこの町も、今は高速道路が張り巡らされ、ビルが立ち並ぶ大都会となった。 **はりわた・す【張り渡す】** ひもなどを渡して張る。[文例]〈糸を張り渡す〉たこは、竹の骨を十字に組み、糸で四方を張り渡し、それに紙をはり、最後に足をつけます。♠●ヘロープを張り渡す〉二本の木の間にロープを張り渡し、ぬれた衣服をそこで乾かした。 **はる【春】** 四季の一つ。冬の後にくる。又[例]〈春が来る〉春が来て、たんぽぽが野原一面に黄色いきれいな花を咲かせました。♠●〈春が浅い〉北の町では、まだ春が浅く、雪が残っていた。♠●〈春を迎える〉正月には、新しい春を迎えたことを祝います。♠●〈春の訪[おとず]れ〉春の訪れを告げるように、雪の下からふきのとうが頭を出しました。♠●〈春の到来〉庭のマンサクの花が咲き始めて、待ちかねた春の到来を告げてくれます。♠●〈春の息吹[いぶき]〉野に出て、春の息吹に触れてみよう。♠●〈春の七草〉せり・なずな・ごぎょう・はこべ・ほとけのざ・すずな・すずしろを春の七草といいます。♠●〈春の目覚め〉おや、息子がひげをそってるぞ。春の目覚めが訪れたのかな。♠●〈春らんまん〉わが家の庭にいっせいに花が咲きほこり、まさに春らんまんです。♠●へ行く春〉行く春をおしむ気 持ちをこめて、一句よみました。♠〈わが世の春〉わが世の春をうたった藤原氏[ふじわら]の栄華[えいが]もやがて衰える時が来た。♠◆〈人生の春〉大学に合格した兄は、「人生の春を謳歌[おうか]するぞ。」と外へ飛び出していった。 **は・る【張る】**(貼る) のび広がる。一面におおう。つき出る。こわばる。ふくらむ。緊張する。かさむ。のばし広げる。ぴんとのばす。いっぱいに満たす。平たく打ちつける。のりでくっつける。こわばらせる。ふくらませる。緊張させる。構える。対抗する。賭ける。見張る。見かけをつくる。[文例]〈根を張る〉竹はしっかりと地に根を張る植物です。♠◆ヘテントを張る〉春になると、この村にサーカスが来て、広場にテントを張った。♠へ糸を張る〉典雅[てんが]な音色を出すびわは、四、五本の糸が張られていて、腕[うで]にかかえて演奏される。♠へ綱[つな]を張る〉雨の日は、部屋の中に綱を張って、洗濯[せんたく]ものを干しています。♠●へ網[あみ]を張る〉警察が張った網に、うまいこと犯人がひっかかった。♠●ヘアンテナを張る〉ぼくは、いろんな所にアンテナを張っているから、たくさん情報が入ってくるんだ。♠●へ氷が張る〉寒い朝は、庭のため池に氷が張っている。♠●〈水を張る〉母は、寝る前には用心のため、いつもバケツに水を張っておく。♠●ヘタイルを張る〉古い風呂[ふろ]場も、明るい色のタイルを張ったら、見違[みちが]えるほどきれいになった。♠◆〈胸を張る〉面接では、胸を張って、きちんと質問に答えるようにしましょう。♠●〈ひじを張る〉片ひじを後ろに張り、もう片方の手を伸ばして弓を引くかっこうをした。♠へ腹が張る〉食べ過ぎたのか、腹が張って苦しい。♠◆へ乳が張る〉母乳で育てたいのに、なかなか乳が張ってこない。♠●へほおを張る〉父の悪口を言ったら、突然[とつぜん]母に、ほおを張られた。♠●〈店を張る〉祖父は、ブリキ屋の店を張っていたが、昭和の初めのひどい不景気で畳んでしまったそうだ。♠●へ勢力を張る〉うちの学校の番長は、隣[となり]の町にまで勢力を張っているんですって。♠〈論陣を張る〉並[なみ]ぃる先生方を相手に、堂々たる論陣を張って自分の主張を通してきた。♠へ意地を張る〉あんまり意地を張ると、人から嫌[きら]われますよ。4 〈強情を張る〉いつまでも強情を張っていないで、素直にあやまりなさい。♠◆〈虚勢[きょせい]を張る〉虚勢を張らず、悲しい時には泣いたらいいよ。♠◆〈見えを張る〉ミンクのコートを買うなんて、見えを張るにもほどがある。♠●〈向こうを張る〉A子の向こうを張って、わたしもテニスを始めたわ。♠へ気が張る〉知らない人の前に出ると、気が張って疲れる。♠へ値が張る〉こちらの品物のほうが値は張りますが、ずっと質は上等でございますよ。♠◆へかさが張る〉セーターはかさが張るから、旅行に持って行くのはやめよう。♠●〈切手をはる〉郵便局で切手を買い、その場で封筒[ふうとう]にはって、投函[とうかん]した。♠◆〈ばんそうこうをはる〉傷口がふさがるまで、ばんそうこうをはっておいてください。♠●〈障子[しょうじ]をはる〉毎年暮れになると、父が家中の障子をはることになっている。♠ヘポスター・ビラをはる〉選挙運動期間中は、ポスターやビラが街じゅうにはられて、汚[きたな]らしいほどだ。 **はるか(遙か)** 空間的・時間的に隔たっているさま。差異が大きいさま。[文例]〈はるか向こう〉晴れた日に裏山にのぼると、はるか向こうにくっきりと富士山が見える。♠●へはるかかなた〉中国大陸に行くとだれもが、はるかかなたの地平線に沈む夕日に感激[かんげき]するという。♠●へはるかな旅〉『東方見聞録[とうほうけんぶんろく]』を書いたマルコ・ポーロは、十三世紀にイタリアから中国まではるかな旅をした。♠●へはるかな昔[むかし]〉アルバムを見終わった祖父は、はるかな昔を思っているのか、じっと目を閉じたままだった。♠へはるかに優[すぐ]れる〉A君とB君とでは、性格の点ではB君のほうがはるかに優れている。♠●へはるかに広い〉地球の表面の十分の七を占めている海は、陸地よりもはるかに広い。♠●〈はるかによい〉野球の選手の目には、わたしたちよりはるかによく球が見えていることはまちがいない。 **はるさき【春先】** 春の初め。早春。[文例]前にこの寺を訪れたのは、春先、沈丁花[じんちようげ]の香りが漂[ただよ]うころでした。♠◆黒くしめった土に触れるが早いか消えてゆく春先の雪。 **はるばる(遙遙)** 遠く隔たっているさま。遠くまで移動す <901> るさま。[文例]〈遠路[えんろ]はるばる〉まあ、まあ、遠路はるばるよくいらっしゃいました。♠へはるばる出[で]かける〉海[うみ]はきれいだし、食[た]べ物[もの]はおいしいし、はるばる東京[とうきょう]から出かけてきたかいがありました。♠へはるばるとたどり着[つ]く〉九州[きゅうしゅう]で投[な]げ込[こ]まれたびん詰[づ]めの手紙[てがみ]は、波[なみ]に乗[の]ってはるばると九十九里[くじゅうくり]にたどり着いた。♠へはるばるやって来[く]る>室町[むろまち]時代[じだい]の終[お]わりごろ、ザピエルは、キリスト教[きょう]を広[ひろ]めるためはるばる海[うみ]を越[こ]えて日本[にほん]にやって来[き]た。 **はれ**【晴れ】○晴天[せいてん]。晴[は]れがましいこと。正式[せいしき]。疑[うたが]いが晴[は]れること。[文例]あしたは運動会[うんどうかい]なんだ。晴れだといいな。♠〈晴[は]れの舞台[ぶたい]>彼女[かのじょ]にとって、それは女優[じょゆう]としてデビューする晴れの舞台だった。♠へ晴[は]れの入学式[にゅうがくしき]〉今日[きょう]は、わが子[こ]の晴れの入学式である。 **はれあが・る**【晴れ上がる】○すっかり晴[は]れる。[文例]〈空[そら]が晴[は]れ上[あ]がる〉午後[ごご]になると、空は晴れ上がって、真夏[まなつ]の太陽[たいよう]がじりじりと照[て]りつけた。♠くからりと晴[は]れ上[あ]がる〉昨日[きのう]のあらしはうそのように、今朝[けさ]はからりと晴れ上がり、風[かぜ]もない。 **ばれい**【馬齢】○自分[じぶん]の年齢[ねんれい]を謙遜[けんそん]していう語[ご]。[文例]〈馬齢[ばれい]を重[かさ]ねる〉最近[さいきん]はこれといった仕事[しごと]もせず、空[むな]しく馬齢を重ねています。♠〈馬齢[ばれい]を加[くわ]える〉研究[けんきゅう]にしがみついて馬齢を加えてきただけに、今回[こんかい]の受賞[じゅしょう]は励[はげ]みになります。 **はれがまし・い**【晴れがましい】○表立[おもてだ]って華[はな]やかである。華やかでてれくさい。[文例]〈晴[は]れがましい思[おも]い〉初[はじ]めての優勝[ゆうしょう]を皆[みんな]に祝福[しゅくふく]されて、ぼくたちは晴れがましい思いがした。♠へ晴[は]れがましい席[せき]〉成人式[せいじんしき]という晴れがましい席に出[で]て、改[あらた]めて大人[おとな]になった責任[せきにん]を感[かん]じました。 **はれつ**【破裂】○勢[いきお]いよく破[やぶ]れ裂[さ]けること。交渉[こうしょう]が物別[ものわか]れになること。[文例]〈かんしゃく玉[だま]が破裂[はれつ]する〉いたずらばかりしていると、いまに父[とう]さんのかんしゃく玉が破裂するぞ。♠〈心臓[しんぞう]が破裂[はれつ]する〉いよいよ自分[じぶん]の発表[はっぴょう]する番[ばん]が回[まわ]って来[き]たとき、どきどきして、心臓が破裂しそうだった。へ談判[だんぱん]が破裂[はれつ]する〉終日[しゅうじつ]話[はな]し合[あ]いが続[つづ]けられたが、ついに解決[かいけつ]を見[み]ないまま、談判は破裂した。 **はればれ**【晴れ晴れ】○晴[は]れやかですっきりしたさま。[文例]〈晴[は]れ晴[は]れする〉一生懸命[いっしょうけんめい]働[はたら]いたあとは、気持[きも]ちが晴れ晴れする。♠●へ晴[は]れ晴[は]れとした>裁判[さいばん]に勝[か]った原告団[げんこくだん]は、晴れ晴れとした顔[かお]で裁判所[さいばんしょ]から出[て]て来[き]た。 **はれぼった・い**【腫れぼったい】○はれ、ふくらんでいる。[文例]〈目[め]・まぶたがはれぼったい〉夜[よ]ふかしした姉[あね]が、眠[ねむ]たそうなはれぼったい目[め]をして起[お]きてきた。♠へ顔[かお]がはれぼったい〉けんかでもしたのか、少年[しょうねん]ははれぼったい顔で帰[かえ]ってきた。♠へはれぼったくむくむ〉わたしは、屋上[おくじょう]から、雨[あめ]あがりのはれぼったくむくんだような街[まち]を見下[みお]ろした。 **はれま**【晴れ間】○雲[くも]の切[き]れ間[ま]の青空[あおぞら]。雨[あめ]などがやんでいる間[あいだ]。[文例]〈晴[は]れ間[ま]が見[み]える>空[そら]は雲[くも]に覆[おお]われているが、ところどころに晴れ間も見える。♠へ晴[は]れ間[ま]をみる〉梅雨[つゆ]どきは、晴れ間をみては洗濯物[せんたくもの]を外[そと]に出[だ]したり、布団[ふとん]を干[ほ]したりしている。 **はれもの**【はれ物・腫れ物】○できもの。おでき。[文例]へはれ物[もの]ができる>右足[みぎあし]のももの外側[そとがわ]に大[おお]きなはれ物[もの]ができた。♠へはれ物[もの]に触[さわ]るよう〉気[き]むずかしいおじいさんを、みんなははれ物にでも触るように丁重[ていちょう]に扱[あつか]った。♠へ出物[でもの]はれ物所[ものところ]きらわず〉出物はれ物所きらわずといって、自分[じぶん]の体[からだ]のことでさえ、なかなか意[い]のままにはならない。 **はれやか**【晴れやか】○晴[は]れ渡[わた]ったさま。晴[は]れ晴[は]れとしてすがすがしいさま。華[はな]やかなさま。[文例]〈晴[は]れやかな気分[きぶん]〉昨夜[ゆうべ]の熱[ねつ]もすっかりひいて、今朝[けさ]は晴れやかな気分だった。♠〈晴[は]れやかな顔[かお]〉さっきまでの苦痛[くつう]がうそのように、彼女[かのじょ]は晴れやかな顔つきをしていた。♠へ晴[は]れやかな微笑[びしょう]>訪[たず]ねていくと、彼女は晴れやかな微笑で迎[むか]えてくれた。♠へ表情[ひょうじょう]が晴[は]れやか>試験[しけん]が終[お]わった日[ひ]のクラスメートの表情は、いつになく晴れやかだ。♠〈晴[は]れやかな席[せき]>男[おとこ]は、およそ晴れやかな席には不似合[ふにあ]いな感[かん]じだった。♠へ晴[は]れやかに着飾[きかざ]る〉毎年[まいとし]成人式[せいじんしき]の会場[かいじょう]には、晴れやかに着飾った若者[わかもの]たちが集[あつま]ります。 **は・れる**【晴れる】○雲[くも]や霧[きり]などが消[き]える。雨[あめ]や雪[ゆき]などがやむ。気分[きぶん]がすっきりする。疑[うたが]いがなくなる。[文例]〈空[そら]が晴[は]れる〉冬[ふゆ]とはいえ、空が晴れて穏[おだ]やかな一日[いちにち]だった。♠◆雨[あめ]が晴[は]れる>長[なが]い間[あいだ]降[ふ]り続[つづ]いていた雨も、月[つき]が変[か]わってようやく晴れました。♠◆<霧[きり]が晴[は]れる〉湖面[こめん]をおおっていた濃[こ]い霧が晴れて、対岸[たいがん]の村[むら]が視野[しや]にうかんできた。♠●へ心[こころ]が晴[は]れる〉重病[じゅうびょう]の母[はは]のことが気[き]になって、彼[かれ]の心は何[なに]をしても晴れなかった。♠へ気分[きぶん]が晴[は]れる〉家[いえ]にこもってばかりいるのはよくないよ。たまには旅[たび]でもしてごらん、気分が晴れるから。♠●へ疑[うたが]いが晴[は]れる〉アリバイを証言[しょうげん]する人[ひと]が現[あらわ]れて、容疑者[ようぎしゃ]の疑いもやっと晴れた。♠へ晴[は]れて~となる>長年[ながねん]被告[ひこく]え続[つづ]けてきた被告の苦労[くろう]が実[みの]り、今回[こんかい]の判決[はんけつ]で晴れて無罪[むざい]となった。 **は・れる**【腫れる】○ふくれあがる。[文例]〈指[ゆび]がはれる〉体育[たいいく]の時間[じかん]、つき指[ゆび]をしたところが、今[いま]になって青黒[あおぐろ]くはれてきた。♠へへんとうせんがはれる〉へんとうせんがはれて痛[いた]くてたまらない。♠●へ顔[かお]がはれる〉じん臓[ぞう]の悪[わる]い母[はは]は、手[て]や顔がはれたようにむくんで見[み]える。 **ば・れる**○明[あか]るみに出[で]る。露見[ろけん]する。[文例]〈うそがばれる〉その場[ば]のがれにうそをついたところで、すぐにばれるものだよ。♠へいたずらがばれる〉いたずらがばれてしまい、父[ちち]にうんとしかられた。♠●へ隠[かく]し事[ごと]がばれる〉母[はは]がわたしの顔[かお]をじっと見[み]るので、わたしは隠し事がばれたのかなとどきどきした。 **はれわた・る**【晴れ渡る】○すみずみまですっかり晴[は]れる。[文例]〈空[そら]が晴[は]れ渡[わた]る>雲[くも]一[ひと]つなく晴れ渡った空のように、わたしの心[こころ]はさわやかだった。 **はれんち**【破廉恥】○恥知[はじし]らず。厚顔無恥[こうがんむち]。[文例]〈破廉恥[はれんち]な人[ひと]>約束[やくそく]を破[やぶ]って平気[へいき]でいるなんて、なんと破廉恥な人でしょう。♠●へ破廉恥[はれんち]な行為[こうい]〉落[お]ちるところまで落ちたわたしは、どんな破廉恥な行為もできると思[おも]っていた。 **はろう**【波浪】○波[なみ]。[文例]〈波浪[はろう]注意報[ちゅういほう]〉台風[たいふう]の影響[えいきょう]で、沿岸[えんがん]の各地[かくち]に強風[きょうふう]波浪注意報が出[で]ています。 <902> **パロディー** ○他[ほか]の作品[さくひん]をこっけいに作[つく]りかえ、風刺[ふうし]をきかせたもの。[文例]〈パロディー化[か]〉これは、日本[にほん]の中流[ちゅうりゅう]階層[かいそう]の底[そこ]の浅[あさ]さをパロディー化[か]したドラマです。♠●ヘパロディータッチ〉この小説[しょうせつ]は、古典[こてん]文学[ぶんがく]の名作[めいさく]をもとに、世相[せそう]をパロディータッチで描[えが]いた愉快[ゆかい]な作品です。 **バロメーター** ○気圧計[きあつけい]。晴雨計[せいうけい]。尺度[しゃくど]。目安[めやす]。[文例]〈健康[けんこう]のバロメーター>食欲[しょくよく]は、健康のバロメーターといっていいだろう。♠へ文化[ぶんか]のバロメーター〉文化のバロメーターの一[ひと]つとして、紙[かみ]の消費量[しょうひりょう]があげられることがある。 **パワー** ○力[ちから]。勢力[せいりょく]。権力[けんりょく]。[文例]ヘパワーがある〉彼[かれ]のパンチには、すごいパワーがある。♠●〈大国[たいこく]のパワー〉大国のパワーは、近隣[きんりん]諸国[しょこく]の情勢[じょうせい]に大[おお]きな影響力[えいきょうりょく]をもっている。 **はん**【判】○印章[いんしょう]。印鑑[いんかん]。はんこ。[文例]〈判[はん]を彫[ほ]る〉おばの旅行[りょこう]みやげの水晶[すいしょう]で判を彫ってもらいました。♠●へ判[はん]を押[お]す〉必要[ひつよう]事項[じこう]を記入[きにゅう]したら、判を押してください。♠●〈判[はん]で押[お]したよう〉父[ちち]は、いつも判で押したように六時[ろくじ]半[はん]に帰宅[きたく]します。 **はん**【版】○印刷[いんさつ]のための版木[はんぎ]。印刷。出版[しゅっぱん]。[文例]〈版[はん]を彫[ほ]る〉昔[むかし]のかわら版[ばん]は、いちいち手[て]で版を彫って刷[す]っていました。♠へ版[はん]を重[かさ]ねる〉この歌集[かしゅう]は出版されたとたんにベストセラーとなり、一年[いちねん]の間[あいだ]に何回[なんかい]も版を重ねた。 **はん**【班】○集団[しゅうだん]を細[こま]かく分[わ]けた単位[たんい]。[文例]〈班[はん]に分[わ]ける〉隊長[たいちょう]は隊員[たいいん]を三[みっ]つの班に分けて、それぞれに任務[にんむ]を割[わ]り当[あ]てた。♠へ班[はん]を作[つく]る〉夏休[なつやす]みに共同[きょうどう]研究[けんきゅう]をしてもらいますから、テーマ別[べつ]に班を作りなさい。♠◆〈救護班[きゅうごはん]〉競技[きょうぎ]会場[かいじょう]の一角[いっかく]に救護班のテントが張[は]られた。 **はん**【範】○手本[てほん]。模範[もはん]。[文例]〈範[はん]とする〉この勇気[ゆうき]ある行動[こうどう]は、われわれも範とすべきである。♠●〈範[はん]を垂[た]れる>言葉[ことば]でしかるよりも、自[みずか]ら範を垂れることがだいじです。♠●へ範[はん]をとる〉明治[めいじ]維新後[いしんご]の日本[にほん]は、西洋[せいよう]諸国[しょこく]に範をとってあらゆるものを貪欲[どんよく]に吸収[きゅうしゅう]した。 **ばん**【番】○順番[じゅんばん]で当[あ]たること。当番[とうばん]。見張[みは]ること。また、その人[ひと]。[文例]〈番[ばん]を待[ま]つ〉合唱[がっしょう]コンクールに出場[しゅつじょう]したわたしたちは、皆[みな]一様[いちよう]に緊張[きんちょう]しながら、自分たちの番を待っていた。♠●〈番[ばん]になる〉いよいよ彼[かれ]の発表[はっぴょう]する番になったが、気[き]の弱[よわ]いあいつが失敗[しっぱい]せずにできるかどうか、正直[しょうじき]言[い]って不安[ふあん]だ。♠●〈番[ばん]が回[まわ]ってくる〉わたしの番が回ってくるまでの時間[じかん]は、とても長[なが]かったようにも、あっという間[ま]だったようにも思[おも]えた。♠●〈店[みせ]の番[ばん]>急用[きゅうよう]で出[で]かける父[ちち]に代[か]わって、ぼくが店の番をすることになってしまった。♠●〈番[ばん]をする〉町内[ちょうない]の若者[わかもの]全員[ぜんいん]が交代[こうたい]でどろぼうの番をすることになった。♠←〈寝[ね]ずの番[ばん]〉今夜[こんや]は寝ずの番になるので、ぼくたちはたっぷり眠[ねむ]って夜[よる]を待[ま]った。 **ばん**【晩】○夕方[ゆうがた]。夜[よる]。[文例]〈明日[あした]の晩[ばん]〉明日[あす]の晩、みんなで映画[えいが]を見[み]に行[い]く予定[よてい]です。♠●へ朝[あさ]から晩[ばん]まで>朝から晩まで雪[ゆき]が降[ふ]り、外[そと]は一面[いちめん]の銀世界[ぎんせかい]になった。♠◆〈月夜[つきよ]の晩[ばん]〉月夜の晩にボタンが一[ひと]つ波打[なみう]ちぎわに落[お]ちていた。(中原[なかはら]中也[ちゅうや]「月夜の浜辺[はまべ]」部分[ぶぶん]) **パン** ○小麦粉[こむぎこ]を水[みず]でこね、発酵[はっこう]させて焼[や]いた食品[しょくひん]。生活[せいかつ]の糧[かて]。食糧[しょくりょう]。[文例]ヘパンを作[つく]る〉お母[かあ]さんが小麦粉をこねて、パンを作っています。♠●ヘパンを焼[や]く〉台所[だいどころ]の方[ほう]からパンを焼くこうばしいにおいがしてくる。♠●〈パンのために働[はたら]く〉裕福[ゆうふく]な家庭[かてい]に生[う]まれ育[そだ]った青年[せいねん]は、パンのために働く必要[ひつよう]はなかった。♠●人[ひと]はパンだけで生[い]きるものではない。神[かみ]の口[くち]から出[で]る一[ひと]つ一[ひと]つの言葉[ことば]で生[い]きる。(新約聖書[しんやくせいしょ])♠◆一[ひと]つのパンを家族[かぞく]五人[ごにん]で分[わ]ける貧[まず]しい暮[く]らしだったが、毎日[まいにち]が楽[たの]しかった。 **はんい**【範囲】○ある限[かぎ]られた広[ひろ]さ。[文例]〈狭[せま]い範囲[はんい]に限[かぎ]る〉日本[にほん]で働[はたら]く外国人[がいこくじん]が増[ふ]えたと言[い]っても、まだまだ狭い範囲に限られています。♠●〈広[ひろ]い範囲[はんい]に渡[わた]る>流[なが]れ出[で]た溶岩[ようがん]は広い範囲に渡ってふもとを覆[おお]い、草[くさ]や木[き]を焼[や]きつくしてしまった。♠●へ範囲[はんい]が広[ひろ]がる〉今日[こんにち]では交通[こうつう]機関[きかん]の発達[はったつ]によって、人々[ひとびと]の行[い]き来[き]できる範囲もずいぶん広がっています。♠◆<自分[じぶん]のできる範囲[はんい]>無理[むり]をしないで、自分のできる範囲でやるのが長続[ながつづ]きのこつです。♠◆〈範囲[はんい]の広[ひろ]さ『万葉集[まんようしゅう]』※集」は、収[おさ]められた歌[うた]の作者[さくしゃ]やその地域[ちいき]の範囲の広さにおいて、他[ほか]に類[るい]を見[み]ない。♠◆<活動[かつどう]範囲[はんい]〉人々[ひとびと]の活動範囲が全世界[ぜんせかい]に広[ひろ]がれば、当然[とうぜん]、世界中[せかいじゅう]に通用[つうよう]する言葉[ことば]が必要[ひつよう]になります。♠◆<交際[こうさい]範囲[はんい]〉彼[かれ]は、町[まち]の名士[めいし]で、交際範囲が広[ひろ]い。 **はんえい**【繁栄】○栄[さか]えること。盛[さか]んになること。[文例]〈生物[せいぶつ]の繁栄[はんえい]>自然[しぜん]はある特定[とくてい]の生物だけの繁栄を許[ゆる]し、他[ほか]を滅[ほろ]ぼすようなことはしない。♠●〈経済[けいざい]の繁栄[はんえい]>戦後[せんご]の日本[にほん]の経済の成長[せいちょう]と繁栄には、世界中[せかいじゅう]の目[め]が集[あつ]まった。♠へ繁栄[はんえい]のシンボル>過去[かこ]には繁栄のシンボルだった工場[こうじょう]の煙[けむり]が、生物の生命[せいめい]を脅[おびや]かすようになったのです。♠●へ繁栄[はんえい]の道[みち]を歩[あゆ]む>川[かわ]の恵[めぐ]みを存分[ぞんぶん]に受[う]けながら、人類[じんるい]は繁栄の道を歩み始[はじ]めた。♠◆<繁栄[はんえい]を築[きず]く〉あの会社[かいしゃ]は、従業員[じゅうぎょういん]のたゆまぬ努力[どりょく]と社長[しゃちょう]の天才的[てんさいてき]な勘[かん]によって、今日[こんにち]の繁栄を築いたと言[い]われている。♠◆<繁栄[はんえい]と衰退[すいたい]〉今日[きょう]の繁栄が明日[あす]の衰退につながることもあるから、心[こころ]をひきしめてかかれ。♠●〈種族[しゅぞく]が繁栄[はんえい]する〉人間[にんげん]の生活[せいかつ]と結[むす]びついて、ゴキブリは種族を繁栄させてきた。♠へ店[みせ]が繁栄[はんえい]する〉店を繁栄させるこつは、まず第一[だいいち]にお客[きゃく]を大事[だいじ]にすることだ。 **はんえい**【反映】○光[ひかり]が反射[はんしゃ]して映[うつ]ること。また、映った光や色[いろ]。影響[えいきょう]が及[およ]んで外[そと]に現[あらわ]れること。[文例]〈日[ひ]が窓[まど]に反映[はんえい]する>朝日[あさひ]が窓ガラスに反映して、とても美[うつく]しい。♠へ気持[きも]ちが態度[たいど]に反映[はんえい]する〉人間[にんげん]の気持ちは、当人[とうにん]の行為[こうい]や態度に反映する。♠●へ生[い]き方[かた]・考[かんが]え方[かた]が作品[さくひん]に反映[はんえい]する〉古典[こてん]には、わたしたちの遠[とお]い祖先[そせん]の生き方や考え方が、いろいろな形[かたち]で反映している。♠感情[かんじょう]が歌[うた]に反映[はんえい]する>流行歌[りゅうこうか]には、それが流行した時[とき]の世[よ]の中[なか]の様子[ようす]や、人々[ひとびと]の感情が反映している。♠●〈好[この]みを反映[はんえい]する〉写真[しゃしん]に見[み]られるはでな風俗[ふうぞく]は、当時[とうじ]の人々の好みをよく反映している。♠●〈教育[きょういく]方針[ほうしん]を反映[はんえい]する>学校[がっこう]の教育方針を反映しているのか、ここの生徒[せいと]は総[そう]じておとなしいようだ。♠●〈政治[せいじ]に反映[はんえい]する〉国民[こくみん]は、もっと政治に自分[じぶん]の意見[いけん]を反映できるように社会[しゃかい]を作[つく]るべきだ。 **はんえいきゅうてき**【半永久的】○ほとんど永久[えいきゅう]であるさま。[文例]ヨーロッパには、石造[いしづく]りの半永久的な建物[たてもの]が多[おお]い。 <903> い。♠◆貴重な文献を半永久的に保存できるマイクロフィルムが開発された。 **はんえん【半円】** 円を二等分したもの。[文例]窓を開けると、山の端に半円の形をした月が出ていた。♠●先生は、コンパスを使って黒板に半円を描いてみせた。 **はんか【繁華】** 人が集まってにぎやかなさま。[文例]〈繁華な都市〉大阪は、関西きっての繁華な都市である。♠へ繁華な通り〉ここが銀座でもいちばん繁華な通りです。♠●へ繁華街〉電車を降りると、わたしたちは繁華街でショッピングを楽しみました。 **はんが【版画】** 木・石・銅などで版を作って刷った絵。[文例]〈版画を彫る〉今年は、年賀状用に版画を彫ってみようと思う。♠◆◇浮世絵[うきよえ]の版画〉浮世絵の版画は、優れた日本美術として世界中の注目を集めている。 **ばんか【晩夏】** 夏の終わりごろ。陰暦六月のこと。[文例]この花は、初夏から晩夏にかけて咲き続けます。♠◆晩夏の野山は訪[いた]れる人も少なく、はや秋の気配も漂[ただよ]っていた。 **ばんか(挽歌・輓歌)** 死者を悼[いた]む歌。[文例]万葉集の挽歌を読むと、死者への嘆きと祈りがしみじみと胸を打ちます。♠◆〈青春の挽歌〉卒業後十年にして再会した旧友たちと肩を組んで歌う校歌は、みなにとって青春の挽歌でもあったろう。 **ばんかい(挽回)** 取り返すこと。元の状態に戻すこと。[文例]〈挽回する〉戦いの前半押されていた武田[たけだ]勢は、後半勢力を挽回し、勝利を収めることができた。♠●〈名誉挽回〉今度の試合は名誉挽回のチャンスだ。 **はんがく【半額】** 金額の半分。〔[文例]〈料金が半額〉一般に交通機関の子供料金は大人の半額です。♠ヘ半額セール〉「半額セール」とはり紙をした店で、人々は争うように買い物をしていた。 **はんかけ【半欠け】** 半分欠けて無いこと。[文例]〈半欠けの月〉丘の上に青白い半欠けの月が出ています。♠●へ半欠けの茶わん〉茶だんすの奥から半欠けの茶わんが出てきた。 **ばんがさ【番傘】** 竹の骨に油紙を張った雨傘。[文例]〈番傘を差す〉客たちは旅館の名入りの番傘を差して、小雨の夜の歓楽街へ出かけていった。 **はんかつう【半可通】** よく知らないのに知ったふりすること。また、そういう人。[文例]あの男はその道の達人のようなことを言っているが、実は半可通でよくはわかっていないのだ。♠〈半可通の知識〉専門家の前で半可通の知識をふりまわすと、恥[はじ]をかきますよ。 **ばんカラ【蛮カラ】** 粗野で荒々しいさま。[文例]〈蛮カラな格好〉柔道部に入ったとたんに、かおる君は蛮カラな格好をするようになった。♠●へ蛮カラ学生〉質実剛健[ごうけん]を校風にするこの学校には蛮カラ学生が多い。 **はんきょう【反響】** 音が反射して響くこと。また、その音。一方からの働きかけに対する反応。[文例]〈音の反響〉新しくできたコンサートホールは、音の反響、色彩[いろ]、その他すべての点で優[すぐ]れています。♠●〈反響する〉鼓[つづみ]は、よく澄[す]んだ音色を部屋いっぱいに反響させた。♠〈反響がない〉若者は穴に向かって叫[さけ]んでみたが、底からは何の反響もなかった。♠◆〈反響がある〉みんなに役立つような製品を提供し、確かな手ごたえや反響があった場合、その喜びは大きい。♠●〈反響をまきおこす〉杉田玄白[すぎたげんばく]らによる『解体新書[かいたいしんしよ]』の刊行は、華々[はなばな]しい反響をまきおこした。♠◆〈大きな反響〉〈反響を呼ぶ〉戦争の恐怖を訴[うつた]えるこのテレビドラマは、放映されると人々の間に大きな反響を呼んだ。 **パンク** タイヤに穴があくこと。ふくらみ過ぎて破裂すること。過度に集中して機能しなくなること。[文例]〈自転車がパンクする〉山道で自転車がパンクして、途方にくれてしまった。♠●へ腹がパンクする〉もう食べられない。おなかがパンクしそうだ。♠〈回線がパンクする〉テレビ局に問い合わせやら抗議の電話が集中して、回線がパンクしてしまった。 **ばんぐみ【番組】** 放送・演芸・競技などの組み合わせ。プログラム。[文例]〈番組がある〉どうしても見たい番組があるので、それまでに宿題を終えてしまおう。♠〈番組を見る〉戦争の悲惨[ひさん]さを訴えるその番組を見てから、彼は人が変わったようにおとなしくなった。♠●〈番組を降りる〉気難しいことで有名なこの俳優は、スタッフと意見が合わず、今までに三度も番組を降りている。♠●ヘテレビ番組〉夕食の時に見るテレビ番組のことで姉とけんかをしては、母にしかられたっけ。 **はんけい【半径】** 円・球の中心から円周・球面までの長さ。活動の範囲。[文例])道路の真ん中に半径二メートルほどの穴があいて、車の通行が危険になった。♠◆工場の爆発で、半径一キロメートル以内にある建物が被害を受けた。♠●〈行動半径〉カルチャースクールに通ってから、友達もふ **はんかん【反感】** 反発・反抗する感情。又[例]〈反感を持つ〉彼は以前から軍人に対して反感を持っていた。♠●へ反感を抱[いだ]く〉チームのキャプテンの強引なやり方には、部員のみんなが反感を抱いている。♠●へ反感を買う〉時には人の反感を買うこともあるが、それを気にしていたら何もできない。♠◆〈反感がつのる〉生徒の間には、何かにつけ、規則で縛ろうとする学校に対する反感がつのっていた。 **ばんかん【万感】** 心にわき起こるさまざまな思い。[文例]〈万感胸に迫る〉創立十周年を迎えて、創業当時の苦労を思うと万感胸に迫るものがあります。♠●〈万感の思い〉長い不遇の時代を経て、今受賞の喜びを語る老作家の言葉には万感の思いがこめられていた。 **はんがんびいき** ♪ほうがんびいき **はんぎゃく 【反逆】**(叛逆) 逆らい歯向かうこと。[文例]〈反逆をくわだてる〉領民をかえりみず、奢侈[しゃし]の限りを尽くす王に対して、若い貴族たちが反逆をくわだてた。♠へ反逆する〉王は、自分に反逆する者たちを残らず抹殺[まつさつ]した。♠〈反逆精神〉世俗に対する反逆精神は、この詩人の一生を通じて衰[おとろ]えることがなかった。♠●へ反逆児〉若いころの反逆児も、今やすっかりマイホームパパだ。♠●〈反逆者〉主君の非道をいさめた藩士は、反逆者の汚名[おめい]を着せられた。 <904> **はんげき**【反撃】○攻撃[こうげき]し返[かえ]すこと。[文例]〈反撃[はんげき]に転[てん]じる〉押[お]されっぱなしだったチームが、後半[こうはん]になるとすさまじい反撃に転じた。♠◆ヘ〈反撃[はんげき]に移[うつ]る〉論争[ろんそう]は、相手[あいて]の言[い]い分[ぶん]をまず聞[き]いて理解[りかい]し、それからおもむろに反撃に移るのが賢[かしこ]い方法[ほうほう]である。♠●へ反撃[はんげき]に出[で]る〉じっと戦況[せんきょう]を見[み]ていた敵軍[てきぐん]が、どうやら反撃に出たらしい。♠◆へ反撃[はんげき]する〉この辺[へん]で反撃しておかないと、相手はますます調子[ちょうし]に乗[の]るぞ。 **はんけつ**【判決】○裁判所[さいばんしょ]が法律[ほうりつ]に基[もと]づいて判断[はんだん]を下[くだ]すこと。また、その判断。[文例]〈判決[はんけつ]がくだる〉第一[だいいち]回[かい]目[め]の公判[こうはん]では、有罪[ゆうざい]の判決がくだった。♠●へ判決[はんけつ]をくだす>無実[むじつ]を訴[うった]えていた死刑囚[しけいしゅう]に、裁判官[さいばんかん]は無罪[むざい]の判決をくだした。♠判決[はんけつ]を受[う]ける>殺人犯[さつじんはん]は、無期[むき]懲役[ちょうえき]の判決を受けた。♠●へ判決[はんけつ]を言[い]い渡[わた]す〉裁判長[さいばんちょう]は、重々[おもおも]しい口調[くちょう]で判決を言い渡した。♠●〈判決[はんけつ]をくつがえす二審[にしん]では、一審[いっしん]の判決をくつがえす結果[けっか]となった。 **はんげん**【半減】○半分[はんぶん]に減[へ]ること。[文例]〈興味[きょうみ]が半減[はんげん]する〉入部[にゅうぶ]した当初[とうしょ]は球拾[たまひろ]いばかりで、野球[やきゅう]に対[たい]する興味が半減してしまった。 **ばんけん**【番犬】○見張[みは]り番[ばん]をする犬[いぬ]。[文例]〈番犬[ばんけん]を置[お]く〉近[ちか]ごろはぶっそうなので、わが家[や]でも番犬を置くことにしました。 **はんこう**【反抗】○手向[てむ]かうこと。歯向[はむ]かうこと。[文例]〈思春期[ししゅんき]の反抗[はんこう]〉思春期の反抗は、きみたちが自分[じぶん]を独立[どくりつ]したものにする、つまり自我[じが]を確立[かくりつ]するための出発点[しゅっぱつてん]なのだ。♠〈反抗[はんこう]の心[こころ]>弱者[じゃくしゃ]の権利[けんり]を踏[ふ]みにじる者[もの]に対[たい]する反抗の心が、若者[わかもの]の中[なか]に育[そだ]っていった。♠人命令[めいれい]に反抗[はんこう]する〉彼[かれ]は上官[じょうかん]の命令に反抗しなかった。♠親[おや]に反抗[はんこう]する〉少年[しょうねん]は、口[くち]やかましい母親[ははおや]に反抗して、とうとう家[いえ]を飛[と]び出[だ]してしまった。♠へ権威[けんい]・因習[いんしゅう]に反抗[はんこう]する〉これは、社会[しゃかい]の権威や因習に反抗し、自由[じゆう]と平和[へいわ]を求[もと]めて闘[たたか]った青年[せいねん]の物語[ものがたり]である。♠◆<反抗期[はんこうき]〉きみも、あの小[ちい]さい子供[こども]時代[じだい]の反抗期のことを思[おも]い出[だ]してみよう。 **はんこう**【犯行】○犯罪[はんざい]にあたる行為[こうい]。[文例]〈犯行[はんこう]を重[かさ]ねる>男[おとこ]は、次々[つぎつぎ]に犯行を重ねていった。♠◆ヘ犯行[はんこう]を認[みと]める>容疑者[ようぎしゃ]は証拠[しょうこ]を突[つ]きつけられても、なかなか犯行を認めようとしなかった。♠●へ犯行[はんこう]時間[じかん]>死体[したい]解剖[かいぼう]の結果[けっか]、犯行時間は昨夜[さくや]九時[くじ]から十二時[じゅうにじ]の間[あいだ]ということが判明[はんめい]した。 **ばんごう**【番号】○順序[じゅんじょ]・順番[じゅんばん]を示[しめ]す数字[すうじ]。ナンバー。[文例]〈番号[ばんごう]をつける〉書類[しょるい]のファイルがたまったので、番号をつけて整理[せいり]しました。♠●〈番号[ばんごう]を打[う]つ〉収容[しゅうよう]人員[じんいん]を超[こ]えて発行[はっこう]されることのないように、入場券[にゅうじょうけん]には番号が打たれた。♠◆〈部屋[へや]の番号[ばんごう]>それぞれ、自分[じぶん]が入[はい]る部屋の番号をきちんと覚[おぼ]えているように。♠●〈番号[ばんごう]がいい〉順番[じゅんばん]を決[き]めるのにくじを引[ひ]いたら、三番[さんばん]といういい番号を引[ひ]き当[あ]てた。<〈番号[ばんごう]が若[わか]い〉では、入口[いりぐち]に集合[しゅうごう]して、番号の若い人[ひと]から順[じゅん]に入場[にゅうじょう]してください。 **ばんこく**【万国】○世界中[せかいじゅう]のすべての国[くに]。[文例]方国[ばんこく]共通[きょうつう]>ことばが万国共通であれば、外国語[がいこくご]を学[まな]ぶ苦労[くろう]がはぶけるのに。♠●〈万国旗[ばんこくき]〉万国旗のひるがえる青空[あおぞら]の下[した]で、元気[げんき]に運動会[うんどうかい]が行[おこな]われています。 **はんこつ**【反骨・叛骨】○世間[せけん]や権力[けんりょく]に容易[ようい]にくみしない気骨[きこつ]。[文例]〈反骨[はんこつ]の気風[きふう]>機械化[きかいか]の波[なみ]の中[なか]でも、職人[しょくにん]は反骨の気風を失[うしな]わず、すぐれた手工芸品[しゅこうげいひん]を作[つく]り上[あ]げていた。♠〈反骨[はんこつ]精神[せいしん]〉時流[じりゅう]に流[なが]されず、独自[どくじ]の商法[しょうほう]をもって二百年[にひゃくねん]の伝統[でんとう]を守[まも]りぬいた店主[てんしゅ]の反骨精神が店内[てんない]に満[み]ちていた。 **はんさ**【煩瑣】 ○こまごまと込[こ]み入[い]ってわずらわしいさま。煩雑[はんざつ]。[文例]〈煩瑣[はんさ]な手続[てつづ]き〉許可[きょか]を得[え]るには、役所[やくしょ]の煩瑣な手続きをふまなければならない。♠●〈煩瑣[はんさ]な家事[かじ]>毎日[まいにち]煩瑣な家事に追[お]われていると、心[こころ]のゆとりもなくなってしまいそうです。 **はんざい**【犯罪】○罪[つみ]を犯[おか]すこと。また、犯した罪。[文例]〈法律[ほうりつ]に触[ふ]れる犯罪[はんざい]〉きみのやったことは、もちろん法律に触れる犯罪ではないが、道徳[どうとく]には反[はん]する行為[こうい]です。♠◆へ凶悪[きょうあく]な犯罪[はんざい]〉凶悪な犯罪が少[すく]ない点[てん]では、日本[にほん]は世界[せかい]に誇[ほこ]れる国[くに]です。♠◆へ悪質[あくしつ]な犯罪[はんざい]〉近[ちか]ごろは法律[ほうりつ]の盲点[もうてん]をつく悪質な犯罪[はんざい]が増[ふ]えてきているという。♠◆人犯罪[はんざい]とする〉〈犯罪[はんざい]になる〉一[ひと]つの国[くに]で犯罪とされることが、別[べつ]の国では犯罪にならないことがある。♠◆〈犯罪[はんざい]を引[ひ]き起[お]こす〉社会[しゃかい]の不公正[ふこうせい]と、とどまることを知[し]らない人間[にんげん]の欲望[よくぼう]が犯罪を引き起こす。♠◆<犯罪[はんざい]を防[ふせ]ぐ〉青少年[せいしょうねん]の非行化[ひこうか]を防止[ぼうし]し、犯罪を防ぐには世[よ]の中[なか]の人[ひと]すべての協力[きょうりょく]が必要[ひつよう]です。♠◆<犯罪者[はんざいしゃ]>犯罪者たちは証拠[しょうこ]物件[ぶっけん]を海[うみ]に投[な]げ込[こ]んでほっとした。 **ばんざい**【万歳】○いつまでも栄[さか]えること。めでたいこと。祝福[しゅくふく]の意[い]をこめて両手[りょうて]を挙[あ]げて唱[とな]える言葉[ことば]。力[ちから]が及[およ]ばずお手上[あ]げであること。[文例] 〈万歳[ばんざい]をする〉校長[こうちょう]先生[せんせい]の声[こえ]に合[あ]わせて、みんなで万歳を三唱[さんしょう]しました。♠●〈万歳[ばんざい]するこんな難[むずか]しい問題[もんだい]は手[て]に負[お]えない。もう万歳するよ。♠●ばんざい! 先生[せんせい]が急用[きゅうよう]で出[で]かけるから、午後[ごご]は自習[じしゅう]だって。 **はんざつ**【煩雑・繁雑】○込[こ]み入[い]ってわずらわしいさま。入[い]りまじってごたごたしているさま。[文例]〈煩雑[はんざつ]な手続[てつづ]き〉お役所[やくしょ]仕事[しごと]の中[なか]で評判[ひょうばん]の悪[わる]いものの筆頭[ひっとう]に煩雑な手続きがあげられます。♠●へ煩雑[はんざつ]な事務[じむ]〉わたしは組合[くみあい]の煩雑な経理[けいり]事務[じむ]を担当[たんとう]して、今年[ことし]で二十年[にじゅうねん]になります。♠●へ煩雑[はんざつ]にわたる>契約書[けいやくしょ]の記載[きさい]事項[じこう]はきわめて煩雑にわたり、一般[いっぱん]の人[ひと]には理解[りかい]しにくかった。 **ハンサム** ○美男子[びだんし]であるさま。[文例]〈ハンサムな青年[せいねん]〉ハンサムな青年が姉[あね]を訪[たず]ねてきたので、父[ちち]は気[き]になってしようがないようだ。 **ばんさん**【晩餐】○形式[けいしき]ばった豪華[ごうか]な夕食[ゆうしょく]。[文例]〈晩餐[ばんさん]に招[まね]く〉お世話[せわ]になったお礼[れい]にと、市長[しちょう]は主[おも]な支持者[しじしゃ]を晩餐に招きました。♠へ最後[さいご]の晩餐[ばんさん]〉新約聖書[しんやくせいしょ]のいわゆる「最後[さいご]の晩餐[ばんさん]」は、ヨーロッパの画家[がか]たちの題材[だいざい]となってきた。♠●〈晩餐会[ばんさんかい]>伯爵家[はくしゃくけ]の晩餐会に集[あつ]まった人々[ひとびと]は、いずれも名士[めいし]ばかりだった。 **ばんじ**【万事】○あらゆる事[こと]。[文例]万事[ばんじ]オーケー。準備[じゅんび]はすべて整[ととの]った。♠ヘ一事[いちじ]が万事[ばんじ]〉あの人[ひと]は、一事が万事その調子[ちょうし]で、いいかげんなのです。♠●万事休[ばんじきゅう]す〉最後[さいご]の食糧[しょくりょう]もついにつきてしまい、万事休すだ。 <905> **はんしはんしょう**【半死半生】○死[し]ぬか生[い]きるかのさかい目[め]。[文例]煙[けむり]と炎[ほのお]に巻[ま]かれながら、わたしは半死半生で火災[かさい]の現場[げんば]から逃[のが]げ出[だ]した。♠●〈半死半生[はんしはんしょう]の目[め]にあう〉交通[こうつう]事故[じこ]で半死半生の目にあってから、わたしは人生[じんせい]に対[たい]する考[かんが]え方[かた]が少[すこ]し変[かわ]わりました。 **はんしゃ**【反射】○光[ひかり]や音波[おんぱ]などが物体[ぶったい]に当[あ]たってはね返[かえ]ること。また、その現象[げんしょう]。外部[がいぶ]からの刺激[しげき]に対[たい]して、意識[いしき]や意志[いし]に関係[かんけい]なくおこる反応[はんのう]現象。[文例]〈光[ひかり]の反射[はんしゃ]>海辺[うみべ]や雪山[ゆきやま]では日光[にっこう]の反射が強[つよ]すぎて、目[め]を痛[いた]めることがある。♠へ音[おと]の反射[はんしゃ]〉コウモリは超音波[ちょうおんぱ]を出[だ]し、その反射を頼[たよ]りにして暗[くら]やみの中[なか]を飛[と]ぶ。♠●〈反射[はんしゃ]する〉ゆうべ降[ふ]ったばかりの新雪[しんせつ]なので、日[ひ]の光[ひかり]をまぶしいほどに反射していた。♠●へ反射的[はんしゃてき]>目[め]の前[まえ]に突然[とつぜん]子供[こども]が飛[と]び出[だ]してきたので、反射的にブレーキを踏[ふ]んだ。 **ばんじゃく**【盤石】○大[おお]きな石[いし]。非常[ひじょう]に堅固[けんご]なこと。[文例]〈盤石[ばんじゃく]の重[おも]み〉もめにもめた会議[かいぎ]も、盤石の重みをもつ会長[かいちょう]の一言[ひとこと]で収拾[しゅうしゅう]された。♠●〈盤石[ばんじゃく]の備[そな]え〉王城[おうじょう]は、数百[すうひゃく]の兵[へい]により盤石の備えで守[まも]られていた。♠●〈盤石[ばんじゃく]の構[かま]え>盤石の構えを敷[し]いた味方[みかた]の陣[じん]も、裏切[うらぎ]り者[もの]のために崩[くず]れていった。 **ばんしゅう**【晩秋】○秋[あき]の終[お]わりごろ。陰暦[いんれき]九月[くがつ]のこと。[文例]〈晩秋[ばんしゅう]の風景[ふうけい]>壁[かべ]の絵[え]には、高原[こうげん]の晩秋の風景が描[えが]かれていた。♠●へ晩秋[ばんしゅう]の大和路[やまとじ]>静[しず]かな晩秋の大和路を歩[ある]いていると、いにしえびとのさざめきが伝[つた]わってくるようだ。♠◆雪国[ゆきぐに]では晩秋ともなると、冬[ふゆ]ごもりの準備[じゅんび]に余念[よねん]がない。 **ばんじゅく**【晩熟】○成熟[せいじゅく]が遅[おそ]いこと。[文例]〈晚熟[ばんじゅく]な画家[がか]〉晩熟な画家でしたから、作品[さくひん]が知[し]られるようになったのは四十[しじゅう]を過[す]ぎてからでした。 **ばんしゅん**【晩春】○春[はる]の終[お]わりごろ。陰暦[いんれき]三月[さんがつ]のこと。[文例]晩春になると、この北国[きたぐに]の野[の]にもスズランをはじめとりどりの花[はな]がいっせいに開[ひら]きます。 **はんしょう**【半鐘】○火の見[ひのみ]やぐらに取[と]り付[つ]け、火事[かじ]の時[とき]にたたく鐘[かね]。[文例]〈半鐘[はんしょう]を鳴[な]らす〉昔[むかし]は火事[かじ]を知[し]らせるのに、火の見やぐらに登[のぼ]って半鐘を鳴らしました。♠◆ヘ半鐘[はんしょう]が鳴[な]る>半鐘が鳴るので飛[と]び起[お]きて窓[まど]を開[あ]けると、浅草[あさくさ]から吉原[よしわら]の方角[ほうがく]に真[ま]っ赤[か]な炎[ほのお]が見[み]えた。♠●〈半鐘[はんしょう]どろぼう〉大工[だいく]の佐吉[さきち]は、半鐘どろぼうとあだなされた大男[おおおとこ]であった。 **はんじょう**【半畳】○畳[たたみ]半分[はんぶん]の広[ひろ]さ。また、その畳。芝居[しばい]小屋[ごや]で客[きゃく]が敷[し]く、小[ちい]さな畳やござ。非難[ひなん]やからかいの言葉[ことば]。[文例]入口[いりぐち]の正面[しょうめん]の半畳ばかりの帳場[ちょうば]には、度[ど]の強[つよ]い眼鏡[めがね]をかけた店[みせ]の主人[しゅじん]が座[すわ]っていた。♠●へ起[お]きて半畳[はんじょう]寝[ね]て一畳[いちじょう]>起きて半畳寝て一畳、人間[にんげん]一人[ひとり]生[い]きていくのにぜいたくはいらないさ。♠●〈半畳[はんじょう]を入[い]れる大切[たいせつ]な話[はなし]をしてるんだ、横[よこ]から半畳を入れるのはよせ。 **はんじょう**【繁盛・繁昌】○にぎわい栄[さか]えること。[文例]〈繁盛[はんじょう]をきわめる〉何しろ[なにしろ]その頃[ころ]洛陽[らくよう]といえば、天下[てんか]に並[なら]ぶもののない、繁昌[はんしょう]を極[きわ]めた都[みやこ]ですから(………………)(芥川[あくたがわ]龍之介[りゅうのすけ]「杜子春[とししゅん]」)♠●<繁盛[はんじょう]する〉うちの店[みせ]が繁盛しているのは、愛想[あいそ]のいい店員[てんいん]のおかげもあります。♠●〈商売[しょうばい]繁盛[はんじょう]〉酉[とり]の市[いち]では、商売繁盛を願[ねが]う人々[ひとびと]が縁起物[えんぎもの]のくまでを買[か]っていきます。 **ばんしょう**【万象】○あらゆる物[もの]や現象[げんしょう]。[文例]雪[ゆき]一色[いっしょく]の世界[せかい]は、万象が息[いき]を殺[ころ]したような沈黙[ちんもく]に支配[しはい]されていた。♠春[はる]の訪[おとず]れとともに、自然界[しぜんかい]では万象がいきいきと躍動[やくどう]をはじめます。♠●へ森羅[しんら]万象[ばんしょう]〉古代[こだい]の人々[ひとびと]は、自然[しぜん]の力[ちから]をおそれ、森羅万象に神[かみ]が宿[やど]ると考[かんが]えていた。 **ばんしょう**【万障】○あらゆる差[さ]し支[つか]え。差[さ]し障[さわ]り。[文例]〈万障[ばんしょう]繰[く]り合[あ]わせる〉卒業後[そつぎょうご]十年[じゅうねん]ぶりのクラス会[かい]だから、万障繰り合わせても参加[さんか]するつもりでいます。 **はんしょく**【繁殖】○生物[せいぶつ]の個体[こたい]がふえていくこと。[文例]〈プランクトンの繁殖[はんしょく]〉プランクトンの繁殖のためには、十分[じゅうぶん]な日照量[にっしょうりょう]と水温[すいおん]の上昇[じょうしょう]が必要[ひつよう]である。♠●へ繁殖[はんしょく]する〉外国[がいこく]からはいりこんだセイタカアワダチソウは、またたく間[ま]に日本中[にほんじゅう]に繁殖した。♠●へ繁殖力[はんしょくりょく]〉ゴキブリは、きわめて繁殖力の強[つよ]い昆虫[こんちゅう]です。 **はんしん**【半身】○体[からだ]の半分[はんぶん]。特[とく]に上半身[じょうはんしん]。[文例]〈半身[はんしん]をのり出[だ]す〉呼[よ]ばれてふり向[む]くと、こうすけが窓[まど]から半身をのり出して手[て]を振[ふ]っていた。♠◆へ上半身[じょうはんしん]〉その男[おとこ]は上半身が床[ゆか]につくかと思[おも]うほど、丁寧[ていねい]なお辞儀[じぎ]をした。 **はんしんはんぎ**【半信半疑】○半分[はんぶん]しか信[しん]じられず、疑[うたが]いが残[のこ]ること。[文例]〈半信半疑[はんしんはんぎ]の気持[きも]ち〉優勝[ゆうしょう]が決[き]まっても、あまりに思[おも]いがけない結果[けっか]なので、半信半疑の気持ちであった。♠◆先生[せんせい]が転任[てんにん]なさるといううわさに対[たい]して半信半疑でいるぼくたちの耳[みみ]に、始業[しぎょう]のベルが鳴[な]りひびいた。♠◆市長[しちょう]主催[しゅさい]のパーティーへの招待[しょうたい]に対[たい]して、父[ちち]は半信半疑ででかけていった。 **はんすう**【反芻】 ○一度[いちど]飲[の]み込[こ]んだ物[もの]を戻[もど]してかむこと。繰[く]り返[かえ]し考[かんが]え、味[あじ]わうこと。[文例] <反芻[はんすう]する〉ウシは胃[い]がいくつかの室[しつ]に分[わ]かれていて、食[た]べた物[もの]を反芻します。♠へ反芻[はんすう]する〉わたしは、少女[しょうじょ]の残[のこ]していったことばを甘[あま]ずっぱい思[おも]いで反芻していた。 **はん・する**【反する】○反対[はんたい]になる。そむく。[文例]〈期待[きたい]に反[はん]する>学校[がっこう]じゅうの期待に反して、ぼくは試合[しあい]に負[ま]けてしまった。♠●〈規則[きそく]に反[はん]する〉規則に反した場合は、それに対する罰則[ばっそく]が与[あた]えられる。♠●〈教[おし]えに反[はん]する〉教えに反するようなまねは、ぼくにはできない。♠●〈趣旨[しゅし]に反[はん]する〉会[かい]の趣旨に反する行動[こうどう]はつつしもう。 **はんせい**【反省】○自分[じぶん]をかえりみること。[文例]〈読書[どくしょ]の反省[はんせい]>読書カードは、あとで思[おも]い出[だ]すときの参考[さんこう]になるだけでなく、読書の反省にもなります。♠●へ反省[はんせい]の色[いろ]>遅刻[ちこく]をしないように再三[さいさん]注意[ちゅうい]したのに、少[すこ]しも反省の色が見[み]えない。♠●〈反省[はんせい]を求[もと]める>先日[せんじつ]学校[がっこう]で起[お]きた事件[じけん]について、当事者[とうじしゃ]の反省を求めた。♠●〈行[い]き過[す]ぎを反省[はんせい]する〉今[いま]、必要[ひつよう]なのは、能率[のうりつ]万能[ばんのう]主義[しゅぎ]の行き過ぎを反省し、人間[にんげん]らしさにもっと目[め]を向[む]けることであろう。♠◆〈素直[すなお]に反省[はんせい]する〉自分[じぶん]の間違[まちが]いは素直に反省しなさい。♠●〈生活[せいかつ]を反省[はんせい]する〉感心[かんしん]な青年[せいねん]の話[はなし]を聞[き]いて、今[いま]までの自分[じぶん]の生活[せいかつ]を大[おお]いに反省させられました。 **はんせい**【半生】○一生[いっしょう]の半分[はんぶん]。[文例]〈半生[はんせい]をかける>老人[ろうじん]がその半生をかけて取[と]り組[く]んできた研究[けんきゅう]が一巻[いっかん]にまとめられた。 <906> ♠●〈半生[はんせい]をついやす〉結局[けっきょく]、わたしは一頭[いっとう]の名馬[めいば]を育[そだ]てるために半生をついやしたのだった。♠●〈半生[はんせい]をささげる〉彼[かれ]は貧[まず]しい島民[とうみん]と共[とも]に苦[くる]しみを分[わ]かち合[あ]い、辺境[へんきょう]の医療[いりょう]に半生をささげた。 **ばんせい**【晩成】○一人前[いちにんまえ]になるのに時間[じかん]がかかること。[文例]〈晩成[ばんせい]する〉ちっとも出世[しゅっせ]しない息子[むすこ]のことを母親[ははおや]が心配[しんぱい]しても、「なに、大器[たいき]は晩成するだ。」と、父親[ちちおや]は取[と]り合[あ]わない。♠●〈大器[たいき]晩成[ばんせい]〉「大器晩成」ということばで自分[じぶん]をなぐさめていますが、このまま立[た]ち枯[が]れということにならないか心配です。 **はんせん**【帆船】○帆[ほ]かけ船[ぶね]。[文例]〈帆船[はんせん]が浮[う]かぶ>海上[かいじょう]に帆柱[ほばしら]を立[た]てた帆船がゆったりと浮かんでいる。♠●へ帆船[はんせん]をあやつる〉当時[とうじ]、ポルトガル人[じん]は、帆船をあやつって七[なな]つの海[うみ]を巡[めぐ]っていた。 **はんぜん**【判然】○はっきりしているさま。はっきりすること。[文例]〈判然[はんぜん]としない〉彼[かれ]がなぜこの誘[さそ]いをことわったのか、理由[りゆう]が判然としない。♠●〈判然[はんぜん]たる証拠[しょうこ]〉判然たる証拠もなしに人[ひと]を疑[うたが]ってはいけない。♠●<判然[はんぜん]する〉どうしたものか、相手[あいて]の女[おんな]は、イエスともノーとも判然した答[こた]えをしない。 **ばんぜん**【万全】○全[まった]く手抜[てぬ]かりがないこと。[文例]分全[ばんぜん]の対策[たいさく]〉ロケットの打[うち]上[あ]げ計画[けいかく]は、あらゆるトラブルに対[たい]して万全の対策を講[こう]じたうえで実行[じっこう]された。♠●へ万全[ばんぜん]の備[そな]え>敵軍[てきぐん]は、大量[たいりょう]の武器[ぶき]や食糧[しょくりょう]なども準備[じゅんび]して、万全の備えができているらしい。♠◆万全[ばんぜん]を期[き]する〉一同[いちどう]は、万全を期するために、もう一度[いちど]道具[どうぐ]を点検[てんけん]することにした。♠◆万全[ばんぜん]にする〉今度[こんど]こそ体調[たいちょう]を万全にして、悔[く]いのない試合[しあい]をしたい。 **ばんそう**【伴奏】○声楽[せいがく]・器楽[きがく]の主奏部[しゅそうぶ]に合[あ]わせて、補助的[ほじょてき]に楽器[がっき]を演奏[えんそう]すること。[文例]〈ピアノの伴奏[ばんそう]〉ピアノの伴奏に合[あ]わせて、合唱[がっしょう]の練習[れんしゅう]をします。♠●〈伴奏[ばんそう]にする〉「平家[へいけ]物語[ものがたり]」は、琵琶[びわ]を伴奏にして語[かた]られたものです。♠●へ伴奏[ばんそう]する〉クラスで合唱するとき、わたしがピアノで伴奏することになりました。 **はんそく**【反則】○規則[きそく]やルールに違反[いはん]すること。[文例]〈反則[はんそく]を取[と]る〉サッカーでは、ボールを手[て]で扱[あつか]うことはもちろん、手[て]に当[あ]てただけでも反則を取られてしまいます。♠◆〈反則[はんそく]となる〉バスケットボールで、ボールを手[て]にして三歩[さんぽ]以上[いじょう]走[はし]るのは反則となる。♠◆へ反則[はんそく]を犯[おか]す〉スポーツでもふだんの生活[せいかつ]でも、反則を犯したり決[き]まりを破[やぶ]るのはいけません。♠●へ反則[はんそく]を重[かさ]ねる〉ラグビーの試合[しあい]で、彼[かれ]は反則を重ねたため退場[たいじょう]を命[めい]じられた。♠●へ反則[はんそく]をする〉このゲームの場合[ばあい]、五度[ごど]以上[いじょう]反則をすると退場になります。♠●へ反則[はんそく]負[ま]け〉大切[たいせつ]なことを議論[ぎろん]しているのに、「バカ!」なんて言[い]ったきみは反則負けだ。 **はんぞく**【反俗】○世間[せけん]一般[いっぱん]の考[かんが]え方[かた]・やり方[かた]に逆[さか]らうこと。[文例]〈反俗的[はんぞくてき]〉想像力[そうぞうりょく]は常識[じょうしき]を超[こ]えたところに発現[はつげん]するか、芸術[げいじゅつ]の世界[せかい]は多[おお]かれ少[すく]なかれ反俗的な世界といえる。♠◆<反俗[はんぞく]精神[せいしん]〉この作家[さっか]は徹底[てってい]した反俗精神の持[も]ち主[ぬし]で、文学賞[ぶんがくしょう]などというものにはおよそ縁[えん]がなかった。 **はんたい**【反対】○対立[たいりつ]する関係[かんけい]にあること。逆[さか]さま。あべこべ。逆[さか]らいそむくこと。[文例]〈左右[さゆう]反対[はんたい]〉靴[くつ]は、左右反対にははけません。♠●〈位置[いち]が反対[はんたい]〉オリオン座[ざ]とさそり座は位置が反対で、片方[かたほう]が昇[のぼ]るころに片方が沈[しず]むという関係にあります。♠●へ反対[はんたい]の意味[いみ]>漢字[かんじ]の熟語[じゅくご]には、「上下[じょうげ]」「前後[ぜんご]」のように反対の意味の漢字を組[く]み合[あ]わせたものがある。♠〈反対[はんたい]の意見[いけん]>この案[あん]に反対の意見のある方[かた]は手[て]を挙[あ]げてください。♠●へ気持[きも]ちと反対[はんたい]〉心[こころ]の中[なか]ではもっと優[やさ]しくと思[おも]いながらも、気持ちとは反対の態度[たいど]を取[と]ってしまうのです。♠◆<反対[はんたい]を押[お]し切[き]る〉彼[かれ]は、両親[りょうしん]や仲間[なかま]の反対を押し切って東京[とうきょう]に出[で]てきたのであった。♠●へ賛成[さんせい]と反対[はんたい]〉最終的[さいしゅうてき]に決[けつ]を採[と]ってみると、賛成三十四[さんじゅうよん]票[ひょう]、反対二十[にじゅう]票であった。♠へ人[ひと]に反対[はんたい]する〉妹[いもうと]は、このごろどんな事[こと]でも、わたしの言[い]うことに反対するのです。♠●へ真[ま]っ向[こう]から反対[はんたい]する〉父[ちち]はその縁談[えんだん]に真っ向から反対した。♠●〈反対側[はんたいがわ]〉川[かわ]をはさんで反対側は工場[こうじょう]地帯[ちたい]であった。 **はんだん**【判断】○物事[ものごと]の内容[ないよう]を理解[りかい]し、その価値[かち]や本質[ほんしつ]、適否[てきひ]などを断定[だんてい]すること。[文例]〈正[ただ]しい判断[はんだん]〉〈判断[はんだん]を下[くだ]す〉急[きゅう]を要[よう]する場合[ばあい]にこそ落[お]ち着[つ]いて、正しい判断を下さなければなりません。♠◆<判断[はんだん]をする〉〈判断[はんだん]に従[したが]う〉メンバーが別々[べつべつ]の判断をした場合は、経験[けいけん]豊[ゆた]かな人[ひと]の判断に従うことにしている。♠<判断[はんだん]に迷[まよ]う二[ふたり]人の言[い]い分[ぶん]を聞[き]いていると、どちらが正[ただ]しいのか判断に迷[まよ]ってしまう。♠●へ判断[はんだん]を誤[あやま]る〉人[ひと]の生命[せいめい]を預[あず]かる職業[しょくぎょう]では、一[ひと]たび判断を誤れば大変[たいへん]なことになります。♠◆〈判断[はんだん]を任[まか]せるどの方法[ほうほう]でやるか、その判断はきみに任せるよ。♠◆く判断[はんだん]に苦[くる]しむ〉どちらの人[ひと]の言葉[ことば]を信[しん]じたらよいのか、判断に苦しんでいます。♠へ適切[てきせつ]に判断[はんだん]する〉大人[おとな]になると、人間[にんげん]関係[かんけい]を適切に判断して、敬語[けいご]を自由[じゆう]に使[つか]いこなす必要[ひつよう]があります。♠●〈公正[こうせい]に判断[はんだん]する>物事を公正に判断することは、思[おも]ったより難[むずか]しいことだった。♠●〈物事[ものごと]を判断[はんだん]する〉人間[にんげん]は起[お]きているとき、常[つね]に心[こころ]を働[はたら]かせて、物事を記憶[きおく]したり、考[かんが]えたり、判断したりしています。 **ばんたん**【万端】○そのことに関[かん]するすべての事柄[ことがら]。[文例]〈万端[ばんたん]整[ととの]う〉さあ、準備[じゅんび]は万端整った。あとは決行[けっこう]を待[ま]つばかりだ。♠◆万端[ばんたん]にわたる〉彼女[かのじょ]は、身[み]の回[まわ]りの万端にわたって心配[こころくば]りの行[いき]き届[とど]いた人[ひと]です。 **ばんち**【番地】 ○土地[とち]を小区分[しょうくぶん]してつけた番号[ばんごう]。[文例]初めての町[まち]だったが、番地がわかっていたので、目[め]ざす家[いえ]があると思[おも]われる方角[ほうがく]へ歩[ある]き出[だ]した。♠〈所番地[ところばんち]〉あなたの家[いえ]の所番地を教[おし]えてください。 **パンチ** ○ボクシングで打撃[だげき]を加[くわ]えること。殴[なぐ]りつけるような迫力[はくりょく]。切符[きっぷ]・カードなどに穴[あな]をあけること。[文例]ヘパンチを繰[く]り出[だ]す〉こちらがパンチを繰り出そうと身構[みがま]えているところへ、相手[あいて]のストレートが飛[と]びこんだ。♠●ヘパンチを食[く]らう〉挑戦者[ちょうせんしゃ]は、強烈[きょうれつ]なパンチを食らってのびてしまった。♠●ヘパンチをみまう〉もう一発[いっぱつ]きついパンチをみまおうと構[かま]えた。♠●ヘパンチがきく〉きみの歌[うた]は、パンチがきいていてくろうとはだしだね。 <907> ♠ヘパンチを入[い]れる>車掌[しゃしょう]は乗客[じょうきゃく]の切符[きっぷ]を調[しら]べては、いちいちパンチを入れた。♠●ヘダブルパンチ>観光地[かんこうち]は、冷夏[れいか]と台風[たいふう]のダブルパンチで青息[あおいき]吐息[といき]だった。 **はんちゅう**【範疇】○同一[どういつ]の性質[せいしつ]のものが入[はい]る枠[わく]。カテゴリー。[文例]戯曲[ぎきょく]は言葉[ことば]の芸術[げいじゅつ]として、文学[ぶんがく]の範疇に属[ぞく]する。♠◆<範疇[はんちゅう]に入[はい]る〉一般[いっぱん]にいう傑作[けっさく]の範疇には入らないだろうが、わたしはこの絵[え]が好[す]きだ。 **はんてい**【判定】○見[み]きわめて決定[けってい]すること。また、その決定。[文例]〈判定[はんてい]をくだす〉微妙[びみょう]なタイミングだったが、アンパイアはアウトの判定をくだした。♠●〈判定[はんてい]に従[したが]う〉審判[しんぱん]の判定には従わなければなりません。♠●へ判定[はんてい]で勝[か]つ〉時間内[じかんない]に勝負[しょうぶ]がつかず、結局[けっきょく]判定でぼくの勝[か]ちとなった。♠●へ判定[はんてい]する〉ゴールインはほとんど同時[どうじ]に見[み]えたので、写真[しゃしん]で判定することになった。 **ハンディ** ○競技者[きょうぎしゃ]の力[ちから]を平均化[へいきんか]するために強[つよ]い者[もの]に負[お]わせる負担[ふたん]。不利[ふり]な条件[じょうけん]。ハンデ。ハンディキャップ。[文例]ヘハンディを克服[こくふく]する〉〈レン=ケラーは三重苦[さんじゅうく]のハンディを克服して、障害[しょうがい]を持[も]つ人々に大[おお]きな希望[きぼう]を与[あた]えた。♠◆ヘハンディをつける〉中学生[ちゅうがくせい]と試合[しあい]をする時[とき]は、体力[たいりょく]の差[さ]を考[かんが]えて高校生[こうこうせい]にハンディをつけるべきだ。♠●ヘハンディを負[お]う〉少年[しょうねん]は、父親[ちちおや]の死[し]というハンディを負って育[そだ]っていった。 **はんてん**【半纏・袢纏】○着物[きもの]の上[うえ]にはおって着[き]る短[みじか]い衣服[いふく]。しるしばんてん。[文例]〈はんてんを着[き]る〉改築中[かいちくちゅう]の寺[てら]では、はんてんを着た職人[しょくにん]たちが忙[いそが]しそうに働[はたら]いていた。♠◆〈はんてんを引[ひ]っかける〉植木屋[うえきや]のおじさんは、はんてんを引っかけてやってきた。 **はんてん**【斑点】○まだらな点[てん]。ぶち。[文例]〈斑点[はんてん]がある〉花[はな]にとまった茶色[ちゃいろ]の蝶[ちょう]の羽[はね]には、暗褐色[あんかっしょく]の斑点があった。♠◆<斑点[はんてん]が出[で]る〉むずがゆいのでおなかを見[み]ると、じんましんのような赤[あか]い斑点が出ていた。♠●〈斑点[はんてん]ができる〉赤[あか]ちゃんのおしりに紫色[むらさきいろ]の斑点ができていました。 **はんてん**【反転】○転[ころ]ぶこと。転[ころ]ばすこと。ひっくり返[かえ]ること。ひっくり返[かえ]すこと。方向[ほうこう]を逆[ぎゃく]にすること。[文例]<反転[はんてん]する〉重[おも]い石[いし]を反転させると、下[した]から大[おお]きなミミズが出[で]てきた。♠●へ反転[はんてん]する〉国境[こっきょう]へ向[む]かったはずの部隊[ぶたい]が、突然[とつぜん]反転して首都[しゅと]になだれこんできた。 **はんどう**【反動】○ある力[ちから]が働[はたら]く時[とき]、それと反対[はんたい]方向[ほうこう]に働[はたら]く力。反作用[はんさよう]。ある傾向[けいこう]に反発[はんぱつ]して起[お]こる動[うご]き。歴史[れきし]の進歩[しんぽ]に逆行[ぎゃっこう]する勢力[せいりょく]。[文例]〈車[くるま]が動[うご]くときの反動[はんどう]〉車が動き出すときの反動で、思[おも]わずよろめいてしまった。♠◆バスが急[きゅう]ブレーキをかけた反動で、ぼくは前[まえ]に倒[たお]れてしまった。♠抑[おさ]えつけられた反動[はんどう]〉幼[おさな]いころから親[おや]に抑えつけられてきたことの反動だろうか、最近[さいきん]の彼[かれ]の反抗[はんこう]はすさまじい。♠●へ反動的[はんどうてき]>対戦[たいせん]相手[あいて]が「面[めん]」をねらってきたので、反動的に頭[あたま]をぐんと後[うし]ろにそり返[かえ]らせた。♠◆へ反動的[はんどうてき]な政権[せいけん]>内乱[ないらん]の後[のち]、この国[くに]では、歴史の流れに逆行するような反動的な政権が樹立[じゅりつ]された。 **ばんとう**【番頭】○昔[むかし]の商店[しょうてん]で店内[てんない]を取[と]りしきる、主人[しゅじん]に次[つ]ぐ地位[ちい]の使用人[しようにん]。[文例] <店[みせ]の番頭[ばんとう]>越後屋[えちごや]の番頭さんは店のきりもりがうまいうえに、客[きゃく]あしらいもいいという評判[ひょうばん]だ。♠●へ番頭[ばんとう]に取[と]り立[た]てる〉十二歳[じゅうにさい]で呉服屋[ごふくや]に奉公[ほうこう]に出[で]たわたしは、主人[しゅじん]の信頼[しんらい]を得[え]てやがて番頭に取り立てられた。 **はんどく**【判読】○読[よ]みにくい文字[もじ]、わかりにくい文意[ぶんい]を推測[すいそく]しながら読[よ]むこと。[文例]〈判読[はんどく]する〉字[じ]が乱暴[らんぼう]でまちがいが多[おお]いうえに文章[ぶんしょう]が支離滅裂[しりめつれつ]なので、とても文意など判読できない。 **ハンドル** ○機械[きかい]の、手[て]で操作[そうさ]する部分[ぶぶん]。道具[どうぐ]の、手でつかむ部分。[文例]〈ハンドルを回[まわ]す〉ハンドルを回しただけで、店[みせ]の金庫[きんこ]は簡単[かんたん]にあいたのだった。♠●ヘハンドルをにぎる〉自転車[じてんしゃ]に乗[の]る時[とき]は、ハンドルを両手[りょうて]できちんとにぎりましょう。♠●ヘハンドルを切[き]る〉急[きゅう]に犬[いぬ]が飛[と]び出[だ]したが、あわててハンドルを切ってなんとかよけることができた。♠ヘハンドルをとられる〉この道[みち]はでこぼこがひどく、自転車のハンドルをとられて危[あぶ]ない。♠●ヘハンドルさばき〉彼女[かのじょ]は、曲[ま]がりくねった山道[やまみち]を、あざやかなハンドルさばきで車[くるま]を走[はし]らせた。 **ばんなん**【万難】○多[おお]くの困難[こんなん]や障害[しょうがい]。[文例]〈万難[ばんなん]を排[はい]する〉市長[しちょう]は万難を排しても、この工事[こうじ]を完成[かんせい]させようとしていた。 **はんにん**【犯人】○犯行[はんこう]を行[おこな]った人物[じんぶつ]。[文例]〈事件[じけん]の犯人[はんにん]〉〈犯人[はんにん]を捕[と]らえる〉この事件の犯人は、一週間後[いっしゅうかんご]に捕らえられた。♠●く犯人[はんにん]を突[つ]き止[と]める敏腕[びんわん]な警部[けいぶ]は、たちどころに犯人を突き止めた。♠●へ犯人[はんにん]が挙[あ]がる>事件の犯人は、半年[はんとし]たっても挙がらなかった。♠犯人[はんにん]逮捕[たいほ]>警察[けいさつ]は、逃亡中[とうぼうちゅう]の犯人逮捕に全力[ぜんりょく]をあげた。 **ばんにん**【万人】○多[おお]くの人[ひと]。すべての人。[文例]分人[ばんにん]の認[みと]めるところ〉科学[かがく]が果[は]たしてきた大[おお]きな役割[やくわり]は、万人の認めるところだ。♠◆万人[ばんにん]にあてはまる〉血液型[けつえきがた]による性格[せいかく]判断[はんだん]が流行[りゅうこう]しているが、万人にあてはまる性格判断の方法[ほうほう]などあるはずがない。♠◆万人[ばんにん]に理解[りかい]される〉そんな自分勝手[じぶんかって]な理屈[りくつ]が、どうして万人に理解されようか。♠●〈万人[ばんにん]向[む]き〉フアッションショーで見[み]た作品[さくひん]は、どれもこれも奇抜[きばつ]で万人向きのものはなかった。♠◆万人[ばんにん]は一人[ひとり]のため万人[ばんにん]は一人[ひとり]のため、一人[ひとり]は万人[ばんにん]のため、これが保険[ほけん]制度[せいど]の理念[りねん]です。 **ばんにん**【番人】○見張[みは]り番[ばん]をする人[ひと]。[文例]果樹園[かじゅえん]にはいつも番人がいて、果物[くだもの]を盗[ぬす]みに来[く]る者[もの]を見張[みは]っていた。♠◆〈牢[ろう]の番人[ばんにん]〉人質[ひとじち]を閉[と]じ込[こ]めた牢の番人は、昼夜[ちゅうや]交替[こうたい]で見張りを続[つづ]けた。♠へ法[ほう]の番人[ばんにん]〉裁判所[さいばんしょ]は法[ほう]の番人[ばんにん]といわれます。 **ばんねん**【晩年】○人生[じんせい]の終[おわ]りに近[ちか]い時期[じき]。[文例]〈晩年[ばんねん]を送[おく]る〉あわただしい半生[はんせい]だったので、晩年は静[しず]かな田舎[いなか]で送りたいと思[おも]う。♠●〈晩年[ばんねん]を迎[むか]える〉かつての「怒[いか]れる若者[わかもの]」の世代[せだい]も、今[いま]や晩年を迎えていた。 **はんのう**【反応】○刺激[しげき]や働[はたら]きかけに対[たい]して運動[うんどう]を起[お]こしたり、こたえたりすること。物質[ぶっしつ]間[かん]の化学[かがく]変化[へんか]。[文例]この間[あいだ]行[おこな]ったツベルクリン反応は、検査[けんさ]の結果[けっか]、陽性[ようせい]だった。♠←〈反応[はんのう]を示[しめ]す〉ある周波数[しゅうはすう]以上[いじょう]の音[おと]になると、人間[にんげん]はまったく反応を示さなくなります。♠●へ機敏[きびん]な反応[はんのう]>野生[やせい]の動物[どうぶつ]は、危険[きけん]への機敏な反応を本能的[ほんのうてき]に身[み]につけている。 <908> ♠●へ反応[はんのう]がある・ない〉「どなたかこの財布[さいふ]を落[お]とした人[ひと]はいませんか。」と大声[おおごえ]を張[は]り上[あ]げてみたが、何[なん]の反応もなかった。♠●へ反応[はんのう]が早[はや]い・遅[おそ]い>弟[おとうと]のほうはすばやいのですが、兄[あに]はのんびり屋[や]で反応は遅いほうです。♠●へ反応[はんのう]を見[み]る〉今後[こんご]の編集[へんしゅう]方針[ほうしん]は、読者[どくしゃ]の反応を見ながら決[き]めていきたいと思います。♠●へ敏感[びんかん]に反応[はんのう]する〉いつの世[よ]も流行[りゅうこう]に敏感に反応し、これをいち早[はや]く取[と]り入[い]れるのは若者[わかもの]たちだ。♠●へ機械的[きかいてき]に反応[はんのう]する〉オウムが言葉[ことば]をしゃべるのは、言葉を話[はな]すのではなく、音声[おんせい]に機械的に反応しているにすぎない。 **ばんのう**【万能】○何[なに]にでも効能[こうのう]があること。すべてに優[すぐ]れていること。[文例]〉〈科学[かがく]が万能[ばんのう]>科学が万能であった時代[じだい]はもう終[お]わった、と考[かんが]える人[ひと]も多[おお]い。♠◆万能[ばんのう]を誇[ほこ]る>現代[げんだい]に万能を誇るコンピューターですが、人間[にんげん]の細[こま]やかな感受性[かんじゅせい]や豊[ゆた]かな情緒[じょうちょ]は理解[りかい]しません。♠●ヘスポーツが万能[ばんのう]>成績[せいせき]は優秀[ゆうしゅう]、スポーツも万能、これで性格[せいかく]がよかったら言[い]うことないんだが。♠●〈石油[せきゆ]万能[ばんのう]〉原子力[げんしりょく]エネルギーは石油万能の時代から研究[けんきゅう]が進[すす]められてきたが、安全性[あんぜんせい]についてはまだ疑問[ぎもん]も多[おお]いという。♠◆ヘ万能[ばんのう]選手[せんしゅ]>彼[かれ]は走[はし]ってよし、投[な]げてよし、水泳[すいえい]だって校内[こうない]記録[きろく]をもつ万能選手だ。 **はんぱ**【半端】○まとまった数量[すうりょう]に満[み]たないこと・もの。どっちつかず。いいかげん。[文例]〈半端[はんぱ]な気持[きも]ち〉半端な気持ちでは悟[さと]りを開[ひら]くことなどできますまい。♠●〈半端[はんぱ]な時間[じかん]〉約束[やくそく]の時間には早[はや]いが、しかし何[なに]かをするには足[た]りない半端な時間だった。♠●〈半端者[はんぱもの]>半端者の娘[むすめ]ですが、どうぞびしびししこんでやってください。♠●〈中途[ちゅうと]半端[はんぱ]〉ぼくは何[なに]ごとも中途半端で、最後[さいご]までやり通[とお]したことがない。 **はんばい**【販売】○商品[しょうひん]を売[う]ること。[文例]〈商品[しょうひん]の販売[はんばい]>当店[とうてん]では、商品の販売のほかに修理[しゅうり]も行[おこな]っております。♠●へ販売[はんばい]する>化粧品[けしょうひん]や日用品[にちようひん]も販売する薬屋[くすりや]さんが多[おお]い。♠●<訪問[ほうもん]販売[はんばい]〉セールスマンによる訪問販売にはトラブルがたえへん多[おお]い。♠●へ自動[じどう]販売機[はんばいき]>自動販売機が増[ふ]えてとても便利[べんり]になりました。 **はんばく**【反駁】○人[ひと]の意見[いけん]に反対[はんたい]し、非難[ひなん]すること。はんぱく。[文例]〈反駁[はんばく]をする〉社長[しゃちょう]の意見に対[たい]して正面[しょうめん]切[き]って反駁をする者[もの]はいなかった。♠●へ反駁[はんばく]する〉ぼくの意見にほとんどが賛成[さんせい]だったが、彼[かれ]一人[ひとり]いきりたって反駁した。 **はんぱつ**【反発・反撥】○物[もの]をはね返[かえ]すこと。物[もの]がはね返[かえ]ること。反抗[はんこう]して受[う]けつけないこと。[文例] <強[つよ]い反発[はんぱつ]〉〈反発[はんぱつ]を感[かん]じる〉彼[かれ]の人[ひと]をばかにしたような態度[たいど]には強い反発を感じる。♠●へ反発[はんぱつ]を覚[おぼ]える〉相手[あいて]の命令[めいれい]するような物[もの]の言[い]い方[かた]に、少[すく]なからず反発を覚えた。♠●へ反発[はんぱつ]を受[う]ける〉一方的[いっぽうてき]に予定[よてい]を変更[へんこう]したことで、主催者[しゅさいしゃ]は集[あつ]まった人々[ひとびと]の反発を受けてしまった。♠●へ反発[はんぱつ]を買[か]う〉部長[ぶちょう]の独断的[どくだんてき]なやり方[かた]は、部員[ぶいん]の反発を買った。♠●<親[おや]への反発[はんぱつ]〉兄[あに]が家[いえ]を出[で]たことの裏[うら]には、一[ひと]つには、家名[かめい]を重[おも]んじる父[ちち]への反発があった。♠●〈強[つよ]く反発[はんぱつ]する〉この本[ほん]は、福沢[ふくざわ]諭吉[ゆきち]が封建[ほうけん]制度[せいど]に強く反発した少年[しょうねん]時代[じだい]のことを書[か]いています。♠●ヘボールが反発[はんぱつ]する〉このボールは物[もの]にぶつかって反発する力[ちから]が強[つよ]い。 **はんはん**【半半】○半分[はんぶん]半分。半分ずつ。[文例]〈半々[はんはん]に分[わ]ける〉わたしと妹[いもうと]は、ケーキを仲良[なかよ]く半々に分けて食[た]べた。♠●〈半々[はんはん]にする〉コップの中[なか]は牛乳[ぎゅうにゅう]とソーダを半々にして、よくかき回[まわ]してください。♠●〈男女[だんじょ]半々[はんはん]>ぼくたちのクラスは四十二人[よんじゅうににん]で、男女半々です。 **はんぴれい**【反比例】○一方[いっぽう]が二倍[にばい]、三倍[さんばい]・・・になれば、他方[たほう]が二分[にぶん]の一[いち]、三分[さんぶん]の一[いち]・・・になる関係[かんけい]。逆比例[ぎゃくひれい]。[文例]〈反比例[はんぴれい]の関係[かんけい]>商品[しょうひん]の価格[かかく]と売[う]り上[あ]げは反比例の関係にあって、価格が上[あ]がれば売り上げが減[へ]り、価格が下[さ]がれば売り上げは増[ふ]える。♠●へ反比例[はんぴれい]する〉収穫量[しゅうかくりょう]に反比例して売値[うりね]が下がる傾向[けいこう]があり、豊作[ほうさく]だからといって農家[のうか]は手[て]ばなしで喜[よろこ]べない。 **はんぷ**【頒布】○(多[おお]く有料[ゆうりょう]で)広[ひろ]く配[くば]り与[あた]えること。[文例]〈頒布[はんぷ]する>市[し]では、福祉[ふくし]に関[かん]する小冊子[しょうさっし]を作[つく]り、希望者[きぼうしゃ]に頒布した。 **はんぷく**【反復】○繰[く]り返[かえ]すこと。[文例]〈反復[はんぷく]する〉ぼくはその詩[し]を頭[あたま]の中[なか]で何度[なんど]も反復して、すっかり覚[おぼ]えこんでしまった。♠へ反復[はんぷく]練習[れんしゅう]>反復練習はやっかいですが、基本[きほん]を覚えるにはどうしても必要[ひつよう]です。♠◆〈同語[どうご]反復[はんぷく]「きみがまちがっている。」「どうしてですか?」「きみが悪[わる]いからだ。」「それでは、同語反復で理由[りゆう]の説明[せつめい]になっていません。」 **ばんぶつ**【万物】○あらゆる物[もの]。万有[ばんゆう]。[文例]方物[ばんぶつ]の創造者[そうぞうしゃ]〉キリスト教[きょう]などでは、神[かみ]は万物の創造者であるとされています。♠◆万物[ばんぶつ]が滅[ほろ]びる万物[ばんぶつ]が滅びてしまうときには、人類[じんるい]の繁栄[はんえい]の歴史[れきし]も、もはや何[なん]の意味[いみ]も持[も]たないだろう。♠◆万物[ばんぶつ]は流転[るてん]する〉「万物は流転する」、この世界[せかい]に永遠[えいえん]に変[か]わらぬものなどない。♠◆万物[ばんぶつ]の霊長[れいちょう]「人類[じんるい]は万物の霊長である。」といって、人間[にんげん]はうぬぼれています。 **はんぶん**【半分】○全体[ぜんたい]の二分[にぶん]の一[いち]。ある要素[ようそ]が相当[そうとう]にまじっていること。[文例]〈半分[はんぶん]にする〉そのお菓子[かし]は、お姉[ねえ]ちゃん半分にして食[た]べなさい。♠●へ責任[せきにん]の半分[はんぶん]〉言[い]い出[だ]したのはぼくだから、責任の半分はぼくにある。♠半分[はんぶん]死[し]んだよう〉よほど疲[つか]れていたのだろう、男[おとこ]は半分死んだようになって眠[ねむ]りつづけた。♠●へふざけ半分[はんぶん]〉ふざけ半分に答[こた]えたら怒[おこ]られてしまった。♠●へおもしろ半分[はんぶん]〉おもしろ半分で階段[かいだん]から落[お]ちるまねなどしてはいけません。♠●〈話[はなし]半分[はんぶん]〉オーバーな人[ひと]だから、話半分に聞[き]いておくのがよさそうだ。 **はんべつ**【判別】○見[み]きわめて区別[くべつ]すること。[文例]〈判別[はんべつ]がつく〉ピッチャーの投[な]げた球[たま]がカーブかスライダーか、判別がつかなかった。♠●〈雌雄[しゆう]の判別[はんべつ]>老人[ろうじん]は、ヒヨコの雌雄の判別の名人[めいじん]でした。♠●〈判別[はんべい]する〉日本人[にほんじん]には、外国人[がいこくじん]の国籍[こくせき]を判別するのは難[むずか]しいと思[おも]う。 **はんぼう**【繁忙・煩忙】○多忙[たぼう]であること。[文例]〈繁忙[はんぼう]をきわめる〉収穫期[しゅうかくき]は、どこの農家[のうか]も繁忙をきわめ、食事[しょくじ]をする時間[じかん]もろくになかった。♠◆く繁忙[はんぼう]な日常[にちじょう]〉繁忙な日常にかまけて、季節[きせつ]の移[うつ]りにさえ気[き]づかなかった。 **はんみ**【半身】○魚[さかな]を開[ひら]いた時[とき]の半分[はんぶん]。相手[あいて]に対[たい]して体[からだ]を斜[なな]めに構[かま]えた体勢[たいせい]。[文例]へかつおの半身[はんみ]〉かつおの半身を買[か]って、父[ちち]の好[す]きなたたきをこしらえた。 <909> ♠●〈半身[はんみ]に構[かま]える〉彼[かれ]は半身に構えて座[すわ]ると、顔[かお]だけわたしに向[む]けてしゃべり始[はじ]めた。 **ばんみん**【万民】○すべての人々[ひとびと]。多[おお]くの国民[こくみん]。[文例]方民[ばんみん]にゆきわたる〉国王[こくおう]は、新[あたら]しい法律[ほうりつ]を万民にゆきわたらせるよう指示[しじ]した。♠●〈万民[ばんみん]の思[おも]い〉永久[えいきゅう]の平和[へいわ]を願[ねが]う万民の思いは、いつ実現[じつげん]するのだろうか。 **はんめい**【判明】○はっきりとわかること。[文例]〈判明[はんめい]する>原因[げんいん]が判明しなければ、手[て]の打[うち]ちようがない。♠人判明[はんめい]する〉図鑑[ずかん]をすみからすみまで調[しら]べて、やっと野原[のはら]で摘[つ]んできた花[はな]の名前[なまえ]が判明した。 **はんめん**【半面】○顔[かお]の半分[はんぶん]。一定[いってい]の面[めん]の半分。片方[かたほう]の面。別[べつ]の面。[文例]へ顔[かお]の半面[はんめん]>舞台[ぶたい]に、顔の半面を黒[くろ]に半面を白[しろ]にぬった人物[じんぶつ]が登場[とうじょう]した。♠●〈半面[はんめん]の真理[しんり]〉きみの言[い]うことは半面の真理をもつが、別[べつ]の角度[かくど]から見[み]ることもできる。♠◆彼女[かのじょ]は気[き]が強[つよ]い半面[はんめん]、涙[なみだ]もろいところがある。 **はんめん**【反面】○反対[はんたい]の面[めん]。対立[たいりつ]する面。他面[ためん]。[文例] 川[かわ]は豊[ゆた]かな恵[めぐ]みをもたらす反面[はんめん]、凶暴[きょうぼう]な破壊者[はかいしゃ]に変身[へんしん]することもある。♠●長[なが]い髪[かみ]を切[き]るときは、どんなふうになるかと心配[しんぱい]な反面[はんめん]、期待[きたい]もあった。♠●自由[じゆう]な社会[しゃかい]は望[のぞ]ましいが、反面退廃[たいはい]がはいりこむのはいかんともしがたい。♠●〈反面[はんめん]教師[きょうし]〉反面教師という言葉[ことば]もあるように、悪[わる]い手本[てほん]からでも何[なに]かを学[まな]ぶことはできます。 **はんも**【繁茂】○草木[そうもく]が生[は]い茂[しげ]ること。[文例]〈植物[しょくぶつ]の繁茂[はんも]>日本[にほん]列島[れっとう]は、温帯[おんたい]にあって湿潤[しつじゅん]であり、植物の繁茂にきわめて適[てき]している。♠●〈繁茂[はんも]する〉川原[かわら]には雑草[ざっそう]が繁茂していたが、根気[こんき]よく整地[せいち]した結果[けっか]りっぱな野球場[やきゅうじょう]になった。 **はんもく**【反目】○にらみ合[あ]うこと。憎[にく]み合[あ]うこと。[文例]〈反目[はんもく]する〉仲[なか]の良[よ]かった二人[ふたり]が、ささいなことで反目し合[あ]い、口[くち]もきかなくなった。♠●へ反目[はんもく]が消[き]える〉兄弟[きょうだい]の反目は、社会人[しゃかいじん]となっていつのまにか消[き]え、協力[きょうりょく]して両親[りょうしん]を助[たす]けるようになった。 **はんもん**【反問】○問[と]い返[かえ]すこと。[文例]〈反問[はんもん]が返[かえ]る〉こちらの問[と]いに対[たい]して、質問[しつもん]の意味[いみ]がわからないという反問が返ってきた。♠●〈反問[はんもん]する〉友人[ゆうじん]を非難[ひなん]しながら、それではおれはどうなんだと、わたしは心[こころ]の中[なか]で反問していた。 **はんもん**【煩悶】○悩[なや]み苦[くる]しむこと。[文例]〈煩悶[はんもん]する〉人生[じんせい]をどう生[い]きていったらいいかと煩悶した末[すえ]、わたしはロシア文学[ぶんがく]の世界[せかい]に入[はい]っていった。♠●へ煩悶[はんもん]が起[お]こる〉私[わたし]の煩悶は、奥[おく]さんと同[おな]じようにお嬢[じょう]さんも策略家[さくりゃくか]ではなかろうかという疑問[ぎもん]にあって始[はじ]めて起[お]こるのです。(夏目[なつめ]漱石[そうせき]「こころ」) **ばんゆう**【蛮勇】○理非[りひ]をわきまえずに発揮[はっき]する勇気[ゆうき]。[文例]〈蛮勇[ばんゆう]を振[ふ]るう〉臣下[しんか]の者[もの]が蛮勇を振るってでもいさめなければ、王[おう]の乱心[らんしん]はおさまらないであろう。 **ばんらい**【万雷】○たくさんの雷[かみなり]。非常[ひじょう]に大[おお]きく、激[はげ]しい音[おと]。[文例]方雷[ばんらい]の拍手[はくしゅ]>幕[まく]が降[お]りると一瞬[いっしゅん]の間[ま]があって、やがて名舞台[めいぶたい]をたたえる万雷の拍手が巻[ま]き起[お]こった。 **はんらん**【反乱・叛乱】○政府[せいふ]や支配者[しはいしゃ]に反抗[はんこう]して乱[らん]を起[お]こすこと。[文例]反乱[はんらん]を起[お]こす〉新政府[しんせいふ]の政策[せいさく]に反対[はんたい]して、一部[いちぶ]の軍人[ぐんじん]たちが反乱を起こした。♠●〈反乱[はんらん]を鎮[しず]める>民衆[みんしゅう]の反乱を鎮めるために、政府は話[はな]し合[あ]いの可能性[かのうせい]を示唆[しさ]した。 **はんらん**【氾濫】○河川[かせん]などの水[みず]があふれること。広[ひろ]く満[み]ちあふれること。[文例]〈川[かわ]が氾濫[はんらん]する〉昨日[きのう]の大雨[おおあめ]で、川が氾濫した。♠●へ横文字[よこもじ]の氾濫[はんらん]>最近[さいきん]の広告[こうこく]は横文字の氾濫といってもよく、わかりにくいこともある。♠●へ雑誌[ざっし]の氾濫[はんらん]>近[ちか]ごろは、街中[まちじゅう]が子供[こども]には見[み]せられないような雑誌の氾濫で、恥[は]ずかしくなります。 **はんりょ**【伴侶】○連[つ]れ立[た]っ人[ひと]。連[つ]れ。身近[みぢか]に置[お]くもの。[文例]〈人生[じんせい]の伴侶[はんりょ]〉わたしは、三十五歳[さんじゅうごさい]にしてすばらしい人生の伴侶にめぐり合[あ]うことができた。♠●〈伴侶[はんりょ]とする>長[なが]い間[あいだ]病床[びょうしょう]にあった彼女[かのじょ]は、書物[しょもつ]を伴侶として日々[ひび]を送[おく]っていた。 **はんろ**【販路】○商品[しょうひん]の売[う]れ口[くち]。[文例]〈販路[はんろ]を広[ひろ]げる>商品の販路を広げるために各地[かくち]に営業所[えいぎょうしょ]が置[お]かれた。♠●販路[はんろ]の開拓[かいたく]>当社[とうしゃ]では、販路の開拓によって売[う]り上[あ]げの倍増[ばいぞう]をはかることにした。 **はんろん**【反論】○反対[はんたい]の意見[いけん]を述[の]べること。また、その意見。[文例]ぼくは、自分[じぶん]の考[かんが]えに対[たい]する反論を予想[よそう]して、あらかじめ対策[たいさく]を立[た]てておいた。♠へ反論[はんろん]する〉彼[かれ]の意見に反論する人[ひと]がいて、激[はげ]しい議論[ぎろん]が続[つづ]いた。 **ひ**【日】○太陽[たいよう]。太陽の光[ひかり]。昼間[ひるま]。一日[いちにち]。期日[きじつ]。日時[にちじ]。期間[きかん]。時代[じだい]。場合[ばあい]。[文例]〈日[ひ]の光[ひかり]〉三月[さんがつ]の声[こえ]を聞[き]いて、日の光もだいぶやわらかくなってきた。♠〈日[ひ]が傾[かたむ]く〉弟[おとうと]がお使[つか]いから帰[かえ]ってきたときには、かなり日も傾いていた。♠◆◇日[ひ]が当[あ]たる〉山[やま]の中腹[ちゅうふく]に日が当たって、紅葉[こうよう]はいっそうあざやかに映[は]えました。♠今日[きょう]の日[ひ]の当[あ]たる場所[ばしょ]〉下積[したづ]み生活[せいかつ]の長[なが]かった彼[かれ]も、ようやく日の当たる場所に出[で]て、みんなの注目[ちゅうもく]を浴[あ]びるようになりました。♠●〈日[ひ]が差[さ]す〉窓[まど]から日が差しているうちは、部屋[へや]の明[あか]りをつける必要[ひつよう]はないね。♠今日[きょう]が陰[かげ]る〉あらいやだ、日がかげってきちゃったわ、おふとんをとりこまなくちゃ。♠●〈日[ひ]に焼[や]ける〉よく日に焼けているね、海[うみ]へ行[い]ってきたの。♠◆ヘ日[ひ]にさらす〉白[しろ]い布[ぬの]も日にさらすと、黄色[きいろ]に変色[へんしょく]する。♠◆ヘ日[ひ]が暮[く]れる〉日が暮れるまでにあの山[やま]を越[こ]えるなんて、とてもできるわけがありません。♠●〈日[ひ]がある〉これから出[で]かければ、まだ日のあるうちにむこうに着[つ]けるだろう。♠〈日[ひ]が高[たか]い>目的[もくてき]地[ち]に着[つ]いた時[とき]はまだ日が高かったので、辺[あた]りをぶらぶらしてみた。♠●〈日[ひ]の目[め]を見[み]る〉その作家[さっか]の作品[さくひん]は、彼[かれ]の存命[ぞんめい]中[ちゅう]はとうとう日の目を見なかったそうだ。♠●へ休[やす]みの日[ひ]〉今度[こんど]の休みの日は、友達[ともだち]と映画[えいが]でも見[み]に行[い]こうと思[おも]っています。♠●〈雨[あめ]の日[ひ]〉雨の日のクラブ活動[かつどう]は、体育館[たいいくかん]で行[おこな]うことになっている。♠◆へ来[く]る日[ひ]も来[く]る日[ひ]も二人[ふたり]は研究室[けんきゅうしつ]で、来る日も来る日も実験[じっけん]を続[つづ]けました。♠●〈日[ひ]を改[あらた]める〉今日[きょう]はもう遅[おそ]いので、また日を改めてうかが[伺]いいたします。 <910> うかが お伺いいたします。♠●〈日を限る〉無期限というわけにはいかないから、十日間と日を限って貸し出すことにしました。♠◆〈日がある・ない〉発表会まであまり日もないせいか、みんな何かそわそわしているようだ。♠◆ヘ日が浅い〉わたしがこの会社に入ってからまだ日も浅く、仕事にも慣れていません。♠◆◇日が長い・短い二月も半ばを過ぎると、日が長くなるのを感じます。♠●〈夜を日につぐ〉学会も近づき、博士は夜を日についで論文をまとめていった。♠●へ夜も日も明けない〉二人にとって、孫がいなければ夜も日も明けないようなかわいがり方であった。♠●〈若い日〉〈日が過ぎる〉大人たちは声をそろえて、若い日はあっという間に過ぎていくと言います。♠●〈在[あ]りし日〉この作品は、在りし日の詩人を描[えが]いた小説として評判です。♠●へ〜をした日には〉監督[かんとく]の悪口を言った日には、どんな仕打ちをされるかわからない。♠〈〜ときた日には〉うちののろま息子ときた日にゃ、一日かかってもまだ部屋のかたづけが終わらない。 **ひ【火】** 物が燃えて出る炎。火事。炭火。激情。[文例]〈火を噴[ふ]く〉その火山が火を噴いたのは、実に三十年ぶりとのことです。♠●〈火が出る〉〈火に包まれる〉二階から火が出ると、建物はあっという間に火に包まれていった。♠●〈火が消える〉近くの住民の協力もあって、火は一時間後には完全に消えました。♠●へ火が消えたよう〉われわれが訪[つめ]れたとき、町は火が消えたような寂[どき]しさであった。♠●へ火をつける〉男はたばこに火をつけると、ゆっくりと歩き出した。♠〈火をたく〉かまどで火をたくなどという光景は、今ではほとんど見られない。♠へ火をおこす〉探検隊は木をこすり合わせるという、原始的な方法で火をおこしました。♠●人火を貸す〉ライターを忘れちゃったんだ、ちょっと火を貸してくれないかい。♠●〈火を通す〉梅雨時は食中毒が心配だから、食べ物は必ず火を通すようにしなさい。♠●ヘ〈火にかける〉いけない、おなべを火にかけたままにしてきちゃったわ。♠〈火を放[ほう]つつ〉敵は町に火を放って逃走[とうそう]した。♠●〈火にあたる〉海から上がってきた男たちは、毛布にくるまり、火にあたって暖[だん]を取っています。♠●〈火にあぶる〉みんなは、するめを火にあぶって食べました。♠●〈火に燃える〉消防服は、火に燃えない特別な繊維[せんい]でできている。♠●〈情熱の火〉〈火が燃える〉選手たちの心の中には、いつもラグビーに対する情熱の火が燃えていた。♠●〈顔から火が出る〉あまりの恥ずかしさに、顔から火が出る思いだった。♠●〈火の出るよう〉四番バッターは、火の出るようなライナーをレフト前に飛ばしました。♠●へ火のない所に煙[けむり]は立たぬ〉やはりうわさの人が怪[あや]しいと思うよ、火のない所に煙は立たぬって言うからね。♠●〈飛んで火に入る夏の虫〉うまい所に彼が現れたね、飛んで火に入る夏の虫とはこのことだ。♠●〈火を見るよりも明らか〉準備もしなかったのだから、不合格になることは火を見るよりも明らかだ。♠●〈火に油を注[そそ]ぐ〉怒[おこ]る父に対してその弁解をしたことが、火に油を注ぐ結果となった。 **ひ【灯】** 明かり。ともし火。又[例]〈町の灯〉山のふもとまで来ると、はるかかなたに町の灯が見え出した。♠●へ港の灯〉航海を終えた乗組員たちの目に、港の灯はどんなふうに映っているのだろう。♠●ヘパリの灯〉「翼[つばさ]よ、あれがパリの灯だ」は、大西洋横断無着陸飛行に成功したリンドバーグの言葉です。♠ヘ灯がつく〉受験を控えた兄の部屋は、毎日遅くまで灯がついている。♠●へ灯をともす〉博士は手にしたランプに灯をともして、地下室へ下りていった。♠ヘ灯がともる〉午後六時、家々に灯がともるころ、兄は学校から帰ってきました。♠〈灯が揺れる〉おくびょう者の伝助は、ちょうちんの灯が風に揺れるのを見て、ひとだまだと大騒ぎをしました。 **ひ【比】** 比率。比べる価値があること。[文例]〈男女の比〉わたしたちの学校では、男女の比がほぼ1対1になっています。♠●へ~の比ではない〉大人でさえ環境に影響されるのだから、子供の場合は大人の比ではないにちがいない。 **ひ【碑】** 石碑。又[例]〈碑が建つ〉丘の上には、有名な郷土の歌人の歌を刻んだ碑が建っている。♠●〈碑に刻む〉寺の境内に村の戦没者の碑があり、その碑にはわたしの父の名も刻まれていました。 **ひ【非】** 悪いこと。過ち。欠点。[文例]〈是[ぜ]か非か〉タバコを吸うことは是か非かなどというのは、論じるまでもないことだ。♠へ是が非でも〉人々を救うために、男は是が非でも この計画を成功させなくてはならぬと思った。♠〈非の打ちどころがない〉きみは、勉強もスポーツも一番で、性格も明るく、非の打ちどころのない少年だった。♠〈非を認める〉悪いことをしたのだから、言い訳をせずに素直に自分の非を認めなさい。♠◆〈非を鳴らす〉大統領の軍備拡張政策に対して、議会はいっせいに非を鳴らした。♠◆く似て非なる〉他人には幸福そうに見えても、真実の幸福とは似て非なるものであった。 **び【美】** 美しさ。[文例]〈四季おりおりの美〉ここから見る富士山は特に景観がよく、木々や空の色が四季おりおりの美を楽しませてくれます。♠●へ永遠の美〉モナ・リザの微笑には永遠の美があると言った人がいる。♠●へ美のはかなさ〉夜空に大きく開き、すぐに消えてしまう花火に、わたしは美のはかなさを感じるのです。♠●へ美を愛する〉どんなに無感動のように見える人にも美を愛する心はあるのです。♠◆〈美を見いだす〉日常の出来事や、ありきたりの風景からも美を見いだせるような、みずみずしい感性を持ちたいものだ。♠●〈美を追求する〉作家の美を追求する姿勢のすさまじさに、友人はみな彼が狂[くる]ったのではないかと思ったほどだ。♠●〈有終[ゆうしゅう]の美をかざる〉明日の引退試合では、恥ずかしくないプレーをして、有終の美をかざりたいものだ。 **ひあい【悲哀】** かなしみ。あわれさ。[文例]〈人生の悲哀〉遠ざかる老人の後ろ姿に、ぼくは人生の悲哀を感じた。♠〈悲哀がにじむ〉ハンガーにつるされくたびれた背広に、サラリーマンの悲哀がにじみ出ている。♠●〈悲哀が漂[ただよ]う〉妻や子に去られた四十男と聞けば、想像するだけで悲哀が漂う。 **ひあがる【干上がる】**(乾上がる) 乾き切る。暮らしに困る。[文例]〈川が干上がる〉雨期に入っても雨は降らず、川は干上がり、大地は乾ききっていた。♠◆◇田が干上がる〉日 <911> ♠●〈あごが干上[ひあ]がる〉こう不景気[ふけいき]では、貧乏人[びんぼうにん]はあごが干上がっちまうよ、まったく。 **ひあそび**【火遊び】○火[ひ]をもてあそぶこと。その時[とき]限[かぎ]りの危険[きけん]な情事[じょうじ]。[文例]〈火遊[ひあそ]びをする〉納屋[なや]で火遊びをしているうちに、干[ほ]し草[くさ]に燃[も]え移[うつ]り、あっという間[ま]に火[ひ]は広[ひろ]がった。♠◆〈男女[だんじょ]の火遊[ひあそ]び〉さすがのプレイガールも、今度[こんど]の火遊びではだいぶ懲[こ]りたらしいわ。 **ひあたり**【日当たり】○日[ひ]があたること。日[ひ]があたる具合[ぐあい]。[文例]〈日当[ひあ]たりがよい・悪[わる]い〉日当[ひあ]たりのいい縁側[えんがわ]で、ねこが気持[きも]ちよさそうに丸[まる]くなっている。♠◆日当[ひあ]たりの木々[きぎ]の葉[は]はまぶしくかがやき、日陰[ひかげ]の木々は黒々[くろぐろ]としていた。 **ピーアール** ○広告[こうこく]宣伝[せんでん]活動[かつどう]。[文例]〈ピーアールが足[た]りない〉催[もよお]しにあまり人[ひと]が集[あつ]まらなかったのは、ピーアールが足りなかったからのようだ。♠◆ヘピーアールに努[つと]める>赤十字[せきじゅうじ]では、献血者[けんけつしゃ]を増[ふ]やそうとパンフレットを配布[はいふ]したり、街頭[がいとう]で呼[よ]びかけるなどピーアールに努めている。♠●ヘピーアールする〉わたしどもの団体[だんたい]の活動[かつどう]についてピーアールさせてください。 **ひいき**【贔屓】○気[き]に入[い]った人[ひと]を特[とく]にとりたててかわいがること。後援[こうえん]してくれる人。[文例]〈ひいきの引[ひ]き倒[だお]し〉きみがあの子[こ]の肩[かた]を持[も]つ気持[きも]ちはわかるが、度[ど]が過[す]ぎるとひいきの引き倒しになるぞ。♠●〈ひいきにする〉わたしは、郷土[きょうど]出身[しゅっしん]の力士[りきし]をひいきにしています。♠●〈ひいきする〉お母[かあ]さんは、お兄[にい]さんばかりひいきしている。♠●へひいき目[め]〉どうひいき目に見[み]ても、美人[びじん]というわけにはいかないね、うちの娘[むすめ]。 **ピーク** ○頂上[ちょうじょう]。絶頂[ぜっちょう]。頂点[ちょうてん]。[文例] ヘラッシュのピーク〉〈ピークを迎[むか]える〉帰省[きせい]ラッシュもいよいよピークを迎え、列車[れっしゃ]や道路[どうろ]は混雑[こんざつ]を極[きわ]めている。♠●ヘピークに達[たっ]する〉決勝戦[けっしょうせん]の九回[きゅうかい]裏[うら]二死[にし]満塁[まんるい]、観衆[かんしゅう]の興奮[こうふん]はピークに達した。 **びいしき**【美意識】○美[び]に対[たい]する感[かん]じ方[かた]や考[かんが]え方[かた]。[文例]〈繊細[せんさい]な美意識[びいしき]>日本語[にほんご]には、日本人[にほんじん]の繊細な美意識が表[あらわ]れているはずだ。♠◆〈貴族[きぞく]の美意識[びいしき]>源氏[げんじ]物語[ものがたり]は、王朝[おうちょう]貴族の美意識を描[えが]き出[だ]して余[あま]すところがない。 **ひいては**【延いては】○さらに進[すす]んでは。さらには。[文例]いきすぎた開発[かいはつ]が自然[しぜん]破壊[はかい]を招[まね]き、ひいては人間[にんげん]の生活[せいかつ]を脅[おびや]かすようになった。♠●このことは、きみたち自身[じしん]の、ひいてはわが校[こう]の生徒[せいと]全員[ぜんいん]の名誉[めいよ]にかかわる問題[もんだい]だ。 **ひい・でる**【秀でる】○ぬきんでる。高[たか]くすぐれて見[み]える。[文例]〈学問[がくもん]に秀[ひい]でる>先生[せんせい]は、古[ふる]くから学問に秀でた一族[いちぞく]の生[う]まれでした。♠◆ヘ一芸[いちげい]に秀[ひい]でる〉一芸に秀でた人[ひと]の話[はなし]というのは、どこかしら人[ひと]を感心[かんしん]させるものだ。♠◆くまゆ・額[ひたい]が秀[ひい]でる〉それは、いかにも明晰[めいせき]そうな、まゆ額の秀でた青年[せいねん]だった。 **ヒーロー** ○英雄[えいゆう]。勇者[ゆうしゃ]。人気者[にんきもの]。勝利[しょうり]の立役者[たてやくしゃ]。[文例]ウルトラマンは悪者[わるもの]をこらしめ、弱[よわ]い人[ひと]を助[たす]ける子供[こども]たちのヒーローです。♠◆ヘスクリーンのヒーロー〉ジェームス=ディーンは、一九五[いちきゅうご]○年代[ねんだい]のスクリーンのヒーローだった。♠●<試合[しあい]のヒーロー〉今夜[こんや]のゲームのヒーローは、逆転[ぎゃくてん]のタイムリーヒットを打[う]った山本[やまもと]選手[せんしゅ]でしょう。 **ひうん**【悲運】○悲[かな]しい運命[うんめい]。不運[ふうん]。[文例]〈悲運[ひうん]の生涯[しょうがい]>女[おんな]は、幸[しあわ]せにめぐりあうこともなく、寂[さび]しく悲運の生涯を閉[と]じた。♠●〈悲運[ひうん]の名将[めいしょう]>織田[おだ]信長[のぶなが]は、志[こころざし]なかばで倒[たお]れた悲運の名将に数[かぞ]えることができます。♠●〈悲運[ひうん]を嘆[なげ]く〉わたしは、つくづくわが身[み]の悲運を嘆いた。♠●〈悲運[ひうん]に泣[な]く>実力[じつりょく]は一番[いちばん]と言[い]われながら、病気[びょうき]やけがが多[おお]く悲運に泣いた選手[せんしゅ]でした。 **ひえき・る**【冷え切る】○すっかり冷[ひ]える。[文例]〈体[からだ]が冷[ひ]え切[き]る〉少年[しょうねん]は、寒風[かんぷう]の中[なか]に捨[す]てられた子犬[こいぬ]の冷え切った体を抱[だ]いて暖[あたた]めてやった。♠●へ関係[かんけい]が冷[ひ]え切[き]る〉互[たが]いに視線[しせん]を避[さ]け合[あ]うほど、二人[ふたり]の関係は冷え切ってしまったのだろうか。 **ひえこ・む**【冷え込む】○寒[さむ]さが増[ま]す。寒さが体[からだ]にしみる。[文例] 今夜[こんや]はひどく冷[ひ]え込[こ]むねえ、雪[ゆき]でも降[ふ]るのかしらん。♠●霜[しも]の降[お]りる季節[きせつ]となり、めっきり冷え込んできた。 **ひえびえ**【冷え冷え】○冷[ひ]え込[こ]んで寒[さむ]いさま。心[こころ]が寒々[さむざむ]しいさま。[文例]冬[ふゆ]の湖[みずうみ]は、冷え冷えと静[しず]まり返[かえ]っていた。♠〈冷[ひ]え冷[び]えとした感[かん]じ〉病室[びょうしつ]は清潔[せいけつ]で明[あか]るく、雰囲気[ふんいき]も暖[あたた]かく、冷え冷えとした感じは全[まった]くなかった。♠冷[ひ]え冷[び]えとした気持[きも]ち〉この世界[せかい]に家族[かぞく]は一人[ひとり]もいないと思[おも]うと、少女[しょうじょ]は急[きゅう]に冷え冷えとした気持ちになった。 **ひ・える**【冷える】○冷[つめ]たくなる。寒[さむ]くなる。冷静[れいせい]になる。[文例]〈冷[ひ]えたビール〉風呂[ふろ]上[あ]がりに飲[の]むよく冷えたビールほど、おいしいものはない。♠へ冷[ひ]えた体[からだ]〉海[うみ]から上[あ]がった男[おとこ]たちは、たき火[び]にあたって冷えた体を暖[あたた]めました。♠辺[あた]りが冷[ひ]える〉三時[さんじ]過[す]ぎて太陽[たいよう]が姿[すがた]を隠[かく]すと、辺りは急[きゅう]に冷えてきた。♠●へ料理[りょうり]が冷[ひ]える〉テレビばかり見[み]ていると、せっかくのおいしい料理が冷えてしまうわよ。♠へ関係[かんけい]が冷[ひ]える〉十年前[じゅうねんまえ]の戦争[せんそう]以来[いらい]、両国[りょうこく]の関係は冷えたままの状態[じょうたい]になっている。 **ピエロ** ○道化[どうけ]役者[やくしゃ]。道化者。[文例]〈サーカスのピエロ〉いつもお客[きゃく]に笑[わら]いをふりまくピエロは、サーカスの人気者[にんきもの]です。♠◆ヘピエロを演[えん]じる〉ぼくは、本当[ほんとう]の気持[きも]ちを隠[かく]してあの人[ひと]の前[まえ]でピエロを演じている自分[じぶん]がみじめに思[おも]えてきた。 **びおんてき**【微温的】○徹底[てってい]しないさま。手[て]ぬるいさま。[文例]〈微温的[びおんてき]な態度[たいど]〉事[こと]なかれ主義[しゅぎ]からくるきみの微温的な態度にはいつもいらいらさせられる。♠◆自由[じゆう]思想[しそう]の持[も]ち主[ぬし]だったが、穏健[おんけん]な人物[じんぶつ]なのでその革新[かくしん]的[てき]気風[きふう]は微温的であった。 **ひが**【彼我】○彼[かれ]と我[われ]。相手[あいて]の側[がわ]と自分[じぶん]の側。[文例]〈彼我[ひが]の優劣[ゆうれつ]>日本[にほん]の文化[ぶんか]と西洋[せいよう]文化の差異[さい]を無視[むし]して、安易[あんい]に彼我の優劣を論[ろん]じるのはナンセンスだ。 **びか**【美化】○美[うつく]しくすること。実際[じっさい]より美しくとらえること。[文例]〈校内[こうない]の美化[びか]>校内の美化は、生徒[せいと]と先生[せんせい]の一人一人[ひとりひとり]がちょっと注意[ちゅうい]するだけで達成[たっせい]できます。♠●へ美化[びか]する〉少女[しょうじょ]時代[じだい]は、死[し]を美化して考[かんが]え、清[きよ]らかに死にたいと思[おも]ったものでした。♠●〈美化[びか]運動[うんどう]〉自治会[じちかい]では、町[まち]の美化運動の一環[いっかん]として公園[こうえん]や道路[どうろ]のごみ拾[ひろ]いを行[おこな]っています。 **ひがい**【被害】○害[がい]をこうむること。また、その害。[文例]被害[ひがい]を受[う]けるこの地域[ちいき]は、毎年[まいとし]九月[くがつ]ごろになると、台風[たいふう]の被害を受ける。 <912> ♠●へ被害[ひがい]を被[こうむ]る〉今回[こんかい]の事件[じけん]では、何[なん]の関係[かんけい]もない第三者[だいさんしゃ]が被害を被った。♠◆へ被害[ひがい]がある・ない〉団地[だんち]に空[あ]き巣[す]が入[はい]ったらしいが、幸[さいわ]いうちには何[なん]の被害もなかった。♠●〈大[おお]きな被害[ひがい]〉〈被害[ひがい]を与[あた]える〉この暴[あば]れ川[がわ]は、何世紀[なんせいき]にもわたって村[むら]の田畑[たはた]に大きな被害を与えてきたと聞[き]く。♠●〈被害[ひがい]が多[おお]い・少[すく]ない〉うちは少[すこ]し奥[おく]まっているから被害は少ないのですが、道路[どうろ]沿[ぞ]いの家[いえ]は騒音[そうおん]に悩[なやま]されています。♠●へ被害[ひがい]をまぬがれる〉事件のときは、一家[いっか]そろって外出中[がいしゅつちゅう]で、運[うん]よく被害をまぬがれた。♠●〈被害[ひがい]甚大[じんだい]〉十数年[じゅうすうねん]ぶりの暖冬[だんとう]で、電気屋[でんきや]さんは被害甚大だと嘆[なげ]いていた。♠●へ被害[ひがい]妄想[もうそう]>彼[かれ]はどうも少[すこ]し被害妄想の気[き]があるらしい。 **ひかえ**【控え】○控[ひか]えること。そばに付[つ]いて用事[ようじ]に備[そな]えること。順番[じゅんばん]を待[ま]つこと。予備[よび]。メモ。[文例]〈控[ひか]えの席[せき]>演壇[えんだん]から下[お]りて控えの席へもどると、ためになる話[はなし]でしたと係員[かかりいん]に言[い]われた。♠●く控[ひか]えの選手[せんしゅ]>さすが強豪[きょうごう]だ。控えの選手だってうちのチームならレギュラーだ。♠●〈書類[しょるい]の控[ひか]え〉〈控えをとる万一[まんいち]の場合[ばあい]に備[そな]えて、書類の控えをとっておいてください。♠●〈手帳[てちょう]の控[ひか]え〉手帳の控えには確[たしか]かに七時[しちじ]と書[か]かれているのに、まだ約束[やくそく]の人[ひと]が現[あらわ]れない。♠●〈控[ひか]え室[しつ]〉会[かい]の始[はじ]まる前[まえ]、控え室でお茶[ちゃ]を飲[の]んでいると、そこに昔[むかし]の友人[ゆうじん]が顔[かお]を見[み]せた。 **ひかえめ**【控え目】○遠慮[えんりょ]がちなさま。うちわにとどめるさま。[文例]〈控[ひか]え目[め]な女性[じょせい]>北陸[ほくりく]で生[う]まれ育[そだ]った母[はは]は、控え目だけれどもしんの強[つよ]い女性だった。♠●〈控[ひか]え目[め]な笑顔[えがお]>奥[おく]から上品[じょうひん]な顔立[かおだ]ちの婦人[ふじん]が現[あらわ]れ、控え目な笑顔でお客[きゃく]を迎[むか]えた。♠●控[ひか]え目[め]にする〉あの大酒[おおざけ]飲[の]みも肝臓[かんぞう]をこわしたとあって、酒[さけ]はごく控え目にしているそうだ。 **ひか・える**【控える】○そばに付[つ]き従[したが]う。近[ちか]くで待[ま]つ。近くに持[も]つ。間近[まぢか]にする。遠慮[えんりょ]する。つつしむ。書[か]き止[と]める。[文例]〈後[うし]ろに控[ひか]える〉社長[しゃちょう]の後ろに控えている背[せ]の高[たか]い人[ひと]が、橋本[はしもと]部長[ぶちょう]です。♠●ヘベンチに控[ひか]える〉メンバーのけがに備[そな]えて、交代[こうたい]要員[よういん]が三人[さんにん]、ベンチに控えている。♠●へ背後[はいご]に控[ひか]える〉まっさおな湖[みずうみ]と、背後に控える雪[ゆき]をかぶったアルプスとが一つになって、すばらしい光景[こうけい]を作[つく]りあげている。♠◆全へ付[ふ]近[きん]に~を控[ひか]える〉このホテルは付近に大[おお]きなスキー場[じょう]を控え、冬[ふゆ]は若者[わかもの]たちでにぎわいます。♠●へ試合[しあい]を控[ひか]える〉決勝戦[けっしょうせん]を三日後[みっかご]に控えて、選手[せんしゅ]たちの緊張[きんちょう]はしだいに高[たか]まってきた。♠●へ発言[はつげん]を控[ひか]える〉委員長[いいんちょう]に直接[ちょくせつ]指名[しめい]されるまで、わたしは発言を控えようと思[おも]っていました。♠●〈酒[さけ]・たばこを控[ひか]える>胃[い]の調子[ちょうし]が悪[わる]かった父[ちち]は、医者[いしゃ]に酒とたばこを控えなさいと注意[ちゅうい]されたそうです。♠●〈番号[ばんごう]を控[ひか]える〉彼[かれ]はそそくさと手帳[てちょう]を開[ひら]き、示[しめ]された番号を控えていました。 **ひかがくてき**【非科学的】○科学的[かがくてき]でないさま。[文例]占[うらな]いとかまじないとか、そんな非科学的なものは、ぼくは信[しん]じないね。♠〈非科学的[ひかがくてき]な空想[くうそう]〉SFは、科学的な事実[じじつ]と非科学的な空想を交[ま]えて、読者[どくしゃ]に楽[たの]しさを提供[ていきょう]してくれます。 **ひかく**【比較】○比[くら]べ合[あ]わせること。比[くら]べて考[かんが]えること。[文例]〈比較[ひかく]をする二[ふた]つの製品[せいひん]の比較をすると、デザインの点[てん]でこちらのほうが勝[まさ]っていると言[い]える。♠●〈比較[ひかく]にならない>予想[よそう]していた通[とお]り、市村[いちむら]さんの成績[せいせき]は他[ほか]の生徒[せいと]とは比較にならないほど良かった。♠●〈比較[ひかく]の対象[たいしょう]〉この選手[せんしゅ]を評価[ひょうか]するのに、よく比較の対象として往年[おうねん]の川上[かわかみ]選手の名があげられます。♠●〈兄弟[きょうだい]を比較[ひかく]する〉兄弟をあれこれ比較するのは、親[おや]としてつつしみなさい。♠●へ値段[ねだん]を比較[ひかく]する〉市場[しじょう]に出回[でまわ]っている野菜[やさい]の値段は、去年[きょねん]と比較してもそう大差[たいさ]ありません。♠●〈比較的[ひかくてき]〉十二月[じゅうにがつ]に入[はい]っても、比較的穏[おだ]やかな日[ひ]が続[つづ]いている。 **びがく**【美学】○美[び]の本質[ほんしつ]を研究[けんきゅう]する学問[がくもん]。美[び]に対[たい]する態度[たいど]。[文例]〈西洋[せいよう]の美学[びがく]>西洋の伝統的[でんとうてき]な美学と日本[にほん]の伝統的な美学の間[あいだ]には、対立[たいりつ]する部分[ぶぶん]もあるであろう。♠●へ男[おとこ]の美学[びがく]>男の美学とは男性[だんせい]らしい精神[せいしん]のあり方[かた]をいうので、おしゃれであることとは関係[かんけい]ありません。 **ひかげ**【日陰・日蔭】 ○日[ひ]の当[あ]たらない所[ところ]。社会[しゃかい]の裏側[うらがわ]。→日なた[文例]〈日陰[ひかげ]に入[はい]る〉日がかたむき、やがて校庭[こうてい]はすっかり日陰に入ってしまった。♠◆〈日陰[ひかげ]になる>周[まわ]りに高[たか]い建物[たてもの]が建[た]ち、うちはその日陰になっていつも薄暗[うすぐら]い。♠今日陰[ひかげ]に住[す]む〉日陰に住むわたしにも、いつか春[はる]はくるだろうと思[おも]ってじっと耐[た]えています。♠◆◇日陰[ひかげ]の花[はな]〉この町[まち]の女[おんな]たちは日陰の花で、青白[あおじろ]い肌[はだ]に化粧[けしょう]をして酒客[しゅかく]の相手[あいて]をしていた。♠◆〈日陰者[ひかげもの]>罪[つみ]を犯[おか]した女は、一生[いっしょう]日陰者としての人生[じんせい]を送[おく]らねばならなかった。 **ひかげん**【火加減】○火[ひ]の燃[も]え具合[ぐあい]。火力[かりょく]の強[つよ]さ。[文例]〈コンロの火加減[ひかげん]〉このレバーで、コンロの火加減を自由[じゆう]に調節[ちょうせつ]することができます。♠●〈火加減[ひかげん]をみる〉火加減をみながら、焦[こ]がさないように卵焼[たまごや]きを焼[や]いてみましょう。 **ひがし**【東】○日[ひ]の出[で]る方角[ほうがく]。[例]〈東[ひがし]の空[そら]〉友達[ともだち]と、東の空が明[あか]るくなるまで話[はな]し込[こ]んでしまった。♠◆東[ひがし]と西[にし]〉当時[とうじ]の剣道界[けんどうかい]では、西[にし]に面[めん]の斎藤[さいとう]あり、東[ひがし]に突[つ]きの山本[やまもと]ありとうたわれた。♠犬[いぬ]が西[にし]向きゃ尾[お]は東[ひがし]〉あたりまえのことよ、犬が西向きゃ尾は東でしょ。♠●へ西[にし]も東[ひがし]もわからない〉ふろしき包[づつ]みを提[さ]げて上野[うえの]の駅[えき]に降[お]り立[た]った翌日[よくじつ]から、西も東もわからない東京[とうきょう]での生活[せいかつ]が始[はじ]まった。♠●〈西[にし]と言[い]えば東[ひがし]〉本当[ほんとう]にへそまがりなやつだ、西と言えば東なんだから。 **ひがた**【干潟】○引[ひ]き潮[しお]の時[とき]に現[あらわ]れる浅瀬[あさせ]。[文例]泥海[どろみ]の干潟の上[うえ]を、愛[あい]きょう者[もの]のムツゴロウが飛[と]びはねている。♠●潮[しお]が引[ひ]くにつれて干潟が見[み]えてきた。 **ひが・む**【僻む】○物事[ものごと]をひねくれて考[かんが]える。[文例]〈考[かんが]え方[かた]がひがむ〉考え方が少[すこ]しひがんでいるが、根[ね]は優[やさ]しい人[ひと]です。♠●〈人[ひと]をひがむ〉お姉[ねえ]ちゃん、美人[びじん]の妹[いもうと]をひがまないでね。♠●へひがみっぽい〉年[とし]を取[と]るとひがみっぽくなるといかが、母[はは]もぐちが多[おお]くなった。 **ひがめ**【ひが目・僻目】○やぶにらみ。見方[みかた]が誤[あやま]っていること。偏見[へんけん]。[文例]ぼくがその子[こ]をひいきしているように見えたかも知[し]れないが、それはひが目だ。♠●彼女[かのじょ]の美[うつく]しい顔立ちの裏[うら]に意地[いじ]の悪[わる]さを見[み]たのは、同性[どうせい]のわたしのひが目でしょうか。 **ひから・す**【光らす】○光[ひか]らせる。[文例]〈目[め]を光[ひか]らす>脱走[だっそう]する者[もの]がないよう見張[みは]りは目[め]を光らしていた。♠◆ヘピカピカに光[ひか]らす〉拾[ひろ]って来[き]ためずらしい石[いし]を磨[みが]いてピカピカに光らし、床[とこ]の間[ま]に飾[かざ]りました。 <913> **ひから・びる**【干からびる】○かさかさに乾[かわ]く。うるおいが無[な]くなる。[文例]干[ひ]からびた死[し]がい〉炎天下[えんてんか]の路上[ろじょう]に干からびたカエルの死がいがあった。♠◆ヘ干[ひ]からびた感性[かんせい]〉少女[しょうじょ]の出現[しゅつげん]は、干からびた老人[ろうじん]たちの感性にしっとりと春[はる]の雨[あめ]を降[ふ]らせてくれた。 **ひかり**【光】○太陽[たいよう]などの光源[こうげん]から発[はっ]し、目[め]に明[あか]るく感[かん]じられるもの。光線[こうせん]。視覚[しかく]。輝[かがや]き。希望[きぼう]。威光[いこう]。光栄[こうえい]。[文例]〈光[ひかり]と熱[ねつ]>太陽は地球[ちきゅう]に光と熱を与[あた]えてくれる。♠●へやわらかい光[ひかり]〉〈光[ひかり]を浴[あ]びる>早春[そうしゅん]のやわらかい光を浴びて、子[こ]ねこが楽[たの]しそうに遊[あそ]んでいます。♠●〈光[ひかり]が差[さ]す〉カーテンのすき間[ま]から明[あか]るい光が差[さ]しこんでいます。♠●〈光[ひかり]を放[はな]つ>強[つよ]い光を放つ物体[ぶったい]が西[にし]の空[そら]を飛[と]んだ。♠●へ光[ひかり]を投[とう]じるこの実験[じっけん]結果[けっか]は、問題[もんだい]解明[かいめい]に新[あたら]しい光を投じることになるだろう。♠光[ひかり]をさえぎる〉うっそうと生[は]い茂[しげ]る枝[えだ]が光をさえぎり、ジャングルは夜[よる]のように静[しず]まり返[かえ]っていた。♠●へ光[ひかり]をもたらす〉うちひしがれた青年[せいねん]の心[こころ]に少女[しょうじょ]は光をもたらした。♠<希望[きぼう]の光[ひかり]〉彼[かれ]の前途[ぜんと]に、一筋[ひとすじ]の希望の光が見[み]えてきた。♠●〈光[ひかり]を失[うしな]う〉思[おも]わぬ病[やまい]がもとで、二十歳[はたち]にしてわたしの目[め]は光を失った。♠●〈玉[たま]磨[みが]かざれば光[ひかり]なし>「玉磨かざれば光なし」、才能[さいのう]があっても努力[どりょく]しないと成功[せいこう]しない。♠た存在[そんざい]>M君[くん]はそのグループの中[なか]で、一番[いちばん]光った存在です。 **ひかれもの**【引かれ者】○刑場[けいじょう]に引[ひ]き立[た]てられる罪人[つみびと]。[文例]〈引[ひ]かれ者[もの]にする〉お上[かみ]に逆[さか]らったりすれば、捕[と]らえられて引かれ者にもされた。♠●へ引[ひ]かれ者[もの]の小唄[こうた]〉百姓[ひゃくしょう]町人[ちょうにん]がどんな強[つよ]がりを言[い]っても、それは引かれ者の小唄に過[す]ぎなかった。 **ひかん**【悲観】○失望[しつぼう]し悲[かな]しむこと。物事[ものごと]を悪[わる]い方[ほう]に考[かんが]えること。[文例]〈前途[ぜんと]を悲観[ひかん]する〉前途を悲観して自殺[じさつ]をする若者[わかもの]があとを絶[た]ちません。♠●へ将来[しょうらい]を悲観[ひかん]する〉老母[ろうぼ]は息子[むすこ]の将来を悲観して、ぐちばかりこぼしていた。♠へ失敗[しっぱい]を悲観[ひかん]する〉人生[じんせい]は長[なが]い。一度[いちど]や二度[にど]の失敗をそんなに悲観することはない。♠●〈悲観[ひかん]と楽観[らっかん]〉日本[にほん]の将来[しょうらい]について、わたしは悲観も楽観もしていない。♠●〈悲観的[ひかんてき]な状況[じょうきょう]>新[あたら]しい企[くわだ]ても、現在[げんざい]の悲観的な状況を打[う]ち破[やぶ]るほどのものではなかった。♠た。♠●〈悲観的[ひかんてき]にとらえる〉あなたのように現実[げんじつ]を悲観的にとらえていたのでは、打開策[だかいさく]は生[う]まれてこないだろう。 **ひがん**【悲願】○慈悲[じひ]によって衆生[しゅじょう]を救[すく]おうとする仏[ほとけ]の誓願[せいがん]。実現[じつげん]を切[せつ]に念[ねん]じる悲壮[ひそう]な願[ねが]い。[文例]〈悲願[ひがん]がかなう〉半[なか]ばあきらめていたのだが、悲願がかなって希望通[きぼうどお]りの学校[がっこう]へ進[すす]むことができた。♠●へ悲願[ひがん]が通[つう]じる〉妻[つま]や子[こ]の悲願が通じたのであろう、不治[ふじ]の病[やまい]と言[い]われた男[おとこ]が回復[かいふく]の兆[きざ]しを見[み]せ始[はじ]めた。♠●へ悲願[ひがん]を達成[たっせい]する〉関係者[かんけいしゃ]の努力[どりょく]によって鉄道[てつどう]が敷[し]かれ、村人[むらびと]の悲願が達成された。♠●〈悲願[ひがん]とする〉わが校[こう]が悲願とする全国[ぜんこく]制覇[せいは]が、今[いま]現実[げんじつ]になろうとしていた。♠●〈悲願[ひがん]をこめる〉天神様[てんじんさま]は学問[がくもん]の神様[かみさま]だけあって、境内[けいだい]には大学[だいがく]合格[ごうかく]の悲願をこめた絵馬[えま]がたくさん並[なら]べられている。 **ひがん**【彼岸】○(「向[む]こう岸[ぎし]」の意[い]から)悟[さと]りの境地[きょうち]。春分[しゅんぶん]・秋分[しゅうぶん]をはさむ七日間[しちかかん]。[文例]〈秋[あき]の彼岸[ひがん]〉ちょうど秋の彼岸のころ、彼岸花[ひがんばな]があざやかな赤[あか]い花[はな]を咲[さ]かせます。♠●へ暑[あつ]さ寒[さむ]さも彼岸[ひがん]まで「暑さ寒さも彼岸まで」といって、これからは少[すこ]しずつすごしやすくなる。♠●〈煩悩[ぼんのう]の彼岸[ひがん]>老僧[ろうそう]は、煩悩の彼岸に極楽[ごくらく]浄土[じょうど]を見[み]ていた。 **びかん**【美観】○美[うつく]しい眺[なが]め。[文例] 〈美観[びかん]を損[そこ]ねる>道路[どうろ]の両[りょう]わきが看板[かんばん]だらけになり、町[まち]の美観を損ねていた。♠へ美観[びかん]を損[そこな]う〉町[まち]の美観を損なわないよう、外[そと]に洗濯物[せんたくもの]を干[ほ]すのにさえ神経[しんけい]を使[つか]う国[くに]もあるそうです。♠●〈美観[びかん]を壊[こわ]す〉どんどんビルが建[た]って、古都[こと]の美観が壊されつつある。 **ひき**【悲喜】○悲[かな]しみと喜[よろこ]び。[文例] 〈悲喜[ひき]こもごも〉子供[こども]を育[そだ]てあげるまでには、悲喜こもごも本当[ほんとう]にいろいろなことがありました。♠●〈悲喜[ひき]こもごも〉例年[れいねん]のことながら、笑[わら]う者[もの]あれば泣[な]く者[もの]あり、悲喜こもごもの合格[ごうかく]発表[はっぴょう]である。 **ひき**【引き】○引[ひ]くこと。引[ひ]く力[ちから]。引[ひ]き立[た]て。つて。値引[ねび]き。[文例]〈引[ひ]きが強[つよ]い〉こんどは引きが強いぞ、大物[おおもの]が釣[つ]れたらしい。♠父[ちち]の友人[ゆうじん]の引[ひ]き〉父[ちち]の大学[だいがく]時代[じだい]の友人[ゆうじん]の引[ひき]で、この会社[かいしゃ]に就職[しゅうしょく]することになった。♠◆二割[にわり]引[び]き>会員[かいいん]は、料金[りょうきん]が二割引[わりび]きになるという特典[とくてん]があります。 **ひきあい**【引き合い】○引[ひ]き合[あ]うこと。例[れい]に挙[あ]げること。事件[じけん]などの参考人[さんこうにん]。取引[とりひき]前[まえ]の照会[しょうかい]。[文例] 〈引[ひ]き合[あ]いに出[だ]す〉カブトムシの角[つの]は、雄[おす]と雌[めす]で形[かたち]の違[ちが]う代表的[だいひょうてき]な例[れい]として引き合いに出される。♠〈引[ひ]き合[あ]いに出[だ]す〉わたしは友達[ともだち]の例を引き合いに出して、こづかいを上[あ]げてほしいと頼[たの]んだ。♠◆〈引[ひ]き合[あ]いを受[う]ける〉さっそく、新製品[しんせいひん]を注文[ちゅうもん]したいと客[きゃく]から引き合いを受けた。 **ひきあ・う**【引き合う】○互[たが]いに引[ひ]く。取引[とりひき]する。割[わ]りに合[あ]う。[文例]万有[ばんゆう]引力[いんりょく]とは、宇宙[うちゅう]に存在[そんざい]するすべての物体[ぶったい]の間[あいだ]に働[はたら]く互[たが]いに引[ひ]き合[あ]う力[ちから]のことです。♠◆そんなに安[やす]く売[う]ったのでは、とても引[ひ]き合[あ]わない。♠●あんなに手伝[てつだ]って、ありがた迷惑[めいわく]だじゃ引[ひ]き合[あ]わねえや。 **ひきあ・げる**【引き上げる・引き揚げる】○引[ひ]っ張[ぱ]り上[あ]げる。値上[ねあ]げする。地位[ちい]を上[あ]げる。引[ひ]き返[かえ]す。取[と]り返[かえ]す。元[もと]の所[ところ]へ戻[もど]す。元[もと]の所[ところ]へ戻[もど]る。[文例]〈物[もの]を引[ひ]き上[あ]げる〉こんな重[おも]い建築[けんちく]資材[しざい]を、どうやって山[やま]の頂上[ちょうじょう]まで引[ひ]き上[あ]げたのだろう。♠●〈船[ふね]を引[ひ]き揚[あ]げる〉沈没船[ちんぼつせん]を海底[かいてい]から引[ひ]き揚[あ]げる作業[さぎょう]は、午前[ごぜん]七時[しちじ]から行[おこな]われるそうです。♠●〈運賃[うんちん]・値段[ねだん]を引[ひ]き上[あ]げる〉私鉄[してつ]の運賃を引[ひ]き上[あ]げることが正式[せいしき]に決[き]まりました。 <914> ●〈高い地位に引き上げる〉田中氏を課長に引き上げるよう強く推薦したのは、営業部長です。♠●〈宿舎に引き上げる〉昨日仕事を終わって宿舎に引き上げたのは、たしか六時過ぎだったと思う。♠●〈外国から引き揚げる〉昭和二十年に戦争が終わると、大勢の人が大陸から引き揚げてきた。♠●へ軍隊を引き揚げる〉アメリカ政府はA国国境[けいせん]付近の軍隊を、年内にも引き揚げると発表しました。 **ひきあわ・せる【引き合わせる】** 引いて合わせる。対面させる。引き比べる。[文例]〈人を引き合わせる〉先輩は自分の妹をぼくに引き合わせると、こいつを嫁にもらえと言った。♠●へ原稿と引き合わせる〉校正者は、印刷したものを原稿と引き合わせて、誤りを正していきます。 **ひき・いる【率いる】** 引き連れる。従える。指揮する。[文例]〈群れを率いる〉群れを率いるボスには、ある種の威厳[いげん]すら感じられる。♠◆ヘチームを率いる〉監督[かんとく]がチームを率いて八年、その間に三回の地区優勝を成し遂げています。♠●へ部隊を率いる〉特別な使命を帯びた大佐は、部隊を率いて夜明け前に出発した。♠●〈軍を率いる〉武将は一軍を率いて山陰[やまかげ]に回り、敵を背後から攻撃[こうげき]しようとしていたのです。♠〈仲間を率いる〉新しい事業を始めると聞いて、彼は七人の仲間を率いて上京してきた。 **ひきい・れる【引き入れる】** 引いて中へ入れる。誘い入れる。[文例]〈味方に引き入れる〉あの男を味方に引き入れれば、鬼に金棒だ。♠●〈作品の世界に引き入れる〉SFが好きなので、読むとたちまち作品の世界に引き入れられてしまう。 **ひきう・ける【引き受ける】** うけおう。受け持つ。受け継ぐ。聞き入れる。保証する。[文例]〈注文を引き受ける〉そんなにたくさんの注文を引き受けちゃって、ほんとうに大丈夫[だいじょうぶ]かい。♠●〈仕事を引き受ける〉気のいい中村さんは、面倒[めんどう]な仕事を、二つ返事で引き受けてくれた。♠●〈要求を引き受ける〉会社側は、労働者の要求を意外にも快く引き受けてくれました。♠◆ヘこの場を引き受ける〉この場はぼくが引き受け た、きみは彼女のほうを手伝ってやってくれ。♠◆へ身元を引き受ける〉交通遺児の身元は、その老人が引き受けることになった。♠●へ就職を引き受ける〉ありがたいことに、姉の就職は教授が引き受けてくださいました。 **ひきおこ・す【引き起こす】** 起こして立たせる。生じさせる。起こす。[文例]〈物を引き起こす〉車道に倒れかかった街路樹を引き起こして、車が通れるようにしました。♠人人[ひと]を引き起こす〉ぼくがその男を引き起こしたときには、すでに息絶えていた。♠●〈騒動[そうどう]を引き起こす〉弟のちょっとしたいたずらが、たいへんな騒動を引き起こすもととなった。♠●〈事件を引き起こす〉やっかい者のあの男がまた何か事件を引き起こしたらしいよ。♠●へ戦争を引き起こす〉バルカン半島でおこったこの事件が第一次世界大戦を引き起こすきっかけとなった。♠●〈論争を引き起こす〉この学者の発表した論文は、学会に大論争を引き起こした。♠●〈病気を引き起こす〉ただの風邪といっても、こじらせると肺炎[はいえん]を引き起こすこともある。 **ひきかえ・す【引き返す】** もどる。とって返す。[文例]〈家へ引き返す〉大事な物を忘れてしまったが、家まで引き返す時間もない。♠●へ道を引き返す〉人生は、つらいからといって同じ道を引き返すわけにはいかない。 **ひきか・える【引き換える・引き替える】** とりかえる。(正反対のものを)比べる。[文例]〈景品と引き換える〉当たりくじを景品と引き換えてもらった。♠●〈それにひきかえ〉主人公の少年の生き方に感動し、それにひきかえ自分は何てあまったれた人間かとはずかしかった。 **ひきがね【引き金】**(引き鉄) 銃の、指で引いて弾丸を発射する金具。物事を引き起こすきっかけ。[文例]〈引き金を引く〉獲物[えもの]をねらって銃[じゅう]の引き金を引いた。♠●へ事件の引き金〉〈引き金になる〉この事件の引き金になったのはさなないさかいだったが、根はもっと深いと思われる。 **ひきこ・む【引き込む】** 導き入れる。誘い入れる。風邪をひく。ひっこむ。[文例]〈作品の世界に引き込む〉本を読み始 めると、ぐんぐん作品の世界に引き込まれ、現実を忘れることがある。♠〈話に引き込む〉語り手は、聞き手を話に引き込むような語り出しを工夫する必要があります。♠●へ誘惑[ゆうわく]に引き込む〉少年は、おそろしい誘惑に引き込まれそうだっ た。♠〈風邪を引き込む〉ホテルは少々高いが、駅で寝て風邪など引き込むのはかなわない。 **ひきこも・る【引きこもる】**(引き籠る) 退いて内にこもる。閉じこもる。[文例]〈家に引きこもる〉寒くなると、子供たちも家の中に引きこもりがちだ。♠人部屋に引きこもる〉博士はここ数日、研究室に引きこもって、研究に専心している。♠◆〈田舎に引きこもる〉年をとったら田舎に引きこもり、好きな歌でも作ってのんびりと暮らそうかな。 **ひきさ・く【引き裂く】** 引っ張って破る。切り離す。仲を引き離す。[文例]〈ずたずたに引き裂く〉森にもどると、テントはくまに襲[おそ]われてずたずたに引き裂かれていた。♠ヘやみを引き裂く〉稲妻[いなずま]が夜のやみを引き裂いていった。♠●へ仲を引き裂く〉二人の仲は、戦争によって無残に引き裂かれてしまうのです。 **ひきさ・げる【引き下げる】** 引っ張って下げる。値下げする。ひっこめる。[文例]〈ひさしを引き下げる〉店員が近づくと、立ち読みをしていた少年は帽子のひさしを引き下げ、顔を隠した。♠ヘコストを引き下げる〉メーカーは、原料をなるべく安い値段で仕入れ、コストを引き下げようとする。♠◆〈料金を引き下げる〉市としても公共料金を引き下げるよう努力をしています。♠●へ意見を引き下げる〉彼は、みんなが反対しても自分の意見を引き下げようとはしない。 **ひきさが。る【引き下がる】** 退く。手をひく。「[文例]上役の暴言にむっとしたが、じっとこらえて引き下がった。♠◆会長に推されたが、一歩引き下がって副会長になった。 **ひきしお【引き潮】** 引いていく潮。下げ潮。落ち潮。→満ち潮[文例]〈満ち潮と引き潮〉海は満ち潮から引き潮に変わり、岩場が現れてきた。♠●へ引き潮のよう〉連日にぎわっていた浜も、夏休みが終わると、引き潮のように人気がなくな <915> る。 **ひきしぼ・る【引き絞る】** 強く絞る。強く弓を引く。無理に押し出す。[文例]〈弓を引き絞る〉射手[いな]は、矢を取って弓につがえ、十分に引き絞り、的を目がけてひょうと放った。♠〈声を引き絞る〉女は手で顔を覆って、その間から引き絞るような声を出した。♠●へ焦点[しょうてん]を引き絞る〉仲間が集まると、話題の焦点は受験に引き絞られていく。 **ひきしま・る【引き締まる】** 固く締まる。緊張する。ゆるみがなくなる。[文例]〈筋肉が引き締まる〉水泳選手だけにさすがに引き締まった筋肉の持ち主である。♠●へ気持ちが引き締まる〉きりっとはち巻きを締めると、気持ちも引き締まる。♠●〈文章が引き締まる〉テーマを明確にさせ不必要な部分を削ると、文章が引き締まります。 **ひきし・める【引き締める】** 固く締める。緊張させる。ゆるみをなくする。[文例]〈手綱[たづな]を引き締める〉夏休みで子供たちがダレているから、手綱を引き締めてやらなければ。♠〈口もとを引き締める〉少年は口もとをきゅっと引き締め、ひと言、いやだ、と言った。♠●〈気を引き締める〉油断のできない相手だ、気を引き締めていこう。♠●〈家計を引き締める〉下の子が幼稚園に入るので、わが家の家計も引き締めなければなりません。 **ひきずりおろ・す【引きずり下ろす】**(引き摺り下ろす) 引っ張り下ろす。失脚させる。[文例]〈物を引きずり下ろす〉犬が庭の洗濯物を引きずり下ろし、泥[どろ]まみれにしてしまう。♠●〈地位から引きずり下ろす〉反対派がスキャンダルをネタに、市長をその地位から引きずり下ろそうとしていた。 **ひきずりこ・む【引きずり込む】**(引き摺り込む) 引っ張り込む。無理に引き入れる。[文例]〈穴に引きずり込む〉べっこうばちは捕らえたくもを巣穴[すあな]に引きずり込み、産卵[と]をする。♠●ヘやみに引きずり込む〉深い闇の底に引きずり込まれそうな夜だった。♠●〈悪に引きずり込む〉わたしは、ずるずると悪い仲間に引きずり込まれていった。 **ひきずりだ・す【引きずり出す】**(引き摺り出す) 引っ張り 出す。無理に連れ出す。[文例]こたつにしがみついていないで外で遊んでらっしゃい、とむりやり母に引きずり出された。♠●へ外に引きずり出す〉どうもうなクモも、不意をくらって巣の外に引きずり出されると、すっかり萎縮[いしゆく]する。 **ひきずりまわ・す【引きずり回す】**(引き摺り回す) 引っ張りまわす。無理に連れ回す。[文例]〈おもちゃを引きずり回す〉三歳の次男は、気に入りのミニカーにひもをつけてもらって、一日中それを引きずり回しています。♠●〈人を引きずり回す〉ゆうべは、先輩にあちこち夜の町を引きずり回されたうえ、勘定[かんじよう]まで払わされた。 **ひきず・る【引きずる】**(引き摺る) 地面や床をすって引く。無理に引いて行く。長びかせる。[文例]〈物をひきずる〉道路には犯人が袋[ふくろ]をひきずった跡[あと]が残っていた。♠へ足をひきずる〉試合に敗れ、負傷した足をひきずって歩く選手の姿は痛々しかった。♠●へすそをひきずる〉ちゃんとベルトをすればいいのに、あの子、ズボンのすそをひきずっているよ。♠●〈人をひきずる〉店の主人はものすごい顔つきで、無銭飲食の男を交番にひきずっていった。♠●〈過去をひきずる〉今まで暗い過去をひきずって生きてきた彼女には、信じられないうれしい話でした。♠●へ問題をひきずる〉いつまでもこの問題をひきずっているわけにはいかないから、今日こそ決着をつけよう。 **ひきたお・す【引き倒す】** 引っ張って倒す。[文例]〈人を引き倒す〉二言三言[ふたことみこと]言い合ううちに、兄はわたしの襟髪[えりがみ]をつかむと、いきなり引き倒した。♠●〈小屋を引き倒す〉古くなった小屋を、柱を切り、屋根に綱[つな]をつけて引き倒した。 **ひきだし【引き出し】**(抽き出し・抽斗) 引き出すこと。机やたんすなどの抜き差しできる箱。[文例]〈引き出しに入れる〉確かに二番目の引き出しに現金を入れておいたのに、なくなっている。♠●〈引き出しにしまう〉勉強が終わったら、道具はきちんと机の引き出しにしまいなさい。♠●へ預金の引き出し〉預金の引き出しにはもっぱらキャッシュカードを利用しています。 **ひきた・つ【引き立つ】** きわだつ。張りが出る。[文例]】〈美しさが引き立つ〉シンプルな装[よそお]いが、彼女の美しさをいっそう引き立たせています。♠●〈味が引き立つ〉仕上げに塩を一ふり入れると、味がぐんと引き立ちます。♠●へ気分が引き立つ〉どんなにくさくさしていても、町を歩いていると不思議に気分が引き立ってきます。 **ひきた・てる【引き立てる】** 無理に引いて行く。元気を出す。きわ立たせる。ひいきする。引いて閉める。[文例]〈犯人を引き立てる〉現行犯で捕らえた泥棒[どろぼう]を警官が引き立てて行った。♠へ気持ちを引き立てる〉わたしは、沈みがちな自分の気持ちを引き立て大きな声で歌った。♠●へ人を引き立てる〉先輩の小川さんは、何かと気づかってわたしを引き立ててくれます。 **ひきつ・ぐ【引き継ぐ】** 物事を前から受け継ぐ。また、後ろへ受け渡す。[文例]〈伝統を引き継ぐ〉当店では、創業以来の伝統を引き継いで、今もしにせの味を守り続けています。♠●〈仕事を引き継ぐ〉前任者から仕事を引き継いで一か月、ようやく慣れました。♠●〈家業を引き継ぐ〉父から引き継いだ家業をいっそうもりたてていこうと思う。♠●へあとに引き継ぐ〉接続詞は、前の文の内容を受けて、あとの文に引き継いで、文をつなぐはたらきをしています。 **ひきつける【引き付ける】** 引き寄せる。注意・関心を引 <916> [文例]〈磁石[じしゃく]が鉄[てつ]を引[ひ]き付[つ]ける〉この磁石が鉄を引き付ける力[ちから]は相当[そうとう]なものだ。♠●へ敵[てき]を引[ひ]き付[つ]ける〉騎兵隊[きへいたい]は敵を十分[じゅうぶん]に引き付けておいてから、いっせいに発砲[はっぽう]しました。♠●〈光[ひかり]が虫[むし]を引[ひ]き付[つ]ける〉夜[よる]になると水銀灯[すいぎんとう]の明[あか]るい光に引[ひ]き付[つ]けられて、たくさんの虫が集[あつ]まってくる。♠◆人目[ひとめ]を引[ひ]き付[つ]ける〉街角[まちかど]にはられた一枚[いちまい]のポスターが、彼女[かのじょ]の目[め]を引き付けて放[はな]さなかった。♠●へ〈注意[ちゅうい]を引[ひ]き付[つ]ける>彼[かれ]が守衛[しゅえい]の注意を引き付けている間[あいだ]に、ぼくたちは塀[へい]を乗[の]り越[こ]え、屋敷[やしき]に忍[しの]びこみました。♠●〈人[ひと]を引[ひ]き付[つ]ける〉彼にはどこか人を引き付けずにはおかない不思議[ふしぎ]な魅力[みりょく]がある。♠●へ全身[ぜんしん]を引[ひ]き付[つ]ける〉毒蛇[どくへび]にかまれた男[おとこ]は、全身を引き付け、体[からだ]をかきむしるように苦[くる]しみだした。 **ひきつづく**【引き続く】○継続[けいぞく]する。[文例]総会[そうかい]が終[お]わりましたら、引[ひ]き続[つづ]いて懇親会[こんしんかい]に移[うつ]ります。♠◆この問題[もんだい]については、今後[こんご]も引[ひ]き続[つづ]き審議[しんぎ]を継続していきたい。 **ひきつ・る**【引きつる・引き攣る】○皮膚[ひふ]が縮[ちぢ]んでこわばる。固[かた]くこわばる。けいれんを起[お]こす。[文例]〈傷[きず]が引[ひ]きつる〉転[ころ]んだときにできた傷が引[ひ]きつって、腕[うで]がのばせない。♠〈顔[かお]が引[ひ]きつる>男[おとこ]は顔を引[ひ]きつらせ、こみ上[あ]げてくる怒[いか]りを必死[ひっし]に抑[おさ]えようとしている。♠●へ腹[はら]が引[ひ]きつる>床[とこ]に入[はい]ってうとうとするうちに、いきなり脇腹[わきばら]が引[ひ]きつって、ものすごく痛[いた]んだ。♠●へ声[こえ]が引[ひ]きつる〉電話[でんわ]に出[で]たとたんに、別人[べつじん]のように引[ひ]きつった姉[あね]の声が聞[き]こえた。 **ひきつ・れる**【引き連れる】○後[うし]ろに従[したが]える。連[つ]れて行[い]く。[文例]〈子[こ]を引[ひ]き連[つ]れる〉数日[すうじつ]たったある日[ひ]、夫[おっと]が家出[いえで]した息子[むすこ]を引[ひ]き連[つ]れてもどってきた。♠人家来[けらい]を引[ひ]き連[つ]れる〉桃太郎[ももたろう]は、犬[いぬ]と猿[さる]ときじを引[ひ]き連[つ]れて鬼[おに]が島[しま]に鬼退治[おにたいじ]に行[い]きました。 **ひきと・める**【引き止める・引き留める】○とどまらせる。思[おも]いとどまらせる。[文例]〈人[ひと]を引[ひ]き止[と]める〉ジュリエットは、少[すこ]しでも長[なが]くロミオを自分[じぶん]の部屋[へや]に引[ひ]き止[と]めておきたかった。♠◆人手もとに引[ひ]き止[と]める〉いつまでも親[おや]の手もとに引[ひ]き止[と]めておきたいと願[ねが]っても、いずれ子供[こども]は巣立[すだ]ってゆくものだ。 **ひきと・る**【引き取る】○受[う]け取[と]る。手[て]もとに置[お]く。息[いき]が絶[た]える。引[ひ]き下[さ]がる。[文例]〈物[もの]を引[ひ]き取[と]る〉新[あたら]しい冷蔵庫[れいぞうこ]をお届[とど]けに上[あ]がった時[とき]に、古[ふる]いのを引[ひ]き取[と]ります。♠●へ子供[こども]を引[ひ]き取[と]る>両親[りょうしん]をなくした子供を引[ひ]き取[と]り、育[そだ]てることにした。♠〈息[いき]を引[ひ]き取[と]る>祖母[そぼ]は、家族[かぞく]に見守[みまも]られながら静[しず]かに息を引き取りました。♠●〈言葉[ことば]を引[ひ]き取[と]る〉あの、と言[い]い出[だ]したぼくの言葉を引き取って、姉[あね]が店員[てんいん]にまくし立[た]てた。♠●御用[ごよう]がお済[す]みでしたら、どうぞお引[ひ]き取[と]りください。 **ひきぬ・く**【引き抜く】○引[ひ]っ張[ぱ]って抜[ぬ]き取[と]る。他[ほか]に所属[しょぞく]する人[ひと]をこちらに引[ひ]き込[こ]む。[文例]〈苗[なえ]を引[ひ]き抜[ぬ]く>苗が芽生[めば]えると、生育[せいいく]の悪[わる]いものは引[ひ]き抜[ぬ]き、よいものだけを残[のこ]しておきます。♠へくぎを引[ひ]き抜[ぬ]く〉柱[はしら]からくぎが出[で]ているよ、あぶないから引[ひ]き抜[ぬ]いておこう。♠●〈剣[けん]を引[ひ]き抜[ぬ]く〉男[おとこ]はす早[ばや]く剣を引き抜き、切[き]りかかっていった。♠●へ選手[せんしゅ]を引[ひ]き抜[ぬ]く〉チームのポイントゲッターであった選手が、ライバルチームに引[ひ]き抜[ぬ]かれてしまった。 **ひきのば・す**【引き伸ばす・引き延ばす】○引[ひ]いてのばす。時間[じかん]や期限[きげん]をのばす。拡大[かくだい]する。[文例]〈コードを引[ひ]き伸[の]ばす〉あと三[さん]メートルくらいコードを引[ひ]き伸[の]ばさないと、コンセントまで届[とど]かない。♠●〈写真[しゃしん]を引[ひ]き伸[の]ばす〉この二枚[にまい]の写真[しゃしん]は、もっと大[おお]きく引[ひ]き伸[の]ばしてもらおう。♠●へ金属[きんぞく]を引[ひ]き延[の]ばす>工場[こうじょう]では金属に熱[ねつ]を加[くわ]え、引[ひ]き延[の]ばす作業[さぎょう]が行[おこな]われていた。♠●へ審議[しんぎ]を引[ひ]き延[の]ばす〉これ以上[いじょう]審議を引[ひ]き延[の]ばすことはできない。♠●へ時間[じかん]を引[ひ]き延[の]ばす〉ディレクターから司会者[しかいしゃ]に時間[じかん]を引[ひ]き延[の]ばすサインが送[おく]られた。♠●へ支払[しはら]いを引[ひ]き延[の]ばす〉やむをえない事情[じじょう]のためとはいえ、社員[しゃいん]の給料[きゅうりょう]の支払いを引[ひ]き延[の]ばすようなことはしたくなかった。♠●〈期限[きげん]を引[ひ]き延[の]ばす>先生[せんせい]に頼[たの]みこめば、レポートの提出[ていしゅつ]期限を引き延ばしてくれるかもしれないよ。 **ひきはな・す**【引き離す】○引[ひ]っ張[ぱ]って離[はな]す。無理[むり]に離[はな]れさせる。間隔[かんかく]をあける。差[さ]をつける。[文例]〈人[ひと]と人[ひと]を引[ひ]き離[はな]す〉取[と]っ組[く]み合[あ]いをしている子供[こども]たちを、母親[ははおや]はやっとのことで引[ひ]き離[はな]した。♠◆へ人[ひと]と人[ひと]を引[ひ]き離[はな]す〉戦争[せんそう]によって引[ひ]き離[はな]された肉親[にくしん]と、彼[かれ]は二十年[にじゅうねん]ぶりに再会[さいかい]することができた。♠◆〈二人[ふたり]を引[ひ]き離[はな]す〉愛[あい]し合[あ]う仲[なか]の二人[ふたり]を引[ひ]き離[はな]すことは不可能[ふかのう]だ。♠へ後続[こうぞく]を引[ひ]き離[はな]す〉先頭[せんとう]の東[ひがし]ドイツの選手[せんしゅ]は、後続の選手を二百[にひゃく]メートル以上[いじょう]も引[ひ]き離[はな]している。♠◆他[ほか]を引[ひ]き離[はな]す〉デビューして三年[さんねん]、彼女[かのじょ]は同期[どうき]の歌手[かしゅ]たちを人気[にんき]の点[てん]で完全[かんぜん]に引[ひ]き離[はな]している。 **ひきはら・う**【引き払う】○取[と]り払[はら]ってよそへ移[うつ]る。[文例]〈下宿[げしゅく]を引[ひ]き払[はら]う〉就職[しゅうしょく]が決[き]まったので、今[いま]の下宿を引[ひ]き払[はら]って、会社[かいしゃ]の近[ちか]くにアパートを借[か]りることにした。♠◆◇土地[とち]を引[ひ]き払[はら]う〉父[ちち]の東京[とうきょう]での仕事[しごと]が軌道[きどう]に乗[の]ったら、この土地を引[ひ]き払[はら]って、一家[いっか]で東京に住[す]むことになります。 **ひきまわす**【引き回す・引き廻す】 ○引[ひ]いて連[つ]れ回[まわ]す。指導[しどう]し面倒[めんどう]を見[み]る。[文例]〈罪人[ざいにん]を引[ひ]き回[まわ]す〉重罪[じゅうざい]を犯[おか]した罪人は、縛[しば]られ馬[うま]に乗[の]せられて市中[しちゅう]を引[ひ]き回[まわ]された。♠◆万事[ばんじ]よろしくお引[ひ]き回[まわ]し下[くだ]さるようお願[ねが]いします。 **ひきもきらず**【引きも切らず】○ひっきりなしに。絶[た]えまなく。[文例] 電話[でんわ]相談[そうだん]のコーナーには、終日[しゅうじつ]相談や問[と]い合[あ]わせの電話がひきもきらずかかってくる。♠●会長[かいちょう]の家[いえ]には、正月[しょうがつ]には年始[ねんし]の客[きゃく]がひきもきらず訪[おとず]れます。 **ひきょう**【卑怯】○勇気[ゆうき]がなくて、ずるいさま。[文例]〈卑[ひ]きょうにも〉さっきまでの元気[げんき]はどこへやら、先生[せんせい]の姿[すがた]を見[み]ると、卑きょうにもまっさきに逃[に]げ出[だ]した。♠●〈卑[ひ]きょうなこと>弟[おとうと]は正義感[せいぎかん]が強[つよ]く、卑きょうなことは許[ゆる]せない性格[せいかく]です。♠●〈卑[ひ]きょうな手[て]〉相手[あいて]の弱[よわ]みにつけこむなんて、そんな卑きょうな手は使[つか]いたくないな。♠●〈卑[ひ]きょうなまね〉勝敗[しょうはい]は時[とき]の運[うん]だが、ただ母校[ぼこう]の名誉[めいよ]を汚[けが]す卑きょうなまねだけはしないでくれよ。♠●〈卑[ひ]きょうなふるまい〉彼女[かのじょ]は日[ひ]ごろから卑きょうなふるまいが多[おお]く、みんなから信用[しんよう]されていません。♠●へやり方[かた]が卑[ひ]きょう>子供[こども]たちをおもちゃで釣[つ]るようなそのやり方[かた]は、卑きょうだと思[おも]う。♠●へ卑[ひ]きょう者[もの]〉みんなから卑きょう者のらく印[いん]を押[お]された男[おとこ]は、やがて町[まち]から出[で]ていった。 <917> **ひきょう**【秘境】○まだ人[ひと]に知[し]られていない地域[ちいき]。[文例]〈ニューギニアの秘境[ひきょう]〉ニューギニアの秘境に、今[いま]も石器[せっき]時代[じだい]の生活[せいかつ]を営[いとな]む部族[ぶぞく]がいると聞[き]く。♠●〈秘境[ひきょう]のジャングル〉教授[きょうじゅ]の地位[ちい]を捨[す]て、博士[はかせ]は秘境のジャングルで医療[いりょう]活動[かつどう]を続[つづ]けた。 **ひきよ・せる**【引き寄せる】○引[ひ]いて手[て]もとに寄[よ]せる。[文例] <獲物[えもの]を引[ひ]き寄[よ]せる〉えさで獲物を引[ひ]き寄[よ]せ、近[ちか]づいて来[き]たところを生[い]け捕[ど]りにしよう。♠◆◇手[て]もとに引[ひ]き寄[よ]せる〉少年[しょうねん]は、枝[えだ]を手[て]もとに引[ひ]き寄[よ]せて実[み]をもぐと、うまそうにほおばった。 **ひきわけ**【引き分け】○勝負[しょうぶ]がつかずに終[お]わること。[文例]試合[しあい]は一対一[いちたいいち]の引[ひ]き分[わ]けだった。♠●これじゃあ、いつまでたっても勝負がつかない。引[ひ]き分[わ]けにしよう。 **ひきわた・す**【引き渡す】○他人[たにん]に渡[わた]す。長[なが]く張[は]って渡[わた]す。[文例]〈犯人[はんにん]を引[ひ]き渡[わた]す〉押[お]し入[い]った強盗[ごうとう]は、従業員[じゅうぎょういん]が取[と]り押[お]さえ引[ひ]き渡[わた]された。♠●〈綱[つな]を引[ひ]き渡[わた]す〉木[き]と木[き]の間[あいだ]に綱を引き渡して、それに脱[ぬ]いだシャツをかけておいた。 **ひきん**【卑近】○身近[みぢか]でありふれているさま。通俗[つうぞく]であるさま。[文例]〈卑近[ひきん]な話題[わだい]〉専門[せんもん]のことしか口[くち]にしない教授[きょうじゅ]が、どうした風[かぜ]のふきまわしか今日[きょう]の講義[こうぎ]では卑近な話題を取[と]り上[あ]げた。♠●〈卑近[ひきん]な例[れい]〉難[むずか]しい格言[かくげん]も、卑近な例を引[ひ]いて説明[せつめい]してもらえばよくわかる。♠●〈日常[にちじょう]卑近[ひきん]川柳[せんりゅう]は俳句[はいく]と同様[どうよう]五[ご]・七[しち]・五[ご]の句[く]からなる短詩[たんし]であるが、日常卑近のことがらを気[き]どらずこっけいに詠[よ]んでいる。 **ひ・く**【引く・弾く・曳く・牽く・惹く・挽く・碾く・轢く】 ○引っ張る。引っ張って行く。引きずる。誘い寄せる。抜き取る。選んで抜き出す。参照する。引用する。導き入れる。通じさせる。受け継ぐ。風邪にかかる。退く。消える。減じる。長くのばす。長く続く。一面に広げてのばす。演奏する。すりつぶす。のこぎりで引き切る。車が押しつぶす。[文例]<車[くるま]を引[ひ]く>牛[うし]がモーと車を引いていく。♠●へ手[て]を引[ひ]く>急[きゅう]に走[はし]り出[だ]すことがあるので、小[ちい]さい子[こ]は、しっかり手[て]を引[ひ]いてやってください。♠●へ客[きゃく]を引[ひ]く〉温泉町[おんせんまち]の駅[えき]に降[お]りると、旅館[りょかん]の小旗[こばた]を持[も]った男[おとこ]たちが客を引いていた。♠●〈カードを引[ひ]く>手品師[てじなし]は、まず一枚[いちまい]のカードを引[ひ]くと、それをいちばん上[うえ]にのせました。♠へ引[ひ]き金[がね]を引[ひ]く〉少年兵[しょうねんへい]は敵[てき]に向[む]かうと、目[め]をつぶって引[ひ]き金[がね]を引[ひ]いた。♠へ人[ひと]の目[め]を引[ひ]く〉ふだんあまり目立[めだ]たない子[こ]ですが、時々[ときどき]人[ひと]の目[め]を引[ひ]くような派手[はで]な洋服[ようふく]を着[き]たりします。♠へ気[き]を引[ひ]く〉サブのやつ、女[おんな]の子[こ]の気[き]を引[ひ]こうと一生懸命[いっしょうけんめい]になっている。♠●へ同情[どうじょう]を引[ひ]く〉役人[やくにん]の同情を引こうと、男[おとこ]はことさら貧[まず]しい身[み]なりでやってきた。♠●〈注意[ちゅうい]を引[ひ]く〉おれが敵[てき]の注意を引[ひ]きつけておくから、その間[あいだ]に裏[うら]へ回[まわ]れ。♠●〈後[うし]ろ髪[がみ]を引[ひ]く>男たちは、愛[あい]する者[もの]たちを残[のこ]し、後ろ髪を引かれる思[おも]いで戦場[せんじょう]へ赴[おもむ]いたという。♠●〈引[ひ]く手[て]あまた〉当[とう]学院[がくいん]の出身者[しゅっしんしゃ]は、企業[きぎょう]から評判[ひょうばん]がよく、引く手あまたです。♠●〈くじを引[ひ]く〉三千円[さんぜんえん]以上[いじょう]の買[か]い物[もの]をすると、その場[ば]で一本[いっぽん]、スピードくじを引[ひ]くことができます。♠へたとえを引[ひ]く〉物事[ものごと]を説明[せつめい]するのに、わかりやすいたとえを引[ひ]くのも一[ひと]つの方法[ほうほう]です。♠●〈例[れい]を引[ひ]く>現代[げんだい]の学校[がっこう]教育[きょういく]の問題点[もんだいてん]を、さまざまの例[れい]を引[ひ]いて説明[せつめい]します。♠〈電話[でんわ]・ガス・水道[すいどう]を引[ひ]く〉こんな山奥[やまおく]だが、電話も引[ひ]いたし、残[のこ]るは水道とガスだけだ。♠●へ血筋[ちすじ]を引[ひ]く〉両親[りょうしん]の優[すぐ]れた血筋を引いてか、その子[こ]は数学[すうがく]に関[かん]してはすばらしい才能[さいのう]をもっていた。♠●〈風邪[かぜ]をひく〉頭[あたま]が痛[いた]いし、鼻[はな]もつまる。どうやら風邪をひいたらしい。♠〈潮[しお]が引[ひ]く>遠浅[とおあさ]の砂浜[すなはま]なので、潮が引くと格好[かっこう]の潮干狩[しおひが]りの場[ば]となる。♠●へ水[みず]が引く>昨日[きのう]からの雨[あめ]はすっかり上[あ]がったが、グラウンドの水はまだ引いていない。♠●へはれがひく〉打[うち]ち身[み]の部分[ぶぶん]のはれはひいたが、まだ痛[いた]みは残[のこ]っている。♠●〈手[て]を引[ひ]く〉他人[たにん]に迷惑[めいわく]のかかる事[こと]とは知[し]らなかった。ぼくは手[て]を引[ひ]くからね。♠●〈身[み]を引[ひ]く〉妹[いもうと]のためならと、姉[あね]はひそかに思[おも]う若者[わかもの]から身を引いたのであった。♠●へ引[ひ]くに引[ひ]かれず〉文句[もんく]のあるやつは出[で]てこいと言[い]ったてまえ、引くに引かれず困[こま]ってしまった。♠へ数[かず]を引[ひ]く〉総員[そういん]から欠席者[けっせきしゃ]の数を引[ひ]いてください。♠●〈線[せん]を引[ひ]く〉きみの文章[ぶんしょう]のおかしい所[ところ]に線を引[ひ]いておいたから、読[よ]み直[なお]してごらん。♠●へ後[あと]を引[ひ]く〉ピーナッツを食[た]べ始[はじ]めると後を引いて、結局[けっきょく]一袋[ひとふくろ]あけてしまう。♠●へ辞書[じしょ]を引[ひ]く〉使[つか]い方[かた]の分[わ]からない言葉[ことば]があったら、この辞典[じてん]を引[ひ]いてみてください。♠◆へ値段[ねだん]を引[ひ]く〉この品[しな]は、ちょっと難[なん]がありますので、一割引[いちわりび]いておきます。♠◆ヘカーテンを引く>日[ひ]が差[さ]し込[こ]むから、窓[まど]のカーテンを引[ひ]いてください。♠〈油[あぶら]を引[ひ]く〉なべが温[あたた]まったら、油を引[ひ]きます。♠へ楽器[がっき]を弾[ひ]く〉彼[かれ]がギターを弾[ひ]いている間[あいだ]に、きみたちは次[つぎ]の演奏[えんそう]の準備[じゅんび]をしてくれ。♠◆<豆[まめ]をひく〉好[す]きなコーヒー豆をひいた時の、あの香[かお]りはたまらないね。♠車[くるま]が人[ひと]をひく万[まん]一人[ひと]をひいたりしたら大変[たいへん]です。酔[よ]っ払[ぱら]い運転[うんてん]はやめてください。 **ひく・い**【低い】○下[した]の位置[いち]にある。上[うえ]から下[した]までの寸法[すんぽう]が小[ちい]さい。程度[ていど]が下[した]である。低音[ていおん]である。音声[おんせい]が小[ちい]さい。[文例]〈南[みなみ]の空[そら]に低[ひく]く〉さそり座[ざ]は、夏[なつ]の南の空に低く大[おお]きなSの字[じ]を描[えが]く、目[め]につきやすい星座[せいざ]です。♠●〈背[せ]が低[ひく]い〉彼[かれ]は背は低いが、馬力[ばりき]のある男[おとこ]だ。♠へ低[ひく]い山[やま]〉この一帯[いったい]は、丘[おか]といってもよいくらいの低い山が続[つづ]きます。♠●へ温度[おんど]が低[ひく]い>体温[たいおん]は、夕方[ゆうがた]よりも朝[あさ]のほうが低い。♠●へ緯度[いど]が低[ひく]い>緯度が低いということは、赤道[せきどう]に近[ちか]いということです。♠◆人身分[みぶん]・地位[ちい]が低[ひく]い>明治[めいじ]維新[いしん]を実現[じつげん]したのは、身分や地位の低い武士[ぶし]たちであった。♠◆<程度[ていど]が低[ひく]い〉この町[まち]は、産業[さんぎょう]は発達[はったつ]していますが、文化[ぶんか]の程度は低いように思[おも]えます。♠●〈低[ひく]いものの言[い]い方[かた]>彼[かれ]はおとなしい男[おとこ]で、どんな相手[あいて]にも一段[いちだん]低いものの言い方をします。♠●〈腰[こし]が低[ひく]い〉一見[いっけん]偉[えら]そうな感[かん]じもしますが、あれでなかなか腰の低い人[ひと]なのです。♠●へ声[こえ]が低[ひく]い>変声期[へんせいき]になると、男[おとこ]の子[こ]は声が低くなります。♠●へ低[ひく]い声[こえ]>子供[こども]たちに聞[き]こえるから、もっと低い声で話[はな]してちょうだい。 **ひくつ**【卑屈】○いじけて小[ちい]さくなっているさま。[文例]〈卑屈[ひくつ]になる>自分[じぶん]に自信[じしん]があれば、人前[ひとまえ]でこびを売[う]ったり、機嫌[きげん]を取[と]って卑屈になることはない。♠●〈卑屈[ひくつ]な態度[たいど]>きみは悪[わる]くないのだから、相手[あいて]に対[たい]してそんな卑屈な態度をとることはない。♠●〈卑屈[ひくつ]な性格[せいかく]〉幼[おさな]いころからいためつけられ、少年[しょうねん]はすっかり卑屈な性格の持[も]ち主[ぬし]になってしまった。 <918> **ひくて**【引く手】○差[さ]し招[まね]く人[ひと]。舞[まい]の引[ひ]き寄[よ]せる手[て]ぶり。[文例]〈引[ひ]く手[て]あまた〉当[とう]学院[がくいん]で最先端[さいせんたん]の技術[ぎじゅつ]を身[み]につけた卒業生[そつぎょうせい]たちは、企業[きぎょう]からも引く手あまたです。♠●へ引[ひ]く手[て]あまず>器量[きりょう]よしの娘[むすめ]さんだから、縁談[えんだん]も引く手あまでしょうねえ。 **びくとも** ○(打[う]ち消[け]しの形[かたち]で)全[まった]く動[うご]かないさま。[文例]〈びくともしない〉この建物[たてもの]は土台[どだい]がしっかりしているので、少[すこ]しくらいの地震[じしん]にはびくともしない。 **びくびく** ○おじけづくさま。恐[おそ]れるさま。小刻[こきざ]みに震[ふる]えるさま。[文例]〈びくびくする〉いつ敵軍[てきぐん]が上陸[じょうりく]するか、びくびくしていた。♠へびくびくもの〉学芸会[がくげいかい]では、我[わ]が子[こ]が失敗[しっぱい]しゃしないかとびくびくものでした。 **ひぐれ**【日暮れ】○日[ひ]の暮[く]れるころ。夕暮[ゆうぐ]れ。[文例]夢中[むちゅう]で遊[あそ]んでいるうちに、いつの間[ま]にか日暮れになった。♠●待[ま]ちくたびれて、少年[しょうねん]はすごすごと日暮れの道[みち]を帰[かえ]って行[い]った。♠◆曼珠沙華[まんじゅしゃげ]咲[さ]く野[の]の日暮[ひぐ]れはなにかなしにきつねが出[で]るとおもふ大人[おとな]の今[いま]も(木下[きのした]利玄[りげん]) **ひけ**【引け・退け】○劣[おと]ること。おくれ。仕事[しごと]を終[お]えて退出[たいしゅつ]すること。[文例]〈引[ひ]けをとる〉昔[むかし]の人[ひと]の知恵[ちえ]は、決[けっ]してわれわれ現代人[げんだいじん]に引けをとるものではない。♠●へ引[ひ]けをとらない〉少年[しょうねん]はサッカーが好[す]きで、上級生[じょうきゅうせい]にも引けをとらなかった。♠●〈会社[かいしゃ]の引[ひ]け〉今日[きょう]は土曜[どよう]だから、会社は一時[いちじ]で引けよ。 **ひげ**【髭・鬚・髥】○人[ひと]や動物[どうぶつ]の口[くち]の周辺[しゅうへん]に生[は]える毛[け]。また、それに似[に]た物[もの]。[例]〈ひげを生[は]やす〉まあ、おじさん、ひげなんか生やしてるからだれかと思[おも]ったわ。♠●へひげが濃[こ]い>彼[かれ]は、ひげの濃い男[おとこ]だった。♠●へなまずのひげ〉〈ひげを立[た]てる〉そのとき、突然[とつぜん]、ひげをぴんと立[た]てた一匹[いっぴき]の大[だい]なまずが、踊[おど]るがごとく流[なが]れを泳[およ]いでくるのを見[み]た。♠●へひげのちりを払[はら]う〉大切[たいせつ]な得意先[とくいさき]の社長[しゃちょう]だからというので、ひげのちりを払うようにもてなした。♠●へひげをたくわえる〉祖父[そふ]の父親[ちちおや]だという、ひげをたくわえふんぞり返[かえ]った男[おとこ]の写真[しゃしん]が出[で]てきた。♠●へひげをそる>鬚剃[ひげそり]ルヤ上野[うえの]ノ鐘[かね]ノ霞[かす]ム日ニ(正岡[まさおか]子規[しき]) **ひげ**【卑下】○実際[じっさい]より自分[じぶん]を低[ひく]く見[み]せること。[文例]〈自分[じぶん]を卑下[ひげ]する〉そんなに自分を卑下するものではないよ。もっと自分に自信[じしん]をもちたまえ。♠●へ生[う]まれを卑下[ひげ]する〉彼[かれ]はなぜか自分[じぶん]の生[う]まれをひどく卑下し、そのことについてはあまり話[はな]したがらない。 **ひげき**【悲劇】○人[ひと]の不幸[ふこう]や悲惨[ひさん]な運命[うんめい]を題材[だいざい]にした演劇[えんげき]。悲惨な出来事[できごと]。[文例]〈悲劇[ひげき]のヒロイン〉この不幸の中[なか]で、彼女[かのじょ]は自分を悲劇のヒロインに仕立[した]てていた。♠●〈悲劇[ひげき]を演[えん]じる〉彼女は計算[けいさん]ずくで悲劇を演じてみせ、他人[たにん]の同情[どうじょう]を買[か]おうとした。♠●〈悲劇[ひげき]が始[はじ]まる〉思[おも]いおこせば、あの時[とき]すでに悲劇が始まっていたのである。♠●〈悲劇[ひげき]が起[お]こる>幸福[こうふく]にくらしていた家族[かぞく]に、思[おも]いもかけぬ悲劇が起こった。♠〈悲劇[ひげき]を生[う]む>車[くるま]を運転[うんてん]していると、一瞬[いっしゅん]の判断[はんだん]の誤[あやま]りが基[もと]で一生[いっしょう]の悲劇を生むことがある。♠●〈悲劇[ひげき]に終[お]わる〉彼[かれ]の再出発[さいしゅっぱつ]が悲劇に終わろうなどとは思[おも]ってもみなかった。♠●〈悲劇的[ひげきてき]〉その事件[じけん]の悲劇的な結末[けつまつ]は、関係者[かんけいしゃ]の涙[なみだ]を誘[さそ]った。 **ひけつ**【否決】○議案[ぎあん]を承認[しょうにん]しないことを議決[ぎけつ]すること。→可決[かけつ][文例]否決[ひけつ]する〉審議[しんぎ]にかけられた予算案[よさんあん]は、野党[やとう]の反対[はんたい]にあって否決された。 **ひけつ**【秘訣】○特別[とくべつ]なよい方法[ほうほう]。[文例]〈料理[りょうり]の秘[ひ]けつ〉火[ひ]を止[と]める直前[ちょくぜん]にワインをちょっとたらすのが、この料理をおいしくする秘けつだ。♠●へ健康[けんこう]の秘[ひ]けつ>毎朝[まいあさ]三キロ[さんきろ]のジョギングを欠[か]かさないこと、それが氏[し]の健康の秘けつだ。♠●〈成功[せいこう]の秘[ひ]けつ>博士[はかせ]の成功の秘けつは、ちょっとした発想[はっそう]の転換[てんかん]にありました。♠●へ合格[ごうかく]の秘[ひ]けつ〉努力[どりょく]すること以外[いがい]に、合格の秘けつなどないと思[おも]う。♠●〈秘[ひ]けつを教[おし]える〉どうすればそんなにスマートになれるのか、その秘けつを教えてよ。 **ひけめ**【引け目】○自分[じぶん]が劣[おと]っていると感[かん]じること。劣等感[れっとうかん]。[文例]〈引[ひ]け目[め]がない〉きみと違[ちが]って、ぼくはあの人[ひと]に対[たい]する引け目など何[なに]もない。♠●へ引[ひ]け目[め]がある>学校[がっこう]の成績[せいせき]ではかなわなかったという引け目があるので、彼女[かのじょ]には今[いま]でも頭[あたま]があがりません。♠◆へ引[ひ]け目[め]になる〉大金持[おおがねも]ちの家[いえ]に育[そだ]ったことが、高山[たかやま]さんの引け目になっているとは知[し]らなかった。♠た。♠へ引[ひ]け目[め]に思[おも]う〉妹[いもうと]はあまり歌[うた]がうまくないことを、かなり引け目に思っている。♠へ引[ひ]け目[め]を感[かん]じる〉ぼくは今度[こんど]の事件[じけん]を起[お]こした張本人[ちょうほんにん]として、みんなに引け目を感じていました。 **ひけらか・す**○見[み]せびらかす。[文例]〈指輪[ゆびわ]をひけらかす〉おばさんが指[ゆび]にはめたダイヤの指輪をひけらかそうとしているのが、ぼくにはすぐにわかった。♠◆◇自慢[じまん]げにひけらかす〉弟[おとうと]は買[か]ってもらったラジコンを、近所[きんじょ]の子供[こども]たちに自慢げにひけらかしている。♠〈才能[さいのう]をひけらかす〉ひかえめな彼女[かのじょ]には、自分[じぶん]の才能をひけらかすようなところが少[すこ]しもな。♠知識[ちしき]をひけらかす〉なまはんかな知識をひけらかしていると、みんなから軽[かる]い人間[にんげん]だと思[おも]われるよ。♠◆へ腕[うで]をひけらかす>昔気質[むかしかたぎ]のその職人[しょくにん]は、自分[じぶん]の腕をひけらかすようなことは絶対[ぜったい]にしない。 **ひ・ける**【引ける・退ける】○気[き]おくれする。仕事[しごと]などが終わる。また、終[お]わって退出[たいしゅつ]する。[文例]〈気[き]が引[ひ]ける不用品[ふようひん]ですからどうぞと言[い]われても、やはりただでもらうというのは気が引ける。♠〈学校[がっこう]が引[ひ]ける〉今日[きょう]、学校が引けたら、ぼくの家[うち]に来[こ]ないかい。 **ひけん**【比肩】○肩[かた]を並[なら]べること。劣[おと]らないこと。[文例]比肩[ひけん]する〉戦後[せんご]の日本[にほん]の復興[ふっこう]は目覚[めざ]ましく、経済的[けいざいてき]には世界[せかい]の大国[たいこく]に比肩するまでになった。 **ひげんじつてき**【非現実的】○現実的[げんじつてき]でないさま。[文例]〈非現実的[ひげんじつてき]なロマン〉科学[かがく]的精神[せいしん]の発達[はったつ]した人[ひと]は、非現実的なロマンをあほらしいと思[おも]うことでしょう。♠●へ非現実的[ひげんじつてき]な考[かんが]え〉きみの考えは理想[りそう]かも知[し]れないが、非現実的で、実際[じっさい]には不可能[ふかのう]だ。 **ひご**【庇護】○かばい守[まも]ること。[文例]〈庇護[ひご]を受[う]ける〉室町[むろまち]時代[じだい]、古来[こらい]の猿楽[さるがく]・田楽[でんがく]を世阿弥[ぜあみ]らが足利[あしかが]将軍[しょうぐん]の庇護を受けて能[のう]・狂言[きょうげん]に高[たか]めました。♠●〈庇護[ひご]する〉わたしたちは、両親[りょうしん]に庇護される位置[いち]にあって、それを当然[とうぜん]として少[すこ]しも疑[うたが]わない。 <919> ♠●へ庇護[ひご]の下[もと]>当時[とうじ]の文人[ぶんじん]は、商人[しょうにん]などの庇護の下にあって仕事[しごと]を続[つづ]けた。 **ひこう**【非行】○よくない行[おこな]い。[文例]〈非行[ひこう]に走[はし]る>非行に走っても、その第一[だいいち]の責任[せきにん]は自分[じぶん]自身[じしん]にあるのです。♠へ非行[ひこう]少年[しょうねん]〉そんなささいなことで、その子[こ]に非行少年のレッテルをはっていいのですか。 **ひこう**【飛行】○空中[くうちゅう]を飛[と]ぶこと。[文例]〈チョウの飛行[ひこう]〉チョウの飛行の実態[じったい]を追跡[ついせき]してみようと思[おも]う。♠●〈飛行[ひこう]する〉鳥[とり]のように自由[じゆう]に大空[おおぞら]を飛行することは、古来[こらい]から人類[じんるい]のあこがれだった。♠〈飛行機[ひこうき]〉〈無着陸[むちゃくりく]飛行[ひこう]〉ライト兄弟[きょうだい]の飛行機の発明[はつめい]からわずか二十四年後[にじゅうよねんご]に、リンドバーグは大西洋[たいせいよう]無着陸横断[おうだん]飛行に成功[せいこう]した。 **ひごう**【非業】○前世[ぜんせ]で犯[おか]した罪[つみ]の報[むく]いではなく、受[う]けるいわれのないこと。[文例]〈非業[ひごう]の死[し]>志[こころざし]半[なか]ばにして非業の死を遂[と]げた木村[きむら]は、さぞ無念[むねん]だったろう。♠●〈非業[ひごう]の最期[さいご]>坂本[さかもと]龍馬[りょうま]は、幕末[ばくまつ]の動乱[どうらん]の中[なか]で非業の最期を遂げた。 **びこう**【備考】○参考[さんこう]のために書[か]き添[そ]えること。また、その事柄[ことがら]。[文例]<備考欄[びこうらん]>表[ひょう]の右端[みぎはし]には備考欄があって、参考事項が書[か]き込[こ]めるようになっていた。 **びこう**【尾行】○人[ひと]のあとをつけて行[い]くこと。[文例]〈尾行[びこう]する不審[ふしん]な男[おとこ]を尾行してみると、怪[あや]しげな古[ふる]い倉庫[そうこ]へ入[はい]って行[い]った。♠へ尾行[びこう]をまく〉容疑者[ようぎしゃ]の行[い]く先[さき]をつきとめようと尾行を続[つづ]けたが、途中[とちゅう]でまかれてしまった。 **びこう**【微光】○かすかな光[ひかり]。[文例]〈微光[びこう]が差[さ]す〉東[ひがし]の空[そら]がうっすらと白[しら]んで、微光が差[さ]し始[はじ]め、夜[よる]が次第[しだい]に明[あ]けてゆく。 **びこう**【鼻孔】○鼻[はな]の穴[あな]。[文例] <鼻孔[びこう]を膨[ふく]らませる〉昔[むかし]は大会[たいかい]で優勝[ゆうしょう]したこともあるぞと、おじさんは鼻孔を膨らませて得意[とくい]そうに言[い]った。♠●へ鼻孔[びこう]をひくつかす〉言葉[ことば]を探[さが]す時の癖[くせ]で、彼[かれ]は鼻孔をひくつかせ口[くち]をもぐもぐさせた。 **ひこうしき**【非公式】○正式[せいしき]に定[さだ]められたものでないこと。[文例]〈非公式[ひこうしき]の参拝[さんぱい]〉大臣[だいじん]は、今回[こんかい]の靖国[やすくに]神社[じんじゃ]への参拝は個人的[こじんてき]な行為[こうい]で、非公式のものであると述[の]べた。♠◆非公式な会談[かいだん]>葬儀[そうぎ]に出席[しゅっせき]した各国[かっこく]首脳[しゅのう]の間[あいだ]で非公式な会談がもたれた。 **ひごうほう**【非合法】○法律[ほうりつ]に合[あ]っていないこと。[文例]〈非合法[ひごうほう]な活動[かつどう]>軍事[ぐんじ]政権下[せいけんか]で、民主化[みんしゅか]に努力[どりょく]する人々[ひとびと]は非合法な地下[ちか]活動[かつどう]を行[おこな]っていた。 **ひこく**【被告】○裁判[さいばん]に訴[うった]えられた人[ひと]。[文例]有罪[ゆうざい]の判決[はんけつ]を受[う]けた被告は、ただちに控訴[こうそ]した。♠●〈被告席[ひこくせき]〉わたしは、法廷[ほうてい]の被告席に立[た]たされることになった。 **ひごろ**【日ごろ・日頃】○ふだん。平生[へいぜい]。平素[へいそ]。近[ちか]ごろ。[文例]〈日[ひ]ごろから〉日ごろから、火災[かさい]や地震[じしん]に備[そな]えて訓練[くんれん]しておく必要[ひつよう]がある。♠◆〈日[ひ]ごろの努力[どりょく]〉日ごろの努力が実[み]を結[むす]び、念願[ねんがん]の甲子園[こうしえん]出場[しゅつじょう]を果[は]たした。♠●〈日[ひ]ごろの行[おこな]い〉日ごろの行いが悪[わる]いから、いざという時[とき]ものごとがスムーズに運[はこ]ばないのだ。♠●〈日[ひ]ごろの元気[げんき]娘[むすめ]の結婚[けっこん]に、父親[ちちおや]は日ごろの元気もどこへやら、すっかりふさぎこんでしまった。♠◆日[ひ]ごろ鍛[きた]えた体[からだ]を試[ため]そうと、全国[ぜんこく]から数百[すうひゃく]人[にん]の若者[わかもの]がこの大会[たいかい]に参加[さんか]しました。♠●〈常[つね]日[ひ]ごろ〉常日ごろ彼[かれ]には目[め]をかけてやっていたのに、一言[ひとこと]のあいさつもなしにどこかへ行[い]ってしまった。 **ひざ**【膝】○脚[あし]の中[なか]ほどにある関節[かんせつ]の前側[まえがわ]。[例]渓流[けいりゅう]では釣[つ]り人[びと]がひざまでつかって、糸[いと]を垂[た]れていた。♠●へひざを曲[ま]げる〉ひざを曲げたり、首[くび]を回[まわ]したり、おばあちゃんが庭[にわ]で体操[たいそう]をしている。♠●〈ひざをつく〉百姓[ひゃくしょう]たちは道[みち]にひざをついて、代官[だいかん]が通[とお]るのを待[ま]った。♠●ヘズボンのひざが抜[ぬ]ける〉どこで転[ころ]んだのか、学校[がっこう]から帰[かえ]った弟[おとうと]のズボンのひざが抜けていた。♠●へひざを崩[くず]す〉どうぞひざを崩して、お楽[らく]になさってください。♠●〈ひざを打[う]つ〉妙案[みょうあん]を思[おも]い付[つ]いたらしくポンとひざを打[う]つと、番頭[ばんとう]さんは部屋[へや]から出[で]ていった。♠●〈ひざを乗[の]り出[だ]す〉彼[かれ]のおもしろい話[はなし]に、子供[こども]たちはひざを乗[の]り出[だ]して聞[き]き入[い]った。♠●〈ひざを交[まじ]える〉ひざを交えて話[はな]し合[あ]えば理解[りかい]しあうこともできよう。♠●へひざをつきあわす〉彼女[かのじょ]の部屋[へや]でひざをつきあわして話[はな]し合[あ]った結論[けつろん]がこれです。♠●へひざを送[おく]る〉まだ座[すわ]れない方[かた]がいますので、もう少し中[なか]へひざを送ってください。 **ひさい**【被災】 災害[さいがい]・災難[さいなん]にあうこと。[文例]〈被災者[ひさいしゃ]〉原爆[げんばく]の被爆者[ひばくしゃ]を主人公[しゅじんこう]としたこの作品[さくひん]は、被災者にささげる鎮魂賦[ちんこんふ]であろう。♠◆人被災[ひさい]を免[まぬか]れる>空襲[くうしゅう]のあった日[ひ]、わたしは親戚[しんせき]の家[いえ]に行[い]っていて、被災を免れた。♠へ被災[ひさい]する〉〈被災地[ひさいち]>地震[じしん]のあった当日[とうじつ]、たまたま被災地を訪[おとず]れていて被災した観光客[かんこうきゃく]も多[おお]かった。 **びさい**【微細】○非常[ひじょう]に細[こま]かいさま。[文例]〈微細[びさい]なガラス屑[くず]>床[ゆか]には微細なガラス屑[くず]のようなものが降[ふ]り積[つ]もっている。♠◆微細[びさい]に追究[ついきゅう]する〉小説[しょうせつ]の中[なか]で作者[さくしゃ]は、複雑[ふくざつ]な人間[にんげん]の心理[しんり]の動[うご]きを微細に追究している。 **ひざかり**【日盛り】○一日[いちにち]のうちで日[ひ]が最[もっと]も強[つよ]く差[さ]すころ。[文例]〈昼[ひる]の日盛[ひざか]り〉昼の日盛り、公園[こうえん]は昼休[ひるやす]みのサラリーマンであふれていた。♠〈真夏[まなつ]の日盛[ひざか]り〉真夏の日盛りに帽子[ぼうし]もかぶらずに外[そと]へ出[で]たら、日射病[にっしゃびょう]になってしまうわよ。 **ひさく**【秘策】○秘密[ひみつ]の策略[さくりゃく]。[文例]〈秘策[ひさく]をさずける〉両親[りょうしん]から旅行[りょこう]の許可[きょか]が出[で]なくて困[こま]っていたら、クラブの先輩[せんぱい]が秘策をさずけてくれた。♠●へ秘策[ひさく]を練[ね]る〉文化祭[ぶんかさい]の出[だ]し物[もの]を決[き]めるために、各[かく]クラスは秘策を練り始[はじ]めた。 **ひさし**【廂・庇】○家[いえ]の軒[のき]から窓[まど]や出入[でい]り口[ぐち]の上[うえ]などに差[さ]し出[だ]した小[ちい]さな屋根[やね]。帽子[ぼうし]のつば。[文例]校舎[こうしゃ]のひさしから落ちる雨[あめ]の滴[しずく]を手のひらに受[う]けていた。♠●へひさしを貸[か]して母屋[おもや]を取[と]られる>家主[やぬし]が借家人[しゃくやにん]に対[たい]して、「ひさしを貸して母屋を取られる」無念[むねん]を味[あじ]わうこともあるらしい。 しい。♠◆<帽子[ぼうし]のひさし〉降[ふ]り出[だ]した雪[ゆき]が帽子のひさしや外套[がいとう]の肩[かた]に積[つ]もっていた。 **ひざし**【日差し・陽射し・日射し】○日[ひ]が差[さ]すこと。日[ひ]の光[ひかり]。[文例]〈日差[ひざ]しが強[つよ]い〉六月[ろくがつ]になると、日差しはいちだんと強くなった。♠●へ暑[あつ]い日差[ひざ]し〉暑い日差しの下[した]で、腰[こし]をかがめ、雑草[ざっそう]を取[と]る作業[さぎょう]は大変[たいへん]な仕事[しごと]です。♠●〈日差[ひざ]しを浴[あ]びる〉あったかい春[はる]の日差しを浴びて、川[かわ]と一日[いちにち]じゅう遊[あそ]んで暮[く]らす、ノリオは小[ちい]さい神様[かみさま]だった。(いぬいとみこ「川とノリオ」) **ひさん**【悲惨・悲酸】○むごたらしく痛[いた]ましいさま。 <920> **ひさし・い【久しい】** ○長い時間がたっている。[文例]〈久しく会わない>最後に会ったのはいつだったか、彼女にはもう久しく会っていません。●へ久しく見ないうちに〉久しく見ないうちに、ずいぶん背がのびたじゃないか。●へ久しく聞かない〉一時期爆発的[ばくはつてき]に流行したその言葉も、最近久しく聞いていない。●へ幾久[いくひさ]しく〉これからも幾久しくおつき合いのほど、よろしくお願いいたします。●へ〜して久しい〉彼から便りがなくなって久しい。 **ひさしぶり【久し振り】** ○長い時間が経過したこと。ひさかたぶり。[文例]よう、久し振りに会ったね。●下町の路地で、久し振りで懐[なつ]かしい金魚売りの声を聞いた。●久し振りの雨で庭の土はしっとりぬれ、草の芽がいっそうふくらんだ。 **ひさびさ【久久】** ○ひさしぶり。[文例]その夜、わたしは久々に古い日記を持ち出して読み返してみた。●先日、久々で冬のオホーツク沿岸を旅した。◆久々の電話だったが、彼女は学生時代と変わらず元気いっぱいだった。 **ひざまずく(脆く)** ○ひざをついてかがむ。文例〈床にひざまずく〉少女は、マリア像の前で床にひざまずき熱心に祈りました。●へ足もとにひざまずく>若者は、その美しい乙女[おとめ]の足もとにひざまずいた。●〈古典の前にひざまずく〉師は、「良書は心の糧[かて]」と言われ、声価の定まった古典の前に虚心にひざまずけとも言われた。 **ひさめ【氷雨】** ○みぞれ。冷たい雨。ひょう。あられ。[文例]〈氷雨が降る〉夕方から降り始めた氷雨が、夜になると雪になった。 **ひざもと【ひざ元・ひざ下】(膝元・膝下)** ○ひざのそば。保護・養育してくれる人の身近。居城・本拠のある所。[文例]〈ひざ元に引き寄せる〉彼は、手を伸ばして灰皿をひざ元に引き寄せると、たばこを取り出した。●<親のひざ元〉もう一度、幼いころに返って、両親のひざ元で安楽に暮らしたい、と思うことがある。●へ将軍のおひざ元〉江戸は「将軍のおひざ元」で政治の中心地であるのに対し、大阪は経済の中心地で「天下の台所」といわれた。 **ひさん【悲惨・悲酸】** ○むごたらしく痛ましいさま。[文例]〈悲惨な事件〉この物語は静かな農村に起こった悲惨な事件の場面から始まる。●〈悲惨な光景〉事故現場に広がる悲惨な光景に、人々は思わず目をそむけました。●〈悲惨な結果二人の醜[みにく]い争いがやがて悲惨な結果を招くことになる。●〈悲惨な最期[さいご]〉一代で富と名声を得たその男も、旅行先のヨーロッパで悲惨な最期を遂[と]げたそうだ。●〈悲惨な戦争〉映画は二人の若者の生き方を通して、悲惨な戦争の姿を訴[うった]えようとしています。 **ひじ(肘・肱・臂)** ○腕の関節の外側の部分。曲がって突き出た形をしたもの。[文例]〈ひじをつく〉わたしは机の上にひじをつき、頭をかかえて考えこんでいた。●へひじでつつく〉こらこら、隣の子をひじでついていないで、黒板の方を見なさい。●へひじでこづく〉「もう、変なこと言うんだから・・・・・・。」と、彼女にひじでこづかれた。 **ひしがた【ひし形】(菱形)** ○ヒシの実のような形。四つの辺の長さが等しく、どの角も直角でない四辺形。[文例]へひし形のたこ〉ひし形のたこを作って飛ばしてみました。●へひし形の模様〉ひし織というのは、織物の一種で、ひし形の模様が浮き出るように布を織ったものです。●〈ひし形に組む〉その家の周りには、竹をひし形に組んだ垣根[かきね]が巡[めぐ]らしてあった。 **ひし・ぐ(拉ぐ)** ○押しつぶす。勢いをくじく。[文例]〈鬼をもひしぐ〉勇名高きかの武将は、敵陣[てきじん]深く攻め入って、鬼をもひしぐはたらきをみせた。●へ鼻をひしぐ〉何とかあの高慢な男の鼻をひしいでやりたいものだ。●へ打ちひしぐ〉うち続く日照りに一帯の農民たちは打ちひしがれていた。 **ひし・げる♪ひしゃ・げる** **ビジネス** ○職務。業務。商取引。[文例]友人同士でも仕事のことは、ビジネスとして割り切って考えよう。●ヘサイドビジネス〉休日を利用したサイドビシネスとして、翻訳[ほんやく]を始めようと思う。ヘビジネスライク〉仕事上の打ち合わせは私情[しじょう]をはさまず、ビジネスライクに進めるのがよい。 **ひしひし(森森)** ○強く身に迫るさま。深く身にしみるさま。[文例]〈ひしひしと感じる〉秋も深まると、ひとり身の寂しさがひしひしと感じられます。へひしひしと迫る>葉を落とした木々の間を行くわたしに、初冬の気配がひしひしと迫ってくる。 **びしびし** ○手きびしいさま。強く打つさま。[文例]へびしびしとしかる〉先生、言うことを聞かないようでしたら、びしびしとしかってやってください。へびしびし仕込む〉入社したてのわたしは、先輩にびしびし仕事を仕込まれた。 **ひしめく(犇めく)** ○大勢の人が集まって押し合い、どよめく。[文例]〈群衆がひしめく〉広場にひしめく群衆の数は、すでに三百人を超えています。●へ女の子がひしめく〉スターの姿を一目見ようという若い女の子がテレビ局前にひしめいていた。観客がひしめく>昨日までとはうってかわって、会場にはたくさんの観客がひしめいていた。へ家がひしめく〉この狭い一角に、七十軒以上の家が軒[のき]を並べてひしめいている。 **ひしゃく(柄杓)** ○水をすくう柄の長い道具。[文例]柄杓を使って玄関前に打ち水をし、お客様を迎える準備をした。●お寺で借りた手おけと柄杓で、お墓を清め花を供えた。 **びじゃく【微弱】** ○ごく弱く、かすかなさま。[文例]〈効果が微弱>期待された販売作戦も、効果は微弱で思わしい成績をあげられなかった。●〈微弱な電流〉この機具はごく微弱な電流を流して筋肉を刺激し、血行をよくするようになっています。●へ微弱な反応〉心電図には、時折微弱な反応が見られるだけだった。 **ひしゃげる(拉げる)** ○つぶれる。ひしげる。[文例]〈鼻がひしゃげる〉鼻がひしゃげるほど強く戸にぶつかったことがある。●へ軒がひしゃげる〉国じゅうが貧しさにあえいでおり、町には軒のひしゃげたような家が立ち並んでいた。◆ヘぺしゃんこにひしゃげる〉台風で犬小屋はぺしゃんこにひしゃげてしまった。 <921> **びじれいく【美辞麗句】** 美[うつく]しく飾[かざ]った言葉[ことば]。[文例]〈美辞麗句[びじれいく]を連[つら]ねる〉手紙[てがみ]にはぎょうぎょうしい美辞麗句[びじれいく]が連[つら]ねてあったが、真実[しんじつ]みは感[かん]じられなかった。♠〈美辞麗句[びじれいく]をちりばめる〉よい文章[ぶんしょう]とは読[よ]み手[て]によく伝[つた]わる文章[ぶんしょう]のことであり、美辞麗句[びじれいく]をちりばめたものではありません。 **ひじゅう【比重】** ある物質[ぶっしつ]の重[おも]さと、それと同体積[どうたいせき]のセ氏[し]4度[ど]の水[みず]の重[おも]さの比[ひ]。他[ほか]と比[くら]べた時[とき]の重要[じゅうよう]さの度合[どあ]い。重[おも]き。[文例]〈比重[ひじゅう]が小[ちい]さい〉水[みず]より比重[ひじゅう]が小[ちい]さい物質[ぶっしつ]は水[みず]に浮[う]きます。♠〈比重[ひじゅう]が大[おお]きい〉わたしの毎月[まいげつ]のおこづかいの中[なか]では、洋服代[ようふくだい]の占[し]める比重[ひじゅう]が一番[いちばん]大[おお]きい。♠〈比重[ひじゅう]をおく〉この学校[がっこう]は、音楽教育[おんがくきょういく]に比重[ひじゅう]をおき、卒業生[そつぎょうせい]の中[なか]から有名[ゆうめい]な音楽家[おんがくか]も出[で]ています。 **びしゅう【美醜】** 美[うつく]しさと醜[みにく]さ。[文例]〈美醜[びしゅう]の区別[くべつ]〉善悪[ぜんあく]の判断[はんだん]や美醜[びしゅう]の区別[くべつ]には個人差[こじんさ]があり、その基準[きじゅん]は同[おな]じではありません。 **ひじゅつ【秘術】** 秘密[ひみつ]の術[じゅつ]。奥[おく]の手[て]。[文例]〈秘術[ひじゅつ]を心得[こころえ]る〉きみはパチンコでは負[ま]けたことがないそうだが、秘術[ひじゅつ]でも心得[こころえ]ているのかい。♠〈秘術[ひじゅつ]を尽[つ]くす〉秘術[ひじゅつ]を尽[つ]くした戦[たたか]いは、いつ決着[けっちゃく]するとも知[し]れなかった。 **びじゅつ【美術】** 美[び]を追求[ついきゅう]する芸術[げいじゅつ]。特[とく]に、絵画[かいが]・彫刻[ちょうこく]などの造形[ぞうけい]芸術[げいじゅつ]。[文例]一枚[いちまい]の絵[え]に出会[であ]ったことが、わたしの美術[びじゅつ]への目[め]を開[ひら]かせたのです。♠〈美術[びじゅつ]の時間[じかん]〉秋[あき]の文化祭[ぶんかさい]に向[む]けて、美術[びじゅつ]の時間[じかん]に彫刻[ちょうこく]を作[つく]っています。 **ひじゅん【批准】** 条約[じょうやく]を国家[こっか]の最高機関[さいこうきかん]が承認[しょうにん]すること。[文例]〈批准[ひじゅん]する〉第二次世界大戦[だいにじせかいたいせん]終結[しゅうけつ]のための対日講和条約[たいにちこうわじょうやく]は、一九五一年[いちきゅうごじゅういちねん]、臨時国会[りんじこっかい]で審議[しんぎ]され批准[ひじゅん]された。♠〈条約[じょうやく]批准[ひじゅん]〉一八六〇年[いちはちろくまるねん]、日本政府[にほんせいふ]最初[さいしょ]の公式[こうしき]使節団[しせつだん]は、日米通商条約[にちべいつうしょうじょうやく]批准[ひじゅん]のために派遣[はけん]された。 **ひしょ【秘書】** 重要[じゅうよう]な職務[しょくむ]にある人[ひと]について、その事務[じむ]を行[おこな]うこと。秘蔵[ひぞう]の書物[しょもつ]。[文例]〈社長[しゃちょう]秘書[ひしょ]〉彼女[かのじょ]は誠実[せいじつ]な人柄[ひとがら]を見込[みこ]まれて、知[し]り合[あ]いの会社[かいしゃ]の社長[しゃちょう]秘書[ひしょ]となった。 **ひしょ【避暑】** 暑[あつ]さを避[さ]けて転地[てんち]すること。[文例]〈避暑[ひしょ]に行[い]く〉病後[びょうご]の静養[せいよう]を兼[か]ねて、今年[ことし]の夏[なつ]は信州[しんしゅう]へ避暑[ひしょ]に行[い]くことにした。♠〈避暑[ひしょ]する〉高原[こうげん]の別荘[べっそう]を借[か]りて避暑[ひしょ]するのも三年目[さんねんめ]になり、夏[なつ]の間[あいだ]だけの友人[ゆうじん]もできた。♠〈避暑地[ひしょち]〉夏[なつ]の間[あいだ]はにぎやかだった避暑地[ひしょち]も、九月[くがつ]に入[はい]ると急[きゅう]に静[しず]かになる。 **びじょ【美女】** 美[うつく]しい女性[じょせい]。美人[びじん]。[文例]〈美女[びじょ]と野獣[やじゅう]〉音楽[おんがく]の小川洋子[おがわようこ]先生[せんせい]とわたしが並[なら]んで撮[と]った写真[しゃしん]を、生徒[せいと]たちは美女[びじょ]と野獣[やじゅう]だといいます。♠〈絶世[ぜっせい]の美女[びじょ]〉クレオパトラや楊貴妃[ようきひ]は絶世[ぜっせい]の美女[びじょ]と言[い]われる。 **ひしょう【費消】** 使[つか]いはたすこと。[文例]〈費消[ひしょう]する〉国民[こくみん]一人[ひとり]あたりが費消[ひしょう]するレジャー費[ひ]は、年々[ねんねん]増[ふ]えていく。♠〈費消[ひしょう]する〉男[おとこ]は会計課長[かいけいかちょう]という立場[たちば]を利用[りよう]し、多額[たがく]の公金[こうきん]を費消[ひしょう]していた。 **ひしょう(飛翔)** 空[そら]を飛[と]ぶこと。[文例]〈飛翔[ひしょう]する〉タカは広[ひろ]げた翼[つばさ]を傾[かたむ]けながら、ゆうゆうと大空[おおぞら]を飛翔[ひしょう]している。 **ひしょう【卑小】** とるに足[た]りないさま。ちっぽけなさま。[文例]〈卑小[ひしょう]な動機[どうき]〉車中[しゃちゅう]での行動[こうどう]を注意[ちゅうい]されたという卑小[ひしょう]な動機[どうき]から大事件[だいじけん]がもち上[あ]がった。♠〈卑小[ひしょう]な夢[ゆめ]〉「腹一杯[はらいっぱい]ごはんが食[た]べたい」という他人[たにん]からみれば卑小[ひしょう]な夢[ゆめ]が、現在[げんざい]の彼[かれ]を築[きず]き上[あ]げている。♠〈卑小[ひしょう]な日常[にちじょう]〉いかに卑小[ひしょう]な日常[にちじょう]といえども、その人[ひと]にとって懸命[けんめい]な生[せい]の営[いとな]みであるはずです。 **ひじょう【非常】** 平常[へいじょう]でなく急[きゅう]を要[よう]する状態[じょうたい]。なみはずれているさま。[文例]〈非常[ひじょう]の時[とき]〉この扉[とびら]は非常[ひじょう]の時[とき]に使用[しよう]する扉[とびら]なので、ふだんから荷物[にもつ]などを置[お]いてはいけない。♠〈非常[ひじょう]の際[さい]〉非常[ひじょう]の際[さい]にはこのボタンを押[お]して、インターホンでエレベーターの外[そと]と連絡[れんらく]をとり合[あ]ってください。♠〈非常[ひじょう]の場合[ばあい]〉火事場[かじば]のばか力[ぢから]といって、人[ひと]は非常[ひじょう]の場合[ばあい]には平常[へいじょう]では考[かんが]えられないような力[ちから]を発揮[はっき]する。♠〈非常[ひじょう]に備[そな]える〉わが家[や]では、非常[ひじょう]に備[そな]えて缶詰[かんづめ]や飲料水[いんりょうすい]などをリュックサックにつめこんである。♠〈非常[ひじょう]に〉今回[こんかい]のコンクールに寄[よ]せられた作品[さくひん]は、どれをとっても非常[ひじょう]にレベルの高[たか]いものばかりです。♠〈非常[ひじょう]な高齢[こうれい]〉非常[ひじょう]な高齢[こうれい]であるにもかかわらず、祖父[そふ]は若者[わかもの]たちに交[ま]じって元気[げんき]に仕事[しごと]をしています。♠〈非常事態[ひじょうじたい]〉首都圏[しゅとけん]を直撃[ちょくげき]した台風[たいふう]の被害[ひがい]の大[おお]きさに、政府[せいふ]は非常事態[ひじょうじたい]を宣言[せんげん]した。 **ひじょう【非情】** 人間[にんげん]の感情[かんじょう]をもたないこと。冷酷[れいこく]であること。[文例]〈非情[ひじょう]な性格[せいかく]〉彼[かれ]は非情[ひじょう]な性格[せいかく]で、部下[ぶか]のどんなに小[ちい]さなミスも許[ゆる]さない。♠〈非情[ひじょう]な人[ひと]〉病人[びょうにん]を現場[げんば]に残[のこ]して立[た]ち去[さ]るとは、なんと非情[ひじょう]な人[ひと]であることか。♠〈非情[ひじょう]の世界[せかい]〉スポーツ界[かい]は見[み]た目[め]にははなやかですが、力[ちから]がすべてを決[き]める非情[ひじょう]の世界[せかい]です。♠〈非情[ひじょう]のおきて〉弱肉強食[じゃくにくきょうしょく]の非情[ひじょう]のおきてがあるからこそ、生物界[せいぶつかい]のバランスは保[たも]たれているのです。 **びしょう【微小】** きわめて小[ちい]さいこと。[文例]〈微小[びしょう]な世界[せかい]〉顕微鏡[けんびきよう]は、肉眼[にくがん]には見[み]えない微小[びしょう]な世界[せかい]にわたしたちを導[みちび]いてくれる。 **びしょう【微笑】** ほほえむこと。ほほえみ。[文例]〈微笑[びしょう]を浮[う]かべる〉彼女[かのじょ]は微笑[びしょう]を浮[う]かべて、なつかしい高校時代[こうこうじだい]のことを話[はな]し始[はじ]めました。♠〈微笑[びしょう]を含[ふく]む〉微笑[びしょう]を含[ふく]んだ彼女[かのじょ]の顔[かお]は、このうえない優[やさ]しさをたたえていた。♠〈微笑[びしょう]する〉母親[ははおや]は、やさしく微笑[びしょう]しながら子供[こども]を見守[みまも]っている。 **ひじょうしき【非常識】** 常識外[じょうしきはず]れ。[文例]〈非常識[ひじょうしき]な行動[こうどう]〉彼[かれ]の非常識[ひじょうしき]な行動[こうどう]には、みんなうんざりしている。♠〈非常識[ひじょうしき]なところ〉あなたは少[すこ]し非常識[ひじょうしき]なところがありますから、周[まわ]りの人[ひと]のこともよく考[かんが]えて行動[こうどう]するようにしなさい。♠〈非常識[ひじょうしき]な人間[にんげん]〉ごく普通[ふつう]にふるまっているつもりなのに、みんなには非常識[ひじょうしき]な人間[にんげん]だと言[い]われる。♠〈非常識[ひじょうしき]な話[はなし]〉人[ひと]に何[なに]かをしてもらって一言[ひとこと]もお礼[れい]を言[い]わないなんて、そんな非常識[ひじょうしき]な話[はなし]があるか。♠〈非常識[ひじょうしき]をたしなめる〉先生[せんせい]からも、彼[かれ]の非常識[ひじょうしき]をたしなめてやってください。 **ビジョン** 未来[みらい]に対[たい]する展望[てんぼう]や構想[こうそう]。未来像[みらいぞう]。[文例]〈ビジョンを描[えが]く〉卒業[そつぎょう]をひかえた児童[じどう]は、十年後[じゅうねんご]のわたしと題[だい]した作文[さくぶん]の中[なか]で、それぞれのビジョンを描[えが]いた。♠〈ビジョンがある〉〈ビジョンをもつ〉市長[しちょう]には市[し]の未来[みらい]を開[ひら]くビジョンがあったが、議会[ぎかい]には何[なん]のビジョンももたない議員[ぎいん]が多[おお]かった。 <922> **びじん【美人】** ○美しい女性。美女。[文例]隣のお姉さんはとっても美人で、男の人にもてるらしい。♠娘さん、しばらく会わないうちに美人になられましたね。♠〈八方美人〉美人は美人でも、あなたは八方美人ね。 **ヒステリー** ○神経が病的に興奮し、発作的に泣いたり笑ったりする神経症の一種。[文例]〈ヒステリーを起こす〉神経質な少女は、ちょっとしたことでよくヒステリーを起こしました。♠〈ヒステリー女〉まったくヒステリー女には手がつけられないね。 **ひずみ(歪み)** ○ゆがみ。[文例]〈ひずみが生じる〉地震で建物にひずみが生じた。♠〈経済のひずみ〉〈ひずみが出る〉高度成長を第一の目標としてやってきた日本の経済にそのひずみが出て、最近諸外国の非難を受けるようになった。 **ひ・する【比する】** ○比べる。比較する。[文例]今月の売り上げは、先月に比して二割の増加である。♠彼の力はぬきんでていて、我々の力は彼に比するべくもない。 **びせい【美声】** ○美しい声。[文例]〈美声の持ち主〉彼はいかつい外見に似合わず、うっとりするような美声の持ち主です。♠〈美声を聞かせる〉宴席[えんせき]で酔いが回ると、のど自慢の老人が美声を聞かせます。 **ひぜに【日銭】** ○毎日入ってくるお金。毎日少しずつ払う約束で貸し借りする金銭。[文例]〈日銭をかせぐ〉このあたりの農家では、日銭をかせぐために新鮮な野菜を直売しています。♠〈日銭が入る〉このアルバイトは日銭が入るので、学生に人気がある。 **ひそう【皮相】** ○うわつら。物事の本質を見ずにうわべで判断するさま。[文例]〈皮相を見る〉ものごとの皮相を見ただけでは、正しい評価をくだすことはできない。♠〈皮相な見解〉素人を感心させる説も、専門的な目から見れば皮相な見解にすぎないことがある。♠〈皮相な観察〉皮相な観察では、真実はつかめないでしょう。 **ひそう【悲壮】** ○悲しい中にも勇気を奮い立たせるさま。[文例]〈悲壮な決意〉兵士たちは、祖国を死守するという悲壮な決意をもって戦場へ向かった。♠〈悲壮な覚悟〉かつて船乗りは、悲壮な覚悟で七つの海へ漕ぎ出したにちがいない。♠〈悲壮な気分〉最年長の男子として一家を支えなければならないわたしは、悲壮な気分になっていた。 **ひそう(悲愴)** ○悲しく痛ましいさま。[文例]〈悲愴な最期〉戦場の兵士たちは、悲愴な最期をとげた。♠〈悲愴な空気〉多くの死者を出した事故現場に悲愴な空気が流れた。 **ひぞう【秘蔵】** ○こっそり隠してしまうこと。大事にしてかわいがること。[文例]〈秘蔵の品〉この壺[つぼ]は、祖父の秘蔵の品です。♠〈秘蔵する〉この仏像は当寺に秘蔵されており、年に二回春秋の彼岸に公開されます。♠〈秘蔵っ子〉娘は父親の秘蔵っ子で、目に入れても痛くないほどかわいがられて育った。 **ひそか(密か)** ○人に隠れてこっそりするさま。[文例]〈ひとりひそかに〉戦争が終わってからも、彼は山奥[やまおく]にひとりひそかに住んでいた。♠〈心ひそかに〉彼女が先輩のことを心ひそかに思っていたことは、みんなよく知っています。♠〈ひそかに咲く〉バラやカトレアよりも、ひそかに咲く野のツツジが好きです。♠〈ひそかにねらう〉口には出さないものの、島田君はひそかに優勝をねらっている様子です。♠〈ひそかに願う〉結局話し合いの結果は、わたしがひそかに願っていた通りになりました。♠〈ひそかな楽しみ〉それからというもの、毎朝、小鳥にえさをやるのがひそかな楽しみとなった。 **ひぞく【卑俗】** ○俗っぽく下品なさま。[文例]村人の歌う歌は、卑俗ではあったが、生活感にあふれ生き生きとしていた。♠不規則な池を人工的に拵[こしら]えて、その周囲に稚[わか]い松だの躑躅[つつじ]だのを普通の約束通り配置した景色は平凡というより寧[むし]ろ卑俗であった。(夏目漱石「明暗」) **ひそ・む【潜む】** ○身をひそめる。隠れる。[文例]〈くさむらに潜む〉くさむらに潜んでいた野うさぎがとび出したときは、ぼくもびっくりした。♠〈物陰[ものかげ]に潜む〉物陰に潜んでいた若い男がいきなり身をのりだした。♠〈底に潜む〉ふだんは海底に潜んでいる魚が、めずらしく海面近くを泳いでいた。♠〈心の奥に潜む〉大金を目の前にして、心の奥に潜んでいた邪悪[じゃあく]な気持ちが頭をもたげてきた。♠〈内に潜む情熱〉その絵には、彼女の内に潜む情熱がよくあらわれている。♠〈事件の陰[かげ]に潜む〉事件の陰に潜んでいた黒幕がとうとう報道陣の前に姿をあらわした。♠〈言葉の裏に潜む〉彼の言葉の裏に潜む皮肉に気づいた人がはたして何人いるだろうか。♠〈力が潜む〉いったいあの小さな体のどこに、そんな強い力が潜んでいるのだろう。♠〈犯罪が潜む〉この事件の背後には、もっと大きな犯罪が潜んでいるような気がする。 **ひそ・める【潜める】** ○隠す。しのばせる。小さくする。[文例]〈身を潜める〉子供たちは物陰[ものかげ]に身を潜め、犯人が通り過ぎるのを待ちました。♠〈声を潜める〉二人は周囲の目を気にしながら、声を潜めて話しあっていた。♠〈息を潜める〉あまりのけんまくにみんなは息を潜め、じっと彼を見守っていた。♠〈鳴りを潜める〉去年大活躍した彼も、今年はひざの故障で全く鳴りを潜めています。♠〈影を潜める〉一度言い出したら聞かない父の頑固な性格も、今ではすっかり影を潜めた。♠〈胸に潜める〉長い間胸に潜めていた思いを、彼女はとうとう打ちあけてくれたのです。 **ひそ・める(顰める)** ○まゆにしわを寄せる。しかめる。[文例]〈まゆをひそめる〉熱っぽかったので、四、五日ふろに入っていないというと、医者はあからさまにまゆをひそめた。 **ひそやか(密やか)** ○こっそりと人に知られないさま。もの静かなさま。しのびやか。[文例]〈ひそやかに歩む〉廊下をひそやかに歩む足音が近づき、やがて背後[おく]の障子が開いた。♠〈ひそやかな声〉庭のしげみの中からひそやかな虫の声が聞こえてくる。♠〈ひそやかな暮らし〉子をもたない夫婦のひそやかな暮らしに波風のたつこととてなかった。♠〈ひそやかな幸せ〉貧しくとも家族が仲よく暮らせるひそやかな幸せがあればいい。 <923> **ひたる【浸る】** **ひだ(愛)** スカートや袴[はかま]などの折[お]り目[め]。微妙[びみょう]に変化[へんか]する意味[いみ]や味[あじ]わい。[文例]〈スカートのひだ〉長時間[ちょうじかん]座[すわ]り続[つづ]けたので、スカートのひだがとれてしまった。♠〈心[こころ]のひだ〉この作品[さくひん]には、人間[にんげん]の微妙[びみょう]な心[こころ]のひだがみごとに描[えが]かれている。♠〈言葉[ことば]のひだ〉生活[せいかつ]の実感[じっかん]を言葉[ことば]のひだの中[なか]にとらえるには、方言[ほうげん]のほうが適[てき]しているようだ。 **ひたい【額】** 顔[かお]の、まゆから髪[かみ]の生[は]え際[ぎわ]までの部分[ぶぶん]。[文例]〈額[ひたい]に手[て]を置[お]く〉母[はは]は弟[おとうと]の額[ひたい]に手[て]を置[お]いて、熱[ねつ]を計[はか]りました。♠〈額[ひたい]のしわ〉深[ふか]く刻[きざ]まれた額[ひたい]のしわが、父[ちち]の苦悩[くのう]をあらわしている。♠〈額[ひたい]に八[はち]の字[じ]を寄[よ]せる〉監督[かんとく]はさっきから額[ひたい]に八[はち]の字[じ]を寄[よ]せて、何事[なにごと]かを考[かんが]えこんでいます。♠〈額[ひたい]をぬぐう〉彼[かれ]は白[しろ]いハンカチで額[ひたい]をぬぐうと、また仕事[しごと]にとりかかった。♠〈額[ひたい]をこすりつける〉大臣[だいじん]が座敷[ざしき]に入[はい]ってくると、みんなは額[ひたい]をこすりつけるように深[ふか]く頭[あたま]を下[さ]げました。♠〈額[ひたい]を集[あつ]める〉文化祭[ぶんかさい]をまぢかに控[ひか]えて、クラスの委員[いいん]が額[ひたい]を集[あつ]めて相談[そうだん]する回数[かいすう]が多くなった。♠〈額[ひたい]が上[あ]がる〉おじさんも五十[ごじゅう]を過[す]ぎて、だいぶ額[ひたい]が上[あ]がってきたそうです。♠〈額[ひたい]に汗[あせ]する〉工場[こうじょう]では、二歳[はたち]前後[ぜんご]の若者[わかもの]たちが額[ひたい]に汗[あせ]して働[はたら]いている。♠〈ねこの額[ひたい]〉ぼくの家[いえ]には庭[にわ]があるといっても、キャッチボールもできないねこの額[ひたい]ほどのもので す。 **ひだい【肥大】** 肥[こ]え太[ふと]ること。むくみ、はれて大[おお]きくなること。[文例]〈頭部[とうぶ]の肥大[ひだい]〉渓流[けいりゅう]の岩屋[いわや]に長年[ながねん]暮[く]らしたさんしょううおは、頭部[とうぶ]の肥大[ひだい]によって外[そと]へ出[で]られなくなった。♠〈想像力[そうぞうりょく]の肥大[ひだい]〉想像力[そうぞうりょく]の肥大[ひだい]をおこして、実行力[じっこうりょく]のともなわないところがぼくの欠点[けってん]だ。♠〈肥大[ひだい]する〉肥大[ひだい]した工業化[こうぎょうか]社会[しゃかい]は、豊[ゆた]かさと同時[どうじ]に多[おお]くの公害[こうがい]問題[もんだい]も生[う]んだ。 **びたい(媚態)** なまめかしいしぐさ。こびるようなしぐさ。[文例]〈媚態[びたい]を見[み]せる〉となりに座[すわ]った芸者[げいしゃ]がお酌[しゃく]をしながら、さかんに媚態[びたい]を見[み]せる。♠〈媚態[びたい]を作[つく]る〉主人[しゅじん]が不機嫌[ふきげん]になると、女[おんな]はすかさず媚態[びたい]を作[つく]ってしなだれかかった。 **ひた・す【浸す】** 水[みず]や液体[えきたい]につける。水[みず]や液体[えきたい]を含[ふく]ませる。[文例]〈水[みず]にひたす〉はれあがった足[あし]を小川[おがわ]の冷[つめ]たい水[みず]にひたすと、いくらか痛[いた]みもやわらいだ。♠〈アルコールにひたす〉注射[ちゅうしゃ]をするときは、アルコールにひたした脱脂綿[だっしめん]で消毒[しょうどく]します。♠〈液[えき]にひたす〉ちょっと溶液[ようえき]にひたしただけでも、マグネシウムは溶[と]けてしまった。♠〈液[えき]をひたす〉消毒液[しょうどくえき]をたっぷりガーゼにひたして、傷口[きずぐち]にはる。♠〈リンゴをひたす〉皮[かわ]をむいたリンゴも塩水[しおみず]にひたしておけば、そんなに色[いろ]は変[か]わりません。♠〈やみが町[まち]をひたす〉やみが町[まち]をひたすころ、小[ちい]さな雪[ゆき]が舞[ま]い始[はじ]めた。 **ひたすら(只管)** ひとすじに。いちずに。[文例]上達[じょうたつ]の秘訣[ひけつ]なんかいないよ、うまくなりたかったら、ひたすら練習[れんしゅう]することだね。♠こちらが悪[わる]いのだもの、ひたすら謝[あやま]る以外[いがい]方法[ほうほう]はないじゃないか。♠先生[せんせい]に追及[ついきゅう]されても、彼女[かのじょ]はひたすら隠[かく]し通[とお]していた。♠〈ただひたすら〉集[あつ]まった大勢[おおぜい]の招待客[しょうたいきゃく]を退屈[たいくつ]させまいと、司会者[しかいしゃ]は、ただひたすらしゃべっている。♠〈ひたすらに〉ただ一人[ひとり]部屋[へや]に残[のこ]った母親[ははおや]は、子供[こども]たちの無事[ぶじ]をひたすらに祈[いの]り続[つづ]けました。 **ひだね【火種】** 火[ひ]をおこすもとになる少[すこ]しの火[ひ]。争[あらそ]いのもと。文例〈火種[ひだね]を絶[た]やす〉娘[むすめ]は火種[ひだね]を絶[た]やさないように、注意深[ちゅういぶか]く火鉢[ひばち]の炭[すみ]に灰[はい]をかぶせた。♠〈火種[ひだね]が尽[つ]きる〉いろりの中[なか]は白[しろ]い灰[はい]ばかりになって、火種[ひだね]さえ尽[つ]きていた。♠〈紛争[ふんそう]の火種[ひだね]〉国境[こっきょう]で発見[はっけん]された油田[ゆでん]は、両国[りょうこく]の紛争[ふんそう]の火種[ひだね]となった。 **ひたはし・る【ひた走る】** ひたすら走[はし]る。ひたばしる。文例三十五[さんじゅうご]キロ地点[ちてん]でトップに躍[おど]り出[で]ると、ゴールをめざしてひた走[はし]った。♠父[ちち]の危篤[きとく]を聞[き]いて、わたしは故郷[こきょう]に向[む]かって車[くるま]をひた走[はし]らせた。 **ひだまり【日だまり】** (日溜まり) (冬[ふゆ]の)日差[ひざ]しがよく当[あ]たって暖[あたた]かい所[ところ]。[文例]〈公園[こうえん]の日[ひ]だまり〉風[かぜ]はまだ冷[つめ]たいけれど、公園[こうえん]の日[ひ]だまりにはかすかな緑[みどり]が芽吹[めぶ]いている。♠〈縁側[えんがわ]の日[ひ]だまり〉縁側[えんがわ]の日[ひ]だまりで、猫[ねこ]がのんびりと昼寝[ひるね]をしています。 **ひたむき** ただ、それだけに心[こころ]を傾[かたむ]けるさま。いちず。[文例]〈ひたむきな姿勢[しせい]〉彼女[かのじょ]の仕事[しごと]に対[たい]するひたむきな姿勢[しせい]には、好感[こうかん]がもてます。♠〈ひたむきな態度[たいど]〉真実[しんじつ]を知[し]りたいというひたむきな態度[たいど]が、この事件[じけん]を解決[かいけつ]させたと言[い]ってもいい。♠〈ひたむきな人[ひと]〉青木[あおき]さんは何事[なにごと]にもひたむきな人[ひと]で、手[て]を抜[ぬ]くということができない。♠〈ひたむきに生[い]きる〉彼[かれ]を見[み]ていると、目先[めさき]のことにとらわれず、ただ毎日[まいにち]をひたむきに生[い]きているという感[かん]じがします。 **ひだり【左】** 正面[しょうめん]を向[む]いて左手[ひだりて]の方向[ほうこう]。政治的[せいじてき]に左翼[さよく]。文例〈左[ひだり]に傾[かたむ]く〉「まっすぐかどうか離[はな]れた所[ところ]から見[み]ていて。」「ちょっと左[ひだり]に傾[かたむ]いているよ。」♠〈左[ひだり]に曲[ま]がる〉駅[えき]からまっすぐ来[き]て、一つめ[ひとつめ]の交差点[こうさてん]を左[ひだり]へ曲[ま]がってください。♠〈右[みぎ]から左[ひだり]〉家[いえ]のローンがありますから、ボーナスなどは右[みぎ]から左[ひだり]で銀行[ぎんこう]へもどっていきます。♠〈右[みぎ]と言[い]えば左[ひだり]〉あのへそまがりは、いつも右[みぎ]と言[い]えば左[ひだり]なんだから。♠〈右[みぎ]も左[ひだり]もわからない〉右[みぎ]も左[ひだり]もわからない東京[とうきょう]で、十八[じゅうはち]の少女[しょうじょ]一人[ひとり]が暮[く]らしていくのですから心細[こころぼそ]いかぎりです。♠〈左寄[ひだりよ]り〉わたしは、政治的[せいじてき]には少[すこ]し左寄[ひだりよ]りの考[かんが]えをもっています。♠〈左[ひだり]うちわ〉息子[むすこ]たちが店[みせ]を継[つ]いでくれたので、今[いま]は左[ひだり]うちわでのんびり暮[く]らしています。 **ひだりまえ【左前】** 着物[きもの]の右[みぎ]のおくみを上[うえ]に出[だ]して着[き]ること。金回[かねまわ]りが悪[わる]くなること。商売[しょうばい]や事業[じぎょう]が不調[ふちょう]になること。[文例]〈左前[ひだりまえ]に着[き]せる〉あわて者[もの]の母[はは]が着物[きもの]を左前[ひだりまえ]に着[き]せてしまったらしい。♠〈商売[しょうばい]が左前[ひだりまえ]〉商売[しょうばい]が左前[ひだりまえ]になって、とうとう店[みせ]をたたむことになった。 **ひた・る【浸る】** 水[みず]や液体[えきたい]につかる。ある状態[じょうたい]に入[はい]りきる。[文例]〈水[みず]に浸[ひた]る〉ロープの先端[せんたん]が海水[かいすい]に浸[ひた]って、ボロボロになっている。♠〈水[みず]に浸[ひた]る〉昨日[きのう]の大雨[おおあめ]で、校庭[こうてい]がすっかり水[みず]に浸[ひた]ってしまった。♠〈ぬるま湯[ゆ]にひたる〉付属高校[ふぞくこうこう]というぬるま湯[ゆ]にひたっていたぼくと、進学校[しんがっこう]に進[すす]んだ彼女[かのじょ]とでは、考[かんが]え方[かた]にも大[おお]きな差[さ]ができてしまった。♠〈喜[よろこ]びにひたる〉今[いま]ごろ彼[かれ]らは家族[かぞく]といっしょに優勝[ゆうしょう]の喜[よろこ]びにひたっていることでしょう。♠〈安穏[あんのん]な生活[せいかつ]にひたる〉安穏[あんのん]な生活[せいかつ]にひたっていると、せっかくの才能[さいのう]がうずもれてしまうぞ。♠〈入[い]りびたる〉失業[しつぎょう]したので、朝[あさ]からパチンコ屋[や]に入[い]りびたる。 <924> **ひたん**【悲嘆・悲歎】 〇悲しみ嘆くこと。[文例]**<悲嘆[ひたん]の涙>** 仲間たちは、友の事故死に悲嘆の涙を流した。♠**<悲嘆[ひたん]に暮[く]れる>** 息子に先立たれた親は、悲嘆に暮れ泣き明かすばかりだった。 **びだん**【美談】 〇立派な行いに関する話。[文例]今朝の新聞に、おぼれかかった少女を救って名も告げずに立ち去った若者の美談が載っていた。♠上杉謙信が宿敵武田信玄に塩を贈った話が、戦場の美談として伝わっている。 **ひちゅうのひ**【秘中の秘】 〇絶対に秘密であること。また、そういうもの。[文例]開発中の新製品については、会社内部でも秘中の秘になっている。 **ひつう**【悲痛】 〇苦しく心が痛むさま。[文例]**<悲痛[ひつう]な声[こえ]>** 電話から伝わる悲痛な声は、いつもの陽気な彼から想像もできないものだった。♠**<悲痛[ひつう]な叫[さけ]び声[ごえ]>** 選手が転倒した瞬間、ファンは悲痛な叫び声をあげた。♠**<悲痛[ひつう]な面持[おもも]ち>** 医師の診断の結果を父は悲痛な面持ちで聞いていました。♠**<悲痛[ひつう]な出来事[できごと]>** 市長の急死は、関係者にとってまさに悲痛な出来事でした。 **ひっかか・る**【引っ掛かる】 〇物にかかって止まる。引き止められる。かかわり合う。計略にかかる。心にわだかまる。[文例]**<電柱[でんちゅう]に引っ掛かる>** 糸の切れたたこが電柱に引っ掛かっている。♠**<骨[ほね]が引っ掛かる>** 魚の骨がのどに引っ掛かったら、ごはんのかたまりを飲みこむといいんだよ。♠**<網[あみ]に引っ掛かる>** 今までに見たこともない無気味な魚が地引き網に引っ掛かってきた。♠**<トリックに引っ掛かる>** その男の巧妙[こうみよう]なトリックに、ぼくたちはまんまと引っ掛かってしまった。♠**<悪いやつに引っ掛かる>** 悪いやつに引っ掛かって、貯金を全部だましとられたなどという話も聞く。♠**<引っ掛かるところがある>** 彼女の話の中に、どうも引っ掛かるところがあるんだ。♠この忙[いそが]しいさなかに、お父さんはどこの飲み屋で引っ掛かっているのだろう。 **ひっか・く**【引っかく・引っ掻く】 〇とがったものでこすって、きずをつける。[文例]**<顔[かお]を引っかく>** 猫をからかっていたら顔を引っかかれた。♠**<つめで引っかく>** 額[ひたい]の真ん中に、つめで引っかいたほどの小さな傷ができている。 **ひっか・ける**【引っ掛ける】 〇物の先にかける。物の先に当てる。はおる。浴びせる。計略にかける。酒をぐっと飲む。[文例]**<くぎに引っ掛ける>** 買ったばかりのセーターをくぎに引っ掛けてしまった。♠**<車で引っ掛ける>** 狭[せま]い道だったので、左のミラーで、置いてあった自転車を引っ掛けてしまった。♠**<肩[かた]に引っ掛ける>** 男はコートを肩に引っ掛け、夜の町に消えていった。♠**<水[みず]を引っ掛ける>** だれだい、いきなり二階から水を引っ掛けたのは。♠**<鼻[はな]も引っ掛けない>** 金持ちの彼女は、みすぼらしい若者の言うことなど、鼻も引っ掛けないでしょう。♠**<一杯[いつぱい]引っ掛ける>** 父から、駅前のやきとり屋で一杯引っ掛けて帰るという電話があった。♠**<人[ひと]を引っ掛ける>** 言葉たくみに人を引っ掛けるなんて、許せないわ。 **ひっき**【筆記】 〇書き止めること。書き記すこと。また、そうしたもの。[文例]**<筆記[ひっき]する>** 学生たちは、講義をききながら、重要な点を筆記していった。♠**<講演[こうえん]の筆記[ひっき]>** この文章は、先日行われたある歴史学者の講演の筆記です。♠**<筆記[ひっき]試験>** 入社試験では、まず筆記試験が行われ、次に面接が行われる。♠**<口述[こうじゅつ]筆記[ひっき]>** 病気が重くなりペンを持つ力がなくなってからも、作家は口述筆記で創作を続けた。 **ひつぎ**【柩・棺】 〇死体を入れる棺おけ。[文例]**<柩[ひつぎ]に納[おさ]める>** 彼は悲痛な面持ちで、枢に納められた父親の遺体と対面した。♠**<柩[ひつぎ]をこしらえる>** 宗助[そうすけ]は亡児のために、小さい柩を拵[こし]らえて、人の眼[め]に立たない葬儀を営なんだ。(夏目漱石「門」) **ひっきょう**【畢竟】 〇結局。つまるところ。[文例]他人のまねをして背のびしても、ひっきょう自分は自分でしかありえない。♠東京の道路は狭いといっても、それを基礎から打ち崩してかかるのはたいへんな難事業だし、ひっきょうできない相談だ。♠**<ひっきょうするに>** 学問は、ひっきょうするに自分自身を磨くための一手段といえよう。 **ひっきりなし**【引っ切り無し】 〇絶えまなく続くさま。[文例]建設資材を積んだトラックが朝からひっきりなしに走っていく。♠事務所では、問い合わせの電話がひっきりなしに鳴り続けていた。♠十時過ぎだというのに、通りを急ぐ人の足音がひっきりなしに聞こえてくる。♠明け方になって降り始めた雪は、一日中ひっきりなしに降り続いた。♠父の栄転を祝うお客様が朝からひっきりなしに押しかけている。♠子供たちのひっきりなしの質問に、先生はいささか疲[つか]れた様子です。 **ピックアップ** 〇選び出すこと。レコードの針の振動を音声や電流にかえる装置。[文例]**<ピックアップする>** この議題の中から今日中に結論を出すべきものをピックアップして、すぐ検討に入ろう。 **びっくり** 〇驚くさま。[文例]**<びっくりする>** 後ろの方でものすごい音がしたのでびっくりして振り返ると、自動車どうしの衝突事故だった。♠**<おっかなびっくり>** 山本君だって、口では偉そうな事を言っていたけど、お化け屋敷の中ではおっかなびっくりだったよ。♠**<びっくり仰天[ぎようてん]する>** 昨[さく]日[じつ]までこの村で暮らしていた青年が、実は王子様だと知って、みんなはびっくり仰天しました。♠**<びっくりするほど>** 十年ぶりに母の田舎[いなか]に行ったが、庭の隅[すみ]に植えた桜[さくら]の木がびっくりするほど大きくなっていた。 **ひっくりかえ・す**【引っ繰り返す】 〇逆さにする。倒す。裏返しにする。くつがえす。[文例]**<花瓶[かびん]をひっくり返す>** あわてた妹は、テーブルの上の花瓶をひっくりかえしました。♠**<カードをひっくりかえす>** 手品師[てじなし]は一枚ずつ、カードをひっくりかえしていきます。♠**<おもちをひっくりかえす>** もう少ししたらおもちをひっくりかえしてちょうだい。♠**<試合をひっくりかえす>** わがチームはホームラン攻勢[こうせい]で、三点差をひっくりかえした。♠**<学説[がくせつ]をひっくりかえす>** 今度の発見は、従来の学説をひっくりかえすことになるだろう。♠**<幕府[ばくふ]をひっくりかえす>** 幕府をひっくりかえそうと <925> する浪人[ろうにん]たちの陰関[いんかん]は、その日[ひ]のうちに発覚[はっかく]した。 **ひっくりかえ・る【引っ繰り返る】** ○逆[さか]さになる。倒[たお]れる。裏返[うらがえ]しになる。くつがえる。[文例]】〈あおむけにひっくりかえる〉ぼくがのぞくと、兄[あに]はペッドにあおむけにひっくりかえって、なにか考[かんが]え事[ごと]をしていました。♠●へ船[ふね]がひっくりかえる〉こんな風[かぜ]の強[つよ]い日[ひ]に外海[そとうみ]へ出[で]たら、船[ふね]はたちまちひっくりかえってしまう。♠◆◇地震[じしん]でひっくりかえる〉役所[やくしょ]の庭[にわ]にある記念碑[きねんひ]は、この間[あいだ]の地震[じしん]でひっくりかえったままになっている。♠●〈世[よ]の中[なか]がひっくりかえる〉黒船[くろふね]が日本[にほん]へやってきたときは、それこそ世[よ]の中[なか]がひっくりかえったような騒[さわ]ぎだったのです。♠●天地[てんち]がひっくりかえる〉そんなことは、天地[てんち]がひっくりかえったって起[お]こるわけがありません。♠●〈形勢[けいせい]がひっくりかえる〉後半[こうはん]になって味方[みかた]が風上[かざかみ]にまわると、形勢[けいせい]は完全[かんぜん]にひっくりかえりました。 **ひっくる・める(引っ括める)** ○一[ひと]つにまとめる。[文例]<両方[りょうほう]をひっくるめる〉「親[おや]」は、父[ちち]と母[はは]の両方[りょうほう]をひっくるめて表[あらわ]す言葉[ことば]です。♠●〈全部[ぜんぶ]ひっくるめる〉交通費[こうつうひ]、宿泊費[しゅくはくひ]、その他[た]を全部[ぜんぶ]ひっくるめると、費用[ひよう]はどのくらいですか。 **ひづけ【日付】** ○文書[ぶんしょ]・手紙[てがみ]などに記[しる]す年月日[ねんがっぴ]。[文例]〈日付[ひづけ]を書[か]く〉わたしのノートの右上[みぎうえ]には、日付[ひづけ]を書[か]く欄[らん]がある。♠◆<領収証[りょうしゅうしょう]の日付[ひづけ]〉領収証[りょうしゅうしょう]の日付[ひづけ]は、三月[さんがつ]三日[みっか]になっていた。♠●〈日付[ひづけ]にする〉会社[かいしゃ]の都合[つごう]もあって、請求書[せいきゅうしょ]は先週[せんしゅう]の木曜日[もくようび]の日付[ひづけ]にしてあります。♠●〈日付[ひづけ]がない〉姉[あね]からの手紙[てがみ]には日付[ひづけ]がなく、いつ書[か]かれたものかわからない。♠●〈日付[ひづけ]を入[い]れる〉報告書[ほうこくしょ]に日付[ひづけ]を入[い]れるのを忘[わす]れないでくださいね。♠◆〈日付[ひづけ]が変[か]わる>腕時計[うでどけい]の日付[ひづけ]は、自動的[じどうてき]に変[か]わるようになっています。♠●〈日付[ひづけ]を変[か]える〉いったいだれが報告書[ほうこくしょ]の日付[ひづけ]を変[か]えてしまったのだろう。♠●ヘ日付[ひづけ]変更線[へんこうせん]〉日付[ひづけ]変更線[へんこうせん]を西[にし]から東[ひがし]へ通[とお]り越[こ]すと、同[おな]じ日[ひ]をもう一度[いちど]くり返[かえ]すことになる。 **ひっけい【必携】** ○必[かなら]ずたずさえること。また、そうすべきもの。[文例]】〈必携[ひっけい]の書[しょ]〉語学[ごがく]を学[まな]ぶ者[もの]にとって必携[ひっけい]の書[しょ]はやはり辞典[じてん]でしょう。 **ひっし【必死】** ○必[かなら]ず死[し]ぬこと。死[し]を覚悟[かくご]して物事[ものごと]を行[おこな]うさま。全力[ぜんりょく]を尽[つ]くすさま。将棋[しょうぎ]で次[つぎ]の一手[いって]で詰[つ]みになる形[かたち](↓必至[ひっし])。[文例]<必死[ひっし]の努力[どりょく]>医師団[いしだん]の必死[ひっし]の努力[どりょく]もむなしく、患者[かんじゃ]はとうとう助[たす]からなかった。♠◆へ必死[ひっし]の形相[ぎょうそう]〉ふだんはすましている姉[あね]が、そのときばかりは必死[ひっし]の形相[ぎょうそう]で走[はし]ってきた。♠へ必死[ひっし]の声[こえ]>木[き]の上[うえ]からは、助[たす]けを求[もと]める子供[こども]たちの必死[ひっし]の声[こえ]が聞[き]こえてくる。♠必死[ひっし]の覚悟[かくご]〉戦地[せんち]に赴[おもむ]く兵士[へいし]たちには、すでに必死[ひっし]の覚悟[かくご]ができあがっていた。♠●〈必死[ひっし]で~する〉必死[ひっし]で問題[もんだい]を解[と]いていたので、先生[せんせい]が教室[きょうしつ]から出[で]ていったのに気[き]がつかなかった。♠必死[ひっし]に~する〉ぼくたちは声[こえ]を限[かぎ]りに必死[ひっし]に叫[さけ]んだが、どうやら彼女[かのじょ]には聞[き]こえなかったらしい。♠◆へ必死[ひっし]になる〉姉[あね]は今日[きょう]じゅうに宿題[しゅくだい]を終[お]わらせてしまおうと必死[ひっし]になっている。 **ひっこ・す【引っ越す】** ○移転[いてん]する。転居[てんきょ]する。[文例]〈住[す]まいを引[ひ]っ越[こ]す〉父[ちち]の転勤[てんきん]で、十年[じゅうねん]間[かん]住[す]んだこの町[まち]を引[ひ]っ越[こ]すことになりました。♠●〈新居[しんきょ]へ引[ひ]っ越[こ]す〉待望[たいぼう]の新居[しんきょ]が完成[かんせい]しましたので、今度[こんど]の日曜[にちよう]に引[ひ]っ越[こ]します。 **ひっこみじあん【引っ込み思案】** ○内気[うちき]で、進[すす]んで人前[ひとまえ]に出[で]ようとしないこと。[文例]うちの子[こ]は、引[ひ]っ込[こ]み思案[じあん]でなかなか友達[ともだち]ができず困[こま]っています。♠●へ引[ひ]っ込[こ]み思案[じあん]の性格[せいかく]〉隣人[りんじん]は引[ひ]っ込[こ]み思案[じあん]の性格[せいかく]らしく、あまり外[そと]に出[で]ません。 **ひっこ・む【引っ込む】** ○盛[も]り上[あ]がった所[ところ]が平[たい]らになる。くぼむ。へこむ。内[うち]に入[はい]る。とじこもる。退[しりぞ]く。下[さ]がる。[文例]〈こぶが引[ひ]っ込[こ]む〉きのう柱[はしら]にぶつけてできたこぶがやっと引[ひ]っ込[こ]んだ。♠●へ奥[おく]に引[ひ]っ込[こ]む>奥[おく]に引[ひ]っ込[こ]んでないで出[で]てきなさい。♠く家[いえ]に引[ひ]っ込[こ]む〉勉強[べんきょう]でもしているのだろうか、あいつ、家[いえ]に引[ひ]っ込[こ]んだきり出[で]てこない。♠●〈田舎[いなか]に引[ひ]っ込[こ]む>退職[たいしょく]しましたから、そろそろ田舎[いなか]に引[ひ]っ込[こ]もうと思[おも]っています。♠●へ通[とお]りから引[ひ]っ込[こ]む〉ぼくの家[いえ]は、通[とお]りから引[ひ]っ込[こ]んだ所[ところ]にあるのでわかりにくい。♠●関係[かんけい]のないものは引[ひ]っ込[こ]んでろ。 **ひっこ・める【引っ込める】** ○一度[いちど]出[だ]したものを元[もと]に戻[もど]す。取[と]り下[さ]げる。退[しりぞ]かせる。[文例]〈カードをひっこめる〉一度[いちど]みんない見[み]せたカードをひっこめるのは反則[はんそく]だよ。♠●へ手[て]をひっこめる〉母[はは]ににらまれて、ぼくはお菓子[かし]を取[と]ろうとした手[て]を思[おも]わずひっこめました。♠●〈手足[てあし]をひっこめる〉棒[ぼう]でつっつくと、カメは手足[てあし]をひっこめました。♠●へ銃[じゅう]をひっこめる〉相手[あいて]がぼくだとわかると、彼[かれ]は銃[じゅう]をひっこめ、近寄[ちかよ]ってきた。♠●へ顔[かお]をひっこめる〉ぼくと目[め]が合[あ]ったとたん、女の子[こ]は窓[まど]から顔[かお]をひっこめてしまった。♠●へ意見[いけん]をひっこめる〉みんなに反対[はんたい]されて、弟[おとうと]はしぶしぶ自分[じぶん]の意見[いけん]をひっこめた。♠●へ選手[せんしゅ]をひっこめる〉不振[ふしん]の原[はら]選手[せんしゅ]は、とうとうべンチにひっこめられてしまいました。 **ひっし【必至】** ○必[かなら]ずそうなること。将棋[しょうぎ]で次[つぎ]の一手[いって]で詰[つ]みになる形[かたち](必死[ひっし])。[文例]このまま人口[じんこう]が増[ふ]え続[つづ]ければ、食糧不足[しょくりょうぶそく]は必至[ひっし]である。♠◆この世[よ]に生[せい]を受[う]けたものにとって、死[し]は必至[ひっし]である。 **ひつじ【羊】** ○ウシ科[か]の家畜[かちく]。羊毛[ようもう]は織物[おりもの]に、肉[にく]は食用[しょくよう]になる。[文例]〈羊[ひつじ]を飼[か]う〉その牧場[ぼくじょう]では、牛[うし]、馬[うま]、羊[ひつじ]などを飼[か]っていた。♠●へ羊[ひつじ]を追[お]う〉草原[そうげん]で何千頭[なんぜんとう]もの羊[ひつじ]を追[お]う牧童[ぼくどう]の一行[いっこう]と会[あ]った。♠へ屠所[としょ]の羊[ひつじ]>職員室[しょくいんしつ]へ連[つ]れて行[い]かれるいたずら坊主[ぼうず]どもは、さながら屠所[としょ]の羊[ひつじ]のごとくうなだれていた。♠◆<羊飼[ひつじか]い>羊飼[ひつじか]いの老人[ろうじん]が命令[めいれい]すると、犬[いぬ]たちはいっせいに羊[ひつじ]を柵[さく]の中[なか]に追[お]い込[こん]だ。♠●親[おや]よりも白[しろ]き羊[ひつじ]や今朝[けさ]の秋[あき](村上鬼城[むらかみきじょう]) **ひっしゃ【筆者】** ○文章[ぶんしょう]や書画[しょが]をかいた人[ひと]。[文例]〈文章[ぶんしょう]の筆者[ひっしゃ]〉この文章[ぶんしょう]の筆者[ひっしゃ]は論理[ろんり]を明快[めいかい]に積[つ]み重[かさ]ね、読者[どくしゃ]が納得[なっとく]するような書[か]き方[かた]をしている。♠●〈随筆[ずいひつ]の筆者[ひっしゃ]〉この随筆[ずいひつ]の筆者[ひっしゃ]は、動物園[どうぶつえん]に勤[つと]める獣医[じゅうい]さんです。 **ひっしゅう【必修】** ○必[かなら]ず修得[しゅうとく]しなければならないこと・もの。[文例]】<必修[ひっしゅう]科目[かもく]〉大学[だいがく]の講義[こうぎ]は、必修[ひっしゅう]科目[かもく]と選択[せんたく]科目[かもく]に分[わ]かれています。 **ひつじゅひん【必需品】** ○無[な]くてはならない物[もの]。[文例]ラジオなども、旅行[りょこう]する時[とき]の必需品[ひつじゅひん]といえるでしょう。♠●〈生活[せいかつ]必需品[ひつじゅひん]>今[いま]や車[くるま]は生活[せいかつ]必需品[ひつじゅひん]です。 <926> **ひっしょう【必勝】** ○必ず勝つこと。[文例]〈必勝を期する〉ぼくたちは、必勝を期して戦った。♠〈先手必勝〉試合開始とともに、先手必勝とばかりに相手のゴールへ向かって攻め込んだ。 **ひつじょう【必定】** ○必ずそうなるに決まっていること。必至。必ず。[文例]民主主義の世だからといって、目上の人をおまえと呼んだら怒られること必定である。♠この作戦は危険が大きいうえに、ひとつまちがえば、大変な被害が出ることは必定だ。 **びっしり** ○すきまなく詰まっているさま。[文例]〈びっしり花をつける〉今年も庭のキンモクセイがびっしり花をつけ、あまい香りをただよわせている。♠〈びっしり書き込む〉彼の手帳には、細かい字でびっしりと予定が書き込んであった。♠〈スケジュールがびっしり〉今週はスケジュールがびっしりで、とてもきみと会う時間はとれない。 **ひっす【必須】** ○必ず無くてはならないこと。[文例]〈必須の作業〉建設にあたって地盤の調査は必須の作業である。♠〈必須の条件〉このキャラバンに加わるには、頑健[がんけん]であることが必須の条件だ。 **ひっせい【畢生】** ○終生。一生。[文例]〈畢生の大作〉画家は畢生の大作とすべく、その作品に心血を注いでいた。♠〈畢生の事業〉父親が創立した会社を世界的な企業にすることが、彼の畢生の事業であった。 **ひっせき【筆跡】** ○書かれた文字の跡。また、その書きぶり。[文例]手紙を開けると、ちんまりまとまった特徴のある筆跡が目に飛び込んできた。♠〈筆跡がちがう〉机の上のメモには「山本」と署名があったが、どうも彼の筆跡とはちがうようだ。 **ひつぜつ【筆舌】** ○書くことと話すこと。言葉による表現。[文例]〈筆舌に尽くしがたい〉この湖の美しさは筆舌に尽くしがたい。♠〈筆舌に尽くしがたい〉この事件中にわたしが味わった苦痛は筆舌に尽くしがたい。 **ひつぜん【必然】** ○必ずそうなること。必ず。[文例]〈偶然と必然〉二人の出会いは偶然だったが、まったく意見が合わないのだから、その別れは必然だ。♠〈必然の帰結〉労働者出身のS氏がその政党に入党したのは、必然の帰結といえるでしょう。♠〈必然〜になる〉父が病気で倒れてからというもの、必然、兄の責任も重くなっていった。♠〈必然に〉実力が認められてくると、必然にまわってくる仕事も多くなりました。♠〈必然性〉ストーリーに必然性が感じられなかったせいか、その映画にはあまり感動しなかった。♠〈必然的〉ダムが建設されることになれば、必然的にこの村は水底に沈むことになる。 **ひっそり** ○静かなさま。ひそかなさま。[文例]〈ひっそりと咲く〉大輪のバラよりも、ひっそりと咲くすみれのほうが好きだ。♠〈ひっそりとする〉詩人の家は、静かな湖のほとりに、ひっそりとしたたたずまいを見せている。♠〈ひっそりと立つ〉山頂近くの小さなくさむらの中に、その墓はひっそりと立っていた。♠〈ひっそり暮らす〉会社を息子にゆずった氏は、この田舎[いなか]町でひっそり暮らしている。♠〈ひっそり静まる〉十二月三日午前三時、町はひっそり静まり返っていた。♠〈ひっそり閑とする〉生徒がみな帰ったあとの校庭は、ひっそり閑[かん]としています。 **ひったく・る【引ったくる】** ○無理に奪い取る。[文例]〈バッグを引ったくる〉銀行から出てきた女性のバッグを、後ろを歩いていた男がいきなり引ったくった。♠〈棒を引ったくる〉犬をいじめていた少年の手から、彼はいきなり棒を引ったくった。 **ぴったり** ○すきまなく合うさま。合わさって離れないさま。よく適合するさま。完全に止まるさま。ぴったり。[文例]〈ぴったり閉める〉すきま風が入るので、戸をぴったり閉めてください。♠〈ぴったり合う〉どうだい、ぼくの予想がぴったり合ったろう。♠〈ぴったり寄り添う〉彼のそばには恋人らしき女性がぴったりと寄り添っていた。♠〈ぴったりやめる〉よし、タバコはぴったりやめるぞ。♠〈ぴったりする〉自分にぴったりした職業を見つけるのは簡単ではない。 **ピッチ** ○繰り返す動作の速さ。ネジの山と山、歯車の歯と歯の間の長さ。音の高さ。[文例]〈ピッチが速い〉味方の投手は、速いピッチで切れのよい球を投げ込んでいった。♠〈ピッチを上げる〉彼らのボートはレースの半ばごろからピッチを上げ、ぐんぐん他を引き離していった。♠〈急ピッチ〉新校舎の建設が急ピッチで進められている。 **ひっつ・く【引っ付く】** ○くっつく。[文例]〈手に引っ付く〉接着剤が手に引っ付いて、とるのに一苦労した。♠〈背と腹が引っ付く〉おなかがすいて、もう背中と腹が引っ付きそうだ。 **ひってき【匹敵】** ○価値・力量などが対等であること。[文例]〈匹敵する〉その当時の千円は、今の一万円にも匹敵するでしょう。♠〈人に匹敵する〉短距離にかけては、県内には彼に匹敵する選手は見当たらない。♠〈三位に匹敵する〉今日の彼女の記録は、先日の大会なら第三位に匹敵します。♠〈〜分に匹敵する〉今回の台風でおし流された土砂[どしゃ]は、ダンプカー数千台分にも匹敵するそうです。♠〈美しさに匹敵する〉この宝石の美しさに匹敵するものは、どこにも存在しないだろう。 **ヒット** ○打つこと。野球の安打。大当たり。大成功。[文例]〈ヒットを打つ〉同点の九回裏、一番バッターがヒットを打って出塁した。♠〈ヒットを飛ばす〉今年こそはヒットを飛ばそうと、わが社は新製品の開発を急いでいます。♠〈ヒットする〉デビュー曲が大ヒットして、彼女はたちまち人気者になった。 **ひっとう【筆頭】** ○筆の先。文章の書き出し。第一番にその名を書かれる人。[文例]〈筆頭にあげる〉次期大統領候補の中でD氏が筆頭にあげられていた。♠〈人気の筆頭〉子供の好きなアニメーションドラマの中で、人気の筆頭はこの番組です。♠〈戸籍筆頭者〉この欄[らん]に、戸籍筆頭者の名前を書いて提出してください。 **ひつどく【必読】** ○必ず読まなければならないこと。[文例]〈必読の本〉これは、中学生にとって必読の本といえるでしょう。 <927> **ひつどく【必読】** ○必ず読まなければならないこと。[文例]〈必読の本〉これは、中学生にとって必読の本といえるでしょう。♠〈必読の書〉この一冊は、医学部学生にとって必読の書である。 **ひっぱく【逼迫】** ○事態が差し迫ること。経済的に行き詰まること。[文例]〈生活が逼迫する〉父の死によりわが家の生活は逼迫し、わたしは学生生活を続けられなくなった。♠〈事態が逼迫する〉事態は逼迫し、ついに両国は戦争へと突入していった。 **ひっぱりだこ【引っ張りだこ】** ○人気があってあちこちから望まれる物や人。[文例]筋肉質で体の大きい彼は、運動部から引っ張りだこです。♠この人形は、子供たちの間で引っ張りだこになっている。 **ひっぱ・る【引っ張る】** ○強く引く。引いて、ぴんと張る。引き寄せる。引き付ける。仲間に誘う。引いて行く。連れて行く。引きのばす。[文例]〈ひもを引っ張る〉左側のひもがたるんでいるから、ちょっと引っ張ってくれ。♠〈そでを引っ張る〉夜の街で知らない女の人にそでを引っ張られて、店の中に連れ込まれてしまった。♠〈リヤカーを引っ張る〉子供たちだけでリヤカーを引っ張っても、びくともしなかった。♠〈他を引っ張る〉レースは、アフリカの選手が他の選手を引っ張るという展開になった。♠〈警察に引っ張る〉無銭飲食をした男が警察に引っ張られて行く。♠〈野球部に引っ張る〉田中君を野球部に引っ張ってこようとしたが、陸上部が放さなかった。♠〈語尾を引っ張る〉彼女の語尾を引っ張るしゃべり方は、だれかに似ているな。 **ひっぷ【匹夫】** ○身分の低い男。考えの浅い男。[文例]〈匹夫の勇〉かっとなって、けんかの場に飛び込んでいくなど、つまらぬ匹夫の勇というものだ。 **ひづめ【蹄】** ○牛や馬などの足の先のつめ。[文例]〈ひづめにかけられる〉かじ屋のトムじいさんが、馬のひづめにかけられてけがをしたという。♠〈ひづめの音〉丘の上に土煙がたち、ひづめの音が近づいてくる。 **ひつよう【必要】** ○必ず要ること。無くてはならないさま。[文例]植物の生長には、空気と水と日光が必要だ。♠〈必要な金〉本当に必要なお金なら、お母さんはいつでも出しますよ。♠〈必要がある・ない〉きみは一度病院に行って精密検査を受ける必要がある。♠〈必要に応じて〉本棚[ほんだな]の中のしきりは、必要に応じて取り外すことができます。♠〈必要を感じる・痛感する〉今回の失敗で有能な技術者の必要を痛感した。♠〈必要に迫られる〉必要に迫られていたとはいえ、先祖伝来の刀剣[とうけん]を売ってしまったことがくやまれる。♠〈必要とする〉飢えに苦しむアフリカ諸国では、大量の食糧[しょくりょう]を必要としています。♠〈必要は発明の母〉新製品を見ていて、まさに「必要は発明の母」という言葉通りだなと思った。 **ひてい【否定】** ○打ち消すこと。[文例]〈肯定[こうてい]と否定〉〈否定をする〉その質問に対して、わたしは否定も肯定もしませんでした。♠〈事実を否定する〉この車が何らかの形で事件に関係しているという事実は否定できない。♠〈疑いを否定する〉いっせいに向けられた疑いの目を、わたしはあえて否定しなかったのです。♠〈うわさを否定する〉むきになってうわさを否定するあたりが、かえって怪しいね。♠〈否定的〉残念ながら彼女は、きみの意見には否定的だった。♠〈二重否定〉「ないこともない」といった二重否定は、逆に強い肯定の意味を表すことがあります。 **びてき【美的】** ○美しいさま。美に関するさま。[文例]芸術家が税金の申告に税務署へ出かけて行く姿なんぞは、とても美的とは言えません。♠〈美的感覚〉日本人は、繊細[せんさい]な美的感覚をもつ国民といえるでしょう。♠〈美的生活〉楽しみといえばたまの休みのゴルフといったところですから、とても美的生活とは申せません。 **ひでり【日照り】** ○日が照ること。日が照って長期間雨が降らないこと。必要なものが不足すること。[文例]〈日照り続き〉その年の夏は日照り続きで、二か月の間、雨が一滴[いってき]も降らなかった。♠〈男ひでり・女ひでり〉男ひでりが続いてるの。どこかにいい男いないかしら? **ひでん【秘伝】** ○たやすくは人に伝授しない事柄。[文例]〈秘伝の妙薬〉これはわが家の秘伝の妙薬で、どんな風邪もたちどころに治ってしまいます。♠〈秘伝を授かる〉娘の琴の腕前[うでまえ]は、ついに師から秘伝を授かるまでに上達した。 **びてん【美点】** ○すぐれた点。長所。→欠点。[文例]気は利かないが、きまじめなところは彼の美点といっていいだろう。♠〈日本人の美点〉日本人の美点の一つとして、きれい好きがあげられよう。 **ひと【人】** ○人類。人間。個人。特別な関係にある個人。他人。世人。人物。人材。人柄。成人。[文例]〈人と他の生物〉自然開発が進むにつれて、人と他の生物が共存していくことは、難しくなってきている。♠〈人によって・人それぞれ〉同じ作品なのに人によって評価が分かれ、「人それぞれなんだなあ。」と思った。♠〈人の世〉出会いがあれば別れがある、それが人の世の常なのです。♠〈目上の人〉目上の人に敬語を使うのは、中学生にもなれば常識です。♠〈うちの人〉うちの人は本当にいいかげんで、困っちゃうね。♠〈人の気も知らないで〉まったく人の気も知らないで、今までどこに行っていたんだい。♠〈世間の人〉世間の人がなんと言おうと、わたしは絶対に自分の主張を変えないわ。♠〈時の人〉テレビのクイズ番組で勝ち抜いたA君が、わが校では、時の人です。♠〈人の目につく〉ここでは人の目につくから、どこか喫茶店[きっさてん]にでも行って話をしないか。♠〈人のふり見てわがふり直せ〉彼の行動を笑ってはいられないよ、人のふり見てわがふり直せっていうだろう。♠〈人のうわさも七十五日〉そんなに気にしなくても大丈夫さ、人のうわさも七十五日っていうじゃないか。♠〈人のふんどしで相撲[すもう]をとる〉人のふんどしで相撲をとるような、そんな他力本願なことではいけません。♠〈人を使う〉父は若い人をたくさん使って、車の部品を作る工場を経営している。♠〈人をくう〉きみの人をくった話し方は、クラスのみんなの反感を買いましたよ。♠〈人がいい〉兄は人がいいので、何か頼まれると断ることができません。♠〈人が悪い〉知ってるくせに黙っていたとは、きみも本当に人が悪いね。♠〈人が変わる〉あの事件以来、父は人が変わったように働き始めました。♠〈人をだます〉 <928> **ひと【人】** ○[文例]〈人を見る目がある〉田中君を副代表に選ぶとは、なかなか人を見る目があるね。♠〈人を人とも思わない〉その男の、人を人とも思わない態度は、不愉快[ふゆかい]でしようがなかった。♠〈人がいない〉元大臣のF氏は、最近の政界には人がいないと嘆いておられた。♠〈人を育てる〉教師は、勉強を教えるだけではなく、人を育てるのが仕事です。♠〈人を得る〉彼のようなすぐれた人を得てこそ、この仕事が可能になったのです。♠〈人は見かけによらない〉あんなのんびりした子がクラスで一番の成績なんだって。人は見かけによらないね。♠〈人に頼る〉何か問題が起こった時、すぐ人に頼るのではなく、まず自分で解決方法を考えなさい。♠〈人が来る〉今日は田舎[いなか]から人が来るので、外出はできません。♠〈人をやる〉それでは午後一時に駅まで人をやって、出迎えさせます。♠〈人を立てる〉〈しかるべき人〉この問題についてはしかるべき人を立てて、交渉[こうしょう]にあたらせよう。♠〈思う人〉思う人には、なかなか心を打ち明けられないものです。♠〈意中の人〉ゆみこさんに話しかけられて赤くなるところを見ると、彼女はあいつの意中の人だな。♠〈帰らぬ人〉元気だった祖父も、帰らぬ人となってはや半年がたつ。♠〈ただの人〉神童とはやされた少年も、二十歳[はたち]すぎたらただの人だ。♠〈文は人なり〉文章を見れば書いた人の人柄が分かるものさ、文は人なりといってね。♠〈人をのろわば穴二つ〉「人をのろわば穴二つ」といって、人の不幸を願っていると、自分も不幸な目にあうものです。♠〈人の口に戸は立てられぬ〉昨日[きのう]の事がもう近所じゅうに知れ渡っているなんて、人の口に戸は立てられないわね。♠〈また人に見抜かれけり秋の暮[くれ]〉(小林一茶) **ひとあし【一足】** ○一歩。わずかな距離または時間。[文例]〈一足先〉友人は用があるというので、わたしは一足先に帰途[きと]についた。♠〈一足早い〉高原には一足早く秋が訪れます。♠〈一足違い〉きみを誘いに行ったら、一足違いで出かけたというので、急いで追いかけてきたんだ。 **ひとあたり【人当たり】** ○人に対する態度。人に与える感じ。[文例]〈人当たりがいい〉今度の店員は人当たりがいいので、店に来るお客さんの評判も上々だ。♠〈人当たりがやわらかい〉会社の受付には、明るくて人当たりのやわらかい女性が配置されることが多い。 **ひとあわ【一泡】** ○(「一泡ふかせる」で)驚かせる。あわてさせる。恐れさせる。[文例]〈一泡ふかせる〉無理難題ばかりふっかける係長に一泡ふかせてやろうと、わたしたちは作戦を練った。♠〈一泡ふかせる〉この歌集のヒットは、短歌が時代遅れになったと論じる人々に一泡ふかせることになった。 **ひどい【酷い】** ○むごい。残酷だ。激しい。はなはだしい。[文例]〈ひどい暑さ〉昨日は朝からひどい暑さで、とても外に出る気にはならなかった。♠〈傷がひどい〉弟の足の傷は思ったよりひどく、完治するのに十日間もかかりました。♠〈においがひどい〉山頂付近は硫黄[いおう]のにおいがひどくて、とても近づけません。♠〈ひどい男〉気がついていて黙っているなんて、あいつはほんとうにひどい男だ。♠〈ひどい話〉いまだに拷問[ごうもん]による取り調べとは、全くひどい話だ。♠〈ひどい目にあう〉駅前の道が工事でものすごく込んでいてね、まったくひどい目にあったよ。♠〈ひどくしかる〉ほんの子供のいたずらを、そんなにひどくしからなくてもいいじゃないか。♠〈空襲がひどくなる〉昭和二十年になると、空襲[くうしゅう]はますますひどくなっていった。 **ひといき【一息】** ○ひと呼吸。ひと休み。一気。少しの努力。[文例]〈一息もつかず〉自慢[じまん]していた通りに、太田君は一息もつかず二十五メートルを泳ぎ切った。♠〈一息入れる〉お昼の用意もできたし、ここらで一息入れよう。♠〈一息つく〉会社に帰って一息つく間もなく、彼は部長に呼ばれた。♠〈一息に登る〉ここまで来たら頂上まではもう少し、一息に登ってしまおう。♠〈一息に飲む〉冷蔵庫から缶ジュースを取り出すと、一息に飲みほした。♠〈もう一息〉合格するためには、もう一息努力をしないとだめだよ。♠〈ほっと一息〉パーティーも滞りなく進み、関係者もほっと一息といったところでしょう。 **ひといきれ【人いきれ】** ○混雑した所で人の体から発する熱気でむんむんすること。[文例]超満員の会場は、むっとするような人いきれで息苦しかった。♠狭い部屋に出席者があふれ、人いきれで気分が悪くなる人が出る始末だった。 **ひといちばい【人一倍】** ○ほかの人の倍。[文例]〈人一倍の努力〉この道で他にぬきんでるには人一倍の努力が必要だ。♠〈人一倍〜する〉人一倍寝てるくせに、まだねむいのかい。 **ひどう【非道】** ○人の道に外れていること。[文例]〈非道のふるまい〉主君とはいえ、罪なき家臣を罰するのは非道のふるまいでございましょう。♠〈極悪非道〉およそ考えられる限りの罪を犯した極悪非道[ごくあくひどう]の男が処刑された。 **びどう【微動】** ○かすかに動くこと。[文例]〈微動だにしない〉風はそよとも吹かず、木の葉は微動だにしない。♠〈微動もしない〉すでに覚悟[かくご]をしていたのか、女は夫の悲報を微動もせずに聞いた。 **ひとえに【偏に】** ○全く。ただただ。ひたすら。[文例]みごと志望校に合格できたのは、ひとえに努力のたまものだ。♠今回の企画が成功したのも、ひとえに山村君の協力のおかげです。♠これからもより一層のご愛顧[あいこ]のほど、ひとえにお願い申し上げます。 **ひとおじ【人怖じ】** ○見知らぬ人の前でおじけづくこと。[文例]〈人おじする〉佐藤君は人おじしないから、外部の人と接するこの仕事にはうってつけだ。 **ひとおもいに【一思いに】** ○思い切って。[文例]大学を中退したわたしは、いっそ一思いに田舎に帰ろうとも思った。♠こんなに苦しい病状が続くのなら、一思いに死んだほうが、と思ったこともありました。 **ひとがき【人垣】** ○大勢の人が集まり並んだ状態。[文例]〈黒山の人垣〉〈人垣を築く〉少女が街頭で舞い始めると、たちまち黒山の人垣が築かれた。♠〈人垣を作る〉校庭に迷い込んだ子犬を見つけて、走り出てきた生徒たちが人垣を作った。 <929> **ひとかげ【人影】** ○人の影。人の姿。[文例]〈人影がない〉八時前だというのに店は明かりを消し、通りには全く人影がなかった。♠〈人影がまばら〉さびれた町で、駅前も人影がまばらだった。♠〈人影が映る〉カーテンに映った人影は、若い女の人だった。♠〈人影が見える〉窓の外に人影が見えると、男はとっさに銃[じゅう]をかまえた。 **ひとかげ【人陰】** ○人の陰。人の後ろ。[文例]〈人陰にまぎれる〉名残[なごり]を惜しむ親子の姿も、やがて人陰にまぎれて見えなくなった。♠〈人陰に隠れる〉向こうから刑事[けいじ]らしい男がやってくるのを見て、犯人は人陰に隠れました。♠〈人陰から飛び出す〉人陰からふいに飛び出したのは、子供ほどの大きさの白い犬でした。 **ひとかけら【一かけら】** ○一つのかけら。ほんの少し。[文例]〈菓子[かし]のひとかけら〉ぽんと投げた菓子のひとかけらに、ハトがぱっと群がった。♠〈ひとかけらのあわれみ〉男は、泣いて頼む親子にひとかけらのあわれみも示さなかった。♠〈ひとかけらの愛情〉家では暴力をふるうばかりの父親に、彼はひとかけらの愛情も感じなかった。 **ひとかた【一方】** ○ひととおり。普通の程度。片方。お一人。[文例]〈一方ならぬ〉このたびは、一方ならぬお世話をいただきまして、まことにありがとうございます。♠〈一方ならず〉わたしは職業適性という問題に、一方ならず興味をもっている。♠〈一方でない〉末っ子の彼が母親を亡くした時の悲しみようは、一方ではなかった。♠〈お一方〉もうお一方いらっしゃれば、お客様は全員おそろいです。 **ひとかど【一角】** ○人よりすぐれていること。一人前。[文例]〈ひとかどの土地者〉わたしはもう十年近くもこの町に住んでおり、ひとかどの土地者のような顔をしていた。♠〈ひとかどの人物〉彼は、ひとかどの職人になるまで、故郷[こきょう]の土は踏むまいと心に誓った。 **ひとがら【人柄】** ○人間としての品格や性格。また、それがすぐれていること。[文例]〈どんな人柄〉名前はよくお聞きするのですが、どんな人柄の方ですか。♠〈人柄が良い・悪い〉きみのように人柄の良い人が店に来てくれて、ほんとうに助かっているよ。♠〈人柄の良さ〉仲間への細かい心遣[こころづか]いの中にも、人柄の良さが表れている。♠〈人柄が分かる〉彼女の小さい子に対する態度を見ても、その人柄が分かるでしょう。♠〈人柄を考える〉あの人の人柄を考えてごらん。そのくらいのことはやりかねないよ。♠〈人柄が表れる〉専門家によると、自由に書かせた字の中にも人柄が表れるそうだ。♠〈人柄を見る〉父は彼の人柄を見て、大丈夫[だいじょうぶ]と太鼓判[たいこばん]をおしました。♠〈お人柄〉何を言われてもいやな顔一つしないのも、お人柄というものだ。 **ひとかわ【一皮】** ○皮一枚。うわべ。[文例]〈一皮むけた感じ〉ああいうのを一皮むけた感じの美人というのでしょうか、洗練された大人の雰囲気をもった人でした。♠〈一皮むく〉人間一皮むけば、だれでも欲のかたまりみたいなものだ。 **ひとぎき【人聞き】** ○世間の人が聞いた時受ける感じ。外聞[がいぶん]。[文例]〈人聞きが悪い〉痴漢[ちかん]にまちがえられて尋問[じんもん]を受けたなど、人聞きが悪くて家族にも言えません。 **ひときわ【一際】** ○いっそう。いちだんと。[文例]〈ひときわ派手〉ふだんからおしゃれな彼女が、その日はひときわ派手な洋服を着てきた。♠〈ひときわ目立つ〉小学生のころから市川君はひときわ目立った存在でした。♠〈ひときわ鮮やか〉太陽の光を浴びて色づいた木の葉がひときわ鮮やか[あざやか]に見えます。♠〈ひときわ大きい〉バスケット部員の中でも、ひときわ大きいのが上田さんです。♠〈ひときわ輝きを増す〉冷たい風が吹き始めて、月の光がひときわ輝きを増してきたような気がした。 **ひとくさり** ○ひとまとまり。一段落。[文例]例によって社長のひとくさりが終わるまで、宴会[えんかい]のお料理はおあずけです。♠〈話のひとくさり〉隣のおばさんにつかまって、ひとくさりいつものうわさ話につき合わされた。 **ひとくせ【一癖】** ○一つの癖。よくない性質。[文例]〈一癖ありそう〉あの目つきは、どうも一癖ありそうに思われる。♠〈一癖も二癖もある〉一癖も二癖もある男らしいから、慎重[しんちょう]につき合ったほうがいい。 **ひとくち【一口】** ○一回分の飲食物を口に入れること。短くまとめて言葉を発すること。寄付金・株・懸賞などの一単位。[文例]〈一口で食べる〉あんな大きなケーキを、本当に一口で食べてしまったのかい。♠〈一口も〉おなかの調子が悪くて、けさから一口も食べていません。♠〈一口で説明する〉こんな難しい機械の仕組みを、一口で説明することはできない。♠〈一口で言う〉今のきみの状態を一口で言うと、悲惨[ひさん]の一語につきるね。♠〈一口いかが〉さあ遠慮[えんりょ]なさらないで、あなたも一口いかがですか。♠〈一口三千円〉一口三千円で卒業生から寄付金を集めることにしました。♠〈一口乗る〉もうかりそうな話なら、ぼくも一口乗るよ。 **ひとけ【人気】** ○人のけはい。[文例]〈人けがない〉人けのない林の道を歩いていると、時おりバタバタと鳥が飛び立った。♠〈人けを感じる〉暗い夜道で、背後に人けを感じてふり返るということがあるものです。 **ひとこいし・い【人恋しい】** ○何となく人に会ってみたくな る感じだ。[文例]しんしんとふけていく秋の夜は、たまらなく人恋しくなります。♠一人暮らしの老人は、時々人恋しくて町に出ていった。 **ひとこえ【一声】** ○一つの声。一つの言葉。[文例]〈一声鳴く〉雁[かり]は一声鳴いて、空のかなたに飛んでいった。♠〈一声かける〉どんなに教室がざわざわしていても、その先生が一声かけるとぴたりとおさまった。♠〈一声をあげる〉「オギャー」とあなたが最初の一声をあげたのは、昭和五十七年六月一日。♠〈鶴の一声〉ああでもない、こうでもないともめていたが、結局父の鶴[つる]の一声で収まりがついた。 <930> **ひとごえ【人声】** ○人の声。[文例]〈人声がする〉しげみの中でかすかに人声がするので、わたしはそっと近づいて行った。 **ひとごこち【人心地】** ○人間らしい心地。生きているなあと いう実感。[文例]〈人心地がつく〉雪の中を歩いてすっかり冷えきったが、熱いコーヒーを飲んでやっと人心地がついた。♠〈人心地がもどる〉日中の暑さも夜に入ってやわらぎ、一日の汗を流すとやっと人心地がもどってくる。 **ひとこと【一言】** ○一つの言葉。短い言葉。いちごん。[文例]〈一言断る〉出かけるなら、だれかに一言断っていきなさい。♠〈一言言う〉こちらが何を言っても、向こうは一言も言わなかった。♠〈一言もない〉それ以来、彼からは一言も連絡がありません。♠〈一言で言う〉人の性格は、一言で言い表せるものではありません。♠〈一言多い〉きみはいつも一言多い人だから、ことばには注意したほうがいい。 **ひとごと【人事】** ○他人のこと。自分に関係のないこと。[文例]〈人ごとでない〉子供が関係した事件は、世の親にとって人ごとではありません。♠〈人ごとのよう〉何を言っても人ごとのような顔をしているが、きみのことを言ってるんだぞ。 **ひとこま【一齣】** ○一場面。[文例]〈映画のひとこま〉わたしは、その映画のひとこまに深い感動をおぼえた。♠〈青春のひとこま〉夏の一日、あなたと海に遊んだことをわたしの青春のひとこまにきざんでおこう。 **ひとごみ【人込み】** ○人で込み合っていること。また、その場所。[文例]〈人込みにまじる〉日曜日、行楽の人込みにまじって郊外に出てみた。♠〈人込みにまぎれる〉犯人は人込みにまぎれて、姿をくらましてしまった。♠〈ふるさとの訛なまりなつかし/停車場[ていしゃば]の人ごみの中に/そを聴きにゆく〉(石川啄木[たくぼく]) **ひところ【一頃】** ○以前の一時期。[文例]ひところは、よく山登りに行ったものですが、今は時間がとれません。♠ひところ話題になった映画が、リバイバルで上映されている。♠〈戦後のひところ〉生活必需品の不足した戦中戦後のひところ、配給制が行われた。 **ひとざと【人里】** ○人の住む里。[文例]〈人里離れる〉人里離れた山奥に、一組の親子が住んでいました。♠〈人里近く〉鹿[しか]たちは、えさを求めて人里近くまでやってくるようになった。 **ひとさわがせ【人騒がせ】** ○世間の人を騒がせること。[文例]〈人騒がせをする〉今年は大地震が起こるなどと占いをたてて、人騒がせをする者がいる。♠〈人騒がせなこと〉酔っ払って警報器を鳴らすなど、人騒がせなことをする人もいるものだ。♠〈人騒がせな事件〉暮れになると、人騒がせな事件が頻発[ひんぱつ]します。 **ひとし・い【等しい】** ○同じである。同一である。[文例]〈長さが等しい〉二辺の長さが等しい三角形を、二等辺三角形といいます。♠〈無に等しい〉三回にわたって農薬の散布を行ったが、効果は無に等しかった。♠〈自殺に等しい〉そんな軽装で冬山に登ろうなんて、それは自殺に等しい行為だ。♠〈犯罪に等しい〉法には触れていないかもしれないが、きみのやっていることは、犯罪に等しい。♠〈等しく〜する〉議長の提案[ていあん]に皆が等しく賛成しました。 **ひとしお【一入】** ○いっそう。ひときわ。[文例]〈喜びがひとしお〉前回は予選で敗退しただけに、優勝の喜びはひとしおだと思います。♠〈感激がひとしお〉この作品にはあれこれと苦労したので、完成したときには、その感激[かんげき]もひとしおだった。♠〈ひとしお身にしみる〉秋の夕暮れ時は、寂[さび]しさがひとしお身にしみる。♠〈ひとしおかわいがる〉末っ子の優子は、両親にひとしおかわいがられていた。♠〈ひとしおつのる〉彼女がいなくなって半年が過ぎてから、さびしさがひとしおつのってきました。♠〈ひとしお鮮やか〉雨上がりの午後、山の緑はひとしお鮮やか[あざやか]に目に映る。 **ひとしきり【一頻り】** ○しばらくの間続くさま。[文例]通り雨がひとしきり強く降って、やがて去っていった。♠赤ん坊はひとしきり泣いて、いつの間にか寝入ってしまった。 **ひとじち【人質】** ○約束のしるしとして相手方へ渡す人。要求を実現する手段として捕らえておく人。[文例]〈人質にする〉犯人は子供を人質にして、五千万円を要求してきた。♠〈人質とする〉戦国の武将たちは、家族を人質として強国へ送り和睦[わぼく]を図ることも多かった。♠〈人質にとる〉子を人質にとられているようなものですから、親はどうしても学校には遠慮してしまいます。 **ひとしなみ【等し並み】** ○同等であること。同列に扱うさま。[文例]〈等し並みに扱う〉少年は、大人と等し並みに扱われたことがひどくうれしかった。♠〈等し並みに考える〉素人の思いつきを経験者の意見と等し並みに考えてはいけない。 **ひとしれず【人知れず】** ○人に知られないように。ひそかに。こっそり。[文例]わたしは、裏切られたくやしさに人知れず泣いた。♠父の病気に気づいた母は、人知れず心を痛めていた。 **ひとすじ【一筋】** ○一本のすじ。いちず。[文例]〈一筋の光〉ドアのすき間から部屋の中に、一筋の光が差し込んでいる。♠〈一筋の道〉山の峰[みね]づたいに、一筋の道が細長く続いています。♠〈一筋の流れ〉日本アルプスに源を発するこの一筋の流れがやがて信濃川[しなのがわ]となり、日本海に流れこむ。♠〈仕事一筋〉〈一筋に生きる〉山の仕事一筋に生きる男たちのたくましさを、写真はみごとにとらえています。♠〈一筋に思いつめる〉彼のことを一筋に思いつめていた彼女も、今ではすっかり忘れたようにふるまっています。 **ひとすじなわ【一筋縄】** ○一本の縄。安易な手段。[文例]〈一筋縄ではいかない〉今年は不況だから、会社側との賃上げ交渉は一筋縄ではいかないだろう。♠〈一筋縄ではいかない〉戦後の混乱期を女手一つで乗り切った人ですから、一筋縄ではいきません。 **ひとずれ【人擦れ】** ○世間に慣れてずる賢いこと。[文例]〈人ずれする〉旅館のおかみという商売がら人ずれしており、ますので、お気に触ることも多いかと存じます。 <931> **ひとずれ【人擦れ】** ○[文例]〈人ずれする〉学生は人ずれしていないから、セールスマンの甘言[かんげん]にひっかかることも多い。 **ひとだかり【人だかり】** ○人が群がり集まること。群がり集まった人々。人立ち。[文例]〈人だかりがする〉公園の入り口のところに人だかりがして、口々に何か言い合っていた。♠〈人だかりがくずれる〉猿まわしの猿がちっとも芸をしないので、人だかりはすぐにくずれた。♠〈人だかりをかきわける〉女はバーゲンセールの売り場に来ると、こ然と人だかりをかきわけて進み出した。 **ひとだすけ【人助け】** ○困っている人を助けること。[文例]ちょっとしたことが人助けになって、相手の人がとても喜んでくれました。♠親友のきみだから頼むんだが、人助けと思ってこの仕事を引き受けてくれ。 **ひとたまり【一溜まり】** ○わずかの間もちこたえること。[文例]〈ひとたまりもない〉核戦争が起これば、人類はひとたまりもないだろう。♠〈ひとたまりもない〉堤防は、洪水でひとたまりもなく崩[くず]れてしまった。 **ひとつ【一つ】** ○数の一。一体であること。一致していること。まとまっていること。一方。一面。ちょっと。どうか。…さえ。…次第。[文例]〈一つや二つ〉逆上がりの一つや二つ、朝めし前さ。♠〈二つに一つ〉主人の言うことを聞くか、店を出ていくか、二つに一つしかなかった。♠〈万に一つ〉たとえ万に一つの可能性でもためしてみる価値はあります。♠〈一つになる〉わたしは、映画の主人公とすっかり気持ちが一つになっていました。♠〈一つにする〉仲間たちは、新しいアニメーションを作るために心を一つにして取り組んだ。♠〈ひとつもない〉試験に対する不安はひとつもなかった。♠〈ひとつとして〉わたしは興味を持ったものはすぐに始めるが、長続きしたものはひとつとしてない。♠〈ここはひとつ〉きみの言い分はわかるが、ここはひとつ折れてくれないか。♠〈一つ家〉一つ家に暮らしているからといって、互いの気持ちが通じ合うとはかぎりません。♠〈一つところ〉ぼくは、どうも一つところに落ち着いていられない性分[しょうぶん]らしい。♠〈身一つ〉少女は東京のおばをたよって、身一つで上京した。♠〈決心ひとつ〉きみの決心ひとつで事態は変えられるよ。♠〈顔色ひとつ〉心はとても動揺していたが、顔色[かおいろ]ひとつ変えずに話し続けた。♠〈ごみひとつ〉シンガポールは、ごみひとつ落ちていない清潔な町だそうだ。♠〈何ひとつ〉ぼく、人に迷惑[めいわく]をかけるようなことは何ひとつしていないつもりだよ。♠〈今ひとつ〉悪くない出来だが、今ひとつ人をひきつける力が足りないね。 **ひとで【人手】** ○働き手。(殺傷などにおける)他人のしわざ。他人の手助け。人工。他人の所有。[文例]〈人手が必要〉今月中に工事を完成させるには、今の倍以上の人手が必要です。♠〈人手が足りない〉うちの店では、年末のかき入れ時を控えて、人手が足りなくて困っている。♠〈人手がかかる〉この品物は人手がかかっているので、そんなに安く売るわけにはいきません。♠〈人手にかかる〉町の世話役が人手にかかって死んだという。♠〈人手を借りる〉時間はかかるだろうけど、この仕事だけは人手を借りずにしあげたいと思っている。♠〈人手が加わる〉人手の加わっていない荒れ放題の空き地というのもよいものだ。♠〈人手に渡す〉どんなにお金を積まれても、この絵を人手に渡す[わたす]つもりはない。♠〈人手不足〉新しく購入[こうにゅう]した機械が、人手不足をある程度解決してくれると思います。 **ひとで【人出】** ○人々が集まり出ること。[文例]〈花見の人出〉この公園は、桜のころには花見の人出でにぎわいます。♠〈人出が多い〉駅前通りは人出が多いので、別の道を行こう。♠〈人出がある〉花火大会にはかなりの人出があるだろう。 **ひととおり【一通り】** ○ひとわたり。全体のあらまし。大体。一応。一種類。なみ。尋常。一そろい。[文例]書き上がった人は一通り読み直してごらん。♠年末の大掃除も一通りすみました。♠みんなはもう知っていると思うが道順を一通り説明しておこう。♠考え方は一通りではないよ。だめなら別の方法を考えてごらん。♠作業のめんどうなことといったら一通りではなかった。 **ひととき【一時】** ○少しの間。しばらく。ひところ。いっとき。[文例]〈夕暮れのひととき〉夕暮れのひととき、ぼんやりと空を眺めているのが好きです。♠〈憩[いこ]いのひととき〉夕食後の憩いのひとときをレコードを聞いてすごしました。♠〈安らぎのひととき〉子供たちと過ごす夕べが、父の安らぎのひとときでした。♠この店もひとときは繁盛[はんじょう]したのですが、今はもう店をたたもうかと考えています。 **ひととなり【人となり】** ○もちまえの性格。[文例]この本には、幕末に活躍した五人の人物の人となりとその時代の状況がよく描かれている。♠彼の人となりに敬服したわたしは、以来彼を師と仰ぐようになった。 **ひとなつこ・い【人懐こい】** ○初めての人とも親しみやすい。ひとなつっこい。[文例]〈人なつこい顔〉男の子は、人なつこい顔をして近づいてきた。♠〈人なつこい目〉子犬が人なつこい目でぼくを見上げた。 **ひとなみ【人並み】** ○普通の人と同じ程度であるさま。[文例]〈成績が人並み〉兄は秀才[しゅうさい]だが、弟の成績は人並みだ。♠〈人並みな生活〉金持ちではなくても、人並みな生活が送れれば、それで満足です。♠〈人並みな口〉ろくに仕事もしなかったくせに、よくそんな人並みな口がきけるな。♠〈人並みにできる〉たいていのスポーツは人並みにできますが、水泳だけは苦手です。♠〈人並みはずれる〉彼は中学生ですが、人並みはずれた体力の持ち主です。♠〈人並みすぐれる〉和田君の人並みすぐれたキック力は、きびしい練習から生まれたものだ。 **ひとにぎり【一握り】** ○片手で握ること。また、その程度の量。わずかな量。[文例]〈一握りの砂〉浜辺から持ち帰った一握りの砂を、ゼラニウムの鉢[はち]にまいた。♠〈一握りの人〉この国では、実権は一握りの人の手にあって、多くの人の知らないところで物ごとが決められていた。 **ひとひら【一片・一枚】** ○薄く平らなもの一枚。[文例]〈ひとひらの花びら〉教室の窓からひとひらの花びらが舞い込む。 <932> **ひとひら【一片・一枚】** ○[文例]〈ひとひらの雲〉秋の空に、ひとひらの雲がうかんでいます。♠〈ひとひらの雪〉てのひらに受けたひとひらの雪は、またたくまにとけて消えた。 **ひとまえ【人前】** ○人の見ている前。また、そこでつくろう体裁。[文例]〈人前に立つ〉人前に立って話をするのが苦手だという人は、大の男にも少なくない。♠〈人前に出る〉父は、わたしたちが人前に出て恥[はじ]をかかないように厳しく教育した。♠〈人前をはばかる〉恋人どうしなのでしょう、男女が人前もはばからずいちゃついていました。 **ひとまず【一先ず】** ○さしあたって。ともかく。[文例]家族のことも心配だから、ひとまず家に帰ることにするよ。♠熱もだいぶ下がったし、ひとまずこれで安心だ。♠それだけのお金があれば、ひとまず十分だと思います。♠彼の足のけがはたいしたことがないと聞いて、みんなはひとまずほっとした表情になりました。♠ひとまず相手の出方[どうこう]を見て、それから対策を練ることにしよう。 **ひとまわり【一回り】** ○一回転。一周。十二支の巡る十二年間。太さ・大きさなどの一段階。[文例]〈一回りする〉時計の針が一回りしても、彼女は約束の場所に現れなかった。♠〈一回りする〉父は、夕方庭を一回りして、大切にしている植木を見てまわります。♠〈一回り違う〉年齢が一回り違うということは、十二も離れているのですか。♠〈一回り大きい〉ひさしぶりに会ったおいは、一回りも二回りも大きくなっていた。 **ひとみ【瞳】** ○眼球の黒い部分。瞳孔[どうこう]。[文例]〈ひとみの色〉日本人のひとみの色は、ほとんどが黒か茶色です。♠〈ひとみが小さい〉まわりが明るくなると、ネコのひとみは小さくなっていきます。♠〈つぶらなひとみ〉彼女はつぶらなひとみで、じっとぼくを見つめました。♠〈青いひとみ〉そのドイツ人のきれいな金髪と青いひとみを今でもよく覚えている。♠〈ひとみを輝かす〉先生の質問に、少女はひとみを輝かせて答えました。♠〈ひとみを曇らせる〉老人の無礼な態度に、若者は一瞬[いっしゅん]ひとみを曇らせた。♠〈ひとみをこらす〉乗組員たちは一日中、ひとみをこらして島を探し続けた。 **ひとみしり【人見知り】** ○知らない人の前ではにかんだり、おじけづいたりすること。[文例]〈人見知りする〉わたしが声をかけると、男の子は人見知りして母親の背中に隠れてしまった。 **ひとめ【一目】** ○一度見ること。一度に見わたすこと。[文例]〈一目で見わたす〉天守閣に登れば、町全体が一目で見わたせる。♠〈一目で分かる〉そのグラフを見て、気温の変化は一目で分かりました。♠〈一目で見破る〉刑事[けいじ]はその男が犯人であることを、一目で見破った。♠〈一目見る〉買うかどうかは、実物を一目見てから決めたいと思います。♠〈一目だけ〉一目だけでいいから、もう一度彼女に会いたい。♠〈一目ぼれ〉うわさだと、兄は川村さんに一目ぼれしたそうです。 **ひとめ【人目】** ○他人の目。世間の人の目。[文例]〈人目を引く〉彼は身長が二メートル近くあり、街を歩いていると、どうしても人目を引きます。♠〈人目につく〉例の品物は、人目につかない所に隠[かく]してある。♠〈人目を忍ぶ〉若者は週に一回、人目を忍んで娘[むすめ]に会いに来ます。♠〈人目がある〉人目もあることだし、とてもそんな恥ずかしいまねはできません。♠〈人目をはばかる〉その女性は人目をはばかるように、コートのえりを立て、足早に立ち去った。♠〈人目がうるさい〉人目がうるさいから、もう二度とこの店には姿を見せないでくださいね。♠〈人目が気になる〉人目が気になって、最初はうまく踊[おど]れませんでした。♠〈人目が多い〉ここは人目が多いので、ちょっとあっちへ行って話をしないか。♠〈人目を避ける〉ごさくとおかよは、人目を避けて、村外れの鎮守[ちんじゅ]様の森でおちあった。♠〈人目を盗む〉肥満解消のために人目を盗んで[ぬすんで]縄跳びをしているの。 **ひとやま【一山】** ○山一つ。高く盛った物の一かたまり。[文例]〈一山当てる〉カルロスは、金鉱で一山当てようと全財産をつぎこんで、無一文[むいちもん]になってしまった。♠〈一山〜円〉八百屋[やおや]で一山百円のみかんを買いました。♠〈一山越す〉その問題が一山越したと思ったら、また難問がもち上がった。 **ひとり【一人・独り】** ○人数が1であること。自分以外に人がいないこと。独身。ただ。単に。[文例]これは、一人の日本の少年が外国で体験したことに基づいている。♠それは、ひとりきみだけの問題ではない。クラス全体で話し合おう。♠〈自分ひとり〉だれにも手伝ってもらわず、自分ひとりで犬小屋をつくりました。♠〈お山の大将おれ一人〉生徒と遊ぶときの先生は、お山の大将おれ一人でとても楽しそうだった。♠〈人っ子ひとり〉田舎の夜道はまっ暗で、人っ子ひとり通りません。 **ひどり【日取り】** ○日を決めること。また、その期日。[文例]〈式の日取り〉〈日取りが決まる〉婚約中の姉の結婚式の日取りが決まりました。♠〈日取りを早める〉あらしが来そうだから出発の日取りを早めよう。 **ひとりあるき【一人歩き・独り歩き】** ○ひとりで歩くこと。ひとり立ちすること。関係者の意図を超えて勝手に動き出すこと。[文例]〈夜道の一人歩き〉女性の夜道の一人歩きは危険です。♠〈一人歩きをする〉一度できると、法律は一人歩きをして、人間の生活を束縛することがある。 **ひとりずもう【一人相撲・独り相撲】** ○自分一人だけが勢い込むこと。[文例]〈一人相撲をとる〉だれも問題にしていないのに、そんなに勢い込んで一人相撲をとっても仕方がない。♠〈一人相撲に終わる〉わたしが勝手にポーッとなっただけなので、結局一人相撲に終わった。 **ひとりだち【独り立ち】** ○小さな子が一人で立つこと。自分の力でやっていくこと。[文例]〈独り立ちする〉わたしは二十歳になると、親元を離れて独り立ちした。♠〈独り立ちする〉フランス料理店に勤めていたわたしは、この春、自分でレストランを開いて独り立ちしました。 **ひとりでに【独りでに】** ○自然に。おのずから。無意識に。[文例]なぜかドアはひとりでに閉まった。♠スイッチも入れないのに、ラジオがひとりでに鳴りだした。 <933> **ひとりでに【独りでに】** ○[文例]そのくらいのけがなら、薬なんかつけなくても、ひとりでに治ってしまうよ。♠気がつくとひとりでに神社の方に足が向いていた。♠こんな大きなほら穴がひとりでにできたなんて、とても信じられない。 **ひとりよがり【独り善がり】** ○自分だけがよいと考え、他人の意見を聞き入れないこと。[文例]〈独りよがりに陥る〉自分だけで深く考えても、先人から広く学ぶことをしなければ独りよがりに陥る[おちいる]。♠〈独りよがりな考え〉独りよがりな考えでは他人を説得できません。 **ひとわたり【一渡り】** ○ひととおり。ひとまわり。ざっと。[文例]〈一わたりの説明〉作業について一わたりの説明はしましたが、わからないことはどしどし聞いてください。♠〈一わたり見回す〉わたしは会場を一わたり見回してから、空いている席に腰を下ろした。 **ひな【雛】** ○ひな鳥。ひよこ。ひな人形。[文例]〈ひながかえる〉軒下[のきした]のつばめの巣でひながかえったらしく、ピヨピヨ鳴く声がする。♠〈ひなを育てる〉巣から落ちたひなを拾ってきて育てています。♠〈おひなさま〉桃の節句には、おひなさまを飾ってお祝いします。 **ひなた【日向】** ○日の当たっている所。→日かげ。[文例]〈ひなたに出る〉家の中から急にひなたに出たので、まぶしくて目をあけていられなかった。♠〈かげになりひなたになり〉優勝できたのは、いつもマネージャーがかげになりひなたになりして尽くしてくれたおかげだ。♠〈ひなたぼっこ〉この椅子に座って、おじいさんはいつもひなたぼっこをしています。♠〈かげひなた〉糸問屋に奉公に出た佐吉[さきち]は、かげひなたなくよく働いた。 **ひな・びる【鄙びる】** ○田舎めく。田舎びる。[文例]〈ひなびた風情〉その温泉のひなびた風情[ふぜい]にひかれて、わたしは休みのたびに訪れた。♠〈ひなびた駅〉大石は、山あいのひなびた駅で電車を降りた。♠〈ひなびた声〉老人は、ひなびた声で土地の祭り歌をうたってくれた。 **ひなん【非難・批難】** ○責めとがめること。[文例]〈非難を受ける〉あなたのにえきらない態度は、友達から非難を受けるだろう。♠〈非難を浴びる〉まさかわたしたちの企画に賛成してくれたあなたから、非難を浴びるとは思ってもみなかった。♠〈非難を免れる〉組合からの非難を免れる[まぬがれる]ため、委員長は責任を下部に押しつけようとした。♠〈非難の目〉弁護士の発言が終わると、非難の目はいっせいに彼に向けられました。♠〈非難の声〉新しい条例に対して、住民からは非難の声が上がっている。♠〈非難の矢面〉グループではぼくが最年長ということで、周囲の非難の矢面[やおもて]に立たされた。♠〈非難する〉その権力を恐れて、代議士の行動を面と向かって非難する者はいなかった。♠〈非難ごうごう〉突然[とつぜん]のコンサートの中止に、非難ごうごうだった。 **ひなん【避難】** ○災難を避け、安全な場所へ逃げること。[文例]〈避難を始める〉洪水[こうずい]警報が出されると、村人たちは高台へ避難を始めた。♠〈避難が遅れる〉火災が発生したのが深夜だったことも、泊まり客の避難が遅れた原因の一つです。♠〈避難する〉ガスもれ事故が頻発[ひんぱつ]して以来、市内から避難する人の数は増え続けている。♠〈外国に避難する〉港は、祖国を失って外国に避難しようとする難民たちであふれていた。♠〈避難場所〉ぼくの家では、大地震[だいじしん]が起こったときの避難場所が決めてある。♠〈避難訓練〉災害に備えて、会社では年に一回避難訓練[くんれん]が行われる。 **ひにく【皮肉】** ○体の皮と肉。表面的なこと。あてこすり。意地悪な言葉。思い通りにならないさま。[文例]〈皮肉で言う〉皮肉で言ったのに、彼は真[ま]にうけて、てれくさがっている。♠〈皮肉を言う〉のろまの弟に、おばさんは、「落ち着いた子で大物[おおもの]ね。」と皮肉を言って笑いました。♠〈皮肉な運命〉自分で定めた法律に自分が裁[さば]かれるとは、なんと皮肉な運命だろう。♠〈皮肉な世の中〉やっとのことで舟[ふね]を新しくしたのに、川に橋ができるなんて、皮肉な世の中だ。♠〈皮肉な結果〉ぼくたちの応援[おうえん]が、かえって選手のプレッシャーになるという皮肉な結果になりました。♠〈皮肉にも〉体育祭当日は、皮肉にも午後から雨が降り始めた。♠〈皮肉なことに〉東京は大雪ですが、皮肉なことに雪不足のスキー場は快晴だそうです。 **ひにくのたん【髀肉の嘆】** ○(長い間馬に乗らずにいてももの肉がついたのを嘆くという中国の故事から)手柄を立てる機会がないのを嘆くこと。[文例]〈髀肉の嘆をかこつ〉功名を立てる機会を失った侍たちが髀肉の嘆をかこつ一方で、領民はつかの間の平和を喜んでいた。 **ひにく・る【皮肉る】** ○皮肉を言う。[文例]この話は、当時の堕落した貴族社会を皮肉ったものである。♠皮肉るだけでなく、言いたいことがあったら正々堂々と言いたまえ。 **ひにち【日日】** ○日。期日。日程。日数。[文例]〈日にちを決める〉できるだけたくさんの人が参加できるように日にちを決めよう。♠〈日にちが足りない〉今度の旅行は、日にちが足りなくて、観光どころではありません。♠〈日にちを数える〉一年生は、楽しい遠足を日にちを数えて待っています。♠〈日にちを取る〉忙しくて、友達との約束を果たす日にちも取れなかった。 **ひにん【否認】** ○事実を認めないこと。→是認[文例]〈否認する〉男は物的証拠[しょうこ]をつきつけられても、まだ犯行を否認し続けた。 **ひにんげんてき【非人間的】** ○人間的でないさま。[文例]〈非人間的〉権力を用いて言論や思想の自由を規制することは、きわめて非人間的なことである。 **ひねく・れる【捻れる・拮れる】** ○性質がねじける。[文例]〈子供がひねくれる〉ぼくは、親の意見も聞かずひねくれて、不良仲間とつき合い始めた。♠〈性格がひねくれる〉ぼくみたいに性格がひねくれていたら、だれもお嫁に来てくれないかな。 **ひねもす【終日】** ○一日じゅう。日がな一日。[文例]退職後の夫はひねもす好きな本を読み暮らし、あきる様子もなかった。♠年老いた猫は、日のあたる縁側でひねもすうつらうつらと眠っていた。♠〈春の海ひねもすのたりのたりかな〉(与謝蕪村) <934> **ひねりだ・す【ひねり出す】** ○苦心してお金を作る。苦心して考え出す。[文例]〈お金をひねり出す〉このギターは、アルバイトをしてようやくひねり出したお金で買ったぼくの宝だ。♠〈口実をひねり出す〉親が反対して困っているわたしのために、友人が集まってうまい口実をひねり出してくれた。 **ひね・る【捻る】** ○指先でねじる。ねじり回す。ねじって向きを変える。簡単にやっつける。考え込む。わざと変わった趣向にする。俳句などを考え出す。[文例]〈スイッチをひねる〉スイッチをひねって部屋の電気をつけてください。♠〈足首をひねる〉はげしいタックルで足首をひねった選手は、そのままそこにうずくまってしまった。♠〈暴漢[ぼうかん]をひねる〉襲ってきた暴漢を、先生はいとも簡単にひねってしまいました。♠〈頭をひねる〉中学生でさえわからないのだから、小学生が頭をひねってもできないのは当然だ。♠〈首をひねる〉探偵[たんてい]は残された証拠品[しょうこひん]を前に、首をひねって考えこんでいる。♠〈問題をひねる〉最後の問題はちょっとひねってあったので、やはり正解者は少なかった。♠〈俳句をひねる〉あの老人は、水墨画[すいぼくが]を書いたり、俳句をひねるのが趣味[しゅみ]という、なかなか風流な人です。♠〈赤子の手をひねる〉柔道五段の彼にしてみれば、酒に酔って暴れている男を取り押さえることなど、赤子の手をひねるようなものだ。 **ひのきぶたい【ひのき舞台】** ○ヒノキ材で作った立派な舞台。腕前を示す、晴れの場所。[文例]〈ひのき舞台に立つ〉彼は、五歳で歌舞伎座[かぶきざ]のひのき舞台に立った。♠〈ひのき舞台を踏む〉甲子園のひのき舞台を踏んだ球児たちは、みな緊張したおももちだった。 **ひのくるま【火の車】** ○罪のある亡者[もうじゃ]を地獄へ運ぶ燃えている車。経済状態が非常に苦しいこと。[文例]〈経営が火の車〉今、うちの会社は新製品に販売費をかけすぎて、経営は火の車らしい。♠〈家計が火の車〉家を改築したばかりで家計は火の車、とても車を買う余裕[よゆう]などありません。 **ひので【日の出】** ○日が昇ること。新しい時の到来。[文例]〈日の出を待つ〉まだ暗いうちに起き、日の出を待って山小屋を出発、頂上へ向かった。♠〈時代の日の出〉〈日の出を迎える〉暗く長かった日々は去ったぞ、今こそぼくらは新時代の日の出を迎えたのだ。♠〈日の出の勢い〉横綱は日の出の勢いで勝ち進み、この場所も全勝優勝を成しとげた。 **ひのめ【日の目】** ○日の光。世間の注目。[文例]〈日の目を見る〉長い間の地味な努力が認められ、先生の研究はようやく日の目を見ることになった。♠〈日の目にあう〉春の淡雪[あわゆき]が日の目にあってとけるように、はかないものは人の命です。 **ひばしら【火柱】** ○高く柱のように燃え上がる炎。[文例]〈火柱が立つ〉ドカンと爆発音がしたかと思うと、目の前に真っ赤な火柱が立ちました。 **ひばち【火鉢】** ○炭火を入れて、手をあぶったり湯をわかしたりする道具。[文例]〈火鉢にあたる〉茶の間では、老人がひとり火鉢にあたりながらうとうとしていた。♠〈火鉢の前に座る〉おばあちゃんは寒がりだから、火鉢の前に座ったきり動きません。 **ひばな【火花】** ○石や金属を強く打ちつけた時に出る火。電極から発する火。炎の中から細かく飛び散る火。[文例]〈火花が発する〉機械が作動するときに発した火花がじゅうたんに移って、火事になったらしい。♠〈火花が出る〉コンセントを引っこぬいた瞬間[しゅんかん]、青白い火花が出た。♠〈火花が散る〉ライターの石を変えなければ、オイルを入れたって火花が散らないから火はつかないよ。♠〈火花が飛ぶ〉切れた電線が水面に触れたとき、火花が飛ぶのが見えた。♠〈火花を散らす〉四角いリングの上で、二人の選手は火花を散らして戦った。♠〈火花を散らす〉もう二時間以上も、二人はささいな論議に火花を散らしています。 **ひはん【批判】** ○批評し、判断を下すこと。否定的な評価を下してとがめること。[文例]〈批判を受ける〉みんなのために良かれと思ってやったことが、反対にこんなに批判を受けるとは思わなかった。♠〈批判の対象〉ぼくの不用意な発言が女子社員の批判の対象となってしまった。♠〈批判をする〉何もしなかったぼくたちに、彼の批判をする権利などありません。♠〈批判する〉人を批判するには、公平な目というものが必要です。♠〈自己批判〉委員会の席で特に発言を求めた村長は自己批判を始めた。♠〈批判的〉運営を生徒だけでするという意見に、先生たちは批判的でした。 **ひばん【非番】** ○当番でないこと。当番でない人。[文例]昨日は夜勤だったので、非番の今日はゆっくり休みたい。♠一晩中お客を運んで、非番の日は子供と遊んでいます。 **ひび【輝・戦・罅】** ○手足などの皮膚にできる裂け目。物の表面や内部にできる細かい割れ目。仲間の和が損なわれること。[文例]〈ひびが切れる〉一年中水仕事をする女たちは、冬になると、手にひびが切れて痛そうだった。♠〈ひびを切らす〉かわいそうに、娘は手にひびを切らしていた。♠〈ひびが入る〉小石がぶつかったのか、窓ガラスにひびが入っていた。♠〈ひびが入る〉同一の男性を好きになったことで、仲のよかった二人の関係にひびが入ってしまった。 **ひび【日日】** ○毎日。一日一日。[文例]〈日々の暮らし〉この随筆には、豆腐屋さんの日々の暮らしが描かれている。♠〈日々の出来事〉日記に日々の出来事を書きつづります。♠〈日々の精進〉日々の精進[しょうじん]が実って、わたしの剣道も初段にまで進むことができました。♠〈酒とバラの日々〉社交界の寵児[ちょうじ]となったジャンにとって、毎日はまさに酒とバラの日々であった。♠〈去る者は日々にうとし〉去る者は日々にうとし、あんなに大事だった人も別れて三年たてば忘れてしまう。 **びび【微微】** ○非常にわずかで、とるに足りないさま。[文例]〈微々たるもの〉今でこそ大所帯だが、発足[ほっそく]したときは、会員の数も微々たるものだった。♠〈微々たる収入〉家計の足しにと思って始めた内職だったが、家庭の主婦の副業であったから微々たる収入しか得られなかった。 **ひびき【響き】** ○響くこと。音響や音声。反響。振動。影響。聞こえ。音声から受ける感じ。[文例]〈響きが大きい・小さい〉線路から伝わってくる列車の響きは、しだいに小さくなっていった。 <935> **ひびき【響き】** ○[文例]〈言葉の響き〉〈美しい響き〉先生もフランス語の美しい響きに魅せられた人の一人です。♠〈響きがいい・悪い〉総務委員と言えば響きはいいが、ぼくの役目は早く言えばなんでも屋です。♠〈地響き〉三発の弾丸[だんがん]を撃ち込まれた巨象は、地響きをたてて倒れ[たおれ]ました。 **ひびきわた・る【響き渡る】** ○広く全体に響く。知れ渡る。[文例]〈声が響き渡る〉突然ドアが開いたと思うと、静かな会場内に男のだみ声が響き渡った。♠〈全国に響き渡る〉テレビ番組で取り上げられて以来、店の名は全国に響き渡り、注文が殺到[さっとう]した。 **ひびく【響く】** ○大きな音・声が伝わり広がる。振動が伝わる。反響する。心に伝わる。影響する。反応する。[文例]〈音が響く〉マンションのコンクリートに、足音だけが冷たく響いている。♠〈鐘の音が響く〉お寺で打つ鐘の音がかすかに響いてきました。♠〈頭に響く〉男の子の大声より女の子の高い声のほうが頭に響きます。♠〈心に響く〉卒業式での先生の一言が心に響いて今も忘れられない。♠〈胸に響く〉主人公の素直な態度が見る者の胸に響き、涙を誘[さそ]います。♠〈生活に響く〉肉や野菜の値上げは、わたしたちの生活に直接響いてくる。♠〈欠場が響く〉キャプテンの欠場が響いて、チームは惨敗[ざんぱい]を喫した。♠〈体に響く〉無理な生活を続けていると、年をとってから体に響きますよ。♠〈成績に響く〉三週間も学校を休んでいたのだもの、成績に響くのは当然だよ。♠〈打てば響く〉このクラスの生徒はよくわたしの話を聞いてくれて、質問しても打てば響くような答えがかえってくる。♠〈鳴り響く〉物理学者としての彼の名声は、国内だけでなく世界中に鳴り響いている。♠〈響き渡る〉やみ夜に不気味な声が響き渡る。 **ひひょう【批評】** ○よしあしを見きわめ、評価すること。また、評価の過程を論理的に述べること。[文例]〈温かい批評〉〈批評をする〉教授はわたしの研究に対して温かい批評をしてくれた。♠〈専門家の批評〉専門家の批評によると、そのプランは実現不可能ということだ。♠〈本の批評〉おじは新聞社で、新刊書の批評を担当しています。♠〈批評を書く〉作文の最後に、赤いボールペンで先生の批評が書かれている。♠〈批評する〉門外漢のわたしには、あの人たちの論議を批評する資格などありません。♠〈批評家〉氏[し]は批評家として一家をなしている。♠〈批評眼〉あの人は、鋭い[するどい]批評眼をもつ新進の作家として、注目を浴びている。 **ひびわ・れる【ひび割れる】** ○ひびが入って割れ目ができる。[文例]〈手がひびわれる〉冬になると、水仕事に荒れた手はいつもひびわれていた。♠〈唇[くちびる]がひび割れる〉長い病気でひび割れた父の唇がかすかに動いて、母の名を呼んだ。 **びひん【備品】** ○備え付けの品。[文例]役所内の備品の使用状況を調べ、使っていないものは整理することにした。♠研究室の備品のうち、高価な機器類については使用許可が必要です。 **ひふ【皮膚】** ○動物の体の表面をおおう皮。[文例]〈皮膚の色〉皮膚の色の違いだけで人間を差別することは許せない。♠〈皮膚が弱い〉妹は生まれつき皮膚が弱く、ちょっと虫に刺されただけでも、すぐ赤くなってしまう。♠〈皮膚がかぶれる〉この薬は、皮膚がかぶれたりしたときに塗りこんでください。♠〈皮膚が荒れる〉洗剤[せんざい]の使い過ぎで、手の皮膚が荒れて、かさかさになっている。♠〈皮膚が呼吸する〉口や鼻だけでなく、皮膚も呼吸することを知っていますか。 **ひぶた【火ぶた】** ○火縄銃の火皿をおおうふた。戦闘の開始。戦端。[文例]〈火ぶたを切る〉いよいよ、優勝決定戦の火ぶたが切られた。♠〈火ぶたを切る〉公示とともに選挙戦の火ぶたは切られ、各候補者の動きが活発になった。 **ひふん【悲憤】** ○いきどおり、嘆くこと。[文例]〈悲憤の涙〉最愛の家族を航空機事故で失った男の悲憤の涙はつきる時がなかった。♠〈悲憤慷慨〉相つぐ政治家の汚職[おしょく]事件を報じる新聞をひろげて、昔かたぎの祖父は悲憤慷慨した。 **びぶん【美文】** ○美しく言葉を飾った文章。[文例]〈美文がよい文章とはかぎりません。〉わかりやすく簡潔であることをよい文章の第一条件としましょう。♠〈美文調〉その文章は、終始一貫して明治時代を思わせる美文調で書かれていた。 **ひへい【疲弊】** ○疲れ弱ること。窮乏すること。[文例]〈生活に疲弊する〉夢を抱[いだ]いて上京した青年だったが、やがて都会の生活に疲弊し、故郷に帰っていった。♠〈財政が疲弊する〉打ち続く水害と、それを防ぐための治水事業への出費で藩の財政は疲弊していった。♠〈農村が疲弊する〉政府の農業政策の失敗によって、田畑は荒廃[こうはい]し、農村は疲弊していった。 **ひほう【秘法】** ○秘密の方法。[文例]〈長寿[ちょうじゅ]の秘法〉九十にもなって、おじいちゃん、元気ですね、何か長寿の秘法でもあるのですか。♠〈秘法を編み出す〉授業時間に自由に教室を抜け出す秘法は編み出せないものか。 **ひぼう【誹謗】** ○非難すること。そしること。[文例]〈誹謗する〉ライバルのミスを知った彼は、上役の前で誹謗し、今の地位から落とそうとはかった。 **びぼう【備忘】** ○忘れた時のための備え。[文例]〈備忘に書く〉備忘に書き始めた日記が、いつのまにか習慣となった。♠〈備忘録〉几帳面[きちょうめん]だった父の備忘録には、毎日の予定や行動がびっしり書き込まれていた。 **びぼう【美貌】** ○美しい顔立ち。[文例]〈美貌の持ち主〉現れた女性は、日本人ばなれした美貌の持ち主だった。♠〈美貌に恵まれる〉恵まれた美貌を生かして、少女は女優への道を歩き始めた。 **ひぼん【非凡】** ○平凡でないさま。特にすぐれているさま。[文例]〈非凡な選手〉アクシデントがあったにもかかわらず、これだけの記録を残せるとは、やはり彼は非凡な選手だ。♠〈非凡な力〉彼女は語学に関しては、専門家も顔負けの非凡な力を持っている。 <936> **ひぼん【非凡】** ○[文例]〈非凡な才能〉早川君が非凡な才能を持っていることに最初に気がついたのはF教授でした。♠〈平凡と非凡〉守備は平凡だが、バッティングには非凡なものを持っている。♠〈非凡さ〉ちょっとしたデッサンにも、この少年の非凡さがよく表れている。 **ひま【暇】** ○ある事をする時間。空いた時間。空いた時間があるさま。休暇。解雇すること。離縁すること。[文例]〈暇さえあれば〉彼は釣りが大好きで、暇さえあれば自分の釣りざおをいじっている。♠〈暇がある・ない〉年末のかき入れどきには、うちの店は食事をする暇もないくらい忙しい[いそがしい]。♠〈暇を見つける〉先生は山のような仕事を精力的にかたづけながら、暇を見つけては自分の研究を進めていた。♠〈暇ができる〉暇ができたらでいいんだが、ぼくの仕事を少し手伝ってほしいんだ。♠〈暇をつくる〉新居が完成いたしましたので、ぜひ一度お暇をつくって遊びにいらしてください。♠〈暇を盗む〉家事やら育児の暇を盗んで[ぬすんで]は、書きためた短歌をまとめてみました。♠〈暇をつぶす〉約束[やくそく]の時間まであと三時間もあるので、映画でも見て暇をつぶそうと思った。♠〈暇をもらう・取る〉去年の秋に暇をもらって以来、主人の家には行っていません。♠〈暇を出す〉あまりのなまけぶりに、主人はとうとう彼に暇を出すことにした。♠〈暇になる〉忙しい時は忙しいのに、暇になるととたんに何もすることがなくなってしまう。♠〈暇にする〉そんなふうに暇にしているのなら、勉強でも何でもすればいいじゃないか。♠〈暇な時間〉ぼくは、暇な時間の過ごしかたが本当に下手だと思う。♠〈暇な人〉おおい、そこの暇な人、ちょっと来て手伝わないか?♠〈暇つぶし〉ほんの暇つぶしに始めたジョギングが、今では日課となっている。 **ひまじん【暇人】** ○暇のある人。暇な人。[文例]定年で退職したあと、暇人の道楽で盆栽[ぼんさい]を始めてみた。♠きみのような暇人の遊びにつき合ってる時間はないよ。 **ひまつ【飛沫】** ○飛び散る水。しぶき。とばっちり。[文例]〈飛沫をあげる〉打ち寄せる波が岸にぶつかって、飛沫をあげている。♠〈飛沫を浴びる〉仕事がうまくいかなかった日には、家族の者が父のイライラした感情の飛沫を浴びることになった。 **ひまん【肥満】** ○太り肥えること。[文例]〈肥満する〉肥満しすぎるのは、健康のためによくない。♠〈肥満体〉わたしは肥満体ですので、特に暑さには弱いのです。♠〈肥満児〉最近は肥満児が増える傾向にあるという。 **びまん【瀰漫】** ○広がりはびこること。[文例]〈瀰漫する〉中世の都市には悪性の疫病[えきびょう]が瀰漫し、死者が続出した。♠〈瀰漫する〉その事件をきっかけにして、クラスの生徒たちの中に、あきらめの気持ちと怠惰[たいだ]が瀰漫していった。 **びみ【美味】** ○おいしい味。おいしい食べ物。[文例]井戸水は、口に含むと、まろやかな感触[かんしょく]があって美味であった。♠〈美味な料理〉たいへん美味な料理をごちそうさまでした。♠〈美味を増す〉甘エビは寒さの中でこそ美味を増すので、雪の北陸を訪れる人々に喜ばれています。 **ひみつ【秘密】** ○人に隠して知らせないこと。また、その事柄。[文例]〈秘密を明かす〉どんな事があっても、この秘密は明かしてはならない。♠〈秘密を守る〉二人だけの秘密を守れないのなら、もうぼくたちは親友でもなんでもない。♠〈秘密がもれる〉どこから秘密がもれたのか、それを調査することが先決だろう。♠〈秘密にする〉これは非常に微妙な問題だから、他の人には秘密にしておこう。♠〈秘密を知る〉ほんのささいな事から、わたしは彼女の秘密を知ってしまった。♠〈秘密の通路〉この西洋館には、設計者しか知らない秘密の通路があると伝えられています。♠〈ここだけの秘密〉ここだけの秘密だと言ったのに、なぜきみはしゃべってしまったんだ。♠〈公然の秘密〉彼女がオーディションを受けることは、すでに公然の秘密となっている。 **びみょう【微妙】** ○細かいところに無視できない意味が含まれていて、たやすく言い表せないさま。[文例]〈微妙な色合い〉庭に咲いたあさがおは、赤と白と紫[むらさき]が交ざり合った、何とも言えない微妙な色合いをしている。♠〈微妙な変化〉刑事の鋭い[するどい]観察力は、容疑者の態度に微妙な変化があったのを見逃さなかった。♠〈微妙な立場〉自分から言い出した計画が失敗に終わってしまい、彼はますます微妙な立場に追い込まれた。♠〈微妙な言い方〉ああいう微妙な言い方をされると、どう解釈したらいいのか迷ってしまう。♠〈微妙に違う〉きみたちが言っている事とぼくが考えている事は同じことのようで、実は微妙に違うんだ。♠一着と二着の差はごくわずかで、どちらが勝ったのか微妙だね。 **ひめい【悲鳴】** ○恐怖や驚きのあまり発する叫び。弱音[よわね]。泣き言。[文例]〈悲鳴が響く〉人気[ひとけ]のない夜の街角に、絹を裂くような女の悲鳴が響いた。♠〈悲鳴が聞こえる〉お化け屋敷の中からは、若い女性や子供の悲鳴が聞こえてきます。♠〈悲鳴を上げる〉母はゴキブリが大きらいで、ゴキブリが出ると悲鳴を上げて逃げ回る。♠〈悲鳴を上げる〉向こう一週間のスケジュールのあまりのきつさに、彼は悲鳴を上げている。♠〈うれしい悲鳴を上げる〉店は開店そうそう満員の盛況で、マスターはうれしい悲鳴を上げている。 **びめい【美名】** ○よい評判。美しい名称。立派な役目。[文例]〈美名に隠れる〉この老人ホームの理事長は、福祉[ふくし]事業の美名に隠れて、私腹を肥やしていたらしい。♠〈美名のもと〉愛国心という美名のもとに、人間に死を強要するのが、戦争の一つの姿であろう。 **ひ・める【秘める】** ○表面にあらわれないようにする。隠しておく。[文例]〈心に秘める〉わたしが心に秘めていた気持ちを、今日こそあなたに打ち明けるわ。♠〈胸に秘める〉彼が胸に秘めている考えを読み取ろうと、ぼくは彼の目をじっと見つめた。♠〈感情を内に秘める〉彼女は感情を内に秘めるタイプらしく、怒[おこ]ったり泣いたりしているのを見たことがありません。♠〈秘めた思い〉秘めた思いを伝えたいのに、どうしてもいい言葉を思いつかない。♠〈秘めた闘志〉ぼくには、この試合に対する彼の秘めた闘志[とうし]が伝わってくるようだった。♠〈なぞを秘める〉モナ・リザの、なぞを秘めた微笑に魅せられる人は多い。♠〈事実を秘める〉事件のかげに思いがけない事実が秘められていることに、まだだれも気づいていない。 <937> **ひめん【罷免】** ○職務をやめさせること。[文例]〈罷免する〉裁判官は、特別の場合を除き、自己の意思に反して罷免されることはない。♠〈罷免権〉内閣総理大臣は、国務大臣の罷免権を持つ。 **ひも【紐】** ○物を結んだり束ねたりするための、布・紙などでできた長い物。裏に隠れた条件。女性にみつがせる男。[文例]〈ひもをほどく〉その包みのひもをほどいてください。♠〈ひもを結ぶ〉靴のひもはしっかり結ぶようにしなさい。♠〈ひもをかける〉古新聞にひもをかけてちり紙交換に出します。♠〈ひもでしばる〉小包をひもでしばって郵便局へもって行く。♠〈財布のひもを締める〉家族で買い物に出かけたとき、財布のひもを締めるのはきまって母です。♠〈ひもがつく〉あの女には手を出さないほうがいい、ひもがついてるらしいぜ。♠〈ひもつき〉途上国に対する先進国の援助は、見返りを期待したひもつきの援助であることが多い。 **ひもじ・い** ○空腹である。[文例]〈ひもじい思い〉食べざかりの子供たちにひもじい思いをさせないように苦労しています。♠ひもじいときにまずいものなし。 **ひもと・く【繙く・紐解く】** ○書物を開いて読む。[文例]〈書物をひもとく〉休日に好きな書物をひもとくのが、何よりの楽しみです。 **ひやあせ【冷や汗】** ○恥ずかしかったり、はらはらしたりする時に出る汗。冷汗。[文例]〈冷や汗をかく〉先行車の急ブレーキに、一瞬[いっしゅん]冷や汗をかくことがあります。♠〈冷や汗が出る〉若かったからあんな生意気なことが言えたんだろうが、今思い返すと冷や汗が出る。 **ひやか・す【冷やかす】** ○恥ずかしがるようなことを言ってからかう。買う気がないのに店の商品を見たり、店員を相手に話したりする。[文例]〈人をひやかす〉女の子といっしょにいるところを友達がひやかすと、彼はまっ赤になってうつむいてしまった。♠〈失敗をひやかす〉彼は、失敗をひやかされてもすました顔で、あれはわざとやったんだと強がってみせた。♠〈夜店をひやかす〉欲しいものもないのに、縁日[えんにち]の夜店をひやかして歩くのは、なかなかいいものです。 **ひゃく【百】** ○数の一〇〇。数量の多いこと。[文例]〈百に一つ〉医者には、百に一つの間違いがあってもいけない。♠〈百の議論より一つの実行〉百の議論をするよりも、一つの実行を心がけるべきだ。♠〈百も承知〉好ききらいがいけないのは百も承知だけれど、どうしてもピーマンだけは食べられないんだ。♠〈三つ子の魂[たましい]百まで〉三つ子の魂百までで、小さいころの性格はなかなか変わらないものです。♠〈すずめ百まで踊り忘れず〉すずめ百まで踊り忘れずで、幼稚園のころよくやったけん玉は今でも覚えています。 **ひやく【飛躍】** ○とび上がること。大きく発展・向上すること。筋道を外れて進むこと。[文例]〈飛躍をとげる〉卒業後のきみたちがいっそうの飛躍をとげることを信じています。♠〈世界に飛躍する〉ピアニストとして彼女が世界に飛躍するのは、きっとそんなに先のことではないだろう。♠〈論理の飛躍〉この文章は、ところどころに論理の飛躍が見られる。♠〈話が飛躍する〉あの人の話はすぐに飛躍するから、時々わからなくなることがある。♠〈飛躍的〉科学の飛躍的な進歩は、我々の生活に大きな影響[えいきょう]を与えました。 **びゃくい【白衣】** ○→はくい **ひゃくがい【百害】** ○多くの害悪。[文例]〈百害あって一利[いちり]なし〉非行を防ぐためといって、生徒を規則でしばりつけるのは百害あって一利なしといえます。 **ひゃくじゅう【百獣】** ○すべての獣。[文例]〈百獣の王〉傷ついた老いた雄ライオンに、もはや百獣の王の偉容はなかった。 **ひゃくしょう【百姓】** ○農夫。農民。[文例]〈百姓仕事〉息子は百姓仕事に嫌けがさして、都会に出ていってしまいました。♠〈百姓一揆〉江戸時代には、重い年貢[ねんぐ]に苦しんだ農民たちが時に百姓一揆[いっき]を起こした。♠〈背おひたる垂穂[たりほ]のおもみ百姓はたへつつあゆむ一足[ひとあし]ひとあし〉(木下利玄) **ひゃくせんれんま【百戦錬磨】** ○多くの戦[いくさ]で、または経験を積んで鍛え抜かれること。[文例]〈百戦錬磨のつわもの〉わがおん大将は、数多くの戦で功名を立てた百戦錬磨のつわものであった。 **ひゃくねん【百年】** ○年・年数の百。多くの年月。[文例]〈創立百年〉ぼくの通っている学校は、今年創立百年になるので、秋に記念行事が行われます。♠〈百年の恋が冷める〉彼女のみみずがはったような字を見せられて、百年の恋も冷める思いだった。♠〈百年の計〉政治は、国家百年の計をふまえて行われるべきだ。♠〈百年の不作〉悪妻[あくさい]は百年の不作というから、結婚するときはよく考えたほうがいいね。♠〈百年河清[かせい]をまつ〉百年河清をまつのではむなしいね。住みよい世の中を作るためにできるところから手をつけよう。♠〈百年目〉ここで会ったが百年目、親のかたき、覚悟しろ。 **ひゃくぶん【百聞】** ○何度も話に聞くこと。[文例]〈百聞は一見にしかず〉新球場の設備はすばらしいらしいね。百聞は一見にしかずというから、ぜひ行ってみよう。 **びゃくや【白夜】** ○太陽が地平線からあまり下に沈まず、一晩中明るい夜。はくや。[文例]ノルウェーは、夏、緯度[いど]の関係で一日中太陽が没せず[ぼっせず]、白夜の国となる。 **ひやけ【日焼け】** ○日に焼けて黒くなること。[文例]〈日焼けする〉夏休みが終わって、子供たちは日焼けした顔で登校してきた。♠〈日焼け止め〉海水浴に行く前に日焼け止めクリームを買っておこう。 **ひや・す【冷やす】** ○冷たくする。冷却する。冷静にする。[文例]〈すいかを冷やす〉すいかは、冷やしてから食べたほうが絶対においしい。♠〈患部[かんぶ]を冷やす〉患部を冷やして、なるべく動かさないようにしましょう。♠〈やけどを冷やす〉やけどは、できるだけ早く冷やしたほうが治りが早い。♠〈頭を冷やす〉体温をはかると三十八度もあったので、氷のうで頭を冷やした。♠〈頭を冷やす〉そんなにかっかしていないで、少し頭を冷やしなさい。♠〈肝[きも]を冷やす〉急ブレーキが間に合ったからよかったようなものの、あの時は本当に肝を冷やした。 <938> **ひやめし【冷や飯】** ○冷えた飯。(居候[いそうろう]などに対する)冷たい待遇。[文例]〈冷や飯食い〉長男が家を継ぐ決まりであった昔は、次男以下の男児は粗末[そまつ]に扱われ、冷や飯食いと言われた。♠〈冷や飯を食わす〉直属の上司とそりが合わず、満足な仕事も与えられないで冷や飯を食わされた時期もあった。 **ひややか【冷ややか】** ○冷たいさま。冷淡なさま。冷静なさま。[文例]〈冷ややかな態度〉親友の冷ややかな態度に、ぼくは内心ひどく腹を立てていた。♠〈冷ややかな目〉あの時の氷のように冷ややかな目は、忘れられるものではありません。♠〈冷ややかな視線〉周囲の冷ややかな視線に耐えきれずに、少女はその場を逃げ出してしまった。♠〈冷ややかな表情〉その時の彼の表情は、わたしにはとても冷ややかに見えた。♠〈冷ややかな言葉〉きみの冷ややかな言葉に、彼はすいぶんショックを受けたみたいだよ。♠〈冷ややかに見つめる〉通行人はその事故を、おどろくほど冷ややかに見つめていた。♠〈冷ややかに接する〉彼の気持ちはとてもよくわかったが、わたしは努めて冷ややかに接した。 **ひゆ【比喩・譬喩】** ○物事を他の物事にたとえて表現すること。また、その表現・表現法。[文例]〈比喩を使う〉比喩を上手に使うと、文章が生き生きしてきます。♠〈比喩を用いる〉ことわざには、「やなぎに風」「さるも木から落ちる」のような、巧みな比喩を用いたものが多い。 **ひょう【表】** ○内容が一覧できるように整理し配列して、書き示したもの。[文例]〈表を作る〉自分で調べてきたことをもとに、わかりやすい表を作ってみましょう。♠〈表にする〉風邪で休んだ生徒の数を表にしてみると、一月と二月に多いのがひと目でわかる。♠〈表にまとめる〉日本の四大工業地帯とその主な工業を、表にまとめてみた。♠〈表で示す〉文章で説明するよりも、表で示したほうがわかりやすい場合があります。 **ひょう【票】** ○選挙や採決の時に入れる札。[文例]〈票を読む〉今度の選挙は接戦が予想され、票を読むことは難しい。♠〈票をのばす〉苦戦と言われた候補者が、開票と同時にどんどん票をのばした。♠〈票が割れる〉保守系候補の一本化に失敗した結果、票が割れて、二人とも落選してしまった。♠〈票を入れる〉一番お金のなさそうな候補者に票を入れようかな。♠〈票が入る〉女子の票はぼくに入るだろうから、生徒会長に当選しそうだ。 **ひょう【評】** ○評価。批評。[文例]〈評をする〉コンクールの審査員は、公正な評をしなければなりません。♠〈人物評〉観察力に優れた氏の人物評は、まことに的を射ていておもしろい。 **ひよう【費用】** ○何かをするのにかかる金銭。[文例]〈費用がかかる〉この前のパーティーはずいぶん費用がかかった。♠〈費用をかける〉長い年月と多額の費用をかけて製作された映画が、いよいよこの春に公開される。♠〈費用をもつ〉おじさんが費用をもってあげるから、学生のうちに海外旅行をしなさい。♠〈費用がかさむ〉あれもこれもと買いそろえているうちに、ずいぶんと費用がかさんでしまった。♠〈費用がばく大〉細かいところにお金をかけると、全体の費用がばく大なものになってしまう。 **びょう【鋲】** ○頭部の大きいくぎ。画びょう。[文例]〈びょうで止める〉買い物のレシートは、台所の壁にびょうで止めておきます。♠〈びょうを打つ〉昔は靴の底にびょうを打って、傷まないように大切に履いたものです。 **びよう【美容】** ○美しい顔かたち。容貌[ようぼう]や容姿を美しくすること。[文例]〈美容によい〉ダイエットは美容にはよくても、健康に悪いことがあります。♠〈美容体操〉水着がデパートに並ぶころになると、母はこっそり美容体操を始めます。♠〈美容院〉髪が伸びたので美容院へ行って、カットしてもらおう。 **びょういん【病院】** ○病人を診察したり、治療したりする施設。[文例]最近、体の調子がよくないので、病院でみてもらうことにしました。♠〈病院へ通う〉退院した後も、しばらく病院へ通って治療を受けなければなりません。 **ひょうか【評価】** ○物事の価値を決めること。あるものの価値を認めること。[文例]〈評価が上がる・下がる〉この仕事を成功させれば、きみに対する評価も上がるでしょう。 <939> **ひょうか【評価】** ○[文例]〈高い評価を受ける〉二月に発表されたこの論文は、先日の学会でも高い評価を受けた。♠〈正しい評価を下す〉あの人のことはよく知らないので、正しい評価を下せるかどうか自信がない。♠〈評価が分かれる〉彼女の演技に対して、専門家の評価もまっぷたつに分かれました。♠〈評価の基準〉審査員[しんさいん]は評価の基準となる二十以上の項目を厳しくチェックしています。♠〈高く評価する〉氏は学者としてより詩人として高く評価されている。♠〈過小評価〉自分の実力を過小評価されるのは、だれでもいやです。 **ひょうかい【氷解】** ○(氷が解けるように)疑いなどがすっかりなくなること。[文例]〈わだかまりが氷解する〉長い間のわだかまりも、今のあなたのひと言で氷解しました。♠〈疑問が氷解する〉この作品について感じていた疑問が、作者の説明によって氷解した。 **ひょうき【表記】** ○言葉を文字で書き表すこと。また、書き表し方。表面に書くこと。[文例]〈日本語の表記〉日本語の表記には、漢字・平仮名・片仮名など、さまざまな文字が用いられる。♠〈表記する〉古語の「てふ」を、現代かなづかいで表記すると「ちょう」となる。♠このたび表記の場所に住所が変わりましたので、お知らせします。 **ひょうぎ【評議】** ○集まって相談すること。[文例]〈評議する〉主だった役員が評議した結果、プロジェクトチームが編成された。♠〈評議員〉教授は、今度大学の評議員に選ばれた。 **びょうき【病気】** ○苦痛や不快など心身の異常。やまい。わずらい。悪い癖。[文例]〈病気になる〉父は五年前の夏に悪い病気になって、しばらく入院したが、治療[ちりょう]のかいもなく半年後に他界した。♠〈病気にかかる〉病気にかかったら、なるべく専門の医者に見てもらうのがよい。♠〈病気をする〉小さい時は病気ばかりしている弱い子だった。♠〈病気を治す〉余計な心配ごとをしないで、一日も早くその病気を治すことだけを考えていればいいんだ。♠〈病気がはやる〉病気がはやっている時は、外出から帰ったら手を洗い、うがいをするように心がけている。♠〈病気がうつる〉悪い病気がうつるといけないので、赤ちゃんはなるべく人込みには連れて行かないようにしましょう。♠〈重い病気〉わたしは体はじょうぶで、今までに重い病気にかかった事はない。♠〈病気がち〉彼女は体が弱く病気がちで、よく学校を休む。♠〈困った病気〉父は、また次の選挙に出るぞと言いはっているが、まったく父の病気にも困ったものだ。♠〈ああなると病気〉また実験中に爆発[ばくはつ]したって?いくら発明好きだからって、ああなると病気だね。 **ひょうきん【剽軽】** ○こっけいで人を笑わせるさま。[文例]〈ひょうきんなしぐさ〉サーカスの人気者ピエロは、ひょうきんなしぐさで子供たちを笑わせた。♠〈ひょうきん者〉ひょうきん者の少年は、どこへ行ってもすぐ仲間を作った。 **びょうく【病苦】** ○病気の苦しみ。[文例]〈病苦と闘う〉正岡子規は、病苦と闘い[たたかい]ながら、俳句・短歌の革新運動を行った。♠〈病苦に苦しめられる〉壮健だった祖父も六十五歳を過ぎて、病苦に苦しめられるようになった。 **ひょうけつ【表決】** ○議案に対して賛否の意思を決めること。[文例]〈議案の表決〉議会が混乱して、議案の表決は明日に持ち越された。♠〈表決する〉生徒会にかけられた議題は、討議の末挙手によって表決される。 **ひょうげん【表現】** ○思想・感情などを言い表したり、かき表したり、行動や形に表すこと。また、その内容。[文例]〈うまい表現〉同じ内容でも、うまい表現を使うことによって、話のおもしろみが違ってきます。♠〈明確な表現〉機密事項に関しては明確な表現を避けるよう、上司から指示があった。♠〈表現がまずい〉特定の人を傷つけることになるからその表現はまずい。♠〈適切な表現〉〈表現を用いる〉係員は被害者の感情に気をつかって、適切な表現を用いて説明を続けた。♠〈表現をする〉おもしろい表現をする子だなあ、と、第一印象で思いました。♠〈表現の自由〉出版・報道など表現の自由は、憲法にも明記されています。♠〈表現する〉作曲家はこの曲で、暖かい春の情景を表現したかったそうです。♠〈表現できる〉火事の恐ろしさは、とても言葉では表現できない。♠〈表現力〉役者にとっていちばん大切なものは、やはり表現力ではないだろうか。 **ひょうげん【氷原】** ○氷でおおわれた原野。[文例]さまざまな調査のため、観測隊員は南極の氷原で暮らす。♠政治犯のロージーは、遠くシベリアの氷原にある収容所へ送られた。 **ひょうご【標語】** ○意見を簡単明瞭[めいりょう]に表した文句。[文例]〈標語のもと〉日本人は、第二次世界大戦中、「欲しがりません、勝つまでは」の標語のもとに苦しい生活に耐えていた。♠〈交通安全の標語〉交通安全の標語が募集され、市内の多くの小学生が応募した。 **びょうご【病後】** ○病気が治ってまもないころ。病み上がり。[文例]〈病後の体〉病後の体なので無理がきかず、当分の間外出はひかえなければなりません。♠〈病後の静養〉母は春に手術を受けて、この夏は病後の静養のため田舎に行く予定です。 **ひょうこう【標高】** ○土地の高さ。海抜。[文例]この高原は標高が千メートルありますので、夏は快適です。♠富士山は標高三七七六メートル、日本で一番高い山である。 **ひょうざん【氷山】** ○海に浮かぶ巨大な氷のかたまり。[文例]〈氷山の一角〉才能は、個性という大きな氷山の一角にすぎない。♠〈氷山の一角〉政治家の汚職[おしょく]があばかれることがあるが、それはいつも氷山の一角だ。 **ひょうし【表紙】** ○本・帳面で一番外側の、内部を保護したり内容を明示したりする部分。[文例]〈表紙をつける〉集まった生徒たちの作品には表紙や目次をつけて、一冊にまとめます。♠〈表紙を飾る〉今週は、ぼくの好きな歌手が週刊誌の表紙を飾りました。 **ひょうし【拍子】** ○音の強弱の組み合わせ。調子を合わせること。はずみ。[文例]〈拍子を取る〉キャンプファイヤーの最後には、みんなが手足で拍子を取って大声で歌った。 <940> **ひょうし【拍子】** ○[文例]〈拍子を合わせる〉今日はマーチに拍子を合わせて、入場行進の練習をしました。♠〈拍子がそろう〉さすが二か月以上も練習してきただけあって、全員の拍子がそろっている。♠〈転んだ拍子に〉さっき転んだ拍子に、ズボンに穴があいてしまった。♠〈何かの拍子に〉結んであったロープが何かの拍子にはずれてしまったらしい。♠〈とんとん拍子〉社長の信頼[しんらい]を得て、彼はとんとん拍子で出世していった。♠〈手拍子〉入場してきた日本チームを、観客は手拍子で迎えました。♠〈拍子抜け〉ライバルの病気欠場で、ぼくはすっかり拍子抜けしてしまった。 **ひょうじ【表示】** ○表し示すこと。表にして表すこと。[文例]〈表示をする〉商品の製造年月日については、箱の裏に表示がされています。♠〈表示する〉キーを押すと、画面に知りたかった情報が表示されました。♠〈意思表示〉とり巻く報道陣[ほうどうじん]を前に、そのうわさの主は意思表示を避けようとしていた。 **ひょうじ【標示】** ○標識・目じるしなどで示すこと。[文例]〈標示が出る〉道路工事中の標示が電光掲示板[けいじばん]に出ていました。♠〈標示がある〉人の集まる場所や店には、必ず非常口の標示がある。♠〈標示に従う〉場内の通行は、すべて標示に従ってください。 **びょうし【病死】** ○病気で死ぬこと。[文例]〈病死する〉母は、わたしが高校へ入った年に病死しました。 **ひょうしき【標識】** ○人に知らせるための目じるし。[文例]〈標識を立てる〉公園内にはお手洗いなどの標識を立てておけば便利だと思う。♠〈標識が出る〉〈交通標識〉駐車禁止の交通標識が出ているのに気づきませんでした。 **びょうしゃ【描写】** ○現象を描き表すこと。[文例]〈情景の描写〉この監督[かんとく]の作品は、どれも物語の舞台[ぶたい]となる情景の描写が美しいことで有名です。♠〈正確な描写〉子供の絵は、正確な描写はできていなくても、直感力と力強さでは大人顔負けだ。♠〈生々しい描写〉事件を伝える新聞記事の生々しい描写は、読者をまるで現場にいるような気持ちにさせた。♠〈忠実に描写する〉田園風景を忠実に描写しただけの絵ですが、心が休まるものを感じます。♠〈心理描写〉登場人物の心理描写の正確さという点では、この作家の右に出る者はいない。 **びょうじゃく【病弱】** ○体が弱く病気になりやすいさま。病気で弱っているさま。[文例]〈病弱な人〉わたしは赤ん坊のころから病弱で、お医者さんと縁[えん]の切れたことがありません。♠〈病弱な体〉父は病弱な体にむち打って、家族のために働き続けた。 **ひょうしゅつ【表出】** ○表し出すこと。[文例]〈表出する〉お互いが一方的に自己の感情を表出するだけでは、理解しあうことなどおぼつかないだろう。♠〈自己表出〉種々の文学形式の中でも、一番短い俳句をわたしは自己表出の手段として選んだ。 **ひょうじゅん【標準】** ○物事のよりどころ。基準。規格。平均的な水準。[文例]〈標準より大きい〉この赤ちゃんは現在七・八キロ、標準よりやや大きめです。♠〈標準とする〉六月の成績を標準として、それ以後の成績の推移を調べてみよう。♠〈標準になる〉学力も容姿も腕力[わんりょく]も、人間の価値を決める標準にはならない。♠〈標準を超える〉弟の体力はずばぬけていて、小学生の標準をはるかに超えています。♠〈標準に達する〉雨のため記録は低調で、標準に達した選手はわずか三人しかいなかった。♠〈世間の標準〉〈標準に合う〉兄は型破りな人間で、世間一般の標準に合う男ではない。♠〈標準以下〉彼は数学はよくできますが、英語のほうは標準以下です。 **ひょうじょう【表情】** ○感情や意思が顔に表れた様子。外からうかがえる状況。[文例]〈表情が真剣〉捜索[そうさく]を続ける隊員たちの表情は、まさに真剣そのものだった。♠〈表情が変わる・を変える〉彼女が発言を始めたとたん、男子生徒の表情が変わりました。♠〈表情が豊か〉欧米人は日本人に比べて、うれしいときも悲しいときも、ずっと表情が豊かです。♠〈表情を曇らせる〉事故の知らせを聞いて、兄は思わず表情を曇らせました。♠〈表情が晴れる〉たった一人の息子が死んでからというもの、老母の表情が晴れることはなかった。♠〈表情が固い〉テレビカメラを意識していたせいか、みんな表情が固かった。♠〈〜の表情を見せる〉ふだんおとなしい木村さんが、その日はめずらしく怒り[いかり]の表情を見せていた。♠〈表情に出す〉ぼくは思っていることを素直[すなお]に表情に出すタイプです。♠〈現地の人の表情〉新聞は、事件に遭遇[そうぐう]した現地の人の表情を伝えている。♠〈海の表情〉日光の強さ風の強さによって、海の表情は微妙に変わる。♠〈無表情〉周囲の動揺[どうよう]をよそに、彼は無表情で会場を出ていった。 **びょうしょう【病床】** ○病人が寝ている床[とこ]。[文例]〈病床に伏す〉老人は、病床に伏す娘を毎週見舞い続けた。♠〈病床にある〉母は病床にあっても、家族や父の仕事のことを気にかけていた。 **びょうじょう【病状】** ○病気の状態。容態。[文例]〈一進一退の病状〉入院して三か月、病状は一進一退を続けていた。♠〈病状の悪化〉友人の見舞いに行ったが、病状の悪化のためしばらくは面会謝絶ということだった。♠〈病状が好転する〉治療のかいあって病状が好転し、あと一週間ほどで退院できそうです。 **びょうしん【病身】** ○病気の体。病弱な体。[文例]母が病身だったので、わたしたち兄弟の世話は祖母がしてくれました。♠子供のころから病身でしたので、こんなに元気になるとは思いもよりませんでした。 **ひょう・する【表する】** ○言葉や態度に表す。[文例]〈敬意を表する〉戦中戦後の苦しい時代を生き抜いたお年寄りに敬意を表します。♠〈感謝の意を表する〉日ごろから御協力いただいております皆様に対し、感謝の意を表したいと思い ます。 <941> **ひょう・する【評する】** ○批評する。[文例]〈人を評する〉いつもぼんやりとして何を考えているかわからないぼくを評して、人々は昼あんどんと言った。 **ひょうせい【病勢】** ○病気の進行状態。[文例]〈病勢があらたまる〉病床にあった祖父はしばらく小康を保っていたが、今朝病勢がにわかにあらたまり、夕刻死去した。♠〈病勢が進む〉患者の病勢が進むにつれて、投与される薬の量も増えていった。 **ひょうせつ【剽窃】** ○他人の文章を自分の作として使うこと。[文例]〈他作の剽窃〉きみのこの詩は、鮎川信夫[あゆかわのぶお]の「天国の話」の剽窃ではないのかい。♠〈剽窃する〉著名な作家が他人の文章を剽窃したというので、新聞が大きく書き立てた。 **ひょうぜん【飄然】** ○ふらりと来たり、去ったりするさま。[文例]〈飄然と家を出る〉放浪癖[ほうろうへき]のある彼は、ある日飄然と家を出て一か月も帰らないことがある。♠〈飄然と現れる〉山奥の村に飄然と現れた青年は、そこに住みついて焼き物を始めた。 **びょうてき【病的】** ○病気だと感じさせるさま。不健全で異常なさま。[文例]〈病的な白さ〉少女の肌は病的な白さで、生気がなかった。♠〈病的なほど〉母は病的なほど清潔好きで、日に何度も掃除をしないと気がすまなかった。 **ひょうそう【表層】** ○表面の層。[文例]〈土の表層〉表層を削る[けずる]と、その下から白っぽい粘土質の土が現れた。♠〈記憶の表層〉わたしたちの体験には、記憶の深層に残るものから、表層にうっすら積もるにすぎなくてすぐに忘れ去られるものまであります。♠〈表層雪崩〉昨日の大雪で、この山一帯は表層雪崩[なだれ]が起こりやすくなっている。 **ひょうだい【表題・標題】** ○書物や作品、講演などの題目。[文例]〈文章の表題〉筆者はこの文章の標題「一枚の葉」に何を託しているか、話し合ってみよう。♠〈表題をつける〉修学旅行の感想文をまとめてクラスの文集を作り、「旅の思い出」と表題をつけた。♠〈講演の標題〉今日の講演の標題は「女性の生きがいについて」で、会場はほとんど女性で埋められた。 **ひょうたん【瓢箪】** ○ウリ科のつる植物。中央がくびれた大形の実をつける。また、その実の内部をくりぬいて作った容器。[文例]〈ひょうたんから駒が出る〉ひょうたんから駒で、思いもよらない事が起こるものです。♠〈ひょうたんなまず〉彼は何を聞かれても、まるでひょうたんなまずでさっぱり要領を得ない。 **ひょうたん【氷炭】** ○氷と炭。はなはだしく相違するもののたとえ。[文例]〈氷炭相いれず〉全く反対の性格をもった両者は、氷炭相いれず、意見の合うことはなかった。 **ひょうちゃく【漂着】** ○漂って流れ着くこと。[文例]〈漂着する〉戦火を逃れた家族が乗り込んだ小舟は、一か月の後、太平洋のある島に漂着した。 **ひょうてい【評定】** ○評価を定めること。[文例]〈勤務評定〉会社ではボーナスを前に勤務評定が行われ、社員一人一人の仕事ぶりが問われた。 **ひょうてき【標的】** ○目標にする的。[文例]〈標的を目がける〉力いっぱい弓を引きしぼると、標的を目がけて矢を放った。♠〈標的を定める〉独裁者の大統領に標的を定めると、テロリストは地下に潜行していった。♠〈標的にする〉暗殺者たちは、平和運動家の神父を標的にしていた。 **ひょうでん【評伝】** ○その人に対する批評を含んだ伝記。[文例]〈漱石[そうせき]の評伝〉夏目漱石の作品についてのレポートをまとめるために、二、三冊の評伝を読んだ。 **びょうとう【病棟】** ○病院で病室として使われている建物や階。[文例]入院して三か月もたつと、病棟から見える外の景色は冬から春に変わった。♠〈外科・内科病棟〉手術後わたしは、外科病棟から内科病棟に移された。 **びょうどう【平等】** ○差別がなく等しいこと。[文例]〈法の下[もと]に平等〉人は法の下に平等であり、差別をうけないとされている。♠〈男女の平等〉男女の平等が叫ばれるようになってからかなりの年月がたった。♠〈平等の精神〉民主主義の社会は、平等の精神を大原則として営まれます。♠〈平等に分ける〉三人の子供たちは父親の遺言[ゆいごん]どおりに、ばく大な遺産を平等に分けた。♠〈平等に扱う〉ぼくだって仕事は人と同じようにできるのだから、もっと平等に扱ってほしい。♠〈平等に与える〉幸福とか幸運とかいうものは、どうやら、すべての人に平等に与えられているものではないようだ。 **びょうにん【病人】** ○病気の人。[文例]〈病人の枕もと〉知らせを聞いてかけつけた親類縁者が病人の枕もとに集まった。♠〈病人が出る〉猛威[もうい]をふるうはやり病で、ついにこの村からも病人が出た。♠〈病人が絶えない〉それから三年間、この家からは病人が絶えなかった。♠〈半病人〉昨夜の大酒がたたって今日は半病人みたいなものだから、とても仕事には行けない。♠〈病人のよう〉寝不足と疲労のために、先生は病人のような顔をして現れた。 **ひょうはく【漂白】** ○さらして白くすること。[文例]〈漂白する〉ブラウスにつけたしみを取るために漂白したら、地の色まであせてしまった。♠〈漂白する〉この色あせた写真と同じように、わたしの青春は時間によって漂白されてしまった。 **ひょうはく【漂泊】** ○さすらうこと。さまようこと。[文例]〈漂泊の旅〉芭蕉[ばしょう]は、生涯[しょうがい]に多くの漂泊の旅をして句を詠んだ。♠〈漂泊する〉古来、詩人は各地を漂泊して、その思いをことばに託した。 **ひょうはく【表白】** ○言葉に表して言うこと。[文例]〈表白する〉無口な性格であったから、男が自分の心のうちを表白するのは、これが初めてのことであった。 **ひょうばん【評判】** ○世間でする批評。世間のうわさ。世間の人の話題になること。[文例]〈評判が良い・悪い〉他人の頼[たの]みを何でも聞いてやる人ですから、同級生にも評判が良い。♠〈評判が高い〉右から三番目の選手が、天才と評判の高いセンターフォワードです。♠〈評判を落とす〉この間の事件で、会社はずいぶん評判を落としたそうです。 <942> **ひょうばん【評判】** ○[文例]〈もっぱらの評判〉彼女が県下一の名門校を受けるのではないかと、もっぱらの評判です。♠〈評判が立つ〉開店して一か月もしないうちに、この店はあいそが悪いという評判が立ちました。♠〈評判をとる〉アメリカで評判をとった映画が、いよいよ来週の土曜日から公開されます。♠〈評判になる〉荒けずり[あらけずり]ではあるが、大胆[だいたん]な演技は専門家の間でも評判になっている。♠〈評判を得る〉この学校が合唱コンクールで入賞して世間の評判を得たことは、みんなも知っているとおりです。♠〈大評判〉田中君の、校長先生のものまねは生徒たちに大評判だった。 **ひょうひょう【飄飄】** ○風が物をひるがえすさま。風にひるがえるざま。ふらふらとさまようさま。浮世離れしてとらえどころのないさま。[文例]〈ひょうひょうと吹く〉春の風がひょうひょうと吹いて、人々は冬が終わったことを知った。♠〈ひょうひょうと歩く〉男は細長い影を落として、風に吹かれるようにひょうひょうと歩いていった。♠〈ひょうひょうとした人柄〉筆者のひょうひょうとした人柄が、この文章にも表れている。 **びょうぶ【屏風】** ○室内に立てて仕切りや飾りにする、折りたたみ式の家具。[文例]〈屏風で囲う〉病人の枕もと[まくらもと]は屏風で囲ってすきま風を防ぎ、室内はほどよく暖められていた。♠〈屏風を立てる〉ひな壇[だん]の一番上には金屏風が立てられ、その前に内裏[だいり]びなが置かれた。 **ひょうへん【豹変】** ○意見や態度が急に変わること。[文例]失恋の涙を流した彼女が、ほどなく新しい恋人を連れて楽しそうに現れた時は、その豹変ぶりに驚かされた。♠〈豹変する〉きみはこの計画には反対だったのに、大多数が賛成と知って豹変したのかい。♠〈君子[くんし]は豹変す〉君子は豹変す、悪いことを改めるのに何をはばかることがあろうか。 **ひょうぼう【標榜】** ○意見を掲げ示すこと。[文例]〈標榜する〉労働者を重労働から解放することを標榜した労働党政権も、国内の経済不況によって窮地[きゅうち]に立たされていた。 **ひょうほん【標本】** ○実際に採集した、動植物・鉱物の見本。代表的な例。典型。[文例]〈標本にする〉これは珍しい種類の植物だ。標本にしてとっておこう。♠〈標本を作る〉夏休みにチョウやセミをとって標本を作りました。♠〈欲ばりの標本〉欲ばりの標本だと言われた祖父も、孫には気前よく、おもちゃや本を買い与えた。 **びょうま【病魔】** ○病気を引き起こす悪魔。病気。[文例]〈病魔が襲いかかる〉〈病魔に勝つ〉幾多[いくた]の危険を乗り越えてきた男も、襲いかかる病魔にはついに勝てなかった。♠〈病魔に冒される〉仕事の疲れかと油断している間に、わたしの体は病魔に冒[おか]されていた。 **ひょうめい【表明】** ○はっきりと表すこと。[文例]〈表明する〉試合に先立ち、両者は勝利への決意を表明した。♠〈所信表明〉新しい内閣総理大臣が決まり、臨時国会でその所信表明演説が行われた。 **ひょうめん【表面】** ○物の外側の面。おもて。うわべ。外見。人目につくところ。[文例]〈月の表面〉〈表面を覆う〉月の表面は、さまざまな大きさのクレーターに覆[おお]われている。♠〈金属の表面〉この金属板は、熱や腐敗[ふはい]に強い薬品で表面を処理してあります。♠〈物事の表面〉物事を表面だけで判断せず、真の姿を見きわめるように心がけたい。♠〈表面を見る〉人が心の中でどれほど悩んでいるかは、表面を見ただけではわかりません。♠〈表面を装う〉表面は平静を装っ[よそおっ]ていたが、内心は不安でしかたなかった。♠〈表面をとりつくろう〉どんなに表面をとりつくろったところで、結局人柄[ひとがら]はにじみ出てしまうものです。♠〈表面に出す〉彼は感情をすぐに表面に出すので、人と対立することも少なくない。♠〈表面に現れる〉表面に現れることはないが、陰[かげ]ではけっこう悪い事をしている人らしい。♠〈表面に出る〉うちうちに進めた計画が表面に出たとなれば、全貌[ぜんぼう]をみなに話したほうがよかろう。 **びょうよみ【秒読み】** ○時間を秒刻みで読みあげること。物事の開始が迫っていること。[文例]〈発射の秒読み〉月ロケットの発射の時は近づき、いよいよ秒読みが始まった。♠〈秒読みの段階〉大綱が決定して、すでに実行は秒読みの段階に入っている。 **ひょうり【表裏】** ○表と裏。相反する内容の言動を使い分けること。うらおもて。切り離せない関係。[文例]〈表裏のない人柄〉実直で表裏のない人柄の人物だったから、周囲の信頼もあつかった。♠〈表裏する〉物質面での満足と精神面での満足とは、時に表裏するものであることをわたしは知った。♠〈表裏一体〉きみのいう男らしさが、無神経や残酷[ざんこく]と表裏一体をなしているのなら問題だ。 **ひょうりゅう【漂流】** ○潮の流れに乗って漂うこと。[文例]〈船が漂流する〉エンジンが故障したとあっては、船は漂流するしかなかった。♠〈いかだで漂流する〉乗組員たちは、船が難破してから三日目に、いかだで漂流しているところを救助された。♠〈海を漂流する〉水も食糧[しょくりょう]も乏しい[とぼしい]まま、この広い海を漂流していた時には、本当に生きた心地[ここち]がしなかった。 **ひょうろう【兵糧】** ○兵隊の食糧。食糧。[文例]〈兵糧を集める〉前進中の軍隊は兵糧を集めるために、村じゅうを走り回り、めぼしい物を買いあさった。♠〈兵糧攻め〉敵方の城を包囲し、食糧の補給路を断つ兵糧攻めは、昔の戦略の一つであった。 **ひよく【肥沃】** ○土地が肥えているさま。[文例]〈土地が肥沃〉当地は、気候が穏やか[おだやか]で土地も肥沃なので、農作物がよく育ちます。♠〈肥沃な平野〉時には氾濫[はんらん]し、大きな被害を出す川が肥沃な平野を作り出します。 **ひよこ【雛】** ○ひな。ニワトリのひな。まだ半人前の人間。[文例]〈ひよこがかえる〉親鳥が抱き続けていた卵から、今朝ようやくひよこがかえった。 <943> **ひよこ【雛】** ○[文例]息子はまだほんのひよこなのに、店の経営方針にまで口をはさもうとする。 **ひょっこり** ○思いがけずに現れたり、出会ったりするさま。[文例]長い間音信不通だった友人が五年ぶりでひょっこり帰ってきた。♠九月になってクラブを引退した先輩[せんぱい]が、今日の昼休み部屋にひょっこり顔を出した。♠電車の中で、小学校時代の先生にひょっこり出会いました。♠ぼくのおじは、毎年このくらいの季節になるとひょっこりやって来ます。♠部屋の片づけをしていたら、昔[むかし]なくしたバッジが本だなの裏からひょっこり出てきた。 **ひょっとこ** ○片目が小さく、口をとがらせたこっけいな男の仮面。[文例]〈ひょっとこの面〉舞台では、おかめとひょっとこの面[めん]をつけた二人が、おもしろい手振りで踊っていた。♠〈ひょっとこのよう〉むずかる孫をあやすために、口をとがらせひょっとこのような顔をして、おじいちゃんは奮戦です。 **ひより【日和】** ○天候。空もよう。よい天気。物事のなりゆき。状勢。[文例]〈いい日和〉久しぶりにいい日和なので、散歩でもしようかと思った。♠〈絶好の日和〉今日は天気もよく風もさわやかで、遠足には絶好の日和になった。♠〈行楽日和〉連休の初日はまたとない行楽日和となり、この遊園地にも大勢の家族連れが訪れた[おとずれた]。♠〈野球日和〉絶好の野球日和のもと、ぼくたちのチームは決勝戦に臨ん[のぞん]だ。♠〈小春日和〉十二月になったというのに、ぽかぽかとした小春日和が続く。♠〈日和見〉こういう場合は、日和見をして結論を延ばすことは許されない。 **ひよわ【ひ弱】** ○弱々しいさま。虚弱。[文例]〈体がひよわ〉子供のころから体がひよわで、よく風邪をひいたものだ。♠〈ひよわな子供〉先生は事あるごとに、近ごろはひよわな子供が多いと言う。♠〈ひよわな外見〉一見ひよわそうに見えるが、彼はスポーツマンで、百メートルでは区の記録を持っています。♠〈ひよわに見える〉やせているうえに色白で、この子はいかにもひよわに見える。♠〈ひよわに育つ〉この子がこんなにひよわに育った原因は、両親の過保護によるところが大きい。 **ひょんな** ○思いがけず、妙な。[文例]〈ひょんなこと〉ぼくたちは、ひょんなことから知り合って、それからずっとつき合い続けている。♠〈ひょんな気を起こす〉目の前に大金を積まれたら、わたしだってひょんな気を起こしかねない。 **ひら【平】** ○平らなこと。平らな所。並であること。役職についていないこと。[文例]〈手のひら〉子供たちはリュックを下ろすと、山の清水を手のひらですくって飲んだ。♠今度のプロジェクトの内容は、管理職だけに説明があり、われわれ平[ひら]には何も知らされなかった。♠〈平社員〉二十年間勤めていまだに平社員ですが、べつに不満もありません。 **びら** ○広告・宣伝のためのはり紙・紙片。ちらし。[文例]〈びらを張る〉交番の横の告知板には、指名手配書にまざって、防犯のびらが張ってあった。♠〈びらをまく〉宣伝カーが、何か知らないが、宣伝のびらをまいていったよ。♠〈ビラを配る〉駅前では、原発反対を呼びかける人たちがビラを配っていた。 **ひらあやまり【平謝り】** ○ひたすら謝ること。[文例]〈平謝りに謝る〉わき見運転による追突でしたから、平謝りに謝りましたよ。♠〈平謝りにわびる〉事故を起こした側の責任者は、被害者の前で平謝りにわびた。 **ひらい【飛来】** ○飛んで来ること。[文例]〈飛来する〉日本で冬を越すために、白鳥が飛来する季節となりました。♠〈飛来する〉戦争も末期になると、東京上空にもB29が大挙して飛来するようになった。 **ひらがな【平仮名】** ○漢字の草書体から変化した文字。[文例]平安時代の初めに、漢字から平仮名や片仮名が作られました。♠小学校へ上がる前に、平仮名の読み書きができる子が多いそうです。 **ひらき【開き】** ○開くこと。開いた物。差。隔たり。閉会。開いた魚の干物。開き戸。[文例]〈実力の開き〉チャンピオンと挑戦者との実力の開きは大きくチャンピオンの圧勝に終わった。♠〈値段の開き〉同じように見える旅行バッグなのに、どうして三千円も値段の開きがあるのだろう。♠〈あじの開き〉開きといっても、あじは小骨が多いので注意しなさい。♠〈体の開き〉体の開きが早いとボールから目が離れますから、ボールを引きつけて打ちなさい。♠〈お開きにする〉もう予定の時間もだいぶ過ぎたので、今日の会はこの辺でお開きにしたいと思います。♠〈山開き〉今日は山開きの日で、待ちかねていた山男たちが押しかけた。 **ひらきなお・る【開き直る】** ○打って変わって厳しい態度をとる。[文例]勉強しろ、勉強しろって、そういう先生はどうなんですか、と生徒に開き直られた。♠〈開き直った態度〉つかまった男は、犯行を認めないばかりか、開き直った態度に出た。 **ひらく【開く】** ○あける。あく。広げる。広がる。始める。開始する。開催する。開拓する。開発する。啓発する。[文例]〈傘を開く〉雨がひどくなってきたので、ぼくは手に持っていた傘を開いた。♠〈花が開く〉すっかり春らしくなり、この町でもあちこちで桜[さくら]の花が開きはじめた。♠〈つぼみが開く〉今年は暖冬だったせいか、桜のつぼみがもう開き始めました。♠〈くす玉が開く〉赤組のほうのくす玉が先に開き、色とりどりの紙ふぶきやテープが舞った。♠〈窓が開く〉家の窓が開いて、中からかわいい少女がぼくに向かって手をふった。♠〈扉[とびら]を開く〉重い鉄の扉を開くと、そこはがらんどうの部屋だった。♠〈門が開く〉動物園の門が開くと同時に、大勢の見物客が園内にどっと入っていった。♠〈包みを開く〉誕生日[たんじょうび]のプレゼントの包みを開くと、前から欲しかった本がでてきた。♠〈前を開く〉診察[しんさつ]をしますから、そこに座って前を開いてください。♠〈魚を開く〉母は父が釣ってきた魚を手ぎわよく開いた。♠〈目を開く〉しっかりとその目を開いて、もう一度よく見てごらん。♠〈本を開く〉先生はその絵を見せるために、ぶあつい本を開いてぼくの目の前に置いた。♠〈足を開く〉ぼくは体がかたいから、そんなに足を開くことはできないよ。 <944> **ひらく【開く】** ○[文例]〈口を開く〉ぼくの母は、口を開けば必ずなにかしら小言を言う。♠〈森林を開く〉この島に移り住んだ人たちの最初の仕事は、島全体をおおっている森林を開くことだった。♠〈畑を開く〉この村の人々は、やせた土地に苦労して畑を開き、そこに綿を植えた。♠〈港を開く〉江戸[えど]幕府は、アメリカの要請に応じて、横浜などの港を開いた。♠〈店を開く〉わたしの兄は、駅前に店を開いています。♠〈幕府を開く〉家康[いえやす]はその後江戸に幕府を開いた。♠〈口座を開く〉通勤の途中にある銀行に口座を開いた。♠〈会を開く〉今度の日曜日にお茶の会を開きますので、あなたもぜひおこしください。♠〈差が開く〉全力で走っているのに、先頭との差はだんだん開いていくばかりだ。♠〈心を開く〉この転校生は、クラスメートたちになかなか心を開かなかった。♠〈門戸を開く〉この大学は政治上の理由から外国人には門戸を開いていない。♠〈道を開く〉わたしは、これまで、だれの力も借りず自分で自分の道を開いてきました。♠〈後進に道を開く〉彼は、後進に道を開くために柔道界を引退した。♠〈胸襟を開く〉われわれはその問題について、胸襟[きょうきん]を開いて率直[そつちょく]に語り合った。♠〈蒙をひらく〉啓蒙[けいもう]するとは、すなわち「蒙を啓く」こと、人々に道理を教え、理知に導くことである。 **ひら・ける【開ける】** ○あく。広がる。切り開かれる。発展する。展開する。よい方へ向かう。人情に通じる。[文例]〈海が開ける〉切り通しの坂道を登りきると、目の前にまっ青な海が開けてくる。♠〈眼前に開ける〉ジャングルを抜けると大草原が眼前に開けていた。♠〈空間が開ける〉その扉[とびら]をあけると、そこには幻想的[げんそうてき]な空間が開けていた。♠〈視界が開ける〉霧がはれて視界が開けると、話に聞いていた以上に雄大[ゆうだい]な景色が広がっていた。♠〈やみが開ける〉先生の一言で、目の前をおおっていたやみが少しだけ開けたような気がする。♠〈土地が開ける〉この土地は今は開けているが、ほんの十年前には畑と雑木林ばかりだったのですよ。♠〈文明が開ける〉機械文明が開けていないからといって、彼らを野蛮[やばん]人扱い[あつかい]など絶対にできない。♠〈運が開ける〉今はついていなくても、いずれ運の開ける時がやってくるさ。♠〈開けた人〉先代の社長はなかなか開けた人で、能力のある女性を積極的に登用した。 **ひらて【平手】** ○開いた手のひら。将棋で駒[こま]を落とさず対等に指すこと。[文例]〈平手で殴る〉子供のころに一度だけ、いたずらが過ぎて母に平手で殴[なぐ]られたことがあります。♠〈平手打ち〉女は、しつこくからんでくる男の顔を平手打ちにした。 **ひらた・い【平たい】** ○平らである。薄く広い。わかりやすい。[文例]〈平たい土地〉この山の裏側にわりと平たい土地があって、ヘリコプターなら離着陸[りちゃくりく]できます。♠〈平たい顔〉日本人は、欧米人[おうべいじん]にくらべ、どちらかと言うと平たい顔をしている。♠〈平たい皿〉この料理の盛りつけには、平たい皿を使ってください。♠〈平たく言う〉この裁判の判決を平たく言えば、けんか両成敗ということだ。 **ひらめき【閃き】** ○ぴかっと光ること。ひらひらすること。鋭い働き。[文例]〈稲妻のひらめき〉稲妻[いなずま]のひらめきで田の穂が青白く染められた。♠〈頭のひらめき〉きみの頭のひらめきは天才的だね。♠〈才能のひらめき〉荒っぽいタッチであったが、少年の作品には才能のひらめきが感じられた。 **ひらめ・く【閃く】** ○ぴかっと光る。ひらひらする。瞬間的に現れる。鋭く働く。[文例]〈稲妻がひらめく〉稲妻が夜のやみにひらめき、辺りをほんの一瞬[いっしゅん]だけ明るく照らした。♠〈旗がひらめく〉船のマストのてっぺんに、日の丸の旗がひらめいている。♠〈考えがひらめく〉もうあきらめようと思った時、すばらしい考えがひらめいた。♠〈アイディアがひらめく〉いいアイディアがひらめいた人は、すぐに電話してください。♠〈頭にひらめく〉頭にひらめいた事がうまく言葉や文章に表せないと、ひどくいらいらしてしまう。 **ひらや【平屋・平家】** ○一階建ての家。[文例]屋敷内には、二階建ての母屋のほかに、若夫婦の住む平屋が建っていた。♠〈平屋造り〉老夫婦が住む家なので、階段を使わずにすむように、平屋造りにしました。 **ピリオド** ○終止符。[文例]〈ピリオドが抜ける・落ちる〉きみのこの英文は、ピリオドが抜けている。♠〈ピリオドを打つ〉二人は長い恋愛時代にピリオドを打って、結婚する決心をした。 **ひりき【非力】** ○力がないこと。力量が足りないさま。ひりょく。[文例]わたしの非力をもってしては、この作業は無理だ。♠〈非力な人〉隊長のいない現在、非力な隊員の手でこの作戦を遂行するのは不可能だった。 **ひりつ【比率】** ○比較した割合。比。[文例]〈男女の比率・〜対〜の比率〉このクラスの男子と女子の人数は、五対四の比率だ。♠〈比率が高い・低い〉世界的に見ると、男女の出生の比率では、男子のほうがわずかばかり高いという。♠〈比率が増加する〉ある調査によると、眼鏡[めがね]をかけている子供の比率が増加しているらしい。♠〈比率が上がる・下がる〉火事の原因を調べると、放火によるものの比率が上がってきていることがわかる。♠〈比率を見る〉それを調べるのなら、数の増減よりも、それぞれの比率を見たほうがいいですよ。 **ひりょう【肥料】** ○農作物を育てるために土地に施す[ほどこす]栄養物。こやし。[文例]〈肥料をやる〉水をやったり、肥料をやったりしてたんねんに育てたので、立派なトマトができた。♠〈肥料を施す〉庭の植木や花に、時々肥料を施します。♠〈肥料になる〉わらを燃やした灰は、肥料になります。♠〈肥料にする〉何を肥料にしたら、こんな立派な花が咲くのでしょう。 **びりょう【微量】** ○わずかな量。[文例]この薬には、微量ですが睡眠薬が含まれています。♠〈微量の毒物〉解剖[かいぼう]の結果、変死体からは微量の毒物が発見された。 <945> **びりょく【微力】** ○小さな力。少しの骨折り。[文例]微力ですが、わたしにもお手伝いをさせてください。♠〈微力を尽くす〉身に余る大任を拝するにあたり、微力を尽くす覚悟[かくご]でおります。 **ひる【昼】** ○日の出から日の入りまでの間。日の高い間。正午。昼飯。[文例]〈昼になる〉もうじき昼になるから、そうしたら出かけるとしよう。♠〈昼が長い〉春分の日から秋分の日までは、夜よりも昼のほうが長い日が続きます。♠〈昼も夜もなく〉兄弟は家に帰りたい一心で、昼も夜もなくただ歩き続けた。♠〈昼を過ぎる〉彼は昨日の夜に出かけたきり、今日の昼を過ぎてもまだ帰って来ない。♠〈昼をたべる〉ぼくは腹がすいていたので、昼を食べてから出かけることにした。♠〈昼にする〉おーい、昼にしようや、そろそろおりてこいよ。♠〈昼過ぎ〉家で待っていてくれれば、明日の昼過ぎには電話します。♠〈昼日中〉昼日中[ひるひなか]から酒を飲んで騒ぐ[さわぐ]なんて、いったい何を考えているのだろう。♠〈お昼どき〉お昼どきを過ぎて、食堂のおばさんは大きなやかんの中のお茶を取りかえました。♠〈昼休み〉わたしは昼休みを利用して、その本を買いに行った。♠〈昼下がり〉それは、春の、ある静かな昼下がりのことでした。♠〈昼あんどん〉彼はぼうっとしてつかみどころがなく、みんなから昼あんどんと悪口を言われている。♠〈昼間〉彼女は昼間は仕事をして、夜、学校に行きます。 **ひるがえ・す【翻す】** ○ひらりと裏返す。ひらひらさせる。躍り上がって向きを変えさせる。急に変える。[文例]〈風に翻す〉少女は、長い髪を春風に翻しながら走ってきた。♠〈手のひらを翻す〉お金の話になると、相手は手のひらを翻したように態度を変えた。♠〈身を翻す〉ライオンは身を低くして獲物[えもの]に近づくと、身を翻して飛びかかった。♠〈反旗を翻す〉領主の苛酷[かこく]な取り立てに泣き寝入りしてきた農民たちがついに反旗を翻した。♠〈心を翻す〉母方[ははかた]に血のつながる縁者[えんじゃ]だったが、心を翻して敵方についたらしい。♠〈前言[ぜんげん]を翻す〉反対派の根回しが進んでいたのであろう、次の会議では前言を翻す議員も現れた。 **ひるがえ・る【翻る】** ○ひらりと裏返る。風にひらひらする。さっと向きを変える。急に変わる。[文例]〈旗が翻る〉ビルの屋上には、とても大きな旗が翻っていた。♠〈風に翻る〉真紅[しんく]の旗が朝焼けの空で風に翻っている。♠〈スカートが翻る〉マリリンモンローのスカートが翻るシーンは、とても有名です。♠〈マントが翻る〉吹きすさぶ風の中で、主人公のマントが翻っている。♠〈態度が翻る〉彼の態度はしょっちゅう翻って安定しないから、どうしても信頼[しんらい]に欠けるんだ。♠〈翻って見る〉翻って見るに当時とはまさに隔世[かくせい]の感のする世の中である。 **ひるさがり【昼下がり】** ○正午を過ぎたころ。昼過ぎ。[文例]〈のどかな昼下がり〉一組の老夫婦が、風もなくのどかな春の昼下がりを楽しむように歩いている。♠〈昼下がりの公園〉昼下がりの公園は、小さい子の歓声に満ちていた。 **ひるね【昼寝】** ○昼間、横になって眠ること。[文例]〈昼寝をする〉夏の午後、庭の木陰で昼寝をしたら気持ちがいいだろうな。♠〈昼寝する〉ひる寝せし児の枕辺[まくらべ]に/人形を買ひ来てかざり、/ひとり楽しむ。(石川啄木[たくぼく])♠〈朝寝坊[あさねぼう]、昼寝を好む夕寝坊、たまたま起きていねむり坊〉。 **ひるひなか【昼日中】** ○まっぴるま。日中。[文例]昼日中から酒を飲んだのでもあるまいが、客は赤い顔をしていた。 **ひるま【昼間】** ○昼の間。昼。日中。[文例]昼間のうちは汗ばむほどの陽気であったが、日が落ちるとさすがに風が身にしみる。♠昼間は家を留守[るす]にすることが多いので、連絡は夜になってからお願いします。 **ひ・む【怯む】** ○たじろぐ。気おくれする。しりごみする。[文例]父の語気の強さに、ぼくは思わずひるんでしまった。♠〈敵がひるむ〉敵がひるんだすきをついて、総攻撃[そうこうげき]をかけた。♠〈相手がひるむ〉相手がひるんだのを見て、ぼくたちは勝ちを確信した。♠〈数にひるむ〉相手の応援団[おうえんだん]の数にひるんだせいか、わがチームはふだんの実力が出せなかった。♠〈ひるまずに〉彼は少しもひるまずにその難局に立ち向かった。 **ひれい【比例】** ○両者が一定の関係をもちながら変化すること。[文例]〈比例する〉正方形の四辺の長さは、その一辺の長さに比例する。♠〈比例する〉会う回数が増えるのに比例して、二人の関係は深まっていった。♠〈正比例〉人口の増加と犯罪の件数は正比例するようだ。♠〈反比例〉彼からの接触が増えると、それに反比例するようにわたしの心は冷えていきました。 **ひれい【非礼】** ○礼儀に外れること。無礼。[文例]〈非礼な言動〉友人ならいざしらず、年配者に対しそのような言動は非礼であろう。♠〈非礼をわびる〉一別以来、ごぶさたにうち過ぎました非礼をおわびします。 **ひれき【披瀝】** ○心の中を打ち明けること。[文例]〈披瀝する〉あのつつしみ深い教授が、公の場で私情を披瀝するなど珍しいことだ。♠〈披瀝する〉わたしたちは、旅の宿で心の底を披瀝し合って、さらに友情が深まった。 **ひれつ【卑劣】** ○悪質でひきょうなさま。[文例]〈卑劣な事〉彼にかぎって人をわなにはめるなんて、そんな卑劣な事をするはずがない。♠〈卑劣な手段〉できるかぎりの事をしろと言っても、卑劣な手段にうったえてもよいという意味ではない。♠〈卑劣な手口〉犯人のあまりに卑劣な手口に、だれもが激しい[はげしい]憤り[いきどお]りを感じていた。♠〈卑劣な人間〉あなたは今まで、ぼくのことをそんな卑劣な人間だと思っていたのか。♠〈卑劣な行為〉最近、大勢で一人をいじめるなど生徒たちの中に卑劣な行為が増加しているときく。 <946> **ひれつ【卑劣】** ○[文例]〈卑劣にも〉卑劣にも、競走の最中にわざとぶつかって、相手を転倒[てんとう]させたという。♠〈卑劣きわまりない〉誘拐[ゆうかい]は、犯罪の中でも、とくに卑劣きわまりないものである。 **ひれふ・す【ひれ伏す】** ○体を伏し、頭を地につけるようにする。[文例]加害者の両親は、言葉もなく被害者の前にひれ伏した。 **ひろ・い【広い】** ○面積が大きい。幅が大きい。大きく開かれている。各方面にわたっている。器量が大きい。[文例]〈広い道〉広い道を真っ赤なスポーツカーが猛[もう]スピードでとばしていった。♠〈広い家〉今度の家は前より広いから、遊びに来てくれれば泊めてあげられるよ。♠〈広い額〉広い額[ひたい]がその青年を知的に見せていた。♠〈世界は広い〉世界は広いのだから、井[い]の中のかわずになってはいけないと忠告された。♠〈広い範囲〉広い範囲にわたって探せば、いい人材を登用できるかもしれない。♠〈心が広い〉これまでにずいぶん苦労を重ねてきたからであろう、彼はとても心が広い。♠〈知識が広い〉彼女は知識が広いので、話していても人を飽きさせない。♠〈顔が広い〉彼は地元に帰るとけっこう顔が広いのだ。♠〈広い意味〉机の上での学習にとどまらず、広い意味での勉強を心がけなくてはならない。 **ひろいよみ【拾い読み】** ○飛ばしながら部分部分を読むこと。一字一字文字を拾うように読むこと。[文例]〈拾い読みをする〉時間がなくてまだ拾い読みしかしていないが、この本はおもしろそうだよ。♠〈拾い読みする〉ひらがなを習いたてのサッちゃんは、かぐや姫のお話を一字一字拾い読みしてくれた。 **ヒロイン** ○女性の主人公。→ヒーロー[文例]〈悲劇のヒロイン〉彼からの最後の電話のあと、直子は自分が悲劇のヒロインにでもなったような気がした。♠〈映画のヒロイン〉この映画のヒロインの生き方が当時の女性の共感を呼んだ。 **ひろう【疲労】** ○疲れること。疲れ。[文例]〈軽い疲労〉ゴールのテープを切ったあとの軽い疲労は、なんとも言えず快かった。♠〈激しい疲労〉病後、間もないので、階段の上り下りひとつにも激しい疲労がともなう。♠〈疲労がたまる〉日ごろ体力に自信のあるわたしも、合宿三日目には疲労がたまってくるのを感じた。♠〈疲労の色〉徹夜[てつや]をするとさすがに疲労の色が隠[かく]せない。♠〈疲労する〉年のせいか、ちょっとの運動にもすぐに疲労するようになった。♠〈疲労こんぱい〉難しい事件をたて続けに担当し、新米[しんまい]の弁護士はすっかり疲労こんぱいしてしまった。♠〈疲労回復〉疲労回復のためには、入浴と睡眠[すいみん]がいちばんである。 **ひろう【披露】** ○開いて人に見せること。公に発表すること。[文例]〈祝電を披露する〉ではここで、祝電を披露させていただきます。♠〈芸を披露する〉この日のために練習を積んできた芸を、いよいよ披露することになった。♠〈のどを披露する〉どうですか社長、この辺でひとつ自慢[じまん]ののどを披露しては。♠〈おてまえを披露する〉大勢の見物人の前で、お茶のおてまえを披露することになった。♠〈披露宴〉結婚式[けっこんしき]に続き、同じ会場で披露宴が行われた。 **ひろ・う【拾う】** ○落ちている物を取り上げる。運よく手に入れる。失わずにすむ。呼び止めて乗る。選び取る。[文例]〈ごみを拾う〉クラスでは、週に一回学校中のごみを拾って美化を進めるようにしています。♠〈捨て犬を拾う〉捨て犬を拾ってきても、この団地では飼うことはできないよ。♠〈人に拾われる〉盛り場でぶらぶら遊んでいるところを今の親方[おやかた]に拾われて、この店で働くようになった。♠〈勝ちを拾う〉相手チームにエラーが重なったおかげで、わたしたちは運よく勝ちを拾った。♠〈命を拾う〉予定通りの便[びん]で行けば大惨事[だいさんじ]に巻き込まれていたのだから、きみは命を拾ったね。♠〈タクシーを拾う〉終電車に乗り遅れた彼は、駅前でタクシーを拾って家に帰った。♠〈活字を拾う〉父のやっている活字を拾う仕事は、とても目が疲れるそうです。♠〈骨を拾う〉戦死したら、骨はおれが拾ってやるから、今回の作戦はなんとしてでも成功させろ。 **ひろがり【広がり】** ○広がること。広さ。[文例]〈空間の広がり〉近年、人間の居住空間が急激な広がりをみせている。♠〈大地の広がり〉大陸横断の旅は、地平線まで続く大地の広がりを実感させた。♠〈人間的な広がり〉文章から、筆者の人間的な広がりや深みが感じられた。 **ひろが・る【広がる】** ○広くなる。開いて大きくなる。規模が大きくなる。広く行き渡る。[文例]〈花火が広がる〉夏の夜空に、鮮やかに大輪の花火が広がった。♠〈部屋が広がる〉模様替えをしたら、なんとなく部屋が広がったような気がする。♠〈荒野[こうや]が広がる〉車から降りたったわたしの目の前には、果てしない荒野が広がっていた。♠〈大海原[おおうなばら]が広がる〉自分の経験だけを頼[たよ]りに小舟をこぎだした老人のまわりには、大海原が広がるばかりであった。♠〈目の前に広がる〉目の前に広がったすさまじい光景に、わたしは思わず絶句していた。♠〈友情の輪が広がる〉新しい大地を求めて旅立つ若者たちの間に、次々と友情の輪が広がってゆく。♠〈視野が広がる〉今までにはなかったタイプの人と知り合い、いろいろと話をすることで、ずいぶん視野が広がった。♠〈知識が広がる〉読書によって、様々な方面の知識が広がっていくのは楽しいものだ。♠〈うわさが広がる〉うわさは、羽がはえたように学校中に広がっていった。 **ひろ・げる【広げる】** ○広くする。開いて大きくする。規模を大きくする。いっぱいに並べる。[文例]〈傘を広げる〉降り出した雨に、人々は傘を広げ、足早に夕暮[ゆうぐ]れの街を過ぎて行った。♠〈本を広げる〉机の上に何冊も本を広げて、熱心に勉強している男が彼女の兄だ。♠〈領土を広げる〉ヨーロッパの国々は、植民地政策に基づき、競って領土を広げた。♠〈手を広げる〉十年ぶりの再会に、父親は大きく手を広げて娘を抱きしめた。♠〈手を広げる〉あの企業は、百貨店の経営以外にも様々な分野に手を広げている。♠〈地図を広げる〉彼は机の上に二万五千分の一の地図を広げ、調査地の説明を始めた。♠〈店を広げる〉調べ物をしようと資料を集めて並べたのだが、時間がなくなり、結局お店を広げるだけに終わってしまった。♠〈大ぶろしきを広げる〉あることないこと、大ぶろしきを広げてふれて回るのが彼の悪い癖だ。 <947> **ひろ・げる【広げる】** ○[文例]〈傷口を広げる〉不景気で経営が傾[かたむ]いたところへ、新製品の開発に費用がかかりすぎ、会社はますます傷口を広げてしまった。 **ひろば【広場】** ○みんなが使える広い場所。[文例]博物館前の広場には、修学旅行の中学生の一団が入場の時を待っていた。♠〈駅前広場〉夕方の駅前広場は、帰宅を急ぐ人、買い物をする人でいっぱいになる。 **ひろびろ【広広】** ○広く開けているさま。[文例]〈広々とする〉引っ越しを契機[けいき]に不必要なものを思い切って捨てたら、驚く[おどろ]ほど部屋が広々とした。♠〈広々とした家〉祖父は広々とした家に一人ぼっちで暮らしているのです。♠〈広々とした海〉広々とした海を見ていると、心まで大きくなったような気がしてくる。♠〈広々としたキャンパス〉東京を離れたこの大学は、広々としたキャンパスが売りものである。♠〈広々する〉やっぱり、北海道は広々して気持ちがいいね。 **ひろま【広間】** ○人が集まる広い部屋。広い座敷。[文例]〈広間に集まる〉広間には親類一同が集まって、祖父の三回忌の法事が行われた。♠〈大広間〉宿に着いてひと休みの後は、大広間で宴会[えんかい]が始まった。 **ひろま・る【広まる】** ○広く行き渡る。広くなる。[文例]〈うわさが広まる〉彼女が病気で入院しているらしいといううわさは、すでに学校中に広まっている。♠〈ニュースが広まる〉そのニュースはたちまち町全体に広まった。♠〈流行が広まる〉ファッションに敏感な人は、流行が広まるころにはもう次の流行に注目している。♠〈世に広まる〉彼の名声が世に広まったのは、皮肉にも彼の死後のことでした。♠〈一般市民に広まる〉市の打ち出したスローガンが一般市民に広まるのには、少し時間がかかりそうだ。♠〈各地に広まる〉少し前に各地に広まったゲートボールは、今ではすっかりお年よりの間に定着した。 **ひろ・める【広める】** ○広く行き渡らせる。広くする。広げる。[文例]氏は、キリスト教を広めるためにこの村にやって来たのだ。♠〈うわさを広める〉はっきりとした証拠[しょうこ]もなしに、変なうわさを広めないでほしい。♠〈見聞を広める〉あちこちに旅行することは、見聞を広めるのに大いに役に立ちます。♠〈名声を広める〉その発見は、彼の名声を世界中に広めた。♠〈関心を広める〉理科の授業中の先生の雑談は、ぼくらの科学への関心をずいぶん広めてくれた。♠〈世に広める〉自由民権運動を世に広めたのは、板垣退助[いたがきたいすけ]です。♠〈範囲を広める〉発達中の台風は勢力範囲をさらに広め、今夜半[こんやはん]には九州南端に接近するもようです。 **ひわい【卑猥・鄙猥】** ○いやらしいさま。下品でけがらわしいさま。[文例]〈卑猥な言葉〉酔っぱらいが道の真ん中で卑猥な言葉を叫んでいる。♠〈卑猥な行為〉男は、電車内で女性に卑猥な行為をした罪でつかまった。 **ひん【品】** ○人や物に備わるしとやかさ、すばらしさの感じ。また、その度合い。気品。上品さ。[文例]〈品がいい〉訪ねてきたのは、年のころは四十五、六の品のいい紳士だった。♠〈品がない〉あなたが着ている服は、いかにも高そうだけれど、すこし品がないと思うわ。♠〈品よく〉お父さん、わが家とはいえ、もう少し品よくしてちょうだい。 **びん【瓶】** ○ガラスなどでできた、液体を入れるための口が狭くなった容器。[文例]〈瓶に詰める〉薬屋は金を受け取ると、変な色をした薬を瓶に詰めて、使いの子供に渡した。♠〈瓶に入れる〉無人島に流れついた人は、手紙を瓶に入れて海に流すことを思いついた。♠〈瓶に移す〉ぼくが家に帰ると、母は台所で去年の梅酒[うめしゅ]を小さな瓶に移しているところだった。♠〈一瓶〉ウイスキーを一瓶あけたなどという、酒に強い人もいます。 **びん【便】** ○交通や輸送の手段。たより。機会。[文例]〈最終の便〉交通渋滞[じゅうたい]のため、駅に着いたのは最終の便の出たあとだった。♠〈午前の便〉ご注文の品は、明日の午前の便にお乗せいたします。♠〈定期便〉わたしは、定期便のトラックの運転手です。 **びん【敏】** ○すばやいさま。抜け目ないさま。[文例]〈機を見るに敏〉機を見るに敏な叔父は、次々に押し寄せる不況の波を乗り切って、会社を大きくしていった。 **ピン** ○留め針。ボーリングの標的。[文例]〈ピンで留める〉夏休みの間に取ったチョウを丁寧に[ていねい]にピンで留めて、標本を作った。♠〈ボーリングのピン〉ボーリングでストライクを出して、ピンが全部倒れる時の気分はなんとも言えない。♠〈安全ピン〉ブラウスのボタンが取れたから、安全ピンで留めておこう。 **ピン** ○さいころの目などの一。第一。最上。[文例]〈ピンからキリまで〉毛皮のコートと言っても、ピンからキリまであります。♠〈ピンはね〉言いつけられた仕事を弟にやらせて、お駄賃[だちん]をピンはねしていたのがばれてしまった。 **ひんい【品位】** ○気高さ。気品。金貨・銀貨に含まれる金・銀、鉱石に含まれる金属の割合。[文例]〈品位がある〉手紙には、品位のある筆跡でのびのびとした文字がつらねられていた。♠〈品位が備わる〉きちっとしつけられた子だけあって、品位が備わっている。♠〈品位を高める〉教養は、その人の品位を高める最も有効な手段です。♠〈文章の品位〉〈品位を落とす〉しゃれた感じを与えるカタカナことばも、乱用すると文章の品位を落としてしまう。♠〈品位を保つ〉言葉づかいや身のこなしに注意することは、品位を保つうえで必要なことです。 **ひんかく【品格】** ○気品。品位。[文例]〈品格がある〉彼女は優しいだけでなく、教養も深いし、品格もあってすばらしい女性なんだ。♠〈店の品格〉〈品格を下げる〉店主は、奇抜な新製品を次々出すのは店の品格を下げることになると思った。 **びんかん【敏感】** ○物事を鋭く感じ取るさま。[文例]〈寒さに敏感〉わたしは風邪[かぜ]をひきやすい体質で、寒さにとても敏感です。♠〈敏感に反応する〉家で飼っているカナリアはよくなついていて、特にわたしの声には敏感に反応する。♠〈敏感に表す〉日本語は、日本人の生活感情を敏感に表している。♠〈敏感に察知する〉ひなを抱[かか]えた母鳥は、敵が近づいてくるのを敏感に察知する。 <948> **びんかん【敏感】** ○[文例]〈敏感な神経〉敏感な神経の持ち主は、普通[ふつう]の人では気づかないようなわずかな気温の変化でも体調を崩し[くずし]たりする。♠〈敏感な年ごろ〉十代の半ばというのはとても敏感な年ごろで、ささいな事でも深く悩んだりすることが多い。 **ひんきゅう【貧窮】** ○貧しくて生活に困ること。[文例]〈貧窮にあえぐ〉父の戦死、母の病気と、わが家は戦後貧窮にあえぐ日が続いた。♠〈貧窮に追い込む〉打ち続く戦乱で、人々の生活は日に日に貧窮に追い込まれていった。 **ひんく【貧苦】** ○貧しさからくる苦しみ・苦労。[文例]〈貧苦に耐える〉父に死別した母は、貧苦に耐えてわたしたちを育ててくれた。♠〈貧苦にあえぐ〉日々の食べ物にも事欠くほどの貧苦にあえぐ人々が、この国にはあふれていた。 **ピンク** ○桃色。欲情を誘うこと。[文例]〈ピンクのワンピース〉薄地[うすじ]のピンクのワンピースが、色白の少女によく似合っていた。♠〈ピンクのカーテン〉向かいは若い女性の部屋らしく、ピンクのカーテンがやさしく揺れていた。♠〈ピンクに染まる〉女性が話しかけると、少年のほおはたちまちピンクに染まった。♠〈ピンク映画〉盛り場には、ピンク映画のどぎついポスターがはりめぐらされている。 **ひんじゃく【貧弱】** ○みすぼらしいさま。見劣りがするさま。[文例]〈貧弱な体格〉たくましい兄からは想像もできないほど、弟は貧弱な体格をしている。♠〈貧弱な食事〉テーブルの上の貧弱な食事を見て、わたしは老夫婦が気の毒になりました。♠〈内容が貧弱〉大統領の演説は、時間のわりには内容が貧弱だった。♠〈貧弱な知識〉ぼくの貧弱な英語の知識では、とてもそんな文章は訳せない。♠〈貧弱に見える〉彼の新車の前では、ぼくの車も貧弱に見えます。 **ひんけつ【貧血】** ○血液中の赤血球やヘモグロビンが減少した状態。[文例]〈貧血を起こす〉暑い中を長時間歩いていて、軽い貧血を起こしてしまった。 **ひんこう【品行】** ○素行。ふだんの行い。[文例]〈品行を慎む〉品行を慎み[つつしみ]、仕事に身を入れたので、彼はたちまち上司の信頼を得た。♠〈品行がよい・悪い〉推薦[すいせん]入学では、品行がよいことも選考の条件になるようです。♠〈品行方正〉酒もたばこもやらず、女性のうわさなど聞いたことがないなんて品行方正な人ですね。 **ひんこん【貧困】** ○貧しくて生活に困ること。乏しいこと。[文例]〈貧困とたたかう〉父の死後は、まだ若い兄が一家の柱となって貧困とたたかうことになった。♠〈政治の貧困〉政治の貧困が叫ばれますが、その責任は国民の側にもあります。 **ひんし【瀕死】** ○今にも死にそうなこと。死にかかっていること。[文例]〈瀕死の重傷〉交通事故で瀕死の重傷を負ったいとこが、奇跡的[きせきてき]に命をとりとめました。♠〈瀕死の病人〉その夜は、瀕死の病人の枕元[まくらもと]に家族が集まり、容態を見守った。 **ひんしつ【品質】** ○品物の質。[文例]〈品質がよい・悪い〉〈品質が高い・低い〉安かろう・悪かろうの時代が去り、安くしかも品質のよい製品が日本の売り物になった。♠〈品質が落ちる〉商品の値下げはうれしいが、品質が落ちたのでは何にもなりません。♠〈品質管理〉電気製品による事故を防ぐためにも、当社では品質管理に力を入れています。 **ひんしゅ【品種】** ○品物の種類。同一種の作物・家畜の最小の分類単位。[文例]〈稲の品種〉稲の品種に改良が加えられ、年々新しいお米が作り出されている。♠〈品種改良〉世界最小の犬チワワは、メキシコ産の犬を愛玩[あいがん]用に品種改良したものといわれます。 **ひんしゅく【顰蹙】** ○まゆをひそめること。顔をしかめること。不快感を表すこと。[文例]〈ひんしゅくを買う〉この評論家の歯に衣[きぬ]を着せぬ発言は、時には喜ばれ、時には世間のひんしゅくを買った。 **ひんしゅつ【頻出】** ○しきりに現れること。[文例]〈頻出する〉「あはれ」は古文に頻出する語で、微妙な意味合いを含んでいる。 **びんしょう【敏捷】** ○動作がすばやく、きびきびしているさま。[文例]〈敏しょうな運動神経〉ねこという生き物は敏しょうな運動神経を持っている。♠〈動きが敏しょう〉ゴールキーパーもやってみるとなかなか大変で、動きが敏しょうでないとつとまらない。♠〈敏しょうに身をかわす〉出会い頭[がしら]にぶつかりそうになったが、子供のほうが敏しょうに身をかわして行ってしまった。♠〈敏しょうに動く〉ヒキガエルは、ふだんはのっそりしているが、虫を捕る時には、とても敏しょうに動く。♠〈行動の敏しょうさ〉消防士など、災害の現場で働く人々には、行動の敏しょうさが要求される。 **びんじょう【便乗】** ○他人が乗る物に相乗りすること。他の動きを上手に利用すること。[文例]〈便乗する〉方向が同じなので、友人の車に便乗させてもらった。♠〈便乗する〉オリンピックブームに便乗して、五輪[ごりん]まんじゅうを売り出す業者が現れた。♠〈便乗値上げ〉当時、原油の値上げを口実にして、多くの製品が便乗値上げをした。 **ひん・する【瀕する】** ○近づく。直面する。[文例]〈死に瀕する〉死に瀕した作家は、最後の力をふりしぼって口述筆記を続けようとした。♠〈危機に瀕する〉危機に瀕して、人々は右往左往[うおうさおう]するばかりだった。 **ひん・する【貧する】** ○貧乏する。貧しくなる。[文例]〈貧すれば鈍する〉貧すれば鈍[どん]するというが、頭のいい人だったが生活に疲れて理性が働かなくなったんだね。 **ひんせい【品性】** ○品位。品格。人柄。[文例]〈品性を疑う〉この代議士の無神経な言動は、政治家としての品性を疑わせるものだった。♠〈品性が備わる〉著者の文章には、教養人としておのずからなる品性が備わっていた。♠〈品性が高潔〉品性の高潔な人だから、ギャンブルなどには手を出さなかった。♠〈品性が劣る〉僧侶[そうりょ]といえば聞こえはよいが、品性のはなはだ劣る[おとる]人物だった。♠〈品性が卑しい〉金銭にこだわりすぎると、品性が卑しい[いやしい]と思われますよ。♠〈下劣な品性〉きみ、その下劣[げれつ]なる品性を改めたまえ。 **ひんそう【貧相】** ○みすぼらしいさま。[文例]〈貧相に見える〉くたびれた背広を着たわたしは、いかにも貧相に見えたにちがいない。 <949> **ひんそう【貧相】** ○[文例]〈貧相ななり〉貧相ななりをしてるからって、人を見くだした言い方をするもんじゃない。 **びんそく【敏速】** ○すばやいさま。[文例]〈敏速な動き〉チームの中でも、ボールを扱うセッターの敏速な動きがひときわ目立った。♠〈敏速な反応〉こちらの呼びかけに対して相手は敏速な反応をみせた。♠〈敏速にこなす〉新入社員とは思えない確実さで、彼は難しい仕事を敏速にこなしていった。 **びんた** ○ほおを平手で強く打つこと。耳ぎわの頭髪。[文例]〈びんたを張る〉いくらなんだってびんたを張るなんてひどいよ。♠〈びんたを取る〉あんまり生意気だからびんたを取ってやった。♠〈びんたを食わす・食らわす〉子供にびんたを食わしてはいけません。耳の鼓膜[こまく]が破れることがあります。 **ピンチ** ○危機。苦境。[文例]〈絶体絶命のピンチ〉〈ピンチに立つ〉この契約[けいやく]が成立しなければ、会社は絶体絶命のピンチに立つことになる。♠〈ピンチを切り抜ける〉チータに追われていたヌーは、どうやらピンチを切り抜けたらしい。♠〈ピンチヒッター〉一点差を追う九回裏、ツーアウト満塁[まんるい]で監督はピンチヒッターを立てた。 **ひんど【頻度】** ○物事が繰り返して現れる度合い。出現度数。[文例]〈頻度が高い〉日本語文で用いられる単語の中では、助詞の頻度が一番高い。♠〈使用の頻度〉棚には、使用の頻度に応じて使いやすいように食器類がしまわれていた。 **ヒント** ○それとなくほのめかして示す解決の手がかり。[文例]〈ヒントを出す〉この問題は難しいから、ちょっとヒントを出してあげよう。♠〈ヒントを得る〉いつか祖母に話してもらった民話にヒントを得て、いたずらネコの物語を書いた。♠〈ヒントを与える〉先生にヒントを与えてもらったので、困った事件もうまく解決できた。♠〈ヒントにする〉弟のおもちゃをヒントにして、宿題の工作を作った。 **ピント** ○レンズの焦点。中心点。的。[文例]〈ピントが合う〉この写真はピントが合っていないよ。ぼくの顔がぼやけてるぞ。♠〈ピントがずれる〉彼の言葉はいちいちピントがずれるので、みんなの会話の輪からはずされていった。♠〈ピントがはずれる〉きみの話はピントがはずれることが多いね。もっと人の言うことを注意して聞きなさい。♠〈ピントが狂う〉あんたって人は、いつもピントが狂ってるね。♠〈ピントがぼける〉あれもこれもと詰め込むと、話はピントがぼけてしまう。 **ひんぱつ【頻発】** ○しきりに起こること。[文例]〈頻発する〉最近この町では、暴力団の抗争が頻発している。♠〈頻発する〉火山の噴火[ふんか]にともなう地震が頻発し、住民は落ち着かぬ日々を過ごした。 **ひんぱん【頻繁】** ○しきりに繰り返されるさま。[文例]〈行き来が頻繁〉昼間は人の行き来が頻繁なこの通りも、十時すぎにはだれも通らなくなる。♠〈頻繁に起こる〉最近頻繁に噴火が起こり、住民の不安は高まっている。♠〈頻繁に見られる〉つい最近までは、この山ろくではカモシカの姿も頻繁に見られました。♠〈頻繁に行う〉万が一の火災に備えて、訓練はもっと頻繁に行わなければならない。♠〈頻繁になる〉春休みになってから、友人からの電話は頻繁になった。 **ひんぷ【貧富】** ○貧しいことと豊かなこと。貧乏な人と金持ち。[文例]〈貧富の差〉発展途上にあるこれらの国々では、国民の間に貧富の差が大きかった。 **びんぼう【貧乏】** ○貧しくて生活が苦しいこと。[文例]〈貧乏に耐える〉ぜいたくな暮らしに慣れてしまうと、貧乏に耐えるという事を忘れてしまいます。♠〈貧乏とたたかう〉父は若い時に貧乏とたたかった経験があるせいか、無駄遣いをひどく怒る[おこる]。♠〈貧乏に負ける〉彼は意志が強く、貧乏に負けて道を踏み外すということはなかった。♠〈貧乏に慣れる〉貧乏に慣れてしまうと、たいていのつらい事はがまんできるものだ。♠〈貧乏のどん底〉貧乏のどん底を経験した人は皆、二度とあのような思いはしたくはないと言う。♠〈貧乏な暮らし〉よそと比べれば貧乏な暮らしでしたが、わたしたちは幸せでした。♠〈貧乏ひま無し〉ああ、貧乏ひま無しって言うけど、ほんとうに近ごろは忙しいわりにちっとももうからない。♠〈稼ぐに追いつく貧乏無し〉うちの父ちゃんぐらい精を出せば、「稼ぐ[かせぐ]に追いつく貧乏無し」で、一家四人なんとか食べていけます。♠〈貧乏くじを引く〉そんなつまらない役を言いつけられるとは、とんだ貧乏くじを引いたもんだ。♠〈貧乏ゆすり〉気になりますので、その貧乏ゆすり、やめてください。 **ピンぼけ** ○焦点が合わないこと。要点や急所を外れていること。[文例]〈写真がピンぼけ〉せっかく家族がそろって撮った写真だったのに、できあがってみたらピンぼけだった。♠〈話がピンぼけ〉きみの話は長いうえにピンぼけで、ちっとも要領を得ない。 **ひんもく【品目】** ○品物の種類の名前。[文例]注文書には、品目と個数が記入されていた。♠〈輸入品目〉最近の日本の農産物の輸入品目を見ると、国内農業の変化がわかる。 **びんらん【紊乱】** ○秩序などが乱れること。また、乱すこと。[文例]〈風紀の紊乱〉現代の性風俗に対し、風紀の紊乱を指摘する意見もあります。 **びんわん【敏腕】** ○仕事をてきぱきと処理する能力。腕きき。[文例]〈敏腕を振るう〉女史は敏腕を振るって、店の営業成績を上げていった。♠〈敏腕刑事〉県警一の敏腕刑事が乗り出してきたからには、この事件の解決も近い。♠〈敏腕家〉敏腕家の氏[し]は、自分の会社を海外に進出させることに成功した。 **ふ【府】** ○中心となる所。都道府県の「府」。国府。[文例]〈学問の府〉金沢文庫のあったこのあたりは、中世、関東の学問の府として重要な地でした。♠〈良識の府〉参議院は、党利党略をはなれ、良識の府であるべきだと思います。♠地方公共団体のうち、現在、府は大阪府と京都府の二つです。 <950> **ふ【負】** ○〇より少ない数。[文例]〈負の数〉0より小さい数を負の数といい、−1、−2……のように表します。♠〈正と負〉正または負の電気を帯びた原子または原子団をイオンといいます。 **ふ【腑】** ○はらわた。性根。[文例]〈腑に落ちない〉自首してきた男の供述には、どうも腑に落ちない点がある。♠〈胃の腑〉胃の腑の病は、神経性であることが多い。♠〈腑抜け〉ニュースを聞いたとたん、全身から力が抜けて、腑抜けのようになってしまった。♠〈腑分け〉江戸[えど]時代には、人体解剖[かいぼう]のことを腑分けといい、死罪に処せられた者の遺体を使った。♠〈五臓六腑〉病気もすっかり回復し、久しぶりで飲んだ酒は、五臓六腑[ごぞうろっぷ]にしみわたるようだった。♠〈肺腑〉彼女のきつい非難の言葉に、肺腑をえぐられる思いがした。 **ぶ【部】** ○部類。部分。組織内の区分の単位。クラブ。文書・書籍を数える語。[文例]〈昼の部〉劇場に問い合わせたところ、土曜日の昼の部は十二時半からだそうです。♠〈上の部〉きみは謙遜[けんそん]しているが、それぐらいの出来ばえなら上の部に入りますよ。♠〈単純な部〉この問題は単純な部だよ。もっと複雑なのがたくさんあるんだから。♠〈嫌いな部〉好きか嫌いかといわれれば、ピーマンは嫌いな部に入ります。♠〈会社の部〉あの人とは同じ会社に勤めていますが、部が違うのでめったに顔を合わせません。♠〈部の活動〉わたしは、部の活動で、毎日学校の帰りが遅くなります。♠〈部の運営〉この学校では、部の運営は、生徒たちの手で自主的に行われています。♠〈中心部〉市庁舎は、市の中心部にあります。♠〈一万部〉この本は売れ行きがいいので、あと一万部ほど増刷しよう。 **ぶ【分】** ○勝つ見込み。優劣の度合い。物の厚み。十分の一の単位。一両の四分の一。[文例]〈分がある〉両者の言い分を聞いてみると、どうやらきみのほうに分があるようだね。♠〈分がない〉対戦相手を見たとたん、この試合は分がないとあきらめた。♠〈分が悪い〉兄弟げんかでは、年上のほうが分が悪く、弟が悪くてもいつもぼくがしかられた。♠〈〜度〜分〉頭が痛いので熱を計ってみると、三十八度五分もあった。 **ぶあい【歩合】** ○割合。取引高に対する手数料・報酬などの割合。[文例]〈歩合を取る〉取引が成立したら、仲介人[ちゅうかいにん]であるわたしが一割の歩合を取らせてもらう。♠〈歩合制〉セールスマンなどの賃金は、契約額[けいやくがく]に応じて支払われる歩合制になっている場合が多い。♠〈公定歩合〉公定歩合の引き下げにともない、銀行預金の利率が下がった。 **ぶあいそう【無愛想】** ○愛想がないさま。ぶあいそ。[文例]〈無愛想な人〉いつもは無愛想な人が、妙[みょう]に優しい声で話しかけてきた。♠〈無愛想な返事〉「これ、似合うかしら。」と聞くと、店員は一言、「ええ。」と無愛想な返事をした。♠〈無愛想に見える〉彼は、一見無愛想に見えるが、あれでけっこうひょうきん者なんだ。 **ファイル** ○書類や新聞などをとじこむこと。また、とじこんだもの。書類ばさみ。コンピュータに記憶されたデータのまとまり。[文例]〈ファイルにとじる〉今までに書いた作文をファイルにとじ、タイトルをつけて、自分の文集を作ってみた。♠〈ファイルする〉資料は、見やすいように項目別にファイルしてあります。 **ファイト** ○勝負。格闘。試合。闘志。[文例]〈ファイトがわく〉よし、やるぞ。きみの励ましのおかげでファイトがわいてきた。♠〈ファイトを燃やす〉全国大会出場を目ざしてファイトを燃やす選手たちは、練習にも一段と力が入る。♠〈ファイトがある・ない〉体は小さいが、なかなかファイトのあるやつなので楽しみだ。 **ぶあつ・い【分厚い・部厚い】** ○かなりの厚みがある。[文例]〈分厚い本〉先生の机の上には、研究のための分厚い専門書が何冊も並んでいる。♠〈分厚い壁〉分厚い壁と鉄のとびらで区切られた高層アパートより、下町の長屋のほうがわたしの肌に合う。♠〈唇[くちびる]が分厚い〉男は、色黒の、唇の分厚い顔に意地の悪い表情を浮かべた。 **ファッション** ○様式。流行。服装のはやり。[文例]〈秋のファッション〉この秋のファッションの特徴は、スカート丈が短く、明るい色を使っていることですね。♠〈ファッションに敏感〉若い女性は、ファッションにとても敏感です。♠〈ファッションショー〉ファッションショーが開かれ、有名デザイナーたちによる新作が次々に紹介されました。♠〈ファッションモデル〉あなたはプロポーションがいいから、ファッションモデルになったら? **ふあん【不安】** ○心配で落ち着かないこと。また、その気持ち。[文例]〈不安が大きい〉入学試験が近づくにつれて、受験生の不安はしだいに大きくなっていった。♠〈不安がある・ない〉この選手はバッティングはいいのだが、守備に不安がある。♠〈不安がうずまく〉従業員の胸中には、会社に対する不安や不満がうずまいていた。♠〈不安を残す〉この事件は、今後の世界情勢に大きな不安を残しました。♠〈いちまつの不安〉〈不安を感じる〉彼が最高責任者と聞いて、いちまつの不安を感じないわけにはいきませんでした。♠〈不安に襲われる〉父の後ろ姿を見ていると、言いようのない不安に襲われたのです。♠〈不安が去る〉心配するなと言われたからって、すぐに不安が去るわけでもない。♠〈不安の色〉約束[やくそく]の時間を過ぎても連絡[れんらく]がなく、関係者は不安の色を隠せない様子です。♠〈不安の念〉出席者の顔色を見て、わたしは、反対されるのではと不安の念に駆られました。♠〈不安な一夜〉火事で焼け出された人々は、近くの小学校の体育館で不安な一夜を明かした。 **ファン** ○熱心な愛好者。[文例]〈野球のファン〉野球は、日本では大変盛んなスポーツで、子供から大人までファンの数は多い。♠〈熱烈[ねっれつ]なファン〉姉はある男性歌手の熱烈なファンで、もちろんファンクラブにも入会している。 **ファン** ○扇風機。送風機。換気扇。[文例]〈ファンが回転する〉扇風機や送風機は、モーターでファンを回転させ、風を送るというしくみです。 **ファンタジー** ○空想。幻想。[文例]〈ファンタジーの世界〉「くるみ割り人形」の軽快な踊りに、たちまちわたしの心はファンタジーの世界に誘われ[いざなわれ]、た。 <951> ファンタジーの世界[せかい]に誘[いざな]い込[こ]まれました。♠へ夢[ゆめ]とファンタジー>子供[こども]たちは、夢[ゆめ]とファンタジーあふれる童話[どうわ]が大好[だいす]きです。 **ふあんてい【不安定】** ○安定[あんてい]しないこと。[文例]〈気持[きも]ちが不安定[ふあんてい]>仕事[しごと]がうまくいかないので、近[ちか]ごろ彼女[かのじょ]は気持[きも]ちが不安定[ふあんてい]なようだ。♠●不安定[ふあんてい]な生活[せいかつ]〉会社[かいしゃ]をやめフリーのライターを始[はじ]めたころは、仕事[しごと]があったりなかったりで不安定[ふあんてい]な生活[せいかつ]を送[おく]っていました。♠●へ物[もの]が不安定[ふあんてい]>畳[たたみ]が古[ふる]くなったらしく、たんすが不安定[ふあんてい]で触[さわ]ると揺[ゆ]れます。 **ふあんない【不案内】** ○その方面[ほうめん]の事情[じじょう]や勝手[かって]、地理[ちり]などがわからないこと。[文例]〈土地[とち]不案内[ふあんない]〉この辺[あた]りだときいてきたが、土地[とち]不案内[ふあんない]のわたしには、目的[もくてき]の家[いえ]がなかなか見[み]つからなかった。♠●く法律[ほうりつ]に不案内[ふあんない]>法律[ほうりつ]の道[みち]には不案内[ふあんない]なので、知[し]り合[あ]いの弁護士[べんごし]に相談[そうだん]してみようと思[おも]う。 **ふい** ○むだになること。無効[むこう]になること。[文例]〈ふいになる〉せっかくのデートが、大雨[おおあめ]でふいになってしまった。♠〈ふいにする〉二度[にど]とないチャンスをふいにすることのないように。 **ふい【不意】** ○思[おも]いがけないこと。突然[とつぜん]なこと。[文例]不意[ふい]の来客[らいきゃく]>母[はは]は不意[ふい]の来客[らいきゃく]に、ちょっと迷惑[めいわく]そうな顔[かお]をしました。♠◆不意[ふい]の出来事[できごと]〉停電[ていでん]という不意[ふい]の出来事[できごと]に、ビル全体[ぜんたい]が大混乱[だいこんらん]に陥[おちい]った。♠●〈不意[ふい]をつく〉バックの選手[せんしゅ]が放[はな]ったロングシュートは、キーパーの不意[ふい]をつく形[かたち]となった。♠◆<不意[ふい]を打[う]つ>味方[みかた]の軍勢[ぐんぜい]は不意[ふい]を打[う]たれ、一目散[いちもくさん]に城内[じょうない]に逃[に]げ込[こ]んできた。♠●〈不意[ふい]に襲[おそ]う〉合宿[がっしゅく]に入[はい]って三日目[みっかめ]、原因[げんいん]不明[ふめい]の腹痛[ふくつう]が不意[ふい]にぼくを襲[おそ]ったのです。♠不意[ふい]に止[と]まる〉前[まえ]の車[くるま]が不意[ふい]に止[と]まったので、危[あや]うく追突[ついとつ]するところだった。♠不意[ふい]に現[あらわ]れる>土手[どて]を歩[ある]いていると、サブとジローが茂[しげ]みの間[あいだ]から不意[ふい]に現[あらわ]れた。 **フィールド** ○陸上[りくじょう]競技場[きょうぎじょう]の走路[そうろ]の内側[うちがわ]の芝[しば]の生[は]えた所[ところ]。野外[やがい]。分野[ぶんや]。領域[りょういき]。[文例]〈フィールド競技[きょうぎ]〉ぼくは走[はし]るのは速[はや]いが、砲丸投[ほうがんな]げや高跳[たかと]びなどのフィールド競技[きょうぎ]は苦手[にがて]だ。♠●ヘフィールドワーク〉地質学[ちしつがく]や考古学[こうこがく]などでは、現場[げんば]での採集[さいしゅう]・調査[ちょうさ]などのフィールドワークは欠[か]かせないものです。♠◆<学問[がくもん]のフィールド>学問[がくもん]は大[おお]きく自然科学[しぜんかがく]、社会科学[しゃかいかがく]、人[じん]文科学[ぶんかがく]の三[みっ]つのフィールドに分[わ]けられる。 **ふいうち【不意打ち・不意討ち】** ○不意[ふい]をついて襲[おそ]いかかること。だしぬけにしかけること。[文例]〈不意打[ふいう]ちにあう〉いきなりテストをするなんてひどい。全[まった]く不意打[ふいう]ちにあったも同[おな]じだ。♠不意打[ふいう]ちをかける〉敵[てき]に不意打[ふいう]ちをかけられ、慌[あわ]てふためきつつようやく逃[に]げ帰[かえ]って来[き]た。♠●不意打[ふいう]ちを食[く]わせる・食[く]う〉おのれ、不意打[ふいう]ちを食[く]わせるとはひきような! **フィクション** ○虚構[きょこう]。つくり話[ばなし]。創作[そうさく]。[文例]又例ヘフィクションをまじえる〉作者[さくしゃ]は、自分[じぶん]の生[お]い立[た]ちをフィクションをまじえて小説[しょうせつ]にしました。♠●ヘノンフィクション〉この作品[さくひん]は、フィクションではなく、実際[じっさい]にあったことの記録[きろく](ノンフィクション)です。 **ふいちょう(吹聴)** ○言[い]いふらすこと。[文例]〈吹聴[ふいちょう]する〉あのおばさんたら、息子[むすこ]の自慢話[じまんばなし]を近所[きんじょ]じゅうに吹聴[ふいちょう]してまわっているよ。♠●〈吹聴[ふいちょう]する〉きみは自分[じぶん]の手柄[てがら]のように吹聴[ふいちょう]していたが、あれはみんなの力[ちから]があってのことだよ。 **フィナーレ** ○曲[きょく]の最後[さいご]の楽章[がくしょう]。最終[さいしゅう]場面[ばめん]。終幕[しゅうまく]。終[お]わり。[文例]〈劇[げき]のフィナーレ〉〈フィナーレを迎[むか]える〉劇[げき]はいよいよフィナーレを迎[むか]え、観客[かんきゃく]の感動[かんどう]も最高潮[さいこうちょう]に達[たっ]した。♠◆ヘフィナーレを飾[かざ]る〉/ノーベル賞[しょう]の受賞[じゅしょう]は、詩人[しじん]の華[はな]やかな生涯[しょうがい]のフィナーレを飾[かざ]った。 **フィルター** ○濾過器[ろかき]。濾過[ろか]装置[そうち]。濾光器[ろこうき]。紙巻[かみま]きタバコの吸[す]い口[くち]。[文例]汚[よご]れた油[あぶら]をこのフィルターで濾過[ろか]すると、再[ふたた]びきれいな油[あぶら]になります。♠◆ヘフィルターを通[とお]す〉フィルターを通[とお]しても、たばこのニコチンやタールが完全[かんぜん]に除[のぞ]かれるわけではありません。♠●へ文化[ぶんか]のフィルター〉〈フィルターを外[はず]す〉ある文化[ぶんか]の中[なか]に生[い]きている民族[みんぞく]は、他[ほか]の民族[みんぞく]に対して自[みずか]らの文化[ぶんか]のフィルターを外[はず]して見[み]ることは難[むずか]しい。 **フィルム** ○写真[しゃしん]の感光板[かんこうばん]。透明[とうめい]なセルロイドに感光剤[かんこうざい]を塗[ぬ]ったもの。映画用[えいがよう]の陰画[いんが]・陽画[ようが]。映画[えいが]。フイルム。[文例]〈写真[しゃしん]のフィルム〉そのころは戦争[せんそう]の最中[さいちゅう]で、写真[しゃしん]のフィルムなどもなかなか手[て]に入[はい]りませんでした。♠◆ヘフィルムを公開[こうかい]する>事件[じけん]の全貌[ぜんぼう]を記録[きろく]した、当時[とうじ]の貴重[きちょう]なフィルムが公開[こうかい]された。 **ふう【封】** ふたや物[もの]の口[くち]をとじること。また、とじるもの。[文例]〈封[ふう]を切[き]る〉合否[ごうひ]の通知[つうち]の入[はい]った手紙[てがみ]の封[ふう]を切[き]るときには、さすがに緊張[きんちょう]しました。♠へ封[ふう]を開[あ]ける〉ぼくが部屋[へや]に戻[もど]ったとき、もう手紙[てがみ]の封[ふう]は開[あ]けてあった。♠へ封[ふう]を開[ひら]く〉父[ちち]からの速達[そくたつ]とあって、封[ふう]を開[ひら]く母[はは]の手[て]は震[ふる]えている。♠◆<封[ふう]をする〉中[なか]のお茶[ちゃ]がしめらないように、缶[かん]にはしっかり封[ふう]をしておきなさい。♠●〈封[ふう]をする〉厳重[げんじゅう]に封[ふう]のしてあった書類[しょるい]を、彼[かれ]はむりやりこじあけてしまった。 **ふう【風】** ○様式[ようしき]。ならわし。やり方[かた]。様子[ようす]。具合[ぐあい]。[文例]文商へこんなふう〉こんなふうに、彼[かれ]らを山[やま]にかりたてるのはいったい何[なん]なのだろう。♠●〈どんなふう〉昨日[きのう]会[あ]った田中[たなか]君[くん]のお兄[にい]さんは、どんなふうな人[ひと]でしたか。♠外国[がいこく]のふう〉明治[めいじ]初期[しょき]の文明開化[ぶんめいかいか]は、まず外国[がいこく]のふうをまねることから始[はじ]まった。♠●〈そしらぬふう〉あの人[ひと]のことは気[き]にはなったが、そしらぬふうをよそおって通[とお]りすぎてきた。♠●へ〜といったふう〉質問[しつもん]を受[う]けた人[ひと]は、何[なに]をしゃべっていいのかまるでわからないといったふうだった。♠●〈和風[わふう]・洋風[ようふう]〉お店[みせ]の新[あたら]しいメニューに、和風[わふう]サラダが加[くわ]えられた。♠●〈学生[がくせい]風[ふう]〉被害者[ひがいしゃ]の話[はなし]だと、犯人[はんにん]は黒[くろ]いジャンパーを着[き]た若[わか]い学生[がくせい]風[ふう]の男[おとこ]とのことです。 **ふうあい【風合い】** ○織物[おりもの]の見[み]た目[め]や手[て]ざわりから受[う]ける感[かん]じ。[文例]〈絹[きぬ]の風合[ふうあ]い〉絹[きぬ]は高価[こうか]なものですが、やはり、そのしなやかなしっとりとした風合[ふうあ]いは格別[かくべつ]です。♠素朴[そぼく]な風合[ふうあ]い〉〈風合[ふうあ]いをもつ〉わたしは、素朴[そぼく]な風合[ふうあ]いをもつ木綿[もめん]が大好[だいす]きです。 **ふうあつ【風圧】** ○風[かぜ]の圧力[あつりょく]。[文例]〈強[つよ]い風圧[ふうあつ]>爆発[ばくはつ]の瞬間[しゅんかん]、強[つよ]い風圧[ふうあつ]で地面[じめん]にたたきつけられた。♠●〈風圧[ふうあつ]を受[う]ける〉低空[ていくう]飛行[ひこう]するジェット機[き]の風圧[ふうあつ]を受[う]けて、屋根[やね]が飛[と]んだ家[いえ]もある。 <952> **ふういん【封印】** 封[ほう]じ目[め]に印[いん]を押[お]すこと。また、その印[いん]。[文例]〈封印[ふういん]をする〉現金[げんきん]を入[い]れた手紙[てがみ]は、二重[にじゅう]の封筒[ふうとう]に入[い]れ、厳重[げんじゅう]に封印[ふういん]をして送[おく]ります。♠〈封印[ふういん]を破[やぶ]る〉千両箱[せんりょうばこ]の封印[ふういん]は破[やぶ]られて、中身[なかみ]はすっかり空[から]になっていた。♠〈封印[ふういん]する〉いまわしい記憶[きおく]は現在[げんざい]から追放[ついほう]して、過去[かこ]の中[なか]に封印[ふういん]してしまいたかった。 **ふうう【風雨】** 風[かぜ]と雨[あめ]。雨風[あめかぜ]。強[つよ]い風[かぜ]を伴[ともな]った雨[あめ]。[文例]〈風雨[ふうう]が強[つよ]まる〉台風[たいふう]の接近[せっきん]につれて、夜半[やはん]には風雨[ふうう]が強[つよ]まってきた。♠〈風雨[ふうう]にたたかれる〉悪天候[あくてんこう]で流[なが]れた祭[まつ]りの会場[かいじょう]には、破[やぶ]れぢょうちんや飾[かざ]りなどが風雨[ふうう]にたたかれ散[ち]らばっていた。♠〈風雨[ふうう]にさらされる〉人[ひと]の住[す]まなくなった家々[いえいえ]は、いつしか風雨[ふうう]にさらされ、廃墟[はいきよ]と化[か]していた。 **ふううん【風雲】** 風[かぜ]と雲[くも]。自然[しぜん]の景物[けいぶつ]。事態[じたい]のなりゆき。英雄[えいゆう]が出現[しゅつげん]する機運[きうん]。[文例]〈風雲[ふううん]急[きゅう]を告[つ]げる〉この事件[じけん]を機[き]に、両国間[りょうこくかん]の緊張[きんちょう]はさらに深[ふか]まり、風雲[ふううん]急[きゅう]を告[つ]げる事態[じたい]となった。♠〈風雲[ふううん]の情[じょう]〉古来[こらい]、風雲[ふううん]の情[じょう]にかきたてられて、あてもない旅[たび]に出[で]る風流人[ふうりゅうじん]は多[おお]い。♠〈風雲児[ふううんじ]〉彼[かれ]は、時[とき]の勢[いきお]いに乗[じょう]じてめきめき頭角[とうかく]を現[あらわ]した風雲児[ふううんじ]だった。 **ふうか【風化】** 岩石[がんせき]などが風[かぜ]や水[みず]の作用[さよう]で崩[くず]れること。記憶[きおく]や印象[いんしょう]が薄[うす]れること。主義[しゅぎ]や思想[しそう]が弱[よわ]まること。人[ひと]の徳[とく]に感化[かんか]されること。[文例]〈雨風[あめかぜ]による風化[ふうか]〉雨[あめ]や風[かぜ]による風化[ふうか]のため、石仏[いしぼとけ]の顔[かお]はひらべったくなっている。♠〈風化[ふうか]が激[はげ]しい〉潮風[しおかぜ]で風化[ふうか]の激[はげ]しかった記念碑[きねんひ]が、関係者[かんけいしゃ]の手[て]で修復[しゅうふく]されることになった。♠〈風化[ふうか]が進[すす]む〉調査[ちょうさ]の結果[けっか]、洞[どう]くつの風化[ふうか]はかなり進[すす]んでいることがわかりました。♠〈事件[じけん]が風化[ふうか]する〉事件[じけん]発生[はっせい]から二十年[にじゅうねん]、この事件[じけん]もすでに風化[ふうか]してしまったと言[い]われている。♠〈精神[せいしん]が風化[ふうか]する〉時[とき]がたつにつれて、発足[ほっそく]当時[とうじ]の会[かい]の崇高[すうこう]な精神[せいしん]もすっかり風化[ふうか]してしまった。♠〈体験[たいけん]が風化[ふうか]する〉悲惨[ひさん]な戦争[せんそう]体験[たいけん]も、戦後[せんご]四十年[よんじゅうねん]たった今[いま]、かなり風化[ふうか]してしまった。♠〈風化[ふうか]作用[さよう]〉群馬県[ぐんまけん]にある妙義山[みょうぎさん]は、長[なが]い間[あいだ]の風化[ふうか]作用[さよう]によって、あのような奇妙[きみょう]な形[かたち]になったのです。 **ふうが【風雅】** 上品[じょうひん]で、みやびなこと。詩文[しぶん]や書画[しょが]の道[みち]。[文例]〈風雅[ふうが]の道[みち]〉芭蕉[ばしょう]も風雅[ふうが]の道[みち]に生涯[しょうがい]をささげ、旅[たび]の途中[とちゅう]で死[し]んでいる。♠〈風雅[ふうが]な趣[おもむき]〉寺[てら]の石庭[せきてい]の造形[ぞうけい]には、えもいわれぬ風雅[ふうが]な趣[おもむき]があった。 **ふうかく【風格】** 内面[ないめん]からにじみ出[で]る品格[ひんかく]。[文例]〈風格[ふうかく]がつく〉兄[あに]にも教師[きょうし]らしい風格[ふうかく]がついてきた。♠〈風格[ふうかく]がある〉さすがに何年[なんねん]もこの世界[せかい]で生[い]きてきただけあって、この職人[しょくにん]には独特[どくとく]の風格[ふうかく]がある。♠〈風格[ふうかく]が現[あらわ]れる〉ひげをのばしただけで、大人[おとな]の風格[ふうかく]が現[あらわ]れるものじゃない。♠〈風格[ふうかく]が出[で]る〉自信[じしん]がついてきたせいか、彼[かれ]は最近[さいきん]キャプテンらしい風格[ふうかく]が出[で]てきたね。♠〈風格[ふうかく]を持[も]つ〉年[とし]はそれほど違[ちが]わないけれど、山田[やまだ]さんはぼくらにはない風格[ふうかく]を持[も]っている。♠〈風格[ふうかく]を備[そな]える〉うちのおやじも、外[そと]では、風格[ふうかく]を備[そな]えた紳士[しんし]なんて見[み]られているのかしら。♠〈エースとしての風格[ふうかく]〉最多勝[さいたしょう]をとった自信[じしん]からでしょう、その選手[せんしゅ]にはもうエースとしての風格[ふうかく]すら感[かん]じられます。♠〈王者[おうじゃ]の風格[ふうかく]〉群[む]れを率[ひき]いるボスゴリラだけあって、さすが王者[おうじゃ]の風格[ふうかく]だね。 **ふうがわり【風変わり】** ふつうと変[か]わっているさま。[文例]げた以外[いがい]ははかないとは、きみのおじさんもずいぶん風変[ふうがわ]りだね。♠〈風変[ふうがわ]りなところ〉新任[しんにん]の先生[せんせい]はひげを生[は]やしたり、サンダルで学校[がっこう]へ来[き]たり、ちょっと風変[ふうがわ]りなところがある。♠〈風変[ふうがわ]りな格好[かっこう]〉このロックグループの風変[ふうがわ]りな格好[かっこう]は、ロンドンでも評判[ひょうばん]になったそうだ。♠〈風変[ふうがわ]りな男[おとこ]〉駅前[えきまえ]には、この寒[さむ]いのに、半[はん]そでシャツ一枚[いちまい]の風変[ふうがわ]りな男[おとこ]が立[た]っていた。♠〈風変[ふうがわ]りな行動[こうどう]〉彼[かれ]の風変[ふうがわ]りな行動[こうどう]の目的[もくてき]が、数日後[すうじつご]ぼくたちにもようやくわかりました。 **ふうき【風紀】** 秩序[ちつじょ]を保[たも]つ上[うえ]で必要[ひつよう]な規律[きりつ]。道徳的[どうとくてき]なけじめ・節度[せつど]。[文例]〈風紀[ふうき]が乱[みだ]れる〉風紀[ふうき]が乱[みだ]れるからという理由[りゆう]で、生徒[せいと]から出[だ]された制服[せいふく]廃止案[はいしあん]は認[みと]められませんでした。♠〈風紀[ふうき]を乱[みだ]す〉軍事政権下[ぐんじせいけんか]では、社会[しゃかい]の風紀[ふうき]を乱[みだ]すような行為[こうい]は厳[きび]しく取[と]り締[しま]られた。♠〈風紀[ふうき]委員[いいん]〉風紀[ふうき]委員[いいん]である諸君[しょくん]は、進[すす]んで規則[きそく]を守[まも]り、他[ほか]の生徒[せいと]の模範[もはん]となってください。 **ふうき【富貴】** 高[たか]い地位[ちい]にあって富[と]んでいること。ふっき。[文例]〈富貴[ふうき]になる〉人[ひと]は富貴[ふうき]になると、とかく社会[しゃかい]の片隅[かたすみ]に生[い]きる貧者[ひんじゃ]のことを忘[わす]れてしまいがちである。 **ふうき(ぎ)り【封切り】** 封[ふう]を切[き]ること。封[ふう]を切[き]ったばかりのもの。新作[しんさく]映画[えいが]の初[はつ]上映[じょうえい]。[文例]〈映画[えいが]の封切[ふうき]り〉その映画[えいが]は、封切[ふうき]りと同時[どうじ]に大[おお]きな反響[はんきょう]を呼[よ]びました。♠〈封切[ふうき]りになる〉話題[わだい]の監督[かんとく]による新作[しんさく]が、いよいよ明日[あした]封切[ふうき]りになる。 **ふうき(ぎ)・る【封切る】** 新作[しんさく]映画[えいが]を初[はじ]めて上映[じょうえい]する。[文例]〈映画[えいが]を封切[ふうき]る〉いよいよ明日[あした]、話題[わだい]の映画[えいが]が封切[ふうき]られます。 **ふうけい【風景】** 自然[しぜん]の景色[けしき]。眺[なが]め。情景[じょうけい]。その場[ば]の様子[ようす]。[文例]〈風景[ふうけい]を眺[なが]める〉展望台[てんぼうだい]から眺[なが]められる風景[ふうけい]は、絵[え]のように美[うつく]しかった。♠〈のどかな風景[ふうけい]〉〈風景[ふうけい]が広[ひろ]がる〉窓[まど]のむこうには農村[のうそん]ののどかな風景[ふうけい]が広[ひろ]がっている。♠〈風景[ふうけい]がよい〉ぼくの田舎[いなか]は何[なに]もありませんが、風景[ふうけい]のよいことは自慢[じまん]です。♠〈風景[ふうけい]が変[か]わる〉わずか三週間[さんしゅうかん]で、野山[のやま]の風景[ふうけい]はすっかり変[か]わってしまった。♠〈風景[ふうけい]を損[そこ]なう〉美[うつく]しい風景[ふうけい]を損[そこ]なうという理由[りゆう]で、地域住民[ちいきじゅうみん]は高速道路[こうそくどうろ]の建設[けんせつ]に反対[はんたい]している。♠〈親子[おやこ]の風景[ふうけい]〉親子[おやこ]でキャッチボールを楽[たの]しむ風景[ふうけい]が、公園[こうえん]のあちこちで見[み]られました。♠〈風景[ふうけい]を心[こころ]に描[えが]く〉小学校[しょうがっこう]の校庭[こうてい]の高[たか]い木[き]から見[み]た村[むら]全体[ぜんたい]の風景[ふうけい]を、都会[とかい]で暮[く]らす今[いま]、心[こころ]に描[えが]いています。♠〈練習[れんしゅう]風景[ふうけい]〉今日[きょう]は、わたしが全日本[ぜんにっぽん]チームの練習[れんしゅう]風景[ふうけい]をレポートいたします。♠〈風景画[ふうけいが]〉ぼくは難解[なんかい]な抽象画[ちゅうしようが]よりも、美[うつく]しい自然[しぜん]を題材[だいざい]にした風景画[ふうけいが]のほうが好[す]きだ。 **ふうこう【風光】** 自然[しぜん]の景色[けしき]。[文例]〈美[うつく]しい風光[ふうこう]〉かねてよりその美[うつく]しい風光[ふうこう]にあこがれていた松島[まつしま]にやってきた。♠〈風光明媚[ふうこうめいび]〉日本[にっぽん]の各所[かくち]に風光明媚[ふうこうめいび]なる景勝[けいしょう]の地[ち]は多[おお]い。 **ふうさ【封鎖】** 封[ふう]じ閉[と]ざすこと。[文例]〈封鎖[ふうさ]する〉爆弾[ばくだん]テロも予想[よそう]されるとして、空港[くうこう]への道路[どうろ]は封鎖[ふうさ]された。♠〈海上[かいじょう]封鎖[ふうさ]〉敵軍[てきぐん]による海上[かいじょう]封鎖[ふうさ]が行[おこな]われ、石油[せきゆ]タンカーは港[みなと]を出[で]ることができなかった。♠〈経済[けいざい]封鎖[ふうさ]〉この国[くに]の人種差別[じんしゅさべつ]政策[せいさく]に対[たい]して、世界[せかい]の多[おお]くの国[くに]が経済[けいざい]封鎖[ふうさ]を行[おこな]うことに同意[どうい]した。 <953> 別政策[べつせいさく]に対[たい]して、世界[せかい]の多[おお]くの国[くに]が経済[けいざい]封鎖[ふうさ]を行[おこな]うことに同意[どうい]した。 **ふうさい**(風采)○見[み]かけの姿[すがた]・なり。風体[ふうてい]。[文例]庭[にわ]では、いかにもご隠居[いんきょ]といった風采[ふうさい]の老人[ろうじん]が盆栽[ぼんさい]の手入[てい]れをしていた。♠◇風采[ふうさい]が上[あ]がらない>目[め]の前[まえ]に一見[いっけん]役人[やくにん]ふうの風采[ふうさい]の上[あ]がらない男[おとこ]が立[た]っていた。 **ふうし**【風刺】○世[よ]の中[なか]の動[うご]きや人物[じんぶつ]の言動[げんどう]を皮肉[ひにく]ること。[文例]〈イギリスに対[たい]する風刺[ふうし]〉ガリバー旅行記[りょこうき]に出[で]てくる話[はなし]は、ほとんどが当時[とうじ]のイギリスに対[たい]する風刺[ふうし]になっている。♠〈風刺[ふうし]をこめる〉新聞社[しんぶんしゃ]に寄[よ]せられた川柳[せんりゅう]には、どれも事件[じけん]に対[たい]する風刺[ふうし]がこめられていた。♠〈風刺[ふうし]がきく〉この作家[さっか]の風刺[ふうし]のきいたエッセイは、今[いま]若者[わかもの]の間[あいだ]に人気[にんき]があります。♠〈風刺[ふうし]を含[ふく]む〉彼女[かのじょ]の話[はなし]の中[なか]には、学校[がっこう]に対[たい]する風刺[ふうし]が含[ふく]まれていたことに気[き]がついたかい。♠へ風刺[ふうし]が過[す]ぎる〉氏[し]の講演[こうえん]は風刺[ふうし]が過[す]ぎ、当事者[とうじしゃ]のわたしはとても笑[わら]えなかった。♠◇風刺[ふうし]する〉彼[かれ]の描[えが]く漫画[まんが]は、どれも世相[せそう]を鋭[するど]く風刺[ふうし]している。 **ふうじこ・める**【封じ込める】○中[なか]に入[い]れて封[ふう]をする。閉[と]じ込[こ]める。[文例]〈気体[きたい]を封[ふう]じ込[こ]める〉水[みず]の中[なか]でゴム管[かん]の口[くち]をゆるめると、封[ふう]じ込[こ]められていた中[なか]の気体[きたい]が泡[あわ]となって出[で]てきた。♠〈化[ば]け物[もの]を封[ふう]じ込[こ]める〉村[むら]の人々[ひとびと]は、その森[もり]に化[ば]け物[もの]を封[ふう]じ込[こ]めてしまった。♠へ敵[てき]を封[ふう]じ込[こ]める〉味方[みかた]の軍勢[ぐんぜい]は、敵方[てきかた]によって谷間[たにま]の奥深[おくふか]く封[ふう]じ込[こ]められた。 **ふうしゃ**【風車】○風力[ふうりょく]で羽根車[はねぐるま]を回転[かいてん]させて動力[どうりょく]を得[え]るしかけ。[文例]オランダといえば、風車[ふうしゃ]とチューリップの国[くに]として知[し]られています。♠〈風車[ふうしゃ]が回[まわ]る〉風[かぜ]の力[ちから]で風車[ふうしゃ]が回[まわ]ると、その回転力[かいてんりょく]で米[こめ]をついたり、粉[こな]をひいたりするのです。♠〈風車[ふうしゃ]小屋[ごや]>古[ふる]い風車[ふうしゃ]小屋[ごや]が残[のこ]る美[うつく]しい田園[でんえん]は、さながら絵画[かいが]の世界[せかい]であった。 **ふうしゅう**【風習】○しきたり。ならわし。風俗[ふうぞく]習慣[しゅうかん]。[文例]〈正月[しょうがつ]の風習[ふうしゅう]〉初[はつ]もうでをして、ぞの年[とし]の豊作[ほうさく]や安全[あんぜん]を祈[いの]るのは、正月[しょうがつ]の風習[ふうしゅう]の一[ひと]つです。♠へ風習[ふうしゅう]がある〉結婚式[けっこんしき]やお葬式[そうしき]には、国[くに]によっても地方[ちほう]によっても独特[どくとく]の風習[ふうしゅう]がある。♠〈風習[ふうしゅう]がない>旧暦[きゅうれき]の正月[しょうがつ]を祝[いわ]う風習[ふうしゅう]は、都会[とかい]ではほとんどなくなってしまった。♠く昔[むかし]ながらの風習[ふうしゅう]〉この地方[ちほう]には、もう東京[とうきょう]では見[み]られなくなった昔[むかし]ながらの風習[ふうしゅう]がたくさん残[のこ]っています。♠〈古[ふる]くさい風習[ふうしゅう]>古[ふる]くさい風習[ふうしゅう]にとらわれていると、なかなかいい考[かんが]えはうかばないよ。♠〈風習[ふうしゅう]に従[したが]う〉たとえ変[へん]だと思[おも]っても、その土地[とち]の風習[ふうしゅう]には従[したが]っていたほうが無難[ぶなん]だ。♠〈風習[ふうしゅう]を破[やぶ]る>五十[ごじゅう]になったら、息子[むすこ]に家[いえ]をゆずるという村[むら]の風習[ふうしゅう]を破[やぶ]ったのがうちのじいさまだ。 **ふうしょ**【封書】○封[ふう]がしてある書状[しょじょう]。封筒[ふうとう]に入[はい]った手紙[てがみ]。[文例]〈封書[ふうしょ]で送[おく]る〉これくらいの大きさの物[もの]なら、小包[こづつみ]でなくとも封書[ふうしょ]で送[おく]れるだろう。♠へ〈封書[ふうしょ]が届[とど]く〉ある日[ひ]、見知[みし]らぬ人[ひと]から私[わたし]あてに一通[いっつう]の封書[ふうしょ]が届[とど]いた。 **ふう・じる**【封じる】○閉[と]じてふさぐ。閉[と]じ込[こ]める。封[ふう]をする。抑[おさ]え止[と]める。[文例]〈口[くち]を封[ふう]じる>目撃者[もくげきしゃ]の口[くち]を封[ふう]じるためには、やはり金[かね]を出[だ]すしかないかな。♠〈手[て]を封[ふう]じる〉速[はや]い攻撃[こうげき]を組[く]み立[た]てて、敵[てき]の手[て]を封[ふう]じてやろう。♠〈好奇心[こうきしん]を封[ふう]じる〉しつけが子供[こども]の好奇心[こうきしん]を封[ふう]じるものであってはいけない。 **ふうせつ**【風雪】○風[かぜ]と雪[ゆき]。吹雪[ふぶき]。苦難[くなん]の歳月[さいげつ]。[文例]〈風雪[ふうせつ]をつく〉遭難者[そうなんしゃ]を救出[きゅうしゅつ]するため、風雪[ふうせつ]をついて捜索[そうさく]が行[おこな]われた。♠〈風雪[ふうせつ]に耐[た]える〉素材[そざい]を適材適所[てきざいてきしょ]に使[つか]わなければ、千年[せんねん]の風雪[ふうせつ]に耐[た]える建物[たてもの]をつくることはできない。♠へ風雪[ふうせつ]に耐[た]える〉老人[ろうじん]の顔[かお]は、風雪[ふうせつ]に耐[た]えた人間[にんげん]のみが到達[とうたつ]する穏[おだ]やかさに満[み]ちていた。 **ふうせつ**【風説】○世間[せけん]のうわさ。風評[ふうひょう]。風聞[ふうぶん]。[文例]〈風説[ふうせつ]が伝[つた]わる〉男[おとこ]がこの町[まち]から突然[とつぜん]姿[すがた]を消[け]してからしばらくすると、どこからともなく、男[おとこ]は恋女房[こいにょうぼう]を失[うしな]ったのだという風説[ふうせつ]が伝[つた]わった。♠〈風説[ふうせつ]が広[ひろ]まる〉交通[こうつう]の未発達[みはったつ]な時代[じだい]には、風説[ふうせつ]は中央[ちゅうおう]から辺境[へんきょう]へと広[ひろ]まっていった。 **ふうせん**【風船】○風船玉[ふうせんだま]。紙風船[かみふうせん]。気球[ききゅう]。[文例]〈風船[ふうせん]が浮[う]く〉糸[いと]につながれて風船[ふうせん]は、ふわふわと宙[ちゅう]に浮[う]いた。♠〈風船[ふうせん]を飛[と]ばす〉大空[おおぞら]に色[いろ]とりどりの風船[ふうせん]を飛[と]ばした。♠〈風船[ふうせん]がしぼむ〉小田[おだ]君[くん]が転校[てんこう]して行[い]くと、ふくらんでいたわたしの心[こころ]は風船[ふうせん]のようにしぼんでしまった。 **ふうぜん**【風前】○風[かぜ]が吹[ふ]きつける所[ところ]。[文例]〈風前[ふうぜん]のともしび〉手[て]に手[て]に銃[じゅう]を持[も]った監視兵[かんしへい]たちに囲[かこ]まれ、わたしたち捕虜[ほりょ]の命[いのち]は風前[ふうぜん]のともしびだった。 **ふうぞく**【風俗】○ある時代[じだい]ある土地[とち]における特有[とくゆう]の生活[せいかつ]様式[ようしき]・習慣[しゅうかん]。[文例]〈日本[にっぽん]の風俗[ふうぞく]〉日本[にっぽん]には日本[にっぽん]特有[とくゆう]の風俗[ふうぞく]が長[なが]い歴史[れきし]の中[なか]で培[つちか]われてきたのです。♠〈土地[とち]の風俗[ふうぞく]〉その土地[とち]の風俗[ふうぞく]や習慣[しゅうかん]に従[したが]うのが、土地[とち]になじむ秘[ひ]けつでしょう。♠〈風俗[ふうぞく]の違[ちが]い〉世界[せかい]各国[かっこく]の風俗[ふうぞく]の違[ちが]いを比[くら]べるとおもしろい。♠風俗[ふうぞく]営業[えいぎょう]>客[きゃく]に対[たい]し飲食[いんしょく]や遊興[ゆうきょう]を提供[ていきょう]する風俗[ふうぞく]営業[えいぎょう]は、当局[とうきょく]の厳[きび]しい指導下[しどうか]におかれています。 **ふうちょう**【風潮】○その時代[じだい]の社会[しゃかい]の一般的[いっぱんてき]な傾向[けいこう]。[文例]〈最近[さいきん]の風潮[ふうちょう]〉古[ふる]い習慣[しゅうかん]をどんどん捨[す]てていくのが最近[さいきん]の風潮[ふうちょう]のようである。♠〈風潮[ふうちょう]がある〉最近[さいきん]の学生[がくせい]には、勉強[べんきょう]よりも遊[あそ]びを重視[じゅうし]する風潮[ふうちょう]がある。♠◇風潮[ふうちょう]が見[み]られる〉ヨーロッパ諸国[しょこく]に比[くら]べて、日本[にっぽん]には自然[しぜん]を軽視[けいし]する風潮[ふうちょう]が見[み]られると聞[き]く。♠〈封建的[ほうけんてき]な風潮[ふうちょう]〉都市部[としぶ]では見[み]られなくなった封建的[ほうけんてき]な風潮[ふうちょう]が、農村部[のうそんぶ]にはまだいくらか残[のこ]っていた。♠◇世間[せけん]の風潮[ふうちょう]〉わたしは、世間[せけん]の風潮[ふうちょう]に逆[さか]らって生[い]きてきた。 **ふうてい**【風体】○身[み]なり。なりかたち。[文例]風体[ふうてい]よりも中身[なかみ]が問題[もんだい]だと言[い]っても、この格好[かっこう]じゃあまりにもみっともない。♠〈怪[あや]しい風体[ふうてい]〉家[いえ]の周辺[しゅうへん]に怪[あや]しい風体[ふうてい]の男[おとこ]がうろついていた。♠<風体[ふうてい]が悪[わる]い〉なんだ、風体[ふうてい]の悪[わる]い人[ひと]がたずねてきたというから心配[しんぱい]したのに、おじさんだったの。 **ふうど**【風土】○その土地[とち]の気候[きこう]・地勢[ちせい]など自然[しぜん]の条件[じょうけん]。[文例]〈恵[めぐ]まれた風土[ふうど]〉恵[めぐ]まれた風土[ふうど]のこの国[くに]は、世界[せかい]で有数[ゆうすう]の長寿国[ちょうじゅこく]です。♠〈日本[にっぽん]の風土[ふうど]〉国土[こくど]が南北[なんぼく]に長[なが]く、四季[しき]の違[ちが]いがはっきりしていることは、日本[にっぽん]の風土[ふうど]の特色[とくしょく]の一[ひと]つだ。♠へ風土[ふうど]に慣[な]れる〉外国[がいこく]で生活[せいかつ]していくには、その土地[とち]の風土[ふうど]に慣[な]れることがまず大切[たいせつ]です。♠〈風土[ふうど]の差[さ]>土地[とち]土地[とち]の風土[ふうど]の差[さ]が、そのままお国柄[くにがら]となってあらわれる。 <954> ●**<風土[ふうど]病[びよう]>** ツツガムシ病は、日本の代表的な風土病です。♠**<風土[ふうど]色[しょく]>** 故郷[こきよう]で行われた秋祭りは、風土色豊かなものだった。 **ふうとう**【封筒】 〇手紙や文書などを入れる紙の袋。[文例]**<封筒[ふうとう]に入れる>** わたしのペンフレンドは、いつもかわいい模様の封筒に手紙を入れて送ってくれます。♠**<封筒[ふうとう]に納[おさ]める>** 客は、中の金額を確かめると、それを元のように封筒に納めて懐[ふところ]に入れた。♠**<返信[へんしん]用[よう]封筒[ふうとう]>** 募集[ぼしゆう]要項[ようこう]を希望の方は、切手をはった返信用封筒を同封のうえ、下記のあて先にお申し込みください。 **ふうにゅう**【封入】 〇中に入れて封をすること。[文例]**<封入[ふうにゅう]する>** アルバイトの作業内容は、ダイレクトメールの封筒にチラシを封入するというものだった。 **ふうは**【風波】 〇風と波。風によって立つ波。もめごと。[文例]**<風波[ふうは]の難[なん]>** 財宝を積んだ船は、不幸にも航海中に風波の難に遭い、積[つ]み荷[に]の半分以上を流失[りゆうしつ]してしまう。♠**<風波[ふうは]が高まる>** 風波が高まり、船は大きく揺れた。♠**<風波[ふうは]が絶えない>** なまけ者で遊び好きの夫でしたから、結婚生活に風波が絶えませんでした。 **ふうばぎゅう**【風馬牛】 〇全く関係のないこと。何の関心も示さないこと。[文例]芸術には風馬牛のわたしだったが、ふとしたきっかけで一人の女流画家と知り合った。 **ふうび**【風靡】 〇風が草木をなびかせるように世間の人をなびかせ、つき従わせること。[文例]**<時代を風靡する>** 明星派の詩風は時代を風靡し、明治三十年代の半ば以後、浪漫[ろうまん]主義[しゅぎ]詩歌の全盛時代を導いた。♠**<一世を風靡する>** ビートルズの音楽が一世を風靡したころ、学生だった自分もそれに魅了[みりよう]された。 **ふうひょう**【風評】 〇世間のうわさ。風説[ふうせつ]。風聞[ふうぶん]。[文例]**<風評[ふうひょう]が流れる>** 先生の病気が不治[ふじ]であるという風評が近隣[きんりん]に流れ始めた。♠**<風評[ふうひょう]が立つ>** 人との交際を嫌う彼に、何か人に隠[かく]さなければならないことがあるのだろうという風評が立った。 **ふうふ**【夫婦】 〇夫と妻。めおと。[文例]**<夫婦[ふうふ]になる>** 浅草は、二人が夫婦になって初めて住んだ町です。♠**<似合いの夫婦[ふうふ]>** あの二人は、きっと似合いの夫婦になるでしょう。♠**<夫婦[ふうふ]げんか>** 夫婦げんかは犬も食わないと言うから、ほっとけばいいよ。♠**<似た者夫婦[ふうふ]>** うちはどっちもおっちょこちょいの似た者夫婦です。 **ふうぶつ**【風物】 〇その土地の生活にかかわりの深い事物。目にふれる風景。[文例]**<各地[かくち]の風物[ふうぶつ]>** 各地の風物を味わえることは、旅の最大の楽しみです。♠**<日本の風物[ふうぶつ]>** たこあげやこままわしがお正月の日本の風物として海外に紹介された。♠**<春を告げる風物[ふうぶつ]>** 毎年この時期に行われる国際女子駅伝は、横浜に春を告げる新しい風物となった。♠**<初夏の風物[ふうぶつ]>** 初夏の風物、蛍狩[ほたるが]りも、最近はほとんど見られなくなりました。♠**<農村の風物[ふうぶつ]>** 軒先[のきさき]につるされた干しがきは、晩秋の農村の風物だ。♠**<風物[ふうぶつ]詩>** 十一月に渡来[とらい]する白鳥の群れは、この地方の冬の風物詩です。 **ふうぶん**【風聞】 〇世間のうわさ。風説。風評。[文例]**<風聞[ふうぶん]が立つ>** もとの持ち主にまつわる妙な風聞が立ち、その家の買い手はなかなか見つからなかった。♠**<風聞[ふうぶん]が流れる>** その後の二人についてはいろいろな風聞が流れたが、真相を知る者はなかった。 **ふうぼう**【風貌・風丰】 〇姿かたちや顔だち。[文例]**<堂々とした風貌[ふうぼう]>** 大尉[たいい]は、目鼻立ちの大きい、古武士[こぶし]を思わせる堂々とした風貌の男だった。♠**<穏[おだ]やかな風貌[ふうぼう]>** 彼の穏やかな風貌からは、とても鬼[おに]警部[けいぶ]とは思えなかった。♠**<風貌[ふうぼう]を呈[てい]する>** この哲学者は、古代インドのバラモン僧のような風貌をしていた。 **ふうみ**【風味】 〇食べ物の独特な味。物事のおもむき・味わい。[文例]**<春の風味[ふうみ]>** ふきのとうのほろ苦さは、早春第一番の風味である。♠**<風味[ふうみ]がある>** うどは、独特の風味があって喜ばれます。♠**<風味[ふうみ]がよい>** なかなか風味のよい山菜ですね。♠**<風味[ふうみ]が生きる>** ママの手作りのパンは、パターの風味が生きてとてもおいしい。♠**<風味[ふうみ]をそえる>** 料理の皿につけられたみょうがが風味をそえています。♠**<風味[ふうみ]を損なう>** 素材の持つ風味を損なわないように、料理の味つけはひかえめにします。 **ふうらいぼう**【風来坊】 〇風に吹かれるようにやって来る人。定職をもたず各地を流れ歩く人。[文例]おいらは気まぐれの風来坊、風の吹くまま気の向くままよ。♠風来坊のおじがひょっこりとわが家にやって来たのは、夏も終わりのことでした。 **ふうりゅう**【風流】 〇みやびで趣[おもむ]きのあるさま。趣深く作りなすさま。日本的で落ち着いた趣味をたしなむこと。[文例]**<風流[ふうりゆう]を解[げ]する>** 戦場に生きる武将[ぶしよう]に、風流を解せと言うほうが無理だ。♠**<風流[ふうりゆう]を気取る>** 風流を気取って、庭[にわ]に石どうろうを置いてみた。♠**<風流[ふうりゆう]な庭>** 寺には、自然の景観を取り入れた風流な庭がある。♠**<風流[ふうりゆう]な生活>** 秋は虫の音を耳にしながら書[しよ]をひもとくなんて、風流な生活ですね。♠**<風流人[ふうりゆうじん]>** 風流人の先生には、力仕事は似合いません。 **ふうりん**【風鈴】 〇風が吹くと鳴るようにしたつり鐘型の小さな鈴。[文例]**<風鈴[ふうりん]をつるす>** 軒下[のきした]につるした風鈴が、夕風に揺れて、涼やかな音をたてる。♠**<風鈴[ふうりん]が鳴る>** くろがねの秋の風鈴鳴りにけり(飯田[いいだ]蛇笏[だとつ]) **プール** 〇人工の水泳場。たまり場。たくわえておくこと。[文例]**<プールで泳ぐ>** 夏休みは、ほとんど毎日のようにプールで泳ぎました。♠ピストルがプールの硬き面にひびき(山口[やまぐち]誓子[せいし])♠**<プールする>** もうけたお金は、将来の事業拡張の資金としてプールしておこう。 **ふうん**【不運】 〇運が悪いこと。[文例]**<不運[ふうん]な男>** あこがれのアメリカ旅行を病気でふいにするとは、彼も不運な男だ。♠**<不運[ふうん]なことに>** 不運なことに、楽しみにしていたコンサートが、出演者の都合で中止になってしまった。♠**<不運[ふうん]にも>** 健闘していた新人選手は、不運にもけがのため退場してしまった。♠**<不運[ふうん]な身の上>** 老人は淡々[たんたん]として、不運な身の上を話してくれました。♠**<身の不運[ふうん]>** 身の不運を嘆[なげ]いてばかりはいられない。何か手段を講じなくては。♠不運が <955> 重[かさ]なる>子供[こども]の病気[びょうき]に加[くわ]えて夫[おっと]がけがをするなど、今年[ことし]は不運[ふうん]が重[かさ]なった。♠●◆不運[ふうん]に耐[た]える不運[ふうん]にはよく耐[た]え、幸運[こううん]はよく利用[りよう]せよ。 **ふえ【笛】** ○穴[あな]の開[あ]いた管[くだ]に息[いき]を吹[ふ]き込[こ]んで鳴[な]らす楽器[がっき]。ホイッスル。のどぶえ。[文例]〈笛[ふえ]を吹[ふ]く>野[の]で笛[ふえ]を吹[ふ]く人[ひと]がいる。♠●へ笛[ふえ]が鳴[な]る>逆転[ぎゃくてん]のシュートがきまると、同時[どうじ]に試合[しあい]終了[しゅうりょう]を知[し]らせる笛[ふえ]が鳴[な]った。♠◆へ笛[ふえ]の音[ね]〉どこからか澄[す]んだ笛[ふえ]の音[ね]が聞[き]こえてきます。♠●へ笛吹[ふえふ]けど踊[おど]らず〉いくら学校[がっこう]の行事[ぎょうじ]への参加[さんか]を呼[よ]びかけても、「笛吹[ふえふ]けど踊[おど]らず」でさっぱり反応[はんのう]がない。 **フェア** ○公正[こうせい]。公明正大[こうめいせいだい]。野球[やきゅう]などで打球[だきゅう]が線内[せんない]に入[はい]ること。[文例]両者[りょうしゃ]が同[おな]じ条件[じょうけん]のもとで競争[きょうそう]するのでなければ、フェアじゃない。♠●ヘフェアな態度[たいど]>審判[しんぱん]には常[つね]にフェアな態度[たいど]が要求[ようきゅう]される。♠●ヘフェアプレー〉フェアプレーこそスポーツマンシップにふさわしい。 **ふえいせい【不衛生】** ○衛生的[えいせいてき]でないこと。[文例]汚[きたな]れた手[て]で食[た]べるのは不衛生[ふえいせい]なので、食事[しょくじ]の前[まえ]には必[かなら]ず手[て]を洗[あら]いなさい。♠◆不衛生[ふえいせい]になる〉台所[だいどころ]のふきんは不衛生[ふえいせい]になりやすいので、日光[にっこう]消毒[しょうどく]するとよい。♠●〈不衛生[ふえいせい]な環境[かんきょう]>貧困[ひんこん]からくる不衛生[ふえいせい]な環境[かんきょう]が、この国[くに]の病人[びょうにん]増加[ぞうか]の第一[だいいち]原因[げんいん]だ。 **ふえて【不得手】** ○得意[とくい]でないこと。たしなまないこと。[文例]〈得手不得手[えてふえて]〉だれにでも得手不得手[えてふえて]はあるのだから、鉄棒[てつぼう]が下手[へた]でもいいじゃないか。♠●へ外国語[がいこくご]が不得手[ふえて]〉日本人[にほんじん]というのは、外国語[がいこくご]が不得手[ふえて]な民族[みんぞく]のようだ。 **ふ・える【増える・殖える】** ○数量[すうりょう]が多[おお]くなる。増加[ぞうか]する。[文例]〈体重[たいじゅう]が増[ふ]える〉この六[ろっ]か月[げつ]で体重[たいじゅう]が五[ご]キロも増[ふ]えたよ。♠●〈水[みず]かさが増[ふ]える〉三日間[みっかかん]の大雨[おおあめ]で、神田川[かんだがわ]の水[みず]かさはいつもの倍[ばい]以上[いじょう]に増[ふ]えていた。♠●〈事故[じこ]が増[ふ]える>警察[けいさつ]の呼[よ]びかけにもかかわらず、オートバイの事故[じこ]は増[ふ]える一方[いっぽう]です。♠●へ数[かず]・量[りょう]が増[ふ]える〉最近[さいきん]は、この辺[あた]りもずいぶん車[くるま]の数[かず]が増[ふ]えたなあ。♠●へ子供[こども]が増[ふ]える〉五年前[ごねんまえ]のわたしと変[か]わったところと言[い]えば、子供[こども]が一人[ひとり]増[ふ]えたくらいなものでしょう。♠●〈家族[かぞく]が増[ふ]える〉いとこのお兄[にい]さんが今度[こんど]ぼくの家[いえ]に下宿[げしゅく]することになり、母[はは]は家族[かぞく]が一人[ひとり]増[ふ]えたといって喜[よろこ]んでいます。♠●〈需要[じゅよう]が増[ふ]える>石炭[せきたん]にかわって、石油[せきゆ]の需要[じゅよう]が何十倍[なんじゅうばい]にも増[ふ]えた。♠●〈財産[ざいさん]が殖[ふ]える〉新商品[しんしょうひん]があたって、会社[かいしゃ]の財産[ざいさん]はどんどん殖[ふ]えていきます。♠●へ品種[ひんしゅ]が殖[ふ]える〉科学技術[かがくぎじゅつ]の進歩[しんぽ]によって、農業[のうぎょう]の分野[ぶんや]でも新[あたら]しい品種[ひんしゅ]が殖[ふ]えています。 **ふえん(敷衍・布衍)** ○おし広[ひろ]げ、展開[てんかい]すること。意味[いみ]や範囲[はんい]をおし広[ひろ]げ、詳[くわ]しく述[の]べること。[文例]<敷衍[ふえん]する〉相手[あいて]は、わたしの不用意[ふようい]な一言[ひとこと]を敷衍[ふえん]して、わたしが終始一貫[しゅうしいっかん]、暴言[ぼうげん]を吐[は]き続[つづ]けたかのように言[い]ったのだろうか。♠●へ敷衍[ふえん]する〉一家[いっか]の家計[かけい]を敷衍[ふえん]して論[ろん]じれば、一国[いっこく]の財政[ざいせい]の全体[ぜんたい]に触[ふ]れられるとするのは必[かなら]ずしも正[ただ]しくない。 **ふえんりょ【無遠慮】** ○遠慮[えんりょ]をしないこと。好[す]き勝手[かって]にふるまうさま。[文例]〈無遠慮[ぶえんりょ]になる>親[した]しい者[もの]同士[どうし]は、とかく無遠慮[ぶえんりょ]になりがちだ。♠●へ無遠慮[ぶえんりょ]な態度[たいど]〉ずかずかと入[はい]り込[こ]んできて、一方的[いっぽうてき]にしゃべりまくる訪問販売員[ほうもんはんばいいん]の無遠慮[ぶえんりょ]な態度[たいど]は実[じつ]に不愉快[ふゆかい]だ。 **フォーマル** ○公式[こうしき]・正式[せいしき]であるさま。形式的[けいしきてき]。[文例]〈フォーマルな服装[ふくそう]>入学式[にゅうがくしき]とか正式[せいしき]のパーティーとかに出席[しゅっせき]する時[とき]には、黒[くろ]のスーツなどフォーマルな服装[ふくそう]をします。♠〈フォーマルウェア〉春[はる]になると、デパートなどではフォーマルウェアの売[う]り出[だ]しをする。 **フォーム** ○運動[うんどう]をしている時[とき]の体勢[たいせい]。形式[けいしき]。形態[けいたい]。[文例]〈投球[とうきゅう]のフォーム〉〈フォームがいい〉このピッチャーは、投球[とうきゅう]のフォームが実[じつ]にいいですね。♠◆ヘ〈フォームが崩[くず]れる〉ジャンプの途中[とちゅう]でフォームが崩[くず]れて、あやうく転倒[てんとう]しそうになった。 **ふおん【不穏】** ○状勢[じょうせい]がおだやかでないさま。険悪[けんあく]なさま。[文例]〈不穏[ふおん]な空気[くうき]〉出席者[しゅっせきしゃ]の一人[ひとり]の不用意[ふようい]な発言[はつげん]で、その場[ば]は不穏[ふおん]な空気[くうき]につつまれた。♠●へ情勢[じょうせい]が不穏[ふおん]>国際[こくさい]情勢[じょうせい]が不穏[ふおん]になると、わたしたちの日常生活[にちじょうせいかつ]にもさまざまな影響[えいきょう]が現[あらわ]れてきます。 **ふおんとう【不穏当】** ○不適切[ふてきせつ]で、おだやかでないさま。[文例]】〈処置[しょち]が不穏当[ふおんとう]〉ささいないたずらに対[たい]して、学校側[がっこうがわ]の処置[しょち]は不穏当[ふおんとう]だった。♠へ言動[げんどう]が不穏当[ふおんとう]〉何[なに]をいら立[だ]っていたんだい、きみの今日[きょう]の言動[げんどう]は不穏当[ふおんとう]だったよ。♠◆不穏当[ふおんとう]な発言[はつげん]>微妙[びみょう]な議題[ぎだい]を審議[しんぎ]しますので、不穏当[ふおんとう]な発言[はつげん]には注意[ちゅうい]してください。 **ふか【付加・附加】** ○付[つ]け加[くわ]えること。「[文例]〈付加[ふか]する〉ふつう、先生[せんせい]や上役[うわやく]を呼[よ]ぶときは、「田中先生[たなかせんせい]」「小山部長[こやまぶちょう]」というぐあいに地位[ちい]名称[めいしょう]を付加[ふか]して呼[よ]びます。♠◆〈付加的[ふかてき]〉長[なが]い文章[ぶんしょう]を読[よ]むとき、中心[ちゅうしん]的[てき]な部分[ぶぶん]と付加的[ふかてき]な部分[ぶぶん]を読[よ]み分[わ]け、全体[ぜんたい]の要旨[ようし]をとらえることが大事[だいじ]です。 **ふか【負荷】** ○身[み]に負[お]うこと。機械[きかい]にさせる仕事[しごと]の量[りょう]。[文例]〈負荷[ふか]が大[おお]きい〉〈負荷[ふか]がかかる〉車体[しゃたい]がこんなに重[おも]いのでは、車軸[しゃじく]にかかる負荷[ふか]が大[おお]きすぎる。 **ふか(孵化)** ○卵[たまご]がかえること。卵[たまご]をかえすこと。[文例]<孵化[ふか]する〉蚕[かいこ]のがが産[う]みつけたけし粒[つぶ]のような卵[たまご]が孵化[ふか]して、小[ちい]さな小[ちい]さな幼虫[ようちゅう]がうごめいていた。 **ふか【不可】** ○良[よ]くないこと。不合格[ふごうかく]。不可能[ふかのう]。不許可[ふきょか]。[文例]〈可[か]もなく不可[ふか]もない〉わたしは、可[か]もなく不可[ふか]もない、平凡[へいぼん]な学生[がくせい]生活[せいかつ]を送[おく]っていた。 **ぶか【部下】** ○組織[そしき]の中[なか]で、ある人[ひと]の指揮[しき]・命令[めいれい]に従[したが]って行動[こうどう]する人[ひと]。[文例]人間味[にんげんみ]のある課長[かちょう]なので、部下[ぶか]たちの信用[しんよう]も厚[あつ]い。♠◆工場[こうじょう]へ行[い]ってみると、責任者[せきにんしゃ]である青年[せいねん]がてきぱきと部下[ぶか]を指揮[しき]していた。 **ふかい【不快】** ○快[こころよ]くないさま。不愉快[ふゆかい]。[文例]不快[ふかい]なにおい〉教室[きょうしつ]には髪[かみ]の毛[け]をこがしたような、不快[ふかい]なにおいが充満[じゅうまん]していた。♠●不快[ふかい]な気分[きぶん]〉ごうまんな彼女[かのじょ]の態度[たいど]を見[み]て、ぼくは不快[ふかい]な気分[きぶん]になりました。♠●不快[ふかい]な顔[かお]〉おとなしい高木[たかぎ]さんまでが、ぼくの言葉[ことば]に不快[ふかい]な顔[かお]をしています。♠●〈不快[ふかい]にさせる>彼[かれ]らをあんなにまで不快[ふかい]にさせたものは、いったいなんだったのだろう。♠●〈不快[ふかい]になる〉話[はなし]を聞[き]いてみると、妹[いもうと]があまりにわがままなので、ぼくはだんだん不快[ふかい]になってきた。♠●〈不快[ふかい]を覚[おぼ]える〉車内[しゃない]における中学生[ちゅうがくせい]のばか騒[さわ]ぎに、すべての人[ひと]が不快[ふかい]を覚[おぼ]えているのです。● <956> 〈不快感[ふかいかん]>彼[かれ]のしゃべり方[かた]は、ややもすると相手[あいて]に不快感[ふかいかん]を与[あた]えかねない。♠不快指数[ふかいしすう]>気温[きおん]が高[たか]く風[かぜ]もない日[ひ]は、不快指数[ふかいしすう]も高[たか]くなります。 **ふか・い【深い】** ○底[そこ]までの隔[へだ]たりが大[おお]きい。奥[おく]までの隔[へだ]たりが大[おお]きい。程度[ていど]がはなはだしい。度合[どあ]いが強[つよ]い。密度[みつど]が高[たか]い。色[いろ]などが濃[こ]い。時間[じかん]が十分[じゅうぶん]に経過[けいか]してたけなわになっている。非常[ひじょう]に親[した]しい。[文例]〈深[ふか]い海[うみ]>深[ふか]い海[うみ]に住[す]む魚[さかな]は、光[ひかり]が届[とど]かないため、目[め]が退化[たいか]しています。♠●〈雪[ゆき]が深[ふか]い〉わたし の田舎[いなか]は冬[ふゆ]の間[あいだ]は雪[ゆき]が深[ふか]く、四[よ]か月[げつ]近[ちか]くも車[くるま]は通[とお]れなくなる。♠●〈深[ふか]いしわ〉額[ひたい]に刻[きざ]まれた深[ふか]いしわに、老人[ろうじん]の苦労[くろう]の多[おお]かった一生[いっしょう]をうかがうことができた。♠●〈深[ふか]い山[やま]〉人[ひと]の入[はい]ることのできないようなこんな深[ふか]い山[やま]にも、住[す]む人[ひと]はあるのか。♠◆く知識[ちしき]が深[ふか]い〉話[はな]をしているうちに、この少女[しょうじょ]が予想[よそう]以上[いじょう]に音楽[おんがく]の知識[ちしき]が深[ふか]いことに気[き]づきました。♠●〈経験[けいけん]が深[ふか]い>応急[おうきゅう]の処置[しょち]の仕方[しかた]で、彼女[かのじょ]が看護婦[かんごふ]としての経験[けいけん]が深[ふか]いことがわかった。♠●〈深[ふか]い味[あじ]わい〉その職人[しょくにん]は、派手[はで]さはないが深[ふか]い味[あじ]わいのある作品[さくひん]をいくつも残[のこ]している。♠●〈深[ふか]い悲[かな]しみ〉愛[あい]する妻[つま]を事故[じこ]で失[うしな]ったブラウンさんは、深[ふか]い悲[かな]しみに沈[しず]んでいた。♠●〈深[ふか]い感動[かんどう]〉たかが漫画[まんが]というが、そこから深[ふか]い感動[かんどう]を受[う]けたことのある人[ひと]も少[すく]なくないでしょう。♠●〈深[ふか]いため息[いき]〉タバコの火[ひ]を消[け]して、男[おとこ]は深[ふか]いため息[いき]をつきました。♠◆◇霧[きり]が深[ふか]い>海上[かいじょう]は霧[きり]が深[ふか]く、視界[しかい]は百[ひゃく]メートルもありませんでした。♠●〈深[ふか]いやみ〉ドアの外[そと]には、吸[す]いこまれるような深[ふか]いやみが続[つづ]いていた。♠深[ふか]い緑[みどり]>山頂[さんちょう]の小[ちい]さな湖[みずうみ]は、吸[す]いこまれるような深[ふか]い緑[みどり]である。♠◆<眠[ねむ]りが深[ふか]い〉わたしは眠[ねむ]りが深[ふか]いので、多少[たしょう]の物音[ものおと]では目[め]が覚[さ]めません。♠●〈秋[あき]が深[ふか]い〉ああ、雁[かり]の群[む]れが空[そら]をゆく。秋[あき]も深[ふか]いなあ。♠◆欲[よく]が深[ふか]い〉そんな品物[しなもの]を一万円[いちまんえん]で売[う]る気[き]かい? きみも欲[よく]が深[ふか]いね。♠●〈深[ふか]い仲[なか]〉二人[ふたり]が深[ふか]い仲[なか]だと知[し]ったのは、去年[きょねん]の五月[ごがつ]ごろだった。♠●〈深[ふか]く秘[ひ]める〉心[こころ]に深[ふか]く秘[ひ]めた思[おも]いを、今[いま]こそあなたに打[う]ち明[あ]けます。 **ふがいな・い(不甲斐無い・腑甲斐無い)** ○なさけない。だらしない。いくじがない。[文例]へふがいない男[おとこ]〉ああも簡単[かんたん]に音[ね]をあげるほどふがいない男[おとこ]だとは思[おも]わなかった。♠◆〈ふがいないやつ〉ふがいないやつだね、雷[かみなり]が鳴[な]ったぐらいで逃[に]げ出[だ]すとは。♠●へふがいなく思[おも]う〉思[おも]うことの半分[はんぶん]も言[い]えなかった自分[じぶん]を、われながらふがいなく思[おも]います。♠●へふがいなく感[かん]じる〉統率力[とうそつりょく]のないK君[くん]のことをふがいなく感[かん]じたのは、ぼくだけではないはずです。 **ふかいり【深入り】** ○深[ふか]くまで入[はい]り込[こ]むこと。深[ふか]くかかわること。[文例]〈深入[ふかい]りをする〉あまり深入[ふかい]りをして元[もと]も子[こ]もなくしては大変[たいへん]だから、このへんでやめておこう。♠深入[ふかい]りする〉友達[ともだち]とのつき合[あ]いも深入[ふかい]りしすぎるとわずらわしくなるので、相手[あいて]によってはほどほどにしている。 **ふかかい【不可解】** ○理解[りかい]できないさま。不思議[ふしぎ]なさま。[文例]〈不可解[ふかかい]な行動[こうどう]〉あの日の山田[やまだ]君[くん]の不可解[ふかかい]な行動[こうどう]のなぞは、いまだに解[と]けていない。♠●不可解[ふかかい]な現象[げんしょう]>現代[げんだい]の科学[かがく]でも説明[せつめい]のつかない不可解[ふかかい]な現象[げんしょう]はいくらもあります。♠●〈不可解[ふかかい]な人[ひと]〉まったく、あいつは、何[なに]を考[かんが]えているのかさっぱりわからない不可解[ふかかい]なやつだ。♠●〈人生[じんせい]は不可解[ふかかい]>努力[どりょく]したのに非難[ひなん]されたり、無責任[むせきにん]が好結果[こうけっか]を生[う]んだり、人生[じんせい]は不可解[ふかかい]だ。♠不可解[ふかかい]になる〉N氏[し]の証言[しょうげん]をくつがえすような目撃者[もくげきしゃ]が現[あらわ]れ、事件[じけん]はますます不可解[ふかかい]になった。 **ふかく【不覚】** ○油断[ゆだん]して失敗[しっぱい]すること。覚悟[かくご]ができていないこと。意識[いしき]がないこと。[文例]一生[いっしょう]の不覚[ふかく]〉あんな男[おとこ]の言[い]うことを信用[しんよう]したのが、一生[いっしょう]の不覚[ふかく]だ。♠●不覚[ふかく]をとる〉優勝[ゆうしょう]候補[こうほ]と言[い]われながら、下山[しもやま]選手[せんしゅ]は二回戦[にかいせん]で不覚[ふかく]をとって敗退[はいたい]した。♠●不覚[ふかく]にも〉十分[じゅうぶん]気[き]をつけていたつもりだったのに、ぼくは不覚[ふかく]にも敵[てき]のわなにはまってしまった。♠〈不覚[ふかく]の涙[なみだ]〉思[おも]いがけぬ温[あたた]かい言葉[ことば]に、彼[かれ]もつい不覚[ふかく]の涙[なみだ]を流[なが]したのであった。♠●〈前後不覚[ぜんごふかく]〉疲[つか]れ切[き]った父[ちち]は、そのまま前後不覚[ぜんごふかく]になってしまったそうです。 **ふかけつ【不可欠】** ○欠[か]くことができないさま。なくてはならないさま。[文例]〈不可欠[ふかけつ]な要素[ようそ]>植物[しょくぶつ]の生長[せいちょう]にとって、光[ひかり]と水[みず]と空気[くうき]は不可欠[ふかけつ]な要素[ようそ]です。♠●〈不可欠[ふかけつ]な人物[じんぶつ]〉この計画[けいかく]を推進[すいしん]するためには、彼[かれ]は不可欠[ふかけつ]な人物[じんぶつ]です。♠●不可欠[ふかけつ]な知識[ちしき]>氏[し]には、医者[いしゃ]として不可欠[ふかけつ]な専門的[せんもんてき]な知識[ちしき]がすべて備[そな]わっている。♠◆〈不可欠[ふかけつ]なもの〉裁判官[さいばんかん]にとって不可欠[ふかけつ]なものは、公平[こうへい]無私[むし]の精神[せいしん]である。♠◆◇現代人[げんだいじん]に不可欠[ふかけつ]>現代人[げんだいじん]に不可欠[ふかけつ]の金銭[きんせん]感覚[かんかく]が、彼女[かのじょ]には欠[か]けているような気[き]がします。 **ふかこうりょく【不可抗力】** ○人[ひと]の力[ちから]では押[お]しとどめられない力[ちから]や事態[じたい]。[文例]夜中[よなか]に突然[とつぜん]車[くるま]が飛[と]び込[こ]んでくるなどは、不可抗力[ふかこうりょく]としか言[い]いようがないだろう。♠◆◇不可抗力[ふかこうりょく]が働[はたら]く>個人[こじん]の集合[しゅうごう]に過[す]ぎないのに、集団[しゅうだん]には集団[しゅうだん]の意志[いし]があって、いったん動[うご]き出[だ]すと不可抗力[ふかこうりょく]が働[はたら]き、個人[こじん]の力[ちから]では止[と]めようがなくなる。 **ふかしぎ【不可思議】** ○理解[りかい]が及[およ]ばないこと。不思議[ふしぎ]。[文例]〈不可思議[ふかしぎ]なもの〉幼[おさな]い子供[こども]には、自然界[しぜんかい]も人間界[にんげんかい]もみな不可思議[ふかしぎ]なものに見[み]えます。♠●〈不可思議[ふかしぎ]なる宇宙[うちゅう]不可思議[ふかしぎ]なる宇宙[うちゅう]であればこそ、その神秘[しんぴ]を解[と]き明[あ]かしたい衝動[しょうどう]にかられる。♠●不可思議[ふかしぎ]を解[と]き明[あ]かす〉自然科学[しぜんかがく]とは、わたしたち人間[にんげん]をも含[ふく]めて自然界[しぜんかい]のもろもろの不可思議[ふかしぎ]を解[と]き明[あ]かす学問[がくもん]を言[い]う。 **ふか・す【吹かす】** ○吹[ふ]かせる。吹[ふ]き出[だ]させる。エンジンを高速[こうそく]で回転[かいてん]させる。いばって示[しめ]す。[文例]〈タバコを吹[ふ]かす〉男[おとこ]は、深々[ふかぶか]とソファーに腰[こし]を下[お]ろすと、黙々[もくもく]とタバコを吹[ふ]かした。♠●ヘエンジンを吹[ふ]かす〉車[くるま]は、エンジンを吹[ふ]かしながら急[きゅう]な坂道[さかみち]を登[のぼ]っていった。♠●へ先輩風[せんぱいかぜ]を吹[ふ]かす〉後輩[こうはい]に対[たい]して先輩風[せんぱいかぜ]を吹[ふ]かしていませんか。♠◆一泡[ひとあわ]吹[ふ]かす>仲間[なかま]のサブを出[だ]し抜[ぬ]いて、一泡[ひとあわ]吹[ふ]かしてやろう。 **ふか・す(蒸す)** ○食物[しょくもつ]をむす。[文例]例〈いもをふかす〉おやつにさつまいものふかしたのを食[た]べた。♠へもち米[ごめ]をふかす〉せいろでもち米[ごめ]をふかし、それをうすに移[うつ]して何回[なんかい]もきねでつくと、おいしいもちのでき上[あ]がり。 **ふかち【不可知】** ○知[し]ることができないこと。[文例]不可知[ふかち]な世界[せかい]〉神[かみ]の国[くに]とか死後[しご]の世界[せかい]とかは、わたし の認識[にんしき]を超[こ]える不可知[ふかち]な世界[せかい]です。♠●〈不可知性[ふかちせい]〉さまざまな経験[けいけん]をし、思[おも]い、見聞[みき]きするたびに、人間[にんげん]の底知[そこし]れぬ不可知性[ふかちせい]に気[き]づかされる。 <957> される。 **ぶかっこう**【不格好・不恰好】 〇かっこうが悪いさま。[文例]兄のプレザーコートは、中学二年生の弟には大きすぎて不格好だった。♠**<不格好[ぶかつこう]な形>** おむすびぐらい、と思ってにぎってみたが、ずいぶん不格好な形になってしまった。 **ふかで**【深手・深傷】 〇深い傷。ひどいけが。[文例]**<深手[ふかで]を負[お]う>** 友は戦場[せんじよう]で深手を負い、故郷[こきよう]に帰ってきた。♠**<深手[ふかで]を負[お]わせる>** 深手を負わせたから、そう遠くへは逃げられまい。 **ふかのう**【不可能】 〇可能でないこと。[文例]小学生の体力では、この山の頂上をきわめることは不可能だ。♠**<不可能[ふかのう]な数字>** この選手の実力からすれば、二メートル三十というのは、不可能な数字ではない。♠**<実現が不可能[ふかのう]>** 実現の不可能なことより、自分たちにできることから始めよう。♠**<不可能[ふかのう]に近い>** このたくさんの箱の中から一枚の書類を見つけだすことなど、不可能に近いことだ。♠**<不可能[ふかのう]を可能にする>** 博士の地道な努力が不可能を可能にしたと言えるでしょう。♠**<不可能[ふかのう]に挑戦[ちょうせん]する>** 次々と不可能に挑戦していった冒険家[ぼうけんか]の一生が、ドラマ化されることになった。♠ナポレオンは、「余の辞書[じしよ]に不可能はない」と言ったといいます。 **ふかぶか**【深深】 〇いかにも深いさま。[文例]井戸[いど]は、今も深々と水をたたえている。♠深々と胸いっぱいに高原の空気を吸い込んだ。♠神殿[しんでん]に進んだ男は、まず深々と礼をして、長い間何ごとかを祈念[きねん]していた。♠わたしは、ソファーに深々と腰を下ろして目を閉じた。 **ふかぶん**【不可分】 〇切り離すことができないこと。[文例]生きることと愛することが不可分であるなら、深く愛することなしには、よく生きることもあり得ない。♠貧乏の中で育った彼女にとって、幸福とお金は不可分のものに感じられた。♠**<不可分[ふかぶん]の関係>** 競走馬[きようそうば]の産地であるこの町では、馬と人々の暮らしは不可分の関係にあった。 **ふかまり**【深まり】 〇深まること。深くなること。[文例]**<気持ちの深[ふか]まり>** 雨の庭に咲くユキヤナギの花を通して、作者の孤独な気持ちの深まりがしみじみと描かれています。♠**<思考の深[ふか]まり>** 書くという作業によって、わたしたちは理解を確かにし、さらに思考の深まりを体験していくことができる。♠**<理解の深[ふか]まり>** 対話によって理解の深まりが得られれば、人々の関係は親密になっていくでしょう。 **ふかま・る**【深まる】 〇深くなる。深みが増す。[文例]**<秋が深[ふか]まる>** 庭で鳴く虫の声がもの悲しく聞こえるようになると、秋も深まったという感じがします。♠**<夜が深[ふか]まる>** 夜が深まるにつれて、人通りはしだいに少なくなっていった。♠**<興味が深[ふか]まる>** 星に関する興味が深まったのは、四年生のときプラネタリウムに行ってからです。♠**<理解が深[ふか]まる>** 教授の論文を読んで、わたしの理解は一段と深まりました。♠**<経験が深[ふか]まる>** 試合経験が深まれば、彼女もやがて一流選手になるでしょう。♠**<愛が深[ふか]まる>** サークルでの活動を通じて、二人の愛はじょじょに深まっていった。♠**<知識が深[ふか]まる>** 博士は物理学の知識が深まっていくうちに、アメリカへの留学の必要性を感じたと語ってくれました。 **ふかみ**【深み】 〇深い所。抜き差しならないところ。深い味わい。深さ。[文例]**<深[ふか]みにはまる>** 小川の深みにはまった幼児は、運よくいあわせた農夫の手で助け出された。♠**<深[ふか]みにはまる>** 悪事は、一度その深みにはまると、なかなか抜け出せないという面があります。♠**<深[ふか]みに入る>** 趣味[しゆみ]で始めた盆栽が深みに入って、今では商売にもなるほどだ。♠**<深[ふか]みに落ち込む>** 事業の失敗がもとで、男は借金地獄の深みに落ち込んでいった。♠**<深[ふか]みのある色>** 絵かきさんは深みのある色を出したいと、何度も絵の具を混ぜ直していました。♠**<深[ふか]みがない>** 確かにおもしろいことはおもしろいが、この小説には深みがないね。♠**<深[ふか]みが出る>** **<人間としての深[ふか]み>** 五十歳を過ぎて、彼にも人間としての深みが出てきた。 **ふか・める**【深める】 〇深くする。深みを増す。[文例]**<理解を深める>** 友達の作品を読んで、感想や意見を述べ合うことは、互いの理解を深めるうえでも大切なことです。♠**<考えを深める>** 社会や人間について考えを深めよう。♠**<友情を深める>** 共同生活を通して、寮生[りようせい]たちはしだいに友情を深めていった。♠**<自信を深める>** 国際的な大会に出場したことで彼女は自信を深め、いっそう演技が安定した。♠**<学問を深める>** もっと学問を深めようと思って、大学院へ進みました。 **ふかん**【俯瞰】 〇高い所から見下ろすこと。[文例]**<俯瞰[ふかん]する>** 丘の上から俯瞰すると、小さな町の様子は一望のもとに とらえることができた。 **ふかんぜん**【不完全】 〇完全でないさま。[文例]**<ことばが不完全[ふかんぜん]>** 友人どうしならば、ことばが不完全でもだいたい相手の気持ちの察しがつきます。♠**<作品が不完全[ふかんぜん]>** 幼児の作品は、幼稚で不完全だけれども、しかしまた何の虚飾[きよしよく]もない。♠**<不完全[ふかんぜん]な人間>** 完全な人間なんて一人もいません、みんな不完全です。♠**<不完全[ふかんぜん]燃焼>** 湯わかし器が不完全燃焼を起こし、あわや一酸化炭素中毒ということがあります。 **ふき**【付記・附記】 〇付け足して記すこと。書き添えること。[文例]**<付記[ふき]する>** これは、直接関係はありませんが、参考のために付記しておきます。 **ふき**【不帰】 〇再び帰らないこと。[文例]**<不帰[ふき]の人[ひと]>** 家族と共に暮らすことを懇願[こんがん]して退院した父は、その後間もなく不帰の人となった。♠**<不帰[ふき]の客[かく]>** 異国[いこく]の地[ち]で不帰の客となった教授は、小さな箱に納まり夫人に抱かれて帰国した。 **ふぎ**【不義】 〇人の道に外れること。男女の密通[みつつう]。不倫[ふりん]。[文例]**<不義[ふぎ]はお家の御法度[ごはつと]>** 近世[きんせい]、特に武家[ぶけ]では、不義はお家の御法度と、結婚によらない男女の密通をかたく戒[いまし]めた。♠**<不義[ふぎ]をなす>** 昔は、夫が不義をなしてもさほど問題にならなかったが、妻の場合は大問題であった。♠**<不義[ふぎ]をはたらく>** 不義をはたらいた嫁ですから実家へ帰しました。 **ぶき**【武器】 〇戦闘で用いる道具。有力な手段。[文例]**<武器[ぶき]を取る>** 当時十八歳だった兄も、武器を取って戦場[せんじよう]へと向か <958> いました。♠**<武器[ぶき]を持つ>** 窓から街を見ると、武器を持った兵士が大勢うろついていた。♠**<武器[ぶき]を捨てる>** 戦争が終わると、男たちはみな武器を捨て、故郷の家に帰って行きました。♠**<武器[ぶき]にする>** ヒキガエルは、長い舌を武器にして、飛んでいる虫を捕らえて食べる。♠**<最大の武器[ぶき]>** なんと言ってもあの強烈[きようれつ]な右ストレートは、彼の最大の武器です。♠**<女性の武器[ぶき]>** 涙[なみだ]は女性の武器などといいます。 **ふきあ・れる**【吹き荒れる】 〇風が激しく吹く。吹きすさぶ。[文例]**<風が吹き荒れる>** 黒雲が広がったと思うと、風がゴオーッと吹き荒れ、辺りは真っ暗になった。♠**<嵐[あらし]が吹き荒れる>** 当時の日本は、自由主義者に対する弾圧[だんあつ]の嵐が吹き荒れていた。♠**<吹雪[ふぶき]が吹き荒れる>** 父親は、吹雪が吹き荒れる中を帰ってこない子を捜しに出かけた。 **ふきおろし**【吹き下ろし】 〇風が平地へ吹き下ろすこと。[文例]**<吹き下ろし[ふきおろし]の風>** 冬には、筑波山[つくばさん]から吹き下ろしの空っ風が吹きつける。♠**<吹き下ろし[ふきおろし]が吹く>** 今日も、村には赤城[あかぎ]の吹き下ろしが吹き、寒さは厳しい。 **ふきかえ**【吹き替え】 〇貨幣や金属性の物を鋳造[ちゅうぞう]し直すこと。また、そうしたもの。本来の役者の身代わりで演じること。また、その役者。外国語のせりふを日本語にかえて吹き込むこと。[文例]**<映画の吹き替え>** 外国映画の吹き替えでいつも感心するのは、俳優の口の動きと日本語のせりふとが実に自然に合っていることです。 **ふきかえ・す**【吹き返す】 〇風が反対の方向に吹く。風が吹いて物を裏返す。再び呼吸を始める。鋳造[ちゅうぞう]し直す。[文例]**<風が吹き返す>** 東から風が吹き出したと思ったら、こんどは西の方から吹き返してくる。♠**<すそを吹き返す>** いたずらな春風がスカートのすそを吹き返していく。♠**<息を吹き返す>** 水におぼれた少年に人工呼吸を続けると、ようやく息を吹き返した。 **ふきか・ける**【吹き掛ける】 〇水や息を吐きかける。しかける。値段・料金を高く言う。ふっかける。[文例]**<息を吹きかける>** 神様は土で作った人形に息を吹きかけてアダムを作ったと聖書に書かれています。♠**<水を吹きかける>** 張った障子のしわを取るために、口にふくんだ水を吹きかけます。♠**<けんかを吹きかける>** 夜の歓楽街をうろついて、不良にけんかでも吹きかけられたら大変です。♠**<値段を吹きかける>** 通常の倍の値段を吹きかけて、粗悪[そあく]な布団を売りつける悪質な業者もいる。 **ふきけ・す**【吹き消す】 〇吹いて消す。[文例]**<灯を吹き消す>** ランプの灯を吹き消し床に就くと、今日の出来事が次々と頭に浮かんでくる。♠**<ろうそくを吹き消す>** まさ子ちゃんはほおをふくらませ、ケーキの上の三本のろうそくを吹き消そうとした。 **ふきげん**【不機嫌】 〇きげんが悪いさま。[文例]**<不機嫌[ふきげん]な声>** 学校でいやな事があったらしく、娘は妻の問いに不機嫌な声で答えている。♠**<不機嫌[ふきげん]な顔>** 朝早くに訪ねたせいか、相手は不機嫌な顔で出て来た。♠**<不機嫌[ふきげん]になる>** 何が気[き]に障[さわ]ったのか、彼女は急に不機嫌になり、押[お]し黙(だま)ってしまった。 **ふきこ・む**【吹き込む】 〇風が吹いて中に入る。雨・雪が風に吹かれて中に入る。吹き入れる。教え込む。そそのかす。録音する。[文例]**<風が吹き込む>** 冷たい風が戸のすき間から吹き込む。♠**<雪が吹き込む>** 窓のすきまから雪が吹き込む。♠**<息を吹き込む>** ただ息を吹き込めば音が出るものと思っていたが、何回やってもラッパは鳴ってくれない。♠**<生命を吹き込む>** 春のあたたかい雨が降りそそぐと、大地は生命を吹き込まれ躍動[やくどう]を始める。♠**<考えを吹き込む>** 幼い子供によこしまな考えを吹き込む悪い大人がいる。♠**<新曲を吹き込む>** こんど新曲を吹き込んだので、どうぞ皆さん、レコードを買ってくださいね。 **ふきさらし**【吹きさらし・吹き曝し】 〇風が吹きつけるままであること。[文例]**<吹きさらしの停留所[ていりゆうじよ]>** 吹きさらしの停留所でコートのえりを立て、背を丸くして、バスが来るのを待っていた。♠**<吹きさらしにする>** なわでしばった大根を軒下に下げ、風に吹きさらしにしておく。 **ふきさら・す**【吹きさらす・吹き曝す】 〇風が吹き当たるにまかせる。[文例]**<寒風に吹きさらされる>** 寒風に吹きさらされながら、野の道を三十分余りも歩いた。♠**<木枯[こが]らしに吹きさらされる>** 夏は強い日差しに照らされ、冬は木枯らしに吹きさらされながら、父母は畑仕事に励む。 **ふきすさ・ぶ**【吹きすさぶ・吹き荒ぶ】 〇吹き荒れる。[文例]**<風が吹きすさぶ>** 吹きすさぶ風とたたきつけるような雨とが一晩じゅう続いた。♠**<嵐が吹きすさぶ>** 弾圧[だんあつ]の嵐が吹きすさび、自由を求める若者たちは次々に連行されていった。 **ふきそく**【不規則】 〇規則的でないさま。[文例]**<不規則[ふきそく]な生活>** 不規則な生活は健康によくない。♠**<脈が不規則[ふきそく]>** 患者の脈は不規則で、呼吸も乱れている。♠**<不規則[ふきそく]に並べる>** 庭の周囲に大きな石が不規則に並べられている。 **ふきだ・す**【吹き出す・噴き出す】 〇勢いよく出る。現れ出る。息を吹いて笑う。吹いて出す。吹き始める。[文例]**<汗が噴[ふ]き出す>** 走り始めて三十分もしないうちに、全身に汗が噴き出してきます。♠**<温泉が噴[ふ]き出す>** 井戸を掘っていたら、温泉が噴き出した。♠**<芽が吹き出す>** この数日の暖かさで、木々の若芽が吹き出し始めた。♠**<思わず吹き出す>** 鏡台に向かって何やらいたずらしているわが子の顔を見て、わたしは思わず吹き出してしまった。 **ふきだまり**【吹きだまり・吹き溜まり】 〇雪などが風に吹き寄せられてたまった所。行き場のない人が集まった所。[文例]**<吹きだまりになる>** 海岸通りを外れると、飛ばされた雪が吹きだまりになっていた。♠**<花びらの吹きだまり>** 桜の花びらが風に吹き寄せられて、公園の隅に花びらの吹きだまりができていた。♠**<社会の吹きだまり>** ここは、家もなく、職もない人々がひっそりと肩を寄せ合って暮らしている、社会の吹きだまりのような所だ。 **ふきつ**【不吉】 〇縁起の悪いこと。悪いことが起こりそうなさま。[文例]**<不吉[ふきつ]な予感>** 家の前に止まっている黒い車を見たおたん、不吉な予感に襲われた。♠**<不吉[ふきつ]な動物>** カラスやコウモリは、不吉な動物としてあまり好かれていません。 <959> ん。●不吉な数>西洋では十三という数字は、不吉な数だとされています。●〈不吉な前兆>古くから日食や月食は、不吉な前兆であると信じられていた。●不吉に感じる>西の空に光る赤い星が、なぜか不吉に感じられてならなかった。 **ふきつ・ける【吹き付ける】** ○風が吹き当たる。息を強く吹き当てる。吹きかけて付着させる。[文例]〈風が吹きつける〉絶えず海から吹きつける風が運ぶ砂は、家を埋め尽くそうとする。●へ塗料[とりよう]を吹きつける〉汚[よご]れた壁に塗料を吹きつけたら、見違えるようにきれいになった。 **ふきつの・る【吹き募る】** ○風が激しさを増す。[文例]〈風が吹き募る〉風は吹き募り、雪も激しさを加えてきて、彼らはその日の登頂をついに断念した。 **ふき・でる【吹き出る・噴き出る】** ○勢いよく出る。現れ出る。ふきだす。[文例]〈芽が吹き出る〉四月になると、木の芽がいっせいに吹き出て、山全体が浅黄色[あさぎいろ]になります。●ヘ汗が噴き出る〉ランナーのシャツは、噴き出る汗でぐっしょりぬれていた。●へ血が噴き出る〉小さな傷だったが、噴き出るような血に驚いてしまった。 **ふきとば・す【吹き飛ばす】** ○吹いて飛ばす。強く払いのける。ほらを吹く。「文例]〈風が吹き飛ばす>昨日の台風で吹き飛ばされた看板やダンボールが、あちこちに散乱している。●ヘダイナマイトで吹き飛ばす〉工事の妨害[ぼうがい]になる岩盤[がんばん]は、ダイナマイトで吹き飛ばしてしまいます。●不安を吹き飛ばす〉キャプテンの自信に満ちた顔がぼくたちの不安を吹き飛ばしてくれた。●〈寒さを吹き飛ばす〉寒さを吹き飛ばすには、思いっきり体を動かすのがいちばんだ。 **ふきまく・る【吹きまくる】(吹き捲る)** ○風が激しく吹く。盛んにほらを吹く。「文例]〈風が吹きまくる〉日本海側は豪雪[ごうせつ]で列車が立ち往生しているというのに、太平洋側は空っ風が吹きまくる。●〈旋風[せんぷう]が吹きまくる〉話題のロック歌手が来日公演した数日間、日本中にロック旋風が吹きまくった。●〈ほらを吹きまくる〉サブのやつがやって来て、ほらを吹きまくっていった。 **ふきまわし【吹き回し】** ○風の吹き回る具合。その時の具合。[文例]〈どうした風の吹き回し〉どうした風の吹き回しか、いつもはがみがみうるさいおばさんが、今日はやけに優しい。●へどういう風の吹き回し〉あのけちなじいさんがお酒をおごってくれるとは、どういう風の吹き回しかね。 **ぶきみ【不気味・無気味】** ○気味が悪いさま。[文例]不気味な雰囲気>裏の空き家は、どことなく不気味な雰囲気が漂[ただよ]っていて、みんなからお化け屋敷[やしき]と呼ばれている。●不気味な笑い声>テレビから不気味な笑い声が聞こえてくると、ぽくの好きなミステリー・ドラマの始まりだ。●不気味に光る>夜道を歩いていたら、西の空を不気味に光る物体がすごいスピードで飛んで行った。●不気味に響く〉人気[ひとけ]のない薄暗[うすぐら]い廊下に、ぼくの足音だけがこつんこつんと不気味に響く。●不気味に思う〉髪[かみ]もひげもぼうぼうで、おまけに服装[ふくそう]も変てこりんで、初対面の人はみな彼の事を不気味に思う。●〈不気味にも〉ドアを開けると部屋はからっぽなのに、不気味にも話し声が聞こえるのだ。◆不気味がる〉生まれて初めて生きているザリガニを見た子供は、不気味があって手を出そうとしない。 **ふきゅう【普及】** ○広く行き渡ること。[文例]〈電話・テレビ・ラジオの普及〉電話やテレビ・ラジオの普及は、社会の情報化に大きく影響[えいきょう]している。●へ教育の普及〉〈普及が遅れる〉この地域は教育の普及が遅れている。●〈普及する〉カラーテレビが全国に普及していったのは、昭和四十年になってからです。●〈普及率〉日本のコンピュータの普及率は、世界でも一、二を争うと聞きます。 **ふきゅう【不朽】** ○朽ちることなく、いつまでも続くこと。[文例]〈不朽の名作〉この文学全集には、世界文学の不朽の名作が収められています。●不朽の書>聖書こそは、時代を超え民族を超えた不朽の書であると言える。 **ふきょう【不況】** ○景気が悪いこと。不景気。[文例]不況の波不況の波にのまれ、倒産する町工場が相次いだ。不況のしわよせ〉不況のしわよせで、従業員の賃金がカットされた。 **ふきょう【不興】** ○おもしろくないこと。機嫌を損ねること。[文例]不興をかこつ〉大して重要でない部署に回されたわたしは、ひとり不興をかこつ日を送っていた。◆不興を買う〉奉公人の身でしたから、気難しいだんな様の不興を買わぬようにずいぶん気をつかいました。●〈不興な顔〉どうかしたのですか、どうしてそのように不興な顔をしておられるのですか? 不興げ〉計画はうまくいっているのかと聞くと、相手は不興げに首を振った。 **ふきょう【布教】** ○宗教を広めること。[文例]〈キリスト教の布教>江戸時代のキリスト教弾圧の下では、布教はもちろん、これを信仰することもかたく禁じられた。へ布教する〉イエズス会の宣教師フランシスコ=ザビエルが、日本に初めてキリスト教を布教した。布教活動〉ジョン=バチェラー師は、布教活動のかたわら、アイヌ研究に生涯[しょうがい]をささげました。 **ぶぎょう【奉行】** ○命令によって事を行うこと。武家時代に政務の一部を担当した部局の長官。[文例]江戸幕府では、寺社奉行・勘定[かんじょう]奉行・町奉行などが設置され、政務を分担してつかさどった。●「お奉行様にお願いがあってまいりました。」と、一人の娘が役人に申し出た。◆<奉行所>当時、大阪の奉行所は東西に分かれ、一か月交代で執務[しつむ]した。 **ふきん【付近・附近】** ○近い所。近く。辺り。近所。近辺。[文例]〈付近の住民>工場で爆発が起こり、付近の住民はみな避難した。●〈家の付近〉家の付近は、緑がたくさんあって散歩するのが楽しみです。◆〈付近一帯>火山の噴火で付近一帯は火山灰が降り積もりました。●弘前市付近は、りんごと米の産地です。 <960> **ふきんこう**【不均衡】 〇つりあわないこと。[文例]**<貿易の不均衡[ふきんこう]>** 貿易黒字が続く日本は、相手国から貿易の不均衡を是正するよう求められていた。♠**<成長が不均衡[ふきんこう]>** 思春期は、心身の成長の不均衡な時です。 **ふきんしん**【不謹慎】 〇つつしみがなく無礼なこと。[文例]**<不謹慎[ふきんしん]をとがめる>** 式の最中、おしゃべりを絶やさぬ女性たちの不謹慎を一人の老人がとがめた。♠**<不謹慎[ふきんしん]にも>** わたしがかいた絵を見せると、不謹慎にも生徒たちはどっと笑った。♠**<不謹慎[ふきんしん]な態度>** 生徒の不謹慎な態度に腹[はら]を立[た]てた先生は、すぐにこれを戒[いまし]めた。 **ふく**【服】 〇着る物。衣服。洋服。[文例]**<赤い服[ふく]>** おばさんに買ってもらった赤い服が気に入っています。♠**<服[ふく]を着る>** 駅で見かけたとき、彼女は黒っぽい服を着ていたような気がする。♠**<服[ふく]を脱[ぬ]ぐ>** 身にまとっていた服を脱ぐと、男は思ったよりがっしりとした体格をしていた。♠**<服[ふく]を替える>** なんです、そんな格好で、早く二階で服を替えてらっしゃい。♠**<服[ふく]を新調[しんちよう]する>** この服は今日のパーティーのためにわざわざ新調したものです。♠**<春の服[ふく]>** だいぶ暖かくなってきたし、そろそろ春の服を出そうかしら。 **ふく**【福】 〇しあわせ。幸い。幸福。[文例]**<福[ふく]が舞[ま]い込[こ]む>** 父の栄転だけでなく兄の合格も決まり、わが家には福が舞い込んできたといった感じです。♠**<福[ふく]を授[さず]ける>** あの男の正直をほめて、神様が福を授けてくれたにちがいない。♠**<福[ふく]をかきこむ>** 酉[とり]の市[いち]で売る熊手[くまで]には、福をかきこむといった意味がこめられている。♠**<福[ふく]の神[かみ]>** ピンチを救ってくれた高山さんがわたしには福の神に見えました。♠**<鬼[おに]は外[そと]福[ふく]は内[うち]>** 節分[せつぶん]の夜には、あちこちの家から鬼は外、福は内の声が聞こえてくる。♠**<笑[わら]う門[かど]には福[ふく]来[きた]る>** 笑う門には福来る、一家仲よく楽しく暮らしていこう。♠**<災[わざわ]いを転[てん]じて福(ふく)となす>** この不幸を力を合わせて乗りこえていけば、「わざわいを転じて福となす」になるさ。♠**<残[のこ]り物[もの]には福(ふく)がある>** 最後にひいたのに、すばらしい物があたった。残り物には福がある、だね。 **ふく**【副】 〇正となるものの補助。補佐。控え。[文例]**<正と副[ふく]>** 会員には、正と副の二種類があって扱いがちがいます。♠**<副読本[ふくどくほん]>** 英語は、教科書のほかに副読本を使って授業しています。♠**<副委員長>** 委員長が出席できないため、副委員長である私が代理を務めさせていただきます。 **ふ・く**【吹く・噴く】 〇息を強く吐く。息を強く当てる。息を出して鳴らす。風が通る。風が起こる。ほとばしる。ほとばしらせる。粉・粉状のものが表面に現れ出る。現し出す。でまかせに大きなことを言う。溶かし分けて金属を取り出す。鋳造[ちゅうぞう]する。[文例]**<楽器を吹く>** 二階でハーモニカを吹いているのは、小学校二年生になる妹です。♠**<火[ひ]ふき竹[だけ]を吹く>** 今では火ふき竹を吹いてお風呂[ふろ]をわかしている家など、まったくないと言ってもいいでしょう。♠**<口笛[くちぶえ]を吹く>** きみは口笛を吹いているつもりだろうが、息がもれているだけだよ。♠**<あつものにこりてなますを吹く>** 一度失敗すると、とかく慎重になりすぎるものさ。「あつものにこりてなますを吹く」といってね。♠**<吹けば飛ぶような>** 吹けば飛ぶようなちっぽけな男ですが、これでも骨身[ほねみ]を惜[お]しまず働いてきました。♠**<風が吹く>** 昨日は一日中、冷たい北風が吹いていた。♠**<火を噴く>** 山あいに潜んでいた騎兵隊のライフルが、いっせいに火を噴いた。♠**<潮[しお]を噴(ふ)く>** 大きなクジラが潮を噴くと、その高さは数メートルにもなるそうです。♠**<泡[あわ]を噴(ふ)く>** 棒でつつかれたカニは、はさみを広げ、泡を噴いておこった。♠**<粉[こ]を吹(ふ)く>** 土の中から掘り出したいもを乾燥させると、やがて粉を吹きます。♠**<芽[め]を吹(ふ)く>** 風はまだ冷たいけれど、庭の柳[やなぎ]はとっくに芽を吹いている。♠**<ほらを吹く>** できもしないほらを吹いていると、そのうちみんなに相手にされなくなっちゃうぞ。 **ふく**【拭く】 〇こすってきれいにする。ぬぐいとる。[文例]**<机をふく>** 机の上はそのぞうきんでふいてください。♠**<汗をふく>** おじさんはハンカチで額[ひたい]の汗をふくと、また仕事にとりかかった。♠**<茶わんをふく>** 洗った茶わんをふくふきんは、台所の左手にかかっているでしょう。♠**<泥をふく>** ティッシュペーパーをとってよ。靴についた泥をふきたいんだ。♠**<体をふく>** お風呂からあがったらタオルでよく体をふかないと、風邪をひくぞ。♠**<窓をふく>** これだけ広い家だと、窓をふくだけでも丸一日かかります。 **ふく**【葺く】 〇かわら・草などで屋根をおおう。軒にさしかざす。[文例]**<屋根をふく>** この地域には、まだ草で屋根をふいた農家がみられる。♠**<菖蒲[しようぶ]を葺く>** 菖蒲葺く庇[ひさし]つづきの湯殿[ゆどの]にも(高野[こうや]素十[すじゆう]) **ふくあん**【腹案】 〇心の中に持っている案。[文例]**<腹案[ふくあん]を作る>** 会議の前に自分なりの腹案を作ってみた。♠**<腹案[ふくあん]を抱[いだ]く>** わたしも腹案を抱いてはいたが、こんな連中を前に発表してもむだだと思った。 **ふくいく**【馥郁】 〇よい香りがただようさま。[文例]**<馥郁[ふくいく]とした香り>** 風に乗って、馥郁とした梅の花の香りが漂ってきました。♠**<馥郁[ふくいく]たる菊の香>** 秋になると、わが家の庭は馥郁たる菊の香につつまれます。 **ふくいん**【福音】 〇神の救いの知らせ。喜ばしい知らせ。[文例]**<福音[ふくいん]をもたらす>** 特効薬[とつこうやく]の開発は、難病[なんびょう]に苦しむ人々に福音をもたらした。♠**<福音[ふくいん]伝道[でんどう]>** 宣教師は、福音伝道に生き、人々を神の国へ導[みちび]こうとした。♠**<福音書[ふくいんしよ]>** 新約聖書の「マタイによる福音書」第五章には、「貧しき者は幸いなり」というあの山上の説教が書かれている。 **ふぐう**【不遇】 〇才能にふさわしい境遇に恵まれないこと。[文例]**<不遇[ふぐう]な一生>** 無実が認められないまま、男は不遇な一生を送ったという。♠**<不遇[ふぐう]な晩年[ばんねん]>** 故国[ここく]を追われた科学者の晩年は不遇だったと聞きます。♠**<不遇[ふぐう]の時代>** 昭和三十年代は、この作家にとって不遇の時代でした。♠**<不遇[ふぐう]のうちに>** 父は幼い時に両親をなくし、青春時代を不遇のうちに過ごした。♠**<不遇[ふぐう]をかこつ>** ここ数年間社長にうとんじられ、不遇をかこっていたわたしにチャンスがめぐってきた。 **ふくえき**【服役】 〇懲役[ちようえき]・兵役につくこと。[文例]**<服役[ふくえき]する>** 老人は、死刑囚[しけいしゆう]としてこの刑務所に服役していた。♠ <961> **<服役[ふくえき]者>** この刑務所の服役者の中には無実を叫ぶ者もいた。 **ふくがく**【復学】 〇再び学校に戻ること。[文例]**<復学[ふくがく]を促[うなが]す>** 休学届を出したまま大学に来なくなった学生に復学を促したが、彼はそのまま退学してしまった。♠**<復学[ふくがく]する>** 海外で一年間ボランティア活動を体験したのち、再び大学に復学するつもりです。 **ふくぎょう**【副業】 〇本業のほかにする仕事。[文例]**<本業と副業[ふくぎよう]>** 近ごろは、本業の農業より、副業の民芸品制作のほうが忙しくなってきた。 **ふくげん**【復元・復原】 〇元の形や状態に戻す、または戻ること。[文例]**<腕[うで]の復元[ふくげん]>** ミロのヴィーナスの失われた両腕の復元を試みようとする考えもあるらしい。♠**<復元[ふくげん]する>** 遺跡が発掘され、古代の米倉と住居が復元された。♠**<復元[ふくげん]困難[こんなん]>** 行き過ぎた開発で、もはや復元困難なほど自然が破壊されつつあります。 **ふくごう**【複合】 〇合わさって一つのものができること。[文例]**<複合[ふくごう]する>** 「する」は、「熱する」「運動する」のように、他の語と複合して多く用いられる。♠**<複合語[ふくごうご]>** 「朝=日」「飛び=散る」のように、別の単語が一緒になって、新しい一つの単語になったものを複合語といいます。 **ふくざつ**【複雑】 〇入り組んでめんどうなさま。[文例]**<構造が複雑[ふくざつ]>** 機械の構造は複雑で、素人[しろうと]にはとても手が出せない。♠**<ストーリーが複雑[ふくざつ]>** この映画は登場人物が多く、ストーリーも複雑です。♠**<関係が複雑[ふくざつ]>** 二人の関係は複雑で、とても一口には説明できません。♠**<複雑[ふくざつ]な表情>** 優勝はしたもののタイムは平凡[へいぼん]で、選手は複雑な表情だった。♠**<複雑[ふくざつ]な事情>** 何か複雑な事情があるのか、男は妻や子とは別に一人で暮らしていた。♠**<複雑[ふくざつ]な気持ち>** 母の悲しそうな顔を見て、上京を前にぼくは複雑な気持ちになりました。♠**<複雑[ふくざつ]な人>** 彼女は複雑な子で、わたしたちなんかよりずっと難しいことを考えているみたいだ。♠**<複雑[ふくざつ]怪奇[かいき]>** この小さな田舎[いなか]町で、複雑怪奇な事件が次々と起こったのです。♠**<複雑[ふくざつ]多岐[たき]>** 商品の流通[りゆうつう]経路[けいろ]は、複雑多岐にわたってとらえにくい。 **ふくさよう**【副作用】 〇薬品が治療の目的以外に、付随[ふずい]して起こす(有害な)作用。[文例]**<薬の副作用[ふくさよう]>** この薬はよく効くが、副作用が強いので勧められない。♠**<副作用[ふくさよう]がある・ない>** よく効くうえに副作用もないという新薬が開発されたそうです。 **ふくさんぶつ**【副産物】 〇生産の過程で所期[しよき]の目的以外に生じる産物。主となる物事の進行などに伴って生じるもの。[文例]**<副産物[ふくさんぶつ]が生じる>** 石炭から石炭ガスをつくる過程で、副産物としてコールタールが生じる。♠**<副産物[ふくさんぶつ]ができる>** 清酒[せいしゆ]をつくるときに、副産物として酒かすができるが、もちろんこれも商品になる。♠**<経済成長の副産物[ふくさんぶつ]>** 急速な工業化、経済成長の副産物として、自然破壊などの公害問題が生じる。 **ふくし**【福祉】 〇社会の人々の幸福。[文例]**<公共の福祉[ふくし]>** 公共の福祉のために、個人の権利が制限される場合もある。♠**<社会の福祉[ふくし]>** 将来、社会の福祉に貢献する仕事につくために勉強しています。♠**<福祉[ふくし]国家>** 体の不自由な人や老人、病人などが安心して暮らせるような福祉国家の実現をめざしたい。 **ふくじてき**【副次的】 〇主となる事柄に付随[ふずい]しているさま。二次的。[文例]**<副次的[ふくじてき]に起こる>** 山林の伐採[ばつさい]により、緑が失われるだけでなく、水害や土砂崩[どしやくず]れなどの災害が副次的に起こってきます。♠**<副次的[ふくじてき]な問題>** 副次的な問題だからといって無視はできないが、とりあえず主要問題から話し合おう。 **ふくしゃ**【複写】 〇書物や絵画などを写し取ること。また、写し取ったもの。用紙を重ねて同じ書類を複数作成すること。[文例]**<複写[ふくしや]を取る>** 人数分だけこの原稿の複写を取って、みんなに配ってください。♠**<複写[ふくしや]する>** コピーサービスが普及しているので、書類や図面などが容易に複写できるようになった。 **ふくしゅう**【復習】 〇一度習ったことを勉強し直すこと。おさらい。[文例]**<予習・復習[ふくしゆう]>** 予習・復習やクラブ活動に追われて、じっくりと読書をする時間がとれません。♠**<復習[ふくしゆう]する>** その日習ったことは、家へ帰ってから必ず復習するように心がけています。 **ふくしゅう**【復讐】 〇あだうち。しかえし。報復[ほうふく]。[文例]**<復讐[ふくしゆう]を果たす>** 彼は主人をだました悪人に対して、とうとう復讐を果たしました。♠**<復讐[ふくしゆう]を遂げる>** 男は何年もの苦労の末に、とうとう復讐を遂げた。♠**<復讐[ふくしゆう]を企[くわだ]てる>** 彼女が復讐を企てていたことに気づいた者は、だれもいなかった。♠**<復讐[ふくしゆう]を誓[ちか]う>** 若者が父のかたきの浪人[ろうにん]を討(う)ったのは、復讐を誓ってから五年目のことでした。♠**<復讐[ふくしゆう]の念[ねん]>** 聞くところによると、あの事件以来、彼は復讐の念に燃(も)えていたそうだ。♠**<復讐[ふくしゆう]する>** この恨(うら)みをはらさずにおくものか。必ず復讐してやるぞ。 **ふくじゅう**【服従】 〇命令に従うこと。[文例]**<反抗[はんこう]と服従[ふくじゅう]>** 封建社会では、だれもが領主の命令に服従し、反抗してはならなかった。♠**<服従[ふくじゅう]する>** サーカスの猛獣[もうじゆう]使(づか)いは、むちとえさを使い分けて、動物を服従させます。♠**<権力に服従[ふくじゅう]する>** われわれが要求をとりさげるのは、決して彼の権力に服従したからではない。♠**<国家に服従[ふくじゅう]する>** 独立を望む若者たちは、他国に服従することに反対し続けた。♠**<軍に服従[ふくじゅう]する>** 占領軍に服従する原住民を、兵士は奴隷[どれい]のように扱った。♠**<絶対服従[ふくじゅう]>** 諸侯[しよこう]は教会の中で、王への絶対服従を誓(ちか)いました。 **ふくしょう**【復唱・復誦】 〇受けた命令などを確認するために口に出して繰り返すこと。[文例]**<復唱[ふくしよう]する>** わたしは命令を復唱し終わると、上司に一礼して席に戻った。 **ふくしょく**【服飾】 〇衣服と装身具[そうしんぐ]。衣服の飾り。[文例]将来は、洋裁の学校へ行って、服飾関係の仕事に就きたいと思っています。♠**<服飾[ふくしょく]デザイナー>** 一流の服飾デザイナーになりたかったら、まず自分の感覚をみがきなさい。 **ふくしん**【腹心】 〇心の奥底。心から信頼できる人。[文例] <962> **<腹心[ふくしん]の部下>** あわれ、王は腹心の部下に裏切られ暗殺された。♠シーザー暗殺直後、その腹心であったアントニーに、キャシアスらは不安を抱いていた。 **ふく・する**【服する】 〇受け入れて従う。茶や薬などを飲む。着用する。服従させる。[文例]**<罪に服[ふく]する>** 罪に服した男の獄中[ごくちゆう]日記[につき]には、罪を悔(く)いる気持ちが切々とつづられていた。♠**<刑[けい]に服[ふく]する>** 男は、裁判官の宣告どおりの刑に服する覚悟でいた。♠**<ルールに服[ふく]する>** わたしたちは、互いの自由を保障するため、法律などのルールに服して生活しています。♠**<喪[も]に服[ふく]する>** 身内が亡くなり、喪に服している間は、お祝い事などは控(ひか)えます。 **ふく・する**【復する】 〇元に戻る。元に戻す。返す。返答する。[文例]**<旧[きゆう]に復(ふく)する>** 台風の被害の大きかったこの村も、旧に復しつつあります。♠**<正常[せいじよう]に復(ふく)する>** 事故で乱れていた列車のダイヤが正常に復したのは、その日の夕方近くだった。♠**<復(ふく)する>** もしれないと伏線を張っておいた。 **ふくそう**【服装】 〇身なり。装(よそお)い。[文例]その時犯人がどんな服装だったか覚えていますか。♠**<みすぼらしい服装>** **<服装[ふくそう]をする>** 駅で待っていたのは、みすぼらしい服装はしていても、目のきらきら輝(かがや)いた少年でした。♠**<服装[ふくそう]がこざっぱりする>** 場所柄を考えてか、彼女の服装はいつもよりこざっぱりしていた。♠**<服装[ふくそう]に構(かま)う>** 大口君はみんなも知っているように、服装には構わないほうです。♠**<服装[ふくそう]を正(ただ)す>** 来賓[らいひん]の方々の到着を、ぼくたちは服装を正して待ちました。♠**<服装[ふくそう]を決める>** 初めてのデートですから、ビシッと服装を決めて行こうと思う。♠**<服装[ふくそう]に無頓着(むとんちやく)>** お兄さんはデザイナーだそうだが、田中君自身は服装に無とんちゃくだ。♠**<服装[ふくそう]の乱れ>** この学校は服装の乱れにはうるさいほうです。 **ふぐたいてん**【不倶戴天】 〇(「共に天をいだかず」の意)共存することが不可能なほどに恨み憎むこと。[文例]**<不倶戴天[ふぐたいてん]の敵[かたき]>** 父母を殺した不倶戴天の敵に対する憎しみも、いつしか歳月と共に薄れていった。♠**<不倶戴天[ふぐたいてん]の仲>** 両雄は互いに譲らず、ついに王座をめぐって不倶戴天の仲となった。 **ふくちょう**【復調】 〇調子が元にもどること。[文例]**<復調[ふくちよう]がいちじるしい>** 病後の復調がいちじるしく、最近はさまざまなことに意欲がわいてきた。♠**<復調[ふくちょう]する>** 手術後三週間で退院したが、完全に復調するまでにはなお一か月ほどかかった。 **ふくつ**【不屈】 〇どんな困難にもくじけないこと。[文例]**<不屈[ふくつ]の精神>** 多くの困難を不屈の精神でのりこえた。♠**<不撓不屈[ふとうふくつ]>** 主人公は、不撓不屈の意志で戦乱の世を生き抜いた歴史上の人物である。 **ふくせん**【複線】 〇上り用と下り用が並行して敷かれた線路。[文例]**<単線[たんせん]と複線[ふくせん]>** 現在、日本の鉄道はほとんど複線になっているが、まだ一部単線の地区も残っている。♠**<複線[ふくせん]化>** 新幹線の建設計画が進められる一方では、まだ線路が複線化されない地域や、鉄道が廃止されてゆく地域がある。 **ふくせん**【伏線】 〇後に続く筋の展開に備えて、それとなくほのめかしておく事柄。予備として前もって触れておく事柄。[文例]作者は、友の自殺の予感[よかん]を主人公が背中に感じた「寒さ」という伏線で示している。♠**<伏線[ふくせん]を張る>** 評判[ひようばん]の悪い業者なので、忙[いそが]しい時期でその仕事は受けられないかもしれないと伏線を張っておいた。 **ふくのかみ**【福の神】 〇幸福を授けてくれる神。[文例]**<福[ふく]の神(かみ)が舞(ま)い込(こ)む>** 今年になって商売がにわかに繁盛[はんじよう]し、まるで福の神が舞い込んだようだ。 **ふくぶくし・い**【福福しい】 〇柔和[にゆうわ]でふっくらして、いかにも幸運と富に恵まれたさま。[文例]**<福々(ふくぶく)しい笑顔>** 見るからに福々しい笑顔の老婦人のまわりには、その笑顔にひかれて人が集まってきた。 **ふくへい**【伏兵】 〇待ち伏せしていた軍勢。思いがけない障害や競争相手。[文例]**<伏兵[ふくへい]が現れる>** 順風[じゆんぷう]満帆[まんぱん]で進んでいた彼の人生に病魔[びようま]という思わぬ伏兵が現れた。♠**<伏兵[ふくへい]にあう>** 順調に進むはずの工事は、天候不順という予想外の伏兵にあって難航した。 **ふくみ**【含み】 〇含むこと。中に含まれた意味。内容。[文例]**<含(ふく)みがある>** 直接には言わなかったが、先輩は含みのある言葉でわたしのあやまりに気づかせようとしていた。♠**<含(ふく)み笑(え)み>** なんだい、いやな人だね。意味ありげに含み笑いなんかもらしてさ。♠**<波乱(はらん)含(ぶく)み>** クーデターによって新政権が樹立されたが、この国の政情はなお波乱ぶくみである。 **ふくむ**【服務】 〇任務・職務につくこと。[文例]**<服務[ふくむ]する>** 当時わたしは軍の命を受けて、内密で特殊な任に服務していた。♠**<服務[ふくむ]中>** 乗客の命をあずかる仕事なので、服務中はたいへん緊張します。 **ふく・む**【含む】 〇中にもっている。口の中に入れておく。内ににもつ。おびる。心にとめおく。[文例]**<アルコール分を含む[ふくむ]>** このビールには四パーセントのアルコール分が含まれている。♠**<税金を含む[ふくむ]>** 領収証の金額には、サービス料や税金も含まれています。♠**<日本人を含む[ふくむ]>** 墜落した飛行機には、日本人八人を含む七十五人の乗客が乗っていたそうです。♠**<口に含む[ふくむ]>** コップの水を口に含んだまま、しばらく飲みこまずにいた。♠**<悲しみを含む[ふくむ]>** いつもと表情は変わらないが、遠くを見つめる先生の目にちょっぴり悲しみが含まれているようだ。♠**<愁(うれ)いを含む[ふくむ]>** 彼女の愁いを含んだまなざしで、お父さんの病状が思わしくないことを感じました。♠**<笑(え)みを含む[ふくむ]>** 相手は顔に笑みを含んでいて、本気で怒っているのでないことがわかった。♠**<深い意味を含む[ふくむ]>** この言葉はふたつの深い意味を含んでいる。♠**<心に含む[ふくむ]>** 今からぼくの言うことを、心に含んでおいてほしいん <963> **ふく・める【含める】** ○含ませる。言い聞かせる。[文例]<費用を含める〉今度の旅行には、交通費・宿泊費含めて三万円しかかからなかった。●〈意味を含める〉先生は、ほかの仲間にも注意するようにという意味を含めて、わたしにそう言ったのでしょう。●〈因果を含める〉同じ失敗を二度したのだから、今度はただじゃすまないよ、と主将から因果を含められた。へ言い含める〉その点は彼によく言い含めておいたので、会議の席で不用意なことは言わないでしょう。 **ふくめん【覆面】** ○布などで顔を覆い包むこと。また、その布など。正体を現さないこと。[文例]〈覆面をする〉銀行に白昼、覆面をした強盗が押し入った。●〈覆面を取る〉なぞの人物が覆面を取ると、死んだはずの主人公の顔が現れた。◆<覆面作家〉この判事は自分の正体を公表せず、覆面作家として登場し推理小説で世の脚光を浴びた。 **ふくも【服喪】** ○喪に服すること。「文例]〈服喪中>主人は、先日叔母が亡くなって、ただ今服喪中です。 **ふくよう【服用】** ○薬を飲むこと。[文例]〈薬の服用>睡眠薬の服用は、医者の指示を受けるなど慎重にしなければなりません。◆◇服用する〉この薬は、食後三十分以内に服用してください。 **ふくよか(脹よか)** ○ふっくらしているさま。豊かに香るさま。[文例]へふくよかな胸〉女性のふくよかな胸は、男性に母親のやさしさを思い出させてくれます。●へふくよかな感じ〉ふくよかな感じのその婦人が入ってくると、部屋の中は急になごやかになった。へふくよかなかおり〉出されたお茶を一口飲むと、ふくよかなかおりが口中に広がった。 **ふくらみ【膨らみ】(脹らみ)** ○ふくらむこと。また、その程度。ふくらんだ部分。[文例]〈つぼみの膨らみ〉風はまだ冷たいけれど、梅のつぼみの膨らみは日ごとに大きくなっています。●へ膨らみをおびる〉膨らみをおびた少女の胸は、青春の訪れを感じさせてくれる。●へ気持ちの膨らみ〉〈膨らみがしぼむ>楽しみにしていたコンサートが中止と聞いて、気持ちの膨らみがしぼむようでした。 **ふくら・む【膨らむ】(脹らむ)** ○内から盛り上がる。ふくれて大きくなる。[文例]〈空気が膨らむ>空気は温度が上がったり、気圧が下がったりすると膨らみます。●へつぼみが膨らむ〉今年は暖冬だったせいか、桜[さくら]のつぼみが膨らむのも例年より早いようだ。●へほっぺたが膨らむ〉この画家の描[えが]く女性は、みんな目が細く、ほっぺたが膨らんでいる。〈財布[さいふ]が膨らむ〉目つきの鋭[するど]い男は、おじいさんの膨らんだ財布を見のがしませんでした。●へ予算が膨らむ〉国家予算は年々膨らんでいき、今では五十兆円を超えています。●〈夢が膨らむ〉京都の寺を訪れるうちに、ぼくの古代への夢はどんどん膨らんでいった。●〈希望が膨らむ〉開票が進むにつれ、当選の希望はどんどん膨らんでいきました。●〈計画が膨らむ>話し合いを重ねるたびに、ぼくたちの計画は膨らんでいったのです。 **ふくれあがる【膨れ上がる】(脹れ上がる)** ○ふくれて盛り上がる。ふくれて大きくなる。数量が増大する。[文例]〈もちが膨れ上がる>網[あみ]の上でおもちがぷうっと膨れ上がりました。●へ泡[あわ]が膨れ上がる〉ビールをそそぐと、コップの中で白い泡がいきおいよく膨れ上がっていく。●へ数量が膨れ上がる〉店で働く人の数は、創立時の三倍にも膨れ上がりました。●へ希望が膨れ上がる>留学を前にして、わたしの胸の中で希望が膨れ上がっていった。 **ふく・れる【膨れる】(脹れる)** ○内から盛り上がって大きくなる。不機嫌な顔つきをする。[文例]〈もちが膨れる〉網にのせて三分とたたないうちに、もちは膨れてきました。●ヘパンが膨れる〉パンが膨れるのは、イースト菌の働きによるものです。●ヘポケットが膨れる〉公園でどんぐりを拾ってきたという弟のポケットは、ぱんぱんに膨れていた。<膨れた顔「今日は何も買ってあげませんからね。」と言われて、妹はプーッと膨れた顔をした。 **ふくろ【袋】** ○紙・布・皮などで作った入れ物。果肉を含む薄い皮。また、それに包まれた果肉全体。出口のないもの。[文例]〈紙・ビニールの袋>燃えるゴミは紙の袋に、燃えないゴミはビニールの袋に入れてください。●〈おなかの袋>カンガルーはおなかの袋で子供を育てます。●へみかんの袋〉みかんやオレンジは、一房[ひとふさ]ずつうすい袋の中に入っている。◆<袋をはる〉新聞紙を切って袋をはるのは、いちばん下の弟の役目です。食袋に入れる〉大切な書類は、同じ袋に入れて金庫にしまっておきました。<袋の中のねずみ〉建物の中に逃げ込んだ犯人は袋の中のねずみ同然だった。◆〈袋小路〉この先は袋小路になっていて、大通りにはぬけられないよ。袋だたき〉のぞきをしてつかまった男は、女たちから袋だたきにあった。 **ぶくん【武勲】** ○戦争で立てた手柄。[文例]〈武勲を立てる〉若い将校たちは、この戦いで武勲を立てようと勇み立った。●〈戦いの武勲>彼はその戦いの武勲によって、大佐に任じられた。 **ぶけ【武家】** ○武士の血統。武門。武士の家柄。さむらい。[文例]<武家の勢力>江戸幕府の確立により、武家の勢力が揺るぎないものになった。●へ武家の育ち〉その娘は武家の育ちらしく、身のこなしにすきがなかった。 **ぶげい【武芸】** ○武士が身につけるべき技芸。武術。[文例]〈武芸を習う〉武家の子弟は、幼少時から武芸を習うのが常であった。へ武芸の達人>青年剣士は、武芸の達人を求めて武者修行の旅に出た。〈武芸者〉二刀流の武芸者として有名な宮本武蔵は、二天という号で水墨画[すいぼくが]も残している。 **ふけいき【不景気】** ○景気が悪いこと。不況。元気がないさま。[文例]〈世の中が不景気>当時、世の中はひどい不景気で、父の会社も倒産してしまったのです。◆不景気な顔〉どうしたんだい、不景気な顔をして。財布でも落としたのかい。 <964> **ふけいざい【不経済】** ○むだな費用がかかること。[文例]テレビをつけっ放しにしておくのは不経済だと、母はよく注意します。 **ふけつ【不潔】** ○よごれているさま。けがらわしいさま。[文例]〈不潔な手〉いやよ、泥[どろ]のついた不潔な手でわたしの洋服にさわっては。●〈不潔な身なり〉男は、何日も歩き通したように不潔な身なりで現れた。●〈不潔な金〉わいろのような不潔な金は、一切受け取らないことにしている。 **ふけ・る(耽る)** ○一つのことに熱中する。[文例]〈読書にふける>彼は学生時代から、ほとんど運動はせず、もっぱら読書にふけっていた。●〈雑談にふける〉友人と雑談にふけっていて、家に電話をするのを忘れていた。●〈思い出にふける〉昨日は部屋でアルバムをながめながら、なつかしい小学校時代の思い出にふけっていました。●へもの思いにふける〉どんより曇[くも]った空を見つめ、姉はただもの思いにふけっているようです。●〈空想にふける〉小さいころは、もし野球の選手になれたらなどと、空想にふけったこともあった。●〈思案にふける〉いい考えが浮かばないらしく、思案にふける父の表情は深刻です。●く読みふける〉弟は午前中から、借りてきた漫画[まんが]の本に読みふけっている。 **ふ・ける【更ける】(深ける)** ○その時になってから長い時間がたつ。深まる。たけなわになる。「文例]〈夜が更ける〉夜が更けるにつれ、雨はしだいに激[はげ]しくなっていった。秋が更ける〉紅葉[こうよう]の美しい季節も終わり、信濃路[しなのじ]の秋はしだいに更けていきます。 **ふ・ける【老ける】** ○年をとる。老い込む。[文例]〈老けて見える〉山口さんは年のわりには老けて見えますね。人人が老ける〉しばらく見ないうちに、あの俳優もずいぶん老けたようだ。●〈老け込む〉ゴルフをすると疲れるって?そんなに老け込む年でもないだろう。 **ふげんじっこう【不言実行】** ○言葉に出さずに、黙って実行すること。[文例]不言実行を尊[たっと]ぶ〉日本人は不言実行を尊ぶ国民なので、口数少なく行動する人間が信望を集めるようだ。●不言実行する〉不言実行すれば、自然に周囲の信頼を得られるでしょう。 **ふこう【不幸】** ○ふしあわせ。身内の人が死ぬこと。[文例]〈不幸な人>母親の顔も知らないとは、本当に不幸な少年だ。●〈不幸な出来事〉今回の事件は、誤解が生んだ不幸な出来事だった。●不幸が重なる〉不幸が重なって、去年のぼくは災難続きでした。●〈身内に不幸がある〉身内に不幸がありましたので、早退[そうたい]させていただきます。●不幸を味わう〉戦後四十年間、彼らは数知れない不幸を味わってきました。●不幸中の幸い〉建物は全焼しましたが、けが人が出なかったことは不幸中の幸いでした。●不幸のどん底>彼女が急死したという知らせは、ぼくを不幸のどん底にたたき落とした。●不幸にも〉不幸にも、けがによって選手生命を失った者の数は少なくない。 **ふこく【布告】** ○一般に告げ知らせること。[文例]〈布告を出す〉ヒトラー政権下のドイツでは、ユだや人排斥[はいせき]に関する布告が次々に出された。〈布告する〉日本は昭和十六年、アメリカとイギリスに宣戦を布告し、太平洋戦争に突入した。 **ふごう【符号】** ○しるし。目じるし。マーク。[文例]〈符号を使う・用いる〉作文を書くときには、文字のほかにも「」や『』などの符号を使います。●ヘマイナスの符号〉ほら、よく見直してごらん、最後になってマイナスの符号がぬけているよ。●へ符号をつける〉箱[はこ]には符号がつけられ、一目で中身がわかるようになっている。●〈符号を入れる〉カレンダーにはいくつか符号が入れてあったが、あれは何を意味するのだろう。●へ符号で書く〉出席者の名は関係者以外には分からぬよう、すべて符号で書いてあります。 **ふごう【符合】** ○割り符が合うこと。二つの物事がぴったり合うこと。[文例]〈符合する〉新しく得られた情報は、これまでの我々の調査結果とぴったり符合する。●〈符合する〉同じ時刻に同じ場所にいたはずのない二人の話が、不思議に符合するのはなぜだろう。 **ふごう【富豪】** ○大金持ち。金満家。[文例]〈富豪の令嬢[れいじょう]〉あなたは、富豪の令嬢として何不自由なく育てられたのでしょう。●〈大富豪>油田を発見した彼は、一躍大富豪になった。 **ふこうへい【不公平】** ○公平でないこと。[文例]お姉ちゃんにだけ洋服を買ってやるなんて不公平だわ。●不公平な扱い〉不公平な扱いを受けても、わたしはじっと耐えていました。●不公平な社会>不公平な社会があるかぎり、犯罪はなくなりません。 **ふごうり【不合理】** ○道理に合わないこと。理にかなっていないこと。[文例]〈不合理がある〉同じように働いているのに、ある特定の人だけが利益を得るという、そんな不合理があっていいものだろうか。◆不合理な制度>男女平等とはいえ、女性が社会に出て働くうえでまだまだ不合理な制度が多い。◆不合理な仕組み〉世の中の不合理な仕組みは少しずつ改められてきた。 **ふこころえ【不心得】** ○心がけがよくないこと。[文例]不心得をさとす〉老人は、少年たちに、鳥や動物をいじめる不心得をこんこんとさとした。◆不心得を改める〉きみを含めてみんなで定めたルールを破るような不心得は改めなさい。◆不心得をする〉盗みなんて、そんな不心得をしたことはありません。◆不心得なやつ〉場所がらもわきまえずにつばを吐きちらすとは、不心得なやつだな。◆不心得者>おまえのような不心得者はこの家から出ていけ。 **ぶこつ【武骨・無骨】** ○ごつごつしているさま。洗練されていないさま。無作法なさま。[文例]〈武骨な手>老人は武骨な手でこわごわ赤ん坊を抱くと、目を細めてあやし始めた。●〈武骨者〉武骨者ゆえ、風流の何たるかを解しません。 **ふさ【房】** ○束ねた糸の先端を散らして垂らしたもの。花や実などが群がって垂れ下がったもの。袋状に垂れ下がったもの。[文例]〈ぶどうの房〉ぶどうの房のつけ根を持って、三四回左右に揺すってみました。●〈房になる〉フジのように、房になって花の咲く植物もあります。◆ヘ一房〉妹はミカンを一房食べると、すっぱかったのか吐き出してしまった。 <965> **ふさい【夫妻】** ○夫と妻。夫婦。[文例]わたしは明日、青木氏夫妻にお目にかかる予定です。御夫妻は福祉関係の仕事で活躍中です。 **ふさい【負債】** ○金銭や物を借りて返済の義務を負うこと。また、その金銭や物。[文例]〈負債の返済〉負債の返済のために、家屋敷を手ばなさなければならない。●へ負債をかかえる>当時わたしは、事業に失敗して多額の負債をかかえていた。 **ふざい【不在】** ○その場にいないこと。家にいないこと。留守。[文例]父はただ今不在ですので、改めておこしください。◆<国民不在〉国民不在の政治に民衆の不満は次第につのっていった。 **ぶさいく【不細工・無細工】** ○細工がまずいさま。かっこうが悪いさま。顔立ちが整っていないさま。[文例]不細工な人形〉少女は手づくりらしい不細工な人形を、大事そうに胸に抱いていた。●〈不細工な顔>生まれたばかりのわが子は、おさるさんのような不細工な顔をしていた。 **ふさがる(塞がる)** ○閉じる。閉ざされる。いっぱいに詰まる。詰まって通じなくなる。あきがなくなる。余地・余裕がなくなる。[文例]〈口がふさがる>荷物を全部つめこんだら、リュックの口がふさがらなくなった。●〈目がふさがる〉昨夜ほとんど寝ていなかったので、授業中目がふさがりそうになって困った。●〈傷がふさがる〉思ったより傷は深くて、ちゃんとふさがるまで三週間もかかりました。へ港がふさがる〉流水で港がふさがっている間は、漁は休みになります。●へ電話がふさがる〉駅の公衆電話はあいにくどれもふさがっていた。●〈手がふさがる〉ドアの向こうから、両手がふさがっているから開けてくれ、という声がした。●〈時間がふさがる〉その日はふさがっているので、とても旅行には参加できません。●へ胸がふさがる〉優勝が決まった瞬間[しゅんかん]、喜びで胸がふさがって何も言葉が出なかった。〈部屋がふさがる〉ホテルに電話したときには、部屋はもうすべてふさがっていました。◆く開いた口がふさがらない〉彼女の変わり身の早さに、ぼくは開いた口がふさがらなかった。 **ふさぎこ・む【ふさぎ込む】(塞ぎ込む)** ○心配・失意などのために気持ちが落ちこむ。めいる。[文例]長女は受験に失敗してから、すっかりふさぎ込んでしまいました。◆最近ふさぎ込んでいるようだけど、何か心配事でもあるのかい? **ふさく【不作】** ○作物の出来が悪いこと。物事の出来が悪いこと。[文例]〈作物が不作〉天候が不順のせいで、今年は農作物が不作でした。●〈作品が不作〉今年のコンクールは目ぼしい作品が少なく、不作の年です。●〈百年の不作>悪妻は百年の不作というけれど、わたしはどうかしら、ねえ、あなた? **ふさ・ぐ(塞ぐ)** ○閉じる。閉ざす。覆ってさえぎる。いっぱいに詰めこむ。物を詰めて通じなくする。憂鬱[ゆううつ]になる。めいる。[文例]〈穴をふさぐ〉器用な父は、あっという間に塀の穴をモルタルでふさいでしまった。●〈口をふさぐ〉先生が何を言っても、山田君は口をふさいだまま答えようとしない。●〈目をふさぐ〉血生臭[ちなまぐさ]い光景に、ぼくは思わず目をふさいだ。●〈場所をふさぐ〉このダンボールをかたづけてくれないか、場所をふさいで困るんだよ。●へ道をふさぐ〉落石が国道をふさいでから、まる一日たちました。●へ気[き]がふさぐ〉仕事の面で何かと気がふさぐことが多いらしく、彼はさっぱり元気がない。●へふさいだ顔〉日ごろ陽気な高木さんが今日はめずらしくふさいだ顔をしています。 **ふざ・ける(巫山戯る)** ○おどける。たわむれる。遊び騒ぐ。人をばかにする。[文例]〈友達とふざける〉ホームで友達とふざけていたら、駅員さんに注意された。●へふざけた調子〉ちり紙交換の車がちょっとふざけた調子で町を回っている。●へふざけたまね〉後から来たくせに先に入ろうなんて、ふざけたまねをするな。●へふざけたことを言う〉約束[やくそく]を忘れていただなんて、ふざけたことを言わないで。どうしておまえの言うことを聞かなければならないんだ、ふざけるな。 **ぶさた(無沙汰)** ○長い間、便りや訪問をしないこと。[文例]〈無沙汰をわびる久しぶりに会った先生に、まず卒業以来の無沙汰をおわびしました。へ無沙汰する〉忙しい日が続いて、田舎の両親にも無沙汰しています。◆ご無沙汰致しておりますが、お変わりございませんか。 **ぶさほう【不作法・無作法】** ○礼儀作法をわきまえないこと。ぶしつけ。[文例]不作法をする〉おじいちゃんは厳しい人だから、不作法をしてはいけませんよ。◆不作法をたしなめる〉年配の紳士が、穏[おだ]やかな調子で席を一人占めする男の不作法をたしなめた。◆不作法なふるまい〉その酔っぱらいの不作法なふるまいに、居合わせた人々はまゆをひそめた。 **ぶざま【不様・無様】** ○みっともないさま。見苦しいさま。[文例]〈ぶざまなかっこう〉駅の階段ですべって、ぶざまなかっこうを人に見られてしまった。◆〈ぶざまな敗北〉ろくに練習もしないで試合にのぞんだわたしたちは、第一戦でぶざまな敗北を喫[きっ]した。 **ふさわし・い(相応しい)** ○適している。つり合っている。[文例]〈中学生にふさわしい〉もっと中学生にふさわしい格好をするように心がけなさい。●へふさわしい服装〉どんな場合にも、それにふさわしい服装があるものです。●へ名にふさわしい〉このすばらしい景色は、まさに雪見峠[とうげ]という名にふさわしい。●〈ふさわしい人物〉冷静なN君こそ、議長にふさわしい人物だと思います。●〈場にふさわしい〉彼のスピーチがその場にふさわしかったとは思えません。〈収入にふさわしい生活〉ぜいたくばかり言ってないで、収入にふさわしい生活をするべきだ。 **ふし【節】** ○竹などの茎のかたくふくれた部分。木の幹から枝の出た跡。関節。糸などのこぶ状の部分。区切り。メロディ。箇所。点。とき。おり。[文例]〈竹の節〉おじいさんは、庭に腰[こし]を下ろして、次々と竹の節をくりぬいていきます。●〈木の節〉同じ長さの角材でも、節の多いものは値が安い。 <966> ふし ◆<指の節〉彼は、踊りの先生には見えない、節の太い武骨[ぶこつ]な手をしている。〈体の節々>昨日の山歩きがこたえて、今日は体の節々が痛いよ。◆〈歌の節〉歌詞は忘れてしまったけれど、節は覚えています。●へ節をつける〉絵本に変な節をつけて読んでいるのは、いちばん下の弟です。●へ怪[あや]しいふしがある〉あの男の言動には、二、三怪しいふしがある。◆<節目>長い人生の中にも、大きな節目がいくつかあるものだ。 **ふし【不死】** ○いつまでも死なないこと。[文例]不老不死>不老不死の妙薬というものを、古来、人々は探し求めてきた。◆〈不死鳥〉事故で大けがをしたチャンピオンが不死鳥のごとくよみがえった。 **ふじ【不時】** ○思いがけない時。予定外の時。[文例]不時の出費>病気や災害など不時の出費のために、少しでも蓄[たくわ]えが必要です。●不時の客〉冷凍庫の普及で、どの家庭でも不時の客をあわてずにもてなすことができるようになった。◆<不時着〉セスナ機は、広大なトウモロコシ畑に不時着した。 **ふじ【不治】** ○病気が治らないこと。ふち。[文例]不治の病[やまい]〉あんなに元気だった叔父[おじ]が不治の病にかかっているなんて…...。 **ぶし【武士】** ○さむらい。[文例]〈武士の情け〉頼む、武士の情けだ。このことはだれにも言わないでくれ。◆武士は食わねど高楊枝[たかようじ]〉武士は食わねど高楊枝といいますが、やはり腹はすくものです。◆武士に二言無し〉だいじょうぶ、約束はきっと守るよ。武士に二言無しというじゃないか。武士は相身[あいみ]互い>武士は相身互いだ、仲間同士助け合っていこう。 **ぶじ【無事】** ○過失・事故・病気・死亡などといった悪いことが起こっていないこと。[文例]〈無事を祈る〉息子が戦場に行ってしまうと、もう母親は毎日息子の無事を祈[いの]るだけだ。◆<無事を知らせる〉姉の嫁いだ町で地震[じしん]があり、心配していたが、すぐに無事を知らせる電話があった。●へ無事に過ごす〉何千匹[ぴき]も生まれる幼虫のうち、最初の一か月を無事に過ごせるものはごくわずかだ。●へ無事を祝う〉世界一周の旅を終えた客船の乗員たちは、関係者とともに航海の無事を祝った。●へ無事でなにより〉連絡[れんらく]がなかったからずいぶん心配したけれど、まあ、無事でなによりです。 **ふしあな【節穴】** ○板などの節の抜けた穴。物事を見抜く力のないこと。[文例]〈天井の節穴〉たいくつのあまりごろりと横になると、わたしは天井の節穴をかぞえていた。へ目が節穴〉こんなひどい誤字に気がつかないなんて、きみの目は節穴か! **ふしあわせ【不幸せ・不仕合わせ】** ○幸せでないこと。不幸。[文例]不幸せな男〉事業はどれも成功したが、家庭的には不幸せな男だった。◆不幸せな人生>肌[はだ]の色が違うというだけで、彼らは不幸せな人生を送らねばならなかった。〈不幸せな境遇>努力する以外、今の不幸せな境遇を脱[だっ]することはできないだろう。●不幸せにみまわれる〉これまでは順調でも、いつ思わぬ不幸せにみまわれるやも知れない。 **ふしぎ【不思議】** ○(「不可思議」の略)ふつうでは考えられないこと。わけの分からないさま。[文例]岩本さんがいなくなったことに、だれも気がつかなかったのは本当に不思議だ。●〈不思議な話〉昨日おじいさんから、昔このお寺で起こったという不思議な話を聞きました。●〈世にも不思議な〉オーストラリアに生息するカモノハシは、ほ乳類なのに卵を産む、世にも不思議な動物です。●〈生命の不思議>現代の科学をしても、宇宙の神秘や生命の不思議はまだ解明されていない。●〈不思議と〉この時間はいつも群がっているカラスが、その日は不思議と一羽も見当たらなかった。●〈不思議はない>彼がコーチをしたのなら、山川君があんなに上達したのも不思議はない。 **ふしくれだ・つ【節くれ立つ】(節榑立つ)** ○節が多くてごつごつしている。関節がごつごつしている。[文例]〈節くれ立った枝〉節くれ立った枝が、かき根の外にのびていた。〈節くれ立った手>老人は節くれ立った手にくわを持って、朝早くから日暮れまで畑を耕した。 **ふしぜん【不自然】** ○自然でないさま。わざとらしいさま。[文例]机の上に置いてあった手紙に気がつかないなんて、どう考えても不自然だよ。●〈不自然な笑い方〉わたしが話しかけると、彼は不自然な笑い方をした。◆不自然な態度〉正直な彼女は、うそをつこうとするとどうしても不自然な態度になってしまう。◆不自然な感じ〉バックに置かれた木は、どこか不自然な感じがします。◆ヘ行動が不自然〉今考えてみれば、事件当夜の男の行動は不自然だった。●〈会話が不自然〉何か秘密[ひみつ]があったらしく、二人の会話は不自然な気がしました。◆不自然に動かす〉刑事は、容疑者が左手を不自然に動かすのを見のがさなかった。 **ふしだら** ○だらしないこと。品行が悪いさま。じだらくなさま。[文例]〈ふしだらな女ボーイフレンドが大勢いるので、おじいさんはわたしをふしだらな女と決めつけていました。●へふしだらな生活〉酒に明け暮れるふしだらな生活が男の性格を変えてしまった。 **ふじつ【不実】** ○不誠実。事実でないこと。[文例]不実を貴[せ]める〉心変わりしたのはわたしだから、恋人から不実を責められても仕方がない。●〈不実な男〉あなたが大切な約束を破るような不実な男とは思いませんでした。 **ぶしつけ【不仕付け】(不躾)** ○無作法なさま。露骨なさま。[文例]〈ぶしつけな質問〉初対面なのにこんなぶしつけな質問をしてすみません。●へぶしつけな態度〉そのセールスマンは、初めの丁寧[ていねい]さはどこへやら、だんだんぶしつけな態度になってきた。〈ぶしつけに尋[たず]ねる〉相手はわたしの私生活についてぶしつけに尋ねた。 **ふしまつ【不始末】** ○きちんと始末しないこと。ふらちな行い。[文例]〈火の不始末〉昨夜の火事は、台所の火の不始末が原因だったということだ。●不始末をする〉奉公に出た娘が店の若だんなと不始末をしたというので、泣く泣く実家に帰されてきた。●〈不始末をしでかす〉使いこみという不始末をしでかしたのでは首は当然だ。 <967> **ふじみ【不死身】** ○どんなことがあっても死なないこと。どんな困難にも屈しないこと。また、そういう人やその肉体。[文例]〈不死身の体〉火の出るような厳しい訓練が彼の不死身の体を作りあげた。●不死身な男〉あの不死身な男が、これくらいの事故で死ぬわけがない。 **ふしめ【節目】** ○節の部分。物事の区切りとなるところ。[文例]〈竹の節目〉切った竹の節目を生かして、花生けを作りました。●〈人生の節目>卒業式や結婚式は、人生の節目といえます。 **ふしめ【伏し目】** ○うつむいて見ること。また、その姿勢。[文例]〈伏し目になる〉娘は、伏し目になったまつ毛の裏に涙をいっぱいためていた。〈伏し目がち〉内気な少女ですから、いつも伏し目がちに話をします。 **ふしゅう【腐臭】** ○物の腐ったにおい。文例〈腐臭がする〉部屋のドアを開けると、何だかわからないが、ひどい腐臭がした。♠へ腐臭が漂[ただよ]う〉裏通りには、どぶ川の腐臭が漂っています。●へ腐臭を放つ〉放置された動物の死骸は、すぐに腐臭を放ち始めた。 **ふじゅう【不自由】** ○自由にならずに困ること。不便なこと。家計が苦しいこと。[文例]〈体が不自由〉シルバーシートはお年寄りや体の不自由な人のためのものです。●不自由になる〉ちっぽけな渡し舟[わたぶね]でも、なくなれば、人々の生活が不自由になるかもしれない。●不自由を感じる〉一人暮らしも慣れてしまえば、これといって不自由は感じません。◆〈不自由をかける〉機械の故障中、多くの方々に不自由をおかけしたことをおわびします。●〈不自由をする〉この路線が廃止[はいし]になれば、村人たちは町への往復にたいへん不自由をすることでしょう。◆不自由する〉父親が病気で倒[たお]れてから、一家はその日食べるものにも不自由するほど困っている。●〈何不自由なく〉生まれてこのかた何不自由なく育ったきみには、ぼくの生活など想像もつかないだろうな。 **ふじゅうぶん【不十分・不充分】** ○十分でないさま。[文例]〈表現が不十分〉ていねいに書いたつもりでも、読み返してみると表現の不十分なところがあるものです。●へ勉強が不十分>進学しようと思っているのだろうが、きみの今の勉強では不十分だ。●〈証拠不十分〉犯人とおぼしき人物は、取り調べの結果証拠不十分ということで起訴されなかった。 **ふじゅん【不順】** ○順調でないさま。[文例]不順な天候〉今年は不順な天候が続くので、作物の出来はどうかと心配している。◆天候不順〉天候不順の折から、健康にはご注意ください。 **ふじゅん【不純】** ○純粋でないさま。純真でないさま。[文例]〈不純な動機>女がその老人に親切にしたのは、老人の財産目当ての不純な動機からだった。●〈不純な交遊〉かつて、日本の社会は青少年男女の不純な交遊にはきわめて厳しかった。●不純物〉わたしたちは、その物質から不純物を除こうとさまざまな実験を試みた。 **ふじょ【婦女】** ○婦人。女性。[文例]〈婦女のたしなみ〉祖母の出た女学校では、婦女のたしなみとして茶道や華道を厳しく指導したそうです。 **ふじょ【扶助】** ○助け支えること。援助。[文例]〈親の扶助>親の扶助がなければ、子は育ちません。◆◇子の扶助>子の扶助は、もとより親の責任です。●へ扶助する〉国家や社会は、困っている人や弱い人たちを扶助する義務があると思います。●〈相互扶助下町には相互扶助の精神が強く、困っている人には隣近所が手を差しのべます。 **ぶしょ【部署】** ○組織内の人々に割り当てられた任務・持ち場。[文例]<部署につく〉攻撃の時刻が近づくと、兵士たちはそれぞれの部署についた。●へ部署に配置する〉人員を最も適した部署に配置することが、仕事の能率を上げる第一歩です。 **ふしょう【負傷】** ○けがをすること。傷つくこと。[文例]<負傷する>野戦病院には、負傷した兵士たちが次々に運び込まれてきた。●へ負傷者〉事故の負傷者を収容した病室からは、低いうめき声がもれていた。 **ふしょう【不肖】** ○親に似ず愚かなこと。愚かなこと。自分をへりくだっていう語。[文例]〈不肖の子〉不肖の子であるわたしには、とても父の会社を継ぐ力などありません。◆不肖の身〉不肖の身には、その時の恩師の言葉の真意がくみとれなかった。◆不肖私がその役を務めます。 **ふしょう【不詳】** ○詳しくはわからないこと。[文例]〈生没年が不詳>室町時代の人物であることは確からしいが、生没年は不詳ということだ。◆〈身元不詳〉殺された男は身元不詳で、事件は謎[なぞ]につつまれていた。 **ふじょう【浮上】** ○浮かび上がること。よい状態になること。[文例]〈浮上する>潜水艦[せんすいかん]はゆっくりと海上に浮上し、その不気味な姿を現した。●〈浮上する〉猛勉強の成果が出て、成績は下位からトップクラスに浮上した。 **ふじょう【不浄】** ○清浄でないこと。けがれているさま。便、また便所。[文例]不浄な金>賄賂[わいろ]のような不浄な金を受け取ってはならない。●〈身の不浄〉断食の前に身の不浄を清め、僧は一人草庵[そうあん]にこもった。●ご不浄〉奥さま、ご不浄の掃除[そうじ]ができました。 **ぶしょう【不精・無精】** ○めんどうくさがること。ものぐさ。[文例]〈不精をする〉これこれ、不精をしないで、ふすまは手で閉めなさい。◆不精な人不精な若者だったから、部屋はちらかし放題になっていた。●〈不精ひげ〉徹夜[てつや]明けの父は、不精ひげを伸ばしていた。◆◇筆不精〉彼は筆不精で、手紙を出してもなかなか返事をくれない。●〈出不精〉わたしは出不精で、休日は家でのんびり本を読んでいるほうが好きだ。 **ぶしょう【武将】** ○武士団の大将。[文例]織田信秀[おだのぶひで]は戦国時代の武将で、織田信長の父である。◆戦乱の世には、知略にたけた優れた武将が輩出[はいしゅつ]した。 **ふしょうじ【不祥事】** ○好ましくない事柄。いまわしい事件。[文例]不祥事を起こす〉息子が過[あやま]って人を傷つけるという不祥事を起こした。●〈不祥事の始末〉校内暴力という不祥事の始末に、教師たちは連日対応策を練った。 <968> **ふしん【不振】**○ふるわないこと。盛んでないこと。[文例]〈経営が不振〉石油ショック以来、わが社の経営は不振である。♠〈産業が不振〉貿易収支が赤字となったことには、自動車産業の不振が大きく響いている。♠〈事業の不振〉父は何年も続く事業の不振を、ため息まじりに嘆[なげ]いていた。♠〈不振に陥る[おちいる]〉主力選手が第一線を退いてから、チームは不振に陥った。♠〈不振から脱出[だっしゅつ]する〉コーチのアドバイスをきっかけに、彼は不振から脱出していった。♠〈売れ行き不振〉〈不振に悩む〉当時当社は、新製品の売れ行き不振に悩んでいました。♠〈食欲不振〉ストレスがたまっているのかな、このところずっと食欲不振が続く。 **ふしん【不信】**○誠実でないこと。信用しないこと。信仰心がないこと。[文例]〈不信の念〉彼のあいまいな態度に、ぼくらはっそう不信の念を強くした。♠〈不信がつのる〉何度かデートを重ねるうちに、彼への不信がつのっていった。♠〈不信をまねく〉軽はずみな一言が友達の不信をまねくこともある。♠〈不信の徒[と]〉私は不信の徒ではない。(太宰治「走れメロス」)♠〈不信感〉事件をきっかけに、当局への不信感が一気に爆発[ばくはつ]してしまった。 **ふしん【普請】**○人々の協力を得て寺院の堂・塔を建築・修理すること。建築すること。また、その建築物。土木工事。[文例]〈普請する〉家を普請するので、ぼくたちはしばらく借家住まいをすることになった。♠〈安普請〉安普請の旅館だったので、建ててから数年にしてあちこちが傷み始めた。 **ふしん【腐心】**○心をいため悩ますこと。苦心。[文例]〈腐心する〉政治家は、そのポーズや発声に気をつかい、演説の効果に絶えず腐心している。♠〈腐心する〉小さな会社の経営者ですから、資金の算段には日ごろ腐心しております。 **ふじん【婦人】**○成人した女性。[文例]〈婦人の地位〉第二次大戦後、婦人の地位は著[いちじる]しく向上しました。♠〈上品な婦人〉電話の様子から、相手はかなり上品なご婦人であることがわかった。♠〈婦人物〉お母さんが婦人物売り場で買い物をしている間、子供たちはおもちゃ売り場で遊んでいた。♠〈婦人優先〉日本にはヨーロッパほど、婦人優先の習慣が定着していません。 **ふじん【夫人】**○他人の妻を敬っていう語。[文例]〈夫人を同伴する〉M氏は、七時ちょっと前に夫人を同伴してレストランに姿を現した。♠〈社長夫人〉パーティーには珍[めずら]しく、社長夫人もお見えになっています。 **ふ・す【伏す】(臥す)**○体を地面や床などにつけて低くする。身を隠す。横になる。床[とこ]につく。[文例]〈地面に伏す〉すさまじい爆発に驚いて、わたしたちは地面に伏した。♠〈病床[びょうしょう]に伏す〉旅先で病床に伏した芭蕉[ばしょう]は、そのまま帰らぬ人となった。♠〈伏して願う〉お聞き届けくださいますよう、伏してお願いいたします。♠〈泣き伏す〉息子の雪山遭難の悲報に、母親は泣き伏した。 **ふずい【付随・附随】**○主となる事柄につき従って起こること。[文例]〈付随する〉自己の権利を主張しようというなら、それに付随する責任を果たさなければならない。♠〈付随する〉計画案を検討していくと、それに付随して起こる問題の多いことがわかった。 **ぶすい【不粋・無粋】**○いきでないさま。やぼなさま。[文例]〈不粋な人〉デートの邪魔[じゃま]をするなんて、きみは不粋な人だね。♠〈不粋な話〉楽しい酒の席で、税金のことなど不粋な話を持ち出さないでくれ。 **ふ・する【付する・附する】**○つき従う。付ける。ゆだねる。処理する。[文例]〈略歴を付する〉作品の末尾には、作者の略歴が付してあった。♠〈審議に付する〉その提案は、次回の委員会で審議に付されることになった。♠〈不問に付する〉若い社員の将来を考えて、わたしはその失策を不問に付すことにした。♠〈荼毘[だび]に付する〉父のなきがらは、家族の見まもる中で荼毘に付された。♠〈一笑に付する〉内部にスパイがいるのではと注意したが、司令官は一笑に付してとりあわなかった。 **ふしょうふしょう【不承不承】**○いやいやながら。しぶしぶ。[文例]〈不承不承従う〉意見には納得できなかったが、多数に押しまくられて不承不承従った。♠〈不承不承引き受ける〉やり手のない面倒[めんどう]な仕事を不承不承引き受けました。 **ふじょうり【不条理】**○筋道が通らないこと。道理に合わないこと。[文例]〈不条理な話〉最初に来た者が後回しになるなんて、そんな不条理な話があるものか。♠〈不条理の思想〉カミュは『ペスト』で、ペストの流行する町の深刻な体験を描きながら、不条理の思想を述べている。♠〈戦争の不条理〉自分が生きのびるために人を殺戮[さつりく]するという戦争の不条理を若い兵士は体験した。 **ふしょく【腐食】(腐蝕)**○物が腐って形が崩れること。また、腐らせて形を崩すこと。[文例]〈金属の腐食〉〈腐食を防ぐ〉この金属には、腐食を防ぐために特殊な薬品が塗ってあります。♠〈腐食する〉物置の屋根のトタン板が腐食して、穴があいてしまった。 **ぶじょく【侮辱】**○はずかしめること。はずかしめ。[文例]〈堪えがたい侮辱〉尊敬している父親がペコペコ頭を下げることは、息子にとって堪えがたい侮辱だった。♠〈侮辱を受ける〉どんな侮辱を受けたのか、彼は大いに腹を立てていた。♠〈侮辱を加える〉穏和[おんわ]な人だったが、それ以上の侮辱を加えられれば黙っていなかったろう。♠〈侮辱する〉あんなやつに侮辱されてはだまっていられない。 **ふしん【不審】**○疑わしいこと。はっきりしないこと。[文例]〈不審な男〉事件当日、通りをうろついていた不審な男の正体は、今も分かっていません。♠〈不審な点〉彼が犯人ではないかと疑われたのは、その行動に不審な点があったからです。♠〈不審なところ〉渡された請求書には、不審なところがあったので、問い合わせてみました。♠〈不審に思える〉青木さんの落ち着きのない態度が不審に思えてしかたがなかった。♠〈不審の念〉委員長のあいまいな答弁に、委員が不審の念を抱いたのも無理はない。♠〈挙動不審〉映画館の前で友達と待ち合わせたら、挙動不審でおまわりさんに注意された。 <969> **ふせい【不正】** ○正しくないこと。[文例]不正な手段〉このお金は、決して不正な手段で手に入れたものではありません。◆不正に得る〉業者が不正に得た収入は、一年間で二千万近くにもなったそうだ。●〈不正を行う〉会計という立場を利用して、彼は今までかなりの不正を行ってきたらしい。◆不正を働く〉あの真面目[まじめ]な男が不正を働くとは考えられない。不正を正す>最近、政治家の不正を正そうとする動きが活発になっています。◆不正を暴[あば]く>会社の不正を暴くために、捜査官[そうさかん]は二年の月日を費やしました。〈不正をとがめる>監督[かんとく]の不正をとがめるだけの勇気がぼくにはなかった。 **ふぜい【風情】** ○風流な味わい。おもむき。様子。ありさま。(いやしめ、または謙そんして)・・・のようなもの。[文例]〈風情がある〉朝の港町には、何とも言えない独特の風情がある。●〈風情がない〉この庭はただ広いばかりで、何の風情もない。●〈風情を感じる〉寺の本堂からは、七百年という歴史に支えられた重みと風情が感じられます。●〈風情が失われる>京都も近代化が進み、古都らしい風情が失われつつあるとも言われます。●へ〜しかねない風情〉その娘[むすめ]の力ない足どりといったら、今にも川に飛び込みかねない風情である。●へわたしふぜい>青年部の会長などといった大役は、わたしふぜいにはとても似合いません。●〈町人ふぜい〉町人ふぜいになにがわかると、浪人[ろうにん]は吐[は]き捨てるように言った。 **ふせいしゅつ【不世出】** ○世にまれなほどすぐれていること。[文例]不世出の天才〉レオナルド=ダ=ビンチはルネサンスイタリアの不世出の天才である。◆不世出のピアニスト>ホロヴィッツは不世出のピアニストで、日本にもファンが多い。 **ふせき【布石】** ○囲碁で対局の初めの石の並べ方。将来に備えてととのえる手はず。[文例]〈囲碁の布石>囲碁では、序盤戦の布石が勝敗の決め手となることが多いのです。〈布石とする>当社は、全国の各ブロックに営業所を置き、販売の全国的な展開への布石とする考えをもっています。〈布石を打つ〉今後の発展のために布石を打つ必要がある。 **ふせ・ぐ【防ぐ】** ○さえぎり止める。くい止める。[文例]〈攻撃[こうげき]を防ぐ〉アルマジロは体を丸くして、敵の攻撃を防ぎます。●〈侵入[しんにゅう]を防ぐ〉今の兵力では、とても敵の侵入を防ぐことなど不可能だ。●〈雨を防ぐ〉降りだした雨を防ごうとして、ぼくたちは木陰に入りました。●へ寒さを防ぐ〉山小屋の中で、隊員たちは体を寄せあって寒さを防いでいた。●〈事故を防ぐ〉〈未然に防ぐ〉若者の機転が大事故を未然に防いだのです。●〈病気を防ぐ〉医学が発達していなかったころは、町を焼き払うことも伝染病の流行を防ぐ方法の一つだった。●へ腐敗[ふはい]を防ぐ〉この食品には腐敗を防ぐために、いくつかの物質が使われています。 **ふせつ【敷設・布設】** ○設備や装置を敷き設けること。[文例]〈ガス管の敷設〉わが町にもガス管の敷設が進み、都市ガスが利用できるようになりました。●〈敷設する〉都市の地下には、電気や電話のケーブル、水道管やガス管などが敷設されている。●へ鉄道敷設>小田原熱海[おだわらあたみ]間に、軽便[けいべん]鉄道敷設の工事が始まったのは、良平が八つの年だった。(芥川龍之助[あくたがわりゅうのすけ]「トロッコ」) **ふせっせい【不摂生】** ○健康に注意を払わないこと。不養生。[文例]不摂生がたたる>長年の不摂生がたたって、とうとう父は体をこわしてしまった。●〈不摂生を慎[つつし]む>退院してからのわたしは不摂生を慎み、規則正しい生活をするよう心がけています。●不摂生をする〉不摂生をすると、健康をそこないます。●不摂生な生活>毎晩遅くまで仕事をして、朝は食事も取らずに出かけるという不摂生な生活が続いた。 **ふ・せる【伏せる】** ○下に向ける。下向きにする。低い姿勢にする。ひそませる。秘密にする。押さえ取る。[文例]〈カードを伏せる〉全員に配り終わるまで、カードは伏せたままにしておいてください。●ヘコップを伏せる〉棚の中に伏せてあるコップを使ってもいいですよ。●〈体を伏せる〉足音がしたので、とっさに机の陰に体を伏せました。●へ本を伏せる>兄は読みかけた本を伏せ、電話をかけに下へ下りていった。●〈目を伏せる〉彼女は目を伏せ、じっと涙[なみだ]をこらえています。へ名を伏せる〉特に名前は伏せるが、この中に下級生に暴力をふるった者がいる。●く話を伏せるこの話は内緒[ないしょ]ですから、他の人には伏せておいてくださいよ。 **ふせ・る【伏せる】(臥せる)** ○横になる。床につく。[文例]〈病床にふせる>祖母は、先月から病床にふせっております。 **ぶぜん(憮然)** ○失望するさま。驚きあきれるさま。[文例]〈憮然とする〉納得できる作品ではなかったので、人がその絵をほめても、画家は憮然としていた。<憮然たる面持[おもも]ち〉教授は、学生たちの知的好奇心の不足に対して憮然たる面持ちであった。 **ふそ【父祖】** ○親や祖先。先祖。[文例]〈父祖の墓〉十年ぶりに故郷に帰ったわたしは、まず父祖の墓に参った。へ建国の父祖〉フランクリンは、アメリカ合衆国の建国の父祖の一人である。●〈父祖伝来〉この日本刀は父祖伝来の品で、わが家の家宝です。 **ぶそう【武装】** ○戦闘のための服装・準備をすること。[文例]<武装を解く>政府との交渉がまとまると、ゲリラ兵士たちは十年ぶりに武装を解いた。●へ武装する〉島のあちこちには武装した兵士たちがひそんで、敵の上陸を待った。へ武装解除>町を占領[じょう]した政府軍は、ただちに反政府軍の武装解除を命じた。 **ふそうおう【不相応】** ○ふさわしくないさま。つり合わないさま。[文例]〈小学生に不相応〉お礼にといって与えられたお金は、小学生には不相応な額であった。●〈政治家に不相応>他人の不幸をわがことのように感じるのは、政治家としては不相こ応な性格といえるかもしれない。●〈身分不相応〉兄は車を欲しがっているが、父は身分不相応だといって取り合わない。 **ふそく【不足】** ○足りないこと。不十分なこと。不満。不平。[文例]〈不足が出る〉この売り上げでは、五十万円以上の不足が出る。 <970> ふそく にゆう ばつりよく 足[あし]が出[で]ることは明[あき]らかだ。●[文例]不足[ふそく]がある。ない〉残[のこ]された遺産[いさん]で、一家[いっか]は何[なん]の不足[ふそく]もない暮[く]らしをしていた。へ〜として不足[ふそく]はない〉あの男[おとこ]ならパートナーとして不足[ふそく]はない、うまくやっていけそうだよ。●く相手[あいて]にとって不足[ふそく]はない〉今度[こんど]の相手[あいて]は優勝候補[ゆうしょうこうほ]のF中[ちゅう]だ、相手[あいて]にとって不足[ふそく]はないぞ。●〈何[なに]が不足[ふそく]で〉あれだけの好成績[こうせいせき]をとって、この上何[うえなに]が不足[ふそく]でそんな顔[かお]をしているんだい。●不足[ふそく]を補[おぎな]う〉歳入[さいにゅう]の不足[ふそく]を補[おぎな]うため、政府[せいふ]は増税[ぞうぜい]を実施[じっし]しようとしていた。◆<不足[ふそく]な物[もの]〉一応必要[いちおうひつよう]な物[もの]はそろえたつもりだが、それでも不足[ふそく]な物[もの]があったら言[い]ってくれ。◆不足[ふそく]する>彼[かれ]は瞬発力[しゅんぱつりょく]はあるのだが、持続力[じぞくりょく]が不足[ふそく]している。 **ふそく【不測】** ○予測[よそく]できないこと。[文例]不測[ふそく]の事態[じたい]>試合[しあい]を目前[もくぜん]にひかえて、エースの急病[きゅうびょう]という不測[ふそく]の事態[じたい]が生[しょう]じた。●不測[ふそく]の災難[さいなん]>先生[せんせい]は旅行中[りょこうちゅう]に不測[ふそく]の災難[さいなん]にあって、目[め]が不自由[ふじゆう]になりました。 **ふぞく【付属・附属】** ○主[おも]となるものに属[ぞく]していること。[文例]〈大学[だいがく]に付属[ふぞく]する〉この研究所[けんきゅうじょ]は市立大学[しりつだいがく]の工学部[こうがくぶ]に付属[ふぞく]している。♠〈付属[ふぞく]する問題[もんだい]〉話[はな]し合[あ]いは大筋[おおすじ]では同意[どうい]に達[たっ]したが、まだ付属[ふぞく]するいくつかの問題[もんだい]が残[のこ]っている。◆<付属高校[ふぞくこうこう]〉姉[あね]はある私立大学[しりつだいがく]の付属高校[ふぞくこうこう]に通[かよ]っています。◆へ付属病院[ふぞくびょういん]>医学部[いがくぶ]に通[かよ]っている兄[あに]は、今度大学[こんどだいがく]の付属病院[ふぞくびょういん]で研修[けんしゅう]を行[おこな]うそうです。●へ付属品[ふぞくひん]>本棚[ほんだな]を取[と]りつけるネジは、付属品[ふぞくひん]のビニール袋[ぶくろ]の中[なか]に入[はい]っているはずだ。 **ぶぞく【部族】** ○同[おな]じ祖先[そせん]をもち、ある地域[ちいき]に住[す]んで生活活動[せいかつかつどう]をともにする集団[しゅうだん]。種族[しゅぞく]。[文例]〈部族[ぶぞく]に分[わ]かれる〉インディアンは、多[おお]くの部族[ぶぞく]に分[わ]かれていた。◆部族[ぶぞく]の抗争[こうそう]〉まだ文字[もじ]のなかったころから、人々[ひとびと]は厳[きび]しい自然[しぜん]との戦[たたか]いや他[ほか]の部族[ぶぞく]との抗争[こうそう]を、神々[かみがみ]や英雄[えいゆう]の物語[ものがたり]として語[かた]り伝[つた]えてきた。 **ふそくふり【不即不離】** ○付[つ]かず離[はな]れず。[文例]不即不離[ふそくふり]の関係[かんけい]〉この国[くに]では、政府[せいふ]と軍隊[ぐんたい]は不即不離[ふそくふり]の関係[かんけい]にあって、互[たが]いに牽制[けんせい]しあっていた。◆不即不離[ふそくふり]の態度[たいど]>親子[おやこ]とはいえ、会社内[かいしゃない]では慣[な]れ過[す]ぎないように不即不離[ふそくふり]の態度[たいど]をさく。 **ふそん(不遜)** ○思[おも]いあがっているさま。尊大[そんだい]。[文例]不遜[ふそん]な態度[たいど]>窓口[まどぐち]の職員[しょくいん]の人[ひと]を人[ひと]とも思[おも]わぬ不遜[ふそん]な態度[たいど]に、わたしは思[おも]わずかっとなった。♠〈不遜[ふそん]な気持[きも]ち〉未熟[みじゅく]なわたしがとやかく言[い]うのは不遜[ふそん]な気持[きも]ちもしますが、一応意見[いちおういけん]を述[の]べさせていただきます。●不遜[ふそん]な口[くち]ぶり〉自分[じぶん]の意見[いけん]だけが正[ただ]しいとでも言[い]うような、不遜[ふそん]な口[くち]ぶりであった。 **ふた(蓋)** ○入[い]れ物[もの]の口[くち]に当[あ]てて、覆[おお]いふさぐもの。巻[ま]き貝[がい]の口[くち]を覆[おお]う固[かた]い物[もの]。[文例]〈瓶[びん]のふた〉〈ふたをする〉オイルの瓶[びん]は、使[つか]い終[お]わったらふたをしておいてね。へふたをとる〉つぼのふたをとると、こうばしい山菜[さんさい]の香[かお]りがした。♠〈ふたを閉[し]める〉きちっとふたを閉[し]めておかないから、かばんの中[なか]がぬれてるよ。●へふたを開[あ]ける〉今年[ことし]しこんだ梅酒[うめしゅ]は、二[に]、三年[さんねん]たったらふたを開[あ]けます。●へふたを開[あ]ける〉世論調査[よろんちょうさ]に反[はん]して、ふたを開[あ]けてみると選挙[せんきょ]は与党[よとう]の圧勝[あっしょう]だった。●く臭[くさ]い物[もの]にはふたをしろ〉臭[くさ]い物[もの]にはふたをしろと言[い]うが、それでは事[こと]の根本的[こんぽんてき]な解決[かいけつ]にはならない。●へ身[み]もふたもない〉きみのためを思[おも]ってやったことなのに、そうあっさり断[ことわ]られたのでは身[み]もふたもないよ。 **ふだ【札】** ○文字[もじ]をしるして掲[かか]げたり、しるしとして物[もの]につける紙片[かみきれ]・木片[もくへん]・金属片[きんぞくへん]。立[た]て札[ふだ]。守[まも]り札[ふだ]。カード。花札[はなふだ]・かるた札[ふだ]など。券[けん]。[文例]〈札[ふだ]をはる〉ガラスビンには、劇薬危険[げきやくきけん]の札[ふだ]がはってある。♠〈札[ふだ]が下[さ]がる〉お店[みせ]に行[い]ってみると、臨時休業[りんじきゅうぎょう]の札[ふだ]が下[さが]っていた。●へ札[ふだ]を配[くば]る>親[おや]が札[ふだ]を配[くば]り終[お]わるまで、子[こ]は手[て]に取[と]ってはいけません。●〈札[ふだ]をめくる〉サイコロの目[め]が偶数[ぐうすう]なら、一枚[いちまい]だけ札[ふだ]をめくることができます。●〈お札[ふだ]〉信心深[しんじんぶか]い父[ちち]は、いつも成田山[なりたさん]のお札[ふだ]を身[み]につけている。●〈札[ふだ]つき〉あの男[おとこ]は札[ふだ]つきの不良[ふりょう]だという評判[ひょうばん]だ。 **ぶた【豚】** ○イノシシ科[か]の動物[どうぶつ]で家畜[かちく]。肉[にく]は食用[しょくよう]。([文例]<豚[ぶた]を飼[か]う〉おじいさんが飼[か]っている豚[ぶた]が、先月[せんげつ]かわいい子豚[こぶた]を産[う]んだ。●へ豚[ぶた]に真珠[しんじゅ]〉おいらなんぞに高級[こうきゅう]な芸術[げいじゅつ]の講釈[こうしゃく]をしても、豚[ぶた]に真珠[しんじゅ]でありがたみはねえよ。●へ豚[ぶた]もおだてりゃ木[き]に登[のぼ]る>豚[ぶた]もおだてりゃ木[き]に登[のぼ]る、というから、あの人[ひと]をおだてて会長[かいちょう]にかつぎ出[だ]そうよ。 **ぶたい【舞台】** ○演劇[えんげき]などを演[えん]じる場所[ばしょ]。ステージ。また、そこで演[えん]じられる演技[えんぎ]。活躍[かつやく]の場[ば]。小説[しょうせつ]などで叙述[じょじゅつ]される場所[ばしょ]。[文例]<舞台[ぶたい]に立[た]つ父[ちち]が初[はじ]めて舞台[ぶたい]に立[た]ったのは、今[いま]から三十年前[さんじゅうねんまえ]の、十二歳[じゅうにさい]のときだそうだ。●へ舞台[ぶたい]を踏[ふ]む>今まで数多[かずおお]くの舞台[ぶたい]を踏[ふ]んできたその役者[やくしゃ]も、映画出演[えいがしゅつえん]は今回[こんかい]が初[はじ]めてだ。●〈舞台[ぶたい]となる元[もと]は先生[せんせい]だった彼女[かのじょ]の作品[さくひん]は、ほとんど小学校[しょうがっこう]が舞台[ぶたい]となっています。〈世界[せかい]を舞台[ぶたい]に〉ぼくの尊敬[そんけい]する山下[やました]さんは、世界[せかい]を舞台[ぶたい]に活躍[かつやく]する有名[ゆうめい]な音楽家[おんがくか]です。●へ清水[きよみず]の舞台[ぶたい]から飛[と]び降[お]りる〉思[おも]い切[き]って物事[ものごと]を行[おこな]うことのたとえに、「清水[きよみず]の舞台[ぶたい]から飛[と]び降[お]りる」というのがあります。●へ事件[じけん]の舞台裏[ぶたいうら]>彼[かれ]の話[はなし]を小耳[こみみ]にはさんだ時[とき]、ぼくはこの事件[じけん]の舞台裏[ぶたいうら]がわかったような気[き]がした。〈独[ひと]り舞台[ぶたい]>六回[ろっかい]に同点[どうてん]に追[お]いついてからは、あとはもうこの選手[せんしゅ]の独[ひと]り舞台[ぶたい]でした。●へひのき舞台[ぶたい]>彼女[かのじょ]は、初[はじ]めての国際大会[こくさいたいかい]というひのき舞台[ぶたい]で健闘[けんとう]した。 **ぶたい【部隊】** ○一群[いちぐん]の軍隊[ぐんたい]。一群[いちぐん]の集団[しゅうだん]。[文例]斥候[せっこう]とは、敵情[てきじょう]や地形[ちけい]などを探[さぐ]るために部隊[ぶたい]から差[さ]し向[む]ける少数[しょうすう]の兵士[へいし]をいう。●へ先発部隊[せんぱつぶたい]〉わたしたちは、先発部隊[せんぱつぶたい]から一時間[いちじかん]ほど遅[おく]れて出発[しゅっぱつ]した。●〈草[くさ]むしり部隊[ぶたい]〉おい、そこの草[くさ]むしり部隊[ぶたい]の三年[さんねん]の女子[じょし]、ちょっとライン引[び]きを手伝[てつだ]ってくれ。 **ふたいてん【不退転】** ○怠[おこた]りなく仏道修行[ぶつどうしゅぎょう]に専念[せんねん]すること。くじけることなく意志[いし]をとおすこと。[文例] 不退転[ふたいてん]の決意[けつい]〉我々[われわれ]は、いかなる障害[しょうがい]があっても目標[もくひょう]を達成[たっせい]しようと、不退転[ふたいてん]の決意[けつい]を固[かた]めた。◆不退転[ふたいてん]の精神力[せいしんりょく]〉この難事業[なんじぎょう]は、不退転[ふたいてん]の精神力[せいしんりょく]無[な]くしては不可能[ふかのう]だ。 **ふたえ【二重】** ○二[ふた]つ重[かさ]なっていること。にじゅう。[文例]〈二重[ふたえ]になる>疲[つか]れたり寝不足[ねぶそく]だったりすると、わたしのまぶたは二重[ふたえ]になります。●ヘ二重[ふたえ]まぶた〉きみの二重[ふたえ]まぶたの大[おお]きな目[め]は、すばらしく魅力的[みりょくてき]だね。 **ふたご【双子・二子】** ○双生児[そうせいじ]。[文例]〈双子[ふたご]の兄弟[きょうだい]>ぼくのク <971> ふちゃく ラスの双子[ふたご]の兄弟[きょうだい]は、顔[かお]はそっくりだが性格[せいかく]はだいぶ違[ちが]います。 **ふたしか【不確か】** ○確[たし]かでないさま。[文例]不確[ふたし]かな情報[じょうほう]〉その国[くに]にクーデターが起[お]こったらしいが、今[いま]のところ不確[ふたし]かな情報[じょうほう]しかはいってこない。●〈不確[ふたし]かな記憶[きおく]〉不確[ふたし]かな記憶[きおく]をもとに幼年時代[ようねんじだい]をすごした家[いえ]を探[さが]してみた。♠<意識[いしき]が不確[ふたし]か>病人[びょうにん]は意識[いしき]が不確[ふたし]からしく、名前[なまえ]を呼[よ]んでも目[め]を開[あ]いたまま反応[はんのう]がなかった。 **ふたたび【再び】** ○もう一度[いちど]。再度[さいど]。[文例]悲惨[ひさん]な戦争[せんそう]は、再[ふたた]び起[お]こしてはならない。●あなたとはもう、再[ふたた]び会[あ]うこともあるまい。●老人[ろうじん]は大[おお]きく背伸[せの]びをして首[くび]を左右[さゆう]に振[ふ]った後[あと]、再[ふたた]び仕事[しごと]に戻[もど]りました。●一度[いちど]は物音[ものおと]に目[め]をさましたようだったが、父[ちち]は再[ふたた]びいねむりを始[はじ]めた。●二度[にど]と再[ふたた]び〉もう二度[にど]と再[ふたた]び、この地[ち]を訪[おとず]れることもないだろう。 **ふたつ【二つ】** ○数[かず]の二[に]。二個[にこ]。二歳[にさい]。第二[だいに]。[文例]姉[あね]とわたしは、年[とし]が二[ふた]つ離[はな]れています。●へ一[ひと]つや二[ふた]つ〉だれにでも、秘密[ひみつ]にしておきたいことの一[ひと]つや二[ふた]つはあるだろう。二[ふた]つと無[な]い〉これは、世[よ]に二[ふた]つと無[な]いといわれるすばらしい宝石[ほうせき]です。◆ヘ二[ふた]つに一[ひと]つ〉やるのかやめるのか、二[ふた]つに一[ひと]つだ。◆ヘ二[ふた]つ返事[へんじ]〉どうなるか心配[しんぱい]だったが、先方[さきかた]は二[ふた]つ返事[へんじ]で引[ひ]き受[う]けてくれた。●〈うり二[ふた]つ二人[ふたり]のおばは、姿[すがた]かっこうから顔[かお]つきまでまさにうり二[ふた]つでした。 **ふたまた(二股)** ○元[もと]が一[ひと]つで先[さき]が二[ふた]つに分[わ]かれていること。一方[いっぽう]に決[き]めずに両方[りょうほう]に関係[かんけい]をつけておくこと。[文例]〈二股[ふたまた]に分[わ]かれる〉老木[ろうぼく]は、根元[ねもと]から五[ご]メートルほどのところで二股[ふたまた]に分[わ]かれ、枝[えだ]を繁[しげ]らせています。●二股[ふたまた]をかける〉あら、あなた、小田君[おだくん]と中川君[なかがわくん]に二股[ふたまた]かけてるの、調子[ちょうし]いいわね。◆二股膏薬[ふたまたごうやく]〉あの男[おとこ]は二股膏薬[ふたまたごうやく]だ、会社側[かいしゃがわ]についたり組合側[くみあいがわ]についたりする。 **ふたん【負担】** ○義務[ぎむ]・責任[せきにん]や仕事[しごと]などを引[ひ]き受[う]けること。また、その義務[ぎむ]・責任[せきにん]や仕事[しごと]。過重[かじゅう]な務[つと]め。重荷[おもに]。[文例]<負担[ふたん]がかかる〉〈負担[ふたん]が重[おも]い>田中[たなか]さんがいなくなってから、わたしにかかる負担[ふたん]はますます重[おも]くなった。●へ負担[ふたん]を軽[かる]くする>先生[せんせい]にお願[ねが]いして、少[すこ]し生徒[せいと]の負担[ふたん]を軽[かる]くしてもらいましょう。●へ負担[ふたん]を減[へ]らす〉少[すこ]しでも母[はは]の負担[ふたん]を減[へ]らそうと、一番下[いちばんした]の弟[おとうと]までも家[いえ]の手伝[てつだ]いを始[はじ]めた。●へ負担[ふたん]となる〉入場料以外[にゅうじょうりょういがい]は各自[かくじ]の負担[ふたん]となりますのでご了承[りょうしょう]ください。●〈負担[ふたん]になる〉家族[かぞく]の励[はげ]ましがぼくにはかえって負担[ふたん]になりました。●〈税[ぜい]の負担[ふたん]〉〈負担[ふたん]に耐[た]える〉税[ぜい]の負担[ふたん]に耐[た]えられず、土地[とち]を逃[に]げ出[だ]す農民[のうみん]も少[すく]なくなかった。へ負担[ふたん]する〉入院中[にゅういんちゅう]にかかった費用[ひよう]は、すべて会社[かいしゃ]が負担[ふたん]してくれます。 **ふだん【不断】** ○絶[た]えることがないこと。にえきらないこと。[文例]〈不断[ふだん]の努力[どりょく]〉彼[かれ]の成功[せいこう]は、休[やす]むことを知[し]らぬ、不断[ふだん]の努力[どりょく]によるものである。◆不断[ふだん]の練習[れんしゅう]不断[ふだん]の練習[れんしゅう]が実[み]を結[むす]び、ついにレギュラーの座[ざ]につくことができた。●へ優柔不断[ゆうじゅうふだん]>彼[かれ]のように優柔不断[ゆうじゅうふだん]で考[かんが]えがはっきりしないのも困[こま]りものだ。 **ふだん【普段】** ○(「不断[ふだん]」から)平生[へいぜい]。日[ひ]ごろ。いつも。[文例]〈普段[ふだん]と変[か]わる>窓[まど]から見[み]える庭[にわ]の様子[ようす]は、普段[ふだん]と変[か]わるところがなかった。●〈普段[ふだん]の心[こころ]がけ〉きみがだれからも助[たす]けてもらえないのは、普段[ふだん]の心[こころ]がけが悪[わる]いからだ。●へ普段[ふだん]のまま〉公式[こうしき]なパーティーだというのに、彼[かれ]は普段[ふだん]のままの格好[かっこう]でやってきました。●〈普段[ふだん]から〉普段[ふだん]からきちんと勉強[べんきょう]しておけば、試験前[しけんまえ]になってあわてることもないはずだが………………。〈普段[ふだん]は〉今日[きょう]はおとなしくしているけど、安田[やすだ]さんは普段[ふだん]はもっとおもしろい人[ひと]なのです。●〈普段[ふだん]なら〉スランプになると、普段[ふだん]ならホームランにできるボールも、手[て]が出[で]なくなってしまうそうです。●〈普段着[ふだんぎ]〉あの赤[あか]いワンピースは、今[いま]では普段着[ふだんぎ]にしています。 **ふち【縁】** ○へり。周縁[しゅうえん]。[文例]]ヘコップの縁[ふち]〉コップの縁[ふち]に小[ちい]さな黒[くろ]い虫[むし]がとまっている。●へ縁[ふち]が欠[か]ける〉いやだわ、どのお茶碗[ちゃわん]も縁[ふち]が欠[か]けているじゃないの。●へ縁[ふち]をとる〉弟[おとうと]はていねいに青[あお]いクレヨンで縁[ふち]をとると、丁寧[ていねい]に塗[ぬ]り始[はじ]めました。へがけの縁[ふち]〉がけの縁[ふち]に立[た]って下[した]を見[み]ると、何[なに]か吸[す]い込[こ]まれるような感[かん]じがした。●〈銀縁[ぎんぶち]〉父[ちち]はつい最近[さいきん]、銀縁[ぎんぶち]のメガネに変[か]えました。 **ふち(淵)** ○流[なが]れの深[ふか]くよどんだ所[ところ]。水[みず]の深[ふか]い所[ところ]。浮[う]かび上[あ]がれない境遇[きょうぐう]。[文例]〈沼[ぬま]の淵[ふち]〉村[むら]はずれの沼[ぬま]の淵[ふち]には大[おお]きな鯉[こい]がすんでいて、沼[ぬま]の主[ぬし]と呼[よ]ばれていた。◆<絶望[ぜつぼう]の淵[ふち]>災害[さいがい]で家族[かぞく]を失[うしな]った彼[かれ]は、絶望[ぜつぼう]の淵[ふち]に突[つ]き落[お]とされた。 **ぶちこわ・す【ぶち壊す】(打ち壊す・打ち毀す)** ○うちこわす。だめにする。[文例]〈窓[まど]をぶち壊[こわ]す〉炎[ほのお]に巻[ま]かれたおれは、いすで窓[まど]をぶち壊[こわ]して逃[に]げてきたのだ。●へ縁談[えんだん]をぶち壊[こわ]す〉相手[あいて]の人[ひと]が気[き]に入[い]らなかった父[ちち]は、難癖[なんくせ]をつけて、わたしの縁談[えんだん]をぶち壊[こわ]してしまった。 **ふちど・る【縁取る】** ○ふちをぬい取[と]る。ふちをつける。ふちを色取[いろど]る。[文例]〈金[きん]で縁取[ふちど]る〉名将[めいしょう]が愛用[あいよう]したというその鞍[くら]は、金[きん]で縁取[ふちど]ってあった。●〈池[いけ]を縁取[ふちど]る〉春[はる]うらうら、タンポポの花[はな]が池[いけ]を縁取[ふちど]っている。 **ぶちぬ・く【ぶち抜く】(打ち抜く)** ○うちぬく。ひと続[つづ]きにする。通[とお]して行[おこな]う。[文例]〈心臓[しんぞう]をぶち抜[ぬ]く〉弾丸[だんがん]はみごとにトラの心臓[しんぞう]をぶち抜[ぬ]いていた。●〈壁[かべ]をぶち抜[ぬ]く〉二[ふた]つの部屋[へや]の壁[かべ]をぶち抜[ぬ]いて、ワンルームに改装[かいそう]しました。部屋[へや]をぶち抜[ぬ]く〉祝賀会[しゅくがかい]は、村長[そんちょう]の家[いえ]の部屋[へや]をぶち抜[ぬ]いて行[おこな]われた。●ヘストをぶち抜[ぬ]く〉意気上[いきあ]がる組合[くみあい]は、二十四時間[にじゅうよじかん]ストをぶち抜[ぬ]いた。 **ぶちのめ・す(打ちのめす)** ○打[う]ち倒[たお]す。たたきのめす。うちのめす。[文例]〈人[ひと]をぶちのめす〉怒[いか]りにかられた男[おとこ]は、相手[あいて]を思[おも]い切[き]りぶちのめした。◆<貧困[ひんこん]にぶちのめされる貧困[ひんこん]にぶちのめされた民衆[みんしゅう]には、反抗[はんこう]する気力[きりょく]もなかった。 **ぶちま・ける** ○中[なか]の物[もの]をまきちらす。包[つつ]み隠[かく]さずさらけ出[だ]す。[文例]〈水[みず]をぶちまける〉森[もり]でたき火[び]をしていると、森番[もりばん]の老人[ろうじん]が飛[と]んできてバケツの水[みず]をぶちまけた。●不満[ふまん]をぶちまける〉わたしは、同僚[どうりょう]をつかまえては上役[うわやく]への不満[ふまん]をぶちまけた。 **ふちゃく【付着・附着】** ○くっつくこと。[文例]〈付着[ふちゃく]する〉着替[きか]えようとして、ズボンのすそに血痕[けっこん]が付着[ふちゃく]しているのに気[き]づいた。 <972> ふちゅうい ふ **ふちゅうい【不注意】** ○注意[ちゅうい]が足[た]りないこと。[文例]わたしの不注意[ふちゅうい]から子供[こども]にけがをさせてしまいました。●不注意[ふちゅうい]な事故[じこ]〉よそ見運転[みうんてん]による不注意[ふちゅうい]な事故[じこ]も多[おお]いのです。◆不注意[ふちゅうい]な人[ひと]不注意[ふちゅうい]な引率者[いんそつしゃ]には、安心[あんしん]して子供[こども]をあずけられません。 **ふちょう【不調】** ○調子[ちょうし]が悪[わる]いこと。順調[じゅんちょう]でないこと。交渉[こうしょう]がまとまらないこと。[文例]〈体[からだ]の不調[ふちょう]〉前[まえ]から体[からだ]の不調[ふちょう]を訴[うった]えていた先生[せんせい]が、とうとう入院[にゅういん]してしまいました。●へ力士[りきし]が不調[ふちょう]〉ぼくのひいきの力士[りきし]は、最近不調[さいきんふちょう]で負[ま]け続[つづ]きだ。♠〈胃[い]が不調[ふちょう]>暑[あつ]さのせいでこのところ胃[い]が不調[ふちょう]です。へ交渉[こうしょう]が不調[ふちょう]>交渉[こうしょう]は不調[ふちょう]に終[お]わり、契約[けいやく]をかわすことができなかった。 **ふちょう【符丁・符帳】(符牒)** ○印[しるし]や符号[ふごう]。特[とく]に商品[しょうひん]の値段[ねだん]を示[しめ]す印[しるし]や符号[ふごう]。仲間[なかま]うちでしか通[つう]じない言葉[ことば]。[文例]〈符丁[ふちょう]をつける〉店[みせ]の反物[たんもの]には値段[ねだん]が符丁[ふちょう]でつけられていて、客[きゃく]にはわからないようになっていた。●〈符丁[ふちょう]を使[つか]う〉職人[しょくにん]たちは、仲間[なかま]うちにしか分[わ]からない符丁[ふちょう]を使[つか]って話[はな]した。 **ふちょうわ【不調和】** ○調和[ちょうわ]しないこと。ふつりあい。[文例]〈家並[やな]みに不調和[ふちょうわ]〉古[ふる]い家並[やな]みに不調和[ふちょうわ]なビルは、住民[じゅうみん]には不評[ふひょう]だった。◆不調和[ふちょうわ]な感[かん]じ〉はでな柄[がら]は、地味[じみ]な顔立[かおだ]ちには不調和[ふちょうわ]な感[かん]じを与[あた]えた。 **ふちん【浮沈】** ○浮[う]き沈[しず]み。栄[さか]えることと衰[おとろ]えること。[文例]<会社[かいしゃ]の浮沈[ふちん]〉〈浮沈[ふちん]にかかわる〉これは会社[かいしゃ]の浮沈[ふちん]にかかわる問題[もんだい]だから、じっくり対策[たいさく]を練[ね]ろう。●〈浮沈[ふちん]が激[はげ]しい〉大金持[おおがねも]ちから無一文[むいちもん]になり、また大金持[おおがねも]ちになるという浮沈[ふちん]の激[はげ]しい世渡[よわた]りだった。 **ぶ・つ(撲つ)** ○うつ。なぐる。威勢[いせい]よく物事[ものごと]をする。[文例]〈子供[こども]をぶつ〉言[い]いつけを守[まも]らないと、父[ちち]はようしゃなくわたしたちをぶった。●ヘげんこつでぶつげんこつでぶったら、相手[あいて]も負[ま]けずに組[く]みついてきた。●〈相談[そうだん]をぶつ〉長屋[ながや]の大家[おおや]さんとこへ行[い]って、一発相談[いっぱつそうだん]をぶってこよう。●へ演説[えんぜつ]をぶつ〉ひと言[こと]あいさつをしろといったのに、何[なに]をかんちがいしたか、あの男演説[おとこえんぜつ]をぶち始[はじ]めた。 **ふつう【普通】** ○ありふれていること。なみであること。通常[つうじょう]。たいてい。[文例]〈普通[ふつう]の人[ひと]>歌手[かしゅ]になった姉[あね]とは違[ちが]って、下[した]は普通[ふつう]の娘[むすめ]です。●〈普通[ふつう]のこと〉この地方[ちほう]では、馬[うま]や牛[うし]などの家畜[かちく]と一[ひと]つの家[いえ]で暮[く]らすのは、普通[ふつう]のことだった。●〈普通以下[ふつういか]。以上[いじょう]この間[あいだ]の英語[えいご]のテストの結果[けっか]は、普通以下[ふつういか]だった。●へ普通[ふつう]でない〉今日[きょう]の彼[かれ]の様子[ようす]は普通[ふつう]ではなかったね、何[なに]かあったのかな。●〈普通[ふつう]にする〉そんなに緊張[きんちょう]しないで、普通[ふつう]にしていればいいんだよ。●父[ちち]は普通八時前[ふつうはちじまえ]に家[いえ]を出[で]て会社[かいしゃ]に向[む]かいます。●まちがってはいないけど、普通[ふつう]そういう言[い]い方[かた]はしないよ。 **ふつう【不通】** ○通[つう]じないこと。便[たよ]りがないこと。交通[こうつう]が断[た]たれること。[文例]〈道路[どうろ]が不通[ふつう]>豪雨[ごうう]に見舞[みま]われた北九州地方[きたきゅうしゅうちほう]では、あちこちの道路[どうろ]が不通[ふつう]になった。◆へ電車[でんしゃ]が不通[ふつう]〉落雷[らくらい]で電車[でんしゃ]が一時不通[いちじふつう]になった。へ音信不通[おんしんふつう]〉ここ十年[じゅうねん]ほど彼[かれ]とは音信不通[おんしんふつう]で、どうしているのかさっぱりわかりません。 **ぶっか【物価】** ○物[もの]の値段[ねだん]。生活関連商品[せいかつかんれんしょうひん]の全体的[ぜんたいてき]な価格[かかく]。[文例]〈物価[ぶっか]が上[あ]がる〉物価[ぶっか]が上[あ]がれば、生活[せいかつ]は苦[くる]しくなります。●〈物価[ぶっか]が高[たか]い〉東京[とうきょう]は、物価[ぶっか]が高[たか]くて暮[く]らしにくい所[ところ]です。●へ物価[ぶっか]が安[やす]い〉〈物価[ぶっか]を下[さ]げる〉物価[ぶっか]が安[やす]いほうが暮[く]らしやすいので、物価[ぶっか]を下[さ]げてほしい。●〈物価[ぶっか]にはねかえる〉給料[きゅうりょう]が上[あ]がっても、それが物価[ぶっка]にはねかえるのでは何[なん]にもならない。 **ふっか・ける【吹っ掛ける】** ♪ふきか・ける **ふっかつ【復活】** ○生[い]き返[かえ]ること。生[い]き返[かえ]らせること。再[ふたた]び行[おこな]われるようになること。また、そうすること。[文例]〈部[ぶ]の復活[ふっかつ]>五年[ごねん]前[まえ]に廃部[はいぶ]になったサッカー部[ぶ]の復活[ふっかつ]を、OBたちはずっと待[ま]ち続[つづ]けている。へ復活[ふっかつ]ののろしをあげる〉彼[かれ]は再起第一戦[さいきだいっせん]に優勝[ゆうしょう]して、みごとに復活[ふっかつ]ののろしをあげた。●〈復活[ふっかつ]のきざし〉低迷[ていめい]するこの選手[せんしゅ]のバッティングには、復活[ふっかつ]のきざしが見[み]られない。●へ祭[まつ]りが復活[ふっかつ]する>長[なが]い間行[あいだおこな]われていなかった神社[じんじゃ]のお祭[まつ]りが、町内[ちょうない]の人々[ひとびと]の協力[きょうりょく]で復活[ふっかつ]した。●ヘキリストが復活[ふっかつ]する〉キリストは十字架[じゅうじか]にかけられた後[のち]、三日後[みっかご]に復活[ふっかつ]したと伝[つた]えられている。 **ぶつかる** 突き当[つ あ]たる。衝突[しょうとつ]する。対立[たいりつ]する。立[た]ち向[む]かう。出[で]くわす。かちあう。[文例]〈車[くるま]がぶつかる〉トラックとタクシーがぶつかり、タクシーの運転手[うんてんしゅ]は大[おお]けがをしたそうだ。●へ壁[かべ]にぶつかる〉デビュー以来好調[いらいこうちょう]だった彼[かれ]も、プロの壁[かべ]にぶつかったのか、最近成績[さいきんせいせき]が下[さ]がってきた。試合[しあい]でぶつかる〉このまま行[い]けば、ぼくたちのチームは、三回戦[さんかいせん]で優勝候補[ゆうしょうこうほ]の明訓高校[めいくんこうこう]にぶつかる。◆ヘ工事[こうじ]にぶつかる〉運悪[うんわる]く大通[おおどお]りで道路工事[どうろこうじ]にぶつかり、いつもの二倍以上[にばいいじょう]の時間[じかん]がかかりました。へ意見[いけん]がぶつかる〉世代[せだい]が違[ちが]うのだから、親[おや]と子[こ]の意見[いけん]がぶつかるのは不思議[ふしぎ]ではない。●へ直接[ちょくせつ]ぶつかる〉話[はなし]があるのなら、直接本人[ちょくせつほんにん]にぶつかってみたらどうだい、いい結果[けっか]が得[え]られるかもしれないよ。●〈幸運[こううん]にぶつかる>遊園地[ゆうえんち]に遊[あそ]びに行[い]った東[あずま]さんは、あこがれのスターに出会[であ]うという思[おも]いがけない幸運[こううん]にぶつかった。問題[もんだい]にぶつかる〉よほど難[むずか]しい問題[もんだい]にぶつかったと見[み]えて、兄[あに]はもう三十分以上[さんじゅっぷんいじょう]、ノートとにらめっこしている。●〈日[ひ]がぶつかる>楽[たの]しみにしていたコンサートと試験[しけん]の日[ひ]がぶつかり、姉[あね]はがっかりした様子[ようす]だった。 **ふっき【復帰】** ○元[もと]に戻[もど]ること。[文例]〈チームへの復帰[ふっき]〉残念[ざんねん]ながらこの選手[せんしゅ]のオールジャパンへの復帰[ふっき]はかなわなかった。●<現役復帰[げんえきふっき]〉彼女[かのじょ]もまた、ぼくの現役復帰[げんえきふっき]を願[ねが]う支援[しえん]グループの一人[ひとり]です。●〈戦列[せんれつ]に復帰[ふっき]する〉けがで入院[にゅういん]していたキャプテンが無事退院[ぶじたいいん]して、来月[らいげつ]から戦列[せんれつ]に復帰[ふっき]するそうだ。●へ国際社会[こくさいしゃかい]に復帰[ふっき]する〉一九五一年[いちきゅうごいちねん]、日本[にっぽん]は国際連合[こくさいれんごう]に参加[さんか]し、国際社会[こくさいしゃかい]に復帰[ふっき]しました。職場[しょくば]に復帰[ふっき]する〉ストライキ解除[かいじょ]の指示[しじ]が出[で]ると、工員[こういん]たちは次々[つぎつぎ]と職場[しょくば]に復帰[ふっき]してきます。 **ぶつぎ【物議】** ○世間[せけん]のとりざた。世間[せけん]の議論[ぎろん]。[文例]】〈物議[ぶつぎ]をかもす〉小[ちい]さな町[まち]のことゆえ、町長[ちょうちょう]の引退発言[いんたいはつげん]は町[まち]じゅうの物議[ぶつぎ]をかもした。 **ふっきゅう【復旧】** ○元通[もとどお]りになること。元通[もとどお]りにすること。旧[きゅう]に復[ふく]すること。[文例]〈復旧[ふっきゅう]する〉事故[じこ]で乱[みだ]れた電車[でんしゃ]のダ <973> ぶっそう イヤが復旧[ふっきゅう]するには、あと二時間[にじかん]はかかる。●へ復旧工事[ふっきゅうこうじ]〉大雨[おおあめ]で流[なが]された橋[はし]の復旧工事[ふっきゅうこうじ]が終[お]わるまで、ぼくたちは渡[わた]し舟[ぶね]で学校[がっこう]に通[かよ]った。 **ぶっきらぼう** ものの言[い]い方[かた]がぞんざいで愛想[あいそ]がないさま。[文例]へぶっきらぼうな男[おとこ]〉あいさつを返[かえ]すにも、にこりともしないようなぶっきらぼうな男[おとこ]だった。●へぶっきらぼうな答[こた]え〉町[まち]で若者[わかもの]に道[みち]を聞[き]いたら、「あっち」というぶっきらぼうな答[こた]えが返[かえ]ってきた。●へぶっきらぼうに言[い]う〉食事[しょくじ]はテーブルの上[うえ]よ、とぶっきらぼうに言[い]うと、妻[つま]は部屋[へや]にひっこんでしまった。 **ふっき・れる【吹っ切れる】** ○ためらいやわだかまりが無[な]くなり、すっきりする。はれ物[もの]の口[くち]があいてうみが出[で]る。ふきれる。[文例]〈迷[まよ]いが吹[ふ]っ切[き]れる>先輩[せんぱい]のアドバイスで、ようやく迷[まよ]いが吹[ふ]っ切[き]れました。●へわだかまりが吹[ふ]っ切[き]れる〉困難[こんなん]に一緒[いっしょ]に立[た]ち向[む]かったことで、二人[ふたり]のわだかまりが吹[ふ]っ切[き]れた。 **ふっくら** ふわふわとふくらんでいるさま。[文例]へふっくらとほころぶ〉暖[あたた]かい日[ひ]ざしを受[う]けて、つぼみがふっくらとほころんだ。●へふっくらふくれる〉焼[や]き立[た]てのふっくらふくれたパンから、こうばしい香[かお]りがただよう。●へふっくらする〉赤[あか]ちゃんのピンク色[いろ]のふっくらしたほおを軽[かる]くつついてみた。 **ぶっ・ける** ○投[な]げ当[あ]てる。突[つ]き当[あ]てる。対抗[たいこう]させる。かちあわせる。自分[じぶん]の感情[かんじょう]や考[かんが]えを相手[あいて]に向[む]かって言[い]い放[はな]つ。[文例]〈石[いし]をぶつける〉のらねこに石[いし]をぶつけるなんて、かわいそうだからよしなさい。●〈車[くるま]をぶつける〉新車[しんしゃ]をガードレールにぶつけてしまい、とてもショックです。●へ敵[てき]にぶつける〉よし、敵[てき]の四番打者[よばんバッター]にうちの新人投手[しんじんとうしゅ]をぶつけてやれ。◆<日程[にってい]をぶつける〉となりの商店会[しょうてんかい]の大売[おおう]り出[だ]しにこちらの謝恩[しゃおん]セールをぶつけることにした。●へ気持[きも]ちをぶつける〉好[す]きな人[ひと]に、思[おも]い切[き]って自分[じぶん]の気持[きも]ちをぶつけてみた。●〈怒[いか]りをぶつける>体育[たいいく]の時間[じかん]が数学[すうがく]にかわるというので、生徒[せいと]たちは怒[いか]りをぶつけた。 **ふっけん【復権】** ○権利[けんり]や資格[しかく]を回復[かいふく]すること。[文例]〈復権[ふっけん]する>選挙違反[せんきょいはん]で公民権[こうみんけん]を失[うしな]っていたわたしは、この度[たび]の恩赦[おんしゃ]によって復権[ふっけん]した。●〈復権[ふっけん]する〉ふろしきの価値[かち]が見直[みなお]され、日常生活[にちじょうせいかつ]で復権[ふっけん]しているらしい。 **ぶっけん【物件】** ○商法[しょうほう]や刑法[けいほう]などの法律行為[ほうりつこうい]の対象[たいしょう]となる品物[しなもの]。[文例]不動産[ふどうさん]の物件[ぶっけん]>部屋[へや]を探[さが]していたわたしは、不動産屋[ふどうさんや]の物件[ぶっけん]の中[なか]から、ようやく手[て]ごろなものを選[えら]び出[だ]した。証拠物件[しょうこぶっけん]>法廷[ほうてい]には、現場近[げんばちか]くで発見[はっけん]されたシャツのボタンが証拠物件[しょうこぶっけん]として提出[ていしゅつ]された。 **ふっこ【復古】** ○昔[むかし]の状態[じょうたい]にもどること。また、もどすこと。[文例]〈復古調[ふっこちょう]〉最近[さいきん]、落[お]ち着[つ]いたデザインの復古調[ふっこちょう]の家具[かぐ]に人気[にんき]が集[あつ]まっています。●〈王政復古[おうせいふっこ]>幕府[ばくふ]が政権[せいけん]を天皇[てんのう]に返上[へんじょう]して王政復古[おうせいふっこ]が実現[じつげん]し、日本[にほん]は明治維新[めいじいしん]を迎[むか]えた。 **ぶっこ【物故】** ○人[ひと]が死[し]ぬこと。故人[こじん]となること。[文例]〈物故[ぶっこ]する〉その画廊[がろう]では、先年物故[せんねんぶっこ]した有名[ゆうめい]な日本画家[にほんがか]の遺作展[いさくてん]が開[ひら]かれていた。●〈物故者[ぶっこしゃ]〉新聞[しんぶん]のその年[とし]の著名人物故者一覧[ちょめいじんぶつこしゃいちらん]にも彼[かれ]の名[な]は掲載[けいさい]された。 **ふっこう【復興】** ○元[もと]の盛[さか]んな状態[じょうたい]にもどること。また、もどすこと。[文例]〈経済的[けいざいてき]な復興[ふっこう]〉戦後[せんご]の日本[にほん]の経済的[けいざいてき]な復興[ふっこう]は、驚異的[きょういてき]なスピードだったと言[い]えるでしょう。●へ村[むら]が復興[ふっこう]する〉地震[じしん]の被害[ひがい]が特[とく]に大[おお]きかったこの村[むら]も、今[いま]では完全[かんぜん]に復興[ふっこう]しました。●〈文芸復興[ぶんげいふっこう]〉十五世紀[じゅうごせいき]、イタリアを中心[ちゅうしん]におこった文芸復興[ぶんげいふっこう]の運動[うんどう]を、ルネサンスといいます。 **ふつごう【不都合】** ○都合[つごう]が悪[わる]いこと。道理[どうり]に合[あ]わないこと。[文例]不都合[ふつごう]がある〉明日[あした]は休暇[きゅうか]をとりたいのですが、仕事[しごと]に不都合[ふつごう]があればおっしゃってください。●不都合[ふつごう]な場合[ばあい]〉わからないことはいつでも聞[き]きに来[き]なさい。とはいっても、先生[せんせい]にも不都合[ふつごう]な場合[ばあい]はあります。 **ぶっさん【物産】** ○その土地[とち]の産物[さんぶつ]。[文例]〈土地[とち]の物産[ぶっさん]〉この町[まち]は、近世江戸期[きんせいえどき]からこの土地[とち]の物産[ぶっさん]の集散地[しゅうさんち]として栄[さか]えてきた。●〈物産展[ぶっさんてん]〉北海道[ほっかいどう]の物産展[ぶっさんてん]で、母[はは]はアイスクリームを買[か]ってきた。 **ぶっし【物資】** ○人間[にんげん]の生活[せいかつ]・活動[かつどう]に必要[ひつよう]な品物[しなもの]。[文例]〈物資[ぶっし]を運[はこ]ぶ〉川[かわ]は、物資[ぶっし]を運[はこ]ぶための重要[じゅうよう]な交通路[こうつうろ]である。♠〈物資[ぶっし]の補給[ほきゅう]>前線[ぜんせん]への物資[ぶっし]の補給[ほきゅう]は装甲[そうこう]トラックで行[おこな]われた。◆<救援物資[きゅうえんぶっし]>被災地[ひさいち]には間[ま]もなく、救援物資[きゅうえんぶっし]が次々[つぎつぎ]に届[とど]けられた。 **ぶっしつ【物質】** ○精神[せいしん]に対[たい]して物[もの]。物体[ぶったい]または物体[ぶったい]を形成[けいせい]するもの。金銭[きんせん]や物品[ぶっぴん]。[文例]〈有害[ゆうがい]な物質[ぶっしつ]>自動車[じどうしゃ]の排気[はいき]ガスの中[なか]には、有害[ゆうがい]な物質[ぶっしつ]が含[ふく]まれている。へ物質文明[ぶっしつぶんめい]〉物質文明[ぶっしつぶんめい]の発達[はったつ]が人々[ひとびと]の心[こころ]や精神[せいしん]を豊[ゆた]かにしてくれるとよいと思[おも]います。◆へ物質的[ぶっしつてき]〉飢[う]えに苦[くる]しむ人々[ひとびと]のために、お金[かね]や食糧[しょくりょう]など物質的[ぶっしつてき]な援助[えんじょ]をする。 **ぶつじょう【物情】** ○世[よ]の中[なか]の情勢[じょうせい]。世間[せけん]の様子[ようす]。物[もの]の性質[せいしつ]。[文例]〈物情騒然[ぶつじょうそうぜん]〉当時[とうじ]の北京[ペキン]は、戒厳令[かいげんれい]が敷[し]かれ、物情騒然[ぶつじょうそうぜん]としていた。 **ふっしょく(払拭)** ○ぬぐい去[さ]ること。一掃[いっそう]すること。[文例]〈払拭[ふっしょく]する〉この国[くに]では、因習[いんしゅう]を払拭[ふっしょく]し、新[あたら]しい生活方式[せいかつほうしき]を作[つく]ろうとする活発[かっぱつ]な動[うご]きがみられます。●へ払拭[ふっしょく]する〉監督[かんとく]の説明[せつめい]でぼくたちの不安[ふあん]は払拭[ふっしょく]され、存分[ぞんぶん]に力[ちから]を発揮[はっき]することができた。 **ぶっしょく【物色】** ○探[さが]し求[もと]めること。[文例]〈物色[ぶっしょく]する>空[あ]き巣[す]ねらいは、子供[こども]の机[つくえ]の引[ひ]き出[だ]しも物色[ぶっしょく]して、お年玉[としだま]まで持[も]って行[い]った。●結婚[けっこん]を間近[まぢか]にひかえた兄[あに]は、新居[しんきょ]となる手[て]ごろな家[いえ]を物色中[ぶっしょくちゅう]だ。 **ぶっしんりょうめん【物心両面】** ○物質的[ぶっしつてき]な面[めん]と精神的[せいしんてき]な面[めん]の両方[りょうほう]。[文例]〈物心両面[ぶっしんりょうめん]の援助[えんじょ]>両親[りょうしん]を早[はや]く亡[な]くしたわたしは、叔父[おじ]から物心両面[ぶっしんりょうめん]の援助[えんじょ]を受[う]けて育[そだ]った。へ物心両面[ぶっしんりょうめん]から友人[ゆうじん]の窮状[きゅうじょう]を見[み]かねた仲間[なかま]たちは、物心両面[ぶっしんりょうめん]から支援[しえん]を送[おく]った。 **ぶっそう【物騒】** ○もの騒[さわ]がしいさま。穏[おだ]やかでないさま。危険[きけん]なさま。[文例]〈物騒[ぶっそう]になる〉近[ちか]ごろはどろぼうや放火[ほうか]の話[はなし]も聞[き]くし、この辺[あた]りも物騒[ぶっそう]になってきたものだ。人物騒[ぶっそう]な事[こと]〉怒[おこ]るのはわかるけれど、あんなやつ死[し]んじまえなんて、そんな物騒[ぶっそう]な事[こと]を言[い]うものじゃないよ。●〈物騒[ぶっそう]な町[まち]〉当時[とうじ]の京[きょう]は、盗人[ぬすびと]の出[で]ない晩[ばん]はないというほどで、相当[そうとう]に物 <974> 騒な町だったようだ。♠**<物騒[ぶつそう]な時代>** 父さんがお前ぐらいのころは、ちょうど終戦直後の物騒な時代だったんだ。♠**<物騒[ぶつそう]な世の中>** 保険金殺人とか誘拐[ゆうかい]とか、物騒な世の中になりましたね。 **ぶったい**【物体】 〇形をそなえた物。[文例]人も意志を失えば、ただの物体にすぎないでしょう。♠**<飛行物体[ぶつたい]>** 正体不明の飛行物体が領空を侵したらしい。 **ぶっちょうづら**【仏頂面】 〇不機嫌そうな顔つき。ふくれっつら。[文例]**<仏頂面[ぶつちようづら]をする>** 勉強中だったからでしょう、娘に用を頼んだら仏頂面をされました。♠お父さんにしかられたのか、こうすけが仏頂面でやってきた。 **ふつつか**【不束】 〇注意が行き届かないさま。[文例]**<ふつつかな娘>** しつけも行き届かずふつつかな娘ですが、どうぞよろしくご指導ください。♠**<ふつつかながら>** ふつつかながら、一生懸命やらせていただきます。♠**<ふつつか者>** ふつつか者でございますが、どうぞよろしくお願いします。 **ふってい**【払底】 〇入れ物の底を払ったように、必要なものが全く無くなること。[文例]**<紙の払底[ふつてい]>** オイルショック下の日本では、紙の払底のために出版社はどこも苦労した。♠**<払底[ふつてい]する>** 極度の経済不振で、市場では生活必需品までが払底していた。 **ふっとう**【沸騰】 〇沸き上がること。煮えたつこと。激しく盛んになること。[文例]**<湯が沸騰[ふつとう]する>** 湯が沸騰したら、やかんを火からおろしてください。♠**<世論が沸騰[ふつとう]する>** 新しい税制の導入に反対する世論が沸騰していた。♠**<人気が沸騰[ふつとう]する>** 新製品の人気が沸騰し、店には長蛇の列ができるありさまです。 **ぶっとおし**【ぶっ通し・打っ通し】 〇さえぎる物を取り払うこと。休まず続けること。[文例]**<ぶっ通しにする>** ふすまをはずして二間ぶっ通しにした部屋に、十五人の親族が集まった。♠**<ぶっ通しで働く>** 今日は一日中ぶっ通しで働いて、もうくたくただ。♠**<昼夜ぶっ通し>** テスト前には、あわてて昼夜ぶっ通しで猛勉強をしたものです。 **ふっとば・す**【吹っ飛ばす】 〇吹き飛ばす。投げ飛ばす。猛スピードで走らせる。ぶっとばす。[文例]**<岩を吹っ飛ばす>** ダイナマイトは一瞬のうちに大岩を吹っ飛ばした。♠**<ムシャクシャを吹っ飛ばす>** ドライブでもして、ムシャクシャした気持ちを吹っ飛ばそう。♠**<不安を吹っ飛ばす>** 試合前の不安を吹っ飛ばすように、「やるぞ!」と叫んでみた。♠**<酔っ払いを吹っ飛ばす>** しつこくからんでくる酔っ払いを吹っ飛ばしてやったわ。♠**<オートバイを吹っ飛ばす>** きみたちはオートバイを吹っ飛ばしてスカッとしたろうが、周りに住むわたしたちにはイライラがたまります。 **ふっと・ぶ**【吹っ飛ぶ】 〇吹き飛ぶ。勢いよく飛ぶ。勢いよく走る。すっかり無くなる。ぶっとぶ。[文例]**<橋が吹っ飛ぶ>** 橋は、ダイナマイトで跡[あと]かたもなく吹っ飛んだ。♠**<屋根が吹っ飛ぶ>** 山小屋の屋根は、突風[とつぷう]で吹っ飛んでしまった。♠**<吹っ飛んで行く>** 火事と聞いたら、おじさん、吹っ飛んで行ったよ。♠**<疲れが吹っ飛ぶ>** 山頂からの美しい光景にぼくたちの疲れは吹っ飛んだ。 **ぶっぱな・す**【ぶっ放す・打っ放す】 〇うつ。放つ。発射する。[文例]**<大砲[たいほう]をぶっ放す>** 我々は、敵を射程距離まで近づけてから大砲をぶっ放した。♠**<ピストルをぶっ放す>** 漫画の中のおまわりさんは、めちゃくちゃにピストルをぶっ放した。 **ぶっぴん**【物品】 〇品物。不動産以外の物。動産[どうさん]。[文例]**<必要な物品[ぶつぴん]>** 不必要な物品を再利用しようというリサイクル運動が広まっています。♠**<物品[ぶつぴん]の購入>** 学校では、校長先生の承認を受けなければ物品の購入はできません。 **ぶつめつ**【仏滅】 〇釈迦が死ぬこと。陰陽道[おんみようどう]で万事に不吉であるとする日。→大安[たいあん][文例]その日は仏滅だというので、式は延期された。♠今日は何をやってもうまくいかない、まるで仏滅だ。 **ぶつよく**【物欲・物慾】 〇金品を所有したいと思う気持ち。[文例]**<物欲[ぶつよく]にとらわれる>** 物欲にとらわれた人々は、他者を思いやる心を忘れていった。 **ふつりあい**【不釣り合い】 〇つりあわないこと。[文例]**<ふつりあいな夫婦>** あんないい女房にふつりあいな男だが、あれでうまくいっているらしい。♠**<ふつりあいな役目>** わたしのような者にはふつりあいな役目で、うまくいくかどうか心配です。♠男は、くたびれたグレイの背広にはふつりあいにはでな朱色[しゆいろ]のネクタイを締めていた。 **ぶつりてき**【物理的】 〇実際の事物・物事の状態やその法則にかなっているさま。[文例]**<物理的[ぶつりてき]に不可能>** どんなに努力したところで、この仕事を三日でやるのは物理的に不可能だ。♠**<物理的[ぶつりてき]な狭(せま)さ>** 縁側があることによって、日本の住宅はその物理的な狭さにもかかわらず、心理的な狭さをあまり感じさせない。 **ぶつりょう**【物量】 〇物の分量。物資の量。[文例]**<豊富な物量[ぶつりよう]>** 敵国は豊富な物量にものを言わせて、我が国を圧倒してきた。♠**<物量[ぶつりよう]作戦>** 敵方の兵士の士気は高かったので、こちらは物量作戦に出た。 **ふで**【筆】 〇軸の先につけた毛の束に墨や絵の具などを含ませて、文字や絵をかく用具。その用具でかくこと。また、かいた文章・書画[しよが]・文学作品など。[文例]**<筆[ふで]で書く>** 筆で字を書くのは苦手です。♠**<筆[ふで]が立つ>** クラス紹介の文章は、クラスで一番筆の立つ青木君が書くことになった。♠**<筆[ふで]を入れる>** できあがった作品をお見せすると、先生は何か所か筆を入れてくださいました。♠**<筆[ふで]を置く>** 論文を書き上げて筆を置いたときには、もう東の空が明るくなり始めていた。♠**<筆[ふで]を走らせる>** 締め切りを三日後に控え、寝る間も惜しんで原稿用紙に筆を走らせた。♠**<筆[ふで]を折る>** 氏はその大作を最後に筆を折り、田舎に引きこもったそうだ。♠**<筆[ふで]を執る>** わたしの不思議な体験をみなさんにお伝えしたく、今回筆を執りました。♠**<筆[ふで]になる>** この油絵が、中学生の筆になるものだとはとても信じられません。♠「弘法[こうぼう]は筆を選ばず」というが、それでも「弘法にも筆の誤[あやま]り」がある。 **ふてき**【不敵】 〇大胆で恐れを知らないさま。[文例]**<不敵[ふてき]な面構(つらがま)え>** 少年の不敵なつらがまえに、相手の大人も一 <975> ふとく 瞬[しゅん]ひるんで後[うし]ずさりした。●〈大胆不敵[だいたんふてき]〉たった一人[ひとり]で敵陣[てきじん]に切[き]り込[こ]むとは、何[なん]という大胆不敵[だいたんふてき]な男[おとこ]だ。 **ふでき【不出来】** ○できが悪[わる]いこと。→上出来[じょうでき][文例]<出来不出来[できふでき]>米[こめ]を主食[しゅしょく]とする日本人[にっぽんじん]にとって、稲作[いなさく]の出来[でき]、不出来[ふでき]は重要[じゅうよう]な問題[もんだい]だ。●〈不出来[ふでき]な作品[さくひん]〉不出来[ふでき]な作品[さくひん]は掲載[けいさい]されなかった。●不出来[ふでき]な娘[むすめ]不出来[ふでき]な娘[むすめ]ですが、どうぞかわいがってやってください。 **ふてぎわ【不手際】** ○手[て]ぎわが悪[わる]いこと。やり方[かた]がまずいこと。[文例]〈係[かかり]の不手際[ふてぎわ]>案内係[あんないがかり]の不手際[ふてぎわ]で、展示会[てんじかい]の入[い]り口[ぐち]には順番[じゅんばん]を待[ま]つ人[ひと]がずらりと並[なら]んだ。●〈不手際[ふてぎわ]がある〉番組[ばんぐみ]の進行[しんこう]に不手際[ふてぎわ]がありましたことをおわびいたします。●〈不手際[ふてぎわ]な処置[しょち]>事件[じけん]に対[たい]する学校側[がっこうがわ]の不手際[ふてぎわ]な処置[しょち]に父兄[ふけい]から抗議[こうぎ]が続[つづ]いた。。 **ふてくさ・れる【ふて腐れる】(不貞腐れる)** ○相手[あいて]の言葉[ことば]に反抗的[はんこうてき]な態度[たいど]をとる。ふてる。ふてくさる。[文例]母[はは]にしかられた兄[あに]は、ふてくされて部屋[へや]にとじこもってしまった。●へふてくされた態度[たいど]〉この生徒[せいと]は、注意[ちゅうい]されるとすぐふてくされた態度[たいど]をとる。 **ふてってい【不徹底】** ○徹底[てってい]しないこと。十分[じゅうぶん]に行[い]き届[とど]かないこと。[文例]〈調査[ちょうさ]の不徹底[ふてってい]〉この失敗[しっぱい]は、調査[ちょうさ]の不徹底[ふてってい]が招[まね]いたものだ。◆〈連絡[れんらく]が不徹底[ふてってい]>連絡[れんらく]が不徹底[ふてってい]で、時間[じかん]の変更[へんこう]を知[し]らず、遅刻[ちこく]する者[もの]が続出[ぞくしゅつ]した。説明[せつめい]が不徹底[ふてってい]>説明[せつめい]が不徹底[ふてってい]だったため、提出[ていしゅつ]された書類[しょるい]に記入[きにゅう]ミスが多[おお]かった。 **ふてぶてし・い** ずうずうしくて憎[にく]たらしい。[文例]へふてぶてしい男[おとこ]〉あれだけ迷惑[めいわく]をかけながらおわびも言[い]わないなんて、まったくふてぶてしい男[おとこ]だな。●へふてぶてしい態度[たいど]>転校生[てんこうせい]のふてぶてしい態度[たいど]に、みんなが反感[はんかん]を持[も]ったのは事実[じじつ]です。●へふてぶてしい面構[つらがま]え〉取[と]り押[お]さえられた犯人[はんにん]は、ふてぶてしい面構[つらがま]えをしていました。へふてぶてしく〜する〉問[と]いつめられた若[わか]い男[おとこ]は、ふてぶてしくうすら笑[わら]いを浮[う]かべている。●へふてぶてしく〜する>警官[けいかん]がやって来[き]ても、男[おとこ]はふてぶてしく座[すわ]り続[つづ]けていた。 **ふと(不図)** ○ふいに。とつぜん。何[なに]かのはずみで。[文例]ふと目[め]を覚[さ]ますと、もう窓[まど]の外[そと]は明[あか]るくなっていた。●先生[せんせい]の話[はなし]を聞[き]いていて、転校[てんこう]した町田[まちだ]さんのことをふと思[おも]い出[だ]しました。●疲[つか]れ切[き]った博士[はかせ]の頭[あたま]の中[なか]に、ある考[かんが]えがふと浮[う]かんできたのです。●ふと気[き]がついたときには、電車[でんしゃ]はもう中野駅[なかのえき]を通[とお]り過[す]ぎていた。●本[ほん]を閉[と]じてふと外[そと]を見[み]ると、黒[くろ]い雨雲[あまぐも]が空[そら]を覆[おお]っていた。へふとしたこと〉ふとしたことがきっかけで、アメリカ旅行[りょこう]が実現[じつげん]することになりました。 **ふと・い【太い】** ○棒[ぼう]やひも状[じょう]の物[もの]のさしわたしが大[おお]きい。線状[せんじょう]の物[もの]の幅[はば]が広[ひろ]い。声[こえ]が低[ひく]く、大[おお]きい。大胆[だいたん]だ。ずうずうしい。[文例]〈太[ふと]い木[き]〉中学校[ちゅうがっこう]の校庭[こうてい]の隅[すみ]には、太[ふと]いイチョウの木[き]がありました。●へ脚[あし]が太[ふと]い〉うちの姉[あね]は脚[あし]が太[ふと]いからと言[い]って、短[みじか]いスカートをはきたがらない。●〈太[ふと]い声[こえ]>山賊[さんぞく]の頭目[とうもく]は子分[こぶん]たちを太[ふと]い声[こえ]でどなりちらしていた。♠〈太[ふと]いため息[いき]>先輩[せんぱい]はなつかしいグラウンドを見[み]つめて、太[ふと]いため息[いき]をつきました。●〈神経[しんけい]が太[ふと]い〉神経[しんけい]の太[ふと]いきみでも、さすがに決勝戦[けっしょうせん]ともなれば緊張[きんちょう]するんだね。へ腹[はら]が太[ふと]い>武将[ぶしょう]は昨日[きのう]までの敵[てき]を許[ゆる]し、傘下[さんか]に加[くわ]えるという腹[はら]の太[ふと]いところを見[み]せた。●〈太[ふと]いやつ〉お世話[せわ]になった家[いえ]に泥棒[どろぼう]に入[はい]るとは、本当[ほんとう]に太[ふと]いやつだな、犯人[はんにん]は。●へ太[ふと]く短[みじか]く生[い]きる>先[さき]のことをくよくよ心配[しんぱい]して生[い]きるよりも、一度[いちど]きりの人生[じんせい]を太[ふと]く短[みじか]く生[い]きたいと、彼[かれ]は言[い]った。 **ふとう【不当】** ○正当[せいとう]でないさま。[文例] <不当[ふとう]な要求[ようきゅう]>相手[あいて]が大国[たいこく]といえども、不当[ふとう]な要求[ようきゅう]に応[おう]じるわけにはいかない。●〈不当[ふとう]な差別[さべつ]〉今[いま]も残[のこ]っている不当[ふとう]な男女差別[だんじょさべつ]を撤廃[てっぱい]しようと、多[おお]くの女性[じょせい]たちが運動[うんどう]を行[おこな]っている。●不当[ふとう]な解雇[かいこ]>会社側[かいしゃがわ]の不当[ふとう]な解雇[かいこ]に対[たい]して、彼[かれ]は法廷[ほうてい]で戦[たたか]うことを決意[けつい]しました。●不当[ふとう]な利益[りえき]〉この会社[かいしゃ]が手[て]にした不当[ふとう]な利益[りえき]は、かなりの額[がく]になるらしい。◆不当[ふとう]につりあげる>男[おとこ]はぼくたちの弱[よわ]みにつけこんで、代金[だいきん]を不当[ふとう]につりあげていった。 **ふどう【不動】** ○○動[うご]かないでいること。安定[あんてい]してゆるぎのないこと。不動明王[ふどうみょうおう]。[文例] 不動[ふどう]の地位[ちい]>彼[かれ]が組織内[そしきない]で不動[ふどう]一の地位[ちい]を築[きず]くまでには、大変[たいへん]な努力[どりょく]があったのです。◆不動[ふどう]の信念[しんねん]〉ぼくの信念[しんねん]は不動[ふどう]のもので、何[なん]と言[い]われてもゆるぎません。●へ直立不動[ちょくりつふどう]>王[おう]が姿[すがた]を見[み]せると、家来[けらい]たちは直立不動[ちょくりつふどう]の姿勢[しせい]を取[と]って敬礼[けいれい]した。◆へお不動[ふどう]さま>信心深[しんじんぶか]いおばあちゃんは、毎日近[まいにちちか]くのお不動[ふどう]さまにお参[まい]りします。 **ぶとう【舞踏】** ○舞[ま]い踊[おど]ること。ダンス。[文例]〈舞踏会[ぶとうかい]>貴族[きぞく]の館[やかた]では、夜[よる]ごと華[はな]やかな舞踏会[ぶとうかい]が催[もよお]されていた。 **ぶどう【武道】** ○武士[ぶし]の守[まも]るべき道[みち]。武士道[ぶしどう]。武芸[ぶげい]。武術[ぶじゅつ]。[文例]〈伝統的[でんとうてき]な武道[ぶどう]>伝統的[でんとうてき]な武道[ぶどう]である柔道[じゅうどう]は、今日[こんにち]では国際的[こくさいてき]なスポーツとして広[ひろ]まっている。へ武道[ぶどう]を習[なら]う〉武家社会[ぶけしゃかい]では、男児[だんじ]は幼少[ようしょう]より武道[ぶどう]を習[なら]い、体[からだ]と精神[せいしん]を鍛[きた]えた。 **ふとういつ【不統一】** ○まとまりがないこと。[文例]〈意見[いけん]の不統一[ふとういつ]>学園祭[がくえんさい]が近[ちか]づいても、まだクラス内[ない]に意見[いけん]の不統一[ふとういつ]がみられた。〈文体[ぶんたい]が不統一[ふとういつ]〉この文章[ぶんしょう]は、文体[ぶんたい]が不統一[ふとういつ]で読[よ]みづらい。 **ふどうさん【不動産】** ○土地[とち]や建物[たてもの]などの資産[しさん]。[文例]不動産[ふどうさん]を持[も]つ>土地[とち]などの不動産[ふどうさん]を持[も]たない人々[ひとびと]の間[あいだ]に、政府[せいふ]に対[たい]する不満[ふまん]が高[たか]まっていた。◆不動産業[ふどうさんぎょう]〉不動産業[ふどうさんぎょう]を営[いとな]む彼[かれ]は、地価高騰[ちかこうとう]に便乗[びんじょう]して事業[じぎょう]を拡大[かくだい]していった。 **ふとうふくつ(不撓不屈)** ○困難[こんなん]にあってもくじけないこと。[文例]〈不撓不屈[ふとうふくつ]の精神[せいしん]〉いかなる困難[こんなん]に対[たい]しても不撓不屈[ふとうふくつ]の精神[せいしん]で立[た]ち向[む]かえば、必[かなら]ずや道[みち]は開[ひら]けるであろう。 **ふとうめい【不透明】** ○透明[とうめい]でないこと。見通[みとお]せないこと。[文例]〈不透明[ふとうめい]なガラス〉店内[てんない]が外[そと]から丸見[まるみ]えでは落[お]ち着[つ]かないので、ウインドーには不透明[ふとうめい]なガラスを使[つか]ってみよう。◆<不透明[ふとうめい]な液体[えきたい]>瓶[びん]の中[なか]の不透明[ふとうめい]な液体[えきたい]が何[なん]であるのか、わたしたちにもわからなかった。へ先[さき]行[ゆ]きが不透明[ふとうめい]〉関係者[かんけいしゃ]の必死[ひっし]の努力[どりょく]にもかかわらず、交渉[こうしょう]の先[さき]行[ゆ]きは不透明[ふとうめい]であった。 **ふとく【不徳】** ○徳[とく]が足[た]りないこと。不道徳[ふどうとく]であること。[文例]不徳[ふとく]のいたすところ〉この一件[いっけん]は、すべて私[わたし]の不徳[ふとく] <976> **ふとくてい**[不特定] ○特[とく]に定[さだ]められていないこと。♠[文例]〈不特定[ふとくてい]の人々[ひとびと]>不特定の人々を観客[かんきゃく]とする映画[えいが]や演劇[えんげき]は、幅広[はばひろ]い階層[かいそう]の人々を引[ひ]きつける魅力[みりょく]をもっていなければならない。♠〈不特定多数[ふとくていたすう]>手紙[てがみ]の相手[あいて]は特定[とくてい]の一人[ひとり]だが、文学[ぶんがく]作品[さくひん]は不特定多数の読者[どくしゃ]が相手です。 **ふとくようりょう**[不得要領] ○要領[ようりょう]を得[え]ないさま。わけが分[わ]からないさま。♠[文例]〈不得要領[ふとくようりょう]な説明[せつめい]>明快[めいかい]な回答[かいとう]を求[もと]めても、役人[やくにん]はくどくどと不得要領な説明を繰[く]り返[かえ]すばかりで、いっこうにらちが明[あ]かない。♠〈不得要領な暗号[あんごう]>その手紙は、所々[ところどころ]に絵[え]や記号[きごう]のようなものも入[はい]っており、不得要領な暗号のようでもあった。 **ふところ**[懐] ○着[き]ている着物[きもの]の胸[むね]の部分[ぶぶん]の内側[うちがわ]。所持金[しょじきん]。心[こころ]の中[なか]。内部[ないぶ]。両側[りょうがわ]からはさまれて奥[おく]まったところ。♠[文例]〈懐[ふところ]に抱[だ]く〉おじいさんの懐に抱かれて眠[ねむ]った幼[おさな]い日[ひ]がなつかしい。♠〈懐にしまう〉主君[しゅくん]から預[あず]かった書状[しょじょう]を、家老[かろう]はうやうやしく受[う]け取[と]り、懐にしまった。♠〈懐にする〉少年[しょうねん]は働[はたら]いて得[え]たお金[かね]を懐にして、母[はは]の待[ま]つ家[いえ]へと急[いそ]ぐのだった。♠〈懐を当[あ]てにする〉遊[あそ]びに行[い]こうと誘[さそ]っておきながら、実[じつ]は人[ひと]の懐を当てにしているのだから、調子[ちょうし]のいいやつだ。♠〈懐が暖[あたた]かい>船[ふね]から上[あ]がって懐の暖かい船員[せんいん]が多[おお]いらしく、町[まち]は大変[たいへん]なにぎわいだった。♠〈懐が寂[さび]しい・寒[さむ]い>給料日[きゅうりょうび]前[まえ]で懐が寂しいのだろう、不景気[ふけいき]な顔[かお]をしたサラリーマンが多い。♠〈懐を痛[いた]める〉娘[むすめ]の結婚式[けっこんしき]で、なにやかやとだいぶ懐を痛めました。♠〈敵[てき]の懐〉スパイを放[はな]って敵の懐を探[さぐ]る。♠〈大自然[だいしぜん]の懐>雪[ゆき]に覆[おお]われた山々[やまやま]を眺[なが]めていると、大自然の懐に抱かれたような安心感[あんしんかん]が広[ひろ]がっていく。♠〈懐具合[ふところぐあい]>懐具合がいいなら、少[すこ]しまわしてくれないか。 **ふとどき**[不届き] ○行[ゆ]き届[とど]かないこと。けしからぬこと。♠[文例]〈不届[ふとど]きをわびる〉係[かかり]の者[もの]の不届きをおわびいたします。♠〈不届きなやつ〉人[ひと]の家[いえ]の柿[かき]を盗[ぬす]むとは不届きなやつだ。