<1> 感覚・感情を表す慣用句 <2> 相手の将来を思いやって 厳しくあたること。その 仕打ち。簌は、厳しくあたることの比喻 的表現。用例いじめられたなんて子供みたい なことを言うなよ。それは君に対する上司の 愛のむちというものだよ。 秋風が吹く 男女の間で、相手がいや になる。愛情がさめる。 回秋」を「飽き」にかけていう。用例長い交際 だったけれども、とうとう僕たちの間にも秋 風が吹いてきたようだ。頬秋風が立つ 可愛い子には旅をさせよ 世間へほうり出して、辛苦をなめさせたほう がよい。用例一人っ子だからといって、甘や かしていると将来苦労するから、かわいい子 には旅をさせよで、本人がそう言うなら独立 させてみようじゃないか。 子は銭かすがい て、夫婦の仲が保たれる こと。罠「錠」は、材木と材木をつなぐための コの字型のくぎ。用例何度も離婚の危機が あったけれども、そのたびに子供たちに救わ れたような気がする。子はかすがいとはよく 言ったものだ。 子故の聞 子供に対する愛情のため に、親が理性を失うこ と。用例自分にできなかったことを子供には させてやろうというつもりなのだろうが、か えって子故の闇に迷ってしまうことになりか ねない。 <3> 情が移る 日ごろ接しているうち に、しだいに愛情がわい てくる。用例初めは何とも思っていなかった が、毎日顔を合わせているうちに情が移って しまって、近ごろは結婚を考えるようになっ た。 情が深い 人を愛する気持ちがなみ き残したものを読むと、家族への情が深かっ たことがよくわかる。類情が厚い対情が薄 い・情がない なみでない。 用例彼の書 血の通った 対処の仕方などに人間的 な温かい思いやりがあ る。用例今回の判決は情状を十分に酌量し た、血の通った判決だと思う。類血が通う 蝶よ花よ 子供を非常にかわいがり 育てる様子。用例彼女は 小さいときから何不自由なく、蝶よ花よと育 てられました。 目の中へ入れても痛くない 子供を非常にかわいがる 様子。用例いくら目の中 入れても痛くない様子。用例いくら目の中 へ入れても痛くないといっても、あんまり娘 を甘やかしちゃだめよ、お父さん。 あきらめる・断念 お手上げ 行き詰まった状態を解決 することができず、どう なくなる。■降参のしるしとして両 しようもなくなる。■降参のしッ 手を上げることから。用例急に福岡への出張 が決まったが、台風で飛行機が欠航となった うえ、新幹線の切符も取れないとあって、 まったくのお手上げだ。 <4> 魅を投げる どのような手段を用いても効果があがらないた め、あきらめる。■薬を調合するためのさじ を投げる意で、医師が患者を見放すことか ら。用例あれほど注意しても同じ過ちを繰り 返すようでは、さじを投げたくもなる。 手が出ない 自分の力ではどうするこ ともできない。用例高等 数学の問題は、もともと数学が得意でない僕 には手が出ない。 手を引く これまで続いていた関係 を断ち切る。用例今ここ で君に手を引かれては、この計画は一歩も進 まないよ。 年貫の納め時 ついに捕らえられて、こ れまでに積み重ねた悪事 なければならない時期。 に対する処罰を受けなければならない時期。 どうしようもないと觀念すべき時。■滞納し た年貢を清算しなければならない時の意か ら。用例君もそろそろ年貢の納め時だよ。結 婚して彼女を幸せにしてあげなさいよ。 万事休す 既になんとも施すすべはない。すべて終わったと あきらめる。休は、やむ意。元来は、す べておさまる意。従誨(人名)は子の保勗を ひどくかわいがっていて、どんなに怒ってい るときでも保勗を見ると機嫌が直って笑って いたので、人々はこれを「万事休す」(万事こ となし)と言ったという「宋史」の故事に基づ く。用例資金が底をついてしまったのでは、 この計画も万事休すだ。 見切りを付ける 前途の見込みがないとあ きらめて、見限る。用例 に見切りをつけて、生活の 君もぼちぼち創作に見切りをつけて、生活の <5> あきれる 愛想が尽きる あきれはてていやになる。相手の言動などに対 して辛抱できなくなる。■「あいそ」は「あい そう」とも。用例あれほど念を押したのに平 気で約束を破るのだから、ほとほと愛想が尽 きた。類愛想を尽かす・愛想も小想も尽き果 てる 開いた口が塞がらない あまりのひどさに、驚き あきれて何も言えない。 用例前に貸したお金も返していないのに、ま た借金にくるんだもの。開いた口がふさがら ないよ。 話と実際とがかけ離れす ぎていて、ばかばかしい 聞いて呆れる 気持ちになる。用例満足に「てにをは」の使い 方もわからないくせに、あれで文章のプロだ なんて、聞いてあきれる。 御挨拶だ だ。用例会っても知らん ぷりしているくせに、お久しぶりとはごあい さつだね。 世話がない ようもない。用例まだあ んなにのんきなことを言っているのだから世 話がないよ。 何をか言わんや あきれて言う言葉もな わんや い。用例こんなことも知 らないで日本文化を論じるなんて、何をか言 わんやだ。 <6> この句が誰げない あきれて次に言う言葉が 出ない。用例理由にもな らない理由をつけて今ごろ断ってくるのだか ら、二の句が継げないよ。 焦る・焦慮 心配事やうれしいことで 心がそわそわして、じっ としていられない。用例事故を起こした飛行 機に、もしかすると母が乗っているのではな いかと考えると、居ても立ってもいられなく なった。 隔靴搔痒 思うようにならず、もど かしいこと。はがゆいこ いところを掻くところか と。 ▪靴の上から痒いところを掻くところか ら。用例点が取れそうで取れない。観戦して いて隔靴揾痒の感がある。 気が急く 早く物事を進めたいと 思って、心がいらだつ。 用例交通渋滞に巻き込まれて、約束の時間に 間に合わないんじゃないかと気がせく。 気が揉める 悪い結果を招きそうで、 心配に思う。やきもきす る。用例十時には帰ると言っていたのに十二 時を過ぎてもまだ帰らない。何かあったので はないかと気がもめる。願気を揉む 楽を煮やす 思いどおりに事が運ば ず、いらいらする。用例 担当者ののらりくらりとした対応に業を煮や して、社長に直談判した。 躍起になって 焦っていらだつ様子。 用例ちょっとからかった <7> だけなのに、躍起になって弁解するのには苦 笑させられた。 矢も権もたまらず 思い詰めた気持ちを制し 切れず、じっとしていら れない様子。用例仲の良い友達がいじめに あっているところにでくわして、矢も楯もた まらずなかに飛び込んだ。 安心 大船に乗ったよう 大きな船はめったに沈ま ないところから、何かを 頼りにして、すっかり安心してい 用例君が引き受けてくれたから、大船に乗っ たような気持ちでいられるよ。類親船に乗っ たよう おもに重荷を下ろす 。 かった今回の仕事を無事に終えて、ようやく 重荷を下ろすことができた。 膚の荷が下りる 責任がなくなり、楽な気 持ちになる。■荷が下 りる」とも。用例娘の結婚式から帰ってくる と、やっと肩の荷が下りたねというように、 夫は私にほほえんだ。頬肩が軽くなる 薦の荷を下ろす 背負い込んだ負担がなく なり、気楽になる。■荷 を下ろす」とも。用例長い間預かっていた遺 品をやっと遺族に渡すことができて、肩の荷 を下ろした。 気が休まる 心が穏やかになる。ほっ として、気持ちが落ち着 戦後の生活難、三人の子 く。 用例父の戦死、戦後の生活難、三人の子 <8> 供の養育と、母の一生は気が休まるひまもな いものでした。 心を許す 警戒心などをもたず、信 頼して相手に接する。 用例彼とは、大学時代同じラグビー部で苦楽 を共にした仲なので、今でも心を許して付き 合っている。 愁顔を開く 心配事がなくなり安心す る。「愁眉」は、愁えて ひそめた眉。用例四時間に及ぶ大手術が無事 に終わったことを告げられて、家族は愁眉を 開いた。願眉を開く 人心地が付く 恐怖・不安・苦痛・緊張 などから解放されて、平 常の気持ちにかえる。用例ようやく山小屋に たどり着き、熱いお茶を飲んで、やっと人心 地がついた。 枕を高くする 安心して眠る意で、身辺 に危険や憂いがなく、平 穏に過ごす様子。用例反対派の動靜が気にな り、ここ数日間は枕を高くして寝る余裕など なかった。 胸を撫で下ろす 心配や危険がなくなり、 ほっと安心する。用例台 風の進路からは脱することができたというア ナウンスに、船客一同は胸をなで下ろした。 安樂·気楽 知らぬが仏 知れば腹の立つことも、 知らないと仏様のように 平気でいられるということから、当人だけが 知らないでいるのを、あざけっていう言葉。 <9> 用例サラ金でやりくりした金なのに奥さんの ほうは知らぬが仏、給料はちゃんと入れてく れると満足している。 象牙の塔 俗世間から離れて芸術を 楽しむ境地。また、学者 の現実ばなれした学究態度やその研究室をい う言葉。用例彼が世事に疎いのは、象牙の塔 から一歩も足を踏み出したことがないからだ ろう。 ぬるま湯につかる 今の生活に甘んじて、欲 もなくのんびりと暮ら す。用例私は今までぬるま湯につかったよう な生活をしてきましたから、ここいらで改め ようと思っています。 舞歌交じり 鼻歌を歌いながら何かを する意で、物事を気にし 月列彼は締め切り間 ないで、 のんきな様子。 用例彼は締め切り間 際だというのに、まだ鼻歌まじりに仕事をし ている。 膝を崩す 楽な姿勢で座る。楽な態 度をとる。用例懇親会に 入ってようやくひざを崩すことが許される と、みんな本音が出はじめた。 左団扇 仕事をしなくてもお金に 困らず、安楽に生活して いること。▪のんびりと左手でうちわを使う 意から。用例退職金をもらったからといっ て、これから何十年も女房と二人生きていか なければならないのです。左うちわというわ けにはいきませんよ。 身が軽い 負担に感じるものがな い。気分が楽である。 用例僕は一人暮らしで身が軽いから、長期の 出張も苦になりません。 <10> 悠悠自適 俗世間を離れて、自由気 ままな生活をする様子。 用例早く息子夫婦に店を任せて、悠々自適の 生活をしたいと思っています。 怒る・怒り 育筋を立てる 激高すると、こめかみに 静脈がはっきりあらわれ ることから、激しく怒る様子。用例やっぱり あの人と結婚しますと言うと、父は青筋を立 てて「ばかもの」とどなった。 頭から湯気を立てる かんかんになって怒る様 子。■「湯気を立てる」と も。用例アウトの判定に対して、監督が頭か ら湯気を立ててダグアウトから飛び出してき て審判に抗議した。 頭に来る ひどくしゃくにさわる。 めだというんだもの、頭に来るよ。 怒り心頭に発する 心の底から激しく怒る。 意。用例何もかも水の泡となったのもあいつ のしわざとわかり、怒り心頭に発した。 色をなす 怒って顔色を変える。 い立ててくどくどと弁解する部下に対して、 彼は色をなして怒った。 堪忍袋の縮が切れる 我慢してきた怒りが、こらえ切れなくなって爆発 する。用例相変わらずのルーズな仕事ぶり に、堪忍袋の緒が切れて、とうとう彼をどな りつけてしまった。 <11> 忌諱に触れる 目上の人の気持ちをそこ なう。君主の怒りにふれ る。「きい」は「きき」の慣用読み。忌み嫌う 意。用例昨夜の酒の上での発言が、どうやら 部長の忌諱に触れたらしい。 逆鱗に触れる 天子の怒りを買う。目上 の人をひどく怒らせる。 ▪竜のあごの下にあるという逆さにはえたう ろこに人が触れると、竜が怒って人を食い殺 すという伝説による。用例先生の添削を請う 前にほかの人の教示を仰いだことが、どうや ら先生の逆鱗に触れたらしい。出典「夫れ竜 の虫為るや柔なり。狎れて騎る可きなり。然 れども其の喉下に逆鱗の径尺なる有り。若 し人之に嬰るる者有らば、則ち必ず人を殺 す。人主も亦逆鱗有り。説者能く人主の逆鱗 に嬰るること無くんば、則ち幾からん(竜と 。 いう動物は、性質がおだやかで、手なずけて 乗ることができる。しかしのどの下には、さ しわたし一尺ほどの逆さのうろこがある。 うっかり人がこれに触れでもすれば必ず殺さ れてしまう。人主「君主の意」にも同様に逆鱗 がある。遊説しようとする者が、うまく人主 の逆鱗に触れないように心がけていれば、ほ ほ遊説の極意に達しているといえよう)」(韓 非子説難) 席を蹴る 激しく怒って、その場を 去る。用例料理の出るの が後先になったぐらいのことで席をけって出 ていくなんて、大人げのない話だ。 鶏冠に来る かっとなる。「頭に来る」 のさらに俗な言い方。 「鶏冠」は、ニワトリの頭にある肉質の冠状突 起物。用例かっこいいことばかり言って、 <12> やってることは何なんだよ。まったくとさか に来るぜ。 怒髪冠を衝く 激しく怒った、けわしい 形相をいう。「怒髪」は、 怒りのために逆立った髪の毛。用例横合いか ら切りかかった大刀先をかわすと、相手は怒 髪冠をつかんばかりの形相で立ち向かってき た。出典「璧に瑕有り。請う指して王に示さ ん。王、璧を相如に授く。因りて璧を持 し、卻立して柱に倚る。怒髪上りて冠を衝 く(秦の十五の城と趙の天下の至宝である 「和氏の璧」を交換するという約束を秦王が破 り、璧だけ取ろうとしたので、蘭相如は」璧 には傷があります。王に指してご覧に入れま しよう(と言った)。秦王が璧を蘭相如に返す と、蘭相如は璧をたずさえ、あとにさがって 立ち上がり柱を背にした。すると怒りのため に髪の毛が逆立ち、冠を突き上げた」(史 記一蘭相如伝)翹怒髪天を衝く 腹が立つ しゃくにさわる。怒る。 用例いつものことなが ら、彼の無愛想な応対には腹が立つ。類腹を 立てる 腹に据えかねる 怒りを我慢できない。 用例他人を踏み付けにし て平気な彼のやり方は腹に据えかねる。 腹の虫が納まらない あまりに腹立たしく、ど うにも我慢できない。 用例君はそう言うが、僕はあいつを一発ぶん なくってやらないことには、とても腹の虫が 納まらないよ。 陽が煮え繰り返る 怒りが収まらない様子。 用例あいつ最初からその 何食わぬ顔してごまか つもりだったくせに、何食わぬ顔してごまか <13> していたのかと思うと、はらわたが煮えくり 返る。 仏の顔も三度 どんなにおとなしく情け の深い人でも、たびたび ひどいことをされれば怒り出すこと。■「仏 の顔も三度撫づれば腹立つ」の略。用例仏の 顔も三度だよ。そうたびたびあの人にばかり 迷惑はかけられない。 蹴を決する 決意や怒りを現して、目 は、目じり、「決する」は、裂く意。用例彼は まなじりを決してチャンピオンに立ち向かっ た。 を大きく見開く。回一皿 蕩面朱を殺ぐ 激しく怒って顔面を赤く する。用例監督は大観衆 の前で選手たちを、満面朱をそそいでどなり ナこ。 つけた。 。 向かつ腹を立てる むしゃくしゃして怒る。 かや 一用例彼だけ蚊帳の外にし て決めたんじゃ、彼が向かっ腹を立てるのも 無理ないよ。 目くじらを立てる 些細なことをいちいち取 り上げて怒る。目く じら」は、目のかど、目じりの意。用例あん な連中のやることに、いちいち目くじらを立 てていてもつまらないじゃないか。 怒った目つきで見る。 目に角を立てる 一用例嫁のすることにいち いち姑が目に角を立てているのでは、家の 中がうまくいかない。 目を三角にする 怒って険しい目つきをす る。用例乱暴に電話を切 ると、彼は目を三角にして部屋を出ていっ た。 <14> 怒って目じりを上げる。 目を吊り上げる 用例ワンピースが少しは でだとうっかり口をすべらせたら、彼女は目 をつり上げて怒った。 怒って目を大きく見開 使い込んだなんて言ったら、親父、目をむい て怒るだろうな。 柳層を逆立てる 美人がひどく怒る様子。 形容。用例彼女は柳眉を逆立てたかと思う と、一転してまた穏やかな顔に戻った。 烈火のごとく 激しく燃える火のよう に、ひどく怒る。用例大 学に入ったのは四年間勝手気ままに遊べるか らだと言ったら、先生から烈火のごとくしか られた。 痛くもない腹を探られる 疑う 悪いことは何もしていないのに、疑いの目で見ら れる。用例彼のような詮索好きの男に痛くも ない腹を探られるのは、不愉快極まりない。 疑いを挟む あることに対して、不審 の気持ちを抱く。用例今 のところはっきりした証拠はないが、彼が犯 人であることに疑いを挟む余地はない。 黙の軽重を問う 権力者の実力を疑い、そ の地位を奪い取ろうとす る。囲鼎」は、古代中国で、食物を煮るのに 用いた三本足の銅器で、後に王位や権力の象 徴とされた。楚の荘王が周をあなどって、周 の定王に無礼にも周王室に伝わる宝器の鼎の <15> 大小・軽重を質問したという故事による。 用例今度の解散による総選挙は、政権担当者 としての総理の鼎の軽重を問うものだけに、 国民の関心も高い。参考「鼎の軽重を問われ る」は、実力を疑われる、実力を低く見られ る意。出典「楚子、陸渾の戎を伐ち、ついに 雒に至り、兵を周疆に観す。定王、王孫満 をして楚子を労わしむ。楚子、鼎の大小軽重 を問う。対えて曰く、徳に在りて、鼎に在ら ず(楚侯は陸渾のえびすを討伐し終えて、洛 水のほとりに至り、周の国境で大軍を陣取ら せた。周の定王は王孫満を遣わして楚侯をね ぎらわせた。楚侯は、周王室の鼎の大きさや 重さを尋ねた。王孫満はそれに答えて、王権 というものは、徳の有無の問題で、鼎の大き さや重さにはかかわりのないことだと言っ た)「春秋左氏伝」宣公三年) 疑心暗鬼 疑いはじめると何でもな いことまで疑わしく思わ れ不安になること。■疑いの気持ちで見ると 暗やみに鬼が見えはじめる意から。用例社内 で盗難にあってからしばらくというものは疑 心暗鬼で、みんなが疑わしく思えてならな かった。出典「諺に曰く、疑心暗鬼を生ず、 れっしせつお 二『判子』説符) 首を傾げる 変だ、信用できないという気持ちで首を傾ける。 用例彼の必死の言い訳にも、みんなは首をか しげるばかりだった。 くび 首を捻る 疑惑・不審・不賛成など の気持ちを抱く。用例そ れにしてもなぜこんな大事故を引き起こした のか、当事者の説明に調査団は一様に首をひ ねった。 <16> こくび かし 小前を傾げる いぶかしく思い、あれこれ思いめぐらす様子。 「小」は、接頭語。少し、ちょっとの意。用例 「たしかにここに置いたのに」と、母は腕時計 のなくなっていることに小首をかしげてい る。 不害を抱く 疑わしく思う。用例いか なるときにも人から不審 态度はとるべきではない。 を抱かれるような態度はとるべきではない。 た陶器が、大陸からの将来ものというのはま ゆつば物だ。冐に唾を付ける(一八八ページ) 恨む・恨み 恨み骨飽に入る 恨みが骨のしんまで届く ほど、ひどく人を恨む。 用例彼のあれほどの仕打ちには、彼女が恨み 骨髄に入るのも無理はない。出典「秦の三囚 将の為に請いて曰く、繆公の此の三人を怨む や、骨髄に入れり。願わくは此の三人をして 帰らしめ、我が君をして自ら快く之を烹るを 得しめよ(晋の太子襄公が秦軍を破り、三 人の将軍を捕虜にすると、晋の文公に嫁して いた秦の繆公の娘は)囚われた秦の三将軍を かばって襄公に言った。我が父繆公がこの三 人を怨むことは、骨髄に入るほど激しいもの です。お願いですから、三人を秦に帰して、 我が父に思う存分烹殺させてやってくださ い)「史記」秦本紀)願恨み骨髄に徹する 恨みを買う 自分の言動が原因で、人 から恨まれる。用例人は <17> どこで恨みを買うかわからないから、人に接 するときの言動には十分注意すべきだ。 高木は風に折らる 名声・人望・信用の厚い 者は、他人からねたまれ て身を滅ぼしやすい。■高木は風当たりが強 く、それだけ折れやすいことから。用例高木 は風に折らるということもあるから、自分の 昇進に有頂天になって周囲の人に対する配慮 をおろそかにしてはいけない。 出る杭は打たれる 才能などがすぐれて目立 つ人は、とかくほかから 憎まれて妨害を受ける。用例出る杭は打たれ るとは言うが、こう足の引っ張り合いが続く と我が社の行く末が案じられるよ。 受けた仕打ちや屈辱を、 根に持つ 忘れない。 用例付け届けをしないことを根に 持って差別しているというわさがあるが、 あの人はそんな人ではない。 腹に持つ 心の中にしこりや恨みを 抱き続ける。用例起きて しまったことは仕方がない。いつまでも加害 者のことを腹に持つのはやめたほうがいい。 含む所がある 人に対する恨みや怒りを 口出をず、心中だん めている。用例僕に何か含むところがあるの なら、それを言ってくれないか。悪いところ があるのならいくらでも謝るよ。 恐れる・恐ろしい・恐怖 あお 育くなる ひどく恐れたり驚いたり して、血の気が失せて顔 <18> 色が悪くなる。用例打球の行く先に幼児がよ ちよち歩いているのを見て、一瞬青くなっ た。 頭から水を掛けられたよう 思いもよらないことに出 会って、言いようのない 恐怖を味わう様子。用例動かしようのない証 拠を突き付けられて、犯人は頭から水を掛け られたように押し黙ってうなだれた。類頭か ら水を浴びたよう 生きた空もない 生きた心地がしないほど 恐れおののく様子。用例 エアポケットに入った飛行機が急に下降を始 めたときは、生きた空もなかった。 色を失う いろうしな 思いがけない事態や恐ろ しいことに直面して、顔 色が青ざめる。色は、顔の色の意。用例 側近として信頼の厚かった男の裏切りを知っ て、さすがの彼も色を失った。 薄気味悪い 正体や原因がはっきりし ろしく気持ちが悪い。■「薄気味が悪い」と も。用例彼に急に親切にされたりすると、何 か魂胆があるんじゃないかと、かえって薄気 味悪くなる。 ないために、何となく恐 怖気を饒う あまりの恐怖に身動きも とれなくなる。■恐怖に 襲われて体が震える意。「おぞけ」は「おじけ」 とも。用例バスは転落を免れたが、乗客たち は切り立った崖から谷底をのぞき込んでみん なおぞけを震った。 恐れをなす 相手の言動に圧倒されて 心がひるむ。用例あまり の強引さに怒った主人のすごい剣幕に、セー ルスマンは恐れをなして逃げ帰った。 <19> 顔色なし 相手に圧倒される様子。 が、星座の知識は、父親といえども顔色なし といったところです。 顔色を失う 驚いたり、恥じたりして、顔が青くなる。用例 彼は高を括ってリングに上がったのだが、挑 戦者の繰り出すストレートの鋭さに顔色を 失った。 肝を冷やす いけて いて肝を冷やー 危険を感じて思わずぞっ とする。用例はっと気が ードレールが目前に迫って 気を香まれる 相手の盛んな勢いにすっ かり圧倒される。用例一 心不乱に祈り続ける巫女の形相に気をのまれ て、霊的な世界に引き込まれていくような感 じを味わった。 心胆を寒からしめる 相手を恐怖でふるえあが らせる。▪「心胆」は、こ ころの意。「しめる」は、使役を表す助動詞。 用例この町で起きた連続殺人事件は、住民の 心胆を寒からしめるに十分であった。 背筋が寒くなる 恐怖でぞっとする。用例 ボヤですんだからいいよ うなものの、あれがそのまま燃え上がってい たらと思うと背筋が寒くなる。 総毛立っ 恐ろしさや寒さのため に、体中の毛が逆立つほ ど、ぞっとする。用例あまりに凄惨な事故現 場に、総毛立って立ちすくんだ。類寒気立つ 鳥肌が立つ 恐怖や寒さなどのため に、皮膚が毛をむしり 取った鳥の肌のようになる。また、そばにい <20> たり見聞きするだけで不快感を覚える。用例 彼から聞かされた不気味な話に、思わず鳥肌 が立ってしまった。 泣く子も黙る 子供ですら泣きやむほど に恐ろしい。用例泣く子も黙るといわれた大 親分も、今では老いさらばえて見る影もな い。 大声で泣きわめいている 子供ですら泣きやむほど なめくじに塩 苦手なものの前で、すっ いは う様子。■なめくじは塩に弱いことからい う。用例相性が悪いというのか、強打を誇る 彼もあのピッチャーにかかるとまるでなめく じに塩だ。 相手の恐ろしさに身がす 蛇ににらまれた蛙のよう くんで動くことができな い様子。用例あのやんちや坊主も親父さんの 前では蛇ににらまれた蛙のようだというか ら、かわいいじゃないか。類蛇に見込まれた 蛙のよう 身の毛がよだっ 恐怖のあまり、体中の毛 が上を向いて立つ。ぞっ とする。■「身の毛もよだつ」とも。用例知ら ないうちに自分に多額の生命保険がかけられ ていると聞いて、彼女は身の毛がよだつ思い がした。 驚く・驚かす 呆気に取られる 意外なことに突然出会っ て、驚きあきれる。用例 彼が天どんを二杯も平らげたうえに大盛りの そばまで食べたのには、みんなあつけに取ら <21> あっと言わせる 意外なことをして、感心 びっくりさせ させたり、びっくりさせ たりする。用例みんなをあっと言わせてやろうと思って、ひそかに猛勉強をした。 泡を食う 意外な出来事に、驚きあ わてる。用例物真似をし てみんなを笑わせていたら当の先生が後ろに 立っているんだもの、泡を食ったよ。 生き肝を抜く とてつもないことをし て、人をひどく驚かせ る。 生き肝」は、生きている動物の肝。 用例社長の突然の引退に、役員たちは生き肝 を抜かれる思いであった。 ひどく感動したり、はっ 息を呑む なことで一瞬息が止まる意。用例披露宴の席 に現れた姉の花嫁姿は、息をのむばかりの美 しさだった。 意表に出る 相手がまったく考えない だろうと思われるような 手を打つ。■「意表」は、思いのほか、意外の 意。用例意表に出る作戦のはずであったが、 これが敵方に筒抜けになっていた。 意裏を衝く 意外なことを言ったりし たりして、相手を驚きあ わてさせる。用例意表をついた攻撃で敵を壊 滅させる。 鬼面人を驚かす 鬼の面のようにいかめし い見せかけで、人を驚か せ恐れさせる。▪鬼の面をつけて人を恐れ驚 かせる意から。用例鬼面人を驚かすようなや り方を同じ人に二度やっても、通じるもので はない。願鬼面人を脅す <22> 肝を潰す 非常に驚いてあわてふた めく。 用例子供が突然車 の前に飛び出してきたのには肝をつぶした。 類肝が潰れる 声を呑む 非常な驚きや感動で、言 なる。用例夜空に現れたオーロラの美しさ に、みんな声をのんで見とれていた。 腰が抜ける 恐怖や驚きのあまり腰の 力が抜けて立っていられ なくなる。用例大地震が間もなく起こるという記事を読んだその晩、グラグラッときたものだから、腰が抜けるほどびっくりした。 腰を抜かす 非常に驚いて、体を動か すこともできなくなる。 用例知らずに蛇をまたいで歩いていることに 気づいて、腰を抜かさんばかりに驚いた。 舌を巻く 人の行いに、ひどく驚き 覚えたのか知らないが、彼の英会話のじよう ずなのには舌を巻いた。 耳目を驚かす 感心する。用例いつ習い え、 驚かせる。 用例多 籍軍のイラクへの空爆開始のニュースは、全 世界の人々の耳目を驚かせた。 尻毛を抜く 油断しているのをよいこ とに、 不意打ちをくらわ せて驚かせる。■「尻の毛を抜く」とも。用例 あの男に対しては、尻毛を抜かれないように 注意していたほうがいいよ。 慶肝を抜く 意外なことをして、非常 に驚かせる。■「度肝」は 「肝」を強めていう語。用例必ずこの契約を成 立させて連中の度肝を抜いてやるぞと、彼は <23> 心に誓った。頬度肝を抜かれる 寧気を抜かれる 意気込みをはぐらかされ て、力が抜ける。■「ど つき」は「どっけ」とも。用例いつも口うるさ い姑がいつになく弱音をはくので、彼女は 毒気を抜かれてしまった。 と胸を衝かれる 意外なことに、驚きあわ 胸は、胸 てる。 回と胸は、 胸 を強めていう語。用例妊娠しているという女 の突然の告白に、彼はと胸を衝かれた。 寝耳に水 思いもよらない突然の出 来事に、ひどく驚くこ と。用例交通事故で同僚が死んだという知ら せは、寝耳に水であった。 はとまめでっぽう鳩が豆鉄砲を食ったよう 突然のことに驚き、きよ とんとする様子。鳴 ー…鳥りよう」とも。 に豆鉄砲「豆鉄砲を食った鳩のよう」とも。 1 用例私の課長昇進を伝えても、母は鳩が豆鉄 砲を食ったような顔をしている。 ひとあわふ一泡吹かせる 不意打ちをくわせて、ひ どく驚かせる。 用例あの 一局は、一泡吹かせてやるつもりで打った手 が大誤算で負けてしまった。 耳を疑う 予想もしないことを突然 に聞かされて、どうして もそれが信じられない。用例息子が交通事故 に遭って、いま息を引き取ったという病院か らの電話に、私は自分の耳を疑った。 驚いて胸がどきどきす 胸が潰れる る。 用例突然大声なんか 出してあんまりびっくりさせるから、胸がつ ぶれるかと思った。 胸を突く 強い衝撃を心に受ける。 驚きはっとする。用例数 <24> 日前久しぶりに会って一杯やった友人の、突 然の訃報に胸を突かれた。 目が飛び出る 値段が非常に高くてびっ くりする様子。■目の 玉が飛び出る「目玉が飛び出る」とも。用例 娘にねだられて宝石店に行ってみたが、目が 飛び出るほどの値段を言われて早々に退散し た。 目を疑う 思いもよらないものを見 た驚きで、自分の見たこ とが信じられない。用例目の前を若い男が歩 いているのが実は女だと気づき、私は自分の 目を疑った。 目を白黒させる 目玉を激しく動かす意 させる で、思いがけないことに 出会って、ひどく驚く様子。用例家の改築の 見積書を見た父は、あまりの金額に目を白黒 させるばかりだった。 目を丸くする 娘の縁談の話をすると、妻は目を丸くして驚 いた。 非常な忙しさに、驚きう 目を回す ろたえる。 用例 歳末の店 の手伝いにきてくれた彼女だが、食事をとる 暇もない忙しさに目を回していた。 目を見張る 驚き・怒り・感動などに よ、目を大きく見開 く。用例大学に入ってからの彼の勉強ぶりに は目を見張るものがある。 寛悟·決心 <25> 意を決する はっきりと心を決める。 が、彼女の将来の幸せを考え、意を決して別 れたのだった。 肝を据える 物事を行うときに、結果 がどうなろうともうろた えない覚悟を決める。用例このプロジェクト には社の命運がかかっているんだ。みんな肝 を据えて当たってほしい。 清水の舞台から飛び降りるよう 飛び降りるようらないが、思い切って実 行するときの気持ちをいう言葉。回京都の清 水寺の、断崖に張り出した本堂から飛び降り るには、非常な勇気を必要とすることから。 用例「家をお買いになったんですって?」「え え。それはもう清水の舞台から飛び降りるよ うなつもい うなつもりで 性根を据えて掛かる どのような苦しみにも耐 える覚悟を決めて取りか かる。用例今度の仕事は、よほど性根を据え て掛からないと成功はおぼつかないよ。 尻をまくる 今までの態度を一変させ て、けんか腰になる。 「しり」は「けつ」とも。用例話がどうしてこわ れたかって?相手があまり高飛車に出るか らしりをまくってやったのさ。 心魂に徹する 信念をよりいっそう固く する。▣心魂」は、心の底の意。用例学問で 身を立てようと心魂に徹して、努力専念す る。 背水の陣 決死の覚悟で全力を尽く ーして事に当たること。■ と後方に川のある場所に陣 かんしん して事に当たること。 漢の韓信が、わざと後方に川のある場所に陣 <26> 。 を敷き、退却することができないようにして兵士に決死の覚悟をさせて趙の軍を打ち破ったという故事による。用例肩の痛みを訴えているエースをあえて先発させ、背水の陣を敷いて決勝戦に臨んだ。出典「趙已に便地に拠りて壁を為す。且つ彼は未だ吾が大将の旗鼓を見ざれば、未だ肯て前行を撃たざらん。吾、阻険に至りて還らんことを恐るればなり、と。信乃ち万人をして先ず行きて出だし、水を背にして陳せしむ(韓信は言った)趙の軍は、地の利をいかしてとりでを築いた。その上、趙の軍は、我が大将の本隊が動かず、先鋒が動いたぐらいでは撃って出ないであろう。私がそのすきにけわしい地形に紛れて逃げ帰るのではないかと警戒しているからである、と。そこで韓信は、一万人の兵を進み出させ、川を背にして陣を張らせた (史記)淮陰侯伝 腹ができる どんなことにも動じない だけの覚悟ができる。 用例いざとなったら私が全責任を負うよ。そ れだけの腹ができている。 腹を固める どちらにするか、心を決 める。 用例今度の提案が 受け入れられなければ会社を辞めようと腹を 固めて、彼は役員室に入った。 腹を決める 取るべき方法はこれしか ないと、心を決める。 用例彼女のことはもうあきらめようと腹を決 めると、不思議と心が軽くなった。 腹を据える 児悟をぱめる。用例今度 の仕事にはどんな難問が 待ち受けているかわからないから、腹を据え て当たらなければならない。 <27> 禅を締めて掛かる 覚悟を決めて、気を引き 締めて取りかかる。用例 今度こそ失敗しないように、ふんどしを締め て掛かれよ。 誇を固める 固く決心する。■「臍」は、へその意。用例どん な困難に襲われようと決してくじけないぞ、 とほぞを固めて脱サラに踏み切ったのだが。 感謝 足を向けて寝られない 恩を受けた人に対して感謝の気持ちを忘れずにい ること。用例意地を張って独立し、不安な毎 日を送っていたときに仕事を回してくれたあ の人には、足を向けて寝られないよ。 命の親 ら届けてくれた命の親ともいうべき人です。 生みの親より育ての親 生んでくれた親よりも、 実際に育ててくれた親に 対して、ありがたく感じるものであるという こと。用例中国から何十年ぶりかで戻って実 の親に再会しても、中国に永住する人が多い というが、やはり生みの親より育ての親とい うことなんだろう。 類生みの恩より育ての恩 おん恩に着る 恩を受けたことをありが 手が回らないが、義理のある仕事なんだ。 君一生恩に着るかみはの仕事を賴まれて れないか。用法人に何かを依頼するときに いる。 <28> 翼利に尽きる 最高に幸せであることを ありがたく思う。■「冥 利」は、神仏が与える利益。用例育ててくだ さった人が、私の腕にこれほどまで信頼を寄 せてくださるなんて、職人冥利に尽きるね。 労を多とする る」は、ありがたく思う意。用例裏方として 黙々と務めて三十年、選手会はその労を多と して、今回グランドキーパーの浅見さんに記 念品を贈った。 謝する言葉。 多とす 感動·感銘·感懷 隔世の感 世の中がすっかり移り変わったという思い。用例 現在の東京は、我々の過ごした少年時代とは 隔世の感がある。 感極まる こらえきれないほど感動 する。用例送別会の席 で、みんなの前に立って別れのあいさつを始 めたとたん、感極まって言葉に詰まってし まった。 感に堪えない 深く感動する。 用例社員 表彰を受ける山田さん は、感に堪えない様子で式に臨んでいた。 参考打ち消しの言葉をはぶいた「感に堪える も、同じ意味で使われる。 琴線に触れる あることに共鳴し、深く 感動する。■物事に触れ て微妙に動く心を、琴の糸にたとえていう。 地、それもまた人の弱みにほかならないとい <29> う彼の言葉が彼女の琴線に触れたのである。 心を打つ 見聞きした人の心に深く プターから下ろされたロープを、紳士はおぼ れかけている婦人に譲った。その行為が、視 聴者の心を打った。 感じさせる。用例ヘリコ 今昔の感 現在の姿から昔のことを 思い、そのあまりの変わ りように対して感じる、しみじみとした気持 ち。用例二十年ぶりで故郷の駅前広場に立 ち、一変した風景を前にして、今昔の感に堪 えなかった。 心肝に徹する 感動・教訓などが深く心 に刻み込まれる。回心 肝」は、こころの底の意。用例人は君の所に 集まるのではなく、君の名刺の前に集まるの だという恩師の言葉が、いま心肝に徹して思 肺腑を衝く 人に深い感銘を与える。 意。用例翁の成功談は、幾多の悲境に泣いた 時々の心の闘いを赤裸々に語って、聴衆の肺 腑をついた。 「肺腑」は、心の奥底の 骨身に応える 苦痛や苦労などを心や体 のしんまで強く感じる。 用例自分の浅慮から多くの人に多大の迷惑を かけてしまった。今回の事業の失敗ほど骨身 にこたえたことはない。 骨身に沁みる 喜び・苦しみ・教訓など を、心の奥底までしみ通 る。■骨に沁みる」とも。 るほどに深く感じる。■「骨に沁みる」と 用例何でも他人のせいにするのはあなたの甘 えですよと言った母の戒めが、今になって骨 身にしみる。 <30> 身に沁みる 深く心に感じる。用例 る 一人暮らしのアパートで風 邪で寝込んでいるとき、看病に来てくれた同 僚の友情が身にしみた。 胸が一杯になる 悲しみや感激で、ものも 言えないくらいになる。 用例合格通知を手にした夜は、喜びで胸が 杯になってなかなか寝つかれなかった。 胸に迫る わき起こってくる思い る。用例長い間お世話になりました」と礼を 言う娘の顔を見ていると、二十五年間の思い 出が胸に迫ってきた。 で胸が締めつけられ 胸を打つ 感動する。また、感動さ 一七二九る用例彼の苦労 話は、いちいち身につまされるところがあっ て、私の胸を打った。 肝に銘じる と心にとどめる。 用 生の戒めを肝に銘じて、立派な社会人になり たいと思います。 心に留める しっかりと覚えておく。 は、いま説明した作業がいちばん重要ですか ら、しっかり心に留めておいてください。 念頭に置く いつも心にとめている。 忘れずにいる。 用例仕事 を通じて社会に貢献するという社是を念頭に 置いて、今年も皆さん頑張ってください。 身に覚えがない 自分に思い当たるふしがない。用例身に覚えがな <31> いことまでとやかく言われるのでは、私も 黙ってはいられません。 耳に留める 人の言葉や音を注意して 聞く。また、聞いてよく 覚えておく。用例これは君にとって大事なこ とだから、よく耳に留めておいてほしい。 耳に残る がいつまでも記憶に残 る。 用例車にひかれて死んだポチの最期の鳴 胸に刻む き声が、今でも耳に残っている。顔心に残る 深く心の中にとどめて忘 めに生きるのがいちばんだよ」という母の言 葉を胸に刻んで、私は故郷をたった。類心に 刻む 目に焼き付く 印象・記憶が強く残る。 いつまでも目に残る。 用例初めて温泉に連れていったときの母の喜 びようが、今も目に焼き付いて離れない。類 心に焼き付く 気配り・配慮 意に介する ある物事を、自分に関係 のあることとして、心に かける。用例何度しかっても、まったく意に 介する様子がないんだから、あきれてしま う。用法下に打ち消しの言葉を伴って用いる ことが多い。 意を用いる 心配りをする。気を遣う。 る 一用例会社の昼食会だと いっても、外からのお客も多いんだ。服装に も意を用いる必要があるだろう。 <32> 気が付く 。 心配りが行き届く。機転 がきく。用例今度配属に なった渉外担当の彼は、実によく気がつく男 だと、取引先にも評判がいい。 気に留める 忘れないように心にとど めておく。そのことに特 別の注意を払う。用例なんだか元気がないな とは思ったんですが、そのときは別に気に留 めなかったんです。 本目が細かい 小さなところにまで丁寧 る。■「木目」は「肌理」とも。用例彼は大ざっ ぱな男のように見えるが、その心遣いは実に きめが細かい。 に心配りが行き届いて 気を兼ねる 相手がどう思うかを考え て気を遣う。遠慮する。 用例君と僕の間なのに、僕に対してそんなに 気を配る 気を兼ねるなんておかしいじゃないか。 手落ちのないように、あ 用例新しいポストに就任してから急に来客が 多くなったが、妻がよく気を配ってもてなし てくれるのでありがたい。 れこれと心遣いをする。 気を遣う 細かいところまであれこ れと注意を向ける。用例 子供の受験勉強中は、家中でいろいろと気を 遺いました。 気を付ける 注意する。 神経を集中す る。 用例高価な品物だか ら、傷がついたりしないよう、取り扱いには 十分気をつけてください。 心に掛ける 常に意識して、忘れない している。用例私のような者にまで心を掛け <33> 心を配る 間違いが起きないよう に、いろいろと配慮す る。用例外国からのお客様を我が家の夕食に 招くというので、母は食器から席順にまで心 を配り、朝から大忙しだ。 神経を使う ようにと、慎重に配慮す る。用例社長と同席しての食事は神経を使う から何を食べたのかも覚えていない。 監督がすみずみまで行き 渡る。用例娘は東京の大 学に進みたいようだが、やはり親の目が届か ないところでは何かと心配だ。 目が離せない 不測の事態に備えて、常 に注意・監督していなく 収、最近車が多く てはならない。 用例表の通り、最近車が多く なって、しかもスピードを出して走るで しょ。だから子供から目が離せないのよ。 希望·期待 気を持たせる それらしく言ったり振る 舞ったりして、相手に期 待や希望を抱かせる。用例「あい」 やっと彼女ができたらしいほんとうか」あ あ、それが、だれだと思う気を持たせる な。早く言え」 心が弾む 楽しさやうれしさ、明る い希望などで心が浮き浮 きする。用例明日の遠足を思うと自然に心が 弾むらしく、息子はさっきから鼻歌を歌って いる。類心を弾ませる <34> 心を躍らせる 喜びや期待で気持ちが浮 き浮きする。用例懸賞で ハワイ旅行が当たり、初めての海外旅行に家 族みんなで心を躍らせている。類心が躍る 何か新しい事件や騒ぎが 起こることを期待するこ と。■「かし」は、強めの終助詞。用例町なか で口論を始めた二人の周りに人垣ができて、 どの顔にも、事あれかしの表情がありありと 浮かんでいる。 来望を担う 多くの人々から信望・期 待を寄せられている。 用例米国民の衆望を担って選出された新大統 領が、インフレ退治にどのような施策を打ち 出す加注目される。 将来にやっと望みが見え てくる。■「曙光」は、夜 曙光を見出す 明けの太陽の光。用例関係者の努力により、 会社再建の前途にも曙光を見いだすにいたっ た。 青雲の志 出世して名声を得たいと いう望み。■「青雲」は、 青空をいい、朝廷での高い位の意。用例昔の 青年は青雲の志を抱いて故郷を離れたもの だ。 胸を躍らせる 喜びや期待・興奮などで じっとしていられない気 分になる。用例十五年ぶりの甲子園出場が決 まり、我が校ナイン、生徒および関係者等は 胸を躍らせている。類胸が躍る 胸を弾ませる うれしさや期待感など で、胸をわくわくさせ る。用例今度の日曜日のデートには何を着て 行こうかと、彼女は今から胸を弾ませてい <35> 胸を膨らます 喜び・希望・期待などで 心がいっぱいになる。 用例あこがれの学校に入学できこれからの 学園生活に胸を膨らませている。類胸が膨ら む 夢を追う 理想をあくまで追い求め る。また、実現しがたい 望みを追い続ける。用例君のように夢を追う のもよいが、現実に目を向けることも、人生 には大切だよ。 夢を託す 実現できなかった希望や 願望を、自分の代わりに 成し遂げてほしいと期待する。用例若いころ 父を亡くし音楽家になることをあきらめた彼 は、三歳になった娘に夢を託し、ピアノを習 わせている。 奥望を担う 世間から信頼や期待をか けられる。用例殊に金メ ダルの輿望を担う選手たちのプレッシャー は、相当なものでしょう。 嫌う・いやがる 犬も食わない いやがってまともに相手 にしない。■何でも食べ る犬でさえも食べないの意。用例またやって るか。仲裁?やめとけやめとけ、夫婦げん かは犬も食わないというじゃないか。 嫌気が差す いやだという感情が起こ る。いやになる。■「い やけ」は「いやき」とも。用例入社直後は仲良 くしていたが、何かにつけて目立ちたがる気 <36> 性に嫌気が差して、彼とは付き合わなくなった。 気に食わない 自分の思惑や好みに反す る。気に入らない。用例 いくら君が彼を気に食わないからといって も、仕事の上では協力してもらわなければ困 るよ。 気に染まない 不満なところがあって、 わない。魅力を感じない。用例引き受けはし たものの気に染まない仕事で、締め切りが 迫っているのに、まだ手を付けずにいる。 積極的にそうしたいと思 数して遠ざける うわべは尊敬を装い、心ではうとんじて親しくし ない。回論語』雍也篤の「鬼神を敬してこれを遠ざく」の「うやまってみだりになれ近づくことをしない」が転じたもの。用例一部長はよ ぶのか「ううん、今回は若い者ばかりという ことで「敬して遠ざけるか「遠ざける遠ざけ る」 性が合わない 生まれつきの性格から、 互いにしっくりといか い。用例スタンドプレーの目立つ彼と控え目 の君とでは、性が合わないのも仕方がない。 こわない 類気が合わない 総好かんを食う みんなに嫌われ、相手に を食う もされない。用例宴会で のとんだ失態に、彼は社内のみんなに総すか んを食ってしまった。 反りが含わない 気心が合わず協調できない。 刀の反りがさやに 合わない意から。用例ほかの人だとうまくい くのに、彼と組むとちぐはぐになって互いに 気まずくなる。やはり反りが合わないんだ。 <37> 虫が好かない 何となく気に入らない。 これといった理由はない いった理由はない が好きになれない。用例あの人は初対面のと きから虫が好かないと感じていたが、今もっ て親しくする気にならない。 疫病神 他人から忌み嫌われる人 のこと。■疫病(古くは 「やくびよう」などを流行させるといわれる 神の意から。用例彼はみんなから疫病神と嫌 われるだけあって、一緒にいるといつもろく なことがない。 聚張 恵が詰まる 極度の緊張感から、重苦 しく窮屈な気分になる。 用例伯父は厳しく口やかましい人で、そばに いるといつも息が詰まりそうになる。 息を凝らす 緊張して、息を抑えて じっとしている。用例舞 台の上の迫真の演技に、観客は息を凝らして 見入っている。 息を殺す 息を抑えて、じっと物音 を立てないようにする。 用例事の成り行きを、彼は物陰から息を殺し て見守っていた。 恵を詰める 息を抑えてじっとしてい る。 用例後半も残り十分 を切り、日本チームがこのまま逃げ切ること ができるかどうか、観衆は息を詰めて試合を 見守っていた。 わた ひどく緊張したり神経を 使ったりして、疲れたよ <38> うな気分になる。気詰まりな思いをする。 用例伯母と話をするとすぐお説教になってし まって、いつものことながら肩が凝る。 かた 硬くなる 緊張して、言動がなめら かにいかなくなる。用例 入社試験の面接では、ものも言えないほど硬 くなってしまった。 固唾を呑む 緊張して、じっと事の成 り行きを見守る様子。 「固唾」は、緊張したとき口の中にたまるつ ば。用例優勝を決める最終セットのラリーの 応酬を、観衆はかたずをのんで見守った。 気が詰まる 窮屈で堅苦しい気分であ る。気詰まりである。 用例せっかくの親睦会だというのに、部長が 気が詰まるような話を長々とやるので、みん なすっかり興ざめしてしまった。 気が張る る。用例一日でこれだけ の仕事をこなすには、よほど気が張っていな いとできないよ。 気を張り詰める 気持ちを引き締める。緊張した状態でいる。用例 危険物の搬入に、作業員は気を張り詰めて各 部署についた。 気を張る 心を奮い立たせ、緊張を 保つ。用例親友の結婚式 の司会、それも初めてするとあって、最後ま で気を張って務めた。 手に汗を握る 緊迫した状態を見て、ど うなることかとはらはら する。手に汗握る」とも。用例追いつ追わ れつのシーソーゲームに、観客は手に汗を 握って熱狂した。 <39> 老人が、同じことをくど ふり言 と。用例父の失礼は、老いの繰り言と思って 勘弁してやってください。 愚痴をこぼす 言ってもしようのない泣 きごとや不平不満をくど くどと言う。用例人暮らしの隣の老婆は、 人を見かけると相手かまわずに愚痴をこぼ す。 死んだ子の年を数える いまさら取り返しのつかない過去の出来事につい て愚痴を言う。回死んだ子が生きていれば今 は何歳だと嘆く意から。用例焼失した資料の ことをいつまでも思っていても、死んだ子の 年を数えるようなものだ。それより、早く新 しい研究を始めたほうがいい。類死児の齢を 数える 恋う・恋しい 思いを懸ける の気持ちは、きっといつかあの人に通じると 信じている。 思いを寄せる ある人に心を引かれ、 恋 せる しく慕わしく思う。用例 妹は初めて出会ったときから、ずっと君に思 いを寄せていたようだ。 気がある 恋心を抱いている。用例私もうかつで気づかな <40> かったが、どうも彼は以前からあなたに気が あるようだ。 恋の鞘当て 二人の男性が一人の女性 を巡って争うこと。■遊 里を舞台に、一人の遊女を巡って二人の武士 が争うという歌舞伎から。「鞘当て」は、すれ 違ったときに刀の鞘の先が当たったのをとが め立てすること。転じて、ちょっとしたこと で互いに意地になってするけんかの意。用例 何かにつけて彼が挑戦的な態度をとるのは、 君に対する恋のさやあてなのだろう。 恋は思案の外 恋については常識や理性 では考えることはできな い。 ■「思案の外」は、思慮・分別の届かない ところの意。用例恋は思案の外というが、あ の評判の美人が中年男の後妻になるなんて、 想像もできないことだった。 心を寄せる ある人に思いや好意を寄 る せる。用例かねてから心 を寄せていた人と結婚できるなんて、君ほど 幸せな人はいない。 里心が付く 遠く離れた実家や故郷を 恋しく思う心が起こる。 用例たった一週間ほどの修学旅行でも、三日 もすると里心がつき、母親の声をきくため長 距離電話をする女生徒がいる。 身を焦がす 恋慕の情に堪えきれず、 す もだえ苦しむ。用例不倫 の恋には終わりがあると知りながら、せつな い恋の炎に身を焦がす。 胸を焦がす 何かに、特に異性に深く 思いこがれる。用例テレ ビで懐かしの名画「太陽がいっぱい」を見て、 アラン・ドロンに胸を焦がした若いころを思 <41> てくる。やましい心情が 去らない。用例カンニングをしてよい点を とったのだが、当分の間、気が差して先生の 顔をまともに見ることができなかった。 悔しがったりする様子。 用例みんなの前で先輩から赤っ恥をかかされ た友人は、一人になると牙を鳴らして悔し い。用例相手の会社をよく調べもしないで契 約するなんて、後悔先に立たずだよ。 力量のないものが悔しが ること。■「ごまめ」は、 鮮の歯軋り カタクチイワシを干したもの。非力なごまめ が悔しがって歯ぎしりしても仕方のないこと だの意。用例面と向かっては何も言えないく せに、本人のいないところで何を言ってもご まめの歯ぎしりだよ。 地団太を踏む 床などを踏みつける。■「地団太」は「地団駄」とも書き、地踏鞴(足でふんで空気を送る鞴)の転。用例もう少しというところでメンバー <42> に選ばれなかった弟は、じだんだを踏んで悔 しがった。 切歯扼腕 歯ぎしりし、腕をにぎり しめてひどく残念がった り怒ったりする様子。用例計略にはめられた ことに気づいた彼は、切歯扼腕して悔しがっ た。出典「樊於期、偏袒搤(扼)腕して進んで 日く、此れ臣の日夜歯を切し心を腐するな り。乃ち今、教を聞くを得たり、と。遂に自 剰す(樊於期は片はだをぬぎ腕をにぎりしめ て進み出て言った、これこそ私が日夜歯をく いしばりつつ悩んでいたことなのです。よう やく今お教えを伺うことができました、と。 そして自分で首をはねて死んだ」(史記」刺 客伝) 泣くに泣けない 泣いて気がすむなら泣き たいが、あまりの悔しさ に泣くことすらできない。用例信頼して目を かけていた部下に裏切られたと知って、泣く に泣けない気持ちを味わった。 逃がした魚は大きい 手に入れそこなったもの は、立派なもののように 思えて悔やまれる。■「逃げた魚は大きい」と も。用例あまり必要がないと思って買わな かった本だが、今はたやすく買えないとなる と、逃がした魚は大きいで、悔やまれてなら ない。 寝覚めが悪い 悪いことをして、その後 の気分がよくない。用例 釣り銭が多いと気づいていたが、そのまま 帰って来てしまい、何とも寝覚めが悪い思い だ。 ほや 脳を嘘む へそをかもうとしても口 が届かないところから、 <43> 後悔しても及ばないことをいう。用例対策さ え講じておけば、災害は防げたに違いない と、人々はほぞをかむ思いをした。出典「騒 裏・聴覈・賛賜、楚子を殺さんと請う。鄧侯 許さず。三甥曰く、鄧国を亡ぼす者は、必ず 此の人なり。若し早く図らざれば、後に君は 膽を噬まん。それこれを図るに及ばんや(鄧 の祁侯は、鄧の地を通りかかった楚の文王を もてなしたが騒・聴覚・賛賜の三人は、 楚の文王を殺してはいかがかと願い出た。鄧 侯は許さなかった。三甥はそこで言った、や がて鄧の国を滅ぼす者があるとすれば、必ず この人でしょう。もしも早く手を打っておか なければ、我が君は後になって臍を噬むこと になりましょうが、そうなってしまえば手の 打ちようがないのです、と)春秋左氏伝」 荘公六年) 気が立った 心がいらだつ。興奮す る。用例受験日が近づい て、ちょっとしたことでも長男は気が立つら しく、家族みんなで気を遣っている。 神経が高ぶる いた友人に裏切られたことを知り、あまりの 悔しさから神経が高ぶって夜も眠れない。類 神経が尖る 血が騒ぐち 興奮して落ち着いていら れなくなる。気持ちが高 ぶる。用例南米の人々は、サッカーと聞くと 血が騒ぐらしく、試合前夜は町中が大騒ぎに なる。 <44> 血が沸く 優勝決定戦となり、出場選手たちは血が沸く 思いであった。 感情が高ぶる。心が躍 る。用例大観衆の前での 血湧き肉躍る 感情が高ぶり、全身に活 力がみなぎってくるよう に感じる。用例映画の主人公が一人で悪に立 ち向かい、徹底的にやっつけてしまう場面 に、血湧き肉躍るのを感じた。 炎を燃やす 恨みや怒り、または嫉妬 などの激しい感情を抱 く。用例あの二人は、同期の入社で、同じよ うなポストに就いているから、お互いあんな に炎を燃やすんだよ。 目の色を変える 怒ったり驚いたり、また は何かに熱中する様子。用例子供のたわいな いいたずらなんだから、そんなに目の色を変 えて怒ることはないだろう。 坫塊と化す 興奮・熱狂の状態が非常 に高まる。坩堝(物を とかす耐熱性の容器)の中の物が沸き立つ様 子から。用例彼は敗色濃厚だった試合を最後 の最後で逆転し、チャンピオンになった。そ の瞬間、場内は興奮のるつぼと化した。 好む・好み いかもの食い 世間一般の人と異なる趣 味・嗜好をもつこと。ま たその人。いかもの」はいかがわしい ものの意。普通の人が食べない物を好んで食 べることから。用例いかもの食いと言われる <45> かもしれませんが、私は子供のころから、な ぜかへビやカエルが好きだったのです。 意に適う に入られる。 用例万事に 気配りを忘れず、人の気をそらさないところ が社長の意にかなって、彼はとんとん拍子に 昇進した。類心に適う 気に入る 心を満足させる。好きに なる。 用例気軽に台所に 立って後片づけを手伝う彼女の人となりが、 母はたいへん気に入ったようであった。 口に合う 飲食物の味が好みに合っ ている。用例こんなもの を作ってみましたが、いかがでしょう。お口に合うとよろしいんですが。 心を引かれる 気持ちを揺り動かされ る。関心をもつ。好意を 寄せる。用例受賞した作品には、なんとなく 心を引かれるものがある。 事を好む 何か事件や変事が起こる ことを望んで、事を荒立 てたがる。用例彼は事を好まぬ穏やかな性格 だから、あんな横暴な上司とでもうまくやっ てこれたんだ。 怖いもの見たさ 怖いけれども見たくなる 感情。 怖いと思うとか えって見たくなる気持ち。用例古い洞窟を発 見し、怖いもの見たさで探検することにし た。 十人十色 好みや考え方は、人に よってそれぞれであると いうこと。用例人の好みも十人十色ですか ら、最近では引き出物もカタログで選んでも らうんです。 <46> 梦食う虫も好き好き 辛い蓼を好んで食う虫も いるように、人の好みは さまざまで、いちがいにはいえないこと。 「蓼」は、湿地に生える植物で、葉や茎に辛み がある。用例彼女が、あんなうどの大木みた いな男にほれてたなんて、たで食う虫も好き 好きだね。 下手の横好き むといっても下手の横好きの口でして、とて も人様にお目にかけられるようなものではあ りません。 へたなくせに好きで熱心 なこと。用例書をたしな 目がない 心を奪われて思慮・分別 がなくなるほど、そのこ とが好きである。用例チーズケーキには目が なくって、町でケーキ屋を見つけるとつい 買ってしまう。 眼鏡に適う 目上の人に気に入られ、 認められる。 お眼鏡 に適う」とも。用例彼の人柄、仕事ぶりが部 長の眼鏡にかなったんだろうね、今回の人事 異動では大した出世ぶりだ。 両 刀使い 酒も甘いものも両方好き なこと。また、その人。 用例大変な酒豪と聞いていたから、甘いもの などは嫌いかと思っていたら、なんと彼は両 刀使いなんだ。 親しい 互いに気持ちや考えがよ く合うこと。用例あの人 とは旅先で意気投合して、それからずっと付 <47> 気が置けない 何の遠慮もなく、心から 打ち解けることができ る。用例一緒に旅行をするのなら、気が置け ない友達と行きたいものだね。用法「気を許 せない、油断できない」の意で用いるのは誤 用。参考「気が置ける」は、緊張したり気詰ま りだったりして、打ち解けられない意。対気 が置ける 気心が知れる 互いの気持ちが通い合っ ている。用例僕らは学生 時代からの付き合いで、彼とは十分すぎるほ ど気心が知れた仲です。 心が通う お互いの気持ちが通じ合 う。用例見合い結婚と いったって、ひとつ屋根の下に暮らしていれ ば、しだいに心が通ってくるものだよ。 つうと言えばかあ 十分に相手の気持ちがわ かっていて、すぐに通じ 合うこと。「つうかあ」とも。用例長年連れ 添ってきた仲だから、そりゃあつうと言えば かあで、気楽なもんだ。 蟋姤 悪女の深情け 容貌の美しくない女は、 美しい女よりも情が深 く、嫉妬心も強い。用例君は軽い付き合いの つもりでいるらしいが、いまに悪女の深情け に手を焼くことになるぞ。用法ありがた迷惑 であるようなときに用いる。 つの角を出す 女性が嫉妬する。能楽 で、嫉妬に狂った女性の <48> 生き霊が鬼になることから。用例連日の朝帰 り。仕事という言い訳も通用せず、彼は角を 出して待っている女房の顔が浮かんだのか、 急に元気がなくなった。剛角を生やす 嫉妬する。ねたむ。焼 焼く き餅」は、嫉妬する意の 「妬く」を「焼く」にかけ、「餅」を添えたもの。 用例彼女は僕がほかの女性とちょっと話をし ただけですぐ焼き餅を焼くんだ。 心配・悩み・不安 あたまいた頭が痛い 心配事や未解決の問題な どを抱えて困っている。 用例いろいろ案は立ててみたがどれも激しい 意見の対立が予想されるものばかりで、明日 の会議のことを考えると頭が痛いよ。類頭を 痛める 頭を抱える いろいろ考えてもよい解 決策が思い浮かばず苦し む。用例進学させたまではよかったが、反抗 期なのか、親に暴力までふるう息子に、最近 彼は頭を抱えているようだ。 頭を悩ます どう解決すればよいか と、あれこれ考えて苦し む。用例地域の活性化のために誘致した工場 だったが、環境破壊の問題が深刻になり、市 長は頭を悩ませている。 顔を曇らせる 心配そうな、また悲しそ うな顔つきになる。用例 医者に手術を勧められた父は一瞬顔を曇らせ たが、やがて覚悟を決めたようにうなずい た。顔顔が曇る <49> とが気持ちを離れない。 用例立派な大人になっているのに、親はいつ までたっても、子供のことが気に掛かるもの らしい。頻気に掛ける 気にする 配する。 用例事故を起こ 今後は十分注意することだ。 類気になる く心配する。用例採用す るかどうか決めるのは先方なのだから、いま さら気に病人でも仕方がない。結果を待つし でもないことまであれこれ苦にしていては、 とても身がもたないよ。 頬苦になる・苦に病 む 後願の憂い 後の心配。自分がいなく なったり、やり残したり して、後に残った状況を心配する気持ち。■ 「後願」は、あとを振り返る意。用例休暇中に 予想される動きは、こまごまと部下に指示し ておいたので、後願の憂いなく海外旅行に行 けるよ。 心が騒ぐころさわ 不吉な予感や不安で、心 が動揺する。用例友達が 次々と落第していくのを聞くと、自分もそう ではないかと、心が騒いでならない。類胸が <50> 心を痛める る 思い悩む。用例相手の不 注意とはいえ、人一人の命を奪ってしまった 十年前の事故に、彼は今でも心を痛めてい る。類心が痛む 心を労する あれこれと悩んで心を疲 れさせる。用例ゴミの処 理は、今後ますます心を労する社会問題とな るだろう。 思案投げ首 子。用例肝心なときには妙案がなかなか浮かばないもので、終日思案投げ首のていたらくであった。 どうしてもいい考えが思 いつかず、困っている様 思案に余る いくら考えてもよい知恵 が浮かばない。用例この 件については、私には思案に余る問題が多い ので、専門家の意見を聞くことにしよう。 思案に暮れる いくら考えてもどうしていいのかわからず、思い 悩む。用例書物が増え続けて、家は狭いし、 どうしたものかと思案に暮れている。 心配や悩みの原因となる 物事。用例収入が増える のはうれしいけれど、税金の多くなるのが頭 痛の種だ。 他人の疝気を頭痛に病む 自分には関係のないこと で、よけいな心配をする。 回「疝気」は、下腹部の痛み。他人の疝気を心 配して、かえって自分が頭痛になってしまう 意。「人の疝気を頭痛に病む」とも。用例芸能 人の離婚の慰謝料など、他人の疝気を頭痛に 病むこともない。 <51> 牢日がない 不安や焦りで、気持ちの 休まる日がない。用例期 日が過ぎてもまだ仕事が仕上がらず、先方か らの矢の催促に寧日がない日々を送ってい る。 額が曇る 父親の病状がはかばかしくないと聞いて、家 族みんなの額が曇った。類額を曇らせる 額に繊を寄せる 彼は額にしわを寄せて考 え込んでいるが、それほどこれが難しい問題 なのだろうか。 額に八の字を寄せる 眉を八の字にしかめるほ ど、悩み考え込む様子。 用例額に八の字を寄せて考え込んでいる父の 姿を見て、僕は自分の起こしたことの重大さ に気づいた。 層を晕らせる 心配して顔をゆがめる。 用例雪崩が発生したとい うニュースに、彼は眉を曇らせた。予定で は、仲間がその付近にいることになっている のである。対眉が晴れる・眉を開く 慣を寄せる 心配のあまり眉の辺りに しわをよせる。用例山火 事がこちらにも燃え広がらないかと、眉を寄 せて見守る。 胸が痛む 思い悩んで心に苦痛を感じる。用例酒に酔ってい たとはいえ、女性に対してあんなことは言う べきではなかったと、胸が痛む。類胸を痛め る 胸に余る 悩み・悲しみなどがたま って、耐えられないほど <52> である。やっかいな問題を抱え込んでどうし ていいかわからない。用例息子の素行が近ご ろたいへん悪くなり、いくら注意しても改ま りません。胸に余って先生にご相談申し上げ る次第です。 もしもの事 万が一のこと。不安にか られる気持ちにいう。 用例夜道を歩いていて、もしもの事があった ら大声を出しなさい。 尊敬 頭が上がらない 相手に負い目を感じた り、恩義があって、対等 に接することができない様子。用例常に成績 が一番だった彼には、いつまでたっても頭が 上がらない。 頭が下がる 相手の人柄や立派な行為 に対して、心から敬服す る。用例黙々と仕事に向かい、きちんと自分 の責任を果たして、手柄話一つするでもない 彼の姿を見ていると頭が下がる。 すぐれた者に敬意を払っ て 一 步を譲る。 囲 囲 基 で、弱いほうが先に石を一つ置くことから。 用例普段はいいかげんな男のように見える が、仕事に関しては決して勘所を外さない彼 に、皆が一目置いている。 後生畏るべし 年若い者は学問を積み重 ねることによって、どん な力を発揮するかわからないから、おそれつ つしむべきである。用例よく理解しようとも しないで若い者の悪口を言うのはどうかな。 <53> 後生畏るべしともいうからね。出典子日 く、後生畏る可し。焉くんぞ来者の今に如か ざるを知らんや(孔子が言われた、若者というのはおそるべきものだ。これから将来のあ る者が、今の自分に及ばないなどと、どうしてわかろうか)(論語」子罕) 三舎を避ける 昔、中国で軍隊の一日の行程で約一二キロ メートル。敵陣から三舎たちのいて戦わない 意志を示す意。用例兄に三舎を避けるのは、 ただ年上というだけのことからではない。 出典「晋楚、兵を治めて中原に遇わば、其れ 君を避くること三舎せん(もし晋と楚が、軍 勢を整えて中原で戦うことにでもなれば、あ なたの軍から三舎の距離退却いたしましょ う)「春秋左氏伝」僖公二十三年) 楽しむ・楽しみ 歓を尽くす しぶりの同窓会で、懐かしい旧友たちとおそ くまで杯を交わして歓を尽くした。 十分に楽しむ。このうえ なく喜ぶ。用例昨夜は久 懐かしい旧友たちとおそ いいした。 奥に入る なって楽しむ。用例友人 に誘われて釣堀に行ってみたのだが、最近は 興に入って、渓流釣りに出かけている。 奥に乗る る」とも。用例皆で歌を歌っているうちに、 興に乗った中村君が突然踊りはじめた。 興を添える 何かをすることで、その 場の雰囲気をいっそう楽 <54> しいものに盛り上げる。用例披露宴では新婦 の友人のお嬢さん方が、日本舞踊を舞って興 を添えた。 天にも昇る心地 非常にうれしくて、浮き 浮きした気持ち。用例好 きな人と結婚できるなんて、天にも昇る心地 です。 目の薬 それを見ることで十分に 一楽しむことのできる、美 しいものや珍しいもの。用例いやあ、いずれ もすばらしい絵ですね。私にとっては目の薬 ですよ。 目の保養 感じること。用例今日は美術館へ出かけて 行って、久しぶりに目の保養をさせてもらっ た。 を見て、大きな楽しみを ためらう・迷っ 痛し癢し 互いに差し障りがあり、 一方をとれば他方に支障 があるという具合で、どちらとも決めかねる こと。■かけば痛いし、かかなければかゆい 意。用例家賃のこともあるし、母の勧めに 従って親の家に住みたいんだけど、妻との折 り合いのことを考えると痛しかゆしでね。 後ろ髪を引かれる あとに心が残って、去り がたい。未練が残って思 ーカたレ 末緑カ残って思 いきれない。用例再びこの地を訪れることは ないだろうと思いながら、後ろ髪を引かれる 思いでバスに乗り込んだ。 往生際が悪い 追いつめられてどうすることもできないのに、あ <55> きらめが悪い。■「往生際」は、死にぎわの 意。用例飛車でこの金を取ればどう考えたっ てもう詰みだよ。君も往生際が悪いね。 去就に迷う 出処進退について思い悩 む。回去就」は、離れる ことと、とどまること。用例今回の事件で は、直厲の上司が責任をとる形で辞職した が、社長はその去就に迷っているらしい。 後足を踏む しりあし しりごみをする。ためら あとじさ う。 ■後退りする意。 「後足」は「尻足」とも。用例この年になって ワープロは……なんてしり足を踏んでいた ら、ますます老け込んでしまいますよ。 思い切って行動すること ができずに、どうしよう この足を踏む かと迷う。二歩めはためらって足踏みをす る意から。用例家はほしいと思うけど、ロー ンのことを考えると二の足を踏んでしまう。 踏ん切りが付かない 決断することができない。思い切ってすること ができない。■「踏ん切り」は「踏み切り」が転 じたもの。用例だいぶ前から転職を考えてい るのだが、家族のことなどいろいろあって、 なかなか踏ん切りがつかない。 両端を持す 家族の生活にも響くわけで、この際、両端を 持すという態度をとるのもやむをえない。 直感 ぴんと来る 物事の意味や真相をすぐ に感じとる。用例あやし <56> い人物だと、ぴんと来たので、すぐ警察に通 報した。 虫が知らせる 何となくそれと感じる。 用例身近な人の死は、 きどき虫が知らせることがある。用法多く、 よくないことが起こった後に、思い起こして いう表現。 亡くなった人や神仏など た夢に現れて告げる。 夢枕に立つ 用例亡くなったお母さんが夢枕に立って、彼 は翻然と悔い改めたということです。 疲れる 疲れ果てる。へたばる。 歩き疲れて腰がひけ、 顆が前にでる格好になることから。用例マラ ソンで最後まで頑張るつもりだったのに、半 分も行かないうちにあごを出してしまった。 足が棒になる 疲れ果てて、足が棒のよ うにこわばる。長時間歩 いたり立ったりしたあとの足の疲れをいう。 用例今日は一日立ちっぽなしの仕事で、足が 棒になってしまった。 局で息をする 疲れて肩を上下させなが ら苦しそうに息をする。 用例臨月を迎えて大きなお腹を抱えた彼女 は、少し歩いては肩で息をする。類肩で息を 継ぐ 気骨が折れる 気苦労が多くて心が疲れ る。気疲れする。用例祖 母の葬式に行ったら見知らぬ親戚が大勢い て、気骨が折れてかなわなかった。 <57> 膝が笑う 山道を下るときなどに、 膝の力が抜けてがくがく する。用例こんなに長い石段だもの、途中か らひざが笑って足の調子がおかしくなっ ちゃったよ。 姉のよう 体中の力が抜けて、ぐっ 子。用例正月休みの帰省で満員列車にもま れ、家に着いたときには綿のように疲れてし まった。 たりするほど疲れる様 つらい悲しい・苦しい 虚空を掴む 手を上に突き上げて、何 かをつかもうとするしぐ さ。 断末魔の苦しみの様子。 用例写真展の会 場を出てからも、虚空をつかんだまま黒焦げ となった死者たちの姿が目の底に焼き付いて 離れなかった。 辛酸を嘗める つらく苦しい経験をす ある 天涯孤独の身となり、世の辛酸をなめつくし た。 断腸の思い こらえきれないほどつらく悲しい気持ち。■「断 腸」は、はらわたがちぎれる意。用例病気の 母を一人残し、私は断腸の思いで故郷を離れ た。 非常な悲しみに流す涙。 血の涙 涙がかれて、血が流れ出 すほどの耐えがたい悲しみ。用例幼い我が子 の事故死に、母親は血の涙を流して悔やみ続 けた。 <58> しい思い。用例彼はチャ ンピオンになることを夢見て、血を吐く思い で厳しい練習に耐えてきた。 塗炭の苦しみ 泥にまみれ火に焼かれる はなはだしい苦 塗は泥水炭は炭火の意。 悪政で塗炭の苦しみを味わい続けていた 国民も、新政権の樹立でやっと解放された。 泣きの涙 涙を流して泣くこと。つ 十年前に泣きの涙で田畑を人手に渡し、故郷 を捨てて上京した。 泣きを見せる らい目にあうこと。用例 親しい人につらい思いを させる。苦労をかける。 用例女遊びもたいがいにしないと、いまに奥 さんに泣きを見せることになるぞ。 泣きを見る 苦境に立たされたり、つ らい思いをしたりする結 果になる。用例賭け事にうつつを抜かしてい ると、いまに泣きを見るぞ。 生身を削る 体の肉をそがれるほどのつらい思いをする。用例 事業が行き詰まり、 生身を削る思いで父の形 見の品を手放した。 針の籬はりむしろ 周囲に冷淡で批判的な人 が多く、心が休まらない こと。また、失敗を犯したため、周囲の者に 対して心苦しく思っていること。針を植え た敷物の意から。用例親戚の子の家庭教師な んて、するもんじゃないよ。合格してくれな かったら、それこそ針のむしろだ。 骨身を削る 体がやせ細るほどの苦労 に耐えて努力する。用例 <59> あそこのどら息子は、父親が骨身を削って蓄 えてきた店の財産を湯水のように使ってい る。 身も世もない 我が身のことも世間体も 考えていられないほど、 ひどく悲しみ嘆く様子。用例最愛の子供を亡 くした彼女は身も世もなく泣き崩れ、周囲の 涙を誘った。 見るに恐びない 気の毒だったり、かわいそうだったりで、見てい るのがつらくなる。用例両親を交通事故で 失って力を落としている友人の姿は見るに忍 びない。 身を切られる つらさ・苦しさなどがは なはだしい様子。 用例幼 い息子を夫のもとに残し、彼女は身を切られ るような思いで家を去った。 身を削る 体がやせ細るほど苦労や 心配をする。 用例卒業論 文が提出締め切り日に間に合うよう、身を削 る思いで書き上げた。 胸がつかえる 心配事や深い悲しみ、激 しい感動などで胸が苦し くなる。■食べた物がつかえて、胸が苦しく なることから。用例テレビニュースで見る遺 難者の家族たちは、記者の質問にも胸がつか えて何も答えられない様子であった。 胸が張り裂ける 悲しみ・憎しみ・悔しさ などで、胸が破れそうに 苦しい思いをする。 胸が裂ける」とも。 用例恋人の突然の死を知らされて、彼女は胸 が張り裂けんばかりに嘆き悲しんだ。 胸が塞がる 心配や悲しみで胸がいっ ぱいになる。暗い気持ち <60> にとらわれる。用例田舎で一人暮らしをさせ ている母の具合が悪いという知らせを受けた が、仕事を休むわけにもいかず、毎日胸がふ さがる思いだ。 同情 同病相憐れむ 同じ病気にかかった者同 士が同情し合う。同じよ うな境遇に悩む者が互いに思いやり、いたわ り合う。用例私も事業に失敗した経験があり ます。同病相憐れむというやつで、あなたの お気持ちはよくわかりますよ。出典同病相 憐れみ、同憂相救う」(呉越春秋」闘間内伝) 相手にあわれみをかけて 情けを掛ける いたわる。用例私のよう な者に情けを掛けてくれる人はいないと思っ ていましたのに……、お情けは身にしみてあ りがたく思います。 涙を誘う 相手に同情して、思わず 涙があふれそうになる。 用例最近は読んでいて涙を誘うような小説が 少なくなった。 身につまされる 相手の不幸な体験が、自 分の場合と比べ合わせ て、他人事と思われなくなる。用例彼女の身 の上話を聞いているうちにすっかり身につま されて、もらい泣きをしてしまった。 身になる える。用例いま最後の追 い込みの時なんだ。勝手なことばかり言って ないで、少しはこっちの身にもなってくれ よ。親身になる <61> 見るに見かねる そのまま見過ごすわけにはいかない。黙って見て いられない。用例バス停で雨にぬれている彼 女を、見るに見かねて乗せてやったまでだ。 泣く 血液を絞る 悲しみや憤りのあまり激 しく泣く。血涙は、 抑えきれずあふれ出る涙の意。用例生まれつ き難病をかかえた我が子の治療の痛々しさ に、私は血涙をしぼりました。 紅漬を絞る 涙は美しい女性の す涙の意。用例あの女優が主演したテレビド ラマは、まさに世の紅涙をしぼらせたもの 声が潤む 悲しみで声がふるえて涙 声になる。用例老婆は自 分の思い出話をし出すと、心なしか声が潤んできた。 随喜の涙 心底うれしくて流す涙。 間、選手たちは抱き合って随喜の涙を流しま した。 声涙俱に下る 悲憤慷慨して、泣きなが ら話す。用例今回の不祥 事に関する社長の訓辞は、声涙ともに下るの 概があり、会議室は水を打ったように静かに なった。 袖を絞る 悲しみに涙を流す。泣 く。涙をぬぐった袖を 彼女は老女の悲哀に満ち しぼる意から。用例彼女は老女の悲哀に満ち <62> た話に、まさに袖をしぼる思いで聞き入って いた。 快を絞る 非常に悲しんで泣く。 込むぬれた袂をしぼる意 から。用例母がこの家に嫁入りしたころは、 大所帯で苦労が多く、毎晩袂をしぼっていた そうだ。 泣きべそをかく しかられたり困り果てた りして、今にも泣き出し そうな顔をする。■「べそをかく」とも。用例 自分から選んで進んだ道ではなかったのか い。少々苦しいことがあるからといって泣き べそをかくなんて男らしくないぞ。 涙に暮れる 悲しみにうちひしがれ、 泣いて日を過ごす。泣き 暮らす。■「暮れる」は「暗れる」で、泣きたく なるような暗い気持ちにとらわれる意とも。 涙に沈む 用例五十年間連れ添った夫を亡くした夫人は ただ涙に暮れていた。 る。泣き伏す。 用例子供 を失って涙に沈む奥さんを慰めてあげられる のは、夫の君しかいないんだぞ。 涙に噛ぶ 涙に声をつまらせて泣 く。用例廊下に走り出て きた彼女は、懸命に話そうとするが涙にむせ んで声にならない。 涙を覚える 自然と涙が出そうにな る。用例彼女の身の上話 人る自分に気づいた。 にいつしか涙を覚える自分に気づいた。 涙を禁じえない 涙が流れそうになるのを とめることができない。 同情して思わず涙を流してしまう。用例志半 ばで倒れた彼が、生前、瞳を輝かせて計画を <63> 語っていた表情などを思い出すと、私は涙を 禁じえないのである。 涙を催す 涙が流れそうな気持ちに なる。用例飢餓に苦しむ アフリカの子供たちの写真を見ていると、つ い涙を催してしまう。 火が付いたよう 赤ん坊などが、急に激し く泣く様子。用例些細な ことから口論となり、声高に言い合っている と、隣室に寝かせてある赤ん坊が、火がつい たように泣きはじめた。 不覚の涙 悲しみやつらさなどで、 思わず知らず流す涙。 用例夫の思い出話を語りながら、私は不覚の 涙を浮かべていた。 深く心に感じて涙が出そうになる。目の中こ涙 目頭が熱くなる がたまりだすときの感じをいう。用例不慣れ な土地で働き、苦労しながらも子供を育てて いる娘の話を伝え聞くたびに目頭が熱くな る。 目頭を押さえる 指で目もとをそっと押さ えて涙が流れ出さないよ うにする。泣きたいのを我慢する様子。用例 卒業式で総代として答辞を読む息子の姿に、 彼女はそっと目頭を押さえた。 二 勑得 含点が行く く 社側がとった措置には、どうも合点がいかな い。 <64> 得心が行く 相手の言動を十分納得で きる。 用例いや、 あなた の説明で得心が行きました。どうやら私のほ うが誤解していたようだ。 膝を打つ ひらで膝のあたりをたた く意で、急に思いついたり、感心したりした ときの動作を表す言葉。用例それはいい考え だと、彼はぼんとひざを打った。頬膝を叩く 百も承知 十分にわかっているこ い、わざわざ君に言われなくても百も承知だよ。 諒とする と。 用例そんなことぐら 事情を察して納得する。 それでよいとする。 用例 努力していることは諒とするが、やはり結果 に現れないと話になりません。 鼻が曲がる におう・におい 我慢できないような、強 烈な悪臭がする。用例台 所には料理しかけた肉が放置されていて、鼻 が曲がるようなにおいを放っていた。 強いにおいが鼻を刺激す る。用例一步部屋に踏み 込んだとたん、ガスのにおいが鼻を突いた。 類鼻を打つ・鼻を刺す 憎む・憎い 俳に天を戴かず 激しい憎しみのため、殺すか殺されるかで、この <65> 世に一緒には生きていくことができない。 「不俱戴天」の訓読み。「戴天」は、頭の上に天 をいただくことで、生きているの意。用例よ うやく相手を引きずり下ろすことには成功し たが、自分も免職。ともに天をいただかずの 思いが自分まで破滅に追い込んだのだ。出典 「父の謎は、与に共に天を戴かず。兄弟の謎 は、兵に反らず。交遊の謎は、国を同じくせ ず(父のかたきとは、天の下に一緒に生きて はいられない。兄弟のかたきには、武器を取 りに戻ったりすることがないように、備えを 怠らない。友人のかたきとは、同じ土地にい ることはできない)「礼記」曲礼)類不俱戴 天の敵 坊主憎けりや袈裟まで憎い その人が憎いと、その人 の関係するすべてが憎く なる。「袈裟」は、僧の衣服。用例彼が親し くしているというだけのことで、何も大村君 の悪口まで言うことはないじゃないか。坊主 憎けりゃ袈裟まで憎いというわけか。 にしているようだが、それには何かいわくでもあるのかい。 手。用例まい彼を目の敵 恥ずかしい 赤くなる 恥ずかしさから顔を赤く する。赤面する。用例あ のときのしくじりは、いま思い出しても顔が 赤くなるよ。 赤恥をかく 人前でひどく恥ずかしい 思いをする。■「赤恥」は、 <66> 恥を強めて言う語。「あかっぱじ」とも。用例 自分のほうが思い違いをしていることにはっ と気づき、赤恥をかいてしまった。 頭を掻く あたまか ずかしさに気まずくなる様子。用例ハードル には自信があるんだと言って、走り出した途 端に転倒した彼は、頭をかきながら戻ってき た。 穴があったら入りたい 恥ずかしさで、その場に いられない様子。用例僕 の不注意でクラス全員がもの笑いの種になっ てしまい、あのときほど穴があったら入りた い気持ちになったことはない。 合わせる顔がない 自分の失敗などで相手に る顔がない 迷惑をかけたことをひど く申し訳なく思う様子。恥ずかしさで、相手 に会うのがためらわれる。用例こちらからお 願いした見合い話だったが、息子の身勝手か ら取り止めにしてしまい、先方に合わせる顔 がない。顔顔が合わせられない 返す言葉がない 相手に指摘されて、返答 のしようもなく、恥じ入る様子。用例今回の 件はまったくこちらの落ち度だったので、先 方の苦情に返す言葉がなかった。 顔から火が出る ひどく恥ずかしい思いを して顔を赤くする。用例 余興の演芸会で、出番を間違えて舞台に飛び 出してしまい、顔から火が出る思いがした。 顔向けができない 恥ずかしくて人に会うことができない。用例何を やってもいいが、人に顔向けができなくなるようなことだけはするな、というのが死んだ <67> 膚身が狭い 世間に対し、面目なく恥 のことでは、お前や子供にまで肩身が狭い思 いをさせて、すまないと思っている。 ずかしく思う。 用例今度 かたすぼ 雨を窄める 恥ずかしい思いをしたと きなど、身を縮めて小さ くなる。用例そばで友達のやることを見てい て、恥ずかしくて肩をすぼめていた。 汗顔の至り 恥ずかしさで顔に汗をかくこと。