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❶ “把”構文とは
介詞“把”を用いた文は,以下で述べるようにいくつかの顕著な形式的・意味的特徴を持つため,特に他の動詞述語文と区別して「“把”構文」と称される.“把”構文の基本的なパターンは次のように図式化することができる.
A+“把”+B+動詞句
AおよびBは多くが名詞句からなるが,例外も存在する.これが1つの句や文をなす場合,Aは主語に相当する.他の介詞を用いた文と同様,「“把”+B」が連用修飾語となって後ろの動詞句を修飾するという構造を持つ.以下,この図式に沿って“把”構文の特徴を記していく.
❷ AとBについて
“把”構文は,多くが「主体Aが対象Bに何らかの処置を加える」という意味を表す場合に用いられることから,「処置文」と称されることもある.ただし,「処置」という言い方では“把”構文の特徴を十分にとらえきれない場合もある.以下の①と②に見られるように,同一の事態が,Bに当たる成分を目的語とした動目フレーズと“把”構文の双方で表現され得る場合があるからである.
①我已经写完作业了/私はもう宿題を終えた.
②我已经把作业写完了/私はもうその宿題を終わらせてしまった.
これらは,いずれも「私が宿題を終えた」という同一の事態を描写する際に用いられ得るが,話者の事態に対する認識が両者において異なる.①は,「宿題を終えた」という事態が発生したことを新たな話題として提示する場合に用いられ,「宿題」が「どの宿題か」「どんな宿題か」ということは明らかにされていない.一方②は,「宿題」が既に話題に上っていた,もしくは場面より明らかな,特定の「その宿題」をさす場合に限り用いられ,その「宿題」に生じた「私によって片づけられた」という変化を前面に押し出した表現である.一般に,“把”構文においてBは任意ではなく特定の対象でなければならず,またそれについて更に一歩踏み込んで「何が起きたか」を表す動詞句の部分が情報の焦点となる.一方,Aは動詞句の表す変化を引き起こした何らかの責任を負う.
❸ 動詞句について
“把”構文の動詞句は,情報の焦点となるからには,話者および聞き手の注目に値するだけの変化を表していなければならない.
③他喝了酒了/彼は酒を飲んだ.
④他把酒喝了/彼はその酒を飲み尽くしてしまった.
③は「彼は飲酒した」と言っているだけで,飲んだ酒の種類や量は問題にされていない.一方④は「その酒を飲み尽くした」という意味でもっぱら用いられる.話者と聞き手の関心の対象である特定の(1杯あるいは1本の)酒が完全になくなった,という事態であってはじめて「注目に値する変化」と呼ぶべきものとなり,④を用いるにふさわしいということになる.逆に,そうした変化について述べるのではなく,単に「彼は飲酒した」ということだけを言うのに“把”構文を用いるのはいわば大げさであり,不適当である.
“把”構文の動詞句は通常,動詞単独ではなく,補語や修飾語などを伴った複雑な構造を持つが,これは当該部分が注目に値する変化を表すことに由来すると考えることが可能である.
⑤我把衣服洗干净了/私は服をきれいに洗った.
⑥你快把他拉上来!/早く彼を引き揚げろ!
⑦他把这些过程又演了一遍/彼はこれらのプロセスをもう一度演じた.
⑧王科长把情况告诉总经理了/王課長は状況を社長に伝えた.
⑨我把被头向下一拽
/私は布団の端を下にぐいと引っ張った.⑩你把衣裳换换/服を着替えなさい.
⑤は結果補語,⑥は方向補語,⑦は数量補語,⑧は目的語,⑨は連用修飾語がそれぞれ動詞に付加された例であり,⑩は動詞が重ね型になった例である.いずれも付加された成分を取り除いて単独の動詞のみにすると不適格な表現となる.
上の例に見るとおり,動詞句の表す変化に責任を負うAは,多くが人を表す名詞性成分であり,動詞句の表す変化はAにより意図的に引き起こされる.しかし,Aが人を表す名詞句でありながら変化が意図的でない場合にも“把”構文が用いられることがある.この場合もAが責任者を表す点は変わりなく,なすすべもなく意図せざる結果を招いてしまった責任者としてAを話者が責め立てる,といった意味合いが生じる.
⑪小明把钱包弄丢
了/ミンくんは財布をなくしてしまった.⑫他一不小心,把腿摔坏
了/彼はうっかり転んで足を痛めてしまった.また,無生物を表す名詞句や動作行為を表す動詞句がAに立つこともある.
⑬一杯水就把他救活
了/たった1杯の水が彼の命を救った.⑭风把他们的头发吹得乱乱的/風が吹いて彼らの髪はぐちゃぐちゃになった.
❹ “把”構文における語順
否定の副詞は,通常,動詞の直前ではなく“把”の前に置かれる.
⑮我还没有把话说完/私はまだ話を終えていない.
⑯你们为什么不把事情真相告诉我们?/君たちどうして事の真相を僕たちに教えてくれないんだ.
ただし,次のような慣用表現は例外である.
⑰老板把我不当一回事/ボスは僕のことを何とも思っていない.
⑱真把你没办法!/おまえは本当にしょうがないな!
助動詞も“把”の前に置かれる.
⑲这样会把衣服弄脏
的/そんなことしたら服を汚してしまうよ.⑳你应该把它写成小说/君はそれを書いて小説にするべきだ.
修飾語は多くが“把”の前に置かれるが,動作の様子や動作の行われる場所・方向を表すものは“把”の後ろの動詞句の中に現れる.「Bをすべて」と言う場合,副詞“都”はBの後に置かれる.
㉑领导把我仔细
观察了一番/幹部は私をひとしきりじっくりと観察した.㉒老师把书从书架上拿了下来/先生は本棚から本を取り出した.
㉓我们要把每个孩子都培养成有用之才/我々はすべての子供を有用な人材に育て上げなければならない.
❺ “把”のバリエーション
“把”には文言(古文)的色彩の強い“将”というバリエーションがある.これはもっぱら書面語において用いられる.
㉔我国将经济体制改革的中心环节放在企业制度改革上/我が国は経済制度改革の中心を企業制度改革に置いている.
主語が,ある動作・行為を受ける表現を「受け身の表現」とすると,中国語のそれには次の二つが挙げられる.
ここでは受動文(“被动句”)について述べる.
❶ “被”を用いる受動文
現代中国語のもっとも典型的な受動文(“被动句”)は介詞“被”を用いるもので,
鱼
被猫 吃了/魚はネコに食べられた.小王被老师批评
了一顿/王くんは先生にひとしきり叱られた.那本书被李同学借走了/その本は李くんに借りていかれた.
孩子被电话铃声
惊醒 了/子供は電話のベルに驚いて目を覚ました.のように「受動者(動作・行為の受け手)+“被”+動作主(動作・行為の送り手)+動詞」の語順で用いられる.“被”はもともと「(好ましくないこと,不運なことに)遭遇する」という意味であり,中国語の受動文も本来,主語にとって望ましくないことを述べる場合にのみ使われてきた.しかし,現在の中国語では,
他被公司派到
北京 去了/彼は会社によって北京に派遣された.她被我们选为
代表 了/彼女は私たちにより代表に選ばれた.のような例も見られる.これは受け身構文の用法の拡大を示すものである.
なお,日本語で通常受け身表現を使わないような出来事が,中国語ではしばしば受動文で表されることもあるので注意が必要である.
钥匙
被我弄丢了/私は鍵を失くした.电脑被哥哥修好了/兄がパソコンを修理した.
我被她的服务
态度感动了/私は彼女の接客態度に感動した.衣服被树枝
挂了一个口子/服が木の枝に引っかかって穴が開いてしまった.以上の文では,“被”の後に動作主が置かれているが,それが不特定の人である場合は“我的钱包”(私の財布は人に盗まれた)のように“ 被人偷 了人”を置く.また,“被”の後にくる動作主は,それを述べる必要がなかったり,明示できない場合には脱落し,
他被选为小队长
了/彼は小隊長に選ばれた.封建制度
被推翻 了/封建制度は覆された.のように“被”の後に直接動詞が続く.この動詞の直前に置かれた場合の“被”は,介詞ではなく,受け身を表す助詞とされることもある.
❷ “叫”“让”“给”を用いる受動文
話し言葉では,以下のように,“被”に代えて介詞の“叫”または“让”が用いられることが多い.
我的自行车叫她借走
了/私の自転車は彼女に借りていかれた.这个秘密
不能叫人知道/この秘密はだれにも知られてはいけない.我的点心都让妹妹吃光了/私のおやつはひとつ残らず妹に食べられてしまった.
风筝
让风刮跑 了/たこが風に吹き飛ばされた.ただし,“叫”や“让”を用いた場合には,その後の加動者は一般には省略できない.
このほか“给”にも,
刚才
说的都给人听见 了/さっき話したことはみな人に聞かれてしまった.衣服都给雨
淋湿 了/服はすっかり雨に打たれてぬれた.のように“叫”“让”などと同様の介詞としての用法があるが,これは方言から来たものといわれる.
❸ その他の受動文
話し言葉では,以上のほかに,
那瓶酒叫他给喝了/そのボトルの酒は彼に飲まれた.
那个工人叫火车
给轧死 了/あの労働者は列車にひかれて死んだ.のような“叫……给……”(“叫”の代わりに“让”も用いる)の形式の構文も見られる.これは介詞“叫”(あるいは“让”)に加えて助詞“给”を呼応させて受け身の意味をさらに明確にしたものである.
このほか,書き言葉に“为”(“ 所被……所……”ともする)の形式の構文が見られるが,これは文言(古文)から入ったものである.
这个理论已经为实践
所证明/この理論は既に実践によって証明されている.他深深
地为这部文学作品 所吸引 /彼はこの文学作品に強く引かれた.受動文以外にも,“挨”“遭”“受”など少数の動詞はそれ自体が受け身の意味をもっており,これらを使った文では受け身を表す介詞を用いずに受け身の意味が表される.
他挨老师批评
了/彼は先生に叱られた.去年这一带遭了两次水灾
/去年この一帯は2度の水害に見舞われた.他受到了表扬
/彼は表彰された.これらの延長線上には,“受人欢迎”“引人注目”“讨人喜欢”といった慣用的表現も存在する.
韩剧在中国很受人欢迎/韓国ドラマは中国で人気がある.
这个广告非常引人注目/この広告は非常に人目を引く.
她的笑容
很讨人喜欢/彼女の笑顔はみんなに愛されている.さて,以下のような文の主語はいずれも受動者で,主語と述語の意味関係から受け身の意味が表現されているので,いわゆる意味上の受動文と言われてきた.
习惯
改变 了/習慣が改められた.这个问题
已经解决 了/この問題はすでに解決された.期盼
已久的新书终于出版了/長いこと待ちわびていた新著がついに出版された.这个城市开放得比较早/この都市は比較的早く開放された.
しかし,そもそも中国語では,述語動詞に対する主語の意味役割にはさまざまなものがあり,これらの主語が受動者である文も,他の主語と別扱いにする必要はなく,受動者主語文(“受事主语句”)として,受動文としては扱わないのが一般的である.
補語は,原因となる述語動詞(または形容詞)の後に付き,それがもたらすさまざまな結果を表す文成分である.
❶ 結果補語
結果補語は“喝醉”(飲んで酔っぱらう)“洗干净”(洗ってきれいになる)などのように,動作がもたらす結果を表す成分である.
一部の単音節動詞や形容詞が動詞の直後につき,「動詞+結果補語」全体で一つの複合動詞となるので,動態助詞“了”“过”を伴ったり,目的語を伴ったりすることもできる.
孩子已经睡着了/子供はもう眠った.
那件事我跟他说好了/その件は彼にきちんと言ってある.
我听懂了他的话/私は彼の話が(聞いて)わかった.
这次你写错了几个字/今回あなたは字をいくつか書き間違えた.
否定は一般には“没(有)”を用い,“不”を用いたときには条件を表す.
这本小说我还没看完呢/この小説は私はまだ読み終わっていない.