♠〈不届き者[もの]>家[いえ]の金[かね]をだまって持[も]ち出[だ]すような不届き者[もの]は、勘当[かんどう]だ。 **ふと・る**[太る] ○肉付[にくづ]きがよくなる。金持[かねも]ちになる。♠[文例]〈体[からだ]が太[ふと]る〉父[ちち]はたばこをやめてから、少[すこ]し太ったようだ。♠〈太った人[ひと]>右[みぎ]から二番目[にばんめ]の太った男[おとこ]の人[ひと]が、新[あたら]しい数学[すうがく]の先生[せんせい]です。♠〈金持[かねも]ちが太る〉この国[くに]の社会[しゃかい]のしくみでは、金持ちはどんどん太り、貧乏人[びんぼうにん]はますますやせていってしまう。♠〈戦後[せんご]のどさくさで太る〉N氏[し]は戦後のどさくさで急激[きゅうげき]に太った土地[とち]成金[なりきん]です。♠〈太りすぎ〉身長[しんちょう]一[いち]メートル七十[ななじゅう]で八十[はちじっ]キロでは、ちょっと太りすぎだね。♠〈太りぎみ〉姉[あね]は冬[ふゆ]になって脂肪[しぼう]がついたせいか、ちょっと太りぎみだ。 **ふとん**[布団](蒲団) ○綿[わた]や羽毛[うもう]を布[ぬの]でくるんだ寝具[しんぐ]。ざぶとん。♠[文例]〈布団[ふとん]を敷[し]く・上[あ]げる〉自分[じぶん]の布団くらいは自分で敷きなさい。もちろん、上げるのも自分でしなさい。♠〈布団を畳[たた]む〉今朝[けさ]は朝寝坊[あさねぼう]をして、布団も畳まずにあわてて飛[と]び出[だ]した。♠〈布団を掛[か]ける>母親[ははおや]は、夜中[よなか]に何度[なんど]も目を覚[さ]ましては、幼[おさな]い子[こ]に布団を掛けなおしてやりました。♠〈布団をかぶる〉大[おお]きな雷[かみなり]の音[おと]に、頭[あたま]から布団をかぶってぶるぶる震[ふる]えていた。♠〈布団を干[ほ]す〉久[ひさ]しぶりに晴[は]れたから、今日[きょう]は布団を干そう。♠〈布団に入[はい]る〉その夜[よる]、布団に入っても昼間[ひるま]のことが思[おも]い出[だ]され、なかなか寝[ね]つかれませんでした。♠〈布団に潜[もぐ]る>重労働[じゅうろうどう]で体[からだ]が綿[わた]のように疲[つか]れ、布団に潜るとそのまま眠[ねむ]りこんでしまった。♠〈布団蒸[ぶとんむ]し>生徒[せいと]の部屋[へや]を回[まわ]っていたら、突然[とつぜん]布団蒸しにされ、死[し]ぬ思[おも]いをしましたよ。 **ふなで**[船出] ○船[ふね]が港[みなと]を出[で]ること。船で乗[の]り出[だ]すこと。♠[文例]〈船出[ふなで]する〉今[いま]から四百年[よんひゃくねん]ほど昔[むかし]、四人[よにん]の少年[しょうねん]が遠[とお]くローマへ向[む]かって長崎[ながさき]の港から船出した。♠〈船出を見送[みおく]る〉島[しま]のみんなが、本土[ほんど]へ働[はたら]きに出[で]てゆく子供[こども]たちの船出を見送った。♠〈人生[じんせい]の船出>新郎[しんろう]新婦[しんぷ]の人生の船出を祝[いわ]って、乾杯[かんぱい]! **ふなのり**[船乗り] ○船[ふね]に乗[の]り組[く]む人[ひと]。船員[せんいん]。♠[文例]船乗りのロビンソン・クルーソーは、航海中[こうかいちゅう]にあらしにあい無人島[むじんとう]に流[なが]れ着[つ]いた。♠〈船乗りになる〉ぼくの夢[ゆめ]は、船乗りになって七[なな]つの海[うみ]をかけめぐることだ。 **ふなれ**[不慣れ](不馴れ) ○慣[な]れていないさま。♠[文例]不慣[ふな]れな素人[しろうと]〉もちはもち屋[や]というから、不慣れな素人がやるより、本職[ほんしょく]に頼[たの]んだほうが無難[ぶなん]だ。♠不慣れな場所[ばしょ]>不慣れな場所だと緊張[きんちょう]するから、会場[かいじょう]の下見[したみ]をしておこう。 **ぶなん**[無難] ○特[とく]にすぐれた点[てん]はないが、欠点[けってん]もないこと。災[わざわ]いがないこと。無事[ぶじ]。♠[文例]〈無難[ぶなん]に切[き]り抜[ぬ]ける〉トラブルが起[お]こりやすい急[きゅう]カーブを無難に切り抜け、車[くるま]はいよいよ直線[ちょくせん]コースに入[はい]ってきました。♠〈無難にまとめる〉決[けっ]して良[よ]い出来[でき]ではありませんが、彼女[かのじょ]の作文[さくぶん]は無難にまとめてありました。♠〈無難な道[みち]>絵[え]を捨[す]て大会社[だいがいしゃ]に就職[しゅうしょく]した彼[かれ]は、無難な道を選[えら]んだと言[い]えるでしょう。♠〈無難な成績[せいせき]>体調[たいちょう]が悪[わる]かったわりには、無難な成績を収[おさ]めることができました。♠〈無難な人選[じんせん]>反対派[はんたいは]のことも考[かんが]えると、H氏[し]を委員長[いいんちょう]にしたのは無難な人選だったと思[おも]える。♠どうせかないっこないのだから、女子[じょし]には口[くち]を出[だ]さないほうが無難だ。 **ふにあい**[不似合い] ○似合[にあ]わないさま。似[に]つかわしくないさま。♠[文例]〈村[むら]に不似合[ふにあ]い〉病院[びょういん]だけは、小[ちい]さな村に不似合いなくらいりっぱだった。♠〈体[からだ]に不似合い>男[おとこ]は、その大きな体には不似合いな女[おんな]のような優[やさ]しい声[こえ]を出[だ]した。 **ふにょい**[不如意] ○思[おも]うようにならないこと。金銭的[きんせんてき]に苦[くる]しいこと。♠[文例]〈世[よ]の中[なか]が不如意[ふにょい]>ああしたい、こうしたいと思ってみても、世の中は不如意で思うようにはいかないものだ。♠〈不如意な暮[く]らし〉老人[ろうじん]には不如意な暮らしで、これといった楽[たの]しみもなかった。♠〈手[て]もと不如意>あれもこれも欲[ほ]しいが、いま手もと不如意で晩[ばん]ごはんのおかずくらいしか買[か]えない。 **ふにん**[赴任] ○任地[にんち]におもむくこと。♠[文例]〈赴任[ふにん]する「坊っちゃん」は四国[しこく]の中学校[ちゅうがっこう]の教師[きょうし]に赴任していく。♠〈単身赴任[たんしんふにん]>遠方[えんぽう]に転勤[てんきん]を命[めい]じられ、父[ちち]は単身赴-任しました。 <977> **ふにんじょう**[不人情] ○人情[にんじょう]に欠[か]けること。思[おも]いやりのないさま。♠[文例]〈不人情[ふにんじょう]をする〉目[め]の前[まえ]の困[こま]っている人[ひと]に対[たい]して不人情はしたくありません。♠〈不人情な人[ひと]>友達[ともだち]の頼[たの]みをにべもなく断[ことわ]るとは不人情な男[おとこ]だ。 **ふぬけ**(腑抜け) ○意気地[いくじ]がないこと。腰抜[こしぬ]け。♠[文例]年下[としした]の子[こ]をおいて自分[じぶん]だけ先[さき]に逃[に]げたのなら、ふぬけといわれてもしかたないね。♠〈腑抜[ふぬ]けのよう〉恋人[こいびと]に去[さ]られてから、彼[かれ]は腑抜けのようになってしまった。 **ふね**[船・舟] ○人[ひと]・荷物[にもつ]を乗[の]せて水上[すいじょう]または水中[すいちゅう]を走[はし]る交通[こうつう]・輸送[ゆそう]機関[きかん]。また、それに形[かたち]の似[に]た容器[ようき]。♠[文例]〈船[ふね]が行[い]く〉ゆったりとたゆたう春[はる]の海[うみ]を、のんびりと船が行く。♠〈船が走[はし]る〉青[あお]い海を、矢[や]のようなスピードで一[いっ]そうの白[しろ]い船が走っている。♠〈船が進[すす]む〉ぼくたち新入[しんにゅう]社員[しゃいん]研修生[けんしゅうせい]を乗せた船は、広[ひろ]い太平洋[たいへいよう]の洋上[ようじょう]を進んでいた。♠〈舟[ふね]が出[で]る〉おおい、舟が出るぞお。♠〈舟をこぐ〉だれでも未来[みらい]という名[な]の大海原[おおうなばら]へ、自分[じぶん]の力[ちから]だけで舟をこぎ出さねばならない日[ひ]がやってくる。♠〈舟をこぐ〉いすにもたれたまま、おじいさんはこっくりこっくり舟をこぎ始[はじ]めた。♠〈乗[の]りかかった舟>ここまで来[く]れば乗りかかった舟だ、最後[さいご]までみきにつき合[あ]うよ。♠〈渡[わた]りに舟>相手[あいて]の誘[さそ]いに、ぼくは渡りに舟とばかりに飛[と]びついた。♠〈助[たす]け舟>ぼくが言葉[ことば]につまると、先生[せんせい]が横[よこ]から助け舟を出してくれました。 **ふのう**[不能] ○能力[のうりょく]がないこと。不可能[ふかのう]なこと。♠[文例]〈通行[つうこう]不能[ふのう]>冬[ふゆ]になると、道路[どうろ]に雪[ゆき]が積[つ]もり、バスは通行不能になってしまう。♠〈理解[りかい]不能[ふのう]>文章[ぶんしょう]が主観[しゅかん]にたよりすぎると、読[よ]み手[て]にとって理解不能であるという事態[じたい]が生[しょう]じる。♠〈再起[さいき]不能[ふのう]>けがで再起不能といわれながら、強[つよ]い精神力[せいしんりょく]で奇跡的[きせきてき]に立[た]ち直[なお]る選手[せんしゅ]がいる。 **ふはい**[不敗] ○負[ま]けないこと。負けたことがないこと。♠[文例]〈不敗[ふはい]を誇[ほこ]る〉県下[けんか]の高校[こうこう]柔道界[じゅうどうかい]でずばぬけた実力[じつりょく]を持[も]つ彼[かれ]は、三年間[さんねんかん]を通[つう]じて不敗を誇った。 **ふはい**[腐敗] ○腐[くさ]ること。堕落[だらく]すること。♠[文例]〈腐敗[ふはい]する〉夏場[なつば]は、食物[しょくもつ]が腐敗しやすいので、十分[じゅうぶん]に注意[ちゅうい]しよう。♠〈政治[せいじ]の腐敗>その国[くに]の政治の腐敗は目[め]にあまるものがあった。 **ふはつ**[不発] ○発射[はっしゃ]しないこと。爆発[ばくはつ]しないこと。計画[けいかく]が実行[じっこう]されないこと。♠[文例]〈不発[ふはつ]に終[お]わる〉みんなの緊張[きんちょう]をとこうと思[おも]って言[い]ったジョークだったが、不発に終わってしまった。♠〈不発弾[ふはつだん]>今[いま]でも、戦争中[せんそうちゅう]の不発弾が工事[こうじ]現場[げんば]などから出[で]てくることがあります。 **ふび**[不備] ○十分[じゅうぶん]に備[そな]わっていないこと。十分[じゅうぶん]に整[ととの]っていないこと。♠[文例]〈運営[うんえい]の不備[ふび]>本番[ほんばん]でも道具[どうぐ]がそろわないなど、運営上の不備が目立[めだ]った。♠〈不備な点[てん]>編集者[へんしゅうしゃ]は、原稿[げんこう]に目[め]を通[とお]し、内容[ないよう]に不備な点があったら筆者[ひっしゃ]の了解[りょうかい]を得[え]て訂正[ていせい]します。 **ふひょう**[不評] ○評判[ひょうばん]が悪[わる]いこと。悪評[あくひょう]。→好評[こうひょう]♠[文例]本校[ほんこう]の制服[せいふく]はセンスが悪[わる]いと、生徒[せいと]たちには不評[ふひょう]です。♠〈不評を買[か]う〉暴力[ぼうりょく]シーンの多[おお]いテレビ番組[ばんぐみ]は、子供[こども]によくないとお母[かあ]さん方[がた]の不評を買っている。 **ふびょうどう**[不平等] ○平等[びょうどう]でないこと。♠[文例]人間[にんげん]は生[う]まれながらにして平等であるというけれども、やはりさまざまな点[てん]で不平等であると言わざるを得[え]ない。♠〈不平等に扱[あつか]う〉人種[じんしゅ]差別[さべつ]のはなはだしいこの国[くに]では、人種によって、医療[いりょう]・教育[きょういく]その他[た]生活[せいかつ]のすみずみまで不平等に扱われる。♠〈不平等条約[ふびょうどうじょうやく]>安政[あんせい]五年[ごねん]に締結[ていけつ]された日米[にちべい]修好[しゅうこう]通商[つうしょう]条約[じょうやく]は、日本側[にほんがわ]には不利[ふり]な不平等条約であった。 **ふびん**(不憫・不愍) ○かわいそうなさま。気[き]の毒[どく]なさま。♠[文例]〈ふびんな子[こ]>この子[こ]は幼[おさな]いときに両親[りょうしん]をなくした、とてもふびんな子なのです。♠〈ふびんに思[おも]う〉身寄[みよ]りのない老人[ろうじん]をふびんに思います。♠〈ふびんと思[おも]う〉彼[かれ]らをふびんと思うのなら、きみも何[なに]か手助[てだす]けをしたらどうだ。♠〈ふびんでならない>寒空[さむぞら]に焼[や]け出[だ]された人々[ひとびと]のことを思うと、ふびんでならない。 **ぶひん**[部品] ○機械[きかい]や道具類[どうぐるい]を組[く]み立[た]てている部分品[ぶぶんひん]。♠[文例]〈機械[きかい]の部品[ぶひん]>壊[こわ]れた機械は、部品を取[と]り寄[よ]せれば修理[しゅうり]できます。♠〈自動車[じどうしゃ]の部品>自動車の整備[せいび]工場[こうじょう]には、すべての部品がそろっています。 **ふぶき**[吹雪] ○激[はげ]しい風[かぜ]とともに雪[ゆき]が降[ふ]ること。♠[文例]〈激[はげ]しい吹雪[ふぶき]>関[せき]が原[はら]付近[ふきん]で、列車[れっしゃ]が激しい吹雪のため立[た]ち往生[おうじょう]しています。♠〈吹雪が収[おさ]まる〉登山隊[とざんたい]はベースキャンプで、吹雪が収まるのをじっと待[ま]った。♠〈吹雪がやむ〉日曜日[にちようび]の朝[あさ]には吹雪もやみ、久[ひさ]しぶりに快晴[かいせい]の空[そら]が広[ひろ]がった。♠〈吹雪になる〉おじいさんは北[きた]の空を眺[なが]めて、これは吹雪になるなとつぶやいた。♠〈吹雪に遭[あ]う〉雪原[せつげん]で吹雪に遭い、予定[よてい]が大[おお]きく狂[くる]ってしまった。♠〈吹雪に見舞[みま]われる〉すさまじい吹雪に見舞われ、村[むら]は完全[かんぜん]に孤立[こりつ]している。♠〈吹雪を冒[おか]す〉ダムの建設[けんせつ]作業[さぎょう]は、吹雪を冒して続[つづ]けられている。♠〈紙吹雪[かみふぶき]>優勝[ゆうしょう]が決[き]まった瞬間[しゅんかん]、スタンドからはテープが投[な]げられ、紙吹雪が舞[ま]いました。 **ふふく**[不服] ○服従[ふくじゅう]しないこと。不満[ふまん]で従[したが]わないこと。♠[文例]足[あし]の速[はや]いよしえちゃんは、二人三脚[ににんさんきゃく]でぼくと組[く]むことに不服[ふふく]そうな顔[かお]をした。♠不服な点[てん]>不服な点がないではなかったが、ここは相手[あいて]の和解案[わかいあん]をのむことにした。♠〈不服を言[い]う〉食[た]べ物[もの]には不服を言わないほうですが、この民宿[みんしゅく]の食事[しょくじ]はひどかった。♠〈不服を唱[とな]える〉学生[がくせい]たちは、大学側[だいがくがわ]の決定[けってい]に不服を唱えて集会[しゅうかい]を開[ひら]いた。♠〈不服を申[もう]し立[た]てる〉厚生省[こうせいしょう]の決定に対[たい]し、被害者[ひがいしゃ]側[がわ]は不服を申し立てた。♠〈不服とする〉会社側[かいしゃがわ]が提示[ていじ]した賃上[ちんあ]げ額[がく]を不服として、組合側[くみあいがわ]はストライキに突入[とつにゅう]した。 **ぶぶん**[部分] ○全体[ぜんたい]を小分[こわ]けにしたものの一つ一つ。一部[いちぶ]。♠[文例]〈体[からだ]の部分[ぶぶん]>医者[いしゃ]は、ちょっと打診[だしん]をすれば、患者[かんじゃ]の体のどの部分が悪[わる]いのかわかるという。♠〈失[うしな]われた部分>学者[がくしゃ]たちは、その化石[かせき]の失われた部分を復元[ふくげん]することにした。♠〈最後[さいご]の部分>この交響曲[こうきょうきょく]は第四[だいよん]楽章[がくしょう]の最後の部分の盛[も]り上[あ]がりが特[とく]にすばらしい。♠〈気[き]に入[い]った部分>主人公[しゅじんこう]が明[あ]け方[がた]の港[みなと]に行[い]くところが、この小説[しょうせつ]でとても気に入った部分です。♠〈部分に分[わ]かれる〉短歌[たんか]は、上[かみ]の句[く]と下[しも]の句[く]の二[ふた]つの部分に分かれている。♠〈部分部分[ぶぶんぶぶん]>先生[せんせい]は、教科書[きょうかしょ]を声[こえ]に出[だ]して読[よ]ませながら、部分部分で細[こま]かい説明[せつめい]をしてくれた。♠〈生活[せいかつ]のあらゆる部分>電気[でんき]は、わたしたちの生活のあらゆる部分で欠[か]かすことのできないものの一[ひと]つです。♠〈全体[ぜんたい]と部分>木[き]を見[み]て森[もり]を見[み]ずとは、細[こま]かい部分を気[き]にするあまり全体を見失[みうしな]うことを言[い]う。♠〈部分的[ぶぶんてき]>きみの作文[さくぶん]はなかなかよい出来[でき]だが、まだ部分的におかしいところがあるから、そこを直[なお]してきなさい。 <978> **ふぶんりつ**[不文律] ○成文化[せいぶんか]されていないきまり。暗黙[あんもく]のうちに了解[りょうかい]し合[あ]っているきまり。♠[文例]社会[しゃかい]のきまりには、法律[ほうりつ]として成文化されたものだけでなく、慣習[かんしゅう]として定着[ていちゃく]した不文律がある。♠海[うみ]の男[おとこ]たちには、素手[すで]による一対一[いったいいち]のけんかにはたの者[もの]は手[て]を出[だ]さないという不文律があった。 **ふへい**[不平] ○不満[ふまん]に思[おも]って気持[きも]ちがおさまらないこと。♠[文例]〈不平[ふへい]を言[い]う〉不平を言うばかりで、自分[じぶん]では何[なに]の行動[こうどう]も起[お]こさないという人[ひと]が多[おお]い。♠〈不平を並[なら]べる〉政治[せいじ]に対[たい]して、人々[ひとびと]は、新聞[しんぶん]やテレビを通[つう]じて連日[れんじつ]不平を並べている。♠〈不平がある・ない〉何[なに]か不平があるのなら、だまっていないではっきり言[い]ってごらん。♠〈不平が募[つの]る〉重[おも]い年貢[ねんぐ]にあえぐ農民[のうみん]たちの不平が募り、一揆[いっき]に発展[はってん]していった。♠〈不平を鳴[な]らす〉上級生[じょうきゅうせい]の無理[むり]な命令[めいれい]に、下級生[かきゅうせい]たちはいっせいに不平を鳴らしました。♠〈不平不満[ふへいふまん]>日[ひ]ごろ積[つ]もり積もった不平不満が一気[いっき]に爆発[ばくはつ]した。♠〈不平たらたら〉わずかな雨[あめ]で試合[しあい]が中止[ちゅうし]になり、観客[かんきゃく]は不平たらたらです。 **ぶべつ**(侮蔑) ○さげすむこと。みくだすこと。♠[文例]〈侮蔑[ぶべつ]の念[ねん]>施[ほどこ]しをする彼[かれ]らの態度[たいど]には、貧民[ひんみん]に対[たい]する同情[どうじょう]よりもむしろ侮辱の念が現[あらわ]れていた。♠〈侮蔑がこもる〉女[おんな]たちは、酔[よ]った男[おとこ]に侮蔑のこもった目[め]を向[む]けた。♠〈侮蔑を浴[あ]びせる〉ばかなまねをしたわたしに、みんなは侮蔑を浴びせるに違[ちが]いない。♠〈侮蔑する〉金持[かねも]ちの家[いえ]に生[う]まれた彼を、ぼくは羨望[せんぼう]するかわりに侮蔑していた。 **ふへん**[不変] ○変化[へんか]しないこと。♠[文例]〈不変[ふへん]の人間性[にんげんせい]>古典[こてん]を読[よ]むことによって、その時代[じだい]の社会[しゃかい]や生活[せいかつ]の実相[じっそう]に触[ふ]れ、同時[どうじ]に不変の人間性に接[せっ]することができる。♠〈永劫不変[えいごうふへん]>二人[ふたり]は、神[かみ]の前[まえ]で永劫不変の愛[あい]を誓[ちか]います。 **ふへん**[普通] ○すべてに共通[きょうつう]すること。あまねく行[ゆ]き渡[わた]ること。♠[文例]〈普遍[ふへん]の真理[しんり]>愛[あい]がわたしたち人間[にんげん]を豊[ゆた]かにし、幸福[こうふく]にしてくれるというのは普遍の真理です。♠〈普遍性[ふへんせい]>ルールは、ある集団[しゅうだん]の中[なか]だけで通用[つうよう]するということもあるから、必[かなら]ずしも普遍性をもつとは言[い]えない。 **ふべん**[不便] ○便利[べんり]でないこと。♠[文例]〈交通[こうつう]が不便[ふべん]>父[ちち]の田舎[いなか]は交通の不便な所[ところ]で、駅[えき]までバスで二時間[にじかん]もかかります。♠〈持[も]ち運[はこ]びに不便>このままでは持ち運びに不便なので、ダンボールにまとめてください。♠〈不便に思[おも]う〉電話[でんわ]のない生活[せいかつ]は、都会[とかい]育[そだ]ちのあなたには不便に思うことも多[おお]いでしょう。♠〈不便を感[かん]じる〉必要[ひつよう]なものはすべてそろっていて、一人[ひとり]暮[ぐ]らしに何[なん]の不便も感[かん]じていない。♠〈不便をかける〉工事中[こうじちゅう]は停電[ていでん]となります。ご不便をおかけしますが、よろしくお願いします。♠〈不便を忍[しの]ぶ〉第一線[だいいっせん]をしりぞいた彼[かれ]は人目[ひとめ]を避[さ]けるように、山奥[やまおく]で不便を忍んで生活[せいかつ]している。♠〈不便が生[しょう]じる〉この機械[きかい]を処分[しょぶん]すると、何[なに]か不便が生じますか。 **ふぼ**[父母] ○父[ちち]と母[はは]。両親[りょうしん]。♠[文例]〈父母[ふぼ]と別[わか]れる〉幼[おさな]いころに父母と死[し]に別[わか]れた少年[しょうねん]は、一人[ひとり]でたくましく生[い]きていきました。♠それについては、父母に相談[そうだん]してから決[き]めようと思[おも]います。 **ふほう**[不法] ○道理[どうり]にはずれること。法[ほう]にそむくこと。♠[文例]〈不法[ふほう]な要求[ようきゅう]>賃金[ちんぎん]を倍[ばい]にしてほしいなどというのは、不法な要求というものだ。♠〈不法な言[い]いがかり〉返事[へんじ]に窮[きゅう]した相手[あいて]の男[おとこ]は、今度[こんど]は不法な言いがかりをつけて我々[われわれ]を威圧[いあつ]してきた。♠〈不法行為[ふほうこうい]>他人[たにん]の家[いえ]に侵入[しんにゅう]するというのは、明[あき]らかに不法行為だ。♠〈不法占拠[ふほうせんきょ]>大学[だいがく]の改革[かいかく]を叫[さけ]ぶ急進派[きゅうしんは]の学生[がくせい]たちはついに、大学の講堂[こうどう]を不法占拠した。 **ふほう**(訃報) ○死去[しきょ]の知[し]らせ。♠[文例]〈訃報[ふほう]を伝[つた]える〉留学[りゅうがく]中[ちゅう]の娘[むすめ]さんに父親[ちちおや]の訃報を伝えるのは、心[こころ]が痛[いた]んだ。♠〈訃報を受[う]ける〉恩師[おんし]の訃報を受けたわたしは、その夜[よる]の新幹線[しんかんせん]に飛[と]び乗[の]っていた。♠〈訃報に接[せっ]する〉年[とし]を取[と]るにつれ、肉親[にくしん]や友[とも]の訃報に接することが多[おお]くなる。 **ふほんい**[不本意] ○本意[ほんい]でないこと。意[い]に満[み]たないこと。♠[文例]〈不本意[ふほんい]な結果[けっか]>このような不本意な結果に終[お]わってしまい残念[ざんねん]だと、キャプテンは沈[しず]んだ表情[ひょうじょう]で語[かた]った。♠〈不本意な成績[せいせき]>体調[たいちょう]がいまひとつで、昨日[きのう]の試験[しけん]は不本意な成績に終[お]わりました。♠〈不本意な年[とし]>去年[きょねん]はけがのため出場[しゅつじょう]機会[きかい]が少[すく]なく、この選手[せんしゅ]にとっては不本意な一年[いちねん]だった。♠〈不本意ながら〉不本意ながら、その決議[けつぎ]には賛成[さんせい]という立場[たちば]をとらざるを得[え]なかった。 **ふま・える**[踏まえる] ○踏[ふ]みしめる。ある事実[じじつ]の上[うえ]に立[た]つ。根拠[こんきょ]とする。ふんまえる。♠[文例]〈大地[だいち]を踏[ふ]まえる〉しっかりと大地を踏まえて立[た]つ若者[わかもの]になれ。♠〈事実を踏まえる〉具体的[ぐたいてき]な事実や、はっきりした根拠を踏まえて発言[はつげん]しよう。♠経験[けいけん]を踏まえる〉父[ちち]の話[はなし]は、長年[ながねん]の経験を踏まえたものなので説得力[せっとくりょく]があります。 **ふまじめ**[不まじめ](不真面目) ○まじめでないこと。♠[文例]〈ふまじめな人[ひと]>よくクラブ活動[かつどう]をさぼるふまじめな部員[ぶいん]がいるので困[こま]る。♠〈ふまじめな態度[たいど]>そういうふまじめな態度は許[ゆる]さんぞ! **ふまん**[不満] ○満足[まんぞく]できないこと。満[み]たされない気持[きも]ち。♠[文例]〈不満[ふまん]がある・ない〉この決定[けってい]には、別[べつ]に何[なん]の不満もありません。♠〈不満を言[い]う〉不満を言ったらきりがないが、短時間[たんじかん]でしあげたわりには上出来[じょうでき]じゃないか。♠〈不満をもらす〉父[ちち]と酒[さけ]を飲[の]みながら、兄[あに]は大学[だいがく]への不満をもらしていた。♠〈不満を持[も]つ>ペリーが来航[らいこう]してから、幕府[ばくふ]の政治[せいじ]に不満を持つ武士[ぶし]は増[ふ]えていった。♠〈不満を抱[いだ]く〉彼[かれ]が我々[われわれ]のやり方[かた]に不満を抱いていたとは、とても信[しん]じられない。♠〈不満の声[こえ]>先生[せんせい]の説明[せつめい]が終[お]わると、教室[きょうしつ]のあちこちでいっせいに不満の声があがりました。♠〈不満の色[いろ]>判決[はんけつ]に対[たい]して、原告[げんこく]は不満の色を隠[かく]せない様子[ようす]です。♠〈不満な点[てん]>諸君[しょくん]には不満な点も多々[たた]あろうが、ここはひとつ協力[きょうりょく]してほしい。♠〈欲求不満[よっきゅうふまん]>一方的[いっぽうてき]に抑[おさ]えつけてばかりいると、生徒[せいと]たちの欲求不満はますますつのっていくだろう。♠〈不平不満[ふへいふまん]>きみたちの不平不満はよくわかった。先生が何[なん]とかするから、少[すこ]し時間[じかん]をくれ。 <979> **ふみあら・す**[踏み荒らす] ○踏[ふ]み入[はい]って荒[あ]らし回[まわ]る。♠[文例]〈畑[はたけ]を踏[ふ]み荒[あ]らす〉作物[さくもつ]の芽[め]が出[で]て喜[よろこ]んだのもつかの間[ま]、畑は何者[なにもの]かによって無惨[むざん]に踏み荒らされていた。♠〈縄張[なわば]りを踏み荒らす〉一般[いっぱん]に動物[どうぶつ]は、自分[じぶん]の縄張りを踏み荒らすものに対[たい]しては敵意[てきい]をあらわにして立[た]ち向[む]かう。 **ふみい・れる**[踏み入れる] ○踏[ふ]み込[こ]む。入[はい]りこむ。♠[文例]〈足[あし]を踏[ふ]み入[い]れる〉このジャングルには、まだだれも足を踏み入れたことがない。♠〈悪[あく]の道[みち]に踏み入れる〉悪の道にいったん足を踏み入れてしまうと、容易[ようい]には抜[ぬ]け出[だ]せない。 **ふみえ**[踏み絵] ○江戸[えど]時代[じだい]、キリスト教徒[きょうと]を摘発[てきはつ]するために踏[ふ]ませたイエスやマリアの像[ぞう]。人[ひと]の思想[しそう]や信条[しんじょう]を調[しら]べるための手段[しゅだん]。♠[文例]〈踏[ふ]み絵[え]にする〉愛国者[あいこくしゃ]同盟[どうめい]への参加[さんか]を踏み絵にして、軍事[ぐんじ]政権[せいけん]は芸術家[げいじゅつか]の自由[じゆう]な行動[こうどう]を規制[きせい]していった。♠〈踏み絵を強[し]いる〉社員[しゃいん]の採用[さいよう]にあたって、応募者[おうぼしゃ]の思想[しそう]・信条[しんじょう]を問題[もんだい]にし、踏み絵を強いるような行為[こうい]はするべきでない。 **ふみきり**[踏み切り・踏切] ○踏[ふ]み切[き]ること。踏み切る所[ところ]。ふんぎり。道路[どうろ]が鉄道[てつどう]線路[せんろ]と交[まじ]わる所。♠[文例]〈踏[ふ]み切[き]りをける〉思[おも]い切[き]り走[はし]り、踏み切りを力[ちから]いっぱいけった。が、やっぱり跳[と]び箱[ばこ]が跳[と]べない。♠〈踏み切りがつく〉会社[かいしゃ]を辞[や]めて田舎[いなか]へ帰[かえ]ろうといったんは決心[けっしん]したものの、どうも踏み切りがつかない。♠〈踏切[ふみきり]を渡[わた]る〉〈無人[むじん]踏切[ふみきり]>無人踏切を渡るときは、必[かなら]ず電車[でんしゃ]が来[こ]ないことを確認[かくにん]しなさい。 **ふみき・る**[踏み切る] ○足[あし]で強[つよ]く地面[じめん]をける。踏[ふ]み越[こ]える。踏んだはずみで切[き]る。決断[けつだん]して始[はじ]める。♠[文例]全力[ぜんりょく]で助走[じょそう]し、力強[ちからづよ]く踏み切ると、六[ろく]メートルの線[せん]を飛[と]び越[こ]した。♠〈自然[しぜん]農法[のうほう]に踏み切る〉農薬[のうやく]を使[つか]わなければ手間[てま]がかかるし、収穫[しゅうかく]も減[へ]るのではないかと、なかなか自然農法に踏み切ることができなかった。♠〈機械化[きかいか]に踏み切る〉伝統的[でんとうてき]な手作業[てさぎょう]による製法[せいほう]を誇[ほこ]ってきたわが社[しゃ]も、機械化に踏み切らざるを得[え]なくなった。 **ふみこ・える**[踏み越える] ○踏[ふ]んで越[こ]える。乗[の]り越[こ]える。♠[文例]〈山[やま]を踏[ふ]み越[こ]える〉その山は、踏み越えることのできない魔[ま]の山といわれていた。♠〈苦難[くなん]を踏み越える〉幾多[いくた]の苦難を踏み越えて、今日[こんにち]のこの栄冠[えいかん]を勝[か]ち取[と]ったのです。♠〈一線[いっせん]を踏み越える〉愛[あい]し合[あ]う二人[ふたり]の間[あいだ]にも踏み越えてはならない一線があった。 **ふみこ・む**[踏み込む] ○踏[ふ]み入[い]れる。突然[とつぜん]入[はい]り込[こ]む。進[すす]んで入る。♠[文例]〈足[あし]を踏[ふ]み込[こ]む〉初[はじ]めての田植[たう]え作業[さぎょう]に少々[しょうしょう]ためらったが、わたしは思[おも]い切[き]って泥[どろ]の中[なか]に片足[かたあし]を踏み込んだ。♠〈軍靴[ぐんか]が踏み込む〉静[しず]かな片田舎[かたいなか]の町[まち]にも、軍靴が音[おと]高[だか]く踏み込んできた。♠〈警官[けいかん]が踏み込む〉一味[いちみ]のアジトを包囲[ほうい]した警官は、一気[いっき]に踏み込んで犯人[はんにん]グループを取[と]り押[お]さえた。♠〈プロの道[みち]に踏み込む〉わたしは趣味[しゅみ]で絵[え]をかいているので、プロの道に踏み込むつもりはありません。 **ふみしだく**[踏みしだく](踏み拉く) ○踏[ふ]みつけて、つぶす。踏[ふ]みにじる。♠[文例]〈花[はな]を踏[ふ]みしだく〉庭[にわ]の花々[はなばな]は兵士[へいし]たちの靴[くつ]に踏みしだかれ、無惨[むざん]な姿[すがた]をさらしていた。♠クズの花[はな] 踏みしだかれて、色[いろ]あたらし。この山道[やまみち]を行[ゆ]きし人[ひと]あり(釈迢空[しゃくちょうくう]) **ふみし・める**[踏み締める] ○しっかりと踏[ふ]む。踏[ふ]み固[かた]める。♠[文例]〈大地[だいち]を踏[ふ]み締[し]める〉長[なが]い航海[こうかい]を終[お]えて、久々[ひさびさ]に大地を踏み締めた。♠〈雪[ゆき]を踏み締める〉雪の日[ひ]に積[つ]もった雪をキュッキュッと踏み締めて歩[ある]く。♠〈一歩一歩[いっぽいっぽ]踏み締める〉あなたの未来[みらい]に向[む]かって、一歩一歩踏み締めて前進[ぜんしん]したまえ。 **ふみだい**[踏み台] ○足場[あしば]にする台[だい]。目的[もくてき]のために利用[りよう]する手段[しゅだん]。♠[文例]〈踏[ふ]み台[だい]を使[つか]う〉棚[たな]の上[うえ]の物[もの]をとるのにいちいち人[ひと]に頼[たの]まないで、踏み台を使えばいいじゃないか。♠〈踏み台になる〉兄弟[きょうだい]が踏み台になって、なんとか妹[いもうと]を世間[せけん]に出[だ]してやりたい。♠〈人[ひと]を踏み台にする〉地位[ちい]を得[え]たくないわけではないが、人[ひと]を踏み台にしてまで出世[しゅっせ]しようとは思[おも]わない。 **ふみたお・す**[踏み倒す] ○踏[ふ]みつけて倒[たお]す。借金[しゃっきん]・代金[だいきん]を払[はら]わずに済[す]ます。♠[文例]〈借金[しゃっきん]を踏[ふ]み倒[たお]す〉借金をふみ倒[たお]して姿[すがた]をくらますとはとんでもないやつだ。♠〈代金[だいきん]を踏み倒す〉悪徳[あくとく]業者[ぎょうしゃ]に品物[しなもの]の代金を踏み倒されるところだった。 **ふみだ・す**[踏み出す] ○踏[ふ]んで足[あし]を外[そと]に出[だ]す。外へ出る。前[まえ]へ進[すす]む。♠[文例]〈外[そと]に踏[ふ]み出[だ]す〉生[う]まれた土地[とち]から外に踏み出したのは、学校[がっこう]で鎌倉[かまくら]へ遠足[えんそく]に行[い]った時[とき]だけである。♠〈前[まえ]へ踏み出す〉行進[こうしん]の時[とき]は、右足[みぎあし]から前へ踏み出して、しっかりと曲[きょく]に合[あ]わせて歩[ある]きましょう。♠〈一歩[いっぽ]を踏み出す〉新[あたら]しい生活[せいかつ]に第一歩[だいいっぽ]を踏み出したきみたちの胸[むね]は、希望[きぼう]や期待[きたい]にふくらんでいることだろう。 **ふみつ・ける**[踏み付ける] ○足[あし]で踏[ふ]んで押[お]さえる。人[ひと]をないがしろにする。ふんづける。♠[文例]〈吸[す]い殻[がら]を踏[ふ]み付[つ]ける〉男[おとこ]は、たばこの吸い殻を地面[じめん]に捨[す]てると、靴[くつ]の底[そこ]で踏み付けた。♠〈人[ひと]を踏み付ける〉人を踏み付けておいて、自分[じぶん]だけいい思[おも]いをしようなんてけしからんやつだ。 **ふみつぶ・す**[踏みつぶす](踏み潰す) ○踏[ふ]んでつぶす。面目[めんぼく]を傷[きず]つける。♠[文例]〈芽[め]を踏[ふ]みつぶす〉畑[はたけ]ですもうを取[と]って遊[あそ]んでいるうちに、出[で]たばかりの芽をみな踏みつぶしてしまった。♠〈虫[むし]を踏みつぶす〉男[おとこ]の子[こ]は、ゴキブリがはい出[だ]してくるや素早[すばや]く足[あし]で踏みつぶしてしまった。♠〈顔[かお]を踏みつぶす〉せっかくきみのために骨[ほね]を折[お]ったというのに、よくもわたしの顔を踏みつぶしてくれたね。 **ふみとどま・る**[踏みとどまる](踏み止まる) ○足[あし]をふんばってとどまる。その場[ば]に残[のこ]る。思[おも]いとどまる。♠[文例]〈土地[とち]に踏[ふ]みとどまる〉避難[ひなん]命令[めいれい]が出[で]ても、住[す]み慣[な]れた土地に踏みとどまる人[ひと]が多[おお]かった。♠もう少[すこ]しで腕力[わんりょく]をふるいそうになったが、やっとのことで踏みとどまった。♠何度[なんど]も離婚[りこん]しようと思[おも]ったが、子供[こども]のことを考[かんが]えては踏みとどまった。 **ふみにじ・る**[踏みにじる](踏み躙る) ○踏[ふ]みつけてめちゃめちゃにする。人[ひと]の心[こころ]を傷[きず]つける。♠[文例]〈畑[はたけ]を踏[ふ]みにじる〉兵隊[へいたい]によって踏みにじられた畑を前[まえ]に、農民[のうみん]はぼう然[ぜん]と立[た]ちつくしていた。♠〈花壇[かだん]を踏みにじる〉手入[てい]れしたばかりの花壇を踏みにじったのは、いったいだれなのだろう。♠〈約束[やくそく]を踏みにじる〉彼女[かのじょ]は、ぼくとの約束を踏みにじっておきながら、平気[へいき]な顔[かお]をしている。♠〈友情[ゆうじょう]を踏みにじる〉ぼくは友情を踏みにじってまで、自分[じぶん]の利益[りえき]を追求[ついきゅう]しようとは思[おも]わない。♠〈好意[こうい]を踏みにじる〉そんなつもりはなかったのだが、結果的[けっかてき]には彼[かれ]の好意を踏みにじることになってしまった。♠〈親切[しんせつ]を踏みにじる〉人[ひと]の親切を平気で踏みにじるようなやつのことなど、どうなろうと知[し]ったことではない。 <980> **ふみはず・す**[踏み外す] ○踏[ふ]みあやまる。道[みち]をあやまる。♠[文例]〈足[あし]を踏[ふ]み外[はず]す〉子[こ]ネコは、川[かわ]べりをうろつき回[まわ]っているうちに足を踏み外して川に落[お]ちたらしい。♠〈人[ひと]の道[みち]を踏み外す〉たとえ善良[ぜんりょう]な人[ひと]でも、ふと魔[ま]がさして人の道を踏み外すということはあります。 **ふみわ・ける**[踏み分ける] ○足[あし]を踏[ふ]んで分[わ]け入[はい]る。かき分[わ]けて進[すす]む。♠[文例]〈林[はやし]を踏[ふ]み分[わ]ける〉雑木林[ぞうきばやし]を踏み分けて、小鳥[ことり]の声[こえ]に耳[みみ]をかたむけた。♠〈草[くさ]を踏み分ける〉男[おとこ]たちは、宝[たから]を求[もと]め、ぼうぼうに生[は]えた草を踏み分けてやぶの奥[おく]へ入[はい]っていった。 **ふみん**[不眠] ○眠[ねむ]らないこと。眠れないこと。♠[文例]〈不眠[ふみん]の夜[よる]>わたしは心配[しんぱい]のあまり、幾日[いくにち]か不眠の夜をすごした。♠〈不眠に陥[おちい]る〉強[つよ]い不安[ふあん]から不眠に陥り、睡眠薬[すいみんやく]に頼[たよ]る日々[ひび]が続[つづ]いた。♠〈不眠不休[ふみんふきゅう]>この仕事[しごと]は、みんなが不眠不休でがんばったからできたのです。 **ふ・む**[踏む] ○足[あし]の下[した]に押[おさ]えつける。その場[ば]に立[た]つ。経験[けいけん]する。段取[だんど]りを経[へ]て行[おこな]う。地位[ちい]につく。値[ね]ぶみする。予測[よそく]する。押韻[おういん]する。♠[文例]〈物[もの]を踏[ふ]む〉どこで踏んだのか、靴[くつ]の底[そこ]にガムがくっついている。♠〈ペダルを踏む〉上[あ]り坂[ざか]になると、次郎[じろう]はペダルを踏む足に激[はげ]しい痛[いた]みを感じた。♠〈二[に]の足[あし]を踏[ふ]む〉思[おも]いがけない悪天候[あくてんこう]に、わたしたちは出発[しゅっぱつ]を前[まえ]に二の足を踏んでいた。♠〈たたらを踏む〉彼[かれ]は勢[いきお]いあまって、たたらを踏んで、ロビーにひっくりかえってしまいました。♠〈薄氷[はくひょう]を踏む〉後半[こうはん]になって一点[いってん]差[さ]まで追[お]い上[あ]げられ、今日[きょう]の勝利[しょうり]はまさに薄氷を踏む思[おも]いだった。♠〈じだんだを踏む〉強風[きょうふう]のため遠足[えんそく]は中止[ちゅうし]となり、楽[たの]しみにしていた弟[おとうと]はじだんだを踏んでくやしがった。♠〈踏[ふ]んだりけったり〉道[みち]はわからなくなるし、途中[とちゅう]から雨[あめ]は降[ふ]ってくるし、まったく踏んだりけったりだったよ。♠〈故郷[こきょう]の土[つち]を踏む〉聞[き]くところによると、おじが故郷の土を踏むのは、二十年[にじゅうねん]ぶりだそうです。♠〈舞台[ぶたい]を踏む〉彼が初舞台[はつぶたい]を踏んだのは、たしか三年前[さんねんまえ]のこの劇場[げきじょう]だったと思[おも]います。♠〈場数[ばかず]を踏む〉さすがに場数を踏んでいるだけあって、父[ちち]の態度[たいど]には少[すこ]しもあわてたところが見[み]られなかった。♠〈手続[てつづ]きを踏む〉入会[にゅうかい]にあたっては、しかるべき手続きを踏んでいただくことになります。♠〈値段[ねだん]を踏む〉その花瓶[かびん]は、どんなに安[やす]く踏んでも一万円[いちまんえん]は下[くだ]らないだろう。♠〈韻[いん]を踏む〉その詩[し]の中[なか]には、何[なん]か所[しょ]か韻を踏んでいるところがあります。♠〈どじを踏む〉そそっかしいせいか、日[ひ]に一度[いちど]はどじを踏んで、みんなの笑[わら]い者[もの]になっています。♠〈しこを踏む〉対戦[たいせん]を前[まえ]に、控[ひか]えでは四股[しこ]を踏む力士[りきし]の姿[すがた]が見[み]られます。♠〈轍[てつ]を踏む〉先人[せんじん]の失敗[しっぱい]から学[まな]ばなければ、わたしたちもまたその轍を踏むことになる。 **ふむき**[不向き] ○むいていないこと。♠[文例]〈栽培[さいばい]に不向[ふむ]き〉この辺[あた]りの土地[とち]はやせているので、作物[さくもつ]の栽培には不向きです。♠〈向[む]き不向[ふむ]き〉向き不向きがあるので、自分[じぶん]に合った仕事[しごと]を選[えら]ぶ必要[ひつよう]がある。 **ふめい**[不明] ○明[あき]らかでないこと。ものを見[み]る目[め]がないこと。♠[文例]〈不明[ふめい]な点[てん]>詳[くわ]しく調[しら]べて見[み]ると、帳簿[ちょうぼ]には不明な点がいくつかありました。♠〈原因[げんいん]が不明>先日[せんじつ]の火事[かじ]の原因は、今[いま]も不明のままです。♠〈不明の箇所[かしょ]>兄[あに]は、論文[ろんぶん]の不明の箇所を調[しら]べに、図書館[としょかん]に行[い]っています。♠〈不明のいたすところ〉今回[こんかい]の不祥事[ふしょうじ]も、すべてわたくしの不明のいたすところであります。♠〈不明を恥[は]じる〉結果[けっか]がわかってから自分[じぶん]の不明を恥じるという経験[けいけん]は、だれにでもあるでしょう。♠〈行方不明[ゆくえふめい]>関東[かんとう]地方[ちほう]を襲[おそ]った台風[たいふう]で、三人[さんにん]の死者[ししゃ]と七人[しちにん]の行方不明者[ゆくえふめいしゃ]が出[で]ています。 **ふめつ**[不滅] ○滅[ほろ]びないこと。いつまでも残[のこ]ること。♠[文例]この世[よ]の中[なか]に不滅[ふめつ]なものは何一[なにひと]つない、すべては滅びるという考[かんが]え方[かた]があります。♠〈霊魂[れいこん]は不滅>葬式[そうしき]を丁重[ていちょう]に行[おこな]うのは、死後[しご]も霊魂は不滅だと人々[ひとびと]が考[かんが]えているからかもしれません。♠〈不滅の業績[ぎょうせき]>不滅の業績を残[のこ]した天才[てんさい]たちにも、血[ち]のにじむような努力[どりょく]があったのでしょう。♠〈不滅の輝[かがや]き〉ダイヤモンドはその不滅の輝きから、女性[じょせい]に最[もっと]も人気[にんき]のある宝石[ほうせき]になっています。♠〈不滅の命[いのち]>春[はる]みじかし何[なに]に不滅の命ぞとちからある乳[ち]を手にさぐらせぬ(与謝野晶子[よさのあきこ]) **ふもう**[不毛] ○作物[さくもつ]が育[そだ]たないこと。成果[せいか]を期待[きたい]できないこと。♠[文例]〈不毛[ふもう]の地[ち]>根釧[こんせん]原野[げんや]は、農業[のうぎょう]に適[てき]さない不毛の地として知[し]られています。♠〈不毛の年[とし]>今年[ことし]は将来性[しょうらいせい]豊[ゆた]かな選手[せんしゅ]が少[すく]なく、プロ野球界[やきゅうかい]にとって不毛の年と言[い]えるでしょう。♠〈文化[ぶんか]不毛の地>経済[けいざい]活動[かつどう]だけが重視[じゅうし]されるこの国[くに]は、文化不毛の地と言えるかもしれません。♠〈不毛な論争[ろんそう]>ただ非難[ひなん]しあうだけのこんな不毛な論争をいつまで続[つづ]けるつもりなのだ。 **ふもと**(麓) ○山[やま]のすそ。山麓[さんろく]。♠[文例]〈山[やま]の麓[ふもと]>この山の麓にある小[ちい]さな村[むら]がぼくの故郷[こきょう]です。♠〈麓の町[まち]>頂上[ちょうじょう]から麓の町を見下[みお]ろすと、家々[いえいえ]はまるでおもちゃのように見[み]えた。 **ふもん**[不問] ○問[と]いたださないこと。問題[もんだい]にしないこと。♠[文例]〈不問[ふもん]に付[ふ]す。付[ふ]する〉委員会[いいんかい]は、彼[かれ]の軽[かる]はずみな行動[こうどう]を今回[こんかい]に限[かぎ]り不問に付すことにした。 **ぶもん**[部門] ○全体[ぜんたい]を分類[ぶんるい]した一[ひと]つの部類[ぶるい]。♠[文例]〈科学[かがく]の部門[ぶもん]>科学には非常[ひじょう]に多[おお]くの部門があり、その発達[はったつ]の進度[しんど]も一様[いちよう]ではありません。♠〈部門別[ぶもんべつ]>コンクールでは、声楽[せいがく]・ピアノ・バイオリンなど、それぞれ部門別に審査[しんさ]が行[おこな]われた。 **ふやける** ○水[みず]につかって、ふくれて柔[やわ]らかくなる。ほとびる。精神[せいしん]がだらける。♠[文例]〈体[からだ]がふやける〉長湯[ながゆ]で体がふやけてしまった。♠〈豆[まめ]がふやける〉豆は、一晩[ひとばん]水につけてふやけさせてから煮[に]ると、短時間[たんじかん]で軟[やわ]らかくなります。♠〈ふやけた男[おとこ]>あんな自立心[じりつしん]のないふやけた男を仕事上[しごとじょう]のパートナーにしないほうがいい。 <981> やけてしまった。♠**<豆がふやける>** 豆は、一晩水につけてふやけさせてから煮ると、短時間で軟らかくなります。♠**<ふやけた男>** あんな自立心のないふやけた男を仕事上のパートナーにしないほうがいい。 **ふや・す**【増やす・殖やす】 〇増えさせる。多くする。増加させる。[文例]**<量を増やす>** 気候が良くなるにつれて、選手たちはじょじょに練習量を増やしていった。♠**<数を増やす>** 手品師は五枚六枚七枚と、どんどんコインの数を増やしていきました。♠**<人手を増やす>** 年末は忙しくて、人手を増やさないととてもやっていけない。♠**<会員を増やす>** 会員を増やすためのダイレクトメールも、あまり効果がなかった。♠**<仲間を増やす>** 草花の種には、鳥や獣[けもの]の体にくっついて場所を移動し、仲間を増やしていくものもあります。♠**<予算を増やす>** 思ったより材料費が高かったので、予算を増やさなければならなくなった。♠**<財産[ざいさん]を殖(ふ)やす>** いったいおじはどうやってあんなに財産を殖やしていったのだろう。 **ふゆ**【冬】 〇四季の一つ。一年で最も寒い季節。[文例]**<冬[ふゆ]が来る>** やがて山の木の葉が落ちて、冬がやって来た。♠**<冬[ふゆ]に耐える>** 冬に耐えてきた木々は、春の訪れとともに一斉に芽吹きます。♠**<冬[ふゆ]を越(こ)す>** ツバメのような夏鳥は、南の暖かい国で冬を越します。♠**<冬[ふゆ]の時代>** 厳しい不況が続くこの国の経済は、今や冬の時代をむかえているといえます。♠冬きたりなば、春遠からじ。 **ふゆう**【富裕】 〇富んでいるさま。裕福。[文例]**<富裕[ふゆう]な実業家>** アンネの父親は、フランクフルトの富裕な実業家であった。♠**<富裕[ふゆう]な夫人>** 貧しい少年にとって、その富裕で美しい夫人は女神[めがみ]のように見えた。♠**<富裕[ふゆう]な階層>** この国では、ほんの一握りの富裕な階層が政治の実権を握っています。 **ふゆう**【浮遊・浮游】 〇ふわふわと浮かびただようこと。[文例]**<浮遊[ふゆう]する>** 空中には、ほこりやカビなどがいっぱい浮遊している。♠**<浮遊[ふゆう]生物(せいぶつ)>** 動物の幼生や藻類[そうるい]など、水中の浮遊生物をプランクトンといいます。 **ぶゆう**【武勇】 〇武芸にすぐれ勇ましいこと。[文例]**<武勇[ぶゆう]の誉(ほま)れ>** 柳生家は、武勇の誉れ高い一族であった。♠**<武勇[ぶゆう]に優れる>** 『水滸伝[すいこでん]』は、百八人の武勇に優れた男たちが、梁山泊[りようざんぱく]を根城にして大活躍する中国の物語です。♠**<武勇伝[ぶゆうでん]>** 山本先生は、酔って繁華街の広告塔に上るという武勇伝の持ち主だった。 **ふゆかい**【不愉快】 〇愉快でないこと。[文例]**<不愉快[ふゆかい]の念>** 自己の能力を知らないことからくる青少年の思い上がりに不愉快の念をいだく大人は多いだろう。♠**<不愉快[ふゆかい]な思い>** 満員電車の中で痴漢[ちかん]とまちがわれ、たいそう不愉快な思いをしたことがある。♠**<不愉快[ふゆかい]にする>** 言わなくてもいいことを言って、人を不愉快にすることはないじゃないか。 **ふゆごもり**【冬ごもり・冬籠り】 〇人や動物が冬の寒さを避けて家や巣に閉じこもること。[文例]**<冬[ふゆ]ごもりの虫>** 啓蟄[けいちつ]は、三月六日前後で、冬ごもりの虫がはい出てくる時季とされる。♠**<冬[ふゆ]ごもりする>** 暖かくなって、冬ごもりしていた動物や虫たちも巣からはい出して来たようだ。 **ふよう**【扶養】 〇生活の世話をし、養うこと。[文例]**<扶養[ふよう]する>** 親には、子供を扶養する責任があります。♠**<扶養[ふよう]家族>** うちは扶養家族が多かったので、両親はずいぶん苦労しました。 **ぶよう**【舞踊】 〇(人に見せるための)踊り。舞[まい]。[文例]**<民族舞踊[ぶよう]>** 例えば、スペインのフラメンコのように、各国にその国独特の民族舞踊や音楽があります。♠**<日本舞踊[ぶよう]>** 日本舞踊を習っているので、小さいころから着物になじんできました。 **ふようい**【不用意】 〇用意がないこと。不注意なさま。[文例]**<不用意[ふようい]な言葉>** 不用意な言葉で人を傷つけることのないように気をつけたい。♠**<不用意[ふようい]に使う>** 借りものの思想や未熟な言葉を不用意に使うより、素直な表現をしよう。♠**<不用意[ふようい]を悔やむ>** 災害にあって途方にくれ、今となっては平生の不用意がつくづく悔やまれる。 **ぶようじん**【不用心・無用心】 〇用心が足りないこと。[文例]**<不用心[ぶようじん]な家>** かぎもかけずに留守にするとは不用心な家だな。♠**<不用心[ぶようじん]な人>** 彼女は、相手が男であっても全く意に介さない不用心な女性でした。 **ぶらい**【無頼】 〇正当な生活手段によらずに世渡りをすること。[文例]**<無頼[ぶらい]の徒>** 放蕩[ほうとう]を尽くし無頼の徒となり果てた子でも、母はあわれんだ。♠**<無頼漢[ぶらいかん]>** 店に出ると、目つきの悪い無頼漢のような男の客が立っていた。 **ふよ**【付与・附与】 〇授け与えること。[文例]**<付与[ふよ]する>** 戦功をたてた家臣は、土地を与えられ、そこを治める権限を付与された。 **ふよう**【不用】 〇使わないこと。役に立たないこと。[文例]**<不用[ふよう]の品>** もう使わなくなった不用の品は、ダンボールにまとめてください。♠**<不用[ふよう]の人物>** 彼を会社にとって不用の人物と決めつけたのはまちがいだった。♠**<不用[ふよう]になる>** 新しい製品の発明で、不用になった品物もあります。♠**<不用[ふよう]な金>** こんな貧乏[びんぼう]ぐらしだから、不用なお金などありません。 **ふよう**【不要】 〇必要がないこと。要らないこと。[文例]**<説明は不要[ふよう]>** その部分に関する説明はまったく不要です。♠**<不要[ふよう]な長電話>** 急ぎの人もいるから、不要な長電話はひかえなさい。♠**<不要[ふよう]不急(ふきゆう)・不急(ふきゆう)不要(ふよう)>** 家の商売がうまくいっていないので、ぼくたちも不要不急の出費をひかえています。 **プライド** 〇誇り。自尊心。[文例]**<プライドが高い>** みんなの前で先生にしかられるのは、プライドの高い彼女には耐えがたいことだった。♠**<プライドが許さない>** そのような下劣なことは、プライドが許さない。♠**<プライドをもつ>** 自分の仕事に対して、もっとプライドをもちなさい。♠**<プライドを傷つける>** たとえ小さな子であってもプライドを傷つけるようなしかり方をしてはいけない。 **プライバシー** 〇個人の生活や生活上の秘密。私生活を守る権利。[文例]**<プライバシーの侵害>** 他人の私生活のことを <982> プライベート あれこれとさぐるのはやめたまえ、プライバシーの侵害[しんがい]だ。●ヘプライバシーを保[たも]つ>六畳二間[ろくじょうふたま]に親子四人暮[おやこよにんぐ]らしですから、お互[たが]いのプライバシーを保[たも]つのにはむずかしい。●ヘプライバシーを侵[おか]す〉わたしたちの日常生活[にちじょうせいかつ]では、知[し]らず知[し]らずのうちにプライバシーが侵[おか]されていることがある。●ヘプライバシーにかかわるプライバシーにかかわる質問[しつもん]にはお答[こた]えできません。 **プライベート** ○個人的[こじんてき]。私的[してき]。[文例] プライベートな問題[もんだい]〉これはわたしのプライベートな問題[もんだい]ですから、立[た]ち入[い]らないでください。●ヘプライベートな付[つ]き合[あ]い〉あの人[ひと]とは仕事上[しごとじょう]の関係[かんけい]だけで、プライベートな付[つ]き合[あ]いはありません。 **ぶらさがる【ぶら下がる】** ○ぶらりと垂[た]れ下[さ]がる。つり下[さ]がる。今[いま]にも手[て]に入[はい]りそうになる。[文例]〈木[き]にぶら下[さ]がる〉葉[は]がすっかり落[お]ちてしまったかきの木[き]に、真[ま]っ赤[か]な実[み]がひとつだけぶら下[さ]がっている。●へ鉄棒[てつぼう]にぶら下[さ]がる〉校庭[こうてい]に出[で]ると、彼[かれ]は鉄棒[てつぼう]に逆[さか]さにぶら下[さ]がった姿勢[しせい]で、わたしを待[ま]っていた。●へ枝[えだ]からぶら下[さ]がる〉健太[けんた]は笑[わら]いながら木[き]に登[のぼ]り、太[ふと]めの枝[えだ]からぶら下[さ]がると、器用[きよう]にけあがりをしてみせた。◆へ勝利[しょうり]が目[め]の前[まえ]にぶら下[さ]がる〉勝利[しょうり]が目[め]の前[まえ]にぶら下[さ]がっているというのに、ぼくたちはあがってしまって思[おも]いどおりに体[からだ]が動[うご]かない。 **ぶらさ・げる【ぶら下げる】** ○ぶらりと下[さ]げる。無造作[むぞうさ]に手[て]に持[も]つ。人前[ひとまえ]に誇示[こじ]する。[文例]へくぎにぶら下[さ]げる>壁[かべ]に打[う]ったくぎに農具[のうぐ]やのら着[ぎ]がぶら下[さ]げてあった。●ヘ手[て]ぬぐいをぶら下[さ]げる〉おや、腰[こし]に手[て]ぬぐいをぶら下[さ]げて、大工[だいく]のおじさんがやって来[き]たぞ。◆へつり竿[ざお]をぶら下[さ]げる〉暇[ひま]なときは、弁当[べんとう]とつり竿[ざお]をぶら下[さ]げて、近所[きんじょ]の少年[しょうねん]たちとつりに出[で]かけたりした。●へ鼻[はな]の先[さき]にぶら下[さ]げる>確[たし]かに彼女[かのじょ]は美人[びじん]だし頭[あたま]もいいけど、それを鼻[はな]の先[さき]にぶら下[さ]げたところが嫌[いや]みね。 **プラス** ○加[くわ]えること。正数[せいすう]。陽極[ようきょく]。陽性[ようせい]の反応[はんのう]。正[せい]・陽[よう]の符号[ふごう](+)。利益[りえき]。有利[ゆうり]。有益[ゆうえき]。[文例]〈プラスとマイナスプラスとマイナス(-)の記号[きごう]は、はっきり書[か]かないと読[よ]みにくいことがある。●〈七百円[ななひゃくえん]のプラス〉みんなで得[とく]したお金[かね]と損[そん]したお金[かね]を計算[けいさん]したら、しめて七百円[ななひゃくえん]のプラスだった。◆ヘプラスになる>失敗[しっぱい]の経験[けいけん]から学[まな]んで、今後[こんご]の自分[じぶん]にプラスになるように心[こころ]がけよう。●ヘプラスアルファ〉これだけ努力[どりょく]したのだから、定[さだ]められた報酬[ほうしゅう]のほかに、プラスアルファが欲[ほ]しいな。●ヘプラスマイナスゼロ〉四回[よんかい]の表[おもて]の三塁打[さんるいだ]も、最終回[さいしゅうかい]の派手[はで]なトンネルで、プラスマイナスゼロだ。 **ふらち(不埒)** ○道理[どうり]に外[はず]れた不届[ふとど]きな言動[げんどう]。けしからぬさま。[文例]へふらちをはたらく〉まじめなきみが、人[ひと]のものに手[て]をつけるなどというふらちをはたらくとは思[おも]えない。●へふらちな人[ひと]〉病気[びょうき]の子[こ]を家[いえ]に残[のこ]して遊[あそ]び歩[ある]くとは、なんとふらちな母親[ははおや]だ。●〈不埒千万[ふらちせんばん]〉家宝[かほう]を持[も]ち出[だ]すとは不埒千万[ふらちせんばん]である。成敗[せいばい]してくれるから、それになおれ。 **ふらつく** ふらふらする。よろよろする。気持[きも]ちが定[さだ]まらずに迷[まよ]う。うろうろする。[文例]〈足[あし]もとがふらつく〉今朝[けさ]から何[なに]も食[た]べていないので、足[あし]もとがふらついてきた。♠〈音程[おんてい]がふらつく〉まだ少[すこ]し音程[おんてい]がふらつくけれども、だいたい上手[じょうず]に歌[うた]えるようになったね。●へ気持[きも]ちがふらつく〉サッカー部[ぶ]に入[はい]るか陸上部[りくじょうぶ]に入[はい]るか、気持[きも]ちがふらついていて、なかなか決[き]まらない。辺[あた]りをふらつく〉ときおり、その男[おとこ]が辺[あた]りをふらついていることがある。 **ぶらつく** ぶらぶらと揺[ゆ]れる。ぶらぶらと歩[ある]く。ぶらぶらする。[文例]へ〈物[もの]がぶらつく>壁[かべ]に打[う]ちつけた板[いた]が強[つよ]い風[かぜ]にぶらついている。●へ町[まち]をぶらつく〉あてもなく、ただなんとなく町[まち]をぶらつくのもなかなかいいものです。●♠〈野山[のやま]をぶらつく〉わたしは、月[つき]に最低一度[さいていいちど]は野山[のやま]をぶらつき、都会[とかい]の騒[さわ]がしさを忘[わす]れることにしている。●へ海辺[うみべ]をぶらつく〉海辺[うみべ]をぶらついていたぼくは、昨夜[ゆうべ]の風[かぜ]で打[う]ち上[あ]げられたらしい大[おお]きな流木[りゅうぼく]をみつけた。 **ふらん【腐乱】(腐爛)** ○腐[くさ]ってただれること。[文例]〈腐乱[ふらん]する〉タヌキの死[し]がいを見[み]つけたが、それはすでに腐乱[ふらん]して臭気[しゅうき]を出[だ]していた。●〈腐乱死体[ふらんしたい]>林[はやし]の中[なか]で身元不明[みもとふめい]の腐乱死体[ふらんしたい]が発見[はっけん]された。 **プラン** ○計画[けいかく]。案[あん]。設計[せっけい]。[文例]〈プランを立[た]てる〉ゴールデンウイークを前[まえ]に、ガイドブックを見[み]ながら行楽[こうらく]のプランを立[た]ててみた。◆ヘプランを練[ね]る〉家[いえ]が古[ふる]くなってきたので、家族全員[かぞくぜんいん]で改築[かいちく]のプランを練[ね]っているところです。♠〈プランを作[つく]る>参加者[さんかしゃ]が一人[ひとり]でも多[おお]くなるようにプランを作[つく]ってみよう。 **ブランク** ○空欄[くうらん]。余白[はく]。空白[くうはく]。[文例] 〈ブランクがある〉カムバックするまでに五年[ごねん]のブランクがあったが、腕[うで]はにぶっていなかった。 **ふり【不利】** ○不利益[ふりえき]。うまくいく見込[みこ]みのないこと。→有利[ゆうり][文例]〈不利[ふり]な立場[たちば]〉有力[ゆうりょく]な目撃者[もくげきしゃ]が現[あらわ]れ、容疑者[ようぎしゃ]は不利[ふり]な立場[たちば]に立[た]たされた。◆〈形勢[けいせい]が不利[ふり]>エースの負傷退場[ふしょうたいじょう]で、わがチームの形勢[けいせい]は不利[ふり]になった。◆<有利不利[ゆうりふり]>競技[きょうぎ]には、風[かぜ]の強[つよ]さや向[む]きなどによって有利不利[ゆうりふり]がつきものだ。 **ふり【振り】** ○振[ふ]ること。演技[えんぎ]や踊[おど]りの所作[しょさ]。ふるまい。しぐさ。態度[たいど]。なじみでないこと。臨時[りんじ]。刀剣[とうけん]などを数[かぞ]える語[ご]。[文例]〈バットの振[ふ]り〉コーチに言[い]わせると、バットの振[ふ]りを見[み]ただけで、選手[せんしゅ]の調子[ちょうし]がわかるそうです。●へ踊[おど]りの振[ふ]り〉〈振[ふ]りをつける〉この民謡[みんよう]に踊[おど]りの振[ふ]りをつけたのは先生[せんせい]です。●へ人[ひと]のふり見[み]てわがふり直[なお]せ〉他人[たにん]の失敗[しっぱい]を笑[わら]ってばかりはいられないぞ。人[ひと]のふり見[み]てわがふり直[なお]せって言[い]うだろう。へ寝[ね]たふりをする〉話[はなし]を聞[き]くのが面倒[めんどう]くさかったので、ぼくは寝[ね]たふりをしていた。●く気[き]づかないふりをする〉気[き]づかないふりして聞[き]いていると、みんなは好[す]き勝手[かって]なことを言[い]っていました。●〈見[み]て見[み]ないふりをする〉通行人[つうこうにん]は巻[ま]き添[ぞ]えになるのを恐[おそ]れて、見[み]て見[み]ないふりをしている。●へ知[し]ったかぶり〉知[し]りもしないで知[し]ったかぶりをするのは、自分[じぶん]に自信[じしん]のない証拠[しょうこ]です。 **ふりあお・ぐ【振り仰ぐ】** ○顔[かお]を上[うえ]に向[む]ける。[文例]〈空[そら]を振[ふ]り仰[あお]ぐ〉夕暮[ゆうぐ]れの空[そら]を振[ふ]り仰[あお]ぐと、山[やま]の端[は]に月[つき]がかかっている。●へ顔[かお]を振[ふ]り仰[あお]ぐ>子犬[こいぬ]はわたしの顔[かお]を振[ふ]り仰[あお]ぎ振[ふ]り仰ぎ、あとになり、先[さき]になり、からみつくようにしてついて来[く]る。 <983> **ふりしぼる【振り絞る】** **ふりあ・げる【振り上げる】** 手[て]や手[て]に持[も]った物[もの]を勢[いきお]いよく上[うえ]に上[あ]げる。ふりかざす。[文例]〈むちを振[ふ]り上[あ]げる〉猛獣[もうじゆう]使[つか]いが大[おお]きくむちを振[ふ]り上[あ]げると、ライオンは火[ひ]の輪[わ]の中[なか]へ飛[と]び込[こ]んでいった。♠〈刀[かたな]を振[ふ]り上[あ]げる〉敵[てき]の武者[むしゃ]が太刀[たち]を振[ふ]り上[あ]げて切[き]りかかってきた。♠〈こぶしを振[ふ]り上[あ]げる〉男[おとこ]の子[こ]は目[め]にいっぱいため、それでもこぶしを振[ふ]り上[あ]げ、いじめっ子たちに抵抗[ていこう]した。 **フリー** 自由[じゆう]であるさま。どこにも所属[しょぞく]していないこと。無料[むりょう]。[文例]〈フリーな立場[たちば]〉校長[こうちょう]を退職[たいしょく]しましたので、今後[こんご]はフリーな立場[たちば]で教育[きょういく]問題[もんだい]を考[かんが]えてみようと思[おも]います。♠〈フリーのジャーナリスト〉彼[かれ]は、テレビ局[きょく]をやめたフリーのジャーナリストです。 **ふりえき【不利益】** 利益[りえき]にならないこと。損[そん]であること。[文例]〈不利益[ふりえき]を受[う]ける〉豊作[ほうさく]で農作物[のうさくもつ]の価格[かかく]が暴落[ぼうらく]し、生産者[せいさんしゃ]がかえって不利益[ふりえき]を受[う]けるという場合[ばあい]もある。♠〈不利益[ふりえき]をもたらす〉行[い]きすぎた開発[かいはつ]が自然界[しぜんかい]の秩序[ちつじょ]を崩壊[ほうかい]させ、結局[けっきょく]、人間[にんげん]の生活[せいかつ]にも不利益[ふりえき]をもたらす結果[けっか]となった。♠〈不利益[ふりえき]な提案[ていあん]〉労働者[ろうどうしゃ]に不利益[ふりえき]な提案[ていあん]が政府[せいふ]から行[おこな]われた。 **ぶりかえ・す【ぶり返す】** 状態[じょうたい]が再[ふたた]び悪[わる]いほうに戻[もど]る。[文例]〈寒[さむ]さがぶり返[かえ]す〉春[はる]のような暖[あたた]かさが続[つづ]いていますが、明日[あした]からは天気[てんき]がくずれ、再[ふたた]び寒[さむ]さがぶり返[かえ]すでしょう。♠〈病気[びょうき]がぶり返[かえ]す〉少[すこ]し良[よ]くなったからといって、すぐに以前[いぜん]の生活[せいかつ]にもどると、病気[びょうき]がぶり返[かえ]すことがあります。 **ふりかえ・る【振り返る】** 後[うし]ろを向[む]く。かえりみる。回想[かいそう]する。[文例]〈後[うし]ろを振[ふ]り返[かえ]る〉声[こえ]をかけられたような気[き]がして、後[うし]ろを振[ふ]り返[かえ]ってみたが、だれもいなかった。♠〈過去[かこ]を振[ふ]り返[かえ]る〉過去[かこ]を振[ふ]り返[かえ]るのも、将来[しょうらい]を考[かんが]えるためにはだいじなことです。♠〈事件[じけん]を振[ふ]り返[かえ]る〉探偵[たんてい]は、事件[じけん]を最初[さいしょ]から振[ふ]り返[かえ]ってみることにした。♠〈昔[むかし]を振[ふ]り返[かえ]る〉老人[ろうじん]は遠[とお]い昔[むかし]を振[ふ]り返[かえ]るような目[め]つきで、ぼそぼそと話[はな]し始[はじ]めました。 **ふりか・える【振り替える】** 他[ほか]の物[もの]にかえる。代[か]わりをふりむける。簿記[ぼき]で振替勘定[ふりかえかんじよう]をする。[文例]〈預金[よきん]を振[ふ]り替[か]える〉利率[りりつ]も全然[ぜんぜん]違[ちが]うので、来月[らいげつ]から普通預金[ふつうよきん]を定期預金[ていきよきん]に振[ふ]り替[か]えようと思[おも]っています。♠〈バスに振[ふ]り替[か]える〉事故[じこ]で不通[ふつう]になった区間[くかん]は、バスに振[ふ]り替[か]えて、乗客[じょうきゃく]を輸送[ゆそう]することにした。♠〈休[やす]みを翌日[よくじつ]に振[ふ]り替[か]える〉うちの店[みせ]は五[いつ]のつく日[ひ]が定休日[ていきゅうび]だが、日曜日[にちようび]と重[かさ]なると、翌日[よくじつ]に振[ふ]り替[か]える。 **ふりかか・る【降り掛かる・降り懸かる】** 降[ふ]ってきてかかる。よくない事[こと]が身[み]に起[お]こる。[文例]〈粉[こな]が降[ふ]りかかる〉建築[けんちく]現場[げんば]を通[とお]ったとき、白[しろ]い粉[こな]のようなものが降[ふ]りかかってきて、洋服[ようふく]や髪[かみ]の毛[け]にくっついてしまった。♠〈火[ひ]の粉[こ]が降[ふ]りかかる〉父[ちち]の話[はなし]だと、空襲[くうしゅう]のときには火[ひ]の粉[こ]が雨[あめ]のように降[ふ]りかかってきて、逃[に]げるのが精一杯[せいいっぱい]だったという。♠〈降[ふ]りかかる火[ひ]の粉[こ]を払[はら]う〉自分[じぶん]から事[こと]を構[かま]える気[き]はないが、降[ふ]りかかる火[ひ]の粉[こ]は払[はら]わねばならない。♠〈身[み]に降[ふ]りかかる危険[きけん]〉その時[とき]はまだ、身[み]に降[ふ]りかかる危険[きけん]にまったく気づかずにいたのです。♠〈責任[せきにん]が降[ふ]りかかる〉事故[じこ]の責任[せきにん]は、当然[とうぜん]担当者[たんとうしゃ]に降[ふ]りかかっていくことだろう。♠〈災難[さいなん]が降[ふ]りかかる〉進学[しんがく]したばかりの兄[あに]に、思[おも]わぬ災難[さいなん]が降[ふ]りかかってきた。 **ふりか・ける【振り掛ける】** 物[もの]の上[うえ]にまいてかける。[文例]〈こしょうを振[ふ]りかける〉ぼくは、ラーメンにこしょうをたっぷり振[ふ]りかけて食[た]べます。♠〈土[つち]を振[ふ]りかける〉パラパラとまいた種[たね]の上[うえ]から土[つち]を振[ふ]りかけておきました。 **ふりかざ・す【振りかざす】** (振り翳す)頭[あたま]の上[うえ]に振[ふ]り上[あ]げる。公然[こうぜん]と掲[かか]げる。誇示[こじ]する。[文例]〈刀[かたな]を振[ふ]りかざす〉血[ち]に染[そ]まった刀[かたな]を振[ふ]りかざした男[おとこ]が、気[き]がふれたように町[まち]なかを駆[か]け回[まわ]った。♠〈権力[けんりょく]を振[ふ]りかざす〉王[おう]は権力[けんりょく]を振[ふ]りかざし、自分[じぶん]に歯向[はむ]かう者[もの]はすべて処刑[しょけい]した。♠〈知識[ちしき]を振[ふ]りかざす〉知識[ちしき]を振[ふ]りかざすだけで人[ひと]の尊敬[そんけい]を得[え]られた時代[じだい]はもう終[お]わったようです。 **ふりき・る【振り切る】** 強[つよ]く振[ふ]って切[き]る。すがりつく者[もの]を振[ふ]り離[はな]す。追[お]う者[もの]から逃[に]げ切[き]る。拒絶[きょぜつ]する。最後[さいご]まで振[ふ]り抜[ぬ]く。[文例]〈束縛[そくばく]を振[ふ]り切[き]る〉福沢諭吉[ふくざわゆさら]は旧体制[きゅうたいせい]や旧思想[きゅうしそう]の束縛[そくばく]を振[ふ]り切[き]って、人間[にんげん]は本来[ほんらい]同等[どうとう]であり、自由[じゆう]・独立[どくりつ]の存在[そんざい]であると説[と]いた。♠〈止[と]める者[もの]を振[ふ]り切[き]る〉大助[だいすけ]は、必死[ひっし]で止[と]める妻[つま]の手[て]を振[ふ]り切[き]って雨[あめ]の中[なか]へ飛[と]び出[だ]した。♠〈頼[たの]みを振[ふ]り切[き]る〉わたしは、家業[かぎょう]をついでほしいという父[ちち]の頼[たの]みを振[ふ]り切[き]って家[いえ]を出[で]て来[き]た。♠〈相手[あいて]を振[ふ]り切[き]る〉白組[しろぐみ]のアンカーは、赤組[あかぐみ]の追[お]い込[こ]みを振[ふり]切[き]って先頭[せんとう]でゴールインした。♠〈バットを振[ふ]り切[き]る〉ねらった球[たま]が来[き]たら、力[ちから]いっぱいバットを振[ふ]り切[き]りなさい。 **ふりき・れる【振り切れる】** 強[つよ]く振[ふ]られて切[き]れる。計器[けいき]の針[はり]が最後[さいご]の目盛[めも]りを越[こ]える。[文例]〈目盛[めも]りが振[ふ]り切[き]れる〉百[ひゃく]キログラムまでしか量[はか]れない体重計[たいじゅうけい]に巨漢[きょかん]のお父[とう]さんが乗[の]ったら、針[はり]が振[ふ]り切[き]れた。 **ふりこ【振り子】** 重力[じゅうりょく]の作用[さよう]で、上端[じょうたん]の一点[いってん]を中心[ちゅうしん]にして一定[いってい]の周期[しゅうき]で左右[さゆう]に往復[おうふく]するしかけ。[文例]〈時計[とけい]の振[ふ]り子[こ]〉音楽[おんがく]を聞[き]きながら、手[て]を時計[とけい]の振[ふ]り子[こ]のように振[ふ]ってリズムをとる。♠〈振[ふ]り子[こ]時計[どけい]〉振[ふ]り子[こ]時計[どけい]は、振[ふ]り子[こ]の等時性[とうじせい]を利用[りよう]した時計[とけい]です。♠人間[にんげん]よ、おまえは、ほほえみと涙[なみだ]とのあいだの振[ふ]り子[こ]だ。(バイロン) **ふりこ・む【振り込む】** 振[ふ]って入[い]れる。口座[こうざ]に金銭[きんせん]を払[はら]い込[こ]む。[文例]〈給料[きゅうりょう]を振[ふ]り込[こ]む〉給料[きゅうりょう]を口座[こうざ]に振[ふ]り込[こ]むという方法[ほうほう]は安全[あんぜん]でよいが、給料袋[きゅうりょうぶくろ]を受[う]け取[と]る喜[よろこ]びは味[あじ]わえなくなった。♠〈銀行[ぎんこう]に振[ふ]り込[こ]む〉料金[りょうきん]は、今月[こんげつ]中[じゅう]に銀行[ぎんこう]に振[ふ]り込[こ]んでください。 **ふりしき・る【降りしきる】** (降り頻る)さかんに降[ふ]る。[文例]〈雨[あめ]が降[ふ]りしきる〉こちらは天気[てんき]が続[つづ]いていたそうだが、九州[きゅうしゅう]では雨[あめ]が降[ふ]りしきっていた。♠〈降[ふ]りしきる雪[ゆき]〉子供[こども]たちが寝[ね]しずまると、外[そと]はいつか降[ふ]りしきる雪[ゆき]となる。 **ふりしぼ・る【振り絞る】** 精一杯[せいいっぱい]にしぼり出[だ]す。[文例]〈力[ちから]を振[ふ]り絞[しぼ]る〉わたしは、最後[さいご]の力[ちから]を振[ふ]り絞[しぼ]るようにして走[はし]った。♠〈声[こえ]を振[ふ]り絞[しぼ]る〉ありったけの声[こえ]を振[ふ]り絞[しぼ]って応援[おうえん]したら、翌日[よくじつ]声[こえ]が出[で]なくなった。♠〈知恵[ちえ]を振[ふ]り絞[しぼ]る〉みんなで知恵[ちえ]を振[ふ]り絞[しぼ]ろう。 <984> の知恵を振り絞ってこの試練をのりこえよう。 **ふりす・てる**【振り捨てる】 〇振り放して捨てる。きっぱりと捨て去る。[文例]**<物を振り捨てる>** かみなりが鳴ったので、手に持ったバケツを振り捨てて走った。♠**<未練を振り捨てる>** さまざまな未練を振り捨てて、新しい生活を始めるのには勇気がいるものです。♠**<地位を振り捨てる>** わたしは管理職の地位を振り捨て、人間らしい生活を求めてこの山奥にやって来た。 **ふりそそ・ぐ**【降り注ぐ】 〇注ぐように降る。[文例]**<雨が降り注ぐ>** 薄日のさす庭に銀色の雨が降り注いでいる。♠**<火の粉が降り注ぐ>** わが子を救いに、父親は降り注ぐ火の粉をかいくぐって家にとび込んだ。♠**<太陽が降り注ぐ>** 南のこの島には、一年じゅう明るい太陽が降り注いでいます。 **ふりだし**【振り出し・振出】 〇振って中から出すこと。すごろくの出発点。物事の出発点。手形[てがた]・小切手[こぎつて]の発行。ふりだし薬。ふりだし口。[文例]**<振り出しにもどる>** 六の目が出てコマを進めると、「振り出しにもどる」で、またやり直し、こんな調子でなかなか上がれない。♠**<振り出しにもどす>** 話が混乱してきたので、もう一度振り出しにもどして、最初から考え直そう。♠**<手形[てがた]の振出[ふりだし]>** 手形の振出は、銀行に当座預金口座がなければできません。 **ふりた・てる**【振り立てる】 〇勢いよく振って立てる。声を張り上げる。強く振って鳴らす。[文例]**<しっぽを振り立てる>** 母馬のあとを、子馬はしっぽを振り立てて追いかけます。♠**<角を振り立てる>** 興奮した牛が角を振り立てて突進してくる。♠**<声を振り立てる>** 静かな森に、ときおりカケスが癇癪[かんしやく]を起こしたように声を振り立てる。 **ふりはら・う**【振り払う】 〇振って離れさせる。強く払いのける。[文例]**<火の粉を振り払う>** 火の粉を振り払いながら、火事の現場から逃げだした。♠**<子供を振り払う>** 観光客はすがりつく子供たちを振り払って、足早に去って行きました。♠**<報道陣[ほうどうじん]を振り払う>** うわさの女優は報道陣を振り払うと、逃げるように部屋に入っていった。♠**<制止(せいし)を振り払う>** 彼は警備員の制止を振り払って、会場に入ろうとした。 **ふりほど・く**【振りほどく・振り解く】 〇振るようにして解きほどく。[文例]**<手を振りほどく>** 泣いてすがる子の手を振りほどいて仕事に出る母親の心は痛んだ。♠**<腕を振りほどく>** 楽しいひとときを過ごしても、十二時を告げる鐘[かね]が二人の腕を振りほどこうとする。♠**<髪を振りほどく>** 成人式から帰って来るなり、わたしは振りそでを脱ぎ捨て、髪を振りほどいてジーパン姿になった。 **ふりま・く**【振りまく・振り撒く】 〇一面にまき散らす。惜しみなく与える。[文例]**<水を振りまく>** 最近はグラウンドに水を振りまくスプリンクラーの使用が一般化されてきました。♠**<花を振りまく>** 一面に花を振りまいたような美しいその景色に、ぼくはしばらく目を奪われていた。♠**<金を振りまく>** あの男は今の地位を得るために、関係者に相当の金を振りまいたらしいよ。♠**<うわさを振りまく>** 社内に社長引退のうわさを振りまく者がいるらしい。♠**<笑いを振りまく>** 山田君はクラスに笑いを振りまく、みんなの人気者です。♠**<愛嬌[あいきよう]を振りまく>** 愛きょうを振りまいてはしゃぎまわる女の子に、人々は目を細めていました。 **ふりまわ・す**【振り回す】 〇物を振り動かす。思い通りに動かす。みだりに使う。見せびらかす。ひけらかす。[文例]**<傘を振り回す>** 駅のホームなどで傘を振り回すのはやめましょう。♠**<包丁を振り回す>** 賊は持っていた包丁を振り回して威嚇[いかく]したそうです。♠**<相手に振り回される>** 相手の多彩[たさい]な攻撃に振り回され、引き分けに持ちこむのがやっとだった。♠**<子供に振り回される>** 昨日は田舎[いなか]から出てきた親類の子に振り回され、遊園地に行ったりデパートに行ったり、たいそく忙しだった。♠**<権力を振り回す>** かつては村長が権力を振り回すというようなことも、少なくなかったようです。♠**<肩書[かたが]きを振り回す>** 売り場主任という肩書きを振り回してあれこれと指図する彼女に、従業員はみな反感を持っている。♠**<知識を振り回す>** いいかげんな知識を振り回すのは、逆に無知をさらけだすもとになります。 **ふりむ・く**【振り向く】 〇振り返る。注意を向ける。かえりみる。[文例]**<後ろを振り向く>** 夜道を一人で歩く時は、おばけがあとからついて来るような気がして、後ろを振り向くのも怖かった。♠**<後を振り向く>** 少年は、もう後を振り向かずに生きてゆこうと決意していた。♠**<振り向いて見る>** 道端[みちぱた]にたたずむその老人を振り向いて見る者もなかった。♠**<振り向きもしない>** わが家の猫はぜいたくになって、このごろは、安いキャットフードには振り向きもしない。 **ふりむ・ける**【振り向ける】 〇振るようにしてそちらへ向ける。他の用途にあてる。[文例]**<明かりを振り向ける>** 物音のする方に明かりを振り向けると、のら猫がごみ箱をあさっているのだった。♠**<顔を振り向ける>** 名を呼ぶと、彼は立ち止まって顔を振り向けたが、首をかしげてそのまま行ってしまった。♠**<福祉に振り向ける>** 税金のむだ使いを福祉に振り向ければ、困っている人が助かると思います。 **ふりょ**【不慮】 〇思いがけないこと。不測。[文例]**<不慮[ふりよ]の事故>** あんなに注意深い人だったのだから、不慮の事故としか言いようがない。♠**<不慮[ふりよ]の災難>** 不慮の災難にあう危険性はだれにもあります。♠**<不慮[ふりよ]の死>** 彼は、取材先のベトナムで戦乱にまきこまれ、不慮の死を遂げた。 **ふりょう**【不良】 〇良くないこと。品行が悪いこと。また、そういう人。[文例]**<天候が不良[ふりよう]>** 今年は天候が不良で、農作物が心配です。♠**<町の不良[ふりよう]>** この辺りは、町の不良のたまり場だから、近よらないほうがいい。♠**<成績不良[ふりよう]>** 遊んでばかりいたら、あんのじょう成績不良で親にしかられました。♠**<消化不良[ふりよう]>** 夏場は胃腸の働きが弱って、消化不良を起こしやすい。♠**<不良[ふりよう]品>** 不良品を扱えば、店の信用を落とす。 **ぶりょう**【無聊】 〇たいくつなこと。暇をもて余すこと。[文例]**<無りょうに苦しむ>** 山奥の生活の最初の一年は、男は孤独と無りょうにひどく苦しんだ。♠**<無りょうを慰(なぐさ)める>** 療養中は、絵をかいたり音楽を聴いたりして無りょうを慰めた。 <985> ぶるい ふりょく【浮力】** ○物体[ぶったい]を重力[じゅうりょく]に逆[さか]らって浮[う]き上[あ]がらせる液体[えきたい]や気体[きたい]の圧力[あつりょく]。[文例]〈浮力[ふりょく]を受[う]ける〉全身[ぜんしん]の力[ちから]を抜[ぬ]いて水上[すいじょう]に体[からだ]を横[よこ]たえると、浮力[ふりょく]を受[う]けて体[からだ]が浮[う]きます。●へ浮力[ふりょく]が大[おお]きい〉水[みず]の表面[ひょうめん]にふれる面積[めんせき]が大[おお]きければ浮力[ふりょく]も大[おお]きいので、板[いた]などのほうが浮[う]きやすい。●〈浮力[ふりょく]がつく〉気球[ききゅう]を熱[ねっ]すると、浮力[ふりょく]がついて上昇[じょうしょう]を始[はじ]めます。 **ぶりょく【武力】** ○軍隊[ぐんたい]や武器[ぶき]の力[ちから]。軍事力[ぐんじりょく]。[文例]〈武力[ぶりょく]に訴[うった]える>現代[げんだい]こそ、国家間[こっかかん]の対立[たいりつ]・紛争[ふんそう]を武力[ぶりょく]に訴[うった]えずに解決[かいけつ]する道[みち]を開[ひら]く時[とき]です。◆〈武力[ぶりょく]の行使[こうし]>日本国憲法[にほんこくけんぽう]は、国際紛争[こくさいふんそう]を解決[かいけつ]する手段[しゅだん]として武力[ぶりょく]の行使[こうし]を永久[えいきゅう]に放棄[ほうき]している。●〈武力戦[ぶりょくせん]〉もし世界[せかい]の大国[たいこく]が興亡[こうぼう]をかけた武力戦[ぶりょくせん]に突入[とつにゅう]するならば、核兵器[かくへいき]の使用[しよう]は必至[ひっし]であろう。 **ふりわ・ける【振り分ける】** ○全体[ぜんたい]を幾[いく]つかに分[わ]ける。二[ふた]つに分[わ]ける。割[わ]り当[あ]てる。[文例]〈人[ひと]を振[ふ]り分[わ]ける〉本校[ほんこう]は能力別[のうりょくべつ]のクラス編成[へんせい]をとっていて、生徒[せいと]は成績[せいせき]によって振[ふ]り分[わ]けられる。●へ等級[とうきゅう]に振[ふ]り分[わ]ける〉収穫[しゅうかく]されたみかんは、出来[でき]のよさによって上中下[じょうちゅうげ]の等級[とうきゅう]に振[ふ]り分[わ]けられます。 **プリント** ○印刷[いんさつ]すること。(特[とく]に謄写版[とうしゃばん]による)印刷物[いんさつぶつ]。布[ぬの]に模様[もよう]を染[そ]めつけること。また、その布[ぬの]。陰画[いんが]から陽画[ようが]に焼[や]きつけること。また、焼[や]きつけたもの。「[文例] プリントを配[くば]る>先生[せんせい]は、宿題[しゅくだい]だと言[い]ってプリントを配[くば]りました。●ヘプリントする〉ポラロイドカメラは、写[うつ]した写真[しゃしん]が即時[そくじ]にプリントされて出[で]てきます。●ヘプリント地[じ]〉かわいい模様[もよう]のプリント地[じ]で、幼稚園[ようちえん]の子供[こども]の手[て]さげ袋[ぶくろ]を作[つく]ってやりました。 **ふ・る【降る】** ○空[そら]から雨[あめ]・雪[ゆき]などが落[お]ちてくる。身[み]に集[あつ]まる。身[み]に及[およ]ぶ。「[文例] <雨[あめ]が降[ふ]る>冬型[ふゆがた]の気圧配置[きあつはいち]が続[つづ]き、一月[いちがつ]に入[はい]ってからまだ一度[いちど]も雨[あめ]が降[ふ]っていない。●へ雪[ゆき]が降[ふ]る〉どんよりと曇[くも]った空[そら]から、ちらちらと雪[ゆき]が降[ふ]ってきた。◆<星[ほし]が降[ふ]る>都会育[とかいそだ]ちの子供[こども]たちには、こんな星[ほし]の降[ふ]るような夜空[よぞら]を見[み]るのは初[はじ]めてではないだろうか。●へ降[ふ]ったりやんだり〉昨日[きのう]は一日[いちにち]、降[ふ]ったりやんだりの、ぐずついた天気[てんき]でした。●へ降[ふ]っても照[て]っても〉降[ふ]っても照[て]っても、男[おとこ]は休[やす]まず畑[はたけ]に出[で]ておった。●へ災難[さいなん]が降[ふ]る>地震[じしん]、落雷[らくらい]、洪水[こうずい]と、町[まち]には悪夢[あくむ]のように災難[さいなん]が降[ふ]ってきた。●〈雨[あめ]あられと降[ふ]る〉ガラスの破片[はへん]が雨[あめ]あられと降[ふ]る中[なか]を、人々[ひとびと]は必死[ひっし]に逃[に]げまわっていた。●〈雨[あめ]が降[ふ]ろうとやりが降[ふ]ろうと〉約束[やくそく]の期限[きげん]は今日[きょう]なのだから、ぼくは雨[あめ]が降[ふ]ろうとやりが降[ふ]ろうと行[い]かねばならないのだ。●へ降[ふ]ってわいたような話[はなし]〉遠[とお]い親類[しんるい]が死[し]んで遺産[いさん]がころげこむという降[ふ]ってわいたような話[はなし]に、みんなはきょとんとしています。●へ降[ふ]るほどある〉気立[きだ]てのいい彼女[かのじょ]のことだもの、きっと縁談[えんだん]だって降[ふ]るほどあるんだろうな。●へ降[ふ]りしきる〉降[ふ]りしきる雪[ゆき]の中[なか]を、馬[うま]そりに乗[の]って出[で]かけます。 **ふ・る【振る】** ○物[もの]を揺[ゆ]り動[うご]かす。ほうり出[だ]すようにして投[な]げる。まき散[ち]らす。割[わ]り当[あ]てる。割[わ]り付[つ]ける。むだにする。はねつける。[文例]〈手[て]を振[ふ]る〉ぼくたちが声[こえ]をかけると、王[おう]さんは快[こころよ]く手[て]を振[ふ]ってくれました。●〈旗[はた]を振[ふ]る〉何人[なんにん]かの男[おとこ]が岸壁[がんぺき]から船[ふね]に向[む]かって、旗[はた]を振[ふ]って合図[あいず]を送[おく]っている。●〈旗[はた]を振[ふ]る>若[わか]いころ父[ちち]は、学生運動[がくせいうんどう]の先頭[せんとう]に立[た]って旗[はた]を振[ふ]っていたらしい。●〈首[くび]を横[よこ]に振[ふ]る〉彼女[かのじょ]がどんなにお願[ねが]いしても、父[ちち]は冷[つめ]たく首[くび]を横[よこ]に振[ふ]るばかりだった。へ首[くび]を縦[たて]に振[ふ]る〉おじは気[き]が向[む]かないと、いくらお金[かね]を積[つ]まれても首[くび]を縦[たて]に振[ふ]らない頑固者[がんこもの]です。●へしっぽを振[ふ]る〉子犬[こいぬ]はちぎれんばかりにしっぽを振[ふ]って、かけよってきました。♠〈さいころを振[ふ]る〉さいころを振[ふ]って数[かず]の多[おお]いほうが先攻[せんこう]だよ。●〈塩[しお]を振[ふ]る〉たるに詰[つ]めた白菜[はくさい]には、たっぷりと塩[しお]を振[ふ]って重[おも]しとなる石[いし]を載[の]せます。●へ番号[ばんごう]をふる〉順番[じゅんばん]がわからなくならないように、用紙[ようし]のすみに番号[ばんごう]をふっておきなさい。●へ仮名[かな]をふる〉読[よ]みにくい名前[なまえ]には、必[かなら]ず仮名[かな]をふってください。●〈役[やく]を振[ふ]る〉役者一人一人[やくしゃひとりひとり]に役[やく]を振[ふ]るのは、一座[いちざ]の座長[ざちょう]の権限[けんげん]でした。●へわき目[め]もふらず〉弟[おとうと]はもう二時間以上[にじかんいじょう]も、わき目[め]もふらずパズルに取[と]り組[く]んでいる。●<棒[ぼう]にふる>田中選手[たなかせんしゅ]は足[あし]のけががもとで、一年[いちねん]を棒[ぼう]にふってしまった。へ大[おお]手[て]を振[ふ]る〉テストもこのぐらい点[てん]がいいと、大[おお]手[て]を振[ふ]って、学校中[がっこうじゅう]を歩[ある]けるな。●〈男[おとこ]・女[おんな]をふる>ああ、またふられてしまった・・・・・・。 **フル** ○十分[じゅうぶん]。いっぱい。最大限[さいだいげん]。[文例]〈フルに発揮[はっき]する>実力[じつりょく]をフルに発揮[はっき]し、金[きん]メダルの栄冠[えいかん]を勝[か]ち取[と]りました。♠〈フルに活用[かつよう]する〉忙[いそが]しいサラリーマンですが、自由[じゆう]な時間[じかん]はフルに活用[かつよう]して有意義[ゆういぎ]にすごします。◆ヘフル回転[かいてん]〉この連休[れんきゅう]は、どこのスキー場[じょう]も満員[まんいん]で、リフトはフル回転[かいてん]で客[きゃく]を運[はこ]んだ。◆ヘフル稼働[かどう]〉この猛暑[もうしょ]でクーラーがフル稼働[かどう]し、停電[ていでん]する地域[ちいき]も出[で]た。◆ヘフルスピード>遅刻[ちこく]しそうだったので、フルスピードで教室[きょうしつ]にすべり込[こ]んだ。◆ヘフルコース〉結婚[けっこん]の披露宴[ひろうえん]では、フランス料理[りょうり]のフルコースが出[で]ました。 **ふるい(篩)** ○粒[つぶ]の細[こま]かい物[もの]と粗[あら]い物[もの]を網目[あみめ]を通[とお]して振[ふ]り分[わ]ける道具[どうぐ]。よいものを選[えら]び出[だ]す手段[しゅだん]。[文例]〈ふるいに掛[か]ける〉ふるいに掛[か]けて、目[め]の荒[あら]い砂[すな]と細[こま]かい砂[すな]をより分[わ]けましょう。ふるいに掛[か]ける〉多数[たすう]の応募者[おうぼしゃ]は、このオーディションでふるいに掛[か]けられる。 **ふる・い【古い】(旧い)** ○長[なが]い時間[じかん]がたっている。昔[むかし]のことである。時代遅[じだいおく]れである。珍[めずら]しくない。新鮮[しんせん]でない。[文例]〈古[ふる]い家並[やな]み>旧街道筋[きゅうかいどうすじ]には、今[いま]もなお古[ふる]い家並[やな]みが残[のこ]っています。●〈古[ふる]いつきあい〉父[ちち]と川崎氏[かわさきし]は、高校時代[こうこうじだい]からの古[ふる]いつきあいだ。●〈古[ふる]い歴史[れきし]〉今[いま]はあれはてていますが、この寺[てら]には四百年以上[よんひゃくねんいじょう]の古[ふる]い歴史[れきし]があります。●〈古[ふる]い制度[せいど]〉古[ふる]い制度[せいど]の下[もと]では、男女間[だんじょかん]の不平等[ふびょうどう]はもっと大[おお]きなものでした。●〈古[ふる]い考[かんが]え〉女性[じょせい]は家庭[かてい]にあるべきだなんて、今[いま]どきずいぶん古[ふる]い考[かんが]えだね。〈古[ふる]い手口[てぐち]〉そんな古[ふる]い手口[てぐち]に、だれがひっかかるものか。●〈芸術[げいじゅつ]が古[ふる]くなる〉かつては前衛芸術家[ぜんえいげいじゅつか]だった彼[かれ]も、もう古[ふる]くなってしまった。●頭[あたま]が古[ふる]い〉頭[あたま]の古[ふる]い村人[むらびと]たちに、若者[わかもの]の考[かんが]えは理解[りかい]できるはずもなかった。●〈古[ふる]くから〉この家[いえ]に古[ふる]くから伝[つた]わるならわしに従[したが]って、次男[じなん]は町[まち]へ出[で]ていった。 **ふるい【部類】** ○同[おな]じ種類[しゅるい]に分[わ]けたもののそれぞれ。[文例]〈部類[ぶるい]に属[ぞく]する二つ並[なら]べると対[つい]になることばを対義語[たいぎご]または対語[たいご]というが、「表[おもて]」と「裏[うら]」、「内[ない]」と「外[そと]」などはこの部類[ぶるい]に属[ぞく]する。●へ嫌[きら]いな部類[ぶるい]〉〈部類[ぶるい]に入[はい]る>魚[さかな]は好[す]きだが、肉[にく]は <986> **ふるいおこす**【奮い起こす】○気持[きも]ちを引[ひ]き立[た]てる。元気[げんき]をかきたてる。[文例]〈気力[きりょく]を奮[ふる]い起[お]こす〉わたしは気力[きりょく]を奮[ふる]い起[お]こして、この難局[なんきょく]を乗[の]り切[き]ろうとしていた。♠〈勇気[ゆうき]を奮[ふる]い起[お]こす>勇気[ゆうき]を奮[ふる]い起[お]こして、再度[さいど]困難[こんなん]に挑戦[ちょうせん]する決意[けつい]をした。 **ふるいた・つ**【奮い立つ】(奮い起つ)○勇[いさ]み立[た]つ。奮起[ふんき]する。[文例]〈獅子[しし]が奮[ふる]い立[た]つ「獅子奮迅[ししふんじん]」は、獅子[しし]が奮[ふる]い立[た]つように盛[さか]んに暴[あば]れ回[まわ]るという意味[いみ]の言葉[ことば]です。♠へ心[こころ]を奮[ふる]い立[た]たせる〉指導者[しどうしゃ]の力強[ちからづよ]い演説[えんぜつ]が人々[ひとびと]の心[こころ]を奮[ふる]い立[た]たせ、広場[ひろば]は興奮[こうふん]と熱気[ねっき]に包[つつ]まれた。 **ふる・う**【振るう・奮う】(揮う)○振[ふ]り回[まわ]す。振[ふ]り動[うご]かす。発揮[はっき]する。威勢[いせい]を示[しめ]す。心[こころ]をわきたてる。勢[いきお]いにあふれている。心[こころ]が勇[いさ]み立[た]つ。意表[いひょう]を突[つ]いている。[文例]〈腕力[わんりょく]を振[ふ]るう〉年下[としした]の子[こ]相手[あいて]に腕力[わんりょく]を振[ふ]るったりして、いったい何[なに]がおもしろいのだ。♠へ暴力[ぼうりょく]を振[ふ]るう〉どんな理由[りゆう]があるにせよ、暴力[ぼうりょく]を振[ふ]るったのはいただけないな。♠へさい配[はい]を振[ふ]るう〉新[しん]監督[かんとく]がさい配[はい]を振[ふ]るうようになってから、チームはまだ負[ま]け知[し]らずです。♠〈大[おお]なたを振[ふ]るう〉社内[しゃない]の沈滞[ちんたい]した空気[くうき]を一掃[いっそう]するために、大[おお]なたを振[ふ]るう必要[ひつよう]がある。♠へ猛威[もうい]を振[ふ]るう〉猛威[もうい]を振[ふ]るった台風[たいふう]二十号[にじゅうごう]は、東海[とうかい]地方[ちほう]に大[おお]きな被害[ひがい]を与[あた]えた。♠へ腕[うで]を振[ふ]るう〉彼[かれ]も今[いま]のポストでは、なかなか思[おも]うように腕[うで]を振[ふ]るうことができないだろう。♠〈勇気[ゆうき]を奮[ふる]う〉二[に]メートル近[ちか]くもある男[おとこ]に、彼[かれ]は勇気[ゆうき]を奮[ふる]って立[た]ち向[む]かっていった。♠<奮[ふる]って~する〉申[もう]し込[こ]みは明日[あす]の消印[けしいん]まで有効[ゆうこう]ですから、みなさん奮[ふる]ってご応募[おうぼ]ください。♠ヘスピーチが奮[ふる]っている〉友人[ゆうじん]代表[だいひょう]であいさつした山口[やまぐち]さんのスピーチが奮[ふる]っていました。♠く商売[しょうばい]が振[ふ]るわない〉石油[せきゆ]ショック以後[いご]、この商売[しょうばい]も振[ふ]るわなくなった。♠へ成績[せいせき]が振[ふ]るわない〉中学生[ちゅうがくせい]になったら、ほかの子[こ]とに気[き]が散[ち]るせいか、成績[せいせき]が振[ふ]るわない。 **ブルー**○青色[あおいろ]。憂鬱[ゆううつ]なさま。[文例]〈ブルーの屋根[やね]>角[かど]を曲[ま]がって三軒[さんげん]目[め]のブルーの屋根[やね]の家[いえ]がぼくのうちだよ。♠ヘブルーな一日[いちにち]〉その日[ひ]は、朝[あさ]から気持[きも]ちの沈[しず]み切[き]ったブルーな一日[いちにち]だった。♠ヘブルーカラー>事務系[じむけい]労働者[ろうどうしゃ]をホワイトカラーというのに対[たい]し、ブルーカラーは工場[こうじょう]などの作業[さぎょう]労働者[ろうどうしゃ]を指[さ]します。 **ふるえ**【震え】○震[ふる]えること。[文例]〈震[ふる]えがくる〉寒気[さむけ]がすると思[おも]ったら、ブルブルと震[ふる]えがきて、こんどは体[からだ]がカーッと熱[あつ]くなった。♠へ震[ふる]えが止[と]まらない〉その恐[おそ]ろしい光景[こうけい]にいつまでも震[ふる]えが止[と]まらなかった。♠へ震[ふる]え声[ごえ]>真[ま]っ青[さお]な顔[かお]の母[はは]がわたしに震[ふる]え声[ごえ]で何[なに]かささやいた。 **ふるえあがる**【震え上がる】○ひどく震[ふる]える。[文例]「ニャーオ」と猫[ねこ]の鳴[な]く声[こえ]がすると、ねずみたちは気[き]が遠[とお]くなるほど震[ふる]え上[あ]がりました。♠その王[おう]の残忍[ざんにん]さには、だれもが震[ふる]え上[あ]がったという。 **ふる・える**【震える】○小刻[こきざ]みに揺[ゆ]れ動[うご]く。振動[しんどう]・震動[しんどう]する。寒[さむ]さ・恐怖[きょうふ]・怒[いか]りなどで体[からだ]がわななく。[文例]〈窓[まど]ガラスが震[ふる]える〉北風[きたかぜ]に窓[まど]ガラスの震[ふる]えているのが聞[き]こえます。♠へひざが震[ふる]える〉クマを見[み]た瞬間[しゅんかん]、恐[おそ]しさでひざが震[ふる]え、逃[に]げることさえ忘[わす]れてしまった。♠へぶるぶる震[ふる]える〉プールからあがってきた選手[せんしゅ]たちは、唇[くちびる]をまっ青[さお]にして、ぶるぶる震[ふる]えていた。♠へ喜[よろこ]びに震[ふる]える〉電話[でんわ]の向[む]こうから聞[き]こえる兄[あに]の声[こえ]は、合格[ごうかく]の喜[よろこ]びに震[ふる]えていました。♠へ怒[いか]りに震[ふる]える話[はなし]を聞[き]いているうちに体[からだ]は怒[いか]りに震[ふる]えた。♠へ声[こえ]が震[ふる]える〉ほら、耳[みみ]をすましてごらん。うぐいすの声[こえ]がかすかに震[ふる]えているよ。 **ふるかぶ**【古株】○草木[くさき]の古[ふる]い株[かぶ]。古[ふる]くからいる人[ひと]。古顔[ふるがお]。[文例]〈古株[ふるかぶ]の先生[せんせい]>勤続[きんぞく]三十年[さんじゅうねん]という古株[ふるかぶ]の先生[せんせい]がわたしたちの担任[たんにん]だった。♠〈一番[いちばん]の古株[ふるかぶ]〉ここではわたしが一番[いちばん]の古株[ふるかぶ]だから、分[わ]からないことがあったら何[なん]でも聞[き]くといい。 **ふるきず**【古傷】(古疵・古創)○以前[いぜん]に受[う]けた傷[きず]。心[こころ]に傷[きず]となって残[のこ]っていること。かつて犯[おか]した罪[つみ]。[文例]〈古傷[ふるきず]が痛[いた]む>寒[さむ]くなると、おじいさんは戦争[せんそう]で痛[いた]めた足[あし]の古傷[ふるきず]が痛[いた]むのでした。♠◇古傷[ふるきず]が痛[いた]む>若[わか]いころの過[あやま]ちを思[おも]い出[だ]すと、今[いま]でも古傷[ふるきず]が痛[いた]む思[おも]いがする。♠〈古傷[ふるきず]に触[ふ]れる〉その言葉[ことば]はわたしの古傷[ふるきず]に触[ふ]れ、苦[にが]い過去[かこ]を思[おも]い出[だ]させた。 **ふるくさ・い**【古臭い】○ひどく古[ふる]い。陳腐[ちんぷ]である。[文例]〈古[ふる]くさい家具[かぐ]>骨董[こっとう]趣味[しゅみ]のないわたしにとっては、それはただの古[ふる]くさい家具[かぐ]にしか見[み]えない。♠〈古[ふる]くさい考[かんが]え〉国[くに]のために働[はたら]くだなんて、おじさん、古[ふる]くさい考[かんが]えの持[も]ち主[ぬし]だね。 **ふるさと**【古里】(故里) ○生[う]まれ育[そだ]った土地[とち]。故郷[こきょう]。[文例]母[はは]のふるさとは、瀬戸内海[せとないかい]に面[めん]した広島県[ひろしまけん]の小[ちい]さな漁村[ぎょそん]です。♠へふるさとを持[も]つ〉都会[とかい]育[そだ]ちでふるさとを持[も]たない若者[わかもの]にとって、北海道[ほっかいどう]の自然[しぜん]は大[おお]きなあこがれだ。♠へふるさとの言葉[ことば]〉三年[さんねん]ぶりのクラス会[かい]で、ふるさとの懐[なつ]かしい言葉[ことば]を聞[き]きました。♠〈第二[だいに]のふるさと〉大学[だいがく]時代[じだい]を過[す]ごしたこの土地[とち]は、わたしにとって第二[だいに]のふるさとといえます。♠〈心[こころ]のふるさと〉どんな相談[そうだん]にも気軽[きがる]に応[おう]じてくれるSさんは、わたしの心[こころ]のふるさとだと言[い]ったらオーバーでしょうか。♠へふるさとを捨[す]てる〉兄[あに]は住[す]みなれたふるさとを捨[す]てて、いったいどこへ行[い]ってしまったのだろう。 **ふるす**【古巣】○元[もと]の巣[す]。以前[いぜん]にいた所[ところ]。住[す]み古[ふ]るした所[ところ]。[文例]〈古巣[ふるす]にもどる〉一度[いちど]は家[いえ]を捨[す]てた男[おとこ]も、結局[けっきょく]は元[もと]の古巣[ふるす]へもどっていった。♠〈古巣[ふるす]を引[ひ]き払[はら]う〉何[なん]十年[じゅうねん]と住[す]み続[つづ]けた古巣[ふるす]を引[ひ]き払[はら]って、息子[むすこ]の家[いえ]に同居[どうきょ]することにしました。 **ふるだぬき**【古だぬき】(古狸)○年[とし]とったタヌキ。経験[けいけん]を積[つ]んで悪賢[わるがしこ]い人[ひと]。[文例]いまいましい古[ふる]だぬきめ、また人間[にんげん]をだましおったな。♠あの古[ふる]だぬきの教頭[きょうとう]が、また何[なに]かずるがしこいことをたくらんでいるらしい。 **ふる・びる**【古びる】○古[ふる]くなる。[文例]〈古[ふる]びた教会[きょうかい]>丘[おか]の上[うえ]には、中世[ちゅうせい]をしのばせる古[ふる]びた教会[きょうかい]が立[た]っている。♠人古[ふる]びた写真[しゃしん]>父[ちち]の遺品[いひん]を整理[せいり]していると、本[ほん]の間[あいだ]から一枚[いちまい]の古[ふる] <987> **ふれまわる【触れ回る】** **ふるぼ・ける【古ぼける】** (古惚ける・古呆れる)古[ふる]くなってうす汚[よご]れる。[文例]〈古[ふる]ぼけた看板[かんばん]〉店[みせ]の前[まえ]には、もう字[じ]も消[き]えかかった古[ふる]ぼけた看板[かんばん]がかかっていた。♠〈古[ふる]ぼけた巻[ま]き物[もの]〉蔵[くら]の中[なか]から古[ふる]ぼけた巻[ま]き物[もの]が見[み]つかったのだが、これが大変[たいへん]な代物[しろもの]だった。♠〈家[いえ]が古[ふる]ぼける〉この家[いえ]もすっかり古[ふる]ぼけてしまったねえ。♠〈古[ふる]ぼけた思想[しそう]〉大学[だいがく]では古[ふる]ぼけた思想[しそう]が講[こう]じられるばかりだった。 **ふるまい【振る舞い】** 行動[こうどう]。動作[どうさ]。もてなし。[文例]〈粗暴[そぼう]な振[ふ]る舞[ま]い〉高校生[こうこうせい]のころは、時[とき]に正義感[せいぎかん]に燃[も]えたり、また時[とき]には粗暴[そぼう]な振[ふ]る舞[ま]いにあこがれたりもした。♠〈立[た]ち居[い]振[ふ]る舞[ま]い〉育[そだ]ちのよい人[ひと]だから、言葉[ことば]づかいも上品[じょうひん]で、立[た]ち居[い]振[ふ]る舞[ま]いもどことなく優雅[ゆうが]である。♠〈大盤振[おおばんぶ]る舞[ま]い〉尾頭[おかしら]つきの鯛[たい]とは、大盤振[おおばんぶ]る舞[ま]いですなあ。 **ふるま・う【振る舞う】** 動作[どうさ]・行動[こうどう]をする。もてなす。ごちそうする。[文例]〈自由[じゆう]に振[ふ]る舞[ま]う〉ここを自分[じぶん]の家[いえ]だと思[おも]って、自由[じゆう]に振[ふ]る舞[ま]ってちょうだい。♠〈自然[しぜん]に振[ふ]る舞[ま]う〉自然[しぜん]に振[ふ]る舞[ま]おうとしても、緊張[きんちょう]のせいか、どうしてもぎこちなくなってしまう。♠〈わがままに振[ふ]る舞[ま]う〉他人[たにん]の身[み]になって考[かんが]えられない人[ひと]ですから、わがままに振[ふ]る舞[ま]うことが多[おお]くて困[こま]る。♠〈気前[きまえ]よく振[ふ]る舞[ま]う〉おじさんは、「今日[きょう]はお金持[かねも]ちなんだ。」と、気前[きまえ]よく振[ふ]る舞[ま]ってくれた。♠〈酒[さけ]を振[ふ]る舞[ま]う〉祭[まつ]りには、商店[しょうてん]では若[わか]い衆[しゅう]に酒[さけ]を振[ふ]る舞[ま]うのが慣例[かんれい]だった。 **ふるめかし・い【古めかしい】** 古[ふる]くさい。古風[こふう]である。[文例]〈古[ふる]めかしいいす〉婦人[ふじん]は、鹿鳴館[ろくめいかん]時代[じだい]の貴婦人[きふじん]のような身[み]なりをして、古[ふる]めかしいいすに腰[こし]かけている。♠〈古[ふる]めかしいしきたり〉この片田舎[かたいなか]の城下町[じょうかまち]には、まだ昔[むかし]ながらの古[ふる]めかしいしきたりが残[のこ]っている。♠〈古[ふる]めかしい形式[けいしき]〉結婚式[けっこんしき]などという古[ふる]めかしい形式[けいしき]がますます盛[さか]んになるのはなぜだろう。 **ふるわ・せる【震わせる】** 震[ふる]えるようにする。ふるわす。[文例]〈壁[かべ]を震[ふる]わせる〉古[ふる]い大[おお]きな印刷機[いんさつき]が工場[こうば]の壁[かべ]を震[ふる]わせて作動[さどう]している。♠〈大地[だいち]を震[ふる]わせる〉今[いま]までに見[み]たこともない大[おお]きなトラックが、大地[だいち]を震[ふる]わせるように目[め]の前[まえ]を走[はし]り過[す]ぎていく。♠〈体[からだ]を震[ふる]わせる〉庭[にわ]の隅[すみ]で、雨[あめ]にうたれた子[こ]ねこが寒[さむ]さに体[からだ]を震[ふる]わせていた。♠〈指先[ゆびさき]を震[ふる]わせる〉緊張[きんちょう]のためか、兄[あに]は万年筆[まんねんひつ]を持[も]った指先[ゆびさき]を、小刻[こきざ]みに震[ふる]わせています。♠〈肩[かた]を震[ふる]わせる〉涙[なみだ]をこらえて肩[かた]を震[ふる]わせている選手[せんしゅ]たちの姿[すがた]は、とても印象的[いんしょうてき]でした。♠〈声[こえ]を震[ふる]わせる〉被害[ひがい]を訴[うつた]える住民[じゅうみん]は、怒[いか]りに声[こえ]を震[ふる]わせていた。 **ふれあい【触れ合い】** ふれあうこと。[文例]〈心[こころ]の触[ふ]れ合[あ]い〉この小説[しょうせつ]を読[よ]んで、人[ひと]と動物[どうぶつ]の心[こころ]の触[ふ]れ合[あ]いについて考[かんが]えてみよう。♠〈自然[しぜん]との触[ふ]れ合[あ]い〉かけがえのない自然[しぜん]との触[ふ]れ合[あ]いを大切[たいせつ]にしたい。♠〈他者[たしゃ]との触[ふ]れ合[あ]い〉わたしたちは、自分[じぶん]が何者[なにもの]であるか、どんな人間[にんげん]として生[い]きるべきかを、他者[たしゃ]との触[ふ]れ合[あ]いを通[つう]じて学[まな]んでいく。 **ふれあ・う【触れ合う】** 互[たが]いに触[ふ]れる。[文例]〈木[こ]の葉[は]が触[ふ]れ合[あ]う〉静[しず]けさの中[なか]でかすかに木[こ]の葉[は]の触[ふ]れ合[あ]う音[おと]が聞[き]こえた。♠〈心[こころ]が触[ふ]れ合[あ]う〉共[とも]に語[かた]らううちに、二人[ふたり]の心[こころ]が触[ふ]れ合[あ]い、友情[ゆうじょう]が芽生[めば]えていった。♠〈自然[しぜん]と触[ふ]れ合[あ]う〉ふだんは自然[しぜん]と触[ふ]れ合[あ]う機会[きかい]がないので、週末[しゅうまつ]にはよく野[の]や山[やま]へ出[で]かけます。 **ぶれい【無礼】** 礼儀[れいぎ]をわきまえないこと。失礼[しつれい]。ぶしつけ。[文例]〈無礼[ぶれい]な振[ふ]る舞[ま]い〉先[さき]ほどの無礼[ぶれい]な振[ふ]る舞[ま]いをどうぞお許[ゆる]しください。♠〈無礼[ぶれい]をはたらく〉当時[とうじ]は、町人[ちょうにん]・農民[のうみん]が武士[ぶし]に無礼[ぶれい]をはたらいた場合[ばあい]、武士[ぶし]は彼[かれ]らを切[き]ってもよいことになっていた。♠〈無礼者[ぶれいもの]〉おまえたちのような無礼者[ぶれいもの]は許[ゆる]しておけん。♠〈無礼講[ぶれいこう]〉社長[しゃちょう]のあいさつが終[お]わると、宴会[えんかい]は無礼講[ぶれいこう]となり座[ざ]が盛[も]り上[あ]がっていった。 **プレー** 競技[きょうぎ]。競技[きょうぎ]の技[わざ]。遊[あそ]び。[文例]〈鮮[あざ]やかなプレー〉選手[せんしゅ]の鮮[あざ]やかなプレーに観客[かんきゃく]から拍手[はくしゅ]が送[おく]られた。♠〈プレーする〉助っ人[すけっと]として日本[にっぽん]でプレーする外国人[がいこくじん]選手[せんしゅ]が多くなった。♠〈プレーボール〉プレーボールから四時間[よじかん]近[ちか]くもたつのに、まだ決着[けっちゃく]がつかない。♠〈ファインプレー〉今夜[こんや]の試合[しあい]は、ファインプレーの続出[ぞくしゅつ]でおもしろかった。 **ブレーキ** 車輪[しゃりん]の減速[げんそく]・停止[ていし]装置[そうち]。制動機[せいどうき]。物事[ものごと]の進行[しんこう]をおさえ止[と]めるもの。[文例]〈ブレーキを踏[ふ]む〉飛[と]び出[だ]してきた子供[こども]に、運転手[うんてんしゅ]はあわててブレーキを踏[ふ]んだ。♠〈ブレーキをかける〉きみは一人[ひとり]で突[つ]っ走[ぱし]るくせがあるから、だれかブレーキをかける人[ひと]が必要[ひつよう]だ。♠〈ブレーキが利[き]く〉この自転車[じてんしゃ]はブレーキが利[き]かないので、乗[の]らないほうがいい。♠〈ブレーキとなる〉不振[ふしん]の四番[よばん]バッターがブレーキとなって、チームはなかなか得点[とくてん]できない。 **ふれこみ【触れ込み】** 前宣伝[まえせんでん]。[文例]〈健康[けんこう]食品[しょくひん]という触[ふ]れ込[こ]み〉健康[けんこう]食品[しょくひん]という触[ふ]れ込[こ]みで売[う]り出[だ]された商品[しょうひん]が、何[なん]の効果[こうか]もないことがある。♠モデルの経験[けいけん]ありという触[ふ]れ込[こ]みで来[き]た子[こ]だが、どうもあのスタイルでは疑[うたが]わしい。 **プレゼント** 贈[おく]り物[もの]。また、贈[おく]り物[もの]をすること。[文例]〈誕生日[たんじょうび]のプレゼント〉父[ちち]は、誕生日[たんじょうび]のプレゼントだよ、と言[い]って、すてきな腕時計[うでどけい]をくれました。♠〈プレゼントをやる・もらう〉クリスマスにプレゼントをあげたり、もらったりするのはとても楽[たの]しいことです。♠〈プレゼントする〉母[はは]の日[ひ]にお母[かあ]さんに何[なに]かプレゼントしようと思[おも]うんだけど、何[なに]がいいかなあ。 **プレッシャー** 圧力[あつりょく]。精神的[せいしんてき]な重圧[じゅうあつ]。[文例]〈プレッシャーをかける〉周囲[しゅうい]が期待[きたい]しすぎると、本人[ほんにん]によけいなプレッシャーをかけることになる。♠〈プレッシャーになる〉今[いま]思[おも]えば、何[なに]が何[なん]でも優勝[ゆうしょう]しなくてはという気持[きも]ちがあり、それが大[おお]きなプレッシャーになっていたのだろう。 **フレッシュ** 新鮮[しんせん]なさま。[文例]〈フレッシュな感覚[かんかく]〉今年[ことし]もフレッシュな感覚[かんかく]を持[も]った新人[しんじん]がデビューした。♠〈フレッシュジュース〉毎朝[まいあさ]、新鮮[しんせん]な野菜[やさい]や果物[くだもの]をしぼったフレッシュジュースを飲[の]みます。♠〈フレッシュマン〉今年[ことし]もまた、真新[まあたら]しい背広[せびろ]を着[き]たフレッシュマンたちが入社[にゅうしゃ]してきた。 **ふれまわる【触れ回る】** 知[し]らせて歩[ある]く。言[い]いふらす。[文例]地主[じぬし]の下男[げなん]が触[ふ]れ回[まわ]ると、村人[むらびと]は次々[つぎつぎ]と屋敷[やしき]に集[あつ]まった。 <988> ふれる ふ ってきた。●ひま人[じん]のきみが、忙[いそが]しい忙[いそが]しいと触[ふ]れ回[まわ]るのだからおかしい。◆根拠[こんきょ]のないことをみんなに触[ふ]れ回[まわ]って、まったく人騒[ひとさわ]がせなやつだ。 **ふ・れる【触れる】** ○軽[かる]くさわる。接[せっ]する。感覚[かんかく]する。味[あじ]わう。享受[きょうじゅ]する。打撃[だげき]を受[う]ける。違反[いはん]する。言及[げんきゅう]する。機会[きかい]をとらえる。告[つ]げ知[し]らせる。[文例]〈すそが触[ふ]れる〉コートのすそが触[ふ]れたのか、テーブルがかすかにゆれた。●へ手[て]を触[ふ]れる〉展示品[てんじひん]には手[て]を触[ふ]れないよう、お願[ねが]いします。●〈手[て]に触[ふ]れる〉この薬[くすり]は小[ちい]さい子[こ]の手[て]に触[ふ]れないところに保管[ほかん]してください。◆く手[て]が触[ふ]れる〉テーブルの上[うえ]のお菓子[かし]に弟[おとうと]の手[て]が触[ふ]れると、キッと母[はは]がにらみます。●〈外気[がいき]に触[ふ]れる〉この化合物[かごうぶつ]は外気[がいき]に触[ふ]れると、黒[くろ]っぽく変色[へんしょく]する。●へ肌[はだ]で触[ふ]れる〉都会[とかい]では、自然[しぜん]の美[うつく]しさに肌[はだ]で触[ふ]れる機会[きかい]が少[すく]なくなった。●〈目[め]・耳[みみ]に触[ふ]れる〉生[う]まれて初[はじ]めてのパリ、ジャンヌの目[め]に触[ふ]れ耳[みみ]に触[ふ]れるのは珍[めずら]しいものばかりだった。へ芸術[げいじゅつ]に触[ふ]れる〉仕事一筋[しごとひとすじ]だった父[ちち]は、今[いま]になって、音楽[おんがく]などの芸術[げいじゅつ]に触[ふ]れることが少[すく]なかったことを残念[ざんねん]がっています。◆<怒[いか]りに触[ふ]れる〉その弟子[でし]は師匠[ししょう]の怒[いか]りに触[ふ]れ、破門[はもん]されてしまった。●くげきりんに触[ふ]れる〉その不用意[ふようい]な発言[はつげん]が社長[しゃちょう]のげきりんに触[ふ]れたらしく、部長[ぶちょう]は地方[ちほう]へ飛[と]ばされてしまった。へ法律[ほうりつ]に触[ふ]れる〉法律[ほうりつ]に触[ふ]れなければ何[なに]をしてもかまわないという考[かんが]え方[かた]はまちがっている。◆◇問題[もんだい]に触[ふ]れる〉話[はな]し好[ず]きの彼女[かのじょ]も、この問題[もんだい]に触[ふ]れると口[くち]をつぐんでしまう。●へ核心[かくしん]に触[ふ]れる〉今度[こんど]の説明会[せつめいかい]では、問題[もんだい]の核心[かくしん]に触[ふ]れた回答[かいとう]は聞[き]けなかった。折[おり]に触[ふ]れて〉小学校[しょうがっこう]の時[とき]の先生[せんせい]とは、年賀状[ねんがじょう]だけでなく、折[おり]に触[ふ]れて手紙[てがみ]のやりとりをしています。●へ触[ふ]れて歩[ある]く>消防士[しょうぼうし]は避難訓練[ひなんくんれん]を行[おこな]うことを、近所[きんじょ]の家々[いえいえ]に触[ふ]れて歩[ある]いた。 **ふ・れる(狂れる)** ○気[き]が狂[くる]う。[文例] 〈気[き]がふれる〉悲痛[ひつう]のあまり、母親[ははおや]は気[き]がふれてしまった。 **ぶ・れる** ○位置[いち]や方向[ほうこう]がずれる。「[文例]〈映像[えいぞう]がぶれる〉シャッターを押[お]すときに手元[てもと]が動[うご]いたらしく、映像[えいぞう]がぶれてしまった。◆◇目標[もくひょう]がぶれる〉書[か]いていくうちに当初[とうしょ]の目標[もくひょう]がぶれて、まとまりのないレポートになってしまった。 **ふろ(風呂)** ○湯[ゆ]・蒸気[じょうき]・熱気[ねっき]などで体[からだ]を温[あたた]めたり、汚[よご]れを洗[あら]い流[なが]したりする設備[せつび]。[文例]】〈風呂[ふろ]がわく〉水[みず]が冷[つめ]たいので、風呂[ふろ]がわくのにはまだ二十分以上[にじゅっぷんいじょう]かかるでしょう。◆〈風呂[ふろ]をわかす〉お風呂[ふろ]をわかすのは、弟[おとうと]の仕事[しごと]です。◆◇風呂[ふろ]をたく〉合宿[がっしゅく]の子供[こども]たちには、まきで風呂[ふろ]をたくのは初[はじ]めてで、みんなおお騒[さわ]ぎだった。●へ風呂[ふろ]をたてる〉今日[きょう]は父[とう]ちゃんが町[まち]から帰[かえ]る日[ひ]だから、風呂[ふろ]をたてておこう。◆人風呂[ひとふろ]に入[はい]る>昨日[きのう]は体[からだ]が熱[ねつ]っぽく、風呂[ふろ]に入[はい]らずに床[とこ]につきまました。●〈風呂[ふろ]から上[あ]がる・出[で]る〉お風呂[ふろ]から上[あ]がったらよく体[からだ]をふかないと、風邪[かぜ]をひきますよ。●〈風呂[ふろ]の加減[かげん]〉あと五分[ごふん]したら、お風呂[ふろ]の加減[かげん]を見[み]てちょうだいね。 **プロ** ○職業[しょくぎょう]としてすること。プロフェッショナル。[文例]〈プロとアマ〉どんなスポーツでも、プロとアマの実力[じつりょく]の差[さ]は大[おお]きい。●ヘプロで通用[つうよう]する〉彼[かれ]ぐらいのパンチがあれば、プロで十分通用[じゅうぶんつうよう]するだろう。●ヘ料理[りょうり]のプロ〉〈プロの誇[ほこ]り〉これでもお母[かあ]さんは料理[りょうり]のプロなんですからね、プロの誇[ほこ]りはもっているのよ。 **ふろう【不老】** ○いつまでも若[わか]いままであること。[文例]佘老不死[ろうふし]〉この薬[くすり]は、飲[の]むと年[とし]を取[と]ることも死[し]ぬこともないという不老不死[ふろうふし]の薬[くすり]じゃよ。●〈不老長寿[ふろうちょうじゅ]〉これはわしの不老長寿[ふろうちょうじゅ]の薬[くすり]じゃ、と言[い]って、おじいさんはうまそうに酒[さけ]を飲[の]みました。 **ふろう【浮浪】** ○定[さだ]まった住所[じゅうしょ]をもたず、さまよい暮[く]らすこと。[文例]〈浮浪[ふろう]する>若[わか]いころわたしは、定職[ていしょく]も持[も]たずに街[まち]から街[まち]を浮浪[ふろう]し続[つづ]けていた。●〈浮浪者[ふろうしゃ]>夜[よる]になると、大勢[おおぜい]の浮浪者[ふろうしゃ]が寝[ね]る場所[ばしょ]を求[もと]めて駅[えき]の構内[こうない]に集[あつ]まって来[く]る。◆<浮浪児[ふろうじ]>終戦直後[しゅうせんちょくご]、日本[にほん]の大都市[だいとし]の駅周辺[えきしゅうへん]には飢[う]えた浮浪児[ふろうじ]たちが必[かなら]ずいたものだ。 **ふろく【付録・附録】** ○本[ほん]の巻末[かんまつ]に補足的[ほそくてき]につけた記事[きじ]。雑誌[ざっし]に添[そ]えた小冊子[しょうさっし]やおまけ。付[つ]け足[た]し。[文例]〈雑誌[ざっし]の付録[ふろく]〉ぼくは、毎月付録[まいつきふろく]が楽[たの]しみで、この雑誌[ざっし]を買[か]うのです。●<付録[ふろく]がつく>巻末[かんまつ]についている付録[ふろく]の図表[ずひょう]を参考[さんこう]にしてください。◆山本君[やまもとくん]も入[い]れて三人[さんにん]で映画[えいが]に行[い]くことになったけれど、どうせわたしは付録[ふろく]でしょ。 **プログラム** ○番組[ばんぐみ]・番組表[ばんぐみひょう]。予定[よてい]・予定表[よていひょう]。計画[けいかく]・計画表[けいかくひょう]。コンピュータに対[たい]する処理手順[しょりてじゅん]の指示[しじ]。[文例]〈運動会[うんどうかい]のプログラム>運動会[うんどうかい]のプログラムを見[み]ると、一年生[いちねんせい]の五十[ごじゅう]メートル走[そう]は二番目[にばんめ]だった。◆へ映画[えいが]のプログラム>動物[どうぶつ]が主人公[しゅじんこう]のその映画[えいが]は大好評[だいこうひょう]で、写真[しゃしん]がかわいいせいかプログラムも飛[と]ぶように売[う]れた。◆ヘコンピュータのプログラム〉コンピュータのプログラムを作成[さくせい]する人[ひと]をプログラマーといいます。●ヘプログラムする〉会社[かいしゃ]が終[お]わると、わたしはまるでプログラムされたように、毎日[まいにち]その飲[の]み屋[や]に通[かよ]うのだった。 **ふろしき(風呂敷)** ○物[もの]を包[つつ]んで持[も]ち運[はこ]ぶための四角[しかく]い布[ぬの]。[文例]〈ふろしきにくるむ〉父[ちち]はいつもふろしきにくるんだ弁当箱[べんとうばこ]を持[も]って、工場[こうじょう]に出[で]かけた。●へふろしき包[づつ]み〉大[おお]きなふろしき包[づつ]みを背負[せお]って、おばあさんがやって来[く]る。♠〈大[おお]ぶろしきを広[ひろ]げる〉ほら吹[ふ]きのごんべえのやつめ、また大[おお]ぶろしき広[ひろ]げてふれ回[まわ]っているな。 **プロセス** ○手順[てじゅん]。過程[かてい]。工程[こうてい]。[文例]結果[けっか]もさることながら、それまでのプロセスが重要[じゅうよう]です。◆本[ほん]が出版[しゅっぱん]されるまでのプロセスを簡単[かんたん]に説明[せつめい]しましょう。 **ブロック** ○かたまり。コンクリートブロック。区画[くかく]。政治的[せいじてき]・経済的[けいざいてき]な結合体[けつごうたい]。さえぎり止[と]めること・もの。[文例]〈氷[こおり]のブロック〉行[い]く手[て]には、大小[だいしょう]の氷[こおり]のブロックがひしめき合[あ]っていて、それがはるか沖合[おきあい]いまで延々[えんえん]と続[つづ]いている。◆〈バレーボールのブロック〉敵[てき]のエースのアタックを味方[みかた]のブロックが止[と]めた。◆ヘブロック塀[べい]〉この辺[あた]りの家[いえ]は開放的[かいほうてき]で、周囲[しゅうい]をブロック塀[べい]で囲[かこ]ったような家[いえ]は見当[みあ]たりません。●ヘブロックに分[わ]ける〉日本[にほん]は、北海道[ほっかいどう]・東北[とうほく]・関東[かんとう]などいくつかのブロックに分[わ]けることができます。 **ふわ【不和】** ○仲[なか]が悪[わる]いこと。[文例]〈親[おや]との不和[ふわ]>兄[あに]は、継母[ままはは]との不和[ふわ]という事情[じじょう]もあって、独立[どくりつ]した。◆〈家庭[かてい]の不和[ふわ]〉家庭[かてい]の不和[ふわ]が原因[げんいん]で家出[いえで]をしたり、非行[ひこう]に走[はし]ったりする子 <989> **ふわく【不惑】** ○惑わないこと。四十歳のこと。[文例]『論語』の「四十にして惑わず」から不惑という言葉が生まれた。♠〈不惑の年を迎える〉わたしも不惑の年を迎え、四十二歳で若死にした父の年に近づいた。 **ふわらいどう【付和雷同・附和雷同】** ○しっかりした考えもなく、ただ他人の意見に同調すること。[文例]〈付和雷同する>安易に付和雷同せずに、一人一人がしっかりと自分の意見を持つことが大事です。♠◆へ付和雷同型>自分の考えを持たずに、その時々で多数の意見に同調する付和雷同型の人間が多い。 **ぶん【文】** ○書き表すと、「。」で切れる一つながりのことば。センテンス。文章。学問・学芸。[文例]〈文を構成する〉主部・述部・修飾部は、文を直接に構成する要素で、文の成分と言います。♠●〈文を書く〉ぼくは文を書くのが得意ではないので、ついつい筆不精[ふでぶしょう]になってしまう。♠●〈文を読む・書く〉文を読んだり書いたりする能力は、訓練によって大きく伸びる。♠●〈文をつづる〉感受性豊かな彼は、文字どおり流れるようになめらかな文をつづる。♠●〈文をしたためる〉わたしは、あなたにどうしても伝えておきたい事があって、このつたない文をしたためています。♠●〈文を寄せる〉わたしたちのクラスの卒業記念文集に、校長先生も文を寄せてくださった。♠●〈文は人なり〉「文は人なり」と言って、文章には書いた人の個性がよく表れるものです。♠●〈文武両道〉父の卒業した高校の教育方針は、文武両道に通じた人間の育成だったそうだ。 **ぶん【分】** ○身の程。身分。本分。割り当て。分け前。該当する分量。現在まで、あるいは近い将来の物事の程度。状態。[文例]〈分を越える〉一社員が会社の戦略にまで口出しするのは、分を越えていると思う。♠●へ分を守る〉老夫婦は、分を守ってつつましい生活を送っていた。♠●〈分に応じる〉あんまり高望みはせずに、分に応じた暮らしを心がけたい。♠●〈分に過ぎる〉その要求は、生徒であるきみたちの分に過ぎたものである。♠●〈ぼくの分〉後で食べるから、ぼくの分もとっておいてね。♠●〈必要な分>朝早くから漁に出るので、必要な分の食料と燃料は夜のうちに用意しておきます。♠◆〈苦労した分>両親には、今まで苦労してきた分幸せになって欲しいのです。♠◆ヘこの分だと>道がこんでいて、この分だと、いつ目的地へ着けるかわからない。♠●へ〜する分には〉お医者さんの言うことをきちんと守っている分には、症状が悪化することもないだろう。♠●〈~分にあたる〉この気球の大きさは、学校の教室でいうと十教室分にあたるそうです。♠●へ言い分〉罪を犯したとはいえ、おまえにも言い分があるだろう、言ってみなさい。♠●〈兄貴分〉あの男はあっしの兄貴分で、いろいろ世話になってます。 **ぶんあん【文案】** ○文章の下書き。[文例] <宣伝の文案>多くの人に訴えるような宣伝の文案を考えてくれ。♠●へ文案を作る>他校に出す文化祭の案内状の文案を作った。♠●へ文案を練る>祝賀会の招待状の文案を練っているが、なかなか難しい。 **ぶんい【文意】** ○文・文章の表す意味。[文例]〈文意が変わる〉読点を打つ位置によって、文意が変わってくる場合があります。♠●〈文意が通る>日本語では、語の位置が多少変わっても文意が通らなくなるという心配は少ない。♠●へ文意が明瞭[めいりょう]>構文の複雑な長い文は、二つ以上の文に分けて書いたほうが文意が明瞭になります。 **ふんいき【雰囲気】** ○その場全体を包む気分や感じ。その人に備わった人柄や独特な感じ。[文例]〈家庭的な雰囲気〉あのレストランは家庭的な雰囲気で、なかなか評判がいい。♠◆<雰囲気がよい〉こう言ってはなんだが、課長がやめてから職場の雰囲気がよくなったね。♠●〈雰囲気に合う〉そのドレスでは派手すぎて、会場の雰囲気に合わないよ。♠●へ熱っ[ねつ]ぽい雰囲気〉試合開始が近づくにつれ、会場は熱っぽい雰囲気につつまれてきた。♠●へなごやかな雰囲気〉司会者のスピーチで、場内になごやかな雰囲気がかもしだされました。♠◆<雰囲気が出る>代役の割に、彼の演技には父親らしい雰囲気が出ていた。♠◆◇大人の雰囲気を持つ>彼は大人の雰囲気を持った人だ。♠◆◇雰囲気がある〉さすが都会育ちで、なかなか雰囲気のある人ですね。 **ふんえん【噴煙】** (噴烟)○噴き上がる煙。[文例]〈噴煙があがる〉中岳[なかだけ]の頂から、もうもうと噴煙があがっている。♠◆〈噴煙を上げる〉山は激しい音をたて、噴煙を上げながら、周囲に石や泥[どろ]を飛ばした。 **ふんか【噴火】** ○火山が溶岩・火山灰・水蒸気などを噴き上げること。[文例]〈噴火を起こす〉この山は活火山で、この三百年のあいだに五回も大きな噴火を起こしている。♠へ噴火が始まる〉今度の地震は、きっと噴火が始まる前ぶれに違いない。♠●〈噴火する〉桜島がまた噴火したらしい。 **ぶんか【文化】** ○ある時代・ある地域における人類の精神的活動。また、その所産。世の中が開け、進歩すること。[文例]〈大陸[たいりく]の文化>古代の日本は、海を隔てた大陸の文化を採り入れることに努力した。♠◆〈文化が流れ込む〉太平洋戦争に敗れた結果、日本には占領国であるアメリカの文化がどっと流れ込んだ。♠石・木の文化〉よく、西洋の文化は「石の文化」であり、日本の文化は「木の文化」であると言われる。♠◆<優れた文化>伝説上の大陸アトランティスには、非常に優れた文化が存在し、国はおおいに栄えていたという。♠●〈文化の交流>世界の国々は、互[たが]いの理解のためにも、もっと文化の交流をはかるべきだと思う。♠●〈独自[どくじ]の文化〉十五世紀のペルーでは、インカ帝国[ていこく]が独自の文化を築きあげていた。♠●〈文化の継承[けいしょう]>先代の優れた文化を継承し、次の世代の人々に伝えるのがわたしたちの役目です。♠へ文化の源泉〉ギリシャ神話はヨーロッパの人々に親しまれ、その文化の源泉と言われている。 **ぶんか【分化】** ○変化して分かれること。分かれて発達すること。[文例]〈専門が分化する>学問は、進めば進むほどその専門が分化する傾向[けいこう]があります。♠●へ感情[かんじょう]が分化する>赤ん坊は初めのうちはただ泣くだけで、喜怒哀楽[きどあいらく]の細かい感情が分化していない。♠●へ〜に分化する〉セキツイ動物は、 <990> 魚類・両生類・ハチュウ類・鳥類・ホニュウ類に分化した。♠●〈~から分化する〉コウモリは翼をもっていても鳥類ではなく、ネズミなどの仲間から分化したものです。 **ふんがい【憤慨】** ○いきどおり嘆くこと。ひどく腹を立てること。[文例]〈憤慨する>親に日記を読まれたことが分かり、ぼくは憤慨して二度と日記を書くまいと思った。♠へ憤慨に堪[た]えない〉スポーツ競技を好む人間として、競技の公正が破られるとしたら憤慨に堪えません。 **ぶんかい【分解】** ○それぞれの部分や要素に分かれること。また、分けること。[文例]へばらばらに分解する〉壊[こわ]れた目覚まし時計を子供に与[あた]えたら、一日かけてばらばらに分解してしまった。♠●〈単語に分解する〉先生がこれから黒板に書く文を単語に分解して、それぞれの品詞名を書きなさい。♠◆<部品に分解する〉複雑な動きかたをするおもちゃのロボットを、一つ一つの部品に分解してみた。♠●〈空中分解〉初めて乗った飛行機が乱気流に巻き込まれて、空中分解するのではないかと恐[おそ]ろしかった。 **ぶんがく【文学】** ○言語を表現の手段とする芸術。文芸。文芸を対象とする学問。[文例]〈文学に親しむ〉わたしは、父が読書好きだったせいか、小さい時から文学に親しんできました。♠●〈文学の世界〉この雑誌の来月号に、今、文学の世界で注目されている作家の特集が掲載[けいさい]されるよ。♠●へ文学を楽しむ「坊っちゃん」や「鼻」は、文学を楽しみながら味わうにはうってつけの作品です。♠●〈文学を鑑賞する〉文学を鑑賞するといっても、何も肩[かた]ひじ張って難しく考える必要はないのです。♠●文学を志す〉若いころ文学を志[こころざ]した事もあるというだけあって、さすがにおじは味わい深い文章を書きます。 **ぶんかつ【分割】** ○幾つかに分けること。[文例]〈分割する〉十九世紀中ごろのポーランドは、オーストリア、プロイセン、ロシアの三国に分割されていました。♠●へ分割払い>車や電気製品など高価な物を買うときには、手軽な分割払いを利用する人が多い。 **ふんき【奮起】** ○奮い立つこと。気力を奮い起こすこと。[文例]〈奮起を促す〉前途有望な若者諸君の今後の奮起を促[うなが]したいと思います。♠●〈奮起する「おまえには無理だ。」の父の一言で、わたしは奮起した。♠◆<奮起一番>初日の黒星に奮起一番、新大関は二日目から勝ち進んだ。 **ぶんき【分岐】** ○一つの方向に進んできたものが分かれること。[文例]〈分岐する〉この道路は、町はずれで東西に分岐しています。♠●へ分岐点〉父の会社を継ぐか、研究を続けるかで、彼は人生の分岐点に立っていた。 **ふんきゅう【紛糾】** ○混乱して収[おさ]まりがつかないこと。[文例]〈紛糾の度を深める〉法律の改正をめぐって、議会はますます紛糾の度を深め、審議はストップしたままである。♠●〈紛糾する>異論が続出して会議は紛糾し、収拾[しゅうしゅう]がつかなくなった。 **ぶんぎょう【分業】** ○作業を手分けして行うこと。それぞれが分担して役目に当たること。作業工程を何段階かに分け、分担して生産すること。[文例]〈分業する〉仕事を何人かで分業して行えば能率的ですが、一つの仕事をなしとげたという満足感は味わえなくなるようです。♠●〈社会的分業>現代は、それぞれの人が能力に応じて役目を分担する社会的分業の時代です。♠◆へ分業化〉産業の発達にともなって、分業化が進められ、生産工程も複雑になってきました。 **ぶんきょく【分極】** ○対立する立場に分かれること。[文例]〈左右への分極化>安保条約にどう対応するかで、日本の知識人の間に左右への分極化が進んだ。♠●〈分極する>民主主義の歴史の浅い社会は、どうしても極端から極端へ二方向に分極する傾向があります。 **ふんぎり【踏ん切り】** ○決断。決着。思い切り。[文例]〈踏ん切りがつく〉会社をやめて独立しようと思うが、なかなか踏ん切りがつかない。♠●へ踏ん切りをつける〉いつまでも迷ってはいられない、そろそろ踏ん切りをつけよう。 **ぶんげい【文芸】** ○詩・小説などの文学。学問と芸術。文学と芸術。[文例]〈文芸評論家>彼は、文壇を批判した一文によって文芸評論家としての地位を確立した。♠◆〈文芸欄>新聞の文芸欄で、おもしろそうな小説に見当をつけて読みます。♠◆<文芸雑誌〉好きな作家の作品が掲載されているときなどは、文芸雑誌を買うことがあります。 **ふんけいのまじわり(刎頸の交わり)** ○その人のためなら首をはねられてもよしとするほど親しい交わり。[文例]〈刎頸の交わりを結ぶ〉両氏は学生時代から、刎頸の交わりを結び、厚い友情は終生変わらなかった。 **ふんげき【憤激】** ○激しくいきどおること。激怒。[文例]〈憤激を買う〉この青年の無礼な態度は、恋人の父親の憤激を買った。♠●へ憤激する〉王の残虐[さんぎゃく]ぶりに、正義の士メロスは憤激した。 **ぶんけん【文献】** ○調査・研究の参考資料となる書物や文書。[文例]〈文献を読む>広く外国文化を研究するには、さまざまな国語で書かれた文献を読む力が必要になります。♠〈文献をあさる〉わたしは謎[なぞ]の多いこの宗教家に興味をもち、さまざまな文献をあさってみた。♠●〈参考文献>論文には、それを書くのに役立った参考文献が載せられるのがふつうです。 **ぶんげん【分限】** ○身の程。身分。地位。財産。金持ち。[文例]〈分限をわきまえる〉若いころは、自分の力を過信して、分限をわきまえない時期もあるものだ。♠●〈分限を知る〉人は生まれつき自由であるが、分限を知らなければわがまま勝手に陥[おちい]ることになる。 **ぶんこ【文庫】** ○書物を入れる蔵[くら]。また、その蔵書[そうしょ]。書類などをしまう箱。小型で安価な本。[文例]〈文庫本〉本屋さんで、一日で読めそうな文庫本を買いました。♠●〈学級文庫>家から本を持ちよって学級文庫を作ります。♠●〈手文庫〉父は、大切な書類や印鑑[いんかん]などを手文庫に入れて保管しています。 **ぶんご【文語】** ○文章語。書き言葉。古典語。また、それで書かれた文。[文例]〈文語で書く〉文語で書かれた文章には、口語では表すことのできない味わいがあります。♠●へ文語を用いる「狭き門」とか「ありし日の面影[おもかげ]」のように文語を用 <991> ふんしょこうじゅ いた表現[ひょうげん]は、今[いま]でも目[め]にします。●〈文語調[ぶんごちょう]〉おじいさんの文語調[ぶんごちょう]の手紙[てがみ]には、ぼくには理解[りかい]できない部分[ぶぶん]がある。●〈文語体[ぶんごたい]>不思議[ふしぎ]な話[はなし]がいくつも記[しる]された『遠野物語[とおのものがたり]』の原文[げんぶん]は、文語体[ぶんごたい]で書[か]かれている。へ文語文[ぶんごぶん]>樋口一葉[ひぐちいちよう]の小説[しょうせつ]は文語文[ぶんごぶん]である。 **ぶんごう【文豪】** ○すぐれた文学者[ぶんがくしゃ]。[文例]〈世界的[せかいてき]な文豪[ぶんごう]〉ゲーテはドイツの生[う]んだ世界的[せかいてき]な文豪[ぶんごう]で、日本[にほん]にもその作品[さくひん]は数多[かずおお]く紹介[しょうかい]されている。〈文豪夏目漱石[ぶんごうなつめそうせき]〉文豪夏目漱石[ぶんごうなつめそうせき]は、日本[にほん]の近代小説[きんだいしょうせつ]に大[おお]きな影響[えいきょう]を与[あた]えた。 **ふんこつさいしん【粉骨砕身】** ○一生懸命[いっしょうけんめい]に力[ちから]の限[かぎ]りを尽[つ]くすこと。[文例]身[み]に余[あま]る大任[たいにん]ではありますが、会社[かいしゃ]の発展[はってん]のため粉骨砕身努力[ふんこつさいしんどうりょく]いたす所存[しょぞん]であります。 **ふんさい【粉砕】** ○粉々[こなごな]に砕[くだ]くこと。完全[かんぜん]に打[う]ち負[ま]かすこと。[文例]〈粉砕[ふんさい]する〉味方[みかた]は猛攻撃[もうこうげき]をかけて、国境[こっきょう]の敵[てき]を粉砕[ふんさい]した。●〈粉砕[ふんさい]する〉独裁政権[どくさいせいけん]の弾圧[だんあつ]を粉砕[ふんさい]しようと、各地[かくち]で労働者[ろうどうしゃ]・学生[がくせい]が立[た]ち上[あ]がった。 **ぶんさい【文才】** ○文章[ぶんしょう]を書[か]く才能[さいのう]。文学的[ぶんがくてき]な才能[さいのう]。[文例]〈文才[ぶんさい]がある・ない〉あなたが書[か]いた文章[ぶんしょう]を一読[いちどく]すれば、文才[ぶんさい]のないのがわかります。●〈文才[ぶんさい]に恵[めぐ]まれる〉文才[ぶんさい]に恵[めぐ]まれた人[ひと]だから、作家[さっか]としての将来[しょうらい]を期待[きたい]されていた。 **ぶんざい【分際】** ○身[み]の程[ほど]。身分[みぶん]。社会的地位[しゃかいてきちい]。[文例]中学生[ちゅうがくせい]の分際[ぶんざい]で、生意気[なまいき]なことを言[い]うな。●使用人[しようにん]の分際[ぶんざい]で主人[しゅじん]に意見[いけん]することなど許[ゆる]されなかった。 **ぶんさん【分散】** ○ばらばらに分[わ]かれること。分[わ]け散[ち]らすこと。→集中[しゅうちゅう][文例]〈人口[じんこう]が分散[ぶんさん]する〉大都市[だいとし]の過密[かみつ]が問題[もんだい]になっているが、もっと地方[ちほう]に人口[じんこう]が分散[ぶんさん]するよう策[さく]を講[こう]じる必要[ひつよう]がある。●へ住民[じゅうみん]・建物[たてもの]が分散[ぶんさん]する万一地震[まんいちじしん]があったときに大[おお]きな被害[ひがい]が出[で]ないように、住民[じゅうみん]や建物[たてもの]は分散[ぶんさん]していたほうがいい。●〈世界中[せかいじゅう]に分散[ぶんさん]する〉一九四八年[いちきゅうよんはちねん]にイスラエル共和国[きょうわこく]が建国[けんこく]されるまで、ユダヤ人[じん]は自分[じぶん]たちの国家[こっか]を持[も]たず世界中[せかいじゅう]に分散[ぶんさん]していた。 **ぶんし【文士】** ○文筆[ぶんぴつ]を業[ぎょう]とする人[ひと]。作家[さっか]。小説家[しょうせつか]。[文例] 新[あたら]しい文芸雑誌[ぶんげいざっし]の編集部[へんしゅうぶ]には、文士[ぶんし]や詩人[しじん]、評論家[ひょうろんか]などが集[あつ]まって気勢[きせい]をあげた。◆ヘ三文文士[さんもんぶんし]〉今[いま]はつまらない三文文士[さんもんぶんし]だが、そのうち世[よ]の中[なか]があっというような傑作[けっさく]を書[か]いてみせるぞ。 **ぶんし【分子】** ○物質[ぶっしつ]が化学的性質[かがくてきせいしつ]を失[うしな]わず存在[そんざい]できる最小単位[さいしょうたんい](原子[げんし]の集合体[しゅうごうたい])。分数[ぶんすう]で横線[よこせん]の上[うえ]の数[かず]や式[しき]。集団[しゅうだん]・集合体[しゅうごうたい]の成員[せいいん]や要素[ようそ]の中[なか]の、特徴的[とくちょうてき]な一部[いちぶ]のもの。[文例]〈水[みず]の分子[ぶんし]>水[みず]の分子[ぶんし]は、二個[にこ]の水素原子[すいそげんし]と一個[いっこ]の酸素原子[さんそげんし]からできている。へ分子[ぶんし]と分母[ぶんぼ]>分数[ぶんすう]を小数[しょうすう]で表[あらわ]す場合[ばあい]は、分子[ぶんし]を分母[ぶんぼ]で割[わ]ります。●へ危険分子[きけんぶんし]〉彼[かれ]のような危険分子[きけんぶんし]がいなくなって、ほかの一会員[いちかいいん]はほっとした。 **ふんしつ【紛失】** ○物[もの]がまぎれて無[な]くなること。また、無くすこと。[文例]〈紛失[ふんしつ]する>旅行中[りょこうちゅう]に長年使[ながねんつか]いならした万年筆[まんねんひつ]を紛失[ふんしつ]してしまった。●〈紛失届[ふんしつとどけ]〉いくら探[さが]しても財布[さいふ]が見[み]つからないので、駅前[えきまえ]の交番[こうばん]に紛失届[ふんしつとどけ]を出[だ]しておいた。 **ふんしゃ【噴射】** ○激[はげ]しく噴[ふ]き出[だ]させること。[文例]〈ガスの一噴射[いちふんしゃ]>催涙[さいるい]ガスの一噴射[いちふんしゃ]によって、デモ隊[たい]は追[お]い散[ち]らされた。〈噴射[ふんしゃ]する〉火炎放射器[かえんほうしゃき]は、軽油[けいゆ]・重油[じゅうゆ]・揮発油[きはつゆ]などの混合液[こんごうえき]を圧縮[あっしゅく]ガスで噴射[ふんしゃ]させ、点火[てんか]した炎[ほのお]で焼[や]き払[はら]う兵器[へいき]である。 **ぶんしゅう【文集】** ○文章[ぶんしょう]を集[あつ]めて本[ほん]の形[かたち]にしたもの。[文例]〈文集[ぶんしゅう]を作[つく]る>卒業記念[そつぎょうきねん]に全員[ぜんいん]の作文[さくぶん]をまとめて文集[ぶんしゅう]を作[つく]ることになった。●〈文集[ぶんしゅう]を編[あ]む>先生[せんせい]は、生徒[せいと]たちが書[か]きためた作品[さくひん]を整理[せいり]し、文集[ぶんしゅう]を編[あ]んだ。●〈文集[ぶんしゅう]に載[の]る〉クラスの文集[ぶんしゅう]に載[の]ったぼくの作文[さくぶん]を、父[ちち]はたいそうほめてくれた。 **ふんしゅつ【噴出】** ○噴[ふ]き出[で]ること。[文例]〈火山灰[かざんばい]の噴出[ふんしゅつ]〉おびただしい火山灰[かざんばい]の噴出[ふんしゅつ]によって畑作物[はたさくもの]は全滅[ぜんめつ]した。♠〈噴出[ふんしゅつ]する〉ねらいに狂[くる]いはなく、掘[ほ]り続[つづ]けた土地[とち]からある日黒[ひくろ]い石油[せきゆ]が噴出[ふんしゅつ]した。 **ぶんしょ【文書】** ○文章[ぶんしょう]にして書[か]き記[しる]したもの。書類[しょるい]。[文例]〈文書[ぶんしょ]にまとめる〉要望[ようぼう]は、口頭[こうとう]ではなく文書[ぶんしょ]にまとめて提出[ていしゅつ]してください。◆〈怪文書[かいぶんしょ]>選挙戦[せんきょせん]では相手候補[あいてこうほ]を中傷[ちゅうしょう]する怪文書[かいぶんしょ]が飛[と]びかった。◆◇重要文書[じゅうようぶんしょ]>戦前[せんぜん]の外交上[がいこうじょう]の重要文書[じゅうようぶんしょ]がこのほど一般[いっぱん]に公開[こうかい]されました。●〈機密文書[きみつぶんしょ]>企業[きぎょう]の機密文書[きみつぶんしょ]が産業[さんぎょう]スパイによって盗[ぬす]まれることもあるらしい。 **ぶんしょう【文章】** ○ある意図[いと]をもって書[か]き連[つら]ねた文[ぶん]の集合体[しゅうごうたい]。一[ひと]つ以上[いじょう]の文[ぶん]からなる一[ひと]まとまり。[文例]〈文章[ぶんしょう]を書[か]く・読[よ]む〉よい文章[ぶんしょう]を書[か]くには、すぐれた作家[さっか]の文章[ぶんしょう]をたくさん読[よ]むことも大切[たいせつ]です。へ文章[ぶんしょう]にする〉この作品[さくひん]を読[よ]んで、感動[かんどう]したことや不思議[ふしぎ]に思[おも]ったことを短[みじか]い文章[ぶんしょう]にしなさい。文章[ぶんしょう]に表[あらわ]す〉とても感動[かんどう]したことがあっても、それを文章[ぶんしょう]に表[あらわ]すとなぜかつまらないものになってしまうことがある。●〈文章[ぶんしょう]にまとめる〉思[おも]った事[こと]をつぎつぎと口[くち]に出[だ]すだけではなく、文章[ぶんしょう]にまとめてみると、自分[じぶん]の考[かんが]えもはっきりする。●〈文章[ぶんしょう]に凝[こ]る〉ぼくはかなり文章[ぶんしょう]に凝[こ]ったつもりだったが、あとで読[よ]みかえしてみてがっかりした。●く硬[かた]い文章[ぶんしょう]>兄[あに]の書[か]く文章[ぶんしょう]は、兄[あに]の性格[せいかく]がそのまま表[あらわ]れた硬[かた]い文章[ぶんしょう]です。●〈生[い]き生[い]きとした文章[ぶんしょう]>糸井[いとい]さんは、会話文[かいわぶん]を巧[たく]みに使[つか]って、生[い]き生[い]きとした文章[ぶんしょう]を書[か]きます。●〈文章[ぶんしょう]の流[なが]れ>文章[ぶんしょう]の流[なが]れを追[お]っていれば、自然[しぜん]に言[い]いたいことが伝[つた]わるような文章[ぶんしょう]を工夫[くふう]したい。●〈文章[ぶんしょう]の構成[こうせい]>読[よ]む人[ひと]を説得[せっとく]するためには、もっと文章[ぶんしょう]の構成[こうせい]を工夫[くふう]しなさい。 **ふんしょく【粉飾】(扮飾)** ○うわべを飾[かざ]ること。ごまかしつくろうこと。[文例] 〈粉飾[ふんしょく]をこらす〉地方長官[ちほうちょうかん]が中央政府[ちゅうおうせいふ]に提出[ていしゅつ]した書類[しょるい]には粉飾[ふんしょく]がこらされ、事実[じじつ]が過大[かだい]に表現[ひょうげん]されていた。●へ粉飾[ふんしょく]する〉議会[ぎかい]への報告書[ほうこくしょ]には事実[じじつ]を粉飾[ふんしょく]した部分[ぶぶん]があり、再調査[さいちょうさ]が行[おこな]われた。◆〈粉飾決算[ふんしょくけっさん]>国税局[こくぜいきょく]の検査[けんさ]によって、企業[きぎょう]の粉飾決算[ふんしょくけっさん]が明[あか]るみに出[で]た。 **ふんしょこうじゅ(焚書坑儒)** ○秦[しん]の始皇帝[しこうてい]が儒教[じゅきょう]の書物[しょもつ]を焼[や]き、学者[がくしゃ]を穴[あな]に埋[う]めたこと。学者[がくしゃ]・思想家[しそうか]の政治批判[せいじひはん]を禁[きん]じること。[文例]秦[しん]の始皇帝[しこうてい]の焚書坑儒[ふんしょこうじゅ]の故事[こじ]をもちだすまでもなく、いつの世[よ]でも権力者[けんりょくしゃ]は自分[じぶん]に都合[つごう]の悪[わる]い思想[しそう]を弾圧[だんあつ]しようとするものだ。 <992> **ぶんしん【分身】** 親[おや]または元[もと]から分[わ]かれ出[で]たもの。神仏[しんぶつ]の化身[けしん]。[文例]〈仏[ほとけ]の分身[ぶんしん]〉この僧[そう]は、人々[ひとびと]を救[すく]うためにやってきた仏[ほとけ]の分身[ぶんしん]だとうわさされた。♠〈作家[さっか]の分身[ぶんしん]〉小説[しょうせつ]の主人公[しゅじんこう]は、多かれ少なかれ[たかれすくなかれ]作家[さっか]の分身[ぶんしん]の性格[せいかく]をもっています。 **ぶんじん【文人】** 文芸[ぶんげい]や学問[がくもん]にたずさわる人[ひと]。詩文[しぶん]・書画[しょが]などをたしなむ人[ひと]。[文例]〈文人[ぶんじん]墨客[ぼっかく]〉この地方[ちほう]には昔[むかし]からよく文人[ぶんじん]墨客[ぼっかく]が訪[おとず]れて、美[うつく]しい風光[ふうこう]を作品[さくひん]に写[うつ]し出[だ]している。 **ふんすい【噴水】** 噴[ふ]き上[あ]がる水[みず]。また、そのようにしたしかけ。[文例]放課後[ほうかご]、公園[こうえん]の噴水[ふんすい]のところで待[ま]っています。♠夏[なつ]の強[つよ]い日[ひ]ざしの中[なか]で、噴水[ふんすい]の向[む]こうに小[ちい]さな虹[にじ]が浮[う]かんだ。 **ふん・する(扮する)** 役柄[やくがら]に似[に]せて装[よそお]う。扮装[ふんそう]する。[文例]〈ジュリエットに扮[ふん]する〉ジュリエットに扮[ふん]した無名[むめい]の新人[しんじん]が、予想外[よそうがい]の好演[こうえん]で評判[ひょうばん]になりました。 **ふんぞりかえ・る【踏ん反り返る】** いばって上体[じょうたい]を後[うし]ろへそらす。[文例]〈いすにふんぞり返[かえ]る〉不動産屋[ふどうさんや]の店[みせ]へ入[はい]ると、主人[しゅじん]らしい男[おとこ]がいすにふんぞり返[かえ]るように座[すわ]っていた。♠係長[かかりちょう]は部下[ぶか]の前[まえ]ではふんぞり返[かえ]っているが、上役[うわやく]の前[まえ]に出[で]るとみっともないほど低姿勢[ひくしせい]になる。 **ふんせき【分析】** 全体[ぜんたい]を部分[ぶぶん]や要素[ようそ]、成分[せいぶん]などに分[わ]けること。→総合[そうごう][文例]〈心理[しんり]を分析[ぶんせき]する〉ぼくは、その時[とき]の自分[じぶん]の心理[しんり]を分析[ぶんせき]してみることにした。♠〈内容[ないよう]を分析[ぶんせき]する〉話[はなし]の内容[ないよう]を分析[ぶんせき]して、その時[とき]に彼[かれ]が考[かんが]えたことをまとめてみよう。♠〈食品[しょくひん]の分析[ぶんせき]〉分析[ぶんせき]の結果[けっか]、その食品[しょくひん]は人体[じんたい]に有害[ゆうがい]な物質[ぶっしつ]を多量[たりょう]に含[ふく]んでいることがわかった。♠〈分析[ぶんせき]の方法[ほうほう]〉分析[ぶんせき]の方法[ほうほう]を間違[まちが]えれば、まったく異[こと]なる結果[けっか]が出[で]てしまう。♠〈詳[くわ]しい分析[ぶんせき]〉〈分析[ぶんせき]をする〉詳[くわ]しい分析[ぶんせき]をしてからでないとはっきりとは言[い]えないが、その物質[ぶっしつ]にはおそらく毒性[どくせい]はないよ。 **ふんせん【奮戦】** 気力[きりょく]を奮[ふる]って戦[たたか]うこと。懸命[けんめい]にがんばること。[文例]〈奮戦[ふんせん]する〉強豪[きょうごう]チームを相手[あいて]に奮戦[ふんせん]したが、ぼくたちはついに力尽[ちからつ]きて敗[やぶ]れた。♠〈奮戦[ふんせん]する〉わたしは、物置[ものおき]の中[なか]のがらくたを相手[あいて]に一日[いちにち]大奮戦[だいふんせん]した。 **ふんぜん【奮然】** 気力[きりょく]を奮[ふる]い立[た]てるさま。[文例]〈奮然[ふんぜん]と立[た]ち向[む]かう〉ひなを守[まも]ろうとする一心[いっしん]で、親鳥[おやどり]は奮然[ふんぜん]とキツネに立[た]ち向[む]かった。♠〈奮然[ふんぜん]とする〉暑[あつ]さに苦[くる]しみながらも、ゴールを目前[もくぜん]に奮然[ふんぜん]としてラストスパートをかけた。 **ふんぜん【憤然】** (忿然)激[はげ]しくいきどおるさま。[文例]〈憤然[ふんぜん]とする〉王[おう]の無礼[ぶれい]な言葉[ことば]に、伯爵[はくしゃく]は憤然[ふんぜん]として席[せき]を蹴[け]った。♠〈憤然[ふんぜん]たる面[おも]もち〉思[おも]いもかけない敗北[はいぼく]に、監督[かんとく]は憤然[ふんぜん]たる面[おも]もちで競技場[きょうぎじょう]を去[さ]った。 **ふんそう【紛争】** もめごと。争[あらそ]い。[文例]〈紛争[ふんそう]が起[お]こる〉赴任中[ふにんちゅう]の外国[がいこく]で紛争[ふんそう]が起[お]こり、一時[いちじ]は帰国[きこく]も危[あや]ぶまれた。♠〈紛争[ふんそう]を引[ひ]き起[お]こす〉労働[ろうどう]条件[じょうけん]の悪化[あっか]が従業員[じゅうぎょういん]の不満[ふまん]を募[つの]らせ、労使間[ろうしかん]に紛争[ふんそう]を引[ひ]き起[お]こした。♠〈国際[こくさい]紛争[ふんそう]〉〈紛争[ふんそう]の解決[かいけつ]〉国際[こくさい]紛争[ふんそう]の解決[かいけつ]に平和的[へいわてき]手段[しゅだん]を用[もち]いようと、各国[かっこく]はたゆまぬ努力[どりょく]を続[つづ]けていた。 **ふんそう(扮装)** 役柄[やくがら]に似[に]せて装[よそお]うこと。また、その装[よそお]い。[文例]〈扮装[ふんそう]をこらす〉扮装[ふんそう]をこらしたぼくたちは、すっかり役[やく]になりきって仮装[かそう]大会[たいかい]で熱演[ねつえん]した。♠〈扮装[ふんそう]する〉おいらんに扮装[ふんそう]した人気[にんき]女優[じょゆう]が登場[とうじょう]すると、場内[じょうない]からためいきがもれる。 **ぶんたい【文体】** 文章[ぶんしょう]の様式[ようしき]や形式[けいしき]。文章[ぶんしょう]のスタイル。[文例]文章[ぶんしょう]を書[か]くときは、文体[ぶんたい]が不統一[ふとういつ]にならないように気[き]をつけましょう。♠〈格調[かくちょう]高[たか]い文体[ぶんたい]〉格調[かくちょう]高[たか]い文体[ぶんたい]で記[しる]された『奥[おく]の細道[ほそみち]』は紀行文[きこうぶん]の傑作[けっさく]だ。♠〈作家[さっか]の文体[ぶんたい]〉作家[さっか]には、作家[さっか]それぞれ[それぞれ]の文体[ぶんたい]というものがあります。 **ふんだん** 余[あま]るほどたくさんあるさま。[文例]〈ふんだんに散[ち]りばめる〉金粉[きんぷん]がふんだんに散[ち]りばめられたその小箱[こばこ]は、そうとう高価[こうか]なものであることがわかります。♠〈ふんだんに取[と]り入[い]れる〉劇[げき]には笑[わら]いがふんだんに取[と]り入[い]れられ、観客[かんきゃく]を退屈[たいくつ]させなかった。♠〈ふんだんに残[のこ]る〉都会[とかい]には少[すく]ない緑[みどり]が、ここにはまだふんだんに残[のこ]っている。♠〈ふんだんにある〉暖冬[だんとう]の去年[きょねん]と違[ちが]って、今年[ことし]は雪[ゆき]もふんだんにあるそうなので、楽[たの]しいスキー旅行[りょこう]になりそうです。♠〈ふんだんな資源[しげん]〉ふんだんな地下[ちか]資源[しげん]がこの国[くに]の経済[けいざい]を支[ささ]えています。 **ぶんたん【分担】** 分[わ]けて受[う]け持[も]つこと。一部[いちぶ]を負担[ふたん]すること。[文例]〈分担[ぶんたん]する〉教室[きょうしつ]を掃除[そうじ]するとき、ぼくはモップ、坂本君[さかもとくん]は机運[つくえはこ]びというように分担[ぶんたん]してやることにした。♠〈仕事[しごと]を分担[ぶんたん]する〉仕事[しごと]を分担[ぶんたん]して行[おこな]うのと、そうでないのとでは、能率[のうりつ]も正確[せいかく]さも違[ちが]ってくる。♠〈平等[びょうどう]に分担[ぶんたん]する〉農園[のうえん]では、子供[こども]から大人[おとな]まで、能力[のうりょく]に応[おう]じて作業[さぎょう]を平等[びょうどう]に分担[ぶんたん]しています。♠〈役割[やくわり]を分担[ぶんたん]する〉世[よ]の中[なか]のすべての人[ひと]が何[なん]らかの役割[やくわり]を分担[ぶんたん]して果[は]たしているから、社会[しゃかい]は成立[せいりつ]しているのです。 **ぶんだん【文壇】** 作家[さっか]や文学者[ぶんがくしゃ]の社会[しゃかい]。[文例]〈文壇[ぶんだん]に登場[とうじょう]する〉石原慎太郎[いしはらしんたろう]や大江健三郎[おおえけんざぶろう]などの戦後[せんご]世代[せだい]の作家[さっか]が文壇[ぶんだん]に登場[とうじょう]した。♠〈文壇[ぶんだん]の主流[しゅりゅう]〉白樺派[しらかばは]は、人道主義[じんどうしゅぎ]・理想主義[りそうしゅぎ]を掲[かか]げて大正[たいしょう]文壇[ぶんだん]の主流[しゅりゅう]となった。♠〈文壇[ぶんだん]の中心[ちゅうしん]〉島崎藤村[しまざきとうそん]は明治[めいじ]三十九年[さんじゅうきゅうねん]、『破戒[はかい]』を刊行[かんこう]し、以後[いご]自然主義[しぜんしゅぎ]作家[さっか]として文壇[ぶんだん]の中心[ちゅうしん]的存在[そんざい]となった。 **ぶんだん【分断】** 幾[いく]つかに断[た]ち切[き]ること。[文例]〈分断[ぶんだん]する〉我々[われわれ]はま横[よこ]から攻[せ]めて、敵[てき]を分断[ぶんだん]する作戦[さくせん]を立[た]てた。♠〈分断[ぶんだん]国家[こっか]〉政治的[せいじてき]に国土[こくど]を分[わ]けられた分断[ぶんだん]国家[こっか]では、親子[おやこ]兄弟[きょうだい]が分[わ]かれ住[す]むという悲劇[ひげき]もめずらしくない。 **ぶんつう【文通】** 手紙[てがみ]をやりとりすること。[文例]〈文通[ぶんつう]を続[つづ]ける〉小学校[しょうがっこう]の時[とき]転校[てんこう]した友達[ともだち]と今[いま]でも文通[ぶんつう]を続[つづ]けている。♠〈文通[ぶんつう]が絶[た]える〉手紙[てがみ]で意見[いけん]をぶつけ合[あ]ったあとも、彼女[かのじょ]との文通[ぶんつう]は絶[た]えることなく続[つづ]いた。♠〈文通[ぶんつう]する〉英語[えいご]の得意[とくい]な彼[かれ]は、中学[ちゅうがく]の時[とき]からカナダ人[じん]と文通[ぶんつう]している。 **ふんづ・ける【踏ん付ける】** 足[あし]で強[つよ]く踏[ふ]む。ふみつける。[文例]〈ひなを踏[ふ]んづける〉木[き]の枝[えだ]から落[お]ちてきた鳥[とり]のひなを踏[ふ]んづけそうになった。♠〈足[あし]を踏[ふ]んづける〉電車[でんしゃ]が揺[ゆ]れたひょうしに、隣[となり]の女性[じょせい]にハイヒールのかかとで足[あし]を踏[ふ]んづけられてしまった。 **ふんど【憤怒】** ふんぬ **ふんとう【奮闘】** 気力[きりょく]をふるって闘[たたか]うこと。懸命[けんめい]にがんばること。[文例]ゴールに向[む]かって奮闘[ふんとう]した。♠彼女[かのじょ]は育児[いくじ]と家事[かじ]に奮闘[ふんとう]している。 <993> ること。[文例]**<奮闘[ふんとう]する>** タイトルマッチで奮闘する挑戦者たちに、観客から声援がおくられた。♠**<孤軍(こぐん)奮闘(ふんとう)>** 暮れになって母が寝こんだので、わたしは大掃除におせち料理の支度にと孤軍奮闘した。 **ふんどし**【褌】 〇男性の腰にしめて、陰部[いんぶ]をおおい隠す布。[文例]**<褌[ふんどし]を締める>** 寒中水泳大会では、褌を締めた若者たちが威勢よく川に飛び込んだ。♠**<褌[ふんどし]を締めてかかる>** 二回戦の相手は手ごわいらしい、ひとつ褌を締めてかかろう。♠**<人の褌[ふんどし]で相撲を取る>** 他人の力ばかりあてにして、人の褌で相撲を取る気か。♠**<褌[ふんどし]かつぎ>** 横綱[よこづな]は、体は小さいが、揮かつぎのころから人一倍けいこ熱心だった。 **ぶんど・る**【分捕る】 〇敵のものを奪い取る。他人のものを奪い取る。[文例]**<武器を分捕る>** ゲリラ兵たちは政府軍の武器庫を襲って、銃や弾薬を分捕った。♠**<おやつを分捕る>** 子供のころは兄貴におどかされて、いつもおやつを分捕られていたものさ。 **ふんぬ**【憤怒・忿怒】 〇いきどおり。怒り。ふんど。[文例]**<憤怒[ふんぬ]の形相[ぎようそう]>** 寺の門には、仁王様が悪をこらしめる憤怒の形相で立っていた。♠**<憤怒[ふんぬ]の念[ねん]>** あれほどまでにプライドを傷つけられながら、不思議に憤怒の念がきざさないのはなぜだろう。 **ふんぱい**【分配】 〇分けて配ること。配分。[文例]**<遺産の分配[ぶんぱい]>** 父親が亡くなると、兄弟は遺産の分配をめぐって争いを始めた。♠**<分配[ぶんぱい]する>** 子供たちは、集めたくりの実を三人で公平に分配した。 **ふんぱつ**【奮発】 〇気前よく金品を与えること。奮い立つこと。[文例]**<奮発[ふんぱつ]する>** 伯母を訪ねたら、奮発してステーキをごちそうしてくれた。♠**<奮発[ふんぱつ]する>** お父さん、ぼくのお小遣[こづか]いをあと千円奮発してよ。 **ふんば・る**【踏ん張る】 〇足に力を入れて踏みこたえる。がんばる。[文例]**<足を踏ん張る>** 男の子は両足を踏ん張って、必死で綱[つな]を引っ張っている。♠**<あぶみを踏ん張る>** 武将はあぶみを踏ん張ると、馬上に立ち上がり名乗りをあげました。♠**<土俵際[どひようぎわ]で踏ん張る>** 横綱は、大関の寄りを土俵際で踏ん張って残すと、左からのすくい投げを見せた。♠今まで の努力は何のためだったんだ、ここで踏ん張らなければ男じゃないぞ。 **ふんばんもの**【噴飯物】 〇おかしくて吹き出してしまうようなこと。[文例]ラブレターの相手の名前の字をまちがえるとは噴飯物だが、当人の気持ちを思うと笑えないね。 **ぶんぴ**【分泌】 〇生物の体から生命活動に必要な液を出すこと。ぶんぴ。[文例]**<ホルモンの分泌[ぶんぴ]>** これはホルモンの分泌を促進する薬です。♠**<分泌[ぶんぴ]する>** 膵臓[すいぞう]は膵液[すいえき]という消化液を分泌します。 **ぶんぴつ**【文筆】 〇文章や詩歌を作ること。文芸活動。[文例]**<文筆[ぶんぴつ]をもって立つ>** 文筆をもって立つことを志した彼女は、貧困の中でたゆまぬ努力を怠らなかった。♠**<文筆[ぶんぴつ]を業とする>** 文筆を業としている人でも、決して楽々と書いているわけではないのです。♠**<文筆[ぶんぴつ]活動>** 中野[なかの]重治[しげはる]はプロ、リア文学運動に参加し、入獄[にゅうごく]を体験しながらも文筆活動を続けた。♠**<文筆[ぶんぴつ]家>** 評論家と教師の二足のわらじをはいてきましたが、この度文筆家として一本立ちする決心をしました。 **ぶんぶ**【文武】 〇学問と武芸。[文例]**<文武[ぶんぶ]両道>** 藩主[はんしゅ]の跡継(あとつ)ぎとして生まれた若君は、文武両道に精進し、同時に民[たみ]の心も理解するよう教育された。 **ぶんぱい**【分配】 ⇒ぶんぱい **ぶんぷ**【分布】 〇広く分かれて存在すること。あちこちに分かれてあること。[文例]**<タンポポの分布[ぶんぷ]>** ぼくは、研究発表のためにこの地域の二種類のタンポポの分布を調査した。♠**<動植物の分布[ぶんぷ]>** わたしたちの町では、都市化にともなって動植物の分布がずいぶん変わりました。♠**<方言の分布[ぶんぷ]>** 疲れている様子を「こわい」と言う地域の分布を図にしてみた。♠**<各地に分布[ぶんぷ]する>** アメリカから種子が持ちこまれたその植物は、短期間で各地に分布し、繁殖[はんしよく]力のすごさを見せた。♠**<分布[ぶんぷ]をする>** その昆虫は、主食とする植物とほとんど同じ分布をしている。 **ふんぷん**【紛紛】 〇入り乱れるさま。乱れ散るさま。[文例]**<諸説(しよせつ)紛々(ふんぷん)>** この歌人の生涯については諸説紛々として、今なおなぞにつつまれた部分が多い。♠**<紛々(ふんぷん)たる落花(らつか)>** 桜並木に一陣の風吹き渡り、紛々たる落花の風情にただ心はさわぐばかりである。 **ふんべつ**【分別】 〇道理をわきまえること。道理に従って判断すること。また、その能力。[文例]**<分別[ふんべつ]をつける>** 楽しくやるのはけっこうだが、分別はつけてもらわないと困るよ。♠**<分別[ふんべつ]がつく>** あなたも高校生なら、それなりに分別がついてもいいんじゃないの。♠**<分別[ふんべつ]がある・ない>** 話に聞いていた限りでは、もう少し分別のある青年だと思ったのに。♠**<分別[ふんべつ]を失う>** あまりの驚[おどろ]きに分別を失ったわたしは、警察に電話することも忘れていた。♠**<分別[ふんべつ]する>** 賛成か、反対か、そろそろ分別する時ですよ。♠**<分別(ふんべつ)臭(くさ)い>** 自分だけがすべてを理解しているというような、彼の分別臭い態度がどうも気に入らない。♠**<分別盛(ふんべつざか)り>** 四十歳という分別盛りの男が、いったいなぜあんな事件をまきおこしたのだろう。 **ぶんぽう**【文法】 〇文・文章を組み立てる上での法則。文章の作法。[文例]**<日本語の文法[ぶんぽう]>** 日本語の文法の特色の一つに、文末決定性ということがある。♠**<文語の文法[ぶんぽう]>** 古典を読んで理解するには、文語の文法の知識が必要です。 **ふんま・える**【踏んまえる】 〇ふま・える **ふんまつ**【粉末】 〇粉状のもの。粉。[文例]**<粉末[ふんまつ]にする>** きなことは、大豆を煎って粉末にしたものをいいます。♠**<葉の粉末[ふんまつ]>** 胃が悪いというと、老婆は何とかいう植物の葉の粉末をもってきて、飲めという。 **ふんまつ**【文末】 〇文の終わり。文章の終わり。[文例]日本語の文では、一般に文末まで待たないと、表現者の判断が肯定か否定かわからない。♠**<文末[ぶんまつ]の表現>** 文章が単調にならないようにするためには、文末の表現を工夫する必要があります。♠**<文末[ぶんまつ]の言葉>** 日本語では、話し手や書き手の意 <994> **ふんまん(憤懣・忿懣)** ○いきどおりもだえること。心にわだかまるいきどおり。[文例]〈憤懣をぶつける〉夫は思い通りにいかないことが多いらしく、わたしにその憤懣をぶつけてきた。♠●へ憤懣やるかたない〉自分の意見が退[しりぞ]けられたわたしは、憤懣やるかたない思いであった。 **ぶんみゃく【文脈】** ○語や文の続き具合。文章の流れ。[文例]〈文脈に沿う〉きちんと文脈に沿って読み進めれば、内容をとらえるのは難しくない。♠●〈文脈に従う〉主人公の心情の移り変わりを、文脈に従って考えてみなさい。♠●〈文脈をとらえる〉文脈をとらえることだけにこだわっていると、隠[かく]れた味わいを見すごすことになりがちです。♠●へ文脈をたどる〉難解な作品なので、慎重[しんちょう]に文脈をたどってみよう。 **ぶんみょう【分明】** 』ぶんめい **ぶんみん【文民】** ○軍人でない一般人。[文例]軍人が政治に介入[かいにゅう]するのを防ぐために、国防の最終決定権は文民がもつのが民主国家の鉄則です。 **ふんむ【噴霧】** ○液体を霧のように噴きかけること。[文例]〈噴霧する〉初夏になると害虫が増えるので、毎年、庭木に殺虫剤を噴霧します。♠◆〈噴霧器>噴霧器を使えば、奥まった所まで薬剤をかけることができます。 **ぶんめい【文明】** ○人間の生活が物質的・精神的に豊かになった状態。人知が開け、世の中が進むこと。[文例]〈高度な文明〉〈文明を持つ〉この地球のほかにも、高度な文明を持つ生物のすむ星はあるだろう。♠●〈文明が進む〉イギリスは、世界で文明の進んだ国のひとつです。♠人文明が発生する〉メソポタミア地方は、最古の文明が発生した地域のひとつである。♠●〈文明が発達する〉今日のように文明が発達しても、人間の心というものは、それほど進歩しないものらしい。♠◆文明の利器〉日常的な生活のなかで文明の利器といえば、わたしにとっては何といっても自動車です。♠●〈文明開化>明治は文明開化の時代で、西洋に追いつき追いこせの風潮が世の中をおおっていた。♠●へ物質文明と精神文明>物質文明の急速な進歩に、精神文明がついていけないところに、大きな問題が生じる。 **ぶんめい【文名】** ○文筆家としての名声。[文例]〈文名が高い〉この作家は、国内では文名が高いが、世界的にはあまり知られていない。♠●〈文名を得る>夏目漱石は『吾輩[わがはい]は猫[ねこ]である』『坊っちゃん』『草枕[くさまくら]』などで、確固たる文名を得た。 **ぶんめい【分明】** ○明白なさま。明白になること。ぶんみょう。[文例]この事実によって、事件の目撃者という人物が、実は犯行当時現場にいなかったことが分明である。♠へ分明する〉事件には、政府の情報機関がかかわっていたことが後になって分明した。 **ぶんや【分野】** ○物事の方面とその範囲。領域。活動範囲。[文例]〈得意の分野>今度の試験は、ぼくの得意の分野なので、少々自信があります。♠●<特殊[とくしゅ]な分野〉その問題は、生物学のなかでもかなり特殊な分野に属するので、わかりにくい。♠●へ未開拓[みかいたく]の分野>彼が研究しているのは、わが国ではまったく未開拓の分野なので、苦労も多いことだろう。♠●〈勢力分野〉この前の総選挙で大きく変動した政党の勢力分野は、図に示すとおりです。♠●へ分野別〉このままではわかりにくいので、資料を分野別にまとめて整理してみなさい。 **ぶんり【分離】** ○分け離すこと。分け離されること。[文例]〈歩道と車道の分離〉ガードレールの設置によって歩道と車道の分離が行われてから、交通事故が少なくなりました。♠●<分離する〉バターは、牛乳から脂肪を分離して作ります。 **ぶんりゅう【分流】** ○流れが分かれること。また、分かれた流れ。分かれた流派。[文例]〈川の分流>江戸川は利根川の分流で、千葉県と東京都の境を流れて東京湾に入る。♠〈茶道の分流>千利休[せんのりきゅう]の確立した茶道は、その後いくつもの分流を生んだ。 **ぶんりょう【分量】** ○目方・容積・割合などの量。量。[文例]〈分量が多い・少ない〉この夏は雨の分量が少なく、水不足が心配されている。♠●〈分量を減らす>間食したので、ごはんの分量を減らしてもらいました。♠<薬の分量>薬の分量をまちがえると、命にかかわることもあります。♠●へ仕事の分量>同じだけの分量の仕事をこなすのに、なぜわたしだけ人の倍の時間がかかるのだろう。♠◆◇目分量>料理の材料は、目分量で量って調理していきます。 **ぶんるい【分類】** ○種類によって分けること。[文例]〈~別に分類する>採集してきた昆虫[こんちゅう]は、種類別に分類して標本を作ってみた。♠●へ~をもとに分類する>昆虫は、その成長のしかたをもとに分類すると、完全変態と不完全変態に大別できる。♠へ~によって分類する>図書室の本を内容によってきちんと分類する。♠◆へ〜ごとに分類する〉本だなに雑然と並んでいる参考書や問題集を、科目ごとに分類しなおした。♠●〈分類の方法〉きみが採用した分類の方法は細かすぎて、かえってそれぞれの特徴がはっきりしない。 **ぶんれつ【分裂】** ○幾つかに分かれること。分かれて増えること。[文例]〈細胞の分裂〉生物の細胞は分裂によって増えていく。♠へ分裂する>党内で意見の対立がおこり、委員長派と書記長派に分裂した。 > **へ(屁)** ○おなら。とるにたりないもの。[文例]へへをひる〉イタチがへをひると、それはそれは臭[くさ]くてたまらんぞ。♠へへをこく〉ン、におう。だれだ、へをこいたのは。♠へへでもない〉なにさ、あんたみたいな男。へでもないよ。♠●へへとも思わない〉ハッハッハッ、そんなおどしはへとも思わぬぞ。♠◆〈へのかっぱ〉さあ、目的地目指して出発だ!山道だって坂道だってへのかっぱさ。♠●〈百日の説法へ一つ〉ああ、百日の説法へ一つ、長い苦労もつまらぬしくじりでだいなしだ。♠◆へへ理屈>五年生の息子は、へ理屈ばかり言っては母親にしかられている。 **ペア** ○組み。対。[文例]へペアを組む〉ムードのある曲が流れると、男女がペアを組んで踊り始めた。♠ヘペアになる〉で <995> は、だれでもいいから相手をさがして、ペアになりなさい。 **へい【塀】** ○家・建物や敷地のまわりの囲い。[文例]〈塀をめぐらす〉少し行くと、周囲に高い塀をめぐらしたりっぱな家があった。♠◆◇塀で囲う〉町なかの家は、周囲を塀で囲ったものが多い。♠◆◇塀に囲まれる〉囚人[しゅうじん]たちは、高い塀に囲まれた中庭から四角な空をながめるだけだった。♠●へ塀が倒れる〉強い地震で塀が倒れ、その下じきとなってけがをする人もいた。♠◆◇塀を乗り越える〉泥棒[どろぼう]は、塀を乗り越えて侵入したらしい。 **へい【兵】** ○兵士。下位の兵士。いくさ。戦争。[文例]〈兵を集める〉「いざ鎌倉」という時は、御家人[ごけにん]は兵を集めて鎌倉にはせ参じた。♠●へ兵を挙げる〉一一八〇年、源頼朝[みなもとのよりとも]は平家討伐の兵を挙げた。 **へい【弊】** ○よくない習慣・悪い点。弊害。自分に関係するものをへりくだっていう語。[文例]〈独善の弊〉新聞など報道機関に対する批判は必要であり、それがなければ、報道もまた独善の弊に陥[おちい]る危険がある。♠●へ現代文明の弊〉わたしたちは、率直[そつちょく]に現代文明の弊を認めるべきであろう。♠へ弊社〉日ごろ弊社の製品を御利用いただき、誠にありがとうございます。 **へいあん【平安】** ○平和で安らかなさま。[文例]〈平安を祈る〉初日の出とともに村人は神社に参拝して、一年の平安を祈った。♠●平安な時〉家族が健康で家業も順調であり、この平安な時が長く続くように願っている。 **へいい【平易】** ○わかりやすいさま。[文例]〈平易に説明する〉弁護士は難しい事柄[ことがら]を、平易に説明してくれました。♠〈平易な解説>展示物には、小学生のために平易な解説がついていた。♠●へ平易な言葉>難解な内容を平易な言葉で表現するには、内容が完全に分かっている必要があります。♠●〈平易な例〉エネルギー保存の法則を、教授は平易な例をあげて証明してくれました。 **へいえい【兵営】** ○兵士が居住する場所。[文例]〈兵営に帰る>野外演習を終えて兵営に帰るころは、どの兵もへとへとに疲れていた。 **へいえき【兵役】** ○国民が徴兵によって軍隊に入り、軍務につくこと。[文例] <兵役の義務>日本では、第二次大戦後、徴兵制度[へいせいど]が廃止され、青年男子に課せられた兵役の義務もなくなった。♠●へ兵役に服[しようとつ]する〉病弱のため徴兵検査で不合格になった父は、兵役に服することなく終戦を迎えた。 **へいおん【平穏】** ○何事もなく穏やかなこと。[文例]平穏な毎日〉父は三年前に会社をやめ、故郷で平穏な毎日を送っている。♠◆◇平穏に過ぎる〉国境で最初の衝突が伝えられたあとも、何日かは平穏に過ぎていった。♠◆◇平穏になる〉七十年代も後半になると、学生たちの政治運動はしだいに平穏になっていきました。♠●〈平穏を取り戻す〉殺人犯もすぐに逮捕[たいほ]され、町は平穏を取り戻した。♠●〈平穏が戻[もど]る>短い夏が終わると、海辺にはまた平穏が戻ってきます。♠平穏無事>懸念[けねん]していたモンスーンにも出会わず、航海は平穏無事のうちに終わりました。 **へいかい【閉会】** ○会議や集会などが終わること。また、終えること。[文例]〈議院が閉会>衆議院で内閣不信任が可決され、衆議院は解散、参議院は閉会となった。♠●へ閉会する〉これをもちまして、生徒総会を閉会します。 **へいがい【弊害】** ○害となること。(文例]〈弊害がある〉学力偏重の教育には弊害があり、子供たちの心身の自由な発達を妨[さまた]げているのではないだろうか。♠●〈弊害が出る〉どんな優れた制度にも欠点はあって、必ずや何らかの面で弊害が出るものである。♠●へ弊害を生む>機械文明の発達は、作業の合理化によって労働意欲の低下という弊害も生み出した。♠●へ弊害をもたらす〉都市化は、交通網の整備など便利になる反面で、環境汚染などの弊害をもたらします。 **へいき【平気】** ○気持ちが落ちついていること。気にかけないさま。[文例]のほほんとした妹は、友達に悪口を言われてもまったく平気だ。♠●〈平気で〜する〉弟は平気でうそをつくので、いつも母にしかられています。♠●〈平気でいる〉あんな大失敗をしておいて、よく平気でいられるね。♠平気な顔>下山の途中で雨が降り出したが、キャプテンは平気な顔で歩き続けた。♠●〈平気を装[よそお]う〉みんなが見ていたから平気を装っていたけど、実はとても痛かったんだ。♠◆◇平気の平左[へいざ]>日ごろ体を鍛えている彼にしてみれば、このくらいの練習は平気の平左でしょう。 **へいき【兵器】** ○戦争で使う武器。[文例]この地球上からすべての兵器が廃絶[さた]される日が来ますように。 **へいきん【平均】** ○ばらつきのある数や量をならすこと。また、その値。つり合い。バランス。[文例]この湖の深さは、平均で約二十メートルです。♠●〈平均を上まわる〉彼のジャンプ力は、中学生の平均をはるかに上まわっている。♠◆人一日平均JRの発表では、一日平均五万人の人がこの駅を利用するそうです。♠平均をとる〉幅十五センチもない板の上で、男は目かくしをして、片足で平均をとっていた。♠平均を失う〉平均を失った軽業師は、十メートル下の網[あみ]にまっさかさまに転落した。♠●〈平均を保つ〉体の平均を保つことのできない赤ちゃんは、すぐにしりもちをついてしまいます。♠●〈平均する〉平均すると、月に二回は映画を見ています。 **へいげい(睥睨)** ○辺りをにらみつけること。横目でにらみつけること。[文例] <睥睨する〉上野公園の西郷隆盛[さいごうたかもり]の銅像は、その巨体と大きな目で辺りを睥睨している。 **へいげん【平原】** ○広くて平らな野原。[文例]遅い眷を迎えて、北海道の平原にはいっせいに花が咲き始めた。♠へ大平原〉アフリカの大平原を駆ける動物の姿がテレビの画面に現れた。 **へいこう【閉口】** ○困り果てること。[文例]いくら夏が好きだとはいっても、この三日間の暑さには閉口だ。♠◆他人の迷惑を考えないきみの行動には、まったく閉口だよ。♠●へ閉口する〉お父さんも今ごろ、弟の無理な注文に閉口しているんじゃないかな。♠●へ閉口する〉早く家に帰りたかったものだから、彼の話の長いのにはつくづく閉口しました。 <996> **へいこう【平行】** ○どこまでいっても交わらないこと。[文例]〈平行に続く>海岸線と平行に道路が続いている。♠●〈平行する〉平行する二本の直線は、どこまでいっても交わることはない。♠●〈平行線〉二人の意見は平行線をたどるだけで、一致点は見いだせそうになかった。 **へいこう【平衡】** ○つりあい。平均。均衡。バランス。[文例]〈平衡を失う〉平均台から体の平衡を失って落下する。♠●〈平衡を保つ>長い間平衡を保ってきた両国の関係が、一方の軍事力増強でくずれてしまった。♠●〈平衡感覚〉平衡感覚に裏打ちされた彼の時評は公平で、読者の信頼を得ている。 **へいこう【並行】** ○並んで進むこと。同時に行われること。[文例]〈並行する〉車窓から、電車と並行して走り続ける赤い車が見えた。♠●〈並行する>学園都市八王子では、この時期、各大学の学園祭が並行して行われる。 **へいごう【併合】** ○幾つかのものを一つにすること。合併。[文例]〈併合する〉韓国や北朝鮮は、歴史上日本に併合された時期があります。 **へいさ【閉鎖】** ○閉ざすこと。機能を停止すること。[文例]〈工場を閉鎖する>営業不振[ふしん]のため、今月いっぱいで工場を閉鎖することになった。♠<窓口を閉鎖する>五時になると受付の窓口も閉鎖されてしまいました。♠●へ閉鎖を解除する〉大雪も峠[とうげ]を越し、高速道路の閉鎖が解除された。♠へ閉鎖と開放〉日本のように他民族に対して閉鎖的な国と、アメリカのように開放的な国がある。♠◆へ閉鎖的>商業や交通の未発達な地方なので、閉鎖的な風潮が強かった。 **へいざん【閉山】** ○登山期間を終わりにすること。炭鉱や鉱山が採掘を終わりにすること。[文例]山は閉山となり、登山客の姿も絶えて山小屋は来シーズンまで無人となる。♠●〈閉山する>石炭の需要が減少する一方で、閉山される炭坑も出てきた。 **へいし【兵士】** ○軍隊で士官の指揮下にある兵。兵隊。「文例]防人[もど]とは、奈良時代に北九州地方の警備に当たった兵士のことです。♠●いつの時代の戦争でも、真っ先に敵の矢弾を受けるのは、名もない兵士たちでした。 **へいじ【平時】** ○平常の時。平和な時。[文例]〈戦時と平時〉どの国の軍隊も、戦時に備えて平時から訓練を欠かしません。 **へいじつ【平日】** ○ふだんの日。土曜・日曜や祝日以外の日。[文例]日曜・祭日は込みあう美術館も、平日はすいているので見学しやすい。♠●〈平日通り〉あした雨で体育祭が中止の場合は、平日通りの授業を行います。 **へいじょう【平常】** ○ふつう。ふだん。常日ごろ。[文例]<平常は〉ここのバスの路線は、平常は十五分間隔[かんかく]で運転されている。♠●〈平常の倍〉病院に運ばれた患者[かんじゃ]の脈はくは、平常の二倍近くもあった。♠●〈平常に戻る>中央線のダイヤが平常に戻るまでには、まだしばらく時間がかかりそうです。♠●〈平常に比べる〉だいぶ込んできたが、これでも平常に比べればまだすいているほうだよ。♠◆◇平常通り〉明日二十一日は、平常通り営業いたします。 **へいしんていとう【平身低頭】** ○体をかがめ、頭を低く下げること。[文例]ご主人の大切にしている茶わんを割ってしまい、わたしは平身低頭、平謝りに謝った。♠●〈平身低頭する〉平身低頭して過失をわびる店員に、客の声は冷たかった。 **へいせい【平静】** ○静かで穏やかなこと。落ち着いていること。[文例]〈平静を保つ>両国関係は緊張[きんちょう]の度を加えていたが、国境の町はまだ平静を保っていた。♠●〈平静を失う〉いざという時はだれでも平静を失うものですから、ふだんからの備えが必要になります。♠●〈平静を装[よそお]う〉相手のぶしつけな言葉に、平静を装いながらも、わたしは心中穏[おだ]やかでなかった。♠●へ平静を取り戻す>夏休みが終わって海水浴客の姿も消え、海辺の町は平静を取り戻した。♠◆◇平静な日々〉俗事から解放されたわたしは、秋の高原で平静な日々を送っていた。 **へいぜい【平生】** ○ふだん。日ごろ。平素。[文例]〈平生の倍〉桜のシーズンになると、入園者の数は平生の三倍以上にもなる。♠●〈平生から〉平生からもっと勉強していれば、試験前になってあたふたすることもないだろうに。♠●〈平生は〉平生はバスに乗るわたしも、足腰をきたえようとその日は歩いてみた。♠≪平生〜する〉おばあさんが平生言っていたことが、とうとう現実になってしまいました。 **へいぜん【平然】** ○落ち着きはらっているさま。[文例]騒ぎたてるわたしたちの声も聞こえないのか、先生は平然と机に座っている。♠平然とする>驚いた子だ、口からでまかせのうそをつきながら平然としている。♠◆<平然たる態度>大切な試合をひかえ、周囲の緊張をよそに、本人は平然たる態度で食卓に向かった。 **へいそ【平素】** ○ふだん。日ごろ。[文例]〈平素の行動〉高山さんがせっかちなのは、平素の行動を見ていればわかるだろう。♠平素のごぶさた〉お久しぶりです、平素のごぶさたをお許し下さい。♠◆◇平素の通り〉偉い人が集まるけれども、小さくならずに平素の通りにふるまいなさい。♠平素から〉彼女は平素から、その子の面倒[めんどう]をよく見ていました。♠◆平来当店をご利用いただき、まことにありがとうございます。 **へいそく(閉塞)** ○閉ざされてふさがること。閉じふさぐこと。[文例]〈閉塞する>昭和十年代に入ると時代はますます閉塞し、先に一点の光明[こうみょう]も見いだせなくなった。♠へ腸閉塞>腸閉塞は、腸管の一部が閉塞して通じなくなるために起こる病気です。 **へいそん(ぞん)【並存・併存】** ○二つ以上のものが同時に存在すること。[文例]〈併存する〉創造と批評を併存させることによって、芸術の発展が可能となる。 **へいたい【兵隊】** ○兵士。軍隊。[文例]〈兵隊にとられる〉父がまだ赤ん坊のころ、父の父は兵隊にとられ南方の海で戦死した。♠●へ兵隊さん>ほら、鉄砲を担[か]いだ兵隊さんが通るよ。 **へいたん【平淡】** ○あっさりしているさま。[文例]〈平淡な味わい>老作家の書には、枯れて平淡な味わいがあった。 **へいたん(平坦)** ○平らなさま。[文例]〈平坦な道>この坂道 <997> を登り切れば、あとは平坦な道が続きます。♠人生が平坦>外からは平凡そうに見えても、わたしたちの人生は決して平坦ではありません。 **へいち**【平地】○平らな土地。[文例]高原には、平地よりも一足早く秋が訪れます。♠〈平地におりる〉カモシカは、よほどのことがなければ、人間の住む平地におりてくるようなことはない。 **へいてい**【平定】○敵を討ち平らげ、争乱を鎮めること。争乱が鎮まること。[文例]〈反乱軍の平定>国王は、反乱軍の平定のために正規軍を出動させた。♠〈平定する>争乱を平定しても、戦場となった町が復興するには年月がかかった。 **へいてん**【閉店】○商売をやめること。その日の営業を終わりにすること。[文例]〈開店から閉店まで〉今日はお客が多くて、開店から閉店まで休むひまもなかった。♠〈閉店する〉小さな店でも老夫婦二人では無理なので、閉店することにしました。♠<閉店時間〉この店は閉店時間が遅いので、独身のサラリーマンには便利です。 **へいどん**(併吞)○いっしょに飲み込むこと。あわせて、自分の支配下におくこと。[文例]〈併吞する〉強国が小国を併呑し、さらに勢力を強めるのが戦国の世の習わしであった。♠<併呑する>多国籍の巨大企業は、ついに世界市場を併呑するまでに至った。 **へいねん**【平年】○ふつうの年。うるう年でない年。[文例]四年に一度の閏年[うるうどし]は、平年より二月が一日多い。♠冷夏で米の収穫が平年より落ちた。♠<平年並み〉今年の雪の量は平年並みで、スキー場もそろそろにぎわい始めた。 **へいはつ**【併発】○二つ以上の事が同時に起こること、また同時に起こすこと。[文例]〈併発する>自宅でリューマチの治療中に余病を併発し、すぐ入院することになった。 **へいばん**【平板】○平らな板。単調でおもしろくないさま。[文例]〈文章が平板〉きみの文章はわかりやすく書けているが、平板で盛り上がりに欠けるところがある。♠〈平板になる〉平凡な家族の日常を描いて平板になりがちなドラマが、ベテランの演技によってひき立っている。 **へいふく**【平服】○ふだんの服装。ふだん着。[文例]受賞記念パーティーと言っても親しい者ばかりが集まるので、平服でご出席ください。♠正式なパーティーとは知らずに平服で出かけたが、正装の人ばかりで困ってしまった。 **へいふく**【平伏】○ひれ伏すこと。[文例]〈平伏する>居並ぶ家臣が平伏する中を、藩主[はんしゅ]は進んで中央の座についた。 **へいぼん**【平凡】○特に優れた所も変わった所もなく、ごくふつうであるさま。→非凡[文例]〈平凡な人〉特にこれといったとりえのない平凡な人間ですが、一生懸命[いっしょうけんめい]働いてきました。♠〈平凡な暮らし〉一家四人そろって、昔と変わらない平凡な暮らしをしています。♠〈平凡な年〉今年はこれといった出来事もなく、平凡な一年だった。♠く考え方が平凡>彼は、考え方があまりにも平凡で、話をしておもしろいタイプの人ではありません。♠ヘストーリーが平凡〉その映画はストーリーも平凡だし、俳優[はいゆう]もうまくないし、見てもつまらない。♠平凡に一生を送る〉平凡に一生を送ることも、それはそれで価値があると思います。 **へいまく**【閉幕】○演劇などが終わり幕が閉じること。物事が終わること。[文例]〈劇の閉幕〉劇の感動は深く、拍手は閉幕後もしばらくやまなかった。♠〈閉幕する〉連日満員の人出でにぎわった万国博覧会も、本日をもって閉幕した。 **へいめい**【平明】○簡単でわかりやすいさま。夜明[よあ]け。[文例]〈平明な文章>小学生向けの童話だけあって、全体が平明な文章でできあがっています。♠〈平明な言葉>博士は平明な言葉を使って、新しい装置[そうち]について説明してくれました。♠〈平明に説明する〉あの人は頭のいい人だ。難しいことでも平明に、わかりやすく説明してくれる。 **へいめん**【平面】○平らな面。[文例]直線は、平面上の二点を結ぶ最も短い線です。♠〈平面的〉表に現れる現象だけを見て、本質を見ぬけないとすれば、平面的なものの見方といわれるだろう。 **へいもん**【閉門】○門を閉じること。門を閉じ、出入りを禁止する刑。[文例]〈閉門の時間>午後六時の閉門の時間になると、寺の大きな門扉[もんぴ]が静かに閉ざされる。♠閉門を申し付ける>藩の家老に対して非礼があったとして、松野家の当主は閉門を申し付けられた。 **へいや**【平野】○広くて平らな土地。[文例]日本の国土は山地が多く、平野といってもそれほど広くありません。♠山地を流れていた急で細い川は、平野に出ると広くゆったりと流れるようになります。 **へいよう**【併用】○二つ以上のものをいっしょに用いること。[文例]〈漢字と仮名の併用〉日本語を表記の面からみると、漢字と仮名の併用という点に大きな特色があります。♠〈併用する〉わたしは胃が弱いので、風邪薬を用いる時は胃腸薬も併用することにしています。 **へいりつ**【並立】○並び立つこと。[文例]〈並立する〉一つの集団に二人のリーダーが並立することは不可能である。 **へいりょく**【兵力】○軍隊の力。[文例]〈兵力の増強〉兵力の増強をはかるために、多数の予備兵が投入された。 **へいれつ**【並列】○並べ連ねること。並び連なること。電池などを同じ極にまとめてつなぐこと。[文例]〈並列につなぐ〉複数の電池は、直列につなぐ場合と並列につなぐ場合がある。♠〈並列的〉音楽と一口に言ってもさまざまなジャンルがあり、それらを並列的に論じ、評価することはできない。 **へいわ**【平和】○戦争やもめごとがなく穏やかなこと。[文例]〈平和に暮らす〉戦争が始まるまで、一家はこの村で、平和に暮らしていた。♠〈平和な世の中〉世界中の人々が平和な世の中を望んでいるはずです。♠〈平和を守る〉ウルトラマンは地球の平和を守るために、M78星雲からやってきました。♠平和を愛する〉平和を愛する人たちが集まって、新しいサークル活動を始めた。♠〈平和を願う〉キャンプに集まってきた難民たちの口からは、平和を願う切実な声が聞かれました。♠〈平和を乱す〉村の平和を乱す者は、次々と追放されていった。♠平和のシンボル二つの村が争いをやめたのを記念して植えられたこのかしの木は、平和のシンボルとして、だれもがかわいがっています。♠平和的>村長は事を平和的に解決しようと、ここ数日頭を痛めている。 <998> **ベース**○基本。土台。基地。野球の塁。[文例]〈野球のベース〉頭からベースにすべりこんだが、タッチアウトになった。♠ヘベースにする〉このカクテルは、ジンをペースに作っている。♠ヘベースとなる部屋の内装を変えるのなら、まずベースとなる色を決めよう。♠ヘベースアップ>不況のあおりをうけて、今年のベースアップの率は低かった。 **ペース**○歩調。速度。進度。[文例]〈ペースを守る〉ジョギングでは、自分に合ったペースを守って走ることが大切です。♠ヘペースをあげる〉午後から仕事のペースをあげないと、今日じゅうに終わらないな。♠ヘペースをくずす〉トップのランナーは、少しもペースをくずさず、快調な足どりで走り続ける。♠ヘペースが速い〉ベテランの彼女は、さすがに仕事のペースも速く、かつ正確である。♠ヘペースが落ちる〉長時間作業が続くと、どうしてもペースが落ちます。♠ヘマイペース〉何事も周囲に惑わされずにマイペースでやればよい、と思っています。 **ペーソス**○もの悲しい感じ。哀愁。[文例]〈ペーソスがあふれる〉わき役の男優の、こっけいな中にもペーソスあふれる演技がこの映画を支えています。♠ヘペーソスがただよう〉娘夫婦を見送って立ちつくす父親の笑顔に、そこはかとないペーソスがただよう。 **ベール**○女性が顔などをおおうもの。物事をおおい隠しているもの。[文例]〈神秘のベール〉ヒマラヤの奥地は、わたしたちにとって、なお神秘のベールをかぶっている。♠べールに覆[おお]われる>事件の真相はベールに覆われたままだ。 **へき**【癖】○くせ。考え方。好みなどのかたより。[文例]〈浪費の癖〉うちの女房には浪費の癖があり、困っております。♠〈放浪癖〉うちのねこは放浪癖があって、時々姿が見えなくなるが、一週間ほどたつとふらりと戻ってくる。 **へきえき**(辟易)○しりごみすること。たじろぐこと。困り果てること。[文例]〈辟易する〉好奇心旺盛[おうせい]な幼児の質問攻めには、大人も辟易させられます。 **へきれき**(霹靂)○激しいかみなり。雷鳴。大音響。[文例]〈青天の霹靂[せいてんのへきれき]〉突然の転勤命令は、わたしにとって青天の霹靂だった。 **へこた・れる**○くじける。気力をなくする。[文例]雨の日も雪の日もへこたれることなく、早朝のトレーニングを続けました。♠がんばり屋のわたしも、今度の入院ではへこたれそうになった。 **へこま・す**(凹ます)○へこむようにする。やりこめる。へこませる。[文例]〈腹をへこます〉ぜい肉のついたおなかをへこまして数年前のスカートをはいてみたが、ああ、やっぱり……。♠<親をへこます〉うちの子も一人前[いちにんまえ]の理屈[りくつ]を言うようになって、まごまごしていると親の方がへこまされそうだ。 **へこ・む**(凹む)○表面の一部が低くなる。負ける。損をする。[文例]〈地面がへこむ〉地面がへこんでいる所に足をとられてころびそうになりました。♠ヘこぶがへこむ〉おでこのたんこぶも、冷やしているうちにへこんできた。♠最終レースが当たってだいぶ挽回[ばんかい]したが、通算すると今日は少しへこんだかな。 **ぺしゃんこ**○押しつぶされて平たくなるさま。やりこめられて屈伏するさま。ぺちゃんこ。[文例]〈帽子がぺしゃんこ〉おしりの下にひかれた帽子はあんのじょうぺしゃんこだった。♠ヘぺしゃんこにひしゃげる〉台風が通ったあとには、ぺしゃんこにひしゃげた家があった。♠ヘぺしゃんこになる〉一言口をはさんだばっかりに、みんなからぺしゃんこになるまでやりこめられた。 **ベスト**○最善。全力。最良。[文例]〈ベストを尽くす〉ベストを尽くしたのだから、悔いはないさ。♠ヘベストコンディション>選手たちは体調を整え、ベストコンディションで試合に臨んだ。♠ヘベストテン>学年でもベストテンに入るほどの成績だった。 **へそ**(臍)○腹の中央にある、へそのおの取れたあとのくぼみ。物の中央にある小さなでっぱりやくぼみ。[文例]おへそを出して寝ていると、雷様[かみなりさま]に取られてしまうよ。♠へみかんのへそ〉みかんは、へそのほうからむくと、しぶがよくとれる。♠へへそで茶を沸かす〉きみにこの問題が解けたら、へそで茶[ちゃ]を沸[わ]かすよ。♠へへそが曲がる〉ああ言えばこう、こう言えばああで、ずいぶんへその曲がった人だこと。♠へへそを曲げる〉誘ってもらえなかった子はへそを曲げて、みんなと口をきかない。 **べそ**○泣き顔。[文例]〈べそをかく>太郎は暗い道をたったひとり、心細さにべそをかきながら帰って来た。♠へ泣きべそ>子供のころは泣きべそばかりかいている子だった。 **へた**【下手】○技術などが巧みでないさま。うかつなこと。[文例]〈字が下手>字が下手なのはしようがないけれど、丁寧[ていねい]に書くようにしなさい。♠〈下手な英語〉外国人に道を聞かれたぼくは、下手な英語で一生懸命説明した。♠下手な説明>わたしの下手な説明でも、けっこうわかってくれる人がいた。♠下手に〜する〉今、下手に動いたら敵の思うつぼだぞ。♠下手をすると〉下手をすると、受験した高校は三つとも落ちるかもしれないな。♠下手な鉄砲も数撃てばあたる〉下手な鉄砲[てっぽう]も数[かず]撃[う]ちゃあたる式で、大学を十も受けた。♠下手の考え休むに似たり〉早く次の手を打て。「下手の考え、休むに似たり」だぞ。♠下手の横好き>不器用なぼくは、何をやっても、下手の横好きとからかわれてばかりいる。♠ヘ下手の長談義〉下手の長談義といいますが、話の下手な人が長々と話をするのは迷惑です。 **ベター**○よりよいさま。[文例]このやり方はベストではないにしろ、今までと比べればベターといえるでしょう。♠〈ベターな方法〉この三つの案のうち、よりベターな方法はどれかを検討してみよう。 **へだたり**【隔たり】○隔たること。隔たっている程度。距離。差。[文例]〈年齢の隔たり〉ふたりは年齢の隔たりを感じさせないほど気が合って、仕事上でもよいコンビだった。♠〈現実との隔たり>夢と希望にあふれる青春時代には、現実との隔たりに苦しむこともあるだろう。♠へ意見の隔たり〉〈隔たりがある〉ぼくたちには意見の隔たりがあって、どうしてもおりあうことができなかった。♠へ隔たりが大きい〉江戸時代の日本と西欧の文明国との風俗・習慣の隔たりは、きわめて大きかった。 <999> **へだた・る**【隔たる】○離れる。遠くなる。月日がたつ。差・ひらきができる。疎遠になる。[文例]〈距離が隔たる〉おじさんの家は、海岸から二キロほど隔たったところにある。♠〈市街から隔たる〉市街から隔たるにつれて、わらぶき屋根の家がめだってきた。♠〈月日が隔たる〉事件発生から百年も隔たった今では、真相を知ることはできない。♠へ年齢[ねんれい]が隔たる〉年齢が隔たった二人は、とても兄弟とは思えませんでした。♠◇関係が隔たる〉高校を卒業すると同時に、二人の仲もしだいに隔たっていきました。♠〈心が隔たる〉ぼくたちの心が隔たってしまったのは、ただ会う時間が少なくなったからというだけではない。♠〈遠く隔たる〉人々の抱[いだ]く理想が現実といかに遠く隔たっていることか。 **へだて**【隔て】○しきり。差別。[文例]〈隔てを取り除く>座敷と次の広間の隔てを取り除くと、五十人は入れた。♠へ隔てがない〉十年ぶりのクラス会も、すぐに学生時代と同じく隔てのない口調で話がはずんだ。♠へ分け隔て〉子供好きの母は、自分の子も他人の子も分け隔てなくかわいがった。 **へだ・てる**【隔てる】○間に置いて境にする。しきりにする。間を離す。遠ざける。さえぎる。年月をおく。疎遠にする。[文例]〈道を隔てる〉木村君の家は、道路を隔てて二、三軒さきだ。♠ヘテーブルを隔てる〉レストランに入ると、二人はテーブルを隔てて向き合って座りました。♠〈海を隔てる〉はるかかなたには、東京湾を隔てて房総[ぼうそう]半島の姿が見えます。♠へ距離を隔てる〉電柱は三十メートルずつ隔てて立てられています。♠〈雲に隔てられる〉厚い雲に隔てられて、頂上付近はまったく見えなかった。♠〈月日を隔てる〉三年の月日を隔てて、二人は思い出の地で再会するのである。♠<仲を隔てる〉いったい何が愛し合っていた二人の仲を隔ててしまったのだろうか。 **へたば・る**○へこたれる。へとへとになる。弱って座り込む。へばる。ばてる。[文例]これくらいの失敗でへたばるようなわたしではない。♠へ忙[いそが]しさにへたばる〉わたしはそのころ仕事の忙しさにへたばって、グチが多くなっていた。 **へちま**(糸瓜)○ウリ科の一年生つる植物。役に立たないもののたとえ。[文例]〈~もへちまもない〉こう腹が減っては先輩もへちまもない。先に食べてしまおう。♠へへちまの皮〉うちの子は、親の意見をへちまの皮ほどにも思っていないらしい。♠痰一斗[たんいつと]へちまの水も間に合はず(正岡子規[まさおかしき]) **ぺちゃんこ**→ぺしゃんこ **べつ**【別】○区別。けじめ。同じでないこと。問題としないこと。[文例]〈男女の別〉二十歳以上の成人に、男女の別なく選挙権が与えられたのは、戦後になってからのことです。♠<別の所>去年の四月から、彼は両親とは別の所に住んでいます。♠へ別な考え〉わたしはただいま発表されましたA氏とは、全く別な考えをもっております。♠へ〜とは別に〉今日貸したお金とは別に、彼女には三千円の貸しがある。♠〈別にかまわない〉ぼくのほうは別にかまわないですけれど、父は、きっといやがると思います。♠〈別にする〉まあ冗談[じょうだん]は別にして、明日の仕事はしっかり頼[たの]みますよ。♠病気のときは別だけど、中村君は冬の間もずっと薄着[うすぎ]をしている。 **べっかく**【別格】○定まった格式のほかであること。特別の扱いであること。[文例]〈別格の扱い〉同じ高校生とはいっても、オリンピック候補選手に選ばれていた彼は校内で別格の扱いを受けていた。 **べっきょ**【別居】○別れて暮らすこと。[文例]〈別居する〉大学まで片道二時間もかかるので、アパートを借りて親と別居することにした。♠〈別居生活〉父は九州へ単身赴任中で、母とわたしたちは大阪の家という別居生活が二年目に入った。 **べつくち**【別口】○別の種類。別の事柄。別の口座。[文例]〈別口の縁談>例の縁談をお断りしたら、おばさんはすぐに別口を持ち込んできた。 **べっけん**(瞥見)○ちらっと見ること。[文例]〈瞥見する〉実によくできた偽作であり、専門家といえども瞥見しただけでは見抜けなかった。♠僕はあいつを最初瞥見したとき、こんにゃくの舌で顔をぺろっと舐められたような気がしたよ。(太宰治[ださいおさむ]「ダス・ゲマイネ」) **べっこ**【別個】○別のこと。別であること。[文例]〈別個の生活>姉は東京の学生寮[がくせいりよう]で、ぼくたち家族とは別個の生活をしている。♠〈別個の問題>M君のお父さんが会社をやめたことと、M君が転校することとは、全く別個の問題です。♠〈別個に行う〉主演女優と監督は、それぞれ別個に記者会見を行った。♠へ別個に論じる>森林の保護と地域の開発とは、別個に論じられるべき問題ではない。♠へ別個に払う〉宿の宿泊費[しゅくはくひ]と使用した電話料金は、フロントで別個に払ってください。 **べっし**(蔑視)○あなどり見くだすこと。[文例]〈蔑視する〉男尊女卑といって、女性を蔑視する風潮が日本では長く残っていた。 **べっしゅ**【別種】○別の種類。[文例]〈別種の職業>家業を継いだ父の苦労を見ながら育ったわたしは、父とは別種の職業を選んだ。 **べつじょう**【別状】○ふつうと違う状態。異状。[文例]〈別状がない>事故にあったと聞いてびっくりしたが、命に別状はないということでひとまず安心した。♠〈別状ない〉この病気はアレルギー性のもので、生命には別状ないが、完治するというものでもないらしい。 **べつじん**【別人】○違う人。別の人。[文例]後ろ姿で友人だと思って声をかけたら、全くの別人だった。♠へ別人のよう〉ひさしぶりに会った彼女は、別人のようにスマートになっていた。♠へ別人の観〉おいの成長は目を見はるばかりで、以前とは別人の観がある。 <1000> **べっせかい**【別世界】○現実とかけ離れた別の世界。別天地。[文例]〈まるで別世界のよう>雪に覆われた野原は、昨日とはまるで別世界のようだった。♠へさながら別世界〉ぼくたちの貧しい生活に比べれば、ここの暮らしはさながら別世界だ。♠〈別世界の人間〉かぐや姫[ひめ]の例のように、別世界の人間が地球にやってくる話はいくらもあります。♠別世界の出来事〉テレビが伝えるリオのカーニバルは、日本人のぼくには別世界の出来事にしか思えなかった。♠へ別世界の観がある>博覧会が終わったあとの町はひっそりと静まり、昨日までとは別世界の観があった。 **べつだん**【別段】○特別。とりわけ。[文例]〈別段~しない〉彼女たちのおしゃべりもわたしは別段気にならない。♠〈別段のこと〉その日もわたしは別段のことはなく、いつものように退社した。 **べってんち**【別天地】○別世界。[文例]長い冬を雪で閉ざされて暮らさなければならない故郷からみると、冬でも温暖な伊豆は別天地に思えた。 **ペット**○愛玩[あいがん]用の動物。かわいがっている人。[文例]ヘペットを飼う〉最近はペットを飼う人が増えて、ペットショップでは高価で珍しい動物が売られるようになった。♠ヘペットのよう〉おばは、ぼくをペットのように連れ歩いた。♠〈ペットブーム〉ペットブームの日本に毎年非常な数の愛玩犬が輸入されている。 **へっぴりごし**【へっぴり腰】(屁っ放り腰)○しりを突き出した、不安定な腰つき。自信のない態度。[文例]そんなへっぴり腰では、その重い荷物は運べないよ。♠父親が弱気でへっぴり腰だから、子供たちがのさばる、と妻にしかられます。 **べっぴん**【別品】(別嬪)○美人。美女。特別の品。[文例]ちょっと見ないうちに、さっちゃん、すっかりべっぴんさんになったねえ。♠色の白い鼻筋の通った赤ちゃんで、大きくなったらきっとべっぴんになるよ。 **べつべつ**【別別】○それぞれが別であること。それぞれに分かれること。[文例]〈別々の料理〉人によって好き嫌いがあるので、それぞれ別々の料理を注文することにしよう。♠〈男女別々〉今日の体育の時間は男女別々に、テニスをやることにします。 **べつめい**【別名】○別の名前。別称。異名。[文例]「竹取物語」は、別名を「竹取の翁[おきな]の物語」とも「かぐや姫の物語」ともいいます。♠秋の彼岸のころに咲く彼岸花は、別名まんじゅしゃげともきつねばなとも言われる。 **べつもの**【別物】○別の物。別々の物。例外。[文例]人のことばと行動は、本来別物であってはならないはずです。♠夏は暑いのがあたりまえと言っても、この地の蒸し暑さは別物だ。 **へつら・う**(諂う)○気に入られるようにふるまう。こびる。おもねる。[文例]〈目上にへつらう〉上役にへつらって出世するより、自分なりの生き方をしたいと思います。♠へ権威にへつらう〉よく反省すればわかるように、わたしたちは権威にへつらう生き方をしていることが多い。♠ヘこびへつらう〉家では厳格な父がこびへつらう姿を見て、ぼくは悲しかった。 **べつり**【別離】○別れること。別れ。[文例]人生には胸おどる出会いもあれば、また必ず悲哀[ひあい]に満ちた別離もあるものだ。♠〈別離の悲しみ〉姉が嫁[とつ]ぐ日は、別離の悲しみのために家族の口数は少なかった。 **べつわく**【別枠】○別の範囲。別の扱い。[文例]〈別枠にする〉ボーナスは、月々の家計とは別枠にして使い道を考えます。♠へ別枠を設けるこの工事は緊急を要するので、別枠を設けて処理したほうがよい。 **ベテラン**○長年の経験がある熟練者。古つわもの。[文例]〈ベテランの運転手〉おじさんはベテランの運転手だから、安心して乗せてもらうといい。♠〈演出のベテラン〉演出のベテランにかかると、どの役者も数段うまくなるから不思議だ。 **ぺてん**○だますこと。いかさま。さぎ。[文例]〈ぺてんにかける〉相手はお人よしのぼんぼんだから、ぺてんにかけて金を出させるのは造作[ぞうさ]もない。♠ヘぺてん師〉あのぺてん師の口車に乗せられて、とんでもない山奥の土地を買わされた。 **へど**(反吐)○飲食したものを吐くこと。また吐いたもの。[文例]へへどが出る〉まったく、あんなやつの顔を見るだけでもへどが出る。♠へへどを吐く〉いくらやけ酒だといっても、へどを吐くまで飲むやつがあるかい。♠〈血[ち]へど〉>移住者たちは血へどをはく苦しみを味わいながら、荒れ地を開いていった。 **べとつく**○べとべとする。[文例]〈畳がべとつく〉アイスクリームをこぼした畳がひどくべとつく。♠肌がべとつく<>梅雨時の蒸し暑い満員電車でべとつく肌が触れ合うのは、何とも気味が悪い。 **へとへと**○ひどく疲れているさま。[文例]今日は食事をする時間もないほど忙しく飛び回って、もうへとへとだ。♠この暑さの中を重い荷物を持って歩いたので、へとへとになったよ。 **へどもど**○あわててうろたえるさま。[文例]へへどもどする〉町で友人の美人のお姉さんにあいさつされて、ぼくはへどもどしてしまった。 **へなへな**○弱くて力のないさま。気力や体力のないさま。[文例]へへなへなの板〉こんなへなへなの板で棚[たな]を作っても、物を置いたらすぐ反ってしまうよ。♠へへなへなと座り込む「火事だ!」という叫び声を聞いたとたんに、わたしは体中の力が抜けてその場にへなへなと座り込んでしまった。♠へへなへなする〉あんな青びょうたんのへなへなした男の、どこがいいんだろうか。 **べに**【紅】○紅色の着色料。紅色。口紅。ほお紅。[文例]山形県特産の紅花から、染料に用いる紅が作られる。♠へ紅をさす〉長いたもとの着物を着て、顔に紅をさすと、七五三のお参りのしたくができた。♠〈紅を点じる〉そしてその緑の中に、所々に薄く紅を点じたように、今朝開いた花も見えている。(森鷗外[おうがい]「雁[がん]」) <1001> へる **へばりつ・く【へばり付く・へばり着く】** ○ぴったりくっつく。しがみつく。[文例]〈写真がへばりつく〉ガラスの上に置いた写真がへばりついてはがれなくなるほど湿気の多い気候でした。♠〈土地にへばりつく〉いつまでもこんなやせた土地にへばりついていては、暮らしは楽にならない。♠〈崖[がけ]にへばりつく>背後にせまる崖にへばりつくようにして、漁師の小屋がたっていた。 **へば・る** ○非常に疲れる。へたばる。[文例]】ちょっと走ったぐらいでこんなにへばるとは、もう年かなあ。♠これだけ不運が重なると、精神的にへばってしまう。 **へび【蛇】** ○トカゲ目ヘビ亜目の爬虫[はちゆう]類の総称。体が細長く手足は退化。肉食性。[文例]〈蛇にかまれる〉血清が作られ、蛇にかまれて死ぬという話も少なくなりました。◆◇〈蛇のような執念深[しゅうねんぶか]さ>男は蛇のような執念深さで、ぼくたちの後を追ってきた。♠〈蛇の道は蛇〉同業者のことはよくわかるという意味のことわざに、「蛇の道は蛇」があります。♠〈蛇ににらまれたかえる〉その時弟は、蛇ににらまれたかえるのように、教室の隅に立ちすくんでいた。♠へ〈蛇の生殺[なまごろ]し〉つき合ってくれと言う人に、はっきりした返事をしないのは、蛇の生殺しになるよ。♠〈やぶ蛇〉部員がなまけていることを言いつけて、部長のぼくまでしかられた。やぶ蛇(=やぶをつついて蛇を出す)だった。 **へま** ○失敗。しくじり。まの抜けたさま。[文例]へ〈へまをする〉いつもへまばかりしている自分がつくづく嫌[いや]になりました。へ〈へまな人間〉ああいうへまな人間に、大事な仕事を任せるほうが悪い。 **へや【部屋】** ○家の中を壁などで仕切ったもの。相撲で力士の所属するところ。[文例]〈部屋にこもる〉たまった夏休みの宿題をすませるため、弟はここ数日部屋にこもったきりです。♠〈部屋を片づける>先輩がたずねてくるというので、ぼくは大急ぎで部屋を片づけた。♠〈部屋をとる〉今度の旅行では、ホテルの最上階の部屋をとって、窓から夜景を楽しみたいと思っています。♠へ〈部屋を明ける〉わが家では、ひんぱんに泊まりに来る親せきのために、いつも部屋を明けてあります。♠へ〈部屋へ下がる〉十一時ですので、わたくしは部屋へ下がらせていただきます。♠〈部屋を荒らす〉外出から帰ってみると、部屋が荒らされているのでびっくりした。◆◇〈相撲[すもう]の部屋>町に新しく部屋ができてから、急に相撲というものが身近に感じられるようになった。 **へら・す【減らす】** ○少なくする。[文例]〈数を減らす>不景気で、従業員の数を減らさないと、店はもうやっていけないんだ。♠へ〈量を減らす〉米が余っているからといって、収穫[しゅうかく]量を減らす減反[げんたん]政策は安易すぎます。♠〈腹を減らす>子供のころ、腹を減らして家へ帰ると、温かいご飯が待っていたものです。 **へらずぐち【減らず口】** ○負け惜しみを言うこと。へりくつをこねること。[文例]〈減らず口をたたく〉ふん、減らず口をたたくのは、やることをやってからにしたらどうだい。♠〈減らず口をきく〉「減らず口ばかりきくんじゃない。」と、佐藤先生はこうすけをしかりました。 **べらぼう【べら棒】** (箆棒)○ばかげているさま。はなはだしいさま。[文例]へ〈べらぼうな話〉こっちは少しも悪くないのにあやまらなきゃならないなんて、そんなべらぼうな話があるもんか。♠へ〈べらぼうな値段〉真夏だからだろう、みかん一つに百円という、べらぼうな値段がついていた。♠ヘ〈ペらぼうな要求〉相手が示したべらぼうな要求に、わたしはあいた口がふさがりませんでした。♠へ〈べらぼうに高い>縁起[えんぎ]物とは言え、熊手[くまで]がべらぼうに高かったんで驚[おどろ]いてしまった。♠へ〈べらぼうに暑い〉こうべらぼうに暑くっては、仕事をする気もなくなってしまう。♠ヘ〈ぺらぼうめ〉べらぼうめ、何をぬかしやがる、悪いのはそっちのほうじゃないか。 **へり(縁)** ○はし。ふち。畳やござの両はしの布。[文例]〈道のへり〉この道のへりには、季節の花が咲いています。♠へ〈畳[たたみ]のへり〉小さいころ、畳のへりを踏んではいけないと、よく祖父や祖母に言われた。♠ヘ〈コップのへり〉飲み残しのジュースのコップのへりに一匹のアリがよじ登っていた。♠へへりがめくれる〉アルバムに写真をはるときには、へりがめくれあがらないように注意しましょう。 **へりくだる** ○相手を敬って自分の態度を控えめにする。遜[へりくだ]る。[文例]〈自分をへりくだる〉必要以上に自分をへりくだるのは、かえって失礼な印象を与えることがある。♠へ〈へりくだって言う〉目上の人に対しては、自分や自分の身内のことをへりくだって言うのがふつうです。♠へ〈へりくだった表現>彼の自己紹介[しょうかい]で少し気になったのは、へりくだった表現の多すぎることでした。◆人へ〈へりくだった態度〉彼のへりくだった態度は、多くの人に好感を持たれている。♠へ〈へりくだったものの言い方〉とてもへりくだったものの言い方をする人ですね、あの人は。 **へりくつ【へ理屈】** (屁理屈)○無理にこじつけた理屈。[文例]へ〈へりくつをこねる〉長男は生意気ざかりで、何かと言うとへりくつをこねまわして反抗します。へ〈へりくつを言う〉あんたはへりくつばかり言っている、筋が通らないよ。 **へ・る【減る】** ○少なくなる。空腹になる。[文例]〈人口が減る〉この十年間で、村の人口は当時の三分の二以下に減ってしまった。へ〈事故が減る〉信号を取り付けたことで、交差点での事故はかなり減ったと聞いています。♠へ〈体重が減る〉冬眠[とうみん]を終えて穴から出てきたクマの体重は、かなり減っているようだった。♠〈需要[じゅよう]が減る〉ライターの普及によって、マッチの需要はずいぶん減りました。♠へ〈靴[くつ]が減る〉聞き込み捜査[そうさ]のため、刑事はこの三日間、靴が減るほど歩きまわった。♠へ〈負担が減る〉コンピューターの導入で、作業員の負担も減り、能率も良くなりました。♠へ〈おなかが減る〉赤ちゃんはおなかが減ったのか、大声で泣き始めた。◆ヘ〈口が減らない〉あれこれ口ごたえばかりして、本当におまえは口の減らない子だね。 **へる【経る】** ○通過する。経過する。経由する。ある過程を通る。[文例]〈場所を経るこの飛行機はアンカレジを経て、ロンドンに向かいます。♠へ〈旅を経る〉二か月にわたる苦しい <1002> しょう。 い旅を経て、一行は目的の地、インドに到着した。へ〈時間を経る〉書類を送って三週間を経ても、役所からは何の返事もない。♠〈年月を経る>建立[こんりゅう]から一千年という長い年月を経た今も、金堂は美しい輝きを放っている。♠へ〈手続きを経る〉正式な手続きを経なければ、入場は許可されません。◆<手を経る>現金二百万円は、おじの手を経て、昨日わたしの元に届きました。♠へ〈困難を経る〉彼は幾多[いくた]の困難を経て、今の地位を築いた。♠〈審議を経る〉法案は委員会の審議を経て、本会議に提出されました。♠〈職業を経る>兄は大学卒業後、さまざまな職業を経、現在はテレビの仕事をしている。 **ベルト** ○帯。帯革。動力を伝えるための帯。帯状のもの。帯状の地帯。[文例]〈ベルトを締める〉このズボン、ちょっとぶかぶかだけど、ベルトを締めれば大丈夫だよ。◆ヘ〈ベルト状>太平洋岸には、工業地帯がベルト状に分布している。♠〈ベルトコンベアー>進学のためのベルトコンベアーに乗り遅れては大変と、小さいうちから塾[じゅく]通いをさせられる。♠〈シートベルト>車に乗ったら、必ずシートベルトを締めましょう。 **へん【変】** ○異変。事変。事件。普通と変わっているさま。[文例] <変な格好〉そんな変な格好をしてお客様の前に出ないでちょうだい。♠〈変な顔〉父はわたしの話を聞いて一瞬変な顔をしたが、すぐに元の顔に戻った。へ〈変な気持ち〉いつもと同じ朝なのに、ぼくだけ違うような変な気持ちにおそわれた。へ〈変な感じ〉新米教師ですから、子供たちに先生と呼ばれると、こそばゆいような変な感じがします。◆<変なにおい>硫黄[いおう]は、卵のくさったような変なにおいがするね。♠〈変に思う〉人が変に思うから、もう泣くのはよしなさい。◆〈気が変になる〉こんな小さい、窓もない部屋に閉じ込められていたのでは、だれでも気が変になるだろう。♠〈本能寺[ほんのうじ]の変〉一五八二年、織田信長[おだのぶなが]は、本能寺の変で明智光秀[あけちみつひで]に討たれた。 **へん【辺】** ○あたり。付近。程度。多角形をつくる直線。等号・不等号の左右の数・式。[文例]〈三角形の辺三角形の二つの辺の和は、他の一辺より長い。◆ヘ〈この辺〉この辺は静かな住宅街で、人通りもあまりありません。◆ヘ〈この辺〉夜も遅くなったことですし、この辺でおひらきにしましょう。♠〈その辺〉そんな考えの浅いことを言ってたら、その辺のあんちゃんたちと同じじゃないか。♠〈その辺〉まあ、その辺でいいことにしよう、今日は帰ってよし。♠へ〈どの辺〉今日の授業がどの辺まで理解できたか、これからテストをします。 **べん【便】** ○具合。都合。また、具合・都合がよいこと。大便。[文例] <交通の便〉〈便がよい〉この辺はごみごみしているが、何よりも交通の便がよいので気に入っている。♠へ〈便をはかる>遠距離通学者の便をはかり、冬期間は下校時間を早めます。♠〈便不便>田舎に住んでみて一番問題になったのは、生活の便不便よりも人間関係のわずらわしさだった。♠〈便が出る〉もし便が出なくなったら、わたしたちの体はたいへんなことになるでしょう。 **べん【弁】** ○話すこと。弁舌。ある地方独特の言葉。花びら。花弁。気体や液体の流れの方向・量を調節するもの。[文例] 〈就任の弁〉部長の就任の弁は意欲にあふれており、部内でも好評をもってむかえられた。♠〈弁が立つ〉きみは弁が立つから、交渉ごとには適任だ。♠へ〈関西弁〉電話の相手は早口の関西弁で、よく聞きとれない。♠〈弁を開く>管の弁を開くと、今までより多い量の水が流れ出した。 **ペン** ○インクをつけて字や絵をかく道具。文章を書くこと。[文例]〈ペンを握る〉自分の闘病生活の記録を残すため病床でペンを握った。◆ヘ〈ペンを執[と]る〉日本に残してきた妻子に近況を報告しようとペンを執った。◆ヘ〈ペンを折る>売れない作家だった男は、妻子を養うためにペンを折り会社勤めを始めた。◆ヘ〈ペンのカ〉ペンの力をかりて、飢えに苦しむアフリカの人々の惨状[さんじょう]を訴えた。♠へ〈ペンは剣よりも強し「ペンは剣よりも強し」というが、今回の新聞のキャンペーンは確かに大きな反響があった。 **へんい【変異】** ○変わった現象。異変。[文例]〈変異が起こる〉こう異常気象が続くと、何か自然界に重大な変異が起こっているのではと心配になる。へ〈突然変異>生物は何代も交配を繰り返すうち、突然変異で新しい品種が生まれることがある。 **べんい【便意】** ○大小便をしたい気持ち。[文例]〈便意を催[もよお]す〉映画の途中でわたしは急に便意を催し、トイレにかけこんだ。 **へんか【変化】** ○変わること。[文例] <変化が激[はげ]しい>山間部は、低地にくらべて気温の変化が激しい。♠〈変化がある・ない〉このサイクリングコースは、左右の景色に変化があってなかなかおもしろそうだ。へ〈変化をつける〉ちょっとした変化をつけるだけでも、毎日の生活が充実[じゅうじつ]したものになります。へ〈変化による〉人口の変化によって、それまでの社会構造が変わっていく。♠へ〈変化をもたらす〉大規模な自然開発がそこに住む動物たちにさまざまな変化をもたらしました。♠へ〈変化を与える>博士は環境に少しずつ変化を与えながら、動物の観察[かんさつ]を続けました。♠へ〈変化に富[と]む〉日本ほど四季の変化に富んだ国も珍[めずら]しいのではないだろうか。へ〈変化に乏[とぼ]しい>表情の変化に乏しい日本人は、とかく外国人から誤解されがちです。♠へ〈変化する〉時の経過に従って、自然も人も変化する。 **べんかい【弁解】** ○言いわけをすること。言い開き。弁明。[文例]<弁解の余地がない〉おまえが悪いと責められても、その通りなので弁解の余地がなかった。♠へ〈弁解する〉自分のしたことを人にどう非難されようとも、弁解する気はない。♠〈弁解がましい〉弁解がましいことは言わず、自分の非を素直に認めたらどうだい。 **へんかく【変革】** ○変えて新しくすること。変わって新しくなること。[文例]〈意識の変革〉世の中は予想以上に大きく変わっており、わたしたちも意識の変革を迫られている。◆<変革をもたらす〉恋をすることによって、わたしたちは人間関係に大きな変革をもたらすことになります。♠へ〈変 <1003> へんこう 革する>陸軍の一部青年将校らが急激に国家を変革することを目ざして起こしたのが、二・二六事件だと言われる。 **べんがく【勉学】** ○学問に励むこと。勉強。[文例]〈勉学に励[はげ]む>門弟たちは、師の厳しい指導の下に一心に勉学に励んだ。♠〈勉学にいそしむ〉少年は将来の希望に燃えて、日夜勉学にいそしんでいた。 **へんかん【返還】** ○元の場所や持ち主に返すこと。[文例])〈領土の返還>領土の返還は、たやすくは実現しないだろう。◆◇〈返還する〉昨年度の優勝校から優勝旗が返還された。 **へんかん【変換】** ○かえること。かわること。[文例]〈変換する〉日本語ワードプロセッサには、仮名[かな]で入力された文字を漢字に変換する機能があります。 **べんきょう【勉強】** ○学業などに努め励むこと。学習。経験。値段を安くすること。[文例]〈勉強をする〉サラリーマンの兄は毎夕食後一時間、英語の勉強をしています。♠へ〈勉強ができる〉クラスでいちばん勉強ができるのは、まちがいなく石井君です。♠〈勉強が足りない〉テストの結果が悪かったのは、テスト前の勉強が足りなかったからだ。♠く〈勉強一本やり〉受験を間近に控えて、彼女は勉強一本やりの生活を送っている。♠へ〈勉強の虫〉クラスの山本君は勉強の虫で、休み時間も教科書とにらめっこが続く。♠へ〈いい勉強になる〉今度の合宿生活で初めて親元を離れた子も多く、彼らにはいい勉強になっただろう。◆く〈勉強する〉こんなにたくさん買ったんだもの、もう少し勉強しておくれよ。♠〈勉強嫌い〉わたしの勉強嫌いが治るような、何かいい薬はないかしら。 **べんぎ【便宜】** ○都合がよいこと。特別なとりはからい。[文例]〈便宜を図る〉この青年はわたしのためにあれこれと便宜を図り、情報を提供してくれた。♠へ〈経済的な便宜〉〈便宜を得る〉彼にはいろいろ世話になっているが、経済的な便宜を得ているわけではない。♠へ〈便宜を与える〉なんとかうまくいくようにと、周りがあらゆる便宜を与えたのに、彼女は成功しなかった。♠〈便宜上〉レポートでは、クエン酸水溶液のことを、便宜上試験液と表現しておいた。♠へ〈便宜的〉正式に決まるまで、便宜的な処置がとられた。 **へんきん【返金】** ○借りた金を返すこと。[文例] <返金する〉貸した金はとっくにあきらめていたが、今ごろ思いがけず返金されてきた。 **へんくつ【偏屈】** ○がんこでかたくななさま。[文例]〈偏屈な老人〉真心をもって接するうちに、偏屈な老人の心も次第に開かれてきたようだ。♠〈偏屈な男〉あいつは人が右と言えば左という、偏屈な男だ。♠へ〈偏屈になる〉人づきあいをせず家にこもっているから、彼はますます偏屈になってしまった。 **へんきゃく【返却】** ○借り物・預かり物を返すこと。[文例] 〈本の返却〉借りた本の返却は、どの窓口ですればいいですか。♠〈返却する〉図書館の本を借りた人は、期日までに必ず返却して下さい。 **へんきょう【偏狭】** ○度量が狭くて、見方がかたよっているさま。土地が狭いさま。[文例]〈偏狭な考え〉わたしたちは、偏狭な考えを捨て広い心で社会と接しなければならない。◆<偏狭な性格>祖父は、人嫌[ひとざら]いの偏狭な性格が災[わざわ]いして、晩年は孤独であった。 **へんきょう【辺境】** (辺噩)○中央から遠く離れた土地。[文例]〈辺境の地〉四月になると、この雪深い辺境の地にも遅い春がやって来ます。 **へんけん【偏見】** ○かたよった見方。ひとりよがりな考え。[文例]〈偏見を持つ職業や家柄[いえがら]に対して、つまらない偏見を持つ人が少なくない。♠〈偏見を抱[いだ]く〉ぼくはあなたたちに対して、偏見を抱いたりしていないよ。♠へ〈偏見にとらわれる正しい理解があれば、偏見にとらわれることもなくなる。♠へ〈偏見がある・ない〉彼女の意見は、何の偏見もない、公平なものとして受け取ることができた。へ〈偏見を捨てる〉彼のことを理解したいのなら、まずきみの持っている偏見を捨てるべきだ。♠へ〈〜に対する偏見〉この国の黒人に対する偏見は、大きな社会問題になっています。 **へんげん【変幻】** ○たちまちに現れたり消えたりすること。[文例]〈変幻きわまりない〉(………………)変幻 窮[きわま]りなきこの妙な家庭の内情が、朝から晩まで恐ろしい夢でも見ているような気分になって、僕の頭に祟[たた]ってくるんです。(夏目漱石「明暗」) ◆<変幻自在〉テレビの中で変幻自在に悪人をやっつける主人公は、たちまち子供たちのスーパースターとなった。 **べんご【弁護】** ○その人を助けかばうために弁舌をふるうこと。[文例]〈弁護する〉わたしは、母に弁護してもらって、やっと父の怒[いか]りをとくことができた。◆<弁護に立つ〈弁護士〉被告の弁護に立った弁護士は、みごとな弁論を展開していった。♠へ〈自己弁護〉何か失敗したときに、自己弁護したくなる気持ちはわかります。 **へんげ【変化】** ○ばけもの。神仏が姿を変えること。神仏の化身。[文例]<妖怪[ようかい]変化〉人を近づけないその山は、妖怪変化の住む境として恐れられた。 **へんけい【変形】** ○形が変わること。形を変えること。[文例] 〈変形する>顔が変形するような殴[なぐ]り合いのけんかをすることはないだろう。 **べんけい【弁慶】** ○ 源義経[みなもとのよしつね]の家来であったという豪傑。強い者。[文例]〈弁慶の泣き所〉転んだはずみに弁慶の泣き所をしたたかぶつけた。♠〈内[うち]弁慶〉この子は内弁慶で、家では弟たちを相手にいばっているのに、外に出ると「こんにちは」も言えないんですよ。 **へんこう【変更】** ○変え改めること。[文例]〈予定の変更〉何と言われても、今さら予定の変更はむりです。♠へ〈変更になる>先生の都合で、委員会は四時からに変更になりました。◆<変更を避ける〉この天気では、開会式の変更は避けられないだろう。へ〈変更に応じる〉注文してから一週間以内でしたら、機種の変更には応じ[おう]られます。へ〈変更がある・ない>首脳部が交代しても、会社の経営方針にこれと言った変更はなかった。♠〈変更がきく二十六日以降になると、時間の変更がききませんのでご了承ください。♠へ〈変更す <1004> へんこう る〉会議をくり返しているうちに、計画を変更する必要がでてきた。 **へんこう【偏向】** ○一方にかたよること。一方にかたよった傾向。[文例]〈教育の偏向〉左寄りだ、いや最近は右寄りだと、教育の偏向がやかましく叫ばれます。♠〈偏向する〉一方に偏向した見方では、世の中を正しくとらえることができません。♠へ〈偏向がある〉彼の文学は自分の美学への偏向があり、生活観に欠けるという批判がある。 **へんさい【返済】** ○借りたものを返すこと。[文例]〈借金の返済>犯人は、借金の返済に困って犯行を思い立ったらしい。♠〈返済する〉わが家の住宅ローンをすべて返済し終わるには、あと二十五年間かかります。 **へんじょう【返上】** ○返すこと。お返しすること。[文例]〈汚名[おめい]を返上する〉怠[なま]け者の汚名を返上するために、ひとつ本気で働くことにするか。◆〈休日返上〉新製品が売れに売れて、工場では全員が休日返上で働いたが、それでも製造が追い付かない。 **へんざい【偏在】** ○かたよって存在すること。→遍在。[文例] 〈偏在する〉山深いこの地方では、平地が少なく山間を流れる川の流域の西側に集落が偏在している。 **へんざい【遍在】** ○広くゆきわたって存在すること。→偏在[文例]〈遍在する〉この奇妙な風習は、この地方に限られたものではなく、広く国じゅうに遍在している。 **へんさん(編纂)** ○いろいろな材料を集め、書物をつくること。[文例]〈万葉集の編纂〉〈編纂する〉万葉集は八世紀の後半ごろ編纂されたもので、その編纂には大伴家持[おおとものやかもち]が深くかかわっている。●◆〈辞典の編纂>良質な辞典の編纂には、多くの時間が必要です。 **へんし【変死】** ○普通でない死に方。[文例]』〈変死する>男は数年前に変死したが、自殺か他殺か、はたまた不慮[ふりよ]の事故死か、まだ不明のままである。へ〈変死体〉ハイカーが山中で女性の変死体を発見、警察ではこれを殺人事件とみて捜査を始めた。 **へんじ【返事】** ○答えること。返答。返答の書面。[文例])<返事が欲しい〉彼女は、あなたからすぐ返事が欲しいと言っていましたよ。♠へ〈返事が来る〉約束の日が過ぎても、彼からは返事は来なかった。♠へ〈返事をする〉催促[さいそく]の電話があったので、一応、出席しますと返事をしておきました。♠〈返事がある・ない〉何度べルを押しても、家の中からは返事がなかった。へ〈色よい返事〉〈返事をもらう〉あの様子だと、どうやら色よい返事がもらえたみたいだね。♠へ〈返事に困る>予想もしない質問を受けて、ぼくは返事に困ってしまいました。♠へ〈返事を待つ〉鈴木さんの返事を待っている間に、事態はどんどん変わってしまった。♠へ〈返事がよい〉あの店の主人は、返事ばかりよくてすぐ忘れてしまうので、あまりあてになりません。♠〈返事が返る〉ぼくの無理な注文にも、こころよい返事が返ってきた。 **へんしつ【変質】** ○性質が変わること。異常な性質・性格。[文例]〈変質する〉古くなって変質した化粧品[けしようひん]を使用すると、肌にしみができることがある。♠〈変質者>警察は、残忍[ざんにん]な手口から変質者の犯行と断定し、捜査を急いでいる。 **へんしゅう【編集】** (編輯)○新聞・雑誌・書籍を作ること。録音・録画したものを整理・構成すること。[文例]〈新聞の編集>秋の運動会と学芸会の記事を中心に、学級新聞の編集にとりかかりました。♠へ〈編集する二時間半の結婚披露宴[ひろうえん]のビデオテープを編集して六十分にまとめた。♠へ〈編集者〉おじさんは、児童書で有名な出版社に勤める編集者です。♠<編集後記>みんなで文集をまとめたあと、編集長のわたしが編集後記を書いた。 **へんしゅう【偏執】** ○一つのことに執着すること。[文例] 〈偏執が強い〉地位に対する偏執の異常に強い男だったから、出世を第一として身を処[しょ]した。♠〈偏執狂〉一度からかった時のことを相手はまだ恨[うら]みに思っているらしく、偏執狂のようにわたしにつきまとった。 **へんしつ【偏執】** ↓へんしゅう **へんしょく【変色】** ○色が変わること。[文例] 〈変色する〉その本のページをめくっていたら、間から一枚の茶色っぽく変色した古い写真が出てきた。 **へんしょく【偏食】** ○食べ物の好き嫌い。ある食物ばかりかたよって食べること。[文例]】〈偏食を直す〉小さい子の偏食を直すには、嫌いな食物を細かく刻んで入れるなど調理方法に工夫をこらす必要があります。♠〈偏食する〉肉ばかり偏食して野菜を食べないと、腸ガンになりますよ。 **へん・じる【変じる】** ○変わる。変える。[文例]〈色が変じる〉お釈迦[さら]さまが死んだときに、そこに生えていた沙羅双樹[さらそうじゅ]の花の色が白色[びゃく]に変じたという。♠へ〈色を変じる〉我慢に我慢を重ねていた老人も、ここに至ってさすがに色を変じた。♠〈変じて~になる>玉手箱の煙を浴びると、たちまち太郎は変じて白ひげの老人になってしまったという。♠この知らせを聞くと、喜びは変じて怒[いか]りとなった。 **べん・じる【弁じる】** ○わきまえる。区別する。話す。弁解する。済ませる。済む。[文例]〈とうとうと弁じる〉彼はごうごうの非難をものともせず、自身の立場をとうとうと弁じて人々を煙に巻いた。♠〈黒白[こくびゃく]を弁じる〉この際はっきり黒白を弁じて、意見の正当性を明確にするべきだ。♠へ〈善悪を弁じる〉ものごとの善悪を弁じる能力が無くては、一人前の社会人とは言えない。♠〈用を弁じる〉小生[しょうせい]はこの地で用を弁じてのち、そちらに合流する予定であります。 **べんじょ【便所】** ○大小便をする場所。トイレ。手洗い。[文例]〈便所に行くこわい話を聞いたので、夜中に便所に行くのがおそろしくて、兄を起こしました。♠人〈便所に入る〉毎朝、父とどちらが先に便所に入るかでけんかになります。♠へ〈便所を借りる〉〈便所を使う〉「ちょっと便所を借ります。」「いま使っています。」 **へんしん【変身】** ○姿を変えること。[文例]】〈変身する〉ギリシア神話の美少年ナルシスは、水に映る自分の姿に恋し、死 <1005> へんどう んで水仙の花に変身したという。 **へんしん【変心】** ○他に心が移ること。気持ちが変わること。心がわり。[文例])〈変心する〉目の前に金を積まれると、たちまち変心してしまう………………、人間の心とは何と頼りないものだ。 **へんじん【変人・偏人】** ○普通の人とはどこか変わっている人。[文例]<変人扱い〉彼は、ろくに口もきかず、一日を研究に没頭してすごしたので、だれからも変人扱いされていた。 **へん・する【偏する】** ○一方にかたよる。[文例]へ〈一方に偏する〉一方に偏して公正を欠くようでは、裁判官として不適格である。へ〈右・左に偏する〉中立の立場に立つつもりでも、左から見れば右に、右から見れば左に偏するように見えるものである。 **へんせい【編成】** ○個々のものを秩序立ったまとまりに組み立てること。[文例]〉〈番組の編成〉新年度のスタートとともに、どの局でも番組の編成をがらりと変えました。♠へ〈編成する〉成績順にクラスを編成することの是非が問われている。♠〈予算編成〉今度の委員会では、来年度の予算編成について話し合う予定だ。♠〈十両編成〉十両編成の列車がホームに入ってきた。 **へんせい【編制】** ○軍隊などを組織すること。[文例]〈軍隊の編制〉イギリスから独立するこの国では、現在、軍隊の編制を急いでいます。 **へんせつ【変節】** ○主義・主張を変えること。[文例]〈変節する〉師は常に一つの信念を守り続け、どんな試練にあっても変節するようなことはなかった。♠〈変節漢>立身のために主義主張を変える変節漢にはなりたくない。 **べんぜつ【弁舌】** ○話すこと。話し方。[文例]】〈弁舌をふるう〉ひとたび演壇[えんだん]に立つと、彼は得意の弁舌をふるって聴衆をひきつけずにはおかない。♠〈弁舌さわやか>実に弁舌さわやかな女性で、二時間もの間わたしたちを飽きさせなかった。 **へんせん【変遷】** ○移り変わり。移り変わること。[文例]〈時代の変遷>時代の変遷とともに、人々の生活もしだいに変わっていった。♠〈風俗の変遷〉時代による風俗の変遷は、文化の発達をよく表している。♠〈変遷をくり返す〉さまざまな変遷をくり返して、この街も現在の姿を形作ってきました。♠へ〈変遷がある・ない〉この工場がここに移転するまでには、多くの変遷がありました。♠へ〈変遷を経る〉幾多[いくた]の変遷を経て、この国は先進国の仲間入りを果たした。へ〈変遷を経る〉この法律の解釈にも多くの変遷があり、それらを経て現在のものが定着したのです。♠へ〈変遷する〉わずか一年の間に、世間の流行は次々と変遷していきました。 **へんそう【変装】** ○その人とわからないように顔や服装などを変えること。[文例] <変装する〉上手に変装したので、道行く人はだれも、彼がテレビの人気者とは気づかなかった。 **へんそく【変則】** ○原則どおりでないこと。[文例]〈変則の扱い〉今回のような特別のケースは、変則の扱いとします。◆<変則的>飛び石連休のため、会議は変則的に開催された。 **へんたい【編隊】** ○飛行機が隊形を組んで飛行すること。また、その隊形。[文例]〈編隊を組む>突然爆音[ばくおん]がとどろき、数機の戦闘機が編隊を組んで頭上を通り過ぎていった。♠〈編隊飛行〉開会式では、オリンピックの五輪[ごりん]にちなんだ五機の飛行機が見事な編隊飛行を見せた。 **へんたい【変態】** ○普通と変わった形態・状態。動物が成長する過程で形態や生活様式などを変えること。病的で異常な性欲。[文例]〈変態する〉昆虫は、卵から幼虫へ、幼虫からさなぎへ、さなぎから成虫へと変態します。♠あの人、いやらしいことばかり言って、きっと変態よ。 **べんたつ(鞭撻)** ○むち打つこと。いましめ励[はげ]ますこと。[文例]未熟者ではありますが、今後ともご指導ご鞭撻のほどお願い申します。♠へ〈鞭撻する〉前回の失敗を教訓にもう一度頑張ってみようと、彼は自分自身を鞭撻して今大会に臨んだ。 **ベンチ** ○数人がけの長いす。野球場内の選手の控えの席。[文例]】ヘ〈ベンチに座る〉おじいさんは、公園のベンチに座り、ひなたぼっこしていた。◆ヘ〈ベンチを温める〉補欠としてベンチを温めるだけではなく早く試合に出場したい。 **へんちょう【変調】** ○調子が変わること。また、その調子。[文例]〈変調をきたす〉娘は強いショックを受けて、その時から精神に変調をきたしたのだった。♠へ〈変調が現れる〉その後、まもなくわたしの体に変調が現れた。 **へんてこ** ○変なさま。妙なさま。へんてこりん。[文例]へんてこな服〉あそこを行く若いもんはへんてこな服を着て、あんなのがかっこいいのかね。へへんてこな目〉小さい目を少しでもぱっちり見せようとアイラインを入れたら、ますますへんてこな目になってしまった。へへんてこな理屈[りくつ]>酒は飲みたいが金は払いたくないなんて、そんなへんてこな理屈は聞いたことがない。 **へんてつ【変哲】** ○変わっていること。特徴があること。[文例]〈なんの変哲もない〉これはなんの変哲もないただの石ころだが、ぼくにとっては大切な思い出の品なんだ。 **へんてん【変転】** ○移り変わること。移り変わり。[文例]〈時代の変転〉時代の変転とともに、わたしたちの意識も変わっていきます。♠へ〈変転する〉少年は、変転する境遇[きようぐう]の中で試練に耐え、たくましく成長していった。♠へ〈変転きわまりない〉変転きわまりない時代を生き抜いて、今日を築き上げた人々。 **へんとう【返答】** ○答えること。返事。[文例]〈返答に困る〉そんなことを言われても返答に困る。♠へ〈返答に窮[きゅう]する〉むじゃ気な生徒たちに私生活のあれこれを聞かれて、教師として返答に窮することもある。♠〈返答する〉さあ、どうだ、黙ってないでこちらの質問に返答しなさい。 **へんどう【変動】** ○変化し、動いていくこと。世の中の騒ぎ。[文例]〈変動が激しい>野菜は、他の食品に比べて価格の変動が激しい。♠へ〈変動をきたす〉今度の事件は、役員の人選に変動をきたすことになるだろう。♠〈変動がある・ない〉二月に入ってから、会社の株は全く変動がなかった。♠へ〈社会の変動〉社会の変動に応じて、法律も少しずつ改正されて <1006> べんとう いきました。♠く〈景気の変動〉国民の大半が景気の変動に関心をもっていました。♠〈地殻[ちかく]の変動〉何億年もの地殻の変動によって、このような奇妙[きみよう]な地形ができあがった。 **べんとう【弁当】** ○外出先で食べるために持ち歩く食べ物。[文例]〈弁当を食べる>建築中の家の中で大工さんが弁当を食べていた。♠へ〈弁当を使う〉植木屋さんは縁側の日だまりで弁当を使うと、また庭の手入れを始めた。♠へ〈弁当持参>明日の遠足には、各自弁当持参のうえ、七時に校庭に集合するように。♠〈手弁当>園庭の整備は、お母さんたちが手弁当でかけつけてくれたので、驚くほど速くすんだ。 **へんにゅう【編入】** ○組み入れること。途中から学校などに入ること。[文例]〈編入する〉息子は、この中学校の三年生に編入した。◆へ〈編入する〉その町は、現在、京都府に編入されている。へ〈編入試験>県立高校の編入試験を受けるつもりだ。 **へんぴ(辺鄙)** ○都会から遠く離れて不便な土地。また、そのさま。[文例]〈辺鄙な土地〉辺鄙な土地に生まれ育った彼は、ずっと都会にあこがれていた。ヘ〈辺鄙な山奥[やまおく]〉現在の日本では、どんな辺鄙な山奥にも電気製品が普及しています。 **へんぺい(扁平)** ○平らなさま。平たいさま。[文例]〈扁平な顔〉その子は鼻が低く、横に広がった扁平な顔をしていた。◆<扁平足>最近の児童には、土ふまずのない扁平足が増えているという。 **へんぼう(変貌)** ○姿や様子などが変わること。[文例]〈人の変貌〉彼女の予想外の変貌に、彼女と分かるまでに時間がかかった。♠〈町の変貌〉〈変貌がめざましい〉最近のこの町の変貌はめざましく、小学校時代とは別の町のようです。♠へ〈変貌をとげる〉三年間のブランクはあったが、彼女はみごとに個性派女優への変貌をとげた。♠へ〈変貌が著[いちじる]しい〉次々と新機種が開発されるコンピュータ部門は、最も変貌の著しい分野といえるでしょう。♠へ〈変貌する>都市化の波に押されて、静かな漁村もこの数年で大きく変貌した。 **べんめい【弁明】** ○物事の道理が明らかになること。いいわけすること。弁解。言い開き。[文例] 〈弁明を求める>企画の失敗について、部長は担当者の弁明を求めた。◆ヘ〈弁明の余地>今回の事故はわたしの不注意であり、弁明の余地はありません。♠へ〈弁明する〉青年を惑[まど]わす者として告訴[こくそ]されたソクラテスは、裁判官と市民を前にして弁明させられた。 **べんろん【弁論】** ○意見を述べ立てること。[文例]〈弁論をする〉大勢を前に弁論をするのは初めてだったので、足がふるえてしまった。4〈弁論大会>学校の弁論大会に参加して、自分の考えを全校生徒の前で話した。◆〈最終弁論>法廷では、被告人の弁護士による最終弁論が行われていた。 **へんよう【変容】** ○様子が変わること。[文例]〈変容する〉故郷[ふるさと]の町並みはすっかり変容して、昔の面影[おもかげ]はなかった。 **べんり【便利】** ○都合がよいこと。役に立つこと。[文例]おじさんの家に行くのには、電車よりバスのほうが便利だ。♠〈世の中が便利になる〉飛行機なら東京から北海道まで一時間ちょっと、世の中も便利になったものです。♠へ〈便利にする〉山奥の人々の生活を便利にするために、林業道路が造られることになった。♠〈便利にできる〉この机は引き出しの中に仕切りがあって、なかなか便利にできている。へ〈便利な道具〉はさみにしても鉛筆削[えんぴつけず]りにしても、こんな便利な道具をいったいだれが考えついたのだろう。♠〈便利な男>彼は気軽に用事をたのめる便利な男だが、ちょっとおしゃべりなのが玉にきずだ。♠へ〈便利がよい・悪い〉買い物に関しては、前に住んでいた所のほうがずっと便利がよかった。◆<便利さ〉この機械を使うことの便利さを考えれば、少々の出費はがまんできます。 **へんりん(片鱗)** ○(「魚のうろこの一片」の意から)ごくわずかなもの。[文例]〈片鱗をとどめる〉二十年ぶりに会った彼は、すっかり変わって昔の面影の片鱗もとどめていなかった。♠〈片鱗を示す〉幼年にしてすでに年長の子にまじって際[きわ]だち、豊かな才能の片鱗を示した。 **へんれい【返礼】** ○他から受けた厚意に対して礼を返すこと。また、そのための贈り物。[文例]〈返礼をする〉結婚のお祝いをいただいた方に返礼をしました。 **べんれい【勉励】** ○一生懸命努力すること。[文例]〈刻苦[こっく]勉励>目標を達成できるように刻苦勉励するつもりです。 **へんれき【遍歴】** ○各地を巡り歩くこと。いろいろな経験をすること。[文例] <遍歴する〉かつて武芸者は、諸国を遍歴してその技を磨いた。◆<男性遍歴>情熱的な女性だったから、その男性遍歴もかなりのものであったらしい。 **ほ【歩】** ○歩くこと。歩み。足取り。進行。[文例]〈歩を運ぶ〉必死で事故現場から離れようとするのだが、足ががたがた震えて歩を運ぶことができない。へ〈歩を止める>母の声を背に受けながら、わたしは歩を止めず、振り返りもしないで、ふるさとをあとにした。♠へ〈歩を進める〉正岡子規[まさおかしき]は、雑誌「ホトトギス」によって俳句革新の歩を進めました。へ〈歩を移す〉わたしに気づいた彼女は、ちょっとほほえんでこちらに歩を移して来る。♠〈歩をめぐらす〉その場に立ち止まったわたしは、歩をめぐらして元の道をもどりかけた。♠〈歩を合わせる〉わたしが上京するのと歩を合わせて、友人も大阪から出て来た。♠へ〈歩を転じる>経済至上主義で進んできた日本の社会だったが、どうやら真の豊かさを求めて歩を転じる時が来たようである。 **ほ【帆】** ○帆柱に張り、風を受けて船を進める布。[文例]〈帆をかける〉今、帆をかけた船といえば、ヨットぐらいしか見られないが、昔は、船に帆はつきものであった。へ〈帆を張る〉帆かけ船は、帆を張って、それに当たる風の力を利用して走る船です。♠へ〈帆を揚げる〉帆を揚げて、いざ船出せん、はるかなる海のかなたへ!へ〈帆を下ろす〉船が小さな島に漂着[ひようちやく]したので、帆を下ろし、その島に上陸した。♠へ〈帆に風をはらむ〉船は帆に風をはらませて、勢いよく走ってゆ <1007> ほうい く。♠〈得手に帆を揚げる「得手に帆を揚げる」とは、得意になって調子に乗ることのたとえです。♠へ〈尻に帆をかける〉何も怖いものはないぞと言いながら、小さな蛇が出てきたら、尻に帆をかけて逃げ出した。 **ほ【穂】** ○長い花軸[かじく]に花・実が群がり付いたもの。やりの刃の先。筆の先。[文例])〈すすきの穂〉川原では、すすきの穂が秋風に揺れている。♠へ〈麦の穂〉畑一面の麦の穂が黄色く色づいてきた。へ〈筆の穂〉太郎は筆の穂を指先でそろえながら、何か考え込んでいるふうだった。♠へ穂に出る〉隠しても思いは穂に出ているわよ、あの方のことが好きなのでしょ。♠〈穂に穂が咲く〉秋になるとどの田にも穂に穂が咲いて、村は豊作の喜びにわき立ちます。 **ほあん【保安】** ○安全・治安を守ること。[文例]〈炭鉱の保安〉父は炭鉱の保安を監督する役所に勤めていて、九州や北海道に出張することが多かった。♠へ〈保安官〉住民に選挙で選ばれた保安官が郡の治安維持にあたった。 **ほいく【保育】** (哺育)○幼児を守り育てること。乳を飲ませて子を育てること。[文例]〈保育する〉母親に代わって子供たちを保育するのが、保母さんの仕事です。♠へ〈保育所〉妹が保育所に行くようになってから、母は勤めに出ました。♠〈保育室〉公民館には、保育室があるので大変助かります。 **ボイコット** ○同盟して商品を買わないようにすること。集団で排斥[はいせき]したり、妨げたりすること。団結して作業や授業を放棄すること。[文例] 〈ボイコットする〉日本の経済侵略に反対して、日本製品をボイコットしようという動きが出ていた。♠ヘ〈ボイコットする〉労働者らは、団結して作業をボイコットした。 **ポイント** ○点。重点。要点。分岐点。得点。地点。活字の大きさの単位。線路を切り換える転轍機[てんてつ]。[文例]〈ポイントを置く〉試合も近いので、実戦的なプレーにポイントを置いて練習しよう。◆ヘ〈ポイントをおさえる〉 ノートを取るときは、あれもこれもではなく、重要なポイントをおさえて短くまとめるとよい。♠〈ポイントを上げる・落とす〉前半は着々[ちやくちやく]とポイントを上げたのに、終盤になって惜しいポイントを落としたのが痛い。♠〈レールのポイント〉レールの切り換えのポイントが故障して、列車が立ち往生[おうじょう]してしまった。♠ヘ〈チャームポイント〉わたしのチャームポイントは、このかわいい笑顔かしら。 **ほう【法】** ○きまり。おきて。作法。やり方。方法。仏の教え。[文例]〈法を守る〉どんな法律でも、法は法として守らなくてはなりません。♠〈法に従う〉罪を犯[おか]したら、法に従って裁きを受けます。♠〈法を犯す〉きみの考えていることは、法を犯す行為[こうい]だから、やるのなら覚悟[かくご]のうえでやりなさい。♠〈法を破る〉この国に住みつづけたいのなら、この国の法を破ってはいけない。♠〈法にそむく〉彼は、正義を貫[つらぬ]くために、あえて法にそむく行為を実行したのだった。へ〈法を曲げる〉同情はするけれど、法を曲げるわけにはいかない。◆親が話しているのに、知らんぷりしているという法がありますか、しっかり聞きなさい。♠せっかくのチャンスを、みすみす逃[のが]すという法はない。♠へ〈法を説く「人を見て法を説け」とは、相手によってそれにふさわしい接し方をする必要があるという意味です。 **ほう【方】** ○方角。方向。方面。幾つかの中から取り上げた一つ、または一部。部類。四角形。[文例]〈北の方〉白鳥は、冬になると、北の方から越冬のため日本にやって来ます。♠へ〈そちらの方〉東京は雨が降っています。そちらの方はどうですか。♠へ〈警察の方〉店の前の道を陳列台でふさがないようにと、警察の方から言ってきた。♠へ〈いいほう〉六○点ならまだいいほうだよ。ぽくなんかひどいもんだ。♠へ〈〜のほうがいい〉一時は、彼と結婚できなければ死んだほうがいい、とさえ思いつめました。♠酒は嫌いなほうではないので、誘われるとついつい出かけていきます。 **ぼう【棒】** ○細長い木・竹・金属など。指揮棒。棒術。太くてまっすぐな線。[文例]〈鉄の棒>工事現場に置いてあった鉄の棒は、いったい何に使うのだろう。◆ヘ〈コンサートで棒をふる〉今度のコンサートで棒をふるのは、世界的に有名な指揮者の○氏です。へ〈足が棒になる〉慣れない山道を一日中歩き回って、足が棒になってしまったよ。♠ヘ〈やぶから棒>ぼくが犯人だなんて、やぶから棒にきみは何を言い出すんだ。◆◇〈一生を棒にふる〉彼は酒に狂[くる]って重い罪を犯し、一生を棒にふってしまった。◆ヘ〈チャンスを棒にふる〉彼女はコンサートの当日に熱を出してしまい、せっかくのチャンスを棒にふってしまった。◆ヘ〈犬も歩けば棒に当たる〉いろはガルタの最初は、たいてい、「犬も歩けば棒に当たる」です。◆〈はしにも棒にもかからない〉あいつは怠[なま]け者のくせに他人の仕事に文句ばかりつける、はしにも棒にもかからない男だ。 **ぼう【某】** ○(はっきり定めないで)ある人。なにがし。物事をはっきり示さずに言う語。[文例] 某市で市長のスキャンダルが明るみに出たという。♠某日夕刻、わたしはある場所でその人と会った。◆ある大学で学生部長をしていたわたしは、ある日公安関係の警察官某の訪問を受けた。 **ほうあん【法案】** ○法律の案文。法律の原案。[文例]〈法案を提出する〉政府は、税制改革に関する法案を議会に提出した。♠〈法案が成立する〉議会で否定[きつてい]されたため、その法案は成立しなかった。 **ほうい【方位】** ○方向の基準。占いで方角の吉凶。[文例]方位を表す>北東・南西・西南西・北北東などはすべて方位を表します。♠へ〈方位が悪い>縁起かつぎの祖母は、アパートを探すにも方位が悪くないようになどとうるさく言う。 **ほうい【包囲】** ○まわりを取り囲むこと。[文例]〈包囲する〉城は敵の大軍に包囲され、もはや絶体絶命であった。へ〈包囲網>警官の包囲網に逃げ場を失った犯人は、ついに観念して投降した。 **ほう【報】** ○知らせ。報知。報道。むくい。[文例]〈合格の報〉祖母は孫の入試合格の報を聞き、手をたたいて喜んだ。♠へ〈誕生の報>長男誕生の報は、ただちに米国出張中の父親のもとに届けられた。♠〈逝去[せいきよ]の報〉お母上ご逝去の報に接し、悲しみに堪えません。 <1008> ぼうい **ぼうい【暴威】** ○荒々しい勢い。乱暴な威力。[文例]〈暴威をほしいままにする〉皇帝は権力をかさに着て、罪もない人民を殺すなど暴威をほしいままにした。♠〈暴威をふるう〉深夜に上陸した台風は、明け方まで暴威をふるって列島に被害を与えた。 **ぼういんぼうしょく【暴飲暴食】** ○過度な飲食をすること。[文例]〈暴飲暴食を慎[つつし]む〉受験も近いのだから、暴飲暴食は慎みなさい。♠へ〈暴飲暴食がたたる〉年末年始の暴飲暴食がたたって、とうとう胃をこわしてしまった。♠へ〈暴飲暴食する>忘年会のシーズンだが、暴飲暴食しないよう気をつけよう。 **ほうえい【放映】** ○テレビで放送すること。[文例]〈放映する〉このドラマは、昨年末テレビで放映されて反響を呼んだものです。♠へ〈放映する〉この作品は映画にもなり、映画は何度かテレビでも放映されました。 **ぼうえい【防衛】** ○防ぎ守ること。[文例] <防衛する〉チャンピオンは、これまで四度王座を防衛してきた。♠へ〈正当防衛>彼女が酔っぱらいを突きとばして負傷させたのは、身を守ろうとしてのことで、正当防衛といえる。♠〈防衛予算〉日本の防衛予算がGNPの1%を突破し、内外の関心を呼んでいた。 **ぼうえき【貿易】** ○外国と商業取引をすること。交易。通商。[文例]〈貿易する〉日本は、主に原料を輸入し、製品を輸出するという形で世界各国と貿易しています。♠へ〈貿易港>幕末に開港して以来、横浜港は貿易港として栄えました。へ〈自由貿易〉〈保護貿易〉貿易は国の経済に大きな影響を与えるものであるから、国によって自由貿易、保護貿易など政策に違いがあらわれる。 **ほうえつ【法悦】** ○仏の教えを聞いてわき起こる喜び。うっとりするような喜び。[文例]〈法悦の境地>尊い仏像を見ているうちに、いつしか法悦の境地に入っていた。へ〈法悦の輝き>念願かなって自分のものになった絵を眺める男の表情に法悦の輝きが浮かんだ。 **ぼうおん【防音】** ○音が室内に入ったり、外にもれるのを防ぐこと。[文例]〈防音を施[ほどこ]す〉通りに面した部屋の窓は、二重にして防音を施しました。♠へ〈防音装置〉音楽室には、大きな音を出しても外に響かないように防音装置がしてあります。♠へ〈防音効果>飛行場に近いこの建物は、壁を厚くし窓を二重にするなど防音効果を高める工夫がされている。 **ぼうおん【忘恩】** ○受けた恩を忘れること。[文例]師は、愛する弟子の非情な忘恩に打ち砕[くだ]かれた。♠〈忘恩の徒>自然の恩恵を忘れ、それを破壊する人間は、まさに忘恩の徒である。 **ほうか【放火】** ○火を放つこと。つけ火すること。[文例] 火事の原因には、火遊びや火の不始末のほか放火も少なくない。♠〈放火する〉上司に注意された男が、腹いせに会社に放火するというとんでもない事件がありました。♠〈放火魔〉最近、この近辺に放火魔が出没するということだ。 **ほうか【砲火】** ○大砲を撃つ時に出る火。砲撃。[文例]<砲火を浴びせる>敵軍は山頂を占領し、そこから盛[さか]んに砲火を浴びせてきた。♠へ〈砲火を交[まじ]える〉今も世界のどこかで、砲火を交える国があるのは悲しいことです。♠〈砲火にさらされる〉敵の砲火にさらされ、味方の兵は必死で逃げた。 **ほうが(萌芽)** ○芽が出ること。芽生え。物事が新しく生じること。[文例]〈萌芽する〉風はいまだ冷たいが、すでに草木は萌芽し、春の兆[きざ]しを見せている。♠〈自立心の萌芽〉三歲くらいになると子供は最初の反抗期に入るが、これは自立心の萌芽にほかならない。 **ぼうか【防火】** ○火災を防ぐこと。延焼を防ぐこと。[文例] 〈防火に努める〉火は勢いを増しつつ近づいていたが、消防隊が出動し防火に努めた。●〈防火用水〉庭のすみに、防火用水のタンクがある。 **ぼうが【忘我】** ○われを忘れること。「[文例])〈忘我の境〉美しい景観を前にして、自分も絵の中に入り込んだような忘我の境にひたっていた。 **ほうかい【崩壊】** (崩潰) ○崩れ去ること。つぶれること。「[文例])〈建物が崩壊する〉大地震で、多くの建物が崩壊し、負傷者が続出した。♠〈幕府が崩壊する>慶応[けいおう]三年、十五代将軍徳川慶喜[とくがわよしのぶ]が朝廷[ちようてい]に政権を返上し、ここに江戸幕府は崩壊した。♠〈制度が崩壊する>武士の力が衰[おとろ]え、商人が力を持つようになってくると、身分制度は実質的に崩壊していった。へ〈秩序が崩壊する〉いたずらに開発を進め、自然に手を加え過ぎると、自然の秩序が崩壊してしまう。♠〈家庭の崩壊〉〈崩壊をまねく〉近年は、様々な理由から、家庭の崩壊をまねくケースが多くなっているそうだ。 **ほうがい【法外】** ○不当に限度をこえるさま。[文例]〈法外な値段>土地ブームを利用し、へんぴな原野などを法外な値段で売りつける悪質な業者もいる。♠〈法外な要求>交渉の相手は、こちらの足もとを見て法外な要求を突きつけてきた。 **ぼうがい【妨害】** ○妨げること。じゃまをすること。商[文例]〈進路を妨害する〉このゲームのおもしろみは、相手のこまの進路を妨害するところにあります。♠へ〈安眠[あんみん]を妨害する〉空港周辺の住民のほとんどが、夜間の飛行機の騒音[そうおん]に安眠を妨害されている。♠〈妨害をする〉いくら勝ちたいからって、他人の練習の妨害をするのは感心できないな。◆〈営業の妨害>店先で大声を出していた男は、営業の妨害になるといって、連れていかれました。へ〈交通の妨害〉交通の妨害になる駐車違反[ちゆうしやいはん]は、都心では特に厳しく取り締まられています。♠へ〈妨害に悩[なや]む反対派の妨害に悩まされ、工事は予定より一か月以上も遅[おく]れている。へ〈公務執行[しつこう]妨害>投石して抵抗した人たちは、公務執行妨害で次々に逮捕[たいほ]された。 **ほうがく【方角】** ○方位。方向。見当。方針。[文例]〈方角を表す「東・西・南・北」は、どれも方角を表す漢字です。♠へ〈南の方角>南の方角から暖かい風が吹いてきます。♠〈方角が分かる〉山中で道に迷い、方角が分からなくなってしまった。◆<丘[おか]の方角〉丘の方角を見ると、何やら丸い白いものが飛んでいる。♠へ〈方角違[ちが]い〉こっちは方角違いだ、駅なら向こうだよ。♠く〈方角が良い・悪い〉今でも方角が良いとか悪い <1009> ほうける とかを気にする人もいます。 **ほうかつ【包括】** ○ひっくるめて一つにすること。[文例] 〈包括する〉地球上に現存するあらゆる人種を包括して、「ホモ=サピエンス」と呼んでいます。♠へ〈包括的〉討論会では広く意見が出るように包括的なテーマを選んでみた。 **ほうがん【包含】** ○中に包み、含むこと。[文例]〈包含する〉アメリカのように異なった人種や民族を包含する一つの社会、一つの世界では、絶えず差別の問題に直面してきた。◆〈包含する>先生のこの一言には、さまざまな意味が包含されているように思われた。 **ぼうかん【暴漢】** ○暴力をふるう男。[文例]〈暴漢が襲[おそ]う〉演説中の党首を突然暴漢が襲った。 **ぼうかん【防寒】** ○寒さを防ぐこと。[文例]この帽子は、防寒のためというよりおしゃれのためにかぶっているのよ。◆<防寒用>冬が近づくと、母は古いセーターをほどいて、防寒用の靴下や手袋を編んでくれた。 **ぼうかん【傍観】** ○そばで眺めていること。第三者として、かかわりをもたずにいること。[文例]〈傍観する〉目の前に助けを求めている人がいるのに、あなたは何もせず、ただ傍観するだけですか。♠〈傍観者〉地球規模で自然破壊が進んだ以上、今までのように傍観者でいるわけにいかない。♠傍観を良心として生きし日々青春と呼ぶときもなかりき(近藤芳美[ほうがん]) **ほうがんびいき(判官贔屓)** ○(判官源義経[みなもとのよしつね]への同情の意から)不運の英雄や、弱者・敗者にひいきすること。はんがんびいき。[文例]判官びいきという言葉は、判官であった源義経の不運に同情することからきている。♠日本人には、弱い者に同情して応援する判官びいきの心性[しんせい]がある。 **ほうき(帚・箒)** ○草・竹製のちりやごみを掃き集める道具。[文例]〈ほうきで掃く〉おばあさんは、座敷[ざしき]や床[ゆか]をほうきで掃きます。♠へ〈竹ぼうき〉寺の境内では、若い僧たちが竹ぼうきやくまでで落ち葉を集めていた。 **ほうき【法規】** ○法律や規則。法律上の規定。〔[文例]集団の秩序を守るためには、なんらかの法規が必要となります。◆<交通法規〉〈法規を守る>交通法規を守り、事故のない社会を実現させよう。 **ほうき【放棄】** ○うち捨ててかえりみないこと。捨て去ること。[文例]〈戦争の放棄>日本は憲法で戦争の放棄をうたっています。♠へ〈試合を放棄する〉応援[おうえん]も空[むな]しく、その選手は途中で試合を放棄してしまった。♠へ〈権利を放棄する>選挙の時は、投票する権利を安易に放棄することのないようにしよう。♠へ〈任務を放棄する〉掃除[そうじ]当番の時など、人まかせにして、当番としての任務を放棄している人がいるようです。♠へ〈責任を放棄する「勝手にしろ。」では、親としての責任を放棄したも同然です。 **ほうき(蜂起)** ○(蜂が巣から一斉に飛び立つように)大勢の人が武器を持って一斉に立ち上がること。[文例]〈蜂起する>重い年貢[ねんぐ]に苦しむ農民たちがいっせいに蜂起し、一揆[いつさ]となった。♠へ〈武装蜂起>労働者・学生の武装蜂起によって、独裁政権は窮地[※ゆうち]に追い込まれていった。 **ぼうきょ【暴挙】** ○乱暴なふるまい。無謀なくわだて。[文例] 〈暴挙を企[くわだ]てる〉彼らは、大統領殺害という暴挙を企てるテロリストたちであった。♠へ〈暴挙を抑える〉わたしひとりの力では、集団リンチという仲間の暴挙を抑えることはできなかった。 **ぼうぎょ【防御】** (防禦)○敵の攻撃を防ぎ守ること。[文例] <攻撃と防御〉コーチは、攻撃は最大の防御なりと、攻撃の重要性を説いた。へ〈防御する〉敵の軍勢は味方の十倍、その攻撃を防御できる力はわれわれにはなかった。<防御率>防御率のよいピッチャーほど、相手打線をおさえこんだことになる。 **ぼうきょう【望郷】** ○故郷を懐かしく思うこと。[文例]〈望郷の念>幾度となく望郷の念にかられては、帰れぬふるさとを思い涙した。♠〈望郷の思い〉故郷を離れて長い歳月が流れたが、望郷の思いはつのるばかりだった。 **ぼうくん【暴君】** ○横暴[おうぽう]で人民を苦しめる君主。偉そうにいばりちらす主人。[文例] <暴君ネロ>暴君ネロの残虐ぶりは、今も世に伝えられている。♠よくも母は文句も言わずに、父のような暴君に従ってきたものだと思う。 **ぼうきゃく【忘却】** ○忘れ去ること。[文例]〈忘却のかなた〉あの戦争の悲惨[ひさん]な体験を、日本人は忘却のかなたに押しやってはなりません。♠〈忘却する〉あまりの衝撃[しようげき]に前後を忘却して、しばらくその場に立ちつくしていた。 **ぼうぎゃく【暴虐】** ○乱暴で残忍なこと。[文例]戦時下、日本人は敵国人が暴虐であることを強調し、「鬼畜米英」などと言った。♠美しいチョウは、哀れにも暴虐なくものえじきとなってしまった。 **ほうきゅう【俸給】** ○給与。給料。サラリー。[文例]〈俸給をもらう〉父が会社に勤めて最初にもらった俸給は三万円だったという。♠へ〈俸給生活者>俸給生活者であるわれわれにとって、心待ちにされるのは何といっても給料日です。 **ほうぎょ【崩御】** ○天皇・皇后などが亡くなること。〔[文例] 〈天皇の崩御>夏の暑い盛りに明治天皇の崩御があり、約一か月後、乃木大将の殉死[じゅんし]が報ぜられた。♠〈崩御する〉昭和六十四年一月七日、昭和天皇が崩御した。 **ぼうけい【傍系】** ○直系から分かれ出た系統。主流から外れた存在。[文例]〈直系と傍系>親・子・孫は直系の血族、それに対し、兄弟姉妹、おじ、おば、おい、めいなどは傍系血族です。♠〈傍系会社〉この会社は某自動車会社の傍系会社である。 **ほうげき【砲撃】** ○大砲で攻撃すること。[文例]〈砲撃を受ける>敵の激しい砲撃を受けて、町は完全に破壊された。♠〈砲撃を加える〉敵は、味方の武器庫に砲撃を加えた。♠へ〈砲撃する>敵機が上空を通過したが、味方にはそれを砲撃する弾薬がなかった。 **ほう・ける(惚ける・呆ける)** ○ぼんやりする。ぼける。夢中になる。[文例]〈ほうけた顔>家族を失ったわたしは、ほうけたような顔をしてただ町を歩き回っていた。♠〈遊びほうける〉じいちゃんが子供のころは、日が暮れるまで外で遊びほうけていたもんだ。 <1010> ほうけん **ほうけん【封建】** ○勝ち取った土地を諸侯に分け与えて治めさせること。[文例])〈封建制度>封建制度は、君主が諸侯と主従関係を結び、領土を分け与え、各自領内の政治を行わせた制度である。♠へ〈封建社会>江戸時代は、世界でも珍しく長い封建社会が維持された。◆ヘ〈封建時代>長い封建時代が終わり、日本は近代国家へと歩み始めた。♠〈封建的〉うちのおやじは封建的で、子供は親の言うことを聞いていればよい、などと言う。 **ほうげん【方言】** ○ある地方だけに使われる言葉。また、その地方の言語の体系。[文例]〈懐[なつ]かしい方言>郷里へ向かう列車に乗り込むと、懐かしい方言が聞こえてきました。●く方言が消える〉今、日本全国に共通語が浸透[しんとう]し、味わいの深い方言が消えつつあるというのは残念なことです。 **ほうげん【放言】** ○思うままに無責任な発言をすること。また、その発言。[文例]〈放言する〉例のごとく、彼は周囲の迷惑もかえりみず、自分勝手な思いつきを放言してはばからない。 **ぼうけん【冒険】** ○危険を冒して成功の見込みの少ないことをあえてすること。「[文例]〈冒険する〉物語の中で、主人公は七つの海を冒険して、たくさんの宝物を手に入れます。◆へ〈命がけの冒険〉たった一人で南極大陸を横断する、それは彼にとって命がけの冒険だった。◆<冒険をする〉返すあてもない人にお金を貸すなんて、銀行はそんな冒険はしないよ。◆今考えてみれば、あんな山の中に工場を作るのは、ちょっと冒険だったかもしれない。♠勝利を収めるためには、ある程度の冒険は必要です。◆<冒険心〉いくつになっても、夢やロマンを追い求める冒険心が、心のどこかに残っています。 **ぼうげん【暴言】** ○乱暴で無礼な言葉。〔[文例]〈暴言を吐く〉男は、周囲の者が制止するのも聞かず、駅長に向かって暴言を吐き続けた。 **ぼうげん【妄言】** ♪もうげん **ほうこ【宝庫】** ○宝をしまっておく倉庫。価値あるものを多量に産する所。[文例]〈資源の宝庫>海という広大な自然は、限りない資源の宝庫でもあるのです。♠へ〈穀物[こくもつ]の宝庫〉この黒土地帯は、小麦やトウモロコシなどを多量に産し、穀物の宝庫と呼ばれています。♠〈魚の宝庫〉オホーツク海は、サケ・マスの宝庫です。♠へ〈野鳥の宝庫>樹海で有名な青木ヶ原は、野鳥の宝庫です。◆へ〈民話・伝説の宝庫>岩手県の遠野[とおの]地方は、民話や伝説の宝庫として有名な所です。♠〈知識の宝庫〉書物は知識の宝庫である。 **ぼうご【防護】** ○防ぎ守ること。[文例]〈防護する〉消防士は、炎[ほのお]から体を防護する特別な衣服を着用して消火活動に当たります。♠〈防護柵[さく]〉花壇が踏み荒らされないように防護柵を設置することになった。 **ほうこう【方向】** ○進んで行く向き。目標。目当て。[文例] 〈方向を変える〉トビウオが飛んだり、飛ぶ方向を変えたりするのに、その大きな胸[むな]びれが役に立ちます。♠へ〈進む方向〉昔の船は灯台の光をたよりにして、現在地を知り、進む方向を確かめながら、夜の海を走りました。へ〈方向を誤る〉駅から北の方へ行くようにと言われたのに、方向を誤って、別の方に来てしまったらしい。へ〈音のする方向〉音のする方向へ歩いて行くと、途中[とちゆう]でぴたりとその音がやんだ。♠〈方向を転換[てんかん]する〉機関車は、方向を転換して車庫に入った。♠〈将来の方向〉中学生のわたしたちは、そろそろ将来の方向を考える時期だ。♠へ〈方向を決める〉ぼくは、自分の好きな科学方面に進もうと、一応の方向を決めています。♠〈方向を誤る〉一度方向を誤ると、自分の人生がめちゃめちゃになってしまうこともあります。♠〈方向音痴[おんち]>方向音痴のわたしは、知らない土地へ来ると方角がまるで分からなくなる。♠へ〈方向転換〉時には自分の考え方を方向転換させて全く別の見方をしてみることも大切です。♠へ〈方向づける〉一冊の本との出会いが、その人の生き方を方向づけることさえあります。 **ほうこう【奉公】** ○国家や主君のために尽くすこと。使用人として他人・他家に仕えること。「[文例] <奉公に来る・行く〉(………………)たけがわたしの家へ奉公に来て、わたしをおぶったのは、わたしが三つで、たけが十四のときだったという。(太宰治「津軽」)<奉公する〉少年は、家が貧しいので、進学をあきらめて呉服屋に奉公することになった。<奉公先>奉公先の家で、少女は厳しい労働を強いられた。<滅私[めつし]奉公〉滅私奉公が戦時中の国民に強制された。 **ほうこう【芳香】** ○よい香り。[文例]〈芳香がする〉白檀[びゃくだん]は芳香のする常緑樹で、古くから香料をとる材として珍重されてきた。へ〈芳香を放つこの詩は、青春の慕情と感傷とがとけあって高い芳香を放っている。 **ほうこう(咆哮)** ○叫びほえること。また、その声。[文例] 〈オオカミの咆哮〉寂しい山中の一人住まいに、風の音はオオカミの咆哮のごとく不気味に響く。♠〈咆哮する〉トラは、白い月を仰[あお]いで雄々[おお]しく咆哮した。 **ほうこう(彷徨)** ○あてもなくさまようこと。[文例]〈彷徨する〉わたしは孤独を紛[まぎ]らすために、ふらふらと夜の街を彷徨した。♠へ〈彷徨する〉理想と現実の間を彷徨して悩む青年に、師は一冊の本を手渡した。 **ぼうこう【暴行】** ○他人に暴力をふるうこと。また、その行為。[文例]〈暴行を加える〉酔っていたからといって、人に暴行を加えるというのは許しがたい。♠へ〈暴行をはたらく〉よたものが町をうろつき、暴行をはたらくなどして物騒[ぶつそう]極まる。♠へ〈暴行を受ける〉バイクの少年は、取り締まりの警官から暴行を受けたという。 **ほうこく【報告】** ○告げ知らせること。任務や調査などの結果を告げ知らせること。[文例]〈報告がある〉試験の結果を見に行った兄から、まだなんの報告もありません。へ〈報告を受ける〉その件について、責任者のわたしは何の報告も受けていません。♠〈報告が行く・来る〉検査の結果については、こちらから報告が行きます。♠へ〈報告をまとめる>事件などの報告をまとめる時は、「いつ・どこで・だれが・なにを・どうしたか」という要領で書いていきます。♠へ〈報告を出 <1011> ほうしゅう すこれまでの調査をまとめた報告を、委員会に出しておこう。♠へ〈報告する〉昨日の委員会で決まったことを報告いたします。◆<報告書〉全国の営業所から、新製品の売り上げ状況[じようきよう]や評判などをまとめた報告書が送られてきた。♠〈会計報告>修学旅行の時にかかった費用の明細について、学校から会計報告がありました。 **ぼうこく【亡国】** ○滅亡した国。国を滅ぼすこと。[文例]〈亡国の民〉国は滅び、国民は亡国の民となり果てた。♠ヘ〈亡国の響き〉かつて異邦人[いほうじん]の手によって征服されたこの国の民謡には、物悲しい亡国の響きがある。◆ヘ〈亡国の徒〉当時の社会では、働かない者は亡国の徒と非難された。 **ぼうさい【防災】** ○災害を防ぐこと。[文例] 火山国であるわが国では、防災上、地震や火山活動についての的確な情報が強く求められる。♠〈防災訓練〉九月一日、防災の日の今日、全国各所で防災訓練が実施されました。 **ほうさく【方策】** ○はかりごと。手段。手だて。[文例]〈方策を講じる〉この問題について責任を論議するより、それを解決する具体的な方策を講じよう。♠〈方策を立てる〉目的を達成するためには、何らかの方策を立てて計画的に進めなければなりません。 **ほうさく【豊作】** ○作物がよくできること。[文例]〈米の豊作>米の豊作が続いたのは、大いに喜ぶべきことであった。♠<豊作を願う>農民たちは、豊作を願いながら丹誠[たんせい]込めて作物を育てました。♠〈豊作貧乏〉ハクサイがとれ過ぎて市場価格が低落し、農家では豊作貧乏に泣いている。 **ぼうさつ【忙殺】** ○非常に忙しいこと。仕事などに追いまくられること。[文例]〈仕事に忙殺される〉仕事に忙殺されて、ゆっくりと趣味を楽しむ余裕もない日々である。へ〈雑務に忙殺される〉研究室の雑務に忙殺されて、専門の研究に熱中できないのが悩みです。 **ほうし【法師】** ○仏道の師。[文例]】すげがさをかぶり、右手に杖[つえ]、左手に数珠[じゅず]を持った旅の法師の姿がありました。◆<影法師>月明かりの道に、影法師が映っている。 **ほうし【奉仕】** ○営利を離れて社会や人のために尽くすこと。商品を安く売ること。[文例]〈社会に奉仕する〉少しでも、社会に奉仕できる人間になりたいものです。♠〈神に奉仕する〉神父さんのように、神に奉仕することを一生の仕事としている人もいます。♠〈奉仕活動〉心の伴[ともな]わない、形だけの奉仕活動では意味がありませんね。◆<無料奉仕>理容師の母は、月に一度施設[しせつ]に行って、無料奉仕で子供たちの散髪をしています。♠〈勤労奉仕〉皇居の周りは、日本各地から来た勤労奉仕の人々の手によって掃除されているという。 **ほうし(放恣・放肆)** ○勝手きままで節度がないこと。[文例] 〈放恣に流れる>夜昼なく友人が訪れて騒[さわ]ぐ下宿生活は、放恣に流れて勉強どころではなかった。♠〈放恣な生活>学生時代は気ままに遊び回って、放恣な生活を続けたものです。 **ほうじ【法事】** ○死者の供養[くよう]のために行う行事。法要。[文例] 〈法事をする〉仏教では、死者の追善供養のために、死後四十九日目、年忌[ねんき]などに法事をします。♠〈法事がある〉祖父の三回忌の法事があるので、親類が大勢集まりました。 **ぼうし【帽子】** ○頭にかぶるもの。物の頭部にかぶせるもの。[文例]〈帽子をかぶる〉あら、大きな麦わら帽子をかぶって、セミとりに行くの? ♠〈帽子をとる〉帽子をとって先生にあいさつした。♠〈帽子を脱[ぬ]ぐ>室内では帽子は脱ぐべきなんだろうけど、こう寒くてはかぶったままでいたいなあ。 **ぼうし【防止】** ○防ぎ止めること。[文例]〈防止する>交通量が多いので、事故を防止するためにガードレールが設置されました。♠〈公害防止>生産増大よりも公害防止に努めるべきだという声が高まっていました。 **ほうしき【方式】** ○定まったやり方・方式。[文例]へ〈いろいろな方式>結婚式一つをとり上げてみても、教会、神前、仏前などいろいろな方式がある。♠へ〈方式が異なる〉各国選手団の入場行進の様子を見ると、右手を上げたり、帽子を胸に当てたり、国によって方式が異なります。♠〈方式がある>漢字で数を表す場合、「一・二・三」のほかに「壱・弐・参」を使う方式がある。◆く〈方式を採る>国民年金は、物価上昇に伴い、保険料が上がっていくという方式を採っている。♠食〈方式に従う〉入会の際は、所定の方式に従って手続きしてください。◆ヘ〈マンツーマン方式〉コーチにマンツーマン方式で鍛[きた]えられて、技術がぐっと上達した。◆ヘ〈コンピュータ方式>市立図書館では、本の整理を敏速[びんそく]にするために、新しくコンピュータ方式を導入したそうです。 **ほうしゃ【放射】** ○線状のものを一点から四方八方に放出すること。[文例]〈放射する〉不思議な物体は、青白い光線を放射していた。♠〈放射性〉プルトニウムは放射性元素であり、原子爆弾の原料となります。♠〈放射能〉キュリー夫人は、ついには自分の発見した放射能障害によって生涯を閉じました。へ〈放射状〉水平線から顔をのぞかせた太陽から、光線が放射状に広がった。 **ぼうじゃくぶじん【傍若無人】** ○人前をはばからず、勝手きままにふるまうこと。[文例]〈傍若無人な人〉周りの迷惑[めいわく]も考えない傍若無人な人のおかげで、会がめちゃくちゃになった。♠へ〈傍若無人の振る舞い〉彼は、文字通り、傍[かたわ]らに人無きが若しの傍若無人の振る舞いで周囲に嫌われている。 **ぼうじゅ【傍受】** ○第三者が他人の間の通信を受信すること。[文例]〈傍受する〉戦争中はもとより、平時でも、他国の軍や情報機関の暗号通信を傍受し、解読することが行われています。 **ほうしゅう【報酬】** ○労働や骨折りに対して報いるための金品。報い。返礼。[文例]〈報酬を払う〉仕事をしてもらったら、その労力に見合った報酬を払わなくてはなりません。◆<報酬を得る〉父が働いて得た報酬で、わが家の生計が成り立っているわけです。♠へ〈報酬を受ける〉わたしたちの公園の掃除は無料奉仕で、市からは一切の報酬を受けておりません。♠へ〈報酬をくれる〉近くの農家で畑の草取りを手伝ったら、おばさんが報酬として野菜をどっさりくれた。♠〈努力に対する報酬〉今回の受賞は、彼の努力に対する当然の報酬といえるだろう。◆へ〈報酬を期待する〉報酬を期待し <1012> ほうじゅう ない親切こそ、本当の親切といえるでしょう。●へ〈無報酬>おばさんたちは、毎日無報酬で通学児童の安全のために働いているわけですか。 **ほうじゅう【放縦】** ○勝手きままなこと。好き勝手。ほうしょう。[文例]〈放縦な生活〉そのころわたしは、人生に何の意味も見いだせず、だらしなく放縦な生活を続けていた。♠〈放縦をきわめる〉この世の中の美しいもの、善いもの、真なるものを見失えば、その人の生活は放縦をきわめることになろう。 **ほうしゅつ【放出】** ○勢いよく出す、また出ること。ためたものを外に出すこと。[文例]〈エネルギーの放出〉ウランやプルトニウムなどが核分裂[かくぶんれつ]を起こすと、大きな爆発と共に大量のエネルギーの放出が行われる。♠〈放出する〉政府は、このほど大量の輸入牛肉を市場に放出した。 **ほうじゅん(芳醇)** ○香りが高く、味がよいこと。[文例]<芳醇な香り〉ワイン工場内のその部屋には、ブドウの芳醇な香りが漂[ただよ]っていた。♠〈芳醇な酒>古都の春は、芳醇な酒に似て、酔いのうちに暮れてゆく。 **ほうしょう(放縦)** ↓ほうじゅう **ほうじょう(豊饒)** ○富んで豊かなこと。[文例]〈豊饒な大地〉川は満々と水をたたえ、豊饒な大地には余るほどの作物が実った。♠へ〈豊饒な土壌[どじよう]>やがて戦後文壇の豊饒な土壌の上で、戦後派の作家たちの活動が開始される。 **ほうしょく【奉職】** ○公の職につくこと。[文例]〈奉職する〉わたしは大学院修了後、講師として母校に奉職することになった。 **ほう・じる【報じる】** ○報いる。知らせる。報道する。[文例] 〈恩に報じる〉主君亡きあとは若君を守ることが、その恩に報じることになろう。♠へ〈死を報じる〉師を見舞った翌日、その死を報じる電報が届いた。♠〈事件を報じる〉以前、この町である事件が起こり、これは新聞にも報じられました。 **ほう・じる【奉じる】** ○おしいただく。絶対のものとしてあがめ守る。命を受けて職につく。さしあげる。奉る。[文例]<命を奉じる〉わたしは、皇帝の命を奉じて使者としてたった。♠〈主義を奉じる〉この歌人は、共産主義を奉じ、農民の生活に密着[みつちやく]した詩歌を作った。♠へ〈職を奉じる〉詩作を志したが、妻子を養[やしな]うために節を曲げ、地方官吏[かんり]の職を奉じることになった。♠へ〈貢[みつ]ぎ物を奉じる〉諸国の大名は、織物など土地の産物を将軍への貢ぎ物として奉じた。 **ほうしん【方針】** ○(方位を示す磁針の意から)物事をおし進める上で基本となる方向。[文例]〈方針を決める〉今後、どのように会を運営していくか、まずその方針を決めよう。♠〈方針を立てる〉論文を書くにあたって、まず、大きく方針を立ててみた。♠〈方針を変える〉登頂の予定だったが、天候がくずれてきたので、やむなく方針を変えて下山した。♠〈方針が狂[くる]う〉少人数で行くはずが、だんだん希望者が増えてきて、最初の方針が狂ってしまった。♠〈会の方針〉〈方針に従う〉入会した以上、この会の方針に従って活動していくことになります。♠〈方針に掲[かか]げる〉新市長は、「明るく住みよい町づくり」を方針に掲げ、市民に協力を呼びかけた。♠〈方針とする〉あの学校は、キリスト教による教育を方針としているミッションスクールです。♠〈教育方針>わが家の教育方針は、「人にはやさしく、自分には厳しく」です。 **ほうしょく【飽食】** ○飽きるほど十分に食べること。食物に不自由のないこと。[文例]<飽食の時代>飽食の時代といわれる今日も、世界のどこかで飢えのために死んでゆく人々が大勢いるのです。♠へ〈飽食する〉飽食してでぶでぶと太ったきみには、かつての青年の面影[おもかげ]はない。♠<飽食暖衣>飽食暖衣の貴族たちと貧しい農民たちの暮らしぶりは、あまりに違い過ぎた。 **ほうしん【放心・放神】** ○魂が抜けたようにぼんやりすること。安心すること。[文例]〈放心する〉放心したように庭を見つめている老人の顔には、寂しい孤独な表情があった。◆<放心状態>夫の死後、しばらくは放心状態で時が過ぎていきました。 **ほうず【方図】** ○限り。際限。[文例]〈方図がない〉お酒もたまにならいいが、そんなに方図もなく飲み続けると体をこわす。♠〈方図がない〉おじいさんは、「極楽は方図のない桃源郷でね。」と孫のぼくに語り始めた。♠〈野方図>きままな生活にも限度があって、野方図なのはいけない。 **ぼうず【坊主】** ○住職。僧。頭に髪がないこと。短い髪の頭。男の子。[文例]〈坊主憎けりゃ袈裟[けさ]まで憎い「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」というが、その人を憎らしいと思うと、それに関係するものまで憎らしくなってくる。へ〈坊主になる〉おれの言うことがまちがってたら、坊主になって謝るよ。◆〈山が坊主になる〉木が次々に切り倒されて、山が坊主になってしまった。◆おい、坊主、おじちゃんといっしょに釣りに行かないか? ◆<坊主丸もうけ〉ただでもらったものを人に売りつけるんじゃ、坊主丸もうけと同じだな。♠〈坊主頭〉たけちゃんは、目のくりくりした、坊主頭のかわいい男の子です。へ〈なまぐさ坊主〉新しい住職は、酒は飲むしバクチはするし、とんだなまぐさ坊主だ。♠<腕白[わんぱく]坊主>子供のころ、ぼくは大変な腕白坊主で、だいぶ親に手を焼かせたらしい。◆◇〈三日坊主〉ラジオの英語講座を聴くことにしたと言ったら、どうせ三日坊主でしょ、と笑われた。 **ほうすい【放水】** ○水を勢いよく出すこと。水を流し出すこと。[文例]〈放水する〉火災のときすぐに放水できるように、町の各所に消火栓[せん]が配置してあります。♠〈放水路>水害防止のために堤防を築いたり、放水路を設けるなどの工夫をしている。へ〈放水口〉ダムの放水口から、水が滝のように川にはじけ落ちる。 **ほうせい【方正】** ○行いなどが正しいこと。[文例]〈品行が方正>生徒のころから成績もよく、品行も方正だった。◆〈品行方正>息子は学業優秀、品行方正の、絵にかいたような優等生でした。 **ほうせき【宝石】** ○硬質で美しく、高価で希少[きしよう]な鉱物。[文例])〈宝石を散りばめる〉夜空には、宝石を散りばめたように無数の星がまたたく。♠〈宝石の輝[かがや]き>女王の瞳[ひとみ]は、宝石の輝きを放っていた。 <1013> ほうちょう **ぼうせん【防戦】** ○相手の攻撃を防いで戦うこと。[文例] <防戦につとめる〉敵の激しい攻撃に、わが軍は懸命に防戦につとめた。♠へ〈防戦にあたる>銀行に強盗が押し込み、行員たちが防戦にあたったという。♠へ〈防戦する>女子三人に詰めよられて、ぼくはたった一人で防戦した。 **ぼうぜん(呆然・茫然・惘然)** ○あっけにとられるさま。気抜けしてぼんやりするさま。とりとめのないさま。[文例]〈ぼう然とする〉恋人[こいびと]の乗った飛行機を見送ったあと、彼女はしばらくぼう然としていた。◆く〈ぼう然として>踊り狂う若者を、大人たちはしばしぼう然として眺[なが]めていた。♠へ〈ぼう然と立ちつくす〉教室の片隅[かたすみ]にぼう然と立ちつくしていた彼女は、先生の声にはっと我[われ]に返った。♠〈ぼう然と〜する〉敗戦が決まった瞬間[しゅんかん]、選手たちはぼう然と顔を見合わせ、声も出ない。へ〈ぼう然の体[てい]>先生の意外な返事に、生徒たちはしばしぼう然の体だった。♠〈茫然自失する〉冷静沈着な彼も、その時ばかりは茫然自失して、何もできなかったそうです。 **ほうそう【放送】** ○電波にのせて番組を送ること。[文例] 〈ラジオ・テレビの放送>日本でラジオの放送が始まったのが一九二五年、テレビの放送は一九五三年です。♠〈放送を聞く〉わたしは、いつもラジオの放送を聞きながら夕食の仕度をします。♠へ〈放送が入る〉校庭で遊んでいると、「図書委員は、至急図書室に集まってください。」という放送が入った。♠〈放送する〉選挙の開票結果を、テレビが繰り返し放送しています。♠〈放送局〉あのばあさんときたら放送局だから、秘密だって町じゅうに広がってしまう。 **ほうそう【包装】** ○物を上から包むこと。荷づくり。[文例] デパートの店員さんのように、きれいに包装ができたらいいな。♠〈包装する〉ふろしきは、大小いろんな形の物を包装できるし、小さくたためるので大変重宝です。♠へ〈包装紙>手作りのお菓子をきれいな包装紙に包み、リボンをしました。 **ぼうそう【暴走】** ○乱暴な運転で車を走らせること。車がひどく不規則に走り出すこと。[文例])〈暴走する〉〈暴走車>突然車が暴走し始めたが、大きな木に衝突[しようとつ]して、その暴走車はやっと止まった。♠〈暴走する〉心はやる若者たちは、若さにまかせて暴走したい気持ちにもなろう。♠へ〈暴走族〉週末の夜になると、暴走族がすさまじい音をたてて海岸通りを飛ばす。 **ほうそく【法則】** ○守らなければならないおきて。一定の条件の下では常に変わらない関係。[文例] 〈自然界の法則>宇宙は、自然界の法則によって秩序[ちつじよ]立てられている。◆〈万有引力の法則〉ニュートンは、万有引力の法則を発見した。◆〈一定の法則〉メンデルは、エンドウの実験によって、遺伝のしかたには、ある一定の法則があることをつきとめました。♠〈法則に従う〉〈法則を守る〉ユダヤ人たちは、モーゼの掟[おきて]を絶対の法則として守り、それに従って生活した。♠へ〈法則性〉わたしたちの心にも、善を行えば快くなり、悪を行えば不快になるといった、法則性のようなものが見いだせます。 **ほうたい【包帯】** (繃帯)○患部に巻きつけて保護するための布。[文例]〈包帯を巻く〉傷ついたハトに薬を塗り、包帯を巻いてやりました。♠〈包帯を替える〉わたしは、負傷者の包帯を替えてやった。♠〈包帯をする〉ぼくが頭に包帯をしているので、みんなが、どうしたの、と聞いた。 **ほうだい【放題】** ○思う存分にふるまうさま。[文例]へ〈したい放題>夏休みは、思う存分したい放題をして遊びほうけた。♠〈伸び放題>空き地には、雑草が伸び放題に伸びている。♠〈荒れ放題>代々しがみつくようにして守ってきた畑は、今じゃ耕す者もなく荒れ放題だ。 **ぼうだい【膨大】** (厖大・杉大)○非常に大きいさま。非常に多いさま。ふくれて大きくなること。[文例]〈膨大な量>毎日毎日、膨大な量の水が消費されます。♠へ〈膨大な資料>図書館が便利なのは、その膨大な資料が内容別に分類されているからです。♠へ〈膨大な歴史>偉大な発明や発見の多くは、その背後に膨大な失敗の歴史をもっている。 **ぼうだち【棒立ち】** ○棒のようにまっすぐに立つこと。[文例]〈棒立ちになる〉突然、道ばたの馬がけたたましくいななき、棒立ちになった。♠へ〈棒立ちになる〉相手の激しい押しを、横綱[よこづな]は棒立ちになって残した。♠へ〈棒立ちに立ちすくむ>悪夢のような情景を目にして、わたしは棒立ちに立ちすくみました。 **ほうだん【砲弾】** ○大砲の弾[たま]。砲丸。[文例]〈砲弾を浴びせる>敵の砲弾を浴びせられて、船は沈んだ。♠へ〈砲弾が飛ぶ〉砲弾が飛び交[か]う戦場で、歌は兵士たちの心を大いに慰めてくれた。♠へ〈砲弾が落ちる〉ドーンというものすごい響きがして、砲弾が畑に落ちたのだった。 **ほうち【報知】** ○知らせること。知らせ。[文例]〈報知がある〉新聞紙上に、天皇陛下が本県を御来訪なさるとの報知があった。♠へ〈報知を待つ〉故郷の両親からの報知を待って、わたしは帰郷するべく用意をしていた。◆◇〈火災報知器>火事を見つけたので、火災報知器のボタンを押した。 **ほうち【放置】** ○そのままほうっておくこと。[文例]〈放置する>畑が草の生えるままに放置してある。◆へ〈放置する>現在のような過密社会では、ペットを放置するといろいろな不都合が生じます。◆〈放置自転車〉駅前の放置自転車が、歩行者の通行の妨[さまた]げとなっている。 **ほうちく【放逐】** ○追い払うこと。追放。[文例]〈放逐する〉若いゴリラは、とうとう群れから放逐されてしまった。 **ほうちゃく(逢着)** ○出くわすこと。出あうこと。[文例]<逢着する〉転勤の命が下ってまず逢着するのは、住居をどこに定めるかということであろう。♠へ〈逢着する〉論考を進めていくうち、思わぬ矛盾に逢着した。 **ぼうちゅう【忙中】** ○忙しいさなか。[文例]〈忙中閑[かん]あり〉あわただしい年末だといっても、忙中閑ありで俳句の会には出かけられます。 **ほうちょう【包丁】** (庖丁)○食物の調理に使う刃物。料理人。料理。[文例])〈包丁で切る〉〈包丁が切れる>洗った野菜を包丁で切ったが、これが切れない包丁でたいそう骨を折った。♠〈包丁を研[と]ぐ〉よく研いである包丁は切れ味がよく、料理 <1014> ぼうちょう もうまくできる。♠〈包丁を入れる〉上手にナスを焼くには、ところどころに包丁を入れておきます。 **ぼうちょう【膨張・膨脹】** ○ふくらむこと。ふくれ上がること。大きくなること。[文例]〈膨張する〉風船をあたためると、中の空気が膨張していく。♠へ〈予算の膨張〉防衛予算の膨張を、だまって許していていいのだろうか。♠へ〈人口の膨張〉ベッドタウンでは、おどろくほどの人口の膨張が見られます。 **ぼうちょう【傍聴】** ○会議や公判などをわきで聴くこと。[文例]〈公判の傍聴〉世間を騒[さわ]がせた事件の公判は、傍聴を希望する人々が長蛇[ちようだ]の列をなした。♠〈傍聴する〉国会を傍聴するには、正式な手続きが必要です。 **ほうてい【法定】** ○法律で定められていること。[文例]〈法定伝染病>チブスやコレラなど法定伝染病の患者が発生したら、届け出、隔離治療[かくりちりよう]などをしなければなりません。♠〈法定得票数>法定得票数に満たない候補者は、当選人にはならず、繰り上げ当選の対象にもならない。 **ほうてい【法廷】** ○裁判を行う場所。[文例]〈法廷に立つ〉もちろん、わたしは法廷の被告席に立ったことはありません。♠〈法廷に持ち込む〉両者の話し合いに決着がつかなければ、法廷に持ち込んで争うしかない。♠〈法廷闘争〉反対派農民は、実力阻止から法廷闘争に戦術転換をはかった。 **ほうてき【法的】** ○法の立場に立つさま。法律に関するさま。[文例]〈法的な根拠〉長男が家を継ぐべきだというが、それには法的な根拠はない。♠〈法的に規制する〉食品公害の防止のために、添加物[てんかぶつ]の使用品目、量などを法的に規制している。♠へ〈法的措置〉この問題に関しては、条例を作るなどして何らかの法的措置を講じる必要がある。 **ほうてき(放擲・拋擲)** ○投げ出すこと。ほうっておくこと。[例]〈放擲する>家業を放擲して郷土史の研究にふける長男を、両親は快く思っていなかった。♠◆<放擲する>負傷兵の多くが何の薬も与えられず放擲されていた。 **ほうと【方途】** ○進む道。方法。手段。[文例]〈方途がない〉助けたいにも、助けてやれる方途がない。♠〈方途をとる>目標達成のためにどんな方途をとるべきか。◆へ〈方途を見いだす〉この困難な局面を打開する方途を見いだすことができない。 **ぼうと【暴徒】** ○暴動を起こした人々。[文例]〈暴徒の鎮圧[ちんあつ]〉略奪を繰り返す暴徒の鎮圧のために、軍隊が出動した。◆〈暴徒と化する>広場に集まって気勢をあげていたデモ隊の一部は、暴徒と化して交番を襲った。 **ほうとう(放蕩)** ○道楽にふけって、品行が修まらないこと。[文例]〈放蕩の限り〉商店の一人息子は、放蕩の限りを尽くし、とうとう店をつぶしてしまった。♠〈放蕩息子〉改心してもどってきた放蕩息子を、父親は喜んで迎えた。 **ぼうどう【暴動】** ○大勢の人が集まって、社会の秩序を乱すような騒ぎを起こすこと。[文例]〈暴動が起こる〉過激派による暴動が起こり、市民が巻きぞえになった。♠へ〈暴動を起こす>反体制派が起こす暴動が相次ぎ、不穏[ふおん]な状態が続いている。 **ぼうとく(冒瀆)** ○神聖なもの、清らかなものを汚すこと。〔[文例]〈神に対する冒瀆〉世界を救うのは神の意志ではなく人の力だと言ったら、神に対する冒滴になるだろうか。◆〈冒潰する>女王の性的魅力をうんぬんしたからといって、女王を冒滴したことになるまい。 **ほうにん【放任】** ○かまわないで、ほうっておくこと。[文例] 〈放任する>非行を重ねる子を放任しておくとはひどい親です。♠〈放任主義>子供を締めつけるのはよくないが、かと言って、極端な放任主義というのも考えものだ。へ〈自由放任>自由放任といえばきみたちは喜ぶが、たとえてみれば、荒野にひとりで放されたようなものだよ。 **ほうねん【豊年】** ○穀物のよく実った年。豊作の年。[文例] 〈豊年まつり>旅にきて豊年まつりのうたきけり歓[よろこ]ぶこゑは身に沁[し]むものを(宮柊二[みやしゆうじ]) ◆<豊年満作〉今年は、天候にめぐまれて豊年満作まちがいなしだ。 **ほうどう【報道】** ○(新聞・放送などで)告げ知らせること。[文例]〈テレビの報道〉心配された飛行機事故も、全員無事というテレビの報道に、胸をなでおろした。<報道を行う・する〉新聞やテレビ・ラジオは、公正でかたよりのない報道を行う必要があります。♠〈報道を受ける>ホテル火災という報道を受けて、宿泊客の家族は現場にかけつけた。♠〈報道を送る>現代は、新聞やラジオ、テレビを通じて、世界各国の報道が毎日わたしたちのところに送られてきます。◆<報道する〉マスコミは、正確かつ客観的に報道するのでなければ、いろいろな弊害[へいがい]をもたらすことにもなる。●〈報道機関>ぼくは将来、新聞社とか放送局などの報道機関に勤めて、マスコミ関係の仕事をしたい。◆<報道陣[じん]>事件の現場は、関係者や取材にかけつけた報道陣でごった返していた。 **ほうのう【奉納】** ○神仏にささげること。[文例]〈奉納する〉村人たちは、その年収穫[しゅうかく]した農作物を神社に奉納し、収穫のお礼をします。♠〈奉納試合〉〈奉納相撲>神社の祭礼では、境内で綱引きなどの奉納試合や奉納相撲を行います。 **ほうはい(澎湃・彭湃)** ○水がみなぎり、さかまくさま。物事が盛んに起こるさま。[文例]〈澎湃たる海原[うなばら]〉澎湃たる海原を、船は木の葉のように頼りなげに漂[ただよ]う。♠〈澎湃として起こる〉大正期に入ると、人間の自由や権利を主張する世論が澎湃として起こった。 **ぼうとう【冒頭】** ○文章や話などの初め。話の前置き。〔[文例]) <冒頭の文〉「祇園精舎[ぎおんしようじゃ]の鐘の声、諸行[しよぎよう]無常の響きあり」は、平家物語の冒頭の文です。♠へ〈冒頭に掲げる〉作者は、自分の主張する中心テーマを冒頭に掲げ、以下それについて説明をしています。◆へ〈冒頭に置く>冒頭に「みなさん、お元気ですか。」と置いて、話は始められていた。 <1015> ほうぼう とした話〉大臣の話は、茫漠としてつかみどころがなかった。 **ぼうはつ【暴発】** ○銃弾[じゅうだん]が誤って飛び出すこと。物事が突発的に起こること。[文例]〈暴発を防ぐ〉ピストルには、暴発を防ぐ安全装置が付いている。♠ヘ〈けんかの暴発〉けんかの暴発を未然に防ぐために、警官がパトロールしていた。◆〈暴発する〉ハンターの銃が暴発し、その弾[たま]がいっしょにいた別のハンターに当たってしまった。 **ぼうはん【防犯】** ○犯罪を防止すること。[文例]〈防犯灯>夜遅くなるとこの辺は人通りが少ないので、防犯灯をぜひつけて欲しい。♠へ〈防犯ベル>夜道の女性の一人歩きは危険なので、防犯ベルを持って歩くことにした。 **ほうび【褒美】** ○ほめて与える金品。[文例]〈褒美をやる〉よく手伝ってくれたから、みんなに褒美をやろう。♠へ〈褒美をいただく>枯れ木に花を咲かせたおじいさんは、殿様からたくさんの褒美をいただきました。♠〈褒美にもらう〉がんばって勉強して成績が上がったので、褒美に自転車を買ってもらいました。 **ぼうび【防備】** ○敵の攻撃や災害などに備え、防ぎ守ること。また、その備え。[文例]〈防備を固める〉高波の被害の多いこの地域では、防波堤を高くするなどして防備を固めています。♠〈防備する〉国を防備するならいいけれど、国民の自由を弾圧したり、他国を侵略したりするので軍隊は困ります。♠〈無防備>善意の人だからなのだろうけれど、あなたは他人に対して無防備すぎます。 **ぼうびき【棒引き】** ○棒線を引くこと。帳簿に線を引いて記載事項を消すこと。貸借関係を相殺[そうさい]すること。帳消し。[文例]〈棒引きにする〉〈棒引きする〉肩をたたいてあげるから、昨日[きのう]借りたお金棒引きにして。♠へ〈借金の棒引き〉わたしは自分の窮状[きようじよう]を訴えて、彼に借金の棒引きを頼んだ。 **ほうふ【豊富】** ○豊かに富んでいるさま。[文例]〈栄養が豊富〉おいしく、しかも栄養の豊富な料理を工夫して作りましょう。♠へ〈商品が豊富〉店内には商品を豊富に取りそろえております。♠へ〈資源が豊富〉この国は、天然資源の豊富な国です。♠へ〈知識が豊富>読書家の彼は、さすがに知識が豊富だ。◆ヘ〈話題が豊富〉あの人は話題が豊富で、いっしょにおしゃべりしていると飽きることがありません。♠〈豊富な経験〉いざという時に適切な行動をとるのには、豊富な経験がものをいいます。♠へ〈豊富に集める〉作文を書く時は、まず書く材料を豊富に集めて、そこから選んで書くとよい。 **ほうふ【抱負】** ○心の中にもっている計画や決意。[文例]〈抱負がある〉わたしにはわたしなりに、将来に対する抱負があります。♠へ〈抱負を語る〉独立して仕事を始めた兄は、わたしに生き生きと将来の抱負を語って聞かせた。♠へ〈抱負を述べる〉社長は、新年のあいさつで、全社員を前に今年の抱負を述べました。 **ほうふく【報復】** ○仕返しすること。[文例]〈報復を受ける〉組織を裏切る者は、必ずや報復を受けるであろう。♠へ〈報復を恐[おそ]れる〉なんどお金をゆすり取られても、不良グループの報復を恐れる少年はだれにも話さなかった。♠へ〈報復する〉攻撃に対して報復すれば、それに対してまた敵の攻撃が始まる。♠〈報復措置>侵略があれば、わが国はただちに報復措置をとるであろう。 **ほうふくぜっとう【抱腹絶倒】** (捧腹絶倒)○腹をかかえ、転げ回って笑うこと。