「至り」は、 このうえない状態。用例度重なる息子の不始 末、親としてまことに汗顔の至りです。 決まりが悪い 体裁が悪くて、何となく 恥ずかしい。▪「決まり」 が適度であること。用例 は、体裁・ころ合いが適度であること。用例 尻がこそばゆい 正式なパーティーとは知らずに、ラフな服装 で出かけてしまい、決まりが悪い思いをして しまった。 照れくさかったり、気が とがめたりして、落ち着 いていられなくなる。用例先生にそれほどほ めていただきますと、何だかしりがこそばゆ い気がします。 赤面の至り 面目を失う結果となり、 顔を赤らめてひどく恥じ 入ること。用例管理職の立場にある私が、部 下の不正に気づかずにいたとは、まったく赤 面の至りです。 恥をかく 人前で面目を失い、恥ず かしい思いをする。用例 代金を支払おうとするときになって、財布を 忘れてきたことに気づき、とんだ恥をかいて <68> 聴を知る 人間として恥ずべきこと を知る。用例人間が社会 生活を営む上で要求されることの一つは、恥 を知るということだ。 ばつが悪い その場にいるのが気恥ずかしくなる。▪「ばっ」 は、その場の具合の意。用例いたずらをしている子供を、うちの息子と間違えてどなったら、その親から頭を下げられて、何ともばつが悪い思いをした。 冷や汗をかく ひどい恥や不安などで気 後れして汗を流す。用例 口頭試問ではすっかり上がって、とんでもな いことを口走ってしまい、冷や汗をかいた。 恥ずかしさで顔を赤くす る。用例ちょっとからか うと頬を染めるなんて、彼女も案外かわいい ところがあるじゃないか。 聞が悪い なんとなくその場にいる のが恥ずかしい。用例部 長の誘いを断って友人と飲んでいたら、部長 がその店に入ってきて間が悪い思いをした。 身の置き所がない 相手にすまなかったり、 恥ずかしかったりして、 その場にいられない。用例皆は同情してくれ るが、私の不始末で会社に損失を負わせたこ とは事実さ。今はまったく身の置き所がない 思いをしている。 面目がない 失敗などで、恥ずかしく て相手に会うのがためら われる。面目ない」とも。用例僕の過失で 君にまで迷惑をかけてしまった。まったく面 目がない。類面目次第もない <69> 紅葉を散らす を力恥ずかしがって顔 一を赤くする。用例高校生 の姪は、内気なのか恥ずかしがり屋なのか、 ちょっとした失敗にも、紅葉を散らしてうつ 向いてしまう。 冷汗三斗 汗が三斗も流れるかと思 うほど、恥ずかしい思い をすること。 三斗は約五四リットル。それ ほど多量に汗が出るということ。用例披露宴 のスピーチで言葉を忘れて立ち往生したとき は、まったく冷汗三斗の思いだった。 老読を晒す 年をとって醜くなった姿 を人々の前に出す。用例 長年会長を務めてまいりましたが、これ以上 この座におりましては老醜をさらすばかりで ございますので、今期をもって退陣致します。 用法老人が自分の身を謙遜していう場合 にも用いる。 ひいき 痙痕もえくぼ えもえくぼに見えてくる 意で、愛すればその人の欠点も長所に見える こと。用例今の彼女には、彼の欠点などあば たもえくぼで、まったく見えていないよ。 覚えがめでたい 目上の人に信頼がある。 用例彼は上司の覚えがめ がだれよりも早い。 でたいから、出世がだれよりも早い。 親の欲目 親は我が子かわいさか ら、自分の子供を実際以 上によく評価するということ。用例親の欲目 と言われるかもしれないが、この子は成績が <70> わたった 雨を持つ 味方になって支援する。 一用例僕が父にしかられる たびに、祖母は僕の肩をもってかばってくれ た。 か かんぐんま そくぐん 勝てば官軍負ければ賊軍 何事も強い者や最終的に 勝った者が、正義とされ ること。勝てば官軍」とも。用例勝てば官 軍負ければ賊軍だ。少々あくどい手を使って も、ここは一気に攻め込むところだよ。 鍋願の引き倒し ひいきをしたばかりに、 かえってその人を不利な 立場に陥れること。用例彼に目をかけてやる のはよいが、ひいきの引き倒しにならないよ うに気をつけたほうがいい。 好意的に実際以上に評価 する。用例君は彼を支持 するが、どうひいき目に見ても、僕にはあの 人が部長の器とは思えない。 敗者や弱者に同情してひ くろうほうが人みなもとのよしつお をいう。▪九郎判官源義経を薄命の英雄 として同情することから。「ほうがん」は 「はんがん」とも。用例少し前までは公立の チームが甲子園に出場すると、判官びいきの 大声援を浴びたものだった。 不快·不愉快 後味が悪い 物事がすんだ後、心の中 がさっぱりせずに不快感 か残る。用例今度の仕事では彼を説得して無 理をきいてもらったが、どうも後味が悪い。 <71> 嘔吐を催す 見たり聞いたりして、は なはだしい不快感におそ われる。用例以前、彼には痛い目にあわされ ているので、名前を聞くだけで嘔吐を催す。 類吐き気を催す かちんと来る 相手の言動に腹が立ち、 じる。用例彼とは十年来の付き合いだが、 時々かちんと来るものの言い方をするので困 る。 涮に障る 人の言動に腹が立って不 愉快になる。用例彼とは 反りが合わないせいか、言うことなすことが 僕の癇に障る。 不注意な言動で、相手を 不愉快にする。用例君の 機嫌を損ねる 煮えきらない態度に先方はすっかり機嫌を損 ねたようだ。 気色が悪い 嫌いなことを見たり聞い たりして、不愉快にな る。用例あの男はいつもにやにやしていて、 何を考えているのかわからない。付き合って いて気色が悪いよ。 気に障る 不愉快に思う。用例気に 障ったらごめんなさい。 でも、職場でのくわえ煙草はどうしてもやめ てほしいの。 気を悪くする 人の言動などで、感情をそこない不愉快になる。 用例今日は君と映画を見ることができなく なったけど、どうか気を悪くしないでくれ。 頼に障る 気に入らなくて腹を立て る。用例彼の反抗的なも <72> 頼の種 しゃくたね 腹を立てる原因。用例あ いつとうまくやっている のかと思うと、あのかわいい顔がしゃくの種 だ。 塩っぱい顔をする 迷惑そうな顔をする。不 快そうな顔をする。塩 つぱい」は、迷惑だったりいやだったりして、 顔をしかめる様子にいう。用例今度無理をき いてもらうかわりに、次は十分埋め合わせを するから、そんなしょっぱい顔をするなよ。 心証を害する 相手に不愉快な印象を残 す。用例君のそういう人 を食った態度が、面接者の心証を害したのか もしれない。 あまり感心しない。よい 感情がもてない。用例本 人は流行の最先端をいっているつもりなのだ ろうが、彼女の服装のセンスはぞっとしない ね。 は 用例言われる当人はまんざらでもないらしい が、歯が浮くようなお世辞ばかりで、そばで 聞いている僕たちにはたまらない。 くだらない軽はずみな言 動に、不快感をもつ。 鼻に付く 飽き飽きしていやにな る。言動がいやみに感じ られる。■不快なにおいが鼻から離れない意 から。用例場所柄もわきまえずきいきい言っ ているあの娘が、最近は鼻について、顔から 服装までいやになった。 鼻持ちならない 言動がきざで、我慢がて きないほどいやみであ も我慢できない意から。 る。 ▪臭くてとても我慢できない意から。 <73> 用例どんな高貴な生まれで、どこの一流大学 を出たか知らないが、あのきどったものの言 い方が鼻持ちならない。 古傷に触れられる 以前に犯した罪や、忘れ てしまいたい昔の苦い経 験などを話題にされたりして、いやな思いを する。回古傷に触られる」とも。用例話題が そのことに及ぶと、彼は古傷に触れられると 思ったのか、急に黙り込んで会話に加わろう とはしなかった。 反吐が出る 対象となるものに対する を感じる。■吐きもどすときの不快感から。 用例あのように品性劣悪なやつは、顔を見る だけでへどが出そうだ。 庸を輩める 他人の行為に対して、不 愉快になり顔をしかめ る。用例彼の場所柄をわきまえない言動に、 周囲の人は申し合わせたように眉をひそめ た。 耳に逆らう 聞いて不愉快に思う。忠 られず、不愉快な気持ちで聞く。用例忠告は 耳に逆らうというが、ここは素直に従うほう が君のためだよ。 耳に障る 詎を聞いていて不愉快な 感じがする。用例悪いや つとは思わないが、彼の持って回った言い方 は耳に障る。 虫噂が走る 不快でたまらない気持ち になる。「虫唾」は、消 化不良などで胃から口中へ逆流する酸性の液 体。用例もういいかげんあの男の話はやめて くれないか。僕はあの男の名前を聞くだけで <74> 虫ずが走るんだ。 胸蒼が悪い いまいましくて腹が立 つ。不愉快である。 「胸糞」は、胸を強め、またいやしめていう 語。用例彼の弁解を聞くためにわざわざここ まで足を運ばなくてはならないとは、まった くむなくそが悪い。 目に障る 見ると不快になる。めざ りである。見るのに邪 魔である。用例古い街並みが取り壊されて、 目に障るようなビルが次々に建つ。 不可解 気が知れない相手の考えが理解できないどういうつもりでい るのかわからない。用例お客さんに対してあ んな失礼な態度をとるなんて、僕には君の気 が知れないよ。 狐につままれる れる」は、ばかされるの意。用例突然大勢の 人の訪問を受けて、夫人は狐につままれたよ うな顔をしている。 何がなんだかわけがわか らなくなる。■「つまま 腑に落ちない よく理解できない。納得 がいかない。■「腑」は、 はらわた、こころの意。用例性格をよく知っ ているだけに、彼が詐欺まがいのことをして いるという話は、何とも腑に落ちない。 理解に苦しむ 納得できず、考えあぐね る。わけがわからない。 用例あんなことをしてみずから恥をさらすな ど、理解に苦しむばかりだ。 <75> 割り切れない どうしても不審な気持ち が残る。きちんと納得で きない。用例この結論には君としたら割り切 れないものが残るだろうが、ここは我慢して くれないか。 不機嫌 お冠 かんむり 腹を立てていて、不機嫌 な様子。■冠を曲げる からという。用例今日も君は遅刻したという じゃないか。部長がお冠だよ。 風向きが悪い 相手の機嫌がよくない。 用例車を買うことで親父 に頼みがあるのだが、風向きが悪いようだか ら今日のところはやめておこう。 旋毛を曲げる 機嫌をそこねて、わざと 反対して従わない。用例 いったんつむじを曲げると、彼はてこでも動 かない頑固なところがある。類冠を曲げる 苦虫を噛み潰したよう 不機嫌なにがにがしい表情をしている様子。用例 会社で何かあったのか、父は苦虫をかみつぶ したような顔で帰ってきた。 不興を買う 主君・目上の人の機嫌を そこねる。用例実験デー 夕の入力ミスをすぐ報告しなかったものだか ら、教授の不興を買ってしまった。類不興を こうむる 臍を曲げる 機嫌を悪くして片意地を 張る。用例いちばん下の 妹は自分だけデパートに連れて行ってもらえ なかったことで、へそを曲げている。 <76> 虫の居所が悪い ひどく機嫌が悪い▪▪ 「虫」は、心の中にいて 身体や感情に影響を与えると考えられていた もの。用例虫の居所が悪いのか、今日はあい さつしても知らん顔をしている。 不滿·不平·文句 ああ言えばこう言う いちいち理屈をつけて、 う言う 人の言うことを聞かな い。用例娘も年ごろになったら、ああ言えば こう言うで困ったものです。 飽きが来る 飽きる。今まで気に入っ ていたものなどが、だん だんいやになる。用例おもしろそうだと思っ て買ってきたゲームだが、二、三日遊んだ ら、もう飽きがきてしまった。 意に満たない い仕事だったのなら、君からはっきり断った ほうがいいよ。 陰に龍もる 不平や不満が表に発散さ れずに内にひそむ。用例 何でも陰にこもる性格だから、ストレスがた まる一方です。 食い足りない 不満足だ。もの足りない。■食べても食べても 食欲が満たされない意から。用例あっけなく 優勝してしまったので、彼はどことなく食い 足りない表情をしている。 ロが寂しい 口に入れるものがなく、もの足りない感じがすからといって間食ばかり る。用例口が寂しいからといって間食ばかり <77> していては、体重のほうが寂しくならないぞ。 不平・不満を表す口のき き方をする。用例お互い に冷静に話せばいいのに、口をとがらしてば かりでいっこうに解決できない。頬唇を尖ら す 小鼻を膨らませる いかにも不満そうな顔を する。■「小鼻」は、鼻の 下の左右のふくらみ。用例用事を言いつけら れた弟は小鼻を膨らませてしぶしぶ出かけて 行った。 舌打ちをする。軽蔑や不 満をあらわにする態度。 用例会議中に、何を怒ったのか、彼は突然舌 を鳴らして席を立った。 あれこれと文句をつけ 四の五の言う る。用例四の五の言う人 に限って、自分ではたいしたことはしないものです。 酢の蒟蒻の なんのかのと文句をつけ る様子。■「四の五の」を もじったものという。用例いまさら酢のこん にやくのといったって、どうにもなりません よ。 滑ったの転んだの は何の努力もしないで、やれ滑ったの転ん のと言い訳ばかりしている。 腹が膨れる 言いたいことが言えずに、気分がすっきりしな い。言わないでいるのが、不満である。用例 先輩だと思えばこそ言いたいことも我慢して いるけれども、おかげでこっちは腹が膨れて 仕方がないよ。 <78> 不平を鳴らす あれこれと不満を並べ立 てる。強く不平を言う。 用例工場移転の話を聞きつけた社員たちは、 次々に通勤時間のことなどの不平を鳴らしは じめた。 頬を膨らます 善処できるものは善処するから、そんなに頬 を膨らませないでくれ。 真心 少しのことだがその人の 誠意がこもっているこ と。用例贈り物は気は心、高価であればいい というものじゃない。 心がこもる 用例彼女の家族の心がこ もるもてなしに、楽しい一夜を過ごした。類 心をこめる 心を致す る。 用例当選したあかつ きには、皆さんの期待を裏切らぬよう、心を 致して活動していく所存です。 心を尽くす 真心をこめて一生懸命に 行う。用例国語辞書の編 半世紀に及ぶ。 纂に心を尽くすこと、半世紀に及ぶ。 丹精をこ~~ 一う。用例実に見事な枝ぶ りの盆栽で、さすが祖父が丹精をこめただけ のことはある。 貨者の一灯 貧しい人のわずかでは あっても誠意に満ちた <79> 志。長者の万灯より貧者の一灯」とも。 用例サラリーマンにできる寄付などはこんな ものです。貧者の一灯として受け取っていた だければと思います。用法自分の寄付を謙遜 していうこともある。 潛足 得たりやおう 自分に都合よくうまく事 が運んだときに発する言 葉。回「得たりおう」とも。用例次の対戦相手 は、僕には相性のいい相手だ。審判に名を呼 ばれて、得たりやおうと立ち上がった。類得 たり賢し 悦に入る 心の中で満足して喜ぶ。 用例相手投手をだれも打 てなかったのに、彼だけは二本のホームラ ン。チームは負けても、一人悦に入っている よ。 笑壺に入る 思いどおりになって大い に満足する。うれしくて 思わず笑いがあふれる。用例皆が珍問に頭を 抱えているのを見て、私は笑壺に入ってい た。 思いを晴らす 望んでいたことを成し遂 げて気分をよくする。 用例営業成績でトップになることは入社以来 の望みだった。今期ようやくその思いを晴ら すことができた。 御の字 よい結果に、しめたと思 う。回「御」の字は、尊敬 や親しみを表すために添えられるところか ら、すばらしい、好ましいという気持ちの表 <80> 現。用例あの親父が旅費だけは出してくれる と言うのだから御の字だよ、ぜいたく言う な、と兄は言った。 会心の笑みを漏らす すっかり満足して喜びの 笑顔を浮かべる。用例彼 女は演奏を無事に終え、聴衆の喝采を浴びる と、会心の笑みを漏らした。 湯を癒す 満足する。■かわいたのどをうるおす意か ら。用例戦後、ようやく出版されはじめた文 学書を、渇をいやすように読みふけったこと を思い出す。 かねてから願い続けてき た望みをやっと果たして 気が済む 気になっていたことがな くなり、楽になる。満足 がゆき、気持ちがおさまる。用例だからこう して謝ってるじゃないか。じゃ、どうすれば 君の気が済むのか、言ってくれ。 気を良くする 都合よく事が運んで調子 づく。機嫌がよくなる。 用例昨夜の夫婦げんかも、私のごめんなさい の一言で、主人は気を良くして出勤していっ た。 結構毛だらけ猫灰だらけ 「大いに結構だ」という意 をちゃかしていう言葉。 ■「け」という同音を重ねて、調子をつけたもの。「結構毛だらけ灰だらけ」とも。用例一週間でこれだけチケットがさばければ、結構毛だらけ猫灰だらけだよ。 心行くまで 満足のできるまで。気持 ちがせいせいするまで。 用例皆さん、今年はほんとうにご苦労様でし た。今夜は心行くまでやってください。で は、乾杯!! <81> 腹が疲える 怒りや恨みを晴らして、 気持ちがおさまる。用例 あの男が一度頭を下げたぐらいで、僕の腹が いえるわけではない。 満更でもない 必ずしもいやではない。 かなり気に入っているこ とを遠回しにいう言葉。用例プロ入りの意思 表示ははっきりしてないが、満更でもない様 子だ。 以て眠すべし これで満足してよいだろう。「瞑す」は、安らか に死ぬこと。これで死んでも本望であるの意 から。用例あの災難のなか、家族全員が無事 で、預金通帳だけでも持ち出せたんだから、 もって瞑すべしだ。 我が意を得る 自分の考えていたとおり になり、満足する様子。 用例先月発表した小説に対する批評は、我が 意を得たものばかりだった。 やけ・無分別 魔が差す ふっと悪い考えを起こ す。悪魔が人の心に入 り込む意から。用例まじめな彼が株なんかに 手を出したのは、魔が差したとしかいいよう がない。 自棄のやん八 自分の思いどおりになら ず、もうどうなってもい いと、やけくそになること。 ▪「やんハ」は、 いと、やけくそになること。 人名めかして「やけ」を強めていう語。用例あ いつからは目を離すなよ。やけのやん八で何 をしでかすかわからないから。 <82> 自案を起こす 思いどおりにならず、無 分別な行動をとる。用例 彼女に振られたからといってやけを起こして 車をぶっとばすとは、何と愚かなことをする んだ。 破れかぶれ なった気持ち。用例ろくに勉強もしないうち に期末試験が始まってしまった。もうこう なったら破れかぶれだ。 でもなれ、というやけに 愛鬱 浮かぬ顔 心配事があったりして、 晴れ晴れしないような顔 つき。沈んだ顔つき。用例浮かぬ顔をしてど うしたんだ。何か悩みでもあるのかい。 気が重い 心に負担を感じたり、結 果に不安を抱いたりし て、気持ちが浮き立たない。用例ほとんど勉 強をしていないので、明日の試験のことを考 えると気が重い。対気が軽い 気が沈む 心配事や好ましくないこ とがあって、気分が晴れ 晴れしない。気分がふさぐ。用例入院生活そ のものには特に不便もないが、将来のことな どあれこれ考えて、とかく気が沈みがちな毎 日を送っている。 気が晴れない 気がかりなことがあって、さっぱりした気持ち になれない。用例気分転換にと友人がドライ ブに誘ってくれたが、試験の結果のことが頭 にあって、いっこうに気が晴れなかった。 <83> 気が塞ぐ 気分転換になるようなこ ともなく、気分が重い。 用例山積みしているややこしい問題のことを 考えると、たまの休みだというのにますます 気がふさいでくる。 気が滅入る 考え込んで憂鬱な気分になる。元気がなくなる。 用例こう毎日雨ばかりでは、気が滅入って しようがない。 心が重い 一どで、気分がひきたたな い。用例入院中の兄の容態を思うと心が重く なる。 憂夢で心が晴れ晴れしないこと。気分のすぐれな い原因を虫のせいにしていう。用例彼女が結 婚してからというもの、彼はまるでふざぎの 虫にとりつかれでもしたように、さえない顔 をしている。 懷 一般の清涼剤 よい気分にさせる事柄。 用例疲れたときに聴く好 よい気分にさせる事柄。 用例疲れたときに聴く好 彼有凉剤です。 きな音楽は、まさに一服の清凉剤です 快哉を叫ぶ 愉快な出来事に喜びの声 をあげる。回「快哉」は、 「こころよいことだ」の意。感動を表す。用例 試合終了寸前の大逆転に、応援団は快哉を叫 んだ。 わきで見ていて、たいへ んばかばかしくおかし 片腹痛い」とも。用例社長のお嬢さん <84> と結婚するなんて触れ歩いているが、傍ら痛 い話だ。 気味がいい 嫌いな人の失敗などを見 聞きして、気分がせいせ いする。■「いい気味」とも。用例あいつのお しゃべりには閉口していたが、とうとう口が 災いして総好かんを食ったとは気味がいい。 小気味がいい なんとも痛快で気持ちが 味」を強めた言い方。用例きびきびした動作 で速球をどんどん投げ込む我が校のエース は、いつ見ても小気味がいい。 撮るっている 風変わりでおもしろい。 用例フランス料理にお茶 るっている。 漬けが付くなんて振るっている あまりにも現実離れして いて、おかしくてたまら ない様子。■「臍が茶を沸かす」とも。用例君 が僕と碁を打って勝つだって?勝てっこな いよ。へそで茶を沸かすよ。 胸がすく いやな気分が消えて、気 持ちがすっきりする。 胸のつかえがなくなる意から。用例宿敵との 対戦で君の打ったサヨナラホームランには、 胸がすく思いがした。 胸が晴れる 不安や気がかりなことが なくなり、気分がさわや かになる。用例今回の判決で無罪であることが認められて、ようやく胸が晴れた。 胸のつかえが下りる 心配事や悩み、わだかまりなどがなくなり、晴れ やかな気分になる。用例思い切って先生に自 分の悩みを相談したら、胸のつかえが下り た。 <85> 深飲が下がる 不満や恨みなどを晴らし て、気持ちがさっぱりす る。気がせいせいする。■「溜飲」は、飲み込 んだ食物が胃にたまった状態で、込み上げて くるすっぱい液をいう。用例君が彼から見事 な一本を取ってくれたので、ようやく僕の溜 飲が下がった。頬溜飲を下げる 笑いが止まらない うれしくてたまらず、自 然と笑いが込み上げてく る。用例なぐさみに買った宝くじで一等を当 てて、笑いが止まらない。 油断 ちよっとした油断や不注 意が、とんでもない大事 を引き起こす。用例この計画書、もっと細か いところまで詰めておかなくてはいけない ね。蟻の穴から堤も崩れるって言うからね。 気が緩む 緊張感がとけて気持ちが た激務から解放された彼は、気が緩んだせい か、最近何となくぼんやりしている。 気を抜く ほっとして緊張感を解 く。用例気を抜いて投げ 一く。用例気を抜いて投げ た一球が命取りになり、ホームラン一発で試 合が決まってしまった。 気を許す 信頼して警戒心をなく す。油断する。用例親切 なセールスマンだなんて気を許すと、有り金 全部とられてしまうこともありますよ。 うっかり油断してひどい めにあう。回明るい月夜 月夜に蓋を抜かれる <86> に釜を盗まれる意から。「月夜に釜」とも。 用例入会金はいりません、なんて書いてある けど、真に受けると月夜に釜を抜かれてしま うぞ。 不覚を取る 油断から思わぬ失敗をし たり、恥をかいたりす る。用例負ける相手ではないのに不覚を取っ てしまい、あとでさんざん監督にしぼられ た。 目を離す 児期は、ちょっと目を離すと何が起こるかわ からないので、親は絶えず注意していなけれ ばいけない。 視線をよそに移す。油断 から警戒を怠る。用例幼 油断大敵 ちょっとした油断がもと で、思いがけない災難に っゅう気をつけよとい あったり失敗したりするから気をつけよとい うこと。用例今回の模擬試験では非常に好成 績だったようだが、油断大敵、これからも いっそう気を引き締めて頑張りなさい。 油断も隙もない 少しも油断できない。 「油断も隙もならない」 も。用例うちの子ときたら、お菓子だけはど こに置いても見つけ出してしまう。本当に油 断もすきもないんだから。 〒 醉う お神酒が入る 多少酒を飲んで、ほろ酔い機嫌になっている。 「お神酒」は、神前に捧げる酒。単に酒にもい う。用例今日は少々お神酒が入っております ので、失礼はお許しのほどを。 <87> 酒に呑まれる 醉っぱらって正気を失 う。泥酔する。■「呑ま れる」は「飲まれる」とも。用例百薬の長だと はいっても、酒にのまれると災いの種にもな る。 虎になる 酔って騒ぐ。酔って凶暴 一になる。用例ゆうべの彼 は、そうとう虎になっていたようだが、大丈 夫だったかなあ。 酔いが回る で広く用いる。用例みんなだいぶ酔いが回ってきたようだな。このへんでお開きにするか。 要求·要望 注文を付ける は、時には料理に多少の注文をつけることも あります。 無い物ねだり そこにないものを、やた 都内で家を建てるなどと、無い物ねだりを いっても仕方がない。 矢の催促 早くするようにとの続け ざまの厳しい要求。激し い催促。用例期限がきてからというもの、も う矢の催促で、まるで人が変わったように見 えました。 欲を言えば 言えば 今のままでも満足する が、さらに望むとした ら。用例欲を言えば全教科が平均点以上だと いいのだが。 <88> 意地が汚い 物欲や食い意地が激しく、いやしい。がつがつ している。■「意地汚い」とも。用例あいつの 意地が汚いのは昔からで、あれはいつになっ てもなおらないね。 色気を出す あわよくばという下心を 抱く。あるものに対し て、関心や欲求を示す。用例彼は何にでも色 気を出すが、長続きしたためしがない。 湯を覚える 是が非でも得たいという 欲求にかられる。用例仕 事に追われて読書をする時間ももてず、この ごろしきりに本に対する渇きを覚えるように なった。 禁断の木の実 試みることを許されない 快楽や欲望のこと。▪ア ダムとイブが食べるのを禁じられていた知恵 の木の実を食べたため、エデンの園から追放 されたという『旧約聖書』の話による。用例二 人はいま、禁断の木の実を味わった報いを受 けている。 転んでもただは起きぬ たとえ災難にあっても、 そこから何か利益を得よ うという貪欲さをいう言葉。用例彼のように 転んでもただは起きぬ男が示談の相手じゃ、 君も覚悟を決めてかからないと大変な目にあ うぞ。 姿変っ気が多い 名誉や利益を欲しがる気持ちが人一倍強い。用例 あの先生は意外に娑婆っ気が多くて、やたら 政治家との交際を広めているということだ。 <89> 食指が動く 物を欲しがる気持ちや、 起こる。回「食指」は、人差し指。用例こうい う絵画は僕の趣味じゃないな。まったく食指 が動かないよ。出典「楚人、龍を鄭の霊公に 献ず。公子宋と子家と将に見えんとす。子公 (二公子宋)の食指動く。以て子家に示して日 く、他日我此くの如なれば、必ず異味を甞 む、と(楚の人が鄭の霊公にすっぽんを献上 した。ちょうどその時、公子宋と子家が霊公 に謁見しようとしていた。公子宋の人指し指 が動いた。それを子家に見せて言った、いつ か私はこの様子だと、きっと珍しいごちそう にありつくことになりそうだ、と)「春秋 左氏伝」宣公四年)圓食指を動かす 霊湯の的 欲しがっても手に入らないものや、多くの人から うらやましがられているもの。「垂涎」は、 食べたくてよだれを流す意。用例彼ご自慢の 赤いスポーツカーは、僕たちの垂涎のだ。 算盤高い る。用例彼はこの話には乗ってこないよ。そ ろばん高い男だから、うまみのない話には関 心を示さないのさ。頻勘定高い 何かを行うとき、自分の 損得をまっさきに考え 高嶺の花 欲しくても見るだけで、 手にすることのできない もの。用例マイホームか。そりゃあ欲しい さ。でも僕の給料では高嶺の花だ。 生噠を飲み込む 目の前にあるものが欲しくてたまらない様子。 ごちそうを目の前にして、つばを飲み込む意 から。用例十年来探し求めていた古本を友人 宅で見せられ、思わず生つばを飲み込んだ。 <90> にして、早く食べたくて 仕方がない様子。用例ずらりと並べられた豪 華な料理に、思わずのどが鳴った。 喫から手が出る 欲しくて我慢できない様 子。用例この機種のパソ コンは僕ものどから手が出るほど欲しかった んだが、高価なんであきらめたんだ。 欲望にとらわれて、正し い判断ができなくなる。 用例 供述によると、金に目がくらんで犯行に 及んだということだ。 熱望はしているが、そう やまやま 山山 もいかない事情があると いう気持ちをいう言葉。用例君と旅行したい のはやまやまだが、あいにくと母が病気なの で今回は同行できないんだ。 指を衝える 見ている。用例幼いころの私は、近所の子供 たちが楽しそうに遊んでいるのをいつも指を くわえて見ているような子供でした。 できず、むなしくそばで 人一倍、物を欲しがる気 持ちが強い。用例みんな に一つずつだといってあるのに素知らぬ顔を して持っていくとは、彼も欲が深い。 欲につられて一生懸命に 頑張ること。用例幹事だ からと口では言うが、あの男は欲と だから裏では甘い汁を吸っているんだろう 欲の皮が張る へん欲張りである。用例 欲の皮が張っているから、もうかるとみると 何にでも手を出す。 <91> 涎が出る あるものを見て、欲しく る。用例新車展示場には、よだれが出るよう な車がずらりと並べられている。 てたまらない気持ちにな よだれ た 遅を塗らす ら、それを見聞きする様子。用例彼の持って いる釣り道具といったらいずれも見事なもの ばかりで、僕などいつもよだれを垂らして見 ている。類涎を流す 藩囲・ぢっかり 青葉に塩 急に元気をなくしてしょ げかえる様子。青菜に 塩をかけると、しおれてしまうことから。 用例彼女にふられて、彼はいま青菜に塩の状 態だ。 片腕をもがれたよう 信頼する補佐役の人物を 失った悲しみの様子。 「片腕」は、自分の一方の腕のように働いてく れる人の意。用例中村君の突然の死の知らせ を聞いたときは、文字どおり片腕をもがれた ような気分だった。 聞を落とす 力が抜けて両腕が垂れ下 がる意で、失望したり気 力を失ったりする様子。用例不合格だったら しく、息子はがっくりと肩を落として帰って きた。 気が抜ける 緊張感を失って、ぼんや りする。張り合いがなく なる。用例雨で試合が順延になり、すっかり 気が抜けてしまった。 <92> 気勢をそがれる 意気込んでいた気持ちを はぐらかされる。用例優 勝候補と目されていた対戦相手がけがで棄権 し、気勢をそがれてしまった。 気を落とす 物事が自分の思うように いかず、がっかりする。 気力をなくす。用例この程度の失敗で気を落 としてだめになるような彼ではないから、大 丈夫だよ。 腹が碎ける ナ・失う。■腰の力が抜 けて態勢がくずれる意から。用例やっと実用 化のめどが立ったところに開発は見送りとい うので、研究チームのみんなは腰が砕けてし まった。 生き生きとした元気よさ が見られない様子。用例 生彩がない 最近の彼は何となく生彩がないようだが、ど こか体の具合でも悪いのだろうか。類生彩を 欠く 力を落とす 失望したり不幸な目に あったりして、気力を失 う。用例彼は奥さんを事故で亡くしたそうだ が、会社では力を落とす様子も見せずに頑 張っている。 音を上げる 困難・苦難に耐えられ ず、弱気になる。用例こ のくらいの練習で音を上げるようでは一流の ランナーにはなれないぞ。 張り合いが抜ける やりがいを失って、張り つめていた意気込みがな くなる。用例君という最大のライバルを失っ てしまったら、僕としても張り合いが抜けて しまうよ。 <93> 回「腑」は、こころの意。 用例このところ数日、腑の抜けたような生活 を送っているが何かあったのだろうか。 目の前が暗くなる いになる。用例健康には自信をもっていただ けに、医者から三か月の入院が必要だと言い 渡されたときは、目の前が暗くなった。 弱畜を吐く ず、意気地のないことを 決して弱音を吐くような男ではない 笑う・笑い 顔が外れる ひどくおかしくて、大き おとがい頭を解く 様子。用例評判の高い喜劇だけあって、僕は く口を開けて大笑いする あごが外れるほど大笑いした。類額を外す 大きく口を開け、あごが 外れるほど大笑いする。 用例忘年会に演じた座興がおもしろくて、み んなおとがいを解いて笑いころげた。 顔をほころばせる うれしくて笑い顔にな ろばせる る。につこりする。用例 数年ぶりの再会に、彼は顔をほころばせて僕 の肩をたたいた。 白い歯を見せる 親しげに、また、うれし そうに笑顔を見せる。 用例結婚が決まった友人にお祝いの言葉をか けると、彼女は白い歯を見せて「ありがとう」 と言った。 <94> 相好を働す 笑い顔になって、いかに もうれしそうな様子を見 せる。回「相好」は、顔つきの意。用例孫のや んちゃぶりを、父は相好を崩してながめてい る。 腹の皮が摂れる あまりのおかしさに、笑 いがとまらない様子。 用例彼の物真似があまりにこっけいなので、 見ていた私たちは腹の皮がよじれるほど笑い 腹を抱える おかしがって、大笑いを 敗談を、身振り手振りを交じえておもしろお かしく話すので、一同腹を抱えて大笑いし た。 ひどくおかしくて大笑い する。用例何がそんなに おもしろいのか、弟たちは腹をよじって笑い ながらテレビを見ている。顔腹を縒る・腹が 振れる 頬が緩む 宴での新郎は、終始頰が緩みっぱなしであっ た。 目を細くする うれしさやかわいさで、 顔に笑みをたたえる。 「目を細める」とも。用例誕生日のプレゼント にセーターを贈ったら、祖母はそれを何回も 広げてみては目を細くしている。 笑いを噛み殺す 笑いたいのを懸命にこら える。■「笑いを殺す」と も。用例社長の訓話の最中にどこからともな くいびきが聞こえてきて、社員は笑いをかみ 殺すのに精一杯だった。 <95> からだ・性格・態度を表す慣用句 <96> 厚かましいぎうぎうしい 海千山千 経験を積んで世間の裏表を知りつくした、したた か者。■海に千年、山に千年住んだ蛇は竜に なるということから。用例相手は海千山千の 商売上手だ。よほど注意して交渉に臨まない と失敗するよ。 心臓が強い の接待のうえに、手みやげまで要求するなん て、彼の心臓が強いのにもほどがある。 ころがない。用例丸抱え 心臓に毛が生えている 普通の神経では考えられ ないほど、ずうずうし い。用例お前の世話にはならないなんて言っ ておきながら、一日たつと、頼みがあるんだ なんて言ってくるんだ。あいつは心臓にもが 生えているんだな。 面の皮が厚い 恥知らずで、ずうずうし 用例まだ前の借金を 返していないのに、のこのこ出かけてきて金 を貸してくれと言うんだから、あいつも面の 皮が厚いやつだ。 との面下げて 恥ずかしげもなく。厚か ましくも。用例さんざん 世話になりながら、捨てぜりふで店を飛び出 していった彼が、どの面下げて戻れるという のか。用法非常に恥知らずな態度に対して不 快を表す言い方。 盗人猛猛しい 悪いことをしても平気で、ずうずうしくしてい る。■盗みが明るみに出ると、かえって居直 る意。「ぬすつと」は「ぬすびと」とも。用例会 <97> 社にあんなに損害を与えておいて、なおかつ 退職金を要求してくる。盗人猛々しいとは、 まさにこのことだよ。 虫がいい 自分の都合のいいことば かり考える。身勝手であ る。用例自分でひょいひょい引き受けておい て、いざとなったら、お前代わりにやってく れなんて、虫がいいにもほどがある。 威啟·威儀 辺りを払う 他の者を威圧する。周囲 の者を寄せつけないほど 堂々としている。用例政界の大物といわれて いるあの人は、さすがにどんな場所に出ても 辺りを払う雰囲気を漂わせている。 押しが利く どおりに・・・ふ力があ る。用例課長は押しが利くから、契約のとき は一緒に行ってください。 押し出しがいい 人前に出たときの見かけ が立派である。態度に見 栄えがする。用例彼はまだ若いけれども、押 し出しがいいのは父親譲りだ。きっといい事 業家になるだろう。 押しも押されもしない 実力が備わり、ほかから の評価もよく、威厳が揺 るがない。用例連戦連勝で大記録を打ち立て た彼は、押しも押されもしない名横綱となっ た。 顔が利く 顔を知り合っている間柄 であったり、人柄が相手 たりして、無理が通る。 に十分認められていたりして、無理が通る。 <98> 用例この近所に僕の顔が利く店があるから、 ちよっと一緒に行ってみようか。顔顔を利か す 神を贅る 礼儀が正しすぎて、かえって堅苦しくなる。い かにも儀式ばった態度をいう。回「袢」は、江 戸時代の武士の礼装。用例いくら仕事上の付 き合いだからといっても、君みたいにいつま でも袢を着ていたんじゃ、相手だって打ち解 けられないぞ。 示しが付かない ない。用例親がいいかげんなことばかりして いたら、子供に示しがつかないじゃないです か。 行いが他に悪い影響を及 ぼしかねず、模範になら 改まって身構える。また、 正面から応じないで、皮 肉な態度をとる。▪刀を斜めに構えて、戦う 気構えを見せる意から。用例何が気に入らな いのか知らないが、最近あいつは斜に構えて いるから付き合いずらいんだ。 箔が付く 銅・錫などをうすく打ち延ばしたもの。器物 などの仕上げに、表面にはるところから。 用例あの人の書の腕前も、今年の展覧会に入 選したことで箔がついた。類箔を付ける 武士は食わねと高楊枝 貧しくても浅ましい態度 は見せないこと。■武士 は貧しくて食事ができないときでも、楊枝を 使って満腹していることを装うものだの意か ら。用例そう出費のことばかり言って嘆くな よ。そういうときは、武士は食わねど高楊枝 で我慢するさ。 <99> 勿体を付ける ことさら重々しく気取っ た態度をとる。尊大に振 る舞う。用例彼に何かを聞きにいくと、き まってもったいをつけた講釈を聞かされてし まうんだ。 大げさ・誇張 おおよろしきひろ 大風呂敷を広げる 実現不可能な大それたこ とを考える。実際以上に 大げさな話をする。用例彼は、うちに来ると いつも将来について大ぷろしきを広げていく が、いつこうに実現する様子がない。 大見得を切る 自信があることをことさ を切る らに強調する。偉そうな 大げさな態度をとる。■「見得」は、芝居の見 せ場で、役者が演じる大仰な表情や動作。 「見得を切る」とも。用例皆の前であれだけ大 見得を切って引き受けた以上、今になってで きませんとは言えない。 尾鑽が付く わって、話が大げさにな る。用例同窓会の打ち合わせで彼女と喫茶店 に入っただけなのに、話に尾ひれがついて、 結婚のうわさが流れているそうだ。類尾鰭を 付ける 牛刀をもって鶏を割く 小さなことを処理するの に大げさな手段を用いて 行う。牛を切る大きな包丁で、小さな鶏を さく意から。用例君のやり方を見ていると、 牛刀をもって鶏を割くきらいがある。出典 「鶏を割くに焉くんぞ牛刀を用いん(鶏を割く ためにどうして牛刀を用いる必要があろう <100> しんにゅう か 之繞を掛ける 程度をはなはだしくす る。程度が並外れてい る。「之繞」は、漢字の部首の一つ。用例親 父も頑固だが、じいさんはその親父にしん にゆうを掛けるほどの頑固者だったらしい。 嘯り物入り 物事を大げさに宣伝する 様子。■芝居で、笛や太 はやし 鼓などの囃子を入れて、雰囲気を高める意か ら。用例彼は鳴り物入りで転職してきたわり には、鳴かず飛ばずじゃないか。 熱を吹く 大げさにしゃべり散ら す。言いたい放題に言 う。勝手な熱を吹く」とも。用例彼はこの 店の常連さんなんだけれども、少し酒が入る と熱を吹いて、機嫌よく帰っていくんです よ。 はったりを利かせる いいかげんなことをまことしやかに大げさに話し たり、人を脅かすように振る舞ったりする。 用例たまにははったりを利かせるのも悪くは ないが、そう君のようにいつも使っていては 効果がないよ。 法螺を吹く 大げさな話をする。でた らめなことを言う。■法 螺貝を吹き鳴らして、大きな音を立てること から。用例ほらを吹くのもいいかげんにして おかないとだれも相手にしてくれなくなる ぞ。頼喇叭を吹く 輪を掛ける さらに程度を大きくす る。誇張する。用例あの 人は正直に輪を掛けたような人だから、うっ かり冗談を言うと、後でこっちが恐縮してし まうことがよくあるんだ。 <101> 犬の速吠え 臆病な人が陰で威張った り、他人を非難したりす ること。用例彼らが言っていることは、犬の 遠ぼえというやつで、問題にならない。 臓病風に吹かれる 恐いという気持ちになる。びくびくしてしり込 みする。用例彼は気が小さいのか、仕事で多 少込み入った話になるといつも臆病風に吹か れる。 肝が小さい ちょっとしたことにもう ろたえる様子。度胸がな い。肝つ玉が小さい」とも。用例彼は肝が 小さい男で、何かやろうとすると、いつも細 かいことばかり気にして、なかなか実行でき 尻の穴が小さい 臆病で度量が狭い。 「しり」は「けつ」とも。 用例君もこのくらいの失敗でおじけづいてし まうようではしりの穴が小さいと笑われても 仕方あるまい。 腹がない いつは腹がない男だから、そんな大きな仕事 を任せるのは無理だよ。 落ち着く 腰が据わる 他のことに気をそらしたり、手を出したりせず、 熱心に一つのことに取り組む。■腰がしっか <102> りと落ち着いている意から。用例彼はまった く腰が据わらない男で、また勤めを替えたそ うだ。 腰を落ち着ける 長く居続ける気持ちで一 定の所に身を置く。真剣 に心構えをする。用例あいつも好き勝手な生 活をしていたが、ようやく腰を落ち着けて仕 事をする気になったようだ。 腰を据える 一くり落ち着いて物事に励 む。用例この問題については、お互いに腰を 据えて話し合ってみようじゃないか。類尻を 据える 一か所に落ち着く。じっ 尻が暖まる 満足して長く同じ場所に 落ち着いている。用例彼 はよほど長野の山並みが気に入ったらしく、 すっかりしりが暖まって住み着いてしまっ た。頬尻を暖める 尻が長い 人の家を訪れてなかなか 帰らない。長居である。 用例しりが長いのも先方に迷惑がかかります から、ほどほどに帰って来なさい。 根を下ろす 物事が受け入れられて定 着する。地位などが世間 に認められて確実なものとなる。用例ハイテ ク機器は、職場でも家庭でもすっかり根を下 ろし、もはやそれ抜きでは生活できない世の 中になった。 根を生やす 一つの場所に落ち着いて 長く居続ける。物事が 人々の間で受け入れられて定着する。用例彼 はあの映画がよほど気に入ったらしく、朝か ら晩まで映画館に根を生やしていたらしい よ。 <103> 神奥を据える じっくり落ち着いて長居 をする。 巣を腰に かけた言葉。また、「神輿」は「御輿」とも。 用例彼は酒が入るとみこしを据えて動こうと しないのが悪い癖だ。 おとなしい 角が取れる なる。用例彼は何かと人に突っ掛かるところ があるが、家庭をもったら、いくぶん角が取 れるだろう。 年をとったり苦労をした して、人柄が穏やかに 借りてきた猫 普段とちがって、とてもお となしくなる様子。用例 やっぱりうちの子は内弁慶なんでしょうか ね。よその家に行くと借りてきた猫のように おとなしくていい子になってしまうんです。 屈託がない 何も気にかかることがない。くよくよするところ がない。用例君みたいな性格はうらやましい よ。どんなことがあっても屈託がない様子で いられるんだから。 圭角が取れる 角がなくなり、人柄が穏 圭角は、 やかになる。 ■圭角は、 玉のとがった部分。用例彼もこのごろ圭角が 取れて、部下の面倒もよくみているようだ。 最初に生まれた子は、と 総領の甚六 かく大事にされがちなの で、お人好しでぼんやりしている と。■「総領」は跡取り、嫡子、「甚六」は、お 人好しの意。用例あの兄弟は、弟が何でもて きぱきとやってしまうから、兄さんは総領の <104> 罪がない 無邪気である。純真でと がめようがない。用例 やっと歩きはじめたような子にいたずらされ ても、罪がないような顔でにこりとされると かなわないね。 虫も殺さない な様子。用例あの虫も殺さないような顔をし た青年が、実は今度の事件の犯人だったなん て信じられません。 殺生などできるはずがな いほど、やさしく穏やか 悪か 悪事などを全部隠したっ もりでいて、隠しきれて いないことに気づかない様子。▪雉子が韋も らに隠れたとき、首は隠しても尾が外に出て いる様子から。用例ケーキをつまみ食いした のは君だろう。頭隠してしり隠さずで、口の 横にクリームがついているよ。 井の中の蛙 ひとりよがりで見識が狭 く、広い社会のことを知 らない人をいう。■小さな井戸の中にいるか えるにとっては、そこが全世界であり、ほか に大きな海があるなど知るよしもないの意か ら。「井の中の蛙大海を知らず」とも。用例彼 は井の中のかわずで、世間には彼以上の人が たくさんいるのを知らずに、秀才を鼻にかけ ている。 愚の骨頂 このうえもなくばかげて いる様子。非常に愚かな 最上、究極の意。用例台 こと。 ■「骨頂」は、最上、究極の意。 用例台 <105> 風が近づいているのに海水浴に行くなんて、 愚の骨頂だよ。 血の巡りが悪い 判断力が鈍く、相手の言 おうとしている意味など が、とっさに理解できない。用例お前も血の 巡りが悪いやつだな。彼女は遠回しに、お前 と一緒に行きたいと言っているんだよ。 東西を弁えず 物事の道理を理解できな い。■東西を弁ぜず」と も。用例東西をわきまえず、そんなことを口 にするものではない。 貧すれば鈍する 貧乏になると、生活にお われて物事を考えている 余裕がなくなり、心まですさむ。用例貧すれ ば鋤するとは言うけれど、あんなに面倒見の いい人だった彼も、最近じゃ自分のことしか 考えてないようだね。 聞が抜ける 物事の大切なところを忘 れたり、機会を逸したり して、ばかげて見える。用例答案用紙に名前 を書き忘れるなんて間が抜けたことをしない ように、最初にしっかりと書くんだぞ。 賢い・見識 一を聞いて十を知る 一端を聞いただけで物事 の全体を理解する。非常 に聡明である。用例彼は、一を聞いて十を知 る男だから、今度のことは彼に任せておけば いいと思うよ。出典「子、子貢に謂いて曰く、 女と回と孰れか愈れる、と。対えて曰く、賜 や、何ぞ敢て回を望まん。回や、一を聞いて 以て十を知る。賜や、一を聞いて以て二を知 <106> るのみ、と(孔子が子貢に語った。お前と顔 回とではどちらがすぐれていると思うか、 と。子貢は答えて言った。私には顔回のよう になろうとしても及びもつきません。顔回 は、一を聞いただけで十を知ってしまいます が、私は、一を聞いてせいぜい二を知るくら いのものです、と)(論語』公冶長) 視野が広い 観察や考えの及ぶ範囲が 広く、全体的な成り行き をつかむことができる。用例専門が細分化さ れればされるほど、視野の広い人材が要望さ れるようになる。対視野が狭い 世間のさまざまな事情を よく知っている。世渡り がうまい。用例弟はまだ若いのに、兄の私よ りずっと世故にたけていて頼もしい限りで す。 先見の明 事がはっきりしないうち 識。■「先見の明がある」とも。用例この人気 商品を昨年のうちに安く大量に仕入れていた とは、君の先見の明には恐れ入った。 に、前もって見通す見 耳が肥えている 音楽などを数多く聞いて いて、それを鑑賞する能 力がすぐれている。用例彼は耳が肥えている から、通り一遍の演奏では満足しないだろう。 見る目がある 物事や人物の価値、実力 を見抜く能力がある。 用例君に目をつけるとは、さすがに部長はな かなか見る目があるね。対見る目がない 目が利く 物のよしあしや真賢を見 分ける能力がすぐれてい る。用例骨董品に目が利くという点では、専 門家も彼に一目置くほどです。 <107> 目が肥える 美術品・骨董などのすぐ れたものを数多く見て、 鑑賞する能力が豊かになる。用例彼のおじい さんのコレクションのすごさを見てごらん よ。ああいうのを見て育ったら目が肥えるよ。 目が高い 物事のよしあしや価値な 一どを識別する能力がすぐ れている。用例このデザインをお選びとは、 さすが奥様はお目が高い。 目から鼻へ抜ける 聰明で、すばやく判断し て対応する。抜け目がな い。用例彼女は目から鼻へ抜ける人だから室 長の信任も厚い。 目先が利く まく処置する。用例彼 目先が利く男だから、今回の株の暴落でもう まく売り抜けて損はしなかったということ だ。頬目端が利く 物が分かる ている。他人の気持ちを 思いやることができる。用例彼は物が分かる 人だから、相談してみるといいよ。きっと力 になってくれるよ。 読みが深い にすぐれている。現た 状態から先の成り行きを予測できる。用例彼 が近々転勤することがわかっていたなんて、 君もよほど読みが深いね。対読みが浅い 機転機敏 味なことをやる 予想外に巧みなことをす る。うまく取りさばく。 <108> 味をやる」とも。用例普段あんなに威張り 散らしている彼に一泡吹かせるとは、彼女も なかなか味なことをやるね。 気が利く 細かなところまで注意や 配慮が行き届き、臨機応 変な対応ができる。用例宴会のたびに差し入 れをしてくれるとは、今度の部長は気が利く と社内で評判だ。類気を利かせる 気が回る 加なところまで注意が 一行き届き、周囲の状況な どを敏感に察する。用例この仕事の段取りを するには、君のように気が回る人が責任者に ならなければだめなんだ。 機知に富む その場の状況をよくする ようにとっさに知恵が働 く。用例会議の行き詰まったような雰囲気の とき、彼の機知に富んだ発言で救われること が何度もあった。 機転が利く 時に応じてとっさに知恵 が働く。適切な行動がと れる。用例あわや飛行機同士の衝突という数 十秒前に、管制官の機転が利いて未然に防げ た。類機転を利かせる 機を見るに敏 物事の起こるきっかけを 見逃さずに、すばやい対 応をする様子。用例機を見るに敏な投資家た ちだけが、今回の暴落による損失を免れた。 こまわ小回りが利く 状況に応じてうまく対処 することができる。■車 などが、小さなスペースで回ることができる 意から。用例彼は小回りが利くから、どんな に忙しくてもうまく仕事をこなしていく。 知恵が回る 頭の回転がはやく、その 場その場でいい考えが浮 <109> かぶ。用例彼は子供のころからよく知恵が回 るほうで、数学の応用問題などお手のもの だった。 状況に応じて物事を適切 に処理することができ る。用例彼は融通が利く男だから、それだけ 説明しておけば、あとは自分の判断でやって いけるよ。 気取る 乙に澄ます むやみに気取る。自分に は無関係だという様子を する。用例今日の彼女は乙に澄まして通り過 ぎて行っちゃったけど、何か気に障ることで も言ったかなあ。 科を作る もったいぶった態度をと る。女性が男性の気をひ こうとする様子。■「科」は、「品」「嬌態」と も。用例あの女性、店の前で彼氏にやたらと しなを作っているけど、ネックレスでもね だっているのかな。類科を付ける 児栄を張る して、無理にうわべを飾 る。用例見栄を張って高いプレゼントをした ばっかりに、今月は火の車だ。 氣長·氣短 性格がおおらかでのんびりしている。物事を焦らず時間をかけてする様子。用例こちらは急ぎ <110> の仕事のつもりなんですが、あの人は、一年 はかかりますなんて、気が長いことを言って いるんです。対気が短い 気が早い せっかちに行動する。確 かめずに性急に物事を行 う様子。用例旅行は半年も先だというのに、 もう洋服を新調するとは、君もずいぶん気が 早いね。 気が短い せっかちである。いらい かっぱやい。用例君も相当血の気が多いよう だね。彼の言葉じりをとらえて大騒ぎするほ どのことでもないじゃないか。 一緒に何かをするときの お互いの微妙な気持ちの 合いぐあい。回「阿吽」は、出す息と吸う息。 用例この曲芸には、二人の阿吽の呼吸が大切 になります。 双方の気持ちがぴったり と合う。用例指揮者と演 奏者の息が合って、すばらしい演奏だった。 類呼吸が合う いつぼ 歩を襲る 自分の主張を少し引っ込めて、相手の考えを聞き 入れる。■「一歩譲る」とも。用例先方の申し 出に一歩を譲ることで、ようやく契約を取り 交わした。 <111> 双方の気持ちが合い、う まくやっていける。 馬 と人の呼吸が合って、見事に乗りこなす意か ら。用例年齢は違うが、彼とは妙に馬が合 い、いまだに付き合いが続いている。 気が含う 気持ちが互いに一致す る。気持ちが通じ合う。 用例今度の試験がすんだら、気が合う者同士 で卒業旅行をしない?いい記念になると思 うんだけど。 調子が合う お互いの気持ちや考えが 一致する。用例酒場で話 をしていたら、妙に調子が合って、それ以来 友達になってしまいました。 肌が合う 気質や好みが合い、うま くいく。用例あの人とは 功している。 気質や好みが合い、うま くいく。用例あの人とは 相にやった仕事はすべて成 肌が合うのか、一緒にやった仕事はすべて成 歩調を合わせる 複数の人が、同じ目標な どに向かって統一的な行 動をとる。用例野党各党は、法案を廃案に追 い込むことで歩調を合わせるという。類歩調 が合う 技量 腕が上がる 訓練や努力の結果、技術が進歩する。上達する。 用例彼女は研究熱心だから、一年とたたない うちにめきめき料理の腕が上がった。選手が 上がる・腕を上げる お株を奪う ある人の得意な芸や持ち味を、別の人がそっくり <112> 真似たり、それ以上にうまく行う。用例その 子供の、大人のお株を奪うような名演技に大 喝采が沸き起こった。願お株を奪われる かたなら 雨を並べる 同等の地位・技量に達す る。用例今大会で彼は、 世界のトップ・ランナーに肩を並べる好記録 を出した。 手腕を振るう 力を発揮する。用例彼はこの地で以後三十年 も、行政官としての手腕を振るうことになっ た。 物事を行ったり処理したりするのに、すぐれた能 好きこそ物の上手なれ 何事も好きになれば熱心 になるので、自然と上達 する。用例あの人の練習ぶりを見ていると、 好きこそ物の上手なれということがよく納得 できる。 笏がいい 生まれつき備わっている 性質が、あることに向い ている。素質がある。用例体はそう大きくな いが、相撲の筋がいいから関取になるのも早 いだろう。 たたますますべん 多多益益弁ず 多ければ多いほど立派に やり遂げる。多ければ多 いほど好都合である。手腕や才能に余裕があ ることをいう。用例君は最近、忙しい忙しい と愚痴をこぼしているけれども、多々益々弁 ずだ。結構なことじゃないか。出典「上曰 く、我の如きは能く幾何に将たらんか、と。 信曰く、陛下は十万に将たるに過ぎず、と。 上曰く、君に於いては何如、と。曰く、臣は 多々益々弁ず、と(高祖が言うには、我が輩 は何人ぐらいの兵を率いることができると思 うか、と。韓信が言うには、陛下では十万人 <113> を率いるのが精一杯でございましょう、と。 高祖は言った、それではお前はどうだ、と。 韓信が言った、私は多ければ多いほどうまく 処理できます、と)(『十八史略』西漢) 潰しが利く の仕事でやっていける能 力がある。■金属製品は、つぶし溶かして再 生原料にできることから。用例彼は多才な男 だから、サラリーマンをやめてもつぶしが利 くだろう。 昔取った杵柄 こて鍛えた腕前。用例 プロ野球を引退したとは いっても、昔取ったきねづか、さすがにいい 球を投げる。 墨を摩す 至らない。 相手と同等の地位・技量 に達する。用例鍛えられ だ、先輩に塁を摩すには たといってもまだまだ、先輩に墨を摩すには 輕率 あとの 後は野となれ山となれ 当面の問題さえうまく片 づけば、後のことや、そ の結果はどうなってもかまわない。用例我々 のノルマは十分果たしたんだからもういい よ。次の班に引き継いだら後は野となれ山と なれだ。 鶏呑みにする 人の言葉や物事を十分な 理解や批判をしないで、 そのまま受け入れる。縄が魚を丸のみにす ることから。用例何も考えずに人の言うこと を鵜呑みにするから、後で恥をかくようなこ とになるのだ。 <114> 人におだてられてその気 になる。用例ついついお だてに乗って大役を引き受けてしまい、今に なって後悔している。 口が軽い 言ってはいけないことや、言わなくてもいいこ とまで言ってしまう。用例彼女にだけはその ことをしゃべらないでね、口が軽いって評判 なんだから。対口が堅い 尻が軽い 一ずみで慎重さを欠いた行 動をする。用例あいつに頼めば、しりが軽い からなんでもほいほい引き受けるよ。対尻が 重い 内容に深みがない。用例 彼の文章は評論とは言い がたい底が浅いものだ。若者に人気のある題 材を、今はやりの言葉で並べているだけの代 物だ。 調子がいい 相手の言動に合わせて機 嫌をとるのがうまい。 用例その場その場で言うことが巧みに変わり、本当に調子がいいやつだ。 調子に柔る おだてられていい気になる。得意になって、節度 を失った言動をする。用例あまり調子に乗る と、とんでもないことが起こるから気をつけ ないといけない。 若気の至り 若さにまかせて血気には やり、無分別な行動をし てしまうこと。また、その結果。用例入社三 年めで当時の営業部長と口論になり、若気の 至りでそのまま辞表を突き付けてしまったの です。 <115> 軽蔑・あなどる あまみ甘く見る 考える。 用例君はどうも この仕事を甘く見ているんじゃないかい。そ のうちにとんだ失敗をするぞ。 笑に付する つまらないことだと、 笑って問題にしない。ば かにして相手にしない。用例私が真剣に今の 窮状を訴えているのに、一笑に付してまじめ に取り合ってくれない。 馬の骨 らない者を見下げていう 言葉。用例一体全体どこの馬の骨とも知れな い者に、そんな大事な相談をもちかけるわけ にはいかない。 鬼が笑う 実現性のない望み・計画 などを口にする相手をか らかっていう言葉。■「来年の事を言えば鬼 が笑う」とも。用例いい年をしてそんな夢み たいなことばかり言っていると鬼が笑うぞ。 風上にも置けない 同じ仲間として、とても付き合っていられないと いう気持ち。性質や行動の卑劣な者を軽蔑し ていう言葉。▪悪臭を放つものは、臭くて風 上に置けないの意から。「風上に置けない」と も。用例正義をかざせば何でも許されると 思っているやつは、マスコミの風上にも置け ない。 眼下に見る 自分より低く見る。人を 見下す。用例有名商社に 入った友達は、いつのまにか僕を眼下に見る ようになった。 <116> 虚仮にする 人を侮る。ばかにした態 度をとる。■「虚仮」は、 愚かなこと、またはその人の意。用例あんま り人をこけにするなよ。そのうちひどい目に あうぞ。 舌を出す 相手のいない所で、その 人をばかにしたり悪口を 言ったりする。用例彼は会うとなんだかんだ といって人をほめるけれども、陰では舌を出 しているそうだ。 尻目に掛ける 人をさげすみ、まともに 取り合わない。■目を ちょっと動かすだけで、相手をまともに見な い意から。用例あいつは最近高級車を乗り回 して、人を尻目に掛けている。 冷ややかな目つきで見 白い目で見る る。用例理由はわからな いけれども、近ごろみんなは僕を白い目で見 るんだ。 高を括る 高く評価せずにばかにす る。軽くみる。用例相手 チームの実力はたいしたことはないだろう と、高を括ったばかりに大失敗してしまっ た。 営めて掛かる 軽く考えて行動する。相 手を見くびって対応す る。用例君の成績なら大丈夫だろうと思うけ ど、一発勝負の試験だからなめて掛かると失 敗するよ。 呑んで掛かる 相手の実力が自分より劣 ると思い決めて立ち向か う。侮って相手をする。用例今度の新人は確 かにすごいが、こうペテラン連中がのんで掛 かられていたんじゃ示しがつかない。 <117> 爲鹿にする 相手を侮った言動をす る。相手を軽く見る。 用例彼は何でも器用にこなすから、素人だと 思ってばかにすると、とんでもないことにな るよ。 鼻毛を数える 女性が、言い寄る男性を もてあそぶ。用例お前は 夢中になっているからわからないだろうけ ど、彼女はお前の鼻毛を数えているだけだ よ。願鼻毛を読む 鼻で笑う う「鼻先で笑う」とも。用例一週間考えぬい た案を会議で発表したのだが、皆に鼻で笑わ れてくやしい思いをした。 人を人とも思わない 思い上がって、他人はど うでもよいと考えてい る。用例人にものを頼んでおいて、今になっ てもう必要がなくなったなんて、人を人とも 思わない彼の態度は許せないね。 目蓑鼻蓑を笑う ず、他人の欠点をばかに して笑う。目くそが鼻くそのことを汚いと あざ笑う意から。「目糞が鼻糞を笑う」とも。 用例あの二人の言い争いなんて、僕から言わ せれば目くそ鼻くそを笑うようなものだ。 健康·病気 薄紙を制ぐよう 病状が日を追って少しず つよくなる様子。用例親 父は薄紙をはぐように、元気を取り戻してい る。 <118> 鬼の霍乱 日ごろ元気な人が珍しく 病にふせること。■「霍 乱」は、日射病、暑気あたりのこと。用例部 長が病気で倒れたというが、まさに鬼の霍乱 というべきか。 体が続く 体力を維持している。重 為にもかかわらず、健康を保っている。用例 体が続く限り、世界の山に登ってみたいと 思っています。 労働や長い間継続する行 体に障る 健康をそこねる原因とな る。健康に害になる。 用例運動が健康によいといっても、あまり過 激なことをすると、かえって体に障ります。 無理をして病気になる。 加らだこれ 体を懐す 用例君のように木みも上 一用例君のように休みもと らないで仕事をしていたのでは、体を壊すの も無理はないよ。 気の病 悩みや心配事で精神が疲 れてかかる病気。用例人 間関係の煩雑さが原因で、気の病にかかる人 が多いらしい。 酒は百葉の長 適量の酒は、どんな薬よ りも効果があるというこ と。用例酒は百薬の長というように、なんで もほどほどにしておくことです。出典「それ 塩は食肴の将、酒は百薬の長にして、嘉会 の好なり(塩というものは料理のかしらであ り、酒はあらゆる薬にまさるもので、かつめ でたい会合にふさわしいものである)」(漢 書食貨志) 床に臥す 病気で寝込む。用例元気 だった祖母も、その年の 床にふすこととなった。 正月を迎える前に床にふすこととなった。 <119> 床を上げる 病気が治って、寝床から 離れる。用例長煩いして いた祖父が、ようやく床を上げることになっ た。対床に臥す 腹も身の内 腹も体の一部なのだか ら、無茶食いはよくない という戒め。用例好きな食べ物が出たからと いっても、腹も身の内だからね。 蒲柳の質 柳の質だから、無理に運動をさせてはいけな い。出典「顧悅、簡文と同年なれども、髪つ とに白し。簡文曰く、卿何を以て先ず白き か、と。対えて曰く、蒲柳の姿は、秋を望ん で落ち、松柏の質は、霜を経て弥々茂る、 と(顧悅は簡文帝と同い年であったが、髪は すでに白くなっている。簡文帝が、君はなぜ 私より早く白くなってしまったのかと言う と、顧悦は答えて言った、蒲柳の性質は秋を 待ちのぞむようにして葉が落ちますが、松柏 の性質は霜がふるころを過ぎてもますます盛 んに生い茂るものでございます、と)(世説 しんご 新語言語) 身が持たない 体力が持続しない。健康 を維持できない。用例と きどき休まないと、とてもじゃないが身が持 たない。 脈を取る 診察する。用例やはり長 一いこと脈を取ってもらっ ているかかりつけのお医者さんのほうが安心 できます。 楽証に親しむ 病気がちで、絶えず薬を 飲んでいる様子。用例年 <120> 老いて、ここ二、三年薬餌に親しむことが多 くなった。 病は気から 心の持ちようで病気は重 くもなり、軽くもなる。 用例病は気からというから、そんなにくよく よ考え込まずに、必ず治ると信じて療養に努 めたほうがいい。 強情·頑固·意地 固定観念にとらわれて、 状況に応じた柔軟な考え 方ができない。強情で、自分の説を曲げよう としない。用例あんなに頭が固い人を責任者 において、職場の活性化などが望めるのだろ うか。 意地になる 周囲の反対にあったり、 きれたりして、かえって無理にでも考えなど を押し通そうとする。用例一人で大丈夫だと 見得を切って引き受けた仕事なものだから、 彼は意地になって頑張っている。 意地を通す 他人の批判や自分の損得 を度外視して、心に決め たことを押し通す。用例家族の反対を押し 切って入った道なのだから、意地を通すつも りで頑張りたまえ。 意地を張る 状況や立場などを考慮せ ず、あくまで自分の考え を押し通そうとする。用例仮に君の言うとお りにならなくても、事情はたいして変わらな いんだから、そこまで意地を張る必要はない だろう。 <121> 何にでも自分の意見を言 人。用例一言居士といわれる彼が、そうやす やすと賛成するわけがない。 一点張り かたくなにあることを押 し通そうとすること。 ぼくちで一か所にだけ金をかけ続けることか ら。用例何度腰を低くして協力を求めても、 だめの一点張りでどうしようもない。 老人の一徹 老人の、かたくななまで に自分の考えを押し通そ うとする頑固さ。 用例いくら家族が親身に ず、祖母は老人ホームへの入居を決めてきた 自分の考えや意向を押し 押しが強い 一通そうとして、相手に譲 ろうとしない。強引だ。用例彼は押しが強い ものだから、周囲は皆彼の言いなりになって いる。 て他人の言うことなど には従わない。強情である。用例彼は我が強 くて、いったん言い出したら人の意見など聞 こうとしない。 片意地を張る 状況などにはおかまいな しに、思うことを頑固に 押し通そうとする。用例君がいくら片意地を 張って頑張っていても、相手がそれを認めな い以上、どうしようもないではないか。 我を張るがは 何が起ころうとも、自分 の考えを強情に押し通そ うとする。用例つまらないことに我を張るよ り、冷静になって考えてみることが大切だ。 願我を立てる <122> 気が強い 気性が激しく、弱気に なったりくじけたりしな い。勝ち気である。用例彼女は気が強いか ら、どんなに仕事がきつくても、泣き言を言 わずやり通す。 強情を張る 自分の意見などを頑固に 押し通そうとする。用例 弟は強情を張って、謝るどころか、自分の非 すら認めようとしない。 琴柱に膠す 融通がきかず、周囲の変 化に対応することができ ない。■琴柱を膠で固定すると、音の調子を 変えることができないことから。用例あえて そういう規則を設けては、かえって琴柱に膠 するようなことにならないか。出典「蘭相如 曰く、王、名を以て括を使うは、柱に膠して 懸を鼓するが若きのみ。括は徒に能く其の父 の書伝を読むのみにして、変に合うを知らざ るなり、と(藺相如が言った、王が名声だけ で趙括を用いようとなさるのは、まるで琴 柱を膠で固めて瑟をひくようなものです。括 はただ父親の書き伝えたことを読んで学んだ にすぎないので、変化に応じる術を知らない のです、と)(史記)藺相如伝) やくしじようぎ 杓子定規 形式にとらわれて、応用 や融通がきかないこと。 ■曲がった杓子の柄を定規として使用する意 から。用例人間はそれぞれみんな違うのだか ら、君のように杓子定規に対応してもうまく いかないよ。 情が強い 強情で、妥協しない。意 地っ張りだ。用例彼女は 情がこわいから、他の女子社員とも折り合い が悪いようだ。 <123> 梃子でも動かない どんな方法を用いても、 その場から動かない。 人がいくら働きかけても、絶対に意志を変え ない。用例父は職人気質の頑固者で、一度言 い出したら周りから何と言われようと梃子で も動かない。 鼻つ柱が強い 向こう意気が強く、容易 い。用例彼も鼻つ柱が強いから、今回の一件 では説得するのにずいぶん苦労したよ。 耳を塞ぐ 人の意見や忠告などを、 しいて聞こうとしない。 聞こえないようにする。用例彼も親の意見に まで耳をふさぐようでは、とても改心の見込 みはない。 向きになる ちょっとしたことでも本気になってこだわる。何 でもないことに腹を立てる。用例あいつはす ぐ向きになるところがあるから、うっかり冗 談も言えない。 好色 鼻毛を伸ばす 色香に迷って女性の言い なりになる。用例彼は女 と見るとすぐ鼻毛を伸ばすんだから、みっと もないったらありゃしないよ。 鼻の下を畏くする 女性に甘く、でれでれとだらしのない態度をと る。用例あいつ、鼻の下を長くして調子のい いこと言ってるんだ。聞いていて隣にいる僕 のほうが恥ずかしくなったよ。類鼻の下が長 い・鼻の下を伸ばす <124> 目戻を下げる 好色そうに女性に見とれ る様子。用例君のほうこ そ隣に座り合わせた若い女性に目じりを下げ て、いつまでもだらだらと飲んでいたじゃな いか。 高慢・威張ろ 胡座をかく 他人にやらせておいて、 自分は何もせず、ずうず うしく振る舞う。■足を組んで楽に座る意か ら。用例洋の東西を問わず、権力にあぐらを かいている者たちを、庶民は心の中では許し がたく思っている。 頼で使う 横柄な態度で命令して人 を使う。「顎の先で使 う」とも。用例彼も偉くなったもんだ。今 じゃ二十人もの部下をあごで使っているという話だよ。 頼をしやくる 人に指示するとき、見下 したように無言であごを その方向に向ける。用例君も口があるのだか ら、あごをしゃくって人に用を言い付けるの はやめなさい。 威を振るう る。用例あの人、課長に 昇進したら、急に威を振るうことが多くなっ たね。 有無を言わせず 相手の意向を確かめず に、むりやり自分の思い どおりにさせる。用例PTAの役員なんて柄 じゃないんだけど、有無を言わせずという感 じで選ばれてしまったんだ。 <125> 上手に出る 相手をあたまから威圧す る態度をとる用例交渉 事は、時には思い切って上手に出ることも必 要だよ。対下手に出る 大きな顔 偉そうな顔つき。横柄な 顔つき。用例そんなにた いしたことをしたわけでもないのに、大きな 顔をするものじゃない。 押し付けがましい 相手の立場や事情を考え ずに、自分の考えを無理 強いする様子。用例僕にも考えがあるのだか ら、そのような押し付けがましい態度をとる のはやめてほしい。 お高く留まる 気位が高く、人を見下し た態度をとる。用例ずい ぶんお高くとまっていると思っていたけど、 彼女の実家はそんなに裕福なんですか。 お山の大将 狭い分野や集団の中で、 威張り返って得意になっ ている人。用例ちょっと成績がいいからと いって、いつまでもお山の大将でいられると 思うなよ。 嵩に懸かる 自分の有利に乗じて、相 手を押さえ付けるような 態度に出る。用例弱みを見せたばかりに、彼 は日ごとに嵩にかかった態度をとるように なった。 立に着る 権力者の後ろ盾をよいことに、威張りちらす。自 分のしてやったことを恩に着せて勝手に振る 舞う。用例社長の息子ということを笠に着 て、彼はわがもの顔で社内をのし歩いている。 隠時張る から威張りしたり、気負ったりして、堅苦しい <126> 態度をとる。用例この仕事は君一人でやって いるわけじゃないんだから、そう肩ひじ張ら ずにもっとざっくばらんに話し合おうじゃな いか。 肩を怒らせる 肩をそびやかして、誇ら せる 一しげな威圧的な態度をと る。用例彼が肩を怒らせてにらみつけると、 だれも反論できなくなる。 利いた風 何も知らないのに、知っ たかぶりの気が利いたよ うな素振りをする様子。用例後輩なんだか ら、先輩に対して利いた風な口をきくもので はない。 気位が高い 自分の品位を高く保とう とする気持ちが強い。他 に対して、自分は品位があるという気持ちで 構えている。用例おそらく彼女のほうで彼を 相手にしないだろう。なにしろ気位が高いか らね。 虚勢を張る 実力がないのに、さもあ るようなふりをして威 張ってみせる。から威張りする。用例仲間う ちでそんなに虚勢を張ることもないだろう。 そのくらいのこと、みんな気づいているよ。 オに走る 自分の能力をたのみすぎ て、地道な努力や注意を 怠る。用例彼は才に走ったばかりに、つまら ないことで足をすくわれて失敗した。 尻に敷く 妻が夫をないがしろにし 頭が高い て、自分の思うままに振 る舞う。用例新婚早々彼はすでにしりに敷か れているらしい。 目上の人に対して態度が 横柄である。生意気であ <127> る。おじぎをするとき頭の下げ方が足りない意から。用例普段から頭が高いばかりに、人の助力が必要なときにそれが得られないんだ。 図に乗る で、いい気になる。用例 ちょっとばかり褒められたからといって、す ぐ図に乗るやつがあるか。 大尽風を吹かせる 大金持ちぶって、むやみに大金を使う。金持ちら しく威張る。「大尽」は、大金持ちの意。 用例彼は大尽風を吹かせて、あの団体に多額 の寄付をしたらしいよ。 高飛車に出る 相手を威圧するように、 頭ごなしの態度をとる。 団将棋の戦法の一つで、飛車を前に出して高 圧的に攻めることから。用例彼のように初対 面の人にまであんなふうに高飛車に出るん じゃ、たいがいの人は面食らってしまうよ。 虎の威を借る狐 弱い者が権力者の威勢を 借りて威張ること。用例 彼は課長が後ろにいるからあのような態度を とるので、ただの虎の威を借る狐さ。出典 「虎、百獣を求めて之を食らう。狐を得た り。狐曰く、……今子、我を食らえば、是れ 天帝の命に逆らうなり。子、我を以て信なら ずと為さば、吾、子の先行を為さん。……故 に遂に之と行く。獣、之を見て皆走る。虎、 獣の己を畏れて走るを知らず、以て狐を畏る と為すなり(虎は多くの獣を捜しては食べて いた。狐を捕らえた。狐は言った。……今あ なたが私を食べれば、天帝の命に逆らうこと になりましょう。もし私がうそをついている とお思いでしたら、私があなたの先に立って <128> 一緒に歩いてみましょうと。……そこで虎は 狐と一緒に行くことにした。獣たちはこれを 見て逃げ出した。虎は獣たちが自分を恐れて いることに気づかず、狐を恐れているものと 思い込んでしまった」(『戦国策』楚策) 幅を利かせる その分野や集団の中で、 ふるう。用例この店は、いつも常連客が幅を 利かせていて、突然やってきた客は入りにく いと思うよ。類幅が利く 存在が認められ、勢力を 張り子の虎 はことら 見かけ倒しで、実際には強くも偉くもないもの。 用例あの人は見かけはいかめしそうですが、 張り子の虎で実際はとても気の弱い人です。 引かれ者の小唄 者が、刑場に引かれていくときに、平気なふ うこと。■捕らえられた 負け惜しみで強がりを言 りをして小唄を歌う意から。用例いまさらそ んなこと言ったって引かれ者の小唄だよ。 相手をばかにしたように 振る舞う。用例彼のあの 人を食った口のきき方や態度が、私はどうし ても好きになれない。 声音 蚊の鳴くような声 蚊の羽音ほどのかすかな細い声。弱々しくたより ない声。用例彼女は顔を伏せて、蚊の鳴くよ うな声で答えて涙を流した。 黄色い声 子供や女性のかん高い 声。耳に響く調子の高い の登場に、場内の女性ファ 声。 用例人気力士の登場に、 場内の女性ファ <129> ときの鋭い音から。用例突然玄関の外で、絹 を裂くような女性の叫び声が聞こえた。 女性の叫び声の鋭くかん 高い様子。絹布を裂く 声が潰れる 用例お祭りで一日中御輿を担いでいた兄は、 帰ってくるとすっかり声がつぶれていた。 声が弾む うきうきした気分で、元 一気な声になる用例海外 旅行のことになると彼女は急に声が弾んで きた。 声を落とす 声の調子を急に下げて小 声で話をする。用例外で だれかと話し込んでいた母は、隣の娘の話題 になると、とたんに声を落とした。 声を嗄らす 声を暴らす めに、引率の先生は声をからして遊園地を歩 き回っていました。 声が心配そうな、または 悲しそうな調子になる。 用例息子の写真を手にしたとき、老母は声を 曇らした。 声を殺す 抑えた低い声で話す。周 囲には何を言っているの かわからないような小声で話す。用例今日の 授業中、あの二人は声を殺して何か相談して いた。 声を作る 普段と違った声を出す。 ことさらにそれらしい声 で話す。用例部長は、いつになく声を作って 大げさなあいさつをしているけど、電話の相 <130> 声を潜める 他に聞こえないように声 を小さくする。ささやく ように言う。用例怪しい靴音は後ろからだん だん近づいてきた。私たちは声を潜めて足を 速めた。 声を撮り絞る ありったけの声を出す。 赦る 一できる限り声を張り上げ る。用例生徒たちは、運動会のフィナーレを 飾るリレーに、声を振りしぼって懸命の応援 をしている。 鈴を転がすよう 「音色が美しく澄んでいる 様子。用例黒い衣装の彼 女はスポットライトを浴びて、まるで鈴を転 がすようなソプラノで歌いはじめた。 五を転がすよう 音声が美しく明るく澄ん でいる様子。用例何とい う鳥か知らないが、玉を転がすような声で鳴 き続けている。 喉がいい いい声をしている。歌う 声が美しい。用例あの人 は見た目はぱっとしないけど、なかなか喉が いい。歌わせるとまるで歌手のようだ。 耳を夢く 鼓膜を突き破らんばかり に音声が大きい様子。 用例むんむんする人いきれ、ちかちか目を射 るライト、そして耳をつんざくような音の渋 水。私はあんなところには五分といられない ね。 耳を聴する 耳が聞こえなくなるほど 音声が強烈な様子。用例 ジェット戦闘機が発着を繰り返す基地に行っ てみたまえ。あの耳を聳する轟音の恐ろしさ は経験しないとわからない。 <131> 才能 願足を展ばす すぐれた人物がその能力を十分に発揮する。 「驥足」は、酸馬の足の意で、すぐれた才能の たとえ。用例アメリカの大学の恵まれた環境 で、彼は大いに驥足を展ばし、注目すべき論 文を次々に発表している。 器用貨乏 いろいろなことができるために、かえって一つの ことに才能が生かせず大成しないこと。用例 彼は、器用貧乏でいろいろと使われる一方で、 彼独自の仕事がなかなかできないようだ。 口も八丁手も八丁 言うことも達者なら、す ることも達者なこと。 言うことも達者なら、す ることも達者なこと。 ハ丁は八つの道具を使いこなすことができる ほど達者の意。「口八丁手八丁」とも。用例う ちの姑は口も八丁手も八丁で、私なんか口 をはさむ余裕もありませんよ。 芸は身を助く 何かの芸にすぐれていれ ば、暮らしに困ったとき には生計の助けになる。用例彼女どうしてる かと思ったら、ピアノ教室を始めて結構忙し いみたい。芸は身を助くというけれど、彼女 の場合、まさにそうね。 天は二物を与えず 一人の人間が、いくつも の長所や美点を兼ね備え ていることはない。用例彼の秀才ぶりは以前 から有名だが、運動神経の鈍いのも知れ渡っ ている。天は二物を与えずとはよく言ったも のだ。 才能や実力のある者は、 容易にそれを人前で表さ 能ある魔は爪を隠す <132> ない。■鷹は獲物を襲うとき以外は、鋭い爪 を見せないことから。用例能ある鷹は爪を隠 すと言うが、ほんとうに物事を知っている人 は、かえって謙虚に振る舞うものだ。 裏中の錐 才能のあるすぐれた人 と。回「囊」は、物を入れる袋。袋の中に入れた錐の先が外に突き出ることから。用例あの人は、決して才能を誇るような人ではないが、世間はやはり認め出した。囊中の錐ということだろう。出典「平原君曰く、夫れ賢士の世に処るや、贅えば錐の囊中に処るが若し。其の末たちどころに見わる、と(平原君が言った、そもそもすぐれた人物が世間の人々の中に住んでいるのは、錐が袋の中に入っているようなものである。その先端はたちまち外に現れるであろう、と」(史記平 原君伝 早飯も芸のうち 食事をはやくすませると いうことも特技の一つ だ。ほかに取り柄のない者に対していう。 用例えつ、もう食べ終わったの。早飯も芸の うちというけど、お前、ほんとうに早いね。 持って生まれた 生まれつき身に備わって いる様子。用例彼は持っ て生まれた体格と素質で、入門三年目で幕内 に昇進した。 悟り 目が覚める あることをきっかけに心 の迷いがとけ、また、自 て、正常な心にたちかえ 分の過ちに気づいて、正常な心にたちかえ <133> る。用例自堕落な生活を送っていた彼も母親 ので目が覚めたのか、新しい自分の生き方 を模索しているようだ。類目を覚ます 目から鱗が落ちる ふとしたことがきっかけ で、物事の真相や本質が 理解できるようになる。回『新約聖書』の使徒 行伝から出た言葉。用例農家を継ぎ、いまや 一家の柱として農業の将来を熱っぽく語る彼 に、学歴がすべてだと決めつけていた僕は目 から鱗が落ちるような思いがした。 目を開く 真理を悟ったり知識を身につけたりして、新しい 境地に関心を向ける。用例学問に目を開かせ てくれたのは大学時代の恩師だった。そのと きから私は迷わず学者の道を歩みはじめた。 夢が覚める 自分の惑いや非を悟り、 正気を取り戻す。用例遊 び人だった彼も彼女に出会ってすっかり夢が 覚めたようで、それ以来堅実な生活を送って いる。 散漫・浮つく 足が地に着かない 喜びや興奮などのため、 そわそわして落ち着かな い様子。用例初めてのボーナス。使い道をあ れこれ考えると、楽しみで足が地に着かな い。 気が多い いろいろな物事に興味や 関心が移り、心が一つに 定まらない。用例野球に熱中していたかと思 えば今度はサッカーに夢中で、まったく気が 多い性格には困ります。 <134> 他のことに心がひかれて、現にやっていること に集中できない。用例試験勉強をしなければ と思いつつ、ついテレビのほうに目がいっ て、気が散ってしまう。 気も漫ろ 別に気になることがあっ そわそわする。用例人の話にも気もそぞろ で、君、さっきから立ったり座ったりしてい るじゃないか。 ほかのことに心を奪われ 気を取られる て、肝心なことに注意を 怠る。用例時刻表に気を取られている間に、 ベンチに置いていた荷物を盗まれた。 何かのショックで、平静 ていられなくなり、気持 ちが混乱する。用例つまらないことで心を乱 し、何でもない仕事でミスを犯してしまった。 心が乱れる 座が持たない 打ち解けられずに、その 場の雰囲気を保つことが できない。用例共通の話題がない人とでは、 長時間はなかなか座が持たない。 締まりがない 態度や行動に緊張感やけ じめがなく、だらしがな い。ぴしっとしたところがない。用例入社 早々からあんなに締まりがないというん じゃ、先が思いやられるよ。 手が付かない ほかのことが気になって、しなければならない ことに集中できない。用例忙しくて外に出ら れないので、子供を使いに出したが、かえっ て気がかりで仕事に手がつかない。類手に付 かない <135> 取り止めがない まとまりがない。目標がない。取り止めは取 り留め」とも。用例あの人は、道で会うと、 いつも取り止めがない長話を始めるので閉口 する。 自信 一つの集まりの中で、い 一枚看板 ちばんすぐれた人や物。 ほかに代えようのないほど誇れるもの。用例 この品は当店の一枚看板で、どこにでもある というものではありません。 意を強くする 自分に理解を示す人の存 在などによって、自信を に反対されると思ってい 深める。用例みんなに反対されると思ってい たのに、君も僕と同じ考えをもっていたと 知って、大いに意を強くしたよ。 腕が鳴る 戦相手が優勝候補の本命のチームと決まっ て、今から腕が鳴っている。 腕に覚えがある 腕前や能力に、経験に裏 づけされた自信がある。 用例私は、将棋はだめですが、囲碁なら多少 腕に覚えがあります。 大手を振る 遠慮気兼ねなく堂々と物 事を行う。用例君はやる だけのことはやったんだ。責任を感じる必要 はないよ。大手を振って出社すればいいよ。 細工は流流仕上げを御覧じろ ずに結果が出るのを見てくれ。結果について <136> 自信がある気持ちを示す言葉。用例これは最 新のしかけなんだ。あとは魚がかかるのを待 つだけ、細工は流々仕上げを御ろうじろだ。 人後に落ちない をとらない。用例ことワ インに関する知識では、人後に落ちない自信 があります。 乃公出でずんば みずから進んで難局を処理しようとして意気込む 気持ちをいう言葉。■「乃公」は、おれさま、 我が輩。自分が出ていかずに、だれができる かの意。用例だれもがさじを投げたこの件 に、いよいよ君のお出ました。乃公出でずん ばといったところだね。 手前味噌 自分で自分や自分にかか わることをほめること。 自家製の味噌の味を自分でほめることか ら。用例手前味噌で申し上げるのも何です が、うちの娘はたいへん気立てがようござい ます。 胸を張る る。堂々とした態度をと る。用例君も男だったら、胸を張って自分の 意見を述べたまえ。 消極的 足が重い なかなか行く気になれな い。 用例子供の学校から 呼び出しを受けたが、今度はどんな悪いこと をしたのかと思うと、まことに足が重い。 当たらず触らず どこにも差し障りがないように、どっち付かずの <137> 態度をとる様子。用例彼は意見を求められて も、いつも当たらず触らずのことしか言わな いんだ。 相手の積極的な出方に対 して、守勢に立つ。用例 どっちみちいやでもやらなければならないん だから、受けに回るとよけいつらくなる。積 極的にやることにしよう。 及び腰になる して、気持ちがひるむ。用例事故の責任を厳 しく追及されて、応対の社員たちはみな及び 腰になっている。 自分のほうが不利であったり、自信がなかったり 気が進まない 自分から進んでやる気に ならない。用例共通の話 題もないし、食べ物の好みもまるで違うの で、あの人と一緒に食事をするのは、どうも 気が進まない。 気がない 関心や興味がなく、その 気にならない。用例一時 間ほど話してみたのだが、本人はまったく気 がない様子だった。 気が乗らない がもてず意欲がわかな い。用例どうも気が乗らないので、今度の仕 事は断ろうと思っている。 気が引ける 引け目を感じる。ためら いを感じる。用例以前に 依頼しておいて途中で断ったことがあるか ら、またお願いに行くというのも気が引け る。 腰が重いこしおもい なかなか行動を起こそう としない。てきぱきとし 用例うちの人は腰が重い た行動がとれない。 用例うちの人は腰が重い <138> から、町内会の役員なんて務まりませんよ。 類尻が重い 腰が弱い 意気地がなく、最後まで 元張りがきかない。用例 あんなに腰が弱くては、あの人に大事な仕事 は任せられない。 下手に出る へりくだった態度をと な。用例こっちが下手に 出ると、いろんな無理難題を持ち出されるか ら、最初から毅然とした態度で臨んだほうが いい。対上手に出る 逃げ腰になる 責任や難局を逃れようと する態度をとる。 用例言 い出したのは君なのに、いざとなって逃げ腰になるとは卑怯だぞ。 熱がない 意気込みがない。熱心さ がない。用例机の前に座 ると眠くなるというのは、どうも勉強に熱が ないとしか思えない。 止むを得ず 仕方なく。止むを得 ない」とも。用例荷物が 多いのでいやだったのだが、雨になりそう だったのでやむを得ず傘を持って出かけた。 知らんぷり・とぼける 馬の耳に念仏 人の意見に耳を貸そうと しない様子。 馬は念仏 を聞いてもありがたいとも思わないことか ら。用例いくら君が親身になって忠告して も、相手が彼では馬の耳に念仏だよ。 口を拭う 自分の失敗や悪事を認めようとしない。知ってい <139> ながら、知らないふりをする。こっそりと 食べた後、口をふいて素知らぬ顔でいる意か ら。用例秘密を漏らしたのは彼に違いないの だが、口をぬぐって涼しい顔をしている。 知らぬ顔の半兵衛 知っていながら、知らないふりをしていること。 また、その人。用例彼がこの事件にかかわっ ていることはとっくにわかっているのに、ま だ知らぬ顔の半兵衛を決めこんでいるとは、 ふてぶてしいやりだ。 白を切る ていても知らぬふりをす る。しらばくれる。用例これだよ っているのに、君はまだ白を切るつもりか。 見て見ないふりをする。 空目を使う か、彼女は道で僕と出会っても空目を使って 通り過ぎる。 空を使う 知らないふりをする。と ぼける。■「空」は、うそ、 偽りの意。用例君、空を使っても無駄だよ。 私も君の言っている現場にいたんだから。 どこ吹く風 自分にはかかわりのない 風 こととして無関心を装う 様子。用例うちの息子は親の言うことなどど こ吹く風で、遊んでばかりいる。 猫を被る 本性を隠して、おとなしそうにしている。知りな がら知らないふりをする。用例うちの子は、 よそに行くと猫を被って急におとなしくなる んです。 馬耳東風 人の意見や批評に無関心 で、何を言われても気に とめない様子。東風は、春風の意。馬の <140> 耳には東風が吹こうが吹くまいが関係ないと いうことから。用例評論家の非難など彼には 馬耳東風で、ますます独自の作品を創り出し た。出典「世人此を聞きて皆頭を掉り、東風 の馬耳を射るが如き有り(世間の人は、これ を聞くとだれもが首を振るばかりで、まるで 春風が馬の耳に吹きつけるようなものであっ た)(李白の詩「王十二寒夜独り酌し懐有るに 答う) 頬被りをする 知らないふりをしてごま かす。用例彼は自分が不 利になるような点をつかれると、いつも頬被 りをして逃れようとする。 見て見ぬふりをする。 知っていながら見逃す。 用例理想論ばかりを振りかざしても、現実に 目をふさいでいては、何も解決しない。 当たりがいい 誠実 相手にいい印象を与える ように、人と接する。 「人当たりがいい」とも。用例あの歯医者は当 たりがよく、優しいから、子供でも行くのを いやがらない。 潔しとしない に対して、承知できな い。それでいいと思わない。用例あの人は、 何事においても情けをかけられるのを深しと しない性格です。 裏裏がない 口で言っていることと実 一際の行動が同じで、一貫 している。用例彼女は裏表がない性格だか ら、後輩たちにも慕われている。 <141> けれんみがない はったりやごまかしがない。 けれん」は、芝居 で、見た目の奇抜さで意表をつき、受けをね らう演出。用例どんな場合でも淡々としてい て自分らしさを失わない。彼のようにけれん みがない男は珍しい。 竹を割ったよう りしている様子。■竹が 縦にまっすぐ割れることから。用例兄は口は 悪いけれども、それこそ竹を割ったような性 格の人です。耳障りなことを言っても、どう か気になさらないでください。 立つ鳥跡を濁さず 立ち去るときは、見苦しくないように後始末をす る。引き際はきれいにしなくてはならない。 用例彼の引き際は、ほんとに見事で潔く、ま さに立つ鳥跡を濁さずといったところだ。 当たって砕けよ 事にあたれ。用例次の試合の相手は手ごわい ぞ。負けてもともとと思って当たって砕けよ だ。 いち か八か わからないが、運を天に 任せて思い切ってやってみること。用例ここ はひとつ、一か八か大勝負に出ないことには 男が立たない。 打って出る に乗り出す。用例今まで やってきた市民運動が実を結び、多くの支持 者を得て知事選に打って出る。 自分から進んで活躍の場 一に乗り出す。用例今まで 動が実を結び、多くの支持 打って出る。 <142> 自分から進んで仕事や役 目を引き受ける。用例手 間のかかる面倒な仕事なのに、彼女はいやな 顔ひとつせずに自分から買って出てくれた。 気が向く いう気持ちになる。用例気が向くと親しい人 を訪問するぐらいで、あまり外には出ません。 類気が乗る 触手を伸ばす 野心を抱いて積極的に働 きかける。回触手は、 下等動物の口の近くにある細長い突起。触角 の役目をし、食物をとらえる。用例あの会社 は外食産業にも触手を伸ばして、いま人を集 めているところだそうだ。 ての 手を伸ばす 仕事の範囲などを拡大す る。用例いよいよ来年度 から、新しい事業にも手を伸ばすことになり ました。 手を広げる あちこちと広く関係をつくる。手広くする。用例 駐車場経営にも手を広げる不動産業者が増え ている。 逃げも隠れもしない 責任を回避するようなこ とはしない。用例この件 については、僕にやましい点は何一つない。 逃げも隠れもしないから、いつでも話し合い に来るがいい。 伸るか反るか 成功するか失敗するか、 運を天に任せて思い切っ てやってみる。■「伸る」は長く伸びる、「反 る」は後方に曲がる意。用例失敗するかもし れないが、のるかそるか、とにかくやるだけ やろう。 <143> 膝を乗り出す 一もち、積極的にかかわろ うとする。話題に乗り気になる。用例今まで つまらなそうにしていたのに、人のうわさ話 になると急にうれしそうにひざを乗り出し た。願膝を進める 節操 義理を立てる に、相手から受けた恩に ふさわしい見返りを与える。■「義理立てを する」とも。用例知り合いはない土地といっ ても商売をさせてもらう以上、ご近所にも ちゃんと義理を立てておかなければならな い。類義理が立つ 後家を立てる 夫と死別しても終生再婚 一しないで通す。用例母は 後家を立てて、再婚の話にも耳を貸さず僕た ちを育ててくれた。 節を全うする 最後まで自分の主義・主 張を変えることなく守り 通す。用例歴史上には極度に混乱した時代で も、節を全うして死んだ人間の多いことに驚 かされる。 操を立てる 婦人が貞操を守り通す。 自分の信念をかたく守 る。用例彼女は夫の死後も操を立てて、貞潔 な生涯を送った。 身を持する 自分の生き方、生活態度 を厳しく守る。用例法曹 界に重きをなした父は、日常生活でも清廉潔 白に身を持していた。 <144> 拓が抜ける 洗練されて見栄えがす る。用例最初は都会生活に慣れずにおろおろ していた彼女も、東京にきて二年たつとすっ かり垢が抜けてきた。 灰汁が抜ける なる。■「灰汁」は、灰を水にひたして取った 黒褐色の液で、布の脱色や染色に用いる。 用例このところ言うことなすこと、あくが抜 けてしまって、昔の彼の面影もなくなってし まった。 らく見ないうちに渋皮がむけて、めっきり美 人になったね。 渋皮が剝ける 容姿が洗練される。美しくなる。用例彼女もしば 疎遠 足が遠のく 訪ねることが少なくな り、間柄が疎遠になる。 用例卒業して別々の道を歩むようになると、 彼のところにもだんだん足が遠のくように なってしまった。 去る者は日日に疎し 死んだ人は月日がたつに つれて世間から忘れられ ていく。親しかった者も遠ざかれば交情が薄 れる。用例去る者は日々に疎しと言うけれ ど、同級生の仲のよかった連中も、みんな家 庭をもつと、次第に連絡も途絶えてしまっ <145> た。出典「去る者は日々に以て疎く、来る者 は日々に以て親しむ(別れた者とは日増しに 疎くなり、自分のほうに近づいて来る者とは 日増しに親しくなるものだ)「文選」古詩十 九首 敷居が高い 不義理をしたり、迷惑を かかって、相手の家に行きにくい様子。用例 いろいろと援助してもらったあげくの失敗だ から、今度のことではどうも彼の家の敷居が 高くなってしまった。 かけたりしたことが心に 大胆·度胸 肝が据わる 度胸があって、どういう 状況にも物おじしない。 肝が太い 用例彼は柔道の達人だけあって、強盗を一人 で取り押さえてしまったそうだよ。さすがに 肝が据わっているね。願度胸が据わる 勇気があり、物に動じない。 肝っ玉が太い」と も。用例何千人という観客を前に演技をやり こなした彼女は肝が太いというよりほかはな い。 清濁併せ呑む 度量が広く、どんな人で も分け隔てせず受け入れ る。■「清濁」は、善悪の意。用例彼は普段は 偉そうなところを一つも見せないけど、いろ んな人に慕われているんだね。案外、清濁併 せのむという器量があるのかもしれない。 繰が太い 細かいことにこだわら 一ず、大胆な決断力や実行 の大事業は、いかにも線が 力がある。用例この大事業は、いかにも線が <146> 太い社長ならではのやり方で押し通して成功 したのです。対線が細い 胆斗のごとし 非常に度胸がある様子。 回斗は、一斗升。胆が 一斗升ほどもある意。中国の歴史書『三国志』 から出た言葉。用例彼は相手がどんなに偉い 人物でも、一人で話を聞いてもらいに行って しまうんだ。昔でいえば、胆斗のごときつわ ものだね。 腹が据わる 覚悟ができている。物に 動じない。用例彼はなか なかどうして、腹が据わった男だよ。今回の 件で見直した。 腹が太い 度量が大きく、小さなこ とにこだわらない。田 彼はあれでなかなか腹が太いところがあるか ら、案外、部下たちともうまくやっている。 ふところ ふか 懐が深い る。 用例あの男は付き合 えば付き合うほど、懐が深いことがわかる。 友人として得がたい男だ。 体裁 表を飾る 見てくれを立派に見せ る。表面だけをとりつく ろう。用例いくら表を飾っても、話をすると すぐに正体がばれてしまうものだ。 裏を繕う 見かけを整え、かっこう をつける。用例表を繕っ 性までは隠しきれない。 てみたところで、品性までは隠しきれない。 客を繕う 外見をかつこうよく見せ かける。体裁を整える。 <147> 用例一応調查報告書らしくかたちを繕い、何 とか会議に間に合わせることができた。 身内より、外部の者に対 する態度のほうがよい。 用例外面がいい国家元首というのも困ったものである。 体を成す それらしく、整った形に なっている。用例一応小 説としての体を成してはいるが、中身はお粗 末なものだ。 恥も外聞もない 恥ずかしいとか、人の目 などということを気にし ない。なりふりかまわない。用例あまりに悔 しくて、恥も外聞もなく泣きわめいてしまっ た。 人前を繰う 他人の手前、体裁を整え てかっこうをつける。 用例人前を繕ってはいるが、夫婦の間はかな り前から冷えきっていた。 ひと来えはばか人前を憚る 用例何の相談か、彼らは人前をはばかるよう に部屋の隅で何やら話し込んでいた。 見えも外聞もない 他人がどう見るか、どう 評価するか、気にかけて いるゆとりがない。用例こうなった以上、見 えも外聞もない。私が直接行って頼み込んで くる。 丁寧丁重 あたま 頭が低い 人に接する態度が、謙虚 で丁寧である。用例あれ <148> ほどの実力がありながら、彼のような頭の低 い人を、僕は知らない。対頭が高い 至れり尽くせり 心配りやもてなし方が、 くせり 申し分のないほど行き届 いている。用例久しぶりに旅館に泊まった が、至れり尽くせりのサービスで、ほんとう にのんびりした旅行ができた。 してほしいと思っている ことを察して世話をして 療い所に手が届く くれる様子。細かいところまで心配りが行き 届く様子。用例長い間、二人で組んで仕事を してきたが、相棒のかゆい所に手が届くよう な心配りに、いつも助けられている。 人に対して愛想がよく、 態度が控え目である。丁 寧で、威張らない。用例会う前は、どんなに 気むずかしい人かと思っていたのに、先方の 腰が低いのには、かえってこちらが恐縮して しまった。 事を分ける 筋道を立てて丁寧に説明 する。用例納得がいかな かったとみえて、もう一度やって来たので、 よく事を分けて話してやったら理解したよう だ。 下にも置かない 客などを非常に大切に扱 う様子。■下へも置か ない」とも。用例戦後初のアメリカ大統領の 来日とあって、政府は下にも置かない歓迎を した。 如才がない よく気が利いて、手抜かりがない。人の気をそら さない。回「如才」は、もと「如在」と書き、手 落ちの意。「如才ない」とも。用例彼女は、何 をやっても如才がないので、みんなに気に入 <149> 辞を低くする 敬意を表して、へりく だった丁寧な言葉遣いを する。用例この仕事は、だいぶ無理をきいて もらうことになるから、辞を低くしてお願い するしかない。 そっがない 配慮が行き届いていて、 無駄や手落ちがない。 用例彼のようにそつがなくて、何でも無難に こなす男は、出世も早いだろう。 手取り足取り の先輩は普段は怖い顔をしているが、何かわ からないところを尋ねると、それこそ手取り 足取り指導してくれる。 へりくだって非常に丁寧 に依頼したり、謝ったり 七重の膝を八重に折る する様子。用例七重のひざを八重に折っての 懇願に、家主も不承不承だが同意してくれた。 念が入る 行き届き、丁寧である。 用例先日直接言われてわかっているのに、今 日になってまた手紙が届き礼を言ってきた。 何とも念が入ったことで、恐れ入る。願念を 入れる 熨斗を付ける もらってくれる相手に喜 んで差し上げる。■「熨 斗」は、贈答品に添えるもの。用例五匹も子 犬が生まれて、どうしようかと思っていたん です。もらっていただけるんでしたら、のし をつけて差し上げますよ。 微に入り細を穿つ きわめて細かいところま で念を入れて気を配る。 用例彼女の話はいつも微に入り細をうがつ話 <150> しぶりなので、まるでその場に参加しているような気がしておもしろい。 得意 願を撫でる る 得意そうな様子。満足そ うな様子。用例彼は例に よってあごをなでながら、後輩たちに自分の 武勇伝を披露しはじめた。 意気揚揚 思いどおりの結果になっ て、元気に満ちあふれ、 得意そうな様子。用例大口の契約を結ぶこと に成功した先輩は、意気揚々として部長に報 告している。 お家芸 最も得意とする独自の方 法や技術。■芝居など で、その家に代々伝わる独特の芸の意から。 用例みんなの前で駄じゃれをとばしておどけ て見せるのが、彼のお家芸です。 お手の物 手慣れていてたやすくで きること。得意としてい る事柄。自分の手中に収めたものの意か ら。用例彼は専門の学校を出ているから、パ ソコンの修理ぐらいはお手の物だよ。 鬼の首を取ったよう このうえもない手柄を立 てたような、得意満面な 様子。得意になっている者を冷やかしていう 言葉。用例子供たちは、大人の言葉じりをと らえて、鬼の首を取ったように喜んでいる。 庸で風を切る 肩をそびやかして得意そ うにす様子。用例栄転 が決まった彼は、最近肩で風を切って社内を 歩いているように見える。 <151> 勇身が広い 面目をほどこして、世間 様子。用例君が中心となったプロジェクトが 成功して、君を推薦した僕も肩身が広いよ。 対肩身が狭い 小単をうごめかす いかにも得意げにする様 子。回小鼻」は、鼻の下 の左右のふくらみ。用例彼は婚約者のことに なると小鼻をうごめかしてのろけ話をする。 これ見よがし んばかりにの意から。用例あいつは、彼女か らプレゼントされたライターをこれ見よがし にちらつかせている。 子。これを見ろといわ 天狗になる 能力や腕前などがすぐれ ているとうぬぼれて、得 意になる。 用例少しぐらい成績が上がったか らといって天狗になっているようじゃ、まだ まだお前はだめだ。 馬鹿の一つ覚え 一つだけ覚えたことを得 意がって、何かにつけて ひけらかす様子。 用例彼はばかの一つ覚え で、旅行といえば必ず温泉地の名をあげる。 になっている様子。用例 お前が司法試験に合格したというので、父親 として私も鼻が高いよ。類鼻を高くする 鼻に掛ける 自分の優秀さを自慢す る。いい気になって得意 そうにする。用例彼は名門校出身ということ を鼻に掛けて、我々とはまともに話をしよう とはしない。 餅は餅盛 何事にも素人が及びもつ かない、その分野の専門 <152> 家がいるものだということ。■「餅屋は餅屋」 とも。用例君がつまらない推理を働かせるよ り、餅は餅屋で、警察に任せておけばよい。 怠げろ・怠惰 油を売る 途中で怠けて、無駄話な とをする。■昔、油売り が世間話をしながら商売したことから。用例 こんな所で油を売っていないで、早く自分の 席に着いて仕事をしなさい。 猫が緩む 緊張がゆるんで、締まり がなくなる。箍は、 おけやたるのまわりに巻いて締める竹や金 属の輪。用例そんなに同じミスを何度も起こ すのは、たがが緩んでいる証拠だ。 情眠を貪る なすべきことをせず、進 歩のない生活を続ける。 ■なまけて眠り続ける意から。用例老舗のあ の店も、そうそう惰眠をむさぼっているわけ にもいかず、何か新しい商売を始めるらしい。 手を抜く しなければならないこと を省いてすます。当然や れるはずのことを怠けてしない。用例彼らは 僕が監督していないと、すぐに仕事の手を抜 くから困るよ。 手を漂らさず 自分で直接苦労もせず に。自分では何も骨を折 らずに。用例彼は、自分は手を濡らさずに分 け前にだけはあずかろうとしている。 手を緩める 相手に対する態度や、物 事のやり方を、今までよ 用例やっとこれで仕事の遅 用例やっとこれで仕事の遅 <153> れを取り戻しましたが、ここで手を緩めると 今までの努力が無になってしまいます。 気持ちがたるんで、だら しなくなる。用例最近の 彼は仕事にミスが多い。どうも少しねじが緩 んでいるようだ。 骨を惜しむ 苦労することをいやがっ て怠ける。用例君みたい に骨を惜しんでばかりで都合のいいことしか 考えない男には用はない。 無駄飯を食う 働くわけでもなく、何の 役にも立たずに怠けて暮 らす。用例最近彼の絵が評判になっているよ うだが、彼もまんざら無駄飯を食っていたわ けでもないんだね。見直したよ。 横の物を縦にもしない ほんのわずかな手間で も、面倒くさいと思って しない。用例彼は横の物を縦にもしないやつ だから、結婚すると奥さんが大変だ。 様を盗む 怠けたり能力がなかった りして、まともに仕事を しないのに、高い給料をもらう。用例君の普 段の仕事ぶりを見ていると、禄を盗んでいる と言われても仕方がないと思う。 软弱·柔弱 意気地がない 意志を貫いたり、物事を やり通す気力がない。 用例一回くらいの失敗で、もう絶望だなんて 意気地がないことを言ってはだめだ。 甲斐性なし 積極的に物事を成し遂げ る気力がない。おもに経 <154> 済的能力のない男をののしる場合の言葉。 用例亭主が甲斐性なしのおかげで、暮らし向 きがちっとも楽にならない。 繰が細い せんほそ 子。用例線が細いように見えるけれども、彼 はあれでなかなか芯は強い男なんだ。対線が 太い 煮え切らない 用例いつまでも煮え切らない態度をとっていないで、参加するのかしないのかはっきりしてくれなければ、みんなが迷惑するじゃないか。 態度がはっきりせず、ぐ ずぐずしている様子。 その場の形勢により、あ ちらについたり、こちら についたりして節操のない様子。また、その 人。内股にはった膏薬が、左右の股につく 意から。用例あいつのような二股膏薬を、当 てになんかできるものか。類内股膏薬 熱心·熱中·夢中 当たるを幸い さいわ 何でもかでも。手当たり 次第に。用例あのころの 彼は、図書館の本を当たるを幸いといった感 じで、次々に読破していた。 憂き身をやつす ほかのことを願みる余裕 がなくなるほど熱中す る。▪そのことの苦労のため、体がやつれて しまってもやめない意から。用例父親は詩に 憂き身をやつして家庭を顧みない人だったの で、母親の苦労は絶えなかった。 <155> 現を抜かす 現実にしなければならないことがおろそかになる ほど、何かに熱中する。用例大学四年生にも なって、そんなにマージャンにばかりうつつ を抜かしていては、卒業だっておぼつかなく なるぞ。 気を入れる ほかのことを考えずに、 一心になって打ち込む。 用例試合まであと一週間しかないんだ。ほん とに勝ちたいんだったら、もっと気を入れて 練習しろ。 心を寡われる その魅力に引きつけられて、すっかり夢中にな る。うっとりする。用例彼は、子供のころに この映画を見て、心を奪われてしまい、自分 でも映画を作ってみようと思ったそうです。 類心を奪う 根を詰める 気力を尽くして熱心に一 つのことをする。用例そ んなに根を詰めて勉強すると体をこわすか ら、たまには外で運動でもしてきなさい。 鹿を違う者は山を見ず 一つのことに熱中していると、ほかのことに気が 回らなくなる。目先の利益にとらわれて、別 の大切なことを見失う。用例ライバル会社の 先を越すのもいいが、もっと地道にやってお くべきことがあると思うんだが。鹿を追う者 は山を見ずと言うからね。 心血を注ぐ う。 用例私たちが長年心 血を注いで調べ上げた結果をついに一冊の 本にまとめることになりました。 寝食を忘れる 少しの時間も無駄にせ ず、懸命に努力する。 <156> 用例文字どおり寝食を忘れて完成させた大作 だけに、作者としても愛着があるのだろう。 す人かお寸暇を惜しむ わずかのひまも大切にし て、何かに打ち込む。 用例彼は寸暇を惜しんで通信教育で勉強し、 大学を卒業したんだそうです。 血道を上げる 恋愛や道楽に夢中になっ て、思慮分別を失う。 用例彼が、暇さえあればあの喫茶店に入り 浸っているのは、どうやらウエートレスに血 道を上げているかららしい。 熱に浮かされる 分別を失うほど熱中す る。用例彼のおじいさん 一攫千金の熱に浮かされて、金鉱探しに明 じ暮れていたそうだ。 熱を上げる あることに熱中する。異 性に夢中になる。用例君 が彼女に熱を上げているということは、すで に社内でもうわさにのぼっている。類熱くな る 馬車馬のよう ほかのことは何も考え ず、一生懸命に行う様 子。馬車馬には、わき見ができないように 目の両側に覆いをすることから。用例ただひ たすら馬車馬のように仕事をしてきただけの 人生が、いま思い返すと残念です。 話が弾む 話題が途切れず、会話が 調子づく。用例二十年ぶ りの同窓会で、懐かしい顔が集まり、学生時 代の思い出に話が弾んだ。 話に花が咲く 楽しい話題が次から次へ と出て、話に熱中する様 子。用例いつもこの仲間が集まると、釣りの 話に花が咲いてしまい、夜中までだれも帰ろ <157> おもしろい話に夢中にな る。用例囲碁のことにな るとついつい話に実が入ってしまい、仕事の ことを忘れていました。 苦労をいやがらないで、 骨身を惜します 一生懸命に働く様子。 用例展示会開催の前夜まで、彼は骨身を惜し まず会場づくりに尽力してくれた。 本腰を入れる 本気になって物事に取り 組む。■「腰を入れる」と も。用例彼もようやく本腰を入れて仕事をす る気になったらしい。 身が入る る。気分がのって、一生 だ。頼身を入れる 懸命になる。用例どうも僕は、涼しくて静か になる深夜のほうが、読書に身が入るよう ほかの人のために精一杯 働く。真心こめて尽く す。用例母の身を尽くしての看病に、病床の 祖母も日ごとに快方へ向かった。 病 膏膚に入る 道楽などに夢中になっ て、もはや止めようがな い。どうしようもないほど熱中する。■「膏 膚」は、胸部の治療できないとされている部 分。病気が重くなって快復の見込みがなくな る意から。用例彼の釣り好きも、もはや病膏 育に入って、最近では海外にまで出かけるそ うだ。出典「公、疾病なり。医を秦に求む。 秦伯、医緩をして之を為めしむ。未だ至ら ず。公の夢に疾二豎子と為りて、曰く、彼は 良医なり。懼らくは我を傷つけん。焉くにか 之を逃れん、と。其の一曰く、育の上、膏の <158> 下に居らば、我を若何せん、と。医至る。曰 く、疾為む可からず。盲の上、膏の下に在 り、之を攻むるも可ならず、と(晋の景公は 病気がひどくなった。医者を秦から招くと、 秦伯は医者の緩を遺わして治療させることに した。まだ緩が到着しないとき、景公の夢の 中で病気が二人の小児となって現れ、彼は良 医であるから、私を苦しめることだろう。ど こに逃れたらよいものか、と言った。すると もう一人が、盲の上、膏の下にいれば、私を どうすることもできまい、と言った。緩が到 着して言うには、この病気は治療できませ ん。盲の上、膏の下にございますので、これ では手の打ちようがありません、と)(春 秋左氏伝】成公十年) 余念がない ほかのことは考えずに熱 心に物事を行う様子。 用例最近、うちの息子は新車を買って、毎日 その手入れに余念がないようです。 夜も日も明けない それなしでは少しの間も 過ごせないほど、深く愛 する、または執着する様子。用例当時の彼 は、彼女がいなければ夜も日も明けないと いったありさまだったがね。 胸目も振らず 一つのことに一生懸命に 取り組んでいる様子。 用例何を調べているのか、彼は毎日図書館に 通って、脇目も振らずにノートをとってい る。類面も振らず 我を忘れる あることに心が引きつけ られて、正常な意識をな くす。夢中になる。用例母親は、我が子を救 おうと、火に包まれた家の中に、我を忘れて 飛び込んでいった。 <159> 話しぶり おうむがえ 鶴鶴返し 人から言われた言葉をそ のまま言い返すこと。 用例ただおうむ返しに言うだけでは返事にな らないから、きちっと自分の考えを言うよう にしなさい。 奥貴に物が挟まったよう 思っていることを率直に 言わず、なにか言いたげ な思わせぶりな言い方をする様子。用例そう 奥歯に物が挟まったような言い方はやめて、 だめならだめで、はっきり理由を聞かせてく ださい。 オブラートに包む 相手が気を悪くしたりし ないように遠回しにもの を言う。 用例あの先生は、 苦言を呈するに も、優しくオブラートに包んだような言い方 をする。 聞こえよがし わざと当人に聞こえるよ うに、皮肉や悪口を言う 様子。用例お隣の奥さん、聞こえよがしに主 人の悪口を言っているんだもの。くやしいっ たらないわ。 管を巻く とりとめのないことをい つまでも話し続ける。 用例彼は酒を飲んでは、だれかれかまわずくだを巻くくせがあるので困る。 口角泡を飛ばす 激しく言い合う様子。 「口角」は、口のわきの 意。用例学生のころはよく口角泡を飛ばして 文学を論じ合ったものだ。 口吻を漏らす 気持ちの一端がそれとなくわかるような言い方を <160> する。用例話の相手が直属の部下という気安 さもあってか、部長は今回の人事に不満の口 吻を漏らした。 声を尖らす きついものの言い方をす る。とげとげしい口調で 言う。用例ちょっと注意をしただけなのに、 彼は声をとがらせて文句を言ってきた。 相手に納得してもらうた 言葉を尽くす め、精一杯の言葉を使っ て言う。用例言葉を尽くして説明したが、彼 の誤解を解くことはできなかった。 舌がもつれる 舌が自由に動かず、じょ うずに言い表せない。 用例会議となるとすぐ舌がもつれてしまっ て、いつも失敗する。 舌先三寸 話が口先だけで内容がな い様子。■「舌三寸」と も。用例いつも舌先三寸でその場をしのいで きたようだが、今ではもうだれもあの人を信 用しなくなった。 正面切って 改まった態度で、言うべ きことをはっきりと遠慮 なく言う様子。用例彼女に僕の短所を正面 切って注意されたときは冷や汗が流れた。 鋭く歯切れのよい言葉で 啖啲を切る まくしたてる。 用例おれ にまかせておけと咲呵を切って引き受けた以 上、いまさらできないではすまされない。 単刀直入 前置きをしたり、遠回し な言い方をせずに、直接 話の要所に触れること。■一人で敵陣に切り 込む意から。用例この際単刀直入に言わせて もらうが、君のためだ、気を悪くしないでも らいたい。 <161> 丁丁発止 互いに激しく論じ合う様 子。■刀で激しく切り合 う音の意から。 用例政治家同士の討論は、 ゆく発止、いつ果てるともなく続けられた。 取って付けたよう いかにも後から付け加えたようで、わざとらしく 不自然な様子。用例さんざん文句を言った後 で、取って付けたようにお世辞を言われて も、ばかにされているとしか思えない。 それとなくほのめかす。 謎を掛ける うに言う。用例結婚したい気持ちを、父親に 謎を掛けるように言ってみた。 歯切れがいい ものの言い方が明確でわ かりやすい様子。用例今 度生徒会会長になった生徒は、歯切れがいい 話しぶりに好感が持てる。対歯切れが悪い 歯に衣を着せない 思ったままを遠慮せず率 直に言う。包み隠さずに 言う。用例昔から叔父の歯に衣を着せない言 葉には辟易していたが、いま思うとさわやか な感じですらある。 平たく言えば やさしい言葉でわかりや すく言うと。用例今後の ことを考えてもらいたいというのは、平たく 言えば、退社してくれないかと言っているよ うなものだ。 予先が鈍る 議論などで、相手を攻撃したり非難したりする言 葉に勢いがなくなる。用例こちら側にも誤解 があったようだと思われてきて、どうも非難 の矛先が鈍ってきた。 先を転じる 非難・攻撃の対象を途中 からほかへ変える。用例 <162> どういういきさつでそうなったのか、彼はい きなり矛先を転じて、僕を非難しはじめた。 持って回った言い方 へんに遠回しな言い方。 用例あんな持って回った 言い方をされると、忠告というよりも、 みに聞こえて、かえって反発を覚える。 呂律が回らない まく回らず、言葉が不明 瞭になる。 用例あの程度のお酒でろれつが回 らなくなるなんて、ちょっとだらしないね。 論陣を張る 議論や弁論の構成を十分 用例メーカーの保護育成ばかりに力を入れる 役所の姿勢に対し、彼女は消費者保護の立場 から堂々の論陣を張った。 考えて論争にのぞむ。 話頭を転じる 話題を変える。用例気詰 まりな雰囲気になってき たところで彼が映画の話に話頭を転じた。い つもながら機転の利く男だ。 異を唱える 反抗 人の考えに反対して、自 分の意見を出す。 おもておか面を犯す は、人の意見にはなにかと異を唱えて、決し て受け入れようとはしない。 目上の人の意に背く。人 に逆らう。用例失礼なが ら、そのことにつきましては面を犯してご忠 言申し上げねばなりません。 霧臓猫を噛む 窮地ー込まれて必死 で立ち向かえば、弱い者 ことがある。■猫に追い でも強い者を負かすことがある。■猫に追い <163> 詰められたねずみが、逆に猫にかみつく意か ら。用例やたらに先輩風を吹かせて後輩をば かにしていると、窮鼠猫をかむということも あるよ。 食って掛かる 激しい口調や態度で、相 手に立ち向かう。用例 ちょっと言葉遣いをたしなめただけなのに、 すごい形相で食って掛かってきた。 言葉を返す 人の言うことに対して口 答えする。用例お言葉を 返すようで失礼ですが、どうも今のお話は納 得しかねます。 事を構える 取るに足りないことを大 げさにして、ことさらに 争い事を起こそうとする。用例彼は何かにつ け事を構えるような言動をとるが、心の中に 満たされないものがあるのかもしれない。 背を向ける 逆らって従わない。知ら ない。用例校則で縛り付けるばかりでは、生 徒たちは学校に背を向けてしまう。 盾を突く 逆らう。反抗する。 盾突くとも。用例言 ことを聞かないと親に盾を突く気かと思った りするが、成長の過程で仕方がないことだ。 自分の弱さを願みずに、 端端の芹 強い者に立ち向かうこ と。■「蟷螂」は、かまきり。用例経営者に とって我々は取り替えのきく部品のようなも のだから、何を言ってみたところで、しょせ ん蟷螂の斧にすぎない。出典「斉の荘公、出 猟せんとす。蟷螂有り、足を挙げて将に其の 輪を搏たんとす。……御日く、蟷螂なり。此 の虫為る、進むを知りて退くを知らず、力を <164> はか ちか 量らずして軽々しく敵に就づけり、と。…… ここおい 是に於て車を廻らして之を避く(音の荘公が 狩りに出かけると、蠟螂が前足を振り上げて 車輪に打ちかかろうとしていた。……御者が 言うには、これは蟻螂でございます。この虫 は、進む一方で退くことを知らず、自分の力 をわきまえずに軽々しく相手に挑むものでご ざいます、と。……そこで車輪の向きを変え させて避けて通った)(韓詩外伝) 反旗を翻す る。回「反旗」は、謀反人の立てる旗。用例長 い間忍従してきた民衆が、ついに権力に対し て反旗を翻すときがきた。 謀反を起こす。今まで 従っていた者に反逆す 右といえば左ひだり 人の言うことに対し、こ とさらに反対する様子。 用例あの男は、いつも右といえば左といった 調子だから、いちいち気にしてられない。 相手の仕打ちに対して、 目には目を歯には歯を 同じ方法で仕返しをすこ こと。旧約聖書』出エジプト記の言葉 用例目には目を歯には歯をというようなこと を言っていたのでは、この地に平和の訪れる 日はないだろう。 弓を引く 恩のある人や目上の人に 反抗する。裏切って対抗 する。用例どういう事情があれ、恩顧をこう むった人に対して弓を引くとは許しがたい。 世を拗ねる 不平や不満から世間と交 わりを絶つ。世間に対し てことさらに我を張る。用例思いどおりにな らないからといって、世をすねて都会を離れ たわけではなく、私はほんとうに田舎の生活 が好きなだけなのです。 <165> 反応 相縄を打つ かたなかじ 刀鍛冶が二人で交互に槌を打つことから。 用例聴衆は講師の話に、相づちを打ちながら 聴き入っている。 打てば響く 一方が何かを言えば、 方が即座に理解して応じ る。用例彼は幼いころから打てば響く賢い子 供でした。 歯応えがある こちらの働きかけに対し てそれなりの反応があ り、張り合いを感じる。用例このクラスの生 徒はみんな熱心で歯応えがあるので、教える かいもあります。 笛吹けども踊らず どんなに仕向けたり誘ったりしても、いっこうに やる気にならない。回『新約聖書』マタイ伝の 言葉。用例お前の好きな学校を受験していい よというのですが、笛吹けども踊らず、まる で勉強しようとはしません。 非情 足跡にする 他人に対して、ひどい仕 打ちを与える。用例いく ら出世のためとはいえ、人を足げにするよう なことは債んでもらいたい。 生き血を吸う 冷酷な手段で利益をしぼ り取る。情け容赦なく搾 は善政をうたいながら、 取する。用例表向きは善政をうたいながら、 <166> 生さず殺さず式で、民衆の生き血を吸う為政 者が少なくなかった。 膏血を絞る 国民から重い税金を取り たてる。■「膏血」は、人 のあぶらと血で、苦労して得たお金の意。 用例膏血をしぼって平気な為政者は必ず民衆 のうらみを買うというのは、歴史の教えてい るところだ。 心を鬼にする かわいそうだとは思いな がら、相手のためを考え て、あえて冷たく当たる。用例一人前に育て るためには、時として心を鬼にしなければな らないこともあります。 血に飢える 人を殺したり傷つけたり したいような気分にな る。用例今回の連続殺人事件は、血に飢えた 者の仕業としかいいようのない事件だ。 血も涙もない 冷酷で、人間らしい思い やりがまったくない様 子。用例彼の血も涙もない仕打ちに、彼女は ただおろおろするばかりだった。 情け客赦もない などなく。 用例安易な気 持ちでサラ金から借金をしたのだが、情け容 赦もない取りたてに困っている。 涙を振るって 涙をふり払って。私情・ 同情などは捨てて、相手 に対し厳しい態度をとる様子。用例どんな事 情があろうとも、罪は罪だ。私は涙を振るつ て長男を警察に引き渡した。 秘密・秘める・沈黙 <167> 言わぬが花 正面きって言わないほう が趣があるし、また、差 し障りもない。用例試験の結果は成績発表で わかるんだから、今は言わぬが花さ。 うんともすんとも まったくものを言わない様子。まったく返事のな い様子。用例何回催促の手紙を出しても、う んともすんとも言ってこない。 愛気にも出さない 思っていることやある物 事を深く隠して少しも口 に出さず、そぶりも見せない。「暖気」は、 げっぷの意。用例彼のフランス語は相当なも のさ。普段おくびにも出さないが、学生のこ ろまでパリで暮らしてたというから。類暖気 にも見せない くちロが重い あまりしゃべらない様 子。言葉数が少ない。 用例男は口が重いくらいのほうがいい、というのが祖母の口癖でした。対口が軽い 口が堅い 密を漏らさない。用例どんな場合でも、口が 堅い人は信用されます。 口が腐っても どんなことがあっても決 して話さないという気持 ちをいう言葉。用例彼女にそんなこと、口が 腐っても言えやしない。類口が裂けても 口を閉ざす 何も言わない。しゃべろ うとしない。用例ほかの ことはよくしゃべるのだが、事件の核心に触 れるようなことに関しては、依然口を閉ざし たままでいる。類口を噤む 口を封じる 話されては都合の悪いことを、相手に言わせない <168> ようにする。用例あいつおしゃべりだから、 今のうちに酒でも飲ませて、口を封じておい たほうがいいな。 腹に納める の間、君たち二人の仲は私の腹に納めておく ことにしよう。 胸に納める は、しばらく君だけの胸に納めておいてく れ。類胸三寸に納める 胸に秘める だれにも言わずに、自分 の心のうちに隠してお く。用例胸に秘めた情熱はだれよりも激しいものがある。 無愛想·冷淡·意地惡 意地が悪い わざと人を陥れたり困ら せたりするような行動を とる。用例陰でありもしないことを吹聴して 僕に恥をかかせようとするなんて、あいつは 意地が悪いやつだ。 木で鼻を括る 無愛想に冷たくあしら う。用例先輩に何度も援 助を頼んだんだが、木で鼻をくくったような 返事しかもらえなかった。 けんもほろろ 人の頼みを無愛想な態度 で受け付けない様子。冷 <169> たくあしらって取り合わない様子。用例友人 と頼んで借金の依頼に訪れたが、けんもほろ ろに追い返された。 他人行儀 親しい間柄なのに、遠慮 や気兼ねをして、他人に 対するようによそよそしく振る舞う様子。 用例他人行儀はやめて、困ったことがあった ら何でも僕に相談してくれ。 取り付く島がない 頼み事や相談をしたくて も、相手の態度が冷やや かで言い出すきっかけも見いだせない。用例 ローンの保証人になってもらおうと兄を訪ね たが、取り付く島がないような応対ぶりで、 要領を得ないまま帰ってきた。 顔勝もない 同情する様子もなく無愛 想である。そっけない。 「鰾膠」は、魚の二べから作る粘着力の強い 膠転じて、親密感を与える意。用例彼の人 柄に期待して来年の幹事を頼みに行ったが、 にべもなく断られてしまった。 鼻であしらう 相手を見下して、無愛想 た態度で応対する。 「鼻の先であしらう」「鼻先であしらう」とも。 用例思い切って彼女に交際を申し込んだが、 鼻であしらわれてしまった。 針を含む に、相手の心を突き刺す ような意地の悪さを隠し持つ。用例針を含ん だような彼の言い方に、多くの者が泣かされ ている。類刺を含む 人が悪い 人が困るようなことをし て喜ぶような性格だ。 用例来ているのを知っていながら声をかけな いなんて、あなたも人が悪い。 <170> 辺り構わず 周囲の人の迷惑や場所柄 をまったく考えないで、 誤解される。 勝手に振る舞う様子。用例電車の中で、辺り 構わず新聞を広げる人がいるが、非常に迷惑 だ。 遠慮会衆もない 相手に対する心づかいも る様子。回「会釈」は、思いやりの意。「遠慮 会釈なく」とも。用例彼は遠慮会釈もなく言 いたいことだけ言うと、返答も待たずに帰っ てしまった。 くちロが恵い 人に憎まれるようなこと を平気で言う。用例祖父 ふいして、しばしば相手に は口が悪いことが災いして、しばしば相手に 所嫌わず 人の迷惑や思惑などに関 係なく、どこでもかまわ ず思いどおりに行動する様子。用例彼は所嫌 わず大声で話すから、一緒にいる僕たちのほ うが恥ずかしくなってくる。類所構わず 平然·平気 痛くも痒くもない 何の影響もない。まった く平気である。用例彼は よほど自分の考えに自信があるらしく、周囲 から非難されても痛くもかゆくもないといっ た感じでした。類痛痒を感じない 臆面もなく 気後れしたところがなく、ずうずうしい様子。 <171> 用例彼にはみんな迷惑しているのだが、こち らが黙っていると、また臆面もなく好き勝手 なことを始める。 怖めず聴せず おそれたりおどおどしたりすることもなく平然と している様子。用例彼は相手が年上でも、自 分が正しいと思ったことはおめずおくせず はっきりと言う。 蛙の面に水 何かを言われたり、ひどい目にあわされても動じ ない様子。用例彼はだれに注意されようと蛙 の面に水でいっこうに反省の色が見えない。 事ともせず 全然問題にもしない。 まったく気にしない。 「事とせず」とも。用例普通の人なら音をあげ てしまいそうな障害を事ともせず、彼は自分 の仕事を立派に成し遂げた。 涼しい顔 自分にも関係があるの に、他人事のように平気 ている様子。用例みんな明日の展覧会の準備 に大あわてだったのに、あいつときたら用意 がすんだころに涼しい顔で現れたんだ。 何食わぬ顔 かかわりのないふりをし て平然としている様子。 用例犯人は自分も被害者であるかのように、 何食わぬ顔をして事情聴取に応じていたそう だ。 びくともしない まったくものに動じな しない い。用例長年武道で鍛え た彼の体力と精神力は、並の大人が殴りつけ たぐらいでは、びくともしない。 平気の平左 何が起きようと平気で、 あわてたり騒いだりしな い様子。回平気の平左衛門」の略。平気であ <172> ることを、人名のように表現したもの。 これしきのけがなど、平気の平左だ。 物ともせず 一せず突き進む様子。用例 事故現場では、作業員たちが風雨を物ともせ ず復旧作業を続けていた。 悠揚迫らず 困難な状況や差し迫った 事態にも、普段どおり ゆったりしている。用例不治の病だと知りな がら、彼は悠揚迫らず、以前と変わらぬ生活 をしている。 変心 牛を馬に乗り換える 自分に有利なほうを選ん で、そちらにつく。用例 彼のように節操のない人間は、牛を馬に乗り 換えることぐらい平気でするさ。 風の吹き回し 変わること。用例どういう風の吹き回しか、 今夜一杯どうですかと、彼のほうから誘って きた。用法多く「どういう」「どうした」などの 語を上につけて、思いがけなく起こったこと についていう。 気を変える に向ける。用例女房が最 近テニスクラブへ通いはじめたんだが、よく 気を変えるやつだから、いつまで続くかね え。類気が変わる 君子は豹変す て、主張や態度を急に変 える。■君子は自分の過失や悪に気づけば、 そのときの状況によって、主張や態度を急に変 分の過失や悪に気づけば、 <173> はっきりとすぐに改める意から転じたもの。 用例君子は豹変すというが、彼の変わり身の 早さにはただただ感心するばかりだ。出典 「君子は豹変す。小人は面を革む(君子は、 変革が行われれば豹の皮の文様が変わるよう に、心から過ちを改めて立派な徳を表すもの だ。小人は、変革が行われても顔つきを改め て、上に立つ者に付き従うだけだ)」(易経 革卦) 攻守 所を変える る。用例保守派議員の収賄が公になり、今回 の選挙は攻守所を変えて争うことになりそう だ。 攻撃していた者が守勢に まわる。立場が逆転す 気持ちや考え方に変化を 生じる。ある物事に興味 気持ちや考え方に変化を 生じる。ある物事に興味 、動揺したりする。 を抱いたり、感動したり、動揺したりする。 用例破格の条件での引き抜き工作だったらし いから、部長もずいぶん心が動いたと思う よ。類心を動かす 心を移す 関心・興味・愛情などの 対象を別のものに向け る。心を他に転じる。用例彼女とは長い間付 き合っていたが、ふとしたきっかけで、彼女 の友人に心を移すようになった。用法特に男 女間の愛情について多く用いる。類心が移る 主義・職業・趣味などを 来旨を変える 一える これまでとは別のものに する。用例実は最近は宗旨を変えて、釣りに こっているんだ。 心機一転 あることがきっかけとなって、気持ちがよい方 向にがらりと変わること。用例彼はあの失敗 から立ち直ると、心機一転、仕事に没頭する <174> 手の裏を返す 急に態度をがらりと変え る。手を返す」とも。 用例左遷が決まったとたん、同僚たちは手の 裏を返すように私に寄りつかなくなった。類 手の平を返す 面目を一新する 機を乗り切ってから、経営陣もすっかり若返 り、当社も面目を一新した。 儁観 が改まる。 用例今回の危 岸の火事 感が少しもないこと。 自分にはかかわりがない こととして、苦痛や危機 用例食糧危機やエネル ギー問題、どれをとってももはや対岸の火事 などと言っていられる問題ではない。 高みの見物 直接関係しない第三者の 立場で、傍観すること。 用例皆の真剣な討議を高みの見物では、あま りにも無責任なんじゃないか。 手を拱く すべきことを何もしない で、事の成り行きを見守 る。■腕組みをする意。「こまぬく」は「こま ねく」とも。用例ごみ処理の問題は、他人事 のように手をこまぬいていないで、自分の問 題としてとらえていきたい。頼腕を拱く・手 を束ねる 洞ケ峠を決め込む 形勢次第で有利なほうへ つこうと、日和見的な態 度で成り行きをうかがう。「洞ヶ峠」は、京 都府と大阪府枚方市との境にある峠。山崎の <175> 合戦でここに陣を敷いた筒井順慶が、羽柴秀 吉につくか明智光秀につくか形勢をうかがっ たという言い伝えから。用例ここで洞ヶ峠を 決め込むのは、ずるいと思われても仕方な い。 余所に見る 自分には関係がないこと 無関係の立場に立って眺める。用例金融業界 の不始末はとんでもないところにまで飛び火 しており、もはや我々零細企業ですらよそに 見る場合ではなくなってきた。 として見る。そのことに 未熟·幼稚 くちばし 晴が貨色い まだ年が若くて経験が浅 い。未熟な者をあざけっ 児歳に頬する ていう言葉。ひなのくちばしが黄色いこと から。用例まだくちばしが黄色いくせに私に 意見するとは、十年早いとあいつに言ってお け。 する 一で、価値を認められな い。用例私から見れば、君たちのやっている ことは児戯に類する行為だと言わざるをえな い。類児戯に等しい 尻が青い まだまだ一人前ではな い。回幼児の尻が青いこ とから。用例彼の考え方を聞いていると、ま だしりが青いという感じがする。 たわいがない 思慮分別がない。とりと めがない。■「たわい」は 「たあい」とも。用例いい年をして、そんなた わいがないことを言っても、だれも取り合っ <176> 身なり 一糸も纏わない 衣服を一枚も身につけて いない。真っ裸である。 用例一糸もまとわない姿のモデルを前に、 キャンバスに向かう。 衣紋を繰う 襟元などをかき合わせて 衣服の着くずれを直す。 身なりを整える。■衣紋」は、着物の襟を胸 で合わせたところの意。用例主人が急に客を 連れて帰ってきたので、あわてて衣紋を繕 い、玄関に出迎えた。 着のみ着のまま いま着ているもののほかは何ひとつ持っていない こと。用例気がつくと部屋には煙がたちこめ ていて、火事だと思い、着のみ着のままあわ てて飛び出した。 馬子にも衣装 どんな人でもすがた形を 美しく整えれば立派に見 えるということ。馬子は、馬に人や荷物 を乗せて運ぶのを職業とした人。用例成人式 に振り袖を着たら、弟に馬子にも衣装だねと からかわれた。 身をやつす みすぼらしく目立たない ように身なりを変える。 用例このところ毎日、労務者に身をやつして 犯人の探索に当たっている。 装いを凝らす 身なりを飾り、整える。 らす 一用例女子大の謝恩会では みんな華やかに装いを凝らし、まるでファッ ションショーのようだ。 <177> 事情などを考慮せず、一 方のにある態度をとる様 子。用例彼は人の言うことなど、頭から信用 していないらしい。 股中にない まったく問題にしない。 気にもならない。用例花 見の席では、飲めや歌えやの大騒ぎで、彼ら には桜など眼中にないらしい。 取り上げるほどのことで 牙にも掛けない もないので、問題にしな い。用例彼女は彼のことがよほど嫌いなよう で、彼の言うことなど歯牙にも掛けない。 出典「此れ特に群盗鼠窃狗盗なるのみ。何ぞ 之を歯牙の間に置くに足らんやこれらは寄 世集めの盗賊で、ネズミや犬のようなこそど ろどもにすぎません。問題にするほどのこと もございません)」(史記」叔孫通伝) 今までと違って、粗末に 扱う。ないがしろにす る。用例相手は義理のある人だから、そう そっけなく袖にするわけにはいかない。 棚上げにする 問題の解決を一時的に保 する 留する。用例それを問題 にするのは時期が悪い。しばらく棚上げにす るのが賢明だ。 棚に上げる 難題や自分の不利益にな ることに触れずにすま す。用例君は自分のことは棚に上げて、よく それだけ彼の悪口が言えるね。 等閑に付する 重要なことではないとし て、深く気にとめない。 <178> 用例自然林伐採に反対する市民運動は各地で 起こっており、各国政府ももはや等閑に付す ることはできない。 濃も引っ掛けない 相手を見下して、まった 鼻みずの意。用例彼は家柄のよさを自慢し て、我々には洟も引っ掛けない。 不聞に付す 問題とすべき事柄を問い たださず、そのまま放つ ておく。用例今回の一件は不問に付すから、 以後十分気をつけて仕事に励んでほしい。 つまらないこととして、 とも思わない 問題にしたり驚いたりし ない。用例彼の中傷など僕は屁とも思わな い。 約束やとり決めなどを無 視する。回「反古」は、書 画などを書いて不用になった紙。「反故」とも 書く。用例一方的に約束を反古にされたので は、私の立場がなくなる。 目じゃない 相手を見下して問題にも せず無視する。用例今日 の対戦相手は目じゃないよ。てごわいのは次 の相手だ。 目もくれない その物事を無視して、少 しも関心を示さない。 向きもしない。用例会食の席だというのに、 彼は食べるのに夢中で、周りの人には目もく れない。 相手の意見や弁明などを 聞こうとする気持ちが まったくないこと。用例失敗の原因を話そう にも、問答無用とばかりに一方的にしから れ、一言も口にできなかった。 <179> 柳に風と受け流す 巧みにあしらって、取り 合わない。用例週刊誌の 書き立てているスキャンダルなど、彼は柳に 風と受け流している。 横を向く 相手を拒否したり無視し たりする。用例やっとの 思いで彼女に話しかけたのに、横を向かれて しまった。頬そっぽを向く 余所に聞く 何かを聞いても、自分に は無関係なこととして無 視する。用例友人たちの卒業旅行の話をよそ に聞きながら、志望校合格に向けて勉強に励 む。 余所にする 自分には関係のないこと として、無視して願みな い。用例最近の彼は本業をよそにして、副業 にばかり励んでいるようだ。 独活の大木 からだは大きいが、何の 役にも立たない者。■う どの茎は高さが二メートルにも達するが、軟 らかくて材にならないことから。用例あいつ は独活の大木、物の用には立たないよ。 陸に上がった河童 環境や条件の変化で、こ れまでのような能力が発 揮できなくなること。河童は陸に上がると 無力になるということから。用例技術畑一筋 でやってきた男が営業部に回されたんでは、 おかに上がった河童で、毎日が大変だ。風陸 に上がった船頭 子供の使い 話の要領を得なかった り、相手の言うままに引 <180> き下がってくる、役に立たない使い。用例子 供の使いじゃあるまいし、ただはいはいと向 こうの言うことだけ聞いて帰って来るやつが あるか。 目・目付き 満の目贏の目 で物を探し出そうとする様子。ちょっとした ものでも見落とすまいと、熱心に探す様子。 用例デパートのバーゲンとなると、日ごろは 上品な女性でも、鵜の目鷹の目で品物をあさ る。 鵜や鷹が獲物をねらうと きのように、鋭い目付き 秋波を送る 異性の関心を引くため に、こびを含んだ目付き をする。■「秋波」は、秋のころの澄んだ波の 意で、美人の涼しげな美しい目もと。用例社 内一の美人と評判の彼女に秋波を送られてい ると知れたら、同僚の恨みを買うぞ。 鈴を張ったよう 女性のぱっちりとしたつ ぶらな目の様子。用例彼 めいさつにきたが、鈴を張 んかわいらしい女性だった。 流し目を送る うな目付きをする。 しきりに流し目を送っているのに、彼のほう ではまるで気づかないで知らん顔をしてい る。 目顔で知らせる 目の表情で、相手に自分の思っていることを伝え る。用例後ろに先生が立っていると目顔で知 らせているのに、ちっとも気づかないで先生 <181> の悪口を言い続けている。 目が鋭い 目付きが厳しく、人の心 に突き刺さるような様 子。用例彼に言うのはまずいと思っていた が、何か感じたらしく目が鋭くなったので、 とてもごまかしきれなかった。 目が据わるじっと一点を見つめたまま瞳が動かない。酒に 酵ったり怒ったりしたときの目付きにいう。 用例そろそろ彼の目が据わってきたようだ し、もうお開きにしたほうがいいんじゃない か。 目で物を言う 目くばせして気持ちを伝 える。用例疑問があった ので発言しようとしたら、前の席から課長が しきりに目で物を言っているので差し控え た。 黙ったまま、目使いで気 持ちを相手に伝える。 目に物言わせる 用例みんなの前だから、目に物言わせて何と かとめようとしているのに、彼はちっとも気 づかない。 目は口ほどに物を言う 感情をこめて見る目付き は、口で言うのと同じく らい相手に気持ちを伝える。用例言葉遣いは 丁寧だったが、目は口ほどに物を言う、さ。 この件にはかかわり合いたくないという態度 がありありだった。 目引き袖引き 声には出さないで、目く ばせしたり袖を引っ張っ たりして、意思を通じ合うこと。用例何人か 集まってこそこそ目引き袖引きしているの は、たとえそうでなくても、人の悪口でも 言ってるようで感じが悪い。 <182> 目元が涼しい 目が澄んでいて、すがす がしい様子。用例彼は目 元が涼しく、礼儀正しい好青年だと、近所で も評判がいい。 勇気·勇敢 血気に送る 用例とかく若者は、血気にはやって行動しが ちなものだ。 血気の勇 一時の激情にかられた向 こうみずな勇気。あとさ きのことを考えない勇気。用例彼が他人のこ とで上司に食ってかかったのは、血気の勇と いうやつで浅はかだった。 盗勇を振るう 周囲への配慮や物事の筋 道をよく考えずに、む ちゃな行動をする。用例あのころは周囲の忠 告にも耳を貸さず、蛮勇を振るうと非難され たものだ。 匹夫の勇 思慮分別のない、つまら ない勇気。囗「匹夫」は、 教養のないつまらない男の意。用例危ないこ とがわかっていながら、他人に自慢するため にやったというのでは、匹夫の勇と言われて も仕方がない。 あくらぐび 盲蛇に怖じず 恐ろしさを知らない者 は、平気で大胆な振る舞 いをする。■「盲蛇」とも。用例あんなに偉い 人だとはちっとも知らなかったものだから、 盲蛇におじずで平気で肩をたたき合ってし まった。 <183> 勇を鼓す 勇気を奮い起こす。用例 会社のためにはこれだけ は言ったほうがいいと、彼は勇を鼓して部長 の前に進み出た。 雄弁·多言 油 紙に火が付いたよう べらべらとよくしゃべる 様子。用例前を歩いて行 く女子高校生たちは、油紙に火がついたよう に何事かを夢中で話し続けている。 一席打つ 大勢を前にして演説をす る。得意になって講釈す る。用例たまたま音楽の話題になったものだ から、モイツァルトについて一席ぶってき た。 口がうまい 言葉巧みにごまかした り、取り入ったりする様 子。用例彼は口がうまいから、どこまでが本 当なのかわからない。話半分に聞いておかな ければだめだ。 口が多い よくしゃべる。言わなく とこことあて信づ。 用例君は口が多いので、その分よけいに時間 がかかるようだね。少し慎んでください。 口が酸っぱくなる 同じことを何度も繰り返 して言い聞かせる様子。 用例物事を始めるときは、自分がほんとうに したいのかどうか考えろと、口が酸っぱくな るほど言ったはずだ。頬口を酸っぱくする 口が非常に達者な様子。 口から先生まれる いう。用例彼女は口から先に生まれてきたか <184> のように、聞いていてあきれるほどよくしゃべる。 舌が回る がうまい。用例あの人の 演説はよく舌が回るが、言葉に重みが感じら れない。 舌端火を吐く 自分の考えを鋭く論じ立 てる。用例彼にいったん 意見を求めようものなら、舌端火を吐き、だ れもそれを遮ることができなくなる。 立て板に水 さわやかな口調でよどみ なく話し続ける様子。 用例彼は自分の興味があることに話が向く と、立て板に水といった感じでしゃべり続け、みんなをあ然とさせる。 下手の長談義 話が下手な人に限って 長々としゃべり、聞き手 は迷惑すること。用例あの社長のあいさつに はいつもうんざりする。無類の話好きで、下 手の長談義ときているんだ。 弁が立つ 巧みな話し方で、相手を納得させたり魅了したり する。用例彼は頭脳明晰なだけでなく弁が立 つから、応援演説を頼むにはもってこいだ。 容姿·容貌 鬼も十八番茶も出花 どんな女性でも年ごろになると美しくなるものだ ということ。醜い鬼でも年ごろには美しく 見え、番茶でも入れたてはおいしい意から。 用例鬼も十八番茶も出花で、彼女も最近めっ きり美しくなった。参考「鬼も十八」番茶も <185> 出花」とそれぞれ単独でも用いる。 金時の火事見舞い 酒を飲んだりして顔が非 常に赤い様子。金時 は、源賴光の四天王の一人とされる、坂田金 時。もともと顔の赤い金時が火事見舞いに 行ったら、ますます顔が赤くなるということ から。用例父は酒に弱いから、コップ一杯の ビールで金時の火事見舞いのような顔になっ てしまう。 小股の切れ上がった ふらりとした、いきな女 った 性の姿をいう言葉。用例 彼女は和服のよく似合う、小股の切れ上がっ たいい女だと評判の人です。 卵に目と鼻をつけたよう な、色白でかわいらしい 顔。用例先方のお嬢さんは、卵に目鼻とい た感じのかわいい方です。対炭団に目鼻 鼻が胡座をかく 鼻が低く、小鼻が横に広 がっている様子。用例赤 ら顔で鼻があぐらをかいている。これだけ言 えば、初対面でも彼を人違いすることはない だろう。 花も恥じらう 若い女性の初々しく美し い様子。■美しい花も引 け目を感じるようなの意。用例盛装してパー ティー会場に現れた彼女は、花も恥じらう美 しさであった。 風采が上がらない 見かけがぱっとせず、貧 弱な印象を与える様子。 用例一見風采が上がらない男だが、会社では トップクラスの成績を上げている腕利きの営 業マンです。 二目と見られない あまりにも醜かったり悲 惨だったりして、二度と <186> 見るに堪えない。用例かわいそうに、事故の ために二目と見られない顔になってしまっ て、以来彼女はだれにも会いたがらないそう だ。 ほね かわ骨と皮 非常にやせている様子。 一用例食糧難にあえいでい るアフリカ難民は、どの人も痛ましいほどに 骨と皮ばかりのようだ。 水の満るよう 若々しく、美しい様子。 よう 一美男・美女・役者につい ていう。用例声をかけられて振り返ると、水 の滴るような美人が僕を見てほほえんでい た。 目鼻立ちが整う 目や鼻の形がよく顔立 ちが美しい。用例花嫁は 目や鼻の形がよく、顔立 一ちが美しい。用例花嫁は 目鼻立ちが整った美しい女性で、披露宴の客 の間からもため息がもれるほどだった。 雪を欺く めて見る彼女の肌の色は、北国で育ったせい か、雪を欺くように白かった。用法多く、女 性の肌の白さをいうのに用いる。 わめて白い様子。 雪と間違うほど白い。き 茹蝋のよう 長湯をしたり、酒を飲んだり、激怒したりして、 顔や体が赤くなった様子。用例祖父は長湯好 きで、皆が心配するころにゆでだこのように なって風呂から出てくる。 用心·慎重 石橋を叩いて渡る 用心に用心を重ねて慎重 に物事を行う様子。回石 で作った橋でも、たたいてみてその安全を確 <187> かめてから渡る意から。用例彼は石橋をたた いて渡る男だから、失敗はないかわりに大き な成功もない。 勝って兜の緒を締めよ ー成功しても油断しない ーを締めよ ーで、いっそう心を引き締 めて事に当たれという戒め。用例勝ってかぶ との締を締めよだ。今日の勝ちに慢心するこ く、次の試合に向けて練習に励もう。 最初から危険とわかって いることには手を出さな 君子は危うきに近寄らず い。■立派な人格者は身を慎んで、危険と思 われることは避ける意。一般には厄介なこと にかかわりたくないときの言い逃れの言葉。 用例君子は危うきに近寄らず、僕は遠慮させ ていただくよ。 万一に備えて、前もって 十分に用心しておくこ 転ばぬ先の杖 と。回転ばないように用心のために手に持っ ている杖の意から。用例天気予報では曇りと いうことだが、転ばぬ先の杖で、傘を持って 出かけよう。 小事は大事 ききい 些細なことでも油断する と大事になるので、十分 に注意する必要があるという戒め。用例問題 がここまで大きくなったのは、君がこの問題 を甘く見て放置しておいたからだ。小事は大 事ということを忘れてはいかん。 備えあれば憂いなし 普段から万一の場合の準 備がしてあれば、心配す ることはない。用例備えあれば憂いなして 毎月少しずつ貯めておいた金が、緊急の出費 の役に立った。出典「惟れ事を事とすれば、 乃ち其れ備え有り。備え有れば患い無し(す べきことをするに当たって、備えが必要であ <188> る。備えがあればこそ心配ないのだ」(書 経」説命) その手は食わない その計略にはだまされな い。用例今度はすぐに返 済すると君は言うが、もうその手は食わない ぞ。奮考俗に、「その手は桑名の焼き蛤」と もいう。「食わない」を地名の「桑名」にかけた もの。焼き蛤は桑名の名物。 大事を取る 軽はずみなことをしない る よう、用心する。慎重に 行動する。用例横綱は傷めた足首が完治して いないらしく、今場所は大事を取って休場す るという話だ。 治に居て乱を忘れず いつでも万一のときの備 えをしておく。用例現在 のような競争社会では、今は順調でも、治に 居て乱を忘れずという心構えが必要だ。出典 「君子は安くして危を忘れず、存して亡を忘 れず、治まりて乱を忘れず。是を以て身安く して国家保つ可きなり(君子は安全だと思っ ても危険ではないかと用心し、存続すること でも滅ぶのではないかと用心し、平和であつ ても乱れるのではないかと用心する。だから 自分自身も安泰で国家も秩序が保てるのだ」 (易経」繁辞) 臨れ物に触るよう おそるおそる慎重に扱う様子。気むずかしい人な どの機嫌をそこねないよう、気を遣って接す る様子。用例母親は受験を控えた息子を、ま るではれ物に触るように扱っている。 属に唾を付ける だまされないように十分 用心する。■俗に、まゆ につばを付けるとキツネなどに化かされない ということから。用例彼は人をかつぐのがう <189> まいから、彼の話はまゆにつばをつけて聞い たほうがいいよ。 冷静 頭を冷やす 興奮を静めて冷静にな る。用例二人とも少し頭 を冷やして考えてみることだ。でないと話に ならないよ。 おこりお建が落ちる 熱病による高熱がひくよ うに、我を忘れて熱中し ていた状態から急激にさめ、冷静な状態にも どる。回「癒」は、マラリア性の熱病。用例彼 は古書収集に熱心だったが、火事で蔵書を 失ってからはおこりが落ちたように古書店め ぐりもしなくなった。 気を静める 気持ちを落ち着かせる。 用例私は寝る前に三十 分、気を静めて一日を反省することを日課と している。 心を澄ます よくない考えを払って心 す を静める。気持ちを落ち 着かせる。用例秋の夜長、心を澄まして虫の 音を聴いているのもよいものです。 熱が冷める 夢中になっていた気持ち が平静に返る。用例若い ときには必ず出かけていたコンサートも、今 ではすっかり熱が冷めてしまった。 事件などのあとに残っていた興奮がおさまった ほとぼりが冷める り、関心が薄れたりする。ほとぼりは、 余熱の意。用例けんかのほとぼりが冷めない らしく、まだ一人でぶつぶつ言っている。 <190> 我に返る 何かに心を奪われていた 状態から、本来の自分に 立ち返る。用例朝から原稿用紙に向かいペン を走らせていたが、ふと我に返ると、時計の 針は夜の七時を指していた。 わがまま・放綫 親の心子知らず 子を思う親の心も知らないで、子供はわがまま勝 手に振る舞うこと。用例親の心子知らずで、 子供はいっこうに勉強する様子もなく、遊ん でばかりいる。 販販を捏ねる 幼児などが、甘えて、わ がままを言う。用例駄々 をこねたらおもちゃが買ってもらえると思っ たら大間違いです。 八方破れ 相手に対して構えたとこ ろがなく、どこから見て もすきだらけな様子。また、自由奔放な生活 をする様子にいう。用例叔父の八方破れの人 生には、親戚もほとほと迷惑しました。 横紙破り 無理と知っていながら、 意見を押し通そうとする こと。 和紙は横に裂けにくいことから。 用例町内会会長の度重なる横紙破りに、町内 の人たちの反発は強まるばかりだ。 横車を押す 道理に合わないことを、 無理やりに押し通そうと する。後ろから押すべき車を、無理やり横 に押して動かす意から。用例今回の人事異動 の不明朗な原因は、役員の一部が横車を押し <191> 悪かしこいずるかしこい 生き馬の目を抜く やることがすばしこく、 ずるがしこい様子。 あの男は、生き馬の目を抜くようなやり口 で、これまで何人も出し抜いてきたやつだか ら、気を許してはいけないよ。 陰日向がある 人の見ている所と見てい ある 一ない所とで、言動が異な る。用例彼のように陰ひなたがある人間だ と、みんなから信用されない。 ずるがしこく、 陰謀や策 奸知に長ける は奸知にたけていた。 謀などを企てる能力がす ぐれている。用例英雄と呼ばれた人々の多く 煮ても焼いても食えない ずるがしこくて、手に負 えない。■「食えない」と も。用例煮ても焼いても食えないやつとは 知っていたが、つい面倒を見てやったのがと んだ失敗だった。 抜け目がない 自分の利益になるような ことには、手抜かりな く、ずるがしこく立ち回る。用例彼、抜け目 がない男だから、自分の分はちゃんと予約し ておいたんだって。 腹が黒い 意地が悪く、心に悪だく みを持っている。用例あ の男は腹が黒いと評判だから、君も十分注意 したほうがいい。 要領がいい 自分に有利なように、う まく立ち回る。用例彼は <192> 要領がいい男だから、これまでに損をしたこ とがない。対要領が悪い 惡口·無駭口·理屈 悪態を突く 口汚くののしる。悪口を 言う。用例彼らはこちら に立ち退く意思がないことを知ると、悪態を ついて引き上げていった。 言うに事欠いて もっとほかの言い方があ るだろうに、そう言わな いで。用例言うに事欠いて、人のことを情け 知らずとはなんて言いぐさだ。 偉そうに大げさなことを 言う。用例彼がそんなに 大口をたたくだけのことを普段やっている か。 頻大きな口を利く おとがい頭を叩く 勝手なことをよくしゃべ る。悪口を言う。■「お とがい」は、下あご。用例いつまでもおとが いをたたいていないで、早く帰って夕飯の仕 度をしてくれよ。 女 三人寄れば森しい 女性はおしゃべりだか ら、寄り集まるとほんと うにうるさい。■「姦」という字が「女」の字三 つからなっていることに通わせて言ったも の。用例母の友達が家に集まると、うるさく てかなわない。まったく、女三人寄ればかし ましいだね。 たた 陰口を叩く 当人のいないところで悪 口を言う。用例陰口をた たくひまがあったら、自分のことをもっと考 えてみたらどうだ。願陰口を利く <193> 軽口を叩く 気軽にこっけいな話や冗 談を言う。用例緊張した 雰囲気をときほぐそうと、彼は軽口をたたい てはみんなを笑わせていた。 口が過ぎる 必要以上のことを言う。 相手に対して言ってはい けないことを言う。用例先日の私の発言は、 少し口が過ぎたようです。たいへん失礼しま した。 口が減らない 少しも気後れせずにあれ これ理屈や負け惜しみを 言う様子。用例口が減らないやつで、手錠を かけられても、まだ何だかんだと言い張って いる。 くち 口転叩く 相手の気分を害するよう な勝手なことを言う。 用例お前にわかるはずがないじゃないか。利 いたふうな口をたたくな。 効能書きを並べる その物がいかに有用であるかを、あれこれ言い立 てる。用例彼女、遊びにくるのはいいんだけ ど、いつも長々とダイエット食品の効能書き を並べるんで閉口してるの。 御託を並べる くどくどと自分勝手なこ とを言う。■「御託」は、 「御託宣」の略。用例負けたのだから、御託を 並べるのはそのくらいにして練習にかかれ よ。 言葉が過ぎる 言うべきでないことまで 言う。強く言いすぎた つなことを言ったりする。 り 相手か怒るよったこと 用例君、言葉が過ぎるぞ。先方は君のためを 思っておっしゃっているんだ、少しは慎みた まえ。 <194> 憎まれ口を叩く 人に嫌われるような言い方をする。憎たらしくな るような言い方をする。用例彼も悪いやつ じゃないんだが、いつも憎まれ口ばかりたた いているから皆に敬遠されるんだ。類憎まれ 口を利く 減らず口を叩く 負け惜しみから、尻理屈 言う。用例 や出まかせを言う。用例 成績が悪いことをしかると、減らず口をたたくからいやになる。類減らず口を利く 筋道の通らない勝手な理 屈理屈を捏ねる 屈を言う。用例彼は注意 するとすぐに屈理屈をこねて言葉を返す男 で、素直でない。 無駄口を叩く くだらないことをあれこ れ言う。つまらないお しゃべりをする。 用例無駄口をたたいてばか りいないで、さっさと仕事をしなさい。類無 駄口を利く 与太を飛ばす ふざけて、でたらめなこ とを言う。 用例あいつの ことだ。また仕事を放り出して、どこかで与 太を飛ばしているんだろう。 理国を付ける 無理やりにこじつける。 用例あなたが何と理屈を 知できない。 つけても、その話は承知できない に落ちる 話すことが理屈っぽくな る。用例彼の言うことは 理に落ちるばかりで、少しもおもしろみがな い。 <195> 行為・動作・行動を表す慣用句 <196> 会う・訪れる お百度を踏む 頼み事のために、同じ所 を何度でも訪問する。 神仏に願をかけるとき、一定の場所を百回往 復して拝む意から。用例何をするにも役所に お百度を踏んで許可をとらなければならない んだから大変だよ。 なった。顔顔が合う お目に掛かる 一度お目に掛かって直接お話をうかがいたい のですが、いかがでしょうか。 映画・演劇などで、共演 顔を合わせる する。また、試合など で、対戦相手となる。用例今大会では、二回 戦で早くも優勝候補と顔を合わせることに 顔を出す る。用例忙しいだろうが、たまには顔を出し てくれよ。 顔を見せる その場所に来る。出席す る。用例彼もあれ以来一 度も顔を見せないが、元気でやっているのか な。 駕を枉げる 身分の上の人が来訪してくださる。来訪した人に 敬意を表した言い方。「駕」は、かご、ま た、馬が引く乗り物の意。用例過日はこんな 田舎まで駕をまげていただき、感謝申し上げ ております。 機嫌を何う 人を訪問して、相手の安 否や気分のよしあしを知 <197> ろうとする。用例しばらくごぶさたしてし まったから、先生のお宅にご機嫌を伺いに 行ってこよう。 豊咳に接する じかにその人に会う。特 る人に会うときにいう。■「警」も「咳」も、せ きばらいの意。用例先生の警咳に接する機会 を得られたことは、忘れえない思い出となっ ている。 に、目上あるいは尊敬す 剌を通じる 名刺を出し、あるいは身 る。■「刺」は、名刺のこと。用例相手は大企 業の社長だと思うと、受付に刺を通じるのに もさすがに緊張した。 分をあかして面会を求め 面と向かう 正面から直接相対する。 相手に直接何かを言う。 は言いにくいことだから、 用例面と向かっては言いにくいことだから、 君からそれとなく伝えておいてくれないか。 夜討ち朝彫け て用件を果たすこと。 用例よし、こうなったら夜討ち朝駆けで、承 諾を得るまで粘るぞ。 あおろ あぶら そそ 油を注ぐ 物事・勢いなどが盛んに なるように働きかける。 人をほめたりおだてたりする。用例彼女のこ とをあきらめさせるつもりで言った言葉が、 かえって彼の恋心に油を注ぐことになってし まった。 知恵を付ける 何もわからない人に、工 夫や策を教える。よくな <198> いことを教える場合にいうことが多い。用例 相手が突然あんなことを言い出すなんて、だ れか知恵をつけているやつがいるに違いな い。 寝た子を起こす せっかく静まった事態、 あるいは忘れかけていた ことを、つまらないことで元に戻してしま う。用例君のその提案は、社内の寝た子を起 こすことになりかねないよ。 火に油を注ぐ そう事を荒立てる。用例対日感情の激しい 折、大臣の失言は、火に油を注ぐ結果となっ た。 勢いの盛んなものに、さ らに勢いを加える。いつ 火を付ける 騒動を起こすきっかけを 作る。また、刺激するよ 人をそそのかす。用例世界 うなことを言って人をそそのかす。用例世界 各地で起こった事故が、地球環境問題に火を つけた。 神興を担ぐ しきりに褒めあげていい 気にさせる。おだてあげ る。■「お神輿を担ぐ」とも。用例人がみこし を担ぐのはそれなりの魂胆があってのこと、 そんなことで有頂天になるなんて君もよっぽ どおめでたいね。 集まる 顔が揃う 集まる予定の者がすべて 集まる。用例顔がそろっ たところで発起人が立ち上がり、会設立の趣 旨や目的について説明を始めた。類顔を揃え る <199> 雁首を揃える 何人かの人がそろって一緒に行動する。やや軽蔑 した言い方。■「雁首」は、人の首、頭の俗 称。用例いまさら雁首をそろえて何しに来 た。話はもうとつくについているはずだ。 首を揃える 選ばれた面々は、首をそろえてさっそくプロ ジェクトの検討に入ることになった。 葉を食う 一を根城にしている。用例 両親が留守がちなのをいいことに、最近彼の 家には不良仲間が巣を食っているという話 だ。 同気相求める 気の合う者は互いに求め 合って集まる。用例我々 気相求めて自然に形成され のグループは、同気相求めて自然に形成され たものです。出典「子曰く、同声相応じ、同 気相求む。水は湿に流れ、火は燥に就く。雲 は竜に従い、風は虎に従う(孔子が言われた、 同声は互いに共鳴し、同気は互いに感応し引 き合うものである。水は地面の湿った部分へ と流れ、火はまず乾燥したものに燃えつくも のである。雲は竜の声によって湧き起こり、 風は虎の声によって吹き出すものである)」 「易経」乾卦) とぐろを巻く 必要もないのに、数人が 何時間も寄り集まってい る。回蛇が体を渦巻き状に巻いてじっとして いる様子から。用例どこの学校にも、放課後 ともなると体育館の裏あたりにとぐろを巻い ている生徒がいるものだ。 役者が揃う 何かをするのに必要な人 が全員集まる。用例役者 <200> がそろったところで、懸案事項についての討 議に移りたいと思います。 寄ってたかって 多くの人が寄り集まっ て。大勢が一緒になっ て。用例寄ってたかって弱い者をいじめるな んて、恥ずかしいと思わないか。 ると 機会さえあれば。用例可 地内では、寄ると触るとそのうわさでもちき りだ。 甘える 人に甘えて、何もかも頼 ろうとすること。