你不写清楚,我们怎么看?/あなたがはっきり書いてくれなければ,どうやって読めばいいのだ.
中国語の動詞は意味上結果の段階まで含まず,結果補語がその役目を果たすことが多い.“买了”は購入するという行為を行ったことを述べるに過ぎず,買った結果実際に入手したことを表す文脈では“买到了”と言う.また,対応する日本語では必ずしも複合動詞にならず,普通は結果の段階のみを言うものもある.
吃饱了/(食べて)おなかがいっぱいになった.
来晚了/(来たら)遅れてしまった.
❷ 方向補語
動詞の直後に続き,動作の結果,人や物が移動した方向を表す成分である.1音節の単純方向補語と,2音節の複合方向補語に分かれ,次の表にあげるものに限られる.
意味的には,空間的な移動方向の他に,抽象的な派生義を表すこともあり,この場合は形容詞の後につくこともある.
(a)空間義:
跑来/走って来る.
走进/歩いて入る.
走上去/歩いて上って行く.
飞回来/飛んで帰って来る.
站起来/立ち上がる.
(b)派生義:
天黑下来了/日が暮れてきた.
说下去/話し続ける.
晕过去/気を失う.
笑起来/笑いだす.
目的語もある場合の語順はおおよそ以下のようになる.
(a)単純方向補語“上、下、进……”:目的語は方向補語の後.
走进教室/教室に歩いて入る.
(b)単純方向補語“来、去”:人や物を表す目的語は“来、去”の前後いずれにも.場所目的語は必ず“来、去”の前.
带去一些水果〔=带一些水果去〕/果物を少し持って行く.
进屋里来〔×进来屋里〕/部屋に入って来る.
(c)複合方向補語:人や物を表す目的語は方向補語の後と,方向補語の間に割り込んだ位置(“来、去”の前)のいずれにも.場所目的語は必ず方向補語の間に割り込んだ位置.
搬出来一把椅子〔=搬出一把椅子来〕/椅子を1脚運び出して来た.
走进大厅去〔×走进去大厅〕/ロビーに歩いて入って行く.
❸ 可能補語
主に結果補語と方向補語から派生したもので,主観的・客観的条件から,ある結果が達成できるかどうかを表す.動詞と結果補語または方向補語の間に“得”を挿入すると肯定形で「…できる」,“不”を挿入すると否定形で「…できない」という意味になる.
肯定形 否定形
結果補語:看懂 → 看得懂 看不懂
方向補語:走进来→ 走得进来 走不进来
他的话你听得懂吗?/彼の話は聞いてわかりますか.
这儿看不见黑板上的字/ここは黒板の字が見えない.
今天五点以前回不来/きょうは5時より前には帰って来られない.
这东西太大,放不进箱子里去/これは大きすぎて箱に入らない.
肯定形と否定形では否定形のほうが使用頻度が高く,一般に肯定形は問いに対する返事や疑問文・反語文に限って用いられ,その他の位置では助動詞“能”“可以”が用いられることが多い.(×打扫得干净→能打扫干净)
ただし可能補語と可能を表す助動詞が意味上等しいわけではない.道理上許されて「…できる/できない」という時には可能補語ではなく“能”を用いる.
黑板上的字擦不掉/(チョークで字を強く書きすぎていたりして)黒板の字は消せない.
黑板上的字不能擦掉/(まだ書き写している人がいるので)黒板の字は消せない.
可能補語にはそのほか,“吃不了”(食べきれない)“吃不得”(食べられない)のように動詞の後に“得/不+了”や,“得/不得”を伴うタイプがある.
❹ 様態補語
動詞や形容詞の後に“得”を介して続き,動作の程度や,結果の状態などを表す.補語の部分には語から文まで,さまざまな成分が続く.
昨天晚上他睡得很晚/昨晩彼は遅く寝た.
我忙得忘了吃饭/忙しくて食事をするのを忘れた.
她听了这个消息,高兴得跳了起来/彼女はその知らせを聞くと,うれしくて飛び上がった.
笑得肚子都疼了/笑い過ぎておなかが痛くなった.
否定や疑問は,動詞の部分ではなく補語の部分を否定したり反復疑問形にしたりする.
他回答得不对/彼は正しく答えなかった.
今天你起得早不早?/きょうは早く起きましたか.
動詞が目的語を伴っている際には,“得”を必ず動詞の直後に続ける必要があるため,動詞の部分を繰り返すか,目的語だけを主題として前に置く.
她说汉语说得很流利〔=她汉语说得很流利〕/彼女は中国語を流暢に話す.
❺ 程度補語
“极”“死”“透”や“得很”“得慌”“得不得了”などの一部の限られた語句を伴って,程度(主に強調)を表す.
考试结束了,我们高兴极了/試験が終わってうれしくてしかたがない.
那里夏天热得不得了/あそこの夏はめちゃくちゃ暑い.
なお,“于”“向”“自”など一部の介詞からなる介詞句は動詞や形容詞の後に続いて動作の時間・場所・対象などを示すことがあり,介詞句補語として扱われる.
鲁迅生于一八八一年/魯迅は1881年に生まれた.
❶ 存現文とは
存現文とは,文中の動詞が表す動作・状態の担い手が,目的語として動詞の後に置かれるという語順をとった文のことで,この種の文が人や物の存在・出現・消失を表すという意味上の特徴があることからこのように呼ばれる.
❷ 自然現象の発生を表す文
下雨了/雨が降ってきた.
刮
风了/風が吹いてきた.开花了/花が咲いた.
打雷
了/雷が鳴った.自然現象の発生をいう時は,“雨”“风”“花”“雷”を主語にするのではなく,上記の例文のように動詞の後に置いて目的語とすることが多い.これを日本語に訳せば「雨が…」「風が…」「花が…」「雷が…」となり,意味の面から見ると,“雨”“风”などは現象の主体を表す.
❸ 現象の発生ということ
名詞を主語とした次のような文,たとえば,
客人
来了/お客が来た.老师来了/先生が来た.
では,来る(“来”)という動作が行われた場面からは独立に存在するものとしての人間を認めている.来るはずの人を待っていたというとらえ方である.
一方,自然現象の発生を表す“下雨了”のような文ではこれと違って,現象が発生してはじめて雨や風や花や雷が出現し,現象が消滅するとともに,これらの物もなくなってしまうのである.雨,風についていえば,降ってくる前にまず雨が存在していて,それが今降り出したというわけではなく,吹いてくる前に風というものがまずあって,それが今吹き出したというわけでもない.この点が,“客人来了”(お客が来た),“老师来了”(先生が来た)などの場合と大きく違っている.
なお,「雨が止んだ」という場合には,雨がまず存在していて,それが今止んだということなので,
雨停
了/雨が止んだ.のように“雨”が主語になる.
❹ 出現を表す文
「雨が降ってきた」とか「風が吹いてきた」とかいう時には“下雨了”“刮风了”のように表現することが多いが,いつも必ずそうなるわけではない.
たとえば,それまでどこかで降ったり吹いたりしていた雨や風が,今,話し手の所までやってきて目の前に姿を現し,話し手にとらえられるようになったものと考えれば,
雨下起来了/雨が降り始めた.
风刮起来了/風が吹き出した.
のように表現することができる.
また逆に,人間とその動作をいう場合,いつも必ず人を表す名詞が主語になるというわけでもない.何者かがある時はじめて話し手の前に出現したという時には,人を表す名詞を目的語にして,たとえば,
来客人了/お客が来た.
ということができる.こういう場合の客(“客人”)は,だれかはわからないが,とにかく客として突然(約束なしで)来た人というだけのことである.このように出現によってはじめてその存在が知られたものとしての人が表される場合は,降ってきてはじめて雨に気づくのと同じパターンとしてとらえられる.待っていた客が来た場合の“客人来了”とは異なる.
このような文は特定の場面でなにが起きたかということに重点があり,動作を行う主体は意味の中心ではない.
前面来了一辆
汽车/前から1台の自動車がやってきた.他生了一个儿子/彼に息子が生まれた.
那时发生
了一个问题/その時に一つの問題が生じた.中国出了个毛泽东
/中国に毛沢東という者が現れた.以上のように,現象を表す文の目的語の名詞は数詞・量詞を伴うことが多く,動詞の後の“了”は不可欠である.
❺ 消失を表す文
事物の出現はいわば無から有への変化であるが,逆に有から無への変化,すなわち事物の消失を表す文も同じ形式をとる.
我们班走了一个同学/私たちのクラスから生徒が一人去った.
手里少了一张王牌
/手元の切り札が1枚なくなった.看守所
跑了一个犯人/拘置所から犯人が一人逃走した.現象を表す文の場合と同様に,目的語の名詞は数詞・量詞を伴うことが多く,動詞の後の“了”は不可欠である.
❻ 存在を表す文
現象を表す文は,話し手の前にはじめてなにかが姿を現すということをいう文であるが,逆に,すでに存在しているものに対して話し手が今はじめて目を向けて,その存在をとらえるということを表す文も現象を表す文と同じ形式をとる.たとえば,次のような文である.
墙上
挂 着一幅 画儿/壁に1枚の絵が掛かっている.台上坐着主席团
/壇上に議長団が座っている.床上躺
着一个人/ベッドに一人の人が横になっている.蓝蓝
的天空,飘浮 着白云/真っ青な空に白い雲が漂っている.これは,対象になっている人や物について,その場面での存在という限定された面からだけとりあげる点で,現象を表す文と共通している.
また,事物の存在を聞き手に向かって紹介する場合も,聞き手の立場に立って,それをはじめてふれるものとして扱うから,この語順をとる文となる.たとえば,
这里有人/ここは人がいます.
中国有二十三个省
/中国には23の省がある.图书室有书,也有报纸
/図書室には本があり,また新聞もある.などという.
存在を表す文において“有”以外の動詞が用いられる場合は,直後に“着”を伴うことが多い.
代詞とは,人・事物・動作・性質などに言及するのに,それらを直接に述べず,話し手・場面・文脈などとの関係をとらえて表現する種類の語である.
代詞という名称は,人・事物を表す名詞,動作・状態を表す動詞,性質を表す形容詞,副詞などの代わりにこれらが用いられるという解釈からつけられたものである.従って,他の品詞とは異なり,代詞の文法的な働きはさまざまである.代詞全体は人称代詞・指示代詞・疑問代詞の3種類に分けられる.
❶ 人称代詞
人称代詞には,“我(们)”(私(たち)),“咱”(私(たち)),“ (们)你(们)”(あなた(たち),君(たち)),“您”(((目上の人に))あなた),“他(们)”(彼(ら)),“她(们)”(彼女(たち)),“它(们)”(((人間以外の事物・動物の))それ(ら)),“人家”(ひとさま.あの人),“别人”(他の人),“大家”(みんな),“自己”(自分)などがある.“们”を加えた人称代詞は複数を表す.
これらの語を用いた場合,言い表された人物については話し手自身との関係,あるいは話題の人物との関係しか言葉の表面には表れない.そのため,電話をかけて先方から“谁”(だれ)と聞かれて“ ?我”(私だ)と答えても,だれだかわかってもらえないこともある.しかし一方,話しかける相手の名前を知らない場合でも,その人のことを“您”で表現して,
您贵姓?/お名前はなんとおっしゃいますか.
と言うことができる.
“他”は「彼」,“她”は「彼女」と訳すのが普通だが,中国語では自分の父母や親族,目上の人,知らない人を話題にする中で“他”“她”を用いることがある.そういう場合は日本語の訳に工夫が必要となる.
❷ 指示代詞
指示代詞の根幹となるのが“这”(これ),“那”(あれ)である.ただし,“这”“那”単独の形式は,通常“是”が述語となる文の主語にのみ用いられ,それ以外の位置では直後に数量詞を伴った形式によって「これ」「あれ」が表される.量詞は指示対象に応じて変化するので,「これ」「あれ」の言い方は多様である.
这是我的钱包/これは私の財布です.
我要的就是这(一)本/(1冊の本を手に取って)私が欲しいのはこれです.