「[文例]〈抱腹絶倒をさそう〉値札の付いた上着を着て会社に出て、同僚[どうりよう]の抱腹絶倒をさそった。♠〈抱腹絶倒する〉わたしのこの失敗談を聞いたら、おそらく先生は抱腹絶倒されたでしょう。 **ほうふつ(彷彿・髣髴)** ○よく似ているさま。ありありと思い浮かぶさま。また、思い浮かぶこと。ぼやけているさま。[文例]】〈ほうふつとする〉めっきり大人びた弟は、亡き父の面影[おもかげ]をほうふつとさせる。♠く〈ほうふつとする〉懐[なつ]かしい友からの便りを読み進めると、故郷の山河がほうふつとしてくる。♠く〈ほうふつする〉(………………)中には何か在[あ]るらしい気色[けしき]だけれども、奥の全く暗いため何物をも髣髴する事が出来なかった。(夏目漱石「行人[こうじん]」) **ほうぶつせん【放物線】** (拋物線)○斜め上方に投げられた物が空中に描く曲線。〔[文例])〈放物線を描く>空に向かって投げたボールは、大きく放物線を描いて芝生に落ちた。 **ぼうへき【防壁】** ○敵を防ぐための壁。風・波・火などを防ぐ壁。[文例]〈防壁を築く〉屋敷[やしき]の周囲には、堅固[けんご]な防壁が築かれていた。♠〈国の防壁>四方を海に囲まれたこの国では、海が防壁となって敵の侵入を防いできた。 **ほうべん【方便】** ○人々を仏道に導くための一時的な手段。ある目的のための便宜的な手段。[文例] 〈方便を用いる〉どうしても出席したくない集まりなどは、方便を用いて逃げることもある。♠〈うそも方便〉うそも方便で、人の気持ちを傷つけないためにつくうそもあります。 **ほうほう【方法】** ○目的を達するためのやり方。手だて。[文例]〈身を守る方法〉動物は、いろいろな方法で自分の身を守りながら生きているのです。♠〈方法を取る・用いる〉今までのやり方でうまくいかなければ、新しい方法を取る必要がある。ヘ〈方法を講じる〉作物の収穫[しゅうかく]を上げるために、特別な方法を講じている。◆く〈方法が良い・悪い>方法が悪いと、成功するはずのものも、うまくいかなくなる。♠〈方法がある・ない〉こうなったら、強引に押しかけるよりほかに方法はない。♠〈方法を考える〉このやり方がだめだったら、また別に方法を考えよう。♠く〈方法を試す〉いろんな方法を試してみて、その中からいちばんよいものを選べばいいよ。♠へ〈最良の方法〉最良の方法だったとは言えないが、とっさの処置としては上出来だ。♠〈有効な方法〉比喩は、詩に生き生きとした感じを与える有効な方法の一つです。 **ほうぼう【方方】** ○あちこち。いろいろな方面。[文例]〈方々で見る〉以前は、たこ揚げやまりつきなどをして遊ぶ子供の姿が、原っぱや路地[ろじ]など、方々で見られたものです。♠〈方々の部屋>突然[とつぜん]鳴った防犯ベルの音に、方々の部屋から人が出て来ました。♠〈方々にいる〉UFO[ユーフオー]を見たという人は、昔から方々にたくさんいる。♠へ〈方々歩き回る〉一日じ <1016> ほうほう ゅう方々歩き回り、足が棒になってしまった。◆く方々捜[さが]す方々捜したが、なくなった自転車は見つからなかった。 **ぼうぼう** 火が盛んに燃え上がるさま。[文例]〈ぼうぼうと燃える〉しばらくすると、たき火の火はぼうぼうと燃え始めた。♠〈火がぼうぼう〉油断大敵、火がぼうぼう。 **ぼうぼう(茫茫)** ○広くはるかなさま。とりとめのないさま。草や髪などがのび乱れるさま。[文例]】〈茫々たる平原>茫々たる大平原は、空と溶けあってその限りを知らない。へ〈ひげぼうぼう〉昨夜山を下りて来たんだと、彼はひげぼうぼうの顔で現れた。♠へ〈草ぼうぼう〉夏は、ちょっと油断すると庭全体が草ぼうぼうになります。 **ほうほうのてい【ほうほうの体】** (這う這うの体)○さんざんな目にあって、かろうじて逃げ出す様子。[文例]こちらに責任のあることで言い訳もならず、ひたすら頭を下げてほうほうの体で引き下がった。 **ほうぼく【放牧】** ○牛・馬・羊などを放し飼いにすること。[文例]〈放牧する〉火山の火口原では、放牧された馬の姿が見られました。♠〈放牧場〉初夏になると、放牧場では、あちこちで親子づれの牛や馬の姿が見られる **ほうまん【豊満】** ○豊かにあること。肉付きがよいさま。[文例]<豊満な肉体〉ルノワールの作品には、豊満な肉体の女性が描かれています。 **ほうまん【放漫】** ○でたらめで、しまりがないさま。[文例] 〈放漫な経営〉二代目社長の放漫な経営によって、会社は少しずつかたむいていった。 **ほうむ・る【葬る】** ○遺体・遺骨を土に埋める。人の目にふれないようにする。社会的地位を失わせる。[文例]〈墓に葬る〉木村家の人間は、先祖代々この墓に葬られています。♠〈遺骨[いこつ]を葬る〉たった今、亡くなった祖父の遺骨を葬ってきたところです。へ〈やみからやみに葬る〉その事件は、表[おもて]ざたにされることもなく、闇[やみ]から闇に葬られていった。人〈世間から葬られる〉一時、多くの人々の支持を得たその作家も、今ではすっかり忘れられ、世間から葬り去られた。 **ぼうめい【亡命】** ○政治的な理由で外国へ逃れること。[文例]〈亡命する〉革命軍の手によって追われた貴族たちは、外国へ亡命していった。♠へ〈亡命者〉第二次大戦中はナチスの手を逃れて、多くの亡命者が出た。 **ほうめん【方面】** ○その方向の地域。全体の中のある部分・分野。[文例]〈関西方面>彼は、学校を卒業すると、関西方面の企業に就職した。♠へ〈どちらの方面〉将来はどちらの方面に進むつもりですか。♠へ〈いろいろな方面〉いろいろな方面の人に会って、その人生観を聞いてみた。♠へ〈あらゆる方面〉彼女は、あらゆる方面の才能にめぐまれたうらやましい人です。♠〈多方面>遺伝子組み換えの技術が、多方面に使われるようになりました。 **ほうめん【放免】** ○放して自由にしてやること。釈放すること。[文例]〈放免になる>模範囚[もはんしゆう]として刑に服した男は、刑期を軽減されて予定よりも早く放免になった。♠へ〈放免する〉わたしはなんとか理由をつけて、いやな役目から放免されようと思った。♠〈無罪放免>取り調べの結果、身の潔白が証明されて無罪放免となった。 **ほうもん【訪問】** ○人を訪ねること。その土地を訪れること。[文例]〈訪問に来る〉今日は、先生が家庭訪問に来る日なので、何だか胸がどきどきします。♠へ〈訪問を受ける〉近くに引っ越して来た人の訪問を受けました。♠へ〈人を訪問する〉旅行の帰りに、久しぶりに旧友を訪問し、昔話[むかしばなし]に花を咲かせた。へ〈家を訪問する〉友達数人で、小学校時代の先生の家を訪問しました。◆へ〈国を訪問する〉その国の首相が近く日本を訪問する予定だそうです。♠へ〈訪問客>午後に大事な訪問客があるからと、母は朝から、準備に忙[いそが]しそうです。 **ほうよう【法要】** ○仏教で死者を供養する行事。法事。[文例] 〈法要を行う〉今年は、父の七回忌の法要を故郷で行う予定です。♠〈法要を営む〉教え子がおおぜい集まって、昨年亡くなった恩師の法要が営まれた。 **ほうよう【包容】** ○中に包み込むこと。広く受け入れること。〔[文例]〈包容力〉彼は相手の話をじっくり聞き、適切なアドバイスを与えてくれる、実に包容力のある人物です。 **ほうよう【抱擁】** ○だきかかえること。だき合って愛撫[あいぶ]すること。[文例]〈抱擁する広い野原で遊んでいると、大自然に抱擁されたような幸福な気分になる。◆へ〈人と抱擁する〉君が私を殴ってくれなければ、私は君と抱擁できない。(太宰治「走れメロス」) **ぼうよう(茫洋・芒洋)** ○広々として限りのないさま。広々として目当てのつかないさま。[文例]】〈茫洋と広がる〉バスの窓にはアメリカの大草原が茫洋と広がっている。♠へ〈茫洋たる海原〉岬のはなに来ると、目の前に茫洋たる海原が展開する。◆<茫洋とした人>茫洋とした人で、何を考えているのやら、まるでつかみどころがなかった。 **ぼうようのたん【亡羊の嘆】** ○(逃げた羊を追ったが、分かれ道が多くて見失ったという故事から)学問の道が多方面にわたるので、真理が得がたいという嘆き。途方にくれること。[文例]〈亡羊の嘆をかこつ〉学問の奥深さに亡羊の嘆をかこつのはわかるが、そんな時は初心に返ってみたまえ。 **ぼうよみ【棒読み】** ○漢文を返り点に従わずに音読すること。文章を一本調子に読み下すこと。[文例]〈棒読みする〉せりふを棒読みしたのでは、そこに込められた感情が伝わりません。 **ぼうらく【暴落】** ○値段が一時に大きく下がること。「[文例] 〈株の暴落〉あいつは、株の暴落でだいぶ損をしたらしい。♠〈暴落する〉この事件がもとで、彼女の人気は暴落したそうだ。 **ほうらつ(放埒)** 勝手きままで、だらしないこと。[文例] 〈放埒をきわめる〉口うるさい父親が死ぬと、この息子の生活は放埒をきわめ、世間からすっかり見離されてしまった。♠〈放埒な暮らし>親から受け継いだ財産も、酒だ女だと放埒な暮らしを送るうちに使い果たしてしまった。 **ぼうり【暴利】** ○不当な利益。[文例] 〈暴利をむさぼる〉事件としてあかるみに出るのは氷山の一角で、裏で暴利をむさぼる者がいるにちがいない。♠へ〈暴利を得る〉あの業者は、 <1017> ほえづら 悪らつなやり方で暴利を得ていたという。 **ほうりこ・む【ほうり込む】** (放り込む)○投げ入れる。収容する。[文例]〈口にほうり込む〉父親は、ポケットから取り出したあめ玉をすばやく子供の口にほうり込んだ。♠へ〈修道院にほうり込む〉十歳のとき修道院にほうり込まれたジャンは、十八の年までそこで暮らすことになった。 **ほうりだ・す【ほうり出す】** (放り出す)○投げて外に出す。打ち捨てる。捨てたままにする。途中で投げだす。惜し気もなくすべてを出す。[文例]〈外へほうり出す>母はかんしゃくを起こして、テーブルの上のお皿を窓の外へほうり出した。◆〈物をほうり出す〉迎えの母親の姿を見つけると、子供たちは持っていたおもちゃをほうり出して走っていった。♠〈途中でほうり出す〉途中まで読んでほうり出した本が机の上にたまってしまった。♠〈仕事をほうり出す〉おや、うちの棟梁[とうりよう]、仕事をほうり出したまま、どこ行っちまったんだろ。♠〈世間にほうり出す〉両親を亡くした幼い兄妹は、たった二人で世間にほうり出された。 **ほうりつ【法律】** ○国家の力によって定められたきまり。国会で可決され成立・公布される国のきまり。[文例]〈法律を守る〉どんな法律でも、守らないと罰[ばつ]せられます。♠へ〈法律を作る〉より明るく住みよい社会にするため法律を作るわけだが、それが多過ぎたらかえって窮屈[きゅうくつ]になるでしょう。♠〈法律を定める〉法律は、国会の議決を経て定められる。♠<法律に引っかかる〉心配するな、法律に引っかかるようなことはしてないから。♠〈法律に触れる〉わたしは何も、法律に触れるようなことはやっていない。♠〈法律を破る〉〈法律に照らす>他の国の人が法律を破った場合も、国内では日本の法律に照らして罰せられることになっています。♠〈法律でしばる〉法律で人をしばるより、自由を尊重し、個人の良心を信用するほうが民主的だ。♠〈法律を改める>長い間のうちに、情勢に合わなくなってきたので、一部、法律を改めることにした。 **ほうりな・げる【ほうり投げる】** (放り投げる)○乱暴に投げる。途中で投げだす。[文例]〈物をほうり投げる〉ぐったり疲れて家に帰ると、わたしは荷物をほうり投げて畳の上に大の字になった。♠〈仕事をほうり投げる〉年に一度の祭りが近づくと、町じゅうの男たちが仕事をほうり投げて準備にかけ回る。 **ぼうりゃく【謀略】** ○人をおとしいれるためのはかりごと。[文例]〈謀略をめぐらす〉ライバルを陥[おとしい]れるためにさまざまに謀略をめぐらす。♠〈謀略にかかる〉攻め込んだところを敵の謀略にかかって捕らえられてしまった。♠へ〈謀略にひっかかる〉こんなに簡単に相手の謀略にひっかかってしまうなんて、われながら情けない。 **ほうりゅう【放流】** ○せき止めた水を流すこと。魚を川などに放すこと。[文例]〈稚魚[ちぎよ]の放流〉この川にサケをもどすために、毎年稚魚の放流をしています。♠へ〈放流する〉雨量の少ない年には、この貯水池の水を放流して水不足を補っている。 **ぼうりゅう【傍流】** ○本流から分かれた流れ。主流から外れた流派。[文例]〈本流と傍流〉結党以来佐藤派が保守の本流を占めたのに対して、三木派は常に傍流にあった。 **ぼうりょく【暴力】** ○無法な行為をする乱暴な力。[文例] 〈暴力をふるう〉おとなしい兄が暴力をふるったのには、それなりの訳があるのです。♠へ〈暴力に訴[うつた]える〉彼は自分の意見が通らないと、すぐ暴力に訴えるので、みんなに嫌われている。♠へ〈暴力を加える〉追いついた男たちは、赤いセーターの男が立ち上がれなくなるまで、暴力を加え続けた。♠〈暴力をもてあます〉同級生はもちろん、学校の先生までもが、健太の暴力をもてあましている。♠へ〈暴力による〉何かの本で読んだけど、暴力によって得た権力は長続きしないって、本当だね。♠へ〈音の暴力〉近ごろは、ピアノの音やカラオケなど、音の暴力が社会問題となっている。 **ほう・る(放る・抛る)** ○投げる。投げ捨てる。放置する。そこからほうってくれないか。♠〈空き缶をほうる〉乗り物の窓から空き缶をほうるのは、絶対にやめよう。◆く〈勉強をほうる〉勉強をほうって好きなことばかりやっていたので、成績はひどいものでした。◆く〈ほうっておく〉いくら言っても聞かないんだから、ほうっておきなさい。◆く〈ほうり出す〉体の小さなぼくは、相手にあっけなく土俵の外にほうり出されてしまった。◆く〈ほうりこむ〉プールぎわで友達と言い合いになり、プールの中にほうりこまれた。 **ぼうれい【亡霊】** ○死者の霊。幽霊。[文例]〈亡霊にとりつかれる〉盲目[もうもく]の若者芳一[ほういち]は、琵琶の名手であったため、平家の亡霊にとりつかれ、あやうく命を落とすところであった。♠〈亡霊が現れる>王子の前に殺された国王の亡霊が現れ、叔父の陰謀[いんぽう]を語って消えた。 **ほうろう【放浪】** ○さまよい歩くこと。さすらうこと。[文例] 〈放浪の旅>古来、芸道をきわめようとする人々の中には、放浪の旅に出るものが多かった。へ〈放浪する〉松尾芭蕉[まつがばしよう]は、各地を放浪して多くの句を作った。♠〈放浪癖>若いころからの放浪癖が抜け切れず、今でもふらりと目的のない旅へ出かけたくなる。 **ぼうろん【暴論】** ○乱暴な議論。[文例]この人の世で、強いものが生きのび、弱いものは滅びよ、というのは暴論ではないか。♠へ〈暴論を吐く>暴れ者として知られるこの議員は、議長の制止も聞かずに暴論を吐き続けた。 **ほうわ【飽和】** ○限度いっぱいに満ちること。[文例]〈飽和する〉わたしの頭は、彼女のことで完全に飽和していた。♠〈飽和状態>大都市では、人口が飽和状態になり、住宅難や交通ラッシュなどの問題が生じている。 **ほえた・てる(吠え立てる・吼え立てる)** ○大声で、さかんにほえる。[文例]〈犬がほえたてる〉門をはいろうとすると、中から猛烈[もうれつ]な勢いで犬がほえたてた。♠〈人がほえたてる〉隣のおかみさんはまたヒステリーが始まったのか、子供に向かってほえたてている。 **ほえづら【ほえ面】** (吠え面)○泣きつら。泣き顔。[文例]お <1018> ほえる まえのほえ面なんか見たくもない。泣きわめくのなら外へ出ろ。♠へ〈ほえ面をかく〉そんな強がりを言って後でほえ面をかくなよ。 **ほ・える(吠える・吼える)** ○犬・獣が大きな声で鳴く。大声で鳴く。どなる。[文例]』〈犬がほえる>遠くで犬のほえる声が聞こえます。◆ヘ〈ライオンがほえる〉おりのライオンが突然[とつぜん]ほえたので、おびえた子は泣き出してしまった。♠へ〈ほえる犬はかまない「ほえる犬はかまない」といって、大声でわめく人ほど気の小さい人が多いものです。♠〈波がほえる〉あらしはますますひどくなり、波はほえるように音を立てて荒れくるった。♠へ〈大声でほえる〉そんなに大声でほえなくても、ちゃんと聞こえてるよ。 **ほお(類)** ○顔の両側面の柔らかいところ。ほっぺた。[文例] 〈ほおを赤くする〉冷たい北風の中で、弟たちはほおを赤くして遊びまわっている。♠く〈ほおを赤らめる〉いたずらを見つかった少年は、ほおを赤らめ、じっと下を向いたままでした。♠〈ほおをふくらませる〉弟は、人に注意されると、すぐにほおをふくらませる悪いくせがある。♠へ〈ほおがこける〉ベッドの中の父は、げっそりとやつれ、ほおがこけて別人のようだった。♠へ〈ほおをすり寄せる〉お母さんは、赤ちゃんにほおをすり寄せると、優しく子守歌を歌い始めました。◆<ほおが落ちる〉釣った魚をその場でさし身にして食べさせてくれたが、おいしくてほおが落ちそうだった。 **ほおかぶり(頬被り)** ○頭からほおを手ぬぐいなどで包むこと。知らないそぶりをすること。ほおかむり。[文例]へ〈ほおかぶりをする〉ほおかぶりをした男が人目を避けるように足早に歩いていく。♠へ〈ほおかぶりを決める〉犯人はだれか知っていたが、ゴタゴタに巻きこまれるのがいやでほおかぶりを決めこんだ。 **ほおかむり** ↓ほおかぶり **ほお・ける(蓬ける)** ○毛先が立って乱れる。けばだつ。[文例]〈穂がほおける〉晩秋の川原では、白くほおけたすすきの穂が風に揺れていた。♠へ〈髪がほおける〉髪のほおけた老婆[ろうば]が峠の道を越えてくる。 **ポーズ** ○姿勢。気取った態度。休止。[文例]〈ポーズをとる〉二歳の娘は、カメラを向けるとにっこり笑ってかわいいポーズをとります。♠〈ポーズをつくる〉ぼくは、女の子の前ではいつも気どってポーズをつくる、といわれます。ヘ〈ポーズが身につく〉ざっくばらんな性格のせいか、何年たっても彼には官僚[かんりよう]的なポーズが身につかない。 **ほおば・る【ほお張る】** (頬張る)○食べ物を口いっぱいに詰める。[文例]へ〈おにぎりをほおばる〉よほど腹をすかせていたのだろう、少年は出されたおにぎりを口いっぱいにほおばった。♠へ〈菓子をほおばる〉弟はおやつのお菓子をほおばったまま、また外に飛び出していった。 **ホーム** ○家庭。故郷。本塁。福祉施設。[文例]〈ホームドラマ〉最近は、ほのぼのとしたホームドラマが少なくなりましたね。ヘ〈ホームベース〉ランナーがホームベースをふんだ瞬間[しゅんかん]、ぼくたちの優勝が決まった。♠〈マイホーム>念願がかなって、ようやく郊外にマイホームを建てることができました。♠〈老人ホーム>先日、学校のクラブ活動で、老人ホームへ慰問[いもん]に行きました。 **ボーイ** ○少年。給仕。[文例]〈ホテルのボーイ〉フロントでルームキーを受け取ったあと、ホテルのボーイに部屋へ案内してもらった。ヘ〈ボーイフレンド〉日曜ごとにおめかしして、ボーイフレンドとデートに出かけます。 **ボール** ○球。野球でストライクゾーンを通らなかった投球。[文例]〈ボールを投げる〉ボールを投げると、ポチはさっと追っていった。♠〈ボールを打つ〉そんなへなちょこボールを打つのはたやすいさ。♠ヘ〈ボールを取る>飛んできたボールを取ると、すばやく一塁に投球した。♠ヘ〈ボールを受ける〉お兄ちゃんの投げる速いボールを受けていたら、手が痛くなった。ヘ〈ボールをける〉日曜日は、息子のサッカーの相手をして公園でボールをけっています。♠ヘ〈ボールかストライクか〉ピッチャーの投げた球がポールかストライクかの判別は比較的簡単です。◆ヘ〈ボールペン〉ボールペンの普及で、最近は万年筆を使う人が少なくなっているらしい。 **ほおん【保温】** ○温度を温かく保つこと。温度を一定に保つこと。[文例]〈保温する〉衣服は体を保温すると同時に、傷害から守る役目も果たします。◆◇〈保温性>羽毛は、保温性に優れています。 **ほか【外】** (他)○範囲のそと。それ以外。よそ。[文例]鳥は、羽が軽いのはもちろんですが、骨もほかの動物より軽くなっているのです。◆誕生[たんじよう]祝いは、プラモデルでなくほかの物がほしいな。◆気に入った品がないのなら、ほかの店に行ってさがしたほうがいい。♠彼のほかに、この仕事をやりぬける人はいない。♠〈ほかでは〉ここの鍾乳洞[しようにゆうどう]は、ほかでは見られない大規模なものです。♠へ〈ほかならぬ〉今回のことは、ほかならぬあなたの頼みですから、承知することにしたんですよ。へ〈ほかにいない〉ぽくのケーキを食べたのは、おばあちゃんのほかにいない。♠〈ほかでもない〉ほかでもありませんが、今度の試験はあなたが問題を作るのですか。♠〈思いのほか〉ぼくの絵も、額に入れてみると、思いのほかよく見える。♠ヘ〈ことのほか〉この件については、先生は、ことのほかご立腹[りつぷく]でしたよ。♠へ〈もってのほか〉子供のくせに外泊[がいはく]なんてもってのほかだ。 **ほかく【捕獲】** ○生け捕りにすること。とりおさえること。[文例]〈動物の捕獲>野生動物保護地域では、動物の捕獲は禁止されている。♠〈捕獲する〉巡視艇[じゅんしてい]は、敵のスパイ船を捕獲した。 **ほかげ【火影】** (灯影)○火や灯火の光。ともし火で見える物の姿。[文例]〈火影が見える〉夜ふけに高台に登ると、遠く海上に一つ二つ火影が見えた。♠〈火影が揺れる〉夜道を行く人々の持つあかりであろうか、ゆらゆらと火影が揺れる。 **ぼか・す(暈す)** ○色の濃淡の境目をはっきりさせずに描く。内容をあいまいに表現する。ぼやかす。[文例]〈色をぼかす〉水彩画[すいさいが]の世界では、色をぼかして、全体の調子をやわらかくすることが行われる。♠へ〈焦点[しようてん]をぼかす〉写真家は幻想[げんそう] <1019> ぼくめつ 的な雰囲気を出したいとき、わざと焦点をぼかして写真を撮ったりします。♠〈態度をぼかす〉事故の責任者は、報道陣の質問に態度をぼかして何一つはっきりしたことを言わなかった。♠へ〈重要な点をぼかす〉反対派の感情をさかなでしないよう、重要な点をかなりぼかして、説明は続けられた。♠く〈話をぼかす〉父があいまいに話をぼかしたのは、きっと弟に真相を知られたくなかったからだ。♠〈論旨[ろんし]をぼかす〉日本語は文末の表現によって、いくらでもその論旨をぼかすことができる。 **ほがらか【朗らか】** ○晴れ晴れとしたさま。明るく晴れやかなさま。[文例]〈朗らかな人>山田さんは、明るく朗らかな人なので、だれからも好かれます。♠く〈朗らかな性格>家族みな朗らかな性格で、いつも笑いが絶えません。♠へ〈朗らかな感じ〉明るく晴れた日は、朗らかな感じがして、気持ちまでうきうきしてきます。♠〈朗らかな空〉青く晴れ渡った、朗らかな青空の下で、大運動会が開催[かいさい]された。♠く〈朗らかにさえずる〉よく晴れた朝、小鳥が朗らかにさえずっている。●〈朗らかに笑う〉通学の少女たちが朗らかに笑いながら歩いていきます。 **ほかん【保管】** ○物を預かって管理すること。[文例]〈保管する〉ホテルのフロントでは、貴重品を保管します。♠〈保管する〉町の歴史を調べるために、役所に保管されている古い書類を見せてもらいました。 **ほかん【補完】** ○足りないところを補って完全にすること。[文例]〈補完する〉共同募金や各種の助け合い運動は、国の福祉[ふくし]政策を補完するはたらきをしていますが、中には正体のはっきりしないものもあります。 **ほきゅう【補給】** ○消費した分を補うこと。[文例]〈食糧の補給〉〈補給を受ける〉食糧や水の補給を受けようとして、外国船が入港した。♠〈補給する>飛行機は、中継地の空港で燃料を補給し、目的地へ向かいました。 **ほきょう【補強】** ○弱い部分を補って強くすること。〔[文例]) 〈土手の補強〉台風シーズンを前に、町なかを流れる川の土手の補強が行われた。♠〈補強する>土砂崩[どしゃくず]れを防ぐため、道路の両側の山肌はセメントで補強してあります。へ〈補強する〉チームを補強するために、優秀な選手をスカウトすることにしよう。 **ぼきん【募金】** ○寄付金を求め集めること。また、集めたお金。[文例]<募金する〉新しい図書館建設の資金は県から一定額の補助を受け、不足分は生徒の父兄から募金して充てた。♠〈共同募金〉十月一日から赤い羽根の共同募金が行われます。 **ぼく【僕】** ○男が自分を指していう語。小さい男の子を指していう語。[文例]来年、僕は中学生になります。♠きみは、僕の気持ちをちっともわかってくれない。♠公園で遊んでいる子供に、「ぼく、いくつ?」とたずねたら、回らない舌で「三つ」と答えた。 **ぼくし【牧師】** **ぼくさつ【撲殺】** ○殴り殺すこと。[文例]〈撲殺する>検死の結果、被害者は鈍器[どんき]で撲殺されたことがわかった。 **ぼくしゅ【墨守】** ○(墨子[ぼくし]が城を守り通したという中国の故事から)がんこに守り通すこと。[文例] 〈墨守する>伝統芸能の世界では、旧来の手法を墨守する傾向が強い。◆ヘ〈墨守する〉村の古老たちは旧習を墨守し、新しい考えの若者たちとの隔たりは大きくなるばかりだ。 **ほくじょう【北上】** ○北の方へ進むこと。[文例]〈台風の北上〉台風の北上にともなって、関東一円はまもなく暴風圏に入るでしょう。ヘ〈北上する〉三月も下旬になると、桜前線は九州から急速に北上する。 **ぼくじょう【牧場】** ○家畜を放し飼いにする場所。まきば。〔[文例]牧場に放された牛や馬は、のんびりと牧草を食べている。♠ぼくのおじさんは、北海道で牧場を経営していま **ほぐ・す(解す)** ○ほどいてばらばらにする。こり固まった物を柔らかくする。緊張をとく。〔[文例]〈魚の身をほぐす>母は、小さい妹には魚の身をほぐして食べさせます。♠へ〈糸をほぐす〉小さくなったセーターの毛糸をほぐして、靴下[くつした]に編みかえました。♠ヘへ〈ごはんをほぐす〉おいしいおじやを作るこつは、固くなったごはんを水洗いしてほぐし、汁に入れたら煮すぎないことです。◆へ〈凝[けん]りをほぐす>固く凝った母の肩をたたいて、凝りをほぐしてあげました。●へ〈緊張[きんちょう]をほぐす>試合開始前、チームのみんなの緊張をほぐすため、コーチは冗談を言って笑わせた。♠へ〈もみほぐす〉歩き過ぎてコチコチになった足の筋肉を手でもみほぐしているところです。 **ほくそえ・む【ほくそ笑む】** (北叟笑む)○満足して、ひそかに笑う。[文例]思い通りにことが運んで、わたしは心中でほくそえんだ。♠ライバル失脚[しつぶやく]の報に、彼はひとりほくそえんだことだろう。 **ぼくちく【牧畜】** ○牧場で牛・羊など家畜を飼育すること。[文例] アルゼンチンは、世界でも有数の牧畜の盛[さか]んな国で、食肉や羊毛を輸出している。 **ぼくとつ(朴訥・木訥)** ○無口で飾りけがなく、素朴なさま。[文例]〈ぼくとつな性格>彼は無口でおとなしい、ぼくとつな性格の持ち主です。♠へ〈ぼくとつな感じ〉この土地に住む人たちには、ぼくとつな感じの人が多い。♠へ〈ぼくとつな人柄[ひとがら]>若者のぼくとつな人柄は、都会の生活に疲[つか]れたわたしにとって、かけがえのないものに思えました。へ〈ぼくとつとした話し方〉ひなびた旅館の老主人のぼくとつとした話し方が、わたしを落ち着いた気分にさせました。 **ぼくねんじん【朴念仁】** ○無口で愛想のない人。頭が固くてものの分からない人。[文例]あの男はまったくの朴念仁で、人の気持ちだの人情だのは少しも理解しない。 **ほくほく** うれしくてたまらないさま。柔らかくて崩れそうなさま。[文例] 〈ほくほくする〉このところの商売繁盛[はんじよう]で、父はほくほくしている。♠く〈ほくほくしたいも〉ほくほくしてとてもおいしいおいもですね。♠〈ほくほく顔〉父のボーナスが出た日は、家族全員がほくほく顔です。 **ぼくめつ【撲滅】** ○完全に滅ぼすこと。絶滅。[文例]〈エイズの撲滅〉〈撲滅を図る〉エイズの撲滅を図るキャンペーンが <1020> ほぐれる 行われた。♠へ〈撲滅する〉生命力の強いゴキブリを撲滅するのは容易なことではない。 **ほぐ・れる(解れる)** ○とけ離れる。柔らかくなる。緊張がとける。[文例]〈糸がほぐれる〉もつれた糸がほぐれないので困っています。◆ヘ〈こりがほぐれる〉おふろにはいったら、すっかり肩のこりがほぐれました。♠へ〈気持ちがほぐれる〉あどけない子供の笑顔に、かたくなな老人の気持ちも次第にほぐれていった。 **ほくろ(黒子)** ○皮膚にできた黒い点。[文例]〈ほくろがある〉わたしの口元には、やや大きめのほくろがあります。♠〈泣きぼくろ>彼女の左の目のふちには、かなり目立つ泣きぼくろがある。 **ぼけい【母系】** ○母方の系統。[文例] サラブレッドの能力は、母系によって大きく影響される。◆<母系社会>母系社会では、母方の血筋を基準にして地位の継承[けいしよう]や財産の相続が行われる。 **ほけつ【補欠】** ○欠けた部分を補うこと。欠員を補うための人員。[例]〈補欠選手〉わたしは野球部に三年間在籍したが、試合の時はいつも補欠選手でベンチにいた。<補欠募集〉たとえ補欠募集でも、入学できたのは幸運だった。 **ぼけつ【墓穴】** ○はかあな。[文例]〈墓穴を掘る〉ふと口をすべらせた一言で犯行がばれ、犯人は自ら墓穴を掘った。 **ポケット** ○洋服に付いた、袋状の物入れ。隠し。[文例]上着のポケット>刑事は上着のポケットから手帳を取り出して、何やら書き込んだ。♠ヘ〈ポケットに入れる〉ポケットに入れたはずの切符が見つからなくてあわてました。ヘ〈ポケットマネー>残業が続いたからと、課長は自分のポケットマネーでわたしたちを食事に連れていってくれた。 **ぼ・ける(呆ける・惚ける・暈ける)** ○ぼんやりする。はっきりしなくなる。にぶる。[文例]へ〈頭がぼける〉おばあちゃんは最近ぼけてきたらしく、時々おかしなことを言う。◆ヘ〈ピントがぼける〉この写真、ピントがぼけてるよ。♠〈模様がぼける>洗濯を繰り返すうちにハンカチの模様がぼけてきました。 **ほけん【保険】** ○多数の人が資金を出し合い、不慮の事故や災害などの時に給付を受ける制度。損害をつぐなう保証。[文例]〈保険に入る〉万一にそなえて保険に入っておくと安心です。♠〈保険をかける〉〈保険金>保険をかけておいて、保険金目当てで殺人を犯すという事件も起こります。♠〈保険をつける〉不時の災害に備えて、家屋に保険をつけることにした。♠〈保険がきく>美容整形には保険がきかないので、手術費用は全額自己負担となります。♠〈生命保険〉父も母も、もしもの時の事を考え、生命保険に入ることにしました。♠へ〈健康保険>健康保険は、国民が病気になったときに、だれでも安心して医者にかかれるようにつくられた制度です。 **ほけん【保健】** ○健康を保つこと。[文例]〈保健衛生>夏休みは生活が不規則になり、病気にもなりやすいので、保健衛生に気をつけるように。♠〈保健室〉足にけがをしたので、保健室で応急処置をしてもらった。 **ほご【保護】** ○かばい守ること。[文例]〈指先の保護〉つめは、指先の保護を主な役目としている。◆へ〈資源の保護〉将来の食糧[しよくりよう]確保のために、水産資源の保護が必要です。♠〈保護を受ける〉われわれ日本人は、だれでも法の保護を受ける権利を有している。♠〈保護を求める〉あやしい男に追いかけられた女性は、交番にかけこんで、保護を求めた。へ〈保護する〉まつかさのうろこが中の種子を保護しているのです。♠〈自然を保護する>自然が破壊[はかい]されつつある現代、自然を保護し、緑を守っていくことは大きな課題です。◆へ〈警察に保護される〉花子ちゃんが迷子[まいご]になって警察に保護されているそうだ。♠〈保護者〉小さいお子さんは、保護者同伴[どうはん]でご入場ください。◆〈保護色>動物の中には、保護色といって、外敵から身を守るために、体の色を周囲の色に似せるものがあります。◆〈過保護〉あまり過保護に育てると、自立心のない子になってしまいます。 **ほご(反故・反古)** ○書き損じたり、書いて不用になった紙。役に立たない物事。[文例]手紙を書くのは苦手で、くず箱はたちまちほごでいっぱいになった。◆へ〈ほごにする〉急用ができて、友人との約束をほごにしてしまった。 **ほこう【歩行】** ○歩くこと。[文例]〈歩行が困難遭難して発見された時、彼は衰弱[すいじゃく]しきって歩行も困難な状態だった。◆<歩行者〉この通りでは、歩行者の安全を守るために、歩道を広くとってあります。◆へ〈直立二足歩行〉ヒトは、直立して二足歩行する動物である。 **ぼこく【母国】** ○自分の生まれ育った国。祖国。分かれた元の国。[文例]<母国を離れる>母国を離れた亡命者は、何年も異国の地をさまよった。◆<母国語〉スイス人の七○パーセント程度は、ドイツ語を母国語としています。 **ほこ【矛】** (鉾・戈) ○長い柄の先に両刃の剣のついた武器。武器。攻撃。[文例]〈矛と盾〉どんなに堅い盾をも突き通す矛で、どんなに鋭[するど]い矛をも防ぐ盾を突いたらどうなるだろう。♠〈矛をおさめる二人ともいつまでも争ってないで、そろそろ矛をおさめたらどうだ。 **ほこさき【矛先】** (鋒先)○矛の先。攻撃の方向。→ぼこ[文例] 〈矛先を向ける〉ヨーロッパ各地に戦火を広げるドイツ軍は、一九四○年に入ると、矛先をオランダに向け侵攻[しんこう]を開始した。◆く〈非難の矛先〉あなただって悪いわよ、と、今度は非難の矛先がわたしに向けられた。 **ほこら(祠)** ○神をまつった小さな社[やしろ]。[文例]〈ほこらを建てる〉村では水の事故が相次いだため、川のほとりに小さなほこらを建て、水神を祭った。 **ほこらし・い【誇らしい】** ○誇りを感じる気分である。[文例] 〈誇らしい気持ち〉初めて夫の会社を訪れ、てきぱきと仕事をする姿を見て、誇らしい気持ちがわいてきた。♠へ〈誇らしく思う〉ぼくは、運動会のリレーの選手に選ばれたことを誇らしく思った。 **ほこり(埃)** ○飛び散ったり、物にたまったりする細かいちり。[文例]〈ほこりだらけ>床下は暗くて、ほこりだらけだった。へ〈ほこりにまみれる男は、棚の上からほこりにまみ <1021> ほしがる れた箱を下ろして目の前に置いた。♠く〈ほこりをかぶる〉床は、ほこりをかぶって真っ白だった。♠へ〈ほこりが立つ〉弟に庭そうじをたのむと、水もまかずにやるので、ほこりが立ってしようがない。♠へ〈ほこりを払う〉彼は、本を取り出し、ほこりを払うと、ぼくにわたしてよこした。へ〈たたけばほこりの出る体〉ぼくらもたたけばほこりの出る体で、ちょっぴり悪いこともしてきました。♠〈土ぼこり〉家の周りはすべて畑で、北風が吹き出すと、土ぼこりがひどくてたまらない。♠〈ほこりっぽい〉舗装[ほそう]してない道を走るのだから、ほこりっぽくて窓など開けてはいられない。 **ほこり【誇り】** ○誇ること。名誉に思うこと。[文例]〈誇りを持つ父は、教師という職業に誇りを持っています。♠へ〈誇りに思う〉ぼくは、この自然にめぐまれた地に生まれ育ったことを誇りに思っている。♠へ〈誇りを傷つける〉いくら相手が子供でも、誇りを傷つけるようなことは言うものではない。♠<親の誇り〉素直に育った三人の息子[むすこ]が、母親であるわたしの何よりの誇りです。♠へ〈誇り高い〉あの誇り高い彼が頭を下げるなんて、よっぽどの事情があるにちがいない。 **ほこ・る【誇る】** ○自慢して得意になる。[文例]〈伝統を誇る〉伝統を誇るわが校野球部も、最近は入部希望者が減るいっぽうだ。へ〈権威[けんい]を誇る〉ふだんは権威を誇って横柄[おうへい]な態度をとる政治家も、いざ選挙となると一変するのでいやになる。♠ヘ〈才能を誇る〉腕[うで]があがってくると、自分で才能を誇らなくても、まわりがほうっておきません。♠〈世界に誇る〉この町が世界に誇る大音楽家の生まれた土地です。♠〈勝ち誇る〉向かうところ敵なしと勝ち誇っていた横綱[よこづな]が、こうもあっけなく敗れるとは・・・・・. **ほころび(綻び)** ○ほころびること。ほころびたところ。[文例]〈そでのほころび〉〈ほころびをつくろう〉お母さん、ぼくのシャツのそでのほころび、つくろってくれた? **ほころ・びる(綻びる)** ○縫い目がほどける。つぼみが少し開く。にっこりする。ほころぶ。「[文例]〈服がほころびる〉弟は、のびざかりのうえ活発なせいか、すぐに服がほころびてくる。♠へ〈縫い目がほころびる〉縫い目は、ほころびないように、しっかりかがっておきなさい。♠へ〈つぼみがほころびる〉固かったうめのつぼみも、ここ二、三日の暖かさで、ようやくほころび始めました。へ〈顔がほころびる〉プレゼントをわたすと、先生のこわい顔が思わずほころびた。 **♪ほころ・びるほころ・ぶ(綻ぶ)** **ほさ【補佐】** (輔佐)○人を助けて、その仕事をさせること。また、その役目の人。[文例]〈補佐する〉副委員長は、委員長を補佐する役目である。◆◇〈課長補佐〉彼は今度の人事で、係長から課長補佐に昇進した。 **ほざく** ○「言う」をののしっていう語。ぬかす。[文例]】この、若造[わかぞう]のくせに生意気なことをほざくな。 **ぼさん【墓参】** ○墓まいり。[文例]旧樺太[からふと]に残してきたお墓のことが気にかかっていましたが、この度墓参がソ連政府によって認められました。♠〈墓参をする〉久し振りに旧友の墓参をするつもりで、北海道伊達市を訪れた。 **ほし【星】** ○夜空に光る天体。「星」の形(☆★)。運勢。白丸・黒丸などの勝敗のしるし。勝負の成績。小さな丸い点。ねらい。犯人。眼球にできる白い点。年月。人気者。スター。[文例] 〈星が輝[かがや]く〉テントの外に出てみると、夜空いっぱいに無数の星が輝いていた。♠へ〈星が光る〉〈星が流れる>夏の夜空を、小さな星が光りながら流れて消えた。♠〈満天の星>少年のころのぼくは、物干し台に上がって満天の星をながめるのが楽しみだった。♠へ〈地球という星〉われわれの住んでいるこの地球も、宇宙全体でとらえてみれば、ほんの小さな星にすぎない。♠へ〈希望の星〉かつて将軍は、この国の希望の星だった。♠へ〈星のマーク>弟のパジャマのズボンには、前後をまちがえないように、母が星のマークをししゅうしてあります。♠へ〈いい星の下に生まれる>家庭や友人にめぐまれているわたしは、いい星の下に生まれたなとつくづく思っています。♠〈星を落とす〉この勝負で、横綱はおしい星を落としてしまった。♠〈星を拾う〉相手のミスに乗じて、チームはなんとか星を拾いました。♠〈星を分ける〉両チームの対戦は、過去五勝五敗と星を分けています。◆へ〈いい星を残す〉この投手は、今年十五勝七敗といい星を残した。♠へ〈目の中のほし〉妹は、目の中に小さなほしができたといって病院に出かけていった。◆へ〈ほしが挙がる〉刑事[けいじ]たちの必死の捜査が実って、ついにほしが挙がった。♠へ〈星が移る〉そして、星移り、時は変わっていった。 **ほじ【保持】** ○保ち続けること。[文例]〈保持する〉チャンピオンがベルトを保持するには、大変な努力の積み重ねが必要です。へ〈機密[きみつ]保持>軍は、機密保持のために厳重な警戒を敷いた。 **ぼし【母子】** ○母と子。[文例]この画家は、深い愛情をこめて母子を描き続けた。♠出産は無事に終わって、母子ともに元気です。♠〈母子家庭に育ったわたしは、父親のいる家族をうらやましく思ったこともあります。 **ほしい【欲しい】** ○手に入れたい。自分にとって必要である。・・・してもらいたい。[文例]〈水が欲しい長いこと歩き続けたので、水が欲しかったが、水筒[すいとう]の中には一滴も残っていなかった。♠〈欲しい物〉欲しい物があったら、何でも言ってごらん。♠へ〈のどから手が出るほど欲しい〉新車はのどから手が出るほど欲しかったが、お金の都合がつかなかった。♠へ〈心づかいが欲しい〉耳の遠いお年寄りに話をする時には、ゆっくりと大きな声で言ってあげる心づかいが欲しい。♠〈謙虚[けんきよ]さが欲しい〉彼女は、何でもできるすばらしい女性ですが、もっと謙虚さが欲しい気がします。♠へ〜してほしい〉中学生になったんですから、自分の考えで行動するようになってほしいものです。♠〈ほしいまま○望む通り。[文例]〈ほしいままに与える〉なんでも子供のほしいままに与えるのはしつけ上よくない。♠〈ほしいままにする〉独裁者にのしあがったヒトラーは権力をほしいままにしていた。♠へ〈ほしいままに~する〉ほしいままに夢を見ているうちはいいが、いざ実行となると大変だよ。 **ほしがる【欲しがる】** ○ほしいと思う。ほしそうにする。 <1022> ほじくる [文例]〈水を欲しがる>手術後、患者は水を欲しがって看護婦を呼んだ。♠へ〈おもちゃを欲しがる〉その子はおもちゃを欲しがって、店の前で大声で泣きわめいていた。 **ほじく・る(穿る)** ○つついて穴をあけ、中の物を出す。あばきたてる。ほじる。[文例]〈土をほじくる>男の子は、庭の土をほじくり、虫をさがしていた。♠へ〈鼻くそをほじくる〉これ、人まえで鼻くそをほじくるのはよしなさい。♠〈人のあらをほじくる〉人のあらをほじくるようなまねは感心しません。♠へ〈重箱の隅[すみ]をほじくる〉重箱の隅をほじくるようなきみのやり方では、部下の人たちはたまらないだろう。♠〈ほじくり出す〉お百姓さんは土を掘って、大きな山芋[やまいも]をほじくり出した。 **ポジション** ○位置。地位。もち場。[文例]〈重要なポジション〉〈ポジションを占める〉ぼくは、このプロジェクトで重要なポジションを占めているんだ。♠ヘ〈ポジションにつく>整列して互いに一礼すると、選手たちはさっとポジションについた。♠ヘ〈ポジションを争う〉外野のポジションを、打撃のいい選手、足の速い選手、肩のいい選手が三人で争っていた。 **ほしゅ【保守】** ○正常な状態を保ち続けること。旧来の習慣・制度・伝統を守り続けようとする態度。→革新[文例]<線路を保守する〉この本には、線路を保守し、鉄道のために一生をささげた人のことが描[えが]かれている。♠〈機械の保守〉工場では、機械の保守・管理をおこたるとたいへんなことになります。♠〈保守と革新〉今度の市長選挙は、保守と革新の一騎打ちになりそうだ。♠〈保守的〉まわりが保守的な人ばかりなので、ちょっと変わったことでもしようものなら白い目で見られます。♠へ〈保守主義>古くからの秩序[ちつじよ]を守ろうとする保守主義も、世の中の大きな流れの中では変化しているのです。 **ほしゅう【補習】** ○正規の授業を補うための学習。[文例] 〈補習をする>夏休み中の一週間、学校で受験のための補習を行います。◆〈補習授業>入試にそなえて補習授業をやってほしいという父母、塾やけいこ事があるからやめてくれという父母、とさまざまです。 **ほしゅう【補修】** ○いたんだところを補い、修理すること。[文例]〈補修する〉台風で壊[こわ]れた橋を補修している間、わたしたちは回り道をしなければならなかった。♠へ〈補修工事>この駅のホームは、現在、補修工事中です。 **ほじゅう【補充】** ○不足を補い満たすこと。[文例]〈欠員の補充〉バトン部では、欠員の補充のために部員を募集しています。♠へ〈補充する〉今年は新入生が多いので、机やいすの不足分を補充しなければならなかった。♠〈補充する〉こづかいが足りなくなると、妻がそっと財布に補充してくれる。 **ぼしゅう【募集】** ○広く募って集めること。[文例]〈募集をする〉この幼稚園[ようちえん]では、いま来年度の入園者の募集をしている。♠〈募集に応じる>海外奉仕[ほうし]隊員の募集に応じて集まってきた若者は、たったの十三名でした。♠へ〈募集を開始する>事務所には、募集を開始する一週間も前から、問い合わせの電話が殺到[さつとう]しています。♠へ〈募集を締め切る〉定員になりしだい、会員の募集は締め切らせていただきます。♠ヘ〈アイデアを募集する〉区役所では、この問題を解決するため、一般[いつぱん]からもアイデアを募集することにしました。♠<募集人員>学校が決定した来年度の募集人員は、今年度と同じく、三百名でした。 **ほじょ【補助】** ○不足を補い、助けること。また、助けとなるもの。[文例]〈金銭的な補助〉〈補助を受ける〉大学に在学中は、このおじさんから、だいぶ金銭的な補助を受けたのです。♠〈補助をする〉忙[いそが]しすぎるので、先生は事務の補助をしてくれる人を探していると言っていました。へ〈補助する>恵まれない人たちの生活は、市などが補助するのは当然のことです。 **ほしょう【補償】** ○与えた損害をつぐなうこと。[文例])〈損害を補償する〉他人に損害を与えたときは、補償するのが当然です。♠へ〈補償の方法・額〉バスの転落事故でけがをした乗客に対して、会社は補償の方法や額について相談した。◆<補償金>鉱毒を流した鉱山側では、わずかな補償金を出して、被害地の人々をなだめようとした。 **ほしょう【保証】** ○確かであることをうけあうこと。[文例] 〈人物・人柄[ひとがら]を保証する〉彼の人物や人柄については、担任のわたしが保証します。♠〈利益を保証する〉この商売は有望なので、毎月そうとうの利益を保証できます。♠〈品質を保証する〉いくら品質を保証するマークがついていても、正しい使い方をしなければすぐにこわれます。♠〈保証がつく〉カメラや電気製品などには、必ず何年間かの保証がついている。◆へ〈保証がある。ない〉絶対に成功するという保証がない以上、この話には乗れない。♠〈保証人〉保証人として印かんを押してしまった以上、責任を問われてもしかたがありません。 **ほしょう【保障】** ○保護して、危険や損害がないようにすること。[文例]〈安全を保障する〉国は、その国に住む人々の安全について保障する責任があります。♠へ〈生活を保障する>高齢化社会が進むと、老人の生活を保障する制度が必要になってくる。♠〈自由を保障する〉戦争中は、言論の自由が保障されていませんでした。♠〈社会保障〉スウェーデンは、ゆりかごから墓場までといわれるほど、社会保障制度がゆきわたっている。 **ほしょう(歩哨)** ○見張りをする兵士。[文例]〈歩哨に立つ〉兵士は歩哨に立つと、油断なくあたりを見張っていた。◆〈歩哨が立つ>砦[とりで]では、二十四時間歩哨が立って、見張りを怠[おこた]らなかった。 **ぼじょう【慕情】** ○恋いしたう気持ち。[文例]〈淡[あわ]い慕情〉〈慕情を抱く〉少年は、近所に住む美しい女性に淡い慕情を抱いた。♠〈青春の慕情>島崎藤村[しまざきとうそん]の「初恋」は、青春の慕情と感傷とがとけあって高い芳香[ほうこう]を放っている。 **ほしょく【捕食】** ○捕らえて食べること。[文例]〈捕食する〉コウモリは夜間 出没して、昆虫[こんちゅう]を捕食する。へ〈捕食する〉ライオンは、シマウマやヌーなどを、鋭[するど]い歯と爪[つの]で捕食する。 <1023> ほそく **ほしょく【暮色】** ○夕暮れのけはい。夕暮れの景色。[文例] 〈暮色が迫る>独りとぼとぼと暮色迫る田舎道を家路[いえじ]につきました。<暮色に包まれる>里は一面の暮色に包まれ、一段と秋も深まったようだ。♠へ〈暮色蒼然[そうぜん]>日が傾くとともに山は姿を変え、やがて暮色蒼然とした墨絵[すみえ]の世界になった。 **ほじ・る(穿る)** ○つついて穴をあけ、中の物を出す。ほじくる。「[文例]〈土をほじる〉川岸の石をめくって土をほじっていると、穴からカニが出てきた。♠へ〈種をほじる〉まいたばかりの種を、カラスがほじって台無しにしてしまった。♠〈鼻をほじる〉ぼんやり考えごとをしながら、鼻をほじっていた。 **ほしん【保身】** ○自分の身分や地位などを守ること。[文例] 〈保身の術〉彼は保身の術にたけ、うまく立ち回って出世の階段をのぼっていった。♠〈保身の知恵〉ことわざのなかには、民衆が保身の知恵として言いならわしたものもあります。 **ほ・す【干す】** ○乾燥させる。水分を除く。干上がらせる。残らず飲む。仕事を与えないでおく。[文例] 〈日に干す〉しぶ柿[がき]をむいて、太い糸につるして日に干しておくと、あまい干し柿になる。♠へ〈ふとんを干す〉久しぶりに晴れたから、今日はふとんを干そう。♠〈水を干す>庭の池を掃除するために、いったん魚を移して水を干すことにした。♠〈仕事を干される〉彼は上役との折り合いが悪いため、すっかり仕事を干されてしまった。♠〈飲み干す〉ふろ上がりに、冷えたビールを一気に飲み干すのは何ともたまらない。 **ボス** ○親分。親方。顔役。実力者。監督。責任者。〔[文例]<工場のボス〉お宅の工場のボスは、相変わらず従業員をどなりちらしていますか。♠〈猿[さる]のボス〉猿のボスは、岩山の頂[いただき]に悠然[ゆうぜん]と座って、群れを見下ろしていた。●ヘ〈ボス的な存在〉あの太った男がこの街のボス的な存在らしい。 **ポスター** ○宣伝用の張り紙。[文例]〈ポスターを作る〉多くの人に注目してもらえるように、ハイセンスなポスターを作った。♠ヘ〈ポスターを張る〉町の人たちにも楽しんでもらいたいので、あちこちに学園祭のポスターを張った。 **ポスト** 郵便箱。郵便受け。地位。部署。柱。くい。[文例]出かけるついでに、通りにあるポストに手紙を出していってちょうだい。♠〈郵便ポスト>家に帰ると、玄関の郵便ポストに旅行中の友達からの絵葉書が入っていた。♠へ〈教授のポスト〉〈ポストに就[つ]く〉〈ポストがあく〉一つあいた教授のポストにだれが就くか、みんな注目していた。♠へ〈いいポスト〉今よりもいいポストを手に入れるため、努力を惜しまなかった。●ヘ〈ゴールポスト〉会心のシュートだったが、惜しくもゴールポストに当たってはね返った。 **ほせい【補正】** ○補って修正すること。[文例]〈補正予算〉本日、本予算を追加・修正した補正予算が衆議院を通過した。 **ぼせいあい【母性愛】** ○母親としての愛情。[文例]〈母性愛に目ざめる>子供を生んで母性愛に目めた母馬は、片時も子馬から目を離さずいつくしみ育てた。♠〈母性愛が強い〉わたしたち人間より母性愛が強いのではないかと思われる動物もいる。♠へ〈母性愛をくすぐる〉あの男の頼りなげな笑顔がまわりの女性の母性愛をくすぐるらしい。 **ほぜん【保全】** ○安全に保護し、守ること。[文例]〈環境の保全>自然環境の保全は、わたしたちの一人一人が考え、実行に移さなければならない問題です。♠へ〈資源の保全>水資源の保全のために森林の保護に力をいれなければなりません。 **ぼせん【母船】** ○漁船のとった漁獲物[ぎよかくぶつ]を保存したり、加工処理する設備のある船。[文例]各船は、漁獲物を母船に運ぶと、またすぐ漁場へ引き返していった。♠<母船式漁業>遠洋におけるかに漁やまぐろ漁では、加工保存の設備を持つ母船を中心とした母船式漁業を行う。 **ぼぜん【墓前】** ○墓の前。[文例]〈墓前に参る〉就職が決まったので、父の墓前に参って報告した。♠〈墓前に供える〉友の墓前に花を供えると、静かに手を合わせた。●暖かく掃きし墓前を去りがたし(飯田蛇笏[いいだだこつ]) **ほぞ(臍)** ○へそ。〔[文例])〈ほぞをかむ〉もっと勉強しておけばよかったとほぞをかんでも、あとの祭りですよ。へ〈ほぞを固める〉わたしたちは、どんなことがあってもこの試合を勝ちとろうと、覚悟のほぞを固めた。 **ほそ・い【細い】** ○直径や周囲が短い。幅が小さい。声が小さい。気が弱い。ひ弱い。分量が少ない。[文例]〈細い脚[あし]〉サラブレッドは、よくあの体重を支えることができると感心するほど、細い脚をしている。♠〈細いつる〉窓の外では、へちまの細いつるが風に吹かれてゆれている。♠〈細い道>大通りを左に曲がり、細い道を入っていった先に映画館があった。♠へ〈火を細くする〉なべの湯が沸騰[ふつとう]してきたら、ガスの火を細くしてちょうだいね。ヘ〈声が細い>英語の先生の声は細いので、後ろの席にいると、話の内容が聞き取れない。◆<神経が細い〉わたしは、神経が細いせいか、何を言われてもすぐ気にしてしまう。♠へ〈線が細い〉あの子はたくましさに欠け、兄と比べて少し線が細いようだ。♠へ〈食が細い>祖母は、食が細くて、ほんの少ししか食べないが、特に体が弱いわけでもない。◆<細く長く〉太く短く生きるか、細く長く生きるか。 **ほそう【舗装】** (舗装)○道路の表面を石・コンクリート・アスファルトなどで固めること。[文例])〈道路の舗装>暑い日が続いて、道路の舗装が溶け出すほどだ。♠へ〈舗装する〉駅前の道路を舗装しているなと思ったら、しばらくしてアーケードのついた明るい通りができた。♠<舗装道路>砂利道よりは舗装道路のほうが歩きやすいが、黒い土を踏んで歩くのもよいものです。 **ほそく【補足】** ○足りない点を補うこと。『[文例]〈補足する〉報告書の末尾に、言い足りない点を補足しました。◆<補足する〉ただ今の説明にはなかった会場への道順について、わたしの方から補足します。◆<補足説明〉クラス委員の説明のあとで、担任の先生が補足説明をしました。 **ほそく(捕捉)** ○つかまえること。とらえること。[文例]<意味の捕捉「嫌いじゃないの。」という彼女のことばはあいまいで、その意味の捕捉ができなかった。♠〈捕捉する〉彼の弁明はあやふやだったので、その真意がどこにあるかを捕捉できなかった。 <1024> ほそぼそ **ほそぼそ【細細】** ○いかにも細いさま。かろうじて成り立っているさま。[文例]〈細々と立ちのぼる〉山あいの一軒家に煙が細々と立ちのぼっている。♠へ〈細々とした道〉こんなに人里離れた山中にも、細々とした道が続いている。♠〈細々とした声>床[とこ]から起き上がった彼女の声は、いかにも頼りなげで細々としていた。♠〈細々とくらす〉この村の漁師たちは、わずかな魚をとって細々とくらしています。♠へ〈細々とつながる>卒業してから二十年、二人の仲は、年に一度の年賀状のやりとりだけで細々とつながっている。 **ほそ・める【細める】** ○細くする。[文例]〈目を細める〉気むずかしい老人も、孫の顔を見るととたんに目を細め、声までやさしくなった。♠へ〈声を細める〉彼は声を細めて、意外な秘密を打ち明けた。 **ほそ・る【細る】** ○細くなる。[文例]〈食が細る〉悩みごとでもあるのだろう、だんだん食が細ってふさぎこむようになった。♠〈身が細る〉戦場の息子の安否を気づかって、わたしは身も細る思いだった。♠へ〈やせ細る〉心配ごとばかりでやせ細るわ、と、夫人はふくよかに笑ってみせた。 **ほぞん【保存】** ○そのままの状態でとっておくこと。[文例] 〈保存がきく〉乾物[かんぶつ]や砂糖などのような保存のきく物は、安売りの時にまとめ買いしておきます。♠へ〈保存が良い・悪い〉祖母の着物は保存が良いので、まだまだ着られます。♠〈保存する〉心の中に保存された過去の経験が記憶[きおく]です。♠〈芸能を保存する〉古くから伝わる郷土芸能を保存していこうと、保存会が組織されました。へ〈血液を保存する>緊急の場合に備えて、病院や血液銀行では、常時、血液が保存してある。 **ぼたい【母体】** ○母親の体。もとになった組織。♪母胎[文例] 赤ん坊は無事に生まれたが、母体は衰弱[すいじやく]しきっていた。♠〈運動の母体〉運動の母体となったのは、十年前に作られたこの町の婦人クラブです。 **ぼたい【母胎】** ○母親の胎内。物事を生み出すもと。母体[文例]ほ乳類の子どもは、母胎である程度の発育をとげてから生まれてくる。♠〈創作の母胎〉作者のその土地での生活が創作の母胎となった。 **ぼだい(菩提)** ○煩悩[ぼんのう]を捨て去って得る悟りの境地。極楽[ごくらく]往生[おうじよう]すること。[文例]〈菩提をとむらう〉死んだ伯父の遺骨は故郷に帰り、その地の親族が菩提をとむらうことになった。♠<菩提寺>帰省したら、真っ先に菩提寺を訪れ先祖代々の墓にお参りします。 **ほだされる(絆される)** ○(人情などに)束縛される。縛られる。[文例]〈親切にほだされる〉女は男の親切にほだされて、何もかも打ち明ける気になった。♠へ〈情にほだされる〉ついつい情にほだされて、無理な頼みを引き受けるはめになることがあります。 **ほたる【蛍】** ○水辺にすみ、尾から青白い光を放つ昆虫。[文例]〈蛍が飛び交う〉夏の夜には、このあたりにもたくさんの蛍が飛び交います。♠〈蛍の光〉やみの中で、蛍の光の幻想的[げんそうてき]な美しさに見とれていた。♠へ〈鳴かぬ蛍が身を焦がす〉鳴く蟬[せみ]よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす、といって、内に秘めた思いは強く、せつないものなのです。♠たましひのたとへば秋のほたるかな(飯田蛇笏[いいだだこつ]) **ぼち【墓地】** ○墓のある所。はかば。[文例]〈墓地に埋める>祖母の遺骨は、村はずれの墓地に埋められました。♠へ〈墓地に葬[ほうむ]る〉家族は、父の遺骸[いがい]を、生前愛した故郷の町を見おろす墓地に葬った。 **ほちょう【歩調】** ○歩く時の調子。足並み。物事の進み方や進行の具合。[文例]〈歩調をとる二人の老人は、ゆっくりとした歩調をとって町を抜けていった。♠へ〈歩調をゆるめる〉わたしは、少女が小走りでついてくるのに気づくと、歩調をゆるめた。♠へ〈歩調がそろう〉〈歩調が乱れる〉それまでそろっていた歩調が、これをきっかけに乱れてしまった。へ〈歩調が合う〉遊ぶ時はそうも思わないが、仕事の時はきみとはどうも歩調が合わない。♠へ〈歩調を合わせる>現代に歩調を合わせ、文明の進歩に協調すればするほど美から遠ざかる結果になる。 **ぼつ【没】** (歿)○原稿を採用しないこと。死ぬこと(「歿」)。[文例] 〈没にする>鬼編集長は、新米記者の苦心して書き上げた原稿を没にした。◆へ〈~年没>巻末の年譜によると、この本の著者は昭和二十二年没とあり、戦後間もなく亡くなっていた。 **ぼっかてき【牧歌的】** ○牧場のくらしを歌った詩歌のようなさま。素朴で抒情[じよじよう]的なさま。[文例]〈牧歌的な風景>列車は、緑につつまれた牧歌的な風景を縫[ぬ]って走り続けた。◆〈牧歌的な暮らし>そこには、朝日とともに起き出して自然を相手に働き、夕日とともに帰る牧歌的な暮らしがあった。 **ほっかぶり(ほっかむり)** →ほおかぶり **ほつぎ【発議】** ♪はつぎ **ぼっきゃく【没却】** ○捨て去ってかえりみないこと。[文例] 〈没却する〉論議をしているうちに、理解し合うためという目的を没却して、論争そのものに熱中してしまう人が多い。◆<没却する>規則を厳格に適用しようとするあまり、生徒一人一人の個性を没却するようなことがあってはならない。 **ぽっくり** ○もろく折れるさま。急に死ぬさま。ぷっくりふくらむさま。馬がゆっくり歩くさま。[文例]〈ぽっくり亡くなる〉先日まで元気だった祖母がぽっくり亡くなった。♠お馬の親子がポックリポックリ歩いて来ます。 **ぼっこう(勃興)** ○にわかに勢いを得て盛んになること。[文例]〈国の勃興>古代社会では、列島各地に新しい国の勃興が見られた。♠〈勃興する>保元・平治[ほうげんへいじ]の乱後、平家が勃興し、藤原氏に代わって権勢を築いた。 **ぼっこうしょう【没交渉】** ○交渉がないこと。無関係。ぽつこうしょう。[文例])〈家同士が没交渉〉わたしたちはいとこ同士だそうだが、二人の家は全くの没交渉で行き来がなかった。♠へ〈世の中と没交渉>学者などが世の中と没交渉に自分たちの世界に閉じこもる所をたとえて「象牙の塔[ぞうげのとう]」という。 <1025> ほてん う。 **ほっさ【発作】** ○症状が一時的、突発的に起こること。また、その症状。[文例]〈発作を起こす〉女は、うつむいたかと思うと、発作を起こしたように泣き出した。♠へ〈発作に襲われる〉彼は心臓のぐあいが思わしくなくて、時々、軽い発作に襲われた。♠〈発作的〉この殺人は発作的な犯行で、計画的なものではないと警察は見ている。 **ぼっしゅう【没収】** ○所有物・所持品を取り上げること。[文例]〈財産の没収>追放された前大統領の財産の没収が行われた。♠へ〈没収する>学校では、時々所持品の検査があって、マンガ本などは没収されます。 **ほっ・する【欲する】** ○ほしがる。望む。[文例]事情は好転して、わたしの欲するような方向に事が運んでいった。♠己[おのれ]の欲するところを他人にもほどこしなさい。♠将を射んと欲すれば、まず馬を射よ。攻めるにも効果的な方法というものがあります。 **ぼっ・する【没する】** (歿する)○沈む。うもれる。姿を隠す。なくする。死ぬ。没収する。「[文例]〈太陽が没する〉太陽が没した後も、しばらく西の空は赤く染まっていた。♠〈日が没する〉日はゆらゆら地平線に没し、まさに最後の一片の残光も消えようとしたとき、メロスは疾風[しつぷう]のごとく刑場に突入した。(太宰治「走れメロス」) ◆<姿を没する〉人の姿を没するほどに伸びたすすきが、野を一面にうめている。♠へ〈波間に没する〉小舟は、大波にゆられ、見る見る波間に没してしまった。♠阿倍仲麻呂[あべのなかまろ]は、留学生として唐[とう]へ渡り、その地で没しました。 **ほっそく【発足】** ○団体・機関などが活動を始めること。出発。はっそく。[文例]〈会の発足〉会の発足以来一年、やっと活動も軌道にのってきた。♠へ〈発足する〉大学入試の制度を見直すための審議会が発足した。 **ほったらか・す** ほうっておく。うち捨てておく。[文例] 〈宿題をほったらかす〉宿題をほったらかして遊び回っているうちに、とうとう夏休みもあと三日・・・・・・。♠〈路上にほったらかす>自転車を路上にほったらかしておいたら、夜のうちに盗まれてしまった。♠く〈商売をほったらかす〉うちの父ちゃん、商売をほったらかして、またパチンコに行ってるな。 **ほったん【発端】** ○物事の始まり。[文例]〈事の発端>事の発端は、ぼくが約束[やくそく]を破ったことだった。♠〈事件の発端>事件の発端は誤解から生じたほんのささいな口げんかで、よく話し合えば防げたことだった。♠〈発端とする〉ささいないさかいを発端として、大きな争いとなり、取り返しのつかない結末になってしまうことがあります。♠〈発端となる〉一人の呼びかけが発端となって、大きな善意の輪が広がっていった。 **ホット** ○熱い。温かい。激しい。新しく生々しい。[文例]〈ホットな話題〉今、きみたち若者の間で一番ホットな話題は何かな。ヘ〈ホットな情報〉この番組では、ファッションに関するホットな情報をお届けしています。 **ぼっとう【没頭】** ○一つの事に打ち込むこと。[文例]研究に没頭する〉最近二週間、博士は寝食を忘れて研究に没頭している。♠〈実験に没頭する〉実験に没頭していた学生たちは、先生が後ろに立っていることに気がつかなかった。♠〈仕事に没頭する〉いつもはやさしい父も、仕事に没頭しているときは別人のようになります。♠へ〈運動に没頭する〉若い人たちが運動に没頭する姿は、いつ見ても気持ちがいいものです。♠へ〈没頭しやすい性格〉彼は何事にも没頭しやすい性格で、夢中[むちゆう]になるとほかのことは目にはいらなくなってしまいます。 **ほっと・く** ほうっておく。かまわないでおく。[文例] 今は興奮していて何を言ってもむだだから、しばらくほっとこう。♠ぼくのことならほっといてくれ。 **ぼっぱつ(勃発)** ○突然に起こること。[文例]〈戦争の勃発〉やがて戦争の勃発によって、愛し合う者たちの間は引き裂かれていった。♠〈勃発する〉内乱が勃発し、国内の情勢はきわめて悪化していた。 **ぼつぼつ** そろそろ。だんだん。ぽつぽつ。[文例]】さて、少し早いがぼつぼつ出かけるとするか。♠座がなごんでくると、老人もぼつぼつわたしに話しかけてきた。 **ぼつらく【没落】** ○衰え滅びること。「[文例]〈国の没落〉ゲルマン民族の大移動は、ローマ帝国没落の大きな原因となった。♠〈家の没落>清盛[きよもり]の死後、平家の没落は驚くほど早くやってきました。♠〈没落の一途をたどる〉事業に失敗した彼は、土地も家も人手に渡し、没落の一途をたどっていった。♠〈没落する〉戦争後の不景気がもとで店が倒産[とうさん]し、一家は没落していった。◆<没落貴族〉アンリ博士は、北フランスの没落貴族の三男として生まれました。 **ほつ・れる(解れる)** ○ほどけて乱れる。[文例]〈糸がほつれる>洗濯を重ねるうちに糸がほつれて、スカートのすその折り返しが落ちてきた。♠〈髪がほつれる〉彼女はほつれた髪を気にして、しきりに手をやった。 **ほてり【火照り】** ○ほてること。夕焼けに染まること。[文例] 〈ほおの火照り〉人いきれのする会場を出ると、外の風がほおの火照りに心地よかった。♠へ〈ほてりが消える〉遅くなって学校を出るころには、夕焼け空も、もうほてりが消えかかっていた。 **ほて・る【火照る】** ○顔や体が熱くなる。[文例]〈体が火照る〉真冬でも、一生懸命[いつしょうけんめい]運動したあとは、体がぽかぽかと火照ります。♠へ〈ほお。耳が火照る〉風の冷たい外から、急に暖かい家に入ると、ほおや耳がかっかと火照ってくる。へ〈熱で火照る>弟の顔は高熱で火照り、見るからに苦しそうだった。♠へ〈顔が火照る〉女の子に話しかけられると、いつも顔が火照ってしまう。 **ぼつにゅう【没入】** ○沈み入ること。心を打ち込むこと。没頭。[文例]〈没入する〉悩みから逃れようと、彼は信仰に没入していった。♠〈没入する>対象に没入して己[おのれ]をむなしくすれば、たとえ対象が石であっても、その声が聞こえてくる。 **ほてん(補填)** ○欠けた分を埋め合わせること。穴埋め。 <1026> **ほど**○程度。度合い。限度。身分の程度。分際。空間・時間のへだたり。時分。ころ。ようす。ぐあい。しだい。[文例]〈程がある〉エープリルフールとはいっても、悪ふざけには程があります。♠〈程を知る〉若い人は程というものを知らないから、すぐ暴走してしまう。♠〈程がよい〉では、とろ火にかけてよくかきまぜ、程のよいところで砂糖を一さじ加えましょう。♠へ程を見る〉このままほうっておいては危険です、程を見てわたしの方から注意しておきます。♠へ程遠いこの程度では、改革というには程遠い。♠〈程なく〉そのまま進むと、程なく視界に青い海が入ってきた。♠ヘこのほど〉このほど隣へ越してきました三田と申します。♠ヘ口ほど>目は口ほどにものを言う。♠〈五分ほど〉バスを降りて五分ほど歩いたところに、友人の家はあった。♠へ驚くほど〉あの兄弟は、驚くほどよく似ています。 **ほどう**【歩道】○歩行者が通るための道。人道。[文例]<歩道と車道〉この通りは、歩道と車道が白線で区切ってあるだけなので安全といえない。♠へ歩道を歩く>危険ですから、歩行者は歩道を歩いてください。♠<横断歩道〉〈歩道橋〉二つの横断歩道の間隔[かんかく]がかなりあるので、途中に歩道橋を設置してはどうだろう。 **ほどう**【補導】(輔導)○非行に走らないように良い方に導くこと。[文例]〈生徒の補導>非行に走る生徒の補導に必要なのは愛情と忍耐でしょう。♠〈補導する〉夜おそくまでゲームセンターで遊んでいたら、補導されてしまった。 **ほど・く**(解く)○結び目・縫い目・編み目などをとき離す。[文例]〈ひもをほどく〉その包みのひもをほどいてください。♠〈帯をほどく〉着慣れない着物だったので、きつい帯をほどいたら、体がすうっとした。♠〈鎖[くさり]をほどく〉時々は、犬も鎖をほどいて、庭に放してやらないとかわいそうだ。♠<結び目をほどく〉ふろしきの結び目が固くて、ほどけないから、お母さん、ほどいてちょうだい。♠へ荷物をほどく〉ぼくが手伝いに行ったら、姉夫婦は、ちょうど、引っ越しの荷物をほどいているところでした。♠〈糸をほどく〉もつれた糸をほどくのは、ぽく、案外うまいのです。♠へ編み物をほどく〉編み物に挑戦[ちょうせん]した姉は、少し編んではほどくので、なかなかセーターが編み上がりません。 **ほとけ**【仏】○仏陀[ぶつだ]。おしゃかさま。仏像。仏法。死人。死者の霊。慈悲深い人。正直で心の清らかな人。[文例]〈仏の道>寺の長男に生まれた兄は、仏の道に入るのをいやがって家を出た。♠へ仏のように優しい〉ぼくのおじいさんは、いつも仏様[ほとけさま]のように優[やさ]しい顔で、にこにこ笑っていた。♠〈神や仏>神や仏にお参りする時は、いつも神妙[しんみよう]な気分になります。♠〈仏を拝む>毎朝お線香をたいて仏様を拝みます。♠〈仏になる>旅の途中[とちゅう]で仏になった老人を、村人たちは手厚[てあつ]く葬[ほうむ]ってやった。♠〈知らぬが仏〉もう周りの人はみんな知っているのに、知らぬが仏で、当人だけが陽気にしゃいでいる。♠へ仏の顔も三度「仏の顔も三度」と言って、今度という今度は許さないからな。♠〈地獄に仏>財布[さいふ]を落として困っているところに知人が現れるなんて、地獄に仏とはこのことだ。♠へ仏作って魂[たましい]入れず〉外見はりっぱでも中身はさっぱりだから、仏作って魂入れずだ。 **ほど・ける**(解ける)○結び目や編み目などがとけ離れる。気持ちが和らぐ。[文例]〈帯がほどける〉急いで仕度[したく]をしたせいか、ちゃんと結んだつもりの帯がほどけそうになった。♠〈糸がほどける〉苦心さんたん、からまった糸がやっとほどけた。♠へ緊張がほどける〉緊張がようやくほどけたのか、その子の顔に笑いがもどってきた。 **ほどこし**【施し】○恵み与えること。布施。[文例]〈施しを受ける〉修行のために僧が、施しを受けに家々を回ることを托鉢[たくはつ]という。♠へ施しをする〉おばあさんはそれほど裕福[ゆうふく]ではなかったが、少しでも余裕[よゆう]があると、貧しい人々に施しをした。 **ほどこ・す**【施す】○恵みとして与える。(肥料を)まき与える。装飾・工夫などを加える。(手段を)講じる。公に示す。[文例]〈食べ物を施す〉おなかをすかした見すぼらしい老人に、娘は自分の一切れのパンを施してやりました。♠へ金を施す〉金持ちのこの男は、一度も、貧しい人にお金を施したことなどなかった。♠<慈悲を施す〉きっと仏様が独りぼっちになったおまえをあわれに思って、慈悲を施してくださったに違いない。♠〈肥料を施す>庭の植木や花に、時々肥料を施します。♠加工を施す〉このコートの生地には防水加工が施されている。♠へ装置を施す〉もちろん、館内には冷暖房装置を施しています。♠〈手当てを施す〉これはひどいけがだ、急いで手当てを施さなくてはいけない。♠人策を施す>汚れた川をこのままほうっておくわけにはいかない。何らかの策を施す必要がある。♠◇面目を施す>弟の宿題を解決してやって、兄としての面目を施した。 **ほどとお・い**【程遠い】○遠く離れている。へだたりがある。[文例]〈程遠からぬ所〉駅から程遠からぬ所に目ざす家はあった。♠へ目標に程遠い〉ある程度の成果はあがったが、当初の目標には程遠い。 **ほどなく**【程無く】○まもなく。じきに。[文例]あいにく父は外出していますが、程なく帰りますのでお待ちください。♠その夜、わたしは床[とこ]に就[つ]いて程なく、穏やかな眠りに落ちた。♠列車は、それから程なく京都駅に到着した。 **ほとばし・る**(迸る)○勢いよく飛び散る。[文例]〈水がほとばしる〉破裂[はれつ]した水道管からほとばしる水で、付近は水びたしとなった。♠へ血がほとばしる〉ナイフで切った指先からは、血がほとばしるようにふき出している。♠〈若い血がほとばしる〉運動場いっぱいにくり広げられる棒取り競争に、若き血がほとばしる。♠〈ほとばしる情熱〉彼女のほとばしるような情熱がクラス全員を動かしたのだ。♠へほとばしり出る〉ふいにその時、体の中に燃えたぎるものがふき出したように、歌が口をついてほとばしり出た。 **ほどほど**【程程】○ちょうどよい程度。適度。[文例]〈ほどほどの遊び〉働くばかりではいけません、ほどほどの遊びが人間には必要です。♠くほどほどにする〉夜ふかしもほどほどにしないと、体をこわすよ。 <1027> **ほとぼり**(熱り)○残っている熱。興奮のなごり。事件後に残った世間の関心。[文例]〈日のほとぼり〉〈ほとぼりを残す〉夜になっても、砂浜は日のほとぼりを残してほのかに温かかった。♠へ血のほとぼり〉熱い汁[しる]をすすると、体の底から温かい血のほとぼりがのぼってきた。♠へほとぼりが冷める〉犯人は、世間のほとぼりが冷めるまで身をひそめるつもりらしい。 **ほどよ・い**【程よい】(程好い)○ちょうどよい。適度である。[文例]〈程よい加減〉風呂は程よい湯加減で、体の疲れがゆっくり抜けていった。♠〈程よく色づく〉山の木々が程よく色づいて、絶好の行楽シーズンになった。 **ほとり**(辺・畔)○あたり。そば。きわ。[文例]〈池のほとり〉ふと見ると、わたしと反対側の池のほとりに友達が立って、しきりに手を振っていた。♠〈川のほとり〉川のほとりには、大きなやなぎの木があり、子供の遊び場所としてはもってこいだった。♠へ湖のほとり〉夕食後、きれいな月にひかれて、湖のほとりまで散歩に出かけた。 **ほとんど**(殆ど)○おおかた。あらまし。もう少しのところで。…にちかい。[文例]日本には、約四百九十種の野鳥がいますが、そのほとんどが渡[わた]りをします。♠ほとんどの動物の胴体[どうたい]が地面と水平になっているのに、人間の場合は垂直です。♠子供たちの多くは、テレビの映像にほとんど毎日接しているのです。♠新聞や雑誌、教科書などの文章は、ほとんどが共通語で書かれている。♠もうほとんど勝ったも同然の試合だったのに、最後にきて逆転されてしまった。♠とっさのことで、考えている時間などほとんどなかった。 **ほね**【骨】○動物の体を支える、カルシウム分の多い硬い組織。器物に布・紙を張る時しんになる棒。物事の中心になるもの。強い性格。気骨。労苦。困難なさま。[文例]〈骨と皮>長い間病床[びょうしょう]にあった父は、本当に骨と皮ばかりにやせてしまった。♠〈骨を折る〉スキーは、足の骨を折ることがよくあるので、注意して行ってらっしゃい。♠へ骨のずいまで〉ここ二、三日北風が吹きあれ、骨のずいまで寒さがしみわたるようです。♠へ骨が折れる〉骨の折れる仕事にもかかわらず、最後までよくがんばりとおしたね。♠〈骨を惜しむ〉あいつはなまけ者で、ちょっとしたことにも骨を惜しむ。♠〈骨がある〉ちょっとやそっとでは泣き言を言わない骨のある少年だった。♠〈骨っぽい作品〉最近は、人間の生き方を問うような骨っぽい文学作品は少なくなったようだ。♠〈骨をうずめる〉わが社に入社したからには、ここに骨をうずめるつもりでがんばってください。♠へ骨を休める〉忙[いそが]しかった仕事もやっと一段落ついたから、温泉にでもいって骨を休めてこようかな。♠へ骨を拾う〉骨はいつでも拾ってやるから、死ぬ気でがんばってこい。♠へ骨までしゃぶる〉あんな悪徳なたかり屋にかかったら、骨までしゃぶられてしまう。♠いくら元気そうに見えても、年が年だから、山に登るのは骨だと思うな。♠へ傘の骨〉この間の強風で、傘の骨をいためてしまったので、修理に出そう。 **ほねおしみ**【骨惜しみ】○労苦をいとうこと。なまけること。[文例]〈骨惜しみをする〉初めに骨惜しみをしたばっかりに、あとでその分苦労をすることになった。♠へ骨惜しみする〉めんどうな仕事でも骨惜しみしないで働きなさい。 **ほねおりぞん**【骨折り損】○むだな苦労。[文例]あなたのためを思ってしたことなのに、余計なことをするなだなんて骨折り損ね。♠へ骨折り損のくたびれもうけ〉骨折り損のくたびれもうけ、苦労がむくわれないこともあります。 **ほねぐみ**【骨組み】○体の骨の構造。骨格。建物などの主要な柱の組み立て。物事の主要部分(の構成)。[文例]〈体の骨組み〉父は、学生時代野球の選手だっただけに、体の骨組みががっしりしています。♠〈建物の骨組み〉昔の建物は、骨組みがしっかりしていたので、今の建物よりむしろ地震[じしん]に強かったような気がします。♠へ文章の骨組み〉〈骨組みを作る〉あらかじめ文章の骨組みを作っておいて、それに従って書いていくようにするとよい。 **ほねぬき**【骨抜き】○料理で鳥・魚などの骨を抜くこと。物事の肝心[かんじん]な部分を抜き去ること。気骨・気概をなくさせること。[文例]〈骨抜きにする〉気むずかしかった男も、美人の嫁[よめ]をもらうとすっかり骨抜きにされてしまった。♠法案が骨抜き>悪徳業者に対する罰則がないなら、この規制法案も骨抜きだといわれてもしかたあるまい。 **ほねみ**【骨身】○骨と肉。全身。[文例]〈骨身にこたえる〉今年の寒さは特別で、年寄りのわたしには骨身にこたえます。♠〈骨身を惜しむ〉今度雇[やと]った青年は骨身を惜しまず働いてくれるので助かります。♠〈骨身をけずる〉いくら骨身をけずって働いても、さっぱりお金はたまりません。♠人骨身に徹する〉あなたから受けたご恩は、骨身に徹しております。 **ほのお**【炎】(焰)○(「火の穂」の意)気体が燃える時に見える火の先。火炎。激しくわき起こる感情。[文例]〈ろうそくの炎>たまには電気を消して、ろうそくの炎を囲んで食事をするのも楽しいものです。♠へ炎が吹き上がる〉燃えおちる建物から、炎がごうごうと吹き上がっている。♠へ炎に包まれる〉炎に包まれた建物から、次々と子供たちが助け出されました。♠へ炎がなめつくす〉おりからの強風にあおられ、炎は町じゅうをなめつくした。♠へ怒[いか]りの炎>弱い人や貧しい人たちを苦しめる者に対しては、怒りの炎を燃やすべきだと思う。♠〈恋[こい]の炎〉〈炎が燃え上がる〉少女を見つめる若者の目には、恋の炎が燃え上がっていました。 **ほのか**(仄か)○わずかに感じられるさま。かすか。[文例]〈ほのかな香[かお]り〉すれちがいざま、ほのかにさわやかなオーデコロンの香りがしました。♠へほのかな光〉夜ともなると、対岸の人家がほのかな光と変わり、人恋[ひとこい]しさがつのります。♠へほのかにただよう〉お堂の中に入っていくと、お香の香りがほのかにただよっていた。♠〈ほのかに見える〉山頂からは、うすくなってきた霧のかなたに、海がほのかに見えた。♠へほのかな期待〉返事はどうせこないだろうなとは思いつつ、ほのかな期待を寄せて、手紙を出すことにしました。♠へほのかな思[おも]い〉少年時代、ほのかな思いを抱[いだ]いていたあの人はすでに結婚[けつこん]したという。 <1028> **ほのぼの**(仄仄)○ほんのりと感じられるさま。ほのかなさま。[文例]〈ほのぼのと明ける〉ほのぼのと明けゆく空をながめていると、さわやかさが胸いっぱいに広がってきます。♠◇ほのぼのとした愛情二人の間には、ほのぼのとした愛情が感じられます。♠へほのぼのとした空気>病気だった母も元気になり、やっとわが家にもほのぼのとした家庭的な空気がかえってきた。♠へほのぼのとした人情味下宿のおばさんは、ほのぼのとした人情味のある人なので、みんなから好かれている。♠へほのぼのとしたムード〉一人ぐらしも気楽でいいのですが、ときには家庭的なほのぼのとしたムードが恋しくなります。 **ほのめか・す**(仄めかす)○それとなく示す。暗示する。[文例]〈それとなくほのめかす〉おじやおばが集まったところで、「今度京都に行くの。」とそれとなくほのめかしても、お小遣いをくれようとする人はいなかった。♠へ決意をほのめかす>両親にはそれとなく、A高校受験の決意をほのめかしておいた。♠〈内容をほのめかす〉国語の先生は、テスト直前の授業の中で、それとなく試験内容をほのめかしてくれます。 **ポピュラー**○人気のあるさま。広く知られているさま。大衆的。[文例]〈ポピュラーな本>平均的な日本人に最もポピュラーな本といえば、週刊誌でしょうか。♠ヘポピュラーな学問>当時の学生の間で最もポピュラーな学問は哲学だった。♠ヘポピュラーソング〉ラジオから流れるポピュラーソングに合わせて、軽快に部屋の掃除が進みます。 **ぼひょう**【墓標・墓表】○墓のしるしとして立てた柱・石など。[文例]〈墓標を立てる〉嵐の海に消えた男たちのために、村人は岬の突端に墓標を立てた。♠へ墓標が立つ〉この山の中腹に、だれのものともわからない、朽[く]ちかけた墓標が立っている。 **ほふく**(匍匐)○腹ばいになること。はうこと。[文例]〈匍匐する>兵士たちは、敵の視界に入るのを避けるため匍匐して前進した。 **ほふ・る**(屠る)○鳥・獣などの体を切り裂く。皆殺しにする。打ち倒す。[文例]〈家畜をほふる〉大切な羊をほふり、友はわたしたちをもてなしてくれた。♠〈敵をほふる〉襲いかかる敵を次々にほふり、そのしかばねを乗り越えて進んだ。 **ほほ**(頬)→ほお **ほぼ**(略・粗)○だいたい。おおかた。おおむね。[文例]〈ほぼ十分の一>東京都の人口は、日本の全人口のほぼ十分の一に当たる。♠へほぼ中央>阿蘇山[あそさん]は、九州地方のほぼ中央にある。♠へほぼぴったり〉品物の値段は、ぼくが予想したのとほぼぴったりだった。♠へほぼ終わり〉夕方、ひぐらしの声を聞き、さしもの長い夏もほぼ終わりかと思われた。♠へほぼ完成する〉新校舎もほぼ完成し、プレハブの教室とももう少しでお別れだ。♠〈ほぼ決まる〉今度の選挙の勝敗は、ほぼ決まったようなものだ。♠へほぼ満席〉どれくらい観客が来るかと心配していたが、会場はほぼ満席だったので安心した。 **ほほえましい**(微笑ましい)○ほほえみをさそうさまである。[文例]〈表情がほほえましい〉やっとつかまえたとんぼを、大切に持ってくる子供の真剣[しんけん]な表情は、見ていてほほえましかった。♠くほほえましい姿〉泣きじゃくる幼[おさな]い弟を、三つ年上の姉が懸命[けんめい]になだめている姿は、見るからにほほえましかった。♠へほほえましい光景〉若いカップルが小さな子供の手をひいていく光景には、何ともほほえましいものがありました。 **ほほえみ**(微笑み)○ほほえむこと。微笑。[文例]〈ほほえみを浮かべる〉娘はわたしに気づくと、ちょっと手を挙げてほほえみを浮かべた。♠へほほえみをたたえる>先生は、ほほえみをたたえた顔をぼくに向けた。♠へほほえみが消える〉母を失ったわたしたちからほほえみが消えて久しかった。 **ほほえ・む**(微笑む)○にっこり笑う。微笑する。ほおえむ。[文例]〈人にほほえむ〉道で声をかけると、マー坊[ぼう]はわたしにほほえみながら手を振った。♠くにっこりほほえむ〉真っ青な空には、お日さまがにっこりほほえむように輝[かがや]いていた。♠く勝利の女神がほほえむ〉息もつけぬ苦しい試合の連続でしたが、勝利の女神はついにわれわれにほほえみました。♠へほほえみかける〉公園では、さまざまな色、形の花々が通りすがりの人にほほえみかけています。 **ほまれ**【誉れ】○名誉。栄誉。名声。[文例]〈家の誉れ>甲子園に出場した息子は、わが家の誉れです。♠へ誉れ高い>名城の誉れ高い熊本城を一度訪れてみたい。♠◇出藍[しゅつらん]の誉れ>彼は、師の記録を破った、出藍の誉れの高い青年剣士であった。 **ほめそや・す**【褒めそやす】○盛んにほめる。ほめたてる。[文例]〈善行を褒めそやす〉町の人々は、少年の勇気ある行動を口々に褒めそやした。 **ほめたた・える**【褒めたたえる】(褒め称える・褒め讃える)○大いにほめる。賞賛する。[文例]〈功績を褒めたたえる〉歌人の功績を褒めたたえ、公園に記念碑を建てることになった。♠へ勇者を褒めたたえる〉人々はこの勇者を口を極めて褒めたたえた。 **ほめちぎ・る**【褒めちぎる】○口をきわめてほめる。[文例]〈演奏を褒めちぎる〉たまたま会場にいあわせた有名なピアニストが少女の演奏を褒めちぎった。♠へ演技を褒めちぎる〉新聞の映画評は、新人女優の演技を褒めちぎっていた。 **ほ・める**【褒める】(誉める・賞める)○高く評価して言う。たたえる。[文例]一生懸命[けんめい]やって、褒められた満足感は格別です。♠へ人を褒めるこんどの担任の先生は大変熱心だと、クラスの父母たちがみな褒めています。♠へ作品を褒める〉彼のデビュー作は、新人とは思えぬ出来だと、世間から褒められたそうです。♠へ褒めた話でない〉いくら蛇がこわかったとはいえ、小さい妹を置き去りにして逃げるなんて、あまり褒めた話じゃないね。♠へ褒められたことでない>理由はどうあれ、人の悪口を言うのは褒められたことではないよ。♠へ褒めちぎる〉仲人[なこうど]さんは、相手の男性を褒めちぎっているけれど、姉はもうひとつ気が乗らないらしい。 **ほやか・す**○あいまいにする。ぼんやりさせる。ぼかす。[文例]〈輪郭をぼやかす〉もやの中に輪郭をぼやかした塔には、一種の雰囲気[ふんいき]があった。♠へ言葉をぼやかす〉問い詰めると、その生徒はあいまいに言葉をぼやかして口をつぐんだ。♠へ結末をぼやかす〉その小説は巧妙に結末をぼやかし、読者の想像をかきたてる手段をとっていた。 <1029> **ぼやく**○不平を言う。ぐちをこぼす。[文例]酒が回ると、客のサラリーマンたちは仕事のことでしきりにぼやき始めた。♠大きなマーケットができてから客足が遠のいたと、商店主たちはぼやいている。 **ぼや・ける**○ぼんやりする。はっきりしなくなる。[文例]〈物がぼやける〉父は最近、物がぼやけて見えるとかで、眼鏡をかけるようになった。♠ヘピントがぼやける〉弟が撮[と]った写真はどれもこれもピントがぼやけていて、はっきり写っているのは一枚もなかった。♠へ色がぼやける〉あんなにあざやかだった柄[がら]も、洗濯[せんたく]のしすぎでだいぶ色がぼやけてしまった。♠へ記憶がぼやける〉年をとって老人になると、若いころの記憶は少しずつぼやけていく。♠く頭がぼやける〉寝不足[ねぶそく]で頭がぼやけていたのか、母がなんと言ったか全然覚えていない。♠へぼやけた風景〉かすみで白くぼやけた京都の町並[まちな]みは、非常に美しいものでした。♠へ話の焦点がぼやける>途中で具体例を入れすぎたために、かえって話の焦点がぼやけてしまいました。 **ほやほや**○出来たてで柔らかく、温かいさま。そうなったばかりのさま。[文例]〈できたてのほやほや〉おまんじゅうはできたてのほやほやで、ほっぺたが落ちそうにおいしかった。♠〈新婚ほやほや〉列車の前の座席は新婚ほやほやのカップルで、あてられっぱなしだった。 **ほゆう**【保有】○持ち続けること。[文例]〈核の保有〉核の保有が人類の生存に対する重大な脅威[きょうい]であることは疑いえな い。♠〈保有する〉資源を豊富に保有する国と、日本のように資源に恵まれない国があります。 **ほよう**【保養】○健康のために心身を休めること。[文例]〈保養する>仕事に追いまくられて心身ともに疲れ果てた彼は、しばらく山荘で保養することにした。♠病気保養>医者からすすめられ、病気保養のため転地することにしました。♠<目の保養>夏のリゾートは、男性にとって目の保養になります。♠〈保養地〉カンヌは、フランス南部の地中海地方にある保養地である。 **ほら**(法螺)○ほら貝。おおげさな話。でたらめ。[文例]〈ほらを吹く〉町から来た男は、村人たちにあることないこと口から出まかせにほらを吹きまくった。♠〈ほらが多い〉きみの話は、ほらが多いから信用できない。♠〈ほら吹き〉また、あのほら吹きがでかいことを言い始めたよ。 **ほらあな**【洞穴】○がけなどにできた穴。どうくつ。[文例]滝の裏側に深い洞穴ができていた。♠犯人は山中の洞穴に隠れ、夜になるのを待って逃亡したらしい。 **ボランティア**○社会事業などに自主的に奉仕する人。[文例]障害児を収容するこの学園では、運営に多くのボランティアが協力しています。♠ヘボランティア活動〉わたしは、ボランティア活動を通じて、恵まれない人々の現状が少しは理解できるようになった。 **ほり**【堀】(濠)○地面を掘ってつくった水路。城の周囲の水をたたえた所。[文例]〈堀をめぐらす〉城のまわりには堀をめぐらして、敵の侵入を防ぐ。♠〈堀で囲む>深い堀で囲まれた城へしのび込むのは、たとえ忍者でも容易ではなかったろう。♠へ堀が通る〉古い地図で見ると、昔、この辺に堀が通っていたらしい。♠〈堀を埋め立てる〉城の堀を埋め立てる計画には反対する人が多かった。 **ほり**【彫り】○彫ること。顔のくぼみ。[文例]〈彫りが深い>日本人にしては彫りの深い顔の青年だった。♠へ彫り物〉大浴場のすみに、背中一面に彫り物のある老人がいた。 **ほりあ・てる**【掘り当てる】○埋蔵物[まいぞうぶつ]を掘り出す。[文例]〈金鉱を掘り当てる〉金鉱を掘り当てたロドリゲスは、一躍[いちやく]大富豪になった。♠〈化石を掘り当てる〉発掘調査隊は、ついになんとナウマン象の化石を掘り当てた。♠へ宝の山を掘り当てる〉男の子が五人、そろいもそろって働き者で、親のわたしは宝の山を掘り当てたようなものだ。 **ほりおこ・す**【掘り起こす】○土を掘り返す。隠れていたものを表面に出す。[文例]〈田畑を掘り起こす〉春になると、田畑を掘り起こして、植え付けの準備を始めます。♠へ才能を掘り起こす〉コーチとして彼は無名選手のうもれた才能を掘り起こし、世界的なプレイヤーを育てた。♠◇過去を掘り起こす〉忘れられた過去の事件を掘り起こし、歴史のあかるみに出すこともジャーナリストの仕事です。 **ほりかえ・す**【掘り返す】○掘って中の土を出す。[文例]〈土を掘り返す〉土を掘り返すと、立派な山いもが顔を出した。♠<庭を掘り返す>戦争が終わって敵が撤退[てったい]すると、庭を掘り返して、埋めておいた貴重品を取り出した。♠〈墓を掘り返す>墓が掘り返され、遺体が盗まれるという事件が起こった。 **ほりさ・げる**【掘り下げる】○深く掘り進める。深く追求する。[文例]〈井戸を掘り下げる〉地下水のわき出る深さまで、井戸を掘り下げた。♠◇問題点を掘り下げる〉さらに論議を進め、問題点を掘り下げてみよう。 **ほりだしもの**【掘り出し物】○偶然手に入った貴重な物。安く手に入った物。[文例]最新型のカメラがこの値段で買えるなんて、これは掘り出し物だ。♠古道具屋で、思いもかけない掘り出し物の壺[つぼ]を手に入れた。♠◇掘り出し物をあさる>古本市[ふるほんいち]に出かけ、掘り出し物をあさってみた。 **ほりもの**【彫り物】○彫刻。皮膚に彫った絵・模様。[文例]〈彫り物をする>老人のステッキの握りには、獅子[しし]の彫り物がしてあった。♠へ彫り物がある〉旅の芸人の背中には竜[りゅう]の彫り物があった。 **ほりゅう**【保留】○決定や実行をおさえとどめておくこと。留保。[文例]〈保留にする〉この問題はもう少し検討する必要があるので、決定は保留にします。♠〈保留する>賛成か反対か問われたのですが、わたしは態度を保留しました。 **ボリューム**○分量。かさ。量感。音量。書物の巻。[文例]〈ボリュームがある〉うちの店のランチは、安くてボリュームがあってうまい。♠ヘボリュームを上げる・下げる〉ステレオの音が大きすぎるから、少しボリュームを下げてくれ。♠さすがお相撲さんだ、すごいボリュームだね。 <1030> **ほりょ**【捕虜】○戦場で捕らえられた兵士。[文例]〈捕虜になる〉敵軍の捕虜になるくらいなら死ぬほうがいいと、自殺する兵士も少なくなかった。♠へ捕虜収容所>投降した将兵は、捕虜収容所へ引き立てられた。 **ほ・る**【掘る・彫る】○地面に穴やくぼみを作る。土の中の物を取り出す。彫刻する。彫り物・入れ墨をする。[文例]〈土を掘る>固い土を掘るときには、つるはしなどの道具が必要です。♠〈井戸を掘る〉この土地に来て、人々はまず、住居を作り、井戸を掘り、畑を切り開いた。♠へ穴を掘る>冬は、床下[ゆかした]に大きな穴を掘って、食料を蓄[たくわ]えておくのです。♠へ溝[みぞ]を掘る〉うちの前の道路の両側には、水を流すための溝が掘ってあります。♠ヘトンネルを掘る〉トンネルを掘るには、大変な労力と費用を必要とします。♠〈石炭を掘る〉昔[むかし]は、この山からたくさんの石炭が掘られ、町も繁栄[はんえい]していた。♠へ芋[いも]を掘る>農家のおばさんから、掘ったばかりのお芋をどっさりいただいた。♠〈地下から掘る〉地下から、ナウマンゾウの骨や歯の化石が掘り出された。♠<墓穴[ぼけつ]を掘る〉他人を犯人に仕立てようとした男は、証人台に立って、自ら墓穴を掘る結果になった。♠〈名前を彫る>記念碑には、この町の発展に力を尽くした人々の名前が彫ってあります。♠ヘ仏像を彫る>男が精魂[せいこん]こめて彫った仏像の顔には、えもいわれぬ優しさがありました。♠へ絵を彫る〉年賀状用に、版木にいさねんひ楽しい絵を彫りつけてみました。♠へいれずみを彫る〉町のおふう屋で、背中にいれずみを彫った男の人を見た。 **ほれこ・む**【ほれ込む】(惚れ込む)○すっかりほれる。[文例]〈人にほれ込む>父親が娘の連れて来た青年にすっかりほれ込んでしまい、すんなり結婚の運びとなった。♠へ腕にほれ込む〉主人は、きつぶのいい職人の腕にほれ込んでいた。 **ほれぼれ**(惚れ惚れ)○心を奪われ、うっとりするさま。[文例]婦人は、ほれぼれとその反物[たんもの]をながめた。♠久しぶりの名演奏にほれぼれ聞き入った。♠〈ほれぼれする〉さすがに名優、あの声、あの演技、まったくほれぼれするねえ。 **ほ・れる**【掘れる】○土が取り除かれて穴やくぼみができ る。[文例]〈土が掘れる〉屋根から落ちる雨だれでいつのまにか土が掘れ、小さな溝[みぞ]ができている。♠へ根が掘れる〉大雨で土砂が流され、斜面に生えた木々の根は掘れて露出していた。 **ほ・れる**(惚れる)○恋いしたう。好きになる。心を奪われる。うっとりする。[文例]〈女にほれる〉ほれた女を女房[にようぼう]にできたんだから、あいつもさぞうれしいだろうねえ。♠へ人柄にほれる〉わしは、きみの誠実なその人柄にほれて、きみを採用したのだ。♠へほれたはれた〉恋愛物といっても、この作品は、ほれたはれたの浮世話[うぱぐるま]とはひと味違う。♠へほれて通えば千里も一里>札幌まで女に会いに行くって? ほれて通えば千里も一里とはよく言ったもんだ。♠へ聞きほれる〉彼女の美しい歌声に思わず聞きほれた。 **ほろ**(幌)○雨・日光を避けるために車にかける覆い。[文例]〈ほろが付く>乳母車[うばぐるま]にはほろが付いていて、ほこりや強い日差しから赤ちゃんを守ります。♠へほろをかける〉人力車にはほろがかけられていたので、乗っていた女の顔は見えなかった。♠へ幌馬車〉広い荒野[こうや]を幌馬車の列が土ぼこりをあげて行く。 **ぼろ**(襤褸)○使い古した布。着古し、破れた衣服。つぎはぎぼろだらけの衣服。欠点。使い古した物。[文例]〈ぼろをまとう〉戦火で焼け出された人々は焼け焦げのぼろをまとい、疲れた表情で歩いていた。♠へぼろを着る〉終戦当時の子供たちは、今から思えば悲しくなるほどこっけいなぼろを着ていた。♠へぼろを下げる〉ぼろは下げても心は錦[にしき]とばかりに、若い胸のうちは希望に燃えていました。♠へぼろを出す〉お見合いは順調に行っていたのに、最後に余計なことを言ってぼろを出してしまったわ。♠へぼろが出る>自分をよく見せようと取りつくろっていても、いつかぼろが出るものさ。♠〈ぼろを隠す〉ぼろを隠すのも楽じゃない。おしゃべりと思われないようがまんしていたが、口がむずむずしてしまった。♠へぼろの自転車〉ぼく、こんなぼろの自転車いやだなあ。♠〈ぼろ切れ〉油汚[よご]れをふき取るぼろ切れか何かないかな。 **ほろ・びる**【滅びる】(亡びる)○衰えて無くなる。絶える。滅亡する。ほろぶ。[文例]〈動物が滅びる>恐竜が地球上から滅びた原因は、食べ物がなくなったためとも言われます。♠〈生き物が滅びる〉仏教には、生きているものはすべていつかは滅びるもので、この世に永久不変なものはないという思想がある。♠〈人類が滅びる>現在地球上には、人類が瞬時[しゅんじ]にして滅びるほどの兵器があると聞く。♠〈自然が滅びる〉開発が進むにつれて、美しい自然が滅びてゆく。♠〈一族が滅びる〉この戦いで、源氏に敗れた平氏一族は滅びた。♠へ幕府が滅びる二百五十年以上続いた徳川幕府[とくがわばくふ]も、ついに滅び、ここに武家政治も終わりを告げた。♠国が滅びる〉高い文化を持ったインカ帝国は、十六世紀、スペイン人の手によって征服され、滅びた。 **ほろ・ぶ**【滅ぶ】→ほろ・びる **ほろぼ・す**【滅ぼす】(亡ぼす)○滅びさせる。滅亡させる。[文例]〈国を滅ぼす〉戦争は、多くの人々を苦しませ、国を滅ぼすもととなるものです。♠く敵を滅ぼす〉兵士たちは、敵を滅ぼすために、毎日毎日戦った。♠〈相手を滅ぼす〉相手を滅ぼさねば自分が滅びるという考え方では、いつも争いが絶えないのは当然です。♠へ種族を滅ぼす〉自然界には、生物がその生命を守り、種族を滅ぼさないための巧[たく]みなし くみがあります。♠〈身を滅ぼす〉ぜいたくが彼の身を滅ぼす原因となった。 **ぼろぼろ**○ひどく破れているさま。ひどくいたんでいるさま。こぼれ落ちたり、はげ落ちたりするさま。[文例]〈ぼろぼろのなり〉それは、ぼろぼろのみすぼらしいなりをした老人だった。♠へぼろぼろになる>遊郭[ゆうかく]に身を落とした女は、身も心もぼろぼろになっていた。♠へぼろぼろとこぼれる〉女の目から大粒のなみだがぼろぼろとこぼれた。 <1031> **ほろよい**【ほろ酔い】(微酔い)○酒に少し酔うこと。[文例]〈ほろ酔い気分〉ワインをいただいて、うっとりほろ酔い気分になりました。♠へほろ酔い機嫌[きげん]>晩酌[ばんしゃく]でほろ酔い機嫌の父は、いかにも気持ちよさそうに話をする。 **ほん**【本】○書物。書籍。図書。[文例]〈本を読む〉本を読んだら、読んだ本の題名と、著者[ちょしゃ]名をカードやノートに記しておくとよい。♠〈本を書く〉将来は作家になって、たくさん本を書いてみたい。♠へ〈本を選ぶ〉読書感想文の宿題があるので、図書館へ行って、適当な本を選んでこよう。♠〈本を借りる〉日曜日は、市の図書館へ行って、本を借りてくることにしています。♠〈本にまとめる〉祖父は、今まで作ってきた俳句や短歌を一冊の本にまとめ、こんど自費出版することになりました。♠〈本を出す〉大きくなったら、自分の書いた作品をまとめて本を出してみたいな。♠〈本にめぐりあう〉一冊のすぐれた本にめぐりあうことで、その人の生き方が変わることさえある。♠〈本との出会い〉本との出会いというものは、人との出会いと同じように、人生を大きく左右することさえあります。♠〈物の本物の本によれば、この人物は江戸時代の町医者であるという。 **ぼん**【盆】○物をのせて運ぶための浅い器。陰暦七月十五日に祖先の霊をまつる仏事。また、その数日間。うらぼん。[文例]〈盆に盛る〉おばあちゃんは、さあ、お食べ、と、お盆にふかした芋[いも]をいっぱい盛[も]って差し出しました。♠へ盆の十五日〉明日は盆の十五日で、親族一同が集まります。♠へ盆と正月が一緒に来たよう〉予定外の仕事がいくつも重なって、まるで盆と正月が一緒に来たような忙しさだ。♠盆踊り>夏の一夜、村人たちはにぎやかに盆踊りを楽しんだ。 **ほんい**【本位】○もとの位置や地位。判断や行動の基準。通用貨幣の基本。[文例]個人はあくまでも社会を前提として存在する事実を忘れるなら、それは個人主義の本位ではない。♠<自己本位>自己本位の考え方を改めない限り、物事を正確に判断することはできません。♠〈人間本位〉森林が切り開かれ、丘の斜面が削[けず]り取られ、自然の姿は人間本位に変えられてきた。♠ヘサービス本位>当店は、サービス本位でお客様に奉仕しています。♠〈金本位〉かつて、日本の貨幣経済は金本位制をとっていた。 **ほんい**【本意】○本当の気持ち・意図。真意。真の意義。本義。[文例]今の言葉はきみの本意とは思えない。遠慮などせずに本当のところを言ってくれたまえ。♠不本意〉諸般の事情により、不本意ながら、計画を中止することにしました。 **ほんかい**【本懐】○もとからの望み。本望。本意。[文例]生活は貧しくとも、好きな文学の道を歩めるのは本懐である。♠〈本懐を遂げる〉この展覧会で入選することはかねてからのわたしの希望でしたから、本懐を遂げた今、大変満足しております。♠へ男子の本懐>家族を愛し、子を養い育てることこそ男子の本懐であろう。 **ほんかく**【本格】○根本の格式。本来の正しい形式。本式。[文例]〈本格的な夏>梅雨[つゆ]も明け、いよいよ本格的な夏の到来だ。♠ヘスケートが本格的〉彼女のスケートは本格的だと思ったら、やっぱり、スケート歴十年ということだ。♠本格的に取りかかる>半年後の発表にそなえて、本格的に劇の練習に取りかかることにした。♠〈本格的なフランス料理>フランスでくらしていたおばが本格的なフランス料理をごちそうしてくれました。♠〈本格派〉この酒は、昔[むかし]ながらの辛口[からくち]で、本格派好みの味なのだそうです。♠〈本格化〉町の観光開発事業が本格化するらしい。 **ほんき**【本気】○本当の気持ち。真剣な気持ち。[文例]〈本気を出す〉そんな遊び半分の気持ちじゃだめだ。本気を出して、真剣[しんけん]にがんばるんだ!♠へ本気になる〉ぼくだって、本気になれば、きみになんか負けてはいないぞ。♠へ本気でやる〉遊びも勉強も本気でやれ。♠〈本気にする〉あの人は、なんでもすぐ本気にしてしまうから、うっかり冗談[じょうだん]も言えないね。♠〈本気で言う〉そんなばかなことを、本気で言っているんじゃないだろうね。♠〈本気で信じる〉今どき幽霊[ゆうれい]が出るなんてことをきみは本気で信じているのかい?♠遊びと本気〉最初は遊びのつもりだったが、そのうちに本気でやるようになった。 **ほんぎ**【本義】○本来の意味。根本となる意義。[文例]〈言葉の本義〉言葉の中には、本義が忘れられて、転じた意味のみ生きているものが少なくありません。♠〈本義とする>浄土真宗[じょうどしんしゅう]は親鸞[しんらん]が創始した、他力[たりき]を本義とする教えである。 **ほんぎまり**【本決まり】○正式に決まること。[文例]<話が本決まり〉話が本決まりになって、いよいよ具体的な準備に取りかかる段取りとなった。♠へ就職が本決まり〉面接が済み、就職がいつ本決まりになるかと楽しみにしていたら、不採用の通知が届いた。 **ほんきょ**【本拠】○よりどころとなる所。[文例]〈本拠を置く>建築家の氏は、ニューヨークに本拠を置いて、世界的な活動を行っている。♠へ本拠となる〉雑誌「アララギ」は、以後長く写生主義の本拠となった。♠へ本拠地>頼朝[よりとも]は鎌倉[かまくら]を本拠地と定め、東国の武士団を掌握[しょうあく]した。 **ほんぎょう**【本業】○本来の仕事。主とする職業。[文例]〈本業と副業>副業の方が忙しくなって、どっちが本業だか分からなくなってしまった。♠〈本業となる>趣味で始めた人形作りが、いつしか本業となってしまいました。♠へ本業がおろそか〉アルバイトに熱心になって、本業の勉強の方がおろそかになってはいけません。 **ほんけ**【本家】○一門・一族の正統である家。流派の中心となる家。商家のおおもとの家。元祖。[文例]正月や盆には、親類じゅうが本家に集まります。♠本元はこらち、いや当方こそ本家なりと、家元をめぐる争いは絶えません。♠へ本家を継ぐ>長男が本家を継ぎ、二男は分家して隣町に居を構えています。♠〈本家本元〉今度の騒ぎの本家本元はきみなのに、肝心[かんじん]な時になぜいないんだ。 **ほんごく**【本国】○その人の国籍のある国。植民地でなく本来の領土。[文例]〈本国に帰る>遠い異国の地に暮らしていると、本国へ帰りたいという思いはつのるばかりだった。♠〈本国を離れる〉本国を離れて日本で勉強するアジアの留学生の数は多い。 <1032> **ほんごし**【本腰】○真剣な心がまえ。真剣な取り組み。[文例]〈本腰を据える〉本腰を据[す]えてこの仕事をやるというなら、わしも面倒[めんどう]を見よう。♠〈本腰を入れる〉もっと本腰を入れて取り組まなくては、いつまでたっても計画は実現しません。 **ぼんさい**【凡才】○平凡な才能。また、その持ち主。[文例]くのような凡才でも、人の倍以上働けばなんとかなると思う。♠天才の苦悩[くのう]などというのは、我々凡才にはとうてい分からんね。 **ぼんさい**【盆栽】○観賞用の鉢植えの植物。[文例]〈盆栽をいじる〉年を取って、こうして庭で盆栽をいじるのが楽しみになった。 **ほんざん**【本山】○一宗一派を統轄[とうかつ]する寺。→総本山。[文例]〈天台宗の本山>比叡山延暦寺[ひえいざんえんりやくじ]は、天台宗の本山である。♠<総本山〉バチカンといえば、カトリックの総本山バチカン宮殿[きゅうでん]がある所として知られます。 **ほんし**【本旨】○本来の趣旨。もともとの意図。[文例]〈本旨にかなう〉現在の受験中心の授業は、個性を伸ばすという本校設立の本旨にかなっていない。♠〈本旨に沿う〉自然を守ろうという会の本旨に沿って、さまざまな活動を行っていきたい。♠<本旨がぼやける〉いつの間にか会は社交の場と化し、勉強のための集まりという本旨がぼやけてしまった。 **ほんしき**【本式】○正しいやり方。本格的な形式。[文例]〈本式のやり方〉伝統の儀式なので、本式のやり方で行われました。♠〈本式に習う〉先生について本式にピアノを習うことにしました。♠ぎょうざも皮から作るのが本式なのでしょうが、手を抜いて市販[しはん]のものを使っています。 **ほんしつ**【本質】○本来の性質。根本の性質。[文例]〈人間の本質>見かけだけでは、その人間の本質までは判断できません。♠〈祭りの本質>祭りの本質は、神をなぐさめることなのだが、このごろでは商売の手段として利用されているようだ。♠へ問題の本質>問題の本質がよく理解されていなかったもので、対策も的[まと]はずれになった。♠〈本質に触れる>彼の質問は、この問題の本質に触れるものでした。♠〈本質を探る〉物事の本質を探るには、常に冷静な目で判断することが大事です。♠へ本質を見極める〉物事の本質を見極められる、確かな目を養いたい。♠〈本質的〉あの人は少々口が悪いので乱暴な人のように思われるが、本質的には善良な人です。 **ほんしょう**【本性】○生まれつきそなわっている性質。正気。[文例]〈本性が現れる〉上品ぶってはいても、食べ物を前にすると、すぐその人の本性が現れてしまう。♠へ本性を現す〉人間の皮をかぶった化け物め、とうとう本性を現したな。♠〈本性をむき出す〉バーゲンセールの時など、みんな本性をむき出しにして、安い物を手に入れようと必死です。♠〈本性を失う〉いくら酒が好きでも、酔っぱらって本性を失うほど飲むのは恥[はじ]だ。 **ほんしょく**【本職】○専門の職業。専門家。[文例]このみごとな包丁さばきは、さすがに本職だ。♠いろいろ仕事をやっているが、本職は役者だ。♠へ本職のモデル>少女は、本職のモデルを雇[やと]えない若い画家たちのモデルになって、わずかな収入を得ていました。 **ほんしん**【本心】○本当の気持ち。正気。[文例]〈本心から悪い人間〉本心から悪い人間というのは、そういるものではないと思う。♠〈本心を失う〉あの時は、かあっとなって、本心を失っていたのです。♠〈本心が分からない〉好きだと言ってみたり、嫌[きら]いだと言ってみたり、どっちが彼女の本心なのか分からない。♠本心を明かす〉友達は、こっそり、ぼくだけに本心を明かしてくれた。♠〈本心は〉本心は欲しくてたまらなかったが、意地を張って欲しくないと言ってしまった。♠本心から出る〉そんなこと、あの人の本心から出た言葉とは思えません。 **ほんじん**【凡人】○平凡な人。普通の人。[文例]いくら考えてみたところで、凡人の考えることなどその程度のものだ。♠わたしのような凡人でも理性だけはそなえています。♠〈凡人のあさましさ〉名案があるはずだと知恵をしぼるのだが、そこが凡人のあさましさで名案など浮かびっこない。 **ほんすじ**【本筋】○本来の筋道。正しい筋道。[文例]〈本筋から離れる〉いつのまにか話題が本筋から離れてしまった。♠<本筋にもどす>途中で脱線してしまいましたが、話を本筋にもどしてもう一度討論しましょう。♠直接おうかがいしてお願いするのが本筋ですが、なにぶん遠く電話で失礼させていただきます。 **ほんせい**【本性】○本来の性質。[文例]〈人間の本性〉人間の本性は善であるという考え方と、悪であるという考え方があります。♠人生物の本性>生物の本性は個体の生命と種の維持であり、わたしたち人間の複雑な行動も基本的にはそこから発している。 **ほんせき**【本籍】○その人の戸籍の所在地。[文例]〈本籍を置く〉本籍は山形県に置いてありますが、現在は名古屋に住んでいます。♠<本籍地>戸籍抄本[こせきしょうほん]を本籍地の役所から取り寄せた。 **ほんせん**【本線】○中心となる線。主要な鉄道線路。幹線。中心の車線。[文例]〈鉄道の本線〉在来の東海道本線や東北本線に代わって、鉄道は新幹線の時代になりました。♠本線にする〉新会員の獲得[かくとく]を再建計画の本線とし、一方で旧会員の再加入も進めよう。 **ほんそう**【奔走】○走り回ること。かけ回って努力すること。[文例]〈選挙運動に奔走中〉候補者の後援会長[こうえんかいちょう]をしている祖父は、今、選挙運動に奔走中です。♠へお嫁さんさがしに奔走中>兄のお嫁さんさがしに奔走中のおばは、きょうもお見合い写真を持ってやってきました。♠〈奔走する〉就職運動に奔走したかいあって、希望した会社に入ることができた。♠〈資金集めに奔走する〉資金難で研究を続けることが困難になったとき、友人たちが資金集めに奔走してくれたのです。 **ほんぞん**【本尊】○本堂に安置され、信仰上最も重んじられる仏像。中心人物。当人。[文例]〈寺の本尊〉その寺は弘安寺[こうあんじ]といい、十一面観世音菩薩[かんおんぼさつ]が本尊になっていました。♠へ本尊を安置する>寺の本堂には、本尊の阿弥陀三尊像が安置されている。♠周囲がくすくす笑っているのに、御本尊[ごほんぞん]の彼だけが一向に気が付かない。 <1033> **ほんたい**【本体】○本当の姿。正体。実体。主要な部分。寺社の本尊・神体。定価のうち消費税を除いた分。[文例]〈人間の本体〉自分でも、自分という人間の本体が何であるのかが分からない。♠ヘコンピュータの本体〉コンピュータゲームのソフトはあるのだが、肝心[かんじん]の本体がこわれている。 **ほんだい**【本題】○本来の題目。主となる題目。[文例]〈本題に入る〉前置きが長くなりましたが、ここらで本題に入りましょう。♠〈本題にもどる>話が横道にそれましたが、本題にもどって、先ほどの問題をもう一度考えてみましょう。 **ぼんち**【盆地】○四方に山をめぐらした平地。[文例]谷川は、やがて丘陵[きゆうりよう]に囲まれた狭い盆地に出る。♠四方に山をめぐらした盆地は夏は暑く、冬の寒さもまた厳しい。 **ほんど**【本土】○その国の主となる領土。本州。本国。[文例]漢字は、中国本土から朝鮮半島を経て、日本へ伝来したと考えられています。♠昭和四十七年、沖縄はアメリカから全面返還され、正式に本土に復帰しました。 **ほんとう**【本当】○実際にそうであること。本物であること。真実であること。[文例]〈本当の真珠〉この首飾[くびかざ]り、本当の真珠なのですか?♠〈本当の友達>遊び友達はいっぱいいても、本当の友達というのは少ないものです。♠本当の年[とし]〉あのおばさん、二十五歳って言ったり、三十歳って言ったり、本当の年はいったい何歳なのかしらね。♠〈本当のことを言うと〉そのときは、ニコニコして笑って見せたけど、本当のことを言うと、すごく腹が立っていたんだ。♠本当の力〉山登りは、山を下りる時のほうが本当の力が必要だともいいます。♠本当の仕事>使う人の身になって、使いやすくてじょうぶに作ってこそ、本当の仕事ってもんだ。♠〈本当の寒さ〉毎日寒いが、本当の寒さがやってくるのはこれからだ。♠く話が本当〉担任の田中先生が退職するという話は、やっぱり本当だった。♠へ体が本当でない〉だいぶよくなってきたようだが、彼の体はまだ本当ではない。♠本当にする>兄の話し方がうまいので、つい本当にしてしまった。♠〈本当に〉このたびは、本当に大変でしたねえ。♠本当は〉本当はもっと複雑なのだけれど、ここでは簡単に説明しておこう。 **ほんどう**【本道】○交通の中心となる道路。正しい道。[文例]車は込み合う本道を避けて、みんなの知らないわき道を通って行きました。♠〈人間の本道〉〈本道を踏み外す〉親に手を挙げるとは、人間の本道を踏み外す行為だ。♠〈詩の本道>ただ読者を驚かせるだけの表現方法は、詩の本道といえないでしょう。 **ほんどう**【本堂】○寺院で本尊[ほんぞん]を安置する建物。[文例]山門をくぐると本堂と小さな鐘つき堂があり、本堂には阿弥陀如来像が安置されている。♠朝日がのぼり始めるころ、本堂で座禅[ざぜん]を組んでいると、悟[さと]りを開いたような気持ちになった。 **ほんにん**【本人】○その人自身。当人。[文例]代理ではいけません、必ず本人が来てください。♠まわりがあれこれ心配するより、行って本人に聞いてみよう。♠へ当の本人〉受験に失敗したというのでみんな残念がったが、当の本人は案外けろりとしている。♠〈本人自身>周囲の人は助言することはできますが、困難を本当に解決するのはやはり本人自身です。♠〈本人次第>親として子供の進路に希望がないわけではないが、やはり本人次第だ。 **ほんね**【本音】○本当の音色。本心から出た言葉。本心。→たてまえ[文例]なるべく、めんどうなことはしたくないというのがぼくの本音だ。♠〈本音とたてまえ>日本人は、本音とたてまえを使い分けるのがうまいなどと言われる。♠〈本音を吐く〉気心[きごころ]の知れた友達どうしだと、つい気が緩[ゆる]んで本音を吐いてしまう。 **ほんの**【本の】○ただの。わずかの。ほんとうの。[文例]〈ほんの一部〉人間は、百四十億個の脳細胞のほんの一部しか使わずに生涯[しょうがい]を終えているのだそうです。♠へほんの少し>皆さんのために、ほんの少しでもお役に立てれば幸いです。♠へほんの子供>高校生といえばまだほんの子供ですから、責任ある仕事のできる人は少ないのです。 **ほんのう**【本能】○動物の個体が生まれつきもっている性質や行動様式。[文例]〈本能が鈍る〉動物は、長い間飼いならされると、野生としての本能が鈍[にぶ]ってしまう。♠人種族の本能〉すべての生き物には、種族を繁栄[はんえい]させようとする本能があります。♠へ本能によって生きる〉動物は本能によって生きているが、人間はそれを理性でコントロールしています。♠〈本能をコントロールする〉人間は、本能の命ずるままに生きるのでなく、それをコントロールし、より社会的に生きることが要求されます。♠へ母親としての本能>母親としての本能が子供の危険を感じとったのでしょう。♠<本能的〉こわい目にあった時など、わたしたちは、本能的に逃げようとします。♠へ母性本能〉もしも、母性本能というものがなかったとしたら、小さな赤ちゃんを育てることは不可能かも知れません。 **ぼんのう**【煩悩】○人間につきまとって心を悩ませ、迷[まよ]いの もととなる欲望。[文例]〈煩悩をはらう〉除夜の鐘を百八回つき鳴らすことには、人間の百八の煩悩をはらい、新年を迎える意味がこもっているという。♠〈煩悩がわく〉煩悩ははらってもはらってもわいてきて、人間の心を惑[わずら]わす。♠へ煩悩に悩まされる〉俗世の煩いから離れ、煩悩に悩まされることなく平穏[へいおん]な日々を送れたら、と思う。♠へ子ぼんのう〉おみやげをさげて帰ることの多い、子ぼんのうな夫でした。 **ほんのり**○ほのかに現れるさま。かすかに感じられるさま。[文例]〈ほんのり浮き出る〉夜明けの光が少年の頬をほんのりと浮き出させていた。♠へほんのり染まる〉ほろ酔い加減の彼女のほおは、ほんのり桜色に染まっている。♠へほんのりした香り〉先生のそばに近づいたら、ほんのりした甘い香りがした。 **ほんば**【本場】○主たる産地。物事の中心地。[文例]ヘスキーの本場〉やはりスキーの本場で鍛えてきただけあって、滑り方がぼくたちとはだいぶ違うね。♠へ織物の本場〉この町は江戸時代の昔から織物の本場として有名です。♠〈本場のぶどう〉>甲府へ旅行したとき、本場のぶどうをお土産[みやげ]に買って来ました。♠へ本場のソーラン節〉北海道のおじさんが、本場のソーラン節を披露[ひろう]してくれました。♠〈本場の味>青森のおばあちゃんからりんごが送られてきたので、みんなで本場の味に舌つづみを打った。♠へ本場仕込み>長い間ロンドンでくらしていたという人から、本場仕込[じこ]みの英語を習いました。 <1034> **ほんばん**【本番】○けいこ・リハーサルに対して正式の演技。練習などでなく本格的な場。[文例]〈本番に入る〉リハーサルが済んだら、いよいよ本番に入るよ。♠へいざ本番>十分に練習はしたが、いざ本番となると、やはり緊張[きんちょう]する。♠へぶっつけ本番〉リハーサルなしのぶっつけ本番なので、せりふをきちんと言えるかどうか心配だ。 **ほんぶ**【本部】○団体の中で中心となる機関。[文例]〈警察の本部〉ゲシュタポに隠れ家を襲[おそ]われた人々は護送車に乗せられて、秘密警察の本部に連れてゆかれた。♠へ本部と支部>各支部の活動をまとめ、本部に報告します。 **ほんぷく**【本復】○病気がすっかり治ること。全快。[文例]長患[ながわずら]いもようやく本復し、再び元の生活にもどることができるようになった。 **ほんぶん**【本文】→本文[ほんぶん][文例]〈本文を読む〉本文を読んで、感じたこと、考えたことを自由に話し合ってみよう。♠この本は、始めに目次や序文があって、本文は7ページから始まっていた。 **ほんぶん**【本分】○本来のつとめ。[文例]〈学生の本分〉アルバイトや旅行もいいが、あくまで学問にいそしむのが学生の本分だ。♠親の本分〉〈本分を果たす>子供が親元を離れていくのは寂[さび]しいが、親の本分を果たしたという満足感を味わっています。♠〈本分を尽くす〉隊員それぞれが、それぞれの本分を尽くしてもらいたい。♠〈本分とする〉軍人の本分とするのは、国と国民を守ることであって、命令に盲従[もうじゅう]することではない。 **ほんぼう**【奔放】○思うままに自由にふるまうさま。[文例]〈奔放なふるまい〉大人になるにしたがって、奔放なふるまいは慎[つつし]むようになります。♠へ奔放な生活>奔放な生活が彼を堕落[だらく]させていった。♠〈奔放な作品>彼の形式にとらわれない奔放な作品が多くの人々の反響を呼んだ。♠ヘ奔放な生き方>奔放な生き方というのは、世間の人々からうさんくさい目で見られがちです。♠〈自由奔放〉〈奔放に生きる>常識や世間体[せけんてい]にとらわれず、思いのまま、自由奔放に生きてゆく彼女がわたしにはうらやましく思えた。 **ほんまつてんとう**【本末転倒】○大切なこととそうでないことの扱いが反対になること。[文例]〈本末転倒になる>生徒のために定められた校則も、行き過ぎると本末転倒となって、生徒を縛[しば]るものになってしまう。♠〈本末転倒もはなはだしい>余暇[よか]のためのサークル活動で仕事がおろそかになるのでは、本末転倒もはなはだしい。 **ほんみょう**【本命】○生まれた年の干支(=ほんみょう)。競馬などの優勝の第一候補。[文例]〈次期社長の本命〉次期社長は、やはり本命のT氏に決まりそうです。♠〈本命馬〉ダークホースが本命馬を抜いて一着でゴールインした。 **ほんもう**【本望】○もとからの望み。本懐。[文例]〈本望を果たす〉本望を果たした今、いつ死んでもよいという心境である。♠〈本望を遂げる〉何年かかっても、本望を遂げるまで、がんばります。♠舞台の上で死ねるなら、役者として本望だ。 **ほんもの**【本物】○本当の物。本式のもの。本格的なもの。[文例]〈本物とにせ物〉本物かにせ物かを見分ける目を養いたいものです。♠〈本物そっくり〉こっちの指輪は合成ダイヤだそうだが、本物そっくりで見分けがつかない。♠本物のように〉その絵に描[えが]かれた花や鳥は、まるで本物のようにいきいきしていた。♠〈本物の状態〉だいぶ回復してきたようだが、まだ本物の健康状態ではないようだ。♠本物の味>素人[しろうと]でも歌のうまい人はたくさんいるけど、やっぱりプロの歌には、本物の味のようなものが感じられるねえ。♠〈本物のよさ〉やっぱりクラシックはいいねえ。―――へえ、君に本物のよさが分かるのかい?♠本物の美しさ〉見せかけではない、本物の美しさを持った人間になりたい。 **ほんもん**【本文】○文書・書物の中の主たる文章。もとになった文章。ほんぶん。[文例]〈本文に入る〉本文に入る前に、まず前書きを読んでみましょう。♠本書は、読者の理解を助けるために、本文に注釈を加えたところがあります。 **ほんやく**【翻訳】○原文を他の言語に移しかえること。また、移しかえた文章。[文例]〈翻訳をする〉杉田玄白[すぎたげんぱく]らは、約三年半かけて「ターヘル・アナトミア」の翻訳をし、『解体新書」を出しました。♠翻訳する〉外国のすぐれた古典は、たいてい日本語に翻訳されています。 **ぼんやり**○はっきりしないさま。ぼうっとしているさま。まがぬけているさま。[文例]〈ぼんやり考え込む〉どうしたんだい、ぼんやり考え込[こ]んだりして、何か気になることでもあるのかい。♠へぼんやり眺める〉男はもう二時間以上も、ベンチに座[すわ]って湖をぼんやり眺めている。♠へぼんやり見える〉霧の中にかすんで、江[え]の島[しま]がぼんやり見える。♠へぼんやり覚えている〉当時まだ五歳だったぼくは、事件のことはぼんやりとしか覚えていない。♠へぼんやりする〉ぼんやりするな、いつボールが飛んでくるかわからないんだぞ。♠〈頭がぼんやりする〉お酒を飲み過ぎた翌日は、頭がぼんやりして、仕事に身がはいらない。♠へぼんやりとした顔>彼はぼんやりとした顔をしているけど、あれで数学はクラスで一番なんだよ。♠〈ぼんやりしている暇[ひま]〉今日はお昼から出かけるんでしょ、ぼんやりお茶なんか飲んでる暇はないわよ。 **ぼんよう**【凡庸】○平凡ですぐれた点のないさま。凡人。[文例]〈凡庸な人>多感な少女は、母のように凡庸な女にはなりたくないと思っていた。♠へ凡庸な作品〉なんら目新しいところのない凡庸な作品しか書けない時があった。 <1035> **ほんらい**【本来】○もともとのあり方。もともとそうあるべきこと。初めから。元来。[文例]〈本来の女の子>男の子とばかり遊んでいた妹も、女の子の友達が出来て、やっと本来の女の子にもどったようだ。♠へ本来の仕事>趣味に夢中になるのもいいが、本来の仕事をおろそかにするようでは困りものだ。♠へ本来の目的〉オリンピックの本来の目的は、メダルを獲得[かくとく]することではなくて、みんなが仲良くなることだったはずです。♠〈本来の性質〉人間の本来の性質は善であると考える立場と、悪であると考える立場とがある。♠〈本来は>適切な使い方をしないと、本来は役に立つはずのものも、かえってじゃま物になってしまうことだってある。♠〈本来なら〉本来ならあなたがやるべきことを、親にたよって、代わりにやってもらったのですか。♠強がりばかり言っているけれど、あの子は本来心の優しい子なのです。♠英語は本来イギリスやアメリカの国語ですが、現在は、世界各国で通じる国際語として使われています。 **ほんりゅう**【本流】○おおもとの流れ。中心となる系統。[文例]〈本流と支流〉山岳[さんがく]地帯に降った大量の雨が支流から本流へと流れ下り、急速に水かさを増している。♠へ俳句の本流〉〈本流をなす〉高浜虚子[たかはまきょし]は、正岡子規[まさおかしき]の主張を継いで雑誌「ホトトギス」を主宰[しゅさい]し、近代俳句の本流をなした。 **ほんりゅう**【奔流】○激しい流れ。速い流れ。[文例]<奔流に流される〉ゴムボートは奔流に流され転覆[てんぶく]しそうになりながら、谷川を下っていった。♠へ奔流となる〉小さな運動が多くの人々の支持を得て、今や奔流となって全国へ広まった。 **ほんりょう**【本領】○持ち前の性質。昔からの領地。[文例]〈川柳[せんりゆう]の本領〉川柳の本領は、庶民の生活や人情の機微をしゃれや皮肉を通して生き生きととらえるところにある。♠〈本領を発揮する〉初めはおとなしかったが、時がたつにつれて子供たちも本領を発揮してきた。 **ほんろう**(翻弄)○好き勝手に扱うこと。手玉にとること。もてあそぶこと。[文例]〈翻弄する〉小船は波に翻弄されて、思うようにかじが取れない。♠へ翻弄する〉年がいもなく、こんな小娘に翻弄されている自分がこっけいだった。 **ほんろん**【本論】○議論・論文の主要部分。[文例]〈序論・本論・結論>序論―本論――結論という三段構成は評論・論文の類の基本的な型です。♠〈本論に入る〉客はひとしきりとりとめのない話をしたあとでやっと本論に入り、訪問の目的を話し始めた。♠へ本論に取りかかる〉集めた資料等を一つ一つチェックし、十分な確信を得てから本論に取りかかった。 **ま**【間】○あいだ。隔たり。すきま。時間。おり。その場の具合。せりふとせりふのあいだ。休止。建物の柱と柱のあいだ。部屋。[文例]〈間もない〉友達と山に行ったのは、夏休みに入って間もない暑い日だった。♠へ間もなく>映画が間もなく始まるので、席に着いていよう。♠へ寝る間もない〉父は連日の残業で、寝る間もないほど忙[いそが]しいようだ。♠へ知らぬ間に〉ぼくたちの知らぬ間に、原っぱはさくで囲まれてしまっていた。♠へまたたく間〉少女を乗せた赤い自動車は、またたく間に走り去って行った。♠へいつの間〉まだ日はあるものとばかり思っていたが、いつの間にやら、秋も暮れなんとしていた。♠へよそ見している間に〉ちょっとよそ見している間に、そばに置いたかばんが消えていた。♠〈間があく〉この前会ったのは正月だから、ずいぶん間があいてしまったね。♠へ間を置く>子供に言い聞かせるときは、ゆっくりと、間を置いて話したほうがよい。♠へ間が悪い>彼は、見知らぬ人々の中で、少し間が悪そうに立っていた。♠へ間が悪い〉間が悪いことに、試合が盛り上がってきたときに雨が降ってきた。♠へ間を取る〉あの俳優は、間の取り方に独特の味わいがある。♠へ間に合う〉近道をしないと授業に間に合わないぞ。♠く間に合う〉お肉は間に合っているから、野菜だけ買ってきてちょうだい。♠人間が抜ける〉こんな間の抜けたことをするなんて、きっとどうかしてたんだ。♠人間が持てない〉女の人と二人だけで向きあって座ったときなどは、話がとぎれると、間が持てなくて困る。♠へ間を持たす〉あと三十分は何とか間を持たすけれど、次の出演者はどのくらい遅れるのですか。♠〈木の間〉小道から見上げると、木の間を通して春の日がきらきらとまぶしかった。♠茶の間〉お茶の間では、やかんがしゅんしゅん音を立てていた。♠<板の間>足袋[たび]もはかずに板の間で仕事をするのだから、冬の間はつらかった。 **ま**【真】○ほんとう。まこと。真実。真実・正確・純粋を表す接頭語。[文例]〈真に受ける〉おじさんの話を真に受けて、ぼくはすっかりかつがれてしまった。♠〈真人間〉若いころ悪いことをした彼も、今ではすっかり真人間になりました。♠〈真新しい〉入社式の会場には、真新しいスーツを着た新入社員がずらっと並びます。♠◇真向かい〉金物屋さんなら、郵便局の真向かいにあります。 **ま**【魔】○悪神。悪魔。魔物。怪しく無気味なこと。繰り返し人に危害や迷惑[めいわく]を与える者。[文例]〈魔が差す〉正直なきみがうそをつくなんて、魔が差したにちがいない。♠へ魔の手〉何も知らない少女に魔の手が迫る。♠へ魔の踏切〉人身事故の多いこの踏切を人は魔の踏切と呼んでいます。♠へ好事[こうじ]魔多[また]し>好事魔多し、絶好調のチームを引っ張っていたエースがけがで戦列を離れてしまった。♠〈通り魔>都会では、通り魔による事件がよく起こります。♠♠〈電話魔〉あの男は電話魔で、深夜に長話をされて迷惑している。 **まあい**【間合い】○あいだ。間隔。あいま。ころあい。タイミング。[文例]〈間合いをとる〉わたしは十分に間合いをとっていたので、楽に相手の竹刀をかわすことができた。♠間合いをはかる〉両手を広げても隣[となり]の人にぶつからないよう、十分間合いをはかって位置を決めなさい。♠へ間合いを置く〉植林では、木と木の間に適当な間合いを置くことが必要です。♠〈適当な間合い〉そのことについては、適当な間合いを見て、わたしから彼に話しておこう。♠〈間合いを見る〉ちょうど彼の手がすいた間合いを見て、わたしは声をかけた。 <1036> **マーク**○印。記号。印をつけること。注意を払うこと。記録を出すこと。[文例]〈郵便のマーク〉「干」は郵便を表すマークです。♠ヘマークがつく〉父の背広の裏には、東京の洋服屋のマークがついていました。♠ヘマークする>英文にざっと目を通し、次に意味のわからない単語を赤えんぴつでマークした。♠ヘマークする〉チームの主力選手は、相手チームから完全にマークされていた。♠へ新記録をマークする>注目の選手が、百メートル自由形で日本新記録をマークしました。♠ヘトレードマーク〉いつも短く刈りこんだぼうず頭は、ぼくのトレードマークだ。 **マーケット**○いちば。市場。[文例]ヘマーケットへ行く>洗剤の安売りがあるらしいから、駅前のマーケットへ行ってくるわ。♠ヘマーケットを求める〉国内の需要はこれ以上増えそうもないので、海外に新しいマーケットを求めなければならない。 **まい**【舞】○音楽や歌にあわせてさまざまな身ぶりをする演技。日本古来の舞踊。[文例]一人前の芸者になるには、舞や謡[うたい]や三味線のけいこが必要だ。♠へ舞を舞う〉美しい女の舞う舞に、わたしはうっとりとみとれていた。 **まいあが・る**【舞い上がる】○舞うようにして高く上がる。[文例]〈ひばりが舞い上がる〉大空に高く舞い上がるひばりは、のどかな春の風物詩です。♠葉が舞い上がる〉風に吹かれて、木の葉がひらひらと舞い上がる。♠へほこりが舞い上がる>干したふとんをたたくと、ほこりが舞い上がった。♠〈心が舞い上がる〉合格の知らせに、わたしの心は高く舞い上がった。 **まいお・りる**【舞い降りる】○舞うようにしておりる。[文例]〈鳥が舞い降りる〉寒い冬の朝、一羽の白鳥が湖に舞い降りました。♠へ花びらが舞い降りる>静かな水面にひらひらと花びらが舞い降りる。 **まいきょ**【枚挙】○一つ一つ数えたてること。[文例]<枚挙にいとまがない〉このような例は枚挙にいとまがなく、市としても対策に苦慮しています。♠へ枚挙する〉同じような被害を受けた者は枚挙するときりのないほどである。 **まいご**【迷子】○はぐれたり、道に迷ったりした子供。[文例]〈迷子を捜す〉三歳の、女の子の迷子を捜しています。♠へ迷子になる>迷子にならないように、お母さんと手をつないでいましょう。 **まいこ・む**【舞い込む】○舞いながら入ってくる。突然、入ってくる。[文例]〈チョウが舞い込む>授業中のE組の教室にモンシロチョウが舞い込んできた。♠〈雪が舞い込む〉開け放した窓から、降り出した小雪が舞い込んでいる。♠へ手紙が舞い込む>高校時代の友人から結婚式の招待状が舞い込んだ。♠へ知らせが舞い込む>午後三時すぎ、報道部に事故の知らせが舞い込んだ。 **まいしん**(邁進)○ひるむことなく突き進むこと。[文例]〈邁進する>夢の実現に迷うことなく邁進してください。♠〈邁進する〉共通の目的のために、おたがいに協力して邁進しよう。 **まいそう**【埋葬】○死体・遺骨を土に埋めて葬ること。[文例]〈埋葬する〉亡くなったおじいさんもおばあさんも、この墓地に埋葬されている。♠へ埋葬する〉この古墳[こふん]には、かなり身分の高い人が埋葬されていると推定されます。 **まいぞう**【埋蔵】○地中に埋まっていること。うずめ隠すこと。[文例]〈埋蔵する〉言い伝えによると、この辺りに戦国大名の財宝が埋蔵されているという。♠〈埋蔵量>ペルシア湾周辺の石油の埋蔵量は、他の地域とは比較にならないほど多い。 **まいちもんじ**【真一文字】○(「一」の字のように)まっすぐ。一直線。[文例]〈真一文字に舞い降りる〉野ウサギを見つけたワシは、標的に向かって真一文字に舞い降りた。♠へ真一文字に進む>勇者はまわりを取り囲む人々を押しのけて、真一文字に進んでいった。♠ヘ口を真一文字に結ぶ>試合を控えた剣士たちは口を真一文字に結び、緊張して出番を待った。 **まいど**【毎度】○そのたびごと。毎回。いつも。[文例]〈毎度のこと〉ジローが大声をあげながら教室に入ってくるのは毎度のことです。♠<毎度毎度〉外から帰ったら手を洗えと、毎度毎度言われているのにちっとも守らない。♠へ毎度ありがとう〉毎度ご来店いただきまして、まことにありがとうございます。 **マイナス**○引くこと。負の数の符号(-)。陰極。不足。赤字。不利益。[文例]<10マイナス5>10から5を引けば、「10マイナス5イコール5」で、残りは5です。♠ヘマイナス五十一度〉すでに極地用寒暖計はマイナス五十一度を示している。♠ヘマイナスの電極〉〈マイナスとプラス〉マイナスの電極とプラスの電極をつなぐと、電気が流れランプがつきます。♠<マイナスになる〉今月は臨時[りんじ]の出費がかさんで、家計が少しマイナスになった。♠ヘマイナスになる〉彼のやさしい性格はボクサーとしてはむしろマイナスになっていた。♠〈将来にとってマイナス〉今回の努力なしの成功は、彼の将来にとって、むしろマイナスだ。♠ヘマイナス面>科学技術の発達には、人間らしさを失わせるというマイナス面もあるのです。 **マイホーム**○自分の持ち家。自分の家庭。我が家。[文例]〈マイホームを持つ〉地価がはねあがり、大都市にマイホームを持つことは難しくなった。♠ヘマイホームを建てる>兄が郊外にマイホームを建てたのは五年前、ちょうど三十歲のときです。♠ヘマイホームパパ〉金田さんは、休日は家族と行動を共にする典型的なマイホームパパです。♠ヘマイホーム主義〉わたしは、家族を第一、仕事を第二にするマイホーム主義者です。 **まいぼつ**【埋没】○うずもれること。世間に知られていないこと。物事に没頭すること。[文例]〈土砂に埋没する>崩れ落ちた土砂に埋没した小屋の中から、二人の男女の遺体が見つかった。♠〈ひざまで埋没する〉ひざまで埋没する草むらだから、無くした物は見つかりません。♠へ業績が埋没する〉これまで埋没していた博士の業績が脚光を浴びることとなった。♠へ蔵書に埋没する〉わたしは書斎の蔵書に埋没して、家族のことをかえりみなかった。 <1037> **まいもど・る**【舞い戻る】○もとの所に戻る。[文例]<巣に舞い戻る>夕暮れ近くなると、親鳥はひなの待つ巣に舞い戻ってきた。♠へ手紙が舞い戻る>同窓生に出した手紙が転居先不明で舞い戻ってきた。♠〈故郷へ舞い戻る>若いときに村を飛び出していった男が、ふらっと故郷へ舞い戻った。 **まい・る**【参る】○お参りする。降参する。弱る。死ぬ。心を奪われる。「行く・来る」の謙譲語。[文例]〈神社に参る〉合格を願って、出かける前に神社に参ってきた。♠へ精神・肉体がまいる〉彼の精神も肉体もだんだんにまってきた。♠へ女性にまいる〉あれ以来、彼女にまいる彼は、ため息ばかりついている。♠これは一本取られた、まった、まいった。♠約束[やくそく]の時間にはわたしが必ず参ります。♠お奉行[ぶぎよう]様にお願いがあって参りました。♠昨年長崎[ながさき]へ行き、オランダ語も少々覚えてまいりました。♠今ちょっと出ておりますが、もうそろそろ帰ってまいりますから、しばらくお待ちくださいませんか。♠行ってまいります。♠この二、三日、ずいぶん春めいてまいりましたね。 **ま・う**【舞う】○舞を演じる。ひらひらと飛ぶ。回るように飛ぶ。[文例]〈神楽[かぐら]を舞う〉この神社では、祭礼の日には、神楽を舞って奉納[ほうのう]するならわしがあります。♠〈舞を舞う〉舞を舞っているときの姉は、いつもとは別人のように見える。♠へちょうが舞う〉菜の花畑では、たくさんのもんしろちょうが花から花へと舞っていた。♠へ風に舞う〉金色の雪のようにきらきらと、色づいたいちょうの葉が風に舞っている。♠〈雪が舞う〉光に集まる羽虫[はむし]のように、雪が窓ガラスに舞っている。♠へ桜吹雪[さくらふぶき]が舞う〉一陣[じん]の風にあおられ、春の野に桜吹雪が舞っている。♠へとんびが舞う〉高い空で、とんびが輪をかきながら舞っている。♠へ舞い上がる>実験が成功した瞬間[しゅんかん]、どっと歓呼の声が空高く舞い上がった。 **まえ**【前】○目や体の向いている方向。正面。向かいあった位置。順序が先。以前。ある時点より以前。それに相当する分量・内容を表す語。[文例]〈前に進む〉魚は、前に進むために全身を使っていたが、とかげやかえるは、四本の足がその役を果たすようになった。♠へ前へ歩く二人は、黙りこくったまま、前へ前へと歩き続けた。♠〈前に出る〉迷子[まいご]ではないかと、母は必死に人垣をかき分けて前に出た。♠へ役所の前〉役所の前まで来ると、何やら黒山のような人だかりがしている。♠〈目の前〉車を降りると、目の前にりっぱな門構えの家があった。♠〈他人の前〉尊敬している父が、他人の前でペコペコ頭を下げることは、彼には堪[たま]えがたい侮辱[ぶじよく]だった。♠〈駅前〉ぼくは、ほとんど夢中で駅前の人ごみの間をすり抜けた。♠ヘカメラの前〉子供たちは写されるのに慣れていて、カメラの前で、ごく自然にふるまっていた。♠へ書見台の前〉来客を告げられると、書見台の前に座[すわ]っていた彼は、医書から目を離した。♠へ問いかけの前>知識を本当に身につけようと思うなら、筆者の問いかけの前で立ち止まりつつ、自分で考えながら読もう。♠へ前に置く〉おじはわたしを前に置いて、おいの自慢[じまん]を聞かせた。♠ヘテレビの前〉今の子供たちは、テレビの前で育ち、言葉はわからなくても映像のコミュニケーションに親しんでいる。♠〈前にする〉青年は、大群衆のざわめきを前にして、それを圧するような大音 声[だいおんじよう]で選手宣誓を行った。♠へ前にする〉この部分は、自然の脅威[きようい]を前にした人間の弱さを巧[たく]みに描[えが]いている。♠へ死ぬ前>老人は、自分が死ぬ前に若者の鼓[つづみ]を聴きたいと言った。♠〈日暮れ前〉にらみ合っていた両軍だったが、撃ち合いは日暮れ前に始まった。♠〈前の旅〉前の旅のとき、犬たちは白熊[しろくま]に立ち向かっていったのに、今度の犬たちはいっせいに逃げてしまった。♠へ一昔前〉その新人を見ていて、わたしは球場に通いつめた一昔前の自分を思いうかべた。♠〈前とちがう〉前とちがってお酒ばかり飲むようになった父を、家族は必死に立ち直らせようとした。♠人前にもまして>博士は、前にもまして熱心に島じゅうを探訪した。♠〈お前〉〈一人前〉お前も一人前の男なら、自分で解決してみなさい。♠〈三人前〉おすしを三人前、注文しよう。♠〈男前〉彼は、スポーツ万能だし、なかなかの男前だから、女の子がさわぐのも無理はない。♠〈腕前〉つりにかけては、ぼくの腕前もなかなかのものですよ。♠〈人前〉このことは、あまり人前でしゃべらないように。 **まえおき**【前置き】○本題に入る前に述べること。[文例]〈前置きが長い〉前置きが長くて、話の本筋に入るころには時間がなくなってしまった。♠へ前置きする〉あまりうまくありませんがと前置きしてから、杉本さんは歌い始めました。♠前置きはこれくらいにして、本題に入りましょう。 **まえかがみ**【前かがみ】(前屈み)○上半身を前へ折り曲げること。また、その姿勢。[文例]〈前かがみで歩く〉冷たい北風の中、コートのえりを立て、前かがみで足早に歩いていく。♠〈前かがみの姿勢>記念写真を撮ります、二列目の人はちょっと前かがみの姿勢になりましょう。 **まえがき**【前書き】○本文の前に添えた文章。[文例]前書きと本文あわせて約二百ページの本を三日間で読み終えました。♠〈前書きを書く〉クラスを代表して、ぼくが文集の前書きを書くことになった。♠へ前書きに記す〉筆者はこの本を書くことになった理由を、前書きに記しています。 **まえかけ**【前掛け】○衣服が汚れないように前にかける布。[文例]〈前掛けをかける二歳のみどりちゃんは、食事のときには洋服を汚さないように前掛けをかけます。♠へ前掛けをする〉お店の中に前掛けをした店員さんがちょこんと座[すわ]っていました。♠〈前掛けをはずす〉母は台所[だいどころ]の片づけが終わると、前掛けをはずして買い物に出かけた。 **まえひょうばん**【前評判】○物事が行われる前にたつ評判。[文例]優勝まちがいなしという前評判だったが、結局入賞もできなかった。♠〈前評判が立つ〉今までにないおもしろい映画と前評判が立っていただけに、館内は超満員でした。♠〈前評判が高い〉前評判の高かったチームが、あんのじょう決勝戦まで勝ち進んだ。♠へ前評判がよい〉経験豊かと前評判はよかったが、実はたいへんなほら吹きだった。 <1038> **まえぶれ**【前触れ】○あらかじめ知らせること。何かが起こる前に現れるしるし。先ぶれ。[文例]〈前触れもなく〉何の前触れもなく、とつぜん田舎から母が訪ねてきた。♠へ前触れもなしに>軍隊が何の前触れもなしにふみこんでくる教室で、学生たちは、こっそり祖国の歴史を学んだ。♠へ地震[じしん]の前触れ〉この動物たちの異様なさわぎ方は、大地震の前触れではなかろうか。♠<雷雨[らいう]の前触れ〉激しい雷雨の前触れを思わせるような、午後のむっとした暑さだった。♠へ病気の前触れ〉彼の軽いせきこみは、何かの病気の前触れではないだろうか。♠へ時代の前触れ〉この小説は、近代日本の夜明けとも言える時代の前触れを、人物・事件を中心に生き生きと描[えが]いている。 **まえまえ**【前前】○ずっと前。以前。[文例]最近はこの辺りもにぎやかですが、前々はさびれた裏通りでした。♠アメンボはいったい何を食べて生きているのだろうと、わたしは前々から不思議に思っていた。 **まえむき**【前向き】○前の方を向くこと。考え方や態度が積極的なこと。[文例]〈前向きになる〉白線の所まで進んだら回れ右をし、全員前向きになりなさい。♠へ前向きの姿勢>文化振興には、市としても前向きの姿勢で取り組みます。♠〈前向きに取り組む〉くよくよしないで。前向きにものごとに取り組む姿勢が大切よ。 **まえもって**【前もって】(前以て)○あらかじめ。[文例]前もってお電話をくだされば、駅までお迎えに参ります。♠試験場までどのくらいかかるか、前もって調べておくことが大切です。 **まがいもの**【まがい物】(紛い物)○にせ物。[文例]へまがい物が出まわる〉市場には、高級時計のまがい物が大量に出まわっていた。♠戦後派の旗手などともてはやされたが、まがい物でほどなく文壇から姿を消した。 **まがお**【真顔】○真剣な顔つき。[文例]〈真顔で話す〉真顔で話しているところを見ると、どうやら冗談[じょうだん]ではないらしい。♠へ真顔になる〉楽しそうに話をしていた二人も、仕事の話に入ると急に真顔になった。 **まか・す**【任す】→まか・せる **まか・せる**【任せる】○人に頼んでやってもらう。他のものの自由にさせる。その働きを十分に発揮させる。[文例]〈後を任せる〉後のことはみんなに任せて、あなたは早く出発しなさい。♠へ留守を任せる〉母は、留守をわたしたちに任せ、買い物に出かけました。♠〈国政を任せる〉王は、国政をもっぱら大臣の手に任せている。♠へ身を任せる〉難破船は、潮の流れに身を任せて漂[ただよ]っていた。♠へいすに身を任せる〉休日の朝食がすむと、彼はゆったりといすに身を任せ、春の日差しを楽しんだ。♠へ運を天に任せる〉追いつめられた犯人は、運を天に任せて列車から飛び降りた。♠〈力に任せる〉力に任せて戸を引き開けたら、みぞから外れてしまった。♠へ暇[ひま]に任せる〉休日は、暇に任せて、近くの池に野鳥観察に出かけることにした。♠〈所在なさに任せる〉留守番の所在なさに任せて、ジグソーパズルを始めた。♠〈金の力に任せる〉これは、昔[むかし]の商人が、金の力に任せて造らせた別荘[ぺつそう]です。♠〈荒れるに任せる〉あるじを失った屋敷[やしき]は、荒れるに任せたまま、お化けでも出そうな感じだった。♠へ熟[じゅく]すに任せる〉桃の実を熟すに任せて、羽化したカブトムシのえさにします。♠〈想像に任せる〉ぼくたちの仲については、想像に任せます。 **まかな・う**【賄う】○やりくりする。間に合わせる。食事の世話をする。[文例]〈一家の生活を賄う〉一家七人の生活を、父の働きで賄わなければなりません。♠く費用を賄う〉昔、この工事の費用の三分の一は、領民の労役[ろうえき]で賄われました。♠〈小遣いで賄う〉うちの子には、ほしい物は自分の小遣[こづか]いで賄うようにさせています。♠へ下宿人を賄う〉下宿の学生十人を賄うだけの食料は、相当な量になります。 **まかふしぎ**(摩訶不思議)○非常に不思議なさま。[文例]地図を持たない伝書バトが、摩訶不思議にも何百キロも正確な旅をするという。♠ヘ摩訶不思議な話〉村の古老は、常識では信じられない摩訶不思議な話をしてくれた。 **まがりかど**【曲がり角】○道が曲がっている角の所。転機。[文例]〈曲がり角を曲がる〉曲がり角を曲がったところで、高校時代の友人にばったり出会いました。♠歴史の曲がり角〉一八六八年、日本は明治維新[めいじいしん]という歴史の曲がり角を迎えていました。 **まがりくね・る**【曲がりくねる】○くねくねと折れ曲がる。[文例]〈曲がりくねった道〉峠から湖までは、細い曲がりくねった道が続いている。♠へ曲がりくねった川〉曲がりくねった川の両側は、切りたった断崖[だんがい]になっていた。♠へ曲がりくねった枝〉わしが丹精[たんせい]して作った盆栽[ばんさい]は、曲がりくねった枝ぶりがみごとじゃろ。 **まかりとお・る**【まかり通る】(罷り通る)○公然と行われる。[文例]〈わいろがまかり通る〉政界も裏へ回れば、わいろがまかり通っているそうです。♠不法がまかり通る〉堂々と不法のまかり通る一角が大都会にはあるものです。 **まかりならぬ**【まかり成らぬ】(罷り成らぬ)○許されない。[文例]主人は、従業員の申し出をまかりならぬとはねつけました。♠旧家であったから、父に対する口ごたえは一切まかりならぬとしつけられた。 **まがりなりにも**【曲がりなりにも】○不完全ながら。どうにかこうにか。[文例]満足のいく出来ではなかったが、まがりなりにも作品は完成した。♠長つづきしないさと言われたのですが、まがりなりにも三か月間のアルバイトをやりとげました。 **まかりまちが・う**【まかり間違う】(罷り間違う)○「まちがう」を強めていう語。[文例]〈まかりまちがうと〉火遊びは、まかりまちがうと火事になるので、決してしてはいけません。♠〈まかりまちがえばこの病気は早期に発見されれば問題はないが、まかりまちがえば命取りになる。♠へまかりまちがっても〉彼女にふられたばかりだから、あいつの前ではまかりまちがっても女の話はするな。 <1039> **まが・る**【曲がる】○まっすぐでなくなる。たわむ。ゆがむ。傾く。進む方向が変わる。折れる。悪い方へそれる。ひねくれる。[文例]〈くの字に曲がる〉あらしに引き裂かれたテントのポールの一本は、くの字に曲がっている。♠へ柱が曲がる〉人の住まなくなった家は、荒れはてて、柱も曲がってしまっている。♠へ腰[こし]が曲がる〉じいさんは、八十歳だというのに、腰ひとつ曲がっていない。♠〈曲がった道>古い松[まつ]の間をくぐりながら、うねうねと曲がった道を登っていった。♠<球が曲がる〉球が、打者の近くに来て、曲がりながら急に落ちる。♠へ角を曲がる〉郵便局の角を曲がったとたん、犬が一匹ほえかかってきた。♠へ北へ曲がる〉きれいなチョウが沢を下っていって、田んぼの境目を北の方へ曲がって姿[さわ]を消した。♠く曲がったこと>明治生まれの祖父は、曲がったことのきらいな、昔[むかし]かたぎの老人です。♠へへそが曲がる〉ああ言えばこう、こう言えばああで、ずいぶんへその曲がった人だこと。♠〈根性が曲がる〉へつむじが曲がる〉きみみたいなのを、根性が曲がっているとか、つむじが曲がっているとかいうんだよ。 **まき**(薪)○燃料にする木材。たきぎ。[文例]〈まきをせおう〉昔の小学校の校庭には、まきをせおいながら本を読む二宮金次郎[にのみやさんじろう]の銅像があった。♠へまきにする〉材木を適当な長さに切ってまきにした。♠〈まきを割る〉おじさんはおのでまきを割っています。♠〈まきをくべる〉父の田舎の家では、まきをくべて風呂を沸[わ]かします。 **まきあ・げる**【巻き上げる】○巻いて上に上げる。最後まで巻き取る。無理やり取り上げる。[文例]〈ほこりを巻き上げる〉春一番が土ぼこりを巻き上げています。♠へすだれを巻き上げる〉巻き上げてあったすだれをおろして日差しをさえぎります。♠へ糸を巻き上げる〉釣り糸を巻き上げると、針には藻がからみついていた。♠〈金を巻き上げる〉子どもをおどして金を巻き上げるとは、なんて悪いやつだ。 **まきおこ・す**【巻き起こす】○巻くように吹き上げる。事件や出来事を生じさせる。引き起こす。[文例]〈風を巻き起こす>疾走[しっそう]する列車が強い風を巻き起こす。♠〈センセーションを巻き起こす>俵万智[たわらまち]先生は昭和六十二年に『サラダ記念日』を出版し、短歌界にセンセーションを巻き起こしました。♠へ騒動[そうどう]を巻き起こす〉あわて者の担任が、またまたクラスに騒動を巻き起こした。 **まきおこ・る**【巻き起こる】○くるくると吹き上がる。激しい勢いで起こる。[文例]〈論争が巻き起こる〉邪馬台国[やまたいこく]の所在地について論争が巻き起こっていた。♠ヘブームが巻き起こる〉静かな農村に温泉ブームが巻き起こった。♠へ混乱が巻き起こる〉けんかが元で巻き起こった混乱も、どうやらおさまったようだ。 **まきかえし**【巻き返し】○巻き返すこと。巻きもどし。反撃。[文例]〈巻き返しに出る〉それまで守勢に立たされていたチームが、後半十分過ぎ、巻き返しに出た。♠へ巻き返しをはかる>前回の総選挙で大敗を喫[きっ]した野党陣営[じんえい]は、今回は巻き返しをはかっています。 **まきかえ・す**【巻き返す】○もとどおりに巻き直す。反撃する。挽回[ばんかい]する。[文例]〈ロープを巻き返す>巻き取ったロープをもう一度巻き返してください。♠英語と数学は失敗したが、得意の国語と社会でなんとか巻き返そうと思っています。 **まきこ・む**【巻き込む】○巻いて中に入れる。中に引き込む。仲間に引き入れる。まきぞえにする。[文例]〈車輪に巻き込まれる〉自転車の荷台に小さな子を乗せて走ると、足が車輪に巻き込まれてけがをすることがあります。♠へけんかに巻き込まれる二人のそばにいたぼくまでが、けんかに巻き込まれそうになった。♠へ事件に巻き込まれる〉たまたまその場にいあわせた男は、怪奇な事件に巻き込まれていった。 **まきぞえ**【巻き添え】○直接関係のないことに巻き込まれて損害を受けること。[文例]〈巻き添えを食う〉系列会社倒産の巻き添えを食って、うちの会社も危ないらしい。♠へ巻き添えにする〉家族を事件の巻き添えにはしたくない。 **まきちら・す**【まき散らす】(撒き散らす)○あたり一面にばらまく。[文例]〈食べ物をまき散らす〉くしゃみが出て、口の中のポップコーンをまき散らしてしまった。♠へばい菌をまき散らす〉マスクもしないでゴホゴホせきをしているのでは、部屋中にばい菌をまき散らしているのと同じだ。♠〈公害をまき散らす〉真っ黒な排気ガスを出して走る車は、公害をまき散らしているといってよい。♠ヘうわさをまき散らす〉うわさをまき散らしたのは、いったいだれなのだろう。 **まきば**【牧場】○牛や馬などを放し飼いにする所。ぼくじょう。[文例]〈緑の牧場〉緑の牧場を渡る風はひんやりとして、牛たちも昼寝を楽しんでいるのかとても静かです。♠〈牧場を開く〉高原には広々とした牧場が開かれ、たくさんの牛や馬が放し飼いにされている。 **まぎら・す**【紛らす】○紛れるようにする。一時的に気分を晴らす。[文例]〈気を紛らす〉父の手術が終わるまでの間、母は気を紛らそうと、ずっと編み物をしていた。♠◇退屈を紛らす〉退屈を紛らそうと、近くの映画館をのぞきに出かけました。♠へ冗談[じようだん]に紛らす〉その場は冗談に紛らしたけれど、くやしくてしかたがなかった。♠酒に紛らす〉それからというもの、わたしは悲しみを酒に紛らすようになった。 **まぎらわし・い**【紛らわしい】○よく似ていて区別しにくい。[文例]〈両者が紛らわしい〉あやめとかきつばたは、たいへんよく似ていて非常に紛らわしい。♠本物と紛らわしい〉本物と紛らわしいにせ物を、男は三割引きと偽[いつわ]って売りさばいていた。♠ヘ言い方が紛らわしい「なんだかできるような気がしないでもない。」などという紛らわしい言い方はやめなさい。 **まぎらわ・す**【紛らわす】○紛らす。[文例]〈悲しさを紛らわす〉恋人と別れた悲しさを紛らわすために、青年は一心に仕事に取り組んだ。♠〈気を紛らわす〉三か月の入院生活の間、本を読むこととテレビを見ること以外、気を紛らわす方法はありませんでした。 **まぎれ**【紛れ】○紛れること。…のあまり。…に乗じて。[文例]〈紛れもない〉だいぶやせ細っているが、あの犬は紛れもなく二年前にいなくなったシロだ。♠へ酔った紛れ〉酔った紛れに適当なことを言って、女心をまどわさないでほしい。♠へ腹立ち紛れ〉腹立ち紛れにごみ箱を思いっきりけっとばしてみた。♠へどさくさ紛れ〉地震のどさくさ紛れに、男はお金を払わないで食堂を出ていってしまった。♠〈苦し紛れ〉こわい夢を見て、苦し紛れに大声を出したところで目が覚めた。 <1040> **まぎれこ・む**【紛れ込む】○間違って入る。知らないうちに入る。知られずに入り込む。[文例]〈物が紛れ込む〉ぼくのかばんの中に、隣の席の山口さんの教科書が紛れ込んでいた。♠〈人込みに紛れ込む〉人込[ひとご]みに紛れ込んで迷子になった妹は、駅前の交番に保護されていました。♠ヘスパイが紛れ込む〉政府の役人として紛れ込んでいたスパイが、いろいろな情報を流していたらしい。 **まぎ・れる**【紛れる】○まざって見分けがつかなくなる。一時的に気分が晴れる。[文例]〈人込みに紛れる〉すりを追いかけたが、日曜日の人込みに紛れて見失ってしまった。♠へやみに紛れる〉真夜中、やみに紛れてどろぼうが忍[しの]び込み、馬を盗[ぬす]み出して逃げ去った。♠へがらくたに紛れる〉焼け跡のがらくたに紛れて、一人の子供がうずくまっていた。♠へ騒[さわ]ぎに紛れる〉授業に遅刻[ちこく]したぼくは、その騒ぎに紛れて、こっそり席に着くつもりだった。♠へどさくさに紛れる〉火事騒ぎのどさくさに紛れて、男は高価な宝石を盗[ぬす]み出した。♠寂[さび]しさが紛れる〉子犬を飼うようになれば、寂しさも紛れるし、子供たちも喜ぶだろう。♠〈気が紛れる〉いやなことがある時などは、レコードを聴いたり、スポーツをやったりすると気が紛れるよ。 **まぎわ**【間際】○直前。寸前。[文例]〈死ぬまぎわ〉祖父の死ぬまぎわの顔は、今までの顔と違うような気がして頭にこびりついている。♠へ始まるまぎわ〉公演の始まるまぎわになっても、かんじんの主役が姿を見せない。♠へ別れるまぎわ〉別れるまぎわのさびしげな顔は、わたしの胸に焼きついている。♠へ出かけるまぎわ〉出かけるまぎわに電話のベルが鳴ったが、遅れては大変なので、そのままにして家を出た。♠〈出発まぎわ〉出発まぎわに、空模様があやしくなって調査をとりやめた。♠〈試験まぎわ〉試験まぎわになってあわてなくてもいいように、今からしっかり準備しておこう。♠へ締め切りまぎわ〉締め切りまぎわになってできないと言われても、対処[たいしよ]のしようがない。 **まく**【幕】○仕切りや飾りなどのために張る広くて長い布。また、芝居[しばい]で、それが開いてから閉じるまでの一段落。場面。物事の終わり。相撲の幕内[まくうち]。[文例]〈幕をかける〉講堂のまわりの壁に黒い幕をかけ、映画会を開いた。♠へ幕を張る〉丘の上では、あちこちに紅白の幕を張って、花見の宴[えん]がにぎやかに行われていた。♠〈幕が上がる〉開幕ベルとともに場内が暗くなり、いよいよスクリーンの幕が上がった。♠へ幕を引く〉劇が終わると、舞台係が幕を引いていった。♠へ幕となる〉芝居は、悪玉[あくだま]が善玉[ぜんだま]にこらしめられたところで、めでたく幕となった。♠〈幕を閉じる〉第二次世界大戦もその年の八月にいたって、その幕を閉じた。♠へ出る幕でない〉ここは、きみの出る幕ではない、黙っていなさい。♠〈幕にする〉夜もだいぶ遅くなったので、今日はこの辺で幕にしましょう。♠へ幕が下りる〉弱々しい虫の音、落ち葉のかさかさいう音とともに、季節の幕は下りかかっていた。♠へ幕を開ける〉わたしたちの祖先が文明への歩みを始めるとともに、文学の歴史もその幕を開ける。♠〈幕を切って落とす〉参加国の選手団の入場が始まり、オリンピック競技の幕が切って落とされた。♠〈砂ぼこりの幕〉辺りに砂ぼこりの幕が立つと同時に、紙くずが空中に吹き上げられていった。 **まく**【膜】○物の表面をおおっている薄い皮。生物体の諸器官を包んだり隔てたりする薄い組織。[文例]〈厚い膜二枚の厚い膜でできた声帯は、開いたり閉じたりする。♠薄い膜>鼓膜[こまく]は、薄[うす]い膜で、これが振動[しんどう]して、受け取った音を脳に伝えます。♠へ膜で包む〉池で見つけたカエルの卵は、ゼリーのような膜で包まれていた。♠へ膜が張る〉〈氷の膜>今朝の冷えこみで、庭の池には薄い水の膜が張った。♠◇膜状>上空から見た溶岩[ようがん]の流れは、赤い膜状に大地をおおっていた。 **ま・く**(蒔く・撒く・播く)○あたりに散らす。種を土に散らして埋める。連れやあとをつけてきた者を途中ではぐれさせる。蒔絵をする。[文例]〈豆をまく〉この神社の節分の行事では、毎年、年男、年女[としおとことしおんな]が豆[まめ]をまきます。♠〈水をまく>夏の日盛り、ほこりっぽい道路に水をまくと、ほっとするような涼[すず]しさを感じる。♠〈毒薬をまく〉オオカミを殺すつもりでまいた毒薬によって、オオカミから守ろうとしたヒツジが死んだ。♠へ農薬をまく〉水田の害虫を除くために農薬がまかれ、そのため、クモは少なくなったようだ。♠ヘビラをまく<>飛行機が宣伝のビラをまいて行った。♠〈種をまく>学校の庭園に花の種をまいて育てるのがわたしの役目です。♠〈牧草をまく〉来年は牧草をまいて、そこに牛を放し飼いにします。♠へ話題をまく〉へディンは、二十五年にもわたって話題をまいた「さまよえる湖」論争に終止符[しゅうしふ]を打った。♠〈水害の種をまく〉山の木を無計画に切り出すのは、人間が水害の種をまいていることだといってもいい。♠へまかぬ種は生えぬ「まかぬ種は生えぬ」というから、よい結果を得るためには、まず仕事に取りかかろう。♠〈尾行[びこう]をまく〉左右と後ろの三人で尾行すれば、犯人にまかれる可能性は少ないだろう。♠へ追っ手をまく〉犯人は、人ごみにまぎれ、まんまと追っ手をまいてしまった。 **ま・く**【巻く】(捲く)○一方の端からくるくると畳み込む。まわりにからみつける。ねじり回す。円を描くように動く。取り囲む。連歌・俳諧の付合[つけあい]をする。[文例]〈包帯を巻く〉姉は、けがをした指に薬をつけ、手早く包帯を巻いてくれた。♠〈紙で巻く〉おじは、紙の巻き口につばをつけると、器用にくるくると刻みたばこを紙で巻いた。♠へねじを巻く〉目覚まし時計のねじを巻くのを忘れて、寝過ごしてしまった。♠〈風が巻く〉あたりの静けさの中で、石油こんろの燃える音、時おり氷原[ひょうげん]を巻いて行く風の音だけが聞こえる。♠へうずを巻く〉川面にうずを巻いていた。♠へしっぽを巻く〉おおかみが、しっぽを巻いて逃げ出した。♠へ舌を巻く〉父の博識[はくしき]には、いつも舌を巻かされる。♠へ指揮棒を巻く〉指揮者は、指揮棒を巻きながら、得意のえびぞりになった。♠へ鉢巻きを巻く〉受験生は、鉢巻きを巻いて、試験に臨んだ。 <1041> も、この辺りでやっと平坦な道になる。 **まきかえ・す(巻き返す)** ○一度負けた相手に、機会を改めて勝つ。文例反撃に転じ、最後まで巻き返して勝利を得た。♠●〈巻き返しをねらう〉前半戦を終わって二対〇とリードされ、巻き返しをねらう後半戦の攻撃が始まった。 **まきこ・む(巻き込む)** ○ぐるぐる巻いて中に入れる。関係のない人を事件などに引き入れる。文例 <渦に巻き込む〉川に落ちた子犬が渦に巻き込まれ、沈んでいった。♠●〈事件に巻き込む〉友達のけんかを止めようとしたわたしまで、その事件に巻き込まれてしまった。♠●〈機械に巻き込まれる〉指を機械に巻き込まれて大けがをした。 **まきぞえ【巻き添え】** (巻添え)○他の事件に巻き込まれて被害を受けること。連累。文例 <巻き添えをくう〉ストに巻き添えをくって、三時間も足止めされた。♠●〈巻き添えになる〉おまえみたいな悪党とつきあっていたら、こっちまで巻き添えになる。 **まきちら・す(撒き散らす)** ○あちこちにばらまく。文例 <どろをまき散らす〉車がどろをまき散らして、通り過ぎていった。♠●〈ビラをまき散らす〉飛行機から、宣伝のビラをまき散らした。 **まぎ・る(紛る)** ○他と区別がつかなくなる。気持ちが他へ移って苦痛などを忘れる。ごまかす。文例 <夜のやみに紛れる〉犯人は夜のやみに紛れて、どこかへ姿を消した。♠●〈人ごみに紛れる〉すりは人ごみに紛れて、どこかへ行ってしまった。♠●〈気を紛らす〉酒を飲んで気を紛らそうとしても、悲しみはますますつのるばかりだ。♠●〈言い紛らす〉彼は、都合の悪いことは、巧みに言い紛らして、とうとう最後まで本当のことは言わなかった。 **まぎらわし・い(紛らわしい)** ○よく似ていて区別しにくい。文例 <紛らわしい言葉〉「上げる」と「挙げる」、「書く」と「描く」など、紛らわしい言葉を調べる。♠●〈紛らわしい態度〉思わせぶりな紛らわしい態度をとるのは、やめたまえ。 **まぎれこ・む(紛れ込む)** ○区別できないものの中にまじる。文例 <中に紛れ込む〉スパイが味方の中に紛れ込んでいるらしい。♠●〈やみの中に紛れ込む〉男は、やみの中に紛れ込んでしまった。 **まぎれもない(紛れもない)** ○まちがいようもない。明白である。文例 <紛れもない事実〉この指紋は、彼が犯人であることを示す紛れもない事実です。 **まく【幕】** ○芝居の舞台と客席を仕切る布。芝居の場面。ある区切り。文例 <幕が上がる〉やがて幕が上がり、舞台には美しい王女が立っていた。♠●〈幕が下りる〉第一幕が下りると、客席のあちこちから大きな拍手がわき起こった。♠●〈幕を閉じる〉人気を呼んだ「寅さん」シリーズの映画も、いよいよ二十八作で幕を閉じる。♠●〈幕を開ける〉ワープロの登場で、日本語の機械化時代が幕を開けた。♠●〈幕を切る〉源平合戦の幕は、一一八〇年の源頼朝の挙兵によって切られた。♠◆<幕を引く〉二人の結婚をめぐる騒ぎも、これで幕を引くことだろう。♠●へひと幕>これで、この事件のひと幕は終わった。 **ま・く(巻く)** ○ぐるぐるからめる。ねじを回す。回りを囲む。文例 <時計のねじを巻く〉毎朝、忘れずに時計のねじを巻く。♠●〈包帯を巻く〉ひじの傷に、自分で包帯を巻いた。♠●うずを巻く〉台風の後で水かさの増した川は、茶色に濁ったうずを巻いて流れていた。♠●へ爆笑がうずを巻く〉わたしがまちがえて答えると、級友たちの爆笑が教室じゅうにうずを巻いた。♠●くしっぽを巻く〉タロが一ほえすると、のら犬は、しっぽを巻いてにげ出した。♠●〈舌を巻く〉少年の計算機顔負けの暗算力に、場内の人々は舌を巻いた。♠●へとぐろを巻く〉大きなとぐろを巻いたへびににらまれたリスは、もう、全然動きません。♠●〈とぐろを巻く〉兄の帰りがおそいと思ったら、角[よ]の酒場でとぐろを巻いていたらしい。♠◆ヘけむに巻く>彼のほら話で、けむに巻かれた大家さんは、部屋代を取るのも忘れて帰っていった。♠●へ長いものには巻かれろ〉長いものには巻かれろで、代官にはあまり逆らわないほうがおまえのためだ。♠●〈管[くだ]を巻く〉彼は、酔うと管を巻いて、しつこくなるので、みなから敬遠されている。 **まくあい(幕間)** ○演劇で場面と場面の間の幕がおりている時間。[文例]〈芝居の幕あい>芝居の幕あいに、わたしたちはロビーに出てジュースを飲んだ。♠●〈幕あいの時間>幕あいの短い時間に、スタッフの人たちは大急ぎで次の幕に移る準備をします。 **まくあき【幕開き】** ○幕があいて芝居が始まること。物事の始まり。幕あけ。→幕切れ[文例]〈芝居の幕開き>芝居の幕開きの三十分前に開場となります。♠●〈幕開きを飾る>聖火の入場は、オリンピックの幕開きを飾るにふさわしい華々しいセレモニーです。♠●〈時代の幕開き>一一九二年に源[みなもとの]頼朝[よりとも]が鎌倉に幕府を開いたことが、日本の封建時代の幕開きです。 **まくあけ【幕開け】** 』まくあき **まくぎれ【幕切れ】** ○芝居の一幕の終わり。物事の終わり。→幕あき[文例]〈ショーの幕切れ〉二時間のショーも、いよいよ幕切れに近づいた。♠◆へ試合の幕切れ〉最後はショート正面のゴロでダブルプレー、試合はあっけない幕切れだった。♠●〈幕切れとなる〉真犯人がつかまり、事件はやっと幕切れとなった。 (捲し立てる)【まくし立てる】 ○続けざまに勢いよくしゃべる。[文例]セールスマンは客に返事をする暇[ひま]も与えず、べらべらとまくし立てた。♠●おとなしい彼女が大声でまくし立てる姿に、ぼくはあぜんとしていました。 **まぐち【間口】** ○土地・建物などの正面の幅。活動などの領域の広さ。[文例]〈間口が広い〉〈間口と奥行き〉この店は間口が広いので入りやすいが、奥行きがせまい。♠●へ間口を広げる〉事業を発展させるのはよいが、間口を広げすぎると危険です。 **まぐれ(紛れ)** ○偶然。偶然の成功。[文例]昨日の試合で勝てたのは実力ではありません、まぐれです。♠●へまぐれ当たり〉目をつぶってバットを振り回すと、まぐれ当たりで球はへいの外まで飛んでいきました。 **まくら(枕)** ○寝る時に頭を支えるもの。下に置いて支えとするもの。話の前置き。[文例]〈まくらが固い〉宿のまくらが固くて、ぐっすり眠れませんでした。♠●〈まくらをする〉まくらをしないで寝たら、起きたとき首が痛かった。♠へまくらにする〉勉強に追われているはずの弟が、本をまくらにして大[だい]の字になって寝ている。♠●へ話のまくら>寄席[よせ]の落語は、時事的な話題などをまくらにしながら、本題に入っていくようです。♠●へまくらを高くする〉放火事件も解決したし、これでやっとまくらを高くして眠れます。♠●へまくらをそばだてる〉両親のひそひそひ話が深刻そうだったので、思わずまくらをそばだてた。♠へまくらを並べて討ち死にする〉このオリンピックでは、日本の陸上陣は、まくらを並べて討ち死にという惨状[さんじょう]だった。♠へひざまくら〉お母さんのひざまくらで、耳の掃除をしてもらうと気持ちいいなあ。♠●〈ひじまくら〉テレビを見ていたつもりが、いつのまにかひじまくらで寝ていた。♠●〈北まくら〉北まくらで寝るなんて、縁起が悪いからよしなさい。♠●〈夢まくら〉ある日、おばあさんの夢まくらにお釈迦[しゃか]さまが立って、やさしく手まねきをしていたそうです。 **まくらもと【まくら元】** (枕元・枕許)○枕のそば。[文例]へまくら元に置く〉六時にセットした目覚まし時計をまくら元に置いて、わたしは眠りにつきました。♠●〈まくら元に集まる〉危篤[きとく]に陥[おちい]ったおじいさんのまくら元には、親類一同が集まっています。 **ま・くる(捲る)** ○おおっているものを巻き上げる。めくる。思う存分に・・・する。激しく・・・する。[文例]〈そでをまくる〉今日は暑いので、シャツのそでをまくって歩いている人が多い。♠●へ腕をまくる〉ゆかたの腕をまくって歩いている青年が剣道[けんどう]部の主将です。♠◆◇布団をまくり上げる〉兄は、とび起きて布団をまくり上げ、寝押ししていたズボンをはくと、すぐトイレへ行く。♠●〈しりをまくる〉彼は、自分の非を責められると、すぐしりをまくってけんか腰になる。♠殺しまくる〉人間がバイソンやシカの類を殺しまくった結果、えさのなくなったオオカミが家畜をおそうようになった。♠●〈しゃべりまくる〉相手に向かって、勝手気ままにしゃべりまくるのは対話とはいいません。 **まく・れる(捲れる)** ○まくったようになる。めくれる。[文例]〈スカートがまくれる〉キャンパスに吹くからく風にあおられて、スカートがまくれた。♠●へすそがまくれる>着物のすそがまくれて、白い脚がちらっと見えました。 **まけ【負け】** ○負けること。おまけ。[文例]にらめっこでは、先に笑ったほうが負けだよ。♠●へ負けが決まる〉試合終了十分前で七点差では、負けは決まったようなものだ。♠●へ負けが込む〉このところ負けが込んで、監督の顔にはあせりの色が濃くなった。♠●〈名前負け〉大一郎くん、きょろきょろ落ち着かなくて、きみは名前負けしているね。♠●〈夏負け>夏負けしているというわりによく食べるね、あの子。♠●へおまけ〉小さい子はおまけのおもちゃなどのついたお菓子を買いたがります。 **まけいぬ【負け犬】** ○けんかに負けて逃げる犬。競争などに負けて引き下がる人。[文例]大敗してロッカールームに引きあげる選手の姿は、まさに負け犬です。♠●〈負け犬根性〉社会の底辺をはいまわるように生きるわたしには負け犬根性 <1042> **まけずぎらい**【負けず嫌い】○他人に負けるのが特に嫌いな性格。負け嫌い。[文例]〈負けず嫌いの人〉負けず嫌いのわたしは、毎日予習復習とがんばってとうとうクラスで一番になりました。♠〈負けず嫌いの性格>岩下さんは、他人におくれをとることにがまんできない、負けず嫌いの性格で通っています。 **ま・げる**【曲げる】○曲がった状態にする。道理をゆがめる。主義・信念に反して態度をかえる。[文例]〈枝・つるを曲げる〉木の枝やつるなどを曲げて、輪にしてある。♠へ腰を曲げる〉おまわりさんがやってくると、父はバッタのように腰を曲げて、平謝[ひらあやま]りに謝[あやま]った。♠へ指を曲げる男は、手袋[てぶくろ]をはめた人差し指をかぎ形に曲げ、いつでも力を込められるように引き金に当てた。♠へ体を曲げる〉じゃんけんに負けた子たちが、木などにつかまって体を曲げていると、勝った子たちが馬乗りになる遊びがある。♠〈法律を曲げる〉法律は、曲げたり、破ったり、ごまかしたりしてはいけない。♠〈主張を曲げる〉みんなのもうれつな反対をくらい、がんこな彼も自分の主張を曲げざるをえなかった。♠へ信念を曲げる〉たとえどんなにつらいことがあっても、ぼくは信念を曲げることなく、最後までやりぬく決心だ。♠へへそを曲げる〉誘[さそ]ってもらえなかった子は、へそを曲げて、みんなと口もきかない。♠へつむじを曲げる〉お兄ちゃんも仲間に入れてやらないと、つむじを曲げるよ。♠ヘまげて賛成する〉あなたが正しいのは分かりますが、そこをまげて、ご賛成いただけないでしょうか。 **ま・ける**【負ける】○敗れる。敗北する。抵抗しきれずに従う。かぶれる。弱る。おまけする。[文例]〈戦争に負ける〉一九四五年八月十五日、日本は戦争に負けた。♠へ試合に負ける〉先日の野球の対校試合は、本当におしいところで負けた。♠<勝ったり負けたり下手の横好きで、おじとぼくの将棋[しょうぎ]は、勝ったり負けたりのいい勝負だった。♠だれにも負けない寝坊[ねぼう]の弟が、今日は早起きして、犬の散歩の準備をしている。♠へかけに負ける〉かけに負けたぼくは、翌日からみんなのかばんを持って登校した。♠<苦労に負けない>少年は、生活の厳しさの中で、苦労に負けない強い心を育てていった。♠へ誘惑[ゆうわく]に負ける〉一週間禁煙していた兄だが、とうとう誘惑に負けて、またすってしまった。♠へ熱意に負ける>子供たちの熱意に負けた両親は、とうとう犬を飼うことに同意した。♠境遇にも負けず〉少年は、貧しい境遇[きようぐう]にも負けず、明るく、ぐんぐん成長していった。♠へ負けるが勝ち〉こんなだだっ子みたいなやつが相手じゃ、負けるが勝ちだよ。♠〈薬に負ける〉妹は皮膚[ひふ]が弱いので、薬をつけると、すぐに負けてかぶれてしまう。♠ヘうるしに負ける>森で遊んでいるうちに、うるしに負けたらしく腕[うで]や首[くび]がかゆい。♠〈かみそりに負ける〉兄は、ひげをそると、すぐかみそりに負けるので、必ずクリームをぬっています。♠へ値段をまける〉八百屋のおじさんに、売れ残ったリンゴを半値にまけてもらった。♠へ一匹まける〉奥さん、一皿買ってくれたら、一匹まけとくよ。 **まけんき**【負けん気】○人に負けたくないと思う気持ち。勝ち気。[文例]母は持ち前の負けん気で、どんなに苦しくても決してその仕事をやめようとはしなかった。♠へ負けん気を見せる〉こうすけは負けん気を見せて、だれよりも高く積み木を積み上げようとした。♠へ負けん気が強い>男は負けん気が強く、けんかっ早い性格だった。 **まご**【孫】○子の子。[文例]〈孫がいる〉お孫さんは、何人いらっしゃいますか。♠へ孫を持つ「わたしも、もう孫を持つような年なのね。」と、母はため息をついた。♠へ孫に当たる〉ぼくといとこのひろし君は、おばあさんにとっては二人とも孫に当たります。 **まごこ**【孫子】○孫と子。子孫。[文例]<孫子の代〉日本には孫子の代まで語り継いでいきたいすばらしい昔話がたくさんあります。 **まごころ**【真心】○真実の心。偽りのない気持ち。誠意。[文例]〈真心をこめる〉これは、母が真心をこめて編んでくれたセーターです。♠〈真心を尽くす〉病に倒れた母の看病に真心を尽くしました。♠〈真心から出る〉それは、人の真心から出た優しい言葉でした。 **まごつく**○あわててうろたえる。まごまごする。[文例]案内してきた山のガイドも、ちょっとまごついて、どこかへ行ってしまったくらいの山奥[やまおく]でした。♠彼らにしてみれば分かりきったことだろうが、こちらは専門家じゃないのだから、まごつくのがあたりまえだ。♠根拠のないうわさにだまされて、まごついた経験がある。♠初めての経験なので、何をどうやったらよいのかわからず、まごついてばかりいた。♠数年ぶりにその町を訪[おとず]れたが、駅前のようすの変わりように、すっかりまごついてしまった。♠新しいお母さんがやって来た日、子供たちは、ちょっとまごついた顔をした。 **まこと**【誠】○本当。真実。誠意。[文例]〈誠の心〉〈うそと誠〉うそやいつわりのない、あなたの誠の心が知りたい。♠誠を尽くす〉両国の代表は誠を尽くし、平和への道を話し合った。♠おぬしの言っていること、それはまことか。♠自然の摂理[せつり]にはまことに驚くべきものがある。♠日本列島は、人間の暮らしにとって、まことに恵まれた土地である。♠再三ご迷惑[めいわく]をかけましてまことにすみません。 **まことしやか**(実しやか・真しやか)○いかにも本当だと思わせるようなさま。[文例]〈まことしやかなうそ〉夫が病気なんですという女のまことしやかなうそに、みんなはすっかりだまされていた。♠へまことしやかに言う〉五人ともわたしが本物ですとまことしやかに言っているが、その中の四人はうそをついているのだ。 <1043> **まごまご**○まごつくさま。[文例]道を知っている者が一人もいないのでは、きっと今ごろまごまごとあたりを見回していることだろう。♠〈まごまごする〉どの電車に乗ればいいのかわからずにまごまごしているうちに、ドアが閉まってしまった。 **まさか**○いくらなんでも。よもや。[文例]まさか今日は雪は降らないだろう。♠こんな弱い相手との合戦に負けることは、まさかあるまい。♠きみは、まさか、ぼくを疑ってはいまいね。♠宝くじに当たったって?まさか、信じられないよ。♠〈まさかの時〉まさかの時に備えて、避難袋[ひなんぶくろ]を用意しておこう。♠へまさかの場合〉まさかの場合も考えて、心の準備だけはしておきなさい。 **まさぐ・る**○手の先であちこちさぐる。指先でいじる。探し求める。[文例]〈ポケットをまさぐる〉ポケットをまさぐり、手持ちのお金で足りるかどうかを確かめてから店に入った。♠へ前足でまさぐる〉猫[ねこ]が、まだ熱い煮魚[にざかな]をちょいと前足でまさぐっている。♠へ数珠[じゅず]をまさぐる〉おばあさんは仏壇の前に座[すわ]り、数珠をまさぐりながら祈り続けている。♠〈記憶をまさぐる〉わたしは自分の記憶をまさぐって、その女のことを思い出そうとした。 **まさしく**【正しく】○まちがいなく。確かに。[文例]この写真に写っているのは、まさしくあのときの男だ。♠この特徴[とくちょう]のある足跡[あしあと]こそ、まさしくわれわれが探し続けている雪男の足跡だ。 **まさつ**【摩擦】○こすり合わせること。すれ合うこと。運動する物体が他の物体に接触する時に受ける抵抗。二者間に生じる不和・仲たがい。[文例]〈摩擦の原理〉マッチは摩擦の原理によって火がつきます。♠へ摩擦する〉大昔[おおむかし]の人々は、木と木を摩擦させて火をおこした。♠〈摩擦が起こる〉母との間には、意見の食[く]い違[ちが]いによる摩擦がしばしば起こります。♠〈市民との摩擦〉これを成し遂げるためには、市民との間の多少の摩擦はやむをえない。♠へ摩擦を生じる>複雑な人間関係は、当然、さまざまな摩擦を生じます。♠へ摩擦が大きい>両国間で貿易上の摩擦が大きくなっていた。♠〈乾布摩擦〉乾布摩擦を続けていたら、体が丈夫[じょうぶ]になった。 **まさに**【正に】(方に・当に・将に)○確かに。当然のこととして。ちょうど。今にも。[文例]開発はまさに自然保護を基盤として行われるべきものである。♠亡き夫は、「教師はまさにかくあるべき」というような、すばらしい人だった。♠今四月、まさに春たけなわの時節である。♠〈今まさに〉このブームは、今まさに全国を覆[おお]おうとしている。♠日はゆらゆら地平線に没[ぼつ]し、まさに最後の一片の残光も消えようとしている。 **まざまざ**○はっきりと目に浮かぶさま。ありあり。[文例]〈まざまざと思い出す〉たった一枚の写真が、すっかり忘[わす]れてしまっていたあの日のことを、まざまざと思い出させた。♠〈まざまざと頭に浮かぶ〉彼の頭の中には、故人の生きていたころの様子がまざまざと浮かんだ。♠へまざまざとよみがえる〉その瞬間[しゅんかん]、失われていた過去の記憶[きおく]が、まざまざとよみがえってきたのだ。♠へまざまざと見せつける〉この二人の男によって、人間の真実の姿をまざまざと見せつけられた。 **まさゆめ**【正夢】○現実のことになる夢。[文例]昨日試験に落ちる夢を見たけど、正夢だったらどうしよう。♠〈正夢になる〉今朝宝くじが当たる夢を見たけれども、正夢になるといいなあ。 **まさ・る**【勝る】○すぐれている。[文例]〈なにものにも勝る〉パスカルは、考えるという能力をなにものにも勝るすばらしい人間の特性だと考えた。♠〈友情に勝る〉われわれ若者にとって、友情に勝るものはない。♠ヘ言葉・文章に勝る〉じっと見つめるひとみが、百万語の言葉や美しい文章にも勝るコミュニケーションをすることがある。♠へ性能が勝る〉日本の自動車は、性能の点においては、欧米[おうべい]の車に勝っている。♠へ力が勝る〉彼の数学の力は、他のだれよりも勝っている。♠へ~に勝る・・・はない〉ぼくにとって、スポーツに勝る楽しみはない。♠へ聞きしに勝る「万里の長城」の聞きしに勝る壮大さに、わたしは圧倒された。♠く勝るとも劣[おと]らない>弟のほうも、兄に勝るとも劣らない勇敢[ゆうかん]な若者だった。 **まざ・る**【混ざる・交ざる】(雑ざる)○違う種類や性質のものが一緒になる。まじる。[文例]〈土と混ざる〉動物のふんや死がい、植物などが腐って土と混ざると、天然のよい肥料となります。♠へ血が混ざる〉ニューマンさんはアメリカ人ですが、ドイツ人の血が混ざっています。♠〈色が交ざる〉白と茶色の毛が交ざった子ねこが、ひょっこり家の中に入ってきました。♠へ喜びと寂[さび]しさが交ざる〉花嫁の父の表情からは、喜びと寂しさの交ざった複雑な気持ちがうかがえました。 **まし**【増し】○増すこと。少しはまさっているさま。[文例]〈二割増し>今年は、去年の二割増しの収穫[しゅうかく]を得ることができた。♠くないよりまし〉こわれかかった傘だが、まあないよりはましだろう。♠〈ましなほう〉貧弱なトマトのなるものなどましなほうで、草ぼうぼう、見捨てられた畑もずいぶんある。♠へましなこと〉きみもくだらないことばかり言っていないで、もう少しましなことをしたらどうだい。 **まじ・える**【交える】○まぜる。交差させる。やりとりする。やり合う。[文例]〈土砂を交えた洪水〉大雨で、山のふもとの町や村に、土砂[どしゃ]を交えたおそろしい洪水[こうずい]が起こった。♠〈雪を交えた雨>雪を交えた冷たい雨が、降り続いていた。♠〈紅[べに]を交える>紅を交えた白いりんごの花が薄やみに浮かんでいる。♠へ先生を交える〉土曜日の放課後、先生も交えて、クラス全員でソフトボールをやった。♠〈漢字と仮名を交える〉わが国では、漢字と仮名を交えて文章を表記する、漢字仮名交じり文という表記法が一般的となっている。♠〈エピソードを交える〉この本には、彼の政治についての考え方が、適当なエピソードを交えながら率直に述べられている。♠へ皮肉を交える〉当時の庶民[しょみん]の生活が、軽妙[けいみよう]な皮肉を交えてユーモラスに描[えが]かれている。♠〈感情を交える〉好き嫌いの感情を交えず、冷静に判断しよう。♠へ言葉を交える〉わたしが彼と初めて言葉を交えたのは、入学式の日のことでした。♠〈ひざを交える〉友とひざを交えて語り明かしたあの夜がなつかしい。♠へ剣を交える〉ふたりの剣士は、互いに剣を交え、火花を散らした。 <1044> **まして** (況して)○なおさら。その上。[文例]どんな家でも、それが自分の住んだ家、まして生まれ育った家となれば、なつかしさはひとしおである。♠大の男でも持ち上がらない岩なのに、まして、子供に持ち上げられるわけがない。♠きみのお兄さんでもわからない問題なのに、まして、このぼくにわかるはずがないよ。♠〈ましてや〉わたしは野球の用語すら知らないのに、ましてや、ピッチャーの肩の状態などわかるはずもない。 **まじない** (呪い)○神仏などに祈って、災いを及ぼしたり災いから逃れたりする術。また、その呪文[じゅもん]。[文例]〈まじないをかける〉では、あなたの鼻が高くなるようにおまじないをかけてあげましょう。♠〈まじないを唱える「痛いの痛いの飛んでいけ。」とお母さんがおまじないを唱えると、こうすけはすぐに泣きやみました。♠くまじないをする>魔法つかいが「チチンプイプイ」とおまじないをすると、帽子の中から次々とおもちゃがあらわれた。♠へまじないが解[と]ける〉おばあさんが魔法のつえを一振[ひとふ]りするとまじないが解け、みんなの体が動くようになりました。 **まじまじ** ○じっと見つめるさま。しきりにまばたきするさま。[文例]子供たちは、感嘆の声を上げながらまじまじとパンダを見つめました。♠東京から来た美しい少女を、村の少年たちはまじまじと眺めた。♠〈まじまじする〉 (......)寝つこうとしても寝つかれない。そこで床の中でまじまじしていると(・・・・・・) (芥川龍之介[あくたがわりゅうのすけ]「鼻[はな]」) **まじめ** (真面目)○真剣なさま。本気であるさま。誠実[せいじつ]。[文例]〈まじめに考える〉中学生になって、人生とか、自分が何をなすべきかについて、まじめに考えるようになった。♠〈まじめに聞く〉じいさんは親切な人で、子供の話をまじめに聞いて、丁寧[ていねい]に教えてくれた。♠へまじめに働く〉船長は、まじめによく働く五人の日本人が気に入り、さっそく雇[やと]うことにした。♠くまじめな顔〉父がとてもまじめな顔で話すので、わたしは心配になりました。♠へまじめな声〉いつまでもいたずらをやめないでいると、おじさんは、変にまじめな声になって言った。♠くまじめくさる〉わんぱくぼうずのケンも、まじめくさった顔で話を聞いている。♠へまじめさ〉彼は、まじめさを認められて、委員長に推薦[すいせん]された。♠〈くそまじめ〉こんなユーモアも通じないなんて、くそまじめなやつめ! **まじめくさ・る** (真面目腐る)○いかにもまじめなふりをする。[文例]〈まじめくさった声〉電話の相手が先生であることがわかると、母は急にまじめくさった声になった。♠へまじめくさった顔>先生のいじわるな質問にぼくがまじめくさった顔で答えたので、みんな大笑いです。♠へまじめくさった態度>会社訪問の女子大生は、みんなまじめくさった態度でこっけいなくらいです。 **まじゅつ** 【魔術】○魔法。マジック。[文例]〈魔術にかかる〉魔術にかかった人たちは、みんな動けなくなってしまった。♠<魔術を使う〉古城にひとり住む伯爵[はくしゃく]は魔術を使うと、村人の間でうわさになっていた。♠へ魔術師〉詩人は言葉の魔術師で、奇想天外な世界をつくり出します。 **ましょう** 【魔性】○悪魔のように人の心をまどわせる性質。[文例]〈魔性のもの〉この沼には、人の心をまどわせる魔性のものたちがすんでいるという。♠へ魔性の女〉それは、あやしい美しさで何人もの男の心を狂わせた魔性の女だった。♠へ魔性が現れる〉多分おれがいなくなると、いろいろな魔性が現れて、お前をたぶらかそうとするだろうが(………………)(芥川龍之介[あくたがわりゅうのすけ]「杜子春[とししゅん]」) **まじりけ** 【混じり気・交じり気】(雑じり気)○他の物がまじっていること。また、まじっているもの。[文例]〈まじり気がない〉この地域の野生馬は雑種交配[ざっしゅこうはい]がすすみ、まじり気のない純血種[じゅんけつしゅ]はほとんど見られなくなった。♠へまじり気がない〉純粋[じゅんすい]でまじり気のない親切心からの行為を、下心があると誤解されたのは悲しかった。 **まじ・る** 【混じる・交じる】(雑じる)○種類や性質の違うものが一緒になる。仲間に入る。[文例]〈空気が混じる>水素は引火しやすく、空気が混じっていると爆発[ばくはつ]する。♠く群れに混じる〉モンキアゲハに混じって飛んで来るクロアゲハも、まるでむちゃくちゃな飛び方をする。♠〈音に混じる〉そのとき、川の流れの音に混じって、何人かの女生徒の声が聞こえた。♠〈人に交じる〉この調査では、たくさんの学者たちに交じって、土地の郵便局長さんがりっぱな仕事をした。♠<物に交じる>西洋のいろいろな品物や書物に交じって、気球の話も伝わってきた。♠へみんなに交じる〉わたしは、みんなに交じって胸をどきどきさせながら空を見上げていた。♠〈群衆に交じる〉彼女はその日、群衆に交じって一人の受刑者[じゅけいしゃ]の苦しみ歩く姿を見た。♠へ~の輪に交じる〉あの子がもし生きていたなら、あの踊[おど]りの輪に交じっていたかも知れない。♠へ~の間に交じる〉おじさんは、少年たちの間に交じって、彼らが一匹[いっぴき]つる間に二匹つりあげて得意になっていた。 **まじわり** 【交わり】○まじわること。付き合い。交際。性交。[文例]〈人との交わり〉〈交わりがある・ない〉人との交わりがなければさびしいし、自分を成長させることもできません。♠へ交わりを持つ〉ポルトガルとスペインは、ヨーロッパの国で最も早く日本と交わりを持った国です。♠へ交わりを断つ>仲間との交わりを断って、わたしは絵の制作に没頭していた。♠へ水魚[すいぎょ]の交わり〉〈刎頸[ふんけい]の交わり〉両者の親交はきわめて深く、それは水魚の交わりとも刎頸の交わりともいってよかった。 **まじわ・る** 【交わる】○いりまじる。交差する。交際する。性交する。[文例]〈網の目のように交わる〉土の中にのびた竹の <1045> 根は、網の目のように交わっている。♠<道路が交わる>高速道路は、道路が立体的に交わっているので、車の流れがスムーズだ。♠へ互いに交わる〉二本の対角線が互いに垂直に交わる四角形は何か。♠へ物と物が交わる〉踏切[ふみきり]と、線路とは十字に交わっている。♠へ友達と交わる〉内気でおとなしいあき子は、なかなかクラスの友達と交わろうとしなかった。♠へ朱[しゅ]に交われば赤くなる〉朱に交われば赤くなる、というから、よくない仲間とつきあいだした彼のことが心配だ。 **ます** 【升】(枡)○穀物や液体の量をはかる箱形の容器。[文例]〈計量のます〉計量のますには、一升[いっしょう]ますや一合[いちごう]ます、リットルますなどがある。♠へますで量る>昔[むかし]は、酒や油などは、そのつどますで量って売った。♠〈酒をますにつぐ〉男は、たるの酒をますになみなみとつぎ、それをうまそうに飲んだ。♠へますに入れる〉節分[せつぶん]の時、いった大豆[だいず]をますに入れて、豆[まめ]まきをした。♠〈ます目〉弟は、漢字の練習用に、ます目のノートを使っている。♠へます席>横綱[よこづな]が土俵[どひょう]に上がると、ます席の見物人から、大歓声があがった。 **ま・す** 【増す】○増える。増やす。多くなる。多くする。まさる。[文例]〈強さが増す〉〈回数が増す〉ふもと一帯[いったい]の地震[じしん]は、それから毎日続いて起こり、強さも回数も日ごとに増していった。♠へ水かさを増す〉水かさを増した川は、各地で洪水[こうずい]を起こし、時には多くの人命さえも奪うことがある。♠へ青さを増す>朝の海に日の光がうっすらと差し込み、波の色はしだいに青さを増してきた。♠く輝きを増す〉あかね色に染まった空はひときわ輝きを増し、やがて夕やみが町にしのびよる。♠へ速度を増す〉列車はしだいに速度を増し、その心地よい振動[しんどう]が眠りをさそった。♠へ興味が増す>学習は、自分から積極的に行うことによって興味も増し、能率[のうりつ]も上がる。♠へ風格が増すこの木は、年代を経ると風格が増し、粘り強くて狂[くる]いが少なく、腐[くさ]りにくい。♠<親しみを増す〉ひょんなきっかけで一人のアフリカ人と出会い、親しみを増していった。♠〈それにもましてこの仕事には力が要るが、それにもまして、しんぽう強さが要求される。♠へ何にもまして>錦[にしき]を織り続ける機[はた]の音が、何にもまして美しい音楽に聞こえてきた。♠〈以前にもまして>観客が、以前にもまして増えたので、役者たちの表情もいちだんと明るくなった。 **まず** (先ず)○最初に。第一に。ともかく。たぶん。[文例]〈まず初めに〉まず初めに、どうして関係のない人々までが集まったかを考えてみよう。♠へまず第一にこの文章を読んで、まず第一に気づいたことは、文の終わりの言い方がずいぶん違[ちが]っているということです。♠へまず~から始める〉彼は、子供たちにまずABC二十六文字を教えることから始めた。♠へまず〜してみる〉何でもかまわずに、まず文章に書いてみる、これが大切なんです。♠〈まずは〉一次試験は合格したそうだね、まずはおめでとう。♠へまずまちがいない〉林に沿った畑のすみに腐[くさ]ったわらや堆肥[たいひ]が積んであれば、カブト虫の幼虫は、まずまちがいなくその中にいる。♠〈まずない>朝の通学の電車では、座席に座れることはまずない。 **ますい** 【麻酔】○薬品などの作用で身体の知覚を一時的に失わせること。[文例]〈麻酔がかかる〉患者には今麻酔がかかっていますから、痛みは感じていないはずです。♠へ麻酔が効く〉麻酔が効いているうちはよかったが、しだいに傷口が痛くなってきた。♠へ麻酔から覚める〉まだ麻酔から覚めたばかりで、意識がもうろうとしていた。♠へ麻酔をする〉リンパ腺[せん]の手術のときには、全身麻酔ではなく局部麻酔をしました。 **まず・い** ○おいしくない。下手である。ぐあいが悪い。よくない。[文例]〈食事がまずい〉体の調子の悪い時は、何を食べても食事がまずい。♠〈料理がまずい〉せっかく妹が作ってくれた料理だが、まずくて食べられたものではない。♠くまずい歌〉日本じゅう探してもきみのようなまずい歌はないよ。♠へ技術がまずい〉創設したばかりの吹奏楽部[すいそうがくぶ]なので、ほとんど全員に、技術的にまずい点がある。♠よけいなことしゃべってまずかったな、と思ったけれど、もう遅い。♠〈まずい結果>善意でやったことなのに、それがかえってまずい結果になってしまったらしい。♠〈関係がまずい〉あのことがあってから、友達との関係がなんとなくまずくなってしまった。 **マスク** ○覆面。仮面。ほこりや病原菌などを防ぐために口・鼻をおおうガーゼ。野球で捕手[ほしゅ]がつける面。顔だち。[文例]〈マスクをつける〉青コーナーに、マスクをつけた悪役のレスラーが登場した。♠ヘマスクをかける〉風邪をひいているときには、他人にうつさないようにマスクをかけるのがエチケットです。♠ヘマスクをかぶる〉野球のキャッチャーは、ボールが顔に当[あ]たると危険なので、マスクをかぶっています。♠〈甘いマスク〉隣のお兄さんは、甘いマスクで、おばさんたちに人気があります。 **マスコミ** ○新聞・テレビ・ラジオなどを通じて情報を広く大衆に伝えること。また、それらの報道機関。マスコミュニケーション。[文例]〈新聞・雑誌・テレビ等のマスコミ〉新聞・雑誌やテレビなどのマスコミによって、ニュースはいち早く人々に知らされます。♠ヘマスコミが報じる>翌朝、マスコミは、大使館襲撃[しゅうげき]事件をいっせいに報じた。♠ヘマスコミの影響〉大衆に与えるマスコミの影響力は、その発達とともに増大している。♠ヘマスコミをにぎわす〉次々と起こる有名人の失踪[しっそう]事件が、連日マスコミをにぎわしています。♠〈マスコミに乗る〉新人歌手は、マスコミに乗って、一躍[いっちゃく]日本中の人気者となった。♠ヘマスコミに騒[さわ]がれる〉事件がマスコミに騒がれるのをおそれた彼は、どこかに行方[ゆくえ]をくらましていた。 **まずし・い** 【貧しい】○貧乏[びんぼう]である。貧弱である。乏しい。[文例]〈貧しい暮らし〉少年は、母と二人の貧しい暮らしだった。♠へ貧しい生活〉あのしんぼう強い性格は、子供のころの貧しい生活の中から作り上げられたのです。♠へ家が貧しい〉父は家が貧しかったので、本もろくに買ってもらえなかったそうだ。♠〈貧しい境遇[きょうぐう]父のいない少年は、貧し <1046> い境遇にも負けず、明るく成長していった。♠へ心が貧しい〉貧乏はしていても、心の貧しい人間になるな、というのが父の口ぐせだった。♠へ才能が貧しい〉才能の点では貧しいかもしれませんが、努力では、人に負けないつもりです。♠月天心[げつてんしん]貧しき町を通りけり(与謝蕪村[よさぶそん]) **マスター** ○喫茶店[きっさてん]やバーなどの男主人。修士[しゅうし]の学位。習得すること。[文例]〈喫茶店のマスター〉いつもの喫茶店に顔を出すと、顔なじみのマスターがコーヒーを入れてくれた。♠<マスターの称号〉大学院の修士課程を修了[しゅうりょう]した兄は、マスターの称号を持っています。♠へ英語をマスターする〉アメリカへ渡って五年、ぼくは、すっかり英語をマスターした。♠く技術をマスターする〉陶芸[とうげい]の技術を完全にマスターするには、少なくとも十年はかかるということだ。 **ますます** (益益)○いっそう。いよいよ。さらに。[文例]今のわたしたちは、便利さを求めるあまり、自然からますます遠ざかろうとしている。♠午後から晴れるという予報であったが、雨はやむどころか、ますます激[はげ]しく降ってくる。♠人口はますます増大しつつあるが、資源はもはや無尽蔵[むじんぞう]とはいえなくなっている。♠多くの医者にかかったのだが、なんのかいもないばかりか、ますます悪くなるいっぽうだ。♠ぼくは、きみという人がますますわからなくなってしまった。 **まぜか・えす** 【混ぜ返す・交ぜ返す】(雑ぜ返す)○よくかきまぜる。口出しをして、話の筋を混乱させる。[文例]〈話をまぜ返す〉一生懸命説明しているときに話をまぜ返されるのは、説明者としては不愉快です。 **ま・せる** (老成る) ○年齢のわりに大人びる。[文例]〈ませた子供>妹はませていて、時々小学生とは思えないおとなびたことを言います。♠へませた口〉子供のくせにませた口をきくものじゃない。 **ま・ぜる** 【混ぜる・交ぜる】(雑ぜる)○異なるものを一緒にする。かきまぜる。仲間に入れる。[文例]〈物と物を混ぜる>鉄と硫酸を混ぜると、水素が発生してくる。♠〈漢字と平仮名を交[ま]ぜる>現在普通に行われている表記は、漢字と平仮名を交ぜて書くという書き表し方です。♠〈湯を混ぜる>下[した]が水だったりすることもあるので、お風呂[ふろ]の湯はよく混ぜてから入りなさい。♠ヘパイを交ぜる〉マージャンのパイはよく交ぜてから積[つ]みます。♠鬼ごっこやってるの? わたしもまぜてよ。♠くかき混ぜる〉砂糖は、水よりお湯のほうが、また、スプーンなどでかき混ぜたほうが、よくとける。 **また** 【又】(復・亦)○次。再び。重ねて。同じく。やはり。そのうえ。あるいは。間接であること。[文例]おやおや、また失敗したの? ♠きみの考えもまた正しい。♠どうしてまた、そんなへまをしでかしたのかね。♠へまたの機会〉お話しするのはまたの機会にして、今日はこれで失礼します。♠へまたまた>警部、またまた事件が発生しました。♠わたしは軍人であるとともに、また人の親でもあった。♠土曜日に来ればいいだろう。また日曜日でもいい。♠〈又聞[またぎ]き〉この話は又聞きなので、本人に会って確かめようと思う。♠ヘ又貸[またが]し〉人から借りた物を又貸しするのはよくないね。 **また** (股・叉)○両足のつけねの内側。一つのものが二つ以上に分かれている所。[文例]〈またの付[つ]け根>重傷を負ったその人は、またの付け根のところから、足を切断しなければならなくなった。♠〈またをくぐる〉小犬は、ひらりと身をかわして、ぼくのまたをくぐって逃げてしまった。♠へ木のまた〉木がまたになったところに、小鳥の巣が一つのっかっている。♠〈道がまたになる〉一本道がまたになったところで、それを右の方へ進むと湖へ出ます。♠ヘ二[ふた]また〉山の道の二またに分かれているところには、それぞれの行く先を示す立て札が立てられていた。♠〈世界をまたにかける〉ひよわだった少女が、今や、世界をまたにかけて活躍[かつやく]するジャーナリストに成長したのだ。♠〈全国をまたにかける〉全国をまたにかけた凶悪犯人[きょうあくはんにん]が、今日、ついに逮捕[たいほ]された。 **まだ** (未だ)○いまだに。わずかに。やっと。さらに。もっと。比較的よいさま。[文例]〈まだ~ていない二億年前というと、人類はもちろん、けものもまだ現れていない。♠へまだ~ていない〉人類の祖先が初めて地上に姿を現してから、まだ二百万年しかたっていない。♠山にはまだ雪が積もっていましたが、雪が解[と]ければ、ひがんざくらが咲くでしょう。♠今から二十年前、わしがまだ山形県に居[い]たころのことじゃった。♠へまだ子供〉父母がまだほんの子供だったころ、戦争があって多くの人間が死んだそうです。♠ぎゅうぎゅう力を入れておしこむと、リュックサックは、まだいくらでも入りそうだ。♠当時の隅田川[すみだがわ]では、まだ白魚[しらうお]が取れ、夏は泳ぐことができた。♠数学よりは、まだ英語のほうがよい点が取れそうだ。 **またがる** (跨る・股がる)○またを開いて乗る。一方から他方にかかる。両方にわたって広がる。[文例]〈馬にまたがる〉少年は白馬にまたがり、草原を風のように駆けめぐった。♠〈枝にまたがる〉庭の木に登って枝[えだ]にまたがると、ちょうど軒先にあるつばめの巣と同じ高さになる。♠自転車にまたがる>若者たちが自転車にまたがって、一群の鳥のように慌[あわ]ただしく飛び去っていった。♠〈三県にまたがる〉ここは、三県にまたがる日本最大の湿原[しつげん]です。♠二語にまたがる「々」は、民主主義・会社社長などのような複合語の場合、二語にまたがっては使わない。♠〈五年にまたがる〉市の緑化計画は、五年にまたがる大事業だ。 **またぎき** 【又聞き】○間接的に聞くこと。[文例]この話は又聞きだから、確かなことはわからない。♠ヘ又聞きする〉隣のクラスの人から又聞きしたのだけど、テストはこの範囲から出ると先生が言ったそうだ。 **また・ぐ** (跨ぐ)○またを広げて物の上を越える。[文例]〈こしかけをまたぐ〉始業のベルが鳴ったので、こしかけをまたいで、すぐに自分の席に着いた。♠〈水たまりをまたぐ〉大きな水たまりをまたぎそこねて、靴が汚[よご]れてしまった。♠〈人をまたぐ〉寝ている人をまたぐものではありません。♠〈手すりをまたぐ〉幼い子どもが、ベランダの手すりをまたいで転落し、死ぬという事故が相次いだ。♠くさくをまたぐ〉さくは、またいでいけるぐらいの高さだから、中へ入る <1047> のは何でもなかった。♠へ敷居[しきい]をまたぐ〉あんな男に、二度とこの家の敷居をまたがせるものか。 **またしても** 【又しても】○重ねてまた。またまた。[文例]ある日、またしても里の農家で、にわとりがイタチに襲[おそ]われた。♠今度こそはと思ったが、またしても、わたしの実験は失敗に終わった。♠わんぱくな息子が、またしても、たいへんないたずらをしでかしたらしい。♠ここ北国では、短い夏が過ぎると、またしても、厳しい雪の季節がやってくる。 **まだしも** (未だしも)○不満足だが、まだそれでも。[文例]北国の育ちですから、寒い冬はまだしもむし暑い夏はがまんできません。♠強い風だけならまだしも、雨も降り出したのだからかなわない。 **またぞろ** (又候・復候)○またしても。またまた。[文例]やはり勉強は三日坊主で、またぞろ遊びの虫がさわぎ出したというわけ? **またたき** 【瞬き】○またたくこと。[文例]〈星の瞬き>空気の澄[す]みきった冬の夜は、星の瞬きがきれいです。♠へあかりの瞬き〉ふもとの方[ほう]に、ちらちらと人家のあかりの瞬きが見えます。 **またた・く** 【瞬く】○まばたきする。きらきらと光る。明かりがちらちらする。[文例]〈目をまたたかせる>巡査[じゅんさ]に呼び止められた男は、不安そうに、目をぱちぱちとまたたかせた。♠〈星がまたたく〉ふと見上げると、まだほのかに明るい夕空に、一番星が一つ静かにまたたいていた。♠へ明かりがまたたく〉日もとっぷりと暮れ、村には明かりがまたたきはじめた。♠へ灯[ひ]がまたたく〉丘の上からは、遠くの港の灯が、宝石[ほうせき]を散りばめたようにまたたくのが眺[なが]められた。♠へまたたくまに〉少女を乗せた赤い自動車はまたたくまに走り去って行った。♠へまたたくうちに〉わたしの青春はまたたくうちに過ぎ去ってしまった。 **または** 【又は】○そうでなければ。あるいは。[文例]まゆみは、わたしと同じ年か、または、たぶん年下だったかもしれない。♠これらの植物はアジアにしか存在しないか、または、大半がアジアに存在している。♠そのときの彼は、眠かったか、または、きげんが悪かったのだ。 **まだら** (斑) ○違う色や同色の濃淡が入りまじっていること。[文例]〈全身まだら〉ヒヨドリは、全身まだらのある色で、秋・冬には山地から人里に下りてくる。♠へ皮膚[ひふ]がまだら〉アレルギー体質の姉は、知らずに食べた魚のせいで、皮膚がまだらに赤くはれてしまった。♠〈まだらに残る>山腹の雪がまだらに残った形を見ていると、人の顔のようにも、何かの動物のようにも見えてくる。♠へまだらな模様〉木々の間をもれる日の光で、道にはまだらな模様がついていた。♠へまだら色〉キアゲハは、アゲハチョウ科のチョウで、黒と黄のまだら色をしている。 **まち** 【町・街】○都会。商店などが集まったにぎやかな場所。地方公共団体の一つ。町。[文例]へ町に出る〉村の若者たちは、学校を出ると、みんな町に出て働いた。♠へ街に出る〉今日は、原宿[はらじゅく]の街にでも出て、ぶらぶら歩いてみようよ。♠〈町の人〉村にゃ、たいした娯楽[ごらく]はないよ、町の人はいいなあ。♠〈学生の街〉神田、お茶の水かいわいは、昔から学生の街として発展してきた。 **まちあわ・せる** 【待ち合わせる】○場所と時刻を決めて落ち合う。[文例]〈人と待ち合わせる〉夫と駅で待ち合わせて、食事をすることになっています。 **まちう・ける** 【待ち受ける】○来るのを待つ。待ちかまえる。[文例]〈到着を待ち受ける〉故郷の人たちは歓迎パーティーの準備をして、地元出身の力士の到着を待ち受けていました。♠へ困難が待ち受ける〉これから先どのような困難が待ち受けていようとも、乗り切っていく覚悟[かくご]です。 **まぢか** 【間近】○すぐ近くであるさま。[文例]〈間近にひかえる>卒業を間近にひかえたある日、三年間に自分の書いた作文をまとめてみた。♠〈間近に迫る〉文化祭が間近に迫ってきたので、部員は毎日その準備に大忙[いそが]しだ。♠へ終わり間近〉夏休みが終わり間近になってあわてだすのは、弟のいつもの癖[くせ]だ。♠へ暮[く]れが間近〉年の暮れも間近の、ある雪の降[ふ]る晩、表の戸を静かにたたく者があった。♠へ頂上[ちょうじょう]が間近〉さあ、元気を出そう、頂上はもう間近だぞ。 **まちがい** 【間違い】○まちがうこと。誤り。失敗。過失。事故。[文例]〈間違いを指摘[してき]する〉彼は、古代中国の地図の間違いを指摘し、ロプ=ノールは淡水湖[たんすいこ]だと言った。♠へつり銭の間違い〉店員がつり銭の間違いに気が付[つ]き、追[お]いかけて来た。♠へ間違いを犯[おか]す〉わたしは、たくさんの間違いを犯し、サリバン先生は、それを何回も何回も指摘しました。♠へ間違いをする〉こんな間違いは二度とするなよ。♠くささいな間違い〉ほんのささいな間違いが、われわれを破滅[はめつ]させることもある。♠へ文章の間違い〉彼の文章には、一つも間違いが見当たらない。♠〈間違いがある〉今述べたことに間違いがあれば、お前の首をはねるぞ。♠〈間違いのない人〉この仕事にかけては、あの人ほど間違いのない人はいない。♠〈間違いが起こる>子供の帰りが遅いと、何か間違いでも起こったのではないかと、とても心配になります。♠へ間違いない>約一か月の調査で、このネコはヤマネコに間違いない、という自信ができあがった。♠へ間違いなく〉では、間違いなくお渡[わた]ししましたよ。 **まぢか・い** 【間近い】○近くに迫っているさま。[文例]〈冬が間近い>冬も間近い、ある星のきれいな晩のことでした。♠〈卒業が間近い>卒業の間近い春の一日、クラスのみんなでハイキングに出かけた。 **まちが・う** 【間違う】○誤りがある。違っている。失敗する。まちがえる。[文例]〈間違った考え〉だれが見ても間違った考えなのに、彼は引き下がらなかった。♠へ字が間違う>山口先生、「勉強」の「勉」の字が間違っていますよ。♠〈家を間違う〉いくら酔[よ]っていたからって、自分の家を間違うなんて。♠〈間違っても〉ぼくは、間違っても人の物をとったりしません。♠へまかり間違う〉あのとき、まかり間違えばオダブツということもありえたと思うとぞっとします。 **まちがえる** 【間違える】○まちがいをする。誤る。とりちがえる。[文例]へつり銭を間違える〉しめた、自動販売機がつり銭を間違えた。♠〈計算を間違える〉式の立て方はよかったのだが、途中の計算を間違えてしまった。♠へ運転を間違える〉ジープだって、ちょっと運転を間違えると泥沼[どろぬま]にはまりこんでしまう。♠〈道を間違える〉判断力の十分でないきみたちが、道を間違えることのないようにと祈っています。♠〈~を~と間違える〉だれだ、教室を運動場と間違えて、走り回ってるのは。♠へどこをどう間違えたか〉迷路のような地下道を歩いていたら、どこをどう間違えたか、駅の反対側[がわ]に出てしまった。♠〈何をどう間違えたか〉桜[さくら]の季節に何をどう間違えたか、ドカ雪が降って大地をおおってしまった。 <1048> **まちかど** 【街角・町角】○町の道の曲がり角。町の中。街頭。[文例]〈街角に立つ〉さっきから見知らぬ女が街角に立って、道行く人たちをじっと眺めている。♠へ街角の声>今回の政府の発表を人々がどう思っているのか、街角の声を聞いてみましょう。 **まちか・ねる** 【待ち兼ねる】○待ち切れなくなる。今か今かと待つ。[文例]〈放課後を待ち兼ねる〉今日は村の鎮守様[ちんじゅさま]の祭りで、生徒たちは放課後を待ち兼ねてそわそわしていた。♠〈開演を待ち兼ねる〉予定の時刻はとっくに過ぎ、開演を待ち兼ねた観客が騒ぎ始めた。♠へ春を待ち兼ねる〉春を待ち兼ねるように、花のつぼみがふくらみ始めました。 **まちかま・える** 【待ち構える】○用意して待つ。待ちもうける。[文例]〈敵が待ち構える〉まだ飛べない鳥のひなには、多くの敵が待ち構えています。♠へ合図を待ち構える〉スタートラインに並んだ選手たちは、今か今かとスタートの合図を待ち構えている。♠へ今や遅[おそ]しと待ち構える〉選挙事務所に集まった人たちは、当選確実の知らせを今や遅しと待ち構えている。 **まちこが・れる** 【待ち焦がれる】○ひたすら待ち望む。じりじりして待つ。[文例]〈退院を待ち焦がれる〉長い入院生活を送る患者たちは、みな退院の日を待ち焦がれていた。♠〈帰りを待ち焦がれる〉旅に出た恋人の帰りを、娘は今日か明日かと待ち焦がれています。♠へ休みを待ち焦がれる〉子供たちは、楽しみな夏休みをずっと待ち焦がれていました。 **まちどおし・い** 【待ち遠しい】○待つ時間が長く感じられるさま。[文例]〈夜明けが待ち遠しい〉いよいよ明日は修学旅行だと思うと、夜が明けるのがとても待ち遠しかった。♠〈雨が待ち遠しい〉新しく傘[かさ]を買ってもらった妹は、雨の日が待ち遠しくて、いつも天気を気にしている。♠へ春が待ち遠しい>雪国に住むわたしたちにとって、春は特に待ち遠しいものです。♠へ新年が待ち遠しい〉新年になれば家族の所へ帰れると思うと、来る日も来る日も新年が待ち遠しかった。 **まちなみ** 【町並み】○町で家や商店が立ち並ぶ様子。[文例]〈古い町並みが残る〉金沢は城下町ですから、古い町並みが残っています。♠〈町並みが変わる〉二十年ぶりに見た故郷の町並みは、すっかり変わっていました。♠へ町並みが続く>街道沿いに続く町並みは、宿場町[しゅくばまち]の面影[おもかげ]を残している。♠〈町並みがとだえる〉町並みのとだえた静かな場所に、古いお寺があります。 **まちのぞ・む** 【待ち望む】○期待して待つ。待望する。[文例]スキーの好きなわたしは、九月ごろから雪が降るのを待ち望んでいました。♠地球上から戦争がなくなる日を、人類はずっと待ち望んでいます。 **まちぶせ** 【待ち伏せ】○不意をつこうと、隠れて待つこと。[文例]〈待ち伏せする〉さては、ここでぼくを待ち伏せしていたんだな。♠へ敵を待ち伏せする〉敵を待ち伏せしていた者たちが、草むらからとび出し、襲[おそ]いかかった。 **まちまち** (区区) ○それぞれが異なるさま。さまざま。[文例]〈意見がまちまち〉カブトムシの角の働きについては、有用・無用、専門家の意見もまちまちです。♠〈色・形・大きさがまちまち〉川原[かわら]の石は、よく見ると色や形や大きさがまちちなことがわかります。♠へ説明がまちまち〉同じ事件を見たのに、人によって説明がまちまちで、さっぱり要領をえない。♠へまちまちの服装[ふくそう]〉当日は、みんなまちまちの服装で集まってきた。 **まちわ・びる** 【待ちわびる】(待ち侘びる)○気をもんで待つ。やきもきして待つ。[文例]〈帰りを待ちわびる〉おみやげを頼[たの]んだ弟が、父の帰りを待ちわびている。♠へ夜明けを待ちわびる〉今夜が峠[とうげ]だと言われた家の者たちは、病人を見守りながら、夜明けを待ちわびた。♠<春を待ちわびる〉かたい芽をつけた桜[さくら]の木も、暖かい春を待ちわびているかのようだ。♠へ入学を待ちわびる〉妹は、まだ半年以上も先の、小学校へ入学する日を今から待ちわびている。♠へ退院を待ちわびる>長い入院生活で、見舞い客もほとんどなくなった今、わたしはただ、退院できる日を待ちわびている。 **まつ** 【松】マツ科の植物。常緑で葉は針状。門松[かどまつ]、もを立てて祝う正月の期間。上中下の等級の上。[文例]〈松の木〉庭に松の木がありました。♠へ松を飾る〉大掃除[おおそうじ]をして、玄関に松を飾って、お正月を迎える準備がととのいました。♠<松の内〉松の内を過ぎると、もうすぐ冬休みも終わり、三学期が始まります。♠〈松・竹・梅>当店の天ぷら定食には、松、竹、梅と三種類ございます。♠へ松のことは松に習え>芭蕉[ばしょう]は、「松のことは松に習え、竹のことは竹に習え。」と言って、自然を深く観察することの必要を説いた。 **ま・つ** 【待つ】○人・物事・時が来るのを願って時を過ごす。延期する。あてにする。頼りにする。[文例] <母が待つ>母が心配して待っているだろうから、今日はもう帰ろう。♠へ手紙を待つくぼくは、引っ越した友からの手紙を待っている。♠〈楽しみに待つ〉では、いいニュースを楽しみに待っていてください。♠く春を待つ〉北国では春ほど待たれる季節はない。♠〈救助の手を待つ〉火をのがれるため、川に飛び込んで救助の手を待った。♠へ運命が自分を待つ〉神ならぬ人間のわたしには、どんな運命が自分を待っているか、少しもわからない。♠へ重労働が待つ>男たちには、寒い冬の間も、休みのない重労働が待っているのだ。♠〈歳月[さいげつ]は人[ひと]を待たず〉歳月は人を待たず、一時[いっとき]一時を大切に生きよう。♠へ死を待つ〉あなたは何もせず、ただここで死を待つのですか。♠<結論を待つ>事態は流動的なので、結論は明日まで待とう。 <1049> ●へ持ってましたとばかり〉窓を開くと、ねこは、待ってましたとばかり、ひらっと室内に飛びこんできた。♠く待つともなく待つ〉幼い子供たちは、サンタクロースからの手紙を、しばらくは待つともなく待っていた。♠へ待ちに待った〉さあ、待ちに待った夏休みが始まるぞ。♠へ待てど暮らせど〉だまって家を出た男は、待てど暮らせど帰ってこなかった。♠<待てば海路[かいろ]の日和[ひより]あり〉待てば海路の日和ありで、あせらず待てば状況がよい方にかわるかもしれない。♠へ今後の研究にまつ〉このネコがどの系統[けいとう]に属するかは、今後の研究にまたなければならない。♠へ努力にまつ〉事の成否[せいひ]は、きみの努力にまつしかない。♠〈良識にまつ〉あなたがどう行動するかは、あなたの良識にまつと、みんなは言っています。♠〈論[ろん]をまたない〉平和を守るのにも、大変な努力が必要だということは、論をまたない。 **まつえい** (末裔)○子孫。文例〈源氏の末裔〉この地方には、源氏の末裔と言われる人たちが多く住んでいる。 **まっか** 【真っ赤】○非常に赤いさま。まぎれもないさま。[文例]〈真っ赤なほっぺた〉村の子供たちは、どの子もみんなりんごのように真っ赤なほっぺたをしている。♠へ真っ赤にそまる〉夕焼けに、海も空も真っ赤にそまった。♠〈真っ赤なうそ〉少年が「おおかみがきた。」と言ったのは、真っ赤なうそだった。 **まっき** 【末期】○物事の終わりの時期。[文例]〈戦争の末期〉太平洋戦争の末期に開発された原子爆弾は、昭和二十年八月に広島と長崎に投下[とうか]された。♠〈江戸末期>江戸末期の大飢饉[だいききん]で、飢[う]え死にする者が続出し、各地に一揆[いっき]や打ちこわしが発生した。♠へ末期に近づく>患者の病気は末期に近づいたらしく、激[はげ]しい痛みに襲[おそ]われるようになった。♠へ末期的>栄華[えいが]をきわめた唐の国も、九世紀の後半になると内乱が続き、末期的症状を見せ始めた。 **まっくら** 【真っ暗】○非常に暗いさま。将来に希望が持てないさま。[文例]〈外が真っ暗〉仕事を終えて事務所を出たとき、外はもう真っ暗だった。♠へ真っ暗な道>街灯のない真っ暗な田舎道を、よそ者のわたしはおそるおそる歩を進めました。♠へお先真っ暗>景気が回復する見込みがないとなれば、わたしの工場はお先真っ暗です。 **まつげ** (睫・睫毛)○まぶたのふちに生えている毛。[文例]〈長いまつげ〉彼女は、黒いまゆと長いまつげの目立つ、はっきりとした顔立ちをしていた。♠へまゆとまつげ〉おだやかなおばの顔は、まゆもまつげも、耳も、くちびるも、小鼻も、みな優しい感じがする。♠へまつげがのびる〉赤ちゃんも目が見えるようになってきたのかな、かわいいまつげがのびてきたよ。 **まつご** 【末期】○一生の終わりの時。死にぎわ。臨終。[文例]〈末期をみとる〉外国に留学していたため、わたしは父の末期をみとることができず、葬式[そうしき]にも出られませんでした。♠〈末期を迎える〉病人は穏[おだ]やかな笑みさえ浮かべて、今静かに末期を迎えようとしていた。♠〈末期の水〉末期の水をとる家族もなく、老人はひっそりと死んでいった。 **まっこう** 【真っ向】○ひたいの真ん中。真正面。[文例]帆船は真っ向から風を受けても、その風を利用して前進することができます。♠もともと仲が悪かった二人は、とうとう真っ向から対立してしまった。♠固い守りの敵城は、真っ向から攻めてもびくともしないだろう。 **まっさつ** 【抹殺】○消し去ること。存在や事実を無視し、無いものとすること。[文例]〈文化の抹殺〉ある国民に、その国のことばを話してはいけないということは、民族文化の抹殺に通じる。♠へ反対意見を抹殺する〉議長は、反対意見を抹殺しようとして議案の採決[さいけつ]を急いだ。♠へ歴史から抹殺する>支配者は、自分たちに都合の悪い出来事を歴史から抹殺することにした。♠へ人間を抹殺する〉親分にはむかうとみられた人間は、次々に抹殺されていった。 **まっさら** ○まだ一度も使っていない新しい状態。[文例]たんすの中の洋服はどれもまっさらで、一度もそでを通した様子はなかった。♠くまっさらのユニフォーム>選手たちは、まっさらのユニフォームに着か[か]えて試合に出ました。 **まっしぐら** (驀地) ○勢いよくまっすぐに進むさま。[文例]ライオンは、ねらい定めた獲物[えもの]めがけて、まっしぐらに突進[とっしん]した。♠開店と同時に、客たちは特売場めざしてまっしぐらにかけだした。♠あと三か月、受験生たちは入試をめざしてまっしぐらに勉強しています。♠ぴったり並んだ両ランナー、ゴールめざしてまっしぐらに駆けこんできました。♠古代の遺跡[いせき]を見つけた探検隊は、目標めざしてまっしぐらに突き進んだ。♠日も暮れて、道に迷った弥次[やじ]と喜多[きた]、人家のあかりを見つけるや、疲れも忘れてまっしぐら。 **まっしょう** 【抹消】○ぬりつぶして消すこと。消し去ること。[文例]〈登録の抹消〉けがをした選手の登録の抹消によって、二軍から新人が上がってきました。♠<抹消する〉正式文書から字句を抹消するときには、その部分に訂正印を押す必要がある。♠〈抹消する〉一年間全く活動しなかった会員の名前を名簿[めいぼ]から抹消しました。 **まっすぐ** 【真っすぐ】(真っ直ぐ)○曲がっていないさま。直接。正直。[文例]ねずみは、後足だけで立とうとするとき、しっぽをまっすぐのばして、体のつり合いをとった。♠店番の女は、なんとなくとがめる目つきでまっすぐ少年の顔を見た。♠金づちがくぎの頭にまっすぐぶつからず、あやまって指を打ってしまった。♠家を出てまっすぐ行くと、右側に草のぼうぼう生えた丘がある。♠音楽は、諸君の耳から入り、まっすぐ諸君の心に至り、心を波立たせるものだ。♠音を聞きつけた白くまは、まっすぐこっちへ向かってきた。♠六時間目の授業が終わったら、まっすぐ職員室へ来るように。♠へまっすぐな気性〉あなたはまっすぐでよい気性だ。♠へ心がまっすぐ〉心がまっすぐで、弱い人や貧しい人思いの父だった。 **まっせき** 【末席】○下位の席。下位の地位。[文例]〈末席にいる大きな宴会場[えんかいじょう]だったので、末席にいたわたしには主賓[しゅひん]の顔がよく見えなかった。♠ヘ末席に控[ひか]える〉会議の終わり近く、末席に控えていた新入社員が発言を求めました。♠〈末席を汚[けが]す〉わたしも委員の末席を汚す者の一人として、 <1050> 相応[そうおう]の働きをしたいと思う。 **まったく** 【全く】○完全に。全然。実に。ほんとうに。[文例]眠っている間は、心の働きは全く止まっているのだろうか。♠腹をすかせた赤ん坊[ぼう]は、ぎゃあぎゃあ泣きだすし、全くたいへんな一日だった。♠へ全くといってよいほど>実際に調べてみると、聞いた話とは全くといってよいほど違うことが分かった。♠いざ翻訳[ほんやく]にとりかかったが、初めの一行から全く手がつけられなかった。♠あんな態度では、全く話にもならない。♠世間はさかんに騒[さわ]ぎ立てているが、わたしは全くの無罪なのです。♠もっと喜ぶかと思ったのに、まったく、張り合いがないなあ。♠へいやまったく〉いやまったく、何とも歯がゆいこった。 **まっただなか** 【真っただ中】○まんなか。まっ最中。[文例]〈あらしのまっただ中〉こんな小さな橋なのに、あれくるうあらしのまっただ中で微動[びどう]だにしなかった。♠へ宴席[えんせき]のまっただ中>宴席のまっただ中を駆けぬけた二人は、あとでこっぴどく親にしかられた。♠へ劇のまっただ中〉劇のまっただ中に、場内から「火事だ。」という叫び声が上がった。♠〈式典のまっただ中〉式典のまっただ中に、小犬がどこからか迷いこむというハプニングがあった。 **まったん** 【末端】○物の端。組織の一番下の部分。[文例]<糸の末端>針に糸を通したら、末端に結び目を作って縫[ぬ]い始めます。♠へ末端に行きわたる〉王の権力は絶大で、その支配は末端にまで行きわたっていた。♠◆<末端に届[とど]く〉中央の指令が末端に届くまでにはしばらく時間がかかるだろう。♠<末端価格>押収[おうしゅう]された覚醒剤[かくせいざい]は、末端価格でおよそ六億円という大量のものだった。 **マッチ・する** ○釣り合う。一致する。似合う。[文例]彼女のドレスは、今日のはなやかなパーティーによくマッチしている。♠若者の感覚にぴったりマッチしたのでしょう、その製品はこの春大流行しました。 **まっとう** (真っ当)○まともなさま。まじめなさま。[文例]〈まっとうな人間〉初めからふみたおすつもりでお金を借りるなんて、まっとうな人間の考えることではない。♠へまっとうな仕事〉大学を卒業したのに、彼はまっとうな仕事につかずぶらぶらしていた。♠へまっとうに暮らす〉ぜいたくなんかできなくても、人並みでまっとうに暮らせれば幸せだと思います。 **まっとう・する** 【全うする】○最後までやりとおす。[文例]〈任務を全うする〉厳しい条件の中でしたが、なんとか任務を全うすることができました。♠へ本分を全うする〉きみ、学生の本分を全うしたまえ。♠へ天寿[てんじゅ]を全うする〉天寿を全うした祖父の死に顔は、とても安らかでした。 **まつび** 【末尾】○つながったものの一番後ろ。[文例]〈列の末尾〈末尾につく〉じゃんけんで負けた人は、列の末尾についてももう一度挑戦してください。♠へ文の末尾〉詩は普通の文章と違[ちが]って、文の末尾に句点を打たないことがあります。♠〈番号の末尾>このプレゼントコーナーに応募できるのは、自宅の電話番号の末尾が奇数の方だけです。 **まっぴら** 【真っ平】○ひたすら。ひらに。絶対にしたくないこと。[文例]こんな雨降りの日に、気の進まないデートなんてまっぴらよ。♠へまっぴらごめん〉どうしてぼくがきみのかわりにこんなことをしなければならないんだい、まっぴらごめんだよ。 **まつり** 【祭り】○神霊をまつる儀式や行事。祭礼・祝賀・記念・宣伝などのために催[もよお]すにぎやかな行事。[文例]〈神社の祭り〉神社の祭りの日も、島はうみねこの鳴き声で夜が明けた。♠〈祭りを行う〉この祭りは、平安時代から人々の間に伝えられ、行われているそうだ。♠〈祭りに行く>祭りに行った子供たちは、手に手にお面や綿菓子[わたがし]を持っていた。♠〈村祭り>ぼくの家は、今年の村祭りの当番に当たっている。♠〈雪まつり〉今日から、札幌[さっぽろ]の雪まつりが始まった。♠へお祭り騒[さわ]ぎ>優勝したチームは、大歓声をあげながら万歳[ばんざい]をとなえ、胴上[どうあ]げをし、お祭り騒ぎであった。♠〈祭り気分〉町をあげての七夕[たなばた]で、町全体がお祭り気分でわきたっています。♠〈後の祭り〉しまった、と思った時には、もう後の祭りだった。♠〈血祭りに上げる〉盗賊[とうぞく]どもは、まず名主[なぬし]を血祭りに上げてから、金をうばう計画だった。 **まつりあ・げる** 【祭り上げる】○あがめ尊ぶ。おだてて高い地位につかせる。[文例]〈神様に祭り上げる>菅原道真[すがわらのみちざね]は、後に学問の神様に祭り上げられました。♠◇会長に祭り上げる〉一番年かさだからというので、何の権限もない会長に祭り上げられてしまった。 **まつ・る** 【祭る】○神や死者の霊などを慰める。神としてあがめる。[文例]〈死者の霊を祭る〉お盆[ぼん]には、死者の霊を祭り、そのたましいをなぐさめる。♠へ神を祭る〉人々は、田の神を祭り、稲作[いなさく]の豊かな実りを祈[いの]った。♠〈神として祭る天神様[てんじんさま]とは、菅原道真[すがわらみちざね]を神として祭った名です。♠◇祖先を祭る〉ここの人々は、正月に、祖先の像を祭るのです。♠へ道祖神[どうそじん]を祭る〉道祖神というのは、道の分かれ目などに祭られている、道行く人を守護する神です。♠へ責任者に祭り上げる〉みんながいやがって、とうとう、おとなしいぼくが責任者に祭り上げられてしまった。 **まつろ** 【末路】○晩年。なれの果て。[文例]〈あわれな末路をたどる〉これは、お金も友も何もかもを失い、あわれな末路をたどった男の物語である。♠〈英雄の末路〉世界に名をとどろかせた英雄の末路は、流刑人[るけいにん]というみじめなものだった。♠〈悲惨[ひさん]な末路>若いころははぶりがよかったらしいが、その末路は悲惨なものだ。 **まつわりつく** (纏わり付く)○からみつく。まといつく。[文例]〈ねこがまつわりつく〉めぐみさんのひざに子ねこがまつわりついています。♠ヘスカートがまつわりつく〉冬は静電気が起こりやすく、スカートが足にまつわりつくことがある。♠人影がまつわりつく〉彼女の人生には、いつも暗い影がまつわりついていた。 **まつわる** (纏わる) ○からみついて離れない。つきまとう。関連する。[文例]へつるがまつわる〉夏になると、つる草が塀や細い木にまつわりながら、どんどんのびていく。♠子[こ]が母にまつわる〉幼児は、一日じゅう、母親にまつわりついている。♠へ~にまつわる話>朝礼の時、校長先生がしてくださった校名にまつわる話は、印象深いものだった。♠へ戦争にまつわる体験>戦争にまつわる体験を読んだり聞いたりしたことがあったら、お互いに紹介[しょうかい]し合いましょう。♠〈橋にまつわる伝説>土地の人から、この橋にまつわる伝説を聞いた。 **まと** 【的】○弓や鉄砲などの標的。目標。目当て。人々の関心が集まる所。[文例]〈的に命中する〉弓から一気に解き放たれた矢は、みごと的に命中した。♠へ的を射[い]る〉風もおさまり、的の扇[おうぎ]のゆれも静まって、矢が射やすくなっていた。♠〈的を射る〉その映画に対する彼の批評は、しんらつではあったが的を射ていた。♠へ的をはずれる・はずす〉残念ながら、あなたの意見は的をはずれています。♠〈注目の的〉一九六九年七月、アメリカによる人類初の月着陸が全世界注目の的になっていた。♠〈人気の的〉動物園にいる動物たちの中でも、パンダやコアラは、子供たちの人気の的です。♠〈あこがれの的〉街には、少女たちのあこがれの的であるアイドル歌手のポスターがはってある。♠〈信頼の的〉黒いかぶとをかぶったこの勇士[ゆうし]は、戦場の華[はな]であり、味方にとって信頼の的であった。♠〈的をしぼる〉今度の数学のテストの勉強は、図形に的をしぼるってがんばってみよう。♠へ的はずれ〉人を襲[おそ]うといけないからオオカミを殺すというのは、本来、的はずれなことだった。 **まと・う** (纏う) ○巻きつく。巻きつける。身につける。[文例]〈コートをまとう〉コートをまとった男は、冷たい北風にえりを立て足早[あしばや]に立ち去っていった。♠くぼろをまとう〉〈身にまとう〉身にぼろをまとってはいても、心の中は希望に燃えていた。♠へ一糸[いっし]まとわぬ〉いきなりふすまが開いたかと思うと、奥の部屋から一糸まとわぬすっぱだかの男の子が飛び出してきました。♠〈付きまとう〉しつこい男に付きまとわれてめいわくしています。 **まど・う** 【惑う】○思い乱れる。心が迷う。[文例]〈道に惑う〉若い日には、道に惑って、人生の目標を見失うことがありました。♠〈心が惑う〉恋をした若者は、心惑って苦しい日々を送っていました。♠〈四十にして惑わず〉われ十有五[じゅうゆうご]にして学に志[こころざ]す。三十にして立つ。四十にして惑わず。(論語)♠〈思い惑う〉何を思い惑うのか、男の足どりは重かった。♠〈逃げ惑う〉出動した軍隊の前で市民たちは逃げ惑った。 **まどお** 【間遠】○距離や時間の間隔があいているさま。[文例]〈人通[ひとどお]りが間遠>閑静な住宅街に日が暮れると、人通りは間遠になりやがて絶えてしまう。♠へ行き来が間遠>両親が死んでからは、実家との行き来も間遠になってしまった。 <1051> がしみついている。♠◆へ~にまつわる話>朝礼の時、校長先生がしてくださった校名にまつわる話は、印象深いものだった。♠●へ戦争にまつわる体験>戦争にまつわる体験を読んだり聞いたりしたことがあったら、お互いに紹介[しょうかい]し合いましょう。♠●〈橋にまつわる伝説>土地の人から、この橋にまつわる伝説を聞いた。 **まと【的】** ○弓や鉄砲などの標的。目標。目当て。人々の関心が集まる所。[文例]〈的に命中する〉弓から一気に解き放たれた矢は、みごと的に命中した。♠●へ的を射る〉風もおさまり、的の扇[おうぎ]のゆれも静まって、矢が射やすくなっていた。♠●〈的を射る〉その映画に対する彼の批評は、しんらつではあったが的を射ていた。♠●へ的をはずれる・はずす〉残念ながら、あなたの意見は的をはずれています。♠●〈注目の的〉一九六九年七月、アメリカによる人類初の月着陸が全世界注目の的になっていた。♠●〈人気の的〉動物園にいる動物たちの中でも、パンダやコアラは、子供たちの人気の的です。♠●〈あこがれの的〉街には、少女たちのあこがれの的であるアイドル歌手のポスターがはってある。♠●〈信頼[しんらい]の的〉黒いかぶとをかぶったこの勇士は、戦場の華[はな]であり、味方にとって信頼の的であった。♠●〈的をしぼる〉今度の数学のテストの勉強は、図形に的をしぼってがんばってみよう。♠●へ的はずれ〉人を襲[おそ]うといけないからオオカミを殺すというのは、本来、的はずれなことだった。 **まど【窓】** ○採光・換気・展望などのために壁や天井に設けた穴、また、ガラス戸などをはめた所。[文例]〈高い窓>目覚めると、倉[くら]の高い窓からはまぶしいほどの月明かりが差しこんでいた。♠●へ窓の障子〉夜になって吹きはじめた風が窓の障子をカタカタ鳴らす。♠●へ窓を開ける・閉める〉いくら寒くても、時には窓を開けて部屋の空気を入れかえなさい。♠◆<窓の外〉ひっそりとした家の中に、窓の外から子供たちの元気な声が聞こえてきます。♠●〈窓から首を出す>汽車が動き出して、窓から首を出したら、ホームに友はまだ立っていた。♠へ窓からもれる〉家の中は明るい灯に満たされ、楽しそうな歌声が窓からもれてきていた。♠●へ窓を通す>外国との交渉は、長崎[ながさき]という窓を通してしか許されていなかった。♠●〈心の窓〉かたくなだった少年の心の窓が、わたしに向かって徐々[じょじょ]に開かれてくるのがわかった。♠●〈目は心の窓>目は心の窓といって、相手の目を見れば何を考えているかわかることがある。♠〈窓ごし〉窓ごしに差しこむ春の日差しの中で、ミケが丸くなって寝ている。♠●〈窓ぎわ〉この大きな世界地図は、窓ぎわの壁[かべ]にはろう。♠●へ窓べ〉女は、窓べにもたれて、暮れてゆく外の景色をながめていた。♠●へ窓口>定期券の申し込みは、八番の窓口で受け付けています。♠●<窓明かり〉窓明かりで、部屋の中は昼のように明るかった。♠●へのぞき窓〉ドアには、用心のため、のぞき窓が取り付けられていた。 **まど・う(纏う)** ○巻きつく。巻きつける。身につける。[文例]〈コートをまとう〉コートをまとった男は、冷たい北風にえりを立て足早に立ち去っていった。♠●くぼろをまとう〉〈身にまとう〉身にぼろをまとってはいても、心の中は希望に燃えていた。♠へ一糸[いっし]まとわぬ〉いきなりふすまが開いたかと思うと、奥の部屋から一糸まとわぬすっぱだかの男の子が飛び出してきました。♠●〈付きまとう〉しつこい男に付きまとわれてめいわくしています。 **まど・う【惑う】** ○思い乱れる。心が迷う。[文例]〈道に惑う〉若い日には、道に惑って、人生の目標を見失うことがありました。♠●〈心が惑う〉恋をした若者は、心惑って苦しい日々を送っていました。♠●〈四十にして惑わず〉われ十有五にして学に志す。三十にして立つ。四十にして惑わず。(論語)♠◆〈思い惑う〉何を思い惑うのか、男の足どりは重かった。♠〈逃げ惑う〉出動した軍隊の前で市民たちは逃げ惑った。 **まどお【間遠】** ○距離や時間の間隔があいているさま。[文例]〈人通りが間遠>閑静な住宅街に日が暮れると、人通りは間遠になりやがて絶えてしまう。♠●へ行き来が間遠>両親が死んでからは、実家との行き来も間遠になってしまった。 **まどぐち【窓口】** ○窓を通して事務を取り次ぐ所。外部との交渉にあたる係・人。[文例]転入届けは、八番の窓口で受け付けています。♠◆〈窓口を設ける〉今度市役所に、市民の苦情を聞く窓口を設けることになりました。♠●〈交渉の窓口>〈窓口になる〉この件に関しては、わたしが窓口になって交渉にあたりましょう。 **まとはずれ【的外れ】** ○要点を外していること。見当ちがい。[文例]〈的外れな質問〉しっかり授業を聞いていれば、そんな的外れな質問をするはずがない。♠●〈意見が的外れ〉なにか誤解しているようだね、きみの意見はどうも的外れだよ。 **まとまり(纏まり)** ○まとまること。統一。決着。成立。[文例]〈まとまりがある。ない〉きみの話は長いうえにまとまりがないので、よくわからない。♠●へまとまりがよい〉ぼくのクラスはまとまりがよく、何をするにもすぐ意見が一致します。♠●へまとまりがつく〉だれを委員長にするか、話し合いはなかなかまとまりがつきません。♠●〈まとまりを欠[はな]く〉選手一人一人は力があるのだが、チームとしてのまとまりを欠くのが弱点だ。 **まとま・る(纏まる)** ○ばらばらのものが一つになる。整理されて一つの形になる。統一がとれる。決着する。成立する。[文例]〈一つにまとまる〉地球上の大陸は、かつては一つにまとまっていたのだが、しだいに離ればなれになっていったのだという。♠●〈考えがまとまる〉文章は考えや事がらを述べたものだが、一つの考えがまとまると、行をかえて一字下げて書かれている。♠●〈意見がまとまる〉文化祭の出し物は、部員全員の意見がまとまって、「父帰る」に決まった。♠◆〈クラスがまとまる〉ぼくたちのクラスは、よくまとまっています。♠●へ小さくまとまる〉きみの絵はなかなか上手にかけているが、あまり小さくまとまっていると、将来のびないよ。♠●へ対策[たいさく]がまとまる>長時間の協議のかいあって、この問題に関する対策がまとまってきた。♠●へ縁談[えんだん]がまとまる〉やっと姉の縁談がまとまって、家じゅうがみな、何となくうれしそうだ。♠●へ構想がまとまる〉彼は、小説の構想が細部 <1052> **まとめ**○どよう[文例]◆にわたってまとまらなければ、一行も書き出さないそうだ。♠くまとまった文章>生活の中で体験したことを題材にして、まとまった文章を書いてみよう。へまとまった金〉当時のわたしには、どうしてもまとまった金が必要だった。 **まとめ**(纏め)○まとめること。[文例]〈まとめのテスト〉一次関数の範囲が今日で終わったので、明日まとめのテストをしましょう。♠〈まとめの段階〉委員の意見はほとんど出つくし、計画案はまとめの段階に入りました。♠〈調査のまとめ>調査のまとめができたようですから、さっそく発表してもらいましょう。 **まと・める**(纏める)○ばらばらのものを一つにする。一緒にする。統一する。整理する。うまく解決する。完成する。[文例]〈一か所にまとめる〉ふつう、卵を産む動物は一か所にまとめて産むが、カブトガニは、数百個ずつ分散して産む。♠くまとめて読む>好きな本を手当たりしだいに読むのでなく、一人の作家の作品を何冊かまとめて読むというのもおもしろい。♠〈まとめて買う〉お魚を十尾まとめて買ったら、二割値引きしてくれた。♠へ荷物をまとめる〉目的地に着くころ、「手荷物をまとめてお降りの御用意を・・・・・・」とアナウンスが流れた。♠〈人をまとめる〉彼は、人をまとめる能力があるので、リーダーにぴったりだ。♠〈文章にまとめる〉調査・研究が終わったら、その成果を図や絵を使って文章にまとめてみよう。♠〈要点をまとめる〉次の事柄[ことがら]に対して、筆者はどのように考えているか、要点をノートにまとめよう。♠く考えをまとめる〉書くという作業によって、理解が深まり、自分の考えをまとめることができます。♠作品をまとめる〉彼は、『昆虫記[こんちゆうき]』を、三十年の歳月[さいげつ]をかけてまとめあげたのです。♠〈本にまとめる〉彼女が日記を書くのは、いつか自分が作家になって、本にまとめたいためである。♠〈表にまとめる〉本を読んで、昭和新山の生い立ちを、月日を追って表にまとめた。♠〈体系的にまとめる〉この本には、日本語のきまりについての基本的な事柄[ことがら]が、体系的にまとめてある。 **まとも**○真正面。正しいさま。[文例]〈まともに当たる〉もし、この大きな石がまともに当たっていたらと思うとぞっとした。♠〈まともに受ける〉西風をまともに受けるので、この林の木はみな曲がっている。♠〈まともに向かう〉彼は、まともに向かったらとうてい勝てる相手ではない。♠〈まともな人間〉悪いことばかりしていたわたしが、どうやらまともな人間になれたのは、よき友にめぐり合えたおかげである。 **まどり**【間取り】○家の中の部屋の配置。[文例]〈マンションの間取り〉このマンションは、どの区画も3LDKの似たような間取りになっています。♠へ間取りを考える〉よく日が当たるように間取りを考えて、この家は建てられました。♠へゆったりした間取り〉ゆったりした間取りのよいおうちですね。 **まどろ・む**○うとうとする。[文例]〈ひなたでまどろむ〉最近、祖母は、ひなたで、まどろむようにうとうとしていることが多い。♠〈木陰[こかげ]でまどろむ〉猛暑[もうしよ]を避けて、動物たちも木陰でまどろんでいるようだ。♠ヘまどろみかける〉ベランダに持ち出したいすでまどろみかけたわたしの目に、海辺の広い緑の丘[おか]が浮かんできた。 **まどわ・す**【惑わす】○心を乱れさせる。心を迷わせる。悪い事に誘いこむ。だます。[文例]〈目先の~に惑わされる>目先の利益に惑わされて、判断を誤らないよう、注意しなさい。へ人心を惑わす〉政府はこの本を、人心を惑わすものとして発売禁止にした。♠〈青少年を惑わす〉映画作品が健全な青少年を惑わすものかどうかを判断する民間機関があります。♠へ甘い[あま]言葉で惑わす〉彼は今まで、甘い言葉で女性を惑わしては、お金をだましとっていた。へ外見に惑わされる〉人を判断するとき、外見に惑わされるなというが、なかなか難しい。♠へ巧みな言葉に惑わされる〉セールスマンの巧みな言葉に惑わされて、欲しくもないものを買ってしまった。 **マナー**○礼儀作法。その場にふさわしい態度。[文例]年寄りや体の不自由な人には席を譲る[ゆず]のが、乗り物の中でのマナーです。♠ヘマナーを守る〉人前では、マナーを守らなければなりません。♠ヘマナーが悪い〉人の足を踏んでおいて、ごめんなさいも言わないとは、マナーの悪い男だ。ヘテーブルマナー>先日学校が主催したテーブルマナーの講習会で、初めて正式なナイフとフォークの使い方を教わりました。 **まないた**【まな板】(俎板・俎)○魚や野菜などを包丁で切る時に使う板。[文例]毎朝、わたしは、母がまな板の上で野菜を刻む音で目を覚まします。♠〈まな板にのせる〉今日は、二つの案を同じまな板にのせて検討してみよう。くまな板の鯉〉さあ、わたしはまな板の鯉ですから、どうにでも料理してください。 **まなざし**(眼差し)○目つき。視線。[文例]〈優しい[やさ]まなざし〉〈まなざしを注ぐ〉老人は、幼子[おさなご]の無心に遊ぶ姿に優しいまなざしを注いでいる。♠〈敵意・憎悪[そうお]に満ちたまなざし〉彼は、周りの人たちを一種の敵意と憎悪に満ちたまなざしでにらみつけた。♠へうったえるようなまなざし〉絵の中の、苦痛と悲しみに耐えたイエスは、何かをうったえるようなまなざしでこちらをながめている。くまなざしを落とす〉少女はふっとまなざしを落とすと、自分に言って聞かせるように、低くつぶやいた。♠へ見つめるまなざし〉じっとわたしを見つめている娘[むすめ]のまなざしには、悲しみが揺れ動いているように見えた。へ真剣[しんけん]なまなざし〉妹が、真剣なまなざしでリンゴの皮をむいている。♠〈熱いまなざし〉彼は、少女たちの熱いまなざしの中、素知らぬふりで通りぬけた。♠へ非難のまなざし〉みんなの非難のまなざしをさけるように少女はうつ向いてしまった。 **まなじり**(眥・眦・睚)○目の外側のはし。目じり。[文例]〈まなじりを決する〉理事長のあまりの暴言に、こらえにこらえていた校長も、ついにまなじりを決して立ち上がった。 **まな・ぶ**【学ぶ】○見習う。教えを受ける。教わる。学問をする。勉強する。[文例]〈先人に学ぶ〉伝記を通して、わたした <1053> **まねる**ちは、実にさまざまなことを先人に学ぶことができる。♠〈深く学ぶ〉大自然の中でくらしているうちに、自然の仕組みを深く学び、大地のめぐみに感謝するようになった。♠〈事実から学ぶ〉わたしたちは、その事実からさまざまなことを学ぶことができる。♠〈経験に学ぶ〉多くの人々の成功や失敗の経験に学び、また、自分自身体験を積み重ねて、成長していこう。♠〈ことばを学ぶ〉わたしたちは、まわりの人のことばをまねすることから始まって、ことばを学び、身につけてきた。♠〈西洋に学ぶ〉明治維新[いしん]から今日[こんにち]まで、日本は、多くのことを西洋に学んできたといえる。♠〈知恵[ちえ]を学ぶ〉今、先人たちの知恵を学び、それを新しい技術の中に生かしていくことが必要だと思う。♠〈数学を学ぶ〉兄は、大学で数学を学び、優秀な成績で卒業した秀才[しゅうさい]だ。♠へ学問を学ぶ〉自分だけで深く考えても、学問を広く学ぶことをしなければ、独りよがりに陥[おちい]って危険である。♠へ俳句を学ぶ〉祖父は、六十の手習いだよ、と言いながら、今年から俳句を学んでいる。♠〈よく学び、よく遊べ〉「よく学び、よく遊べ」と言うが、この学校の生徒は、男子も女子もこのことばのとおりである。 **マニア**○趣味として熱中している人。[文例]テレフォンカードの中には、マニアの間でびっくりするような高値を呼んでいるものもある。♠デパートで行われた切手と古銭の見本市には、全国各地からたくさんのマニアが集まった。♠<鉄道マニア>鉄道マニアの中西君は、駅名を聞いただけでそれがどこにあるか当てられます。 **まにあ・う**【間に合う】○時刻に遅れずに着く。その場の役に立つ。用が足りる。[文例]〈飛行機に間に合う〉間に合えば、九時十分発の飛行機で行きたい。♠へ試験に間に合う〉もう、今から行っても試験には間に合わない。♠へ刻限に間に合う〉これからすぐ出発すれば、約束[やくそく]の刻限までには十分間に合う。♠へ修理が間に合わない〉傾[かたむ]いた家屋は、土台を持ち上げては直したのだが、盛り上がりが続くので、それも、間に合わなくなっていった。♠へ手持ちで間に合わせる〉姉は、成人式には晴れ着を新調せず、手持ちの洋服で間に合わせた。♠〈千円で間に合う〉参考書とノートだけなら千円で間に合うだろう。♠「コンチワ、魚屋です。」「今日は間に合ってるわ。」 **まぬか・れる**【免れる】○こうむらずに済む。のがれる。避ける。まぬがれる。[文例]〈死をまぬかれる〉焼死をまぬかれた者は、川に飛びこんで救助の手を待った。へ延焼をまぬかれる〉絵の一部は焼けていたが、重要な部分は延焼をまぬかれていた。へ負い目をまぬかれる〉自分は命ある限り、わが子を見捨ててきたという負い目をまぬかれないであろう。♠へ罰をまぬかれる〉過[あやま]ちを認め、すぐに謝ったので、罰はまぬかれた。♠〈責任を免れる〉排水が川を汚染したとすれば、工場はその責任を免れない。♠く誤差はまぬかれない〉橋を組み立てている石は、のみで表面を仕上げてあるので、寸法に誤差が出るのはまぬかれない。 **まぬけ**【間抜け】○することに何か手落ちがあるさま。また、そういう人。[文例]〈まぬけなこと>荷物を忘れたり、行く先をまちがえたり、ぼくはまぬけなことばかりしている。♠くまぬけなやつ>自分で作った落とし穴に自分が落ちるなんて、まぬけなやつだなあ。♠くまぬけ面[づら]〉おい、よっちゃん、まぬけ面してどこへ行くんだ。 **まね**(真似)○まねること。形だけの動作。ふるまい。[文例]〈人のまねをする〉「オーイ、お茶」と父のまねをしたら、母にしかられた。♠く死んだまね〉人の手がふれると、テントウムシは死んだまねをした。♠〈泣きまね〉すぐ泣きまねをして、仲間の気を引く子がいます。♠〈卑きょうなまね〉そんな卑きょうなまねはするな。♠〈勝手なまね>親分のおれの目の黒いうちは、おまえたちに勝手なまねはさせないぞ。♠ヘうのまねをするからす[からす]〉無理はなさらぬほうがようございます、鵜のまねをする鳥と申しますから。 **まねき**【招き】○招くこと。招待。人を招き寄せること。[文例]〈招きを受ける>木村さんからパーティーの招きを受けましたが、明日はクラブの練習があります。♠へ招きに応じる>彼は大学の招きに応じて、来年一年間講師として教壇に立つそうだ。♠へお招きをいただく>本日はお招きをいただき、まことにありがとうございます。♠へお招きにあずかる〉お招きにあずかりましたが、仕事の都合でどうしても出席できません。 **まね・く**【招く】○合図をして呼びよせる。客として呼ぶ。招待する。悪い結果をもたらす。[文例]〈手で招く>母親が、「おいでおいで。」と手で招くと、よちよち歩きの赤ちゃんは、うれしそうにかけ寄った。へ祝いに招く〉父は、親せきの家の新築祝いに招かれて、出かけている。♠へ友達に招かれる〉わたしは、誕生日[たんじょうび]のお祝いをするからと、友達の家に招かれています。♠〈家庭教師として招く〉ヘレンが六歳のとき、アン=サリバンが、彼女の家庭教師としてケラー家に招かれた。へ専門家を招く〉各方面で活躍[かつやく]する専門家数人を招き、日ごろから考えたり感じたりしていることを語ってもらった。♠へ山が招く〉晴れた日には、真正面に雪をかぶった富士の峰が、ふわ[ふわ]端正[たんせい]な姿でわたしたちを招く。♠〈誤解を招く〉彼の無口な性格は、時に人々の誤解を招いた。♠〈災い[わざわ]を招く〉ちょっとした油断が、思いがけない大きな災いを招くことがある。♠へ災害を招く>予想をはるかに上回る量の水が堤防[ていぼう]を決壊[けつかい]させたりして、災害を招いている。♠〈破壊[はかい]を招く>便利さを求める開発が、自然の破壊を招き、人間の生活をおびやかすようになった。 **まねごと**【まね事】(真似事)○まねてすること。形式だけですること。[文例]〈勉強のまね事〉〈まね事をする>子供も手がかからなくなりましたので、わたしはカルチャーセンターで勉強のまね事をしようと思います。♠〈ほんのまね事〉わたしの油絵はほんのまね事に過ぎませんから、とてもお目にかけられません。 **ま・ねる**(真似る)○他に似せて行う。[文例]〈親をまねる〉子供は、何でも親をまねるので、めったなことはできません。♠へ鳴き声をまねる〉犬の鳴き声をまねてごらん、猫が逃げ出すから。♠へ欧米をまねる〉日本は欧米をまねて発展 <1054> **まのあたり**しましたが、その日本をまねて開発を進める国もあります。♠〈文章をまねる〉好きな作家の文章をまねて、短い物語を書いてみた。 **まのあたり**【目の当たり】○目の前。自分の目で直接に。[文例]〈目の当たりに見る〉事故を目の当たりに見たわたしは、そのすさまじさに思わず息をのんだ。♠へ目の当たりにする>戦争の悲惨[ひさん]さは、それを目の当たりにしてきた者たちにとって、どんなに語っても語り尽くせるものではない。♠〈目の当たりにする〉念願がかない、あこがれの歌手の姿を目の当たりにしてその美しい歌声を聞くことができた。♠〈目の当たりにながめる〉長年、写真でしか見たことのなかった風景を目の当たりにながめている今、感慨無量[かんがいむりよう]であります。 **まのび**【間延び】○間が長いこと。しまりがないこと。[文例]〈間延びした顔>間延びしたその顔は、きわめて人の善い彼の性格を、そのまま表しているようだ。♠へ間延びした話し方〉あなたのその「そうでーす」とか「わかりませーん」とかいう間延びした話し方を聞くと、いらいらするわ。へ間延びした行動〉おっとりしているのはいいのだが、気の短いぼくには、彼の間延びした行動がどうもじれったい。 **まばたき**(瞬き)○まぶたをぱちぱちさせること。またたき。[文例]〈まばたきをする〉われわれが近づいても、まばたきもしないので、この馬は目が見えるのか疑った。♠へまばたきする〉あまりにもすばらしい劇だったので、観客はまばたきするのも忘れて舞台[ぶたい]に見入った。♠へまばたきする間の出来事〉かばんが盗[ぬす]まれたのは、ほんのまばたきする間の出来事でした。♠へ意味ありげにまばたきする〉彼は、客と話をしながら、傍ら[かたわ]で聞いているわたしに意味ありげにまばたきしてみせた。 **まばゆ・い**(目映い・眩い)○目をあけていられないほどまぶしい。[文例]〈まばゆい日差し>暗い森から野に出てしばらくは、まばゆい春の日差しに目をあけていられなかった。♠〈まばゆい月の光>雲間からまばゆい月の光が差すと、すすきの原が黄金に色を変えた。♠へまばゆく輝[かがや]く>王冠の中央でダイヤモンドがひときわまばゆく輝いている。へまばゆいばかりの美しさ〉ドレスを身にまとった夫人は、まばゆいばかりの美しさだった。 **まばら**(疎ら)○間があいていて、パラパラとあるさま。[文例]〈まばらに散らばる〉山のすそ野は、湿地と沼がまばらに散らばっているだけのさびしい荒野[こうや]だ。♠へまばらに生える〉うちのおじいさんの頭のてっぺんは、毛がまばらに生えている程度です。♠へ人影[ひとかげ]がまばら〉そういえば、あのときも人影がまばらでひっそりと静まり返っていたっけ。♠〈家がまばら>海岸通りに出ると、軒[のき]の低い家がまばらに続いていた。♠へ客席がまばら〉場内に入ると、開演までまだ間があるせいか客席はまばらだった。♠〈まばらな拍手[はくしゅ]〉あまりにもひどい演技[えんぎ]に、場内からはぱらぱらとまばらな拍手が起こっただけだった。 **まひ**(麻痺)○しびれて感覚がなくなること。機能が停止すること。[文例]〈まひを起こす〉「馬酔木」は、これを牛馬が食べると、麻痺を起こすというのでこの字を当てて書く。♠〈神経をまひさせる〉ハチがクモにさす毒液は、クモを殺さず、その神経系統を麻痺させるのである。♠〈神経がまひする〉焼けた皮膚[ひふ]の下の神経が強力な熱で麻痺したためにか、痛さは感じない。♠〈心臓まひ〉おじは、健康だったのに、突然[とつぜん]心臓麻痺を起こして亡[な]くなった。♠へ感覚がまひする〉生きるも死ぬも紙一重のところで生活していると、感覚が麻痺してしまう。♠へ良心がまひする〉あんなひどい仕打ちをするなんて、きっと良心が麻痺していたんだ。♠へ交通がまひする〉事故があったらしく、この先五キロほど交通が麻痺しています。 **まび・く**【間引く】○密生している作物を所々抜いて間をあける。省略して間をあける。[文例]〈作物を間引く〉育ちをよくするために、ダイコンの芽を適当な間隔[かんかく]に間引きました。へ運転を間引く>朝夕のラッシュ時には五分間隔で運転される電車も、昼間は間引いて運転されます。 **まぶか**【目深】○目がかくれるほど深くかぶるさま。[文例]〈目深にかぶる〉わたしは、人目を避けるために帽子を目深にかぶり、うつむき加減に歩いた。 **まぶし・い**(眩しい)○目をあけていられないほど光が強い。きらきらと光り輝[かがや]いている。[文例]〈日差しがまぶしい〉ぎらぎらと照りつける日差しは、プールの水面にはね返り、とてもまぶしい。♠〈まぶしい光〉窓のカーテンを開けると、まぶしい朝の光が一気に部屋を満たした。♠〈まぶしいほど輝く〉あらしの過ぎた朝、夏の太陽を浴びて木々の葉はまぶしいほど輝きはじめた。くまぶしく輝く〉海は真夏の輝きで広がり、沖には入道雲がまぶしく輝いていた。♠〈目にまぶしい〉春といえば、心に浮かぶのは芽ぶいたばかりの新鮮な若葉、それも目にまぶしくあふれてくる緑だろう。♠〈まぶしいほどの美しさ〉月光を身に浴びて、光り輝くかぐや姫は、まぶしいほどの美しさです。♠へ姿がまぶしい〉立派[りつこん]に成長した息子の姿が、年老いた父親にはひどくまぶしかった。♠くまぶしく見える〉結婚の決まった姉は、一時に大人びて映り、まぶしく見えることもあった。 **まぶ・す**(塗す)○粉などを表面全体によくつける。[文例]〈きなこをまぶす〉つきたてのもちにきなこをまぶして食べます。♠ヘパン粉をまぶす〉豚肉[ぶたにく]に小麦粉と卵をつけ、パン粉をまぶして油で揚げたものがトンカツです。 **まぶた**(瞼・目蓋)○目を上下からおおう皮膚。[文例]〈まぶたを開く・閉じる〉こうしてまぶたを閉じると、小さいときに別れ別れになった妹の顔が浮かんでくる。♠へまぶたが重い〉今朝はいつもより早く起きたので、八時過ぎにはまぶたが重くなりました。♠へまぶたに浮かぶ〉卒業式の途中、楽しかった思い出がまぶたに浮かび、つい涙を流してしまった。 **まほう**【魔法】○不思議な力で人間にはできないようなことを行う術。[文例]あの気味の悪い毛虫がきれいなチョウになるなんて、魔法みたいだ。♠へ魔法にかかる〉あんなにうるさかった子供たちが、魔法にかかったように、教室は一瞬[しん]と <1055> **まもの**なった。♠へ魔法が解ける>南風が吹いた次の日、湖のほとりにまるで魔法が解けたように花が咲き乱れました。♠へ魔法を使う〉おばあさんは魔法を使って、子供たちを石に変えてしまったのです。 **まぼろし**【幻】○現実にはないのに、あるように見えるもの。幻影。はかなく消え去るもの。実在するかしないかはっきりしないもの。[文例]〈幻のよう〉外はもう、すっかり暗く、ときどき揺れていた明かりも幻のように見えなくなった。♠〈幻のよう〉ジャングルの奥深く、とつぜん幻のような廃墟[はいきよ]が現れた。へ幻のごとく消える〉「もしかしたら」というはかない希望も、幻のごとく消え去った。♠へ幻のようにはかない〉この世は幻のようにはかなくて、永遠なものなんか何もない。♠へ幻を追う〉いつまでも、亡くなった人の幻ばかり追っていては、いけませんよ。へ幻を見る〉きみがお父上にそっくりなので、一瞬幻を見たかと思ったほどでした。♠〈幻の名画〉アルザスの片田舎[いなか]で、幻の名画と言われている絵が見つかった。♠〈幻の大陸>幻の大陸アトランティスは、一夜にして海底に沈んだと言い伝えられている。 **まま**(儘)○自分の思う通り。なりゆきの通り。その状態の通り。[文例]〈ままにならない〉その男には、仕事がなく、一円のお金もままにならなかった。♠へままならぬ〉とかく世の中にはままならぬことが多いものだ。♠〈思いのまま〉日ごろ、考えたり感じたりしていることを、思いのままに自由に書くことは楽しいものです。♠へなすがまま>実力の差がありすぎて、相手のなすがままの一方的な試合になってしまった。♠へ気の向くまま〉なんでもかまわず気の向くままにお書きなさい。♠〈ほしいままにする〉権勢[けんせい]をほしいままにした平清盛[たいらのさよもり]が病死して後、平家は、源義仲[みなもとのよしなか]に追われていったん九州に退いた。♠へ言うままになる〉あの子は、今は母親の言うままになっているが、そのうち自分のほんとうにしたいことに気づくだろう。♠へあるがまま〉世の中を、偏見[へんけん]にとらわれず、あるがままに見つめることはたやすいことではない。♠〈今のまま〉いつまでも今のままのあなたでいてほしい。♠へそっくりそのまま〉きみの経験がそっくりそのまま他の人にあてはまるとは限らない。♠へ〜したまま>母は、買い物に出かけたままもどりません。 **ままこ**【まま子】(継子)○血がつながっていない子。のけもの。[文例]おじさんの後妻は、実の子もまま子もへだてなく育てました。♠〈まま子いじめ〉シンデレラは母親や二人の姉からまま子いじめを受け、お城でのパーティーにも行かせてもらえません。♠〈まま子扱い〉前身が女子高ですから、相撲部やボクシング部はまま子扱いされています。 **まみ・える**(目見える)○「会う」の謙譲語。お目にかかる。顔を合わせる。仕える。[文例]〈将軍にまみえる〉江戸時代、町人が将軍にまみえることなど考えられませんでした。♠〈敵とまみえる>長野県の川中島は、上杉謙信[うえすぎけんしん]と武田信玄[たけだしんげん]が五回もまみえた、有名な古戦場である。♠へ貞婦[ていふ]は二夫にまみえず〉「貞婦は二夫にまみえず」の考えの強かった戦前は、夫と死別した女性が再婚する例は多くなかった。 **まみ・れる**(塗れる)○体じゅうにきたないものがついて汚れる。[文例]〈汗にまみれる〉汗にまみれた病人の体を、彼女はやさしくふいてやった。♠へ血にまみれる〉傷ついた兵士たちは、血にまみれ、うめき声[あせ]をたてていた。♠くほこりにまみれる>田舎道を、自転車を走らせ家に着いた時には、体じゅうがほこりにまみれていた。♠〈硝煙[しようえん]にまみれる〉父が戦地から硝煙にまみれ、よれよれの姿で帰って来たのを見て、みんなはびっくりした。♠ヘ一敗[いつはい]地にまみれる〉相手チームは守備、攻撃[こうげき]とも完ぺきに近く、残念ながら、わがチームは一敗地にまみれた。 **まめ**○まじめ。勤勉。きちょうめん。健康。達者。[文例]〈まめに働く〉雨の日も風の日も、毎日まめに働くおじさんの顔を見るだけで、わたしの心は明るくなった。♠へまめに練習する〉ピアノは毎日まめに練習しないと上手になれませんよ。♠〈まめに暮らす〉貧乏[びんぼう]でも、みんながまめで達者に暮らせれば、それで十分幸せだ。♠へまめに便りをくれる〉故郷を離れて大学に通っている姉は、まめに便りをくれるので、両親も安心している。♠<筆まめ〉筆まめな友人は、宿に着くと、すぐ絵はがきを一枚とり出した。 **まめ**【豆】○マメ科の植物の種子で食用となるものの総称。特に大豆。小さいさま。手のひらや足の裏にできる小さな水ぶくれ。[文例]〈豆をまく〉節分の晩には、病魔をはらうのだと言って、姉と二人で室内に豆をまいた。♠〈大豆などの豆の種子を温水に浸し、暗い場所に置いておくと、もやしができます。〉♠ヘ豆をいる〉中華街の旧正月は、豆をいるような花火の音でにぎわっていた。へまめができる〉鉄棒のやりすぎで、手にまめができてしまった。♠へまめをつぶす〉〈まめが固まる>手や指にできたまめはつぶさずに、固まるまで待ちなさい。♠<豆粒[つぶ]>棒きれで、かき分けかき分け探していると、ようやく豆粒ほどの透き通った六角水晶[すいしよう]が出てきた。♠へ豆かす〉この農場では、魚かすや豆かすなど、昔ながらの有機肥料[ゆうきひりよう]だけを使って野菜をつくっている。♠〈豆電球〉二個の乾電池[かんでんち]を並列[へいれつ]につないだ時よりも直列[ちよくれ]につないだ時のほうが、豆電球は明るく光った。♠ヘ豆スター>彼女は、五歳のときから豆スターとして芸能界で活躍[かつやく]していた。 **まめつ**【摩滅・磨滅】○すり減ること。すれてつぶれること。[文例]〈摩滅する>階段の滑り止めが摩滅して、滑りやすくなっている。♠へ摩滅する〉自転車のブレーキが摩滅したのか、強く握らないとききません。 **まもう**【摩耗・磨耗】○すり減ること。[文例]〈摩耗が激しい>徒歩旅行となると、靴の摩耗が激しいので、替えが必要でしょう。♠へ摩耗する〉砂漠を横断した車のタイヤは摩耗して、みぞが消えていた。 **まもな・い**【間も無い】○あまり時間がたっていない。ほどない。[文例]彼女は高校卒業後就職したが、その後間もなく結婚したそうだ。♠お疲れさまでした、電車は間もなく東京駅に到着します。♠生まれて間もない赤ちゃんは、まだ目が見えません。 **まもの**【魔物】○不思議な力をもつ恐ろしいもの。魔性のもの。 <1056> **まもり**の。化け物。[文例]〈魔物や妖怪>孫悟空[そんごくう]と沙悟浄[さごじよう]・猪八戒[ちよはつかい]の三人は、三蔵法師のお供をして、魔物や妖怪と闘いながら旅を続けた。♠へ魔物がすむ〉あの山には恐ろしい魔物がすんでいて、その山に入った人はみな帰れなくなるという。♠昔はなぜか、「女は魔物」と言われた。♠昔から猫は魔物と言われ、怪談[かいだん]には、猫が化ける話も多い。 **まもり**【守り】○守ること。守備。守りふだ。守り神。[文例]〈攻めと守り〉相手側の一方的な攻めに、味方チームは守りに終始した。♠〈守りを固める〉国境の守りを固めるために、国王は一万の兵士を送り込んだ。♠〈守りにつく〉七回の表から山下選手がレフトの守りについている。♠へお守り〉こうすけ君、遠足に行くなら、お地蔵さまのお守りを持っていきな。 **まも・る**【守る】○見張る。害をうけないように防ぐ。保つ。きまり・約束[やくそく]などに従う。[文例]〈自然を守る〉この美しい自然を守り育てて、後代に伝えていくことが、われわれの責任なのだ。♠〈社会を守る〉ぼくは将来、警察官である父のように、社会を守る仕事をしたい。♠〈生活・財産を守る〉人々は、自分たちの生活と財産を水害から守るために、さまざまな工夫をこらしてきた。♠へ頭・顔を守る〉野良では、焼けつくような太陽から頭や顔を守るため、むぎわらぼうしをかぶる。♠〈身を守る〉ハチは自分の身を守ろうとする時に、針を使うのです。♠〈生活を守る〉人間の生活を守るために、罪もない動物をむやみに殺してしまうのは、人間の身勝手だ。♠〈留守を守る〉妻は、よちよち歩きの子をかかえて、出かせぎの夫の留守をよく守った。へ地位・名誉[めいよ]を守る〉彼は、自分の地位や名誉を守るためには、どんな犠牲[ぎせい]をもはらう男だ。♠へ安全を守る〉道祖神[どうそじん]は、旅の安全を守る神で、昔の人は、旅立ちの前におまいりをしたのです。♠〈秘密を守る〉城の秘密を守るため、工事に携わった[たずさ]人々が次々と殺された。へ注意を守る〉風邪をひいてから医者にかかるより、予防の注意を守って風邪にかからないようにしたいものだ。♠〈法律・規則を守る>遵法[じゅんぼう]とは、法律や規則に従い、それを守ることです。♠〈習慣を守る>長寿[ちようじゅ]の人たちに聞いてみると、腹八分目という習慣を守っている人が多い。♠〈約束を守る>約束を守らないと非難なさるが、私どもでは約束した覚えはありませんよ。♠〈沈黙[ちんもく]を守る>彼は、警察で厳しい取り調べをうけたが、身に覚えのないことなので、沈黙を守り通した。♠へ遺志を守る〉故人の遺志を大切に守って、葬儀[そうぎ]は簡素にとり行われた。♠へ伝統・文化を守る>伝統的な文化を守り伝えるのは、現代に生きるわれわれの責任と言えましょう。 **まやかし**○ごまかすこと。にせもの。[文例]〈まやかしのショー>史上最大のショーとは名ばかりで、とんだまやかしのつまらない見せ物だった。♠へまやかしがある・ない〉旅の男の言葉にまやかしはなく、貸したお金はほどなく送り返されてきた。♠くまやかし物>夜店に並んだ指輪がまやかし物であることは、その値段ですぐわかった。 **まやく**【麻薬】○麻酔・鎮痛に使う薬剤。陶酔効果があり、習慣になりやすく中毒の害がある薬物。[文例] <麻薬を用いる〉本当です、薬屋の借りを全部すましたら、もう僕は、その日から麻薬を用いる事はぴったりよすつもりです。(太宰[だざい]治[おさむ]「斜陽」)♠<麻薬が切れる〉麻薬常習者の麻薬が切れたときの苦しみは想像を絶するという。♠へ麻薬中毒〉この精神病院には、麻薬中毒の患者が多数収容されている。 **まゆ**(眉)○目の上の弓形に毛の生えているところ。まゆずみ。[文例]〈まゆを動かす>先生は、せきばらいをし、まゆを動かしながら授業をするのがくせだった。♠へまゆを寄せる〉それを聞くと、父はまゆを寄せ、急に不機嫌[ふきげん]な顔になった。♠へまゆをひそめる〉この言葉を聞くと、母親は、まゆをひそめ、不快そうな表情をした。♠へまゆをしかめる〉少年はしゃべり終わると、まゆをしかめて口をつぐんでしまった。♠へまゆにつばをぬる~うますぎる話は、まゆにつばをぬって聞いたほうがよい。♠へまゆに火がつく〉〈まゆをこがす〉〈まゆを焼く〉「まゆに火がつく」「まゆをこがす」「まゆを焼く」などは、危険が差し迫った状態をいいます。へまゆを開く〉難しい手術が成功し、関係者一同はほっとまゆを開いた。 **まゆつば**(眉唾)○だまされないようにまゆにつばを塗ること。用心してかかる必要のあるもの。[文例]あの実力から考えて、前の学校で一番だったという話は、どうもまゆつばだ。♠へまゆつば物〉有名な画家の作品だといって画商が持ち込んだのだが、制作年代もはっきりしておらず、どうもまゆつば物だ。 **まよい**【迷い】○迷うこと。悟りがひらけない状態。成仏[じようぶつ]できない状態。[文例]〈迷いがある〉気持ちに迷いがあるのなら、打ち明けずにこのまま黙っていたほうがいい。♠へ迷いから覚める〉きみに意見されて、迷いから覚めました。♠〈迷いを生じる>自分が正しいといつも信じていて、行動に迷いを生じたことがないなどという人はいないでしょう。♠<気の迷い〉ちょっとした気の迷いから、つい罪を犯すということがあります。 **まよ・う**【迷う】○進む方向がわからなくなる。決断できず、考えがゆれる。心を奪われて誤った道に進む。成仏できずにいる。[文例]〈道に迷う〉芭蕉[ばしよう]の一行は道に迷いながら心細い旅を続けて、五月十三日、平泉に至った。へ路頭[ろとう]に迷う〉一家の大黒柱を失えば、幼い者たちが路頭に迷う。♠〈判断に迷う〉真実を教えるべきか否[いな]か、判断に迷ったが、やはり勇気を出して事実を告げる決心をした。へ返答に迷う〉どう言ったら相手の心を傷つけずに済むだろうと思うと、返答に迷ってしまった。♠ヘものごとに迷う〉聖人[せいじん]は、四十歳[びさ]で何事にも迷わなくなったという。♠へ迷いこむ〉裏の畑に出てみたら、どこからか一匹の子犬が迷いこんでいました。♠〈迷える小羊〉神よ、迷える小羊をどうぞお救いください。♠<死人が迷って出る〉その荒れはてた墓地には、成仏しきれない死人が幽霊[ゆうれい]になって迷って出ると言われている。♠〈迷わず成仏[じようぶつ]する〉くわばら、くわばら、迷わず成仏してくれ。 **まよわ・す**【迷わす】○迷うようにする。迷わせる。まどわす。 <1057> **まるめる**[文例]〈人を迷わす〉甘いことばかり言って、人を迷わさないでくれ。♠へ心を迷わす〉あの人はいい加減な人間だから、あまり心を迷わされちゃだめだよ。♠〈心を迷わす〉彼女の微笑[びしよう]は、いつもぼくの心を迷わす悩[なや]みの種だ。へ気持ち・判断を迷わす>男にとって、酒は気持ちや判断を迷わす元凶[げんきよう]になりつつあった。♠〈外見に迷わされる〉しっかり見つめないと、外見に迷わされて、内容を誤解するおそれがある。 **まり**(毬・鞠)○遊戯や競技などに使うボール。[文例]〈まりをつく〉「てんてんてんまり、てんてまり」と、小さい子がまりをついています。♠へまりを投げる〉調教師の投げたまりを、オットセイは器用に鼻で受け止めた。♠へまりをける>男の子たちがまりをけって遊んでいます。 **まりょく**【魔力】○人知をこえた不思議であやしい力。[文例]<数字の魔力〉一万円と九千九百八十円とではかなり値段が違うように思ってしまうのは、数字の魔力でしょうか。♠〈言葉の魔力〉恋する相手のたった一言で男の人生が変わってしまったのも、やはり言葉の魔力というものでしょうか。♠へ魔力がある〉ラグビーでけがをした選手にかけるやかんの水には、魔力でもあるのでしょうか。 **まる**【丸】○円形。球形。正解や肯定のしるし。句点。半濁点。全部。お金。城郭の内部。完全なさま。[文例]〈丸を書く〉わたしは地図の上に首都のしるしとして、鉛筆[えんびつ]で丸を書いておいた。♠へまるをつける〉どちらか正しいほうにまるをつけよ。♠ヘマルをつける〉文の終わりにはマル(句点)をつけます。♠〈まるのまま〉ツルはえさの魚をまるのままのみこんでしまった。へまん丸〉わたしが毛糸を巻いていくと、母のやった時のようにまん丸にならないでゆがんでしまう。♠〈丸顔>若いころのつやのいい丸顔は、今では黄ばんだ色に変わり、しかも深いしわが畳[たた]まれていた。へまるをもらう〉弟は、三重まるをもらった作文を、うれしそうに母に見せている。♠へまる三か月〉彼はいわゆる疎開[そかい]児童として、この町にまる三か月間住んでいたのだった。♠へまる見え>木に登ると、そこから離れの内部はまる見えだ。♠へまる暗記〉公式をまる暗記しても、考え方を理解していなければ意味がない。♠〈まるかじり〉りんごをまるかじりすると、あまずっぱい味が口の中に広がった。♠ヘ丸ぼうず〉昭和新山[ようがん]は、丸ぼうずの溶岩のおか[おかつ]を突き出していて、まことに面白い姿をしている。 **まる・い**【丸い・円い】○円形・球形である。角がない。ふっくらしている。おだやかである。円満である。[文例]〈丸い月〉紺碧[こんぺき]の空に金色の丸い月が懸かっている。♠ヘ丸いどんぐり〉くぬぎには、大きな丸いどんぐりがなります。♠へ円くめぐらす〉畑には水路がぐるっと円くめぐらされている。♠〈四すみが丸い>母親は、子供用に四すみの丸いテーブルを用意した。♠〈丸い肩〉少し前かがみになって歩いて行く人の丸い肩がわたしの目に入った。♠へ背中を丸くする〉子猫[ねこ]はごろごろとのどを鳴らしながら、ひざの上で背中を丸くしている。♠〈目を丸くする〉それを見た彼は、いささか驚[おどろ]いたらしく、目を丸くした。♠〈丸い卵も切りようで四角〉「丸い顔でも怒[おこ]れば四角」とか、「丸い卵も切りようで四角」というように、物事は、やり方次第で円満にもなり角[かど]も立つ。へ人柄[ひとがら]がまるくなる〉さすがの彼も、子供が生まれてからは人柄がまるくなった。♠へまるくおさまる〉お隣[となり]とのいさかいも、やっとまるくおさまって、ほっとした。 **まるごし**【丸腰】○腰に刀を帯びていないこと。武器を持っていないこと。[文例]日本の警官はピストルを提げているが、国によっては丸腰のところがあります。♠へ丸腰で立ち向かう〉体重五百キロを超す灰色グマに、男は丸腰で立ち向かっていった。 **まるだし**【丸出し】○全部出すこと。さらけ出すこと。[文例]〈おしり丸出し>お風呂[ふろ]から上がったちいちゃんは、おしり丸出しで部屋の中を走り回っている。♠〈方言丸出し>東京に出てから五年もたつのに、まだ方言丸出しです。♠へばか丸出し>酒に酔っていたとはいえ、川に飛びこむなどはばか丸出しである。 **まるで**○あたかも。さながら。ちょうど。全く。全然。[文例]場内は、まるで魔法にかかったように、しいんとなった。♠〈まるで夢のよう〉半ばあきらめていた大学に合格したなんて、まるで夢のようだ。♠へまるで子供あつかい〉社長も、母親にかかると、まるで子供あつかいだ。♠くまるで反対〉こんなに時間がかかったうえに、まるで反対の方角に出ちゃったじゃないか。♠〈まるで違う[ちが]〉時計をにらむ叔父の表情は、平常の顔とはまるで違っていた。へまるで知らない〉彼が教えてくれるまで、事件のことなど、まるで知らなかった。♠〈まるで〜ない〉あまり練習していなかったので、優勝なんて、まるで考えていなかった。 **まるまる**【丸丸】○ふっくらとよく太っているさま。全部。[文例]〈丸々と太る〉ベッドの中では、丸々と太った赤ちゃんがすやすや眠っています。♠へ丸々とする〉丸々とした子ぶたもかわいいものです。♠へ丸々残る〉お正月にもらったお年玉は、丸々残っています。 **まるま・る**【丸まる】○丸くなる。[文例]〈ねこが丸まる〉こたつのなかでねこが丸まっているよ。♠〈先が丸まる〉エンピツのしんの先が丸まっている。 **まるみ**【丸み・円み】○まるい感じ。円満な感じ。[文例]〈丸みがある〉手紙には丸みのあるきれいな字がならび、差出人の人柄[ひとがら]がしのばれました。♠〈丸みを帯びる〉娘も十五になって、体もふっくらと丸みを帯びてきたようです。♠へ丸みが出る〉年をとると、性格に丸みが出てきました。 **まるめこ・む**【丸め込む】○丸めて中に入れる。言いくるめて手なずける。[文例]〈押し入れに丸め込む>友達が訪ねてきたので、わたしは洗濯物を押し入れに丸め込みました。♠〈人を丸め込む>反対派を丸め込むために、企業側はかなりのお金をばらまいたらしい。 **まる・める**【丸める】○丸くする。髪をそる。言いくるめる。[文例]〈土を丸める〉子供たちが土を丸めておだんごを作りながら、楽しそうに遊んでいる。♠へ縄[なわ]を丸める〉縄を上手に丸めて小鳥の巣を作ってやった。♠へ書き初めを丸める〉 <1058> **まれ**ほかの者に見られるのがいやなので、書き初めを丸めて火の中に投げ入れた。♠〈体を丸める〉じゃまになってはいけないと、作業場のすみで体を小さく丸めていた。♠〈背中を丸める〉大男の彼は背中を丸めるようにして、木戸をくぐってきた。♠く頭を丸める〉裏口から入ろうとすると、頭を丸めた隠居のおやじがじろりとこちらを見た。♠へ頭を丸める〉晩年、彼女はわずらいの多い世間を離れ、頭を丸め、仏門に入った。♠〈人を丸めこむ〉人を丸めこんで宿題をやらせようなんて、その手は食わないよ。 **まれ**(希・稀)○めったにないさま。極めて少ないさま。[文例]〈人の訪[おとず]れがまれ〉その茶店[ちゃみせ]は、昔[むかし]の街道すじにあったが、人の訪れはまれであった。♠〈まれに~する〉ごくまれに雪が降りだそうものなら、大喜びで外へとび出したものだ。♠へ世界でもまれ〉正倉院の場合のように、多数の宝物がよい状態で保存されているのは、世界でもまれなことである。♠〈世にもまれな〉昔は湖の底だった土地から、世にもまれな化石が発見された。♠くまれにみる〉彼は、今どきまれにみる親孝行な少年である。♠〈たぐいまれな〉彼女は、そのたぐいまれな美ぼうを武器にして、スターへの階段を登っていった。 **まわ・す**【回す】(廻す)○回転させる。めぐらせる。順ぐりに伝え送る。行き渡らせる。差し向ける。[文例]〈車輪を回す〉トロッコは三人の力がそろうと、突然ごろりと車輪を回した。♠〈機械を回す〉百姓[ひやくしよう]たちは、顔を真っ赤にして足でふんで機械を回し、かたっぱしから稲をこいていく。♠ヘダイヤルを回す〉金庫は灰をかぶって汚れてはいたが、ダイヤルを回すと、ちゃんと開いた。♠へ回覧板を回す〉回覧板は早めに次の家に回してください。♠へ手を回す〉村の鎮守様[ちんじゅさま]には、子供一人が手を回したくらいではかかえられないほどの大きなカシの木があった。♠へ手を回す〉この会を開くために、彼女はあれこれと手を回して、たくさんの人の協力をとりつけた。♠〈気を回す〉気くばりとはいっても、よけいなところまで気を回し過ぎると相手に失礼だ。♠〈人を回す〉入場門の飾り付けのほうが忙しいので、何人か人を回してください。♠へ車を回す〉講師の方々の送り迎えには、使いの車を回します。♠〈品物を回す〉この品物はここでは不要なので、どこか欲しいところに回してください。♠ヘ行楽費に回す〉食費をけずった分のお金は、行楽費に回した。♠〈目を回す〉あまり刺激[しげき]が強かったのか、弟はびっくりして目を回してしまった。 **まわた**【真綿】○くずのまゆを引きのばして作った綿。[文例]〈真綿のよう〉真綿のように柔[やわ]らかい雪が降り積もっています。♠へ真綿で首を締める〉刑事は、真綿で首を締めるように容疑者をじわじわと攻めていった。♠へ真綿にくるむ〉おじいさんとおばあさんは、神さまからさずかった娘を真綿にくるむようにして大事に育てました。 **まわり**【回り・周り】○回ること。回転。広がること。周囲。周辺。回り道。周期を数える語。大きさの程度をいう語。[文例]〈火の回り〉風が強かったので火の回りが早く、消火に手間取った。♠〈水の回り〉田の水の回りをよくするために工夫がこらされている。♠〈頭の回り〉あなたは頭の回りが鈍い[にぶ]わね、わたしはすぐにピンときたわ。♠〈首の回り〉首の回りに手ぬぐいをまいたおじいさんが、農作業に精を出している。へ身の回り〉身の回りをいつも整とんしておけば、いざという時あわてないですむ。♠〈目の周り〉ボールが当たって、目の周りが真っ赤にはれ上がった。♠へ太陽の周り〉地球は一年かかって、太陽の周りを一周します。♠へ家の周り>雪の深いこの地方では、冬の間、家の周りを板などで囲います。♠〈池の周り〉池の周りには、危険防止の柵[さく]がめぐらしてあった。♠〈駅の周り〉駅の周りが十年前とはすっかり変わっていて、まごついてしまった。♠へ周りの人〉周りの人に何と言われようとも、彼は自分の考えを変えなかった。♠へ周りの様子>事件があった時の周りの様子を詳しく話してください。♠へ一回りする〉宿題を忘れた罰として、グラウンドを一回りさせられた。♠へ一回り大きい〉これはちょっとサイズが小さいので、もう一回り大きいのを見せてください。 **まわりくど・い**【回りくどい】○もってまわったやり方でわずらわしい。[文例]〈回りくどい言い方〉彼の回りくどい言い方を聞いていると、いつもいらいらする。♠へ回りくどい説明>時間もないので、回りくどい説明は後回しにして、結論を先に言います。♠へ回りくどいあいさつ〉回りくどいあいさつは抜きにして、さっそく用件に入りましょう。♠〈回りくどいやり方〉弟の回りくどい計算のやり方を見ていると、つい答えを教えたくなる。♠へ回りくどい手続き〉家を買うのに、こんなに回りくどい手続きが必要だとは思わなかった。 **まわりみち**【回り道】○遠まわりの道。また、その道を通ること。[文例]〈回り道をする〉ぼくたちは、公園の池のカモの親子をみるため、回り道をして学校へ行った。へ回り道をする〉わたしがこの仕事についたのは三十歳のときですから、大学を卒業してからだいぶ回り道をしました。 **まわ・る**【回る】(廻る)○回転する。順に送られる。行き渡る。順々にめぐる。遠回りする。寄り道をする。目がくらむ。ある時刻を過ぎる。よく動く。[文例]〈地球が回る〉「それでも地球は回る。」と、ガリレオはつぶやいたそうだ。♠◇〈車輪が回る〉ペダルを踏むと、ゆっくり車輪が回り出した。へ順番が回る〉この祭りの当番というのは、三十年に一回回って来るもので、大変名誉[めいよ]なのである。♠〈話が回る〉さんざん遠まわりしたあげく、やっと話がかんじんなところへ回ってきた。♠〈火が回る〉火の回っていない地区を選んで、やっと避難所[ひなんじよ]まで行った。♠〈見て回る〉百枚ほど展示してある写真の一つ一つを見て回った。♠〈各国を回る〉ヘレン=ケラー女史は、障害者援助[えんじよ]のため、世界各国を回った。♠〈回ってくる〉この辺でも、引き売りの八百屋[やおや]さんが週三回は回ってくる。へ縁側[えんがわ]へ回る>表門から勝手口の横を通って、離れの縁側の方へ回ってください。♠へ取りに回る〉修理を依頼して預けておいた自転車を、買い物帰りに取りに回った。♠〈手が回らない〉忙[いそが]しくて、そんなところまで手が回 <1059> **まんさい**ります。♠へ酔いが回る>父はだいぶ酔いが回ったらしく、顔を真っ赤にしている。♠へ知恵が回る〉妹も三歳を過ぎたら、よく知恵が回るようになった。♠へ目が回る〉バレリーナは、あんなにくるくる体を回しても、目が回らないのかしら。♠へ舌が回る>早口ことばをあんなにすらすら言えるなんて、よく舌が回るなあ。♠〈十時を回る〉もう十時を回ったから、そろそろ寝よう。♠へ回り回って〉〈毒が回る〉人間がまいた毒薬によって、いつの間にか回り回って、自分たちの身に毒が回ってきたわけである。へ首が回らない〉借金でどうにも首が回らないと、彼は青ざめた顔をしていた。♠〈急がば回れ〉「急がば回れ」や「負けるが勝ち」のように、ことわざには逆説的な表現が多い。♠へ気が回る〉彼はほんとうによく気の回る人で、どんな気難しい人の接待でも、失敗したことがない。♠〈回れ右〉過激[かげき]なことを言う人に限って、時代が変わると、すぐ回れ右して、自分の思想も変えていくものだ。 **まん**【万】○一万。数が多いこと。[文例]〈万を超える〉人気のロックグループのコンサートに、万を超える観客が集まりました。♠〈万に一つ〉一等が当たるなんて万に一つもあることではないが、ついつい宝くじを買ってしまう。♠〈万が一〉万一の場合を考えて、わたしは生命保険に加入しています。 **まん**【満】○満ちていること。年数・年齢がちょうどその数になっていること。[文例]今日誕生日を迎え、父は満四十五歳になりました。♠現在では年齢は満で数えますが、昔は数えで言ったそうです。♠〈満を持する〉計画してから五年、準備をすること十か月、満を持しての出発であった。 **まんいち**【万一】○一万分の一。万に一つ。万が一。もしものこと。ひょっとして。[文例]万一傷でもつけたら大変ですので、気をつけて運んでください。♠壁[かべ]に固定しておけば、万一傾[かたむ]いても、倒[たお]れることはないでしょう。♠万一、ぼくの身に何かあったら、後のことはよろしくたのむ。♠〈万一の場合〉この地図で目的地まで行けると思うが、万一の場合には、ここに電話しなさい。♠〈万一の事態>ホテルや劇場などには、万一の事態に備えて、非常口が設けてあります。♠〈万一のこと〉登山には、万一のことも考えた慎重[しんちよう]な計画が必要です。♠〈万一の事故〉場外には、万一の事故も考えて救急車が待機している。 **まんいん**【満員】○定員に達すること。人がいっぱいに入っていること。[文例]〈列車が満員>盆や暮れは、郷里へ向かう人々で列車は満員です。♠へ満員電車>毎日、満員電車にゆられて通勤するお父さんは大変だなあ。♠〈満員御礼[おんれい]〉千秋楽の土俵に満員御礼の垂れ幕が下がった。♠〈大入り満員〉サーカスは、いつ行っても大入り満員のにぎわいだ。 **まんえつ**【満悦】○満足して喜ぶこと。[文例]〈満悦する>料理と酒とサービスに満悦した客は、毎年この旅館に泊まるようになった。♠へ満悦の体[てい]>売り上げ倍増を示す報告書を見て、社長はご満悦の体です。 **まんえん**(蔓延)○はびこり広がること。[文例]〈まん延する〉クラスにインフルエンザがまん延し、今日は八人も休んでいる。へまん延する〉不景気で沈滞[ちんたい]ムードがまん延し、商店街にも活気がありません。 **まんが**【漫画】○風刺やおもしろみを含んだ単純な絵。また、その絵を連続させてストーリーを表すもの。こっけいな出来事。[文例]〈漫画にかく>授業中、先生や友達の顔を漫画にかいていたら、見つかって怒[おこ]られてしまった。♠へ漫画にする〉新聞などには、世相をひにくって漫画にした絵が載っている。♠へ漫画をかく〉ノートのすみにかたっぱしから連続した漫画をかき、ぱらぱらとめくっては、動く漫画を楽しんだ。♠へ漫画を読む>漫画を読んでいると、大人はすぐに、それより勉強しろと言う。♠へまるで漫画〉きみのやることは、まるで漫画だね。♠〈四こま漫画〉ぼくは、新聞の四こま漫画をいつも楽しみに見ている。♠へ漫画映画>弟にせがまれて、いっしょに漫画映画を見に行ったが、けっこう楽しかった。♠〈漫画本〉ぼくたちは、それぞれが買った漫画本を、回し読みしている。♠<漫画家>将来、漫画家になりたいのだが、どんな勉強をすればよいのだろう。 **まんかい**【満開】○花が全部開くこと。[文例]〈満開の桜〉満開の桜の下で弁当を広げ、花見を楽しみました。♠くにきびが満開>高校二年の妹は顔じゅうににきびが満開、毎日鏡とにらめっこです。 **まんき**【満期】○期限に達すること。[文例]〈満期になる〉二年前に預けた定期預金が来月満期になる。♠へ契約が満期〉来月で契約が満期になるが、さらに更新[こうしん]する気はない。 **まんきつ**【満喫】○十分に飲食すること。心ゆくまで楽しむこと。[文例]〈珍味を満喫する〉旅の宿では新鮮[しんせん]な料理がならべられ、旅人は山海の珍味[さんかいちんみ]を満喫できた。へ音楽を満喫する〉音響[おんさよう]のいいホールで一流の楽団の演奏をきき、すばらしい音楽を満喫した。♠〈美を満喫する〉山歩きで、四季折々の自然につつまれた日本の山の美を満喫する。♠〈自由を満喫する〉長い入院生活から解放された彼女は、好きなピアノを思う存分弾くことで、今自由を満喫している。♠〈夏を満喫する>浜辺[はまべ]でねそべっている人、波乗りをする人、泳ぐ人、・・・・・・だれもが夏を満喫している。♠へ旅を満喫する>旧跡を訪[たず]ねたり、車窓から眺[なが]める景色に感動しながら、大いに旅を満喫した。♠へ生活を満喫する〉クラブ活動に熱を入れ、夏休みには一人旅を経験し、彼は今、自由な学生生活を満喫している。 **まんげつ**【満月】○まんまるに輝いて見える月。十五夜の月。[文例]満月の夜、かぐや姫は月の世界へ帰っていきました。♠<満月が昇る[のぼ]>午後五時すぎ、東の海から満月が昇り始めた。♠へ満月が浮かぶ〉真夜中、勉強に疲れて空を見上げると、満月がぽっかりと浮かんでいた。 **まんさい**【満載】○人や荷物をいっぱいに載せること。記事をたくさん載せること。[文例]〈土砂を満載する>土砂を満載したトラックが、何台も国道を走りぬけていく。♠へ情報を満載する>週刊誌には、新聞やテレビでは知れない、社会の裏の情報が満載されている。 <1060> **まんざら**[文例]〈まんざら~でもない〉「まんざらきらいでもない」のように、まんざらという副詞は後に打ち消しの表現を伴う。♠くまんざらうそではない〉この堂々たる門構えを見ると、昔ここが、武家屋敷[やしき]だったというのも、まんざらうそではなさそうだ。♠へまんざら悪い気持ちでもない〉天才プレーヤーなどと新聞に書かれたのは、照れくさかったが、まんざら悪い気持ちでもない。♠〈まんざらいやでもない〉口ではいやだと言っているが、その顔は、まんざらいやでもなさそうだ。♠へまんざらでもない〉このかまぼこは、見た目はそれほど美しくはないが、味はまんざらでもない。 **まんじゅう**(饅頭)○小麦粉をこねてまるめ、中にあんなどを入れて蒸した菓子。[文例]〈紅白のまんじゅう〉祭典に列席した人全員に、紅白のまんじゅうが配られました。♠〈まんじゅうを蒸す〉和菓子屋さんの店先では、おいしそうなまんじゅうを蒸して売っています。♠〈土まんじゅう〉裏庭のすみにある小さな土まんじゅうが、去年死んだコロのお墓だ。♠〈おしくらまんじゅう〉おしくらまんじゅう、押されて泣くな。 **まんじょう**【満場】○会場が人でいっぱいになること。場内にいる人全員。[文例]〈満場割れんばかりの拍手〉バレリーナのみごとな演技に、満場割れんばかりの拍手がわき起こりました。♠〈満場のかっさい〉おもしろく楽しいスピーチでしたから、満場のかっさいを浴びました。♠〈満場一致〉議案は一人の反対者もなく、満場一致で可決されました。 **まんじり**○ほんの少し眠るさま。[文例]〈まんじりともできない〉この雨の中を山登りに出かけた息子のことが心配で、昨夜はまんじりともできなかった。♠へまんじりともしない〉父からの電話連絡を待ち続け、わたしたちはまんじりともせずに一夜を明かしました。 **まんしん**【満身】○からだ全体。体じゅう。全身。[文例]〈満身に浴びる〉春の暖かい日差しを満身に浴びて、男は大きくのびをした。♠〈満身の力〉三人で満身の力をこめて押したが、太い丸太はびくともしない。♠〈満身創痍[そうい]>陣地に退却してきた兵士は満身創痍で、息も絶え絶えだった。 **まんしん**【慢心】○得意になって思い上がること。おごった気持ち。[文例]〈慢心が生じる>学年で一番になったことで、その生徒の中に慢心が生じたのだろう、まわりを見くだす態度が目立ち始めた。♠へ慢心をくじく〉師の一言が、芸の奥をきわめたつもりでいた弟子の慢心をくじいた。♠〈慢心する〉入幕しても決して慢心せず、精進[しようじ]して横綱をめざしてほしい。 **まんせい**【慢性】○急激な変化はないが長引く病気の症状。よくない状態が長く続くこと。[文例]〈慢性の病気〉糖尿病[とうにようびよう]は、尿の中に多量のぶどう糖が続けて出る慢性の病気です。♠へ慢性になる〉あいつのなまけぐせは、幼児のころからのことで、もう慢性になっている。♠〈慢性的〉東京湾では慢性的に赤潮が発生していた。♠〈慢性化する〉慢性化した不景気で、失業者の数は増えるいっぽうだ。♠〈慢性病>結核[けつかく]や腎炎[じんえん]などの慢性病は、治すのにかなり長い期間を要する。 **まんぜん**【漫然】○目的もなく、ただなんとなく行うさま。[文例]〈漫然と述べる〉討論とは、漫然と思いつきを述べ合うことではありません。♠へ漫然と日を送る〉せっかくの休暇だったが、何をやるでもなく、漫然と日を送ってしまった。♠へ漫然と眺める〉漫然と眺めているだけでは、自然の本当の姿は見えてこないだろう。♠へ漫然と聞く〉話を漫然と聞いていては、相手の心や要求などもよく理解することはできない。♠へ漫然とした読書〉ただ漫然とした読書では、文章の主旨[しゅし]が把握[はあく]できないし、おもしろみもわからないだろう。 **まんぞく**【満足】○満ち足りていること。満たされること。十分なさま。[文例]〈満足に食えない〉日ごろは満足に米が食えなかったほどの農民たちにとって、正月の訪[おとず]れくらい心ときめく時はなかった。♠へ満足な暮らし〉わたしの給料では満足な暮らしはできそうになかった。♠へ満足を与える〉母方は裕福[ゆうふく]なので、おばあ様のお土産[みやげ]はいつも孫たちに満足を与えていた。♠〈満足する〉ぼくは心の底からわいてくる自信に満足した。♠〈欲望[よくぼう]を満足させる〉芸術は、人を押ししのけて自分だけの欲望を満足させたりする道具にすべきではない。へ満足感〉十分に働いたという満足感があり、心身ともにそうかいであった。♠◇〈自己満足〉自分が善いことをやっているという過信があると、自己満足におちいりやすい。 **まんちょう**【満潮】○潮が満ちて海面が最も高くなること。満ち潮。[文例]折からの強風で、満潮が近づくと、波しぶきは道路までかかるようになった。♠この辺りの岩場は、満潮になるとすっぽり海の中に隠れてしまいます。♠ヘ満潮時〉台風の通過が満潮時と重なるため、高波の恐[おそ]れもある。 **マンツーマン**○一人対一人。[文例]全員の練習が終わってからも、コーチは山下君だけを残し、マンツーマンで練習を続けた。♠特に希望する生徒があれば、わたしがマンツーマンで指導します。 **まんてん**【満天】○空いっぱい。空一面。[文例]〈満天の星〉合宿打ち上げの夜、満天の星の下でキャンプファイアーを楽しみました。♠〈満天に広がる〉ドーンという音とともに、大きな花火が満天に広がった。 **まんてん**【満点】○規定の最高点。最高のでき。不足のないこと。[文例]〈満点をつける〉ふだんの力を出し切った選手たちには満点をつけてやりたい。♠〈満点の出来〉一年生の劇は、みんなよくがんばって満点の出来ばえだった。♠〈百点満点〉〈満点をとる〉よく勉強したので、明日のテストは百点満点をとる自信があります。♠〈栄養満点〉この料理は野菜も肉もたっぷり入っていて、栄養満点だね。 **まんなか**【真ん中】○中央・中心。中間。[文例]〈道の真ん中〉道の真ん中まで広がって歩くのは危険です。♠へ町の真ん中〉町の真ん中を、大きな川が流れている。♠ヘ三人姉妹の真ん中〉わたしは、女ばかり三人姉妹の真ん中です。♠へ真ん中で分ける〉不公平にならないように、ちょうど真ん中で <1061> 分けてね。 **マンネリ** 〇同じ事の繰り返しで新鮮みのなくなった状態。マンネリズム。[文例]**<マンネリに陥[おちい]る>** 開始直後は人気の高い番組だったが、まもなくマンネリに陥り、視聴率[しちようりつ]も下がった。♠**<マンネリから脱[だつ]する>** マンネリから脱するために、流行作家はメキシコに移住し、新しい素材を探していた。♠**<マンネリ化する>** どんなに新しい芸術運動も、時間がたつとマンネリ化していくようです。 **まんねん**【万年】 〇一万年。長い年月。いつも同じ状態で変わらないこと。[文例]**<千年も万年も>** この美しい自然は、千年も万年も残し続けたいものだ。♠**<カメは万年>** ツルは千年カメは万年と言われ、長寿[ちようじゆ]のシンボルとなっています。♠**<万年平社員>** 仕事の嫌いなわたしは、出世のみこみのない万年平社員だった。♠**<万年床[まんねんどこ]>** 部屋は、万年床が敷かれ、掃除などしたことがないらしく散らかっていた。♠**<万年青年>** わしは万年青年じゃ、と、老人ははげ頭をたたいて笑った。 **まんびき**【万引き】 〇客を装って店の商品を盗むこと。また、その人。[文例]**<万引きする>** 店員の目をぬすんで、商品を万引きしようとした男が警察につき出された。♠**<万引き防止>** スーパーマーケットには、万引き防止のための防犯カメラが取り付けられていた。 **まんびょう**【万病】 〇あらゆる病気。[文例]**<方病に効く>** この世に万病に効く薬があったら、どんな病気もこわくないが・・・・・・。♠**<風邪は万病のもと>** 風邪は万病のもとというから、暖かくして早く寝なさい。 **まんぷく**【満腹】 〇腹がいっぱいになること。[文例]**<満腹[まんぷく]する>** 食べ物の乏しい時代だったからいつもおなかをすかし、満腹するまで食べたことはなかった。♠**<満腹[まんぷく]になる>** おなかいっぱい食べて満腹になったら、なんだか眠くなってきた。 **まんべんなく**【万遍無く・満遍無く】 〇残すところなく。全体にゆき渡るように。[文例]塀全体にまんべんなくペンキを塗る。♠焼き上がったケーキの上に、まんべんなく砂糖をふりかけたら、でき上がり。♠全科目をまんべんなく勉強したので、こんどの試験は自信がある。♠救援物資は、人々にまんべんなく配られた。♠一人でいくつもの仕事をまんべんなくやりこなすことは難しいので、協力してもらう。 **まんまく**【幔幕】 〇式場や会場に張りめぐらす幕。[文例]**<まん幕を張る>** 卒業式の会場となる講堂には、紅白のまん幕が張られている。♠**<まん幕をめぐらす>** まん幕がめぐらされた大広間は、いつになくおごそかな雰囲気[ふんいき]でした。 **まんまと** 〇(「うまうまと」から)うまい具合に。首尾よく。[文例]一年坊主のいたずらに、まんまとひっかかってしまった。♠セールスマンのうまい言葉にまんまとだまされ、高い買い物をさせられた。♠みんなをまんまとだしぬいて、ぼくだけがおいしい野いちごを食べることができました。♠彼には注意していたのに、まんまと一杯食わされてしまった。 **まんまる**【真ん丸】 〇完全にまるいさま。[文例]**<真(ま)ん丸(まる)な顔>** 真ん丸な顔の母は、いつもにこにことあいきょうがいい。♠**<真(ま)ん丸(まる)な月>** 真ん丸な月が、空にぽっかりと浮かんでいます。♠**<真(ま)ん丸(まる)を描(えが)く>** 先生はコンパスを使わずに、黒板にみごとな真ん丸を描いてみせました。 **まんまん**【満満】 〇満ちあふれているさま。[文例]**<満々[まんまん]とたたえる>** ダムには、水が満々とたたえられていました。♠**<満々[まんまん]と注ぐ>** 杯に満々と注がれた酒を、男はぐっと一息で飲み干した。♠**<自信満々>** 相手の自信満々の態度に、ぼくたちはおじけづいてしまった。♠**<闘志満々>** 挑戦者は闘志満々、記者会見の席でもチャンピオンをノックアウトすると息まいていた。 **まんまん**【漫漫】 〇果てしなく広がるさま。流れが広いさま。[文例]**<漫々[まんまん]とした>** 今、わたしの前には漫々とした大洋が横たわっている。♠**<漫々[まんまん]たる大河>** 平野のまっただ中を漫々たる大河が流れる。 **まんめん**【満面】 〇顔じゅう。顔いっぱい。[文例]**<満面[まんめん]に表す>** ふだんは喜怒哀楽[きどあいらく]を顔に出さない大竹君が、今日ばかりは喜びを満面に表している。♠**<満面[まんめん]に浮かべる>** 母の姿を見つけると、父は満面に笑みを浮かべて走り寄った。♠**<満面[まんめん]に朱[しゅ]を注(そそ)ぐ>** 家臣の裏切りに、家老は満面に朱を注いだごとく怒りをあらわにした。♠**<得意満面>** わたしより先に大きな魚を釣り上げた息子は、得意満面です。 **マンモス** 〇洪積世[こうせきせい]の氷期にいた巨大な象の一種。巨大なもの。[文例]シベリアで、氷河時代に絶滅したマンモスの化石が発見された。♠**<マンモス都市>** 東京は、人口一千万人を超える、世界でも有数のマンモス都市です。 **まんりょう**【満了】 〇決められた期間が終わること。[文例]**<満了[まんりよう]する>** 保険の契約期限が満了して、掛け金の一部が返ってきました。♠**<任期満了>** 市長の任期満了にともなう選挙が、今日告示されました。 **み**【実】 〇果実。種子。成果。内容。汁の中に入れる野菜や肉などの具。[文例]**<赤い実[み]>** 冬になると、小鳥が来て、裏庭の両天の赤い実をついばみます。♠**<木の実[み]>** 幼いころ、近所の友達と、木の実を摘んできて、ままごと遊びをしたっけ。♠**<実[み]をつける>** 何年も前に植えたざくろが、今年初めて、三つ四つ実をつけた。♠**<実[み]がなる>** りんごの実がなると、近所のわんぱく小僧どもが、こっそり、ぬすみに来る。♠**<実[み]が熟する>** **<実[み]が落ちる>** かきの実が熟して落ちたら、拾い集めて、友達といっしょに食べるのが楽しみだった。♠**<実[み]を結ぶ>** 草木が決まったときに花を開き、実を結ぶというのは、考えてみれば不思議だ。♠**<実[み]を結ぶ>** 長い間の研究が実を結んで、彼の学説は、ようやく学界で認められた。♠**<実[み]のない話>** 有名な評論家の講演を聴きにいったが、あまり実のない話ばかりで、時間の浪費[ろうひ]だった。♠**<花も実[み]もある>** 大 <1062> 岡[おか]越前守[えちぜんのかみ]は、花も実もある裁きをして、江戸の庶民[しよみん]の人気を集めたそうだ。♠**<みそしるの実[み]>** 今夜のみそしるの実は、畑から抜いてきたばかりの、柔らかいつまみ菜だ。 **み**【身】 〇体。身体。自分。自分の体。心身。気持ち。立場。身分。木の、皮より中の部分。ふた付きの容器の物を入れるほう。肉。刀身。[文例]**<身[み]にまとう>** **<身[み]も心も>** 彼は、変人とそしられても、貧乏に甘んじ、ぼろを身にまといながら、身も心も学問に捧げていた。♠**<身[み]に着ける>** 一張羅を身に着けて、いそいそと同窓会へ出かけていった。♠**<身[み]をかわす>** 背後に殺気を感じて身をかわした瞬間、くせ者のやり先がきらりと光った。♠**<小柄な身[み]>** **<身[み]を震わせる>** 「ばかにしないで!」と叫んで、彼女は、小柄な身を怒りに震わせた。♠**<身[み]をかがめる>** 泉の水を飲もうと身をかがめると、澄んだ水底に野ねずみの死体が見えた。♠**<身[み]を隠す>** 犯人は、警官の姿を見ると、林の中へ駆け込んですばやく身を隠した。♠**<身[み]を投げだす>** **<身[み]をもって>** 母親は、わが子の上に身を投げだし、身をもって子供を助けようとした。♠**<身[み]を挺する>** 新九郎は、殿の一大事を身を挺してお救い申そうと決意した。