■子供 をおんぶすると、今度は抱いてと甘えること から。用例頭金から敷金、はては引っ越し費 用まで親がかりで、おんぶにだっこといった ありさまです。 鼻声を出す 甘えて、鼻にかかった声 を出す。用例彼女はショ ーウインドーに飾ってあるドレスを目にする と、急に鼻声を出してねだりはじめた。 鼻にかかった声を出し 舞を鳴らす る。用例おもちゃ売り場で子供が鼻を鳴らし ている光景は、昔も今も変わらない。 操る・支配 自分は表に立たないで、 裏で思いどおりに人を動 <201> かす。■操り人形を糸で操ることから。用例 最近、彼の言動が以前とまったく違ってきた が、だれか陰で糸を引いているのかもしれな い。 押さえが利く 人を従わせたり、統率し たりすることができる。 用例あの連中に対して押さえが利くのは君し かいない。頼むから顔を出して話をしてくれ ないか。 玩具にする いいかげんな気持ちで人 をもてあそぶ。用例先輩 はできる人だが、どうも僕たちをおもちゃに して楽しむところがある。 おんど 音頭を取る 人々の先にたって、物事 の取りまとめをする。 用例彼が音頭を取って、災害地の人々に日用 品を送る運動が始まった。 舵を取る 物事がうまく進行するよ うに全体を導く。用例そ れぞれがばらばらにやっていてはどうなるか わからないから、だれかかじを取る人間が欲 しい。 急所を握る 相手の致命的な弱点を自 にしている。用例部長は何でも彼の言いなり になっているが、彼によほどの急所を握られ ているとみえる。 牛耳を執る 団体の中心となって、支配する。盟主となる。 諸侯が集まって誓約を交わすとき、その中心 となる諸侯が牛の耳を切り取って、みんなで 血をすすり誓いの証としたという「春秋左氏 伝」の故事による。「牛耳る」とも。用例氏は 長年にわたって、我が業界の牛耳を執ってこ <202> 采配を振る 指揮をとる。指図する。 ■采取を振るう」とも。 用例あのチームの監督は、もう二十年も采配 を振るっているベテランです。 死命を制する 人の運命を支配する。生 死にかかわる要所をおさ える。用例天候の急変が登山者の死命を制す ることになる。 寧中に収める めの得票数は、ほぼ掌中に収めることができ た。 手玉に取る 相手を思いのままにす る。用例先日の強盗犯人 は、警察を手玉に取るように捜査網をかいく ぐって逃走したらしい。 謝る 泣きを入れる 泣きついてわびごとを 言ったり、哀願したりす る。用例今度という今度は、彼がいくら泣き を入れてきても、絶対に許さないぞ。 平蜘蛛のよう 恐縮して平身低頭する様 子「二平蜘蛛」は、一セ ンチくらいの小形で平たいクモ。用例大きな ミスを犯した彼は、課長の前に平蜘蛛のよう になって謝っていた。 不徳の致す所 失敗や事故などの原因 を、自分の責任としてわ びる気持ちを表す言葉。自分に徳が足りな かった報いであるの意。用例今回の本学の不 祥事につきましては、学長である私の不徳の <203> 致す所であり、弁解の余地もありません。 詫びを入れる 自分の過ちを認めて、謝 罪する。用例どのように 詫びを入れてみたところで、とうてい相手に 聞き入れてもらえそうにもないが、誠意だけ は尽くしたい。 ぐ 争う 蝸牛角上の争い 取るに足りない小さな争 い事。鶴牛」は、かた つむりの意。かたつむりの左の角にある触氏 の国と右の角にある蛮氏の国が、領土争いを したという『荘子』の寓話による言葉。用例あ の二人、もっともらしいことを言い立てて 争っているが、本をただせば蝸牛角上の争い で、互いに小さなことにこだわっているだけ だよ。 金持ち喧嘩せず 優位に立っている者は、 無駄な争いはしない。 金持ちはけんかをすると損をすることを知っ ているから、他人と争わないの意から。用例 腹を立てる君の気持ちもわかるが、金持ちけ んかせずというじゃないか。ほっときなさ い。 噴嘩を売る をふっかける。用例まったくあいつにも困ったものだ。気に入らない相手だと、すぐにけんかを売ろうとするんだから。対喧嘩を買う 妍を鏡う 美女が大勢集まって、あ でやかさを張り合う様 子。美しい花が咲き乱れる様子。姸は、 <204> 美しさの意。用例その夜のパーティーは、有 名な女優も多く集まり、妍を競っていた。 骨肉相食む 親子や兄弟など、身内同 士で争う。用例故人がな まじ大きな遺産を残したばかりに、遺族が骨 肉相食むことになった。 鎖を削る しく争う。■「鎬」は、刀 身の刃とみねの間の小高い部分。切り合うと き、両者の鎬が激しく擦れ合うことから。 用例候補者は、選挙戦を勝ち抜こうとしのぎ を削っている。 難雄を決する 勝敗に決着をつける。優 劣をきめる。用例日米の プロ野球の難雄を決する一戦が今日行われ る。出典「天下匈々たること数歳なるは、た だ吾両人を以てなるのみ。願わくは漢王と戦 いを挑み、雌雄を決せん(世の中の騒がしく 乱れている状態が数年も続いているのは、た だ我々二人が争っているからだ。是非とも漢 王に戦いを挑んで勝敗をつけたいものだ)」 (史記項羽本紀) 擦った揉んだ 一意見の食い違いなどで争 一う様子。さんざんもめる 様子。用例すったもんだを繰り返している が、ほんとうは仲のいい夫婦なんです。 身内同士が利害関係の対 立から、激しく争う。 用例古来、この地方の豪族は、一族の主導権 をめぐって血で血を洗う争いを繰り返してき たということだ。 角突き合わせる 仲が悪く、よく争い事を 起こす様子。用例あの二 らしく、事あるたびに角 人はよほど仲が悪いらしく、事あるたびに角 <205> 銹追り合いを演じる 互角の力で、激しく競い 合う。回「鍔迫り合い」 は、切り込んできた相手の刀を鍔で受け止め たままの形で押し合うこと。用例今日のマラ ソンは、一位と二位がゴール寸前までつぱぜ り合いを演じて、まれに見る好レースだっ た。 はあらそ 罰を争う 競技で、優勝を目指して 競い合う。用例今大会は 全国から数百人もの若者が一堂に会して覇を 争った。 火花を散らす 互いに力を尽くして激しく争う。刀で激しく切 り合うとき、ぶつかり合う刀が火花を散らす ことから。用例優勝旗を目指して、火花を散 らす熱戦が繰り広げられている。 向こうに回す 相手とする。敵として争 う。用例昨日までの仲間 を向こうに回してやり合うには、何かよほど の事情があるんだろう。 向こうを張る する。用例我が社も新製 品を開発して、先発各社の向こうを張ること になった。 四つに組む まっ正面から堂々と取り 組む。本気で取り組む。 回相撲で、互いに相手の回しに両手を掛けた 体勢になることから。用例自然環境を保護し ていくためには、さまざまな問題と四つに組 む必要がある。 竜虎相搏つ 互いに力が伯仲した二人 が勝敗を争う。用例千秋 組みは、竜虎相うつ熱戦 楽での両横綱の取り組みは、竜虎相うつ熱戦 <206> あわてる 浮き足立つ 不安を感じて落ち着きを 失う。落ち着きを失って 逃げ腰になる。用例楽に勝てると思っていた 相手に先取点を奪われ、チームはすっかり浮 き足立ってしまった。 押っ取り刀で駆けつける 大急ぎでやってくる。 非常のとき、刀を腰に差 すひまもなく、手に持ったまま行動する意か ら。用例事故発生の連絡を受けた係員たち は、押っ取り刀で現場に駆けつけた。 替擋を失う 精神的なショックで、普 段の立ち居振る舞いがで きなくなる。取り乱す。用例夫の事故死の知 らせを受け、彼女は挙措を失ってはだしで表 へ飛び出して行った。 血相を変える ひどく驚いたり心配した りして、顔色を変える。 血相は顔の表情顔色の意用例大金 の入ったかばんを置き忘れたことに気づき、 血相を変えて交番に駆け込んだ。 前後を忘れる ひどく興奮したり動揺し たりして、その場の状況 が判断できなくなる。用例近所に住む娘夫婦 の家が火事だと聞いて、主人は前後を忘れて 家を飛び出した。 取る物も取り敢えず 必要なものさえ持てない で、あわてて。大急ぎ で。用例母危篤の知らせに、取る物も取りあ えず病院へ駆けつけた。 <207> 度を失う ひどく驚いて落ち着きを な、す。あわてふためい て取り乱す。用例おしゃべりに夢中になって いた彼女は、手を引いていたはずの子供の姿 が見えないのに気づいて度を失った。 言う 話の途中や事の進行中 に、別の言葉や動作を挟 む。用例人が話している途中に、いやみな合 いの手を入れるのはやめてください。 曰く言いがたし いうほかはない。簡単に は言うことができない。用例彼女の魅力? それはいわく言いがたしだね。君も一度会っ てみるといいさ。出典「敢て問う、何をか浩 然の気と謂う、と。曰く、言い難し(孟子の 弟子の公孫丑があえてお尋ねしますが、浩 然の気とはどのようなことをいうのですか。 孟子が答えて言うには何とも言葉では説明 しにくいよ)(孟子公孫丑) 得も言われぬ きないほどだ。回得も 言えぬ」とも。用例和服を着た夫人の上品な 姿は、えも言われぬ美しさだ。 かいこういちばん 開口一番 ものを言いはじめたとた ん。話しはじめるとすぐ に。用例彼に開口一番、ごめんといって謝ら れたのでびっくりした。 口が滑る 言ってはならないこと を、ついうっかり言って が滑ってよけいなことを しまう。 用例つい口が滑ってよけいなことを <208> 言ったばかりに、その場の雰囲気が気まずく なってしまった。類口を滑らす みで口に出てしまうものだ。 口に任せてぺらぺらよくしゃべる人だが、何 を言いたいのかさっぱり要領を得ない。 言葉に表す。話題とす に掛ける る。用例奥さん連中が口 の端に掛けていることといったら、近所の家 庭のうわさ話ばかりだ。 最初に言い出しはじめ る。用例彼が口を切る と、やがてみんなが口々に日ごろの不満を言 いはじめた。 <209> 口を裏めて あらゆる言葉を使って、 力をこめて言う様子。 彼は口を極めてほめてい 口を揃える おのおのが同時に同じこ 室に呼び出された生徒たちは、何もやってい ないと口をそろえて言うばかりで平然として いる。 口を衝いて出る 深く考えることなしに、 用例あまりにひどいやり方に、怒りの言葉が 思わず口をついて出た。 口を開く 黙っていた人が話しはじ める。用例彼はしばらく 黙ってうつむいていたが、やがて口を開い て、事情を語りはじめた。 声を揃える 皆が一緒に同じことを言 う。ある事柄について、 皆が同じ意見を言う。用例工場誘致について の企業側の説明に、住民の代表たちは声をそ ろえて反対した。 言葉に余る とても言葉では言いつく 中村さんはあいさつの中で、言葉に余ると 言って涙声になり、先を続けられなくなって しまった。 耳に入れる 人に言って知らせる。 用例相手先の動向をいち 入れることができた。 早く上司のお耳に入れることができた。 名状しがたい その状態を言葉では言い 表せない。「名状」は、 情況を言い表す意。用例この音楽を聞いてい ると、一種名状しがたい寂しさを覚えてくる。 <210> 圧力を掛ける 自分に従わせようと強く 働きかける。自分の意を 通すために他を圧迫する。用例ジャーナリズ ムに圧力を掛けたのも無駄で、事件は大々的 に報道された。 一発噛ます 相手の勢いをそぐため かける。用例あいつ、君がおとなしいと思っ てなめてるんだよ。今度一発かましてやれ よ。 変みを利かせる に、鋭い言葉や動作をし 相手をこわがらせるよう な態度や言葉つきをす る。用例不良少年たちは周りを取り囲み、す ごみを利かせて、金を出せと迫ってきた。 大上段に構える 大げさで居丈高な態度を とる。 刀を頭上にふり かぶり、相手を威圧する構えをとることか ら。用例実力のない人に限って、大上段に構 えるものです。 どすが利く ものの言い方や声の調子 にすごみがある。■「ど す」はすごみの意で、「おどす一の略とも。 用例あんなどすの利いた声で脅されたら、だ れだって怖がって逃げ出すだろう。 じゃ 睨みを利かせる 威圧して従わせようとす る。 用例にらみを利かせ ようったって、私の貫禄ではだめです。類晩 みが利く 真綿で首を締める じわじわと痛めつける。 用例政府高官に対して、 老練な議員は真綿で首を締めるような質問を <211> 意気込む 意気が揚がる 順調に事が運び、意欲が 盛んになる。 用例新製品 の売り上げも他社を押さえてトップに立ち、 ますます社員の意気が揚がった。 意気軒昂 気力が充実し、意気込み 奮い立っている様子。用例二階級特進の抜擢 人事に、最近の彼は意気軒昂たるものがあ る。対意気消沈 が盛んな様子。気持ちが 気衝天の勢いがある。 意気衝天 気力が盛んな様子。 「意気天を衝く」とも。 用例営業成績連続トップの彼には、まさに意 意気に感じる 相手の気概に同感して、 じる 自分も積極的な気持ちに なる。用例先生方の熱心な指導に、学生たち も意気に感じて自主的に勉強をするように なった。 意気に燃える 物事を成し遂げようとす る気力があふれている。 用例スタッフ全員が、このプロジェクトを成 功させようという意気に燃えている。 腕に継りを掛ける 自慢の腕前を大いに発揮 しようと張り切る。 「縫りを掛ける」とも。用例母の日の夕飯は、 私が感謝の気持ちを込めて、腕によりを掛け て作った。 腕を振るう 技術や能力を大いに発揮 する。用例倒産の危機に <212> 見舞われて抜擢された新社長は、徹底的な合 理化を推し進めて、会社の再建に腕を振るっ た。 おだを上げる 得意になって勝手なこと まって盛んに談笑する。用例あの四人は仕事 が終わると、毎晩のように酒を飲んではおだ を上げている。 を言う。気の合う者が集 気合いを入れる ぼる。用例今日のような試合をやっていたん ではためだ。次の試合は気合いを入れてぶつ かれ。 全力を出せるように精神 気炎を上げる を集中して気力を振りし 威勢のよいことを得意げ げる に言う。用例例によって お調子者の彼が、また若い者を相手に気炎を 上げている。 気勢を上げる 意気盛んなところを見せ る。用例今日も新空港建 設反対の住民が建設予定地で集会を開いて気 勢を上げている。 気を吐く 威勢のいいことを言う。 意気盛んなところを見せ る。用例今大会成績不振の我がチームのなか で、彼一人が上位入賞をはたして気を吐い た。 人生意気に感ず 人は、私利私欲のためで なく、相手の気持ちや考 え方に感ずるところがあって、事を行うもの である。用例よろしい、融資しましょう。人 生意気に感ずです。あなたのような方には、 ぜひ成功してもらいたい。出典人生意気に感 ず。功名誰かまた論ぜん(人間は意気に感じ て働くものであり、手柄を立てて名を上げた <213> などと評判になることなど取るに足りないことだ」(魏徴の詩「述懐」) 真に迫る 実感がこもっていて、ほ る。用例悲劇のヒーローを演じた彼の演技 は、真に迫るものがあった。 乙旗を掲げる 重大事に際し、各自が総 力を挙げて努力するよう に号令をかける。回日露戦争中の日本海海戦 で、日本海軍が乙旗を掲げて各自の奮起を促 したことから。用例今回の不況を乗り切るた めに、乙旗を掲げて全社員の奮起を促した。 手に唾する 思う存分の働きをしよう と意気込む。回力仕事を する前に手につばをかけることから。用例我 がチーム全員が手に唾して、試合開始の瞬間 を待った。 。 熱気を構びる 争うシーソーゲームに、 双方の応援席もしだ いに熱気を帯びてきた。 鼻息が荒い が激しい様子。用例今回 の企画には自信があると見えるね。ずいぶん 鼻息が荒いじゃないか。 だれも望んでいないこと 一人相撲を取る に、勝手な思い込みで意気込んで取り組む。 用例この土地の出身者でもない君が、みんな のためだといって奔走したところで、結局一 人相撲を取るだけだ。 メートルを上げる 酒に酔って、機嫌や威勢 がよくなる。用例学生た を用んで盛んにメートル ちが数人、テーブルを囲んで盛んにメートル <214> を上げていた。 足が向く 自然とある方向へ行く。 用例いつの間にか、小さ る 一く。用例午後は足に任せ て、二時間ばかり近所を散歩することにして います。 に歩けなくなる。用例ひどく酔っ払い、雪ど け道のぬかるみに足を取られてころんでし まった。 けてその先まで行く。 用例出張で大阪まで来たついでに、神戸まで 足を延ばして、友人の家を訪ねることにし た。 ある場所まで出かける。 一訪問する。用例頼み事が あるのなら、自分のほうから足を運んでお願 いすべきだ。 いっとー途を辿る ひたすらその方向へ向かう。■「一途」は、ひとす じの道の意。用例コンピュータソフトの分野 に進出して以来、会社は発展の一途をたどっ ている。 向かっていった目標を外され、勢い余って前のめ体当たりをしようとした りによろめく。 用例体当たりをしようとした <215> ところを相手にかわされ、たたらを踏んだ。 杖を曳く ぶらぶらと歩く。また、 目的とする所へ行く。 用例定年後は、名作の舞台になっている土地 に杖をひくのが楽しみになった。 その地に足を踏み入れ 土を踏む る。その地へ着く。 用例 る。その地へ着く。用例 甲子園の土を踏むことができたのが、高校時 代最高の思い出です。 心 太式 一進むこと。用例私は私立 ですから、小学校から大学まで、ところてん 式に進学してきました。 歩を運ぶ 歩いていく。出かけてい く。用例私たちは駅で待 ち合わせると、彼の個展会場へと歩を運ん だ。 偽ろ・偽り・うそ 居留守を使う 家にいるのに、いないよ うに見せかける。 用例借 金取りが来るはずなので、居留守を使うこと にした。 嘘八百を並べる やたらにうそばかりを述 べ立てる。用例そんなう そ八百を並べて、人をだませるとでも思って いるのか。 口と腹とは違う 言っていることと考えて いることが違う。用例丁 寧な物腰で応対するけれど、口と腹とは違う から用心しなさい。 心にもない ほんとうにそう思っているのではない。本心でな <216> い。用例娘が美人だなどと、心にもないお世 辞を言うな。 前後でくい違うようなこ とを言う。うそを言う。 用例あの男は二枚舌を使って老人の貯金をだ ましとるのを常習としている。 根も棄もない なんの根拠もない。用例 やたらに根も葉もないこ とを言い触らされて、こちらはたまったもの ではない。 羊頭狗肉 見た目と内容が一致しな いこと。見た目は立派だ が中身はよくないこと。■看板に羊の肉を出 しながら、実際には犬の肉を売っているこ と。「羊頭を懸けて狗肉を売る」の略。用例値 段も高いし、しゃれた店内なのに、料理がこ の程度では羊頭狗肉というものだ。 猫を締める 戒める いように戒める。 ごろ息子がたるんでいるようだから、少した がを締めることにした。 手綱を締める 気をゆるめたり度を超したりしないように、厳し い態度をとる。用例どうかするとすぐ怠けぐ せが出るから、時々手綱を締めてやらなくて は。対手綱を緩める ねじを巻く 締まりのない態度や行い などを引き締めるよう注 意したり、励ましたりする。用例少し成績が いいと慢心するおそれがあるから、ここらで ねじを巻いておく必要があるね。 <217> ブレーキを掛ける 進行を押さえる。ゆきす ぎのないように抑制す る。用例かけ事が悪いというのではないが、 のめり込んでしまうことのないように、君の ほうからブレーキを掛けてくれ。 移ろ・移動 河岸を変える 場所を移動する。特に、 飲食・遊興する場所にい う。用例河岸を変えたところまでは覚えてい るんだが、そのあとがまるつきり思い出せな いんだよ。 一度その場所を退く。 座を外す 用例少しこみいった話が あるんだ。悪いが、ちょっと座を外してくれ 席を改める 一を、別の所に移す。用例難しい話は席を改めることにして、ここはひとつ大いに飲みましょう。 人手に渡る 自分の所有物だったもの 一が、他人の持ち物とな る。用例せっかく建てた家も、すぐ人手に渡 ることになろうとはね。 裏切る・裏切り 後足で砂を掛ける 去りぎわにいやな目にあ わせる。用例長年勤めた 会社だから、後足で砂を掛けるような辞め方 はしたくない。 <218> おんあたかえ 恩を仇で返す 恩を受けたことを感謝し ないばかりか、かえって 害を加える。用例どんな無頼な生活をしても いいから、恩をあだで返すようなことだけは するな。 飼い犬に手を噛まれる 親しく面倒をみていた者 に裏切られ、ひどい仕打 ちを受ける。用例まさか秘書が内部告発をし ようとは。飼い犬に手をかまれるとはこのこ とだ。 訳を通じる 敵に内通する。「款」は、 親しみ・よしみの意。 用例どうも我が社の企画が筒抜けのような気 がするが、まさか他社に款を通じている者が いるんじゃないだろうな。 内部から災いを起こす者 や、恩をあだで返す者。 狮子身中の虫 仏教徒でありながら仏法に害をなす者の意 から。用例会社の極秘資料を金のために他社 へ流した彼らこそ、獅子身中の虫というべき だ。出典「獅子身中の虫自ら獅子の肉を食う」 ばんもうきよう (梵網経) 背負い投げを食う いよいよというときに裏 切られて、ひどい目にあ う。 ▪しょいなげ」は「せおいなげ」とも。 う。■「しょいなげ」 用例いつも理解を示してくれるのですっかり 信頼していたのに、公式に問題を提起する段 になって彼にしょい投げを食ってしまった。 煮え湯を飲まされる 飲まされる 目にあう。用例保証人に なったばかりに、とんだ煮え湯を飲まされて しまった。 寝返りを打つ 味方を裏切って、敵側に つく。用例寝返りを打っ <219> て入ってきた男だから、全面的に信用すると いうわけにはいかない。 梯子を外される していたのに、状況 が変わって、見殺しにされる。■上で仕事を しているのに、はしごを外されて置きざりに される意から。用例子会社に出向を命じら れ、立て直しに奮闘してきたのに、ここでは しごを外されるというのではかなわない。 底を貸して母歴を取られる れる一最後には全部を奪い取ら れる。保護してやったのに、逆にひどい仕打 ちを受ける。用例私が口添えして彼を会員に してやったのに、今ではすっかり彼に取りし きられ、ひさしを貸して母屋を取られる結果 になってしまった。類軒を貸して母屋を取ら れる 。 速ぶ 白羽の矢が立つ される。また、犠牲者として選ばれる。■人 身御供を求める神が、望む少女の家の屋根に 白羽の矢を立てるという俗説から。用例おわ びに出向く役として、彼に白羽の矢が立てら れた。類白羽の矢を立てる 二つに一つ つ 一を選択すること。用例こ こまでくればもう生きるか死ぬか、二つに一 つと覚悟を決めた。 師に掛ける たくさんの中から、ある 基準にかなったものだけ 以外のものを排除する。 を選び出す。それ以外のものを排除する。 <220> 用例あらゆるデータを徹底的に検証してふる いに掛けた。 帰る・戻る 遠な返す 来た道を戻る。引き返 す。■「きびす」は「くび す」とも。かかとの意。用例目的に大分近づ いたのに、いまさらきびすを返すわけにもい かない。 腰を浮かす 立ちあがりかける。辞去 しようとする。用例いま 来たばかりなのに、そんなにあわてて腰を浮 かすことはないじゃないか。 尻を上げる 立ちあがる。帰りかけ る。用例話のきりもいい ので、このへんでしりを上げることにしよう。 歩を回らす もと来た道に帰る。途中 別れてから急にまた恋しくなり、歩をめぐら して追いかけて行った。 書く 朱を入れる 朱筆で訂正したり、書き る 入れたりする。添削す る。用例お見せするために、師は私の文章に 朱を入れてくださった。 手が入る 文章に加筆・訂正が施さ れる。用例児童の作文を 読んでいると、親の手が入った文章はすぐわ かります。 <221> 手を加える 文章を増補したり直した りする。修正する。用例 他人の文章に手を加えることは、簡単にでき ることではない。類手を入れる 秃筆を囲す つたない文章を書く。 すり切れた筆に息を吹き かけて書く意で、自分の文章を謙遜してい う。用例たってのご要望により禿筆を呵して 草した次第です。 筆硯を新たにする 構想を新たにして文章を 書き改める。回「筆硯」は、 筆と硯、文章、文章を書くことの意。「筆研」 とも書く。 用例ご高見を取り入れ、筆硯を新 たにして近々執筆に取りかかるつもりです。 筆が滑る 書くべきでないことや、 書かなくてもいいことを 書いてしまう。 用例 先日の手紙ではつい筆が 滑って、ご不快の念を抱かれたのではないか と心配です。 筆が立つ 文章がじょうずである。 文章表現が達者である。 用例彼は口数は少ないが、筆が立つことで有 名だ。 筆に任せる 筆の進むままに書く。気 の向くままに筆を走らせ る。用例いった人机に向かうと、あれこれ気 を遺わずに筆に任せて書きすすめた。 文章を添削する。用例学 生の文章に筆を入れるこ とを始めたらきりがない。 華を網く お 文章を書き終える。欄筆 する。用例これをまとめ るには二年の歳月を要したが、本日やっと筆 をおくことができた。 <222> 筆を折る 書き続けることをやめ る。文筆活動をやめる。 用例さんざん苦労して資料など集めました が、まことに残念ながら筆を折ることにしま した。類ペンを折る 筆を加える の作品に筆を加えることは、むやみにするものではない。 筆を染める る。筆に墨を含ませる意。用例あなたのお 世辞にのせられて、とうとう筆を染めること になりました。 は、初めて書き物をす 筆を断つ 文章を書いてきた人が、 文筆活動をいつさいやめ る。 用例 克明に書き続けてきたあの人が、こ の事件以来ぴたりと筆を断った。 筆を執る らく何か考えていたが、やおら筆だ 筆を走らせる る。執筆する。用例しば すらすらと絵や文章を書 く。走り書きをする。 用例彼は、まるでものにつかれたように筆を 走らせていた。 筆を揮う 文章や書画を書く。揮毫 する。用例この屏風はま ふるったものだ。 さにその人が筆をふるったものだ。 文字が非常にへたな様 駈剣がのたくったよう 子。■「のたくる」は「ぬ たくる」とも。 用例彼の手紙はみみずがのた 魔筆を揮う くったような字で、読めたものではない 絵や書を美しく書く。美 しい文章を書く。用例さ <223> すが大家、みんなの見ている前で即座に魔筆 をふるわれた。 隠れる・隠す・消える 逃亡して見つからないよ 跡を晦ます うにする。用例この山の 奥には、世間から跡をくらました人間どもが 住みついているといわれてきた。 かけひそ 影を潜める 隠れて姿を見せなくな る。すっかり見かけなく なる。用例人の気配を感じてか、森の動物た ちはまったく影を潜めてしまった。 本心や本性を隠して、人 に見せない。用例彼は善 良な市民の仮面をかぶったスパイであった。 臭い物に蓋をする 人に知られると困るような物事を、一時しのぎに 覆い隠す。用例臭い物にふたをするようなこ とばかりしているから、事態はますます悪く なっていくばかりだ。 こうじもん 好事門を出でず よい行いは、なかなか世 間には伝えられない。 用例好事門を出でずで、君のようによいこと をこつこつと行ってもなかなか人には知られ ないものですね。出典「好事門を出でず、悪 事千里を行く(よいことはとかく世間に知ら れず、門すら出ないようだが、悪いことはす ぐに千里の遠方までも知れわたる)北夢瑣 言 ちゃん 地下に潜る 政治・社会運動で、非合 法活動を行う者が権力の です。用例彼は昔、反政府 追及を逃れて身を隠す。用例彼は昔、反政府 <224> 運動の活動員をしていて、検挙を恐れて地下 に潜ったこともあるそうだ。 む つ。用例彼らはどすをの んでいることもあるから、因縁をつけられて も絶対に相手になるな。 身を潜める 世間からそっと姿を隠 す。用例事件が発覚する 一週間前に、彼はすでに身を潜めてしまって いたらしい。 考える 何かよい考えはないか 頭を絞る と、一生懸命に考える。 何かよい考えはないか と、一生懸命に考える。 頁をしぼってみたが、 用例後輩に相談されて頭をしぼってみたが、 結局、名案は浮かばなかった。 あたま ひね頭を捻る 考える。用例新しい雑誌の企画で頭をひねっ ているところだが、何かいいアイディアはな いかね。 方法を見つけようとして 一計を楽じる 一つの計画・策略を考え 出す。用例二人を仲直り させるためには、まず二人を何とか会わせる ことだと、彼が一計を案じた。 一考を要する 一度慎重に考える必要が ある。用例仕事の量が減 ったから人員を減らそうという君の提案は、 一考を要するよ。 おも思いを致す 考えをそのことに及ぼ す。そのことについてよ 故で主人を失った家族のこ く考える。用例事故で主人を失った家族のこ <225> とに思いを致せば、会社としてはできる限り のことはしなければなるまい。 知恵を絞る 名案はないかと、考えに 考え抜く。ある限りの知 恵を出す。無い知恵を絞る」とも。用例次 号の特集は何を組もうかと、いまみんなで知 恵をしぼっているところだ。 闘味噌を絞る ありったけの知恵を出し て、一生懸命に考える。 「脳味噌」は、脳の俗称で、知力の意。用例 校則改正に教職員たちは脳味噌をしぼった が、これといった結論は出なかった。 胸に手を置く 自分で思い当たることがないか考えてみる。よく よく考える。用例君には非がないかどうか、 胸に手を置いて、よく考えてみなさい。類胸 に手を当てる 揚げ足を取る 干渉・口出し 相手の言いそこないにつ つかまえたりして、貴めたてたり、皮肉った け込んだり、言葉じりを りする。 用例人の揚げ足を取るようなことば かりしているから、君は人に嫌われるんだ。 足を入れる あることに関係するよう になる。入り込む。用例 子供たちだけでやっていることに、おやみに 大人が足を入れることもない。 言い掛かりを付ける 根拠もなしに相手に文句 を言う。用例僕の車の バックミラーが、相手の車のボディーをか すったと言い掛かりをつけられた。類いちゃ もんを付ける・因縁を付ける <226> お節介を焼く よけいなことに口出ししたり、必要以上に立ち 入ったりする。用例人がどうしようと、君に は関係ないだろう。お節介を焼くのはやめて くれよ。 口がうるさい 何かにつけて、あれこれ と小言を言う。用例うち の親に知れると口がうるさいから、このこと は黙っていてください。 くちばし 噴を客れる る。用例これはあくまでも僕個人の問題なの だから、君はくちばしをいれないでほしい。 類嘴を挟む 関係もないのに他人の話 やすることに口出しをす 口を入れる 話の途中でよけいな口出 しをする。話に割り込 む。用例いま彼と最終的な打ち合わせをして いるところだから、口を入れるのを遠慮して くれないか。 口を出す 人の話の最中や、人のす ことを言う。用例彼ら夫婦の問題に君が横か ら口を出す必要はないじゃないか。 ることに対して差し出た 口を挟む 他人が話している最中に 割り込んで意見などを言 う。用例口を挟むようで失礼ですが、お話は もう少し小さな声でお願いできませんか。 首を突っ込む あることにかかわった り、仲間になったりす る。用例彼らの問題に首を突っ込むと後で面 倒なことになるから、あまり深入りしないほ うがいいよ。 けちを付ける 相手の欠点をあげて非難 する。縁起でもないこと <227> を言って相手の気を悪くさせる。用例なんで 君は、人のやることにいちいちけちをつける んだ。 言葉尻を捕らえる 相手の言いそこないを取り上げて、ことさらに問 題にする。用例君のようにいちいち言葉じり を捕らえてばかりいては、議論は進展しない よ。 言葉の先を折る 相手の話を中断させるよ 一うなことを言う。用例君 は人の言葉の先を折ってばかりいるじゃない か。人の話は最後まで聞くべきだよ。 雑薈を入れる 関係のない人がそばから 無責任な批判をしたり、 勝手なことを言ったりする。用例いまここで は我々の持ち場の問題を討議しているんだ よ。雑音を入れるなよ。 重箱の隅をつく るさく問題にする。用例重箱の隅をつつくようなことばかり言ってないで、もっと大所高所からみた意見を出してくれ。類楊枝で重箱の隅をほじくる 戦時を加える げる。 回「掣肘」は、そば から肘をおさえつける意。用例君が後輩を心 配するのはよいが、あまり細かな注意をしす ぎて掣肘を加えることにならないように注意 しなきやいけないよ。 茶茶を入れる そばから冷やかしたり冗談を言ったりして話の じゃまをする。用例まじめな話をしていると ころに、君があんな茶々を入れるから、彼ら だって怒るよ。 <228> ちょっかいを出す 差し出がましいことを 言ったりして干渉する。 ちょっかい」は、猫が前足でじゃれつく動 作。用例横からそんなにちょっかいを出すく らいなら、君も最初から僕たちと一緒にやっ ていればよかったじゃないか。 手を出す つることに関係をもつ。 また、干渉する。用例部 下の仕事だからといって、そう簡単に手を出 ぢわけにはいかない。 なか 仲を褀く 親しい間柄を引き裂く。 じゃまをして仲を崩して しまう。用例へたなことを言えば二人の仲を 裂くことになりかねないから、口出しはしな いほうがいい。 生木を裂く 愛し合っている男女を無 理やり別れさせる。用例 いくら彼の将来のためといっても、そんな生 木を裂くようなことはできない。 難療を付ける 何か欠点を見つけ出して 非難する。用例そんなつ まらないことで難癖をつけてくるところをみ ると、先方はあまり乗り気ではないようだな。 半畳を入れる 人の言動に対して、ちゃ かしたり、やじったりす る。昔、芝居の観客が役者の演技に不満を 感じたときに、敷いていた半畳ほどのござを 舞台に投げ入れたことから。用例人の話を最 後まで聞かずに半畳を入れたがるのは、君の 悪い癖だ。 水を癒す そばからよけいなことを言ったり干渉したりし て、物事のじゃまをする。用例せっかく和解 しようとしているところに、水を差すような <229> 物言いが付く すでに決定したことに対して異議が出される。 相撲で、行司の判定に対して、勝負審判など から異議が出される意から。用例タクシー利 用の基準については、会計課から物言いがつ いて事務が停滞している。 野次を飛ばす 人の言動をわきから冷や かしたり、はやしたてた 人の言動をわきから冷や かしたり、はやしたてた りする。用例相手チームのミスに我々は大声 で野次を飛ばした。 指一本も産させない 人から非難されるような ところは少しもない。 用例この問題に関しては、たとえ相手が社長 であろうと、指一本も差させないつもりだ。 横槍を入れる 横から口出しをして人の 話や行動を妨害する。 用例今回の人事異動では、組合側がとうとう 横槍を入れたということだ。 聞く 聞き捨てならない 聞き流すわけにはいかな い。聞いたことが無視で きない。用例いくらなんでもその言葉は聞き 捨てならない。 聞き耳を立てる よく聞こうとして、注意 立てる を集中する。用例例によ って彼女はそ知らぬふりをしながら聞き耳を 立てていた。 小耳に挟む たまたま聞く。ちらりと 聞く。用例彼が別の女性 交際していることを小耳に挟んで驚いた。 <230> 耳が痛い 聴覚がにぶい。耳がよく 聞こえない。用例あの年 寄りは都合の悪いときだけ、急に耳が遠くな る。 世間のうわさなどを聞き 耳に胼胝ができる に、外で何かがぶつかったような鈍い音を耳 にした。 あきるほど聞いている。 て離れない。用例電車の音が耳についてちっ <231> などがおのずと聞こえてくる。用例この席に いると、いろんなことがよく耳に入る。 ちらっと聞く。用例この ことにはあまり乗り気で ことにはあまり乗り気で ないらしいことを耳に挟んだので、彼には案 内は出さなかった。 耳に触れる 自然に聞こえてくる。 えば、最近よく耳に触れる言葉に和製英語が ある。 用例わからない言葉とい 耳を貨す 人のいうことを聞いてやる。相談にのってやる。 用例あいつはだれの言うことにもすぐ耳を貸 す、人のいい男なのだ。 耳を傾ける 耳を汚す き生まれて初めて、父の言葉にまじめに耳を 傾けた。 話を聞かせて、相手を不 快な気分にさせる。用例社長のお耳を汚すよ うで恐縮ですが、ひと言お伝えしておいたほ うがいいと思いまして。 耳を澄ます 声や音をよく聞こうと、 神経を集中する。用例い よいよ第三楽章の問題のところが近づいて、 私は耳を澄ました。 耳を欲てる よく聞き取ろうとして、 音や声のするほうに注意 を集中する。用例後ろの席の二人の会話に彼 女の名前が出たので、思わず耳をそばだてた。 <232> 後棒を担ぐ 中心に立つ人の手助けを する。加担する。回「後 棒」は、駕籠の棒の後ろのほうを担ぐ者。 用例君も後棒を担いだのだから、それなりの 責任はあるよ。 一蓮托生 結果・事のよしあしにか かわらず、行動・運命を 共にすること。■極楽浄土で同じハスの花の 上に生まれ変わるという仏教の教えによる。 「一蓮託生」とも。用例死なぼもろとも、こ こまできたらよくも悪くも一蓮托生だ。計画 どおり実行しようじゃないか。 打って一丸となる いちがん 事を行うに当たって全員 が一致協力する。用例会 社の存亡を懸けて、社員一同打って一丸と なって働いた。 片棒を担ぐ る。 ■駕籠などのどちら かの棒を担ぐことから。用例悪事の片棒を担 ぐことだけは、ご免だね。 気脈を通じる ひそかに連絡を取って、 気持ちを伝え合う。 「気脈」は、血液の通る道筋の意。用例彼らは 気脈を通じて、ひそかに機会をねらっている。 譽を並べる 何人かが一緒に事を行 う。用例昔の仲間でくつ わを並べて温泉に行くというのもいいね。 ぐるになる 共謀者として加わる。悪 だくみの仲間に加わる。 用例ぐるになって悪事を働くとは、見下げは てたやつだ。 <233> 心を合わせる 気持ちを一つにする。 せる 一心同体となる。用例世界 が心を合わせることによって、平和を維持し ていかなければならない。 先棒を担ぐ 権力のあるものに取り入り、その手先となって動 く。 先棒は、駕籠の棒の前のほうを担ぐ 者。「お先棒を担ぐ」とも。用例彼は自分の考 えで行動しているのだと言い張るが、僕には 連中の先棒を担いているとしか思えない。 袖を連ねる 連れ立つ。行動を共にす る。用例今度の首脳会談 には、首相はもとより関係閣僚も大勢袖を連 ねるそうだ。闘袂を連ねる 手に手を取る 手を取り合って行動す る。特に、相愛の男女 が、一緒に連れ立って行く様子。用例二十年 前、手に手を取って故郷を後にしたのだが、 当座はずいぶん苦労もしたものだ。 手を携える 何かをするために協力し 合う。一緒に事をする。 用例アジアの開発は、先進諸国と手を携えて 行うことによって、初めて成功する。 手を繋ぐ 行動する。用例世界の子 供たちが手をつなぐことによって、新しい世 界ができる。 手を握る 協力し合うことを約束す る。同盟を結ぶ。用例不 動産屋と銀行が手を握れば、土地も高騰する はずだ。類手を結ぶ 徒党を組む 悪事を働くために相談し て寄り集まる。用例彼ら しにかかっているらしい は徒党を組んで脅しにかかっているらしい <234> が、我々を屈伏させることはできないよ。 腹を合わせる 話し合って行う。共謀す た事柄は、関係者が腹を合わせた結果のよう だ。 互いに助け合って行う様 持ちつ持たれつ 一子。用例投手と攻撃陣は 互いに助け合って行う様 子。用例投手と攻撃陣は 持ちつ持たれつで、どちらか一方が崩れると はできない。 とても勝ち抜いていくことはできない。 諦手を挙げて 用例文化施設の誘致に対しては、もろ手を挙 げて歓迎する。 心から喜んで、また条件 なしで賛成する様子。 両両相俟って 双方が一緒になって。互 いにかかわり合って。 用例音楽と文学、両々相まって今世紀最高の オペラを完成させようと意気込んでいる。 拒絕 不承知の意から頭を横に 振る。用例人見知りをす る子で、よく知らない人に機嫌を取られても 黙って顔を振るだけだ。 頭を振る または不承知の意を一 す。用例家出をしてきたというその少女は、 家に帰るように説得しても頭を振るばかりで あった。 義理にも そうするのが世間のつき 合いだとしても。本心で はないにしても。用例お礼だからと言われて も、義理にもそんなお金は受け取れません。 用法下に打ち消しの形を伴って用いる。 <235> くひ 首を擬る 首を左右に振って、反対 や不承知の意を表す。 何度お願いに行っても、首を振って引き 受けてくれない。 なんしょくしゅ難色を示す それは難しいという様子 で、不承知の態度を表 す。用例君のアイディアは確かにおもしろい のだが、頭の古い重役陣が難色を示している のだ。 肘鉄砲を食わす 誘いや申し込みをはねつ けて断る。■ひじで突き のける意から。「肘鉄砲を食らわす」「肘鉄を 食わす」とも。用例前に映画に誘ったときに は喜んでついてきたから、脈ありと食事に 誘ったらあっさりひじ鉄砲を食わされた。 門前払いを食う 面会に行って、会っても もらえず追い帰される。 用例地元の有力な大臣に、ゴルフ場計画反対 の署名を持って直訴しに行ったところ、門前 払いを食ってしまった。 食う 食べ物が非常においしい と感じる様子。用例今日 の料理はどれもあごが落ちそうなものばかり でした。 口が奢る 美食に慣れていて、質素 なものを食べようとしな い。用例いつも財布は乏しいくせに、妙に口 がおごっているやつだ。 舌が肥える 味覚が鋭い。おいしい食べ物の味をよく知ってい <236> る。用例何でもおいしくいただきますと人に は言うけど、あれでなかなか舌が肥えている んです。 舌鼓を打つ あまりおいしいので、思 わず舌を鳴らす。おいし いものを食べる様子にいう。「したつづみ」 は「したづつみ」とも。用例その夜は久しぶり に母の心尽くしの手料理に舌鼓を打った。 食が進む たくさん食べられる。お いしく食べられる。用例 体調を崩して食欲がなかったが、このところ ようやく食が進むようになった。 食が細い 食べる量が少ない。食事 が進まない。用例近ごろ って心配している。 めっきり食が細くなって心配していっ はしではさんで食べよう 箸を付ける とする。食べはじめる。 用例初めは遠慮していたが、何度もすすめら れて、やっとはしをつけた。 腹を捗える 食事をして空腹を満た す。食物を腹に納めて次 の仕事に備える。■「腹拵えをする」とも。 用例その話は、まず腹をこしらえてからにし よう。 頬っべたが落ちる このうえなくおいしい様 が落ちる 子。頬が落ちると も。用例このケーキのおいしさといったら、 ほっぺたが落ちそうだ。 覆せの大食い やせているわりによく食 べること。やせている人 が、かえってたくさん食べること。用例やせ の大食いというけど、彼こそまさにそのとお りで、出された料理をきれいに平らげてい く。 <237> 産みの苦しみ 物事を初めて作り出すと きの苦心や苦労。■子を 産ぶときの母親の苦しみの意から。用例本学 設立に当たって産みの苦しみを味わった諸先 輩の遺志を継いで、より充実した大学へ発展 するように努力していきたい。 臥薪嘗胆 仇を報いたり、将来の成 功を期して長い間苦労す ること。用例彼は二年間の臥薪嘗胆の浪人生 活に耐えて、見事に難関を突破した。出典 一呉、越を伐ち、闘盧傷つきて死す。……夫 差讎を復せんと志し、朝夕薪中に臥す。出 入するに人をして呼ばしめて曰く、夫差而は 越人の而の父を殺ししを忘れたるか、と。 ……夫差、越を夫椒に敗る。越王勾践、余兵 を以いて会稽山に棲み、……勾践国に反り、 胆を坐臥に懸け、即ち胆を仰ぎ之を嘗めて曰 く、女、会稽の恥を忘れたるか、と(呉が越 を攻めたとき、呉王闔廬は負傷して死んだ。 ……夫差は父のあだを討とうと心に決め、朝 夕薪の中で寝起きした。また部屋を出入する たびに人に、夫差よ、お前は越人がお前の父 を殺したのを忘れてしまったのか、と言わせ た。……夫差はついに越を夫椒で破った。越 王勾践は残兵をひきいて会稽山をねぐらとし た。……勾践は国に帰り、胆を寝起きすると ころにかけておき、その胆を仰向けのままな めて、お前は会稽山での恥を忘れてしまった のか、と言った)(『十八史略』春秋戦国) 肝胆を砕く かんたん くだ 苦労して行ったり、非常 に苦心して考える様子。 <238> 用例当時難局の収拾に当たった局長は、それ こそ肝胆を碎く毎日であったという。類心肝 を碎く・肺肝を碎く 汗馬の労 目的を達成するために、 あちらこちらと走り回る 苦労。馬に汗をかかせて戦場をかけめぐっ て立てた功労の意から。用例本大会の成功は ひとえに汗馬の労をいとわなかった君の力に よるものだ。出典「今、蕭何いまだ嘗て汗馬 の労あらず。徒だ文墨を持して議論し戦わず (蕭何は、これまでに戦場に出て功績を挙げ たことがありません。ただ文章に巧みで議論 しているだけで、実際に戦ったことはありま せん)」(史記蕭相国世家) 心を碎く あれこれと気を遣って苦 心する。用例パーティー これと気を遣って苦 心する。用例パーティー ではお年寄りから子供まで、みんなが楽しく 過ごせるよう、プログラム作りに心を砕いた。 小骨が折れる ちょっと苦労する。用例 れる 言葉も宗教も異なる各国 の留学生たちの相談にのるという、小骨が折 れる仕事に携わっている。 血のにじむよう 非常な苦労や努力をする 様子。用例血のにじむよ うなハードトレーニングと減量の苦しみの 末、ついに彼は輝かしいチャンピオン・ベル トを手にした。類血の出るよう 骨が折れる 面倒である。苦労する。 用例へそ曲がりの彼を説 れるよ。類骨を折る 得するのは骨が折れるよ。類骨を折る 身を碎く 大変な苦労をする。また、 一非常に心配する。用例 代々続いたこの店の存続が危ぶまれたあのこ <239> ろは、それこそ身を砕くようにして働いた。 身を粉にする 苦労をいとわず、一生懸 は苦しい生活を強いられ、身を粉にして働く 一生だった。 命努力する。 用例私の母 工夫 芸が細かい いている。綿密に工夫し てある。用例彼はお得意さんを接待するに も、好みや帰りの方向などに合わせて店を変 え、なかなか芸が細かいところを見せる。 趣向を凝らす 斬新なおもしろさを出す ために、あれこれと工夫 する。用例慰安旅行の宴会で演じた彼の趣向 を凝らした出し物に、みんな大笑いをした 数寄を凝らす 風流な趣向を随所に取り 奇」とも。用例彼は晩年、奥湯河 入れる。 数寄は数 手が込む 手間がかかっている。た いへん複雑な細工がして ある。用例昔の人は、あれこれとずいぶん手 が込んだ庭を作ったものですね。 手を替え品を替え あれこれといろいろな方 法や手段を試みる。用例 どうしてもお稽古に行きたがらない子供に、 手を替え品を替えして機嫌を取って連れて行 く。 目先を変える 人を引きつけるため、ま た飽きせないために、 いろいろと工夫して変化をつける。趣向を変 <240> える。用例次号の特集ではちょっと目先を変 えて、こういった企画はどうだろう。類目先 が変わる 攻擊·反擊 一矢を報いる 相手に反撃する。負けず にやり返す。冨敵に矢を 射返す意から。用例今日は腹を決めて、二度 とあんなことがないよう、しかと一矢を報い てやった。 追い討ちを掛ける 逃げる敵を追撃する。劣勢になった相手をさらに やりこめる。用例ああいう連中は追い討ちを掛けてとどめを刺しておかないと、すぐまたのさばってくる。 王手を掛ける 相手の急所をつく攻撃を しかける。■将棋で、直 接敵の王将を攻める一手を打つ意から。用例 相手の選手の疲労と焦りが見てとれたので、 我々は一気に王手を掛けることにした。 押しの一手 目的に向かって一途に押 しすすむこと。交渉事を 一方的な意向で押しまくること。用例言い負 けないように用心してかかりなさいよ。あの 人は押しの一手でくるから。 逆手に取る 相手の攻撃の力を逆に利 用して攻め返す。相手の 主張を利用して反論する。「逆手を取る」と も。また、「ぎゃくて」は「さかて」とも。用例 勢いづいてまくし立てるだろうが、調子に乗 れば必ずぽろが出る。そこをすかさず逆手に 取って反撃するのだ。 <241> 虚を衝く 相手の油断や備えのない のにつけこんで攻める。 用例さすがだ。思いもかけぬ角度から相手の 虚をつき、論拠を覆してしまった。 棟を打ち込む 敵陣に攻め込み、敵勢を 二分する。仲を裂くため に間に入ってじゃまする。用例A社とC社の 提携を阻止するため、しっかりくさびを打ち 込んでおく必要がある。 逆擬を食わせる 非難·攻擊を受けた人 が、逆に相手に反論・反 撃を加える。■「逆振」は、逆方向にねじること。用例今回の不祥事に彼も関係しているのではないかと問いただしてみたら、かえって逆ねじを食わされてしまった。 手が早い すぐ腕力をふるう。すぐ 暴力に訴える。用例あい つと一緒に飲みに行くのは考えたほうがい い。とにかく手が早いからな。 盲点を衝く の犯行は、厳重な警戒にもかかわらず、地下 街の盲点をつく形で行われた。 聞討ちを食う やみの中で不意討ちにあ う。予期せぬ襲撃にあ う。用例彼にあんなことをされるとは、やみ 討ちを食わされたような気分だ。 告白 肝胆を抜く かんたん ひら 胸中を吐露する。心の底 を打ち明ける。用例肝胆 る友人がいるほど幸福な をひらいて話し合える友人がいるほど幸福な <242> ひら 開く 打ち解けて、心中を打ち 明ける。用例彼とは入学 後まもなく、互いに胸襟を開いて語り合う仲 になった。 口を割る 連日の厳しい追及にも頑として口を割らな かった。 隠していたことを話す。 白状する。用例犯人は、 底を割る 本当の気持ちを言う。腹 の底を打ち明ける。用例 三十年に及ぶ長い付き合いだが、彼は底を 割って話したことが一度もない。 心の中で考えていること を明かす。用例総裁選を どう戦っていくかについては、まだ手の内を 見せるわけにはまいりません。 と お かた お 問うに落ちず語るに落ちる 人からたずねられたときは用心して言わないが、 何気なく話しているときにうっかりして言っ てしまう。■「語るに落ちる」とも。用例ほら みろ、やっぱり知っていたんじゃないか。問 うに落ちず語るに落ちるだね。 泥を吐く どろは 隠しきれないで、自分の 働いた悪事についてしゃ べる。用例疑惑の中心人物が、ようやく泥を 吐いた。 隠しだてせず、なにもか も打ち明ける。用例その 件につきましては、腹を割って話すことにし ましょう。 腹蔵ない 思っていることを包み隠 さない。■「腹蔵のない」 活にも影響する問題です とも。 用例今後の生活にも影響する問題です <243> からみなさん腹蔵ない意見を出してくださ い。 本書を吐く 本当の気持ちを言う。 用例本音を吐くと、いまおれのところはとて も苦しいんだよ。 こびる・迎合 愛敬を壊りまく 周りの人々に対して、に こにこと明るく振る舞 う。用例息子は学校の成績が悪いと、愛敬を 振りまいてごまかすことがじようずだ。 ほかの人をきしおいて、 いい子になる 自分一人がほめられるよ うに振る舞う。 用例自分ばかりいい子になろ うとするから、人からうとまれるんだ。 色目を使う 関心を示して、その関係 をとる。用例尊務の社長昇任の目はなくなっ たのかねえ、近ごろ盛んに関連会社のほうに 色目を使っているというわさだよ。 者におもねるような態度 意を迎える 人の意見に合わせて気に 入られようとする。おも ねる。用例読者の意を迎えるような文章ばか りで、筆者本来の思想をうかがわせるような ものはかけらもない。 お愛想を言う おせじを言う。やたらに ほめそやす。「あいそ」 用例あいつは人に会うと 言うやつだ。 は「あいそう」とも。用例あいつは人に会うと やたらにお愛想を言うやつだ。 お海にかし 人の利益になるように見 せかけながら、実際は自 <244> 分の利をはかること。用例君が自分のことし か考えていないのはわかってるんだ。そんな 見え透いたおためごかしはやめてくれよ。 おべっかを使う 自分の利益になる人に対 して、やたらとこぴへつ らいの言葉を言う。用例彼は自分の昇進がか かっているものだから、部長に盛んにおべっ かを使っている。 鳳を揺る 相手に気に入られようと こびる。用例彼は何とか 仲間に入れてもらおうとして、しきりに尾を 振っているんだ。 人に気に入られようと努 力する。「歡心」は、う れしいと思う心の意。用例食事に誘ったり、 誕生祝いを贈ったり、彼は彼女の歓心を買う ことに必死になっている。 機嫌を取る を取って、何とか新車を買ってもらおうとし ている。 御機嫌を伺う 相手の機嫌をそこねないよう気を遣ったり、気に 入られるように努めたりする。用例結婚の話 は、父の御機嫌を伺っておいてからのほうが いいと思うわ。 嬢を売る へつらったり、おもねっ たりする。相手に気に入 られようとする。用例あのディレクターにこ びを売ると、すぐテレビに出してくれるという話だ。 胡麻を擂る 人におもねって、自分の 利益を得ようとする。 ったところで、簡単に卒 用例先生に胡麻をすったところで、簡単に卒 <245> 相手に取り入ろうとす る。飼い犬が、えさを くれる人に尾を振ることから。用例彼にしっ ぼを振ってついていくと、とんでもないこと になるぞ。 無批判に人の言動に従 い、同調して行動する。 用例この大事な時期に、人のしり馬に乗って 騒ぎ立てるようなことは慣んでもらいたい。 て、気に入られようとす る。用例あいつは会議というといつも課長の 太鼓を持つからいやになる。頻太鼓を叩く・ 太鼓を打つ 調子を合わせる 相手の気に入るようにじ ようずにやりとりする。 用例今どきの先生は、生徒と調子を合わせる ことに苦しまないようだ。 する。用例選挙のたびに提灯を持つのも楽で はない。 お願い・謝罪・ご機嫌取りなどのために、両手の ひらをこすり合わせる。用例商売人は手を擦 るのがじようずで、つい乗せられて、買わな くてもよいものまで買ってしまう。 点数を稼ぐ 自分の立場をよくするた めに、他人におもねる。 用例あいつ、部長の家の引っ越しを手伝いに 行ったりして点数を稼いでいるらしい。 どんな人にも要領よく振 る舞う人を軽蔑していう <246> 言葉。■どこから見ても難点のない美人の意 から。用例彼は八方美人だから、ちょっと親 切にされたからって、あまり真に受けないほ うがいいよ。 ばつを合わせる 相手に合わせて、適当に その場の都合を整える。 用例彼はばつを合わせるのがうまい人ですか ら、初めのうちはだれとでも仲良くなるんで す。 誰の塵を払う さいしょうこうじゅん 辛相寇準のひげが汁で汚れたのをふいて、 たしなめられたという故事から。用例どこの 職場に行っても、上司の髭の塵を払うのに忙 しい社員がいるものだ。 味噌を擋る おせじを言う。追従を言 う。用例せっかく味噌を すってくれたんだから、少しごちそうするか と言って、先輩は中華料理店へ連れていって くれたよ。 ごまかす 煙幕を張る こちらの真意を悟らせないように、巧みな言動を とる。用例あの人のあのあいまいな言い方 は、どうも煙幕を張っているとしか考えられ ない。 お茶を濁す いいかげんなことを言ったりしたりして、その場 を何とかごまかす。その場を適当にやりすご す。用例思いもかけていなかったことを問い 詰められ、何とかお茶を濁してきたが、どう <247> 顔みて他を言う 返答に困ったときなど、 周囲を見回して別のこと に話題をそらしてごまかす。用例組合側が話し合いをもちかけても、経営者は顧みて他を言うという態度でらちがあかない。出典「孟子、斉の宣王に謂いて曰く、……士師、士を治むる能わざれば、則ち之をいかんせん。王曰く、之を已めん。曰く、四境の内治まらざれば、則ち之をいかんせん。王、左右を顧みて他を言う(孟子は斉の宣王に告げて言った。……司法官である者が、役人たちを取り締まることができなければ、どういたしますか、と。宣王は言った、罷めさせてしまうだろう、と。孟子が言った、それではお国の政治が整わなければ、どうなさいますか、と。宣王は左右を顧みて話題をかえた)「孟子」 梁恵王 下駄を履かせる 物事を実際よりもよく見 せる。用例何人かの生徒 を卒業させるために、成績にだいぶ下駄を履 かせたらしい。 頃に巻く 相手のよく知らないことや信じがたいようなこと などを一方的に言い立てて、相手をまごつか せる。用例彼があまりにしつこく追及するの でうるさくなり、ほかのことを持ち出して煙 に巻いてやった。 誰を博える んなことを言う。用例あ まり言を構えてばかりいると、そのうちに友 人は一人もいなくなりますよ。 誰を左右にする あれこれ言いつくろって、はっきりしたことを <248> 言わない。用例結婚のことを話題にするため に彼女は言を左右にして、返事を一日延ばし にしてしまう。 言葉を濁す 言う。断言しない。用例欠席の理由を聞かれ たけれども、まさかメンバーの一人がいやだ からなんて言えないから、何とか言葉を濁し てきた。 餅を読む に、数をごまかす。■鯖 は、数えるときに大急ぎで数えて数をごまか すことが多かったことによるという。用例雑 誌の発行部数なんて、案外さばを読んで発表 しているものだ。 尻をはしょる 話や文章の終わりの部分 を簡略にする。用例今回 の講演は時間が足りなくなってしまい、しり をはしよらざるをえなかった。 体をかわす 体の向きを変えて逃れ る。じょうずにその場を 切り抜ける。用例彼に幹事を引き受けてもら いたかったんだが、うまく体をかわされてし まった。 目を欺く 目をまどわせてほかのものに見せかける。ほかの ものに見えるようにしてごまかす。用例手品 の極意はいかに観客の目を欺くかにありま す。 目を晦ます 人の目をうまくごまかし て、姿を知られないよう にする。用例変装してうまく目をくらました つもりだったんだが、やっぱりつかまってし まった。 <249> 窓りしめる 灸を据える する。用例あんまりいたずらがすぎるので、 ちょっと灸を据えてやった。 噌噌雨成敗 もに処罰すること。 用例 けんか両成敗というわけで、一方的になぐら れただけの僕も処分を受けた。 鉄槌を下す しめる。用例汚職にから んで不当な利益をあげた企業に対し、営業停 止の鉄槌が下された。 目に物見せる 痛い目にあわせて、身に 染みてわからせる。思い 知らせてやる。用例今度の試合では、目に物 見せてやろうじゃないか。 焼きを入れる だらけた気持ちを引き締 めるため、厳しく懲らし める。制裁を加える。用例上級生が下級生に 焼きを入れるというようなことは、うちのク ラブでは禁止している。 殺 9 恵の根を止める 確実に殺す。二度と活動 できないように、徹底的 に打ちのめす。■「息の根」は、呼吸のみなも との意から、命のこと。用例今回の事件で幹 部を一網打尽にし、暴力団の息の根を止める つもりだ。 <250> いつぞくも 一股盛る ひそかに毒薬を飲ませて 一殺す。毒殺する。用例外 傷は見当たらないから、一服盛られたのに違 いない。 前足処を興にす 切られて殺される。死刑になる。用例そんな 危ないことばかりしてると、今に首足ところ を異にする目にあうよ。 手に掛ける 自分の手で殺害する。 る 用例我が子を手に掛ける なんて、普通の人間にはとても考えられない ことだ。 止めを刺す のどを刺して完全に殺 す。再起できないよう に、最後の打撃を与える。用例あのとき反対 派にとどめを刺しておかなかったのは失敗 だった。 亡き者にする にするには、三人を亡き者にする必要があっ た。 人手に掛ける 他の人に殺させる。用例 人手に掛けようとはかる ではないか。 とは、何と卑怯な男ではないか 搜す・捜査 がきを入れる 警察が家宅捜索のために 踏み込む。犯罪者や捜 査官の使う隠語。「がさ」は、「さがす」の「さ が」の倒語。用例明朝、本社および関係者の自 宅にいつせいにがさを入れることになった。 <251> 鉦や太鼓で捜す は正体不明のツチノコを、鉦や太鼓で捜すこ ともなくなった。 大騒ぎして皆であちこち を捜し回る。用例近ごろ 草の根を分けて捜す 分けて捜す あらゆる場所を徹底的に 捜す。■「草の根を分け ても捜す」とも。用例裏切り者は、草の根を 分けて捜し出せ。 先んじる イニシアチブを取る 先に立って物事を進め る。主導権をにぎる。 用例世界平和会議開催にあたっては、日本が イニシアチブを取ることになった。 機先を制する 相手が行動を起こす前に こちらからしかけ、相手 より有利な立場に立ったり、相手の気勢をそ いだりする。用例相手の機先を制して攻撃を しかけたのが勝ちにつながった。 先を争う 人より先になろうとし て、争いながら進む。 用例席を確保しようとする帰省客は、ドアが 開くやいなや先を争って車内になだれ込ん だ。 先んずれば人を制す 何事でも人より早く行動 すれば、優位に立つこと ができる。用例先んずれば人を制 に先がけて新製品の発表会を行うことにし た。出典「会稽の守の通、梁に謂いて曰く、 江西皆反す。これ亦天の秦を亡ぼすの時な り。吾聞く、先んずれば即ち人を制し、後る <252> れば即ち人の制する所と為る、と(会稽の長 官の殷通が項梁に言った、江西地方の人々 が皆反乱を起こしたが、これは天が秦を亡ぼ すときである。私は聞いている、先んずれば 人を制し、後手にまわれば人に支配される、 と)(史記)項羽本紀) 先障を争う 競争する。■敵陣に一番 乗りをしようと争う意から。用例未踏峰の登 頂に、世界の登山家たちが先陣を争う様子が 報道された。 先手を打つ 先に優位な位置につくた めの方法をとる。予測さ れる事態に備え、あらかじめ対策を講じてお く。用例戦力的にはこちらが劣っているか ら、勝つためには何が何でも先手を打つこと を考えねばならない。頻先手を取る 先頭を切る ほかのだれよりもいちば ん先に行う。用例先進技 術の多くの分野で、いま日本が先頭を切って いる。 先複を付ける 他人より先にとりかかる。 先鞭」は、人より 早く馬にむち打って走らせること。用例原子 力利用については、他社に先鞭をつけられて しまった。 先を越す 相手がしようとするより 先に物事を行う。■「せ ん」は「さき」とも。用例大口の取り引きだったのに、あと一歩のところで他社に先を越されてしまった。 唖を付ける 人に渡さないように、だ れよりも先にかかわりを られないように、食べ物 つける。 ▪人に食べられないように、食べ物 <253> につばをつけておく意から。用例この商品は おもしろいと思って、昨年のうちから製造元 につばをつけておいたのが大成功だった。 先に立って物事を始め る。用例我が市では全国 のトップを切って、再生紙の利用に補助金を 出すことになった。 抜け駆けの功名 は、戦場で、ひそかに味方の陣を抜け出し、 人より先に敵陣に攻め込むこと。用例他人の 論を発表して抜け駆けの功名を得ても仕方が ないだろう。 他を出し抜いて手柄を立 てること。■「抜け駆け」 早い者勝ち 他より先んじた者が利益 を得ること。用例この商 売は早い者勝ちだから、後れをとらないよう に準備しておく必要がある。 顔色を見る 表情を探る。機嫌がいい か悪いかをうかがう。 用例そりやあもう大変な嬢天下で、何をする にもまず奥さんの顔色を見てからという評判 ですよ。顔顔色を窺う 鎌を掛ける 巧みに話しかけて、自分 が知りたいことを相手が しゃべるようにしむける。用例どうも最近そ ぶりがあやしいと思って簾を掛けてみたら、 やっぱり彼氏ができていたんだ。 虎視眈眈こしたんたん すきがあればつけ入ろう と機会をねらい、形勢を うかがう様子。虎が獲物をねらって鋭く目 を光らせている意から。用例同業者間での競 <254> 争が厳しい昨今、各社とも虎視眈々と他社の 様子をうかがっている。 相手の事情や気持ちに関 して、それとなく様子を 調べる。用例相手にその気があるかどうか、 探りを入れてみることにした。 ねいきうかが 寝息を窺う 何事かをするために、相 手が寝ているかどうか、 そっと様子をみる。用例子供の寝息をうかが いながら、そっと枕元ヘクリスマス・プレゼ ントを置いた。 舞息を親う そっと相手のご機嫌を探 る。用例営業で車をもう 一台入れようということになって、社長の鼻 息をうかがいに行くところだ。 腹を探る相手がどう思っているかをそれとなく知ろうとす る。用例総裁選ともなると、各派閥の腹を探 るのも大変なものらしい。 誘う 芸者や芸人などが客に呼 ぶしきか お座敷が掛かる ばれる。人に招かれる。 用例賞をもらってから、講演のお座敷が掛か るようになった。 気を引く かあの娘の気を引こうと、涙ぐましい努力を している。 相手に関心をもたせるよ うにする。用例彼は何と うと、涙ぐましい努力を 口が掛かる 芸人などが客から呼ばれ る。仲間などから仕事や 。用例今夜はマージャン 遊びの誘いがかかる。用例今夜はマージャン <255> の口が掛かったと言って、彼はいそいそと出 かけて行った。類口を掛ける 声を掛ける 何かを一緒にしようと誘 う。 用例みんなで旅行に 行くのなら、彼にも声を掛けたほうがいい よ。頬声が掛かる 袖を引く ほかの人に気づかれない ように、そっと誘う。 用例ちょっと袖を引いてみたらすぐその気に なって誘いにのってきた。 引く手数多 誘ってくれる人が多いこと。ひっぱりだこ。用例 今年は理工系の学生は引く手あまたで、ほと んどが希望する会社に就職が決まっている。 相手に関心をもたせよう 水を向ける と、誘いをかける。しむ ける。用例入団の意向があるのかないのか、 水を向けてみた。 モーションを掛ける 相手の関心を引こうとし ンを掛ける て働きかける。用例モー ションを掛けてはいるのだが、ちっとも取り 合ってくれない。 妨げる・妨害・邪魔 足を引っ張る 人の成功や出世の邪魔を する。また、物事の進行 を妨げる。用例人の出世の足を引っ張るやつ が世の中には大勢いる。 好事覽多し よいことにはとかく邪魔 が入りやすい。用例好事 魔多しだから、昇進したことに有頂天になっ て、日常の注意がおろそかにならないように <256> 用例二人で楽しく話をしているのに、君が横 から腰を折ることもないだろう。 邪魔が入る 妨げるものが現れて、順 調に進まなくなる。用例 こういう大きな仕事には邪魔が入ることが多 いから、そのことも考慮に入れておかなけれ ばならない。 く ところを妨害して、意気 込みをなくさせる。■「ではな」は「でばな」、 「出端」は「出鼻」とも。用例今日こそはこの企 画を通そうと張り切っていたのに会議が中止 になり、出端をくじかれてしまった。類出端 を折る になる者。目の上のたんこぶ」とも。用例 目の上のこぶだった部長がいなくなって、ず いぶん仕事がやりやすくなった。 もの。用例今度のイベントには、君にも一枚 かんでほしいんだ。 名乗りを上げる 上げる 加わる意志のあることを 明らかにする。用例全国 大会出場へ、我が校が沖縄代表として名乗り を上げた。 <257> 仲間として荷担する。 用例グループで宝くじを買うのに、僕も一口 乗ることにした。 りすることを謙遜していう言葉。用例若輩な がら、役員の末席を汚すことになりました。 身を投じる 用例十八歳でこの世界に身を投じて二十年、 周りの人々に支えられて何とか今日までやっ てきた。 列に入る 資格や地位を得て、仲間 になる。列する。用例選 挙に見事当選、いよいよ国会議員の列に入る ことになった。 相手を厳しくしかったり 責め立てたりする。用例 バイトに熱を入れすぎて留年するはめになり、親父にこってり油をしぼられた。 おおめだまく 大目玉を食う 悪事や過ちを犯して、厳しくしかられる。用例父 の大切にしていたゴルフクラブを曲げてしま い、大目玉を食った。類お目玉を食う かすを食う 小言を言われる。しから れる。用例みんなでやっ たことでも、かすを食うのはいつも僕だっ た。 雷が落ちる 年長者から大きな声でがみがみ言われる。ひどく <258> しかられる。用例授業中、友人とひそひそ話 をしていたら、突然先生の雷が落ちた。 勘気に触れる とがめを受ける。用例酒 に酔った勢いで言ったあの一言が部長の勘気 に触れたらしく、四月の人事異動で配転に なってしまった。 剣突を食わせる る。用例彼は自分に都合のいいときだけ調子 よくくるやつだから、君も一度剣突を食わせ てやったほうがいいよ。 また、びしっと拒否す 痛棒を食らわす 厳しくしかったり非難し たりする。■「痛棒」は、 座禅で心が安定しない者を打つ棒。用例彼は 日ごとに増長しているようだから、このへん で痛棒を食らわせてやったらどうだろう。 唯唯諾諾 従う 自分の意見を主張せず、 人の言うことにただはい はいと従う様子。用例うちの課長は部下に対 しては厳しいが、上司に対しては唯々諾々と 従うような人だ。 我を折る 自分の考えを無理に通す ことをやめて、人の意見 に従う。譲歩する。用例この件に関しては、 彼に非があるのは明らかなのだから、君が我 を折る必要はないと思うね。 かんづめ 缶詰になる ある場所に閉じ込められ る。また、そのような状 態で仕事をさせられる。用例ホテルなどに缶 詰になると、私はかえって何も書くことがで <259> 驥尾に付す て、自分だけでは成しえないことを成し遂げ る。回「驥尾」は、駿馬の尾。遠くに飛ぶ能力 のない青蠅も駿馬の尾にとまるなら、一日に 千里も進むことができる意から。用例諸先輩 の騒尾に付して、どうにか今日まで勤めてき ました。出典「顔淵は篤学と雖も、騒尾に附 して行い益々顕る(顔淵は篤学の人物である が「孔子というすぐれた人に」従うことによって て、その徳行はますます世に現れたのであ る」(史記」伯夷伝)願騒尾に付く 草木も騰く 威勢や徳の大きさに人々 子。用例今や彼は学界で草木もなびくほどの 実力者だ。 後塵を拝する 地位が高く権勢を誇る人 につき従う。後塵は、 車馬の通ったあとにたつ土ぼこりの意。用例 彼も社長の後塵を拝して、今の地位にまでの し上がったというわけだ。 郷に入っては郷に従え その土地に行ったら、そ の土地の風習に従うのが よい。 「郷」は、村の意。用例郷に入っては 郷に従えだよ。そろそろ君も組織の一員とし ての自覚が必要だ。 言葉に甘える 相手の好意から出た言葉 を、そのままありがたく 受けとって従う。用例それでは、お言葉に甘 えてごちそうになります。 小異を捨てて大同に付く 大筋で一致できる意見に従う。用例この際、 <260> 小異を捨てて大同につくくらいの気持ちで話 し合わなければ、党内の収拾はつかない。類 小異を捨てて大同を取る 節を曲げる 欲望や誘惑や圧力などに を変え、人に従う。用例どんなに金を積まれ ても、彼は決して節を曲げるような男ではな い。類節を折る・節を屈する 負けて自分の主義・主張 角を折る 頃く主張して譲らない態 一度から、協調的な態度に 改める。用例彼もようやく角を折って話し合 いに応じてくれた。 長い物には巻かれろ 力の強い者や権力をもつ 者には反抗しても無駄で あるから、素直に従っておくほうがと 用例君のように若い者が今から長い物には巻 かれろでは、先が思いやられる。 付和雷同 自分にしっかりした考え がなく、人の言うことに むやみにつき従うこと。用例是非を判断しな いで、どんなことでも付和雷同する人がいる が、困ったものだ。 実行・行う 頭の上の蠟を追え 他人のことよりまず自分自身の始末をしなさい。 用例人のおせっかいはいいかげんにして、自 分の頭の上の蠅を追ったらどうだ。 暗中模棄 何をしていいかわからない状態で、いろいろ試み てみること。用例新製品の開発に着手した が、まだ暗中模索の状態です。 <261> 思い立ったが吉日 磨を見て吉日を選ぶよ り、思いついたその日か らとりかかれ。考えが起こったらその日から 実行したほうがよい。「きちにち」は「きち じつ」、また、「思い立つ日が吉日」とも。 用例思い立ったが吉日、家のことなど心配せ ず、ぜひ行ってらっしゃい。 事を起こす なことを始める。新しい 動きを起こす。用例何も君がこんなところで 事を起こすことはないだろう。 地で行く 本来の姿で行う。また、 そのままを実地に行う。 用例この芝居は、むしろ君の地で行ったほう がうまくいくんじゃないか。 引き受けたことは約束を 守って必ず実行する。 然諾を重んじる 用例彼は然諾を重んじる男だから、まかせて おいて大丈夫だよ。 善は急げ よいことはすぐ実行せ するのにためらうな。用例かまうものか、さ あやってしまおう。善は急げだ。 手を下す みずから行う。自分で事 に当たる。着手する。 用例今回の件に関しては、君が手を下すこともないだろう。 手を汚す 好ましくないこと、つま いないことを、直接自分 が行う。用例いくら義理があるからといつ て、そんなことで手を汚すこともあるまい に。 成せば成る 真剣に取り組んですれ ば、成し遂げることがで <262> きる。用例成せば成るという気持ちになっ て、やってみようではないか。 博打を打つ るにもかかわらず試みる。用例ぼくちを打つ ような取り引きはしないというのが当社の方 針です。 見切り発車 し、進めること。■混雑時の電車やバスが乗 客を積み残して発車することから。用例審議 会での結論を待たずに、値上げは見切り発車 することになった。 検討が十分なされていないうちに、物事を決定 物は試し 実際に試みないかぎり、 事の成否はわからない。 とにかく一度やってみるがよい。用例物は試 しですよ、一度お料理にチャレンジしてごら んなさい。 用を足す る。用例僕は二、三件用を足していくから、 現地で落ち合うことにしよう。 修練·習練 腕に磨きを掛ける さらに上達するように、 練習・勉強をする。用例 腕に磨きを掛けるべく、著名な演奏家に師事 することにした。 腕を磨く 技術が上達するように習 練する。用例さすがに十 年、あの巨匠の下で腕を磨いただけのことは ある。 <263> 胆を練る 精神の修養を重ねる。胆 力を鍛える。用例現代の 教育は胆を練ることをおろそかにしているか ら、ひ弱な人間しか作れないのだ。 習うより慣れろ ずから体験するほうがよ く身につく。用例仕事というのは何でも、習 うより慣れろだよ。 身に付く 修練したことが自分のも ものは、稽古に稽古を重ねて初めて身につく ものです。頻身に付ける のとなる。用例技という 胸を借りる 練達した者に相手にして もらって、技を磨く。 相撲で、上位の力士に稽古の相手をしてもら う意から。用例今度の試合は、胸を借りるつ もりで頑張るだけです。 六 十の手習い 年を取ってから勉強を始 めること。■六十歳に なって字を習いはじめる意から。用例六十の 手習いに、夫婦で俳画を始めました。 手段·方法·方策 足下の明るいうち 手遅れにならないうち。 不利な状況にならないう ち。用例そろそろほこ先がこちらに向いてき そうだから、足下の明るいうちに退散すると しよう。 急がば回れ 近道して危ない目にあう より、安全な本道を回っ たほうが結局早く目的地に着ける。成果を急 いであわてるより、着実な方法を取ったほう <264> が得策である。用例世の中をそんなに甘く見てはいけません。急がば回れと言うではありませんか。 聴の最後っ屈 いよいよ窮したとき非常 手段を用いること。■い たちが危険にあってせっぱ詰まったとき、悪 臭を放って難を逃れることから。用例あそこ で持ち出した上層部のスキャングルは、彼の いわばいたちの最後っぺというやつだな。 嘘も方便 時によっては、うそも手 段として役に立つこと。 場合によってうそをつかなければならないこ ともあるということ。用例もしあのとき本当 のことを言っていたら、君は何をしでかすか わからないだろう。うそも方便だよ。 奥の手を出す とっておきの手段・方法 を使う。■「奥の手」は、 奥義、極意、秘訣などの意。用例相手もきっ と奥の手を出すにちがいない、用心してかか れよ。 隠れ羨にする 本来の目的や真相を隠す ために、見せかけの代よ りものを前面に出す。身体を隠すことので きるという想像上のみのをまとう意から。 用例会社倒産を隠れみのにして巨額の脱税を 図った。 活路を開く 生き延びる道を見つけ る。窮地を脱する方法を 見つける。用例援助もそこまでだった。その 先は自分一人で活路を開いていくしかなかった。 類活路を見出す 窮余の一策 苦しまぎれの一方法。窮 して困りきったあげくの たら仕方がない、窮余の 手段。用例こうなったら仕方がない、窮余の <265> 策で、管理職の給与を一部カットしよう。 とっておきの有力な手段 オールマイティーの札を出すことから。「最 後の切り札を出す」とも。用例勝負はこれか らだ、切り札を出すのはまだ早い。 苦肉の策 敵を欺いたり、 窮地を脱 するために、 苦しまぎれ にひねり出す策。用例会社再建のための苦肉 の策だったんだが、これが見事に成功した。 策を購じる れを実行する。用例世界情勢の認識が甘く、 変化に応じて策を講じるのを怠った結果、こ んな事態になった。 策を弄する 必要以上に方策をもてあ そぶ。好ましくない策を 用いる。用例そんな策をろうするのはやめ て、正攻法で当たるべきだ。 三十六計逃げるに如かず 逃げなければならないときは逃げるのが兵法の最 もよい策である。困ったときは逃げるのが得 策である。▪三十六計」は、昔の中国の兵法 にある、三十六種の計画。用例相手は一人か と思っていたら三人もいたので、三十六計逃 げるにしかずとばかり、一目散に走った。 外堀を埋める ある目的のために口実を める 設けて障害になるものを 取り除く。■徳川家康が大坂城の外堀を口実 を設けて埋めさせ、のちに城を攻略したこと から。用例焦らずに、外堀を埋めることから 気長に取り組もう。 盾に取る ある事柄を、自分を守るための釈明に用いたり、 <266> 相手を攻撃する論拠にしたりする。用例地域 活性化のための開発という理屈を盾に取る自 然破壊は、何とかならないものか。 ほどこす手段がない。や りようがない。用例不満 に思うかもしれないが、あの状況では、こう するよりほかに手がなかったんだ。 必要な手段を講じて事が 手を打つ うまく運ぶようにする。 用例いま大事なのは慎重に検討することでは なく、何らかの手を打つことだ。 手を回す 事がうまく運ぶように、 入念に手を回す必要がある。頻手が回る 伝家の宝刀を抜く いよいよというとき以外 は使わない、とっておき 天秤に掛ける の手段を用いる。■家に伝わっている家宝の 名刀を抜く意から。用例ここまで押してだめ なら、伝家の宝刀を抜く以外にないだろう。 比較する。 対立する両者 に関係を保ちながら、いずれが優勢になって も自分の都合のよいようにはかる。■「両天 秤に掛ける」とも。用例金と名誉のどちらを 選ぶか天びんに掛けて迷っている。類秤に掛 ける 時を稼ぐ あることをする準備が整 うまで、時間を引き延ば す。用例講師の到着が少し遅れるそうだか ら、それまで司会者に時を稼いでもらってく れ。願時間を稼ぐ 審を以て寧を制す 悪をこらしめ押さえるの に、悪の力を利用する。 <267> 用例暴力団同士の抗争を見ぬふりをして、毒 をもって毒を制するやり方でその勢力をそぐ 魂胆であった。 逃げるが勝ち 況からは逃げて遠くへ去ったほうがよい。 用例あんな連中を相手に強がってみてもしよ うがないよ。そんなときは逃げるが勝ちさ。 類負けるが勝ち この矢が離げない 続いて打つべき手段がな い。■二本目に射る矢を 弓につがえることができない意。用例相手の 力が勝り、二の矢が継げないまま完敗してし まった。 根回しなする 「物事がうまく運ぶよう に、あらかじめ関係する つけておく。用例最近は外 部との会議が続いて、その度に根回しをする のが大変だ。 各方面にわたりをつけておく。用例最近は外 幅を持たせる 。 厳密に制限せずに適用範 囲にゆとりがあるように する。用例人材を発掘するには、採用基準に もっと幅を持たせたほうがいいね。 伏線を張る いずれ起こるだろうと予 測されることに対して、 前もってひそかに策を設けておく。小説・ 劇などで、後で起こる事件などに備えて、前 もってそれに何気なく触れておく意から。 用例あちらは伏線を張るのがうまいから、一 定の距離を置いてそれにひっかからないよう にすることだ。 二股を掛ける 物事がどちらに決着して もいいように、両方に働 きかける。同時に二つの目的を遂げようとは <268> かる。用例二股を掛けるようなことは、私は 性格的にできない。 間を持たす あいた時間をうまくうめ る。 用例主賓が来られる まで、何とか間を持たすことができないものか。 予防線を張る 警戒のためあらかじめ手 攻撃や自分の失敗を予測して事前に方策を立 てる。用例彼に誘われたら午前様になるのは 目に見えていたので、事前に用事をつくり予 防線を張っておいた。 段を講じておく。相手の ワンクッション置く 物事がうまく運ぶよう ション置く に、直接的な方法をとら ず、間に一段階をおく。用例アパート内での もめ事は直接相手に言うより、ワンクッショ ン置いて、家主さんからそれとなく注意して もらったほうがいいんじゃないか。 取得 金的金を射落とす 皆が手に入れたいと願っ ていたものを自分の手中 におさめる。