なお,量詞“个”は広い範囲で用いられるため,「これ」「あれ」の意味ではそれぞれ“这个”“那个”が頻繁に用いられる.
対象が複数である場合,数が特定できていれば通常数量詞で数を明示する.
那三辆都是我的车/あれら3台はみな私の車です.
数が特定できない「これら」「あれら」は,それぞれ“这些”“那些”と言う.
以上のパターンは,いずれも名詞の前に置いて,「この…」「これらの…」「あの…」「あれらの…」という連体修飾語となることができる.
这孩子/この子
这(一)本书/この本
那三辆车/あの3台の車
那些人/あれらの人
“这”と“那”のどちらを使うかは,話し手と対象の距離によって決まる.
対象が話し手の近くにあれば“这”,遠くにあれば“那”が用いられる.
なんであるかわからないものについて人に尋ねる時,尋ねるものがなにかをまず相手に伝えなければならない.わからないもののことをなんとか表現しなければならない.そういう時,指示代詞を用いれば,物が話し手から近くにあれば“这”,遠くにあれば“那”と言って,
这〔那〕是什么?/これ〔あれ〕はなんですか.
のように簡単に目的を達することができる.
また,聞き手が話し手のすぐ近くにいる時は,物を言い表すのに具体的な名詞を用いず,それが自分の近くにあるものか遠くにあるものかという面だけをつかんで言うだけでも十分に話が通じる.だから,買い物の時には目の前の商品を指差しながら
我买这个/これをください.
のように“这个”と言うだけですませることができる.
“这”“那”を場合に応じて「それ」と訳すこともあるが,日本語の「それ」は物が聞き手に近いという,聞き手と物との関係をとらえた表現で,それが話し手から近いか遠いかは問題にしない.よって,日本語で「それ」と表現されているものを中国語で表す時には,近ければ“这个”,遠ければ“那个”を用いればよい.
指示代詞にはそのほか,場所を表す“这儿”(ここ),“那儿”(あそこ),方式・状態を示す“这么”(このように),“那么”(あのように)などがあるが,いずれも“这”“那”によって構成されている.
❸ 疑問代詞
疑問代詞の主なものには,“什么”(なに),“谁”(だれ),“哪”(どの.どちら),“哪儿”(どこ),“哪里”(どこ),“多会儿”(いつ),“怎么”(どうして.どのように),“怎(么)样”(どのような),“几”(いくつ),“多少”(どれくらい)などがある.このうち“几”“多少”は「疑問数詞」とされることもある.
疑問代詞は,話し手が人・事物・動作・性質などを話し手との関係の面から表現する代詞の一種であるが,この関係が,特定できない,あるいは特定しないという不定関係であるところが,人称代詞・指示代詞と異なるところである.
人にものを尋ねるということは,対象の事物についてそれはなにか,どのような性質か,どのような状態かなどについて話し手が確定できないという,自分との間の不定関係をとらえて表現しながら,同時にそれを具体的に示すよう聞き手に求めるということにほかならない.たとえば,相手に食べたいものを尋ねる時は,
你吃什么?/なにを食べますか.
のように,わからないものを“什么”と表現する.
不定関係において事物をとらえて表現する代詞は,こうしてもっぱら疑問の表現に用いられるため,疑問代詞と呼ばれている.
しかし疑問に限らず,不定関係で対象をとらえる表現にはすべてこの疑問代詞が用いられる.たとえば,
我想吃点儿什么/私はなにか食べたい.
では,話し手にとって食べたいものは不定関係にあるから“什么”と表されているし,
什么都可以/なんでもけっこうです.
では,“可以”(よい.かまわない)といわれるものは,話し手にとって特定のあれやこれではなく,不定関係にあるものであるから“什么”と表現されるのである.
このように疑問代詞という名称で呼ばれてはいても,その用法は疑問だけに限らず多様である.
また,疑問代詞“什么”を他の語と組み合わせた“什么时候”(いつ),“什么地方”(どこ),“为什么”(なぜ)などは文法的には句であるが,実用的にはそれぞれひとつの疑問代詞のように用いられる.
❶ 漢語・方言・共通語
日本で一般に中国語と呼ばれているものは,中国の全人口の9割強を占める漢族の言語(“汉语”)をさすことが多い.漢語は決して均質なものではなく,内部に非常に多くの“方言”を含んでいる.たとえば,カンフー映画に出てくる広東語,中国最大の経済力を誇る上海で使われる上海語,海外華僑に多い客家(はっか)語や閩(びん)語(福建語)など,長江(揚子江)以南には,北方に広く分布する官話とは異なる多彩な方言がある.
各方言の違いはきわめて大きく,もしこれがゲルマン諸語やロマンス諸語であれば,互いに別々の言語と見なしてよいほどである.現在では各方言区の人々は日常生活では方言,公の場では共通語という二重言語生活を送っている.共通語としての中国語は“普通话”といわれ,北京語の発音と北方方言をもとにつくられたものである.
❷ 七大方言
主な漢語方言には“官话”“ 〔北方〕方言吴”“ 方言湘”“ 方言赣”“ 方言客家”“ 方言闽”“ 方言粤”の七つがある. 方言
各方言は語彙や文法的な違いもあるが,音声面での差異が最も大きい.以下,それぞれの分布地域と主な音韻的特徴を述べる.なお,文中の「入声(にっしょう)」というのは,音節末尾が「ップ[-p]・ッツ[-t]・ック[-k]」などのようにつまって終わる特別な声調のこと,「声母」とは音節の最初に現れる子音,「韻(母)」とは音節から声母を除いた部分,「中古音」とは隋・唐代の標準音のことである.
官話とは役人の交際語という意味である.中国全土が統一され官僚機構が整備されるとともに,中原域に広く浸透し,全国共通語の基盤となってきた.現在では漢族の7割がこの方言を使用している.共通語のもととなっている北京方言が最も代表的である.
音韻的特徴は,濁声母がなく,清音のみであること.入声はごく一部地域を除き消滅(例:六liuk>liou).-mで終わる韻尾は-nとなり(例:深-m>-n),声調の数は3から7で,“普通话”の四声のように4声調の地域が最も多い.また北京方言では,巻舌(けんぜつ)音といわれる舌をそらせる声母や,末尾韻のr化韻,単語や文に現れる軽声なども特色として挙げられる.
長江以南の江蘇省・浙江省・江西省の一部に分布する.寧波(ニンポー)あたりを境として,北部方言〔上海〕(注:〔 〕内はその中の代表的な方言を示す.以下同じ)と南部方言〔温州〕に分かれる.
音韻的特徴は,日本語のように濁声母があること.もと入声は,すべて声門閉鎖音[-ʔ]として残る.鼻音韻尾の-mが失われ,-nと-ngの区別もない.声調の数は5から8.多音節語の多くは連音変化を起こす.
湖南省・広西チワン族自治区の一部に分布する.普通,新湘方言〔長沙〕と老湘方言〔双峰〕に下位分類される.
音韻的特徴は,濁声母がかなりの地域で保存されていること.入声韻母は,声調の区別として一部地域を除き残っているが,末尾子音は消失.-m韻尾,-ng韻尾は-nに合流している場合が多い.声調数は5から6.
江西省(南部を除く)・湖南省の東部に分布する.
音韻的特徴は,濁声母がなく,すべて清音であること.-m韻尾は一律-nに合流,声調の数は6から7のところが多い.入声の保存の程度は地域によって異なり末尾子音がすべて区別されたり,または一部しか区別が残っていないところがある.
客家とは北方から南方に移住してきた漢族のある一派をさす.主に広東省東部中部・福建省西部・江西省南部・台湾西北部に分布するが,これらの地域以外でも華南地方を中心として各地に点在している.広東省東部の梅県方言が最も有力である.
音韻的特徴としては,韻尾が中古音の体系をそのまま保存し,-m,-n,-ngが区別され,入声韻尾の-p,-t,-kと相対応している(入声が一部失われているところもある).濁声母は消滅し,すべて無声有気音となっている.声調数は6から7.
福建省(西部を除く)・広東省の東部および雷州半島・海南省・台湾に分布する.福建省の方言は,大きく沿海部方言〔福州・莆田・廈門〕と内陸部方言〔建甌・邵武・永安〕に分かれる.福建省以外の地域で話されている閩方言は,だいたい沿海部方言の一派である“闽南话”に所属する.
音韻的特徴としては,濁声母がほとんどの地域で無声無気音に変化している.入声韻尾をすべて保存している地域が多い.声調の数は一般に7つで,連音変化が複雑である.
広東省・広西チワン族自治区および香港・マカオに分布する.広州市と香港の方言が最も有力で,普通,カントン語と呼ばれている.
音韻的特徴としては,濁声母は清音に変化.入声は-p,-t,-kをすべて残し,-m,-n,-ngと対応する.声調の数は9から10で,漢語諸方言中最も多い.多くの方言で短母音のaと長母音のaを区別する.
❸ 内部差が大きい南方諸方言
北方の官話方言は広大な地域に分布しているにもかかわらず均質的である.黒竜江省ハルビン市と雲南省昆明市は直線距離で3千キロ以上あるが,両地の人はさほど困難を感じずに会話をすることができるという.一方,南方の六方言は,各方言間の差異はもちろんのこと,各方言内の下位諸方言間の差異もきわめて大きい場合が多い.福建省の福清県と莆田県は直線距離で50キロしか離れておらず,ともに沿海部閩方言に属するが,両地の言葉はほとんど通じない.
歴史的にみて南方諸方言は官話方言に比べ,古い漢語の特徴をより多く保存している.たとえば,贛方言(一部)・客家方言・閩方言(一部)・粤方言では,入声が隋・唐代の発音に近い状態で残されている.このことは当時の中国の発音を輸入した日本漢字音と比較するとよくわかる.たとえば,広州方言で「得(とく)・列(れつ)・急(きふ)」を「タックtɐk・リッツlit・カップkɐp」と発音する.また,古い語彙(あるいは意味)がしばしば南方の方言に生き残っている.たとえば,「鍋(なべ)・釜(かま)」「箸(はし)」を意味する閩方言の“鼎”“箸”,「飲む」を意味する粤方言の“饮”(ヤムチャ“饮茶”のヤム),「お湯・温泉」を意味する福建省東北部の閩方言の“汤”などがその例である.
❶ 複文とは
“复句”(複文)とは,二つあるいは二つ以上の,文法的には関係を持たないが,意味上つながりを有する文が,相互依存的に合わさってつくられる,より複雑な内容を表す文で,“单句”(単文)と対をなす.
风停
了,雨也住 了/風がやみ,雨もあがった.のように複文を構成する各単文は,意味上のつながりを有するだけで,文法的関係を生じることはなく,それぞれ互いの一部分とはならない.
我知道风停了,雨也住了/私は,風がやんで雨もあがったことは知っている.
の例では,“风停了,雨也住了”が“知道”の目的語となっており,全体で一つの単文であって,複文ではない.
❷ 単文間の関連を表す語句
中国語の複文は,それを構成する単文間の意味関係をより明確にするために,なんらかの関連を表す語句を用いて連接することも少なくない.これらの関連語句には,主として“虽然”(…ではあるけれども),“但是”(しかし),“因为”(…なので),“所以”(それゆえ)などの接続詞と“就”(ならば)“却”(だが)などの副詞が用いられる.
関連語句には,“虽然……但是……”,“因为……所以……”などのように互いに前後呼応し合うものが多いが,“……,但是……”“……,所以”などのように,どちらか一方のみを用いて同じ意味を表すことができるケースも少なくない.
❸ 複文を構成する単文間の関係
複文を構成する単文間の意味関係を,関連語句の用法を整理しやすいように,以下12通りに分類して示す.
风停了,雨也住了/風がやみ,雨もあがった.
