解説・用例
(形動)
(1)普通以上に金銭などを費して物ごとを行なうこと。また、必要以上のことをあれこれと望むこと。また、そのさま。
*洒落本・一騎夜行〔1780〕二・文の手に葉を飾る幽霊「末は女房よ我妻よと唄はせ七尋程有文は皆うそのぜいたく」
*随筆・蜘蛛の糸巻〔1846〕白猿の質朴「按ずるに、ぜいたくと云ふ詞は、おのれが若かりし比には聞かず。今より十四五年以来、市中よりいひはやしたる詞なり。たとへば銀器の物をくすべ、それとみえざらしむ、是ぜいたくなり。されど人に対しては、是はぜいたくなりとはほめず。〈略〉さすれば、ぜいたくは誹る詞の気味あり」
*交易問答〔1869〕〈加藤弘之〉下「おひおひにぜいたくになって来たといふのは」
*当世書生気質〔1885〜86〕〈坪内逍遙〉三「贅沢(ゼイタク)なる奴との御叱責を蒙候哉も図難(はかりがたく)候へども」
*吾輩は猫である〔1905〜06〕〈夏目漱石〉六「夫を思ふと人間は贅沢なものだ」
*道程〔1914〕〈高村光太郎〉友の妻「友よ、悲しけれども君の余に対する友情は贅沢に類す」
(2)(金銭以外のことについて)普通以上であること。また、そうなろうとすること。
*吾輩は猫である〔1905〜06〕〈夏目漱石〉二「此男が大の贅沢屋で〈略〉小説家丈に文章の贅沢を尽したといふ事である」
*南小泉村〔1907〜09〕〈真山青果〉一「僕は如何に贅沢の謙遜をしても、かれら小百姓と同じ血が体に流れて居るとは信じたく無い」
(3)豪華であること。高級なさま。
*雪国〔1935〜47〕〈川端康成〉「朱塗の裁縫箱がまた贅沢なつやを見せてゐた」
方言
わがままをすること。
発音
ゼタク
ジェイタッ・ゼイタッ〔鹿児島方言〕ジェータキ〔NHK(福岡)〕ズイタク〔栃木〕ゼイタッカ〔熊本南部〕デイタク〔神戸〕
[ク][タ]
[ゼ][タ]
表記
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