用例彼女は店の看板娘で、だれ がこの金的を射落とすかが皆の関心の的だっ た。類金的を射止める 手に入れる 自分の所有にする。人・ 物・立場などを自分 のにする。用例こつこつ貯めた資金でやっと 土地を手に入れることができた。 手に落ちる だれかのものになる。新 しい取得者のもとに落ち 恵川幕府の江戸城 着く。 用例三百年続いた徳川幕府の江戸城 <269> も、一八六八年ついに討幕軍の手に落ちると ころとなった。 有にする。用例かねがね欲しいと思っていた この絵をやっと手にすることができた。 自分の所有物にする。目 物にする 的を達する。用例日常会 話程度だが、どうにか英会話を物にすること ができた。 両手に花 のものにすること。用例見てご覧なさい、き れいどころに挟まれて両手に花とばかり鼻の 下を長くしているわ。用法多く、一人の男性 が二人の美しい女性を伴っていることに用い る。 お膳立てが揃う 整う。■食膳がすっかり整え終わる意から。 用例お膳立てがそろったので、後は彼に出馬 を決意させるだけだ。 手回しがいい 用意や手配などがよく行 いい き届いて手落ちのない様 子。用例帰りの車まで用意してくれていたと は、君もずいぶん手回しがいいね。 レールを敷く 物事が進む路線をあらか じめ準備する。物事が円 滑に進むように下準備をする。用例レールを 敷くのが私の役目で、本番が始まったらすぐ 身を引きます。 <270> 証を立てる る てみせる。疑いを晴ら す。用例受けた疑惑については、立派にあか しを立てることができます。 一札入れる は、一通の文書の意。用例マンションの工事 を始める前に、近隣の住民に、両者で取り交 わした合意事項について一札入れた。 一筆入れる は、一筆入れることで許可してもらった。 裏を取る 裏付けるものを手に入れ る。真偽を確かめる。 用例記事にするためには、必ず取材した事柄 の裏を取ることが必要だ。 処置·処理 穴を埋めた。 欠けてあいたところを補 う。欠損を補う。用例突 然の出費が重なり、貯金を下ろして生活費の 穴を埋めた。 色を付ける 心を加える。用例ほかならぬ田中様でござい ますので、お値段のほうも多少色をつけてご ざいます。 値段を引いたり、景品を添えたりする。また、手 臓を出す 始末しないと都合の悪いもの、害になるものを思 <271> いきって取り除く。用例これを機会に徹底的 にうみを出して、皆の気持ちを一新しようで はないか。 大鉈を握るう 思いきった処置をする。 ある状態を打開するため に断固たる改革、整理を行う。用例社内の士 気が沈滞しているので、今回の人事では思い きって大なたを振るうつもりである。 片を付ける 結論をはっきりさせる。 あやふやな問題を整理し て、きっちり始末をつける。用例何回言って もわからない相手だが、今度こそ片をつけて やる。 事に当たる 起こっている事件・事象 に対応する。処置にとり かかる。用例この件は覚悟を決めて事に当た る必要があるだろう。 尻が来る などが持ち込まれ、関係者として事件の始末 の役がふりかかる。用例あとでしりが来るの だけは避けたいので、どこで手を引くか、そ れを考えているところだ。 を押し付けられる。苦情 尻を拭う 他人の失敗や不始末の事 後処理をする。用例そん なつまらないことのしりをぬぐう役は、私は 遠慮させてもらいましょう。 尻を持ち込む 厄介な処理役を人に押し 付ける。後始末をさせ る。用例あの人はいつもできもしないことに 手をつけては、だれかにそのしりを持ち込む んです。 煮て食おうと焼いて食おうと どのようにも好きなよう に。気のすむように。 <272> 用例こうなったらこちらも覚悟を決めました。煮て食おうと焼いて食おうと、どうぞお好きなように。 蛇の生殺し でも返事をしないで、蛇の生殺しのようにし ていては失礼です。 メスを入れる で病祟を除く手術をすることから。用例あの 事件には警察も本腰でメスを入れる姿勢をみ せている。 やみほうむ 聞に葬る 禍根を断つために非常手 段をとる。医者がメス 人の目に触れないように そっと処置する。表ざた にしない。用例今日では考えられないような ひどいことを平気で行っては闇に葬る時代も あった。 推して知るべし 推測·想像 すぐに推測できる。考え てみればすぐわかる。 用例あの一言で、彼の品性は推して知るべし だ。 思いを馳せる あれこれ考えて想像をめ ぐらせる。そのほうに気 持ちを向ける。用例団地の窓から満月を仰ぎ ながら、故郷の野山をかけ回っていた子供の ころに思いをはせた。 気持ちを汲む 相手の心の状態をおしは かる。相手の気持ちを察 する。用例交通事故を心配する年老いた母の 気持ちをくんで、バイクに乗るのをやめるこ とにした。 <273> 行間を読む 文章の表面には現れていない作者の真意をおしは かる。用例権力者の目をはばからざるをえな かった当時の文章は、注意深く行間を読む必 要がある。 気を回す 相手の気持ちをあれこれ と邪推する。用例相手の 話は案直に聞けばよいのに、君のように変に 気を回すからややこしくなるんだ。 下種の勘繰り 心のいやしい者がとかくひがんで悪く推量するこ と。■下種」は「下衆」とも。用例そんなこと はまったく考えてはいないよ。げすの勘繰り はやめてくれ。 心に浮かぶ ふとある記憶がよみが えったり、思いついたり ころの母の顔が心に浮かんでくる。 する。用例この場所に立つたびに、若かった 心に描くころ えが 心に思い浮かべる。想像 する。用例大学生活を心 に描いてはまた心を引き締めて、受験勉強に 取り組んでいます。 察しが付く 相手の心の中や物事の事 情などが、ほぼ推測でき る。用例君が彼女に好意をもっていることくらい、とっくに察しがついていたよ。 端倪すべからず 事態の推移などが容易に は推測できない。■「端」 は山頂、「倪」は水辺で、物事の始めと終わり の意。用例今度の調査で、酸性雨による被害 は端倪すべからざる事態であることが明らか になった。 腹を読む 相手が心の中で思ってい ることを推測する。用例 <274> 交渉しようにもすでにこちらの腹を読まれて いる以上、どうにも手の尽くしようがない。 胸に描く あれこれ想像する。用例 彼女の喜ぶ顔を胸に描き レゼントを選んだ。 ながら、誕生日のプレゼントを選んだ。 目に浮かぶ 目に見えるように想像で きる。用例彼の性格から して、失敗したときの落胆ぶりは今から目に 浮かぶ。 夢を描く 将来などを理想的な姿で 空想する。用例彼は彼な りに、こういう家庭を築いていこうという夢 を描いている。 夢を見る 我を忘れて空想にふけ る。用例山田君は三十を 過ぎても、まだヨーロッパ留学の夢を見てい る。 委曲を尽くす 說明·說得 細かな点までくわしく示 す。詳細まで明らかにす る。用例あれほど委曲を尽くして説明したの に反応がないのは、もともと理解しようという気持ちがないからでしょう。 意を尽くす 相手に納得してもらうた めに、考えていることを 十分に言い表す。用例その件については先方 から意を尽くした書状をもらっていますが、 どうも納得がいきません。 因果を含める 事の成り行きのやむをえ ない事情を説明してあき らめさせる。用例いくら因果を含めて言い聞 かせても、いま頭に血が上っているときだか <275> 引導を渡す 最終的な結論を宣告して あきらめさせる。■仏教 で、死者を葬るとき、迷わず仏のもとへ行く よう僧が経を唱え手引きする意。用例こう なった以上、彼に責任をとってもらうしかな いのだが、きて、だれが引導を渡すか。 噴んで含める よく理解できるように細 かく説明して言い聞かせ る。用例図体は大きいが相手はまだ子供なの だから、かんで含めるように言い聞かせない とだめですよ。 人を見て法を説け せよ。▪釈迦は相手によって説法を変えたと いうことから。「ひと」は「にん」とも。用例君 は熱っぽくヨットの話をしていたけど、彼は 山小屋を経営している人だ。人を見て法を説 け、というだろう。 相談 お働いを立てる 目上の人に指図・意見・ 許可などを求める。用例 あの人には格好だけでもお伺いを立てておい たほうが、あとあとやりやすいだろう。 口裏を合わせる 事情を知っている者同士 で、言うことが一致する ようにする。■口を合わせる」とも。用例あ の連中のことだから、きっと口裏を合わせて いるに違いない。 平凡な人間でも、三人集 まって考えを出し合え 三人寄れば文殊の知恵 <276> ば、いい知恵も出てくるということ。回文 殊」は、知恵をつかさどる文殊菩薩のこと。 用例三人寄れば文殊の知恵、我々で打開策を 考えようではないか。 話に乗る 相談事の相手になる。商 談や計画に荷担する。 用例個人的なことで、ちょっと話に乗っても らいたいことがあるんだけど。 だんごろ 相手がだれでも、相談す とも談合 ればそれなりに得るもの があるということ。いよいよ困ったとき は、自分の膝でも相談相手になる意から。 用例そんなに悩んでいるんだったら、ひざと も談合ということもあるから、僕にでもわけ を話してみないか。 熱心に話し合う。■膝がくつつき合うほど近くに 隣を突き合わす 膝を交える 向き合う意から。用例役員たちが朝からひざ を突き合わせて何やら相談している。 う。用例こういう話は両者がひざを交えて、 納得のいくまで話し合ったほうがよい。 額を集める 集まって相談する。頭を 寄せ合い知恵を出し合 う。用例もう決定されたことなんだから、い まさら額を集めて相談しても仕方がないだろ う。 物は相談 一人きめせず、だれかに 相談すれば道が開けるこ ともあるということ。相談をもちかけるとき にいう言葉。用例ところで物は相談ですが、 どうしても都合がつかないので支払いをひと 月延ばしていただけませんか。 <277> 耐えろ・我慢・忍耐 石に罰りついても 目的を達成するためには、どんなに苦しい思い をしても耐え抜いて。用例自分で決めたこと ですから、石にかじりついてもやり抜く覚悟 です。 石の上にも三年 たとえつらくても辛抱強 も三年 一く雨えわはやかて幸れ れるものだ。冷たい石もその上に三年も座 り続ければ暖かくなる意から。用例思い出せ ば本当につらい修行時代だったが、石の上に も三年という思いで頑張った。 く耐えれば、やがて報わ 恨みを呑む 胸の内に恨みをしまいこ み、言葉や態度に表さな 用例彼には何度も出し抜かれ、言いたい ことは山ほどあるが、今度のプロジェクトに は恨みをのんで一緒に協力するつもりだ。 くちびる 唇を噛む 涙を呑む しい思いをしたことはないが、ここが我慢の しどころと唇をかんだ。 泣きたいほどの悔しさ、 無念さをじっと我慢す る。用例今度こそ雪辱戦を、という矢先にド クターストップがかかり、涙をのんでの欠場 だった。 歯を食い縛る 悔しさ・怒り・苦痛など を必死にこらえる。用例 歯を食いしばって耐えたあの時期の経験が、 いま生きています。 風雲に耐える 厳しい人生の苦労や困難 にくじけず、それを乗り <278> 越える。用例風雪に耐えて二十年、いまここ に新本社ビルの落成式を迎えました。 助ける・援助・助力 彼押しをする 手助けをする。わきから 援助する。用例彼が表に 立つとなれば、後押しをする人も増えるだろ う。 一臂を仮す ひじ、片腕の意。「一臂の力を仮す」とも。 用例なに、ほんの一臂を仮したまでのことで す。礼には及びませんよ。 縁の下の力持ち 表には出ないが、陰でみ んなを支えている働き 手。用例私がこれだけの業績を残すことがで きたのも、縁の下の力持ちとなって協力して くれたスタッフがいたからこそです。類縁の 下の舞 陰になり日向になり ある時は人知れず、ある 時は表に立って。ある人 を何かにつけ、いつもかばったり助けたりす る様子。用例いま僕がこうしてあるのも、彼 女が陰になりひなたになりして尽くしてくれ たからです。 隠を入れる 力添えをする。ひいきに する。■肩入れをする」 とも。用例系列の親会社の重役が肩を入れて いるというので、あの男少し思い上がってい る。 かた 問を貨す 援助したり、協力したり する。用例肩を貸すにし <279> ても、しばらく様子を見てからにしよう。 耳目となる 目上の人の意を受けて、 情報の収集などにあた る。ある人の耳や目のような働きをする 意。用例彼は長いこと会長の耳目となって働 いていた。 尻を押す 後ろから力を貸す。背後 にあって援助する。 「尻押しをする」とも。用例しりを押してやる のはいいが、よく先を見て押さないと、共に 転ぶことにもなりかねない。 ちから力になる 何かをする人の支えとな り、その人を助ける。尽 力する。用例苦しいときに彼はほんとうに力 になってくれた。私の恩人だよ。 力を貸す 苦しんだり困ったりして いる人の手助けをする。 応援する。用例私にできることがあれば、喜 んで力を貸しましょう。 手足となる ある人の指示や命令どお りに動く。■「てあし」は 「しゅそく」とも。用例君たちが手足となって 働いてくれたおかげで、このイベントを成功 させることができた。 梃子入れをする 弱い箇所を補強して全体 が順調に行くようにす る。苦しい立場にある者に助力する。用例一 時は相当苦しい状態だったが、親会社がてこ 入れをして持ち直した。 手を貸す 人の仕事を手伝う。助力 する。用例一人で大丈夫 すを貸しましょうか。 ですか。なんなら手を貸しましょうか 手を借りる 手伝ってもらう援助を受ける。用例最後の仕上 <280> げの段階で、あなたの手を借りることができ て、ほんとうに助かりました。 手を差し伸べる 手助けしようと申し出 る。困っている人を援助 する。用例あのときは、見るに見かねて手を 差し伸べたのだ。 内助の功 ないじょころ 内部から得られた援助。 特に、妻が家庭にいて、 夫が外でじゅうぶんに働けるよう援助すること。また、その功績。用例彼が今日の地位を築くことができたのも、奥さんの内助の功があったからこそです。 ひとはだ ぐ 一覧脱ぐ その人のために、本気に なって助勢する。▪肌脱 ぎになって他人の手助けをする意から。用例 仕方がない。君のために一肌脱ぐとするか。 願片肌脱ぐ いつせんおよ一戦に及ぶ 戦う 決着をつけるために一度 戦う。ひと勝負する。 用例いつも腕を自慢し合うだけだったので、 それではと、一戦に及ぶことになった。類一 戦を交える 干丈を交える 戦う。戦争をする。千 戈」は、たてとほこで、 武器の意。用例中国春秋時代の呉越の両国 は、いくたびとなく干戈を交えた。 兵を挿げる 兵を集めて戦いを起こ す。反乱などの軍事行動 を起こす。挙兵する。用例源頼朝は一一八○ 年平家追討の兵を挙げ、これを滅ぼして鎌倉 に幕府を開いた。 <281> 砲火を交える 互いに発砲して戦いを始 める。用例にらみ合いの 続いていた両軍は、三か月目にしてついに砲 火を交えることになった。 ぼうもん ひら 砲門を開く 砲撃の態勢をととのえ る。砲撃を始める。砲 門は、大砲の口。また、陣地や軍艦などに 設けた射撃口。用例カリブ海を航行中、海賊 らしい船影を見かけるたびに帆船は砲門を開 いていた。 頼む・頼る あなた任せ 他人に頼り、その人次第 で動くこと。■「あなた」 は、浄土宗で阿弥陀仏のこと。何事も阿弥陀 仏の誓願にまかせる意。用例もっと自分を大 切にして、今のようなあなた任せの生き方は おやめなさい。 命の網 いくための一筋の頼み。用例仕事は行き詰まり健康も害していた当時、彼女だけが私の命の綱だった。 命を預ける 生死をまかせる。信頼を る 寄せる人に生死をゆだね る。用例武蔵坊弁慶は源義経に命を預けて苦 しい旅を共にした。 お 老いては子に従え 年をとったら何事も子供 にまかせ、それに従いな さい。用例おばあちゃんの言い分は、年寄り のわがままですよ。老いては子に従えという じゃありませんか。 <282> おぼ 溺れる者は葉をも掴む いよいよ困ったときは、 頼りにならぬものにまで すがろうとする。■おぼれかけている者は、 なんの役にも立ちそうにない一本のわらでも すがろうとすることから。用例あんなに軽蔑 して寄せつけなかった人のところに相談に行 くとは、溺れる者はわらをもつかむというや つですかねえ。 おやかたひ親方日の丸 を皮肉っていう言葉。■「親方」は、日本国の 意。用例干拓事業の中止は時勢の流れで仕方 がない。使った予算のことは親方日の丸で何 とかなるだろう。 独立した生活を営めず、 親の腰を響る 親の援助・扶養を受け る。用例彼の家は資産家だから、親のすねを かじって生活しているんだろう。 下駄を預ける 万事を頼んで相手に一任 する。用例私の進退につ いては、一応会長に下駄を預けた形になって いる。 三拝九拝 何度もおじぎをする意 一で、必死に物事を頼む様 子。用例「よし、わかった」の一言を引き出す ために、三拝九拝したわけです。 あわれみを請う。同情心 に訴える。用例あまり気 はすすまないが、親父の袖にすがるしかない ようだ。 頼みの網ったの 特に当てにし、頼ること の綱 つな のできる人や物。用例君 だけが頼みの綱なんだ。何とか援助してもら えないだろうか。 <283> 他カ本頭 すべて他人の力を当てに すること。■阿弥陀仏の 本願に頼って成仏を願う意から。用例就職 も結婚も家のことも親がかり、おまけに夫婦 げんかの始末まで他力本願とは、どこまで情 けないやつなんだ。 力にする 困ったときや苦しいとき 、頼りにする。支えとす 一に頼りにする。支えとす る。用例この子の成長だけを力にして、女手 ひとつで頑張ってきたんです。 杖とも柱とも頼む 非常に頼りにしている。 用例彼女にとって叔父さ んは、つえとも柱とも頼むたった一人の親戚 だった。 両手を合わせて拝む。心 から頼み願う。用例社の 手を合わせる 命運がかかっているんだから、こっちも必死 だ。手を合わせて頼んだよ。 もんたた 門を叩く 人門の許しを請う。弟子 にしてもらいたいと頼 む。用例私が先生の門をたたいたのは、二十 歳のときでした。 寄らば大樹の陰 どうせ頼るのなら、力の あるしっかりした人や組 織に頼るほうがよいということ。用例理想主 義を通すのもいいが、現実を見ればやはり、 寄らば大樹の陰だよ。 だます・出し抜く 足を掴う 相手のすきにつけ込み、 思いがけない手段で負か たりする。用例彼のことは したり、失敗させたりする。用例彼のことは <284> あまり信用しないほうがいいよ。僕も一度足 をすくわれた苦い経験がある。 飴をしやぶらせる 手を喜ばせておいてだます。用例あいつの言 うことなんかまともに聞いているひまはない から、今日のところは適当にあめをしゃぶら せておこう。類飴をなめさせる 一杯食わす うまくたくらんで人をだ ます。用例彼のことだか らとつい信用したら、まんまと一杯食わされ てしまった。 裏の裏を行く 相手がこちらを出し抜く つもりでいるのを見抜 えすような計略を考える。 き、それをくつがえすような計略を考える。 用例裏の裏を行ったつもりだったのだが、う まくかわされてしまい、やはり正政法で行く べきだったと反省している。 裏をかく 抜く。用例こちら側の作戦としては、相手が どう出るかを見抜いて、その裏をかくこと だ。 相手の予想に反する行動 に出て、その計略を出し 口 専に乗せる 巧みに言いくるめて人を だます。用例あいつの口 車に乗せられて深入りしたばかりに、大損を してしまった。類口車に乗る 芝居を打つ 人をだますために、作り 事を言ったり、見せかけ の行動をとったりする。■「一芝居打つ」と も。用例責任を逃れるために、芝居を打って ごまかす。 じゅつちゅう おちい 街 中に陥る 相手の計略にはまる。 用例いまここで冷静さを <285> 失ったら、相手の術中に陥ることになる。相 手はそれを待っているのだ。 手に乗る 計略に引っかかって相手 の思いどおりになる。 用例この間さんざんな目にあわされたから、 もうその手に乗らないよ。 寝前を掻く 油断につけいり、あるい く は卑怯な手を使って人を 陷れる。用例ちょっと知り合っただけの人を やたらと信用するから、甘く見られて寝首を かかれるのだ。 寝刃を合わす 人知れず悪事をたくら む。■「寝刃」は、切れな くなった刃物で、刀の刃を研ぐ意。用例どう もあれは、折あらば寝刃を合わそうという目 付きだよ。彼のことはよく監視していてく れ。 鼻毛を抜く 人の心のうちを見すかして、だましたり出し抜い たりする。用例いい気になってうつつを抜か しているから、女に見くびられて鼻毛を抜か れるんだ。 鼻を明かす 出し抜いたり、思いがけないことをしてあっと言 わせる。用例この間のマージャン大会で、と うとうやつの鼻を明かしてやることができた よ。 腹に一物 心の中に何か悪だくみを抱いていること。用例彼 は腹に一物ありそうな男だから、付き合うと きは注意したほうがいい。頬胸に一物 人を担ぐ 一る。用例あいつは悪趣味 で、昔から人を担ぐのがうまいから気をつけ <286> は、ぺてんに掛けられたようで後味が悪い。 類べてんに掛かる 夏に掛ける 策略を用いて陥れる。 用例相手をわなに掛けて失脚させてやろう じゃないか。類買に掛かる る しくむ。用例彼は自分の 出世のためなら、人にわなを掛けることも平 気である男だ。 口添えをする わきから言葉をそえて、 うまくいくようにとりな す。▪▪口を添える」とも。用例隣家とのもめ 事について、大家さんに口添えをしてもらっ た。 よいときに出てきて仲裁 などしてくれる人。 お互い意地になって引くに引けない気持ちに なっていたんだ。君が来てくれたのは、まさ に時の氏神だった。 人と人との間に入って、 うまくいくようにとりは からう。用例双方の意見がなかなか合わない ので、第三者の立場で僕が仲に立つことに <287> 橘を渡す 間に入って双方を結び付 ける。仲立ちをする。関 係をつける。■「橋渡しをする」とも。用例私 たちの間に橋を渡す役をつとめてくださった のは課長ですので、ぜひ仲人もお願いしたい のですが。 渡りを付ける 交渉がうまく運ぶよう に、相手と関係を結ぶ。 話し合いのきっかけをつくる。用例せっかく 渡りをつけてやったのに、それがさっぱり生 かされていないようだ。 割って入る 押しわけて仲介に立つ。 強引に間に入り込む。 用例割って入ってかえって問題をこじらせて しまってはいけないから、しばらく静観する ことにしよう。 くざ 釘を刺す あとで約束を破ったりしないように、あらかじめ 注意しておく。用例くどいほど釘を刺すんだ から、こちらが疑われているようでいやにな る。類釘を打つ 苦言を呈する 本人のためを思い、言い にくいことをあえて言っ ていさめる。用例君の将来のために、ひと言 苦言を呈しておこう。 懐を飛ばす 同意を求めて多くの人々 に自分の考えを知らせ る。「檄」は、昔中国で、人民にふれを告げ るために政府から出した木札の文書。用例郷 土の自然林保護の檄を飛ばすと、若い人たち <288> 駄目を押す ほぼ間違いのないことを、念のため確認する。 駄目押しをする」とも。用例取引先から、 納品の期日は必ず守ってほしいと駄目を押さ れてしまった。 忠 書は耳に逆らう いさめの言葉というものは聞くほうにとってはつ らいものだから、なかなか素直に受け入れら れないものだ。用例自分が何かに夢中になっ ているときは、忠言は耳に逆らうものだ。 出典「孔子曰く、良薬は口に苦けれども病に 利あり、忠言は耳に逆らえども行いに利あ り」(孔子家語) 相手の痛いところをつい 一針 た戒めの言葉。頭の上 に針を一本刺す意。 用例あの批評家の言うと ころは、まさに頂門の一針というべきもの だった。 念を押す 間違いのないよう、十分 確認したり注意を促した りする。用例このことは絶対人にはしゃべる なと、彼には念を押しておいた。 良薬は口に苦し ためになる忠言は聞きづらいものだ。■よく効く 薬は苦くて飲みにくい意。用例良薬は口に苦 しで、彼のいうことは気を静めてよくよく味 わってみることだ。忠言は耳に逆らう 捕らえる 悪人や犯罪者などの仲間 一網打尽 を、一度に全部捕らえる <289> こと。回一回網を打って、全部の魚を捕りつ くす意から。用例悪知恵の働く連中だから、 今回の捜査で一網打尽というわけにはいかな いだろう。 手が後ろに回る 悪事を働いて、警察に逮 捕される。団昔、罪人が 後ろ手に縛られたことから。用例ろくなこと にはなるまいと思っていたが、とうとう手が 後ろに回ったか。 縄に掛かる 犯人が捕らえられる。 「お縄に掛かる」縄目に 掛かる」とも。用例希代の大泥棒も、ついに 縄に掛かった。 調を打つ 悪人を捕らえて縛る。 用例張り込みのかいがあ って、逃亡寸前の犯人に縄を打つことができ た。 盛を挙げる 語で犯人のこと。用例地道な捜査活動で迷宮入り寸前に、指名手配のホシを挙げることができた。 犯人や容疑者を逮捕す る。星は、警官の隠 努力 俺まず撓まず 途中で飽きたり怠けたりしないで、一つのことに 努力し続ける様子。用例うまずたゆまず精進 した結果が、父の名人技を作り上げたといえ る。 追い込みを掛ける 物事の最終段階でいっそ う努力する。用例投票日 秒読みの段階となり、最 まであと数日という秒読みの段階となり、最 <290> 犬馬の労 主君や他人のために力の限りを尽くして働くこ と。■「犬馬」は、犬や馬のように人に使われ たり、卑しいもののたとえで、自分をへりく だっていう語。用例選挙に当選した暁には、 国民の皆様のために犬馬の労をいとわない覚 悟であります。 虚仮の一念 愚かな者でも一つのこと に打ち込んでやれば、や り遂げられるということ。■「虚仮」は、愚か なこと。また、愚かな人。用例まさかやつに できるはずはないと、だれも期待していな かったのに、とうとうこけの一念でやってし まった。願虚仮の一心 心を傾ける 情熱を抱いて、一つのこ とに心を集中する。用例 主人は倒れるその日まで、教育に心を傾けて おりました。 精を出す 一生懸命に励む。熱心に 働く。用例新しい映画作 りに精を出す毎日に、私はたいへん生きがい を感じています。 全身全霊を打ち込む もっている力のすべてを 注ぎ込む。用例発表され た作品は、作者の全身全霊を打ち込んだ見事 な出来だった。 倒れて後已む 死ぬまで一生懸命努力し 続ける。用例ひたすら会 社のために働き続けた彼は、倒れて後やむと いった生き方だった。出典「俛焉として日に 奪々たるあり、斃れて后已む(努力して毎日 励み、死ぬまでやり通す)」(礼記)願死し て後已む <291> ちからこよ い 熱心に力を尽くす。尽力 力癒を入れる する。用例新人の育成に は、会社も力こぶを入れているそうだ。 ちから力を入ォ・ あることに一生懸命努力 する。用例今度の期末試 験には、前回よくなかった数学に力を入れる つもりだ。 手を尽くす 考えられる限りの方法や 手を尽くして心当たりを捜してみたが、娘の かわいがっていた猫の行方はわからなかった。 手段を試みる。 用例八方 点滴石を穿つ わずかな力でも努力し続 ければ、事を成就させる ことができる。雨垂れも長い歳月をかけれ ぼ石に穴をあけてしまう意から。用例点滴石 をうがつで、各人の心がけが町ぐるみの美化 運動へとつながっていった。 類雨垂れ石を穿 つ 鳥に転打つ 努力して頑張ることをへりくだっていう語。 「驚馬」は、足ののろい馬。能力のない者に力 以上のことをさせる意から。用例任に耐えう るかどうかいささか心もとない気も致します が、驚馬にむち打ってひとふんばり致す所存 です。 拍車を掛ける 物事の進行を一段と速め る。■「拍車」は、乗馬靴 馬の腹を刺激する金具。 のかかとに付け、馬の腹を刺激する金具。 用例期日も間近に迫ってきた。そろそろ拍車 を掛けるとしよう。類拍車を加える 馬力を掛ける 一段と仕事に励む。精力 的に仕事をする。用例あ 揺点が終わるぞ。馬力を掛 的に仕事をする。用例あ と少しでテストの採点が終わるぞ。馬力を掛 <292> ピッチを上げる 作業のすすみ具合を速く する。▪「ピッチ」は、ボ ートのオールをこぐ一分間の回数。用例期限 に間に合うように、少じピッチを上げてくれ ないか。類ピッチが上がる ベストを尽くす 目標に向かって、最善、 最大の努力をする。用例 ベストを尽くすことだ。 なせば成る、まずはベストを尽くすことだ。 全力を尽くして物事に取 諧肌を脱ぐ い上半身 を脱いで肌を出す意から。用例彼は今度の仕 事には、もろ肌を脱ぐ決意を固めているらし い。 物事の終了間際に、全力 ラストスパートを掛ける を尽くして事に当たる。 最後の頑張りをみせる。用例入試まであと一 か月。さあ、ラストスパートを掛けて頑張ろ う。 老骨に軟打つ 自分の年老いた体を励ま し努力する。用例七十歳 を過ぎましたが、老骨にむち打って、今も弟子 たちに稽古をつけております。用法多くは自 分のことをへりくだって言う場合に用いる。 労を執る 人のために力を尽くす を執ってもらい、大手の出版社から仕事を回 してもらえるようになった。 逃げる 後ろを見せる 敵に背を向けて逃げ出 す。負けて逃げ出す。 <293> 用例相手に後ろを見せるな、正々堂々と戦お う。 風を食らう 事がばれたことを知って、風を食らって逃げ てしまった。 蜘蛛の子を散らす が入っている袋を破ると、中の子が四方に 散っていくことから。用例突然どなられて、 子供たちは蜘蛛の子を散らすように逃げてし まった。 多くの者がいつせいに逃 げ散る様子。囃蜘蛛の子 雲を護と 一目散に逃げていって姿 を隠してしまう様子。 用例やられたなと気づいたときは、一味は雲 を霞と逃げてしまって手の打ちようがなかった。 尻尾を巻く 打ち負かされて逃げる様 子。用例いやあその見幕 のすごいこと。借金取りもしっぽを巻いて 帰って行ったよ。 尻に帆を掛ける あわてふためいて逃げる様子。■足で走るだけで なく、帆までかけての意。用例大金を手にす るとその足で、しりに帆を掛けて海外に遁走 した。 逃げを打つ 逃げ支度をする。責任追 及を逃れる工作をする。 用例そうやって逃げを打ってばかりいない で、具体的な解決策を示したらどうなんだ。 類逃げを張る いまにもはいださんばか りのみじめな姿で、かろ うじて逃げる様子。さんざんな目にあい、あ <294> わてふためいて逃げ出す様子。用例捕まって 三つ四つ殴られたあと、ほうほうの体で逃げ てきた。 盗む こっそり家の中の物をく 頭の黒い鼠 すねる者を鼠に擬してい う言葉。用例小銭がなくなるのは、きっと家 の頭の黒い鼠のしわざにちがいない。 手が畏い わさだから、付き合うときは注意したほうが いいよ。 手舞が悪い 盗癖がある。用例彼は手 癖が悪いので、要注意人 物として知っておく必要がある。 眠る 舟の櫓をこぐように、体を前後に揺らして居眠り をする。用例妻はテレビの前で、ドラマが終 わるまでずっと舟をこいでいた。 まんじりともしない 気がかりなことがあった りして、少しも眠れな い。一睡もしない。まんじりは、まどろ む様子。用例彼からの連絡がいつあるか、ま んじりともせず夜を明かした。 目が冴える 頭がいつきりして眠くな くなる。眠れない。用例 もう目が冴えて、明け方ま あの話を聞いたらもう目が冴えて、明け方ま <295> 目の皮がたるむ る。眠くなる。用例こんな難しい本を読む と、たちまち目の皮がたるんでくる。 眠気に襲われて、まぶた がゆるみ垂れ下がってく 夢路を辿る 夢を見ながら気持ちよく 眠る。用例まあ、寝顔が 笑ってる。楽しい夢路をたどっているのかし らね。 夢を結ぶ 夢を見る。眠る。用例星 空の下のテントで子供た ちは夢を結び、キャンプの夜はふけていっ た。 横になる 体を横に伸ばして休め 一る。寝る。用例家に帰っ てからも雑用が多くて、横になるのはいつも 深夜だ。 夜の目も寝ずに 夜、眠ることもなく。眠 りもせずに。用例夜の目 も寝ずに働いたおかげで、今日の財を築くこ とができた。 夜を徹する して行われ、翌朝にはなんとか復旧の見通し が立った。 励ます 活を入れる 刺激を与えて、気力を奮 い起こさせる。元気づけ る。■柔道などで、気絶した人に息をふき返 させる術を施す意から。用例最近の試合ぶり を見ていると、だいぶたるんでいるようだか <296> 尻を叩く やる気を起こすように励 ます。遅れがちな物事を 急ぐように催促する。用例女房にしりをたた かれて、延ばし延ばしにしていた芝刈りを やっとすませた。 カを付ける にふられてすっかりしょげているようだ。一 杯やりながら、みんなで力をつけてやろう じゃないか。 元気になるように励ま す。力づける。用例彼女 発破を掛ける 強い口調で気合いを入 れ、奮い立たせる。 「発破」は、鉱山や土木工事などで火薬を仕掛けて爆破すること。用例県大会にむけて練習に励んでいるところに先輩たちが差し入れを持って現れ、大いに発破を掛けられた。 働く 汙水流す 苦労をいとわず働く。 用例近ごろでは、汗水流 して働くというような若者が少なくなった。 類汗水垂らす 独楽臓のよう からだがよく動く様子。 忙しく動き回る様子。 用例作業場の中を、材料を運んだり掃除をし たり、あの娘は一日中こまねずみのようによ く働く。 怠け者の節句働き ふだん怠けてばかりいる 者が、人が休んでいると きに、ことさら忙しそうに働くこと。用例期 末が近くなると休日出勤して業績の数字を上 げているが、ああいうのこそ怠け者の節句働 <297> 額に汗する 一生懸命に働く。用例額 に汗して築き上げた財産 が争いの原因になっているのを知ったら、故 人も浮かばれないだろう。 判断 色眼鏡で見る 先入観をもって見る。初 で見る。用例人を人種の色眼鏡で見ること は、決してよいことでありません。 二つの勢力がほぼ均衡し ヤスチングボートを握る ているとき、少数派が大 勢を左右する決定権をもつ。■「キャスチン グボート」は、会議で賛否が同数のときに、 先入主となる 議長が行使する決裁権。用例社内旅行の希望 地が二つに割れてしまった以上、幹事である 我々がキャスチングボートを握るはめになり そうだ。 前もって作られた考えに となる とらわれる。固定観念と なる。用例人は多少なりとも自分の経験が先 入主となることは避けられない。 物事の一面だけを見て、 盾の半面 全体をとらえようとしな いこと。用例盾の半面だけを見て判断を下す ようでは、管理職としては失格だ。 盾の両面を見よ 物事は裏表をよく見きわ めてから判断せよ。用例 君の見解は一方的すぎるように思う。盾の両 面を見よで、今一度、みんなの意見に耳を傾 けてみてはどうかね。 <298> 供の言っていることを真に受けるやつがある か。 観鏡が狂う そこなう。用例先生もた まには眼鏡が狂うこともあるらしく、あんな いいかげんな男を推薦しておられる。 ひそがに 表立たないところで、 こっそりと何かをする。 ■「陰へ回る」とも。用例あの人は陰に回って 何をするかわからないような、得体の知れな いところがある。 人目を恐ぶ 人目を盗む 人に見られないように、 行動に気を配る。 緒に仕事をしたのがきっかけで、彼女とは人 目を忍ぶ仲になってしまった。 人に見られないように、 隠れて行う。 用例人目を 盗んでいじましくたばこを吸うぐらいなら、 ひとめはばか人目を憚る 人に見られないように 配慮する。 用例ちょっと 相談が、と人目をはばかるような様子だった から、うちにいらっしゃいと言っておいた。 目を掠める 人のすきをねらって、ち よっとした悪いことをす る。用例高校生にもなると、親の目をかすめ てたばこを吸ったり酒を飲んだりぐらいなこ とはするさ。 <299> 目を盗む 人に見つからないように、こっそり行う。用例 いくら親だからといって、僕の目を盗んで日 記を読んだりするのはやめてください。 非難 いい気なものだ 他人がどんな気持ちで見 ているかも知らず、自分 一人で得意になっている様子を非難めいてい う言葉。用例受験を控えて家族がこれだけ気 を遣っているというのに本人は毎日遊び回っ ているとは、いい気なものだ。 いい面の皮 快く思っていない者の失 敗・不運などに対してあ 用例株が値下がりして大 ざけっていう言葉。用例株が値下がりしてよ 損をしたところに、あいつ、五年来の脱税が ばれたんだとさ。いい面の皮だ。 後ろ指を指される 背後から指差しされて悪 口を言われる。かげで非 難される。用例これまで、僕は人に後ろ指を 指されるような生き方をしてきた覚えはな い。 おとといこ 一昨日来い 二度と来るな。いやな人 言葉。用例ああ、それで結構だよ。お前なん かおととい来いだ。 風当たりが強い 周囲から激しい非難や圧 迫を受ける。用例不祥事 を起こしてからというもの世間の風当たりが 強く、辞めていく社員が跡を絶たない。 様を見ろ 相手の失敗をあざけって いう言葉。■「ざまあ見 <300> ろ」とも。用例僕のことをさんざんばかにし てたくせに、自分だって失敗したじゃない か、ざまを見ろだ。 屍に鞭打つ 死んだ人の生前の言行を 取り上げて、非難し、悪 口を言う。用例いまさらしかばねにむち打つ ようなことは慎んでください。類死屍に鞭打 つ・死者に鞭打つ それ見たことか 忠告や助言を聞き入れな かった人が失敗したとき に、軽蔑と非難の気持ちをこめていう言葉。 用例それ見たことか。やっぱり僕の言ったと おりになっただろう。 棚卸しをする 他人の欠点や過失などを いちいち並べ上げて非難 する。■決算・整理のため、在庫品の数量や 価格を調べる意から。用例古株の社員たち が、酒のさかなに新入社員の棚卸しをしてい た。 非を鳴らす 他人の誤りを激しく非難 された強硬な学内改革案に、教授会はいっせ いに非を鳴らした。 袋 叩きに違う 周りからいっせいに非難・攻撃される。回大勢 に取り囲まれてなくられる意から。用例社員 旅行の宴会の席で「うちの会社の女どもは」と 口をすべらせた課長は、女子社員から袋だた きにあった。 吠え面をかく 後で困って泣くことにな るぞと、相手を侮蔑して いう言葉。「吠え面」は、泣き顔の意。用例 そんな偉そうなことを言って、後でほえ面を かくなよ。 <301> 槍玉に挙げる 数ある中から選んで、非 難・攻撃の対象とする。 用例総会の席上、彼はまず、自らの立場を利 用して私利をはかっていた理事の一人をやり 玉に挙げた。 指を産す かげで悪口を言ったり非 難したりする。用例指を 差されたりしないよう、行動には十分気をつ けたまえ。 負担・担う 一翼を担う 一つの大事な持ち場を引 き受ける用例地味で根 気のいる仕事だったが、自分もこのプロジェ クトの一翼を担っているんだという実感が あった。 局に掛かる 用例一家の経済は、親父一人の肩に掛かっている。 責任・負担などを負わな ければならなくなる。 背負って立つ 組織・団体の支えとな 。 責任や任務を一身に 引き受ける。用例長男はやがて一家をしょっ て立つものだと、両親に教えられてきた。 貴めを負う すべての責任を一身に引 き受ける。責任をとる。 用例彼一人に責めを負わせて我々みんな知ら んぷりでは、心苦しく思わないか。 責任や仕事を身にでき受 ける。用例それぞれが会 社の命運を双肩に担っているのだという認識 がほしい。 <302> 泥を被る 不利な役を引き受ける。 他の責任を負う。用例ど うもエリートは泥をかぶるのをいやがる傾向 があるようだ。 責任や負担が大きすぎ る。用例世界の強豪を相 手に戦うことは、僕にはまだ荷が重い。 荷が勝つ 担が大きい。用例この仕 事の責任者としては、若い彼には荷が勝つん じゃないか。 荷になる 負担になる。用例手放し たくないという気持ちは わかるが、若い女が一人で働いて生活してい くのに子供は荷になるのではないか。 ひとやくか 一役買う 自分から進んで、役割の 一部を引き受ける。用例 夏の一か月間、子供たちの勉強に一役買うこ とになった。 矢面に立つ 多くの非難や質問などを 直接あびる役を務める。 ロ敵の矢が飛んでくる正面に立つ意から。 用例事故現場の工事責任者として、彼はマス コミの矢面に立たされた。 待っ あみ 網を張る 目当ての人をつかまえようと、手はずを整えて待 ち構える。鳥や魚をとるために網を仕掛け る意から。用例あそこは彼の行きつけの店だ から、そこに網を張っていれば多分彼に会え ると思うよ。 <303> 一日千秋の思い 一日が千年にも感じられるような、待ち遠しい気 持ち。回いちじつ」は「いちにち」とも。ま た、一日三秋「千秋の思い」とも。用例君と またこうして会える日を、僕は一日千秋の思 いで待っていたんだ。 お預けを食う 約束してくれただけで、 実行は保留にされる。 用例成績が悪かったので、海外旅行はお預け を食うことになった。 牙を研ぐ 相手に危害を加えようと 準備をして待ち構える。 用例彼はこの間のしかえしをしてやろうと、 牙を研いで機会をうかがっていた。 首を長くする あることの実現を待ち遠 しく思っている様子。 くして待っているよ。 用例君からいい返事がもらえるのを、首を長 痺れを切らす 待ちくたびれて、一刻も 我慢できない様子。用例 約束の時間をとっくに過ぎても友人が現れな いので、とうとうしびれを切らして一人でコ ンサート会場へ向かった。 爪を研ぐ 野望を実現する機会をね らう。■獣が獲物をね らって爪を鋭くして待ち構える意から。用例 学部長も次期学長の座をねらって爪を研いで いるといううわさだ。 手楽煉引く 十分に用意を整えて、そ のときのくるのを待ち構 える。■「薬煉」は、弓の弦を強くするために ぬる薬。「手薬煉を引く」とも。用例一緒に酒 を飲もうと、君の帰りを手ぐすね引いて待っ ていたんだ。 <304> 画が台なしになってしまう。ここは辛抱して 時を待つんだ。 待ち惚けを食う 待っていたものがとうと う来ず、無駄に時間を過 ごす。用例きっと来いよ。この間みたいに待ちぼうけを食わされるのはごめんだからな。 いても。用例今晚彼が家に来るというから食 事の用意もして待っているのに、待てど暮ら せど来やしない。用法下に打ち消しの語を 伴って用いる。 満を持す 十分に準備を整えて待機 する。■弓をいっぱいに 反つときを見計らってい 引きしぼって、矢を放つときを見計らってい る意から。用例彼らは満を持して、反撃の チャンスをうかがっていた。出典「漢の矢且 に尽きんとす。広、乃ち士をして満を持して 発すること母からしむ(漢軍の矢はなくなり そうになった。そこで李広は、兵士たちに弓 をいっぱいに引きしぽったまま放たないよう にさせた)(史記李将軍伝) 指折り数える その日まであと何日と数 えながら心待ちにする。 用例夏休みのキャンプを息子たちは指折り数 えて待っていた。 まねる 糟粕を営める 独自の新しい意見がなく、いたずらに先人の説 <305> 輩に倣う を繰り返す。回「糟粕」は、酒かすで、よいと ころを取り去った残り物の意。用例例によって 糟粕をなめる類の発言さ。あの先生は単な る一言居士なんだ。 むやみに人のまねをす る。また、他人にならっ て自分もそうすることを謙遜していう語。 中国の越の美女西施が病人だとき、苦痛に眉 をしかめた顔が美しいと評判になったので、 醜女たちがみなそのまねをしたという故事に よる。「西施の顰に倣う」とも。用例彼は他人 のひそみに倣ってばかりいる、つまらない男 だよ。 右へ傚え 最初に言った人や行った 一人のまねをする。用例あ の雰囲気では、右へ倣えですませておくのが いちばん無難だ。 認める 折り紙を付ける 確かな人物・品物である と保証する。■折り紙 は、書画・刀剣などを証明する鑑定書。用例 彼が信用できる人物であることは、私が折り 紙をつけます。 自他共に許す 自分も他人もそうである と認める。用例彼はこの 他共に許す実力者だ。 業界にわ・・・ 十指の指す所 多くの人の意見の一致す るところ。また、その意 見の間違いないこと。用例政治改革の必要性 は、十指の指す所である。次項 十目の見る所 多くの人の判断が一致す ること。だれもが等しく <306> 認めるところ。用例戦争は十目の見る所、人 間の最大の不幸である。出典「曾子曰く、十 目の視る所、十手の指さす所、それ厳まんか な(曾子が言った、「我々の言行は」多くの人 に注目され指さされているところであるか ら、十分におそれ慎まなければならない、 と(「大学」) 太鼓判を押す 保証する。太鼓判は、太鼓のように大きな印判の意。用例あの関取が近いうちに横綱になることは、だれもが太鼓判を押している。 洋の東西を問わず 絶対に間違いないことを 保証する。確実なものと 東洋でも西洋でも。世界 中どこでも何かが認めら れる様子。用例洋の東西を問わず、環境破壊 は時代のかかえる大問題である。 見拔 < 足下を見る 相手の弱みにつけこむ。 弱点を見透かす。用例人 の足下を見て、高く売りつける悪徳業者がい るから気をつけなさい。頬足下に付け込む 相手の弱点や内情を見抜 内兜を見透かす く。内兜は、人に知 られたくない内情・弱味。用例彼は内かぶと を見透かされまいとして、家庭の話はいっさ いしない。類内懐を見透かす おかめはちもく 岡目八目 関係のない人のほうが当 事者よりも物事の是非・ 得失がよくわかること。■人の囲碁をそばで 見ていると、自分で対局しているときよりも 八目も先の手が読めるということから。用例 <307> この企画も行き詰まりそうだから、岡目八目 というわけでもないが、部外者の君に助言を してほしいんだ。 思い半ばに過ぎる 考えてみると、思いあた るふしが多い。すべてを 大体のことがわかる。 聞きしなくても大体のことがわかる 用例犯行手口の残忍さを考えると、遺族の気 持ちは思い半ばに過ぎるものがある。出典 知者はその衆辞を観れば、則ち思い半ばに 過ぐ(知者は易の卦の意味を述べた部分を見 れば、その半分以上をさとることができる) (易経)繋辞) 眼光紙背に徹する 字句の解釈にとらわれ ず、文章の真意を深く読 みとる。文章の言外の意味までくみとる。 用例眼光紙背に徹するおもむきがあって彼 の文芸評論にはいつも感心する。 尻尾を掴む 相手の秘密や弱点、悪事 の証拠などをにぎる。 「尻尾を掴まえる」とも。用例いつもうまく逃げられているが、今度という今度は彼のしっぽをつかんでやるぞ。 はらわた 腸が見え透く うまくとりつくろっていても、その心の中ははっ きり見てとれる。用例かいがいしく手伝って はいるが、はらわたが見え透いているだけに よけい腹が立つ。類腹が見え透く 腹を抉る 相手の考えていることを 見通して鋭く問いただ す。用例予算委員会における彼の腹をえぐる ような追及ぶりはすごかった。 腹を見抜く 見かけの言動に左右され ず、相手の本心をはっき 例あいつ腹を見抜かれたと りと見てとる。 用例あいつ腹を見抜かれたと <308> 思ったのか、すごすご帰っていったよ。類腹 を見透かす 弱みに付け込む 他人の弱点をとらえて利 用し、自分の利益を図 る。用例年老いた未亡人の弱みに付け込んで 金をだましとるとは、許せない男だ。 見る 穴の空くほど 一か所をじっと見つめる 様子。用例展覧会場で、 一枚の絵を穴のあくほど見つめている男がい た。 お目に掛ける お見せする。人に見せる ことの丁寧な言い方。 る品をお目に掛けること にしましょう。 用例当家に代々伝わる品をお目に掛けること 眼を付ける 相手の顔をにらむように 見る。言いがかりをつけ るときの口実としていう。用例やつらは、眼 をつけたといって相手にからみ、金をおどし とっていたらしい。 空目を使う うわ目づかいに見る。 用例 夜遊びを父親にとが められた娘は、不満そうに空目を使ってい る。 矯めつ貼めつ あらゆる角度からよく見 る様子。とみこうみして 品定めする様子。用例友人たちは作り笑いを 見せながら、実は矯めつすがめつ彼女を品定 めしているようであった。 ひとみこ瞳を凝らす 一点をじっと見つめる。 凝視する。用例錯覚かと <309> 思って瞳を凝らしたが、やはりそれは船影 だった。 人目に晒す 一世間の目に見えるように する。用例そんなみっともない姿を人目にさ らすやつがあるか。 ひゃくぶんいつけんし 百聞は一見に如かず 人から何度も聞くより、 実際に一度見るほうが確 かであること。用例あの壮大な景観は話や絵 葉書ではわかりません。百聞は一見にしか ず、その中にぽつんと立ってみて初めてわか ります。出典「充国曰く、百聞は一見に如か ず、兵は險かに度り難し。臣願わくは馳せて 金城に至り、図して方略を上らん、と(充 国が言った、百聞は一見にしかずです。前線 から遠く離れていて戦況がよくわかりませ ん。私が馬を走らせて金城に行き、図に描い かんじょちょうじゅう て計画を奉りましょう、と)」(漢書」趙充 こくでん 国伝 目陰を癒す が僕の生まれた家だよと彼が指さすほうを、 彼女は目陰を差して眺めやった。 目に映る 見える。感じ取れる。 一用例彼はすでに納得して いるように僕の目に映ったのだが、君はどう 思う? 目に染みる 色彩などが鮮やかに見 え、印象深く思われる。 用例目に染みるような青葉に風わたるころと なりました。 目にする 見る。 ふと目に見える。 いると、土筆か芹を摘んでいる老夫婦を目に 用例小川に沿って走って <310> することがあった。 目に留まる 何かを見て、それに関心 来る途中、きれいなスカーフが目に留まった んで、君に似合いそうだなと思って買ってき たんだ。 $ 11^{-} $ $ 11^{2} $ 目に触れる に見る。用例いたずらさ れると困るから、子供の目に触れないところ へ置いておこう。 目の毒 用例そんな雑誌、子供には目の毒だから見せ ないでくださいよ。 見ると害になったり、欲 しくなったりするもの。 視線を下のほうへ移す。 目を落とす 下を向く。用例彼女は テーブルに目を落としたまま、自分からは何 目を配る もしやべろうとしなかった。 用例大勢の子供たちに目を配っている先生の 姿を見ていると、幼稚園の遠足も大変だと思 います。 見落としのないよう、あ 目をくれる ちこちを注意深く見る。 目を向ける。そちらのほ うを見る。用例十年前 私に目をくれるどころか、お前など遠くへ行 けと言わんばかりの態度をとっていたんだ。 目を凝らす 一つところに目を集中す る。じっと見つめる。 用例暗がりの中で目を凝らすと、それらしい 人影がこちらへやって来るのが見えた。 目を大きく見開いてよく 見ようとする。目を 皿にする」とも。用例彼女はコンタクトレン <311> ズを落としたといって、目を皿のようにして 辺りを捜し回っていた。 まばたきもしないで、一 点を注視する。 用例彼は 谷の向こうにある滝に目を据えていて、私が 呼んでも気がつかない。 目を注ぐ 注意深く目を向ける。注 意して見る。用例監督 は、グラウンドでボールを追う選手たちに熱 心に目を注いでいた。 目を側める 相手をまともに見ないで 一横目で見る。用例その数 日後喫茶店で会うと、彼女は恨みがましく目 をそばめた。 目を背ける まともに見ていられずに 視線を離す。見ないよう ーー つ前でいきなり に目をよそに向ける。用例目の前でいきなり 目をそらす 車が衝突し、私は反射的に目を背けた。 目をよそに向ける。視線 目を付ける 目が合うといつも目をそらすんだけど、何か 気に障るようなことでも言ったかな ねらうべきものとして注 見る。用例刑事は彼が犯人に違いないと、日 ごろから目をつけていたようだ。 目を通す めとお 書かれたものをざっと見 る。ひととおり見る。 用例資料をお送りしますので、あらかじめ目 を通しておいてください。 目を留める 一つところに目を置く。 よくよく注意して見る。 用例壁にはられている子供たちの習字を見て いて、私は際立って伸びやかな筆づかいの一 <312> 目を遣る そちらを見る。視線を向 ける。用例子供の指さす ほうに目をやると、なるほどそこに小鳥の巣 があった。 横目を使う 何かを観察したり、そっ と伝えたりするために、 目だけ動かして横を見る。用例二人の話には 無関心でいられなかったので、私は横目を使 いながら耳を澄ました。 休む・くつろぐ 恵を吐く ほっと安心してひと休み する。■「一息吐く」と も。 用例子供も学校を卒業して勤めに出るよ うになりました。これでやっと息をつくことができます。 患を抜く 途中でちょっと休む。緊 張をゆるめて、気分転換 をはかる。用例入試前だから、今は息を抜く ことなどできない。 命の洗濯 忘れて、休息を楽しむこ と。用例両親が出かけている日は、私も命の 洗濯ができる。 英気を養う 次の活動に備えて、十分 に休養をとる。用例この 連休は、近くの温泉に泊まりがけで出かけ て、英気を養ってきた。 鬼の居ぬ間に洗濯 気を遣わなければならな い人がいない間に、存分 用例鬼の居ぬ間に洗濯と 用例鬼の居ぬ間に洗濯と <313> いっても、新入社員にはなかなかできること ではありません。頬鬼の留守に洗濯 はお互い裱を脱いでお付き合いしようじゃあ りませんか。 気が紛れる 何かをすることによって、一時的につらさ・苦 しきを忘れる。用例忙しく働いていると、そ 羽を伸ばしてきました。 手足を伸ばす の間だけは気が紛れるのです。類気を紛らす んびりと心身を休める。 用例たまには子供を母親に預けて、一人で ゆっくり手足を伸ばすことにしています。 羽を伸ばす のびのびとする。気まま に振る舞う。用例この間 と二人で温泉に行って、 は何年ぶりかで主人と二人で温泉に行って、 このところ仕事に追われていて、一息入れる ひまもない。 許 大目に見る 厳しくとがめることをし ない。寛大に扱う。用例 子供のやったことなのだから、大目に見るこ とにした。 手心を加える 手加減して厳しさをゆる める。 寛大な取り扱いを する。用例私の息子だからといって手心を加 えずに、厳しく仕込んでもらいたい。 <314> 水に流す 今までの恨みやもめ事などをなかったことにし て、以後こだわらない。用例君がそこまで言 うのなら、今までのことは全部水に流して協 力しようじゃないか。 目を膜る 過失や欠点などに気づい ても、とがめない。見て みない振りをする。用例初めての失敗だか ら、ここは目をつぶることにした。 利用 出しにする あることを手段として利 一用する。用例人をだしに して勝手なことをしておきながら、その後な んのあいさつもない。 踏み台にする ある目的のためにちょっ と利用する。 用例人を踏 み台にすることばかり考えているようなやつ と、これ以上の付き合いをするのはごめんだ ね。 骨までしゃぶる 人を徹底的に利用する。 ▪骨の髄までしゃぶる」 とも。用例相手が甘いと見たら骨までしゃぶ るのが、やくざのやることですよ。 <315> 狀態·程度·価値を表す慣用句 <316> 話す必要もない。わかり きったことで、言うのもばかげている。用例 景色がいいなんて言うも愚か、さすがに昔か ら知られた名勝地だ。 いちいち説明しなくても 言わずと知れた わかっている様子。用例 余興の幕引きは、言わずと知れた芸達者の中 村君だ。 言わずもがな かりきった事実だ。用例これは言わずもがな のことだけど、あの先生の試験はなかなか難 しいよ。 た、言うまでもない。わ 浮き彫りにする ある物事を、他のものとはっきり区別できるよう に目立たせる。用例汚染された芸能界の裏面 を浮き彫りにした本が出版された。 隠れもない 広く世間に知られている様子。また、その事実が 隠そうにも隠せないほど明らかな様子。用例 彼は自分の潔白を主張しているが、今回の事 件にかかわっているのは隠れもない事実だ。 言を俟たない い。 用例彼の今までの業 績がいかなるものであるかは、言をまたか ことで、先刻皆様ご存じのことと思います。 当然わかりきったこと。 一用例各国が緊密に協力し て、世界平和を維持していかなければならな いことは自明の理である。 <317> 是非もない やむをえない。仕方がない。■「是非ない」とも。 用例会議での私の発言が、役員に会社批判だ と受け取られたのは是非もない。もう少し慎 重に話せばよかった。 たなぞころ さ 寛を指す 手のひらにあるものを指 し示す意で、物事がきわ めて明らかな様子。用例先輩は営業活動の心 得について、いちいち実例を挙げ、掌を指す ように教えてくれた。 手に取るよう すぐ近くにあるように、 りできる様子。用例遺産相続の問題で叔父と 話し合ったという兄からの手紙で、その場の 様子が手に取るようにわかった。 火を見るよりも明らか 物の道理がきわめてはっ きりしていて、疑問の余 地がないこと。用例このままの状況では両国 間に紛争が起こるのは、火を見るよりも明ら かだ。 。 紛れもない 間違いなどあるはずがな い。確かで、はっきりし ている。用例顔立ちも性格もあまりに違って いますが、私たちが兄弟であることは紛れも ない事実です。 紛う方なし 間違いようがない。実に明らかである。■まご う」は「まがう」とも。用例警察で見せられた 一通の遺書は、まごう方なき父の筆跡だっ た。 日に見えて はっきり見えるように。 一段と際立って。用例病 室を訪れるたびに、妻の病状は目に見えてよ くなってきた。 <318> 論より証拠 物事は議論よりも証拠を 示すことによって明らか になるということ。用例君がどんなに否定し たって、論より証拠、君の後ろに実物がある じゃないか。 論を俟たない 論じるまでもない。当然 いこととして明らかであ る。用例子供が親の面倒を見ることは、論を またない。 現れる 頭をもたげる 隠れていたもの、抑えら れていたものが現れてく る。用例彼の説明を聞いていると、どうもだ れかの入れ知恵で話しているんじゃないかと いう疑惑が頭をもたげてきた。 芋蔓式 一つのことから、それに 関連することが次々と表 一関連することが次々と表 面化する様子。■芋のつるをたどると次々と 芋が見つかることから。用例中心人物がわか りさえすれば、事件に関係している連中も芋 づる式に判明するはずだ。 雨後の荷 よく似た物事が次々と現 一れてくる様子。雨後に 筍がいっせいに生えてくることから。用例テ レビ番組の影響なのか、最近素人バンドのグ ループが雨後の筍のように現れてくる。 噂をすれば影が差す 人のうわさをしていると、思いがけなくそこに 当人が現れるものだ。「噂をすれば影」と も。用例課長の話をしながら飲んでいたら、 うわさをすれば影が差すというやつで、課長 <319> 氷山の一角 物事の大部分が隠されて いて、表面に現れたのは ごく一部分にすぎないこと。■氷山は、海面 上に現れたものはほんの一部分で、大部分は 海中に隠れていることから。用例多額の裏金 を受け取ったとして二、三の政治家の名が挙 がっているが、それらは氷山の一角にすぎな い。 好ましく見える。類穂に現れる 片鱗を示す すぐれた知識や才能の 「片鱗」は、一片のうろこの意。用例彼の見識 にはかねがね敬服していたが、今回の改革案 はその片鱗を示すものだ。 端をちょっと見せる。 女の態度は、忍ぶ恋が穂に出るという風情で つくようになる。用例彼 あれこれ 事に触れて 何かあるたびごとに。 用例見かけだけで人を判 断してはいけないと、事に触れて父から注意 されていたが、今回はそれを思い知らされ た。 何かにつけて さまざまなことに関し て。 用例何かにつけて口 を挟みたがる人がいるものだが、そういう人 に限って、肝心なときには何も言えないこと が多い。 何くれとなく これと決まったことではなく、あれこれと細かい <320> ところまで気を配って。用例私が不遇をか こっていたときに、あの人は何くれとなく私 の面倒を見てくれた。 何や彼や いろいろと。あれやこれ ーや。用例皆から何やかや 言われると、もうそれだけで萎縮して何もで きなくなってしまう。 根掘り葉掘り 細かいことまでしつこく ほじくり調べる様子。 用例人の過去を根掘り葉掘り問いただすのは やめたほうがいいと思いますよ。 意外 考えていたこととは違 案に相違する う。予想が外れる。用例 電話の声からは気難しい老人だろうと思って 出向いてきたのだが、案に相違して、実に気 さくな人だった。 嘘から出た実 うそで言ったことがはか らずも事実となること。 用例彼女は君が好きらしいぜとからかってい たら、うそから出たまことで、二人はとうと う結婚してしまった。 夏目に出る よかれと思ってしたこと が、反対の結果になって 一カ反文の綺昇いたーて しまう。用例私の助言が裏目に出てしまった ようで、彼には悪いことをしたと思ってい る。 思いも寄らない 考えもつかない。まった く予期できない。用例あ いつがテレビタレントになるなんて思いも寄 らなかった。 <321> 勝手が違う 自分が考えていたのと様子が違っていて、どう対 処していいのかわからず、とまどう。用例今 までの仕事とは勝手が違うから、いろいろと 気を遣って大変でしょう。 怪我の功名 失敗が予期せぬ好結果に つながっここ。何気なく いたことが思いがけないよい結果を生むこ と。用例けがの功名ですとおっしゃるのは、 あなたのご謙遜。このことであなたがいかに いよ。 努力しておられたか、私は知っていますよ。 育天の霧霊 件。突然受けた衝擊。 青天に突然起こる雷の意から。用例営業部長 として悪くない業績を上げていたのに、今回 の辞令は、私にとってまさに青天の霹靂で あった。 灯台下暗し 身近なことはかえってわ かりにくいこと。■灯 台」は燭台の意で、その真下が暗いことから。 用例彼の結婚相手が僕の課にいたとは、灯台 下暗しだった。 薦が臓を生む 普通の両親が、すぐれた 才能をもった子を生む。 ▪「とび」は「とんび」とも。用例父親はぐうた らな男だったが、息子は学校でも指折りの秀 才、薦が鷹を生んだとはこのことだ。 端なくも 思いがけなく。予想もし なかったのに。用例端な くも伝統ある我がクラブのキャプテンに選ば れてしまった。 ひようたん 薬 筆から駒が出る 意外なところから考えも しないものが出る。冗談 夫となる。瓢簍から駒 で言ったことが現実となる。 ▪「瓢簍から駒」 <322> とも。用例個展会場で、私の油絵は高いよな どと言いふらしていたら、瓢簟から駒が出 て、ほんとうに買い手が現れた。 滅相もない とんでもない。 用例私が 使い込みをしているなんて滅相もない。だれ ですか、そんなでたらめを言ってるのは。 勞い 油に火が付いたよう 一気に激しく勢いづく様 、たよう 子。用例おもちゃ屋の前 で、子供は油に火がついたように泣きはじめ た。 行き当たりばったり 成り行きまかせで。用例 旅行は何の計画もせず 勝ちに乗じる に、行き当たりばったりのほうが好きです。 勝つことによってちらに 勢いをつける。用例勝ち に乗じて難敵を撃破し、ついに優勝決定戦に 駒を進めた。 騎虎の勢い 虎に乗って走ると、途中 で降りようにも降りられ ないように勢いがついて途中でやめるにや められないこと。用例こうなったら騎虎の勢 いついに破滅への道を突き進んで行った。 抑えられていたことが、 壊を切る 一気に激しく動き出す。 用例今まで我慢していた不満が、せきを切つ たように口をついて出た。 調子が付く 勢いがさらによくなる。 くふる。 用例不調を伝えられた権 この対戦で調子がついて、 綱であるが、下位との対戦で調子がついて、 <323> 調子に乗る 勢いがついてうまく進ん で行く。用例なかなかう まく進まなかった仕事だが、ようやく調子に 乗ってきて、なんとか期限に間に合いそう だ。 飛ぶ鳥を落とす勢い 威勢・権勢の盛んな様子。 ■「飛ぶ鳥も落とす勢い」 とも。用例この業界では、彼は青年実業家と して飛ぶ鳥を落とす勢いだ。 雪崩を打つ 雪崩のように、大勢の人 が一時に激しく動く。 用例開場とともに観客は雪崩を打って入場し た。 弾みが付く 物事が進んで行くうちに 勢いがつく。用例六日目 に横綱を倒して弾みがつき、とうとう全勝優 勝を果たした。 破竹の勢い 止めることができないほ ど盛んな勢い。■竹は初 めの一節を割るとあとは簡単に裂けることが ら。用例連合軍は破竹の勢いで進撃し、三日 間で島を占領した。出典「今、兵威已に振る う、警えば竹を破るが如し。数節の後、皆刃 を迎えて解く(今こちらの兵威が盛んになっ ているから、たとえば、竹を割るようなもの で、数節の先まで、刃を迎えて割れてしま う)」(『晉書』杜預伝) 日の出の勢い 朝日がのぼるように、盛 んな勢い。用例彼は日の 出の勢いで昇進し、四十五歳の若さで取締役 に就任した。 物の勢い ある事柄の持っている抑 えられない力。用例前か <324> ら欲しかった車を、ちょうどセールスマンが 勧めたので、とうとう物の勢いで買ってし まった。 事の成り行き上。その場 の勢い。用例結婚の約束 を、物の弾みでしてしまうなんて、いくら何 でも軽率すぎるよ。 余勢を堅る 成し遂げた勢いに乗って、さらに別のことをし ようとする。用例準決勝で一本勝ちした余勢 を駆って前年のチャンピオンを破り、全国大 会に初優勝した。 燎原の火 勢いが盛んで、防ぎよう のない様子。用例東欧に 始まった民主化の動きは、たちまち燎原の火 のようにほかの国国に広がっていった。出典 「悪の易きや、火の原を燎くが如し」(春秋 左氏伝『隠公六年) 忙しい 家を外にする 自分の家に帰らず、よそ に泊まる。用例今度の部 署に移ってからは忙しくて、家を外にすることが多くなった。 応接に暇がない 一用事が次々と起こってた いへん忙しい。用例どう 米客が多くて、応接にいと いうわけか今日は来客が多くて、応接にいと まがないほどだった。 聞陳を縫う 切れ目なく続いている物 事の、わずかなすきまを うまく利用する。用例撮影スケジュールの間 隙を縫って、雑誌のインタビューを受ける。 <325> 紺屋の白袴 人のために時間を取られて、我が身を願みること ができないこと。回「紺屋」は、染物屋の意。 紺屋は自分の袴を染める時間がなくて、白袴 をはいていることから。用例料理人も紺屋の 白袴の例にもれず、夕食などはお茶漬けに漬 物ですますことが多いらしい。 る暇もない 落ち着くひまがないほ ど、猛烈に忙しい。用例 新人の間は次々と用事を言いつけられて、席 の暖まる暇もない。 手が離せない いま忙しくしていて、そ 一のひまがない。用例申し っと手が離せないんだ。あ ずるよ。 訳ない、いまちよっと手が離せないんだ。あ とでこちらから電話するよ。 手が塞がる 仕事をしている最中で、 ほかのことをする余裕が ない。用例あいにく手がふさがっているか ら、ほかへ回してください。用法頼まれたと きの断りの言葉としても使う。 猫の手も借りたい も多くの人手が欲しい様 子。用例先月は注文が多くて、猫の手も借り たいほどの忙しさだった。 貨乏暇なし 貧しいと生活費を稼ぐこ とに追われて、時間のゆ とりがない。用例僕などは貧乏暇なしで、旅 行になどもう何年も行ってないよ。 盆と正月が一緒に来たよう きわめて忙しい様子。 用例ここしばらくは盆と 正月が一緒に来たような忙しさで、好きなゴルフもできない。 目が回る たいへん忙しい様子。 用例今日は朝から客が立 <326> て込んで細かい用事を言いつけられ、目が回 るような忙しさだった。 いつも絶えず・常に 明けても暮れても 毎日同じような状態が続 いたり、同じことを続け たりする様子。いつもいつも。用例彼と知り 合ってからというもの、彼女の話は明けても 暮れても彼のことばかり。 陰に陽に ある時はこっそりと、あ る時はおおっぴらに。 ついかなるときでも。あらゆる機会に。用例 陰に陽に私を励ましてくれる両親の存在がな かったら、私はとうにくじけてしまっていた だろう。 昼夜を舎かず 昼と夜の区別なく、絶え ず行う様子。用例情報 ネットワークが整備され、世界各地から昼夜 をおかず、さまざまなニュースが送られてく るようになった。顔昼夜を分かたず 寝ても覚めても ころは、寝ても覚めても彼女のことばかり考 えていた。 のべつ奪なし 休む間もなく続く様子。 国芝居で、幕を引かない で休みなく演じることから。用例おぼさんは 親父のところにやってきては、愚にもつかな いことをのべつ幕なしにしやべっていく。 肌身離さず 常に身につけてたいせつ に持っている様子。用例 母からもらったお守り袋は、いつも肌身離さ <327> 三日にあげず 間をあけないでほとんど 毎日。たびたび。用例あ の人は彼女の家に三日にあげず通いつめて、 そりゃあ熱心なことでした。 受け継ぐ・引き継ぐ 後益に据える 先にいた人の代わりとし てその地位につける。 「後蓋」は、かまどに火があるうちにかける 次の釜。用例息子を後釜に据えるのは、まだ 少し早いような気がする。 あとがますわ 後蓋に座る 前任者に代わってその地 位につく。後妻になる。 用例自分が後蓋に座りたくていろいろ策を 衣鉢を伝える 師が弟子にその道のいち ばん大事なことを教えて いく。■衣鉢は仏教で、師僧が弟子に与え る袈裟と鉢の意。「えはつ」ともいう。用例正 しく衣鉢を伝えるということも、師としての 大事な務めの一つである。 流れを汲む 一つの組織や系譜を継承 している。また、その流 儀を学ぶ。用例能楽は、観世の流れをくむも のがいちばん多いと聞いています。 次の者に引き継ぐ。用例 このとおり元気だよ。ま だまだ若いものにバトンを渡す気にはなれな い。 骨を拾う 力を尽くして倒れた人 の、あとを引き受けて結 <328> 末をつける。■遺骨を拾って骨壺におさめる 意から。用例彼が決していいかげんな気持ち で仕事に取り組んでいたのではないことを 知っていたので、私は喜んで骨を拾う役を 買って出た。 美しい 輇になる 用例富士山という山は、どこから見ても絵になるものです。 見ばえがいい。その場に ぴったりはまっている。 錦上花を添える 添元る 美しいもののうえに、さ らに美しいものを加え る。立派なうえにも立派になる。用例山田君 は成績も首席で、晴れの卒業の日に、錦上花 を添えた。 目もあや 光り輝くように美しい様 子。用例花嫁衣装を着た 目もあやな娘の姿を見ていると、言う言葉も 忘れて、涙がにじんできた。 影響 燗りを食う 不況のあおりを食って、彼の会社も倒産した。 物事が終わったあとも、 その影響が残る。いつま ある作用の影響を受け て、痛手をこうむる。用例 て、彼の会社も倒産した。 物事が終わったあとも、 その影響力残るいつま でも引き続く。用例この間の一件が後を引い て、彼とはいまだに素直に付き合えないでい る。 <329> 息が掛かる 有力者の影響下にある。 る 支配下にある。用例彼は 社長の息が掛かっている人間だから、うかつ なことは言わないほうがいい。 一石を投じる 問題を投げかけて、反響 を巻き起こす。■水面に 石を投げて、波紋を生じさせることから。 用例今回のリサイクル運動は、企業側に一石 を投じることになった。 屋を引く 余波がいつまでも続く。 影響がいつまでも残る。 用例前の借金が尾を引いて、借金地獄から逃 れられないでいる。 影を落とす 過去の出来事の好ましくない影響が今に及んでい る。用例若いころ犯した罪が影を落としてい るのか、彼は明るい表情をしていることが少 なかった。 くちびるほろ 唇 亡びて諸寒し 相互に助け合って存在し ているものの一方が滅び れば、もう一方の存立もおびやかされること。■唇がなくなると歯がむき出しとなって寒い意から。用例あそこに倒産されてしまっては唇亡びて歯寒し、うちの会社だって今までのようにはいかなくなってしまう。出典「夫れ魯は、斉・晋の脣なり。脣亡びて歯寒しとは、君の知る所なり」(春秋左氏伝)僖公五年) 台風の目 激しく揺れ動いている物 一 事・事件の中心となる勢 力や人物。用例今年の大会は、あのチームが 台風の目になりそうだ。 弾みを食う 思いがけない余勢を受け る。用例ハンドルを切り <330> そこねた車の弾みを食って後続車が車線の外 に飛び出してしまったことが、今回の大事故 を引き起こした。 波紋を投じる 何事もなかったところに 次々と動揺を与える。用例大臣の記者会見で の発言は、諸外国へ思わぬ波紋を投じること となった。 影響を及ぼす。 周囲に 火が付く ほかから影響が及んでき る。用例両民族の間には長い抗争の歴史があ り、今回の事件でその敵対感情に火がつくこ とが心配される。 果を及ぼす て不都合なことが起こ 悪影響を与える。 用例 す 部の子供たちの粗暴な振 る舞いが他に累を及ぼすことを心配して、私 は言っているのです。 唸るほど 多い 金品が感心するほどたく さんある様子。用例彼は 父の遺産を相続し、金をうなるほど持ってい るという話だ。 大台に乗る 金額や数量がある大きな 境目を超える。 ■大台 は、株式、商品の相場で百円の単位。用例今 春の賃上げ交渉は、やっと一万円の大台に 乗って妥結した。類大台に乗せる 数でこなす 利益を小さくするかわりに、大量に売りさばいて 採算がとれるようにする。用例あの店は、よ そより値段を安くし、数でこなす商売をして いる。 <331> 数を頼む 数を頼んで弱い者いじめをするなんて、臆病 者のすることだ。頼衆を頼む 腐るほど 」あり余ってとても使い切 一れない様子。用例服なら 腐るほど持っているというのに、母はまた夏 用のスーツを新調した。 十指に余る 数えあげるとかなりの数 になる。■数えあげると 十本の指では足りない意。用例彼の罪過を数 えたてると、十指に余る。類五指に余る 多士済済 優秀な人材が多くいる様 子。「せいせい」は「さ いさい」とも。用例本校の送り出した人材は 多士済々、社会のあらゆる分野で活躍している。 。 掃いて捨てるほど あり余ってしる様子 用例あの程度の男なら掃 いて捨てるほどいるよ。辞めたいというのな ら、引きとめることはない。 プラスアルファ 基本となるものに少し加 えること。▪「アルファ」 は、それ以上のいくらかの意。用例料金は基 本料金一万円にプラスアルファというところ かな。 枚挙に違がない たくさんありすぎてい ちいち数え切れない。 用例あれくらいほれっぽくて女にもてない男 もいないよ。失恋した相手は枚挙にいとまが ないくらいだ。 門前市を成す 権勢が盛んで、訪問する 客が多い様子。用例受賞 者の自宅は、祝いにかけつけた人たちや報道 <332> 陣で門前市を成すほどだった。出典「崇、対 えて曰く、臣が門市の如し、臣が心水の如し (鄭崇が答えて言った。私の門前は市場のよ うでも、心の中は水のように清らかです)」 (「漢書』鄭崇伝) 労ろ 足下へも寄り付けない 書り付いなし いて近づくことができな い。とても及ばない。用例彼の日本文化に関 する造詣の深さには私などとてもとても、足 下へも寄り付けない。願足下にも及ばない 少し劣る。わずかに負け る。籌」は、勝負で点 数を数える竹製の道具で、勝負に負けると相 手に数とりの棒を一本与える意から。「輸する」は、負ける、後れを取る意。用例実力は互角だと思ったんだが、国際試合の経験も多い彼に一籌を輸する結果に終わってしまった。出典予帰るとき、顧みて笑いて日く、若我に一籌を輸せり、と私は帰りぎわに振り返って笑いながら、君は私に一点とられたね、と言った)(喬宇の文嵩山に遊ぶの記) 後れを取る 能力や技量が相手より る 劣った状態になる。相手 に追い抜かれる。用例ふた月の休学を余儀な くされて、すっかりクラスのみんなに後れを 取ってしまった。 中身や見た目が貧弱で、 頼りない様子。用例こん なお寒い行政では、国民の生活の向上などと ても望めない。 <333> およ 及びも付かない 程度の差がありすぎて、 かない とてもかなわない。用例 僕なんぞ逆立ちしても彼の力には及びもつか ない。 風下に立つ 人に先んじられる。ほか より失った立場に立たき れる。用例昇進が遅れ、同期入社組全員の風 下に立つはめになってしまった。 より劣った立場に立たさ 口程にもない 実際は口で言うほどではない。自慢して言うほど ではない。用例これくらいの山を登ったくら いでへこたれるなんて、お前も口ほどにもな いやつだな。 コンマ以下 標準まで達していないこと。また、そのもの。 用例野球の成績は一流でも学業成績のほうは コンマ以下だと言われないようにね。 衆寡敵せず 人数が違いすぎて勝つ見 込みがない。用例衆寡敵 せずで、反対派の団結の前に屈してしまった。 太刀打ちができない 立ち向かってもとてもかなわない。■太刀打ち できない」とも。用例いくら学生ナンバーワ ンといっても、相手がプロではまだとても太 刀打ちができない。 成ってない 期待を裏切るほどの悪い 状態で、腹立たしい様 子。■「成っていない」とも。用例不良資材に 手抜き工事、現場はてんで成ってないじゃな いか。 は 立たたない 相手が強すぎて、対抗で きない。■固くてかむこ いちる 用例一縷の望みをかけ とができない意から。用例一縷の望みをかけ <334> ていたのだが、実際に戦ってみると、やはり 日本チームは外国のチームに歯が立たなかった。 劣悪すぎて扱いようがな 箸にも棒にも掛からない い。もてあます。用例彼 のように箸にも棒にも掛からない男は、社会 に出ても使いものにならないだろう。 相手に劣る。勝負に負け る。用例年が近いせい か、幼いころから何かにつけ兄に引けを取る のがいやだった。 見掛け倒し 外見ばかりよくて、実質 が伴っていないこと。 用例買って二か月もたたないのにもう故障す るなんて、このステレオも見掛け倒しだ。 安かろう悪かろう 値段も安いが、その値段 に見合って品質も悪い。 用例かつての日本製品は安かろう悪かろう で、世界中で不評を買ったものだった。 衰えろ・弱る あおいきといき 育息吐息 弱り切ったり、困り切ったりしてつくため息。ま た、そんなため息をつくような状態。用例金 策のめどが立たず、彼は青息吐息で帰ってき た。 油が切れる 活動の原動力がなくな る。 体力や気力が続かな 息が切れる くなる。用例連日の残業で油が切れるころだ ろうと、部長から差し入れがあった。 根気が続かない。苦しく てこれ以上続けられな <335> い。■「息切れがする」とも。用例社員の気持 ちを一つにまとめようと頑張っていた彼も、 ここにきてさすがに息が切れたようだ。 色が褪せる 初めのうちに感じられた 魅力や新鮮さがなくな る。■古くなって色が薄くなる意から。用例 アイドル歌手として人気があった彼女だが、 あのスキャングル以来すっかり色があせてし まった。 機械や体の調子が悪くな がたが来る る。用例人間も五十を過 ぎるとどこかがたがくるものだよ。実は僕も 最近、腰痛に悩まされているんだ。 息もたえだえな様子。今 気息奄奄 にも死にそうな様子。 息もたえだえな様子。今 にも死にそうな様子。 用例連日の猛暑のなかで残業続き、もう気息 奄々といった状態だ。 箍が緩む 。 年老いて思考力や気力が 衰える。箍」は、おけ やたるのまわりに巻いて締める、竹や金属の 輪。用例たがが緩んでしまって徹夜なんても うとてもできないよ。 地に落ちる 権威や名声などが、衰え てすたれる。用例時代の 変化に、大学の権威も今や地に落ちてしまった。 年には勝てぬ 年老いると、気力はあっ ても体力が伴わず、若い ときのようにはいかないものだ。用例昔鳴ら した腕を見せてやろうと、社内のテニス大会 に出場してはみたものの、いやあさすがに年 には勝てないよ。 年は争えない 年をとってくると、まだ まだ若いと思っていて <336> も、体力が衰えているのを感じてしまう。用例 年は争えないもので、ちょっとした夜更加し も、翌日の仕事にこたえるようになった。 馬鹿になる 本来の機能が衰え失われ て、役に立たなくなる。 ねじなどが利かなくなる。用例これはもうね じがばかになっているから、新しいのに取り 替えないとだめだ。 虫の息 今にも絶えそうな呼吸。 今にも呼吸がとまって、 死にそうな状態。用例病院へ駆けつけたとき 弟はもう虫の息で、話もできなかった。 焼きが回る 思考力が衰えたり、腕前 が落ちたりする。■刃物 に焼きを入れるとき、火が回りすぎてかえっ て切れ味が鈍る意から。用例昔は切れ者とし て鳴らした彼だが、今はもうすっかり焼きが 回ってしまった。 同じ・同一・同様 錆型にはめる 一定の枠にはめこむ。画 化する。用例今の鋳型 にはめるような教育では個性を伸ばすことができません。 一事が万事 一つのことから他の何も かもが判断できるという こと。あまり好ましくないことについてい う。用例一事が万事、机の上を見ると彼の性 格がわかるというものだ。 いちみやくつう一脈通じる 一つのつながりがある。 ある面で共通する。■一 用例私の意見と一脈通じ 用例私の意見と一脈通じ <337> るところもあって、あなたの意見はたいへん 興味深くお聞きしました。 選ぶ所がない 程度に少しも違いがな い。用例どれもこれも選ぶ所のない企画ばかりで、使いものにならない。 型にはまる 新しさや工夫がなく、決 まりきった形式をとる。 用例結婚式では型にはまった祝辞ではなく、 素直に喜びの気持ちを伝える言葉を贈りた い。 