[常用関連語句]“也……也……”“又……又……”“既”“ 也〔又〕……有时……有时……”“一方面……(另)一方面……”“一会儿”“ 一会儿……一边……一边……”“是……不是……”
开始
只来了五六个人,接着 来了十来个人,后来 又来了七八个人/最初5,6人しか来なかったが,引き続いて10人ばかり来て,後になってまた7,8人やって来た.[常用関連語句]“首先”“ 接着……开始……后来……”
是我来,还是他来,还是我们俩
一起来?/私が来るのか,彼が来るのか,それとも私たち二人が一緒に来るのか.[常用関連語句]“(还)是……还是……”“不是……就是……”“或者” 或者……
他不但
不接受批评 ,反而 把错误 推 给别人/彼は注意を聞かないどころか,誤りを人になすりつける.[常用関連語句]“不但……而且”“不仅”“ 还……况且”
因为
昨天下雨,所以我们没去长城 /きのうは雨だったので,私たちは万里の長城に行かなかった.[常用関連語句]“因为……所以……”“既然”“ 就……之所以……是因为……”“因而”
他虽然工作忙,但是对业务
学习抓得 很紧/彼は仕事が忙しいけれども,業務上の学習にもしっかり力を入れている.[常用関連語句]“虽然……但是〔可是,却〕……”“然而”“不过”“却”
如果你一定要去,那么我陪
你去/もしあなたがどうしても行きたいのなら,私がお伴して行きましょう.[常用関連語句]“要是〔如果,假如” 〕……就〔那么〕
只要你肯
努力,就一定能学好/君が本気で努力しさえすれば,きっとマスターできる.[常用関連語句]“只要……就……”“只有……才……”“除非”“ 才……无论”“ 〔不论〕……都〔也〕……不管” 都〔也〕……
即使
碰 到再大的困难,他也不屈服 /たとえどんな困難にあおうとも,彼はくじけない.[常用関連語句]“即使……也……”“尽管”“ 但是〔可是,还是,也〕……哪怕……也〔都,总〕……”“就是……也……”
与其
等死,不如起义反抗 /死ぬのを待つよりは,蜂起して反抗したほうがましだ.[常用関連語句]“与其……不如……”“宁可” 也不……
为了
方便顾客 ,延长 了营业时间/客の便をはかるために営業時間を延長した.我再说明一下,免得
引起误会 /誤解が起こらないように,もう一度説明しましょう.[常用関連語句]“为(了)”“为的是”“免得”“省得”
时间越长,效果越显著
/時間がたてばたつほど効果がはっきりする.心里想什么,嘴
里说什么/心に思ったことはなんでも口に出して言う.❹ 緊縮文
単文の形式によりながら,仮定・条件・継起・累加などの関係を内包する,複文に相当する固定文型を,複文が圧縮してできたものであるという意味で“紧缩句”(緊縮文)と呼ぶ.たとえば,
下雨我们也要去/たとえ雨が降っても,私たちは行くつもりだ.
は,“就是下雨,我们也要去”という複文に相当する情報量を有している.このほか,“一……就……”“不……不……”などの常用の固定文型も緊縮文である.緊縮文は,複文の多用による冗長な表現を防ぎ,簡潔で洗練された中国語の文を構成する上で大きな役割を果たしている.
❶ 介詞とは
介詞は,名詞(句)や代詞を目的語として伴い,介詞句を構成し,場所・方向・時間・対象・目的などの意味を表す虚詞(文法的機能語)である.文中では介詞句全体で連用修飾語となり動詞句を修飾するのが最も主要な用法である.
[介詞+(介詞の)目的語]+被修飾語
[从+北京]+回来/北京から戻ってくる.
❷ 介詞と動詞,介詞と接続詞
現代語における介詞のほとんどは,本来動詞であったものが語彙的意味を失い(あるいは弱め),文法的な働きをするようになったものである.したがって,たとえば,
他们在家里/彼らは家にいる.(動詞)
在家里看电视/家でテレビを見る.(介詞)
咱们比一比看/比べてみようか.(動詞)
比山高,比海深/山よりも高く,海よりも深い.(介詞)
のように,動詞と介詞の兼類となる語も少なくないし,
用钢笔写字/ペンで字を書く.
の“用钢笔”ように,介詞句で修飾語となっていると考えても,動詞句で後の動詞句と連動文になっていると考えてもよい,いわば介詞と動詞の中間状態に位置しているものもある.
また,“跟”は介詞と接続詞の兼類になるので注意が必要である. 、和 、同 、与
我跟他都是学生/私と彼は(二人とも)学生です.(接続詞).
他跟同学游泳去了/彼は学校の友達と泳ぎに行った.(介詞).
❸ 介詞の文法的特徴
介詞は虚詞なので一般に単独では文成分になれず,目的語を伴い介詞句を構成しなければならない.
介詞は動詞から変化したとはいえ,①単独で述語となる ②助詞“了、着、过”などを伴う ③重ね型にできる,などの動詞の文法的特徴はない.
“为了”や“为着”のように一部の介詞につく“了”や“着”は語の構成要素であり,アスペクトを表す助詞ではない.
❹ 介詞句の文法的特徴
介詞句の文中での主要な働きは以下の3つである.
①連用修飾語になる.介詞句の最も基本的な働きである.
他在黑板上写了自己的名字/彼は黒板に自分の名前を書いた.
我们从前天开始放寒假了/私たちはおとといから冬休みに入った.
②連体修飾語になる.必ず助詞“的”を介する.
朝南的房间/南向きの部屋.
他看了几本关于语法的书/彼は文法に関する本を何冊か読んだ.
③補語になる.“于、向、自、往”などの一部のものに限られる.
他来自美国南部的一个小城市/彼はアメリカ南部のある小さな町の出身である.
❺ 介詞の種類と用法
[動作・行為がなされる場所・時間]在
,于 ,当 /…で,に,のとき.在黑板上写字/黒板に字を書く.
来信于昨日收到/手紙は昨日受け取った.
[起点]自
,从 ,自从 ,由 ,打 /…から.本次列车自北京开往乌鲁木齐/この列車は北京よりウルムチに向かう.
[空間的・時間的距離]离
/…から.离学校不远/学校から遠くない.
离圣诞节只有一天/クリスマスまであと一日しかない.
[方向・目標]朝
,向 ,往 ,至 /…へ,に,まで.朝前看/前のほうを見る.
[経路]从
,顺(着) ,沿 (着)/…を,に沿って.从小路走/小道を通って行く.
[仲間・相手]跟
,和 ,同 ,与 ,问 /…と,に.我去年跟小王住在一起/私は去年王君と一緒に暮らした.
[動作・行為の受け手・相手]给
,为 ,替 /…に,のために.给我来封信/私に手紙を一通よこす.
[動作・行為の対象]把
,将 ,拿 ,管 /…を;对 ,对于 /…に対して,にとって;关于 ,至于 /…に関しては,については.把房间收拾一下/部屋をちょっと片付ける.
大家对我都很热情/みな私に対して親切だ.
关于这个问题,我直接跟老王联系
/この問題について,私は直接王さんに連絡を取る.[動作の範囲]就
/…について;连 /…ごと,すら,さえ;除(了) /…のほかに,を除いて.大家就创作方法进行了热烈的讨论
/みな創作方法について熱心に議論した.他连饭也没吃就走了/彼はご飯も食べないまま立ち去った.
除了老王,我都通知到了/王さんを除いて私は全員に伝えた.
[行為者]叫
,让 ,被 /…に(よって).小张叫我批评
了几句/張くんは私からいくつか小言を言われた.[比較]比
/…より.他比你高/彼は君より背が高い.
[準拠]依
(着),依照 ,按 (着),按照 ,照 (着),本着 /…どおりに.依着图样剪裁
/型紙どおりに裁断する.[よりどころ・方式]以
,凭 ,论 ,据 ,根据 /…で,によって,にもとづいて.以实际行动支援
灾区 /実際の行動によって被災地を支援する.[原因]由于
,因 /…により,のために.由于工作关系,我在长沙逗留
了几天/仕事の都合により,私は長沙に数日滞在した.[目的]为
,为了 ,为着 /…のために.为人民服务
/人民のために奉仕する.[条件や機会の利用]趁
(着),就着 /…のうちに.趁空儿把车修了一下/暇のあるうちに車をちょっと修理した.
[過程・手段]经
,经过 ,通过 /…によって,を通して.经过这次会议,大家的看法一致
了/今回の会議を通して,全員の意見が一致した.❶ 離合詞とは
2音節の動詞で,二つの構成要素の間に「動詞+目的語」の関係が成り立つものの中には,各要素に他の要素を付加することによって動目フレーズを新たに作り出せるものがある.たとえば,“跳舞”(ダンスを踊る)は「“舞”(ダンス)を“跳”する(踊る)」という「動詞+目的語」の構造を持つ一つの動詞であるが,“跳”の直後に動態助詞(アスペクト助詞)“了”を加えて“跳了舞”(踊った)とすることもできるし,また“舞”の直前に“爵士”(ジャズ)を加えて“跳爵士舞”(ジャズダンスを踊る)とすることもできる.他の要素が付加された結果,もともと隣接していた“跳”と“舞”は離れることになる.以上のような特徴を持つ動詞を,「ついたり離れたりできる」という点に着目して「離合詞」と呼ぶ.
以下,離合詞の第1要素を「V」,第2要素を「O」でそれぞれ代表する.
❷ Vに付加される要素
まずVに着目すると,既に触れた動態助詞のほか,結果補語,方向補語,数量詞などのうち一つまたは複数が後続し,Oと隔てられることがある.
洗澡
(入浴する)洗完澡/入浴し終える.
散步
(散歩する)散一会儿步/しばらく散歩する.
离婚
(離婚する)离过一次婚/一度離婚したことがある.
離合詞を重ね型にする場合は,Vのみを重ねる.
理发
(散髪する)理理发/ちょっと散髪する.
点头
(うなずく)点了点头/軽くうなずいた.
様態補語を従える場合は,VOの後に再びVを置き“VOV得~”という形式になる.
起床(起きる)
起床起得很早/起きるのが早い.
吵架
(口論する)吵架吵得很凶
/激しい口調で口論する.❸ Oに付加される要素
続いてOに着目すると,直前にさまざまな修飾語が加えられ,Vと隔てられることがある.
滑冰
(スケートをする)滑旱
冰/ローラースケートをする.存款
(預金する)存一笔款/一定額の預金をする.
上当
(だまされる)上他的当/彼にだまされる.
演戏
(芝居を演じる)演一场好戏/よいひと幕を演じる.
“什么”を修飾語として置いて疑問文あるいは反語文を作ることもできる.
打工(アルバイトをする)
打什么工?/何のアルバイトをしてるの.(アルバイトなんかしてどうするんだ).
着急
(焦る)着什么急?/どうして焦ってるの.(焦ってどうするんだ).
❹ 離合詞は目的語を従えることができない
日本語では「大学を卒業する」と言うが,中国語の“毕业”(卒業する)は“大学”を目的語にとることができない(ただし後述する通り例外もある).これは“毕业”が離合詞であり,V+O自体が既に目的語を含んでいるためその後ろにさらなる目的語を取りにくい事情によるものと考えられる.
この点は,あらゆる離合詞に共通する顕著な特徴の1つとして注意を要する.なお,「大学を卒業する」は“大学毕业”となるが(書面で出身大学や学部学科を紹介する際には“毕业于北京大学医学系”(北京大学医学部卒)といった言い方もある),他の動詞であれば目的語として現れるような要素が離合詞の場合どのように現れるかというパターンはいくつかあり,どの離合詞がどのパターンを取るかは個別に覚えていかなければならない.
①介詞を用いる場合
亲嘴
(キスする)跟他亲嘴/彼にキスする.
求婚
(プロポーズする)向女友求婚/ガールフレンドにプロポーズする.
照相
(写真を撮る)给大家照相/皆をカメラに収める.
②Oの修飾語として現れる場合
帮忙
(手伝う)帮你的忙/君を手伝う.
告密
(密告する)告他的密/彼を密告する.
请客(ごちそうする)
请我的客/私にごちそうする.
①と②の双方が可能なものもある.
生气
(腹を立てる)对他生气〔生他的气〕/彼に腹を立てる.
送礼
(プレゼントする)给她送礼〔送她的礼〕/彼女にプレゼントする.
❺ 離合詞の多様性
離合詞の中には,次のように用いられるものもある.