♠**<身[み]が入る>** **<身[み]を乗りだす>** 祖父は、昔話に身が入ると、ろばたに身を乗りだすようにして、何時間でもしゃべり続ける。♠**<身[み]を翻す>** 空き巣ねらいは見つかると、身を翻して、脱兎のごとく逃げだした。♠**<身[み]の潔白(けつぱく)>** 彼女は、自らの手で犯人を捜し出して、身の潔白を証明しようとした。♠**<身[み]を固める>** 防寒服に身を固め、十分な装備[そうぴ]をして出かけたのに、まさか遭難するなんて。♠**<身[み]を託す>** 海の男たちは、今朝も、厳しい北風の中を小船に身を託し、出漁していった。♠**<身[み]を任せる>** やしの実が遠い南の島から潮(しお)の流(なが)れに身を任せて、はるばるこの海岸にたどりついた。♠**<身[み]の置き所>** 学校祭の劇のとき、せりふを忘れてしまい、身の置き所のない思いをした。♠**<身[み]の振り方>** 会社をやめるのはいいけれど、その後の身の振り方は考えているの?♠**<身(み)のこなし>** さすが一流ホテルだけあって、ボーイも洗練された身のこなしをしているね。♠**<身(み)の回(まわ)り>** 身の回りをいつも整とんしておけば、いざという時あわてなくてすむ。♠**<身[み]を守る>** ハリネズミは、敵に会うと、身を守るために、背中に密生した針のような毛を立てて防ぐ。♠**<身[み]がもたない>** 毎日忙しいのだから、日曜日くらいゆっくり休まないと身がもたない。♠**<身[み]にこたえる>** 今年の厳しい残暑は、老人の身には、いっそうこたえます。♠**<身(み)を切(き)る>** 村は、冬になると深い雪に閉ざされ、湖上を渡ってくる風が身を切るように冷たい。♠**<身(み)を削(けず)る>** 早く両親に死に別れた彼は、身を削るような苦労を重ね、今日の地位と財産を築いた。♠**<身[み]にしみる>** 年のせいか、いちだんと、寒さも人の情けも身にしみるようになった。♠**<身(み)を引(ひ)く>** **<身(み)を寄(よ)せる>** 祖父は、七十歳になったので、すべての公職から身を引き、伯父の家へ身を寄せることにした。♠**<身[み]に覚(おぼ)えがない>** **<身(み)を持(も)ちくずす>** 若者は、身に覚えのない疑いをかけられて以来、自暴自棄になり、すっかり身を持ちくずした。♠**<借金(しやつきん)を負(お)う身(み)>** 自信をもって始めた事業だが失敗し、たくさんの借金を負う身になってしまった。♠**<身(み)を入(い)れる>** 遊んでばかりいないで、新学期が始まったら、勉強にも身を入れるんだぞ。♠**<身(み)に余(あま)る>** 校長先生から、身に余るおほめの言葉を頂いた。♠**<身(み)を切(き)られる思(おも)い>** 父の死後、母が病弱の体にむち打って働くのを見ると、つらくて身を切られる思いがする。♠**<人(ひと)の身(み)になる>** そのぐらいの不運を嘆くなんて・・・・・・。もっと不幸な人の身になってごらん。♠**<身(み)を固(かた)める>** 彼は、三十歳をいくつか過ぎているはずだが、一向に、身を固めようともしない。♠**<身(み)を処(しよ)す>** ことわざは、われわれの祖先がそれを参考にして世の中に身を処してきたことの現れと言える。♠**<身(み)を投(とう)じる>** **<身(み)に付(つ)ける>** 彼は、戦争中、政治運動に身を投じ、刑務所[けいむしよ]で過ごした長い年月の間に、語学を身に付けたという。♠**<身(み)を粉(こ)にする>** **<身(み)につまされる>** 子供を抱え、身を粉にして働いても、生活が楽にならないと言う彼女の話は、身につまされる。♠**<身(み)を落(お)とす>** 昔、この地方の農・漁民たちの中には、飢きんと重税に苦しみ、こじきに身を落とす者も多かったという。♠**<身(み)をもてあます>** 失業中の兄は、毎日することがなくて身をもてあましている。♠**<自由(じゆう)の身(み)>** 一日も早く罪を償って、自由の身となりたい。♠**<身(み)の毛(け)がよだつ>** 母の怪談[かいだん]は真にせまって、身の毛のよだつおそろしさです。♠**<身(み)のほど知(し)らず>** おまえは、こんなよい縁談[えんだん]を断るなんて、身のほど知らずもはなはだしい。♠**<身(み)から出(で)たさび>** 高校生の兄が落第したのは、バイクに熱中して勉強しないからで、身から出たさびだ。♠**<芸(げい)は身(み)を助(たす)ける>** **<身(み)を立(た)てる>** 芸は身を助けるの言葉どおり、彼女は、独立したあと、踊りで身を立てた。♠**<身(み)も世(よ)もない>** 我が子を失った母親は、身も世もなく泣き明かすのであった。♠**<身(み)を捨(す)ててこそ浮(う)かぶ瀬(せ)もあれ>** 自分を犠牲にする気で事にあたれば、必ずうまくいくさ。「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」というだろう。♠**<身(み)もふたもない>** 「かせぎが少ないから、嫁(よめ)の来手(さて)がないんだろう。」なんて、それでは身もふたもないよ。♠**<箱の身(み)とふた>** あわて者だね、箱の身とふたを間違(まちが)えるなんて。♠**<マグロの身(み)>** トロは、すしのたねに使うマグロの身で、やや脂(あぶら)のかったものをいう。 **みあい**【見合い】 〇見合うこと。結婚相手を決めるために、人の紹介で男女が会うこと。[文例]**<見合いの席>** 両家の長男と長女を結婚させようという親の意向から、見合いの席が設けられました。♠**<見合いをする>** 見合いをしてから、結婚を決意するまでに時間がかかりました。♠**<見合い話>** 心に決めた人があるらしく、彼女はいくつかあった見合い話を、みなことわってしまいました。♠**<見合い結婚>** わたしたちは、見合い結婚です。 **みあ・う**【見合う】 〇つり合う。互いに見る。見つめ合う。[文例]**<品物に見合った金>** 質屋では、持って行った品物に見合った金を貸してくれます。♠**<収入に見合う生活>** 収入に見合う生活を心がけなければなりません。♠今目を見合う二人は、お互いの気持ちが知りたくて、じっと目を見合っていた。♠**<土俵で見合う>** 土俵上で見合った二人の力士は、なかなか呼吸が合わず、何度も仕切りをくり返していま <1063> **みあ・げる【見上げる】** ○上の方を見る。仰ぎ見る。立派な行いに感心する。→見下ろす・見下す・見下げる[文例]〈空を見上げる〉母は、玄関[げんかん]の外で曇[くも]り空[ぞら]を見上げながら、傘[かさ]を持っていこうか、どうしようかと迷っている。♠◆下から見上げる>男の子たちが神社の境内[けいだい]のくすの木を下から見上げながら、アゲハの幼虫を探している。♠●〈見上げるような大男〉小さくて弱々しかった教え子に久しぶりに会ったら、見上げるような大男に成長していた。♠へ見上げた人物〉世の中には、沈みかけた船中で、救命具を他人に譲[ゆず]るような、見上げた人物もいるんだな。♠●〈見上げた行為〉幼い妹をかばって、必死に猛犬[もうけん]を防いだ十歳の兄の行為は、見上げたものである。 **みあた・る【見当たる】** ○見つかる。[文例]この辺りに古本屋があると聞いたのですが、それらしいものは見当たりません。♠●確かにこの辺に落ちたと思ったのに、ボールが見当たらない。♠●新しい委員長には、村本君以外に適任者は見当たらない。 **みあわ・せる【見合わせる】** ○お互いに見る。見くらべる。実行をさし控える。[文例]〈顔を見合わせる〉山道で大きなくまの足跡を見て、二人はぎょっとして、互いに顔を見合わせた。♠●へ外出を見合わせる〉大雪になるっていう天気予報だから、外出は見合わせたほうがいいよ。♠●〈計画を見合わせる〉父の病気で見合わせていた家の新築計画を、全快とともに進めることになった。♠●へ実行を見合わせる>楽しみにしていた家族旅行も、季節はずれの台風が近づいたので、実行を見合わせた。 **みいだ・す【見いだす】** (見出す)○見つける。発見する。[文例]〈姿を見いだす〉街の雑踏[ざっとう]の中に、友達の姿を見いだして追いかけたが、すぐ見失ってしまった。♠●へ名を見いだす〉合格発表で、掲示板[けいじばん]に自分の名を見いだしたときのうれしい気持ちをどう表現しようか。♠●へ才能を見いだす>子供の才能を見いだし、伸ばしてやるのは、親や教師の責任だ。♠●〈生命を見いだす〉詩人は、もの言わぬ草木や石のようなものにまで、生命を見いだします。♠●〈糸口を見いだす〉被害は広がるばかりなのに、解決の糸口すら見いだせずにいる。 **ミイラ(木乃伊)** ○死体が腐らずに乾燥し、そのままの形で残ったもの。[文例]ヘミイラになる〉閉め切った小屋の中で、ネズミは乾いてミイラになって死んでいた。♠◆ヘミイラ取りがミイラになる〉相手を説得しにいって逆にまるめこまれた。ミイラ取りがミイラになるとはこのことだ。 **みいり【実入り】** ○実の成熟。収入。[文例]〈実入りがある・ない〉だいぶ稼[かせ]いだみたいだね、いくらぐらい実入りがあったの? ♠〈実入りが多い・少ない〉この夏は実入りが少なかったと、民宿の主人はぼやいている。♠●へ実入りがよい・悪い〉よさそうに見えても、この商売はあまり実入りがよくないんですよ。 **みい・る【見入る・魅入る】** ○じっと見つめる。見とれる。とりつく。[文例]〈手元に見入る〉わたしは、ろくろを回し続ける父親の手元にじっと見入った。♠●へ〈絵に見入る〉少年は身じろぎもせず、画廊[がろう]のすみに掛けられた一枚の絵に見入っている。♠●〈美しさに見入る〉しばらくの間、わたしは言葉を発することもできず、彼女の美しさに見入っていた。♠●〈悪魔にみいられる〉男は悪魔にみいられたように、次々に犯行を重ねていった。 **みう・ける【見受ける】** ○見かける。見てそう思う。[文例]先日中学校時代の先生にお会いしましたが、お元気のようにお見受けしました。♠●お見受けしたところ会社にお勤めのようですが、どんなお仕事をなさっているのですか。♠●お客さんは、この辺では見受けないが、旅の人ですか。 **みうごき【身動き】** ○体を動かすこと。行動すること。[文例]〈身動きできない〉ラッシュアワーの車内は、身動きできないほどのすし詰めであった。♠●へ身動きひとつしない〉車にひかれた犬が身動きひとつしない。かわいそうに即死[そくし]したのだろう。♠●へ身動きする〉雪道で転び、したたか腰を打ってしまい、しばらくは身動きすると、全身に激痛が走った。♠●〈身動きがとれない>宿題がたまってしまって、どうにも、身動きがとれないんだ。♠◆〈身動きもならず〉母に留守番を頼まれたので、友達が誘[さそ]いにきても身動きもならず、一日じゅう、テレビを見ていた。 **みうしな・う【見失う】** ○見えていたものが見えなくなる。[文例]〈人を見失う〉お祭りで人ごみにまぎれて、友達を見失ってしまった。♠〈大切なものを見失う〉物のあふれた豊かな生活の中で、わたしたちは大切なものを見失ってしまいがちです。♠目標を見失う〉インターハイ出場の夢を断たれたわたしは、目標を見失い、練習にも力が入らなくなっていた。 **みうち【身内】** ○親類。身寄り。からだ全体。全身。[文例]〈身内と他人>言葉遣[ことばづか]いは、身内と他人、公私など、時と場所と場合によって、使い分けなければならない。♠●〈身内の者〉彼女は、あんまり身内の者に不幸が度重なるので、易者[えきしゃ]に占ってもらうと言っている。♠●〈身内が引き締まる〉高校受験の日が近づくと、さすがにのんき者のぼくも、身内の引き締まるような緊張を感じた。♠●〈身内がふるえる〉くらやみに白い物が飛んだときは、思わず身内がふるえてしまった。 **みうり【身売り】** ○先にお金をもらい、決められた期間働くこと。会社などの経営権を売り渡すこと。[文例]〈身売りをする〉貧しい農家だったので、娘が芸者[うらな]に身売りをする以外一家の生きていく方法はなかった。♠●〈身売りする>借金の返済のため、社長は自分の経営する店の一つを身売りせざるをえなくなった。 **みえ【見え】** (見栄・見得)○みかけ。うわべ。体裁。自分を実際よりよく見せようとする態度。歌舞伎で最高潮に達した感情を印象づける演技。[文例]〈見えを張る〉うちもその日の生活には困らないのだから、見えを張って特にぜいたくをすることもあるまい。♠●〈見えで〜する〉母は、時々、見えで高い買い物をすることがあります。♠◆〈見えを切る〉あんな大学なんて軽いさ、と大見えを切ったてまえ、何が何でも合 <1064> 格しなくちゃあ。 **みえがくれ【見え隠れ】** ○見えたり隠れたりすること。みえかくれ。[文例]〈見え隠れについて来る〉夜道を行くわたしの後から、雲間の月が見え隠れについてきた。♠●へ見え隠れする〉山道を登っていくと、木々の間にふもとの村が見え隠れしていた。♠●へ見え隠れする〉おだやかな言葉の中にも、彼のわたしに対するライバル意識が見え隠れしていた。 **みえす・く【見え透く】** ○透きとおってよく見える。本心がよく見える。[文例]〈本心が見え透く〉甘[あま]いことばにだまされていたが、だんだん彼の本心が見え透いてきた。♠●へ魂胆[こんたん]が見え透く〉クラスのためだなどと言っているが、あいつの魂胆は見え透いている。♠●〈見え透いたうそ〉あの少年は、平気で見え透いたうそを言うから、信用できない。♠●へ見え透いたお世辞〉そんな見え透いたお世辞を言ってもらっても、ちっともうれしくないわ。 **みえっぱり【見えっ張り】** (見栄っ張り)○みえを張ること。また、そういう性格の人。[文例]見えっ張りの姉は、買い物をしているときにも、周囲の目を気にします。♠●見えっ張りな妻は、他人よりちょっとでも高いものを身につけようとします。 **み・える【見える】** ○目に映る。見ることができる。見受けられる。感じられる。「来る」の尊敬語。[文例]〈目に見える〉〈目が見える〉祖母はこのごろ、目に見えて衰[おとろ]え、耳と足が不自由なばかりでなく、目も見えなくなりました。♠◆ヘ一望のもとに見える〉ここからは、むつ湾が一望のもとに見え、はるかに北海道の山々も見えます。♠〈目に見えるよう〉友達に、絶交の手紙を出したが、読んであっけにとられる顔が目に見えるようだ。♠◆<姿が見える>裏口に、怪しい人の姿が見えたので、急いで出てみた。♠●へ心くばりが見える〉少女から両親にあてた手紙には、病状を心配させまいとする、けなげな心くばりが見える。♠●へ反省の色が見える〉あの子は、注意したばかりなのに、少しも反省の色が見えない。♠〈結果が見える〉試合の結果が見えてきたので、観客たちは、帰り支度をし始めた。♠●〈目に見えぬ壁[かべ]>兄との間には、目に見えぬ壁があって、なんとなく甘えにくい。♠●へ~と見える〉よほど情の こわい娘[むすめ]と見えますな。親が死んでも、泣きもしない。♠へよく見える〉自然や人生を鋭[するど]くとらえた文章を読むと、今まで見えなかったものが、よく見えてくる。♠●〈よく見える〉あばたもえくぼというとおり、好きな彼女のやることなすこと、なんでもよく見えて困る。♠●へ危なげに見える〉そのつり橋は、まことに危なげに見えるので、渡[わた]るのをためらった。♠●〈若く見える〉彼女、ほんとうは三十歳ですって。きれいな人は若く見えるのね。♠●へお客様が見える〉お客様がもうすぐ見えるから、急いでお部屋を片づけてちょうだい。♠●へかばんが見えない〉ここに置いたはずのかばんが見えない。 **みおぼえ【見覚え】** ○前に見て記憶していること。[文例]〈見覚えがある>手紙には、見覚えのあるお兄ちゃんの四角い字がぎっしりつまっていた。♠〈見覚えがない〉四人のうち三人はよく知っているが、もう一人はまるで見覚えがない。 **みおくり【見送り】** ○見送ること。見送る人。[文例]〈見送りの人>空港のロビーは、旅立つ人、帰った人、そして出迎えや見送りの人でごった返している。♠●〈提案が見送り〉生徒たちの提案は、反対する教師が多く、今回は見送りとなった。 **みおく・る【見送る】** ○去っていくものを目で追う。旅立つ人を送る。やり過ごす。次の機会を待つ。死者を葬る。[文例]〈旅立ちを見送る>昔、旅立ちを見送る村人は、村はずれの峠[とうげ]の上まで来て、別れるならわしだったそうだ。♠●へ空港まで見送る>父が社用で海外へ出発するのを、空港まで見送った。♠●〈球を見送る〉ピンチヒッターはよく粘[ねば]ったが、結局、絶好球を見送って三振に終わった。♠●〈受験を見送る>兄は、準備不足なので、今年の受験は見送って、来年がんばるという。♠●へ採用を見送る〉わが社は、今年は、新入社員の採用を見送ることに決定した。♠●へ電車を見送る〉電車があんまり込み合っているので、もう一台見送ることにした。♠●<死を見送る>彼は、深い心の悲しみを押し隠して、冷静[せいかん]な態度で、長男の死を見送った。 **みおさめ【見納め・見収め】** ○見ることが最後になること。[文例]〈見納めになる〉青函[せいかん]トンネルの開通にともない、青函連絡船も昭和六十三年三月で見納めになった。♠◆ヘこの世の見納め〉八十を越えた祖父は、この世の見納めにもう一度故郷に帰りたいと言っていた。 **みおと・す【見落とす】** ○見ていながら気がつかないでいる。[文例]〈まちがいを見落とす〉じゅうぶん時間があったので、答えを見直したから、まちがいを見落とすことはないだろう。♠へ気配を見落とす〉忙[いそが]しい人々は、都会の片すみで草花が花を咲かせようとする気配などは見落としてしまう。♠◆ヘうっかり見落とす〉この辺りは、家が立て込んでいるから、表札をうっかり見落とすと探しあてられない。 **みおとり【見劣り】** ○比べると劣[おと]って見えること。[文例]〈見劣りがない>内田さんは身長一メートル九十センチ、外国人の間に入っても見劣りのない体格をしている。♠人見劣りがする〉わが家のひな人形は安物なので、よそのに比べると見劣りがします。♠●〈見劣りする〉あいつのイタリア製のバッグは三万円、このバッグは四千円、見劣りするのはしかたがない。 **みおも【身重】** ○妊娠[にんしん]していること。[文例]〈身重の体〉彼女は妊娠六か月の身重の体ですから、山登りなどはできません。♠●〈身重になる〉わたしが身重になると、夫は家事を積極的に手伝うようになりました。 **みおろ・す【見下ろす】** ○下の方を見る。見下げる。[文例]〈下界を見下ろす〉初めて乗ったヘリコプターから下界を見下ろすと、一瞬[いっしゅん]目まいがした。♠●〈町を見下ろす〉この町出身の有名な詩人の銅像が、町を見下ろす高台に建てられている。♠●〈見下ろすよう〉相手の男は、ぼくを見下ろすような目で見た。 **みかい【未開】** ○文明がひらけていないこと。まだ開発されていないこと。「文例]〈未開の土地>近藤重蔵[こんどうじゅうぞう]が探検したこ <1065> ろのえぞ地は、原始林と沼地が広がる未開の土地であった。♠◆<未開の社会>彼は、アフリカのゴリラと、未開の狩猟[しゅりょう]部族[ぞく]社会とを調査し、人類の起源と進化について、研究を進めた。♠へ未開の種族〉ボルネオの奥地には、今も原始的な生活をする未開の種族がいるそうだ。 **みかえ・す【見返す】** ○ふりむいて見る。見直す。見られた仕返しに見る。以前軽蔑[けいべつ]されたことの仕返しをする。[文例]〈答案を見返す〉何回も答案を見返したから、このテストは百点まちがいなしだ。♠●〈何度も見返す>修学旅行のときの写真は、何度見返しても、なつかしくも楽しい。♠◆ヘこちらも見返す〉電車の中で、じろじろ見ている人をこちらも見返してやった。♠へ兄を見返す〉何か大きなことをして、いつもぼくをばかにしている兄貴を見返してやるんだ。♠●へ世間の人を見返す〉立派な仕事をして、世間の人を見返してやろう。 **みかえり【見返り】** ○見返ること。お返し。代償。担保[たんぽ]。保証。[文例]当番を代わってもらった見返りに、宿題を手伝ってやろうか。♠彼らは土地を手放す見返りとして、施設の無料使用権を要求した。 **みがき【磨き】** (研き)○磨くこと。洗練。熟練。上達。[文例]〈磨きが足りない〉その石はまだ磨きが足りないので、くすんだ色をしています。♠●〈磨きをかける〉ワックスを塗[ゆか]って床に磨きをかけると、ピカピカになりました。♠●〈腕に磨きをかける〉ドイツに留学してピアノの腕に磨きをかけただけあって、今日の演奏はすばらしいものだった。♠●へ磨きが加わる>厳しいトレーニングの結果、彼の背負い投げにはますます磨きが加わっていった。 **みがきあ・げる【磨き上げる】** ○磨いてきれいに仕上げる。芸や技などを鍛える。[文例]〈車を磨き上げる二時間もかけて磨き上げた車は、新車のようにピカピカです。♠●へ芸を磨き上げる>芸人の磨き上げられた芸に、観客は大きな拍手を送りました。♠●へ技を磨き上げる〉たゆまぬけいこによって、得意の背負い投げを自分の必殺技に磨き上げた。 **みかぎ・る【見限る】** ○見はなす。見捨てる。見切る。[文例]〈医者が見限る〉本人は知らないが、末期[まつさ]の肺がんで、医者も見限っているという。♠●へ人を見限る〉このごろ、ちっとも訪ねてきてくれないから、すっかり見限られたかと思っていた。♠●へ男を見限る〉あんなかいしょうのない男は、いい加減に見限って、別れてしまえばいいのに。♠会社を見限る>経営不振[ふしん]だからといって、そう簡単に会社を見限ることはできない。♠人世の中を見限る〉わずらわしい世の中を見限って、山奥にひっこんでしまった友人がいます。 **みかく【味覚】** ○味を感じ分ける感覚。また、それを楽しませるもの。又例甘い・辛い・酸っぱい・塩[しお]からいなどは、味覚を表す言葉です。♠●〈味覚を刺激する〉この本は、こしょうや塩など、各種調味料の歴史を探[さぐ]りながら、読者の味覚をも刺激します。♠●〈味覚の秋〉〈味覚を楽しむ〉まつたけは、味覚の秋の代名詞と言えるが、値段が高くて、おいそれとその味覚を楽しむわけにはいかない。 **みが・く【磨く】** ○こすってつやを出す。こすって滑らかにする。洗練する。努力して上達させる。[文例] <靴を磨く>日曜日に、家族全員の靴を磨くのが、わたしの役目です。♠●へ歯を磨く〉タバコをたくさん吸うせいか、彼の歯は、いくら磨いても白くならない。♠●へぴかぴかに磨く〉台所でお母さんを手伝って、おなべややかんをぴかぴかに磨き立てました。♠●〈廊下・床を磨く〉この寺の長い廊下や床は、きれいに磨き上げられて、ちり一つ落ちていない。♠●〈腕を磨く>彼は、有名なカメラマンに師事して、腕を磨いている。♠●へ感受性を磨く>感受性を磨くためには、優れた文学作品を読み味わうことも一つの方法だ。♠●へ人格を磨く〉孔子[こうし]は、各人が人格を磨き、平和で調和のとれた生活を営むことを政治の基本とした。♠●〈玉磨かざれば光なし〉「玉、磨かざれば、光なし」と昔[むかし]から言われるように、努力することがその人の価値を高めていく。 **みかけ【見掛け】** ○外から見た感じ。外見。[文例]〈見かけがきれい〉花屋は見かけはきれいで楽そうですが、これでなかなか大変なのです。♠◆へ見かけと違う>無口で気難しそうですが、見かけと違い、とても話しやすい人です。♠人人は見かけによらない〉気が弱そうに見える彼がプロのギャンブラーとは、人は見かけによらぬものだ。♠◆へ見かけ倒[だお]し>鳴り物入りで入団した新人も、守備・打撃ともふるわず、とんだ見かけ倒しだった。 **みか・ける【見掛ける】** ○見はじめる。目にする。ちらっと見る。[文例]〈テレビを見かける〉宿題を済ませて、せっかくテレビを見かけたところなのに、母に用事を言いつけられた。♠●へ姿を見かける〉ぼくの姿を見かけると、隣[となり]の家の犬が尾を振って走ってきた。♠へよく見かける風景>海辺に松[まつ]というのは、日本では昔から、どこにでもよく見かける風景だ。♠●〈何回となく見かける〉近くの畑で、何回となくその鳥を見かけているが、いまだに名前が分からない。♠へめったに見かけない〉毎朝散歩していた老人を、最近めったに見かけなくなったが、体の調子でも悪いのだろうか? ♠◆ふと見かける〉ヨーロッパの古い町の古道具屋で、ふと見かけた人形がとても印象的だった。♠●へちらっと見かける〉学校の帰り道、今日は欠席していた友達を、駅のホームでちらっと見かけた。 **みかた【味方】** 敵に対して自分の側。また、それに属する人。一方に加勢すること。[文例]〈敵味方〉鮮やかな緋色[ひいろ]のよろいを着た若武者の活躍[かつやく]は、敵味方の間に、ひときわ目立っていた。♠味方になる>昨日まで、あんなに悪口を言っていた彼女が、今日はわたしの味方になるなんて。♠味方をする「犬も食わない夫婦げんか」というから、両親のけんかには、どちらの味方もしないことにしている。♠●く味方する〉負けるのを覚悟[かくご]で、いつも弱いほうに味方する男もいる。♠●〈味方につける〉相撲[すもう]部の鬼山[おにやま]を味方につけたから、もう安心だ。♠◆く味方につく〉兄とけんかをしたが、弟が味方についてくれたので、わたしのほうが勝った。♠味方に引き入れる〉クラス全員を味方に引き入れたから、勇気百倍。これから先生とかけあってこよう。 <1066> **みかた【見方】** ○見る方法。物事に対する解釈の仕方。考え方。[文例]〈正しい見方〉兄さん、この表の正しい見方を教えてよ。♠へ見方や考え方〉きみの意見は分かったが、この問題については、別の見方や考え方もあると思う。♠●へ個性的な見方〉同じ問題を扱[あつか]った本を読み比べると、それぞれ筆者の個性的な見方や考え方が発見できて楽しい。♠●へものの見方>学者は、すべて科学的なものの見方、考え方を基にして、仕事を進めていきます。♠●く偏[かたよ]った見方〉〈見方を変える〉きみは、偏った見方をしているね。見方を変えて、もっともっと客観的に考える必要があるよ。♠●〈見方が違う〉同じ状態の同じものを見ても、人によって見方も違[ちが]うし、感じることも違います。 **みがって【身勝手】** ○自分の都合だけしか考えずに行動すること。わがまま。[文例]〈身勝手な人〉彼女は、自分には甘[あま]く、他人には厳しい身勝手な人だ。♠●〈身勝手な行動>中学生にもなって、そんな身勝手な行動が許されると思っているのか。♠●〈身勝手な振る舞い〉このごろ、彼には身勝手な振る舞いが目立つので、忠告したほうがよさそうだ。♠●〈身勝手な考え〉身勝手な考えを押し通すことができないと、彼女はヒステリックになるので始末が悪い。♠人人間の身勝手>快適な生活を守るためとはいえ、罪もない動物を殺すのは、人間の身勝手というものだ。 **みか・ねる【見兼ねる】** ○だまって見ていることができない。[文例]老人が重そうな荷物を抱[かか]えているのを見かねて、代わりに持ってやった。♠●電車の中で騒[さわ]ぎ回る高校生に、見かねた乗客が注意した。♠●〈見るに見かねる〉途方に暮れる同級生を見るに見かねて、相談に乗ってやりました。 **みがま・える【身構える】** ○姿勢や体勢を整える。[文例]相手の攻撃に備え、わたしは低く身構えた。♠◆「さあ来い。」と身構えた選手には、一分のすきもなかった。♠●先生が白い紙を持って入ってくると、抜き打ちテストではないかと生徒たちは身構えた。 **みがら【身柄】** ○人の体。その人自身。身の程。[文例]〈身柄を預かる>誘拐[ゆうかい]犯人から、子供の身柄を預かったという電話が入った。♠へ身柄を拘束[こうそく]する〉組合の若い書記があらぬ疑いをかけられ、憲兵隊に身柄を拘束されていた。♠へ身柄を引き取る>警察に保護されている少年の身柄を引き取りに、母親がやってきた。♠●〈身柄の引き渡し〉テロリストたちは一般市民を人質にとって、獄中[ごくちゅう]にある仲間の身柄の引き渡しを要求してきた。 **みがる【身軽】** ○動作が軽快なさま。体が動きやすいさま。気楽に行動できるさま。子供を産んで身が軽くなった状態。[文例]〈身軽な身のこなし>彼の身軽な身のこなしからは、とても四十歳には見えない。♠●へ身軽な服装[ふくそう]〉明日の遠足には、ジーパンかトレパンの身軽な服装で来なさい。♠●〈身軽に飛び降りる〉作業員たちは、身軽にトロッコを飛び降りると、早速、仕事に取りかかった。♠●へ身軽な独身〉彼女は身軽な独身なので、もう何回も海外旅行を楽しんでいる。♠へ身軽になる〉姉は赤ちゃんを生んで体は身軽になりましたが、その世話でてんてこ舞[ま]いをしています。 **みかわ・す【見交わす】** ○互いに相手の顔や目を見る。[文例]〈目を見交わす二人は初対面を装[よそお]っていたが、別れ際にちらっと目を見交わしたのを、警部は見のがさなかった。♠◆〈目と目を見交わす〉恋人同士は手を握り合い、じっと目と目を見交わした。 **みがわり【身代わり・身替わり】** ○人のかわりになること。また、その人。[文例]〈主人の身代わり〉この墓地には、主人の身代わりになって死んだ忠犬の墓がある。♠●へ身代わりになる>母親は、自分が身代わりになるから、重病にかかった息子を助けてほしいと、神に祈った。♠●〈身代わりを立てる〉病気の大将に身代わりを立てて、決戦に臨[のぞ]んだ。♠人身代わりを申し出る〉『最後の一句』という小説は、死刑[しけい]になる父親の身代わりを、娘[むすめ]たちが奉行所[ぶぎょうしょ]に申し出る話である。 **みかん【未完】** ○完成・完了していないこと。[文例]〈未完に終わる>博士の長年の研究は、突然の死によって未完に終わった。♠●へ未完の作品>漱石[そうせき]の『明暗』は、彼が執筆中に死亡したため未完の作品となっている。♠◆〈未完の大器〉この新人選手は未完の大器と言われ、将来を期待されています。 **みき【幹】** ○樹木の枝や葉が出ている太い部分。物事の中心となる重要な部分。[文例]〈木の幹「きつつき」という鳥は、くちばしで木の幹に穴をあけて虫を食べたり、巣を作ったりします。♠へ枝や幹〉この辺りの海岸の松[まつ]は、強い潮風のため、枝や幹が地面をはうように伸びている。♠●へ幹になる〉文章には、その幹になるような中心的な部分と、あまり大切でない枝葉[えだは]の部分があります。 **みぎ【右】** ○正面を向いて右手の方向。政治的に右翼。順序・序列が先。[文例]〈右のとおり〉わがクラスの生徒の実態については、右に述べたとおりです。♠●へ右へならえ>仲間の一人が帰ると言い出すと、右へならえでみんな帰ってしまった。♠●へ右から左>浪費家の兄は、給料も右から左で、結婚資金などはゼロに等しい。♠へ右に出る〉料理の腕にかけては、A子の右に出る者はないわ。♠今回れ右〉道の真ん中に大きな犬がいたので、回れ右して、サブとジローは来た道をもどっていった。♠●〈右と言えば左〉きみみたいに何にでも反対することを、「右と言えば左」というのさ。♠へ右の耳から左の耳〉ばかだね、この子は。右の耳から聞いたことが左の耳から抜けていくんだから。♠●へ右も左も分からない〉初めて上京した時は、右も左も分からぬこの街で心細い思いをしました。♠右を見ても左を見ても〉金[かね]、金で、右を見ても左を見ても金だけがものをいう世の中だ。♠●〈右寄り〉政治に関して、ぼくはかたよらない立場を取っているつもりなのに、人には右寄りの人間と見られています。 **みぎうで【右腕】** ○右の腕。最も信頼できる部下。[文例]〈右腕にかかる〉チームが優勝できるかどうかは、エースである彼の右腕にかかっている。♠●へ右腕一本〉大工の棟梁[とうりょう]は、右腕一本で名人の名を手にしました。♠●〈社長の右腕〉三十年間も社長の右腕となって働いていた部長が、今年の春定年で退職します。 **みきき【見聞き】** ○見たり聞いたりすること。[文例]〈見聞きする>宮沢賢治[みやざわけんじ]は、幼いころから、農民のみじめな生活を見聞きして育ちました。♠●へ見聞きする>母は旅行中に見聞きしたことを、楽しそうにみんなに話しました。 <1067> **みきり【見切り】** ○見切ること。見かぎること。見捨てて行くこと。[文例]〈見切りをつける〉やさしいけれど決断力がないので、今の恋人にはもう見切りをつけました。♠へ見切り発車>県の予算はおりるものとして、事業計画を見切り発車させることにした。 **みきわめ【見極め】** ○見極めること。』みきわめる[文例]〈見極めがつく〉敵の戦力の見極めがついたところで、試合の作戦を立て直した。♠●〈見極めをつける〉職員ではらちが明かないと見極めをつけたわたしは、直接責任者に会って談判することに決めた。 **みきわ・める【見極める】** ○最後まで見届ける。見定める。しっかりと本質を見て判断する。[文例]〈正体を見極める〉村はずれに幽霊[ゆうれい]が出るといううわさに、ぼくたちはその正体を見極めようと探検に出かけた。♠ヘ行方を見極める〉線審はボールの行方をしっかり見極めて、ゆっくりとファールのコールをした。♠●〈本質を見極める〉ものごとの本質を見極めていなければ、あんなにおだやかな表情はしていられないにちがいない。♠●〈真実を見極める〉人の話をうのみにせず、自分の目でしっかりと真実を見極めるようにしたいものだ。 **みくだ・す【見下す】** ○下の方を見る。あなどって下に見る。見下げる。[文例]〈人を見下す〉人を見下したような態度をとるのは、よくないと思います。 **みくび・る【見くびる】** (見縊る)○軽く見る。あなどる。[文例]〈相手を見くびる〉八百屋でりんごを買ったら、傷んでいるのをよこしたが、相手を子供と見くびっているのかしら。♠●〈山を見くびる〉彼らは冬山を見くびって、軽装[けいそう]で登山し、遭難[そうなん]したらしい。♠●〈技量を見くびる〉相手の技量を見くびっていると、試合で痛い目に遭[あ]うぞ。 **みくら・べる【見比べる】** (見較べる)○見て比べる。考え合わせる。[文例]わたしたちは、昔と今の町の地図を見比べながら話し合いました。♠●待ち合わせた相手があまり遅いので、ぼくは駅の時計と自分の時計を見比べてみました。 **みぐるし・い【見苦しい】** ○みっともない。みにくい。[文例]〈見苦しい服装〉むとんじゃくな兄は、注意しないと、見苦しい服装で、どこへでも出かけていく。♠●へ見苦しいところ〉取り散らかして、見苦しいところをお目にかけ、お恥ずかしいしだいです。♠●お客さまの前で兄弟げんかをするなんて、見苦しいぞ。 **みけん(眉間)** ○まゆとまゆの間。ひたいの中央。[文例]西田君は眉間に大きなほくろがあり、まるで大仏様のようです。♠◆<眉間を割る〉木刀で眉間を割られ、顔じゅう血だらけになった。♠●へ眉間のしわ〉老人の顔は蒼白[そうはく]で、眉間のしわは刻みこまれたように深かった。 **みこし(御輿・神輿)** ○祭りの時などに神体を安置してかつぐ興。[文例]〈みこしをもむ〉大通りの方から、「ソイヤ、ソイヤ」とみこしをもむ威勢[いせい]のいい声が聞こえてくる。♠へみこしを担[かつ]ぐ〉おみこしを担ぐ若者は全部で二十人、みんなそろいのはんてんを着てはちまきをしています。♠●へみこしを上げる>昼食を終わってわたしたちがみこしを上げ、仕事にとりかかったのは午後二時過ぎだった。♠●へみこしを据[す]える〉この仕事にみこしを据えて取り組んだのは三年前のことです。 **みこ・す【見越す】** ○上を越して見る。今後のなりゆきを予測する。[文例]午後から雨が降るのを見越して、傘[かさ]を持って出かけました。♠◆販売店では新製品の発売で店内が混雑するのを見越して、開店一時間前から整理券を配り始めた。♠●〈先を見越す〉いつも十年先を見越した経営方針が、その会社を飛躍させた原因の一つです。 **みごと【見事】** (美事)○すばらしいさま。立派なさま。(失敗・敗北などが)完全なさま。[文例]〈見事な花>祖父が丹精[たんせい]こめたかいがあって、ぼたんが見事な花を咲かせた。♠●へ見事にやってのける〉母親が入院中、十歳の娘[さいむすめ]が幼い弟の世話と家事を見事にやってのけた。♠←へ見事成功する〉彼は、優れた経営手腕を発揮し、赤字会社の再建に見事成功した。♠●〈お見事>飼い犬を、ここまで行儀よくしつけたのはお見事と言うほかない。♠◆へものの見事に>兄は、絶対だいじょうぶと豪語[ごうご]していた大学入試に、ものの見事に失敗した。 **みこみ【見込み】** ○予想。予測。望み。可能性。将来性。[文例]〈~に達する見込み〉今回の地震による被害は、こわれた家屋二百戸以上、死者二千ないし三千人に達する見込み。♠◆〈一年がかりの見込み>建設現場で発見された古墳[こふん]の発掘[はつくつ]調査は、一年がかりになる見込みだそうだ。♠完成の見込み〉わたしの家は年内完成の見込みで、お正月を新しい家で迎えるのが楽しみです。♠●〈天気になる見込み〉しばらく雨が続いたが、天気予報によれば、明日は天気になる見込みだ。♠●へ見込みが立つ〉材料のセメント不足で、工事開始の見込みが立たない。♠●〈見込がはずれる〉この冬は寒さが厳しいから、もっと冬物衣料が売れると思ったのに、見込みがはずれた。♠へ見込みがない〉年を取って体が弱っているうえに心臓をやられたので、回復の見込みはないという。♠●〈見込みのある青年〉彼は、なかなか見込みのある青年だから、知人[ちじん]の会社へ推薦[すいせん]してやろう。♠●〈見込み違い〉あいつは、まじめで働き者だと思って雇[やと]ったが、とんだ見込み違いさ。 **みこ・む【見込む】** ○予測する。期待する。有望だと思う。とりつく。[文例]〈人出を見込む〉主催者側では、四週間の大会期間中に百万人以上の人出を見込んでいます。♠●へ遅れを見込む>乗り物の遅れを見込んでも、会場まで二時間以上かかることはないだろう。♠●〈男と見込む〉きみを男と見込んで頼みがあるんだ。♠●〈見込まれる〉相手の親から見込まれて、三男は婿[むこ]に行くことになった。♠◆ヘヘビに見込まれたカエル〉まるでヘビに見込まれたカエルのように、ぼくは男ににらみつけられると身動きできなかった。 **みごろし【見殺し】** ○人が死にそうだったり苦しんでいるのをそばにいながら助けないこと。[文例]〈見殺しにする〉自 <1068> **みこん【未婚】** まだ結婚[けっこん]していないこと。[文例]〈未婚[みこん]の女性[じょせい]〉キャンペーンガールの応募[おうぼ]資格[しかく]は、二十歳[はたち]未満[みまん]の未婚[みこん]の女性[じょせい]です。♠〈未婚[みこん]と既婚[きこん]〉経験者[けいけんしゃ]であれば、未婚[みこん]既婚[きこん]を問[と]いません。 **みさお【操】** 志[こころざし]や信念[しんねん]を固[かた]く守[まも]って変[か]えないこと。貞操[ていそう]。[文例]〈操[みさお]を立[た]てる〉未亡人[みぼうじん]は、亡夫[ぼうふ]に操[みさお]を立[た]て再婚[さいこん]しなかった。♠〈操[みさお]を守[まも]る〉夫[おっと]が戦争[せんそう]に行[い]って何年[なんねん]にもなるが、彼女[かのじょ]は固[かた]く操[みさお]を守[まも]って、ひたすら夫[おっと]の帰[かえ]りを待[ま]った。♠〈操[みさお]を破[やぶ]る〉古風[こふう]な女[おんな]だったから、操[みさお]を破[やぶ]ることなど考[かんが]えたこともなかった。 **みさかい【見境】** 物事[ものごと]の見分[みわ]け。区別[くべつ]。識別[しきべつ]。[文例]〈見境[みさかい]がつく〉興奮[こうふん]のあまり、わたしは敵[てき]と味方[みかた]の見境[みさかい]さえつかなかった。♠〈見境[みさかい]がない〉わたしたちは寒[さむ]さと恐怖[きょうふ]で、前後[ぜんご]の見境[みさかい]がなくなっていた。♠〈だれかれの見境[みさかい]なく〉宿題[しゅくだい]を忘[わす]れたぼくは、答[こた]えをだれかれの見境[みさかい]なく聞[き]き回[まわ]った。 **みさき【岬】** 海[うみ]や湖[みずうみ]に細長[ほそなが]く突[つ]き出[で]た陸地[りくち]。また、その先端[せんたん]。[文例]〈岬[みさき]の突端[とったん]〉岬[みさき]の突端[とったん]には小[ちい]さな灯台[とうだい]があるばかりで、ほかにはなんにもありません。♠〈岬[みさき]の付[つ]け根[ね]〉岬[みさき]の付[つ]け根[ね]にある港[みなと]から漁場[ぎょじょう]まで、船[ふね]はおよそ二時間[にじかん]で到着[とうちゃく]した。♠〈岬[みさき]を回[まわ]る〉桟橋[さんばし]をはなれた船[ふね]は岬[みさき]を回[まわ]って、外海[そとうみ]へ出[で]て行[い]きました。 **みさ・げる【見下げる】** 軽蔑[けいべつ]する。見[み]くだす。[文例]〈人[ひと]を見下[みさ]げる〉奥様[おくさま]は召使[めしつか]いを奴隷[どれい]のように見下[みさ]げ、ぞんざいな態度[たいど]で扱[あつか]いました。♠〈見下[みさ]げた男[おとこ]〉親友[しんゆう]を裏切[うらぎ]って自分[じぶん]だけいい子[こ]になろうなんて、見下[みさ]げた男[おとこ]だ。♠〈見下[みさ]げ果[は]てた根性[こんじょう]〉人[ひと]をだまして利益[りえき]をあげるとは、見下[みさ]げ果[は]てた根性[こんじょう]だ。 **みさだ・める【見定める】** しっかり見[み]きわめる。見[み]て判断[はんだん]する。確認[かくにん]する。[文例]〈人[ひと]を見定[みさだ]める〉刑事[けいじ]たちは、身[み]の代金[しろきん]を手[て]にした誘拐[ゆうかい]犯人[はんにん]を見定[みさだ]めると、いっせいに飛[と]びかかった。♠〈天候[てんこう]を見定[みさだ]める〉漁師[りょうし]のおじいちゃんは、天候[てんこう]を見定[みさだ]めることでは名人[めいじん]です。♠〈成[な]り行[ゆ]きを見定[みさだ]める〉結論[けつろん]は、事[こと]の成[な]り行[ゆ]きを見定[みさだ]めてから出[だ]すつもりです。 **みじか・い【短い】** 端[はし]から端[はし]までの隔[へだ]たりが小[ちい]さい。始[はじ]めから終[お]わりまでの時間[じかん]が少[すく]ない。せっかちである。[文例]〈針[はり]が短[みじか]い〉時計[とけい]の針[はり]は、長[なが]いほうが分[ふん]を、短[みじか]いほうが時間[じかん]をさす。♠〈短[みじか]い髪[かみ]〉今[いま]、すれ違[ちが]った短[みじか]い髪[かみ]の少女[しょうじょ]は、前[まえ]にどこかで会[あ]ったような気[き]がする。♠〈足[あし]が短[みじか]い〉ヤマネコなど日本[にっぽん]産[さん]の野生獣[やせいじゅう]の特徴[とくちよう]は、胴[どう]が長[なが]く足[あし]が短[みじか]いことだという。♠〈日[ひ]が短[みじか]い〉だんだん日[ひ]が短[みじか]くなってきて、北国[きたぐに]の人々[ひとびと]は冬[ふゆ]のしたくを始[はじ]めたそうだ。♠〈寿命[じゅみょう]が短[みじか]い〉一般[いっぱん]に、発展途上国[はってんとじょうこく]の人々[ひとびと]の平均寿命[へいきんじゅみょう]は短[みじか]いといわれる。♠〈先[さき]が短[みじか]い〉「先[さき]が短[みじか]いのだから、残[のこ]された人生[じんせい]は好[す]きな事[こと]をしたい。」と、おばあちゃんはいつも言[い]っている。♠〈短[みじか]い時間[じかん]〉眠[ねむ]りには深[ふか]さがあるので、ぐっすり眠[ねむ]れば、短[みじか]い時間[じかん]でも十分[じゅうぶん]なのです。♠〈短[みじか]い生涯[しょうがい]〉石川啄木[ほくいしかわたくぼく]は、明治[めいじ]四十五年[よんじゅうごねん]、故郷[こきょう]渋民村[しぶたみむら]の山[やま]や川[かわ]を思[おも]いながら、二十六歳[にじゅうろくさい]の短[みじか]い生涯[しょうがい]を終[お]えた。♠〈短[みじか]い言葉[ことば]〉詩[し]は、多[おお]くの場合[ばあい]、短[みじか]い言葉[ことば]に、複雑[ふくざつ]な深[ふか]い感情[かんじょう]や考[かんが]えをこめてつくられる。♠〈話[はなし]が短[みじか]い〉あまり話[はなし]が長[なが]いと、子供[こども]たちが飽[あ]きてしまうから、できるだけ簡単[かんたん]に短[みじか]くしてください。♠〈気[き]が短[みじか]い〉きみは気[き]が短[みじか]くて、すぐ腹[はら]を立[た]てるから、少[すこ]し精神[せいしん]修養[しゅうぜん]が必要[ひつよう]だね。♠〈太[ふと]く短[みじか]く生[い]きる〉ぼくは好[す]きなことをやって、太[ふと]く短[みじか]く生[い]きるぞ。♠〈帯[おび]に短[みじか]したすきに長[なが]し〉帯[おび]に短[みじか]したすきに長[なが]しで、目的[もくてき]にぴったり合[あ]ったものがなかなかない。 **みじたく【身支度・身仕度】** 身[み]なりをととのえること。みごしらえ。[文例]〈身仕度[みじたく]を済[す]ます〉姉[あね]は身仕度[みじたく]を済[す]ますと、ボーイフレンドの待[ま]つ公園[こうえん]にいそいそと出[で]かけていきました。♠〈身仕度[みじたく]を整[ととの]える〉ぼくが迎[むか]えに行[い]った時[とき]には、彼女[かのじょ]はすっかり身仕度[みじたく]を整[ととの]えて待[ま]っていました。♠〈身仕度[みじたく]もそこそこに〉寝坊[ねぼう]をしたので、身仕度[みじたく]もそこそこに家[いえ]を飛[と]び出[だ]した。♠〈身仕度[みじたく]する〉男性[だんせい]よりも女性[じょせい]の方[ほう]が、身仕度[みじたく]するのに時間[じかん]がかかるようです。 **みじめ【惨め】** 哀[あわ]れで見[み]ていられないさま。屈辱的[くつじよく]なさま。[文例]〈惨[みじ]めな姿[すがた]〉〈見[み]るも惨[みじ]め〉弟[おとうと]はどぶに落[お]ちたらしく、どろだらけの見[み]るも惨[みじ]めな姿[すがた]で帰[かえ]ってきた。♠〈惨[みじ]めな思[おも]い〉入学[にゅうがく]試験[しけん]に落[お]ちたときの惨[みじ]めな思[おも]いは、経験[けいけん]した者[もの]にしか分[わ]からないだろう。♠〈惨[みじ]めな死[し]〉長者[ちょうじゃ]といわれた男[おとこ]が落[お]ちぶれて、だれにもみとられず、惨[みじ]めな死[し]を遂[と]げたそうだ。♠〈惨[みじ]めな境遇[きようぐう]〉彼[かれ]は、自分[じぶん]の惨[みじ]めな境遇[きようぐう]を乗[の]りこえていった。♠〈惨[みじ]めなくらし〉今日[きょう]食[た]べるものにも困[こま]るという惨[みじ]めなくらしを送[おく]る人[ひと]は、この国[くに]ではまだ多[おお]い。 **みじゅく【未熟】** 十分[じゅうぶん]に熟[じゅく]していないさま。熟練[じゅくれん]していないさま。円熟[えんじゅく]していないさま。[文例]〈作物[さくもつ]が未熟[みじゅく]〉冷害[れいがい]のため、作物[さくもつ]が未熟[みじゅく]なまま、立[た]ち枯[が]れてしまった。♠〈読者[どくしゃ]が未熟[みじゅく]〉本[ほん]を読[よ]んでいて内容[ないよう]がよく分[わ]からないというとき、読者[どくしゃ]のせいではなく、作者[さくしゃ]が未熟[みじゅく]なためということもある。♠〈人間[にんげん]が未熟[みじゅく]〉彼[かれ]は仕事[しごと]では有能[ゆうのう]だが、若[わか]いから、人間[にんげん]がまだまだ未熟[みじゅく]だ。♠〈腕[うで]が未熟[みじゅく]〉十年[じゅうねん]もこの仕事[しごと]をしているのに、まだ腕[うで]が未熟[みじゅく]で恥[は]ずかしい。♠〈未熟者[みじゅくもの]〉未熟者[みじゅくもの]ですが、よろしくご指導[しどう]ください。 **みし・る【見知る】** 見[み]て知[し]っている。面識[めんしき]がある。[文例]〈見知[みし]った町[まち]〉関西[かんさい]出身[しゅっしん]のわたしにとっては、神戸[こうべ]や大阪[おおさか]はよく見知[みし]った町[まち]です。♠〈見知[みし]った光景[こうけい]〉春[はる]のお花見[はなみ]や秋[あき]のもみじ狩[が]りは、日本人[にっぽんじん]のよく見知[みし]った光景[こうけい]です。♠〈見知[みし]らぬ人[ひと]〉うちの犬[いぬ]は、見知[みし]らぬ人[ひと]が来[く]ると猛然[もうぜん]とほえかかります。♠〈お見知[みし]りおき〉わたしが竹田[たけだ]と申[もう]します。以後[いご]お見知[みし]りおきください。 **みじろぎ【身じろぎ】** 体[からだ]を少[すこ]し動[うご]かすこと。身動[みうご]き。[文例]〈身[み]じろぎもしない〉校長[こうちょう]先生[せんせい]の戦争[せんそう]の体験談[たいけんだん]を、生徒[せいと]たちは、身[み]じろぎもしないで聞[き]いていた。♠〈身[み]じろぎもせず〉学者[がくしゃ]の父[ちち]は、いつも書斎[しょさい]で、身[み]じろぎもせず机[つくえ]に向[む]かっている。♠〈身[み]じろぎひとつしない〉お坊[ぼう]さんの読経[どきょう]の間[あいだ]、あのやんちゃな弟[おとうと]が辛抱[しんぼう]して、身[み]じろぎひとつしなかった。 **みじん(微塵)** 細[こま]かいちり。非常[ひじょう]に細[こま]かいこと。ごくわずかなこと。微塵[みじん]も。 <1069> な量。[文例]**<みじんもない>** 約束を破る心はみじんもなかったのに、やむを得ない事態になってしまった。♠**<みじんもない>** きみを欺くつもりは、みじんもなかったことを分かってくれ。♠**<みじん切り>** わが家では、摘んできた野草をみじん切りにして、みそしるに入れます。♠**<木っ端みじん>** 強力な地雷[じらい]で、戦車が木っ端みじんに吹っ飛んだ。♠**<粉みじん>** 地震のため、棚から落ちた花瓶[かぴん]が、粉みじんに砕け散った。 **ミス** 〇誤り。失敗。[文例]**<大きなミス>** 実力の未知数な新入を出場させたことは、監督の大きなミスだった。♠**<ミスをする>** 落ち着いて問題を解いていかないと、つまらないミスをすることになる。♠**<ミスを犯す>** きみがこんな単純なミスを犯すなんて、とても信じられない。♠**<凡(ぼん)ミス>** 凡ミスの連続で、決勝に進出することができなかった。 **みず**【水】 〇自然界に多量に存在する透明な液体(一般に熱くないものをいう。)。水素と酸素の化合物。液状のもの。水分の多いもの。洪水。[文例]**<井戸の水>** **<水がかれる>** 大地震で、田畑は地割[じわ]れし、井戸の水がかれてしまった。♠**<水をくむ>** この地方では、川へ水をくみに行くのは女たちの仕事です。♠**<水をやる>** **<水をまく>** 夏の夕方、植木に水をやり、庭や道に水をまくのがぼくの日課だ。♠**<水に溶ける>** 鐘乳洞[しようにゆうどう]の天井[てんじよう]や壁[かべ]から水が落ちるとき、その水に溶けていた石灰分が少しずつ固まって鐘乳石[しようにゆうせき]ができる。♠**<水が流れる>** **<水をすくう>** **<水を飲む>** 雪どけの清冽(せいれつ)な水が流れる谷川で、両手で冷たい水をすくって飲んだ。♠**<水が澄む>** 大雨で濁っていた池の水がきれいに澄み、こいが気持ちよさそうに群れ泳いでいる。♠**<水を張る>** 断水するというので、ありったけのバケツやおなべに、水を張った。♠**<水が引く>** **<水をかぶる>** 水が引くと、河口のあしの中に、水をかぶった鳥の巣が一つ残されていた。♠**<水を引く>** あのころ、たんぼに水を引くための堰[せき]の上を、はだしで渡って遊んだものだ。♠**<水がよどむ>** 家の前の小川は、浅い水がよどみなく流れ、底が透き通って見えます。♠**<水をたたえる>** 青い水をたたえたその淵[ふち]には、昔から伝わる伝説があった。♠**<水がぬるむ>** 春になると、川の水がぬるみ、自然の姿も優しくなる。♠**<水につかる>** 台風のため堤防[ていぼう]が決壊(けつかい)して、下流の三千戸が水につかった。♠**<水が出る>** 大雨で水が出たので、村の人々は高台へ避難しました。♠**<寝耳(ねみみ)に水(みず)>** 前触れの地震もなく、今度の噴火は全く寝耳に水だった。♠**<立て板に水>** ふだんは無口な水野君ですが、好きな映画のことになると、まるで立て板に水で、とうとうとまくしたてます。♠**<水と油>** あの二人は水と油、顔を合わす度にけんかをしている。♠**<水の滴(したた)るいい女>** みずみずしく美しい人のことを、水の滴るいい女などと言います。♠**<水をあける>** 前半はリードしていたのに、後半は追い越され、そのまま すっかり水をあけられてしまった。♠**<水(みず)が入(はい)る>** 横綱[よこづな]同士の一番は、たがいにまわしを引き合っての大ずもうとなり、やがて水が入った。♠**<水に流す>** 今までのことは水に流して、これからは、彼女と仲良くやっていこう。♠**<水を差す>** 先生はどうして、仲のいい二人に水を差すようなことを言うのだろう。♠**<水を打ったよう>** 投票の結果が発表されると、会場は、水を打ったように静かになった。♠**<水(みず)の泡(あわ)>** せっかくの苦心も、おまえの不注意で、水の泡になってしまったよ。♠**<水(みず)も漏(も)らさぬ>** 某国の元首が泊(と)まっているホテルには、水も漏らさぬ警備が敷かれている。♠**<水を向ける>** 絶対に人には言わないといったのに、あの男は仲間に水を向けられると、たちまち約束を破ってしまった。♠**<プロの水>** 高校を出てすぐに、レギュラーのポジションをとれると思ってるのか、プロの水はそんなに甘[あま]くないぞ。♠**<水清ければ魚(うお)すまず>** 「水清ければ魚すまず」というが、彼のようにまじめで厳格すぎると、かえって人に敬遠されてしまう。♠犬が来て水飲む音の夜寒[よさむ]かな(正岡子規) **みずあげ**【水揚げ】 〇積み荷を陸にあげること。漁獲物を陸にあげること。また、漁獲高。水商売などの売上高。水を吸い上げること。[文例]**<カツオの水揚げ>** 今年のカツオの水揚げは、去年についで多かったという。♠**<水揚げが増える>** **<水揚げが減る>** 海流の影響で今年のイワシの水揚げが減った。♠**<水揚げする>** 漁港には近海ばかりでなく、インド洋のような遠い海でとれた魚も水揚げされる。 **みすい**【未遂】 〇成し遂げられずに終わること。[文例]**<未遂[みすい]に終わる>** 金庫破りの計画が発覚し、犯行は未遂に終わった。♠**<自殺未遂[みすい]>** 女には自殺未遂の過去があった。♠**<殺人未遂[みすい]>** 裁判官は、強盗[ごうとう]・殺人未遂の罪に問われた被告人に、懲役[ちょうえき]十年の刑を言い渡しました。 **みずいらず**【水入らず】 〇身内だけで、他人がまじっていないこと。[文例]**<夫婦水入らず>** 土曜の夜は、夫婦水入らずで、近くのレストランで食事をします。♠**<一家水入らず>** 久しぶりに二日間の休みがとれたので、一家水入らずの休日を楽しみました。♠**<親子水入らず>** 毎年夏休みには、親子水入らずの旅行をすることにしている。 **みずうみ**【湖】 〇(「水海」の意)陸地にできた、広く水をたたえた所。[文例]**<湖のほとり>** 青い湖のほとりに、ひなぎくが咲き乱れていました。♠**<湖の岸辺>** ぼくたちは、朝早く小屋を出て、湖の岸辺を散歩した。♠みづうみの氷は解けてなほ寒し三日月の影波にうつろふ(島木赤彦) **みす・える**【見据える】 〇目をすえて見る。じっと見る。見定める。[文例]**<相手を見据える>** 剣を抜きはなった侍は、正眼[せいがん]に構(かま)え、相手を見据えて身動き一つしない。♠**<目を見据える>** じっと目を見据えた彼の表情を見れば、その話が本当であることがわかるだろう。♠**<前方を見据える>** 選手たちはスタートラインに手をつくと、緊張した表情で前方を見据えました。♠**<将来を見据える>** 自分の将来をしっかりと見据え、目標を見失うことなく前進しなさい。 **みずかけろん**【水掛け論】 〇双方が自分の言い分ばかり主張して結着しない議論。[文例]「おまえのせいだ。」「いいやきみが悪い。」などと水掛け論はやめて、後の始末を考えなさい。♠相手の立場を理解しようとしなければ、議論は水掛け論に陥りやすい。 **みすか・す**【見透かす】 〇すかして見る。見とおす。見抜く。見 <1070> **みずから【自ら】** ○自分自身。自分で。[文例]〈自らを犠牲にする〉親というものは、わが子のためには、自らを犠牲にすることもいといません。♠●へ自らが体験する〉難しく考えずに、作文は、自らが体験したことを、生き生きと書けばいいんだよ。♠●へ自らを戒[いまし]める>授業中、居眠りしてはいけないと自らを戒めて、一生懸命、黒板を見ていた。♠●へ自らの文化>江戸[えど]時代、士農工商の厳しい身分制度の中で、町人は経済力をつけ、自らの文化を作り出した。♠●へ自らの目で確かめる〉彼は、恩師の学説の正しさを、自らの目で確かめ、自らそれを証明しようと決心した。♠へ自らの命を絶[た]つ>青年期には、だれでも自己嫌悪[じこけんお]に陥[おちい]るものだが、それがあまり強いと、自らの命を絶つことすら起こりかねない。♠●へ自ら招[まね]く>彼女の場合は、自ら招いた不幸だから、同情の余地はないね。♠●〈自ら好んで〉彼を仕事上のパートナーにすることは、自ら好んで苦労を背負うようなものだと、彼女の友人たちは反対した。♠●〈社長自ら〉不況対策として、社長自ら、営業の第一線で陣頭[じんとう]指揮を取ることになった。♠天は自らを助くる者を助く〉「天は自らを助くる者を助く」というだろう。何事も自分の力でなしとげる努力をする者が、幸せになるんだよ。 **みずぎわ【水際】** ○陸地と水面の接している所。みぎわ。[文例]〈沼の水際〉この沼の水際に生い茂るあしの中には、よしきりが巣を作っています。♠●へ水際から飛び立つ〉川辺を散歩していると、水際からかわせみが矢のように飛び立った。♠◆水際立つ〉さすがにドラフト一位だけある、こんなに水際立ったいいプレーはめったに見られない。 **みずくさ・い【水臭い】** ○水っぽい。親しい仲なのに他人行儀だ。よそよそしい。[文例]今日のみそ汁は、少し水臭い。♠なんだきみのほうは合格していたのか、よかったね。黙っているなんて水臭いぞ。♠◆おれたちの仲じゃないか、水臭いことを言うなよ。 **みすご・す【見過ごす】** ○見落とす。見のがす。[文例]〈何げなく見過ごす〉ふだん、何げなく見過ごしている事物や動植物も、専門の研究者にとっては、知識の宝庫でしょう。♠●〈うっかり見過ごす〉どうやら駅名をうっかり見過ごし、乗り越したようだ。♠●〈過[あやま]ちを見過ごす〉他人の過ちはよく目につくが、自分の過ちは見過ごしがちだ。♠●へ危険を見過ごす〉天気がよく、低い山でもあったが、台風の接近という危険を見過ごしたのが遭難[そうなん]の原因だ。♠◆●〈みすみす見過ごす〉いくら親友だといっても、みすみす悪事を見過ごすわけにはいかない。 **みずしらず【見ず知らず】** ○全く知らないこと。[文例]〈見ず知らずの人〉道に迷って困っていたら、見ず知らずのおじさんが親切に駅まで連れていってくれました。♠●〈見ず知らずの土地>見ず知らずの土地でたった一人で生活を始めたのですから、苦労もしました。 **ミステリー** ○不思議。神秘。推理小説。怪奇小説。[文例]事実は小説より奇なり。この世には科学が解けないミステリーがいくらでも存在します。♠◆ヘミステリーが始まる〉この女が屋敷のどこに消えたか、ここからミステリーが始まる。♠◆ヘミステリーを読む>深夜までミステリーを読んでいて、ひとりでトイレへ行けなくなってしまった。 **みす・てる【見捨てる】** ○捨ててかえりみない。見はなす。[文例]〈兵士を見捨てる〉部隊は傷ついた兵士を見捨てて、進軍を続けた。♠●〈故郷を見捨てる〉故郷を見捨てて、若者は都会へと出ていく。♠●〈医者に見捨てられる>医者に見捨てられた病人が、おまじないで治るということは普通は考えられない。 **みすぼらし・い** ○貧弱でみっともない。[文例]〈みすぼらしい家〉道ばたには、窓ガラスが割れたり、壁のはげかかったみすぼらしい家が建っていた。♠●へみすぼらしい身なり〉心優しい夫人の同情を引こうとして、少年はわざとみすぼらしい身なりをしてみた。♠へみすぼらしく見える〉町の実力者におべんちゃらを使う先生が、その時ばかりはみすぼらしく見えた。 **みずまし【水増し】** ○水を加えて量を多くすること。数量を実際よりも多くすること。[文例]〈水増しする>募集人員は百人ですが、入学辞退者も何人かいると思われるので、十人水増しして百十人の合格者を発表しました。♠◆◇水増し請求>実際にかかった費用より少し多めに申告する水増し請求があとを絶ちません。 **みすみす【見す見す】** ○目の前にしていながら手出しできないさま。むざむざ。[文例]犯人を追いつめたのに、つまらない失敗でみすみす取り逃がしてしまった。♠●確かに忙しいが、このチャンスをみすみすのがす手はないよ。♠●外れるのが確実なのに、大金をかけてみすみす損をすることはな **みずみずし・い(瑞瑞しい)** ○新鮮で若々しい。生気があふれている。[文例]〈みずみずしい果物〉みずみずしい季節の果物が店頭いっぱいに並べられて、道行く人々の食欲をそそっている。♠へみずみずしい木々の緑>都会を離れ旅に出て、みずみずしい木々の緑に、身も心も洗われる思いがした。♠●へみずみずしい感覚>若者や、子供たちのみずみずしい感覚が世界を新しくしていく。♠●へみずみずしい心〉価値の高い文学作品から得られる感動を、十代のみずみずしい心で受け止めてほしい。♠◆少女のようにみずみずしい〉彼女は、いつ見ても少女のようにみずみずしく美しいが、いったい何歳なのだろうか。♠●へみずみずしく描く〉この作文には、中学二年生の微妙[びみょう]に揺れ動く心が、みずみずしく描かれている。 **みずもの【水物】** ○水分の多い食べ物。飲み物。その時の条件によって変わりやすい物事。[文例] <選挙は水物>選挙は水物だから、予想が外れることも多い。♠●〈勝負は水物>勝負は水物でやってみなければわからない。 <1071> **み・する【魅する】** ○不思議な力で人を引きつける。夢中にさせる。[文例]〈花に魅せられる〉少年は、植木職人の修業を積んでいるうちに、すっかり花に魅せられてしまった。♠●〈山に魅せられる〉山に魅せられた若者たちが、今年ももう何人か、山で命を落としている。♠へ演奏に魅せられる〉有名なピアニストの演奏に魅せられた聴衆[ちょうしゅう]は、終わっても、立ち上がろうとしなかった。 **みせ【店】** ○(「見せ棚」から)商品を売る所。商店。商売。[文例]〈店を開ける〉〈店を閉める>学校の前の文房具屋[ぶんぼうぐや]は、朝は七時に店を開け、夕方は六時に店を閉める。♠へ店を開く〉〈店を閉じる〉十年前にこの店を開きましたが、事情があって今月いっぱいで店を閉じることにしました。♠●へ店をしまう〉商売がいやになったので、店をしまって田舎へ帰ります。♠●〈店を出す〉おじさんは、浅草で食べ物の店を出していた。♠◆く店を張る〉〈店を畳む〉祖父は、プリキ屋の店を張っていたが、昭和の初めのひどい不景気で、店を畳んでしまったそうだ。♠●〈店を営む>両親が沖縄[おきなわ]から神戸[こうべ]へ出てきて、琉球[りゆうきゆう]料理の店を営んでもう三十年になる。♠●〈店をひやかす>温泉場の観光客目あての店は、おみやげを買う人、ひやかす客でにぎわっている。♠●〈店を構える〉長い間の苦労が実って念願の店を構えることができた。 **みせかけ【見せ掛け】** ○うわべ。外見。[文例]〈見せかけのやさしさ>男たちの見せかけのやさしさに、おじさんはすっかりだまされてしまった。♠●へ言葉が見せかけ〉あの人の感謝の言葉は見せかけだけ、心の中ではちっともありがたいと思っていない。 **みせさき【店先】** ○店の前。店頭。[文例]店先に車を止められたのでは、商売にさしつかえます。♠●〈店先に並ぶ>果物屋の店先に並んだ露地[ろじ]もののいちごが、初夏を感じさせてくれる。 **みせしめ【見せしめ】** ○他の人への戒[いまし]めの例として懲らしめたり罰したりすること。[文例]〈ほかへの見せしめ〉いたずらをした子を、ほかの生徒の見せしめのために、教室の後ろに立たせておいた。♠●へ見せしめになる〉酔っ払い運転に対する重い処罰は、ドライバーへのいい見せしめになったろう。♠●へ見せしめにする〉王は領民の見せしめにしようと、悪事を働いた男を町外れの木にしばりつけた。 **みせつける【見せ付ける】** ○わざと見せる。はっきりと示す。[文例]〈豊かさを見せつける〉イギリスに一年間滞在して、この国の豊かさを見せつけられる思いでした。♠●へ仲を見せつける〉婚約したばかりの二人に仲の良いところを見せつけられた。♠●〈力を見せつける〉今回のもめごとは、キャプテンの指導力を見せつける絶好の機会となった。 **みぜに【身銭】** ○自分のお金。自費。自腹。又例〈身銭を切る〉国の援助が得られないとわかると、博士は身銭を切って研究所を運営し続けた。 **みせば【見せ場】** ○特に人に見せたい場面。芝居などで役者が得意の芸を見せる場面。[文例]〈見せ場がある・ない〉このアクション映画にはいくつもの見せ場があり、一瞬[いっしゅん]たりとも目を離すことができない。♠●へ見せ場が近づく〉「勧進帳[かんじんちょう]」の舞台も大詰め、いよいよ弁慶[おおブ]が六方[べんけい]を踏む見せ場が近づいてきた。♠●く演技の見せ場〉ここが見せ場とばかり、彼女はウルトラCの技を繰り出した。 **みせびらか・す【見せびらかす】** ○得意そうに見せる。[文例]〈ランドセルを見せびらかす〉赤いランドセルを買ってもらった妹は、みんなに見せびらかしたくて、さっそく背負って表に飛び出しました。♠●〈答案を見せびらかす〉ぼくは、初めてとった百点の答案用紙を家族に見せびらかした。♠●〈大金を見せびらかす〉競馬でもうけたという大金を、男は見せびらかしていた。 **みせもの【見せ物】** (見世物)○珍しいものや曲芸などを見せる興行。多くの人に興味本位で見られること・もの。[文例]サーカスには、空中ぶらんこや動物の芸など、たくさんの見せ物がある。♠●へ〈見せ物がかかる〉昔の縁日[えんにち]には、お化け屋敷やろくろ首・へび女など、こわい見せ物がかかることもあった。♠●へ見せ物になる〉いきなり指名されて二曲も続けて歌わされ、まったくゆうべはいい見せ物になった。 **み・せる【見せる】** ○人に見えるようにする。あらわす。示す。わからせる。経験させる。診察してもらう。故意に・・・する。必ず・・・する。[文例]〈姿を見せる〉病気で休んでいた級友がひよっこり学校に姿を見せ、みんなを喜ばせた。♠へ顔を見せる〉すぐ近くまで来て、親に顔を見せないで帰るという法はあるまい。♠●へおとなしく見せる「ねこをかぶる」というのは、本性[ほんしょう]を隠[かく]して、うわべはおとなしく見せることだ。♠◆●〈態度を見せる〉かわいがっていた犬が死んだ時に見せた妹の態度は、意外に冷静だった。♠へ正体を見せる〉ヒマラヤの雪男は、足跡[あしあと]だけで、まだその正体を見せてはいない。♠●〈衰[おとろ]えを見せない〉地震[じしん]が始まって一年たっても、火山の活動は、なお衰えを見せていない。♠●へ食欲を見せる〉伸びざかりなのだろう、弟はすさまじいばかりの食欲を見せる。♠●〈油断・すきを見せない〉剣[りん]の達人[たつじん]は、決して油断もすきも見せないそうだ。♠●〈展開を見せる〉世界の情勢は、日々、多様な展開を見せて、興味深い。♠●へ敵に後ろを見せる〉大将ともあろう者が、ひきょうにも敵に後ろを見せるとは。♠●〈目にものを見せる〉あの態度はなんだ。今に見ていろ、目にものを見せてやるぞ。♠●へ痛い目を見せる〉口で言ってもわからないようなら、少し痛い目を見せてやるしかないな。♠◆〈見せる演技>彼女は、なかなか見せる演技をする女優だ。♠●〈医者に見せる〉あのころは貧乏だったから、医者にも見せず、かわいいわが子を死なせてしまった。♠●へ〜してみせる〉明日の試合には、きっと勝ってみせるぞ。 **みぜん【未然】** ○まだ起こっていないこと。又例〈未然に防ぐ>予防接種を受け、日本脳炎などの病気の感染を未然に防ぐ。♠●〈未然に食いとめる〉大水の心配があったので、川沿いに住む人々を避難[ひなん]させ、被害を未然に食いとめた。 **みそ(味噌)** ○大豆を蒸し、塩とこうじを入れて発酵させた調味料。また、それに似た物。得意に思う点。特色。汚点。[文例]お豆腐[とうふ]が浮いてきたら、みそを入れて、おみそ汁のできあがり。♠◆へかにのみそ〉かにの身の部分もおいしいけれ <1072> ど、みその味は格別だ。♠これは、使わない時は小さく折りたためて、じゃまにならないところがみそです。♠**<みそもくそも一緒>** きみは、いい物も悪い物も同じにあつかうんだもの、まったくみそもくそも一緒だな。♠**<みそを付ける>** 今回の不祥事[ふしようじ]で、今までの業績にみそを付けた。♠**<手前(てまえ)味噌(みそ)>** ほらね、わたしの勘はよく当たるんだからと、例によっておばは手前みそを並べていく。 **みそこな・う**【見損なう】 〇見る機会を逃す。見まちがえる。評価を誤る。[文例]**<映画を見損なう>** 期末テストのため、見たい映画を見損なって残念だった。♠**<番組を見損なう>** 時間を勘違いして、楽しみにしていたテレビ番組を見損なってしまった。♠**<標識を見損なう>** スピードをあげて走っていたので、道路標識を見損ない、交通違反を犯してしまった。♠**<人を見損なう>** あんなひどい事をするなんて、あの男を見損なっていた。♠**<見損なっては困る>** ぼくをそんな男だと思うのか? 見損なってもらっては困るよ。 **みそ・める**【見初める】 〇初めて見る。一目見て好きになる。[文例]若者は森で遊ぶ美しい少女を見初め、すぐに結婚を申し込みました。♠彼は、奥さんをアルバイト先で見初めたのだそうです。 **みぞ**【溝】 〇地面に掘った水路。細長いくぼみ。人と人を隔てるもの。[文例]**<溝[みぞ]を掘る>** 庭の花壇に、浅く細い溝を掘って、花の種をまいた。♠**<溝[みぞ]を跳[と]ぶ>** 溝を跳びそこねて、片足をつっこんだので、泥[どろ]だらけになってしまった。♠**<溝[みぞ]をつける>** この銃は、内部にら旋状の溝をつけて、弾丸[だんがん]に回転を与え、弾道[だんどう]のゆがみを防いでいる。♠**<敷居[しきい]の溝[みぞ]>** しばらく掃除をしなかったら、敷居の溝にほこりがたまってしまった。♠**<友人間の溝[みぞ]>** ちょっとした感情のゆき違いから、親友との間に、埋め難い溝ができてしまった。♠**<溝[みぞ]が深まる>** 子供のころから気が合わなかったが、兄弟の溝は、両親の死後、深まる一方だ。 **みぞう**【未曾有】 〇今までに例がないこと。[文例]**<みぞうの災害>** かつてない大型の台風がみぞうの災害をひき起こした。♠**<みぞうのかんばつ>** その年、みぞうの旱魃[かんばつ]に襲われた村では、作物が枯れ、村人は飢[う]えに苦[くる]しんだ。♠**<みぞうの国難(こくなん)>** 鎌倉[かまくら]時代(じだい)、二度にわたる元(げん)の襲来(しゆうらい)は、わが国にとって、みぞうの国難であった。 **みそぎ**【禊ぎ】 〇水を浴びて身を清め、けがれをはらうこと。[文例]**<みそぎをする>** 神主[かんぬし]は神事[しんじ]を行う前に、川でみそぎをしてから祭壇[さいだん]に向かった。♠**<みそぎが済む>** 再選された議員は、これで彼が引き起こした汚職事件のみそぎは済んだと言っています。 **みだしなみ**【身だしなみ・身嗜み】 〇身なりや態度などに関する心がけ。身につけておくべき技芸。[文例]姉のお見合いともなれば、いつになく父も身だしなみに気を使います。♠**<身だしなみがいい>** 服装や髪型など、身だしなみのいい人は他人に好印象を与えます。♠**<身だしなみを整える>** 入り口で身だしなみを整えると、新入社員はおもむろにドアをたたいた。 **みた・す**【満たす】 〇一杯にする。満足させる。[文例]**<水を満たす>** こぼれる寸前まで、コップに水を満たしていくと、水の表面がもりあがるのが分かる。♠**<腹を満たす>** 猛獣[もうじゅう]だって、自分の腹を満たす以外には生き物を殺さないという。♠**<心を満たす>** 何不自由ないくらしなのに、なぜか、心は満たされることがない。♠**<安らぎに満たされる>** 子うさぎに乳を与えながら、母うさぎは、深い安らぎに満たされている様子だった。♠**<欲望[よくぼう]を満たす>** 自分の欲望を満たすために手段を選ばない人間は、犯罪を犯すことになりやすい。♠**<要求を満たす>** 経営者は、従業員たちの賃上げの要求を満たすことができなかった。♠**<条件を満たす>** 6より大きくて、9より小さい整数、という条件を満たす数を言いなさい。 **みだ・す**【乱す】 〇乱れた状態にする。乱れさせる。[文例]**<髪を乱す>** 髪を乱した女が、目をつりあげて走って来る。♠**<心を乱す>** 彼に気持ちを打ち明けられて、わたしは心を乱しました。♠**<列を乱す>** 駅のホームで、乗車の列を乱して割り込もうとする人をときどき見かける。♠**<取り乱す>** 店の戸が勢いよく開くと、中から取り乱したおかみさんが駆け出して来た。 **みた・てる**【見立てる】 〇見て選ぶ。診断する。仮定する。[文例]**<洋服を見立てる>** ぼくの洋服は、すべてフィアンセが見立ててくれたものです。♠**<医者が見立てる>** 医者が見立てるには、わたしの病気は神経性胃炎ということだった。♠**<〜を〜に見立てる>** 着付けを勉強中なので、家では娘たちを客に見立てて練習をしております。 **みため**【見た目】 〇見た感じ。見た様子。外観。[文例]**<見た目が悪い>** この料理は、見た目は悪いが、味は最高だ。♠**<見た目が気難しい>** おじいちゃんは見た目は気難しそうだけど、本当はとてもやさしい人です。♠**<見た目に>** ゴールに向かって走る選手がばてていることは、見た目にもはっきりとわかった。 **みだら**【淫ら・猥ら】 〇いやらしいさま。ふしだらなさま。[文例]**<みだらなふるまい>** お酒が入ると、みだらなふるまいをする男性が多いので困ります。♠**<みだらな関係>** 家庭を持ちながら、あの二人はみだらな関係にあったようだ。 **みだりに**【妄りに・濫りに・猥りに・漫りに】 〇無分別に行動するさま。だらしのないさま。[文例]キノコには猛毒[もうどく]を持つものも多いので、みだりに口にしてはならない。♠ここは私有地ですから、関係者以外の人はみだりに立ち入らないでください。♠当人の迷惑[めいわく]を考えれば、みだりに人のうわさを流してはいけないことがわかります。 **みだれ**【乱れ】 〇乱れること。[文例]**<髪の乱れ>** 髪の乱れも気にせず、デッキで潮風を受けていました。♠**<服装の乱れ>** **<生活の乱れ>** 服装の乱れは、生活の乱れの表れでもあります。♠**<心の乱れ>** 彼女は心の乱れを他人に見せまいと、懸命だったように思います。♠**<世の中の乱れ>** 世の中の乱れの原因はわたしたち一人一人にあり、政治の腐敗にあるのではありません。 **みだれと・ぶ**【乱れ飛ぶ】 〇入り乱れて飛ぶ。[文例]**<コウモ <1073> **みだ・れる【乱れる】** ○まとまりがなくなる。ばらばらになる。秩序・規律が崩れる。悩む。[文例]〈髪[かみ]が乱れる〉姉は、せっかくセットした髪が風で乱れるのを気にしながら、デートに出かけた。♠●〈列が乱れる>急な坂にかかると、それまではそろっていた小学生の遠足の列が乱れ始めた。♠へ葉が乱れ散る〉秋になると、庭は、乱れ散った落ち葉で、足の踏み場もないほどだ。♠●へ守備が乱れる〉長いパスを通して、敵陣[てきじん]の守備が乱れたところを激[はげ]しく攻[せ]め込んだ。♠●へ宴[しゅくえん]が乱れる>祝宴は、夜に入っていよいよ乱れ、飲めや歌えの大騒ぎとなった。♠●〈言葉遣[ことばづか]いが乱れる〉最近は言葉遣いが乱れてきたという人がいる。♠●〈乱れた生活>失恋[しつれん]してからというもの、彼は酒におぼれ、乱れた生活をしているらしい。♠●〈心が千々[ちぢ]に乱れる〉戦場へ向かう夫を送る妻は、口には出さないけれど、心は千々に乱れていました。♠●〈風紀[ふうき]が乱れる〉ぼくの学校では、風紀が乱れないように、厳しい校則が定められた。♠●〈麻[あさ]のごとく乱れる〉世の中は麻のように乱れ、秩序のかけらも見いだせなかった。♠●へ一糸[いっし]乱れぬ〉軍隊じゃあるまいし、一糸乱れぬ行進なんていやだね。♠●<情報が乱れ飛ぶ〉人気タレントの結婚[けっこん]となると、いろいろな情報が乱れ飛んで、真偽[しん]の見分けがつかなくなる。♠●へ世の中が乱れる〉応仁[おうにん]の乱以後、群雄割拠[ぐんゆうかっきょ]して、世の中は乱れに乱れた。 **みち【道】** (略)○道路。道のり。途中。進路。人生。道徳。道理。手段。方法。宗教上の教え。専門とする方面。[文例]へ道を歩く〉中学時代、川べりの細い道を、毎日片道五キロ歩いて、学校に通った。♠●へ道に迷う〉山の中で日が暮れたが、北極星のおかげで道に迷わずに済んだという。♠●〈道が分かれる〉〈道を選ぶ>道が分かれている所へ来て、どの道を選ぼうかと見回すと、脇[わさ]に古い道標があった。♠●へ道を急ぐ〉日が落ち、辺りが暗くなってきたので、わたしは道を急いだ。♠●〈道をたどる〉がけっぷちの道をたどっていると、珍[めずら]しい鳥が頭をかすめて飛んだ。♠●へ絹[きぬ]の道>昔、中国とヨーロッパを結んだ絹の道は、タクラマカン砂漠[さぱく]を越える、砂漠の道であった。♠へ道が険[けわ]しい〉軽いハイキングのつもりで出かけたが、道が険しくて、すっかりへばった。♠<道行く人>学校へ行く道の途中[とちゅう]や駅前で、ボランティアの人たちが、道行く人々に募金を呼びかけている。♠●へ道を空ける〉もうすぐおみこしが通りますので、ご通行のみなさんは道を空けてください。♠●へ道をゆずる〉後ろから救急車がサイレンを鳴らしてやって来たので、車を端[はし]に寄せて道をゆずりました。♠●〈千里の道も一歩から「千里の道も一歩から」と言って、何事も身近なところから始めることだよ。♠●へすべての道はローマに通じる〉古代ローマは、アジア・アフリカ・ヨーロッパの中心として、すべての道はローマに通じる、とまで言われた。♠へ日暮れて道遠し〉日暮れて道遠しで、七十に近いわたしに研究はまだ半分も終わっていなかった。♠人生きていく道〉人が生きていく道でぶつかる、さまざまなできごとの中には、自分の力だけでは解決できないものもある。♠●〈悪の道〉あの子を、悪の道から救う方法は、本当にないものだろうか。♠●へ道を誤[あやま]る〉一生を棒[ぼう]に振[ふ]るという話も聞くから、若者が道を誤らないよう指導したいものだ。♠●へ道が開[ひら]ける〉努力をすれば、道はひとりでに開けるものだ。♠●〈遠い道〉人の一生は、重荷を背負って遠い道を行くようなものだ。♠●へ人を救う道〉なんとか彼を救う道はないかと、絶えず考えているが、なかなか有効な方法がない。♠●へ完成への道〉〈道が遠い>研究の第一段階は成功したが、完成への道は、まだはるかに遠い。♠●〈人の道〉いくら貧しくても、人の道にそむくことをしてはいけない。♠●〈道がない>警官に追いつめられた犯人には、川へ飛び込むしか、残された道はなかった。♠へその道〉きみは知らないかもしれないが、彼はその道では、ちょっと知られた人なんだ。♠◆◇最善の道>それが彼女のためにしてやれる最善の道だと思う。♠◆戦争への道>日本は、どうして戦争への道を歩んだのだろう?♠◆<医者の道〉〈道を説く>幕末の蘭学者[どくよつらんがくしゃ]、緒方洪庵[おがたこうあん]は、厳しく医者の道を説き、多くの優れた人材を育てました。♠◆≪学問の道〉〈道に志す>彼は、貧しい中で学問の道に志し、努力の末、世界的な数学者になった。♠〈道を修める〉文武の道を修め、立派な武士になることがおまえの務めじゃ。♠ヘ仏[ほとけ]の道〉この僧は、五歳の時に寺に預けられ、仏の道に入って八十年という。♠へ道をつける〉この実験は海水の淡水化[たんすいか]への道をつけただけで、まだまだ実用の段階には至っていません。♠●へどのみち〉いくら突っ張っていたって、どのみち、親に助けてもらうことになるだろうに。♠●やは肌のあつき血汐[しほ]にふれも見でさびしからずや道を説く君(与謝野晶子) **みち【未知】** ○まだ知られていないこと。まだ知らないこと。[文例]〈未知の分野>今までなぞとされている未知の分野の研究は、資料がないのでたいへんだ。♠●〈未知の地域>彼は、モンゴルからチベットまでの広い地域を探検し、未知の地域を世界に紹介[しょうかい]しました。♠●〈未知の世界〉この本には、未知の世界を発見した感動が描[えが]かれている。♠へ未知へのあこがれ>旅には解放感があり、未知へのあこがれがある。♠◆〈未知の種類〉これは、タイワンヤマネコやツシマヤマネコとはかなり違[ちが]った未知の種類のようだ。♠●〈未知の人>芭蕉[ばしょう]は、途中[とちゅう]で昔の知人[ちじん]に会い、未知の人と語り、名勝の地を訪[おとず]ねるなど、心ゆくまで自然と旅とを味わった。 **みちあふ・れる【満ちあふれる】** (満ち溢れる)○あふれそうなほどに満ちる。[文例]〈自信が満ちあふれる〉スタート台に立った選手の表情には、自信が満ちあふれていた。♠ヘ光が満ちあふれる>若いわたしの前途には光の満ちあふれた世界が広がっていた。♠◆へ喜びに満ちあふれる〉合格決定を知った彼女の顔は、喜びに満ちあふれていた。 **みぢか【身近】** ○自分に近いさま。自分とかかわりがあるさま。[文例]〈身近な人>両親や身近な人に戦争体験を聞き、 <1074> 文集にまとめることになった。♠●〈身近な生活>身近な生活を見つめて、強く心を動かされたことを作文に書いてみよう。♠●〈身近なところ〉身近なところにある小さな池や川などにも、調べてみると、古い伝説が伝わっていることがある。♠●〈身近にいる〉今も昔も、子供たちにとってよい遊び相手なのは、犬や猫[ねこ]など身近にいる動物たちだ。♠●〈身近に迫る>敵兵が身近に迫るのを察して、村人たちは、林の中に息をひそめた。♠●〈身近に感じる〉初めは取っつきにくかったが、中学時代の失敗談を聞いてから、急に先生が身近に感じられるようになった。 **みちが・える【見違える】** ○見まちがえる。見あやまる。[文例]〈人を見違える〉彼とは二十年来のつきあいなんだ、どんなに変装したって見違えるわけがないさ。♠●へ見違えるよう〉久しぶりに会ったいとこの友子ちゃんは、見違えるようにきれいになっていた。♠●〈見違えるほど〉弟は田舎のおばあちゃんの所で暮らすようになってから、見違えるほど元気になった。 **みちくさ【道草】** ○道ばたの草。寄り道などをして時間を費やすこと。[文例]〈道草を食う〉おつかいに出てもう二時間、あの子はいったいどこで道草を食っているのだろう。♠●<道草をする・道草する〉五時からピアノのレッスンがあるのだから、道草をしないでさっさと帰っていらっしゃい。 **みちしお【満ち潮】** ○満ちてくる潮。上げ潮。→引き潮[文例]〈満ち潮になる〉満ち潮になると海面が高くなって、この岩のすぐ下まで水がきます。♠●〈満ち潮と引き潮〉満ち潮のときと引き潮のときの砂浜の貝の行動を観察し、おもしろい発見をした。 **みちしるべ【道しるべ】** (道標・道導)○道案内の標識。導いてくれるもの。手引き。[文例]〈道しるべが立つ〉道が二またに分かれている所には道しるべが立っており、村の方向を示していた。♠<道しるべとする〉狩人[かりゅうど]は森の中を歩きながら木の枝を折って、帰りの道しるべとした。♠●へ人生の道しるべ〉苦しいとき悲しいとき心に迷いのあるときに、聖書を人生の道しるべとしてきました。 **みちすう【未知数】** ○方程式で値の分かっていない数。将来の予測がつかないこと。[文例]〈実力が未知数>彼は新人で、その実力は未知数ですから、どれだけの仕事をするかはわかりません。 **みちすがら【道すがら】** ○道を歩きながら。道々。[文例]その日帰宅する道すがら、果物屋さんの店先で小川先生を見かけました。♠●とぼとぼ歩きながら、道すがらあれこれ考えたが、いい考えは浮かばない。 **みちすじ【道筋】** ○通り道。すじみち。[文例]〈道筋をたどる〉家へ帰ると、ぼくは地図を広げて、その日歩いた道筋をたどった。♠ヘパレードの道筋〉パレードの道筋に当たるところでは、見物客が二時間も前から待っていた。♠●へ結論に至る道筋〉きみが出した結論の、そこに至る道筋を知りたいんだ。 **みちた・りる【満ち足りる】** ○十分に満足している。[文例]〈満ち足りた生活>優しい夫と元気な子供たちに囲まれて、満ち足りた生活を送っています。♠●〈満ち足りた時間>四年間という長くはない大学生活ですから、きみの努力によって満ち足りた時間を作ってほしい。♠●〈満ち足りた表情>敗れたとはいえ、挑戦者は力いっぱい戦ったという満ち足りた表情をしていた。 **みちづれ【道連れ】** ○一緒に行くこと。一緒に行く人。[文例]〈旅は道連れ>旅は道連れという言葉もあるように、旅行は同行者がいたほうがいい場合もある。♠●〈道連れができる〉一人旅で心細くなっていたわたしは、いい道連れができたと内心喜んでいた。♠●へ道連れにする〉小さな子を道連れにして死ななければならないほど、この女は追いつめられていたのか。 **みちのり【道のり】** (道程)○道の距離。道程。又例〈道のりがある〉そのバス停から駅までは、かなりの道のりがあった。♠●へ遠い道のり〉彼はわずか五歳で、両親に連れられて、この遠い道のりを歩き通したのです。♠●〈長い道のり〉父が実業家として成功するまでには、長く苦しい道のりがあったのだ。 **みちばた【道端】** ○道のはし。道のかたわら。[文例]ふと見ると、道端にお地蔵様が立っていました。♠へ道端に捨てる>道端に子供用の自転車が捨てられてあるのが、なんともあわれである。♠〈道端にすわる〉疲れはてたわたしたちは、へなへなと道端にすわり込んでしまった。 **みちびき【導き】** ○導くこと。[文例]〈神の導き〉ここでお会いできたのは、本当に神のお導きです。♠●〈先生の導き〉わたしは先生の温かい導きのおかげで、今日まで来られたのです。♠●へ導きがある・ない〉あなたの導きがなければ、ぼくはまったく違った道を歩んでいたことだろう。 **みちびく【導く】** ○案内する。誘導する。指導する。至り着かせる。[文例]〈客を席へ導く〉ボーイたちが客をそれぞれの席へ導き終えると、華[はな]やかなパーティーが始まった。♠へ案内人に導かれる〉いろいろな国から来た観光客たちが、案内人に導かれて、名所旧跡を見物している。♠◆◇川の水を導く〉この地方では、増水した川の水を、遊水池へ導くようになってから、洪水[こうずい]が減った。♠●ヘパイプで導く>砂漠[さばく]の中を、パイプで石油を港まで導いて、輸出している国がある。♠◆〈先生が生徒を導く>先生が生徒を教え、導くことは、生徒が考える以上の努力と忍耐[にんたい]と力量がいるのだ。♠●へ後進を導く〉オリンピック選手として活躍[かつやく]した彼は、引退後、後進を導き、育てることに全力を尽くしている。♠●へ成功に導く〉彼は、友人と始めたささやかな事業を成功に導き、今や押しも押されもせぬ実業家だ。♠◆〈解決に導く>早くその問題を解決に導かないと・・・・・・まだ後に、難問が残っているんだ。♠●<破滅[はめつ]に導く>愚[おろ]かな君主につけ込む悪い側近がいて、国を破滅に導いた例は珍[めずら]しくない。 **みちみち【道道】** ○道を通りながら。道すがら。[文例]〈道々~する>母が道々教えてくれた、帽子屋のおもしろい看板[かんばん]が、電灯の光に浮きだして見えた。♠●へ通る道々>親切なタクシーの運転手は、通る道々、その地方の名所を教えてくれた。 <1075> **み・ちる【満ちる】** ○いっぱいになる。あふれるほどになる。期限になる。完全な形になる。[文例]〈潮が満ちる>浅瀬につながれた小舟は、潮が満ちてくると、ゆったりと浮かん だ。●へ月が満ちる〉真ん丸に満ちた十五夜の月がのぼり、静かに下界を照らしています。●へ月が満ちる〉姉はぶじに月が満ち、元気な男の子を生みました。●〈光が満ちる〉かぐや姫[ひめ]は、姿形[すがたかたち]が輝[かがや]くばかりに美しく、辺りに光が満ちるようだったことから、名づけられました。●く威厳[いげん]に満ちる〉将来について相談したときの父は、ふだんの優しい父と違って、威厳に満ちていた。●〈夢・希望に満ちる〉海外への夢と希望に満ちた若者たちをのせた船は、港を離れ、太平洋に出ました。●く活気に満ちる>早朝の魚河岸[うおがし]は、大勢の魚屋さん[や]が買い出しにきて、活気に満ちている。●〈香[かおり]りに満ちる〉〈満ち満ちる〉花[はな]の香りに満ちた公園の夕暮[ゆうぐ]れは、若者たちの優しいさざめきで満ち満ちます。●〈喜びに満ちる〉入学式の日には、喜びに満ちた若い顔[かお]が校庭にあふれます。●<好奇心[こうきしん]に満ちる〉幼い子供は、好奇心に満ちたひとみを輝[かがや]かせて、「どうして? なぜ?」を連発します。●へなぞに満ちる〉あの老人の半生は、なぞに満ちていて、だれも身元や正確な名前を知らない。●ヘスリルに満ちる〉この小説は、あきれるばかりのいたずらっ子が、スリルに満ちた冒険[ぼうけん]をする話だ。●不安に満ちる〉第二次世界大戦直前は、何も知らない子供たちを除いて、世の中が不安に満ちていた。●〈迫害[はくがい]・苦悩[くのう]・受難[じゅなん]に満ちる〉江戸時代のキリスト教徒の迫害と苦悩と受難に満ちた生活は、暗い歴史の一面を考えさせる。 **みつ(蜜)** ○花から出る甘い液体。はちみつ。砂糖を溶かして煮つめた液体。[文例]〈甘いみつ〉ミツバチは花々を飛び回って、甘いみつを集めてきます。●へみつを吸う〉チョウの口は、花のみつを吸うときにはストローのようにまっすぐ伸びる。●へみつをかける〉みつ豆にみつをたっぷりかけて、さあ、いただきます。 **みつ【密】** ○すきまがないさま。頻繁[ひんぱん]なさま。密接。綿密。秘密。[文例]雨は依然として、長く、密に、物に音を立てて降った。(夏目漱石「それから」) ◆〈回数が密>冬場になると古傷が痛み出し、通院の回数は密になっていった。●へ連絡を密にする〉お互いが連絡を密にして、情報を交換し合いましょう。●へはかりごとは密[みつ]なるをもってよしとする〉はかりごとは密なるをもってよしとする、この場で話し合ったことは他言無用だぞ。●〈密輸入〉国際的に保護が義務づけられている鳥獣を密輸入する業者がいる。 **みっか【三日】** ○月の三番目の日。三日間。極めて少ない日数。[文例]〈三日にあげず〉三日にあげず店に飲みに来てくれた島ちゃんが、病気でもしたのだろうか、このところ顔を見せない。●ヘ三日坊主[ぼうず]〉今年も元旦[がんたん]から日記をつけ始めたけれど、どうせ三日坊主だろうな。●ヘ三日天下[てんか]〉本能寺[ほんのうじ]に信長[のぶなが]を倒した明智光秀[あけちみつひで]もすぐ山崎[やまさき]の合戦[かっせん]で秀吉[ひでよし]に敗れ、まさに三日天下だった。●犬は三日飼えば三年恩を忘れず、猫は三年の恩を三日で忘れる。(ことわざ) ●〈三日見ぬ間の桜〉花の散るのは早いね、三日見ぬ間の桜かな、だね。●〈春に三日の晴れなし>春に三日の晴れなしといって、春は天候の変わりやすい季節です。 **みっかい【密会】** ○ひそかに会うこと。しのびあい。[文例]〈密会を重ねる〉スパイがこの公園で、情報を交換するために密会を重ねていたようです。●〈密会する>探偵[たんてい]の差し出した写真には、密会する二人の男女の姿が写っていた。 **みっかぼうず【三日坊主】** ○すぐに飽きてしまって長続きしないこと・人。[文例]何度も禁煙を試みているが、三日坊主で長続きしたためしがない。●ヘ三日坊主になる〉肥満解消のためにジョギングを始めました。三日坊主にならないといいのだけれど。●〈三日坊主で終わる〉好きで通い出した水泳教室だから、三日坊主で終わるということはないでしょう。 **みつか・る【見付かる】** ○見つけられる。発見される。見つけることができる。[文例]〈先生に見つかる〉黒板にいたずら書きをしていたら、先生に見つかってしまった。◆◇泥棒[どろぼう]が見つかる〉ある夜のこと、すいか泥棒は、とうとう村人に見つかってしまった。へ動物が見つかる〉天然記念物イリオモテヤマネコの子ネコらしい動物が見つかり、保護された。●〈犯人[はんにん]が見つかる〉自動車を盗んだ犯人が見つかった。●〈仕事が見つかる〉不景気で仕事が見つからず、兄は、このところぶらぶらしている。 **みつ・ぐ【貢ぐ】** ○献上する。金品を差し出す。金品を与え、生活を助ける。[文例]〈金品を貢ぐ〉権力者にせっせと金品を貢いで、自分の立場を有利なようにはかる人もいる。≪朝廷[ちょうてい]に貢ぐ>朝廷に貢ぐ品物は、その地方の特産物が多かった。●〈他人に貢ぐ〉他人に何かを貢ごうとする背景には、それぞれ何らかの下心[したごころ]があるものだ。●〈女が男に貢ぐ〉立派な法律家にしようと、女は男に貢ぐのであった。 **みつくろ・う【見繕う】** ○品物などを適当に選んで用意する。[文例]〈さかなを見繕う〉スーパーで父の酒のさかなを見繕ってきました。●〈料理を見繕う〉何でもかまいません、板前さん、五、六品適当に見繕って出してください。 **みつ・ける【見付ける】** ○見いだす。発見する。見慣れる。[文例]美しいちょうを見つけると、特別にめずらしいのでなくてもほしくなる。◆土地不案内のために、目的の家をなかなか見つけることができなかった。●都[みやこ]に着いた旅人は、最初に見つけた宿屋に入った。◆彼女は人ごみの中に彼がいるのを見つけて、声をかけた。●〈暇[ひま]を見つける>午後、やっと暇を見つけてぶらっと散歩に出てみた。へ見つけた風景〉窓を開けると、いつも見つけている風景ではなく、白一色[しろいっしょく]の銀世界が広がっていた。 **みっこう【密航】** ○隠れてひそかに渡航[とこう]すること。[文例]〈密航を企[くわだ]てる>幕末の尊王論者[そんのうろんしゃ]である吉田松陰[よしだしょういん]は、ペリーの来航の際に密航を企てたという。◆へ密航する>船底[さんびん]に潜[ひそ]んで、アメリカに密航しようとしていた男が船員に見つかった。 <1076> **みっこく** 【密告】 ○ひそかに告げ知らせること。[文例] 社内で不正が行われていることが、内部の者の密告で明らかになった。♠●へ密告する〉仲間から潜伏[せんぷく]場所を密告され、犯人は簡単に捕[つか]まった。♠●〈密告者〉当局は賞金を出して、密告者があらわれるのを待った。 **みっしつ**【密室】 ○密閉されていて出入りのできない部屋。秘密の部屋。[文例] 強奪[ごうだつ]した金は、地下の密室に隠されていた。♠◆政治が国民不在の密室で行われているとしたら問題です。 **みっしゅう**【密集】 ○すきまなくびっしりつまっていること。[文例] 〈人家が密集する〉人家の密集した都会では、火事などの被害[ひがい]が心配です。♠●〈人口が密集する〉こう人口が密集してくると、どこか山の奥[おく]へでもにげだしたくなるね。♠◆◇明かりが密集する〉ビルの屋上から眺[なが]めると、明かりが異様に密集している所があるが、多分、駅前の繁華街[はんかがい]だろう。♠◆◇密集地帯〉高度成長にともなって、工場の密集地帯では、騒音[そうおん]・振動[しんどう]・大気や水の汚染[おせん]などが問題化した。 **みっせい** 【密生】 ○すきまなくびっしりと生えること。[文例] 〈密生する〉川原の岩には苔[こけ]が密生していて、すべりやすかった。♠へ密生する〉この地域の湿原には、珍しい植物が密生する。 **みっせつ**【密接】 ○ぴったりとついていること。非常に深くかかわっているさま。[文例] 〈密接にかかわる〉健康は、睡眠や栄養と密接にかかわっている。♠●<密接に結びつく〉北国の人々にとって、雪は、生活と密接に結びついている。♠◆〈密接な関係>日本とアメリカは、政治的にも経済的にも密接な関係をもっている。♠●へ密接なつながり〉友達とのつながりは、密接であればあるほど、維持していくためには、細心の注意が必要だ。 **みっちゃく**【密着】 ○ぴったりとくっつくこと。写真の密着印画。[文例] 〈肌に密着する〉汗[あせ]をかいたら、シャツが肌[はだ]に密着して、気持ちが悪い。♠●へ生活に密着する〉彼は、優れた陶芸家[とうげいか]だが、生活に密着した地味な作品を作り続けている。♠◆<密着取材>雑誌やテレビの記者やカメラマンが、事件の渦中[かちゆう]の人に、密着取材をしている。 **みっちり** ○十分に行うさま。[文例] この夏休みは苦手の数学を克服[こくふく]するために、一日五時間みっちり勉強しました。♠●毎日みっちり練習したんだから、実力がつくはずだ。♠ひどいいたずらをしたぼくは、父からみっちりお説教された。 **みつど**【密度】 ○粗密の度合い。内容の充実の度合い。物質の単位体積当たりの質量。[文例] 〈人口密度〉〈密度が高い〉日本やヨーロッパのように、人口密度が高い国では、土地の利用が進んでいる。♠●〈密度が濃い〉この作家の作品は、内容的にいって密度の濃いものが多い。♠●〈交際の密度>交際の密度を深めるために、折あるごとに、連絡[れんらく]をとりあうようにしている。♠●へ密度の高い本〉この本は、短歌の鑑賞法[かんしよう]をやさしく説き、密度の高い短歌入門書になっている。 **みつどもえ**【三つどもえ】(三つ巴) ○三つのともえが組み合わさった模様。三つのものが入り乱れること。[文例] 〈三つどもえの戦い三世紀の中ごろ、中国では魏[ぎ]・呉[ご]・蜀[しよく]の三国が、三つどもえの戦いを繰り広げていました。♠◆ヘ三つどもえの混戦〉三つどもえの混戦からどのチームが抜け出すか、予測がつかない。 **みっともな・い** ○見苦しい。体裁が悪くて恥ずかしい。[文例] 〈みっともないまね〉お父さん、いい年をしてみっともないまねはやめてちょうだい。♠●へみっともない服装〉そんなみっともない服装で外へ出るのはよしなさい。♠●へみっともなく太る〉中年になってみっともなく太ってしまった。 **みっぺい**【密閉】 ○すきまがないようにぴったりと閉じること。[文例] )〈密閉する〉密閉した室内で、ストーブをつけっ放しにするのは危険です。♠●へ密閉する>箱のふたはテープで密閉してあった。 **みつ・める**【見詰める】 ○じっと見る。観察する。追究する。ことがら[文例] 〈物を見つめる〉妹は欲しそうに、店頭のいちごを見つめている。♠◆ヘじっと見つめる〉夢の中で、亡き母がじっとぽくを見つめ、何か言いたげだった。♠へひとつところを見つめる二人ともまっすぐに立って、ひとつところを見つめている。♠へぼうぜんと見つめる〉兵士たちはほとんど戦う気力もうせて、ただぼうぜんと宙を見つめていた。♠◆人周りを見つめる〉周りの生物をよく見つめて、まとまりのある観察記録を書こう。♠●〈日常的な事柄を見つめる〉ごく日常的な事柄を取り上げ、それをしっかりと見つめて書いているところにこの文章の特色がある。♠●へするどく見つめる〉自然の姿をするどく見つめ、自然と人間とのかかわりについて、考えを深めよう。♠●へ事実を見つめる〉事実を見つめ、発見された問題と自分たちの生活とのかかわりを深く考える。 **みつもり**【見積もり】 ○見積もること。ざっと計算すること。[文例] 〈費用の見積もり〉〈見積もりを出す〉わが家の増築について、大工さんにたのんで、費用の見積もりを出してもらった。♠●へ見積もりをする〉今、ふろ場の修繕[しゅうぜん]の見積もりをしているところです。♠●へ見積もりを上回る>雨で工事ができなかったりして、経費は見積もりをおおはばに上回ってしまった。♠●へ見積もりを取る工事をする場合には、費用や日数などについて、業者から見積もりを取ることが常識になっている。♠●〈見積もりをまちがう〉生地の見積もりをまちがったため、最後に一枚分余ってしまった。 **みつも・る**【見積もる】 ○目分量ではかる。前もってだいたいの計算をする。[文例] )〈費用を見積もる〉夏の旅行の計画を立て、費用を見積もりました。♠へ経費を見積もる〉店を改装する経費を業者に見積もってもらった。♠●へ数を見積もる〉入場者数は、少なく見積もっても四万人は下らないだろう。 **みつやく**【密約】 ○秘密の約束。[文例] 〈密約ができる〉二人の間に、協力してわたしたちをしりぞけようという密約が <1077> できていた。♠●〈密約がある>両者の間にはもうけを山分けするという密約があった。♠●へ密約を交わす〉彼がその事業に積極的に協力したのは、利益の一部を受け取るという密約を取り交わしていたからだ。 **みつゆ**【密輸】 ○法を犯して、ひそかに輸出入すること。[文例] 〈密輸する〉かばんの底に隠して、麻薬を密輸しようとしたらしい。♠密輸品〉スイス製の高級時計にそっくりな東南アジア方面からの密輸品が、市場に大量に出まわっている。 **みてい**【未定】 ○まだ決まっていないこと。[文例] 〈日時が未定〉公演の日時は未定ですが、決まり次第お知らせします。♠◆<実施が未定>新しい入試制度の実施が何年度になるかは未定です。 **みてくれ**【見てくれ】(見て呉れ) ○(「さあ、見てくれ。」の意から)見た目。外見。[文例] 人は見てくれではなく、中身で勝負するべきだ。♠●〈見てくれがよい・悪い〉このみかん、見てくれは悪いけれど、とてもおいしいんだよ。♠●へ見てくれが変わる〉パッケージが新しくなって見てくれは変わったが、商品の中身はまったく同じものだった。 **みてと・る**【見て取る】 ○見て、それと知る。見て察する。見抜く。[文例] 〈状況を見て取る〉風の強さと火の勢いをすばやく見て取り、逃げ道を決定した。♠●〈人間性を見て取る〉ちょっとした言葉の端[はし]からでも、その人の人間性を見て取ることはできる。♠●へ一瞬[いっしゅん]を見て取る〉作者は、鳥の羽の一瞬の静止を見て取り、それを歌によみ込んだのである。 **みとおし** 【見通し】 ○見通すこと。展望。予測。見続けること。[文例] 〈見通しがよい・悪い〉道は曲がって見通しが悪く、草も伸びほうだいだった。♠●へ見通しがきく〉飛行場の中央部は夜のとばりに包まれて、見通しがきかない。♠●〈見通しを妨[さまた]げる>街路樹[がいろじゅ]の枝[えだ]が茂[しげ]り過ぎていて、交差点の見通しを妨げていた。♠●へ見通しをもつ〉就職先が決まり、やっと将来に対する見通しがもてるようになった。♠●へ見通しが立つ〉一家三人で一生懸命[けんめい]働いたので、なんとか借金を返済する見通しが立つようになった。♠●〈見通しが明るい。暗い>店の売り上げがこのまま伸びるようなら、今後の見通しも明るい。♠●〈お見通し>先生には、だれがうそをついていて、だれが正直に言っているのか、ちゃんとお見通しだ。♠●よっぽど、気に入ったんだね、あの子。さっきからあのコートを見通しだ。 **みとお・す**【見通す】 ○遠くの方まで見る。展望する。予測する。見ぬく。見続ける。[文例] 〈向こうを見通す>冬になると木々の間がすけて、向こうの池を見通すことができる。♠●〈底を見通す〉昔[むかし]はきれいだった川も、最近は汚れ[よご]がひどく、浅瀬[あさせ]の底も見通すことができません。♠●へ全体を見通す〉最初に、計画の全体を見通しておこう。♠●へ将来を見通す>目先のことにとらわれずに、将来を見通す必要がある。♠●へ心を見通す〉おじいさんに見つめられると、心の中まで見通されているような気がした。♠●へ終わりまで見通す>深夜のテニスの試合の実況中継を終わりまで見通した。 **みとが・める**【見とがめる】(見咎める) ○見て怪しく思う。見て非難する。[文例] 泥棒[どろぼう]は、付近の住人に見とがめられると、一目散[いちもくさん]に逃げていったという。♠●仕事中漫画を読んでいるところを課長に見とがめられ、平謝[ひらあやま]りに謝りました。 **みどく**【味読】 ○よく味わって読むこと。[文例] 〈味読する〉これと思う本はじっくり味読すれば、そこから得るものは多いでしょう。 **みどころ**【見所】 ○見る価値のある所。将来性。[例<季節の見どころ〉日本の詩歌には、春・夏・秋・冬、それぞれの季節の見どころをうたっているものが多い。♠●〈芝居[しばい]の見どころ>芝居の見どころを、前もって祖母に教えてもらったので、いっそう興味が深まった。♠●へ見どころがある〉彼は、なかなか見どころがあるから、できたら娘のむこにしたいものだ。♠●へ見どころのある少年〉昔から見どころのある少年だと思っていたが、案の定、実業家として成功した。 **みとど・ける**【見届ける】 ○最後まで見て確認する。[文例] 〈安全を見届ける〉川の水がひいた後、堤防[ていぼう]の安全を見届けてから、うちへ帰ってきた。♠●〈正体を見届ける〉夜中に三人で出かけて行って、幽霊[ゆうれい]の正体を見届けようということになった。♠へ死を見届ける〉姉の死を見届けた妹もそれから数日たって、姉と同じような衰弱死[すいじゃくし]をとげた。♠◆へ〜するのを見届ける>子供が一人前になるのを見届けなければ、死んでも死にきれない。 **みと・める**【認める】 ○存在に気がつく。高く評価する。受け入れる。判断する。許可する。[文例] )〈難破船を認める>荒[あ]れ狂[くる]う海上を見渡[みわた]したわたしは、はるかの沖合いに一そうの難破船を認めた。♠●〈人を認める〉わたしは玄関[げんかん]に彼を認めて、中に招き入れた。♠●〈才能を認める〉わたしは、音楽家としての彼の才能を認めている。♠●〈失敗を認める〉彼らの考え方によれば、自分の失敗を認めることは敗北を意味する。♠●〈世に認められるアイヌ語研究を始めてから二十年、ようやくその業績が世に認められてきた。♠●〈有効と認める〉十二日までに提出するのが原則だが、ただし、十二日の消印は有効と認める。♠◆〈必要と認める〉仕事上必要と認められたものは、会社のお金で買うことができる。♠●へ原則として認めない>当校では、原則として自転車通学を認めていない。 **みどり**【緑】(翠) ○草木の葉の色。グリーン。草木のある自然。[文例] 〈緑が多いこの辺は、都会にしてはまだ緑が多く残っている。♠●へ緑がある〉昔は、町のいたる所にあった緑も、今はもう少なくなってしまいました。♠●へ緑が失われる〉山林の樹木を乱伐[らんばつ]すると、自然の緑が失われるばかりでなく、水害や土砂[どしゃ]くずれをひき起こすことにもなる。♠●へ緑の季節>風薫る初夏、光に満ちた緑の季節だ。♠●へ草木の緑〉五月雨[さみだれ]にぬれると、庭の草木の緑がひときわ鮮やかになる。♠◆<緑の黒髪[かみ]>娘は、そのつややかな緑の黒髪を、ひそかに自慢に思っておりました。♠●美しき緑走れり夏料理(星野立子) **みと・る**【見取る】(看取る) ○見て理解する。見て写し取る。看病する。[文例] )〈すばやく見取る〉オリエンテーリングで <1078> 大切なことは、すばやく指示を見取ることである。♠◆へ正確に見取る>石こうのデッサンでは、陰影[いんえい]を正確に見取るようにすると、立体感のある作品ができあがる。♠●へ人にみとられる〉入院中の級友が、今朝早く、お母さんにみとられてなくなりました。♠●〈最期[さいご]をみとる>海外に出かけていたので、父の最期をみとることはできなかった。 **みと・れる**【見とれる】(見蕩れる・見惚れる) ○うっとりと見つめる。[文例] 〈美しさに見とれる〉漁師たちは、波静かな夜の海面で、月の美しさに見とれていた。♠●ヘ夕焼けに見とれる〉あまりにも夕焼けがきれいだったので、つい立ち止まって見とれてしまった。♠●ヘうっとりと見とれる〉軽快なリズムにのってかろやかに舞う少女たちの姿に、観衆はうっとりと見とれていた。♠●へ顔に見とれる〉よどみなく実にわかりやすい説明に、わたしは係員の顔に見とれてしまった。 **みな**【皆】 ○全員。全部。みんな。[文例] 皆が見ている中で、おばあさんに席をゆずるのは、ちょっと勇気のいることだった。♠●わたしの提案に、町内の皆さんが賛成してくれました。♠●〈みながみな〉きみの言うことのみながみな真実であるとは思えない。 **みなお・す**【見直す】 ○改めて、見る。再検討する。改めて良さを評価する。[文例] 〈材料を見直す〉作文の材料を見直し、主題として訴[うつた]えたいことをはっきりさせよう。♠●へ良さを見直す>最近になって、木の良さをもう一度見直そうという動きが出てきた。♠●〈仕事を見直す〉牧場で牛馬の世話をする仕事も最近では、見直されるようになってきた。♠へ政策を見直す〉特定の国を敵視する外交政策は、見直したほうがよいという世論の声が大きい。♠●へ人を見直す〉ただの弱虫だと思っていたら、なかなか根性のある少年なので、見直した。 **みなぎ・る**(漲る) ○満ちあふれる。[文例] 〈水がみなぎる〉水は川いっぱいにみなぎって流れ落ち、滝[たき]のような音をたてていた。♠◆ヘ力がみなぎる〉わたしが体に力をみなぎらせると、相手はそれに反応して、すうっと受け身に構えた。♠〈意志がみなぎる〉彼らの間には、必ず再会できるという確信と、必ず再会しようという意志がみなぎっている。♠●へ青春の血潮[ちしお]がみなぎる〉夏の甲子園[こうしえん]には、青春の血潮がみなぎっている。♠●へ闘志[とうし]がみなぎる〉画面にアップになった選手の表情には、闘志がみなぎっていた。♠●〈活気[かつ]気がみなぎる〉早朝の魚市場には、一面に活気がみなぎっている。 **みな・す**【見なす】(見做す) ○そうと判定する。仮にそうと考える。[文例] へ~を~と見なす〉日本人には、自然を人間と対立するものと見なす思想は生まれなかった。♠●へ欠席と見なす>個人的な理由で時間に遅れる場合には、欠席と見なします。♠●へ証拠[しょうこ]不十分と見なす〉容疑者は証拠不十分と見なして、今朝釈放[しやくほう]しました。 **みなと** 【港】 ○船が安全に停泊できるような設備を整えた所。[文例] 〈港のある町〉わたしは、港のある町に生まれ、朝[あした]に夕に船をながめ、潮[しお]の香りをかいで育ちました。♠●へ港の見える丘[おか]>夕方、犬を連れて、町の背後にある港の見える丘に登るのが日課だ。♠●〈港を船出[ふなで]する〉キリシタン大名の命を受けた四人の少年使節が、長崎[ながさき]の港を船出し、ローマへ向かった。♠●へ港へ帰る〉マゼランの船は、世界で初めて地球を一周し、祖国の港へ帰ってきた。♠●〈港に避難[ひなん]する〉台風を避けて、たくさんの船がぞくぞくと、港に避難してきた。♠●〈港が栄[さか]える〉〈港がさびれる〉昔、この港は、中国貿易[ぼうえき]の根拠地として栄えたが、今は見るかげもなくさびれている。♠●〈港がにぎわう〉大漁旗を立てて漁船の一団が帰ってくると、港は一度ににぎわいます。 **みなみ**【南】 ○南極の方角。南風。[文例] 〈北から南へ〉大きな川が市の真ん中を、北から南へ流れている。♠●〈南に下[くだ]る〉わたしたちの部隊は、命令が下り次第、南に下らねばならない。♠●〈南の国>南の国で生まれ育った少年は、雪を見て目をまるくした。 **みなも**(水面) ○水の表面。水面。[文例] 風が吹き始めて、静かなみなもにさざなみが立った。♠●アカトンボがみなもをすれすれに飛んでいる。 **みなもと**【源】 ○川の流れのもと。水源。物事の起こり。[文例] 〈源を発する〉北上川[きたかみがわ]は、岩手県北部の山地に源を発し、宮城県[みやぎけん]にぬけて、仙台湾石巻港[せんだいわんいしのまきこう]に注いでいる。♠◆◇日本文学の源〉『万葉集』は、短歌の源流であるばかりでなく、日本文学全体の源でもある。♠へ笑いの源〉〈源をさぐる〉古めかしい演劇だと思われている狂言から、日本人の笑いの源をさぐっていこう。♠◆〈源を訪[たず]ねる〉世界の文明の源を訪ねれば、必ず肥沃[ひよく]な川の流域に達する。 **みならい** 【見習い】 ○見習うこと。業務を実地に習うこと。また、その人。[文例] 〈大工の見習い〉〈見習いをする〉青年は、大工の見習いをしながら生計を立てていた。♠へ見習い社員>見習い社員も一か月たつと、背広姿がすっかり板についた感じになります。♠◆〈見習い期間〉三か月の見習い期間が過ぎ、わたしは今月から正社員扱いになる。♠●へ看護婦[かんごふ]見習い>病気で苦しむ人たちを助けたいと、娘は看護婦見習いとして医院に勤めた。 **みなら・う**【見習う】 ○見ておぼえる。手本になるものを見てまねる。[文例] 〈人を見習う〉勤勉な高島君を見習って、おまえも少しは勉強したらどうだい。♠●へ〈仕事を見習う〉新入社員は先輩の仕事を見習って、一日も早く一人前になろうと一生懸命[いっしょうけんめい]です。♠●〈芸を見習う〉イルカは一頭[いつとう]が芸を覚えると、他の仲間がその芸を見習って、一緒[いっしょ]にやるようになるそうです。 **みなり** 【身なり】 ○衣服をつけた姿。服装。[文例] 〈身なりが貧しい〉むこうから来る人は、ひどくやせた体つきで、身なりも貧しく、前かがみになって歩いてくるのでとても目立つ。♠●へ身なりで判断する〉人を身なりで判断すると思わぬ失敗をすることがある。♠●〈身なりに気を配る〉面接を受けるときには、いちおう身なりに気を配ったほうがよい。♠〈身なりをととのえる〉中学になると毎日のように服装検査[ふくそうけんさ]があるので、鏡の前で身なりをととのえてから出かけるようになった。 **みな・れる**【見慣れる】(見馴れる) ○何度も見て慣れている。 <1079> [文例] 〈見慣れた風景〉いつも見慣れた風景でも、注意して見ると、今まで気づかなかったことを発見します。♠●へ見慣れた光景〉テレビには高層ビルの立ち並ぶ、見慣れた光景が映し出されている。♠●へ見慣れない顔>会場のすみにいる人は、見慣れない顔だけど、いったいだれだろう。 **みにく・い**【見にくい】 ○よく見えない。見づらい。[文例] )〈信号機が見にくい〉信号機が見にくい位置にあることも事故の原因になると考えられる。♠●へ字が見にくい>黒板の字が見にくくなったので視力検査を受けてみた。 **みにくい**【醜い】 ○見た目に美しくない。見苦しい。不愉快である。[文例] 〈醜い心>自分がどんなに醜い心をもっていたか、どんなに思い上がった娘[むすめ]であったかがよくわかりました。♠◆<醜い戦争〉今日現在でも、世界の各地で、醜い戦争が起こっている。♠◆〈醜い動物〉この本には、ヤフーと呼ばれる、卑[いや]しく、醜い動物が出てくる。♠●〈醜い建物>学園都市の中にあっては、あの建物はけばけばしい色彩で、醜い建物といえる。 **みね・く**【見抜く】 ○見通す。見破る。[文例] 〈にせ物と見抜く〉この刀をにせ物と見抜くとは、たいした鑑識眼[かんしきがん]だ。♠〈仮病[けびょう]を見抜く〉ベテランの医師にかかっては、仮病もすぐに見抜かれてしまう。♠●〈本質を見抜く〉ことばに対する感受性をみがかなければ、詩の本質を見抜くことは難しい。♠●〈気持ちを見ぬく〉息子の気持ちを見抜いていたから、家を出ると言い出す前に、心の準備をすることができた。 **みね**【峰】(峯・嶺) ○山の最も高い所。いただき。物の高くなった部分。刃物[はもの]の背の部分。[文例] 〈富士の峰〉晴れた日には、真正面に雪をかぶった富士の峰が端正[たんせい]な姿を現す。♠●〈峰続き〉その峰続きの道をこえると、やっとぼくらが目ざす山小屋が見えてきた。♠●〈雲の峰>夏空に高い雲の峰が行く手をさえぎって、太陽をかくしてしまった。♠へ包丁[ほうちょう]の峰〉トンカツを作るとき、肉たたきがない家庭では包丁の峰を活用するとよい。♠●へ剣[けん]が峰に立つ〉九回の裏もツーアウトで、わがチームもついに剣が峰に立たされてしまった。 **みのうえ**【身の上】 ○人が置かれた境遇。人の運命。[文例] 〈かわいそうな身の上〉少年のかわいそうな身の上を聞き、涙が止まらなかった。♠●〈身の上にふりかかる>災難は、いつ身の上にふりかかって来るかわかりません。♠●〈身の上を案じる〉彼女とは十年前に別れたままで、その後の身の上を案じています。♠●〈身の上話〉おばあさんたちは、身の上話に時のたつのを忘れていた。 **みのが・す**【見逃す】 ○見落とす。見てもとがめない。見る機会をのがす。[文例] 〈問題を見逃す〉工場は町の発展のために必要ですが、それによって生じる公害の問題も見逃すことができません。♠●〈過[あやま]ちを見逃す〉今度だけは見逃してやるけれど、もう二度とこんな過ちを犯してはいけないよ。♠●〈チャンスを見逃す〉こんなチャンスをみすみす見逃す手はない。♠●へ映画を見逃す〉好きな俳優の出る映画なら、見逃しません。 **みのけ**【身の毛】 ○体の毛。[文例] 〈身の毛がよだつ〉その夜おばあさんがぼくたちに話したのは、身の毛のよだつような恐[おそ]ろしい話でした。 **みのほど**【身の程】 ○自分の能力や身分などの程度。分際[ぶんざい]。[文例] 〈身の程を知る〉そんなにぜいたくをする余裕があると思っているのか、身の程を知りなさい。♠●〈身の程をわきまえる〉身の程をわきまえずに勝負を挑んだ男は、簡単に投げ飛ばされてしまった。♠●へ身の程知らず〉そんな成績で一流大学を受験しようだなんて、身の程知らずもいいところだ。 **みのまわり**【身の回り】 ○自分の周辺。身辺。日常生活の用にあてるもの。[文例] 〈身の回りの事柄〉改めて自分の身の回りの事柄に目を向け、ほんとうに大事なことを見過ごしていないか、考えてみよう。♠●へ身の回りを見つめる〉身の回りの自然や社会を見つめ、作文の題材を集めてみよう。♠●〈身の回りの世話〉寝たきりの病人がいると、その病人の身の回りの世話だけで一日が終わってしまう。♠●〈身の回りをかまう〉暮れも近づくとあれこれとせわしなくて、身の回りのことなどかまっているゆとりがない。♠◆人身の回りの品>電車やバスに乗るときは、身の回りの品には十分注意することが大切である。 **みのり**【実り】(稔り) ○実ること。成果。[文例] 〈作物の実り〉〈実りがよい>夏に低温の日が続いたせいか、今年は作物の実りがあまりよくない。♠●〈実りの秋〉涼しい風が吹き始め、里は実りの秋を迎えている。♠へ実りが多い〉出席者の間でいろいろな意見が交わされ、話し合いは実りの多いものになった。 **みの・る**【実る】(稔る) ○実がなる。実を結ぶ。よい結果として現れる。[文例] 〈みかんが実る〉校いっぱいに実ったみかんを、娘[むすめ]たちが歌いながらもぎとっている。♠へよく実る〉トウモロコシは、毛の色で、よく実ったのかどうかを見分けることができるという。♠●〈稲[いね]が実る〉今年は、雨量にも日照時間にもめぐまれて、稲がよく実った。♠●〈実るほど頭の下がる稲穂[いなほ]かな「実るほど頭の下がる稲穂かな」は、人間えらくなるほど謙虚[けんきょ]になれと教えています。♠●〈努力が実る〉三年間の努力が実り、志望する高校に合格できた。♠〈あこがれが実る〉人類のあこがれが実って、気球となり飛行機となり、ロケットに発展してきた。 **みば**【見場】 ○見た目。見かけ。外見。[文例] 〈見場がよい。悪い〉このバッグは機能的なのですが見場が悪いので、あまり評判がよくないようです。 **みばえ**【見映え・見栄え】 ○見た目に映[は]えること。見た目が立派なこと。[文例] 〈見ばえがする〉花の束[たば]にリボンをつけたら、見ばえがして豪華[こうか]になった。♠へ見ばえがしない〉せつかくのパーティーだというのに、彼女は見ばえのしない洋服を着て現れました。 **みはから・う**【見計らう】 ○適当に見当をつける。[文例] 〈時間を見計らう〉夫が駅に着くころを見計らって、かさを持って迎えに行きました。♠◆ヘころあいを見計らう〉注文しておいたラーメンができるころあいを見計らって、お店に取りにいった。♠●へすきを見計らう〉泥棒[しどろぼう]は家族全員が外出したすきを見計らって、お勝手[かつて]から侵入[しんにゅう]したらしい。 <1080> **みはな・す**【見放す・見離す】 ○見込みがないものとあきらめる。見切る。見捨てる。[文例] 〈医者に見放される〉この病人はもうながくはないと、医者にも見放されてしまった。♠●〈友達から見放される〉あまりいい加減なことばかりやっていたら、友達からも見放されてしまった。♠●〈天に見放される〉ここで助かるなんて、わたしはまだ天に見放されていなかったのか。♠へ望みがないと見放す〉「さじを投げる」は、「まったく望みがないと見放す」意味に用いられる。 **みはらし**【見晴らし】 ○見晴らすこと。また、そのながめ。展望。[文例] 〈見晴らしがすばらしい>富士山もくっきり見え、地上六十階からの見晴らしはとてもすばらしかった。♠◆<見晴らしがいい〉丘[おか]の上の公園は見晴らしがいいので、いつも大勢の人が訪れます。♠●へ見晴らしがきく〉大将は見晴らしのきく山の上に立って、敵陣[てきじん]の様子を眺めました。 **みはり**【見張り】 ○見張ること。見張る人。[文例] 〈見張りをする二人一組で徹夜[てつや]で見張りをし、大切な展示物を守りました。♠◆へ見張りを立てる〉敵が攻めてくるのを恐[おそ]れて、見張りを立てました。♠●〈見張りに置く〉曲がり角に一人ずつ、警備兵を見張りに置いた。 **みは・る**【見張る】(膛る) ○目を大きく開いて見る。注意して見る。監視する。「文例〈目をみはる〉こんなすばらしい滝[たき]が、と目をみはるくらい勢いのいい滝の姿があった。♠驚[おどろ]きの目をみはる〉その少女は、不意に訪ねてきた少年を見て、驚きの目をみはった。♠●へ周囲を見張る>先生がここで周囲を見張っているから、安心して作業を進めなさい。♠●〈動きを見張る〉われわれは、丘の上に陣取って、敵の動きを見張ることにした。 **みびいき** 【身びいき】(身贔屓) ○身内や仲間をひいきすること。[文例] 】<仲間同士の身びいき〉仲間同士の身びいきで、ついつい不公平な決定をくだしてしまった。♠●へ身びいきする>自分と同じ学校の出身者ばかり身びいきする部長に、だんだんいや気がさしてきた。 **みひら・く**【見開く】 ○目を大きくひらく。[文例] 〈目を見開く〉かっと目を見開いて立つ仁王像には、見る者を圧倒する迫力[はくりよく]がある。 **みぶり**【身振り】 ○意志や感情をしぐさで表すこと。また、そのしぐさ。[文例] 〈身振りをする〉子供の話に、お母さんは驚[おどろ]いたような身振りをした。♠●へ身振りを交[まじ]える〉おじいさんは、身振りを交えて、おもしろおかしく話してくれました。♠●〈身振りで伝える〉与えられた情報を次々と身振りで人に伝える。♠●へ身振りで示す〉彼の見た犬がどんなに大きかったかということを、少年は身振りで示しました。♠人身振り手振り>言葉が通じなくても、身振り手振りで意思を通わせることはできます。 **みぶるい** 【身震い】 ○体を震わせること。体が震えること。[文例] 〈身震いをする〉つり橋を渡ったときのことを思い出して、ぼくはぞくっと身震いをした。♠●〈身震いする>雪の朝、窓から顔を出したわたしは、思わず身震いしてしまいました。♠●へ身震いが出る〉ぶるぶるっと身震いが出たところを見ると、赤ちゃんは今おしっこをしたらしい。♠◆〈身震いが止まる〉山賊[さんぞく]が立ち去ったあとも、屋根裏に隠れていたわたしは身震いが止まらなかった。♠●〈身震いがする〉身震いがするほど毛虫が嫌いと、さとみはまゆをひそめました。 **みぶん**【身分】 ○社会的な地位・階級。境遇。[文例] 〈身分の上下関係>身分の上下関係を重視した昔[むかし]の敬語と違って、現代の敬語の重要な役割は、社会生活を円滑[えんかつ]にすることだ。♠〈身分や境遇[きようぐう]〉〈身分が違う二人は、身分や境遇が違いすぎるとういう、親の反対を押しきって結婚[けつこん]した。♠へ身分が高い・低い〉身分制度の厳しい封建時代[ほうけんじだい]、身分の低い者は、身分の高い人に直接、面接することができなかった。♠●人身分がある〉老人は、元は身分のある人らしく、言葉遣いや物腰にどことなく気品がある。♠●〈身分を明かす〉刑事は、警察手帳を見せて身分を明かしてから、捜査[そうさ]を始めた。♠●へ身分不相応〉あの男は、身分不相応にぜいたくな暮らしをしていると思ったら、会社の金を使いこんでいたらしい。♠〈身分を保証する〉この市の住民であるという身分を保証するものを、何かお持ちですか。♠◆<結構な身分〉まだ高校生の子供がいるから、定年退職したからって、遊んで暮らせる結構な身分じゃないんだ。 **みほん**【見本】 ○商品の品質や効用を見せるために作られた実物(の一部)。サンプル。手本。よい例。[文例] 〈見本と実物>見本を見て注文したのに、実際に送ってきた実物は別のものだった。♠へ見本が並ぶ〉ウインドーには各社の見本が並んでいて、どれにしようかと迷ってしまった。♠へ見本を見せる〉では、先生が十点満点の演技の見本を見せてやろう。♠◆へいい見本人をだましてはいけないという、いい見本があの男だ。♠〈見本のような作品〉この詩は、すべての人に共感を起こし、大きな力となる見本のような作品である。 **みまい**【見舞い】 ○見舞うこと。見舞うための言葉・金品。「文例〈見舞いに行く>先生が病気で一週間も休んでいるので、クラスの代表がお見舞いに行くことになった。♠見舞いを言う〉おじは、玄関先でお見舞いを言うと、帰っていった。♠●へ見舞いの品〉彼は、そっとお見舞いの品を差し出した。 **みま・う**【見舞う】 ○病気・災難にあった人を訪ねて慰める。打撃を与える。危険・災害などがふりかかる。[文例] 〈病人を見舞う〉病人を見舞うときには、あまり長居をしないように気をつけたい。♠●〈現場を見舞う〉工事が難航[なんこう]しているようだから、現場を見舞ってこよう。♠ヘパンチを見舞う〉ぽくは、ひきょうな級友に、一発きついパンチを見舞ってやろうと思っている。♠〈水害に見舞われる〉毎年、台風の季節になると、必ずといってよいほど、日本のどこかが水害に見舞われる。♠●へ地震[じしん]に見舞われる〉その火山が噴火[ふんか]する前には、きまってふもと一帯が、強い地震に見舞われている。 **みまも・る**【見守る】 ○じっと見る。注意を払いながら見続ける。[文例] 〈大勢の人が見守る〉大勢の人が見守るなかを放たれた気球は、ふうわりと空へ舞い上がった。♠●へぼう然と <1081> 見守る〉極貧[ごくひん]の中で、医者にもかかれずに死ぬ母親を、わたしはぼう然と見守るしかなかった。♠●へ優[やさ]しく見守る>彼が生活と芸術の対立に悩[なや]むのを、仲間たちは優しく見守っている。♠●へ注意深く見守る〉公園で、若い母親がよちよち歩きの赤ちゃんを注意深く見守りながら、編み物をしている。♠●〈様子を見守る〉このごろは、患者[かんじゃ]の様子を、モニターテレビで見守る病院も多くなったようだ。♠〈今後を見守る〉「ぼくたち兄弟の今後を見守ってください。」と、祖父の墓に手を合わせた。 **みまわ・す**【見回す】(見廻す) ○ぐるりと辺りを見る。周りをあちこち見る。[文例] 〈辺りを見回す〉辺りを見回したが、知っている人はだれもいなかった。♠●〈四方を見回す〉山の頂上に立って四方をぐるっと見回し、おいしい空気を胸いっぱいに吸いこんだ。♠●〈店内を見回す〉店内を見回すと、奥の方に素敵なブラウスが飾[かざ]ってありました。♠●へ顔を見回す〉新しい先生は教壇に立つと、ぼくらの顔を見回した。 **みまわ・る**【見回る】 ○あちこち見て回る。巡視する。[文例] 〈校舎・校庭を見回る〉放課後、残っている生徒はいないか、先生は校舎や校庭を見回っている。♠●へ警備員が見回る>警備員が見回った時には異状がなかったのに、それから間も、そのビルから出火したという。♠●〈町を見回る>当時、京の町では、新選組[しんせんぐみ]が勤皇[さん]の志士[のう]の動きを見回っていた。♠●〈あちこち見回る>修学旅行で、京都や奈良の神社仏閣をあちこち見回ったが、印象に残ったのは金閣寺[ならさんかくじ]だ。 **みまん**【未満】 ○その数に達しないこと。[文例] 「百未満の数」というのは、百より小さい数のことを表し、百は入りません。♠●十三歳未満なら入園料は大人の半額です。 **みみ**【耳】 ○聴覚と平衡感覚をつかさどる器官。耳たぶ。聴覚。聞くこと。聞く能力。耳たぶのように物の両側についているとって。織物・紙・パン・小判などのへり。[文例] 】<耳の付け根>授業参観のとき、当てられて答えられず、恥ずかしくて耳の付け根まで真っ赤になってしまった。♠●耳に当てる〉貝殻[かいがら]を耳に当てると、懐[なつ]かしい故郷[ぷつかく]の海の音が聞こえるような気がする。♠●へ耳がいい・悪い〉わたしは耳が悪いので、もう少し大きな声で話してください。♠●へ耳が遠い>〈耳が聞こえる〉ベートーベンは、だんだん耳が遠くなって、しまいには聞こえなくなりました。♠●〈すばらしい耳〉彼女は、動物のように、かすかな音でも聞こえるすばらしい耳をもっている。♠●へ耳にはさむ〉〈耳の底〉もう何年も前、ふと耳にはさんだ言葉が、奇妙[きみよう]にまだ耳の底に残っている。♠●◆〈耳をつんざく〉〈耳を覆[おお]う〉耳をつんざくような激[はげ]しい落雷[らくらい]に、思わず両手で耳を覆った。♠ヘ耳に響[ひび]く〉大みそかの夜、お寺の除夜の鐘[かね]が一年の終わりを告げるように耳に響いてくる。♠●へ耳を澄[す]ます>部屋で耳を澄ますと、波の音がかすかに伝わってくる。♠●く耳にする〉ヤマイヌが出た、ヤマネコがいるという話を、今日でもときおり耳にする。♠●へ耳に入る〉きみに関する変なうわさがぼくの耳に入ってきたよ。♠●〈耳が痛い〉なまけていると後で困るのは自分だよ、という父の言葉に、耳が痛かった。♠●へ耳を貸す〉ああいう男のことだから、周りの者の忠告なぞには、耳も貸さない。♠〈耳に届く〉ないしょにしていたことが、いつのまにか母の耳に届いて、こってり油をしぼられた。♠〈耳に入れる〉テストの成績は、お父さんの耳に入れないでほしいと、母に頼[たの]んだ。♠●へ耳に触れる〉これは、社長の耳に触れないように内々で処理しましょう。♠●へ音が耳を離れない>戦場で失った愛馬のひづめの音が耳を離れない。♠●へ耳を傾[かたむ]ける〉少しはまじめに、人の忠告に耳を傾けろ。♠●へ耳をそばだてる〉真夜中に、悲鳴が聞こえたような気がして、耳をそばだてた。♠●へ耳が早い>新聞や雑誌の記者の耳が早いのには、職業柄[しよくぎようがら]とはいえ、ほとほと感心する。♠●〈耳を疑う〉昨日まであんなに元気だった叔父が急死したという知らせに、耳を疑った。♠●へ耳につく〉赤ちゃんの泣き声が耳について寝つかれない。♠●へ聞き耳を立てる〉野うさぎは足を止めると、危険がないかと聞き耳を立てた。♠●〈耳にたこができる〉勉強しなさいと言う母の言葉は、耳にたこができるほど聞かされた。♠●へ馬の耳に念仏〉あの子は馬の耳に念仏で、いくら注意しても、いたずらをやめない。♠●〈耳をそろえる三か月後には、必ず耳をそろえて返すから、なんとか金を貸してもらえないだろうか。♠●〈耳をふさぐ〉あの下手くそなトランペットには、周りの家がみんな耳をふさいでしまう。♠◆<壁[かべ]に耳あり>壁に耳ありというから、もう少し小さな声で話してください。♠●〈聞く耳をもたない〉いくらお願いしても、先生は聞く耳もたぬで許してくれない。♠●へ右の耳から左の耳〉おまえたちは、右の耳から聞いたことが左の耳から抜けてしまうんだから!♠◆耳に止まる〉このうわさがお殿様[とのさま]の耳に止まるところとなった。♠◆<耳の穴〉こらっ、耳の穴かっぽじって、ようく聞け!♠◆ヘ耳新しい〉好奇心[こうしん]の強い母は、何か耳新しい商品名を聞くと、すぐ店に出かけて行く。♠◆<耳学問〉お店に来る先生たちから、耳学問でいろいろなことを教えてもらう。♠◆ヘパンの耳〉パンの耳を温かい牛乳にひたして食べると、なかなかおいしい。♠◆へなべの耳>熱いからやけどをしないように、ふきんでなべの耳をつかみなさいよ。 **みみうち**【耳打ち】 ○耳のそばでこっそりと言うこと。[文例] 〈耳打ちをする〉ぼくがもじもじしていると、友達がこっそり耳打ちをして、答えを教えてくれました。♠◆◇耳打ちする>奥さんが何事か耳打ちすると、ご主人の表情がさっと変わった。 **みみがくもん**【耳学問】 ○聞いて覚えた知識。[文例] 客から聞き覚えた耳学問とは言え、店の主人は相当に専門的なことまで知っていた。 **みみざと・い**【耳ざとい】(耳聡い) ○耳の働きが鋭い。情報を知るのが早い。[文例] お菓子のかんを開ける音を聞きつけるなんて、耳ざとい子だねえ。♠◆あの耳ざといおばさんが、このうわさを知らないはずがない。 **みみざわり**【耳障り】 ○聞いて受ける感じ。聞いていやな感じを受けるさま。「文例] )〈耳障りが悪い〉つっけんどんだったが、その言葉の耳障りは決して悪くなかった。♠●へ耳障りな音〉ついたての向こうからワープロのプリンターの耳障りな音が聞こえてくる。 <1082> りな音が聞こえてくる。♠●へ耳障[みみざわ]りな話〉気にしないつもりでいても、耳障りなうわさ話には神経をつかいます。 **みみず**(蚯蚓) ○貧毛類の環形動物。円筒状で土中にすむ。[文例] みみずにおしっこをかけると、おちんちんがはれ上がるとって本当かな。♠●〈みみずがのたくったよう〉こんなみみずがのたくったような字で、わたしのハートを射止めるつもりなのかしら。 **みみなり**【耳鳴り】 ○耳の奥で何かが鳴っているように感じること。[文例] 〈耳鳴りがする〉最近めまいや耳鳴りのすることがあるが、血圧でも高いのだろうか。♠●へ耳鳴りが治[おさま]る>薬を飲むと頭痛も耳鳴りも治まり、気分もだいぶよくなりました。 **みみな・れる**【耳慣れる】 (耳馴れる) ○聞き慣れる。[文例] 〈耳慣れた声>電話の向こうから、耳慣れた正子ちゃんの声が聞こえてくる。♠●〈耳慣れない言葉〉年寄りには耳慣れない言葉が現れては消えていきます。♠●〈耳慣れない方言>当地に越してきたばかりのころは、耳慣れない方言にとまどいました。 **みみもと**【耳元】 (耳許) ○耳のすぐそば。[文例] 耳元でそんな大きな声を立てたら、耳が痛くなるよ。♠●〈耳元でささやく>女の子はお母さんの耳元でささやきました。 **みみより**【耳寄り】 ○聞く価値のあるさま。[文例] 十年勤めれば海外旅行に行かせてくれるって、それは耳寄りだね。♠◆<耳寄りな話〉はば広く事業をしているおじさんが、耳寄りなもうけ話を持ちかけてきました。 **みむき**【見向き】 ○目を向けること。関心を示すこと。[文例] 〈見向きもしない〉ふつうヒキガエルは動いている生きた動物だけをとり、死んだ虫などには見向きもしません。 **みめい**【未明】 ○夜が明けきらないころ。[文例] 五日未明ビルの二階から出火した火事は、一時間後の午前六時に鎮火[ちんか]しました。♠◆昨晩病人の容態が急変し、今日未明に息をひきとった。 **みもだえ**【身もだえ】(身悶え) ○苦痛などで体をよじるようにすること。[文例] 〈身もだえする〉負傷兵は苦痛に身もだえし、野戦病院のベッドで苦しがっていた。 **みもち**【身持ち】 ○ふだんの行い。品行。妊娠すること。身重。[文例] 〈身持ちが悪い〉身持ちの悪い女だったから、いやなうわさも多く、夫の苦労はひとかたでなかった。♠●へ身持ちがよい〉気立てがやさしく、もちろん身持ちのよい娘[むすめ]だから、嫁にもらう男は幸せ者だ。♠●〈身持ちになる〉嫁いで半年、身持ちになった信子[のぶこ]は、やがて生まれてくる赤ん坊の将来にかすかな不安を感じていた。 **みもと** 【身元】(身許) ○出身や経歴など。素姓。身の上。[文例] 〈身元を確認する>従業員を雇[やと]うときは、身元を確認することにしている。♠●〈身元が確か〉うちの店は、身元の確かな人でないと使いません。♠●〈身元を引き受ける二親[とおえん]を亡くした遠縁[あ]の子の身元を父が引き受けることになった。♠●〈身元を調べる>両親は、姉の結婚[けつこん]相手の身元を調べるために、いろいろな人から話を聞いている。♠●へ身元を保証する〉この会社に就職するには、身元を保証してくれる人が必要です。♠●〈身元不明〉近くの川から、身元不明の水死体が揚[あ]がって、早朝から大騒ぎ[さわ]だ。 **みもの**【見物】 ○見る価値のあるもの。[文例] 学校から帰ってきた弟が、この話を聞いたらどんな顔をするかみものだ。♠●へなかなかのみもの〉おもしろい映画ではなかったが、オートバイのシーンだけはなかなかのみものだった。♠一番のみもの〉今大会一番のみものは、二人の女性ランナーの因縁[いんねん]の対決だ。 **みや**【宮】 ○神社。皇居。皇族の住む所。皇族・親王家の称号。[文例] 〈宮を築く>大化改新[たいかのかいしん]を断行した天智天皇[てんじてんのう]は、大津に宮を築いた。♠●へお宮>ぼくたちは、みんなで何かやろうとするとき、よくお宮の鳥居のところで待ち合わせます。♠◆〈宮参り>先月生まれた赤ちゃんを抱[だ]いて、兄夫婦はお宮参りに出かけました。 **みゃく**【脈】 ○体液・血液が流れる管。細くすじになって続くもの。脈はく。先の見込み。[文例] )〈羽の脈〉珍[めずら]しいちょうを見つけたので、透き通った羽の脈が見えるところまでしのび寄って、観察した。♠◆<脈を診[み]る〉〈脈が速い>医者が患者[かんじゃ]の脈を診て、「ちょっと速いですね。」と言った。♠●へ脈をとる〉「どうしましたか?」というと、医者はわたしの脈をとった。♠◆ヘ脈を打つ〉指を当てると、血管が脈を打つのがわかる。♠◆<脈がある。ない〉伯父[おじ]の有力なつてをたよって就職を頼[たの]んだが、どうも脈はなさそうだ。 **みゃくう・つ**【脈打つ】 ○心臓の動きに合わせて脈が動く。生き生きと活動する。[文例] 〈血が脈打つ〉青年の体には、先祖から受けついだ農民の血が脈打っていた。♠へ精神が脈打つ>西部の男たちには、まだ開拓者精神が脈打っている。♠◆<情熱が脈打つ>五十を越えても、まだ若いころの情熱が脈打っています。 **みゃくみゃく** 【脈脈】 ○絶えることなく続くさま。[文例] 〈脈々と続く〉この店は、菓子作りの伝統が脈々と続く老舗[しにせ]である。♠人脈々と流れる〉彼の体には、職人の血が脈々と流れていた。 **みゃくらく**【脈絡】 ○つながり。筋道。血管。[文例] 〈前後の脈絡><脈絡がない>前後の脈絡のない質問をされて、ぼくはなんと答えていいのか困ってしまった。♠文章の脈絡>〈脈絡をたどる>文章の脈絡をたどり、要点をまとめてみよう。♠●〈脈絡がつく〉なんの準備もなしに人前に立ったのだろう、脈絡のつかない話で理解できなかった。♠●へ脈絡を欠く〉論旨に脈絡を欠けば、すぐれた論文とは言えない。 **みやげ**【土産】 ○旅先や外出先などで買って持ち帰る物。人を訪問する時に持っていく品。[文例] 〈土産を買う〉お利口に留守番していてね。お土産を買って来るから。♠●〈土産に買う>旅先で父の土産に何を買おうか悩んでしまいました。♠◆〈土産をもらう〉姉の新婚旅行の土産に、素敵なネックレスをもらいました。♠●〈土産を持って行く>先方には小さな子がいるから、何か子供の喜びそうな土産を持って行こう。♠◆<土産話>田舎の母が親戚[しんせき]や近所の人のことなど、土産話をもって上京しました。♠●へ置き土産〉この大量のゴミは、登山者たちの、困った置き土産なのです。 <1083> **みやこ** 【都】 ○皇居のある所。首都。都市。都会。[文例] 〈京の都>京の都を舞台に、はなやかな貴族文化が花ひらきました。♠●〈音楽の都〉彼は、一流ピアニストを夢みて、音楽の都ウィーンへ留学しました。♠●〈水の都〉イタリアのベニスは水の都と呼ばれ、水路交通のさかんな町です。♠●へ都の暮らし>病気で郷里へ帰ってからも、はなやかな都の暮らしを忘れることはできなかった。♠●へ住めば都>住めば都で、田舎の暮らしも静かでよいものです。 **みやこおち**【都落ち】 ○都から逃げて田舎へ行くこと。地方へ移り住むこと。「文例 〈都落ちする〉平家が都落ちしたあと、京の都には木曾義仲[そよしなか]がやってきました。♠●札幌の支社勤務が決まったとき、都落ちかとつぶやいた同僚[どうりよう]も、今はこの町の暮らしやすさにすっかり東京を忘れたようだ。 **みやび**(雅) ○風流で優雅なこと。[文例] 〈王朝のみやび〉京の都では、王朝のみやびを繰り広げる葵[あおい]祭りが行われていた。 **みやびやか**(雅やか) ○上品で優雅なさま。[文例] 〈みやびやかな装[よそお]い>女王主催のパーティーということで、みやびやかな装いの紳士淑女[しんししゅくじよ]が出席した。♠●へみやびやかな舞[まい]>神社の境内では、古式豊かなみやびやかな舞が披露[ひろう]されていた。 **みやぶ・る**【見破る】 ○隠されていることを見ぬく。[文例] )〈からくりを見破る〉手品師の手元を一生懸命[けんめい]見つめたが、手品のからくりはとうとう見破れなかった。♠へ正体を見破る〉正体を見破られないように変装[へんそう]して行こう。♠●ヘうそを見破る〉小心な彼のうそを見破るのは簡単だ、すぐ表情に出るから。♠●へ陰謀[いんぼう]を見破る〉部下の陰謀を見破り、味方は無事に進軍することができた。 **みや・る**【見やる】(見遣る) ○遠くをながめる。目を向ける。[文例] 〈沖[おき]を見やる〉はるか遠く沖を見やると、大きなフェリーが航行している。♠●〈静かに見やる〉煙[けむり]のなびく方向を静かに見やってから、男は腰[こし]を上げた。♠●へちらっと見やる〉ちらと相手の顔を見やったきり、駅員はすぐに目をそらした。 **みょう**【妙】 ○非常にすぐれていること。非常に巧みなこと。普通と変わっているさま。ふさわしくないさま。[文例] 人工の妙〉〈妙を尽くす>豊臣秀吉[とよとみひでよし]が建てた聚楽第[じゅらくだい]は、人工の妙を尽くした邸宅[ていたく]だったと想像される。♠◆ヘ言い得て妙〉とことんしつこい彼のあだ名が「すっぽん」というのは、全く言い得て妙だ。♠●へ妙な顔〉すれ違った人がわたしを見て妙な顔をしたけれど、顔に何かついてるのかしら。♠●へ妙な理屈[りくつ]「兄さんより勉強しちゃ悪いだろう。」と、弟は妙な理屈をつけて、遊びにいってしまった。♠●〈妙に静まる〉商店街はにぎわっているのに、一歩裏通りへ入ると、人影[ひとかげ]もなく、妙に静まり返っている。♠●へ妙になまめかしい〉恋人[こいびと]に電話をかけているときの姉の声は、妙になまめかしく聞こえる。 **みよう**【見様】 ○見方。解釈のしかた。[又例 〈見ようによる〉きみの行動は、勇敢[ゆうかん]とも見ようによって無謀ともとることができる。♠●へ見ようが変わる〉小中高と成長するにつれ、ものごとに対する見ようもかなり変わってくる。♠●〈見よう見まね>簡単な踊[おど]りでしたから、見よう見まねですぐ仲間に加わることができました。 **みょうあん** 【妙案】 ○よい考え。うまい思いつき。名案。[文例] 足腰[あしこし]を鍛[きた]えるのに毎日一駅歩こうというのは、なかなかの妙案だと思う。♠●〈妙案を思いつく〉三人であれこれ考えましたが、とうとう妙案は思いつかなかった。♠●へ妙案が浮かぶ〉妙案が浮かんだらしく、彼はぼんとひざをたたきました。 **みょうぎ**【妙技】 ○すばらしく巧みな技。[文例] 〈氷上の妙技>観客は、氷上の妙技にうっとりと酔いしれていました。♠<鉄棒の妙技>外国選手は、生徒たちの前で鉄棒の妙技を披露[ひろう]した。 **みょうじょう**【明星】 ○金星。スター。[文例] 〈明けの明星>午前五時、明けの明星もしだいに青空の中に吸いこまれていった。♠●へ宵[よい]の明星>太陽が沈んでまもなく、西の空に三日月と宵の明星が見え始めた。 **みょうみ**【妙味】 ○非常にすぐれた味わい。おもしろみ。うまみ。[文例] 】ヘヨットの妙味〉風を受けて海面を滑るように走るのが、ヨットの妙味だと思います。♠●へ釣り[つ]りの妙味〉〈妙味を味わう〉先日の磯[いそ]釣りでは十キロの大物を釣り上げ、釣りの妙味を十分に味わった。♠●へ妙味がない〉地価がどんどん下がれば、不動産業としては妙味がなくなる。 **みょうやく**【妙薬】 ○不思議なほどよく効く薬。[文例] 〈家伝の妙薬〉このドクダミの葉は、家伝の妙薬で、万病に効くのだと祖母は言う。♠◆ヘインフレ抑制の妙薬〉インフレ抑制の妙薬はないものだろうか、という声が当時は聞かれた。 **みょうり**(冥利) ○神仏がこっそり授ける恩恵。善行の報いとして受ける幸福。[文例] 〈冥利に尽きる〉誕生日に女の子たちからこんなにたくさんのプレゼントをもらって、男冥利に尽きるだろう。♠●〈冥利に尽きる〉教え子たちが自分を理解してくれたときこそ、教師冥利に尽きます。♠●へ役者冥利>舞台に登場した瞬間[しゅんかん]に受ける観客からの拍手や声援は、役者冥利の一つだ。 **みょうれい** 【妙齢】 ○うら若い年ごろ。[文例] 〈妙齢の女性〉会場には妙齢の女性が集まり、まるで花園のようなはなやかさです。♠●へ妙齢の婦人〉新緑に包まれた駅の待合室に、妙齢の婦人が一人腰かけている。 **みより**【身寄り】 ○身内。親せき。[文例] 〈身寄りがない>両親を失い、他に身寄りのないわたしたちは、どうしてよいか分からず途方に暮れていた。♠●へ身寄りが少ない〉わたしは身寄りが少なく、大事な相談をできるのは先生しかいません。♠●〈身寄り頼[たよ]り〉男は、身寄り頼りのまったくない、天涯孤独[てんがいこどく]の身で育った。 **みらい** 【未来】 ○将来。これから先。来世[らいせ]。[文例] 〈未来への夢>卒業文集には、各人の生い立ち、学校生活の思い出、未来への夢などが載せられた。♠〈明るい未来>秀才[しゅうさい]で育ちもよい彼は、子供のころから、明るい未来を約束[やくそく]されていたようなものさ。♠●〈未来がある〉その青年には、未来があると <1084> いう点で老人と大きく異なっていた。♠●〈未来に向かう〉未来に向かって、一歩一歩足を踏みしめて前進しよう。♠●へ未来永劫[えいごう]にわたる〉この地球上から、未来永劫にわたって戦争がなくなれば、どんなによいか。 **みりょう**【魅了】 ○人の心をとらえ、とりこにすること。[文例] <魅了する〉来日したシャンソンの女王はコンサートで熱唱し、ファンを魅了しました。♠●く魅了する>藤村[とうそん]の『若菜集』は、流麗[りゆうれい]なリズムにのせて青春の叙情[じよじよう]と感傷をうたい、当時の青年を魅了しました。 **みりょく**【魅力】 ○人の心を引きつける力。[文例] 〈魅力がある・ない〉禁じられた危険な遊びほど、子供にとっては魅力があるものだ。♠●〈女性の魅力〉美しい彼女の魅力にまどわされる男性も少なくなかった。♠●〈古典の魅力〉わたしは、この本で初めて、古典の魅力を知ったような気がします。♠●へ魅力を感じる>若者たちは、都会に魅力を感じて出て行き、この村も次第に過疎化[かそ]した。♠◆く魅力をもつ〉おじの経験談は、だれもがつい引き込まれてしまう魅力をもっている。♠◆く魅力を生かす〉この民話には、方言の魅力が十分に生かされている。♠◆く魅力的〉明るい性格で、それでいて落ち着きのある、実に魅力的な若者であった。 **みる**【見る・診る】 ○目を通して外界をとらえる。眺める。見物する。読む。世話をする。物事をとらえる。判断する。もたらす。扱う。経験する。調べる。診察する。試みに・・・する。仮に・・・(だと)する。[文例] 〈見に行く〉中国の物産展を見に行った姉は、両手に抱[かか]えきれないほど、珍[めずら]しい品物を買い込んできた。♠●〈答案を見る〉テストの後、先生たちは答案を見るのに大変忙[いそが]しい。♠〈手相[てそう]を見る〉わたしは、まだ一度も手相を見てもらったことがない。♠●へ夢を見る〉あんないやな夢を見るなんて、体のどこかが悪いのだろうか。♠社会を見る〉この文章からは、社会を見る筆者の目の確かさがうかがえる。♠●く様子を見る〉ここにひとまずテントを張って、天気の様子を見ることにしよう。♠●〈勉強をみる〉小学生のころは、よく兄が勉強をみてくれたっけ。♠●へ面倒[めんどう]をみる〉彼女は、病弱な弟の面倒をみるために、看護婦になる決心をした。♠●へ〜が原因とみる〉専門家は、街道の松並木[まつなみさ]が枯れたのは、車の排気[はいき]ガスが原因とみている。♠●へ解決をみる〉難問と思われたことが、案外簡単に解決をみることができた。♠●〈繁栄[はんえい]をみる〉敗戦後の困苦の中で、国民の長年の努力の結果、日本の経済は、ようやく繁栄をみるに至った。♠〈ばかをみる〉せっかく遠い店まで買いに行ったのに、定休日だなんて、全くばかをみちゃったよ。♠●〈人を見る人をて態度を変えるなんて、よくありませんね。♠●へ軽く見る〉彼は秀才[しゅうさい]だが、思い上がって人を軽く見るところがあるので、きらわれている。♠●へ甘く見る〉高校生だと思って甘く見られては困りますよ、おじさま。♠●〈大目[おおめ]に見る〉たった五分遅刻[ちこく]しただけだもの、大目に見てくれないかな。♠◆<足元を見る>子供だと思って、足元を見て、高い物を売りつけるなんてひどい店だ。♠●へつらい目をみる〉不幸な生い立ちで、さんざんつらい目をみてきた娘[むすめ]らしいが、とてもほがらかだ。♠●へ痛い目をみる〉おとなしく言う事を聞かないと、痛い目をみるぞ。♠●〈味をみる〉スープが煮[に]たったら、味をみて、適当に調味料を入れて、火を消しなさい。♠●へ患者[かんじゃ]を診る〉この人は確かにわたしが診た患者ですが、何か事件でもあったのですか。♠人脈を診る〉昔は、病人の脈を診ることで、病気の重さをはかろうとしたようだ。♠●〈見ると聞くでは大違い〉わざわざ町まで行ってきたのに、見ると聞くでは大違いで、全然おもしろくなかったよ。♠●へ見るもの聞くもの〉三、四歳の幼児にとっては、見るもの聞くものすべてが珍[めずら]しいらしく、質問を連発します。♠●〈見るところ〉ぽくの見るところでは、この子には絵の才能がありそうだ。♠●〈見る間に>爆撃[ばくげき]で傷ついた五人は、やっと川岸にたどり着いたが、見る間に四人が死んでしまった。♠●へ見るも痛々しい>病に苦しむ彼の顔は土色[つちいろ]になり、見るも痛々しいほどだ。♠●へ見るに堪[た]えない〉スープ皿に口をつけ、音を立てて飲むのは、礼儀[れいぎ]正しい西洋人には、見るに堪えないことだ。♠●く見るにしのびない>子を亡[な]くした親の嘆き、悲しがる様[ざら]は、ほんとうに見るにしのびない。♠●<親の目から見ると〉息子はもう社会人だが、親の目から見ると、いつまでたっても子供だ。♠へ遠くを見るような目つき〉老人は、遠くを見るような目つきをしながら、若いころの思い出話を始めた。♠◆<違[ちが]った目で見る>弱虫だと思っていた少年が上級生をとっちめたと聞いて、今までと違った目で見るようになった。♠◆<見るからに〉トカゲは見るからに気味の悪い生き物だ。♠◆人あのころから見ると〉あのころから見ると、この町も、そしてぼく自身もすっかり変わってしまった。♠へ見る目がない〉あんな男にだまされるなんて、きみも人を見る目がないね。♠●へ見る影[かげ]もない〉押し入れの奥から、七五三[しちごさん]で着た服が出てきたが、見る影もなく色あせていた。♠へそれみろ〉それみろ、生意気なことを言ったって、一人じゃ何もできないじゃないか。♠●〈見るも無残〉服はどろだらけ、髪はぼさぼさという見るも無残なかっこうで、兄は帰ってきた。♠●〈見も知らぬ>見も知らぬ方からこんなに親切にしていただいて、ご恩は忘れません。♠●へ見るに見かねて>弟が夏休みの最後の日に宿題をしこたま残しているので、見るに見かねて手伝ってやった。♠●〈見て見ぬふり〉通行人は巻き添えになるのを恐[おそ]れて、見て見ぬふりをしている。♠へ見られたざまでない〉大物をしとめてくるぞと言っておいて手ぶらで帰ってくるなんて、見られたざまじゃないね。♠へ〜してみる〉人だかりがしている。何があったんだろう、聞いてみよう。♠●へ〜してみれば〉相手にしてみれば、こんな手の込んだ策は思いもよらなかったろう。 **みるみる**【見る見る】 ○見ている間に。どんどん。[例 こらえていた妹の目に、みるみる涙[なみだ]があふれてきた。♠●勢いのついたトロッコは、みるみる線路を走り下りていった。♠●へみるみるうちに〉おぼれた少女は、人工呼吸でみるみるうちによみがえり、ほおに赤みが差してきた。♠●へみるみるうちに〉にわとりのひなたちは、えさをたくさん食べて、みるみるうちに、大きくなります。 **みれん**【未練】 ○あきらめきれないこと。心残り。[文例] 〈未 <1085> 練がある。ない〉彼女には、すでに父母兄弟も友もいない故郷への未練は、全くなかった。♠●未練を断[た]つ父は、医者に止められても、大好きなお酒への未練を断てなくて困っている。♠●へ未練が残る久しぶりに会った友人と話がはずみ、未練が残ったけれど、遅[おそ]くなるので別れた。♠●〈未練をもつ母は、落とした指輪にまだ未練をもっていて、半年もたつのにときどき愚痴[ぐち]をこぼす。♠●〈未練がましい〉これ以上話すことはないから帰ってくれと言われても、彼はまだ未練がましく、そこに座っていた。 **みわく**【魅惑】 ○人の心をとりこにし迷わせること。[文例] <魅惑の楽園〉ニューカレドニアは天国に一番近い島とも呼ばれ、魅惑の楽園です。♠●〈魅惑する〉フルートのやわらかく優雅[ゆうが]な音色は、ぼくたちを魅惑した。♠●〈魅惑的〉その豊かな胸、その長い髪、夫人はとても魅力的な女性でした。 **みわ・ける**【見分ける】 ○見て区別する。判別する。「文例〈顔を見分ける〉人の顔がぼんやり見分けられる程度の夕暮[ゆうぐ]れどきを、たそがれどきと言う。♠●〈本物かにせ物かを見分ける〉ダイヤモンドや真珠[しんじゅ]が本物かにせ物かを見分けることは、しろうとには難しい。♠●へきのこを見分ける>食用きのこと毒きのこかは、単純に色やにおいだけで見分けられるものではない。♠●〈善悪を見分ける〉幼[おさな]い子供に善悪を見分けることを教えるのは、親の大切な役目だ。♠●へ〜から〜を見分ける〉数多いことばの中から、真実のことばを見分けるのはそうたやすくはない。 **みわた・す**【見渡す】 ○遠くまでながめる。ある範囲全体を見る。[文例] 〈ぐるりと見渡す〉彼は、ぐるりと仲間を見渡して、「悪口を言い触[ふ]らしたやつはだれだ。」とにらみつけた。♠◆<湖を見渡す>午後になって霧が晴れ、湖を見渡すことができた。♠◆く見渡す限り〉北海道には、見渡す限り果てしのない原野がまだ残っています。♠●〈場内を見渡す〉役者は、舞台の上で場内のすみからすみまで見渡すと、ていねいにあいさつを始めた。♠●〈全体を見渡す〉まず全体を見渡して、やさしい問題から手をつけるといい。 **みんい**【民意】 ○民衆の意志。[文例] 選挙で選ばれた議員は、民意を代表して政治を行います。♠◆選挙の結果は、民意を反映したものといえますから、尊重されなければなりません。 **みんえい** 【民営】 ○民間で経営していること。[文例] ここは公営の宿泊施設なので、民営のものと比べると料金がかなり安い。♠民営化〉公社や国鉄などの公共企業体の民営化が進められた。 **みんか**【民家】 ○一般の人が住む家。[文例] 日本の建築物は、古くは寺院も民家も木造であった。♠●郊外を歩いていて、ふと見ると、民家の庭からほの白いむくげの花が顔を出している。♠●へ民家が立ち並ぶ〉街道筋には、古い旅館や民家が立ち並んでいます。 **みんかん**【民間】 ○一般の人々の社会。公の機関に属さないこと。[文例] 〈民間の人〉お役所の役人は頭が固いから、少し民間の人の意見も聞くとよい。♠●〈民間の人〉第二次世界大戦では、兵士の死はもちろん、民間の人の死もそれまでにないほど多かった。♠へ民間の伝承[でんしよう]〉彼は、長年研究してきた民間の伝承を本にまとめ、出版することにした。♠今民間の出身>皇太子妃[こうたいしひ]が皇族・旧華族[かぞく]出身ではなく、民間の出身と分かったとき、国民は大いに祝福した。♠●〈民間放送>NHKのような公共放送に対して、広告料などで経営される民間放送を民放といっている。 **みんしゅ**【民主】 ○国民に主権があること。[文例] 〈民主的>上に立つ者が一方的に意見を押しつけるのはよくありません。話し合ってもっと民主的に決めるべきです。♠●〈民主化>閉鎖的だった東欧の国々にも、民主化の波がおし寄せてきた。♠〈民主主義〉主権者の多数意見を中心にものごとを進めていくことが、民主主義の特徴[とくちよう]です。♠●〈民主国家>日本は、第二次世界大戦の敗戦によって民主国家に生まれ変わりました。 **みんしゅう**【民衆】 ○世間一般の人々。大衆。庶民。[文例] 〈貧しい民衆〉マハトマ=ガンジーは、貧しい民衆の先頭に立ち、インド独立運動に、一生をささげた。♠●〈民衆の夢や希望>民話には、昔の民衆の、苦しい生活の中での夢や希望がこめられている。♠◆〈民衆の生活〉ことわざは、今もくらしの中に生きる、民衆の生活の知恵[ちえ]と言えよう。♠●へ民衆の笑い〉川柳[せんりゆう]は、江戸時代に流行した民衆の笑いの文学と言えます。♠●〈民衆の心>政治家が底辺に生きる民衆の心を忘れがちなのは、古今東西共通の現象のようだ。♠民衆の声・訴[うつた]え>目安箱[めやすばこ]は、民衆の声を聞き、その訴えを取り上げようと、将軍徳川吉宗[とくがわよしむね]の時代に設けられた投書箱[とうしよばこ]だ。 **みんしゅく**【民宿】 ○一般の民家が営業する簡易宿泊施設。[文例] 〈民宿に泊まる〉今夜と明日の夜は、老夫婦の経営する小さな民宿に泊まるつもりです。♠◆民宿を営[いとな]む〉夏の間民宿を営むわが家では、お客のもてなしにおお忙[いそ]しです。 **みんしゅしゅぎ**【民主主義】 ○主権が国民にあるとする政治上の主義。自由・平等を基本の理念とする思想。[文例] 戦後、日本は民主主義の国として生まれ変わりました。♠◆今人民の人民による人民のための政治」というリンカーンの言葉は、民主主義の理念を述べている。♠◆独裁政治をめざしたヒトラーは、民主主義的な考えを次々と追放していった。 **みんぞく**【民族】 ○同じ人種で、同じ言語・歴史・文化・生活様式をもつ人間の集まり。[文例] ふつう、国家は、民族。言語・宗教のどれかの点で、共通な点があって成り立つのですが。♠●世界には、複数の民族で形成され、いくつかの言語をもつ国も珍[めずら]しくない。♠●へ民族の文化的遺産〉わたしたちに親しみ深い民話・伝説なども、貴重な民族の文化的遺産です。♠●〈異なる民族〉アメリカは、多くの異なる民族が入りまじって住むので、民族のるつぼとよばれることもある。♠●〈民族の存亡[そんぼう]>元寇[げんこう]は、日本にとって有史以来の、民族の存亡にかかわる大事件であった。♠●〈民族主義〉〈民族運動〉第二次世界大戦後、アジア各地で民族主義・民族運動がさかんになり、多くの植民地が独立した。 **みんな**(皆) ○全員。全部。みな。[文例] みんなで話し合って決めたのだから、みんなきちんと守るようにしよう。♠末 <1086> っ子の弟は、家族のみんなにかわいがられています。♠ぼくの持っているおもちゃをみんなやるから、ぼくと遊ぼう。♠―るから、ぼくと遊ぼう。♠◆彼の言っていることはみんなうそだから、だまされるんじゃないぞ。 **みんよう** 【民謡】 ○土地の民衆の中から生まれ、歌いつがれている歌。[文例] 「サンタルチア」や「オーソレミオ」は、イタリアのナポリ地方の民謡として有名です。♠●〈民謡を歌う〉おじいさんはお酒がまわってくると、得意の民謡を歌い出します。♠◆世界の各地に、いろいろな民謡が伝わり、人々に歌いつがれています。 **みんわ**【民話】 ○民衆の間で生まれ語りつがれてきた伝説や説話。[文例] 〈民話が生まれる〉昔の庶民[しよみん]の暮らしの中から、「わらしべ長者[ちようじや]」や「かさ地蔵」など、たくさんの民話が生まれた。♠●へ民話が伝わる〉この地方に古くから伝わる民話を集めて、一冊の本にまとめた。 **む** ○何も存在しないこと。無意味。無意義。[文例] 〈無になる〉これまでの努力が無にならないように、試験では全力を尽くします。♠◆〈無にする〉相手の好意を無にしないようにしなさい。♠●〈無に帰[き]する〉事業を広げようとして失敗し、それまでにたくわえた財産はすべて無に帰してしまった。♠◆<無に等しい〉日本で産出される石油の量は、その消費量から考えるとほとんど無に等しい。♠◆無から有を生じる〉芸術家の仕事は、無から有を生じる仕事だと言ってもいいかもしれせん。 **むい**【無為】 ○何もしないでいること。自然のままで人手が加わっていないこと。[文例] 〈無為に過ごす>彼はこの一年間、何も仕事をせずに、無為に過ごしていた。♠◆<無為徒食[とじき]>失業の身ですから、無為徒食の生活といわれても仕方がありません。♠◆◇無為無策〉地価の天井知らずの値上がりは、政府の無為無策も原因の一つといえよう。 **むいしき**【無意識】 ○意識を失っていること。意識しないで行動するさま。[文例] 〈無意識のうちに〉さよならホームランが出た時、ぼくは無意識のうちに、隣[となり]の人の手をにぎっていた。♠●〈無意識にさわる〉無意識にけがをした部分にさわってしまって、痛さに思わず飛び上がった。♠〈無意識に傷つける>無意識に彼の心を傷つけてしまったことに気づき、わたしは深く反省した。♠●〈半ば無意識〉わたしは、人と話しながら、半ば無意識でおさげの髪を指に巻きつけていることがある。♠●へ無意識なまでに〉鏡があればネクタイをしめ直す、それは無意識なまでに日常化したサラリーマンの姿だった。♠●へ無意識的〉意識的にか無意識的にか、わたしはむなしさを悪ふざけや冗談[じようだん]で追い払おうとしていた。 **むいちぶつ**【無一物】 ♪むいちもつ **むいちもつ**【無一物】 ○何も所有していないこと。むいちぶつ。[文例] 〈無一物になる〉火事で焼け出されて無一物になった彼は、新しい仕事を求めて東京に出てきた。♠●へ本来無一物>家族と家業を捨て、仏門に入ったわたしは、本来無一物のすがすがしさを感じていた。 **むいちもん**【無一文】 ○お金を全然持っていないこと。一文なし。[文例] ありったけの金を使いはたして無一文のはずの彼が、あんなりっぱなレストランに入って行く。♠無一文になる〉競馬で負けて無一文になったわたしは、子供の手を引いてとぼとぼと帰った。 **むいみ**【無意味】 ○意味がないこと。つまらないさま。無意義。[文例] 〈無意味な行動〉働きアリは生活時間の三分の二を全く無意味な行動についやしている。♠●へ無意味な言葉〉一人の老人がベンチに腰[こし]かけ、口の中で何やらぶつぶつと無意味な言葉をはき続けていた。♠●へ無意味な数字の羅列[られつ]>無意味な数字の羅列とお考えでしょうが、この統計にも意味はあるのです。♠●〈無意味な話〉くだらない、無意味な話ばかりしているパーティーに、わたしはもうあきあきした。♠●〈無意味になる〉計画中止の決定で、今までの努力が無意味になった。♠無意味な人生>お金を得るだけの無意味な人生を送るより、わたしにはほかにやりたいことがたくさんある。 **ムード** ○雰囲気。情緒。[文例] 〈ムードを盛り上げる〉パーティーの会場では、バンド演奏がムードを盛り上げています。♠◆ヘムードに弱い>若い女性は、だいたいにおいてロマンチックなムードに弱いものだ。♠◆ヘムードがある・ない〉せっかくのデートなのに、勉強の話ばかりでムードのないひとね。♠◆ヘムードが高まる〉国体の開幕が近づくにつれて、地元では大会のムードが一段と高まってきた。♠へ値上げムード〉何もかもみんな高くなって、世の中はあげて値上げムードだ。♠◆ヘムード音楽〉レコードからは、いかにも南国らしいムード音楽が流れてきた。 **むえき**【無益】 ○利益にならないさま。むだ。→有益[文例] 〈無益な争い>相手を傷つけ、自分も傷つくだけの無益な争いをやめよう。♠●〈無益な殺生[せつしよう]>すべての生き物たちが必死にその生命を全[まつと]うしようとしているのだから、無益な殺生は慎[つつし]みたいものだ。 **むえん**【無縁】 ○縁がないこと。関係がないさま。死後をとむらう縁者がいないこと。仏の教えに縁がないこと。「文例〈無縁の存在>農業に励[はげ]む母には、カルチャーセンターに通う女性なんて無縁の存在だ。♠へ学問と無縁>学校卒業以来、無我夢中[むがむちゅう]で働いて、およそ学問とは無縁の生活をしてきた。♠〈無縁なできごと>現代の国際化社会では、外国の政治や経済の変動は、日本にとっても無縁なできごとではない。♠●へ〜と無縁な生活〉原始人たちは、ほとんど自給自足で、商業価値などには全く無縁な生活であった。♠へ他の人生と無縁〉一人の人生は、他の人々の人生と無縁ではなくて、目に見えない関係でつながっている。♠◆〈無縁墓地[ぼち]>〈無縁仏[ぼとけ]>この町には、古くから無縁墓地があって、身寄りのない、いわゆる無縁仏が葬[ほうむ]られている。 **むが**【無我】 ○自我を離れること。私心を去ること。われを忘れること。[文例] )〈無我の境地〉決勝戦まできたら、もうあ <1087> れこれ考えず、無我の境地で試合に臨みます。♠●〈無我の境地>座禅をしてみて、初めて無我の境地を得ることの難しさがわかった。♠●<無我夢中>激[はげ]しい地震に、無我夢中で外に飛び出した。 **むかい**【向かい】 ○向かい合っていること。向かい合った家。正面。[文例] へ向かいの席〉向かいの席に座った少女と目が合って、なんだか恥ずかしかった。♠●へ向かいの店〉ケーキ屋さんの隣は床屋[とこや]さん、向かいの店は八百屋さんだったと思うわ。♠◆へお向かい〉お母さん、さっきお向かいのおばさんがこの栗[くり]を届けに見えたのよ。 **むがい**【無害】 ○害が無いこと。[文例] 】この薬品は人体には無害ですが、食べられません。♠●〈無害にする〉自然には、有害物を無害にし、環境を浄化[じようか]する働きがある。♠●へ人畜[じんちく]無害>幾度[いくど]もの実験で、この殺虫剤が人畜無害であることは証明済みです。 **むかいあ・う**【向かい合う】 ○互いにむきあう。[文例] 〈向かい合って座る〉列車で向かい合って座ったおばさんがいい人で、楽しい旅行ができました。♠●へ向かい合った辺[へん]>平行四辺形は、向かい合った二組の辺が平行になっている。♠〈敵と向かい合う〉川をはさんで向かい合った両軍は、互いに相手の様子をうかがっていた。 **むかいあわせ**【向かい合わせ】 ○向かい合うこと。[文例] 〈向かい合わせに座る〉運よく席が空いていたので、四人が向かい合わせに座ることができました。♠●へ向かい合わせの席>テーブルをはさんで向かい合わせの席には、上品そうなご婦人が腰かけていました。 **むか・う**【向かう】 ○顔・体をそちらへ向ける。ある方向をめざす。ある状態に近づく。相手とする。はむかう。対抗する。[文例] 〈机に向かう〉少女は、机に向かって背筋を伸ばし、習字の練習をしている。♠●へ面[めん]と向かう〉相手に面と向かって話す場合に、表情や身ぶりも大きな意味を持つ。♠◆神や仏に向かう〉日本人にとって合掌[がつしよう]は、神様や仏様に向かってする礼拝の形式です。♠●へ向かって左三階の、向かって左端から二つめが、わたしの教室です。♠●〈カメラに向かう〉モデルは、海を背景に、カメラに向かってほほえみながらポーズをとった。♠◆〈出口に向かう〉ホテルや劇場の火災では、せまい出口に向かって大勢の人が殺到[さつとう]し、被害を大きくしがちだ。♠へ北へ向かう〉北極星があそこに見えるのだから、北へ向かっていることは、間違いなさそうだ。♠へ目的地に向かう〉行商人は、次の目的地に向かって、朝早く出発していった。♠●天に向かってつばを吐[は]く〉天に向かってつばを吐けば、自分の顔を汚[よご]すだけということがわからないのか。♠●へ夏に向かう〉そろそろ夏に向かうので、衣替[ころもが]えの準備をしなくちゃ。♠●へ快方に向かう〉祖父の病気もようやく快方に向かい、この分だと、春には退院できそうだ。♠●〈未来に向かう〉一冊の優れた本が、読む人の目を未来に向かって開かせ、その生き方を決めることもある。♠●〈世界に向かう>若者の夢[ゆめ]は、世界に向かって大きく広がってほしいものだ。♠●へ親に向かう〉中学生のころは、親に向かって生意気な口をききたがるようだ。♠●〈敵に向かう〉今はこれまでと覚悟[かくご]を決め、圧倒的[あつとうてき]な敵に向かっていった。 **むかえう・つ**【迎え撃つ】 ○攻めてくる敵を待ち受けて戦う。迎撃する。[文例] 〈敵を迎え撃つ〉この台地は四方が見渡せ、敵を迎え撃つにはもってこいの場所です。♠●へ挑戦者を迎え撃つゝ新進気鋭の挑戦者を、チャンピオンは自信満々で迎え撃つかまえだ。 **むか・える**【迎える】 ○待ち受けて、受け入れる。家族や仲間に加える。呼んで、来てもらう。時期・事態が来るのを待ち受ける。人の気持ちを受け入れる。待ちかまえる。迎えうつ。[文例] 〈客を迎える>母はお酒やごちそうを並[なら]べ、お客様を迎える準備にてんてこ舞いだ。♠●へ医者を迎えに行く〉弟がぜんそくの発作[ほつさ]をおこしたので、急[いそ]いでお医者さんを迎えに行った。♠●へ店長に迎えられる〉彼は優れた経営手腕[りちさしゅわん]を買われて、新しく開店するスーパーの店長に迎えられた。♠〈婿[むこ]として迎える>彼女は、貧しいが律義[りちぎ]な青年を、ちかぢか花婿[はなむこ]として迎えることになった。♠●〈誕生日を迎えるニアんネの日記」は、アンネが十三歳の誕生日を迎えた一九四二年六月から始まる。♠●〈新年を迎える〉地震が始まってから二度めの新年を迎えても、火山の活動は、なお衰[おとろ]えを見せない。♠●〈夏を迎える〉庭の老樹[ろうじゆ]は、夏を迎えて今年も立派に葉を茂[しげ]らせてくれた。♠●〈老いを迎える〉昔と違って寿命は延びたが、老いを迎える気持ちの複雑さは、今も変わりはない。♠結末を迎える二人の愛は、周囲の反対や古い習慣の中で、悲劇的な結末を迎える。♠●へ危機を迎える〉ある民族から固有の言葉が失われるとき、その民族の文化は、最も重大な危機を迎えます。♠へ人の意を迎える〉人から嫌われるのがこわいために、ついつい人の意を迎えるような態度をとる自分がなさけない。♠敵を迎える〉ジャイアンツは、本拠東京ドームに十連勝中のドラゴンズを迎えた。 **むがく**【無学】 ○学問や知識がないこと。[文例] <無学な人〉無学な祖父は、自分の名前さえも満足に書くことができなかった。♠●〈無学文盲[もんもう]>あっしらのような無学文盲のやからにも善悪の判断はつきますぜ。 **むかし**【昔】 ○遠い過去。古い時代。過去の十年を一単位としていう語。[文例] 昔、あの人に夢中[じちゅう]だったのに、今はなんとも思わないのが、われながら不思議だ。♠●〈昔も今も昔も今も、地図が未知の土地への夢[ゆめ]をそそることに変わりはありません。♠昔からのしきたり〉どんど焼きは、正月の門松[かどまつ]やしめ飾りを集めて焼く昔からのしきたりだ。♠<昔へさかのぼる〉この辺りは、遠い昔へさかのぼると、海だったそうだ。♠●へ昔は昔>昔は昔、今は今。そんな古い話をむし返さないでよ。♠昔の人「子供は二つしかって、三つほめよ」か。昔の人はいいことを言ったもんだ。♠●〈今は昔〉今は昔、竹取の翁[おきな]と呼ばれる人が、光る竹の中から、かぐや姫[ひめ]を見つけたという。♠●へ昔ながら〉紙袋が普及しても、昔ながらのふろしきの人気はいっこうに衰[おとろ]えない。♠昔をしのぶ三十年ぶりに会った旧友と昔をしのびながら、思い出話を語り明かした。♠◆〈久遠[くおん]の昔から〉日本は、久遠の昔から悠遠[ゆうえん]の未来にわたって、海洋国家であり、日本人は海洋民族の運命にある。 <1088> **むかしかたぎ**【昔かたぎ】(昔気質) ○義理がたく、がんこな気質。[文例] 〈昔かたぎの職人〉昔かたぎの職人ですから、自分が納得するまで仕事を続けます。♠●〈昔かたぎの漁師〉この辺りの海には、伝統的な漁法で漁を続ける昔かたぎの漁師が残っています。 **むかしなじみ**【昔なじみ】(昔馴染) ○昔なじんだこと。昔からの知り合い。古い友達。[文例] 〈昔なじみの顔>木村さんの結婚式には、なつかしい昔なじみの顔がいくつか見えました。♠●〈昔なじみの友達>生まれて三十年間この町に住んでいるのですから、昔なじみの友達もたくさんいます。 **むかしばなし**【昔話】 ○昔から語りつがれた(子供のための)お話。昔の思い出話。[文例] 鬼の話やてんぐの話は、地方の言い伝えや昔話によく出てきます。♠●〈昔話をする〉おばあさんは、孫たちに「桃太郎[ももたろう]」や「浦島太郎[うらしまたろう]」などの昔話をした。♠●<昔話に花が咲く〉クラス会では、いつもいつも昔話に花が咲き、笑いがとだえることがありません。 **むかしふう**【昔風】 ○昔の様式や考え方。[文例] 〈昔風の建物〉ここは古い港町で、昔風の建物が町のあちこちに見られます。♠●へ昔風の髪型>昔風の髪型が着物によく似合っていますよ。♠●〈昔風の女〉わたしは、炊事洗濯[すいじせんたく]は女がすべきものだと思っている、昔風の女です。 **むかち**【無価値】 ○価値がないこと。「文例] 古いしきたりや因習は、長い間人々の生活を動かしてきたものですから、一概に無価値であると決めつけられません。 **むかつく** ○気分が悪く、吐きけがする。不愉快で腹が立つ。むかむかする。[文例] 】〈胸がむかつく〉部屋にはタバコの煙が充満し、目は痛く、胸がむかついてきた。♠●へむかつく気持ち〉自分勝手ばかり言う彼に、ぼくはむかつく気持ちを抑[おさ]えかねていた。♠●へむかつく男〉いちいち人の言葉じりをとらえるなんて、本当にむかつく男だなあ。 **むかっぱら**【むかっ腹】 ○むしょうに腹が立つこと。[文例] 〈むかっ腹が立つ〉駅員のいい加減な態度に、わたしはだんだんむかっ腹が立ってきた。♠●へむかっ腹を立てる>自分のふがいなさにむかっ腹を立て、大声でわめきたくなることもあります。 **むかむか** ○吐き気がするさま。腹が立つさま。[文例] 〈胸がむかむかする〉食べすぎて、胸がむかむかするので、胃散を飲んだ。♠●へむかむかする〉そんな話は聞いただけでもむかむかするから、やめてくれ。♠●へむかむかする虫のいどこころが悪かったので、弟のちょっとした言葉にむかむかして、どなりつけてしまった。♠●へむかむかと腹が立つ〉一人になると、さっきの彼のおうへいな態度を思い出し、急にむかむかと腹が立ってきた。 **むがむちゅう**【無我夢中】 ○一つの事に熱中して、われを忘れること。[文例] その時は無我夢中だったので、何をどうしたのかさっぱり覚えていません。♠●人間無我夢中になれば、ふだん以上の力が出せるものです。♠◆ハチの大群[たいぐん]に襲[おそ]われ、みんな無我夢中で逃げてきた。 **むかんかく**【無感覚】 ○感覚が無いこと。何も感じないさま。気にかけないさま。[文例] 〈手足が無感覚>寒さのために手足が真っ青になり、無感覚になってしまった。♠●〈金銭に無感覚〉金銭に対して無感覚な夫は、わが家に預金がどのくらいあるのか、まったくわかっていないらしい。 **むかんけい**【無関係】 ○関係が無いさま。[文例] 〈授業と無関係>だれかな、授業とは無関係なおしゃべりをしている人は。♠●へ生育に無関係>気温や湿度の変化は、植物の生育に無関係ではない。♠●〈無関係な人〉この問題に無関係な人は、口出ししないでくれたまえ。 **むかんしん**【無関心】 ○関心が無いこと。気にかけないさま。[文例] 〈無関心を装[よそお]う〉わたしは無関心を装っていたが、実はみんなのひそひそ話が気になってしかたがなかった。♠●<子供に無関心な親>わが子の成長に無関心な親というのは考えられません。♠◆〈無関心でいる〉人が困っていると聞いては、無関心ではいられないわ。 **むかんどう**【無感動】 ○感動しないこと。心を動かされないさま。[文例] 日本人は西欧人[せいおうじん]のように気持ちを外に表すことが少ないので、無感動な人種だと思われがちだ。♠●当時の青少年の間に、無関心・無感動・無気力の「三無主義」が広がっていた。 **むき**【向き】 ○向いている方向。関心の向かう方向。性質や心情の傾向。適していること。ささいな事でも本気になること。[文例] 〈体の向き〉〈向きを変える〉左端[ひだりはし]の人、そうあなた、体の向きをちょっと右に変えてください。♠へ〜の向きがある〉気まぐれな女と思われる向きもありましょうが、あれで本人も気にはしているのです。♠●〈御用[ごよう]の向き>御用の向きはうかがっておくようにと、番頭に申し付けてございます。♠●〈向き不向き〉仕事には向き不向きがあるから、就職の時にはよく考える必要がある。♠く子供向き〉なかなか楽しい、どちらかと言えば子供向きの映画でしたよ。♠●へ向きになる「おまえの母さん、でべそ」と言ったら、あいつ、向きになってかかってきた。♠〈前向き〉この問題には前向きに取り組むようお願いします。 **むぎ**【麦】 ○大麦・小麦・ライ麦などの総称。食料・飼料などとして重要な穀物。[文例] 〈麦を食べる>健康によいからと、母は麦をまぜたご飯を食べます。♠●へ麦を作る〉この地方では、米の収穫[しゅうかく]が済んだあとに麦を作っています。♠〈麦を踏む>畑では、農家の人たちが少し出た麦の芽を踏んでいました。♠へ麦の穂〉風がひとわたり吹いて、麦の穂をさやさやと鳴らしていた。♠◆一粒[ひとつぶ]の麦は、地に落ちて死ななければ、一粒のままである。だが、死ねば、多くの実を結ぶ。(ヨハネによる福音書) **むきあ・う**【向き合う】 ○互いに顔や体の正面を向け合う。[文例] 〈人と人が向き合う〉お見合いの席で向き合った二人は、さっきからひと言も口をききません。♠●〈宇宙と向き合う〉夜のやみの中で広大な宇宙と向き合い、望遠鏡のかなたの無限を見つめていた。 <1089> ●く現実と向き合う〉厳しい現実としっかり向き合い、逃げないようにしなさい。 **むきげん**【無期限】 ○期限を定めないこと。[文例] 〈無期限に延ばす〉いかに難しい問題といえども、解決を無期限に延ばすことはできません。♠◆<無期限ストライキ>組合は労働条件の改善を求めて、明日の始業時から無期限ストライキに突入する。 **むきず**【無傷】(無疵) ○傷や損傷が無いこと。失敗・罪・負けなどが無いこと。[文例] 〈無傷で助かる〉あのひどい交通事故にあって、よくまあ無傷で助かったものだね。♠●へ品物が無傷>知人から届いた木箱は、ひどく壊[こわ]れていたが、幸いにも中のりんごは無傷だった。♠◆ヘチームが無傷〉ぼくたちのチームは、守備の乱れはあったが、投手陣[じん]は無傷のまま決勝戦に残った。♠●へ法律的に無傷〉彼は今まで法律的には無傷だが、道徳的に悪いことをしなかったわけではない。 **むきゅう**【無休】 ○休みが無いこと。休まないこと。[文例] 〈年中無休>貧乏暇[ひま]なしですから、年中無休でこまねずみのように働いております。 **むきゅう**【無給】 ○給料がないこと。[文例] 〈無給で働く>仕事を覚えるために、叔母[おば]のアトリエで無給で働いています。 **むきゅう**【無窮】 ○果てしないこと。無限。[文例] 〈無窮の宇宙〉この無窮の宇宙の下で、何と人間のちっぽけなことか。 **むきょういく**【無教育】 ○教育を受けていないさま。無学。[文例] やさしかった祖父は、自分の名前も満足に書けないほど無教育な人間でした。 **むきだし**【むき出し】(剝き出し) ○覆い隠すものがなくて全部外に出ているさま。あらわ。[文例] 〈むき出しのおなか〉昼寝[ひるね]をしている弟のむき出しのおなかに、はえが一ぴき止まっている。♠●へむき出しのまま〉お祝いのお金やお香典[こうでん]を、むき出しのまま渡すのは失礼なことです。♠●へ敵意がむき出し>ぼくにくってかかる友達の表情には、敵意がむき出しだった。♠●へ感情をむき出しにする〉あの課長は、すぐ感情をむき出しにして部下をどなりつける。♠●ヘエゴイズムをむき出しにする〉エゴイズムをむき出しにした男の態度は、周囲の人たちのひんしゅくを買いました。 **むきだ・す**【むき出す】(剝き出す) ○むき出しにする。あらわにする。[文例] 〈歯をむき出す〉先生のおもしろい話に、良太は歯をむき出して笑いこけた。♠●〈背中をむき出す〉彼女は、肩から背中までむき出した大胆[だいたん]なドレスでパーティーに現れました。 **むきてき**【無機的】 ○生命がないように冷たい感じがするさま。→有機的[文例] 〈無機的な光>蛍光灯の光は無機的で、少しもやさしさが感じられない。♠●〈無機的な声>法廷[ほうてい]には、判決を読み上げる裁判官の無機的な声ばかりが響[ひび]いていた。 **むきどう**【無軌道】 ○軌道が無いこと。考え方や行動などがでたらめでいいかげんなさま。[文例] 〈無軌道な若者〉いつの時代も、無軌道な若者たちがいて、社会に迷惑[めいわく]をかけてきました。♠●〈無軌道な生活>学校をやめたわたしは、職にもつかず、無軌道な生活を送っていた。 **むきなお・る**【向き直る】 ○向きを変える。[文例] 黒板に答えを書いていた先生は、生徒の方に[むきなお]ると、今日はここまでと言った。♠●そっと涙をふくと、母はわたしの方に向き直った。 **むきりょく**【無気力】 ○気力が無いこと。やる気が起こらないさま。[文例] 敗戦で何もかも失ってしまった人々は、なかなか無気力から立ち直ることができなかった。♠●へ無気力な毎日>母親を亡くしてからというもの、ボーッとして無気力な毎日を送っていました。♠●〈無気力なプレー>選手の無気力なプレーに、観客から不満の声が上がった。 **むく**(無垢) ○煩悩[ぼんのう]のけがれのないこと。純真でけがれのないこと。まじりけのないこと。全体が無地で一色であること。[文例] 〈無垢な心>子供たちの無垢な心が、いつまでもそのままであればよいと思う。♠●〈清浄無垢[せいじようみにく]>醜い社会の裏側などまったく知らない夫人の心は、清浄無垢そのものでした。♠●〈純真無垢〉純真無垢などと大人はいいますが、あれで子供もけっこう計算高いものなのです。 **むく**【向く】 ○顔や体の正面を向ける。その方向に面する。その方向へ向かう。適合する。[文例] 〈~の方を向く>放課後の教室に入っていくと、小田君は黒板の方を向いていすに座[すわ]っていた。♠〈後ろを向く〉この写真の中で、一人だけ後ろを向いているのが弟です。♠へあっちこっちを向く〉あっちを向いたり、こっちを向いたり、何をきょろきょろしているの。♠〈上・下を向く〉みんなに冷やかされて、二人とも真っ赤になって下を向いてしまった。♠◆へそっぽを向く〉彼女は、機嫌[きげん]が悪いと、そっぽを向いて返事もしない。♠●〈西に向く>西に向いた窓から入る夕日で、部屋の中の物はすべて赤く染め上げられた。♠◆足が向く>兄は、会社の帰りに、自然と盛り場[さかば]に足が向くようだ。♠気が向く>気が向いたら、いつでも訪[たず]ねてきなさい。♠●〈気の向くまま〉気の向くままに書きつけていたノートが、いつのまにか十冊になった。♠●へ関心が向く〉今は、推理小説に関心が向いているので、SFはあまり読んでいない。♠運が向く>画家にも運が向いてきたのか、最近は、絵が少しずつだが売れるようになった。♠へ女子に向く〉この作業は腕力[わんりよく]がいるので、女子には向いていない。♠●〈教師に向く>子供が好きだからといって、教師に向くとは限りません。人を育てるという意気ごみが大事です。 **む・く**(剝く) ○皮や殻[から]などおおっているものを取る。[文例] 〈皮をむく〉みかんの皮をむくと、かぐわしい香りがしてきます。♠●〈玉ねぎをむく〉お母さんが台所で、玉ねぎをむきながら、目を真っ赤にしている。♠へ殻をむく>男たちが採ってきたカキやホタテの殻をむいて、むき身にするのは女の仕事です。♠●へきばをむく〉わが家の日本犬は、だれか来ると、猛烈[もうれつ]にほえ、きばをむいて威かくする。♠●〈目をむく〉すてきなバッグを見つけて買おうとしたら、目をむくほど高い値段だった。♠◆一皮むく〉人間なんて、一皮むけば、だれでも本性[ほんしよう]はたいして変わらないという意見もあります。♠●くすりむく〉小石につまずいて転び、ひざをすりむいた。 <1090> **むくい**【報い】 ○何かをしたことの結果として得たり、身にふりかかってくるもの。[文例] 〈報いがある〉苦しくてもまじめに一生懸命[いつしようけんめい]働いた報いは、必ずあるはずだよ。♠へ報いを受ける〉よい行いをすれば、よい報いを受け、悪い行いをすれば、悪い報いを受ける。♠●へ罪の報い>彼が晩年不幸だったのは、若いときの罪の報いであろう。♠●へ〜の報いで>勉強を怠[なま]けた報いで、希望の高校へ入れなかった。♠〈報いとなる〉人に親切にすれば、それがやがて回り回って、自分に対する報いとなってかえってくるのだ。♠●へ前世[ぜんせ]の報い>子供たちに先立たれ、肉親の縁[えん]が薄[うす]いのは、前世の報いだろうか。 **むく・いる**【報いる】(酬いる) ○人から受けた物事に対して、お返しをする。仕返しする。[文例] 〈恩に報いる〉親代わりに育ててくれた叔父[おじ]の恩に報いるためにも、立派な先生になろうと心に決めた。♠●〈労に報いる〉会社は彼の労に報いるために、特別休暇を与えた。♠◆一矢[いつし]を報いる〉あの選手にはずっと負け続けてきたが、今日やっと一矢を報いることができた。♠●く努力が報いられる〉長年の努力が報いられて、このほど表彰[ひようしよう]されました。 **むくち**【無口】 ○口数の少ないさま。[文例] 〈無口な人〉あの子は無口だが、いつも微笑[びしよう]を絶やさない。♠●〈無口な青年〉彼は、無口なわりに理屈[りくつ]っぽい青年で、あまり人と交際しない。♠●〈無口な少女〉あの無口な少女は、決して皆のおしゃべりの仲間[なかま]に入ろうとしない。♠泣かぬ子は無口「泣かぬ子は無口」というが、それでいくとこの赤ちゃんはどんなおしゃべり屋さんになることやら。 **むくつけき** ○むさくるしい。恐ろしい。[文例] 〈むくつけき男>呼び声にこたえて玄関に出てみると、髪の毛がぼさぼさで、ひげぼうぼうのむくつけき男が立っていた。 **むくみ**(浮腫み) ○むくむこと。♪むくむ[文例] 〈むくみが出る〉顔にむくみが出ているのは、どこか体に不調があるからではないでしょうか。♠●へむくみが引く〉一日ぐっすり休んだので熱も下がり、足のむくみも引きました。♠●へむくみがくる〉右手にむくみがきていて、左手の倍近くにはれあがっている。♠へむくみが取れる二時間も泣き通しだった妹は、まだまぶたのむくみが取れていない。 **く・む**(浮腫む) ◯顔や手足などがはれてふくれる。[文例] 〈足がむくむ〉ビタミンの不足で起こる脚気[かつけ]は、足がしびれたりむくんだりします。♠●へ顔がむくむ〉睡眠が足りないのではありませんか、顔がむくんでいるような気がしますよ。 **むく・れる**(剝れる) ○皮などがめくれる。腹を立ててふくれる。[文例] 〈くちびるがむくれる〉男は、ぶあつく、むくれたようなくちびるをなめ回した。♠●へむくれた顔〉どうしたの、ブーッとむくれた顔をして、お母さんにしかられたの?♠●弟がむくれているのは、約束のおもちゃを買ってもらえなかったからです。 **むくろ**(軀・骸) ○体。死体。なきがら。腐った木の幹。[文例] 〈むくろを葬[ほうむ]る>逃走中に道端で果てた兵士のむくろを、村人は教会の庭の隅[すみ]に葬りました。♠●へ木のむくろ〉朽ちかけた木のむくろにおのを入れると、気味の悪い虫がごそごそとはい出してきた。 **むけい**【無形】 ○形がないこと。形がないもの。→有形[文例] 〈無形の財産>死んだ主人が築いたお客様の信頼は、この店の無形の財産となっている。♠◆へ有形無形〉わたしたち人間の行動は、有形無形の文化遺産を作ることがあり、それは後世へ伝えられていく。♠◆<無形文化財〉伝統芸能の一つである能狂言のその役者は、重要無形文化財、いわゆる人間国宝に指定されています。 **むげい**【無芸】 ○できる芸が何もないこと。芸なし。[文例] )〈無芸な人間〉わたしは歌も下手、話も下手な無芸な人間で、お酒の席は苦手です。♠◆<無芸大食〉食べることだけは人なみ以上で、ほかにたいしたとりえのない、無芸大食を絵にかいたような男だ。 **むげに**【無下に】 ○いちがいに。一方的に。むやみに。[文例] 〈むげに断る〉わたしを頼[たよ]って来たというものを、むげに断るわけにもいかず、困っているのです。♠●へむげに断る〉せっかくの申し出をむげに断ることもできない。♠へむげに扱う>先生からのご紹介とあれば、むげに扱うわけにはまいりません。♠含むげに否定する〉迷信だからといって、昔から伝えられたものをむげに否定するのはよくない。 **む・ける**【向ける】 ○その方向を向くようにする。さしむける。つかわす。ふりあてる。向かう。[文例] 〈顔を向ける〉風がしだいに強まり、黒雲も広がり、やがて顔も向けられないほどの暴風雨になった。♠へ背を向ける>母にしかられると、弟は背を向けて、ぶつぶつ言いながら出ていった。♠◆〈背を向ける〉わたしは、世の中に背を向けるようにして、ひっそりと生きてきました。♠●〈目を向ける〉国語の時間に、大きな社会問題の一つである緑の保護に目を向けて、作文を書くことになった。♠●へ質問を向ける〉ぼんやりしているときに、急に先生から質問を向けられて、すっかりあわててしまった。♠◆注意を向ける>展覧会では、つい有名画家の絵に注意を向けがちだが、画家の名だけで価値判断しないほうがよい。♠◆ヘマイクを向ける〉昔とちがって、最近の子はマイクを向けると堂々と話してくれる。♠●〈足を向ける〉さんざんしゃべった後、彼女は、ゆっくりと駅の方角に足を向けた。♠●へ足を向ける〉苦しい時に何度も助けてもらったので、今でもあの人のいる方に足を向けては寝られない。♠●〈まなざしを向ける〉いつも厳格[げんかく]な父が孫には無条件に優しいまなざしを向けるのが、何となくおかしい。♠●へ矛先[ほこさき]を向ける〉ヨーロッパ各地に戦火を広げたドイツ軍は、一九四○年に入ると、矛先をオランダに向けた。♠●へ使いの者を向ける〉ろう城を続ける敵に、使いの者を向けて、降伏[こうふく]を勧めた。♠●〈水を向ける〉口の軽い彼女は、ちょっと水を向けられると、人の秘密までしゃべってしまう。♠●へ顔が向けられない〉一国の首相が約束[やくそく]してきたことを、帰国したとたん取り消すなんて、世界に顔の向けられない行為[こうい]だ。♠◆ヘシーズンに向けて>観光シーズンに向けて、市街地から海へ通じる旧道が改修された。 **む・ける**(剣ける) ○外側を覆っていたものがはがれてとれ <1091> る。[文例] 皮がむける>海で日に焼けて二、三日たつと、背中の皮がむけてきた。♠●へ渋皮[しぶかわ]がむける〉料理屋で働き始めると、娘は渋皮がむけて色っぽくなった。 **むげん**【無限】 ○限りがないこと。果てがないこと。[文例] 〈無限と有限〉有限の世界に住んでいる人間には、宇宙の無限などは想像をこえたことだ。♠●〈無限の喜び〉皆さまにこの本を手に取って読んでいただけることは、無限の喜び、無上の幸福に存じます。♠●〈無限の可能性>六○○○キロを無着陸飛行に成功したことは、飛行機の無限の可能性を全世界に示した。♠<無限に飛び続ける〉ボイジャーⅡ号は、海王星に接近し、通過すると、宇宙のかなたへ無限に飛び続けていった。♠●〈無限の豊かさ>五・七・五の約束[やくそく]を守ることによって、かえって俳句には無限の豊かさが生まれる。♠●へ無限に広がる〉眼下には、熱帯のジャングルが無限に広がっていた。♠◆<無限大〉人間の生活に直接かかわりあいのある自然は、もはや無限大とは見なしえなくなってきた。 **むげん**【夢幻】 ○夢と幻。はかない物事。[文例] 〈夢幻の世界〉幻想的なこの短編小説は、作者の夢の中で生起した夢幻の世界を描いている。 **むげんだい**【無限大】 ○限りなく大きいこと。[文例] <無限大に広がる〉わたしたちの周りには、宇宙が無限大に広がっている。 **むこ**【婚】(壻・智) ○娘の夫。新婚の夫。結婚相手の家の籍に入った男性。→嫁[文例] 〈婿が来る〉一人娘に婿が来てから一年目、待望の男の子が生まれました。♠〈婿を取る〉お店のご主人は娘に婿を取って、店を継がせる意向らしい。♠●〈婿に入る〉わたしは、長女と結婚して、婿に入ってくれる男を探している。♠●へ婿にやる〉どうだい、うちのどら息子でよかったら、娘さんの婿にやろうか。♠●へ娘一人に婿八人〉定員二人のところへ大勢の応募者がつめかけ、ありがたいことに娘一人に婿八人といった状態です。♠●へ花婿〉花嫁と花婿を真ん中に、親せきがそろって写真を撮りました。 **むこ**(無辜) ○罪のないこと。[文例] 〈無辜の人〉敵となれば、かりにそれが無辜の人であっても、殺さなければならないのが戦争だ。♠◆無辜の民〉繰り返される戦いに無辜の民の嘆きは深かった。 **むご・い**(惨い・酷い) ○残酷である。悲惨である。いたましい。[文例] 〈むごい仕打ち〉生き物にあまりむごい仕打ちばかりしていると、あとで化けて出るぞ。♠●へむごい取り立て〉金貸しの老人は、むごい取り立てのため、町の人々の反感を買っていた。♠●〈むごい拷問[ごうもん]>役人のむごい拷問にあって、男は身に覚えのないことを白状させられた。♠へむごいありさま〉ガス爆発[ばくはつ]の現場は、実にむごいありさまだった。♠●〈むごい死に方〉猛獣[もうじゆう]におそわれるというむごい死に方を見て、人々は思わず目をそらせた。 **むこう**【向こう】 ○正面。前の方。あちらの方。あちら側。目的地。先方。相手。今後。[文例] 〈向こうから来る〉向こうから来るのは、この近くの人らしいから、道を聞いてみよう。♠●〈山の向こう〉夕日が山の向こうにしずみ、辺りがだいぶ暗くなってきたのに、弟はまだ帰らない。♠●へ電話の向こう〉一人で留守番するのはさびしいから、早く帰ってと、電話の向こうで妹の心細げな声がした。♠●へ向こうを向く〉この間のけんかをまだ根にもっているのか、彼女は顔を合わせると、ぷいと向こうを向く。♠●〈向こうに着く〉向こうに着いたら、昼食をとる前にテントを張って、キャンプの準備を済ませよう。♠●難航[なんこう]の末、兄の結婚[けつこん]相手が決まったが、向こうは二つばかり年上である。♠●へ向こうに回す〉口八丁手八丁の妹を向こうに回してのけんかは、いつもわたしの負けだ。♠●〈向こうを張る〉隣村の向こうを張って、ぼくの村でも今年の秋祭りは、みこしやだしを出して盛大[せいだい]にやった。♠へ向こう十日間〉その道路は、落石のため向こう十日間通れません。♠●へ四月から向こう〉四月から向こうは、いくらか仕事が暇[ひま]になるようだから、一度遊びにいくよ。♠●へ向こう三軒両隣[さんげんりようどなり]〉こちらへ引っ越してきたら、向こう三軒両隣、皆いい人ばかりで、本当に良かった。♠へ向こう傷〉この額の向こう傷は、敵のまっただ中に切りこんでいった時に受けたものさ。♠◆へ向こうずね>階段から足をふみはずして、向こうずねをいやというほど打ってしまった。♠◆人向こうはちまき〉受験生たちは、向こうはちまきをして、真剣[しんけん]な顔で勉強している。♠〈向こう見ず>友達にからかわれて、向こう見ずに二階から飛び降りるのが、『坊っちゃん』」の書き出しである。 **むこう**【無効】 ○効力が無いこと。効果を生じないこと。[文例] 〈定期券が無効〉期限が過ぎ無効になった定期券で改札口を通り、呼び止められた。♠へ遺言が無効〉遺言は、法律で定められた書式に従わないと無効です。♠◆へ無効の投票〉今回の選挙では、落書きや白紙など無効の投票が多かったようだ。♠●へ切符が無効〉公演が中止になった場合、この切符は次回の公演には無効です。 **むこうずね**【向こうずね】(向こう脛) ○すねの前面。[文例] 向こうずねは、弁慶[べんけい]の泣き所とも呼ばれ、いすの角でぶつけたりするととても痛い。♠●へ向こうずねをける〉さしもの大の男も、向こうずねをけられてうずくまってしまった。 **むこうみず**【向こう見ず】 ○よく考えずに行動すること。また、そういう人。無鉄砲。[文例] 〈向こう見ずな男〉あとさきも考えずに飛び出していくとは、なんて向こう見ずな男なんだ。♠●へ向こう見ずな行為[こうい]>周囲の人をも危険にさらす向こう見ずな行為は、非難されて当然です。 **むごたらし・い**(惨たらしい・酷たらしい) ○見ていられないほどむごい。[文例] 〈むごたらしい光景〉画面に殺人現場のむごたらしい光景が映し出され、わたしは思わず目をそむけた。♠●へむごたらしく切り裂く〉子牛はナイフでむごたらしく切り裂かれ、血の海の中に倒れていた。 **むごん**【無言】 ○ものを言わないこと。「文例] 何を聞いても、少年は無言のままうつむいているばかりだった。♠無言の行〉いくら話しかけてもだんまりで、無言の行でもしているのかい。 **むざい**【無罪】 ○罪が無いこと。罪を犯していないこと。[文例] 被告人の無罪を証明するために、弁護人は有力な証拠を法廷に提出した。 <1092> **むさく**【無策】 ○方策・対策がないこと。[文例] 有効な作戦が浮かばず、ぼくは無策で試合に臨まなければならなかった。♠◆<無為無策>野党は、この問題は政府の無為無策が原因だと厳しく追及した。 **むさくるし・い**【むさ苦しい】 ○きたなくて見苦しい。きたならしい。[文例] 〈むさ苦しい髪〉昨日までのむさ苦しい髪を切って、きれいさっぱりとした。♠●へむさ苦しい身なり〉そんなむさ苦しい身なりで人さまの家にうかがうのは失礼です。♠●〈むさ苦しい部屋>西日の照りつける狭[せま]いむさ苦しい部屋に、青年はたった一人で住んでいた。♠◆へむさ苦しい所〉たいへんむさ苦しい所ですが、どうぞお上がりください。 **むさべつ**【無差別】 ○差別をしないこと。差別がないさま。[文例] アンケートはだれかれの区別なく、無差別に行われました。♠●〈無差別爆撃[ばくげき]>敵の無差別爆撃で、一般市民に多くの犠牲者[ぎせいしや]が出た。♠◆〈無差別平等>先生は、子供たちを無差別平等に扱った。 **むさぼ・る**(貪る) ○飽くことなくほしがる。欲ばる。欲ばって、がつがつ食べる。[文例] 〈暴利をむさぼる〉一般の金融業者よりはるかに高い利子で金を貸して、暴利をむさぼる業者がいる。♠●へ惰眠[だみん]をむさぼる〉暖かい春の日差しを浴びて、老[お]いたねこが一日じゅう、縁側[えんがわ]で惰眠をむさぼっている。♠ヘえさをむさぼる〉腹をすかせた野良犬が、ごみ捨て場でえさをがつがつむさぼっている。♠●へむさぼるように飲む〉お母さんがうとうとしている間も、赤ちゃんは、むさぼるようにお乳を飲んでいる。♠●へむさぼるような勢い〉知識欲の盛[さか]んな少年は、むさぼるような勢いで、次から次に本を読破していった。 **むざむざ** ○惜しげもなく。あっさりと。たやすく。まんまと。[文例] 〈むざむざと捨てる〉尊[とうと]い命をむざむざと捨てるようなことは、やめるべきだ。♠へむざむざ引き返す〉何の獲物[えもの]もなしに、むざむざ引き返すわけにはいかない。♠●へむざむざととりやめる〉これくらいの反対で、むざむざと工事をとりやめるわけにはいかない。♠●へむざむざと計略に乗る〉敵の計略にむざむざと乗せられて、大敗を喫[きつ]した。♠●へむざむざと口車に乗る〉セールスマンの口車にむざむざと乗せられて、つまらないものを買ってしまった。♠へむざむざわなにはまる〉むざむざ敵のわなにはまった自分がくやしくてたまらない。 **むざん**【無残・無惨】(無慚・無慙) ○むごたらしいさま。いたましいさま。悲惨なさま。罪を犯して恥じないこと。[文例] 〈無残な姿>昨夜の嵐で巣から落ちたらしく、ひなは無残な姿をさらしていた。♠●〈無残な光景>事故現場の無残な光景に、男はぼうぜんと立ちつくした。♠●〈見るも無残〉工場は、見るも無残に焼け果て、足の踏み場もないくらいであった。♠●〈無残に引きさく〉夢多き二人の現実は、戦争によって無残に引きさかれた。♠●〈無残に破壊[はかい]する〉戦争は、一家の平和な日々の暮らしを無残に破壊してしまった。♠へ無残なしかばね〉ライオンに襲[おそ]われたシカは、無残なしかばねをさらしていた。♠●むざんやな甲[かぶと]の下のきりぎりす(松尾芭蕉[まつおばしよう]) **むし**【虫】 ○人・獣・鳥・魚・貝以外の小動物の総称。昆虫など。美しい声で鳴く昆虫。寄生虫や害虫。子供に起こる神経性の病気。疳[かん]の虫。かんしゃく。気持ちや感情を起こすもと。一つのことに熱中したり、そうしてばかりいる人。[例] 〈虫に刺される>河原で夕涼み[ゆうすず]をしていたら、あちこち虫に刺されてしまった。♠●へ虫に食われる〉たんすの中にしまっておいた、母のよそゆきの着物が虫に食われていた。♠虫の声>スズムシ、マツムシなどを飼って、秋の夜長を美しい虫の声を聞いて楽しんでいる。♠◆一寸[いつすん]の虫にも五分[ごぶ]の魂[たましい]>「一寸の虫にも五分の魂」ということわざは、小さくて弱い者にも意地があるからあなどれないという意味だ。♠●虫も殺さぬ顔>彼女は虫も殺さぬ顔をしているが、なかなか底意地の悪いところがある。♠◆〈虫がわく〉おなかが痛いのは、虫がわいたせいかもしれないから、虫下[むしくだ]しを飲んでごらん。♠腹の虫がおさまる〉そんなことを言われて、黙って引き下がるなんて、それで腹の虫がおさまるのかい?♠〈虫の息>車にはねられて虫の息だった子だぬきが、獣医[じゅうい]に助けられ、山へ帰っていった。♠へたで食う虫も好き好き〉「たで食う虫も好き好き」とは言うけれど、あんな女のどこがいいのだろう。♠●〈飛んで火に入る夏の虫>優勢な敵軍に、少人数で切り込むなんて、まるで飛んで火に入る夏の虫だ。♠●〈虫を起こす〉幼い妹がわけもなく泣くと、また虫を起こしたのだろうと、おばあさんは小さな薬を飲ませる。♠●〈虫の居所[いどころ]が悪い〉いつもは穏[おだ]やかな人があんなにどなるなんて、今日はよっぽど虫の居所が悪かったのだろう。♠◆〈虫が好かない〉あの男のどこがきらいというわけではないが、なんとなく虫が好かないんだ。♠人虫がよい>権利だけを主張し、義務と責任を免[まぬか]れようとするのは、虫がよすぎる。♠●〈虫の知らせ〉いつもは駅までバスに乗るのに、あの事故の日に限って歩いていったのは、虫の知らせとでも言おうか。♠●へ虫がつく〉あのおやじは、かわいい一人娘に悪い虫がつかないかと、心配ばかりしている。♠●〈仕事の虫>日本人は外国人から、うさぎ小屋に住む働きばち、仕事の虫と、非難をこめてからかわれている。♠本の虫>兄は、本ばかり読んでいる本の虫だけれど、学者にでもなるつもりなのだろうか。 **むし**【無視】 ○存在や価値を認めないこと。問題にしないこと。[文例] 〈信号を無視する〉一台の車が信号を無視して、交差点に突っ込んできた。♠●〈注意を無視する>先生や親の注意を無視して泳いで、おぼれかけた子もいます。♠ヘうわさを無視する〉つまらない他人のうわさなど気にかけず、無視してしまえばいい。♠●へ存在を無視する〉自分の存在が無視されるというのは、悪口を言われるよりも、かえってつらいことがある。♠●〈違いを無視する〉日本と欧米[おうべい]の風土の違いを無視して、欧米の生活様式をそのまままねてもだめだ。 <1093> **むし**【無私】 ○自分の利益を考える気持ちがないこと。私心のないこと。[文例] 〈無私の精神>無私の精神がなければ、とてもボランティア活動には従事できない。♠●へ公平無私>政治が公平無私であると信じている人は少ないでしょう。 **むじ**【無地】 ○全体が一色で模様がないこと。[文例] 〈無地のブラウス>夏は、白の無地のブラウスを着用するように学校はすすめています。♠●〈無地のネクタイ〉お葬式[そうしき]にしていくには、黒の無地のネクタイが適当です。 **むしあつ・い**【蒸し暑い】 ○高温多湿で蒸されるように暑い。[文例] 風もなく蒸し暑い夜だったので、ゆうべはほとんど眠れなかった。♠●北海道などを除けば、日本の夏は、湿度が高く蒸し暑いのでたいへん不快です。 **むしかえ・す**【蒸し返す】 ○一度蒸したものをもう一度蒸す。いったん決まった事を再び問題にする。[文例] へごはんを蒸し返す〉お母さんは今、蒸し器で、冷たくなったごはんを蒸し返しています。♠●へ話を蒸し返す〉何が気にいらないのか、彼女は、昨日結論の出た話をもう一度蒸し返そうとしている。♠●へ議論を蒸し返す>責任の所在について、ここで議論を蒸し返すつもりはありません。 **むじかく**【無自覚】 ○自覚していないさま。[文例] 〈無自覚に生きる〉これまで、自分の立ち場に無自覚に生きてきたことを反省しています。♠●〈無自覚な行動〉彼は、隊長として無自覚な行動が多く、部下から信頼されていなかった。 **むしけら**【虫けら】 ○ちっぽけな虫。くだらない人。[文例] 大きな石をひっくり返すと、虫けらが出てきた。♠●へ虫けらのよう〉領主[りようしゆ]は、百姓[ひゃくしよう]たちをまるで虫けらのように扱った。♠◆<虫けら同然〉相撲[すもう]の世界では、下っぱは虫けら同然、関取[せきとり]に口ごたえなどできません。 **むしず**【虫ず】(虫酸・虫唾) ○むかむかして胃から口に上がってくるすっぱい液。不快な気分。[文例] 〈虫ずが走る〉あんな女の話をするのはやめてくれ、うぬぼれが強くて自分勝手で、まったく虫ずが走る。 **むしつ**【無実】 ○根拠になる事実がないのに罪があるとされること。実際の内容がないこと。[文例] 何も悪いことはしていません、ぼくは無実です。♠◆〈無実を叫ぶ>身に覚えのない罪で捕らえられ、無実を叫び続ける人もいます。♠へ無実の罪>男は無実の罪を着せられ、三年間も服役[ふくえさ]した。♠〈有名無実>実情にそぐわず、みんなに守られないような規則は有名無実ですから廃止しましょう。 **むしのいき**【虫の息】 ○今にも絶えそうな弱い呼吸。[文例] 病院に運ばれたとき、男はもう虫の息で、ほとんど意識がなかった。♠●店はなんとか営業していますが、ほとんど虫の息で、今にも倒産[とうさん]しそうです。 **むしのしらせ**【虫の知らせ】 ○根拠はないが、何となくそう感じること。[文例] 電話が鳴り響いたとき、彼女からであることは虫の知らせでわかった。♠●へ虫の知らせがある〉何か悪いことがおこるときには、虫の知らせがあるものだ、と年寄りが言う。 **むしば・む**(蝕む) ○虫が食う。少しずつ害を与える。[文例] 〈体をむしばむ>若さと強い精神力も、体をむしばむ病魔[びようま]にはついに勝てなかった。♠へがんにむしばまれる〉男の体はもう手の施[ほどこ]しようもないほど、がんにむしばまれていた。♠●〈身・心をむしばむ〉だらしない生活は、知らず知らずのうちに、身も心もむしばんでしまう。♠●へ世の中がむしばまれる〉最近は、金がすべてだという風潮に世の中全体がむしばまれつつある。 **むじひ**【無慈悲】 ○あわれみの心がないこと。むごいさま。[文例] <無慈悲な人間>病人をアパートから追い出すとは、なんと無慈悲な大家[おおや]なんだ。♠●〈無慈悲な仕打ち〉弱りきった子猫[こねこ]を捨てるなんて、そんな無慈悲な仕打ちはできない。♠◆<無慈悲な雨〉運動会を楽しみにしていた子供たちにとっては無慈悲な雨です。 **むしぶろ**(蒸し風呂) ○密閉した部屋に蒸気を充満させた風呂。文例] 体育館は超満員の観衆の熱気で、まるで蒸し風呂のような熱さです。 **むじゃき**【無邪気】 ○悪意や邪心がないこと。あどけないさま。[文例] 〈無邪気なしぐさ>子犬の無邪気なしぐさに、子供たちは大喜びです。♠●へ無邪気に笑う〉おどけた顔をしてみせると、赤んぼうが無邪気に笑った。♠無邪気な願い>男は、子供たちの無邪気な願いを聞いて、思わず心を動かされました。♠へ無邪気な答え〉先生は、わたしの無邪気な答えをおもしろがりました。♠へ無邪気ないたずら〉和尚[おしよう]さんはいつも、子供たちの無邪気ないたずらに迷惑[めいわく]そうな顔をしながらも、実は楽しんでいた。 **むしゃぶりつく** ○全身の力をこめてしがみつく。[文例] 〈乳房[ちぶさ]にむしゃぶりつく〉よほどおなかがすいていたのか、赤ん坊は母親の乳房にむしゃぶりついた。♠へ足にむしゃぶりつく〉子犬は何度外に放り出しても、ぼくの足にむしゃぶりついてきた。♠●へむしゃぶりつくよう〉大好物のすいかをむしゃぶりつくように食べ始めた。 **むしゃぶるい**【武者震い】 ○心が奮い立って体がふるえること。[文例] 〈武者震いをする〉テレビの画面からも、武者震いをする選手たちのスタート前の緊張が伝わってきます。♠●〈武者震いを抑[おさ]える〉大事な試合を前にして、選手たちは武者震いを抑えかねていた。♠●へ武者震いが止まる〉テスト用紙を前に武者震いが止まらなかった。 **むじゅん**【矛盾】 ○(何でもつらぬく盾[たて]と何でも防ぐ矛[ほこ]を両方売り込む商人の故事から)つじつまが合わないこと。[文例] 〈現実の矛盾〉この詩は、するどい皮肉[ひにく]と風刺[ふうし]で、現実の矛盾を突いている。♠●〈社会の矛盾〉社会のさまざまな矛盾に立ち向かい、それらを克服[こくふく]しようと苦悩[くのう]するところにこそ、人間の真の姿がある。♠◆ヘ矛盾を生じる〉その場限りのやり方で一貫性[いつかんせい]をもたせなかった所に、矛盾を生じた原因があった。♠●へ矛盾をはらむ二つの集団は共同で仕事を始めたが、慈善[じせん]と利益追求では動機が異なり、当初から矛盾をはらんでいた。♠〈矛盾する〉今の言葉は、以前言ったことと矛盾しているよ。 <1094> **むしょう**【無償】 ○相手のためにした行為に対して報酬がないこと。代金を払わなくてよいこと。無料。→有償。[文例] 義務教育では、教科書は無償で配られます。♠●へ無償で貸す〉被害を受けた人々に、市は布団などを無償で貸し出した。♠●〈無償の愛>親は、無償の愛を子に注ぎます。 **むじょう**【無情】 ○思いやりがないこと。感情がないこと。[文例] 〈無情にも〉別れの時を一時間後にひかえて、時計は無情にも時を刻み続けた。♠◆助けを求めてたたいた家の戸は、無情にも閉ざされたままだった。♠●〈無情な仕打ち>役人の無情な仕打ちに腹を立てた囚人[しゅうじん]たちは、ついに暴動を起こした。♠〈無情の雨〉山中をさまよう二人の上に、無情の雨が降りだした。♠●〈無情な態度〉昨日までと打って変わった隣人[りんじん]たちの無情な態度に、人情の変わりやすさを感じるのだった。 **むじょう**【無常】 ○(仏教で)万物が生滅・変化して定まりのないこと。人の世のはかないこと。「文例〈この世の無常〉歴史を学ぶほどに、この世の無常を感じさせられる。♠へ無常な人の世〉かつての大商人の落ちぶれた長屋住まいを知るにつけ、無常な人の世をしみじみと感じさせられる。♠〈諸行無常[しょぎょうむじょう]>「平家物語」では、平家一門の盛衰[せいすい]が、諸行無常という仏教思想を背景として鮮[あざ]やかに語られている。♠◆〈無常観〉作者は、仏教の無常観に基づいて人生を深く観察している。 **むじょう**【無上】 ○この上もないこと。最上。[文例] 〈無上のもの>学生時代の自由で実り多き時間は、人生無上のものと言えます。♠●〈無上の喜び〉長い選手生活の中で、ライバルたちと友情をはぐくむことができたのが無上の喜びです。♠◆<無上の幸せ〉愛する妻と子供たちに囲まれ、無上の幸せを感じながら生きてきました。 **むじょうけん**【無条件】 ○どんな条件もつけないこと。[文例] <無条件で許す〉おじいちゃんは、孫のやることは何でも無条件で許します。♠●〈無条件で通す〉わがままいっぱいに育った子供は、自分の要求は無条件で通されると思っていた。♠●へ無条件に受け入れる〉無条件にその提案を受け入れるわけにはいきません。♠●〈無条件降伏〉一九四五年八月、日本は無条件降伏した。 **むしょうに**【無性に】 ○むやみに。やたらに。[文例] 〈無性に腹が立つ>友達の意地悪を思い出すたびに、何日たっても、無性に腹が立つ。♠●〈無性にかわいい>赤ちゃんのあどけない寝顔[ねがお]を見ていると、無性にかわいくなる。♠●へ無性に恋[こい]しい〉いつもは、小言[しっ]ばかり言ってうるさい母だけれど、いざ入院されてしまうと、無性に恋しくなる。♠●へ無性にかゆい〉湿[しっ]しんがひどくなって、体じゅう無性にかゆくてたまらない。♠●〈無性に眠[ねむ]い〉春眠暁を覚えず[しゅんみんあかつきをおぼえず]と言うけれど、このごろ無性に眠くて困るよ。♠●〈無性に~したくなる〉ときどき、無性に海が見たくなるのは、幼いころから海の近くで育ったせいだろうか。 **むしょくとうめい**【無色透明】 ○色がついていなくて透き通っていること。どの党派にも属さないこと。[文例] 〈無色透明の結晶〉方解石は天然産の炭酸カルシウムで、無色透明の結晶体だ。♠◆<無色透明な溶液>無色透明な溶液は、見ただけでは水と区別することができません。 **むしょぞく**【無所属】 ○どの政党にも属していないこと。[文例] 〈保守系無所属>市長選挙はたった今開票が終わり、保守系無所属の新人が当選しました。 **むし・る**(毟る) ○つかんで引き抜く。つまんで離し取る。[文例] 〈雑草をむしる〉夏休みの一日、母と庭に茂[しげ]った雑草をむしった。♠へ花をむしる〉おしゃべりに夢中になっていて、ほとんど無意識に、つつじの花をむしっていた。♠食魚の身をむしる〉母は、病気の祖父が食べやすいように、魚の身をていねいにむしっている。♠●へかきむしる〉やっかいな立場に追い込まれた男は、いらいらして髪[かみ]の毛をかきむしった。♠●へむしり取る〉おばあさんが胸にかかえたバッグをむしり取って、やつは駅の方に逃げたそうだよ。 **むしろ**(寧ろ) ○どちらかといえば。いっそ。[文例] 】今日のおやつは、牛乳より、むしろジュースのほうがよかったのに。♠◆その犬は、ペットというより、むしろ猛獣[もうじゆう]と言ったほうがいいくらいどう猛だ。♠●父の頭は、髪の毛が薄[うす]いと言うより、むしろはげに近いのだが、当人は認めたがらない。♠その恐[おそ]ろしい光景を見て、自分が叫び出さなかったのがむしろ不思議だった。 **むしろ**(筵・莚・蓆) ○わらなどを編んで作った敷物。座席。[文例] 〈むしろを敷く〉満開の桜の下にむしろを敷いて、村人たちは宴会[えんかい]を始めた。♠◆くむしろを広げる〉台所の土間にむしろを広げて、摘[つ]んできた菜っ葉を並べた。♠へむしろをかぶせる>土の中の温度を高め、早く芽が出るようにと、畑にむしろがかぶせられた。♠へむしろにくるむ>工事現場から、父ちゃんはむしろにくるまれて、変わり果てた姿で帰ってきた。 **むしん**【無心】 ○邪念のないさま。雑念・余念のないさま。金品をせがむこと。[文例] 〈無心に~する〉お母さんに抱かれて、無心に広い空を見ていたあのころにもう一度もどりたいい。♠●〈無心に描[えが]く〉形にこだわらずに無心に描けたら、きっともっと自由で伸び伸びした絵になったろうに。♠●へ無心に眠る・遊ぶ>無心に眠ったり、遊んだりしている赤ちゃんは、天使のように清らかでかわいい。♠●〈無心な鳥〉何やら悲しげな鳴き声は、去り行く春のうれいを、無心な鳥までが感じているかのようだ。♠●へ小遣[こづか]いを無心する〉今日は兄の給料日だから、小遣いを無心してみよう。 **むじん**【無人】 ○人がいないこと。[文例] 】〈無人のプラットフオーム>最終電車が通過した後の無人のプラットホームを冷たい風が駆け抜けて行った。♠無人の野>無人の野を白馬にまたがった一人の騎士が行く。♠無人駅〉山の駅は、駅員が一人もいない、無人駅でした。♠●〈無人島〉本土を逃れた犯人の一味は、南海の無人島に潜[ひそ]んでいた。 **むしんけい**【無神経】 ○鈍感なこと。人の気持ちなどを考えずにふるまうさま。[文例] 〈無神経にふるまう〉刑事たちは、どかどかと家の中に上がり込み無神経にふるまった。♠●<無神経なことば>健康な人の無神経なことばは、病気の <1095> 人の心を傷つけます。♠●へ他人に無神経〉神経質な人ほど他人の気持ちには無神経で、周囲の人に不快感を与えるようです。 **むじんぞう**【無尽蔵】 ○尽きることがないほど豊富にあること。[文例] 〈慈悲[じひ]が無尽蔵〉仏さまの慈悲は無尽蔵で、汲[く]めども尽きることがありません。♠◆◇資源が無尽蔵〉ここまで開発が進むと、地球の資源は無尽蔵とはいえなくなってきます。 **む・す**【蒸す】 ○蒸気で熱する。蒸し暑い。[文例] 〈もち米を蒸す〉母がせいろでもち米を蒸し、父と兄がそれをつき、姉とわたしは丸めるのに忙[いそが]しい。♠◆ごはんを蒸す〉冷やごはんを蒸して温めてあげるから、ちょっと待ちなさい。♠ヘタオルを蒸す〉蒸したタオルを当てて、ひげをやわらかくしてからそると、カミソリ負けをしません。♠●いやあ、今日は蒸しますね、おじいちゃんの具合はいかがですか。 **むすう**【無数】 ○数えきれないほど多いこと。[文例] 〈無数の星〉テントから見上げる夜空には、銀の砂をまき散らしたように、無数の星がまたたいている。♠●〈無数にある〉人の皮膚には、穴[あな]が無数にあり、そこから汗[あせ]がにじみでるのです。♠●〈無数の火影[ほかげ]>沖[おき]に見える無数の火影は、いか釣り漁船のいさり火だろうか。♠●〈無数の卵>魚類は、無数と言っていいほどの卵を産むが、成魚となるのは一パーセントにも満たないのです。 **むずかし・い**【難しい】 ○難解だ。困難だ。めんどうだ。容易でない。みこみがない。がんこだ。機嫌が悪い。[文例] く難しい問題二本の映画のどちらを見に行くか、弟にとっては難しい問題のようだ。♠◆◇問題が難しいこの数学の問題は、難しくて歯が立たない。♠●く難しいことば〉あなたの詩は、難しいことばを無理に使っているように思う。♠●へ難しい事件〉ロンドン警察は、難しい事件が起こると、名探偵[たんてい]ホームズの所に頼みに来る。♠●〈生還[せいかん]するのが難しい〉この季節に北極探検に行ったら、生還するのは難しいだろう。♠◆◇回復が難しい>回復の難しい病気にかかった動物は、安楽死させ ることにした。♠◆く難しい性格〉あの店のおやじは、頑固[がんこ]で難しい性格なので、近所の者からけむたがられている。♠〈難しい顔>来客にお茶を出しに行くと、父は難しい顔で脇[わき]組みをしていた。♠●へ気難しい>彼は、気難しい印象を与えるが、つきあうと気さくな人柄[ひとがら]です。 **むずがゆ・い**(むず痒い) ○むずむずしてかゆい。[文例] <体がむずがゆい〉小屋の中にノミでもいたのか、体のあちこちがむずがゆくてしかたがない。♠●へおしりがむずがゆい〉そんなにおだてないでくれよ、おしりがむずがゆくなっちゃうじゃないか。♠●へむずがゆい感触[かんしよく]>少年は、川原に少女と並んで腰をおろし、なにやらむずがゆい感触を味わっていた。 **むずか・る** ○機嫌が悪くてだだをこねたり、泣いたりする。[文例] 足が痛いとむずかるわたしを、父はしかたがないなと背負って歩き始めた。♠小さな子がむずかっているのは、そろそろ眠くなってきた証拠[しようこ]です。 **むすこ** 【息子】 ○その親にできた男の子。せがれ。[又例 〈うちの息子〉うちの息子が野球にこってまして、どうしても本物が見たいと言うのです。♠●へ自慢の息子〉部長の自慢の息子さんは、勉強がとてもよくできるんですって。♠●へ金持ちの息子〉あいつは金持ちの息子で、いい車を乗り回している。♠●<親孝行[おやこうこう]な息子〉親孝行な息子は、両親に楽をさせようと骨身を惜しまずよく働いた。 **むすび**【結び】 ○結ぶこと。終わり。結末。にぎりめし。[文例] 〈書き出しと結び〉この作文は、書き出しと結びの表現を工夫すると、もっとよくなるよ。♠●へ結びの言葉〉手紙文で、「さようなら」「敬具」などの結びの言葉は、改行し、下げて書くのがふつうです。♠●〈結びにする〉おとぎ話は、たいていめでたしめでたしで結びにしているものが多いようだ。♠●〈結びの一番>今日の結びの一番は、期待の横綱[よこづな]同士の取組だから、どうしても見逃[みのが]せない。♠●へおむすび〉旅人は、木かげに座って、竹の皮に包んだ大きなおむすびを取りだした。♠◆<縁結び>出雲大社は、縁結びの神[かみ]として知られ、若い参拝者が絶えません。 **むすびつき**【結び付き】 ○結びつくこと。つながり。関係。[文例] 〈国と国の結び付き〉国と国の結び付きについて、歴史をたどりながら考えてみました。♠◆<幕府と武士の結び付き>元寇[げんこう]のあと、お互いに信頼しあってきた幕府と武士の結び付きが崩[くず]れていった。 **むすびつ・く**【結び付く】 ○つながって一つになる。深く関係する。[文例] へ顔と名前が結び付く〉上田さんと言われても、どうしても顔と名前が結び付かない。♠●へ事件に結び付く>事件に直接結び付く手がかりは、何一つなかった。♠<体験と結び付く〉その小説は、作者の体験と結び付いている部分がとてもリアルに描けています。♠◆◇暮らしと結び付く>島と本土を連絡する船は、島民の暮らしと密接に結び付いている。 **むすびつ・ける**【結び付ける】 ○しばりつける。つなぐ。関係づける。[文例] ヘロープを結び付ける〉男は、ロープを腰に結び付けて海に飛びこんだ。♠◆◇相互を結び付ける〉ことばは、人間相互を結び付け、理解し合う手だてとなります。♠◆〈二人を結び付ける〉若い二人を結び付けたのは、学生時代のアルバイトでした。 **むす・ぶ**【結ぶ】 ○しばって止める。つなぎ合わせる。連絡する。関係づける。しめくくる。生じさせる。生じる。構え作る。固く閉じ合わせる。[文例] 〈ひもを結ぶ〉靴[くつ]のひもはしっかり結ぶようにしなさい。♠●へ糸で結ぶ〉つかまえたかぶとむしの足を糸で結んでおきます。♠ヘネクタイを結ぶ〉父は、父の日のプレゼントのネクタイを結びながら、うれしそうです。♠●へ髪[かみ]を結ぶ>髪を頭の上でまげのように結ぶという独特のヘアスタイルが、人目をひく。♠●〈手を結ぶ〉女の子たちが、「結んで、開いて、手を打って、結んで」と歌いながら遊んでいる。♠●へ線で結ぶ>桜前線[さくらぜんせん]は、桜の開花期の進行を、地図上に線で結んで表したものです。♠●へ東西を結ぶ道〉この島は東西を結ぶ道が一本もなく、海岸を回って行かなければなりません。♠●へ本土と島を結ぶ〉この島と本土を <1096> 結ぶ船便が、一日三往復あります。♠●へ手を結ぶ>農家と都市の消費者が手を結び、化学肥料を使わない自然農法が各地で行われている。♠◆ヘ二人が結ばれる〉大安[たいあん]吉日[きちじつ]の今日、十年間愛し合った二人が、はれて結ばれた。♠へ条約を結ぶ>諸外国に開国を迫られた徳川幕府[とくがわぽくふ]は、ついに、日米和親条約を結んだ。♠●へ過去・現在・未来を結ぶ〉歴史に残されたさまざまな記録は、過去・現在・未来を結ぶかけ橋といえます。♠●〈文末を結ぶ〉文章を書くとき、冒頭[ぼうとう]はどう書きだそうか、文末はどう結ぼうかなど、悩[なや]んでしまう。♠●へ露[つゆ]を結ぶ>朝早く、昨日の暑さを忘れたかのように、草花が露を結んで、しっとりとぬれている。♠●〈実を結ぶ〉たゆまない努力が実を結んで、ぼくたちだけの集会小屋がついに完成した。♠●〈実が結ぶ〉秋になると、大きな大きなカボチャの実が結んだ。♠●へいおりを結ぶ〉兼好法師[けんこうほうし]は、双ヶ岡[ならびがおか]にいおりを結んだ。♠◆ヘ口をへの字に結ぶ〉今朝、先生は、口をへの字に結んで、ふきげんな様子で教室に入ってきました。 **むずむず** ○(虫がはうようで)くすぐったいさま。気持ちがはやってもどかしいさま。うずうず。[文例] 〈背中がむずむずする〉おじいちゃんの背中がむずむずする時、かいてやるのは、いつもぼくの役目だった。♠●へ鼻がむずむずする〉かくれんぼで息をこらしていたら、鼻のあたりがむずむずしだした。♠●へ腕[うで]がむずむずする〉早く自分の打順が来ないかと思うと、腕がむずむずしてくる。♠●へむずむずする〉「腕が鳴る」というのは、自分の力を奮[ふる]いたくてむずむずする意味です。 **むすめ**【娘】 ○その親にできた女の子。若い未婚の女性。[文例] 〈うちの娘〉四歳になるうちの娘は、このごろおしゃまな口をきくようになりました。♠●〈美しい娘〉あの子は、村一番の美しい娘だとうわさされています。♠●へ小さな娘〉裏庭では、小さな娘が二人、ござの上でおままごとをしている。♠●へ娘十八番茶も出花[でばな]〉娘十八番茶も出花といっては悪いけど、みよちゃん、ほんとにきれいになったわね。♠娘一人にむこ八人〉ハイテク時代で、情報処理技術者は娘一人にむこ八人のもてようだった。♠へひとり娘〉彼女はひとり娘なので、蝶[ちよう]よ花よと大事に育てられました。♠へ娘時代>おばあちゃんの娘時代は、男の人と腕を組んで町を歩くなんてできなかったよ。♠●〈娘心〉純真な娘心をもてあそぶとは、ひどい男だ。 **むせいげん**【無制限】 ○制限が無いさま。[文例] 〈無制限に認める〉社会生活上のルールというものがありますから、個人の勝手を無制限に認めることはできません。♠●〈無制限な捕獲[ほかく]>無制限な捕獲によって絶滅してしまった生物種がいくつもある。♠●へ時間無制限〉試合はどちらかが一本を取るまで、時間無制限で行われます。 **むせかえ・る**【むせ返る】(噎せ返る) ○激しくむせる。激しくむせび泣く。[文例] 飲んだ水が気管に入ってむせ返ることがあります。♠●野原には美しい花々が咲き乱れ、その香りはむせ返るほどです。 **むせきにん**【無責任】 ○責任がないこと。責任感のないさま。[文例] 〈無責任の表れ>安易な賛成と、安易な反対は、どちらも無責任の表れだ。♠●〈無責任な状態>自分一人ぐらいどうでもいいと思うところから、全体が無責任な状態になってしまうのだ。♠へ無責任な男>彼は無責任な男だから、約束[やくそく]をしてもあまりあてにならないよ。♠●へ無責任のそしりを免[まぬか]れない>消費者からの質問にしっかりした説明ができないというのでは、無責任のそしりを免れない。♠●へ無責任極[きわ]まる〉実地の下調べもせずに大勢の子供をつれていって、遭難[そうなん]するとは無責任極まる。 **むせびなく**【むせび泣く】(咽び泣く・噎び泣く) ○息をつまらせて泣く。[又例] 告別式の会場からは、級友の事故死を悲しむ生徒たちのむせび泣く声がもれてくる。♠●連絡船は、むせび泣くような霧笛[むてき]を鳴らして港を出ていった。 **むせ・ぶ**(咽ぶ・噎ぶ) ○息が詰まってせき込む。むせる。むせび泣く。[文例] 〈煙[けむり]にむせぶ〉「今日は。」と声をかけると、いろりの煙にむせびながら、老人が出てきた。♠●〈感激[かんげき]にむせぶ>長い間の恋[こい]をみのらせた娘は、結婚式[むすめけつこんしき]のとき、感激にむせんでいた。♠へ涙にむせぶ〉三十年ぶりの親子対面が実現して、父も娘も涙にむせんでいた。♠◆へむせび泣く〉霧の中から、汽笛がむせび泣くように聞こえてくる。 **む・せる**(噎せる) ○息が詰まりそうでせきこむ。[文例] 食べ物がのどにつかえてむせた三郎は、胸元をどんどんたたいて目を白黒させた。♠人煙にむせる流れこんだ煙にむせて、教室の生徒たちはゴホゴホとせきをした。♠●〈香りにむせる>温室に入ったとたん、むせるようなあまい香りが鼻をついた。 **むせん**【無銭】 ○お金を持っていないこと。お金を払わないこと。[文例] 〈無銭旅行>国道沿いで行く先を書いた紙を出して立つ若者は、無銭旅行をしているのです。♠●へ無銭飲食>男はそば屋で無銭飲食をして、交番につき出されました。 **むそう**【無双】 ○並ぶものがないほどすぐれていること。衣服・道具の表裏・内外が同じ布・材料であること。相撲の技の一つ。[文例] <怪力無双>怪力無双の男は、三俵の米俵[こめだわら]を高々と差し上げた。♠●〈天下無双〉われこそ天下無双の豪傑[ごうけつ]よと、侍は鉄の棒を軽々と振り回した。♠●〈古今無双>敵軍の総大将は、古今無双の強者[つわもの]である。 **むそう**【無想】 ○何も考えないこと。雑念を取り去ること。[文例] 〈無念無想〉無念無想の境地で座禅を組むと、心がひとりで静まってくる。 **むそう**【夢想】 ○夢に思い見ること。空想すること。夢に神仏が現れること。[例] 〈夢想する〉わたしは、いつか一流のデザイナーになることを夢想しては、ひとりにやにやしていた。♠●へ夢想だにしない〉自分がこんな幸運にめぐりあうなんて、夢想だにしませんでした。 **むぞうさ**【無造作】 ○簡単に扱うさま。気軽に行うさま。[文例] 〈無造作なしかた〉入国係官のあっけない無造作な許可のしかたに、わたしは驚[おどろ]いた。♠◆無造作な取り扱い〉この薬品の無造作な取り扱いは、決して許されません。♠無造作に捨てる>無造作に投げ捨てられた道路工事の土砂[どろ]が、一 <1097> 晩の雨で、近くの谷川の魚を全滅させてしまった。 **むぞうさ**(無造作) ○[文例] 昨夜のパーティーは、無造作に作った料理ばかりで、まことに失礼いたしました。♠●〈無造作な動作〉この句は、単調な無造作な動作の中にも、労働者としての激しい生きる喜びを表現した。 **むたい**【無体】 ○形がないこと。道理に合わないこと。乱暴なさま。[文例] 幼い兄弟を引き裂くのは無体であるが、両親を失った事情から仕方のないことだった。♠へ無体なふるまいご主人とはいえ、召し使いに無体なふるまいは許せません。♠●〈無理無体〉相手が庄屋[しようや]の息子だからとて、いやがる娘を無理無体に嫁にやることはなかろう。 **むだ**【無駄】 ○役に立たないこと。かいのないこと。[文例] 〈無駄なこと>船はもう出るころなので、急いだって無駄なことです。♠◆〈無駄がある・ない>経験から受けた感動そのものを、無駄のない言葉で詩に表現する。♠●〈無駄をする〉同じ漢字を百回書く宿題が、ぼくには、ずいぶん無駄をしているように思えた。♠◆〈無駄に終わる〉合格の祝いの準備をしておいたが、どうやら無駄に終わったようだ。♠●〈無駄になる〉せっかくのフィルムを感光させてしまったので、今までの努力が無駄になった。♠●〈無駄な努力〉強風の中で、なんとかマストの帆を降ろそうと無駄な努力を繰り返した。♠◆〈無駄に使う〉これからやる金は、決して無駄に使ってはいけないぞ。♠●〈無駄を省[はぶ]く〉ステレオを買いたいので、少しでも無駄を省き、貯金するようにしよう。♠●へ一刻[いつこく]も無駄にできない〉このような事態になれば、一刻といえども無駄にはできない。♠●〈無駄口〉みんな無駄口をたたきながらも、運動会の準備は着々と進んだ。♠●〈無駄遣[づか]い〉これからは、無駄遣いをやめて、もっと倹約[けんやく]しようと思う。♠●へ無駄話>先生がいなくなると、さっそくわれわれは無駄話を始めた。♠◆<無駄骨[ぼね]>両国の開戦をとめようという努力も、無駄骨に終わってしまった。♠●〈無駄飯〉いつまでも無駄飯を食わせてもらうのは心苦しいので、何か働かせてください。 **むだぼね**【無駄骨】 ○努力や苦労がむだになること。[文例] )〈無駄骨を折る〉きみが余計なお世話だというなら、こっちとしては無駄骨を折ったわけだ。♠●〈無駄骨になる〉せっかくの作業が、たった一つの小さなミスで無駄骨になってしまった。♠へ無駄骨に終わる〉大会が雨で中止となり、苦労した応援の練習も無駄骨に終わった。 **むだめし**【無駄飯】 ○働かないで飯だけ食うこと。[文例] )〈無駄飯を食う〉いい若いもんが仕事もしないで、毎日ぶらぶら無駄飯を食っていてはいけない。 **むだん**【無断】 ○断らないこと。許しを得ないこと。[文例] 〈無断で使う〉えっちゃん、無断でお姉ちゃんの口紅[くちべに]を使わないで。♠●へ無断で欠席する〉太田君は、ここ二日間無断で欠席している。♠◆〈無断外泊[がいはく]>無断外泊をした人は、寮から出て行ってもらいます。 **むち**【無知】 ○知恵・知識がないこと。[文例] <絵に無知〉ぼくは、絵については全く無知だが、彼の作品にはなぜかひかれる。♠●へ音楽に無知〉音楽に無知な人でも、その曲は好きだという人が多いようだ。♠●〈無知をさらけ出す〉就職試験の常識問題がさっぱり分からず、不勉強と無知をさらけ出してしまった。♠へ無知につけ込む〉法律に対する無知につけ込まれ、老人は、家屋敷[いえやしざ]をだまし取られてしまった。♠●へ無知蒙昧[もうまい]〉かつてのわたしは、無知蒙昧な少年であった。 **むち**【無恥】 ○恥ずかしいと思わないこと。恥知らず。[文例] 〈厚顔無恥[こうがんむち]>偽物[にせもの]を売りつけておきながら、厚顔無恥な男だからほとぼりが冷[さ]めたころまたやって来て、今度は金を貸してくれという。 **むち**(鞭・答) ○牛馬や罪人[ざよにん]を打ったり、物を指す時に使う木・竹・革[かわ]などの細長い棒。励ましや戒め。[文例] 〈むちをふるう〉白人たちは、黒人の奴隷[どれい]に容赦[ようしゃ]なくむちをふるった。♠●〈むちを当てる>御者[ぎよしや]がむちを当てると、そりは雪原を鈴[すず]を鳴らして滑[すべ]りだした。♠●へむちをくれる〉騎手[きしゅ]が一打ちぴしりとむちをくれると、白馬は全力で駆けだした。♠●へむちがしなう〉サーカスの少女の体は、むちがしなうように柔軟に曲がり、そして弾む。♠◆へむち打つ〉幼い子を抱え、ともすればくじけそうになる心身にむち打って働きました。♠〈老骨[ろうこつ]にむち打つ〉父は定年退職後も、老骨にむち打って第二の職場に勤め出した。♠●〈愛のむち>子供に対しては、優しいだけでなく、時には愛のむちも必要だ。♠●へあめとむち〉子供の教育はあめとむちで、あまい面も厳しい面も必要だ。 **むちう・つ**【むち打つ】(鞭打つ) ○むちで打つ。励ます。[文例] 〈牛馬にむち打つ〉主人は、牛馬にむち打つように使用人を酷使[こくし]した。♠へわが身にむち打つ〉母は疲れきったわが身にむち打って、つらい農作業を続けました。♠へ怠[なま]け心にむち打つく怠け心にむち打って、毎日机に向かっています。♠●〈老骨にむち打つ〉おじいさんはもう八十を越えていますが、毎朝老骨にむち打って畑に出ていきます。 **むちゃ**(無茶) ○筋が通らないこと。度をこしているさま。乱暴なさま。[文例] 〈むちゃを言う〉彼は平気でむちゃを言い、それを通そうとする。♠へむちゃをするご飯の後で、おもちを七個も食べるなんてむちゃをするから、おなかをこわすんだ。♠●へむちゃとひたむき〉むちゃとひたむきは背中合わせ、まさに青春の特権だ。♠●へむちゃな開発〉この山には、カモシカが五十頭近くいると推定されるが、むちゃな開発が進めば、絶滅の恐れ[ぜつめつおそ]もある。♠へむちゃくちゃ〉ふだんはおとなしい彼なのに、その時ばかりはむちゃくちゃに荒れていた。 **むちゅう**【夢中】 ○夢を見ている間。ある事に心を奪われて、われを忘れるさま。[文例] 〈夢中になる>子供たちは、人が近づくのにも気づかず、落とし穴を掘るのに夢中になっている。♠●へ人に夢中〉どうしてあんなにやつに夢中だったのか、今思うと不思議だわ。♠●〈夢中で逃げる〉炎[ほのお]と煙[けなり]の中を、人々は、夢中で逃げまどった。♠◆<無我夢中>子犬は、よほどのどが渇いているのか、無我夢中で水を飲んでいる。 **むちゅう**【霧中】 ○霧の中。見通しがきかないこと。[文例] 〈五里霧中〉この仕事がこの先うまくいくかどうか、まった <1098> くの五里霧中で、予想がつきません。 **むつかし・い**【難しい】 ♪むずかし・い **むつまじ・い**(睦まじい) ○互いに仲がいい。[文例] へむつまじく暮らす〉子供がないのでちょっと寂[さび]しいのですが、夫婦むつまじく暮らしております。♠●へ仲むつまじい〉結婚した二人は、三人の子供をもうけて、仲むつまじく暮らしていました。 **むていこう**【無抵抗】 ○抵抗しないこと。[文例] 兵士は、無抵抗の市民を射殺していった。 **むてき**【無敵】 ○非常に強くて、相手になる者がいないこと。[文例] この選手は現在三十五連勝中、国内ではまったく無敵です。♠◆◇天下無敵>双葉山[ふたばやま]は相撲[すもう]史上最高の六十九連勝を達成した、天下無敵の横綱[よこづな]でした。 **むてっぽう**【無鉄砲】 ○向こう見ずな行動をするさま。[文例] 〈無鉄砲な人〉あとさきを考えない、あんな無鉄砲な男に、大切な仕事を任せるわけにはいかない。♠●親譲[おやゆず]りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている。(夏目漱石「坊っちゃん」) **むとんじゃく** ♪むとんちゃく **むとんちゃく**(無頓着) ○少しも気にしないさま。むとんじゃく。[文例] 〈身なりに無頓着〉身なりに無頓着な野村君は、いつも同じかっこうをしています。♠●〈金銭に無頓着〉金銭に無頓着な女性ですから、あるときにはある分だけどんどんと使ってしまいます。♠◆く損得に無頓着>子供のころからの夢を実現しようとする事業家で、損得には比較的無頓着だった。 **むないた**【胸板】 ○胸の平らな部分。よろいが胸に当たる部分。[文例] くたくましい胸板>勇敢[ゆうか]にも、少年は大男のたくましい胸板めがけて飛びかかっていった。♠●へぶ厚い胸板〉ラグビーで鍛えた彼は、丸太のような腕と、ぶ厚い胸板の持ち主です。♠胸板をたたく〉ゴリラは胸板をたたき、ほえ声を上げて相手を威嚇[いかく]した。 **むなくそ**【胸くそ】(胸糞) ○気持ち。気分。[文例] 〈胸くそが悪い>昨日の試合の話はやめてくれ、思い出しただけでも胸くそが悪くなる。 **むなぐら**【胸倉】 ○和服の左右のえりが重なり合う部分。[文例] 〈胸ぐらをつかむ〉大男に胸ぐらをつかまれたのですから、恐ろしくて泣きそうになりました。♠●へ胸ぐらに突きつける〉胸ぐらに拳銃[けんじゅう]を突きつけられた犯人は、観念[かんねん]したように両手を挙げた。 **むなつきぱっちょう**【胸突き八丁】 ○頂上近くの険しく急な山道。物事を行う時の一番苦しく困難なところ。[文例] 〈胸突き八丁の山道〉八合目から山頂までは、胸突き八丁の険しい山道が続きます。♠◆マラソンでは、三十五キロあたりが胸突き八丁で、いちばん苦しいところだと言われます。♠◆<胸突き八丁にさしかかる〉レースは残り二周の胸突き八丁にさしかかり、いよいよここからが正念場[しようねんば]だ。 **むなぐるし・い**【胸苦しい】 ○胸がしめつけられるようで苦しい。[文例] 出番が近づくにつれ、緊張で油汗が出、胸苦しくなってきた。♠何かにおさえつけられるような胸苦しい感じに、思わず目をさましました。 **むなさわぎ**【胸騒ぎ】 ○不吉な予感がして、不安になること。[文例] 〈胸騒ぎがする>深夜の電話に胸騒ぎがして、もしやと東京の大学へ行っている息子の顔が浮かんで消えた。 **むなざんよう**【胸算用】 ○心の中で計算してみること。[文例] 店長の胸算用では、少なくとも一日十万円はもうかるというのです。♠●〈胸算用が立つ>残ったお金であと一年間は大丈夫という胸算用が立ち、母もほっとした様子です。♠●〈胸算用する〉パーティーの料理にかかる費用をざっと胸算用してみました。 **むなし・い**(虚しい・空しい) ○内容がない。からっぽである。意義がない。むだである。はかない。生命がない。[例] へむなしい言葉「きみたちの未来は明るい。」と言う大人のむなしい言葉を、本気で信じることはできない。♠●〈祈りもむなしく〉必死の祈りもむなしく、あらしの中から船は帰ってこなかった。♠へむなしく帰る〉釣り自慢の父が、今日は一ぴきも釣れず、むなしく帰ってきた。♠●〈人生がむなしい人生は、宇宙の悠久[ゆうきゆう]に比べるとはかなく、むなしく、かりそめの夢のようだ。♠●〈善戦むなしく〉ぼくのチームは、強敵を相手に善戦むなしく敗れた。♠●へむなしい夢〉埋もれた宝物を見つけるというむなしい夢[ゆめ]を追い続け、男は全財産を使い果たした。♠●へ心をむなしくする〉心をむなしくして皆[みな]で協力すれば、このくらいの困難は乗り越えられるはずだ。 **むに**【無二】 ○二つとないこと。欠けがえのないこと。[文例] )〈無二の親友〉小林君は何でも相談することのできる、ぼくの無二の親友です。♠●〈無二無三工場を再建するために、全従業員が無二無三(=一心不乱[いつしんふらん])に働き続けた。♠唯一無二>日本の神道にはたくさんの神様が出てきますが、イスラム教ではアラーの神様が唯一[ゆいいつ]無二の神様です。♠◆遮二無二[しやにむに]>かぎのない扉[とびら]を遮二無二こじあけようとしても無理です。 **むね**【胸】 ○体の前面で首と腹の間の部分。心臓。胃。肺。心。気持ち。[文例] 〈胸がどきどきする〉雷[かみなり]がこわくて父にしがみついたら、父の胸もどきどきしていた。♠●〈胸を張る〉幼稚園児たちが元気よく胸を張り、手を振って歩いている。♠◆〈胸に手を当てる〉うそをついていないか、もう一度、自分の胸に手を当てて、よく考えてごらん。♠へ厚い胸「任せてくれ!」と、彼は自分の厚い胸を、こぶしでどんとたたいた。♠●〈胸を借りる〉弟弟子[おとうとでし]は、兄弟子[あにでし]の胸を借りて、けいこに励[はげ]んでいる。♠胸を貸す〉今度の試合は何といっても強敵相手だから、胸を貸してもらうつもりでがんばりなさい。♠●〈胸を反[そ]らす〉「サッカーの試合で優勝したんだ。」と言って、弟は胸を反らした。♠●〈胸を病[や]む〉父は、若いころ、胸を病ん <1099> で長い間療養したという。♠●〈胸が焼ける〉このごろ、胸が焼けてむかむかするが、胃が悪いのだろうか。♠●へ胸が躍[おど]る・胸を躍らせる〉少年は胸を躍らせて、新しい土地の新しい仕事に出発していった。♠●へ胸が張りさける〉死んだ恋人のことを思い出すと、悲しくて胸が張りさけそうだ。♠◆人胸がつぶれる〉我が子が警察に、と聞いて、胸がつぶれる思いがしました。♠●く胸が悪い>理科の実験のカエルの解剖[かいぼう]を思い出したら、胸が悪くなって、ご飯が食べられなかった。♠●〈胸が痛む〉あんなに勉強していた姉が入学試験に落ちるなんて、かわいそうで胸が痛む。♠●へ胸がつまる〉飢[う]えに苦しむアフリカの人々のことを思うと、気の毒で胸がつまる。♠◆く胸をはずませる〉胸をはずませて読んだ作品の一つ一つが、わたしの人生の糧[かて]になっていく。♠●〈胸を割る〉友達とお互いの不平不満を、胸を割って話し合った。♠◆く胸を締めつける〉幼[おさな]い子を残して死んだ若い夫婦の話を聞いて、胸が締めつけられる思いがした。♠◆く胸に描く〉初めて訪ねた父の故郷は、胸に描いたとおり、美しい海辺の村だった。♠〈胸に刻[きざ]む〉今日までの楽しい思い出はしっかりと胸に刻み込んである。♠●く胸に秘める〉彼が胸に秘めている思いを読み取ろうと、わたしは彼の目をじっと見つめた。♠●〈胸にこみあげる〉不自由な足で懸命[けんめい]にゴールまで走った少年の姿を見て、胸に熱いものがこみあげた。♠●〈胸がふくらむ〉イギリス留学を目前に控え、ぼくの胸は希望でふくらんでいる。♠●〈胸を打つ〉『川とノリオ』は、詩のように美しい表現で、読む者の胸を打つ作品だ。♠●へ胸にわき上がる〉自分の将来に対する不安がふと胸にわき上がることがある。♠●〈胸のすく思い>雑草がどんなに人に踏まれようと、伸びはびこるのを見ると、胸のすく思いがする。♠●へ胸をときめかす〉〈胸によみがえる〉クリスマスが近づくと、胸をときめかせてサンタクロースを待った幼い日が、胸によみがえる。♠◆<胸に突き刺[ささ]る〉彼女の何気ない一言が胸に突き刺さり、それからずっとしこりになっている。♠●へ胸にあふれる〉初めての赤ちゃんを抱いた若い母親の胸には、新しい喜びと希望があふれていた。♠◆く胸がわくわくする>誕生日[たんじょうび]にすてきな洋服をプレゼントしてくれるという姉との約束[やくそく]なので、今から胸がわくわくする。♠●へ胸に思い浮かべる〉胸の中に妹の顔を思い浮かべ、画用紙に鉛筆[えんぴつ]で、まずその輪郭[りんかく]をとった。♠●〈胸にしみる> 旅先で親切にされたりすると、人の心のあたたかさがしみじみ胸にしみる。♠●へ胸に響[ひび]く〉心がこもっていなければ、どんなきれいな言葉を並[なら]べても、相手の胸には響きません。♠●へ胸がいっぱい〉恥ずかしさで胸がいっぱいになった経験はぼくにもある。♠●へ胸がふさがる〉子供を失った親の気持ちを思うと、胸がふさがって、慰[なぐさ]めの言葉が見つからない。♠◆〈胸が高鳴[たかな]る〉高鳴る胸をおさえて、合格者発表の掲示板の前に立った。♠●へ胸がすっとする>親友に悩み[なや]みを打ち明けたら、胸がすっとした。♠〈胸が騒[さわ]ぐ〉〈胸をなでおろす〉台風の予報でわたしの胸は騒いだが、息子が無事に漁から帰ったので、ほっと胸をなでおろした。♠●へ胸を焦がす>胸を焦がす若者への熱い思いを秘めたまま、少女はだれにもそれを明かさなかった。♠◆人胸に迫[せま]る〉体験をもとにした話だけに、聞く者の胸に迫るものがある。♠●へ胸に畳[たた]む〉この事はぼくたち二人の秘密として胸に畳み込んでおこう。♠●〈胸に宿る〉ふと胸に宿った彼への疑惑は、日がたつにつれ大きくなるばかりだ。♠●へ胸に一物[いちもつ]〉あの男は、何か胸に一物ありそうだから、注意したほうがいいよ。♠●く胸にしまう〉あなたの秘密はぼくの胸にしまっておくから、安心して今の仕事を続けなさい。♠●へ胸のつかえ〉今までたまっていた不満をみんなぶちまけたら、すっと胸のつかえが下りた。♠●〈胸を痛める>母親は子の将来を心配して胸を痛めているのに、彼の素行[そこう]はちっとも直らない。♠へ胸を突かれる「いつかはみんな老いる。」という老人の言葉に、まだ若いわたしも胸を突かれる思いがした。♠●〈胸をふくらます〉デビューを信じて胸をふくらませているあの子に、どうしてその才能では無理だなどと言えようか。♠●く胸が裂[さ]ける〉突然[とつぜん]の母の死に、ぼくの胸は裂けるようだった。♠●へ自分の胸に聞く〉この処分は納得[なつとく]できないと言うが、自分の胸に聞いてみるんですね。思い当たることがあるでしょう。 **むね**【旨】(宗) ○述べたことのねらい。中心的な意味。趣旨。最も大事な点。[文例] 姉は、この縁談[えんだん]を承知する旨、仲人[なこうビ]に返事するという。♠◆奥様[おくさま]がお帰りになられたら、明日もう一度お伺[うかが]いする旨、お伝えください。♠●〈旨とする>当美容室は、優れた技術・低価格を旨としております。♠●〈その旨>会議は予定通り行いますが、当日、都合の悪くなった方は、その旨御連絡[ごれんらく]ください。 **むね**【棟】 ○屋根の一番高い部分。また、そこに使う材木。家屋を数える語。[文例] <棟を並べる〉新しく開発された造成地には、同じような住宅がいくつも棟を並べている。♠へ棟を競[きそ]う〉都大路[みやこおおじ]をはさんで、貴族の豪華な邸宅[ごうかていたく]が棟を競うようにたち並んでいた。♠〈五棟〉今日未明火災が発生し、住宅五棟が全焼しました。♠◆へ別棟[べつむね]>両親は、同じ敷地[しきち]内の別棟で暮らしています。 **むねん**【無念】 ○何も考えないこと。くやしいこと。残念。[文例] 〈無念無想>無念無想の境地で座禅を組むなんて、俗人のぼくにはできない相談だ。♠●〈無念の涙[なみだ]〉今年こそはと期待したのに、また入試に失敗し、無念の涙をのんだ。♠◆〈無念を晴らす>無実のまま急死した父親の無念を晴らそうと、息子たちは誓[ちか]うのだった。♠●へ残念無念>遠方の友がわざわざ訪ねてくれたのに、留守にして会えず、残念無念だ。♠●〈無念やるかたない〉あんな男に頭を下げなければならないなんて、無念やるかたないよ。 **むのう**【無能】 ○才能や能力が無いこと。役に立たないさま。→有能[文例] 】<無能な人間〉気の小さい男は、自分を無能な人間だと思い込んでいた。♠◆<無能ぶり〉父は、母が病気になるとおろおろし、家事や育児に無能ぶりを示します。♠●〈有能と無能>ぼくは、学校の成績だけで有能か無能かを判定されることに、疑問を感じる。♠◆会社では有能な人間も、地域や家庭においてはまったく無能だということはよくある。 <1100> **むひ**【無比】 ○他に比べるものが無いほどすぐれていること。[文例] 〈正確無比>経理の小松さんの計算はコンピュー夕のように正確無比で、まったく間違いがありません。♠〈痛快無比>痛快無比の冒険小説を読んで、ぼくも探検に出かけたくなった。♠◆〈万国無比>富士山の万国無比の美しさは、世界じゅうの認めるところです。♠●〈当代無比>当代無比の彫刻家の作品だけあって、さすがにすばらしいできばえだ。 **むひょうじょう**【無表情】 ○表情が無いこと。感情が表面に出ないさま。[文例] 〈無表情を装[よそお]う〉彼は無表情を装ってはいるが、内心は飛び上がりたいほどうれしいに違いない。♠◆〈無表情な文字〉作者と対話しようという気持ちがなければ、書物には無表情な文字がただ並んでいるにすぎない。 **むびょうそくさい**【無病息災】 ○病気にかからないこと。健康なこと。[文例] 】おじいさんもおばあさんも八十歳を越えていますが、二人とも無病息災で元気に暮らしています。♠●〈無病息災を祈る〉元日は近くの神社にもうでて、家内安全と無病息災を祈りました。 **むふんべつ**【無分別】 ○深い考えがなく、道理をわきまえないこと。[文例] 遊びざかりの子供たちを一日中部屋に閉じこめておこうというのは、無分別このうえない。♠無分別な行動>群衆の中で一人でも無分別な行動に出るものがあれば、集団はパニックに陥[おちい]る危険があります。 **むへん**【無辺】 ○果てがないこと。限りないこと。[文例] 〈無辺の荒野[こうや]>山すそに広がる無辺の荒野には、民家らしいものは何一つ見当たらない。♠●〈無辺大〉小さな子供たちの頭の中には、無辺大の夢がいっぱいにつまっている。♠無辺際>野に出て無辺際に広がる空に向かう。♠●〈無量無辺〉仏さまの慈悲[じひ]は無量無辺であり、生きとし生けるものすべてに及びます。 **むほう**【無法】 ○法や規律などないも同然なこと。道理に外れて乱暴なさま。[文例] 〈無法な略奪[りやくだつ]>野武士[のぶし]たちによる無法な略奪に、農民はついに団結して立ち上がった。♠へ無法地帯〉この一帯はニューヨークの無法地帯で、旅行者が一人で出歩くのはたいへん危険です。♠◆〈無法者>暴力団や暴走族など無法者の追放に、市民は全力をあげています。 **むぼう**【無謀】 ○深く考えずに行動するさま。[文例] 〈無謀な運転>毎年、この季節になると、無謀な運転による犠牲者[ぎせいしや]が跡[あと]を絶たない。♠●〈無謀な計画>今回の遭難[そうなん]の原因は、無謀な登山計画にある。♠●〈無謀なこと〉ヨットで太平洋を横断しようなんて、無謀なことはやめろと、周囲の者は言った。♠●〈無謀にも>男は、無謀にも暴[あば]れ馬の前に飛び出していった。 **むぼうび**【無防備】 ○防ぎ守る備えがないこと。[文例] 〈無防備な背後〉前面の敵ばかりに気を取られ、無防備な背後を突かれて、味方は全滅してしまった。♠●へ無防備な赤ちゃん>無力で無防備な赤ちゃんは、大人の手厚い保護がなければ生きていけません。 **むほん**【謀反】(謀叛) ○権力者に背[そむ]いて兵をおこすこと。反逆。文例] 〈謀反のかど〉有力な跡継[あとつ]ぎと目されていた王子が、謀反のかどで処刑[しよけい]された。♠●〈幕府に対する謀反〉由井正雪[ゆいしょうせつ]らの浪人[ろうにん]が、幕府に対する謀反の疑いで捕[と]らえられた。♠●へ謀反を起こす〉戦国時代、下[した]の者が謀反を起こして上[うば]の者を倒[たお]し、実権を奪うことを下剋上[げこくじよう]と言った。♠ヘ謀反をたくらむ〉領主の圧政に耐えかねた人々は、ひそかに謀反をたくらんだ。 **むま**【夢魔】 ○夢の中に現れる悪魔。おそろしい夢。[文例] 〈夢魔におびやかされる〉殺人者は、殺された人たちの夢魔におびやかされ、安らかに眠れなくなった。♠●へ夢魔にうなされる>若い兵士は、戦場で倒れた兵士たちの夢魔にうなされていた。 **むみかんそう**【無味乾燥】 ○味けないこと。おもしろみのないさま。[文例] 〈無味乾燥な毎日〉決まった時間に勤めに出て、決まった時間に一人だけの部屋に帰ってくる無味乾燥な毎日が続いた。♠◆ヘ話が無味乾燥>彼の話は無味乾燥で、おもしろくなかった。 **むめい**【無名】 ○名前が無いこと。名前がわからないこと。名前が知られていないこと。[文例] 〈無名の島〉これは、人間が移住する前の、島がまだ無名だったころの話である。♠〈有名無名の人々>事件に登場する有名無名の人々は、それぞれの行いを通して、わたしたちにさまざまな問題を投げかけている。♠無名の青年〉一人の無名の青年が、従来の学説を破る発見をした。♠◆<無名の人〉わたしたちの周りの人々も、多くは無名の人です。♠彼は、志士としてはまったく無名で、記録にとどめられるような功績は何もなかった。♠◆<無名戦士>父は、八月十五日になると、無名戦士の墓にもうでることにしている。♠●〈無名作家〉この文豪[ぶんごう]も、若いころは、無名作家の不遇[ふぐう]を嘆[なげ]いていた時期があった。 **むやみ**(無暗・無闇) ○よく考えずに行動するさま。度が過ぎるさま。[文例] 〈むやみをする〉なぜ、がけから飛び下りるようなむやみをしたの。♠へむやみに殺す>昆虫採集[こんちゅうさいしゅう]のためとはいえ、生き物をむやみに殺すのは良くない。♠●当時のぼくは、母にむやみに反抗的[はんこう]になっていたのを覚えている。♠●この事は、むやみに人にしゃべってはいけません。♠◆いくら頼[たの]まれたからといって、むやみに引き受ける人間があるもんか。♠●へむやみやたら>旅行した先々で、むやみやたらにおみやげを買いまくった。 **むよう**【無用】 ○役に立たないこと。必要がないこと。用がないこと。してはならないこと。[文例] 〈無用の長物[ちようぶつ]>カリフォルニアでは、とうとう雨は一度も降らず、持っていった傘[かさ]は無用の長物となった。♠●〈心配無用〉以前二年ほどアメリカに居たから、ことばに関しては、心配ご無用。♠◆無用の用「無用の用」といって、役に立たないようでも、何かの働きをしている物はあるものだ。♠人無用の者〉「無用の者立ち入り禁止」の立て札[ふだ]がある。♠問答無用>問答無用、正々堂々と立ち合え。♠●〈立ち入り無用〉この部屋は、外部の人は立ち入り無用に願いたい。♠◆◇天地無用>箱に「天地無用」と書かれていますから、ひっくり返さないようにしてください。 <1101> **むよく【無欲】** ○欲がないこと。欲ばりでないさま。[文例] <無欲な人>全く無欲な老夫婦であったからこそ、神様によって幸福がもたらされたのです。♠<無欲の人>彼は、日々くらしていくのに必要なもの以上に関しては無欲の人だった。♠<無欲の勝利>優勝できたのも、相手に勝つというより、日ごろの練習の成果を出しきることに専念したためで、無欲の勝利です。♠<地位・金に無欲>彼は、社会的な地位や金には無欲だから、こちらの陣営[じんえい]に抱き込むことは難しい。 **むら** ○均一[きんいつ]・一様[いちよう]でなく、ふぞろいなこと。気が変わりやすいこと。[文例] <むらがある>作品の出来にむらがあるようでは、まだ一人前とはいえません。♠<色がむら>空の色がむらになって、なかなかうまくかき上がらない。♠<むらになる>草の刈り方がむらになっていて、あそこにも雑草が残っているよ。♠<気分にむらがある>彼は気分にむらがあるので、第一印象が人によってずいぶんちがっている。♠<~にむらがある>こんなに成績にむらがあるのは、気持ちにもむらがある証拠[しょうこ]だ。♠<むらなく>各科目がむらなくできる彼女に勝てるのは、男子生徒の中にはいない。♠<むら気>きみのむら気を直すには、マラソンのように精神力の要る運動をするのがいいかもしれない。 **むら** ○地方自治体の一つで、市や町より人口が少ないもの。村落。村里。田舎。[文例] <村から町になる>このあたりは人口が増えたので、村から町になることになった。♠<村の衆>祭りの準備のため、仕事を終えた村の衆が集まってきた。♠<村の者>この言い伝えは、村の者はだれでも知っていた。♠<住みなれた村>少年は、住みなれた村をあとにすると、悲しみをこらえて歩き続けた。♠<村を捨てる>あまりに重い年貢[ねんぐ]にたえかねて、村を捨てる農民が続出した。♠<郷里の村>今ごろは、郷里の村でもにぎやかに夏祭りが行われていることだろう。♠<村の鎮守[ちんじゅ]の森>村の鎮守の森からは、さわやかな風に運ばれて、笛[ふえ]や太鼓[たいこ]の音が聞こえてきた。♠<村はずれ>村はずれの丘[おか]に近い所に、小さな社[やしろ]があった。♠<人形の村>ここは、人形の村と呼ばれ、昔からこけし作りのさかんな所です。♠<村を追い出す>村八分にされた一家は、とうとう村を追い出されてしまった。 **雪とけて村いっぱいの子どもかな(小林一茶)** **むらが・る【群がる】** ○一つの所に集まる。[文例] <周りに群がる>老人の周りには、いい知恵[ちえ]を授かろうと、人々が群がってきた。♠<家が群がる>山頂からは、家々の屋根がいくつとなく、雲のように群がっているのが見えた。♠<虫が群がる>虫の死骸には、アリたちが何匹となく群がっている。♠<群がって生える>土手にはすすきが群がって生え、銀色の穂を風になびかせている。♠<人々が群がる>救命ブイが投げられると、人々は必死でそこに群がった。♠<砂糖に群がるアリのように>金鉱が発見されたのを知ると、まるで砂糖に群がるアリのように、人々がその町に集まってきた。 **むらさき【紫】** ○ムラサキ科の多年草。また、その根からとる染料。むらさき色。しょうゆのこと。[文例] <紫の煙>山中の小さな小屋から、紫の煙が上がっている。♠昨日机の角にぶつけたところが、内出血して紫色になっている。♠払い退ける風も見えぬ往来は、夕暮[ゆうぐれ]の為すがままに静まり返って、蒼然[そうぜん]たる大地の色は刻々に蔓[はびこ]って来る。西の果[はて]に用もなく薄焼けていた雲は漸[ようや]く紫に変った。(夏目漱石「草枕[ぐびじんそう]」) **むらざと【村里】** ○田舎の、人家が集まっている所。[文例] 山道で迷ってさんざん歩き回り、ようやく村里にたどりついた。♠<村里に下りる>冬になると、キツネが村里まで下りてきて、ニワトリなどを襲う[おそ]らしい。 **むら・す【蒸らす】** ○蒸れるようにする。[文例] <ごはんを蒸らす>炊き[た]上がったごはんは、しばらく蒸らすと、おいしくいただけます。 **むらむら** ○急に強い感情が起こるさま。[文例] <むらむらとこみ上げる>彼女のいい加減な態度に、むらむらと怒り[いか]がこみ上げてきた。♠<むらむらとわく>山のような宝物を目の前にして、一人占めにしてやろうという欲望が、むらむらとわいてきた。♠<むらむらする>一週間も家の中に閉じこもっていたせいで、ぼくはそのとき外で思いきり体を動かしたくて、むらむらしていた。 **むり【無理】** ○道理に反すること。実行するのが困難なこと。強引に行うさま。[文例] <無理もない>そんな高価な物は、いくらたのんでも買ってくれないのは無理もないよ。♠<無理がある>このタイプライターがよく故障するのは、きみの使い方に無理があるからだ。♠<無理をする>彼は、よい本を見つけると、どんな無理をしても、それを買った。♠<無理がたたる>日ごろの無理がたたって、体をこわしてしまった。♠<無理がきく>男たちは、体力があるので、一晩ぐらいは無理がききそうだ。♠<どだい無理>あのわからず屋に、いうことをきかせるのはどだい無理だと思っていたよ。♠<無理なこじつけ>登場人物の性格から、この行動には無理なこじつけが感じられる。♠<無理やり>無理やり世の中の流れに逆らって生きるというのも考えものです。♠<無理押し>期日[せま]が迫っているからといって、無理押ししようとすれば、事態をこじらすばかりだよ。♠<無理からぬ>泳げない少年にしてみれば、小舟での釣りにしりごみするのは無理からぬことだ。♠<無理難題>男が無理難題をふっかけてくるのは、お金が目当てだった。♠<無理心中>無理心中させられた相手こそ、いい迷惑[めいわく]だ。♠<無理が通れば道理がひっこむ>「無理が通れば道理がひっこむ」では、世の中、力や金ばかりで動くようになってしまう。 **むりおし【無理押し】** ▷むり **むりかい【無理解】** ○理解しないこと。[文例] <周囲の無理解>少年は、周囲の無理解によってその純情な心を傷つけられた。♠<無理解な大人>無理解な大人たちによって、若い二人の愛は引きさかれてしまいました。 **むりからぬ【無理からぬ】** ▷むり **むりじい【無理強い】** ○いやがることを無理にさせようとすること。[文例] <無理強いをする>相手がいやがっているのに、無理強いをしてはいけない。♠<無理強いする>あの子は、自分のやりたい遊びを相手に無理強いするので、みんな <1102> から嫌われている。 **むりやり【無理やり】** ▷むり **むりょう【無料】** ○料金がいらないこと。ただ。[文例] <無料で配る>小学校と中学校の生徒には、教科書が無料で配られます。♠<料金が無料>この券を持っている人は、遊園地の入園料が無料になります。♠<無料サービス>日本中どこの食堂もレストランも、水だけは無料サービスだ。 **むりょう【無量】** ○はかることができないほど多いこと。[文例] <無量の悲しみ>これから先の人生で、きみが無量の悲しみに沈むこともあるだろう。♠<無量無数>わたしたちをとりまく無量無数のことばの洪水[こうずい]の中から、意味のあるものだけを選んでいかなければなりません。♠<無量無辺>仏さまの慈悲[じひ]は無量無辺であり、生きとし生けるものすべてに及びます。♠<感無量>長年の研究が実を結び、博士は感無量といった様子です。♠<感慨[かんがい]無量>これでもうきみと二度と会うことがないと思うと、感慨無量です。 **むりょく【無力】** ○力がないこと。能力・勢力などがないこと。[文例] <無力な男>泥棒[どろぼう]は、家人[かじん]に捕[つか]まると、自分がいかにも無力な、哀[あわ]れな男であるかのような表情を作った。♠<~に対して無力>かぐや姫を守っていた二千人の兵たちも、月の都の人々に対しては、全く無力だった。♠<無力な自分>医者にもかかれず、死んでゆく弟を前にして、何もできない無力な自分に腹を立てていた。♠<無力をあざわらう>わたしの無力をあざわらうように、木の上でカラスが鳴いていた。♠<無力感>今までの努力が水の泡[あわ]になったことを知って、彼は無力感におしひしがれていた。 **むるい【無類】** ○並ぶものがないこと。類がないこと。[文例] <無類の将棋好き>おじさんは、無類の将棋好きだ。♠<無類のお人よし>父は無類のお人よしで、人から頼まれると、いやとは言えない。♠<珍[ちん]無類>侵入[しんにゅう]した泥棒が、その家の人に説教をして立ち去ったという、珍無類な記事が出ていた。♠<古今無類>このようなことは、古今無類の出来事です。♠<勇敢無類>この男は勇敢無類に戦って、一人で村を守った。 **むれ【群れ】** ○集団。むらがり。群。仲間。[文例] <群れをなす>オオカミは、群れをなして人間を襲う[おそ]と考えられていた。♠<群れを率いる>わたり鳥のリーダーが、群れを率いて飛んできた。♠<群れの先頭に立つ>リーダーは、いつものように、群れの先頭に立って飛んできた。♠<人々の群れ>折り重なって倒[たお]れた人々の群れのあちこちから、泣き声やうめき声が上がる。♠<群れを作る>群れを作って生活する生き物について、生活の様子をみんなで調べた。♠<反乱者の群れ>反乱者の群れに身を投じた若者は、再び故郷には帰って来なかった。♠<星の群れ>田舎[いなか]で見る星の群れは、都会で見るより、おびただしくその数を増していた。♠<灯の群れ>地平線のかなたに、灯の群れが握り[にぎ]こぶしほどの大きさの塊[かたまり]になって浮かび上がる。♠<雨雲の群れ>雨雲の群れは、ビルの上に、今にも落ちてきそうなほど低くたれこめていた。 **む・れる【群れる】** ○むれになる。むらがる。[文例] <羊が群れる>草原から丘にかけて羊たちが群れている。♠<群れ集う[つど]>この自由の学園に若い人々が群れ集う。 **む・れる【蒸れる】** ○熱気・湿気がこもる。蒸す。食物に熱や蒸気がよく通る。[文例] <ご飯が蒸れる>ご飯が蒸れたら、早速食事にしましょうね。♠<空気が蒸れる>車内の空気が蒸れているので、窓を開けましょう。♠<足が蒸れる>夏は、靴[くつ]だと足が蒸れるので、げたをはくようにしている。♠<体が蒸れる>これぐらい暖かくなると、この服だと体が蒸れて気持ち悪い。 **むろん【無論】** ○もちろん。言うまでもなく。[文例] わたしは、彼がむろん先に到着しているものと思っていた。♠罰[ばつ]として一晩ここで寝ること、むろん、本など読んでもいけない。♠少年にだまされて出かけた人々は、むろん、何も見つけることはできなかった。♠生まれたばかりのひなは、むろんまだ目も開いていなかった。♠<むろんのこと>寒い土地はむろんのこと、暖かい土地でも春を迎える喜びは、人々の表情にあふれている。 **め** **め【芽】** ○草木で、成長して葉・枝・花になるもの。卵の胚[はい]。物事のきざし。[文例] <花の芽>真っ赤な花の咲いていたあとに、見たこともない芽がすっくり顔を出している。♠<芽を出す>こぼれた種からは、次の年、またひまわりが芽を出した。♠<芽が伸びる>今日は春雨[はるさめ]がしっとりと降っていて、庭のばらの芽が伸びるのを助けているようだ。♠<芽がふくらむ>川っぷちの若い柳[やなぎ]には、銀色の芽がもう大きくふくらんでいた。♠<芽をふく>雪が解け、暖かい風が吹き始めると、木々はいっせいに芽をふく。♠<芽がもえ出す>何もない焼け野原にも、春は訪れ[おとず]、あちこちにはこべの芽がもえ出していた。♠<若い芽>教師のわたしには、生徒たちの若い芽をはぐくむという生きがいがあります。♠<考えが芽を出す>その時、彼の心の中に、蒸気で車を回せるのではないかという考えが芽を出した。♠<芽が出る>彼は、長い下積み生活の末、役者としてやっと芽が出かかっていた。♠<芽を摘む>せっかく子供の心に芽生えた善意の芽を摘むようなことはつつしんでください。 **め【目】(眼)** ○物を見る働きをする器官。目つき。視力。視線。物事を見分ける力。視点。見ること。監視。経験。縦横に交わるものの間にできるすきま。中心。さいころの面につけた点。並んでぎざぎざしたもの。目盛り。もくめ。順序・程度・境となる所を表す語。[文例] <大きな目>まり子は、黒目がちの大きな目をした少女でした。♠<目が見える>野うさぎの子は生まれたときから目が見えるし、小さな体は縮れた毛で厚くおおわれている。♠<目がかすむ>おじいさんの目はかすみ、腰[こし]もすっかり曲がってしまった。♠<目が合う>こっそりぬけ出して遊びに行こうとしていたら、母と目が合ってしまった。♠<目が覚める>「穴に落ちた!」と思った <1103> 瞬間、いつもの目覚まし時計の音で目が覚めた。♠<目を開ける>しっかり目を開けて世の中の動きを見てごらん。♠<目をつむる・つぶる>老人は話しつかれたものか、しばらくじっと目をつむっていた。♠<目をつぶる>今度だけは目をつぶってやるが、この次からは許さないぞ。♠<目を伏せる>先生は目を伏せ、じっと涙[なみだ]をこらえています。♠<目がくらむ>目もくらむほど高いがけの上に、一本のりんどうの花が咲いています。♠<目にしみる>タバコの煙[けむり]が目にしみる。♠<目にふれる>今ではマツタケも高級品になって、われわれ庶民[しょみん]の目にふれるのもまれです。♠<目を凝らす>草むらにだれかいはしないかと、月明かりの中でじっと目を凝らしていた。♠<目を配る>要人警護のシークレットサービスは、銃を構えて、辺りに鋭く[するど]目を配った。♠<目を光らせる>見張りが目を光らせているから、見つからないように気をつけろ。♠<目を離す>母親がちょっと目を離したすきに、小さい子が道に飛び出すことがあります。♠<目を据える>生徒たちは、じっと黒板に目を据えて、先生の書く言葉を見つめていた。♠<目をむく>すてきなバックを見つけて買おうとしたら、目をむくほど高い値段だった。♠<目をやる>おやっと思って、窓の外に目をやると、一面、真っ白い雪が積もっています。♠<目を留める>新聞を読んでいたわたしは、ふと小さな記事に目を留めた。♠<目に留まる>街を歩いていて、季節の移りを教えてくれる景物が目に留まることがあります。♠<目にも留まらぬ>目にも留まらぬスピードで、自動車が駆け抜けて行った。♠<目にする>「ガリバー旅行記」という本の名前を耳にし、目にしたことのないという人は、まずいないでしょう。♠<目をつける>村にやって来た役人は、一人の美しい娘[むすめ]に目をつけた。♠<目につく>通りを曲がると、右手に、つたの絡[から]まるチャペルが目につきます。♠<目を向ける>母親も家庭に閉じこもってばかりいないで、もっと外の世界に目を向けるべきです。♠<目をそらす>少女が顔を上げると、少年はあわてて目をそらした。♠<敵の目を逃れる>わたしたち一家はやっとのことで敵の目を逃れ、無事に国境を越えることができた。♠<目をひく>三十年代後半に入って、新人作家の活躍[かつやく]が目をひいた。♠<目を奪う[うば]・奪われる>時価十億円という豪華[ごうか]なダイヤのネックレスが人々の目を奪った。♠<目を盗む>授業中、先生の目を盗んで漫画[まんが]を読んでいる人もいる。♠<人目に入る>ちょうどその時、校長先生が広場を横切って行くのが目に入った。♠<目に映る>久しぶりに戸外に出ると、目に映るものすべてが新鮮で輝[かがや]いて見えます。♠<目に浮かぶ>こうして話を聞いていると、幼いころのきみの姿が目に浮かぶようだ。♠<目を見張る>人々は、少年の描[えが]いた絵を見て、驚き[おどろ]の目を見張った。♠<目を転じる>窓の外に目を転じると、バスはすでに山中深く入っていた。♠<目で追う>動物園のおりの前で、チビッコたちは、一心にパンダを目で追っている。♠<目を通す>会議の前に、ざっとでいいですから、資料に目を通しておいてください。♠<目を注ぐ>今や、世界中の目がこの国に注がれているのです。♠<目に焼きつく>故郷を出る時の悲しげな母の顔が今も目に焼きついている。♠<目を掛ける>彼は将来有望で、師匠[ししょう]も彼には特別目を掛けていました。♠<目が回る>毎日毎日子供の世話に追われて、お母さんは目が回るように忙しい[いそが]。♠<目を輝かせる>子供たちは目を輝[かがや]かせながら、保母さんのお話に聞き入っています。♠<目の色を変える>近所のスーパーで大安売りをしていると知った母は、目の色を変えて飛び出して行った。♠<目もくれない>猟師[りょうし]は、獲物[えもの]を見つけると、ほかには目もくれずまっしぐらに追いかける。♠<目が届く>母親のわたしが働いているもので、なかなか子供に目が届きません。♠<目が利く>おじいさんあれでなかなか目の利く人だから、これが本物かどうか見てもらうといい。♠<目のつけどころ>彼は、いつも新しい事を思いつく人で、人とは目のつけどころが違う[ちが]。♠<目に見えぬ>二人は、目に見えぬ運命の糸に操[あやつ]られるように、再び別れ別れになっていった。♠<目に見えて>コーチの指導のおかげで、ぼくのテニスの腕[うで]も目に見えて上がった。♠<目に余る>暴力団[ぼうりょくだん]の目に余る振る舞いに、住民は一致団結して立ち上がった。♠<目を開かせる>この本は単にピカソの作品の紹介[しょうかい]にとどまらず、わたしたちに美術への目を開かせてくれる。♠<目を三角にする>怒[おこ]ったおじいさんは、目を三角にして子供たちをどなりつけた。♠<人目に角を立てる>くそまじめな男だから、冗談[じょうだん]でも言おうものなら、それこそ目に角を立てるぞ。♠<目を丸くする>わたしはいささか驚き、目を丸くした。♠<目を皿[さら]にする>ユミコは、目を皿のようにして、せみが脱皮[だっぴ]する姿を見つめていた。♠<変な目>銀行の前をうろうろしていたら、警官に変な目で見られてしまった。♠<冷たい目>周囲の冷たい目を浴びながら、それでも彼は自分の信念を曲げようとしなかった。♠<白い目>ねたましかったのだろうか、アメリカ留学[りゅうがく]から帰ったみちこを級友たちは白い目で見るようになった。♠<ものを見る目>わたしたちは、読書を通して、ものを見る目や考える力を養[やしな]っているのです。♠<目が黒いうち>わしの目の黒いうちは、おまえたちに勝手なまねはさせないぞ。♠<目が高い>さすがお客さんは目が高い、これは最高級品の毛皮ですよ。♠<目が肥える>目の肥えた鑑定家[かんていか]は、どんな巧妙[こうみょう]なにせ物にもだまされることはない。♠<長い目で見る>彼はきっと立ち直ります。長い目で見てやってください。♠<お目にかかる>一度、お目にかかって、ゆっくりお話ししたいと思います。♠<日の目を見る>彼は、永遠に日の目を見ることがないかも知れない小説を、せっせと書き続けている。♠<人目も当てられない>久しぶりに訪ねた兄の下宿は、目も当てられないほどの散らかりようだった。♠<目を覆うばかり>高速道路で起こった衝突[しょうとつ]事故は、目を覆うばかりのありさまだた。♠<~に目がない>先生はアルコールが好きであったが、甘いものにも目がないほうだった。♠<見た目>見た目にはよくても、内容が伴わ[ともな]ないという人もいます。♠<目の敵[かたき]>二人の兄弟子[あにでし]は、何かにつけて、親方[おやかた]に気に入られている少年を目の敵にした。♠<監視[かんし]の目>母の監視の目が光っているので、夜間の外出はできません。♠<目にもの見せ <1104> る>今に見ていろ、目にもの見せてやるぞ。♠<猫の目のよう>姉はきまぐれな性格なので、気持ちが猫の目のようにくるくる変わる。♠<目の中に入れても痛くない>彼は一粒種[ひとつぶだね]の男の子を、目の中に入れても痛くないほどかわいがっていた。♠<ひどい目にあう>電車の中で財布をすられて、まったくひどい目にあったよ。♠<危険な目にあう>アフリカの奥地[おくち]では、どんな危険な目にあうかもしれないのです。♠<目の前>「さあ、どうぞ。」と言うと、彼はわたしに目の前のいすを示した。♠<目は心の窓>「目は心の窓」といいますから、相手の本心を知りたければ、まず目を見て話をすることです。♠<目には目を>「目には目を、歯には歯を、向こうが力でくるならこちらも力で立ち向かおう。」と、男が言った。♠<目は口ほどにものを言う>「目は口ほどにものを言う」と言われるとおり、表情が千万言よりも多くのことを表現する場合がある。♠<目の上のたんこぶ>何かと言うとぼくのやり方に口をはさむ姉は、ぼくの目の上のたんこぶだ。♠<目の毒>こんな高価なドレスは、若い女の子には目の毒かもしれません。♠<目と鼻の先>ぼくの家のすぐ近く、目と鼻の先に桜[さくら]の名所があります。♠<目から火が出る>街角で太ったおばさんにぶつかった時、目から火が出たかと思った。♠<目から鼻にぬける>賢助[けんすけ]はたいへん賢く[かしこ]、目から鼻にぬけるようだと言われていた。♠<目からうろこが落ちる>父に注意されて、なぜ今までそんなささいな事にこだわっていたのだろうと、目からうろこの落ちる思いがした。♠<網の目>こんなに目の粗い網では魚がみんな逃げちゃうよ。♠<台風の目>万年最下位のチームだが、今シーズンは台風の目になりそうだ。♠<さいころの目>さいころを振ると、六の目が出た。♠<のこぎりの目>のこぎりの目を立てるのは、素人[しろうと]にはむりでしょう。♠<何日め>転校して何日めか、ぼくはクラスの数人に呼び出されて校庭のすみに連れて行かれた。 **めあたらし・い【目新しい】** ○今まで見たことがなく珍しい。[文例] 田舎育ちのわたしには、都会で見るものすべてが目新しかった。♠<目新しい企画>文化祭の催し[もよお]物は去年とほとんど同じで、目新しい企画は何一つなかった。♠<目新しい話題>パーティーでは次々に目新しい話題が登場し、全然退屈[たいくつ]しませんでした。 **めあて【目当て】** ○目標。目的。あて。[文例] <明かりを目当てに>星のない夜、船は暗やみの中を灯台の明かりを目当てに進んだ。♠<目当てのデパート>目当てのデパートの角まで来た時、お母さんが手を振っているのが見えた。♠<目当てがはずれる>雨で体育祭が中止になって、目当てがはずれたぼくは、がっかりだった。♠<~の目当て>みんなの前で話す時には、報告・発表・提案など目当てに応じた話し方を工夫しよう。♠<財産目当て>世の中には財産目当ての結婚[けっこん]もあるが、そんなことにならないようにしたいものだ。♠<お目当て>あいつはよく家に遊びに来るけど、お目当ては、どうもぼくの妹らしい。 **めいあん【明暗】** ○明るいことと暗いこと。明るい面と暗い面。幸と不幸など。[文例] <舞台の明暗>舞台の明暗を場面にあわせて調節することが、照明の山本さんの仕事です。♠<明暗の対比>きみの絵は、濃淡[のうたん]と明暗の対比があざやかなのが特徴だ。♠<人生の明暗>二人の人生の明暗は定まることを知らなかった。♠<明暗を分ける>事故のあった電車の一番前に乗ったか、後ろに乗ったかが乗客の明暗を分けることになりました。 **めいあん【名案】** ○よい考え。すぐれた思いつき。[文例] しゃべりの彼女を司会にしたのは、われながらなかなかの名案だった。♠<一石二鳥の名案>その方法なら時間もかからないし費用も節約でき、まさに一石二鳥の名案だ。♠<名案が浮かぶ>一生懸命考えましたが、何も名案は浮かびませんでした。 **めいう・つ【銘打っ】** ○宣伝のために特別に名づける。名目として掲げる。[文例] 映画会社は、その作品を今年度のベストワンと銘打って大々的なキャンペーンを行っている。♠<超特価品と銘打って>ブランド品のにせ物が売られているらしい。 **めいうん【命運】** ○運命。[文例] <命運が尽きる>天下統一を目の前に織田信長[おだのぶなが]は、本能寺の変でついに命運が尽きた。♠<命運をかける>四月から発売される新製品に、会社は命運をかけています。♠<命運がかかる>新しく入社した諸君の手にわが社の命運がかかっているのです。 **めいかい【明快】** ○筋道がはっきりして分かりやすいさま。[文例] <明快なきまり>鬼[おに]ごっこという遊びは、追う者と追われる者とがあって、つかまれば交替するという明快なきまりがあります。♠<明快な答え>部員全員にたずねてみた <1105> が、チームを解散するかどうか、明快な答えは出なかった。♠<明快な論理>たたかれたからたたき返したというのは明快な論理だが、それでは争いが絶えない。♠<明快な推理>彼は、明快な推理で、事件のなぞを次々に解き明かしていった。♠<明快に言い切る>正義感の強い彼は、つねに「悪い事は、悪い。」と明快に言い切ってよどみがない。♠<明快に説明する>理科の授業で、にじができる訳[わけ]を、先生は明快に説明してくれた。 **めいかく【明確】** ○はっきりしていて確かなさま。[文例] よく似ているが、この写真で見ると、二人が別人であることは明確だ。♠<明確な日付>明確な日付は覚えていないが、わたしがこの村に来たのは、さくらの咲くころだった。♠<明確な形>よい詩とは、相手に訴えたい主題が、明確な形で表現された詩のことだと思います。♠<明確に規定する>憲法[けんぽう]には、だれでも教育を受ける権利があると明確に規定されています。♠<明確にする>何か事故が起きた時のためにも、責任の所在は明確にする必要がある。♠<考えを明確にする>意見を発表する前に自分の考えを明確にしておきなさい。♠<要点を明確にする>質問は、要点を明確にして出してくれないと、答えにくい。 **めいがら【銘柄】** ○商品の名称。すぐれた品質の商品。株式や物件の名称。[文例] まったく同じように見える二つの商品も、銘柄によって値段が少し違います。♠<米の銘柄>「ササニシキ」「コシヒカリ」は有名なお米の銘柄です。 **めいき【明記】** ○はっきりと記すこと。[文例] <明記する>持ち物には、名前を明記してください。♠<明記する>憲法には、すべての国民が法の下に平等であることが明記されています。 **めいき【銘記】** ○深く心にきざむこと。銘を記すこと。[文例] <銘記する>先生の言葉を心に銘記して、新たな気持ちで社会に旅立っていこうと思っています。♠<銘記する>多くの町民の開拓の努力があったことが、石碑[せきひ]には銘記されている。 **めいぎ【名義】** ○書類上の表向きの名前。名に応じて守るべき義理。[文例] <アパートの名義>わたしはアパートを一軒所有しているが、名義は長男になっている。♠<妻の名義>実業家は、自分の所有する不動産の一部で、妻の名義の土地を売ることにした。♠<名義を書き換える>事情があって、土地の権利書の名義を妻の名に書き換えることにした。 **めいきゅう【迷宮】** ○一度入ったら出口がわからなくなってしまう宮殿[やかた]。解決の糸口がつかめない状態。[文例] <迷宮に迷い込む>その館[やかた]は迷宮になっていて、迷い込んだら出てこられないと言われていた。♠<迷宮入り>必死の捜査[そうさ]にもかかわらず、ついに迷宮入りとなった事件も多い。 **めいきょく【名曲】** ○すぐれた曲。有名な曲。[文例] <名曲を作る>ベートーベンは苦難を乗りこえ、数多くの名曲を作りました。♠<名曲が生まれる>たくさんの名曲が生まれる舞台となった音楽の都ウィーンを訪問した。♠<名曲を残す>明治時代の作曲家滝廉太郎[たきれんたろう]は、「花」「荒城[こうじょう]の月」などの名曲を残しました。 **めいげつ【明月】** ○明るい月。十五夜の月。[文例] 厚い雲の切れ間から、まあるい明月がぽっかりと姿を見せました。♠小さいときは、明月を眺めながら、うさぎがもちつきをしている姿を想像したものです。 **めいげつ【名月】** ○陰曆八月十五夜の月。陰曆九月十三夜の月。[文例] <中秋の名月>中秋の名月には、すすきをかざり、おだんごをお供えします。♠**名月や月をめぐりて夜もすがら(松尾芭蕉[まつおばしょう])** **めいげん【明言】** ○はっきりと言うこと。言明。[文例] <明言する>市バスの値上げはしないと市長が明言したにもかかわらず、目下値上げについて検討中だそうだ。 **めいげん【名言】** ○物事の本質をうまく言い表した言葉。有名な言葉。名句。[文例] <名言を吐く[は]>自由民権運動の中心人物であった板垣退助[いたがきたいすけ]は、岐阜で暴漢[ぼうかん]に襲[おそ]われたとき、「板垣死すとも自由は死せず」という名言を吐いたといわれる。♠<けだし名言>えっ、「明日できることは今日するな。」だって? けだし名言だね。 **めいこう【名工】** ○すぐれた腕前の職人。[文例] <有田焼[ありたやき]の名工、柿右衛門[かきえもん]>の展示会に行ってきました。♠<左甚五郎[ひだりじんごろう]>は江戸初期の名工といわれ、東照宮[とうしょうぐう]の眠り猫[ねこ]、寛永寺[かんえいじ]の登り竜[のぼりりゅう]などの作品が有名です。 **めいさい【明細】** ○細かい点まではっきりして詳しいさま。内容が明確に記された文書。[文例] <請求書の明細>請求金額は総額百二十万円、明細はその下に記してあります。♠<給与の明細>給料袋には、ぴらぴらの紙片が-枚入っていて、給与の明細が記されていた。♠<明細な記録>会議では、どんな発言がだれによってなされたか、明細な記録をとってください。 **めいさい【迷彩】** ○敵の目をごまかすためにいろいろな色をぬり、周囲と見分けがつかないようにすること。[文例] <迷彩を施す>戦車には敵の目をあざむくための迷彩が施されていた。♠<迷彩服>兵士はみな、緑とカーキ色の混ざった迷彩服を着て、演習を続けた。 **めいさく【名作】** ○有名で、すぐれている作品。[文例] 明治時代の文豪[ぶんごう]夏目漱石は、『門』『こころ』など、数々の名作を世に送り出しました。♠<古今の名作>祖母は読書家で、古今の名作と言われる小説は、ほとんど読んでいるようです。♠<不朽の名作>この映画は四十年も前に作られたものだが、今見てもすばらしく、不朽の名作だと思います。 **めいさつ【明察】** ○物事の真相を見抜くこと。すぐれた推察。[文例] <明察する>お気持ちもわかりますが、こちらの事情もご明察いただき、お許し願いたいと思います。♠<署長、あなたのご明察>の通り、やはり真犯人はあの女でした。 **めいさつ(名刹)** ○有名な寺。[文例] 神奈川県鎌倉[かまくら]市にある円覚寺[えんがく]は、十三世紀に創建された、臨済宗[りんざいしゅう]の名刹です。♠<京都には>、日本人の心を和[なご]ませる、落ち着いた趣[おもむき]を残す神社や名刹が多い。 **めいさん【名産】** ○その土地の有名な産物。[文例] ミカンは静岡県の名産で、全国に出荷されます。♠<青森県の名産>といえばどこ <1106> いうと、りんごがまず頭に浮かんでくる。 **めいし【名士】** ○世間に名が知られている人。[文例] <土地の名士>おじは土地の名士らしく、つき合いが多くて忙しいようだ。♠<財界の名士>いくら財界の名士の推薦[すいせん]でも、本人にその能力がなければ採用できません。 **めいし【名刺】** ○氏名・住所・勤務先などを印刷した小形の紙。[文例] <名刺を渡す>いつも名刺を持ち歩き、仕事関係で初めて会う人に渡します。♠<名刺を差し出す>営業の仕事を始めて一年、お客様に名刺を差し出す姿も、だいぶ板についてきました。 **めいじ【明示】** ○はっきりと示すこと。[文例] <明示する>病院の各フロアーは、標示板や標示灯によって病棟と病室が明示されていた。 **めいじつ【名実】** ○名前と実質。評判と実際。[文例] <名実相[あい]ともなう>その政治家は、名実相ともなった、尊敬に値する人物ということだった。♠<名実相かなう>こんな世の中ですから、名実相かなった人物というのは少ないのです。♠<名実ともに>前年度のチャンピオンが引退し、今年の大会で優勝した彼女が名実ともに第一人者となった。 **めいしゅ【名手】** ○すぐれた腕前や技術をもつ人。[文例] <投網[とあみ]の名手>当時辰吉[たつきち]は、投網にかけては近郷[きんごう]きっての名手であった。♠<射撃[しゃげき]の名手>射撃の名手である彼は、三百メートル以内の獲物[えもの]は外したことはありません。 **めいしょ【名所】** ○景色や旧跡などで有名な所。[文例] <桜の名所>この川の土手は桜の名所です。♠<名所を訪ねる>修学旅行では、奈良・京都の名所を訪ねる予定です。♠<名所見物>昨日は東京タワーや皇居・浅草など、東京の名所見物を楽しみました。♠<名所旧跡>鎌倉[かまくら]は、寺院や庭園など、名所旧跡の多い所です。 **めいしょう【名称】** ○名前。呼び名。[文例] <チームの名称>野球チームを作ったけれど、強そうな名称がなかなか決まらなかった。♠<車の名称>自動車についている型ごとの名称を、ぼくは全部言える。♠<名称が違う>関東地方でヤマメ、東北・北海道でヤマベと呼ばれている魚は、違うのは名称だけで、実は同じ魚です。♠<名称をつける>ぼくたちは、文集に「仲間」という名称をつけることにした。♠<山脈・川の名称>社会科の時間に、みんなで日本地図を作り、山脈や川の名称を書き入れました。♠<~を指す名称>和語[わご]というのは、漢語や外来語に対して本来の日本語を指す名称で、大和[やまと]言葉とも呼ばれる。 **めいしょう【名勝】** ○景色がすばらしい土地。[文例] <名勝の地>安芸[あき]の宮島は、古来名勝の地として有名だ。♠<天下の名勝>日光の華厳[けごん]の滝は、落差もあり水量も多く、天下の名勝です。♠<名勝を見る>仕事を休んで、じっくり昔ながらの名勝を見て回る旅をしてみたい。 **めいしょう【名匠】** ○すぐれた技術をもつ職人。すぐれて有名な芸術家・学者。[文例] <焼き物の名匠>その老人は地元では知らない人がいない、萩焼[はぎやき]の名匠です。♠<建築の名匠>その庭園は、現代建築の名匠と呼ばれるT氏の設計によるものだそうだ。 **めいじょう【名状】** ○ある状態を言葉で言い表すこと。[文例] <名状しがたい>うす暗い部屋の中に、喪服[もふく]の女は一種名状しがたいなまめかしさで座っていた。 **めい・じる【命じる】** ○命令する。任命する。名づける。[文例] <退場を命じる>ルール違反[いはん]を重ねたため、選手はとうとう退場を命じられた。♠<父に命じられた>とおり、兄は演劇志望をあきらめて、学業に専念することにした。♠<良心の命じるところ>わたしたちは、良心の命じるところに従って行動したいものだ。♠<~を命じられた>三人は、工業技術を学ぶため、政府からヨーロッパ視察を命じられた。♠<~に命じられた>父は会社の人事異動で課長に命じられた。♠<~を命じられた>風紀[ふうき]委員を命じられた諸君は、服装[ふくそう]の乱れている生徒を見たら注意するように。 **めい・じる【銘じる】** ○心に刻みつける。[文例] <肝[きも]に銘じる>コーチの忠告を肝に銘じ、今後はチームのために働きたいと思っています。 **めいしん【迷信】** ○誤った信仰。科学的根拠がないのに信じられている事柄。[文例] <迷信やしきたり>文明から遠く離れた山里などでは、古い迷信やしきたりがいまだに残っている。♠<迷信がある>昔から、この地方には、竹の花が咲くと不吉な事が起こるという迷信があるのです。♠<迷信を信じる>科学万能の現代でも、迷信を信じる人はけっこういるものだ。♠<迷信にすぎない>姓名判断や占いは、科学的には何の根拠もない、ただの迷信にすぎないという人もいる。♠<迷信にとらわれる>迷信にとらわれている人々に、科学的な事実をわからせるのはむずかしかった。♠<迷信を打破する>人々の生活の向上を妨[さまた]げるような迷信は、打破していこう。♠<迷信家>迷信家の父は、結婚式[けっこんしき]は大安[たいあん]の日でなければと、がんこに言い張った。 **めいじん【名人】** ○ある分野で腕前が特にすぐれている人。[文例] <釣りの名人>おじいさんは釣りの名人で、大きなのをたくさん釣ります。♠<名人芸>さすがは名人芸、実に鮮[あざ]やかな包丁[ほうちょう]さばきだ。♠<名人かたぎ>名人かたぎの師匠[ししょう]でしたから、気むずかしくて弟子たちは苦労しました。 **めいせい【名声】** ○よい評判。名誉。[文例] <名声が高い>浮世絵[うきよえ]の作家の中でも、美人画の第一人者として、喜多川歌麿[きたがわうたまろ]の名声は高かった。♠<名声が高まる>ノーベル賞の受賞により、キュリー夫妻の名声は高まる一方でした。♠<名声を高める>芥川龍之介[あくたがわりゅうのすけ]の名声を何より高めたのは、彼の最初の傑作[けっさく]『羅生門[らしょうもん]』である。♠<地位と名声>〈名声を得る〉地位と名声を得た彼は、江戸の名医として経済的にも豊かになった。♠<名声を鼻[はな]にかける>名声を鼻にかけた男には、しだいにわがままなふるまいが目立ち始めました。♠<名声がとどろく>大西洋横断飛行に成功したリンドバーグの名声は、今や世界中にとどろいていた。♠<名声を上げる>ざん新なデザインが評判を呼び、彼は新進建築家として、一躍[いちやく]名声を上げた。♠<名声を博する>女優として、彼女は世界的な名声を博しています。 **めいせき(明晰)** ○明らかではっきりしているさま。[文例] <明晰な文章>推敲[すいこう]の目的は、文章を誤りのない明晰なもの <1107> にすることにある。♠<明晰な演説>大臣の明晰な演説は、会場に集まった人たちによく理解されたようです。♠<頭脳明晰>頭脳明晰な人も、恋をすると頭が混乱します。 **めいそう(瞑想)** ○目を閉じて深く静かに考えること。[文例] <瞑想にふける>修行中の僧は本堂で座禅を組み、静かに瞑想にふけっている。♠<瞑想から覚める>ドスンという大きな音で、わたしは瞑想から覚め、現実の世界に引き戻された。♠<瞑想を破る>モーッと鳴いた牛が住職の瞑想を破った。♠<瞑想する>いったい何を瞑想しているのだろう、さっきから目を閉じたまま一言[ひとこと]も発しない。 **めいだい【命題】** ○判断の内容を言語・記号で表したもの。解決すべき課題。[文例] 科学や哲学の進歩によっても、依然として解決不可能な命題というものは残る。♠人生の目的は幸福の追求にある、という命題は万人が認めるところであろう。 **めいちゅう【命中】** ○目標に当たること。的中。[文例] <的に命中する>気合いとともに放たれた矢は、鋭い[するど]うなりをあげて、的に命中した。♠<弾丸が命中する>右足に命中した弾丸[だんがん]は、骨の中に深くくい込み、取り出すのはむずかしかった。♠<弾が命中する>倒れたくまに近づいてみると、弾はみごと心臓に命中していた。♠<ゴールに命中する>最後の一分、起死回生[きしかいせい]のロングシュートはみごとゴールに命中した。 **めいちょ【名著】** ○有名ですぐれた著書。[文例] 西田幾多郎[にしだきたろう]の名著『善の研究』は、戦前の哲学青年の必読書でした。 **めいちょう【明澄】** ○明るく澄んでいるさま。[文例] <明澄な青空>今朝は初秋らしい明澄な青空が広がり、実にすがすがしい高原の一日が始まろうとしていた。♠<明澄な知性>芥川龍之介[あくたがわりゅうのすけ]は、明澄な知性によって人間心理を分析し、現実を知的に再構成しようとした。 **めいっぱい【目一杯】** ○目盛りいっぱいまで。ぎりぎりのところまで。精いっぱい。[文例] お店はそんなに広くないので、お客さんは、目一杯詰めても十人くらいしか座れません。♠いい成績を残そうと目いっぱいがんばった。 **めいてい(酩酊)** ○ひどく酒に酔うこと。[文例] <酩酊する>酒を飲んでしたたかに酩酊した男は、駅のホームのベンチで眠りこけている。♠<酩酊する>結婚式の披露宴[ひろうえん]で飲みすぎたわたしは、一人では満足に歩けないほど酩酊してしまった。 **めいど【明度】** ○色の明るさの度合い。[文例] <明度が高い・低い>色の中でいちばん明度の高いのは白、低いのは黒です。 **めいど(冥土・冥途)** ○死んだ人の魂[たましい]が行く世界。冥界。黄泉[よみ]。あの世。[文例] <冥土へ行く>人間死んでしまえばだれでも同じ、あの世へ、つまり冥土へ行かなければならないんだよ。いくら金をためたからといって、死んで冥土までは持っていかれまいに。♠きっと冥土のお父さんがあの世から見守ってくれてるにちがいないよ。♠<冥土のみやげ>どうせ、もうすぐ死ぬお前だ、冥土のみやげに真犯人を教えてやろうか。♠<冥土の道連れ>さあ、殺すなら殺せ、ついでにお前も冥土の道連れにしてやるぜ! **めいどう【鳴動】** ○大きな音をたてて動くこと。[文例] <鳴動する>活動を始めた火山のふもとの村々では、まさに大地の鳴動するのを感じたそうである。♠<時代の鳴動>浦賀[うらが]に現れた四隻の黒船は、やがて始まる時代の鳴動の先駆け[さきが]でもあった。♠<大山鳴動[たいざんめいどう]してねずみ一匹>百人もの警官を動員したのに、捕[つか]まったのは犯人グループのうちたった二人、大山鳴動してねずみ一匹とはこのことだ。 **めいにち【命日】** ○毎月の、その人の死んだ日と同じ日。特に同じ月日。[文例] 明日は祖母の命日なので、家族そろって墓参りに行きます。 **めいはく【明白】** ○明らかで、疑う余地のないさま。[文例] <明白な証拠[しょうこ]>疑わしくはあっても、その男が犯人だという明白な証拠はなかった。♠<明白に物語る>いくつかの調査報告は、この炭鉱事故が人災であることを明白に物語っている。♠<明白な事実>人間だれしもいつかは死ぬということとは、疑いのない、明白な事実です。♠<真相を明白にする>政府は、今度の事件の真相を国民の前に明白にする義務がある。♠<理由が明白>理由は明白でないが、突然[とつぜん]、学校から呼び出し状が届いた。♠彼らの批判が、わたしに向けられたものであることは明白であった。 **めいび(明媚)** ○景色が清らかで美しいさま。[文例] <風光明媚>奈良県吉野[よしの]は、桜で有名な、風光明媚な土地です。 **めいびん【明敏】** ○頭の働きが鋭いさま。[文例] <明敏な頭脳>博士はその明敏な頭脳で、次々と新しい理論を導き出しました。♠<明敏に判断する>明敏に判断できなければ、試合を勝利に導く名監督とはいえません。 **めいふく(冥福)** ○死後の世界での幸せ。[文例] <冥福を祈る>一分間の黙禱[もくとう]の間、わたしたちは戦争で亡くなった人たちの冥福を祈り続けた。 **めいぶつ【名物】** ○その土地の有名な産物。地域や社会で評判になる物事や人。[文例] <土地の名物>土地の名物を食べるのも、旅行の楽しみの一つです。♠<名物にうまいものなし>とかく名ばかりで名物にうまいものなし、といわれますが、近ごろはそうでもないようです。♠<名物男>性格が明るくがんばり屋の彼は、この会社の名物男だ。 **めいぶん【名文】** ○すぐれた文章。有名な文章。[文例] <名文を味わう>文庫本が普及[ふきゅう]したことで、わたしたちは非常に手軽に文豪[ぶんごう]の名文を味わうことができるようになった。 **めいぶん【名分】** ○その名で示される身分に従って守るべき本分。表向きの理由。[文例] <名分がある>自由をかちとるという名分のある戦いだったので、兵士たちは力の限り戦った。♠<名分が立つ>自分の都合で会議に参加しなかったのでは、みんなの代表としての名分が立たない。♠<大義名分>志士たちは、尊皇攘夷[そんのうじょうい]の大義名分のもとに倒幕運動を進めました。 **めいぼ【名簿】** ○姓名や住所などを記載した帳簿・一覧表。[文例] <卒業生の名簿>卒業生の名簿によれば、彼女は今、ローマに住んでいるようだ。♠<名簿を作る>名簿を作りたい <1108> と思いますので、会員の方は、住所・氏名・職業・電話番号を書いてください。♠<名簿から削る>クラブを退会した人の名前を、名簿から削っておいた。♠<乗客名簿>〈名簿に載る>事故にあった飛行機の乗客名簿に知人の名前が載っていた。 **めいぼうこうし(明眸皓歯)** ○きれいな目元と白く美しい歯。[文例] 明眸皓歯という言葉もあるように、澄んだひとみと歯並びのいい白い歯は美人の条件です。 **めいみゃく【命脈】** ○いのち。[文例] <命脈をつなぐ>病人は、点滴によってかろうじて命脈をつないでいた。♠<命脈を保つ>町へ続く道が断たれれば、この村は命脈を保つことができない。♠<命脈が尽きる>その会社の経営は悪化するばかり、命脈はほとんど尽きかけていた。♠<命脈を断つ>日本では、観光用のものを除いて、馬車は完全に命脈を断たれてしまった。 **めいめい【命名】** ○名前をつけること。名づけること。[文例] <命名する>新しいヨットは、「ヒポポタマス二世号」と命名されました。 **めいめい【銘銘】** ○各自。それぞれ。おのおの。[文例] 夏休みの間に読んだ本をもとに、めいめいが感想文を書いた。♠テントを張り終わってから、めいめい好きな方へ薪[たきぎ]を拾いに出かけた。♠<めいめい勝手>この辺の川の流れは急だから、万一のことを考えてめいめい勝手に行動しないように注意しよう。♠<めいめい違う>人は、めいめい違った自分だけの顔を持っています。♠<めいめいの部屋>九時を打つと、子供たちは、いつものようにめいめいの部屋に帰っていった。♠<切符[きっぷ]をお渡ししますから>入場の際にはめいめいでお持ちください。♠<放課後のクラブ活動>は、めいめい自分で自由に選ぶことができます。 **めいめつ【明滅】** ○明るくなったり暗くなったりすること。明かりがついたり消えたりすること。点滅。[文例] <明滅する明かり>旅人は、暗い夜道を、遠くに明滅する明かりをたよりに歩いていった。♠<明滅するネオン>ネオンが色とりどりに明滅する街を、青年は酔っぱらって歩いていた。♠<明滅する光線>宇宙船が姿を現すと、さっそく空港から宇宙船に向けて、明るい明滅する光線が出された。 **めいもう【迷妄】** ○物事の道理に暗く、誤って考えること。誤った考え。心の迷い。[文例] <迷妄を破る>高僧の説教によって、わたしはそれまでの心の迷妄を破られた。♠<迷妄にとらわれる>わたしたちは、さまざまな迷妄にとらわれて、人間や社会の真の姿をとらえそこなっている。 **めいもく【名目】** ○表向きの名前。表向きの理由。[文例] <~の名目>先生は、学会出席の名目でしばらく診療[しんりょう]を休んでいる。♠<~という名目>お車代という名目で多額の金が渡された。♠<名目賃金>名目賃金がアップしても、物価の上昇などを考えると、実質賃金はほとんど横ばいだった。 **めいもく(瞑目)** ○目を閉じること。安らかに死ぬこと。[文例] <瞑目する>崩れ[くず]落ちた登山道のわきで手を合わせ、瞑目して死者の成仏[じょうぶつ]を祈っている婦人がいた。 **めいもん【名門】** ○由緒[ゆいしょ]のあるりっぱな家柄。[文例] <名門の出>その青年は、祖父も父も代議士という、地元では知らぬ者のいない名門の出です。♠<野球の名門>この高校は高校野球の名門で、ぼくは小さいときからあこがれていました。 **めいゆう【盟友】** ○かたい約束で結ばれた友人。同志。[文例] 彼とは、この国の労働運動のために働いた四十年来の盟友です。♠ドイツ・イタリアは、第二次世界大戦のとき、日本の盟友でした。 **めいよ【名誉】** ○輝かしい評判。ほまれ。面目。体面。功績の記念として与える称号。[文例] <名誉ある>一九〇三年、キュリー夫妻は、世界で最も名誉あるノーベル物理学賞を受けた。♠<名誉を受ける>彼は、その研究により、大学から博士[はかせ]の称号を受けたのをはじめ、数々の名誉を受けたのです。♠<名誉を傷つける>根も葉もない人のうわさに、わたしはひどく名誉を傷つけられた。♠<名誉を守る>父の名誉を守るため、わたしは自分の手で真犯人を捕[つか]まえようと決心した。♠<名誉にかかわる>これはきみだけじゃなくて、野球部全体の名誉にかかわる問題だよ。♠<名誉なこと>島一番の踊[おど]りの名手とはいえ、領主[りょうしゅ]の前で踊ることは、この上なく名誉なことだ。♠<名誉市民>この病院の先生は、市に対する長年の功績によって、名誉市民の称号を与えられた。 **めいりょう(明瞭)** ○明らかではっきりしているさま。[文例] <明瞭な事実>水俣病[みなまたびょう]やイタイイタイ病が公害によるものだということは、今では明瞭な事実です。♠<明瞭に答える>次に、いくつかの質問をしますから、質問には明瞭に答えてください。♠<意識が明瞭>突然倒[とつぜんたお]れた父は、口がきけなくなっていたが、意識は明瞭だった。♠<簡単明瞭>説明はひとつ、簡単明瞭にお願いしたいものですな。 **めい・る(滅入る)** ○ゆううつな気分になる。ふさぎこむ。[文例] <気分がめいる>こう毎日雨が降り続いたのでは、気分がめいってしかたがない。 **めいれい【命令】** ○目下の者へ言いつけること。命じること。また、その内容。[文例] <軍の命令>軍の命令で、象以外の動物は、毒薬を飲ませて殺さなければならなかった。♠<命令を出す>人間の体は、体温が普通[ふつう]より高くなると、すぐに脳[のう]が汗[あせ]を出すように命令を出す。♠<命令に従う>リーダーの命令に従って、みんなでたき火が完全に消えているかどうか確認した。♠<命令が下る[くだ]>わたしたちは命令が下りしだい、部隊を南に移動させなければならない。♠<命令に逆らう>どんな無理難題でも、殿様[とのさま]の命令に逆らえば、首が飛ぶというものだ。♠<命令に背く[そむ]>代官は、命令に背く村人を厳しく罰[ばっ]することに決めた。♠<命令する>運動中枢[ちゅうすう]とは、筋肉や内臓に命令して、それぞれに運動を起こさせる神経が集まっているところです。 **めいろ【迷路】** ○一度入ったら迷って出られなくなるような道。[文例] <迷路に踏みこむ>逃げた男を追いかけていくうちに、出口のわからない迷路に踏みこんでしまったらしい。♠<迷路を抜ける>小さな道が入り組んだ迷路を抜けると、大きな噴水[ふんすい]のある広場に出ていた。♠<迷路のよう>同じよ <1109> うな通りがいくつも並んでいる地下街は、わかりにくくて迷路のようだ。 **めいろう【明朗】** ○性格が明るくて朗らかなさま。ごまかしがなく公正なさま。[文例] <明朗な青年>家庭教師としてやって来たのは、スポーツの好きな明朗な青年だった。♠<性格が明朗>彼は、性格がさっぱりとして明朗なので、クラスじゅうの人気者です。♠<明朗な政治>わたしたち国民が望むのは、ごまかしのない清潔な政治、明朗な政治だ。♠<明朗快活>ボーイフレンドにするなら、明朗快活、元気がよくて明るい健康的な人がいいな。 **めいわく【迷惑】** ○他人のする事で困ったり、わずらわしい思いをしたりすること。[文例] <迷惑をかける>山登りでは、ちょっとした規則違反[きそくいはん]でも、それが他人に及[およ]んで、とんでもない迷惑をかけることになる。♠<迷惑もかまわず>バスの中で、数人の中学生が周りの人の迷惑もかまわずにふざけていた。♠<迷惑な話>せっかくの日曜日なのに、朝早くからたたき起こされて、全く迷惑な話だ。♠<迷惑になる>図書館などの静かな場所では、周囲の人の迷惑にならないように、小さな声で話しましょう。♠<迷惑に感じる>彼は、級友たちの忠告をありがたく受け止めたが、一方では迷惑にも感じていた。♠<ありがた迷惑>親切も度がすぎると、ありがた迷惑なこともある。♠<迷惑する>夜中にオートバイで大きな音を出して走ると、近所の人が迷惑しますよ。♠<迷惑千万[せんばん]>犬にしつけ芸をさせるなどは、犬にてみればはなはだ迷惑千万なことにちがいない。 **メイン** ○主要なもの。中心。メーン。[文例] <メインとなる>運動会のメインとなるのは、やはり最後に行われるリレー競技です。♠<メインイベント>今日のメインイベントは、七時から始まる世界ヘビー級のタイトルマッチだ。♠<メインテーブル>晩餐会[ばんさんかい]のメインテーブルには、大統領夫妻が並んで座った。♠<メインポール>斎藤[さいとう]選手はみごとに優勝をなしとげ、メインポールに日の丸が上がりました。♠<メインストリート>駅から町をつらぬくように走る道路が市のメインストリートです。 **めうえ【目上】** ○地位・身分・年齢などが自分より上であること。また、その人。→目下[文例] <目上の人>目上の人に対して、きちんと敬語を使えるようにしましょう。♠<目上を敬う>目上を敬う気持ちがあれば、自然と態度に表れるものです。♠<目上を立てる>一歩下がって目上を立てることを心がければ、周囲の好感を得られるでしょう。 **めうつり【目移り】** ○他のものに目がいき、あれこれ迷うこと。[文例] <目移りがする>どなたか一人をパートナーにと誘われても、こんなに美人ばかりそろっているのでは、目移りがして決められないな。♠<目移りする>売り場にはほしい物がたくさんあって、目移りしてしまった。 **メーカー** ○作る人。製造業者。有名な製品の製造会社。[文例] <ビールのメーカー>アサヒ・キリン・サッポロ・サントリーと言えば、だれでも知っているビールのメーカーの名前だ。♠<メーカー品>メーカー品は安心といいますが、名の知られないブランドにもすぐれた商品があります。♠<トップメーカー>Z産業は、日本の酸化チタンの半分を生産するトップメーカーだ。♠<ムードメーカー>ムードメーカーの中畑君は、チームにはなくてはならない存在です。♠<チャンスメーカー>今日は一番バッターが四打席とも出塁して、チームのチャンスメーカーとなった。 **メーター** ○自動式の計器や計量器。メートル。[文例] <メーターを見る>水道局の人が、水道の使用量を調べるためにメーターを見に来た。♠<メーターが上がる>あまりお金を持っていなかったので、タクシーのメーターが上がるたびにどきどきした。 **メートル** ○長さの単位の一つ。メーター。[文例] <メートル法>欧米でも、フランスなどはメートル法を採用しています。♠<メートルが上がる>父もおじさんもお酒を飲んで真っ赤な顔をして、だいぶメートルが上がっているようだ。 **メーン** ▷メイン **めかくし【目隠し】** ○目をおおって見えないようにすること。家の中が見えないようにする囲いや塀など。[文例] <目隠しをする>すいか割りは簡単なようですが、実際に目隠しをしてやるとなかなか難しいのです。♠<目隠しする>後ろからぱっと目隠しされたが、だれだかすぐわかった。♠<家の目隠し>家の目隠しに、通りに面した所に一本、木を植えたらどうですか。 **めが・ける【目掛ける】** ○ねらう。目ざす。目標とする。[文例] <相手を目掛ける>ぼくらは、陣地[じんち]の中から相手を目掛けて、夢中[むちゅう]で雪のボールを投げつけました。♠<やぶを目掛ける>怪しい[あや]物音に驚[おどろ]いて、彼は振り向きざま、やぶを目掛けてドカンとぶっ放した。♠<未知の国を目掛ける>タンポポの種は、世界一小さなパラシュートのように、未知の国目掛けて静かに漂[ただよ]っていきました。♠<島を目掛ける>一夜が明けると、五人はその島を目掛けて力の限り泳いだ。♠<天井[てんじょう]目掛ける>祖父は、きせるの煙[けむり]を天井目掛けて吹き上げながら、目は遠くを見ているのだった。♠<ゴールを目掛ける>ぼくは、相手チームのボールを奪う[うば]と、ゴール目掛けて突進[とっしん]した。♠<的を目掛ける>りんごの的を目掛けて放たれた矢は、見事、真ん中に命中した。 **めがしら【目頭】** ○鼻に近いほうの目のはし。→目じり[文例] <目頭が熱くなる>最後まで全力を尽くす選手の姿に、目頭が熱くなりました。♠<目頭をおさえる>卒業式の父兄の席の後ろで、お母さんがそっと目頭をおさえていた。 **めか・す** ○おしゃれをする。それらしくする。[文例] 友達が鏡の前でめかしている間、ぼくはレコードをかけて聞いていた。♠これから友人の結婚式[けっこんしゅう]だという姉は、いつになくめかしている。♠<内輪[うちわ]のパーティー>だから、あんまりめかさないで、ふだん着で来てくれよ。♠<めかしこむ>新調のスーツを着てばかにめかしこんだ弟は、いそいそと出かけて行った。♠<おめかしする>まあ、たいそうおめかしして、どこに行くの。♠<冗談[じょうだん]めかす>あの子が好きだと冗談めかして言ったけど、実は本気なんだ。 **めかた【目方】** ○重さ。重量。[文例] <目方を量る>ふろ上がり <1110> に目方を量ったら、五十キロもありました。♠<目方が増える・減る>減量しているつもりなのに、やせるどころか目方が増えてしまった。♠<目方で売る>八百屋さんで、山と積まれたジャガイモを目方で売っていた。♠<目方をごまかす>ぼくは、目方をごまかされないように、はかりの目盛りをしっかり見ていた。♠<目方がかかる>田舎からスイカを送ってもらったが、目方がかかって、かえって高くついた。 **めかど【目角】** ○目じり。目くじら。眼力[がんりき]。[文例] <目角を立てる>大切な庭なのはわかりますが、子供のキャッチボールの球が飛び込んだぐらいで、目角を立てることはないでしょう。 **メカニズム** ○機械装置。仕かけ。仕組み。機構。[文例] <自動車のメカニズム>車を運転するには、自動車のメカニズムを知っておいたほうがよい。♠<メカニズムに弱い>いくらメカニズムに弱いお母さんでも、電池の交換ぐらいはできなきゃ。♠<精巧なメカニズム>人間の頭脳[ずのう]は、どんなコンピューターよりも、はるかに精巧なメカニズムを持っています。♠<ガン細胞[さいぼう]のできるメカニズム>どのようにしてガン細胞ができるかというメカニズムは、今のところわかっていません。♠<流通のメカニズム>流通機構がこれだけ複雑になると、そのメカニズムを理解するだけでも大変です。♠<社会のメカニズム>わたしたちは社会の一員として、すでに社会のメカニズムの中に組みこまれているのだ。 **めがね【眼鏡】** ○視力を調節したり、目を保護するためなどにかけるレンズを用いた器具。物のよしあしを見極めること。また、その力。[文例] <眼鏡をかける>祖父は老眼なので、新聞を読む時には眼鏡をかけるのです。♠<眼鏡を外す>彼女は本から目を上げ、眼鏡を外すと、ぼんやり窓の外を眺[なが]めた。♠<度の強い眼鏡>あの人はだいぶ目が悪いみたいで、度の強い眼鏡をかけています。♠<眼鏡にかなう>「やさしい人でなければいやだ。」という兄の眼鏡にかなう女性は、なかなか見つかりそうにありません。♠<眼鏡ちがい>もっとやる気のある青年だと思っていたが、わたしの眼鏡ちがいだったようだ。♠<色眼鏡で見る>服装[ふくそう]がはでだというだけで色眼鏡で見られることが多いけれど、気持ちのやさしい若者たちですよ。 **めがみ【女神】** ○女の神。[文例] <愛と美の女神>神々の中でも、ビーナスは、愛と美の女神として人々の変わらぬ信仰を集めていたのです。♠<女神の像>古い神殿[しんでん]の中には、大理石で造られた女神の像が祭られてあった。♠<自由の女神>ニューヨーク港の玄関口[げんかんぐち]に立っている「自由の女神」は、新大陸アメリカの自由と希望のシンボルなのだ。♠<幸運の女神に見放される>何をやってもうまくゆかず、わたしは、いつしか幸運の女神に見放されていたらしい。♠<勝利の女神がほほえむ>激しい[はげ]攻防戦[こうぼうせん]のすえ、ついに勝利の女神はわがチームにほほえんだ。 **めきめき** ○成長や上達が早いさま。[文例] 彼女は毎日の厳しい練習のおかげで、最近めきめき力をつけてきた。♠新しいコーチが指導を始めてから、どの選手もめきめき上達した。 **めくじら【目くじら】** ○目じり。目かど。[文例] <目くじらを立てる>確かにネクタイをして来なかったのはわたしの不注意だが、そんなに目くじらを立てるほどのことではないだろう。 **めぐすり【目薬】** ○目の治療のために目に差す薬。[文例] <目薬を差す>泳いだあとは、眼病の予防のために目薬を差すことにしています。♠<二階から目薬>二階から目薬といえば、これはあまり効果が期待できないことのたとえです。 **めくそ【目くそ】(目糞)** ○目やに。[文例] <目くそがつく>まだ目くそがついてるぞ、ちゃんと顔を洗ってきな。♠<目くそが出る>汚[きたな]らしい目くそが出るのは、何か病気にかかっているからだろう。♠<目くそ鼻くそを笑う>お互いにけなしあっているが、目くそ鼻くそを笑うのたぐいですから、はたから見ているとこっけいです。 **めくばせ【目配せ】** ○目で合図すること。[文例] <目配せを交わす>授業中、わたしは、山本さんが隣の川上さんと何度も目配せを交わしているのを見た。♠<目配せする>わたしはそろそろ帰る時間よという合図に、妹にそっと目配せしました。 **めくばり【目配り】** ○あちこち注意して見ること。[文例] <目配りする>男は左右に目配りし、だれもいないことを確認すると、さっと塀を乗り越えた。♠<目配りが行き届く>アルバイトの学生まできちっと仕事をしているのは、店長の目配りが行き届いている証拠[しょうこ]です。♠<目配りをおこたる>遊び回る子馬に、母親は細かい目配りをおこたらない。 **めぐま・れる【恵まれる】** ○よい物事・機会・運を与えられる。幸運である。[文例] <えさに恵まれる>今年はえさに恵まれ、サルたちは安心して冬を越すことができそうです。♠<好天に恵まれる>運動会は好天に恵まれ、ぼくたちは全力でがんばりました。♠<先生に恵まれる>小学校から高校までの十二年間をふりかえってみると、ほんとうによい先生に恵まれていたと思います。♠<友人に恵まれる>ぼくは、友人に恵まれ、楽しい学校生活を送ることができました。♠<子宝[こだから]に恵まれる>結婚して五年になるのに、子宝に恵まれない。♠<自然に恵まれる>日本は、四季の変化に富む美しい自然に恵まれている。♠<恵まれた才能>この作品には、作者の恵まれた才能と鋭い[するど]感覚がよく表れている。♠<恵まれた環境>彼女は、何不自由のない恵まれた家庭環境の中で育ちました。♠<恵まれない人>恵まれない人々に愛の手を―――今年も共同募金の季節がやってきました。 **めぐみ【恵み】** ○恵むこと。いつくしむこと。恩恵。[文例] <自然の恵み>もともと人間は、自然の恵みに支えられて生きる生物なのです。♠<土と太陽の恵み>穀物[こくもつ]や野菜など、土と太陽の恵みである農作物にも、今や多くの農薬が使われている。♠<恵みを与える>川は、長い間に上流のよく肥えた土を運び、流域の村々に自然の恵みを与えてきた。♠<恵みの雨>長い日照りの後の恵みの雨に、村人たちは躍[おど]り上がって喜んだ。♠<恵みを受ける>優しい両親の恵みを存分に受けて、少女はすくすくと育っていきました。♠<豊かな恵 <1111> み>〈恵みをもたらす〉川は、人間に豊かな恵みをもたらす反面、凶暴[きょうぼう]な破壊者[はかいし]に変身することもあるのだ。♠<神の恵み>恐ろしい敵の手から逃[のが]れることができたのは、神のお恵みだと、信心深い人たちは思った。 **めぐ・む【恵む】** ○情けをかける。恩恵を与える。哀れんで物を与える。ほどこす。[文例] <物を恵む>神様がお前を哀れに思って、いろんな物を恵んでくださるんだ。♠<金を恵む>自分も貧しかったが、困っている人を見て黙ってはいられず、男は持っている金を全部恵んでしまった。♠<人に恵む>人に恵むほどの金はないけど、少しだけなら貸してあげるよ。♠<子供を恵む>神様、どうぞ、わたしたちに子供をお恵みくださいと、長者夫婦は必死に祈[いの]った。♠<天気に恵まれる>今日は、お天気にも恵まれ、すばらしい運動会となりました。 **めぐら・す【巡らす】** ○ぐるっと回す。まわりを囲むようにする。いろいろ考える。[文例] <こうべを巡らす>やっと気がついたのか、母はまくらの上でゆっくり頭を巡らし、わたしを見た。♠<きびすを巡らす>男は、急にきびすを巡らすと、来た道を戻って行きました。♠<塀を巡らす>少し行くと、周囲に高い塀を巡らしたりっぱな家があった。♠<四方に海を巡らす>四方に海を巡らす日本は水産資源の豊かな国です。♠<思いを巡らす>これまでの自分をふり返り、これからの生き方に思いを巡らすことは大切なことです。♠<考えを巡らす>あしたの試合の作戦について、チーム全員でああでもないこうでもないと、さまざまに考えを巡らした。♠<知恵[ちえ]を巡らす>何かいい金もうけはないかと、みんなであれこれ知恵を巡らしました。♠<計略を巡らす>われわれは、おとりを使ってなんとか敵をおびき出そうと、計略を巡らした。 **めぐり【巡り】** ○めぐること。まわること。あちこちをまわり歩くこと。周囲。[文例] <月日の巡り>月日の巡りは早いもので、父が亡くなってからもう一年がたった。♠<血の巡りが悪い>これだけ説明してもわからないなんて、血の巡りの悪いやつだな。♠<お寺巡り>この春休みは、同級生と京都・奈良のお寺巡りをしたいと思っている。♠<堂々巡り>解答を求めて頭の中は堂々巡りを続け、しまいには頭痛がしてきた。 **めぐりあい【巡り合い】** ○巡り合うこと。↓めぐりあう[文例] <本との巡り合い>一冊の本との巡り合いが、わたしたちのものの考え方に大きな影響を与えることがあります。♠<人との巡り合い>せわしない現代[こんにち]社会でも、人との巡り合いの場はいくらでもあります。 **めぐりあ・う【巡り合う】** ○思いがけずに出合う。めぐりめぐって出合う。[文例] <人に巡り合う>彼に巡り合わなければ、おそらく今日のわたしはなかったことでしょう。♠<本に巡り合う>一冊の本に巡り合うことで、その後の生き方が決まってしまうこともある。♠<幸運に巡り合う>「宝くじで一千万円当たった!」というような、そんな幸運に巡り合いたいもんだ。♠<偶然[ぐうぜん]に巡り合う>別れ別れになった親友どうしが、偶然にも十年ぶりに巡り合った。 **めぐりあわせ【巡り合わせ】** ○自然にそうなる運命や境遇。まわりあわせ。[文例] <皮肉な巡り合わせ>十年後に再会した二人が泥棒[どろぼう]と警官とは、なんと皮肉な巡り合わせだろう。♠<不思議な巡り合わせ>不思議な巡り合わせで、死んだと思っていた戦友に町でばったり会いました。♠<巡り合わせになる>くじ引きの結果、最初の対戦相手は優勝候補のA中学という巡り合わせになった。♠<巡り合わせが悪い>巡り合わせが悪いのか、彼女とぼくは、いつもすれちがいの運命にあった。♠<不運な巡り合わせ>いよいよ晴れ舞台を踏むという時に事故に遭う[あ]なんて、全く不運な巡り合わせだ。 **めく・る(捲る)** ○上を覆うものをはがし取る。はがすように裏返す。まくる。[文例] <アルバムをめくる>アルバムをめくっていたら、小学校時代仲のよかった友達の写真が出てきました。♠<ページをめくる>待合室[まちあいしつ]のいすに腰[こし]を掛けて、雑誌のページをぱらぱらとめくってみた。♠<暦[こよみ]をめくる>早いもので、暦をめくると、もう今日から四月だ。♠<トランプをめくる>テーブルに置かれたトランプをめくりながら、女占い師[おんなうらな]は男の未来を予言した。♠<めくり返す>石をめくり返すと、あわてたカニたちは、四方へにげだした。 **めぐ・る【巡る】** ○ぐるっとまわる。あちこちまわって歩く。まわりを囲む。再び訪れる。関連する。[文例] <太陽が巡る>日時計というのは、太陽の巡る動きで時刻を知るしかけです。♠<各地を巡る>日本の各地を巡っているこのサーカスの中で、子供たちのいちばんの人気者はあの象です。♠<春が巡る>春が巡ってくるたびに、ぼくの家の軒下に巣を作るツバメは、いつも同じツバメなのだろうか。♠<日が巡る>八月になり、また幾度[いくど]めかの終戦の日が巡ってきた。♠<周囲を巡る>川は、古城の周囲をぐるりと巡って、再び下流で大河に合流していた。♠<主人公をめぐる>この物語は、主人公をめぐる五人の女性の目を通して描[えが]かれています。♠<問題をめぐる>リンカーン大統領時代のアメリカは、奴隷[どれい]制度などの問題をめぐって、南部と北部が対立していた。♠<活動のあり方をめぐる>今日のホームルームでは、部活動のあり方をめぐって白熱した議論が展開された。 **めくるめく【目くるめく】(目眩く)** ○目がくらむ。目まいがする。[文例] <めくるめく光>窓を開けると街はめくるめく光の洪水[こうずい]で、ぼくはうきうきしてきた。♠<めくるめく期待感>初めての海外旅行の飛行機の中では、めくるめく期待感に我を忘れていた。♠<めくるめくばかり>その夜、二人はめくるめくばかりに甘美[かんび]な時間を過ごした。 **めく・れる(捲れる)** ○めくった状態になる。まくれる。[文例] <ページがめくれる>やさしい春風に、手にした詩集のページがパラパラとめくれている。♠<スカートがめくれる>彼女はスカートのすそがめくれていることなど気にもせず、つんとすましています。♠<かさぶたがめくれる>治りかけの傷口のかさぶたがめくれてしまった。 **め・げる** ○くじける。弱る。負ける。[文例] <寒さにめげる>子供は風の子で、寒さにめげずに元気に遊びまわっている。♠<失敗にめげる>どんな世界でも一流になるためには、一、二度の失敗にめげない神経の太さが必要だ。♠<逆境 <1112> にめげる>逆境にめげない主人公の生き方は、ぼくたちにも多くのものを示唆[しさ]してくれる。 **めこぼし【目こぼし】(目溢し)** ○見落とし。見逃すこと。黙認。[文例] <目こぼしを願う>もう二度と悪いことはしませんから、今回はお目こぼしを願います。♠<目こぼしを受ける>事件の関係者は全員首になり、お目こぼしを受けた者は一人もいなかった。♠<目こぼしがある。・ない>代官のお目こぼしがなければ、その男は今ごろ打ち首になっていたはずだ。 **めさき【目先】** ○目の前。その場のこと。近い将来の見通し。趣向。[文例] <目先にちらつく>故郷に残してきた子供たちの姿が、目先にちらついて離れない。♠<目先の利益>この災害は、人間が目先の利益だけにとらわれて、自然を破壊した報[むく]いと言えよう。♠<目先がきく>彼は目先のきく人間だから、商売には向いているかもしれない。♠<目先を変える>今日はちょっと目先を変えて、こんな献立[こんだて]にしてみました。 **めざ・す【目指す・目差す】** ○目標にする。目がける。ねらう。[文例] <頂上を目指す>われわれは、一歩一歩、雪が積もって白くなった山の頂上を目指して進んだ。♠<目指す町>丘の上に立つと、はるかかなたに、わたしたちの目指す町が見えていた。♠<北極を目指す>幾組[いくくみ]もの探検隊が北極を目指したが、みな失敗に終わった。♠<優勝を目指す>われわれ部員一同は、優勝を目指して、日夜練習に励[はげ]んでいる。♠<目指す大学>この春、兄は入学試験にパスして、目指す大学に入学することができました。♠<目指すは>目指すは全国大会だ、がんばろう。♠<われわれの目指すところ>は、知識を与えるだけの教育ではなく、「人間を育てる教育」なのです。 **めざと・い【目ざとい】(目敏い・目聡い)** ○見つけるのが早い。目を覚ますのが早い。[文例] <めざとく見つける>隠しておいたお菓子を子供たちがめざとく見つけた。♠年寄りは目ざといというが、うちのおばあちゃんは朝寝坊だ。 **めざまし【目覚まし】** ○目をさまさせること。眠けざまし。目覚まし時計。[文例] <居眠り[いねむ]の目覚まし>うとうとと居眠りをする生徒の目覚ましに、先生はときどき冗談[じょうだん]を言って教室じゅうを笑わせます。♠<目覚ましをかける>六時に目覚ましをかけておいたはずなのに、目が覚めると七時をまわっていた。♠<目覚ましが鳴る>さっきから目覚ましが鳴っているのに、起きて[お]くる気配がない。 **めざまし・い【目覚ましい】** ○目がさめるほどすばらしい。[文例] <目覚ましい進歩>交通や通信が目覚ましい進歩を遂げている今日[こんにち]、中央と地方の違いは、少しずつなくなってきた。♠<目覚ましい成長>おじいさんは、孫の生意気な口のきき方に怒[おこ]った顔をしたが、心の底では、その目覚ましい成長を喜んでいた。♠<目覚ましい働き>投手としてまた四番バッターとしての彼の目覚ましい働きが、チームを勝利に導いた。♠<目覚ましい成果>目覚ましい成果は上がっていないように見えるが、選手たちは着実に力をつけていた。♠<復興が目覚ましい>戦後、日本の復興は目覚ましく、いまや経済的には世界のトップクラスになった。♠<活躍[かつやく]が目覚ましい>最近の女性の活躍ぶりは目覚ましく、目をみはるものがあります。 **めざめ【目覚め】** ○目覚めること。働きが生じること。自覚。[文例] <目覚めがさわやか>昨夜ぐっすり寝たおかげで、今朝は目覚めがさわやかだ。♠<目覚めが早い>年をとると、朝の目覚めが早くなり、朝刊のくるのがまちどおしくなる。♠<大地の目覚め>冬の長い雪国では、人々は、春の訪れ[おとず]、大地の目覚めを今か今かと待ち望んでいるのです。♠<性の目覚め>理由はさまざまに考えられるのだろうが、子供たちの性の目覚めは、年々早くなってきているようだ。♠<心の目覚め>この絵には、若い女性の、一人の人間としての自由な心の目覚めが感じられます。♠<自我の目覚め>その一冊の本が彼女に考えることを教え、彼女は、生まれて初めて自我の目覚めを感じていた。♠<近代への目覚め>この小説には、古い家族制度の崩壊[ほうかい]と、女性の近代への目覚めが見事に描き出されている。 **めざ・める【目覚める】** ○眠りからさめる。自覚する。ひそんでいたものが活動しはじめる。迷いからさめる。[文例] 夜ぐっすり眠って目覚めた朝は、気分もさわやかです。♠<眠りから目覚める>春になると、動物たちは長い眠りから目覚め、いっせいに活動を開始します。♠<現実に目覚める>夢みたいなことばっかり言ってないで、もっと厳しい現実に目覚めなさい。♠<真実に目覚める>彼も大人になれば、愛の貴[とうと]さに気づき、真実に目覚めることでしょう。♠<文学に目覚める>わたしが文学に目覚めたのは、友人から借りた一冊の本がきっかけだった。♠<良心が目覚める>母親の涙[なみだ]を見た瞬間[しゅんかん]、少年の眠っていた良心は目覚めた。♠<本能が目覚める>いくら飼い慣らされたライオンでも、いつ野生の本能が目覚めるかわかりません。♠<性に目覚める>性に目覚める年ごろのきみたちにとって、異性が気になるのはごく自然なことだ。 **めざわり【目障り】** ○見るのにじゃまなさま。見ると不愉快になるさま。[文例] <目障りなやつ>用もないのにうろちょろして、まったく目障りなやつだな。♠<ごちゃごちゃして目障り>だから、テーブルの上を少し片付けなさい。♠<目障りな看板>汽車の窓から眺[なが]めていると、美しい田園風景の中に時々、目障りな看板が立っていた。♠<目障りになる>遅れてきたぼくは、なるべくみんなの目障りにならないように、こっそり席に着いた。♠<目障りな存在>何をやってもおれより上のあいつは、おれにとって目障りな存在にちがいなかった。 **めし【飯】** ○ごはん。食事。生計。[文例] <飯にする>あとの作業は午後に回すとして、そろそろ飯にするか。♠<飯を食う>腹がへった、何でもいいから、早く飯を食わしてくれ。♠<飯を炊く>飯が炊けたら十分くらい蒸らしておけ。♠<飯の種>週刊誌の記者であるわたしは、芸能スターのスキャンダルやゴシップが飯の種だった。♠<飯にありつく>東京に出て来て工事現場にもぐり込み、どうにか飯にありつくことができた。♠<同じ釜の飯を食う>わたしたちは、大 <1113> 学時代の寮で同じ釜の飯を食った仲です。♠<臭い飯を食う>つまらねえかっぱらいで捕[つか]まって、一週間警察の臭い飯を食わされた。♠<三度の飯より好き>パチンコが三度の飯より好きというわが家の父です。♠<他人の飯を食う>息子も、親もとをはなれて他人の飯を食うようになってから、たくましくなった。♠<米の飯>世の中はいつも月夜に米の飯で、だいそれた考えさえ起こさなければ、けっこう幸せにやっていけるものだ。 **めしあが・る【召し上がる】** ○「食べる」「飲む」の尊敬語。[文例] このお団子は、昔この土地を通りかかった殿様[とのさま]が召し上がったそうで、名物になっています。♠「さあ、召し上がれ。」と言って、おばさんはおいしそうなケーキを出してくれました。♠ご主人はだいぶお酒を召し上がっているらしく、真っ赤な顔をしています。 **めし・いる(盲いる)** ○視力を失う。目が見えなくなる。[文例] めしいた老婆[ろうば]は、廊下の壁を手でさぐるようにして進んでくる。♠**目盲いゆく孤独にも似て/日に日に氷張りつめる湖辺[こはんざん]に/ぼくはたたずみにきた。/夢でたどりついたように。(金子光晴「湖畔吟」部分)** **めした【目下】** ○身分・地位・年齢などが自分より下であること。また、その人。→目上[文例] <目下の者>目上の人にはぺこぺこするくせに、目下の者にはいばりちらすなんて、いやなやつだ。♠<目下をかわいがる>課長のように目下をかわいがる上司の下で働けて幸せです。 **めじり【めじり】(目尻)** ○目の、耳に近い方のはし。→目がしら[文例] <目じりのしわ>母は、鏡を見ながら目じりのしわを気にしています。♠<目じりを下げる>おじいさんは、かわいい孫の言うことは、何でも目じりを下げて聞いてやるんですよ。 **めじるし【目印】** ○見つけ出す手がかりにするしるし。目標物。[文例] <目印をつける>山の中では道に迷う心配があるから、道ばたの木に何か目印をつけておこう。♠<目印になる>目印になる物がない時、ミツバチは、太陽を手がかりにして方向を知るようだ。♠<目印とする>高々とそびえるこの木は、「峠の一本杉[とうげいつぼんすぎ]」と呼ばれて、街道[かいどう]を行く旅人の目印として親しまれていた。♠<目印にする>大昔から、航海をする船は、北極星を目印にして、進む方角を知ることができたという。♠<目印のリボン>約束[やくそく]通り駅の改札口[かいさつぐち]に行くと、胸に目印のリボンをつけた少女が立っていた。 **めじろおし【目白押し】** ○多くの人や物事が混み合って並ぶこと。[文例] <目白押しに並ぶ>お店の前には、開店を待つお客さんたちが目白押しに並んでいる。♠<楽しみが目白押し>十月は、文化祭・体育祭・修学旅行と、楽しみな行事が目白押しだ。 **めす【雌】(牝)** ○動物の両性のうち、人間の女にあたる方。[文例] <雌の犬>うちで飼っている雌の犬が子供を五匹産みました。♠<雌だと思って>縁日[えんにち]で買ったひよこは、二羽とも雄[おす]でした。 **め・す【召す】** ○「呼び寄せる・招く」「着る・食う・飲む・乗る・気に入る・風邪をひく・年をとる」などの尊敬語。[文例] <宮中に召す>美しいかぐや姫のうわさを聞きになり、帝[みかど]は、宮中に召そうとなさいました。♠<城に召す>城に召された商人は、王の前に次々と珍しい[めずら]宝物を取り出してみせた。♠<着物を召す>あの着物を召された中年のご婦人が先生の奥様[おくさま]です。♠<気に召す>このドレスの色がお気に召さなければ、ほかのをお持ちいたしましょう。♠<風邪を召す>風邪を召されぬよう、お体には十分ご注意ください。♠<年を召す>こわかった先生もすっかり年を召されて、やさしいおじいちゃんという感じだった。 **メス** ○手術や解剖の時に使う小刀。物事を解明するための手段。[文例] <メスを入れる>医者が患部にメスを入れると、血があふれでた。♠<メスを入れる>警察とは別の角度から事件にメスを入れ、新聞社は真犯人を追及していた。 **めずらし・い【珍しい】** ○まれにしかない。まれである。目新しい。変わっている。[文例] <珍しいほどの大雪>今年の冬は、この村でも珍しいほどの大雪が降った。♠<珍しく早い>玄関[げんかん]のドアを開けたとたん、珍しく早く帰って来たお父さんとぶつかりそうになった。♠<珍しい動物>カブトガニは、北アメリカの東海岸とアジアの一部にしかすんでいない、珍しい動物です。♠<将棋が珍しい>そのころ大人たちが夢中[むちゅう]になっている将棋が珍しくて、人がきのあいだからよく見物したものだった。♠<日本にしては珍しい>北海道には、日本にしては珍しく広大な原野が残っていたのです。♠<お珍しい>おや、こんな所でお会いするとはお珍しい。 **めそめそ** ○声を出さずに弱々しく泣くさま。いくじなしですぐ泣き出すさま。[文例] <めそめそ泣く>ちょっと血が出ているだけじゃないか、男の子だろう、めそめそ泣くなよ。♠<めそめそする>お人形をなくしたさっちゃんは、さっきからめそめそしています。 **めだ・つ【目立つ】** ○特に人目をひく。きわだって人目につく。[文例] <組み合わせが目立つ>黒と黄色の組み合わせはよく目立つので、道路標識に使われる。♠<白いものが目立つ>久しぶり[ひさびさ]に会う先生の頭にも、そろそろ白いものが目立つようになった。♠<衰えが目立つ>一九四四年、ドイツの戦力は衰えが目立つようになり、戦局は連合国側に有利に展開し始める。♠<目立つ存在>クラスの中では、彼女はぬきんでて目立つ存在です。♠<目立たない所>この社会には、目立たない所で献身[けんしん]的な仕事をしている人たちが、なんと大勢いることか!♠<目立って大きくなる>子ぎつねは目立って大きくなり、毛は光るように美しくなってきた。♠<目立った働き>この仕事では、彼は、ひときわ目立った働きをした。 **めだま【目玉】** ○目の玉。眼球。にらまれ、しかられること。人目を引くもの。最も中心となる事柄。[文例] <大きな目玉>見上げると、真っ赤な顔をした仁王像[におうぞう]が、大きな目玉でぐっとぼくをにらんでいた。♠<目玉がとびでる>金魚鉢[きんぎょばち]の中には、目玉のとびでたでめきんが一匹泳いでいる。♠<目玉を光らせる>魚を入れたかごのそばで、目玉を光らせて、寄っ <1114> てくるネコを追い払った。♠<目玉がのぞく>真っ暗なテントの外を見たら、やぶの中から、きょろきょろ二つの青い目玉がこっちをのぞいていた。♠<お目玉をくらう>いとこたちとあまり騒ぎ[さわ]すぎたので、お母さんからお目玉をくらった。♠<目玉がとびでるほど高い>まつたけは、香りがよくておいしいのですが、なにしろ目玉がとびでるほど高いのです。♠<目玉商品>八百屋さんの今日の目玉商品は、産地直送のおいしいトマトだって。♠<目玉焼き>朝は、トーストに野菜サラダ、それに目玉焼きを食べました。 **めちゃくちゃ(目茶苦茶・滅茶苦茶)** ○ひどく壊れたり、バラバラになったりするさま。筋道の立たないさま。度をこしているさま。[文例] <会がめちゃくちゃ>せっかくのクラス会が、先生が酔っぱらってめちゃくちゃになってしまった。♠<めちゃくちゃなやり方>そんなめちゃくちゃなやり方では、機械が壊れて[こわ]しまう。 **めちゃめちゃ(目茶目茶・滅茶滅茶)** ○▷めちゃくちゃ[文例] <めちゃめちゃにこわれる>二階のベランダから落としたおもちゃは、めちゃめちゃにこわれてしまった。♠<言うことがめちゃめちゃ>係員が責任のがれに言うことはめちゃめちゃで、わたしはあきれてしまった。 **メッカ** ○マホメットの生地で、回教最大の聖地。起源の地。発祥地。あこがれの場所。[文例] <野球のメッカ>甲子園球場は、春に選抜大会、夏に選手権大会の行われる高校野球のメッカだ。 **めっき(鍍金)** ○金・銀・クローム・ニッケルなどの薄い膜で他の金属の表面をおおうこと。また、そうした物。表面だけ飾ってよく見せること。[文例] <めっきをする・施す[ほどこ]>父の持っている小箱には、金のめっきが施されている。♠<メッキがはげる>転校したてはとてもおとなしい生徒だと思ったけれど、今ではすっかりメッキがはげてしまった。 **めつき【目付き】** ○物を見る時の目の様子。[文例] <いやな目つき>なぜ、そんないやな目つきで、人を見るの?♠<鋭い[するど]目つき>男はいきなり部屋に入ってくると、鋭い目つきでぼくたちを見た。♠<厳しい・優しい目つき>いつもは厳しい目つきの先生も、卒業式の今日ばかりは優しい目つきでぼくたちを見ていました。♠<目つきが悪い>あの犬は目つきが悪いから、近づかないほうがいい。 **めっきゃく【滅却】** ○消し去ること。消え去ること。[文例] <滅却する>人間関係を円滑[えんかつ]にしていくためには、時には我意を滅却することも必要になる。♠<心頭を滅却すれば火もまた涼し>「心頭を滅却すれば火もまた涼し」といって、ものごとに熱中しているときには暑さなど忘れてしまうものだ。 **めっきり** ○いちじるしいさま。目立つさま。[文例] 会社を退職して三年、父はめっきり老けこんでしまった。♠ずっと寒い日が続いていたが、三月に入ってめっきり暖かくなった。 **めっけもの【めっけ物】** ○ほりだし物。思いがけない幸運。[文例] <めっけ物をする>古本市で貴重な本を手に入れ、思わぬめっけ物をしたと喜んでいます。 **メッセージ** ○伝言。声明。アメリカ大統領の教書。[文例] <メッセージを伝える>ボーイは、他の客からわたしへのメッセージを伝えると、部屋を出て行った。♠<メッセージを付ける>贈[おく]られたバラの花束[はなたば]には、一通のメッセージが付けられていた。♠<メッセージを寄せる>世界平和大会に際し、各国から大会の成功を祈るメッセージが寄せられています。♠<メッセージを読み上げる>女王は、日本国民への好意にみちたメッセージを読み上げた。♠<メッセージをたずさえる>ロンドン市長のメッセージをたずさえて、使節団の一行が来日した。♠<メッセージを発表する>大統領は、今日、ベトナム戦争終結についてのメッセージを発表しました。♠<若者へのメッセージ>この詩は、作者からきみたち若者への熱いメッセージといってもよい。 **めっそう【滅相】** ○とんでもないさま。(仏教で)業が尽き、命が終わること。[文例] <滅相もない>わたしがあなたを悪く言うなんて、滅相もない。そんなことは絶対にありません。♠<滅相なこと>学校をやめたいなんて、滅相なことを言うものではない。♠<会の分裂を図っているですって>。滅相な、そんなつもりはまったくありません。 **めった【滅多】** ○むやみ。やたら。めちゃくちゃ。(「めったに」で)ほとんど・・・ない。[文例] <めったなこと>だれが聞いているか知れたものではないのだから、めったなことを言うんじゃありません。♠<めったにない>この季節になると、谷底の村は、来る日も来る日も深い霧が立ちこめて、太陽が顔を見せることはめったにない。♠<めったに~ない>こんな珍しい[めずら]果物は、うちではめったに口に入るものではない。♠<めったに~ない>めったに来ないおじさんが、珍しく深刻な顔をしてやってきた。♠<めったやたら>こんなすばらしい宝石は、世界中どこを探しても、めったやたらと手に入るものではない。♠<めった打ち>竹刀[しない]でめったうちにされても、練習をやめなかった彼の努力は、大会で優勝することで報われた。 **めっぽう【滅法】** ○なみはずれているさま。とんでもないさま。[文例] <めっぽう強い>おとなしそうに見えた青年は、めっぽう強く、あっというまに二、三人の男を投げとばしていた。♠<めっぽう寒い>十一月に入って、めっぽう寒くなりましたね。♠<めっぽう面白い>久しぶりにめっぽう面白い落語を聞いて、腹の底から笑った。♠<めっぽう高い>宝石だとだまされ、めっぽう高いガラス玉を買わされてしまった。♠<めくらめっぽう>男は恐怖のあまり、物音のしたやみに向かってめくらめっぽう弾[たま]を撃[う]ちこんだ。 **めつぼう【滅亡】** ○滅びてなくなること。[文例] <滅亡の道をたどる>栄華[えいが]をほこったローマ帝国[ていこく]も、ついに滅亡の道をたどり、トルコに滅ぼされたのである。♠<栄華と滅亡>『平家物語[へいけものがたり]』は、平家一族の栄華と滅亡を、感銘深く描[えが]いた作品です。♠<都市が滅亡する>古代都市ポンペイは、ベスビオ火山の爆発[ばくはつ]により、一夜にして滅亡したという。♠<インカ帝国の滅亡>一五三二年、インカ帝国の滅亡により、ここに最後のアンデス文明が終わった。♠<滅亡にひんする>大量 <1115> の排気ガスのため、高速道路付近の緑は滅亡にひんしていた。 **メディア** ○媒体。情報などを伝える手段。[文例] 電話をする、手紙を書く、カセットテープに吹き込んで送る・・・・・・、自分の意志を遠隔地の他者に伝達するメディアはいくつもある。♠<マスメディア>新聞やテレビ・ラジオなどのマスメディアが流す情報に無批判であってはいけません。 **めでた・い** ○喜ばしい。祝うべきだ。お人よしでだまされやすい。[文例] <めでたい正月>元日の朝は静かで、国じゅうみんなが、めでたい正月気分を味わっているようだ。♠<めでたい事は続くもので>、姉に続いて妹も結婚話[けっこんばなし]がまとまりました。♠<めでたく解決する>時効の寸前に犯人が捕まり、事件はめでたく解決しました。♠<めでたしめでたし>助け出された白雪姫[しらゆきひめ]は、王子様と二人、仲よく幸せにくらししました。めでたし、めでたし。♠<覚えがめでたい>やる気満々の彼は、何事にも積極的なので、ことのほか社長の覚えがめでたかった。♠<おめでたい男>人に皮肉を言われても気がつかないなんて、実におめでたい男だなあ、きみは。 **め・でる(愛でる)** ○かわいがる。大事にする。美しさを愛し味わう。[文例] <花をめでる>皇帝ナポレオンの王妃[おうひ]ジョゼフィーヌがことのほかめでたといわれるのが、バラの花です。♠<花をめでる>満開の桜[さくら]の下では、花をめで、酒を愛する人々が、楽しそうに酒盛りをしていた。♠<花鳥風月[かちょうふうげつ]をめでる>平安の昔から、日本人には、花鳥風月をめでる風流な心がありました。♠<風物をめでる>俳句[はいく]は、四季おりおりの風物をめで、それに心を託[たく]した、五・七・五音の詩なのです。 **めど(目処)** ○目指す所。目標。見通し。[文例] <復旧のめど>〈めどが立つ>事故のため東海道新幹線は不通となっておりまして、今のところ、復旧のめどは立っておりません。♠<将来のめど>ひどい就職難の時で、将来のめどが立たないまま大学を卒業してしまった。♠<めどがつく>資金面のめどがつき、どうにかぼくたちのアフリカ横断計画も本決まりとなりました。♠<完成のめど>一時中断されていた空港の建設工事も再開され、完成のめどがついた。♠<~をめどに>来年の五月発行をめどに、ぼくたちは、新しい情報誌の編集に乗り出した。 **めと・る(娶る)** ○妻として迎える。[文例] <妻をめとる>妻をめとって早十年、すでに三人の子を成した。 **めのたま【目の玉】** ○目玉。眼球。[文例] <目の玉を開く>こんなふうにするんだ、目の玉を開いて、よく見ておけ。♠<目の玉が飛び出る>マツタケ一本の値段を聞いて、目の玉が飛び出るほどびっくりした。♠<目の玉をえぐる>昔の刑罰に、目の玉をえぐるというのがあったらしい。♠<目の玉の黒いうち>わしの目の玉の黒いうちは、おまえたちの勝手は許さんぞ。 **めのまえ【目の前】** ○目の先。すぐ前。眼前[がんぜん]。目前[もくぜん]。[文例] 寒いと思ったら、ひとひらの雪が目の前を流れ、続いていくひらもの雪が降ってきました。♠<目の前に現れる>やっとのことで峠[とうげ]を登り、ほっとしていた時、突然[とつぜん]、目の前に怪しい男たちが現れた。♠<目の前が真っ暗になる>ぼくは、大事な書類を落としたことに気づき、一瞬[いっしゅん]、目の前が真っ暗になった。♠<すぐ目の前>この辺にたばこ屋さんはあるかな。――すぐ目の前だよ。♠<人の目の前>人の目の前で、ぎゃあぎゃあ騒ぐ[さわ]のはやめてちょうだい、うるさいから。♠<目の前に浮かぶ>この詩を読むと、まるで現実にあることのように、情景が目の前に鮮やか[あざ]に浮かんでくる。♠<目の前に迫る[せま]>いよいよ卒業が目の前に迫ってきて、いつもは陽気な子もなんだかさみしそうだ。 **めばえ【芽生え】** ○発芽。物事の起こり。発生。[文例] <草花の芽生え>アサガオは、種をまいてから芽生えまで、約一週間ぐらいかかります。♠<木々の芽生え>今年は冬が長かったせいか、木々の芽生えが例年よりも遅いようだ。♠<恋[こい]の芽生え>電車で彼女を初めて見かけた時、ぼくは恋の芽生えを予感した。♠<友情の芽生え>この物語は、二人の少年の出会いと、その友情の芽生えを描[えが]いたものです。♠<自我の芽生え>子供が親や大人のいうことをきかなくなる反抗期は、同時にその子の自我の芽生えの時期でもあります。 **めば・える【芽生える】** ○芽が出る。ある事が始まる。発生する。[文例] <あさがおが芽生える>今朝庭を見たら、一週間ほど前に芽生えたばかりのあさがおが、もう十センチほどの大きさになっている。♠<詩が芽生える>詩は、ある物事に心をひかれた時に芽生えます。♠<恋が芽生える>初めて会ったその時から、二人の間には恋が芽生えたのです。♠<友情が芽生える>大げんかをしたことから、ぼくとあいつの間には、奇妙な友情が芽生えたのである。♠<考えが芽生える>大切な自然を保護するだけでなく、積極的に育てようという考えがこのごろやっと芽生えてきた。♠<~の中に芽生えたもの>日本の伝統芸能である「能」や「狂言」は、もともと民衆[みんしゅう]の中に芽生えたものでした。 **めはな【目鼻】** ○目と鼻。顔だち。大体の見通し。[文例] <目鼻がつく>仕事にもどうやら目鼻がつき、今月中にしあげることができそうです。♠<目鼻がつく>みんなで三時間も話し合い、ようやく問題解決の目鼻がついた。♠<目鼻だち>子供のころから、目鼻だちの整った器量のいい娘だった。 **めぶ・く【芽吹く】** ○草木が新芽を出す。[文例] <草木が芽吹く>春になり、古い柳[やなぎ]の木は、今年も柔らかに芽吹きました。♠<~がいっせいに芽吹きます>。寒い冬が終わると、辺りの草木はいっせいに芽吹きます。 **めぶんりょう【目分量】** ○目で見てはかった大体の分量。[文例] <目分量でかまわないから>なべに約五○○ccのを入れてください。♠<水加減はいつも目分量>だが、まちがえたことがない。 **めべり【目減り】** ○取り扱っているうちに重さ・量が減ること。実質的な価値が下がること。[文例] <目減りする>長時間の輸送で、トラックの荷台に積まれていた土砂は少し目減りしていました。♠<目減りする>インフレが進行し、庶民[しょみん]のわずかな預貯金[よちょきん]も目減りしていった。 **めぼし【目星】** ○目当て。見当。眼球にできる白い点。[文例] <目星がつく>だれがこんないたずらをしたのか、だいたい <1116> の目星はついている。♠<目星をつける>先日の下見で目星をつけておいたので、今日は迷わずに目的地に着くことができた。 **めぼし・い** ○目立っている。価値がある。[文例] <めぼしいもの>旅行中に泥棒[どろぼう]に入られ、めぼしいものはほとんど持っていかれた。♠<めぼしいもの>終戦後の食糧難[しょくりょうなん]で、金目のものはすべてお米に変わり、めぼしいものは何も残っていなかった。♠<めぼしい獲物>今日は不漁で、めぼしい獲物は一匹もかからなかった。♠<めぼしい品物>勇んでバーゲンセールに出かけてみたが、すでにめぼしい品物は売り切れていた。♠<めぼしい働き>表立ってのめぼしい働きはなかったとはいえ、彼なしではこの事業は成功しなかったろう。 **めまい(眩暈)** ○目がまわって倒れそうになること。[文例] <めまいがする>かぜにかかると、頭痛やめまいがして、ひどい時には吐き気がすることもあります。♠<めまいを感じる>二、三日病気で寝ていたせいか、起き上がると軽いめまいを感じた。♠<めまいを覚える>高層ビルの屋上から下を見ると、思わず足がすくみ、めまいを覚えました。♠<めまいを起こす>若い女性には貧血の人が多く、時々めまいを起こして倒れる人がいます。♠<めまいに襲われる>ひどい疲労[ひろう]のため、男はめまいに襲[おそ]われると、そのまま気を失ってしまった。♠<めまいがくる>立ち上がった瞬間[しゅんかん]めまいがきて、後のことは何もわからなくなっていた。 **めまぐるし・い【目まぐるしい】** ○目がまわるほど物事の変化や動きが速い。[文例] <めまぐるしく駆け回る>うちの小犬は、やんちゃでいたずら好きで、一日中庭をめまぐるしく駆け回っています。♠<めまぐるしいスピード>スイッチを入れると、モーターはめまぐるしいスピードで回転を始めました。♠<変化がめまぐるしい>山の天気は変わりやすく、とくにこの季節は、その変化がめまぐるしかった。♠<めまぐるしい様子>暮れのめまぐるしい様子を思い出すと、それがうそのように思えるほど、お正月は静かです。♠<めまぐるしく過ぎる>中学生のぼくの生活は、スポーツに勉強に遊びにと、毎日が忙しく[いそが]、めまぐるしく過ぎていく。♠<めまぐるしい動き>われわれは、世の中のめまぐるしい動きに追われて、いつの間にか自然を忘れかけているのではないだろうか。 **めめし・い【女女しい】** ○弱々しくて意気地がない。[文例] <めめしい泣き言>今さらああすればよかった、こうすればよかったなんて、めめしい泣き言を言うのはよせ。♠<めめしいやつ>このくらいの練習で音[ね]を上げるとは、本当に情けない、めめしいやつだな。♠<めめしい態度>きみのようなめめしい態度では、仲間の信頼を得ることはできまい。 **メモ** ○忘れないように書きとめておくこと。また、書いたもの。[文例] <メモを取る>生徒たちは、メモを取りながら熱心に説明を聞いている。♠<メモに取る>わたしは、教授の話の要点をメモに取った。♠<メモする>大事なことは、必ずメモしておきなさい。♠<メモをなくす>住所を書いたメモを、なくしてしまったらしい。♠<メモの用意>みなさん、メモの用意はいいですか。♠<メモにする>本の感想などは、メモにしておいて、後でまとめるとよい。♠<観察メモ>公園にくる野鳥を観察して、観察メモを作ろう。 **めもと【目元】(目許)** ○目のあたり。目つき。[文例] <目元を赤くする>飲み慣れないお酒を飲んだ母は、目元をほんのり赤くしています。♠<目元がぱっちりする>現れたのは、目元のぱっちりしたかわいらしい女の子でした。♠<目元が涼しい>ほう、これは目元の涼しい美人だ。♠<目元くっきり>わたしだってちょっとお化粧[けしょう]をすれば、目元くっきりの美人に早変わりです。 **めもり【目盛り】** ○ものさしやはかりなどにつけた長さ・重さ・量などを示すしるし。[文例] <目盛りがつく>この計量カップには、一〇ccごとに目盛りがついています。♠<目盛りを読む>毎日正午に、温度計の目盛りを読んで、記録することにした。♠<目盛りを刻む>定規には一ミリずつ目盛りが刻まれ、一センチごとに数字が打ち込まれている。 **めやす【目安】** ○目当て。見当。目標。箇条書きにした文章。[文例] <目安にする>川の堤防[ていぼう]は、これまでの最大の流水量を目安にして造られました。♠<目安になる>ここに書いてある料理の材料は、四人前の分量が目安になっています。♠<目安とする>日本とヨーロッパの自然環境[かんきょう]を比較[ひかく]する一つの目安として、両者の緯度[いど]を調べてみよう。♠<判断する目安>太り過ぎかどうかを判断する目安は、まず第一に、身長に対する体重の割合です。♠<目安を立てる>今度の旅行で、いくらぐらい費用がかかるのか、おおよその目安を立ててみた。♠<目安に置く>一か月一万円を目安に置いて、今月から貯金を始めようと思います。♠<目安をつける>一時間で五ページとして、全部の書類を何日でタイプできるか、大体の目安をつけなさい。 **めらめら** ○炎が激しく燃え上がるさま。[文例] <めらめらと燃える>むちの音を合図に、ライオンはめらめらと燃えている火の輪目がけて飛び込みました。♠<~が炎[ほのお]のようにめらめらと>目指す敵を前にして、男の復しゅう心は、炎のようにめらめらと燃え上がっていった。 **メランコリック** ○ゆううつなさま。[文例] <メランコリックな気分>夕やみのせまる街を眺めながら、わたしはメランコリックな気分になっていた。♠<メランコリックに歌う>二階の窓にもたれかかって、メランコリックに歌う女の声がぼくの部屋まで聞こえてきた。 **めりこ・む【めり込む】(減り込む)** ○はいりこむ。はまり込む。押されてへこむ。[文例] <泥[どろ]にめりこむ>タイヤが泥の中にめりこんで、車は前にも後ろにも動かなくなってしまった。♠<足がめりこむ>やわらかい砂に足がめりこんで、これ以上速く走ることができない。♠<地面がめりこむ>建物の重みで、土台の下の地面が十センチほどめりこんでいます。 **メリット** ○利点。長所。功績。手柄。[文例] <機械化のメリット>機械化をすることには、時間の短縮、品質の均一化、人件費の削減[さくげん]などのメリットが考えられる。♠<メリットがある>定期預金には、他の預金に比べて利率がいいというメリ <1117> ットがある。 **めりはり(減り張り)** ○ゆるむことと張ること。強弱などの変化。[文例] <めりはりがある>声にめりはりがあるので、せりふが生きています。♠<めりはりがきく>その作家は、めりはりのきいた小気味よい文章が特徴[とくちょう]です。♠<めりはりをつける>遊びの時間と勉強の時間をはっきり区別し、生活にめりはりをつけることが大切だ。 **メルヘン** ○おとぎ話。童話。[文例] <メルヘンの世界>美しく咲き乱れる花、のどかに遊ぶ羊たちの姿、まきばはまるでメルヘンの世界です。 **メロディー** ○旋律。ふし。[文例] <メロディーを口ずさむ>好きなメロディーを口ずさみながら、晩ごはんのしたくをします。♠<メロディーが流れる>お店の中には、だれもが知っているメロディーが流れていた。♠<懐かし[なつ]のメロディー>最近の曲は知りませんが、懐かしのメロディーならだいたい知っています。 **めん【面】** ○顔。仮面。顔を覆う物。また、剣道でその頭部を打つ技。物の表面。平面や曲面。方向。領域。部分。[文例] <鬼[おに]の面>〈面をかぶる>節分の日には、大きな鬼の面をかぶった人が神社で踊[おど]ります。♠<面を着ける>試合をひかえた剣士[けんし]たちは、手早く面を着け、防具をととのえた。♠<サイコロの面>サイコロの六つの面には、それぞれ一から六までの目がついています。♠<平らな面>「てんびんばかり」で量る場合には、まずはかりをテーブルなどの平らな面に置きます。♠<湖の面>波一つない湖の面は鏡のようであった。♠<良い・悪い面>科学技術の発達には、生活が便利になるという良い面もあるが、一方では、公害などを引き起こすという悪い面もある。♠<栄養の面>バランスのよい食事をとることは、栄養の面から考えても大切なことです。♠<面と向かう>いくら親しいからって、面と向かってそんなこと言えないよ。♠<面くらう>思いがけず彼女のほうから話しかけてきたので、ぼくは面くらってしまった。 **めんえき【免疫】** ○体内に病原菌や毒素などが侵入しても、それに抵抗して発病しないこと。物事に慣れて平気になること。[文例] <免疫ができる>予防注射をすると、体内に免疫ができます。♠<免疫になる>ぼくはしかられてばかりいるから、お説教には免疫になっていて、気にならないんだ。 **めんかい【面会】** ○直接その人に会うこと。[文例] <面会に行く>全寮制[ぜんりょうせい]の高校で生活している弟の所へ、時々面会に行きます。♠<面会を申し込む>相手はいそがしい人なので、面会を申し込んでも、なかなか時間をとってもらえません。♠<面会する>〈面会謝絶[しゃぜつ]>事故で入院した友人は、面会謝絶ということで、わたしたちは面会させてもらえませんでした。 **めんきょ【免許】** ○官公庁が許可すること。師匠が弟子に秘伝を授けること。[文例] <免許を取る>兄は、調理師の免許を取るため、今、料理学校に通っています。♠<免許を持つ>国語の教員免許を持つ彼は、いつかは教師になりたいと願っていた。♠<免許がある・ない>免許がないのに開業していたにせ医者が、捕[つか]まりました。♠<免許を取り上げる>飲酒[いんしゅ]運転で事故でも起こしたら、運転免許はすぐに取り上げられるよ。♠<免許が要る>薬局を開業するには、薬剤師[やくざいし]の免許が要るので、だれでも開業するわけにはいかない。♠<免許を停止する>兄はスピード違反[いはん]で捕[つか]まり、免許を一か月間停止されてしまった。♠<免許皆伝[かいでん]>その男は、北辰一刀流[ほくしんいっとうりゅう]免許皆伝の腕前[うでまえ]であった。 **めんくら・う【面食らう】(面喰らう)** ○突然のことに驚きあわてる。まごつく。[文例] <質問に面食らう>思いもかけない質問に面食らって、とっさに言葉が出てこなかった。♠<面食らった顔>懐中[かいちゅう]電灯の光をぱっとあてると、面食らった顔の子だぬきが一匹そこにいました。♠<面食らった様子>知らない人に声をかけられて、少女は面食らった様子です。 **めんざいふ【免罪符】** ○中世の教会が発行した罪の許しの証書。罪をつぐなうための行為や事柄。[文例] <免罪符になる>再び議員に選ばれたからといって、汚職事件を起こして有罪となったことの免罪符にはならない。 **めんしき【面識】** ○以前に会って互いに顔を知っていること。[文例] <面識がある・ない>田村さんとは初対面であり、大石さんとも面識はないと思う。♠<一面識>わたしは、教授夫妻には一面識もない。 **めんじゅうふくはい【面従腹背】** ○表面は服従しているようにみせ、内心では反抗すること。[文例] 独裁政権の下で面従腹背を強いられた国民は、民主化への方策[ほうさく]をさまざまに模索[もさく]していた。 **めんじょ【免除】** ○義務などを行わなくてもよいという許しを与えること。[文例] <兵役の免除>明治時代に実施された徴兵[ちょうへい]制度は、戸主や学生などに兵役の免除が認められていた。♠<免除する>家族が既[すで]に会員になっている場合、入会金は免除されます。♠<免除する>彼は、運動部の特待生[とくたいせい]として入学したので、授業料は免除されている。 **めんじょう【免状】** ○免許や資格をとった証明として与える文書。卒業証書。[文例] <調理師の免状>父は調理師の免状を持っていますから、料理には人一倍うるさいのです。♠<免状を受ける>卒業式では卒業生一人一人が免状を受けます。♠<免状を授かる>試験に合格して念願の免状を授かりました。 **めん・じる【免じる】** ○免除する。職をやめさせる。本人の事情や関係者の功労・とりなしによって許す。[文例] <授業料を免じる>優秀[ゆうしゅう]な学生の中には、授業料を免じられている特待生が何人かいた。♠<税を免じる>領主は、ききんに苦しむ農民たちのために、一年間税を免じる触れを出した。♠<役を免じる>もともと勘定奉行[かんじょうぶぎよう]であったのが、職務上の過失のために、役を免じられたのである。♠<わたしに免じて>よく言い聞かせますから、今日のところはわたしに免じて許してやってください。♠<若さに免じて>若いうちは多少の失敗も、若さに免じて大目に見てもらえるもんだよ。 **めん・する【面する】** ○向かう。向き合う。直面する。[文例] <1118> <川に面する>わたしの家は裏が川に面しているので、夏はとても涼しい。♠<庭に面する>ぼくの家には、庭に面して広い縁側[えんがわ]がある。♠<通りに面する>今日は水曜日なので、表通りに面した商店は、ほとんどが定休日だった。♠<海に面する>その別荘[べっそう]は斜面[しゃめん]の中ほどに建っていて、前方は海に面していた。♠<火の海に面する>すでに三方[さんぽう]は火の海に面し、逃げ遅れた兵士たちは、川へ飛びこむほかなかった。♠<危機に面する>危機に面しても、あわてず落ち着いて対処したいものだ。 **めんせき【面積】** ○平面・曲面・土地などの広さ。[文例] <面積が大きい>日本の平野の中で一番面積が大きいのは、関東平野です。♠<面積が広い>面積の広い所にペンキをぬる時は、ローラーを使うと早くきれいにできます。♠<面積を出す>次の図の斜線[しゃせん]の部分の面積を出しなさい。♠<面積を測る>秀吉[ひでよし]は、田畑の面積を測り、それに応じて租税[そぜい]を徴収[ちょうしゅう]することにした。 **めんせつ【面接】** ○その人に直接会うこと。直接会って審査すること。[文例] 九時からの筆記試験のあと面接があります。♠<面接する>履歴書[りれきしょ]を見ただけでは人柄までわからないので、直接面接して話を聞きたいと思います。 **めんぜん【面前】** ○目の前。人が見ている前。[文例] <人の面前>家老は、主君の面前で切腹して果てた。♠<人々の面前>たくさんの人々の面前で照れずに話をするのは、なかなか難しいことだ。♠<公衆の面前>公衆の面前にパジャマ姿で現れるなんて、いったいあの男は何を考えているんだ。 **めんだん【面談】** ○直接会って話をすること。[文例] <面談する>彼がどんな人なのか、一度じっくり面談してみたいと思います。♠<三者面談>今日は午後から、卒業後の進路について、生徒と父母と先生との三者面談がある。♠<委細面談>秘書求む。二十五歳までの女性。高給優遇。委細面談。 **メンツ(面子)** ○(中国語から)体面。面目。[文例] <メンツがある>ぼくたち三年生にもメンツがある、一年チームに負けたまま引き下がりはしないぞ!♠<メンツが立たない>訳[わけ]も聞かされずに、一方的に契約[けいやく]を破棄[はき]されたんじゃ、男のメンツが立たないよ。♠<メンツにこだわる>親類に頭を下げるのはいやだったが、今は、そんなメンツにこだわっている場合ではない。♠<メンツを保つ>一流企業としてのメンツを保つため、会社は無理な経営状態を重ねていた。♠<メンツをなくす>反対を押し切って始めた商売が失敗して、父はメンツをなくしていた。♠<親のメンツ>ぼくの人生はぼくのもの、親のメンツで進路を決められるのはごめんだ。 **めんどう【面倒】** ○世話。やっかい。わずらわしい[文例] <面倒をかける>旅先で病気になり、一緒[いっしょ]に行った友達に面倒をかけてしまった。♠<面倒をみる>生き物を飼うのはいいけれど、いつも最後に面倒をみるのは、お母さんの役目になってしまう。♠<面倒をいとわない>親切なその店の主人は、面倒をいとわず、倉庫の中から注文の品をさがし出してくれた。♠<疲れて面倒だから>、今夜はおすしでも取って食べましょうよ。♠<面倒な思い>この暑いさなか、面倒な思いをして、わざわざ駅まで迎えに来てくれなくてもいいよ。♠<ごめんどうですが>ごめんどうですが、ついでにこの手紙を出していただけませんか。♠<面倒がる>漢字を忘れて困ったような時には、面倒がらずに辞典を引くようにしましょう。♠<面倒臭い>ああ、用具の手入れはいつもながら面倒臭いなあ。 **めんどうくさ・い【面倒臭い】** ○非常にめんどうである。めんどくさい。[文例] こんな雨の日に買い物に出かけるのは面倒臭いわ、ラーメンでもとろうっと。♠<面倒臭いと思わずに>わからない単語はちゃんと辞書を引くことが、英語上達のポイントです。 **めんどうみ【面倒見】** ○面倒を見ること。世話をすること。[文例] <面倒見がいい>会の世話役には、面倒見のいい村田さんがぴったりだと思います。♠<面倒見のよさ>あの町内会長がしたわれている理由は、なんといっても面倒見のよさです。 **メンバー** ○団体・チームの構成員。会員。顔ぶれ。[文例] <班[はん]のメンバー>ぼくたちの班のメンバーは、全部で十人です。♠<メンバーに選ぶ>彼は、念願だったオールジャパンのメンバーに選ばれました。♠<メンバーに加わる>強打者のA君がメンバーに加わって、チームはますます充実[じゅうじつ]してきた。♠<学術隊のメンバー>この学術隊のメンバーは、大学の研究者と学生で構成されています。♠<メンバーが足りない>〈メンバーをそろえる>メンバーが一人足りないので、急[いそ]いでそろえることにした。♠<メンバーになる>父は、新しくできたゴルフクラブのメンバーになりました。 **めんぼく【面目】** ○人に合わせる顔。世間に対する名誉。体面。体裁。めんもく。[文例] <面目がない>どろぼうを捕[と]らえてみれば、わが子なりなんて、親としてまったく面目のないことです。♠<面目を失う>人々から集めた金で始めた事業が失敗して、彼はすっかり面目を失ってしまった。♠<面目が立つ>学校じゅうの期待を裏切って、一回戦でむざむざ負けたのでは、野球部の面目が立たないよ。♠<面目を保つ>主人は傾き[かたむ]かけた店を手放さず、どうにかしにせとしての面目を保っていた。♠<面目を施す[ほどこ]>無名の作家として苦労してきたおじも、ついに文学賞を獲得[かくとく]し、面目を施した。♠<面目を一新する>新しいビルが次々と建ち並び、この辺りもやっと商店街としての面目を一新した。♠<面目ない>大事な試合に一時間も遅刻[ちこく]してしまって、ほんとうに面目ない。♠<面目次第もない>わたしの不注意から皆[みな]さんに迷惑[めいわく]をかけてしまい、面目次第もありません。♠<面目まるつぶれ>相手をあまく見て、小学生に負けるなんて、ぼくの面目はまるつぶれだよ。 **めんみつ【綿密】** ○細部にまで注意が行き届いて、詳しいさま。[文例] <綿密に計画を立てる>山に登る時は、綿密に計画を立て、着実に事を進める必要があります。♠<綿密に捜査[そうさ]する>事件を綿密に捜査したが、一向[いっこう]に犯人は浮かび上がらなかった。♠<綿密な記録>彼は、小さな虫たちの生態についての綿密な観察の記録を、一冊の本にまとめたのです。♠<綿密な検査>綿密な検査の結果、この車にはブレーキに <1119> 重大な欠陥[けっかん]のあることが発見されました。♠<準備が綿密>用意周到[しゅうとう]な彼のことだから、試験準備は綿密で怠り[おこた]ないことだろう。 **めんめん【面面】** ○ひとりひとり。めいめい。[文例] <同じ面々>先日花見をしたときとまったく同じ面々で、来週ピクニックに出かけることにした。♠<一座の面々>芝居は連日大入り満員で、一座の面々に大入り袋が配られました。♠<懐かしい[なつ]面々>久しぶりに懐かしい面々がそろい、クラス会で楽しい時を過ごした。 **めんめん【綿綿】** ○長く続いて絶えないさま。[文例] <綿々とつづる>女にあてられた男の手紙には、そのせつない思いが綿々とつづられていた。♠<綿々と尽きない>老人の思い出話は、綿々と尽きることがなかった。♠<綿々と受け継がれる>月日は流れても、母校の「質実剛健[ごうけん]」の気風は、綿々と受け継がれている。 **めんもく【面目】** ▷めんぼく **めんよう(面妖)** ○怪しく不思議なさま。[文例] 今さっき、油揚げを三枚、たしかにこの台の上に置いたはずなのに・・・・・・。はて、これは面妖な。 **も** **も【藻】** ○水草や海藻など水中に生える植物の総称。[文例] <藻が生える>沼の底には、青黒いぬらぬらした藻がびっしりと生えている。♠<藻が揺れる>流れにゆらゆら藻が揺れているだけで、魚の姿は見えない。♠<藻にからまる>ビーチサンダルが片方だけ、藻にからまって浮いている。♠<藻くず>この嵐[あらし]で、三人の漁師は海の藻くずと消えたのであった。 **も【喪】** ○人の死後、その近親者が身を慎み祝い事などを避けること。[文例] <喪が明ける>亡くなった社長の喪が明けるまでは、公[おおやけ]の席への出席は控え[ひか]させていただきます。♠<喪に服する>国王の葬儀[そうぎ]の日には、国じゅうが半旗を掲げ喪に服した。♠<喪中>喪中につき、新年のごあいさつを遠慮[えんりょ]させていただきます。 **もう** ○すでに。もはや。まもなく。やがて。さらに。[文例] わたしが着いた時には、もう作業はすっかり終わっていました。♠もう六時よ。そろそろ家へ帰らなければ。♠もう少しで終わるから、待っててね。♠先生の怒り[おこ]方ったら、ほんとうにもうすごかったんだ。♠何べん言ってもだめなんだから、もう。 **もう(蒙)** ○知識がなく道理に暗いこと。無知。[文例] <蒙をひらく>福沢諭吉[ふくざわゆきち]の著した『学問ノススメ』は、開化期の民衆の蒙を啓[ひら]くのに十分な寄与をしました。 **もうあい【盲愛】** ○むやみやたらにかわいがること。ねこかわいがり。[文例] <盲愛する>早くに夫に先立たれた彼女は、たった一人の息子を盲愛していた。♠<愛犬のレオ>を盲愛するおじは、一緒[いっしょ]にお風呂[ふろ]に入れたり、旅行に連れていったりもします。 **もうい【猛威】** ○はげしい威力。すさまじい勢い。[文例] <猛威をふるう>猛威をふるった台風は日本海にぬけ、四国地方はすばらしい青空が広がった。♠<猛威を極める>十三世紀には猛威を極めた蒙古帝国[もうこていこく]も、十四世紀中ごろから衰え[おとろ]ていった。 **もうか【猛火】** ○激しい勢いで燃える火。大火事。[文例] 市街の約三分の一を焼きつくした猛火も、ようやく夕方には下火になった。♠<猛火に追われる>フィルムには、猛火に追われ、逃げまどう人々の姿が映し出されていた。♠<猛火に包まれる>消防車が到着したときには、もう屋敷[やしき]全体が猛火に包まれていた。♠<猛火に飛びこむ>逃げ遅れた老人を助けようと、男はバケツの水をかぶって猛火の中に飛びこんでいった。 **もうか・る(儲かる)** ○利益がある。得をする。[文例] <もうかる商売>楽をしてもうかる商売なんてありませんよ。♠<百円もうかる>おつりはぼくがもらっていいの?ワーイ百円もうかった。♠<風が吹けばおけ屋がもうかる>世の中の仕組みは複雑にからみ合っていますから、風が吹けば桶屋がもうかるようなこともあるでしょう。 **もうけ(儲け)** ○もうけること。利益。得。[文例] <もうけがある・ない>そんなに苦労して、もうけはあったのかい?♠<もうけが少ない>仕入れが八万円で売値[うりね]が八万三千円では、もうけは少ない。♠<骨折り損のくたびれもうけ>ああ、骨折り損のくたびれもうけだった。♠<もうけ話>どこかにうまいもうけ話はないかしら。♠<もうけもの>むだぼねだったけれど、無事に帰れただけもうけものだよ。♠<ぼろもうけ>よし、この雑草を自然食品にしたてて、ぽろもうけしてやるぞ。 **もう・ける(儲ける)** ○利益を上げる。得をする。子を得る。[文例] <金をもうける>「都会へ行って、たくさん金をもうけてくる。」と言って出かけたまま、男は戻らない。♠<~をもうける>あいつはきっと、あの象をサーカスに売って、百万円もうけるつもりだぜ。♠<労せずしてもうける>敵のつまらないエラーで、ぼくたちは労せずして二点もうけた。♠<~をもうけた>先生にラーメンおごってもらうなんて、おれたちもうけたな。♠<子をもうける>愛しあって結婚[けっこん]した二人は、二人の男の子と一人の女の子をもうけました。 **もう・ける【設ける】** ○準備する。設置する。設定する。[文例] <研究所を設ける>彼は、自宅に郷土研究所を設けると、若い学者を育て始めました。♠<委員会を設ける>チャリティー・バザーを開くため、わたしたちはまず準備委員会を設けた。♠<シルバーシートを設ける>電車やバスには、老人や体の不自由な人のために、シルバーシートが設けられています。♠<口実を設ける>この夏、わたしは、口実を設けて故郷[こきょう]へは帰らなかった。♠<一席[いっせき]設ける>結婚[けっこん]した友人のために、ぼくたち悪友が集まって、一席設けることになった。♠<テーマを設ける>今回は特にテーマを設けず、部活動について思うことを自由に語ってもらうことにする。 **もうげん【妄言】** ○根拠のないでたらめな言葉。ぼうげん。 <1120> [文例] <妄言に過ぎない>百年前に本州と四国を橋で結ぶといっても妄言に過ぎなかったろう。♠<妄言を吐く>神経を冒[おか]された男は、「地球は爆発する」とか「悪魔が現れる」とか、とりとめのない妄言を吐き続けた。♠<妄言多謝>わたしに対する批判のことばを連ねた手紙の最後に妄言多謝とあった。 **もうしあ・げる【申し上げる】** ○「申す」をさらに敬意を高めた語。▷申す[文例] お奉行様[ぶぎょうさま]にわたしの見たすべてを申し上げます。♠その点につきましては、私の方から御説明申し上げます。 **もうしあわせ【申し合わせ】** ○申し合わせること。とりきめ。[文例] <申し合わせをする>テレビ局各社は、教育上よくない番組は自粛[じしゅく]しようとの申し合わせをした。♠<申し合わせに従う>共同生活では、みんなで行った申し合わせに従わなければなりません。♠<申し合わせによる>住民たちの申し合わせにより、団地内で犬を飼うことは禁止されています。♠<申し合わせ通り>かねての申し合わせ通り、母の日には、みんなでハンドバッグをプレゼントしました。♠<申し合わせ事項>契約書[けいやくしょ]には、部屋を借りる[か]時の申し合わせ事項が明記されていた。 **もうしあわ・せる【申し合わせる】** ○話し合ってとり決める。あらかじめ約束する。[文例] 会員は、会の決定に従って行動することを申し合わせた。♠<申し合わせたよう>ハイキングの当日、二人はまるで申し合わせたように同じかっこうで現れた。 **もうしいれ【申し入れ】** ○意見や希望を進んで言うこと。申し込むこと。[文例] <申し入れを行う>〈抗議の申し入れ>今回の襲撃[しゅうげき]事件に対して、外務省は大使館に抗議の申し入れを行った。♠<申し入れがある>研究が進むと、アメリカの大学から共同研究の申し入れがあった。♠<申し入れがある>わがテニス部に、ライバル校から、合同合宿の申し入れがあったのには驚[おどろ]いた。♠<申し入れをする>違法駐車を取り締まるように、付近の住民たちは警察に申し入れをすることにした。♠<~の申し入れ>組合は、会社側の申し入れを不服とし、交渉は決裂[しょうけつれつ]した。 **もうしい・れる【申し入れる】** ○申し入れをする。申し込む。[文例] <抗議を申し入れる>生徒の代表が職員室に行って先生に抗議を申し入れた。♠<参加を申し入れる>企業側も市の公害問題の研究会に参加を申し入れてきた。 **もうしご【申し子】** ○神仏に祈って授かった子。特殊な環境から生じた物事。[文例] <神様の申し子>おじいさんおばあさんは、神社の鳥居の所で拾った赤ん坊を神様の申し子だと信じていました。♠<天狗[てんぐ]の申し子>男の子の赤くとがった鼻を見て、口の悪いおじさんはまるで天狗の申し子だと言いました。♠<時代の申し子>各方面で活躍するデザイナーは、映像の時代の申し子です。 **もうしこみ【申し込み】** ○申し込むこと。また、その内容。[文例] <結婚[けっこん]の申し込み>〈申し込みをする>一年の交際の後、ぼくは彼女に結婚の申し込みをした。♠<抗議[こうぎ]の申し込み>司会者の暴言[ぼうげん]に対して、視聴者[しちょうしゃ]から抗議の申し込みが殺到[さっとう]しました。♠<入会の申し込み>クラブ入会の申し込みは、一階の事務所で受け付けています。♠<ホテルの申し込み>連休はこみますので、ホテルの申し込みはお早めにお願いします。♠<申し込みを締め切る>入学願書を出しに行ったら、一日ちがいで、申し込みを締め切っていた。♠<入居申し込み>当時はマンションの人気が衰[おとろ]えて、入居申し込みが減っていた。♠<参加申し込み>市主催[しゅさい]のマラソン大会で、参加申し込みが百人ぐらいあった。 **もうしこ・む【申し込む】** ○自分の希望や意見などを相手に伝える。進んで契約する。[文例] <結婚を申し込む>青年は、思い切ってマリーに結婚を申し込むことにした。♠<抗議を申し込む>試合の途中[とちゅう]で、相手チームの監督[かんとく]がアンパイアに抗議を申し込んだ。♠<苦情を申し込む>よそから苦情を申し込まれるので、夜はピアノの練習ができない。♠<試合を申し込む>まずは腕[うで]だめしとばかり、隣町[となりまち]のチームに試合を申し込みました。♠<入会を申し込む>姉さんは、テニスクラブに入会を申し込みたいと言っている。♠<参加を申し込む>川をきれいにしようという運動には、多くの人々が参加を申し込んできた。♠<はがきで申し込む>プレゼントの希望者は、次のあて先まで、はがきで申し込んでください。♠<宿を申し込む>連休はこむから、宿は早めに申し込まなくっちゃ。 **もうしたて【申し立て】** ○公[おおやけ]の場で自分の意見や主張を言うこと。[文例] <異議の申し立て>〈申し立てをする>裁判所の決定に対し、原告側が異議の申し立てを行った。♠<申し立てを聞き取る>お役人は双方[そうほう]の申し立てを聞き取って、両者が納得する裁定を下そうとした。 **もうしで【申し出】** ○申し出ること。また、その内容。[文例] <申し出を断る[ことわ]>父は、土地を買いたいという業者の申し出をきっぱりと断った。♠<申し出を受ける>辞職したいという彼の申し出は受けたが、結論はまだ出していない。♠<申し出がある>〈申し出に応じる>相手側から、話し合いたいという申し出があれば、こちらには応じる用意がある。♠<申し出による>本人の申し出により、今日から休暇[きゅうか]を与[あた]えました。♠<申し出を許可する>空き地の持ち主は、そこで遊ばせて欲しいという子供たちの申し出を許可してくれました。♠<援助[えんじょ]の申し出>〈申し出がある>ある奇特[きとく]な事業家から、老人ホームへ援助の申し出があった。 **もうし・でる【申し出る】** ○自分の意見や希望などを言って出る。[文例] 臨海学校に参加できない人は、明日までに申し出なさい。♠<援助を申し出る>財政難で運営が困難になった施設に対して、ある企業が援助を申し出た。 **もうしひらき【申し開き】** ○言いわけをすること。弁明。弁解。[文例] <申し開きをする>老人の頭の中には、自分のとった行為に申し開きをするのは恥[はじ]であるという考えがあった。♠<申し開きする>今回の件は、すべてきみの責任だと皆[みんな]が言うが、何か申し開きすることがあったら言いなさい。 **もうしぶん【申し分】** ○言いたい事柄。不満。[文例] <申し分がない>売りに出た家は、一人暮らしのわたしには申し分の <1121> ない広さだった。 **もうじゃ【亡者】** ○死者。成仏できずにさまよっている死者。金銭や権利などにひどく執着する人。[文例] <亡者がひしめく>血の池地獄[じごく]には、生きている時に悪いことをしたため、極楽[ごくらく]に行けない亡者たちがひしめいるという。♠<金の亡者>男は、金のためなら親でも捨てるという、金の亡者だった。♠<権力の亡者>国民のための政治がモットーだったこの政治家も、いつか醜い[みにく]権力の亡者になってしまった。♠<我利我利亡者>自分の利益しか頭にないような我利我利亡者とはつき合いたくない。 **もうしゅう【妄執】** ○迷いから生じる執念。かたくなに執着すること。[文例] <俗世[ぞくせ]への妄執>男は俗世への妄執をぬぐい去ろうと、滝[たき]に打たれて一心に念じ続けた。♠<権力に対する妄執>老政治家の権力に対する妄執はすさまじいばかりであった。 **もうじゅう【猛獣】** ○性質がどうもうで肉食の獣。[文例] <猛獣を飼う>サーカスの檻[おり]の中には、ライオンやトラなどの猛獣が飼われていた。♠<猛獣を飼いならす>いくつになっても、欲望という心の中に住む猛獣を飼いならすことは難しい。♠<猛獣使い>サーカスの猛獣使いは、トラの口の中に頭を入れて、観客を驚かせた。 **もうじゅう【盲従】** ○自分で判断せず、人の言う通りに従うこと。[文例] <盲従する>大衆は権力者に盲従するばかりで、この社会をよくしようという気がないように思われた。 **もうしょ【猛暑】** ○ひどい暑さ。酷暑。[文例] <猛暑に襲われる>関東地方は猛暑に襲[おそ]われ、東京では午前十時に三十度をこしました。♠<猛暑に見舞われる>この夏ヨーロッパは猛暑に見舞われた。 **もうしわけ【申し訳】** ○言いわけ。弁解。言いわけができる程度であること。[文例] <申し訳が立つ>もし退学にでもなったら、学資を出してくれた父に申し訳が立ちません。♠<申し訳ができる>壊[こわ]した物を弁償[べんしょう]すれば、それで申し訳ができるというものではありません。♠<申し訳がない>先祖代々の土地を、おれの代で手放したら、ご先祖さまに申し訳がない。♠<申し訳ない>大事な花瓶[かびん]を割ってしまって、本当に申し訳ありません。♠<申し訳に>きのうの約束[やくそく]を破った申し訳に、今日の映画はぼくがおごるよ。♠<申し訳程度>日本と違い[ちが]、総じて外国の駅では、申し訳程度のアナウンスしかありません。♠<申し訳ばかり>狭い[せま]敷地[しきち]には、申し訳ばかりの小さな庭があった。 **もうしわた・す【申し渡す】** ○要求や命令を告げる。宣告する。[文例] <判決を申し渡す>裁判長は被告に対して、懲役二年の判決を申し渡した。♠<処分を申し渡す>収賄[しゅうわい]のあった市職員に厳しい処分が申し渡された。 **もうしん【猛進】** ○激しい勢いで突き進むこと。[文例] <猛進する>人生経験の浅いわたしは、いつも猛進しては失敗していた。♠<猪突猛進[ちょとつもうしん]>負けん気の強い彼は、常に目標に向かって猪突猛進、退く[しりぞ]ということを知りません。 **もうしん【盲信】** ○わけもわからずにただ信じること。[文例] <盲信する>村人たちは、住職の言葉を盲信して疑わなかった。 **もう・す【申す】** ○「言う」などの謙譲語。「する」などの謙譲語。[文例] 先日は大変失礼したと、母が申しておりました。♠実を申しますと、一度ぜひお目にかかりたいと思っておりました。♠人のうわさも七十五日などと、世間ではよく申します。♠わたしの名前は、川田葉子と申します。♠わたしは、宿外[しゅくはずれ]の松葉屋と申す宿屋の娘[むすめ]でございますが………………。♠今後も、何か欲しいものがある時には、遠慮[えんりょ]なく申し込んでください。♠<申しつける>主人からは三時までに帰るよう申しつけられております。 **もうせい【猛省】** ○強く反省すること。[文例] <猛省を促す[うなが]>今回の事件について、きみの猛省を促すために、厳しく処分することにした。 **もうぜん【猛然】** ○勢いの荒々しく激しいさま。[文例] <猛然と飛びかかる>トラはじっとねらいを定めると、猛然と獲物[えもの]に飛びかかりました。♠<猛然と突っ込む>ハンドルを切りそこねた車は、そのまま、猛然とガードレールに突っ込んだ。♠<猛然と反撃[はんげき]する>試合の後半、チャンピオンは猛然と反撃を開始した。♠<猛然と反対する>住民が猛然と反対するなかで、マンションの建設工事は始まりました。 **もうそう【妄想】** ○根拠のないことや事実でないことを想像して信じこむこと。また、根拠のない想像。迷いから生じる邪念。[文例] <妄想を抱く[いだ]>ヒトラーは、死ぬまで世界征服という妄想を抱き続けたという。♠<妄想にふける>芸術家として歴史に名を残す人物になる。ぼくはよくそんな妄想にふけったものでした。♠<被害妄想>みんながきみの悪口を言っているなんて、被害妄想もはなはだしい。 **もう・でる(詣でる)** ○お参りに行く。参拝する。参詣[さんけい]する。[文例] <神社に詣でる>正月三が日だけで、この神社に詣でる人は十万人をこす。♠<寺に詣でる>交通安全を祈願して、成田山新勝寺[なりたさんしんしょうじ]に詣でる人も多い。♠<墓に詣でる>先日帰省したとき、祖父母の墓に詣でました。 **もうてん【盲点】** ○眼球の奥の視神経が網膜に入っていく、光を感じない点。だれもが気がつかない所。[文例] <法の盲点>〈盲点を突く>ほとんど詐欺[さぎ]に近いその商法も、法の盲点を突いているために罪にはならないらしい。♠<捜査の盲点>この事件の捜査の盲点は、犯人は免許証を持つ男だと決め込んでいたことにあった。 **もうとう【毛頭】** ○少しも。全然。[文例] けんかをした事は後悔[こうかい]しているが、相手に謝る[あやま]気は毛頭なかった。♠医者になるつもりなど毛頭なかった兄は、親の期待にそむいて文 <1122> 学部へ進みました。♠彼は、口は悪いが、人をおとしめる気持ちなど毛頭ない男だ。♠人に迷惑[めいわく]をかけるかも知れないことなど、毛頭意に介する人ではない。 **もうどう【妄動・盲動】** ○よく考えずに行動すること。無分別な行動。[文例] <妄動する>正義とか愛国とかの名の下に、あさはかな者たちが妄動する世の中になっていった。♠<軽挙妄動>入学式で、学長は、一人一人が社会人としての自覚を持ち、軽挙妄動は慎む[つつし]ようにと訓示した。 **もうねん【妄念】** ○迷いにとらわれた心。[文例] <妄念を去る>無念無想とは私心や妄念を去った状態を言うのであって、何も考えないということではない。♠<妄念に取りつかれる>妄念に取りつかれた若い僧は、ひたすらに読経を続けた。 **もうはつ【毛髪】** ○髪の毛。[文例] <毛髪が伸びる>毛髪は、湿気を帯びると伸びる性質があるので、湿度計に利用された。 **もうぼさんせん(孟母三遷)** ○孟子の母が孟子の教育のために三度引っ越しをしたこと。[文例] <孟母三遷の教え>孟母三遷の教えには、子供の成長に環境が大きな影響を与えるという考えがあらわれている。 **もうまい(蒙昧)** ○知識がなく、道理に暗いこと。[文例] <無知蒙昧>新任の若い教師は、無知蒙昧の人々を何とか教育してやろうと、暇があれば村人たちの家へ出かけていった。 **もうもう(濛濛・朦朦)** ○視界をさえぎるほどにたちこめるさま。[文例] <もうもうたる砂塵[さじん]>トラックが通ると、もうもうたる砂塵が舞い上がった。♠<湯気がもうもう>浴室には湯気がもうもうと立ちこめていた。♠<煙がもうもう>昭和三十年代までは、工場の煙突[えんとつ]からもうもうと吐き出される煙は繁栄[はんえい]の象徴[しょうちょう]でした。 **もうもく【盲目】** ○目が見えないこと。[文例] <盲目の琵琶[びわ]法師>『平家物語[へいけものがたり]』はもともと、平曲[へいきょく]として、盲目の琵琶法師が国々を語り歩いたものです。 **もうら【網羅】** ○残らず集め収めること。[文例] <網羅する>報告書には、市内でこの一年間に発生した交通事故の記録が、規模の大小を問わず網羅してある。 **もうれつ【猛烈】** ○勢いや程度などが非常に激しいさま。[文例] <猛烈なスピード>目の前を猛烈なスピードで一台の車が走り去った。♠<猛烈な食欲>暑さで弱っていた犬も、涼しくなると猛烈な食欲をみせるようになりました。♠<猛烈なけいこ>試合を目前にひかえ、選手たちは猛烈なけいこを続けています。♠<猛烈な風>猛烈な風に体のバランスをくずし、危うく堤防から転落しそうになった。♠<猛烈な音>ジョンソンさんは、猛烈な音を立てて鼻をかみました。♠<猛烈に寒い>北海道の冬は猛烈に寒い。 **もうろう(朦朧)** ○ぼんやりしてはっきりしないさま。[文例] <意識がもうろうとする>だんだん麻酔がきいてきて、わたしは意識がもうろうとしてきた。♠<記憶[きおく]がもうろうとする>あまりにも昔のことでその写真の男がだれだったか、記憶がもうろうとして思い出せません。♠<頭がもうろうとする>眠くて眠くて、午後の授業の間じゅう、頭がもうろうとしていました。♠<~がもうろうと>大きな杉[すぎ]の木が、もやの中に霞[かす]んで、もうろうと影[かげ]のように見えた。♠<酔眼[すいがん]もうろう>酔眼もうろうたる状態で、酔っぱらいが何かぶつぶつとつぶやいていた。 **もえさか・る【燃え盛る】** ○激しい勢いで燃える。[文例] <燃え盛る火>強い風にあおられて、燃え盛る火は町全体をなめつくそうとしていた。♠<燃え盛る炎>燃え盛る炎の中に飛びこんで子供を助けた青年がいた。 **も・える【燃える】** ○火がついて炎が出る。炎が出たようになす。気分や感情が高まる。[文例] <火が燃える>外は雪だったが、暖炉[だんろ]の火は赤々と燃え、部屋の中はぽかぽか暖かかった。♠<まきが燃える>だれもいない小屋の中で、囲炉裏[いりり]にはまきが燃えている。♠<ストーブが燃える>夜のしじまの中に、石油ストーブの燃える音だけが静かに聞こえます。♠<家が燃える>「火事だ!」という叫び[さけ]声にかけつけてみると、家が赤い炎に包まれて燃えていた。♠<燃えるごみ>燃えるごみと燃えないごみは、きちんと区別して出してください。♠<燃えるように輝く>真っ赤な夕焼けで、空の雲が燃えるように輝いています。♠<燃えるような紅葉>晩秋の山々は、全山これ燃えるような紅葉である。♠<燃えるような赤>パーティー会場の中でも、燃えるような真っ赤なドレスを着た彼女の姿は一段と人目を引いた。♠<燃える思い>少女はその小さな胸に、若者への燃える思いを秘めていた。♠<燃える情熱の火>わたしの心の底に燃える情熱の火は、だれにも消すことはできないでしょう。♠<向学心[こうがくしん]に燃える>向学心に燃える彼は、昼は家のために働き、夜は夜間高校へ通った。♠<理想に燃える>この学校に赴任[ふにん]してきた当時は、わたしもまだ若く、理想に燃えていました。♠<敵愾心[てきがいしん]に燃える>決勝戦を前に、宿命のライバルと目される両者は敵愾心に燃えていた。♠<怒りに燃える>男は怒りに燃える目を上げて、盗賊[とうぞく]の首領[しゅりょう]をにらみつけた。♠<希望に燃える>希望に燃えて故郷をたってから、すでに三年の月日が過ぎようとしている。 **も・える(萌える)** ○草木が芽を出す。芽吹く。[文例] <新緑がもえる>この渓谷[けいこく]は、新緑がもえる季節と、紅葉の季節が最高に美しい。♠<若芽がもえる>野に若芽のもえるころ、動物も虫たちも、いっせいに冬の眠りから目をさまします。♠**<葉がもえる>うすべにに葉はいちはやく萌えいでて咲かむとすなり山桜花(若山牧水[わかやまぼくすい])** **モーション** ○動作。行動。他に働きかけるこ、[文例] <投球のモーション>ピッチャーふりかぶって第一球のモーション。♠<モーションが大きい>投球のモーションが大きいと、走者が盗塁[とうるい]しやすい。♠<モーションをかける>年ごろのいとこに、モーションをかける男性はけっこういたらしい。♠<スローモーション>横綱[よこづな]が勝った一番を、スローモーションでもう一度見てみましょう。 **モーター** ○原動機。発動機。[文例] <モーターが回る>スイッチを入れるとモーターの回る音がして、やがて機械が動き始めました。♠<モーターボート>わたしたちが泳いでい <1123> るそばを、モーターボートが水しぶきをあげて走っていきました。♠<モーターショー>モーターショーの会場は、車を見に来た人たちでいっぱいです。 **もが・く(跪く)** ○苦しがって手足を動かす。じたばたする。[文例] <起き上がろうともがく>巣から落ちたひなは、起き上がろうともがいて、羽をばたつかせている。♠<水の中でもがく>かなづちのぼくは、水の中で、何とか浮き袋[ぶくろ]につかまろうともがいた。♠<もがけばもがくほど>そこは底なし沼[ぬま]で、もがけばもがくほど体は沈んでいきます。♠<もがき苦しむ>急に胸が苦しくなり、もがき苦しんでいるうちに、気を失ってしまった。♠<必死にもがく>どろ沼のような生活からはい上がろうと、かれは必死にもがいていた。♠<~でもがいてみても>どんなにあせってもがいてみても、入学試験まではあと一月[ひとつき]しか残されていない。 **もぎ【模擬】(模擬)** ○本物に似せてまねること。[文例] <模擬試験>ためしに受けてみた模擬試験の成績がたいへんよかったので、自信がつきました。♠<模擬店>最近の大学祭は、クラブや同好会の運営する食べ物などの模擬店が大はやりです。 **もぎと・る【もぎ取る】(挽ぎ取る)** ○もいで取る。強引に取る。[文例] <かきをもぎ取る>子供たちは木によじ登ると、枝[えだ]からかきをもぎ取り、みんな持っていってしまった。♠<トマトをもぎ取る>茎からもぎ取ったトマトは箱につめて、市場に出荷[しゅっか]します。♠<足をもぎ取る>いじって遊んでいた赤ちゃんが、わたしの人形の足をもぎ取ってしまった。♠<腕をもぎ取る>戦争で右腕をもぎ取られたおじさんは、仕事をするのはいつも左の腕なのです。♠<ピストルをもぎ取る>勇敢な銀行員は男に飛びかかると、格闘[かくとう]の末、ピストルをもぎ取った。 **も・ぐ(腕ぐ)** ○ねじるようにして取る。もぎる。[文例] <トマトをもぐ>食卓に出されたトマトは、たった今、おばさんが畑からもいできたものだ。♠<ブドウをもぐ>ブドウをもぐ農民の顔は、収穫の喜びに満ちあふれています。♠<足をもぐ>カニは、自分で足をもいで食べるのがおいしい。 **もくぎょ【木魚】** ○読経の時にたたいて鳴らす木製の道具。[文例] <木魚を鳴らす>朝の境内に、読経の声と、ポクポクと木魚を鳴らす音が響いています。♠<木魚をたたく>本堂では、小坊主が木魚をたたきながら、いねむりしていました。♠**叩かれて昼の蚊を吐く木魚かな(夏目漱石)** **もくげき【目撃】** ○ちょうどその場にいて直接見ること。[文例] <目撃する>事故の現場を目撃した人の話では、トラックはかなりスピードを出していたようです。♠<目撃する>犯人が窓から飛び出して駅の方へ逃げていくのを、確かにこの目で目撃しました。♠<目撃者>捜査員は現場付近の聞き込みを行って、目撃者の発見に努めた。 **もくざい【木材】** ○建築や工作などの材料とするための木。[文例] 日本の住宅建築に、木材はどうしても欠かせません。♠日本は現在、大量の木材を建築用やパルプ用に、東南アジアやソ連などから輸入しています。 **もくさつ【黙殺】** ○無視して問題にしないこと。とりあわないこと。[文例] <黙殺する>領主[りょうしゅ]は農民たちの訴[うった]えを黙殺し、重い年貢[ねんぐ]を取り続けた。♠<黙殺する>議長は反対派の意見を黙殺して、どんどん議事を進行していった。 **もくさん【目算】** ○だいたいの見積り。およその見当。見込み。[文例] 当初の目算では、三百人ぐらいは集まるはずだった。♠<目算をたてる>グラウンドの整備にどのぐらいかかるか、だいたいの目算をたててみた。♠<目算が狂う>参加者が予定より少なく、バス代など目算がだいぶ狂ってしまった。♠<目算が外れる>駅まで一時間で行けるという目算が外れ、約束の列車に乗り遅れてしまった。 **もくじ【目次】** ○書物の内容の見出しやページなどを順に書き並べたもの。項目・箇条の順序。[文例] <本の目次>本の目次を一通りながめれば、内容はだいたいわかります。♠<目次を見る>目次を見たら、おもしろそうなので買って読むことにしました。 **もくず【藻くず】(藻屑)** ○海中の藻の切れはし。水中のごみくず。[文例] <海のもくずと消える>漁船は横波を受けて転覆し、十一人の乗組員は海のもくずと消えた。♠<西海[さいかい]のもくず>壇ノ浦[だんのうら]の戦で敗れた平家一門は、西海のもくずとなった。 **もく・する【目する】** ○注目する。判断する。みなす。[文例] <第一人者と目される>山下選手の引退後は、彼が柔道界の第一人者と目されていた。♠<張本人と目される>今回の事件の張本人と目されていた男は、外国へ高飛びしたらしい。♠<将来を目される>研究熱心なその青年は、教授から将来を目されています。 **もく・する【黙する】** ○だまる。[文例] <黙して座し>達磨[だるま]大師は壁に向かって長い年月黙して座り続け、ついに悟り[さと]を開いたと言われています。♠<黙して語らず>係官を前にして黙して語らずでは捜査が進まない。 **もくぜん【目前】** ○目の前。すぐ近く。まぢか。[文例] <目前に見える>バスが岬に出ると、目前に真っ青な海が見えてきました。♠<~は目前だ>さあ、みんな元気を出して、頂上は目前だ!♠<死を目前にする>これは、戦争末期の、死を目前にした若い男女を描[えが]いた小説です。♠<勝利を目前にする>勝利を目前にしながら、九回の裏、逆転ホームランで負けてしまった。♠<目前に控える>入試を目前に控[ひか]えて、受験生は最後の追い込みに入っています。♠<目前に迫る>世界中のボクシングファンが、目前に迫ったタイトル戦に注目していた。 **もくぜん【黙然】** ▷もくねん **もくそく【目測】** ○目で見て大体の長さ・面積などを測ること。[文例] 目測では、向こうの松の木までの距離はおよそ三百メートルだろう。♠<目測を誤る>川を跳びこそうとしたが、目測を誤って流れの中にポチャンと落ちてしまった。 **もくてき【目的】** ○実現、達成しようとしてめざすところ。めあて。[文例] <目的の場所>「急がば回れ」というように、回り道をしたほうが、目的の場所にたどり着くのに早いことがある。♠<目的をはっきりさせる>物事をなしとげるうえで重要なことは、目的をはっきりさせることです。♠<目的 <1124> を持つ>作曲家を目指すぼくは、目的を持って毎日のレッスンを受けていた。♠<目的による>旅行の楽しみは、その目的によってさまざまです。♠<目的にかなう>それぞれの目的にかなった手段を考えよう。♠<目的に応じる>服装[ふくそう]は、目的や必要に応じて、時と場所にふさわしいものを着たいものだ。♠<目的を果たす>選手団の一行は、上位入賞という目的を果たして帰国しました。♠<目的とする>この財団は、若い芸術家を育てることを目的として設立されたものです。♠<~を目的とする>兄は、経営学を勉強する目的で、先月アメリカへ旅立ちました。♠<目的と手段>目的のためには手段を選ばないというきみのやり方にぼくは反対だ。 **もくとう(黙禱)** ○声を出さずに心の中で祈ること。[文例] <黙禱をささげる>正午のサイレンと同時に一分間の黙禱をささげ、戦争で亡くなった人たちの冥福[めいふく]を祈りました。♠<黙禱する>列車事故のあった現場には花がささげられ、静かに黙禱する人々の姿がありました。 **もくどく【黙読】** ○声を出さずに読むこと。[文例] <黙読する>まず、それぞれがひと通り黙読した後、順番に音読してもらいます。 **もくにん【黙認】** ○暗黙のうちに認めること。黙って見のがすこと。[文例] <居眠り[いねむ]を黙認する>先生は、農作業で疲れている生徒たちが居眠りすることがあっても、黙認して何も言わなかった。♠<いたずらを黙認する>少年たちのいたずらは悪質で、だまって黙認するわけにはいかなかった。♠<親の黙認>子供たちのわがままに対する親の黙認が、かえって、子供をだめにしています。 **もくねん【黙然】** ○静かに黙っているさま。もくぜん。[文例] <黙然と立ち尽くす>仏像を前にわたしは黙然と立ち尽くしていた。♠<黙然として>本堂に入ると、住職が独り黙然として座していた。 **もくひ【黙秘】** ○黙ったままで、隠していることを話さないこと。[文例] <黙秘を続ける>それまで黙秘を続けてきた容疑者が、とうとう事件の真相をしゃべり始めた。♠<黙秘を通す>逮捕[たいほ]された犯人はかたくなに黙秘を通した。♠<黙秘する>取り調べに対して参考人は黙秘している。♠<黙秘権>刑事事件では、自分に不利益な発言をしなくてもいいという黙秘権が認められている。 **もくひょう【目標】** ○目じるし。目当て。まと。[文例] <目標を達成する>努力したかいあって、無理だと思っていた目標を達成することができた。♠<目標にする>自分が登った山よりいっそう高い山を目標にしたくなるのが登山家の常[つね]です。♠<目標を突破[とっぱ]する>自分たちで決めたのだから、目標を突破するまでがんばるぞ。♠<~を目標に進む>旅人は、暗い山道を、ふもとの明かりを目標に進みました。♠<目標に置く>貯金は、まず身近かな額を目標に置いて、気軽な気持ちで始めましょう。♠<目標を掲げる>「甲子園[こうしえん]出場」という大きな目標を掲[かか]げて、ぼくたちは毎日練習に励[はげ]んだ。♠<目標を持つ>ただ毎日暮らしているだけというのではなく、何か人生の目標を持ちたいものだ。 **もくもく【黙黙】** ○黙っているさま。黙ってある事を一生懸命行うさま。[文例] <黙々と励む>それまでとは打って変わって、少年は、黙々と練習に励んだ。♠<黙々と働く>つまらないうわさには耳をかさず、ただ黙々と、彼は働きました。♠<黙々として>声をかけても、博士は黙々として机に向かったままであった。♠<黙々とたばこをふかす>おじいさんは、一言も答えずきせるを取り上げると、黙々とたばこをふかし始めた。♠<黙々と>いつも来るあの客は、黙々とコーヒーを飲んでは、金を払って帰ってゆく。♠<ただ黙々と>登山隊の一行は、頂上を目指して、ただ黙々と歩いた。 **もぐり【潜り】** ○水中にもぐること。仲間としてもぐりこむこと。許可や免許なしで行うこと。[文例] <潜りの名人>父はこの浜一番の潜りの名人で、五分近くもアワビを求めて水中に潜っていることができる。♠<もぐりの医者>もぐりの医者だなんてとんでもありません、ちゃんと国家試験にパスしています。♠<もぐりで営業する>認可を受けずにもぐりで営業していた運輸業者が逮捕[たいほ]された。♠<あんたもぐりだね>この町で東京さんの名を知らないのかい? あんたもぐりだね。 **もぐりこ・む【潜り込む】** ○水中や物の下などに入りこむ。こっそりと入りこむ。[文例] <下に潜り込む>カブトムシは、昼間は落ち葉の下などに潜り込み、夜、幹をよじ登って樹液をなめる。♠<ふとんに潜り込む>明日の遠足のことが楽しみで、ふとんに潜り込んでからもなかなか寝つけなかった。♠<~に潜り込む>一流会社に潜り込む〉成績があまりよくなかったので心配でしたが、コネで一流会社に潜り込むことができました。♠<隠密[おんみつ]が潜り込む>城内に敵の隠密が潜り込んだらしい。 **もぐ・る【潜る】** ○水中にすっぽり入る。物の下に入る。人目をのがれて隠れひそむ。[文例] <水に潜る>こいが一ぴき、池の水面[すいめん]に姿を見せたが、すぐまた水に潜ってしまった。♠<海に潜る>この辺りでは、海に潜って貝をとるのは海女[あま]の仕事なのです。♠<土に潜る>冬の間、カエルは土の中に潜って冬眠[とうみん]をします。♠<こたつに潜る>うちのネコは寒がりで、冬の間は、いつもこたつに潜っています。♠<ふとんに潜る>重労働で体が綿[わた]のように疲れ、ふとんに潜るとそのまま寝てしまった。♠<机の下に潜る>グラッと大きな地震[じしん]がきたので、みんなあわてて机の下に潜りました。♠<~に潜り込んでいた>やって来た船乗りの中には、海賊[かいぞく]の一味が潜り込んでいたのです。 **もくれい【目礼】** ○目であいさつすること。[文例] <目礼を交わす>わたしは、悲しみに沈む遺族と静かに目礼を交わした。♠<目礼する>彼女はわたしとすれ違うと、目礼して通り過ぎた。 **もくれい【黙礼】** ○だまっておじぎをすること。[文例] <黙礼する>出迎えの人々に一人ずつ丁寧[ていねい]に黙礼しながら、客は屋敷[やしき]の中に入っていった。 **もくろく【目録】** ○目次。品物・贈り物・事項などの内容を書き出したもの。師が弟子に伝授事項を書いて与える文書。包んで人に贈る金銭。[文例] <図書の目録>目的の本があるかどうか、図書館の目録で調べてみた。♠<記念品の目録>卒業生から在校生へ、記念品の目録が贈呈[ぞうてい]された。 <1125> **もくろみ(目論見)** ○もくろむこと。くわだて。[文例] <もくろみがある>今日に限って彼が一言[ひとこと]も発言しないのは、何もくろみがあってのことに違いない。♠<もくろみがわかる>有力選手を三人前衛に並べたので、敵のもくろみがわかった。♠<もくろみが当たる>この週末は好天に恵まれるだろうというおみやげ屋さんのもくろみが当たった。♠<もくろみが外れる>今日は朝から雨、遊園地に行こうというもくろみは外れてしまいました。 **もくろ・む(目論む)** ○たくらむ。計画する。企てる。[文例] <いたずらをもくろむ>弟のあの目つきは、また何かいたずらをもくろんでいるらしいぞ。♠<一もうけをもくろむ>競馬で一もうけをもくろんで出かけたが、とぼとぼ歩いて帰る結果となった。♠<一攫千金[いっかくせんきん]をもくろむ>金が発見されたといううわさが広まり、町には一攫千金をもくろむ男たちが集まってきた。 **もけい【模型】** ○実物の形をまねてつくったもの。[文例] <城の模型>博物館には、実際のお城の二十分の一の模型が展示されていた。♠<模型を作る>夏休みの作品に、ぼくは割りばしを使って船の模型を作ることにした。♠<模型を組み立てる>よし、お父さんが戦車の模型を組み立ててやろう。 **も・げる(捥げる)** ○ついていたものが離れる。ちぎれて落ちる。[文例] <柄[え]がもげる>なべは根元から柄がもげてしまって、使い物にならない。♠<鼻がもげる>雪が解け始め、まず最初にバナナでこしらえた雪だるまの鼻がもげてしまった。♠<腕がもげる>そんなに手荒[てあら]に引っ張ったら、人形の腕がもげてしまうよ。 **もこ(模糊)** ○ぽんやりしてはっきりしないさま。[文例] <曖昧模糊[あいまいもこ]>質問に対する回答は、曖昧模糊としてまったく要領を得ない。♠<模糊として>男の所在は、模糊としてつかめなかった。 **もさ【猛者】** ○強くて勇ましい人。[文例] <空手部の猛者>見るからに怖[こわ]そうな空手部の猛者が三人、中庭を行ったり来たりしている。 **もさく【模索】(摸索)** ○手さぐりでさがすこと。あてもなくさがし求めること。[文例] <治療法[ちりょうほう]を模索する>世界中の医学者が、現代の難病といわれるガンの治療法を模索してい、ます。♠<模索をくり返す>自分の作品の世界を作りあげるまでには、ずいぶん模索をくり返しました。♠<模索を続ける>模索を続けていくうちに、わかる単語の数もふえ、わずかずつではあるが翻訳[ほんやく]は進んでいった。♠<暗中模索>ここにきて、研究は大きな壁[かべ]にぶつかり、暗中模索の状態が続いた。♠<芭蕉[ばしょう]は>長い模索の時代をへて、芭蕉は自分の俳風[はいふう]を確立していったのである。 **もし(若し)** ○仮に。ひょっとして。[文例] 幽霊[ゆうれい]なんかいるはずないし、もしいたって、三人でやっつければなんのことないさ。♠もし、十年前この本に出会わなければ、今日のわたしはなかったでしょう。♠<もしも>宇宙人が、もしもこの地球にやって来ているとしたらどうでしょう。♠<もしや>失礼ですが、もしや、山田先生ではございませんか。♠<もしかして>飛行機がどこかに不時着できれば、もしかして助かるかもしれません。♠<もしかすると>その絵はもしかすると、「幻[まぼろし]の名画」と言われた巨匠の遺作かもしれなかった。 **もじ【文字】** ○言葉を表記するための記号。字。もんじ。言葉。文章。[文例] <文字を書く>紙が発明されるまでは、ねん土や木の皮、布などに文字を書いていました。♠<文字を使う>わたしたちが、手紙や日記や作文を書くときは、文字を使って書きます。♠<古代エジプトの文字>古代エジプトの文字は、象形[しょうけい]文字といって物の形を絵にして、それを記号としたものです。♠<意味を表す文字>漢字は一字一字が音声を表すと同時に、意味を表す文字で、表意文字(表語文字)と呼ばれる。♠<文字の読み書き>教育程度の高い日本では、文字の読み書きができないという人はまずいません。♠<文字通り>大した物も食わずに三か月もくらすと、文字通り骨と皮になってしまう。 **もしくは【若しくは】** ○そうでなければ。あるいは。[文例] その液体は、透明もしくは半透明である。♠応募書類は、持参するか、もしくは郵送してください。♠きみはうそをついているか、もしくは、人にだまされているのかのどちらかだ。 **もしゃ【模写】(模写)** ○実物をまねて写すこと。また、まねて写したもの。[文例] <絵の模写>この絵は本物そっくりですが、実は模写なのです。♠<模写する>画学生はベラスケスの絵を模写するために、何日もプラドの美術館に通いました。♠<声帯[せいたい]模写>声帯模写の名人ですから、有名人の声や動物などの鳴き声を上手に出すことができます。 **もじり(捩り)** ○もじること。もじったもの。パロディー。もじり袖。和服の上に着る男子用外套[がいとう]。[文例] <古典のもじり>このナンセンス詩には、ダンテを始め古典の有名な詩句のもじりがふんだんに現れます。♠彼の小説『埼玉千一夜物語』のタイトルが、有名な「千一夜物語」のもじりであることは言うまでもありません。 **もじ・る(捩る)** ○こっけい・風刺の効果をねらって、もとの表現に似せた言い回しをする。ねじる。よじる。[文例] <古歌をもじる>この川柳[せんりゅう]は、古歌をもじって、現代の世相をおもしろおかしく歌ったものです。♠<題名をもじる>小説などがヒットすると、その題名をもじったこっけいな言葉がでてくるものだ。♠<歌をもじる>クラブのコンパで必ず歌われる歌に、校歌をもじった替え歌があった。♠<言葉をもじる>「あめ食って、痔[じ]かたまる」は、「雨降って地固まる」をもじった言い方です。 **も・する【模する】(摸する)** ○まねる。似せる。[文例] <~を模して>映画撮影のため、古代ローマの都市を模して、大がかりなセットが造られた。♠<本物を模する>中国の古い茶わんを模したにせ物が、市場に出回っているそうです。♠<実物に模する>ろう人形館では、実物に模した人形に驚[おどろ]かされました。♠<名画を模する>これは、画伯[がはく]が修業時代に、名画を模して描[えが]いた習作です。♠<長安を模する>七九四年、京都に造られた「平安京」は、唐[とう]の都長安[ちょうあん]を模したものだと言われている。 <1126> **もぞう**【模造】[もぞう] ○似せてつくること。[文例]〈模造する〉ブランドものの高級バッグを模造する業者がいるらしい。♠〈模造品>展示されている仏像は模造品で、奈良時代に製作されたものではありません。♠へ模造真珠[しんじゅ]〉このネックレスは模造真珠だが、普通の人には本物と区別がつかない。 **もだ・える**【悶える】 ○悩み苦しむ。苦痛などのあまり体をよじる。[文例]〈身をもだえる〉あまりの痛さにわたしは身をもだえた。♠へ暑さにもだえる〉人々は四十度をこす暑さにもだえ、正常な思考能力を失っていた。♠へもだえ苦しむ〉女は、自分の犯した罪の重さにもだえ苦しんできたのだ。 **もた・げる**【擡げる】 ○持ち上げる。[文例]〈かま首をもたげる〉マングースの姿を見ると、ハブはかま首をもたげ攻撃の体勢をとった。♠く頭をもたげる〉竹林のあちこちに、かわいらしいタケノコが頭をもたげている。♠不安が頭をもたげる〉約束の時間を一時間過ぎたとき、事故でもあったのではないかという不安が頭をもたげた。 **もた・せる**【持たせる・凭せる】 ○持つようにさせる。持って行かせる。負担させる。期待させる。保つようにする。寄りかかるようにする。[文例]〈荷物を持たせる〉あんな小さな子供に荷物を持たせるのはかわいそうです。♠へ店の者に持たせる〉御注文の品はただいま店の者に持たせます。♠へ嫁[よめ]を持たせる〉一人息子に嫁を持たせたいと思っています。♠<費用を持たせる〉初月給をもらった兄に費用を持たせて、家族で食事に行きました。♠〈気を持たせる〉あの人は、人に気を持たせるようなことを言うくせに、ちっとも実行しない。♠へ間[ま]を持たせる〉出席者が全員そろうまで間を持たせるのに苦労しました。♠へ食料を持たせる〉魚は、冷凍保存すれば、しばらく持たせることができます。♠へ体をもたせる〉校舎から出るとき、三組の村本くんが門に体をもたせてわたしを待っているのに気づいた。 **もたら・す**【齎す】 ○持って来る。持って行く。ある状態を引き起こす。[文例]〈被害[ひがい]をもたらす〉有珠山[うすざん]の噴火[ふんか]は、ふもとの村々に大きな被害をもたらしました。♠不幸をもたらす〉戦争は、どんな戦争であれ、人類に不幸をもたらすものだ。♠〈幸運をもたらす〉一通の手紙が舞い込んで、それまで暗く沈んでいた一家に、すばらしい幸運をもたらした。♠〈恵[めぐ]みをもたらす〉昔[むかし]から、川は、その流域に住む人々に、豊かな恵みをもたらしてきた。♠〈感動をもたらす〉文学作品のもたらす感動は、内容ばかりでなく、その表現の魅力[みりよく]にもかかっています。♠へ影響[えいきよう]をもたらす〉急激[きゆうげき]に発達した科学技術は、わたしたちの生活に、大きな影響をもたらしています。♠〈日本にもたらす>豊臣秀吉[とよとみひでよし]の朝鮮[ちょうせん]出兵は、日本に印刷術をもたらしました。♠〈言葉をもたらす>外来語には、当然、それをもたらした国の人々の生活が反映されているはずである。 **もた・れる**【凭れる・靠れる】 ○寄りかかる。食物が消化されずに胃に残り、重苦しく感じる。[文例]〈おりにもたれる〉ぞうは、鉄のおりにもたれ、鼻を長くのばして体を休めていました。♠へ柱にもたれる〉わたしは、広い本堂の縁[えん]の柱にもたれて、青い海を眺めていた。♠へ体をもたれる〉男は、ぐったりした体を壁[かべ]にもたれて、へなへなと座りこんでしまった。♠へ窓辺にもたれる〉窓辺にもたれて外の景色を眺めていると、涼[すず]しい風がほおをなでる。♠〈いすにもたれる〉父はいすの背にもたれ、長い間じっと考え込んでいた。♠〈肩[かた]にもたれる〉困ったことに、隣[となり]の乗客がぼくの肩にもたれて眠[ねむ]ってしまったのだ。♠〈胃にもたれる〉油っこい料理は胃にもたれて、食べた後[あと]がつらい。♠へ胃がもたれる〉誕生祝いのごちそうを食べすぎたらしく、胃がもたれて気分が悪い。 **モダン** ○近代的。現代的。[文例]〈モダンな建物〉あの出窓のついた白いモダンな建物が、おじさんの家です。♠ヘモダンな服装〉おばあさんは年に似合わず、なかなかモダンな服装をしている。 **もち**【餅】 ○もち米を蒸してついた食べ物。[文例]〈もちをつく>庭にきねとうすが運び出され、いよいよもちをつく準備ができました。♠へ〈もちを焼く〉焼いたもちにしょう油をつけ、のりを巻いて食べます。♠へもちのような肌〉白く、やわらかく、もちのような肌の娘でした。♠へもちはもち屋〉もちはもち屋というから、専門家にまかせたほうがいいよ。♠<絵にかいたもち〉いいことずくめの話ですが、絵にかいたもちでは食べられません。♠一枚の餅のごとくに雪残る(川端茅舎[かわばたぼうしゃ]) **もち**【持ち】 ○持つこと。負担すること。長く保たれること。[文例]〈靴の持ち〉この靴は職人の手ぬいだけあって、普通の靴とは持ちが違います。♠へ持ちがよい・悪い〉卵料理は持ちが悪いので、できるだけ早く食べましょう。♠〈会社持ち〉〈個人持ち〉出張の際の交通費は会社持ちでしたが、食費は個人持ちでした。♠くぜんそく持ち〉わたしはぜんそく持ちですから、空気の乾いて冷たい冬はつらいのです。♠女房[にようぼう]子持ち〉女房子持ちの身ですから、自分の好きなことばかりはやっていられません。 **もちあがる**【持ち上がる】 ○上に上がる。(事件などが)起こる。生徒の進級後も、教師が同じクラスを受け持つ。[文例]〈物が持ち上がる〉大人が四人かかっても、大きな石のうすは持ち上がりません。♠◇土台が持ち上がる〉シベリアでは、凍った地面に家の土台が持ち上がることがあるそうだ。♠<話が持ち上がる〉姉に結婚の話が持ち上がったのだが、本人にはその気がないらしい。♠〈論議が持ち上がる〉工場の跡地[あとち]を何に利用するかで、市民の間に活発な論議が持ち上がった。♠◇問題が持ち上がる>実施直前になって、思わぬところから問題が持ち上がった。♠〈担任が持ち上がる〉ぼくの学校では、三年間クラス替えがなく、担任の先生は持ち上がります。 **もちあ・げる**【持ち上げる】 ○物を持って上へあげる。上へあげる。おだてる。[文例]〈荷物を持ち上げる〉旅人は、荷物を重そうに持ち上げると再び歩き出した。♠へすそを持ち上げる>貴婦人は、長いドレスのすそをつまんで持ち上げ、しずしずと歩いていった。 <1127> ●へ頭を持ち上げる〉地面にしゃがんでアリの動きを追っている息子は、呼んでも頭を持ち上げようとしない。♠〈人を持ち上げる〉ぼくは、おっちょこちょいだから、持ち上げられると、すぐにその気になって何でもやっちゃうんだ。 **もちあじ**【持ち味】 ○その食物がもともと持っている味。その人や物の持つ独特の味わい。[文例]〈素材の持ち味〉〈持ち味を生かす>素材の持ち味を生かすことが料理のこつです。♠ヘチームの持ち味〉粘[ねば]り強いプレーとチームのまとまりが、ぼくたちのチームの持ち味だ。♠へ持ち味を出す〉この映画は、出演者がそれぞれ持ち味を出していて、見ごたえのある作品になっている。♠へ持ち味が変[ちが]わる>速球派から技巧派へと年とともに持ち味が変わる投手がいます。 **もちある・く**【持ち歩く】 ○持って歩く。[文例]〈かばんを持ち歩く〉父がいつも持ち歩いているかばんは、イタリア製の茶色の牛皮のものです。♠〈大金を持ち歩く〉百万円もの大金を持ち歩くのは初めてだったので、緊張[きんちよう]しました。 **もちあわせ**【持ち合わせ】 ○ちょうどその時に持っていること。所持金。[文例]〈金の持ち合わせ〉〈持ち合わせがない〉お金を貸してくれと言われても、今日はまるで持ち合わせがないんだ。 **もち・いる**【用いる】 ○使う。使用する。採用する。[文例]<道具を用いる「からすき」は、昔[むかし]田畑を耕すのに用いた道具で、牛や馬に引かせました。♠へ火を用いる〉人類がほかの動物と違うのは、火を用いることができるということだ。♠〈材料として用いる〉アルミニウムは軽くて丈夫[じょうぶ]なので、飛行機の材料として用いられます。♠〈方法を用いる「のろし」は、実際にインディアンの間でよく用いられた通信の方法です。♠へ意見を用いる〉会議でぼくの意見が用いられ、永年[さかく]の企画がついに日の目を見ることになった。♠へ新人を用いる〉今度のジュリエットの役には、新人を用いることになりました。♠〈重く用いる〉人望の厚い彼は、ついに一国の宰相[さいしよう]として、重く用いられました。♠〈意・心を用いる〉特別な客なので、料理の材料には特に意を用いるように。 **もちか・ける**【持ち掛ける】 ○話をして働きかける。[文例]〈話を持ちかける〉旅行好きのおばさんに、週末京都に行かないかと話を持ちかけてみた。♠〈相談を持ちかける〉市に相談を持ちかけたが、てんで相手にしてくれなかった。♠〈問題を持ちかける〉きみはいつもやっかいな問題を持ちかけて、ぼくを悩ませるのですね。 **もちきり**【持ち切り】 ○話題がその事に集中すること。[文例]〈うわさでもちきり〉町じゅうが昨日起こった不思議な出来事のうわさでもちきりだった。♠く話でもちきり〉今わたしたちの学校では、新任のすてきな先生の話でもちきりです。 **もちくず・す**【持ち崩す】 ○身持ちを悪くする。財産などを使い果たしてしまう。[文例]〈身代を持ち崩す〉放蕩[ほうとう]息子は親からもらった身代を持ち崩し、とうとう一文無しになってしまった。♠へ身を持ち崩す〉すばらしい才能を持ちながら、作家は酒と女におぼれて、やがて身を持ち崩した。 **もちこ・す**【持ち越す】 ○同じ状態でそのまま次に送る。[文例]〈開始を持ち越す〉土砂降りの雨のため、作業開始は明日以降に持ち越された。♠へ結論を持ち越す二時間の話し合いでも決着はつかず、結論は次回に持ち越されました。♠〈問題を持ち越す〉前年度から持ち越されている減稅問題は、今年度の懸案[けんちん]の一つです。 **もちこたえる**【持ちこたえる・持ち堪える】 ○その状態を支え保つ。こらえ守る。[文例]〈体が持ちこたえる〉わたしの体は、激[はげ]しい肉体労働に持ちこたえられなかった。♠へ会社が持ちこたえる〉会社は、不況に持ちこたえられず、とうとう倒産[とうさん]しました。♠〈橋が持ちこたえる〉問題は、鉄材をのせたトラックの重さに、橋が持ちこたえられるかどうかです。♠〈地震[じしん]に持ちこたえる〉このビルは、関東大震災[かんとうだいしんさい]なみの地震にも持ちこたえることができます。♠ヘパンチを持ちこたえる>強烈なパンチを浴びながら、それでも、チャンピオンは持ちこたえていた。♠人生命を持ちこたえる〉この冬の大雪で、持ちこたえられなかった野生のシカが大量に死にました。 **もちごま**【持ちごま・持ち駒】 ○将棋で、相手から取って自分が使えるこま。手もとにあって必要な時にいつでも使える人や物。[文例]金一枚と歩が四枚という持ちごまでは、どうも相手の王は攻められそうにない。♠へ持ちごまが足りない〉七か月の長いペナントレースを乗り切るにはちょっと持ちごまが足りないと、監督[かんとく]は嘆[なげ]いている。♠へ持ちごまが豊富>営業部は持ちごまが豊富だから、一人や二人は応援に回してもいい。 **もちこ・む**【持ち込む】 ○持って入る。運び入れる。相談ごとなどを持ちかける。ある状態にさせる。[文例]〈危険物を持ち込む〉バスには、「車内に危険物を持ち込まないでください」という表示があった。♠へ家具を持ち込む〉家具を持ち込めば、この殺風景[さつぷうけい]な部屋も、少しは部屋らしくなるかしら。♠へ相談事を持ち込む〉島の人たちから相談事を持ち込まれると、先生は、親切に応対していた。♠へ苦情を持ち込む〉犬を飼うのもいいですけど、苦情を持ち込まれないようにしてくださいね。♠◇問題を持ち込む〉わが家にやっかいな問題を持ち込むのは、きまって、次郎[じろう]兄さんだった。♠〈話を持ち込む〉うまく話を持ち込んで、おやじに店の資金を出させようかと考えていた。♠〈延長戦に持ち込む〉ぼくたちは、ねばりにねばって、とうとう延長戦に持ち込んだ。♠〈しりを持ち込む〉後で責任を放棄して、こっちにしりを持ち込まれるのだけはごめんだよ。 **もちだし**【持ち出し】 ○持ち出すこと。費用の足りない分を負担すること。[文例]〈本の持ち出し>図書室にある本の中でも、高価な本などは持ち出しが禁止になっている。♠持ち出しになる〉会費で十分なはずが、参加者が少なくて、結局会からの持ち出しになってしまった。♠へ持ち出しが多い〉この種の催[もよお]しは設備費や宣伝費など店の持ち出しが多く、あまりもうからない。 <1128> **もちだ・す**【持ち出す】 ○持って外へ出す。自分のものではない金品を勝手に使う。言い出す。費用の足りない分を出す。[文例]〈家具を持ち出す〉部屋から家具を持ち出し、トラックに積みこむだけで二時間もかかった。♠〈金を持ち出す〉その従業員は店の金を持ち出したまま、行方[ゆくえ]をくらましてしまった。♠へ話を持ち出す〉五年も前の話を持ち出されて、何とかしろと言われたのではたまったものではない。♠<条件を持ち出す>母は、一人で旅行をしたいというわたしの話を聞いて、朝晩一回ずつ必ず家に電話を入れるという条件を持ち出した。 **もちなお・す**【持ち直す】 ○持ちかえる。別の持ち方にする。もとのよい状態に戻る。[文例]〈荷物を持ち直す〉荷物が重いので、時々持ち直しながら、駅まで歩きました。♠〈左手に持ち直す〉わたしは傘[かさ]を左手に持ち直すと、右手でポケットの中をまさぐってみた。♠へ病状が持ち直す〉一時は危なかった患者[かんじや]の病状も、どうやら持ち直したようだった。♠〈天気が持ち直す〉天気も何とか持ち直して、今年の運動会もぶじ終わりました。♠へ景気が持ち直す〉ここ数年続いた不況も収まって、景気も少しずつ持ち直している。♠◇相場[そうば]が持ち直す〉中東紛争[ちゅうとうふんそう]で大暴落[ぼうらく]した相場も、じきに持ち直すだろう。 **もちにげ**【持ち逃げ】 ○他人の物や金などを持って逃げること。[文例]へ持ち逃げする〉大切なお店のお金を持ち逃げされ、主人[しゆじん]はほとほと困りはてています。 **もちぬし**【持ち主】 ○所有している人。所有者。[文例]〈物の持ち主〉たとえあやまちにしろ、物をこわしたら、持ち主にあやまらないといけない。♠へ勇気の持ち主〉彼は、何ものをも恐[おそ]れない勇気の持ち主です。♠へ体格の持ち主〉〈心の持ち主〉一メートル八十センチ八十キロというりっぱな体格の持ち主の彼は、同時にとても優しい心の持ち主でもあった。 **もちば**【持ち場】 ○受け持ちの場所。割り当てられた任務。[文例]〈持ち場につく〉打ち合わせが済んだら、係員のみなさんはそれぞれの持ち場についてください。♠へ持ち場を離[はな]れる〉見張りは片時[かたとき]も持ち場を離れることがない。♠へ持ち場を守る〉球技では、各選手がそれぞれの持ち場をしっかり守りながら戦うことが大切です。♠〈持ち場が違う〉同じ工事現場でも彼とは持ち場が違うので、今日は一度も顔を合わせなかった。 **もちまえ**【持ち前】 ○もともとそなわっていること。生まれつきの性質。[文例]〈持ち前の明るさ〉少女は、不幸を不幸とも思わず、持ち前の明るさで困難[こんなん]を乗りこえていきました。♠へ持ち前の男気[おとこぎ]〉持ち前の男気を出して、つい、有り金全部、かわいそうな親子にくれてやった。♠へ持ち前の負けん気>弟は、持ち前の負けん気を発揮して、将棋[しょうぎ]で父を負かしたのである。♠〈持ち前の美ぼう〉彼女は、その持ち前の美ぽうで、美人の名をほしいままにしていた。♠へ持ち前のもの〉彼の人並みはずれた体のばねは、持ち前のものだ。 **もちまわり**【持ち回り】 ○もって回ること。順番に担当すること。[文例]〈当番[とうばん]が持ち回り〉掃除[そうじ]当番は持ち回りで、今週はぼくたちの班が当番です。♠◇都道府県の持ち回り〉国民体育大会は、毎年各都道府県の持ち回りで開催されています。 **もちよ・る**【持ち寄る】 ○それぞれが持って集まる。[文例]〈物を持ち寄る>参加者一人一人が食べ物や飲み物を持ち寄って、パーティーを開きました。♠ヘデータを持ち寄る〉あちこちの研究所に所属する研究員が、それぞれのデータを持ち寄って分析することになった。♠〈バザーに持ち寄る〉みんながバザーに持ち寄った品物の売り上げで、新しいシーソーを買いました。 **もちろん**【勿論】 ○言うまでもなく。[文例]昔[むかし]から、地下のナマズが地震[じしん]を起こすと伝えられていますが、もちろん迷信です。♠行けども行けども大雪原が続き、もちろん、家など一軒もありません。♠へもちろんのこと〉彼は語学の天才で、英語はもちろんのこと、ドイツ語、フランス語もペラペラです。♠「英語はできますか。」と聞かれたので、「もちろん、できます。」と答えた。♠日本シリーズを見たかって?もちろんさ。 **も・つ**【持つ】 ○手にとってそのまま保つ。所有する。所持する。身にそなえている。心にいだく。受け持つ。負担する。開催する。長く保たれる。[文例]〈手に持つ〉〈荷物を持つ〉その老人は、手に重そうな荷物を持っていた。♠〈尾[お]を持つ>天然記念物に指定されている「尾長鶏[おながどり]」は、四、五メートルに達する長い尾を持っている。♠〈別荘[べつそう]を持つ〉貿易商[ぼうえきしよう]をしているおじは、軽井沢[かるいざわ]に大きな別荘を持っている。♠へ友達を持つ心から信頼[しんらい]できる友達を持っているきみがうらやましい。♠<孫[まご]を持つ〉いいお孫さんを持って、おばあちゃんも幸せですね。♠〈所帯[しよたい]を持つ兄は、結婚[けっこん]して千葉で所帯を持っています。♠〈免状[めんじよう]を持つ〉師範[しはん]の免状を持つ母は、近所の娘さんたちにお茶を教えています。♠へ言葉を持つ〉言葉を持たない動物たちは、自分の気持ちをどうやって仲間に伝えているのだろう。♠へ持って生まれた~〉おれの短気は持って生まれた性分だから、仕方がないだろう。♠〈心を持つ〉娘[むすめ]は貧しかったが、だれにも負けないきれいな心を持っていた。♠〈知識[ちしき]を持つ〉当時の医者といえば漢方医で、西洋医学の知識を持つものなど一人もいなかった。♠〈技[わざ]を持つ〉彼は、ほかのだれにもまねすることのできない、すばらしい技を持っている。♠〈技術を持つ〉唐[とう]の時代には、ペルシアは既[すで]に自らの国で絹を織る技術を持っていた。♠〈腕[うで]を持つ>長年フランスで修業[しゅぎょう]しただけあって、コックとしての確かな腕を持っている。♠へ才能を持つ彼女が名選手になれたのは、努力もさることながら、優れた才能を持っていたからだ。♠へ素質を持つこの音楽学校では、優れた素質を持った子供たちをよりすぐり、特別な教育を施[ほどこ]していた。♠へ目的を持つ>医者になって病気の人を救いたいと願う彼は、人生に目的を持っていたと言えよう。♠〈意味を持つ>日本語の「ありがとう」は、もともとどんな意味を持っていたか知っていますか。♠へ体験を持つ>戦中、戦後を生き抜いてきたこの世代には、 <1129> 悲惨[ひさん]な体験を持つ人も少なくない。♠〈経験を持つ>兄は二年間ドイツに留学していましたので、外国生活の経験を持っています。♠へ特徴[とくちよう]を持つステンレスは普通の鉄と違[ちが]い、水分に触れてもさびないという特徴を持っている。♠へかかわりを持つ〉調べていくうちに、工場の排水[はいすい]が、原因不明の病気と深いかかわりを持つことがわかってきた。♠<希望を持つ>仕事はきつかったが、しかし、彼は、希望を持って毎日働いていた。♠〈興味を持つ>演劇関係の仕事をしている父の影響[えいさよう]で、自然に芝居[しばい]に興味を持つようになった。♠〈関心を持つデザイナー志望のわたしは、特に美術に関心を持っていた。♠へ恨[うら]みを持つ>事件は、被害者[ひがいしゃ]に何らかの恨みを持つ者の犯行ではないかと思われます。♠へ反感を持つ>島の人々は、よそ者である彼に対して反感を持っているようだった。♠へ好意を持つ〉話をするのは初めてだが、かねてから彼女に好意を持っていた。♠<根[ね]に持つ>男は、いまだに、人々から受けた冷たい仕打ちを根に持っていた。♠へ誇[ほこ]りを持つ>昔[むかし]かたぎの祖父は、宮大工[みやだいく]としての自分の仕事に、頑固[がんこ]なまでの誇りを持っている。♠へ悩みを持つ>現代人の多くがストレスを感じ、何らかの悩みを持っているといわれます。♠〈自信を持つ〉もっと自分に自信を持ちなさい、自信を!♠へ肩[かた]を持つ〉彼の肩を持つわけではないが、やっぱり約束[やくそく]を破ったきみのほうが悪いよ。♠ヘクラスを持つ〉今学期からは、小田先生がぼくたちのクラスを持つことになった。♠へ持ちつ持たれつ〉世の中は持ちつ持たれつ、お互[たが]いに助け合っていきましょうよ。♠〈費用を持つ〉今日の費用は全部ぼくが持つから、みんな思う存分飲んでくれ。♠〈会合をもつ〉部内の若手の考えを聞くために会合をもつことにした。♠〈物がもつ〉この背広なら生地がいいですから、十年はもちますよ。♠へ身・体がもたない〉一日三時間しか寝ないんでは、体がもたないよ。♠〈身をもって〉この後、主人公は戦場に行き、戦争の悲惨さを身をもって知ることになるのである。♠ヘこれをもってこれをもって、動詞「もつ」の用例はおしまいです。 **もっか**【目下】 ○現在。ただ今。[文例]開発の進められている駅前には、たくさんのビルが目下建築中です。♠中学校の教師をしている兄は、二十七歳で目下独身です。♠不況の折から、どこでも今年の新入社員の採用は、目下検討中ということだ。♠今目下のところ>静岡[しずおか]・浜松[はままつ]間で不通となった新幹線は、目下のところ、復旧のめどが立っていません。♠〈目下の状態>雨はやんだが、まだ風が強く、目下の状態では救助活動に入れない。 **もっきょ**【黙許】 ○暗黙のうちに許すこと。[文例]〈黙許する〉この道路は駐車禁止だが、工事用の車両に関しては、その必要性から警察も黙許していた。 **もっけのさいわい**【もっけの幸い・勿怪の幸い・物怪の幸い】 ○思いがけない幸い。[文例]先生に急用ができたのをもっけの幸いとばかり、子供たちは授業時間なのにトランプを始めた。♠ぼくは泳げないので、水泳の授業が雨で中止になったのはもっけの幸いだった。 **もったい**【勿体】 ○ものものしく取りつくろった態度。[文例]〈もったいをつける〉自分では必要のないカメラなのに、兄はもったいをつけて、なかなか譲ってくれません。♠〈もったいをつける〉古道具屋の主人は、もったいをつけるように、うやうやしく茶わんを差し出した。♠へもったいぶる〉そんなにもったいぶらないで、ぼくにも、彼女の写真を見せてくれよ。♠へもったいぶる〉通りの向こうを、あいつがもったいぶって歩いている。♠へもったいらしい〉ポケットから手紙を取り出すと、もったいらしく、それを見せびらかした。♠もったいないしかつて子供たちは、どの家庭でも「もったいない、物を粗末[そまつ]にするな。」としつけられました。 **もったいな・い**【勿体無い】 ○おしい。おそれおおい。[文例]食べ物を捨てるなんてもったいない。♠へお金がもったいない〉こんなつまらない映画、お金がもったいなかったわ。♠〈時間がもったいない〉一日寝て過ごすなんて、時間がもったいないよ。♠へもったいない言葉〉閣下、私[わたくし]ごときにもったいないお言葉、身に余る光栄です。 **もったいぶ・る**【もったい振る・勿体振る】 ○わざと重々しくふるまう。[文例]テストの結果はどうだったんだい、もったいぶらないで教えてくれよ。♠もったいぶって話し始めたわりには、彼女の話はあまりおもしろくなかった。 **もって**【以て】 ○・・・によって。・・・のために。・・・で。[文例]ご来店ありがとうございました、本日は六時をもって閉店とさせていただきます。♠聖徳太子[しょうとくたいし]は、頭脳明晰[ずのうめいせき]をもって世に知られた。♠この作文のできばえはすばらしい。これをもって今回の最優秀作品とします。♠小田君はハンサムでもって頭もなかなかいいので、女の子たちにたいへん人気があります。♠へ全くもって〉いやはや、全くもって困った話だ。♠へ今もって〉彼の行方[ゆくえ]は今もってわからない。 **もってこい**【持って来い】 ○理想どおり。あつらえむき。うってつけ。[文例]へもってこいの場所〉土手は、日当たりもいいし芝生[しばふ]も生えそろっているし、昼寝をするにはもってこいの場所です。♠へもってこいの天気〉今日は薄日[うすび]がさして風もなく、ゴルフにはもってこいの天気だ。♠へもってこいの仕事>絵の上手なきみに、ポスター作りというもってこいの仕事があります。♠へもってこいの人物〉統率力も決断力もすぐれていますから、キャンプの班長にはもってこいの人物だ。 **もってのほか**【もっての外・以ての外】 ○思ってもみないこと。とんでもないこと。[文例]人を呼びつけておいて自分が遅れて来るなんて、もっての外だ。♠戦前は親の命令は絶対で、反抗することなどもっての外と思われていた。 **もってまわ・る**【持って回る】 ○物を持ち回る。遠回しな言い方・やり方をする。[文例]へもってまわった物言[ものい]い〉腹に含むところがあるからなのだろう、相手はいやにもってまわった物言いをする。♠へもってまわった書き方〉くどくどと、あちこち持ってまわった書き方をしたが、実はこの小説、夫婦喧嘩[ふうふげんか]の小説なのである。(太宰治[だざいおさむ]「桜桃[おうとう]」) <1130> **もてはや・す**【持てはやす・持て囃す】 ○さかんにほめる。 **もっと** ○その上に。いっそう。[文例]みんな、もっと力を合わせてがんばろう。♠もっと食べてもいいかな。おなかがすいているんだ。 **モットー** ○主義や方針を簡潔な言葉で表し目標とするもの。[文例]〈清廉潔白[せいれんけつぱく]がモットー>清廉潔白がモットーの代議士です。♠ヘモットーにする〉当店は、サービス第一をモットーにしております。♠ヘモットーに掲[かか]げる「自立」をモットーに掲げる学校だけあって、ユニークな教育をしているようです。 **もっとも**【尤も】 ○あたりまえ。当然。ただし。しかし。[文例]〈もっともな話〉信号を無視した人に注意したというのなら、それはもっともな話です。♠兄さんのカメラをだまって使ったお前が悪い。兄さんが怒るのはもっともだ。♠みんなは駅員さんの注意をもっともだと思い、乗車口に三列に並びました。♠へもっともな意見〉「掃除[そうじ]当番をさぼらないでほしい。」というもっともな意見もあった。♠へご無理ごもっとも〉社長の命令とあれば、何でもご無理ごもっともで聞かなければならないのはおかしい。♠牛乳を飲まなきゃだめだぞ。もっとも、父さんもきらいだったけどな。♠あしたは全員で早朝マラソンをします。もっとも、雨が降れば別です。 **もっとも**【最も】 ○いちばん。第一に。[文例]わたしたちにとって最もたいせつなのは、何と言っても健康です。♠日本で最も長い川は信濃川[しなのがわ]です。♠『奥[おく]の細道[ほそみち]』は、日本の紀行文学の中で最も優れた作品の一つとされています。♠彼がこの世で最も愛していたのは、今は亡[な]き母であった。♠寒さが最も厳しい一月から二月にかけて、この村は、深い雪におおわれます。♠詩と同様、音楽は人の世で最も美しいものでございます。 **もっぱら**【専ら】 ○ひたすら。ひとすじに。ほしいままに。[文例]物をつかんだり、道具を使ったりするのは手の役目で、歩くことはもっぱら足のする仕事です。♠中学生のころは、読む本も、探偵[たんてい]小説や怪奇[かいさ]小説など、もっぱら軽い本が多かった。♠この島では、海に出ている男たちにかわって、畑仕事はもっぱら女の仕事なのです。♠彼は、仕事の空いた時間をもっぱら自分の研究に打ち込んでいた。♠◇専らのうわさ〉ぼくたちの担任の先生は、この四月転任なさるという専らのうわさだ。♠へ権力を専[もつぱ]らにする〉並[なら]ぶ者なき権勢をほこるルイ十四世は「太陽王」とよばれ、権力を専らにしていた。 **もつれ**【縺れ】 ○もつれること。もつれた状態。[文例]〈糸のもつれ〉糸のもつれをほぐそうとしているうちに、だんだんいらいらしてきた。♠へ舌のもつれ〉〈足のもつれ>舌や足のもつれは、酔[よ]っている証拠[しようこ]です。♠へ問題のもつれ〉金銭問題のもつれから、友達との関係がうまくいかなくなることがあります。♠へ感情のもつれ>両者の間に感情のもつれが生じ、冷たい関係になってしまった。 **もつ・れる**【縺れる】 ○からみあって解けなくなる。こんがらかる。舌や足が自由に動かなくなる。[文例]〈糸がもつれる〉もつれた毛糸は、丹念[たんねん]にほどかなければなりません。♠〈髪[かみ]がもつれる〉朝、くしゃくしゃにもつれた髪を、くしできれいにとかしました。♠へ舌がもつれる〉だいぶ酒がまわってきたせいか、舌がもつれて、うまくしゃべれない。♠へ足がもつれる〉暗やみで足がもつれて、思わずよろけた。♠〈事件がもつれる〉事件は複雑にもつれていて、一向に解決の糸口が見つかりません。♠へ感情がもつれる〉ちょっとした事で感情がもつれ、とうとう二人は仲たがいしてしまった。♠話がもつれる〉途中[とちゅう]で話がもつれて、まとまる相談もまとまらなくなってしまった。 **もてあそ・ぶ**【弄ぶ・玩ぶ】 ○手にもって遊ぶ。おもちゃにする。興じる。思いのままに操る。[文例]〈おもちゃをもてあそぶ>赤ちゃんは、無心におもちゃをもてあそんでいる。♠〈指でもてあそぶ〉彼女は、話をしながら、指でハンカチをもてあそんでいた。♠へ人の気持ちをもてあそぶ〉人の気持ちをいたずらにもてあそぶのは、残酷[ざんこく]なことです。♠へ波にもてあそばれて、今にも沈[しず]みそうであった。♠◇運命にもてあそばれる〉将来を誓[ちか]い合った恋人[こいびと]どうしも、運命にもてあそばれるように引きさかれてしまった。♠へ俳句[はいく]をもてあそぶ〉近ごろは、手なぐさみに、俳句なぞを少々[すこ]もてあそんでおります。 **もてあま・す**【持て余す】 ○扱[あつか]いや処置に困る。[文例]〈子を持て余す〉乱暴者の息子を、親も、どう扱ってよいかわからず持て余していた。♠〈暇[ひま]を持て余す〉年じゅう暇を持て余していますので、どうぞ、遊びにいらしてください。♠へ長い足を持て余す〉車内でも若者は、長い足を持て余すように通路に突き出している。♠へ物を持て余す>母は、だれも食べたがらないお正月のおもちを持て余していた。♠へ本を持て余す〉やけにむずかしい小説で、中学生のぼくは、いささか持て余し気味です。♠へ体を持て余す>失業中の兄は、毎日することがなくて、体を持て余している。♠へ金を持て余す〉世の中には、金が有り余って、持て余している人もいるのになあ。 **もてなし**【持て成し】 ○もてなすこと。ごちそう。接待。取り扱い。[文例]〈温かいもてなし〉〈もてなしを受ける〉少年使節たちは、行く先々で、温かいもてなしを受けたのです。♠〈茶菓[さか]のもてなし〉レッスンの後、先生のお宅で茶菓のもてなしを受けました。♠へもてなしをする〉何のおもてなしもせず、大変失礼いたしました。♠親切なもてなし〉思いがけず、ご親切なおもてなしにあずかり、お礼の言葉もありません。♠へ心からのもてなし〉どんなごちそうよりも、村人たちの、心からのもてなしがうれしかった。♠人客のもてなし〉店に勤めた当初は、客のもてなしがへただと、よくしかられました。 **もてなす**【持て成す】 ○ごちそうする。接待する。取り扱う。[文例]〈客をもてなす〉部族の女たちは古くから伝わる踊[おど]りを踊って、遠来[えんらい]の客をもてなしました。♠〈酒でもてなす〉女は、旅の男をうまい酒とさかなでもてなした。 <1131> [文例]〈世間にもてはやされる〉ただ腰の辺りで回すだけのフラフープが、世間にもてはやされた時期がありました。♠〈若者にもてはやされる〉これが今若者にもてはやされているファッションだ。 **も・てる**【持てる】 ○持つことができる。人気がある。[文例]こんなに重い荷物、一人で持てるかい。♠〈興味が持てる〉機械に弱いぼくは、コンピューターなどにもあまり興味が持てなかった。♠〈確信が持てる〉確かな調査に基づいていますから、この報告書の数字には確信が持てます。♠へ女にもてる〉スポーツマンで責任感の強い原君は、女の子によくもてます。 **モデル** ○型。模型。見本。絵画・写真などの対象となる人・物。小説などの素材になった実在の人や事件。ファッションモデル。[文例]〈新しいモデル〉これは、わが社が開発した新しいモデルの車です。♠〈小説のモデル〉作者は、自分の父をモデルにして、この小説を書いたということだ。♠へ実在のモデル〉この映画の主人公には、実在のモデルがいます。♠へ絵のモデル〉〈モデルになる〉彼女は若い絵かきたちのモデルになって、わずかな収入を得ていた。♠ヘモデル地区>美しいこの海岸一帯は、自然保護のモデル地区として指定されています。♠ヘモデルハウス>住宅展示会場には、たくさんのモデルハウスが並[なら]んでいた。♠ヘファッションモデル〉ファッション・ショーでは、モデルが、次々と新作のドレスを着てみせました。 **もと**【下・元・本・基】 ○ねもと。物の下・下部。あるものの影響下・支配下。原因。基礎。根源。物事の起こり。原料。原価。元手。以前。昔。[文例]〈太陽の下〉ふりそそぐ太陽の下、子供たちは元気に泳ぎ回っている。♠<親の下〉どんなにかわいい子でも、やがては親の下を離[はな]れていくものだ。♠一望[いちぼう]の下>陸奥湾[むつわん]が一望の下に見え、それを抱えるように陸地がはるか遠くまで続いている。♠ヘ一撃[いちげさ]の下〉敵の背後にしのび寄り、見張りを一撃の下に打ち倒[たお]した。♠へ~の名の下>多くの若者が祖国の独立と自由の名の下に尊[とうと]い命を失ったのです。♠へ構想の下〉この物語は、革命期のフランスを舞台に、一組の男女の姿を雄大[ゆうだい]な構想の下に描[えが]いたものだ。♠〈法の下に平等>憲法第十四条には、すべての国民は、法の下に平等であり、差別されないとある。♠へ灯台[とうだい]下暗し〉あんなに探していた本がうちの本棚[ほんだな]にあったとは、まさに「灯台下暗し」だ。♠ヘけががもと〉妹のかわいがっていた小鳥がちょっとしたけががもとで死んでしまった。♠へ地図をもとに>海賊[かいぞく]の残した一枚の地図をもとに、少年は宝島に出かけました。♠へ本を正[ただ]す〉何千円もする高い商品も、本を正せばわずか数十円ということもある。♠〈本はと言えば〉本はと言えば、まちがえておれのズボンをはいていったお前が悪いんだぞ。♠〈基[もとい]にする〉兄は店勤めで得た経験を基にして、町で商売を始めた。♠へ失敗は成功の基〉「失敗は成功の基」ですから、原因をよく考えて今後の役に立てましょう。♠へ風邪[かぜ]は万病[まんびょう]の基「風邪は万病の基」と言いますから、たかが風邪と思わないで早めに治すことです。♠へ火の元〉だいぶん寒くなってきましたから、火の元には十分注意してください。♠ヘ元に返す〉持ち出した本はちゃんと元に返しておきなさい。♠〈元に戻[もど]る>ヨットは復元力が強く、転覆[てんぷく]しても、すぐに元に戻るような設計になっている。♠〈とうふの元〉とうふの元といえば、もちろん大豆です。♠〈元がかかる〉〈元をとる〉けっこう元がかかっているから、一個千円以上で売らないと元がとれないよ。♠へ元も子もない〉あんまり乱暴にあつかうなよ、壊[こわ]してしまっては元も子もないからな。♠ヘ元の先生>退職した元の担任の先生にかわって、女の先生がやってきた。♠〈元のさやに収まる〉はでなけんかを演じた兄夫婦も、どうやら仲直りして、元のさやに収まったらしい。♠へ元のもくあみ〉裸一貫[はだかいつかん]苦労して築[きず]き上げた財産も豪遊[ごうゆう]で使いはたし、すべて元のもくあみとなった。♠へ元から〉窓を壊[こわ]したのはぼくじゃありません、元から壊れていたんです。♠へ元のとおり〉一度壊れた皿は、どんなにしても元のとおりにはならなかった。♠元軍人>元軍人の祖父は、厳格[げんかく]で、孫の前で笑うなどということはめったになかった。 **もとい**【基】 ○基礎。土台。おおもと。[文例]〈学園の基〉〈基を固める〉本学園の基を固めたのは、校長先生のおじいさまです。♠〈国の基〉〈基ができる〉大和[やまと]国家の基ができたのは、四世紀の中ごろと考えられています。 **もどかし・い** ○思うようにならずじれったい。[文例]せっかちなぼくには、おばあちゃんののんびりした話し方がもどかしかった。♠へ〜する間ももどかしく〉おやつを食べる間ももどかしく、弟は表へ飛び出して行きました。♠ボーイフレンドのはっきりしない態度が、わたしにはもどかしいのだ。♠待ち合わせの時間まであと十分、なかなかやってこないバスがもどかしかった。♠家に帰り着[つ]くとトイレに行きたくて、靴[くつ]を脱ぐのももどかしいということがよくあります。 **もど・す**【戻す】 ○もとの状態・場所へ返す。吐きもどす。[文例]〈元に戻す〉ないしょで借りていた兄さんの本を、こっそり元に戻しました。♠〈海に戻す〉せっかく釣った魚だったけど、手のひらより小さいので海に戻すことにした。♠く話を戻す〉さて、話を明日の試合に戻すが、相手は前回の優勝チームということだ。♠へ視線を戻す〉わたしが再び視線を足もとに戻したとき、カバンはかき消すように消えていた。♠〈水で戻す〉水で戻した干ししいたけは、小さくみじん切りにします。♠へ食べた物を戻す>急に気分が悪くなり、お昼に食べた物をみな戻してしまった。 **もとづく**【基づく】 ○もととする。根拠とする。[文例]〈調査に基づく>彼は、調査に基づいて、分かったことを報告書にまとめました。♠〈事実に基づく〉このドキュメンタリー小説は、実際にあった事件を事実に基づいて書いたものです。♠へ証拠[しようこ]に基づく>警察は、確かな証拠に基づき、彼を犯人と断定した。♠〈憲法に基づく>日本国憲法に基づいて、わが国では、結婚[けつこん]の自由が保障されています。♠く考えに基づく>女性も仕事を持つべきだという考えに基づいて、わたしは、教師の職を選びました。♠へ予定表に基づく>夏休みの間中は、 <1132> 予定表に基づいて、計画的に勉強するつもりだ。♠<発音に基づく>現代仮名[かな]づかいは、だいたい現代の発音に基づいています。 **もとで**【元手】 ○資金。資本。利益を得るためのもと。[文例]〈わずかな元手>兄は会社をやめると、わずかな元手で事業を始めました。♠〈元手を出す〉父に元手を出してもらい、友達といっしょに小さな出版社をやることにした。♠元手が要[い]る>自分で洋裁店を始めるにしても、元手が要ります。♠へ元手がない>自分たちで商売でもやりたかったが、元手がなかった。♠〈元手がかかる〉父のゴルフの腕[うで]は、元手がかかっているわりに上達していない。♠〈元手にする〉競馬で、一万円を元手にして、だいぶんもうけました。♠〈体が元手〉プロレスラーは体が元手の商売だから、とにかく丈夫[じょうぶ]でなきゃあ。 **もと・める**【求める】 ○手に入れようとする。要求する。買う。[文例]〈安住[あんじゆう]の地を求める〉今日も、インドシナの難民たちは、安住の地を求めて小船[こぶね]で海に乗り出しました。♠へ職を求める>失業中の兄は、職を求めて、毎日、新聞広告を見ています。♠〈協力を求める〉彼は、戦争孤児[こじ]を救うため、世界各国を回って人々の協力を求めた。♠〈反省を求める〉相手の痛いところをついて、それとなく反省を求めるというやり方もある。♠へ発言を求める〉役員会議が終わりに近づいたとき、一人の重役が発言を求めて立ち上がった。♠へ説明を求める>学校の授業に遅れたぼくは、先生に理由の説明を求められた。♠へ助けを求める〉あらしで沈[しず]みかけた船にしがみついた漁師は、声をかぎりに助けを求めた。♠へ幸せを求める〉子供たちはみな、それぞれの幸せを求めて、旅立ちました。♠自由・平和を求める〉多くの若者たちが自由と平和を求めて、祖国のために戦ったのです。♠題材を求める〉小説「大地」は、中国に題材を求め、農民たちの近代への目覚めを描いた小説です。♠へ~を~に求める〉中には、新しい物の考え方や生き方を、本に求める人もいます。♠へ品物を求める>半額の品は、数がかぎられていますので、お早くお求めください。 **もとより**【固より・素より】 ○初めから。本来。言うまでもなく。もちろん。[文例]もとより、満員電車というものは、あまり楽しいものではありません。♠もとより、わたしには、医者になる気など全くなかった。♠男は、もとより自分の父の顔を知らず、その老人が父だとは気がつかなかった。♠「ピーターパン」は、子供はもとより、大人が見ても楽しいミュージカルです。♠彼は、水泳はもとより、スポーツなら何でもできる。 **もどり**【戻り】 ○戻ること。帰り道。[文例]〈戻りの馬〉「お客さん、乗っていかんかね、戻りの馬だから安くしておくよ。」♠へ戻りが遅い〉ちょっとそこまでといって出たわりには、少し戻りが遅いようだ。♠へ寒[かん]の戻り〉暦[こよみ]の上では春だが、ここ数日寒の戻りで寒い日が続いている。♠へ逆戻り〉小学校に入る孫を見ていると、三十年前の息子の姿が思い出され、時間が逆戻りしたような感じになる。 **もと・る**【悖る】 ○そむく。反する。[文例]〈人の道にもとる〉正義感の強い人でしたから、人の道にもとる行為を決して許さなかった。♠〈本分にもとる〉遊びのために授業を休むのは、生徒の本分にもとる。♠〈信義にもとる〉世話になった人に対し信義にもとるふるまいはできない。 **もど・る**【戻る】 ○帰る。引き返す。もとに返る。[文例]〈家に戻る>その日、会社に出かけた父は、ぐったりして家に戻ってきた。♠へ道を戻る>用が終わると、子供たちは、もと来た道を戻って行きました。♠〈席に戻る>黒板の問題を解きおわると、ぼくは意気[いき]ようようと席に戻った。♠へ昔の自分に戻る〉もし、子供のころの自分に戻ることができるのなら、わたしは喜んでそうしたことだろう。♠〈元へ戻る〉一度壊[こわ]された自然は、すぐ元へ戻るものではありません。♠へ振り出しに戻る>解けなくなった問題は、いったん振り出しに戻って考え直してごらん。♠〈物が戻る>友達に貸した漫画[まんが]の本は、一か月もたつのにまだ戻らない。♠く輝[かがや]きが戻る〉少年の体を暖めてやると、ほおには赤みが、目には輝きが戻ってきた。♠へ土へ戻る>死者のなきがらは、時とともに土へ戻っていった。 **もの**【物・者】 ○物体。品物。持ち物。人。物事。事柄。事実。事態。状況。言葉。道理。超自然的な存在。漠然と対象を指す語。話者の判断・感情などをこめて用いる語。[文例]〈変な物〉廊下に変な物が落ちているよ。♠〈物が出回[でまわ]る>現代では、物が大量に出回っていて、デパートに行けば何でも買えます。♠へ持ってきた物〉よし、みんな、持ってきた物を全部ここに出せ。♠へ読む者〉動物に対する作者の強い愛情が、読む者に深い感動を与えます。♠〈使いの者「だれか、使いの者はおらぬか。」という、だんな様の声が聞こえた。♠人ものを言う〉まだ怒[おこ]っているのか、弟のやつ、ものも言わずに部屋に入ってしまった。♠へものを言う〉マラソンでは、持久力がものを言います。♠〈ものともしない>青年は、荒れくるう波をものともせず、おぼれる子供めがけて飛びこみました。♠へものにする〉一年間アルバイトをして、やっと念願のバイクをものにした。♠人ものになる〉さんざん痛い思いをしたおかげで、ぼくのスキーも、どうにかものになってきた。♠くものは言いよう〉ものは言いようで角[かど]が立つから、ことばには気をつけなければいけません。♠へものは相談〉ものは相談だが、きみの車、ぼくに譲ってもらえないかな。♠へものはためし〉ものはためし、だまされたと思って、一度この薬を飲んでごらんなさい。♠へものがわかる〉彼は、がんこなところはあるが、もののわからない人間ではない。♠へものにつかれる〉男は、食べることも寝ることも忘れ、ものにつかれたように、岩を掘り続けた。♠人ものの十分〉買ってものの十分もたたないうちに、定期券を落としてしまいました。♠へたいしたもの〉わずか十歳[さい]の子がこの絵をかいたとは、たいしたものだ。♠くもの悲しい〉どこからともなく、もの悲しい笛[ふえ]の音[ね]が聞こえてきます。♠だって、お兄ちゃんがやれって言ったんだもの・・・・・・。 **ものいい**【物言い】 ○ものの言い方。言葉づかい。相撲の判定などに異議を唱えること。[文例]〈おだやかな物言い〉おだやかな物言いの彼は、 <1133> 初対面の人にはたいがい好印象を与えます。♠へ物雪[ものゆき]いを知らない>目上に対して「きみ」とは、物言いを知らないやつだ。♠〈物言いがつく〉行司の軍配は東方の力士に上がりましたが、同体ではないかと物言いがついた。 **ものいり**【物入り・物要り】 ○費用がかかること。出費。[文例]今月は結婚式が二つほどあって、何かと物入りだった。♠〈物入りが多い〉近所付き合いを大事にしていますので、物入りが多いのは覚悟のうえです。 **ものう・い**【物憂い・懶い】 ○なんとなく気が晴れない。だるい。[文例]陽気のせいか、うとうと眠くて、何をするのも物憂い。♠おそい春の午後は、空気が物憂くよどんでいる。 **ものうげ**【物憂げ・懶げ】 ○気分が晴れずゆううつなさま。[文例]春の雨に打たれながら、放し飼いの馬たちは物憂げに草を食べている。♠へ物憂げな表情>彼女の物憂げな表情で、午後は予定のないことがわかった。♠〈物憂げなまなざし〉モデルの物憂げなまなざしが、写真全体に退廃的[たいはいてき]な雰囲気[ふんいき]をただよわせている。 **ものおき**【物置】 ○道具類やふだん使わない物を入れておく所。[文例]〈物置にしまう〉ふだん使わない家具や道具などは、物置にしまってあります。♠〈物置に閉じ込める〉言うことを聞かないと、物置に閉じ込めるぞ。 **ものおじ**【物おじ・物怖じ】 ○こわがること。おじけづくこと。[文例]〈物おじする〉自分の倍近い体格の相手にも物おじせず、勇敢[ゆうかん]に立ち向かっていった。♠〈物おじする〉育ちのよい少年だったから、物おじせず快活にふるまっていた。 **ものおしみ**【物惜しみ】 ○物を使ったり、人にやったりするのを惜しむこと。けち。[文例]〈物惜しみする〉おじさんには物惜しみしないで何でも人にやってしまう、気前のいいところがあります。 **ものおと**【物音】 ○何かの音。[文例]〈物音を立てる〉赤ちゃんが昼寝をしているので、物音を立てないようにそっと歩きました。♠〈物音が聞こえる〉紙の上をペンが走る音のほかは、物音一つ聞こえない静[しず]かな夜更[よふ]けです。♠へ物音がする〉だれもいないはずなのに、理科室でカタカタと物音がするのです。♠へ物音がやむ〉物音がやみ、子供たちの話し声も聞こえなくなった。 **ものおもい**【物思い】 ○考えにふけること。あれこれ思い悩むこと。[文例]〈物思いにふける〉幼い子供のころを思い出して、わたしはしばしの間物思いにふけった。♠<物思いに沈[しず]む〉心配ごとでもあるのか、最近の姉は物思いに沈むことが多かった。♠へ物思いをする〉からっとした性格の妹は、物思いなどしたことがないというタイプの人間です。♠〈物思いの様子〉何か物思いのご様子ですが、心配ごとでもおありですか。♠へ物思いの種[たね]〉家を飛び出して戻[もど]らぬ兄が、老いた母の物思いの種であった。 **ものかげ**【物陰】 ○物の陰になって見えない所。[文例]〈物陰から現[あらわ]れる>突然物陰から、ぬうっと男が現れた。♠へ物陰に隠[かく]れる>先回りしておどかしてやろうと、物陰に隠れて待っていました。♠〈物陰に潜[ひそ]む>室内を見回したときには、物陰に潜んでいた賊[ぞく]にまったく気がつかなかった。 **ものがたり**【物語】 ○物語ること。話。語り伝えられた話。ストーリーのある散文形式の文学作品。[文例]この作品は、冒険好きな少年がさまざまな事件を巻き起こす楽しい物語です。♠へ物語を書く〉作者は自分の生いたちを土台として、この物語を書きました。♠へ物語をする〉おじいさんが孫[まご]に「浦島太郎[うらしまたろう]」や「一寸法師[いつすんぼうし]」の物語をしています。♠へ物語を味わう〉舞台となる北海道の原野を思い浮かべながら、物語をじっくり味わいましょう。♠〈物語の展開〉主人公が故郷に帰る場面から、物語の展開がはやくなります。♠へ夢物語〉そんな夢物語をいっていないで、明日からの生活を考えてちょうだい。 **ものがた・る**【物語る】 ○語る。話をする。表す。示す。[文例]〈爆発[ばくはつ]のすごさを物語る〉こなごなに破壊[はかい]された建物は、爆発のすごさを物語っていた。♠へ老[お]いを物語る>母の頭には、老いを物語る白髪[しらが]が目立ち始めていた。♠へ当時を物語る〉城あとには、今も天守閣[てんしゆかく]の一部が残っていて、当時の隆盛[りゅうせい]を物語っている。♠く雄弁[ゆうべん]に物語る〉これらの証拠[しようこ]は、彼の無罪を雄弁に物語っています。 **ものぐさ**【物臭・懶】 ○めんどうくさがること。また、そういう人。ぶしょうなさま。[文例]〈ものぐさをする〉毎日ごろごろとものぐさばかりしていると、ぶくぶく太ってしまう。♠●〈ものぐさな人〉家にいるときの父はものぐさで、新聞さえ自分で取ろうとしません。♠ヘものぐさな態度〉きみのようにものぐさな態度では、首になるのもうなずける。♠人もぐさ太郎〉怠[なま]け者の少年は、ものぐさ太郎とよばれていた。 **ものごころ**【物心】 ○世の中のことや人間の感情を理解する心。[文例]〈物心がつく〉ぼくが物心がついたときには、父はもうこの世の人ではなかった。 **ものごし**【物腰】 ○話し方や立ち居ふるまい。人に応対する態度。[文例]〈上品な物腰>老婦人は、微笑[びしよう]をうかべ、上品な物腰であいさつをした。♠へ物腰がしとやか〉兄の婚約者[こんやくしゃ]は、物腰のしとやかな日本美人です。♠人物腰がやわらか〉物腰のやわらかな紳士[しんし]は、席に座[すわ]るとていねいにお礼を言った。♠へ物腰がていねい〉この旅館は、従業員の物腰がていねいで、とても気持ちがいい。♠〈物腰や話し方〉人は、その物腰や話し方で、ずいぶん印象が違[ちが]ってきます。♠感じのいい物腰〉彼は、その感じのいい物腰で、婦人たちの間に人気があった。 **ものごと**【物事】 ○物と事。ことがら。[文例]物事には、よい面と悪い面がある。♠物事はじっくり落ちついてやれ、あわてると失敗するぞ。♠物事は、自分で考えるように、そう簡単にはいかないものだ。♠〈物事を考える・判断する〉人間は起きているとき、常に心を働かせて、物事を考えたり判断したりしています。♠〈物事を考える〉読書は、わたしたちに、物事や人間の存在を深くじっくり考えさせてくれる。♠〈物事を説明する〉言葉の通じない人間に物事を説明するのは、想像以上に難しいものです。♠〈物事を見る〉この事件を通して、 <1134> 公平な目で物事の全体を見ることの大切さを痛感[つうかん]した。♠〈物事の見方・考え方〉物事に対する見方や考え方は、一人一人、人によって違います。♠〈物事には限度がある〉物事には限度というものがある、甘[あま]ったれるのもいいかげんにしろ。♠〈物事にこだわらない〉彼は、物事にこだわらない、自由で心の広い人物です。 **ものさし**【物差し・物指し】 ○物の長さをはかる道具。評価の基準。[文例]長さを測るときは、物差しや巻き尺を使います。♠へ物差しを当てる〉物差しを当てて、この直線の長さを測ってごらん。♠きみは、自分の物差しでしかものをみようとしない。♠大人の物差しでは子供の行動を測れないことがあります。 **ものしずか**【物静か】 ○物音がせず静かなさま。言葉や態度が落ち着いて穏やかなさま。[文例]〈もの静かな人>先生は、いかにももの静かな紳士[しんし]だった。♠へもの静かな態度〉店員のもの静かな態度は、いかにも老舗[しにせ]にふさわしい。♠〈もの静かな雰囲気[ふんいき]〉部屋の中はもの静かな雰囲気で、ときどき低い話し声が聞こえてくるだけです。♠へもの静かに話す>夫人は、もの静かに話す人でした。 **ものしり**【物知り】 ○いろいろな事をよく知っていること。また、その人。[文例]〈物知りの人〉昔は、指導力のある物知りの老人が村人たちをまとめていたのでしょう。♠人町[まち]一番の物知り〉大家[おおや]さんは町内一番の物知りでした。♠へ物知り顔>物知り顔に言うから聞いていたが、本当は何にも知らないのに驚いてしまった。♠〈物知り博士〉何でもよく知っている木村君には、物知り博士のあだ名がついている。 **ものずき**【物好き】 ○変わったことが好きなこと。また、そういう人。[文例]〈物好きな人〉こんな一文[いちもん]にもならない土地を買うとは、物好きな人だ。♠へよほどの物好き〉この寒いのに泳ぐだなんて、よほどの物好きがいるとみえる。♠人物好きなやじ馬〉派手なけんかが始まると、物好きなやじ馬が集まってきました。♠へ物好きにもほどがある〉こんなあらしの中を山に登るだなんて、物好きにもほどがあるよ。♠〈ただの物好き〉わたしはこの店を、ただの物好きでやっているんじゃないんだ。 **ものすごい**【物すごい・物凄い】 ○非常に恐ろしく、不気味な感じがする。程度がはなはだしい。[文例]〈ものすごい形相[ぎようそう]>宝物を盗[ぬす]まれた赤鬼[あかおに]は、ものすごい形相で追いかけてきました。♠くものすごい口〉下では大きなワニがものすごい口を開けて、獲物[えもの]が落ちてくるのを待ち受けていた。♠〈ものすごい感じ〉辺りは真っ暗で、寺山で鳴くふくろうの声も、ものすごい感じで聞こえます。♠へものすごいスピード>特急列車は、ものすごいスピードでプラットホームを走り過ぎました。♠へ暑さがものすごい〉一九四七年の夏は、その数年になく、暑さがものすごかった。♠へ人出がものすごい>祭日のためか、今日は、どこのデパートも人出がものすごい。♠へものすごく辛[から]い〉お昼にものすごく辛いカレーを食べたので、のどが渇[かわ]いて、渇いて。♠くものすごく腹が立つ〉ひきょうなあいつのやり方に、ぼくは、ものすごく腹が立った。 **もの・する**【物する】 ○ある事をする。書く。著す。[文例]〈名作を物する〉作家は傑作を物せんと、終日書斎[しよさい]に閉じこもっていた。♠〈日記を物する〉転居後は忙しく、日記を物せんと買い求めたノートも、いまだ白紙のままである。 **ものたらな・い**【物足らない】 ↓ものたりな・い **ものたりな・い**【物足りない】 ○何か足りないようで満足できない。[文例]壁新聞を作ったが、何か物足りない感じなので、ところどころに挿絵[さしえ]を入れることにした。♠うちの子もだんだん絵本では物足りなくなって、字の多い物語を読むようになりました。♠きみの実力はこんなものではないはずだ、この成績では物足りないよ。 **ものまね**【物まね・物真似】 ○他人や動物などの声や動作をまねること。他人のしたことのまね。[文例]忘年会では、歌や下手な物まねが飛び出して、みんな大笑いだった。♠物まねをする〉ひょうきん者の川上君は、先生の特徴[とくちよう]をとらえた物まねをして見せた。 **ものみだか・い**【物見高い】 ○好奇心が強い。珍しいものを見たがる。[文例]〈物見高い群衆〉パレードの行われる道沿いは、物見高い群衆でいっぱいです。♠人物見高いやじ馬〉男が二人けんかを始めると、物見高いやじ馬がぐるっとまわりを取り囲んだ。♠〈物見高いは江戸の常〉江戸っ子が好奇心の強いことは、「物見高いは江戸の常[つね]」という言葉によくあらわれています。 **ものみゆさん**【物見遊山】 ○見物して歩くこと。[文例]〈物見遊山の旅〉今回は研究とは無関係の物見遊山の旅ですから、ゆっくり体を休めてこようと思います。♠〈物見遊山に出る>会社を退職した父は、新婚旅行以来初めて、母と物見遊山に出た。♠へ物見遊山をする〉販路拡張で全国を回っていますが、物見遊山をしている余裕はありません。 **ものもち**【物持ち】 ○財産をたくさん持っていること。扱い方がていねいで品物を長もちさせること。[文例]村の庄屋[しょうや]はたいへんな物持ちで、蔵には珍しいものがどっさりとしまいこんであった。♠へ物持ちがよい〉母はたいへん物持ちがよく、十年も前の洋服をまだ大事に着ています。 **ものものし・い**【物物しい】 ○いかめしい。おおげさである。厳重である。[文例]〈物々しい騒ぎ〉生徒たちのいたずらが、学校中を物々しい騒ぎにまきこんだ。♠人物々しい行列〉総勢数百人という物々しい大名行列が、ゆっくりと街道を進んでいく。♠へ物々しいいでたち>舞台の上手[かみて]から、右手に太刀[たち]、左になぎなたを持った、物々しいいでたちの山伏[やまぶし]が登場した。♠人物々しい警戒[けいかい]>テロリストの襲撃[しゅうげき]に備え、空港周辺には物々じい警戒が敷かれた。 **ものわかり**【物分かり】 ○物事の理解。のみこみ。[文例]〈物分かりがよい〉少年工はたいへん物分かりがよく、一回の説明で機械の操作をすべて覚えてしまった。♠へ物分かりが早い>物分かりの早い生徒も遅い生徒もいるので、教える先生もたいへんです。 **ものわかれ**【物別れ】 ○会議や交渉で意見がまとまらずに別れること。[文例]〈交渉が物別れ>賃金[ちんぎん]交渉は物別れに終わり、 <1135> 私鉄は始発からストライキに突入した。♠へ話し合いが物別れ>両者の意見が対立し、話し合いは結論が出ないまま物別れとなった。 **ものわすれ**【物忘れ】 ○うっかり忘れてしまうこと。[文例]〈物忘れをする〉一つのことに熱中する人は、物忘れをすることも多いようだ。♠人物忘れがひどい〉年をとったせいか、近ごろ物忘れがひどくなってしまって・・・・・・。♠へ物忘れが激[はげ]しい〉いくら物忘れが激しいからって、本当に今朝何を食べたのか覚えていないのかい? **ものわらい**【物笑い】 ○ばかにして笑うこと。また、その対象。[文例]〈近所の物笑い>学校にも行かずに毎日ぶらぶらしていたのでは、近所の物笑いになってしまう。♠へ仲間の物笑い〉クイズ番組に出て一問も答えられずに帰ってきたのですから、仲間の物笑いです。♠〈物笑いの種[たね]〉あわて者の山本君は、クラスの物笑いの種です。 **もはや**【最早】 ○すでに。もう。今となっては。[文例]〈もはやいない〉父母を失った少年は、もはや、自分以外だれ一人として頼[たよ]れる者がいなかった。♠へもはや手遅[ておく]れ>車にはねられた人を病院へ運びこんだが、もはや手遅れだった。♠へもはやこれまで>周囲を敵に囲まれ、もはやこれまでと、城主は城に火を放[はな]った。♠見送りに空港へかけつけたが、もはや飛行機は飛び立ったあとでした。♠人口はますます増大しているが、資源はもはや無尽蔵[むじんぞう]とはいえません。 **もはん**【模範】 ○見習うべき手本。[文例]〈模範を示す〉剣道[けんどう]の試合に先立って、まず先生が型の模範を示しました。♠〈模範となる〉上級生のみなさんは、新入生の模範となるよう、努力してください。♠へ模範とする〉戦後、日本の民主主義は、アメリカを模範としてやってきました。♠へ人の模範〉スポーツが万能で成績優秀[ゆうしゅう]な兄貴は、いつだって、ぼくの模範だった。♠〈模範的な青年〉やって来たのは、明るくて礼儀正しい、模範的な青年だ。♠◇模範的な答え〉「ご趣味は。」と聞くと、「お茶とお花です。」という模範的な答えが返ってきた。♠〈模範生>彼は、品行方正[ひんこうほうせい]で成績抜群[ばつぐん]、非の打ちどころのない模範生です。 **もほう**【模倣・摸倣】 ○まねをして似せること。[文例]<模倣と独創〉彼の絵には、他人の模倣ではない、独創的なところがある。♠へ模倣の天才〉一般的[いつぱんてき]に、日本人は模倣の天才だが、創造力に乏[とぼ]しいと言われている。♠ヘビートルズの模倣>彼らの初期の作品のいくつかは、ビートルズの模倣でした。♠へ欧米[おうべい]を模倣する〉明治以来、日本は欧米の文化を模倣してきました。♠〈現実を模倣する〉演技の第一歩は、まず、現実を模倣することから始まります。 **もみあ・う**【もみ合う・揉み合う】 ○入り乱れて押し合う。[文例]満員電車でもみ合っているうちに、ワイシャツのボタンがはじけとんでしまった。♠ごみ焼却場建設反対を叫ぶ地域住民と機動隊が、用地の入り口付近でもみ合っている。 **もみけ・す**【もみ消す・揉み消す】 ○もむようにして消す。世間に広まらないように始末する。[文例]〈火をもみ消す>客は灰皿でタバコの火をもみ消すと、そそくさと店を出ていった。♠へ事件をもみ消す〉政治家が関与した事件をもみ消そうと、関係者に大量の金がばらまかれたらしい。♠ヘうわさをもみ消す>学校中に広まったうわさをもみ消すのは、今からではとても不可能だ。 **もみじ**【紅葉・黄葉】 ○晩秋、木の葉が赤や黄色に色づくこと。また、その木の葉。紅葉。カエデ。[文例]遠足で拾った美しい紅葉を日記帳の間にはさんで、思い出に残しました。♠赤や黄色の目にも鮮[あざ]やかな山の紅葉は、まるで美しい織物のようです。♠へもみじのような手〉「バイバイ」と言うと、赤ちゃんはもみじのようなかわいい手を振りました。 **もみで**【もみ手・揉み手】 ○左右の手のひらをすり合わせ、もむようにすること。[文例]へもみ手をする〉駅を出たとたん、旅館の客引きらしい男がもみ手をしながら近寄ってきた。 **もみほぐ・す**【揉み解す】 ○もんで柔らかくする。[文例]〈凝[こ]りを揉みほぐす>肩の凝りを揉みほぐすと、すっかり楽になりました。♠頭を揉みほぐす>子供といっしょに遊ぶことは、固[かた]くなった頭をもみほぐすのに効果的です。 **も・む**【揉む】 ○指先や両手で挟んでこする。つまんでほぐす。激しく揺り動かす。入り乱れて押し合う。激しく議論する。けいこをつける。きたえる。いらいらする。[文例]〈塩でもむ〉切ったきゅうりはよく塩でもみ、しばらく置いておきます。♠〈茶をもむ>摘[つ]んだお茶の葉は蒸してもみ、乾燥させるのです。♠へ肩をもむ〉ぼくは、時々、仕事で疲[つか]れたお父さんの肩をもんであげます。♠人人ごみにもまれる〉ラッシュの人ごみでもまれて、会社に行き着くまでにくたびれてしまうこともあります。♠へ波にもまれる〉小舟[こぶね]が一そう、荒れ狂う大波[おおなみ]にもまれていた。♠へ世の荒波にもまれる〉彼は、世の荒波にもまれながら、だんだんとたくましい人間に成長していった。♠〈けいこでもむ〉先輩[せんぱい]が、「ひとつもんでやろう。」と言って、柔道[じゅうどう]のけいこをつけてくれました。♠〈きりをもむように〉飛行機は、きりをもむように、激しく旋回[せんかい]しながら落ちていった。♠へ気をもむ〉ぼくは、待ち合わせ時間に遅れはしまいかと、気をもみながら駅まで走った。 **もめごと**【もめ事・揉め事】 ○争い。いざこざ。ごたごた。[文例]〈もめ事が起こる〉うちの家族は仲がよくもめ事が起こったことなどありません。♠へもめ事が持ち上がる〉最近会社でもめ事が持ち上がり、社員は仕事に身が入らない。♠へもめ事が収まる〉家庭内のもめ事もようやく収まり、どうやら静かな休日が過ごせそうです。♠へもめ事に巻き込まれる〉つまらないもめ事に巻き込まれ、昨日は仕事が手につかなかった。 **も・める**【揉める】 ○争いごとが起こる。心配でいらいらする。[文例]〈家の中がもめる〉遺産の分配をめぐって、家の中がもめています。♠〈会議がもめる〉議長の不用意な発言から会議がもめ出して、収拾がつかなくなった。♠へ気がもめる〉出発時間だというのに、一人だけ遅れている生徒がいる。全く気がもめるなあ。 **もめん**【木綿】 ○キワタの種子についている柔らかい繊維。 <1136> もめん糸。もめん織り。[文例]〈木綿の服〉夏は、汗をよく吸いとってくれる木綿の服が一番です。♠〈木綿のハンカチ〉彼は、いつもアイロンのあたった白い大きな木綿のハンカチを持っている。♠〈木綿の布[ぬの]〉紺地[こんじ]に花模様の木綿の布で、お母さんが浴衣[ゆかた]を縫ってくれました。 **もも**【桃】 ○バラ科の落葉小高木。春に薄紅色[うすべに]の花を開き、夏に実が熟する。実は食用。[文例]おばあさんが川で洗濯をしていると、大きな桃がどんぶらこ、どんぶらこと流れてきました。♠ピンク色の桃の花が今を盛[さか]りと咲きます。♠〈桃の節句〉三月三日のひな祭りは、桃の節句ともいいます。♠<桃栗[くり]三年柿[かき]八年>桃栗三年柿八年という言葉からわかるように、苗[なえ]を植えてもその年に実を結ぶというわけではない。♠〈驚き桃の木山椒[さんしよう]の木〉へえ、これは驚き桃の木山椒の木。 **もも**【股・腿】 ○脚のひざから上で、腰から続く部分。[文例]冷たいいすに座[すわ]っていたら、腰からももにかけて、すっかり冷えこんでしまいました。♠〈ももが太い〉スピードスケートの選手のももは、太くて、普通の人の倍もあります。♠〈ももの付け根〉足の指の傷がうんで、ももの付け根のリンパ腺がはれて痛くてたまらない。♠へももの筋肉〉久しぶりに運動したので、ももの筋肉が痛くて痛くて・・・・・・。 **もや**【靄】 ○空中にたちこめる薄い霧状のもの。[文例]〈もやがかかる〉もやがかかった西の空に夕日が沈んでいく。♠〈もやが晴れる〉空は少し明るくなってきたが、もやが晴れたわけではなかった。♠〈濃いもや〉高速道路を進むと、高層ビルの群れが濃いもやの中に浮かび上がった。♠今朝[けさ]もや>朝もやにかすむ港の景色は、とても印象的でした。 **もや・う**【舫う】 ○船と船をつなぎ合わせる。船を、岸べの枕にいっそうの船をもやう。♠船がもやっている〉海と云っても、前に大きな島があって、河のように思われた。何十隻という漁船や荷船が所々にもやっている。(志賀直哉[しがなおや]「暗夜行路[あんやこうろ]」) **もや・す**【燃やす】 ○燃えさせる。火をつけて焼く。栄養分をエネルギーに変える。気持ちを高ぶらせる。[文例]〈火を燃やす〉何だか家の中がほかほかすると思ったら、お母さんがいろりで火を燃やしているんだな。♠へかがり火を燃やす〉あの火は、城の兵士たちが警護のために燃やしているかがり火だ。♠へ物を燃やす〉火事になると危ないから、部屋の中で物を燃やすのはやめなさい。♠へ食べ物を体内で燃やす〉わたしたちは、取り入れた食べ物を体内で燃やし、そのエネルギーをもとに活動しているのです。♠〈命を燃やす〉この汚[きたな]れた川を再びサケの上[のぼ]る川にしたいという願いを支えとして、男は命を燃やし続けてきた。♠〈情熱を燃やす〉何かに熱中し、情熱を燃やしながら生きていきたいと、いつも思う。♠〈あこがれを燃やす〉人は、いつの日かあの空を自由に飛びたいと、大空への限りないあこがれを燃やしてきたのだ。 **もやもや** ○煙や湯気などがたちこめるさま。心がすっきりと晴れないさま。わだかまり。[文例]灰皿からもやもやとタバコの煙が立ち始めた。♠へもやもやした気分〉先輩から親身[しんみ]なアドバイスを受け、もやもやした気分がふっとんだ。♠へもやもやが残る〉形の上では二人は仲直りしたことになっているが、まだもやもやが残っているようだ。 **もよう**【模様】 ○織物や工芸品などに装飾として施す形・絵。様子。状況。[文例]〈花柄[はながら]の模様〉待合室には、花柄の模様のワンピースを着た女性が一人いるだけだった。♠へ水玉[みずたま]模様〉初夏には、シロツメクサが野の道を水玉模様に飾[かざ]ってくれます。♠ヘ式のもよう〉この人気歌手の結婚[けつこん]式のもようは、テレビや週刊誌などで大きく取り上げられました。♠〈事故のもよう〉被害者[ひがいしゃ]たちは、ガス爆発[ばくはつ]の事故のもようを恐[おそ]ろしそうに語った。♠へ集まるもよう〉明日の盆踊[ぼんおど]り大会には、町内の人のほとんどが集まるもようだ。♠へ遅れるもよう〉途中[とちゅう]大雪のため、新幹線の到着[とうちゃく]は一時間くらい遅れるもようです。♠〈模様替え〉春になったから、部屋の模様替えをしようかな。♠〈空もよう〉この空もようだと、明日のハイキングはあぶないな。♠〈人生模様〉この小説は、五人の男女の織りなす人生模様が主題になっています。 **もよおし**【催し】 ○もよおすこと。もよおし物。行事。きざし。[文例]〈催しを行う〉創立三十周年を祝って、ぼくたちの学校では、いろいろな催しが行われました。♠へ催しが多い〉運動会、学校祭、修学旅行と、秋は催しが多いので先生も大変です。♠催しがある>先週の日曜日には、町内会の主催[しゅさい]でカラオケ大会の催しがあった。♠文化の日の催し〉文化の日の催しとして、県立美術館で「浮世絵展[うさよえてん]」が開かれます。♠駅前商店街の催しで、今年は夏休みお化け大会をやるそうだ。 **もよお・す**【催す】 ○企画して実行する。引き起こす。きざす。[文例]〈ショーを催す〉新聞社の主催により、緑を守る運動のためのチャリティーショーが催されました。♠へ歓迎会を催す〉来週の土曜日、恒例[こうれ]の新入生歓迎会を催しますので、皆さん参加してください。♠へ涙[なみだ]を催す〉別れた兄をさがし続けているというその子の身の上話に、人は皆涙を催した。♠へ眠気[ねむけ]を催す〉眠気を催すような来賓のあいさつは、いつ終わるともなく続いた。♠<寒気[さむけ]を催す〉男は、冷たく肌[はだ]を刺す風に寒気を催して、コートのえりを立てた。♠〈便意を催す〉とつぜん、便意を催したぼくは、あわてて公園のトイレにかけこんだ。♠〈興[きよう]が催す〉たまには仲間と酒を飲み、興が催すと下手な歌も歌います。 **もより**【最寄り】 ○いちばん近く。近所。[文例]〈最寄りの駅〉ここからですと、最寄りの駅まで歩いて二十分はかかりますよ。♠へ最寄りの交通機関〉最寄りの交通機関としては、JRと私鉄があり、通勤にはとても便利な所です。♠へ最寄りの商店>当選したくじは、最寄りの商店で景品と引き換えますのでお持ちください。 **もらいなき**【もらい泣き・貰い泣き】 ○他の人が泣くのに同情して一緒に泣くこと。[文例]〈もらい泣きする〉女の身の上話を聞いて、思わずわたしまでもらい泣きしてしまった。 **もらう**【貰う】 ○人から与えられたものを受け取る。頼んで引き取る。家に迎え入れる。自分のものにする。他人に行為を依頼し、 <1137> そこから利益を得る。[文例]〈金をもらう〉夏休み中、ぼくはアルバイトをして、わずかながらお金をもらいました。♠人賞をもらう〉絵の上手な姉は、コンクールというと、必ず賞をもらいます。♠へ嫁[よめ]をもらう「お兄ちゃん、お嫁さんをもらいなさいよ。」と、わたしは言いました。♠〈便りをもらう〉ヨーロッパ旅行中の友達から、絵はがきの便りをもらった。♠〈ひまをもらう〉お盆[ぼん]には、お店の主人にひまをもらい、田舎[いなか]に帰るのが楽しみでした。♠へ商品をもらう〉このショートケーキ三個とプリンを二個、全部で五個もらおうか。♠〈勝負をもらう「この勝負はもらったぜ。」と、男は勝ちほこったように言った。♠へ〜してもらう〉いやなことが続くので、母は、易者[えきしや]の所へ手相[てそう]を見てもらいに行きました。♠〈~してもらう〉春休みには、先生に推薦してもらった本を読んでみるつもりです。 **もら・す**【漏らす・洩らす】 ○もれるようにする。秘密などを外部に知らせる。声や表情に出す。本心を言う。落としたり抜かしたりする。[文例]〈おしっこを漏らす〉おしっこを漏らした男の子は、泣きながら保母[ほぼ]さんの所にやってきた。♠〈秘密を漏らす〉わたしは、親友からうち明けられた秘密を、だれにも漏らしませんでした。♠〈漏らさず書く〉申し込み用紙の記入事項は、漏らさず正確に書いてください。♠〈会心[かいしん]の笑みを漏らす〉九十八点と書かれた答案が返ってきたので、ぼくは、思わず会心の笑みを漏らした。♠へため息を漏らす〉店の経営が思うようにいかず、深いため息を漏らして、父はじっと考え込んでいる。♠〈本音[ほんね]を漏らす〉言わないほうがよかったかなと、うっかり本音を漏らした後で悔[く]やむことがある。♠〈細大[さいだい]漏らさず〉わたしの知っていることは細大漏らさず、すべてお話しいたします。♠〈水も漏らさぬ警戒[けいかい]>犯人の逃走[とうそう]経路になりそうな道路には、非常線が張りめぐらされ、水も漏らさぬ警戒ぶりです。♠へ聞きもらす>先生の講義を一言[いつ]も聞きもらすまいと、わたしは一生懸命[いつしようけんめい]だった。 **モラル** ○道徳。倫理。[文例]〈モラルが低い〉社会生活の面から見ると、一般[いつぱん]に日本人のモラルは低いと思われる。♠〈古いモラル〉近ごろでは、古いモラルにしばられない自立した女性が多くなりました。♠へ男女間のモラル>戦前の日本では、男女間のモラルはことのほか厳しいものでした。♠ヘモラルを軽[かろ]んじる>現代では、個人の自由を尊重するあまりに、モラルを軽んじる傾向[けいこう]がある。♠ヘモラルに欠[か]ける「自分さえよければ、人の迷惑[めいわく]は顧[かえり]みない」というモラルに欠ける態度が、最近目につきます。♠〈社会のモラル〈モラルに背[そむ]く〉社会のモラルに背けば、当然、わたしたちは罰[ばつ]を受けることになる。 **もり**【森・杜】 ○木の茂った神社などの霊域。多くの木が茂っている所。[文例]〈森と林〉森というと、林よりこんもりと木が茂っている感じを受けます。♠へ森の動物>森の鳥や獣[けもの]たちはぐっすり眠っていましたが、暗やみでは、おおかみが目を光らせていました。♠〈深い森>深い森は光をさえぎり、音もなく静まり返っている。♠〈森に覆[おお]われる〉わたしの住む町は緑にめぐまれ、いたるところ森に覆われています。♠へ鎮守[ちんじゅ]の森〉村はずれの鎮守の森には、いろんな小鳥がたくさんやってくるのです。♠へ森を切り開く〉一本の道路を通すために、森は切り開かれ、山は崩[くず]されていきました。♠へ木を見て森を見ない〉部分部分にだけ気を配っても、全体のことを考えないと、「木を見て森を見ない」と言われるぞ。 **もり**【銛】 ○魚や鯨[くじら]などをとるための先のとがった道具。[文例]〈もりを突き刺す〉かかった魚が船端[ふなばた]に近づくと、漁師はもりを突き刺して船に引き上げた。♠へもりを打ちこむ>捕鯨船[ほげいせん]に乗り組み、鯨にもりを打ちこむ仕事をしていた。 **もり**【守り・守】 ○守ること。守る人。子もり。[文例]〈赤ちゃんのお守り〉〈お守りをする〉食事のしたくをする間、赤ちゃんのお守りをしてください。♠へ守りをする〉小さい弟を背中に背負って守りをしながら、母に言いつけられた買い物に行きます。♠〈子守〉えっちゃん、悪いけどちょっと子守をしてちょうだい。♠〈灯台守[とうだいもり]〉岬の灯台には、五十過ぎの灯台守がたった一人で住んでいます。 **もり**【盛り】 ○盛ること。盛る分量。もりそば。[文例]ご飯の盛り〉〈盛りがよい〉その学生食堂はご飯の盛りがよく、普通の食堂の二杯分くらいあります。♠◇盛りを減らす〉食欲がないので、もう少しご飯の盛りを減らしてください。♠人もりそば>木村さんとこの出前は、カツ丼[どん]三つに天丼[てんどん]二つ、それともりそばが五枚です。 **もりあが・る**【盛り上がる】 ○盛ったように高くなる。雰囲気や気分が高まる。[文例]〈水面が盛り上がる〉静かだった水面が急に盛り上がり、大きな波が岸に打ち寄せた。♠ヘこんもり盛り上がる〉平らな土地の中で、そこだけがこんもり盛り上がった丘[おか]になっています。♠へ気運が盛り上がる〉ぼくたちの間には、自分たちのチームを作ろうという気運が盛り上がってきました。♠へ試合が盛り上がる〉試合は同点のまま後半に入り、いよいよ盛り上がってきた。♠へ人気が盛り上がる〉勉強もできるし容姿もいいのだが、彼の人気は今一つ盛り上がらない。♠へ運動が盛り上がる>豊かな自然を取り戻そうとする運動は、市民の間から盛り上がってきたものです。♠ヘパーティーが盛り上がるゲストの女優が姿を現すと、パーティーは一気に盛り上がった。 **もりあ・げる**【盛り上げる】 ○盛って高くする。雰囲気[ふんいき]や気分を高める。[文例]〈土を盛り上げる〉アリなどの巣のまわりには、土が盛り上げられています。♠◇雰囲気を盛り上げる〉ふりそで姿の女性たちが、パーティーの雰囲気を華[はな]やかに盛り上げています。♠へ気分を盛り上げる〉町じゅうのお祭り気分を最高に盛り上げたのは、なんと言っても仮装[かそう]行列だ。♠へ運動を盛り上げる〉自然を守る運動を、今後どのように盛り上げていったらよいか、それがぼくたちの課題だ。♠へ気運を盛り上げる〉クラスが一つになって、ぜひとも学校祭を成功させようと、気運を盛り上げていきました。 **もりかえ・す**【盛り返す】 ○衰えた勢力を再び盛んにする。[文例]〈勢力を盛り返す〉ようやく勢力を盛り返した平家は、 <1138> 一の谷[いちのたに]に陣[じん]を構え、大軍を集結した。♠へ勢いを盛り返す>八回裏、ホームランで追いついた巨人軍は、いっきょに勢いを盛り返しました。♠〈事業を盛り返す〉経営の失敗による損害は大きく、事業を盛り返すのはむずかしそうに思えた。♠〈身代[しんだい]を盛り返す〉ぐうたらなおやじが傾[かたむ]けた身代を、息子の代になってから盛り返したという。♠へ成績を盛り返す〉三位に落ちた営業成績を盛り返そうと、彼は必死にがんばった。♠へ人気を盛り返す〉ここ数年、和服が人気を盛り返し、着物の着付け教室はどこも満員です。 **もりこ・む**【盛り込む】 ○盛って入れる。組み入れる。中に含ませる。[文例]〈栄養を盛り込む>毎日の食事には、わたしたちに必要な栄養を盛り込まなければなりません。♠へ意見を盛り込む>部員みんなの意見を盛り込んだ、新しい規則が決定された。♠〈内容を盛り込む〉あまりたくさんの内容を盛り込もうと欲張ると、作文は失敗することが多いのです。♠ヘアイデアを盛り込む〉子供たちの作った工作には、子供らしい、おもしろいアイデアが盛り込まれていた。♠〈項目[こうもく]を盛り込む〉この辞書一冊に、約八万もの項目が盛り込まれているのです。♠ヘユーモアを盛り込む〉ユーモアを盛り込んだ彼の小説は、若い人たちに絶大な人気があります。 **もりた・てる**【もり立てる・守り立てる】 ○守り育てる。助けて一人前にする。勢いを盛んにする。[文例]〈主君[しゆくん]をもり立てる〉前の藩主[はんしゆ]が亡[な]くなったあと家老が後見[こうけん]となって、幼[おさな]い主君をもり立てていた。♠へ人をもり立てる〉ここまでわたしをもり立ててくださったファンの皆さまに、お礼を申し上げます。♠へ運動をもり立てる〉これらの消費者運動をもり立ててきたのは、若い主婦や学生たちです。♠へ会社をもり立てる〉わたしたちは、つぶれかけた会社をもり立て、どうにかこれまでにすることができました。♠人気分をもり立てる〉友達は、沈んでいるぼくの気分を、励ましの言葉でもり立ててくれました。 **もりつ・ける**【盛り付ける】 ○料理を器にきれいに並べ入れる。[文例]〈刺身[さしみ]を盛り付ける〉大皿[おおざら]にきれいに盛り付けられた刺身は、見るからにおいしそうです。♠へ料理を盛り付ける〉板前さんはできあがった料理を手際よく盛り付け、お客さんの前に出しました。 **もりもり** ○たくさん食べるさま。勢いよく物事を行うさま。力強く起こるさま。[文例]〈もりもり食べる〉ごはんをもりもり食べて、思いきり体を動かすことがぼくの健康法です。♠〈もりもり働く〉結婚したらもりもり働くぞ。♠ヘスタミナがもりもり〉ニンニク料理やスッポン料理は、スタミナがもりもりつきます。♠〈筋肉もりもり〉ウエートリフティングをやっている彼は筋肉もりもり、すばらしい肉体美をほこっている。 **も・る**【盛る】 ○高く積みあげる。器に高く入れる。薬を調合して人に飲ませる。感情や考えを文に表現する。目盛りをつける。[文例]〈ご飯を盛る〉「おかわり。」と言うと、お母さんは茶わんにご飯を盛ってくれた。♠〈皿[さら]に盛る〉ひょいと見ると、テーブルの上には、クッキーを盛った皿が置いてあった。♠〈酒を盛る〉女は、大男が酔[よ]いつぶれるようにと、どんどん酒を盛った。♠〈砂を盛る〉砂場では、子供たちが砂を盛ってトンネルを作っています。♠へ毒を盛る>急死した王は、王座をねらう何者かによって毒を盛られたのである。♠〈内容を盛る〉この物語に盛られた内容は、実際にアメリカで起きた事件がもとになっています。♠へ言葉に盛られた意味〉監督[かんとく]のきびしい言葉に盛られた深い意味は、選手一人一人がよく理解していた。 **も・る**【漏る・洩る】 ○漏れる。[文例]〈雨が漏る〉行ってみると、今にも天井[てんじよう]から雨が漏りそうなぼろアパートだった。♠<屋根が漏る>屋根がひどく漏るから、一度ちゃんと修理をしてもらったほうがいいですよ。♠〈水が漏る>靴底[くつぞこ]が破れているのか、水が漏って、中まですっかりぬれてしまった。♠だれだ、こんな所に水の漏るバケツを置いたのは! **もれ**【漏れ・洩れ】 ○漏れること。落ち。抜け。[文例]〈バケツの漏れ>底に小さな穴が開いていて、バケツの漏れがひどい。♠〈雨水[あまみず]の漏れ〉テントにはところどころ雨水の漏れを防ぐために、ガムテープが張りつけてあります。♠へ記載の漏れ〉〈漏れがある・ない〉名簿[めいぼ]に記載の漏れがないことを何度も確かめました。♠<漏れなく>参加者全員に、漏れなく特製のテレフォンカードが配られた。 **も・れる**【漏れる・洩れる】 ○すきまからこぼれ出る。外へ流れ出る。抜け落ちる。他に知られる。外れる。[文例]〈水が漏れる穴があいているのに気づかずにいたので、バケツの水は全部漏れてしまった。♠へ空気が漏れる〉すうすうと空気が漏れるばかりで、ぼくの口笛[くちぶえ]はさっぱり鳴らないや。♠〈ガスが漏れる〉どこかでガスが漏れてるんじゃないのか、くさいぞ。♠◇日差しが漏れる〉明るい午後の日差しが木々の枝[えだ]を漏れて、わたしの顔に降り注いでいた。♠へ歌声が漏れる〉五月の風にのって、教室の窓から、美しい歌声が漏れてくる。♠へすすり泣きが漏れる〉式に参列した人々の間から、犠牲者[ぎせいしゃ]の死を悲しむすすり泣きが漏れてきた。♠人名簿[めいぼ]から漏れる>学校側の手ちがいで、ぼくの名前が卒業生名簿から漏れていたのだ。♠へ秘密が漏れる〉いつの間にか重要な秘密が漏れて、大騒ぎになった。♠◇選[せん]に漏れる〉わたしの絵は、審査員[しんさいん]の注意をひいたが、惜[お]しくも選に漏れたそうだ。♠〈例にもれず>若い女性の例にもれず、お姉さんも、太[ふと]ることをとても気にしている。 **もろ・い**【脆い】 ○壊れやすい。砕けやすい。弱い。感じやすい。[文例]〈風にもろい〉杉[すぎ]は一見強そうに見えますが、見かけによらず、風にもろい木です。♠へもろくも崩[くず]れる〉あんなに強そうに見えた堤防[ていぽう]も、降りしきる雨にもろくも崩れた。♠へもろくも敗[やぶ]れる〉優勝候補と見られていたわがチームは、第二戦でもろくも敗れ去りました。♠〈情にもろい〉父は情にもろいので、気の毒な人を見ると、すぐに同情してしまう。♠へ涙[なみだ]もろい〉年を取って涙もろくなった母は、何かというとすぐに泣くのだった。 **もろて**【もろ手・諸手・両手】 ○両手。[文例]〈もろ手で突[つ]く〉大石君にもろ手で突かれると、ぼくは土俵の外にふっとんでしまった。 <1139> ●へもろ手をあげる>午後の数学の時間は、外に出てソフトボールをやらないかという先生の提案に、生徒たちはもろ手をあげて賛成しました。 **もろとも**【諸共】 ○いっしょ。ともども。[文例]〈船もろとも>乗客を無事避難させると、船長は船もろとも海の藻屑[もくず]と消えたのです。♠へ家もろとも〉氾濫[はんらん]した川は濁流[だくりゆう]となって、人々を家もろとも押し流してしまった。♠へかけ声もろとも「やっ!」と言うかけ声もろとも、大男は投げ倒[たお]された。♠〈死なばもろとも〉後ろに追っ手のせまった二人は、死なばもろともとばかり、断がいから飛び降りた。 **もろに** ○まともに。じかに。直接に。[文例]〈もろにぶつかる〉よそ見をしていてもろに壁にぶつかり、大きなこぶをつくった。♠へもろにかぶる>頭からバケツの水をもろにかぶってしまった。♠●へもろに受ける〉その時期の日本は、アメリカの経済不況の影響をもろに受けていた。 **もろはだ**【もろ肌・諸肌・両肌】 ○左右両肩の肌。上半身全部の肌。[文例]へもろ肌脱ぐ〉もろ肌脱いだ男が勇ましく太鼓[たいこ]をたたく。♠くもろ肌を脱ぐ〉あなたが新しい仕事を始めるのでしたら、もろ肌を脱いで協力させていただきます。 **もろはのつるぎ**【もろ刃の剣・諸刃の剣・両刃の剣】 ○両側に刃のある剣。用い方によって、効果はあるが危険なおそれもあるということ。[文例]薬というものはもろ刃の剣で、病原菌を死滅させる反面、正常な細胞を損[そこ]ねる危険もある。 **もろもろ**【諸諸】 ○いろいろ。さまざま。[文例]〈もろもろの事情>兄が音楽家への道をあきらめ、店を継いだのには、もろもろの事情があった。♠未開の地にこの病院ができるまでには、もろもろの、言葉に尽くせぬ苦労があった。♠へその他もろもろ〉特等カラーテレビ、一等自転車などをはじめとして、賞品はその他もろもろ、多数用意してあります。♠日本を離[はな]れ、外国に生活する人は多いが、その理由はもろもろだ。 **もん**【門】 ○家・屋敷の出入り口として設けたもの。物事の出入りするところ。学問などの系統。生物分類上の一区分。[文例]〈学校の門>彼女とは、いつも学校の門の所で待ち合わせをしている。♠へ門を出る〉ちょうどその時、寺の門を出てきたのは和尚[おしよう]さんだった。♠へ都[みやこ]の門>唐[とう]の都洛陽[らくよう]の西の門の下に、ぼんやり空を仰[あお]いでいる一人の若者がいた。♠〈門が閉まる〉ようよう奉行所[ぶざようしよ]にたどり着いてみれば、門はまだ閉まっていた。♠ヘ門が開[あ]く〉図書館は九時からだから、門が開くまでにはまだ十五分ある。♠〈門をくぐる〉ある夕方、門をくぐって、立派な身なりをした紳士[しんし]が入ってきた。♠〈門をくぐる〉希望に燃えてこの大学の門をくぐってから、はや二年半がすぎた。♠へ門を閉ざす〉事件以来一か月、悲しみに沈[しず]む被害者宅は、いまだに門をかたく閉ざしたままです。♠へ門をたたく>京[きよう]に上[のぼ]った彼は、かねてからあこがれていた先生の門をたたいた。♠へ門に入る〉彼は十七歳[さい]の時、父の勧めでオランダ流外科の西玄哲[にしげんてつ]の門に入った。♠〈狭[せま]き門〉今年は受験生の数が多く、例年に比べて狭き門と言われる。 **もん**【紋】 ○織物などに描かれた模様。地に表された図形。家のしるしとして決められている模様。家紋。[文例]〈紋をつける〉白地[しろじ]の羽に黒い紋をつけたモンシロチョウは、だれでも知っています。♠〈紋のような模様〉風が砂丘の上に吹くと、紋のようにきれいな模様が砂の上にできるのです。♠〈紋になる〉あわいふじ色の着物には、波の模様が紋になってうき出ていた。♠ヘタイヤの紋〉人間の指紋はぎざぎざになっていますので、自動車のタイヤの紋とおなじですべり止めになります。♠〈家の紋〉家には、古くから伝わる、それぞれの家のしるしの紋があり、家紋[かもん]といわれます。♠へ紋所[もんどころ]〉三つ葉葵[みつばあおい]の紋といえば、ごぞんじ、徳川[とくがわ]家の紋所である。 **もんか**【門下】 ○ある先生について教えを受けること。また、その人。[文例]坪内逍遙[つぼうちしようよう]門下の島村抱月[しまむらほうげつ]によって近代の演劇は発展した。♠門下生>吉田松陰[よしだしよういん]は幕末に松下村塾[しようかそんじゆく]を開き、その門下生に伊藤博文[いとうひろぶみ]・山県有朋[やまがたありとも]など数多くの明治の政治家がいた。 **もんがいかん**【門外漢】 ○専門でない人。そのことに直接関係のない人。[文例]わたしはイタリア文学に関しては全くの門外漢なので、その詩人を知りません。♠門外漢扱い>みんなはぼくを門外漢扱いにして、仲間うちのことには口を閉ざすのだった。 **もんがいふしゅつ**【門外不出】 ○家の外への持ち出しを許さないこと。[文例]〈門外不出とする〉これまで門外不出とされていた古代エジプト王の秘宝が、ついに一般公開されることになった。 **もんきりがた**【紋切り型】 ○紋を切り抜くための一定の型。決まりきったやり方・様式。[文例]「明けましておめでとう、今年もよろしく」という紋切り型の年賀状がたくさん届いた。♠へ紋切り型の表現〉報道記事は正確に伝えることが第一なので、どうしても紋切り型の表現になってしまう。♠へ紋切り型のあいさつ>葬儀場[そうざじよう]では、「このたびはどうも」という紋切り型のあいさつが交わされるだけで、ほかに言葉もなかった。 **もんく**【文句】 ○文章中の語句・言葉。言い分。苦情。[文例]〈かるたの文句「犬も歩けば棒[ぼう]に当たる」のようないろはがるたの文句には、ほかにもことわざがたくさんあります。♠〈年賀状の文句>毎年のことだが、年賀状の文句やデザインを考えるのは楽しかった。♠へきまり文句〉たいていのおとぎ話が、「めでたし、めでたし」のきまり文句で終わっています。♠へ文句をつける〉姉が作ったクッキーに、ばくと弟は、やれまずいだの何だのと文句をつけました。♠〈文句が出る〉ほかの住人から文句が出るので、アパートで犬を飼うことはできません。♠〈文句を言う〉「出前が遅[おそ]い。」と電話で文句を言ったら、あわてて持ってきた。♠〈文句がある・ない〉陰[かげ]でこそこそ言わないで、文句があるならあるとはっきり言いなさい。♠〈文句なしの出来〉練習のかいがあって、わが校の体操の演技は、文句なしの出来だった。 **もんげん**【門限】 ○夜、門を閉める時刻。夜、家に帰っていなければならない時刻。[文例]家の門限は八時ですから、もうそろそろ帰らなければなりません。 <1140> ♠へ門限を破る>昨日寮の門限を破った二人に、寮長はトイレ掃除の罰を与えた。♠<門限に遅れる〉門限に遅れたのはバスがなかなか来なかったからです、中に入れてください。♠へ門限がある・ない〉うちは放任主義ですから、門限はありません。 **もんこ**【門戸】 ○家の出入り口。物事の入り口。一家。一派。[文例]〈門戸を構[かま]える〉妻帯した新三郎は家を出、新しく四谷[よつや]に門戸を構えた。♠〈門戸をなす〉泉のほとりに約二百戸の門戸をなす、古くから農業を営む人々の村落があった。♠<門戸を閉ざす〉館[やかた]の主[あるじ]は門戸を固く閉ざし、どんな客にも会おうとしなかった。♠門戸を開く〉女性に対して門戸を開く企業が増えてきました。♠く門戸を開放する>長い鎖国[さこく]に終止符を打ち、日本が門戸を開放して外国と正式に貿易を始めたのは、一八五八年のことです。 **もんじん**【門人】 ○ある先生のもとで教えを受ける人。門下生。門弟。[文例]〈道場の門人〉その若者は千葉周作[ちばしゆうさく]の道場の門人で、日夜剣の修練[しゆうれん]に励[はげ]んでいました。♠へ門人を集める〉正岡子規[まさおかしき]が根岸短歌会を起こして集めた門人の中に、伊藤左千夫[いとうさちお]・長塚節[ながつかたかし]らがいた。♠門人を育てる「解体新書」を刊行したあと、蘭学者[らんがくしや]杉田玄白[すぎたげんばく]は医家として、その門人を育てた。 **もんぜつ**【悶絶】 ○もだえ苦しんで気絶すること。[文例]〈悶絶する>犯人が細工した毒薬を飲んだ男は、悶絶して倒れた。 **もんぜん**【門前】 ○門の前。[文例]〈家の門前>若者は入門を許されるまで、師匠[ししよう]の家の門前で何日も粘[ねば]った。♠門前市[いち]をなす〉大臣の屋敷には、たくさんの陳情客[ちんじようきやく]が訪れ、門前市をなすにぎわいである。♠門前の小僧[こぞう]習わぬ経[きよう]を読む>「門前の小僧習わぬ経を読む」で、日ごろ聞きかじったことが知らず知らずのうちに身につくことがある。♠門前払[ばら]い〉ぜひ会いたいと思って訪ねたのに、門前払いを食わされた。♠<門前町>長野市は、善光寺[ぜんこうじ]の門前町として栄えてきた。 **もんだい**【問題】 ○解答を要求する問い。解決しなければならない事柄。とり上げるべき事柄。めんどうな事件。人々に注目されている事柄。疑問。[文例]<試験の問題>試験に出たのは、ゆうべ家でやったのとほとんど同じ問題だった。♠〈問題を解く〉難しい数学の問題を解くのに、三十分もかかった。♠へ大きな問題〉チームにとって、だれがキャプテンになるかは大きな問題だ。♠へ切実な問題>家計を預かる主婦にとって、物価の上昇は切実な問題です。♠◇問題がある・ない>農薬を使うことには、害虫だけでなく役に立つ動物や虫までも殺してしまうという問題がある。♠ヘやっかいな問題〉〈問題が残る〉お金のことはそれでいいとしても、もう一つやっかいな問題が残っている。♠へ問題になる>生徒会で、クラブ活動に無関心な生徒が増えていることが問題になった。♠〈問題にする〉どこの学校を出たかを問題にするよりも、どんな人物であるかということを考えるべきではないか。♠〈身近な問題〉まず我々としては身近な問題を取り上げ、解決していくのが先決だと思う。♠◇問題に取り組む>兄は目下、弁護士として公害問題に取り組んでいます。♠へ問題を起こす〉そんなにあわてて、また彼が何か問題を起こしたのかい?♠◇問題にぶつかる〉いよいよ工事を開始するという段階に入って、また新たな問題にぶつかった。♠へ問題を抱[かか]える〉太陽熱エネルギーの実用化に関しては、まだいくつかの問題を抱えている。♠へ問題を投[な]げる〉孤独[こどく]な老人の死を取り上げたこの記事は、わたしたちに様々な問題を投げかけた。♠◇問題にならない〉いくら相撲[すもう]が強いったって、小学生と高校生では問題にならないよ。♠へ問題の人物>右から三番目のちょっと背の高い男が問題の人物です。♠〈時間の問題〉ここまでくれば、もはやわが軍の勝利は時間の問題だ。♠〈程度問題〉まじめなのもいいが程度問題だ、あれじゃ固苦[かたぐる]しくてかなわない。♠人死活問題>漁業従事者にとって、海の汚染は死活問題です。<先決問題>原因の究明はもちろん必要ですが、応急処置が先決問題です。♠〈別問題〉それとこれとは別問題ですから、同時に議論しないほうがよいでしょう。 **もんち**【門地】 ○家柄。[文例]日本国憲法には、人種や性別、門地によらず、すべての国民は平等であることが明記されている。 **もんちゃく**【悶着】 ○争いごと。もめごと。いさかい。いざこざ。[文例]〈悶着が絶えない〉四つもの世帯が同居する大家族だから、いつも悶着が絶えなかった。♠へ悶着を起こす〉協調心に欠ける子で、いつも周囲と悶着を起こしていた。♠<悶着が収まる〉新しい用水路が完成したことで、村と村との水をめぐる問着は収まった。♠ヘ一悶着ある〉仲の悪い二人が顔を合わせるのだから、一悶着あるぞ。 **もんつき**【紋付き】 ○家紋のついている和服。紋服。[文例]〈紋付きを着る〉正月に紋付きを着る人も少なくなりました。♠花嫁[はなよめ]は文金高島田[ぶんきんたかしまだ]、花婿[はなむこ]は紋付きはかまといった格好で入場してきました。 **もんてい**【門弟】 ○弟子。門下生。門人。[文例]〈門弟をかかえる〉彼は有名な俳人であり、たくさんの門弟をかかえています。♠へ門弟となる〉尊敬する師の門弟となり、学問に励[はい]みました。♠門弟が集まる>吉田松陰[よしだしょういん]の開いた松下村塾[しょうかそんじゅく]にはたくさんの門弟が集まり、数多くの明治の政治家を出した。 **もんどう**【問答】 ○問うことと答えること。問いと答えのやりとり。議論。[文例]〈なぞなぞ問答〉わたしは居間でお茶を飲みながら、子供たちのなぞなぞ問答を聞いていた。♠〈問答を交わす〉少し遅れてきたわたしは、その間二人がどんな問答を交わしたのかわからなかった。♠〈問答をする〉禅寺の住職を相手に問答をして、みごとに言い負[ま]かされた。♠<問答無用〉「問答無用!」とさけぶと、相手は刀をふりかざして切りかかってきた。♠〈押し問答〉満員の車内では、小さな原因から乗客どうしの押し問答が起こることがある。 **もんなし**【文無し】 ○お金がないこと。一文無し。[文例]最後の千円を使い果たし、老人はとうとう文無しになってしまった。 <1141> **もんばん【門番】** ○門のわきで出入りの監視をする役目(の人)。[文例]屋敷[やしき]にはこわい門番がいるので、用もなしに入れない。●通用門を通ろうとしたら門番に止められ、通行許可証を見せるように言われた。 **もんもう【文盲】** ○文字が読めないこと。また、その人。[文例]〈無学文盲〉わたしはまったくの無学文盲ですから、難しい話は理解できません。◆〈文盲率〉その国の教育のレベルをはかるのに、文盲率は一つの目安になります。 **もんもん(悶悶)** ○悩み苦しんでもだえるさま。[文例]〈悶々[もんもん]たる思い>彼女の手紙には、冷たくなった恋人に対する悶々たる思いがつづられていた。●へ悶々と過ごす〉主君[しゅくん]から謹慎[きんしん]を命じられた家老は、屋敷で悶々と不遇[ふぐう]の日を過ごした。 **もんよう【文様・紋様】** ○装飾として描かれる絵・図形。模様。[文例]〈織物[おりもの]の文様〉でき上がった織物の文様は、空を舞う鶴[つる]の姿を図案化したものだ。●〈文様がつく〉縄文式土器[じょうもんしきどき]は、その名の通り縄目[なわめ]の文様がついているものが多い。 **や** **や【矢】** ○弓にかけて射[い]る、矢じりのついた武器。[文例]穹[きゅう]と矢>床[とこ]の間に、先祖伝来の弓と矢が大切に飾[かざ]られている。◆<矢のように速いプロ野球のピッチャーの投げる球は、矢のように速い。●〈矢をつがえる〉〉〈矢を射る〉味方の軍勢は、休む間もなく弓に矢をがつがえ、激しく射て敵を防いだ。◆<矢を放つ〉初陣[ういじん]の若武者が放った矢が、見事に敵の武将を射抜いた。●へ質問の矢>先生は、生徒たちの鋭[するど]い質問の矢にたじたじとなった。〈光陰矢[こういんや]のごとし「光陰矢のごとし」で、月日は矢のように過ぎるから、一日一日を大切にしよう。●へ矢も盾[たて]もたまらない〉祖母[うば]が入院したとの知らせに、矢も盾もたまらなくなって病院へ駆けつけた。へ矢の催促[さいそく]>先生は矢の催促を受けて、徹夜[てつや]で原稿[げんこう]を書いてい る。●へ矢でも鉄砲[てっぽう]でも持ってこい〉酒を飲んだときぐらいは、「矢でも鉄砲でも持ってこい」と、強がってみたい。◆〈刀[かたな]折[お]れ矢[や]尽[つ]きる〉刀折れ矢尽きて、味方の軍勢は敗走した。●〈白羽[しらは]の矢が立つ>長者の娘に白羽の矢が立って、美しい娘はお城に召されていった。 **や【家・屋】** ○いえ。家屋[かおく]。その職業の家・人。専門家。その性質をもつ人。屋号[やごう]・雅号[がごう]。[文例]〈この家のあるじ〉私[わたくし]めがこの家のあるじで、甲州屋治兵衛[こうしゅうやじへえ]と申します。●へわが家〉狭[せま]いながらも楽しいわが家で、親子三人仲よく暮らしております。●〈本屋>学校の帰りに本屋さんで立ち読みをしていたら、おこられちゃった。●へお天気屋〉きみはお天気屋で、気分がころころ変わるからいやになるよ。●へ恥ずかしがり屋>人前で話をすることなど、あの恥ずかしがり屋の石川さんには無理です。●へ分からず屋〉この、分からず屋の石頭め。 **や【野】** ○野原。野。民間。野蛮。[文例]〈野に下[くだ]る〉一八七三年、征韓論[せいかんろん]に破れた参議西郷隆盛[さいごうたかもり]は、官を辞して野に下った。へ無人[むじん]の野を行く〉この事業にとりかかった当初は、無人の野を行くがごとき感があった。 **やいなや【や否や】** ○・・・したかと思うとすぐに。・・・するが早いか。[文例]弟は、学校から帰るや否や、ランドセルをほうり出して、遊びにいってしまった。●新幹線の座席に落ち着くや否や、大いびきをかいて眠ってしまった。●自分がその気になるや否や、相手の気持ちを確かめもせずに、結婚[けっこん]を申し込んだ。 **やいば(刃)** ○(「焼き刃」から)はもの。は。刀剣。[文例]〈刃[やいば]にかける〉賊[ぞく]は店の者を刃にかけ、金目のものは残らず奪って逃げた。●へ刃にかかる〉辻斬[つじぎ]りの刃にかかった町人は、これで五人目だった。●へ刃を向ける〉非道な仕打ちにたまりかねて、彼は主人に刃を向けた。 **やいん【夜陰】** ○夜のやみ。[文例]〈夜陰に乗じる〉犯人[はんにん]は、夜陰に乗じて追っ手[おって]の追跡[ついせき]を逃れた。●〈夜陰にまぎれる>男の姿は、夜陰にまぎれてたちまち見えなくなった。へ夜陰に消える〉その犬は夜陰に消えて、二度と現れなかった。 **やえい【野営】** ○野外に陣営を設けること。また、その陣営。野宿すること。[文例]〈野営する〉わたしたちの部隊は、その夜、山中に野営することになった。◆〈野営地>深夜になって、我々は先発隊の野営地に着いた。 **やおちょう【八百長】** ○試合・競技を前もって仕組んだ通り、いんちきに進めること。物事をなれあいで行うこと。[文例]〈八百長をする〉スポーツの世界では、八百長をした選手は追放になるのが普通です。◆ヘ〈八百長試合>注目のタイトルマッチが八百長試合だったことが発覚した。 **やおもて【矢面】** ○敵の矢が飛んでくる正面。まっこうから質問・非難・攻撃をあびる立場。[文例]〈矢面に立つ>家来らは敵の矢面に立って戦い、主君が逃げのびる時間をかせごうとした。◆<矢面に立つ>企画は失敗に終わり、責任者のわたしは非難の矢面に立たされた。 **やおら** ○おもむろに。ゆっくり。[文例]彼はやおら立ち上がると、静かな調子で話し始めた。●それまで黙って話を聞いていたキャプテンが、やおら顔を上げたので、皆そちらを向いた。 **やがい【野外】** ○野原。屋外[おくがい]。[文例]〈野外の空気〉久しぶりに郊外[こうがい]に出、野外の空気を思う存分吸ってきた。◆人野外の催[もよお]し>夏の夜は、野外でさまざまな催しが行われる。◆野外コンサート>夏の一夜、星空の下で野外コンサートが開催[かいさい]され、大勢の市民がつめかけた。 **やがく【夜学】** ○夜間に授業をする学校。夜学校。[文例]〈夜学に通う〉中学を卒業してすぐ工場に勤めた少年は、夜学に通って勉強を続けた。●〈夜学に学ぶ>夜学に学ぶ生徒たちはだれもみんな真剣で、教室には熱気が満ちていた。 **やかた【屋形】(館)** ○大きな屋敷。大きな邸宅。また、その主人。[文例]<義経[よしつね]の <義経の館[やかた]>丘の上の高館[たかだち]は、源[みなもと]義経の館の跡[あと]という。●へお館さま>その屋敷の主人を、村人たちはお館さまと呼んで敬[うやま]っていた。●へ屋形船〉だんな衆が大川に屋形船を浮かべて、船遊びをしている。 <1142> **やがて(廳て)** ○まもなく。そのうちに。[文例]そうこうするうちに、やがて四時になった。●腰を下ろしていると、やがてバスが来た。 **やかまし・い(喧しい)** ○さわがしい。うるさい。盛んに話題になっている。口うるさい。気むずかしい。厳しい。[文例]〈やかましい声〉がんの群れは、えさ場に下りると、ガーガーとやかましい声で鳴き始めた。●〈論議がやかましい〉世界じゅうで、軍縮についての論議がやかましいが、実現は難しそうだ。●〈世間でやかましい〉彼が今、世間でやかましい例の事件の主人公さ。●〈口がやかましい>祖母は、口がやかましいだけで、根は優しい人だ。●へしつけにやかましい〉母は、特にしつけにやかましい。●へ食べ物にやかましい〉祖父は、食べ物にやかましく、特に魚は、取りたてでないと食べない。<取り締まりがやかましい〉年末は、酒酔い運転などの取り締まりがやかましいから気をつけなさい。 **やから(族・輩)** ○一族。仲間。連中。[文例]〈源氏のやから平家[へいけ]の軍勢は、水鳥の羽音[はおと]に驚いて、「源氏のやからが攻めてきた。」とあわてふためいた。へふていのやから〉駅の雑踏[ざっとう]で老人にぶつかったら、ふていのやから呼ばわりをされて不愉快だった。●へ無頼[ぶらい]のやから〉昨夜[さくや]、江戸の町外れで、無頼のやからが集まって、騒[さわ]ぎを起こしたといううわさだ。●へあんなやから〉あんなやからと付き合っているようじゃあ、おまえもろくな人間にならないよ。◆自分の過[あやま]ちをわびることもできないやからとは付き合いたくもない。 **やかん【夜開】** ○夜の間。[文例]〈夜間の冷え込み〉キャンプをするときは、夜間の冷え込みに備えて、セーターかジャケットを用意しなさい。◆〈夜間外出>戒厳令[かいげんれい]が敷かれたこの国では、十一時以降の夜間外出は禁じられている。 **やかん(薬罐)** ○金属性の湯わかし道具。[文例]〈やかんの湯〉ストーブにかけたやかんの湯がぐらぐらと煮たっていた。◆ヘやかんを火にかける〉彼女はやかんを火にかけると、手早くお茶の用意を整えた。●へやかん頭〉ほら、ほら、あんまり怒らせるから、おじいさんのやかん頭から湯気が立ち始めたわよ。 **やき【夜気】** ○夜の空気。夜のけはい。[文例]〈夜気が迫[せま]る〉美しい夕暮れに見とれているうち、いつの間にか湖岸[こがん]に夜気が迫っていた。●〈夜気にあたる〉勉強で疲れたので、少し夜気にあたろうと庭に出てみた。 **やき【焼き】** ○焼くこと。焼きかげん。焼いたもの。焼き物。刃物などを加熱・冷却を繰り返して硬くすること。こらしめること。[文例]〈焼きを入れる〉あいつ、ヘマばかりして、少し焼きを入れないといかんな。●へ焼きが回る〉みすみす犯人[はんにん]を取り逃がすとは、鬼[おに]刑事と言われたおれも焼きが回ったな。◆<伊万里焼[いまりやき]>伊万里焼の大皿[おおざら]を大切にしています。 **やきいん【焼き印】** ○熱して物に焼き付ける印。また、その跡。[文例]〈焼き印を押す〉店で使う木製の道具には、店の名の焼き印が押してあった。 **やきうち【焼き打ち・焼き討ち】** ○火をつけて攻撃すること。火攻め。[文例]〈焼き打ちをかける〉夜陰[やいん]に乗じて忍び込んだ敵が、味方の陣[じん]に焼き打ちをかけた。●く焼き打ちにあう〉敵の焼き打ちにあって、城内のあちこちに火の手があがった。 **やきつく【焼き付く】** ○焼けてくっつく。心に強く残る。[文例]〈肌[はだ]に焼き付く〉肌に焼き付くような日差しの下で、ぼくたちはセミをとって遊んでいた。●〈目に焼き付く〉少年時代を過ごした満州[まんしゅう]の地が、目に焼き付いてはなれない。●〈心に焼き付く〉水を求めながら死んでいった人々の光景は、今もわたしの心に焼き付いている。 **やきつく・す【焼き尽くす】** ○ことごとく焼く。残らず焼く。[文例]〈町を焼き尽くす〉炎[ほのお]は風にあおられてまたたく間に燃え広がり、町全体を焼き尽くした。◆〈己[おのれ]を焼き尽くす〉真に芸術を追求するには、己を焼き尽くすほどの燃えるような精神力を必要とする。 **やきつける【焼き付ける】** ○焼いて跡をつける。焼いてくっつける。めっきをする。写真で印画紙[いんがし]に陰画[いんが]を重ねて光を当てて、陽画[ようが]を作る。強い印象を残す。[文例]〈ネガを焼き付ける〉このネガを焼き付けてもらいに写真屋さんへ行くとこ ろです。●へまぶたに焼き付ける〉今日、ここで別れて二度と会えないかもしれない父の姿を、わたしはまぶたに焼き付けた。 **やきなおし【焼き直し】** ○もう一度焼くこと。以前の作品や他人の作品に多少手を加えて新作とすること。[文例]〈旧作の焼き直し〉この作品は以前のものを改作したもので、いわば旧作の焼き直しです。 **やきはら・う【焼き払う】** ○辺り一面をすっかり焼く。[文例]〈町を焼き払う〉町は、空襲で跡形もなく焼き払われてしまいました。へ野を焼き払う〉焼き畑農民は火を放って、枯れ野を焼き払った。 **やきもき** ○気をもむさま。[文例]〈やきもきする〉いつものことながら、おばさまのまのびした話し方にはやきもきさせられる。●へやきもき思う〉待てども来ぬ人をやきもき思うのは人の常でしょう。 **やきもち【焼きもち】(焼き餅)** ○焼いたもち。ねたみ。嫉妬[しっと]。[文例]〈焼きもちを焼く〉夫がよその女性と立ち話をしていたくらいで、そんなに焼きもちを焼くことはないでしょう。●〈焼きもち焼き>彼はひどい焼きもち焼きで、奥さんが一人で外出するのもおもしろくないらしい。 **やきもの【焼き物】** ○土を焼いて作った陶磁器など。肉・魚などを焼いた料理。焼いて鍛[きた]えた刃物。[文例]〈焼き物を作る〉老人は、ろくろを回して一心に焼き物を作っていた。●〈焼き物を焼く〉彼は焼き物師としての名声には目もくれず、茶わんや皿小鉢[さらこばち]など日常に使う焼き物を焼き続けた。●〈魚の焼き物〉運ばれた膳[ぜん]には、野菜の煮物、川魚の焼き物、吸い物などがいろどりよく並べてあった。 **やきゅう【野球】** ○九人一組で交互に相手の投手の投げた球を打つゲーム。[文例]〈野球をする〉昼ご飯を食べたら、空き地で野球をしようよ。●〈野球の試合〉野球の試合が近づくと、ぼくたちは毎日遅くまで猛練習[もうれんしゅう]した。●へ野球の選手>野球の選手の目には、普通の人より、はるかによく球が見えているにちがいない。 <1143> ●〈野球部〉わが校野球部の夢は、もちろん甲子園へ行くことです。 **やきん【夜勤】** ○夜間の勤務。[文例]〈夜勤をする〉わたしは、週に二回、工場で夜勤をして朝帰宅します。●へ夜勤の看護婦>消灯時間が過ぎてしばらくたつと、夜勤の看護婦さんが病室を見回って歩く。 **やく【役】** ○役目。役割。職務。主だった職務。役者の受け持ち。[文例]〈役を務める〉今朝のホームルームのとき、初めて議長の役を務め、大いに緊張[きんちょう]した。●へ役を引き受ける〉母が出かけるので、小さい妹の世話をする役を引き受けた。◆〈役を受ける〉町内の子供のキャンプの引率なんて、それは大変な役を受けたものだね。●へ厄介[やっかい]な役〉〈役が当たる〉町会[ちょうかい]の会計担当[たんとう]なんて、厄介な役が当たっちゃったよ。●〈役をになう〉句読点は、文章を句切る重要な役をになっている。●〈役を免[めん]じる>旗本[はたもと]や御家人[ごけにん]といえども、職務上の過失などで役を免じられることがあった。●へ役をふる〉世話役がみんなに役をふり、さっそく全員が仕事にとりかかった。●へ役がつく〉かけ出しの役者にとっては、役がつくだけでもありがたいよ。●〈役を演じる〉歌舞伎[かぶき]で、女性の役を演じる男優のことを、女形[おやま]という。●〈役づくり〉〈役になりきる〉彼女はどんな役を振り当てられても、文句を言わずに役づくりに励み、役になりきる女優だ。●へ役を決める〉〈役が回る〉クラスで劇の役を決めたところ、ぼくには通行人の役が回ってきた。●へ役に立つ〉父は、食糧増産の役に立つ薬を発明しようと努力している化学者だ。●へ役を果たす>魚は全身を使って前へ進むが、トカゲやカエルは、四本足がその役を果たしている。 **やく【約】** ○約束。取り決め。省略。おおよそ。↓約する[文例]〈約を果たす>武士たる者は、自分の命にかけても約を果たさねばならんぞ。●〈約をふむ〉その夜、千代はその男との間の約をふむべく、指定された場所へ出かけて行った。●最寄りの駅まで歩いて約十分です。 **やく【厄】** ○災い。災難。厄年[やくどし]。[文例]〈厄を払う〉よくないことが続くので、神社へ行って厄を払ってもらった。◆人四十二の厄>主人が四十二の厄なので、病気や事故が心配です。 **や・く【焼く】(妬く)** ○火をつけて燃やす。火であぶる。熱して炭・陶器などを作る。日光に当てる。写真を焼き付ける。薬品の激しい作用を及ぼす。気を使う。嫉妬する。[文例]〈卵[たまご]を焼く>母は、片手で卵を割って、フライパンで上手に焼く。●〈山野を焼く〉昔[むかし]、富士山の大噴火[だいふんか]のとき、ものすごい量の溶岩[ようがん]が山野を焼きながら流れ下った。●〈家を焼かれる火事[かじ]で自分の家を焼かれた記憶は、小さい時のことでもはっきり残っている。●〈炭[すみ]を焼く〉祖父は若いころ裏山にこもり、炭を焼いて暮らしたそうだ。●へ焼き物を焼く〉父親がふだん家庭で使うような地味な焼き物ばかり焼いているのが、息子には不思議でならなかった。●〈日に焼く>海水浴に行って体じゅうを日に焼き、真っ黒になって帰ってきた。●〈写真を焼く>先日の家族旅行のときにとった写真を、焼いて見るのが楽しみだ。●へ世話をやく>巣[す]から落ちたひなは、皆で世話をやいて育てることにした。●へ手をやく〉うちの犬のいたずらにも困ったものだ、ぼくもほとほと手をやいているんだから。●へやきもちをやく〉自分で努力をしないで、成績のよい友だちにやきもちをやくのは、よくないね。●へ恋に身をやく〉この小説は、恋に身をやく若い二人が周囲の反対を乗りこえてゆく物語だ。●へ煮[に]ても焼いても食えない〉彼女は、煮ても焼いても食えないしたたかな女だから、気をつけろ。 **やくいん【役員】** ○役目を担当する人。団体や組織で運営上の責任をもつ人。[文例]〈生徒会の役員>来年度の生徒会の役員を決める選挙が行われました。●〈町内会[ちょうないかい]の役員〉町内会の役員をしていますが、これがけっこう忙しいのです。 **やくがら【役柄】** ○役目の性質。演じる役の性格。役目上の体面。[文例]〈役柄があう〉きみには幹事のような、人の世話をする役柄があっているようだ。●〈役柄を重んじる>諸君は委員に選ばれたのだから、その役柄を重んじた行動をとってくれたまえ。◆へ役柄になりきる〉小学校の学芸会では、うちの娘もすっかり役柄になりきって熱演しました。◆<役柄をこなす〉新人女優ながら、難しい役柄をこなして好評だった。 **やくざ** ○ばくち打ち。ならず者。なまけて役に立たないさま。[文例]〈やくざの足[あし]を洗[あら]う〉サブもやくざの足を洗って、堅気[かたぎ]な商売を始めたらしい。◆ヘやくざな男〉おまえみたいなやくざな男は、所帯[しょたい]を持たないほうがいい。◆ヘやくざな生活>夕方起き出して夜中オートバイを乗り回すなんてやくざな生活を、いつまで続けるんだ。 **やくざい【薬剤】** ○薬品。くすり。[文例]<薬剤をまく>米軍は「枯れ葉作戦」でベトナムに大量の薬剤をまき、草木を枯らした。◆<薬剤師>薬局へ行って薬剤師に病状を話したら、よく効く薬を出してくれた。 **やくしゃ【役者】** ○俳優。主だった顔ぶれ。[文例]〈舞台の役者>座席が後ろの方だったので、舞台の役者の顔がはっきり見えなかった。●へ役者が上>適当に追い払おうと思ったが、相手の方が役者が一枚上でいらない物を買わされてしまった。へ役者がそろう〉これで役者がそろったから、今夜の話し合いを始めます。 **やくしょ【役所】** ○国や地方公共団体の事務を取り扱う所。官公庁。[文例]〈役所に勤める〉大学で農業経済を学んだ彼は、農林水産省という役所に勤めました。●〈お役所仕事〉まあ、お役所仕事だから、時間はかかるわ、融通[ゆうずう]はきかないわで、しようがないね。 **やくじょ【躍如】** ○いきいきと現れているさま。[文例]<面目躍如[めんぼくやくじょ]>市民運動会に参加したわが社の陸上部は、さすがに実業団の面目躍如たるものがあった。 **やくしょく【役職】** ○役目と職務。組織の運営上重要な役目。[文例]〈役職にある〉〈役職を退[しりぞ]く>長年、会社で重要な役職にあった祖父は、いよいよ今年限りで退くという。◆役職に就[つ]く〉〈役職を離[はな]れる〉おじは、多くの役職に就いていたが、今は病気のために、すべての役職を離れている。◆町奉行[まちぶぎょう]は、警察・司法・行政など、町人生活の監督、取り締まりをする役職であった。 <1144> **やくしん【躍進】** ○目ざましく進歩・発展すること。[文例]〈躍進の年〉今年は新しい事業を成功させ、わが社の躍進の年としたい。●へ躍進する〉今回の試験では、クラスの大石君が学年二位に躍進した。●へ躍進ぶり〉この五年間の業績の伸びから見ても、この会社の躍進ぶりは目覚ましい。 **やく・する【約する】** ◯約束する。省略する。要約する。約分する。[文例]〈再会を約する〉オリンピックで競い合った若者たちは、再会を約して別れた。●〈文章を約する>次の文章を約して、百字程度にまとめなさい。●〈分数を約する〉分子と分母が同じ数で割れる分数は、約して簡単な形にすることができる。 **やく・する【訳する】** ○翻訳する。古語を現代語に直す。[文例]〈日本語に訳する〉上田敏の訳詩集『海潮音』は、英・仏・独・伊等の近代詩を美しい日本語に訳したものである。◆<現代語に訳する〉わたしは、今、『古事記』を現代語に訳した本を読んでいます。 **やくそく【約束】** ○取り決めること。取り決め。きまり。定まった運命。[文例]〈約束を守る〉ほら、いつかの約束、必ず守ってよ。●く約束を破る〉二時間も待っているのに友達が来ないけれど、約束を破るつもりだろうか。●へ約束をする〉ぼくたちは、卒業して三年後に、校門の前でまた会う約束をした。●へ約束を取りかわす〉娘は、以前からその青年と、結婚の約束を取りかわしていたらしい。●〈約束になる〉俳句には、「季語」を詠みこむ約束になっているが、短歌には、こうした約束はない。●〈約束に従う〉一度決まった以上は、どんなことがあっても約束には従うよ。●〈約束を忘れる〉約束を忘れるなんて、あいつは全くでたらめな男だ。へ約束をすっぽかす>彼女との約束どおり、その場所で待っていたのにすっぽかされた。●へ固く約束する〉決してのぞいて見たりしないって、あんなに固く約束したのに。●〈将来を約束する〉その青年は仕事ができ、人柄もよいので、将来を約束されている。 **やくだ・つ【役立つ】** ○役に立つ。用をはたす。[文例]〈身を守るのに役立つ>動物の体の色が周囲の色と似ているのは、恐[おそ]ろしい敵から身を守るのに役立つ。●〈生活に役立つ>生活に役立つ暮らしの知恵[ちえ]を、お年寄りから教えてもらおう。●へ~するときに役立つ〉指紋は、人間とサルにあるだけだが、ものをにぎるときに、大いに役立っている。●へ人間に役立つ〉〈~として役立つ〉モルモットは、医学の実験用として人間に役立っている。●へ学習に役立つ〉いろいろな本を読むことで、学習に役立つ知識を得ることができる。 **やくだ・てる【役立てる】** ○役に立てる。効果的に使用する。[文例]いざという時に役立てようと、少しずつ貯金しておいた。●〈自己形成に役立てる〉文学の名作を読んで、わたしたちの自己形成に役立てよう。 **やくどう【躍動】** ○活発に動くこと。いきいきと活動すること。[文例]〈筋肉の躍動>若者のシャツの下になまなましい筋肉の躍動をわたしは感じていた。●へ感性の躍動〉少年少女の詩には、感性のみずみずしい躍動を見ることができる。◆<躍動する〉運動場では、子供たちが力いっぱい躍動する姿が見られた。●へ躍動感〉三月、街を行く若者たちの肉体に躍動感のあふれる季節です。 **やくとく【役得】** ○その役についているために得られる利益。[文例]デパートの売り場主任ですから、若い女性の従業員に囲まれているのは役得です。●〈役得がある〉業者に認可を与える役所ですから、役得もあるでしょう。 **やくどころ【役所】** ○与えられた役目。ふさわしい役柄。[文例]パーティーの司会なんて、口べたのぼくの役どころじゃないよ。◆〈難しい役どころ〉〈役どころをこなす〉新人俳優に犯罪者という難しい役どころをこなせというほうが無理だ。 **やくにん【役人】** ○官職についている人。公務員。[例]〈幕府の役人〉巡見使[じゅんけんし]は、江戸時代、将軍の代替[だいが]わりごとに各地の政情[せいじょう]、民情[みんじょう]視察のため派遣[はけん]された幕府の役人である。〈大蔵省[おおくらしょう]の役人>彼は大学を優秀な成績で卒業すると、大蔵省の役人になった。◆へ役人風〉昔と違って役人風を吹かす公務員は少なくなったように思います。 **やくば【役場】** ○町・村の役所。公証人[こうしょうにん]が事務をとる所。[文例]〈村の役場〉地域の産業を調べるために、村の役場に行って資料を見せてもらった。●〈町役場〉父は町役場の出納係[すいとうがかり]をしています。 **やくびょうがみ【疫病神】** ○疫病[えきびょう]をはやらせる神。人々に面倒や不幸をもたらす人。[文例]〈疫病神に会う〉別に借金を申し込みに来たわけではないのだから、疫病神に会ったような顔をして、わたしを見ないでくれたまえ。 **やくひん【薬品】** ○薬剤。くすり。[文例]〈救急用の薬品>家庭では、何種類か救急用の薬品を備えておく必要がある。◆<薬品を塗る〉金属の腐食を防ぐために特殊な薬品が塗ってあります。●へ化学薬品〉この研究所で使う化学薬品の中には有害なものも多い。 **やくぶつ【薬物】** ○薬や毒になる物質。[文例]〈薬物を飲む>被害者は病死のように見えたが、実は薬物を飲まされていたことが判明した。●〈薬物を混入[こんにゅう]する〉この集団中毒は、どうも飲み物に薬物が混入されていた疑いがある。 **やくぶん【訳文】** ○原文を翻訳したり、解釈した文。[文例]日本語の抒情的[じょじょうてき]な文章の情趣[じょうしゅ]を、そのまま外国語の訳文に移すことは至難[しなん]の業[わざ]である。◆この『源氏物語』の訳文には、文意をとらえやすくするために言葉が補[おぎな]われています。 **やくみ【薬味】** ○食物にそえる香辛料[こうしんりょう]。薬品。[例]〈薬味を入れる〉彼はそばつゆに薬味のネギを入れると、おいしそうに食べ始めた。●薬味をきかせる・がきく〉この料理は、薬味をきかせてあってとても風味[ふうみ]がよい。 **やくめ【役目】** ○割り当てられた務め。[例]〈役目をする〉牛のしっぽは、寄ってくる虫を追うはえたたきのような役目をしている。●〈役目を果たす>送り仮名は、漢字の読み方をはっきりさせる大事な役目を果たしている。●〈役目にする〉つめは、指の先の柔[やわ]らかい部分の保護を、主な役目にしている。 <1145> ●<親の役目>子供が皆独立したので、ようやく親の役目から放免[ほうめん]された。●へ役目にふさわしい〉彼の性格や仕事ぶりからして、その役目にふさわしく、ぴったりだよ。●〈手の役目>義手は、手を失った人のために、手の役目を引き受けるものだ。●〈役目を負う〉そんな責任の重い役目を負わされるのは、まっぴらごめんだ。 **やくよう【薬用】** ○薬として用いること。[文例]<薬用せっけん〉皮膚の弱いわたしは、薬用せっけんで洗顔しています。◆<薬用植物〉この薬には、種々[さまざま]の薬用植物が用いられている。 **やぐら(櫓)** ○木材を組んで高く建てたもの。城門・城壁に設けた高楼[こうろう]。物見などのために高く構えた台。こたつの台。[文例]〈やぐらを組む〉広場の真ん中にやぐらが組まれ、盆[ぼん]踊りの準備が進められています。●〈火の見やぐら〉火の手を発見した見張り番は、火の見やぐらの半鐘[はんしょう]を激しく打ち鳴らした。 **やくろう(薬籠)** ○薬箱。携帯用の薬入れ。[文例]〈薬籠に親しむ〉小生[しょうせい]、幼少より病弱で薬籠に親しんでまいりました。◆〈自家薬籠中の物[じかやくろうちゅうのもの]〉大工のせがれに生まれた父でしたから、かんななどは自家薬籠中の物でした。 **やくわり【役割】** ○それぞれに役目を割り当てること。また、割り当てられた役目。[文例]〈役割を決める〉今日、学芸会の劇の役割を決めたが、ぼくは照明係になった。●へ役割がある〉舌[した]には、食べ物の味を味わう役割がある。へ役割を果たす〉キュリー夫妻が発見したラジウムは、医学の進歩に大きな役割を果たした。●へ役割を持つ〉〈役割に合う〉話し言葉と書き言葉は、それぞれの役割と特色をもっているので、その役割に合うよう使い分けよう。●へ役割を分担する>脚本は、役割を分担して、登場人物の気持ちに合うように音読すると、理解しやすい。●へ役割を占[し]める〉川の水は、工業の発達とともに、工業用水としても重要な役割を占めるようになった。●〈役割をになう〉助詞は、文を組み立てるうえで大切な役割をになっている。 **やけ(自棄)** ○すてばち。やけくそ。やぶれかぶれ。[文例]へやけになる〉一度くらい受験に失敗したって、やけになることはないよ。●ヘやけを起こす〉彼は正選手になれなかったので、やけを起こして部をやめてしまった。●ヘやけのやんぱち〉成績が悪いので、母にうんとしかられ、やけのやんぱちで寝てしまった。●へやけっぱちへやけ酒〉あの男は、どんないやな目にあったのか、やけっぱちになり、やけ酒ばかり飲んでいる。 **やけあと【焼け跡】** ○焼けた跡。[文例]家族は、家の焼け跡にぼうぜんと立ちつくした。●東京は空襲[くうしゅう]で焼きはらわれ、人々は焼け跡に建てたバラックで暮らしていた。 **やけい【夜景】** ○夜の景色。夜色。[文例]〈夜景を眺[なが]める〉わたしたちは、ホテルのレストランで夜景を眺めながら食事を楽しみました。●〈香港[ほんこん]の夜景>香港の夜景は、東洋の真珠[しんじゅ]といわれるほど美しい。 **やけい【夜警】** ○夜間に見回って警戒をすること。また、その人。[文例]〈夜警が見回る〉工場では、深夜も一時間おきに夜警が見回っている。●へ夜警に立つ>夜警に立った彼は、不審な物音を耳にして用心深く目を凝[こ]らした。●へ夜警をする>冬になると、商店街の有志などが夜警をして、火の用心を呼びかけます。 **やけいし【焼け石】** ○焼けた石。[又例]〈焼け石に水〉このぐらいのお金では、焼け石に水でしょうが、少しでもお店の立て直しに役立てばと思います。 **やけお・ちる【焼け落ちる】** ○焼けてくずれ落ちる。[文例]〈天井が焼け落ちる>煙[けむり]に巻かれながら必死で外に飛び出すと同時に、家の天井が焼け落ちた。●へ爆撃[ばくげき]で焼け落ちる〉爆撃で焼け落ちた工場が無残な残骸[ざんがい]をさらしていた。 **やけくそ(自棄糞)** ○「やけ」を強めた語。自暴自棄。やけっぱち。[文例]〈やけくそになる〉仕事がうまくいかなくなると、夫はやけくそになって毎日酒びたりになった。ヘやけくそで~する>無理に父の店を継[つ]がされた当時のわたしは、半ばやけくそで仕事をした。 **やけださ・れる【焼け出される】** ○火事で焼かれて住む家を失う。[文例]〈火災で焼け出される〉火災で焼け出された一家は、ひとまず知り合いの家に身を寄せた。 **やけつ・く【焼け付く】** ○焼けてくっつく。[文例]〈焼けつくような炎天[えんてん]>焼けつくような炎天の下を、兵士たちは黙々[もくもく]と行軍した。く焼けつくような渇[かわ]き〉一行は、砂漠を焼けつくような渇きにあえぎながらさまよった。 **やけっぱち(自棄っぱち)** ○「やけ」を強めた語。自暴自棄。[文例]何もかもうまくいかず、わたしはやけっぱちになって悪い仲間とつきあうようになった。●わたしはやけっぱちで、思っていることを全部吐き出した。 **やけど(火傷)** ○(「焼け処[どころ]」の意)火・熱湯などで皮膚を傷めること。また、その傷。危険なことに手を出して痛手をこうむること。[文例]〈やけどを負う〉爆発事故でひどいやけどを負った作業員が病院にかつぎ込まれた。●ヘやけどをする>素人[しろうと]が株に手を出して、やけどをすることがあります。◆ヘやけどする〉金が目当ての女が相手なら、深みにはまるとやけどすることになる。 **やけのはら【焼け野原】** ○野火などで焼けた野原。辺り一面がすっかり焼けた所。焼け野が原。[文例]〈焼け野原と化す>空襲による大火炎で、東京は一面の焼け野原と化した。 **や・ける【焼ける】(妬ける)** ○火で燃える。あぶられて熱が通る。熱せられて炭・陶器などができる。熱せられる。日光で皮膚が黒くなる。日光で変色する。空が赤く染まる。胃がただれるように感じる。手がかかる。ねたましく感じる。[文例]〈火事で焼ける〉幼[おさな]いころの家は火事で焼けて、今は跡形[あとかた]もない。●へ肉が焼ける〉台所でジューと肉の焼けるにおいをかぐと、急におなかがへってきた。◆〈日光で焼ける〉真夏の強い日光で焼けたトタン板は、手で触[さわ]れないほど熱い。●〈肌[はだ]が焼ける〉〈日に焼ける二人の少女が腕をくっつけて、どっちの肌が日に焼けているか、比べ合っている。◆〈真っ赤に焼けた夕焼け〉真っ赤に焼けた夕焼け空を、ガンの列が飛んでいく。●へ世話が焼ける>弟は、まだ四歳[さい]で目が離せず、ほんとうに世話が焼ける。 <1146> ●へ胸が焼ける〉おやつに焼きいもを食べすぎて、胸が焼ける。●へ仲がよくてやける〉いつ見てもあなたたちは仲が良くて、なんだかやけてくるね。 **やこう【夜行】** ○夜、行くこと。夜間に行動すること。夜行列車。[文例]〈夜行でたつ〉十時の夜行で上野をたって、郷里の秋田へ向かう予定です。●〈夜行性〉こうもりは夜行性の動物で、夕方になると飛び回ります。 **やごう【屋号】** ○商店や歌舞伎役者[かぶきやくしゃ]などの家の呼び名。[文例]<屋号を持つ〉歌舞伎の役者は、役者名のほかに成駒屋[なりこまや]などの屋号を持っています。●へ屋号がつく〉小田野さんのうちは、「寿司元[すしもと]」という屋号のついたおすし屋さんです。 **やごう【野合】** ○男女が結婚によらずに交わること。対立する者同士が妥協[だきよう]によって結び付くこと。[又例]〈与野党の野合>政局は混乱の度を強め、与党と野党の野合など国民の顰蹙[ひんしゅく]を買うありさまだった。 **やさい【野菜】** ○畑で栽培する副食物の植物。青物。([文例]〈野菜を食べる>肉や野菜などをバランスよく食べることが大切です。●へ野菜を植える〉母は、庭の片隅[かたすみ]に季節の野菜を植えています。●〈野菜を作る〉野菜を作るには、大変な手間と根気が必要です。 **やさき【矢先】** ○矢の先端。矢の飛んでくる正面。ちょうどその時。[文例]<矢先に立つ〉彼は、敵の攻撃の矢先に立って奮戦[ふんせん]した豪勇[ごうゆう]の士[し]である。◆買い物に出かけようと玄関[げんかん]に立ったやさきに、客が来た。●事故が起こったのは、スピード違反を取り締まろうと思っていたやさきだった。 **やさし・い【易しい】** ○簡単だ。容易だ。たやすい。[文例]<易しい問題〉こんな易しい問題なら小学校の一年生でもできる。●へ仕事が易しい>器用な彼にとっては、どんな仕事も易しいようだ。◆<易しいこと〉初めてセーターを編んだけれど、想像していたほど易しいことではなかった。へ易しく解説する〉新聞で、時事問題を中・高生向きに、易しく解説している記事を読んだ。く易しい小説〉これは、きみたちぐらいの中学生にとっては、易しい小説ではない。 **やさし・い【優しい】** ○おとなしい。おだやかだ。しとやかだ。思いやりがある。[文例]〈気立てが優しい>死んだ姉は、いつもひかえめで気立ても優しい人だった。●〈優しい声>幼いころ、母は優しい声で、よく子守歌を歌ってくれたものだ。●〈優しい表情〉道で、優しい表情の見知らぬ婦人がほほえみかけてきた。●〈優しい風〉春の優しい風が少女のほおをなでていく。●〈他人に優しい〉この人は、自分には厳しいが、他人には優しい人だ。●肌に優しい〉できるだけ肌に優しい洗剤を選んで使っています。 **やじ(野次・弥次)** ○冷やかしたりはやし立てたり非難したりして、人の言動を妨害すること。また、その言葉。[文例]〈やじを飛ばす>街頭演説をしている政治運動家に、聴衆[ちょうしゅう]の一人がやじを飛ばした。●ヘやじが飛ぶ〉壇上でもごもご言っていると、会場から、しっかりしろ、とやじが飛んだ。●〈やじ馬〉大声で言い争う二人の周りにやじ馬が集まってきました。 **やじうま【やじ馬】(野次馬・弥次馬)** ○自分とは関係のないことで、おもしろ半分に騒ぎ立てる人。[文例]〈やじ馬が現れる〉撮影[さつえい]の現場には、どこからともなくもの好きなやじ馬が現れて、人垣[ひとがき]を作るものだ。◆ヘやじ馬が集まる〉火事場にやじ馬が大勢集まると、消火の邪魔[じゃま]になります。●ヘやじ馬根性[こんじょう]〉やじ馬根性のおう盛な弟は、救急車や消防車が通る度に飛び出していく。 **やしき【屋敷】** ○家の敷地。敷地の広い大きな家。[文例]〈金持ちの屋敷〉祖母は、小学校を卒業するとすぐ、金持ちの屋敷へ奉公[ほうこう]に行ったそうだ。●へ屋敷の中〉他人の屋敷の中を、無断で通り抜けてはいけない。●へお屋敷のおじょう様〉どこかのお屋敷のおじょう様にでも生まれていれば、こんな苦労はしなくてもすんだのに。●〈大きな屋敷〉車は、屋敷町として知られるこの辺りでも、ひときわ大きな屋敷の門前に着いた。●〈家屋敷>生活に困って、とうとう先祖代々の家屋敷を手放すことになった。●へ武家屋敷〉この町には武家屋敷が何軒も残っている。 **やしな・う【養う】** ○育てる。扶養する。飼う。食事を与える。養成する。養生[ようじよう]する。[文例]〈子を養う〉母は、ぼくを頭に五人の子供たちを、女手一つで養ってくれた。へ家族を養う〉だれであれ、家族を養っている人は、そのことだけでりっぱです。●へ牛馬を養う〉昔は、一部の豊かな農民だけが、牛や馬を養うことができた。●〈生命を養う〉砂糖[さとう]が使われるようになり、人の生命を養うための食物以外に、楽しみを深める食物が作られた。◆◇目を養う〉社会の現実の姿を描[えが]いたこの作品を通して、人間と社会を見る目を養おう。●〈力を養う〉新聞や雑誌をよく読んで考えれば、情報の収集と選択の力を養うことができるはずだ。●人情操[じょうそう]を養う〉詩・俳句や短歌にこめられた詩情を味わい、豊かな情操を養いましょう。●〈英気[えいき]を養う〉休日には、仕事のことを忘れ十分に休養し、英気を養うことにしている。●〈体力・気力を養う〉夏休みに十分体力と気力を養ったから、二学期はがんばるぞ。●へ病[やまい]を養う〉長い間、病を養っていた田舎[いなか]の祖父が、看護[かんご]のかいもなくとうとう亡くなりました。 **やしゅ【野趣】** ○自然のままのおもむき。素朴なおもむき。[文例]〈野趣に富む>宿の庭は背後に山を借りて、自然の木立を生かした野趣に富むものであった。●〈野趣に満ちる〉自分たちが取った魚や山菜を、すぐ河原で料理して食べる野趣に満ちたパーティーだった。 **やじゅう【野獣】** ○野生のけもの。[文例]〈野獣の本性〉トラやクマなどは、いつ野獣の本性を現すか分からないので、ペットとして飼うのは危険だ。●〈野獣の群れ〉オートバイを不法に乗り回す若者たちは、まるで野獣の群れのようだ。●〈美女と野獣〉ニキビづらのきみとかわいいあの子が並ぶと、まるで美女と野獣だね。 **やしょく【夜食】** ○夕食の後でする食事。夜の食事。[文例]〈夜食をとる〉十時に夜食をとると、再び机に向かって勉強を始めた。●へ夜食が出る〉遅くまで仕事を続けていた作業員らは、夜食が出るとほっと一息ついた。 <1147> **やしょく【夜色】** ○夜の景色。夜景。[文例]〈町の夜色>ホテルの窓から眺[なが]める初めての町の夜色は、若い享子の旅情をいっそう募[つの]らせた。●〈夜色にそまる〉街は夜色にそまり、ちらほらとネオンが輝[かがや]き出した。 **やじ・る(野次る・弥次る)** ○やじを飛ばす。♪やじ[文例]〈観客がやじる>審判[しんぱん]のミスに対して、観客たちは、口笛[くちぶえ]を吹いたりやじったりして抗議[こうぎ]をした。●〈演説をやじる>反対派の者たちがさかんにやじって、彼の演説を妨害[ぼうがい]しようとしている。◆ヘ口汚[きたな]くやじる〉相手チームを口汚くやじるのは、応援[おうえん]のマナーに反する。 **やじるし【矢印】** ○「→・→」など矢の形のしるし。[文例]<矢印の方向>館内を見ながら矢印の方向に進むと、再び入り口の所に出ました。●〈矢印が出る〉会場は初めての人にもわかるように、あちこちに矢印が出ていた。 **やしろ【社】** ○神を祭ってある所。神社。[文例]〈社を建てる〉村の人々は、沼のほとりに水神[すいじん]をまつる小さな社を建てた。●〈社[やしろ]の境内[けいだい]〉秋になると、この社の境内では祭りが行われます。 **やしん【野心】** ○身に余る大きな望み。悪いたくらみ。[文例]彼の野心は、政界の大立者[おおだてもの]として活躍[かつやく]することにあるようだ。●へ功名心[こうみょうしん]や野心>彼女はその才能のため、かえって周りの者の功名心や野心のぎせいになった。●〈野心家〉〈野心を抱く〉野心家の彼は、大臣のポストに秘めたる野心を抱いているらしい。●〈野心を抱く〉わが国の王女に対して、隣国[りんごく]の王子が野心を抱いているという。●へ野心を持つ〉わが国は、貴国の領土に対してなんらの野心も持っておりません。 **やじん【野人】** ○いなか者。無教養な人。素朴な人。民間人。[文例]君は貴婦人に対する礼儀を心得ない野人として僕を叱[しか]ったんだろう。(中略)野人だから芸者と貴婦人との区別が解[わか]らないんだ。(夏目漱石「明暗」) ◆<田夫野人[でんぷやじん]〉わたしのような田夫野人には、芸術の価値など深くはわかりません。 **やすあがり【安上がり】** ○安い費用で済むこと。[文例]日用品は、バーゲンセールの時にまとめ買いするほうが安上がりだと思います。●〈安上がりな方法>旅行をするのにもっと安上がりな方法はないだろうか。 **やす・い【安い】** ○安価である。安心である。おだやかである。[文例]〈値段が安い〉値段の安いのにつられて買いかけたとき、「安物買[やすものがい]いの銭失[ぜにうしな]い」の文句が頭に浮かんだ。●へ安かろう悪かろう〉安く買ったつもりでも、「安かろう悪かろう」では、結局高いものにつく。●〈安くあがる〉物によっては、まとめて買うと安くあがるよ。●〈安くつく〉少し高くても、品質が良いのを買ったほうが長持ちして、結局安くつくだうだ。●へお安くない〉クラスのあの子から手紙をもらったなんて、お安くないなあ。 **やす・い(易い)** ○やさしい。たやすい。すぐにそうなる。そうなりがちだ。[文例]〈言うはやすく〉言うはやすく行うはかたし、自分でやってみりゃわかるよ。●へおやすい御用[ごよう]〉がってんだ、おやすい御用で。●へやすきに就[つ]く〉今回はやすきに就いたうらみがある。次回はもっと高いところに目標をおけ。●へ歩きやすい〉歩きやすい靴だね。●へ親しみやすい〉さっぱりして親しみやすい人だ。へそう考えやすい〉たしかに苦労をしてきた人は、そう考えやすい。 **やすうけあい【安請け合い】** ○軽々しく引き受けること。[文例]〈安請け合いをする〉これだけの量の仕事を明日までやりますなんて、そんな安請け合いをしてだいじょうぶなのか。 **やすうり【安売り】** ○安く売ること。気軽に応じること。[文例]〈安売りをする〉駅前のマーケットで、豊漁のサンマの安売りをしていました。●〈安売りする〉就職難の時代だったが、自分を安売りする気持ちはなかったので、しばらく浪人することにした。 **やすっぽ・い【安っぽい】** ○いかにも安い。価値が低い。とるにたりない。[文例]〈安っぽい服〉娘[むすめ]がだだをこねるものですから、何とか工面[くめん]して、安っぽい服を買ってやりました。●〈安っぽい人間〉そんなにぺらぺらしゃべっていると、安っぽい人間に見られるよ。へ安っぽく見る>わたしが謝礼でも期待していると思ったのかしら? ずいぶん安っぽく見られたものだ。 **やすま・る【休まる】** ○心身が安らかになる。[文例]〈体が休まる〉小さな会社を経営している父は、体の休まるひまもないほど忙しい。◆〈気が休まる〉この庭を眺[なが]めていると、気が休まります。 **やすみ【休み】** ○休むこと。休息。休憩。休日。休暇。休業。欠席・欠勤。[文例]〈一瞬[いっしゅん]の休みもなく〉天候が急変して、荒れ狂[くる]った風雨が一瞬の休みもなくたたきつけてくる。人休みなし〉いくら丈夫[じょうぶ]でも、一日じゅう、休みなしに働くと疲[つか]れる。●へ休みをとる〉夜は十分休みをとらないと、翌日に疲れが残るよ。●〈休みの日〉父の休みの日を利用して、博物館に連れていってもらうことにした。●〈休みをもらう〉姉は、一週間の休みをもらって、広島の親せきを訪ねることにしている。人休みに入る〉学校が休みに入ったら、りんご園の袋[ふくろ]かけを手伝うつもりだ。●へ休みにする〉この仕事は今日まで一週間も続いたので、そろそろ休みにしよう。◆<休み時間〉あの娘は、いつも昼の休み時間に工場を抜け出して、ここへひなたぼっこに来る。 **やす・む【休む】** ○活動を止める。休息する。休憩する。休業する。欠席・欠勤する。寝る。[文例]〈休む場所〉たくさんの買い物をしてくたびれたので、休む場所をさがした。◆学校を休む〉あの子は体が弱いのに、塾[じゅく]も学校も一日も休まずに行っている。へ〈休む暇[ひま]がない>野戦病院の看護婦たちは、夜も昼も休む暇もなく、傷病兵の看護を続けた。◆ヘ一刻[いっこく]も休まず〉わが家の古い柱時計は、半世紀の間、一刻も休まず時を刻[きざ]み続けている。●〈会社を休む〉仕事が忙[いそが]しいから、会社を休むわけにはいかない。●へ脳[のう]が休む〉一日の活動で疲れた脳の休んでいる状態が眠[ねむ]りである。◆く早く休む〉少し熱があったので、ゆうべはいつもより早く休んだ。●下手の考え休むに似たり「下手の考え休むに似たり」だから、考えてばかりいないで早く次の手を打ちなさい。 <1148> **やす・める【休める】** ○活動を止める。休息させる。疲れをとる。休耕する。[文例]〈手を休める〉何か心配事があるのか、母はときどき台所仕事の手を休めて、ため息をついている。●〈心身を休める〉大分疲れているようだから、休暇[きゅうか]を取って、少し心身を休めるがよかろう。●へ羽[はね]を休める>南の国へ渡っていくつばめがたくさん、電線に羽を休めている。◆<頭を休める>英語で疲れたので、少し頭を休めてから、数学の問題にとりかかろう。●へ息を休める〉老人は階段の途中で息を休めてから、またゆっくりと登り始めた。●へ畑を休める〉連作で作物の出来が悪くなったので、来年の春まで畑を休めることにした。 **やすもの【安物】** ○安価な物。[文例]〈安物の靴〉わたしが学校の遠足で町へ行く日の前夜、父は安物の靴をぶら下げて帰って来た。●〈安物買いの銭失い[ぜにうしない]〉安物買いの銭失い、ともいいますし、値は張ってもしっかりした物のほうが長もちしてずっと得ですよ。 **やすやす【安安】(易易)** ○いかにもたやすいさま。安楽なさま。[文例]〈やすやすと解く>普通の生徒なら頭をかかえてしまう難問を、この生徒はやすやすと解いてしまった。●〈やすやすと応じる〉いくらきみの頼みといっても、そうやすやすと応じるわけにはいかない。●へ安々と暮らす>若いころの苦労が実って、老夫婦は安々と老後を暮らすことができた。 **やすらか【安らか】** ○おだやかなさま。心配や苦労がないさま。平穏なさま。[文例]〈安らかな顔>老人は、だれも気づかないうちに、眠[ねむ]るような安らかな顔で死んでいった。◆〈安らかに眠る〉この橋は、戦死した息子が安らかに眠ることを祈って、老母が架けた悲願の橋だ。●お母さんのお乳を無心に飲んでいる赤ちゃんの顔は、この上なく安らかだ。●〈安らかに暮らす〉何も心配せず、心を安らかに暮らしてほしい。◆◇世の中が安らか〉世の中がいつも安らかに治まっていたといいのだが。 **やすらぎ【安らぎ】** ○安らぐこと。安らかな気分。[文例]〈安らぎを覚える〉わたしたちが民話の世界に安らぎを覚えるのは、そこにわたしたちのふるさとがあるからでしょう。●〈安らぎのひととき〉夕食後の団欒[だんらん]は、わが家の安らぎのひとときです。●〈深い安らぎ〉〈心の安らぎ>赤ん坊にお乳を与えながら、母親は深い心のやすらぎに満たされていた。 **やすら・ぐ【安らぐ】** ○安らかな気持ちになる。[文例]〈心が安らぐ〉わたしは、この音楽を聴くといつも心が安らぎます。●へ安らいだ気持ち〉あどけない娘の笑顔を見ていると、わたしは安らいだ気持ちになった。 **やすり(鑢)** ○のこぎりの目立てや金属の表面を平らに削るのに使う工具。[文例]〈やすりをかける〉鉄パイプの切り口にやすりをかけ、凹凸[おうとつ]をとります。●へやすりで磨[みが]く>鉄板の表面のざらざらしたところはやすりで磨きます。●〈紙やすり〉自転車のさびを紙やすりで落としました。 **やすん・じる【安んじる】** ○安らかにする。満足する。[文例]〈心を安んじる>彼は不安な毎日の中で一人の女性に出会い、初めて心を安んじることができた。●へ安んじて任せる〉この件は、安んじて私[わたくし]めにお任せください。●〈現状に安んじる>現状に安んじて改善を思わない生活には、進歩が認められないように思える。 **やせ(痩せ・瘠せ)** ○やせること。やせていること・人。[又例]〈やせの大食い〉きみはやせの大食いだね、その細い体で人の倍は食べる。●〈夏やせ〉この暑さで食欲のない日が続くせいか、妻は夏やせをしたようだ。 **やせい【野生】** ○動植物が自然の中で育つこと。自分をへりくだっていう語。[文例]〈野生の花>野生の花には、園芸用の花にはない、ひたむきなけなげさが感じられる。へ野生の動物>野生の動物は、わが子同様に育てても、ときとして野性に返り危険だ。 **やせい【野性】** ○自然のまま本能のままの性質。粗野な性質。[文例]〈野性に返る〉野生の動物は、わが子同様に育てても、ときとして野性に返り危険だ。●〈野性に生きる>厳しい自然の中で、野性のままに生きる動物たちの生態をテレビで見て、感動した。◆〈野性の論理〉本能で生きている動物には、力と力で対決しなければならない野性の論理がある。◆<野性味>彼は、たくましく野性味あふれる好青年だ。●〈野性的〉マルガリータは、エキゾチックで野性的な魅力[みりょく]のある美人だった。 **やせうま【やせ馬】(痩せ馬)** ○やせた馬。[文例]へやせ馬にまたがる〉ドン=キホーテはサンチョ=パンサを引き連れ、やせ馬ロシナンテにまたがって武者修行[むしゃしゅぎょう]に出かけた。◆ヘやせ馬の先走[さきばし]り〉俗[ぞく]にやせ馬の先走りといって、威勢よく飛び出したわりには後が続かないことがあります。◆痩馬[そうめ]のあはれ機嫌[きげん]や秋高し(村上鬼城[むらかみきじょう]) **やせがまん【やせ我慢】(痩せ我慢)** ○無理にがまんして平気を装うこと。[文例]〈やせ我慢をする>男の子だから、時にはやせ我慢もしろ、と教えられました。●へやせ我慢を張る>寒中に、やせ我慢を張って薄着で通すというのも考えものである。●ヘやせ我慢する〉おなかがすいてるくせにやせ我慢しないで。 **やせぎす(痩せぎす)** ○やせて骨ばっているさま。[文例]〈やせぎすな体〉大きなトランクは、女のやせぎすな体にひどく重そうに見えた。●〈やせぎすな少女〉ショートカットのやせぎすな少女は、遠くから見ると男の子のようだった。 **やせこ・ける(痩せこける)** ○やせて肉が落ちる。[文例]病室のベッドに横たわった友は、見るかげもなくやせこけていた。●老人はやせこけて筋張った体をステッキで支え、ゆっくりと歩いていた。 **やせほそ・る【やせ細る】(痩せ細る)** ○やせて細くなる。[文例]〈やせ細った体〉病人は、やせ細った体を弱々しくベッドに横たえていた。●行方不明の息子を心配するあまり、わたしはだんだんやせ細っていった。 **や・せる(痩せる・瘠せる)** ○肉が落ちて細くなる。土地の、作物を育てる力が弱くなる。→太る・肥える[文例]〈人がやせる〉あの元気で太った次郎[じろう]が急にやせちゃったの、どうしたのかなあ。●へやせた犬〉のやせた犬がぼくを見て逃げていった。 <1149> ●へやせた体つき少しねこ背でひどくやせた兄の体つきは、父にそっくりだ。●へやせる思い〉おまえが心配ばかりさせるから、お母さんはやせる思いだよ。●へやせても枯れても〉やせても枯れても男一匹[いっぴき]、転んですりむいたぐらいで泣くな。●〈土がやせる>化学肥料は土をやせさせるので、使いすぎないほうがよい。●〈やせた土地〉やせた土地を耕[たがや]していた一家も、村で暮らせなくなり、都会へ出ていった。 **やそう【野草】** ○野山に生える草。[文例]〈野草の香り〉野原に立ちこめる野原の香りが、心地良く、わたしの体をつつんだ。●〈野草を摘む〉春の野に出て、野草を摘みました。 **やたい【屋台】** ○移動できる屋根付きの台・車。また、それを用いた店。祭りなどで踊るための屋根付きの台。能や演劇などで家の形をした大道具。屋台骨[やだいぼね]。[文例]〈屋台を引く>老人は、夕方になると、ラーメン屋の屋台を引いて駅前に出かけていく。◆<屋台が並ぶ〉狭[せま]い横町を入ると、ちょうちんを提[さ]げた屋台がずらりと並んでいた。◆<屋台骨〉創業百年という老舗[しにせ]も、時代の流れには勝てず、屋台骨が傾[かたむ]き始めた。 **やたら(矢鱈)** ○むやみ。みだり。[文例]〈やたらに飲む>暑くてのどが乾くからといって、やたらに生水を飲んではいけないよ。●へやたらな力の入れ方〉大工はくぎを打つとき、やたらな力の入れ方をしない。●ヘやたらと>夏になると、早いうちから外がやたらと明るくなるので、目が覚めてしまう。●へやたら動き回る>発表会で、出を待つわたしは緊張して、やたらうろうろ動き回っていた。へむやみやたら〉所構わず、むやみやたらにつばを吐くやつが、日本人には多い。●へめったやたら〉人に聞かれては困るから、めったやたらなことを言うものではない。 **やちょう【野鳥】** ○野山の鳥。[文例]〈野鳥の生態〉わたしたちの身辺に飛ぶ野鳥の生態を観察してみました。へ野鳥の保護〉年々少なくなっていく野鳥の保護のために対策が考えられています。 **やちん【家賃】** ○家の借り賃。[文例]〈家賃の値上げ〉地価の 高騰[こうとう]を理由に家賃の値上げを言い渡されました。●へ家賃が高い〉今住んでいるアパートは、狭いわりに家賃が高いのです。●〈家賃を払う〉家賃を払いに大家さんのところへ行きました。●へ家賃をためる〉山口さん、あまり家賃をためないでくださいよ。 **やつ(奴)** ○人・物を指してぞんざいにいう語。あいつ。[文例]〈太郎のやつ〉〈幸せなやつ太郎のやつ、あんないい女房[にようぼう]をもらって幸せなやつだ。●へいいやつ〉あいつは、すごくいいやつだと思っていたが、そんなやつだったのか。◆ヘやつの仕業[しわざ]>そんないたずらは、やつの仕業に違いない。●つたの葉が散ると、自分の命も終わるなんて、べらぼうなことを言うやつが、どこの世界にいるんだ。●ヘうちのやつ〉父は母のことを、「うちのやつ」という言い方をします。●へ〜というやつ〉父の将棋[しょうぎ]は、「下手の横好き」というやつだ。●へ長いやつ〉これじゃだめだ、もっと長いやつをもってこい。 **やつあたり【八つ当たり】** ○関係のない人や物にあたりちらすこと。[文例]〈八つ当たりする〉会社で課長にしかられたときは、家へ帰って夫に八つ当たりします。 **やっかい【厄介】** ○めんどうなこと。手数のかかるさま。[文例]〈厄介をかける〉友達の家へ遊びに行って気分が悪くなり、すっかり厄介をかけてしまった。●〈厄介になる〉上京しても、兄の厄介になる気はないから、住み込みの仕事を捜さなければ。●〈父の店へ行くには、電車を二回も乗り協えなければならないので厄介だ。●へ厄介なことになる〉酔っぱらいにしつこくからまれたときは、厄介なことになったと思った。●〈厄介な問題〉ほとんどの問題は解けたが、厄介なのがもう一つ残っているのだ。●へ厄介払[ばら]い〉いつも兄弟げんかをしているぼくがいなくなれば、兄は厄介払いをしたと喜ぶだろうか。●へ厄介者[もの]〉頑固[がんこ]で気難しい老人は、どこへ行っても厄介者扱いされた。 **やっき【躍起】** ○あせってむきになること。必死になってすること。[文例]<躍起になる〉ぼくは交番のおまわりさんに、躍起になって身に覚えのないことを主張した。〈躍起となる>男は素手[すで]でうなぎをつかまえようとして、躍起となっていた。 **やっつぎばや【矢継ぎ早】** ○続けざまにするさま。[文例]〈矢継ぎ早な質問>客は、店員に対して矢継ぎ早な質問を浴びせかけた。●へ矢継ぎ早になる〉戦争はますます激しくなり、空襲[くうしゅう]が矢継ぎ早になっていった。 **やつざき【八つ裂き】** ○ずたずたに切り裂くこと。[文例]〈八つ裂きにする〉あんなやつ、八つ裂きにしてもあきたりない。●〈八つ裂きにする〉あの野郎[やろう]、人の大事な車を乗り回しやがって、見つけたら八つ裂きにしてやる。 **やつ・す(獲す・佾す)** ○みすぼらしく、また目立たないように姿を変える。やせるほど思い悩む。化粧する。めかしこむ。[文例]〈身をやつす〉黄門[こうもん]様は町人に身をやつして、諸国漫遊[しょこくまんゆう]の旅に出たそうな。●へ憂[う]き身をやつす〉越前屋の若だん なは恋に憂き身をやつし、仕事も手につかないありさまだ。 **やっつける** ○こらしめる。打ち負かす。思い切ってやる。雑にやる。[文例]〈敵をやっつける〉苦戦の末敵をやっつけたが、味方にも大勢の負傷者が出た。●へ仕事をやっつける〉あとひと息頑張[がんば]って、今日じゅうにこの仕事をやっつけてしまおう。●へやっつけ仕事>職人かたぎの彼はやっつけ仕事が嫌いで、気のすむまで時間をかけた。 **やって・くる【やって来る】** ○向こうから来る。[文例]〈人がやって来る>警官たちが楽しそうに笑いながらやって来た。●〈家にやってくる〉夕方、叔父[おじ]が家にやって来て、何事か父とむずかしい顔で話し合っていた。●〈夏休みがやって来る〉あと一週間で夏休みがやって来る。 **やっと** ○ようやく。どうにかこうにか。かろうじて。[文例]懸命に走ってやっと終電車に間に合った。●手紙を渡すのがやっとで、あとはもじもじするばかり、何も言えませんでした。●へやっとの思いで>重い荷物を持って、やっとの思いで家までたどり着いた。●へやっとのことで〉お母さんは、何か月もかかってやっとのことで車の免許をとりました。 <1150> ●へようやっと〉待ち続けること一時間、ようやっとバスが来た。 **やつ・れる(獲れる)** ○やせ細る。みすぼらしくなる。[文例]〈げっそりやつれる〉長い入院生活で、彼女はげっそりやつれていた。へやつれた顔>苦労が多かったので、まだ四十だというのに老人のようにやつれた顔をしていた。●へやつれた身なり〉男はやつれた身なりで現れて、わずかな預金を引き出していった。 **やど【宿】** ○住む家。泊まる家。[文例]〈宿を借りる〉知人の家に宿を借りて、京都見物を楽しんだ。●〈宿を取る〉今日はふもとの村に宿を取って、明日の朝早く頂上を目ざす予定です。●〈宿を立つ>旅の男たちは、翌朝まだうす暗いうちに宿を立った。●〈宿に泊まる〉わたしたちは、海のすぐ近くの宿に泊まりました。◆へ一夜[いちや]の宿〉旅の僧は、峠[とうげ]の一軒家で一夜の宿を請[こ]いました。●へ埴生[はにゅう]の宿〉埴生の宿で粗末[そまつ]なわが家ですが、家族の笑いは絶えません。 **やと・う【雇う】(傭う)** ○賃金を払って人を使う。賃料を払って乗り物を使う。[文例]〈人を雇う〉現地で通訳と案内をしてくれる人を雇うつもりです。●へ従業員を雇う〉景気のいい時にはたくさんの従業員を雇っていました。●ヘハイヤーを雇う〉目的地へ着いたら、ハイヤーを雇って市内を見物することにしよう。 **やど・す【宿す】** ○子をはらむ。含みもつ。とどめる。[又例]〈子を宿す〉いつのまにか、飼い犬が腹に子を宿したらしく、動作がにぶくなった。●〈胸に宿す>彼に対しては、一度だって疑[うたが]いを胸に宿したことはない。●へ心に悲しみを宿す〉旅先の異国で愛する妻を失った男は、心に深い悲しみを宿しつつ、その地をあとにした。●へ面影[おもかげ]を宿す〉父の故郷は、まだ昔の城下町の面影を宿している。●へ〈露[つゆ]を宿す〉露を宿した草を踏みつつ、朝の草原を歩いてみた。 **やど・る【宿る】** ○住みかとする。宿をとる。泊まる。とどまる。寄生する。胎児[たいじ]ができる。[文例]〈宿る家〉山の中で道に迷った旅人は、宿る家もなく、とほうに暮れてしまった。●〈つばめが宿る〉今年もまた、つばめがやって来て、軒先[のきさき]に宿り、巣を作った。●へ露[つゆ]が宿る>草の葉に露が宿って、月の光を受けて真珠[しんじゅ]のように輝[かがや]いている。◆ヘ月が宿る〉庭の池の面に澄[す]み切った秋の月が宿る。●へ苦労が宿る>米の一粒[ひとつぶ]にも自然の恩恵[おんけい]があり、そこには農民の苦労が宿っている。●〈赤ちゃんが宿る〉お母さんのおなかに宿った赤ちゃんが、女の子だといいなあ。●〈正直のこうべに神宿る>正直にしていれば、いつかは良いことがあるということわざが、「正直のこうべに神宿る」です。 **やなぎ【柳】** ○ヤナギ科の植物の総称。[文例]川の土手に大きな柳の木が植わっている。●へ柳に風〉「柳に風」とばかり、逆らわず相手の言葉を受け流しました。●へ柳に雪折[ゆきお]れなし「柳に雪折れなし」というのは、柔らかいもののほうが固いものより耐える力が強いことをいいます。●へ柳の下にいつもどじょうはいない〉柳の下にいつもどじょうはいないと言うだろう。いつも同じやり方では成功しないさ。●<柳は緑[みどり]、花は紅[くれない]〉人の世に出会いがあり、別れがある。やって来る人、去り行く人。柳は緑、花は紅。●やはらかに柳あをめる/北上[きたかみ]の岸辺目に見ゆ/泣けとごとくに(石川啄木[いしかわたくぼく]) **やに(脂)** ○樹皮[じゅひ]からしみ出る粘液。樹脂。ニコチンの粘液。目やに。[又例]〈たばこのやに>男が笑うと、たばこのやにに染まった歯がずらりと現れた。●ヘやにがつく〉顔も洗わずに飛び出してきたのかい? 目にやにがついている。●〈松やに>庭の手入れをしていたら、手に松やにがついてなかなかとれない。●〈目やに〉結膜炎[けつまくえん]ということで、絶えず目やにが出て困ります。 **やにさが・る【やに下がる】(脂下がる)** ○得意になってにやにやする。[文例]〈男がやに下がる>若い女性に囲まれているのですから、少しぐらいやに下がるのは仕方ないでしょう。 **やにわに【矢庭に】** ○だしぬけに。たちどころに。[文例]つないでいた手を離すと、弟はやにわに駆けだした。●若い男とすれ違いざまに、やにわにハンドバッグをひったくられた。 **やね【屋根】** ○家屋の最上部にある覆い。物の最上部の覆い。最も高い山。[文例]〈赤い屋根>向こうの森のかげの赤い屋根の家が山田君の家だ。人かわらぶきの屋根〉この町には、昔[むかし]ながらのどっしりしたかわらぶきの屋根を持つ商家[しょうか]が並んでいる。◆屋根をふく〉最近は、わらやかやで屋根をふいた民家がほとんど見られなくなった。へ屋根裏[うら]>彼は安い間代[まだい]でパリの屋根裏の部屋を借りて、勉学に励んでいるという。◆屋根伝い〉目が覚めると階下は火の海だったので、屋根伝いに命からがら逃げた。◆<世界の屋根〉ヒマラヤ山脈は、世界の屋根といわれている。◆ヘへ一つ屋根の下〉あいつとは、学生時代に、一つ屋根の下で、同じかまの飯を食った仲だ。●太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。/次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。(三好達治「雪」) **やはり(矢張り)** ○依然として。あんのじょう。やっぱり。[文例]彼女のお兄さんも、やはりスポーツが得意だそうです。●遊びほうけていたぼくの、その学期の成績はやはりよくなかった。●わたしたちがどんなにがんばったところで、やはりだめなものはだめなのです。●へやはり野におけれんげ草〉やはり野におけれんげ草で、彼のような自由人は公職につけるべきではなかった。 **やはん【夜半】** ○よなか。[文例]〈今夜半〉台風は、今夜半、紀伊半島に上陸する見込みです。●〈夜半に近い〉よく釣れるので調子にのってがんばるうちに、はや夜半に近くなった。◆〈夜半から早朝にかけて〉東京は、昭和二十年三月九日夜半から十日早朝にかけての空襲[くうしゅう]で、大被害[だいひがい]を受けた。●〈夜半を過ぎる〉会議は、さんざんもめ、夜半を大分過ぎて終わった。 **やばん【野蛮】** ○文化が開けていないこと。粗野[そや]で乱暴[らんぼう]なさま。 <1151> **やま** しげこういそやま。[文例]〈野蛮な行為〉どうして人間は、優れた科学技術を、戦争のような野蛮な行為に使うのだろう。♠へ野蛮な人>生き物をいじめたり殺したり、きみは野蛮な人ですね。 **やひ【野卑】**(野鄙) ○下品で粗野なさま。[文例]〈野卑な言葉〉駅前の広場では酔っ払った学生たちが、若い女性が通るたびに野卑な言葉をかけていた。♠〈野卑な男>学問もなく野卑な男でしたが、家族を思う気持ちは他に負けませんでした。 **やぶ**(藪) ○低い木や竹、雑草などが密生した所。やぶ医者。やぶにらみ。[文例]〈やぶが生い茂る〉山道の先にはやぶが生い茂り、とても前進できそうになかった。♠ヘやぶから棒〉やぶから棒に金を貸せと言われても、そんな大金はすぐには用意できない。♠ヘやぶをつついて蛇を出す〉ここでは例の件には触れないようにしよう。やぶをつついて蛇を出すことになりかねない。♠ヘやぶ医者〉あの先生は親切だがやぶなんで、かんじんの病気の時はいまひとつ頼りにならない。♠昼ながら幽かに光る蛍[ほたる]一つ孟宗[もうそう]の藪を出でて消えたり(北原白秋) **やぶさか**(吝か) ○もの惜しみするさま。ためらうさま。[文例]〈やぶさかではない〉わたしも、この画家が非凡な才能の持ち主であることを認めるのにやぶさかではない。 **やぶにらみ**(藪睨み) ○斜視。見当はずれな見方。[文例]あんたのようなやぶにらみでは、世の中の本当の姿は見えてこないだろう。 **やぶへび【やぶ蛇】**(藪蛇) ○(「やぶをつついて蛇を出す」から)余計なことをして思わぬ災いを招くこと。[文例]〈やぶ蛇になる〉不必要なことには口を出さないほうがよい。やぶ蛇になって、しなくてもよい損をすることもある。 **やぶ・る【破る】** ○引き裂く。こわす。破損する。乱す。違反する。破棄する。打ち破る。打ち負かす。[文例]〈掛け軸を破る〉弟とふざけていて、父の秘蔵の掛け軸を破ってしまった。♠〈金庫を破る>銀行に押し入った泥棒は金庫を破り、大金を奪って逃げた。♠〈殻[から]を破る〉つばめのひなと違って、ひよこは殻を破って出てきたときには、もう目があいている。♠へ古い殻[から]を破る〉人間は、新しい目標を立てて、古い殻を破らないと、進歩することができない。♠へ静けさを破る〉〈眠りを破る〉夜の静けさと、人々の平和な眠りを破って、火事を知らせるサイレンが鳴り響いた。♠へ均衡[きんこう]を破る〉大国の力の均衡が破られると、戦争になる恐れがある。♠<調和を破る〉人間が自然との調和を破って、自分の利益だけを追求すると、厳しいしっぺ返しを受ける。♠〈定説を破る>無名の青年が、この島に旧石器人は住んでいなかった、という学界の定説を破った。♠〈きまりを破る〉ぼくたちは、ほんの軽い気持ちで、きまりを破ることがないか、反省してみよう。♠〈約束を破る〉約束を破る心はみじんもなかったんだが、やむを得ない事情があったんだ。♠く敵を破る>敵軍を破り敵将を討った者に、どんな恩賞が与えられるかが、当時の武士の最大の関心事だった。♠へ記録を破る〉彼は、苦しい練習を重ね、ついにスピードスケートの世界記録を破った。 **やぶれかぶれ【破れかぶれ】** ○すてばち。やけくそ。自暴自棄。[文例]仕事がうまくいかないので、やぶれかぶれになって毎日飲んだくれているよ。♠こう負けが込んではやぶれかぶれだ。終電の時間も過ぎたし、朝までマージャンを続けるぞ。♠へやぶれかぶれな気持ち〉わたしは、そのうわさを聞くと、やぶれかぶれな気持ちになって、その店を飛び出していた。 **やぶ・れる【破れる・敗れる】** ○裂ける。壊れる。破損する。だめになる。乱される。負ける。敗北する。[文例]〈服が破れる〉木の枝[えだ]に引っかかって、服が破れてしまった。♠へ破れた垣根[かきね]>破れた垣根の間から友達の家をのぞいたら、お母さんにしかられているところだった。♠〈恋[こい]に破れる〉人を恋して、その恋に破れるのも、貴重な経験ですよ。♠へ夢[ゆめ]が破れる〉子供のころからの夢は破れたけれど、別の新しい夢を育てよう。♠へ策略[さくりゃく]が破れる〉王位をねらった王子の策略は、腹心の家来の密告で、いっぺんに破れてしまった。♠〈調和が破れる>急速な科学技術の進歩によって、自然と人間との調和が破れつつある。♠へ戦いに敗れる〉百十年ほど前、フランスは、プロシアとの戦いに敗れて、アルザス・ロレーヌの二州を失った。♠<国破れて山河あり>唐の都長安が反乱軍に攻め破られて、詩人は、「国破れて山河あり………………」と詠んだ。 **やぶん【夜分】** ○夜。夜間。[文例]こんな夜分にお訪ねして、申し訳ありません。♠〈夜分遅く〉夜分遅くにお電話を差し上げるのは失礼だと思ったのですが、なにぶん急ぐことですので・・・・・・。 **やぼ【野暮】** ○洗練されていないさま。気がきかないさま。[文例]<服装が野暮〉ぼくの服装が野暮だって? よけいなお世話だ。♠へ聞くだけ野暮〉あいつに金を持っているかいなんて、聞くだけ野暮というものだ。♠へ野暮な男〉悪気はないにしろ、友達のデートについていくなんて、全く野暮な男だ。♠今さら昔のことをとやかく言うのは野暮かもしれないが、あの男にはひどい目にあわされたんだ。 **やぼう【野望】** ○大それた望み。非望。野心。[文例]〈野望をいだく>戦国時代の武将たちは、だれもが天下を取りたいという野望をいだいていた。♠へ野望をくだく>独裁者の野望をくだくには、国民の民主的な力を結集する以外にないだろう。♠へ野望に燃える>若い営業マンは、自分の手で市場を開拓するという野望に燃えて、単身アメリカに渡った。 **やま【山】** ○平地より著しくそびえ立った所。高く盛り上がったもの。多く集まったもの。鉱山。山林。物事の絶頂。やま勘。[文例]〈深い山〉〈山へ入る〉猟師[りょうし]たちは、クマを追って、深い山の奥へ入っていった。♠〈険しい山〉〈山を越える〉その集落は、四方を険しい山に囲まれ、出るにも入るにも山を越えなければならない。♠〈山の頂[いただき]〉山の頂から向こうの山を見ていると、刻々と変化する姿がおもしろい。♠〈山に登る>冬の山は荒れると恐ろしいので、初心者が登るのはむりだ。♠〈山が迫る〉近くまで山が迫っているので、この村は早くに日が傾く。♠<山にこもる〉〈山と里[さと]〉炭焼きの人は、 <1152> 何か月も山にこもって、たまにしか里へ下りてこない。♠〈山の暮らし〉きれいな山の空気になれると、不便な山の暮らしもまんざらではない。♠〈山の幸[さち]〉旅に出て、土地の海の幸山の幸を味わうのが、いちばんの楽しみだ。♠へ後は野となれ山となれ〉「後は野となれ、山となれ」とばかり、仕事を中途でほうりだすのはいけないよ。♠〈山あり谷あり〉人生は、山あり谷ありで、決して平たんな道ばかりではない。♠〈山高きが故[ゆえ]に貴からず「山高きが故に貴からず」というように、何事も外見ではなくて中身が大切だ。♠〈宝の山〉男は宝の山を掘りあてたおかげで、一生裕福[ゆうふく]な生活を送ることができた。♠◇ゴミの山>毎週月曜日の朝には、電柱の所に大きなゴミの山ができます。♠〈人の山〉何だろう、橋のたもとに人の山ができているよ。♠〈山と積む〉大きな皿に山と積んだ果物を、みんなであっという間に平らげた。♠〈山のような宿題〉山のような宿題をかかえて、どこから手をつけていいのか、ただため息ばかり・・・・・・。♠〈山ほどある〉今日は、お別れに臨んで言いたいことが山ほどありますが、胸がつかえて何も言えません。♠〈事件のやま〉〈やまを迎える>犯人の指定した時刻が迫り、人質の救出をめぐって事件はやまを迎えた。♠〈やまが見える〉後半戦に入って試合もどうやらやまが見えてきたから、途中で帰ることにした。♠〈今夜がやま〉太郎君の状態は今夜がやまです。われわれ医師も泊まり込みで治療[ちりょう]にあたります。♠へやまをかける〉〈やまがはずれる〉今日のテストはやまをかけたが、残念ながらはずれて、あまりよくできなかった。♠つけ捨てし野火[のび]の煙[けむり]の畑のあかあかと見えゆく頃[ころ]ぞ山は悲しき(尾上柴舟[おのえさいしゅう]) **やまあい**(山間) ○山と山の間。[文例]〈山あいの村〉わたしは、信州の山あいの小さな村に生まれ育ちました。♠へ山あいを縫う〉列車は山あいを縫うように進んだ。♠〈山あいに入る>生徒たちの乗ったバスは町を抜け、次第に山あいに入っていった。 **やまい【病】** ○病気。悪い癖。[文例]〈病[やまい]に倒[たお]れる〉祖父は、長年の過労がもとで病に倒れた。♠へ病[やまい]におちる〉昔[むかし]、シルクロードを行く旅人の中には、病におち死に至る者も少なくなかった。♠へ病[やまい]を治す〉春までに病を治して、またお花見に行きたいものだ。♠〈病[やまい]をおす〉姉は、病をおして高校を受験し、見事に合格した。♠へ病[やまい]があらたまる〉昨秋より療養中の主人の病がにわかにあらたまり、今朝ほど死去いたしました。♠へ病[やまい]があつい>長い間、わずらっていた祖父がいよいよ病あつく、今夜にも危ないという。♠〈病[やまい]に冒[おか]される〉〈不治の病>昔は胸の病に冒されて死ぬ人が多く、結核[けっかく]は不治の病と恐れられた。♠〈重い病〉〈病[やまい]にかかる〉最近見かけないと思っていたら、あの人は、重い病にかかっているということだ。♠へ病[やまい]の床[とこ]>先生は、病の床にあっても、生徒たちの相談にのり、指導を続けておられる。♠〈病[やまい]は気から〉「病は気から」ということわざがあるくらいだから、気持ちをしっかり持つことが大切だ。♠〈心の病〉競争が激しく、複雑な現代社会では、心の病にとりつかれる若者が増えている。♠〈恋[こい]の病〉どんな妙薬[みようやく]でも、恋の病には効きません。♠〈病[やまい]こうこうに入る〉彼のロック好きも病膏肓[こうこう]に入って、死ぬまで直りそうもない。 **やまが【山家】** ○山中・山里の家。[文例]〈山家育ち〉山家育ちの娘は、どうしても都会の生活になじめなかった。♠<山家の一軒家[いつけんや]>老人は、山家の一軒家で動物を友として暮らしていた。 **やまかん【山勘】** ○勘にたよって万一の成功をねらうこと。また、その勘。山師。詐欺師。[文例]〈やまかんが当たる〉鈴木のやまかんはよく当たるからな、今度の試験のヤマも聞いてみよう。♠ヘやまかんで当てる〉やまかんで当てたくせに、そんなにいばるな。♠ヘやまかんをはたらかせる〉今の時間なら多分ここだろうと、やまかんをはたらかせて来たら、案のじょうだ。 **やまぐに【山国】** ○山あいの土地。山に囲まれた地方。[文例]〈山国の春〉山国の春、雪どけの黒い土にふきのとうがたよりなげに芽を出します。♠へ山国の生まれ〉ぼくは山国の生まれなので、野山を歩くことなら負けません。♠◇山国で育つ〉山国で育ったぼくは、初めて海を見た時の感動を今もよく覚えている。 **やまざと【山里】** ○山あいの里。[文例]静かな山里は、小鳥のさえずりが聞こえるばかりでした。 **やまし・い**(疚しい・疾しい) ○良心に照らしてはずかしい。うしろめたい。[文例]〈やましいこと〉ぼくたちには何もやましいことはないのだから、ぺこぺこする必要はありません。♠へやましいところ〉きみの態度を見ていると、どうもやましいところがありそうだよ。♠ヘやましく思う〉もし、自分がやましく思われるなら、反省してわびることだ。 **やまそだち【山育ち】** ○山里に育つこと。山里に育った人。[文例]山育ちのわたしにとって、都会の生活はまごつくことばかりだった。 **やまづみ【山積み】** ○山のように積むこと。山のようにたまること。[文例]〈山積みにする〉隣は引っ越しらしく、荷物を山積みにしたトラックが止まっている。♠〈山積みする〉駅のホームに貨物が山積みされている。♠〈仕事が山積み〉仕事が山積みで、しばらくは残業が続きそうだ。 **やまなみ【山並み】** ○山が立ち並ぶこと。立ち並ぶ山々。[文例]】<低い山並み〉たんぼの向こうに低い山並みが夕焼けに赤く染まっていた。♠〈山並みが連なる〉列車がいくつかのトンネルを過ぎると、左右の窓から信州の山並みが連なって見えた。 **やまば【山場】** ○物事の最も盛り上がった場面。クライマックス。[文例]〈芝居の山場〉〈山場を迎える〉芝居はいよいよ山場を迎え、出演者の熱のこもった演技が続く。♠◇山場にさしかかる〉一対一のまま七回に入って、試合は山場にさしかかった。 **やまはだ【山肌】**(山膚) ○山の地肌。山の表面。[文例]山肌にぬれて光る青い草の中を、わたしたちはいっさんに駆け下りていった。♠〈山肌が現れる〉伐採[ばっさい]を終えた山はあちこちに山肌が現れて、まるでトラ刈りの頭のようだった。 <1153> **「やまびこ** 【山びこ】(山彦) ○山の神。こだま。[文例]へやまびこが返る>頂上に立って「ヤッホー」と叫ぶと、「ヤッホー」とやまびこが返ってきた。♠へやまびこが答える「オーイ」と仲間たちを呼んでみたが、周囲の山からやまびこが答えるだけで返事がない。 **やまもり【山盛り】** ○うず高く盛り上げること。うず高く盛ったもの。[文例]〈山盛りのご飯>腹をすかせたわたしは、山盛りのご飯をおかわりした。♠〈山盛りにする〉隣のおばさんが、庭で取れた柿[かき]をざるに山盛りにして持ってきてくれた。 **やまやま【山山】** ○多くの山。たくさん。多く。そういう気持ちでいっぱいのさま。[文例]〈アルプスの山々〉霧が晴れ、目前にアルプスの山々がそびえていた。♠ヘやまやまある〉話したいことはやまやまあるが、何から切り出したらいいのか。♠助けてやりたいのはやまやまだが、今のぼくにはそれができない。 **やまわけ【山分け】** ○人数分におおまかに分けること。[文例]〈山分けにする〉今日の稼[かせ]ぎはけんかにならないように、三人で山分けにしよう。♠〈山分けする〉盗[ぬす]んだ金を山分けするのが惜しくなり、男は自分の仲間をだまそうとした。 **やみ**(闇) ○暗黒。くらやみ。希望・見込みのないこと。違法であること。公正でないこと。[文例]〈やみに沈む〉〈深いやみ〉〈やみの底>辺りがやみに沈むと、ぼくも深いやみの底に引きずりこまれそうに感じた。♠へやみに消える〉町を出ると、隣町に通じる街道[かいどう]がぼうっと白く見え、その先はやみに消えている。♠へ〈やみに包まれる〉十五夜の月が雲に隠れると、一瞬[いっしゅん]、家も庭もやみに包まれた。♠へやみを破る>突然、汽笛が夜のやみを破るように響いた。♠へやみに紛れる〉泥棒[どろぼう]を追いかけたが、やみに紛れて逃げられてしまった。♠へ一寸[いっすん]先はやみ>この世は一寸先がやみで、いつ何が起こるか、だれにも分からない。♠へやみからやみに葬[ほうむ]る〉男の出生[しゅっしょう]についての秘密は、やみからやみに葬られ、今ではだれも知る者がいない。♠へ心[こころ]がやみ〉これから先、いったいどうしたらいいだろう・・・・・・。空は晴れても心はやみだ。♠〈やみ取り引き〉〈やみ市[いち]〉〈やみ討[う]ち〉やみという言葉は、やみ取り引き、やみ市、やみ討ちなど、悪い意味に使われることが多い。♠金亀子[こがねむし]擲[なげう]つ闇の深さかな。(高浜虚子[たかはまきょし]) **やみくも**(闇雲) ○無分別なさま。むやみ。[文例]〈やみくもに走る〉職を求めてただやみくもに町の中を走り回った。♠へやみくもに事を運ぶ〉状況を考えないでやみくもに事を運ぼうとしても無理だ。♠へやみくもな正義感〉やみくもな正義感や愛国心がまかりとおる世の中は、生きにくく、またなにより危険であります。 **やみつき【病み付き】** ○病気のかかりはじめ。熱中してやめられなくなること。[文例]一人足りないからと友人に誘われたのが病み付きで、すっかりマージャン狂[きちが]いになってしまいました。♠へ病み付きになる〉ゴルフなんてどこがおもしろいかと思っていたが、一度やったら病み付きになってしまった。 **やみよ【やみ夜】**(闇夜) ○まっくらな夜。[文例]山の宿を一歩外に出ると、まるっきりのやみ夜だった。♠へやみ夜のともしび〉先生の助言は、やみ夜のともしびのように心を照らした。♠へやみ夜にカラス〉ああ、だめだ。やみ夜にカラスで、さっぱり見当がつかない。♠へやみ夜に鉄砲[てっぽう]〉見識のかけらもない者たちが好き勝手なことをいっても、やみ夜に鉄砲で的[まと]を射ることはありません。 **や・む【病む】** ○病気にかかる。わずらう。悩む。[文例]〈肺[はい]を病む>祖母は、若いころ、脚[あし]を病んで長い間療養[りょうよう]したという。♠〈神経を病む>現代のように複雑な機構の中で生きる人々には、神経を病むケースが多い。♠〈気に病む〉気の小さい彼は、仕事上のちょっとした失敗も気に病んで、くよくよ考えこんでいる。 **や・む**(止む・已む) ○止まる。終わる。[文例]〈雨がやむ〉大きな木の下に雨宿りして、雨がやむのを待った。♠へ戦争[せんそう]がやむ>昭和十九年、戦争はやむどころか、ますます激[はげ]しくなっていった。♠へ騒[さわ]ぎがやむ〉夕方になると、子供たちの騒ぎがやんで、公園が静かになる。♠へ音[おと]がやむ〉人の足音[あしおと]がした瞬間[しゅんかん]、草むらにすだく虫の音がはたとやんだ。♠ヘやむにやまれぬ>友達にやむにやまれぬ気持ちから忠告したが、無視された。♠ヘやむをえない〉家族が楽しく旅行できるのなら、少々の出費はやむをえない。♠ヘやむをえず〉どしゃ降りとなったので、やむをえず、試合はとりやめとした。 **やむな・い**(已むない) ○しかたない。やむをえない。[文例]本人がどうしてもというものですから、表彰式はやむなく中止ということにしました。♠ヘやむなきに至る〉講演会は講演者が急病のため、延期のやむなきに至りました。 **やむにやまれず**(已むに已まれず) ○どうしようもなく。やむをえず。[文例]亡父が大切にしていた絵だが、やむにやまれず売りに出すことにした。 **やむをえず**(已むを得ず) ○しかたなく。[文例]試合の日にエースが高熱を出して、やむをえず控えの選手を出すことにした。♠八合目ごろから天候がくずれてきたので、やむをえず登頂をあきらめ下山することにした。 **やむをえな・い**(已むを得ない) ○しかたない。どうしようもない。[文例]へやむをえない用>申し訳ありませんが、やむをえない用ができましたので中座させていただきます。♠〈やむをえない事情〉やむをえない事情で、会社を辞め郷里へ帰ることになりました。 **や・める【辞める】**(止める) ○行わなくする。止める。終わらせる。辞職する。[文例]〈おしゃべりをやめる〉おしゃべりをやめて、先生の話を静かに聞きなさい。♠へ勉強をやめる〉もう遅[おそ]いから、勉強はこのぐらいでやめて寝るとしよう。♠へけんかをやめる〉いいかげんにけんかはやめて、仲直りしたらどうだい。♠〈手出しをやめる〉よけいな手出しをやめて、とっととうせろ。♠ヘタバコをやめる〉体によくないだけでなく、他人にも迷惑[めいわく]がかかるので、タバコをぴったりやめた。♠へ会社を辞める〉彼は、二十年も勤めた会社を辞めて、故郷に帰ることにしたという。 <1154> **やや**(稍) ○しばらく。少し。いくぶん。[文例]台風が去ったのか、風がやや弱まってきた。♠そのネコは、ふつうのネコよりやや大きく、緑がかった目をしていて珍しい。♠ヘややしばらくする〉人気[ひとけ]がないので留守かと思ったが、ベルを押すと、ややしばらくして小さい子が出てきた。♠へややあって「たのもう!」と声をかけると、ややあって、「どうれ。」と声が返ってきた。♠へややもすると〉「春眠[しゅんみん]、暁[あかつき]を覚えず」というが、暖かくなると、ややもすると、朝寝過ごしてしまう。 **ややこし・い** ○込み入ってめんどうだ。複雑で難しい。[文例]〈ややこしい機械〉ボタンのたくさんある、こんなややこしい機械は、とてもおばあちゃんには使えない。♠へややこしい話>男と女のややこしい話になったので、ぼくは遠慮することにした。 **やゆ**(揶揄) ○からかうこと。また、その言葉。[文例]〈揶揄する〉誘拐犯[ゆうかいはん]からの脅迫状には、警察の不手際[ふてぎわ]を揶揄する文句が並べてあった。♠〈揶揄を浴びせる〉「―――どうも敵[かな]わない、旦那様[だんなさま]に会っちゃ」 下女[げじょ]はこう云[い]って立ち上った。しかし室[へや]を出掛[でが]けに又一句の揶揄を津田に浴びせた。(夏目漱石[なつめそうせき]「明暗[めいあん]」) **やらい【夜来】** ○昨夜以来。[文例]〈夜来の雨〉夜来の雨が、昼ごろになってようやく上がった。♠〈夜来の台風>夜来の台風にひとりはぐれた白い雲が/気のとおくなるほど澄みに澄んだ/かぐわしい大気の空をながれてゆく(伊東静雄[いとうしずお]「夏の終わり」部分) **やらか・す** ○やる。する。しでかす。[文例]へへまをやらかす〉主人が大声でどなっていたが、店の小僧[こぞう]さんがまた何かへまをやらかしたな。♠〈失敗をやらかす〉仕事中にぼんやりよそ見をしているから、そんな失敗をやらかすんだ。 **やり**(槍・剣・鎧) ○長い柄[え]の先に鋭い刃物をつけた武器。将棋の駒で「香車[きょうしゃ]」のこと。[文例]】〈槍の穂先〉二人は槍の穂先[ほさき]と穂先とが触れ合うほどに相対[あいたい]した。♠へやりで突く〉しりをやりで突かれたからたまらない、馬は馬子[まご]の手を振り切って走り出した。♠へやりが降ろうが>二度も延期になったハイキングだから、今日は雨が降ろうがやりが降ろうが決行するぞ。♠<炎天を槍のごとくに涼気すぐ(飯田蛇笏[いいだだこつ]) **やりかえ・す【やり返す】**(遣り返す) ○やり直す。仕返しする。逆にやりこめる。[文例]〈問題をやり返す〉おかしいな、答えが合わないぞ。もう一度やり返してみよう。♠いくら兄でもそんな命令には従えないと弟がやり返して、とうとう取っ組み合いのけんかになった。 **やりかた【やり方】**(遣り方) ○やる方法。仕方。[文例]〈うまいやり方〉〈やり方がある〉同じ事をするにも、もっとうまいやり方があるでしょう。♠〈ひどいやり方〉そんなひどいやり方でやったら、機械がこわれちまう。♠〈やり方が違う〉きみ、やり方が違うからうまくいかないんだ。♠へやり方が悪い〉だめ、だめ、やり方が悪いよ、それじゃだめ。♠ヘやり方を変える〉どうもうまくいかない、やり方を変えてみようか。 **やりきれな・い【やり切れない】**(遣り切れない) ○やり終えられない。がまんできない。気持ちがおさまらない。[文例]この仕事は、一日ではとてもやり切れない。♠へ暑くてやり切れない〉こう暑くては、ネコといえどもやり切れないらしく、ぐったり寝そべっている。♠へ退屈[たいくつ]でやり切れない〉長い入院生活は、退屈でやり切れないから、だれか遊びにこないかな。♠ヘやり切れない自己嫌悪[じこけんお]〉うそをついた後、やり切れない自己嫌悪に陥[おちい]った。 **やりくち【やり口】**(遣り口) ○やり方。手口。[文例]〈やり口が汚[きたな]い〉めんどうなことはぼくたちに押しつけて、当日だけ責任者でございという顔をしているんだから、やり口が汚いよ。♠へあくどいやり口〉地上げ屋は、辺り一帯の住民にあくどいやり口で立ち退きを迫った。 **やりくり【やり繰り】**(遣り繰り) ○いろいろと工夫して都合をつけること。[文例]〈家計のやり繰り〉物価の値上がりで、家計のやり繰りが大変です。♠へ時間のやり繰り〉〈やり繰りがつく〉時間のやり繰りさえつけば、会合には出席するつもりでいます。♠ヘやり繰りが立つ〉賃金を上げてもらわないとやり繰りが立たないと、店員たちが言ってきた。♠〈やり繰りする〉安サラリーですが、何とかやり繰りして生活しています。♠〈やり繰り上手〉やり繰り上手な女房[にょうぼう]のおかげで、貯金もたまり子供の学資の心配もありません。♠ヘやり繰り算段〉この不景気で職人たちの給料を払うのに、毎月やり繰り算段のありさまだ。 **やりこ・める【やり込める】**(遣り込める) ○相手をへこませる。言い負かす。[文例]〈生徒にやり込められる〉生徒たちが反論して、やり込められた先生は、もごもご言いながら帰っていった。 **やりすご・す【やり過ごす】**(遣り過ごす) ○通り過ぎさせる。度をこしてする。[文例]〈電車をやり過ごす〉遅れている夫を待って、電車を何台もやり過ごしました。♠〈冬をやり過ごす〉病人も何とか小康を保ち、寒かった今年の冬をやり過ごすことができた。♠〈酒をやり過ごす〉昨夜は酒をやり過ごして、いささか二日酔い気味である。 **やりそこな・う【やり損なう】**(遣り損なう) ○しそこなう。しくじる。やり損じる。[文例]今度こそ首尾よくいくと思ったのに、またやり損なってしまった。 **やりだま【やり玉】**(槍玉) ○やりを手玉のように自由に扱うこと。人をやりで突き刺すこと。非難・攻撃の対象。[文例]〈やり玉にあげる>責任者を出せと店に押しかけた客たちは、店長がいないと知ると、うっぷん晴らしに店員をやり玉にあげた。 **やりつ・ける【やり付ける】**(遣り付ける) ○いつもする。やり慣れる。[文例]〈やりつけない仕事>草むしりなんてやりつけない仕事をするから、腰が痛くなるんだ。 **やりて【やり手】**(遣り手) ○その事をする人。物事をてきぱきと処理する人。[文例]】〈やり手がない〉大切な仕事なのだが、真冬の夜回りはやり手がなかった。♠へなかなかのやり手〉この店の女主人はなかなかのやり手で、大幅に売り上げを伸ばしているという。 **やりと・げる【やり遂げる】**(遣り遂げる) ○やりとおす。なしとげる。[文例] <1155> <事業をやり遂げる〉彼は父親の遺志を継いで、みごとにその事業をやり遂げた。♠く計画をやり遂げる〉この計画はきみが言い出したのだから、最後までやり遂げるべきだ。 **やりとり**【やり取り】(遣り取り) ○やったりとったりすること。言葉の受け答え。口論。[文例]〈手紙のやり取り〉姉は、外国にペンフレンドをもっていて、いつも手紙のやり取りをしている。♠〈中元[ちゅうげん]・歳暮[せいぼ]のやり取り〉お中元やお歳暮のやり取りを、今年からやめることにした。♠へ言葉のやり取り〉今まで親しかった友達と、ちょっとした言葉のやり取りから仲たがいしてしまった。♠ほんの一、二分のやり取りだったが、山道で出会った若者たちと気持ちを通じ合うことができた。♠く激[はげ]しいやり取り〉防衛問題をめぐる激しいやり取りが、与党[よとう]と野党[やとう]の議員の間で続けられている。♠〈やり取りをする〉おばあさんは、孫[まご]ととぼけたやり取りをしながら、火吹き竹で火をおこしていた。 **やりなお・す【やり直す】**(遣り直す) ○もう一度初めからやる。[文例]〈計算をやり直す〉この答えはまちがっていますよ。もう一度計算をやり直してみましょう。♠へ人生をやり直す〉人生だって、失敗したら、初めからやり直せばいいのさ。 **やりば【やり場】**(遣り場) ○もって行く所。[文例]〈やり場のない怒り[いかり]〉無実の罪をきせられた少年は、やり場のない怒りを感じた。♠〈目のやり場〉若い男女のあけっぴろげな態度に、車中の人たちは目のやり場に困っていた。 **や・る**(遣る) ○行かせる。移す。進ませる。送る。与える。思いを晴らす。する。行う。飲む。食う。害する。殺す。他人の利益または不利益のために・・・する。[文例]〈向こうへやる〉通り道の邪魔[じゃま]になるから、この荷物を向こうへやれ。♠へ子供を大学へやる>貧乏[びんぼう]な生活の中で、三人の子供を大学へやるのは、大変なことだった。♠へ嫁[よめ]にやる〉娘[むすめ]を嫁にやる父親の気持ちは非常に複雑なものらしい。♠〈知らせをやる〉事故のニュースを聞いた父は、急いで兄のところへ知らせをやった。♠く使いをやる〉今から使いの者をそちらにやりたいのですが、ご都合はよろしいですか。♠〈迎えの車をやる〉駅に着いたら電話してください。迎えの車をやりますので。♠◆ご飯をやる〉三匹の子犬に、朝晩ご飯をやるのは、弟の役目だ。♠へ水をやる〉この花は丈夫[じょうぶ]だから、毎日水をやる必要はありません。♠〈小遣[こづか]いをやる〉今日はお父さんの仕事をよく手伝ってくれたから、ほうびに小遣いをやろう。♠〈額[ひたい]に手をやる〉妹がだるそうにしているので、額に手をやると、熱っぽかった。♠ヘへまをやる〉おまえは落ち着きがないから、へまばかりやるんだ。♠ヘサッカーをやる〉幼いころからスポーツは大好きで、中学生になってからは、サッカーをやっている。♠〈生活をやっていく〉一か月十万円の収入で、家族三人の生活は、とてもやっていけない。♠<一杯やる〉父は、会社の帰りにちょっと一杯やるのが楽しみらしい。♠へのどをやられる〉冬は空気が乾燥[かんそう]しているから、のどをやられることが多い。♠へだれかにやられる〉弟は、だれにやられたのか、目をはらして帰ってきた。♠へ霜[しも]にやられる〉こぶしやもくれんは、陽気に誘[さそ]われて咲き急ぎ、一夜の霜にやられることがよくある。♠へ爆撃[ばくげき]でやられる>太平洋戦争末期、日本の主要都市のほとんどが爆撃でひどくやられた。♠へやるかやられるか〉やるかやられるかの緊迫したシーンに、手に汗[あせ]をにぎった。♠へ〜してやる>宿題の分からないところは、お父さんが見てやるから、持ってこいよ。♠へ〜してやる〉掃除[そうじ]をサボってばかりいると、先生に言いつけてやるぞ。♠へ〜してやる〉あんたなんか、なにさ! こんなうち、出ていってやる。 **やるかたな・い【やる方無い】**(遣る方無い) ○思いを晴らす方法がない。[文例]〈ふんまんやる方ない〉相手のあまりの暴言に、ふんまんやる方ない思いであった。♠へやる方ない無念>相手が主人であってみれば、奉公人はやる方ない無念をただこらえなければならなかった。 **やるせな・い【やる瀬無い】**(遣る瀬無い) ○思いを晴らす方法がない。気分が晴れなくてつらい。[文例]〈やるせない表情>仕事に失敗したのだろう、明るく振る舞っているが、さすがにやるせない表情を隠しきれない。♠ヘやるせない日々>彼女は、外国へ行った恋人[こいびと]を思って、やるせない日々を送っているらしい。♠ヘやるせない思い〉相手に気持ちを打ち明けられず、やるせない思いでもんもんとしていた。♠へやるせなくつらい>不幸続きの親友に対して、なんの力にもなれないことがやるせなくつらい。 **やろう【野郎】** ○男をののしっていう語。男。あいつ。[文例]この野郎、おれがおとなしくしているからって、調子に乗るんじゃないぞ。♠宴会[えんかい]は、女性がみんな帰って、野郎ばかりになってしまった。♠どうせいつもの通りでたらめだろうから、野郎の言うことは信用するな。 **やろうじだい【夜郎自大】** ○(中国の故事から)自分の本当の力量を知らない者が仲間うちでいばっていること。[文例]〈夜郎自大になる〉ともすれば若いころは、自分の力を過信して夜郎自大になりがちである。 **やわ【柔】** ○やわらかいさま。もろくて弱いさま。[文例]へやわな作り〉こんなやわな作りの棚[たな]じゃ、空き箱を乗せただけで壊[こわ]れちまう。♠ヘやわな神経〉ちょっと注意されただけでめそめそするようなやわな神経では、ここの仕事は勤[つと]まらないぞ。♠へやわな人間〉一度や二度の失敗でへこむようなやわな人間に育てたつもりはない。 **やわらか【柔らか・軟らか】** ○やわらかいさま。[文例]〈軟らかな土〉しっとりと軟らかな土が素足に心地よい。♠へ柔らかなふとん〉柔らかなふとんに包まれて、赤ん坊はすやすやと眠っていました。♠〈柔らかなご飯〉温かくて柔らかなご飯にふりかけをかけて食べるのが好きです。♠へ柔らかな体〉バレリーナのように柔らかな体だったらよかったのにな。♠〈柔らかな光〉春の柔らかな光の中で、子供たちが楽しそうに遊んでいる。♠〈柔らかな頭〉彼の柔らかな頭からは、驚くようなアイディアが飛び出してくる。♠へ柔らかな言い方〉もの柔らかな言い方だったので、全く知らない子もおびえることがなかった。 <1156> **やわらか・い【柔らかい・軟らかい】** ○ふっくら、ふわふわしている。しなやかだ。おだやかだ。かた苦しくない。融通がきいて柔軟だ。[文例]〈柔らかい雪〉真綿[まわた]のように柔らかい雪の上を歩くと、雪の粉でズボンが真っ白になった。♠へ柔らかい毛>生まれたばかりの子ねこは、柔らかい毛に包まれて、まだ目があいていない。♠へ軟らかい食べ物〉獣[けもの]のような硬く強い歯や牙[きば]を持たぬ人間は、火を用いて食べ物を軟らかくすることを知った。♠く体が軟らかい>子供は体が軟らかいので、ひざを伸ばして前屈[ぜんくつ]すると、てのひらが床[ゆか]につく。♠へ柔らかい感じ>彼の話し方は外見に似ず上品で、柔らかい感じがする。♠へ柔らかい物腰[ものごし]〉デパートの店員が柔らかい物腰で客と応対している。♠へ柔らかい日差し〉葉が落ちて、裸[はだか]の枝[えだ]についた柿[かき]の実が、柔らかい秋の日差しをいっぱいに浴びている。♠く柔らかい光〉柔らかい電球の光が、茶の間で団らんする家族の顔を、明るく照らしている。♠<頭が柔らかい>祖父は、頑固[がんこ]なところもなく頭が柔らかいので、若い人たちとも話が合う。♠へ軟らかい話〉いつもはきまじめな先生が、今日は珍[めずら]しく軟らかい話をされたので、ちょっと驚[おどろ]いた。 **やわら・ぐ【和らぐ】** ○やわらかになる。おだやかになる。なごやかになる。[文例]〈光が和らぐ〉母の和服姿が小春日の和らぐ日の光にしっとりと似合う。♠へ寒さが和らぐ〉春になって寒さが和らぐと、氷がとけて、小川の水もだんだんぬるくなってくる。♠〈緊張[きんちょう]が和らぐ〉米・ソをはじめ、国際間の緊張が和らいで、世界に真の平和が来るのはいつだろうか。♠〈表情が和らぐ〉父は、朝の怒り[いかり]が解けたのか、夕方帰ってきた時には、すっかり表情が和らいでいた。♠人和らいだ雰囲気[ふんいき]〉会議は、役員の選出で少しもめた後は一転して、和らいだ雰囲気になった。 **やわら・げる【和らげる】** ○おだやかにする。[文例]〈苦痛を和らげる〉どんな薬も、病人の苦痛を和らげることはできなかった。♠へ声・表情を和らげる〉相手が客とわかると、店員は急に声と表情を和らげて話しかけてきた。♠へ表現を和らげる〉もう少し表現を和らげないと、相手は腹を立てるかもしれません。 **やんちゃ** ○子供が活発で、よくいたずらをするさま。[文例]〈やんちゃな子〉末っ子[すえっこ]のけいすけはやんちゃな子で、幼稚園の先生をてこずらせていた。♠ヘやんちゃをする〉腕白[わんぱく]ぼうずのさぶちゃんは、今日もやんちゃをして母さんにしかられた。♠ヘやんちゃ盛り[ざかり]〉やんちゃ盛りの男の子が五人も集まったので、家の中は運動会のような騒ぎだ。 **ゆ【湯】** ○水をわかしたもの。水の熱くなったもの。温泉。ふろ。銭湯[せんとう]。[文例]〈湯が沸く〉お湯が沸いたようだから、ポットにうつしておいてちょうだい。♠〈湯を沸かす>昔は自分のお産をしたので、家の者はかまどで湯を沸かしたり、たいそう忙[いそが]しかったそうだ。♠へ湯が煮たつ〉ストーブにかけたやかんの湯が、ぐらぐらと煮たっている。♠へ湯がたぎる〉火ばちには、いつも鉄びんの湯がしゅんしゅんたぎっている。♠〈湯で温める〉バケツに湯を入れて、冷えた手足を温めた。♠<湯で溶く〉おばあさんは、そば粉を湯で溶いたものを、おいしそうに飲んでいる。♠〈湯に通す>野菜などのあくを取るために、お湯にざっと通して下ごしらえをすることを、「ゆがく」と言う。♠〈湯を飲む〉彼女はのどが渇[かわ]くと言っては、しきりに湯を飲んだ。♠へ湯に入る〉上は熱くても、底の方が水だったりするので、よくかきまぜてからお湯に入ります。♠〈湯が冷める〉お湯が冷めないうちに早くおふろに入りなさい。♠へ湯につかる〉温かい湯につかっていると、一日の疲れがとれる。♠へ湯を使う〉まずは湯を使って、手と足をお洗いくださいませと、女中は旅人をうながした。♠〈温泉の湯〉ここの温泉の湯は神経痛によく効くというので、大勢のお年寄りが湯治[とうじ]に来る。♠〈湯に行く〉祖父は、毎日近所の幼なじみを誘って湯に行くのを何より楽しみにしている。♠<湯につかる〉〈湯から上がる〉お湯につかっていた弟は、友達からの電話に、お湯から上がると体もふかずに飛んでいった。♠へ湯の加減〉弟に湯の加減を見させると、いつもぬるめになってしまう。♠〈湯の町〉ここは、江戸[えど]時代から続いている湯の町です。♠〈湯上がり>赤ん坊の雄太[ゆうた]くんの手や足は、湯上がりのようにすべすべしています。♠◇湯あたり〉友達とおふろで騒[さわ]いでいたら、とうとう湯あたりを起こしてしまった。 **ゆあがり【湯上がり】** ○ふろから出ること。ふろから出た状態。バスタオル。浴衣。[文例]湯上がりに冷えたビールをキューッと一杯、これがこたえられない。♠湯上がりの肌はほんのり桜色で、におうような娘らしさだった。 **ゆあみ【湯あみ】**(湯浴み) ○入浴。[文例]〈湯浴みする>湯気[ゆげ]をすかして見ると、広い浴場のすみに湯浴みする若い女性とおぼしき姿があった。 **ゆいいつ【唯一】** ○ただ一つであること。[文例]〈町で唯一>父は村で唯一の外科医なので、毎日忙[いそが]しい。♠人唯一のすみか〉今後も長期にわたって、人類は、地球を自分たちの唯一のすみかとせざるをえないであろう。♠へ唯一の救い>長い戦いが続く中で、子供たちの無邪気[むじゃき]な笑顔が唯一の救いだった。♠<唯一のとりえ「あなたは、健康だけが唯一のとりえね。」と、母に言われた。♠<唯一無二>彼は、僕の小さいころからの、唯一無二の親友です。 **ゆいがどくそん【唯我独尊】** ○世の中で自分だけが偉いと自負すること。ひとりよがり。[文例]お釈迦様[しゃかさま]は、生まれるとすぐに左右の手で天地[てんち]を指して、天上天下[てんげ]唯我独尊と言われたという。♠何しろ唯我独尊のワンマン社長だから、こうと決めたら周囲の意見に耳を貸しません。 **ゆいごん【遺言】** ○死後に言い残すこと。また、その言葉。[文例]〈遺言に従う〉父の遺言に従って、兄弟は力を合わせて店を盛りたてていきました。♠へ遺言を残す>突然のことで遺言も残さず、夫は亡くなりました。♠へ遺言する〉祖父の遺言した通り、財産は施設へ贈られることになりました。 <1157> **ゆいしょ【由緒】** ○物事の起こり。物事の経てきたすじ道。由来。いわれ。[文例]〈行事の由緒〉この村に伝わる行事の由緒を、地元のお年寄りに尋ねてみた。♠へ由緒ある家柄[いえがら]>彼は、由緒ある家柄の生まれだそうです。♠へ由緒ある建物〉この町には、寺、神社、城などの由緒ある建物がたくさんあります。♠へ由緒正しい〉方言には、中央で滅[ほろ]びてしまった、由緒正しいことばが残っている場合がある。 **ゆいのう【結納】** ○婚約のしるしに金品を取り交わすこと。また、その金品。[文例]〈結納をかわす>仲人[なこうど]が決まり結納をかわしたあとも、娘の心はまだ揺れていた。♠へ結納の品>六月に入ると良い日を選んで、花婿[はなむこ]の家から結納の品が届けられた。 **ゆう【夕】** ○夕方。夕べ。夕暮れ。[文例]<朝[あさ]に夕[ゆう]に>朝に夕に水をやり、丹精[たんせい]して花の苗[なえ]を育てた。♠へ朝夕[ちょうせき]〉宿のおかみさんは、朝夕、心のこもった料理を作ってくれた。 **ゆう【有】** ○存在すること。所有すること。[文例]〈無から有を生む〉どんなに努力しても、無から有を生み出すことはできない。♠〈我が有に帰する〉敵の糧道[りょうどう]を絶てば、かの国土は我が有に帰するであろう。♠〈有資格者>特殊技能の有資格者は、就職の際に優遇されます。 **ゆう【勇】** ○勇気。[文例]〈勇を鼓[こ]す〉学生は勇を鼓して前へ進み出たが、教官の目に射すくめられると下を向いてしまった。♠〈匹夫[ひっぷ]の勇〉怖いもの知らずでがむしゃらに突き進むのは、匹夫の勇、賢明な男のやることではない。♠メロスはそれを目撃して最後の勇、先刻、濁流[だくりゅう]を泳いだように、群衆をかき分け、かき分け、(・・・・・・)(太宰治[だざいおさむ]「走れメロス」) **ゆう【優】** ○上品でしとやかなさま。すぐれていること。♪優に[文例]〈優にやさしい>若い叔母の優にやさしいふるまいを、幼かったわたしはあこがれの目で見つめていた。♠〈優良可>優秀な兄と違って、わたしの成績表には可ばかりが並び、優も良も一つもなかった。 **ゆ・う【結う】** ○むすぶ。ゆわえる。たばねる。[文例]<髪[かみ]を結う〉応対に出た宿のおかみは、日本風に髪を結っていた。♠〈垣[かき]を結う〉そこに尼僧[にそう]の小さな庵[いおり]があり、周囲にはつつましく竹垣[たけがき]が結ってあった。 **ゆうあい**【友愛】 ○友人に対する親愛の情。一[文例]〈友愛を深める〉世界各国からこのキャンプに参加した少年たちは、互いの友愛を深めることができた。♠〈自由・平等・友愛>自由、平等、友愛は、フランス革命の旗印[はたじるし]です。 **ゆうい【有為】** ○才能があって世の中の役に立つこと。[文例]〈前途有為〉きみのように前途有為な青年をつまらない問題に巻き込みたくない。 **ゆうい**【優位】 ○他よりまさった地位。優勢な位置。[文例]】<優位に立つ〉ヨーロッパは、科学技術の先進性によって世界の優位に立った。♠〈優位を占める〉この大会では地元勢が圧倒的[あっとうてき]に優位を占めた。 **ゆういぎ【有意義】** ○意義のあるさま。[文例]〈有意義に過ごす〉大学生活最後の夏休みを有意義に過ごしたい。♠へ有意義な生活〉しっかりした目標を立て、有意義な生活を送りたいと思います。♠〈有意義な話〉本日はまことに有意義なお話を承り、ありがとうございました。 **ゆううつ**(憂鬱) ○気分がふさいで晴れ晴れしないこと。うっとうしく気分が沈みこむさま。[文例]ゆううつな時、わたしはレコードを聴いたり、歌を歌ったりして気を紛[まぎ]らす。♠テストがあまりできなかったのでゆううつだ。♠へゆううつな気分〉門限に遅れたので、母にしかられるだろうなと思うと、ゆううつな気分になってしまった。♠へゆううつな天気>梅雨[つゆ]どきは、湿気の多いじめじめしたゆううつな天気が続く。♠へゆううつそうな顔〉中村さん、ゆううつそうな顔をしてるけど、どうかしたの? **ゆうえい**【遊泳】(游泳) ○泳ぐこと。世渡り。処世。[文例]】〈遊泳する〉アクアラングを着けたダイバーは、魚のように自由自在に水中を遊泳した。♠へ遊泳禁止>本日は高波のため、この海岸は遊泳禁止となっています。♠〈宇宙遊泳〉宇宙飛行士による宇宙遊泳の模様が画面に写し出された。 **ゆうえき【有益】** ○利益があること。ためになること。[文例]〈有益な役割>新聞人は、皆社会で有益な役割を果たしたいと考えていた。♠く有益な本〉これは、有意義な情報の集め方をテーマとしていて、ビジネスマンには有益な本だ。♠〈有益に使う〉これらの善意の寄金がより有益に使われることを願っています。 **ゆうえつかん【優越感】** ○他よりまさっているという意識。→劣等感[文例]<優越感を覚える〉みんなの前で研究発表を終えた時、ぼくは軽い優越感を覚えた。♠へ優越感を抱く〉彼は、勉強もスポーツも一番だが、特にそのことで優越感を抱いている様子もない。♠〈優越感をもつ〉優越感をもった人間は、どうもぼくは苦手だ。♠<優越感にひたる>優勝して優越感にひたっていたわたしは、かげで支えてくれた人たちへの感謝を忘れてしまっていた。♠へ自信と優越感〉ぼくには、この道にかけてはだれにも負けないという、あふれる自信と優越感がある。 **ゆうが【優雅】** ○上品で優美なさま。[文例]〈優雅な生活>貴族の生活とはまた優雅なものだ。♠〈優雅な立ち居ふるまい〉彼女のゆったりとした立ち居ふるまいは、とても優雅である。♠〈優雅な感じ>母は、中間色の上品な配色で、優雅な感じのするこの着物がお気に入りです。♠〈優雅な姿>湖にうかぶ白鳥の姿は、気高い王女のように優雅です。♠へ優雅な音楽>わたしは、ワルツのような優雅な音楽が好きです。♠〈優雅に暮らす〉あくせくした生活から抜け出して優雅に暮らしたいものだねえ。 **ゆうかい【誘拐】** ○人をだまして連れ去ること。かどわかすこと。[文例]〈誘拐する〉公園で遊んでいた幼児が見知らぬ女に誘拐されかかったが、無事に保護された。♠へ誘拐犯>誘拐犯は、身の代金を要求する電話をかけてきた。 **ゆうがい【有害】** ○害があること。ためにならないこと。[文例]】〈有害な農薬〉有害な農薬や化学肥料を使わない、有機農法が見直されています。♠へ有害な物質〉自動車会社では、自動車の排気ガスの中の有害な物質を少なくする工夫をしています。♠〈有害な本>青少年に有害な本を売るのを <1158> やめましょうと、お母さんたちが運動をおこした。♠へ有害無益>薬と毒は紙一重[かみひとえ]ですから、薬の飲み過ぎは有害無益です。 **ゆうがく**【遊学】 ○よその土地へ行って学問をすること。[文例]〈遊学する〉教授は、アメリカに遊学しているうちにその業績が認められ、そのまま現地にとどまって研究を続けた。 **ゆうがた【夕方】** ○夕暮れ。夕刻。[文例]夕方暗くなる前に帰ってらっしゃいね。♠降っていた雨も上がり、夕方になると西の空が真っ赤に染まった。 **ゆうかん【勇敢】** ○勇気をもって物事に立ち向かうさま。[文例]〈勇敢な人間〉きみが勇敢で、しかも正直な人間であることは、みなが認めている。♠●〈勇敢な若者>勇敢な若者が川に飛び込み、おぼれかかっている子供を救った。♠へ勇敢に戦う〉少年は海賊[かいぞく]たちと勇敢に戦って、宝を手にいれた。♠〈勇敢に立ち向かう〉困難にもめげず、勇敢に悪に立ち向かう人々の姿は、ぼくを感動させた。♠へ勇敢にも>火事の家から赤んぼうの泣き声を聞いた彼は、勇敢にも、燃える火の中に飛び込んでいった。 **ゆうかん【有閑】** ○ひまがあること。生活にゆとりがあること。[文例]〈有閑夫人>裕福[ゆうふく]なAさんが福祉[ふくし]活動を始めたころ、周囲の人々は、有閑夫人の暇つぶしぐらいにしか考えませんでした。♠〈有閑階級〉その時代、学問をするのは生活に余裕のある有閑階級の人々に限られていた。 **ゆうき【勇気】** ○恐れを知らない強い気力。[文例]〈勇気がある・ない〉娘は、心の優しい、そして勇気のあるこの若者に心ひかれた。♠〈勇気ある〉ぼくは、明るく、どんな困難をも乗り越えてゆく勇気ある人間になりたい。♠〈勇気を出す>戦争の焼け跡[あと]にも春が訪[おとず]れ、独りぼっちになった少女は、勇気を出して生きていく決心をするのだった。♠へ勇気がさかん>戦いが長びくと、さすがに勇気のさかんな若い兵士たちも、飢[う]えと疲労で日に日に弱っていった。♠〈勇気を奮[ふる]い起こす〉傷ついた兵士は、最後の勇気を奮い起こして戦った。♠〈勇気を取りもどす〉わたしは、勇気を取りもどせと自分に言い聞かせながら、苦境に耐えた。♠〈勇気がいる〉日記を書くには、真実を恐れずに受けいれる勇気がいる。♠へ勇気を起こす〉ずっと悩んでいたが、ついに、一切を母に打ち明ける勇気を起こした。♠〈強い勇気〉〈勇気をもつ〉もし敵につかまって、捕虜[ほりよ]になっても、強い勇気をもってこらえ、生きのびることを第一とせよ。♠〈勇気を与える〉先生の励ましの言葉は、ぼくに希望と勇気を与えてくれた。♠〈勇気を鼓[こ]する〉勇気を鼓して進もうとするが、疲れた足は小さな石にさえつまずいた。♠〈勇気百倍〉マラソンは苦手なぼくだが、家族じゅうの応援[おうえん]に勇気百倍、上位でゴールインすることができた。♠〈勇気りんりん〉戦いを目前にひかえても勇気りんりんたる若者を見て、村人たちに希望がわいてきた。 **ゆうぎ**【遊戯】 ○遊びたわむれること。幼児・児童が集団でする踊り。[文例]〈遊戯をする〉お正月は、家族じゅうでカルタやトランプ、羽根つきなど、いろいろな遊戯をして楽しく過ごした。♠〈遊戯に熱中する〉公園では、子供たちがブランコやシーソー、砂遊びなどの遊戯に熱中している。♠へ遊戯を習う〉幼稚園[ようちえん]に行き始めた妹は、習いたてのお遊戯を、さっそく家族みんなに披露[ひろう]した。♠〈遊戯をする〉小学校の運動会で、一年生の子供たちが、曲にあわせて一生懸命[いっしょうけんめい]遊戯をする姿はとてもかわいかった。 **ゆうきてき【有機的】** ○生物の体のように、部分部分が密接な関係をもちながら全体を構成するさま。→無機的[文例]〈有機的な生命体〉虫けらも人も有機的な生命体であり、種の保存を目的としているという点では変わりがない。♠〈有機的にかみ合う〉部分の機能が有機的にかみ合い、相互に作用し合うことによって全体が発展する。♠へ有機的に結びつく〉国民一人一人の活動が国の経済と有機的に結びついている。 **ゆうきゅう【有給】** ○給料が支払われること。[文例]〈有給休暇[きゅうか]>来週は有給休暇を取って、旅行に行くつもりだ。 **ゆうきゅう【悠久】** ○長く久しいこと。永久。[文例]〈悠久な歴史>わたしたちは、この悠久な歴史の流れの中にしばし姿を現したにすぎない。♠〈悠久の自然〉悠久の自然の片すみで、何千年の昔から人々は変わらぬ営みを続けてきたのだ。♠<悠久の眠り>古墳発掘[こふんはっくつ]が進み、悠久の眠りから覚めた王族の墓が全容を現し始めた。 **ゆうきょう【遊興】** ○遊び興じること。歓楽すること。[文例]何を思ったか、男は長年かかってコツコツとためたとらの子を、一晩の遊興に使い果たしてしまった。♠〈遊興費>店の金をごまかして遊興費にあてていたというからあきれてしまう。 **ゆうぐう【優遇】** ○手あつくもてなすこと。高い給料で雇うこと。[文例]〈優遇を受ける〉わたしは恩人のゆかりの者ということで、その家で大変な優遇を受けた。♠〈優遇する〉経験者は、即戦力[そくせんりょく]となりますので優遇されます。 **ゆうぐれ【夕暮れ】** ○日暮れ。夕方。[文例]〈夕暮れになる〉楽しく遊んだ一日も過ぎ、夕暮れになって子供たちは帰っていった。♠ヘ夕暮れが迫[せま]る〉気がつくと、日は西に傾[かたむ]き、夕暮れが迫っていた。♠〈秋の夕暮れ〉秋の夕暮れ、東の空にぽっかりと月が上りました。♠ヘ夕暮れ時[どき]〉夕暮れ時になると、買い物客や帰宅を急ぐ人たちで街はにわかに活気づいてくる。 **ゆうけい【有形】** ○形があること。形体を備えていること。[文例]〈有形無形>彼からは資金の援助や経営のアドバイスなど、有形無形の恩を受けた。♠〈有形財産>土地や金のような有形財産の多寡[たか]は、必ずしもその人の価値を表すものではない。 **ゆうげん【有限】** ○限りがあること。[文例]】〈無限と有限〉宇宙は無限だなどといわれても、有限の世界に住んでいる人間には、想像を超えたことです。♠<有限な時間>誕生[たんじょう]から死までのその有限な時間を、わたしたちは大切に生きていきたいものです。♠〈有限な資源〉有限な資源を大切に使おこうという気運がようやく高まってきた。 <1159> **ゆうげん【幽玄】** ○奥深く味わいの尽きないこと。深い趣のあること。[文例] <幽玄の世界〉ゆらめくかがり火の下で演じられる薪能[たきぎのう]は、見る者を幽玄の世界へ誘[いざな]い込む。♠へ幽玄な響き>強く弱く流れる笛の音の幽玄な響きに、わたしは次第にひきこまれていった。 **ゆうこう【友好】** ○友人として仲良くすること。[文例]〈友好を進める〉あなたがたの星との友好を進めるために、わたしははるばるやって来たのです。♠へ〈友好を深める>会場では、各国から集[つど]ったたくさんの人々が大いに友好を深めた。♠<友好関係>日米は、戦後一貫して友好関係にある。♠へ友好親善>友好親善のため、今年も各国から青年が参加してキャンプが行われた。 **ゆうこう【有効】** ○効き目があるさま。効果があるさま。[文例]〈有効に使う〉時間をもっと有効に使えば、勉強の能率も上がるはずだ。♠〈有効な方法〉比喩[ひゆ]は、詩に生き生きとした感じを与える有効な方法の一つです。♠へ有効な手段>手紙は、自分の思っていることを相手に伝える有効な手段です。♠へ有効な手がかり〉文中で繰り返し使われている言葉は、文の内容を考えるうえで有効な手がかりとなります。♠〈有効利用〉資源には限りがあるのだから、有効利用を考えなければなりません。♠へ有効期限〉この券は、有効期限を過ぎているので使用できません。 **ゆうごう【融合】** ○一つにとけ合うこと。「[文例]〈民族の融合>宗教や言語を別にする異民族の融合は、きわめて困難である。♠へ融合する〉ヘレニズム文化は、ギリシア風とオリエント風とが融合した文化であった。 **ゆうこく【夕刻】** ○夕方。夕暮れ。〔[文例] 今日は午後になれば体があくので、夕刻までにはお宅におうかがいします。 **ゆうこん**(雄渾) ○雄大で力強いさま。よどみなくのびのびしているさま。「[文例]〈雄渾な筆致>壁にかけられた書は、勢いあふれる雄渾な筆致の見事な作品であった。♠〈雄渾な姿>霧がはれると、わたしたちの眼前に霊峰富士[れいほうふじ]がその雄渾な姿を現した。 **ゆうざい【有罪】** ○罪があること。[文例]実際に手を加えた者だけでなく、それを強要した者も有罪である。♠へ有罪判決>傷害事件を起こした男に懲役[ちようえき]二年の有罪判決が言い渡された。 **ゆうし【有志】** ○ある事に対して志や関心をもつこと。また、その人。[文例]〈町内の有志>活動資金を作るために、町内の有志の寄付を求めました。♠へ有志が集まる〉生徒の中の有志が集まり、新しく落語研究会を発足[ほっそく]させた。♠へ有志をつのる〉ボランティア活動を始めるにあたって、有志をつのっておりますので、御協力ください。♠〈有志の活動>社会には、民間の有志の奉仕活動を必要とする場が少なくない。 **ゆうし【有史】** ○(記録された)歴史があること。[文例]〈有史以来〉ガウスは、有史以来最大の数学者の一人と言われている。♠〈有史以前〉有史以前の社会の研究は、遺跡に頼るほかありません。♠〈有史時代〉人類の歴史は、たかだか数千年の有史時代のかなたに、数百万年の時間が横たわっているのです。 **ゆうし【勇士】** ○勇ましい者。勇敢な兵士。[文例]〈真の勇士〉死を恐れずに自由のために戦う、彼こそ真の勇士であった。♠〈歴戦の勇士〉大佐は多くの敵機を撃墜[げきつい]し、歴戦の勇士として名をはせた。 **ゆうし【勇姿・雄姿】** ○勇ましい姿。雄々[おお]しい姿。[文例]〈さっそうたる勇姿>軍人のさっそうたる勇姿に、軍国少年は胸をときめかせたという。♠へ雄姿を現す〉高速道路のカーブを曲がると、行く手に富士山がその雄姿を現した。♠へ雄姿を誇[ほこ]る〉前方にはヒマラヤの峰々[みねみね]が連なり、中でもエベレストが一段とその雄姿を誇っていた。 **ゆうし【融資】** ○資金を融通すること。[文例]〈融資を受ける>幸い、銀行から融資を受けることができて、会社も一息ついた。♠へ融資する〉今度の事業に必要な資金は、親会社から融資してもらうことに話がついた。 **ゆうじ【有事】** ○大事件や戦争などが起こること。「[文例]〈有事に備える〉有事に備えて軍備を整える必要があるという意見と、それが軍拡競争につながるから軍備は縮小すべきだという意見があります。♠〈国家有事〉この国には徴兵制度があり、国家有事の際には国民が武器を取って戦う。 **ゆうしゃ【勇者】** ○勇気ある者。[文例]〈勇者メロス〉勇者メロスも、死への疾走[しっそう]の途中、激しい身体の疲労のため、固い決意もくじけそうになった。(太宰治[ださいおさむ]「走れメロス」)♠◇真の勇者〉わたしは、傷ついた相手を攻撃しない騎士に真の勇者の姿を見た。 **ゆうしゅう【優秀】** ○非常にすぐれていること。「[文例]〈優秀な成績>彼女は今春、有名な女子大を優秀な成績で卒業した。♠へ優秀な民族〉ヒトラーの率いるナチスは、自分たちだけが選ばれた優秀な民族であるとする「選民思想」を持っていた。♠へ優秀な学生〉彼は、この学校の優秀な学生の一人です。♠へ優秀な人材>企業では優秀な人材を得るため、広く求人活動を行っている。♠へ優秀な頭脳〉イルカは、動物の中ではかなり優秀な頭脳を持っているそうです。♠<優秀性>日本製品の優秀性は、アメリカでもヨーロッパでも評価されている。 **ゆうしゅう【有終】** ○最後を全うすること。[文例]〈有終の美を飾る>現役最後の試合に全力を尽くし、有終の美を飾りたいものだ。 **ゆうしゅう【憂愁】** ○うれい。深い物思い。[文例]〈深い憂愁><憂愁を抱く>青春の日々、多くの若者たちが胸に深い憂愁を抱いて、この川の岸辺を歩いたことだろう。♠<峠[とうげ]は決別[けつべつ]を強[し]いるところだ。/峠には訣別のためのあかるい憂愁がながれている。(真壁仁[まかべじん]「峠」部分) **ゆうじゅうふだん【優柔不断】** ○決断力のないこと。にえきらないさま。[文例]〈優柔不断な態度〉きみのその優柔不断な態度が彼女の心を迷わせるのだよ。♠〈優柔不断な性格〉いざという時に決断できない優柔不断な性格では、指導者にはなれない。 **ゆうしゅつ**(湧出・涌出) ○わき出ること。[文例]〈地下水の湧出>この池は地下水の湧出によってできたもので、一年中 <1160> 水がかれることはない。♠〈湧出する〉この山あいに温泉が湧出することを最初に知ったのは、おそらく動物たちだったろう。 **ゆうしょう【優勝】** ○競技で第一位になること。優れたものが勝つこと。[文例]〈優勝をかける>優勝をかけた大事な試合をぼくたちは力いっぱい戦った。♠〈優勝を遂げる〉ついにチームは、二年連続優勝を遂げることができた。♠へ優勝をさらう〉まったく無名のランナーに優勝をさらわれてしまった。♠へ優勝する〉うちの学校のサッカー部が優勝するなんて信じられないな。♠<優勝劣敗>生物の世界は、優勝劣敗のルールに従って盛衰[せいすい]を繰り返しています。 **ゆうしょう【有償】** ○受けた利益に対して金品をもって報いること。代価が支払われること。→無償[文例]〈有償で行う〉わが社は、在宅看護等のサービスを有償で行うことを業務としています。 **ゆうじょう【友情】** ○友人間の親愛の情。[文例]〈美しい友情>友のために己[おのれ]を無にするほどの美しい友情があろうか。♠〈厚い友情〉ぼくは、クラスメートの厚い友情に、心から感謝しています。♠〈友情を深める〉砂漠[さばく]に不時着した飛行士が、遠い小さな星から来た王子と出会い、しだいに友情を深めていく。♠<友情が育つ〉農場でいっしょに働いているうちに少年たちの間には、友情が育っていった。♠へ友情が芽生える〉少年がわなにかかった犬を救ってやったことから、両者の間に奇妙[きみょう]な友情が芽生えた。♠へ友情を失う〉もしあの苦しい時、友との約束[やくそく]を果たさなかったら、わたしは大切な友情を失うことになっただろう。♠〈友情が高まる〉クラスのめいめいが友情について書いた作文を発表しあうことによって、みんなの友情が高まった。♠〈友情のきずな〉政治的な立場は違[ちが]っても、半世紀にわたって深め合った二人の友情のきずなは変わることはなかった。 **ゆうしょく【夕食】** ○晩ごはん。夕飯。[文例]〈夕食をする〉今夜は久しぶりに会った友人と夕食をし、大いに語り合った。♠<夕食にする〉腹が減っていたので、帰るとすぐ夕食にした。♠ヘ夕食を食べる〉ぼくたちは、夕食を食べるとすぐ、誘[さそ]い合って公園のブランコの所に集まった。 **ゆうじん【友人】** ○友。友達。[文例]〈友人がいる〉何でも相談できる友人がいることは心強い。♠〈友人にめぐまれる〉学生時代は、よき師よき友人にめぐまれてほんとうに楽しかった。♠く親しい友人〉彼は、小学校からのぼくの親しい友人です。 **ゆうすい** (幽邃) ○奥深く、静まりかえったさま。[文例]〈幽邃なたたずまい〉初夏の渓谷の幽邃なたたずまいに、わたしは次第に心が静まるのを感じた。♠〈深い幽邃>竹林の深い幽邃の中に、茶室はひっそりと建っていた。 **ゆうすう【有数】** ○取り立てて数えるほどすぐれていること。数少ないこと。屈指。[文例]〈日本で有数〉父の勤めている会社は、日本でも有数の大企業です。♠〈全国有数>宮城県[みやぎけん]の松島[まつしま]は、全国有数の景勝地です。♠〈日本有数〉この人は、日本有数の科学者です。♠へ世界有数〉海に囲まれた日本は、世界有数の漁業国です。 **ゆうずう【融通】** ○互いに金品を貸し借りすること。特に、お金を貸すこと。物事を柔軟に処理すること。とどこおらずに通じること。ゆうづう。[文例]〈融通する〉月末には必ず返すから、一万円ほど融通してはもらえまいか。♠へ融通がきく〉あの人は頑固[がんこ]で融通がきかないから、一度決めたことは変えないだろう。♠<融通無碍[むげ]>若い市長は柔軟で融通無碍なところが魅力だ。 **ゆう・する【有する】** ○所有する。[文例]〈毒を有する〉奄美[あまみ]。沖縄諸島には、猛毒[もうどく]を有するハブというヘビが生息している。♠〈財産を有する〉事業家の彼は、ばくだいな財産を有しているらしい。♠〈才能を有する>卓越[たくえつ]した才能を有する青年から見ると、上役[うわやく]たちの考えはことごとく愚[おろ]かなことに思われてならなかった。♠へ人口を有する〉日本は、その狭[せま]い国土に一億余の人口を有する、人口密度の高い国です。♠<権力を有する〉かつてこの国では、王が絶対的な権力を有し、人民を支配、統治した。♠へ権利を有する〉わたしたちは憲法に定められた通り、教育を受ける権利を有するのある。 **ゆうせい**【優勢】 ○他より勢いがよいこと。→劣勢[文例]〈優勢に転じる>試合の後半から、味方は優勢に転じ、得点を重ねていった。♠<優勢に立つ>議論をすれば、五つも年上で口の達者な兄がいつも優勢に立った。♠へ優勢を保つ〉決定的な技は出なかったが、山下六段が終始優勢を保った。♠<優勢な敵>圧倒的に優勢な敵を前に、味方の兵は次々と倒れていった。 **ゆうぜい【遊説】** ○各地を演説して回ること。「[文例]〈遊説する〉各候補者は精力的に選挙区を遊説して回っている。♠<全国遊説>不公平税制の改革を国民に訴えるため、党首は全国遊説に出発した。 **ゆうせん【優先】** ○他より先にすること。[文例]〈優先する〉限られた予算ですから、今年はどうしても公園の整備を優先させてほしい。♠〈自然優先〉村人たちは、住む人の暮らしをあとまわしにした自然優先の考え方に反感をもっていた。♠〈経済優先>ぼくは、経済優先の考え方に疑問を感じます。♠〈優先席〉バスや電車には、お年寄りや体の不自由な人たちのための優先席が設けられている。♠へ優先的>新しい県営住宅には、地元の希望者を優先的に入居させた。♠〈優先権>会員の特典として、施設[しせつ]使用の優先権が与えられている。 **ゆうぜん【悠然】** ○ゆったりと落ち着いているさま。堂々としているさま。[文例] <悠然と飛ぶ>雲と海との間を一羽のワシが悠然と飛んでいる。♠〈悠然と歩く〉雨の中を傘[かさ]も差さず、悠然と歩いている人がいる。♠へ悠然と構[かま]える〉一点は先取されたが、これからが力の見せどころとばかり、監督[かんとく]は悠然と構えている。♠へ悠然としている〉人が何を言おうが、彼は動じる様子もなく、悠然としている。♠〈悠然とした態度〉その子の悠然とした態度におじけづいたのか、いじめっ子たちは、おずおずと引き下がった。♠へ悠然たる態度〉あの男の悠然たる態度には、いつも感心してしまう。 <1161> **ゆうそう【勇壮・雄壮】** ○勇ましく意気盛んなさま。[文例]〈勇壮な舞[まい]>屈強[くっきょう]な若者たちがテンポの早い勇壮な舞を舞う。♠〈勇壮な曲>勇壮なマーチに合わせて、選手たちがグラウンドを行進しています。♠〈勇壮をきわめる〉『平家[へいけ]物語」には勇壮をきわめた木曾義仲[きそよしなか]の戦いぶりがいきいきと描かれている。♠へ勇壮活発〉デモ隊が勇壮活発にシュプレヒコールを飛ばしながら行進している。 **ゆうそう【郵送】** ○郵便で送ること。[文例]〈郵送する〉待ちに待った合格通知書が大学から郵送されてきました。♠<郵送料>郵送料が高くつくから、ついでの時にわたしが持って行って渡してきましょう。 **ユーターン**(Uターン) ○U字形に曲がること。元のところへ戻ること。[文例]〈Uターンする〉〈Uターン禁止>Uターン禁止の標識を無視して、大きくUターンしていく車がある。♠ヘリターンする>桜が咲く時節なのに、今日の寒さはまるで冬にUターンしたようだ。♠ヘリターン現象〉Uターン現象などといって、大都会に出て来た若者が再び故郷に戻って就職するケースが増えていた。 **ゆうたい【優待】** ○手あつくもてなすこと。[文例]〈優待する〉関係者の家族は優待されて、劇場の特別席に座ることができた。♠〈優待券〉株主優待券を使って、半額で航空券を手に入れることができました。 **ゆうたい【勇退】** ○進んで地位を退くこと。[文例]〈勇退する〉後進に席を譲るために会長が勇退し、それに従って幹部の若返りが行われるそうだ。 **ゆうだい【雄大】** ○堂々として大きいさま。[文例]〈雄大な風景〉この和歌をよむと、雄大な風景が想像され、作者の感動が伝わってくる。♠〈雄大な自然〉テレビで見たオーストラリアの雄大な自然に、じかにふれてみたい。♠へ雄大な姿>ぼくは生まれた時から、阿蘇[あそ]の雄大な姿を見て育った。♠〈雄大なながめ>展望台からの雄大なながめに感動する。♠〈雄大なスケール〉『大地』は、封建的[ほうけんてき]な家族制度の崩壊[ほうかい]と、農民たちの近代化への目覚めが、雄大なスケールで描[えが]かれた作品です。 **ゆうだち【夕立】** ○夏の夕方近く、突然[とつぜん]に降る激[はげ]しい雨。[文例]〈夕立がぬらす〉熱い乾いた地面を夕立がぬらす。♠〈夕立が降る>突然、ザァーッと激しい夕立が降ってきたので、道行く人はあわてて走り出した。♠ヘ夕立が来る〉夕立が来るたび、雷[かみなり]がピカピカゴロゴロ鳴りだす。♠ヘ夕立がやって来る〉どうも夕立がやって来そうな雲ゆきだ。♠ヘ夕立がある〉今日、午後五時ごろ、東京に激しい夕立があり、電車もストップする騒[さわ]ぎとなりました。♠ヘ夕立に遭[あ]う〉プールの帰り道、激しい夕立に遭ったが、ぼくはゆうゆうと雨の中を歩いて帰った。 **ゆうだん【勇断】** ○勇気をもって決断すること。また、その決断。[文例]〈勇断する〉今こそ、男らしく勇断すべき時である。♠〈勇断をふるう〉独裁者に対し、学生・文化人が勇断をふるって立ち上がった。 **ゆうち【誘致】** ○誘い寄せること。[文例]〈会の誘致〉交通が不便なことが障害となって、この地への博覧会の誘致は不成功に終わった。♠へ誘致する〉町では、過疎化対策として大学を誘致する計画を立てていた。♠〈誘致運動〉全市を挙げてオリンピックの誘致運動が繰り広げられた。 **ゆうちょう【悠長】** ○のんびりと落ち着いたさま。[文例]】〈悠長なこと〉カブトムシにえさだなんて悠長なことを言ってると、遅刻するわよ。♠へ悠長なものごし〉おばあ様の悠長なものごしに、気の短いわたしはついイライラしてしまうのでした。♠へ悠長に構える〉事は急を要するのです、そんなに悠長に構えている場合ではありません。 **ゆうづう【融通】** ♪ゆうずう **ゆうとう【優等】** ○成績・技能などがすぐれていること。→劣等[文例]<優等の成績>彼女は、学校を優等の成績で卒業すると、町の銀行へ勤めました。♠へ優等賞〉父は、小学校のころ勉強がよくできて、毎年優等賞をもらっていたそうです。♠〈優等生>勉強もできるし、お行儀もよいという、優等生タイプの中でした。 **ゆうどう【誘導】** ○誘い導くこと。[文例]〈誘導に従う〉デパートなどの火事では、店員の誘導に従って避難[ひなん]します。♠〈誘導する>管制官は、飛行機を滑走路[かっそうろ]に正しく誘導するために、たいへん神経を使うそうです。♠へ誘導尋問[じんもん]〉お母さんの誘導尋問にひっかかって、いたずらしたことを白状させられちゃった。 **ゆうどく【有毒】** ○毒があること。毒性があること。[文例]〈有毒なきのこ〉この色あざやかなキノコは有毒で、食べる と死に至ることもある。♠へ有毒な野草[やそう]〉野草は有毒かどうかの見極めが難しいので、注意が必要だ。♠〈有毒ガスンプラスチック類は有毒ガスが出るので焼却できないし、地中に埋めても絶対に腐らない。 **ユートピア** ○(どこにもない所の意から)くユートピアを求める〉多くの人々がユートピアを求めて、この新天地に渡って来た。♠ヘユートピアを作る〉この離れ小島に理想に燃える若者たちが集まり、自分たちのユートピアを作ろうとしている。 **ゆうに【優に】** ○それ以上にあるさま。十分に。[文例]会場は、優に一万人を収容する広さをもっていた。♠行って見ると、何と、優に十メートルを超える大きな鯨[くじら]であった。 **ゆうのう【有能】** ○才能・能力があること。[文例]〈有能な人物〉高い学歴を持つことが、必ずしも有能な人物である証拠[しょうこ]となるわけではない。♠〈有能な社員>兄は、部下には信頼[しんらい]され、上司にも期待されている有能な社員である。♠へ有能な秘書>彼女は、仕事をてきぱきと処理する有能な秘書です。♠〈有能な人材〉職場に有能な人材を送り出す人材派遣会社が繁[はん]じょうしている。♠へ有能な技師〉父は、コンピューターの有能な技師なのに、家の中では懐中電灯[かいちゅうでんとう]一つ直せない。 **ゆうばえ【夕映え】** ○夕日に赤く照り映えること。夕焼け。[文例]】〈あかね色の夕映え〉教会の塔があかね色の夕映えの中にそびえていた。♠ヘ夕映えに照らされる〉西の空は赤く染まり、夕映えに照らされた木々が金色に輝く。 <1162> **ゆうはつ【誘発】** ○ある事がきっかけで、他の事を引き起こすこと。[文例]〈非行の誘発>性的な記事を載せた雑誌は、非行の誘発につながるとする意見があります。♠へ誘発するプランクトンの異常発生が赤潮[あかしお]を誘発するのである。♠<誘発する〉ガスが充満した部屋で、電気のスイッチを入れるとガス爆発[ばくはつ]を誘発することがある。 **ゆうひ【夕日】**(夕陽) ○夕方の太陽。入り日。[文例]〈夕日に染まる>夕日に染まった富士山が遠くに見える。♠ヘ夕日が沈む〉今しも赤い夕日が海に沈もうとしていた。♠ヘ夕日に映[は]える>紅葉[こうよう]した山々が夕日に映え、里の秋も深まっていきます。♠時はたそがれ/母よ――私の乳母車[うばぐるま]を押せ/泣きぬれる夕陽にむかって/鱗々[りんりん]と私の乳母車を押せ(三好達治[みよしたつじ]「乳母車」部分) **ゆうひ【雄飛】** ○意気盛んに活躍すること。→雌伏[文例]〈雄飛する〉デザイナーとして世界に雄飛することが少女の夢でした。♠〈海外雄飛〉情勢の変化によって、社長の海外雄飛の計画はたな上げになった。 **ゆうび【優美】** ○上品で美しいさま。[文例]〈優美な演技〉今度のオリンピックでは、新体操の選手の優美な演技が観客を酔わせました。♠〈優美な歌風[かふう]〉古今集は表現に技巧を凝らし、優美で繊細[せんさい]な歌風をもつ。 **ゆうびん【郵便】** ○郵政省が管理して、手紙・小包・金銭などを送り届けるしくみ。手紙などの郵便物。[文例]<郵便が届〈〉校長先生、郵便が届いていますよ。♠〈郵便を出す〉会員には、会合の日時を知らせる郵便を出しておきました。♠〈郵便で送る〉お客さまの忘れ物は郵便でお送りしましょうか。♠◇郵便物〉郵便物の配達は、午前と午後に一回ずつ行います。 **ゆうふく【裕福】** ○財産があって生活が豊かなさま。[文例]〈家が裕福>母の実家は裕福なので、おばあ様のお土産はいつも孫[まご]たちに歓迎[かんげい]された。♠〈裕福な家〉生母は裕福な家に嫁[とつ]に来たが、生後九か月のわたしを残して病死した。♠<裕福な家庭>彼女は、裕福な上流家庭に育ったお嬢様[じょうさま]です。♠<裕福な生活>貧困家庭に生まれ育った彼は、裕福な生活へのあこがれを原動力として、今日の富を築いた。♠へ裕福な国>日本は資源には恵まれないが、世界でも経済的には裕福な国の一つです。♠へ裕福に暮らす〉姉は、大きな商家に嫁ぎ、裕福に暮らしている。 **ゆうべ【夕べ】** ○夕方。[文例]〈秋の夕べ〉子供たちが「夕焼け小焼けで・・・・・・」と歌いながら家路をたどる秋の夕べです。♠ヘシャンソンの夕べ〉金曜日の夜は、公民館でシャンソンの夕べという催しがあります。 **ゆうべ**(昨夜) ○昨夜。昨日の夜。[文例]ゆうべはどこへ行ってたの。電話をしたけどいなかったよ。 **ゆうへい**【幽閉】 ○人を閉じ込めておくこと。[文例]〈幽閉する〉江戸時代には、座敷牢[ざしきろう]に身分の高い罪人を幽閉することがあった。♠へ幽閉生活>狂気の王は、この川岸に立つ古城で幽閉生活を送っていた。 **ゆうべん【雄弁】** ○堂々として説得力のある弁舌。[文例]〈雄弁をふるう〉会場の人々を前に彼は雄弁をふるった。♠〈雄弁に語る>口には出さないが、訴[うつた]えるような目が彼女の気持ちを雄弁に語っていた。♠へ雄弁は銀[ぎん]沈黙[ちんもく]は金[きん]〉雄弁は銀、沈黙は金といって、時には沈黙のほうが高い効果をうむ場合がある。 **ゆうぼう【有望】** ○将来を期待できるさま。[文例]〈有望な新人〉この選手は、将来球界をしょって立つであろう有望な新人です。♠<将来有望>将来有望だと思ってこの会社に就職した。♠へ前途有望〉小川さんは、この春大学を卒業した前途有望な青年です。 **ゆうめい**【有名】 ○世に名高いこと。[文例]昔[むかし]から愛知県[あいちけん]の瀬戸[せと]地方は陶器[とうき]の産地として有名だ。♠富山県魚津市[とやまうおづし]の海岸は、しんきろうが現れることで有名です。♠<鋭[するど]い感覚と着想によって有名な、清少納言[せいしょうなごん]の『枕草子[まくらのそうし]』を読んだことがありますか。♠〈有名な寺>修学旅行では、京都・奈良[なら]の有名な寺を訪ね、日本的なもののよさを再発見した思いでした。♠へかの有名な〉ラジオから、かの有名な「月光の曲」が流れてきた。♠<歴史上有名〉アテネやローマは、歴史上有名な都市です。♠〈有名無実>彼は、たいした仕事もせず、名ばかりの有名無実な会長だ。♠〈有名人〉有名人と言われる人の中には、何をしても許されるという、思い上がった言動をとる人もいる。 **ゆうめい**【勇名】 ○勇者としての名声・評判。[文例]〈勇名を とどろかせる〉隻眼[せきがん]の勇将伊達政宗[だてまさむね]は、独眼竜[どくがんりゅう]と称せられ天下にその勇名をとどろかせた。♠〈勇名をはせる〉不敗のチャンピオンとして世界に勇名をはせた男も、年齢には勝てなかった。 **ユーモア** ○人の気持ちを和らげるような品のあるおかしみ。[文例]〈ユーモアがある〉彼の書く文章には、ユーモアがあります。♠ヘユーモアが生まれる〉自分の生き方をほかの人の生き方と比べ、客観的に見ることができれば、その人の言動に自然ユーモアが生まれる。♠ヘユーモアがわかる〉うちの担任は、ユーモアがわかるおもしろい先生です。♠〈ユーモアを感じる〉無口な人だったが、そのふるまいにはユーモアが感じられた。♠ヘユーモアをまじえる〉おじさんは、旅行の思い出をユーモアをまじえて話してくれました。 **ゆうもう【勇猛】** ○勇ましく強いさま。[文例]〈勇猛な軍人〉かつてはいくつもの手柄[てがら]をたてた勇猛な軍人であった。♠〈勇猛果敢[かかん]〉昔の武士というものは、勇猛果敢な精神をもっていた。♠〈勇猛心〉愛する女性のためなら、火の中へ飛び込むぐらいの勇猛心をもちなさい。 **ユーモラス** ユーモアのあるさま。[文例]パンダの目のふちの黒い輪は、実にユーモラスであいきょうがあります。♠ヘユーモラスなやり取り〉漫才[まんざい]コンビのユーモラスなやり取りに、ぼくは、おなかを抱[かか]えて笑った。♠ヘユーモラスな手紙>旅行中の姉から、いろいろな失敗談を知らせるユーモラスな手紙が届いた。♠ヘユーモラスに描[えが]く〉この小説には、ねこの目から見た人間の姿が、軽妙[けいみょう]な皮肉を交えてユーモラスに描かれています。♠ヘユーモラスな喜劇〉この喜劇には、ユーモラスななかにも、見る人をほろりとさせると <1163> ころがある。 **ゆうやく【勇躍】** ○心が勇み立つこと。また、そのさま。[文例]〈勇躍~する〉さあ、いよいよ試合だ。選手たちは高鳴る胸、はやる気持ちを押さえて勇躍出発した。 **ゆうやけ【夕焼け】** ○夕日に空が赤く染まること。夕ばえ。[文例]夕焼けがきれい、と言って、少女は何度も西の方の空をふりかえった。♠へ秋の夕焼け鎌をとげ「秋の夕焼け鎌をとげ」は、夕焼けの翌日は晴れるから、畑仕事の用意をしておきなさいという意味のことわざです。♠へ夕焼け小焼け>石崖[いしがけ]に子ども七人腰かけて河豚[ふぐ]を釣り居り夕焼け小焼け(北原白秋)♠<夕焼け空>夕焼け空の広がるころ、子供たちは家路についた。 **ゆうやみ【夕やみ】**(夕闇) ○夕暮れの暗さ。よいやみ。[文例]〈タやみがせまる〉四時には必ず帰る息子が、夕やみがせまるころになってもまだ帰らない。♠〈夕やみに沈む〉タやみの中に三階建ての校舎が沈んでゆく。♠ヘタやみにまぎれる〉列車が止まって小さな駅に降り立った男は、やがてタやみにまぎれるように町の中へ消えていった。 **ゆうゆう【悠悠】** ○はるかに隔たっているさま。限りなく続くさま。ゆったりと落ち着いたさま。[文例]〈悠々とする〉砂漠[さばく]に立ち、ピラミッドを仰[あお]ぎ見ながら、今、悠々とした長い時の流れを感じている。♠〈悠々たる空〉悲しみに沈み、ふと頭をもたげると、そこには悠々たる空があった。♠打ち合わせの時間に遅れそうだというのに、彼はゆうゆうとたばこなどふかしている。♠男は金もないのにその店へ入ると、おかみさんを相手に、ゆうゆうと茶などを飲み始めた。♠信号が赤に変わったのに、ゆうゆうと横断歩道を渡[わた]っている人がいてはらはらする。♠〈ゆうゆう間に合う>早めに家を出たので、電車にはゆうゆう間に合った。♠へ悠々自適>わずらわしい俗世[ぞくせ]から離[はな]れ、悠々自適の生活を送る。♠<悠々閑々[かんかん]>青天の高みを行く白雲、俗を知らず、悠々閑々たり。 **ゆうよ【猶予】** ○ためらうこと。日時を延ばすこと。[文例]〈猶予を与える>先生は、生徒に三分間だけ考える猶予を与えた。♠へ猶予なく〉もしこの犬が息子にとびかかったら、わたしは猶予なく銃[じゅう]の引き金を引いたであろう。♠へ猶予する〉懲役[ちょうえき]三年の判決が下ったが、刑の執行[しっこう]は二年猶予された。 **ゆうよう【有用】** ○役に立つさま。[文例]〈有用な道具>日常生活に有用な道具は多く、ドライバー一本でも無ければ不自由します。♠〈有用な人材〉自分の務めを果たしている人は、すべて社会に有用な人材といえます。 **ゆうよう【悠揚】** ○ゆったりと落ち着いたさま。[文例]〈悠揚として〉春の川は、悠揚として流れる。♠へ悠揚たる態度〉周囲の非難に対しても悠揚たる態度はなかなかに大物である。♠へ悠揚迫らない〉全軍の大将だけあって、悠揚迫らない物腰はさすがである。 **ゆうらん【遊覧】** ○見物して回ること。[文例]〈遊覧する〉ロサンゼルスでは、名所を遊覧して歩きました。♠〈遊覧船>元気だった両親に連れられ、芦ノ湖[あしのこ]で遊覧船に乗ったことが忘れられません。♠〈遊覧飛行>飛行船で東京上空を遊覧飛行してみたい。 **ゆうり【有利】** ○利益があるさま。都合がよいさま。→不利[文例]〈有利な場合〉ばらばらに買うよりも、買い手がまとまって一括購入したほうが有利な場合が多い。♠へ有利な体型>彼は背が高く、バスケットボールの選手として有利な体型をしている。♠〈有利な条件>珠算[しゅざん]や簿記[ぼき]ができることは、会社に就職するときなどに有利な条件となる。♠へ有利な取り引き〉彼は打ち合わせに遅刻したばかりに、有利な取り引きを逃[のが]してしまった。♠〈有利な証言>証人は、被告[ひこく]に有利な証言をした。♠〈形勢が有利〉今の得点で、形勢はぼくたちのチームに有利になってきた。♠へ戦局が有利〉相手の戦力はようやく衰[おとろ]えが目立ち、戦局はわが軍に有利に展開し始めた。 **ゆうり【遊離】** ○離れて存在すること。別々に分かれること。〔[文例]]〈魂[たましい]と肉体の遊離>思春期は、また、魂と肉体の遊離に悩む時期でもある。♠〈遊離する>理想は高く、しかし現実から遊離したものにならないように。 **ゆうりょ【憂慮】** ○うれえ気づかうこと。心配し心を痛めること。[文例]〈憂慮に堪えない〉子供たちの将来を思うとき、学力偏重[へんちょう]の教育は憂慮に堪えません。♠へ憂慮する〉この国の自然破壊は、憂慮すべき事態となっている。 **ゆうりょう【有料】** ○料金がいること。[文例]日本では、高速道路のほとんどが有料になっています。♠こどもの日ですから、遊園地の子供の入園は無料ですが、引率の大人は有料です。 **ゆうりょう【優良】** ○すぐれているさま。[文例]〈品質が優良>品質の優良なみかんには、県の農協が保証するシールがはってあります。♠〈優良株〉この青年は、将来性があって、お父さんが推薦[すいせん]する優良株だが、どう思うかね?♠<健康優良児>ぼくは、中一の時健康優良児に選ばれたことがある。 **ゆうりょく【有力】** ○勢力・権力のあるさま。可能性の高いさま。[文例]〈有力な政治家〉有力な政治家の力を借りようと、わいろをおくった会社の社長が検挙[けんきょ]されたそうだ。♠〈有力な新聞>その国の有力な新聞の報道によると、首相は病気で入院中だという。♠〈有力な根拠[こんきょ]〉チンパンジーは、姿態・行動・しぐさなどの点で最も人間に似ているとされ、進化論の有力な根拠となっている。♠〈有力な証言>事件を捜査[そうさ]していた警察は、目撃者から有力な証言を得た。♠へ有力な容疑者>警察は、現場近くにいた男を事件の有力な容疑者として逮捕[たいほ]した。♠〈有力となる>農産物輸入の交渉は、次回の会議で結論が出るとの見方が有力となった。♠へ有力者〉彼は、この町の有力者の娘[むすめ]と結婚[けっこん]した。 **ゆうれい【幽霊】** ○死者の霊。亡霊。実体のないこと。[文例]〈幽霊が出る〉いつごろからかだれ言うとなく、その荒れ墓地には成仏[じょうぶつ]しきれない死人が幽霊になって迷って出るといううわさが広がった。♠へ幽霊の正体〉幽霊の正体見たり枯れ尾花[おばな](=すすき)で、恐怖心が幻想をうむことがありま <1164> す。♠<幽霊会社〉お金を払ったのに注文品が届かないので調べてみたら、相手は幽霊会社でもう事務所もなくなっていた。 **ゆうれつ【優劣】** ○優れていることと劣っていること。[文例]〈優劣がない〉互いに優れた力量をもっていて、優劣がない者どうしのことを「竜虎[りゅうこ]」という。♠へ優劣をつける〉めいめいが心をこめて作った作品に、優劣はつけられない。♠〈差違と優劣〉世界の国々の文化や言葉に差違はあっても、優劣はないと思うのです。♠へ優劣を争う〉芸術において人と優劣を争うことなどはおやめなさい。♠へ優劣を競[きそ]う〉オリンピックは本来、優劣を競うことを主な目的とするものではなく、友好のために行うものだ。♠へ優劣を論じる>歴史的背景を無視して、安易に日本と外国の文化の優劣を論じる態度は問題です。 **ゆうわ【融和】** ○とけ込んで一つになること。うちとけて和らぐこと。[文例]〈人との融和〉対立をことさら激化させるような意見ばかりでなく、反対者との融和を図るような意見はないのですか。♠〈融和する〉集団の中の生活では、他者と融和する気持ちが必要になります。 **ゆうわく【誘惑】** ○心を惑わせて(悪い事に)誘い入れること。[文例]<誘惑が多い〉大都会には、身を滅[ほろ]ぼすような誘惑が多い。♠へ誘惑に負ける〉禁煙中の父は、人が吸っているたばこの煙[けむり]のにおいであっさりと誘惑に負けてしまった。♠<誘惑と戦う〉その僧は、修行のあいだ、食欲や物欲などのさまざまな誘惑と戦い、ついに悟りをひらいた。♠へ誘惑を退[しりぞ]ける>遊びやテレビなど、さまざまな誘惑をきっぱりと退けて彼女は勉強に励んだ。♠へ誘惑に陥[おちい]る〉ぼくはいろいろな誘惑に陥りやすいので、もっと意志を強くしなければと、いつも思う。♠〈誘惑する〉肉の焼けるにおいが、空腹なぼくのきゅう覚をひどく誘惑する。 **ゆえ【故】** ○わけ。理由。由緒。[文例]〈故もない悲しみ〉ときには、故もない悲しみに涙[なみだ]がこぼれることがある。♠へ故あって〉今度故あって、田舎に越すことになった。♠へ〜の故に>若者は、貧しさと心優しさの故に盗み[ぬすみ]を犯した。♠〈~が故にこそ>偉大[いだい]な思想家は、優れた思想をもっているが故にこそ偉大なのです。♠へ貧しさゆえ>病気の子供に薬もやれず死なせなければならないのも、貧しさゆえの悲劇にほかならない。♠〈それゆえ〉わたしは病気がちでよく学校を休みますし、それゆえに友達もあまりできません。♠〈ゆえに〉彼は、おばの子どもだ。ゆえに、彼とわたしはいとこ同士だ。 **ゆえつ【愉悦】** ○楽しみ喜ぶこと。[文例]〈読書の愉悦>作品を足がかりとして自由に想像の翼[つばさ]を広げるところに、読書のえがたい愉悦があります。♠〈無上の愉悦>知性をみがき、人生を知ること、これはわたしにとって無上の愉悦であります。♠へ愉悦を覚える・感じる〉小さな草花の成長を見ることに、これまで知らなかった愉悦を覚えたのです。 **ゆえん**(所以) ○理由。いわれ。わけ。[文例]彼は決断力に富む人であり、わたしが彼を会長に推す所以もそこにあります。♠ユーモアが評価される所以は、それが客観的な自己観察に基づくからであります。♠明るく素直であるということが、きみのだれからも好かれる所以である。 **ゆか【床】** ○家屋の底面で、水平に板を張り詰めた所。[文例]〈床にすわる〉〈床をたたく二人は床にすわって向き合い、こぶしで床をたたく音だけで、気持ちや意思を伝え合う実験をした。♠へ床に落ちる〉くるみが三つ四つ、テーブルから床へ落ちた。♠<床を磨[みが]く〉みんなで、教室の床をぴかぴかに磨きあげた。♠へ床へ倒[たお]れる〉彼は、数歩、後ろへよろけたかと思うと、そのまま、床へ倒れた。♠へ床につく〉立って体を曲げて、手が床につくほど、彼は体がやわらかい。♠〈床にたたきつける〉ぼくは、不意に何者かの手によって、床にたたきつけられた。♠〈床をける〉敵襲[てきしゅう]の知らせを聞くやいなや、男たちは床をけって立ち上がった。♠へ床が抜ける〉太ったおばさんが五人もやってきて、家の床が抜けそうだ。 **ゆかい【愉快】** ○楽しく気持ちがよいさま。[文例]〈愉快な人間>彼は、いつもクラスのみんなを笑わせている、とても愉快な人間です。♠<愉快な話>吉四六[きっちょむ]さんの登場する愉快な話が、わたしは大好きです。♠へ愉快な経験>毎日、満員電車でもまれながら通勤するというのは、決して愉快な経験ではないだろう。♠へ愉快なものにする〉この場面に登場するなまずの姿はユーモアを感じさせ、物語全体を愉快なものにしている。♠へ愉快になる〉ゆううつな時でも、いつも明るい親友と話をしていると、愉快になってくる。♠カエルのジャンプ競争だね、これはゆかい、ゆかい。 **ゆかし・い**(床しい) ○何となくなつかしい。心を引かれる感じだ。おくゆかしい。[文例]〈ゆかしい人柄[ひとがら]〉ひかえ目で気品ある彼女のゆかしい人柄に心ひかれます。♠へゆかしい響き>先祖のことばだからであろうか、古語には、なんとなくゆかしい響きがある。♠へゆかしい味わい〉古典には、深い思想やゆかしい味わいがある。♠<野[の]ですみれを見つけ、「山路[やまじ]来て何やらゆかしすみれ草」という芭蕉[ばしょう]の句を思い浮かべた。♠〈古式ゆかしい>京都の葵[あおい]祭り、時代祭りをはじめ、古式ゆかしい行事が各地に残っている。♠へ奥ゆかしい人〉わたしのおばは、しとやかで上品な、いかにも日本女性らしい、奥ゆかしい人です。 **ゆかた【浴衣】** ○湯上がりなどに着る木綿のひとえの着物。[文例]〈浴衣を着る〉夕方、二人はそろいの浴衣を着て夜店をのぞいて歩いた。♠〈浴衣掛け>風呂から上がって浴衣掛けになった父は、おいしそうにビールを飲んだ。 **ゆがみ**(歪み) ○ゆがむこと。↓ゆがむ[文例]〈建物のゆがみ>建物が古くなり、柱や屋根にゆがみが生じてきた。♠〈画面のゆがみ>画面のゆがむテレビを電気屋さんが修理したら、ゆがみはすぐにとれた。♠〈社会のゆがみ〉社会のゆがみに目を向け、正しいあり方を考えてみよう。♠へ性格のゆがみ〉彼の性格のゆがみは、幼いころからの愛情の不足からきたものであろう。♠へ心のゆがみ〉少年の心のゆがみは、彼女の温かさにふれるにつれて、しだいに直っていった。 <1165> **ゆが・む**(歪む) ○形が崩れてねじけたり、ひずみができたりする。性格がひねくれる。[文例]〈顔がゆがむ〉ぼくが母に反抗[はんこう]したとき、母の顔が悲しそうにゆがんだ。♠へ唇[くちびる]がゆがむ〉こみあげる怒りのために、彼女の顔はあおざめ、その唇は引きつるように片方へゆがんでいた。♠〈形がゆがむ>妹は、よごれて形もだいぶゆがんでしまったぬいぐるみの人形を、それでも大切そうに毎日だいてねる。♠へ画面がゆがむ〉テレビが故障して、画面がゆがんで見える。♠へ性格がゆがむ〉彼は、幼[おさな]いとき苦労したにもかかわらず、性格がゆがむこともなく、素直に成長した。♠〈心[こころ]がゆがむ>派手ごのみでよく家をあける母親を持つ少年の心は、暗くゆがんでいった。♠へゆがんだ見方〉あの人は何でも素直に受け取らず、ゆがんだ見方をするので、人から嫌われてしまうのだ。 **ゆが・める**(歪める) ○ゆがませる。[文例]へ顔をゆがめる〉傷口[きずぐち]に消毒液をつけると、患者はちょっと顔をゆがめた。♠〈性格をゆがめる〉貧困がわたしの性格を暗くゆがめていた。 **ゆかり**(縁・所縁) ○つながり。かかわり。血縁。縁故。[文例]〈ゆかりの地>仙台は、伊達家ゆかりの地です。♠へゆかりの人〉父の法要は、ゆかりの方々だけでひっそりと営みます。♠〈縁もゆかりもない〉旅の者ですから、当地とは縁もゆかりもありません。 **ゆき【雪】** ○大気中の水蒸気が結晶して降るもの。[文例]雪が積もる〉〈雪が解ける〉まだ雪が積もっているけれど、春が来て雪が解ければひがんざくらが裏山全体に咲く。♠へ雪に埋もれる〉お地蔵様は、毎年、冬になると雪に埋もれてしまいます。♠◇雪にうずまる〉この北国の村では、十二月になると、家々はすっぽりと雪にうずまってしまいます。♠〈雪がちらつく>沖縄から桜[さくら]の便りも聞かれるというのに、ここ北国ではまだ雪がちらついている。♠へ雪がやむ〉〈雪におおわれる〉降り続いた雪がやみ、山々が真っ白な雪におおわれて、朝日に輝[かがや]いている。♠〈雪に閉じ込められる>雪に閉じ込められながらも、子供たちは元気にそり遊びや雪合戦などを楽しんでいる。♠へ雪が降る>降る雪や明治は遠くなりにけり(中村草田男[くさたお])♠〈雪が舞う〉絶え間なく雪が舞い落ちるなかを、救助隊は深い雪をかき分けて、遭難者[そうなんしゃ]を捜し歩いた。♠へ雪をかく>毎朝、家の前の雪をかくのがぼくの仕事です。♠〈雪深い〉これはある雪深い山村に伝わる昔話です。♠<頭[かしら]に雪をいただく>若いと思っているうちに、いつのまにか頭に雪をいただく年齢になっていた。♠〈雪のように白い〉娘は雪のように白く、美しい顔をしていました。♠〈雪の肌[はだ]〉昔は、女性にとって白い雪の肌は、美人の条件だった。♠〈雪のかんむり〉白い雪のかんむりをかぶった富士山の姿は、実に美しい。♠へ雪を欺[あざむ]くように白い〉彼女は、雪を欺くような白い肌の娘だった。♠へ蛍[ほたる]の光窓の雪>「蛍雪[けいせつ]の功[こう]」や「蛍の光窓の雪」は、苦学して学問を修めることのたとえです。♠〈雪景色〉今朝雨戸を開けたら、辺りは一面の雪景色だった。♠へ雪解け〉春になると、雪解けの水は、時にこの河を氾濫[はんらん]させる。 **ゆき【行き】** ♪いき **ゆきか・う【行き交う】** ○来る者行く者が行き違う。往来する。[文例]〈街を行き交う〉年の瀬もおしせまり、街を行き交う人々もあわただしい雰囲気である。 **ゆきがけ【行き掛け】** ○行く途中。行くついで。[文例]へ行き掛けに寄る>郵便局なら、学校の行き掛けに寄ってあげましょう。♠へ行き掛けの駄賃[だちん]>泥棒は、行き掛けの駄賃にと、庭の柿ももいでいったらしい。 **ゆきき【行き来】**(往き来) ○行くことと来ること。行ったり来たり。往来。[文例]〈行き来がある・ない>長い間行き来のなかった親類の男がひょっこり訪ねてきた。♠へ人の行き来二階の窓から、人々の行き来を眺めていた。♠へ行き来する〉毎日のように行き来して、目をつぶっても歩ける道である。 **ゆきく・れる【行き暮れる】** ○行く途中で日が暮れる。〔[文例]]〈野辺[のべ]に行き暮れる〉旅人はその日野辺に行き暮れて、野宿をした。♠へ行き暮れて道遠し〉行き暮れて道遠しで、学問の奥深さにため息をもらすこともあった。 **ゆきげしき【雪景色】** ○雪の降る、また雪の降り積もった景色。[文例]一面の雪景色>朝起きて雨戸を開けると、辺りは一面の雪景色だった。♠へ雪景色が続く〉トンネルを出ると、そこからは雪景色が続きます。 **ゆきげしょう【雪化粧】** ○雪で真っ白におおわれること。[文例]〈雪化粧する〉夜半から降り続いた雪で、家も庭の木々もすっかり雪化粧していた。 **ゆきさき【行き先】** ○行った先。行く先。将来。[文例]】〈嫁の行き先>嫁にやった娘も、行き先でだいじにされているということだ。♠へ行き先を言う〉行き先も言わずに飛び出して行ったが、さてどこへ行ったものやら。♠へ行き先を決める>旅行が好きで、行き先も決めずにひょいと汽車に乗ることがあります。♠へ行き先が不安〉大きな店がたくさんできて、うちのような小さな店は行き先が不安だ。 **ゆきすぎ【行き過ぎ】** ○通り過ぎること。度が過ぎること。[文例]これじゃ行き過ぎだ。さっきのタバコ屋さんの角を曲がるんだった。♠◆複雑な敬語は簡素化しようという考えの人も多いのですが、なくしてしまうというのは行き過ぎでしょう。 **ゆきずり【行きずり】** ○道ですれ違うこと。通りすがり。一時的。『[文例]へ行きずりの人一人の青年の歌う歌は、行きずりの人の胸にしみこんだ。♠へ行きずりに〉近所の人と、行きずりにあいさつをかわす。♠へ行きずりに〉たまたま行きずりに目についたことばが、奇妙[きみょう]に忘れられないことがある。♠へ行きずりの縁[えん]〉あの人とは、旅先で知り合ったというだけの行きずりの縁でした。♠へ行きずりの恋>旅行中に知り合った少女とのことを、決して行きずりの恋に終わらせたくはないと、青年は思った。 **ゆきだるま【雪だるま】**(雪達磨) ○雪を固めて作っただるま型の像。[文例]大きい雪の玉の上に小さい玉を乗せて、炭で目鼻と口をつければ、はい、雪だるまのできあがり。♠ <1166> 〈雪だるまを作る〉降り続いた雪がようやくやんで、子供たちは校庭に出て雪だるまを作って遊んだ。♠へ雪だるま式〉利息が高いと、借金は雪だるま式に増えて、返済できない額になってしまう。♠雪だるま星のおしゃべりぺちゃくちゃと(松本たかし) **ゆきちがい【行き違い】** ○すれちがい。くいちがい。[文例]〈行き違いになる〉彼なら、さっきあなたを迎えに行くと言って出て行ったのよ。どこで行き違いになったのかしら。♠〈感情の行き違い〉彼とは、ちょっとした感情の行き違いが原因で別れることになりました。♠へ行き違いがある〉急[きゅう]に契約[けいやく]解除を申し入れてくるなんて、きっと何かの行き違いがあったに違いない。 **ゆきつ・く【行き着く】** ○至り着く。到着する。達する。〈目的地に行き着く>早朝に自宅を出たが、道路の渋滞[じゅうたい]で目的地に行き着いたのは夕方だった。♠へ争いの行き着く所〉土地の権利をめぐる両者の争いの行き着く所は裁判しかなかった。 **ゆきづま・る【行き詰まる】** ○先へ進めなくなる。物事がうまく進行しなくなる。[文例]〈生活に行き詰まる〉東京での生活に行き詰まって北海道へ渡ったのは、昭和二十五年のことでした。♠〈資金に行き詰まる〉資金に行き詰まった中小企業者は、高利の金融に手を出すしかなかった。 **ゆきどけ【雪解け】**(雪融け) ○雪がとけること。敵対関係がゆるむこと。[文例]北国の長い冬も終わり、雪解けの時がやってきた。♠へ雪解け水〉春めいた陽気が続き、雪解け水で川の水かさが増していた。♠◇米ソ間の雪解け〉首脳の交代によって、米ソ間に雪解けの兆[きざ]しが見られるようになった。 **ゆきとど・く【行き届く】** ○すみずみまで行き渡る。細かいところまで気がつく。[文例]〈整理整頓[せいりせいとん]が行き届く〉お宅は、いつ来ても整理整頓が行き届いていますね。♠へ行き届いたサービス〉おいしい料理と行き届いたサービスが評判になって、その店はいつも満席だった。 **ゆきどまり【行き止まり】** ○道がとだえて先へ行けないこと。また、その場所。物事がそれ以上進まなくなること。[文例]〈道が行き止まり〉道は、そこで行き止まりになっていた。♠へ議論が行き止まり〉資金の不足、いつもわたしたちの議論はそこで行き止まりになった。 **ゆきわた・る【行き渡る】** ○全体に及ぶ。普及する。[文例]〈全員に行き渡る>会場に集まった人全員に行き渡るように資料が配られた。♠へ一般に行き渡る〉当初はぜいたく品だった冷蔵庫も、次第に一般家庭に行き渡っていった。 **ゆ・く【逝く】** ○人が死ぬ。[文例]現代画壇を代表する彼が死んだとき、新聞の見出しには「画壇の巨匠[きょしょう]ついに逝く」と出た。 **ゆ・く【行く】** ♪い・く **ゆくえ【行方】** ○行く方向。行き先。前途。将来。[文例]バスの行方〉わたしは停留所に立って、乗り遅れたバスの行方をぽかんと見送っていた。♠へ行方をくらます〉賊[ぞく]は警備の網[あみ]の目をくぐり抜けて、まんまと行方をくらました。♠へ行方を捜す>終戦直後、大陸で離れ離れになった妹の行方を捜しています。♠へ行方が知れない〉社長とは昨日講演会場で別れましたが、その後の行方が知れません。♠ヘ行方不明>青年は、単身渡米したまま行方不明となって、既に二十年が過ぎた。 **ゆくさき【行く先】** ○行く所。目的地。前途。将来。[文例]へ行く先に困る〉ぷいと家を出てきたものの、持ち合わせがなく、困ったのは行く先である。♠へ行く先を言う〉行く先も言わずに飛び出していったが、さてどこへ行ったのだろう。♠へ行く先を案じる〉あの子は長男なのに、いつまでたっても甘えん坊で行く先が案じられる。 **ゆくすえ【行く末】** ○前途。将来。[文例]〈子の行く末へ行く末を案じる>病弱なわたしは、わが子の行く末が案じられて眠れぬ夜もあります。♠〈会社の行く末〉〈行く末を見届ける>自分が創立した会社の行く末を見届けたいというのが、病床[びょうしょう]にある会長の願いだった。♠〈身の行く末>会社の業績が不振で、身の行く末が不安です。♠へ来し方[かた]行く末>年寄りは、来し方行く末を考えて、感慨[かんがい]にふけることが多いものなのです。 **ゆくて【行く手】** ○行く方向。前途。[文例]〈行く手に〉暗い夜道、旅人は行く手にぽっつり小さな明かりを見つけた。♠〈道の行く手>車が霧の中を進んでいくと、道の行く手にぽっかりとほのかな白光[びゃっこう]が見え始めた。♠へ行く手をさえぎる〉アリが食べ物を運ぶ道筋に大きめの石を置いて、アリの行く手をさえぎってみた。♠へ行く手に立ちふさがる〉突然、見知らぬ男たちが行く手に立ちふさがった。♠へ行く手をはばむ>船が進んだと思うとすぐに、次の氷山が行く手をはばんで横たわっていた。♠へ行く手を妨[さまた]げる〉行く手を妨げるさまざまの困難にも、ぼくはきっと打ち勝ってみせる。 **ゆくゆく【行く行く】** ○将来。先々。道すがら。[文例]わたしたちも、ゆくゆくはこのお墓でご先祖といっしょに眠ることになる。♠ぼくもゆくゆくは、父のあとをついで、農業をやるつもりだ。♠母のように、わたしも、ゆくゆく、一生の仕事を持ち、働き続けたい。♠二人は、ゆくゆく結婚[けっこん]したいと思っているそうです。♠訳はゆくゆく聞くことにして、ぼくらはタクシーに飛び乗った。 **ゆくりなく** ○思いがけなく。偶然に。[文例]〈ゆくりなくも〉旅先でゆくりなくも昔の恋人と出会い、同じ宿に泊まることになった。 **ゆげ【湯気】** ○湯などの表面から立ち上る水蒸気。[文例]〈湯気が立つ〉まんじゅうは蒸したてで、まだ湯気が立っていた。♠〈湯気を立てる〉なべがグツグツいって、湯気を立て始めた。♠<頭[あたま]から湯気を立てる〉おじいさんが頭から湯気を立てておこっている。♠〈湯気がのぼる>風呂場[ふろば]の戸を開けると、湯船[ゆぶね]からもうもうと湯気がのぼっていました。 **ゆけつ【輸血】** ○患者の血管に他の人の血液を入れること。[文例]〈多量の輸血>手術の際に多量の輸血が必要となり、献血者[けんけつしゃ]を探し回った。♠へ輸血する>血液型が違うので、わたしの血を患者に輸血することはできない。 <1167> **ゆけむり【湯煙】**(湯畑) ○煙のように立ち上る湯気。[文例]】〈湯煙が立つ>湯船[ゆぶね]のふたを取ると湯煙が立って、ガラス窓が白くくもった。♠◇湯煙が立ち上る>温泉の豊富なこの町では、川原のあちこちに立ち上る湯煙が見られる。 **ゆさぶ・る【揺さぶる】** ○強く揺り動かす。動揺させる。ゆすぶる。[文例]ヘテントを揺さぶる〉大きな熊が、鼻息荒[はな息あら]くテントを揺さぶっている。♠〈木を揺さぶる〉子供たちは、木を揺さぶって、柿[かき]の実を落とそうとしている。♠<左右に揺さぶる〉強い雨風に、木は頭を左右に揺さぶり、若い女の髪のようにうねりくねっている。♠へ体を揺さぶる>授業中いねむりしている鈴木の体をぼくは強く揺さぶった。♠〈生活を揺さぶる〉時代のすさまじい流れは激[はげ]しく生活を揺さぶり、一家は大海[たいかい]の小舟[こぶね]のように荒波[あらなみ]にもまれた。♠へ心を揺さぶる〉戦争の生々しい体験をつづったこの文章は、わたしの心を激しく揺さぶった。 **ゆしゅつ【輸出】** ○外国へ生産物や商品などを売ること。[文例]〈輸出する〉日本の自動車は、性能がよく、燃料も節約できるので、各国に輸出されています。♠〈公害の輸出>企業が海外へ進出するのはけっこうだが、公害の輸出はいけません。 **ゆす・ぐ**(混ぐ) ○水の中で揺り動かして洗う。水で汚れをとる。すすぐ。[文例]〈洗濯物をゆすぐ>洗剤[せんざい]で洗った後、よくゆすがないと、衣類が黄ばむ原因になります。♠〈口をゆすぐ〉歯みがきのあと口をゆすぎます。♠ヘコップをゆすぐ〉女性の口紅に注意して、コップはきれいにゆすぎます。 **ゆすぶ・る【揺すぶる】** ♪ゆさぶ・る **ゆすり【揺すり】**(強請) ○ゆすること。金品をおどし取ること。また、その人。「[文例]〈ブランコ揺すり〉おじいさんは孫[まご]にせがまれて、ブランコ揺すりをしてやっています。♠へ貧乏揺すり〉どうもいすがコトゴト揺れると思ったら、隣の人が貧乏揺すりをしていた。♠へゆすりにあう〉盛り場でゆすりにあい、なけなしの小遣[こづか]いを巻き上げられてしまった。♠〈ゆすりを働く〉〈ゆすりたかり〉男は、街をうろつき、ゆすりたかりを働いては金品を得ていたらしい。 **ゆずりう・ける【譲り受ける】** ○ゆずってもらう。ゆずられて受け取る。[文例]〈土地を譲り受ける>生活苦のため、父から譲り受けたわずかの土地を売りました。♠〈財産を譲り受ける〉放蕩[ほうとう]息子は、譲り受けた親の財産をまたたくうちに使い果たしてしまった。♠へ安く譲り受ける〉この絵は懇意の画商から安く譲り受けたものです。 **ゆずりわた・す【譲り渡す】** ○ゆずってやる。ゆずって受け取らせる。[文例]〈蔵書を譲り渡す〉息子の成人の祝いに、大切にしてきた蔵書の一部を譲り渡すことにした。♠へ権利を譲り渡す〉店をたたもうと思っていたところへ、店の権利を譲り渡してほしいという不動産屋が現れた。 **ゆす・る【揺する】** ○揺り動かす。揺らす。[文例]〈枝[えだ]を揺する>男の子たちが枝を揺すって、くりの実を落とそうとしている。♠へ木の葉を揺する〉風がサラサラと木の葉を揺する。♠<体を揺する〉力士はゆさゆさと大きな体を揺すりながら入場した。♠ヘ皿[さら]を揺する>豆腐[とうふ]を載[の]せた皿を揺すっても、豆腐はあまり揺れない。♠へ金をゆする>先日、街角で、見知らぬ少年にお金をゆすられ、怖い思いをした。 **ゆず・る【譲る】** ○人に授け与える。売り渡す。他人を先にする。人に継がせる。譲歩する。あと回しにする。[文例]〈物を譲る>気に入りのワンピースだったが、短くなったので、妹に譲った。♠へ家を譲る〉彼は今まで住んでいた家を友人に譲り、人里[ひとざと]離れた山荘[さんそう]に移り住んだ。♠へ道を譲る〉車を走らせていて、たぶん向こうが道を譲ってくれるだろうという安易な気持ちが事故につながる。♠〈席を譲る〉お年寄りや体の不自由な人には、席を譲りましょう。♠〈安く譲る>友達から使わなくなったのを安く譲ってもらうことにしたので、新しい自転車を買わずにすんだ。♠〈財産を譲る>彼は、親から譲り受けた財産の大半を、社会福祉[ふくし]事業に役立てるために寄付したという。♠〈地位を譲る〉会社を経営している伯父[おじ]は、年をとったので、近々社長の地位を息子に譲るつもりでいるという。♠〈世の中を譲る〉七千万年ほど前、新しい時代に適応できるけものたちに世の中を譲って、恐竜[きょうりゅう]は地球上から姿を消した。♠く主張を譲る〉〈一歩も譲らない〉どちらも自分の説を主張し、一歩も譲らなかった。♠〈譲る気持ち〉人がおたがいに譲る気持ちを持てば、いさかいなどもなく、平和な世の中になるであろうに。♠<後日[ごじつ]に譲るこの問題に関しての結論は、後日に譲りましょう。♠〈譲り合う〉人はもっともっと譲り合わなくてはいけません。 **ゆそう【輸送】** ○客や貨物を運ぶこと。[文例]〈作物の輸送〉地方でとれた農作物などの輸送には、トラックや鉄道、航空機などが使われる。♠〈貨物の輸送〉外国への貨物の輸送は、海上輸送が安全で便利だ。♠へ輸送する>工場から販売店へ、品物をトラックで輸送する。♠ヘピストン輸送>大量の注文を、数台のトラックを往復させるピストン輸送で、なんとか遅れずに届けることができた。♠〈輸送量〉今年のJRの旅客の輸送量は前年度を上回った。♠<輸送機〉〈輸送力〉この輸送機は、ジャンボジェット以上の輸送力をもつ。♠<輸送船>軍隊を輸送船で戦地に送り込む。 **ゆたか【豊か】** ○十分にあるさま。ゆとりのあるさま。ふっくらとしたさま。のびのびしたさま。[文例]〈暮らしが豊か〉村の人たちの暮らしが豊かになるにつれ、困った事件も多くなった。♠へ水が豊か〉水が豊かなこの地方では、古くから稲作[いなさく]が盛[さか]んです。♠〈豊かな収穫[しゅうかく]〉今年は天候にも恵[めぐ]まれ、農家は、豊かな収穫があげられそうだ。♠へ豊かな自然〉この辺りは、まだ豊かな自然が残っている。♠へ豊かな知識>あらゆることに豊かな知識を持つ彼は、みんなに「生き字引[じびき]」と呼ばれている。♠へ髪[かみ]が豊か〉祖母は七十歳を過ぎているが、髪はふさふさと豊かです。♠〈色彩[しきさい]が豊か〉彼の描[えが]いた風景画は、広がりと奥行きがあり、色彩も豊かです。♠〈豊かな文化〉北海道の大地に生きるアイヌの人たちは、豊かな文化をもつ先住民族だ。♠〈豊かな才能〉アンネは閉ざされた生活の中で、数編の童話を書き、豊かな才能の跡を残している。♠〈豊かな心〉文学作品を通して、想像の <1168> 世界に接することにより、豊かな心をはぐくみたい。♠へ想像力が豊か〉五歳くらいまでの子供は想像力が豊かで、大人たちの思いもよらぬ発想をする。♠へ情緒[じょうちょ]豊か〉春の雨がしっとりと情緒豊かに大地をぬらしている。♠〈個性豊か〉彼は、個性豊かな作曲活動を通じて、日本の文化の発展に尽くしました。♠◇国際色豊か〉文化祭は、短期留学中の各国学生も参加して、国際色豊かなものになった。♠<六尺[ろくしゃく]豊か〉無理にひっぱり出された相撲[すもう]大会で、ぼくの対戦相手はと見ると、なんと六尺豊かな大男であった。♠へ馬上[ばじょう]豊か〉大将同士の一騎打[いっきうち]ということになって、相手は馬上豊かに乗り出してきた。 **ゆだ・ねる**(委ねる) ○すっかりまかせる。[文例]〈判断をゆだねる〉作者は、主人公を弱い人間として描いたが、それをどう受け止めるか、判断は読者にゆだねている。♠へ命をゆだねる〉祈りの言葉には、神に自らの命をゆだねて眠ろうとする者の静かな願いがこめられていた。♠へ身をゆだねる〉赤んぼうの安心感は、親に身をゆだねていることから生まれるのではないだろうか。♠へ生命をゆだねる〉人間は長い間、自然に全生命をゆだねてきたが、二十世紀に入って自然をコントロールできると思い始めたらしい。♠〈自然にゆだねる〉廃棄物[はいきぶつ]の量がさほど多くなかったときは、自然界の循環[じゅんかん]にゆだねておいても公害という問題は起きなかった。♠〈神にゆだねる〉人間の罪深さに苦しんだ彼は、全身全霊[ぜんしんぜんれい]を神にゆだねる信仰[しんこう]生活に入っていった。♠へ店をゆだねる〉主人は、店を番頭にゆだねて、病気の治療[ちりょう]に専念していた。 **ゆだ・る**(茹だる)』うだ・る **ゆだん【油断】** ○気をゆるすこと。注意をおこたること。[文例]〈油断は禁物[きんもつ]〉慣れているからといって、油断は禁物だよ、山の天気は変わりやすいから。♠へ一瞬[いっしゅん]の油断〉ほんの一瞬の油断が命取りになることもある。♠〈油断をする〉ぼやっとしているようだが、あれでなかなか抜け目がないから、あの男には油断をするなよ。♠〈油断する>母は、いつも暮らしを立てることに油断せず、買い物ひとついいかげんにはしない。♠〈油断もすきもない〉幼い弟は、ちょっと目を離すと危ないことばかりやるので、油断もすきもない。♠へ油断がならない〉おとなしそうな顔をして、人をだますとは、油断のならない人だ。♠〈油断大敵「油断大敵」というのは、油断は失敗のもとで恐[おそ]ろしい敵にたとえられるという意味です。 **ゆちゃく**【癒着】 ○皮膚・膜などがくっついてしまうこと。離れがたく結びつくこと。[文例]〈腸の癒着〉〈癒着が起こる〉手術後、腸の癒着が起こらなければほどなく退院できるでしょう。♠〈政界と癒着する〉この建設会社は政界の大物と癒着して、大口の工事を受注しているという黒いうわさがある。 **ゆっくり** ○急がないさま。のんびりしたさま。ゆったりしたさま。[文例]〈ゆっくり歩く〉もう少しゆっくり歩いてください。♠へゆっくりする〉久しぶりなんだもの、今日はゆっくりしていけるんでしょう? ♠へゆっくりした足どり〉主人は、何か考えごとでもしているのか、ゆっくりした足どりで居間を出て行った。♠へゆっくり急げ〉あわてると必ず失敗する。ゆっくり急げ。 **ゆったり** ○のびのびとしたさま。ゆとりのあるさま。たっぷ りしたさま。[文例]〈ゆったり座る〉伯爵[はくしゃく]はソファーにゆったりと座って、パイプをふかしていらっしゃる。♠へゆったりする〉仕事の後はゆったりして、コーヒーがいつもよりうまい。♠へゆったりした服〉体を締めつけるのが嫌いなわたしは、いつもゆったりした洋服を着ています。 **ゆ・でる**(茹でる) ○湯の中で煮る。うでる。[文例]〈卵をゆでる〉小学校の遠足の日には、母は必ず卵をゆでてくれた。♠〈野菜をゆでる〉ほうれん草など緑の野菜をゆでるときは、ゆで過ぎないように注意しましょう。 **ゆとり** ○余裕。[文例]〈ゆとりができる〉父は、来月になれば、みんなで一泊[いっぱく]旅行に行くぐらいのゆとりはできると言っている。♠へ時間のゆとり〉〈ゆとりがある〉話すときとちがって、書き言葉の表現は、言い表し方をいろいろ考える時間のゆとりがある。♠へ読書をするゆとり〉〈ゆとりを生み出す>勉強やクラブ活動に追われ、じっくりと読書をするゆとりをなかなか生み出せない。♠へゆとりが出る〉戦後は、一人当たり一隻[いっせき]の割合で舟[ふね]を持ち、漁師[りょうし]の生活にもゆとりが出てきた。♠へゆとりのある生活〉目先の事にとらわれず、過ぎた事にくよくよせず、ゆとりのある生活がしたい。♠〈心のゆとり〉〈ゆとりを持つ>生活の中に笑いを絶やさぬような心のゆとりを持ちたい。♠へゆとりを持たせる〉腰[こし]回りに少しゆとりを持たせたほうが、ふだん着としては楽です。 **ユニーク** ○他に似たものがないさま。独自。独特。[文例]〈ユニークな作品>現代絵画の巨匠[きょしょう]ピカソの作品はユニークで、一目見ればそれとわかります。♠ヘユニークな教育〉この幼稚園[ようちえん]は、はだしで生活させるというユニークな教育を行っている。♠ヘユニークな文化論〉作者は、「箸[はし]」という道具を通して、ユニークな日本文化論を展開しています。♠<発想がユニーク>常識を超えた彼の発想は実にユニークだ。♠ヘユニークな存在〉日本には珍しい冒険家として、彼の存在はユニークです。♠ヘユニークな演技〉この役者は、そのユニークな演技で、一躍脚光[いちやくきゃっこう]を浴びました。 **ユニフォーム** ○制服。そろいの作業服・競技服。[文例]〈学校のユニフォーム〉ぼくたちの学校にも、セーラー服と学生服というユニフォームがあります。♠ヘユニフォームを着る〉席に着くと、おそろいのユニフォームを着たボーイが注文を取りにきた。♠ヘユニフォームを脱ぐ〉試合後、どろんこになったユニフォームを脱ぐと、すぐにシャワーを浴びた。♠ヘユニフォームを脱ぐ〉往年[おうねん]の名選手も年には勝てず、いよいよユニフォームを脱ぐことになった。♠ヘユニフォーム姿>グラウンドでは、ユニフォーム姿の選手たちが元気に走り回っています。 **ユニホーム** ♪ユニフォーム **ゆにゅう【輸入】** ○外国から生産物や商品などを買い入れる <1169> こと。[文例]<輸入する>資源の少ない日本では、外国から輸入した原料を加工した製品を輸出しなければならない。♠<文化の輸入〉文化の輸入に伴って日本に入ってきた言葉で、日本語として定着したのが外来語です。 **ゆび【指】** ○手足の先の分かれた部分。[文例]〈指をしゃぶる>赤ちゃんは、指をしゃぶっているうちにすやすやと眠[ねむ]ってしまった。♠へ指の先ほどの大きさ〉生まれたばかりのつばめのひなは、子供の指の先ほどの大きさしかなく、目もまだ開いていない。♠〈節[ふし]くれだった指〉毎日毎日山仕事に精を出す働き者の父は、節くれだった太い指をしている。♠〈指にはめる>母が指にはめている真珠[しんじゅ]の指輪[ゆびわ]は、祖母の形見の品です。♠へ指を回す〉止まっているとんぼの前で、指をぐるぐる回してさっとつかまえた。♠へ指でつまむ〉赤ちゃんが、まるい小さなお菓子を、かわいい指でつまんでは口に入れている。♠く指で突[つ]く〉いくらけんかとはいえ、目を指で突くとは、どういうつもりだ。♠へ指を鳴らす〉男は、へッドホーンを頭にかけ、指を鳴らしながら体でリズムをとっていた。♠〈指を立てる〉外人に売り値をたずねられて、店員は指を二本立てて見せた。♠へ指で差す〉小さな子供に、山田さんのうちはどこかとたずねると、「そこだよ。」と指で差して教えてくれた。♠へ後ろ指を差される〉人に後ろ指を差されることのないように、節度のある行動をとりなさい。♠〈指一本差させない〉この仕事に関しては、他人に指一本差させない自信がある。♠〈指一本ふれさせない〉ケースの中のダイヤモンドには指一本ふれさせないと、断固とした口調で警備の責任者は語った。♠へ指をくわえて見る〉小作人[こさくにん]たちは、地主のぜいたくな暮らしぶりを指をくわえて見ていた。♠へ指を折って数える〉妹は、幼稚園[ようちえん]入園の日を、毎日指を折って数えながら、待ち遠しがっている。♠〈指折りの~>彼は、その地方で指折りの大地主だった。♠〈指切り>弟は、何かというと指切りをさせて約束[やくそく]を守らせようとする。♠〈指先〉男は受け取った紙幣[しへい]をぴんと伸ばして、指先ではじいてからポケットに入れた。 **ゆびきり【指切り】** ○約束のしるしとして互いに小指をからませること。[文例]〈指切りする〉ぼくたちは子供のように小指の先をからませて指切りし、次のデートの約束をした。♠〈指切りげんまん「指切りげんまん、うそついたら針千本飲ます。」 **ゆびさ・す【指差す】** ○指でさし示す。[文例]お姉さんは草や木を一つ一つ指差して、その名を教えてくれました。♠友人が指差す方を見ると、そこには美しい鳥がとまっていた。 **ゆびわ【指輪】**(指環) ○飾りとして指にはめる輪。[文例]〈指輪をはめる〉彼女は、左手の薬指に婚約指輪をはめていた。♠〈指輪をする〉今日は、お父さんが買ってくれた指輪をして行こうかしら。 **ゆぶね【湯船・湯舟】**(湯槽) ○ふろおけ。浴槽。[文例]〈湯船につかる〉おじいちゃんはいっしょに湯船につかると、体が温まるまでいろんなお話をしてくれた。♠へ湯船に水を張る〉風呂の掃除をして、湯船に水を張っておいてちょうだい。 **ゆみ【弓】** ○細長い棒につるを張り、矢をつがえて射る武器。バイオリンなどの弦をこすって音を出す物。[文例]〈弓を引きしぼる>馬上[ばじょう]の侍[さむらい]は、弓をきりりと引きしぼると、的[まと]に向かって矢を放った。♠〈弓を引く〉我慢に我慢を重ねた家来たちも、ついに暴君に弓を引く決心をした。♠ヘバイオリンの弓〉バイオリンの弓は馬の尾の毛を用いるという。 **ゆみず【湯水】** ○湯と水。湯や水のようにふんだんにあるもの。[文例]〈湯水を使う〉家事やおふろなど、日常生活のいたる所で湯水をふんだんに使います。♠〈湯水のように使う〉いくら金持ちでも、湯水のように お金を使う生活がそうそう長続きするわけがない。 **ゆみなり【弓なり】**(弓形) ○弓のような形。弓がた。[文例]〈弓なりに曲げる〉男は唇[くちびる]の両端を弓なりに曲げて、さげすむように笑った。♠へ弓なりにそらす〉発作が起こると、患者は体を弓なりにそらして苦しがった。♠〈弓なりになる〉土俵際で弓なりになって相手の押しをこらえた。 **ゆめ【夢】** ○睡眠中に心に出来事を思い描く現象。はかないこと。現実にはありえないもの。迷い。実現しそうもないこと。希望。(「夢にも」で)少しも、つゆほども。[文例]〈夢を見る〉ゆうべは疲れていたので、夢も見ずにぐっすり眠った。♠〈夢に見る>男は、ちょっとひと眠りして、自分の一生を夢に見たという。♠〈夢に出る>驚[おどろ]いたことに、今日迷いこんだ町は、いつかの夢に出てきた町とまったく同じだった。♠<夢に現れる〉仏様がおばあさんの夢に現れて、何かお告げをしたそうです。♠へ夢から覚める>若者が夢から覚めると、夜はしらしらと明けていた。♠へ夢を結ぶ>子供たちは、今ごろはベッドの中ですやすやと夢を結んでいることでしょう。♠〈夢を見る〉小学生のころまで、わたしは歌手になる夢を見ていた。♠〈夢みたいなこと〉夢みたいなことばかり考えていないで、少しは地道に勉強しなさい。♠<夢のような話〉月へ行けるなんて、昔[むかし]の人には夢のような話でした。♠〈夢のよう〉小さかったころの生活を思い出すと、まるで夢のようです。♠〈夢にまで見る〉まっ青な海、白いさんごしょう、ここがわたしが夢にまで見た南国の島だ。♠〈夢を追う〉この書は、自分の夢を追い続けて真剣[しんけん]に生きた人間の姿を描いている。♠〈夢をかきたてる〉どんなに大勢の子供たちの夢を、紙芝居[かみしばい]はかきたてたことだろう。♠へ夢と消える〉一回戦での思いがけない敗退で、宿願の優勝も夢と消え去った。♠へつかのまの夢〉病気の娘と戦争へ行く青年との出会いは、つかのまの夢であった。♠へかりそめの夢〉何もかもがかげろうのようにむなしいかりそめの夢である。♠へ夢のようにはかない>藤原氏[ふじわらし]三代の栄華[えいが]も一眠りの夢のようにはかなく消えた。♠〈夢を持つ。実現する>夢を持ったら、それを実現させろ。♠ヘ将来の夢>彼は自分の将来の夢を、とくとくとぼくに語って聞かせた。♠へ夢を失う〉戦争後の苦しい日々を、人々は、夢を失うことなく生きぬいてきた。♠〈夢をこめる〉民話には、民衆の夢がこめられている。♠へ夢を抱[いだ]く〉わたしたちの祖先は、どのような夢や願いを抱き、どのように知恵[ちえ]を働かせて生きてきたの <1170> だろうか。♠〈夢にあふれる〉夢と希望にあふれる青春時代は、また悩み多き時代でもある。♠〈夢がかなう〉努力のかいがあって、海外留学の夢がかなった。♠〈夢が破れる〉〈夢を育てる〉子供のころの夢は破れたけれど、別の実現できそうな夢を育てよう。♠〈夢の国〉オーロラの美しさは、わたしたちを夢の国にいるような気持ちにさせます。♠〈夢にも思わない>友達が裏切るなんて、そんなことは夢にも思ったことはない。♠〈夢にも考えない〉わたしは、カンニングなどは夢にも考えたことがない!♠<旅に病んで夢は枯野[かれの]をかけ廻[めぐ]る(松尾芭蕉[まつおぼしよう]) **ゆめうつつ【夢うつつ】**(夢現) ○夢と現実。意識のはっきりしない状態。夢心地。[文例]〈夢うつつで聞く〉今朝は眠くて、目覚まし時計の鳴る音も夢うつつで聞いていた。♠へ夢うつつに聞こえる〉気を失っていた男の耳に、遠くで母親の呼ぶ声が夢うつつに聞こえてきた。♠〈夢うつつの状態>昨夜一晩、夢うつつの状態で自分の死後のことを考えていた。♠わたしは、熱で頭がぼんやりしていたせいか、先生に呼ばれたのも夢うつつでした。 **ゆめごこち【夢心地】** ○夢を見ているような気持ち。夢見心地。[文例]真夜中の電話に起きてみると、まだ夢心地のわたしの耳に女の声が飛び込んできた。♠世界的なプリマによる「白鳥の湖」はわたしの心を魅了[みりょう]し、夢心地のうちに幕は降りた。 **ゆめじ【夢路】** ○夢。夢を見ること。[文例]〈夢路をたどる>遊び疲れた子供たちは、安らかな夢路をたどっています。♠〈夢路に現れる〉昨夜は、めずらしく、亡くなった母が夢路に現れて、元気なころの姿を見せてくれました。 **ゆめにも【夢にも】** ♪ゆめ **ゆめみごこち【夢見心地】** ○夢を見ているような気持ち。夢心地。[文例]すてきなダンスパーティーは終わったが、令嬢[れいじょう]たちはまだ夢見心地で帰るのが惜しそうだった。♠結婚式の間じゅう花嫁[はなよめ]は夢見心地の表情だった。 **ゆめ・みる【夢見る】** ○夢を見る。夢に見る。空想する。[文例]子供のころのぼくは、プロ野球の選手になることを夢見ていた。♠ファッションデザイナーを夢見て、この学校に入りました。♠ゆうこは、十五の夢見る少女でした。 **ゆめゆめ**(努努) ○決して。絶対に。[文例]このお告げをゆめゆめ疑うことなかれ。♠この約束[やくそく]をゆめゆめ忘れることがあってはならぬ。♠あの山には恐[おそ]ろしい魔物[まもの]が住むといいます、ゆめゆめ近づくことはなりませぬ。♠このことは二人だけの秘密のこと、ゆめゆめ他言[たごん]のないように。 **ゆゆし・い**(由由しい) ○はなはだしい。たいへんである。[文例]〈ゆゆしい問題〉新入社員が無断欠勤を続けるというのは、ゆゆしい問題である。♠へゆゆしい一大事〉これは、藩[はん]にとってゆゆしい一大事ですぞ、一刻の猶予[ゆうよ]もなりません。♠〈ゆゆしい事態>首相の発言で、両国間の緊張[きんちょう]は、高まり、ゆゆしい事態となってきた。 **ゆらい【由来】** ○物事がそこから起こること。物事の起こり。物事の経てきたすじみち。元来。[文例]〈外来語の由来〉〈由来を調べる>身近な外来語、たとえばパンとかガラスなどの由来を調べてみよう。♠〈名の由来〉談合島[だんごうじま]の名の由来は、島原[しまばら]の乱のとき、島原と天草[あまくさ]の代表が集まり、いくさの相談をしたことに発するという。♠へ伝説の由来〉地元の老人にこの湖の伝説の由来を尋[たず]ねてみた。♠〈由来がある〉昔[むかし]から言い伝えられた由来があって、特別な意味に用いられる語句を「故事成語」という。♠〈由来する〉彼が「鉄腕[てつわん]」と言われるのは、日本シリーズの四連投に由来している。♠彼は、ゆらい自分勝手な男なのだよ。 **ゆら・ぐ【揺らぐ】** ○揺れ動く。動揺する。ぐらつく。[文例]〈電灯が揺らぐ〉さっきの地震[じしん]では、天井[てんじょう]から下がっている電灯がかなり大きく揺らいだ。♠〈風に揺らぐ〉木の葉が風に揺らいでいる。♠〈体が揺らぐ〉ぼくはその話を聞いて、体が一瞬[いっしゅん]揺らぐような不思議な感じにおそわれた。♠〈自信が揺らぐ〉思いがけない大失敗に、わたしの自信は揺らいだ。♠へ決意が揺らぐ〉つらく苦しい時も、息子たちの固い決意は決して揺らぐことはなかった。♠へ心[こころ]が揺らぐ>都会へ出ようと、心に決めたはずなのに、老いた母の寂[さび]しげな顔に、わたしの心は揺らいだ。♠へ身代[しんだい]が揺らぐ〉取り引きの失敗は、店の身代が揺らぎかねないほど大きかった。 **ゆら・す【揺らす】** ○揺り動かす。[文例]〈ぶらんこを揺らす〉こわいから、そんなにぶらんこを揺らすのはやめて。♠〈ボートを揺らす〉立ってボートを揺らすのは危険ですから、絶対にやってはいけません。 **ゆらめ・く**【揺らめく】 ○揺れ動く。ゆらゆらする。[文例]〈炎[ほのお]が揺らめく〉ろうそくの炎が揺らめくと、障子[しょうじ]に映ったわたしの影も揺れた。♠ヘ灯明[とうみょう]が揺らめく〉仏壇[ぶつだん]でお灯明がかすかに揺らめいていた。♠へ心[こころ]が揺らめく〉思いがけない一言で、彼を信じ続けてきた京子の心は揺らめいた。♠〈脳裏[のうり]に揺らめく〉いつかの女の悲しそうな表情がわたしの脳裏に揺らめいた。♠みどりゆらゆらゆらめきて動く暁[あかつき](荻原井泉水[おぎわらせいせんすい]) **ゆらゆら** ○ゆっくりと揺れ動くさま。[文例]〈ゆらゆら揺れる〉大きな夕日がゆらゆら揺れているみたいだ。♠へゆらゆらと立ち上る>急に夏らしくなった日差しの下で、道にはゆらゆらとかげろうが立ち上った。♠〈ゆらゆらとする〉雪解けやゆらゆらとして枝垂梅[しだれうめ](阿波野青畝[あわせいは]) **ゆりかご【揺りかご】**(揺り籠・揺り籃) ○赤ん坊を入れて揺り動かすかご。揺籃[ようらん]。[文例]赤ちゃんは、揺りかごの中ですやすやと眠っていた。♠〈揺りかごから墓場までここは産院もお寺も近くて、揺りかごから墓場まで心配なさそうだ、と冗談[じょうだん]を言っています。】 ○揺り動かす。揺らす。揺れる。[文例]〈電車に揺られる〉満員電車に一時間半も揺られて通勤するのはたいへんです。♠<木を揺る〉北風が庭の木々を揺って、いっせいに葉を散らした。 **ゆる・い【緩い】** ○ゆるんでいる。ゆるやかだ。なだらかだ。厳しくない。薄い。(文例]〈結び方がゆるい〉くつひもの結び方が緩いと、気がつかないうちにほどけていたりします。♠ヘベルトがゆるいズボンのベルトが少し緩いのでしめ直 <1171> した。♠〈緩い坂〉これぐらいの緩い坂なら、自転車でも上れそうだ。♠<緩い流れ>入ってくる人たちは、次々に展示物を見て、全体が緩い流れになって、外へ出ていく。♠へ緩い円弧[えんこ]>高い丘に登ると、高速道路が緩い円弧を描いている様子がながめられる。♠ヘスピードが緩い>自転車で坂を下りる時は、ブレーキをかけてスピードを緩くしないと危険だ。♠〈便が緩い〉ゆうべの食べすぎがたたって、今朝はおなかの調子が悪く、便が緩い。♠ヘしめつけが緩い>規則が多すぎると、かえって反抗心[はんこうしん]を強めることにもなるので、しめつけを緩くして少し様子をみよう。 **ゆるが・す【揺るがす】** ○揺り動かす。揺さぶる。動揺させる。[文例]〈大地を揺るがす>昔は、東京でも、大地を揺るがすセミの大合唱が聞かれたものです。♠〈町を揺るがす〉人々のどよめきが海鳴[うみなり]りのように町じゅうを揺るがして、古い港町を久しぶりに活気づけた。♠へ森を揺るがす〉ある日、突然、森を揺るがすような銃声[じゅうせい]が響き、平和な動物たちの世界が奪[うば]われた。♠〈世間を揺るがす〉今日は、世間を揺るがしたあの事件の犯人に対して、判決がくだされる日である。♠〈気持ちを揺るがす〉彼女が胸を病んでいるといううわさがわたしの気持ちを揺るがした。♠〈価値観・人生観を揺るがす>敗戦の体験は、わたしの今までの価値観や人生観を根底から揺るがした。♠〈信頼感[しんらいかん]を揺るがす〉警官が不祥事[ふしょうじ]を起こす事件が相次ぎ、人々の警察に対する信頼感は根底から揺るがされた。 **ゆるぎ【揺るぎ】** ○揺るぐこと。動揺。不安定。[文例]〈揺るぎがない〉広い会場を埋めた聴衆を前に、彼は揺るぎのない足取りで台の中央に進んだ。♠へ揺るぎない〉わが社は創立以来、揺るぎない発展をとげています。 **ゆる・ぐ【揺るぐ】** ○揺れ動く。ぐらつく。動揺する。ゆらぐ。[文例]〈足元が揺るぐ〉つり橋は一歩進むごとに足元が揺るぎ、生きた心地もしなかった。♠へ家が揺るぐ〉ガード下の住まいですから、電車が通ると家が揺るぎます。♠〈信念が揺るぐ>長い間一つの仕事に打ち込んできた名人にも、その信念の揺るぐ時があった。 **ゆるし**【許し】(赦し) ○許すこと。許可。罪や過失をとがめないこと。芸道の免許の一階級。[文例]〈許しを得る〉彼は藩主の許しを得て長崎[ながさき]に遊学した。♠〈許しが出る〉今日ついに、医師から外出の許しが出た。♠〈許しをもらう〉夏休み、両親から許しをもらって一人旅をした。♠〈許しを請[こ]う>空腹からパンを盗[ぬす]んでしまった少年は、つかまると、一生懸命許しを請うた。♠へ罪の許し〉はからずも罪を犯してしまった男は、心からそれを悔[く]い、罪の許しを神に願った。 **ゆる・す【許す】**(赦す) ○許可する。許容する。罪や過失を免じる。免除する。注意をゆるめる。自由にさせる。可能にする。認める。[文例]〈貿易を許す〉江戸[えど]時代、幕府は、西欧諸国[せいおうしょこく]ではオランダにだけ貿易を許していた。♠へ面会を許す〉救急車で運ばれた父に面会を許されたのは、事故のあと二日もたってからだった。♠へ見学を許す>彩色壁画[さいしきへきが]で有名な高松塚古墳[たかまつづかこふん]も、公開すると破壊[はかい]が進むので、一般の人の見学は許されていない。♠へ立ち入りを許す〉その聖[せい]なる御堂[みどう]には、何人[なんびと]も立ち入ることは許されない。♠へ人が近づくのを許す〉書斎[しょさい]で仕事をしている時の父は、人が近づくのを許さない、厳しい感じがする。♠〈罪を許す〉飢えた子供たちのために援助[えんじよ]された食料を、横流しするなんて、その罪は絶対に許すことはできない。♠〈過[あやま]ちを許す>自分の過ちには厳しさを、他人の過ちにはそれを快く許す寛大[かんだい]さを持ちたいものだ。♠へ気を許す〉彼女とは仲よしなので、つい気を許して秘密をもらすことがあった。♠ヘヒットを許す〉ぼくの速球は、相手に一本のヒットも許さなかった。♠へ予断を許さない〉両チーム同点で九回を迎え、予断を許さない試合展開となった。♠へ健康状態が許さない〉資金のめどがたたないということもあるが、健康状態が外国行きを許さなくなってきたのである。♠〈自尊心が許さない〉そんなひきょうなことをするのは、ぼくの自尊心が許さない。♠へ時間が許すかぎり〉この旅館が気に入ったので、時間の許すかぎり滞在したいと思う。♠<自他共に許す〉彼は、自他共に許す世界的な名指揮者です。♠へ許し合った仲〉彼とわたしとは、中学以来の三十年に及ぶ、たがいに許し合った仲である。 **ゆるみ【緩み】**(弛み) ○ゆるむこと。ゆるんだ程度。[文例]〈手綱[たづな]の緩み>御者[ぎょしゃ]の手綱の緩みで馬は速度を落とした。♠〈気の緩み〉苦しい上りが終わって、あとは下り道だという気の緩みが失敗の元になった。 **ゆる・む【緩む】**(弛む) ○ゆるくなる。ゆるやかになる。やわらぐ。緊張がとける。[文例]〈ねじが緩む〉おもちゃが動かないのは、どこかのねじが緩んでいるからかも知れないよ。♠〈土が緩む>校庭の土が雨で緩んでいるので、体育の授業は屋内で行われた。♠〈関節が緩む〉知らせを聞いたとたん、力がすうっと抜け、関節という関節が緩んで、綿くずになったような感じがした。♠へ圧力が緩む〉流氷の上に持ち上げられてしまった船は、氷の圧力が緩んでも、その上に乗ったままであった。♠ヘベルトが緩む>長時間練習に励んだので、腰[こし]のベルトも緩むほどおなかがすいてしまった。♠〈寒さが緩む〉ここ数日、寒さが緩み、ネコヤナギが芽をふくらませてきた。♠<気が緩む>試合が終わっても気が緩まないように、次の大会にむけて練習を続けた。♠◇表情が緩む>子供の姿を見つけると、ひきつっていた母親の表情がにわかに緩んだ。♠〈口もとが緩む〉わたしが悪い人間ではないことがわかったらしく、少女の口もとが少し緩んできた。 **ゆる・める【緩める】**(弛める) ○ゆるくする。ゆるませる。ゆるやかにする。薄める。[文例]〈ネクタイを緩める〉仕事から帰ると、父はまずネクタイを緩めて、「やれやれ、今日も暑かったな。」と言った。♠へ手を緩める〉部屋の中に舞いこんできた小鳥をつかまえると、ぐったり動かなくなったので、あわてて手を緩めた。♠〈力を緩める〉激[はげ]しい風にテントが飛ばされそうで、ぼくたちは一晩中、押さえている力を緩めるわけにはいかなかった。♠ヘスピードを緩める>住宅地の狭い道路では、車はスピードを緩めてほしい。♠へ気を緩める〉乗客の生命を預かるパイロットは、操縦[そうじゅう]中に気を緩めることは許されない。♠へ警戒を緩める〉増水した川の水量が <1172> が減り始めたので、警戒[けいかい]を緩めても大丈夫だろう。♠へ制限を緩める〉わたしの学校は、髪形[かみがた]やスカートの長さなどに厳しい規則が多いので、もう少し制限を緩めてほしいと思う。♠へたづなを緩める〉大会まで先は長いんだから、少しいたづなを緩めないと、それまでに部員はみんなへばっちまうぞ。 **ゆるやか【緩やか】** ○ゆったりとしたさま。なだらか。厳しくないさま。[文例]〈緩やかな流れ>近くの川では、たくさんの魚たちが緩やかな流れの中をのんびりと泳いでいる。♠〈緩やかなすそ野〉八ヶ岳[やつがたけ]のふもとからは、緩やかなすそ野が何キロにもわたって広がっている。♠へ坂が緩やか>学校へ行く途中[とちゅう]の坂は、長いけれど緩やかで疲れません。♠<動きが緩やか>長雨が続いたあと、からりと晴れ上がり、潮の動きが最も緩やかになった時に、赤潮[あかしお]は起こりやすいと言う。♠へ緩やかに下降する〉ヒノキは、切られてから二、三百年の間は、強さや剛性[ごうせい]がじわじわと増して、それ以後は緩やかに下降していく。♠へ気持ちを緩やかに>試験の面接では、気持ちを緩やかに持って、はきはきと受け答えすることが大事です。♠へ緩やかな処分〉彼は校則を破ったのだが、反省の度がいちじるしく、緩やかな処分で済んだ。 **ゆれ【揺れ】** ○ゆれること。ゆれる程度。[文例]〈地震の揺れ〉〈揺れが大きい>昨夜の地震は揺れが大きく、夜中なのに飛び起きてしまった。♠〈心の揺れ〉青ざめた女の顔が心の揺れをものがたっていた。 **ゆれうごく【揺れ動く】** ○ゆらゆら揺れる。動揺する。[文例]〈木が揺れ動く〉外は強い風で、庭の木々がざわざわと揺れ動いている。♠へ気持ちが揺れ動く>固く決心したはずなのに、朝になるとわたしの気持ちはまた揺れ動いた。 **ゆ・れる【揺れる】** ○ゆらゆらとくり返し動く。動揺する。[文例]へぶらんこが揺れる〉夕方、だれもいなくなった公園で、ぶらんこが揺れている。♠〈風に揺れる〉白い花がそよ風に揺れ、その周りをちょうが飛び回っている。♠〈光が揺れる〉水の澄んだ川底に、日の光がちろちろ揺れている。♠〈ぐらぐら揺れる〉汽車が地ひびきをたてながら通過するたびに、ぼくの家の物置小屋はぐらぐら揺れる。♠へゆらゆらと揺れる〉流[なが]しびなは、ゆらゆらと揺れながら川下へ流れていった。♠へつり橋が揺れる〉ぼくたちは、おそるおそる揺れるつり橋を渡[わた]り始めた。♠へ船[ふね]が揺れる〉ボートは、荒[あら]い波風に、木の葉のように揺れながら、やっと浜[はま]にたどり着いた。♠〈地震[じしん]で揺れる〉地震は毎日続いて起こり、強さも回数も日ごとに増して、大みそかには、二百回も激しく揺れた。♠へ気持ちが揺れる〉このことを打ちあけようか、やっぱりだまっていようか、ぼくの気持ちは揺れる。♠へ心[こころ]が揺れる〉この小説は、さまざまなできごとの中で微妙[びみょう]に揺れ動く人間の心をじっくり見つめたものである。 **ゆわ・える【結わえる】** ○結びつける。しばる。[文例]〈柱に結わえる>子供のころ、いたずらの罰[ばつ]にこの柱に結わえられたことがある。♠ヘハンケチで結わえる>洋平はすりむいたひざこぞうをハンケチで結わえて、泣きながら帰ってきた。♠<綱[つな]で結わえる〉結わえておいた綱が切れて、犬が逃げてしまった。 **よ【夜】** ○よる。[文例]〈夜が明ける〉ほんのりと夜が明け初め、遠くの山々がうっすらと見えてきた。♠〈夜を明かす〉彼も無名時代は、住む家もなく、駅の待合室で夜を明かしたこともあったという。♠〈夜が更[ふ]ける〉日の照るうちは暖かくても、夜が更けるにつれて冷えこんでくる。♠へ夜を徹[てっ]する〉兄は、明日テストだからと、夜を徹して机に向かっている。♠〈夜に入る>雨は、夜に入っていよいよ激しくなった。♠〈春の夜の夢[ゆめ]〉人の栄華[えいが]も、春の夜の夢のごとくにはかかいものである。♠へ夜を日に継ぐ〉洪水[こうずい]で橋がこわされてしまったので、夜を日に継いで改修工事が続けられている。♠〈夜も日も明けない〉祖父は近ごろ、かわいい初孫なしには夜も日も明けない。 **よ【世・代】** ○世の中。世間。一生。生涯。仏教で過去・現在・未来の三世のそれぞれ。時代。治世。[文例]〈世のうわさ〉世のうわさほどあてにならないものはない。♠〈世の荒波[あらなみ]〉世の荒波を乗り越えて力強く生きていこう。♠〈世の中〉世の中には、病気や貧困などで苦しんでいる人がおおぜいいます。♠〈世に出る>彼女が女優として世に出るまでには、長い間の苦しい下積みの時代があったという。♠〈世に広まる〉彼の研究が世に広まったのは、死後だいぶたってからのことであった。♠<世に認められる〉研究を始めてから二十年、ようやくその業績が世に認められてきた。♠<世に送る>会社の総力をあげて世に送り出した新製品は、今までの売り上げの記録を破る大ヒットとなった。♠〈世に名高い>当時世に名高い詩人として、李白[りはく]と杜甫[とほ]がいた。♠〈世を渡[わた]る〉あの人は正直すぎて、世を渡るのはうまくないが、信用のおける人物だ。♠<世を忍[しの]ぶ〉〈世を去る〉若き日の心の痛みから出家した男は、世を忍んでこの山寺でひっそりと暮らし、静かに世を去った。♠〈世を捨てる〉今は使わなくなった炭焼き小屋に、世を捨てた老人が住みついている。♠<世の親〉世の親にとって、子供の成長と幸せを見ることほど大きな喜びはありません。♠〈身も世もなく〉わが子を失った母親は、身も世もなく悲しみにくれて泣くばかりであった。♠へわが世の春〉わが世の春をうたった藤原氏[ふじわらし]の栄華[えいが]もやがて衰[おとろ]える時がきた。♠〈世にいれられる〉〈世をすねる〉有能でありながら、偏屈[へんくつ]なために世にいれられず、世をすねる人間もいる。♠へ世にそむく〉娘は、親にそむき、世にそむいても、この恋をあきらめることはできなかった。♠へ世が世ならば〉世が世ならば、この女性は華族[かぞく]のお姫[ひめ]様たる身分であった。♠〈世にもまれ〉かぐや姫は、世にもまれな美しさで、その評判は都のみかどのもとにも聞こえたのである。♠〈あの世〉この地方では、死んだ人があの世で困らないように、わらじやお金をいっしょに葬[ほうむ]る習慣がある。♠<世の常[つね]>だれかが何かで成功すると、そのまねをする者が出てく <1173> るのは世の常でしょう。♠〈世にはばかる〉憎[にく]まれっ子、世にはばかる、といって、ああいうやつが出世するんだ。♠〈世の習い〉いい時もあれば、悪い時もあるのが世の習い、がっかりしていないで、さあ、がんばりましょう。♠〈世も末〉ばあさんや、年寄りがこんなにそまつに扱われるようでは世も末だなあ。♠<露[つゆ]の世>露の世は露の世ながらさりながら(小林一茶[こばやしいっさ])♠明治の代〉明治の代は、日本が欧米諸国[おうべいしょこく]に追いつこうと、近代化に必死になった時代であった。 **よあかし【夜明かし】** ○夜を明かすこと。徹夜。[文例]二十年ぶりに再会した友と、酒をくみかわしながら夜明かしで語り合った。♠へ夜明かしをする〉夜明かしをした翌朝は、いつものことながら食欲がない。♠〈夜明かしする〉小説などに夢中になって、夜明かしするということがあります。 **よあけ【夜明け】** ○夜が明けるころ。明け方。新しい時代の始まり。[文例]〈夜明けを告げる〉わたしは毎朝、夜明けを告げるおんどりの声とともに起きる。♠〈夜明けを待つ>発掘[はっくつ]は夜では無理だから、夜明けを待つことにしよう。♠へ夜明けを迎える〉一晩じゅう、友人と昔[むかし]の思い出を語りながら、夜明けを迎えた。♠〈平和の夜明け〉世界に平和の夜明け、訪れることを祈りたいものだ。♠〈近代日本の夜明け〉明治維新は、近代日本の夜明けとも言える。♠へ文学に夜明けをもたらす〉この小説は近代文学に夜明けをもたらした。 **よあそび【夜遊び】** ○夜、遊び歩くこと。また、その遊び。[文例]〈夜遊びが過ぎる>若い娘が、ちと夜遊びが過ぎるんじゃないかい。♠〈夜遊びする〉うちのどら息子は、夜遊びばかりして、困ったものだ。 **よい【宵】** ○日暮れから、あまり夜のふけないまでの時間。[文例]〈宵のうち〉宵のうちから始まった会議は、終わった時には深夜になっていた。♠〈春の宵>山里に一夜泊まって、春の宵のひとときを楽しく過ごしませんか。♠へ宵の口〉夏だもの、八時ごろでもまだ宵の口だよ。♠へ宵を待つ>月見草[つきみそう]は、宵になるのを待つように暗くなり始めると花を開かせる。♠へ宵の明星[みょうじょう]〉たそがれの西の空に宵の明星が輝[かがや]いている。♠へ宵越しの金>江戸っ子は宵越しの金はもたないといって、金ばなれがいいんだ。♠へ宵っ張りの朝寝坊〉兄は、夜中遅[おそ]くまで起きていて朝も遅い、宵っ張りの朝寝坊だ。♠へ宵やみ〉宵やみ迫[せま]るころになると、恋人[こいびと]たちが公園に集まって来ます。 **よい**【酔い】 ○酔うこと。酔った状態。[文例]〈酔いがさめる〉いきなり仕事の話が飛び出したのでは、いっぺんに酔いがさめてしまう。♠〈酔いが回る〉店を出たとたんに、酔いが回ってわけがわからなくなった。♠<二日酔い>昨夜の飲み過ぎがたたって、二日酔いで頭ががんがんする。♠へ悪酔い〉その日は悪酔いをして、だれかれなく周りの人にからんだらしい。♠船酔い>船出して一時間もすると、わたしは船酔いで気分が悪くなった。 **よ・い【良い・善い】**(好い・佳い) ○すぐれている。りっぱである。美しい。好ましい。正しい。善良である。快い。適している。十分である。さしつかえない。[文例]〈頭・成績が良い〉彼女は頭が良く、クラスでもいちばん成績が良い。♠へ腕[うで]が良い〉ここのお医者さんは、腕が良いと評判です。♠〈日当たりが良い〉カエルが、日当たりの良い水の中にたまごを産んだ。♠〈条件が良い〉ゴキブリのように休眠しない昆虫[こんちゅう]は、条件さえ良ければ一年じゅう世代を繰り返すことができる。♠へ調子がよい〉ピッチャーの調子がすばらしく良く、相手チームのバッターを次々となぎ倒した。♠へよい正月>老人は病気も治り、かわいい孫たちもやってきて、よいお正月を迎えることができた。♠へ都合がよい〉鳥のくちばしは、えさを取って食べるのに都合のよいようにできている♠へ人がよい>男たちは、素朴[そぼく]で人のよい百姓の彼をだまそうとした。♠へ気持ちよい〉すがすがしい、気持ちよい風が吹いている。♠〈よい天気〉今日はよいお天気ですね。♠へよい値>道具類を処分したが、よい値にならなかった。♠〈仲が良い〉アルバムをめくっていたら、以前仲の良かった友達の写真が見つかった。♠〈善い行い〉人に親切にするなど、善い行いをするには勇気がいる。♠へ〜したらよい〉文章を書くとき、読点をどこに打ったらよいか、よく迷います。♠へ~してよい〉そうじが終わったら帰ってよい。♠〈~しよい〉この靴は、軽く丈夫で[は]きよい。 **よいし・れる【酔いしれる】**(酔い痴れる) ○すっかり酔う。陶酔する。[文例]〈酒に酔いしれる〉今夜は心ゆくまで勝利の酒に酔いしれよう。♠〈名曲に酔いしれる〉久しぶりにコンサートに出かけ、名曲の演奏に酔いしれた。♠へ歓喜[かんき]に酔いしれる〉披露宴[ひろうえん]の間じゅう、花嫁は歓喜に酔いしれていた。 **よいっぱり【宵っ張り】** ○夜遅くまで起きていること。また、そういう習慣のある人。[文例]〈宵っ張りの人〉夜になると頭がさえてくるなどと、宵っ張りの妻は言います。♠<宵っ張りの朝寝坊〉宵っ張りの朝寝坊というが、わたしもその一人で、夜ふかしは平気だが、朝はからきしだめである。 **よいん【余韻】** ○後に残る響き。後に残る味わい。言外の余情。[文例]へ余韻をもたせる「―――」「・・・・・・」の記号は、話題を変えるときや、余韻をもたせる場合に用います。♠へ余韻を残す>雪を踏みしめながら去っていった人の足音が、わたしの心の中に、今も余韻を残している。♠へ余韻が残る〉すばらしい演奏を聴き、その余韻が今も耳に残っている。♠〈余韻を楽しむ〉詩を読んで、情景を思い浮かべながら、しばらく余韻を楽しんだ。♠<余韻にひたる〉映画の中の感動的なシーンがわたしの心に焼きつき、興奮[こうふん]の余韻にひたっている。♠へ余韻がある〉わたしは、漢詩の余韻のある表現がだんだん理解できるようになりました。 **よう【用】** ○するべき事。用事。用途。使い・道。働き。費用。[文例]〈用がない〉春がおとずれ、雪が解けると、雪囲いも用のないものとして、取りはずされる。♠〈用がある〉町へ出る用があって、したくをしているところだ。♠〈用を足す〉ちょっと用を足したいからと、おばは赤ちゃんを母にあずけて出かけていった。♠〈用が足りる〉その件ならわざわざ出向かなくとも、電話で用が足りる。♠〈用をする〉気まぐれなおじのおかげで、ぼくは時々突発的[とっぱつてき]に用をさせられる。♠〈用がかたづく〉このようにすれば、一度で用がかたづく。 <1174> ●〈用をなさない〉有効期限が過ぎてしまった薬は、用をなさないばかりでなく、毒になることもある。♠〈用に立つ>祖母は、暮らし向きの用に立つ物をよく持って来てくれます。♠〈急ぎの用〉今日は、急ぎの用が控えていますので、これで失礼させていただきます。♠〈用足し〉「どちらへおでかけですか。」「ちょっとそこまで用足しに。」♠<六年用>ぼくはまちがって、弟の小学六年用の教科書を持ってきてしまった。 **よう【要】** ○要点。必要。[文例]〈要を得る〉簡[かん]にして要を得た説明で、きわめてわかりやすかった。♠〈学問の要>学問の要は忍耐にあり、刻苦勉励[こうくべんれい]すべし。♠へ再考の要〉いいアイディアですが、しかし資金面で再考の要があると思います。♠〈要は>要は、働いてお金を稼[かせ]ぐことだ。 **よう【洋】** ○東洋と西洋。広い海。[文例]〈洋の東西を問わず〉洋の東西を問わず、親たちは子供の将来に深い関心をいだくものだ。♠<和洋〉その建て物は、バランスよく和洋の折衷[せっちゅう]がなされていた。 **よう【陽】** ○表に現れること。活発、積極的な性質。プラス。→陰[いん][文例]〈陰[いん]に陽[よう]に>彼女は陰に陽に夫を助け、常によきパートナーであった。♠〈陰と陽>躁鬱病[そううつびよう]の気のある人だから、性格的に陰と陽の転換がはげしかった。 **よ・う【酔う】** ○酒を飲んで心身の働きが鈍くなる。乗り物などで気分が悪くなる。うっとりする。[文例]〈酒に酔う〉父は酒に酔うと、いつも決まって同じ歌を歌い出す。♠へ乗り物に酔う〉ぼくはバスに酔うので、旅行は汽車で行きたい。♠へにおいに酔う〉長時間プラモデルをこしらえていると、接着剤[せっちゃくざい]のにおいに酔ってしまいそうだ。♠〈妙技に酔う〉サーカスの妙技に酔い、テレビの前にくぎづけになってしまった。♠へ歓喜[かんき]に酔う〉選手たちは優勝の歓喜に酔っていた。♠〈美声に酔う〉彼女の美声は、聴衆[ちょうしゅう]を酔わせた。♠〈泥のように酔う〉その夜、男は酒を浴びるように飲み、泥のように酔って寝た。♠へ酔ったような心持ち〉名人が作ったというつぼを、酔ったような心持ちでいつまでもながめた。♠〈雰囲気に酔う〉パーティーの華麗[かれい]な雰囲気[ふんいき]にすっかり酔い、夢のようなひとときを過ごした。 **ようい**【容易】 ○たやすいさま。簡単なさま。[文例]〈容易に作れる>短歌や俳句は、形が短いので、だれでも容易に作れそうだが、実際はそうはいかない。♠〈容易にできる〉そのとき彼がどんな気持ちだったか、ぼくにも容易に想像ができる。♠〈容易なこと〉常々痛めつけられているのらねこの警戒心は、容易なことではほぐれないらしい。♠〈容易なことではない>芸の道を極めることは容易なことではない。♠〈容易ならぬ〉小遣[こづか]いをそっくり一年分あきらめるから、トランペットを買ってくれというのは、容易ならぬ決心だ。 **ようい【用意】** ○物事に対するそなえ。準備。したく。[文例]〈用意をする〉ぼくが起きるころ、父はもう会社に出かける用意をしている。♠〈用意ができる〉ごはんの用意ができたよ。♠へ用意がいる〉よいスピーチをするには、それなりの用意がいる。♠〈用意にかかる〉すぐに用意にかからないと間に合わないぞ。♠〈用意が調[ととの]う〉嫁入[よめい]りの用意が調って、姉はしあわせいっぱいだ。♠〈用意する>救急車には、寝台が用意してあります。♠〈用意周到>祖父は実に用意周到な人で、いつも何種類もの薬を持ち歩いている。♠へ用意万端[ぱんたん]ととのう〉会場は、もう用意万端ととのって、お客様のお越しを待つだけです。♠ヘヨーイ、ドン〉ぼくらは、ヨーイ、ドンでいっせいに頂上[ちょうじょう]目指して走った。 **よういく**【養育】 ○養い育てること。[文例]]〈養育する>両親を失い、叔母[おば]に引き取られて養育された。♠〈養育費>別れた夫からは、二人の子供の養育費が毎月送られてきます。 **よういん**【要因】 ○主要な原因。主要な因子。[文例]〈悪化の要因>事態の悪化の要因を細かく分析してみよう。♠〈要因になる〉この地上には未知の土地がまだまだあるはずだという気持ちが、彼を探検にかりたてる要因になった。 **よういん**【要員】 ○必要な人員。〔[関例]]〈要員の確保〉今度の大会では大勢人手が必要なので、主催者は要員の確保のために奔走[ほんそう]している。♠〈保安要員>道子の父親は、鉱山の保安要員として雇われていた。 **ようえき【溶液】** ○二種以上の物質の均一な混合液。[文例]ヨウ素の溶液は無色だが、でんぷんと反応すると青紫色に変わる。♠<水溶液〉食塩の水溶液、つまり食塩水をかきまぜてください。 **ようえん**(妖艶・妖婉) ○あやしいまでになまめかしく美しいさま。[文例]〈妖艶な姿>舞台に照明があたると、女の妖艶な姿がやみの中に浮かび上がった。♠〈妖艶な美しさ〉夫人の妖艶なまでの美しさにジュリアンの心はあやしくときめいた。 **ようかい**(妖怪) ○化け物。お化け。[文例]〈妖怪が住む人里離れた山奥に、まるで妖怪でも住むような朽[く]ちかけたあばら家があった。♠〈妖怪変化>覚めてみれば茫々[ぼうぼう]たる草の原、きつねかたぬきかいかなる妖怪変化のしわざでもあったろうか。♠妖怪退治〉昔の講談には、豪傑[ごうけつ]による妖怪退治の話も多い。 **ようき【陽気】** ○万物を発生し活動させる気。気候。時候。ほがらかで明るいさま。[文例]〈春の陽気〉寒さが長びいたが、やっと春の陽気になった。♠〈陽気がいい〉あんまり陽気がいいので、ついこっくりと居眠[いねむ]りしてしまった。♠へ陽気に誘われる〉こぶしやれんぎょう、木蓮[もくれん]などが、陽気に誘われて、次々と花を咲かせている。♠〈陽気のせい〉いつも静かなあいつが、あんなにはしゃぐなんて、陽気のせいだね。♠〈性格が陽気>陰気[いんき]な兄とくらべ、弟の性格はすこぶる陽気である。♠〈陽気な生活〉わたしは、家中笑いがはじけるような陽気な生活にあこがれている。♠〈陽気に歌う〉祝宴に列席していた村人たちは、陽気に歌を歌い、手を打った。 **ようき**【容器】 ○物を入れるための器。入れ物。[文例]〈ガラスの容器>実験のときには、試験管・ビーカー・フラスコなどガラスの容器が多いので、割らないように注意しましょう。♠ヘブリキの容器>植物採集に用いるブリキの容器を胴乱[どうらん]といいます。♠へ容器に入れる>母は、梅干しをふたのついた古そのプリキの容器に入れて保存している。 <1175> **ようし**【用紙】 ○せとものの容器に入れて保存しています。♠〈紙・プラスチックの容器>弟は、牛乳の入っていた紙の容器や、プラスチック容器などを使って、何か工作中だ。 **ようき**(妖気) ○あやしい気配。[文例] <妖気が漂[ただよ]う>荒れはてた庭に生暖かい風が吹き、不気味な妖気が漂っていた。♠<妖気が立ち上る〉女は透き通るような白い肌[はだ]をしており、あやしい妖気が立ち上っていた。 **ようぎ【容疑】** ○犯罪の疑い。[文例]〈容疑がかかる>犯行現場の状況から言って、目撃者に容疑のかかるのも無理からぬことであった。♠〈容疑が晴れる〉弁護士の調査のおかげで、やっとわたしの容疑が晴れた。♠〈容疑者〉取り調べ中の容疑者は、がんとして犯行を否認していた。♠へ殺人容疑>男は殺人容疑で逮捕[たいほ]され、取り調べを受けていた。 **ようきゅう【要求】** ○強く求めること。[文例]〈要求を実現する〉民主国家では、人々の要求は議会を通して実現される。♠〈要求を通す〉お互いが自分の要求ばかりを通そうとすれば、けんかになってしまう。♠〈要求をする〉三歳になる弟は、そばに寄ってきては本を読んでだの、だっこしてだの、さまざまな要求をする。♠〈要求をのむ〉交渉[こうしょう]の末[すえ]、会社側が賃上げの要求をのんだ。♠〈要求に応じる〉きみの身勝手な要求には応じることはできない。♠〈要求をける>王様は、戦争になるのを覚悟[かくご]して、隣国[りんごく]の無理な要求をけった。♠〈要求をしりぞける〉労働者の要求は、むなしくしりぞけられた。♠へ時代の要求〉ヒーローやスターは、その時代の要求に従って生みだされる。♠〈答えを要求する〉このクイズ番組は、トンチ式のものではなく、正確な知識に基づいた答えを要求している。♠へ体力を要求する〉江戸[えど]時代に東海道を往復[おうふく]するには、強靭[きょうじん]な体力が要求された。♠へ体が要求する〉疲れた体は、睡眠を要求していた。 **ようぐ【用具】** ○ある事をするのに用いる道具。〔[文例]]へ絵をかく用具>旅には必ず、スケッチ用に簡単な絵をかく用具を持参[じさん]することにしている。♠〈用具を貸す〉スキー場へ行けば、必要な用具は貸してくれる。♠へ体育の用具>体育の授業が終わったら、当番は用具をきちんと片づけること。♠〈必要な用具>料理する前に、必要な用具と材料をきちんとそろえておく。♠〈実験用具>理科の実験用具は取り扱い[あつか]に注意しよう。 **ようけん【用件】** ○しなければならない事柄。用事。〔[文例]]〈用件をうかがう〉係の者がご用件をうかがいます。♠へ用件を済ます〉町へ出て用件を済ますと、その足で待ち合わせ場所へ向かった。♠〈用件を言う〉やって来た男はもじもじしているばかりで、なかなか用件を言わない。♠〈用件に入る〉あいさつはいいから、すぐ用件に入りたまえ。 **ようけん【要件】** ○必要な条件。大事な用件。[文例]〈要件をみたす〉応募者が要件をみたしていさえすれば、細かいことは聞き出さないことにしよう。♠へ根本の要件>自分の意志を正しく伝え、相手の意図を正しく受けとめることが対話の根本の要件である。 **ようご【用語】** ○言葉の用い方。使用する言葉。[文例]<用語に気をつける〉文章を書くときには、いたずらに難しくならないよう、用語に気をつけている。♠〈用語が難しい〉この文章の用語は、中学生にはかなり難しい。♠〈用語が適切〉意味は理解できないこともないが、このような用語は適切でない。♠く洗練された用語〉この句は、洗練された用語と細かい技巧を用いて、静寂[せいじゃく]な境地を象徴的に表現している。♠へ専門的な用語〉漢語は特に、抽象的[ちゅうしょう]な意味を表す語や専門的な用語などに多く用いられている。♠へ野球用語〉「ピッチャー」「バッター」などの野球用語は、もともとのアメリカ英語がそのまま取り入れられたものだ。♠へ専門用語・学術用語〉父の本は、専門用語や学術用語が多く、ぼくが読んでもさっぱりわからない。 **ようご**【擁護】 ○かばい守ること。大事に守ること。[文例]〈自由の擁護〉民衆は、自由の擁護のために立ち上がって銃[じゅう]を取った。♠へ人権を擁護する〉あの弁護士は、社会的に弱い立場にある人々の人権を擁護することに、力を注いでいる。♠へ憲法を擁護する〉首相は、憲法を擁護する発言をくりかえした。♠<文化の擁護〉インテリというものは、とかく自分たちだけが文化の擁護者であると思い込みがちだ。 **ようご**【養護】 ○保護し育てること。[文例]へ養護学校>長男は生まれつきからだが不自由なので、養護学校に通っています。♠へ養護施設>事故で両親を亡くした幼い兄弟は、養護施設に引き取られていった。 **ようこう【洋行】** ○西洋に旅行したり留学したりすること。[文例] <洋行する〉明治になると、西洋の制度を学ぶため多くの役人が洋行した。♠<洋行帰り>洋行帰りの伯父は、つねにステッキを携[たずさ]え、子供の目にもハイカラに見えた。 **ようこう【陽光】** ○太陽の光。日光。[文例]〈陽光が差す>陽光が差すと、海はきらきらと輝いた。♠〈陽光が注ぐ>南国の陽光が少女たちの肌にふり注ぐ。 **ようこう【要項】** ○重要な事項。また、それを記した文書。[文例]<試験の要項〉今年も、各校で入学試験の要項が発表された。♠へ募集要項>特待生の制度があるそうだから、募集要項を取り寄せて調べてみよう。 **ようさい【洋裁】** ○洋服の裁縫。[文例]母は洋裁の腕を生かして、家族の衣類はほとんど自分でこしらえていた。♠<洋裁学校>洋裁学校に通う娘は、創意工夫をこらしてなんでも縫い上げた。 **ようさい**(要塞・要砦) ○軍事上のとりで。[文例]〈要塞に立てこもる>峠[とうげ]をこえる兵が要塞に立てこもり、徹底抗戦[てっていこうせん]の構えをとった。♠人堅固な要塞〉〈要塞を攻め落とす〉味方は敵の堅固な要塞を攻め落とそうと、夜陰[やいん]にまぎれて行動を開始した。 **ようさん【養蚕】** ○蚕[かいこ]を飼育すること。[文例]この地方では養蚕が盛[さか]んで、至る所に桑[くわ]の木が植えられていた。♠へ養蚕業>絹織物の価格が暴落し、養蚕業者は手痛い打撃を受けた。 **ようし**【要旨】 ○文章の要点となる内容。[文例]〈文章の要旨〉〈要旨をとらえる〉論説文を読んで、文章の要旨をとらえ、それに対する自分の考えをまとめよう。♠〈要旨をつか <1176> む>話題の中心になる部分に注目して、文章の要旨をつかむ。♠〈要旨を読み取る>筆者の論点をしっかりおさえれば、要旨を読み取ることはそれほど難しくはない。♠〈要旨をまとめる〉筆者の考えを読み取り、全文の要旨をまとめてみた。♠〈要旨がはっきりする〉要旨のはっきりした効果的な話をするように心がけたいものだ。 **ようし【容姿】**○顔かたちと姿。[文例]〈美しい容姿〉バレリーナやモデルなどの職業には、美しい容姿が要求される。♠<容姿がよい>彼女は小さくて太っていて、決して容姿はよくはないが、ほがらかでみんなに好かれている。♠<容姿を保つ>体操選手の彼女は、容姿を美しく保つために、ダイエットをしているそうだ。♠〈容姿を気にする〉姉もお年ごろなので、容姿を気にして、大好きな甘い物も控[ひか]えている。♠<容姿端麗>ミス何々を決める美人コンテストでは、容姿端麗な美女たちがその美しさを競う。 **ようし【用紙】**○ある事に用いるための紙。[文例]〈用紙を配る〉係員は、全員に用紙を配って記入法を説明した。♠〈所定の用紙>参加希望者は、所定の用紙に必要事項を記入して提出してください。♠〈答案用紙>試験官の合図で、受験生はいっせいに答案用紙に向かった。 **ようし【養子】**○実の子でない者を縁組[えんぐみ]して子としたもの。[文例]〈養子に行く〉彼は、五歳の時に伯父の家へ養子に行った。♠<養子をとる>子供のいない夫婦は、養子をとって家を継がせようと相談していた。♠<養子縁組>二人は、赤ん坊を引き取り、養子縁組[えんぐみ]をしてわが子と同じに大切に育てた。 **ようじ【用事】**○しなければならない事柄。用。[文例]〈用事がある・ない〉せっかくの休みの日も、父は用事があって出かけてしまうことが多い。♠〈大切な用事〉大切な用事があって遅[おそ]くなると、兄から電話があった。♠〈用事を残す〉町に用事を残してきたので、近いうちにまた出かけなくてはならない。♠<用事を足す〉用事を足したら、すぐに帰ってきなさいと、母に言われた。♠〈用事を言いつける〉父たちの少年時代は、いろいろ親から用事を言いつけられたものらしい。♠く用事が済[す]む〉遊ぶのは、用事が済んでからにしなさい。♠〈用事を果たす〉幼い妹も、簡単なことなら、頼まれた用事を果たせるようになった。 **ようじ【幼児】**○幼い子。[文例]〈あどけない幼児〉あどけない幼児の目には、この世界も自然も人間も、みな不思議なものに映っているでしょう。♠<幼児の教育〉幼児の教育は、無理なく本人が楽しめるように進めることが大切です。 **ようじ【幼時】**○幼いころ。[文例]幼時から利発で、将来、どんな偉い人物になることかと期待される少年だった。♠〈幼時の記憶>押し入れの奥に古いおもちゃを見つけたときなど、ふっと幼時の記憶がよみがえってくる。 **ようじ(楊枝・楊子)**○つまようじ。歯ブラシ。[文例]〈ようじを使う〉食事の後でようじを使うのが習慣になっている人もいます。♠<ようじを添[そ]える〉出された和菓子には、ようじが添えてあった。♠<ようじで重箱の隅[すみ]をほじくる〉ようじで重箱の隅をほじくるように、細かいことばかり言っていては子供がのびのび育たない。 **ようしき【様式】**○物事のあり方。やり方。一定の形式。芸術上の表現形式。文芸作品の形態。ジャンル。[文例]ヘペルシア・唐[とう]の様式〉正倉院[しようそういん]に保存されている宝物[ほうもつ]の中には、古代ペルシアや唐の様式で描[えが]かれた物がある。♠〈建築の様式〉東京駅は、西洋建築の様式をとり入れて造られた重厚な建築です。♠<生活様式〉日本人の生活様式は、明治以後、ずいぶん洋風化した。♠〈行動様式〉日本人と他の国の人とでは、行動様式が違う[ちが]ので、面食らう時がある。♠〈様式化〉能[のう]は、単純に様式化された演技の中に、人間のあらゆる感情を表現するという。♠〈様式美〉能や歌舞伎[かぶき]などの様式美は、外国人の目を引きつける。 **ようしき【洋式】**○西洋の様式。[関例]〈洋式のスタイル〉日本でも、テーブルにいすという洋式の生活スタイルがすっかり定着した。♠〈洋式の礼服〉フロックコートは洋式の男子礼服である。♠〈洋式トイレ>部屋を建て増しする際に、洋式トイレに改造することにした。 **ようしゃ【容赦・用捨】**○ゆるすこと。手加減すること。[文例]〈容赦する>失礼のほど、どうぞご容赦ください。♠〈容赦できない〉きみには何度だまされ、裏切られたことか、もう容赦できない。♠〈容赦がない〉相手が女であろうと、子供であろうと、処罰[しょばつ]のしかたに容赦はなかった。♠〈容赦なく>犯人が指定した九時に向かって、時間は容赦なく過ぎていった。♠〈情け容赦〉彼は、敵には少しの情け容赦も示さない男だ。 **ようしゅん【陽春】**○ぽかぽかと暖かい春。陰曆正月のこと。[文例]〈陽春の日ざし〉穏やかな陽春の日ざしを浴びて、公園では子供たちがはしゃぎ回っています。♠<陽春の候〉陽春の候、いかがおすごしですか。 **ようしょ【要所】**○重要な所。大切な箇所。[文例]〈交通の要所〉かつてこの町は陸上交通の要所で、商業が栄え、活気にあふれていた。♠〈要所を固める〉国賓[こくひん]の来日とあって、警備陣が要所要所を固めた。♠〈要所をおさえる〉調査書や報告書の文章は、要所をおさえて簡潔に表現することが大切だ。 **ようしょう【幼少】**○幼いこと。[文例]幼少のころから学問に秀[ひい]で、神童と呼ばれた少年でした。♠幼少にして両親を失った若君[わかぎみ]を、夫婦はわが子のようにいつくしみ育てた。 **ようじょう【養生】**○健康の増進をはかること。病気の治癒に努めること。[文例]〈養生をする〉母は、空気のよい所へ転地して、養生をするようすすめられた。♠<養生する>早く病気が治るように、十分養生してください。♠<養生法〉適度の運動と十分な睡眠[すいみん]が、わたしの養生法です。♠長わずらいをしたおばは、今も自宅で養生中です。 **ようしょく【養殖】**○海産物を人工的に飼育・増殖すること。[文例]〈養殖する〉この湾[わん]では三十万尾のハマチが養殖されている。♠ヘノリの養殖>海がきれいすぎると、ノリの養殖には向かないのだという。♠<真珠の養殖〉この湾[わん]では、真珠の養殖が行われている。♠<養殖業者>養殖業者の中には、桃の落ち葉で積み肥を作ってカブトムシを養殖している、変わり種もある。♠〈養殖力キ・養殖ハマチ>赤潮が発生して、養殖カキや養殖ハマチが至る所で死んだ。 <1177> **ようしょく【要職】**○重要な職務・地位。[文例]〈要職につく>天下りした役人は、民間の企業に入って要職についた。♠<要職にある>彼は政府機関の要職にあって、毎日多忙[たぼう]をきわめていた。 **ようしょく【容色】**○顔かたち(の美しさ)。[文例]〈容色が衰[おとろ]える>長い闘病生活で、夫人の容色はすっかり衰えていた。♠〈容色が優れる〉容色が優れているのでねたまれるのかしらと、彼女はうぬぼれていた。 **ようじん【用心・要心】**○気をつけること。注意。警戒。[文例]〈火の用心>火事を出さないように、しっかりと火の用心をする。♠〈用心をする「石橋をたたいて渡る」という言葉は、用心の上にも用心をすることのたとえです。♠〈用心のよさ〉いつも先のことまで考えながら行動する彼の用心のよさは、とてもぼくにはまねができない。♠〈用心が悪い〉戸締まりもせずに留守にするとは、ずいぶん用心の悪い家だ。♠〈用心する〉夜道は危ないですよ、用心して帰りなさい。♠〈地震の用心〉地震の用心に、倒[たお]れやすい家具を金具で止めた。♠〈日ごろの用心〉〈用心をおこたる〉災害は悲惨なものですから、日ごろの用心をおこたらぬよう。♠〈用心深い>彼は、めずらしいちょうを見せてやると言って、箱の中から用心深く取りだした。 **ようじん【要人】**○重要な人物。[文例]〈政府の要人>国際会議に出席するため、各国政府の要人が次々にワシントン入りした。♠<要人の警護〉よりすぐった屈強のガードマンたちが、外国の要人の警護にあたっていた。 **ようす【様子・容子】**○ありさま。状態。状況。けはい。そぶり。姿。事情。[文例]〈様子が分かる〉この作文は会話の部分が生き生きしていて、その時の様子がよく分かる。♠<様子を知らせる〉転校した友達へ、こちらの様子を知らせる手紙を書いた。♠町の様子〉〈様子が変わる〉飛行場ができてから、この町の様子ががらりと変わった。♠<様子をうかがう〉ひっそりと息をこらして、壁のすき間から外の様子をうかがった。♠<様子を探る〉偵察[ていさつ]飛行とは、飛行機で敵の様子を探ることです。♠<様子がおかしい〉〈様子を見る>猫[ねこ]のミーコの様子がどうもおかしいから、少し様子を見て、病院へ連れていこう。♠<晴れそうな様子〉今朝は晴れそうな様子だったのに、ぽつぽつ雨が降ってきた。♠〈うまくいきそうな様子〉この分だと、交渉はうまくいきそうな様子だ。♠〈様子をする〉へんな様子をした人がうろうろしているよ。♠〈人の様子>薄暗[うすく]らくなって、人の様子の見分けにくい時を、たそがれどきと言う。♠〈様子ありげ〉声をかけたのに返事もしない姉は、何か様子ありげだ。 **ようすい【用水】**○飲料・灌漑[かんがい]などに用いる水。また、その施設。[文例]〈農業用水〉村では、川から農業用水を取って水田を潤[うるお]しています。♠〈工業用水>工業の発達とともに、川の水は工業用水としても重要な役割を占めることになった。♠〈防火用水〉この池の水は、火災の場合には防火用水としても使われる。 **よう・する【要する】**○必要とする。要約する。待ち伏せる。[文例]〈時間・労力を要する〉これを作るには、かなりの時間と労力を要した。♠〈注意を要する〉古典によく使われる「をかし」「あはれ」などの言葉は、解釈[かいしゃく]に注意を要します。♠〈努力を要する〉日本人にとって、外国語を学ぶということは、大変な努力を要します。♠〈急を要する〉あなたの場合、手術は急を要しますから、家族の方に連絡[れんらく]してください。♠〈正確を要する〉これは、正確を要する仕事です。♠〈技術を要する〉この漁には難しい技術を要するのである。♠〈要するに〉こんな大きな水たまりに気がつかなかったとは、要するに(=つまり)わたしはぼんやりしていたのだ。 **よう・する【擁する】**○いだく。かかえる。所有する。率いる。もり立てる。[文例]〈財産を擁する>実業家の彼は、莫大[ばくだい]な財産を擁し、それをいいことにわがままいっぱいにふるまっている。♠<地位を擁する〉生前、祖父は社会的にかなり高い地位を擁していたようである。♠〈大軍を擁する〉彼は大軍を擁して最後の戦いをいどんだ。♠ヘ王を擁する〉大臣はてきぱきと仕事を片づけ、若き王を擁して日夜政務に励[はげ]んだ。 **ようするに【要するに】**♪よう・する **ようせい(妖精)**○自然物の精霊[せいれい]。[文例]〈森・花の妖精>西洋の童話には、しばしば、小人[こびと]や女の人の姿をした、森の妖精や花の妖精が登場する♠<妖精のような少女>森の小道で、ほっそりした髪の長い妖精のような少女に出会った。♠妖精になって、自由に空を飛び、森の中や泉のほとりで遊んでみたいな。♠シェークスピアの「真夏の夜の夢」の中には、パックといういたずら好きな小妖精が登場する。 **ようせい【養成】**○訓練して育てること。[文例]〈養成する〉この学校では、タレントを養成するために、歌とダンスのレッスンを行っている。♠〈養成所〉わたしは女優を夢みて、俳優の養成所に通っています。 **ようせい【要請】**○そうしてくれるように願い求めること。[文例]〈救援の要請〉災害にみまわれた国から救援の要請があった。♠<要請に応じる〉彼は思案の末、立候補の要請に応じる決心をした。♠<要請する〉国境紛争の収拾に苦慮した両国は、国連に調停を要請した。 **ようせい【陽性】**○陽気で活発な性質。反応がプラスであること。[文例]〈性格が陽性>彼女の性格は陽性で、周囲にはいつもほがらかな笑いが絶えない。♠<陰性と陽性〉ぼくは小学校五年の時、ツベルクリン反応が陰性から陽性にかわった。 **ようせき【容積】**○器物が中に含み得る分量。容量。[文例]〈瓶の容積〉一升瓶[いつしようびん]の容積は、約一・ハリットルです。♠<入れ物の容積〉〈容積を量る入れ物の容積を量ってみたら、ちょうど三立方メートルあった。♠<容積が大きい〉容積が大きいほど、袋[ふくろ]はかさばって見える。 **ようせつ【溶接】**(熔接・鎔接)○金属をとかしてつなぎ合わせること。[文例]〈溶接する>鉄工所では、作業員たちが次々に鉄パイプを溶接していった。 <1178> **ようせつ【夭折】**○若くして死ぬこと。夭逝[ようせい]。[文例]〈夭折を惜しむ〉清新な作風の時篇を残した詩人の夭折を惜しんで、追悼集が編まれた。♠〈天折する〉その作家は将来を嘱望[しょくぼう]されながら、二十代で夭折した。 **ようそ【要素】**○物事を成り立たせる基本的なもの。エレメント。[文例]<漢字の要素>漢字には、点画の長短・方向、その他の要素の違いによって、刀と力、未と末のように別の字になるものがある。♠〈要素を含む〉狂言[きようげん]では、登場人物の会話に状況や場面を説明する要素も含まれ、物音なども会話で表現される。♠〈構成する要素>主部・述部・修飾部は、文を直接に構成する要素で、文の成分と言う。♠〈悲劇的・喜劇的な要素〉能は悲劇的な要素を持つ高度な劇、狂言[きようげん]は喜劇的な要素を持つ民衆劇という性質を持っている。♠〈自伝的要素〉この小説は、作者の自伝的要素の強い作品です。♠〈物語的な要素〉この日記には、多分に物語的な要素が加味されている。♠〈三大要来>衣・食・住は、人間が生活していくための三大要素といわれる。 **ようそう【様相】**○ありさま。様子。[文例]〈顔の様相〉〈様相を変える〉汚れたひげは、男の顔の様相を見分けがたいほど変えてしまっていた。♠<様相が一変する〉戦争が始まり、静かで平和なこの村の様相が一変した。♠〈様相を帯びる〉さらに進むと、人家は姿を消し、しだいに奥山[おくやま]の様相を帯びてきた。♠<険悪な様相〉〈様相を呈する〉二人の口論はしだいに激しくなり、険悪な様相を呈してきた。 **よったい【様態】**○物事のありかた。ありさま。[例]〈存在の様態〉白然の脅威と捕食者の攻撃に神経をすりへらすのが、生き物の存在の様態なのだろうか。 **ようだい【容態・容体】**○病気の様子。ありさま。うわべ。ようたい。[文例]おばあさんがご病気だそうですが、ご容態はいかがですか。♠〈容態が急変する〉夜になって容態が急変し、彼女はついに帰らぬ人となった。♠〈容態がよくなる〉手厚い看病のおかげで、患者の容態は、日に日によくなっていった。♠<容態が悪化する>薬を飲ませても、注射を打っても、彼の容態は悪化するばかりだった。 **ようたし【用足し】**(用達)○用を済ませること。役所に品物を納める商人。[文例]〈用足しに行く〉ちょっとそこまで用足しに行くから、留守番[るすばん]を頼むわね。♠〈用足しをする〉見習いの店員に、主人はさまざまな用足しをさせた。♠〈御用達〉ここは宮内庁御用達の店で、毎日皇居へ商品を納めている。 **ようだ・てる【用立てる】**○金を貸す。立て替える。役に立てる。[文例]〈金を用立てる〉すまんが、一万円用立ててくれないか、すぐに返すから。♠〈資金を用立てる〉きみの学資はわたしが用立てるから、卒業後に少しずつ返してくれればよい。 **ようだん【用談】**○用事についての話し合い。[文例]〈用談をする〉ただ今、部長は業者と用談をしております。♠〈用談をすませる〉相手は用談をすませると、そそくさと帰って行った。♠〈用談に取りかかる〉さっそくですが、用談に取りかからせてください。 **ようち【幼稚】**○幼いさま。子供っぽいさま。[文例]〈幼稚な子供〉この子は、大人を相手にしっかりした受け答えをし、とても三、四歳の幼稚な子供とは思えない。♠<幼稚な遊び〉妹は小学五年生になるのに、まだ幼稚なお人形遊びなんかやっている。♠〈考えが幼稚〉きみの考えは、中学生にしてはずいぶん幼稚だな。♠<幼稚な道具>昔[むかし]は手術をするにも立派な機械もなく、道具類もまだ幼稚だった。♠<幼稚園>彼とは幼稚園のころからの友達です。 **ようち【用地】**○ある用途に使う土地。[文例]〈用地の買収〉会社は新しい工場を建設する予定で、郊外に用地の買収を進めていた。♠〈建設用地>市では、老朽化[ろうきゆうか]した市庁舎を移転しようと、建設用地を選定しているところです。 **ようてい(要諦)**○肝心かなめのところ。要点。[文例]〈教育の要諦>教育の要諦は、生徒個人個人の能力を引き出すことにある。 **ようてん【要点】**○大切な点。[文例]〈要点がはっきりする〉研究したことをまとめるときは、要点のはっきりした記録になるよう工夫しなさい。♠〈要点をおさえる〉この文章を四つの段落に分け、それぞれの要点をおさえて要約してみよう。♠〈要点をまとめる〉筆者が、どういうことを、どんな根拠[こんぎよ]で述べているか、要点をまとめ、ノートに整理した。♠〈要点をとらえる〉文章の組み立てを調べる場合、段落ごとに要点をとらえてみるとよい。♠〈要点をつかむ〉あの人の話は長くてポイントが定まらないものだから、要点をつかむのに苦労する。 **ようと【用途】**○使い道。[文例]〈用途が広い〉石油は、燃料のほか、繊維・洗剤[せんざい]・染料などの化学製品の原料として用途が広い。♠用途がある・ない〉不用になった物も、ゴミとして捨てる前に、何か別の用途がないか考えてみよう。♠<用途に応じる>洗剤[せんざい]にも、衣服用・住居用・食器洗い用と、用途に応じたさまざまな製品がある。♠〈用途がある〉木材には、建築資材としてはもとより紙の原料としての用途もある。♠<用途に合わせる>接着剤[せつちやくざい]は、木工用・プラスチック用・紙用など、用途に合わせて使い分けるとよい。♠〈用途が限られる〉この車はレース専門で、用途は限られています。 **ようとうくにく(羊頭狗肉)**○(看板には羊の頭を出して実際には犬の肉を売ることから)見かけ倒し。[文例]「羊頭を掲[かか]げて狗肉[くにく]を売る」(羊頭狗肉)というのは、見かけだけ立派で中身が伴わないことのたとえです。♠「鳴かぬなら」といってにわとりの肉を使っているなら、これも羊頭狗肉のたぐいであろう。 **ようどうさくせん【陽動作戦】**○目立つ動きをして敵の目を引き付け、判断を誤らせる作戦。[文例]おとりを使って敵の注意をそらせ、そのすきを攻め込む陽動作戦が見事に成功した。♠〈陽動作戦に引っ掛かる不覚にも敵の陽動作戦に引っ掛かり、味方は大変な損害を受けた。 **ようとして(査として)**○暗くてよくわからないさま。はっきり見きわめがつかないさま。[文例]突然姿を消したまま、男は杳[よう]として行方が知れない。♠家を飛び出たまま、杳[よう]として消息が知れなかった息子が突然帰ってきた。 <1179> **ようにん【容認】**○認めて受け入れること。許し認めること。[文例]〈容認する>自分にも欠点がありながら、なかなか人の欠点は容認することができないものです。 **ようねん【幼年】**○幼い年ごろ。また、そのころの子供。[文例]〈幼年時代>夏の盛りにセミの声を聞いていると、ぼくは幼年時代を思い出す。♠<幼年期〉わたしは、幼年期から十八歳までの少女時代を山形県の酒田市で過ごした。 **ようび【曜日】**○一週間のそれぞれの日の名称。[文例]このところ忙しくて、曜日がわからなくなるほどです。♠サッカーの好きなぼくたちは、曜日を決めて週に一度グラウンドで練習することにした。 **ようひん【洋品】**○洋装に必要な衣服や付属品・装身具など。舶来品。[文例]<紳士洋品〉デパートの紳士洋品売り場に、恋人の誕生日のプレゼントを買いに行きました。♠<洋品店>桜がちらほらと咲き始めた春の日、駅前の洋品店でブラウスを一枚買いました。 **ようひん【用品】**○ある用途に用いる品物。必要な品物。[文例]〈事務用品〉この店には、事務用品ならたいていの物がそろっています。♠ヘスポーツ用品〉一般に、秋になると、スポーツ用品がよく売れるようになります。 **ようふう【洋風】**○西洋風。[文例]〈洋風の建築〉この民宿はしゃれた洋風の建築で、広いテラスから美しい湖が見渡せます。♠〈洋風の料理>当時は、田舎では洋風の料理はめずらしかった。 **ようふく【洋服】**○洋風の衣服。服。[文例]〈洋服を着る〉白い洋服を着た少女が木陰[こかげ]に立っていました。♠<洋服を脱ぐ〉〈洋服を畳[たた]む>脱いだ洋服は、きちんと畳んでおきなさい。 **ようふぼ【養父母】**○養子先の父母。[文例]幼い時に他家に引き取られた彼は、養父母にかわいがられて育った。♠彼女は、養父母を実の親のように慕[した]って大切にした。 **ようぶん【養分】**○栄養になる成分。[文例]〈土地の養分〉〈養分が豊か〉この辺りは土地の養分が豊かなので、農作物がよく育つ。♠<養分が少ない〉一帯は養分の少ない火山灰地であった。♠<養分を吸収する〉植物は根から養分を吸収して成長する。 **ようほう【用法】**○使い方。使用法。[文例]〈語の用法〉なに、日本語じゃないか、というわりに、日本人は日本語の用法に習熟していません。♠〈用法を誤る「海に臨む」「海を望む」としなければならないなど、助詞一つでも用法を誤ると意味が正しく伝わりません。 **ようぼう【要望】**○そうしてほしいと望むこと。[文例]〈要望にこたえる〉では、皆[みな]さんのご要望にこたえて、もう一曲歌います。♠<強い要望>視聴者[しちょうしゃ]からの強い要望で、番組が再放送されることになった。♠<要望がある〉この件に関して意見や要望のある人は、委員まで知らせてください。♠〈要望を聞く〉クラスとして、この一年間どんな行事をもちたいか、みんなから要望を聞いてみた。♠<要望に応じる〉その医師は、家族の要望に応じて、余命の短いその患者[かんじゃ]を自宅に帰した。♠〈要望をまとめる〉〈要望を提出[ていしゅつ]する〉道路を早く通してほしいという住民の要望をまとめて、市議会に提出した。♠〈要望する〉ぼくたち生徒は、学校側に規則をゆるめてほしいと要望した。 **ようぼう(容貌)**○顔かたち。顔だち。[文例]〈容ぼうが美しい>島原[しまばら]の乱に活躍[かつやく]した少年は、容ぼうがひじょうに美しかったと伝えられる。♠〈容ぼうがみにくい〉ヒキガエルは、容ぼうはみにくいが、実に有用な生物といわれます。♠<容ぼうをする〉彼は、テレビのスターにもなれそうな容ぼうをしている。♠<容ぼうや身なり〉人を容ぼうや身なりで判断してはならない。♠〈容ぼうにすぐれる〉かぐや姫の前には、いずれも容ぼうにすぐれた若者たちが並[なら]んだ。♠〈容貌魁偉[かいい]>彼は、いかにも容貌魁偉な戦国武将だった。 **ようむき【用向き】**○用事。用件。[文例]あいにく父は留守[るす]ですが、どんなご用向きでしょうか。♠〈用向きを尋ねる〉受付係は、来客に用向きを尋ねた。♠〈用向きを言う〉客の少年は、最初もじもじしていて、用向きを言わなかった。♠〈用向きを帯びる>重要な用向きを帯びて夫人の家を訪ねた。 **ようめい【用命】**○用を言い付けること。[文例]〈用命の品〉ご用命の品は、明日早速お届けいたします。♠<用命を受ける〉お客様の用命を受けて、直接産地へ出かけてみました。♠〈用命する〉お入り用の品がありましたら、何なりとご用命ください。 **ようやく(漸く)**○だんだん。しだいに。やっと。かろうじて。[文例]川の水がようやくぬるみ、さくらもつぼみをふくらませ始めた。♠ようやく中学生活にも慣れてきた。♠転覆[てんぷく]した船の乗組員数名がようやく助けられ、病院に収容された。♠弟は、ようやく聞き取れるか聞き取れぬかの小さな声で、母に謝[あやま]った。♠改築中の図書館が、ようやくできあがった。♠<ようやくのこと〉ようやくのこと頂上にたどりついたはいいが、もう下山[げさん]する元気がない。 **ようやく【要約】**○文章の要点を短くまとめること。また、まとめたもの。[文例]〈話を要約する>先生から聞いた話を要約して母に伝えた。♠〈文章を要約する〉文章に書かれた内容を理解し、要約する。 **ようよう【洋洋】**○水が広く満ちているさま。広々として希望に満ちたさま。[文例]〈洋々たる海〉洋々たる海を見ていたら、ちっぽけな悩みは全部消し飛んでしまった。♠ヘ洋々たる前途〉大学を出たばかりの彼の前には洋々たる前途がひろがっていた。♠〈前途洋々>才能豊かな、前途洋々とした若者だった。 **ようよう【揚揚】**○得意なさま。意気盛んなさま。[文例]〈揚々として〉真新しいランドセルを背負った一年生が揚々として歩いて行く。♠<意気揚々〉相手チームに完勝したぼくたちは、意気揚々と引きあげた。 **ようりつ【擁立】**○もり立てて位につかせること。[文例]〈擁立する>自然保護派は、市長選挙に著名な文化人を擁立することに決定した。 <1180> **ようりょう【容量】**○容器がその中に含み得る分量。[文例]〈入れ物の容量〉〈容量を量る〉入れ物の容量を量ったら、約一リットルであることがわかった。♠<容量の単位〉「斗」は容量の単位で、一斗は十升、つまり約十八リットルである。 **ようりょう【要領】**○要点。こつ。うまいやり方。[文例]<要領を得ない>子供の話だから、何が起こったのかさっぱり要領を得ないのです。♠〈要領を覚える〉一度要領を覚えてしまえば、こんなの簡単さ。♠〈要領がわかる〉ゲームの要領がわかってくると、だんだんおもしろくなってきました。♠<要領がいい〉お兄ちゃん、ずるいぞ、ほんとうに要領がいいんだから。♠く要領よく〉もっと要領よくやれば、半日でできあがるだろうに。♠〈不得要領[ふとくようりょう]>係員は不得要領な説明をくり返すばかりで、らちが明かなかった。 **ようれい【用例】**○実際に使われている例。使い方の例。[文例]〈用例を示す〉この辞書は、ひとつひとつの言葉に適切な用例を示してあって、とても役に立つ。♠〈用例で示す〉言葉の使い方が用例で示されると、とてもよくわかります。♠〈用例をあげる〉使い方がわからないので、用例をあげてください。 **よか【余暇】**○ひまな時間。[文例]〈余暇を楽しむ〉休日の行楽地は、余暇を楽しむ人たちでいっぱいだ。♠<余暇を見つける〉家事や店の手伝いで忙[いそが]しい母だが、余暇を見つけては生け花を習いに行く。♠〈余暇を利用する〉体をきたえるために、仕事の余暇を利用して山登りに出かける。♠<余暇を過ごす〉余暇は、好きなレコードを聞いたり、読書をしたりして過ごします。♠〈余暇に~する〉父は、忙[いそが]しいなか、余暇にドライブとかつりにつれていってくれる。♠<余暇を使う〉夫はひまさえあればゴルフに行ってしまうけれど、たまには余暇を家族のために使ってほしいと思う。 **よかぜ【夜風】**○夜に吹く風。[文例]〈夜風に吹かれる〉星空を眺めながら、夜風に吹かれて歩くのが好きです。♠〈夜風に当たる〉眠けざましに、少し夜風に当たってこよう。 **よかん【予感】**○前もって何となく感じること。また、その感じ。[文例]不吉な予感>深夜に電話のベルが鳴ったとたんに、不吉な予感が胸をよぎった。♠〈死の予感〉〈予感をもつ〉兵士たちは、その朝死の予感をもって戦場へ向かった。♠〈予感がする〉今日は何かすばらしいことが起こりそうな予感がする。♠<予感する〉嵐[あらし]を予感した海鳥たちは、岸の岩場に集まって来た。 **よき【予期】**○前もって推測・予想し、期待し覚悟していること。[又例]〈予期に反する〉彼は、予期に反してチャンピオンの座を奪[うぱ]うことができなかった。♠<予期する〉だれもが豊作を予期していたのに、収穫[しゅうかく]寸前に台風にやられ、作物は全滅[ぜんめつ]してしまった。♠<結果を予期する〉こんどのテストの結果は、予期していたとおりひどいものだった。♠<予期しない答え>母の口からは、全く予期しなかった答えが返ってきた。♠<予期せざる悲劇〉万事[ばんじ]うまくいくはずであったが、そのうちに予期せざる悲劇が生じた。♠〈予期以上>試合は準決勝で敗れたものの、予期以上の好成績であった。 **よぎな・い【余儀無い】**○ほかに方法がない。やむをえない。[文例]〈余儀なく欠席する〉急用ができ、集まりには余儀なく欠席した。♠<余儀なく手放す>生活に困ったその画家は、余儀なく気に入りの作品を手放した。♠<余儀なくされる〉天候の不順で作物が順調に育たず、農家は大きな赤字を余儀なくされた。♠〈余儀なくされる〉雨天続きで、プール開きの予定は変更を余儀なくされた。♠〈余儀ないこと>健康上の理由とあらば、クラブ活動をやめるというのも余儀ないことだろう。♠〈余儀ない事情>先生は、何か余儀ない事情で、今年いっぱいで退職なさるそうだ。 **よきょう【余興】**○宴会などで興をそえるために行う芸。[文例]<宴会の余興>社長が宴会の余興に歌を歌って、一気に座を盛り上げた。♠<余興をする〉クラス会で何か余興をしなければならないので、手品の練習を始めました。 **よぎ・る(過る)**○通り過ぎる。[文例]〈目の前をよぎる〉ツバメが一羽、速いスピードで目の前をよぎっていった。♠〈窓をよぎる〉怪[あや]しい人影[ひとかげ]が窓のカーテンをよぎった。♠〈場所をよぎる〉桜月夜[さくらづきよ]の中を清水寺へ行こうと祇園[ぎおん]をよぎると、今夜は会う人みんな美しく感じられる。♠不安が心をよぎる〉それを考えた時、かすかな不安が心をよぎった。♠<記憶が頭をよぎる〉彼の名前を耳にした時、昔のいやな記憶がわたしの頭をよぎった。 **よきん【預金】**○銀行などにお金を預けること。[文例]<預金する〉いただいたお年玉は、預金することにしました。♠<預金をおろす>銀行から預金をおろして、新しいオートバイを買います。 **よく【良く・善く】**(好く・克く・能く)○十分に。たびたび。みごとに。うまく。非常に。ずうずうしくも。[文例]きみはおっちょこちょいだから、よく考えてから行動するようにしなさい。♠捜査[そうさ]は、犯行現場をよく調べるところから始まる。♠この程度の苦労なんて、きっとよくある話なんだろうな。♠クラスの中によく学校を休む生徒がいます。♠ピンチヒッターでバントに成功すると、「よくやったな。」とみんながほめてくれた。♠よくできる生徒だね、きみは。♠世話になっておいて、よくそんなことが言えるな。 **よく【欲】**(慾)○ひどく欲しがる心。欲望。欲求。[文例]〈欲が出る〉あなたは何事にももう少し欲が出るといいのだけれどと、母はこぼした。♠〈欲を出す〉沖[おき]へ出れば魚がよくとれるだろうと、欲を出したばっかりに、男は嵐[あらし]にあい、海にのまれてしまった。♠〈欲がない〉〈欲が深い>昔話[むかしばなし]には、欲のない善良な人と欲の深い人とを登場させ、欲の深さを戒[いまし]める話が多くある。♠〈欲に負ける〉苦しみや悩[なや]みは、憎[にく]み合ったり、ねたみ合ったり、自分の欲に負かされたりするところからくることもある。♠〈欲を言う〉彼は申し分のない人だが、欲を言えば、おもしろみがほしい。♠〈欲をかく〉この辺でいいだろう。これ以上欲をかくと、元も子もなくするおそれがある。♠<欲に目がくらむ〉欲に目がくらむと、兄弟の仲でさえたちまちいさかいが始まる。♠<欲の皮がつっぱる〉友達に物を貸すにもお金をとるとは、本当に欲の皮のつっぱった男だ。 <1181> **よくとく【欲得】**(慾得)○利益を得ようとすること。得をしようとする心。[文例]〈欲得をはなれる〉欲得をはなれた奉仕の気持ちというものは貴[とうと]いものです。♠〈欲得ずく〉欲得ずくでしか動かないもうけ主義の商人だった。♠<欲得抜き〉たまには欲得抜きで世の中のために働くのもよいものです。 **よくばり【欲張り】**(慾張り)○よくばること。よくばった人。[文例]〈欲張りな人〉欲張りな政治家で、金と名誉を同時に手に入れようとしていた。♠お兄ちゃんの欲張り、二つもおもちゃを持ってるのに一つくれたっていいだろ。 **よくば・る【欲張る】**○必要以上にほしがる。[文例]<欲張って食べる〉欲張ってうんと食べたら、おなかをこわしてしまった。♠<欲張って〜する〉欲張ってあれこれ手を広げるより、一つのことにじっくり取り組んだほうがよいようだ。♠〈塁[るい]を欲張る〉一塁でとまればよかったのに、セカンドを欲張って、寸前タッチアウトになった。 **よくぼう【欲望】**(慾望)○欲しがり望むこと。満足しようとする心。本能を満たすこと。[文例]〈激[はげ]しい欲望〉〈欲望を感じる〉前々から欲しいと思っていたものを、ある店で見つけたとき、手に入れたいという激しい欲望を感じた。♠<欲望に燃える〉彼は政治家になろうという欲望に燃えていた。♠<欲望が潜[ひそ]む〉人間の心の奥底[おくそこ]には、さまざまな欲望が潜んでいる。♠<欲望をかきたてる〉広告は見る人の欲望をかきたて、なんとか商品を買わせようとする。♠<欲望を抑[おさ]える〉欲望を抑えられなくなると、自滅[じめつ]の道を歩むことになりかねない。♠〈欲望が強い〉あの人は、有名になりたいという欲望が強く、そのためならどんな労苦も惜しまない。♠<欲望を満たす〉人間は、豊かで楽な生活がしたいという欲望を満たすために、文明を進歩させてきた。♠この世の中を進歩させるのも、破滅[はめつ]させるのも、ともに人間の欲望である。 **よくめ【欲目】**(慾目)○自分に都合のいい見方。ひいき目。[文例]〈親の欲目>親の欲目か、ずらりと並んだ作品のうち、とりわけわが子のものがよく見える。♠〈欲目に見る>息子のかいた絵は、どう欲目に見ても、うまいとは言えない。♠〈ほれた欲目〉かわいい子だというけれど、ほれた欲目だからことば通りには受け取れない。 **よくや(沃野)**○土地のよく肥えた野。[文例]<沃野が広がる>黄金[こがね]の稲穂が波打つ沃野が広がっています。♠<緑の沃野>車は緑の沃野を川沿いに走った。 **よくよう【抑揚】**○音声や文章の調子・勢いの上げ下げ。[文例]〈言葉の抑揚〉女の言葉の単調な抑揚から、わたしの話に関心のないことがわかった。♠<抑揚をつける〉わたしたちは、言葉に抑揚をつけて自分の気持ちを伝える助けとしている。♠<抑揚がない〉係員の説明にはほとんど抑揚がなく、感情がこもっていなかった。 **よくりゅう【抑留】**○強制的に引き止めておくこと。[文例]〈抑留する>祖父はソ連軍の捕虜となり、戦後シベリアに抑留されていた。♠〈抑留する>沿岸警備隊は、領海内に入り込んだ他国の漁船を拿捕[だほ]し抑留した。 **よけい【余計】**○余分。むだ。無益。いっそう。なおさら。[文例]<余計な言葉〉わずか十七音で表される俳句に、余計な言葉は一切[いつさい]ない。♠〈余計なことをする〉彼女は人はよいのだが、おせっかいが過ぎて、余計なことをしては迷惑がられている。♠<余計なもの〉蛇[へび]を描く競争で、早く描き終わった者が余計な足つけようとして負けたという「蛇足[だそく]」の故事がある。♠<余計なおせっかい>余計なおせっかいかも知れないが、計画は中止したほうがいいと思う。♠〈余計なお世話〉ぼくがどうしようと余計なお世話だよ。♠<余計に稼[かせ]ぐ〉父が入院したとき、母は、少しでもお金を余計に稼ぐために、昼間はお勤め、夜は内職に励[はげ]んだ。♠やるなと言われるとよけいやりたくなるものだ。♠楽[らく]ばかりしていると、いざというとき、その分だけよけい苦しい思いをしなけばならなくなる。 **よ・ける(避ける・除ける)**○わきへ退く。さける。防ぐ。わきへ押しやる。[文例]〈水たまりをよける〉雨あがり、子供たちは、水たまりをよけようともせず、じゃぶじゃぶと楽しそうに歩いていく。♠ヘパンチをよける〉チャンピオンは、挑戦者のくり出すパンチを、さっと身をかわしてよけた。♠〈車をよける〉〈端[はし]によける〉車が来たので、急いで道の右端によけた。♠<霜[しも]をよける〉庭の松の木に、霜をよけるためのわらを巻いた。♠〈物をよける〉戦災の焼け跡に、がらくたをよけてテントが張られた。 <1182> **よけん【予見】**○前もって知ること。事前に見通すこと。[文例]〈予見する〉だれにも自分の将来を予見することはできないだろう。♠〈予見する〉この研究の成功は、科学者としての彼の輝[かがや]かしい未来を予見させるものであった。 **よげん【予言】**○未来を見通して言うこと。また、その言葉。[文例]〈予言をする〉うらない師が、近年中に大地震[だいじしん]があるだろうという予言をした。♠<予言が当たる>彼の三十年前の予言がみごとに当たった。♠<予言どおり〉ただの偶然[ぐうぜん]か、彼の予言どおりのことが起こった。♠<予言する能力〉この少年は、未来を予言する能力を持っているという。♠〈予言者〉きみが言ったことはよく当たるね、まるで予言者みたいだ。 **よこ【横】**○物の上下に対して水平、前後に対して左右の方向。また、その距離。物の側面。物の倒れた形。わき。かたわら。[文例]〈縦と横〉その箱の寸法は、縦十二センチ、横二十センチ、厚さ十センチです。♠〈首を横にふる「いやだ」と言うかわりに首を横にふるように、動作で気持ちを表すことがよくある。♠<横につづる〉日本語は、文字を縦にも横にもつづる。♠<横に立つ>座席に腰を掛けていた少年が、横に立っていたおばあさんに席を譲[ゆず]った。♠<横から口を出す〉わたしが母と話をしていると、妹はいつも、横から口を出してくる。♠<横になる〉兄はひどく疲れているらしく、帰ってくるなり、ごろっと横になった。♠〈横を向く〉日ごろ仲の良くない二人は、顔を合わせると、お互[たが]いにざっと横を向いてしまった。♠〈横のものを縦にもしない〉彼は、横のものを縦にもしない不精者[ぶしようもの]だ。♠〈話が横にそれる〉この先生の授業は、話が横にそれた時のほうがおもしろい。♠<横のつながり〉今度の一年生は、横のつながりがよく、学年としてもよくまとまっている。 **よこあい【横合い】**○横の方。よこて。[文例]議論が白熱してきたところで、それまで黙っていた下級生が横合いから口を出した。♠整列して乗車しようとしたぼくの前に、一人の男が横合いから割り込んできた。 **よこがお【横顔】**○横向きの顔。横から見た顔。人の、あまり知られていない面。プロフィル。[文例]〈横顔を向ける〉老人はわたしに横顔を向けたまま、静かに語り始めた。♠<さみしげな横顔>若者のさみしげな横顔が娘の心をとらえたのでしょう。♠〈知られざる横顔>親友の一人として彼女の知られざる横顔を、皆さんにご披露[ひろう]します。 **よこがみやぶり【横紙破り】**○無理に自分の意見を押し通そうとすること。また、そういう人。[文例]<横紙破りの人〉あの横紙破りのじいさんにかかっては、理屈も何もあったもんじゃない。♠部内の猛反対[もうはんたい]を押し切って自分の意見を通したんだから、あいつの横紙破りもたいしたものだ。 **よこぎ・る【横切る】**○横の方向に通り過ぎる。横断する。[文例]〈そばを横切る〉一ぴきの小さなヘビが、わたしのそばを素早く横切って茂みに入った。♠<目の前を横切る〉森の中を散歩していると、突然[とつぜん]、目の前を大きな鳥が横切った。♠<庭を横切る〉門を入り、広い庭を横切っていくと、おじさんは、その庭で植木の手入れをしていた。♠<畑を横切る〉駅へは、この畑を横切っていくと近道になります。♠〈道を横切る>道を横切るときは、必ず左右を確認するように。♠〈町を横切る〉町を横切ると、わたしたちの前に小高い丘が姿を現した。♠〈不安が心を横切る〉漠然[ばくぜん]とした不安が時おりわたしの心を横切るのだった。 **よこく【予告】**○前もって告げ知らせること。また、その知らせ。[文例]〈予告の言葉>別れ際に、男は次の密会について予告の言葉を残した。♠<予告をする>先生がテストの予告をしたとたんに、教室がざわついた。♠〈予告する>読者の興味を先につないでおくために、本の題名はあからさまに結末を予告しないほうがよい。♠<予告編>映画館に入ると、ちょうど次回上演される映画の予告編が始まったところだった。 **よこぐるま【横車】**○車を横に押すように、道理に合わないことを無理にすること。[文例]〈横車を押す〉あのずるいおやじのことだから、横車を押してでも、自分の考えを押し通すに違いないよ。 **よこしま(邪ま)**○道理に外れて正しくないさま。不正。[文例]〈よこしまな考え〉うそを言えばこの場は怒[おこ]られずに済[す]むという、よこしまな考えがふと頭に浮かんだ。♠<よこしまな心〉人間は、成長するにつれてかしこくなると同時に、よこしまな心も芽生えてくるものです。♠<よこしまな人間>自らの利益のために人をだしぬくようなよこしまな人間にはだけはなりたくない。♠〈よこしまな行為[こうい]>お金をだまし取るなんて、そんなよこしまな行為はやめたまえ。 **よこ・す(寄越す)**○物を送ってくる。人を来させる。…してくる。[文例]〈物をよこす〉やい、この家にあるものぜんぶ、こっちによこせ。♠〈人をよこす〉相手チームはそれとなく人をよこしては、こちらの様子を探っているようだ。♠〈入場券をよこす〉駅員は、ぼくの出した金と引き換えに寝台券をよこした。♠<おつりをよこす〉店員は、六十円のおつりのところをまちがえて八十円よこした。♠〈手紙をよこす〉転校した友達は、よくわたしに手紙をよこす。♠〈嫁[よめ]によこす〉祖母は、一人娘[むすめ]である母をこの家へお嫁によこしてから、一人で暮らしています。♠<〜してよこす〉東京で働いている兄が、正月には帰るぞと、手紙に書いてよこした。 **よご・す【汚す】**○きたなくする。[実例]〈アルバムを汚す〉弟にぼくのたいせつにしていたアルバムを汚された。♠〈服を汚す〉ジュースをこぼして、白い洋服を汚してしまった。♠<空気を汚す〉タバコは部屋の空気を汚すので、ひかえてほしい。♠〈水を汚す〉水槽[すいそう]の中の生物は、有毒なガスを出して水を汚す。♠〈川・海を汚す〉ごみを捨てたり、工場の廃水[はいすい]を流したりして、川や海を汚さないようにしよう。♠〈手を汚す〉ボスは、悪い事はみな子分にやらせて、自分の手を汚すことはしなかった。♠<のれんを汚す>混ぜ物を入れて味を落とすようでは、このしにせののれんを汚すことになる。 <1183> **よこすべり【横滑り】** ○横の方向にすべること。同等の地位・職務に移ること。[文例]〈車が横滑りする〉雨にぬれた高速道路で車が横滑りして、危[あやう]く事故を起こすところだった。●へ大臣が横滑りする〉今回の内閣改造で、外務大臣は大蔵大臣に横滑りした。 **よこた・える【横たえる】** ○横にする。横に寝かす。横にして持つ。[文例]〈身を横たえる〉疲れきったわたしは、帰宅するとすぐにペッドに身を横たえた。●ヘ亡[な]きがらを横たえる〉わたしたちは、草の上に仲間の亡きがらを横たえた。 **よこたわ・る【横たわる】** ○横になる。長くのびて存在する。行く手にある。[文例]〈底に横たわる>湖の底には、大昔[おおむかし]のナウマン象の巨大な牙[きば]が横たわっているという。●〈大木が横たわる〉山道には、台風で倒[たお]れた大木が何本も横たわり、通行が困難だった。●〈地面に横たわる>爆撃[ばくげき]で負傷した人々は、地面に横たわったまま、痛みのためにうめき、水を求めて叫[さけ]んだ。●〈山脈が横たわる〉高い山脈が南北に横たわっているため、その東と西でずいぶん気候がちがう。●〈道が横たわる〉家並[いえな]みを外れると、隣の町に通じる街道が暗がりにぼうっと白く横たわっている。●〈市街が横たわる〉岬[みさき]の先端[せんたん]から見ると、湾[わん]を隔[へだ]てて灰色[はいいろ]の市街が横たわっていた。●く困難が横たわる〉世界平和の実現には、多くの困難が横たわっている。 **よこちょう【横町・横丁】** ○表通りから横に入った通り。[文例]〈狭い横町〉〈横町を入る〉駅から五十メートルばかりの狭い横町を入った所に、小さな駄菓子屋[だがしや]がある。●へ横町に入る〉繁華街[はんかがい]を抜けて、ひょいと横町に入ると、そこはまるで時間が止まったように暮らしが息づいていた。へ横町の飲み屋>仕事が終わると、例によって横町の飲み屋に顔を出した。 **よこづけ【横付け】** ○側面を接するようにとめること。[文例]〈横付けになる〉大きな貨物船が、岸壁[がんぺき]に横付けになっている。●へ横付けにする〉運転手は高級外車を会社の正面玄関に横付けにして、社長を待った。 **よこづな【横綱】** ○大相撲の最高位。また、その力士が腰につける太い綱。[文例]〈横綱を張る>土俵[どひょう]の土を踏んだ日から、横綱を張るのが力士の夢です。●へ横綱の土俵入り〉人気横綱の土俵入りに、館内はいっせいにどよめいた。へ酒豪番付[しゅごうばんづけ]の横綱>彼は、社内の酒豪番付の横綱と言われるほど酒が強い。 **よこつら【横面】** ○顔の側面。物の側面。よこっつら。[文例]〈横面を張る〉一時間も待たされて腹が立ったから、彼の横面をピシャリと張って帰ってきたわ。◆ヘトラックの横面>ハンドルを切りそこねた車は、駐車中のトラックの横面にまともにぶつかった。 **よこて【横手】** ○横の方。横側。[文例]〈建物の横手〉〈横手にまわる〉建物の横手にまわってみると、黒い車が一台とめてあった。●ヘバスの横手〉わたしたちとの別れを惜[お]しんで、少年は必死になってバスの横手を駆けた。 **よこどり【横取り】** ○他人の物を横あいから取ること。他人の物を奪い取ること。[文例]〈横取りする〉兄がおやつのケーキを横取りしようとしたというので、兄弟げんかになった。 **よこながし【横流し】** ○物資・物品を正規なルートを経ないで売ること。[文例]〈資材の横流し〉〈横流しをする〉その男は資材課の課長の地位を利用し、資材の横流しをして私腹[しふく]を肥[こ]やしていた。●〈横流しする〉倉庫係が商品をこっそり横流ししていたらしい。 **よこなぐり【横殴り】** ○横の方からなぐること。横の方から吹きつけること。[文例]〈横殴りのパンチ〉不意に横殴りのパンチをくらい、道に倒れてしまった。●へ横殴りの雨〉疲[つか]れ切った兵士たちのほおに、横殴りの雨が容赦[ようしゃ]なくたたきつけた。 **よこばい【横ばい】(横這い)** ○横にはうこと。上下の変動なしに推移すること。[文例]へかにの横ばい>崖[がけ]に面した細い山道を、一行はかにの横ばいのようにしてそろそろと進んだ。●へ横ばい状態〉上昇を続けた物価も、今年に入って横ばい状態が続いている。 **よこみち【横道】** ○本道から横に入る道。わき道。本筋からそれた筋。邪道。[文例]〈横道に入る〉本通りは車の往来が激しいから、横道に入ることにしよう。●〈横道にそれる話がいつの間にか横道にそれてしまった。 **よこめ【横目】** ○目だけ動かして横を見ること。また、その目つき。横に通ったすじ目。[文例]〈横目でにらむ〉店の女は、わたしを恨[うら]めしそうに横目でにらんだ。●〈横目で見る>先生が教室に入ってくるのをちらっと横目で見ただけで、生徒たちは騒ぎ続けた。●〈横目を使う〉ぺちゃぺちゃ雑談をする女子社員たちを、係長は横目を使って観察していた。●〈~を横目に>テニスだパーティーだと学生生活をエンジョイする友人たちを横目に、彼女は勉強を続けた。 **よこもじ【横文字】** ○ローマ字など横書きする文字。欧文。欧米の言語。欧米の書物。[文例]〈横文字が並ぶ>先輩が熱心に読んでいる本をのぞくと、びっしりと横文字が並んでいた。●へ横文字を読む>大学を出たとなれば、横文字ぐらい読めなくちゃね。●〈横文字を使う〉何かというと横文字を使うやつの話はチンプンカンだ。 **よこやり【横やり】(横槍)** ○横から口を出して文句をつけること。[文例]〈横やりを入れる〉市民祭りの話がまとまりかけたのに、消防署が横やりを入れてきた。へ当局の横やり>当局の横やりで、せっかくの事業計画も初めから練り直しだ。 **よごれ【汚れ】** ○汚れること。汚れた跡。[文例]〈汚れを落とす〉日曜の朝は、いつも車の汚れを落としてワックスをかける。●へ汚れが目立つ>黒っぽいシャツは、汚れが目立ちません。●へ汚れがない>雪子はいくつになっても、汚れのない少女のような目をしていた。へ汚れがつく〉そのシャツ、そでに汚れがついていますよ。●〈汚れ物>実家の近くに部屋を借りていますので、時々汚れ物を持って帰ります。◆<汚れ役>清純派の女優なのに、今度は娼婦[しょうふ]という汚れ役に体当たりで取り組んだ。 <1184> **よご・れる【汚れる】** ○きたなくなる。けがれる。[文例]<海が汚れる〉この海岸一帯が工場地になってから、青く澄んでいた海もすっかり汚れてしまった。●へ体が汚れる〉看護婦たちは血とほこりで汚れた負傷兵の体を洗い、手当てを続けた。◆<泥[どろ]に汚れる>子供たちは一日中遊び回り、夕方家に帰るころには、顔も手足も、背中までも泥に汚れている。◆<汚れたシャツ〉土曜日ごとに兄は、汚れたシャツなどのいっぱいまった紙袋[かみぶくろ]を持って、大学の寮[りよう]から帰ってくる。●〈花が汚れる〉せっかく咲いたこぶしの花が昨夜[さくや]の霜[しも]にやられ、無惨[ひざん]に傷み汚れてしまった。●へ空気が汚れる〉煙や排気ガスで空気が汚れる。●〈汚れた金〉どんなに貧しくても、汚れた金など一円だって受け取らないぞ。●へ心が汚れる〉貧しくて身なりはみすぼらしかったが、少年の心は少しも汚れていない。 **よし【由】** ○わけ。理由。いわれ。手段。手だて。事の内容。事の趣旨。[文例]〈由ありげ〉女は、ときどき悲しそうな表情を見せるが、何か由ありげである。●へ知る由もない>子供たちは、親が若い時代のことなど知る由もない。●へ伝える由もない〉彼に一言謝[ひとことおやす]りたかったが、死んでしまっては、それを伝える由もない。◆へお元気の由〉ご家族の皆さまにはお元気の由、何よりに存じます。 **よしあし【善しあし・良しあし】(善し悪し・良し悪し)** ○よいことと悪いこと。よいか悪いか。良否。良否を決められないこと。[文例]〈文章のよしあし〉主題が明確であるかどうかによって、出来上がる文章のよしあしはほとんど決定する。●〈商品のよしあし〉〈よしあしを見分ける〉おびただしい商品のよしあしを見分けるのは、容易なことではありません。●友達がひっきりなしに立ち寄るので、盛り場に近いのもよしあしだ。 **よさん【予算】** ○あらかじめ計算すること。前もって費用・経費を見積もること。また、その費用・経費。国・地方公共団体の歳入・歳出の見積り。[文例]〈国の予算〉〈予算の編成>国の予算の編成には大蔵省があたり、国会にかけられ審議されます。●へ予算を組む〉一年間の予算を組むのは、大変な仕事です。●へ予算を立てる〉夏休みの旅行の予算を立ててみました。●へ予算が少ない〉うちの部だけ、ほかの部に比べて予算が少ないのはどうしてですか。●〈予算がない>予算がないから、今年はプールを作れないそうだ。へ予算が狂う〉参加者が減ったので、予算が狂ってしまいました。●〈予算オーバーです。 **よじのぼ・る【よじ登る】(攀じ登る)** ○すがりついて登る。はい登る。[文例]〈木によじ登る〉校長先生は、犬に追われて木によじ登りました。●〈崖[がけ]をよじ登る〉ぼくたちは崖をよじ登って、やっと丘の上に出ました。 **よしみ(誼・好)** ○親しい交わり。交際。ゆかり。因縁。[文例]〈昔のよしみ>昔のよしみで力を貸してくれないか、と、以前一緒に働いていたAが言った。●〈同郷のよしみ〉〈よしみがある〉同郷のよしみもあって、井上さんとは以前から親しくしています。●へよしみを通じる〉政界に出るときは援助を受けるだろうと思って、佐藤家とは長年よしみを通じている。 **よしゅう【予習】** ○前もって学習しておくこと。[又例]〈授業の予習〉〈予習をする〉毎日、夕食後に宿題と明日の授業の予習をします。●へ予習復習>今年は、宿題があってもなくても、予習復習をきちんとすることに決めました。 **よじょう【余情】** ○後まで心に残る味わい。言外にこめられた情趣。[文例]〈余情をこめる>短歌や俳句は非常に短い形態の詩ですが、そこにこめられた余情はきわめて味わい深いものがあります。 **よじょう【余剰】** ○余り。剰余。[文例]〈余剰の人員>季節的に生じる余剰の人員はすべて別の工場へ回すことにしよう。●へ余剰が出る〉国内向けとして余剰が出た農産物は、海外に輸出するのがよい。 **よじ・る(捩る)** ○ねじる。ひねる。[文例]〈糸をよじる>軽く糸の先をよじって針に通しました。●〈体をよじる〉ぽくは体をよじって、穴の中に体を突っ込んでみた。へ身をよじる>子供たちのこっけいなしぐさに、わたしは身をよじって笑いころげた。 **よじれ(捩れ)** ○ねじれ。[文例]〈ハンカチのよじれ〉〈よじれをのばす〉お見合いの席で、わたしはもじもじとハンカチのよじれをのばしていた。◆ヘネクタイのよじれ〉ネクタイの結び目のよじれから、先生がひどくあわてていることがわかりました。 **よじ・れる(捩れる)** ○ねじれる。ひねり曲がる。[文例]コードがよじれる〉掃除機のコードがよじれて、ボタンを押しても本体の内部に戻らなくなった。●〈腹の皮がよじれる〉あんまりおかしくて、腹の皮がよじれそうだ。●〈文脈がよじれる〉文脈がよじれていたり、論理に飛躍があったりすると、読み手を混乱させる。 **よじん【余人】** ○ほかの人。[文例]〈余人をまじえない〉今日は余人をまじえず、きみとゆっくり話がしたくてやって来たのだ。●へ余人をもってかえる〉彼ほどの人材は、余人をもってかえがたい。●〈余人は知らず〉余人は知らず、親友のきみだけにはわたしの潔白[けっぱく]を信じてもらいたかった。 **よしんば(縦しんば)** ○たとえ。よしや。[文例]よしんばきみの言葉に偽[いつわ]りがあろうとも、それはわたしを傷つけないためのうそであろう。 **よ・す(止す・廃す)** ○やめる。打ち切る。[又例]よせばいいのに、弟のやつ、またあんないたずらをしてる。◆家出なんて、ばかなまねはよせ!◆人間よ、自然を破壊[はかい]するのはもうよそう。●わけは知らないが、けんかはよせよ。●あぶないまねはよしたほうがいい。●「よせやい、おどかすなよ。」◆いいかげんによさないと、ほんとうに怒[おこ]るよ。 **よすが(縁・便)** ○手がかり。よりどころ。たより。[例]へよすががない〉たった一通の手紙以外には、死んだ恋人をしのぶよすがもなかった。●へよすがとする〉わたしは、旭川の おじをよすがとして、北海道へ渡る決心をした。 <1185> **よすみ【四隅】** ○四方のすみ。[文例]〈四隅につるす>風鐸[ふうたく]とは、寺塔[じとう]の四隅につるされている風鈴[ふうりん]である。●へ部屋の四隅>鐶[かん]を部屋の四隅にかけて蚊帳[かや]をつった。 **よせ【寄席】** ○落語や講談などを演じる演芸場。[文例]<寄席に行く>毎週土曜日、決まって寄席に行って落語を楽しんで来る。●へ寄席の高座[こうざ]>寄席の高座にその落語家が登場しただけで、客席のあちこちから笑い声が聞かれた。●へ寄席にかかる〉なつかしい浪曲[ろうきよく]が寄席にかかったから、聞きに行こう。 **よせあつめ【寄せ集め】** ○あれこれとりまぜて集めること。寄り集まった雑多なもの。[文例]〈がらくたの寄せ集め〉がらくたの寄せ集めで、おもしろい置き物を作ってみた。●〈寄せ集めのチーム>寄せ集めのチームだったが、選手たちは思いのほか善戦した。 **よせい【余生】** ○残りの人生。老後の生活。[文例]〈余生を送る>老後は、妻と二人で静かに余生を送りたいと思っている。●へ余生を生きる〉定年を前にして、余生をどう生きるか、改めて自分に問いかけているところです。 **よせい【余勢】** ○余った勢い。[文例]〈余勢を駆[か]る〉一回戦で圧勝した選手たちは、余勢を駆って、二回戦、三回戦と勝ち抜いていった。●〈余勢に押される〉はげしくもみ合いながら通り過ぎたみこしの余勢に押されて、見物客は後ろへ下がったままだった。 **よせつ・ける【寄せ付ける】** ○まわりに近づける。近くに来させる。[文例]〈人間を寄せつけない〉北の海には、どこか人間を寄せつけない孤絶感[こぜつかん]がみなぎっていた。へ人を寄せ付けない〉彼には、どことなく人を寄せ付けない冷たさがある。●へ他を寄せつけない〉前年のチャンピオンは、今年も他を寄せつけない強さで勝ち進んだ。 **よ・せる【寄せる】** ○寄る。近づく。近づける。呼び集める。ゆだねる。送る。気持ちを傾ける。加える。かこつける。訪問させる。[文例]〈波が寄せる>子供たちがたわむれる浜辺に、ひっきりなしにさざ波が寄せては返す。◆へ隅[すみ]に寄せる>夜になって、テーブルを隅に寄せて、ふとんをしいた。●へ車を寄せる〉真ん中に止められては通行のじゃまですから、車はもっとはじに寄せてください。●へ肩を寄せる>恋人[こいびと]どうしが、肩を寄せ合ってささやいている。●〈客を寄せる夕方になると、八百屋や魚屋の、客を寄せる威勢[いせい]のいい声がひびく。●へしわを寄せる〉姉はねぞうがよく、ほとんどシーツにしわ一つ寄せない。●へまゆを寄せる>彼女の話に、母はまゆをきゅっと寄せ、けわしい表情になった。●へ身を寄せる>災害で家を失った一家は、ひとまず親類に身を寄せることになった。●〈意見・感想を寄せる〉この番組に対するご意見、ご感想をお寄せください。●〈関心を寄せる〉わたしは、最近、推理小説に関心を寄せています。●へ思いを寄せる〉これは、亡[な]き母に寄せる思いを歌ったものだという。●〈同情を寄せる〉母は、災害にあった故郷の人々に同情を寄せ、衣類や食料を送りました。●〈愛情を寄せる〉この本を読むと、著者の動物に寄せる愛情が伝わってくる。へ数を寄せる〉六と八を寄せれば十四です。●〈花に寄せて>花に寄せて、あの方にわたしの思いを伝えます。●へ寄せていただく>おじいさんは、小田さんのお宅に寄せていただいたあと、夕方帰って来るそうです。 **よせん【予選】** ○あらかじめ選ぶこと。また、そのための審査・競技。[文例]〈予選を勝ち抜く〉わが校のサッカー部は、地区予選を勝ち抜いて県大会に出場した。●へ予選を通る>予選を通った五十人が準決選へ進んだ。●へ予選で落ちる>残念ながらわたしは予選で落ちて、決勝に出られなかった。 **よそ(余所・他所)** ○他人の家。ほかの所。ほかの方向。自分とは直接関係のない物事。[文例]へよその家〉ぼくの打ったボールが、よその家の窓ガラスを割ってしまった。●へよそに泊まる〉今夜はよそに泊まるから、夕食はいらないよと、大学生の兄から電話があった。●へよその人〉赤んぼうは、うちの人とよその人との区別がつくようになると、人見知りをはじめます。●へよそにやる>母は、生まれた子猫[ねこ]を、よそにやりたいと言う。◆〈よそを見る〉よそを見てばかりいないで、しっかり黒板を見なさい。◆〈よその土地〉方言だけで話をすると、よその土地の人と話をするとき、意味が分からなくて非常に不便だ。●へよそにはない〉タクシーに乗って行く先を告げたとき、イエスともノーとも言わず、黙って走り出すという国もよそにはない。●〈不安をよそに〉人々の不安をよそに、火山の爆発[ばくはつ]は繰り返された。へよそにする〉花にうかれる人々をよそにして、作者は孤独[こどく]な旅立ちを決心していた。 **よそいき【よそ行き】** ↓よそゆき **よそう【予想】** ○前もって想像すること。また、その内容。[文例]〈予想に反する〉弟は生まれたとき大きかったが、みんなの予想に反して特別大きくはならなかった。●〈予想をたてる〉校内マラソンで、一位から十位までのだいたいの予想をたててみた。●〈予想と違う〉接続助詞「が」「けれども」は、予想とは違う結果を表す二つの文をつなぐ。へ予想を裏切る〉その観光ホテルは、予想を裏切る貧弱な木造の建物だった。●〈予想を上回る>予想をはるかに上回る量の雨が降り、各地で川がはんらんした。●〈予想がつく〉人々は、戦争がいつ終わるか予想もつかない不安な毎日を送った。●へ予想がはずれる。当たる〉こんどの定期試験は、予想がまったくはずれて、さんざんな成績だった。へ予想する>実験してみると、予想したとおりの結果が出た。●へ予想もしない〉こんどの台風は、予想もしなかったような大きな被害をもたらした。●〈予想外〉あの強いチームが初出場チームに敗れるとは、全く予想外だった。 **よそおい【装い】** ○服装。服飾。外観。様子。[文例]〈春の装い〉まだ風は冷たいのに、街のショーウインドーはもう春の装いです。●く装いも新た〉駅前の通りが改修され、装いも新たなプロムナードがつくられた。●〈装いをこらす〉その夜の女性たちは思い思いに装いをこらし、パーティーは華やかな雰囲気[ふんいき]につつまれた。●へ装いをする〉月が変わると、校内は涼しげな装いをした女生徒たちであふれた。 <1186> ソロモン王の栄華[えいが]をきわめし時だにも、その装い野の百合の花の一つにしかざりき。(新約聖書「マタイ伝」) **よそお・う【装う】** ○身なりや外観を飾り整える。見せかける。ふりをする。[文例]〈身を装う〉彼女は美しく身を装い、いそいそとして出かけて行った。へ店内を装う>壁紙[かべがみ]を張るなどして店内を装うと、殺風景だったお店が見違えるほどすてきになった。●〈平気を装う〉急に雷[かみなり]が鳴り出したとき、ぼくはこわかったが、女の子がそばにいた手前、平気を装った。●へ親切を装う〉親切を装って近づいてきた男に、財布をすられてしまった。●く怒りを装う〉ぼくは照れくささを隠すため、わざと怒りを装った。●〈落ち着きを装う〉わたしは胸がはりさけそうなほどどきどきしていたが、弱みを見せまいとして、必死で落ち着きを装った。 **よそみ【よそ見】(余所見)** ○よその方を見ること。わき見。他人の目。よそめ。[文例]〈よそ見をする〉よそ見をしていたら、自転車が電柱にぶつかりそうになった。●へよそ見する>授業中によそ見してはいけません。 **よそも【よそ者】(余所者)** ○よその土地の人。仲間以外の人。[文例]閉鎖的な町なので、よそ者はとけ込むのに苦労する。へよそ者を受け入れる下町には、よそ者を受け入れる度量の広さと人情の温かさがある。●へよそ者扱い〉転校したばかりでクラスからよそ者扱いをされていた。 **よそゆき【よそ行き】** (余所行き)○外出。外出の時の服装・持ち物など。改まった態度・言葉づかい。[文例]〈よそ行きの服〉母はよそ行きの服を着て、いそいそと出かけた。へよそ行きの顔〉〈よそ行きの言葉〉みえ子さんといっしょの時は、ぽろが出ないようによそ行きの顔をして、よそ行きの言葉を使っている。 **よそよそし・い(余所余所しい)** ○他人行儀である。[文例]〈よそよそしい態度>みんなが急によそよそしい態度をとるようになった理由がわからない。●〈よそよそしくする〉久しぶりに会ったのに、てれくさいのか、へんによそよそしくされた。 **よた【与太】** ○よた者。でたらめ。ふざけた言葉。[文例]〈与太を飛ばす〉町の若いもんが集まって、与太を飛ばしながら盛り場を歩いていた。●〈与太者〉おや、どこの与太者がふらついてるのかと思ったら、若だんなじゃありませんか。 **よだつ【与奪】** ○与えることと奪うこと。[又例]〈生殺与奪[せいさつよだつ]の権>暴君[ぼうくん]は生殺与奪の権を握[にぎ]り、命令に従わない者を処刑し、国民を意のままに支配した。 **よだ・つ** ○体の毛が立つ。[文例]〈身の毛がよだつ〉一人歩きの夜道で目の前を白いものが横切り、一瞬[いっしゅん]身の毛のよだつのを感じた。●へ身の毛がよだつほど〉わたしゃ、あの手の男は身の毛がよだつほど嫌[きら]いなんだよ。 **よだれ(涎)** ○口の外に流れ出た唾液[だえき]。[文例]〈よだれを垂らす>授業中なのに、隣の子がよだれを垂らして、いねむりをしています。へよだれが出る〉わたしは、よだれが出るほど、その絵が欲しかったのです。●〈よだれを流す〉うちの犬は、おあずけをさせておくと、よだれを流しながらワンワンほえて催促[さいそく]します。 **よだん【予断】** ○前もって判断すること。[文例]〈予断を許さない>両チームとも同等の優れた力を持ち、予断を許さない試合が展開されている。へ安易な予断>病気はいくらか回復してきたものの、今後の経過については安易な予断はさけるべきだ。へ予断を持つ>予断を持ってつき合ったら、決して相手の本当の姿はつかめないよ。へ予断に基づく>この調査は、最初から予断に基づいていたため、正確な結果を出すことができなかった。 **よだん【余談】** ○話題の本筋から外れた話。[文例]〈余談になる〉話は余談になるが、部長は最近カメラに凝っているらしい。 **よち【予知】** ○前もって知ること。[文例]〈地震の予知>動物を使って地震の予知をさせようという試みがある。●〈予知する>船旅は快適で、それから間もなく一つの異常事が突発しようとは予知するべくもなかった。●〈予知能力〉動物には危険を察知する、すぐれた予知能力があるといわれている。 **よち【余地】** ○余った場所。空いたところ。何かをするゆとり・余裕。[例]〈余地がない>砂漠[さばく]は雨が少なく、雑草の生える余地もないのだ。●へ疑いをはさむ余地〉はっきりしたことは言えないが、この報告に疑いをはさむ余地はなさそうだ。●へ疑う余地>言葉のおかげで人類の文化がここまで発達したことは、疑う余地がない。◆<話し合いの余地>二人はお互いに感情が高ぶっていて、話し合いの余地がない。◆<余地がある〉この報告書から判断すると、今度の計画にはまだ検討の余地がありそうだ。●〈立錐[りつすい]の余地もない〉電車は満員で、立錐の余地もない。 **よちょう【予兆】** ○前ぶれ。きざし。前兆。[文例]〈地震の予兆>ナマズが騒ぐのは大地震の予兆であるなどと言われます。 <1187> ●へあらしの予兆>長年漁師をしていると、雲ゆきや波の様子であらしの予兆を知ることもできる。●へ予兆がある〉神の国が到来する前には、大地震や噴火などの予兆があると聖書には書かれている。 **よつ【四つ】** ○数の4。相撲の四つ身。[文例]〈四つに組む>両力士は、がっぷり四つに組んだまま微動[びどう]だにしない。●〈四つに渡る>男だったら、困難を避けようとせずに、堂々[どうどう]と四つに渡って乗り切れ。 **よっきゅう【欲求】** ○ほしがり求めること。[文例]<欲求がある〉人間にはだれにも、愛されたいという欲求があります。●へ欲求が強い>抑[おさ]えられれば抑えられるほど、欲求は強くなっていくようだ。●く欲求が出る〉妹は近ごろ、何でも知りたいという欲求が出てきたようで、毎日、なぜ、どうしての連発である。●へ欲求を満たす〉〈欲求が生まれる〉一つの欲求が満たされれば、さらに次の欲求が生まれ、人の欲求というのはきりがない。●〈欲求をつのらせる〉年老[お]いた皇帝[こうてい]は、生への欲求をますますつのらせ、命じて不老不死[ふろうふし]の妙薬[みょうやく]をさがさせた。●〈欲求不満〉少年が非行に走るようになったのは、親の愛情不足からくる欲求不満が基[もと]であった。 **よっぴて【夜っぴて】** ○一晩じゅう。夜通し。[文例]キャンプの第一夜、ぼくらはテントの中で夜っぴてマージャン卓を囲んだ。 **よっぽど【余っ程】** ♪よほど **よつゆ【夜露】** ○夜におりる露。[文例]〈夜露が光る>草の葉に夜露がついて、真珠[しんじゅ]のように光っている。●へ夜露にぬれる〉川原の草は夜露にぬれていたが、ぼくらはかまわずその上にすわった。●〈夜露にあたる〉そろそろ中に入りなさい。病人が長いこと夜露にあたるのは毒ですよ。 **よつんばい【四つんばい】(四つん這い)** ○両手両足を地面につけてはうこと。また、その姿勢。よつばい。[文例]おじいちゃんは孫に「おうまさん」をせがまれて、うれしそうに四つんばいになった。●ぼくたちは四つんばいになって塀をくぐり、空き地に入りこんだ。 **よてい【予定】** ○前もって決めること。前もって決めた事柄。[文例]〈旅行へ行く予定>夏休みは友達と旅行へ行く予定です。●へ予定をたてる>学習の予定をたてたら、必ず実行しよう。●へ予定を変更[へんこう]する〉一人で旅行するつもりだったが、予定を変更して、友達と二人で行くことにした。●〈予定より早い〉予定より早く着いたので、だれも迎えに来ていなかった。へ予定がある・ない〉その日はほかに予定があるので、別の日にしてほしい。●〈予定に入れる〉この計画が中止になることも予定に入れてください。●〈予定する〉〈予定が遅れる>北極点到達[とうたつ]を四月二十五日に予定していたが、氷や犬の状態が悪く、予定が遅れてしまった。へ予定どおり〉遠足は、小雨でも予定どおり行います。 **よどおし【夜通し】** ○一晩じゅう。[文例]〈夜通し働く>突貫[とっかん]工事で夜通し働いて、もうクタクタだ。●へ夜通し起きる〉わたしは夫の帰りを待って、夜通し起きていた。●〈夜通しかける〉彼の誕生日に間に合わせるために、夜通しかけてセーターを編み上げた。 **よどみ(澱み・淀み)** ○よどむこと。よどんだ所。とどこおり。[文例]〈川のよどみ〉川のよどみに枯れ葉がいっぱいたまっている。へよどみに浮かぶ〉よどみに浮かぶうたかた(=泡[あわ])は、かつ消えかつ結びて、ひさしくとどまりたるためしなし。(方丈記)●へよどみがない〉夫人のよどみのないおしゃべりは、いつ終わるともなく続いた。 **よど・む(淀む・澱む)** ○流れずにとどまる。底にたまる。働きがにぶる。とどこおる。[文例]〈水がよどむ川の水のよどんでいるところには、落ち葉やごみや木片[もくへん]などが浮かんでいる。へ空気がよどむ>静かな昼下がりの空気はものうくよどんで、うとうとといねむりをしてしまった。●ヘヘドロでよどむ〉美しかった海岸も、近くに工場ができてからは、ヘドロでよどんで見るかげもない。●へにおいがよどむ〉倉庫の中には何やら腐[くさ]ったにおいがよどんでいた。へよどんだ目>警察に連行された男は、明らかに麻薬[まやく]中毒者と分かるよどんだ目をしていた。へよどんだ頭〉起きぬけのよどんだ頭では、一瞬[しゅん]目の前で何が起こったのか理解できなかった。●へよどまずにしゃべる〉劇の主役で出たとき、長いせりふをよどまずにしゃべれてうれしかった。●〈言いよどむ>男は少しの間言いよどんで、それから決心したように真実を語り出した。 **よなか【夜中】** ○夜ふけ。深夜。[文例]こんな夜中に台所でごそごそと何をしているの? ◆山頂で朝日を見るため、ぼくたちは夜中のうちに小屋を出た。 **よなべ【夜なべ】(夜業・夜鍋)** ○夜に仕事をすること。夜にする仕事。[文例]〈夜なべをする〉母は夜なべをして、わたしに新しいゆかたを縫ってくれた。●へ夜なべ仕事>夜なべ仕事の眠けざましに、親方がおもしろい話をきかせてくれた。 **よなよな【夜な夜な】** ○夜ごと。毎夜。[文例]お屋敷の古井戸のあたりで夜な夜な女の泣き声がするそうだ。◆死んだ戦友が夜な夜な夢に現れて、水をくれ、水をくれ、という。 **よな・れる【世慣れる】(世馴れる)** ○世間に慣れる。世間の事情に通じる。世故にたける。[文例]〈世慣れた人〉うちの女房は年のわりに世慣れた女で、何事もそつなくこなす。●〈世慣れない若輩[じゃくはい]〉局長は、世慣れない若輩の局員の不平不満にもよく耳をかし、何かとアドバイスをした。 **よにげ【夜逃げ】** ○夜によその土地へ逃げていくこと。[文例]〈夜逃げをする〉こう不景気では、一家で夜逃げをしなければならない。●〈夜逃げする〉恩のある女だったが、あまりのやきもち焼きにわたしは夜逃げしたくなった。 **よにも【世にも】** ○とりわけ。ことのほか。[文例]〈世にもめずらしい〉それは、世にもめずらしい話だった。●へ世にもまれ>長者の娘は、世にもまれな美しさで評判だった。◆〈世にも恐ろしい〉そして、老婆の予言通りに世にも恐ろしい事件がもちあがった。 **よねん【余念】** ○今かかわっていることのほかの考え。雑念。[文例]〈余念がない>朝早くから父と母は、せっせと畑仕事に余念がない。●〈余念ない>研究室にこもった先生は、余念なく研究に打ち込んでいました。 <1188> **よばわり【呼ばわり】** ○決めつけて呼ぶこと。[文例]〈犯人呼ばわり〉何の証拠[しょうこ]もないのに、ぼくを犯人呼ばわりするのはよしてくれ。●〈ばか呼ばわり〉うちの上司は、ちょっとミスをしただけですぐばか呼ばわりをする。 **よび【予備】** ○前もって備えをすること。あらかじめする準備。[文例]〈予備のタイヤ〉パンクなどのときのために、車にはいつも予備のタイヤを用意しておく。●〈予備のお金〉何かあるといけないので、予備のお金を少し持っていこう。●〈予備のかぎ〉なくしてしまったときに備えて、予備のかぎを作ってもらった。●へ予備とする〉お小遣[こづか]いの残りは、不意の支出のときの予備として貯金している。へ予備知識>予備知識があると、人の話もより深く理解することができる。 **よびおこす【呼び起こす】** ○呼んで目覚めさせる。ひきおこす。思い出す。[文例]〈人を呼び起こす〉妹が寝いったので、わたしは母を小声で呼び起こした。●へ興味を呼び起こす〉自分中心の話題では、聞き手の興味を呼び起こすことができません。●へ感情を呼び起こす〉この記事は、わたしに何ともいいようのない感情を呼び起こした。●〈過去を呼び起こす〉すでにほうむり去った記憶の底から、過去を呼び起こすのはつらいことであった。 **よびか・ける【呼び掛ける】** ○声をかけて呼ぶ。うったえて賛同を求める。[文例]〈人に呼びかける〉遠くを歩いている友達に、大声で呼びかけた。●へ人に呼びかける「こんにちは、お留守[るす]ですか」、戸口に立って中へ大きく呼びかけた。●<読者に呼びかける〉作者は、この文章の中で、平和への願いを強く読者に呼びかけています。●〈注意を呼びかける〉気象台では、地震の後、津波の情報を出して、沿岸に住む人々に注意を呼びかけた。◆団結を呼びかける>暴力団の追放に、市民の団結を呼びかけるちらしが配られた。 **よびかわ・す【呼び交わす】** ○互いに呼び合う。[文例]〈大声で呼び交わす〉ついに夜になり、隊員たちは互いに大声で呼び交わしながら闇の中を進んだ。●へ呼び交わす声>船の中で呼び交わす声は、潮風にさえぎられなかなか相手に届かなかった。●へ呼びかわす心〉霧の大海のあっち、こっちで、/よびかわす心と心のように、/かっこうがないている。(金子光晴「かっこう」部分) **よびさま・す【呼び覚ます】** ○呼んで目覚めさせる。刺激して活動させる。[文例]〈眠りから呼び覚ます>耳元でささやく男の声によって、わたしは眠りから呼び覚まされた。◆感覚を呼び覚ます〉この絵は、人々の心に生命に対するみずみずしい感覚を呼び覚ました。●〈本能を呼び覚ます〉わたしの中に眠っていた母性本能が呼び覚まされたようだ。 **よびすて【呼び捨て】** ○「さん・君」などの敬称をつけずに人の名を呼ぶこと。[文例]わたしは一郎さんと呼んでいたが、彼はわたしに対してはいつも呼び捨てだった。へ呼び捨てにする>先生は、生徒たちを決して呼び捨てにはしなかった。 **よびだ・す【呼び出す】** ○呼んで来させる。呼んで連れ出す。[文例]〈生徒を呼び出す〉四十人の生徒は、一人一人呼び出されて通信簿[つうしんぼ]をもらった。●〈人を呼び出す〉わたしは受付に行き、社会部にいる弟を呼び出してくれるよう頼んだ。◆◇電話口に呼び出す>学校に電話して、息子を電話口に呼び出してもらった。◆<悪友に呼び出される〉今日こそは早く帰ろうと思ったのに、また悪友に呼び出されて酒を飲んでしまった。 **よびた・てる【呼び立てる】** ○声を張り上げて呼ぶ。呼んで来させる。[文例]〈名を呼び立てる〉たまらなくなって、少年は大声で母の名を呼びたてる。●へ人を呼び立てる〉いくらなんでも、父兄の方から先生を呼び立てるというわけにもいくまい。●忙しいところを、お呼び立てしてごめんなさい。 **よびつける【呼び付ける】** ○呼んで来させる。呼び慣れる。[文例]〈親を呼びつける〉試験の成績があまりに悪かったので、親が学校に呼びつけられた。へ呼びつけた名〉かしこまって名字[みょうじ]で呼ぶより、ふだん呼びつけている呼び名のほうが親しみがわく。 <1189> **よびみず【呼び水】** ○ポンプの水が出ない時に上から注ぎ込む少量の水。さそい水。ある事を引き起こすきっかけとなるもの。[文例]へ呼び水を入れる〉ポンプの水が上がってこない場合は、少量の呼び水を入れるとよい。●へ呼び水になる〉一つの事件が呼び水となって、関連した事件が相次いで起こることがある。 **よびもの【呼び物】** ○興行や催しで人気を集めている出し物。[文例]〈サーカスの呼び物〉サーカスの一番の呼び物は、やはりスリル満点の空中ブランコだ。●へ大会の呼び物〉いよいよ、本日きっての呼び物であるイルカのショーが始まります。 **よ・ぶ【呼ぶ】(喚ぶ)** ○声をかける。声をあげて名前などを言う。名づける。呼称する。まねき寄せる。来てもらう。来させる。ひき寄せる。ひき起こす。[文例]〈人を呼ぶ〉すぐそばにいるんだから、そんな大きな声で呼ばないで。●へ名を呼ぶ〉若者は、いなくなった娘[むすめ]の名を呼びながら、雪の野原をさまよった。●〈あだ名で呼ぶ〉ぼくは、友達からは名前で呼ばれることはほとんどなく、もっぱらあだ名で呼ばれている。●へ〜と呼ばれる>富士山[ふじさん]の北側のふもとに、富士五湖と呼ばれる五つの美しい湖がある。●〈客を呼ぶ〉夕方になると、市場は、客を呼ぶ声で活気づく。●へ人をパーティーに呼ぶ〉たくさんの友達をパーティーに呼んで、楽しいひとときを過ごした。●〈医者を呼ぶ>夜、病人の容態[ようだい]がおかしいので、医者を呼びに走った。●〈ボーイを呼ぶ〉ボーイを呼んで、食事をもってきてもらう。●へ呼んで来る>担任の先生から、A先生を呼んで来てほしいと頼まれた。●へ助けを呼ぶ〉煙[けむり]のあがった家の中から、助けを呼ぶ子供の声が聞こえた。●〈幸せを呼ぶ〉正月には、門松[かどまつ]を立て、しめかざりをつけて、幸せを家の中に呼ぶのです。●〈湿気を呼ぶ〉塩は湿気を呼びやすいので、容器のふたをしっかり閉めておきなさい。●へあらしを呼ぶ〉黒雲はあらしを呼んで、平原の空一面に暴れ狂[くる]う。●〈高値を呼ぶ〉今年の冬は大雪で、野菜が高値を呼んでいる。●〈感動を呼ぶ〉この映画は、多くの観客の感動を呼んだ。●へ人気を呼ぶ〉夏休みのアニメ映画がチビッコたちの人気を呼んでいる。●へ評判を呼ぶ〉使いやすいうえに安価だと、この製品は消費者の評判を呼んでいる。●へ論議を呼ぶ〉北極地方のトナカイが減少するに及んで、オオカミを殺そうという動きが起こり、大きな論議を呼んでいる。●〈反響を呼ぶ〉このドラマは、もともとテレビで放映されて反響を呼んだものである。 **よふかし【夜更かし】** ○夜遅くまで起きていること。[文例]〈夜更かしをする>夜更かしをするから、朝起きられないんですよ。●へ夜更かしする>深夜テレビのせいで、夜更かしするくせがついてしまった。 **よふけ【夜更け】(夜深)** ○夜がふけたころ。深夜。[文例]星のまたたく夜更けの街を、一人であてどもなく歩き回った。◆あの部屋には受験生でもいるのか、毎晩夜更けまで電灯がついている。 **よほど【余程】** ○相当。かなり。よくよく。思い切って。よっぽど。[文例]〈よほどの自信〉その高校しか受験しないというのは、よほどの自信があるからに違いない。●へほどの事情>子供もいるのに離婚するなんて、よほどの事情があったのだろう。●へよほどの事〉あのしんぽう強い人が、我慢[がまん]できなかったというのだから、よほどの事だ。●へよほど上手>木のてっぺんにひっかかった凧[たこ]を取るのは、よほど木登りの上手な人でないとできない。●へよほどうれしい〉めったに酒など口にしない祖父が、よほどうれしかったのか、その夜、酒を飲んだ。●へよほど~と思ったが・・・>よほどそのことを白状しようかと思ったが、結局できなかった。 **よまいごと【世まい言】(世迷い言)** ○わけの分からないぐち・不平。[文例]〈年寄りのよまい貢>気にしなくていいよ、どうせ年寄りのよまい言なんだから。●へよまい言を言う〉お前さん、いつまでそんなよまい言を言ってるんだい。商売は火の車でそれどころじゃないだろう。 **よみ【読み】** ○読むこと。漢字の読み方。訓。文章の読解。予測。洞察力。[文例]〈漢字の読み〉漢字の読みがわからなかったので、漢和辞典を引いてみた。●〈正確な読み〉正確な読みで、文章の内容を理解することが大切です。●へ読みを深める>表面的な意味だけでなく、もう一歩読みを深めて考えてみましょう。●〈読みが深い〉相手のほうが読みが深かったらしく、先手を打たれてしまった。●へ読みがある〉監督には監督なりの読みがあってあんなことをしたのだろう。 **よぶん【余分】** ○余った分。余り。余計。[文例]〈余分がある〉おこづかいに余分があったら貸してよ。●へ余分な物人間の体は、食べた物をすべて消化吸収するのではなく、余分な物は体外に出してしまうのです。←へ余分な力肩の力を抜くように言ったので、だいぶ動きが軽くなったが、まだまだ余分な力が残っているようだ。●へ余分に食べる〉いくら美容体操などをしても、人より余分に甘い物を食べていたら、やせないのも当然だ。●へ余分にもらう〉今月はボーナスの出る月だったので、お小遣いをいつもより余分にもらえた。●〈余分に作る>母は、おかわりの分も考えてと、いつも食事を余分に作る。 **よぼう【予防】** ○前もって防ぐこと。[文例]〈伝染病の予防〉伝染病の予防のために、ハエやカを駆除しましょう。へ予防する〉病気になってからあわてるよりも、かからないように予防することが大切です。●へ予防注射>伝染病が流行している国へ行くときは、予防注射を打たなくてはなりません。 **よみあ・げる【読み上げる】** ○声をあげて読む。全部読み終える。[文例]ヘメッセージを読み上げる〉大統領は、空港で訪問国の国民へのメッセージを読み上げました。●へ名前を読み上げる〉これから合格者の名前を読み上げます。●へ本を読み上げる〉ぐいぐい引き込まれて、二百ページ余りの本を一晩で読み上げてしまった。 **よみあじわ・う【読み味わう】** ○読んでおもむきを感じ取る。[文例]〈詩を読み味わう〉優れた詩を読み味わい、感動する心を育てよう。 <1190> ●へ作品を読み味わう〉久しぶりに、好きな作家の作品をじっくりと読み味わった。 **よみあわ・せる【読み合わせる】** ○同一内容の文書を一人が読み、一人が聞いて、誤りを正す。出演者らが劇の脚本を読み合う。[文例]原稿と校正刷りを読み合わせて、誤りがあったら直してください。●〈台本を読み合わせる〉台本が出来たので、今日は出演者全員が集まって読み合わせます。 **よみおと・す【読み落とす】** ○気づかずに読みもらす。[文例]読み返すと、一度目には読み落としていたものにも気づき、さらに読みが深まります。●〈記事を読み落とす〉わたしはほかの記事を読み落としても、読者の投書欄にはかかさず目を通します。 **よみかえ・す【読み返す】** ○繰り返して読む。[文例]〈文章を読み返す〉書いたら必ず読み返し、少しでもよい文章にすることが大事です。●〈本を読み返す〉一生のうちに何度も読み返す座右[ざゆう]の書[しょ]を持ちたいものです。●〈詩を読み返す〉わたしはその詩の情景を想像しながら、何度も読み返してみました。 **よみがえ・る(蘇る・甦る)** ○生き返る。再び現れる。復活する。[文例]〈病人がよみがえる〉医師は、重態の病人に外科手術をし、ほとんど死の寸前にあったのをよみがえらせた。●〈花がよみがえる〉枯[か]れかけていた花に水をたっぷりやると、生き生きとよみがえってきた。●〈大地がよみがえる〉春になると、大地は生き生きとよみがえる。●〈視力がよみがえる〉手術後、失われていた視力がよみがえった。●〈日本人の心がよみがえる〉『万葉集』を読むと、その時代の日本人の心がよみがえってくるようだ。●ヘ心によみがえる〉記念碑が建てられ、村を守った男の名が再び人々の心によみがえった。●へ笑顔[えがお]がよみがえる〉悲しみに沈[しず]んでいた少女にも、ようやく笑顔がよみがえってきた。●〈生気がよみがえる〉落胆[らくたん]していた少年たちの顔に生気がよみがえった。◆◇記憶がよみがえる〉アルバムをめくると、入学式や遠足など、幼[おさな]いころの記憶がよみがえってくる。●へ思い出がよみがえる〉幼なじみの名を聞くと、あの子供のころの思い出が、電光のようによみがえった。●〈平和がよみがえる>暗い戦いの時代も終わりを告げ、再び平和がよみがえった。●へ希望がよみがえる〉この書を読んでいくうちに、うち沈んでいたわたしの心に希望がよみがえってきた。 **よみかき【読み書き】** ○読むことと書くこと。読み方と書き方。[文例]〈文字の読み書き〉文字の読み書きができなかった昔の人々は、それらの話を口から口へと語り伝えました。●〈読み書きを教える〉仮名はもちろん、漢字の読み書きを教える幼稚園もあるそうです。●く読み書きそろばん>江戸時代には寺子屋が普及[ふきゆう]し、子供たちに読み書きそろばんを教えました。 **よみかた【読み方】** ○読む方法。読んで内容を理解する方法。[文例]〈漢字の読み方〉「汚」という漢字の読み方には、「オ」のほか「けが・す、けが・れる、けが・らわしい、よご・す、よご・れる、きたな・い」があります。●くせりふの読み方〈読み方をする〉彼女は、感情のこもった、とてもうまいせりふの読み方をします。●〈文章の読み方〉文章の読み方が足りないと、筆者が何を語ろうとしているのか読みとれません。 **よみこ・む【読み込む・詠み込む】** ○じっくり読む。その言葉を入れて詠む。[文例]〈シナリオを読み込む〉シナリオを何回も読み込んで、せりふを自分のものにすることが大切です。●へ季語を詠み込む>俳句には、季節を表す言葉(季語)を詠み込むという約束事があります。●〈歌に詠み込む〉この地の名所を巧[たく]みに歌に詠み込んだのは、作者らしい機知です。 **よみち【夜道】** ○夜の道。夜の道を行くこと。[文例]暗い夜道を峠[とうげ]のふもとあたりまで来ると、やっと夜は明け始めた。◆夜道は物騒[ぶっそう]だから、今夜はここで泊まって、明日の朝早く出かけよう。●へ夜道に日は暮れない〉もうこんな時間です。夜道に日は暮れないと言いますから、ゆっくりしていってください。 **よみと・る【読み取る】** ○読んで理解する。おしはかって理解する。[文例]〈文字を読み取る>ぼくはその子の提げているかばんに、「こうすけ」と書かれた文字を読み取った。へ真意を読み取るこの手紙から、相手が何を言いたいのか、その真意を読み取ろうとした。へ心を読み取る>終日一本の木と向き合って、木の心を読み取ったような気がした。 **よみふけ・る【読みふける】(読み耽る)** ○夢中になって読む。[文例]〈本を読みふける〉わたしは読んではいけないと言われている本を、酔[よ]うように読みふけた。 **よ・む【読む・詠む】** ○文字・文章を声に出して言う。文章などの意味を理解する。洞察[どうさつ]する。推察する。予測する。数える。詩歌を作る(詠む)。[文例]〈経[きよう]を読む「門前[もんぜん]の小僧[こぞう]、習わぬ経を読む」で、英会話スクールの事務をやってると、けっこう英語は覚えるのよ。●〈字を読む〉この漢字、何て読むのかしら。へ文章を読むこの文章を読んだあとで、感想を話し合おう。●〈本を読む>図書室では静かに本を読みなさい。●〈小説を読む>ぼくは今、志賀直哉[しがなおや]の小説を読んでいる。◆ヘファーブルを読む〉わたしはファーブルを読んで、昆虫[こんちゅう]に興味を持ち始めた。●〈流行[りゅうこう]を読む〉このアンケートの結果から、最近の流行を読みとることができる。●〈人心[じんしん]を読む>そのときの目の輝[かがや]きから、わたしは彼女の心を読みとることができた。●〈流れを読む>若い人たちも世の中の流れを読み、将来性のある仕事につこうと必死だ。●へ手を読む>碁[ご]や将棋[しょうぎ]もうまい人になると、十手も二十手も先まで読むそうだ。●〈手の内を読む>打つ手、打つ手のことごとくが破られるとは、相手に手の内を読まれているにちがいない。●〈先を読む>父と将棋を差すと、必ず先を読まれて負けてしまいます。●〈票[ひょう]を読む>立候補者の陣営[じんえい]では、あれこれと票を読んだ末、当選はあぶないと結論を出した。●〈目盛りを読む>温度計の目盛りを読むときは、目の位置に注意します。●へさばを読む〉あの人、二十五歳といっていたけれど、どう見ても三十は越えてるわね、きっとさばを読んでるのね。●〈短歌を詠む>祖母の一番の楽しみは、短歌を詠むことだそうです。●〈詩歌に詠む〉ホトトギスはよく、初夏の風物として詩歌に詠まれる。 <1191> ●へ情景・心情を詠む〉これらの俳句は、どのような情景や心情を詠んだものか。 **よめ【嫁】** ○息子の妻。新婚の妻。結婚相手の家の籍[こせき]に入った女性。[文例]〈嫁に行く〉これで、姉さんがお嫁に行ってしまうと、ちょっと寂[さび]しくなるね。●へ嫁に来る〉わたしが嫁に来たころは、何一つするにもおしゅうとさんの許可がいったものです。●〈嫁にする〉ぼくは、将来どんな人をお嫁さんにしようか考えているんだ。●へ嫁に出す〉長女を嫁に出す日、夫はとても寂しそうでした。●〈嫁にくれる〉どこの馬の骨ともわからぬような男に、娘を嫁にくれてやるわけにはいかない。●へ嫁にやる〉娘を嫁にやる父親の気持ちは、非常に複雑なものらしい。●へ嫁をもらう〉お兄ちゃん、そろそろお嫁さんをもらいなさいよ。●〈嫁を迎える〉お嫁さんを迎える日の朝、兄はそわそわして落ち着きませんでした。●へ嫁をいびる〉今時の嫁は、いびられたって平気なんだもの、時代は変わったね。●へ息子の嫁〉息子の嫁には、気の優しい人がいいわ。●ヘうちの嫁〉うちの嫁は、よく気のきく働き者です。 **よめ【夜目】** ○夜、暗い中で見ること。夜、物を見る目。[文例]〈夜目にも鮮やか〉らんまんと咲き誇[ほこ]る桜が、夜目にも鮮やかに見えます。●〈夜目にもはっきり〉急に辺りが明るくなり、円盤[えんばん]のようなものが降り立ったのが、夜目にもはっきりと見えた。◆〈夜目遠目笠[とおめかさ]の内〉「夜目遠目笠の内」などと言うが、女性ははっきり見えないほうが美しく感じられるものだ。 **よめい【余命】** ○残された命。[文例]〈余命いくばくもない〉病人は、余命いくばくもないことを自らさとっていた。●〈余命をつなぐ>病院で余命をつなぐより、自分の家に帰って短い命を全うしたいと、老人は考えていた。 **よもや** ○まさか。いくらなんでも。[文例]この話、よもやうそではあるまいな。●よもやあの約束を忘れてはいないだろうね。●よもや知るまいと思っていた秘密のことを、母よりはすでに知っていた。●よもや五つの子供がそんなことはすまいと思っていたのに。●長年のつきあいだ、よもやわたしを疑[うたが]ってはいないだろうね。 **よもやま【よも山】(四方山)** ○さまざま。いろいろ。世間。[文例]〈よも山の用〉一週間も家を空けて帰ると、よも山の用がたまっていて、ひと息つく暇[ひま]もない。●〈よも山話〉おばあさんは、近所のお年寄りとお茶を飲みながら、よも山話をするのが何よりの楽しみでした。 **よやく【予約】** ○前もって約束すること。また、その約束。[文例]〈予約を受け付ける〉切符は一か月前から予約を受け付け、一週間前から発売します。●へ予約をとる>連休のホテルの予約をとろうとしたが、もうどこもいっぱいだった。●〈予約する〉一流のホテルは、予約していかないとほとんど泊めてもらえない。●〈予約制>歯科医院は、予約制で診察を行っている所が多いようです。●〈予約席>会合でもあるのか、レストランの奥の席には予約席という札[さつ]が出ていた。 **よゆう【余裕】** ○ゆとり。余り。余地。[文例]〈考え直す余裕〉意見を述べるまえにもう一度考え直してみる余裕がほしい。●へ時間の余裕〉〈余裕がない〉クラブ活動と毎日の予習・復習に追われ、ゆっくり読書をする時間の余裕がない。◆<座席の余裕>座席に余裕がないというので、芝居に行く予定はとりやめになった。●へ余裕のある生活>祖父母は、貯金や年金で、けっこう余裕のある生活をしている。●〈気持ちの余裕〉〈余裕ができる〉強気な彼が意外に弱音[よわね]をはいたので、ぼくはかえって気持ちにいくらかの余裕ができた。●〈余裕しゃくしゃく>男は、お金がなくても気にもせず、余裕しゃくしゃくとして生きている。 **より(撚り・縒り)** ○よること。ねじり合わせること。[文例]〈腕[うで]によりをかける〉さあ、腕によりをかけて、おいしい料理をこしらえてやるぞ。●〈よりを戻す〉一時は別れ話まで持ち上がった二人だが、なんとかよりを戻したようだ。 **よりあい【寄り合い】** ○寄り合うこと。会合。集まり。[文例]〈寄り合いがある〉今晩、町内会の寄り合いがあるので、必ず出席してください。◆へ寄り合いを開く〉近々寄り合いを開いて、今度の祭りの役割分担を決めなくちゃなるまい。●〈寄り合い所帯>避難生活が続く公民館は、文字通り寄り合い所帯だから、神経の疲れることも多かった。 **よりかか・る【寄り掛かる】(凭り掛かる)** ○体をもたせかける。たよる。[文例]〈欄干[らんかん]に寄りかかる〉女は欄干に寄りかかり、もの思いにふけっている様子であった。●<親に寄りかかる〉恥[は]ずかしい話ですが、失業中の身で、すっかり親に寄りかかって生活しています。 **よりごのみ【より好み】** ♪えりごのみ **よりすぐ・る(選りすぐる)** ○特によいものを選ぶ。より抜く。えりすぐる。[文例]〈素材をよりすぐる〉このハムは、最高級の素材をよりすぐり、手間をかけて作り上げた特選品です。●へ選手をよりすぐる〉オリンピックには、世界各国は優秀な選手たちをよりすぐって参加させる。 **よりそ・う【寄り添う】** ○体を接するように寄せる。[文例]〈ぴったり寄り添う〉少年は父親のわきにぴったり寄り添って、暗い夜道を歩いて行きました。●へ寄り添って歩く〉相合い傘で寄り添って歩いているあの二人、恋人同士かしら。◆よりそひて/深夜の雪の中にたつ/女の右手のあたたかさかな(石川啄木[たくぼく]) **よりつく【寄り付く】** ○そばへ寄る。近寄ってくる。[文例]〈家に寄り付く〉この間、おい[め]にみっちり説教してやったら、それ以来、うちへ寄り付かなくなった。●へ子供が寄り付く〉そんなこわい顔をしていたら、子供が寄り付かないのは当たり前よ。 **よりどころ(拠り所)** ○すがるところ。頼るところ。根拠。[文例]〈心のよりどころ〉彼女は、信仰を心のよりどころにして生きている。●へよりどころとする〉お金だけを生きるためのよりどころとしているような、心の貧しい人にはなりたくない。●〈判断のよりどころ〉判断のよりどころになる表現を押さえて、作者の考えをまとめる。●へよりどころがある〉まだ見ぬピラミッドも、写真というよりどころがあるから、曲がりなりにもかくことができた。 <1192> ●へよりどころのないうわさ〉わたしは、よりどころのないうわさに苦しめられた。 **よりどり【より取り】(選り取り)** ○自由に選び取ること。[文例]〈より取り千円〉妻は、より取り千円などというコーナーからよい物を選び出すのが実に上手である。●へより取り見取り〉さあ、いろいろ用意したから、より取り見取り、どれでも好きなのを選んでちょうだい。 **よりぬき【より抜き】** ♪えりぬき **よりみち【寄り道】** ○ついでに立ち寄ること。[文例]〈寄り道をする>学校の帰りに寄り道をしてはいけません。●へ寄り道する〉仕事が終わるとふだんはまっすぐ家に帰るが、たまに、ちょっと寄り道して帰ることもある。 **よりょく【余力】** ○余った力。残っている力。[文例]〈余力がある〉悠々[ゆうゆう]とゴールインした一位のランナーは、まだ十分余力がある様子だ。●〈余力が残る〉わたしは、体を起こす余力も残っていないほど疲れ切っていた。 **よりわ・ける【より分ける】** ♪えりわ・ける **よる【夜】** ○日没から日の出までの時間。夜間。夜。[文例]〈夜の空>夜の空に星をまくように、美しく広がる花火をうっとりとながめた。●〈夜になる〉夜になると、田んぼの方からにぎやかなカエルの大合唱が聞こえてくる。●〈昼も夜も〉渡り鳥[わたどり]たちは、昼も夜も休みなしに飛び続けてきたのだろう。●〈夜の暗やみ〉今ごろ、夜の暗やみに目を覚ましているのは、ふくろうぐらいなものだろう。●〈夜の勤め>母は看護婦で、夜の勤めもときどきある。●〈朝起きてから夜寝るまで〉人間の手は、朝起きてから夜寝るまで、本当にいろいろな仕事をしています。●〈夜遅[おそ]く>夜遅くおじから電話があり、父は出かけていった。●〈夜を過ごす〈夜を迎[むか]える〉ヨーロッパ旅行の最初の夜をローマで過ごし、そして次の夜はナポリで迎える予定です。●〈夜が来る〉夜が来てぼくは家に帰ったが、母はまだもどってはいなかった。●〈夜のとばり〉夜のとばりが下りて、くわの畑を包む。へ夜のおとずれ〉夜のおとずれと共に、街はネオンに彩[いろど]られる。●〈夜夜中[よるよなか]>幽霊[ゆうれい]の正体を見届けようと、夜夜中、仲間三人で墓地に出かけていった。●へ夜も眠[ねむ]れない〉明日のことが心配で心配で夜も眠れなかった。 **よ・る【寄る】** ○近づく。重なりふえる。集まる。立ち寄る。かたよる。もたれかかる。相撲で組んで押す。[文例]〈寄る波>名も知らぬ美しい貝がらが、寄る波とともに、砂浜[すなはま]にあがった。●へしわが寄る〉おじいちゃんが笑うと、目や鼻のところに深いしわが寄る。●〈年が寄る〉帰省するたびに、父と母は白髪[しらが]がふえ、年が寄るのが目に見えて分かるようになった。へ親類一同が寄る〉父が急死したとき、親類一同が寄って、母やぼくたちの今後のことを相談してくれた。●〈家に寄る〉出張の帰りに学生時代の友人の家に寄ってみたが、残念なことに留守だった。●へ隅[すみ]に寄る>弁当箱[ばこ]を開けてみたら、中身がすっかり隅に寄ってしまっていた。へ右に寄る〉もっと右に寄って歩かないと、車にはねられてしまうよ。●〈北に寄る〉地球儀[ちきゅうぎ]を見ると、ヨーロッパが日本に比べて全体としていかに北に寄っているか、一目瞭然[いちもくりようぜん]だ。●へそばに寄る>彼女は、傷ついた人のそばに寄り、手当てをしてやった。●へ寄るとさわると〉あの二人は、寄るとさわるとけんかばかりしている。●へ寄ってたかって>男の子たちが、寄ってたかって子猫[こねこ]をいじめているので、わたしは見かねて止めに入った。●へ思いもよらない〉あんなに元気そうだったおじさんが亡くなるなんて、まったく思いもよらなかった。◆ヘ三人寄れば文殊[もんじゅ]の知恵[ちえ]〉みんなで考えればよい案も浮かぶだろう、「三人寄れば文殊の知恵」というから。◆<寄らば大樹[たいじゅ]の陰[かげ]〉息子は大企業[きぎよう]に就職しましたので、「寄らば大樹の陰」ですからひと安心です。 **よ・る【因る】(依る・拠る・由る)** ○原因とする。起因する。根拠とする。手段とする。依存する。頼りとする。従う。[文例]〈理由による>外来語で、英語からの言葉が最も多いのは、江戸末期以後、英・米国と最も深く交わった理由による。●〈方法による>化学の実験は、正しい方法によらないと危険です。◆人命令による〉わたしたちは、上からの命令によって行動したのだ。◆ヘ言葉によるコミュニケーション>現代は、言葉によるコミュニケーションから言葉以外のコミュニケーションに移行している時代だといわれる。〈機械による生産>今は、機械による、規格品の大量生産が普通[ふつう]になった。●〈信仰による不治[ふじ]の病[やまい]にかかった娘は、信仰によって心を救われた。へよって立つ>農村が崩壊[ほうかい]すれば、わが党のよって立つ地盤[じばん]も崩れることになる。へ〜することによって〉ことばは学ぶことによって初めて身につけることができるものである。◆く時と場合による〉〈相手による〉あの人は、時と場合により、また相手によって言い方をかえて、じょうずに応対する。へ所による〉〈時代による〉ものの呼び名は、所により、また時代によってずいぶん変わるものだ。●〈考えようによっては〉作中の主人公は、考えようによっては、作者自身の姿であるのかも知れない。◆〈ことによると〉このまま降り続くようなら、ことによると明日は舟が出ないかも知れない。●〈水による被害[ひがい]〉台風の通り道になるこの地方では、毎年水による被害に悩まされる。●へ天気予報による〉天気予報によれば、台風が近づき、午後には強風と雨が来るらしい。●へなにごとによらず〉なにごとによらず、きみの話は長いのであきあきする。●〈聞くところによると〉聞くところによると、今年一年間に一千万匹ものカブトムシが売られたそうだ。 **よ・る(選る)** ○選ぶ。選び出す。える。[例]おじさんは、掘ったお芋[いも]の中からよさそうなのをよって、お土産[みやげ]に持たせてくれました。●たくさんのリンゴの中から、大きくていいのを十個よって買いました。へよりによって〉なにもよりによって、こんな忙しい時に遊びに来なくてもよさそうなものだ。 **よ・る(縒る・撚る)** ○細い物をねじってからみ合わせる。[文例]〈こよりをよる〉細長い紙でこよりをよって、耳かきのかわりに使う。●へ腹の皮をよる〉ああ、おかしい。腹の皮をよるとはこのことだ。 <1193> **よろい(鎧・甲)** ○昔、戦場で身につけた武具。[文例]へよろいを着る〉いったいハチは、あのかたいよろいを着たようなゾウムシの体のどこに針を刺すのだろうか。●へよろいかぶと〉いかめしいよろいかぶとで身を固めた武者の姿があった。●へ衣[ころも]のそでからよろいが見える〉大国相手の外交交渉は、相手の衣のそでからよろいが見えるようで無気味だ。 **よろ・ける** ○足もとがふらふらして倒れそうになる。よろめく。[文例]〈自転車がよろける〉小さい子の乗った自転車が、道を曲がった拍子[ひようし]によろけて倒れそうになった。●へ足がよろける〉立ち上がったとたん、めまいがして足もとがよろけた。 **よろこばし・い【喜ばしい】(悦ばしい)** ○喜ぶべきさまである。うれしい。[文例]〈喜ばしいこと〉大学合格といえば喜ばしいはずなのに、学資のことを相談する教え子に胸が痛んだ。●子の独立は、親にとって喜ばしくもまた寂[さび]しくもあるものだ。 **よろこび【喜び】(悦び・慶び・歓び)** ○喜ぶこと。祝い事。祝いの言葉。[文例]〈喜びの声>念願のピアノが家に届けられたとき、妹はわっと喜びの声を上げた。●〈喜びを表す>母親の顔を見ると、赤ちゃんは手足をばたばたさせて、全身で喜びを表した。●へ喜びがこみ上げる〉病院のベッドで気がついたとき、助かったんだという喜びが胸にこみあげてきた。●〈喜びが大きい>苦労すればするだけ、成し遂げたときの喜びはいっそう大きい。●へ喜びにあふれる〉愛する人のもとへとつぐ花嫁[はなよめ]の顔は喜びにあふれていた。●へ喜びを味わう〉生徒たちを無事卒業させた若い教師は、静かな喜びを味わっていた。●へ喜びを与える>芸術は人の心をなぐさめ、喜びを与えてくれる。●へ喜びを感じる〉貧しい生活でも、彼は自分の研究に打ちこめることに大きな喜びを感じている。●へ喜びをかみしめる〉賞を受けたそのときは実感がわかなかったが、家へ帰り賞状をながめながら、今、喜びをかみしめている。●へ喜びを分かち合う〉たまたま同じ本を読んで感動したという彼と、喜びを分かち合った。へ喜びにわく〉地元チームの優勝で、町は喜びにわいている。◆〈つかのまの喜び〉つかのまの喜びは、またたくまに過ぎ去ってしまった。へ無限の喜び〉こんなわたしでも、みなさまのお役に立てますなら、それこそ無限の喜びに存じます。●〈生きることの喜び〉読書による感動は、わたしたちに生きることの喜びを深く体験させてくれる。●へ新年の喜び〉謹[つつし]んで新年のお喜びを申し上げます。●へ喜びのあまり〉彼は、喜びのあまり涙[なみだ]をこぼしているのだ。 **よろこ・ぶ【喜ぶ】(悦ぶ・慶ぶ・歓ぶ)** ○うれしく思う。めでたいと思う。快く感じる。[文例]〈心から喜ぶ〉民話を語ってくれたおじいさんに、ぼくたちのこしらえた民話集を送ったら、心から喜んでくれた。●へおどり上がって喜ぶ〉出品した絵が入賞したという知らせを聞き、兄は、おどり上がって喜んだ。●へ小躍りして喜ぶ〉連休はどこかに連れて行ってやる、という父の言葉に、弟は小躍りして喜んだ。●へ子供のように喜ぶ〉ひいきの球団が優勝すると、父はまるで子供のように喜んだ。●〈手放しで喜ぶ>若過ぎる二人の結婚を、親は手放しで喜んではいない。●へ〜として喜ばれる〉カモは肉がうまいので猟鳥[りようちよう]として喜ばれる。●へ喜んで~する〉男は、困っている友人を喜んで助けてやった。 **よろし・い(宜しい)** ○よい。差し支えない。承諾の言葉。[文例]〈気分がよろしい〉昨夜熱にうなされていた祖父は、今朝は気分がよろしいようで、何か食べたいと言う。●へ味がよろしい〉ここの店の料理の味はなかなかよろしい。◆〈~してよろしい〉掃除[そうじ]が済みましたので帰ってもよろしいでしょうか。●へ〜するがよろしい〉良い成績をとりたければ、よく勉強するがよろしい。●〈ぼくの通知表を見て、父は、まあこのくらいならよろしかろうと、うなずきながら言った。●よろしい、引き受けた。 **よろしく(宜しく)** ○(「よろしい」の連用形から)いい具合に。適当に。ほどよく。うまく。好意を伝えてもらう時や好意を期待する時の言葉。いかにも・・・らしく。当然・・・すべきだ。[文例]〈よろしくやる)きみがそんなに気をもまなくても、先方できっとよろしくやってくれるよ。●へよろしく伝えるご家族の皆さんによろしくお伝えください。●へよろしくと言う〉父がよろしくと言っていました。●へよろしく願う〉清き一票をよろしくお願いします。◆ヘカップルよろしく>急造のカップルよろしくふるまって、その場はなんとかごまかした。 **よろめ・く** ○よろける。誘惑に乗せられる。他の異性に心が引かれる。[文例]恐[おそ]ろしい光景を眼前にし、わたしは目がくらくらとしてよろめいた。◆人女性によろめく〉わたしという恋人がいるのに、どうやらあいつ別の女によろめいているらしいわ。 **よろん(與論)** ○世間一般の意見。世論[せろん]。[文例]<輿論が高まる〉平和を実現させるため、話し合いのテーブルにつこうと輿論が高まってきた。●〈與論に訴[うつた]える〉政府は、財政再建のための増税を與論に訴える勇気がなかった。へ輿論が沸騰[ふつとう]する>輿論が沸騰し、その問題について演説会が開かれるたびに多くの人が集まった。●〈輿論を喚起[かんき]する〉新聞雑誌は、国民の輿論を喚起するメディアとして重要です。●〈輿論調査>輿論調査によると、近ごろの若者は、出世よりも楽しく毎日を暮らしたいと考えているようです。 **よわ・い【弱い】** ○力がない。勢力がない。丈夫でない。いたみやすい。気力・抵抗力が乏しい。かすかである。成分が薄い。不得意だ。[文例]<弱い動物〉猛獣にねらわれる森の弱い動物たちは、どうやって身を守るのでしょう。●〈弱い人間〉この作品は独裁者を「わがままで弱い人間」として描いている。●〈けんかが弱い〉〈けんかに弱い〉ぼくは小さいころからけんかが弱かったから、逃げ足が速くなったのだろう。●〈力が弱い〉力の弱い子供に、こんな重い荷物を持たせるのは無理だ。●へ毒が弱いこの蛇[へび]は毒蛇であるが、その毒は弱く、人命にかかわることは少ない。●〈風が弱い〉今日みたいに風が弱い日は、凧[たこ]がうまく揚[あ]がらない。●〈日光が弱い>遠足の日は、日光が強すぎず弱すぎずのちょうどよい絵がえだった。 <1194> **よわき【弱気】** 弱々しい気持ち。気が弱いさま。[文例]〈弱気を出す〉やる前からそんな弱気を出しちゃだめじゃないか。♠〈弱気な人〉弱気なきみが、相手に抗議するなどとてもできないだろうな。♠〈弱気になる〉人一倍負けん気だった父が、病気をしてからすっかり弱気になってしまった。 **よわたり【世渡り】** 世の中の人に交じって暮らしていくこと。処世。[文例]〈世渡りがうまい〉きみは実力はあるのだが、世渡りがうまくないからずいぶん損[そん]をしているね。♠〈世渡りが下手〉父は、お世辞ひとつ言えぬ世渡りの下手な人間だったので、出世はしなかった。♠〈世渡りする〉ある程度は上手に世渡りできる人になりなさい。 **よわね【弱音】** 弱々しい声。弱気な言葉。[文例]〈弱音を吐く〉自分で選んだ道なのだから、苦しい時も決して弱音は吐かないつもりです。♠〈弱音をもらす〉人一倍明るい彼女だが、病弱な子をかかえ、ふと弱音をもらすこともあった。←〈弱音を口にする〉いつもは人一倍元気な彼も、いったん病気をすると意外にもろく、すぐに弱音を口にする。♠へ弱音を吹く〉豪傑[ごうけつ]の彼が意外に弱音を吹いたので、ぼくらはかえって気が楽になった。 **よわま・る【弱まる】** 弱くなる。[文例]〈風が弱まる〉冷たい風が強く吹きつけていたが、午後になって気温も上がり、風も弱まってきた。♠〈寒さが弱まる〉立春を過ぎると、寒さも少しずつ弱まり、春が近づいて来ます。♠〈力が弱まる〉低温中では、このカビの繁殖[はんしょく]する力が弱まります。♠〈勢いが弱まる〉さしもの猛火[もうか]も、次第に勢いが弱まってきた。 **よわみ【弱み】** 弱いところ。弱点。→強み[文例]技は切れるが、体の小さいことがあの選手の弱みだ。♠へ弱みを見せる〉都会育ちのひよわな彼は、たくましい山の子たちに弱みを見せたくないので、東京の自慢[じまん]ばかりした。♠〈弱みがある〉映像には、この世に存在しないものを表現する場合、言葉による表現にかなわない弱みがある。♠へ弱みにつけこむ〉人の弱みにつけこんで、相手をおどすなんて、人間のくずのすることだ。♠〈弱みをにぎる〉相手に弱みをにぎられているので、手も足も出ない。 **よわむし【弱虫】** 弱い人。いくじなし。[文例]弱虫ヤーイ、とはやされて、向きになって高い木から飛び降りたのだ。♠兄ちゃんは、いつも弱虫のぼくをかばってくれた。 **よわ・める【弱める】** 弱くする。[文例]〈力を弱める〉風は力を弱めながらも、まだ吹き続けています。♠へ火を弱める〉沸騰[ふっとう]したら火を弱めて、中火[ちゅうび]で五分くらい煮ると出来上がりです。♠へ効果を弱める〉度を超すとかえって効果を弱めることになるので、要注意です。 **よわよわし・い【弱弱しい】** いかにも弱そうだ。[文例]〈弱々しい生き物〉人間は弱々しい生き物だけれど、考えることができます。♠〈弱々しい感じ〉エリザは、きゃしゃで弱々しい感じですが、しんのしっかりとした女性です。♠〈弱々しく笑う〉「仕方がないさ、ぼくが悪いんだから。」と、彼は弱々しく笑った。 **よわりめ【弱り目】** 弱っている時。困った時。弱った様子。[文例]〈弱り目にたたり目〉農機具の買い替えで金がいる時に、台風でこの被害とはまったく弱り目にたたり目だ。 **よわ・る【弱る】** 弱くなる。おとろえる。困る。[文例]〈体が弱る〉この馬は年をとって体も弱っているので、まず回復の見こみはないだろう。♠へ胃が弱る〉連日の暑さに胃が弱っているせいか、食欲が出ない。♠〈視力が弱る〉祖父は老齢[ろうれい]で視力も弱ってしまった。♠へ精神的に弱る〉仕事がうまくいかず、父はこのところ精神的に弱っているようすだ。♠弟の質問はぼくの知らないことだったので、「何でも聞いてくれ。」と言った手前、弱ってしまった。♠〈弱ったこと〉これは弱ったことになったぞ。 **よんどころな・い(拠所無い)** そうするよりほかにない。やむをえない。[文例]〈よんどころない事情〉その日、わたしはよんどころない事情で会社を欠勤した。♠へよんどころなく従う〉主人の命令とあれば、よんどころなくそれに従わざるをえなかった。 **ら** **らいい【来意】** 訪問した理由。人から来た手紙の趣旨。[文例]〈来意を告げる〉玄関で来意を告げると、夫人はわたしを応接間に通してくれた。 **らいう【雷雨】** 雷をともなって降る雨。[文例]〈雷雨が通る〉稲妻[いなずま]が走り、雷鳴[らいめい]がとどろき、バケツの水をひっくり返したような雷雨が通る。♠へ雷雨に襲[おそ]われる〉空がにわかに暗くなったかと思うと、激しい雷雨に襲[おそ]われました。♠へ雷雨にあう〉逃げ場のない草原で雷雨にあい、稲光[いなびかり]の中をぼくたちは一目散に走り出した。 **らいきゃく【来客】** 訪ねて来る客。[文例]〈来客がある〉来客があるときは、テーブルクロスを白いものにかえます。♠〈来客が多い〉うちは代々この土地の世話役をしているので来客が多く、いつもにぎやかです。♠〈来客をもてなす〉父が帰るまで来客をもてなそうと、応接間に案内した。 <1195> **らいさん【礼賛】**(礼讃)○ほめたたえること。神仏をあがめたたえること。[文例]〈礼賛をおしまない〉今世紀における科学技術の目覚ましい進歩に対しては礼賛をおしまない。♠<礼賛する>祝賀会には、画伯[がはく]の功績を礼賛する人々が参集した。 **らいしゅう【来襲】**○襲って来ること。襲来。[文例]<敵機の来襲>敵機の来襲を告げるサイレンが鳴り始めると、人々はわれさきに防空壕[ぼうくうごう]に逃げこんだ。♠〈台風の来襲>大型台風の来襲で、街なかは、木が倒れたり看板が飛ばされたり、さんざんなありさまだ。♠〈来襲を受ける>鎌倉時代、日本は二度にわたって元軍[げんぐん]の来襲を受けた。♠<来襲に備える〉敵軍の来襲に備え、全軍が配置についた。 **らいじょう【来場】**○その場所・会場に来ること。[文例]会場には駐車場がありませんので、車でのご来場はご遠慮下さい。♠<来場する〉本日は、お寒い中、ご来場いただきましてありがとうございます。 **らいせ【来世】**○前世[ぜんせ]・現世[げんせ]とともに三世の一つで、死後の世界。[文例]〈来世の幸せ〉不幸だった人の来世の幸せを祈ります。♠<来世で結ばれる〉若い二人は、来世で結ばれることを誓いあって、身を投げたのです。♠〈来世に生まれ変わる〉きみは来世に生まれ変わって、ぼけの花にでもなるがいい。 **ライト**○照明。灯火。明るいさま。軽いさま。[文例]〈ライトをつける〉夕やみがせまると、ライトをつけて作業は続けられた。♠<ライトを消す〉ライトを消した車が近よって来て、バッグをひったくって逃げたのです。♠<ライトブルー>夫人は、ライトブルーのドレスに身をつつんで現れた。♠〈ライト級>彼はかつてボクサーで、ライト級の日本チャンピオンだった。 **らいにち【来日】**○日本に来ること。[文例]〈一回目の来日〉ジョンは一回目の来日で、すっかり日本が好きになったそうです。♠<来日する〉明治の初め来日した外国人教師は、学問や技術はもちろん、野球まで教えたそうだ。 **らいねん【来年】**○今年の次の年。[文例]〈来年こそ〉ああ、今年もまたむなしく過ぎてゆく……。来年こそはがんばろう。♠〈来年のことを言えば鬼が笑う〉来年のことを言えば鬼が笑うと言われそうですが、今度こそしっかり勉強しようと思います。 **らいはい【礼拝】**○礼をしておがむこと。仏の前にひれ伏しておがむこと。[文例]寺院の門前は、礼拝にやってきた熱心な信者たちでいっぱいです。♠〈礼拝する>毎日夕刻、近くの寺に行き、仏さまを礼拝するのが日課である。 **ライバル**○好敵手。競争相手。恋がたき。[文例]〈よきライバル〉太郎[たろう]くんとぼくは、親友でもあり、またよきライバルでもある。♠ヘライバルに勝つ〉ライバルに勝つためには、人一倍練習をして力をつけるしかないのだ。♠〈ライバルを倒す〉ライバルを倒して王座につく。♠ヘライバルが現れる〉今まで恋人[こいびと]を独り占[じ]めしていたぼくの前に、ライバルが現れた。♠〈ライバル意識〉町の二つのスーパーは、お互いにライバル意識を燃やして張り合っていた。 **らいひん【来賓】**○主催者に招かれて式典などに出席する客。[文例]向かって右側が教職員、正面が新入生、その後方がご父兄、左側が来賓の方々の席です。♠卒業式には多数来賓がみえるので、会場へ案内してください。 **ライフ**○生命。人生。生活。[文例]〈ライフワーク〉彼女は、女性史の研究をライフワークとしています。♠<ライフスタイル〉自分のライフスタイルに合った住まいを作るだけの余裕はありません。♠ヘカレッジライフ〉娘は、勉強にサークルにアルバイトに、カレッジライフを十分楽しんでいるようです。 **らいほう【来訪】**○訪ねて来ること。[文例]〈深夜の来訪〉刑事の深夜の来訪に、何事かと胸が騒いだ。♠<来訪を待つ〉その日は、友人の来訪を待つうちに暮れていった。♠<来訪を受ける〉私有地の一部を公園用に提供する件で市長の来訪を受けた。♠〈来訪者〉見知らぬ来訪者は祖父の旧友とかで、中田と名乗った。 **らいめい【雷鳴】**○雷の鳴り響く音。[文例]<雷鳴がする〉遠くの方で雷鳴がしたかと思うと、真っ黒な雲が広がってきた。♠〈雷鳴がとどろく〉稲妻[いなづま]が光り、天地を引き裂くような雷鳴がとどろいた。 **らいらく(磊落)**○心が広くて、小さな事にこだわらないさま。[文例]<らいらくな人〉院長先生は気が大きく朗らかで、小さいことにこだわらないらいらくな人物です。♠〈豪放[ごうほう]らいらく〉せちがらい世間には、豪放らいらくな性格の人が少なくなりました。 **らいれき【来歴】**○物事がそれまでに経てきたすじ道。由来。経歴。[文例]〈日本語の来歴>日本語をその来歴で分類すると、ほとんどが和語・漢語・外来語及びそのまじった語のどれかにあたります。♠<組織の来歴〉会長は、新会員を前に組織の来歴を語り始めた。♠<来歴がある〉この土地が今の名で呼ばれるようになったのには、おもしろい来歴がある。♠<故事来歴>和尚[おしよう]さんは、見学者に寺に古くから伝わる故事来歴を話しています。 **ライン**○線。列。道すじ・路線・航路など。水準。系列。企業の生産・流通・営業部門。[文例]〈ラインを引く〉試合前にグラウンドにラインを引くのは、一年生の仕事です。♠ヘディフェンスのライン〉チームはディフェンスのラインがしっかりしていて、これまで五試合で一点しか許していない。♠<合格ライン〉テストは三百点満点、合格ラインはおそらく百八十点くらいになるでしょう。♠<生産ライン〉わたしたち技能労働者には、生産ラインに立つ者としての誇[ほこ]りがあります。 **らく【楽】**○心身が安らかで苦労がないこと。たやすいさま。千秋楽[せんしゆうらく]。[文例]〈楽な暮らし>若い時に一生懸命[いつしようけんめい]働いたおかげで、年を取って楽な暮らしができる。♠<気が楽になる〉うそを白状して謝[あやま]ったら、すっかり気が楽になった。♠〈楽にする〉そんなに固くならずにお楽になさってください。♠〈楽に行ける〉ここから駅までは、十分もあれば楽に行ける。♠<楽をする〉ずるいやつが楽をするような世の中は、どこかまちがっていると思う。♠〈楽あれば苦あり「楽あれば苦あり」といって、人生、楽しいことばかりではない。♠<楽は苦の種、苦は楽の種「楽は苦の種、苦は楽の種」だから、今の苦労はがまんしなさい。 <1196> **らくいん(烙印)**○焼いて物に押す金属製の印。焼き印。[文例]〈スパイの烙印〉誤ってスパイの烙印を受けた男は、一生故国に帰ることはなかった。♠〈烙印を押す〉三日続けて会社を休んだ新入社員のぼくは、同僚[どうりよう]からなまけ者の烙印を押されてしまった。 **らくえん【楽園】**○すべてに満ち足りて苦しみのない世界。パラダイス。[文例]〈地上の楽園>王が夢見たのは、愛と正義に満ちあふれた地上の楽園であった。♠<子供の楽園>木登りも探検ごっこも、遊びなら何でもできるこの森は、ぼくたち子供の楽園だ。♠ヘチョウの楽園>美しい花々の咲き乱れる草原は、チョウやミツバチの楽園です。 **らくがき【落書き】**○いたずら書き。[文例]〈落書きをする〉放課後、黒板に落書きをして遊んできました。♠〈落書きを消す>塀[へい]の落書きを消すのがひと仕事なのです。 **らくご【落後】**(落伍)○隊列から脱落すること。人からとり残されること。おくれをとること。[文例]〈群れから落伍する〉猟師[りようし]の弾[たま]に傷ついて、群れから落伍したがんを手当てしてやった。♠<隊列から落伍する〉突撃[とつげき]の途中[とちゆう]でいつのまにか、老兵が隊列から落伍していた。♠〈落伍者〉かつては将来を嘱望[しよくぼう]されたこともあったが、今では人生の落伍者だった。 **らくさ【落差】**○水の落下位置と到達面の高さの差。高低の差。[文例]〈落差がある〉その滝は落差が百メートル以上もあり、水量も豊富ですばらしい景観です。♠<落差が大きい〉落差の大きいカーブにてこずり、味方打線は一点しか取れませんでした。♠〈文化の落差>都会と近代化の遅れた辺境との間には、相当の文化の落差があった。 **らくさつ【落札】**○入札で権利を手に入れること。[文例]〈落札する〉公開入札となったその工事を、業者は六億円で落札したそうです。♠〈落札する〉亡くなった実業家の所有する絵画が競売にかけられ、有名な画商が落札しました。 **らくじつ【落日】**○沈みかけている太陽。入り日。おちぶれることのたとえ。[文例]どんどん西の空に傾[かたむ]いていく落日に、旅人の足の運びは速まった。♠<落日を迎える>隆盛[りゅうせい]をほこった炭坑の町も、時の流れで寂しい落日を迎えました。♠〈孤城[こじよう]落日〉一度は政権を手に入れた男だったが、疑惑が次々に暴[あば]かれて国民から見離され、孤城落日の色が濃い。 **らくじょう【落城】**○城が攻め落とされること。もちこたえられずに投げだすこと。くどきおとされること。[文例]〈落城する〉外堀[そとぼり]どころか内堀[うちぼり]も埋められ、ついに大坂城[おおさかじよう]は落城した。♠<落城する〉あんなにいやがっていた母も、父の説得についに落城し、父の転勤について行くことを承知しました。 **らくせい【落成】**○土木・建築の工事が完成すること。竣工[しゅんこう]。[文例]〈ビルの落成>近代的な本社ビルの落成を祝って、パーティーが行われました。♠〈落成する〉建築中だったマンションがこのたび落成しました。♠〈落成式〉今日は、完成なった新校舎の落成式が行われます。 **らくせん【落選】**○選挙で落ちること。選考にもれること。[文例]〈選挙に落選する>参議院選挙に出馬した芸能人は、予想通り落選しました。♠<懸賞に落選する〉母は小説を書いては懸賞に応募しているが、いつも落選しているようだ。♠ヘコンクールに落選する〉絵画コンクールに自信作を出品したが落選した。 **らくだい【落第】**○試験などに受からないこと。ある基準に達しないこと。成績が悪くて進級できないこと。→及第[きゆうだい][文例]〈小学生として落第〉バスや電車でお年寄りに席をゆずれないようでは、小学生として落第だな。♠<落第する〉彼は大学で二年落第しているから、ぼくたちより年上だよ。 **らくたん【落胆】**○失望して気落ちすること。[文例]〈落胆のあまり〉兄は入学試験に失敗し、落胆のあまり部屋にとじこもるようになった。♠〈落胆する〉会社を首になったと聞いたら、妻はさだめし落胆することだろう。 **らくちゃく【落着】**○物事にきまりがつくこと。[文例]〈落着を見る>逮捕[たいほ]された犯人が金のありかを明かしたことで、事件は落着を見た。♠〈落着する〉長いこと結論の出なかったその問題も、昨日の会議でついに落着した。♠ヘ一件落着>工場長の取りなしで二人は仲直りし、これで今回のもめごとも一件落着です。 **らくてん【楽天】**○物事を楽観的に考えて、明るく楽しく生きること。[文例]〈楽天的>母に似て楽天的な性格のわたしは、何ごともよいほうに考えます。♠<楽天家>楽天家の古田さんも、さすがに今度は深刻な顔をしています。♠<楽天主義〉度重なる災難にも、楽天主義のおかみさんは陽気にけろっとしている。 **らくのう【酪農】**○乳牛などを飼育し、乳や乳製品を生産する農業。[文例]〈酪農をする〉北海道のおじさんの家は酪農をやっており、乳牛を八十頭も飼っています。♠<酪農が盛ん>デンマークは、酪農の盛んな国です。 **らくはく(落魄)**○おちぶれること。没落。[文例]〈落魄の身〉かつては栄光につつまれた武将も、すでに老いて落魄の身をさらしていた。♠〈落魄する>巨万の富を築いた商家も、時代の流れの中で落魄していった。 **らくばん【落盤】**○鉱山で坑内の岩盤が崩れ落ちること。[文例]〈落盤事故>炭坑の落盤事故によって、作業員が生き埋めになっているらしい。 **らくよう【落葉】**○葉が枯れて落ちること。落ち葉。[文例]〈落葉する〉やっと涼しくなったかと思うまもなく、木々が落葉する季節になりました。♠<落葉高木〉コブシはモクレン科の落葉高木で、春、葉の出る前に白い花を咲かせる。♠〈落葉樹〉かえでやいちょうは、秋の終わりになると葉の落ちる落葉樹です。 **らくらい【落雷】**○雷が落ちること。[例]〈落雷にあう〉登山家にとっていちばんこわいのは、雪崩[なだれ]に巻きこまれることと落雷にあうことだそうです。♠〈落雷に打たれる〉校庭で生徒が落雷に打たれる事故も多いようだ。 <1197> **らくらい【落涙】**○涙をこぼすこと。[文例]〈落涙をこらえる〉名画に深く感動し、落涙をこらえきれぬ観客も多かった。♠〈落涙する〉哀れな王族の末路にただただ落涙するばかりである。 **ラジオ**○放送局から電波を利用して音声を流す放送。また、それを受信する装置。[文例]ヘラジオを聞く〉ラジオを聞いていたら、大好きな歌が流れてきた。♠ヘラジオをつける〉部屋に入るとラジオをつけ、流れてくる音楽を聞きながらプラモデルを作り始めました。♠〈ラジオを消す>勉強中はラジオを消しましょう。♠ヘラジオ体操>夏休みは、早くから起きてラジオ体操をします。 **ラスト**○最後。最終。[文例]トラックを九周したところで、キャプテンからラスト一周の声がかかった。♠<映画のラスト・ラストシーン〉その映画のラストには、思わぬどんでん返しが待ち受けていた。♠ヘラストスパート〉最後の直線でラストスパート、二人の選手を抜き去った。♠ヘラストチャンス〉父は今年で八十歳、富士山に登るにはラストチャンスかと思われた。 **らせん(螺旋)**○巻き貝のからのようにうず巻き状に巻いた形。ねじ。[文例]<らせん状〉ワインのコルクは、らせん状のネジを差しこんで引き抜きます。♠<らせん階段〉ビルの外側には、避難用のらせん階段がついていた。 **らたい【裸体】**○裸の体。[文例]<裸体の男〉美術館の前庭に、筋骨[りゅうりゅう]隆々とした裸体の男の彫像[ちょうぞう]が立っている。♠<裸体をさらす〉他人の前に裸体をさらすのは、だれでもはずかしい。 **らち(埒)**○馬場の周囲のさく。物事の進行を妨げるもの。けじめ。節度。[文例]〈馬場のらち〉馬場のらちにそって、馬を乗りまわしてみた。♠<らちがあかない〉中学校の増設を市当局に交渉しているが、用地難・財政難でさっぱりらちがあかない。♠<らちもない〉らちもない話ばかり出て、会合が長びくばかりなので、途中[とちゆう]で帰ってきた。♠<らちを越える〉おまえの服装[ふくそう]や行動は生徒としてのらちを越えているから、改めなさい。♠<らち外〉裁判に訴[うつた]えようとしたが、法律のらち外の問題だから示談[じだん]にするように勧められた。 **らち(拉致)**○無理やり連れて行くこと。[文例]〈拉致する〉同国の秘密警察に拉致された平和運動家は、強制的に国外に退去させられた。 **らちがい(埒外)**○囲いの外。範囲の外。圏外。[文例]〈埒外に置く>家族の問題を話し合うからには、子供だからといって議論の埒外に置くわけにはいくまい。♠<埒外にある〉そのチームはここまで八勝二十二敗、優勝争いの埒外にある。♠<埒外に去る〉スキャンダルがあばかれて、大統領選の埒外に去った候補者も多い。 **らっか【落下】**○高い所から下へ落ちること。[文例]〈物体の落下>物体の落下を引き起こすのは地球の引力です。♠<落下する>飛行中に落下したと思われる翼[つばさ]の破片が海上で発見された。♠<落下する〉がけの上から落下した石が道路をふさいでいた。 **らっか【落花】**○(桜の)花が散ること。散った花。[文例]〈落花枝に返らず>落花枝に返らず、男女の中は一度こわれると元には戻りにくい。♠〈落花狼藉[ろうぜき]>部屋の中はまさしく落花狼藉、足の踏み場もないほどの乱れようであった。 **らっかん【楽観】**○物事をよい方にとってくよくよしないこと。[文例]〈楽観するみんなが事態を楽観していましたが、思わぬトラブルが起こりました。♠〈楽観的〉きみの意見は楽観的だな。実状はもっと深刻なんだぞ。♠<楽観視〉今は、病状が落ち着いていますが、まだ楽観視はできません。♠〈楽観主義〉ものごとをよいように解釈する楽観主義が、わたしの長寿を支えているのです。 **ラッキー**○運がよいさま。幸運。[文例]旅行中、一日も雨が降らなかったのは、本当にラッキーだった。♠ヘラッキーが重なる>審判のミスジャッジや相手の失策などのラッキーが重なり、味方は三点を先取しました。 **ラッシュ**いちどきにどっと押し寄せること。大混雑。突進。突撃。ラッシュアワー。[文例]〈朝のラッシュ・ラッシュアワー〉時刻は七時半、そろそろ朝のラッシュの時間が近づいてきた。♠<挑戦者のラッシュ>挑戦者のすさまじいラッシュに、チャンピオンはたまらずダウンした。♠ヘゴールドラッシュ〉ゴールドラッシュのアメリカでは、金を求めて人々が西部へ移動した。 **らっぱ(喇叭)**○金管楽器の総称。おおげさな話。ほら。[文例]<らっぱが鳴る>朝五時三十分、起床を告げるらっぱが兵舎に鳴り響いた。♠<らっぱを吹く〉らっぱを吹こうと、真っ赤になってほっぺたをふくらませてみた。♠<らっぱを吹く〉またあのお調子者がやって来て、らっぱを吹いていったよ。♠<らっぱを吹く〉代議士が来て、地元の人たちを前にさかんにらっぱを吹いていった。♠<らっぱ飲み>男たちは水筒の水をらっぱ飲みして、のどを潤[うるお]した。 **らつわん(辣腕)**○物事をてきぱきと処理する能力があること。[文例]〈辣腕の刑事〉世間が注目した事件は辣腕の刑事が担当し、ほどなく解決した。♠〈辣腕をふるう>海援隊の一員だった陸奥宗光[むつひろみつ]は、維新後は政治家として辣腕をふるいました。 **ラフ**○荒っぽいさま。粗いさま。くだけたさま。ゴルフコースで手入れしていない草地。[文例]<ラフな服装〉社員旅行とあって、ビジネスマンたちもラフな服装で出かけた。♠〈ラフな攻撃>その選手は、ラフな攻撃で相手を押しまくる戦法をとった。♠ドライバーショットはちょっと右にぶれて、フェアウェー脇[わさ]のラフにつかまりました。 <1198> **らん【乱】**○戦い。反乱。内乱。乱れること。[文例]〈乱を起こす・鎮[しず]める〉北の部族が乱を起こしたが、たちまち首謀者[しゅぼうしゃ]が捕[かく]えられ、乱は鎮められた。♠<乱が治まる〉島原[しまばら]の乱が治まって以後は、太平の世が続きました。♠〈治にいて乱を忘れず「治にいて乱を忘れず」で、いざという時に備えてふだんの準備、心構えが大切だ。 **らん【欄】**○書類・印刷物で特にかこってあるところ。新聞・雑誌などで特定の記事を載せるところ。[文例]〈用紙の欄〉まず、解答用紙の氏名を記入する欄に、丁寧に名前を書いてください。♠<欄を設ける〉新聞には、読者の声の欄が設けてあります。♠〈学芸欄〉大きな新聞は、夕刊に学芸欄を作って、文学芸術や学問研究などの記事を載せています。 **らんがい【欄外】**○新聞や書籍で印刷してある部分の外。[文例]<欄外に書く>落とし物の英和辞典には、欄外にたくさんの書きこみがしてあった。♠<欄外の注〉本文中にわからない語句があったら、欄外の注を参照してください。 **らんかく【乱獲・濫獲】**○動物をむやみやたらに捕ること。[文例]クジラは乱獲によってその数が激減[げきげん]し、現在では捕獲が禁止されています。♠〈乱獲する〉どんなに数の多い動物でも乱獲すれば、絶滅するでしょう。 **らんかん【欄干】**○橋・階段などの手すり。[文例]〈橋の欄干>橋の欄干から身を乗り出して、水面をのぞきこんだ。♠〈欄干にもたれる〉橋の中ほどで女が欄干にもたれてきょろきょろしている。♠<欄干に寄りかかる〉欄干に寄りかかって、ぼくは通り過ぎる人たちをぼんやりと眺めていました。 **らんぎょう【乱行】**○乱れた行い。[文例]政道[せいどう]をかえりみず乱行の多かった主君を、家老は死をもっていさめようとした。 **ランク**○順位。順位をつけること。[文例]〈ランクが上がる〉この選手の今期の戦績は十九戦五勝、協会の発表するランクもだいぶ上がった。♠ヘランクをつける二人の力はほとんど互角[ごかく]で、ランクをつけるのは難しい。♠ヘランクが違う〉小さなレースに勝っただけの馬と、ダービーのようなビッグレースの優勝馬では、ランクが違います。♠ヘランクする〉彼女のデビュー曲は、今週のベストテン第八位にランクされました。 **らんざつ【乱雑】**○秩序なく入り乱れているさま。[文例]〈乱雑な部屋>兄の部屋は、いつも足の踏み場もないくらい乱雑だ。♠<乱雑に置く>非常口に物が乱雑に置かれていると、火災の際に危険だ。♠<乱雑に錯そうする〉その区域では、いくつもの通りが乱雑に錯そうして、道に迷いやすい。♠〈乱雑な経営〉この会社は乱雑な経営がもとで、倒産[とうさん]しかかっている。 **らんしゃ【乱射】**○めちゃくちゃに弾丸[じゅうほう]などを発射すること。[文例]〈銃の乱射〉銃砲の所持の自由なアメリカでは、時に銃の乱射による犠牲者[ぎせい]が出る。♠〈乱射する〉銀行強盗[とう]は、ピストルを乱射しながら逃走した。 **らんじゅく(爛熟)**○熟れ過ぎること。発達しきって衰[すいたい]えの前兆[きこう]がある状態。[文例]<爛熟する〉この時期に唐の文化は爛熟し、以後は衰退してゆく。♠<爛熟期〉この国の文学は、十九世紀末に爛熟期を迎えた。 **らんしん【乱心】**○気が狂い乱れること。[又例]〈乱心する〉王は最近奇行がめだち、家臣の間には乱心したのではないかとうわさする者もいた。 **らんせい【乱世】**○乱れた世の中。戦乱の絶えない世の中。らんせ。[文例]〈乱世を生き抜く>木下藤吉郎[きのしたとうきちろう]、後の豊臣秀吉[とよとみひでよし]は、下剋上[げこくじよう]の乱世をたくましく生き抜き、やがて天下を統一しました。♠<乱世を治める>戦国の武将たちにとって、乱世を治め、天下を平定することは夢でした。 **らんせん【乱戦】**○敵味方が入り乱れて戦うこと。荒れた試合。[文例]両チームともエラーやらデッドボールやらの乱戦になり、しまいには乱闘騒ぎまで起こった。 **らんとう【乱闘】**○敵味方が入り乱れて暴力を使って戦うこと。[文例]〈乱闘が起こる〉ダム建設の賛成派と反対派が衝突し、あちこちで乱闘が起こった。♠<乱闘試合〉アイスホッケーやサッカーなどでは、ラフプレーがきっかけで乱闘試合になることが多い。 **らんにゅう【乱入】**○乱暴に押し入ること。[文例]〈乱入する〉マンションの一室に男が日本刀を持って乱入し、六時間も立てこもっています。 **らんぱつ【乱発・濫発】**○やたらに発射すること。むやみに放つこと。むやみに発行すること。[文例]〈紙幣[しへい]の乱発>無計画な紙幣の乱発によって、その国はインフレに陥[おちいつ]ていた。♠<乱発する>経営の苦しくなった会社の乱発した手形が不渡りとなり、ついに倒産してしまった。♠〈乱発する>先発投手が四球を乱発したため、監督[かんとく]はすぐにリリーフを送りました。 **らんぶ【乱舞】**○入り乱れて舞うこと。[文例]〈乱舞する〉キャベツ畑にはモンシロチョウが乱舞し、まるで雪が降っているようだった。♠<狂喜乱舞する〉ほとんどあきらめていた試験に合格したわたしは、狂喜乱舞した。 **らんぼう【乱暴】**○荒っぽいふるまい。荒っぽくふるまうこと。また、そのさま。[文例]〈乱暴を働く〉小さい子や弱い子に、乱暴を働いてはいけない。♠〈乱暴する〉女の子に乱暴してはだめよ。♠〈乱暴なふるまい・言葉〉あの子はなぜか最近、乱暴なふるまいをしたり、乱暴な言葉を使うようになった。♠<乱暴な口調〉「めし。」と乱暴な口調で言うと、母ににらみつけられた。♠〈乱暴に扱[あつか]う〉この品物は壊[こわ]れやすいので、乱暴に扱わないように。♠〈乱暴者〉おまえは乱暴者だから、行く先が案じられるよ。 **らんまん(爛漫)**○花が咲き乱れるさま。明らかに現れ出るさま。[文例]〈らんまんと咲く〉野の花がらんまんと咲き乱れている。♠<春らんまん>桜も満開で、古い城下町は春らんまんといった感じです。 <1199> **らんみゃく【乱脈】**○乱れて筋道が立たないこと。[文例]〈乱脈をきわめる〉自分の息子を校長にばってきするなど、乱脈をきわめたワンマン理事長もついに退陣に追いこまれた。♠〈乱脈な経営〉社長の乱脈な経営がたたって、会社は倒産の危機におちいりました。 **らんよう【乱用・濫用】**○むやみに用いること。[文例]<薬の乱用>薬の乱用や誤用は、人体に予想以上の悪影響を与える。♠<権利の乱用>役人による職権の乱用は、行政の腐敗[ふはい]を招く。♠<乱用する〉片仮名は、乱用すると文章の品位を落とす危険があります。 **らんらん(爛爛)**○きらきらと輝くさま。[文例]<らんらんと光る〉獲物[えもの]をねらうトラの目は、らんらんと光り輝いている。♠<らんらんとする〉講義を聞く学生のひとみはらんらんとし、教室は熱気がみなぎっていた。 **らんりつ【乱立・濫立】**○乱雑に立ち並ぶこと。多くのものがむやみに立つこと。[文例]〈店の乱立〉新しく私鉄が乗り入れた駅の周辺は、スーパーマーケットの乱立によって異様な熱気につつまれていた。♠〈乱立する>参議院議員の補欠選挙には、七人の候補者が乱立しました。 **らんる(檻樓)**○ぽろぽろの着物。ぼろ。[文例]<襤褸をまとう〉種田山頭火[たねださんとうか]は、身に襤褸をまとい、各地を托鉢[たくはつ]して回りながら独特な句境を展開していった。 **り** **り【理】**○原理。ことわり。りくつ。道理。[文例]〈自然の理>水が低い方に流れるのは自然の理である。♠〈理にかなう〉きみの言っていることは、理にかなっていると思うが、相手の言い分も聞いてみないとね。♠〈理の当然〉損と分かっていて進んでやる人がいないのは、理の当然だ。♠〈理に落ちる>学者の話ってやつは、どうも理に落ちておもしろくないね。♠<ぬすっとにも三分の理〉ぬすっとにも三分の理というが、「世の中にお金というものがあるのが悪い。」とはね。 **り【利】**○都合がよいこと。利益。もうけ。勝ち目。[文例]〈地の利〉わが軍は地の利を得て、数倍の軍勢の敵に勝つことができた。♠〈利にさとい〉利にさとい現代の若者は、安定した職場か、かっこよくもうかる仕事を求めたがる。♠<利を求める〉あの男は、利を求めるあまり手を広げすぎて、結局、事業に失敗した。♠〈利を生む〉今回のセミナーのテーマは、「少ない元手で、多くの利を生むには」というものです。♠〈戦いに利あらず〉戦いに利あらず、平家はついに壇[だん]の浦[うら]に滅[ほろ]びた。♠<漁夫[ぎょふ]の利〉二人が争っている間に第三者が利益をしめることを漁夫の利をしめるという。 **リアル**○現実的。写実的。[文例]ヘリアルな肖像画>肖像画[しょうぞうが]に描[えが]かれた女性は、今にもおどりだしそうなほどリアルだった。♠ヘリアルに描く>現代の青春群像をリアルに描いた小説として、評判をとった。♠ヘリアルに描写[びようしゃ]する〉犯人の人相を、できるだけリアルに描写してくれませんか。♠〈リアルな夢>現実と区別がつかないほど、それはリアルな夢だった。♠ヘリアルなとらえ方〉この作品は、状況[じょうきよう]のとらえ方がリアルで、問題の核心[かくしん]をついている。 **リーダー**○中心となって仲間をまとめる者。指導者。[文例]〈クラスのリーダー〉どのクラスにも、みんなを引っ張っていくリーダーがいます。♠<応援団[おうえんだん]のリーダー>ぽくは、大声を出すのが好きなので、中学に入ったら応援団のリーダーになろう。♠<登山隊のリーダー>登山隊のリーダーは危険を見てとったらしく、隊の前進を停止させた。♠ヘリーダーに従う〉団体行動を取る際は、各班のリーダーに従って、まとまって行動すること。♠<群れを率いるリーダー>サルには、群れを率いるリーダーであるボスがいます。♠ヘリーダーシップ〉彼はこの一年間、剣道部[けんどうぶ]の主将[しゅしよう]としてリーダーシップをとってきた。 **リード**○先導。指導。先頭・優位に立つこと。野球で離塁。[文例]〈リードする〉部長のきみが先頭に立ってリードしてくれれば、みんなついていくよ。♠ヘリードに従う〉群れのボスの適切なリードに従って、サルたちは無事逃げのびた。♠<三点のリード>五回の表、巨人軍三点のリード。♠ヘ一歩リードする>英語の実力では、彼が一歩リードしていた。♠〈世界をリードする〉今や日本は、経済大国として、世界をリードする立場にある。♠〈男性のリード〉相手の男性のリードで、少女はチョウのように軽[かろ]やかに舞[ま]った。 **りえき【利益】**○もうけ。得になること。[文例]<利益を生む>うちの商売もやっと軌道に乗って、順調に利益を生むようになった。♠〈利益を追求する〉あの男は、いつも自分の利益ばかり追求しているエゴイストだ。♠〈目先の利益人間は目先の利益にだけとらわれて、自然を破壊[はかい]しすぎたようだ。♠〈利益を得る〉多くの動物は、いろいろな利益を得るために、集団を作って生活している。♠〈利益を求める〉〈公共の利益>個人の利益を求めるだけでなく、公共の利益や福祉[ふく]しも考えなければいけない。♠<大きい利益〉〈利益をあげる〉スーパーは大きい利益をあげるために、安い値段でたくさん売ることを方針[ほうしん]にしている。 **りか【理科】**○学校教育で自然現象などを学習する科目。自然科学を専門とする学科。[文例]〈理科の実験〉この前、理科の実験でカエルの解剖[かいぼう]をしました。♠〈文科と理科〉この小説家は、若いころ文科よりも理科を志望したそうだ。 **りかい【理解】**○物事の意味や内容をはっきりと知ること。人の気持ちを察すること。[文例]〈理解が早い>監督[かんとく]は理解が早いので、ぼくたちの考えをすぐに分かってくれた。♠〈理解がある・ない>理解のある親のおかげで、子供だけのキャンプが実現できた。♠〈理解を助ける〉写真や挿絵[さしえ]が本の内容の理解を助けてくれることがある。♠〈理解を示す〉まま母という難しい立場に理解を示す人は、案外少ない。♠〈理解に苦しむ〉どうしてそんな根も葉もないことを言いふらすのか、理解に苦しむ。♠〈理解を求める〉夏休みの自転車旅行について、まず両親の理解を求めようと思った。♠〈理解を深める〉詩は、表現を味わいながら情景を心に描き、主題への理解を深めよう。♠<理解の幅[はば]>その作品を読むと、作者の人間観を通して、人間への理解の幅を広げることができよう。♠く理解する〉子供のことはよく理解しているつもりでも、まだ子供だからと心配になることがある。 <1200> **りがい【利害】**○利益と損害。[文例]〈利害を離[はな]れる>自分にとって損だとか得だとかいう利害を離れて、社会全体のことも考えてみよう。♠<利害がからむ>遺産相続の利害がからんで、肉親がいがみ合う結果になった。♠<利害が一致する〉生産者と消費者では、値段などで、利害が一致しないことも多い。♠〈利害を共にする〉利害を共にする事故の被害者[ひがい]者は、団結して会社に賠償[ばいしよう]を要求した。♠<利害が対立する〉市と市民は、たがいに利害が対立していて、なかなか話し合いがまとまらなかった。♠〈利害得失>友人関係で、利害得失だけを考えていては、真の友情は育たない。♠〈利害関係>政治の世界は、利害関係が複雑にからんでいるので想像の及ばない取り引きが行われたりする。 **りき【利器】**○鋭い刃物。武器。便利な道具。[文例]〈文明の利器〉コンピュータなど、文明の利器は大いに利用すべきだが、それに振り回されてはならない。♠〈女の利器>涙もほほえみも彼女の利器で、この二つにふかでを負った苦い経験をもつ男も多かろう。 **りきかん【力感】**○力のこもった感じ。[文例]〈重厚な力感〉その彫刻[ちようこく]の重厚な力感に、わたしは圧倒された。♠<力感にあふれる〉力感にあふれた革命の詩は、若者たちに深い感動を与えた。♠<力感がみなぎる〉メーデーのポスターのデザインには、働く者の力感がみなぎっていた。 **りきさく【力作】**○力をこめて作った作品。[文例]〈力作を発表する〉近年、新鋭作家が次々に力作を発表し、文学界が活況を呈している。♠〈力作がそろう〉今年の展覧会は、見ごたえのある力作がそろった。 **りきせつ【力説】**○力をこめて強く主張すること。[文例]〈力説する〉正岡子規[まさおかしき]の「歌よみに与ふる書」は、万葉集を作歌の指標とすべきことを力説したものである。 **りきてん【力点】**○主眼となるところ。力を注ぐところ。てこで力のかかる点。[文例]〈力点をおく〉国際化の時代ですから、英語に力点をおいて勉強していますが、自分や自分の国を知ることの大切さも痛感しています。 **りきみ【力み】**○力むこと。[文例]〈力みがある〉何が何でも勝たなければという力みがあったために、チームワークがこわれてしまった。 **りき・む【力む】**○力を入れる。力をこめる。気負う。[文例]〈うんと力む>子供のころ、うんと力んで汲み上げたつるべの井戸水[いどみず]は、半分にも満たなかった。♠〈無理に力む>朗読[ろうどく]するときは、本を目の高さに持ち、無理に力を入れて力まず、ゆっくり読もう。♠〈必死に力む〉びんづめのふたをあけようと、必死に力んでみたが、ぼくの力では無理だった。♠机[つくえ]を移そうと顔を真っ赤にして力んだが、びくともしなかった。♠<力んで~する〉あの子の事なんか何とも思ってないさと、彼は力んで否定してみせた。♠ヘ力み返る>弟は、将棋[しょうぎ]が下手なくせに、今度こそは勝ってみせると力み返っている。 **りきりょう【力量】**○能力。[例]〈十分な力量〉〈力量がある〉きみには、この仕事をやれるだけの十分な力量があるよ。♠〈優れた力量〉〉〈力量を持つ〉名人戦は、名人・挑戦者[ちようせんしゃ]ともに優れた力量を持っていて、優劣[ゆうれつ]がつけがたかった。♠〈力量を見せる〉少年は病気の親に代わって、一人前の力量を見せてこの作業をやり遂げた。♠〈力量を試す〉彼女は、ピアニストとしての力量を試すために、コンクールに出た。♠〈力量に乏[とぼ]しい〉〈力量を発揮[はつき]する〉彼が成功しなかったのは、力量に乏しいからではなく、力量を発揮する場が得られなかったからだ。♠ヘ力量を備える〉この仕事をなし遂げる力量を、彼は備えていると確信します。 **りく【陸】**○陸地。[文例]〈陸の上>体内の浮き袋[ぶくろ]の空気を使って息をし、水の中でも、陸の上でも暮らせる魚がいる。♠<陸のはずれ〉こんな陸のはずれの灯台でも、沖[おき]を行く船には感謝されているのだ。♠<陸の姿>遠洋漁業に出ると、数か月間、陸の姿を見られないこともある。♠<陸に向かう〉水平線に見えた陸に向かって、遭難者[そうなんしゃ]たちは必死に救命ボートをこいだ。♠〈陸に上がる>海ガメは、産卵[さんらん]の時期になると、夜中に陸に上がり、砂を掘り、そこに卵[たまご]を産みつける。 **りくあげ【陸揚げ】**○船の積み荷を陸へ揚げること。[文例]<陸揚げする>港町では、いつもさまざまな荷物が陸揚げされる。♠<陸揚げする〉岸壁には、陸揚げしたばかりの貨物が山積みになっていた。 **りくじょう【陸上】**○陸の上。陸地。陸上競技。[文例]<陸上を運ぶ〉昔は貨物は、陸上を運ぶよりも、海上輸送のほうがはるかに速かった。♠<陸上の選手>彼女は陸上の短距離選手で、三中のジョイナーと呼ばれていた。 **りくち【陸地】**○陸。陸の土地。[文例]〈陸地が見える〉長い航海を続けて、ようやく陸地が見えてきた時はほっとした。♠<陸地にすむ〉ゾウは、陸地にすむ最も大きい動物である。 **りくつ【理屈】**(理窟)○物事の筋道。道理。無理やりこじつけた理由。[文例]<船が進む理屈>扇風機[せんぷうき]から風がくるのと、船がスクリューで前進するのとは、同じ理屈だ。♠<勝手な理屈を言う〉弟は、家に帰ってすぐ勉強をするのは体に毒だと、勝手な理屈を言って遊んでいる。♠〈理屈に合う〉子供より父親のほうが小遣[こづか]いが少ないなんて、そんな理屈に合わない話はないよ。♠〈理屈をつける〉女は、代金を払おうとしたがだれもいないので、そのまま品物を持ってきたと、みような理屈をつけた。♠〈理屈をこねる〉あのへそまがりめ、また何か理屈をこねている。♠〈理屈どおりにいく〉理屈ではそうでも、実際には、なかなか理屈どおりにはいかないものさ。 **りくろ【陸路】**○陸上の道。陸上の交通手段。[文例]〈陸路をとる>海が荒れているので、フェリーをやめて陸路をとることにした。♠わたしたちは、マルセイユから陸路パリへ向かった。 **りけん【利権】**○利益を得る権利。[文例]〈利権をあさる〉地元の有力者たちが、新しい開発計画の利権をあさって暗躍している。 <1201> 価[か]の暴騰[ぼうとう]にからんで、利権[りけん]をあさる者[もの]が横行[おうこう]していた。♠〈利権[りけん]と結[むす]びつく〉この収賄[しゅうわい]事件[じけん]をきっかけに、利権[りけん]と結[むす]びついた政治[せいじ]の腐敗[ふはい]が次々[つぎつぎ]にあばかれていった。 **りこう【利口】**(悧巧[りこう])○賢[かしこ]いさま。要領[ようりょう]がよく抜[ぬ]け目[め]のないさま。[文例]〈利口[りこう]な子[こ]〉この子[こ]は、行儀[ぎょうぎ]のよい利口[りこう]な子[こ]だ。♠チンパンジーは、動物[どうぶつ]の中[なか]で、いちばん利口[りこう]だといわれる。♠〈利口[りこう]になる〉教[おし]えてくださってありがとう、おかげで一[ひと]つ利口[りこう]になりました。♠〈利口[りこう]に立[た]ち回[まわ]る〉妹[いもうと]はいつも利口[りこう]に立[た]ち回[まわ]るので、しかられるのは、決[き]まってわたしのほうだ。♠〈お利口[りこう]さん〉ちゃんとごあいさつができて、ぼうやはお利口[りこう]さんね。 **りこう【履行】**○(約束[やくそく]などを)実行[じっこう]すること。[文例]〈契約[けいやく]の履行[りこう]〉契約[けいやく]の履行[りこう]を強[つよ]く要求[ようきゅう]したにもかかわらず、相手[あいて]は言[い]いのがればかりしている。♠へ履行[りこう]する〉わたしは、一度[いちど]約束[やくそく]したことは必[かなら]ず履行[りこう]する人間[にんげん]だ。 **りごうしゅうさん【離合集散】**○離[はな]れたり集[あつ]まったりすること。[文例]〈離合集散[りごうしゅうさん]を繰[く]り返[かえ]す〉このクラブのメンバーは、離合集散[りごうしゅうさん]を繰[く]り返[かえ]して、最後[さいご]に残[のこ]った者[もの]たちである。♠〈離合集散[りごうしゅうさん]は世[よ]の習[なら]い〉人[ひと]それぞれに独自[どくじ]の考[かんが]えがあるのだから、離合集散[りごうしゅうさん]は世[よ]の習[なら]いである。 **りこてき【利己的】**○自分勝手[じぶんかって]で自分[じぶん]の利益[りえき]になることしか考[かんが]えないさま。[文例]〈利己的[りこてき]な人[ひと]〉彼[かれ]が自分[じぶん]の利益[りえき]だけしか考[かんが]えない利己的[りこてき]な人[ひと]だとは知[し]らなかった。♠へ利己的[りこてき]な考[かんが]え〉各國[かっこく]の国民[こくみん]が、自分[じぶん]の国[くに]さえよければよいという利己的[りこてき]な考[かんが]えを捨[す]てれば、戦争[せんそう]など起[お]こらないのに。♠まったく身勝手[みがって]で、利己的[りこてき]で、彼[かれ]のようなエゴイストは見[み]たことがない。♠あんまり利己的[りこてき]だと、友達[ともだち]から相手[あいて]にされなくなるよ。 **りこん【離婚】**○婚姻[こんいん]を解消[かいしょう]すること。[文例]〈離婚[りこん]の訴訟[そしょう]〉長女[ちょうじょ]が離婚[りこん]の訴訟[そしょう]を起[お]こし、妻[つま]と二人[ふたり]で胸[むね]を痛[いた]めています。♠<離婚[りこん]する>性格[せいかく]の不一致[ふいっち]で離婚[りこん]する夫婦[ふうふ]が多[おお]いらしい。 **りさい(罹災)**○災害[さいがい]にあうこと。被災[ひさい]。[文例]〈罹災[りさい]する〉地震[じしん]で罹災[りさい]した地域[ちいき]へ向[む]けて、ただちに救援[きゅうえん]活動[かつどう]が開始[かいし]された。♠<罹災者[りさいしゃ]>津波[つなみ]による罹災者[りさいしゃ]は、一時[いちじ]町[まち]の公共[こうきょう]施設[しせつ]に避難[ひなん]した。 **りさん【離散】**○ちりぢりばらばらになること。[文例]〈離散[りさん]する>学生[がくせい]時代[じだい]のバンドメンバーも、社会人[しゃかいじん]になって各人[かくじん]が仕事[しごと]を持[も]つようになると、いつのまにか離散[りさん]した。♠ヘ一家[いっか]離散[りさん]>貧困[ひんこん]のため一家離散[いっかりさん]のうき目[め]にあう農民[のうみん]も多[おお]かったという。 **りし【利子】**○貸[か]したり預[あず]けたりした金銭[きんせん]に対[たい]して一定[いってい]の割合[わりあい]で支払[しはら]われる金銭[きんせん]。利息[りそく]。[文例]〈利子[りし]が付[つ]く>銀行[ぎんこう]にお金[かね]を預[あず]けておけば、一定[いってい]の割合[わりあい]で利子[りし]が付[つ]いてきます。♠〈利子[りし]を払[はら]う〉借[か]りたお金[かね]の利子[りし]を払[はら]うこともできないのです。♠へ利子[りし]を取[と]る>親戚[しんせき]が困[こま]っているのだからと、利子[りし]を取[と]らずにお金[かね]を貸[か]してくれた。 **りじ【理事】**○法人[ほうじん]や団体[だんたい]を代表[だいひょう]して事務[じむ]を処理[しょり]したり、権利[けんり]を行使[こうし]する職[しょく]。[文例]〈法人[ほうじん]の理事[りじ]〉叔父[おじ]は今年[ことし]、ある社団[しゃだん]法人[ほうじん]の理事[りじ]に就任[しゅうにん]した。♠〈理事会[りじかい]>組合[くみあい]の理事会[りじかい]は、明日[あす]午前[ごぜん]十時[じゅうじ]から開[ひら]かれる予定[よてい]です。 **りじゅん【利潤】**○総[そう]収益[しゅうえき]からすべての経費[けいひ]を差[さ]し引[ひ]いた金額[きんがく]。もうけ。[文例]〈利潤[りじゅん]を上[あ]げる〉店[みせ]の利潤[りじゅん]を上[あ]げるために、経費[けいひ]をできる限[かぎ]り切[き]りつめた。♠〈利潤[りじゅん]の追求[ついきゅう]>企業[きぎょう]の目的[もくてき]は、利潤[りじゅん]の追求[ついきゅう]にある。 **りしょく【利殖】**○資金[しきん]を上手[じょうず]に運用[うんよう]して財産[ざいさん]をふやすこと。[文例]〈利殖[りしょく]の方法[ほうほう]〉株[かぶ]でもうけた彼[かれ]は、友人[ゆうじん]に会[あ]うたびに自分[じぶん]の利殖[りしょく]の方法[ほうほう]を得々[とくとく]と話[はな]した。♠へ利殖[りしょく]の道[みち]>若[わか]いころから利殖[りしょく]の道[みち]にたけた男[おとこ]で、着実[ちゃくじつ]に預金[よきん]を増[ふ]やしていった。 **リスク**○危険[きけん]。[文例]〈リスクが大[おお]きい〉この計画[けいかく]は、リスクが大[おお]きいということで、取[と]り上[あ]げられなかった。♠ヘリスクが伴[ともな]う〉何[なん]であれ、新[あたら]しい事業[じぎょう]にはリスクが伴[ともな]う。 **リズム**○音[おと]の強弱[きょうじゃく]・長短[ちょうたん]の周期[しゅうき]的[てき]な繰[く]り返[かえ]し。律動[りつどう]。韻律[いんりつ]。物事[ものごと]の規則的[きそくてき]な繰[く]り返[かえ]しが生[う]み出[だ]す調子[ちょうし]。[文例]ヘリズムとメロディー〉音楽[おんがく]は、大[おお]きく分[わ]けると、リズムとメロディーから成[な]り立[た]っています。♠ヘリズムを取[と]る>先生[せんせい]が歌[うた]いますから、みなさんは手[て]を打[う]ってリズムを取[と]ってください。♠〈リズムに合[あ]わせる〉幼稚園[ようちえん]の子供[こども]たちが、タンバリンのリズムに合[あ]わせて踊[おど]っています。♠ヘリズムに乗[の]る〉バンドが演奏[えんそう]する曲[きょく]のリズムに乗[の]って、人々[ひとびと]はくるくると舞[ま]った。♠へ整[ととの]ったリズム>短歌[たんか]や俳句[はいく]は、五音[ごおん]と七音[しちおん]でできていて、整[ととの]ったリズムを持[も]っています。♠へ生活[せいかつ]のリズム〉〈リズムが狂[くる]う〉深夜[しんや]までテレビの衛星[えいせい]中継[ちゅうけい]を見[み]る日[ひ]が続[つづ]いたので、生活[せいかつ]のリズムがすっかり狂[くる]ってしまった。♠〈快[こころよ]いリズム〉ガタンゴトンと走[はし]り続[つづ]ける汽車[きしゃ]の快[こころよ]いリズムに、いつしか深[ふか]い眠[ねむ]りに落[お]ちていった。♠ヘリズム感[かん]〉もともと黒人[こくじん]たちの音楽[おんがく]であったジャズには、リズム感[かん]のあるものが多い。 **り・する【利する】**○利益[りえき]になる。利益[りえき]を与[あた]える。利用[りよう]する。[文例]〈社会[しゃかい]に利[り]するこの実業家[じつぎょうか]は、常々[つねづね]、地域[ちいき]社会[しゃかい]に利[り]する事業[じぎょう]を興[おこ]したいと考[かんが]えていた。♠へ敵[てき]を利[り]する〉うちわもめをやっていれば、ますます敵[てき]を利[り]することになろう。♠〈敵[てき]の力[ちから]を利[り]する〉敵[てき]の力[ちから]を利[り]して、味方[みかた]を勝利[しょうり]に導[みちび]くうまい作戦[さくせん]はないものか。♠へ長身[ちょうしん]を利[り]する〉大関[おおぜき]は、その長身[ちょうしん]を利[り]して、一気[いっき]に相手[あいて]をつり上[あ]げた。 **りせい【理性】**○本能[ほんのう]や感情[かんじょう]を抑制[よくせい]し、物事[ものごと]を論理[ろんり]的[てき]・倫理[りんり]的[てき]に考[かんが]える能力[のうりょく]。[文例]勝手気まま[かってきまま]な行動[こうどう]にブレーキをかけるのは理性[りせい]の仕事[しごと]です。♠〈理性[りせい]がある〉理性[りせい]があれば、何[なに]をしていいか悪いかぐらいは分かるはずなのに。♠〈理性[りせい]を失[うしな]う〉わたしがともすれば理性[りせい]を失[うしな]い、感情[かんじょう]に走[はし]りがちなのは、修養[しゅうよう]が足[た]りないせいだろう。♠〈理性[りせい]が狂[くる]う〉戦争[せんそう]は、人間[にんげん]の理性[りせい]や道徳[どうとく]を狂[くる]わせ、残[ざん]ぎゃくな殺人鬼[さつじんき]にするのだ。♠〈理性[りせい]を保[たも]つ〉冷静[れいせい]さを失[うしな]った群衆[ぐんしゅう]の中[なか]で理性[りせい]を保[たも]ち続[つづ]けるのは大変[たいへん]難[むずか]しい。 **りそう【理想】**○考[かんが]えられる最も[もっとも]完全[かんぜん]で最善[さいぜん]の状態[じょうたい]。心[こころ]に描[えが]き求[もと]める最高[さいこう]の目標[もくひょう]。[文例]〈理想[りそう]が高[たか]い〉姉[あね]は、身[み]の程知[ほどし]らずで理想[りそう]が高[たか]いために、なかなか結婚[けっこん]できないでいる。♠<理想[りそう]の人[ひと]>現代[げんだい]の中学生[ちゅうがくせい]にとって、テレビに出[で]てくるようなタレントが理想[りそう]の人[ひと]なのでしょうか。♠〈理想[りそう]とする〉ぼくが理想[りそう]とする「緑[みどり]豊[ゆた]かな町[まち]」は、果[は]たして実現[じつげん]するだろうか。 <1202> うか。♠へ理想[りそう]と現実[げんじつ]>理想[りそう]と現実[げんじつ]の区別[くべつ]のつかぬドン・キホーテは、武者[むしゃ]修行[しゅぎょう]に出[で]かけ、多[おお]くの冒険[ぼうけん]と失敗[しっぱい]を重[かさ]ねた。♠<理想[りそう]に燃[も]える〉〈理想[りそう]の実現[じつげん]〉平和[へいわ]の理想[りそう]に燃[も]えた若者[わかもの]たちは、世界中[せかいじゅう]でその理想[りそう]の実現[じつげん]のために努力[どりょく]している。♠〈理想[りそう]を掲[かか]げる〉日本国[にほんこく]憲法[けんぽう]は、民主[みんしゅ]主義[しゅぎ]と永久[えいきゅう]平和[へいわ]の理想[りそう]を高[たか]く掲[かか]げている。♠〈理想[りそう]を抱[いだ]く〉理想[りそう]を抱[いだ]いたなら、その実現[じつげん]に向[む]かって、一歩[いっぽ]を踏[ふ]み出[だ]しなさい。♠〈理想[りそう]に近[ちか]い〉彼[かれ]は、何[なん]十回[じっかい]もの失敗[しっぱい]の末[すえ]、やっと理想[りそう]に近[ちか]いヨットを作[つく]りあげた。♠く理想的[りそうてき]〉お金[かね]があって、ハンサムで、彼[かれ]は、理想的[りそうてき]な男性[だんせい]なんだって。 **りそく【利息】**○利子[りし]。[文例]〈利息[りそく]がつく>預金[よきん]に利息[りそく]がついて、思[おも]いがけない金額[きんがく]になっていた。♠へ利息[りそく]を取[と]る〉きみとぼくの仲[なか]ですから、利息[りそく]を取[と]らずにお金[かね]を貸[か]しましょう。♠〈高[たか]い利息[りそく]〉〈利息[りそく]を払[はら]う〉急[きゅう]に入用[いりよう]ができて、高[たか]い利息[りそく]を払[はら]ってお金[かね]を借[か]りた。 **りだつ【離脱】**○ぬけ出[だ]し離[はな]れること。[文例]〈グループを離脱[りだつ]する〉独断的[どくだんてき]なリーダーのやり方[かた]に反発[はんぱつ]して、グループを離脱[りだつ]する者[もの]が相次[あいつ]いだ。♠へ戦線[せんせん]を離脱[りだつ]する〉フランツは戦線[せんせん]を離脱[りだつ]し、逃亡[とうぼう]兵[へい]として追[お]われる身[み]になった。 **りち【理知】**(理智[りち])○理性[りせい]的[てき]に物事[ものごと]を考[かんが]え判断[はんだん]する能力[のうりょく]。[文例]〈理知[りち]の働[はたら]き〉社会[しゃかい]的[てき]存在[そんざい]であるわたしたちがどうふるまうべきかを判断[はんだん]するのは、理知[りち]の働[はたら]きです。♠◇理知[りち]に輝[かがや]くひとみ〉少年[しょうねん]は理知[りち]に輝[かがや]くひとみを上[あ]げて、師[し]の言葉[ことば]を聞[き]きもらすまいとしていた。♠〈理知[りち]的[てき]〉冷静[れいせい]でいかにも理知[りち]的[てき]な顔[かお]つきの若者[わかもの]でした。 **りちぎ【律儀・律義】**○義理[ぎり]がたく誠実[せいじつ]で正直[しょうじき]なさま。[文例]〈律儀[りちぎ]な性格[せいかく]〉父[ちち]は、昔[むかし]かたぎで律儀[りちぎ]な性格[せいかく]の職人[しょくにん]で、どんな仕事[しごと]も手[て]をぬくことをしない。♠〈律儀[りちぎ]な人[ひと]>彼[かれ]は、今時[いまどき]珍[めずら]しいほどの律儀[りちぎ]な青年[せいねん]だ。♠へ律儀[りちぎ]に~する〉そのご、少年[しょうねん]は毎日[まいにち]律儀[りちぎ]に通[かよ]ってきて、店[みせ]の仕事[しごと]を手伝[てつだ]うようになった。♠<律儀者[りちぎもの]〉彼[かれ]のところは、律儀者[りちぎもの]の子[こ]だくさんのたとえを地[じ]でいったようなにぎやかな家庭[かてい]だ。 **りつ【率】**○割合[わりあい]。比率[ひりつ]。[文例]〈率[りつ]が高[たか]い・低[ひく]い〉この学校[がっこう]は、他校[たこう]に比[くら]べて高校[こうこう]へ進学[しんがく]する率[りつ]が高[たか]い。♠〈率[りつ]がいい〉この商売[しょうばい]は、まだ競争[きょうそう]相手[あいて]が少[すく]ないせいで利益[りえき]の率[りつ]がいい。 **りつあん【立案】**○計画[けいかく]や案[あん]を立[た]てること。[文例]〈方針[ほうしん]の立案[りつあん]>党[とう]の運動[うんどう]方針[ほうしん]の立案[りつあん]には、委員長[いいんちょう]以下[いか]の執行部[しっこうぶ]があたった。♠へ立案[りつあん]する〉この企画[きかく]を立案[りつあん]したのは、入社[にゅうしゃ]三年[さんねん]目[め]の女子[じょし]社員[しゃいん]です。 **りっきゃく【立脚】**○基[もと]づく所[ところ]や場所[ばしょ]を定[さだ]めること。よりどころとすること。[文例]〈立脚[りっきゃく]する〉イギリス流[りゅう]の民主[みんしゅ]主義[しゅぎ]は、個人[こじん]主義[しゅぎ]・自由[じゆう]主義[しゅぎ]に立脚[りっきゃく]している。♠〈立脚[りっきゃく]する〉文学[ぶんがく]の世界[せかい]は、現実[げんじつ]に立脚[りっきゃく]し、現実[げんじつ]を描写[びょうしゃ]していながら、ときにその現実[げんじつ]を超[こ]える。♠〈立脚点[りっきゃくてん]〉作家[さっか]は自[みずか]らの戦争[せんそう]体験[たいけん]を立脚点[りっきゃくてん]として、独自[どくじ]の思想[しそう]を築[きず]き上[あ]げた。 **りっきょう【陸橋】**○道路[どうろ]や鉄道[てつどう]線路[せんろ]をまたぐようにしてかけた橋[はし]。[文例]<陸橋[りっきょう]に立[た]つ>乗[の]り物[もの]好[ず]きのその子[こ]は、何時間[なんじかん]も陸橋[りっきょう]に立[た]って下[した]を通[とお]る電車[でんしゃ]を見[み]ていた。♠へ陸橋[りっきょう]を渡[わた]る>山手[やまて]通[どお]りを落合[おちあい]の方[ほう]から来[き]て、中央線[ちゅうおうせん]の陸橋[りっきょう]を渡[わた]ってしばらく行[い]った所[ところ]に「サニーレーン」というボーリング場[じょう]があった。 **りっこうほ【立候補】**○選挙[せんきょ]で候補者[こうほしゃ]として届[とど]け出[で]ること。[文例]〈立候補[りっこうほ]する〉まわりにおだてられたぼくは、軽[かる]い気持[きも]ちで生徒会[せいとかい]の役員[やくいん]に立候補[りっこうほ]してみた。♠へ立候補者[りっこうほしゃ]〉公民館[こうみんかん]で市議[しぎ]選[せん]の立候補者[りっこうほしゃ]の立[た]ち会[あ]い演説会[えんぜつかい]が開[ひら]かれる。 **りっしゅう【立秋】**○暦[こよみ]のうえで秋[あき]が始[はじ]まる日[ひ]。太陽暦[たいようれき]で八月[はちがつ]上旬[じょうじゅん]。[文例]〈立秋[りっしゅう]を過[す]ぎる〉立秋[りっしゅう]を過[す]ぎたといっても、まだ八月[はちがつ]上旬[じょうじゅん]ですからなかなか涼[すず]しくなりません。 **りっしゅん【立春】**○暦[こよみ]のうえで春[はる]が始[はじ]まる日[ひ]。太陽暦[たいようれき]で二月[にがつ]上旬[じょうじゅん]。[文例]〈立春[りっしゅん]になる〉立春[りっしゅん]になっても、寒[さむ]さはまだまだ続[つづ]きます。♠八十八夜[はちじゅうはちや]とか、二百十日[にひゃくとおか]二百二十日[にひゃくはつか]とかいうのは、立春[りっしゅん]から数[かぞ]えていったものです。 **りっしょう【立証】**○確[たし]かな証拠[しょうこ]や事実[じじつ]などを示[しめ]し証明[しょうめい]すること。[文例]〈無罪[むざい]を立証[りっしょう]する〉息子[むすこ]の無罪[むざい]を立証[りっしょう]するには、真犯人[しんはんにん]をつきとめるほかにない。♠へ説[せつ]を立証[りっしょう]する>博士[はかせ]は、実例[じつれい]を挙[あ]げて自分[じぶん]の説[せつ]を立証[りっしょう]した。 **りっしん【立身】**○社会[しゃかい]的[てき]に認[みと]められ、地位[ちい]を得[え]ること。出世[しゅっせ]。[文例]〈立身[りっしん]する〉この社会[しゃかい]で立身[りっしん]するためには人[ひと]一倍[いちばい]の努力[どりょく]を必要[ひつよう]とします。♠〈立身出世[りっしんしゅっせ]〉少年[しょうねん]は、立身出世[りっしんしゅっせ]を夢[ゆめ]みて故郷[こきょう]を去[さ]った。 **りっすい(立錐)**○錐[きり]を立[た]てること。[文例]〈立錐[りっすい]の余地[よち]もない〉データショー会場[かいじょう]は満員[まんいん]で、立錐[りっすい]の余地[よち]もなかった。♠〈立錐[りっすい]の地[ち]>電車[でんしゃ]の開通[かいつう]とともに駅前[えきまえ]には商店[しょうてん]が立[た]ち並[なら]び、もとの空[あ]き地[ち]が今[いま]では立錐[りっすい]の地[ち]もなくなっている。♠〈立錐[りっすい]の地[ち]〉初[はじ]めて見[み]る東京[とうきょう]は、人[ひと]と車[くるま]で立錐[りっすい]の地[ち]なき大都会[だいとかい]であった。 **りっ・する【律する】**○一定[いってい]の基準[きじゅん]・規則[きそく]によって物事[ものごと]を判断[はんだん]し処理[しょり]する。[文例]〈他人[たにん]を律[りっ]する〉おのれの価値観[かちかん]を基準[きじゅん]にして、他人[たにん]を律[りっ]してはならない。♠へ身[み]を律[りっ]する〉人[ひと]の上[うえ]に立[た]つからには他[ほか]の手本[てほん]となる必要[ひつよう]があると、氏[し]はますます厳[きび]しく我[わ]が身[み]を律[りっ]した。 **りつぜん(慄然)**○恐[おそ]れおののくさま。恐[おそ]ろしくてぞっとするさま。[文例]〈慄然[りつぜん]とする〉わたしたちは、原爆[げんばく]が投下[とうか]された当時[とうじ]の写真[しゃしん]や資料[しりょう]を見[み]て慄然[りつぜん]とした。♠〈慄然[りつぜん]となる〉産業[さんぎょう]文明[ぶんめい]による自然[しぜん]の破壊[はかい]は、気[き]がついた時[とき]には慄然[りつぜん]となるほど進[すす]んでいた。♠〈慄然[りつぜん]たる光景[こうけい]〉タイムマシーンから降[お]りた主人公[しゅじんこう]の少年[しょうねん]の前[まえ]に慄然[りつぜん]たる光景[こうけい]が広[ひろ]がっていた。 **りったい【立体】**○長[なが]さ・幅[はば]・厚[あつ]みをもって空間[くうかん]を占[し]めるもの。[文例]〈立体[りったい]交差[こうさ]二本[にほん]の幹線[かんせん]道路[どうろ]は立体[りったい]交差[こうさ]になっており、交通[こうつう]の渋滞[じゅうたい]は見[み]られません。♠〈立体感[りったいかん]〉ぼくの書[か]いた果物[くだもの]の絵[え]は立体感[りったいかん]がよく出[で]ていると、先生[せんせい]にほめられました。♠〈立体[りったい]的[てき]〉ボールが円[えん]ではなく、立体[りったい]的[てき]な球[きゅう]に見[み]えるのは、ボールに光[ひかり]の部分[ぶぶん]と陰[かげ]の部分[ぶぶん]があるからです。 **りっち【立地】**○産業[さんぎょう]を営[いとな]む上[うえ]で適[てき]した土地[とち]を定[さだ]めること。立場[たちば]。[文例]〈立地[りっち]する>製品[せいひん]の輸送[ゆそう]の便[びん]を考[かんが]えて、工場[こうじょう]は港[みなと]の近[ちか]くに立地[りっち]していた。♠〈立地[りっち]条件[じょうけん]〉この店[みせ]は立地[りっち]条件[じょうけん]がいいので、品[しな]ぞろえに注意[ちゅうい]すればきっとお客[きゃく]が集[あつ]まるだろう。 **りつどう【律動】**○規則[きそく]的[てき]に繰[く]り返[かえ]される運動[うんどう]。リズム。[文例]<律動感[りつどうかん]>演奏[えんそう]は律動感[りつどうかん]にあふれ、満場[まんじょう]を快[こころよ]い陶酔[とうすい]に誘[さそ]った。♠<律動[りつどう]的[てき]>夜行[やこう]列車[れっしゃ]の律動[りつどう]的[てき]な響[ひび]きを聞[き]いているうちに、ぼくはいつしか深[ふか]い眠[ねむ]りに落[お]ちていった。 <1203> **りっぱ【立派】**○すぐれているさま。堂々[どうどう]としているさま。完全[かんぜん]なさま。[文例]〈立派[りっぱ]な男[おとこ]>男[おとこ]は村[むら]一番[いちばん]の豪農[ごうのう]で、いかにも長者[ちょうじゃ]らしく太[ふと]った立派[りっぱ]な男[おとこ]だ。♠〈立派[りっぱ]な作品[さくひん]〉今後[こんご]ますます立派[りっぱ]な作品[さくひん]を発表[はっぴょう]なされることを期待[きたい]します。♠へ立派[りっぱ]な態度[たいど]>彼[かれ]は、一人[ひとり]息子[むすこ]を失[うしな]った深[ふか]い悲[かな]しみを押[お]し隠[かく]し、立派[りっぱ]な態度[たいど]で葬儀[そうぎ]を終[お]えた。♠へ立派[りっぱ]なことを言[い]う〉口[くち]で立派[りっぱ]なことを言[い]っている人間[にんげん]に限[かぎ]って、やることは反対[はんたい]なのだから信用[しんよう]できない。♠〈立派[りっぱ]に果[は]たすこの橋[はし]は、約[やく]百年[ひゃくねん]にわたって立派[りっぱ]にその役[やく]を果[は]たし、来年[らいねん]架[か]け替[か]えられる。♠〈外見[がいけん]が立派[りっぱ]>外見[がいけん]の立派[りっぱ]なものでも、中身[なかみ]のなまくらな刀[かたな]がよくある。♠〈立派[りっぱ]な大人[おとな]二十歳[はたち]と言[い]えば、もう立派[りっぱ]な大人[おとな]だから、そのくらいのこときちんとやってみろ。 **りっぷく【立腹】**○腹[はら]を立[た]てること。[文例]〈立腹[りっぷく]する〉相手[あいて]は、「足元[あしもと]がふらついているよ。」というぼくの言葉[ことば]にひどく立腹[りっぷく]した。♠ご立腹[りっぷく]はもっともですが、ここは一[ひと]つ私[わたし]に免[めん]じておゆるしいただけないでしょうか。 **りっぽう【立法】**○法律[ほうりつ]を定[さだ]めること。→行政[ぎょうせい]・司法[しほう][文例]三権[さんけん]分立[ぶんりつ]は、立法[りっぽう]・司法[しほう]・行政[ぎょうせい]をそれぞれ独立[どくりつ]した機関[きかん]で行[おこな]い、権力[けんりょく]の乱用[らんよう]を防[ふせ]ごうとするものである。♠国会[こっかい]は、国権[こっけん]の最高[さいこう]機関[きかん]であって、国[くに]の唯一[ゆいいつ]の立法[りっぽう]機関[きかん]である。 **りづめ【理詰め】**○理屈[りくつ]で押[お]し通[とお]すこと。[文例]〈理詰[りづ]めの論法[ろんぽう]>情味[じょうみ]のない理詰[りづ]めの論法[ろんぽう]で人[ひと]の気持[きも]ちを動[うご]かすことは難[むずか]しい。♠〈理詰[りづ]めで動[うご]く〉何[なに]ごとも理詰[りづ]めで動[うご]けば簡単[かんたん]だが、人情[にんじょう]だの思惑[おもわく]だのがからんでくるからめんどうだ。 **りてん【利点】**○すぐれている点[てん]。便利[べんり]な点[てん]。[文例]】〈物[もの]の利点[りてん]〉げたとくつは、それぞれに利点[りてん]があるので、どちらがいいと一概[いちがい]に決[き]められない。♠ヘカメラの利点[りてん]〉このカメラの利点[りてん]は、小[ちい]さくて軽[かる]く、だれにでも簡単[かんたん]に写[うつ]せることだ。♠〈利点[りてん]がある・ない〉大勢[おおぜい]だといい意見[いけん]が出[で]るという利点[りてん]があるが、一人一人[ひとりひとり]の意見[いけん]が出[で]にくいという欠点[けってん]もある。♠<車[くるま]の利点[りてん]>車[くるま]の利点[りてん]は、たくさんあるにしても、最大[さいだい]の欠点[けってん]は、走[はし]る凶器[きょうき]となることだ。♠へ利点[りてん]を数[かぞ]える>保険[ほけん]のセールスマンは、新[あたら]しい生命[せいめい]保険[ほけん]の利点[りてん]をいろいろ数[かぞ]えあげた。 **りとう【離島】**○離[はな]れ島[じま]。島[しま]を離[はな]れること。[文例]〈離島[りとう]に住[す]む>彼[かれ]は都会[とかい]の生活[せいかつ]を捨[す]て、週[しゅう]に一度[いちど]の船便[ふなびん]しかない離島[りとう]に住[す]む決心[けっしん]をした。♠〈離島[りとう]する>若者[わかもの]たちは島[しま]の将来[しょうらい]に希望[きぼう]がもてず、多[おお]くが離島[りとう]していった。 **りとく【利得】**○もうけ。利益[りえき]。利益[りえき]を得[え]ること。[文例]〈利得[りとく]を追[お]い求[もと]める>現代人[げんだいじん]は利得[りとく]を追[お]い求[もと]めるあまり、生活[せいかつ]ののびやかさを失[うしな]ってしまった。♠へ利得[りとく]が大[おお]きい〉わたしが始[はじ]めた商売[しょうばい]は、資金[しきん]の割[わり]に利得[りとく]が大[おお]きかった。 **りねん【理念】**○物事[ものごと]がどうあるべきかを定[さだ]める根本[こんぽん]的[てき]な考[かんが]え。[文例]〈平和[へいわ]の理念[りねん]>日本国[にほんこく]憲法[けんぽう]は、民主[みんしゅ]主義[しゅぎ]と平和[へいわ]の理念[りねん]を明確[めいかく]にした憲法[けんぽう]だ。♠〈理念[りねん]を貫[つらぬ]く〉恩師[おんし]は、一生[いっしょう]、自己[じこ]の変[か]わらぬ教育[きょういく]の理念[りねん]を貫[つらぬ]いた、立派[りっぱ]な教育者[きょういくしゃ]であった。♠優[すぐ]れた文学[ぶんがく]には、人[ひと]はどう生[い]きるべきかの理念[りねん]が込[こ]められているものだ。 **リハーサル**○本番[ほんばん]前[まえ]に行[おこな]う総[そう]げいこ。[文例]ヘリハーサルをする>会場[かいじょう]では、明日[あす]からの演奏会[えんそうかい]に備[そな]えて、オーケストラのリハーサルをしていた。♠リハーサルではうまくいったのに、本番[ほんばん]になるとすっかりあがってしまった。 **りはつ【利発】**○賢[かしこ]いさま。りこうなさま。「[文例]〈利発[りはつ]な子[こ]〉はきはきした利発[りはつ]そうなお子[こ]さんですね。♠〈利発[りはつ]な返事[へんじ]>少女[しょうじょ]の口[くち]から、小学生[しょうがくせい]とは思[おも]えない利発[りはつ]な返事[へんじ]が返[かえ]ってきた。 **りはん【離反】**(離叛[りはん])○そむき離[はな]れること。[文例]〈家族[かぞく]の離反[りはん]>それぞれに生活[せいかつ]能力[のうりょく]をもち、経済[けいざい]的[てき]余裕[よゆう]ができると、家族[かぞく]の精神[せいしん]的[てき]な離反[りはん]が始[はじ]まった。♠〈離反[りはん]する〉一致[いっち]団結[だんけつ]ということのきらいなわたしは、集団[しゅうだん]から離反[りはん]し孤立[こりつ]した。 **りひ【理非】**○道理[どうり]に合[あ]うことと合[あ]わないこと。是非[ぜひ]。[文例])〈理非[りひ]をわきまえる〉ものごとの理非[りひ]をわきまえた人間[にんげん]だから、卑怯[ひきょう]なことはすまい。♠〈理非[りひ]を弁[べん]じる〉理非[りひ]を弁[べん]じる(=区別[くべつ]をつける)力[ちから]のない者[もの]にリーダーたる資格[しかく]はない。♠<理非曲直[りひきょくちょく]>価値観[かちかん]が多様化[たようか]している現代[げんだい]においては、理非曲直[りひきょくちょく]を正[ただ]すことは難[むずか]しくなってきた。 **りふじん【理不尽】**○道理[どうり]に合[あ]わないこと。道理[どうり]に合[あ]わないことを無理[むり]に押[お]し通[とお]そうとするさま。[文例]〈理不尽[りふじん]なやり方[かた]〉賃金[ちんぎん]カット・首切[くびき]りなど、経営者[けいえいしゃ]の理不尽[りふじん]なやり方[かた]に対[たい]して、労働者[ろうどうしゃ]は団結[だんけつ]して戦[たたか]った。♠へ理不尽[りふじん]なことを言[い]う〉この男[おとこ]は、ものわかりがよさそうな顔[かお]をしながら、理不尽[りふじん]なことを平気[へいき]で言[い]う。♠〈理不尽[りふじん]な男[おとこ]〉あいつは理不尽[りふじん]な男[おとこ]だから、どんな手[て]を使[つか]ってくるか、ちょっと想像[そうぞう]がつかない。 **りべつ【離別】**○別[わか]れること。離婚[りこん]。[文例]〈離別[りべつ]の悲[かな]しみ〉旅立[たびだ]つ者[もの]も見送[みおく]る者[もの]も、みな離別[りべつ]の悲[かな]しみをこらえていた。♠<離別[りべつ]する>長[なが]い間[あいだ]慣[な]れ親[した]しんだ友[とも]と離別[りべつ]し、遠[とお]い故郷[こきょう]へ去[さ]らなければならない。♠へ妻[つま]を離別[りべつ]する>男[おとこ]は、結婚[けっこん]して十年[じゅうねん]になる妻[つま]を離別[りべつ]した。 **リポート**』レポート **りめん【裏面】**○裏[うら]の面[めん]。裏側[うらがわ]。表面[ひょうめん]にはあらわれない裏[うら]の部分[ぶぶん]。[文例]ヘパンフレットの裏面[りめん]会場[かいじょう]までの道順[みちじゅん]は、パンフレットの裏面[りめん]の略図[りゃくず]を参照[さんしょう]してください。♠〈政界[せいかい]の裏面[りめん]>条約[じょうやく]改正[かいせい]時[じ]の政界[せいかい]の裏面[りめん]を、当時[とうじ]の外交官[がいこうかん]だった人[ひと]が手記[しゅき]の形[かたち]で本[ほん]にした。♠<裏面[りめん]工作[こうさく]>計画[けいかく]をスムーズに運[はこ]ぶためには、政治家[せいじか]に対[たい]する裏面[りめん]工作[こうさく]が必要[ひつよう]だった。 **りゃく・する【略する】**○省略[しょうりゃく]する。省[はぶ]く。攻[せ]め取[と]る。[文例]〈略[りゃく]して~という〉日本語[にほんご]の文法[ぶんぽう]で、カ行[ぎょう]変格[へんかく]活用[かつよう]・サ行[ぎょう]変格[へんかく]活用[かつよう]のことを、略[りゃく]してカ変[へん]・サ変[へん]という。♠〈字画[じかく]を略[りゃく]する〉片仮名[かたかな]の「ホ」は、漢字[かんじ]の「保[ほ]」の一[いち]画[かく]から五[ご]画[かく]までを略[りゃく]した形[かたち]だ。♠へ説明[せつめい]を略[りゃく]する>先[さき]ほどと説明[せつめい]が重複[ちょうふく]するところは略[りゃく]します。 **りゃくだつ【略奪】**(掠奪[りゃくだつ])○力[ちから]ずくで奪[うば]い取[と]ること。「[文例]〈略奪[りゃくだつ]をほしいままにする〉海賊[かいぞく]たちが小舟[こぶね]の難民[なんみん]を襲[おそ]い、略奪[りゃくだつ]をほしいままにしているという。♠〈略奪[りゃくだつ]する〉兵士[へいし]たちは、戦利品[せんりひん]として村[むら]から略奪[りゃくだつ]してきた品[しな]を分[わ]けあった。♠〈金品[きんぴん]を略奪[りゃくだつ]する>強盗[ごうとう]は人[ひと]を脅[おど]して金品[きんぴん]を略奪[りゃくだつ]することを、窃盗[せっとう]は単[たん]に金品[きんぴん]を盗[ぬす]むことをいう。 <1204> **りゃくれき【略歴】**○大[おお]まかな経歴[けいれき]。[文例]〈著者[ちょしゃ]の略歴[りゃくれき]>たいていの本[ほん]には、巻末[かんまつ]などに著者[ちょしゃ]の略歴[りゃくれき]を紹介[しょうかい]してあります。 **りゅう【竜】**(龍[りゅう])○想像[そうぞう]上[じょう]の動物[どうぶつ]。胴[どう]は大蛇[だいじゃ]に似[に]て四本[よんほん]の足[あし]と二本[にほん]の角[つの]を持[も]ち、空[そら]に上[のぼ]って雲[くも]を呼[よ]び雨[あめ]を降[ふ]らすという。[文例]〈竜[りゅう]がすむ〉この湖[みずうみ]には主[ぬし]である竜[りゅう]がすむという伝説[でんせつ]がある。♠へ竜[りゅう]が雲[くも]を得[え]る〉教育界[きょういくかい]から政界[せいかい]へ転[てん]じた男[おとこ]は、竜[りゅう]が雲[くも]を得[え]たごとくめざましい活躍[かつやく]を始[はじ]めた。 **りゆう【理由】**○よりどころとなる事柄[ことがら]。わけ。事情[じじょう]。言[い]いわけ。口実[こうじつ]。[文例]〈理由[りゆう]がある〉少数[しょうすう]の反対[はんたい]にも、それだけの理由[りゆう]があるはずだから、耳[みみ]を傾[かたむ]けるべきだ。♠〈理由[りゆう]にする>宿題[しゅくだい]ができなかったからといって、かぜを理由[りゆう]にして、学校[がっこう]を休[やす]んではいけない。♠〈理由[りゆう]をつける〉彼[かれ]は理不尽[りふじん]な理由[りゆう]をつけて、訳[わけ]もなく反対[はんたい]をする。♠〈深[ふか]い理由[りゆう]>本当[ほんとう]は別[べつ]の深[ふか]い理由[りゆう]があるのだが、失礼[しつれい]にならないよう口実[こうじつ]を作[つく]って、誘[さそ]いを断[ことわ]った。♠〈理由[りゆう]を説[と]き明[あ]かす>屋根[やね]に茂[しげ]った雑草[ざっそう]は、この古[ふる]い家[いえ]が近[ちか]く壊[こわ]されるほかない理由[りゆう]を説[と]き明[あ]かし顔[がお]だ。♠〈理由[りゆう]は何[なん]であれ〉道[みち]を渡[わた]るのに、わざわざ遠[とお]くの歩道橋[ほどうきょう]まで歩[ある]かなければならないのは、理由[りゆう]は何[なん]であれ不便[ふべん]だ。♠〈経済[けいざい]上[じょう]の理由[りゆう]>彼[かれ]は経済[けいざい]上[じょう]の理由[りゆう]を挙[あ]げて、まだ結婚[けっこん]できないと言[い]う。 **りゅうい【留意】**○心[こころ]にとどめること。気[き]をつけること。[文例]〈健康[けんこう]に留意[りゅうい]する〉父[ちち]からの便[たよ]りはいつも、「健康[けんこう]に留意[りゅうい]し、勉学[べんがく]に励[はげ]め。」と簡単[かんたん]だ。♠◇栄養[えいよう]に留意[りゅうい]する〉料理[りょうり]自慢[じまん]の母[はは]は、味[あじ]と栄養[えいよう]に留意[りゅうい]しながら、安[やす]い材料[ざいりょう]で上手[じょうず]に作[つく]り上[あ]げる。♠<留意点[りゅういてん]>国語[こくご]の時間[じかん]に、朗読[ろうどく]したり話[はな]し合[あ]いしたりするときの留意点[りゅういてん]について勉強[べんきょう]した。♠〈留意[りゅうい]事項[じこう]>回覧[かいらん]された書類[しょるい]の留意[りゅうい]事項[じこう]を読[よ]み忘[わす]れたのは失敗[しっぱい]だった。 **りゅういき【流域】**○川[かわ]の流[なが]れに沿[そ]った地域[ちいき]。[文例]川[かわ]の流域[りゅういき]この川[かわ]の流域[りゅういき]に住[す]む人々[ひとびと]は、昔[むかし]から洪水[こうずい]に悩[なや]まされてきた。♠ヘナイル川[がわ]流域[りゅういき]>黄河[こうが]やナイル川[がわ]流域[りゅういき]は、古代[こだい]文明[ぶんめい]の発祥[はっしょう]の地[ち]である。 **りゅういん(溜飲)**○食物[しょくもつ]が不消化[ふしょうか]の時[とき]、胃[い]から上[あ]がってくるすっぱい液[えき]。また、そういう症状[しょうじょう]。[文例]〈溜飲[りゅういん]が下[さ]がる〉日[ひ]ごろ腹[はら]にたまっていたことを部下[ぶか]にぶちまけたら、溜飲[りゅういん]が下[さ]がったよ。♠〈溜飲[りゅういん]がおりる〉つんとすました女[おんな]が半[はん]べそをかいているのを見[み]て、おれは溜飲[りゅういん]のおりるのを感[かん]じた。 **りゅうがく【留学】**○外国[がいこく]の学校[がっこう]で学[まな]ぶこと。[文例]〈留学[りゅうがく]する>兄[あに]は大学院[だいがくいん]を修了[しゅうりょう]すると、新約[しんやく]聖書[せいしょ]学[がく]の研究[けんきゅう]のためフランスに留学[りゅうがく]した。♠〈留学生[りゅうがくせい]>日本[にほん]には、アジアの各國[かっこく]からの留学生[りゅうがくせい]が増[ふ]えてきた。 **りゅうかん【流感】**○流行性感冒[りゅうこうせいかんぼう]。インフルエンザ。[文例]〈流感[りゅうかん]にかかる>流感[りゅうかん]にかかって、一週間[いっしゅうかん]も寝込[ねこ]んでしまった。♠〈流感[りゅうかん]がはやる〉このところ流感[りゅうかん]がはやっていて、学級[がっきゅう]閉鎖[へいさ]になる学校[がっこう]も多[おお]い。 **りゅうき【隆起】**○高[たか]く盛[も]り上[あ]がること。地殻[ちかく]の変動[へんどう]で土地[とち]が盛[も]り上[あ]がること。[文例]〈土地[とち]の隆起[りゅうき]〉〈隆起[りゅうき]と沈降[ちんこう]>土地[とち]の急激[きゅうげき]な隆起[りゅうき]や沈降[ちんこう]は、地震[じしん]の予兆[よちょう]と考[かんが]えることができます。♠〈胸[むね]の隆起[りゅうき]〉その画家[がか]の描[えが]く婦人[ふじん]像[ぞう]は、胸[むね]の隆起[りゅうき]が豊[ゆた]かでふくよかな感[かん]じのものが多い。♠〈隆起[りゅうき]する>島[しま]の海岸線[かいがんせん]は毎年[まいとし]少[すこ]しずつ隆起[りゅうき]している。 **りゅうぎ【流儀】**○技芸[ぎげい]などで古[ふる]くからその流派[りゅうは]に伝[つた]えられてきた様式[ようしき]。物事[ものごと]のやり方[かた]。[文例]〈茶道[さどう]の流儀[りゅうぎ]〉一口[ひとくち]に茶道[さどう]の流儀[りゅうぎ]といっても、流派[りゅうは]によってさまざまです。♠へ流儀[りゅうぎ]を守[まも]る>伝統[でんとう]芸能[げいのう]の世界[せかい]では、流派[りゅうは]に継承[けいしょう]された流儀[りゅうぎ]を守[まも]ることが何[なに]より重視[じゅうし]されます。♠〈自分[じぶん]の流儀[りゅうぎ]〉あなたは、何[なん]でも自分[じぶん]の流儀[りゅうぎ]でやらないと気[き]がすまない男[おとこ]なのね。♠〈流儀[りゅうぎ]がある〉〈流儀[りゅうぎ]が違[ちが]う「その解[と]き方[かた]まちがってるよ。」「ぼくにはぼくの流儀[りゅうぎ]がある。これでいいんだ。きみとは流儀[りゅうぎ]が違[ちが]うのさ。」 **りゅうけつ【流血】**○流[なが]れる血[ち]。血[ち]を流[なが]すこと。殺傷[さっしょう]が行[おこな]われること。[文例]〈流血[りゅうけつ]の惨事[さんじ]〉トラックどうしが衝突[しょうとつ]したところへバスが突[つ]っ込[こ]み、流血[りゅうけつ]の惨事[さんじ]となった。♠へ流血[りゅうけつ]を見[み]る〉争[あらそ]いは次第[しだい]に激化[げきか]し、ついに流血[りゅうけつ]を見[み]ることになった。 **りゅうげん【流言】**○根拠[こんきょ]のないうわさ。デマ。[文例]〈流言[りゅうげん]にまどわされる>無責任[むせきにん]な流言[りゅうげん]にまどわされて、事[こと]の本質[ほんしつ]を見失[みうしな]うことのないように。♠〈流言[りゅうげん]飛語[ひご]〉地価[ちか]暴騰[ぼうとう]の折[おり]、土地[とち]の売買[ばいばい]が禁止[きんし]されるという流言[りゅうげん]飛語[ひご]が人心[じんしん]を惑[まど]わした。 **りゅうこ(竜虎・龍虎)**○竜[りゅう]と虎[とら]。同[おな]じようにすぐれた二人[ふたり]の英雄[えいゆう]。[文例]〈道場[どうじょう]の竜虎[りゅうこ]>道場[どうじょう]内[ない]ではかなう者[もの]なく、時[とき]に師[し]に迫[せま]る腕[うで]を見[み]せる両雄[りょうゆう]は一門[いちもん]の竜虎[りゅうこ]と称[しょう]せられた。♠〈竜虎[りゅうこ]相打[あいう]つ>竜虎[りゅうこ]相打[あいう]つ決戦[けっせん]を、観衆[かんしゅう]はかたずをのんで見守[みまも]った。 **りゅうこう【流行】**○一時[いちじ]的[てき]にもてはやされ、はやること。時[とき]とともに変[か]わっていくこと。[文例]〈流行[りゅうこう]を追[お]う〉人[ひと]まねはいやだと言[い]っていながら、結局[けっきょく]は流行[りゅうこう]を追[お]う人[ひと]も多[おお]いようだ。♠へ一時[いちじ]の流行[りゅうこう]>外国語[がいこくご]から取[と]り入[い]れた単語[たんご]は、一時[いちじ]の流行[りゅうこう]で、やがて消[き]えるものも少[すく]なくない。♠へ流行[りゅうこう]を取[と]り入[い]れる>若者[わかもの]は流行[りゅうこう]に敏感[びんかん]に反応[はんのう]し、それをいち早[はや]く取[と]り入[い]れる。♠〈流行[りゅうこう]の先端[せんたん]〉〈流行[りゅうこう]遅[おく]れ>姉[あね]は流行[りゅうこう]の先端[せんたん]をいくファッションで、母[はは]は流行[りゅうこう]遅[おく]れの服[ふく]を着[き]て出[で]かけた。♠へかぜが流行[りゅうこう]する〉悪性[あくせい]のかぜが流行[りゅうこう]しているので、気[き]をつけよう。♠<流行歌[りゅうこうか]>平安[へいあん]末期[まっき]の流行歌[りゅうこうか]を集[あつ]めた『梁塵[りょうじん]秘抄[ひしょう]』は、当時[とうじ]の風俗[ふうぞく]や生活[せいかつ]感情[かんじょう]を知[し]る重要[じゅうよう]な資料[しりょう]だ。♠〈流行語[りゅうこうご]〉孫[まご]たちのしゃべる流行語[りゅうこうご]は、おじいさんの耳[みみ]には外国語[がいこくご]のように聞[き]こえる。 **りゅうざん【流産】**○妊娠[にんしん]中[ちゅう]に胎児[たいじ]が死[し]んで出[で]ること。計画[けいかく]などが途中[とちゅう]で失敗[しっぱい]して実現[じつげん]されないこと。[文例]〈流産[りゅうざん]する〉長[なが]い間[あいだ]車[くるま]に揺[ゆ]られたのが悪[わる]かったらしく、妻[つま]は妊娠[にんしん]三[さん]か月[げつ]で流産[りゅうざん]した。♠〈計画[けいかく]が流産[りゅうざん]する〉初[はじめ]から混乱[こんらん]続[つづ]きだったが、結局[けっきょく]、その計画[けいかく]は流産[りゅうざん]してしまった。 **りゅうし【粒子】**○細[こま]かいつぶ。物質[ぶっしつ]を構成[こうせい]している非常[ひじょう]に細[こま]かいつぶ。[文例]〈粒子[りゅうし]が粗[あら]い〉この墨[すみ]は、粒子[りゅうし]が粗[あら]くてすりにくい。♠へ砂[すな]の粒子[りゅうし]〉砂浜[すなはま]が近[ちか]いので、風[かぜ]の強[つよ]い日[ひ]は砂[すな]の粒子[りゅうし]が家[いえ]の押[お]し入[い]れまで入[はい]ってくる。♠原子核[げんしかく]は、陽子[ようし]と中性子[ちゅうせいし]という二種類[にしゅるい]の粒子[りゅうし]から構成[こうせい]される。 **りゅうしつ【流失】**○水[みず]に流[なが]されてなくなること。[文例]〈家屋[かおく]の流失[りゅうしつ]>今度[こんど]の洪水[こうずい]では田畑[たはた]の被害[ひがい]は大[おお]きかったが、家屋[かおく]の流失[りゅうしつ]はなかった。 <1205> 家屋の流失[りゆうしつ]はなかった。♠**<流失[りゆうしつ]する>** 船は航海中に嵐[あらし]に遭って、大半の積み荷を流失した。 **りゅうしゅつ**【流出】 〇流れ出ること。国外などに出てしまうこと。[文例]**<薬品の流出[りゆうしゆつ]>** メッキ工場からの薬品の流出で、一時は付近住民の避難まで考えられた。♠**<人口の流出[りゆうしゆつ]>** 閉山[へいざん]の続く炭鉱町[たんこうまち]では、人口の流出が大きな悩みでした。♠**<流出[りゆうしゆつ]する>** タンカーどうしの衝突[しようとつ]で、石油が海上に流出した。♠**<海外流出>** 戦後の混乱期などに多くの国宝の海外流出が問題になった。♠**<頭脳流出>** 日本を飛び出し、国外で自分の才能を開花させる人も多く、頭脳流出が惜しまれていた。 **りゅうせい**【隆盛】 〇非常に盛んになること。[文例]**<隆盛[りゆうせい]をもたらす>** 小山内[おさない]薫(かおる)は自由劇場を創立し、ヨーロッパ近代劇を次々に上演して、新劇の隆盛をもたらした。♠**<隆盛[りゆうせい]をきわめる>** 清盛[きよもり]の時代に、平家は隆盛をきわめた。♠**<隆盛[りゆうせい]におもむく>** 独立後、才能ある青年層の努力で国家は隆盛におもむいた。 **りゅうせんけい**【流線型・流線形】 〇水や空気などの抵抗が小さくなるような曲線で構成された形。[文例]**<流線型[りゆうせんけい]のボディー>** 若者は、美しい流線型のボディーをした車を得意気に乗り回していた。♠**<流線型[りゆうせんけい]をする>** 流線型をした潜水艇[せんすいてい]は、海中を音もなく進んだ。 **りゅうちょう**【流暢】 〇言葉がよどみなく、流れるようにすらすらと出るさま。[文例]**<流ちょうに話す>** 彼女はパリに留学しただけあって、フランス語を流ちょうに話す。♠**<流ちょうな英語>** 商社マンの彼は、流ちょうな英語をあやつって、世界じゅうを飛び回っている。♠**<流ちょうな文章>** こんなに流ちょうで美しい文章が書けるなら、作家になったらどう? **りゅうつう**【流通】 〇とどこおらずに流れること。広く社会で通用すること。商品が生産者から消費者に渡されること。また、その仕組み。[文例]**<空気の流通>** 窓を開けて、部屋の中の空気の流通をよくしましょう。♠**<流通[りゆうつう]する>** 国によって流通する貨幣[かへい]が違います。♠**<流通[りゆうつう]機構>** 製品を消費者に届けるまでの流通機構は、きわめて複雑だといわれる。 **りゅうどう**【流動】 〇流れ動くこと。固定せずに変動すること。[文例]**<氷の流動[りゆうどう]>** 氷の流動が始まる時期は、航海が非常に危険である。♠**<流動[りゆうどう]する>** 米ソの思惑[おもわく]がからんで、ヨーロッパの情勢は依然として流動していた。♠**<流動的>** 党首会談のうわさもあるが、事態はいまだ流動的である。♠**<流動食>** 赤ちゃんの発育は順調ですから、ミルクだけではなく流動食を与え始めていいですよ。♠**<流動物>** 扁桃腺[へんとうせん]がはれて痛むので、流動物しか食べられない。 **りゅうとうだび**【竜頭蛇尾】 〇最初は勢いがよいが、だんだん衰えていくこと。しりすぼまり。[文例]**<竜頭蛇尾[りゆうとうだび]に終わる>** 飽きっぽい性格だから初めの勢いはどこへやら、ぼくのやることはいつも竜頭蛇尾に終わる。 **りゅうにゅう**【流入】 〇流れ込むこと。外から入ってくること。[文例]**<人口の流入[りゆうにゆう]>** 東京への人口の流入はとどまることを知らず、過密都市の弊害[へいがい]が指摘されて久しい。♠**<流入[りゆうにゆう]する>** 明治以後は鎖国[さこく]政策が解かれたために、欧米の文化が急激に我が国に流入した。 **りゅうねん**【留年】 〇進級や卒業ができず、原級にとどまること。[文例]**<留年[りゆうねん]する>** アルバイトが忙しくて欠席が重なり、とうとう留年することになった。 **りゅうは**【流派】 〇主義や流儀の違いなどによって他と区別される一派。[文例]**<華道の流派[りゆうは]>** 母とおばは華道の流派が異なるからか、同じ花でも全然違ういけ方だ。♠**<流派[りゆうは]を問わない>** この展覧会は流派を問わず、広く新進気鋭の作品を集めている。♠**<流派[りゆうは]を興す>** 彼女は、古い家元[いえもと]制度に反抗[はんこう]し、新しい流派を興したいと考えていた。♠**<流派[りゆうは]に属する>** この二枚の錦絵(にしきえ)は、同時代に、同じ工場で、同じ流派に属する織(お)り匠(たくみ)によって織られたものらしい。 **りゅうひょう**【流氷】 〇寒帯地方でできた氷が割れて流れるもの。[文例]**<流氷がつく>** 北海道のオホーツク海沿岸には、冬の終わりごろ流氷が流れつく。♠**<流氷が浮かぶ>** 船が北へ進むにつれて、海上に浮かぶ流氷の数は増えてきた。♠流氷や宗谷[そうや]の門波(となみ)荒れやまず(山口誓子) **りゅうほ**【留保】 〇決定や実行をしないでそのままにしておくこと。保留。権利・義務を行使せず残しておくこと。[文例]**<留保[りゆうほ]する>** 参考となる資料が少な過ぎるので、この件の決定は次回まで留保します。♠**<留保[りゆうほ]する>** 詳しい調査結果が出るまで、県への回答は留保することにした。♠**<留保[りゆうほ]条件>** 会の創設に対して、もし全員参加が望めるならば、という留保条件をつけて賛成した。 **りゅうよう**【流用】 〇決まっている用途以外に用いること。[文例]**<公金の流用>** 支店長は、公金の流用が明るみに出て解雇された。♠**<流用[りゆうよう]する>** 父母会の会費が、先生たちとの飲み食いに流用されているとすれば問題です。 **りゅうりゅう**【隆隆】 〇盛り上がっているさま。盛んなさま。[文例]**<隆々[りゆうりゅう]たる筋肉>** レスラーの隆々たる筋肉は、鍛えに鍛えて作り上げたものだ。♠**<隆々[りゆうりゅう]たる名声>** 昭和四十年代に入ると、画家は隆々たる名声を得るようになる。♠**<隆々[りゆうりゆう]と栄える>** 帝国は優れた為政者[いせいしや]のもとに、隆々と栄えていた。♠**<筋骨(きんこつ)隆々(りゆうりゆう)>** ドアを開けると、筋骨隆々のターザンのような男が立っていた。 **りゅうりゅうしんく**【粒粒辛苦】 〇非常な苦労をすること。なみなみでない苦労。[文例]この地に移植した人々は、粒粒辛苦の末、町を開いていった。♠**<粒粒辛苦[りゆうりゆうしんく]する>** 小説には粒々辛苦する農民たちの姿が描かれていた。 **りゅうれい**【流麗】 〇よどみなく流れるように美しいさま。[文例]**<流麗[りゆうれい]な調べ>** ハープの流麗な調べに、しばしうっとりとききほれた。♠**<流麗[りゆうれい]な文体>** 樋口[ひぐち]一葉[いちよう]は流麗な文体で、たちまち多くの読者を引きつけた。 **りゅうろ**【流露】 〇うちにあるものが外に現れ出ること。[文例]**<感情の流露[りゆうろ]>** 藤村[とうそん]の詩は、青春の感情の流露ということができます。♠**<流露[りゆうろ]する>** 彼女から真情の流露する手紙を受けとって、わたしは深い感銘[かんめい]を受けた。 **りょう**【量】 〇容積。かさ。数量。分量。[文例]**<食物の量>** ゴキ <1206> 〈雨の量〉流域に降る雨の量がそれほど変わるはずがないのに、なぜかこの川の流量が増えた。♠〈膨大[ぼうだい]な量〉この遺跡[いせき]から出土[はつくつ]した膨大な量の板が何に使われたかは、まだ分からない。♠〈眠りの量〉〈量が多い〉短い時間でも深く眠れば、眠りの量は多くなり、体力が回復する。♠〈量が減る〉密閉した瓶[びん]の中のろうそくの火が消えるのは、酸素の量が減ってやがて無くなるからだ。♠〈量をはかる〉一合ます、一升ますは、米などの量をはかる器[うつわ]として、日本で昔[むかし]から使われてきた。♠〈量より質〉「量より質」ということばからも分かる通り、なんでも多ければよいというものではない。♠〈相当量〉この辺りの海女[あま]は、年を取っても海にもぐり、相当量の魚や貝を採っている。 **りょう【猟】** ○鳥や獣[けもの]を捕らえること。狩り。[文例]〈かもうちの猟〉明日からかもうちの猟が解禁ということで、多くのハンターたちが集まっている。♠〈猟をする〉その日も、男は山に入って猟をしていた。 **りょう【漁】** ○魚や貝などの水産物をとること。[文例]〈漁に出る〉このところずっと海が荒れて、漁船が漁に出られません。♠〈漁をする〉小舟[こぶね]に乗って漁をする漁師たちの仕事は、舟底[ふなぞこ]一枚下は地獄[じごく]という危険なものだ。♠〈漁がある・ない〉今日はさっぱり漁がなく、岬[みさき]のかげにいかりを下ろして夜を過ごすことになった。♠〈漁を終わる〉父が漁を終わって帰って来るころなので、浜辺[はまべ]へ出てみた。♠〈漁に使う〉遺跡を発掘した結果、漁に使った石のおもりや、獣の骨で作った釣り針が発見された。 **りょう【両】** ○二つで一対となるものの双方。[文例]〈両の目〉妻の両の目に、涙がいっぱいあふれてきた。♠〈両の手〉少女は両の手を顔に当て、肩を小さく波打たせながら、激しく嗚咽[おえつ]していた。 **りょう【涼】** ○涼しさ。[文例]〈涼を求める〉夏になると、大勢の人が涼を求めこの高原にやってきます。♠〈涼をとる〉昔は、夕方になると、この路地に縁台を持ち出し涼をとったものだ。♠〈涼をいれる〉縁側に腰をおろして涼をいれていたところへ、校長がやって来た。 **りょう【寮】** ○寄宿舎。保養などのための建物。茶会などをするために作った小さな建物。[文例]〈大学の寮〉〈寮に入る〉大学の寮にはいったわたしは、寮友たちと青春を謳歌[おうか]した。♠〈寮生活〉青春時代の寮生活の思い出は、一生残るでしょう。♠〈独身寮〉〈寮に住む〉息子は、家が遠いので会社の独身寮に住んでいます。 **りよう【利用】** ○役に立つように用いること。自分の利益のための手段とすること。[文例]〈余暇[よか]の利用〉休日は、テレビばかり見ているのでなく、もっと上手な余暇の利用を考えなさい。♠〈平和的な利用〉平和的な利用といっても、原子力は安全性に心配がある。♠〈資源を利用する〉人間は自然の資源を利用したり、自然を改造したりできる、地球上唯一[ゆいいつ]の動物だ。♠〈機会を利用する〉彼はあらゆる機会を利用して、若者たちに近づき、彼らの考えを聞こうとした。♠〈施設を利用する〉旅行するのなら、国民宿舎のような公共の施設を利用すると、安く泊まれるよ。♠〈人を利用する〉あの男には、他人を利用することがどんなに醜い[みにく]か、分からないのだろうか。♠〈利用価値〉辞書は学習の効果を高めるうえに、非常に利用価値が高い。 **りょういき【領域】** ○勢力や影響の及ぶ範囲。学問や研究などの専門分野。一国の主権が及ぶ範囲。[文例]〈領域を広げる〉業務の領域を広げようとしたため、他社と競争になった。♠〈仕事の領域〉それは彼の仕事の領域に属する問題だから、彼に相談するほうがいいよ。♠〈研究の領域〉〈領域を侵す[おか]〉彼は、自分の研究の領域を侵されると怒る[おこ]心の狭い[せま]学者だ。♠〈考古学の領域〉発掘された古い土器を調べるのは、考古学の領域だ。 **りょうえん【良縁】** ○よい縁組み。[文例]〈良縁に恵まれる〉このほど、一人娘が良縁に恵まれて結婚することになりました。♠〈良縁を求める〉両親は娘の幸せのために、八方に良縁を求めた。♠〈良縁を得る〉娘は、良縁を得て隣町の商家に嫁い[とつ]だ。 **りょうえん(遼遠)** ○はるかに遠いさま。[文例]〈前途遼遠〉今、研究の第一歩が進められたにすぎないのであって、完成までは前途遼遠である。 **りょうか【良化】** ○よくなること。よい方へ向かうこと。[文例]〈関係の良化〉両国間の関係の良化は望めそうにない。♠〈良化の方向〉このところ会社の経営も良化の方向に向かい、社内にも活気が出てきた。♠〈良化する〉案じていた母の病状も、少しずつだが良化してきたようだ。 **りょうが(凌駕・陵駕)** ○他を追いぬいて上に出ること。[文例]〈凌駕する〉幼いころから手ほどきを受けた剣道で、ついに父を凌駕する日が来た。♠〈凌駕する〉出場選手中、彼の力は圧倒的で、他を凌駕していた。 **りょうかい【了解】**(諒解)○よく理解すること。納得して認めること。[文例]〈了解を求める〉集会の日時を変更するなら、事前に皆の了解を求めるべきだ。♠〈了解を得る〉約束[やくそく]の時間に遅れそうなので、電話で了解を得た。♠〈了解する〉トラブルを避けるため、こちらの真意を十分説明し、了解してもらった。♠〈了解事項[じこう]〉その件は、了解事項なので、論争の種になる心配はありません。 **りょうかい【領海】** ○一国の主権の及ぶ範囲の海。[文例]〈日本の領海〉一九七七年、それまで三海里だった日本の領海は十二海里に改められた。♠〈領海を侵す[おか]〉今朝未明、ソ連の領海を侵した日本漁船が拿捕[だほ]された。♠〈領海侵犯[しんぱん]〉移動中の他国の艦船[かんせん]の領海侵犯が問題となっていた。 **りょうがえ【両替】** ○ある種類の貨幣を、それと同額の他の種類の貨幣にかえること。[文例]〈両替する〉銀行で一万円札を小銭に両替してもらった。 **りょうかん【量感】** ○重みや分量のある感じ。絵に描かれたものなどのもつ実在感。[文例]〈量感がある〉この絵の静物には本物そっくりの肌ざわりと量感がある。♠〈石の量感〉初めてローマを訪れたわたしは、古い、石壁[いしかべ]の量感に圧倒された。 <1207> **りょうかん【涼感】** ○涼しげな感じ。[文例]〈涼感を誘う〉涼感を誘うすだれや風鈴[ふうりん]には、日本人の美意識が生かされている。♠〈涼感がある〉ブルーやグリーンには涼感があり、感覚的に暑さをやわらげてくれます。 **りょうき【涼気】** ○涼しい空気。涼しいけはい。[文例]〈涼気がしのび寄る〉夕やみがおりるころ、辺りに立ちこめていた熱気がひいて、涼気がしのび寄ってくる。♠〈涼気が流れる〉夕立のあとの庭に流れる涼気に、ほっと一息ついた。♠〈涼気がみなぎる〉高原にみなぎる涼気に、わたしは活力を取りもどした。♠炎天を槍[やり]のごとくに涼気すぐ(飯田蛇笏[いいだだこう]) **りょうき(猟奇)** ○奇怪なものや異常なものを好んで求めること。[文例]〈猟奇的〉街の裏通りの怪しげな所を見て回ったのは、猟奇的な動機からではなく、自分の研究のためなんだ。♠〈猟奇趣味〉平和が百年も続くと、刺激の少ない生活に飽き飽きした宮廷貴族の間には、退廃的な猟奇趣味がはびこってきた。 **りょうきょく【両極】** ○両方のはし。両極端。[文例]〈文化の両極〉日本とヨーロッパ諸国とを文化の両極とすると、アラブは真ん中よりもずっとヨーロッパ諸国に近い。♠〈両極にある〉愛と憎しみは両極にあるが、そのへだたりは意想外に小さい。 **りょうきょくたん【両極端】** ○両方のはし。ひどくかけ離れていること。[文例]〈両極端の間〉今度の疑惑に名を連ねた政治家については、「黒」と「白」の両極端の間に幾つもの段階がある。♠〈両極端に分かれる〉二人の意見は両極端に分かれ、歩み寄りの可能性は少ない。 **りょうきん【料金】** ○ものを利用したり、見物したり、サービスの提供を受けた時に支払う金銭。[文例]〈料金を払う〉ガス・水道・電気などの料金は、銀行振込[ふりこみ]で払っています。♠〈高い料金〉〈料金を出す〉高い料金を出して、モスクワからきたバレエ団の公演を見に行きました。♠〈子供の料金〉電車やバスの子供の料金は半額です。 **りょうくう【領空】** ○一国の主権が及ぶ範囲の上空。[文例]〈領空に侵入する〉韓国の民間航空機がソビエトの領空に侵入して撃墜[げきつい]された。 **りょうけん【了見】**(了簡・料簡)○考え。思慮。意図。がまんして許すこと。[文例]〈あさはかな了見〉手軽にもうけて一旗揚げようなんて、あさはかな了見を起こすな。♠〈けちな了見〉他人を利用して、うまい汁を吸うようなけちな了見は捨てろ。♠〈了見が狭い[せま]〉彼は了見が狭くて、反対意見に耳を傾け[かたむ]ようとしない。♠〈太い了見〉人をだまして出世しようとは太い了見だ。♠〈了見がない〉別段何になるという了見もなく、成り行きで板前になってしまった。♠〈どういう了見〉あの子はどういう了見で、そんなつまらないうそをついたのだろう。 **りょうこう【良好】** ○よい状態にあるさま。好ましいさま。[文例]〈経過が良好〉手術後の経過は良好で、間もなく退院できそうです。♠〈視界が良好〉雲量は少なく視界は良好だったのに、どうしてその飛行機が進路を誤ったのか。♠〈関係が良好〉わたしども夫婦の関係は、おおむね良好といえます。 **りょうさん【量産】** ○大量生産。[文例]〈量産に入る〉試験販売によって市場で好評を得ましたので、量産に入りました。♠〈量産する〉新製品を量産するために、新しい工場を建設中です。 **りょうし【猟師】** ○狩猟を職業とする人。[文例]がんの群れは、猟師の銃声[じゅうせい]で空に散った。♠〈鹿[しか]を追う猟師は山を見ず〉鹿を追う猟師は山を見ず、といって、夢中になるとどうしても全体を見渡せなくなる。 **りょうし【漁師】** ○漁業を職業とする人。[文例]夏はいいとして、寒い冬、未明に出港する漁師の仕事は厳しい[きび]。♠彼は十八の時には、すでに一人前の漁師として海に出ていた。 **りょうしゃ【両者】** ○二者。二つの物。双方。[文例]少年が罠[わな]にかかった野犬を救ってやったことで、両者の間に友情が生まれた。♠健康と努力、この両者の力によってこそ、人生の成功は約束されるだろう。 **りょうしゅう【領収】** ○金銭などを受け取ること。受領。[文例]〈領収する〉上記の金額を受講料として確かに領収しました。♠〈領収証〉領収証は、代金を支払った証拠[しょうこ]となりますから、大切にとっておきましょう。♠〈領収書〉買い物をしたときにもらう領収書をとっておいて、家計簿[かけいぼ]につけます。 **りょうしょう【了承】**(諒承)○納得して認めること。承知。[文例]〈了承を求める〉集会の日時を変更[へんこう]するなら、前もって会員の了承を求めてください。♠〈了承を得る〉小山さんをキャプテンにすることには、先生の了承を得ています。♠〈了承を取る〉この公園の使用については、市の了承を取っています。♠〈了承する〉わたしが今夜友人の家に泊まることは、両親とも了承しています。♠〈了承ずみ〉その件は了承ずみですから、話を先に進めてください。 **りょうじ【療治】** ○病気やけがを治すこと。治療。[文例]〈神経痛の療治〉祖母は、神経痛の療治に温泉へ行った。♠〈荒[あら]療治〉このやぶ医者は、荒療治をすることで有名だった。 **りょうしき【良識】** ○健全で適正な判断力。公正で高い見識。[文例]〈良識がある〉良識のある彼が、酔っぱらったうえとはいえ、人にけがをさせるなんてとても信じられない。♠〈良識に訴える〉相手の良識に訴えて、この損害をなんとかつぐなってもらおう。♠〈良識にまつ〉この過失に対してあなたがどう行動するかは、あなたの良識にまちます。♠〈良識の府〉もと参議院は良識の府といわれたが、現在では単なる第二衆議院にすぎないという声もある。 **りょうしつ【良質】** ○品質がよいこと。[文例]〈良質の水〉良質の水が不断に得られるということは、生活の基本条件の一つである。♠〈良質の炭〉老人は、いつも良質の炭を焼き上げた。 **りょうしん【良心】** ○善悪の判断を行い、よい行いをしようとする心。[文例]〈良心がとがめる〉風邪だとうそをついて学校をさぼったが、後で良心がとがめた。♠〈良心に照らす〉神の前で、良心に照らしてはっきり申しますが、うそはついていません。 <1208> 〈良心が痛む〉自分の立場をよくするために相手を悪者にしたことで、良心がひどく痛んだ。♠〈良心に目覚める〉〈良心に従う〉皆[みな]が殺人はいやだという良心に目覚め、良心に従って行動すれば、戦争を防げるはずだ。♠〈良心を慰める[なぐさ]〉人に誤解されたが、弁解がましいことを言わなかったのは男らしいと、自分の良心を慰めている。♠〈良心のかしゃく〉逃亡[とうぽう]していた犯人が良心のかしゃくに耐えかねて、ついに自首してきた。♠〈良心の鏡〉失業中の彼は、目の前の大金に良心の鏡が曇り[くも]、それに手をつけてしまった。♠〈良心的〉うちは、この辺りでは良心的な店として評判なんですよ。 **りょうしん【両親】** ○父と母。ふた親。[文例]自分の悩みを両親に相談できる高校生は少なかろう。♠〈両親と住む〉わたしは、郊外に両親と三人で住んでいる。♠〈両親を失う〉彼はもの心つく前に両親を失い、叔父[おじ]に育てられた。 **りょう・する【領する】** ○領土とする。自分の所有とする。領収する。承知する。[文例]〈土地を領する〉ローマ帝国は、ヨーロッパを中心に広大な土地を領していた。♠〈大半を領する〉当時のわたしの生活の大半を、この雑用が領していた。 **りょうせん(稜線)** ○山の峰から峰へと続く線。尾根。[文例]〈山の稜線〉晴れた日には、ここから大雪山系をつなぐ山の稜線がくっきりと見える。 **りょうたん【両端】** ○両方のはし。初めと終わり。本と末。[文例]〈棟[むね]の両端〉鴟尾[しび]とは、宮殿[きゆうでん]や仏殿の棟の両端に取り付ける魚尾形の飾り[かざ]のことである。 **りょうだん【両断】** ○まっ二つに断ち切ること。[文例]〈両断する〉暴風雨は家屋を倒壊[とうかい]させ、橋を両断して一晩中荒れ狂った。♠〈一刀両断〉社長は社内[しゃの]の派閥[はばつ]問題を解決するために、一刀両断の処置を下した。 **りょうち【領地】** ○大名や寺社などが所有する土地。[文例]〈皇室の領地〉「標野[しめの]」は皇室の領地で、一般の立ち入りは禁じられていた。♠〈幕府の領地〉江戸幕府直轄[ちょっかつ]の領地を天領[てんりよう]といった。 **りょうて【両手】** ○両方の手。[文例]〈両手ですくう〉わたしは、泉の水を両手ですくって一気に飲んだ。♠〈両手をかざす〉ストーブのそばへ行って、凍え[こご]た両手を火にかざした。♠〈両手をつく〉夫は、今度だけはゆるしてくれと両手をついて頼んだ。♠〈両手に花〉美人二人を連れて、両手に花の男性が楽しそうに飲んでいる。 **りょうてんびん(両天秤)** ○同時に二つのことに関係をつけておくこと。ふたまたをかけること。[文例]〈両天秤をかける〉ぽくだけかと思ったらきみにも声をかけていたのか、あの子両天秤をかけたな。♠〈両天秤をかける〉両天秤をかけて、二つの会社の面接を受けたから、どちらかには受かるだろう。 **りょうど【領土】** ○一国の主権が及ぶ範囲の土地。領有する土地。[文例]〈領土を守る〉王は、自国の領土を守るために戦争を決意した。♠〈領土を広げる〉ヨーロッパの国々は、植民地政策を推し進め、競って領土を広げた。♠〈領土を割く[さ]〉第二次大戦後、ドイツをはじめいくつかの国家が領土を割かれた。 **りょうどう【糧道】** ○食糧を運ぶ道。[文例]〈糧道を絶つ〉敵に糧道を絶たれ、食糧の尽きた部隊は降伏[こうふく]せざるを得なくなった。 **りょうふう【涼風】** ○涼しい風。[文例]〈涼風が吹く〉登り道はつらいが、立ち止まると緑を吹き抜ける涼風にたちまち汗がひく。♠〈涼風が渡る〉夕立が上がって、さっと涼風が渡った。 **りょうぶん【領分】** ○領地。領域。力の及ぶ範囲。なわばり。[文例]〈領分に入る〉人は、自分の領分に他人が入り込むことをいやがります。♠〈領分を侵す[おか]〉各人の持ち場が決まっているのだから、他人の領分を侵してはならない。 **りょうほう【両方】** ○二つの方面。二つの物事。双方。[文例]先生は、けんかの理由を両方からくわしく聞いた。♠満員電車の中で左右両方から押されて、身動きができなかった。♠ぼくは、両方の目を見開いてよく見たが、違いはわからなかった。 **りょうみ【涼味】** ○涼しさ。涼しい感じ。[文例]〈涼味を満喫[まんきつ]する〉クルージングは、涼味を満喫させてくれる。♠〈涼味を添える[そ]〉風鈴[ふうりん]は、軒[のき]などにつるして涼味を添える小さな鈴です。 **りょうめん【両面】** ○表と裏の二面。両方の面。二つの方面。[文例]〈紙の両面〉この千代紙は、両面から絵柄[えがら]を染めた高級品です。♠〈ものごとの両面〉人は、経験を積めば、次第にものごとの両面が見えるようになる。♠〈物心両面〉父が亡くなってから、学校を終えるまで、伯父[おじ]に物心両面の援助を受けた。 **りょうやく【良薬】** ○よく効く薬。[文例]〈良薬の効験[こうけん]〉医者のくれた良薬の効験で、病気も快方に向かってきた。♠〈良薬は口に苦し〉「良薬は口に苦し」と言うけれど、親友の忠告も実に耳が痛い。 **りょうゆう【両雄】** ○二人の英雄。[文例]〈両雄の対決〉リング上の両雄の対決に、会場は興奮のるつぼと化した。♠〈両雄並び立たず〉「両雄並び立たず」で、一つの集団に二人の実力者がいれば必ず争いが生じる。 **りょうゆう【領有】** ○自分の土地として所有すること。[文例]〈領有する〉中国最後の王朝清[しん]は、最盛期には広大な国土を領有していた。 **りょうよう【両様】** ○二つの仕方。二とおり。[文例]クラスメートの言葉は、非難とも激励[げきれい]とも両様に解釈できるものでした。♠〈和戦両様の構え〉アメリカとの交渉に際して、日本は和戦両様の構えで臨んだ。 **りょうよう【療養】** ○病気やけがの治療をしながら保養すること。[文例]〈療養にあたる〉退院した父は、酒を断ってもっぱら療養にあたった。♠〈療養する〉なに、このぐらいの病気はじっくり療養すれば、程なく回復するでしょう。♠〈転地療養〉医師に転地療養をすすめられ、しばらく山荘で暮らすことにした。 <1209> **りょうり【料理】** ○材料に手を加えて食べられるようにすること。また、その食べ物。物事をうまく処理すること。[文例]〈料理をする〉大事なお客さまがあるとかで、母は朝から台所に立って何やら料理をしています。♠〈料理を作る〉わたしは、お母さんの作ってくれた料理が一番好き。♠〈料理ができる〉いいにおいがしてきたな。どんな料理ができるのか楽しみだぞ。♠〈料理する〉相手ピッチャーは、快速球で味方のバッターをいとも簡単に料理した。 **りょうりつ【両立】** ○同時に二つの物事が成り立つこと。[文例]〈クラブ活動と勉強の両立〉クラブ活動と勉強の両立は、口で言うほどたやすくない。♠〈多読と精読の両立〉多読と精読の両立が難しいのなら、若い人には多読を勧めたい。♠〈両立する〉彼女は、会社の仕事も家事もそつなくこなし、職業と家庭を見事に両立させている。♠〈両立する〉昔[むかし]から「文武両道[ぶんぶりようどう]に秀でる[ひい]」と言うから、運動と勉強は両立するはずだ。 **りょかく【旅客】** ○旅をする人。乗客。[文例]〈船の旅客〉スピード優先の時代で、船の旅客は減少するばかりだった。♠〈旅客機〉ニューヨークをたってパリに向かった旅客機が行方不明になり、乗客の安否が気づかわれている。 **りょかん【旅館】** ○旅行者を宿泊させることを商売にしている家。[文例]〈旅館に泊まる〉修学旅行で泊まった旅館の人たちは、とても親切にしてくれました。♠〈和風の旅館〉おじいちゃんは、ホテルよりも和風の旅館のほうが落ち着くといいます。 **りょきゃく【旅客】** ↓りょかく **りょくいん【緑陰】**(緑蔭)○茂った青葉の木陰。[文例]〈緑陰に憩う[いこ]〉広々とした公園のあちこちで、緑陰に憩う人たちの姿が見られた。♠〈緑陰の時節〉あわただしさの中に桜の花が散り、ふと気がつくと緑陰の時節になっていた。 **りょくか【緑化】** ふりょっか **りょくち【緑地】** ○草木がおい茂っている土地。[文例]〈緑地が広がる〉町の南側には、住宅のとぎれるあたりから緑地が広がっている。♠〈緑地帯〉町を流れる川の岸に緑地帯が設けられ、ちょっとした憩い[いこ]の場となった。 **りょこう【旅行】** ○観光などの目的で他の土地へ行くこと。旅をすること。[文例]〈旅行を楽しむ〉最近のように多くの人々が海外旅行を楽しむようになるなんて、二十年前には想像もできなかった。♠〈旅行の経験〉旅行の経験といえば、修学旅行ぐらいしかなかったが、旅の先々でいろいろな発見と感動があった。♠〈旅行に出る〉先日旅行に出たときに現地で注文しておいた焼き物が、今朝届いた。♠〈旅行に行く〉夏休みや連休には、多くの人が旅行に行き、新幹線や飛行機は乗客であふれる。♠〈旅行する〉旅行するにも、行く先は、人の集まる所、人の少ない所と人それぞれでちがうようです。 **りょしゅう【旅愁】** ○旅先でひとり感じる寂しさ。[文例]〈旅愁をそそる〉旅先の宿で聞く夜の汽笛は、しみじみと旅愁をそそる。♠〈旅愁に浸る[ひた]〉湖畔[こはん]に立ち、遠くまで来たものだと一人旅愁に浸った。 **りょじょう【旅情】** ○旅先で感じるしみじみとした思い。[文例]〈旅情を誘う[さそ]〉窓から遠くに見える夜行列車のあかりが旅情を誘う。♠〈旅情をそそる〉この音楽を聞くと、旅情をそそられ、若いころのようにふらっと旅に出たくなる。♠〈旅情をなぐさめる〉川を見下ろす料亭の二階へ上がり、酒など飲みながら、一人旅の身の旅情をなぐさめる。 **りょそう【旅装】** ○旅の装い。旅のしたく。[文例]〈旅装を整える〉紅葉が見ごろだというので、大急ぎで旅装を整え、列車に飛び乗った。♠〈旅装を解く〉彼女はホテルで旅装を解くと、すぐ街へ見物に出かけた。 **りょっか【緑化】** ○草木を植えて緑豊かにすること。[文例]〈緑化する〉この工場の町を緑化しようと、熱心な努力が重ねられている。♠〈緑化運動〉公害を防ぎ、町に緑を増やそうという緑化運動が盛んになった。 **りょてい【旅程】** ○旅行の日程。[文例]〈旅程を組む〉祖母も同行するというので、ぼくたちは無理のない旅程を組んだ。♠〈旅費にあてる〉ぼくはアルバライト料をそっくりためて、ゼミ合宿の旅費にあてた。 **リラックス** ○くつろいで楽な気分。緊張をほぐすこと。[文例]〈リラックスする〉すっかり緊張している受験者をリラックスさせようと、監督[かんとく]の先生はいろいろ話しかけた。♠〈リラックスムード〉練習試合なので、両チームの選手の間にはリラックスムードが流れていた。 **りりく【離陸】** ○飛行機などが陸を離れて飛び立つこと。[文例]〈離陸する〉飛行機は、飛行場を離陸した。♠今、この国の科学技術は、未来に向かって離陸しようとしている。 **りりし・い(凛凛しい)** ○きりっとひきしまって勇ましい。[文例]〈りりしい姿〉息子は、十年後、立派に成長したりりしい姿で、元気よく帰ってきた。♠〈りりしい若武者〉初陣[ういじん]に戦功をたてたりりしい若武者は、敵味方を問わず、称賛された。♠〈りりしい態度〉敗軍の将であっても、彼の態度は堂々として、りりしかった。♠彼は男らしく、りりしいので、女性はもちろん男性にも好かれていた。 **りれき【履歴】** ○現在までに経てきた学校や職業などの経歴。[文例]〈履歴を見る〉これまでの履歴を見ると、通産省でエネルギー関連の畑を歩いてきた人物らしい。♠〈履歴書〉アルバイトを募集している店へ、履歴書を持参した。 **りろせいぜん【理路整然】** ○話のすじ道が正しく整っているさま。[文例]市役所の係員の理路整然とした説明に、わたしは納得がいった。♠いくら話し言葉といっても、相手がのみ込めるように理路整然と言葉が配列されていなければならない。 **りろん【理論】** ○論理的で系統立った思想・学説。筋道の立った意見・議論。理屈。[文例]〈理論をうち立てる〉この物理学者は、新しい理論をうち立てたことでノーベル賞を得た。♠〈理論と実践[じっせん]〉理論では分かっていても、なかなか実践できないことが多いものだ。♠〈理論と行動〉あの男のもっともらしい理論と実際の行動には、いつも矛盾がある。 <1210> 〈理論上〉理論上は可能でも、現実には不可能ということがある。 **りんかい【臨海】** ○海に面していること。[文例]〈臨海学校〉この夏の臨海学校で、ぼくには大勢の友達ができた。♠〈臨海工業地帯〉一帯は臨海工業地帯として発展し、海沿いにずらりと工場が立ち並んでいる。 **りんかく【輪郭】**(輪廓)○物の形を表す外側の線。顔のかたち。物事のあらまし。[文例]〈輪郭を描く〉車の窓から見える山々は、のこぎりの歯のような輪郭を描いている。♠〈輪郭を取る〉まずだいたいの輪郭を取ってから、細かいところをスケッチしていきましょう。♠〈輪郭がぼやける〉このごろすっかり目が悪くなってしまって、物の輪郭がぼやけて見える。♠〈輪郭が現れる〉車のライトに照らされて、我が家の輪郭が現れた。♠〈はっきりした輪郭〉眼鏡[めがね]をかけたら、ぼやけていたものもはっきりした輪郭をもって見えるようになりました。♠〈顔の輪郭〉あなたは、顔の輪郭がお父さんそっくりですね。♠〈事件の輪郭〉犯人の自供によって、ようやく事件の輪郭が明らかになった。 **りんかん【林間】** ○林の中。[文例]〈林間に見え隠れする〉列車の窓から林間に見え隠れしていた村も、やがて視界から消えていった。♠〈林間学校〉夏休みの林間学校のキャンプファイヤーは、最も楽しい思い出の一つだ。♠〈林間に酒を暖む[あたた]〉唐[とう]の詩人白居易[はくきょい]は、「林間に酒を緩めて紅葉[こうよう]を焼く」と、旧遊の地を思いながら、秋の風情を歌った。 **りんきおうへん【臨機応変】** ○時と場合に応じて適切な判断を下すこと。[文例]〈臨機応変の処置〉たまたま居合わせた体育教師の臨機応変の処置によって、惨事[さんじ]はまぬかれた。♠〈臨機応変に対処する〉計画通りにいくかどうか、その場にならなければわかりませんので、その時は臨機応変に対処してください。 **りんじ【臨時】** ○定まった時でないこと。必要に応じて行うこと。一時的なものであること。[文例]〈臨時の支出〉今月は何かと臨時の支出が多かった。♠〈臨時の仕事〉今やってもらっているのは臨時の仕事で、一週間ほどで終わります。♠〈臨時にやとう〉夏は店のかきいれ時なので、臨時に人をやといます。♠〈臨時ニュース〉番組の途中で、テレビが臨時ニュースを伝えた。♠〈臨時休業〉いつもの八百屋さんは閉まっていて、「臨時休業」のふだがかかっていた。♠〈臨時ダイヤ〉夏の観光シーズンは、列車は臨時ダイヤで運行されます。 **りんじゅう【臨終】** ○死にぎわ。末期[まつご]。[文例]〈臨終に立ち会う〉危篤の知らせにとるものもとりあえずかけつけて、祖父の臨終に立ち会った。♠〈臨終が迫る[せま]〉臨終の迫った老婆[ろうば]は、何かしきりにうわごとを言った。 **りんしょう【臨床】** ○実際に患者に接して、診察・治療すること。[文例]〈臨床講義〉インターンたちは、臨床講義を真剣な面もちで聞いている。♠〈臨床経験〉彼は医大を卒業したばかりで、臨床経験もまだ浅い。♠〈臨床例〉教授は臨床例を挙げて、その病気の治療法を説明した。 **りんじょうかん【臨場感】** ○実際にその場にいるような感じ。[文例]〈臨場感あふれる〉衛星中継は臨場感にあふれ、日本のわたしたちもオリンピックに熱狂した。♠〈臨場感を盛り上げる〉この映像は、巧みな技法によって臨場感を盛り上げている。 **りんしょく(吝嗇)** ○極度に物を惜しむさま。けち。[文例]〈吝嗇な人〉氏は大金持ちなのに吝嗇な人で、電気代が惜しいと廊下の電気を消して歩くそうだ。♠〈吝嗇家〉本家のおじいさんは吝嗇家で、ささいなお金でも出すのを渋る。 **りんじん【隣人】** ○隣近所に住んでいる人。身近な人。[文例]〈隣人と協力する〉隣人と協力して、毎週交替で道路の清掃[せいそう]をすることになった。♠〈隣人を愛する〉己[おのれ]のごとく汝[なんじ]の隣人を愛すべし。(新約聖書マタイ伝)♠〈隣人愛〉夫人は、困っている人がいると見捨てておけないという、隣人愛の持ち主でした。 **りんせき【臨席】** ○会や式などに出席すること。[文例]〈臨席のもと〉式典は皇太子殿下の臨席のもとに、厳粛[げんしゅく]に進められた。♠〈臨席する〉本日はお忙しいなかをご臨席いただき、誠にありがとうございます。 **りんせつ【隣接】** ○隣り合っていること。[文例]〈隣接する〉工場に隣接する住宅地では、日夜騒音[そうおん]に悩まされていた。♠〈隣接地〉この住宅街の隣接地は、緑の多い公園になっている。 **りんね(輪廻)** ○霊魂[たましい]が生まれ変わり死に変わり、いつまでも迷いの世界をめぐること。流転[るてん]・転生[てんしょう]。[文例]〈輪廻する〉人の魂は、生まれ変わり死に変わり、滅び[おろ]ることなく形を変えて輪廻すると、仏教は教えている。♠〈輪廻の思想〉輪廻の思想を信じているわたしは、今度生まれ変わる時は、鳥になって自由に空を飛びたいと思う。 **りんり【倫理】** ○人として行うべき正しい道。道徳。[文例]〈政治・企業の倫理〉汚職事件の起こるたびに、政治の倫理や企業の倫理が問われる。♠〈倫理的な生き方〉もし、人が社会から孤立して生活できるなら、倫理的な生き方など不要である。 **りんりつ【林立】** ○多くのものが立ち並ぶこと。[文例]〈ビルが林立する〉駅前は古い商店が壊されて、いつのまにかビルが林立していた。♠〈煙突が林立する〉遠くから工場の煙突が林立するのが見えた。 **りんりん(凜凜)** ○寒さがきびしく身にしみるさま。りりしく勇ましいさま。[文例]〈凛々と身にしみる〉凛々と身にしみる北の都の冬は、わたしには初めての経験だった。♠〈勇気凛々〉おばあさんにきびだんごをもらった桃太郎[ももたろう]は、勇気凛々鬼が島へ向かいました。 **りんれつ(凜冽)** ○寒さが非常に厳しいさま。[文例]〈凛冽の気〉小屋から一歩踏み出すと、そこには凛冽の気に満ちた白一色の北の大地があった。 <1211> **る** **るい【類】** ○性質などが似ているものの集まり。仲間。たぐい。生物の分類上用いる語。[文例]〈類人猿[るいじんえん]〉類人猿とは、サルの中で最も進化して人類に近いゴリラ・テナガザル・オランウータン・チンパンジーの類を言う。♠〈類を見ない〉万葉集は、約四千五百首の作品を収め、作者の層の厚さにおいて、他に類を見ない。♠〈類がない〉法隆寺[ほうりゆうじ]は、現存の木造建築物としては世界最古で、他に類がないそうだ。♠〈類は友を呼ぶ〉「類は友を呼ぶ」というが、釣り好きの兄の仲間は、皆[みな]、釣りマニアばかりだ。 **るい【累】** ○かかわり合い。好ましくない影響。迷惑[めいわく]。[文例]〈累を及ぼす〉集団生活では、個人の勝手な行動が他に累を及ぼすことが多い。♠〈累が及ぶ〉自分に累の及ぶことを恐れて、そ知らぬ顔で争いの場をはなれた。 **るいえん【類縁】** ○親類。一族。互いに近い関係にあること。[文例]〈類縁がある〉一見、両極端にある意見も、その考え方とか発想とかいう観点に立てば、意外なほど類縁があるものである。♠〈類縁性〉どんなにかけ離れて見える文明も、同じ人類である限り類縁性に基づくことがわかる。 **るいか【累加】** ○次々と重なり加わること。重ね加えること。[文例]〈累加する〉調査が進むにつれて次々に不祥事[ふしようじ]が暴かれ、そのたびごとに世間の非難も累加されていった。 **るいけい【類型】** ○あるものの全体に共通する型。似かよった型。ありふれた型。[文例]〈文の類型〉〈類型を挙げる〉ここには手紙で用いる時候のあいさつ文の類型が挙げられている。♠〈類型的〉花鳥風月[かちようふうげつ]というのは、日本画の伝統的かつ類型的な題材であった。 **るいじ【類似】** ○よく似ていること。[文例]〈類似した品物〉有名ブランド商品と類似した品物が出回っているらしい。♠〈類似の現象〉一度世間を騒が[さわ]すような事件が起きると、類似の現象が続くのは不思議だ。♠〈意味が類似する〉言葉には意味が類似しているものも多いが、たいてい微妙[びみよう]な点で違っているものだ。♠〈類似点〉二つの短歌に、表現上の類似点がある。♠〈類似品〉当社の製品は、原料に本皮を使っております。類似品に御注意ください。 **るいしょう【類焼】** ○よそで起こった火事が燃え移って焼けること。[文例]〈類焼をまぬかれる〉昨夜隣家から出火しましたが、幸いに発見が早く類焼はまぬかれました。♠〈類焼する〉材木置場から出火、折からの強風にあおられて数軒が類焼した。 **るいすい【類推】** ○似ている点をもとにして推測すること。[文例]〈類推する〉過去十年間の試験問題から類推して、この予備校の模擬試験が作成された。♠〈類推する〉一連の犯行は同一犯人のしわざと見られ、次の犯行の手口や場所も類推しやすいと警察は考えていた。 **るい・する【類する】** ○同じ類に属する。似る。[文例]旅に出ると、だれもいくぶんか無責任かそれに類する気持ちになるものである。♠氏は売名に類する行為を嫌[きら]って、どの団体から頼まれても自分の名前を貸さなかった。 **るいせき【累積】** ○積み重なること。積み重ねること。[文例]〈累積する〉食物に含まれる微量[びりよう]な有害物も、長い年月に累積すれば重大な結果を生む。♠〈累積赤字〉会社の経営は、ここ数年の累積赤字のために、相当苦しい状況にあった。 **るいせん(涙腺)** ○涙を分泌する腺。[文例]〈涙腺がゆるむ〉「年を取ると涙腺がゆるんで……。」と、祖母は何でもないことでも涙を流すようになった。♠〈涙腺が弱い〉客の苦労話が始まると間もなく、涙腺の弱い母の目には涙が浮かんだ。 **るいひ【類比】** ○比較すること。類推。[文例]〈類比する〉この二つのケースは条件が違い過ぎるので、類比して結論を出すことはできない。 **るいべつ【類別】** ○種類によって分けること。分類。[文例]〈類別する〉商品を価格と購買年齢層によって類別し、売り上げの変化を表にしてみた。♠〈類別する〉若者の間では、血液型によって仲間どうしの性格を類別することが流行している。 **るいるい【累累】** ○物が重なり合っているさま。物が連なって続くさま。[文例]〈累々と重なる〉眼下は、崩れ落ちた岩石が累々と重なり合う荒磯[あらいそ]であった。♠〈累々と横たわる〉戦場は、累々と横たわる死者の山である。 **るいれい【類例】** ○似かよった例。同じような例。[文例]〈類例がない〉博士の研究は、世界に類例のないものとして、科学者の注目を浴びた。♠〈類例が少ない〉彼ほど正面から困難な状況を引き受け、それに耐えた文学者は類例が少ない。♠〈類例を見ない〉どの国の国粋[こくすい]主義者も、祖国の歴史の独自性は他に類例を見ないなどという。 **ルーズ** ○だらしないさま。しまりがないさま。[文例]〈時間にルーズ〉時間にルーズな女だから、きっと遅れてくるさ。♠〈ルーズな性格〉なにしろルーズな性格なもので、はたの人に迷惑[めいわく]をかけています。 **ルート** ○道路。道すじ。経路。[文例]〈ルートをたどる〉犯人の立ち回りそうなルートをたどると、福井県のある小さな漁村が捜査線上に浮かび上がった。♠〈外交ルート〉〈ルートにのせる〉外交ルートにのせれば、事は簡単に片づくのだが、同国とは国交がなかった。♠〈密輸ルート〉東南アジアから大麻[たいま]を運ぶ、大がかりな密輸ルートが摘発[てきはつ]された。♠〈販売ルート〉売り上げを上げるためには、商品の販売ルートを整備する必要がある。 **ルール** ○規則。きまり。[文例]〈基本的なルール〉「おにごっこ」という遊びにも、いくつかの基本的なルールがあります。♠〈ルールを守る〉空き缶で山をよごさないよう、ルールはみんなで守りましょう。♠〈ルールに従う〉スポーツにはきまりがあり、ルールに従ってゲームをするところに、厳しさとおもしろさがある。♠〈ルールを守る・破る〉社会には、守らなければならないルールがあり、そのルールを破れば罰[ばつ]を受けます。♠〈ルールに反する〉少数意見だから無視するというのでは、民主主義のルールに反する。♠〈ルールを設ける〉ぼくたちは、広場をみんなで使うために、いくつかルールを設けた。 <1212> **るす【留守】** ○家人が不在の家で番をすること。留守番。留守居。外出して家にいないこと。他に気をとられておろそかになること。[文例]〈留守を預かる〉彼の山荘[さんそう]に着くと、留守を預かっているという老人がでてきて、わたしたちを部屋に案内してくれた。♠〈留守を守る〉若い妻は、幼い二人の子供を抱え[かか]、出稼ぎ[でかせ]の夫の留守をよく守った。♠〈留守を頼む[たの]〉おばさんに留守を頼まれたので、いとこのお守りを兼ねて、留守番を引き受けた。♠〈留守をする〉母は、わたしと妹に、「けんかをしないで留守をしてね。」と言って出かけた。♠〈留守にする〉午後からは留守にしますので、午前中においでください。♠〈留守の間〉友達が留守の間に上がり込んで、ぼくの部屋で昼寝[ひるね]をしていた。♠〈勉強がお留守になる〉このところ、遊んでばかりいたので、勉強がすっかりお留守になってしまった。♠〈留守宅〉海外出張中の夫が交通事故にあったという知らせが留守宅に届いた。♠〈居留守〉なんだ、いたのか。だめじゃないか居留守なんか使っちゃ。 **るつぼ(坩堝)** ○物を溶かす耐熱性の容器。熱狂している状態。多くの種類のものが入りまじっていることのたとえ。[文例]〈興奮のるつぼと化する〉コンサート会場は、人気歌手の一挙手一投足に歓声が上がり、興奮のるつぼと化した。♠〈人種のるつぼ〉世界各国の人々が集まるこの町は、人種のるつぼといわれる。 **るてん【流転】** ○生死・因果が限りなく続くこと。輪廻[りんね]。定めなく移り変わること。[文例]〈生々流転〉仏教では、人の肉体は滅び[ほろ]ても、魂[たましい]は生々流転して生きつづけると信じられている。♠〈流転する〉戦禍[せんか]で住む土地を追われ、各地を流転する難民の姿が見られた。♠〈流転の人生〉旅役者の一座の中で育ち、舞台に立ったわたしは流転の人生を送った。 **るふ【流布】** ○広く世の中に行き渡ること。[文例]〈流布する〉古老たちの話を聞くと、世間で流布されているのとはだいぶ異なる事件の姿が見えてきた。♠〈流布本〉古典作品は人の手を経るうちに原本とは異なるテクストが現れ、それも流布本として行き渡る。 **るる(縷縷)** ○細く長くとぎれることなく続くさま。こまごまと話すさま。[文例]〈縷々として〉何があったのだろう、隣の部屋からは縷々として女の泣き声が続いた。♠〈縷々として〉夫人の話は縷々として、いつ果てるともしれなかった。♠〈縷々説明する〉市から職員がやって来て、ゴミ焼却施設の重要性を縷々説明していった。 **るろう【流浪】** ○あてもなくさまよい歩くこと。さすらい。[文例]〈流浪の民〉部族間の争いに敗れた者たちは、故郷を追われ、流浪の民となった。♠〈流浪する〉俳人種田山頭火[たねださんとうか]は、各地を流浪して生涯を終えた。 **れい** **れい【礼】** ○対人関係上守らなければならない作法。礼儀。お辞儀。感謝の気持ちを表す言葉・金品。謝礼。[文例]〈お礼のしるし〉先日お世話になったお礼のしるしに、ささやかな物をお送りしました。♠〈お礼の手紙〉定期券を拾って送ってくれた親切な人に、お礼の手紙を書いた。♠〈礼を言う〉近所のおばさんが、小包を預かっておいてくれたので、礼を言って受け取ってきた。♠〈お礼をする〉お世話になった方には、きちんとお礼をしておきなさい。♠〈礼を述べる〉電車の中でお年寄りに席を譲っ[ゆず]たら、丁重[ていちよう]に礼を述べられた。♠〈礼を尽くす〉高齢[こうれい]の師匠[ししょう]に、弟子たちは礼を尽くして最後の教えを請うた。♠〈礼をする〉クラブの先輩に会うと、一年生は廊下[はし]の端によけて礼をしました。 **れい【例】** ○手本として示す物事。今までにあった同じような物事。以前から行われている事柄。いつものこと。[文例]〈例を引く〉〈身近な例〉動物が、どのようにして強敵から身を守るか、先生は、身近な例を引いて話してくださった。♠〈例が多い〉昔は、三つ子が育つだけでも珍しい例だったが、今は医学の発達のおかげで、五つ子も例が多くなった。♠〈例がない〉空から魚が降ってきたなんて話は、今まであまり例がない。♠〈例を挙げる〉人間の役に立つ虫を益虫というと、どんなものがいるか例を挙げよ。♠〈例にとる〉先生は、『平家物語』を例にとって、日本の文学と仏教思想について講義された。♠〈例にならう〉音楽の時間、先生の例にならって笛を吹く練習をした。♠〈例にもれない〉中年になると太るというが、うちの母も、その例にもれない。♠〈例になく〉おしゃべりな彼女が、今日は例になくおとなしくしています。♠〈例によって〉渡り鳥たちは、今日も例によって、見通しのきく所をえさ場に選んで舞い降りてきた。♠〈例のごとく〉机に向かうとまもなくわたしは、例のごとく眠ってしまった。♠〈例によって例のごとし〉例によって例のごとし、自分の話をするだけで、人の言うことを聞こうとしない。♠〈例の場所〉いつもみんなで集まる例の場所が、工事でつぶされそうなんだ。 **れい【霊】** ○たましい。霊魂。[文例]〈霊が宿る〉〈死者の霊〉死者の霊がみこに宿り、みこを通して死者の言葉を伝えると いう。♠〈霊をまつる〉〈先祖の霊〉お盆は、先祖の霊をまつる日本の伝統的な行事だ。♠〈霊のたたり〉その池には、身を投げた人の霊がとどまっていて、近づくとたたりがあるという。♠〈霊を慰める[なぐさ]〉戦死者の霊を慰めるために、碑が建てられた。 **れいがい【冷害】** ◎異常な低温や日照不足などで受ける農作物の被害。[文例]八月に入っても肌寒い日が続き、冷害の心配がささやかれていた。♠〈冷害にみまわれる〉その年、東北、北海道は記録的な冷害にみまわれた。 **れいがい【例外】** ○普通一般の例にあてはまらないこと。[文例]〈例外を認める〉今回だけは特別に例外を認めますが、この次からは必ず規則を守ってください。♠〈例外を作る〉ここで例外を作らないほうが、あとあとのためになるだろう。♠〈例外を除く〉今までに子供向けの名作と言われた映画は、いくつかの例外を除くと、夏休みか冬休みに上映されている。 <1213> 〈例外がある〉ものごとには必ず例外があって、そんなに定規で測ったようにはいかないよ。♠〈例外となる〉同じいたずらをしても、その子だけは例外となって先生にしかられない。♠〈例外のない規則はない〉確かにルール違反ですが、例外のない規則はないといいますから、今度だけは大目に見ましょう。♠〈例外なし〉担任の佐藤先生は、例外なしにクラスのみんなに信頼されている。 **れいかん【霊感】** ○祈りに対する神仏の不思議な反応。神仏から受けたような不思議なひらめき。インスピレーション。[文例]〈霊感を受ける〉この霊媒師[れいばいし]は十五歳の時に突然霊感を受け、それから本格的に修行をしたという。♠〈霊感がはたらく〉作者に霊感がはたらいたとしか思えないような、作品のすばらしい出来ばえだった。 **れいき【冷気】** ○冷たい空気。[文例]〈戸外の冷気〉〈冷気が流れる〉窓を開けると戸外の冷気が流れこんだ。♠〈朝の冷気〉〈冷気に触れる〉すがすがしい朝の冷気に触れたくて窓を大きく開けた。♠〈冷気がしみる〉雪国の夜の冷気が身にしみます。 **れいぎ【礼儀】** ○社会生活上守らなければならない作法。[文例]電話をかけるときには、まず自分から名乗るのが礼儀です。♠〈礼儀を知らない〉〈礼儀正しい〉このごろの若者は礼儀を知らないと言われるが、むしろ礼儀正しい若者がふえたと思います。♠〈礼儀を欠く〉目上の人には礼儀を欠くべきではない。♠〈礼儀にかなう〉ものを頼む[たの]ときには、まず相手のつごうを聞いてから、自分のつごうを話すのが礼儀にかなったやり方だ。♠〈礼儀に反する〉待ち合わせの時間に遅れて、相手を待たすのは礼儀に反した行為だ。♠〈礼儀作法をわきまえる〉彼女は若いのに、礼儀作法をよくわきまえている。♠〈親しき中にも礼儀あり〉〈礼儀を守る〉「親しき中にも礼儀あり」というから、友人どうしでも礼儀を守るべきだ。 **れいきゃく【冷却】** ○冷えること。冷やすこと。[文例]〈冷却する〉車のラジエーターは、水を送ってエンジンを冷却します。♠〈冷却期間〉今は互いに興奮しているので、冷却期間を置いてもう一度話し合おう。 **れいぐう【冷遇】** ○冷淡なもてなしをすること。粗末な扱い。[文例]〈冷遇を受ける〉実力はあるのに会社で冷遇を受けていると感じているサラリーマンは非常に多い。♠〈冷遇に耐える〉こまづかいに似た冷遇に耐えて働きつづけ、ついに店を持たせてもらった。♠〈冷遇する〉途上国の研究生ということで、研究室では冷遇されていた。 **れいけつ【冷血】** ○体温が低いこと。思いやりや愛情などがないこと。[文例]男は、冷血で感情を押し殺した暗い目をしていた。♠〈冷血漢〉あんたのような血も涙もない冷血漢に、人の気持ちがわかってたまるか。♠〈冷血動物〉ヘビやカエルのように、外界の温度によって体温が変化するものを冷血動物という。 **れいげん【冷厳】** ○冷たくて厳しいさま。おごそかで動かしがたいさま。[文例]〈冷厳な批評〉冷厳な批評を貫いた評論家だったが、創作者に対する尊敬と、新人への励ましを忘れない人でもあった。♠〈冷厳な事実〉遺体を前にして、友の死を冷厳な事実として認めざるをえなかった。 **れいげん【霊験】** ○祈願などに対する不思議な効き目。ご利益。れいけん。[文例]〈霊験あらたか〉村はずれのお地蔵さまは霊験あらたかで、村人の願いをよく聞き届けてくださった。♠〈霊験がある〉入学試験もいよいよという二月になって、霊験のある天神様の御札[ふだ]を祖母からもらった。 **れいこう【励行】** ○努力して実行すること。定められた通りに行うこと。[文例]〈励行する〉夏休みになっても、早寝早起きを励行して規則正しい生活をしましょう。♠〈励行する〉小さいうちから食後の歯磨き[はみが]を励行しています。♠〈時間励行〉会議で重要なことの一つに時間励行があります。 **れいこく【冷酷】** ○冷たくて残酷なさま。無慈悲。[文例]〈冷酷な人間〉ユダヤ人にとって、ヒトラーは、大勢の同胞[どうほう]を虐殺[ぎやくさつ]した血も涙[なみだ]もない冷酷な人間だ。♠〈冷酷な環境[かんきよう]〉この作品は、冷酷な環境と闘う少年の孤独[こどく]を描い[えが]て、読者の涙と共感を誘う[さそ]。♠〈犯行が冷酷〉被告の犯行は、冷酷非情であり、反省の様子も見られない。♠〈冷酷な領主〉いくら冷酷な領主でも、これ以上農民から年貢[ねんぐ]をとり立てるわけにはいかなかった。 **れいこん【霊魂】** ○たましい。霊。[文例]〈死者の霊魂〉死者の霊魂は、愛する者たちを天国から見守っているのだろう。♠〈霊魂の不滅〉わたしは、幼い時から霊魂の不滅を信じてきた。 **れいさい【零細】** ○きわめて小さいこと。規模が小さく貧弱なさま。[文例]〈零細な工場〉我が家は、両親と二、三人の従業員が働く零細な町工場[まちこうば]だった。♠〈零細経営〉今年は、卵の価格の大暴落のため、零細経営の養鶏[ようけい]農家は苦境に立たされている。 **れいじ【例示】** ○例として示すこと。例を挙げて示すこと。[文例]〈例示する〉くどくどと言葉で説明されるより、具体的なデータで例示してもらったほうがわかりやすい。 **れいじゅう【隷従】** ○家来となってつき従うこと。隷属。[文例]〈隷従する〉権力者や強い者に隷従することは、弱い庶民としては仕方のないことなのでしょうか。 **れいしょう【冷笑】** ○さげすんで笑うこと。[文例]〈冷笑を受ける〉質問はあまりにとっぴだったので、参加者の冷笑を受けることとなった。♠〈冷笑する〉同人誌に発表したわたしの作品は、合評会で同人たちから冷笑された。 **れいしょう【例証】** ○例をあげて証明すること。証拠としてあげる例。[文例]〈例証する〉彼は、自分の意見がいかに正論であるかを例証していった。 **れいじょう【礼状】** ○お礼の手紙。[文例]〈礼状を出す〉訪問や見学などでお世話になったところへは必ず礼状を出しましょう。♠〈礼状を書く〉夏休みに泊めてもらった友人の家へ、今日礼状を書いた。 **れいじょう【令状】** ○命令を記した書状。裁判所が発行する命令書。[文例]〈令状が届く〉事件の公判の日が決まり、関係者には裁判所から出頭を命じる令状が届いた。♠〈逮捕令状〉十分な証拠[しょうこ]がそろったので、警察は裁判所に対し逮捕令状を請求した。 <1214> 〈召集令状[しょうしゅう]〉召集令状は、戦争中には俗に赤紙[あかがみ]と言われていた。 **れいじょう【令嬢】** ○他人の娘の敬称。[文例]〈美しい令嬢〉名家の美しい令嬢は、ぼくたちにはまぶしく見えた。♠〈社長令嬢〉こんど入社した三木さんは、取り引き先の会社の社長令嬢だそうです。 **れいすい【冷水】** ○冷たい水。[文例]〈冷水を浴びる〉修行僧たちは、冷水を浴びて心身を清めます。♠〈冷水摩擦[まさつ]〉おじいさんは、毎朝冷水摩擦をして体を鍛えています。 **れいせい【冷静】** ○落ち着いていて理性的にふるまうさま。[文例]〈冷静な判断〉消防士は、猛火[もうか]のなか、冷静な判断で、人々を安全な場所へ誘導[ゆうどう]した。♠〈冷静な目〉自分の心の中を冷静な目で見つめ、偽り[いつわ]のない言葉で文章に書くのは、意外に難しい。♠〈冷静に話す〉けんかの原因は何なのか、そんなに興奮しないで、一人ずつ冷静に話してごらん。♠〈冷静をよそおう〉本心を見すかされて、表面は努め[つと]て冷静をよそおったが、胸がどきどきしていた。♠〈冷静を失う〉まだ若く短気だった父は、子供たちの反抗[はんこう]に冷静を失い、よくぼくらをなぐったものだ。♠〈冷静さを保つ〉生命の危険にさらされても冷静さを保つことはたいへん難しい。 **れいせつ【礼節】** ○礼儀と節度。[文例]〈礼節を重んじる〉中国人は、礼節を重んじる国民であると聞く。♠〈衣食足りて礼節を知る〉「衣食足りて礼節を知る」は、礼儀や道徳は食うや食わずの生活からはうまれないことをいっています。 **れいせん【冷戦】** ○武力による衝突はないが、激しい敵対関係にあること。[文例]〈冷戦が続く〉ソ連とアメリカの間では、第二次大戦後依然として冷戦が続いていた。♠〈冷戦状態〉この前の親子げんかが尾をひいて、息子とは口もきかない冷戦状態に入っている。 **れいぜん【冷然】** ○冷たく無情なさま。冷ややかなさま。[文例]〈冷然として〉すがる女に対して、男は無言のまま、冷然としてたばこに火をつけた。♠〈冷然とかまえる〉目を上げると、敵兵が冷然と銃をかまえていた。♠〈冷然と立つ〉警官は、まるで世界の正義を代表するかのように冷然とぼくの前に立っている。♠〈冷然たる態度〉筋の通らない息子の要求を、父親は冷然たる態度でしりぞけた。 **れいそう【礼装】** ○儀式などに出る時に着る正式な服装。[文例]桜の木の下では、真新しい学生服の子供と付き添いの礼装の父母が晴れがましい様子で立っていた。 **れいぞう【冷蔵】** ○低温で貯蔵すること。[文例]〈冷蔵する〉電気のなかった昔は、自然の氷室[ひむろ]などを利用して、食物を冷蔵していた。♠〈冷蔵庫〉暑かったでしょう。冷蔵庫に麦茶が冷やしてありますよ。 **れいぞく【隷属】** ○他の支配下にあること。隷従。[文例]〈隷属する〉第二次大戦後、独立国がずいぶん増えましたが、それでもまだ大国に隷属している国もあります。 **れいたん【冷淡】** ○冷たくて思いやりのないさま。関心がないさま。[文例]〈他人に冷淡〉だれでもそうなのだが、他人の不幸に対して、冷淡であることが多い。♠〈冷淡な返事〉彼女に心を打ち明けた手紙を送ったら、冷淡な返事がきてがっかりした。♠〈冷淡な目で見る〉いつも思ったとおりずけずけ発言するわたしを、みんなは冷淡な目で見ている。♠〈問題・仕事に冷淡〉あの子は、勉強には熱心だが、学級の問題や共同でする仕事には冷淡だ。 **れいてつ【冷徹】** ○冷静で物事をよく見通しているさま。[文例]〈冷徹な人〉ダイナマイトの発明者ノーベルは、冷徹な企業人[きぎようじん]であったという。♠〈冷徹な目〉これは、現実を冷徹な目で見つつ、孤独な人間存在を追求した作品である。 **れいとう【冷凍】** ○食物などを保存するために凍らせること。[文例]〈冷凍する〉残ったご飯は、冷凍して保存します。♠〈冷凍食品〉電子レンジの普及によって、短時間で解凍して食卓に出せる冷凍食品も増えた。♠〈冷凍人間〉保冷車に乗せられたのでは、こちらまで冷凍人間になってしまう。 **れいねん【例年】** ○いつもの年。[文例]〈例年になく〉今年は例年になく雪の多いお正月でしたね。♠〈例年の通り〉今年の運動会は、例年の通り十月十日の体育の日に行います。 **れいの【例の】** ○いつもの。[文例]〈例の店〉五時半には例の喫茶店に着けるから、先に行って待っているよ。♠〈例のわがまま〉あの子の病気は、例のわがままだから、心配することはないよ。♠〈例の通り〉約束の時間に待っていたのに、向こうは例の通り遅刻です。 **れいば(冷罵)** ○冷たく、あざけりののしること。[文例]〈冷罵を浴びせる〉仕事に失敗して帰ると、親方から頭ごなしに冷罵を浴びせられ、泣き泣き自分の部屋に引き取った。♠〈冷罵する〉敗れてリングにうずくまる彼の耳に、観衆の冷罵する声が響いていた。 **れいはい【礼拝】** ○神を拝むこと。[文例]〈礼拝に行く〉熱心な信者ですから、日曜日は教会へ礼拝に行きます。♠〈礼拝堂〉ミサの時間になると、教会の礼拝堂には村人たちが集まってくる。 **れいひょう【冷評】** ○冷淡な批評をすること。また、冷淡な批評。[文例]〈冷評を受ける〉処女作は批評家の冷評を受けたが、それであきらめなかったのがよかった。♠〈冷評する〉世間の人はおおむね冷評したが、恋人だけはこの作品がいいと言ってくれた。 **れいびょう(霊廟)** ○先祖や偉大な先人の霊をまつった建物。[文例]歴史上の偉人をまつった霊廟が、そのまま神社として人々の信仰の対象となる場合もある。♠最近は、犬や猫などペットのために立派な霊廟を持っているお寺もあるという。 **れいぼう【冷房】** ○室温を人工的に外気よりも低くすること。また、その装置。[文例]〈冷房が入る〉近ごろは五月でも、車内が暑くなると電車内に冷房が入ります。♠〈冷房がきく〉冷房がきき過ぎたせいか、タクシーを降りて炎天下に出ると頭がくらくらした。♠〈冷房が強い〉冷房は強すぎないよう注意しましょう。♠〈冷房をつける〉暑くなってきましたから冷房をつけます。♠〈冷房を止める〉だれだ、冷房を止めたのは、暑くて仕事にならないじゃないか。♠〈冷房する〉三時にお客様が見えますから、応接間が涼しくなるよう冷房しておいてね。 <1215> **れきし【歴史】** ○人間社会の移り変わりの様子。また、その記録。事物や個人などが経てきた経過。[文例]〈古い歴史をもつ〉日本語は、古い歴史をもち、独自の文化を築いてきた伝統ある言語である。♠〈歴史に残る〉富士山の噴火[ふんか]は、記録として歴史に残っているだけでも、十数回に及ぶ[およ]という。♠〈国の歴史を知る〉それぞれの国の歴史を知れば、その国の人々を、よりいっそう理解することができるはずだ。♠〈生活の歴史を秘める〉身近な行事一つにしても、人々の生活の歴史が秘められているに違いない。♠〈歴史を作る〉国の歴史を作ってきたのは、このような名もない人々であった。♠〈歴史をひもとく〉現在に至るまでの歴史をひもとき、将来の指針としよう。♠〈歴史は繰り返す〉歴史は繰り返すというが、備えをおこたれば天災はきっと大きな被害をもたらすだろう。 **れきぜん【歴然】** ○非常にはっきりしているさま。[文例]〈歴然とする〉足跡が残されているのだから、侵入した者があることは歴然としている。♠〈歴然とわかる〉客の表情を見ているだけで、買う気があるかどうかは歴然とわかる。♠〈歴然たる事実〉きみたちがあのかわいそうな老人を悲しませたのは歴然たる事実だ。 **れきだい【歴代】** ○代々。[文例]〈歴代の王〉王冠の形は、歴代の王によってそれぞれ異なった特徴[とくちよう]をもっていた。♠〈歴代の総理大臣〉ぼくは、歴代の内閣総理大臣の名前を全部言えます。♠〈森林内の狩猟[しゆりよう]の権利は、歴代アッシェンバッハ家が占めてきた。 **れきにん【歴任】** ○次々に各種の役職に任命されてきたこと。[文例]〈歴任する〉氏は総務庁の要職を歴任したあと、関係業界の一企業に天下りしたそうだ。 **れきほう【歴訪】** ○いろいろな土地・人を次々に訪ねること。[文例]空港は、アジア各国を歴訪中のローマ法王を迎える人でごった返していた。♠〈歴訪する〉皇太子殿下は、初めてヨーロッパ各国を歴訪された。 **レギュラー** ○正式。正規。正選手。正式のメンバー。[文例]〈チームのレギュラー〉ぼくも早くチームのレギュラーになって、試合で活躍したいな。♠〈番組のレギュラー〉クイズ番組には、人気タレントがレギュラーで出演することが多い。 **れきれき【歴歴】** ○非常にはっきりしているさま。歴然。身分・地位の高い人々。[文例]〈歴々とする〉調査書のデータからしても、国側の責任は歴々としている。♠〈お歴々〉商工会のお歴々がそろって会議が始まりました。 **レコード** ○記録。最高記録。音楽などを録音した円盤。[文例]〈レコードを作る〉大ヒットした彼の映画は、観客動員数でレコードを作った。♠〈レコードを破る〉これまでのレコードを破る、ベストセラーが誕生[たんじよう]しました。♠〈レコードを更新[こうしん]する〉日本記録をもつこの選手は、今大会でも、自己のレコードを更新した。♠〈レコードを聞く〉勉強は済んだ。さて、レコードでも聞こうか。♠〈レコードをかける〉わたしが帰るまで、レコードでもかけて待ってて。 **レジャー** ○余暇。余暇を利用して行う遊び。[文例]〈レジャーを楽しむ〉この連休は、多くの人が海外でレジャーを楽しみました。♠〈レジャーを利用する〉最近では、レジャーを利用して、スポーツや趣味を楽しむ女性がふえています。♠〈レジャーに費やす時間〉週休二日制になって、レジャーに費やす時間が多くなった。♠〈レジャーの過ごし方〉これだけ自分の時間がふえてくると、レジャーをどう過ごすかが問題になってきます。♠〈サラリーマンのレジャー〉サラリーマンの場合、レジャーといえば、パチンコかゴルフというありさまだった。♠〈レジャー施設[しせつ]〉最近の大きなスキー場には、あらゆるレジャー施設がととのっているそうだ。 **レール** ○線路。軌道。引き戸やカーテンを移動させるための細長いもの。[文例]〈レールが走る〉雪原を突っ切るようにレールが走っていた。♠〈レールを敷く〉ベテランの営業所長が苦労して敷いたレールの上を、わたしたち若い営業マンは走って行けばよかった。♠〈カーテンのレール〉カーテンのレールの取り付けは、背の高いあなたがやってね。 <1216> **れっき**【列記】 〇並べて書くこと。[文例]**<列記[れつき]する>** 辞典には、その編集にたずさわった人の名が列記されていた。 **れっきとした**【歴とした】 〇世間から認められているさま。はっきりした。確かな。[文例]**<れっきとした家柄>** 母は、その地方では古くから続くれっきとした家柄の出だった。♠**<れっきとした証拠>** わたしには自信があったのだ、これだけれっきとした証拠がそろっていたのだから。 **れっきょ**【列挙】 〇並べ立てること。数え立てて挙げること。[文例]**<列挙[れつきよ]する>** 日本が輸入に頼っている主な工業原料を、七つ列挙せよ。♠**<悪事を列挙する>** あの男の悪事を、いちいち列挙していたら、きりがないよ。♠**<条件を列挙する>** きみが列挙する条件にかなうような人間は、まず見つからないだろうな。♠**<理由を列挙する>** 市役所の人は、ここに工場が建てられない理由を列挙して、会社に建築中止を要請した。 **レッスン** 〇けいこ。練習。授業。[文例]**<レッスンを受ける>** わたしは週二回、英会話のレッスンを受けている。♠**<レッスンをする>** 毎日、少なくとも五時間はピアノのレッスンをします。♠**<レッスンを怠ける>** バレーダンサーは、一日でもレッスンを怠けると動きがにぶるといわれる。♠**<歌のレッスン>** わたしの歌のレッスンは、まず、発声練習から始まった。♠**<厳しいレッスン>** 彼女の今日(こんにち)の成功は、長年の厳しいレッスンのたまものです。 **れつ**【列】 〇順に長く並んだもの。行列。仲間。[文例]**<列[れつ]を作る>** アリたちは、列を作って砂糖と巣の間を往復している。♠**<列[れつ]をなす>** 登校途中の子供たちが、列をなして歩いているところへ、暴走車が突っ込んだ。♠**<列[れつ]を離れる>** **<列[れつ]にもどる>** 列を離れた人は、すぐに元の列にもどってください。♠**<葬式(そうしき)の列[れつ]>** **<列[れつ]に続く>** 葬式の列が、ゆっくり通り過ぎ、子供たちが列の後に続いていく。♠**<列[れつ]を乱す>** **<列[れつ]に割り込む>** 駅のホームで、乗車の列を乱して割り込もうとする人をときどき見かける。♠**<列[れつ]に並ぶ>** つぎの特急電車をお待ちの方は、乗車位置に、三列にお並びください。♠**<列[れつ]に加わる>** 式場では、わたしも来賓の列に加わった。♠**<長蛇の列>** 食料の配給に長蛇の列ができる難民キャンプの写真を見て、胸がしめつけられた。♠**<式に列する>** 市制三十周年に、市の発展に功労のあった人々が招かれて式に列した。 **れつあく**【劣悪】 〇品質などが劣っていて悪いさま。[文例]**<劣悪[れつあく]な品>** 健康食品と銘(めい)うって、何の効果もない劣悪な食品が市場に出回っている。♠**<劣悪[れつあく]な住宅>** 人口の都市集中と地価の暴騰(ぼうとう)は、劣悪な住宅事情にいよいよ拍車(はくしや)をかける。 **れっか**【烈火】 〇激しくもえさかる火。[文例]**<烈火[れつか]のごとく>** あまりに卑劣[ひれつ]なやり方に、さしもの和尚[おしよう]も烈火のごとく怒った。 **れっきょう**【列強】 〇強い国々。[文例]**<欧米の列強>** 幕末のころ、アメリカなど欧米の列強が度々開国を迫ってきた。 **れっこく**【列国】 〇多くの国々。[文例]日本の中国侵略に対して欧米列国の非難が高まっていた。 **れつじつ**【烈日】 〇激しく照りつける太陽。[文例]**<烈日[れつじつ]のもと>** 庭のひまわりは高く頭をもたげ、烈日のもとで咲きほこっていた。♠**<烈日[れつじつ]の意気>** 応援席から、「烈日の意気高らかに」と応援歌が鳴り響いた。♠**<秋霜(しゆうそう)烈日(れつじつ)>** 彼の信念は、秋霜烈日をのりこえて、揺らぐことがなかった。 **れっしゃ**【列車】 〇鉄道を走る、何台かで編成した車両。[文例]十五両編成の列車に乗り込んだ。♠**<列車にゆられる>** 夜行列車にゆられながら、遭難した息子の無事を祈り続けた。♠**<列車が出る>** きみの乗る列車は、何時に何番線から出るのですか。♠**<列車が入る>** もうすぐ列車が入るから、白線まで下がって待とう。♠**<列車が遅れる>** 大雪で列車は三時間ほど遅れています。♠**<列車の運行>** 本日は事故の影響で、列車の運行が乱れております。 **れっ・する**【列する】 〇仲間として加わる。列席する。並べる。[文例]**<祭典に列する>** ダンテの「神曲」はローマの世紀の祭典に列した詩人が、地獄と浄罪界(じようざいかい)を遍歴(へんれき)する所から始まる。♠**<聖人に列する>** バチカン公会議で、神父は聖人の一人として列せられた。♠**<強敵に列する>** 日本選手も強敵に列して健闘し、決勝に進出した。♠**<名を列する>** 彼は無一文から身を起こし、ついに紳士録に名を列するほどの人物となった。 **れっせい**【劣勢】 〇勢力が劣っていること。形勢が不利なこと。→優勢[文例]**<劣勢[れつせい]にある>** 前半劣勢にあったが、後半みごとにばんかいして勝利をおさめた。♠**<劣勢[れつせい]をはね返す>** 勢いに乗ったチームは、前半の劣勢をはね返して得点を重ねた。♠**<力が劣勢[れつせい]>** 資本力では劣勢な当社は、アイデアときめ細かいサービスでシェアを伸ばしてきました。 **れっせき**【列席】 〇会・式などに出席すること。[文例]**<祝宴(しゅくえん)に列席[れつせき]する>** 祝宴に列席した村人たちは、陽気に歌を歌い手 を打った。 **レッテル** 〇商品にはる、商標などを印刷した小さな紙のふだ。人や事物に対する評価。[文例]**<容器のレッテル>** その容器のレッテルには、赤い字で大きく「取扱注意」と書いてあった。♠**<レッテルをはる>** 同僚のかんちがいからギャンブル狂のレッテルをはられ、めいわくしています。 **れっとう**【劣等】 〇劣っているさま。→優等[文例]**<劣等[れつとう]な人種>** 戦後、日本人は、劣等な人種であると決めつけられたことがある。♠**<劣等感>** 人間の価値を決める基準は多様です。学力だけで劣等感をもつ必要はありません。 **れっとう**【列島】 〇一列に並んだように続いている島々。[文例]春が深まるにつれて、桜前線は列島を南から北へ進みます。♠**<日本列島>** 日本列島が形成されたのは、数億年前ともいわれる。 **レパートリー** 〇演奏家や劇団などがいつでも演奏・上演できる演目。得意とする分野。[文例]**<レパートリーを増やす>** 小さな劇団で初めは上演できる演目は三つしかなかったが、少しずつレパートリーを増やしていった。♠**<広いレパートリー>** 彼は自分の研究に閉じこもることなく、広いレパートリーを持って活躍した。 **レベル** 〇水準。標準。標準的な程度。[文例]**<レベルが高い>** <1217> **れんけい【連係】**(連繋・聯繄)○結びつくこと。つながり合うこと。[文例]地域と警察の連係で、犯罪の発生をおさえる努力が続けられた。♠〈連係プレー〉通りがかりの若者たちのみごとな連係プレーで、川に落ちた子供が助けられた。 **れんけつ【連結】** ○並べてつなぐこと。[文例]〈連結する〉次の駅で、客車をもう一両連結するために十五分ほど停車します。♠〈二両連結〉二両連結のおもちゃのような電車が、ゴトゴトと山あいを縫う[ぬ]ように走った。 **れんけつ【廉潔】** ○心や行いが正しいさま。[文例]〈廉潔な政治家〉政治の理想に生きる廉潔な政治家は少なくなった。 **れんこ【連呼】** ○同じ言葉を何度も叫ぶこと。対になる清音濁音が連なること。[文例]〈連呼する〉選挙カーが候補者の名前を連呼しながら走り去った。♠〈同音の連呼〉「ちぢむ(縮む)」「つづく(続く)」のような同音の連呼の場合は「ぢ・づ」を用いる。 **れんこう【連行】** ○連れて行くこと。[文例]〈連行する〉デモ隊は機動隊によって阻止され、大勢が逮捕[たいほ]、連行された。 **れんごう【連合】**(聯合)○まとまって一つになること。また、その組織。[文例]〈村の連合〉毎年この地方では、三か村の連合で、盛大[せいだい]な盆踊り[ぼんおど]大会が開かれる。♠〈商店が連合する〉地元の商店が連合して、スーパーの進出に反対している。♠〈艦隊[かんたい]が連合する〉数か国の艦隊が連合し、太平洋上で大演習を行った。♠〈国際連合〉国際連合は、第二次世界大戦のあと、国際協調の願いのもとに設立された。 **れんさ【連鎖】** ○鎖のようにつながっていること。また、そのようにつながったもの。[文例]〈連鎖する〉一つの事件に引き続いて、同種の事件が連鎖して起こることがある。♠〈連鎖反応〉育児室では、一人の赤ん坊が泣き出すと、たちまち連鎖反応が起こって部屋中が泣き声に包まれる。♠〈食物連鎖〉自然界は、弱肉強食のルールに従った食物連鎖によってバランスが保たれている。 **れんきゅう【連休】** ○休日が続くこと。また、その休日。[文例]今週は金曜日が祝日で、土・日と合わせた連休を友人と旅行して来ます。♠〈飛び石連休〉九月の飛び石連休は、家でのんびり過ごすことに決めた。 **れんざ【連座】**(連坐)○同席すること。他人の犯罪の連帯責任を問われ、罰せられること。[文例]〈連座する〉カルロスは政府転覆[てんぷく]計画に連座し、投獄[とうごく]された。 **れんさい【連載】** ○新聞・雑誌などに続き物として掲載すること。[文例]〈連載を打ち切る〉この小説は読者の評判がかんばしくなく、途中で連載を打ち切ることになった。♠〈連載する〉『こころ』は、一九一四年、漱石[そうせき]四十七歳の年の四月から朝日新聞に連載された。♠〈連載小説〉連載小説の面白さにひかれて、この雑誌を毎号購読してきました。 **れんさく【連作】** ○毎年、同じ耕地で同じ作物をつくること。一人の作者が同じテーマで複数の作品をつくること。また、その作品。[文例]〈作物の連作〉最初のころはナスもキュウリもよくできたが、連作がたたって近ごろはあまり育たなくなった。♠〈歌の連作〉この歌集には、母を詠ん[よ]だ連作が収録され、そこに作者の真情がこめられている。 **れんざん【連山】** ○連なり続く山。[文例]〈アルプスの連山〉遠く雪をいただいたアルプスの連山を夕日があかね色に染めていた。♠芋[いも]の露連山影を正しうす(飯田蛇笏[いいだだこつ]) **れんじつ【連日】** ○毎日。くる日もくる日も。[文例]どうしても土地を譲って[ゆず]くれと、不動産屋が連日押しかける。♠〈連日連夜〉連日連夜の大雨で、川の水があふれ道路が水びたしになった。 **れんしゃ【連射】** ○続けて発射すること。[文例]〈連射する〉突然若い兵士は狂ったように、暗やみに向かって機関銃を連射した。♠〈連射を浴びせる〉妻は、情け容赦[ようしゃ]もなく、機関銃のように非難の連射を浴びせかけてきた。 **れんしゅう【練習】** ○何度も繰り返して習うこと。[文例]〈練習に耐える〉厳しい練習に耐えたのは、優勝したい一心からだった。♠〈練習を続ける〉合唱コンクールに備えて、毎日四時間も歌の練習を続けた。♠〈練習をおこたる〉田中君は、常にサッカーのために体をきたえ、練習をおこたらない。♠〈練習を休む〉兄は、高校の運動部に入ってから、雨が降ろうが、雪が降ろうが、練習を休まない。♠〈練習に励む[はげ]〉選手たちは、優勝を目指して、練習に励んでいる。♠〈練習を積む〉彼女は、幼い時から遊ぶ時間も惜し[お]んで練習を積んだ。 <1218> み、ピアニストとして世に出た。♠**<練習する>** 今日は存分に練習したので、終わったとき、気分がそう快だった。 **れんじゅう**【連中】 〇仲間。音曲[おんぎよく]などの芸能の一座の人々。れんちゅう。[文例]**<周りの連中>** あまり目立たない彼が町一番の美人と結婚[けつこん]して、周りの連中をあっと言わせた。♠**<あんな連中>** あんな連中とつきあうきみの気持ちが分からないよ。♠**<意地の悪い連中>** 試合に負けたら、見ていた意地の悪い連中が、ざまあみろと喜んだ。♠**<他の連中>** きも試しに仲間と墓地へ出かけたが、他の連中は途中で逃げだして、ぼくひとりが残った。♠**<記者連中>** 兄と親しい新聞記者連中がやって来て、徹夜[てつや]でマージャンをしている。 **れんしょ**【連署】 〇二人以上の人が並べて署名すること。[文例]**<連署[れんしよ]する>** 報告書には、委員長以下六人の委員が連署していた。 **れんしょう**【連勝】 〇続けて勝つこと。競馬などで一・二着を当てること。[文例]**<連勝[れんしよう]を続ける>** チームの今シーズンの出足は快調で、開幕以来連勝を続けています。♠**<連勝[れんしよう]する>** 横綱は初日以来連勝し、さらに記録を伸ばした。♠**<連戦連勝>** 連戦連勝、向かうところ敵なしの快進撃が続きます。 **れんじょう**【恋情】 〇恋する心。恋ごころ。[文例]**<恋情[れんじよう]を秘める>** 直子のうちに秘めた恋情には、級友はもとより、当の教師も気づかなかった。♠**<燃えるような恋情[れんじよう]>** 娘は、燃えるような恋情に身を焦がしていました。 **レンズ** 〇ガラスなどの透明な物体を球面になるようにみがいて、光を集束・発散させるもの。[文例]**<眼鏡[めがね]のレンズ>** 熱いラーメンを食べたら、眼鏡のレンズがくもってしまった。♠**<コンタクトレンズ>** 夜寝るときは、コンタクトレンズをはずします。 **れんせん**【連戦】 〇続けて何度も戦うこと。[文例]**<連戦[れんせん]する>** 部隊はサハラ砂漠で連戦し、次第に兵を失い、食糧[しょくりよう]も武器も底をついていった。♠**<連戦連勝>** チームは連戦連勝、破竹[はちく]の勢いで快進撃を続けた。 **れんそう**【連想・聯想】 〇ある事からそれと関係のある他の事を思い浮かべること。[文例]**<連想[れんそう]がうかぶ>** 夏という言葉からは、海水浴や登山などの楽しい連想が浮かぶ。♠**<連想[れんそう]のおもしろさ>** しり取りゲームには、意外な言葉のつなぎ方や連想のおもしろさがある。♠**<連想[れんそう]する>** エジプトといえば、ピラミッドを連想する人が多いだろう。♠**<血の色を連想[れんそう]する>** 病室にあるゼラニウムの赤い花は、血の色を連想させて不吉[ふきつ]な感じがした。 **れんぞく**【連続】 〇とぎれることなく続くこと。また、続けること。[文例]**<戦いの連続>** 敗戦までの半年間、兵士たちは、熱帯のジャングルの中で、苦しい戦いの連続だった。♠**<連続[れんぞく]した堤防[ていぼう]>** この川には、数十キロメートルの長い連続した堤防が完成し、水害の心配がなくなった。♠**<二年連続[れんぞく]する>** ぼくのチームは、二年連続して、中学生野球大会に優勝した。♠**<連続[れんぞく]して起こる>** いやなことばかりが連続して起こり、一時はすっかりやる気をなくしてしまった。♠**<連続[れんぞく]三か月>** この芝居[しばい]は大当たりで、連続三か月の興行を行っている。♠**<連続[れんぞく]ドラマ>** 母は、朝の連続ドラマを楽しみにしている。 **れんだ**【連打】 〇たてつづけに打つこと。[文例]**<連打[れんだ]を浴びせる>** チャンピオンは、ふらふらになった相手になおも連打を浴びせ続けた。♠**<連打[れんだ]する>** 少年は夢中で鐘[かね]を連打し、村人に山火事を知らせた。 **れんたい**【連帯】 〇協力して行動し、責任を共にすること。[文例]**<連帯[れんたい]する>** この町の人々は連帯して、公害のない住みよい町作りに努力している。♠**<連帯[れんたい]して〜する>** **<連帯責任>** 友達が教室の窓ガラスを割ってしまい、いっしょにいた仲間は連帯して責任をとらされた。♠**<連帯[れんたい]してたたかう>** 労働者たちは、職業の違いを超えて、自分たちの生活をよくするために連帯してたたかった。♠**<心の連帯[れんたい]>** 彼が、赤十字を通して夢[ゆめ]見たのは、愛と正義の心の連帯による地球上の楽園だった。 **れんたつ**【練達】 〇練習を積んで熟達すること。[文例]**<練達[れんたつ]の職人>** 彼ほどの練達の職人がたやすくは引き受けなかったほど、この仕事は難しかった。♠**<練達[れんたつ]の士>** 練達の士であればこそ、仕事に向かっての緊張もあったろう。 **れんちゅう**【連中】 〇れんじゅう **れんどう**【連動】 〇ある部分を動かすと連結している他の部分も自動的に動くこと。ある動きが他に及ぶこと。[文例]**<連動[れんどう]する>** この機械のスイッチは安全装置に連動していて、地震などの時は自動的に切れるようになっている。♠**<連動[れんどう]する>** 世界の経済は、直接、間接にアメリカの景気に連動して動くといえる。 **れんぱつ**【連発】 〇たてつづけに発すること。[文例]**<あくびの連発[れんぱつ]>** 寝不足がたたり、授業の間じゅう、あくびの連発で先生の話が頭に入らなかった。♠**<連発[れんぱつ]する>** この時期の幼児は何でも知りたがり、見るもの聞くものにつけ次々と質問を連発する。 **れんびん**【憐憫・憐愍】 〇あわれむこと。あわれみの情。れんみん。[文例]**<憐憫[れんびん]の情>** ライバルのうちひしがれた姿を目前にすると、敵意よりも憐憫の情が先に立った。♠**<憐憫[れんびん]をたれる>** この哀[あわ]れな子たちに神が、憐憫をたれてくれますよう。 **れんぼ**【恋慕】 〇恋い慕うこと。[文例]**<恋慕[れんぼ]の情>** 書簡には、令嬢に対する作家の切々とした恋慕の情がつづられてあり、読者の胸を打つ。♠**<恋慕[れんぼ]する>** 女生徒は若い教師に恋慕して、勉強が手につかなかった。♠**<横恋慕>** わたしは兄嫁に横恋慕している自分に気づき、深く悩んだ。 **れんま**【練磨・錬磨】 〇技術や心身などをきたえみがくこと。[文例]**<文章の練磨>** 作家の名文は、たゆまぬ練磨のたまものであろう。♠**<練磨[れんま]する>** 日々に己[おのれ]を練磨し、この日に備えてきた。♠**<百戦練磨>** 百戦錬磨のベテラン営業マンが、取り引き先に怒[おこ]られたくらいでへこたれたりしない。 **れんみん**【憐愍】 〇れんびん **れんめい**【連名】 〇二人以上の人が名前を連ねて書くこと。[文例]旅先でお世話になった方へ、友達と連名で礼状を出 <1219> **ろう【労】** ○苦労や努力。骨折り。[文例]〈労をねぎらう〉わたしは長年にわたる妻の労をねぎらうために、旅行を計画した。♠〈労をとる〉わざわざ紹介の労をとったのに、その後なんの報告もない。♠〈労を惜しむ〉世話役は、町内の人たちのために労を惜しまなかった。♠〈労をいとう〉めんどうな願いにもかかわらず、友人は労をいとわず協力してくれた。♠〈労を多とする〉十年ぶりの同窓会の開催について、幹事となった人たちの労を多としたい。♠〈労にむくいる〉長年の労にむくいるために、感謝の気持ちをこめて記念品をおくります。♠〈労多くして功少なし〉労多くして功少なしで、実にむなしい仕事だった。 **ろう(牢)** ○罪人などを入れておく所。[文例]〈ろうに入る〉大工の佐吉[さきち]は、盗み[ぬす]のかどで、ろうに入っていた。♠〈ろうを出る人たちは、ろうの中で作業を通して罪をつぐないつつ、ろうを出て社会復帰する日に備えている。♠〈ろうを破る〉当時も今と同じく、ろうを破って脱走することは、重く罰[ばっ]せられた。♠〈ろうにつながれる〉高野長英[たかのちようえい]は、幕府を批判[ひはん]したかどで、ろうにつながれた。 **ろうえい(漏洩・漏泄)** ○もれること。もらすこと。[文例]〈漏洩する〉もしもこの文書が盗まれて、機密が外部に漏洩したら大変なことになる。♠〈漏洩する〉口が堅く信用のできる人物ですから、彼が秘密を漏洩することはありません。 **ろうえき【労役】** ○任務・義務として命じられた肉体労働。[文例]〈労役に服する〉懲役刑を言い渡された罪人は刑務所に入れられ、労役に服さなければなりません。♠〈労役を課する〉律令制[りつりよう]の下では、税の一つとして、公民に土木工事などの労役が課せられました。♠〈労役に耐える〉若いころから厳しい山の労役に耐えてきた体は、年老いた今もがっしりとたくましかった。 **ろうか【廊下】** ○部屋と部屋・建物と建物をつなぐ通路。[文例]〈廊下を走る〉学校の廊下の壁に、「右側を静かに歩きましょう。」と、はり紙がしてある。♠〈廊下を渡る〉病室の窓から、廊下を急いで渡っていく医者や看護婦の姿が見えた。♠〈廊下をはさむ〉二階の廊下をはさんで、東側に父母の部屋、西側にわたしの部屋がある。♠〈廊下を通る〉夜ふけの廊下を通ると、まだ仕事をしているのか、父の部屋から明かりがもれていた。 **ろうか【老化】** ○年とともに体の機能が衰えること。[文例]〈老化する〉人の体は、老化すると、骨も筋肉も柔軟性を失っていきます。♠〈老化現象〉最近物忘れが激しくてね、これも老化現象かもしれないね。 **ろうかい(老獪)** ○世慣れていてずるがしこいこと。[文例]〈老獪なやり口〉あのタヌキおやじめ、いつもの老獪なやり口でわれわれを承服させようというのか。♠〈老獪な人物〉彼のような老獪な政治家は、とても一筋縄[ひとすじなわ]ではいかない。 **ろうかく【楼閣】** ○高くて立派な建物。[文例]京都市北区の鹿苑寺[ろくおんじ]には黄金で飾った三層の楼閣があり、通称金閣寺[きんかくじ]として知られます。 **ろ【炉】** ○床を四角に切りぬいて暖房や炊事用に火を燃やす所。いろり。物資を溶解したり、化学反応を起こさせるための装置。[文例]〈炉を切る〉田舎[いなか]の祖父の家には、炉が切ってあり、いつも鉄びんがかかっている。♠〈炉を囲む〉幼いころは、炉を囲んで座り[すわ]、祖母から昔話[むかしばなし]を聞くのが楽しみだった。♠〈炉で暖める〉冷えた体を炉で暖めると、霜焼け[しもやけ]の手足がかゆくなる。♠〈炉に当たる〉寒い夜ふけ、お母さんは、炉に当たりながら、わたしの手袋[てぶくろ]を編んでいる。♠〈炉で焼く〉民宿の炉で、釣ってきたばかりのイワナを焼いて食べた。 **ろ(櫓・鱸)** ○舟をこぐための道具。[文例]〈櫓をこぐ〉老船頭[ろうせんどう]は櫓をこぎながら、張りのある声で船歌[ふなうた]を歌ってくれた。♠〈櫓を押す〉ゆうべしかけた網を上げにおじいさんは櫓を押していった。 <1220> **ろうきゅう【老朽】** ○年をとって朽ちること。長く使って壊れかかること。[文例]〈老朽がはなはだしい〉明治時代に建てられたというその校舎は、老朽がはなはだしかった。♠〈老朽する〉老朽した市営住宅を取り壊して、高層アパートを建設する計画があります。♠〈老朽化〉木造の橋が老朽化して危険なので、架け替えることになった。 **ろうきょう【老境】** ○老人の心境・境地。[文例]〈老境に入る〉老境に入り、しみじみと人生の短かさを痛感している。♠〈老境に至る〉波乱万丈[はらんぼんじよう]の生涯[しようがい]をたどった男も、老境に至り、ひっそりと日々を送っていた。♠〈穏やかな老境〉若いころは気性[きしよう]の激しい人だったが、今では穏やかな老境を楽しんでいるようだ。 **ろうく【労苦】** ○心身を苦しめること。苦労。[文例]〈農民の労苦〉米の一粒[ひとつぶ]にも、自然の恩恵があり、農民の労苦が宿っているのです。♠〈労苦に満ちる〉この老学者の一生は、貧しく、労苦に満ちたものだった。♠〈労苦に報いる〉自分たちを育ててくれた両親の労苦に報いたいと思う。♠〈労苦をいとう〉労苦をいとわず社会に奉仕するあなたには、本当に頭が下がります。♠〈労苦を惜しむ〉昔かたぎの男だったから、労苦を惜しまず働いて、なお貧乏であった。 **ろうご【老後】** ○年をとった後。晩年。[文例]〈老後の生活〉そろそろ老後の生活を真剣に考えなくてはならない年になったな。♠〈老後の面倒[めんどう]〉息子たちに老後の面倒をみてもらうつもりはありません。♠〈老後の楽しみ〉近所の子供たちに習字を教えるのを、祖母は老後の楽しみとし、また生きがいにしている様子です。 **ろうこう【老巧】** ○経験を積んで巧みに物事をこなすさま。老練。[文例]〈老巧なプレー〉さすがは、ベテランらしい老巧なプレーで味方のピンチを救いました。♠〈老巧な身の処し方〉「亀[かめ]の甲[こう]より年の功[こう]」などというが、老巧な身の処し方は長い人生経験を感じさせる。 **ろうごく(牢獄)** ○罪人を入れておく建物。[文例]〈牢獄で過ごす〉ミリエル司教の家に、牢獄で十九年を過ごしたジャン=バルジャンが宿を乞うところからこの物語は始まります。♠〈牢獄につなぐ〉牢獄につながれても、希望を失わなかった。♠〈牢獄に閉じ込める〉王の怒りにふれた家来は牢獄に閉じ込められてしまいました。 **ろうこつ【老骨】** ○年老いた体。老体。[文例]〈老骨にむち打つ〉年寄りが老骨にむち打って働いているというのに、若いもんは遊んでばかりおる。♠〈老骨にむち打つ〉七十になりますが、老骨にむち打って働きに出ております。 **ろうさく【労作】** ○苦労して作り上げた作品。[文例]本書は、教育の現場に一生をささげた一小学校長がその実践をつづった労作である。 **ろうざん【老残】** ○老いぼれて生きながらえること。[文例]〈老残の身をさらす〉生き長らえて老残の身をさらすより、今が死に時と、老将は勇敢[ゆうかん]に敵陣[てきじん]に切り込んで行った。♠〈老残の姿〉かつて祇園[ぎおん]の名妓[めいぎ]とはやされた女の、あわれ老残の姿であった。 **ろうし【労使】** ○労働者と使用者。[文例]〈労使関係〉〈労使紛争[ふんそう]〉わたしの会社は労使関係が極めて良好だから、労使紛争など無縁のことだ。♠〈労使間〉労働者側の要求を経営者側がのんだため、労使間の緊張[きんちよう]状態が解消された。 **ろうしゅう【老醜】** ○老いて醜くなること。[文例]〈老醜をさらす〉老醜の身を人前にさらしたくありませんので、身だしなみには気を使っております。♠〈老醜をさらす〉年老いてその美貌[びぼう]も女らしさもすっかり衰え[おとろ]、老醜をさらしていた。 **ろうじょう(籠城)** ○敵に囲まれ、城にたてこもること。家に閉じこもって外に出ないこと。[文例]〈籠城する〉敵に城を包囲され籠城すること一か月、ついに同盟国の援軍が到着したとの知らせが入った。 **ろうじん【老人】** ○年をとった人。年寄り。[文例]〈若く希望に燃えていたわたしたちも、いつのまにか老人になってしまった。♠男はまだ若いのに、その表情は老人のようにしぼんで、全く生気がなかった。 **ろうすい【老衰】** ○年老いて衰えること。[文例]祖父は、九十二歳で老衰のために亡くなりました。♠〈老衰する〉祖母は老衰し、寝たきりの状態です。 **ろうすい【漏水】** ○水がもれること。また、その水。[文例]口からポタポタ水が落ちる程度の漏水でも、月間にするとかなりの量の水がむだになります。♠〈漏水する〉水道管が破れて漏水し、水が道路にまであふれた。 **ろう・する【労する】** ○骨を折る。苦労する。骨を折らせる。[文例]〈心身を労する〉仕事、仕事と会社のために心身を労したあげく、父はとうとう体をこわしてしまった。♠〈労して功なし〉労して功なし、時間のむだだったか。♠〈労せずして〉労せずして大金を手に入れる方法はないものかと、なまけ者の男は考えた。 **ろう・する(弄する)** ○好きなように操る。もてあそぶ。[文例]〈言辞[げんじ]を弄する〉相手の反発を買うような言辞を弄することはつつしみなさい。♠〈毒舌を弄する〉彼は、皮肉や他人の悪口に巧妙[こうみよう]で、毒舌を弄する評論家だった。♠〈策を弄する〉下手に策を弄するより、正攻法をとるほうがうまくいく。♠〈小細工を弄する〉へたな小細工を弄したため、すっかり相手の機嫌をそこねてしまった。 **ろう・する(聾する)** ○耳が聞こえなくなる。耳を聞こえなくする。[文例]〈耳を聾する〉静かな昼下がり、突然耳を聾する砲声が村一帯に鳴り響いた。 **ろうせい【老成】** ○年齢より大人びていること。経験を積んで円熟すること。[文例]〈老成する〉少年時代から幾多の苦難を乗り越えてきた彼は、同年代のほかの男たちよりずっと老成している。 **ろうぜき(狼藉)** ○物が散らかっていること。乱暴なふるまい。 <1221> **<落花狼藉>** 花見の後の公園内は、空き缶やゴミが散乱し、落花狼藉の有様である。♠**<狼藉を働く>** おとなしい新之助が狼藉を働くにはわけがあるはずです。♠**<狼藉者>** 狼藉者め、成敗してくれるぞ。 **ろうそく**【蠟燭】 〇糸などをしんにしてろうを円柱状に固めた照明具。[文例]**<ろうそくの火>** 仏壇のろうそくの火がすきま風に揺らいで、今にも消えそうだ。♠**<ろうそくが燃える>** 赤いろうそくは、火をつけると静かに燃えた。♠**<ろうそくをともす>** バースデーケーキの上にろうそくをともし、一気に吹き消すと、みんなが拍手[はくしゅ]で祝ってくれた。♠**<ろうそくをつける>** 停電したので、急いでろうそくをつけてろうそく立てに立てた。 **ろうたい**【老体】 〇年老いた体。老身。老骨。老人。[文例]**<老体[ろうたい]にこたえる>** 六十の老体に、雪下ろしの作業はかなりこたえる。♠**<老体[ろうたい]にむち打つ>** おじいさんは孫の太郎を育てるために、老体にむち打って働きました。♠**<ご老体>** ご老体、お元気そうで何よりです。 **ろうでん**【漏電】 〇電流が漏れて他の回線を流れること。[文例]火災は、電気配線のミスによる漏電が原因だった。♠**<漏電[ろうでん]する>** ネズミにかじられてコードが破損し、漏電することがある。 **ろうどう**【労働】 〇体を使って働くこと。収入を得る目的で働くこと。[文例]**<労働[ろうどう]する>** この夏休みにアルバイトをして、初めて労働することの喜びと苦労を知った。♠**<厳しい労働[ろうどう]>** かつて、製糸工場などでは女工に厳しい労働を強制したこともあった。♠**<労働[ろうどう]に耐える>** 南北戦争以前の黒人は、奴隷として売買され、むりな労働に耐えねばならなかった。 **ろうどく**【朗読】 〇声に出して読むこと。[文例]**<詩の朗読[ろうどく]>** 詩を深く読み味わうために、作品のリズムを生かした朗読を工夫してみよう。♠**<朗読[ろうどく]を聞く>** ラジオで小説の朗読を聞いているうち、わたしはその世界に引き込まれていった。♠**<朗読[ろうどく]する>** せりふは気持ちを込めて朗読してごらんなさい。 **ろうにゃくなんにょ**【老若男女】 〇老人と若者と男性と女性。だれでも。[文例]盆踊[ぼんおど]りの会場では、老若男女が輪になって、楽しそうに踊っている。♠**<老若男女の別>** 人間には、老若男女の別なく、仲間を求める気持ちがあります。 **ろうにん**【浪人】 〇仕える主君のない武士。失業している人。入学試験で不合格となり学籍がない人。[文例]主君を失い浪人となり、諸国を放浪しております。♠**<浪人[ろうにん]する>** 第一志望の大学に落ちたので、一年間浪人して来年を期することにしました。 **ろうねん**【老年】 〇年をとったこと。年をとった人。[文例]**<老年[ろうねん]を過ごす>** 新大陸を発見したコロンブスも、不遇[ふぐう]な老年を過ごしたという。♠**<老年[ろうねん]を迎える>** 一生を舟の上で暮らす船頭や、馬のくつわを取って老年を迎える馬子などは、毎日毎日が旅である。♠**<老年期>** 青年期には青年期の、老年期には老年期の、幸福や希望が開けるに違いありません。 **ろうばい**【狼狽】 〇あわてうろたえること。[文例]**<ろうばいする>** おふろにはいっているとき、大きな地震がきて、ひどくろうばいした思い出がある。♠**<ろうばいの色を隠す>** 動かぬ証拠[しようこ]をつきつけられた犯人は、ろうばいの色を隠せなかった。♠**<ろうばいの気味>** ちらかっているところへ突然の来客で、母は少々ろうばいの気味だった。♠**<周章(しゆう)ろうばい>** 予想しなかった事態に直面して、わたしは大いに周章ろうばいした。 **ろうばしん**【老婆心】 〇必要以上に心配し、世話を焼こうとする気持ち。[文例]**<老婆心[ろうばしん]を起こす>** わたしが自分の経験をみなさんに話しますのは、若い方たちの将来に対して老婆心を起こしたからなのです。♠**<老婆心[ろうばしん]ながら>** 老婆心ながら、今の若い人たちに一言忠告しておきたい。 **ろうひ**【浪費】 〇むだに費やすこと。むだ使い。[文例]**<時間の浪費[ろうひ]>** 約束の時間に遅れた友達を待ちながら、こんな時間の浪費はいやだと思った。♠**<浪費[ろうひ]のくせ>** つい浪費のくせが出そうになると、母の戒[いまし]めを思い出して、財布[さいふ]のひもを締めるようにしている。♠**<燃料の浪費[ろうひ]>** 兄は、燃料の浪費に注意しながら車を運転している。♠**<浪費[ろうひ]する>** そんなにお小遣[こづか]いを浪費してばかりいないで、節約して貯金でもしなさい。 **ろうほう**【朗報】 〇よい知らせ。うれしい知らせ。[文例]**<朗報[ろうほう]が入る>** 応募した作品が入賞したという朗報が入り、天にものぼる喜びにわいた。♠**<朗報[ろうほう]に接する>** 王子誕生の朗報に接した国民は、うち続く災害の中にほのかな希望を見た。♠**<朗報[ろうほう]にわく>** 県下の高校が甲子園出場を果たし、地元の人たちはその朗報にわいた。 **ろうや**【牢屋】 〇罪人などを閉じこめておく施設。牢獄[ろうごく]。[文例]**<ろうやに入れる>** 悪いことをすると、警察につかまってろうやに入れられてしまうよ。♠**<ろうやに閉じ込める>** 民衆に悔い改めをすすめ、王に警告を与えるこの男を、王はろうやに閉じ込めてしまった。♠**<ろうやにつなぐ>** この塔は、昔、罪人をつなぐろうやとして使われていた。♠**<ろうやから出る>** 国に祝い事があり、何人かの罪人がろうやから出され、釈放された。 **ろうらく**【籠絡】 〇人をまるめこんで、思いどおりに操ること。[文例]**<籠絡[ろうらく]する>** ずる賢い商人は、人の善い夫婦を籠絡し、土地をただ同然に借り上げていた。 **ろうりょく**【労力】 〇骨折り。労働力。[文例]**<労力[ろうりよく]を要する>** これを作るには、かなりの時間と労力を要した。♠**<労力[ろうりよく]を使う>** これだけ大きな墳墓を作るのに、どれだけの労力が使われたのだろう。♠**<労力[ろうりよく]を費やす>** 捜査陣はありったけの労力を費やしたが、結局事件のなぞは解明できなかった。♠**<労力[ろうりよく]を省く>** 人は、道具を発明して生活の労力を省いてきました。♠**<労力[ろうりよく]を惜しむ>** 病気で苦しむ人々のために、労力を惜しまず働きました。♠**<労力[ろうりよく]が浮く>** 機械の導入で労力が浮いた分、工場の規模を拡大しよう。♠**<労力[ろうりよく]が足りない>** 若者が町へ出て行くので、この農村では労力が足りずに困っている。 **ろうれい**【老齢】 〇年をとっていること。高齢。[文例]**<老齢[ろうれい]>** <1222> に達する>祖父は、すでに八十歳の老齢に達していた。♠〈老齢年金>老後の生活のために、国民年金や厚生年金などの老齢年金の制度があります。 **ろうれつ(陋劣)** ひきょうなさま。卑劣。[文例]へろうれつな手段>暴力というろうれつな手段をもって、相手を屈伏させようとするのは恥ずべきことだ。♠へろうれつな行為〉人は身を守るためなら、どんなろうれつな行為も辞さないのであろうか。 **ろうれん【老練】** 経験を積んでいて、物事を巧みに行うさま。老巧。[文例]〈老練な弁護士>老練な弁護士は、検事の弱点をついて被告を無罪にした。♠〈老練な職人〉美しい工芸品の数々が、老練な職人の手によって作られていく。 **ろうろう【朗朗】** 声が大きくてはっきりしているさま。光が明るくさえているさま。[文例]〈朗々と響く〉戦場に、兵士たちの勝利の歌声が朗々と響き渡った。♠〈朗々と読む>代表者は、大勢の聴衆に向かって、平和のメッセージを朗々と読み上げました。♠〈朗々たる響き〉隣に尺八[しゃくはち]の名人が住んでいて、朗々たる響きを聞かせてくれる。♠空をあゆむ朗々と月ひとり(荻原井泉水[おざわらせいせんすい]) **ろうろう【浪浪】** あてもなくさすらうこと。[文例]<浪々の身〉この年になるまで家庭を持たずさすらい歩き、浪々の身をさらしてきた。 **ローン** 貸し付け。貸付金。[文例]〈ローンの返済〉ボーナスのほとんどは住宅ローンの返済[へんさい]でなくなってしまう。♠〈ローンで買う〉車はもちろん、クーラーもビデオもローンで買いました。♠ヘローンを組む〉高価な商品は、銀行などでローンを組んで、分割して支払うシステムで買うことができる。 **ろか(濾過)** 液体・気体をこして混じりものを取り除くこと。[文例]〈濾過する〉雨水が土の中にしみ込んで濾過され、きれいな地下水となります。♠〈濾過する>企業や個人からの献金は、一度政治団体に入り、そこで濾過されて政治家に渡るらしい。♠〈濾過装置>濁った[にご]水を濾過装置に通すと、ごみや不純物が取り除かれる。 **ろく(碌)** まともなさま。正常なさま。満足できるさま。[文例]〈ろくな者〉おやじは、おれを見るたびに、「こいつはどうせろくな者にはならない。」と言った。♠へろくでもない〉賢い[かしこ]彼女が、あんなろくでもない男といっしょになるなんて信じがたい。♠くろくなことを~しない〉おまえは、暇[ひま]だとろくなことを考えないから、畑仕事を手伝いなさい。♠へろくに眠れない〉彼女は、何か心配ごとがあるのか、最近夜もろくに眠れ[ねむ]ず、食べ物もあまりのどを通らない様子だ。♠へろくに口もきかない〉小田君は、この間けんかをしてから、ろくに口もきいてくれない。♠へろくに知りもしない〉ろくに知りもしないことを言いふらすのはやめなさい。 **ろく(禄)** 封建時代の武士などの給与・俸給。[文例]〈禄を支給する江戸時代、幕府や藩は家臣に土地や米などを禄として支給した。♠<禄をはむ>藩が廃止されると、武士たちは禄を食む[は]ことができなくなった。♠へ禄盗人[ろくぬすびと]〉能力や功績もないのに高い報酬[ほうしゅう]を受けている者をあざけって、禄盗人などという。 **ろくおん【録音】** レコード・テープ・ディスクなどに音・音声を記録すること。[文例]〈録音する〉森に行き、野鳥の鳴き声を録音しました。♠へ録音を取る>先日の講演の録音を取ってありますので、聞きたい人にはテープを貸し出します。 **ろくが【録画】** テープ・ディスクなどに映像を記録すること。[文例]〈録画する〉ビデオを買ったので、これからは番組を録画しておけばいつでも見られる。♠へ録画撮り〉第一スタジオでは、テレビドラマの録画撮りの最中です。 **ろくすっぽ(碌すっぽ)** 満足に。十分に。[文例]ろくすっぽ仕事もできないくせに、生意気な口ばかりきいている。♠ろくすっぽ飯も食わないで働き続けたら、ぶったおれるにきまってる。 **ろくろく(碌碌)** 満足に。十分に。ろくに。[文例]時間ばかり気にかかって、ろくろく話もしないで帰ってきてしまった。♠大学は、ろくろく勉強もしないうちに卒業してしまった。 **ろけん【露見・露顕】** 隠していたことが明るみに出ること。[文例]〈悪事が露見する〉どんなに隠し[かく]ても悪いことは必ず露見するものだ。♠ヘ〈不正が露見する〉その政治家は、不正が露見するやいなや、すっかり開き直ったように見える。♠◇隠し事が露見する〉「足が付く・馬脚を現す・化けの皮がはがれる・しっぽを出す」などは、どれも隠し事が露見することを言います。♠〈秘密の露見>彼女は、秘密の露見を恐れたのか、突然[とつぜん]、姿を消した。♠陰謀[いんぼう]の露見>陰謀の露見を防ぐために、彼らはあらゆる手段を講じた。 **ろこつ【露骨】** あからさま。むきだし。[文例]〈露骨に笑う〉転校したてのころ、ぼくの田舎なまりの言葉を露骨に笑うやつもいた。♠露骨に~する〉わがままな女だから、少しでも気に入らないことがあると、露骨にいやな顔をする。♠<露骨な描写〉この作品は、露骨な描写で男女の性を生々しく描いている。♠〈露骨な言動〉上司ではあったが、地位をかさにきた露骨な言動はわたしたちのひんしゅくを買った。 **ろじ【路地】** 家と家の間の狭い通り。[文例]〈家々の路地〉バスが着くと、まばらな人影[ひとかげ]が家々の路地に消えていく。♠<暗い路地〉少年は、泣き顔を見られないように、なるべく暗い路地を選んで歩いた。♠へ路地を曲がる〉山本さんの家は、二つ目の路地を曲がった突き当たりです。♠へ路地から飛びだす>自転車で走っていると、路地から急に男の子が飛び出してきた。♠〈路地裏〉小さい家がひしめく貧しい路地裏でも、子供たちは生き生きと生活している。 **ろじ【露地】** 屋根などがなく雨露が直接あたる地面。茶室の庭。[文例]〈露地栽培>農家では露地栽培[さいばい]だけでなく、ビニールハウスや温室での野菜や花の栽培もやっています。♠<露地もの〉六月になると、露地もののイチゴが出回った。 **ロジック** 論理。論法。[文例]〈ロジックを展開する〉このように冷静にロジックを展開していくと、正しい結論に到 <1223> 達します。♠ヘロジックをふりまわす〉ぬすっとにも三分の理といって、かってなロジックをふりまわす者がいるものだ。 **ろしゅつ【露出】** むき出しになること。むき出しにすること。写真撮影で光をフィルムにあてること。[文例]〈岩が露出する〉大雨で表面の土がおし流され、すっかり岩が露出している。♠へ肌を露出する〉真夏にあまり肌を露出すると、直射日光に当たってやけどのようになることがある。♠このフィルムは、露出が不足したらしく影像[えいぞう]が暗い。 **ろじょう【路上】** 道の上。道ばた。[文例]〈路上に立つ>寒風にさらされながら路上に立って、バスが来るのを待っていた。♠へ路上駐車>車の路上駐車は、子どもの飛び出し事故の間接的な原因にもなります。 **ロス** むだ。損失。[文例]〈時間のロス>機械で十分でできる作業を、一時間もかけて人手でやるのは、時間のロスだ。♠〈ロスが出る〉計画性のないやり方はロスが出て、結局不経済だ。♠ヘロスが多い・少ない〉仕事でも勉強でもロスを少なくする工夫が大事です。 **ろせん【路線】** 交通機関が通っている道筋。基本的な方針。[文例]〈バスの路線〉前の道がバスの路線になっていて、近くに停留所があった。♠へ鉄道の路線〉やがて鉄道の路線が廃止されるとともに、この懐かしい[なつ]駅も姿を消してしまう。♠〈平和路線〉我が党は、あくまでも平和路線を貫く[つらぬ]決意を国民に約束します。 **ろてい【露呈】** あらわになること。あらわにすること。[文例]〈露呈する〉事件が表面化し、それまで隠され[かく]ていた組織内部の対立が露呈した。 **ろてん【露天】** 屋根などにおおわれていない所。野天。[文例]〈露天掘り〉その鉱山では、石炭は露天掘りされていた。♠〈露天ぶろ〉山の温泉で、美しい景色をながめながら露天ぶろにつかり、風流な気分にひたった。♠〈露天商>戦争が終わっても父は帰らず、母はかつぎ屋や露天商をしてわたしたちを養いました。 **ろめい【露命】** 露のようにはかない命。[文例]〈露命はかなし>露命はかなく、幼子は生まれて間もなく死んでしまった。♠へ露命をつなぐ〉一家はねこの額[ひたい]ほどの畑を耕してわずかに露命をつないでいた。 **ろめん【路面】** 道路の表面。[文例]以前はでこぼこの土の道だったが、今は路面が舗装[ほそう]されて車も走りやすくなった。♠<路面電車>今はバスに代わったが、以前はこの通りを路面電車が走っていた。 **ろてん【露店】** 道ばたで品物を売る簡単な店。[文例]<露店が立つ・並ぶ>祭りの日には、道の両側に金魚屋やオモチャ屋、たこやき屋などの露店がずらりと立ち並びます。 **ろとう【路頭】** 道ばた。[文例]〈路頭に迷う>突然大黒柱を失った一家は、身寄りもなく路頭に迷った。♠へ路頭に立つく父親を失えば、この子たちは路頭に立つことになろう。 **ろばた【炉端】**(炉辺) いろりのそば。[文例]炉端でくりの実などを焼きながら、昔話を語ってくれた優しい祖母を思い出す。♠夕食後は、家族が皆炉端に集まって楽しい団らんのひとときを過ごします。 **ろぼう【路傍】** 道ばた。[文例]〈路傍の石〉少年は、路傍の石のように、踏まれてもけられても誠実に行き抜いていった。♠〈路傍の草>名も知らぬ路傍の草も、小さなかわいらしい花を咲かせている。♠〈路傍の人〉幸せな人たちにとって、この哀れな老人は路傍の人にすぎなかった。 **ロボット** 人間に代わって労働をする精巧な機械。他人の意のままに操られる人。[文例]技術が進歩して、人間の仕事の大部分を代行するロボットができるようになるだろう。♠彼は、何でも父親の言うなりになるロボットのようなものさ。 **ロマン** 物語。恋や冒険に満ちた空想的な事柄。[文例]ヘロマンを求める〉復古調の流行には、ロマンを求める現代人の願いがひそんでいるのかも知れません。♠へ男のロマン>男のロマンを追い求めて、彼はまた旅に出た。 **ロマンス** 恋愛物。恋愛体験。[文例]〈ロマンスがある〉お母さんにだって、若いころは一つや二つロマンスはあったのです。♠ヘロマンスグレー>店のマスターは、初老のロマンスグレーのすてきな人でした。 **ロマンチック** 甘く美しい夢のようなさま。[文例]〈ロマンチックな物語〉わたしは少女のころ、王子さまやお姫[ひめ]さまが出てくるロマンチックな物語が大好きでした。♠ヘロマンチックな夢〉美しい星空の下で愛をささやかれたら・・・・・・、なんてロマンチックな夢を見ています。 **ろよう【路用】** 旅費。路銀。[文例]〈路用の金〉故郷へ帰ろうにも路用の金もなく、男はとぼとぼと道を歩いた。 **ろれつ(呂律)** しゃべる時の舌のまわり具合。言葉の調子。[文例]〈ろれつが回らない〉早口ことばは、繰り返し言っているうちに、だんだんろれつが回らなくなってきます。♠〈ろれつがあやしい〉そろそろろれつがあやしくなってきたから、もう今日はこれでおひらきにしよう。 **ろん【論】** 議論。意見。筋道をたてた説明。[文例]〈論を戦わす〉大会の運営方針をめぐり、委員会のメンバーは、長時間にわたってはげしく論を戦わせた。♠〈論をまたない〉自然の保護という点から、より慎重な開発計画が必要なことは、論をまたないところだ。♠〈論が分かれる>自衛隊については、合憲か違憲か、論の分かれるところだ。♠〈論を立てる〉きみが正しいと主張するのなら、ぼくを納得させられるだけの論を立てた説明が欲しい。♠〈論を曲げる〉頑固[がんこ]な彼は、これだけ証拠を並べて見せても、自分の論を曲げようとはしない。♠へ論を進める〉今度の委員会では、長期的な展望のもとに論を進めてみよう。♠〈論を吐く〉彼は雄弁[ゆうべん]だが、独りよがりの論を吐くので、説得力がない。♠へ論より証拠[しょうこ]〉わたしがうそをついているかどうか、論より証拠、この写真を見てちょうだい。 **ろんがい【論外】** 論じるに値しないこと。問題外。その議論の範囲外。[文例]人格は学力とは無縁であるから、テストの得点だけで人を判断することなど論外である。 **ろんかく【論客】** 議論を好む人。議論がうまい人。ろんきゃ ろ ろんかく <1224> く。[文例]思想家や評論家、ジャーナリストなど、討論会のメンバーはそうそうたる論客ぞろいである。 **ろんぎ【論議】** 話し合うこと。意見を述べあうこと。[文例]〈論議がある〉由緒[ゆいしょ]ある町の名を変更することについては、いろいろな論議がありました。♠〈論議をかわす〉人間の心のよりどころは何かということについて、友人たちと論議をかわしたことがある。♠〈論議する>農業の将来についてさまざまに論議されていた。 **ろんきゃく【論客】** ♪ろんかく **ろんきゅう【論及】** 関連する他の事柄にまで論が及ぶ[およ]こと。[文例]〈論及する〉氏は、乳幼児のしつけの重要さを、青少年の非行との関連にまで論及して述べた。 **ろんきょ【論拠】** 議論のよりどころとなるもの。[文例]〈論拠がある〉わたしがこういうことを言いますのには、それ相当の論拠があってのことです。♠〈論拠が薄弱[はくじゃく]〉きみの意見は、論拠が薄弱で説得力がない。♠〈確かな論拠〉相手と議論をかわすときは、確かな論拠によって、すじみちの通った意見を交換することが大事です。 **ろんご【論語】** 孔子[こうし]の言行[げんこう]を書物にまとめたもの。[文例]論語は、中国の思想家、孔子とその弟子たちの言行録[げんこうろく]です。♠<論語を読む「子、のたまわく・・・・・・」と、生徒たちが声を出して論語を読むのが聞こえてくる。♠〈論語読みの論語知らず〉書物からの知識だけでは、論語読みの論語知らずで実際の役に立ちません。 **ろんこう【論考】** 考察し論じること。[文例]〈論考を著す〉彼の著したモーツアルトについての論考は有名です。♠〈論考をまとめる〉邪馬台国[やまたいこく]のなぞについて、私なりの論考を一冊の本にまとめてみたのがこれです。 **ろんし【論旨】** 議論の主旨。[文例]〈論旨の展開〉この文章を論旨の展開に従って区切り、それぞれに適切な小見出しを付けてみよう。♠〈論旨をまとめる〉文章の論旨を二百字程度にまとめなさい。 **ろんじゅつ【論述】** 論じ述べること。[文例]〈論述の進め 方〉論述の進め方については、飛躍がないように注意しなければなりません。♠〈論述する〉この文章を読んで、自分なりに感じたこと、考えたことを論述してみよう。♠〈論述文〉論述文を書くときは、自分の主張の重点をどこに置いて、論旨をどう組み立てるかに特に注意しよう。 **ろんしょう【論証】** 証拠をあげて論じること。[文例]〈論証を試みる〉筆者は、自説の裏付けとなる実例を挙げて論証を試みています。♠〈論証する〉その工場の排水が確実にこの病気の原因であることを論証することは、なかなか難しかった。 **ろん・じる【論じる】** 筋道を立てて意見を述べる。議論する。[文例]本当に幽霊[ゆうれい]が出るかどうか、いくらここで論じても始まらないから、今夜、そこへ行ってみようよ。♠へよしあしを論じる〉友人とアルバイトのよしあしを論じて、深夜に及んだ。♠へ優劣[ゆうれつ]を論じる〉日本と西欧[せいおう]の文明について、その優劣を、安易に論じる態度は感心しない。♠政治・社会を論じる>声高[こわだか]に政治や社会を論じ、人生の夢[ゆめ]を語れるのは、青春の特権かもしれない。 **ろんじん【論陣】** 弁論・議論の組み立てや展開。[文例]〈論陣を張る〉詩人は、全体主義へなだれこむ時代思潮に対抗して論陣を張り、個人主義と自由主義を擁護[ようご]した。 **ろんせつ【論説】** ある事柄について解説したり、是非を論じたりすること。また、その文章。[文例]〈新聞の論説>新聞の論説に、開発と破壊の問題について意見が述べられていた。♠〈論説を読む>論説・評論を読んだり、自分の意見を文章に書いたりして、ものごとを広く見る目を養おう。♠<論説文〉論説文とは、一般には新聞の社説や雑誌の論文などに代表されるような文章のことを言います。♠〈論説委員>氏は、新聞社の論説委員として活躍しています。 **ろんせん【論戦】** 議論をたたかわせること。[文例]〈激しい論戦>新しい改革案について、議会では賛成派と反対派の間で激しい論戦が展開された。♠〈論戦を交わす〉今日は、お互いの意見をはっきりと示して、納得のいくまで論戦を 交わしてみよう。♠〈論戦を交える〉さまざまな問題について友と論じ合い、夜ふけまで論戦を交えたこともあった。 **ろんそう【論争】** 自分の意見を主張して言い争うこと。[文例]〈論争を封じる〉一度[ひとたび]戦争が起こったら、いっさいの論争は封じられ、国をあげて戦争に協力しなければならなくなる。♠〈論争の余地〉その古墳[こふん]に葬られ[ほうむ]ている人は、副葬品[そうひん]から見て、皇子の一人であることに論争の余地がない。♠〈論争を行う〉一時期、その湖をめぐる論争がさかんに行われたものだ。♠<激しい論争>政治討論会で、左右両派の政治家が激しい[はげ]論争をくり返している。♠〈論争に参加する〉この問題は、地理学界に大きな波紋[はもん]を投げ、他の分野の学者までが論争に参加した。♠〈論争する〉人と論争する場合には、何よりも冷静さが必要です。 **ろんちょう【論調】** 議論・論説の調子や傾向。[文例]<激しい論調>筆者は、現代社会の諸問題について、激しい論調で読者に訴え[うつた]ています。♠へ新聞の論調>当時の新聞の論調は、農産物の自由化はやむをえないというものだった。 **ろんてき【論敵】** 論争の相手。[文例]意見が対立しても、プライベートな事柄をとりあげて論敵をおとしめるような態度は避けなくてはなりません。 **ろんてん【論点】** 議論・論説の要点。[文例]〈論点をおさえる>論説文などを読むときは、論点をしっかりおさえて読むことが大事です。♠〈論点がずれる〉討論しているうち、いつのまにか論点がずれてしまい、何を議論しているのか分からなくなることがある。♠〈論点がはっきりする〉司会役がそれぞれの意見を整理したので、論点がはっきりしました。 **ろんなん【論難】** 欠点や誤りを論じて非難すること。[文例]〈論難する〉新聞は、現行の制度の欠陥[けつかん]や弊害[へいがい]を並べ立てて論難し、制度の廃止を訴え[うつた]た。 **ろんぱ【論破】** 議論して相手を言い負かすこと。[文例]〈論破する>反対意見を論破したからといって、ただちに自分の意見の正当性が論証されたわけではありません。♠へ論破 ろ <1225> する>討論で論破されたことを根にもって、相手はぼくに敵対心を抱いているらしい。 **ろんばく(論駁)** 他人の説の誤りなどを指摘し、攻撃すること。[文例]〈論駁する>筆者は、自説こそ正当であることを主張し、他の説を激しく論駁した。 **ろんぴょう【論評】** 論じて批評すること。[文例]〈論評を加える〉今クラスの関心を集めている問題をとり上げ、それに論評を加えてみよう。♠〈論評する〉大事件が起こると、新聞社や放送局では分秒を争って報道し、論評します。 **ろんぶん【論文】** ある事柄について自分の主張や考えを論理的に述べた文章。[文例]〈論文を読む>博士の論文を読んで理解するのに、大変時間がかかりました。♠〈論文を書く〉四年生は、卒業論文を書くための準備で忙しかった。♠〈論文にする〉今回の実験の結果を、論文にして学会で発表するつもりです。 **ろんぽう【論法】** 議論・論説の方法。[文例]〈論法を用いる〉論者は、独特の論法を用いて論を進めています。♠きみの論法で行けば、世の中は悪化する一方でまもなく滅亡することになる。♠〈三段論法「AはBである、BはCである、故にAはCである」とする推論の形を三段論法といいます。 **ろんり【論理】** 議論や考え方の筋道。ある物事の基本的な原則。[文例]〈論理が通る〉論理が通っていないと、相手に自分の主張を理解させたり、相手を説得したりすることは困難だ。♠〈論理を積み重ねる>筆者がどんな論理を積み重ねて結論に達したかが理解できると、筆者の考えがよく分かる。♠〈論理の展開〉論説文は、論理の展開に注意して読み、要点をとらえるようにしよう。♠〈論理の飛躍〉きみの議論には、論理の飛躍があってついていけないよ。♠〈論理の進め方〉彼の論理の進め方にはむりがあるのを、彼自身、気づいていないようだ。♠〈政治の論理〉どの政治党派にも権力への志向が見られるのは、力こそ政治の論理であるからだろう。♠〈論理的>勉強すれば成績が上がるというのは 論理的に正しいし、わかってもいるのだが、なかなかうまく いかなくて・・・・・・。 わ **わ【輪】**(環) 細長いものを円形に曲げたもの。円形になったもの。円形。車輪。おけなどのたが。[文例]〈火の輪〉ライオンは、めらめらと燃える火の輪を勇ましくくぐりぬけた。♠〈土星の輪>望遠鏡の中に浮かんだ土星の輪は、ぼくに宇宙の神秘を感じさせた。♠〈輪にする〉おけ屋さんでは、木のつるや竹を割ったものを曲げて輪にし、たがを作っていました。♠へ輪になる〉体育の時間、みんな手をつないで大きな輪になり、フォークダンスを踊り[おど]ました。♠へ輪を作る〉キャンプの夜、火を真ん中にして一つの輪を作り、みんなで歌を歌ったことはよい思い出です。♠〈輪を描く>秋の空に、ピーヒョロロとトンビが大きく輪を描い[えが]た。♠へ運動の輪>水害地の人を助けようという運動の輪が広がって、衣服や学用品が集まった。♠へ輪をかける〉わたしもなまけ者だが、弟はそれに輪をかけたなまけ者だ。 **わ【和】** 仲がよいこと。仲直り。二つ以上の数を加えた値(→差)。[文例]〈人の和〉わが社は、人の和をモットーとしている。♠〈和を結ぶ〉両国は、戦争に終止符を打って和を結んだ。♠へ数の和〉この三つの数の和を求めなさい。 **わいきょく(歪曲)** ゆがめ曲げること。ゆがみ曲がること。事実を故意にゆがめること。[文例]〈事実を歪曲する〉部下が自分自身に有利になるよう、事実を歪曲して報告していたらしい。♠へ報道を歪曲する〉権力者の圧力で、報道が歪曲されるようなことがあってはならない。 **わいざつ(猥雑)** ごたごたと入り乱れているさま。乱雑で下品なさま。[文例]〈猥雑な都会>猥雑な都会を逃れるように、わたしは休みごとに山へ行った。♠<猥雑な話〉酒場では、酔った男たちが猥雑な話に興じ[きょう]ていた。 **わいしょう(矮小)** 丈が低く小さいさま。ちっぽけなさま。[文例]〈矮小な星>わたしたちの住む地球は、宇宙の中のきわめて矮小な星にすぎないが、かけがえのない星でもある。 **わいせつ(猥褻)** 性に関して下品でいやらしいさま。みだらなさま。[文例]〈猥褻な写真>夜の繁華街[はんかがい]で、男は通行人に猥褻な写真を売りつけようとした。♠<猥褻罪〉『チャタレー夫人の恋人』が、猥褻罪に問われて裁判問題になったことは有名である。 **わいろ(賄賂)** 職権を利用して特別の便宜[べんぎ]を図ってもらうためにおくる金品。[文例]〈賄賂を贈る〉役人に賄賂を贈る犯罪があとを絶ちません。♠へ賄賂を使う〉昇進[しょうしん]するために、上司に賄賂を使う人もいるらしい。♠へ賄賂を受け取る〉企業から賄賂を受け取って仕事の便宜を図っていると、市長にまつわる黒いうわさが流れた。 **わかい【和解】** 仲直りすること。争いをやめること。また、その約束。[文例]〈和解が成立する〉公害病の補償は、企業との話し合いで和解が成立した。♠〈和解する〉けんか別れをしていた友達と和解して、仲よくいっしょに帰った。 **わか・い【若い】** 生まれて年月を経ていない。活力・元気が あふれている。年齢が下である。未熟である。順序を示す数が小さい。[文例]〈若い人〉父は、若い人たちといっしょに鉄道の保線の仕事をしている。♠〈若い時は二度ない「若い時は二度ないぞ。」というのが、ぼくたちを励ます[はげ]時のおじのきまり文句です。♠〈若くして世を去る〉この詩は、若くして世を去ったきみたちの先輩が、小学校六年生の時作った作品です。♠若い柳>春らしくなって、川っぷちの若い柳[やなぎ]には、もう銀色の芽がふくらみ始めていた。♠若い会社〉この会社は、まだ創立して十年目の若い会社です。♠〈気が若い>気だけは若いつもりでいても、だんだん体がついていかなくなります。♠へいくつになっても若い〉母は「いくつになってもお若い。」などと言われると、とてもうれしそうな顔をする。♠〈五つ若い〉叔父[おじ]さんは五十歳で、うちの父より五つ若いのです。♠へきみもまだ若い〉気にくわ わ <1226> ないことがあると、すぐに顔に出すようじゃ、きみもまだま だ若いね。♠〈番号が若い〉では、入り口に集合して、番号の 若い人から順に入場してください。 **わかがえり【若返り】**○若返ること。[文例]〈議員の若返り〉 今度の選挙では新人が数多く当選し、議員の若返りが行われた。 **わかがえ・る【若返る】**○若い状態にもどる。若々しくなる。[文例]若い人たちと一緒に仕事をしたことで、わたしは若返った気分だった。♠ヘスタッフが若返る〉新人の採用で、会社のスタッフが若返った。 **わかげ【若気】**♪わかげ **わかげ【若気】**○若さからくる無分別な傾向。わかぎ。[文例]〈若気の至り[いたり]〉若気の至り[いたり]で無茶なことをしでかしてしまい、全くお恥ずかしい次第です。♠〈若気の過ち[あやまち]〉才能もな いのに作家を目指したのが、若気の過ち[あやまち]でした。 **わかさ【若さ】**○若いこと。[文例]〈若さに任せる〉心はやる青年たちは、何ごとにおいても若さに任せて暴走してしまいがちだ。♠〈若さの秘訣[ひけつ]〉七十になっても率先して行動する、彼の若さの秘訣[ひけつ]は何だろう。 **わか・す【沸かす】**○液体を熱くする。金属をとかす。興奮させる。[文例]〈湯を沸かす〉昔は自分の家でお産[さん]をしたので、家の者はかまどで湯を沸かしたり、産湯[うぶゆ]を使わせたりでたいそう忙しかったそうだ。♠人風呂を沸かす〉お風呂を沸かすのは、わたしの仕事です。♠へ聴衆をわかす〉弁士はユーモアあふれる熱弁で、満場の聴衆をわかした。♠へそで茶を沸かす〉ちゃんちゃらおかしくてへそで茶を沸かすよ。 **わか・す(湧かす・涌かす)**○発生させる。[文例]〈うじをわかす〉いくら男の一人暮らしだからって、うじをわかすほどゴミをためておくやつがあるか。 **わかぞう【若造・若僧・若蔵】**○年若く未熟な者。[文例]いくら大きなことを言っても、あんな若造[わかぞう]に何ができるものか。 **わかちあ・う【分かち合う】**○分け合う。[文例]〈喜び・悲しみを分かち合う〉喜びも悲しみも分かち合って生きてきたその老夫婦には、穏やかな安らぎがあった。 **わか・つ【分かつ】(別つ・頒つ)**○分ける。区別する。判別する。分配する。[文例]」〈国を分かつ〉その戦争は、国を二つに分かつ悲惨[ひさん]な結果を生んだ。♠昼夜を分かつ工事は、昼夜を分かたず進められた。♠〈運命を分かつ〉この一通の手紙が幼い兄弟の運命を分かつことになる。♠たもとを分かつ〉わたしはある事件がもとで、長いつきあいの彼と袂[たもと]を分かつことになった。♠〈理非を分かつ〉社会人として必要なのは、ものごとの理非を分かつ能力です。 **わかて【若手】**○若くて元気盛んな人。集団の中で若いほうの人。[文例]〈若手の作家〉近年、若手の作家たちが、次々に優れた作品を発表している。♠若手の活躍〉今年のプロ野球では、若手の活躍が目立っている。 **わかば【若葉】**○生えたばかりの葉。[文例]〈けやきの若葉〉町を歩くと、けやきの若葉が美しかった。♠〈若葉がもえる〉若葉のもえる野山を歩き回った。 **わがまま(我儘)** ○自分かって。身がって。[文例]へわがままいっぱい〉少年は金持ちの家庭で、何不自由なくわがままいっぱいに育った。♠くわがままなところ〉箱入り娘[はこいりむすめ]として育てられたので、あの子にはわがままなところがある。♠へわがままにふるまう〉あの人は、自分のことしか考えない性格なのか、わがままにふるまうことが多くて困る。♠へわがままをする〉小さいころから、病気がちの子でしたので、ずいぶんわがままをさせてきました。♠へわがままを言う〉お母さん、今度だけはわがままを言わせてください。 **わがもの【若者】**○若い人。わこうど。[文例]若者は、この美しい娘を一目見て好きになりました。♠何事にもがむしゃらにぶつかっていけること、それが若者の特権だと思いま す。 **わがものがお【我が物顔】**○自分の物でないのに自分の所有物のような顔をすること。傍若無人[ぼうじゃくぶじん]にふるまうさま。[文例]〈わがもの顔にふるまう〉人の家に遊びに来てはわがもの顔にふるまうので、大変迷惑[めいわく]している。♠へわがもの顔にはびこる〉庭の手入れを怠[おこた]っているうちに、雑草がわがもの顔にはびこってしまった。 **わかや・ぐ【若やぐ】**○若々しくなる。若返ったようになる。[文例]〈気持ちが若やぐ〉最近、英会話を習い始めた祖母は、気持ちが若やいできたようだ。♠〈若やいだ声〉体育館からバレーボールを楽しむ母親たちの若やいだ声が聞こえてきた。♠〈若やいで見える〉髪を切って、明るい色のワンピースを着た妻は、いつもより若やいで見えた。 **わからずや【分からず屋】**○道理のわからない人。道理を聞き分けないこと。[文例]〈わからず屋のおやじ〉わからず屋のおやじにこのことをどう説明したらいいのか、頭を悩ませています。♠このわからず屋! 何度言わせたら気が済むんだ。♠くわからず屋を言う〉かずお君はまたわからず屋を言って、お母さんを困らせているの。 **わかり【分かり】(解り・判り)**○わかること。理解。のみこみ。[文例]〈わかりがはやい〉きみは、何ごとについてもわかりがはやいね。♠くわかりがいい〉源氏物語は、原文よりも英訳のほうがかえってわかりがいいという人もいる。 **わかりあ・う【分かり合う】**○理解しあう。[文例]互いに分かり合う〉議論をすることの第一の目的は、互いに分かり合うことにあるといえます。♠〈目で分かり合う〉二人はほとんど無言だったが、目で分かり合っているようだった。 **わか・る【分かる】(解る・判る)**○明らかになる。理解できる。了解できる。理解力がある。人の気持ちを知って理解がある。[文例]〈違いが分かる〉「一代[いちだい]」も「一台[いちだい]」も「一題[いちだい]」も、みな「いちだい」と読むが、意味の違いは、漢字を見ればすぐ分かる。♠へ意味が分かる〉当時の村人たちは字が読めないのだから、池の魚を捕るなという漢字の禁札の意味が分かるわけがない。♠訳が分かる〉その子はとつぜんしかられて、訳が分からない様子で、きょとんとしていた。♠手に取るように分かる〉次のページを読むと、弱り切っている彼の気持ちが手に取るように分かる。♠へよしあしが分かる〉わたしには、絵のよしあしはまったく分からない。♠へもの <1227> が分かる〉若いけれど、もののよく分かった先躍[せんぱい]だったので、後輩の失敗をすぐ許してやった。♠く話が分かる〉父は話の分かる人なので、ぼくは何でもまず父に相談する。♠<勝手が分かる〉普通の大人には縁[えん]がないので、学校へ出かけると勝手が分からなくて困るそうです。♠へ西も東も分からない〉西も東も分からない東京に出てきて五年たちました。 **わかれ【別れ】**○別れること。いとまごい。[文例]きみが遠くへ行ってしまうんじゃ、ぼくたちこれでお別れだね。♠別れを告げる〉故郷に別れを告げ、上京してから五年になります。♠〈別れの言葉〉別れの言葉の代わりに、ひとつ歌をうたって、皆さんとお別れしようと思います。♠〈別れのあいさつ〉明日、アメリカへ旅立つので、おじの所へ別れのあいさつに行ってきた。♠〈永遠の別れ〉それが二人にとって永遠の別れになるとは、だれも思いませんでした。♠へ今生の別れ[こんじょうのわかれ]〉その橋が二人の今生の別れ[こんじょうのわかれ]の場となった。♠へ別れに臨む[のぞむ]〉みなさん、わたしは今日お別れに臨んで言いたいことが山ほどありますが、胸がつかえて何も言えません。♠〈お別れをする〉ある夏の終わりに、わたしは一人の少年とお別れをしました。 **わかれみち【分かれ道・別れ道】**○道が分かれる所。人と別れる道。[文例]〈分かれ道に来る〉ぼくたちは分かれ道に来て、道しるべと地図を見くらべた。♠へ分かれ道になる〉ここから三百メートルほど行くと、分かれ道になっています。♠〈人生の分かれ道〉父の跡[あと]を継ぐか、自らの生き方を求めるかで、人生の分かれ道に立たされた。♠二人の別れ道〉この木の所が二人の別れ道で、ここからぼくたちは別々に家路[いえじ]をたどるのだった。 **わかれめ【分かれ目】**○物事の分かれるところ。分岐点。[文例]〈道の分かれ目〉道の分かれ目で、どちらへ行くべきか迷ってしまった。♠へ勝負の分かれ目〉報道記事はいかに速く報道するかが勝負の分かれ目となる。♠へ一生の分かれ目〉結婚は女の一生の分かれ目ですから、冷静に対処するつもりです。 **わか・れる【別れる・分かれる】**○別々になる。離れる。分離する。[文例]〈人と別れる〉転校して行った友達と別れて長いことたつが、今何をしているだろう。♠〈家族と別れる〉冬、出かせぎに行く父は、長い間家族と別れて、都会で一人くらさなければならない。♠へ祖国と別れる〉難民の家族は、なつかしい祖国と別れて、この日本に永住しようとしている。♠<二手に分かれる〉刑事[けいじ]たちは署の前で二手に分かれて、犯人捜査[はんそうさ]に向かった。♠へふたまたに分かれる〉ちょっと行くと、道路はふたまたに分かれていた。♠<組に分かれる〉体育の時間、バレーボールをやる組と、サッカーをやる組との二組に分かれた。♠〈部分に分かれる〉昆虫[こんちゅう]の体は、頭、胸、腹の三つの部分に分かれる。♠へ勝敗が分かれる〉両チームとも投手の調子がいいので、つまらないエラーで勝敗が分かれることもありうる。♠へ意見が分かれる〉秋の遠足の候補地をどこにするかで、わたしたちの意見が分かれた。 **わかれわかれ【別れ別れ】**○はなればなれ。べつべつ。[文例]〈別れ別れに暮らす〉事情があって、家族が別れ別れに暮らしています。♠〈別れ別れになる〉祭りの人ごみの中で、ぼくたちはいつのまにか別れ別れになってしまった。 **わかわかし・い【若若しい】**○いかにも若い感じを与える様子だ。[文例]〈若々しい笑顔〉青年の若々しい笑顔が印象的だった。♠く若々しい足取り〉耕平は、学生のころと変わらない若々しい足取りで近づいてきた。♠〈若々しい緑〉若々しい緑の草原の続く中に、ところどころ樹木がポツンと立っていた。 **わき (脇・腋)**○胸の側面で腕の付け根の下。かたわら。横。そば。本筋から外れたところ。能でシテ(主役)の相手役。演劇で脇役。[文例]〈わきにはさむ〉若武者は、弓をわきにはさみ、大将の前にかしこまった。♠ヘシャツのわき〉あれ、いつの間にかシャツのわきがほころびてる。♠〈机のわき〉ぼくの机のわきには、本棚[ほんだな]が置いてあります。♠へ道のわき〉ふと見ると、道のわきにすみれの花が咲いています。♠へわきへよける〉せまい道で後ろから車が来たので、あわててわきへよけた。♠へわきをすり抜ける〉小学生の乗った自転車は、ぼくのすぐわきをすり抜けていった。♠へわきからのぞきこむ〉弟は、父が読んでいる新聞をわきからのぞきこんでいる。♠へわきを向く〉だれだ、授業中にわきを向いておしゃべりしてるのは。♠話がわきにそれる〉途中で話がわきにそれて、夏休みのキャンプが話題になった。♠ヘわきに置く〉だれが最初に出かけるかという問題はわきに置いといて、先に、時間と場所を決めよう。♠へわきがあまい〉すもうでは、わきがあまいと強くなれません。 **わきあいあい(和気藹藹)**○なごやかな雰囲気に満ちているさま。[文例]〈和気藹々とする〉この会社は、和気藹々とした雰囲気で気持ちよく仕事ができる。♠〈和気藹々のうち〉会場には明るい笑い声が流れ、パーティーは和気藹々のうちに進行していた。 **わきあがる【沸き上がる】(湧き上がる)**○盛んに沸く。激しくわき起こる。[文例]〈湯が沸き上がる〉やかんの湯が沸き上がったら、ポットに移してちょうだい。♠へ温泉がわき上がる〉突然畑から温泉がわき上がって、村じゅうが大騒ぎになった。♠へ喜びがわき上がる〉合格通知を受け取って、しばらくしてから喜びがわき上がってきた。♠〈非難がわき上がる〉軍の政治介入[かいにゅう]に対して、市民の間に非難がわき上がってきた。 **わきおこ・る【沸き起こる】(湧き起こる)**○盛んに出てくる。急に生じる。[文例]〈雲がわき起こる〉明るい空に黒雲がわき起こったと思ったら、ほどなく夕立がきた。♠へ拍手がわき起こる〉幕がおりると、場内を揺るがさんばかりの拍手がわき起こった。♠〈歓声がわき起こる〉女学生の一団から、どっと歓声がわき起こった。♠〈非難がわき起こる〉市民の間に市議会に対するごうごうたる非難がわき起こった。 **わきかえ・る【沸き返る】(湧き返る)**○激しく沸く。煮えくりかえる。感情が激しくたかぶる。熱狂する。[文例]〈湯が沸き返る〉なべの中には、湯がぐらぐらと沸き返っていた。♠ <1228> 〈観客がわき返る〉激しい攻防戦[こうぼうせん]に、満場の観客がわき返った。♠へ怒りがわき返る〉卑怯[ひきょう]な行為に対して怒りが胸の中にわき返った。♠へ怒りでわき返る〉怒りで胸の中がわき返る。 **わきた・つ【沸き立つ】(湧き立つ)**○盛んに沸く。感情が激しくたかぶる。熱狂する。[文例]〈湯が沸き立つ〉湯が沸き立ったところへ、ぱらぱらとスパゲティを入れます。♠へ勝利にわき立つ〉地元は、県代表校の勝利にわき立っていた。 **わきま・える(弁える)**○見分ける。弁別する。十分に心得る。[文例]〈前後をわきまえる〉かっとなったわたしは、前後をわきまえず外へ飛び出していた。♠〈常識をわきまえる〉社会生活では、みんなが常識をわきまえて行動すると不愉快な気持ちを味わわなくてすみます。♠〈場所柄[ばしょがら]をわきまえる〉式場にそんな服装で来るなんて、場所柄[ばしょがら]をわきまえなさい。 **わきみ【わき見】(脇見)**○わきを見ること。よそ見。[文例]〈わき見をする〉女は疾走[しっそう]する車の助手席で、わき見もしないで前方を凝視[ぎょうし]していた。♠くわき見する〉こらこら、わき見しないで、話をちゃんと聞きなさい。♠〈わき見運転〉事故の原因は、ドライバーのわき見運転だそうだ。 **わきみち【わき道】(脇道)**○本道からわきに入った道。本筋からそれた方向。横道。[文例]〈わき道へ入る〉大通りは混雑がひどく、車がいっこうに進まないので、わたしはわき道へ入った。♠話がわき道にそれる〉話がわき道にそれてどんどん進んでいき、しまいには本題が何かわからなくなっていた。 **わきめ【わき目】(脇目)**○わきから見ること。よそ目。わきを見ること。わき見。よそ見。[文例]〈わき目に見る〉どんな仕事でも、わき目に見るほど簡単ではない場合が多い。♠わき目もふらず〉人通りのない夜道で心細くなった少女は、わき目もふらずに走り出した。 **わきやく【わき役】(脇役・傍役)**○演劇・映画で主役を助けて演じる役。中心になる人を助ける立場(の人)。[文例]〈わき役に徹する[てっする]〉わき役に徹したしぶい演技で、主役を盛り立てる役者だった。♠〈わき役を固める〉この舞台はベテランの俳優がわき役を固めていて、見ごたえがある。♠へわき役にまわる〉チームの中心であるキャプテンは、この試合ではわき役にまわり、後輩に活躍の場を与えていた。 **わく【枠】**○周囲をふち取るもの。囲み。[文例]〈枠で囲む〉板で作った枠で、畑の種を植えた部分を囲んでみた。♠ヘカードの枠〉読者カードは、四角い枠の上の欄[らん]に書名と作者名を、下の欄[らん]に読後の感想を書くようになっている。♠へめがねの枠〉父は、めがねを庭石の上に落とし、枠ごとこわしてしまった。♠〈法律の枠〉〈枠をはみ出す〉あたりまえのことだが、人間は法律の枠をはみ出すと罰[ばっ]せられる。♠へ枠を広げる〉ブロックという枠を広げて、記念大会は都道府県から一代表選抜で行われた。♠〈予算の枠〉〈枠をこえる〉安いので予算の枠をこえて買い過ぎてしまったと、母はこぼしている。♠へ枠にはめる〉何でも枠にはめてしまうようなやり方はさけて、子供はのびのびと育ててやりたい。♠〈枠にしばられる〉規則は守るべきだが、ときには枠にしばられず、自分の意思で行動することも大切だ。 **わ・く【沸く】**○水などが熱くなる。沸騰[ふっとう]する。金属がとける。発酵する。興奮する。熱狂する。[文例]〈湯が沸く〉お湯が沸いたら、やかんを下ろしておいてちょうだい。♠へ風呂[ふろ]が沸く〉さあ、風呂[ふろ]が沸いたから、お父さんから順番に入るぞ。♠<喜びにわく〉夏の甲子園での優勝で、町じゅうが喜びにわいています。♠〈場内がわく〉チャンピオンが登場すると、それまで静かだった場内が一気にわきあがった。♠へわきにわく〉十点満点のすばらしい演技に、場内はわきにわいております。♠人血わき肉躍[おど]る〉ぼくが好きなのは、血わき肉躍る大冒険[ぼうけん]小説ってやつだ。 **わ・く(湧く・涌く)**○水などが噴き出す。発生する。生じる。心の中に起こる。[文例]〈清水がわく〉小さな清水は、ちょうどがけの下の岩と岩の間からわいていた。♠〈温泉がわく〉火山の多い日本は、全国いたる所に温泉がわいています。♠石油がわく〉大油田地帯であるテキサスも、石油がわくとわかるまではただの荒れ地であった。♠〈虫がわく〉夏場、台所のごみをほっといたりしたら、すぐに虫がわきますよ。♠雲がわく〉見ている間に、真っ青な夏空に白い入道雲がもくもくとわいてきた。♠<希望がわく>「今年がだめでも来年がある」と思うと、ぼくの胸には新たな希望がわいてきた。♠ヘファイトがわく〉第一回戦の相手が去年の優勝チームだと聞いて、ますますファイトがわいた。♠へ疑問がわく〉何気ない彼の言葉に、「はたして犯人は彼だったのだろうか。」という疑問がわいた。♠へ愛情がわく〉一つ屋根の下で共に暮らせば、だれしも愛情がわくというものだ。♠〈思いがわく〉再びこの地を訪れることがないかもしれないと思うと、一木一草[いちもくいっそう]にも去りがたい思いがわいてきます。♠へ降ってわいたような災難〉まさかわが家に泥棒[どろぼう]が入るとは、まったく降ってわいたような災難だ。 **わくぐみ【枠組み】**○枠を組むこと。物事の大まかな組み立て。[文例]〈枠組みができる〉公園に幼児のための砂場をつくろうというので、その枠組みができあがったところです。♠〈社会の枠組み〉社会の枠組みに縛[しば]られることなく、自由な生き方をしたいと思う。 **わくせい【惑星】**○太陽のまわりを公転する星。あまり知られていないが有力である人。[文例]〈太陽系の惑星〉地球は太陽系の惑星の一つである。♠〈惑星的〉次期社長として専務など三人の名がささやかれているが、もう一人惑星的な存在としてニューヨーク支店長がいる。 **わくわく**○胸がおどって落ち着かないさま。[文例]〈わくわくする〉ディズニーランドの入場門が近づくと、わたしの胸はわくわくしてきた。♠へわくわくした気持ち〉初めてゴーカートに乗った時のわくわくした気持ちを忘れることができない。♠へわくわくと胸が躍る[おどる]〉明日のパーティーのことを考えると、わくわくと胸が躍って眠ることができなかった。 <1229> **わけ【訳】**○道理。筋道。理由。事情。意味。てま。[文例]訳を聞く〉いつも明るいクラスメートがとつぜん泣き出したので、みんなで訳を聞き出しました。♠〈訳がある〉求人広告を出したら、何か訳のありそうな親子連れがやってきた。♠<訳がわからない〉幼い妹は、ときどき訳の分からないことを言っては、だだをこねる。♠〈訳を考える〉自動車のしくみをよく見て、車輪が動く訳を考えてみよう。♠へいいわけがない〉寒い日が続き、おまけに害虫までついたのだから、お米のできがいいわけはない。♠へ分かるわけがない〉日本語の読めない外国人に、「立ち入り禁止」の札[ふだ]の意味がわかるわけがありません。♠へわけはない〉百人力の大男には、その岩を持ち上げることなどわけはなかった。♠へ〜というわけだ〉アリたちはにおいをたどって、えさと巣の間を行ったりきたりするので、行列ができるというわけである。♠へ〜するわけにはいかない〉科学や技術の発達は望ましいことだが、だからといって、自然を破壊[はかい]するのを許すわけにはいかない。♠あんた、あたしに文句があるってわけ? **わけい・る【分け入る】**○分けて中に入る。道を開いて進む。[文例]〈山に分け入る〉猟師[りょうし]たちは獲物[えもの]を追って、木々の生い茂った山深く分け入った。♠〈想像の世界に分け入る〉さまざまな詩人の作品を通して、多様で豊かな想像の世界に分け入ってみよう。♠分け入っても分け入っても青い山(種田山頭火[たねださんとうか]) **わけても(別けても)**○とりわけ。特に。[文例]動物は何でも好きだが、わけてもゴリラは一日じゅう見ていてあきません。♠スポーツは万能の若者だったが、わけてもサッカーは天才的だった。 **わけへだて【分け隔て】(別け隔て)**○差別して扱うこと。[文例]〈わけへだてなく〉幼い時叔父[おじ]の家に引き取られたが、ほかの子供たちとわけへだてなく育てられた。♠へわけへだてする〉彼はだれをもわけへだてしないで、気さくに付き合う。 **わけまえ【分け前】**○分けてもらう分。わりまえ。とりまえ。[文例]〈分け前にあずかる〉朝はやくから地引き網漁[あみりょう]を手伝ったので、子供たちも漁の分け前にあずかった。♠へ分け前をやる〉たいして働かなかったのだから、あの男には分け前をやる必要はなかろう。 **わけめ【分け目】**○物を分けた境目。物事の結着のつく境目。分かれ目。[文例]<髪の分け目>髪の分け目を変えただけで、顔の印象が違って見える。♠へ天下分け目〉関ヶ原[せきがはら]の戦いは、天下分け目の戦いだった。♠〈生死の分け目〉この電車の衝突[しょうとつ]事故では、車両の前部と後部が生死の分け目になった。 **わ・ける【分ける】(別ける)**○一つのものを幾つかに離す。区分する。分割する。分類する。分配する。おし広げる。引き分ける。筋道を立てる。売る。譲る。[文例]〈段落に分ける〉本文を四つに分けた場合、各段落はどんなことを述べているか考えなさい。♠〈髪を分ける〉わたしは前髪[まえがみ]が長いので、毎朝きちんと分けて、ピン止めで止めておく。♠へ物を分ける〉「どうぞみなさんで分けてください。」と、隣[となり]のおばさんがおみやげをくださった。♠〈草むらを分ける〉秋、草むらを分けて歩くと、衣服についてくる種子がある。♠〈人ごみを分ける〉お祭りの人ごみを分けながら歩いていると、思いがけず幼友達に会った。♠へ勝敗を分ける〉ぼくの打ったヒットが、結局勝敗を分ける決め手になった。♠へ星を分ける〉両チームの対戦は、過去五勝五敗と星を分けています。♠〈明暗を分ける〉二人の青年がどの師につくかが、将来の明暗を分けたと言ってよい。♠へ血を分ける〉血を分けた親子だから、よく話し合えば、理解し合えないはずがない。♠〈草の根を分けて捜す[さがす]〉このデマの張本人は、草の根を分けても捜しだしてみせる。♠うまそうなスイカですね。一つ分けてくれませんか。 **わこうど【若人】**○若い人。若者。[文例]〈若人の集い[つどい]〉公民館では、村に残って農業に従事する若人の集いが行われた。♠部室のドアには、「きたれ若人、サッカー部へ!」というポスターが張ってあった。 **わざ【技】**○技芸。技術。武道などで相手にしかける術。[文例]〈技をもつ〉娘は、世にもめずらしい織物を織る技をもっていた。♠へすもうの技〉〈技がきまる〉すもう大会で得意の「内がけ」の技がきまり、ぼくは五人抜きを果たした。♠く技を競う〉父も子供のころは、こまのまわし方をいろいろ工夫して、仲間どうしで技を競い合ったそうだ。♠人技をみがく〉兄がコンクールに入賞できたのは、毎日人一倍の練習を積んで、技をみがいたからだ。 **わざ【業】**○行い。しわざ。仕事。こと。ことがら。[文例]<容易な業〉用具や装備[そうび]の発達した現在でも、エベレストの頂上まで登るのは容易な業ではない。♠ヘ油断のなせる業〉この敗戦はわれわれの油断のなせる業だ。♠〈至難の業[しなんのわざ]〉ロープの上を一輪車で渡る芸は、熟練した団員であっても、至難の業[しなんのわざ]とされている。♠〈人間業[にんげんわざ]〉燃えさかる火の中に飛びこんで、けがひとつしないなんて人間業[にんげんわざ]とは思えない。 **わざと**○故意に。意識的に。わざわざ。[文例]だれかがわざとやったのか、こんな所におもちゃのへびが置いてある。♠母の病気は重かったが、父はぼくたちを悲しませないようにと、わざとうそをついた。♠ぼくは、弟とすもうをとるとき、ときどきわざと負けてやることがある。♠東京に出てきている中学時代の友人に電話をするときは、わざと故郷の九州弁で話します。♠へわざとらしい〉かげでぼくの悪口を言っているのに、面と向かうとわざとらしいお世辞を言うのはやめてくれ。 **わざとらし・い(態とらしい)**○いかにもわざとするさま。[文例]〈わざとらしいおせじ〉あの人は、いつもわざとらしいおせじをいうので苦手です。♠へわざとらしい言い方〉そんなわざとらしい言い方をしないで、仕事がいやになったとはっきり言いなさいよ。♠へわざとらしく話しかける〉男は地図を片手に道を聞くふりをして、わざとらしく話しかけてきた。 **わざわい【災い】(禍)**○人に不幸をもたらす出来事。災難。悪い結果をもたらすこと。[文例]〈災いがふりかかる〉無意味 <1230> に生き物を殺すと災いがふりかかるという言い伝えがある。♠へ災いをもたらす〉このおだやかな自然も、いったん暴[あば]れ出すと、人間に大きな災いをもたらす。♠へ性格が災いする〉兄は、まっ正直な性格が災いして、どの会社に就職してもすぐ上役とけんかしてしまう。♠へ徹夜[てつや]が災いする〉試験の前日に徹夜[てつや]したことが災いして、ぼくは熱を出して寝こんでしまった。♠ヘ口は災いの元〉「口は災いの元」とことわざにあるように、不注意な言葉は災難となって自分に返ってくるのです。♠へ災いを転じて福となす〉「災いを転じて福となす」と言うではないか、あまりくよくよしないほうがいい。 **わざわざ(態態)**○特に意図的にするさま。[文例]どうやら、けいこはわたしをわざわざ散歩にひっぱり出したらしい。♠いじわるな友達に会うのがいやで、わざわざのろのろ歩いて時間をずらしたりしたものだ。♠暑いなかをわざわざご苦労さま。 **わしき【和式】**○日本的な様式。日本式。[文例]〈和式トイレ〉最近は、ホテルなどでは洋式トイレの数が和式トイレを上回っているようだ。♠〈純和式〉結婚式は、めずらしく料理から衣装まで純和式でした。 **わしづかみ(鷲掴み)**○ワシが獲物[えもの]をつかむように荒々しくつかむこと。[文例]〈わしづかみにする〉息子は、おやつのキャンディーをわしづかみにすると飛び出していった。♠〈わしづかみにする〉賊[ぞく]は、カウンターの上の札束[さつたば]をギュッとわしづかみにして逃げた。 **わじゅつ【話術】**○巧みに話す技術。[文例]へたくみな話術〉きみのたくみな話術にはみんながまるめこまれてしまう。♠<話術にたける〉実に話術にたけた人だから、二時間の講演も聴衆をあきさせなかった。 **わずか(僅か)**○ほんの少しであるさま。やっとであるさま。[文例]外国に行っていたわずか五年の間に、日本はすっかり変わっていた。♠俳句はわずか十七音しか使えないので、洗練された簡潔なことばで表現されるのが特徴[とくちょう]です。♠へほんのわずか〉体育館で六十キロのバーベルを上げようとしたが、ほんのわずか浮[う]いただけだ。♠へあとわずか〉楽しかった中学校の生活も、残りはあとわずかだ。♠へわずかな土地〉島の人々は、谷底のわずかな土地を開いて穀物を作り、やっと暮らしをたてていた。♠多くの応募作品の中で、わずかにこれが入選したにすぎない。 **わずらい【煩い・患い】**○わずらうこと。心配。苦労。病気。[文例]〈仕事の煩い〉ひなびた山の温泉につかっていると、仕事の煩いから解き放たれてほっとする。♠へ煩いが多い〉嫁いだ先が比較的大きな商店だったので、家事や店員の世話に煩いが多かった。♠へ患いが治る〉春からの患いがまだ治らず、病院通いが続いている。♠へ長の患い〉友人は、長の患いのためにずいぶんやつれて見えた。 **わずら・う【煩う・患う】**○思い悩む。なかなか・・・しない。病気にかかる。[文例]〈思い煩う〉家族の反対を押し切っても洗礼を受けるべきかどうかで、姉は毎日思い煩っていました。♠〈咲き煩う〉例年にない寒さのため、今年は花も咲き煩っている様子だ。♠へ胸を患う〉祖父は長い間、胸を患っている。♠へぜんそくを患う〉ぼくは子供のころ、小児ぜんそくを患ったことがあります。♠母は、生まれてこのかた患ったことがないというのが自慢[じまん]の種です。 **わずらわし・い【煩わしい】**○めんどうで気が重い。めんどうくさい。煩雑[はんざつ]だ。[文例]〈煩わしい手続き〉外国旅行には、パスポートをとるなど、いろいろ煩わしい手続きがある。♠<煩わしい交渉[こうしょう]〉取り引き先との煩わしい交渉は、母が全部一人でやってきた。♠へ煩わしいかかわり〉この時代には、俗世間との煩わしいかかわりをさけて出家[しゅっけ]した武士も多かったという。♠ヘ煩わしいこと〉修学旅行では、宿題だの試験だのといった煩わしいことをすべて忘れて、友達とさわいできた。♠へ付き合いが煩わしい〉他人との付き合いが煩わしいと言って、田舎へひっこんでしまった友人がいる。 **わずらわ・す【煩わす】**○悩ます。世話をやかせる。わざわざしてもらう。[文例]〈心を煩わす〉彼は、息子が起こした事故の補償[ほしょう]のことで、ずっと心を煩わしている。♠へ俗事に煩わされる〉定年退職した父は、俗事に煩わされなくてすむと言って喜んでいる。♠〈手を煩わす〉きみの手を煩わすこともないと思って、ぽくひとりで事を解決してしまったよ。♠〈人手を煩わす〉オートメーション化された工場では、ほとんど人手を煩わすことなく、製品が次々に作られていきます。♠へ人を煩わす〉わたしが上京するにあたっては、何かと先生を煩わしてしまいました。♠〈注意を煩わす〉不注意が、大事故をひきおこすという事に関しては、くれぐれも諸君の注意を煩わしたい。 **わ・する【和する】**○仲よくする。調子を合わせる。まぜ合わせる。[文例]〈相和する〉それから、二人は夫婦相和して、末永く幸せにくらしたと。♠へ声を和する〉「先生おなかがすいた。」と、十人の園児たちは声を和しておやつの催促[さいそく]をした。♠〈和して同ぜず〉君子[くんし]は和して同ぜずで、親しい人でもまちがっていれば同調しません。 **わすれがたみ【忘れ形見】**○その人を忘れないための記念の品。親の死後に残された子。[文例]〈母の忘れ形見〉母が入院直前にあつらえた着物が、袖[そで]を通さないまま忘れ形見となった。♠忘れ形見の息子〉夫が亡くなって五年、忘れ形見の一人息子も今年小学校に入学しました。 **わすれもの【忘れ物】**○置き忘れたもの。物を置き忘れること。[文例]〈忘れ物をする〉しまった、今の電車に忘れ物をしてしまった。♠〈忘れ物が多い〉幸夫は忘れ物が多いので、とうとう教室の後ろに立たされてしまった。♠へ忘れ物が届く〉事務室に傘[かさ]の忘れ物が届いています。 **わす・れる【忘れる】**○覚えていたことを思い出せなくなる。気づかずにいる。うっかり物を置いてくる。思い出さないようにする。[文例]〈ものを忘れる〉目が覚めている時より、眠っている時のほうが、ものを忘れることが少ないのだそうだ。♠へ単語を忘れる〉入学したてのころ、一心に覚えた英語の単語を、ぼくは三学期になったら忘れてしまった。 <1231> ●<疲れを忘れる〉家に帰って幼い子たちの顔を見ると、つらい仕事の疲れも忘れてしまう。♠へ寝食[しんしょく]を忘れる〉絵の制作が始まると、彼は寝食を忘れて、それに没頭[ぼっとう]するのだった。♠〈我を忘れる〉向こう岸で小さな子が川に落ちたのを見て、ぼくは我を忘れて大声で助けを呼んだ。♠へ定期券を忘れる〉バスに乗ってから、定期券を忘れたことに気づき、あわてて降ろしてもらった。♠へ忘れようとしても忘れられない〉戦争の恐ろしい体験は忘れようとしても忘れられるものでない。♠へいやなことを忘れる〉この町に住んで、いやなことはいっぱいあったけれど、全部忘れることにしています。♠〈天災は忘れたころにやってくる〉「天災は忘れたころにやってくる」というように、災害に対しては常に注意をおこたってはならない。♠〈見忘れる〉まさかぼくを見忘れたわけじゃないだろうね。 **わた【綿】**○アオイ科の植物。種子を包む繊維(綿花)から綿糸やもめん綿をとる。もめん綿・真綿・合成綿などの総称。[文例]〈綿の実〉絹は蚕[かいこ]からとれるが、木綿は綿の実から作る。♠へふわふわの綿〉姉の嫁入り道具の中に、きれいな布とふわふわの綿で作った布団があった。♠へ綿のような雲〉山の上の綿のような雲が、見ているうちに犬の形になってきた。♠へ綿のように疲れる〉「綿のように疲れる」という表現は、ぐったり疲れきることのたとえです。 **わだい【話題】**○話の題材。話の題目。[文例]<話題になる>季節の変わり目のこのごろは、天気のことが毎日の話題になります。♠へ話題にする〉娘[むすめ]たちは、いつも村一番の美少年のことを話題にしていた。♠〈目新しい話題〉アメリカの学生のパーティーでは、みんなで目新しい話題を持ち寄って楽しむそうです。♠へ話題にのぼる〉夕食後、いつも話題にのぼるのは、家族で行く夏休みの旅行のことです。♠へ話題をまく〉A君は、自転車で北海道一周旅行をして、学校中に話題をまいた。♠〈身近な話題〉先生は、身近な話題から入って、人間の生き方について語った。♠ヘ話題が豊富〉彼は話題が豊富で、いつでもぼくたちをあきさせません。 **わだかまり(蟠り)**○物事の進行がとどこおること。心の中にしてりとなって残ること。また、その感情。[文例]〈わだかまりがある〉わたしの心の中にわだかまりがあるせいか、相手に対して素直になれなかった。♠へわだかまりが生じる〉いつからか、彼に対してわだかまりが生じていた。♠〈わだかまりが解ける〉長い間、不仲であった祖母だったが、この出来事をきっかけにわだかまりが解けた。♠へわだかまりが取れる〉義理の父に対するわだかまりは、なかなか取れなかった。 **わだかま・る(蟠る)**○輪の形にぐるぐると巻く。複雑に入り組んで寄り集まる。複雑な感情がしこりとなって残る。[文例]〈草の株がわだかまる〉線路際には、月見草の株が寄り集まり、たくましくわだかまっていた。♠へ疑念がわだかまる〉わたしの心にわだかまっていた疑念を解いてくれる知らせが届いた。♠命へ胸にわだかまる〉その日以来、彼女の言葉がわたしの胸に暗くわだかまった。 **わたくし【私】**○自分を指していう語。個人に関すること。内密。私心。公共のものを個人の利益のために使うこと。[文例]それでは、私がこの会議の議長を務めさせていただきます。♠命へ私がない〉彼は私のない立派な人物だ。自分の利益だけを考えるようなことはしないさ。♠〈私する〉税金は、国民のために使うべきもので、役人が私することはできません。 **わたくしごと【私事】**○自分に関する、個人的な事柄。私事。[文例]〈私事にかまける〉申し訳ございません、私事にかまけて書類作成が遅れてしまいました。♠私事で恐縮[きょうしゅく]ですが、昨日より里の母が上京してきておりますので、一足先に帰らせていただきます。 **わたくし・する【私する】**♪わたくし **わたし(私)**○自分自身を指す語。[文例]わたしの家では、犬を飼っています。♠お母さん、お使いならわたしが行ってきてあげる。 **わた・す【渡す】**○向こう側へ届かせる。一方から他方へ懸ける。手から手へ移し与える。全体を・・・する。[文例]〈船で人を渡す〉むかし、この川には橋がなく、向こう岸まで船で人を渡していたという。♠へ板を渡す〉柱と柱の間に板を渡し、たなをこしらえた。♠〈橋を渡す〉深くて広い谷に橋を渡すことは、どう考えても難しかった。♠<綱[つな]を渡す〉向こう岸に綱を渡して、それをたよりに急流を泳ぎわたろうとした。♠へ手紙を渡す〉ぼくは、A君から頼まれた手紙をKさんに渡しました。♠く敵の手に渡す〉この城を敵の手に渡してなるものかと、味方の軍勢は必死で戦った。♠へ給料を渡す〉では、今月の給料を渡しますから、ハンコを持って会計まで来てください。♠〈明け渡す〉約束通り、今月いっぱいでこの家を明け渡します。♠へ見渡す〉頂上の展望台からは、山すそに広がった町全体を見渡すことができる。 **わだち(轍)**○道に残った車輪の跡。[文例]〈車のわだち〉この辺りは水はけが悪く、雨が続くと車のわだちがつくほど道がぬかるむ。♠へわだちが残る〉雪道の上にわだちが二本くっきりと残っていた。 **わたり【渡り】**○渡ること。渡る所。渡来すること。渡り歩くこと。鳥獣が定期的に移動すること。話し合い。つながり。[文例]〈渡りに船〉さて、バスで帰ろうかと待つところへ通りかかった店の車に、渡りに船とばかりに乗り込んだ。♠〈渡りをつける〉仙台の親方には渡りをつけておいたから、着いたら訪ねてみるといい。♠〈渡り鳥〉〈渡りをする〉渡り鳥とは渡りをする鳥をいいます。♠〈南蛮渡り[なんばんわたり]〉当時、ガラスは南蛮渡りとして珍重[ちんちょう]された。 **わたりあ・う【渡り合う】**○切り合う。争う。激しく論じ合う。[文例]〈相手と渡り合う〉すりこぎを持った相手に対して、こちらは竹ぼうきで渡り合った。♠〈客と渡り合う〉客のけんまくに舌を巻くどころか、女店員は一歩も引かずに渡り合った。♠へ堂々と渡り合う〉博士と呼ばれるほど昆虫[こんちゅう]にくわしい正男は、理科の先生とも堂々と渡り合った。 **わたりある・く【渡り歩く】**○あちこちを移り歩く。職業・職場を転々と変える。[文例]〈旅を渡り歩く〉放浪の画家は、 <1232> 絵筆を持って旅から旅を渡り歩いた。♠〈方々を渡り歩く〉包丁一本あれば暮らしの立つ身軽さで、板前[いたまえ]は方々を渡り歩いてきた。 **わたりどり【渡り鳥】**○繁殖地と越冬地の間を毎年決まった季節に移動する鳥。[文例]渡り鳥のつばめが飛来してくると、この地方にも春がやってきます。♠へ渡り鳥のよう〉男はひとところに定住するのが性に合わず、町から町へ渡り鳥のように移り歩いた。 **わた・る【渡る】(亙る・亘る)**○海・水上などを越える。一方から他方の側に移る。通り過ぎる。暮らして行く。手から手に移る。ある範囲・ある期間に及ぶ。すみずみまで及ぶ。長く続いて行われる。[文例]〈川を渡る〉少年は、毎朝渡し舟[わたぶね]に乗って川を渡り、向こう岸の中学校へ行く。♠〈日本へ渡る〉小さなモンシロチョウは、どうやって大陸から日本へ渡ってきたのだろう。♠〈道を渡る〉横断歩道は、左右をよく見て渡るようにしないと危ないですよ。♠石橋をたたいて渡る〉「石橋をたたいて渡る」ということわざは、用心の上にも用心をすることのたとえです。♠〈若葉を渡る風〉旅人は、若葉を渡る風の音をじっと聞いていた。♠〈世を渡る〉世の中には、要領よく世を渡る人もいれば、世渡りの下手[へた]な人もいる。♠へ渡る世間に鬼はない〉「渡る世間に鬼はない」と言うが、今まで会った人はみな人情味のある人ばかりだ。♠〈賞品が渡る〉まだ賞品の渡っていない人は、ここに一列に並んでください。♠〈広い範囲[はんい]にわたる〉山頂から流れ出た溶岩[ようがん]は、広い範囲にわたってふもとをおおい、冷え固まった。♠へ長時間にわたる〉会社の今後をきめる重要な会議が、長時間にわたってつづけられた。♠へ晴れわたる〉丘[おか]に登って寝ころぶと、晴れわたった空には、綿のような雲がうかんでいた。 **わな(罠)**○鳥や獣を捕らえるための仕掛け。人を陥[おとしい]れる計略。[文例]〈わなをかける〉おじいさんは、かもを捕ろうとして、沼にわなをかけた。♠へわなにかかる〉わなにかかってもがいているきつねを助けてやりました。♠へわなにかける〉この事件は、主人公をわなにかけようとしくまれたものだった。♠命へわなにはまる〉友達と二人でしくんだ計略が当たって、A君はみごとにわなにはまった。♠へわなに落ちる〉敵のひきょうなわなに落ちて、彼はとらわれの身となった。♠くわなを作る〉小鳥を捕るわなひとつを作るのにも、かなりの時間と労力が要るものです。 **わななく**○(恐怖などで)体がぶるぶる震える。[文例]〈恐怖[きょうふ]にわななく〉夜道で犬にほえられた時の恐怖にわななくわたしを想像できますか。♠へ体がわななく〉会場を埋めつくした聴衆を前に、壇上のわたしは体がわななくほど緊張[きんちょう]していた。 **わなわな**○おののきふるえるさま。[文例]〈わなわな震わせる〉彼は両手をわなわな震わせて、肩で息をしていた。♠〈わなわなと震える〉厳寒の海につかった男は、唇[くちびる]を紫色に染めてわなわなと震えていた。 **わび(詫び)**○わびること。あやまること。謝罪。[文例]〈わびを入れる〉破門を解いてもらうように、兄弟子を通じて師匠にわびを入れた。♠〈わびを言う〉相手は、電話口でしきりに無礼のわびを繰り返し言った。♠へわびの言葉〉まことにおわびの言葉もない気持ちでございます。 **わび(侘び・佗び)**○静かな生活をひとり楽しむこと。静かで落ち着いた境地。[文例]〈わび・さびの境地〉芭蕉[ばしょう]の俳諧[はいかい]の真髄[しんずい]は、わびとさびの境地です。♠へわび住まい〉田舎のわび住まいですが、どうぞ一度お越しください。 **わびし・い(侘しい)**○寂しく心細い。ひっそりして寂しい。みすぼらしい。みじめだ。[文例]〈わびしい思い〉田舎のひとり暮らしなので、今日までわびしい思いをしてきました。♠へわびしい暮らし〉姉は、絵の勉強でフランスに行っていますが、わびしい外国暮らしをなげく手紙をよくよこします。♠へわびしい生活〉一人、東京に下宿していた時のわびしい生活を忘れない。♠へわびしい趣[おもむき]〉東北の静かな町に、わびしい趣を持つ明治時代の建物が緑の風を受けてひっそりと立っていた。♠へわびしい村〉鉛[なまり]色の空の下、わびしい村々が少しの活気もなく横たわっていた。♠へわびしい道〉車の通行のはげしい国道のわきに、いかにもわびしい旧街道が通る人もまばらに北へ伸びていた。 **わ・びる(詫びる)**○あやまる。謝罪する。[文例]〈無沙汰[ぶさた]をわびる〉久し振りに会った先生に無沙汰をわびました。♠〈過ち[あやまち]をわびる〉自分の過ちをどうやってわびたらよいのか悩んでいます。 **わふう【和風】**○日本風。穏やかな風。[文例]〈和風の建物〉宿屋というと和風の建物を思わせる。♠〈和風の料理〉子供は、煮物や焼き魚などの和風の料理よりも、ハンバーグやスパゲッティなどの洋風の料理を好みます。 **わふく【和服】**○日本在来の衣服。着物。[文例]〈和服を着る〉おてんばの姪[めい]も、和服を着ると別人のようにおとなしく見えるから不思議だ。♠最近、和服の人気が盛り返しているらしい。 **わへい【和平】**○戦争や争いをやめて平和になること。[文例]〈和平が成立する〉アメリカの仲立ちにより、ここに両国の和平が成立したのである。♠〈和平を提案する〉会談の席上、相手国側から、和平が提案された。♠〈和平工作〉部族間の戦いを終わらせるべく、和平工作に乗り出す。 **わぼく(和睦)**○仲直りすること。[文例]〈和睦が成立する〉長い間続いた部族間の争いも、今度こそ和睦が成立しそうだ。♠〈和睦する〉隣国との争いに終止符を打ち、和睦することになった。 **わめ・く(喚く)**○叫ぶ。大声でしゃべる。騒ぐ。[文例]大声でわめく〉少年のころ、ぼくは、思いどおりにならないことがあると、大声でわめいて母を困らせたらしい。♠ヘ口々にわめく〉彼を許してやれ、と広場に集まった市民は口々にわめいた。♠火災が発生すると、場内の人々は、泣くやらわめくやら、大騒ぎ[おおさわぎ]になった。♠泣いてもわめいても〉過ぎ去ったことは、泣いてもわめいても、取り返しがつかない。 **わよう【和洋】**○日本と西洋。[文例]しょうゆは和洋どちらの料理にも合う調味料として、外国人にも好まれるように <1233> なった。♠<和洋折衷[せっちゅう]>日本の観光旅館は、和風も洋風もそろえた和洋折衷の造りが多い。 **わら(藁)**○稲などの実をとった後の茎を干したもの。[文例]〈稲のわら〉稲のわらを燃やした灰は肥料になります。♠へわらを敷く〉その夜は、農家の納屋を借りて、土間にわらを敷いて寝た。♠へわらにもすがる〉困りはてたわたしは、わらにもすがる思いで旧友を訪ねた。♠へおぼれる者はわらをもつかむ〉「おぼれる者はわらをもつかむ」という心境で、合格祈願[きがん]の神社参りをした。♠ヘ麦わらぼうし〉日差しが強いから、麦わらぼうしをかぶって行きなさい。 **わらい【笑い】**○笑うこと。笑い声。おかしい物事。[文例]〈笑いがとまらない〉仕事も順調、恋人もできたし、わたしは笑いがとまらなかった。♠〈笑いがもれる〉ぼくが読みまちがえると、近くの席から笑いがもれた。♠〈笑いをおさえる〉上司の言葉に笑いをおさえてあいづちを打つのはとても苦しかった。♠へ笑いを殺す〉はげ頭から湯気をたてておこる校長先生に、生徒たちは笑いを殺すのに必死でした。♠へ笑いを招く〉そんな意見を発表すると、世間の笑いを招くだけだ。♠へ笑いに紛らす〉その場は笑いに紛らしたが、今から考えると顔から火が出るほど恥ずかしい。♠〈笑いぐさ〉そんなことをすると、世間の笑いぐさだ。♠へ笑いもの〉気位の高い男だったから、周囲の笑いものになることには我慢できなかった。♠〈お笑い〉ぼくに説教しようというのかい? とんだお笑いだ。♠へもの笑い〉本人はおおまじめだが、まとはずれの言動はいつも周囲のもの笑いの種だった。♠へばか笑い〉年ごろの娘が、大口をあけてばか笑いをするものではない。♠〈思い出し笑い〉おや、いやな人だよ。にやにや思い出し笑いなんかしちゃってさ。♠へ作り笑い〉客商売ですから、いやな客の前でも作り笑いをしていなければなりません。 **わらいぐさ【笑い草】(笑い種)**♪わらい **わらいごと【笑い事】**○おもしろがって済ませる事柄。[文例]〈笑い事ですます〉ぼくが恥ずかしい思いをしたっていうのに、笑い事ですますなんてそれはひどいよ。♠へ笑い事でない〉あなたは他人事だから笑いとばせばすむけれど、わたしにとっては笑い事じゃないのよ。 **わらいとば・す【笑い飛ばす】**○笑ってまともにとりあわない。[文例]ヘプロポーズを笑い飛ばす〉なんたる悲劇、こちらのプロポーズを相手に笑い飛ばされてしまった。 **わらいばなし【笑い話】**○わらいながら話せるような話。こっけいな話。[文例]〈笑い話の種〉先生の失敗は、その後生徒たちの間で笑い話の種になりました。♠〈笑い話をする〉平和な世の中だからこそ、みんなで笑い話をして いられるのです。♠へ笑い話にする〉今だから笑い話にできますが、当時は本当につらい毎日でした。 **わらいもの【笑い者・笑い物】**○もの笑いのたね。笑いぐさ。[文例]〈笑いものにする〉人に恥[はじ]をかかせて、笑いものにするとはなんてひどい人だ。♠へ笑いものになる〉失敗してみんなの笑いものになるのはごめんだと、自尊心の強い彼は思った。♠みにくいあひるの子は、いつでもどこでもみんなの笑いものでした。 **わら・う【笑う】(嗤う)**○うれしさ・おかしさなどを表情や声に出す。あざける。関節がゆるむ。[文例]〈げらげら笑う〉水たまりで転んだぼくを見て、みんなげらげら笑っている。♠へくすくす笑う〉ぽぼくの顔に何かついているのか、知らない女の人たちがくすくす笑って通りすぎていく。♠へにやにや笑う〉「エッちゃんから電話だよ。」と、弟はにやにや笑いながらぼくの顔を見た。♠へにんまり笑う〉腹黒い商人は、客からだまし取った金を手にすると、満足そうににんまり笑った。♠くにこにこ笑う〉人のよさそうなおじさんは、いつもにこにこ笑っている。♠命へにっこり笑う〉プレゼントを渡すと、女の子はうれしそうににっこり笑いました。♠〈どっと笑う〉彼の珍妙[ちんみょう]な格好を見ると、敵も味方も一度にどっと笑った。♠へ高らかに笑う〉「女房[にょうぼう]が無事戻[もど]って、めでたし、めでたしだな。」と言うと、男は高らかに笑った。♠〈低く笑う〉「約束[やくそく]を果たせば、命だけは助けてやろう。」と、暴君はしわがれた声で低く笑った。♠弱く笑う〉彼は弱く一笑いながら、自分もあまり長くは生きられないだろうというようなことを言った。♠へつまらなそうに笑う〉冗談[じょうだん]を言っても、機嫌の悪い弟はつまらなそうに笑っているだけだ。♠へ心の底から笑う〉わたしは、今まで、母が心の底から笑うのを一度も見たことがなかった。♠目が笑う〉恐る恐る[おそるおそる]先生の顔を見上げると、先生の目がおかしそうに笑っていた。♠へ人を笑わせる〉泣いている妹を笑わせようと、ぼくは一生懸命だった。♠へ笑わせるな〉えっ、歌手になりたいだって? 笑わせるなよ。♠へ人に笑われる〉社会に出たら、人に笑われないようしっかりがんばるんだぞ。♠へ笑わば笑え〉人が何と言おうと、ぼくは思ったことはやり抜くぞ。笑わば笑えだ。♠へ笑う門には福来る〉「笑う門[かど]には福来る」といって、明るい笑い声の絶えない家庭は楽しいものです。♠へ顔で笑って心で泣いて〉つらい気持ちをごまかして元気に振るまうことを、「顔で笑って心で泣いて」などといいます。♠へ笑ってごまかす〉約束を破っておきながら、謝りもせず笑ってごまかすなんてひどいわ。♠へひざが笑う〉歩き疲れて、いざ山を下りる段になると、ひざが笑って思うように歩けない。♠道へ笑え二つになるぞけふからは(小林一茶) **わらじ(草鞋)**○わらを編んで作ったはきもの。[文例]へわらじをはく〉髪を桃割れにし、赤い腰まきにわらじをはいて、峠道[とうげみち]を行く旅芸人の少女たちの姿があった。♠へわらじをはく〉〈わらじを脱ぐ〉昔は、旅に出ることを「わらじをはく」、旅を終えること、または一時的に止宿することを「わらじを脱ぐ」などと言いました。♠〈金のわらじ〉あんないい女房は、金のわらじでさがしたって見つかるもんじゃない。大事にしてやりな。♠へ・・・・・・そのまたわらじを作る人〉かごに乗る人、担[かつ]ぐ人、そのまたわらじを作る人で、世の中はさまざまな階層の人から成っている。♠〈二足[そく]のわらじ〉教壇に立ちながら著作活動をするというように、二足のわらじをはき続けてきました。♠へわらじばき〉昔の人は、きゃは <1234> んにわらじばきのいでたちで旅に出かけました。♠へわらじ銭〉母親は、旅立つ子に弁当とわらじ銭を手渡し、見送りながら旅の無事を祈った。 **わり【割・割り】**○割ること。割ったもの。割合。割り当て。十分の一の歩合。[文例]〈割がいい〉仕事が楽で給料がいいという、割のいいアルバイトがあったら紹介してください。♠〈割をくう〉お姉ちゃんの成績がいいものだから、こっちは割をくって、たまにテストでいい点をとってもだれもほめてくれない。♠〈割に・が合う〉その仕事は割に合わないから、引き受けられないよ。♠〈週に一度の割〉単身赴任[たんしんふにん]している父から、週に一度の割で電話が来ます。♠へ〜の割に〉ヒトは、ほかの動物とちがって、体の割に脳が大きい。♠<部屋割り〉修学旅行で泊まる旅館の部屋割りは、先生が決めます。♠へ頭割り〉もうけを頭割りにすると、一人あたり二千五百円になる。♠〈水割り〉ぼくはお酒が弱くて、ウイスキーの水割りを一杯飲んだだけで顔が真っ赤になります。♠二割五分〉8打数2安打なら、打率は二割五分だ。 **わりあい【割合】**○全体の中に占める比率。比較してみた程度。比較的。思ったよりも。[文例]〈老人の割合〉農業や漁業をする人たちに占める老人の割合が大きくなっています。♠〈四分六の割合〉もうかった金は、ぼくと親方が四分六の割合で分けることになった。♠〈値段の割合に〉値段の割合に品がよいので、この商品は人気がある。♠このあたりは、冬でも割合(に)暖かい所です。 **わりあて【割り当て】**○割り当てること。割り当てたもの。分担。[文例]〈物の割り当て〉物資はみな配給となり、その割り当てもしだいに少なくなっていきました。♠へ仕事の割り当て〉もっと人員を増やせば、各人の仕事の割り当てが少なくなり楽になる。♠へ募金の割り当て〉募金は、一軒の割り当てが決められて、半ば強制的に徴収[ちょうしゅう]された。 **わりあ・てる【割り当てる】**○分けてそれぞれにあてがう。わりふる。分担させる。[文例]〈仕事を割り当てる〉うちでは、兄弟全員に家事が割り当てられています。♠へ部屋を割り当てる〉修学旅行の旅館では、班ごとに部屋が割り当てられました。 **わりかん【割り勘】**○(「割り前勘定」の略)費用を人数で割ってそれぞれが負担すること。[文例]彼は意外にけちで、自分から食事やお茶に誘ってもいつも割り勘で、おごってくれたためしがない。♠へ割り勘にする〉割り勘にしようといわれたのに、結局ぼくが全額払わされてしまった。 **わりき・る【割り切る】**○端数[はすう]が出ないように割る。物事を合理的・現実的に処理する。[文例](2で割り切る〉この中から2で割り切ることのできる数字を選びなさい。♠数字で割り切る〉人間の幸福というようなことは、数字で簡単に割り切ることはできません。♠へ仕事と割り切る〉少々恥ずかしいことも、仕事と割り切ってしまえば案外平気でできるものらしい。♠〈割り切った考え方〉わたしたち日本人は、割り切ったものの考え方が苦手な国民のようである。 **わりき・れる【割り切れる】**○端数[はすう]が出ないように割れる。心に疑問やわだかまりが残らない。納得する。[文例]〈割り切れない気持ち〉なんだかうまく言いくるめられたようで、割り切れない気持ちだ。 **わりこ・む【割り込む】**○押し分けて入り込む。無理に入り込む。わきから口を出す。[文例]〈列に割り込む〉男は、急いでいたらしく、切符[きっぷ]売り場に並んでいる人の列に割り込んでいった。♠へ話に割り込む〉わたしたちのないしょ話に、男の子たちが割り込んできた。 **わりだか【割高】**○質的・量的に他と比べて値段が高いこと。→割安[文例]〈割高な買い物〉安い物を買おうと時間と交通費までかけて、結局割高な買い物をしてしまった。♠〈割高につく〉個々にばらで買うと割高につくので、セット買いしたほうが得ですよ。 **わりだ・す【割り出す】**○割り算をして答えを出す。計算して結果を出す。ある事柄を基にして結論を出す。[文例]〈平均点を割り出す〉全体の結果から平均点を割り出し、自分の得点がどの水準にあるか確かめてみよう。♠〈経費を割り出す〉キャンプにかかる費用を書き出し、一人当たりの経費を割り出してみました。♠犯人を割り出す〉犯行現場に残された指紋から犯人が割り出された。♠〈経験から割り出す〉これはわたしの経験から割り出した意見だが、参考のために話しておこう。 **わりに【割に】**○比較的。わりあいに。[文例]今年の冬は、わりに暖かだったので、ぼくは、冬じゅうコートなしで過ごした。♠ぼくたちのクラスが共同製作した壁画は、わりにうまくできたと思う。♠わたしは、試験官の質問にはわりに落ち着いて答えることができた。♠その避暑地には、ドイツ人とイタリア人が滞在していて、わりににぎやかだった。 **わりびき【割引】**○割り引くこと。ひかえめに見ること。[文例]〈割引する〉このワンピース、ちょっと汚れがついているようだから割引します。♠〈割引する〉釣り人がする逃がした魚の話は、少し割引して聞いたほうがいい。♠人割引セール〉まだ七月だというのに、もう夏物の割引セールが始まった。♠〈割引券〉映画の割引券があるんだけど、行きませんか。♠学生割引〉〈割引がきく〉学校を卒業しましたから、学生割引はもうききません。 **わりび・く【割り引く】**○値段を何割か安くする。人の言う事をうちわに見る。手形割引をする。[文例]〈値段を割り引く〉勇気を出して値切ってみたら、正札[しょうふだ]の二割も割り引いてくれた。♠へ割り引いて聞く〉あの人の話は、割り引いて聞いたほうがいい。 **わりふ・る【割り振る】**○割り当てる。[文例]〈作業を割り振る〉リーダーが作業を割り振ると、全員がいっせいに仕事にとりかかった。♠部屋を割り振る〉宿舎に着くと、五人一組で部屋が割り振られ、わたしはTさんと一緒になりました。♠〈時間を割り振る〉グラウンドが狭いので、クラブごとに日にちや時間を割り振って、共同で使用しています。 **わりまし【割り増し】**○一定の金額に、ある割合の額を上乗せすること。[文例]〈割り増しになる〉行楽シーズンには、 <1235> 料金が割り増しになる旅館やホテルが多い。♠へ割り増しする〉予想よりきつい作業だったからと、店長はアルバイト料を割り増ししてくれた。♠へ割り増し料金〉支払い期限を一日過ぎただけなのに、割り増し料金を払わされた。 **わりやす【割安】**○質的・量的に他と比べて値段が安いこと。→割高[文例]<料金が割安〉まとめて買うと料金が割安になるので、得ですね。♠<割安なサイズ>多人数のご家庭には割安な徳用サイズをお勧めします。 **わる【悪】**○悪いこと。悪い人。[文例]純情な娘を泣かすとは、きみも案外悪だねえ。♠〈悪ぶる〉あいつ悪ぶってるけど、本当はすごく心の優しい子なのよ。♠〈悪ふざけ〉きみ、悪ふざけはよしたまえ!♠<悪知恵[わるぢえ]>学校の成績は下から数えたほうが早かったが、悪知恵だけはよく働いた。 **わ・る【割る】**○全体を幾つかに分け離す。砕く。こわす。裂く。押し分ける。割り当てる。分け配る。割り算をする。さらけ出す。打ち明ける。混ぜて薄める。下回る。ある範囲の外に出る。[文例]〈殻[から]を割る〉道具もなしに固いくるみの殻を割るのは、大人だって難しいよ。♠へ卵を割る〉卵を割ってかきまぜたら、それをフライパンに流し込んでください。♠〈薪[たきぎ]を割る〉裏庭では、兄さんが薪を割っていた。♠へ皿を割る〉つい手元が滑[すべ]って、大事な皿を割ってしまった。♠ヘガラスを割る〉「ガチャン!」という音がしたのは、だれかが窓ガラスを割ったのだろう。♠〈大地を割る〉春の野に出てみると、あちこちに、草花の芽が大地を割るようにして顔を出している。♠〈中に割って入る〉群衆の中に割って入りながら、彼は、何が起きたのかと尋[たず]ねた。♠ヘ二つに割る〉おいしそうなりんごを二つに割ってみたら、中は虫が食っていた。♠〈三で割る〉みんなのアルバイト代六千円を三で割ると、一人二千円の分け前だ。♠〈腹を割る〉おれときみの仲だ、腹を割って話そうじゃないか。♠ヘ口を割る〉刑事の厳しい取り調べにも、男は、いっこうに口を割ろうとはしなかった。♠へ酒を水で割る〉ウイスキーのように強いお酒は、水で割って飲んだほうが安心です。♠〈過半数を割る〉大学創設以来、初めて男子が過半数を割ったということだ。♠土俵を割る〉こう簡単に土俵を割ってしまったのでは、横綱[よこづな]の面目が立ちませんなあ。♠へ竹を割ったような性格〉彼は、さっぱりした、竹を割ったような性格だ。♠〈割り込む〉子供が大人の話に割り込むものじゃありません。 **わるあがき【悪あがき】(悪足掻き)**○焦って、見苦しくじたばたすること。[文例]こうなることは最初からわかっていたはずだ。今さら悪あがきは見苦しいぞ。♠へ悪あがきを続ける〉自分の行為を正当化しようとして、男は悪あがきを続けた。♠へ悪あがきする〉さんざんサボッて、落第という今になって悪あがきしたところで始まらないよ。 **わる・い【悪い】**○よくない。好ましくない。思わしくない。正しくない。劣っている。不快だ。不都合だ。不適当だ。不吉だ。申しわけない。[文例]〈悪い人〉父は悪い人にだまされて、全財産を失ったのです。♠へ悪い影響[えいきょう]〉〈体に悪い〉タバコは、大人だろうが、青少年だろうが、体に悪い影響を与えます。♠へ悪いやつ〉こらっ、勉強もしないでいたずらばかりして、悪いやつだ。♠〈人が悪い〉定休日だと知っていて黙っているなんて、きみも人が悪いよ。♠へ食べ物が悪くなる〉夏場は、食べ物がすぐ悪くなりますから十分注意してください。♠へ胃が悪い〉彼は暴飲暴食をしては、絶えず胃が悪いと言っている。♠〈目が悪い〉目が悪い人は、黒板の字が見えるように前の方の席に座ってください。♠へ目に悪い〉バスの中で本を読むと目に悪いよ。♠〈口が悪い〉あいつは口は悪いが、根はやさしいいいやつなんだ。♠へ頭が悪い〉ぼくは頭は悪いが、やる気だけはだれにも負けない。♠〈病気が悪い〉八月の終わりに入って、祖父の病気はいよいよ悪くなった。♠〈調子が悪い〉その日は朝から体の調子が悪く、学校へ行くのがおっくうだった。♠〈調子が悪い〉今日は調子が悪いなあ、ヒットが一本も出ないや。♠へ気分が悪い〉長い間バスに揺られていたら、途中[とちゅう]で気分が悪くなってきた。♠へ気持ちが悪い〉初めて見るオオサンショウウオは、見るからに気持ちの悪い生き物だった。♠へ悪い気持ち〉お世辞だとはわかっていたが、ほめられると、まんざら悪い気持ちはしない。♠へ気味が悪い〉今にも崩れ落ちそうなお屋敷[やしき]は、幽霊[ゆうれい]でも出てきそうで気味が悪かった。♠人気味が悪い〉けちなお前がおごってくれるなんて、なんだか気味が悪いなあ。♠<顔色が悪い〉〈体が悪い〉顔色が悪いけど、どこか体でも悪いんじゃないの。♠歯切れが悪い〉「う、うん・・・・・・」と言ったきり、いつもの弟に似合わず歯切れが悪かった。♠へ愛想が悪い〉国鉄関係は、私鉄の駅員と違って、ぶっきらぼうで愛想が悪いともっぱらの評判だった。♠<意地が悪い〉そんな意地の悪いことを言わないで、彼女の電話番号教えてくれよ。♠〈酒ぐせが悪い〉一家は、酒ぐせの悪い父親のために貧乏[びんぼう]を強いられていた。♠〈身持ちが悪い〉身持ちが悪いと評判の男に、娘を嫁[よめ]にやるわけにはいかない。♠へ縁起が悪い〉受験番号十三番だなんて、なんだか縁起の悪い番号だな。♠へ悪い夢[ゆめ]〉だまし取られた金は、悪い夢でも見たと思ってあきらめるほかはあるまい。♠〈具合が悪い〉ちょっと明日は具合が悪いから、あさってにしてくれないか。♠〈日が悪い〉今日は日が悪いので、後日改めておうかがいします。♠〈運悪く〉学校の帰りに彼の下宿に寄ってみたが、運悪く留守だった。♠へ間が悪い〉借金の件を話し始めると、おじはなんとも間の悪いような顔をした。♠へばつが悪い〉おじさんったら、友達の前で、ぼくのことしかるんだもの、ばつが悪かったよ。♠へ旗色[はたいろ]が悪い〉父は、母と口論をして旗色が悪くなると、いつも逃げ出してしまうのであります。♠〈世の中が悪い〉世の中が悪い、大人が悪いと文句ばかり言ってないで、少しは自分もがんばってみろ。♠〈気を悪くする〉駅員の横柄[おうへい]な態度に、客もいささか気を悪くしたようだった。♠〈相手に悪い〉先に帰っては相手に悪いから、もう少し待っていよう。♠へ悪くすると〉悪くすると、手術が必要になる。今のうちに薬を飲んで治しなさい。♠〈悪く思う〉助けてやりたいけど金がないんだ、悪く思わないでくれ。♠へいいにつけ悪いにつけ〉子供のころからずっと、いいにつけ悪いにつけ、何かと言う <1236> と兄貴と比較[ひかく]されてきたんだ。♠へ〜も悪くないが〉フランス料理も悪くないが、やっぱりたくあんにお茶漬けが一番だ。♠やって来たのがおれで悪かったな、本当は別の人を待っていたんだろ。 **わるがしこ・い【悪賢い】**○悪知恵が働く。ずるい。[文例]いうのはけっこう悪賢いところがあって、大人の気持ちを探るようなところがある。♠へ悪賢い人〉悪賢い男たちは、この純朴[じゅんぽく]な若者をだまして金もうけをたくらんでいた。 **わるぎ【悪気】**○悪意。[文例]<悪気がない〉別に悪気はなかったのだが、つい口がすぺって相手を怒らせてしまった。♠<悪気がない〉あなたの口の悪さには閉口するけど、悪気がないので憎[にく]めないの。 **わるくち【悪口】**○人を悪く言うこと。また、その言葉。悪口。わるぐち。[文例]〈悪口を言う〉人に悪口を言われても、あまり気にしないようにしています。♠〈悪口を言う〉陰[かげ]で人の悪口を言うなんて、最低なやつだ。♠<悪口屋>意地悪な悪口屋さんね、嫌われるわよ。 **わるさ【悪さ】**○悪いこと。いたずら。[文例]〈子供の悪さ〉こう頻繁[ひんぱん]に落書きされては、たわいない子供の悪さと見過ごすわけにはいかない。♠〈悪さをする〉いたずら坊主め、ちょっと目を離すとすぐに悪さをする。♠〈悪さする〉まじめくさった顔をしたやつを見ると、つい悪さしてみたくなる。 **わるだくみ【悪巧み】**○悪いたくらみ。[文例]〈悪巧みをする〉あのたぬきおやじめ、また何か悪巧みをしているに違いない。♠悪巧みに引っかかる〉悪党[あつこう]どもの悪巧みに引っかかって、村人は苦しめられていた。 **わるぢえ【悪知恵】**○悪事をする時に働く知恵。悪賢い知恵。[文例]<悪知恵が働く〉勉強のほうはさっぱりだが、悪知恵だけはよく働く。♠<悪知恵がつく〉純真な子供も、世の荒波にもまれて、悪知恵がつき、親に逆らうようになる。♠〈悪知恵をつける〉邪気[じゃき]のない子供に悪知恵をつけないでください。 **わるのり【悪乗り】**○調子に乗って度が過ぎた言動をすること。[文例]一度ほめると、課長さんたら何回も下手くそな歌を歌うんだもの、悪乗りもいいとこよね。♠へ悪乗りする〉酔った勢いで悪乗りして女子社員を誘ったら、たちまち社内の評判が悪くなった。 **わるび・れる【悪びれる】**○気おくれして、はにかんだりおどおどしたりする。[文例]〈悪びれずに答える〉本当におまえがやったのかと聞くと、少年は悪びれずにはいと答えた。♠<悪びれた風[ふう]>おねしょしたのと聞くと、その男の子は別に悪びれた風もなく、うん、と答えます。 **わるもの【悪者】**○悪い事をする人。悪人。[文例]〈悪者になる〉お兄ちゃんは、自分一人が悪者になって、ぼくたちの分までお父さんにしかられてくれた。♠〈悪者にする〉みんなのためになると思ってやったのに、悪者にされたんじゃあ、割に合わないなあ。♠へ悪者扱い〉わたし一人を悪者扱いするなんてひどいわ。 **われ【我】(吾)**○自分自身。自己。わたし。おまえ。[文例]へわれながら〉クラスのみんなが応援[おうえん]してくれたのに、とび箱がとべなくて、われながら情けなかった。♠へわれこそ〉われこそはと思う人がいたら、わたしにかかってきなさい。♠〈われに返る〉考え事をしていた母親は、背中の赤んぼうの泣き声で、はっとわれに返った。♠へわれを忘れる〉おもしろい推理小説にひきこまれ、われを忘れて読みふけった。♠〈われもわれもと〉買い物客は、われもわれもと、特売場に押し寄せた。♠へわれにもなく〉母と言いあらそったときには、われにもなく興奮[こうふん]して、大声を出してしまった。♠へわれとわが身〉わたしには、理由も知らず自己嫌悪におちいり、われとわが身を苦しめるくせがある。♠へわれと思わんものは〉われと思わんものは、このあばれ馬を乗りこなしてみよ。♠へわれとなれ〉行く我にとどまる汝[なれ]に秋二つ(正岡子規) **われがちに【我勝ちに】**○他に負けまいと先を争うさま。われさきに。[文例]まつたけの姿を見つけるや、みんな我勝ちに駆け寄り、取り合いになった。♠金が出るといううわさに、男たちは我勝ちにその山に押し駆けた。 **われさきに【我先に】**○他に負けまいと先を争うさま。われがちに。[文例]泉を見つけると、のどがからからだった人々は我先に駆け寄った。♠やがて列車がホームに入ると、待っていた大勢の人々は我先にと乗り込んだ。 **われしらず【我知らず】**○思わず。無意識に。[文例]何だか気分が浮き浮きして、我知らず歌を口ずさんでしまう。♠試合が白熱し、我知らず身を乗り出して応援していた。 **われなべ【割れなべ】(割れ鍋・破れ鍋)**○ひびの入ったなべ。[文例]拾った小犬は、割れなべに盛ってやった残りご飯をペロリと食べた。♠〈割れなべにとじぶた〉「割れなべにとじぶた」と言うが、おまえさんたちもいい組み合わせの夫婦だねえ。♠割れなべのような声〉男は、割れなべのような声を張り上げて歌った。 **わ・れる【割れる】**○砕ける。こわれる。裂ける。割り切れる。分かれる。隠れていたことが明らかになる。[文例]〈ガラスが割れる〉ぼくの打ったボールが窓に当たり、ガラスが音を立てて割れてしまった。♠へさやが割れる〉マメは、天気のよい日に、熟したさやが勢いよく割れて、中の種子をまき散らす。♠へみけんが割れる〉飛んできた石が当たって、みけんが割れて血が少し出た。♠へ割れる数〉おやつのクッキーは、三人で割れる数を用意しておかないと、あとでけんかの種になるよ。♠へ意見が割れる〉意見がまっぷたつに割れたため、決定は次回にもちこされることになった。♠ヘ票が割れる〉学級委員選挙のとき、A君、B君、Cさんの三人に票が割れたので、上位の二人で決戦投票をした。♠へ犯人が割れる〉事件の現場から見つかった指紋から、犯人が割れた。♠〈割れるような拍手[はくしゅ]〉ブランコ乗りが宙返りをしながらとび移ると、いっぱいの観客は割れるような拍手をおくった。 **われわれ【我我】**○わたしたち。[文例]我々の力で、暮らしやすい世の中をつくっていこうではありませんか。♠我々日本人は、昔から美しい四季の中で生活をしてきました。 <1237> **わん(椀・碗・鋺)**○飯・汁を盛る半球形の食器。また、それに盛った料理。[文例]〈わんに盛る〉たいのたきこみご飯を朱塗りのわんに盛り付けると、見た目も美しい祝い膳になりました。♠へおわんがつく〉今どき、幕の内におわんがついて千円というのは安いですね。 **わん【湾】**○海が陸地に入り込んで海岸線が湾曲している水域。[文例]〈湾に入る〉船が湾に入り、遠方に懐[なつ]かしい港が見えてきた。♠へ湾を取り囲む〉湾を取り囲むように低い山々がつらなっている。♠〈東京湾〉こんどの日曜日、父と東京湾に釣りに行く予定です。 **わんきょく【湾曲】(彎曲)**○弓なりに曲がること。[文例]〈湾曲する〉突き出た岩角を回ると、向こうに弓なりに湾曲した広い砂浜が見えてきた。♠〈湾曲する〉姿勢が悪いと、背骨が湾曲してしまいます。 **わんさと**○大勢がおしかけるさま。たくさんあるさま。[文例]〈わんさと押しかける〉公演が終了するやいなや、楽屋にファンがわんさと押しかけてきた。♠へわんさといる〉なにをうぬぼれているんだ、世の中にはおまえより頭のいい人間がわんさといるんだぞ。♠へわんさと持つ〉大企業の社長なんて、金をわんさと持っているんだろうなあ。 **わんぱく【腕白】**○子供が言う事を聞かずに暴れ回ること。また、その子供。[文例]〈腕白な男の子〉腕白でもいいからたくましい男の子に育ってほしい。♠〈腕白盛り[ざかり]〉言う事を聞かない腕白盛りの良太に、ママはほとほと手を焼いている様子です。♠へ腕白坊主〉お父さんも小さいころは、大変な腕白坊主だったよと、おばあちゃんは言います。 **わんりょく【腕力】**○腕の力。うでぢから。暴力。[文例]〈腕力がある・ない〉ぼくは体もそんなに大きくないし、腕力だってないから、けんかのときはすぐ逃げることにしている。♠〈腕力が強い・弱い〉剣道[けんどう]は、腕力が強いことよりも、技術がすぐれていることのほうがものをいうスポーツです。♠〈腕力に訴える[うったえる]〉腕力に訴えることは、この学校では禁じられています。♠へ腕力にものを言わせる〉腕力にものを言わせて、自分の言うことを聞かせようとするのは愚[おろ]かなことだ。♠へ腕力をふるう〉試合で相手チームの選手に腕力をふるったA君に、審判[しんぱん]は退場を命じた。 <1238> <1239> 同訓の漢字の使い分け ――どの意味・用法にどの漢字をあてるか―― 同じ訓を持ち、意味の近い語を、異なる漢字またはかなで書き分ける場合の目安を示す。この資料は昭和四十八年に告示された「当用漢字音訓表」と同時に発表された「参考資料」(国語審議会漢字部会作成)をもとに、各種辞典類、教科書、新聞などのデータを補って作成したものである。 ここには、比較的使い分けのはっきりした例だけを挙げた。もちろん、これだけが正しい使い方であるということではないので、一応の目安と受け止めてほしい。このほかにも、使い分けのはっきりしない例、紛らわしい例、どちらを使ってもよい例など迷う場合も多い。その場合には、語の意味や用法に合わせてこの表から類推して漢字をあてるか、かな書きにするとよい。いつも漢字をあてなければならない、とか、いつも漢字があてられるはずだと考えるのは必ずしも正しくない。 **あう**(↓あわせる) **合う**……目と目が合う。気が合う。呼吸が合う。調子が合う。話が合う。服が体に合う。ケーキに紅茶が合う。眼鏡が目に合う。割に合わない仕事。計算が合う。答えが合う。つじつまが合う。事実と合う。好みに合う。口に合う。時計が合っている。励まし合う。落ち合う。町で出合(会)った出来事。 **会う**……友だちと会う時刻。人に会いに行く。会うは別れの始め。知人と出会(合)う。 **遭う**……あらしに遭う。災難に遭う。事故に遭う。つらい目に遭う。にわか雨に遭う。被害に遭う。 \*注意\* 「遇う」は、主に思いがけないことや、望ましくないことに直面するときに使う。また、「恋人と逢う」のように、人と何かの目的で「あう」場合に、常用漢字表にない「逢」を使うことがある。 **あがる**(↓あげる) **上がる**……高い所へ上がる。屋根に上がる。座敷へ上がる。学校へ上がる。幕が上がる。効果が上がる。水準が上がる。成績が上がる。気温が上がる。地位が上がる。能率が上がる。物価が上がる。腕前が上がる。名声が上がる。人気が上がる。車のバッテリーが上がる。 **揚がる**……花火が揚がる。たこが揚がる。船から荷が揚がる。てんぷらが揚がる。意気が揚がる。歓声が揚(上)がる。 **挙がる**……手が挙がる。候補者として名が挙がる。例が挙がる。犯人が挙がる。証拠が挙がる。 **あく**(♪あける) **明く**……背の明いたドレス。目が明(開)く。 **空く**……穴が空く。席が空く。部屋が空く。手が空く。時間が空く。スケジュールが空く。空き地。空き箱。 **開く**……幕が開く。店が開く。ドアが開く。開いた口がふさがらない。 \*注意\*「明く」は、「開く」「空く」のかわりに用いられることがある。 <1240> **あける(↓あく)** **明ける**………………夜が明ける。年が明ける。年季が明ける。喪が明ける。梅雨が明ける。明けても暮れても。夜明け。 **空ける**………………穴を空ける。杯を空ける。道を空ける。席を空ける。家を空ける。スケジュールを空ける。予定を空ける。行を空ける。 **開ける**………………口を開ける。窓を開ける。ふたを開ける。幕を開ける。店を開ける。 **あげる(↓あがる)** **上げる**………………顔を上げる。腰を上げる。布団を上げる。煙を上げる。部長を専務に上げる。定価を上げる。棚へ上げる。子どもを大学へ上げる。声・悲鳴を上げる。腕前を上げる。男を上げる。成果・効果を上げる。利益を上げる。スピードを上げる。調子を上げる。 **揚げる**………………花火を揚げる。たこを揚げる。帆を揚げる。船荷を揚げる。てんぷらを揚げる。歓声を揚(上)げる。外地から引き揚げる。旗揚げ。 **挙げる**………………手を挙げる。候補として氏名を挙げる。例を挙げる。全力を挙げる。国を挙げて祝う。式を挙げる。兵を挙げる。犯人を挙げる。 ***使い分けの例*** 「あげおろし」には「旗の揚げ降ろし」「箸[はし]の上げ下ろし」「手の挙げ下ろし」のような使い分けが考えられる。 ***かな書きがよい例*** 君にプレゼントをあげる。本を読んであげる。早く作文を書きあげる。喜ばせてあげる。 **あし** **足**………………足の裏。手足。後ろ足。客足。足跡。足止め。逃げ足。遠くの店まで足を延ばす。足を洗う。足が出る。通勤の足が奪われる。 **脚**………………机の脚(足)。えり脚(足)。船脚(足)。雨脚(足)。脚(足)が長い。脚(足)を組む。 ***注意*** 一般的には「足」が使われ、「脚」は、特に足の付け根から足首までをいいたいとき、物を下から支える部分、物事の動きの速さなどについていうときに使われる。 **あたい** **価**………………商品に価を付ける。価が高くて買えない。古紙の価が下がる。 **値**………………そのものの持つ値。人間としての値。未知数xの値を求める。称賛に値する。 **あたたか・あたたかい(♪あたたまる・あたためる)** **暖か**………………暖かな毛布。空気が暖かだ。暖かな気候。ふところが暖かい。暖(温)かい心。 **温か**………………温かい料理。温かい水。温かい人柄。温かな家庭。 ***注意*** 使い分けが難しい場合も多いが、「暖」は日へん、「温」はさんずい(水)であることも考え合わせるとよい。 **あたたまる(♪あたたか・あたためる)** **暖まる**………………暖まった空気。たき火で暖まる。 **温まる**………………ふろで体が温まる。心温まる話。 **あたためる(♪あたたか・あたたまる)** **暖める**………………室内を暖める。空気を暖める。日に暖められる。 **温める**………………スープを温める。タオルを温める。旧交を温める。胸に温めた構想。 **あつい** **暑い**………………今年の夏は暑い。暑い部屋。日差しが暑い。暑くて寝苦しい夜。暑がり屋。 **熱い**………………熱いお湯。熱いご飯。熱い砂。熱(暑)い風。熱い視線。熱い思い。お熱い仲。目がしらが熱くなる。 <1241> **厚い**………………厚い壁。厚い紙。厚い生地。支持者の層が厚い。面の皮が厚い。手厚い看護。厚みがある。厚手の型紙。 ***注意*** 「篤い志。病が篤い」のように、「篤い」と書くことがある。 **あてる** **当てる**………………ボールを顔に当てる。日光に当てる。つぎを当てる。手を挙げた生徒を当てる。ものさしを当てる。胸に手を当てる。我が身に当てて考える。くじで一等を当てる。株で当てる。お熱い二人に当てられる。 **充てる**………………建築費に充(当)てる。ボーナスを生活費に充(当)てる。委員長に新人を充(当)てる。 ***かな書きがよい例*** 父親にあ(宛)てて手紙を書く。 **あと** **後**………………人の後をついて行く。後になり先になり。後で考え直す。後の祭り。後は君に任せる。後は野となれ山となれ。後を振り返る。いつまでも後を引く。 **跡**………………雪男の足の跡。火事の跡を片づける。城の跡にたたずむ。苦心の跡が見られる。犯人の跡を追う。父の跡を継ぐ。立つ鳥跡を濁さず。跡取り。跡目相続。 **あぶら** **油**………………油を流したような海面。油で揚げる。自転車に油を差す。火に油を注ぐ。水と油。油を絞られる。油を売る。サラダ油。 **脂**………………牛肉の脂。脂がのる年ごろ。脂ぎった顔。脂身。脂汗。 **あやまる** **誤る**………………運転を誤る。答えを誤る。適用を誤る。誤って銃を撃つ。活字の誤りを見つける。漢字を書き誤る。 **謝る**………………無礼を謝る。謝って済むことではない。平謝りにわびる。 ***注意*** 「誤る」は、「過つ」と使い分けが紛らわしいことがある。 **あらい** **荒い**………………気の荒い男。風で波が荒い。金づかいが荒い。荒稼ぎ。荒くれ。 **粗い**………………網の目が粗い。手ざわりが粗い。きめが粗い。仕上がりが粗い。粗(荒)削り。粗(荒)筋。 **あらわす(あらわれる)** **表す**………………言葉に表す。辞任の意を表す。不満を顔に表す。グラフに表す。名は体を表す。 **現す**………………姿を現す。正体を現す。本性を現す。馬脚を現す。頭角を現す。 **著す**………………多くの研究書を著す。 **あらわれる(♪あらわす)** **表れる**………………気持ちが行動に表れる。言葉に表れる。怒りが顔に表れる。努力が成績に表れる。 **現れる**………………雲の切れ間から太陽が現れる。怪獣が現れる。秘密が現れる。効果が現れる。真価が現れる。 **ある** **有る**………………子供が有る。財産が有る。金が有る。事件が有る。有り合わせ。有り金。有(り)様。 **在る**………………本社は外国に在る。日本は東アジアに在る。在りし日の父。在り高。 ***かな書きがよい例*** 若者は雄々しくあるべきだ。これは本で <1242> ある。消えつつある。(このほかでも、普通はかな書きにするのがよい。) **あわせる(♪あう)** **合わせる**………………墓前で手を合わせる。時計を合わせる。力を合わせる。調子を合わせる。問い合わせる。 **併せる**………………町を併せて市にする。両案を併せて考える。お礼を述べ、併せて今後の御発展を祈ります。 **会わせる**………………人と人を会わせる。 **いたみ(↓いたむ・いためる)** **痛み**………………傷の痛み。歯の痛み。右肩に痛みが走る。胸に痛みを感じる。心に痛みを持つ。 **傷み**………………建物の傷み。傷みのあるリンゴ。生ものは傷みが早い。 **いたむ(↓いたみ・いためる)** **痛む**………………古傷が痛む。虫歯が痛む。胸が痛む。心が痛む。 **傷む**………………本が傷む。夏は食べ物が傷む。 **悼む**………………死を悼む。故人を悼む。 **いためる(♪いたみ・いたむ)** **痛める**………………足を痛める。心を痛める。難問に頭を痛める。 **傷める**………………使い方が乱暴で機械を傷める。家具を傷める。作物を傷める。 **いる** **入る**………………金の入るを計って出るを定める。気に入る。話し方が堂に入る。恐れ入る。恥じ入る。 **要る**………………資金の要る仕事。印鑑が要る。保護者の承諾が要る。心配は要らない。要らぬ世話を焼く。 **うける** **受ける**………………注文を受ける。命令を受ける。保護を受ける。相談を受ける。試験を受ける。生を受ける。真に受ける。ギャグが客に受ける。受け取る。申し受ける。譲り受ける。 **請ける**………………親会社から請けた仕事。請け負う。請負。下請け。安請け合い。 **うたう** **歌う**………………子守歌を歌う。鳥が歌う。詩歌に歌う。 **謡う**………………謡曲を謡う。結婚式で高砂[たかさご]を謡う。謡[うたい]。 ***かな書きがよい例*** 憲法にうた(謳)われた恒久平和の精神。 **うつ** **打つ**………………転んで頭を打つ。柱にくぎを打つ。太鼓を打つ。寝返りを打つ。電報を打つ。心を打つ話。読点を打つ。手でそばを打つ。時計が十二時を打つ。碁を打つ。畑を打つ。芝居を打つ。雪崩を打って逃げ出す。もんどり打って倒れる。 **討つ**………………父のあだを討つ。かたきを討つ。天に代わって敵を討つ。不意を討つ。やみ討ち。 **撃つ**………………ピストルで撃つ。鉄砲を撃つ。 **うつす(↓うつる)** **移す**………………本社を新しいビルに移す。植木鉢を日陰に移す。場所を移して飲み続ける。時を移さず攻撃をかける。窓の外に目を移す。他のことに心を移す。実行に移す。 **映す**………………映画を映す。鏡に映す。現場をテレビに映す。スライドを映す。 **写す**………………写真を写す。重要書類を写す。黒板の字をノートに写す。音声を言葉に写す。 ***かな書きがよい例*** 都をうつ(遷)す。友だちに風邪をうつ <1243> す。 **うつる(↓うつす)** **移る**………………会社を移る。新しい時代へ移る。季節が移る。気持ちがよそへ移る。 **映る**………………鏡に姿が映る。壁に影が映る。着物によく映る帯。青葉が目に映る。親切が人目にはおせっかいに映る。 **写る**………………よく写るカメラ。写真に写る。 ***かな書きがよい例*** 都がうつ(遷)る。病気がうつる。 **うまれる(♪うむ)** **生まれる**………………旧家に生まれる。男に生まれる。生まれて初めて。新しいアイデアが生まれる。生活体験から生まれた小説。新記録が生まれる。 **産まれる**………………姉に長男が産まれる。産れ立ての子馬。 ***注意*** 「産まれる」は生き物が生まれる場合や比喩的な意味に使われることがあるが、普通には「生まれる」と書かれることが多い。 **うむ(↓うまれる)** **生む**………………日本が生んだ世界的な科学者。よい結果を生む。必要が発明を生む。誤解を生む。金が金を生む。新記録を生む。 **産む**………………ニワトリが卵を産む。牛が子を産む。案ずるより産むがやすし。産みの苦しみ。産み月。 ***注意*** 普通は「生む」と書かれ、「産む」は生き物が子や卵を生むことを意味する場合や、比喩的な意味に使われることがある。 **うれい・うれえ(♪うれえる)** **憂い**………………乱獲により絶滅の憂い(え)がある。後顧の憂い(え)がなくなる。備えあれば憂い(え)なし。 **愁い**………………春の愁い。後ろ姿に愁いの影が見える。愁いを帯びた歌声。愁いに沈む。 **うれえる(♪うれい)** **憂える**………………国を憂える。将来を憂える。 **愁える**………………春を愁える。愁嘆とは愁え嘆くことをいう。 **えもの** **獲物**………………ライオンが獲物を狙う。 **得物**………………得物を手にして攻め寄せる。 **える** **得る**………………定職を得る。大きな利益を得る。名声を得る。事なきを得る。要領を得ない。 **獲る**………………えものを獲る。戦利品を獲る。 ***注意*** 普通は「得る」が使われ、「獲る」は、特にそれをねらって戦い取る場合などに使われることがある。 ***かな書きがよい例*** 「ありえない」「あるえる・ありうる」「なしえる・なしうる」「やむをえない」「やむをえず」など。 **おかす** **侵す**………………領空を侵(犯)す。国境を侵(犯)す。権利を侵(犯)す。学問の自由を侵(犯)す。 **犯す**………………過ちを犯す。罪を犯す。ミスを犯す。不正を犯す。法を犯す。規則を犯す。 **冒す**………………危険を冒す。暴風を冒して出かける。肺を冒される。 **おくる** **送る**………………荷物を送る。メッセージを送る。卒業生を送る言葉。順に席を送る。送りがなを送る。安らかな老後を送る。見送る。送り状。 <1244> **贈る**………………お祝いの品を贈る。感謝状を贈る。賞を贈る。花束を贈る。故人に名誉博士号を贈る。贈り物。 **おくれる** **遅れる**………………予定より遅れる。列車が遅れる。委員会に遅れる。時計が一か月に二分遅れる。稲の生育が遅れる。 **後れる**………………流行に後(遅)れる。時代に後(遅)れる。後れを取る。気後れ。後れ毛。 **おこす(↓おこる)** **起こす**………………体を起こす。寝た子を起こす。問題を起こす。事故を起こす。訴訟を起こす。やけを起こす。かんしゃくを起こす。事件を引き起こす。 **興す**………………新しい産業を興す。国を興す大事業。 ***かな書きがよい例*** 田をおこす。炭火をおこす。 **おこる(↓おこす)** **起こる**………………風で波が起こる。事件が起こる。同情の気持ちが起こる。持病のぜんそくが起こる。反対の声が起こる。 **興る**………………国が興る。新しい宗教が興る。学問が興る。 ***かな書きがよい例*** 炭火がおこる。 **おさえる** **押さえる**………………傷口を手で押さえる。要点を押さえる。証拠を押さえる。現場を押さえる。会議室・会場を押さえる。差し押さえる。 **抑える**………………物価の上昇を抑える。不当な要求を抑える。相手をノーヒットで抑える。怒りを抑える。はやる心を抑える。 **おさまる(♪おさめる)** **収まる**………………箱に収(納)まる。博物館に収まる。争いが収まる。嵐が収まる。騒ぎが収まる。気持ちが収まる。腹の虫が収まらない。 **納まる**………………会費が納まる。注文の品が納まる。税金が国庫に納まる。出世して社長に納まる。 **治まる**………………痛みが治まる。戦国の世が治まる。国が治まる。 **修まる**………………身持ちが修まる。素行[そこう]が修まる。学業が修まる。 **おさめる(♪おさまる)** **収める**………………箱に収(納)める。作品を収めた書物。けんかを収める。効果を収める。勝利を収める。成功を収める。手中に収める。 **納める**………………得意先に納める。税金を納める。粗品ですがお納めください。胸に納めておく。歌い納め。 **治める**………………国を治める。乱を治める。川を治める工事。 **修める**………………学問を修める。身を修める。 **おす** **押す**………………手で押す。ベルを押す。判を押す。横車を押す。念を押す。駄目を押す。押しも押されもせぬ流行作家。押すな押すなの大盛況。押しまくる。押しかける。 **推す**………………会長候補に推す。服装から推してサラリーマンだろう。推して知るべし。 ***かな書きがよい例*** 病気をおして出かける。 **おどる** **踊る**………………ダンスを踊る。リズムに乗って踊る。人気に踊らされる。踊り子。盆踊り。 **躍る**………………胸が躍る。血沸き肉躍る。馬が躍り上がる。身を躍らせる。小躍りして喜ぶ。 **おもて** **表**………………裏と表。表で遊ぶ。一回の表の先制ホームラン。表ざた。表向き。喜びを表(面)に出す。 <1245> **面**………………面を上げる。面も振らず突き進む。矢面に立つ。 ***使い分けの例***「(喜びを)表に出す」は隠さないでことばや態度・表情に表現すること、「面に出す」は顔にその気持ちを表すことをいう。 **おりる(♪おろす)** **下りる**………………遮断機が下りる。国の許可が下りる。年金が下りる。坂を下りる。社長のいすから下りる。錠が下りる。幕が下りる。上り下り。 **降りる**………………電車を降りる。霜が降りる。主役を降りる。乗り降り。 **おろす(↓おりる)** **下ろす**………………腰を下ろす。荷物を下ろす。木の枝を下ろす。貯金を下ろす。新調の晴れ着を下ろす。地域に根を下ろした運動。 **降ろす**………………駅で乗客を降ろす。車から荷物を降ろす。エースをマウンドから降ろす。主役を降ろされる。 **卸す**………………問屋が小売店に商品を卸す。卸し売り。卸商。棚卸し。 **かえす(♪かえる)** **帰す**………………家に帰す。親元に帰す。魚を海へ帰す。 **返す**………………言葉を返す。借金を返す。恩を返す。元に返す。寄せては返す波。きびすを返す。手の平を返す。裏返す。読み返す。ゆり返す。取って返す。 **かえりみる** **顧みる**………………後方を顧みる。過去を顧みる。家庭を顧みる。危険を顧みず前進する。 **省みる**………………自分自身を省みる。自分の行動を省みる。省みて恥じるところがない。 **かえる(♪かえす)** **帰る**………………学校から家へ帰る。故郷へ帰る。渡り鳥が帰る。客が帰る。帰らぬ人となる。 **返る**………………軍配が返る。貸した金が返る。答えが返る。こだまが返る。正気に返る。野性に返る。我に返る。童心に返る。若い日は二度と返らない。ひっくり返る。返り咲き。 ***かな書きがよい例*** 卵がかえ(孵)る。あきれかえる。静まりかえる。 **かえる(♪かわる)** **変える**………………顔色を変える。形を変える。観点を変える。心を変える。位置を変える。河岸を変える。名前を変える。向きを変える。予定を変える。調子を変える。 **換える**………………気分を換える。水を換える。物を金に換える。名義を書き換える。車を乗り換える。取り換(替)えっこする。 **替える**………………担当者を替(代)える。カミソリの刃を替(換)える。クラスの席替え。模様替(変)え。代金を振り替える。振り替え休日。替え歌。替え地。 **代える**………………バッターを代える。何物にも代えがたい。余人をもって代えがたい。命に代えても。書面をもって挨拶に代える。 ***注意*** 「換」「替」「代」は、交換するの意味では「換える」、交替する、別の物にとりかえるの意味では「替える」、また、代理にする、代役を立てる、交代させるの意味では「代える」のように使われるが、使い分けのはっきりしない点がある。 **かおり(↓かおる)** **香り**………………いい香りの香水。茶の香り。花の香り。 **薫り**………………風の薫り。薫り高い文化。 **かおる(♪かおり)** <1246> **香る**………………水仙の花が香る。 **薫る**………………風薫る五月。 **かかる(♪かける)** **掛かる**………………壁に額が掛かる。わなに掛かる。 **懸かる**………………賞金が懸かる。責任が肩に懸かる。優勝が懸かった試合。月が中天に懸かる。 **架かる**………………橋が架かる。 **係る**………………本件に係る訴訟。連体形は体言に係る。係り結び。係員。 ***かな書きがよい例*** 気にかかる。金がかかる。税金がかかる。医者にかかる。病気にかか(罹)る。死にかかる。跳びかかる。(このほかでも、特別な場合を除いてかな書きにするのがよい。) **かげ** **影**………………人の影が映る。影が長くのびる。影が薄い。影も形もない。見る影もない。月の影に照らされる。うわさをすれば影。影絵。影武者。 **陰**………………木の陰に隠れる。草葉の陰。陰で糸を引く。陰になりひなたになり。陰ながら応援する。陰の声。陰口。 **かける(♪かかる)** **掛ける**………………壁に掛けた額。眼鏡を掛ける。腰を掛ける。保険を掛ける。3に2を掛ける。わなに掛ける。掛け算。掛け値。掛け売り。 **懸ける**………………賞金を懸ける。命を懸ける。神に願を懸ける。 **架ける**………………川に橋を架ける。ケーブルを架ける。 ***かな書きがよい例*** 家に電話をかける。水をかける。火になべをかける。お目にかける。勝負に金をか(賭)ける。税金をかける。ブラシをかける。死にかける。話しかける。(このほかでも、特別な場合を除いてかな書きにするのがよい。) **かた** **形**………………形がくずれる。帽子の形を直す。跡形。自由形。三日月形。 **型**………………型をとる。型に流し込む。型にはまる。型をやぶる。基本の型。型どおりのあいさつ。一九六十年型。血液型。鋳型。 ***かな書きがよい例*** 借金のかたに取る。 **かたい** **固い**………………団結が固い。固い決心。固い約束。頭が固い。口が固い。人前で固くなる。ぞうきんを固くしぼる。固く信じる。固く練る。 **堅い**………………堅い商売。もうけが堅い。優勝は堅い。守りが堅い。堅(固・硬)い材木。手堅い。義理堅い。堅苦しい。堅炭。 **硬い**………………硬い石。文章が硬い。表情が硬(固)い。 ***注意*** 「固い」が最も普通に使われるので、「堅い」「硬い」の使い方に注意するのがよい。手堅い、堅実だという意味では「堅い」を使うことが多い。 **かわ** **川**………………利根川。小川。 **河**………………アマゾン河。メコン河。 ***注意*** 「川」は大きい流れにも、小さい流れにも一般的に使われるが、「河」は多く、外国の大きいものに使われる。 **かわ** **皮**………………皮をはぐ。手の皮がむける。木の皮。虎[とら]の皮。みかんの皮。面の皮が厚い。化けの皮をはぐ。 **革**………………革の靴。革のベルト。なめし革。 **かわく** **乾く**………………空気が乾く。洗濯物が乾く。鼻が乾く。乾いた土。乾いた音。 **渇く**………………のどが渇く。愛情に渇く。心が渇く都会の生活。 <1247> **かわる(♪かえる)** **変わる**………………位置が変わる。顔色が変わる。天気が変わる。世の中が変わる。声変わり。心変わり。変わり種。変わり者。 **換わる**………………座席を換わる。宝石が食料に換わる。 **替わる**………………首相が替(代)わる。トップが替(代)わる。客が入れ替わる。 **代わる**………………父に代わって出席する。身代わり。病気の知事に副知事が代わる。 ***注意*** 代理・代役になる、交代するの意味では「代わる」、交換するの意味では「換わる」、別の物にとりかえる、交替するの意味では「替わる」を使うが、この三字の使い分けは必ずしもはっきりしていない。 **きく** **聞く**………………相手の都合を聞く。言うことを聞く。うわさを聞く。物音を聞きつける。聞き流す。聞く耳持たぬ。聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥。聞いて極楽、見て地獄。香を聞く。 **聴く**………………音楽を聴く。国民の声を聴く。 ***注意*** 耳を傾けて聞く、神経を集中して聞く場合には「聴く」を、これ以外では普通「聞く」が用いられる。 **きく** **利く**………………左手が利く。気が利く。機転が利く。小回りが利く。のりの利いたワイシャツ。鼻が利く。ワサビが利く。 **効く**………………薬が効く。宣伝が効く。ストレートパンチが効く。効き目がある。 ***注意*** 一般には「利く」が使われるが、有効である、効用があることをはっきりさせる場合に「効く」が使われる。 **きわまる(→きわめる)** **極まる**………………感極まる。無礼極まる仕打ち。 **窮まる**………………進退窮まる。窮まりなき宇宙。 **きわめる(♪きわまる)** **極める**………………山頂を極める。栄華を極める。詳細を極めた報告書。口を極めてほめる。極めて鋭い指摘。見極める。 **窮める**………………貧困を窮める。真理を窮(究)める。 **究める**………………学を究(窮)める。 **くら** **倉**………………米倉。倉敷料。倉荷証券。 **蔵**………………蔵屋敷。蔵払い市。蔵開き。 ***注意*** 単独で使われる場合、「倉」と「蔵」に明確な使い分けはない。 **こえる(♪こす)** **越える**………………峠を越える。山を越える。権限を越えた行為。六十の坂を越える。年を越えた一月半ば。 **超える**………………常識を超える。限度を超える。人間の能力を超える。定員を超(越)える。一億を超(越)える。時速二百キロを超(越)える。 **こおり・こおる** **凍る**………………水が凍る。道が凍る。血も凍る思い。 **氷**………………氷が張る。氷が解ける。かき氷。氷イチゴ。氷砂糖。 ***注意*** 動詞には「凍る」、名詞には「氷」が普通用いられる。 **こす(こえる)** **越す**………………峠を越す。徒歩で山を越す。先を越す。冬を越す。年を越す。新築の家に越す。引っ越す。 **超す**………………我慢の限度を超す。千人を超(越)す観客。被害は一億円を超す。 <1248> **同訓の漢字の使い分け** **さがす**(越)す。 **さがす** **探す**………………あらを探す。えさを探す。言葉を探して話をする。職を探す。東京に家を探(捜)す。登山ルートを探(捜)す。 **捜す**……………財布を捜す。犯人の行方を捜す。地図を頼りに家を捜す。 *使い分けの例*「家を捜す」は訪ねる家をさがすという意味で、「家を探す」は住む家をさがすという意味で使うとよい。 **さく** **裂く**…………………絹を裂くような悲鳴。ハンカチを裂く。二人の仲を裂く。生木[なまき]を裂く。引き裂く。 **割く**………………魚の腹を割く。予習に時間を割く。紙面を割く。予算を割く。守りに人手を割く。 **さげる** **下げる**………………頭を下げる。腰に手ぬぐいを下げる。軒下にてるてる坊主を下げる。水準を下げる。値段を下げる。 **提げる**……………カバンを提げる。手にバケツを提げる。手提げ袋。 *注意*「提げる」は、手からぶら下げるときに使うことができる。 **さす** **差す**………………明かりが差す。日が差す。腰に刀を差す。傘を差す。油を差す。目薬を差す。嫌気が差す。後光が差す。魔が差す。差しつ差されつ。行司の差し違え。抜き差しならない。差し支える。差し出す。 **指す**………………磁石が北を指す。時計が三時を指す。将棋を指す。指し示す。名指し。 **刺す**……………とげを刺す。とどめを刺す。刃物で刺す。人を刺す。布を刺す。肌を刺す寒さ。本塁で刺される。 **挿す**………………花瓶に花を挿す。髪にかんざしを挿す。挿し木。挿絵。 *注意*「水を差(注)す。目薬を差(点)す。日・光が差(射)す。赤みが差(点)す」のようなとき、()の漢字を用いることがある。 **さます**(さめる) **冷ます**……………お茶を冷ます。興奮を冷ます。熱冷まし。湯冷まし。 **覚ます**………………眠りを覚ます。目を覚ます。迷いを覚ます。酔いを覚ます。 *注意*「酔いを覚(醒)ます」のとき、()の漢字を用いることがある。 **さめる**(↓さます) **冷める**……………熱が冷める。スープが冷める。ほとぼりが冷める。興奮が冷める。興が冷める。百年の恋が冷める。冷めた目で見る。 **覚める**……………目が覚める。迷いが覚める。酔いが覚める。寝ても覚めても。寝覚めが悪い。 *かな書きがよい例*服の色がさ(褪)める。 *注意*「酔いが覚(醒)める」のとき、()の漢字を用いることがある。 **さわる** **触る**……………手で触る。機械に触る。古傷に触られる。寄ると触ると。触らぬ神にたたりなし。手触り。 **障る**……………人の気に障(触)る。神経に障(触)る。夜更かしは体に障る。縁談に障る。しゃくに障る。目障り。耳障り。差し障り。 **しずまる**(♪しずめる) **静まる**……………あらしが静まる。心が静(鎮)まる。騒ぎが静(鎮)t)まる。寝静まる。 **鎮まる**……………神が鎮まる(=鎮座する)。内乱が鎮まる。騒動が鎮まる。世の中が鎮まる。せきが鎮まる。痛みが鎮まる。 <1249> **同訓の漢字の使い分け** **しずめる**(♪しずまる) **静める**……………鳴りを静める。生徒たちを静める。気を静(鎮)める。心を静(鎮)める。騒ぎを静(鎮)める。 **鎮める**……………荒ぶる神を鎮める。騒動を鎮める。反乱を鎮める。痛みを鎮める薬。 **沈める**……………船を沈める。強烈なパンチでマットに沈める。苦界[くがい]に身を沈める。 **しぼる** **絞る**……………手拭いを絞る。涙を絞る。問題点を絞る。知恵を絞る。ラジオのボリュームを絞る。油を絞(搾)られる。絞り染め。豆絞り。 **搾る**……………乳を搾る。レモンを搾る。税金を搾り取る。 **しまる**(♪しめる) **閉まる**………………戸が閉まる。店が閉まる。 **締まる**……………ひもが締まる。身の締まる思い。締まらない顔。締まって行こう。締まりがない。心が引き締まる。取り締まる。 **絞まる**……………首が絞まる。 **しめる**(♪しまる) **閉める**………………ドアを閉める。ふたを閉める。店を閉める。ドアを閉め切る。 **締める**………………帯を締める。ネクタイを締める。ねじを締める。財布のひもを締める。締め付ける。気を引き締める。申し込みを締め切る。締め切り日。 **絞める**………………首を絞める。鶏を絞める。絞め殺す。羽交[はが]い絞め。 **すすめる** **進める**………………車を前へ進める。交渉を進める。準備を進める。話を進める。時計を進めておく。歩を進める。 **勧める**……………入会を勧める。転地を勧める。お茶を勧める。席を勧める。 **薦める**……………候補者にこの人を薦める。小学生に薦めたい伝記物語。 **する** **擦る**……………マッチを擦る。手を擦る。擦り傷。ひざを擦りむく。擦り切れる。 **刷る**……………プリントを刷る。名刺を刷る。刷り物。 *かな書きがよい例*墨をする。ごまをする。競馬でする。財布をす(掏)られる。 **すわる** **座る**……………席に座る。社長のいすに座る。座り込む。 **据わる**……………首が据わる。度胸が据わる。腹が据わる。目が据わる。据わりの悪い台。 *注意*「席に座る」は、「坐る」と書くことがある。 **せめる** **攻める**……………敵を攻める。攻め滅ぼす。城を攻め落とす。 **責める**……………過ちを責める。借金取りに責められる。容疑者を責め落とす。 *使い分けの例*「攻め道具」は攻撃用の道具、「責め道具」は拷問[ごうもん]用の道具。 **そう** **沿う**……………海岸に沿った道。道に沿って歩く。国策に沿う経営路線。文脈に沿う。川沿いの家。 **添う**……………影の形に添うように従う。期待に添うよう努力する。人には添うてみよ、馬には乗ってみよ。付き添う。連れ添う。寄り添う。 **そなえる** <1250> **同訓の漢字の使い分け** **備える**……………新居に調度品を備える。台風に備える。老後の備え。備え付け。 **供える**……………お神酒を供える。墓前に供える。供え物。 **たえる** **耐える**……………貧苦に耐(堪)える。寒さに耐(堪)える品種。重圧に耐(堪)える。風雪に耐(堪)える。耐(堪)え忍ぶ。 **堪える**……………任に堪える。感に堪えない。鑑賞に堪えない作品。遺憾[いかん]に堪えない。 **たずねる** **訪ねる**……………史跡を訪ねる。知人を訪ねる。春を訪ねて郊外を歩く。 **尋ねる**……………道を尋ねる。行方を尋ねる。古老に由来を尋ねる。お尋ね者。尋ね人。 *かな書きがよい例*古きをたず(温)ねて新しきを知る(温故知新)。 **たたかい**(♪たたかう) **戦い**……………横綱どうしの戦い。戦いに敗れる。男と男の戦(闘)い。 **闘い**……………自然との闘い。生活のための闘い。病との闘い。 **たたかう**(♪たたかい) **戦う**……………敵と戦う。戦場で戦う。試合で戦う。 **闘う**……………困難と闘う。自然と闘う。病気と闘う。貧困と闘う。 **たつ** **断つ**……………退路を断つ。酒を断つ。快刀乱麻を断つ。はらわたを断つ思い。 **絶つ**……………命を絶つ。縁を絶つ。消息を絶つ。犯罪が後を絶たない。犯罪の根を絶つ。 **裁つ**……………スカート用の生地を裁つ。型紙を裁つ。裁ち物。裁ちばさみ。 *注意*「断絶」という熟語があるように、「断つ」「絶つ」の使い分けの難しいことがある。 **たつ**(♪たてる) **立つ**……………演壇に立つ。頂上に立つ。柱が立つ。市が立つ。義理が立つ。うわさが立つ。計画が立つ。波が立つ。湯気が立つ。使者に立つ。席を立つ。立つ鳥跡を濁さず。役に立つ。歯が立たない。腹が立つ。立ち合う。 **建つ**……………建物が建つ。銅像が建つ。家が建(立)ち並ぶ。 *注意*「八時に立(発)つ」のように()の漢字をあてることがある。 **たてる**(♪たつ) **立てる**……………柱を立てる。計画を立てる。手柄を立てる。エースを立てて試合に臨む。先輩の顔を立てる。腹を立てる。家が立(建)て込む。倒産寸前の会社を立て直す。 **建てる**……………家を建てる。銅像を建てる。ビルを建てる。古い庁舎を建て直す。一戸建て。二階建て。 *注意*「戸を立(閉)てる」のように、()の漢字をあてることがある。 **たま** **玉**……………火の玉。目の玉。玉を磨く。玉にきず。玉のこし。玉と散る。玉のような男の子。玉をころがすような声。玉磨かざれば光なし。玉突き。 **球**……………電灯の球。野球の球。内角の速い球。球(玉)ころがし。 **弾**……………ピストルの弾。弾が飛び交う。銃に弾を込める。 **たより** **頼り**……………明かりを頼りに進む。親を頼りにする。丈夫な体が頼り。 <1251> **同訓の漢字の使い分け** **便り**……………ふるさとへ便りを出す。風の便りに聞く。便りのないのはよい便り。 **つかう** **使う**……………機械を使う。重油を使う暖房。三か国語を使う。旅行に大金を使う。 **遣う**……………神経を遣う。気を遣う。気遣い。心遣い。言葉遣い。仮名遣い。小遣い銭。 **つく**(♪つける) **付く**……………顔に墨が付く。あだ名が付く。気が付く。おまけが付く。利息が付く。味方に付く。目に付く。 **着く**……………汽車が着く。手紙が着く。席に着く。目的地に着く。天井に手が着く。仕事が手に着かない。 **就く**……………帰途に就く。先生に就いて勉強する。開発の緒[ちょ]に就く。職に就く。床に就く。高い地位に就く。 *かな書きがよい例*キツネがつ(憑)く。後からついて行く。明かりがつ(点)く。 **つぐ** **次ぐ**……………東京に次ぐ大都会。サッカーに次いで得意なスポーツ。事件が相次ぐ。取り次ぐ。 **継ぐ**……………跡を継ぐ。家を継ぐ。遺志を継ぐ。息を継ぐ。炭を継ぐ。布を継ぐ。夜を日に継ぐ。継ぎ足す。引き継ぐ。継ぎを当てる。パイプの継ぎ目。 **接ぐ**……………木を接ぐ。骨を接ぐ。木に竹を接ぐ。接ぎ木。骨接ぎ。 **つくり**(♪つくる) **作り**……………生け作り。米作り。作り事。作りつけの本棚。作り笑い。 **造り**……………格子造り。酒造り。船造り。造り酒屋。 **つくる**(♪つくり) **作る**……………規則を作る。米を作る。小説を作る。タイを刺身に作る。料理を作る。 **造る**……………酒を造る。庭園を造る。船を造る。 *注意*「造る」は、規模の大きいものや、「酒造」「造園」「造船」などの熟語を参考にして使うとよい。 *使い分けの例*「庭園を造る」は「造園」の意で大規模な庭園についていい、「庭を作る」は「作庭」の意で小さい庭の場合にいう。 **つける**(つく) **付ける**……………跡を付ける。気を付ける。けりを付ける。条件を付ける。力を付ける。名前を付ける。日記を付ける。付け加える。 **着ける**……………衣服を身に着ける。仕事に手を着ける。船を岸に着ける。 **就ける**……………腹心の部下を要職に就ける。 *かな書きがよい例*明かりをつ(点)ける。 **つつしむ** **慎む**……………言葉を慎む。酒を慎む。身を慎む。慎み深い。 **謹む**……………謹んで聴く。謹んで新年のお喜びを申し上げます。 **つとめ**(♪つとめる) **努め**……………主婦の務め。委員長の務めを果たす。 **勤め**……………会社勤め。勤め人。本堂で朝のお勤めをする。 **つとめる**(♪つとめ) **努める**……………解決に努める。完成に努める。サービスに努める。努めて早起きする。 **務める**……………司会を務める。代役を務める。 **勤める**……………会社に勤める。役場に勤める。定年まで勤め上げる。 <1252> **同訓の漢字の使い分け** **とうとい**(♪とうとぶ) **尊い**……………尊い神。尊い仏様。尊い犠牲を払う。仰げば尊し我が師の恩。 **貴い**……………貴い身分の方。貴い体験。貴い資料。貴(尊)いお言葉。貴(尊)い人命。 *注意*「尊敬に値する」の意では「尊」、「価値が高い。高貴である」の意では「貴」をあてるが、使い分けのはっきりしない場合が多い。 **とうとぶ**(とうとい) **尊ぶ**……………阿弥陀様を尊ぶ。目上の人を尊ぶ。 **貴ぶ**……………金を貴ぶ。真理を貴ぶ。名誉を貴ぶ。 **とく**(♪とける) **解く**……………包みを解く。ひもを解く。包囲を解く。結び目を解く。委員の任を解く。謎[なぞ]を解く。問題を解く。 **溶く**……………薬を水で溶く。絵の具を溶く。 **とける**(♪とく) **解ける**……………ひもが解ける。疑いが解ける。外出禁止令が解ける。父の怒りが解ける。謎が解ける。雪解け。 **溶ける**……………砂糖が水に溶ける。鉄も溶ける温度。地域社会に溶け込む。 *注意*「雪・氷がとける」は「解ける・溶ける」のどちらも使うことができる。また、「融ける」と書くこともある。 **ととのう**(♪ととのえる) **整う**……………整った顔だち。整った文章。設備が整う。態勢が整う。体調が整う。準備が整(調)う。 **調う**……………資金が調う。嫁入り道具が調う。縁談が調う。 **ととのえる**(♪ととのう) **整える**……………隊列を整える。調子を整える。体裁を整える。服装を整える。準備を整(調)える。 **調える**……………味を調える。材料を調える。花嫁道具を調える。費用を調える。交渉を調える。 **とぶ** **飛ぶ**……………鳥が空を飛ぶ。ジェット機が飛ぶ。うわさが飛ぶ。アフリカに飛ぶ。首が飛ぶ。飛ぶように売れる。飛ぶ鳥を落とす勢い。海に飛び込む。家を飛び出す。飛び石。飛び火。飛び込み競技。 **跳ぶ**……………片足で跳ぶ。みぞを跳ぶ。水しぶきが跳(飛)ぶ。跳びはねる。跳び箱。三段跳び。 **とまる**(♪とめる) **止まる**……………交通が止まる。心臓が止まる。水道が止まる。時計が止まる。笑いが止まらない。お高く止(留)まる。 **留まる**……………ボタンが留まらない。小鳥が木の枝に留(止)まる。心に留まる。目に留まる。 **泊まる**……………港に船が泊まる。ホテルに泊まる。 *注意*普通には「止まる・止める」を用い、右の例のほかは、「とどまる・とどめる」「固定する」などの意を添えたいときに「留まる・留める」を用いるとよい。 **とめる**(♪とまる) **止める**……………息を止める。運転を止める。タクシーを止める。痛み止め。通行止め。 **留める**……………写真をピンで留める。ボタンを留める。心に留める。目を留める。留め置く。書留。 **泊める**……………友達を家に泊める。 **とる** <1253> **取る**……………手に取る。着物の汚れを取る。車の免許を取る。相撲を取る。責任を取る。注文を取る。年を取る。メモを取る。休みを取る。連絡を取る。取るに足りない。跡取り。取り越し苦労。 **採る**……………検査用に血を採る。新卒者を採る。決を採る。山菜を採る。 **捕る**……………ネズミを捕る。捕らぬタヌキの皮算用。生け捕る。分捕る。召し捕る。捕り物。 **執る**……………指揮を執る。事務を執る。政権を執(取)る。筆を執る。儀式を執り行う。 **撮る**……………写真を撮る。ビデオ撮り。 *注意*一般に「取る」と書くが、他は「採血・採用・採決」「捕獲・逮捕」「執務・執筆」「撮影」などの熟語を参考にして決めるとよい。 *かな書きがよい例*人の物をと(盗)る。栄養をと(摂)る。 **ない**(♪なくす) **無い**……………金が無い。残り時間が無くなる。無い袖[そで]は振れぬ。無い物ねだり。 **亡い**……………すでに世に亡い友。亡き者にする。亡くなった祖父。 *注意*「無い」は、特別の場合を除いてかな書きにするのがよい。 **なおす**(♪なおる) **直す**……………誤りを直す。故障を直す。こわれた機械を直す。服装の乱れを直す。悪い癖を直す。 **治す**……………けがを治す。病気を治す。 **なおる**(♪なおす) **直る**……………故障が直る。誤植が直る。パンクが直る。ゆがみが直る。悪い癖が直る。機嫌が直る。 **治る**……………傷が治る。病気が治る。 **なか** **中**……………家の中に入る。他人の話の中に割り込む。中を取って値段を決める。中の妹。中指。 **仲**……………苦楽をともにする仲。仲がいい。仲をさく。仲を取り持つ。犬猿の仲。夫婦仲。仲間。仲よし。 **なが**・**ながい** **長い**……………長い髪の毛。長い道のり。長い年月。脚が長い。気が長い。枝が長く伸びる。長い物には巻かれろ。 **永い**……………永い眠りに就く。永く付き合う。末永く契[ちぎ]る。永の別れ。日永(長)。 *注意*「永い」は、時間についてのみ用いることができる。 **なく** **鳴く**……………牛がモーと鳴く。鳥が鳴く。虫が鳴く。 **泣く**……………子供が泣く。泣いても笑っても。泣く子と地頭には勝てぬ。泣き言を並べる。泣き虫。 **なくす**(↓ない) **無くす**……………財布を無くす。観光地のゴミを無くす運動。 **亡くす**……………子を亡くした親。父親を亡くした兄弟。 **ならう** **習う**……………先生にピアノを習う。習字を習う。習うより慣れろ。見習い。習い性[せい]となる。 **倣う**……………前例に倣う。外国の進んだ技術に倣う。ひそみに倣う。 **のせる**(♪のる) **乗せる**……………子供を飛行機に乗せる。放送を電波に乗せる。相手を計略に乗せる。口車に乗せられる。琵琶の調べに乗せて語る。 <1254> **同訓の漢字の使い分け** **載せる**……………頂に雪を載せた山。果物を皿に載せる。コインを手のひらに載せる。雑誌に特ダネを載せる。自動車に貨物を載せる。棚に本を載せる。 **のぞむ** **望む**……………人類の幸福を望む。自ら望んで…する。南に富士山を望む部屋。 **臨む**……………海に臨んだ小さな漁村。卒業に臨んで別れの言葉を贈る。違反者には厳罰をもって臨む。 **のばす**(↓のびる) **伸ばす**……………背筋を伸ばす。手足を伸ばす。ひげを伸ばす。勢力を伸ばす。成績を伸ばす。 **延ばす**……………開会を延ばす。出発を延ばす。路線を延ばす。金属棒をたたいて延ばす。クリームを手のひらでよく延ばす。 **のびる**(♪のばす) **伸びる**……………草が伸びる。身長が伸びる。ひげが伸びる。スラリと伸びた脚。学力が伸びる。新人が伸びる。成績が伸びる。開発の手が伸びる。経済の伸びが止まる。 **延びる**……………地下鉄が郊外まで延びる。出発が延びる。寿命が延びる。よく延びるクリーム。支払いが延び延びになる。生き延びる。落ち延びる。 **のぼる** **上る**……………土俵に上る。川を上る。都へ上る。頭に血が上る。水銀柱が上る。話題に上る。売り上げが一兆円に上る。上り列車。 **登る**……………木に登る。山へ登る。坂を登(上)る。はしごを登(上)る。演壇に登(上)る。 **昇る**……………天にも昇(上)る気持ち。日が昇(上)る。 **のる**(♪のせる) **乗る**……………馬に乗る。車に乗る。電車に乗って行く。脂が乗る。時流に乗る。調子に乗る。図に乗る。相談に乗る。一口乗る。相手の計略に乗る。乗りかかった船。 **載る**……………棚に本が載っている。車に載りきらない荷物。新聞に広告が載る。新しく辞典に載った語。 **はえ**・**はえる** **映える**……………紅葉が夕日に映える。夕映えの時計台。 **栄える**……………受賞に栄える作品。栄えある優勝。出来栄え。見栄えがする。 **はかる** **図る**……………解決を図る。経済の活性化を図る。再起を図る。自殺を図る。便宜を図る。図らずも…となる。 **計る**……………時間を計る。体温を計る。増益を計る。計(測)り知れない影響。特別に計らう。 **測る**……………距離を測る。水深を測る。スピードを測る。高さを測る。面積を測る。測定機で測る。 **量る**……………体重を量る。升で量る。目方を量る。容積を量る。量り売り。真意を推し量(測)る。 **諮る**……………審議会に諮る。町内の人々に諮る。 **謀る**……………悪事を謀(図)る。暗殺を謀(図)る。まんまと謀(計)られる。 *注意*「計測・計量・測量」などの熟語があることで分かるように、「計る」「測る」「量る」の使い分けは、あまりはっきりしない。「図る」は、くわだてる、考えをめぐらすという意味で用いる。また、「諮る」は人に相談する、「謀る」は裏をかいてだますという意味のあるときに使われる。 <1255> **同訓の漢字の使い分け** **はじめ** **始め**……………会議の始めと終わり。会うは別れの始め。御用始め。仕事始め。 **初め**……………年の初め。初めからやりなおす。初めての経験。 *かな書きがよい例*社長をはじめ会社の役員全員が姿を現す。 **はな** **花**……………花が咲く。花の都。花も実もない。花を添える。花形スター。引退の花道。 **華**……………火事とけんかは江戸の華(花)。華やか。華やぐ。華々しい。 **はなす**(♪はなれる) **放す**……………犬を放す。ハンドルから手を放す。見放す。突き放す。手放しで喜ぶ。野放し。放し飼い。 **離す**……………間を離す。目を離す。肌身離さず。引き離す。 **はなれる**(♪はなす) **放れる**……………子供から手が放れる。矢が弦を放れる。放れ馬。 **離れる**……………遠く離れた町。職を離れる。人心が離れる。船が岸を離れる。持ち場を離れる。頭から離れない。損得を離れる。年が離れる。離れ離れになる。離れ島。離れの四畳半。 **はやい** **早い**……………時期が早い。のみこみが早い。朝早く起きる。気が早い。早い者勝ち。早変わり。早口。遅かれ早かれ。手っとり早い。矢継ぎ早。 **速い**……………足が速い。球が速い。テンポが速い。火の回りが速い。流れが速い。車のスピードが速い。 **ひ** **火**……………火が燃える。火をたく。火を出す。火にかける。火の出るような打球。顔から火が出る思い。火のない所に煙は立たぬ。飛んで火に入る夏の虫。火を見るよりも明らか。火に油を注ぐ。 **灯**……………灯がともる。遠くに街の灯が見える。ランプの灯。 *注意*「灯」は、常用漢字表で「燈」(当用漢字)から改められたもの。 **ひきあげる** **引き上げる**……………沈んだ船を引き上げる。公定歩合を引き上げる。利率を引き上げる。 **引き揚げる**……………外地から引き揚げる。引き揚げ者。引き揚げ船。 **ひく** **引く**……………線を引く。綱を引く。戸を引く。荷車を引く。例を引いて説明する。辞書を引く。ガスを引く。人の注意を引く。 **弾く**……………ギターを弾く。ピアノを弾く。ショパンの曲を弾く。 *かな書きがよい例*車にひ(轢)かれる。粉を(碾)く。のこぎりで材木をひ(挽)く。風邪をひく。 **ひとかげ** **人影**……………障子に人影が映る。夜も更けてまばらな人影。 **人陰**……………人陰に隠れる。人陰から犬が飛び出す。 **ふえる**(♪ふやす) **増える**……………人数が増える。水かさが増える。需要が増える。 **殖える**……………財産が殖える。たまる貯蓄から殖える貯蓄へ。 *注意*財産などに関するときに「殖える」を使うことがある。 **ふく** **吹く**……………風が吹く。木が芽を吹く。粉を吹く。笛を吹く。思わず吹き出す。吹けば飛ぶような将棋のこま。ほらを吹く。吹き出物。 **噴く**……………火山が煙を噴く。クジラが潮を噴(吹)く。火を噴き出す。 <1256> **同訓の漢字の使い分け** **ふける** **更ける**……………夜が更ける。秋が更ける。夜更けの街。 **老ける**……………年よりも老けて見える。老け込む。 **ふた** **二**……………二重。二つ。二つ折り。二つ返事。二また。二目と見られない。 **双**……………双子。双葉。 **ふね** **船**……………船の甲板。船のマスト。船で帰国する。船旅。親船。 **舟**……………舟をこぐ。小舟。ささ舟。渡し舟(船)。 *注意*普通は「船」を用い、「舟」は小型で構造の単純なものに用いることがある。 **ふやす**(ふえる) **増やす**……………人数を増やす。人手を増やして量産態勢に入る。予算を増やす。 **殖やす**……………財産を殖やす。 **ふるう** **振るう**……………腕を振るう。権力を振るう。暴力を振るう。猛威を振るう。腕力を振るう。事業が振るわない。 **奮う**……………勇気を奮う。奮って参加する。奮い立つ。 **震う**……………声を震わせる。体を震わせる。身震い。武者震い。 *注意*「奮う」は、心をわき立たせるという意味で用いる。 **ほる** **掘る**……………穴を掘る。芋を掘る。墓穴を掘る。掘り出し物。 **彫る**……………入れ墨を彫る。記念碑に名前を彫る。木像を彫る。彫り物。 **まざる**(まじる・まぜる) **交ざる**……………麻の交ざった綿シャツ。白髪が交ざった頭。喜びととまどいの交ざった表情。 **混ざる**……………酒に水が混ざる。外人の血が混ざる。混ざり物。 **まじる**(→まざる・まぜる) **交じる**……………三色の花が交じる。日本語に英語が交じった文章。王妃が群衆に交じって歩く。漢字仮名交じり文。 **混じる**……………いろいろな雑音が混じる。群れに混じって見分けがつかない。有毒なガスの混じった空気。赤に青が少し混じった色。西洋人の血が混じる。 **まぜる**(まざる・まじる) **交ぜる**……………漢字と仮名を交ぜて書く。マージャンのパイを交ぜる。交ぜ織り。 **混ぜる**……………セメントに砂を混ぜる。絵の具を混ぜる。混ぜ物。 **まち** **町**……………村から町へ発展する。町ぐるみの歓迎。下町。城下町。町(街)並み。町(街)外れ。町役場。 **街**……………街の灯。学生の街。街をぶらつく。街角。 **まるい** **丸い**……………背中が丸い。丸い玉。角を丸くする。丸く治める。丸ごと。丸裸。丸太。日の丸。 **円い**……………円(丸)い月。円(丸)いテーブル。円(丸)い窓。円(丸)く輪になる。 *注意*「人格がまるい」「争いをまるく収める」は、かな書きにするか、「円い」と書くとよい。 **まわり** **回り**……………火の回りが早い。年始回り。回り道。胴回り。身の回り。 **周り**……………太陽の周りを回る。駅の周り。家の周り。周りの様子。周りへの気配り。 <1257> **同訓の漢字の使い分け** **みる** **見る**……………景色を見る。エンジンの調子を見る。ばかを見る。面倒を見る。様子を見る。見る目がない。見ると聞くでは大違いだ。見る影もない。見る見るうちに大きくなる。 **診る**……………患者を診る。脈を診る。 *かな書きがよい例*「聞いてみる」のように「…してみる」では、かな書きにするのがよい。 **もと** **下**……………先生の下で研究する。太陽の下で泳ぐ。法の下に平等。一撃の下に倒す。一望の下に見渡す。灯台下暗し。 **本**……………本と末。農業は国の本。本を正す。本はと言えば。 **元**……………火の元。元にもどす。元がかかる。元をとりかえす。元も子もない。元のさやに収まる。元のもくあみになる。元から。元のとおり。出版元。元手。元首相。 **基**……………資料を基に発表する。経験を基にする。失敗は成功の基。かぜは万病の基。基づく。 **屋**……………屋敷。屋根。長屋。酒屋。八百屋。事務屋。気むずかし屋。 **家**……………家賃。家主。入り母家。二階家。 *使い分けの例*「おもや」は、家屋の中心部分の意で「母屋」、分家に対する本家の意で「母家」と使い分けることがある。 **やぶれる** **破れる**……………均衡が破れる。恋に破れる。ふすまが破れる。平和が破れる。友情が破れる。夢が破れる。国破れて山河あり。 **敗れる**……………競技に敗れる。勝負に敗れる。人生に敗れる。戦いに敗れる。ライバルに敗れる。 **やわらか**・**やわらかい** **柔らかい**……………柔らかい革。柔らかい布団。体が柔らかい。頭の柔らかい人。物柔らかな態度。 **軟らかい**……………軟(柔)らかい材木。軟(柔)らかな土。便が軟(柔)らかい。軟(柔)らかい話。軟(柔)らかい表情。 **ゆく**(いく) **行く**……………外国に行く。学校へ行く。雲が行く。道を行く人。迎えに行く。行方。行く先。 **逝く**……………八十九歳で逝く。ぽっくり逝[よ]く。 *かな書きがよい例*計画がうまくゆく。年のゆかない子供。納得がゆく。満足がゆく。生きてゆく。暗くなってゆく。 **よ** **世**……………あの世へ旅立つ。世が世ならば。世に入れられる。世に出る。世を渡る。世を捨てる。世の常。世の中。世渡り。 **代**……………昭和の代を振り返る。明治の代。神代[かみよ]。 **よい** **良い**……………成績が良い。育ちが良い。手際が良い。品質が良い。耳が良い。 **善い**……………善い行い。善いことをする。 *注意*「善い」は道徳的な判断を加えるときに使われることがある。「良い」「善い」は、ともに「よい」とかなで書かれることが多い。 **よむ** **読む**……………お経を読む。字を読む。本を読む。目盛を読む。時代を読む。先を読む。人の心を読む。流行を読む。秒読み。 <1258> **同訓の漢字の使い分け** **詠む**……………歌を詠む。詩情を詠む。ホトトギスを歌に詠む。 **わかれる** **分かれる**……………道が二つに分かれる。意見が分かれる。勝敗の分かれ目。二手に分かれて追う。 **別れる**……………幼い時に両親と別れる。友達と駅で別れる。家族と別れて住む。別れを告げる。 *使い分けの例*「わかれみち」を「分かれ道」と書くと二つあるいはそれ以上に分岐する道の意、「別れ道」と書くと人と別れて別々に進んで行く道の意になる。 **わざ** **業**……………至難の業。離れ業。軽業。目にもとまらぬ早業。人間業。 **技**……………柔道の技。相撲の技を磨く。投げ技。 *注意*「技」は、技術や技能などに、「業」は人間の行いや仕事などの意味で使い分けるとよい。 **わずらう** **煩う**……………心を煩わせる。人手を煩わせる。思い煩う。恋煩い。煩わしい。 **患う**……………胸を患う。半年間患う。 <1259> **比喩[ひゆ]表現[ひょうげん]用例[ようれい]** **比喩[ひゆ]表現[ひょうげん]用例[ようれい]** **直喩[ちょくゆ]** 話[はなし]は、風船[ふうせん]をふくらませるようにふくらんでいく。♠潮騒[しおさい]が歌[うた]うように話[はな]しかけてくる。♠いわし雲[ぐも]=いわしが群[むら]がったように、空[そら]に広[ひろ]がっている雲[くも]。♠路傍[ろぼう]の石[いし]のように、踏[ふ]まれてもけられても強[つよ]く生[い]き抜[ぬ]く。♠人[ひと]の一生[いっしょう]は、重荷[おもに]を背負[せお]って遠[とお]い道[みち]を行[ゆ]くようなものだ。♠ヒヨドリの体[からだ]は、氷[こおり]のように冷[つめ]たかった。♠きみの心[こころ]は、石[いし]のように冷[つめ]たい。♠赤[あか]ん坊[ぼう]が火[ひ]でもついたように泣[な]き出[だ]す。♠この一言[ひとこと]は、鋭[するど]いナイフのようにわたしの胸[む네]を突[つ]き刺[さ]した。♠少女[しょうじょ]の貝殻[かいがら]のような耳[みみ]。♠寒風[かんぷう]に葉[は]を落[お]として、がいこつのような木々[きぎ]の枝[えだ]。♠嵐[あらし]の中[なか]の木[き]は、狂[くる]った女[おんな]の髪[かみ]のように枝[えだ]をうねらせていた。♠あじさいの花[はな]が、まるで大[おお]きな青[あお]いまりのように咲[さ]いている。♠まるで降[ふ]るような星空[ほしぞら]です。♠男[おとこ]は、バッタのように腰[こし]を曲[ま]げて平謝[ひらあやま]りに謝[あやま]った。♠人込[ひとご]みの中[なか]をぬうようにして先[さき]を急[いそ]ぐ。♠むやみにことばを飾[かざ]るのは、不自然[ふしぜん]な厚化粧[あつげしょう]をするのと同[おな]じだ。♠やがて、車軸[しゃじく]を流[なが]すような大雨[おおあめ]となった。♠勇者[ゆうしゃ]は、黒[くろ]い風[かぜ]のように走[はし]った。♠おごれる人[ひと]も久[ひさ]しからず、ただ春[はる]の夜[よる]の夢[ゆめ]のごとし。♠ほんとうは、おしっこをちびってしまいそうなほど怖[こわ]かったんだ。♠口論[こうろん]と討論[とうろん]の違[ちが]いは、ちょうど戦争[せんそう]と平和[へいわ]のようなものだ。♠自然[しぜん]界[かい]では、生物[せいぶつ]たちは網[あみ]の目[め]のように複雑[ふくざつ]な関係[かんけい]で結[むす]びついている。♠北風[きたかぜ]に電線[でんせん]はむちのようにしなっている。♠額[ひたい]に受[う]けたざくろのような傷[きず]。♠日本人[にほんじん]はアリのように働[はたら]くといわれている。♠空[そら]は抜[ぬ]けるように高[たか]く、青[あお]かった。♠十五歳[じゅうごさい]のつぼみのような若[わか]さで逝[ゆ]ったアンネ。♠記憶[きおく]が電光[でんこう]のようによみがえる。♠夏[なつ]の田[た]は、真[ま]っ青[さお]な波[なみ]を重[かさ]ねた海[うみ]みたいだった。♠中学[ちゅうがく]時代[じだい]の思[おも]い出[で]が走馬灯[そうまとう]のように脳裏[のうり]をかすめていった。♠かげろうのようにはかない娘[むすめ]の一生[いっしょう]だった。♠ああ、露[つゆ]のようにはかないこの世[よ]よ。♠網[あみ]の中[なか]には、エビがまるでしだれ桜[ざくら]が咲[さ]いたように広[ひろ]がっていた。♠民衆[みんしゅう]の運動[うんどう]が野火[のび]のように国[くに]じゅうに広[ひろ]がっていく。♠銀[ぎん]の砂[すな]をまき散[ち]らしたように、無数[むすう]の星[ほし]がまたたく。♠昼[ひる]の空[そら]に、こわれた楽器[がっき]のような月[つき]がかかっている。♠まるでコンパスのように細[ほそ]く、長[なが]い脚[あし]。♠すると、そこで風景[ふうけい]は煙[けむり]のように消[き]えていた。♠鉄砲玉[てっぽうだま]のように飛[と]び出[だ]していったきり帰[かえ]ってこない。♠手紙[てがみ]は、書[か]き手[て]と読[よ]み手[て]の心[こころ]をつなぐ橋[はし]のようなものです。 <1260> **比喩表現用例** 少女はほおを夕焼けのように染めて、もじもじしていた。 いたずら坊主どもは、くもの子を散らすように逃げていった。 その意志たるや、まさに天をつくがごとき勢いである。 地獄のような生活。 鼻息が耳もとであらしのように聞こえる。 **隠喩** 風が秋の空を、すすきのほうきで掃く。 波は海の手だ。 タンポポの綿毛のらっかさんが飛んだ。 窓ガラスに真っ白い氷の花が咲いた。 人間は自分の手より大きな、便利な手――道具や機械を発明した。 詩の中で光る言葉、踊る心。 子供は、自然をいちばんの遊び相手としてきた。 自然はわたしたちの命の泉だ。この泉を涸らしてはならない。 心の窓を開いて、周囲の人々を受け入れる。 海はまきば。緑のまきばに羊の群れ(=波)が遊ぶ。 ザクッ、ザクッ、長靴が雪をかむ。 このニュースは、わたしたちの心に明るい灯をともした。 昔の人々は、自然と対話しながら生活していたのだろう。 想像の翼を広げて、物語を作ってみよう。 まゆみの心は、大きく何度も波打った。 夕やみが静かな部屋をひたしていた。 テレビも雑誌もカタカナコトバの洪水だ。 自然のふところに抱かれて暮らす。 マンモス庁舎。 六月、北海道の原野ははなやかな装いの時を迎える。 日光の強さ弱さによって、海の表情は微妙に変わる。 夏の夜空を美しい金の川が渡る。 燃える心、胸の火。 友人の一言で、わたしのかたくなな心の壁が砕けた。 秋の日がさらさらと林の道にこぼれています。 土の中の無数の住人たち(=虫たち)。 まだまだ、真の平和の夜明けは遠い。 百人一首は、遊びを通して、古典への扉を開いてくれます。 心の中の目を閉じて、静かに考えてごらん。 都会に行けば、お金が自然にポケットにわいてくると青年は思っていた。 詩は、読者をことばの翼に乗せて、想像の天地へ案内する。 母は、ことばの爆弾でぼくを激しく攻撃した。 日記のない青春は墓場だ。 ぼくは財布と相談して、映画をあきらめた。 必要は発明の母である。 価値の高い文学作品に触れて、心の奥底を耕そう。 今、生きることの本当の意味が怠惰だったわたしをはじき飛ばした。 収まりかけていた火が再び狂いだした。 あいさつは、人間関係の潤滑油だ。 あの人の思い出を、今日かぎり記憶の中に埋葬しようと思う。 生きていてどうなる、その問いが胸の中で真っ黒い渦巻を作っていた。 <1261> **比喩[ひゆ]表現[ひょうげん]用例[ようれい]** **擬人法[ぎじんほう]** コンクリートの塀[へい]を相手[あいて]にキャッチボールをしよう。♠そろそろ帰[かえ]ろう。晩[ばん]ごはんが待[ま]ってるよ。♠一年生[いちねんせい]のランドセルがカタカタと背中[せなか]で踊[おど]りました。♠八月[はちがつ]、海[うみ]は招[まね]くよ。♠山奥[やまおく]の村[むら]にも、春[はる]が大急[おおいそ]ぎでやって来[き]ました。♠タンポポの種[たね]は、安住[あんじゅう]の地[ち]を求[もと]めて旅立[たびだ]つ。♠夜中[よなか]に風[かぜ]がコトンと戸[と]をたたく。♠脳[のう]は、一日[いちにち]の活動[かつどう]でたいへん疲[つか]れます。♠公園[こうえん]のブランコは、雨[あめ]の中[なか]で子供[こども]たちを待[ま]っていた。♠半島[はんとう]が春[はる]がすみの中[なか]に眠[ねむ]っている。♠駅[えき]のこのベンチは、人々[ひとびと]の出会[であ]いと別[わか]れのドラマを見[み]つめてきたにちがいない。♠潮騒[しおさい]が歌[うた]うように話[はな]しかけてくる。♠カブトムシは虫[むし]の王者[おうじゃ]で、子供[こども]たちの人気者[にんきもの]です。♠さまよえる湖[みずうみ]。♠歳月[さいげつ]は人[ひと]を待[ま]たず。♠山[やま]のあなた[た]の空[そら]遠[とお]く♠「幸[さち]ひ」住[す]むと人[ひと]のいふ。♠濁流[だくりゅう]は、メロスの叫[さけ]びをせせら笑[わら]うごとく、ますます激[はげ]しくおどりくるう。♠自然[しぜん]は、人間[にんげん]に対[たい]して鋭[するど]い抗議[こうぎ]の叫[さけ]びを発[はっ]しているのだ。♠野[の]に山[やま]に、春[はる]がどっかと腰[こし]をおろしている。♠火[ひ]の粉[こ]が火炎[かえん]の手先[てさき]となって、人々[ひとびと]の逃[に]げる道[みち]をふさぐ。♠地図[ちず]が語[かた]る町[まち]と人々[ひとびと]の暮[く]らし。♠寒[さむ]い日[ひ]の昼下[ひるさが]がり、世界[せかい]が息[いき]を詰[つ]めている。♠空[あ]き家[や]の台所[だいどころ]の食器[しょっき]類[るい]が、かつて人[ひと]が住[す]んでいたことを懸命[けんめい]に主張[しゅちょう]していた。♠炎[ほのお]の下[した]で木[き]の枝[えだ]が悲鳴[ひめい]をあげている。♠また、夜[よる]のやつがやって来[く]るぞ。♠テーブルの上[うえ]に、ビール瓶[びん]が大[おお]きな顔[かお]をして座[すわ]っている。♠戦後[せんご]二十七年[にじゅうしちねん]、沖縄[おきなわ]が歩[あゆ]んだ道[みち]。 **擬声語[ぎせいご]・擬態語[ぎたいご]** 鈴虫[すずむし]はリンリン、松虫[まつむし]はチンチロリン。♠猫[ねこ]がゴロゴロとのどを鳴[な]らす。♠キーンという鋭[するど]い音[おと]。♠ガリガリとかじる。♠ボリボリとつめでかく。♠しげみの中[なか]でカサカサいう音[おと]。♠ピシャッと池[いけ]のコイがはねる。♠はさみでジョキジョキ切[き]る。♠バタンと戸[と]を閉[し]める。♠ザブザブ川[かわ]を渡[わた]る。♠ビリッといってズボンが破[やぶ]れた。♠バラバラと栗[くり]の実[み]が落[お]ちてきた。♠ゴクリゴクリと水[みず]を飲[の]む。♠オイオイと声[こえ]をあげて泣[な]く。♠母[はは]ぐまは、ザンブと川[かわ]へ飛[と]び込[こ]んだ。♠ゴーンゴーンと鐘[かね]が鳴[な]る。♠ワイワイ、ガヤガヤ、うるさいぞ、きみたちは。 <1262> **比喩表現用例** バタバタとうちわであおぐ。 サワサワと流れる谷川。 北風ピューピュー。 ドシーンと音を立てて落ちる。 ゴボゴボ、ゴボゴボと温泉がわく。 自転車がピューンと走り抜けた。 ゴツンと頭をたたく。 ズルッズルッと鼻水をすする。 うらうらと日が照って温かい。 ふっくら柔らか。 すいすい走る。 すくすく成長する。 むらむらと怒りがこみあげる。 仲間がばらばらになってしまう。 にやりと笑う。 とぼとぼと歩く。 かげろうがゆらゆら揺れる。 むくむくとふくれあがる。 朝日にきらりと光る。 周囲をぐるりと取り囲む。 予想がぴたりと当たる。 穴にすっぽり身を隠す。 ぞくぞくと寒けがする。 雪解けでぐちゃぐちゃの道。 そろり、そろりと、手さぐりで進む。 トンボの目の前で、指をぐるぐる回す。 ぐったりと疲れる。 からからに乾く。 年をとってよぼよぼの犬。 じめじめしていやな梅雨の季節。 ちらちらと雪が舞う。 うつらうつら、いねむりをする。 のろのろするな。 **後記** 「国語基本用例辞典」の増補版編集のつもりが、採録語が四倍になり、意味記述が加わってこのような形態となった。これだけのものを編集するにも、数年を要するという非力を思わないでもないが、これまでの一連の用例辞典作成の一到達点としたい。そして、これを核として、新たなる構想を展開しようと思う。 原稿執筆から校正、校閲、入力、データベース設計、コンピュータ編集処理設計、制作、組版、製版、印刷、製本…そして営業企画と、多くの人々と関係者の力に助けられた。特に、三宅秀夫、小山次男両氏の力が大きかったことを記しておきたい。編集には橋本ひとみ他があたった。 1992年1月 教育社国語編集部 平清水孝昭