軌を一にする 行き方・考え方が同じで ある。回「軌」は、車の通 った車輪の跡。用例東西ともに、学問の方法 は軌を一にしていた。 捜を一にする やり方・考え方が同じで ある。「揆」は、やり 方、方法。用例どこの自動車教習所でも、教 え方は揆を一にしているようです。 御多分に濕れず 他と同じように。例外で なく。 用例私も御多分に 漏れず、一戸建ての家などもてそうもありま せん。 団栗の背比べ みな同じ程度で、目立っ てすぐれたものがない様 子。用例今年の新人選手はみなどんぐりの背 比べで、特に目立つ選手はいないようだ。 たいした差のないこと。 似たり寄ったり 用例どの展覧会でも出品 作は似たり寄ったりで、傑出した作品はそう あるものではない。 判で押したよう いつも決まりきっている様子。用例今の子供は皆、 工的な答え方をする。 判で押したような優等生的な答え方をする。 <338> 符節を合わせる 二つの物事がぴったりと 合致する。用例彼らの話 は符節を合わせたように一致していて、疑い をはさむ余地はなかった。 終わり・終わる 一巻の終わり 続いてきた物事が終わる り 一こと。■ひと続きの物語 が終了する意から。用例オリンピック候補と して期待されていたのにあのけがでは、彼の 選手生命も一巻の終わりだな。 看板にする 飲食店などがその日の営業を終わりにする。■閉 店時に看板をしまうことから。用例この雨で は客ももうこないだろうから、このへんで看 板にしよう。 終止符を打つ 物事に決着をつけて終わ りにする。用例私は夫と の結婚生活に終止符を打って、一人で生きて 行く道を選んだ。類ピリオドを打つ 揮尾を飾る 終わりのほうではなばなしい働きをする。■「ち ようび」は「とうび」とも。用例教授の最終講 義は、その教官生活の掉尾を飾るにふさわし い内容であった。 ちょんになる 何かの事情で、物事が終 わりになる。用例反対勢 力によるクーデターも、内部分裂によって ちょんになった。 手が離れる 子供が成長して、世話す る必要がなくなる。仕事 終える。用例私は、下の などの責任を果たし終える。用例私は、下の <339> 子供から手が離れるようになったら、勤めに出たい。 手を離れる 役目・責任を果たし終え、 自分とは無関係になる。 子が独立して世話をかけなくなる。用例来年 の春には教え子たちも私の手を離れ、社会人 として出発する。 能事終われり 自分がしなければならな いことはすべてし終え た。用例能事終われりで、後は結果の発表を 待つだけだ。 予を納める いで、そろそろ矛を納めたらどうだ。みんな もそう思ってるよ。 戦いをやめる。用例いつ までもいがみ合っていな を納めたらどうだ。みんな 幕が下りる 事が終わる。物事の結末 がつく。■芝居の終わり に幕が下りることから。用例今度の話し合い で、十数年に及んだ土地の境界線争いによう やく幕が下りた。 幕を閉じる 物事が終わりになる。 芝居が終わると舞台の幕 をしめることから。用例夏の全国高校野球選 手権大会も、今日の決勝戦で幕を閉じます。 類幕を下ろす 回復 いき 思を吹き返す 悪い状態に陥っていたものが、再び活気づく。よ みがえる。用例半ばあきらめていた銀行融資 が受けられることになった。これで我が社も 息を吹き返すことができる。 <340> 埋もれ木に花が咲く 不遇な身の上に、思いが けない幸運が訪れる。 用例長い間助手の立場に甘んじていた彼も、 埋もれ木に花が咲くで、ある大学に勤めが決 まったそうだ。 老い木に花 衰えていたものが、再び 勢いをとりもどすこと。 用例再就職が決まり、久しぶりに背広姿で出 勤していく父の姿は、老い木に花の言葉を思 わせた。 汚名を雪ぐ 恥や不名誉、悪評などを 除き去る。■「すすぐ」は 「そそぐ」とも。用例この仕事を立派にやり遂 げることが先の失敗の汚名をすすぐことにも なると思って、一生懸命に取り組んでいる。 桔れ木に花 衰えたものが再び栄える こと。用例彼も晩年を迎 え、今回の舞台では枯れ木に花を咲かせよう とずいぶん張り切っているらしい。 起死回生 絶望的な状態を、再びよ い状態にもり返すこと。 ▪死にかけた人生き返らせる意から。用例 これは我々が総力を結集し、会社の起死回生 をねらって立てた新企画だ。 狂潤を既倒に運らす 乱れに乱れて手のつけようもない状態を、もとの もどす。 狂瀾は、荒れ狂う大波。 荒れ狂う大波が打ち寄せてしまってから、そ れをもとの形へ押しもどす意から。用例狂瀾 を既倒にめぐらす覚悟で、新役員選出会議へ 臨んだ。出典「百川を障りて之を東し、狂瀾 を既倒に廻らす(すべての川の流れをせき止 め、これを東に流し変え、荒れ狂い崩れてし まった大波を、もとの形にもどす」(韓愈の <341> 気を取り直す ふさいだ気持ちや投げや りになった気持ちを、平 常な気持ちにもどす。用例実験に失敗して一 時はまったく意欲を失ったが、気を取り直し て最初からやり直すことにした。 捲土薫来 戦いに負けた者が再びも り返して非常な勢いで攻 めかかってくること。■「捲土」は、土けむりを巻き上げる意で、勢いが非常に激しいこと。「巻土」とも書く。「ちょうらい」は「じゅうらい」とも。用例今回の敗戦の屈辱を忘れることなく、巻土重来を期して次の試合に向けて練習に励もう。出典「勝敗は兵家も事期せず、羞を包み恥を忍ぶは是れ男児。江東の子弟才俊多し、巻土重来、未だ知るべからず(戦いの勝敗は兵法家にも予測できない。 たとえ敗れても一時の恥をこらえしのぶのが 男だ。江東にはすぐれた若者が多いから、勢 力をもり返して攻めてくるならば、勝敗はど うなったかわからない」(杜牧の詩「烏江亭に 題す) 聴を飼ぐはじすす 受けた恥を除き去る。雪 辱する。「すすぐ」は「そ そぐ」とも。用例厳しい練習に耐えたかいが あって、見事、去年の試合の恥をすすぐこと ができた。 勝つ 凱歌を喪する 戦いに勝つ。「凱歌」は、 戦いに勝って帰るときの 歌。 用例決勝戦で優勝候補と目されていた強 <342> 衆を破り、我が校は見事に凱歌を奏した。類 凱歌を揚げる 選手が、初めて勝利を得 る。用例全敗かと思っていたがようやく片目 が開いて、どうにか面目をつぶさずにすんだ。 勝ち星を挙げる は、相撲の星取り表で、勝 ち力士につける白丸。白星。用例七戦目にし 軍配が上がる る。 相撲で、勝った力 土に行司の軍配が上がることから。用例立ち 退きをめぐっての紛争は、ついに居住者側に 軍配が上がった。類軍配を上げる が、かえって強いものを 負かす。用例柔よく剛を制すというから、相 手が軽量だからといって油断するな。 白星を挙げる 勝敗を争って勝つ。相 抜の星取り表で、勝ちを 白い丸で表すことから。用例予戦リーグで全 試合に白星を挙げた我がチームは、堂々明日 の決勝リーグに進むことになった。 総営めにする すべての相手に勝つ。 用例彼は柔道のトーナメ ントで、なみいる強豪を総なめにして優勝した。 弱権を握る 競技などで優勝する。 用例今年は実力が伯仲し <343> ているので、どのチームが翦権を握ることに なるのか楽しみだ。 罰を唱える 綁者となる。優勝する。 一用例日本の女子パレーチ ームも、オリンピック東京大会では覇を唱え たものだ。 ペナントを握るにぎ 優勝旗を手にする。野球 のリーグ戦で優勝する。 「ペナント」は、アメリカで野球リーグなど の優勝旗。用例毎年この時期になると、どの チームが今シーズンのペナントを握るかという 話題でもちきりになる。 墨を稼ぐほしかせ 勝負に勝つ。勝って成績 をよくする。星は、 相撲で勝敗をしるす丸。用例来週はリーグ下 位のチームとの対戦が続くから、星を稼ぐ チャンスだ。 墨を分ける 。 対戦者同士の勝ち負けの 数が同じになる。勝ち数 と負け数が同じになる。用例両チームの過去 の対戦成績をみると、五勝五敗と星を分けて いる。 The image is too blurry to recognize any text content. 必守 どんなことが起ころうと も。雨が降ろうと槍 が降ろうと」とも。用例雨が降ろうが槍が降 ろうが、自分の決めた道を行くだけだ。 委細棒わず 事情がどうであるかにか かわらず。遠慮なしに。 委細は、こまごまとした事柄。用例この 際細かい論議は後回しにして、委細構わず早 <344> いやでも応でも 承知、不承知にかかわら ず何としてでも。い やが応でも」とも。用例この前は体よく断ら れてしまったが、今度ばかりはいやでも応で も一緒に行ってもらうよ。 是が非でも 事のよしあしにかかわら ず。どうしても。ぜひと も。用例定期戦ではいつも負けているので、 是が非でもここは勝ちたい。 是非に及ばず 論するまでもないの意から。用例締め切りは あと三日と迫っているのだから是非に及ばず だ。何とか間に合わせてくれ。 何が何でも どんなことがあろうと も。用例何が何でも都心 万難を排する に家をもちたいと、執念を燃やしています。 多くの困難や障害を押し のけて事に当たる。用例 実行すると明言したからには、万難を排して 取り組むつもりです。 理が非でも が。どうしてでも。… とも。用例理が非でも医者になって、多くの 人の役に立ちたい。 簡單·容易 赤子の手を捻るよう いともたやすくできる様 を捻るよう 子。用例プロの投手が草 野球で投げたら、打者を三振に打ちとるのは 赤子の手をひねるようなものだ。類赤子の腕 <345> きわめて容易なこと。 朝食をとる前にできてし まう意。用例バロック音楽とその代表的な作 曲家を上げることなど、彼にとっては朝飯前 だよ。 案ずるより産むが易し 実際にやってみると、あ れこれ心配したほどのこ ともなく案外たやすくやれるものだ。用例案 ずるより産むがやすしというから、そんなに 心配しないでとにかく挑戦してみることだ。 お茶の子さいさい なんの苦労もなく行う様 子。簡単にできる様子。 お茶の子は、茶菓子の意で、茶うけの菓 子は腹にたまらない意から。用例自分一人食 べていくくらいお茶の子さいさいさ。心配す ることはないよ。 お安い御用 たやすいことだ。簡単 だ。人から物を頼まれた 苦もなく ときに応じる言葉。用例夜中に 画を録画することぐらい、お安いご用です。 の暗算なら、苦もなくできるはずだ 単に。用例彼は五桁まで くできるはずだ。 事もなく なく破ってしまったのだから、大した選手 だ。 世話がない 料まで宅配してくれるシステムなので、いち いち買い物に出る世話がなくてすむ。 造作もない 簡単で手がかからない。 少しも面倒なことはな <346> い。用例多少のお金を融通することなら造作 もないのですが。 一般の人にわかりやす い。「俗耳」は、世間一 般の人々の耳の意。用例彼の説くところは、 俗耳に入りやすい。 寧を返すよう ひらを返すのがきわめて簡単なことから。 用例彼は微積分の問題を、たなごころを返す ように解いていく。 簡単に。たやすく。用例 夏休みの課題は手もなく 旅行に出かけた。 仕上げて、さっさと旅行に出かけた。 しばらくも持ちこたえら れない。簡単にやられ しばらくも持ちこたえられない。簡単にやられ ノー且まれたら、城は一 る。用例敵の大軍に取り囲まれたら、城は一 たまりもない。 「こと 河童の底」と も。用例一輪車に乗ることなんて、僕にはへ のかっぱだい。 たやすいことだ。簡単 めるならば、人材難の解消など訳はないこと なのです。 危険 危ない橋を渡る あえて危険なことをす る。危険な手段を用い る。用例彼らは密輸という危ない橋を渡って まで金をもうけようとしている。 <347> いつしょくそくはつ一触即発 非常な危険に直面してい ること。■ちょっと触れ ると、すぐに爆発する意から。用例一触即発 の状態をいかに回避するかが、両国の当面の 課題だ。 火中の栗を拾う 他人の利益のために、危 一険をおかす。用例彼は人 が好いばかりに、火中の栗を拾うようなこと ばかりやらされている。 剃刀の刃を渡る 失敗したら身をそこなう ような、危険な行動をす る。用例頼むから、かみそりの刃を渡るよう なまねだけはしないでくれ。 危機一髪 わずかな違いで非常な危 険に陥るという、あぶな い瀬戸際。■一本の毛髪で重いものを引き、 今にも切れそうな危険な状態の意から。用例 運転手の冷静な判断によって、危機一髪のと ころで大惨事をまぬかれた。 口中の風 危険なこと。回口の中に 入れたしらみは逃げ場がなく、簡単にかみ殺 すことができることから。用例彼らは事ここ に至っては口中のしらみで、言うことを聞く よりほかはなかった。出典「上党の兵を施し て、以て東陽に臨まば、則ち邯鄲は口中の虱 ならん(上党の町の兵を移して、これを東陽 にさし向けたなら、邯鄲の地は口中のしらみ となるだろう)」(韓非子」内儲説) 死地に赴く 決死の覚悟で重要な任務 などにつく。生還の望 みのない危険な場所に出向く意から。用例法 案を成立させるため、死地に赴くつもりで党 内の議員を説得して回る。 <348> 深涼に臨む 非常に危険な立場に身を 置く。用例細心の注意を 払わないと命にかかわるこの作業は、文字ど おり深淵に臨むがごとき気持ちにさせられ る。出典「戦々競々として(びくびくとおそ れて)、深淵に臨むが如く、薄氷を履むが如 し」(詩経) つなわた 網渡りをする 危険をおかして行動す る。用例会社を運営して いくためとはいえ、そんな綱渡りをするよう な方策はとれない。 虎の尾を踏む きわめて危険なことをす る。用例相手がどう出る か、いずれにせよこの交渉は虎の尾を踏むよ うなものだ。出典「心の憂危すること、虎の 尾を踏み、春の冰を渉るが若し」「書経」君 が牙 飛んで火に入る夏の虫 自分から進んで災いの中 に入り込んでいくこと。 用例自分からのこのこ連中のところに乗り込 んでいくなんてとんでもない、飛んで火に入 る夏の虫だよ。 猫に鯉 節 好物を近くに置いていて は油断ができないこと。 鰹節は猫の好物であることから。用例彼に 酒を預けるなんて、猫に鰹節だよ。今ごろは もう飲んでしまってるよ。 薄氷を踏む 非常に危険な状況に臨 む。 用例子供たちが谷川 の一本橋をおそるおそる渡ってくるのを、私 は薄氷を踏む思いで見守っていました。よ深 淵に臨む 風前の灯火 危機に直面し、命などが 危なくなること。風の <349> 吹きわたる場所にある灯火の意から。用例救 援隊の到着が遅れていて、彼の命は今や風前 の灯火だ。 詣刃の剣 きわめて役に立つが、場 合によっては大きな害に なる危険性を伴うもの。用例現代科学の進歩 は人類に大きな便宜をもたらす一方で、大き な環境破壊を引き起こす諸刃の剣である。類 両刃の剣 栗卵の危うき 態にある様子。 ■一累卵 は、卵を積み重ねること。用例彼の会社は新 事業に失敗し、いま累卵の危うきにあるという話だ。出典「秦王の国は、累卵よりも危う し。臣を得れば則ち安し(秦の王の国は積み重ねた卵よりも危ない。しかし、私を家来に すれば安全でしょう」(史記」范雎伝) 窮地·苦境 足掻きが取れない 打開策も見いだせず、助 けてくれる人もなくて、 どうしようもない。■「足掻き」は、手足の動 き、身動きの意。用例あてにしていた伯父か らの送金も断られて、あがきが取れないでい るところだ。 あんしょうの暗礁に乗り上げる 考えもしなかった障害に はばまれ、物事が行き詰 まる。用例用地問題が暗礁に乗り上げたので は、移転計画も初めから見直さなければなら なくなった。 板挟みになる 相反する二者の間に立っ に迷い悩む。■二枚の板に挟まれて、身動き <350> ができない状態から。用例両方の言い分が もっともだと思われて、仲裁に立った僕は板 挟みになって苦慮している。 浮かぶ瀬がない 一機会がない。何ら報いら れるところがない。用例ぬれ衣を着せられた ままで会社を辞めるのでは、僕も浮かぶ瀬が ない。 動きが取れない もできない。行き詰まる。用例いまここで君 に手を引かれたのでは、会の運営も動きが取 れなくなってしまう。 窮地に追いこまれて、自 分の力ではどうすること 刀折れ矢尽きる これ以上戦っていく方策 がなくなる。どうしよう もない状態に追いこまれる。用例今日まであ らゆる努力を致してまいりましたが、会社の 再建も刀折れ矢尽きた状態になってしまいま した。類弓折れ矢尽きる・万策尽きる 角番に立つ 勝敗を決する重大な局面 に身を置く。角番 は、 基・将棋などで、その局に負ければ負け が決まるというその一番。相撲で、負け越せ ば大関の地位から転落する場所のこと。用例 こう失点を重ねているのでは、部長としてい よいよ角番に立たされたといえる。 壁に突き当たる 障害に出会って行き詰ま 当たる る。用例彼はここにき て、記録の壁に突き当たっているようだ。類 壁にぶつかる 死線をさまよう 生死の境にいる。死 線」は、牢獄などの周り に設けた、これを越えると銃殺すると定めら れた限界線。用例彼は交通事故にあい、一週 <351> 進退谷まる どうにもならない窮地に 立たされ、困り果てる。 進むことも退くこともできない意から。 「進退これ谷まる」とも。用例新しく始めた事 業はうまくいかず、銀行からの融資も断られ て、ついに進退きわまった。 立ち往生する 途中で止まったまま、進 むことも退くこともでき なくなる。また、行き詰まってどうすること もできない。用例講師の突然の欠席に、会の 主催者たちは立ち往生した。弁慶の立ち往 生 奈落の底 永久に浮かび出ることの できないところ。どんな にしてもぬけ出せないような状態。■「奈落」 は、地獄の意。用例不合格の通知に、一気に 奈落の底に突き落とされたような気持ちに なった。 二進も三進も行かない 窮地に立たされてどうにも身動きがとれず、困り 果てる様子。▪「二進」「三進」は、そろばんの 割り算の九九から出た言葉。用例無理は覚悟 で家を買ったのだが、いざローンを払いはじ めてみると、生活はにつちもさっちも行かな くなった。 抜き産しならない い。用例抜き差しならない状態になって、ど うしてこうなる前に手を打たなかったのかと 悔やまれる。 八方塞がり 行き詰まった状態を打開 しようにも、どの方面に 身動きがとれない様子。 も差し障りがあって身動きがとれない様子。 <352> おんようとう ■陰陽道で、どの方角で事を行っても不吉を 招くということから。用例結婚は双方の親に 反対され、友人とは仲たがい、仕事ではミス をおかすといったふうで、最近の僕は八方ふ さがりの状態だ。 引くに引けない 引き下がろうという気持 ちがあ・・・も、簡単に引 き下がれない。用例私は彼女と交際を深めて いるうちに、とうとう引くに引けない立場に 追い込まれてしまった。 引っ込みが付かない 物事の始末をつけて関係 を絶つというわけにはい かない。いきがかり上、今の状態を続けるし かない。用例何度もはっきりと約束したこと なのだから、いまさら引っ込みがつかない。 百年目 逃げることもできず、どうしようもない窮地をい う言葉。用例ここで会ったが百年目、さあ、 あきらめてついて来い。 深みにはまる 深入りして、逃れること のできない状態に陥る。 用例ちょっとした遊びのつもりで始めたことが、ずるずると深みにはまってしまった。 袋の鼠 態。 ■袋の中の鼠」と も。用例犯人たちはもう袋のねずみだ。包囲 をせばめていって、一気に逮捕に踏み切ろ う。 弁慶の立ち往生 どうしようもない窮地に立たされること。▪衣川 の合戦で、弁慶がなぎなたを杖にして、立つ たまま死んだということから。用例スピーチ でつまり、どうしても次の言葉が出てこな い。みっともないことに弁慶の立ち往生さ。 <353> 距離·高低·長短 用例弁慶は雲つくばかりの大男だったそうで す。 指呼の間 しこかん な距離。用例ここまでくれば、頂上はもう指 呼の間だ。 すんすが詰まる 長さが短い。特に、衣服 の丈が短くなる。用例急 に成長したので、冬服のズボンの寸が詰まっ てはけなくなった。 天を衝く 非常に高い様子。また、 勢いが盛んな様子。用例 バスケットボール決勝戦、まるで天をつくような大男たちの激しい戦いとなった。 心には、天を摩するほどの超高層ビルが立ち 並んでいます。 目と鼻の先 ほんのちょっとの距離。 目と鼻の間」とも。 用例トラックが目と鼻の先まで迫って来たと きは、もうだめかと思いました。 切り抜ける 危険な場所・立場から逃 れる。あぶない状態を切 り抜ける。用例大口の取り引きに成功し、我 <354> が社もどうにか危地を脱することができた。 九死に一生を得る 九分どおり助からぬ命が かろうじて助かる。きわ めて危険な目にあったことをいう。用例土砂 に巻き込まれたときにはもうだめかと思った が、救出が早く、幸いにも九死に一生を得る ことができた。 鶏すれば通ず 行き詰まってどうしよう もなくなると、かえって うまく切り抜ける方法が思い浮かぶ。用例会 社の資金繰りに頭を痛めていたが、窮すれば 通ずで、うまい方策が見つかった。出典「困 は窮して通ず(占いで困の卦は、行き詰まっ ても必ず切り抜けることができる)」(易経一 けいじ 繁辞) 急場を変ぐ さし迫った状態を一時的 に切り抜ける。用例父親 が資金援助をしてくれたおかげで、どうにか 急場をしのぐことができた。 血路を開く 困難を切り抜ける。回敵 の囲みを破ってやっと切 り抜ける意から。用例景気が低迷している時 期だけにつらいだろうが、ここは何とか血路 を開く努力をする必要がある。 虎口を逃れる 非常に危険な状態からう まく逃げ出す。用例その とき君が現れたので、何とか虎口を逃れるこ とができたのだ。類虎口を脱する 死中に活を求める 死ぬよりほかない状況下 で、生きる道をさがす。 絶望的な状態にあって、なお、抜け出す方法 を見つける。用例死中に活を求める思いで、 金策に駆けずり回っている。出典「男児当に 死中に生を求むべし、坐して窮す可けんや <355> (男は助かる道のない状態にあっても生き延 びる道を求めねばならない。何もしないで行 き詰まったりしてよいものであろうか)(後 かんじよこうそんじゅつでん 漢書公孫述伝)願死中に生を求める とうげ こ 峠を越す 物事の絶頂期、また危機 一などの極限をすぎる。 「峠を越える」とも。用例父の病も峠を越し、 家族皆が胸をなでおろした。 ひとやま 一山越す 危難の一つをどうやら切 り抜けて、一段落つく。 用例仕事もどうやら一山越し、ほっとしてい るところです。 厄介払い 人に迷惑をかけていた者 を追い払うこと。具合の 悪い物事から遠のくこと。用例仕事もせず酒 びたりの夫と離婚して、彼女も厄介払いがで きてせいせいしたと言っていた。 はっきりと区別する。 用例後で面倒なことに巻 き込まれることのないように、あの人とは一 線を画するようにしています。 切りな付ける ひとまずそこで区切りをつける。一段落させる。 用例子供は勉強に切りをつけると、早速遊び に飛び出していった。類切りが付く けじめを付ける していいことと悪いこと 付ける などの区別をする。用例 やめるならやめるで、きちんとけじめをつけ ることが必要だ。 しようてん 焦点を絞る 話題や問題などの範囲を 限定する。用例このまま <356> では時間が無駄になるばかりだから、もっと 焦点をしぼって論議を進めよう。 他と区別する。用例学力 の優劣に線を引くことに よって、子供たちに競争心を起こさせていま す。 的を絞る 取り上げる対象を限定す る。用例本日の会議で は、自然保護に的をしぼって話し合いたいと 思います。 契機·原因 起爆剤になる 事が起きる原動力とな る。運動や事件などを起 こすきっかけとなる。用例彼のホームラン が、逆転の起爆剤になった。 たね 種を蒔く 何かが起きたり広まった りする原因をつくる。 用例よけいなことを言って、けんかの種をま くやつがあるものか。 引き金になる ある事態を引き起こす きっかけとなる。用例個 人の何気ない発言が引き金になって、大きな 社会問題が持ち上がるということは、よくあ ることだ。 由来している。原因とな る。用例我が家の不幸の 因って来たるところは、祖父のこの放浪癖に ある。 事の起こるきっかけとな る。用例テレビの報道が 呼び水になって、救助の手が差し延べられる <357> 結局・つまり あくは 挙げ句の果て ある物事をしたすえに。 結局。■「挙げ句」は、連 歌・連句の最後の句。用例提出した企画にさ んざん手直しをさせておいて、挙げ句の果て は不採用ということになった。用法好ましく ない結果に用いることが多い。 裏を返せば 反対の見方をすると。逆 の言い方をすれば。用例 ということは、裏を返せば嫌いということな んでしょう。 世営 関の山 やま できることの限界。せいいっぱいのところ。用例 彼に頼んだところで、その程度が関の山だ。 あとはこちらで処理しよう。 大山鳴動して鼠一匹 前触れの騒ぎが大きいば かりで、実際はたいした ことのない様子。用例一時は政界浄化とか政 治改革とかいう議論がかまびすしかったが、 結局は大山鳴動して鼠一匹、政界は旧態依然 だ。 大なり小なり 少なかれ。用例大なり小 なり、彼がこの事件に関与していたことは疑 いない。 ととのつまり 最後の最後。つまるとこ ろ。■ボラは成長する過 程ごとに名が変わり、最後にトドという名に なるところから。用例とどのつまり、政府が アメリカの言うことを聞くのは必定だ。用法 <358> 思わしくない結末を迎えるような場合に用い る。 取りも直さず 前に述べたことが、その まま次のことにぴったり 当たる様子。すなわち。用例今ごろから卒業 できそうにないということは、取りも直さず 留年したいということなんだな。 何はともあれ ばかのことはどうであっ ても。ともかく。用例就 職おめでとう、何はともあれまず一杯。 何はなくとも ほかのものはなくても、 とも これさえあれば。用例何 はなくとも、夫婦そろって健康でいられるこ とがいちばんだよ。 早く言えば。要するに。 用例回りくどい言い方を 一用例回りくどい言い方を しているが、早い話が自分の車が欲しいとい うことなんだろう。 止むに止まれず やめようとしてもやめられないで。どうしようも なく。用例自分でも家業を継ぐつもりでいた んですが、結局止むに止まれず好きなこの道 を選びました。 決定・決着・決める 収まりが付かない 物事の決着がつかない。 付かない 片づかない。用例ここは 君のほうできちんと謝らないと収まりがつか ないだろうよ。 落とし前を付ける ごたごたやいざこざの始 末をつける。用例人込み 触れただけなのに、どう の中でたまたま傘が触れただけなのに、どう <359> この落とし前をつけてくれるんだとからまれ て困ったことがある。 折り合いが付く 互いにゆずり合って話が まとまる。用例用地買収 の折り合いがつきしだい、工事は着工されま す。 決まりが付く 物事の決着がつく。何ら かの結果に落ち着く。 用例互いの条件が合わずずっともめていた が、ようやく話の決まりがついてほっとして いる。類決まりを付ける 決を採る 相談をまとめる。会議の 一結論を出す。用例もう意 見も出つくしたと思うので、ここらで決を採 ることにしましょう。 けりが付く 最終的な結果が出る。結 末がつく。▣和歌・俳句 黒白を争う が多く「けり」で終わるところから。用例三度 目の話し合いですから、今度こそけりがつく と思います。類けりを付ける んとした言い分があるのだから、ここはあく まで黑白を争うつもりだ。 断を下す 事を決定する。きっぱり と決める。用例大学に 残って研究生活を続けるか、就職するか、断 を下す日がきた。 鶴の一声 有無を言わさず物事を決 定する、有力者・権力者 の一言。用例不動産部門への進出が、会長の 鶴の一声で決定した。 出る所へ出る 公の場所へ出て、是非を はっきりさせる。用例露 <360> 地の所有権に関しては、出る所へ出る必要が ありそうだ。 話が付く もめ事などが解決する。 用例修理代は先方がもつということで話がつ いた。類話を付ける 丸く収まる おだやかに落着する。円 満に解決する。用例多少 の犠牲は払ってもいいから、丸く収まること を望んでいます。 欠点·短所 最後の肝心な部分が不十 分なため、全体が完成し ない様子。竜を描いて最後に睛をかき加え たところ、たちまち竜が天に昇っていったと いう故事から。用例内容はすばらしいのにこ の装丁では、画竜点睛を欠くといわれても仕 方がない。 叩けば埃が出る 立派そうに見えても、細 が出る 一かく調べればよくない点 が出てくるものだ。用例政治家というのは、 少なからずたたけばほこりが出るものだ。 玉に瑕 わずかに欠点があるこ と。用例何にでも熱中す るのはいいのだが、あきっぽいのが玉にきず だ。 長 所は短所 長所に頼りすぎると失敗 を招くから、一面からい うとそれは短所でもあるということ。用例長 所は短所というが、彼の人付き合いのよさに も困ったものだ。 <361> 弁慶の泣き所 その人にとってただ一つ の弱点。■強いといわれ た弁慶でも泣くほど痛い所の意で、向こうず ねのこと。用例辣腕で知られる会長の弁慶の 泣き所は、意外にも孫娘なんだそうだ。 仏作って魂入れず たましいい て魂入れず ほぽ仕上げながら、肝心 なことが欠けている様 子。用例曲は見事に完成したけれども、曲名 をつけないと、仏作って魂入れずだね。 厳重・厳しい 嫌の違い出る陳もない わずかなすきもないほど 警戒が厳重である様子。 用例これだけの警官が周囲を包囲したので は、蟻のはい出るすきもないだろう。 は ! = 水も漏らさぬ 少しのすきまもないほど 警戒などが厳重な様子。 用例首都には戒厳令が敷かれ、水も漏らさぬ 厳戒態勢がとられている。 目が光る 厳しく監視する。用例父 いぼが光っているから、 夜、家から抜け出すなんてとてもできない。 目を光らす 悪いことができないよう に厳しく見張っている。 用例警察が目を光らせているために、このあ たりの違法駐車もずいぶん減ったようだ。 公然 アドバルーンを揚げる 世間の反響や相手の出方 をうかがうために、一つ <362> の行動を起こしてみる。■「アドバルーン」 は、宣伝・広告用の気球。用例まず記者会見 の席でアドバルーンを揚げ、その後で計画の すべてを公表することにする。 おおやけ公にする 世間におおっぴらに知ら せる。公表する。用例条 件をのまなければ、今までの関係をすべて公 にすると脅されたんです。 表に立つ 存在がはっきりとわかる に出る。用例立場上私が表に立つというわけ にはいかないが、協力は惜しまないから存分 にやってくれ。 位置に身を置く。公の場 公然の秘密 表向きは秘密とされていても、実際にはすでに知 れ渡っていること。用例両社が合併するということは、社員の間では公然の秘密である。 好都合 鴨が葱を背負って来る 物事がますます好都合に いく様子。鴨肉に葱ま でが一緒に手に入る意。「鴨葱」とも。用例チ ケットがさばけなくて困っているところに彼 が後輩数人を引き連れて訪ねて来るとは、鴨 が葱をしょって来たようなものだ。 願ったり叶ったり 願ったとおり望んだとおり。こちらの希望どおり に事が運ぶ様子。用例給料はいいし、おまけ に本社勤務になるなんて、願ったりかなった りだよ。 願ってもない 願い望んだ以上に都合が よい。非常にありがたい と思う様子。 用例役員待遇で迎えてくれるな <363> 渡りに船わた と。望みどおりの条件が与えられること。 用例会社をやめて将来に不安を感じていたと ころ友人が就職話をもってきてくれたので、 渡りに船とその話に応じた。 困る・困難 事を欠く ことか その物がなくて、不自由 する。用例当時は貧しく て、毎日の食べ物にも事を欠くありさまだっ た。 何でもないようなことで も、最初に行ったり考え コロンブスの卵 ついたりするのは困難であるということ。 アメリカ大陸発見はだれにでもできるという 批判に、コロンブスがテーブルの上でゆで卵 を立ててみるように言い、だれもできないの を見て、卵の尻をつぶして立ててみせたという 話から。用例仕組みがわかってしまえば簡 単なことだが、コロンブスの卵で、これを思 いつくまで大変だったんだ。 狭き門 競争が激しくて突破する のが難しいこと。■天国 に行き着くまでの道が困難であるという、 『新約聖書』マタイ伝の言葉から。用例今年も また狭き門を目指して、多くの受験生が試験 に挑む。 とんやおろ そうは間畳が釦さない 相手の思いどおりにする わけにはいかない。そん なにたやすいことではない。■そんな安い値 <364> をつけたのでは、問屋が品物を卸してくれな い意から。用例君が今度のことを思いどおり 進めようとしても、そうは問屋が卸さない。 自分の能力ではどうにも 処理することができな 力に余る い。力が及ばない。用例この仕事は私の力に 余ります。ありがたいお話ですが、お断りす るしかありません。 手が付けられない 置の方法がない。用例今でこそまじめなサラ リーマンで通っているが、子供のころは手が つけられない腕白坊主だった。 どういう手段をとったら よいのか困り果てる。処 自分の能力や力の限界を 超えている。自分では処 の能力や力の限界を 一超えている。自分では処 理できない。用例手に余る仕事を抱え込ん で、毎日残業が続いている。 手に負えない らない。用例ここまで病状が進んでいては、 私の手に負えません。至急、専門の病院へ連 絡をとりましょう。 に超えていてどうにもな 自分の能力や力をはるか 手も足も出ない 手段がまったく見つからず困り本大 ず困り果てる。用例本大 会随一といわれる強打者も、彼のスピード ボールには手も足も出ない。 手を焼く 処置・対策に困り果て、 もてあます。用例末娘の わがままに手を焼いた両親は、娘を全寮制の 入学させることにした。 東西を失う どう処置すればよいのか まったくわからなくて困 り果てる。■方向を見失う意から。用例あて にしていた手形は落ちず、集金に行った先の <365> 相手は行方不明とあって、東西を失って机の 前に座り込んだ。 途方に暮れる どうすればよいのかわか 「らず困りきる。■「途方」 は、進むべき方向の意。用例両親の離婚騒ぎ で、小学校六年生であった僕は途方に暮れ た。 のっびきならない つぴき」は「退き引き」の転じたもの。用例急 にのっぴきならない用ができてしまって、す みませんが明日の会には出席できません。 一筋縄では行かない い。用例その点はもう一度念を押しておいた ほうがいいよ。何しろ相手は一筋縄では行か ない男だからね。 悲鳴を上げる 仕事などが難しすぎたり多すぎたりして、泣き言 をいう。用例一週間ぶりで家に帰れると喜ん でいた彼は、退社時間寸前になってもう一日 だけ頑張ってくれと言われ、さすがに悲鳴を 上げた。 亡羊の嘆 真理を得ることの難しさを嘆くこと。方法がいろ いろあって迷うこと。■逃げた羊を探すの に、枝道が多いため見失って嘆く意。用例人 生には時に亡洋の嘆をかこつことがあるもの です。出典「大道は多岐を以て羊を亡い、学 者は多方を以て生を喪う(大きな道は、分か れ道が多いために羊を逃がしてしまうが、学 問するものは、やり方がいろいろあるので、 生き方がわからなくなってしまう)「列子」 説符)願多岐亡羊 <366> 路頭に迷う 収入がなくなったり住む 家をなくしたりして暮ら しに困る。用例ここで倒産ということになれ ば、社員の家族を含めて二百人の者が路頭に 迷うことになる。 差し迫る 赤信号が付く 足下に火が付く 危険が身に迫って、落ち 着いていられない様子。 用例 汚職事件の拡大で、彼も足下に火がつい たようだ。 いつこく あらそ 刻を争う ている。用例一刻を争う事態なので、とばせ るだけとばしてほしいとタクシーの運転手に 頼んだ。 いほどに事態が差し迫っ 危殆に頻する 面している。 用例この湿 原も自然破壊が進行して、危殆に瀕 剣が峰に立つ 相撲の土俵のまわりの俵。用例今度という今 度は、彼も剣が峰に立たされたそうだ。 事三三に至る 差し迫った事態になって いる。用例事ここに至っ の英断を待つしかない。 ては、もはや社長の英断を待つしかない。 焦眉の急 事態がきわめて切迫し て、緊急を要すること。 <367> 囗眉毛がこげるほど火が近づく意から。用例 いま我が社ではいかに作業員を確保するかが 焦眉の急である。 尻に火が付く 事態が差し迫ってゆっくりしていられない。用例 最近会社の金繰りが大変らしくて、彼は毎日 しりに火がついたように忙しくかけずり回っ ている。 旦夕に迫る 今日の朝か晩かというほ ど、時が差し迫っている。 用例命旦夕に迫っているのを自分で知ってい るからこそ、彼は寸陰を惜しんで論文の執筆 に励んでいるのだ。用法「命旦夕に迫る」の形 で、死期が迫る意で用いられる。 時間的に差し迫った状況 沙読みに入る になる。回残り時間を秒 単位で読み上げる意から。用例両国の戦争突 入は、今や秒読みに入っているといってよい。 分秒を争う わずかな時間の余裕もな ている。用例彼の病状はすでに分秒を争うも のだったそうで、すぐに手術ということに なった。 いほど、事態が差し迫っ 待ったなし 猶予できない、またはや り直しのきかないこと。 囗碁・将棋などで、「待った」をかけられない 意から。用例締め切りはぎりぎり待ったなし で月末です。 順に火が付く 危難が迫っていて一刻の 猶予もならなくなる。 用例隣国の食糧問題は、とうとう眉に火がつ く状態にまで悪化したらしい。 欲も得もない 損得勘定などをしている 余裕はない。用例連日会 <368> 社に泊まり込みだったので、家に帰ったとき には疲れ切って、欲も得もなくすぐ眠ってし まった。 雜然·整然 足が乱れる になる。統一行動がとれなくなる。用例一緒 にやろうと集まった連中だが、だんだん意見 の相違が表れてきて足が乱れてしまった。 多くの人の考え方や活動 な揃える 方針が一致して、統一的 な行動をとる。用例今回のクーデターを認め ないということで各国は足並みをそろえた。 願足並みが揃う対足並みが乱れる 一条も乱れない 芋を洗うよう い見事なチームワークが、成功の秘訣である。 番の暑さに、どこの海水浴場も芋を洗うよう な混雑ぶりだ。 うえした上を下へ 子。また、あわてふため く様子。■上のものが下に、下のものが上に なる意から。用例息子が突然結婚相手を連れ てくるというので、家中上を下への大騒ぎだ。 からすが集まるように、 一定の目的も規律もなく 集まっている大勢の人々。用例どんなに騒ぎ 立てても、あの烏合の衆に何ができるもの <369> か。出典「卜者王郎、名を仮り勢いに因り、 烏合の衆を駆集して、遂に燕・趙の地を震わ す(占い人の王郎は、天子の名をかりその勢 いにより、寄せ集めの者たちをかり集めて、 ついに燕や趙の国を震え上がらせた)」(後漢 書邳彤伝) うず 漏を巻く 物事が複雑に絡み合って、めまぐるしく動いて いる様子。用例いま学内では、学長のポスト をねらう二つの派閥のかけひきが渦を巻いて いる。 押すな押すな 大勢の人が先を争ってつ めかけ、混雑している様 子。用例新しく開店したこの店は安くておいしいと評判で、連日押すな押すなの大盛況だ。大騒ぎで手のつけようも蜂の巣をつついたようない様子。用例突然先生 が退職すると聞かされ、教室は蜂の巣をつつ いたような大騒ぎとなった。 よいものも悪いものも一緒くたにして区別しない こと。用例あの男にかかると、味噌も糞も一 緒にした批判をされてまいってしまう。 寂しい 閑古鳥が鳴く ひっそりと寂しい様子。 もの寂しい様子。特に、 商売などがはやらない様子。用例スーパーが 開店してからというもの、ここの商店街は閑 古鳥が鳴いている。 形影相弔う 同情する人もなくて、孤 独で寂しい様子。■形」 <370> は自分自身、「影」は自分の影ぼうし。一人ぼ っちで自分の影ぼうしを相手に慰め合う意か ら。用例上京してから数か月の間、親しい友 人もできず、僕は形影相弔うといった生活を 送っていた。出典「筆々子立して、形影相弔 う(みよりもなく、ひとりぼっちでぽつんと 立ち、我が身と影ぼうしが慰め合うばかり だ」(李密の文「陳脩表」) 前の抜けたよう 用例インフルエンザの流行で欠席者が多く、 教室は歯の抜けたようになった。類櫛の歯が 欠けたよう まばらで寂しい様子。ま た、ふぞろいな様子。 火が消えたよう 活気がなくなり、急に寂 しくなる様子。用例子供 一人がいなくなっただけで、我が家は火が消 えたように寂しくなった。 べんべん草が生える 家・屋敷などが、荒れるに まかせてある様子。用例 過疎化が進むこの村では、住む人もなくぺん ぺん草が生えている家があちこちにある。 もんぜんじゃくら 門前雀羅を張る 訪ねて来る客もなく、家 がさびれてひっそりとし ている。■「雀羅」はすずめを捕らえる網。門 の前に雀羅を張るくらいに寂しい意から。 用例破産してからというもの、あの家は門前 雀羅を張るありさまだ。出典「賓客亦已に散 り、門前雀羅を張る」(白居易の詩「寓意) 時機好機 いさ鎌倉 さあ大事件だ、という場 合を表す言葉。回鎌倉幕 <371> 府に大事が起こった、さあ、はせ参ずべきと きだの意。謡曲「鉢木」から出た言葉。用例い ざ鎌倉とばかり親戚が駆けつけてみると、何 のことはない、おばあさんの狂言だった。 折もあろうに ほかにもっとよいときも うに あるだろうに。都合の悪 いときに。用例折もあろうに通夜の席で産気 づき、救急車を呼ぶはめになった。 折も折とて ちょうどそういうときな ので。そんな重大なとき なので。用例五月の連休に法事で田舎に帰る ことになったが、折も折とて列車は行楽客で ひどい混みようだった。 奇貨居くべし 得がたい好機は逃さず利 用しなければならない。 珍しい品物はいま手に入れておけば、後日 利益が得られようの意。秦の商人の呂不韋 が、趙の国に人質となって不自由な生活をし ている秦の王子子楚を見て、奇貨居くべしと して、これを助け、後に子楚が荘襄王にな ると、呂不韋は宰相に任じられたという故事 による。用例君は奇貨居くべしなどと悠長な ことを言っているが、我が社にはそんな遊ば せておく金など一円もないのだ。 機が熱す が到来する。条件が十分 整う。用例例の計画のスタートは今や十分機 が熟した。 機に乗じる 好条件の機会をじょうず に利用して行動する。時 機を誤りなくつかんでその流れに乗る。用例 慎重論も大切だが、すばやく決断して、機に 乗じることを考えるのも大事ではなかろう か。 <372> 機に投じる 機会を見きわめて手を打つ。つけこむ。用例悪い 材料はすべて出つくした、今が底値だろう。 この機に投じて一気に大量買いに回るのだ。 呼吸をはかる 事を行うのに適当なタイ かる ミングを見計らう。 行動 する機会をうかがう。用例長々と続く相手の 発言を呼吸をはかって遮り、彼は持論を展開 しはじめた。 潮時を見る 事を行う好機を見きわめ う。用例ただやればいいというものではない。物事は潮時を見てやるものだ。 る。 絶好の機会を見計ら この時代の好みとよく合 好に投じる う。用例いかに時好に投 じる商品を開発するかが、我々に与えられた 最大のテーマである。 千載一遇 ったにない好機会。用例彼があんなに優柔不 断とは知らなかった。まさに千載一遇のチャ ンスだったのに。 時に違う 好機にめぐり合って、幸 運を得る。用例今は時に あって栄えていても、人間いつ落ち目になる かわからないよ。 時を得る 好機に恵まれて成功す る。時流に乗って栄え る。用例最初はぱっとしなかったが、時を得 て一躍人気歌手になった。 世に含う 時勢に合ってはぶりをき かせる。用例成功者とし て名を連ねている人の大半は、たまたま世に 合うことができたという人たちだ。 <373> そのような人物。用例あんないわく付きの 男にほれるなんて、彼女もどうかしているよ。 裏には裏がある 後の様子が入り組んでいる。用例あの事件に は市当局や一流企業だけでなく大物の黒幕も いるらしい。裏には裏があるようだ。 舞台裏の役者の控え室をのぞくことから。 用例外見は景気がよさそうに見えるが、楽屋 裏をのぞくと火の車だということだよ。 事の起源に深い事情がひ そみ、また、経過に長い 時間がからんでいる。用例両者の言い分を聞 けば聞くほど、紛争の根が深いことを知らさ れる。 声や物音を立てずに静か にする。用例初めて見た 監督の怒りに、チーム全員は思わず鳴りを静 めた。 <374> 鳴りを潜める 活動しないでじっとして いる。しばらく活動を停 止する。用例しばらく鳴りを潜めていた暴走 族が、また活発化しそうな気配になってき た。 水を打ったよう 大勢の人が静まりかえっ 子。用例彼が演壇に立って最初の口を開くま でのほんのわずかの時間、場内は水を打った ように静かになった。 て物音ひとつしない様 失敗 欲張りすぎて失敗するこ と。虻と蜂を両方同時 に捕らえようとして、どちらも取り逃がす意 から。用例どこかで妥協しないと、虻蜂取ら ずの結果に終わるよ。 河童の川流れ どんなすぐれた技をもつ 人でも、失敗するときが あること。泳ぎのうまい河童がおぼれる意 から。用例自分の力を過信して慎重を欠く と、河童の川流れということになりかねない。 企てたことが不成功に終 空撮りに終わる わる。■「空振り」は、野 球やテニスなどで、振ったパットやラケット がボールに当たらないこと。用例ある程度確 信があったのだが、惜しいことに空振りに終 わった。 機を逃する 大事な潮時を逃す。チャ ンスを逃す。用例この機 を逸してはもう海外留学はあきらめなければ ならないと、僕も必死でした。 <375> 上手の手から水が漏る 技のすぐれている人で も、時には失敗すること がある。用例名手が何でもないゴロをエラー することもある。上手の手から水が漏るというやつさ。 前車の轍を踏む 前の人がしたのと同じ失 敗をする。前の車のわ だちを通る意。「前轍を踏む」とも。用例彼は 慎重な男だから、前車の轍を踏むようなこと はしないだろう。 千恵の一失 賢明な人も、多くの考え の中には考え違いもある ということ。十分に注意していても、思わぬ 失敗を犯すことがあるということ。用例先生 がこんな初步的なミスを犯すなんて、まさに 千慮の一失ですね。出典「智者も千慮に必ず 一失あり、愚者も千慮に必ず一得あり(賢人 も多くの考えの中には必ず一つの間違いがあ り、愚かな者でも多くの考えの中には必ず一 わいいんこうでん つのとりえはある)」(史記」淮陰侯伝) 大魚を逃する 惜しいところで大事なこ とをしそこなう。もう少 しというところで失敗する。用例もう少しで 大記録を達成できるところだったのに、不用 意に投げた一球が、大魚を逸する結果となっ た。 長蛇を逸する 借しいところで大物をとり逃がす。また、チャン 入を逃す。用例ちよっとの気の緩みから朝寝 坊したばつかりに、長蛇を逸してしまった。 どじを踏む 間の抜けたことをする。 む 一失敗する。用例あれだけ 念を押しといたのに、どじを踏むなんて信じ られない。 <376> 生兵法は大怪我のもと なまじその心得のある者は軽々しくそれに頼って 事に当たるから、かえって大失敗をすること。回生兵法は怪我のもと」とも。用例生兵法は大けがのもと、空手なんか習いはじめるなんて心配だね。 とおものいっと 死を追う者は一兎をも得ず 同時に二つのことをしよ うとすると、結局は一つ も得られない。用例二兎を追う者は一兎をも 得ずというから、何か一つにしぼって勉強し たほうがいい。 この舞 前の人と同じような失敗 をすること。舞楽で、 「案摩」という舞のあとに、それをまねて演じ るこっけいな舞の意から。用例昨年の二の舞 を演じないよう、今年はベストメンバーを組 んできました。 百年の不作 生涯において最大の、取 り返しのつかない失敗。 特に、結婚相手に失望したと愚痴をこぼした り後悔したりするときにいう。用例今の女房 と結婚したのは百年の不作でした。類一生の 不作 不発に終わる 企てが実行されずに終わる。弾丸・爆薬など が、発射・爆発しないで終わる意から。用例 新記録をかけて試合に臨んだが、不発に終わ った。 枕を並べて討ち死にする 大勢の者がそろって同じ 失敗をする。用例入試が あるからといって練習をさぼっていたくせ に、入試はみんな枕を並べて討ち死にか。 味噌を付ける 失敗する。しくじって面 目を失う。用例得意な分 <377> 野でもないのに執筆を引き受けてしまって、 味噌をつけた。 十分不十分 一応も二応も 一通りも二通りも。十分 念入りに。回一応」は元 来「一往」で、一度行くことの意。用例ご指示 どおり一応も二応も書、てみましたよ。 聞然する所がない 非難するようなところが ない。用例彼のすること はいつも要所をおさえていて、まったく間然 するところがない。 完膚無きまで 徹底的に打ちのめす様 子。「完膚」は傷のない 所がないまでにの意。用例 庸で、傷のない箇所がないまでにの意。民例 世界最強の戦力を見せつけて、街を完膚無き までに破壊したのだった。 どぅ 如何にかこうにか 十分とまではいかない が、何とか目標を達成す る様子。やっとのことで。用例一生の思い出 にと、この年になって富士登山に出かけたの ですが、周りの皆さんに励まされて、どうに かこうにか頂上にたどりつくことができまし た。 曲がりなりにも 不十分、不完全ではある が、一応形式は整ってい る様子。■多少の曲がりはあっても、ほぼ まっすぐにの意。用例順調とは言えませんで したが、曲がりなりにも今日の日を迎えるこ とができました。 申し分がない 非難のしようがない。不 満に思うところがない。 <378> 用例彼の研究発表は、緻密な分析と明晰な論 旨で、申し分がないものだった。 重要·重視 アクセントを置く 全体の中で、特にその部 分に重点をおく。用例今 後は、外交政策にアクセントを置いて努力し ていきたい。 おも 重きを置く 論旨は形がまとまってすっきりしてはいる が、荒削りで不格好でも私は山田君の着眼点 に重きを置く。 重視する。重要なことと して扱う。用例鈴木君の 重んじられる。価値あるものとして認められてい 重きななす る。用例今やグループのまとめ役として、彼 は重きをなす人物です。 他人事ではない 自分には無関係だと考えていられることではな い。用例ゴルフ場ができるそうだなんて、他 人事ではない。あそこはこの地域の水源地 だ。 山場を迎える 最も重大な局面を迎え る。物事の絶頂期がく いよ山場を迎えた。 る。用例勝負はいよいよ山場を迎えた。 予断を許さない 前もってそれと判断することが難しい。どういう 結果になるか危ない。用例濁流はすでに危険 水位を越えていて、いつ堤防が切れるか、予 断を許さない状態であった。 笑い事ではない 笑ってすませるような小 事ではない。用例笑い事 <379> ではありませんよ、僕にとっては深刻な問題 なんですから。 後先になる 後にいたものが前にな る。順序が入れ替わる。 用例説明が後先になるところがあって、わか りにくかったと思うので、ここでまとめをし てみます。 オケのお鉢が回ってくるのが実に困る。 用例宴会もいいが、カラ さしあたって。用例進学するとなれば何はさ ておき、まず部屋さがしをしなければ。 さほど大事ではない、ま この次にする た、急ぐことではないと して、後回しにする。二の次は、二番目 の意。用例文句は二の次にして、言われたこ とを早くすませてしまいなさい。 順調 好機にめぐりあって、物 事が順調に進展する。 用例あの会社はこのところ上げ潮に乗って、 <380> 脂が乗る 仕事がおもしろくなって 意欲的になる。▪魚など に脂肪がふえておいしくなることから。用例 彼もようやく仕事に脂が乗る年代になった。 得手に帆を揚げる 行っていく。回得手に帆」とも。用例彼は得 手に帆を揚げて、順調に出世街道を歩んでい る。 よい機会に恵まれ、自分 の得意なことを調子よく 物事が順調にいくように エンジンが掛かる なる。調子が出る。用例 仕事を始めて一年、あいつの仕事もようやく エンジンが掛かったようだ。類エンジンを掛 ける 軌道に乗る 当初の計画や予想のとお りに、順調に進むように なる。用例当初は危ぶまれていた開発計画 も、地元の協力が得られるようになってから は軌道に乗ってきた。 じゅんぶうほ願風に帆を上げる 時機を得て、物事が思いどおりに進んでいく。 追い風に帆を上げた船が順調に進むことか ら。用例天の時、地の利、人の和を得て、新 会社はまず順風に帆を上げてのスタートと なった。 上昇気流に乗る 運に恵まれ、物事がめざ ましく発展していく。 用例新企画が当たって上昇気流に乗り、会社 は発展の一途をたどっている。 時流に乗る 時代の流行や傾向に合っ て物事が順調に運んでい く。用例あの店も時流に乗って商売をしてい たらつぶれなくてもすんだだろうに。 <381> 計画したとおりに。もく り ろみどおりに。用例筋書 き通りに議事が運び、会議は紛糾することな く無事に終わった。 流れに棹さす 物事が都合よく思いのま まに進んでいく。▪舟を 流れに従ってあやつる意から。用例あの会社 は戦後うまく流れに棹さす形でのし上がって きた。用法反対に、抵抗する、逆らうの意に 用いるのは誤り。 波に乗る まく時代の波に乗ってベストセラーとなり、 たちまち彼は当時の流行作家となった。 果が行く はかい 仕事などが順調に進む。 はかどる。用例今日は朝 心うように仕事のはかが行 から体調が悪く、思うように仕事のはかが行 かなかった。 法筆の太鼓 日蓮宗徒の打ち鳴らすう ちわ太鼓の音がだんだん 大きくなっていくように、事態がしだいによ くなっていくこと。用例だんだんよくなる法 華の太鼓、そろそろ僕につきが回ってきた ぞ。 我が世の春 物事がすべて思いどおり に運び、得意絶頂にある 時。用例彼は今度の役員人事で社長に就任 し、今や我が世の春を謳歌している。 親密·密接 魚心あれば水心 相手が好意をもてば、こちらもそれに応じること <382> ができるということ。■本来は「魚、心あれ ば、水、心あり」で、魚に水と親しむ心があ れば、水もそれに応じる心をもつ意から。 「水心あれば魚心」とも。用例申し上げにくい ことですが、審査に少し手心を加えていただ けるのでしたら、そこはその、魚心あれば水 心というもので……。 お安くない 葉。用例あいつ、お安くないねと冷やかされ て、うれしそうににやにやしているんだから かなわないよ。 男女の間柄が親密なのを うらやんで、からかう言 影の形に添うことく 物があるところに必ず影 があるように、常に一緒 にいて離れない様子。用例部長の専務に対す る忠勤ぶりにはまったく驚くよ。専務の行く ところ、影の形に添うごとく、必ず部長の姿 があるからね。 切っても切れない いくら断とうとしても断 ち切れないほど、関係が 深い様子。用例彼とは小学校からの長い付き 合いで、切っても切れない厚い友情で結ばれ ている。 琴瑟相和す 琴と瑟とは合奏するとそ の音がよく合うことか ら、夫婦や兄弟、友人間の仲むつまじい様 子。■「瑟」は、大きな琴。『詩経』から出た言 葉。用例あなたがたご夫婦を見ていると、琴 瑟相和すという感じでうらやましいわ。うち なんか、とてもそうはいかないもの。 臭い仲くさなか 特別に親しいと疑われる 一間柄。用例臭い仲だと聞 いたので注意して見ていると、なるほどあの 二人、帰りの時間などよく示し合わせている <383> 双方ともに一方を欠いて は成り立たないほど密接 な関係にあること。用例世界平和は、両大国 が車の両輪となってリードしていくことに成 否がかかっている。 形影相伴う 形とその影のように、夫 婦などがいつも仲むつま じく一緒にいる様子。用例子供たちも独立し て家を離れ、老夫婦は形影相伴い、穏やかな 日々を過ごしていた。 すぐすぐに あっと言う間 きわめて短い時間。一瞬 のうち。用例テレビの壊 れたのくらい、彼に頼めばあっと言う間に修 理してくれるよ。 言う口の下から もう。 用例これから禁煙 だと言う口の下から、もうたばこに火をつけ ている。 一観に及ばず あれこれ議論する必要も ない。用例この計画は一 に実行すべきだ。 議に及ばず、ただちに実行すべきだ。 も二もない あれこれ言うまでもない。きまりきっている。 用例君の頼みとあらば一も二もない。承知す るに決まっているじゃないか。 聞愛を客れず 間をおかず、すぐに。即 座に。■間に髪の毛一本 も入れる余裕がない意から。「かんぱつ」とは 読まず、「かん、はつをいれず」と切って読 <384> む。用例相手の申し入れを、彼は間髪をいれ ず拒絶した。 言い終わった直後にも ら う。用例これ以上弁解は しないと言った声の下から、また新たな弁解 を始めている。 舌の根の乾かぬうちに 言い終わったばかりなの に。用例二度と同じ過ち は繰り返さないと誓った舌の根の乾かぬうち に、また同じ過ちを犯している。用法言うこ とが矛盾するのを非難する場合にいう。 あることがあって、すぐ に。ただちに。用例社長 を退陣に追い込むと、時を移さず新たな役員 人事に手をつけた。 猫の目 そのときの状況によって、物事が次々と変化す る様子。■猫のひとみが明るさによって形を 変えることから。用例方針がこう猫の目のよ うに変わるのではたまらない。 「はいはい」とすぐに快く 承諾する様子。用例彼と は長い付き合いだからね、二つ返事で引き受 けてくれたよ。 打っ付け本番 練習や打ち合わせなし で、いきなり始めるこ と。本番」は、映画・テレビなどで、本式 の撮影や放送。用例いくらチームに経験者が 多いとはいっても、ぶっつけ本番では試合に 勝てるわけがない。 右から左 受け取ったものを、すぐ に人の手に渡してしまう こと。用例ボーナスをもらっても右から左 で、手元には残りもしない。 <385> 恵が通う 芸術作品などで、作者の 気持ちがこもっている。 用例さすがに長い間あたためていたテーマだ けに、この作品には息が通っている。 歩すぐれていること。長は、すぐれる 意。用例交渉を進める際のかけひきの巧みさ においては、彼に一日の長がある。出典 「臣、数子に於て、亦一日の長有り(私はあの 人々とくらべると、ややまさっています」 (唐書王珪伝) 一頭地を抜く ほかより抜きん出てすぐ れている。■ぐっと頭を 人々の上に出している意から。用例彼は我々 のグループ内では一頭地を抜く存在だ。出典 「軾、書を以て欧陽脩に見ゆ。脩、梅聖兪に 語りて曰く、吾当にこの人を避けて一頭地を 出ださしむべし、と(蘇軾は手紙を出して欧 陽脩に面会を求めた。その文章のうまさに 感激した」欧陽脩は梅聖兪に語って言った、 私などはこの人から下がって、頭を一つくら い自分より上に出させなければならない、 と)「宋史」蘇軾伝)顔一頭地を出だす うえ 上には上がある これが最上だと思ってい ても、それより上のもの 用例上には上があるもの くねじ伏せたやつがいる。 技量がすぐれている。腕 利きである。用例彼は資 なかなか腕が利く。 金運用に関しては、なかなか腕が利く <386> 腕前がすぐれている。 用例彼は剣道だけでか く、柔道、合気道でもなかなか腕が立つ男だ。 能力・技術などが、ほか の人よりもすぐれてい る。用例運動神経の面では僕より彼のほうが 上手を行っている。用法よい面にも悪い面に も用いる。 聞きしに勝る 話に聞いていた以上であ 勝る る。評判以上に程度がす ぐれている。用例今回の試合はなんとか引き 分けに持ち込むことができたが、彼の実力は 聞きしに勝るものだ。 群を抜く 大勢の中で、ずば抜けて すぐれている。用例当時 の日本の女子バレーボール・チームの強さは 群を抜いていた。 鶏群の一巻 多くの凡人たちの中にすぐれた人が一人いるこ と。回わとりの群れの中に一羽のつるがま じっている意から。用例彼は同期生の中では 鶏群の一鶴の観があった。出典昨、稠人中 に於て始めて嵇紹を見しに、昂昂然として 野鶴の鶏群に在るが如し昨日、人ごみの中 で初めて嵇紹を見たが、高くぬきん出てい て、野生の鶴が鶏の群れの中にいるようなも のでした)」(晋書)嵇紹伝)郷野鶴の鶏群に 在るがごとし 毛の生えたよう ちょっと違うといった程 度まさっている様子。 用例新しい家といっても、前の家に毛の生え たような広さです。 三拍子揃う 必要な条件がすべてそろう。 こつづみ おおかわ たいこ 小鼓・大鼓・太鼓 <387> など三種の楽器の拍子がそろう意。用例相手 は家柄・学歴・容姿と三拍子そろった男性で ないといや、というのが彼女の言い分なのだ。 出藍の蒼れ 料は藍草から作るが、その色は原料の藍草よりも青いことから。用例先生はつとに出藍の耆れ高い方であった。出典「青は之を藍より取りて藍よりも青く、冰は水之を為りて水よりも寒たし二(荀子一勤学) 神に入る 技術や演技などが、神業 かと思われるほどにすぐ れている。用例そのときの彼の演技は、まさ に技、神に入るの観があった。用法ふつう 「技、神に入る」の形で用いる。 とびぬけてすぐれている こと。程度がはなはだし すこぶる付き 聞に置けない いこと。■「すこぶる」という語がつくほどの 意から。用例主人はすこぶる付きの楽天家 で、息子の進学問題についても何の心配もし てくれません。 意外な才知や腕前をもっ ていてばかにできない。 また、油断がならない。用例君もこの点に目 をつけていたとは、なかなか隅に置けないね。 栃査は双葉より芳し 大成する人物は子供のときからすぐれている。 この栃檀は白檀のこと。白檀は発芽したこ ろから非常によい香りを放つことから。「双 葉」は「二葉」とも。用例栃檀は双葉より芳し で、彼は小さいころから探求心が旺盛であっ たという。 粒が揃う いいものがそう。みんなそろってすぐれてい <388> る。用例今回は出場チームの粒がそろってい るので、白熱した試合が期待されます。 堂に入る 学問や技芸が非常にすぐ 一れている。■堂に升り 室に入る」の略で、学芸などの奥義を究める 意から。用例彼の演技はなかなか堂に入った ものだ。 並ぶ者がない 非常にすぐれていて、匹 敵するものがいない。比 類がない。用例記憶力のよさでは彼に並ぶ者 がない。 年季が入っている 長い間修練や経験を積ん でいる。■「年季」は、昔 の奉公人を使う年限で、一年を一季といった。用例彼女の西洋料理は年季が入っているから、家庭料理とはいえ、味はなかなかのものです。 花も実もある 外見も美しく、内容も立 ね備えている。また、道理も人情もわきまえ ている。用例思い返せば彼の人生は、人がう らやむくらい花も実もあるものだった。 派である。名実ともに兼 引けを取らない 劣ってはいない。負けは しない。用例彼の相撲に にも引けを取らない。 関する知識は、だれにも引けを取らない 非の打ち所がない ところ 所がない 非難すべき点など見当た らない。非常に立派であ る。用例彼の勤務成績には一点も非の打ち所 がない。 勝るとも劣らぬ すぐれてはいても決して 劣ってはいない。用例先 生は卒業成績はさしてよくなかったが、独創 性にかけては成績上位の者に勝るとも劣らぬ ものだったという話だ。 <389> 磨きが掛かる 修練や経験を積み重ね て、技術や芸などがいつ そうすぐれたものになる。用例年を重ねるに したがって、あの俳優は演技に磨きが掛かっ てくる。 右に出る者がない その人よりすぐれている 者はいない。ずば抜けて すぐれている。用例我が社ではワープロを 打たせたら彼女の右に出る者がない。 水を開ける 競争相手を引き離す。 ボートレースや水泳で、 相手に差をつける意から。用例猛勉強のおか げで、同級生にだいぶ水をあけることができ た。 目が覚めるような 眠気がさめるほど、見事 だったり美しかったりす めるような」とも。用例目 る様子。目の覚めるような」とも。用例目 が覚めるようなファインプレーで、彼はピンチを救った。 物の見事に 非常にあざやかに。 用例 だれも解けないだろうと 思っていた難問を、さすが校内一優秀な彼だ けあって、物の見事に解いてしまった。 人物・能力・かけひきな 役者が一枚上 どが、一歩すぐれている こと。用例彼のほうが役者が一枚上だよ。う まく言いくるめられてしまった。 成果·効果·成功 足場を固める 拠るべき場所を整える。 事をするに当たって、そ の基礎をしっかりしたものにする。用例学会 <390> での発表が高く評価され、研究者としての足 場を固めた。 あ 当たりを取る 興行や新商品などがねら いどおり成功する。評判 を得る。用例言ってみれば男と女のすれ違い が続くだけのドラマだったが、当時はたいへ んな当たりを取ったものだ。 楽が効く 注意や忠告の効き目があ らわれる。効果がある。 功を喪する 用例今日の口のききぶりからすると、そろそろ薬が効いてきたようだ。 成功する。期待どおりの 成果をおさめる。事が成 就する。■「奏功」の訓読。自分の功績を天子 に奏上する意から。用例もしやと思って以前 手を打っておいたのが、いまごろ思いがけず 功を奏することとなった。 効を変する くいく。 用倒強気に出た 効果があらわれる。うま のが効を奏したのか、交渉はとんとんと進んだ。 三人どめしようじき三度目の正直 勝負事や占いなどで一度 目一度目は当てにならな いが、三度目は確実であるということ。用例 失敗してもそのまま引き下がったりしてはい けない。三度目の正直ということもあるか ら。類三度目は定の目 実を挙げる 実績をあげる。成果を示 す。 用例彼は行動に派手 さはないが、地道に歩いて間違いなく実を挙 げるタイプである。類実が挙がる 血と汗の結晶 非常な忍耐と努力の末に 得た成果。用例たいした ことではないと思われるかもしれませんが、 <391> 私にとっては血と汗の結晶なのです。 地步を占める しかるべき地位・立場を 自分のものとする。用例 入社して十年か。いよいよその地步を占める 年齢ではないか。 馬鹿当たりする 商品や興行などのねらい が適中し、非常な成功を おさめる。大評判になる。馬鹿は、接頭 語的につけたもので、度外れての意。用例あ んな商品がばか当たりするとは、世の中どう かしているね。 蒔かぬ種は生えぬ 原因がないのに結果が生 じるはずはない。努力も せずによい結果が得られるはずがない。「用例 どんなに立派な道具や服装をそろえても、練 習しなければ上達しないよ。まかぬ種は生え ぬというからな。 実を結ぶ 動が実を結んで、湖の埋め立ては中止となっ た。 物になる 人物や仕事などが、それ 実現される。用例入社三年目、彼もようやく 物になってきた。 有終の美 終わりまでよくやり通し て、立派な成果をあげる こと。用例選手として選ばれたからには、全 力を尽くして戦い、有終の美を飾ってもらい たい。 山葵が利く 言動が引き締まった感じ で、相手に強い印象を与 える。用例ちょっと説教してやるつもりだっ たのが、少しわさびが利きすぎたようだ。 <392> 類山葵を利かせる 正当·道理 筋が立つ 理屈が通っている。主張 が乱れずに首尾一貫して いる。用例能弁ではないが、話の内容はしっ かり筋が立っている。類筋が通る 筋を通す 原則を曲げず押し通す。 「首尾一貫して道理にかな うようにする。■「筋道を通す」とも。用例こ れくらいはいいだろうというご都合主義が乱 脈のもとになる。規約の精神にのっとって筋 を通すべきだ。 正論を吐く 道理にかなった議論をす る。原則的に正しい主張 をする。用例正論を吐くのもいいが、現実の 事態はそれでは処理できないんだよ。 大義名分 人として守らなければならない正しい道。また、 行動のはっきりした根拠。用例こちらには大 義名分がありますから、ぜったいに負けるこ とはありません。 辻複が合う 筋道がちゃんと合ってい る。合うべきところが合 って矛盾しない。用例話のつじつまが合うよ うにしておかなければ、会議の席で突っ込ま れるおそれがある。類辻褄を合わせる とうえ当を得る ちゃんと理にかなってい る。当てはまっている。 用例すべての人に満足してもらえるというわ けにはいかないだろうが、会社としては当を 得た回答だと信じている。対当を失する <393> 盗人にも三分の理 どんなことにでも理屈は つけられるということ。 ■盗人が盗みをするのも、それなりの理由が ある意。「ぬすっと」は「ぬすびと」とも。用例 盗人にも三分の理というから、先方の言い分 も聞くだけは聞いておこう。 理に適う 道理に合っている。理屈 が通っている。用例ぼん やりしているようだが、あれでなかなか理に 適ったことを言う。 全部 あたまてつべんあしつまさき 頭の天辺から足の爪先まで 用例どこへ行くのかね、 頭のてつぺ、 人の爪先までぴっかぴっか に磨きたてて。 余す所なく いちーから十まで は彼の心中が余す所なく書き記されていた。 何から何まで。すべてに まで わたって。用例彼はこち らが一から十まで指示しないと何もしない男 だ。 数を尽くす 何から何まで残らずす る。全部そろえる。用例 こうして悪事の数を尽くした男はあえない最 期を遂げた。 誰の下の灰まで その家にあるものはすべ て。用例母はかまどの下 の灰まですべて亡くなった父のものだから、 子供たちの勝手にはさせないと言い張ってい た。 <394> 細大漏らさず もれなく全部。用例仕事 上のことは細大漏らさず 上司に報告するようにとの注意があった。 何から何まで 何もかもすべてにわたっ て。何事もいっさい。 用例何から何までお世話いただいて、ほんと うにありがとうございました。 猫も杓子も だれもかれもみんな。 用例洋行帰りといえば んの半世紀前までは超エリートの代名詞だっ たが、今では猫も杓子も洋行帰りだ。 ピンからキリまで 最もよいものから最も悪 いものまで。また、初め から終わりまで。用例ひと口に錦鯉といっ てもピンからキリまで、一匹数千万のものか ら一万円にもならないものまでいろいろで す。 皆が皆 残らず全部。ことごとく。 対したわけではないのだから、何もそう落ち 込むことはないじゃないか。 大切·大事 命あっての物種 何事も命があってこその ことだ。命がなければ しまいだ。用例いくら金を積まれてもそんな 危険な仕事はごめんだ、命あっての物種だか らね。 命から二番目 命の次に大切にしている 番目 ものの意で、非常に大事 にしているもの。用例この壺は私にとって、 命から二番目の大事な品だ。 <395> 掛け替えのない 代わりのもの、予備のものがない。非常に大切な もの、人についていう。用例ぬけぬけと申し ますが、私にとって世の中に掛け替えのない ものと言えば、この女房です。 後生大事 物を非常に大切に保持す ること。後生の安楽を 願って、生きているいま、信仰に励む意か ら。用例その友人が最後にくれた手紙は、今 も後生大事に持っています。 寧中の珠 手放せない大切な宝。最 愛の子供などをいう。 用例このやんちゃ坊主が私にとってはたった 一人の孫いわば掌中の珠なんです。出典 昔、君我を視ること掌中の珠の如し、何の 意ありてか一朝我を溝渠(どぶ)に棄つるや」 (傅玄の詩「短歌行」) 大変・はなはだしい もうこれ以上はいやだと 言いたいほどまで。あき るほどまで。ひどく。用例ゆうべ彼の家でい やというほど酒をごちそうになって、今日は 朝から二日酔いだ。 雲泥の差 非常にかけはなれている こと。用例こと宇宙開発 に関しては、日米間にはまだ雲泥の差がある ようだ。 気が遠くなるよう 意識がぼうっとなってし まいそうなほど、程度が あまりにもはなはだしい様子。用例一戸建て を買わないかと勧められても、ローンの返済 を考えれば気が遠くなるような話だ。 <396> 衍が違う 実力または規模などが、 る。 用例このホテルと僕の常宿としているホ テルとでは、すべての面で桁が違うよ。 大きくかけはなれてい 桁が外れる その程度が、一般とは る。用例彼の実力はこのチームの中では桁が 外れている。 言語に絶する 言葉ではとうてい表現で ている。用例ああいう墓参団の特別番組を見 ながら、強制収容所で死んでいった人たちの 言語に絶する苦労をしのんだ。 酸鼻を極める 目をおおいたくなるほど むごたらしく痛ましい状 態である。用例事故現場は酸鼻を極め、関係 者や報道陣でごったがえしていた。 常軌を逸する 常識では考えられないよ の行為は常軌を逸したものとして厳重に処罰すべきだ。 うな言動をとる。用例彼 たが 箍を外す 規律や制限をなくす。度 を越す。 用例ロック・コ ンサートは、皆がたがを外しての大熱狂ぶりだった。 度が過ぎる 程度をこえている。過度 である。用例酒も度が過 なくないものとなる。 突拍子もない ぎると体にとってよくないものとなる。 常識では考えられない。 調子はずれである。 用例 読子はすれてある用例 だしぬけにそんな突拍子もないことを言われ ると、返答に困ってしまう。 途辙もない 常識からはずれている。 並はずれている。■「途 <397> 轍」はものの筋道の意。用例彼は何か途轍 もないことをして世間の注目を浴びてみたい と、常々口にしている。 とほう途方もない 筋道や常識からひどくか けはなれている。 ■一途 方は、方向の意。用例彼らは学校側に途方 もない要求をつきつけたらしい。 なな 斜めならず ひととおりではない。は なはだしく。回「なのめ ならず」とも。 用例社長はご機嫌斜めならず と見えるが、何かいいことがあったのかな。 矩を踰える 社会的道德や規範を逸脱 する。 姫は、かねざ 羽目を外す し、きまりの意。用例何をやるにしろ、矩を 調子に乗って限度をこえ る。用例宴会だからと こえてはいけないということだ。 いって、あんまり羽目を外さないようにね。 筆舌に尽くしがたい い。用例彼は今では大会社の重役に納まって いるけど、若いころは筆舌に尽くしがたい苦 労を味わってきたという話だ。類筆紙に尽く しがたい 表現することができな ひとなはず人並み外れる 容姿・体力・才能など が、普通の人からかけは なれている。用例彼は人並み外れた企画力の 持ち主だから、必ずうまくやってくれるよ。 方図がない 際限がない。きりがない。 回方図は、際限の意。 用例彼は飲みだしたら方図がないから、酒の 上の失敗は数え切れないほどだ。 程がある 物事の許容できる度合いを欠いたことに対してい <398> う言葉。用例子供だからと思って今まで我慢 していたのだが、いたずらにもほどがある。 あまりにひどい状態なの で、見過ごしてはいられ ない。用例彼の最近の増長ぶりは目に余るも のがある。 目も当てられない あまりにもひどくて、まともに見ていられない。 用例受験した大学すべてに失敗した弟の落胆 ぶりは目も当てられなかった。 繞 一つのことを長い間続け 息が続く る。また、長い間保つ。 用例こんなむちゃな計画を立てられたんで は、こちらの息が続かないよ。 息が長い けている。用例体力がも のをいうスポーツ選手としては、彼は息が長 いほうだ。 一再ならず 一度や二度のことではなく、何度も。たびたび。 用例今まで友人に助けられたことは、一再な らずあった。 次々と絶え間なく人が現 れる様子。用例向かいの 店には、お客が入れ替わり立ち替わり入って 行く。 細く長く続くこと。 用例 商売は牛のよだれという が、とうとう私の代で店の看板を下ろすこと になりました。 <399> 遺を接する 次々と続けて起こる様 子。■「きびす」は「くび す」とも。かかとの意。用例あの年は同じよ うな事件がきびすを接するように起こってい る。 櫛の言を挽く 物事がひんぱんに絶えず 行われる様子。用例社会 では時としておかしなことが櫛の歯をひくよ うに起こるものだ。 付いて回る 「常に付いて離れない。ど 一こまでもつきまとう。 用例いつまでたっても親父の名が付いて回る のには閉口する。 止め処がない 抑制がきかないほど続く 様子。際限がない様子。 用例地球の汚染は止めどがなく広がる一方で ある。 繰り返し起こる可能性が ることは三度ある 高い。用例二度あること は三度あるというから、用心したほうがいい よ。 引きも切らず 次々と、絶え間なく。ひ つきりなしに。用例動物 園には、パンダを一目見ようと子供たちが引 きも切らずに押し寄せる。 古川に水絶えず もとがしっかりしているものは、衰えたようで も、そう簡単に滅びることはない。用例旧華 族のしきたりは、古川に水絶えず、今でも厳 然と残っている。 余喘を保つ 滅びそうなものが、細々 と続いている。 ▣「余喘」 は、今にも絶えそうな息の意。用例土地の人 間が少なくなったとはいえ、郷土芸能はまだ <400> 夜を日に経ぐよっ う。用例被災地の復旧作業は、夜を日に継い で行われた。 夜昼休まずに続けて物事 を行う。昼夜兼行で行 つまらない 味も素つ気もない 用例東京で下宿している息子に電話をして も、いつも味も素っ気もない返事でがっかり してしまう。 味わいやおもしろみが少しもなく、つまらない。 奥が冷める 興味やおもしろみ、また は愉快な気分がそがれ いると、 て、つまらなくなる。用例あの人がいると、 その場の雰囲気を考えず自分勝手な話をする ので、異が冷めてしまう。 曲がない 変化がなく、型どおりで おもしろみがない。用例 せっかく遠方よりはるばるお越しいただいた のに、曲がない接待で申し訳ない。 芸がない ない。おもしろみがな 用例パーティーも、食べて飲む 芸がない。何か楽しいアイディアはないか。 座が白ける それまでの楽しかった雰 囲気がこわされ、その場 の感興がなくなる。用例和気あいあいと和や かな会合だったのに、彼の不用意な一言で すっかり座が白けてしまった。 砂を暗むよう 物事に味わいや情趣がな く、無味乾燥な感じがす <401> る様子。用例就職の世話をしたお礼だといっ て、現金を包んできた若者がいてね。まった く砂をかむような思いだったよ。 張り合いがない こたえかなくやりがいを 感じない。用例教える側がいくら一生懸命で も、教わるほうでやる気がないんだ。まった く張り合いがないったらありやしない。 身も蓋もない あまりに露骨すぎて、情 ない 緒も含みもない。用例確 かに彼は要領の悪い男だが、そうあからさま に頭が悪いんだなんて言ってしまっては身も ふたもないじゃないか。 蝋を暗むよう 文章が味気なく、おもし ろみに欠ける様子。用例 息子は法律家志望なので、毎日蠟をかむよう な法令文や判例文と格闘している。 強い 鬼に金棒 ただでさえ強いものが、 何かを得ることによって て、さらに強くなること。■強い鬼が金棒を 持って一段と強さを増す意から。用例彼のよ うな優秀な選手が我がチームに入ってくれれ ば鬼に金棒だ。 気が勝つ 負けん気が強い。勝ち気 である。用例彼は気が 勝った男だから、どんなにへこたれても決し て弱音は吐かない。 気骨がある 強い信念をもち、容易に は周囲の圧力に負けない 意気がある。用例彼のように気骨がある人間 は我が社にとって貴重な存在だ。頬骨がある <402> 筋金入り 精神や体力などが、筋金 が入っているようにしっ かりとして強い。■「筋金」は、物を強くする ために入れる金属の棒や線。用例彼のお父さ んは社会運動の筋金入りの活動家だったそう だ。 敵も相当なしたか者 だ。用例敵もさる者、ど うやらこちらの考えを見破っているようだ。 手遅れ 時機を逃して、効果のな いこと。■祭りがすんだ 後の祭り 時機を逃して、効果のな いこと。▪祭りがすんだ あとの山車は役に立たない意から。用例事が 起こってから行動を起こしても後の祭りだ。 遅きに失する ころあいを失って役に立 たない。遅すぎて間に合 わない。用例せっかくの対応策も遅きに失し て、何の役にも立たなかった。類遅きに過ぎ る 相手に先を越されて、受 後手に回る け身になる。人に後れな とる。用例相手に先取点を奪われ、指示が後 手に回って勝てる試合を落としてしまった。 事が起こってからあわて 泥棒を捕らえて縄を綱う て対策を立てる。■泥 縄」とも。用例試験の間際になって勉強を始 めても、泥棒を捕らえて縄をなうようなもの ですびと で、いい点などとれるはずがない。類盗人を 捕らえて縄を絢う 始まらない いまさらどうやっても仕 方がない。今からでは無 <403> 駄である。用例戸締まりをしないで出かけて おいて、泥棒に入られたといっても始まらな い。 バスに乗り遅れる 一世の中の動きから取り残 一される。用例ブームだか らといっているが、人はただバスに乗り遅れ まいとして買い求めているにすぎない。 を放って尻すぼめ に合わないこと。用例尻をひってしりすぼめ のようなみっともないことはするな。 六日の蓋蒲十日の菊 時期に遅れて役に立たな いこと。■菖蒲は五月五 日、菊は九月九日の節句の花で、その翌日で は役に立たないことから。用例注文していた 参考書が届いたところで、もう試験はすんだ のだから、六日のあやめ十日の菊だ。参考 「六日の菖蒲」「十日の菊」と、それぞれ単独で も用いる。 的中 あ 当たらずといえども遠からず とお 正しく当たっているわけ ではないが、おおよそ当 たっている。