破案
(事件を解決する)把那个案破了/その事件を解決した.
撒谎
(嘘をつく)这个谎不能撒/こんな嘘はついてはいけない.
结婚(結婚する)
连婚也不结/結婚さえもしない.
これらの例では,VとOが互いに隔たっているだけでなく,本来のVOの順序と異なりOがVに先行している.
こうした例や,VとOのどちらにも他の要素を付加できるという先に見た状況を考えあわせると,離合詞のいわば「1語でありながらまるで2語のようにふるまう」特性が鮮明に見て取れる.もっとも,あくまで「まるで」であり,離合詞が1語であることがそれによって覆されるわけではない.たとえば,“破案”は“破了那个案”や“把那个案破了”のように言えるが,“那个案”と言えるのはあくまでも“破”と共に用いられているからであり,単独で「その事件」と言いたい場合,通常“那个案”は使えず,“那个案子”と言わなければならない.同様に,“这个谎”“婚”もそれぞれ“撒”“结”なしに単独で使うことはできない.VとOが常に共に文中に現れていなければならない以上,おのおのを独立した1語と認めることは適当でない.
また,VとOの独立性の度合いは一様ではなく,たとえば“破产”(破産する)は“×把这个产破了”のようにOをVに先行させることができない.
さらに,VとOの独立性が低く,VO全体で動詞1語のように振る舞うものもある.たとえば“留学”(留学する)は一般に離合詞とされ,規範的には「一度留学したことがある」は“留过一次学”が正しいとされるが,実際には“留学过一次”という形もかなり多く使用される.
また,“起草”(起草する)は,“起了个草”(一つ起草した)となる反面,“×一个草”が単独で言えないことから紛れもない離合詞であるが,例外的に直後に目的語を従え,“起草宪法”(憲法を起草する)と言うことができる.あたかも“起草”全体が一つの他動詞であるかのようである.
以上のように,一くくりに離合詞と言っても,おのおののふるまいは多種多様であるという点には注意が必要である.
“连词”(接続詞)は,語や句を結合することができる一方,文を接続して複文を構成したり,複数の単独の文を結び付けてより大きな文章単位にしたりすることができ,並列・選択・転折・仮定などのさまざまな論理関係を表す.
❶ 語や句を結ぶ接続詞
“和”,“跟”,“与”,“及”など.主として名詞句を結ぶが,“和”などは書き言葉において一部の二音節動詞を結ぶことがある.
长江和黄河/長江と黄河.
会议讨论和通过了明年的政府预算
方案 /会議は来年度の政府予算案を討議しかつ採択した.❷ 文を結ぶ接続詞
“但是”,“可是”,“况且”,“所以”など.
我很喜欢日本文学,但是没有认真
研究过/私は日本文学が好きだけれども,ちゃんと研究したことはない.那天我病了,所以没参加那个会/その日は病気になったので,その会には参加しなかった.
❸ 語や句と文のいずれも結ぶ接続詞
“并”,“并且”,“而且”,“或者”など.
表面柔软
而且光滑 /表面はやわらかでその上滑らかだ.这里不少人是我的老同学,而且有的还是好朋友/ここでは多くの人が私のかつての同級生だし,しかも中には親しい友人もいる.
❹ 接続詞と組み合わせて用いられる語句
接続詞は二つ一組で用いられたり,副詞と組にして用いられたりすることもある.
①接続詞と接続詞の呼応:“不但”,“ 而且虽然”,“ 但是因为”など. 所以
他虽然没有经验
,但是工作做得很好/彼には経験がないが,仕事をよくやっている.②接続詞と副詞の呼応:“既然”,“ 就要是”,“ 就就是”,“ 也即使”,“ 也纵然”,“ 也虽然……还”,“除非”,“ 不除非……才”,“尽管”,“ 也不管”など. 都
你既然订
了计划 ,就该照着去做/計画を立てたからには,そのとおり実行すべきだ.❶ 連動文・兼語文とは
述語部分が二つ以上の動詞(句)からなる文のうち,それらが一つの主体(主語)の一貫した動作・行為を表す文を“连动句”(連動文)という.また前後二つの動詞(句)の前の動詞の目的語が意味上,後の動詞(句)の表す動作・行為の主体となっている文を“兼语句”(兼語文)という.
連動文は,
主語+述語〔動詞1(+目的語1)+動詞2(+目的語2)〕
と図示することができ,兼語文は,
主語+述語〔動詞1+目的語1+動詞2(+目的語2)〕
と図示することができる.
❷ なぜ連動文・兼語文なのか――その働き
ただ単に述部が二つ以上の動詞(句)から構成されるだけならわざわざ連動文や兼語文と名づける必要はない.たとえば,
我天天看书写文章
/私は毎日本を読み,文章を書く.高大妈
忙着倒茶 递烟 /カオおばさんは急いでお茶を入れたばこをすすめた.といった文では,動詞句が並列されているだけで,二つの動詞句が表す動作・行為は相互に関係し合うことがない.
このようなものの中から連動文と兼語文の2種を特に区別して取り上げるのは,これらが英語のto不定詞や-ingの分詞形のようなもの,あるいは日本語の助詞〔て・に・を・は〕のようなもののない中国語の文の構成法として重要だからである.たとえば,
妈妈去买菜
/母さんはおかずを買いに行く.この連動文は,母親がどこかへ行ったり,おかずを買ったりするのを別々にすることを表すわけではなく,おかずを買う(“买菜”)という「目的」をもって行く(“去”)ことを表している.
我留
他吃午饭 /彼を引きとめて昼食を食べてもらう.この兼語文は,私(“我”)が彼(“他”)を引きとめ(“留”),彼(“他”)が昼食(“午饭”)を食べる(“吃”)のである.
❸ 連動文の諸タイプ
◆動詞(句)1が動詞(句)2の表す動作・行為の方式や状況を表すもの.
他用刀子
刻字 /彼は刃物で文字を彫る.他们争着
发言 /彼らは競って発言した.◆動詞(句)2が動詞(句)1の表す動作・行為の目的を表すもの.
去机场接
朋友/友達を迎えに空港へ行く.◆動作・行為の前後関係〔動詞(句)1→動詞(句)2〕を表すもの.
我跳
到黄河里去洗 了一个澡 /私は黄河に飛び込んで水浴びをした.◆動作・行為の因果関係(原因→結果)を表すもの.
我有事没能参加/私は用事があって参加できなかった.
◆肯定表現の後に同義の否定表現を置き補充するもの.
他紧握
战友的手不放/彼は戦友の手をしっかりと握って離さなかった.◆動詞1に“有”“没有”“无”が来るもの(後置修飾のようになる).
他没有资格
入工会/彼には労働組合に入る資格がない.我有件事跟你商量
/あなたに相談することがある.❹ 兼語文の諸タイプ
◆動詞1が使役の意味をもつもの.
“请”など. 、叫 、让 、使 、派 、劝 、送 、催 、逼 、选 、指使 、委托 、派遣 、启发 、鼓励 、引导 、说服 、催促 、命令 、允许 、请求 、要求 、答应 、劝说 、组织 、领导 、招集
我们请他做报告
/私たちは彼に報告してくれるよう頼んだ.老师叫我们背
生词/先生は私たちに新出単語を覚えるように言った.政府
派代表团 去中国/政府は代表団を中国へ派遣する.大家选他当主席
/みんなは彼を議長に選んだ.◆動詞1が愛憎・好悪を表すもの.
“爱”など. 、恨 、嫌 、怪 、烦 、夸 、骂 、笑话 、喜欢 、讨厌 、佩服 、感谢 、称赞 、责备 、祝贺
我喜欢他老实
/私は彼がまじめなのが好きです.我感谢你告诉了我这个消息
/この情報を私に教えてくれたことを感謝します.我嫌他讲话啰唆
/彼は話がくどいのでいやだ.老师骂他们不听话/先生は彼らが言うことを聞かないとしかった.
◆動詞1が“有”“没有”であるもの(同様に「出現や消失」を表す“生”“来”“死”などが動詞1に来ることもある).
屋内
有人说话/部屋の中でだれか話をしている.她有个女孩叫小芹
/彼女にはチンちゃんという女の子がいる.没有谁能阻挡
我们前进/我々の前進をはばめる者はいない.村里新来了一个干部叫赵永生
/村に趙永生さんという幹部が新たにやって来た.动物园里死了一只熊猫
叫伟伟 /動物園でウェイウェイというパンダが死んだ.❺ 兼語文・連動文が融合した文
我陪
他去参观展览 /彼が展示会を見学しに行くのにお伴した.この例文では〔我陪他〕〔他去……〕が兼語の結びつきであり,さらに〔去〕〔参观展览〕が連動の結びつきである.
那个导游
带我们走进一座挺 幽雅 的院子 /①私たちはそのガイドに案内されてとても静かで落ち着いた中庭に入った.(ガイドが私たちを案内し,私たちは中庭に入った)②そのガイドは私たちを伴ってとても静かで落ち着いた中庭に入った.この例文では①に示すとおり兼語文であると解釈することができるが,②のように“导游”が〔带我们〕して〔走进……〕する動作・行為の前後関係の明示ととれば連動文であると認めることもできる.
❶ “量词”とは
日本語では,紙は「1枚」,鉛筆は「1本」,人は「一人」のように数える.この日本語の「枚,本,人…」(助数詞)にほぼ相当するものを,中国語では“量词”という.
“量词”(量詞)は数を計る単位である.したがって,量詞にはメートルやグラムなどの度量衡の単位が含まれる.しかし,量詞の特徴は形態の区別や容器なども単位として数えるところにある.このような単位を設定することにより,たとえば水の場合,“一滴”(1滴の水),“ 水一杯”(1杯の水),“ 水一片”(一面の水)のように,分量は大まかにしか示せないが水のありさまを具体的に示すことができる.“ 水一片水”の“片”は本来は木片をさした.後に平たくて薄いもの一般をさすようになり,その後,平たくて薄いものを数える量詞として広く使用されるようになった.このように,数える事物の形状・特性に合わせて使用される量詞を「個体量詞」という.量詞の特徴を代表するもので,“一片肉”(一切れの肉),“两片面包”(二切れのパン),“三片叶子”(3枚の葉)のように,数量を数える単位として働くと同時に,肉などが「平たくて薄い」形であることをも表している.
さらに,“片”は,水や土地のように大きく広がったものに対しても,また風景・音・気持ちなどに対しても用いることができる.こうした場合には,数詞は“一”または“几”に限られ,単位としての働きは弱くなり,後に来る名詞を形容する働きのほうが強くなる.たとえば“一片沙漠”(見渡す限りの砂漠),“一片真心”(全くの真心)など.
量詞は,事物を数える「名量詞」と,動作の量を計る「動量詞」に大別される.
❷ 名量詞
名量詞は,数詞と組み合わせて名詞を修飾する.
❸ 動量詞
動量詞は,数詞と組み合わせて動詞の後に置き,動作の回数や期間を表す.
まず動作の回数を表す動量詞を挙げる.
我们讨论
了三次/私たちは3回討論した.他说了两回/彼は2回言った.
回数を表す動量詞には,ほかに“趟”などがあり,さらに,ある程度の時間を伴う“ 、遍 、顿 、下阵”などがある.“回”は“次”に比べて話し言葉で多用される.“遍”は動作の始めから終わりまでを一通りと数える場合に用い,“下”は瞬間的な動作・行為を数えたり,“一下”の形で「ちょっと」という意味で用いる.“趟”は往復の一回を数える時に用い,“顿”は「食べる.殴る」など限られた動詞にしか用いることができない.
次に期間を表す動量詞を挙げる.
我在北京待
了三天/私は北京に3日間滞在した.咱们休息一会儿吧/私たちしばらく休みましょう.
“会儿”は多くが“一会儿”の形で用いられ,「しばらく」の意味を表す.期間を表す動量詞には,ほかに“分”(分間)“年”(年間)などがある.また,量詞“个”のあとに名詞を付け加えた“…个小时”(…時間)“…个星期”(…週間)“…个月”(…か月)なども,全体でひとつの動量詞相当のはたらきをしている.
我儿子每天睡六个小时/私の息子は毎日6時間眠る.
雨持续了一个月/雨は1か月続いた.
このほか動作・行為に関連する身体の部分や道具を表す名詞が動量詞として用いられる“看一眼”“打一拳”“放一枪”のような例がある.「専用動量詞」に対して,「借用動量詞」といえるものである.
❹ 数量詞の働き
数詞と量詞の組み合わせを「数量詞」と呼ぶ.
数詞が“一”の場合,数量詞を重ねて名詞を修飾することができる.事物が多数であることを具体的に表現するときに用いる.
桌子上摆
着一盘 一盘的水果/テーブルには幾皿もの果物が並んでいた.量詞そのものも重ねて用いることができ,例外がないことを表す.
条条道路通北京/どの道も北京に通じている.
重ねた数量詞は動詞・形容詞を修飾することができ,「次々に.しだいに」の意味を表す.
我们两个两个地出发
了/われわれは二人ずつ出発した.天气一天一天地暖和
起来了/日一日と暖かくなってきた.数量詞は動詞・形容詞を修飾することができる.
两次,三次地修改
/2度,3度と直した.一口吞下
/一口にのみ下した.上例のように数詞が“一”の時は,「一気に.力を入れて」の意味が加わる.
「“一”+量詞」は英語の不定冠詞(a,an)に似た働きをする.“一”は省略することもある.
古代有(一)位老人,住在华北
,名叫愚公 /昔ある老人が華北に住んでいた.その名を愚公といった.(新事物の導入を表す)我们要把我国建设
成为一个强大 的社会主义国家/われわれはわが国を強大な社会主義国家にしなければならない.(抽象的な事物に加え,具体化・強調をする)文学上有(一)部《红楼梦
》/文学においては『紅楼夢』という作品がある.(固有名詞に加え,紹介の働きをする)❶ 声調と四声(しせい)
中国語の音節(原則として漢字1字は中国語では1音節で発音される)は高低昇降の音調をともなって発音される.これを声調(tone)という.
共通語には“阴平”(第1声),“阳平”(第2声),“上声”(第3声),“去声”(第4声)の4種の声調があり,これを“四声”という.また,四声のほかに「軽声」と呼ばれる,短く軽く発音されるものがある.これは第1声から第4声までの変調(音変化)の一種と考える.ローマ字中国語(ピンイン)では,第1声—第4声をそれぞれ , , , のように主母音の上に印をつけて表す.この印を声調符号という.軽声は あるいは とする.
次の図は第1声から第4声までの声調を図示したものである.
高中低とは話す人の相対的な声域,中は中くらいの高さ,高は高め,低は低めを表す.第1声は高く平らな調子.第3声はのどを押さえ込むように低い調子に下げ切り,最後にすっと声帯の緊張を解くと後尾が自然に上昇する.下げ切ったところで打ち切り,次の音に移る(図で点線部分のない)ものを半3声と言う.第2声は中くらいの高さから一気に引き上げる調子.第4声は反対に出だしの部分を高く緊張させて,すっと力を抜くと下降調子になる.
❷ 軽声
「軽声」は前の音節について軽く短く発音される.固有の声調パターンがあるわけではなく,前音節との連続による音の弱化現象で,音の高さも直前の声調によって決まる.
軽声か軽声でないかによって意味が変わる場合がある.たとえば,“妻子”は「妻と子」だが,“妻子”は「妻」の意味になる.また,“精神”は「精神」で,“精神”は「元気な」の意味である.
❸ 変調
連続して発音すると,本来の声調が変化することを“变调”と呼び,共通語では以下の種類がみられる.ただし,表記上は原調のままであることも多い.
①第3声+第3声(もと3声の軽声を含む)→第2声+第3声
例:广场
→(実際の発音) 哪里 →②第3声+その他の声調→半3声+その他の声調
例:老师
(212) → (21)声域をもっとも低い1からもっとも高い5で表す(左図参照)と,第3声は212,半3声は21で表される.
③“一”は序数詞の場合以外,後に第1声・第2声・第3声が続くと第4声に変調し,後に第4声が続くと第2声に変調する.軽声が続く場合も,本来の声調に従い同様の変調を起こす.
例:一天
→ 一起 → 一共 → 一个 →④“不”は後に第4声が続くと第2声に変調する.
例:不看
→なお,“七”“八”も従来“一”と同様に変調させることが多かったが,現在では原調のまま発音するのが普通である.
❶ “是……”と「…です」の違い
現代中国語の“是”は主として話し手の肯定判断を表し,日本語の「…だ」「…です」「…である」などに相当する意味をもつ.ただし,
他是学生/彼は学生だ.
のように,“是”は肯定される対象(目的語)“学生”の前に置かれ,日本語の場合とは語順が逆になる.
また,相手の質問に対して肯定の返事をする場合に,
你是学生吗?——是/君は学生ですか——そうです.
のように1語だけでも使えるのも,日本語の肯定表現と異なるところである.
❷ 文の形式が単純な場合
①目的語が名詞や人称代詞の場合
他最佩服
的是你/彼が最も敬服している人はあなただ.我是北京大学一年级的学生/私は北京大学の1年生です.
②目的語が“的”を伴う語句の場合
《琵琶行
》是白居易 的(=白居易的作品)/『琵琶行』は白楽天の(作品)だ.今天做的都是好吃的(=好吃的菜)/きょう作ったのはみなおいしいものばかりだ.
③ある場所に存在する事物をいう場合
靠
墙是一排 书架 /壁に沿ってずらりと書架が並んでいる.他满身
是泥 /彼は全身泥だらけだ.这叫杜鹃花
,一到春天,这儿遍地都是/これはツツジといい,春になるとこのへんはみなこれだ.注意これらは,その場所を1種類のものが占めているという表現であり,単にそこにものがあるということをいう“有……”とは異なる.
④目的語が数量や暦・出身についての表現の場合
肯定文の場合,“是”はしばしば省略され,その場合は一般に名詞述語文と分析される.
我(是)二十岁/私は20歳です.
今天(是)十月一号/きょうは10月1日だ.
明天(是)星期二/あすは火曜日だ.
他(是)山西人/彼は山西の人だ.
注意否定文の場合には“是”は省略できない.
我不是二十岁/私は20歳ではありません.
今天不是十月一号/きょうは10月1日ではない.
他不是山西人/彼は山西の人ではない.
①文末に“的”を伴う場合
身上虽
冷,心里是暖 的/体は寒いが心は温かい.书是有的/本はあるのです.
我是不会开这种拖拉机
的/私にはこういうトラクターは運転できないのです.②“是”を強く発音する場合
他手艺
是高明 ,做出来的菜就是不一样/彼の腕前は確かにすぐれている.料理の出来栄えがぜんぜん違う.我们的战士
是很英勇 /われわれの戦士は確かに勇敢だ.③“不是……”と並んだ場合
屋子里不是太冷而是太热/部屋の中は寒すぎるのではなく,暑すぎるのだ.
我是有事,不是偷懒
/私は用事があったのであって,油を売っていたのではない.❸ 文の形式が複雑な場合
文の述部が単純な場合と同じく,“是”は肯定判断を表すが,文の形式が単純でない場合に“是”が使われたときは,主部で取り上げた事柄について話し手が目的や原因などその背景となる事情について説明したり釈明したりする内容になる.その内容についての話し手の肯定判断が“是”で表される.
麻烦
的是他生病来不了 /困ったことには,彼が病気で来られないのだ.我最后一次见到他是在上海/私が最後に彼に会ったのは上海だった.
他犯
错误 是(因为)平时太骄傲 了/彼が過失を犯したのは,ふだんあまりにも傲慢(ごうまん)だからだ.既に実現したできごとについて,そのできごと自体ではなく,できごとにかかわる人やもの,あるいは時・場所などの背景的情報を特に強調する場合,文末に助詞“的”を用いて“是……的”とする.強調する部分は“是”の直後に置かれる.
我是昨天到的/私は昨日着いたのです.
他是从北京来的/彼は北京から来たのです.
是谁告诉你的?——是老师告诉我的/だれがあなたに話したのですか——先生が私に話したのです.
❹ 質問に対する肯定の返事の場合
次のように質問中に“是”があれば肯定の返事に“是”を用いることができる.
你是新来的吗?——是的/あなたは最近来たのですか——はい,そうです.
“是”のない質問に対しても,質問者が前提にしている考えを肯定する時は“是”と返事をすることができる.
你为什么要离开呢?——是啊,我当初是”は,質問の背後にある「君はそこを離れるべきではなかったのだ」という質問者の考えに対して「そうだ」という肯定を表す.
要是不走该 多好/君はなぜそこを離れたのですか——そうですね,あの時離れなければよかったのですが.この“ただし,否定の返事では質問中に“是”がない時は“不是”と答えることができない.
那是图书馆吗?——不是/あれは図書館ですか——いいえ,違います.
你就走吗?——不,我还要住几天/すぐお発ちになりますか——いいえ,もう少し滞在したいと思います.
❺ “是不是”の疑問文
“你是不是学生?”(君は学生ですか)のように目的語が名詞の疑問文では,“是不是”は単純な疑問を表す形式である.しかし次のような場合では,質問者が相手に自分の予想についての確認を求める意味になる.
你是不是明天不来了?/君はあす来ないことにしたのですよね.
你明天去游泳
是不是?/君はあす泳ぎに行くのでしたよね.❶ 日本語の略語との違い
中国でも日本でも多くの“缩略语”(略語)が使われているが,“理工科”(理工科)のように,同じ言葉を同じ形で略す場合もあれば,“北大”のように形はまったく同じだが違うものをさす場合もある.中国語で“北大”といえば,「北海道大学」ではなく,“北京大学”(北京大学)のことなのである.また,“高校”は「高等学校」のことではなく,大学や大学院などの「高等教育機関」をさす.逆に,同じものを異なる形で略す場合もある.たとえば「地下鉄道」を日本語では「地下鉄」と略すが,中国語では“地铁”という.
さらに重要なことは,日本語では略語といえば一般に名詞的な連語を簡略化したもの,たとえば「大卒」「高三」「時短」「労組」「国連」などが普通だが,中国語における略語は名詞的な連語だけにとどまらず,“入世”(WTOに加盟する),“申奥”(オリンピック開催地に立候補する)のような動詞なども含まれ,その範囲は広く,日本語とはずれがある.
動詞を含んだ略語の例
扫除黄书→扫黄
/ポルノを一掃する.整顿作风→整风
/作風を整える.调查研究→调研
/調査研究する.研究讨论→研讨
/シンポジウムを行う.冲洗扩大→冲扩
/フィルムを現像してプリントする.调整工资→调资
/賃金を調整する.裁减军备→裁军
/軍縮をする.❷ 略語の構成法とその分類
略語はその構成方式から大きく6種類のグループに分けられる.
語素(意味を有する最小単位の造語要素)を省略して,残った部分を圧縮して新語形をつくりだすもの.略語構成法の中で最もよく使用されるのがこれで,次々と生まれてくる新語の大きな源となっている.
中央电视台→央视
/中央テレビ局.消费者协会→消协
/消費者協会.劳动模范→劳模
/労働模範.高级中学→高中
/高校.七言绝句→七绝
/七言絶句.彩色电视机→彩电
/カラーテレビ.土地改革→土改
/土地改革.外交部部长→外长
/外相.奥林匹克运动会→奥运会→奥运
/オリンピック.世界博览会→世博会→世博
/万国博覧会.同じ対象をさす日本語の略語とは略し方が異なるものもある.
贝多芬第九交响曲→贝九
/(ベートーヴェンの)第九.联合国
安全理事会→联合国安理会 /国連安保理.並列する連語のうち共通する部分の一方を省略し,圧縮するもの.
中学小学→中小学
/小中学校.大型中型企业→大中型企业
/大手・中堅企業.大使馆领事馆→使领馆
/大使館と領事館.工业农业→工农业
/農工業.省内省外→省内外
/省の内外.土产特产→土特产
/特産品.原料材料→原材料
/原材料.これには二つのタイプがある.