用例彼が結婚を申し込んだという君の今の話は、当たらずといえども遠からずだよ。 核心を衝く 要点を鋭くせめる。 用例 彼の質問が当局者をあわ てさせたのは、隠されている問題の核心をつ くものだったからだ。 急所を衝く 最も大事な点にせまる。 用例あの議員はいつも国 <404> 会で急所をつく問題を提起するので、注目し ている。 肯榮に中る 肝心かなめの点をよく押 さえている。■「肯綮」 は、物事の急所の意。用例地球環境に対し て、環境保全団体は肯緊にあたる問題提起を している。 図に当たる 思ったとおりになる。計 画どおりに物事が運ぶ。 用例新製品が図に当たって、売り上げは一気 に倍増した。 図墨を指す 相手の思惑や肝心な点を 見抜き、ずばりと当て る。用例意地悪な先輩に図星を指されて、彼 女は狼狽した。 すんてつひとさ 寸鉄人を刺す 短い言葉で人の心にくい いる。「寸鉄」は小さい 刃物、転じて警句の意。用例あの評論家は寸 鉄人を刺すような文章を書くので有名だ。類 寸鉄人を殺す 正鵠を射る 物事の要点や急所をしっ かりと言い当てる。 「正鵠」は的の中央の黒点、転じて急所・要所 の意。慣用読みで「せいこう」とも。用例彼の 正鵠を射た意見に、席上のだれもが納得した ようだった。類正鵠を得る 壺にはまる ねらいどおりになる。見 込みどおりになる。用例 あのチームは壺にはまると力を発揮するか ら、前回優勝チームといえども油断はできま せんね。 名は体を裏す 名はそのものの実体をよ く言い当てている。名と っている。用例名は体を 実体とが見事に適合している。用例名は体を <405> 表すというから、男の子だったら丈夫で強そうな名前にしよう。 的を射る まとい 的中する。要点をしっかりととらえている。用例 的を射た質問というのは、それだけ勉強をし ている者にしかできないものだ。 山が当たる 万一の成功をねらってや ったことがうまくいく。 ■うまく金脈を掘り当てる意から。用例今回 の試験では山が当たって、なかなかの成績を とることができた。類山を当てる 突然 足下から鳥が立つ 思いがけないことが突然 身近に起こる。用例今朝 。 の会議で、急に海外勤務を命ぜられた。足下 から鳥が立つとはこのことだ。 地から湧いたよう 予告もなしに突然現れる 様子。用例孤独な老人と ばかり思っていた人が亡くなったあとには、 地からわいたように、次から次へと遺産相続 人が現れた。 付かぬ事 それまでの話とは関連がないこと。だしぬけのこ と。用例つかぬことをお尋ねしますが、ここ にある品はあなたのものではございません か。用法急に話しかけたり、話題をかえたり するときに使う。 不意を討つ だしぬけに事を行う。不 つ 意に襲う。不意討ちす る。用例強そうな相手には、不意を討ってか かるというのも一法です。 <406> 不意を食う だしぬけに何かをしかけ られる。思いがけない目 にあう。用例突然の足払いに、不意を食って 手も足も出なかった。 不意を衝く 相手が油断しているとき 行う。用例不意をついて攻撃をしかけ、これ が見事に成功して大勝した。 降って湧く 突然現れる。突然思いが けないことが起こる。 用例娘に降ってわいたように縁談が持ち上が り、あれよあれよという間に式の日取りまで 決まってしまった。 薮から棒 だしぬけに物事をした り、言ったりすること。 用例やぶから棒に何を言い出すんだい。ゆっ くりわけを聞こうじゃないか。 滞る 足留めを食う 外出・進行をとめられる。 用例ここは昔はよく河川 が氾濫して、足留めを食った所だそうです。 物事がはかどらないで、 足踏みをする メられな 状態に変化がみられな い。少しも進歩しない。用例こんな成績で足 踏みをしているようでは、何のために家庭教育 師を頼んだんだかわからないよ。 ストや事故で交通機関が 利用できなくなる。用例 昨夜の大雪で二万人以上のスキー客が足を奪 われた。 いたち 願ごつこ 双方が同じことを繰り返 して決着がつかないこ <407> と。用例与野党はいたちごっこの議論をして いて、いっこうに進展しない。 牛の歩み 進み方が遅いこと。なか なかはかどらないこと。 用例こんな牛の歩みのような仕事ぷりでは 先が思いやられる。 押せ押せになる 次々と物事が重なって、 のびのびになる。用例依 頼された原稿が押せ押せになって、予定どお りに出来上がらない。 宙に迷う 実現性がなくなり、決着 ーーいもなくなってい る。用例政界浄化の法案が、またまた宙に迷 うことになったらしい。 埒が明かない 物事が思うように進まな い。決着がつかない。 用例環境破壊については、地球規模で考えな いと埒が明かないように思う。 ない・なくなる・なくす 跡を絶つ すっかりなくなる。姿を 消して行方がわからな い。用例かつては夏の風物詩として親しまれ た金魚売りの姿も、今はすっかり跡を絶って しまった。 鳥有に帰す 火災などで、すっかり焼けて何もなくなる。 「鳥有」は「鳥んぞ有らんや」で、何もないの 意。用例隣家の火事の飛び火で、三十年かけ て集めた書物も一瞬にして鳥有に帰した。 灰燼に帰す 火災ですっかり燃えつき る。■「灰燼」は、灰と燃 <408> え残りの意。用例戦火によって町は一夜にし て灰燼に帰した。 影も形もない そこにあったはずの姿や 形がまったく見えない。 あとかたもない。用例ここにはかつて人が住 んでいたというが、今は影も形もない。 楽にしたくもない ほんの少しもない。全然 ない。 用例悪いことをし ていても、反省の色は薬にしたくもない様子 だ。 姿を消す 今まであったものがすっ くなる。用例母親となった彼女からは、以前 の少女のような初々しさは、すっかり姿を消 していた。 かりなくなる。見かけな 底を突く たくわえていたものがす べてなくなる。用例冬山 で遭難した人々は、持っていた三日分の食糧 も底を突き、雪を食べて飢えをしのいだそう だ。 底を払う い状態になる。用例長男の大学進学のために 預貯金も底を払ってしまった。 地を掃う これまであったものが、 すっかりなくなってしま う。何も残っていない。用例例の不名誉な事 件のあと、彼の家を訪れる客の姿は地を掃う ように絶えてしまった。 根絶やしにする 再生する余地がないまで にすっかり絶やしてしま う。根本から除き去る。用例よほどのことで もしないかぎり、暴力団を根絶やしにするこ とは難しい。 <409> 根を絶つ 悪弊や悪い関係などを、 根本からすっかりなくす る。用例二度とこのような不祥事が起きない ように、原因を徹底的に究明したうえで悪の 根を絶つ必要がある。 微塵もない そのような気持ちや考え などが、少しもない。 用例野心などというものは微塵もない、生き る気力すら乏しいのだから。 芽を摘む 小さいうちに処理して、 一大事に至らないようにす る。用例子供の非行を防止するには、早めに 悪の芽を摘むことが大切だ。 もぬけの殻から な脱出していなく 一たこた後の様子。用例ア ジトを見つけて踏み込んでみたものの、すで にもぬけの殻だった。 似る 瓜二つ 顔つきや姿などがよく似 ていること。 たてに二 つに割ったうりの形が同じことから。「瓜を 二つに割ったよう」とも。用例彼の姉さんと 妹は瓜二つで、時々間違えそうになることが ある。 蛙の子は蛙 子はたいてい親に似るも のだ、また、凡人の子は やはり凡人だということ。用例土俵際のねば り腰は父親ゆずりで、さすがに蛙の子は蛙だ。 他人の空似 に、偶然に姿かたちがよ く似ていること。用例街角で亡くなった親父 に似た人に会ったが、他人の空似とはよく <410> 始める・始まる・始め 新しいものが生まれる。 座声を上げる 新しくおこる。用例新し い車庫法が産声を上げてから二か月がたっ た。 隠より始めよ 事を成すには、まず手近 なことから始めよ。まず、 言い出した人から始めよ。■中国の戦国時代、燕の昭王が賢者を集めたいと隠に相談したとき、隠はまず自分のようなさほどすぐれてもいない者を用いるならば、のちに自然と賢者が集まるだろうと答えた故事による。「先ず隠より始めよ」とも。用例隠より始めよ というように、まず提案者の君が率先して事 に当たらなければだめだ。出典「今王誠に士 を致さんと欲せば、先ず隠従り始めよ。隠す ら且つ事わるれば、況んや隠より賢なる者を や」(戦国策」燕策) 口火を切る る。 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点火するための火。用例社内の活性化の口火 を切ったのは彼であった。 呱呱の声を上げる 物事が新しく誕生する。 新しくできる。回「呱呱 は、赤ん坊の泣く声。用例活字印刷に代わる、新しい印刷方法が呡々の声を上げた。 賽は投げられた しはじめたからには、最 後までやり通すほかな い。ローマの武将シーザーがルビコン川を 渡る際に言ったといわれる言葉。「賽」は、 <411> 「采」とも。用例賽は投げられたのだから、あ とは頑張ってやるだけだ。 緒に就く 物事に着手する。事が実 際に始まる。しょは 「ちょ」とも。用例地球環境問題について何を すべきか、国の施策もようやくその緒に就い たというところです。 新紀元を画する 新しい時代の始まりを明 らかにする。用例ピカソ は美術界に新紀元を画する偉大な画家だっ た。 端を発する 物事がそこから始まる。 る 一それが原因となって物事 が始まる。用例両国のいがみあいは、国境を めぐる争いに端を発している。 端を開くたんひら 糸口をつけて始める。あ ることがきっかけとなっ て事が始まる。用例その紛争は食糧問題に よって端を開いた。 手を染める 新しい事柄にかかわる。 は数年前から、出版以外に不動産にも手を染 めているらしい。 手を付ける 仕事などを実際に処理し はじめる。新しくとりか かる。用例新しい仕事も、完成予定日を考え ると、そろそろ手をつける必要があるな。類 手が付く 乗り掛かった船 一度しはじめたことを、 途中でやめられないこ と。乗った船からは、岸へ着くまで下りら れないことから。用例この共同研究は乗り掛 かった船で、そう簡単にやめるわけにはいか ない。 <412> 煙火を上げる 事を起こすきっかけとな る行動を始める。用例ナ チスに対して、ヨーロッパ各地の青年たちが レジスタンスののろしを上げた。 上がる よく広がる。用例今回の 事件を機に、若手議員の間から政治改革の火 の手が上がった。 火蓋を切る 戦いや競争を開始する。 は、火縄銃の火皿をおおうふた。火蓋を開け て発砲の用意をする意から。用例いよいよ世 界陸上の火蓋を切って、百メートル競走が始 まった。願火蓋を切って落とす 行動を起こす。 ■火蓋 蓋を開ける 実際に事を始める。また、 何かが始まって、その結 はありますが、当落は蓋 果を見る。 用例自信はありますが、当落は蓋 を開けてみなければわかりませんからね。 物事が始まる。 用例ピー 新しいポピュラー音楽の幕が開いた。類幕を 開ける トルズの出現によって、 神興を上げる 物事にとりかかる。 「腰」を「奥」にかけてい う。腰をあげて立つ意から。「神輿」は、「御 輿」とも。用例新製品の開発に、我が社もよ うやくみこしを上げた。 指を染める ある物事をやりはじめ る。用例定年後は、陶器 つもりでいます。 作りに指を染めるつもりでいます 文物が発生し、発展発達 をした所。■「揺籃」は、 代文明の揺籃の地です。 揺りかごの意。用例メソポタミア地方は、古 <413> ナーが墨に出たので注意しないといけない。 さっと入浴して出てしま うこと。用例うちの子供 はお風呂が嫌いで、冬の寒い夜でも烏の行水 です。 光陰矢のごとし 月日のたつのが早いこ と。■「光」は日、「陰」は 月の意。用例卒業後もう四十年か、まさに光 陰矢のごとしですね。 脱兎の勢い 動作が非常に速い様子。 ■脱兎は、逃げ出すう さぎの意。用例子供はお菓子をもらうと、脱 吉報がもたらされたので、宙を飛ぶように出 かけて行った。 目にも留まらぬ 一に速い様子。動きのすば やい様子。用例舞台での早変わりは、目にも 留まらぬ速さで行われた。 ぼれる 犯人などの足取りがわか る。また、犯罪解明の糸 口が見つかる。用例現場に残された遺留品か ら、犯人の足がつくことが多い。 <414> お里が知れる 立ち居振る舞いやおしゃ …ご、生まれや べりなどで、生まれや 育った環境がわかる。用例食事の仕方を見て いると、お里が知れるというものだ。 壁に耳あり 内密に話していることが 他に漏れやすいこと。 「壁に耳」「壁に耳あり障子に目あり」とも。 用例おい、気をつけなよ。壁に耳ありだ。だ れが聞いているともしれないからね。 生まれつきの性格や、隠 生地が出る していた本性が現れる。 用例教養というものは、少し話をしていると すぐに生地が出るものです。類生地を出す 地が出る 取「い隠していた本性 や癖が現れる。用例彼は 興奮するとつい地が出て、関西弁でまくした てる。類地を出す 地金が出る ふだんは隠していた本性 や癖が現れる。 用例仕事 はまじめにやるし、人当たりのいい彼だが、 お酒を飲むと地金が出て凶暴になる。類地金 を出す 尻尾を出す 隠し事や悪事がばれる。 正体を現す。■きつねや たぬきなどが化けても、しっぽを出して見破 られることから。用例警察の根気よい追及に よって、犯人もとうとうしっぽを出した。 尻が割れる 隠していた悪事などが明 らかになる。用例大掛か りな詐欺の計画も、仲間割れによってしりが 割れてしまった。 底が割れる 見破られてしまう。用例 すぐに底が割れるよう いいかげんな男でね、すぐに底が割れるよう <415> 種が割れる 隠されていた事実や原因 がわかってしまう。用例 すぐに種が割れる手品ほどおもしろくないも のはない。 ねたが挙がる 証拠を手に入れる。回ね たはたねを逆さに読 だ隠語。用例いくら犯行を否認しようが、 ちゃんとねたがあがっているんだ。 馬脚を現す 取り繕い隠していた本性 や実力がばれる。■芝居 で馬の脚になっている役者が姿を見せてしま う意から。用例英語は自在にしゃべると広言 していたのに、海外旅行をして馬脚を現して しまった。 化けの皮が剝がれる 隠していた本性、真相な どが現れる。用例善人で 通していた彼も、これでとうとう化けの皮が はがれてしまった。類化けの皮を剥がす 星が割れる 犯人が判明する。回星 は、犯人の意。用例この 事件も時効寸前になって、ようやくホシが割 れた。 複ね出す 隠していた欠点や失敗が 現れる。 用例稽古を積ん でいないものだから、本番でぼろを出してし まった。類複樓が出る めっきが剥げる 体裁を取り繕いきれなく なって、本性が現れる。 用例取引先の相手とは仕事上うまくいってい たのだが、酒の席でめっきがはげてしまった。 面が割れる 捜査当局に顔が知られ る。 用例その当時は面が 割れているわけじゃなし、大手を振って街を <416> 体が空く 特に予定していることがなく、時間がある。ひま ができる。用例来月は体があいているから、 仕事を手伝おうか。 所在がない することもなくて、時間 さただ。用例日曜の午後、所在がないものだ から、古いアルバムをひっぱり出してながめ ていた。 をもてあます。手持ちぶ 手が空く 一つの仕事が終わって、 ひまになる。用例明日は 子供と遊ぶつもり 手があくから、久しぶりに子供と遊ぶつもり だ。頬手がすく 暇に飽かす 利用する。用例あのころ ひまな時間をふんだんに は、暇に飽かして文学書を読みあさったものだ。 暇を潰す 何かをして、することも ない時間を過ごす。用例 約束の時間よりも早くついたので、近くの書 店に入って暇をつぶした。 暇を盗む 忙しいなか、ほかのこと をするために少しの時間 を利用する。用例よく暇を盗んでは、映画を 見に行ったものです。 無聊をかこつ 退屈で、どうしたらよい かわからない。用例定年 後はこれといって趣味もなく、毎日無聊をか こっている。 <417> 忙中閑あり 忙しいうちにも、仕事から離れられるちょっとし た時間はある。用例才能のあるやつというの は、忙中閑ありで、趣味を楽しんでいる。 聞が持てない 時間があいてしまったり 会話がとぎれたりしたと きに、何もすることがなくてどうしてよいか わからない。用例彼は無口だし、共通の話題 もないから、二人きりになると間が持てなく て困る。 不合理不当 かたてお 片手落ち 払うべき配慮が一方に偏 していること。不公平。 用例けんかは両成敗、双方ともに処罰をしな ければ片手落ちになります。 木に竹を接ぐ 用例木に竹を接いだような回答で、いまひと つ納得できなかった。 沙汰の限り 是非を問う必要もないほ ど、明らかに悪いこと。 用例親に隠れてたばこを吸い、バイクを乗り 回すとは沙汰の限りだ。類沙汰の外 筋が通らない 物事の道理に合わない。 言うことすることに一貫 性がない。用例もう契約もすませたのに、今 になって一方的に断ってくるなんて筋が通ら ないじゃないか。 話のつじつまが合わな てにをはが合わない い。回助詞・助動詞など の用法が正しくない意から。「てにはが合わ <418> ない」とも。用例彼の話はいつもてにをはが 合わなくて、のみこむのに苦労する。 平仄が合わない 道理が成り立たない。つ じつまが合わない。平 仄」は、漢詩を作るとき、韻を整えるための ひようじそくじ 平字と仄字の配列規定。用例選挙演説では、 平仄が合わないことばかり聞かされている。 いての外もっほか 思いもかけないこと。常 と。論外。用例いい年をして、親に小遣いを せびるとは、もっての外だ。 ふさわしい 言い得て妙 実にうまいことを言ったものだ。うまく言い表さ 板に付く れている。用例職場の一人一人の言動を逐一 部長に報告している山田君を、VTRとは言 い得て妙。 その地位や職業などがそ の人にぴったり似合った 感じになる。■「板」は舞台の意で、役者が経 験を積み芸が舞台に調和する意から。用例彼 も主力選手の一人に成長して、プレーぶりも 板についてきました。 型のことく 物事が決まった型のとお りに、また、一定の形式 に従って行われる様子。用例演奏会には型の ごとく盛装して出かけていった。 好一対 似合いの組み合わせの一対。よく似合う一組み。 用例決勝戦は好一対の両チームの対戦とな り、その戦いぶりが注目された。 <419> 様になる 何かをする様子や、成し 遂げた結果などが、それ にふさわしい格好になる。用例あまり器用そ うに見えない彼だが、調理場に入って包丁を 持つと様になるから不思議だ。 性に合う 生まれつきの性質・好み にぴったりである。用例 私にはにぎやかな都会よりも、田舎での生活 こっこっこっよこです。 が性に合っているようです 自分にふさわしい仕事や 地位につく。満足な境遇 自分にふさわしい仕事や 地位につく。満足な境遇 を得る。用例本好きな彼は図書館に就職でき て、やっと所を得ることができた感じだ。 名に恥じない 評判だけでなく実質も 伴っている様子。用例今 回来日したオーケストラは、名に恥じない演 奏をして帰っていった。 文字通りもじどお 文字に書いてあるとお り。言葉の意味のとおり で、誇張のないこと。用例彼はギャンブルに のめり込んでしまい、文字通り一文無しに なってしまった。 宜しきを得る 方法などが適切である。 る。用例監督の緩急よろしきを得た指導で、 選手たちはめきめきと力をつけていった。 割れ鍋に緩じ蓋 どんな人にもそれにふさ わしい配偶者があるとい うこと。綴じ蓋」は、修繕したふた。割れ たなべにもそれに似合うふたがあるという意 から。用例紹介する、女房だ。割れなべにと じぶたってやつで、僕にはいい女房だよ。 用法自分が謙遜して用いるが、相手に対して 使ってはいけない。 <420> 影が薄い 元気さが見られない。地 味で目立たない。印象が 弱い。用例学生のころは影が薄いやつだった が、よくここまで出世したものだ。 鳴かず飛ばず 別にこれといったことも していない状態。目立っ た活躍もせず、忘れられたようになっている 様子。用例今年の成績はとうとう鳴かず飛ば ずに終わった。出典三年蜚ばず鳴かず」史 記」楚世家) ばっとしない 特に人目を引かない。あ まりよくない。用例どの 店も、今度の新製品の売れ行きはぱっとしな いようだ。 左前になる 主人の病気で商売も左前になった。 喪頭蛇尾 初めは盛んだが、終わり は勢いをなくすこと。 用例 スターを一同に集めて開かれたオーク ションも、竜頭蛇尾に終わった。 不相忘 柄にもない その人に似つかわしくな い。 「柄になぃ」とも。 用例マリン・スポーツだなんて、彼も柄にも ないことをするもんだね。 雑魚の魚交じり 小物が大物の中にまじっ ていること。小人物がふ <421> さわしくない境遇にいること。用例あいつ、 たいした仕事もしてないくせに大きな顔をし て、ああいうのを雑魚のとと交じりというん だ。類鱓の魚交じり 相撲にならない 力が違いすぎて勝負にな らない。用例プロとアマ とでは力の差は歴然だ。どだい相撲にならな いよ。 提灯に釣り鐘 程度に差がありすぎて、 つりあいのとれないこ と。■形が似ていても、大きさ・重さは比べ ものにならないことから。用例君の家と僕の 家とではちょうちんに釣り鐘、君のご両親は 僕など問題にもなさらないだろう。用法縁談 の場合に多く使う。 月と驚つきすっぽん 二つのものの違いが大き すぎること。用例日本と ヨーロッパの大学を比べたら、月とすっぽん ほどの違いがあるような気がする。 同日の談ではない 差が大きすぎて、同じよ うには論じられない。 用例彼の実力に比べたら僕などは同日の談で はない。類同日の論ではない 年に似合わぬ 年齢にふさわしくない。 その年齢の人がするとは 思えない言動をする。用例四十にもなろうか というその年でディスコ通いとは、君も年に 似合わぬことをするね。 年寄りの冷や水 老人に似合わない危険な 言動。また、老人の差し 出た行い。用例古希をすぎてオートバイを乗 り回すなんて、年寄りの冷や水というもので すよ。用法他人には冷やかしや戒めに、自分 には自嘲的に用いる。 <422> 似て非なり 外見は似ていても、実際 は違う。用例これらは外 見だけをなぞったもので、本物とは似て非な るものです。 似ても似つかない まるで似ていない。似てもつかない」とも。用例 同じ兄弟なのに、君は兄さんたちとは似ても 似つかない性格の持ち主だね。 身に余る 用例今回の受賞は身に余るもので、なおいっ そうの精進を重ねていきたいと思っておりま す。 自分の身分・地位にふさ わしくない。過分である。 身の程を知らない 自分の能力や身分を心得 ていない。用例まだ駆け 出しのくせにあの作家に原稿を頼むなんて、 彼も身のほどを知らないやつだ。 ききすな 鶏って鶏 まるで違うもののこと。 ムを組んで同じ仕事をするのに雪と墨ではう まくいくはずはないな。 不明瞭 いつすんさきやみ一寸先は聞 将来のことはまったく予測がつかないこと。用例 人生一寸先は闇、一時間あとにどんな運命が 自分を待っているか、だれもわかる人はいな いよ。 やまもの も山の物とも付かない それがどういう性質のも のか、将来どうなるの か、まったくわからない。用例そんな海の物 とも山の物ともつかないことに、資金援助は <423> 得体が知れない そのものの正体がわから れない ない。用例最近話をする ようになった男だが、何やら得体が知れない 人物なので警戒している。 お先真っ暗 将来の見通しがまったく つかないこと。用例今度 の縁談も断られたら、僕の結婚はもうお先 真っ暗です。 鬼が出るか蛇が出るか 何が起こるかまったく予 か 想がつかないこと。用例 鬼が出るか蛇が出るか、気が進まないがとに かく彼に頼んでみよう。 雲を揃む 漠然としていて、とらえ どころがない。用例まる で雲をつかむような話で、僕にはちょっと判 断がつかない。 暗がりの牛 物事の判別がつきにくい こと。■暗い所にいる黒 牛はよく見分けられないことから。「暗がり から牛」とも。用例自転車がライトもつけず に走っているんだから、まるで暗がりの牛 で、運転するこっちは危なくてしようがな い。 黒白を弁ぜず 物事の正邪・是非の判断 用例芸術に ができない。用例芸術に おける性表現の問題に関しては黑白を弁ぜ ず、私には手に負えません。 咫尺を弁ぜず 暗くて、一寸先も見分け がつかない。「咫尺」は、 きわめて近い距離のこと。用例山頂付近は、 噴煙のために咫尺を弁ぜずといった状態だ。 西も東も分からない その土地の様子や事情が まるでわからない。用例 <424> 古い古びる なくなる。用例このテープは風邪を引いてい てくつかなくなっている。 徴が生える て使いものにならなくな 社員がいるものです。 古びて新味がなくなる。 生地がいたんで、穴があ いたり前に突き出たりする。用例主人はいく ら注意しても、ひざが抜けたズボンを平気で はいていくような人です。 <425> 不和 角が立つ 事が荒だつ。人と人の間 が円満にいかない。用例 私の口から注意すると角が立つから、君のほ うから彼に言ってくれないか。 聞陳を生じる 仲が悪くなる。間にす きまができる意から。 用例どうしても譲り合えない意見の対立か ら、長い二人の仲に間隙を生じることになっ た。 犬猿の仲 非常に仲が悪い間柄。 用例あの二人は犬猿の仲 だから、寄るとさわるとけんかをしている。 夫婦・親子・兄弟や仲間 うちに、もめ事が始終起 波風が絶えない 波風が立つ こる。用例お姑さんが口やかましい人で、 同居してからというもの、家の中に波風が絶 えない。 破られる。静かな水面に突然風が強く吹い て波を立たせることから。用例父に若い愛人 ができたことから、幸せだった家庭もとかく 波風が立つようになった。 突然に争い事などが生じ て、平穏な生活や状態が 鎌が入る 一くなる。用例ちょっとし た出来事がきっかけで、夫婦生活にもひびが 入ってしまった。 氷炭相客れず 水と炭のように、性質が 答れず 反対でまったく調和しな い。用例民族紛争は、いっこうに氷炭相いれ ず長引いている。 <426> 平行線を辿る 意見などが一致しないま まである。用例会議での 討議は、いつまでたっても平行線をたどるば かりだ。 摩擦を生じる 意見や感情の対立から、 仲たがいや争いを生じ る。用例冗談のつもりで言ったのだが、それ を彼が真に受けてしまい、摩擦を生じる原因 となった。 水と油 みず あぶら は溶け合わない性質であることから。「水に 油」とも。用例あの二人の性格は水と油、う まくいくはずがない。 互いに性質が合わず、調 和しないこと。■水と油 薄ができる お互いの間にへだたりが 生じる。用例お互い勝手 間に、深い溝ができてし まったようだ。 な生活をしている間に、深い溝ができてし 平稿·不稿 変わったことが起きるよ うな兆しが感じられる、 何となく不気味な静けさ。■嵐のくる前に、 一時風がやむことから。用例数日は何事もな く過ぎたが、何となく嵐の前の静けさが感じ られる。 縁起でもない 縁起の悪いことを言う な。とんでもない。用例 旅行に出かける前に事故の話をするなんて縁 起でもない。 影が差す 不吉な感じがよぎる。よ くない兆候が現れる。 <427> 用例アイドルスターとして若者を魅了した彼 女だが、最近は人気に影が差してきたようだ。 事の成り行きや情勢がど 行きが怪しい うもおだやかでない。 天候が崩れそうだの意から。用例彼らの動き を見ていると、何やら雲行きが怪しいと感じ られてくる。 事なぎを得る 何事もなくてすむ。無事 に終わる。用例走行中崖 下に転落したものの、幸い下はよく耕された 畑だったので事なきを得た。 四海波静か で新春を祝うことができるのは、まことによ ろこばしいことであります。 風雲急な告げる 社会情勢が大きく動こう とする緊迫した不穏な状 態になる。用例相次ぐクーデターの勃発で、 世界は今や風雲急を告げる情勢だ。類戦雲急 を告げる 平凡 可もなく不可もない とりたててよいところもないが、悪いところもな い。普通の。用例うちの主人?まあ、可も なく不可もないといったところね。 沈番も焚かず屁もひらず 特によいこともしないが悪いこともしない。平々 凡々だ。用例学生時代の彼は沈香もたかず屁 もひらず、ちっとも目立つところはなかった。 多芸は無芸 多くの芸に通じている人 は一芸に秀でることがな <428> く、芸がないのと同じであるということ。 用例多芸は無芸、彼の芸はどれをとってもな んということはない。 寗にも楽にもならない 害にもならないかわり に、役にも立たない。 用例彼は毒にも薬にもならない、ただのお調 子者さ。 新鮮さが乏しいこと。 一度煎じたものをまた煎 二番煎じ した茶や薬のこと。用例期待した若手歌舞伎 も先輩たちの二番煎じで、見てがっかりし た。 変哲もない 何も変わったところがな い。取り立てて言うほど のこともない。平凡だ。用例人に勧められて 訪れてみたんだが、なんの変哲もない、ごく 普通の教会建築だったよ。 負ける・降伏・屈伏 一敗地に塗れる 再び立ち上がることがで きないほどの、ひどい負 け方をする。用例激しい企業間の競争で一敗 地にまみれ、とうとう会社を乗っ取られてし まった。出典今将を置きて善からざれば、 一敗地に塗れん(今将軍を任命して、それが 適当でないと、完敗して再起不能となってし まう)(史記高祖紀) 一本取られる 見事にやられる。相手に やりこめられる。■一 本は、柔道・剣道で技が一回決まること。 用例子供に一本取られてしまい、しゃくにさ わって仕方ないが、一面、頼もしくも思う。 類一本参る <429> うっちゃりを食う 土壇場にきて立場を逆転 りを食う させられる。用例終始相 手を追い詰めていたのだが、最後のところへ きてうっちゃりを食ってしまった。 相手の力量を認め、とて もかなわないと降参す る。用例君の我慢強さにはかぶとを脱ぐよ。 相手の力量を認め、とて もかなわないと降参す 一ぎにはかぶとを脱ぐよ。 ぐうの畜も出ない おそれ入って言葉もな い。徹底的に打ちのめさ れる。用例最後にはぐうの音も出ないほどの 点差になった。 戦いに負けて服従する。 軍門に降る 敵に降参する。用例むざ むざと相手の軍門に降るようなおれではない よ。 シャッポを脱ぐ 相手の力に及ばないことを認める。降伏する。■ 白旗を上げる 「シャツポ」は、フランス語で帽子の意。用例彼 の造詣の深さには我々もシャツポを脱ぐよ。 抵抗する意思のないこと 用例ここを先途と猛攻撃をかけると、敵もつ いに白旗を上げた。 を表明する。降伏する。 陣門に降る じんもんくだ 戦いに負けて相手に従 う。用例たとえ最後の一 の陣門には降るまい。 兵まで失うとも、敵の陣門には降るまい 相撲に勝って勝負に負ける かたちの上では優位に立 ちながら、結果的には敗 れてしまう。用例態勢が有利のうちに終盤へ きて、最後は惜しくも相撲に勝って勝負に負 ける結果となった。 多勢に無勢 多数に対して小人数で はとてもかなわないこ と。 用例いかんせん多勢に無勢、ここはひと <430> 土が付く 相撲で、負ける。また、 一般に勝負に負ける。 用例大会二日目にして、優勝候補に早くも土 がついた。 手を上げる 降参する。なすすべがな くなって、途中で投げ出 す。用例このくらいのことで手を上げるとは 情けないぞ。 旗を巻く 軍旗を巻き収めて、逃げたり、降参したりす る意。用例僕も議論の半ばで旗を巻いたが、 彼があれほどの論客とは知らなかった。 勝利や成功の見込みがな いとして、降参する。■ 相手につき従う。屈伏す る。用例そんな脅しにひ 相手につき従う。屈伏す る。用例そんな脅しにひ 、こことができるか。 ざを折るような恥ずかしいことができるか。 類膝を屈する 両雄並び立たず 二人の英雄が両立することはできないもので、必 ず争って一方が失脚する。用例幹部候補とし て争うようになると、両雄並びたたずで、い つしか二人は反目し合うようになった。 的外れ・予想外 あ はず 当てが外れる 頼みにしていた見込みが 思い違いに終わる。用例 ボーナスがたくさん出ると思っていたのに、 当てが外れてがっかりだ。 お門違い めざすところを間違える こと。見当違い。■間 ことから。用例私のと 違った家や方向に行くことから。用例私のと <431> ころへ抗議に来るとは、お門違いもはなはだ しい。とんでもない話だ。 すかを食う 期待外れの目にあう。 う 用例競馬にくわしい彼が 勧めるものだけを買ったのだが、全部すかを 食わされた。 ピントが外れる 物事のとらえ方が対象か ら外れている。用例会議 での彼の発言は、検討されていた問題とはど うもピントが外れていた。 ピントがぼける 対象がはっきりしない。 ま点かあいまいである。 用例集会はピントがぼけたような話に終始し て散会してしまった。 まとはず 的が外れる 質問・批評などが、核心 からそれている。用例記 者の大臣に対する質問は、だいぶ的が外れて いるように見えた。類的を外す 密集 のきあらそ 軒を争う 家がぎっしりと立ち並ん でいる。 用例二十年前は 田んぼが広がっていたが、今は住宅街で駅前 には商店も軒を争っている。類軒を連ねる 鼻を突き合わせる 人が非常に近くに寄り合 う。■「鼻突き合わせる」 とも。用例会社の外でも同僚と鼻を付き合わ せるというのはかなわないので、社宅に入る のは見合わせている。 目白押しに並ぶ 多人数がすきまなく並 一ぶ。■メジロは何羽も集 うに木の枝にとまるところ まって押し合うように木の枝にとまるところ <432> から。「目白押し」とも。用例この店の弁当は 評判がよくて、お昼時間になると店先に客が 目白押しに並んでいる。 立錐の余地もない 人が密集してすきまもな い。 ■きりを立てるほど のすきまもない意。用例演奏会場には大勢の ファンが詰めかけて、立錐の余地もなかった。 無值 悪にも付かない はない。 愚にもつかない話を、皆に言い触らすもので ばかばかしくて話にもな らない。くだらない。用例 、皆に言い触らすもので 全体の情勢には影響を与 えない、限られた範囲内 でのもめ事にすぎないこと。用例国としての 対応策が求められている中で、政党内での派 閥争いなど、コップの中の嵐にすぎない。 刺身のつま あってもなくてもよいよ うなもの。添え物。用例 うなもの添え物用例 今度の重役は、もっぽら刺身のつまのような ものだという話だ。 十把一絡げ 個々を取り上げるほど価 値のないものをひとまと めにすること。用例全校生徒を十把一からげ に論じるわけにもいかないでしょう。 たいしたことはない。せ いぜいそんな程度だ。 用例あの連中が騒ぎ立てたところで高が知れ ている。 とた 取るに足りない 問題にする値打ちがな い。つまらない。■取 <433> るに足らない」とも。用例そんな取るに足り ないことでいちいち大騒ぎすることはないだ ろう。 話にならない 話をする価値がない。あ まりにひどすぎて、もの も言えない。用例建築費がそんなにかかるの では話にならない。 骨抜きにする 肝心の部分を取り去って 内容のないものにする。 用例今度の法案は何としても骨抜きにするわけにはいかない。 物の数ではない 数えたてるほどのもので はない。用例彼が一人加 、物の数ではない。 わったからといって、物の数ではない 問題にする価値がない。 もんだい 問題にならない 用例今回、国のとった災 害対策など、どれ一つとっても問題にならない。 益体もない なんの役にも立たない。 い つまらない。用例オート バイがほしいなんてやくたいもないことばか り言ってないで、勉強しなさい。 埒もない 順序も筋道もない。たわ いもない。とりとめもな い。用例あのころは気のおけない友人同士で 酒場に行っては、お互い埒もないことを言い 合ったりして楽しくやっていた。 無駄·無用 悪銭身に付かず まじめに働かないで得た 付かず お金は、無駄に使われて すぐになくなる。用例宝くじが当たったと いって喜んだのもつかの間、悪銭身につかず <434> で、あっという間に使い果たしてしまった。 一文にもならない わずかな金にも値しな い。わずかな利益もな い。無駄働きである。用例あの男の手伝いな んか、一文にもならないからいやなこった。 絵に描いた餅 実際の役に立たないこ おくじょうおく 産上産を架す たのだから、絵にかいた餅に終わらせてはな らない。 うな無駄をする。用例こんな小さな町に公会 堂を二つも作ろうなんて、屋上屋を架すよう なものだ。類屋下に屋を架す すでにあることの上に、 重ねて同じことをするよ お蔵になる 癸表しようとしたものが とりやめになる。公開さ 書いた僕のシナリオ作品 れない。 用例初めて書いた僕のシナリオ作品 お釈迦になる は、企画会議の席上でお蔵になってしまっ た。顔お蔵にする 出来が悪くて、使いもの にならずに終わる。 用例 やっぱり安物だね。ちょっと使っただけなの に、もうお釈迦になってしまった。類お釈迦 にする おじゃんになる やりかけていたことや予 定していたことがだめに なる。物事が失敗に終わる。用例東欧への旅 行は、政情が不安でおじゃんになった。 帯に短し褙に長し どっちつかずで使い道の ないもの。用例家にある ものですまそうとしたのだが、いずれも帯に 短したすきに長しというものばかりだ。 河清を俟つかせい 実現の望みのないことを 待つ。■常に濁っている <435> 黄河の水の澄むのを待つ意。「百年河清を俟 つ」とも。用例領土の返還問題を、河清をま つ思いで見守っている。出典「周詩に之有り、 じんじゅいくばく 曰く、河の清を俟たば、人寿幾何ぞ(周の詩 に言っている。黄河の澄むのを待っていたの では、人の寿命はいくらあっても足りない)」 しゅんじゅうさしでんじょうこう 「春秋左氏伝」襄公八年) 屑透かしを食う 気勢をそがれて、無駄に 終わる。用例決勝戦は何 としても物にしてやると意気込んでいたの に、朝からの大雨で順延になり、肩透かしを 食わされてしまった。 西餅に帰す 予定や計画が徒労に終わ る。■「画餅」は絵にかい た餅で、食べられないことから。用例父の突 然の死によって、間近に控えていた米寿の祝 いもついに画餅に帰す結果となった。 机上の空輪 理屈ではそうなるという だけで、実際の役に立た ない意見。用例政策立論の場で、そんな机上 の空論はいいかげんやめていただきたい。 九仞の功を一簣に虧く 長年努力してきたことが、最後の詰めを誤った が、最後の詰めを誤った ために失敗に終わる。「九仞」は、非常に高 いことの形容。「簀」は、土を盛るもつこ。高 い築山を作ろうとして、あと一もつこの土を 盛れば完成するというときに失敗する意。 用例三年間もかかった仕事がようやく完成と いうときに、つまらないミスをおかして、九 仞の功を一簀にかくことになってしまった。 出典「山を為る九仞、功を一簀に虧く」(書 経旅奘) 空中機關 空中に高い建物を築くよ うな、実現不可能な事 <436> 柄。架空の事柄。用例今回示された新しい都 市計画は、空中楼閣のようなものだった。 御破算になる それまでの経過が無駄に なって、何もなかったも との状態に戻る。■「御破算」はそろばんで、 先においたたまを全部払って零にすること。 用例莫大な資金援助も、政権の変化によって は御破算になるかもしれない。 砂上の楼閣 計画。回砂の上に建てられた高い建物の意か ら。用例君の話はすばらしいが、そんなの砂 上の楼閣だよ。 不安定で崩れやすい物 事。実現の見込みのない 死人に口無し 死んだ者は何の釈明もで きない。用例都合の悪い ことはみんな亡くなった人のせいにする。死 人に口無しというわけだ。 釈迦に説法 すでにその方面に通じて いる人に教えを説いても 無駄であること。あえて言う必要のないこ と。用例君のようなベテランには釈迦に説法 だろうが、それでもひとこと言っておく。 水泡に帰する 努力してきたことが無駄 になる。用例半分以上打 ち込んでいたワープロ原稿が、突然の停電に よって水泡に帰してしまった。類水の泡にな る 宝の持ち腐れ 役に立つものを持っていても、それを活用しない こと。用例人並み以上の体格をしているんだ から、その体格を生かさなければ、宝の持ち 腐れになってしまうよ。 豊の上の水練 理屈は知っていても、実 際の用に立たないこと。 <437> 用例実際に外国へ行ってみると、学校で学ん だ語学など畳の上の水練にすぎなかった。 月夜に提灯 必要のないこと。無駄な こと。明るい月夜に提 灯はいらないことから。用例ただ野原を歩く だけなのに登山靴なんて、月夜にちょうちん だよ。 少しも効き目のないこ と。「銭」は、材木をつ なぐためのコの字形のくぎ。用例あの男にい くら忠告してみたところで豆腐にかすがい だ。 赤ん坊や権力者のよう に、道理の通じないもの とは争っても無駄である。用例頑固親父も、 泣く子と地頭には勝てぬのたとえどおり、孫 にはまったくたわいがない。 二階から目薬 二階から下にいる人に目 薬をさすように、思うよ うにいかず、もどかしいこと。成果の危ぶま れること。用例二階から目薬をさすような海 外援助はやめてもらいたい。 糠に釘 強をしろといってもぬかに釘ですから、ほっ たらかしにしております。 猫に小判 こばん いくら値打ちのあるものでも、それがわからない ものには無用であること。用例遺産として書 画骨董を相続したが、私には猫に小判なの で、すべてを市の美術館に寄贈した。 暖簾に腕押し 力を入れて働きかけても 手ごたえがなく、張り合 例何度注意してものれんに いがないこと。 用例何度注意してものれんに <438> 腕押しで、いっこうに生活は改まらない。 ふいになる 今までにしたことや得たものが、すべてむなしく なる。無駄になる。用例急病になり、せっか く手に入れた芝居の切符がふいになってし まった。頼ふいにする 豚に真珠 どんな貴重なものでも、 その価値を知らないもの には何の役にも立たないこと。用例いくら宋 版の書物といっても私には豚に真珠ですか ら、研究者であるあなたが持っていたほうが いいと思って持参しました。 下手の考え休むに似たり 知恵のない者がいくら考 えても、時間を無駄にす るだけで何の用にも立たない。用例あれだけ 考えて、その程度の手立てしか浮かばないの か。下手の考え休むに似たりだな。 棒に掻る 努力や苦心を無駄にして しまう。用例上司に反論 したばっかりに、昇進を棒に振ることになった。 骨折り損のくたびれ鑑け 苦労しただけで結果は何 も報われず、疲れだけが 残ること。用例収穫を目の前にして台風に襲 われ、作物はあらかただめになった。半年の 苦労は、骨折り損のくたびれもうけに終わっ た。 ミイラ取りがミイラになる 人を連れ戻しに行った者 が、行ったきりで帰って こない。また、相手を取り込むつもりが、か えって相手に取り込まれてしまう。用例子供 を迎えに行ったのに、ミイラ取りがミイラに なって、自分も上がり込んでおしゃべりをし てくるとは、しょうのないやつだ。 <439> 道草を食う 行いの半ばで、本来の目 的からはずれたことをす る。用例大掃除をしていたら古い写真が出て きて、懐かしさにかられて長い間見入ってし まい、たいへんな道草を食ってしまった。 無貳足を踏む せっかく出かけたのに徒 労に終わる。用例久しぶ りに友人を訪ねてみたが、あいにくの留守で 駄足を踏んだ。 苦労したことが何の結果 無駄骨を折る つもたらさない。用例皆 から非難されている人を弁護したところで、 無駄骨を折るだけだ。 無に帰する まったくなくなってしま う。無駄になる。用例ど んなにすぐれた芸術作品も、その時代によき 理解者がいなければ無に帰することもある。 無にする 無になる 役に立たなくする。相手 の厚意などを無駄にす る。用例あなたの助言を無にする結果となっ てしまったことを後悔しています。 一生懸命してきたことが 受からなくても、今までしてきたことのすべ てが無になるわけではないよ。 あっても役に立たず、か えってじゃまなもの。 用例年をとると、なまじの財産なんて無用の 長物です。 元の木阿弥 せっかくの苦労や努力が 無駄となり、以前の状態 に戻ってしまうこと。用例せっかく鍛えた体 も、しばらくトレーニングを怠けていたら元 の木阿弥で、すっかりなまってしまった。 <440> 元も子もない すべてをなくして何もない。努力がすべて無駄に なる。用例仕事が忙しいのはわかるが、体を こわしてしまっては元も子もないから、あま り無理するなよ。 焼け石に水 わずかな労力や援助で 水 は、何の効果も上がらな いこと。用例終了間際になってようやく一点 を返したところで、大量点の前には焼け石に 水だ。 誌が本筋からはずれる。 横道にそれる 用例先生の授業はすぐ横 道にそれたが、それがまた楽しかった。 苦労したのに何の成果も し ない。用例外国へ出かけ て行って語学の勉強をしたけれども、結果は 労して功なしだった。 頭をもたげる 目立つ 勢力を増して、人々に知 られるようになる。台頭 する。用例最近では、現代の若者の脆弱な 気質を象徴するかのように、新興宗教が頭を もたげてきている。 異彩を放つ きわだってすぐれている。ひときわ目立ってい る。用例同世代の画家たちの中で、彼の作品 は異彩を放っている。 紅一点 特によく目立つこと。ま た、多くの男子の中に女 子が一人だけまじっていること。面の緑の中に一群れの赤い花が咲いていることの形容から。王安石の詩万緑叢中紅一点から <441> 出た言葉。用例クラスの中の紅一点成績も 群をぬいてよかった。 光彩を放つ すぐれていて特によく目 につく。用例年少のうち から彼の画すは光彩を放って、人々の目をひ いた。 生気に満ちていてきわだ 彩を放つ って見える。用例久しぶ りに発表された小説は、文章に精彩を放って 多くの読者を引きつけた。 とうかく あらわ 頭角を現す 学問や才能が、ほかの人々よりひときわすぐれ て目立つようになる。用例彼は高校に進んで から、長距離ランナーとして頭角を現すよう になった。出典「子厚少くして精敏、通達せ ざる無し。其の父の時に逮んで、少年と雖も すでおのずかしんしだいざんぜん 己に自ら成人、能く進士の第を取り、嶄然 として頭角を見す(柳子厚は幼少のときから 賢くて、物事によく通じていた。父の存命中 は、少年であったがすでに成人のようで、よ く進士の試験に合格し、ひときわ目立ってす ぐれていた)(韓愈の文「柳子厚墓誌銘」 人目に余る 行い・様子などがとりわ けてよく目立つ。目立ち すぎる。用例兄として恥ずかしいから、あん まり人目に余ることはするなよ。 人目に立つ 人の目につきやすい。特 に目立つ。用例彼女はい つも変わった帽子をかぶっているから、人目 に立ちます。 人目に付く よく人の注目を引く。 用例あんまり人目につく ような服装で外出しないほうがいいでしょ う。 <442> 水際立つ ほかとくらべて一段と目 立つ。ひときわ目立つ。 用例さすが全日本チャンピオンだけあって、 水際立った演技だった。 目に立つ 立つ。用例建築中のビルが、遠くからも目に 立つようになってきた。 目に付く 目立って見える。用例必 要なものは、いつでも目 、ようにしている。 につくところへ置くようにしている。 〒役立つ 枯れ木も山の艤わい つまらないものだが、な いよりましだというこ と。■枯れ木でも山に風情を添えることか ら。用例お手伝いは何もできないけれども、 枯れ木も山のにぎわいということで出かけて きました。用法自分をへりくだっていうとき に用いる。 腐っても銅 本来値打ちのあるものは、落ちぶれてもそれな りの値打ちがあること。用例盛り場の用心棒 になりさがっていた彼だが、今度の事件では 腐っても鯛というところを見せてくれた。 自家菜籠 中の物 必要に応じていつでも自 分に役立てられるもの。 用例英語は自家薬籠中の物だから、通訳は引 き受けるよ。 捨てたものではない 役に立たなくなったよう に見えても、まだ何とか こりえがある。用例君の提 使える。なかなかとりえがある。用例君の提 <443> 案もまんざら捨てたものではない。大いに参 考にさせていただくよ。 大きいものは小さいもの 大きいものは小さいもの の使い道をももってい る。用例キャンプへは、大は小を兼ねるから といって、大きめのなべ一つにした。 茶腹も一時 ちょっとしたものでも一 時しのぎになるというこ と。茶を飲んだだけでも、一時は空腹を満 たすことから。用例茶腹も一時というから、 こんなものしかないけど、食べていきなさい セっ道具 一組みにして持ち歩く 種々の道具。用例どこへ 行っても、かばんの中に七つ道具はそろえて いますから大丈夫です。 物を言う 力を発揮する。役に立 つ。用例あちこちと取材 して回るときには、やはり自動車が物を言 う。類物を言わせる よう た 用に立っ 使用することができる。 立つ。用例何かというときには用に立つの で、彼は重宝がられている。 やり直す 新規誨き直し それまでのことはなかったものとして、改めてや り直すこと。用例今回は見事失敗しました が、新規まき直しで再度取り組みます。 詠目を出す 欠点を指摘してやり直し を求める。用例演技につ 出す監督です。 いては、納得するまで駄目を出す監督です。 <444> 白紙に返す 何もなかった状態に戻 正が発覚した す。 用例不正が発覚した ので、試験は白紙に返すことになった。 撮り出しに戻る いちばん初めの状態にす 出発点に帰る。用例 人生は振り出しに戻ることができないことを 考えて、進路は慎重に決めなさい。 有利 地の利を得る 地元で開催されるだけに、地の利を得た戦い になるでしょう。 旗色がいい 試合や論争などの形勢が 優位にある。用例まだ双 分がある 方無得点のままだが、我がチームのほうが旗 色がいいように思う。対旗色が悪い 此べるとまさっている。 勝ち目がある。 用例メン バーの力が平均して高いだけ、こちらに分が あるような気がします。対分がない ボイントを稼ぐ ほかから評価されたりし て、有利な立場を得る。 運動競技で、得点をあげることから。用例 海外でのイベントを成功させて、彼も今回は ずいぶんポイントを稼いだようだな。 予想・見込み・見当 青写真を描く 物事の計画や見通しを立 てる。未来の姿を想像す <445> る。回「青写真」は、設計図の意。設計図の複 写に青写真が用いられることから。用例市長 選に出馬するに当たって、私は十年後二十年 後の市の青写真を描いているのであります。 付ける る。用例地図を見て当た りをつけてきたから、君の家はすぐわかった よ。 おもっぽ思う壺 もくろみどおりになるこ たとおりの結果。■「壺」は、さいころ賭博に 使う壺。読みどおりのさいころの目が出る意 から。用例君から辞表を出したのでは、会社 側の思う壺じゃないか。 勘定に入れる 事前にそのことを考慮し ておく。用例旅先で雨に は勘定に入れていなかっ 降られることまでは勘定に入れていなかっ た。あの大雨にはさすがにまいったよ。類計 算に入れる 見当を付ける おおよその見込みをつける。だいたいこんなとこ ろだろうと考える。用例外出中の母に急用が できたので、行き先に見当をつけて電話をか けてみたが、だめだった。 先が見える 将来どうなるかだいたい 予想がつく。用例彼もも う新人ではないんだから、こんなつまらない 失敗を繰り返すようじゃ、先が見えたような ものだね。用法前途を予見する意味であるが、 主に将来を悲観するような場合に用いる。 算段が付く 都合や方法のめどがた つ。金の工面ができる。 用例算段がつくものなら、今すぐにでも家を 新築したい。 <446> 取らぬ理の皮算用 まだどうなるか決まっていないものをあてにして 計画を立てる。まだためきを捕まえていないのに、すでに皮を売ってもうけたつもりになっているの意から。「取らぬ」は「捕らぬ」とも。用例弟は取らぬためきの皮算用で、まだお年玉をもらわないうちから、使い道を考えている。 長い目で見る 現段階で判断せずに、気 道が開ける 長に将来を見守る。用例 彼は入社してまだ三か月なのだから、細かい やっと糸口が見つかる。 将来に希望がもてるよう になる。用例双方とも和解の意思があることがわかり、示談へ向けて道が開けたような気がする。 見所がある で礼儀正しく、なかなか見所があると社内で 評判だ。 脈がある まだ期待がもてる。見込 みがある。 ■まだ命があ る(から回復する見込みがある)の意から。 用例一度ぐらい断られたからってがっかりす るなよ。話だけは聞いてくれたんだから脈が あるんだよ。対脈がない 先の見通しが立つ。目 処が付く 処」は、目標の意。用例 事故の復旧作業も順調に進み、ようやく開通 のめどがついた。類目処が立つ 目鼻が付く だいたいのところはやり が立つ。用例仕事のほうも目鼻がついたの <447> で、近いうちに家族で温泉にでも出かけたい と考えている。類目鼻を付ける そうな人に目星をつけて、一応当たってみて くれないか。目星が付く 目安が付く てる。用例三か月で原稿を書き上げる目算を 立てていたが、雑用に追われて一か月は遅れ そうだ。目算が立つ 山が見える 苦難の末に、先の見通し がつく。用例クライマッ クスの撮影も無事に終わり、長期の海外ロケ にも山が見えてきた。 功をねらう。用例山を掛けるようなことばかりやってないで、もっと地道な努力をしていくようにしなければだめだ。頼山を張る わずか・少ない なみた 数の涙 エ事なのに、蚊の涙ほどの補助金しか出ない のでは話にならない。 紙一重の産 紙一枚の厚さほどの、ほ んのちょっとした違い。 <448> 紙一重とも。用例今回の選挙では、紙一 重の差で惜しくも当選を果たすことができな かった。 から勤めはじめたのですが、家へは雀の涙ほ ども入れてはくれません。 の際、どちらの泳者の手が先にプールの内壁 に触れたかという程度の差から。用例ホーム まで懸命に走ったが、タッチの差で終電に乗 り遅れてしまった。 爪の垢ほど いなことである様子。 用例彼には情けという気持ちなど、爪の垢ほどもないらしい。 まったくないというわけではない。多少はある。 用例損することも無きにしも非ずだけれど も、世話人を引き受けてくれるか。 猫の額 土地が非常に狭い様子。 ら。用例庭といっても猫の額ほどのものです から、たいしたことはありません。 どうにか言い訳ができる という程度の。ほんのわ すかばかり。用例申し訳ばかりのお土産です が、みなさんで食べてください。 <449> 社会・文化・生活を表す慣用句 <450> になる。用例彼も若いころは人気女優の一人 と浮き名を流したものだ。 風の便り ある人の消息などについ 金棒を引く く。金棒」は、昔夜警などが突き鳴らしな がら歩いた、頭部に数個の鉄輪をつけた棒。 用例隣の奥さん、またあそこで金棒を引いて いる。見つからないように回り道をしよう。 口がうるさい しく感じる様子。用例近所の口がぇ ら、これからは行動に気をつけなさい 人々にうわされる。話 約者のことが、職場でも口の端に上るように なった。 うわさというのは一時の 人の噂も七十五日 ことで、すぐに忘れ去ら れてしまうということ。用例根も葉もない話 なら、人のうわさも七十五日というから気に するな。 人の口に戸は立てられぬ 世間の評判というものは ふせぎようがない。用例 人の口に戸は立てられぬというでしょう。亜 口はすぐに広まるから気をつけなさい。 <451> 人目がうるさい 見ている人がたくさんいる。見られてうわされ てはかなわない。用例人目がうるさいから、 しばらく活動を停止して、改めて出直します。 ひなところけむりた 火の無い所に煙は立たぬ ない。うわさが立つのは、それなりの根拠が あるからだということ。用例試験問題が漏洩 しているというが、火の無い所に煙は立たぬ というから調べる必要がある。 それらしい根拠がないところにうわさなどは立た 運命 霊筠が馬 人生における幸不幸は予 測しがたいということ。 ■中国の北方のとりで近くに住んでいた老人 が飼い馬に逃げられたが、やがてその馬が良 馬を連れて帰ってきた。この老人の息子がそ の馬に乗って落馬し、足の骨を折ったが、そ のために兵役をまぬがれ、戦死せずにすんだ という故事による。「人間万事塞翁が馬」と も。「淮南子」人間訓用例不採用だったか らといって気を落とすことはない。人生は塞 翁が馬、ほかの会社に入ってよかったという ことだって多いんだから。 死生命あり 生き死には天の定めるところであって、人の力で ころであって人の力で はどうにもならない。用例死生命あり、寿命 のことをあれこれ気にしてもはじまらない。 出典司馬牛憂えて曰く、人皆兄弟有り、我 独り亡し、と。子夏曰く、商之を聞けり、死 生命有り、富貴天に在り、と(司馬牛がなげ <452> いて言った、人にはすべて兄弟があるのに、 私にはいない、と。子夏(二商)が言った、私 はこういう言葉を聞いている、人の生死、富 貴になれるかなれないかは、すべて天命であ る、と)(論語)顔淵) 人事を尽くして天命を待つ できるだけのことはやつ て、後は運にまかせる。 用例人事を尽くして天命を待つ。どう出るに しろ、今は結果を待つばかりだ。 天下は回り持ち 人の世のありさまはめぐりめぐっているもので、 貧富貴賤の運命も回りまわっているものだ。 用例天下は回り持ちというから、そのうちに お金もたまるだろうというくらいの気持ちで おりましょう。 泣いても笑っても どうやったところで。物 事が決定的で、変えるこ とが不可能である様子。用例泣いても笑って も、返済期限まであと一か月しかない。 俎の鯉 どうあがいても逃げ場の ない状態。相手のなすが ままに任せるより仕方のない状態。回「俎の 上の鯉」とも。用例今はまないたの鯉、ただ 発表した作品の批評を仰ぐのみです。類俎上 の魚 運不運、幸不幸が、ある 明暗を分ける ことを境にはつきりと になる。用例採用試験では、語学力の差が明 暗を分ける結果になったようだ。 命運が尽きる 運がなくなる。これ以上 生き延びる手だてがなく なる。用例巧みに捜査の網を逃れていた犯人 もついに命運が尽きて、立ち回り先で逮捕さ れた。 <453> おちぶれる 尾羽打ち枯らす 羽振りのよかった人が、 おちぶれてみすぼらしく なる。囗鷹の尾や羽の傷んだ姿から。用例事 業に失敗した友人が、尾羽打ち枯らして故郷 に戻ってきた。 料が身を食う 花柳界などで通人ぶった りいきがったりしている と、知らず知らずに深入りし、ついには身を 滅ぼすことになる。用例あの人はさる大店の 跡取りだったんだが、粋が身を食うというや つで、今はあのとおりさ。 成れの果て ちぶれた結果の状態。 また、おちぶれてしまっ ーーー その老人は、 た人。 用例ベンチに座っているあの老人は、 かつて名医といわれた男の成れの果てだよ。 はらわた 腸が腐る 精神が堕落する。正しい 心を失う。 用例彼は金の ためなら何でもやるというような、はらわた の腐った人間だ。親腹が腐る 見る影もない 哀れでみすぼらしい状態 ない である。用例往年の大女 優といわれた彼女も、今は老人ホームで見る 影もない老後を送っている。 身を落とす おちぶれる。今までより も下層の社会に身を置 く。用例失業後の彼は、盗みを働くまでに身 を落とした。 身を持ち崩す 品行が悪くなり、生活に します しまりがなくなる。用例 男が身を持ち崩すのは、まず酒と女とギャン ブルが原因だ。 <454> 覆せても枯れても どんなにおちぶれても。 今はどんなにみすぼらし くても、人から軽蔑されるいわれはないという気概をこめた言葉。用例僕はやせても枯れてもこの家の血をひく者だ。君らの世話はご免こうむる。 恩惠 お相伴にあずかる となって接待を受ける意。「お相伴」は「ご相 伴」とも。用例ではお相伴にあずかりまし て、遠慮なくちょうだいします。 親の威光や名声が大きい と、子供はいろいろの面 親の光は七光 でその恩恵を受けることができること。 「親の七光」「七光」とも。用例初出馬ながら トップ当選を果たしたのは、親の光は七光と いうやつだ。 おん 思に込せる 施した恩をことさら相手 がありがたく思うように する。恩を与えたことを、相手に意識させ る。用例たいしたことをしてもらったわけで もないのに、そういつまでも恩に着せられる のではかなわない。 おん ゅ 恩を売る 相手から感謝されること を期待して、何かをして やる。見返りを考えて恩を施す。用例恩を売 るようなまねをするほど、僕はいやしくない よ。 千天の慈雨 待ち望んでいたことが、 やっとかなえられるこ <455> と。困っているときのお恵み。■日照り続き のあと、やっと降った雨の意から。用例君か ら融資が受けられるなんて、まさに干天の慈 雨だ。 倉 蒼沙汰がない 何も便りがない。連絡が ない。用例上京して以来 何の音沙汰もないが、元気でやっているのだ ろうか。 久闊を叙する わないこと、便りをしないこと。用例先日は 小学校時代の恩師に久闊を叙する機会を得 て、たいへんうれしかった。 梨の礦 こちらから便りをしても、さっぱり返事のない こと。■「梨」と「無し」をかけ、つぶては投げ たらそのまま返らないことから。用例金を借 りていって以来梨のつぶてなんだから、あい つもひどいやつだ。 解雇 お払い箱になる 不要になって捨てられる。解雇される。■も と、伊勢神宮のお祓いの札を入れた箱を「お 祓い箱」と呼び、中の札は毎年取り換えられ て古い札は捨てられることから、「祓い」を 「払い」にかけていったもの。用例どんなに人 手不足の世の中といっても、君のようにのら <456> くらして働かないのでは、お払い箱になる さ。類お払い箱にする 打ち首になる意。用例あの仕事ぶりでは、彼 もそのうち笠の台が飛ぶだろう。 首が危ない いたのでは会社も苦しいだろう。我々も首が 危ないかもしれんぞ。 前が絮がる 首が飛ぶ 失敗などで、免官・免職 にされる。用例今度の不 正融資事件は、支店長の首が飛ぶくらいでは すまないだろう。 くひ 首にする のことで彼を首にすると は、会社もどうかしていると思うよ。類首に なる 解雇する。用例この程度 くび前を切る 免官・免職・解雇などの 処置をとる。用例会 更生のために工場を閉鎖し、社員半分の首を 切る計画だそうだ。 首を挿げ替える ある役職にある者をやめ させ、あとにほかの者を つける。用例課長の首をすげ替えたからと いって問題が解決するとは思えない。 奉公人などを解雇する。 用例一度店のお得意を怒 らせたくらいのことで暇を出すようなことは しないが、しかしたびたびということでは困 <457> 環境 氏より育ち 家柄よりも、教育の仕方や環境がその人柄を作り 上げるということ。用例氏より育ちだという けれども、あの娘を見ているとご両親がよほ どしっかりしておられるのだと思う。 居は気を移す 場所や環境は、人に大き な影響を与える。用例田 舎に引っ込んでみますと、本当に居は気を移 すということがよくわかります。出典「居は 気を移し、養は体を移す(地位や環境は人の 気持ちを変え、栄養は肉体を変えるものであ る」(孟子」尽心) 所変われば品変わる 場所場所によって、風俗 や習慣は違う。用例所変 われば品変わるで、同じ意味でも言い方はず いぶんと違うものですね。 水は方円の器に随う 人は友達や環境いかんに よって、良くも悪くもな る。■「方」は正方形、「円」は円形。水が容器 の形によって四角にも円くもなることから。 用例水は方円の器にしたがうというが、若い ときは特に交友関係によって生き方が変わる ものだ。 犧牲・命懸け 命を懸ける 命を捨てる覚悟で物事に 打ち込む。用例社運をか <458> けたこの仕事に、私の命を懸けてみたい。 命を投げ出す 死んだつもりで一生懸命 やる。用例子供の病気を 治すためなら、どんなに大変なことでも、命 を投げ出すくらいの覚悟はしている。 体を張る 身体をなげうって行動す る。命懸けで事を行う。 用例やると返事した以上は、体を張って実行 しなければだめだ。 食うか食われるか 相手を倒すか、自分が倒 されるか。命懸けの闘い にいう。用例人気絶頂のライバル同士のライ プは観客にとって最高の楽しみだが、当人た ちにとっては食うか食われるかの正念場だろ う。 今こそが勝敗・運命の決 まる大事な瀬戸際だと、 ここせんど 此処を先途と 力を尽くす様子。用例今年も夏場の商戦を控 え、ピール会社はここを先途と新商品攻勢に 出てきている。 小の虫を殺して大の虫を助ける 小さな物事を犠牲にし て、大きな目的を成し遂 げる。用例新しい政策を実現させるために は、小の虫を殺して大の虫を助ける覚悟がな ければならない。類小の虫を殺して大の虫を 生かす 身命を賄する ある目的のために、命懸 する 一けで打ち込む。用例一昔 前なら、身命を賭してでも国を守るのが当た り前だった。 水火も辞せず 水におぼれ、火に焼かれ るような苦痛や危険もい とわずに力を尽くす様子。用例湾岸戦争の後 処理について、日本は水火も辞せず協力すべ <459> きだというのが彼の意見だった。 みんなの未来の利益のた めに、自分を犠牲にす る。用例平和実現のための捨て石になるつも りで、運動を推進しています。 前に腹は替えられぬ 目前の不都合を逃れるの に、他の不都合は考えて いる余裕がない。用例借金の返済に追われ て、背に腹は変えられず、父に譲られた家屋 敷を手放した。 大事の前の小事 うとすれば、小さな犠牲 が出るのはやむをえない。用例大事の前の小 事で、この際少々の出費は致し方ない。 身を殺す 大切なものを守り通すた め、自分を犠牲にする。 家の使命である。 用例身を殺しても法を弘めるというのは宗教 身を晒す 逃げ隠れせず、危険な状 態にその身を置く。用例 現地取材のカメラマンが砲弾の飛び交う戦場 に身をさらし、戦火のありさまを撮り続けた 勇気は忘れない。 身を拡する 自分を犠牲にする覚悟 で、進んで物事を行う。 用例身を挺して事に当たった救助隊の働き で、被害は最小限にくいとめられた。 教育·教元 おこおしあさせわた 負うた子に教えられて漫瀬を渡るから教えられることもあ る。負うた子に教えられる」とも。用例負 <460> うた子に教えられて浅瀬を渡るともいうか ら、初心者のいうことにもよく耳を傾けたほ うがいい。 教鞭を執る 教師として勉強を教え る。教育者となる。用例 教鞭を執ること二十五年、と言いましても 教育の道に熟練という言葉はありません。 道を付ける 後進を導く。■通路をつ 一くる意から。用例それぞ れの個性に合った職業へ道をつけるのも、教 育の大切な一面です。 孟母三遅の教え 子供の教育には環境が大 事であるということ。 「孟母三遷」三遷の教え」とも。孟子の母 はじめ墓地の近くに住んでいたが、孟子が葬 式のまねばかりするので、市場のそばに移っ た。すると今度は、商売のまねをして遊ぶの で、学校のそばに移った。孟子は礼儀作法の まねをして遊ぶようになったので、母は安心 してそこに住まいを定めたという故事から。 れつじよでん 列女伝)用例子供が幼稚園へ行く年にな ったので、孟母三遷の教えにならって引っ越 そうかと思っています。 藥を啓く 知らない者を教え導く。 啓蒙する。■「蒙」は、道 理にくらい意。用例この書物は、私の民俗学 への蒙をひらいた。 教訓・成め あめふじかた 雨降って地圓まる えって事態が好転する。 用例お互いに言うべきことを言ってしまえ <461> ば、後は雨降って地固まる、うまくいきま す。 座右の銘 常に心にとめている戒め の言葉。回座右は、身 近の意。用例あなたが座右の銘とされている 言葉を教えていただけませんか。 失敗は成功のもと 失敗を反省の材料にして悪いところを改めていけ ば、成功への近道となる。用例一度や二度の 失敗でくじけてはいけない。失敗は成功のも とと言うじゃないか。類失敗は成功の母 前の人の失敗を、後の人 前車の覆るは後車の戒め は教訓とすべきである。 「後車の戒め」とも。用例前車の覆るは後車 の戒めで、僕は父の事業の失敗を常に自分の 戒めとしています。出典前車の覆るは後車 の戒め、秦の世の亟に絶ちし所以の者は、 其の敵迹見るべし(前を行く車がひっくり 返ったら、後から行く車は気をつけなければ ならない。秦の国が早く滅びた理由について は、そのことを秦の通ってきた敵の跡ではっ きり見てとることができる)」(漢書】賈誼 伝)顔覆車の戒め 他山の石 他人のどんな言動も、自 分の知徳を磨くのに役立 つということ。■よその山からとれた粗悪な 石でも、自分の宝石を磨くのには役立つとい う意から。用例彼の失敗を他人事としてすま さず、これを他山の石として、各自自戒すべ きだ。出典「他山の石、以て玉を攻くべし」 しきよう 「詩経」 楽あれば苦あり 楽をすればあとで苦しむ ことになる。世の中はい かりではない。用例楽あれ つも楽しいことばかりではない。用例楽 <462> ば苦あり、そんなことではそのうちに苦しむ ことになるだろうよ。 金錢 ある時払いの催促なし 借金の返済のめどがつい たときに返せばよく、返 済の催促はしないこと。用例まあ相手が君だ から、ある時払いの催促なしということでい いよ。用立ててくれたまえ。 金善をはめる 金をやって口止めする。 用例彼らにはちゃんと金 響をはめておかなくてはだめだよ。それを当 たり前と心得ている連中なんだから。 金が唸る 非常にたくさんの金があ る。用例あいつ投資で成 功したらしく、金がうなるほどあるってうわ さだよ。 金の生る木 いくらでも引き出すこと のできる財源。■金の実 のなる木の意から。用例家に金の生る木があ るわけではないのだから、ぜいたくもいいか げんにしろ。 金は天下の回り持ち 金銭は人から人へと世間 を回り渡るものだ。いま 金がないからといって苦にするなという気持 ちでいう。用例金は天下の回り持ち、金のな いのを悔やんでいても仕方がないさ。類金は 天下の回り物 金を食う 費用が大きくなる。 用例 敷地の買収に金を食うか ら、一等地のマンションが高額になるのは仕 方がありません。 <463> 金を寝かす 金を活用したり利殖など でふやそうとしたりせず に、そのままにしておく。用例目の前に確実 なもうけ話があるというのに、むざむざ金を 寝かしておく手もないだろう。 地獄の沙汰も金次第 何事も金さえあれば解決 がつくこと。■地獄の裁 判も金さえあれば有利にできるという意か ら。用例毎年この時期になると大学の不正入 学のニュースが伝えられるが、いずこも同 じ、地獄の沙汰も金次第というわけか。 自腹を切る す。多く、自分が負担す る必要のない支払いについていう。用例君も 管理職になったのなら、たまには自腹を切っ て部下を飲みに連れていくことも考えなくて はだめだよ。 袖の下そでした こっそり物を贈ること。 また、受け取ること。賄 略。■人目を避けて袖の下からそっと渡す 意。用例袖の下を受け取るようなことは厳に 自分に戒めておかないと身を誤ることになる ぞ。 手付けを打つ 契約をして、その保証と しての金を相手に渡す。 用例十分な資金の見通しもないのに手付けを 打つからこんなことになるんですよ。 真新しい紙幣の様子。特 手の切れるよう に、高額紙幣についてい う。用例彼はいつも手の切れるような一万円 札を五六枚は財布に入れている。 虎の子 使わずに大切にしまって あるもの。■虎は子供を 使わずに大切にしまって 一あるもの。■虎は子供を ということから。用例お年 非常にかわいがるということから。用例お年 <464> 寄りの虎の子の預金を巻き上げるような連中 には、強い怒りを覚える。 無い袖は擬れない 持っていないものは何ともしようがない。出した くても出せない。用例お金を用立ててほしい と言われても、何とかしてやりたいがとても 無い袖は振れないよ。 値が張る 手に入れるのに普通より 金がかかる。値段が高 い。用例こちらは有名ブランド品ですので、 少々値が張ります。 はなぐすり 賄賂を贈る。用例彼には 鼻薬を喫がせる 鼻薬をかがせておいたか ら、それなりの対応をしてくれるだろう。類 鼻薬を利かせる 自分の所持金を使う。 懐を痛める 用例せっかく懐を痛めて 手に入れた古書だから、手放すのが惜しいんだ。 身銭を切る む酒なら、ああ派手にはできないだろう 自分の金で支払いをす る。用例身銭を切って飲 いだろう。 耳を揃える 金を全額用意する。多く、 借金の返済などにいう。 用例貸した金は月末までに耳をそろえて返し てもらいたい。 暮らし・生活 鰻の寝床 間口が狭くて奥行きの深 い建物や部屋。用例この 町は、うなぎの寝床のような商家が立ち並ん ている。 <465> 住み慣れればどんな所で も楽しく暮らせること。 用例こんな片田舎でも住めば都で、今では何 の不自由も感じなくなった。 安心した生活をおくる。 堀に安んず 堀」は垣根のことで、 垣根の内で安らかに暮らす意。用例平和が維 持されていればこそ、私たちも堵に安んずる ことができるのだ。参考「安堵」という言葉は ここからできた。 膝元を離れる 父母のもとを去る。独り 立ちする。用例独立を決 心して、いよいよ両親のひざ元を離れること になった。 きを始めたところだ。 だれの世話にもならず に、独力で生活するこ と。用例娘も大学を卒業し、ようやく独り歩 身が持てない 品行が悪く、きちんとし た生活ができない。用例 いつまでたっても身が持てないようでは困 る。 飯の種 生活していくうえの手 段。用例飯の種をなくす ようなことになっては困るので、少々の不満 は我慢している。 世を渡る 生活していく。生計をた て暮らしていく。用例 芸術家というものは、世を渡ることのへたな 人が多い。 様を食む 給料をもらって生活す る。用例禄をはむ生活を 三十五年続けてきた者に、何か新しいことを 始めよといっても無理だ。 <466> 霊命を繋ぐ どうにかこうにか暮らしていく。用例知り合いから下訳の仕事をもらって、露命をつないでいます。 景気 足が早い 商品の売れ行きがよい。 早いねえ。在庫のほうはまだ大丈夫かい。 諸式が上がる いろいろな品物、物の値段の意。用例最近は 諸式が上がって、我が家の家計も赤字続きだ。 相場や物価が騰貴して、 天井知らず どこまで上がるかわから ないこと。用例物価の上昇は天井知らずで、 国民の生活はこのインフレに深刻な影響を受 けている。 天井を突く 響で高騰を続けていた青野菜の値段も、そろ そろ天井を突いたようだ。 なべぞこげいき鍋底景気 不景気からなかなか脱す ることができず、横ばい を続けている経済状態。用例この鍋底景気は いったいいつ回復するのか、まったく見通し がつかない。参考昭和三十二年の不況に対し ていわれた言葉。 羽が生えて飛ぶよう 商品の売れ行きが非常に て飛ぶよう よい様子。用例この新製 品は発売と同時に羽が生えて飛ぶように売 れ、生産が追いつかない状態だ。 <467> 一度経験したよい思い を、再度期待する。用例 株で一度味を占めると身を滅ぼすとは、亡父 のよく言っていたことだった。 いい楽になる 一として役立つ。用例彼も まだ若いんだし、今度の失敗がいい薬になる でしょう。 幸運に出会う。楽しい経 見る 験をする。用例君だけい い目を見るなんてずるいぞ。今度は僕も連れ ていってくれよ。 痛い目に違う つらい体験をさせられ る。つらい思いをさせら れる。用例彼には対戦するために痛い目に あっているので、今回はなんとしても勝ちた いと思っています。 急の甲より年の功 年配者の経験は貴重であ るということ。回「功」 は、「劫」とも。用例亀の甲より年の功、ここ はあの人にまかせておきなさい。 多くの困難を経験して、 人は立派な人物になる。 用例艱難汝を玉にすというから、つらいことがあっても辛抱して頑張りなさい。 身にしみて苦しい経験を 苦汁を営める する。用例移民した当時 は、苦汁をなめる生活が何年も続きました。 思うように事が運ばず、 苦杯を営める つらい経験をする。用例 一つらい経験をする。用例 無名のチームだからと甘くみて、思わぬ苦杯 <468> をなめさせられた。 類苦杯を喫する 甲羅を経る 長い年月経験を積む。熟 練する。用例甲羅を経た 出来の波がない。 人の芸には、出来不出来の波がない 酸いも甘いも噛み分ける 多くの人生経験を経て、 人生の裏表を知りつくし ている。用例祖父は酸いも甘いもかみ分けた 人で、何でも相談に乗ってくれた。 他人の飯を食う を食う 会での経験を積む。用例 ただぼやっと家業を継ぐよりは、その前にし ばらく他人の飯を食ってくるのもいいだろ う。 他人の間で生活して、社 会での経験を積む。用例 場数を踏む 数多い経験を積む。場慣 れする。用例さすがに彼 は場数を踏んでいるだけあって、すばらしい 演奏を披露してくれた。 身を以て 直接、自分自身で。自分 の体で。 用例身をもって 体験した戦争の悲惨さを、次代に伝えていき たい。 計算 算盤が合う 採算がとれる。計算が合 う。用例値引きしてもそ ろばんが合うはずですから、在庫を減らすた めには値引きセールをすべきです。 算盤を弾く そろぼんはじ 損得を考える。計算する。 用例何を頼んでもすぐそ ら付き合いにくいよ。 ろばんを弾く男だから付き合いにくいよ。 輟尻を合わせる 収支が合うようにする。 用例ずさんな帳簿で、帳 <469> 尻を合わせるのに苦労したよ。頼帳尻が合う 収支を帳簿につけること もせず、すべて手元金で すますこと。大まかな計算方法。用例個人商 店だからといってどんぶり勘定でいいという 時代ではない。 血緣·夫婦·他人 赤の他人 あかたにん まったく血のつながりの ない人。全然関係のない 人。「赤」は、まったくの、の意。用例赤の 他人の君に、この問題でとやかく言われる筋 合いはない。 血が繋がる 血筋が連なっている。血 縁関係である。用例いく らけんか別れとはいえ、血がつながった兄弟 なんだから、兄さんだって君の気持ちはわ かっているはずだよ。 血筋は争えない その一族がもっている特 徴を明白にもっている。 血は争えない」とも。用例血筋は争えない もので、彼も体操選手として嗚らした父親に 似て運動神経は抜群だ。 血は水より濃い 親子・兄弟など同じ血筋 につながるものは、他人 との関係よりも結び付きが強い。用例血は水 より濃いで、彼も幼いころ自分を捨てた母親 を許す気になったようだ。 血を受ける 親を通して先祖の血を受 け継いでいる。先祖・親 の特質を受け継いでいる。用例母親は若いこ ろ評判の美人だったが、その血を受けてあの <470> 血を引く ちひ 親から血筋を引き継いで いる。一族の者たちの特 質を引き継いでいる。用例彼は公家の血を引く家柄の出だそうだが、そう思って見ると、どこか気品のある顔立ちをしている。 血を分ける 縁でつながっている。用例遺産をめぐって血 を分けた者同士が争うなんて、あさましい話 だ。 な生さぬ仲なか 義理の親子の間柄。継 父・継母と継子の間柄。 生さぬ」は、産まなかったの意。用例生さ ぬ仲といっても幼いころから育てられてきた ので、私は今の母以外の人を母親と思ったこ とはありません。 似た者夫婦 似た者夫婦というのか、よく連れ立ってコン サートなどに出かけているようです。 妻が夫よりも体の大きい 夫婦。■蚤は雌が雄より も大きいところから。用例隣に越してきたご 夫婦は、いわゆる蚤の夫婦だが、ご主人のほ うがかなりの亭主関白だ。 腹を痛める 自分で産みの苦しみを味 わう。自分が実際に子を 産む。用例こんなどら息子でも腹を痛めた子 なんだから、かわいくないはずはないでしょ う。 ひとつどだね一粒種 たった一人の自分の子。 最愛の一人っ子。用例一 かわいくてしよう 粒種の女の子だから、彼もかわいくてしょう <471> 路傍の人 ろぼうひと たまたま前を通り過ぎて いく人。自分とは何の関 係もない人。無縁の人。用例彼の話をされて も私には路傍の人ですから、アドバイスなど できませんよ。 結婚 華燭の典 結婚式を祝いたたえてい う言葉。用例お二人は三 年間の交際を通じて愛をはぐくんでこられ、 ここにめでたく華燭の典を挙げられることに なりました。 所帯を持つ 一家をかまえて独立の生 計を立てる。また、結婚 する。用例彼も所帯を持つと、これまでのよ うな自由気ままな生活はできなくなるだろ う。 玉の奥に柔る 普通の女性が、地位や財 産のある男性と結婚して 富貴な身の上となる。玉の輿は、貴人の 乗り物。用例彼女はあの会長の御曹司に見初 められて、玉の輿に乗ることになった。 手鍋提げても 好きな男性と夫婦になれ るのなら、どんな苦労も いやがりはしないということ。用例今どき、 手鍋提げてもという女性はいるもんじゃない よ。 身を固める 結婚して家庭をもつ。 る 用例彼女、なかなかいい 娘じゃないか。君もそろそろ身を固めたらど うだ。 <472> 幸運 有卦に入る れそうだ。 る。■人の一生には有卦と無卦とがめぐって きて、有卦に入ると七年間幸運が続くという 陰陽道の説から。