★総称の一部を省略して属性を表す部分を残すもの
师范院校→师范
/師範大学・学校.长途电话→长途
/長距離電話.复旦大学→复旦
/(上海の)復旦大学.罐头食品→罐头
/缶詰食品.世界贸易组织→世贸
/世界貿易機関.WTO.★修飾語を省略したもの
中国人民解放军→解放军
/中国人民解放軍.国际劳动妇女节→妇女节
/国際婦人デー.中国青年节→青年节
/中国青年デー.これには主に地名の別称などが含まれる.
複音節の地名を,他の一語音節の別称で置きかえて略称を構成する.たとえば,“上海→沪”“云南→滇”のように置きかえ,“京沪线”(北京—上海鉄道線),“滇缅”(雲南—ビルマ道路)などの略称を構成する. 公路
南京→宁
/山西→晋
/广州→穗
/山东→鲁
/河南→豫
/河北→冀
/湖南→湘
/四川→川
,蜀 /★数字帰納型:並列関係にある項目をその項目数に置きかえてひとまとめにするもの
身体好、学习好、工作好→三好
/健康・学習・仕事ぶりの三つがともにすぐれている.讲文明、讲礼貌、讲卫生、讲秩序
、讲道德;心灵 美、语言美、行为美、环境 美→五讲四美 /文明・礼儀・衛生・秩序・道徳の五つを重んじ,心・言葉・行為・環境の四つの美を尊ぶ.★意味帰納型:それぞれの語に共通する意味的特徴を別の言葉を用いて簡潔な言い方にまとめるもの.必ずしも省略前あるいは圧縮前の形が存在するわけではない
四害
/四つの害:ハエ・カ・ネズミ・ナンキンムシという人間に害を与える4種類の動物をいう.比喩的な意味でも用いる.五毒
/五つの毒:サソリ・ムカデ・ヘビ・トカゲ・ガマなどの毒性をもつ5種類の動物.比喩的な意味でも用いる.事件名・記念日などで前につく日付の“月”“日”などを省略したり,長期計画などを簡単にしたもの.
五四运动
/五四運動.五卅事件
/五・三〇事件:(1925年の)上海で起こった反帝国主義運動.九一八事变
/九・一八事変.「満州」事変.第八个五年计划→八五计划
/第八次五か年計画.❶ 文言と白話
“文言”(古文)と“白话”(白話(はくわ)文)は中国での“书面语言”(文章語)の二大分類であり,伝統的な文語文を“文言”,日常生活で話される口語に近づけて書かれた文章を“白话”という.
また,声に出して読んでみて,耳で聞いて理解できるものを“白话”,聞いただけでは容易に理解できず目で見なければわからないものを“文言”ということもできる.両者の外面的な相違は大きく,語彙や語法などの面で大きな違いがある.
[語順]文言では疑問代詞の目的語や,否定文での代詞の目的語は動詞の前に置かれることが多い.
吾
谁欺 ?/私がだれをだますというのか.时不我待
/時は私を待ってくれない.[品詞]文言では同一の文字が数種の品詞を兼ねることが白話よりも多い.
豕
人立而啼 /ブタが人間のように立ち上がって鳴いた.登泰山
而小天下/泰山から見下ろして,天下は小さいと思った.❷ 文言の歴史
中国で現在残る最も古い文章は,殷代末期(紀元前1300—1000年ごろ)の“卜辞”(亀甲(きっこう)文字)やほぼ同時代の青銅器に鋳込まれた銘文(“金文”)である.すでにそのころから,中国では書き言葉と話し言葉の間に大きな隔たりがあったと思われる.
春秋戦国時代になると各地で高度の文化が栄え,多くの書物が著されるようになった.なかでも目覚ましい活躍をしたのは“诸子百家”と呼ばれる思想家たちであった.当時,各地域には相当大きな方言の分岐があったが,しかし思想家たちが書いた文章は地方独自の表現を含みつつも,標準語的な書き言葉として全国に通用した.彼らが書いた文章がのちの文言の基本的なスタイルとなった.秦の全国統一の後,漢が大帝国を建設し文化的状況が安定するにつれて,書き言葉はいっそう整備され,文章のスタイルもほぼ固定化された.
先秦から秦・漢代までの散文は,文学的な修辞の少ない素朴な文章だった.しかしその後,文学芸術が発達し,魏晋・南北朝時代にかけて装飾的な修辞を凝らした美文を作ることが流行し始めると,書き言葉と話し言葉の隔たりはさらに大きなものとなった.その最も顕著な例は,六朝時代にさかんに作られた“骈文”(駢文(べんぶん).二頭立ての馬“骈”が並んでいるように均整がとれた文章のことで,四字句・六字句を多く用い,対句によって構成した美文の一形式.駢儷(べんれい)文・四六(しろく)文ともいう)である.
しかし,唐代になると形式より文章の内容の充実を求める動きが起こり,ふたたび先秦・漢代の簡潔な文章のスタイルへ回帰しようとする傾向が盛んになった.これが“韩愈”(韓愈(かんゆ))や“柳宗元”(柳宗元(りゅうそうげん))らが主張した古文復興運動であり,彼らが模範とした“古文”とは先秦や漢代の思想家や歴史家の文章であった.
文言文の主流はこの“古文”と“骈文”であり,この二つが20世紀初頭まで書き言葉の中心であった.
❸ 白話の歴史
話し言葉を基礎にした書き言葉を“白话”というのは,芝居の“白”(せりふ)の言葉であるからとも,また“明白如话”(話し言葉のようにはっきりしている)を縮めた表現ともいわれる.
文言が正統の地位を占めていた時代でも特殊な場合には白話が使われることもあった.それは歴史書や個人の伝記などで人物の言葉を直接話法で引用する場合で,そのような早期の白話の例は《世说新语
》(世説新語(せせつしんご).5世紀前半に南朝宋の劉義慶が著した逸話集)などにみえる.現在まとまった形で見ることができる最古の白話資料は,唐代に寺院で仏教説話を絵解きにして民衆に語り聞かせた“变文”(変文(へんぶん).現存する写本は敦煌(とんこう)の莫高窟(ばっこうくつ)から発見された敦煌文献の一部)である.これは僧が語りと歌をまじえて説教をする時の台本で,他人に見せる性格のものではないから話し言葉が使われたと思われる.
次の宋になると,文字を知らない民衆を相手に有名な歴史物語などを面白く語り聞かせる講談などの演芸が町中で上演されるようになった.そのような語り物の台本を“话本”という.
さらに元になると,同じく民衆を相手にした芝居(“杂剧”)が上演され,また明・清代には“章回小说”(章回(しょうかい)小説.講談の台本から発展し,第1回,第2回と何章にも分けた形式の小説)と呼ばれるおびただしい数の通俗小説などが書かれるようになった.それらはいずれも伝統的な文言の世界とは無縁の民衆を相手に営まれた著述活動だったので,それには当然白話が使用された.
こうして白話による作品の数はしだいに増えていったが,しかし白話で書かれた書物はあくまでも儒学世界での教養の枠外にあり,したがって白話の言語としての価値は一段低いものと認識され続けた.
白話の地位が向上し始めたのは中華民国になってからである.その契機となったのは1917年に“胡适”(胡適(こてき))が雑誌《新青年 》に発表した《文学改良刍议 》で,胡適がそこで主張した白話による近代的な文学の確立は,“陈独秀”(陳独秀(ちんどくしゅう))や“钱玄同”(銭玄同(せんげんどう))などの若き知識人たちに熱烈に支持された.“鲁迅”(魯迅(ろじん))が《新青年》に1918年5月に発表した《狂人日记 》(狂人日記)は,白話で書かれた初めての近代的小説として社会に大きな影響を与えた.それ以後,白話を使って文章を書こうとする潮流がしだいに盛んになった.
近代文学の世界では1930年代には口語文を使うのがすでに主流になっていたが,しかしそれでも社会にはまだ文言を使う人がかなりおり,中華民国時代には新聞や論説文は依然として文言で書かれていた.憲法をはじめとする法律や政府の公文書,学校で使われる教科書,あるいは新聞や雑誌などの記事がほとんど白話で書かれるようになり,白話が完全に文章語の中心となったのは,1949年の中華人民共和国成立以後のことである.
❶ “象声词”について
“象声词”(“拟声词”とも)とは,物音や人間・動物の声などを言語音に模倣して漢字で表記した語をさし,日本語でいえば「擬声語」のことである.
“象声词”は,その形容するものによって大きく次のように分けることができる.
[雷の音]轰
,轰隆 隆,咕 隆隆;((落雷は))嘎啦[雨の音]哗
,滴滴答答[風の音]呼
,飕飕 [鐘の音]当[ベルの音]嘀铃铃
,丁零零[砲声]轰,轰隆
[銃声]((単発音は))砰
,嘭 ,嘡 ;((連発音は))哒 哒哒;((散発音は))乒乒乓乓[足音]欻欻
,咚咚 ,噔噔 ,啪嗒 啪嗒[太鼓の音]咚咚 [どらの音]嘡
,锵[ぶつかったり当たったりする音]((大きな音は))嘣
,咚 ,咣 ,当 ,哐 ,啪 ,乓 ,嘭 ,丁当,丁冬 ,当啷 ,咣当,咣啷,哐当,哐啷,嘡啷,丁零当郎 ,乒里乓啷 ,唏哩哗啦 ;((小さな音は))咔 ,喀 哒,吧嗒 ,啪嗒,嘁嘁喳喳 ,嘁哩喀喳[折れる音]吧,嘎巴
,喀吧,劈啪[きしむ音]嘎,嘎吱
,咯 吱,叽叽嘎嘎 ,叽吱咯吱[液体から出る音]吧唧
,咕嘟 ,噗唧 ,哗啦 ,扑通[気体から出る音]刺
,哧 ,嗖 ,兹 ,扑哧[笑い声]哈
哈,嘎嘎,咯 咯,呵 呵,嘿 嘿,扑哧 ;((にこにこ笑うさまは))嘻 嘻[泣き声]哇
,哇哇,呜 呜;((赤ん坊は))呱 呱[話し声]叽叽嘎嘎
,叽叽喳喳 ,叽里咕噜 ,叽里呱啦 ,嘁嘁喳喳 ,哇啦 哇啦,呜噜 呜噜[叫び声]嗷
嗷,𫪘[くしゃみ]阿嚏
[せき]喀
[いびき]呼
呼,呼噜 呼噜[ネコ]喵
;((子ネコは))咪 咪 [ヒツジ]咩 [ウシ]哞 ,闷儿 [ウマ]咴儿咴 [イヌ]汪 汪 [ネズミ]吱 [ニワトリ]咯咯咯;((メンドリは))咕咕;((オンドリは))喔 [トリ]叽叽 ,喳喳 ,啾啾 [アヒル・ガチョウ]嘎嘎 [カラス]呱呱 ,嘎嘎,哇哇,哑哑 [カエル]呱呱 [コオロギ]㘗❷ “象声词”の形式
音節数によって分類すると,1音節(A型),2音節(AA型,AB型),3音節(AAB型,ABB型),4音節(AABB型,ABAB型,A里AB型,ABCD型,ABCB型)のような基本パターンに分けることができる.また,AB型はABAB型にすることもできるし,AABB型はAA型を二つ合わせてできたものも多い.そのほかに,表現の必要に応じて「繰り返し」や「重ね」などによる変形もみられる.
1音節語 [A型]嚓
,噌 ,呼 ,哗2音節語 [AA型]哗哗,汪汪,唧唧
[AB型]轰隆,丁当,喀嚓
3音節語 [AAB型]丁丁当,滴滴答
,咚咚嚓[ABB型]嘀铃铃
,轰隆隆,哗啦啦4音節語 [AABB型]丁丁当当,滴滴答答
[ABAB型]哇啦哇啦,呜噜呜噜,呼噜呼噜
[A里〔哩〕BC型]叽里咕噜,叽里呱拉,唏哩哗啦
[ABCD型]丁零当郎
,嘁哧喀嚓 ,乒零乓啷[ABCB型]叽吱咯吱,劈嗒啪嗒
①“象声词”は普通,第1声で発音するが,会話の中で用いる場合,話し手の語気によって多少の変化がある.また,書き言葉からきた語は第1声以外の声調で発音することも多い.