用例彼は彼女との結婚で有 卦に入り、とんとん拍子に出世している。 果報は寝て待て ずに待っているほうがよい。用例いまさらじ たばたしてもしようがないだろ、果報は寝て 待てだよ。そのうちいい知らせが届くさ。 観がいい 縁起がいい。よい前兆 だ。用例朝から茶柱が立 つとはげんがいいぞ。今日は大口の契約がと 幸先がいい よい前兆がある。幸運の 前ぶれだ。用例沖縄旅行 は幸先がいいね。 第一日目から快晴とは幸先がいいわ 地獄で仏に会う 苦しいときや困っている ときに、思いがけない救 いにあう。■「地獄で仏」とも。用例財布を落 として帰るに帰れないでいるところに、ぼっ たり彼と会ったんだ。あのときはまさに地獄 で仏に会った気がしたよ。 たな棚から牡丹餅 思いがけない幸運に恵ま れること。■「棚ぼた」と も。用例人事問題が紛糾したために枠外の彼 が課長に昇進とは、まさに棚からぽたもちだ ね。 付きが回る 幸運が向いてくる。幸運 がめぐってくる。用例四 <473> 月の人事異動で、かねての希望どおり営業部 に配属されることになった。ようやく僕にも つきが回ってきたようだ。 こと。悪い出来事の中で、いくらか慰めにな るようなこと。用例まあしかし、骨折ぐらい ですんだのだから、不幸中の幸いだった。 ここへいらしていたとは、僕も間がいいとき にやって来たものです。対間が悪い 「いい目が出る」とも。用例今度の論文はなか なかのものだ。彼も研究生活十年目にしてよ うやく目が出てきたね。 予想もしていなかった幸 運。用例両親の外出を もつけの幸いと、受験勉強を放り出して昼寝 をむさぼる。 懸懸を通じる 男女がこっそりと情を交 じる わす。用例ライバル会社 の社長の愛人と慇懃を通じて機密を盗むと は、彼らしいやり口だ。 般に閉じ儀もる 自分を外界から隔てて、 いっこうに打ち解けな い。自分の内的世界にこもって、周囲に心を 開かない。「殻に籠もる」とも。用例あのよ うに自分の殻に閉じこもってばかりいるので <474> 肝胆相照らす お互いの心の底まで打ち 明けて親しく交際する。 ■「肝胆」は、心の底の意。用例大学に入学し てまもなく、新入生歓迎会の席で意気投合し て以来、彼とは肝胆相照らす仲だ。出典「肝 胆相照らす、斯を腹心の友と為す(互いに心 の中を打ち明けて親しく交わる、そういうの を腹心の友というのである)(「故事瓊林」 歓を通じる きかける。■「款」は、親 しみ・よしみの意。用例今後のことを考え て、取引先の営業部長と款を通じておくこと にした。 ー 古くからの友人と久しぶ りに会って、昔どおりの 例五年ぶりに実家へ戻っ 付き合いをする。 用例五年ぶりに実家へ戻っ た夜、高校時代の同級生たちが訪ねてきてく れて旧交を温めた。 覇汝の交わり 互いに「おまえ」と呼び合 うほど親しい付き合い。 ■「爾汝」は、「おまえ」と呼びすてにする意。 用例僕と彼とは小学校以来、爾汝の交わりを 続けている。 情を通じる 男女がひそかに肉体関係 をもつ。用例彼女は結局 親のすすめる相手と結婚したが、その後も彼 は彼女と情を通じているらしい。 水魚の交わり 水と魚が切り離せない関 係にあるように、切って も切れない親密な交際。国の歴史書三 国志諸葛亮伝から出た言葉。用例水魚の交 わりを続けて三十有余年、突然彼の訃報に接 し、いまだに信じられない気持ちだ。 <475> せけんせま世間が狭い 社交性に乏しく、交際範 囲が狭い。用例僕は世間 が狭いから、幹事など引き受けても務まらないよ。 世間が広い 社交性に富み、幅広い層 の人々との交際がある。 また、世間的な知識が豊富である。用例先輩 は世間が広いから、きっと君にいい就職口を 世話してくださるよ。 せけんひろ世間は広いようで狭い 世の中は広いようで意外 に狭い。意外な場所で知 人に出会ったときなどにいう。用例君の結婚 した妹さんが僕のすぐ近所に住んでいるなん て、世間は広いようで狭いね。 人と顔を合わせにくいよ うなことをして、交際の 範囲を狭くしてしまう。用例世間を狭くする ようなことばかりしでかして、君はいったいどういうつもりでいるのかね。 世事に疎い 社会の常識やしきたりなどをよく知らない。世間 のことが苦手である。用例先生は研究熱心な あまり世事に疎いところがある。 竹馬の友 幼いときからの親しい友 達。おさな友達。■たけ うまに乗って一緒に遊んだ友達の意。用例二 十年ぶりに彼から電話をもらったが、僕はこ の竹馬の友が昨年からこの町に転勤していた とは知らずにいた。 付かず離れず ついているでもなく、離 れているでもない関係を 保つこと。不即不離。用例同じ会社に勤めて いるといっても、彼とは付かず離れずの付き 合いだ。 <476> 女性が男性に体をまかせ る。用例肌を許した後、 彼は急に私に対してよそよそしい態度をとる ようになったのです。 別頭の交わり 固い信頼によって結ばれ た、きわめて親密な付き 合い。■たとえ首をはねられようと心を変え ないほどの交わりの意。中国の歴史書『史記』 廉頗藺相如伝から出た言葉。用例彼とは入 社以来、刎頸の交わりを結んできた。 枕を交わす 男女が同じ夜具で一緒に 寝る。用例君は知らない だろうが、僕はかつて彼女と枕を交わしたこ ともあるのだよ。 娘に好ましくない男がで きる。用例最近どうも様 子がおかしいが、まさか悪い虫がついたん じゃないだろうね。 元の鞘に収まる 仲直りして、以前と同じ 状態に戻る。用例あの夫 婦、しばらく別居していたが、また元の鞘に 収まったらしい。 焼け木杭に火が付く かつて関係のあったもの は容易にもとの関係に戻 りやすいということ。特に、男女の関係につ いていう。■燃えさしの切り株は火がつきや すいことから。用例学生時代の恋人と偶然に 出会い、焼けぽっくいに火がついてしまっ た。 誰を通じる 親しく付き合おうと働き かける。用例あの会社に は弟がいるので、兄弟のよしみを通じて取り 引きしたいと考えたのだが、うまくいかな かった。 <477> もとどおりの関係にな 緒になる。用例意地の張り合いで別れた二人 だが、一年もしないうちによりを戻した。 る。別れた男女がまた一 和して同ぜず 人と仲良くはするが、理 せす 一由なく同講するようなこ とはしない。用例先生は口癖のように和して 同ぜずとおっしゃっていたが、今ようやくそ の言葉の重みがわかるようになった。出典 「子曰く、君子は和して同ぜず、小人は同じ て和せず」(論語子路) 言葉·表現 平板でなく変化・深みが ある。用例久しぶりに見 るフランス映画は、心理描写、カメラワーク ともに陰影に富んでいて、私を深く感動させ た。 売り言葉に買い言葉 相手の言いがかりに対し て、同じようなもの言い を返すこと。用例売り言葉に買い言葉で、互 いにののしり合っているうちに取っ組み合い の大げんかになった。 咳唾珠を成す ぐれていること。回咳 唾」は、せきとつば。せきやつばのように口 をもれる言葉も、玉のような名句になってい る意。用例プーシキンは天成の詩人で、話す 言葉がすでに美しい韻をふんでいたという。 まさに咳唾珠を成すというやつだ。出典「咳 唾珠玉を成し、袂を揮えば風雲を出す」「晋 書」夏侯湛伝) <478> 換骨寧胎 他人の作品の思想や様式 の骨格を採用し、語句や 構成を変えて独自の作品を作り上げること。 用例この作品は着想も筋も異色なのに、出来 ばえがもうひとつだ。もっと換骨奪胎して書 けば、いい作品になるのではないか。用法他 人の作の焼き直しの意に用いるのは誤り。 出典「その意を易えずしてその語を造る、之 を換骨法と謂い、その意を規摸して之を形容 す、之を奪胎法と謂う」(「冷斎夜話」) 口は 掃の門 凡意な発言は身を滅ぼ すもとであるから、言葉 は十分に慎むべきであるという戒め。回「か ど」は「もん」とも。用例だいたいお前は口数 が多すぎるんだよ。口は禍の門だよ。出典 「口は是れ禍の門、舌は是れ身を斬るの刀」 「宝鑑」願口は禍のもと 言葉の綾 皆が言ったことは言葉の綾で、べつに君一人 を貴めているわけではないよ。 言葉を飾る 美しい表現方法をする。 る 一また、もの言いを取り縫 う。用例言葉を飾るのがじようずなだけで、 人情のかけらもない。 駆も舌に及ばず 言葉は償まなければいけ ない。回駆」は、四頭立 ての馬車。一度口にした言葉は四頭立ての馬 車でも追いつけないほど早く広まるというこ とから。用例馴も舌に及ばずというから、言 葉遺いには注意しなさい。 唐人の寝言 何といっているのかさっ ぱりわからない言葉。 用例いつまでも唐人の寝言のようなことを <479> いってないで、きちんと約束を果たしてくださいよ。 災難 触らぬ神に崇りなし かかわりあいにさえならなければ災いを招くこと もない。よけいなことには手出ししないほう がいいということ。用例彼のような何かとう わさの多い男には接触しないほうがいいよ。 触らぬ神にたたりなしというからね。 前門の虎後門の狼 一難をのがれたと思った ら、また別の災難にあう こと。前門に虎を拒ぎ後門に狼を進む」と も。用例ようやく雪崩をやり過ごしたと思っ たら、今度は深い霧に包まれてしまうとは、 まさに前門の虎後門の狼だ。類一難去ってま た一難 側杖を食う 自分とは無関係なことに よって災難をこうむる。 けんかをしている人のそばにいたばかり に、思いがけず杖で打たれる意から。用例万 引きをしていたグループのそばにいたばかり に一緒に補導されてしまった。まったく、と んだそばづえを食ったものだ。 泣き面に蜂 不運・不幸が重なること。 ■泣いているところをさ らに蜂が刺して泣かすことから。「泣きっ面 に蜂」とも。用例財布をすられたうえに交通 事故にあうとは、まったく泣き面に蜂だ。 馬鹿を見る 損害をこうむったりし て、つまらない目にあ の営業部員の言うことを真 う。 用例証券会社の営業部員の言うことを真 <480> 火の粉が降りかかる 自分とは無関係なことに よって、災難や迷惑をこ うむる。用例一部の同業者が不正を働いてい たことが表ざたになって、我が社にも火の粉 が降りかかってきた。 踏んだり蹟ったり 被害が重なること。続け ふまにひどい目にあうこ と。用例今回の旅行は、天気は悪いわ、子供 は腹をこわすわで、踏んだり蹴ったりでした。 他人の事件に巻き込まれ 巻き添えを食う て損害を受ける。用例テ を食う て損害を受ける。用例テ ロの巻き添えを食う危険があるので、今回の 旅行は中止した。 しなくてもよいことをし たばかりに、思わぬ災難 や面倒を招くこと。■「藪をつついて蛇を出 す」の略。用例納涼会を提案したことがやぶ 蛇となり、幹事にさせられてしまった。 弱り目に栄り目 困っているときに、さら に困るようなことが起こ ること。不運の上にさらに不運が重なるこ と。用例妻が交通事故で入院中のところへ、 今度は子供が病気になるとは、弱り目にたた り目だ。 辞職·引退 骸骨をそう 辞職を願い出る。■役人として主君に捧げた体の 残りかすを願い求める意。用例もう四十年 も勤めたんだ。そろそろ辞めたいと考えてい るよ「骸骨を乞うというわけか」 <481> 詰め腹を切らせる 強制的に責任をとらせて 辞職させる。■「詰め腹」 は、強制的に切腹させられること。用例今度 のことで部長一人に詰め腹を切らせるなん て、会社もひどいよ。 花道を飾る はなばなしい働きをし する。用例彼は最後の試合で見事勝利を決め る得点をあげ、引退の花道を飾った。 腹を切る 責任をとって辞職する。 失敗の責任をとる。■切 腹する意から。用例彼はこれが受け入れられ なかったら腹を切るつもりで、会社に意見書 を提出した。 暇を取る 奉公人が自分のほうから 店をやめて去る。用例う たんですが、故郷のお父 ちに十年いてもらったんですが、故郷のお父 さんの跡を取るとかで、あの人は去年暇を取りました。 身を引く 地位・役割などを離れる。 引退する。用例年も年だ し、息子も一応まかせられるまでに成長した し、今年いっぱいで身を引くことにした。 野に下る 公職から身を引き、民間 の人になる。下野する。 用例私は住民無視の上司の意見をどうしても 受け入れることができず、このたび野に下る 決心をした。 死ぬ 跡を追う 亡くなった人を慕って死 ぬ。用例夫の跡を追うよ <482> うに、ひと月も経たぬうちに夫人も亡くなった。 族に看取られて静かに息を引き取りました。 き。用例母は今はの際に、美しい笑顔を見せ てくれた。 お陀仏になる お迎えが来る 死期が近くなる。仏が 浄土から呼びにくる意。 用例いつお迎えが来ても不思議ではない年齢 になりましたが、まだ元気でいますよ。 死ぬ。死亡することの婉 曲的な表現。回鬼籍」は 過去帳のことで、それに氏名や死亡年月日な どを記す意から。用例今年になって友人が 次々と鬼籍に入るのは、何ともやりきれませ ん。 墓の下。死んだ世界。あ の世。用例祖父も草葉の 陰から、家族の皆を見守っていることだっ。 火葬にされる。死ぬ。■ 煙になる 「煙」は、火葬場の煙。 「煙となる」とも。用例まだやりたいことが いっぱいあるのに、人生の半ばで煙になるの はまっぴらご免だ。 しょうせいお将星隕つ 大将が陣中で死ぬ。英雄 が死ぬ。■蜀の将軍諸葛 とき、その陣中に赤い大 亮が五丈原で死んだとき、その陣中に赤い大 <483> 星が落ちたという故事による。用例将星お つ、の大見出しをつけて、各新聞は将軍の戦 死を報じた。 死を賜る 死ぬことを命ぜられる。 切腹を許される。用例謀 反を働いたかどにより、お上から死を賜る結 果になった。 茶児に付す 火葬の意。用例山で遭難 した兄の遺体は、現地で茶毘に付されること になった。 土になる 死ぬ。その土地で死に、 そこに葬られる。■「土 となる」とも。用例多くの捕虜が日本へ戻る ことなく、異国の土になった。 冷たくなる 死ぬ。死んで体温が下がる。 用例何の手だても施 すことができず、ただ冷たくなるのをみているのはつらい。 審を仰ぐ 毒を飲んで自殺する。 ぬつもりだったらしいが、幸い一命はとりと めたようだ。 亡き数に入る 死者の仲間となる。死に 別れる。用例父も亡き数 に入ってすでに十年、今年は母を野辺に送った。 灰になる 火葬にされる。■「灰と なる」とも。用例すっか り灰になった母と対面したときには、涙があ ふれてとまらなかった。 不帰の客となる 二度と帰らぬ人となる。 人が死ぬことの婉曲的な い間病床にあったが、つい 表現。用例母は長い間病床にあったが、つい <484> に不帰の客となってしまった。 骨が舎利になっても たとえ死んでも。 いなっても 利」は、火葬にした骨の 意。用例たとえ骨が舎利になっても、このご 恩は忘れません。 骨になる なって家族のもとへ帰ってきた。 死ぬ。用例留学先で事故 にあい、弟は小さな骨に つてきた。 骨を埋める 死ぬまでその土地で生活 一する。用例祖父は八十年 前、アメリカに骨をうずめる覚悟で日本を離 れたのだそうだ。 身を投げる 投身自殺をする。用例そ の人は沈んだ顔で僕の隣 に座っていたのですが、電車がホームに入っ てくるとやにわに走り寄って線路に身を投げ たのです。 命数が尽きる えるまでは命数が尽きることのないように 願っている。 える。用例この仕事を終 薬屑となる 海戦や難破などで、海で 死ぬ。用例兄は夜釣りに 出ていてあの事故にあい、海の藻屑となった のです。 楽石効なく 治療のかいもなく。 「石」は石鍼の意で、古く 治療に用いた。用例祖父は葉石効なく、昨晩 死去致しました。 幽明境を異にする 死んであの世へ行く。死 別する。■「幽」はあの 世、「明」はこの世。用例君と幽明境を異に し、はや二十年の歳月が流れた。類幽明相隔 てる <485> 上さ世を去る この世からいなくなる。 死ぬ。用例将来を嘱望さ れながら、彼は二十七歳という若さで世を 去った。 習價·癖 省 百まで踊り忘れず 小さいときに習ったことは、いつまでも忘れな い。子供のころの習慣は年老いてからも忘れ ない。用例今もはめをはずして騒ぐことが好 きなところは、雀百まで踊り忘れずといった ところか。 人には多かれ少なかれ癖 なくて七癖あって四十八癖 があるものだ。回なく て七癖」とも。用例なくて七癖あって四十八 癖といって、自分では気づかなくても、人に は多くの癖があるものだ。 習い性となる 習慣が身につくと、つい にはその人本来の性質の ようになってしまう。用例営業で謝ることが多くて、ついにすみませんと言うことが習い性となってしまった。 三つ子の魂 百まで 魂百まで 小さいときの性質は生涯 変わらない。用例三つ子 の魂百までだね。あの人は子供のころから気 が短かった。 出家 頭を丸める 頭髪をそり落とす。出家 する。用例彼は何か考え <486> るところがあったのか、いきなり頭を丸めて 山にこもると言いだした。 頭髪をそり落として僧尼 となる。用例有名な作家 が髪を下ろすというので、当時は話題になっ たものである。 もとどり 髪を切る 出家する。 回髪は、髪 ところ。用例姉は仏道に帰依すると言っても とどりを切り、その信念を表した。 俗世間を離れる。出家す 世を捨てる る。用例彼は現世に幻滅 し、世を捨てて仏門に入った。 世を背く 出家する。 用例世を背い ーて山で過ごしている身だ から、私に世事を相談されても返事のしよう がないな。 世を遅れる 世をのがれて俗世間との交わりを絶つ。遁世す る。用例彼は最愛の恋人を失ってしばらく は、世をのがれようという気持ちがしきりに 動いた。 出世 いつか一家を成す 学問や技芸などで、独自 の流派を立てて社会的に 重要な地位を占める。用例数学や物理学の世 界では、若くしてあつという間に一家を成す 学者は珍しくない。 にしき かざ錦を飾る 立身出世して故郷へ帰 る。用例事業に成功して いうのが、彼の夢であっ 故郷に錦を飾るというのが、彼の夢であっ <487> 一旗揚げる 新しく事業を始めて、地 自財力を手に入れる。 用例東京で一旗揚げるといって故郷を出て十 余年、いまだに安アパートにくすぶっている。 一花咲かせる なやかな生活を送る。 用例ここらで一花咲かせて、皆をあっと言わ せてやりたいものだ。 身を立てる 立身出世する。 用例彼の 製粉業を興して身を立てた、立志伝中の人で す。 おじいさんは裸一貫から あい出る 立身出世して有名にな る。世間に認められる。 用例彼は新進デザイナーとして華々しく世に 出た。 看板を下ろす る。廃業する。用例百年 統いた老舗も時代の波に押されてとうとう看 板を下ろすという。 土族の商法 商売に向いていない人の する商売のこと。回明治 維新後、士族が慣れない事業を始めて失敗し たこと。また、その商売のやり方のへただっ たことから。用例君が会社をやめて店を出す などと言っても、しょせん士族の商法でうま くいくわけはないと思うよ。 自転車操業 倒産を避けるために赤字 を承知で操業を続けてい 自転車は走っている状 る苦しい経営状態。自転車は走っている状 <488> 態では倒れないことから。用例うちのように 小さな工場は見てのとおりの自転車操業だか ら、これ以上人を雇うほどの余裕はない。 本家を非難していう言 葉。用例クルップ社といえば、第二次世界大 戦までは有数の死の商人として知られてい た。 暖菓を下ろす 商店が廃業する。また、 えて店を閉める。用例佃煮屋として有名な店 だったが、跡を継ぐ者がいなくて、この店も のれんを下ろさざるをえなくなった。 飲食店や商店などで、長 く勤めた従業員に同じ屋 号を名乗って独立することを許す。用例二十 年辛抱して、ようやく主人からのれんを分け でもらえることになった。 商売をやめる。廃業す る。用例息子も月給取り になっちまうし、店を畳んで故郷でのんびり と暮らすことに決めた。 に若者を対象とした店を張って成功した 職業 二足の草鞋 相反するような二つの職業を同じ人が兼ねるこ と。また、一人が二種類の仕事をすること。 昔、ぼくち打ちが捕吏を兼ねることをいっ たことから。用例今まで作家とサラリーマン <489> という二足のわらじを履いていたが、今回の 受賞を機に、文筆業に専念することにした。 畑が違う 専門とする分野が違う。 職種が違う。用例せつか くのお話ですが、私では畑が違いますので、 よろしければ別の人を紹介しましょう。 権力的な立場や地位には 無冠の帝王 いないが、強い力を有す る者。新聞記者の自称。用例こんなちようち ん持ちの記事を書くとは、無冠の帝王が聞い てあきれる。 信仰 願の頭のようなつまらな いわしあたましんじん 願の頭も信心から いものでも、信心の対象 縁起を祝う となれば尊く思われる。■「あたま」は「かし ら」とも。用例錫の頭も信心からで、当人た ちは真剣なのだから、とやかく言うのはやめ ておこう。 よいことが起こるように う と祝い祈る。用例新年に 当たって縁起を祝うというのも、我が家では 父の代から絶えている。 縁起を担ぐ 小さなことでも縁起がい いとか悪いとか言って、 そのことを気にする。用例あのチームの監督 は、一回戦を突破してから縁起を担いで、ひ げをそらないでいるそうだ。 願を懸ける 神仏に、自分の思いがか なうように願い事をす る。用例母は父の手術の無事を祈って、あち こちの神様に願を懸けているようです。類願 <490> 苦しい時の神頼み 日ごろは信心のない人 が、窮地に陥ったり災難 にあったりしたときだけ神に助けを願うこ と。用例いくら苦しい時の神頼みといって も、君の平素の行いではとても神様も聞き届 けてはくださらなぃだろうよ。 御幣を担ぐ からつまらないことを忌 んだりする。用例彼女は若いくせに何から何 まで御幣を担ぐので、旅行の日程もなかなか 決まらない。 縁起を気にしたり、迷信 からつまらないことを忌 菩提を弔う 死者の冥福を祈る。死後 の幸福を祈る。用例祥月 命日は無論のこと、祖母は毎月の命日にもお 坊さんにお経を上げてもらい、祖父の菩提を 弔っている。 人生一生 一期一会 一生のうちに会うのは一度きりであること。 の客と会うのは一生に一度だと思って、心を こめてもてなすように、という茶道の心得か ら。用例一期一会の心がけは、とりもなおさ ず自分の生を大切にすることだと思っていま す。 いつせいちだい一世一代 一生の間に一度しかない 立派なこと。用例この訴 三代の大勝負である。 訟は僕にとって一世一代の大勝負である。 茨の道 う言葉。用例彼の主張は ついに世に入れられず、彼はその死までいば らの道を歩み続けた。 <491> 浮き世の風 世の中の風習。また、こ の世の思うにまかせぬこ とを風にたとえていう言葉。用例家を出て一 人で生活したいというのならそれもいいが、 浮き世の風はそう甘くはないよ。類浮き世の 波 栄華の夢 栄えときめくことの長続 きしないことを、夢にた とえていう言葉。用例金色堂は思いのほか小 さかったが、たたずんで拝していると藤原三 代の栄華の夢がしのばれた。 郎郵の夢 人生の栄枯盛衰のはかな いこと。塩生という男 が、邯鄲の地で不思議な枕を借りて寝たところ、富貴をきわめた夢をみた。しかし目が覚めてみると、その間わずかな時がたっただけだったという故事による。(枕中記)用例 あんなに羽振りがよかった彼が、会社の倒産 で失業中とは、まさに邯鄲の夢だね。 昨日の淵は今日の瀬 人生のうつろいやすいこと。世の中は何か常 なる飛鳥川きのふの淵そけふは瀬になる」 (古今集)から。用例年をとって五十年を尺 度として世の中を見てみると、昨日の淵は今 日の瀬ということも実感できる。 袖振り合うも多生の縁 知らない人と道で袖がふ れ合うのも前世からの因 縁による。この世のことは何事も宿縁による のだということ。■「多生」は「他生」、また 「振り合う」は「すり合う」とも。用例袖振り合 うも多生の縁、何かお困りのことがあるので したら、気兼ねなくおっしゃってください。 七転び八起き 何度失敗してもくじけな いで、勇気を奮い起こし <492> て立ち向かうこと。人生は成功と失敗の繰り 返しであるということ。用例これくらいの失 敗は次でとり返せばすむことだ、人生七転び 八起きだよ。 太く短く 人生は長くなどと考えないで、したいことをして 過ごしたほうがよいという生き方。用例僕は 彼のように勤勉なタイプじゃないよ、太く短 く生きていきたいんだ。 細く畏くほそなが 地味に長く安定した生 き方をするほうがよいと いう生き方。用例商人は、細く長くという心 がけが何より大切だ。 三日見ぬ間の桜 世の中は常に移り変わっ ているということ。世の 中の変化が激しいこと。■桜の花の散りやす いところから。用例世の中は三日見ぬ間の桜 で、常に情報をキャッチしておかないと、時 流におくれてしまうよ。 揺り籠から墓場まで 生まれてから死ぬまでの 間。一生。■第二次世界 大戦後、イギリス労働党が掲げたスローガン で、社会保障制度の充実ぶりをいった言葉。 用例この程度の福祉対策では、とても揺りか ごから墓場までというわけにはいくまい。 世が世なら 物事が順調にいっている ら ときならば。自分が米え ているときであれば。用例あの人、世が世な らお殿様だということだが、今は日々の苦労 が絶えないようだ。 世の習い ふつう一般に行われてい ること。世の中の慣習。 用例子が老いた親の面倒を見るというのは昔 からの世の習いだ。 <493> 正気を失って生きている こと。身体は生きている が、意思の疎通はできない人。用例婚約者に 死なれてからというもの、彼はまるで生ける しかばねといった状態だ。 死んで花実が咲くものか 生きていればこそ幸せの 可能性もあるが、死んで しまえば何の幸福もない。死んでしまっては 何にもならない。用例死んで花実が咲くもの か。少々の苦しさ 大めだ。 か。少々の苦しさは辛抱しなくちゃだめだ。 命脈を保つ かろうじて命がつながっ ている。用例佐渡にごく 少数生息しているトキは、人間によって保護 され、やっと命脈を保っているという状態 だ。類命脈を繋ぐ 目の黒いうち 生きているうち。存命中。 自の玉の黒いうち」と も。用例おれの目の黒いうちは、絶対おまえ たちの勝手にはさせないからな。 絶緑 足を洗う かんぱしくない仕事や行 為をやめて、まともな暮 らしをする。用例君も危ない稼業からは早く 足を洗うことだね。 金の切れ目が縁の切れ目 金がなくなったときが関 係のなくなるとき。多く 男女関係にいう。用例金の切れ目が縁の切れ 目というわけで、彼女、さっさとほかのパト <494> 杯を返す さかずき かえ は、そのことが原因であった。 件の後始末がついたら、おれは杯を返すつもりでいる。 親分に対して、子分のほ うから縁を切る。用例事 袂を分かつ それまで行動を共にして きた人と別れる。用例考 え方の違いから、彼のグループとは袂を分か つことになった。 手を切る 交際を絶つ。特に、男女 関係や好ましくない人物 とのつながりを切る。用例いいかげんに彼と は手を切って、新しい生活を始めたらどう だ。頻手が切れる 手を分かつ 交際を絶って別れる。 用例力を 用例力を合わせて事業を を分かつことになったの 進めてきた二人が手を分かつことになったの 世話 してほしくない世話。よ けいなおせつかい。 「大きにお世話」とも。用例そんなこと、大きなお世話です。口を出すのだったら、金でも出してください。 おんばひがさ 乳母日傘 子供が大事に養育される こと。■乳母に抱かれ、 日傘をさしかけられるの意。用例彼女はおん ば日傘で育てられた、世間知らずのお嬢さん だよ。 死に水を取る 臨終まで介抱する。最後 まで世話をする。■末期 <495> の水を死者の口に注ぐ意。用例お前が失敗し たらおれが死に水を取ってやるから、とこと んやってみろ。 たえず世話をする必要が あって、手数がかかる。 用例いつも母親のそばから離れず世話が焼け る子だ。 世話になる 他人の助けを受ける。力 添元を受け、手数をかけ る。用例さんざん世話になった人だから、あ の人には頭が上がらない。 自分のことで人に煩わし 世話を掛ける い思いをさせる。用例こ のたびはまたお世話を掛けることになり、申 し訳ございません。 世話を焼く すすんで人のために尽力 する。用例あの人は世話 を焼くのが好きなのだから、気にすることはない。 遣作を掛ける 骨折りをさせる。面倒な ことで手数をかける。 用例息子の就職の件では、とんだ造作をお掛け致しました。 手が掛かる 手数がいる。時間や労力 がかかる。用例あなたっ てほんとに手が掛かる人ね。少しくらい自分 でもなさいよ。 手が届くてとど 世話が行き届く。細かい ところまで配慮する。 用例彼女の家は、庭のすみずみまで手が届い ていて、なかなか立派なお宅だった。 手揮に掛ける みずから世話をする。自 分が苦労して育てる。 用例そりゃ手塩に掛けて育てた娘だもの、嫁 <496> に行かれるのは寂しいよ。 る をする。用例子育てと同 じで、草木だって手を掛けると掛けないとで はまるで違う。 手を煩わす 手助けをしてもらったり して、人に手数をかけ る。用例ここは彼の手を煩わすまでもないだ ろう、我々だけで処理しよう。 身を寄せる を寄せるところもなくて、ずいぶん苦労したものだった。 よく世話をしてやる。ひ いきにする。用例あれほ よく世話をしてやる。ひ いきにする。用例あれほ ど目を掛けてやったのに、一人前になると知 らん顔をしている。 面倒を掛ける とを手助けしてもらう。 用例その節はすっかりご面倒をお掛けしてあ りがとうございました。 面倒を見る 人の世話をする。後ろ盾 になって助勢してやる。 用例このたびスタッフに加わることになった 山田さんです。皆さんよろしく面倒を見てあ げてください。 厄介になる 生活の面で世話をしても らう。用例そちらに出 く折はまたご厄介になると思いますが、よろ しくお願いします。 損失 <497> 足が出る 予算以上に金を使ってし まう。赤字になる。用例 落札した工事は材料高で足が出てしまった。 類足を出す 穴が空く 商売上で欠損が生じた 必要な人員に不足が 出たりする。用例彼を信用して会計を任せて いたのだが、調べてみると、帳簿に大きな穴 が空いていた。 穴を空ける 金を生じさせる。 使い込む。用例彼の場合 も、株に手を出して穴を空けるという、よく ある事例の一つだった。 徴牲を払う 重要な目的を果たすため に大事なものを失う。 用例昭和という時代は、幾百万の人命の尊い 犠牲を払うことによって、成金社会という国 を築いた時代だったのか。 たん そん 短気は損気 短気は結局自分の損にな る。短気にまかせて事を 処理すればいいことはない。■「損気」は「短 気」の語呂合わせ。用例短気は損気、決して 一時の感情にかられてけんかなどしてはいけ ないよ。 角を矯めて牛を殺す 少しの欠点を直そうとしてしたことが度をすぎ て、かえってそのものをだめにしてしまう。 用例規約違反を追及するのはいいが、会員の 行動意欲まで封じては、角を矯めて牛を殺す ことになる。 <498> あに油揚をさらわれる 自分のものになると当て 込んでいたものを不意に 横合いから奪われて、あっけにとられる。 用例売り出し中の彼女に結婚で引退されて は、プロダクションとしてはとんびに油揚を さらわれたって感じになるだろう。 盗人に追い銭 損をしたうえにさらに損 をすること。■盗人に金 品を盗まれたうえに、さらに金まで与えてや るということから。用例使い込みをしていた 社員に退職金まで払ってやったとは、いま思 えば盗人に追い銭もいいところだ。類泥棒に 追い銭 聞尺に合わない 損得がつり合わない。損 になる。■「間尺」は、寸 法、割合の意。用例暑い日に駆けずり回った 日当がこれでは、間尺に合わない。 持ち出しになる んな幹事はやるものじゃないよ。やれば必ず 持ち出しになるんだから。 安物買いの銭失い 値段が安いからといって 買うと粗悪品をつかまさ れ、金を失うのと同じ結果になること。用例 正真正銘のブランド物というので買ったかば んだけれど、やっぱり安物買いの銭失いでし た。 わりわる割が悪い 苦労のわりにもうけが少 場である。用例面倒な仕事はみんなこっちに 回ってくるんだから、割が悪いよ。 損得を計算すると、損に 割に合わない なる。苦労に見合うだけ の利益がない。割が合わない」とも。 <499> 用例これだけの出資に対してその利潤では 割に合わないじゃないか。 損をする。不利益をこう 割を食う むる。用例あの人の話に は二度と乗らないよ。割を食うに決まってい るもの。 旅 旅の恥はかき捨て 旅に出ると知っている人 がいないから、何をやっ ても恥ずかしがらずにすむ。用例昔から旅の 恥はかき捨てというが、それにしても近ごろ の海外旅行者の態度はどうもいただけない。 旅を終える。旅館などに 落ち着く。■博徒などが 草鞋を脱ぐ 旅先で一時身を落ち着ける意から。用例単身 赴任で、目下のところ当地にわらじを脱いで おります。 草鞋を履く 旅に出かける。しばらく いた土地を離れて旅立 つ。■博徒などが追っ手を逃れて旅に出る意 から。用例やれやれ、今度は九州支店か。ま たわらじを履くはめになったよ。 知識 蓮薔を傾ける もっている知識・技能の すべてを使う。■「蘊蓄」 は、積みたくわえた知識の意。用例これはモ ーツァルトの音楽について、蘊蓄を傾けた書 である。 <500> 奥行きがない 人柄や考え・知識に深み がない。用例彼は頭はい いかもしれないが、付き合ってみると、ちっ とも奥行きがない人だ。 勧所を押さえる 事を行う上で最も大事な ところを把握する。用例 彼は口数こそ少ないものの、いつも勘所を押 さえた指示を出すので上司からも信頼されて いる。 乗知を集める 多くの人の知恵・知識を まとめる。用例絶滅の危 機に瀕する動植物の保護について、衆知を集 める必要がある。 遺諧が深い 学問・芸術のある分野に ついてよく知っていて、 理解力もすぐれている様子。用例あの人は江 戸時代の人物については、たんへん造詣が深 い人です。 壺を心得る 物事をうまく行うための いちばん大切な点を、十 分に知っている。用例あの先生はさすがペテ ランだけあって、生徒を引きつける壺を心得 ている。 恥辱·不名誉 生き恥を晒す 生き長らえて、耐えがた 晒す い恥をかく。用例生き恥 をさらすのも、妻子の生活を守るためには致 し方あるまい。 一笑を買う ばかげたことをして、人 の笑いものになる。用例 )にも初歩的なミスを犯 会議の席上であまりにも初步的なミスを犯 <501> し、みんなの一笑を買ってしまった。 男としての面目が立たな 男が廃る とを実行しないでは、男が廃る。 男としての面目がなくなる。男らしくないことを して評判を悪くする。用例大勢の期待を一身 に集めながら、いつまでも実行しないでいて は男を下げるよ。頑男が下がる 会稽の恥 戦いに敗れたり失敗した りして、人から受けた耐 りして、人から受けた耐 えがたい屈辱。国中国の春秋時代、越王勾践 が会稽山で呉王夫差に敗北して耐えがたい恥 辱を受け、後にその恥をすすいだという故事 による。(史記越王勾践世家)用例今年も 昨年の決勝戦の再戦となったが、我が校は見 事これに勝ち、会稽の恥をすすいだ。 顔が潰れる 世間に対する面目が失わ れる。用例この際自重し て、君を推薦した僕の顔がつぶれるようなこ とだけはしないでくれよ。類顔を潰す 顔に泥を塗る 相手の名誉を傷つけたり、恥をかかせたりす る。回泥を塗る」とも。用例三十を過ぎたと いうのに親の顔に泥を塗るようなことばかり して、恥ずかしいと思わないのか。 顔を汚す 恥をかかせる。面目を失 わせる。用例兄さんは政 治家として名の知れた人だが、弟のほうはそ の兄の顔を汚すようなことばかりしでかして いる。 人の経歴や家名・社名な どに、不名誉な評価を残 す。用例創業以来百五十年、信用第一に築い <502> てきた我が社も、今回の一件でのれんに傷が ついてしまった。類傷を付ける 器置を下げる それほどの人物ではないと評価されるようなこと をして、価値を落とす。用例そんな姑息な手 段をとって闘うと、君の器量を下げるだけだ よ。 活券にかかわる 体面・品位に不都合があ る。その人の体面や品格 を落とすことになる。■「沾券」は、土地・家 屋の売買を証明する文書。用例確かに難解な 問題だが、この問題が解けないようでは教師 としての沾券にかかわる。 見てくれが悪く、みっと 様はない もない。だらしふない。 見てくれが悪く、みっと もない。だらしがない。 用例こんな肝心なときにけがをしたりして、 ざまはないね。 晒し者になる 多くの人の前で耐えがたい屈辱を受ける。■さら しの刑に処せられる意。用例君の失敗という だけで事がすめばいいさ。ただ、そのために 僕までがさらし者になるのはご免こうむりた い。 失笑を買う 愚かな言動をして、人か ら笑われる。■「失笑」は、 笑ってはいけないような場で、思わずふきだ して笑うこと。用例いまさらそんな言い訳を しても、周りの失笑を買うだけだ。 死に恥を晒す 死に際に恥をかく。死後 に恥を残す。用例当家は 由緒ある家柄です。死に恥をさらして家名を 汚すようなまねは許しませんよ。 しゅうたい えん 醜態を演じる 人前でみっともないこと をやってしまう。用例忘 <503> 年会で飲みすぎて醜態を演じ、社内での評判 を落としてしまった。類失態を演じる 立場がない 地位にふさわしい責任や ぞ割が果たせないことに なり、面目が失われる。用例双方の話し合い もないまま一方的に決められてしまっては、 仲裁者としての僕の立場がないじゃないか。 立つ瀬がない 自分、または関係者の落 ち度によって、立場や体 面が傷つく。用例無理にお願いして協力を仰 いだ取引先も多いのに、突然この企画を中止 するのでは、私の立つ瀬がない。 面の皮を剃ぐ 恥知らずなことをして厚 かましくすまし顔でいる 者の正体をあばいて、恥をかかせる。用例 ではあくどい商売をしているくせに、善人面 しているあいつの面の皮をはいでやりたい よ。 頻面皮を剥ぐ 縄目の恥を受ける 犯罪者として軽蔑され、 恥ずかしい目にあう。 罪人として縄をかけられ、捕らわ 用例友人の選挙運動に身を入れすぎた結果が 選挙違反に問われ、縄目の恥を受けるはめに なってしまった。 名を汚す 面目をつぶす。名誉を傷 つける。用例利を追うこ とに熱中するあまり、会社の名を汚すような ことがあってはならない。 名を 辱 める 名誉を傷つけ、世間体を 悪くする。用例私の軽率 な行動が我が社の名を辱める結果となったこ とを、深く反省しております。 恥の上塗り 恥をかいた上にさらに恥 を重ねること。不名誉な <504> ことを重ねること。用例失敗をとりもどそう という気持ちはわかるが、少し冷静に考えて みろ。そんなことをしても恥の上塗りになる だけだ。 たを他人に話して、わざわざ自分から恥をさ らすこともないだろうに。 大勢の人の前で恥をか く。用例家の中のごたご 舞を折る おごりたかぶっている人 る。用例後輩のくせにずいぶん生意気だか ら、機会をとらえて鼻を折ってやろう。類 鼻つ柱を折る・鼻つ柱をへし折る をこらしめて恥をかかせ 輝躍を買う 人からいやがられるよう なことをして、軽蔑され る。「輩躄」は、不快を感じて眉をひそめる こと。用例演奏している途中で席を立つと、 大勢の人からひんしゅくを買うことになる。 ひどく名誉を傷つけら る。 用例この程度の失敗 で君の面目がつぶれるはずがないじゃない か。今までの実績を考えてみろよ。 過失や失敗などで、人に 面目を失う 顔向けできないほど恥ず かしく思う。用例周囲の期待を一身に背負っ て出場することになったのに、体調をくずし て棄権してしまい、すっかり面目を失った。 烙印を押される 消すことのできない不名 誉や汚名を受ける。 「烙印」は、昔、刑罰として罪人の額などに押 した焼き印。用例犯罪者という烙印を押され て社会復帰をめざす人に対しては、周囲の 人々の理解が何より必要である。類極印を押 される <505> 大向こうを唸らせる 大衆的人気を得る。 「大向こう」は、舞台正面 の観客席の後ろにある立ち見席。用例若くし て大向こうをうならせるほどの演技を見せる 役者もいる。 脚光を浴びる 奇を街う 大勢の人から注目され る。用例彼女は朝のテレ ビ・ドラマで一躍脚光を浴びた新人女優だ。 人の気を引くように、わ る。用例奇をてらうような商売をしても、長 続きしないだろう。 くざづ 訂付けにする 拘束したり、関心や注意を引きつけたりして、動 けなくする。用例彼女の若さと美貌は、男た ちの視線を釘付けにした。類釘付けになる 視線を浴びる 大勢からいっせいに見ら る。用例壇上に立って大勢の視線を浴びる と、私は上がってしまってうまくしゃべれま せん。 耳目を集める 多くの人々の注意や関心 ある を引く。用例政治改革に ついての彼の発言は、多くの人の耳目を集め た。 世間から注目を受ける。 用例彼女は今大会最年少 ながら見事に優勝を果たし、一躍スポットラ イトを浴びることとなった。 スポットを当てる 一つのことに注意が集まるようにする。■スポ <506> ット」は、スポットライトの略。用例今夜の ニュースは、地価の高騰についてスポットを 当てることにしました。 世間を騒がせる 事件を起こして人々の興 味や関心を集め、騒然と させる。用例現職大臣の収賄事件が世間を騒 がせているが、当人がどう責任をとるのか見 物である。 人の視線がこちらを向く 人目を引く ようにする。人々の注意 を引きつける。用例パーティー会場では、彼 女の奇抜な衣装が人目を引いた。 人々から注目を受ける。 槍舞台を踏む 前を見せる清し) 腕前を見せる晴れの場所 に出る。用例彼女は本場ウィーンで檜舞台を 踏み、以後ヨーロッパを中心に演奏活動を続 けている。 日の目を見る それまでうずもれていた 物事が、世間に知られる ようになる。用例こつこつと書きためていた 雑文が一冊にまとまり、ようやく日の目を見 ることになった。 股に掛ける 方々を歩き回る。広い地 域にわたって活躍する。 用例彼は音楽家として、世界を股に掛けて活 躍している。 目を奪う 見ずにはいられなくす る。見とれさせる。用例 壮麗なゴシック建築の大聖堂は、訪れる人の 目を奪った。 目を引く 注意を向けさせる。人の 目を引きつける。用例彼 女は学生時代からファッション雑誌のモデル をやっていて、どこに行っても常に目を引く <507> 臭い飯を食う 刑務所に入れられる。服 込する。用例彼は学生時 代、左翼活動家として知られていたが、公務 執行妨害罪で一年半も臭い飯を食ったという。 口が曲がる 目上に生意気な口をきく む。用例今まで面倒を見てくれた人に対し て、そんな失礼なことをいうと口が曲がる よ。 と、その罰で口がゆが 獣食った報い 悪いことをしたために受 ける罰。用例体の具合が 悪い?それはしし食った報いだよ。思い当 たる節があるだろう。 十字架を負う 消すことのできない罪や 苦悩を一生引きずって生 きる。用例出生の秘密を知った日から、彼の 十字架を負う人生が始まった。 腔に傷を持つ 後ろ暗いところがある。 やましい点がある。用例 僕もすねに傷を持つ身だから、彼に対してあ まりきついことも言えない。 付けが回ってくる 楽をしたり手抜きをしたりしていたことの報いが 現れてくる。用例いま体を鍛えておかない と、そのうちつけが回ってくるよ。 罪を着せる 罪を他人におしつける。 罪のない人に罪をなすり つける。 用例大山君に罪を着せて平気でいる <508> ようだが、君自身の良心まではごまかせま い。類罪を被せる てんあおつぱき 天を仰いで唾す 人を害しようとして、か えって自分の身を傷つけ る。天に向かってつばを吐けば、自分の顔 にかかる意から。用例相手の欠点ばかりあげ つらっていると、天を仰いで唾するというこ とになりかねないよ。 頬天に向かって唾す 寿を食らわば皿まで 一度犯罪を犯せば処罰さ れることに変わりはない のだから、徹底的に罪を重ねてしまおうとす ること。囲毒を食べるのならその皿までなめ てしまおうという意。用例毒を食らわば皿ま でと居直っているのか、犯人の犯行はとどま るところを知らなかった。 濡れ衣を着せられる 他人の誤解や策略で、無 実の罪を負わされる。 「濡れ衣」は、無実の罪の意。用例犯罪者という濡れ衣を着せられたまま一生を送るのでは、兄は浮かばれません。 訂が当たる 神仏からの制裁を受け る。悪事の報いを受け る。思い上がりを戒める言葉。用例せっかく 就職先をお世話してくださったのに文句を言 うなんて、罰が当たりますよ。 人を呪わば穴二つ 人に害を与えようとすれ ば、自分もまた害を受け る。■穴は、墓穴。人をのろって殺せばそ の報いで自分も殺されるから、墓穴は二つ必 要だという意。用例人を呪わば穴二つという じゃないか。むやみに人を中傷するのはやめ たほうがいい。 墓穴を掘る 自分を失敗や破滅に導く 原因を自分でつくる。 <509> 用例自分の行為のつじつまを合わせるために やったことが墓穴を掘ることになるとは。悪 いことはできないものだね。 身から出た錆 自分のしたことによってみずからが苦しむこと。 ▪刀のさびが刀身そのものから出ることか ら。用例身から出た錆とはいえ、取り返しの つかないことになってしまった。 天候 秋の日は釣瓶落とし 秋の日の暮れやすいこ 派落とし と。井戸につるべが落 ちるのが早いことから。用例秋の日はつるべ 落としというから、早いうちに家に帰りなさ い。 馬の背を分ける タ立などが近くで降ると ころと降らないところと あること。馬の背の片側には雨が降り、も う一方の側には降らない意。用例突然激しい タ立に襲われたが、馬の背を分ける夏の雨 で、次の駅で降りると雨は少しも降っていな かった。 お猪口になる 傘の開きが逆さまにな る。用例突然の強風で、 て困った。 傘がおちょこになって困った。 狐の嫁入り 日が照っているのに、雨 が降る天気。用例雨が降 りだしたが、いわゆる狐の嫁入りで、運動会 はそのまま続けられた。 雨が激しく降る様子。 徳笑く 徳竹を束ねて突き立てる ように降る意から。「徳突く」とも。用例徳を <510> 突くような雨で、傘はさしていたが、下着までぐっしよりになってしまった。 車輪をづ 大雨が降る様子。車 軸」は車の心棒で、車軸 のようにふとい雨が降る意。用例車軸を流す ような雨に、大雨洪水警報が出された。 台風が過ぎ去ったあと の、よい天気。用例台風 一過、今日は絶好のハイキング日和になっ た。 泣き出しそうな がこぼれ落ちそうだの意から。用例泣き出し そうな天候に、明日の遠足を楽しみにしてい た子供は心配顔をしている。 抜けるよう 空がどこまでも青く澄み 渡っている様子。用例運 動会は、抜けるような秋晴れの空の下で行わ れた。 身を切るよう 子。用例デッキに出てみ たが、身を切るような寒風でじっとしていら れなかった。 遣らずの雨 せっかくの来訪者を帰したくないといわんばかり に降ってくる雨。用例すぐに帰るつもりでい たのだが、やらずの雨ですっかり長居をして しまった。 仲間·同類 周じ穴の貉 違うように見えても実は 同類の悪人であること。 <511> 用例いくらきれいごとを言っていても、裏へ 回ればしょせん彼も同じ穴のむじなさ。類一 つ穴の貉 同じ盃の飯を食う 仲間として一緒に生活を した、親しい間柄であ る。用例彼とは学生時代、同じ盌の飯を食った仲だ。類一つ盌の飯を食う 同類の者には同類の者の することはすぐわかるこ と。仲間同士よく事情に通じていること。 蛇が通る道を知っているのはやはり蛇である 意から。用例蛇の道は蛇で、彼らのたくらん でいることぐらいはだいたい見当がつく。 類は友を呼ぶ 似た者同士は自然と一か 呼ぶ 所に集まる。用例類は友 を呼ぶというもので、いつの間にかクラブが 誕生した。 人情・情け 負うた子より抱いた子 離れている者よりも身近 な者を先にしたり大事に したりするのが人情だということ。用例負う た子より抱いた子で、外孫より内孫のほうを かわいがるのは仕方ないところか。 鬼の念仏 無慈悲な者が、表面だけ は慈悲深い態度を示すこ と。 ▣鬼の空念仏」とも。 用例鬼の念仏とい うか、今日の課長の優しさは薄気味が悪い。 鬼の目にも涙 どんなに無慈悲・残虐な 人でも、時には情にうた れて涙を流すこともあるということ。用例あ の高利貸しめ。鬼の目にも涙というじゃない か。少しは相手のことを考えてやっても罰は <512> 料を利かす 男女の仲などをよく理解 していて、うまく取りさ ばへ。用例先輩の粋を利かせた計らいのおか げで、我々は婚約にこぎつけることができた。 相手のためによかれと 情けが仇 悪い結果を生むこと。用例何かと面倒を見て いたんだが、情けがあだになったのか、いつ までたっても一人前になれない。 情けは人の為ならず いことがめぐってくる。用例情けは人のため ならず、困って頼ってきた人には、自分ので きることはやってやることだ。参考「情けを かけることは相手のためにならない」という 解釈は誤り。 なにわざしてき 浪花飾的 人との交わりにおいて、 義理と人情を重んじる傾 向。浪花節の多くが義理と人情を主題とし ていることから。用例亡父と同年代になって 初めて、遅まきながらその浪花節的な生き方 が理解できるようになった。 渡る世間に鬼はない 世間はきびしく無情に見 えるが、人情や慈悲の心 の深い人はどこへ行ってもいるものだ。用例 渡る世間に鬼はないというが、どん底に落ち て初めて人の情けのありがたさがわかった。 年齡 春秋に富む 将来が長い。年齢が若い。 用例彼は春秋に富む若者 <513> 墓が立つ 人の盛りの時期が過ぎ る。年ごろが過ぎる。 「蟇」は、菜やフキなどの花茎。花茎が伸びる と固くて食べられなくなる意から。用例私の ように蟇が立ってしまっては、もういい結婚 相手も見つかりそうにありません。 年が行く ある程度の年齢になる。 一年をとる。用例彼は優秀 な人材だが、難を言えば少し年が行っている ことだ。 年輩も行かぬ 成人になっていない。ま だ幼い。年端は、年齢 の程度の意。用例年端も行かぬ子をだまして 悪の道に誘い込むとは、とんでもないやつだ。 年を食う 年を重ねる。年齢が高く なっている。用例彼女は 若く見えるが、実際はかなり年を食っている んだよ。 馬齢を重ねる 遜していう語。用例私などいたずらに馬齢を 重ねてきただけで、とても皆様のお役には立 てません。類馬齢を加える 人と成る 成人する。一人前の大人 になる。用例君も人と 成った以上、自分の言動に責任をもって生き ていってほしい。 評価·評判·批判 灰汁が強い 性質・考え方・文章など に、その人特有の強い癖 <514> が感じられる。用例彼の小説は、あくの強い 文章だが、若い一部の読者に根強い人気があ る。 悪事千里を走る 悪い評判はまたたく間に 世間に知れ渡る。用例君 の先日のご乱行はもうすっかり社内に知れ 渡っているよ。悪事千里を走るだね。出典 「好事門を出でず、悪事千里を行く(良い行い はなかなか世に知られないが、悪い評判はた ちまち世間に知れ渡る)」(北夢瑣言)類悪 事千里を行く 受けがいい 周りの人から好意をもた れて評判がよい。用例彼 は年輩者は立てるし、仕事もできるから、上 司の受けがいい。対受けが悪い うぐな 腕を鳴らす 卓越した技術や能力を発 揮して、世間の評判を得 る。用例彼は今でこそあんなふうだが、昔は ボクシングで腕を鳴らしたものだよ。 掛け値なし 話を大げさにしたり取り 繕ったりしないで、あり のままを言う。■「掛け値」は、実際より高く つけた値段の意から、大げさに言うこと。 用例掛け値なしに言って、君の実力なら合格 間違いなしだよ。 株が上がる その人に対する評価が高 くなる。評判がよくな る。用例彼女を酔っぱらいの男から守ってあ げてからというもの、女子社員の間ですっか り僕の株が上がった。類株を上げる対株が 下がる 口に乗る 人々の話題になる。用例 少しばかり世間の口に乗 つといって、あの口のきき るようになったからといって、あの口のきき <515> 毛色の変わった 様子・性質・経歴など が、他と異なっている。 用例うちの課の中で、彼一人は理科系出身 で、みんなから毛色の変わった人間と言われ ている。 功罪相半ばする 功績と罪過が半々であ る。よい点と悪い点とが 半々で、善悪どちらとも決めかねる。用例彼 は大口の契約を結んで会社に利益をもたらし たが、その強引なやり方からクレームも多 く、会社への貢献度は功罪相半ばするという ところか。 紙面を賑わす 新聞や雑誌などに大きく取り扱われ、人々の話題 になる。用例ここ数日間、大学の不正入試に 関する事件が紙面をにぎわしている。 人口に膾炙する すぐれているとして、広 る。■「膾」はなます、「炙」はあぶり肉で、と もにだれの口にも合って賞味されることか ら。用例島崎藤村の『若葉集』は当時の若者の 人口に膾炙したものである。 俎上に載せる 議論や批判の対象として 取り上げる。▪「俎」は、 まな板。用例明日の会議では、営業部の販売 実績の伸び悩みが俎上に載せられそうだ。類 まないた 俎に載せる 名を流す 名声・評判が世に広がる。 また、よくない評判を立 てられる。用例彼はこの町では、風流人とし て名を流している。 礼付き 悪い評判が世間に知れ 渡っていること。また、 <516> そういう人。用例あの男は札付きの悪だか ら、気をつけたほうがいい。類正札付き 不評を貫う 悪い評判をとる。作品の 出来ばえや商品などの評 判がよくない。用例斬新なイメージで売り出 したはずの新製品も世間の不評を買い、生産 中止に追い込まれた。 マスコミに乗る テレビ・ラジオ・新聞・ げられ、有名になる。マスコミによって売 れっ子になる。用例小さなライブハウスで演 奏していたアマチュアバンドが、マスコミに 乗ってあっという間に評判となり、今やすご い人気だ。 雑誌などに大きく取り上 評判だけでなく、実質も 十分備わっている様子。 用例これまで、ここ一番というときに勝てな かった彼だが、今回の優勝で、名実共に日本 一になった。 勇名を馳せる 勇敢であるという評判を 広く世間に知られる。 用例彼は学生運動の闘士として勇名をはせた 男だ。 世に入れられる 人々に認められ、評価を 得る。用例彼の研究が学 問として世に入れられることになったのは、 最近のことです。 人選や任命などを前に、 呼び声が高い その候補者として有力だ とうわさされる。用例彼は若手ながら数々の 実績を上げ、次期教授の呼び声が高い。 レッテルを貼る 人や物事の値打ちをきめ つける。独断で評価す ー々、プレイボーイのレッ る。用例彼は入社早々、プレイボーイのレッ <517> テルをはられてしまった。用法悪い評価を与 える場合に用いることが多い。 貧乏・貧しい 頃が干上がる 生活の糧を失う。生計の 手だてがなくなる。用例 仕事がないからといって遊んでいては、あご が干上がってしまう。類口が干上がる・鼻の 下が干上がる おけらになる ンプルに明け暮れて、ついにおけらになって しまった。 食事も満足にできない状 態で、生活の苦しい様 子。用例終戦直後の日本人は、だれもが食う や食わずのありさまだった。 口を糊する 父が亡くなってからは、母がパートに出て口 を糊する生活だった。 首が回らない 借金などが多くて、どう ない にも金のやりくりがつか ない。用例最近は、ローンを増やして首が回 らなくなる若者が多いそうだ。 何とか食べて生活する。 貧しく暮らす。用例失職 後は内職をして、どうにか糊口をしのいでい る。 赤貨洗うがごとし 非常に貧しく、洗い流し たように持ち物が何もな 何一つないこと。用例僕 い様子。 赤は何一つないこと。 用例僕 <518> などは赤貧洗うがごとき生活で、きれいさっ ぱりしたものだ。 竹の子生活 竹の子の皮を一枚一枚は いでいくように、身の回 りのものを次々と処分して生活費にあてる苦 しい暮らし。用例今の世の中を見ると、昔は だれもが竹の子生活をしていたのが、うその ようだ。参考第二次世界大戦後の苦しい生活 をいった語。 操一貫 と。用例伯父は裸一貫から身を起こし、会社 をここまで発展させた。 となるものが何もないこ 経済状態がきわめて苦し い様子。罪人を地獄へ 運ぶという、火の燃えている車の意から。 用例子供の教育賛に家のローン、うちの家計 は火の車です。 干乾しになる 食べるものがなくて、飢 え衰える。 用例夫はほと んど家にお金を入れてくれないし、このまま では母子三人、干乾しになってしまう。 貧に迫る 収入や財産がすっかりな くなる。貧乏になる。用例 僕もいよいよ貧に迫り、といって何の当ても なく、先行きがまったく知れない状態だ。 懐が寒い 所持金が少ない。用例欲 しいものがあるのだけれ ど、今月は懐が寒いからまたの日にするよ。 類懐が寂しい 屋台が傾く 財産がなくなり、家を支 えることができなくな る。用例京都の老舗も、道楽息子のおかげで 屋台が傾いているそうだ。 <519> 不連·不遇 愛さ目に違う つらく、悲しいことに出 会う。苦しい体験をす る。用例彼は、父の死、そして失職という憂 き目にあったが、今ではすっかり立ち直って 一家を支えている。類憂き目を見る 梲が上がらない 下積みから脱け出ること ができない。上から押さ えつけられ、立身出世ができない。■「梲」 は、梁の上に立てて棟木を支える短い柱。こ れを立てなければ屋根がつけられない。用例 親父は学歴がないばかりに、一生うだつが上 がらない生活を送った。 金権の川流れ 出世の見込みのないこと。柄は浮いても、頭 部は沈むことから。用例こんな部署に回され てしまっては、もう金槌の川流れだ。 冷たくあしらわれる。低 食う い地位にいる。用例冷や 飯を食う生活が長かったから、今度の抜擢は 彼としてもうれしいだろう。 聞が悪い 運が悪い。ころあいが悪 い。用例久々の同級会だ というので楽しみにしていたら、間が悪いことに出張しなければならなくなった。 名目·口実 お題目を囁える 実行できそうもないの に、もっともらしいこと を言う。口だけ立派なことを言う。用例お題 <520> 目を唱えるだけでは人はついてこないよ。自 分が率先して実行しなければ。類お題目を並 べる 表 看板にする 世の中に示すための表向 きの名目にする。用例老 舗ということだけを表看板にするような店は だめだ。 看板にする 名目として世の中に示 す。用例相手は攻撃より も守備力を看板にしているチームだから、早 いうちに先取点をあげることが大事だ。 看板を掲げる あることを表向きに示 す。用例彼は福祉の充実 を看板に掲げて有権者の支持を得、見事当選 を果たした。 それをたねにして相手を 困らせる。後の証拠とす とっこに取る るためにその言葉をおさえておく。とっ こ」は、騙り、盗人などの意。用例先方の言 い分をとっこに取って、うまく話をまとめて しまった。 名を借りる 表向きの理由にす” 用例これは民主主義に名を借りた、新しい独 裁政治の始まりだ。 錦の御旗 立派な名目。自分の主張 や行為を権威づけるも の。用例お祖父さんの遺訓を錦の御旗のよう にいわれても、家業を継ぐ気持ちにはなりま せん。 引き合いに出す 一して提示する。用例同級 生の小遣いを引き合いに出して、小遣いを上 げてもらった。 <521> 名誉 死に花を咲かせる 立派に死んで、死後に名 誉を残す。用例今までこ れといった大作も残せなかったが、何とかこ の作品だけは完成させて死に花を咲かせたい ものだ。 名は実の貴 名誉や評判は、その人の と。用例名は実の賓で、名誉を追い求める前 に、君自身の徳をみがくことだ。 名を惜しむ 名誉・名声を汚すことの いいようにしようと思 う。名声が汚れるのを残念に思う。用例僕は 名を惜しむからこそ、彼がああいう怪しげな 人物とはかかわり合いにならないほうがいい と言っているんだ。 人は一代名は末代 人は一代で死んでしまう が、名は後世まで長く残 る。用例人は一代名は末代と言うだろう。そ のためにはまず出処進退を誤らないことが大 切だ。 面目·体面 男としての体面が保たれ る。用例何とか仕事をや り遂げることができて、僕も男が立った。類 男を立てる おとこ男になる 男として一人前にしあが る。用例家庭をもち、家族 初めて男になるものだ。 を養うようになって初めて男になるものだ。 <522> 男を上げる 立派な行為によって、男 としての面目を高める。 用例権力に真っ向から立ち向かったことで、 彼は大いに男を上げた。類男が上がる 男を売る 男らしい勇気のある行動 によって評判になる。 用例今回の大災害で、彼は被害者たちの救助 にあたるなど、めざましい働きをして男を 売った。 顔が立つ 面目や名誉が保たれる。 用例ありがたい。そのよ うに取り計らっていただけるのでしたら、私 も社に対して顔が立ちます。 顔を立てる その人の体面をそこなわ ないようにする。用例仕 その人の体面をそこなわ ないようにする。用例仕 方がない、ここはあなたの顔を立てて、我々 が引き下がることにしましょう。 花を持たせる 相手が目立つようにした り有利になるように取り 計らう。手柄や勝ちを相手に譲る。用例今回 の成績は、先輩が私に花を持たせてくださっ た結果です。 面子を立てる その人の体面が傷つけられないよう取り計らう。 面子」は、体面の意の中国語。用例ここは ひとつ皆で協力して、彼の面子を立ててやろ うじゃないか。願面子が立つ 評判を落とさずにすみ、 面目が立つ 体面が保たれる。用例子 供との約束を果たすことができ、親としての 面目が立った。 面目を施す 行いが人を感服させ、高 い評価を受ける。用例後 輩たちが大勢応援にきてくれている前で上位 <523> 敵は本能寺にあり 本来の目的は別のところ にある。■明智光秀が備 中の毛利を攻めるふりをして、京都本能寺の 織田信長を攻めたことから。用例何かと親切 にしているが、敵は本能寺にありで、老夫婦 の財産が目当てらしい。 旗印にする 行動の目標として掲げ 一る。用例収益だけを旗印 にするから、今回のような不祥事を引き起こ すんだ。 旗を揚げる 目標を掲げ、新たに事を 起こす。■「旗揚げする」 とも。用例二十世紀に入ると、あらゆる芸術 が次々と旗を揚げた。 旗を掲げる 目標を立てて世間に示 し、それに向かって進 む。用例我が社は新年度から、人と自然にや さしい企業の旗を掲げて、新しいイメージ作 戦を展開していくことになった。 百年の計ひゃくねんけい 将来のことまでを考えた 計画。用例都市計画は、 目先のことにとらわれず、百年の計をもって することが必要である。 もてなし いつせきもう一席設ける 宴席を用意して、人を招 待する。用例今日は堅苦 <524> しい話ばかりで申し訳ありませんでしたが、 近く一席設けて罪滅ぼしは致しますから。 大盤撮る舞い 盛大にごちそうするこ と。■正しくは「椀飯振 る舞い」と書き、江戸時代、正月に親類を集 めて盛んにもてなしたことから。用例昨夜は 友人たちを料亭に誘い、大盤振る舞いをして しまった。 寄をする 人を招いてもてなす。 から来た友人の客をすることになっている。 模範·手本 爪の垢を煎じて飲む すぐれた人にあやかるよ うにする。用例あなたも 少しはあの人の爪の垢を煎じて飲むといいで すよ。 範を仰ぐ はんあお 手本を示してもらうよう 求める。用例数日間、プ ロの選手に範を仰いで、フォームを徹底的に 直すことにした。 範を垂れる 模範を示す。手本となる ことを実際にしてみせ る。■「垂れる」は、目下の者に与え示す意。 用例まず社長みずから範を垂れないと、社員 の士気もあがらないでしょう。 約束 かた 面めの杯 堅い約束をするとき取り 交わす杯。夫婦・主従な <525> どの関係を結ぶ際に行われる。用例向こう五 年の大工事に取り組むに当たり、一致協力す ることを約束して固めの杯を取り交わした。 約束の期日のあてにならないこと。紺屋は、 染め物屋の意。紺屋の仕事は天気に左右され ることが多く、客の催促に対して「あさって には」と言い逃れていたことから。用例今日 で三回めだ。いつもいつも、紺屋のあさって では困るよ。 契りを結ぶ 約束を取り交わす。特に、 夫婦の交わりをする。 用例いつの間にか意気投合した二人は、兄弟 の契りを結ぶことになった。 あの世までも連れ添おう という、夫婦の約束。 用例周囲の反対を押し切って、その夜二人は 武士に二言なし ず守ること。用例くどい、武士に二言なし だ。これ以上ごちゃごちゃ言うな。 合って約束をする。用例 テレビで両首脳が指を切る場面を興味深く見 ました。 収入がよくなって、金持ちになる。用例ずいぶん景気がよさそうじゃないか。今度はいくつめの倉が建つんだい。 <526> 羽揚りがいい 地位・勢力・金力などが ある。お金があって気前 がいい。用例彼は最近高級車を乗り回してい るというから、だいぶ羽振りがいいのだろ う。 懐が暖かい 所持金がたくさんある。 用例ボーナスが出たばか りで懐が暖かいから、今日は僕がごちそうす るよ。 名有 その時代において知らな いつせいようび 一世を風靡する い者がいないほど広く知 その時代において知らな い者がいないほど広く知 られる。用例ビートルズの音楽は、あっとい う間に一世を風靡した。 おと音に聞く 顔が売れる うわさに聞く。評判が高 い。用例スポーツ界で は、彼は音に聞く洒落者だという 世の中に広く知られる。 か、最近では町なかを散歩していても人々の 注意が集まる。 顔が広い 知り合いが各方面にわ たっている。知人が多 い。用例ここは国際的にお顔が広い先生にぜひ一枚加わっていただきたいと思い、お願いにあがりました。 顔を売る 広く世間に知られるよう にする。用例新人の間は、 全国をくまなく回って顔を売る必要がある。 すぐれた業績をあげて、 名誉を得る。用例先生は <527> 功成り名遂げた今も、たゆまず努力してい らっしゃいます。出典「功成り名遂げて身退 くは天の道なり(手柄を立て名誉も十分に得 られたら、その地位を引退するのが天の道理 にかなった行いである)」(老子第九章) 名が売れる 世間に広く名前が知れ渡 る。用例彼女も最近では テレビにもよく出ていて、名が売れているら しい。 名が高い 用例彼は浮世絵の研究者としても名が高い人 だから、鑑定をお願いしてみてはどうだろ う。 その方面で高く評価され、名が知られている。 名が立つ 評判が高くなる。よく知 られるようになる。用例 味もよく、値段も良心的な店だという名が 立って、ずいぶん繁盛しているようだ。 名が通る 世間に名前がよく知られ ている。有名である。 用例彼は二十世紀の偉大な音楽家として名が 通っている。 名にし負う かねての評判どおりであ 名高い。 る。また、名高い。 「名に負う」を強めた言い方。用例箱根の山 は、名にし負う天下の険だ。 名を上げる よい評価を受けて、世間 に知られるようになる。 有名になる。用例彼はアメリカでスシバーの チェーン店を成功させて名を上げた。 名を誓す 業績をあげて、名前が知 れ渡る。著名になる。 用例彼は上京して新聞界に入り、辣腕記者と してたちまち名を著した。 <528> 名を売る 利益や見えから、名前を 知られるようにする。 用例彼は政界進出をねらって、あらゆる機会 をとらえて名を売ることに努めた。 な え 名を得る すぐれた業績などによって、名声を得る。用例彼 は業界でも優秀なエンジニアとして名を得て いた。 名を立てる 世に有名になる。用例学 問の世界で名を立てることが、彼の長年の夢 だった。 あることで評判をとり、 名を避げる 十分に名誉ある評判を手 に入れる。用例主役を支 を遂げる役者もいる。 える名脇役として名を遂げる役者もいる 名声を後の世まで残す。 名を留める 用例ベートーベンは不朽 の傑作を数多く残し、偉大な作曲家としてそ の名をとどめている。 名を取る ける。用例トーマス・エ ジソンは多くの発明によって、発明王の名を 取った。 な名を成す あることを成し遂げて名 声を得る。有名になる。 用例彼は数少ない伝統工芸の継承者として、 これから名を成す人物だと期待されている。 評判を後の世まで伝え 名を残す る。後世にまで名声をと どめる。用例彼は実業家として、後世に名を 残すような大事業を成し遂げたいという野心 を抱いていた。 名を広める 名声が広く伝わるように する。評判になる。用例 <529> 処女作がベストセラーとなり、天才作家とし て一躍名を広めた。 世に聞こえる 世間に広く知れ渡る。世 間の評判になる。用例あ の先生は心臓外科の権威として世に聞こえた 方です。 利益 あおたが青田買い 企業が人材確保のために まだ在学中の学生と採用 契約を結ぶこと。米の収穫高を見越して稲 の成熟する前に先買いする意から。用例企業 の青田買いはしばしば問題になっているにも かかわらず、いっこうに改善される気配がな い。 頭をはねる 他人の得た利益の一部を かすめ取って自分のもの にする。用例人材派遣会社といっても、あの 男が始めたのは人を集めて頭をはねるような 商売なんだろう。 甘い汁を吸う 自分は何もせずに他人の 働きで利益を得る。用例 彼は恩着せがましく後輩たちに仕事を割り当 てておいては、甘い汁を吸っている。 行き掛けの駄賃だちん 何かをするついでにほか のことをすること。ま た、そうしてもうけること。▪馬を引いて問 屋に行くついでに、他人の荷物を馬につけて 運んで運賃をとることから。用例魚河岸に仕 入れにいく行き掛けの駄賃に、一人で小料理 屋をやっている近所のおばさんの買い物も引 き受けている。 <530> いつせき にちよろ 石二鳥 一つのことを行って、同 時に二つの利益を得るこ と。石を一つ投げて、二羽の鳥を落とす意 から。用例彼をライバル会社から引き抜けば 得意先も増えるし、向こうにもダメージを与 えることができるんだから一石二鳥だ。類一 拳雨得 言い汁を吸う いい業界には例外なく、おこぼれを当て込ん で旨い汁を吸おうという連中が寄生している ものだ。 なんの苦労もせずに利益 を手にする。用例景気の 上前をはねる 他人に取り次いで渡す利 益の一部を勝手に自分の 利益にする。■「上前」は「上米」の変化した 語。用例泥棒の上前をはねるやつがいるとは 驚いたものだ。 海老で鯛を釣る わずかの元手や労力で、 大きな利益を手にする。 ■「海老鯛」とも。用例葉書一枚で応募して海 外旅行を手にしたとは、海老で鯛を釣ったよ うなものだね。 掠りを取る 仲介者などが、他人の取り分の一部を自分のもの にする。用例知り合いの奥さんたちに訪問販 売を勧めてかすりを取っていたとは、あきれ たやつだ。 我田引水 自分の利益になるように 話をこじつけたり、事を 行ったりすること。自分の田に水を引く意 から。用例あの人のやり方にはいつも我田引 水のきらいがある。 金になる 収入になる。いいもうけ が得られる。用例人の気 <531> づかないことに目をつけて商売をすれば金になるよ。 漁夫の利 両方が争っているすき に、関係のない第三者が なんの苦労もせずに利益を横取りすること。 しぎがはまぐりを食べようとしてくちばし を貝に入れたが挟まれてしまい、互いに争っ ているところへ漁師が来て両方を捕らえたと いう故事から。「漁夫」は「漁父」とも。「戦国 策」燕策用例君たちも適当なところで折り 合わないと、彼に漁夫の利をさらわれてしま うよ。 小股を掬う 相手の油断をねらって自 分の利益を図る。相撲 で、相手の内またを手ですくって倒す技か ら。用例小股をすくうようなやり方ばかりし ているのでは大成しないよ。 採算が取れる 収支が合う。利益が出る。 だけでは、企画が成功したとは言えないだろ う。類採算が合う 用例採算が取れるという 鞘を取る 売買の仲介などをして、 益として取る。用例彼から鞘を取ることを条 件に、土地の転売を引き受けた。類鞘を稼ぐ 私腹を肥やす 公的な地位や職種を利用 は在職中にその立場を利用して私腹を肥や し、今の財産をこしらえた。 名を捨てて実を取る 世間的な評判・名声を重 視せずに、実質的な利益 となるほうを選ぶ。用例外聞ばかりを気にす るのはやめて、名を捨てて実を取ることを考 えてみたらどうだ。 <532> 濡れ手で粟 苦労しないで利益を手に すること。■ぬれた手で つかむと、粟粒がたやすく手につくことか ら。用例売り急いでいる土地を買いたたいて 転売するんだから、業者は濡れ手で粟だ。 残り物には福がある 残ったものの中にこそ得 をするものがある。用例 残り物には福があるというから、僕を抽選の 最後にさせてくれ。 風雅の道よりは実利のあ るもののほうがよいこ 花より団子 と。また、見かけよりも実質を重んじること。用例私だったら花より団子で、クラッシックのコンサートより、何かおいしいものでも食べに行くほうがいいな。 公の地位などを利用し 腹を肥やす て、不当に利益を得る。 用例懲戒免職になったというが、あんなに腹 を肥やすことばかり考えていては、いつかは つまずくと思っていたよ。 人の禅で相撲を取る 他人のものを利用して自 分の利益を図る。用例彼 はどこへ行っても叔父の代議士の名を口にす るが、あれでは人のふんどしで相撲を取って いると言われても仕方があるまい。 ひとやまあ 一山当てる 万一をねらってやったことや投機などで、ひとも うけする。用例彼は本気で株で一山当てるつ もりらしいが、そううまくいくはずがない。 ピンをはねる 人に渡すべき賃金の一部 を、不正に自分のものに する。ピンはねをする」とも。用例あいつ は知り合いにアルバイトを紹介してもピンを はねるような、抜け目のない男だ。 <533> 懐を肥やす 不当な利益を得て、財産 を増やす。用例彼は業者 から多額のリベートを受け取って、だいぶ懐 を肥やしていたらしい。 遣らずぶったくり 人に与えることをしないで、ただ取り上げるばか りであること。用例こんなやらずぶったくり の観光開発では、地元民もそっぽを向くにき まっている。 利に走る 利益を追い求めることに かたよる。用例あまり利 に走る人は、知人の間では嫌われるのがふつ うだ。 苦労しただけの利益があ る。それ相応の得がある。 用例何やかやと仕事は頼まれるんだが、割に 合う仕事というのはなかなかないものだよ。 成儀を正す 服装を整え、作法にか なった振る舞いをする。 用例今回の授賞式は、来賓の先生方が大勢出 席されることになっていますので、威儀を正 して臨んでください。 居住まいを正す きちんと座り直し、改 まった態度をとる。用例 先生が来られたので、みんなは雑談をやめて 居住まいを正した。 襟を正す 気を引き締めて真剣に対 処する様子。団衣服の乱 れを直し整える意から。用例次々と起こる不 祥事に関して、所長から所員一同に、襟を正 すように訓示があった。 <534> 折り目正しい 立ち居振る舞いが行儀作 法にかなっている。礼儀 正しい。用例お見合いの相手は、折り目正し い好青年で、よい印象を受けました。 三願の礼 目上の人が何度も礼を尽 くして訪問し、人に何 一くして訪問し、人に物事 しょくりゅうびしょかつりよう を頼むこと。■中国の蜀の劉備が諸葛亮を 軍師として迎えるにあたり、家を三度も訪れ たという故事から。用例三顧の礼を尽くして 交渉にあたったが、とうとう承諾してもらえ なかった。 しせいただ 姿勢を正す これまでの態度・行為を 反省し、改める。用例事 態を厳粛に受け止め、役員一同姿勢を正して 再建に臨む覚悟であります。 賑を正す きちんと座る。改まった 態度を示す。用例相手は 目上の方なのですから、みんなひざを正して 話を聞くように。 礼を失する 礼儀に反した態度をと る。失礼な振る舞いをす る。用例相手は大事なお得意様だからね、礼 を失することのないようにしてくれよ。 礼を取る 礼儀にかなった態度をと る。用例お世話になった を取ることが大事だ。 人に対しては、礼を取ることが大事だ。 浪費·倏約 金に飽かす あることのために、金を 惜しますふんだんに使 う。用例金に飽かして、なんとも豪壮な家を 建てたものだ。 <535> 金に来目を付けない 金は惜しまないで十分に 出す。用例いいクラシッ クカーなら金に糸目をつけないで買うと、彼 は言っている。 財布の底をはたく 所持金を使い果たす。 ーー万をまたく」とも。 用例どうしてもほしいと娘が言い張るので、 財布の底をはたいて買ってやった。 財布の紐を締める 無駄な金を使わないよう にする。倹約する。用例 息子の大学受験を控えて、今は少しでも財布 の紐を締めておかなければ。類財布の口を締 める 札片を切る これみよがしに大金を使 う。 用例身なりのいいー 性が派手に札びらを切り、贈り物だといって 高価な指輪を買い求めていった。 貧を尽くす したい放題にぜいたくを する。用例すばらしいホ テルで、広々とした部屋には、 爪に火を点す 尽くした調度品が並べられていた。 非常に物惜しみをする。 ひどくけちである。 うそくの代わりに、つめに火をともす意。 用例爪に火をともすような生活を続けたとこ ろで、はたして家が建つかどうか。 湯水のように使う 金を惜しげもなくふんだ んに使う。用例祖父はほ かに道楽はしなかったが、陶器をあつめるこ とには、お金を湯水のように使った。 <536> 主要出典說 明易経(えききよう) 占いの書をもとに、陰陽二気の組み合わせによって、万物 の変化と倫理を説いたもの。「周易」ともいう。 理漢書(かんじょ) 後漢の班固が著し、妹の班昭が補作して完成。「史記」にな らって紀伝体を取り入れ、前漢の歴史を記したもの。「前 漢書」ともいう。 雑輝非子(かんびし) 戦国時代の韓非の著。法家の代表的書物で、法律が政治の 基礎であると説く。 騎孔子家語(こうしけご) 孔子の言行や門人との問答を集めたもの。魏の王肅の偽作 といわれる。 後漢書(ごかんじょ) そうはんよう 南北朝時代の宋の范暉の撰。後漢の歴史書。この中の東 いでんわこく 夷伝」に、倭国(日本)の記事がある。 三国志(おんいくし) 魏・呉・蜀の三国の歴史書。西晋の陳寿の編。魏志東夷 伝」の「倭人伝」は有名。 史記(しき) 前漢の司馬遷の編。黄帝から漢の武帝までの史実を紀伝体 で記した歴史書。 特経(しきょう) 周のころにできた中国最初の詩集。孔子の撰といわれるが 不明。「毛詩」ともいう。 十八史略(じゅうはっしりゃく) 元の曾先之の編。「史記」以下、宋代までの十八の歴史書の中から重要で興味ある話を集め、初学者向きにした歴史書。 <537> 薬子(じゅんし) 戦国時代の儒学者荀況の学説・言行をまとめたもの。孟子 の性善説に対して、人の本性は悪であるとする性悪説を唱 えた。 春秋左氏伝(しゅんじゅうさしでん) 史書「春秋」の注釈書。魯の左丘明の作とされる。略して 「左氏伝」「左伝」ともいう。「公羊伝」「穀梁伝」とともに春 秋三伝といわれる。 審察(しょきょう) 夏・殷・周の政治に関して記した書。孔子の編といわれ る。「尚書」ともいい、略して「書」ともいう。 顔音音(しんじょ) 唐の太宗の命を受けて、房玄齢らが編集した晉代の歴史を 記した書。 「世説」ともいう。 世設新願(せせつしんご) 六朝時代、宋の劉義慶の著。後漢から東晋までの知識人 の徳行・文学などについての逸話を集めたもの。略して 戦国策(せんづくさく) 前漢の劉向の編といわれる。戦国時代の縦横家が諸侯に 説いた政策を、国別に分けて記した書。略して「国策」とも いう。 宋史(そうし) 元の托克托らが勅命によって、五代末から宋の終わりまで の歴史を編集したもの。歴代正史の中で最も分量が多い。 ■大学だいがく もと「礼記」の一編であったが、宋の朱子が注釈を加え広く 世に伝えた。 臨店書(とうじょ) 唐代の歴史書。『旧唐書』『新唐書』の二種がある。特に「新 唐書』の略称としていう。 そんころけん 宋の孫光憲の著。唐末から宋の間の有名人の逸話を記した 書。 <538> 玉子(もうし) 戦国時代の孟軻の言行・学説を、弟子たちが整理したもの。人の本性は善であるとする性善説に基づき、王道・仁義の道を説いた。 文選(もんぜん) 梁の蕭統(昭明太子)の編。中国最古の詩文選集。周代か ら梁代に至るまでのすぐれた作品を、文体・時代別に集め たもの。日本でも平安時代、『白氏文集』とともに愛読さ れた。 転転(らいき) 漢の戴聖の編。周末から秦・漢代までの儒者の、礼に関す る説を広く集めたもの。おじの戴徳の編集した「大戴礼」に 対して、「小戴礼」ともいう。 戦国時代の列禦寇の著書といわれるが、確かではない。老 子の道家思想を説く。寓話が多い。「沖虚真経」ともいう。 老子(ろうし) 行列子(れっし) 道家思想の祖とされる老子の思想をまとめた書。老子の著 とされるが確かではない。儒家の徳治主義に対して、知 識・学問・文明など人為を捨てた無為自然を説いた。 論語(ろんご) 春秋時代末、孔子の死後、門人たちが孔子と門人および当 時の人々との問答や孔子の性向などを収録した書。仁を重 んじる。格言として有名な章句が多い。