②A型の擬声語で動物の鳴き声や連続音を表すには,声を引き伸ばしたり重ねてAA型にしたりすることが多い.
③“咕嘟”“咕噜”“呱唧”などのようなAB型2音節語は,Bの音節を軽声に発音すると動詞になるものもある.たとえば,“咕嘟”は「ぐらぐら」や「ぐつぐつ」など液体が沸騰する音を表すが, 咕嘟 と発音すると「長い間煮る.煮込む」の意味になる.
④A里〔哩〕AB型とABCD型の場合,2音節目の「里〔哩〕」と「B」はいつも軽声に発音する.
⑤話し言葉の“象声词”の2音節語以上の語は普通,アクセントをいちばん最後の音節に置く.
❸ “象声词”の用法
①単独で用いる場合
咚、咚、咚,听到有人敲门
/どん,どん,どんとドアを叩く音が聞こえた.②名詞を修飾する場合
[擬声語+“的”+名詞]
哗哗的雨声
/ざあざあと(降る)雨の音.劈哩啪啦的掌声
/ぱちぱちという拍手の音.[AA型+“声”]
沙沙声/さくさくという音.
嗡嗡声/ぶんぶんという音.
③動詞を修飾する場合 単発の音や短い動作を表すには,“刷”(さっと飛びあがって向こう岸に渡った)のように動詞の前に“ 地一跳,就到了对岸一”をつけていうこともある.連続した音を表すには,よく動詞の前に“直”,動詞の後に“一阵”などをつける.
[擬声語+“地”+動詞]
阿嚏、阿嚏地直打嚏喷
/はくしょん,はくしょんとしきりにくしゃみをする.唏哩哗啦地下了一阵雨
/にわか雨がざざあと降ってきた.[擬声語+動詞]
肚子
咕噜噜直响/おなかがぐうぐう鳴る.[動詞+“得”+擬声語+“的”]
哭
得呜呜的/おんおんと泣いている.风刮
得呼呼的/風がぴゅうぴゅう吹いている.日本と同じように,中国にもいろいろな言葉遊びがある.“谜语”(なぞなぞ),“绕口令”(早口言葉),“歇后语”(洒落言葉.かけ言葉),“接尾令”(しり取り),“倒顺句”(回文)などが代表的なものである.
❶ 谜语
(なぞなぞ)“谜底”(なぞの答え)や“谜面”(ヒント)の形によって“字谜”“物谜”“名称谜”“成语谜”“棋谜”“诗谜”などがある.
漢字を偏や旁・上下・左右に分けてヒントを出し,その字を当てさせる.漢字の各部分を独立した文字として扱っている.
走在上面,坐在下面走”では上にあり,“坐”では下にある.(答:“土”)
/上を歩き,下に座る→“天广地大广”,下は“大”.(答:“庆”)
/天は広く,地は大きい→上は“贝字欠两点,不作目字猜贝”の字と“欠”と点が二つ.でも(“贝”の字から二点をとった)目の字にしないで.(答:“资”)
/“品物の様子・働き・性質などに比喩や暗示を加え,答える人を迷わせる物あてクイズ.
奇怪事情多,纸里包着火灯笼”)
/(世の中には)不思議なことが多い,紙に火が包まれている.(答:“一件东西来回走,只有牙齿没有口锯”)
/一つの物が行ったり来たり,歯があるだけで口がない.(答:“一家分两院,两院子孙多,多的倒比少的少,少的倒比多的多算盘”)
/家に庭二つ,二つの庭には子孫がたくさん.ところが多いほうが少ないほうより少なく,少ないほうが多い方より多い.(答:“地名・書名・人名を当てさせるなぞなぞ.
一路平安旅顺”)/
(中国の地名)(答:“金银铜铁(中国の地名)(答:“无锡”)/
夕日西下沈阳”)/
(中国の地名)(答:“他们二人同去(国名)(答:“也门”イエメン)/
四字成語を答える.
大合唱
→异口同声 /照相底片
→颠倒黑白 /七分+八分=一千元
→一刻千金 /汗衫
→一衣带水 /❷ 绕口令
(早口言葉)“拗口令”ともいう.“绕口”は「口がこんがらかる」,“拗口”は「舌がまわらない」という意味で,日本の早口言葉を「舌もじり」というのに似ている.
麻妈妈骑马,马慢麻妈妈骂马
/麻おばさんがウマに乗る,ウマが遅くて麻おばさんはウマをしかる.白石搭白塔,白塔白石搭,搭好白石塔,石塔白又大
/白い石で白い塔を作る,白い塔は白い石で作る.白い石の塔を作り上げる,石の塔は白くて大きい.上桑山,砍山桑,背着山桑,下桑山
/クワ山に登り,山のクワを切る,山のクワを背負って,クワ山を下りる.四是四,十是十,十四是十四,四十是四十,谁说十四是四十,就打谁十四,谁说四十是细席,就打谁四十
/4は4,10は10,14は14,40は40,14を40と言った人は14回ぶつ,40を狭い席と言った人は40回ぶつ.❸ 歇后语
(洒落言葉.かけ言葉)一般には前後二つの部分から成り立っており,前半がなぞかけで,後半でそのなぞ解きをする.前半を“譬”,後半を“解”という.もとは“譬”だけを言って“解”を言わなかったため,“歇后语”(後ろを言わない洒落)という.“解”の内容から二つに分けられる.
“譬”が比喩で,“解”が説明となっている.
棺材上画老虎——吓死人
/棺にトラを描く——人を仰天させる.山水画——没人
/山水画——人が描かれていない(人がいない時に言う).千里送鹅毛——礼轻人意重
/遠方から鵝毛を送る——物は軽いが,送る人の気持ちは重い(物は粗末でも心がこもる).“解”が同音(近音)異義のかけ言葉になっている.
老九的弟弟——老十(实)老实”(まじめ)に通じる)
/9番目の息子の弟——10番目の弟.(同音の“外甥提灯笼——照舅(旧)照旧”(相変わらず)にかけている)
/おいが提灯を持つ——叔父を照らす.(“蛤蟆跳井——扑通不懂”(わからない)にかけている)
/ガマが井戸に飛び込む——ぽとん.(音が近い“❹ 接尾令
(しり取り)学习
→习作 →作文 →文化 →化验 →验收 /四面楚歌
→歌舞升平 →平易近人 →人定胜天 /このほか,17の成語のしり取りを表にし,それをカード1枚に漢字を1字ずつ書き,4人で順に,前の人のカードの前後の文字を出して成語を完成していく遊びもある.この場合,重なる文字は省略して1枚とし,先頭と末尾の字だけは2枚用意する.合計52枚のカードで遊ぶ,「成語七並べ」といったところである.
❺ 倒顺句
(回文)上から読んでも下から読んでも同じになる言葉遊び.
水流是不是流水
/水流は流水か.枝多叶茂,茂叶多枝
/枝が多く葉が茂る,茂った葉と多くの枝.❶ 助詞とは
助詞はそれ一語だけで使われることはなく,必ず他の語に伴った形で使われる.しかし,文全体の意味を構成する上では大変重要な働きをする.一般には,構造助詞,動態助詞(アスペクト助詞),語気助詞の3種類を助詞としている.
❷ 構造助詞
構造助詞は文の成分間の文法的なつながりを表す語であり,個々の語に語形変化のない中国語にあっては,語順とともに文法的に重要な働きをする.
構造助詞には“的”“所”“地”“得”などがある.
“的”は名詞に連体修飾語をつける時に用いられる.たとえば,
我的书/私の本.
去年出版的书/去年出版された本.
很有趣
的书/とてもおもしろい本.我最爱看的书/私が最も愛読している本.
しかし,次のように後の名詞が表現されない場合も少なくない.
这是我的/これは私のです.
没有有趣的/おもしろいのはありません.
書面語では「動詞+“的”」の前に構造助詞“所”が置かれることがある.基本的な意味に変化はない.
去年所出版的书/去年出版された本.
“地”は動詞・形容詞に連用修飾語をつける時に用いられる.たとえば,
高高兴兴
地去打球/喜んでボール遊びに行く.轰隆隆
地响 /ごろごろと大きな音が響く.万分地高兴/たいへんにうれしく思う.
“得”には様態補語や程度補語を結ぶのに用いられるものと,可能補語を結ぶのに用いられるものとがある.
① 様態補語や程度補語の場合
他的中文讲得很出色
/彼の話す中国語はとてもすばらしい.他比我聪明
得多呢/彼は私よりずっと頭がよい.② 可能補語の場合
看得见/目に見える.
听得懂/聞いてわかる.
ただし,これに対応する否定の表現には“得”が用いられず,“看不见”(目に見えない),“听不懂”(聞いてわからない)となる.
❸ 動態助詞(アスペクト助詞)
動態助詞は動詞の直後に用いられ,動作や状態について,それが完了した段階にあるか,持続中であるか,すでに実現済みの段階にあるかといった細かい動態(アスペクト)にまで踏み込んで表現する語である.
動態助詞には“了”“着”“过”の三つがある.
“了”は動作・状態が実現して一定の完了の段階にまで達したことを表す.
转眼
就到了家/あっという間に家に着いた.她擦着
了一根火柴 /彼女はマッチを1本すってつけた.她和我一起生活了三年/彼女は私と3年間一緒に生活した.
次のように仮定の表現にも用いられる.
长大了要干什么?/大きくなったら何がしたいの.
去了就知道/行けばわかる.
“着”は状態やその結果が持続している段階にあることを表す.
我注意
地看着/私は気をつけて見ていた.他在沙发上坐着/彼はソファーに座っている.
窗
玻璃 上停 着一只小蝴蝶 /窓のガラスに小さなチョウが1匹とまっている.“过”は動作がすでに実現済み,経験済みであることを表す.
报纸
来过了/新聞は来ています.我去过一次中国/私は中国に1度行ったことがあります.
❹ 語気助詞
語気助詞は,言葉を発する際の話し手の態度を直接に反映し,文の意味のなかで感情的・感覚的な面の表現を担う語である.
たとえば,「そうです」と返事をする場合,目上の人に対するあらたまった返事であれば“是”と言う.しかし互いに遠慮なくうちとけて話をしている場合ならば“是”だけでなく,相手に対して心を開いた,素直に語りかけるという話し手の気持ちを語気助詞“啊”や“呀”などで表して,“是啊”“是呀”のように言う.「そうなんだ(よ)」「そうですよ」「そうよね」などにあたる言い方である.
また,問いかける気持ちを表す語気助詞には“吗”“呢”“吧”などがあり,意味と用法には細かな違いがある.
“吗”は「はい」「いいえ」で答えられる疑問の時にのみ用いられ,“呢”は「なに」「どこ」など具体的な事柄をたずねる疑問に用いられる.たとえば,
你去吗?/あなたは行きますか.
这是什么呢?/これはなんですか.
これを語気助詞を用いず次のように言うこともできる.その場合,感情的な意味は口調に表れるだけになる.
你去不去?/あなたは行きますか.(“吗”は用いることができない)
这是什么?/これはなんですか.
“吧”は答えが「はい」であるとあらかじめ予測される事態についてあえて同意を求める時に用いられる.
这是你的吧?/これはあなたのですよね.
そのほか,語気助詞の“了”は,状況の変化の確認を表し,その用法は次のように幅広い.
我已经吃饭了/私はもう食事をしました.
他快三十了/彼はもうじき30になる.
我不要了/私はいりません(もらわないことにします).
この“了”にさらに感情的な意味が加わった語気助詞に“啦”“嘞”“咧”“喽”“咯”などがある.
“呢”は,事態を聞き手に対して確認する語気を表す.
他吃饭呢/彼は食事をしています.
“呢”にさらに“啊”の意味が加わった語気助詞が“哪”である.